私、月読調 (火野ミライ)
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私、並行同位体。可能性のIF編
(IF)、暁切歌。明日を求めて……


本編が産難なので投稿。思い付きなので長くはないはず……
余談なんですけど、if編って本編一番上に置くのと、一番下に置くのどっちがいいんですかね?

あらすじ
 時は2043年。地上から放たれた一撃が月を粉砕。日本で活動していた装者達は生死不明となり、事件を起こした黒幕「フィーネ」はとある真実を知り行方をくらませる。
 月が無くなったことによって地球の地軸と重力は狂い、人々は月の破片や隕石によって生活層を狭めていた。

 それからしばらく経ち、人々はわずかに残った土地や食料を求めて個人規模での争うを各地で始める。そんな世の中、傭兵として活動する一人の少女がいた。


砂が風によって舞う中、銃声音が響き渡る。地雷を踏み吹き飛ぶ人、銃弾を受け片目を失う人、影に隠れた襲撃者の手により喉元を切り裂かれた人。力を持たぬ子供や老人は死に絶え、若者は戦いの中で散る。

 

月が巫女の手によって消えてから数年。生き残りをかけた個人の戦争、すなわち殺し合いが世界各地で行われている。理由、簡単な事。生き残るため。

 

月が消えたことによって地軸は狂い、破片が地上に降り注ぐ。隕石はあちこちに落ち、作物は育つ事を忘れた。人類はわずかに残された食料と土地を求め争う。まさしく地獄絵図。

 

月の崩壊を望んでいた巫女はなぜか膝から崩れ落ち、意気消沈。その後は姿を眩ませた。そんな世界にニャルラトホテプの手によって、転生して早10年近く。過酷な環境だった気もするが、既に忘れた。気が付いたらどっかの組織で、ある人体実験の唯一の個体。

 

その人体実験がNECRO OVER(ネクロオーバー)、通称【NEVER(ネバー)】。死んだ人間に【人体蘇生酵素】を打ち込むことで誕生する死体の兵士。目覚めた時には既にネバーになっていたから、それより前のことは分からないが、もう当時のことも前世のことも思い出せないので変わらない。

 

NEVERになった恩恵で人間離れした身体能力と単純な物理攻撃では死なない耐久力を得た。詳しい奴は知っているだろうが、NEVERは【仮面ライダーダブル】の映画に登場した種族(作品的には傭兵団)。そのリーダーでもあり敵ライダーの【大道克己/仮面ライダーエターナル】はかなりの人気だった。

 

ニャルラトホテプから渡された転生特典がまさしく彼の力。現に私の手元には無限回路を模したEのイニシャルのUSB所のメモリ【エターナルメモリ(T2)】とそれを使うための【ロストドライバー】がある。【ガイアメモリ】は不定期にニャルラトホテプによって送られてくが気分で種類が変わるため微妙なものも。

 

「切ちゃん!」

 

窓の向こう、夜空へと視線を向けていたアタシに声をかける黒髪ツインテールの少女。彼女は【月読調】、この体がNEVERになる前からの知り合いらしい。

 

あぁ、そいえば自己紹介してない。アタシは【暁切歌】。この世界で唯一のNEVERで仮面ライダー。月がなくなった混乱に応じて組織を(勝手についてきた調と共に)抜け出して、傭兵として過ごしている。

 

大道克己(オリジナル)と違ってアタシはエターナルの力ありきでやっているが、調を生かすためだから仕方ない。そう自分に言い訳し、逃げようとする自分がいる。それがアタシの弱さ。

 

まだ残っている良心がふとした時に痛む。白いマスクにつく赤い液体、助けてくれと悲願する敵兵、初めて命を奪った時の恐怖、肉を切り裂く時の感覚、口内に銃口を突っ込んだ際に目で訴えてくる襲撃者。死体が放つ独特の匂い、放った必殺技で周囲が燃える様。

 

泣いている子供に手を差し伸ばそうとしてふと目に映る血まみれの幻覚。非常になりけない己の甘さ。狂った科学者を始末した際の快感。そういうのに何も思わなくなっている自分。

 

何もかもが嫌悪感を思わせて、それを忘れていく事への恐怖。

そういう時代で生きているから。と割り切れている人がはとんどの世の中で既に2回は死んでいるアタシどうすればいい?

 

「夕飯出来た、食べよ」

 

NEVERは要らない。そういっても彼女はご飯を作り続ける。今の世の中、一人分の食料を手にするのだって大変なのに。まぁ、彼女が笑顔いてくれる明日を迎えるのに必要ならアタシは拒まない。多分、彼女との今が無くなったらアタシはただ意味もなく、戦いに暮れる日々を過ごすだろう。そうすればアタシは本当の意味で人間じゃなくなる。

 

その時はきっと過去も今も未来もどうでも良いって思っているだろうけど。この温かい心が残っている内は、こう言う人間らしい日々も必要なんだと思う。だから彼女にアタシは言う………

 

「メニューは?」

 

「食卓に着いてからの楽しみ…」

 

「そ」

 

「冷めないうちに食べよ」

 

ありがとう、君のおかげで心だけは人でおれる。口には出さないけど、感謝の言葉を。

たとえそれが、アタシを人間に縛り続ける呪いだとしても。アタシは君だけの仮面ライダーだ。君が怪物との相乗りを辞めるその日まではそばに居ようと思う。




キャラ設定

・暁切歌
 本編の主人公が調でなく、切歌に憑依。ビルドライダーズでなくエターナル(大道克己)の力が特典。NEVERになってから肉体は成長してない。その為、見た目で舐められるが、その慢心を付き相手を処分。
 本編と違い、ニャルラトホテプが体内にいない。その代わりか、不定期にT2使用のガイアメモリ(原作ないのも含め)が手渡される。
 何も仕事を請け負っていない時、調と過ごす時間が雄一生きていると錯覚できる。

・月読調
 月が砕けた際の混乱に乗じてF.I.S.を脱走した切歌についてきた人。傭兵として活動する切歌のサポートをしてる。
 切歌にガイアメモリを私に来る女性を目の敵にしているようだ…


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私、転生者。ちょっとしたプロローグ
私、転生者。第二の人生は女の子‥‥


作者の他作品、「創造×戦姫 ビルドシンフォニー」がプロップ制作時期的に原作設定とかみ合わなすぎるので凍結。
その設定の一部を引き継いでの作品となります。

上記作品を見て無くても大丈夫ですが、そこで出す予定だったオリジナルフォームが出るかもしれません。


時は西暦2032年、【調(つき)神社】の一室にて3歳ぐらいの少女が居た。

少女の足元にキューブ状の物や緑。青・赤のパネル状のものが置かれており、

机の上には様々色で兎・戦車・ドラゴンなどの模様が描かれている小瓶、

更には難しい数式や機械の設計図が無造作に置かれている。

 

「‥‥…できた!」

 

この時代ではあまり見かけなくなっているSDカードを機械に入れ小さく呟く。

大人が持ってもかなりの重量があるそれを小さな両手で持ち上げている。

その顔には達成感から、笑みを浮かべていた。

 

黒のカバーパーツで内部回路を保護しており、右側には赤色のレバーやギアパーツやパイプ、

左側には机の上に置かれている小瓶が二本入りそうなスロットと持ち手。

 

「‥…いくらイメージとせっけいずがあるっていったって、こんなにはやくできるなんてな‥‥」

 

発達しきって無いためか呂律が回り切ってはいないないが、しっかりとした言葉を呟く。

 

「さすが、きりゅうせんととおなじアイキュウ。おそろしい…………」

 

少女を発言を聞いた人が居ればその言葉に違和感を覚えるだろうが、この場には少女しか居ない。

また少女はそのことを確認してから発言しているため、誰にも気づかれずにいる。

 

少女は独り言を呟きながら、机の上に散らばっている回路の材料や工具を片付けていく。

 

「それにしても、ボトルやせっけいずはもらえたのに、ほしかったらじぶんでつくってねって‥‥

あなたもひとがわるいとおもう。‥……プラモみたいって…そのかんかくでつくれたけど‥…」

 

次第にその独り言は会話の様に変わっていった。

実際に少女は自分の中にいるもう一人と会話をしている。

そもそも何故、少女がこうなったのは2021年までさかのぼる事となる‥……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【転生】

数多の宗教で使われる単語で、生物的活動を終えた命が別の何かに生まれ変わる考え。

輪廻転生も言われるが、近年では一次(オリジナル)・二次関係なくネット小説などの作品で良く扱われ、

その小説(オリジナル小説)が漫画化・アニメ化するのは珍しくも無く、しかし好き嫌いが分かれるジャンル。

 

さて、急だけど自身がそう言う状況になったらどうなる?僕は………

 

「________( ゚д゚)ポカーン」

 

「なかなか、面白い反応しますね!」

 

こうなった。あと、目の前の女性は楽しそうだ‥…

いや、だってね。いきなり知らない場所(浮かんでいる)で、

「貴方は今さっき、生涯を終えました。」って言われたら頭真っ白にならない?

 

「う~ん、どうなんでしょ?頭がいい人(アイディアに成功した人)なら発狂が先なんじゃありませんかね?

それより!あなた転生に興味あります?あ、ちなみに私は【ニャルラトホテプ】って言います☆」

 

「‥………」

 

‥…っは!驚きすぎて思考がフリーズしていた。

目の前の銀髪女性は思ってたよりもヤバい系の方ですね。なんであのアニメ(ニャル子)の姿んだろう?

くだらない事は置いといて、

 

「転生ですか?」

 

「はい。今、神々の中ではホットなごらk‥…話題でしてね。私も便乗しようかと。

後この姿なのは、一番貴方に馴染み深かった姿ですね。ちなみに断っても構いませんよ。

他の人を当たりますんで。まぁ、そうなった時のあなたの魂の保証は打破しませんけど…」

 

「転生します!させていただきます。」

 

こんなの脅しと変わらないじゃないですか~(;´д`)トホホ

 

「話が早くて助かります。では早速、特典を決めちゃいましょ♪」

 

この後、特典についてあーだこーだと話し合いの結果、

 

邪神(ニャルさん)と肉体を共有(強制)

・仮面ライダービルドのアイテム

・桐生戦兎と同等のIQ

・異次元収納

・追加ボーナス(邪神の気分による追加)

 

‥‥…の5つに決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生した僕は神社の一人娘として転生した。

家族構成はいつも兎の像を磨いてる父と母(たまに手伝ってる)と宮司の祖父。

 

『要するに良いところに生まれたって事ですね!』

 

いや、そういう現金な話しはなくても‥‥‥

 

『何言ってるんですか!そのおかげで、ビルドのアイテム開発がはかどっているでしょう!』

 

確かにそうだけど、その代わりに巫女修行?をする事になるだよ。

 

『その点は、原作どおり何で。それにそろそろ‥‥‥』

 

原作?そろそろ?

 

『来るべき日に出も話しますよ?』

 

何故に疑問形?

 

『ぶちゃっけ私的には、どう運命が転ぼうが面白いんですよね。

あ、この世界で死んでも神様パワーで生き返らせてあげるので安心してください♪』

 

この邪神は‥‥‥‥‥




‥‥‥募集分のベストマッチどうしよ。(考えて無かった。)


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私、転生者。事故って、行方不明になりました・・・

今回で、プロローグ終了!
今の僕にはこれが限界でした‥‥‥


激しく燃える火の灯りが周囲を照らし、空に向かって黒煙が昇る。

周囲からは何かが焼かれる音が響、焦げ臭いが充満している。

 

非現実だと思いたい現実な景色が目の前に広がり、

僕は何かに包まれており隙間から辺りを見わわしていた。

 

目覚めた直後のせいか、頭がよく回らない。そうしてこの状況になったんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間前‥‥

 

巫女修行的な物が終わり、今日も今日とてビルドに関わるアイテムを開発していく。

机の上には今作っている物の材料や機材以外に、

金色の小瓶に色が付いた歯車が付いたようなアイテムが4本並んでいる。

 

ある程度成長したら片手でも余裕で持てそうなこれらのアイテムは【ギア】と呼ばれ、

歯車の色が青・緑の物が【ギアリモコン】、赤・白の物を【ギアエンジン】。

 

そして現在作っているものが、銃型の武器【ネビュラスチームガン】

銃として使える事はもちろん、ギアを使う事で対応する姿へと変身できる。

 

まぁ、今回こいつを作っているのは単純に煙ワープのシステムを理解する為。

煙ワープって言うのは仮面ライダービルド内で度々使われており、

主に逃走の手段として使われている。作品序盤から終盤にかけてよく使われていた。

 

そのシステムの初期型がネビュラスチームガンで、ビルドの内の技術だけでなく、

前作【仮面ライダーエグゼイド】のシステムも使われていると考えられている。

アイテムの初出がエグゼイドを含めた先輩戦士との共闘映画だからと言うのもあるだろう。

 

エグゼイドのシステムは浄化前の【エグゼイドフルボトル】のデータを取集しているから大丈夫。

後はテレビ本編で出てきた時のバージョンに引き上げ、

【フルボトル】【ロストボトル】の読み込みを出来るようにするだけ。

 

これが完成したら、後期型の【トランスチームガン】や、

互換機能がある【スチームブレード】でも開発しようかな?

なんて考えているうちに、完成!‥‥‥机の上を片付けないとな。

 

完成したネビュラスチームガンや出していたギアを異空間に収納。

機材や材料は専用のケースに収納し、同じく異空間へ。

 

片付けが一段落(いちだんらく)したころ、自室の扉が3回ノックされ今のお母さんが入ってくる。

 

「ちょっといいかしら?」

 

「うん。」

 

お母さんに引かれ、リビングへ著向かう。と言うか、手をつながないでよ。

子供じゃないんだから‥‥‥

 

『見た目はぷにぷにの幼児ですけどねww』

 

そうなんだけど、そうじゃない。

 

 

 

‥‥‥‥今思えば、この日からすでに悲劇は始まっていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間後の早朝、僕達は空港に来ていた。

何でも福引で海外旅行券(3人分)が当たったらしい。

 

旅行と言っても僕自身は手ぶらで来ている。着替えなどは両親が持ってるし、

他に必要なものも全部、両親の荷物と一緒になってる。

自分の分ぐらい持つんだけどな‥‥ やっぱ、身体年齢のせいか?

 

十中八九(じっちゅうはっく)そうでしょうね。』

 

‥‥手ぶらと言っても、ポケットの中にはハンカチ・ポケットティッシュ、

あとは調神社(うち)のお守りが入っているから、何も持って無いことは無い。

それに異空間の中には色々と入っているしね。

 

『何でもかんでも入れているせいで、中身ごちゃごちゃなんだけど…… ┐(´∀`)┌ヤレヤレ』

 

旅行から帰ってきたら整理するから(m´・ω・`)m ゴメン…

 

 

 

なんてニャルと脳内会話をしていたら、僕らが乗る便がへの案内アナウンスがロビーに響く。

それに従い、飛行機に乗り席に座る。何だかんだで、前世を含めても初めての海外旅行。

楽しみで仕方がない。

 

『完全に浮かれていますね……』

 

ニャルの言う通り、僕は浮かれている。気持ちを落ち着かせるためにも、仮眠するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく経った時、激しい揺れのあと飛行機は客を乗せたまま墜落。

後日調査で旅客機に乗っていた人達の死亡が発表された。

 

 

 

一人の少女を除いて‥‥‥‥‥




次回からは原作前の話をやって行こうと思います。

それとオリジナルベストマッチ(募集)の方ですけど、こっちで出していきたいと思います・
ただし、この回投稿時より前に下さった方はお手数ですけど、こっちで使用していいか、一言ください。ベストマッチ募集板へ

また今後の展開を決めるためのアンケートを取りますので、投票お願いします。


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私、悪魔の科学者。原作前のレポート
私、悪魔の科学者。人体実験、始めました…


「どもども!!いつも読者の誰かに這い寄る混沌、ニャルラトホテプです!…っえ?這い寄らないで欲しい?分かっていますって、今のはただの挨拶ですから。」
「…今回から、僕達が前書きであらすじ紹介をしていくみたい。」
「では早速、たまたま私が目にした人間の魂と共に戦姫絶唱シンフォギアの世界へと転生する。」
「強制的に邪神と体を共有する生活が当たり前となったころ、現生の家族と共に海外旅行へと出発。」
「しかし、飛行機事故に巻き込まれ、消息不明となってしまう。」



「……残念ながら、続く第三話どうぞ。」


廃墟と呼ばれても可笑しくないほどにボロボロな建物内部に()()は立っていた。目の前には、

スリムな体型をしており、両肩には頭部に似た部位を備え得ている【ミラージュスマッシュ】

いくつものキューブがくっ付いたかのような見た目をしている【ファングスマッシュ】

潜水服のような外見で腕の音叉のような形をしたバーナーがついている、

全体的に灰色の強化タイプの怪人【バーンスマッシュハザード】

 

さっきから行っているの【スマッシュ】って言うのは、【ネビュラガス】と呼ばれる

地球外由来の未知の成分ガスを人体に取り込んだ人間が、細胞ごと変化した姿。

意思疎通はできず、無差別に人を襲い、破壊の限りを尽くす。

 

【ハザードレベル】と言うガス耐性レベルがレベル2.0未満の人間が変貌し、

注入された瞬間、死に至るのがレベル1.0。レベル2.0はスマッシュの成分を抜き取ると元に戻る。

ただし、スマッシュとして暴れていた時期の記憶は失われる。

 

まぁ、彼らにネビュラガスを注入したのは私だ。

スラム街とか貧相な生活をしている人たちにお金を支払う代わりに、人体実験を受けてもらった。

もちろん死亡する可能性を伝えているし、彼らの同意もあるから無理やりではない。

 

そもそもなぜ、こんな事をしているのかと言うと、飛行機の墜落事故が原因だ。

あの事故は不慮の事故として扱われているが実際は、アメリカ政府による故意的事故。

【フィーネ】とか言う人物の器としての才能と言うか、なりうる要因があるらしく、拉致る為に行ったらしい。拉致りに来た兵士を尋問して聞いていたし、ニャルもこの体にはそういう要素があるって言ったから間違いはないだろう。

 

こういう言い方はアレかも知れないが、原作の戦姫絶唱シンフォギア?って言うのを

私が知らない以上、何を信じていいのか分からなくなり、悩んだ末現在の感じになった。

ネットとかでは世界のあちこちで人体実験を行うDevil Scientist(悪魔の科学者)って呼ばれている。

 

やっている事的には否定もしない。実際に家族から貰った名前を捨て、そう名乗ってるし。

話を戻してスマッシュを何故作り出すのかと言うと、三つの理由がある

 

まずはフルボトル集めだ。仮面ライダービルド内ではスマッシュの成分が入ったボトルを

浄化する事で【フルボトル】と言うキーアイテムを作り出していた。

転生した時に【東都フルボトル】は全てあったけど、【北都・西都】のフルボトルは無かったため。

現状は難航している。なぜなら、玩具で音声データのみ入っていたボトルや、ロストボトルと同じ種類の成分が入ったボトル、更には見たことも聞いた事も無いボトルまで入手していっているからだ。

 

ちなみに先程の【東都・北都・西都】と言うのは日本の事だ。ビルドと言う作品では日本はとある要因で、三つに分かれ混沌を極めていた。その各地でそれぞれ20本のボトルがあり、黒幕の思惑通り、ボトルを巡って、三つの政府がそれぞれ【仮面ライダー・スマッシュ・ガーディアン】と言う兵器を用意て戦争をする事となる。詳しくはビルド本編を見て。

 

二つ目と三つ目はほぼ同じで、私自身のハザードレベルを上げるのと、戦闘経験を積むためだ。

先程スマッシュの説明の時にも触れたハザードレベルだが、稀にガスを注入されても人の姿で居られる事が有る。二度と人間に戻れない代わりにフルボトルの力を生身でも使えるようになるが、ガスを注入された時点で人ではない。

 

余談だが、スマッシュなら一度倒してから成分が何も入っていない【エンプティフルボトル】に、スマッシュの成分を抜き入れれば元の人間に戻る。その代わりスマッシュになっていた時、正確にはガスが体内にあった時の記憶が無くなる(個人差在り)

 

私のレベルは3.3で、レベル3.0を超えた時点で【ビルドドライバー】の使用、

即ち仮面ライダーへの変身が可能になる。

 

ハザードレベルの上げ方だが、フルボトルを使用した戦闘や感情の高ぶり(主に怒り)が主。

とっっっても危険な方法だと、追加でネビュラガスの注入。二度目以降の注入をした場合は、

戦闘時に敗北すると身体が消滅。遺体すら残らなくなる危険がある。

その分、数値の上昇はかなり期待できる。…私はしないよ。だって肉体が消滅したら、復活出来なさそうだし。

 

一応、戦闘中に一時期的にハザードレベルを上げるアイテムやネビュラガスをかなり圧縮した、

液体もあるにはあるが、まだ手は出してない。

 

『説明終わりました?スマッシュズは待てずに、自分たちで乱闘を始めていますけど。』

 

ニャルの言う通り、眼前ではスマッシュらが互いの強さを見せびらかすように戦闘を繰り広げる。

その戦闘の余波でいくつかの柱が破壊されたようだが、元々広い場所を選んでいたのが幸いして、建物崩壊につながりそうではない。

 

「‥‥‥」

 

それでも、この実験内容を誰かに見られたら不味いのには変わりないので、異次元収納の中から【ビルドドライバー】と呼ばれる耐熱性・耐衝撃性に優れた高強度の特殊素材を外装に使用した変身ベルトを腹部に当てる形で取り出す。

 

するとベルト内部に収納されている【アジャストバインド】が私の体形に合わせて自動で巻かれる。

続いて取り出したのはウサギが描かれた赤色のボトルと戦車が描かれたボトル、【ラビットフルボトル】と【タンクフルボトル】。ラビットを左手、タンクを右手に持ち、野球のボールを投げるかのようなスナップをかけながらシャカシャカと振る。

 

一見隙にしかならない行動だが、この振る行動自体に大きな意味がある。

何故ならフルボトル及びロストボトルの内部には、【トランジェルソリッド】と呼ばれる物質があり、これは刺激を与える事で増殖・活性化し、ボトルごとに特殊な効果を発揮。

要は【フルボトルは振れば振るほど、強くなる】と言う事。

 

活性化したフルボトルの【シールディングキャップ】のラベルが正面に来るように回してから、ビルドドライバーの【ツインフルボトルスロット】にセットする。

 

ラビット!タンク!

 

ベルトがボトルを認識し、待機音が流れ始めたのを耳にしながら、赤色のグリップ【ボルテックレバー】を右手で握りしめ回転させる事で、エネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】の内部ににある発動機【ニトロダイナモ】が高速活動。変身に必要なエネルギーが生成されると同時にツインフルボトルスロットからトランジェルソリッドがベルト内部へと取り込まれる。

 

高速ファクトリー展開装置【ビルディングモジュール】が作動し、ベルトから【ファクトリアパイプライン】が高速ファクトリー【スナップライドビルダー】に加熱・圧縮され液体となったトランジェルソリッドが送られ、瞬時にスーツとアーマーが私の前後で生成される。

 

〈Are you ready?〉

 

日本語訳で【準備はできたか?】とベルトが覚悟を問う駆けてくる音声が廃墟内に響き渡る。

この音で初めて気付いたのか、3体のスマッシュが一斉にこちらに視線を向けてきた。

 

「……変身!」

 

それを気にせずに声を発する。それがキーとなり、私を挟み込むかのようにしてスーツとアーマーが装着された。

またそれと同時に10歳にも満たない私の身体は、一気に成人男性ほどに変わる。これはニャルによる現地ボーナス特典その1で【変身時は身長アップ】

効果は文字通り、仮面ライダービルドへなどに変身した際に身長が変化するという物。イメージが一番近いのは【リマジ版のキバ・響鬼】だろう。

 

ラビットタンク!イエーイ!〉

 

変身が完了したと同時に足に力を込めジャンプ。スマッシュへと一気に近づき、拳を振るう。




アンケートの結果、セレナ・奏救済ルートになりました。
なので原作前の章は、セレナ編・奏編・日常?編の攻勢で行く予定です。


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私、悪魔の科学者。後悔しているけど、反省はして無い。

「前回はとある廃墟でネビュラガスの実験をしていましたね。」
「展開の都合、戦闘シーンは割愛。」
「今回はさらに数年後の世界から送りします!」
「まだ説明が続く、第四話どうぞ。」


自由の女神がそびえたつ某国の街中を歩く私達。

人通りが多く周囲の人々は楽しいそうな笑い声を響かせ、今日と言う日常を過ごす。そんな人々の中には今の私ぐらいの年齢(8歳)ぐらいの男の子が母親と思わしき人物に涙混じりに露店の食品をねだっている姿も拝見できる。

 

『せっかくアメリカに来たんです、【クトゥルフ神話】の本を何冊買っていきましょうよ!』

 

(ここにあるの?それにさっき実験体にあげたから、そんな残って無いし…)

 

一応ニャルの言っていたクトゥルフ神話について軽い解説をすると、20世紀のアメリカで、創作として創られた架空の神話。詳しく説明するといろんな意味で疲れるのでしない。

ちなみにニャルラトホテプこと【ナイアルラトホテップ】もこの神話の神だったりする。

 

閑話休題

 

特にこれと言った予定も目的も無く、ぶらぶらと街並みを見ながらニャルと会話する。

そんな時だった……

 

『…どうやら、この辺に出るみたいですよ。』

 

ニャルが空間の歪み、この時代・この世界の人々が共通して恐れる【認定特異災害】の出現を感知…… その名は【ノイズ】。

 

2030年に国連にて認定された特異災害で未知なる存在。その外見は生物の様であり、共通して液晶ディスプレイのように輝く部位が存在する。彼らは空間からにじみ出るように出現し、人間のみを襲い、触れた人間を自分もろとも炭素の塊に転換させる能力を持つ。一定範囲内に人間が居なければ、その場でとどまり自壊するまで動かない。

 

ちなみに人間と言うのは生きている物のみで死体には反応せず、自身に向かってくる他の生物にも全く興味を示さない。あとノイズに遭遇する確率は、東京都民が一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回るらしい。

 

「キャァアアアアアーーーーーー!!」

 

ニャルがノイズの出現を感知してから少ししてから、サイレンの音が周囲に響き渡り、先程まで日常を過ごしていた人々は一変して、恐怖の声を上げながら出来るだけ遠くへと逃げる。しかし時はすで遅し、ノイズはこの通りに出現していた。

 

人々がノイズを恐れる理由、それは【位相差障壁】と言う特性が原因だ。

ノイズの存在を人間の世界とは異なる世界にまたがらせることで通常物理法則下のエネルギーによる干渉をコントロールする能力。ノイズ自身の現世に存在する比率を自在にコントロールし、物理的干渉を可能な状態にして相手に接触できる状態、相手からの物理的干渉を減衰・無効化できる状態を使い分ける事が出来る特性。

 

この特性によって、ノイズは物理法則に則った兵器ではゼロから微々たる効果しか及ぼすことができない。もちろん、私が使うライダーシステムもノイズ相手では意味が無い。

 

私の前世の記憶を元に例えるなら、ノイズに襲われるのはスペ○スビー○トのゴ○○レムの大群に襲われるのと同じだ。

 

『生物の恐怖心で繁殖するスペー○○ーストと比べたらマシだと思いますけど…』

 

一般人からすればどっちも一緒。

なんてノイズにつて軽い解説と、ニャルと会話をして間も人々はノイズに襲われており、我先に逃げようとする人で通路はあふれかえっている。

 

そんな様子を横目に見ながら私は()()()()()()()()()()()

普通の転生者なら、貰い物の力に慢心して戦闘するだろうが私はしないし、そもそも誰かを守るために戦う気も無い。そう言う偽善とか綺麗事とかを持って戦っている人をバカにはしないけど、私にはできない。

 

だって、私はもう他人を信用する事が出来ないから。

私がこんな性格だからビルドドライバーの真の性能のを引き出せてない。後、私はハザードレベルが上がりにくい体質なのか、現在のレベルは3.4。

 

その代わりになるか分かんないけど、ビルドシステムの相性は【葛城忍】レベル。

まぁ、そうなるようにシステムを設計したんだけど……

 

そんな場違いな事を考えながら歩く。悠々と道を歩く私の姿をノイズは興味を示さず、私の後方で逃げている人めがけて進行する。吹き荒れる風は命だった物を連れ空に舞う。

 

『おぉ、地獄絵図が広がってますね。』

 

何で嬉しそうなのよ……と言うか、始めて見る景色でも無いでしょ?

 

『分かって無いですねぇ~ 映画は何回見ても面白い。それに私、こういう事もする神ですし!』

 

あっそ………

 

邪神の感覚?もしくはニャル独特の感性の話になって来たので適当に流す、

頭の中で抗議するニャルの声が聞こえてくるが、頭の隅に追いやるような感じでスルー。

 

のびのびと道を歩いていたら、ノイズから逃げる親子の姿が視界に入る。どうやら完全に逃げ遅れたようで、四方八方ノイズだらけ。そんな絶望的な状況の中でも、子供だけでも守ろうと必死に足掻く母親の姿。

 

その光景に数年前の光景が脳内に浮かび上がる。

突然、機内が揺れその衝撃でうっすらと目を覚ました私。状況を理解するよりも先にさらなる揺れが襲い掛かり、飛行機は墜落。結果、機内は混乱に陥り出れもが詩を練げく中、私は二つの影に覆われる。

 

影の正体、それは現世の父と母だった。

前世の記憶+αを持っている為、普通の子供とは到底言えない私。正直、気味悪がられても可笑しくはない。そんな私でもふたりは娘として文字道理、命がけで守ってくれた。家族との縁を捨てた今でも調神社のお守りを持っているのは、私の未練なのかもしれない。

 

逃げ惑っていた親子に向かって1体のノイズが飛び掛かる。その様を見た母親は息子を抱え込みノイズに背を向け目を瞑る。ノイズが母親に触れる寸前、攻撃を受け崩壊。ノイズが灰になる音を聞き、自身が無事な事を悟った母親が周囲を見渡し、最終的にこちらを見つめる。

 

『ナイスショット!』

 

私の手には船の錨と海賊船が合わさったような弓が握られている。

 

ノイズは人間に触れる瞬間、こちらの世界に自身の存在を100%とこちらに置くため、そのわずか一瞬に何かしらの攻撃(手足以外)を与える事で撃破する事が可能。どれだけの時間なのかははっきりとしたデータは無いが、少なくとも0.1秒は攻撃できる隙があるのは確か。

 

『解説しているところ悪いんですけど、助ける気なかったんじゃないんですか?』

 

うん。だから私は、今日と言う日を一生後悔する。

 

なんて頭の中でボヤキながら、手に持つ武器を投げ捨てるように異次元に収納。それと同時にビルドドライバーを腰に装着。オレンジ色の【タカフルボトル】、濃灰色の【ガトリングフルボトル】を取り出し、内部物質をボトルを振る事で活性化。

 

この時、私の周囲では様々な物理法則の式が浮かび上がっている。それを気にする必要も無く、ボトルのキャップを閉めベルトにセット。

 

タカ!ガトリング!

 

ベルトのレバーを回している中、プラモデルのランナーを思わせるパイプが前後に出現し、それぞれの成分をスーツとアーマーに変化。

 

〈Are you ready?〉

 

腕を水平に伸ばした後、ボクシングの様なポーズ…… 仮面ライダービルドの主人公:桐生戦兎と同じ構えを取る。

 

「変身。」

 

ホークガトリング!イェーイ!〉

 

黒いスーツの上に斜め状のにそれぞれの意匠がデザインされたアーマーがされ、頭部はタカの全身を模した翼がアンテナ風と2つのガトリング砲を模しその1つがアンテナ風になっている。

仮面ライダービルド【ホークガトリングフォーム】へと変身を遂げた私は、タカの意匠が特徴の機関銃型武器【ホークガトリンガー】からタカ型の弾丸を放つ。

 

頭部の【ライトガトリングアイ】により命中精度が上がった弾丸が、親子に向かうノイズに風穴を開ける。なぜ、攻撃寸前でも無いノイズに攻撃が通ったのか?それはガトリング側の弾帯の様な胸部装甲に秘密が隠されている。

 

位相差障壁と言うはノイズが持つ自信を守るための防護機能。頭部の【BLDシグナル】で収集したデータを基に防御特性に応じた特殊弾を生成、装備中の武器に自動で装填する機能により、ノイズに攻撃を当てることが出来る。

 

この過程が無ければノイズに攻撃する事が出来ない。でも逆に言えば、理論上は物理学上でノイズを撃破する事が可能と言う事。まぁ、ノイズを攻撃するためのアイテムやシステムを作るにはこの時代の化学でも難しく、何か必要な物が抜け落ち要る気がする。

 

〈10,20,30,40,50……〉

 

回転式リロードユニット【リボルマガジン】を手動で回転。現在装填されている弾数を機械が読み上げていく。背中の翼【ソレスタルウィング】を広げ、上空へと飛ぶ。

 

〈60,70,80,90,100!フルバレット!〉

 

【ボルテックトリガー】引き、上空からノイズを狙い撃つ。放たれた弾丸により次々とノイズを撃破していく。センサーに映るノイズの反応が無くなったのを確認して下降、着地と同時に変身解除。

 

Thank you(ありがとう)!」

 

この場を去ろうとしたその時、助けた男の子からお礼の言葉を言われた。視線を向けると男の子は笑顔でこちらを見ていたが、すぐに母親が男のを連れ逃げるように去っていく。

 

『子供からすれば助けてくれたヒーロー、大人からすればノイズを倒せる怪物と言ったところでしょ。』

 

ニャルの呟きを聞きながら足を進める。………はぁ、最悪だ。




次回からセレナ救済編!多分、数話にかけてやると思う…


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私、悪魔の科学者。ラブレターを貰ってしまった…

「前回はホークガトリングフォームへと変身をとげた私が、親子を助けた」
「……………」(#^ω^)
「…助けた子供にはお礼を貰ったけど、母親は異形の物を見るかの如く私に怯える」
「…………………………」(#^ω^)
桐生戦兎(オリジナル)のビルドっぽい事をしたように見えるけど、私は悪魔の科学者。次の実験は…」
「……………………………………………」(#^ω^)
「……ニャルが何も言わないから、調子が狂う」( ̄Д)=3
「…………………………………………………第5話どうぞ……」
「それは言うんだ(困惑)」


Don't be scared of everyone! Catch him anyway!! (全員怯むな!何としても奴を捕らえろ!!)

 

隊長と思われる人の号令で動き出すアメリカ軍の兵士。その手にはアサルトライフルが握られており、雄叫びと共に発砲しながらこちらに近づいてくる。

 

彼らのフルフェイスマスクに反射する私の姿は、各所にコブラの意匠があり全体的に血の様に赤いワインレッドのスーツとアーマーに身を包んだ異形の人型。その手にはパイプやバルブのある武器【トランスチームライフル】が握られている。

 

こちらに命中する弾丸だけをライフルの先に付いている刃で次々と切り裂く。人間離れした技術に驚くことも恐怖する事も無く、魔王に立ち向かうが如くこちらに迫ってくるアメリカ軍。と言うか、雄叫び煩い…

 

『ウザイなぁ……』

 

自身の口から零れた言葉は私が発したもので無く、声質も男性の物。分かりやすく言えば、地球外生命体【ブラット族】の【エボルト】ボイス。そして今、私の体で【ブラットスターク】に【蒸血】しているのは、ニャル。

 

普段なら、私を捕らえようとしてくるアメリカ軍を蹴散らすのは私自身なんだけど、今日はたまたまニャルの機嫌が悪い日。彼らには悪いけど邪神のサンドバックになってもらう。

 

なぜニャルの機嫌が悪いのか?それは数時間前にさかのぼる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時は対ノイズ用のシステムもしくは兵器を生み出そうとしていたのだけど、アプローチする方向性が異なるのか全く開発が進まず、気が付いたらビルド本編及び映画・vシネに登場しないベストマッチウェポンを開発しいる始末。

 

それのお披露目はいったん置いといて、いくら桐生戦兎の知能をもってしても物理法則に縛られないノイズ用のアイテムを1から作り出すのは無理みたいだ。せめてノイズの成分でも取れたら話は別なのだがあいにく、ノイズは炭化する事で自然環境と全く同じ成分になる為意味が無い。

 

いや、あきらかに人間を殺すことに特化した生物?が灰になってすぐ、分子レベルまで自然界(酸素とか水素みたいな)の物に変化するメカニズムも知りたいけど…

解明出来たら、核兵器より確実でなおかつ、自然環境に一切のダメージを与える事の無い兵器が作れる。

 

何がすごいって分からない人にわかりやすく説明するなら、言い方はアレかもだけど原発事故の被災地を思い受かべて。生態系の破壊、人類が住めないレベルでの環境汚染が年々も続く中、奇妙な進化を遂げている。

 

その状態を人為的に起こすのが核兵器。ノイズのメカニズムが分かれば、核兵器が今よりも重視されなくなる。なぜなら攻撃した場所に、攻撃した側の人達が住めるから。

 

戦争の相手は人間。住める場所を減らす攻撃より、住める場所が残る攻撃を仕掛ける物だと私は考えている。まぁ、実際にそんな兵器が開発されればの話だけど。

 

そう考えると、ノイズって戦争時の生物兵器と仮定すれば、死体処理や環境破壊を考えなくていい優秀……いや、理想と言っても過言じゃない兵器だよな。使役できればの話だけど。

 

まぁ、私の中に潜んでいる"闇の魔人"が本来の姿で戦乱に乱入すれば、敵味方関係なく廃人となって全滅……

あ!ニャルがキレている話をしてたんだった。

 

え~っと……… ニャルには天敵ともいえる邪神がいる。その名は【クトゥグア】

彼?彼女?から私宛に手紙がポン!と手元に送られてきた。この時点でニャルの機嫌は悪くなる。

 

中身を要約すると…

・なんか最近ニャルが贔屓(ひいき)にしてる人間らしいじゃん?

・気になって観察してたら、私も気に入った!

・良かったら私の眷属(よめ)にならない?眷属(むこ)でも良いよ!!

・お近づきの印に【コルヴァズの剣】と【炎の精】のフルボトルあげる。

・P.S. 今あなたが作ろうとしている物のヒントは、あなたを捕らえようとする組織にあるよ。

 

………ドウシテコウナッタ。

まぁ、これを一緒に読んでいたニャルは大激怒。

 

『後から目を付けた癖にこの子は私の物ですし!全くガイ森の時と言い、いつもいつも……』

 

頭の中がニャルの愚痴で埋まるぐらいには大激怒。

厄介な物が勝手に増えたけど、情報とボトルはありがたく使わせてもらう。

 

ニャルに対しては挑発状、私にとってはアツアツラブレター(厄介事の片道切符)を送って来たクトゥグア。

そんな時にアメリカ軍のヘリが見えた次の瞬間には、ニャルに身体の権限を奪われていた。多分、電王の【野上良太郎】もこんな感覚で【イマジン】に身体を好き勝手にされていたんだろうな~

 

それにしても私を捕らえようとする組織か…… 欲しいもんだけ貰って、潰そ。

 

『ア"ァ”ーーー!イライラする!!』

 

ライフルを持っていない左腕から蛇の尻尾に似た針【スティングヴァイパー】を兵士の装甲をいとも容易く貫き、肉体に突き刺し。そこに対象を細胞レベルで跡形もなく崩壊させる猛毒を注入、最後の一人を絶命させたニャルの声を聞きながら、奴らの組織に入る策を立てる私は狂っているのだろうか?




出せて無いだけで設定では、頂いたアイデアのボトルは全部持っている設定です。
本格的に出せるのはセレナ救出編のラスト辺りからになりそうです…


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私、悪魔の科学者。一応、就職した。

「どうも読者の諸君。いつもあなたに這い寄る混沌ニャルラトホテプです!」
「前回はクトゥグアからの手紙でニャルが大激怒。ブラットスタークに姿を変え、迫りくる軍人に八つ当たりをかました」
「軍人と言い、クトゥグアの野郎と言い、私の手を出そうなんてイライラするんですよ!」
「いつから私はあんたのもんになった?そんな事より、第6話どうぞ!」

「ナレも終わった事ですし、マーキングしますか!」(・∀・)ニヤニヤ
「こっちにじわじわ寄ってくるな、邪神!」ブン! ←フォークを投げる音
「ギャーーー!」グサ! ←フォークが刺さる音


Federal Institutes of Sacrist.通称【F.I.S.】

日本語では米国連邦聖遺物研究機関と言う組織。秘密裏設置された政府直下の研究機関で、【聖遺物】なる古代の遺物の研究している組織。この聖遺物は何でも、適合率が高い者の歌によって起動するのだとか………ファンタジーかよ。

 

F.I.S.では、【レセプターチルドレン】と呼ばれる身寄りのない子供がモルモットとして収納。彼女達の唯一の共通点はフィーネと呼ばれる存在の次なる器として可能性を秘めた子達ってところ。

私が狙われている理由もここに由来する。此処は絶対に潰す。

 

政府機関と言う割には閉鎖的で独自営利を進めている組織だが、歌による聖遺物の起動には個人差があり不安定と言う理由で、合理に則った機械的な安定起動方法の研究を主としており、膨大な予算と人員を割いている。

 

その為か、チルドレン達はフィーネの器としての要因が大きく、必要最低限の食事しか与えれていないんだとか。もしくは【シンフォギア】のモルモット。

 

【シンフォギア】って言うのは、歌う事で纏う事が出来る聖遺物由来の鎧で、ノイズ存在を強制的に人間界の物理法則下に引きずり出し、物理攻撃による殲滅を可能とする女性専用のアイテム。起動・稼働には【フォニックゲイン】と呼ばれるエネルギーが必要となってくる。

 

私がF.I.S.の研究員として研究するのはこのシンフォギアだ。これを解析して対ノイズ用のシステムを開発、従来の軍事兵器でもノイズに対抗出来るようにするのが表向きの研究だ。

 

『裏の目的は?』

 

シンフォギアの対ノイズシステムをライダーシステムなどに組み込み自衛能力を高めて、シンフォギアに使われている聖遺物からフルボトル生成。今まで資金や資材の関係で出来なかった研究。

まぁ、研究する内容自体は変わらないので特に問題は無い。

 

今は寝泊まり部屋兼専用の研究室で新たに作られた【イガリマ】と【シュルシャガナ】のシンフォギアを研究している。研究の進行はボチボチと言ったところ………

 

『まさかこの二つが手元に来るとは、人間が言う運命って言うのも面白いもんですね~ そうそう、運命と言えばあの子の事も紹介しないとね?』

 

あの子って誰?

 

『ほら、この研究室に菓子を隠し持ってくる人間がいるじゃないですか!』

 

……あいつか……

 

研究の片手間にニャルと会話を広げていたその時、研究室の扉が開く。肩ごしに視線を向けるとそこには先ほど噂していた金髪少女が立っていた。

 

彼女の名は【暁切歌】

語尾にデスを付ける金髪緑目のレセプターチルドレンで自称常識人。彼女は元々、教員からコッソリと奪ったお菓子を食べるために空き部屋だった子の部屋を使っていた。私が配属されたその日もお菓子を隠れ食いをしようとして、機材の整理をしていた私とばったり会ったのが出会い。

 

「げ!……気づかれないうちに食べるに限るデス…」

 

彼女は私の姿を見ると隠す気の無い呟きをこぼす。彼女の様子を見ながらもキーボードを操作していたためか、私が切歌に気づいて無いと思い込み忍び足で部屋の隅にある椅子に座る。(全然、足音隠せてないし)

 

切歌と私はこの研究室で一緒にいる時が多いが、全く仲良くも何でもない。しいて言うなら、肉体年齢が近いくらいだ。その理由は簡単かつ単縦で、私が人体実験を主とする悪魔の科学者だから。

 

貧困層などの社会的弱者をモルモットにする私と、自身の取り巻く環境から弱きものが虐げられる事を良しとしない切歌。これだけで私達が仲良くなれないのが分かるだろう。仲良くなる気も無いけど。

 

『これは草生えますねww』

 

もう生やしてるし。

 

「あ、この白い〇人と美味しいデス。」

 

切歌は潜入には向かないな。

………職員の誰かが北海道にいったな絶対と言うか、白い恋〇この時代にもあるんだ。

 

『後で私達も貰って来ましょう!』

 

え~、メンド。

切歌はお菓子のゴミをほっておくし、ニャルが勝手に貰ってくるせいで、私にお菓子好きのキャラと思われているんだけど。

 

『あなたがエネルギー補給用のゼリーしか口にしないのが悪いんです!せっかく味覚も共有してるんですから、おいしいもんを食べさせてくださいよ!!全く…』

 

私が悪いのかこれ?

まぁ、何でもいいや。もうちょとだけ研究して、(コンバット・)レーションかなんか口にしよ。




原作とは違い、切歌と険悪な関係を気づいた主人公。と言う訳で本作のキリシラコンビは、水と油のような関係性です。
多分原作知識を持っていたとしてもこの関係は変わらないと思う。


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奴、悪魔の科学者。気にくわないアイツを監視中…?

今回は試験的に他キャラ視点。本編の補足的なものなので、飛ばしても大丈夫。


アタシは暁切歌。最近、気にくわない奴がいるデス。そいつの名は【葛城夢真(かつらぎむちか)

アイツはその名前を仕事で必要になったから用意した偽名と言っていたデス。容姿は髪を肩ぐらいまでに延ばし、科学者らしく白衣を着ているのをよく見る。と言うか白衣以外を着ている姿を見た事が無いデス。

 

奴と初めて会ったのはここに入ってきた時。その日はマムを始めとした大人の目を盗み、チョコをゲットし、こっそり食べようと、空き部屋に入った時だったデス。扉をくぐった瞬間、そいつはそこに居たデスよ。

 

最初は身長がアタシより低い事もあって、新しく入った子なのかと思い声をかけようとしたんデスけど、すぐに首から名札がぶら下がっている事に気が付き、研究員だと気が付いたわけデス。

 

すぐさま部屋を出ようと引き返そうとした時、そいつの瞳が目に入ったわけデスよ。その目はアタシが一番見たくない瞳。よく分からない実験につれていかれて、喋ることすら出来なくなった人の様にハイライト?が無い瞳。

 

何もかもに絶望して、生きる気力も意味も失った人の目をしてたんデス。その瞳を見た瞬間、アタシはすぐさま奴に自己紹介してしまった。

 

「アタシ、暁切歌デェス!良ければ、名前を教えて欲しいデスよ?」

 

「…葛城夢真、今日配属された科学者。」

 

帰って来たのは感情のKの字も感じさせない声。こちらを見つめる彼女の瞳には、どこまでも吸い込まれそうな感じがして咄嗟に視線を逸らすアタシ。やがて彼女は興味を失った猫……いや、兎の様に積まれていたダンボールから、よく分からない機材を取り出し机の上に並べて設置していく。

 

「……手伝うデスよ」

 

静かな空気に耐えられなくて近くにあったダンボールを開け、中にあったファイルを手に取りどこの置けばいいのか尋ねようとして、ファイルに書かれた言葉に目が行く。そこには日本語で《試験リンカー実験報告》と書かれていたデス……

 

なんとなく、ホントに何となく気になってファイルを開くとそこには、アタシと同い年か幼い子供が白目をむき、口から泡を吹く写真がデカデカと張られていた。しかも最悪事に写真は1枚だけではなく、何枚もあったデス。

 

「っ!」

 

見ているだけで吐きに襲われ、蹲るアタシ。その様子を黙って見つめていた奴は、どこからかイスを取り出して、アタシを部屋の隅で座らせた。その流れでアタシが開いたファイルを開き見て、棚の中にしまう。

 

「………のデス?

 

一切、驚きもしない奴に疑問の言葉をやっとの思いで投げかけるデスが、彼女には聞こえて無いのかこちらに視線を向ける事は無かったデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いる?」

 

次に奴の声を聞いたのはダンボールの中からペットボトルに入った水を取り出した時だったデス。

それを手にした瞬間、思い出したかのようにアタシの方に来てボトルを差し出してきたのデス。

 

「貰うデス」

 

奴からボトルを受け取り、水を飲みこむ。再び何処からか出してきた椅子を置き、アタシの横に座り込む奴。奴もまたボトルを開け、水分補給していた。

 

「「…………」」

 

水を飲む音だけが部屋に響き、お互いに何もしゃべらない。

 

「あれ見て、何で平気なのデス…」

 

やっとの思いで出た言葉はさっきは奴に届かなかった質問。

 

「………………良心的だと思ったから?」

 

しばらくの沈黙の後に放たれた言葉にアタシは只々、驚く事しかできなかったのデス。

 

「な、なんでデスか?」

 

「私がやってるの*1より、マシだと思うし……」

 

声が震えるアタシと違い、相変わらずの淡々とした口調で返してくる奴。その態度を見た瞬間、アタシの中で何かが吹っ切れ、水が床にぶちまけるのを気にせずに奴の胸元を掴み上げたのデス!

 

「それってどう言う事デス!」

 

「……死体が残ってるだけマシ。」

 

奴の背を壁に叩きつけて、睨め付ける。そんなことお構いなしに奴は質問に答えた。表情すら変えずに余裕をかましている奴に顔を近づけてアタシは感情のままに叫んだデス!

 

「死んでいるのにマシも何も無いデス!お前みたいな科学者がいるから、弱い人達が犠牲なって逝くんデス!なんでそんなことも分かんないデスか!!」

 

「科学の発展に、必要な犠牲はある。生きるとは、他を殺す事。」

 

真っ直ぐとアタシの目を見て言い放つ奴。変わらず真顔で言う奴はとても同じ人間に思えなくて、不気味な何かにしかアタシには見えなくて、思わず殴り飛ばす。

 

「悪魔………」

 

「そう私、悪魔の科学者。恨みたければ、恨んでくれて良いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから後の事はよく覚えて無いデス………

気が付いたらベットの中でした。今のところアイツはシンフォギアと呼ばれる物を解析と変な物を作っているデスよ。よく分からないデスけど、他人を簡単に犠牲にする奴を放っておく訳には行かないですからアタシがちゃんと監視しておかないと!

 

奴が部屋に戻って来る前に部屋の隅の方にある木の机と背もたれが有るイス、アタシの定位置に座る。ここに座ってアタシは奴を観察するデス。普段は机の上にお菓子を置いて、食べながら観察しているんデスよ。ちなみにお菓子は研究者の所から取ってきたのか、奴が机の上に置きっパにしてたのデス。

 

それにしても、全然来ないデスね……

*1
最悪消滅する実験




主人公が使った偽名にもちゃんと意味?と言うか、ビルドネタが有ります。公表するかは未定…… そもそも、分かりやすいか。


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私、悪魔の科学者。研究所が勝手に自滅した。

「私を付け狙う組織、F.I.S.にクトゥグアの助言もあり葛城夢真という名で身を置くことにした」
「そこで出会ったのは暁切歌だった。そもそも、前回は番外で切ちゃん視点だったんですがね」
「…………切、ちゃん?」
「キリキリと夢真の関係は最悪。だが時は残酷にも進んでいくのだった!」
「キリ、キリ…………??」
「それでは、第7話スタート!!」


Serena Cadenzavna Eve(セレナ・カデンツァヴナ・イヴ)

F.I.S.で初めて観測されたシンフォギアの適合者で【SG-x00 Airget-lamh(アガートラーム)】を纏うウクライナ出身の少女。レセプターチルドレンの中では一番適合率が高く、制御薬【LiNKER】を使用せずにギアを纏う事が可能。武器となるアームドギアは短剣。

 

類稀(たぐいまれ)な才能を持つ装者(そうしゃ)でありながら、力を戦いに使用するのを拒んでいる様子。そのためデータの計測は実戦形式のシミュレーションでは無く、体力テストや発生するフォニックゲインの計測で済ませている。

 

【ビルドパット】に彼女のデータやアガートラームの情報を打ち込んでいく。

報告書では無く私個人の為の物なので、思いつく限りの情報を文字にしていくだけの簡単な作業。

 

そもそもこんな事をしているのか説明すると、本日は【ネフィリム】の起動実験。ネフィリムと言っても【仮面ライダーギルス】は全く関係ない。この場所で言うネフィリムは完全聖遺物と呼ばれるもの。

 

シンフォギアに使われている聖遺物はそれぞれ欠片なのだが、ネフィリムは良質な状態で発掘された。それを科学的アプローチで覚醒させるのが今回の大規模実験。この実験をする為にF.I.S.の研究員全員が終結することになっている。

 

『悪魔の科学者様から見て、今回の実験はどうなりそうです?』

 

好きな子を見つめる男子をいじる男子のノリで、質問を投げかけてくるニャル。

質問の答えは、失敗。

 

『返答ではなく、答えですか?』

 

私の頭脳(IQ600越え)でもシンフォギアのロックはすべて解除できてないうえに、欠片の力を引き出せていない。それなのに完全聖遺物を科学的に起動して自在に操るのは不可能。たとえ起動したとしても暴走するのが関の山。

 

余談になるが私の研究とシンフォギアの資料から、総数301,655,722種類のロックの解除には装者の大脳辺縁系が多き作用すると思われる。このあたりに関しては今後、検証していきたいと思う。

 

ビルドパッドに最後の一文を打ち込み保存。時計を見ると集合時間まであと数分。

本当にめんどいし、やる気もおきないが、一応所属研究員なので集合場所に向かうため、荷物をまとめる。まとめるといっても、異次元収納の中にしまうだけ。

 

最後に机の上に置いていた首かけのネームドホルダーをかけて部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験結果は予想通り、大失敗。ネフィリムを中心に爆発が起きたかと思うと研究員はパニックとなり、我先にと逃げだす。当然というべきか、部屋の入り口で人たまりができ、出ようにも出れない状況となっている。当の本人達は気づいていないだろうが…………

 

そんな中、私は辛うじて生き残っていたカメラの映像がモニターに映し出されるのを座って眺めている。そこに映っているのは、白くなったネフィリムが、未知の場所に連れられて暴れる猫のごとく施設の壁を破壊する姿。ネフィリムの拳が壁を破壊すると同時に施設が大きく揺れ、それにより研究員がさらにパニック。

 

中には誰に対してか分からない罵倒をあげる男性や、発狂する女性・頭を抱えるお偉いさんもいる。そんな人達に視線は向けど関心はよせず再びモニターを無言で見つめた。ホント興味がない。

元々潰す予定だったし、ネフィリムが代りにしてくれるなら高みの見物をしよう。

 

そう思いながら画面に目を向けているとひときわ大きな揺れが襲ってくる。それから数秒もせずに最近関係をもった人物が映り込んだ。その子はシンフォギアを纏う心優しき少女、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 

私の研究の観察対象にもなっている彼女が、自身の何倍もの大きさを持つネフィリムの前に立つ。

彼女の性格を考えたら、どれだけの勇気を振り絞って立っているのか容易に想像がつく。

 

同時に納得もする。彼女が使うアガートラームはエネルギーベクトル操作に長けており、【絶唱】を行うことでネフィリムを沈静化が可能。絶唱とは、シンフォギアが誇る最大攻撃であり、身体にかなりの負荷がかかる諸刃の剣。

 

『さてはて、どうします?』

 

どうするってなにを?

質問の意図が掴めず疑問を浮かべる私。その様子が面白おかしいのか、なんとも表現できない笑い声を脳内に響かせるニャル。情人が聞いたら精神がすり減る(1D10のSANチェック)だろう。私? 既に狂人(SAN0)だから……

 

閑話休題(どうでも良いか)

 

私に何をしてほしいの?

もしニャルが人の姿をして目の前にいたら、狂気的な笑みを浮かべているなと思いながら改めて質問する。

 

『_____あの子を救って歴史を狂わせましょう!』

 

あぁ……… メンド。

生き生きと発言する邪神。私としてはこのまま放置していたいが、セレナにはそれなりにお世話になったし、動いてやるか。

 

手に持つのはトランスチームガン。トリガーを引くことで銃口【ブレイジングスチーマー】から特殊な黒煙【トランジェルスチーム】を噴射。身体が煙にに包まれ、観測室から姿を消す。




次回はやっと? ネフィリム戦!乞うご期待。

____________________________________________

オリジナルアイテム:ビルドパッド

通常のタブレット同様の機能を持ちながらも、現代社会ではありえないほどのスペックを持つ(例:充電300%,6G)
外装フレームはビルドフォンと同じく高強度の差材が使われ、ディスプレイも同じく自動修復機能が導入されている


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私、悪魔の科学者。これでも手加減はした…

「年が明けても読者の皆に這い寄る混沌ニャルラトホテプです!前回は政府やスポンサーの指示もあり、ネフィリム科学的に起動と試みる! しかし夢真の予想通り、さらに言えば原作通りに覚醒と同時に暴走。研究者たちがこぞって逃走する中、現状F.I.S.唯一の装者・セレナが単身ネフィリムに挑む。戦いのたの字も知らない彼女が未来は目にどころか結果は既に示されている…… さぁ!戦え夢真、読者の為に! そして私を楽しませる為に!!」
「………何様」(#^ω^)
「邪神様」☆⌒(*^∇゜)V ドヤッ!
ゴリラ!ダイヤモンド!スパーベストマッチ!〉「…………………(無言でレバーを回す)」
「まままって下さい! それまだ本編出て無い奴だから! ヤバい組み合わせの奴だから!」
「大丈夫、手加減するから………」〈マックスハザードオン!〉
「どこに安心できる要素が〈オーバーフロー!……ヤベーイ!〉こっち来ないで」ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
「第8話どうぞ」
〈ハザードフィニッシュ!〉ぎゃあぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!


壁が崩れ落ち、周囲に炎が燃え広がる。部屋の中心には【アルビノ・ネフィリム】がその剛腕を目の前にいるセレナに向けて振り下ろす姿。

 

その光景に恐怖を覚えて目をつむるセレナ。いくら鎧に身を包もうが彼女は戦闘訓練の一つも受けてない少女、普通とは言えない生活の中でも誰かを守るために身をさしだすことのできる小さな命でしかない。

そんな彼女に向けられた拳は爆音を響かせ、少女の髪を靡かせる。

 

「………っ!」

 

目をつむったセレナに届くのは、風を切る音と硬い何かにはじかれる音のみ。いつまでも来ない衝撃に恐る恐る瞼を開くとそこには信じられない光景が………

 

彼女の何倍もの大きさのダイヤモンドがネフィリムの拳から守る盾のように浮かび上がっているのだ。何度も拳をぶつけるネフィリムだが、ダイヤは一向に壊れる気配がない。セレナが唖然とした表情を浮かべる中、何かがネフィリムの顔めがけて放たれた。

 

「_______!?!?」

 

それはネフィリムの目元で爆発、顔を抑えながら悲鳴のような雄たけびを上げる。セレナがよく目を凝らしてみるとネフィリムの目元は変色していた。

 

「インク?」

 

まるで血のように地面へと滴る粘り気のある液体。それはまさしくインクだ。

視線をインクが飛んできた方に向けるセレナ。そこにいたのは右手にトランスチームガン、左手にはホークガトリンガーに酷似した武器を持つ夢真の姿。

 

「…………葛城さん?」

 

「………………」

 

一度視線をセレナに向けた夢真は手に持つ銃を放し懐からベルトを取り出し装着。帯が腰に巻かれると同時に地面へ落ちた2丁の銃は音もたてずに影の中へと消えていく。取り出したフルボトルを振り、内部の成分を活性化。ベルトに差し込む。

 

イカ!インク! Are you ready?〉

 

ボルテックレバーを回転、スナップライドビルダーが展開されエメラルドグリーンの【イカハーフボディ】とガーネットに近いピンクの【インクハーフボディ】を生成。

 

「……変身」

 

静かに手を伸ばしたファイティングポーズをとると呟いた一言。その声に反応しハーフボディを前後から挟み込む形で装着。身長が変化すると共に複眼がそれぞれの色で輝き、ネフィリムを見つめる。

 

大海原のアーティスト!スプラッシュスクイッド!イェーイ!〉

 

「葛城さんが、変わった…………」

 

セレナの呟きをよそに【スプラッシュスクイッドフォーム】へと変身を遂げた夢真(ビルド)は地を蹴り、ネフィリムへと接近。その後姿を見つめていたセレナも慌てて、短剣を手にネフィリムに向けて駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫りくるネフィリムの剛腕をスライディングで回避。立ち上がり際、右肩部に装着された自立型攻撃軟体ユニット【フィーリースクウィッド】の伸縮自在の触手(烏賊(イカ)の足)8本を叩きつけるかのように振るう。

 

「きゃああああぁぁぁぁーーーーーーーー!!」

 

叫びが聞こえ、チラッとセレナ方に視線を向ける。ネフィリムの蹴りを受け壁に背中を打ち付けてた。なんとか立ち上がった彼女の剣先は震えており、顔は痛みなのか、恐怖なのか、それとも両方なのか青くなっている。

 

『恐怖で動けないよりかはましですね。まぁ、動けなくても盾にはなるでしょ』

 

何様?

 

『だから邪神様ですって!』

 

あっそ…………

 

ニャルとの会話を切り上げ、ベルトから伸びてきたパイプに手を添える。赤と緑の液体がパイプを満たしやがて、ホークガトリンガーに酷似した一丁の銃へと変化。

 

スクイッドスプラッシャー!〉

 

【スクイッドスプラッシャー】、スプラッシュスクイッドFのベストマッチウェポンでインク弾を放つことが出来る。インクだと舐めたら痛い目見るよ。

 

「GAAAAAA!」

 

雄叫びを上げるネフィリムに向かって発砲と共に接近、イカサイドの足で脛当たりめがけて蹴りを入れる。弁慶の泣き所は異形の巨人であるネフィリムも同じなのか、体勢が崩れた。

 

〈Ready go!〉

 

追い打ちをかけるため、ボルテックレバーを回転。

 

〈ボルテックフィニッシュ! イェーイ!〉

 

生成されたエネルギーをレバーを回すときに左に持ち替えてたスクイッドスプラッシャーへ。イカを模した巨大なインク弾を何発もネフィリムに浴びせる。

 

打ち終わったころには白かった皮膚にはべったりとボトルカラーのインクまみれになっており、本来の体色を見つけるのが困難な状態へ。ゆっくりとセレナの方へ歩きながらも視線はネフィリムに向ける。

 

「終わりました?」

 

セレナの疑問の声を背に受けるが警戒を続ける。いくら時間がたっても一向に起き上がる気配を見せないため、ほっと息を吹きながら銃口を下げた私。後ろにいるセレナに声をかけようとしたその時、建物全体が揺れ、壁にひびが入る。

 

どうやら先程の【ボルテックフィニッシュ!】の衝撃が元々、ネフィリムが破壊していたこともあり耐え切れずに崩壊を始めているらしい。最悪だ…………

 

パンダ!ロケット! Are you ready?〉

 

「ビルドアップ………」

 

素早くボトルを入れ替えて、フォームを変える。

 

ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ! イェーイ!〉

 

「っへ? きゃあああああぁぁぁぁーーーーーーーー!!」

 

建物の揺れで倒れこんだセレナを受け止めそのまま、わきに抱え飛び立つ。

余談だが、ベストマッチ変身音が鳴っているのはピピピっと設定出来る余裕があったから。【ベストマッチ!】と鳴らないのは【パンドラパネル】と言うアイテムの解析がまだ終わってないから。

 

『いやいや、悲鳴を上げている子に触れましょうよ』

 

悲鳴を上げている子を盾にしようとした邪神(やつ)が何言ってるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………よっと」

 

ゆっくり地面へと降り立ち、いろんな液体で大変なことになっているセレナを地面におろす。

 

「いたぁ~~………」

 

訂正、セレナを手から離す。その際、頭を打ったのか頭に手で押さえる彼女を横目に、ツインフルボトルスロットからボトルを抜き取り変身解除。白衣のポケットから取り出したハンカチをセレナに渡す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

顔についた液体をふき取る彼女をよそに左腰に装着された任意のボトルを3本までセットできる【フルボトルホルダー】に手を伸ばす。手に取ったのは下段にセットしてあった何の成分も入っていない【エンプティボトル】、その先端をセレナに向ける。

 

「っへ?」

 

するとアガートラームの鎧が粒子となり、ボトルが変化。形はそのままにクリアホワイトにラメが入っており、ラベルにはアガートラームの【アームドギア】と【Airget-lamh】の文字。これを浄化すれば戦闘で使えるボトルに変化するはず……

 

『ちなみにセレナっちは私服姿で困惑してます』

 

…………誰に向けて言ってるの? まぁいいか。抜き取ったのはあくまでセレナのアガートラームとの適合率と力、変身?装着?アイテムである欠片の入ったペンダントはそのまま残っているので、セレナ以外の適合者が使う分には問題ないと思う。前例が無いから、はっきり断言はできないが。

 

シールディングキャップを回転させ、異次元収納の中にベルト共々投げ入れる。そのままセレナに背中を向けこの場から立ち去る。

 

「葛城さん!」

 

彼女の声に答えることなくいまだ燃え続ける研究施設をあとにするのだった…………




あれれ~、おっかしいぞ~?プロップだともうちょっと戦うはずだったのに…
まぁ、そのうちネフィリムの逆襲(リベンジ)があるし良いか。

次回からは時間が飛んであのコンビが活躍する日本が舞台!

____________________________________________

オリジナルフォーム:スプラッシュスクイッド(募集案より抜粋)

変身音「大海原のアーティスト!スプラッシュスクイッド!イェーイ!」

「イカフルボトル」(エメラルド)と「インクフルボトル」(ガーネットに近いピンク)を使用して変身する。

イカサイド「肩のイカの足が筆のように動き、ベストマッチの時は敵の視界を奪ったり、敵の動きを拘束したりできる。」
インクサイド「インクを出すことができる他、水などを吸収して、インク化することができる。」

ベルトマッチウェポン「スクイッドスプラッシャー」

『Åkir∀/裏想郷を掲げる者』さん、ありがとうございました。

(フィーリースクウィッドは展開の都合、勝手に命名させてもらいました)


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私、悪魔の科学者。偶には普通……?

「暴れ狂うネフィリムを止めるため、セレナと共にネフィリムと戦闘。瞬く間にネフィリムを撃破した」
「セレナを担いで火の手が広がる研究所から脱出!去り際にセレナが纏うシンフォギアの成分を採取【エンキフルボトル】を手に入れたのであった。 …ネタバレが嫌な人は透明字幕を解読しない方がいいよ~」
「新編が始まる第9話どうぞ」



「ところで前回、手加減してないですよ!タイトル詐欺です!!」
「(手加減)した」
「どこが? 私、死ぬところでしたよ!!」


平行線上に広がる暗闇、反対に上空にはあちこちで星々に満月の明かり。潮風が腰まで伸びた髪を優しく揺らすなか、夜空の光を海面が反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。人口の光が足元を照らすぐらいの光量の中で、雲一つない夜空に穏やかな海。

 

なかなかお目にかからない光景を目にして、思わず船の端まで歩みより夜景を楽しむ。普段がいろいろとアレで特にこの時間は周囲に警戒しながら仮眠をとっているのだが、今ばかりは普通の子供………… 普通の人間らしく夜空に釘付けだ。

 

~~~~♪

 

そんな私の横に独特な音を流しながら寄り添ってくる小さなドラゴン。正確に言うとドラゴン型自立行動メカ【クローズドラゴン】、仮面ライダービルドの2号ライダー【仮面ライダークローズ】へ変身する為の相棒(アイテム)

 

『作った良いものの、私たちはクローズに変身出来ないんですけどね~』

 

ニャルの言う通り、私達では通常フォームのクローズへ変身出来ない。その理由はビルドドライバーのある性能を引き出せないと同じで、私が自衛や実験の為に力を振るっているから。

 

ビルドフォンで夜景の写真(画質5K)を何枚撮り、昔懐かしの白熱電球がぶら下がっている柱の近くの椅子に座り異次元収納から一冊の本【AL AZIF(アル・アジフ)】を取り出し、クローズDを膝上に乗せて読書に集中する。

 

『それにしても、こんなにゆったりとした夜は何時ぶりでしょう?』

 

…………………F.I.S.で働いていた時以来だから、2・3年ぶり?

 

本から目を放し懐から一本のボトルを取り出す。それはネフィリムを基底状態にした後、セレナから採取した成分を浄化することで出来上がった【アガートラームフルボトル】。こいつの存在もあり、ライダーシステムでの対ノイズプログラムが完成した。

 

それでもスムーズに行かなかったのはやはり、シンフォギアとライダーシステムでは使用するエネルギーも運用目的も違う異なるものを組み合わせようとした結果。途中でAL AZIFを読み始めたこともあり、ハザードレベル上げは思ったようにいかなかったが……………

 

『それでもハザードレベル4.1は、有るんじゃないですか』

 

ハザードレベル4.0は一つの節目。ビルドドライバーの次世代機とも言える変身デバイス【スクラッシュドライバー】の負荷に耐えられる。このベルトはボトルの力と装着者の戦闘能力を限界まで引き出す代わりに、[ネビュラガスの影響を強く受ける][アドレナリンを過剰に分泌させる][新しいアイテム開発するのメンド]と言うデメリットがある。

 

『最後あなたの愚痴じゃないですか……』

 

呆れるニャルの声を無視し、再び本に視線を向ける。今は私が乗っているこの船は日本行き、細かく言うなら沖縄行の密航船。たまたま出会ったこの船の船長のご厚意で乗せてもらっている。

 

奇妙の縁で思い出したが、クトゥグアとも交流がなんだかんだ続いていたりする。

 

『あんな奴、さっさと絶縁すればいいんですよ!』

 

交流と言っても手紙とプレゼント一方的に渡してくるだけ。【葛城夢真】としての戸籍にパスポート、その時私が滞在してる国の金、5Aのステーキ肉なんかも貰った。ここまで良くしてくれるから、ヨメムコの話抜きにして一緒に出掛けるぐらいは良いかなと思う。

 

『なんだと…………………………………』

 

沖縄と言え数10年ぶりの日本だ。ちょっと楽しみ。




>ヨメムコの話抜きにして一緒に出掛けるぐらいは良いかなと思う。
???「マジで!」ガタ!

AL AZIF(アル・アジフ)
ニャルが用意した新たな特典? 某邪神に調を取られないように原本(新品)を与える徹底ぶり。


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私、悪魔の科学者。強敵、バナナ?

「前回、一般人してた」
「一般人はハイライトOFFの無表情で密航船で夜空見上げたり、火を吐くドラゴンガジェットを膝に乗せて魔導書をファッション雑誌のように読みませんよ!」
「……普通、難しい」
「まぁ、そんなことはさておき第10話どうぞ!」


太陽が上がらぬ早朝、時刻は4時過ぎぐらい? 密航船は沖縄の船着き場へと到着していた。草がいっぱい詰まった袋に人を遠くから仕留めることが出来る武器、どれもが違法物品であり荷台から慎重に運ばれている。その様子を観察しているとひげを生やした警官が私を幽霊を見たかのように目を見開き、見つめているのが視界に映った。ほかにも警官らしき人がぼちぼちと見えており、周囲に人が来ないかを見張っている。

 

『警官がグル………… バレても揉消せますね~』

 

いや、バレたらお終い。折りの中…… 私、人の子と言えないけど。

 

体を軽くほぐしながら、ゆっくりとこの場を去る。特にこれと言った目的地もなければ、急ぐ実験もない。気になる場所もないので道なりに歩くことになりそう。しいて優先事項を決めるなら、対ノイズのプログラムに異常がないかの確認。

 

~~~~♪

 

クローズDが肩に乗ったのを目視し、少しずつ顔を出してきた朝日を背に沖縄の街へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大スクリーンに二人組アイドルの特集が映るのを横目に、さっき買ったばかりのバナナを一口食べる。 ………………青い、外れ。もったいないから食べるけど、残りは収納。

 

『食べかけのも収納しようとしないでください!』

 

ん。

 

適当な壁にもたれ、美味しくないバナナを口に運ぶ。最悪、思ったより長い。1本食べきるの大変、クローズDの頭部を人差し指で撫でながら、視線をスクリーンに向ける。そこにはインタビューを受ける赤髪アイドルの姿。

 

「……………こっちより」

 

笑顔で質問に答えている彼女の瞳の奥には野心いや、暗い感情が秘められている。私より正常、私より脆い感情をなんとなく画面越しで感じていた。

 

『人間やめて…………………ましたね』

 

彼女、他人。関係ないと切り捨てたこの時、1日もたたずにかかわりを持つことになるとは思ってなかった。

 

「食べる? ………知ってた」

 

今はバナナを消費するので精いっぱいだったから。首を横に振ったクローズDから視線をバナナに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、雨が降り始めて1時間もしない内にとある倉庫へやってきていた。ノイズの出現をニャルが感知、実験の為にベルトを装着してで待ちしてる。

 

『あと10秒で来ます!』

 

オペレーターの如く報告したニャル、その声に合わせて懐から取り出した日本のボトルを振る。周囲に様々な数式が現れる中、ツインフルボトルスロットにボトルをセット。

 

キュウビ!衛星!

 

【ファクトリアパイプライン】に九尾の赤みがかった金ぽい黄色と衛星の水色とも緑とも言えない塩梅の色をした液体によって満たされ、ビルドのアーマーとスーツを高速生成。またそれと同時に不可視のエネルギーが私を包み込むのを肌で感じ取る。

 

『…8…7…6…』

 

〈Are you ready?〉

 

ボルテックレバーをゆっくり回しながら、ニャルのカウントダウンに意識を向ける。

 

『…3…2…1』

 

「…変身」(『…0』)星を回るフォックス!サーテフオックス!!イェイ…〉

 

仮面ライダービルド【サーテフオックスフォーム】へと変身を遂げた私、高台から飛び降りこっちの世界へ顔出したばかりのノイズに難なく蹴りを叩きこむ。相変わらず私の存在を認識しないが攻撃できてるのでよし。

 

ボトル能力を使うまでもなく強化された身体能力で一方的に攻撃を仕掛けていく。アンチノイズシステムは実用段階になった。実験終了してもいいけど……… 時間経過の負荷も図りたい……

 

『悩むのもいいですけど、頭上には気つけてくださいね?』

 

ニャルに言われ頭上に意識を向ける。衛星側のアンテナに傍受した映像にはこっちに来る一台のヘリ、すぐヘリは視覚の範囲に入ってきた。

 

………向こう、目視してる(私を)?

 

『してるでしょうね。だってあれは…』

 

ニャルの言葉より先に答えはあっちが言ってくれた。いや、歌った。

 

Croitzal(クロォーイツァ) ronzell(ロンゼェル) Gungnir(ガングニール) zizzl(ツィール)

 

Imyuteus(エミュテウス) amenohabakiri(アメノハバキリ) tron(トローン)

 

上空に浮かぶヘリから飛び降りた2人の歌声が夜空に鳴り響く。

 

『政府所属組織なんですから』

 

あ~、…………………………………メンド。




キリの良いところで区切ると内容がない無い件。文字数で区切った方がいいのかな?
次回あの二人との戦闘を予定しております。

____________________________________________

オリジナルフォーム:サーテフオックス(募集案より一部抜粋)

変身音「星を回るフォックス!サーテフオックス!!」
「キュウビフルボトル(赤みのかかった金色っぽい黄色)」と「衛星フルボトル(グリスブリザードに緑色っぽさがある)」を使用して変身する。

キュウビの力で相手を騙し、衛星の力を使い多角的に攻撃を仕掛ける!

案をくださった『名もなき提督』さん、ありがとうございます。


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私、悪魔の科学者。幻術・忍法、おまけに魔術

「前回は肩にクローズDを乗せ、沖縄の街を観光!」
「買ったバナナ、青かった」
「同日の夜、パワーアップしたビルドドライバーの性能テストの為にノイズの登場の兆しがみられる倉庫へとやって来た私達」
「実験は良好だったが、空から招かれざる客が」
「原作知っている人からすれば、ニヤニヤタイムんですがね… そんなのお構いなしの彼女が主役の第11話、どうぞ!」



Croitzal(クロォーイツァ) ronzell(ロンゼェル) Gungnir(ガングニール) zizzl(ツィール)

 

Imyuteus(エミュテウス) amenohabakiri(アメノハバキリ) tron(トローン)

 

サイレンの音が響き渡る中、すっと耳に入る二つの歌。仮面の下に映し出されるモニターではフォニックゲインを観測。ヘリが2色の歌が地上へと舞い降りた。

 

片方は青い髪をした刀持ち、もう一方は赤の髪をした槍持ち。今朝見た人気アイドルの二人組がノイズ、そして私を睨みつける。

 

《翼!奏! 決して無茶をするな!》

 

この場にはいない力強い男性の声が聞こえる。十中八九、彼女たちの通信機から。オープンになっててこっちにまで聞こえてる。教える気、無いけど……

 

彼女たちがやって来たことによってノイズが彼女達の方を向く。シンフォギアは人間と感知されるから。

 

「奏こっちは任せて」

 

「分かった」

 

背中合わせとなり周囲に警戒しながら小言で会話。強化された聴力ではっきりと聞こえてるが。

セレナ以外の装者、お手並み拝見。

 

待つことにしびれを切らしたノイズ、青い方が熟練された動きで裁き、赤い方が槍を豪快に振り回して撃破。二人組のアイドルをやっているだけあって、コンビネーションもいい感じ。

 

「はぁぁぁぁああああーーーー!!」

 

赤い方が力の限り槍を投げ飛ばす。放たれた槍は一直線にノイズを打ち払い、そのまま矛先は私を狙う。迫るそれを片手で受とめ、握りしめ粉砕。生身なら到底不可能な事をビルドのスペックに物を言わせて実行。グローブの装甲を突破したとしても血を流さないし。

 

変身した私は物理法則に喧嘩を売るがごとく、身長が変化する。その理論は一時的に身体が単細胞レベルで分解、目的の状態へと再構築してその上にスーツを身に纏うから。装着系ライダーのはずなのに肉体変化系ライダーになっているが、科学でなく魔術によるモノなのでそれ以上の説明は出来ない。

 

魔術の発動条件が【変身】する事なので、スーツの許容ダメージを超えて強制変身解除された際にはちゃんと元の少女へ戻れるので、そこまで気にしてないだけだけど。

 

『変身中のマスクの下がどうなっているのか? それを知ったらSANチェックは不可避ですよ…』

 

「はぁぁああああーーーー!!」

 

いたずらをする子供の様な声を脳内に響き渡らすニャルを遮るかのように赤い装者が槍片手にこっちに来た。ノイズは青い奏者一人に任せたようだ。

 

《やめるんだ、奏!》

 

傍受する必要もなく彼女の通信機から音がハッキリ聞こえる。

 

《未確認との戦闘はよせ!》

 

『未確認生命体4号だって!』

 

なんで嬉しそうなの? あと、未確認までしか言ってないから。

 

赤い奏者、奏と呼ばれた人物が振るう槍を最低限の動きでいなし、ニャルと軽い雑談をする。うん、自衛隊とか殺し屋に比べて軽い。シンフォギアのスペックに物を言わせてる。正直言って、セレナの方が強い。

 

「……っく!」

 

苦虫を嚙み潰したよう表情を浮かべ、激しさを増す連撃。…………まじめに相手する必要ない。

彼女の槍とビルドの装甲がぶつかった瞬間に発生する火花に紛れて胸部装甲から人工衛星型のドローンを出撃。1台のドローンが彼女の背中を撃ち抜く。

 

「っがは!」

 

「奏!」

 

相方のピンチに叫ぶ青い奏者(翼って呼ばれてた方)。そんな彼女の叫びもむなしく、奏は膝をつく暇もなく放たれ続けるビームに翻弄される。小さなドローンを撃墜しようと足掻いていた彼女だが、不可能と思ったのか地を駆けて私に槍を振るう。

 

「っな!」

 

抵抗もなく切り裂かれた私は霧のように消える。だが彼女が驚いたのは直後に足音を立てて着地した私の姿を見たから。

 

彼女がこちらに向かってきた瞬間、キュウビの幻影を使いながら移動。彼女たちの目には一歩も動かずにドローンの操作に夢中になっている無謀な姿に見え、切り裂いて倒れたと思った次の瞬間には全く別の方向に出現したように見えただろう。

 

理解が追い付かず混乱する彼女の腹部に蹴りを入れ吹き飛ばす。倉庫の壁をぶち破って中へ消えた彼女にドローン部隊を差し向ける。彼女を囲むように配置されたドローンは雨のようにビームを放ち続ける。最初のうちは防いでいた彼女だったが多数の方向から放たれビームに耐えきれず、手から槍が落ち、やがて地面へ倒れこむ。

 

ビームと言っているが殺傷能力は低く、スタンガンより微弱な電流で攻撃するタイプ。ようは死ぬには威力が足りず、気絶するにも威力が足りない火力のビーム。現に今も彼女は意識を保ち続けており、ドローンは彼女の意識がなくなるまで攻撃し続ける。

 

『戦闘じゃなくて、拷問じゃないですかぁ!』

 

テレビで見た際、彼女に私に近い何かを持っていると確信した。だから心を折る。私と同じような道に進ませないために。なまじに力や知恵があって普通に戻れない所まで来た私と違って、後ろで彼女のことを心配し駆け寄ろうとノイズを薙ぎ払う彼女がそばにいる彼女の為に。

 

この世界(原作)の知識、実はあったりします?』

 

ない。けど彼女の抱えている物はなんとなく察し。

あと今後、会うたびに攻撃されるのメンドイ。これだけして次も襲ってきたら殺す予定だし。

 

『本音はそっちですか… それに彼女を殺すのはやめてください。読者が泣きます』

 

生かすのかまわないけど、読者? 本にするのこれ?

 

『気にしない~♪ 気にしない~♪』

 

喋るきないと。

 

「はぁぁぁああああ!!」

 

後方から雄たけびを上げながら迫りくる影。振り返ることなく横に大きく転がり移動。奇襲になってない奇襲を避ける。

 

「よくも奏を!!」

 

怒りのまま刀を振るがその刃は空を切る。別に躱して無い、彼女が誰もいない所に向けて振るっているだけ。本人の視界だと突然分身したように見えているが、はたから見ていると滑稽。幻術、面白い。

 

「セレナって強かったな…」

 

私の中で戦う術を失った甘えたがりの少女の株が上がった。実戦形式でのデータ収集していた時、本気でやってないとはいえ彼女はすぐに幻術(これ)を破ったからな。まぁ、戦闘ではなくかくれんぼ(遊戯)だったって言う心の余裕もあったからだろうけど。

 

それに対して目の前の彼女は相方がやられたことに対する焦りとか怒りで動いているように見える。実際、ノイズとの戦いもだんだん雑になってきてたし。なんなら、数体残ってる。それほど翼と言う少女の中で、奏は大きな存在なんだろう。

 

仲睦まじい事は良いことだろうが、それが原因で冷静さを失っているのは良くない。

……………他人を信用できずにいる私に比べたら人間らしくていいかもだけど。

 

普通(にんげん)に憧れていたりします?』

 

まさか。

 

モニター越しに奏が気絶したのを確認すると懐から紫と黄色のフルボトルを取り出し、トランジェルソリッドを活性化。ベルトのボトルと入れ替え。

 

忍者!コミック! Are you ready?〉

 

「ビルドアップ……」

 

軽く俯き言葉を呟く。それぞれのハーフボディを生成、装着。

 

忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!〉4コマ忍法刀!〉

 

【ニンニンコミックフォーム】へとフォームチェンジを終え、すぐ取り出したのは剣先がペンになっていて、4コマ漫画が描かれた独特の刀身を持つ武器【4コマ忍法刀】。

 

〈分身の術〉

 

サーテフオックスフォームから姿を変えたことによって幻術が解けこちらに迫って来る装者を横目に、4コマ忍法刀のトリガーを一回引く。一番下に描かれた絵の忍術発動装置【一のコマ・分身】が発光、もう一度トリガーを引く。

 

すると【BOOM!】とポップな文字と煙と共に分身が出現。その内2体をノイズに向かわせ、残りは私と共に装者へ。

 

「っぐ!」

 

分身Aと鍔迫り合いになっている彼女の横腹を一閃。シンフォギアの装甲が火花を散らす。体勢を崩したところを分身B、不思議な動きと共に放つ打撃で追い詰める。その隙を補うように分身Aが斬撃を放つ。距離を取り、視線をノイズと戦っている分身へ。

 

分身Cは【コミックフルボトル】の力で生成した文字を手裏剣の様にノイズへ投げつけ撃破。分身Dは【忍者フルボトル】の力で空中を足早に駆け抜け、すれ違いざまにノイズを切りつけている。

 

『私は空駆けより影の舞が見たいです!』

 

次の機会があればね。

 

ここでふと思った、【今ならノイズボトル、作り出せるんじゃないか】と。忍者側の視覚センサー【レフトアイニンニン】は敵の内部構造をスキャン、活動状態を把握し弱点を探ることが可能。コミック側の視覚センサー【ライトアイコミック】は物体の構造解析機能が備わっている。

 

左右のセンサーから集計した解析データを【BLDシグナル】で統合して、マスク内部に結果を空中投影。 ……………いける。

 

4コマ忍法刀を異次元へ放り投げ、エンプティボトルを握りしめる。腰を低く落とし、見定めた1体のノイズめがけて音もなく一気に接近。ディスプレイを砕くように強く、撫でるように優しく、微妙な力加減でボトルを握る拳を振るう。

 

ノイズのディスプレイが宙を舞う中、フルボトルの成分吸収装置【マテリアルアブゾーバー】により、ノイズのコアを回収。ノイズの肉体はチリとなり、風に運ばれた。手元には外装クリアパーツ【クリアモールドボトル】が浄化前の成分の影響で膨張、ひび割れの様な黒いパーツで割れないように支えられている。

 

まるでスマッシュの成分を採取した直後の【スマッシュボトル】の様な状態。シールディングキャップをしっかりと閉めて異空間へ収納。先程放り投げた4コマ忍法刀を再び手に。

 

〈火遁の術………火炎斬り!〉

 

【ボルテックトリガー】を2回引き、忍術発動装置【二のコマ・火遁】が発光。更に引くことで4コマ忍法刀に炎を纏わせながら刀身を伸ばす。そのまま薙ぎ払い、分身体共々ノイズを焼き払う。その勢いのまま、分身体と戦闘を繰り広げる装者に向けて、周囲の小石から作り出した手裏剣を投げつける。

 

「なっ………!!」

 

先程の斬撃のより倉庫の外に置かれていた可燃物に火が灯っている。それによって出来た影。私の手を離れた手裏剣は彼女の頬を掠め、計算通り影に突き刺さった。それにより彼女は指先一つ動かすことが出来ない。

 

私がやったのは【影縫いの術】。影縫いとも呼ばれるこの技は忍者漫画を始めとした創作物ではお馴染み、対象の影に手裏剣や苦無を突き刺し、動けなくなる暗示をかける忍法。要は疑似的に金縛り状態にしている。

 

金縛りの原理。まず普通の睡眠は、一度深いノn『ストップ! そういうのは不思議パワーで終わらせましょ』

 

〈隠れ身の術………〉

 

分身体を消しながら、4コマ忍法刀のトリガーを4回引く。すると忍法作動装置【四のコマ・隠れ身】が発光。忍法発動待機状態へと移る。鳴り響く音声により、私の行動を読んだ装者がものすごい形相(ぎょうそう)でこちらを睨んでくる。

 

〈………ドロン!〉

 

筆を振るうような待機音を鳴らす4コマ忍法刀のトリガーを引くことで、刀身から後ろで空へと昇る煙が薄く見えるほど、濃い煙があふれ出し、私を覆う。煙が晴れた頃には既に変身を解除した状態で、倉庫から程よく離れた路地。

 

そのまま表通りに出るが夜遅いが、ノイズ警報が鳴っていたこともあってポツポツ人がいる。たぶん逃げ遅れ。ノイズが全滅したことを知らない彼らは周囲を警戒しながら行動してる。

 

その様を横目に懐から取り出したノイズの成分(正確にはそのコア)が入ったボトルを見つめる。このまま成分を解析してノイズの真相に迫るもよし、複製してノイズクローンを作るもよし、浄化してビルドなどのライダーシステムの強化に使うもよし、人体に投与してみるのも良いかも。

あぁ~~~~ …………………………いろいろ試したい。




戦闘描写ガ苦手。
前回に引き続き、『名もなき提督』さんが考えた「サーテフオックス」が登場。トリッキーな能力を全然かっこよく表現できなかったよ………

「ニンニンコミック」は流石に(ネタ的を)やりすぎた。


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私、悪魔の科学者。心の余裕=悩みのピース

「どもども、いつも読者に這い寄る混沌ニャルラトホテプです!前回は人気急上昇中のアイドルであり、日本の装者ツヴァイウイングを蹴散らしたのでした。チャンチャン♪」
「その戦いの最中、妙案が浮かび実行。ノイズの成分が入ったボトルを手に入れた」
「時間は進み、2041年。パソコンに何やらプログラムを打ち込む夢真の姿が!」
「その詳細は第12話で」


『~~~~♪』

 

ニャルの歌声が頭の中で響き渡る。うる覚えで歌っているが、それが気にならないほど常人を誘う妖麗な歌声は流石邪神と言ったところ。その歌を聞き流しながら【ガーディアン】、簡単なAIで動く人型機械兵の設計図を打ち込んでいく。

 

ガーディアンは【仮面ライダービルド】の番組内で登場する兵器。東都・北都・西都の政府に配備されており、作品内の戦争でも人間に交じって兵士としていようされたりしていた。作品終盤には世界大戦に向けて戦闘特化の新型が登場。

 

【仮面ライダーシリーズ】お馴染みの戦闘員ポジ。ビルドより前のシリーズに登場した敵組織も含めて【管理者】の命令一つで防衛にもテロにも使える強力な物。全長は188.0cmで複数体が合体することで、7.44mほどの巨大メカになる。

 

合体後は火器による火力支援、合体前は専用の武器やバイクを使用しての集団戦が得意。作品内ではハッキングによって管理を権限を剥奪され敵組織に奪われる事も。なぜそんなものを作っているのか?

 

それは二日前にさかのぼる…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃工場に置かれていたさぴ付いたドラム缶の上でヨーヨーで遊んでいた。前世で一度もやったことは無いが、(初心者にしては)わりと上手くできる方と思う。比較対象が無いから何とも言え無いが。もちろんただ遊んでいる訳じゃない。

 

『絵面は完全に不良小学生ですけどね』

 

…………………沖縄で日本の装者と戦闘になった後、元々の目的であった参考書とか機械パーツなどを購入し、すぐに海外に戻った。スマッシュの人体実験は海外の方がやりやすいし。

 

『治安は全然ですけどね~』

 

まぁ、そういう場所選んでるし。

しばらく海外での実験を主にやりながら、ノイズの解析。ライダーシステムの実験データも取ったりとしてた。ただ今はスランプ………と言うより悩んでる。だから日本の適当な場所に移動。結果、ヨーヨーを始めた。

 

懐から取り出すのは大きな炭酸缶の様な物。正面にはラビットタンクフォームそっくりのビルドがデザインされている。

 

【ラビットタンクスパークリング】、桐生戦兎/仮面ライダービルドが作られたヒーローだと知ってもなお、自身の信じた正義(ラブ&ピース)の為に戦う為のパワーアップアイテム。これを使う事でビルドは【偽りのヒーロー】から【兵器のヒーロー】へとなる。

 

そう、ヒーローになる為の物だ。【パンドラボックス】が放つ光の【残留物質】と最もバランスが取れたベストマッチの【ラビットタンク】の成分を組み合わせて作りだし時、ふと頭によぎった。

 

ー私、これ使って良いの?ー

 

私の中にある良心が疑問を提示。

そもそも私、自分の身を守るためにライダーシステムなど使用してる。けれど自身がヒーローである為に設計された物で、他人(てき)の血を流すために使って良いの?

 

科学で人を救えると信じて、何度も挫折して、誰かの明日を守るた為に戦ってきた男の研究を、科学を、私が汚すようなことを続けて良いのかと。年々余裕が出来てきたからこそ、悩み始めてる。

 

『はぁ~、これだから人間はめんどくさい。けど、そうやって悩む姿がいいんですよね~』

 

ニャルが呆れた呟きの後、どこか楽しそうに言葉をこぼす。ニャルの言葉を聞き、今一度RTスパークリングを見つめる。数日悩んでいる答えがすぐに出る訳もなく、思考はやって来た一台の車によって遮られることに。

 

エンジン音が聞こえ、RTスパークリングを収納。いかにも学校サボって、ヨーヨーしてますよ感出す。カモフラージの為にやり始めた訳じゃ無いけど、このやり方以外にアリ? いざと言う時は武器にもなるし。

 

『良い子のみんなはヨーヨーを武器にするなよ~ ニャルラトホテプとの約束だ!』

 

良い子じゃなくてもだしそもそも、誰に言ってるの?

 

『それより車の方を見てくださいよ』

 

あからさまな話題転換……

ニャルに促されて車の方に視線を向ける。ちょうど車内から出るところ、中から出てきたのは黒い覆面マスクを被った数人の男性。それに引っ張られて出てきたのは、手足を縛られた少女。髪色は銀でゆったりとした服を着ている。

 

「________」

 

「_____!」

 

目を覚ました少女を怒鳴って静かにさせる覆面の男。距離的に何言ってるか聞こえない。聴力が上がる系のフルボトルってあったけ? ………………関係ないことだし、聞かなくていいか。明らかに警察沙汰だし、さっさと立ち去ろ。

 

『待って下さい!面白そうなおもちゃを持ってますよ、あいつら』

 

は?

 

半信半疑でもう一度、覆面の誘拐犯らに視線を向ける。ここからだと服装と大雑把な特徴しか見えない。なので【タカフルボトル】を取り出し振る。フルボトルに込められたタカの成分が活性化、視力を強化する。

 

ハザードレベル2を超えた者は体内にネビュラガスがある影響である程度、フルボトルの力を身に宿すことが可能。例えばラビットだと高速移動、ドラゴンなら蒼炎を纏った打撃、ヘリコプターなら打撃の際にプロペラで威力を上げる等。

 

話を戻してタカフルボトルで視力を上げて、ニャルが反応した覆面の持ち物を探ってみる。たいして変わった物は持ってない。しいて言うなら手のひらサイズのUSBメモリー……………

 

は?

 

『本日二回目の[は?]、いただきました!』

 

奴らのうちの一人、一番後ろで佇んでいる男性と思わしき人物は端子は銅色、化石のようなデザインをした黒色のメモリ。市販のUSBと比べて端子が大きく機械製品に使えないのは目に見えている。

 

『そもそも機械にさすために作られたものでもないですしね~』

 

前世では小学生ぐらいの時によく目にしたが、こっちではそもそも作られる意味がない。そんな代物を持っている。どういった経路で手に入れに入れたのか気になるし、予定を変えて首を突っ込む。

 

最悪、変身しないといけないかもしれない。けど、確かめないと。

だって奴が持っているメモリには、プラグの間に奔る電流でEの文字が作られたラベルが貼ってあるのだから。本来ならアイドル装者の役目なのに……




悪行を行いながらも、悪人になれない主人公。それが作者のイメージです。
初期設定ではもうちょっと悪役悪役してる予定だったんだけど、中途半端な奴に…… それはそれで人間みあって問題なし(超不安)


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私、悪魔の科学者。思ったよりメンドイ…

「ひょんな出来事からガーディアンの設計を始める事になった私」
「その事件は2日前、スランプに陥っていた矢先に起きた。怪しげな車から降りるやしげな覆面の男4人。彼らが車から引っ張り出したのはなんといたいけな少女だった!!」
「そんな少女よりも気になるものを持っていたので、いやいや首を突っ込む事になるのでした」
「事件はまだ始まったばかり…… それでは第13話、いってみましょ!」
「…なんでそんなテンション高いの?」


物陰に隠れながら忍び足で近づいていく。ある程度、距離を縮めた所で顔だけ出して様子を窺う。

 

「こんな簡単なお仕事で大金が手に入るなんて、楽勝だったな!」

 

「それにしてもあの女、こんな少女を誘拐して何をするんだろうな?」

 

近づいている間に少女は使われたない倉庫の中へと連れていかれたため、いま視界に入っているのは見張りの覆面2人。会話を聞いた限りだと誘拐は依頼らしい。そこはどうでも良いけど。

 

【ガイアメモリ】、地球に眠る何かしらの記憶を元に作られたアイテム。人体に【生体コネクタ】移植手術をする事で使えるようになる。使用は使用者の体が蝕まれ暴走・依存症、つまるところ麻薬と変わらない代物。何よりガイアメモリの恐ろしい所は、生体コネクタを通して人体に直接挿すことで超人態【ドーパント】へと変身できること。

 

ドーパントは一言で説明すれば自我を持つスマッシュ。自分の思うがままに人外の力を行使する者。メモリとの相性しだいではメモリを使わずともある程度、能力の使用が可能。身体に直挿しするとメモリの毒素、負の感情を増幅させやすく暴走を促すため、フィルターとなるベルトも存在する。まぁ、メモリもベルトもこの世界には存在しない代物。

 

入手経路と誰が何の目的で作ったのか気になるところ。仮に量産体制が既にできているなら、情報をアイドル装者の組織に送って放置。できていなくても送るけど、どうやって作っているのかは知りたい。ガイアメモリはそう簡単に作れる物じゃないから。

 

『これ以上じっとしてても大した情報は出なさそうなんですが、どうします?』

 

は~、メンドだけど仕方ない。

 

頭の中で落胆しながらも身体を物陰に隠してビルドドライバーを装着。兎と戦車フルボトルを取り出し、数回軽く振る。

 

ラビット!タンク! Are you ready?〉

 

ハンドルを握りしめながら大きく息を吸い、はき出す。ビルドドライバーが返答を待ち、エコーがかかった音声を周囲に響き渡らせる。背中の方で覆面の見張りが動揺の声を漏らす中、静かに呟くのだった…

 

「変身…」

 

生成されたハーフボディを装着、周囲に白色のスチームが広がる中、左足の跳躍強化バネ【ホップスプリンガー】を使い覆面2人組の前にハイジャンプで姿を現す。

 

鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!〉

 

「なっ、なんだお前は!」

 

『通りすがりの仮面ライダーだ!』

 

あってるんだけど、違う……

 

突然視界に現れた私に驚き腰を抜かす覆面A、それに対してコンバットナイフ…………いや、果物ナイフをこちらに向けて質問をぶつける覆面B。それに対してニャルが答えるが私にしか聞こえてないので意味ない。

 

『いつもニコニコあなたに這い寄る混沌、ニャルラトホテプです! ……の方がよかったですか?』

 

それも微妙に違う。私、人もどき。それにニャルはニャルラトホテプ星人じゃないでしょ…

 

って、そんな話をしてる暇ない。視線を覆面2組に向けて出来るだけ低く、恐ろしく聞こえるようにを意識ながら声を発する。

 

「なんでもいい。ガイアメモリよこせ…」

 

要点だけを伝えて静かに待つ。風が強くなってきた中、動き出したのは倒れていた覆面Aだった。

 

「ガイアメモリ? もしかして、フィーネとか言う女の側にいた白服の男に渡されたこれか!!」

 

「話すな!渡すな!」

 

目に涙をためながら、早口で聞いてないことまで教えてくれる覆面A。その横で覆面Bが突っ込みを入れていたが無視。それにしてもフィーネが絡んでいるのか……

 

「フィーネはなんて言った?」

 

覆面Aからひったくるように受け取った赤色に苺のデコレケーキでSのイニシャルのメモリを手に、弱腰の覆面Aに質問を投げかける。

 

「ヒィ! 写真の少女を誘拐するようにと。白服からは選別だと人数分のメモリを貰いました…」

 

「だから、喋んな!!」

 

辺りをキョロキョロ見ながら小声で話す覆面A。私・覆面B・周囲にの視線に完全におびえてる。それにしてもフィーネの誘拐、その子もレセプターチルドレン(次なる器の可能性)なのか?

 

『ガイアメモリを渡した白服の男も気になりますね。この世界には【運命の子】は誕生しないはずですから…』

 

ブツブツと思考の海に入ったニャルを放っておいて、覆面Bに手を差しだす。

 

「なんだよその手は」

 

「…メモリ」

 

「そこの馬鹿と違って渡すかよ!」

 

蹴りを入れてくる覆面B、後ろに軽く跳ぶことで回避と同時に距離を取る。視線を再び覆面Bに戻すと彼は、茶色のメモリの端子付近にあるボタンを押す。

 

COCKROACH!

 

内部に記憶された力を示す音声が鳴り、そのまま後ろ首の鎖骨辺りにメモリの端子を当てる。メモリは生体コネクタを通し人体の中へと入りこみ、怪物へと変貌。【コックローチドーパント】へとなり背中の羽を鳴らす。

 

「ぎゃあぁぁぁーーー!?!?!?」

 

コックローチDの姿を見た覆面Aは股付近にアンモニア臭がするシミを作りながら気絶。無理もない。コックローチは現代日本だと、ゴキブリと総称されている昆虫。黒光りするのが【クロゴキブリ】、1匹いたら数十匹いるのは【チャバネゴキブリ】と種類が違う。

 

埃などを嫌う綺麗好きで殺菌効果を持つ粘液を分泌。雑食の為、森の掃除屋。清潔な場所で育ててれば食べる事が出来、意外と珍味だったりする。

 

オウムガイと同じく太古の昔からあまり進化をしていない生物、つまり元から完成された生物で生きる化石の一つ。頭部の触感が『いつまで語るんですか!』

 

………ホップスプリンガーに力を籠め、数秒の間すべての行動を高速化させる【ワイルドチェストアーマー】の効果で目にも止まらない速度で近づき、右足の【タンクローラーシューズ】の裏側についた無限軌道装置を回転。コックローチDの身体を削ろうと試みるが、高速移動で回避された。

 

蹴りを回避した奴は後ろへと回り込み羽交い絞めの動作。ラビット側のアンテナ【イヤーフェイスモジュール】の効果、わずかな動作を捉え次なる攻撃を予測する効果で読めていたので掴まれる事無くしゃがんで回避。そのまま足払い、コックローチDは地面へと倒れる。

 

そのまま追い討ちをしかげるが粘液を飛ばしてきたので咄嗟に回避。あの粘液は窒息効果を持っており、生身のまま頭部に受けるとどうなるか目に見えている。

 

「クソガァ!」

 

戦っていて思ったがこいつ、弱い。ただラビットタンクFとの相性が悪く、お互いに決定打に欠ける。なので数式の数字(ボトル)を変えてみる。

 

地団駄を踏むやつを視界に入れ、新たに取り出した2つのボトルを振る。周囲に無数の数式が浮かび上がる中、ベルトに装填。

 

スコーピオン!ゴールド! Are you ready?〉

 

展開された高速ファクトリー【スナップライドビルダー】のパイプに【トランジェルソリッド】が流れる中、軽く俯き一言…

 

「ビルドアップ…」

 

新たに生成されたえんじ色のスコーピオンハーフボディと黄色のゴールドハーフボディを前後から挟み込む形でチェンジ。

 

高貴なる毒針! ゴールドスコーピオン! イェイ!〉

 

幻のビルド【ゴールドスコーピオンフォーム】へ、姿を変えた。




覆面Aよ。お前、出番終わりだってよ…


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私、悪魔の科学者。泥棒ホイホイ、悪魔はお呼びじゃない

「誘拐犯の一味が持つガイアメモリ。その入手経路を思いのほか簡単に聞けた」
「弱気な覆面の男Aは容易くメモリを渡したのだが、どこか小物集がするBはメモリを使用。コックローチDへと変貌する」
「大した強さではないが、ラビットタンクだと相性が悪い」
「そこで夢真は玩具のエラーで発売キャンセルとなったアノ姿へと姿を変える! 果たしてどうなる第14話!」





「ところでゲットしたメモリは何に使うんですか?」
「……いろいろ」


高貴なる毒針! ゴールドスコーピオン! イェイ!〉

 

優雅なアラビアンテイストの変身音が響き渡る。姿を変えた私に警戒してマントの様な羽をなびかせながら、こちらを睨む。

 

「そんな虚仮威し!」

 

こちらが一歩も動かない事にしびれを切らしたコックローチDが高速で迫りくる。私はただ、振るわれた拳をサソリの腕で受け流す。コックローチDは体勢を立て直し再び突撃してくるが焼き直しの様に受け流した。何度も一直線に突撃して奴に対して、反撃をせずに最小限の動きで裁き続ける。

 

「へぇ… へぇ… へぇ…」

 

やがて息を上げ、肩で呼吸を始めたコックローチD。そんな奴の足元に【ゴールドフルボトル】の力で生成した純金の延べ網をいくつもばらまく。

 

「き、金だ!」

 

するとさっきまでの疲労が嘘かの様に勢いよく飛びつき、散らばった金をかき集める。分かりやすい、単純思考。四つ足で散らばった金を集めるその様は台所のGの様だ。

 

「これも!あれも!それも! 全部金だぁぁああああーーーーー!!!!!」

 

ゴキブリホイホイの餌にガッツク虫の様に純金に夢中の彼。戦闘中を忘れた金亡者に無慈悲な一撃を入れる為ボルッテクレバーを回転、必殺技の準備を始める。

 

〈Ready go! ボルテックフィニッシュ! イェーイ!〉

 

右腕の【ポイズンクランガレット】の金色のエネルギーを纏い、そのまま拳を地面に突き刺す。するとガレット内部から放たれた刺突ユニットが地面を掘り進み、コックローチDの足元から腹部目掛けて地面から出現。金に目がくらんでいたコックローチDは回避も抵抗も理解する事すらできず突き刺さり、潰れたカエルの様な声を上げながら地面から浮かび上がる。

 

「グェ゛」

 

そのままガレット内部で生成された毒を体内へ流し込む。流す毒は軽い痙攣を起こす毒、死なないよう流す量を調整する。最初は引き抜こうと足掻いていたが、重力に従って手足がぶら下がったところで刺突ユニットを引っこ抜き、コックローチDを地面におろす。

 

地面に横たわる身体からメモリが排出され、人の姿へ戻った覆面B。排出されたメモリは地面に接触すると砕けた。覆面Bは強制的に元に戻った影響か、目をめいっぱい見開いているが無視。彼のそばに落ちていたメモリの破片を回収し、サイズの合う収納パックへしまう。

 

『若干、口から泡吹いてません?』

 

ニャルに指摘され再び視線を向ける。よく見れば多少、泡を吹いているようにも見えなくもない。ガイアメモリを使用した人間という事も有り、本来なら詳しく人体データを取りたいところだけど、騒ぎを駆け付けた民間人や警察に見られたら困るので放置。

 

本来の目的の未使用のメモリに誰が私かの情報も手に入っているし、このまま帰っていいけど……

5秒以下の思考の末、彼らが守っていた廃工場の扉を開き奥へ進む。天井にはわずかな穴が開いており、そこから日の光が内部へと差し込み周囲を照らす。

 

中にあったであろう機材はすべて撤去された後、壁や窓はひびが入っている部分も見受けられる。足元の砂には目には見えないほど細かな鉄くずが混じっているようだ。只々広い空間の中心に一人の男がこちらを睨みながら佇んでいる。

 

「外の騒ぎはお前の仕業か」

 

ドスのきいた低い声が壁に反響。覆面越しでも分かるほどの殺意を向けている。

正直、メモリさえもらえれば私は良いんだけど… 向こうはそんなつもりなど毛頭ないようで、黒いメモリを取り出し左の掌のコネクタに差し込む。

 

〈DEMON…〉

 

覆面Cは蒼炎と共にその姿を異形の物へと変える。鳴り響く単語はDEMON、悪魔の記憶が解放された。薄暗い青の瞳に左右非対称の腕、闇を連想させる生々しい黒の皮膚が特徴の姿、【デーモンドーパント】へその姿を変えた。

 

自身の変化を確認するかのように拳を何度も開いたり閉じたりする。一見すると隙にも見えるが、マスクの下のモニターにはデーモンDが持つ異常なエネルギーに警告音を鳴らしており、迂闊に近づけは痛い目を見るのは火を見るよりも明らか。

 

双方の視線が交わる中、時間だけがいたずらに過ぎてゆく。やがて一筋の風が砂塵を巻き上げる、その音が戦いのコングとなった。人知を超えた身体スペックを使った一撃が交差する。互いの身体から火花を散らし、後退。【BLDシグナル】の機能によりアーマーの損傷部の応急補修が行われる。

 

補修が行われている間に体勢を立て直し、右手を前方へと伸ばす。するとベルトからパイプが伸び、柄の先にドリルの刃が付いた変った形の武器、ビルドの基本武装【ドリルクラッシャー】を生成。右手に【ブレイグリップ】を握りしめ視線をデーモンDへ。

 

向こうは向こうで細い右手にメリケンサックの先にローラーが付いたような変わった形の武器意を手にしており、腰を低くして構えてる。足をバネの様に一気に伸ばし跳躍、ローラー付きメリケンサックで殴り掛かって来た。

 

ドリル刃【ドリスパイラルブレード】を回転させながら受け流し、背中目掛けてドリルクラッシャーを突き刺す様に振るう。こちらの一撃はやけに筋肉が発達した左腕に弾かれ、咄嗟に距離を取る。

 

『見た目に似合わず身軽なんですね』

 

受け身を取りながら地面を転がる私、ニャルの純粋な感想が頭の中に響く。立ち上がりと同時に後方へ跳躍、私からも距離を取った事でかなり開いた。デーモンDが接近使用を太鼓の様な足跡をたてながら迫りくるのを他所にブレードを取り外し、先っぽの部分を【コネクトランサー】の凹へ差し込む。

 

ドリルクラッシャーは【ブレードモード】から【ガンモード】へ変化。それに伴い、ブレードモードの時はコネクトランサー(凸)にさしていた部分が銃口【ガンスパイラルマズル】へ。グリップのトリガーを引くことで高速回転と共に標的を貫く加速光弾【スピニングビュレット】を放つ。

 

何発もの弾丸を受け火花を散らすデーモンDだったが、すぐに火球による遠距離攻撃で対応してきた。迫りくる火球を撃ち抜き、火球が弾丸を焼き尽くす。何度も花火が出来、少しでも調整を間違えれば建物に引火しそう。

 

しばらくは見栄えの変わらない撃ち合いが続く。そもそもゴールドスコーピオンFは元々至近距離によるカウンターを主体として戦うフォームであり、この様な弾幕戦は苦手。それを可能としているのは向こうも弾幕戦が苦手と予測される。

 

『それだけなく、これまでの戦闘経験もありますよ? 向こうはどうやら闇雲に撃ってきてますからね!!』

 

ニャルの言葉を聞きゆっくりと息を吐き、肩の力を抜く。慎重にタイミングを見極めながら片手で撃ち続け、片方の手に赤いボトルを握りしめる。ほんのわずかな時間、ビルドのアシスト機能をフルに活用して導き出した勝利の法則。その最初の一歩の引き金を引く。

 

打ち合いの中、ゆっくりと振っていたボトルの【シールディングキャップ】を回し、ドリルクラッシャーの【フルボトルスロット】へセットする事でボトル成分が取り込まれ、必殺技発動システムが起動。

 

〈Ready go!〉

 

待機音が鳴り響き中、ガンスパイラルマズルに赤いエネルギーが蓄積されていく。

 

〈ボルテックブレイク!〉

 

【ボルテックトリガー】を引く事で必殺技が発動。内部発動機の稼働状態を示す【ボルテックメーター】の針が大きく左右に触れる事から、内部状態も良好で想定内の威力で弾丸が放たれる。

 

セットしたボトルは【スーパー戦隊フルボトル】、仮面ライダーとは違う戦士の力が込められたボトル。放たれた弾丸は二つに割れそれぞれ銀色のVを模したシンボルと金色のSを模したシンボルへと変化、火球を貫きながらデーモンDに命中。小さな爆発を起こし、後方へと吹き飛ばされた。

 

「っく!」

 

どうやらとっさの判断で左腕を盾にしたようで撃破まで持っていけなかったが想定内。奴の左腕が大きくえぐれ煙を上げているのを視界に収め、新たなフルボトルを取り出しトランジェルソリッドを活性化。キャップのラベルを正面に向ける。

 

ティラノ!チェーンソー!

 

流れるかの様にボトルを入れ替えてレバーを回す。

 

〈Are you ready?〉

 

「ビルドアップ…」

 

スナップライドビルダーが新たなハーフボディを生成、軽く俯き小さくベルトの問いかけに答える。

 

切断の恐竜王 チェーンソーレックス イェーイ…〉アビリティアックス!〉

 

紫とダークグレーの装甲を身に纏い、右手には見るものに本能的な畏れを感じさせるという欲望を砕く斧に酷似した武器【アビリティアックス】を握りしめる。一呼吸置いた後、床を蹴り一気にデーモンDをへと接近、アックスを縦に振るう。




お待たせしましたm(__)m
思ったより、ゴールドスコーピオンFの設定が定まらなかった。てか、現状でも定まってない。でもこれ以上皆様をお待たせする訳には行かないので、投稿させてもらいました。

もしかしたら後々、シークレット修正してるかもしれません。今回登場した読者案ベストマッチの詳細は次回に回します。


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私、悪魔の科学者。分岐点は気づかぬ間に過ぎる…

「いつも読者に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです!今回は私一人であらすじ紹介していきますよぉ~~~! 新しい形態、ゴールドスコーピオンの活躍でゴキブリ怪人を難なく撃破した夢真!! しかし新たな刺客、デーモンドーパントが立ちふさがるのだった… その強さはゴキ怪人をはるかに凌駕し、苦戦を強いられる。それでは第15話どうぞ!」


廃倉庫内に響き渡る金属音。斧とナックルがぶつかり合い火花が散る。双方、複眼を光らせ止まる暇なく攻防は激しさを増してゆく。二つの影がぶつかり合う衝撃は長年にわたり積み重なった埃と鉄混じる砂埃を宙へと舞わし、建物全体を大きくを揺らす。

 

その揺れは2階渡り廊下の先、廃材が積みあがったまま放置されている倉庫まで届いており、覆面を被りグレーの衣に身を包む男性が必死にバランスをとる。そんな男性の背後では銀色の髪を腰ぐらいまでに延ばし、少し大きめのワンピースを着た少女がゆっくりと目を覚ます。

 

「………っ!? ん~!」

 

手足は縛られ、口にはガムテープを張られた状態で横倒しにされている少女。だんだんと自分が置かれた状態が鮮明に思い出され、目に涙をため暴れ出す。しかしか弱い少女の力ではロープをほどく事は出来ず、ただただ服を汚し自身の体に傷を増やすだけ。

 

そんな少女の様子に気が付いた覆面Dは近くに置いてあったドラム缶を支えに立ち上がり揺れる建物の中、慎重に歩みを進める。何度も倒れそうになりながらも少女の目の前とたどり着き少女に睨みを利かす。

 

「そう暴れんな! もうじきお前を引き取りにあの女が来るから大人しくしてろ、k………っ!」

 

恐怖を植え付けるかのようにドスを利かせる覆面Dだったが、これまでで一番大きな揺れが倉庫を襲いバランスを崩す。目に涙を浮かべる少女は恐怖で体を震わせるのだった。その様子を青空が広がる窓の向こう側から見つめる小さな影にどちらも気が付かずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斧とナックル、それぞれの得物が宙を舞う中ぶつかり合う二つの拳。込められた力は均衡し、その衝撃を受けそれぞれの背後で砂塵が舞う。デビルDが瞬きする間もなく左腕を薙ぎ払い、迫りくる剛腕をしゃがんで回避。その体制のまま足払いをして転倒させ、背中から地面にぶつかる光景をしり目に大きく後ろへと転がる。

 

立ち上がると共に先程、デーモンDによって弾き飛ばされたアビリティアックスを回収。持ち手付近のフルボトルスロットに【トラフルボトル】をセット、ボトルをスキャンさせた機械音が鳴り響く中ボルテックトリガーを引く。

 

〈シングル! ボルテックファング!!〉

 

トラの成分がアビリティアックスの刃を満たし、ゆったりと起き上がったデーモンDに向けて大きく振りかぶる。振るわれた得物から3つのエネルギー刃が放たれデーモンDに迫るが、咄嗟に回避された。背中部分をかすめたエネルギー刃は建物を支えるコンクリート柱を切り裂いた時点で消失。

 

先程の一撃を受け背中から煙が上がるデーモンD。そこに追い打ちをかける為、再びフルボトルをスロットにセット。アビリティアックスが成分を読み取ったのを目視すると今度は、トリガーを引かずにスロットからボトルを抜き2本目のボトルをセット。

 

〈ダブル! ボルテックファング!!〉

 

一気にデーモンDへと接近に腹部に押し付ける。刃が高速で回転し先程セットした【電車】【ライト】の効果により、緑の電流を纏う白熱した刃の一撃は豆腐を斬るかの様に肉を切り裂き、体内にボトルの力が流し込む。簡易に説明すると刃に熱を持たせることで切りやすくし、できた傷口に電流を送り込んだ。

 

「ぐぁぁ… 一体何が!?」

 

その影響かは分からないが、デーモンDの表面に火花が走り動きが止まる。流れる手つきで【恐竜】【ティラノ】【チェーンソー】の順でボトルをセット、トリガーを引きながら何度もデーモンDを斬りつける。

 

〈トリプル! ボルテックファング!!〉

 

縦・横・斜め・上・右・下・腕・足・腰……… 斬りつけた衝撃で後方に飛んでいくのを追いながらも我武者羅に、けれど正確にその身を切り刻んでいく。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!!

 

取り込んだ成分が無くなるタイミング、アビリティアックがボトルの力を持続できる限界まで斬り続け、最後に大きく振り吹き飛ばす。立ち上がったデーモンDはふらつき、先程までの理性は消え、獣様な雄たけびを上げその身体を人ならざる何かに変化させていく。

 

身体は蒼炎に包まれ、左腕の剛腕は溶けるかの様に消た。なんとか人型を保っているソレは天井に向け、ゾンビの様な擦れた咆哮をあげる。

 

『斬られすぎてSAN値が急降下したみたいですね』

 

飽きて壊れた玩具を見つめるかのように呟いたニャル。実際にこの邪神にとって私達(にんげん)は退屈しのぎでしかないのだろう。ニャルの事を理解しようとするだけ無駄、そんなことを考えながらアビリティアックがスキャンできる最大数、【ラビット】【ドラゴン】【イガリマ】【シュルシャガナ】の4本を順にセット。

 

ボトル成分が蓄積され、光が渦巻くアビリティアックを握りしめ、腰を大きく下ろし、デーモンDを見つめる。もはや悪魔と言うよりも火の魔人と言った方が適切な見た目へと変貌しており、このまま気温が上がれば建物に引火。そうなる前に決着をつけるべく大地を踏みしめ走行。大きく振りかぶった一撃がデーモンDの肉を断つ。

 

〈ギガボルテックファング!!〉

 

赤・蒼・緑・桃のエネルギーを纏った刃の一撃は暴走するデーモンDを沈め、体内に入り込んだメモリを破壊(ブレイク)。地面に横たわるのは皮膚や服が多少、焼き焦げた男性。被っていた覆面は全焼しており素顔がハッキリと分かる。正直、男の方はどうでも良く、メモリの破片を回収して周囲を見渡す。

 

さらわれた少女も最後の誘拐犯も居ないし、隠れられる場所や物もない。

 

~~~~♪

 

「あっち………?」

 

正面に舞降りて来たのはクローズD。クローズDが首挿す方向に視線を向ける。そこには錆び付いて途中からしかない階段の残骸があった。その先には今でも使えそうな道があり、隣の倉庫へと続いている。クローズDの視線が動かない事からその先に何かが有るのは明白。

 

足腰に力を籠め跳躍、渡り廊下の上に着地。そのままクローズDの案内の元、奥へと進む。後にして思えばこの時、前に進まずに引き返していればめんどくさい事に首を突っ込まずに済んだと思う。まぁ、後の祭りだ。




似たような展開続き、淡白な状態が続いていますが後2.3話で終わると思いますので、もうしばらくお付き合いください。m(__)m



オリジナルフォーム:チェーンソーレックス(募集案より一部抜粋)

変身音「切断の恐竜王 チェーンソーレックス」
「ティラノフルボトル(紫)」「チェーンソーフルボトル(ダークグレー)」を使用して変身。「ティラノ」の超パワーで2トントラックも持ち上げることができ、威圧で相手を怯ませ、「チェーンソー」は物によって時間はかかるが切断できる。

オリジナルベストマッチウェポン:アビリティアックス
オーズに出てくるプトティラコンボが使っている斧のような形、最大四本のボトルをスキャンし、そのボトルの効果を同時にぶつけることができる。

演出上の関係で「シングル! ボルテックファング!!」「ダブル! ボルテックファング!!」「トリプル! ボルテックファング!!」「ギガボルテックファング!!」の音声を勝手に設定しました。

『シャチ虎8810』さん、ありがとうございました。また音声に付きまして意見がありましたら遠慮なくお申し付けください。


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私、悪魔の科学者。悩む必要なかった。

「銀色の髪の少女を誘拐した覆面集団。彼らの手にはガイアメモリ。回収する為、干渉。コックローチ、デビルと2体のドーパントを撃破。クローズドラゴンの案内で廃倉庫の奥に進む。残るメモリは1本… では、第16話どうぞ」





「_____ニャルいないと箇条書きになる………」


ガイアメモリには使用者との相性があり、その数値が高いほどメモリの力を引き出す事が可能。中には相性が良すぎて新たな力を開花させたり、生身でメモリ能力が使用できる【ハイドープ】に至る人もいる。先程のデビルDがそれになるのかは不明だが、メモリとの相性は良かったのだろう(少なくとも先に戦ったコックローチDに比べれば)。

 

もはや前世の記憶なのか、並行宇宙のニャルからの情報なのか忘れたがガイアメモリについて考えをめぐらす。その間にも渡り廊下を進み、向かいの廃倉庫へと。曇ったガラスの向こうでは天候が悪くなり、一面を鉛色の雲が覆いつくす。それは未来(さき)を示すかのように………

 

「止まれ!」

 

クローズDの案内の元、渡り廊下の奥へ進むとそこに居たのは最後の覆面誘拐犯。その背後には被害者の少女が縛られ、横たわっている。

 

「せっかく大金が手に入るチャンスなんだ…… 邪魔されてたまるか!!」

 

もはや取り付く島も無く、覆面を脱ぎ捨てメモリのボタンを押す。【ガイアウィスパー】がそのメモリに込められた記憶の名称を叫ぶ中、覆面Dの下顎に生体コネクタが出現。

 

〈ENERGY!〉

 

プラグの間に奔る電流でEのイニシャルを持つ【エナジーメモリ】を突き刺して、その姿を怪物へと変える。その姿の名は【エナジー・ドーパント】。物語上のラスボス後の後日談に登場したドーパントであり、視聴者含めその存在を忘れられると言った影の薄い存在。

 

その割に本編初の快挙に耐久力が有るのだが、敵(主人公s)が悪かった。能力は良いんだが不遇な奴だ。

 

「死ねぇ!死ねぇ!死ねぇ~~~!!」

 

幼稚な罵声と共に次々と電撃を放ってくるエナジーD。まともに狙いを定めてない電撃なんて脅威ではなく、自身に迫りくる物をアビリティアックスで弾く。うん、理性を失ったデビルDの方が脅威。

 

闇雲に放たれる電撃をかいくぐり接近、すれ違いざまにアビリティアックスによる斬撃を炊き込む。装甲(皮膚?)が回転刃によって削られ周囲に火花が散る。背に掛かるが気にせず振り返り、縦に一閃。大きく後方に吹き飛とんだエナジーD、ろくに受け身を取れずに床を転がる。

 

「ぅが!っう!」

 

エナジーDの脇下を掴み引っ張る事で無理やり立たせて何度も鳩尾に刃をぶつける。その度に奴の装甲から火花が散り、口からはつぶれたカエルの様な声を出す。力なく膝から崩れ落ちようとしたところを再び立ち上がらせ、喉元を力の限り切り裂く。

 

先程までの煩さは鳴りを潜め、過呼吸手前状態のエナジーD。その背の向こうにはクローズDによって拘束から解き放たれた少女の姿があり、恐怖の表情でこちらを眺めていた。その膝は立つことのままないやせ細った子供の様であり、暗闇の中でもしっかりと視界を確保可能なビルドの複眼は顔を青く染めているのがしっかりと捉える。

 

〈Ready go! 〉

 

……まぁ、だからどうした。

最初から私はヒーローじゃない、悪魔の科学者だ。この肉体を、この頭脳を求めるアメリカやらバルベルデやらの兵士を殺した事だってある。だから、彼女の反応は人として当たり前。むしろ、そんな目を向けられても何も感じない私はやはり、狂っているのだろう。だからそう。

 

「たす……けて、くれ」

 

助けを乞う目の前の肉塊(エナジー・ドーパント)に____

 

〈ボルテックフィニッシュ! イェーイ!〉

 

起き上がる気力もない人間(ソレ)に____

 

「ぎゃああああああああああああ!!!」

 

無慈悲に拳を振りを振り下ろした。

覆面Dのコネクタから排出されたメモリの残骸を回収し、少女に向けて足を進める。当の少女は恐怖のあまり気絶していたが、気にもせずに抱きかかえて近くの窓から外に。なんの問題も無く着地、少女の身体に傷がないのを横目に見ながら少し雑草が生えた土に寝転がす。

 

『あ、雨が降ってきましたね………』

 

ニャルの声を聴き空を見上げると複眼に水滴が付く。付着した水滴を拭う事もせずにベルトからフルボトルを抜き、変身を解除。同時に身体に掛かっていた魔法が解けて目の前で気絶している少女よりも幼い少女の姿に戻る。

 

結局、求めていた物(ガイアメモリ)は覆面Aの持っていた【スイーツメモリ】以外が4/3が欠片。苦労の割に身にあってない。そんなことを頭の隅に浮かべて、すぐに消す。

 

一番の問題は【フィーネ】、こいつの存在がいる限りめんどくさい事が起きる。飛行機事故、F.I.S.、今回の誘拐事件、私が把握している中でもこの3つ。奴が何しようが勝手だが、巻き込まれるようなら潰す。自分の身を守る為なら、桐生戦兎(ヒーロー)の力だって使う。

 

最近の悩みにひと段落が付きこの場を離れようとしたその時、背後から近づく足音に気が付く。異次元収納から咄嗟に取り出したのは、デザートイーグルと呼ばれる拳銃。安全ロックを外し、振り返りざまに構える。

 

「そんな危ない物を初対面の人に向けちゃだめよ」

 

「誰?」

 

銃口を向けられた金髪金瞳の女性はまるで小さな子供を諭すかの声色で語り掛ける。だがその身に纏うのは普通の人ではないと悟るには十分なオーラとでも呼べるもの。少なくともその瞳には好意的なものは含まれておらず、ネズミを観察する科学者の様に冷酷。

 

「名乗るなら自分からしないと。燃えるような恋は出来ないわよ、小悪魔ちゃん♪」

 

その名は神にかなわぬ恋をした哀れな巫女の名。

 

「私はフィーネ」

 

その名は幾度も転生を繰りかえす狂愛の持ち主。

 

「ちょっとお話ししましょうか?」

 

こっちの拒否権なんて最初から聞く耳を持ってない彼女は大人な笑みを浮かべ言う。先の戦闘の疲労も少なからずあり、なにより互いに敵か味方かはっきりさせたい気持ちがありその話に乗る。銃にロックを付けながらしまい、構えを解く。されどいつでも反撃できるように警戒は解かない。

 

その後、様々な会話を繰り広げたが、彼女の目的の為に技術提供をする事となった。その後、互いに不干渉を貫く事を書類無き契約で交わす。それがガーディアン制作の始まり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

机の上に置いたドリンクを飲み一息つく。モニターに映るのはガーディアンの設計図とスペック。対人戦で考えたならば、人の骨を折る事は造作もないスペックになっているがギリギリまでスペックダウンさせてる。これを受け取るフィーネは知る由もないだろう。代わりに私が使う対ノイズプログラムに、開発者である私にリアルタイムで情報が来る隠しプログラムを入れる。

 

フィーネによる一方的にな会話の中でなんとか入手した【ノイズの使役】。どうやっているのかは知らないが、フィーネは可能らしく嫌がらせの意味を込めての対ノイズシステムだ。あ、最高マスター権限(絶対権限)の保持者を私にっと。

 

『息をするようにフィーネに嫌がらせをしていく!』

 

それに答える事無く、着々と作業を進める。 ……………………合体機能もオミットしよ。




お待たせしまた<(_ _)> (なんか投稿するたびに謝ってるきがする)
次回か次々回には例のライブが始まると思います。そして今回は主人公が(ダメな方向に)吹っ切れました。なんか気づいたら初期構想の方によっただが、当初では普通に少女を救出して終わりのはずが……

なんかちぐはぐした思考の持ち主(SAN値0系主人公)なんですけど、瞬瞬必生と言う事でよろしくお願いします。


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私、悪魔の科学者。奴との交渉。

「ドーパントとなった誘拐犯を次々と撃破し、流れで少女を救出」
「う~ん…… この少女、どこかで見た気がするんですよね……」
「今回の事件の裏にもフィーネのが関わっている事に頭を悩ませる中「そもそも、ガイアメモリはなぜこの世界に__」……」
「夢真以外の転生者はいませんし」
「……ニャルが違和感の正体を探るに必死な中、激戦の直後に出会ったフィーネとの交渉が始まろうとしていた」
「う~~ん。あ、第17話どうぞ!」
「はぁ…………」


がやがや、ざわざわと話声が聞こえる大きくも小さくも無い喫茶店の最奥の席。果たしてこんな場所に来たのは何時ぶりか、少なくとも転生した後に来た記憶は無い。

 

『こっちの世界だとバーベキューとかでしたっけ? 懐かしいですね~』

 

感傷に浸るニャル。

確かにあの頃は巫女修行とかあったから頻繁に外食できなかったし、私も研究で籠り気味だったから……… もう少し、家族と一緒にいた方が良かった。

 

『感傷に浸っているのいったいどっちなんでしょうか?』

 

その呟きを聴きながらコーヒーを飲み、適当に過ごす。なんでこんな場違いな所にいるのか?

答え、フィーネにガーディアンの設計図を渡しに来たから。気は進まないし、本音を零すなら渡したくないけど、それでフィーネと衝突が避けなれるならマシだ。

 

いろんなところで敵を作ってるけど、避けれる敵対関係は避けたい。だからしぶしぶ渡す。

 

「あら、待たせちゃったかしら?」

 

「…………別に」

 

ニャルと軽い雑談を交わしてる間にフィーネ……… いや、聖遺物のを現代技術で使えるようにする為の理論を提唱しシンフォギアの開発の一人者である考古学者【櫻井了子(さくらいりょうこ)】が目の前の席に座る。

 

私が葛城夢真と言う偽名で世間を渡り歩いているように、フィーネも櫻井了子と言う名を名乗り日本政府の組織に入り込んでいる暗躍者。そんな彼女に多くを語らず、ガーディアン(超劣化版)の設計図と詳細データを入れたUSBを渡す。超劣化版と言っても現代兵器に対し正面から戦える性能はしている。

 

それを受けとった奴は懐にしまい、逆に最新鋭のデータ保存端末(USBメモリを小さくし容量が大きくなっている物)を手渡してくる。少々値段は張るものだが、けっしてレアではない代物。それを渡してくるフィーネの意図がつかめずに表情に出る程ではないが困惑する。

 

「その中にはあなたが欲しそうな情報が入っているわ。なに、出来る女は等価となるものを用意するものよ」

 

彼女いわくこの中には、現リンカー被験者けん【ガングニール】の実験体【天羽奏(あもうかなで)】の経緯か観察のデータ、もう片方【天羽々斬(あめのはばきり)】のシンフォギア装者【風鳴翼(かざなりつばさ)】に関するデータ。彼らの組織に関するデータにノイズの情報、現代の人間が知る由もない情報などが入ってるとのこと。

 

「………こっちの提供品と釣り合わない」

 

一度深呼吸を置き、言葉を選んで発言する。彼女の言う通りに考えるならこの情報量は劣化版ガーディアンに対してお釣りが出る程だ。フィーネに劣化版である事を伝えてないけど、それを抜きにしてもらいすぎ。返すかと問われると悩むけど… 特にノイズ関連や聖遺物・シンフォギアのデータは手放したくない。

 

「これだけの情報を与えれば、互いの計画に不干渉にあなたは否定しないわよね」

 

瞳を金色に変化させた彼女が圧を掛けてくる。その気迫に押されて周囲の客の口数が減った。

 

『流石、一期ラスボスなだけは有りますね』

 

けれど普段から宇宙規模の邪神と会話をしてるからか、圧の割に怖くは無い。むしろこちらを脅威と判断して、計画に支障が出ない様に味方でも敵でもない地位で収めようと必死なのが見えてくる。まぁ、面倒な事に巻き込まれなければどうでも良いので、あえて指摘しない事にする。特に大それた計画も企んでないし、徳は有れど損なし。

 

高性能USBを懐にしまう事で彼女の意見に賛同したと行動で示す。

 

「…………火の粉が降りかかったら、払うから」

 

ただ、経過の一環ですからと言う理由で好き勝手に利用されるのは嫌だから釘をさす。まぁ、変に私を巻き込まなければフィーネに損は無いから彼女も「分かったわ」と簡潔に答え、瞳の色を戻す。

 

「参考程度にあなたの計画を聞いてもいいかしら? あ、別に邪魔しようとかは考えてないわ。あなたの計画の邪魔をしないために聞いてるの」

 

「………………………」

 

不干渉と言いながら早速腹を探ろうとする彼女をハイライトの無いと言われる瞳で睨む。肩をかすめいつの間にか注文していたコーヒーを口にし、これ以上の言及をしてこないのを確認したところで席を立ち、店を去ろうとする。

 

「待ちなさい。装者の歌、じっくり聞いてみたくはないかしら?」

 

周りに聞こえない程度に抑えた呟きが耳に届く。再び視線をフィーネに向けると彼女の手には1枚のチケットが握られていた。

 

『おぉ…… ツヴァイウィングのライブチケットじゃないですか』

 

押し付ける様に強引に渡されたチケットを見たニャルが言葉を零す。

 

「1か月後に行われるライブなんだけどね、良かったら見に来てらっしゃい。その地下で二課の【完全聖遺物】の実験も有るから」

 

最後の一文は今まで一番小さな声で呟かれた。そのまま向けられるフィーネの視線を背に店を出るの私。結局ライブ自体はニャルの押しが強くて行くことになった。その時に外からの干渉が有ってニャルがちょっと不貞腐れたんだけど、それは別の話。




全然、頭の中でまとまらなかったので無理やり進めました。その為、おかしな点が見受けられるかもです。

取り合えず次回からは、始まりのライブへ突入です。それではノシ


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談、市民の声。掲示板:ガーディアン

お試しの掲示板会

今後もこの様な回をするとは決まっていません。また不評ならこの回は削除します。


【革命】新兵器ガーディアンについて語るスレ

 

 

1:名無しの市民

このスレは先日、政府国防省から発表のあった対ノイズ用警備兵器ガーディアンに語るスレです

なおイッチが科学に疎い人間の為、専門的な事は別スレに書き込みに行ってください

 

2:名無しの市民

イッチ……… 気持ちは分かる

 

3:名無しの市民

こう言うスレ待ってた。他スレは専門用語やらなんやらが多くて中学のワイには分からんから

 

4:名無しの市民

正直、有難い。

 

5:名無しの市民

対ノイズ用警備兵器「ガーディアン」

2週間前に発表された人型ロボであり、AI制御で動く。複数機による集団戦を前提としており、新技術の「対ノイズプログラム」を搭載している事で人類の天敵「ノイズ」への有益な対抗手段と期待が寄せられている。その戦闘能力は鍛え上げられた軍人ぐらいあり、今まで危険がつきものだった警備や護衛職の助けになるそう。結果次第では民間設備に貸し出される可能性大。

 

メインウェポンは「セーフガードライフル」

剣と銃の両方をかねた遠近両用の武器。ガーディアン本体から「対ノイズプログラム」を流し込まれる事でノイズへの攻撃を可能とシミュレーションではなっている。これ単体でも学会を騒がせている。

 

また専用バイク「キャピタルローダー」

政府(特異災害対策機動部)や自衛隊のガーディアンに支給される自動二輪車であり、正式なスペックは非公開。このバイクで現場まで向かう模様。シンプルデザインな為、公道を走れないとしても欲しい人は多いようだ。

 

6:名無しの市民

>>5 まとめ乙

 

7:名無しの市民

やっぱ人型ロボットってところが良いよな。あの武骨なデザインも最高!

 

8:名無しの市民

え~、どうせ人型ロボットを作るなら美少女の外見にしようぜ

 

9:名無しの市民

そもそもロボットじゃなくてスーパーアーマーの方が良いだろ

 

10:名無しの市民

それやとノイズに触れられた瞬間鉄くずや

 

11:名無しの市民

>>10なんで?

 

12:名無しの市民

ノイズに攻撃が通用するだけであって、ノイズに触れても大丈夫な訳じゃない

 

13:名無しの市民

対ノイズプログラムなのに?

 

14:名無しの市民

「対ノイズプログラム」

政府に勤めているノイズ研究の考古学者が海外で活動している物理学者が日本に来た際、酒の勢いで愚痴と共にノイズ研究の成果(極秘資料も含む)を見せて『休日を増やす為にも対抗手段作って』と言ったところ半日で作り上げたプログラム。詳しい原理はイッチの要望通り省くが要はポケモンの「ねらいのまと」

 

納品自体は翌日に出来た物の科学者の性分なのか、それを運用する為の兵器(ガーディアン)を製作した為に5日後になったという。

 

15:名無しの市民

ねらいのまとですっと理解できた

 

16:名無しの市民

政府や専門的な頭硬い人はそういう例えしてくれないから……

 

17:名無しの市民

ノイズはゴーストタイプだった!?

 

18:名無しの市民

考古学者「対抗手段が有れば休日増えるのに」

物理学者「そーだね」

ここまで分かる

 

考古学者「せや、研究資料見せるから作って」

物理学者「……出来た」

ギリ理解でき………ない

 

物理学者「折角だから利用できる器を作ろう」

~五日後完成、納品~

訳が分からないよ(QB風)

 

19:名無しの市民

提案した奴もだけど、一人でここまで揃える物理化学者もヤベェーー

 

20:名無しの市民

なお考古学者は1週間の謹慎が言い渡された模様

 

21:名無しの市民

それは果たして罰なのか

 

22:名無しの市民

やったねたえちゃん、1週間合法で休めるよ

 

23:名無しの市民

おい!

 

24:名無しの市民

バカやめろ

 

25:名無しの市民

>>22

マジ辞めろ

 

26:名無しの市民

www

 

27:名無しの市民

と言うか、勝手に研究資料を外部に漏らしたら学会を追い出されないの?

 

28:名無しの市民

漏らした人物が櫻井教授で追い出すに追い出せないんだろ

 

29:名無しの市民

櫻井教授って誰?

 

30:名無しの市民

>>29

日本のノイズ研究の最前人。ノイズが有史以来からいるのが分かったのもこの人の研究成果

 

31:名無しの市民

へぇ~

 

32:名無しの市民

この人がノイズの研究から抜けたらこれ以上研究が進まないとまで言われている

 

33:名無しの市民

こんな人が実際に居たんだ

 

34:名無しの市民

政府的にいないと困るから追い出せないのか……

 

35:名無しの市民

まぁ、そのおかげでノイズへの対抗策が増えたからヨシ!

 

36:名無しの市民

全然良く無くね? ハッキングされたらその銃口俺らに向くよな

 

37:名無しの市民

 

38:名無しの市民

あ!

 

39:名無しの市民

あ…

 

40:名無しの市民

 

 

41:名無しの市民

 

 

42:名無しの市民

そこら辺は物理学者も想定してあるらしく、強制機能停止プログラムが備わっているからボタン一つで解決よ

 

43:名無しの市民

想定内なんだ。

 

44:名無しの市民

ガーディアンって今のところ日本だけやけど、いずれは世界に展開するんかな

 

45:名無しの市民

そりゃするだろ。こんなん金のなる木だぜ

 

46:名無しの市民

でもこれって特許が既に認定されてるだろ?

 

47:名無しの市民

>>46 せや、日本国内で量産・配備する分には良いけど海外展開だと話は別よ

 

48:名無しの市民

誰が特許もってるの?やっぱ日本政府?

 

49:名無しの市民

櫻井博士が知人科学者の代理で特許申請してるから権利は知人科学者やな。その科学者も櫻井博士が使う分には特に賃金の要求はしないと言ってるみたい。ただし正式な文章ではなく口約によるもの。

その為、櫻井教授を通さずに国内で量産しようとした時はややこしくなるとか……

 

海外に輸出するならそこら辺の契約を公文にする必要はある。

 

50:名無しの市民

友人の為だけにこんなオーバーテクノロジーの塊を作ったのかよ!?

 

51:名無しの市民

分からんやろ、物理学者も面白そうやし作ってみるか!のノリかも

 

52:名無しの市民

そんなバカな話が……そもそも、事の発端は酒の席か

 

53:名無しの市民

酒の単語だけで急に51の説が濃厚になるの草

 

54:名無しの市民

所詮は俺ら凡人には分からん天才の領域なんでしょ

 

55:名無しの市民

でも実際に物理学者とはいい話が出来そう。こんな男心くすぐるデザインの人型ロボを実際に作ったし

 

56:名無しの市民

どうせなら、巨大人型ロボ(コックピットが有って乗れるやつ)も作ってほしい

 

57:名無しの市民

それもう何と戦うのよ

 

58:名無しの市民

合体ロボット好きのワイ、変形合体しない事に悲しみを覚える

 

59:名無しの市民

流石にそこまでは無理でしょ

 

60:名無しの市民

言うて188.0cmのロボやぞ

 

61:名無しの市民

ロボット兵器だったら自爆攻撃せんかな

 

62:名無しの市民

>>61 え、なに急にこわ・・・

 

63:名無しの市民

>>61 さすがにそれはゲームやアニメの中だけやろ

 

64:名無しの市民

せやせや、ロマンは分かるが実際にやられたら被害が大きくなるだけやぞ

 

65:名無しの市民

自爆が出来るなら、尚更配備して欲しくない……

 

66:名無しの市民

お、反対派じゃん

 

67:>>1

反対派の意見も聞きたいのでどんどん書いて

 

68:名無しの市民

イッチも来た

 

69:名無しの市民

でも実査、反対派も多いよね。とくに武器の銃剣のセフティーガン?

 

70:名無しの市民

セーフガードライフルな

 

71:>>69

>>70それそれ

 

72:名無しの市民

アレも実際、男のロマンだよな!

 

73:名無しの市民

言うて日本軍隊では普通にあるぞ

 

74:名無しの市民

あ、そなの(知らなかった)

 

75:名無しの市民

剣先を付けたままの発砲は推奨できないけどね

 

76:名無しの市民

SGRの銃口は飾りだった…

 

77:名無しの市民

テレビや動画を見ればわかるが、銃剣としてセーフガードライフル破格よ。剣先ついたまま何事も無く的に命中してるんだから。既存の銃剣ならあの精度は無理だね。

 

78:名無しの市民

マジ?

 

79:名無しの市民

マジだよ

 

80:名無しの市民

アンドロイド用に開発したからって銃剣であんなに真っ直ぐ銃弾が飛ぶのは可笑しい。だからSGRだけでも学会を騒がせているの

 

81:名無しの市民

へ~、画像しか見てないから知らんかった

 

82:名無しの市民

テレビで見たけど正直、ゲームのイメージが先行してしょぼいとしか思っていませんでした

 

83:名無しの市民

その辺の詳しい話は別に行きな。と言うかSGRの略でいいの

 

84:名無しの市民

どうだろ?少なくともこのスレ内ではよくね?いちいちセーフガードライフルって打つのメンドイし

 

85:名無しの市民

せやな

 

86:名無しの市民

賛成

 

87:名無しの市民

りょ!

 

88:名無しの市民

速報!ガーディアンが3日後のツバイウイングのライブ会場に配備される事になった

 

89:名無しの市民

ふぁ!?Σ(・□・;)

 

90:名無しの市民

 

91:名無しの市民

( ゚д゚)

 

92:名無しの市民

>>88ツヴァイウイングな!!

 

93:名無しの市民

急やな

 

94:名無しの市民

アイドルと軍事兵器とかどんな組み合わせやねん

 

95:名無しの市民

なんかゴジラ×ハム太郎の入場特典を思い出した

 

96:名無しの市民

いつの話や…

 

97:名無しの市民

ワイのひいじいちゃんぐらいちゃうん

 

98:名無しの市民

それ以上の脱線はNG

 

99:名無しの市民

まじめニキ出現

 

100:名無しの市民

う~ん… 政府的には安全だよと時の人であるツヴァイウイングを使って宣伝したいんだろか?

 

 



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私、悪魔の科学者。炎の邪神とライブデート?

「誰もが当たり前の日常を過ごしている喫茶店にて二人の科学者が取引を行う。一人はこの物語の主人公でありTS転生者の葛城夢真!」
「私、主役だったんだ……」
「片方は神モドキが地球に居た頃から何度もこの世界で転生を繰り返す巫女、現代では考古学者の聖遺物・ノイズの研究第一人者【櫻井了子】と名乗る無印こと1期のラスボス、フィーネ!!」
「………何度も転生してるんだ」
「原点に比べ、劣化・弱体化したガーディアンの設計図と対ノイズプログラムのデータ。フィーネが持つノイズ・聖遺物の情報、更には日本の装者に関連組織の情報を交換。互いに不都合ない契約を交わす」
「向こう、隙をついて利用する気の目だったけど」
「そしてフィーネから渡されたチケット。それは原作始まりの鐘の音が響く前ぐれだった。それでは第18話どうぞ!!」


ディスプレイに繋がる特殊なコード。そのコードの先には二本のボトルが刺さった銀色のスロット。さらにそこから様々な機材に繋がっており、第3者が見れば何が何だか分からないと思う。それを気にせず私はひたすらにプログラムを打ち込み作業を進めていく。

 

プログラム回りが一通りしたところでまだ何色にも染まってない無色のUSBメモリ___長方形のガイアメモリをボトルスロットと繋がった別のメモリ用スロットに差し込み、ボトルスロットには地球と本棚のエレメントを内包する【アースフルボトル】と【ブックシェルフフルボトル】を差し込み再びディスプレイと向き合う。

 

追加でプログラムを打ちエンター。ボトルに内包したエレメントから一部の地球のデータがメモリに流れ込み、無色を赤色に染め上げる。完成したのはbのイニシャルを持つ【ボムメモリ】、仮面ライダーダブルの映画で【シュラウド】と呼ばれる人物が使用したメモリ。

 

正直なんで作ったと言われたら科学者としての血が騒いだとしか言いようがない。まぁ、また気が向いたときにボムメモリを使う為の何かを開発してみるのも良いだろう。そんな考えを浮かばせながらメモリと機材を虚無へとしまい込み、腕時計に目を向ける。

 

うん、少し余裕がある。

この後に予定が有るのだが、ゆっくり片付けて問題ない時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機材を片付けやって来たのは日本装者のライブ会場。アイドルとして右肩上がりのコンビなだけあって、入り口付近で既に熱気が凄い。正直、【超英雄祭】は借りたディスクで見ただけだから、こう言うライブ会場は生は初めて。

 

『アレ? ディスクを見る事は出来たんですか??』

 

少なくとも【特撮】を見るぐらいの自由はあったよ。じゃないとビルド関連の事も知らないし……… ニャル、あまり前世の僕を思い出したくないから深堀しないで。

 

『分かってますって』

 

さて、会場についた後は待ち人に見つけてもらうだけ。

 

『あんな奴、ほっといてさっさと入っちゃいましょうよ』

 

そういう訳にもいかない。

待ち人…… いや、待ち神はニャルと対立関係の火の神。その名をクトゥグア、何かと物をくれる邪神だ。たぶんその理由はニャルが中に居るから。ようは私を自分のモノしてニャルざまぁwwwしたいんでしょ。

 

『その顔が浮かんで来たじゃないですか! 貴方は私のなんで、アイツの懐に入るの禁止ですよ!!』

 

はいはい。

神々、人を物扱いは当たり前。内も外も厄介ごとだらけだ。

 

「お~い!夢真ちゃ~ん!!」

 

ニャルの愚痴を聞いていたら話題の当神がやって来た。赤い髪をツインテールに結んだ某アニメ姿の邪神が、見た目相応に手を振りながらこちらへやってきて抱き着いてこようと飛び掛かる。しかし問屋が卸さない。体が独りでに動き避ける。結果、クトゥグアは顔面から倒れこむ。

 

『ふん! 夢真には触手一本たりとも触れさせんよ』

 

『ぐぬぬぬ…』

 

テレパシー的な物で牽制し合うふたり(?)。はたから見たらクトゥグアは私を睨みつけているんだけど…… 気づいている様子は無し。これ以上ふたりの言い合いに巻き込まれるのもごめんだし、会場に向けて歩き出す。

 

「あ、待って!」

 

後を追いかけてくるクトゥグアの足音を背にトレンチコートからチケットを取り出して会場内部へ。そのままフィーネが用意した席に座る。公演ギリギリに入った為、座ってから時間もたたずにライブが始まった。

 

その歌声は以前相まみえた時とは違い、心の底から楽しんでいるように感じる。実際、彼女達の表情は笑顔だ。まるで前戦った時と別人のように感じる。……………ガングニールの装者、天羽奏の付きものが取れたようだ。

 

私と違い、人に囲まれ真っ当に活躍する彼女の姿。その様をサイリウムを手に応援する観客の中で呆然と見つめる。

………………どっちも前あった時よりいい顔。

 

『………これは、並行世界の境界線が乱れてますね』

 

脳内に響く呟き。ニャルの言葉に長年の経験、いわゆる勘からメンドウなのに巻き込まれるのを予感。すぐ動けるようポケットの中にボトルを出現させ、いつでもベルトを取り出せるように意識を置いておく。同時に周囲からの認識妨害の魔法を発動。

 

警戒体勢を取った私。その姿を横に座る邪神は幕開けを待ちわびてる子供の様な瞳を向けてくる。そんな私達を他所に一曲目が終わった。それと同タイミングで世界は歪む。歪みの地点、すなわちライブの観客席が爆ぜる。爆発自体はノイズの影響ではないが………

 

煙が晴れる中、そこに佇むは無数のノイズ。その姿を目にした観客は恐怖に支配され我先と逃げだす。人だった灰が宙を舞う中、ビルドドライバーを腰に巻きフルボトルを振る。シールディングキャップを正面回しベルトに装填。

 

フラワー!アイス!

 

ベルトがフルボトル内に込められたエレメントを識別。周囲の悲鳴に隠れて変身待機音が鳴り響く中、レバーを回す。スナップライドビルダーを展開するスペースが無いとベルトが判断し、【ファクトリアパイプライン】が左右に伸び簡易な方法でスーツとアーマが生成。

 

〈Are you ready?〉

 

「…変身」

 

右腕を正面に伸ばしショートボクシングの様な構えを取りながらベルトの問いに答える。その後すぐ胸の前で腕をクロスし一気に振り下ろす。生成されたハーフボディが左右から挟み込むように装着。

 

楽園の氷河期! アイスフラワー‼︎ イェイ!!!〉

 

ベストマッチフォーム【アイスフラワーフォーム】へと変身と共にすぐさまドリルクラッシャーを手にノイズに向けて跳ぶ。【アイスハーフボディ】の冷却機能で周囲のノイズを凍らせ、着地と共に回転切りの要領で一気に砕く。

 

ノイズの相手の片手間、【フラワーハーフボディ】の機能で上の階に花を咲かせ根っこを張り巡らせることで強度増大を試みる。眼前に広がるノイズの軍勢に向けて走り出す。

 

『最悪のライブは始まったばかりなんですね~』

 

『無象無像の悲鳴で夢真の声が聞こえない………』

 

お茶の間でのほほんとして居るかのような会話を聞きながら。




オリジナルフォーム:アイスフラワー(募集案より一部抜粋)

変身音「楽園の氷河期! アイスフラワー‼︎」
「フラワーフルボトル(オレンジ色)」「アイスフルボトル(水色)」を使用して変身。「アイスハーフボディ」は冷却機能・氷の作成・体を氷にする・氷像を精巧に作ることが出来、「フラワーハーフボディ」はどこにでも花を咲かす・生花が綺麗に作る事が可能。


オリジナルフォーム:アースブックシェルフ

変身音「地球のデータベース! アースブックシェルフ‼︎」
「アースフルボトル」「ブックシェルフフルボトル」を使用し変身。
ボトルカラー・能力共に詳細不明。地球と本棚の組み合わせから「仮面ライダーダブル」の天才「フィリップ」がアクセス可能な惑星(ほし)の記憶領域空間「地球(ほし)の本棚」と同等の事が可能と思われる。作中では夢真(調)がガイアメモリ制作に使用。

どちらも『雪だるまつくりたい』さんの案となっております。ありがとうございました。


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私、悪魔の科学者。守るの苦手…

「夢真ちゃんが生きる星に降臨した私、クトゥグアは夢真ちゃんとライブデートを楽し「ちょっと待った~~っ!!」なによニャルラトホテプ……」
「なに勝手に前回のあらすじを始めているんですか!!」
「別に良いじゃない、おまえ今回で降板させるし」
「言いましたね? 星の藻屑にしてやるよ」
「「…………フフフ!」」
「はぁ~ ………ツヴァイウィングのライブに出現したノイズ。人々に襲い掛かる彼らを迎撃する為、ビルドへ変身。なんで戦っているのか自分でも分かんないけど、第19話どうぞ」


クトゥグアーーーーァァァアアアッ!!!!!!!!
ニャルラトホテプーーーーゥゥゥウウウッ!!!!!!!!
「……………ノイズより先に邪神倒すか」


日本で住むと聞かない聞き飽きた発砲音が響く。警備員の服を着たガーディアンが放つものだ。

護衛対象(客やスタッフ)を守る為、避難誘導と迎撃の二手に分けれ行動するガーディアン。戦っていると言ってものその効果は微々たるもの。ガーディアンはノイズを攻撃できる機械でしかない。その為、人しか感知できないノイズの進行を遅らせるのみの効果にとどまっている。

 

仮に原点のガーディアンことオリジナルと同スペックを持っていたとしても変わらないだろう。むしろ銃声音を聴き、余計にパニックになる奴もいる。その手の輩は気絶させ運ばれているようだ(クトゥグア情報)。

 

「…………」

 

背後を通り過ぎようとしたノイズに向け裏廻し蹴り、たまたま近くに出現したノイズを左手のドリルクラッシャーで突き刺し引っこ抜く力を利用、右手で持つ冷気を纏ったバルプの付いた短剣【スチームブレード】を用意して回転切りで周囲のノイズを切り裂く。

 

「……っく!」

 

いつの間にやらシンフォギアを纏い戦う装者の二人。片割れの風鳴翼が回避した溶解液が私の方へ。迫りくるそれをアイスハーフボディの冷気で凍らせ氷の塊へ。重さで地面に落ち砕けるのを他所に生物側のボトルを変えレバーを回す。

 

海賊! Are you ready?〉 「ビルドアップ……」

 

【トライアルフォーム】と呼ばれるベストマッチの組み合わせではないボトル2本の力を組み合わせる形態だが、状況によれば【ベストマッチフォーム】よりも有利に戦える。そのうちの一つ【海賊アイスフォーム】へ。

 

ぱっと見はメタリックブルーを基調とした(いかり)だが船やトンネルに電車と言った装飾のなされたベストマッチウェポン、【カイゾクハッシャー】を構え電車型攻撃ユニット【ビルドアロー号】弓の弦のように引く。【トレインホームチャージャー】から供給されるエネルギーを少し貯めてから手を放す。

 

〈各駅電車~ 発射!〉

 

エネルギーを溜めたビルドアロー号がトレインホームチャージャーの上を走り、海賊船型攻撃ユニット【ビルドオーシャン号】のトンネルに似た発射口からエネルギー態となったビルドアロー号が打ち出される。空を飛ぶノイズが灰となる中、カイゾクハッシャーを右手に持ち直しノイズに接近。

 

カイゾクハッシャーは弓型武器でありながら刃【カトラスアンカーエッジ】を持つため近接戦も可能。その為ためらいも無く振り下ろす。その際、【ボルテックトリガー】を引く事で内部エネルギーが一瞬展開。斬撃威力を2倍まで高める。次々と切り裂きノイズが灰の山へ。

 

避難できてない客の中には足を止め、こちら見つめている人の姿。気にせずノイズを撃破し数を減らす…………それ以上に湧いてくるけど………

 

『そろそろ次元の穴は閉じますから『それより!私のボトルを使ってくださいよ、夢真ちゃん』ちょっとまだ私が喋ってるでしょうが!!』

 

いつの間にか火の玉となり上空に滞在しているクトゥグア、ニャルの言葉を遮り語り掛ける。

人の頭の中でケンカするな………

 

ため息を小さく吐き懐から2本のボトルを取り出し、上下に振る事で内部のトランジェルソリッドに刺激を与える。キャップを正面に回し、ベルトに装填。

 

フェアリー!コルヴァズ!

 

この組み合わせはニャルが嫌うベストマッチ。待機音が鳴り響く中、隣を通り過ぎようとしたノイズに蹴りを入れ、ボルテックレバーを回転。

 

〈Are you ready?〉「ビルドアップ……」

 

戦いの余波なのか、別の要因なのかは知らないが崩れ落ちる2階席を背に姿を変える。

 

厄災の妖精剣!コルヴァズフェアリー…

 

炎の精や炎の吸血鬼と恐れられるクトゥグアの配下と不燃物であっても身に触れる物全てを焼き尽く魔剣のから成る姿【コルヴァズフェアリーフォーム】。

 

『キタァーーーーーーーーーーーーアア!!』

 

『ッチ! さっさとノイズを全滅させてください』

 

テンションの落差が激しい二神の声を聴きながら掌の魔法陣から炎の精を召喚。一匹一匹は小さい炎ではあるが触れた可燃物を発火させる生きている炎、鬼火。そんな彼ら?を左手に装備したコルヴァズの剣で使役、空を覆いつくすほどいるノイズに向かわせる。

 

炎の精を見送ると数十メートルサイズのノイズに向けて跳躍。左手の炎を纏う刃を頭上から振り下ろし一刀両断。着地と共に周囲にいたノイズをフェンシングのような剣捌きで各個撃破。そのままレバーを回す。

 

〈Ready go!〉

 

周辺を漂う全ての炎の精が宙を舞うノイズを一か所に集め炎の檻となる。その檻から出ようと位相差障壁を発動させようと試みるノイズ。しかしなぜかノイズの位相差障壁は発動せずに檻に体をぶつけるだけ。

 

〈ボルテックフィニッシュ! イェ~イ!〉

 

炎の精で出来た檻に向け突き刺すように剣先を向ける、すると炎のレーザーが放たれた。レーザーが檻に命中、炎の精が爆ぜその焔がノイズを焼き尽くす。空から火の粉が雨の様に降り注ぐ中、巨大なノイズに視線を向けた所でビルドの強化された聴力が何かを拾う。

 

「おい、目を開けろ!」

 

それに意識を集中。天羽が焦っている声……

視線だけ声の聞こえてきた方に向ける。そこには胸部から血を流した少女を抱えるボロボロの天羽。

 

『あぁ! 忘れてました!! 今は何も聞かずに彼女達を守ってください』

 

その光景を見て声を荒げるニャル。その音色は終わったと思っていた夏休みの宿題を鞄に詰める際に出来てないのを見つけたかのような反応。そんなニャルの焦り具合いに気分を良くしたクトゥグアが腹?を抱えて笑う。

 

そんな邪神達の様子を意識的に消し、炎の精を天羽の方へ差し向ける。召喚されすぐさま彼らはノイズに向け特攻、チリに一つ残さずに燃やす。その様を横目に天羽の元へ駆け寄り近くのノイズをコルヴァズですれ違いざまに一閃。

 

「未確認!? …………なんで」

 

天羽の呟きに答えず、後ろの二人向けて進行するノイズをコルヴァズとドリルクラッシャーで撃破して行く。津波のように押し寄せてくるノイズをさばきながら、片手間でドリルクラッシャーにボトルをセット。

 

〈Ready go! ボルテックブレイク!〉

 

フルボトルスロットにセットされた【アガートラームフルボトル】のエレメントを取り込み刀身に宿す。【ドリスパイラルブレード】にボトルと同じ白銀の輝きが渦巻き、その威力を高める。両手の刃を振り、斬撃波を放ちノイズを減らしていく。

 

やがてある程度近場のノイズが減りひとまずの脅威が去った所で改めて背中の二人に視線を向ける。少女の方は息が浅く、今に死んでも可笑しくはない。天羽の方は満身創痍で肩で呼吸、これ以上の戦闘は無理だろう。

 

「…………………」

 

一方、風鳴の方は天羽の様子が気になって仕方が無いがノイズに押されてこちらに来られない様子。これ以上長引けば足元をすくわれてその命を落とす。それでも戦えているのは天羽とは違い、リンカー無しで天羽々斬に適合しているからだろう。

 

圧倒的に不利。まぁ個人的には見捨てても良いけど、ニャルから天羽を助けろと言われてるし……

はぁ~、最悪。あんまりフィーネに手の内を知られたくなかったけど仕方ないか。

 

「っな!?」

 

エンプティボトルを天羽に向け、ガングニールの成分を回収する事で彼女を戦えないようにする。ホントは良くないけど私の知る彼女が前回の戦闘で止まっているから、あの時の彼女だと死なば諸共でノイズに向かいそうだし。

 

そして次にベルトからボトルを抜き、ラビットタンクスパークリングを取り出す。別にコルヴァズフェアリーFでも後ろの彼女達を守る事は可能。けど風鳴を含めると無理。桐生戦兎(本物のヒーロー)なら可能かもだけど私、自分の為に力を使ってる。それ故に守る戦いの経験が無い。だから確実な手段を選択。

 

RTスパークリングを軽く上下に振る。すると内部の発泡増強剤【ベストマッチリキッド】が炭酸水の様な音と共に活性化。そのまま上部の起動タブ【シールディングタブ】を引き起こすし、ビルドドライバーとの接続パーツ【RT-SPコネクター】を展開。

 

ラビットタンクスパークリング!!

 

ビルドドライバーにRTスパークリングをセットしレバーを回す。この時展開されているスナップライドビルダー普段のものと違い、ビルドのライダーズクレストを模したものに。スナップライドビルダーによってベストマッチリキッドが加えられたスーツとアーマーを生成。

 

〈Are you ready?〉「ビルドアップ……」

 

シュワッと弾ける、ラビットタンクスパークリング!Yeah Yeah!

 

普段のラビットタンクFに白を加え、刺々しい見た目をした姿をした強化形態【ラビットタンクスパークリングフォーム】へと姿を変える。この姿ならノイズに反撃の隙を与えない。

 

小粒の泡【ラピッドバブル】を生成し全身を覆い、弾けさせる事で急激に運動性能を引き上げ、残像が発生する速度で移動。大粒の泡【インパクトバブル】を攻撃に乗せ生成、接触したノイズの内部機能を破壊し自壊させるうえ、破裂すると衝撃波を性質を有効に使い広範囲を殲滅。

 

巨大な敵には右腕の赤い刃【Rスパークリングブレード】で切り刻み、左手の青い刃【Tスパークリングブレード】で突き刺す。空から迫りくる個体は生成した泡を踏み台にし空中を自在に動き回り、右足の裏にある無限軌道装置を利用したけりで瞬く間に削りきる。

 

「すごい…」

 

誰かが唖然と呟く。

 

『右、左左!』

 

誰かが助言をくれる。

 

『目の前のでラストです』

 

ニャルの声が聞こえた。

 

「はぁーーっ!」

 

跳躍強化バネ【ホップスプリンガー】とラピッドバブルを使い高速ハイジャンプ。そのまま右足を伸ばし、初速と重力を利用した必殺技でも何でもない飛び蹴りで最後のノイズに風穴を開けた。

 

『夢真ちゃんかっこいい!! こっち向いて~』

 

上空から聞こえてくるクトゥグアの声をよそに、天羽たちの方へと視線を向ける。数体のガーディアンに運び出されている二人の様子を確認。ゆっくりと息を吐きながら取り出したスチームガンの煙に身を包み、姿をくらます。

 

『あ、待って!』

 

『お前は付いてくるな!』

 

付いてくるクトゥグアに苦言をこぼすニャル。RTスパークリングをベルトから引く抜き額の汗をハンカチで脱ぎながらふらつく体に鞭を打ち、どこかに向けて歩き出す。

………フィーネ、ノイズはお前の差し金?




奏をどうやって生存させるのか、スパークリングの強さと瞬殺間を描くのに苦戦して遅れました。あんまりうまく表現できなかったけど…(後悔)


オリジナルフォーム:コルヴァズフェアリー(募集案より一部抜粋)

変身音「厄災の妖精剣!コルヴァズフェアリー」
「フェアリーフルボトル(ピンク)」「コルヴァズフルボトル(赤)」を使用して変身。コルヴァズサイドには使用者の精神を削り取る「コルヴァズの剣」のエレメントが込められており、変身時ではウルトラマンゼロのイージスソードの様についた炎を纏わせた剣が特徴で微動に振動しており高熱と微振動により切れないものはほぼ存在しない。フェアリーサイドはクトゥグアの配下である「炎の精(炎の吸血鬼)」のエレメントが込められており、手のひらに書かれた魔法陣から炎の精を召喚。その使役はコルヴァズハーフボディの剣。
必殺技では炎の精で檻を作り対象を閉じ込め、剣先から炎のレーザーを放つ。その後、炎の精を爆発させ相手にダメージを与える。

案をくださった『ムスビゼロ』さん、ありがとうございます。


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私、葛城夢真。気分はガリヴァー
私、葛城夢真。便利屋ではない。


ニャル「戦記絶唱シンフォギアの転生してきた元青年で現少女の悪魔の科学者、葛城夢真! 彼女は読者の要望通りにセレナ・カデンツァヴナ・イヴと天羽奏の運命を変えた」
夢真「いつ読者に要望取ったの?」
ニャル「そしてライブ事件の最中、彼女は今まで使う事をためらっていた力を解禁。ラビットタンクスパークリングフォームへと姿を変え、ノイズの軍勢を瞬殺するのでした」
夢真「正直、天羽を見捨てるんだったら使わずに撤退してた」
ニャル「そして今回から新章が開幕!」
クトゥグア「今回も夢真ちゃんが大活躍する第20話どうぞ!!」
ニャル「おまえぇぇーーー!!!」

夢真「………うるさい」


フクロウ!ハンマー! ベストマッチ!〉

〈Are you ready?〉

 

木々が生い茂る森の中、場違いな機械音声が鳴り響きそれを聞いた鳥の群れが空に羽ばたく。その足元ではノイズでもガーディアンでもないトカゲの様な異形の怪物とローブに身を包む人影が空を見上げる。

 

真夜中の一撃!オウルスタンプ!イェイ…!〉

 

怪物の視線の先、太陽の光を背に飛翔するは【仮面ライダービルド:オウルスタンプフォーム】。左腕のハンマーを落下の威力を載せ振り下ろし1体の頭部を破壊しながら地面に叩きつける。ビルを中心に巻き起こった所撃破は地面を大きく揺らし、怪物どもを撃破していく。

 

「これだけじゃ無理か……」

 

次々と怪物が撃破されていく様子を目にした影は苦言をこぼし、周囲に緑の煙をばらまいて新たな怪物を呼び出しビルドへと怪物を差し向ける。そもそも彼女達がなぜ戦っているのか、それは先日の夜までさかのぼる…………

 


 

モニターに映るのは先日のライブ会場での戦闘。私が変身したビルドの強化形態が周囲に泡をばらまきながらノイズに急接近、タンクの蹴りを浴びせるとすぐさま移動。宙に浮かぶノイズに腕の刃で切り裂いたと思ったら、目にも止まらぬ速度で5メートル程ノイズの背中に乗り反対の腕に着く刃を突き刺していた。

 

私、あんな動きしてたんだ。当時、あの姿のビルドのスペックに振り回されて倒すことだけに集中していた。だから自身の動きをそこまで気にしていなかったけど………

 

「よくあんな動きができるわね……」

 

横に座る金髪全裸のフィーネに内心同意する。それ程までに身体へのダメージを考えない戦いをしていた。通りで変身解除したら気絶した訳だ。

 

『気づいていないかもしれませんけど、戦いながら意識朦朧でしたよ』

 

ニャルの声を受け更に驚愕。いくらネビュラガスや魔法で強化したとはいえこの体は小学生。【バイカイザー】と戦った時の戦兎と同じ動きに耐えられる保証はない。下手をすれば変身解除と共に肉だった液体になっていた可能性もある。

 

『そうなっていたとしても私が!すぐに蘇生してましたので安心を!!』

 

あ、そう。

ニャルの自己主張をスルーしフィーネからリモコンを取り上げ映像を止める。

 

「フン… 乗りの悪い女は嫌われるわよ」

 

「どうでもいい。要件」

 

そもそも私とフィーネ、不干渉の契約を結んでいるためこうやって一緒にいる方がおかしい。なのに一緒にいるのはフィーネからの呼び出しがあったから。手に持つ黒を基調としたガラケーの画面をフィーネに見せながら問い詰める。

 

「ライブのノイズ。それに連動したあることを伝えたいって呼んだのお前」

 

「そう焦るな。順番に話す」

 

その言葉と共に差し出されたマグカップを手に取り一口含む。口に広がるコーヒー特有の苦みと匂いを噛みしめながら、視線をフィーネに向け続きを促す。

 

「あのライブで完全聖遺物【ネフシュタン】の起動実験中に起きたネフシュタンの過剰エネルギー放出。その結果、ある地で眠っていた別の完全聖遺物が呼応した」

 

再び付けられたモニター。キーボードを操作し、映像を変える。そこには世界地図と様々な数式、そして日本ととある国に赤い点。指示棒で画面を指しながら詳細な説明を始めた。

 

「呼応したのは【ギャラルホルン】と呼ばれる完全聖遺物だ。こいつは並行世界へのゲートを作るとされ、ライブのノイズ出現はこの能力によるもの。私にとってもお前にとっても2課にギャラルホルンが渡るのは得策ではないだろう?」

 

「………何が言いたい?」

 

「フンッ! 2課どころか、世界はまだこいつの存在を知らない。どうするかはお前しだいだ」

 

視界の端に映るネフシュタンの鎧に目を向け、内心溜息を吐きながら立ち上がる。差し出されたUSBを手に取りそのまま奴に背を向け、外へ向けて歩きだそうとして呼び止められた。

 

「待て、選別だ」

 

投げ渡されたそれは通帳だった。中を見てみるとかなりの金額が振り込まれており、カードとパスワードのメモが挟まれている。

 

「ガーディアン関連の金額はその通帳に振り込まれる。貴様の特許だ、私が持っても仕方ない」

 

続けてクリアファイルを渡すフィーネ。中には特許認定書が入っていた。それを確認すると改めて背を向けて歩きだす。

 

『意外と律儀ですねアイツ……』

 

そんなニャルの呟きを聞きながら。

 


 

そしてやってきたは亡国の未開のジャングル。獣道すら存在しない森の中、ビルドパッドに映し出されたデータを頼りにひたすら歩く。

 

「…………ッ!」

 

代わり映えしない景色、野獣や野鳥に虫の合唱をBGMに歩き続ける事数日、突如と殺気を感じベルトを腰に巻く。周囲を警戒する私をあざ笑うかのように木々が揺れる。成人男性を余裕で飲み込む背丈を持つ草むらの中から、緑の焔を身にまとう蛇が襲い掛かってきた。

 

不意を衝く一撃を横に転がることで回避。起き上がる事はせず視線だけ蛇に向け、手に取ったボトルを振る。内部の成分が刺激され活性化する中、周囲に数式が浮かぶのを無視しボトルのキャップを閉めベルトに装填。

 

クワガタ!ハサミ! ベストマッチ!〉

 

装填したのは原点だと【ロストフルボトル】と呼ばれる人工的に作り出した10本のうちの二つ。青とルビーカラーに輝くボトルの成分でハーフボディが生成。

 

〈Are you ready?〉「………変身」

 

いつもの構えを取りながら再び突撃してきた蛇を躱し立ち上がる。

 

輝く双剣士!シザースタッグ!イェーーイ!〉

 

右腕にクワガタの顎、左腕にハサミを備えたベストマッチフォーム【仮面ライダービルド:シザースタッグフォーム】へと変身を遂げる。馬鹿の一つ覚えなのか、三度目の正直を信じてなのか、突撃してくる蛇。その勢いを利用して両腕の刃で三等分に切り分ける。緑の煙となり空へ舞い上がる中、徐にニャルが呟く。

 

『……今のはこの世界の生命体ではありません。どうやら歴史を捻じ曲げたせいでイレギュラーが発生しているようです。ま、面白けば何でもいいですよ』

 

心の底から愉快な笑い声をあげるニャル。その声を意識的に脳の奥へと追いやり、先のわずかな戦闘で得た蛇の情報に目を通す。

 

「これは……ッ!」

 

マスク内部に映し出された解析結果に驚く中、いつの間にか囲むように現れた先程と同じ蛇。その数は40体ほど。そして奥から現れるフードで顔を隠したローブ姿の人影。

 

「それがシンフォギアとも異なる力。やれ、アングィスマリシアス!」

 

小さく呟かれた言葉。強化された聴力が拾い上げたその音色は少女の物だった。その事に疑問を問いかける暇も与えられず、奴が使役する【アングィスマリシアス】と呼ばれた怪物蛇を相手取る。両腕のハサミを剣に見立てて振るい蛇を切り裂く。

 

放たれる攻撃をクワガタの顎を盾にすることで防ぎ、その隙を狙って接近してきた個体の首元をハサミで挟み力任せに断ち切る。しかし数の利を利用した襲撃に足元をすくわれ、地面に背中を打ち付けた。ビルドの装甲で大したダメージは無いが集団蟻の如く群がってくる蛇。

 

『集団恐怖症に見せられない映像となっております! あ、困りますお客様…』

 

「_______」

 

脳裏でニャルが騒ぐ。それを気にせずALAZIFに書かれた一節を小さく口にする。

 

「な、なんだこれは」

 

ローブ姿が狼狽えている。多分、さっきの一節のせい。すべての文を読み終えた時、私の影から象の鼻ぐらいの太さを持つ蔦なのか、ミミズなのか良く分からない…………しいて言うなら名状しがたい触手が生え、蛇どもを吹き飛ばしローブ共々拘束。

 

そのまま立ち上がり正面へと駆け、すれ違いざまに次々と切り裂きながら包囲網を突破。両腕の刃にエネルギーを溜め振るう。すると放たれる2色の斬撃波が放たれ、多くの蛇を空に返す。触手が消えて行くのを目にしながらベルトのボトルを入れ替え大きく跳び上がる。

 

フクロウ!ハンマー! ベストマッチ!〉

 

新たな装甲が生成される中、レバーを回し必要なエネルギーを生成。

 

〈Are you ready?〉『ちなみに、ベストマッチ!の音声はライブ事件後に設定してます』

 

……誰に説明してる?

 

真夜中の一撃!オウルスタンプ!イェイ…!〉

 

オウルスタンプFへと姿を変え背部の翼を展開、上昇。重力に身を任せ左腕のハンマーを振り下ろす。偶々いた蛇の頭部を砕き、地面に激突。その余波で残りの蛇が砕ける。

 

「これだけじゃ無理か……」

 

苦言こぼしたローブは新たな蛇を召還。そのままこちらに差し向ける。ハンマーを振るい衝撃波を放ち、先制攻撃共に飛翔。群れの中へ突撃しハンマーで叩く。どうやら戦いはまだ続きそうだ……




オリジナルフォーム:オウルスタンプ(募集案より一部抜粋)
変身音「真夜中の一撃!オウルスタンプ!イェイ…!」
「フクロウフルボトル(黄色)」「ハンマーフルボトル(オレンジ)」を使用して変身する形態。フクロウのボディは飛行が可能で索敵に優れ、ハンマーのボディは左腕のハンマーで衝撃波や強力な一番を放つ。

オリジナルフォーム:シザースタッグ(募集案より一部抜粋)
変身音「輝く双剣士!シザースタッグ!イェーーイ!」
「クワガタフルボトル(青)」「ハサミフルボトル(ルビー)」を使用して変身する形態。どちらのボディにも武装が装備されており右腕にクワガタの角、左腕にハサミとなっている。盾や剣として使えるほか、対象を挟んで断ち切ることも可能。

どちらのベストマッチも『αkira/裏想郷を掲げる者』さんの案となっております。
改めてありがとうございます!


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私、葛城夢真。実質、敗北。

ニャル「前回、前置きが台本形式になってる事に誰も触れてもらえず悲しかったニャルラトホテプです(;つД`)」
夢真「……嘘泣きじゃん」
ニャル「夢真が言わなきゃバレなかったのに!」
夢真「どうでも……いい」
ニャル「酷い!」
夢真「前回はフィーネに乗せられて……やってとある国の人類未踏の地へと行った。 ___そこで襲い掛かってくる、蛇を使役するローブ姿の女」
ニャル「ビルドへと変身した夢真は果たしてどう切り抜ける? それでは第21話どうぞ!」
夢真「…………なんで戦いながら、、あらすじ紹介してるんだろう………?」


蛇の一撃を背中から倒れるように回避、そのまま背面飛行で群れから遠ざかる。体勢を立て直し地面をえぐりながら左腕のハンマーを振る。すると打撃面からオレンジがかった半透明の衝撃波が放たれ次々と蛇を貫く。

 

木々が生える森と言う自然の迷路を利用し、蛇が正面の一本しか来れない状況を作り出しては叩くの繰り返し。既に戦闘が始まってから、3時間が経とうとしていた。

 

『一気にスパークリングで片付けちゃいません?』

 

無理。

飽きてきたのか突拍子もなく語りかけてきたニャル。提案を即蹴った後で言うのもアレだけど、スパークリングで終わらすのが効率的。けどスパークリング自体の調整がまだ終わっていない。今使えばライブ同様、意識朦朧の中で戦うことになる諸刃の剣。

 

一つでも計算を間違うと不利になるのはこっちだ。それにビルドの強みは強化形態ではない。

迫りくる軍勢を背に森をかける。その最中、いくつかの木を転倒、道筋を固定。探索能力が上がるフクロウハーフボディの恩恵もあり、いちいち後ろを目視しなくてもレーダーで蛇の動きを把握。

 

ある程度の広さがありつつ、そこそこ狭い場所。川辺の近くきた。後ろに振り向きながらガンモードのドリルクラッシャーを発砲。先頭を這っていた蛇よりも少し先の地面に命中。舞い上がる土煙で動きが止まったのを確認し新たに取り出したフルボトルを振る。ベルトに装填、【スナップライドビルダー】が展開される中レバーを回す。

 

コブラ!キャッスル! ベストマッチ!〉

〈Are you ready?〉「……ビルドアップ」

 

小さく呟いた言葉。それがキーとなり前後から新たなハーフボディが装着される。握腕にはコブラを模したガントレット、左手には城の城壁を模した盾。凶力な毒と強固な装甲を持つ異なる赤色系の装甲を纏った【仮面ライダービルド:コブラキャッスルフォーム】へと姿を変えた。

 

魔物が潜む巨城…!コブラキャッスル…!イェィ…! 〉

 

重々しく恐怖を与えるような音色が流れる中、右腕のガントレットが首から伸びる。それを大きく鞭の様に振るい、蛇へ攻撃。コブラを模した鞭の先端が命中するその瞬間、奴らに噛みつき自壊する特殊な毒を送り込む。毒を送り込まれた個体はもれなく粒子となり散る。

 

そんな同族の死を物ともせずたどり着いた蛇、私へ噛みついてくるが盾で受け止胴体を蹴り飛ばす。次々とくる蛇を千切って投げ、毒を流し消し、離れる攻撃は防ぐ。そうやってちまちまと戦っていると大群も数を減らし残り僅か。ベルトの【ボルテックレバー】を回し、生成したエネルギーを右腕に溜める。

 

〈Ready go! ボルテックフィニッシュ! イェ~イ!〉

 

コブラの鞭を前後に振るい、残った蛇をすべて撃破。そのままコブラをローブの影に向け伸ばす。

 

「っく!」

 

その一撃を横に転がる事で躱した奴はそのまま薄暗い森の中へと消える。

 

『どうします、追いかけますか?』

 

別どうでもいい。襲い掛かってくるならやるだけ。

ベルトからボトルを抜き、変身解除。ボトルだけ【異次元空間】の中に入れベルトを装着したまま探索を再開。すでに太陽は傾き、水面に反射する空はオレンジ色に輝く。

 


 

結局あれから一夜が明けた。ビルドパッドに現地データを入力、ギャラルホルンの位置を特定していく。画面に表示される場所に向けて歩み続ける。

 

『それにしても、この時代の川にして水がきれいですね……』

 

横で流れる川に関心を向けるニャル。確かにここまで人類未踏の地なのは珍しい。流れる水も浄化せずに飲む事ができるし……

 

「___ッ!」

 

視線を川から森の中へ向けるとローブが木の影から見えた。昨日からずっとつけられている。タイミングを見計らっているのか、あっちもギャラルホルンで横取り狙いか。少なくともシンフォギアを知っている時点で警戒対象。

 

互いに警戒しながらも戦う事は無く、川の流れに逆らうように山を登る。そして滝つぼに来た。重力に従い高所から流れ落ちる水、その激しさに自然の雄大さを感じる。ビルドパッドは滝の向こう側に反応。湿って滑りやすい小石の上を歩き、滝に近づく。

 

『ずいぶんベタな展開ですね。もうちょっと捻りがあっても良いじゃないですか~』

 

ニャルが何とも言えない表情を浮かべている姿が脳裏に浮かぶ。どうやらギャラルホルンは滝裏の洞窟の先みたいだ。ビルドパッドからスマホ型デバイス【ビルドフォン】に持ち換えて奥に進む。

 

『………なんか面白み無いですね。ふぁ~~』

 

あっそ。

ビルドフォンのライトで足元を照らしながら先に進む。洞窟内はこれと言って取り上げる物は無い。しいて言うなら岩々が尖って気負付けないと傷だらけになりそうだ。そして後方から響き渡る足音。あの女も洞窟に入ってきたようだ。

 

「これがフィーネの言ってた」

 

進んでいくと薄暗い洞窟で淡い緑の輝きを放つ巻貝の様な物が浮かんでいた。再び取り出したビルドパッドの画面も目の前の物体を示してる。この貝がギャラルホルンで間違いない。

 

「___ッ!」

 

ギャラルホルンに成分の入ってないボトルを向けようとしたその時、後方から3つの顔を持つ蛇が襲い掛かってきた。横に大きく飛ぶことで回避するが左頬が岩で切れ血が流れる。視線を蛇に向けるの身に纏うその焔が紫に輝き、こちらを威嚇。その背後にはローブ女の姿も。

 

立ち上がりながら手元に出したイカとインクのボトルを振る。【シールディングキャップ】を正面に合わせ、ベルトの【ツインフルボトルスロット】に装填。

 

イカ!インク! ベストマッチ!〉

 

軽快な音が鳴り響く中、レバーを握りしめ回転。ボトルのエレメントからハーフボディを生成。

 

〈Are you ready?〉「…変身」

大海原のアーティスト!スプラッシュスクイッド!イェーイ!〉

 

変身音と共にスーツとアーマーが装着される。変身完了と共に突撃してきた3つ首の蛇の事情を飛び越えて手元に武器を取りだ出す。

 

スクイッドスプラッシャー!〉

 

【スクイッドスプラッシャー】のトリガーを引き、インク弾を発射。3つ首が放つ帆脳相殺される。その一方で肩のイカを分離、ローブ女へと差し向け墨を吐く。

 

「っく!」

 

腕で目を庇い墨が入らぬようにするローブ女。奴の指示が無くなった3つ首に向け、肩部に戻ったイカの足を何度も叩きつける。たまらず後退したところにスクイッドスプラッシャーの6問の砲門から絶え間なく放たれるインクの雨。白やグレーの身体を蛍光色で染める。

 

『この洞窟の中じゃ、良く分からないですけどね♪』

 

反撃の炎を回避、接近して拳を振るう。この時、イカの触手をドリルの様に高速回転させ威力を高める。3つ首の身体から火花が散り、その威力から大きく後方へと吹き飛ぶ。巨体が洞窟の壁に衝突した影響で落石、その巨体故にしばらく身動きはできない。

 

イカ墨の中を突破したローブ女がギャラルホルンに近づく。その先には湧水が溜まった小さな水たまりか……

 

「きゃっ!」

 

ローブ女の頭上を飛び越え水たまりに【インクハーフボディ】の手を沈める。すると水は少し粘り気のあるインクに変化。そのインクに足を取られ転倒し、あどけなさ残る悲鳴を上げた。

 

『うわぁ…… イカ墨とインクでローブが目も当てられない事に。あれじゃ中の服どころか、下着まで色付いちゃってますよ。ご愁傷様で~~す!』

 

学校どうしよ…

 

邪神に煽られてるとも知らず小さく苦言を溢すローブ女。強化されたビルドの聴力で普通に聞こえたけど。こいつ学生なんだ。どうでもいいけど。

 

主人の嘆きの声が聞こえたのか、跳びかかってきた3つ首。その伸し掛かりを回避してスクイッドスプラッシャーで攻撃。放たれたインク弾が命中と共に花火を咲かす。悲鳴を上げ倒れこむ。

 

【ホークガトリンガー】の【リボルマガジン】を彷彿させる【タンクマガジン】を回転、エネルギーを溜めていく。〈ッピ!〉と何回か鳴り響きフルチャージ完了。【ボルテックトリガー】を引き、強力な一撃を放つ。

 

〈スプラッシュバースト!〉

 

巨大なイカ、ダイオイカの姿をした弾が放たれ3つ首の足元に着弾。私の攻撃が不発に終わったと思った3つ首が動こうとしたその瞬間、着弾点からインクの竜巻が発生。唖然とする3つ首が竜巻に飲み込まれ、悲鳴と共に爆散。周囲にインクの雨が降り注ぐ。

 

「っく! だがここまでくれば!」

 

3つ首に気を取られている隙にローブ女はギャラルホルンへと触れる。その瞬間、洞窟はギャラルホルンの光に包まれた。

 

『……あぁぁーーーー! 思い出しました! ギャラルホルンってアプリの奴じゃないですか!!』

 

体は徐々にギャラルホルンへと引っ張られ、やがて完全に浮き上がり引き寄せられた。瞼を閉じても広がる光に包まれる中、ニャルの叫びが頭に響く。




はい。2話にかけてプロローグを展開した今回の章は日常編から変更して、並行世界変です。どの世界に主人公「葛城夢真」が行くのか察しの良い方はお判りでしょうw

ここのところ皆さんから頂いたベストマッチをうまく使えず繋ぎのようになってしまって申し訳ない。今回の様に再登場させる事もあるので大目に見ていただけると幸いです。




オリジナルフォーム:コブラキャッスル(募集案より一部抜粋)
変身音「魔物が潜む巨城…!コブラキャッスル…!イェィ…!」
「コブラフルボトル(ヴォルケーノレッド)」「キャッスルフルボトル(赤)」を使用し変身。コブラサイドは右腕のガントレットからコブラの頭部の首が伸び、鞭として使える他、敵に噛み付くことにより毒を相手に与える。また毒を吸い出すことも可能。キャッスルサイドはガードしなくてもかなりの防御力を誇るが、左腕についてある盾でさらにガードを固めることが可能。

オリジナルフォーム:スプラッシュスクイッド(募集案より一部抜粋)
変身音「大海原のアーティスト!スプラッシュスクイッド!イェーイ!」
「イカフルボトル(エメラルド)」と「インクフルボトル(ガーネットに近いピンク)」を使用して変身。イカハーフボディの肩部のイカは筆のように動く。さらにベストマッチの時は敵の視界を奪ったり、敵の動きを拘束したりできる。インクハーフボディはインクを出すことができる他、水などを吸収してインク化することが可能。

ベストマッチウェポン「スクイッドスプラッシャー」からはインク弾を発射。「タンクマガジン」を回転、「ボルテックトリガー」を引く事で必殺技「スプラッシュバースト」を放つ。

どちらも『αkira/裏想郷を掲げる者』さんの案となっております。案を頂きありがとうございます!またコブラキャッスルのガントレット・スクイッドスプラッシャーに関しては展開上、作者が新たに設定した部分がございます。


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私、葛城夢真。流れ着いた異世界

夢真「少女がアングィスマリシアスと言う蛇との戦闘の末、完全聖遺物【ギャラルホルン】が作動した」
ニャル「待ってくださいよ! そんな一文で纏めないでくださいよ。ほかにもいろいろあるでしょ! …………例えばこんなベストマッチを使ったとかさ」
夢真「___オウルスタンプF、コブラキャッスF、スプラッシュスクイッドFの組み合わせで蛇の軍勢を撃破」
ニャル「ひときわ巨大なアングィスマリシアスを撃破したのもつかの間、襲撃者がギャラルホルンに触れ異世界へのゲートが開いてしまった。抵抗虚しく飲み込まれた私達がたどり着いた世界とは……… 第22話、どうぞ!」


ひんやりとしたアスファルトの感触で目が覚める。

 

「___どこ?」

 

『恐らく、別の世界でしょう』

 

周囲を見渡す、どうやらどこかの校舎の屋上。それもニャルが言うには別世界らしい。【エニグマ】や【白いパンドラパネル】がない今、元の世界に変える手段がない。

 

『【ディケイド】のカーテンとか与えても良いんですけど、使いこなすまでがめんどくさいんですよねぇ~~ アレ……』

 

今だ流れる血を軽く親指で拭い、右手に双眼鏡を持ち地面の方を観察。どうやら風鳴と知らない赤とオレンジの装者がノイズと戦っている。恐らく赤はフィーネ資料にあった【イチイバル】、オレンジは天羽と同じ【ガングニール】。ただ【天羽々斬】の装甲もライブ以前とは差異がみられる。

 

『ムムム…… まさかこんな形であの二人を目にするとは』

 

イチイバルが【アームドギア】である銃を乱射、上空に浮かぶノイズを撃破。ガングニールは天羽と違い拳でノイズを砕く。風鳴は変わらず刀で切り裂いてる。コンビネーションはなかなかのものだが、疲労がたまってるようだ……

 

『さて、私たちはどう動きます?』

 

最悪、どう動いてもめんどくさい。まぁ、別世界だし適当に動く。

 

『それが良いでしょうね』

 

ニャルの同意を受けながら双眼鏡を黒を基調とした小型の片手銃に持ち変える。銃身は銀で持ち手の方には黄と黒のストライプ、引き金に付近は黄・緑・赤のパイプ。左手には錆鉄の様な色合いの上下パーツ、【クリアモールドボトル】のバットが銀色に反射する。

 

【バットロストボトル】を振り内部の【トランジェルソリッド】を活性化。銀色のキャップを閉め、【トランスームガン】のマガジンの様に飛び出た【フルボトルスロット】に装填。

 

バット!

 

重々しい待機音が鳴る中、腕の力を抜き銃口を足元に向ける。

 

「……蒸血(じょうけつ)〈ミストマッチ!〉

 

【ミストマッチトリガー】を引き、銃口【ブレイジングスチーマー】からスチーム生成ユニット【ミスティックチャージャー】で生成した特殊蒸気【トランジェルスチーム】を噴射。黒煙に包まれる中、特殊パルスでスチームがスーツとアーマーに変化。身体変化の魔法で成人男性ほどの身長になった私に装着される。

 

バット・バッ・バット… ファイヤー!〉

 

蝙蝠を模したゴーグルや胸部が不気味に輝き、頭部の煙突の様な角【セントラルチムニー】と首元や肩のスチームパイプから余剰エネルギーを排出。それが花火のように爆発し黒煙から姿を現す。【ライダーシステム】と似て異なるシステム【トランスチームシステム】によって変身した姿、【ナイトローグ】。

 

背中の翼を展開、飛翔。上空で翼で身を包み回転、自身をドリルに見立て3メートル弱のノイズ向けて降下。図体を貫き着地。ノイズの灰が舞う中、トランスチームガンと【スチームブレード】を手に立ち上がりざまにノイズを撃破。

 

「なんだ!」

 

「新手か…!」

 

イチイバルが銀色の髪を靡かせながらこちらに振り向き、風鳴が刀を向けてくる。

 

「コウ……モリ?」

 

ガングニールは唖然と見つめる。そんな彼女に迫るノイズを裏拳で撃破。トリガーを引き銃口から蒸気をまとった高熱硬化弾【スチームビュレット】を放つ。カエル型の腹部を容易に貫き、真後ろにいた人型の腕部を吹き飛ばす。

 

「味方でしょうか?」

 

「ともかく今はノイズに集中するぞ!」

 

風鳴の言葉を受け、赤と橙の装者が動く。手に持つ武器を巧みに操り、各自が放つ必殺の一撃を受けノイズが散りとなる。一方私、時たま彼女らの死角をフォロー。人じゃない事を悟られないよう、ノイズの動きを計算し装者へ攻撃しそうな個体の射線に入り迎撃。

 

〈スチームブレイク・バット…!

 

バットロストボトルを再びトランスチームガンにセット。銃口に紫のエネルギーが充填される。トリガーを引き発砲、放たれた弾は炸裂弾の如く分裂しノイズを襲う。あちこち小規模な爆発が起き撃破。最後のノイズを橙装者の蹴りによって粉砕された。

 

「さっきまで、【S.O.N.G.(ソング)】の本部で戦っていたはずなのにここって__」

 

「…だな。リディアン音楽院だ。しかもフィーネに滅茶苦茶にされる前の……」

 

拳を下した橙装者が辺りを見渡しながら言葉を溢す。疑問に答えるかのように赤装者が言葉を紡ぐ。私と同じで装者も状況が分かって無いみたいだ。

 

「恐らく私達はギャラルホルンの輝きに飲まれ」

 

「どこかの並行世界に投げ出されたとみて間違えなさそうだな」

 

「いまだノイズが存在する並行世界。でも、いつもみたいに元の世界に変えるための帰還ゲートが見当たりません!」

 

「ゲートが!?」

 

こちらを警戒しながらも思考する装者。正直、彼女の言葉全てが未知の領域。ただフィーネが何かやらかす事だけ覚えた。

 

『ゲートの話は覚えなくて良いんですか?』

 

問題ない。時間があれば並行世界移動装置ぐらい作れる。なによりニャルもいるし。

 

『………………』

 

ニャル? ……固まってる。

装者達はこちらの様子を知るはずもなく語りかけてきた。

 

「__おい、コウモリ野郎! お前の知ってることを話してもらおうか」

 

銃口こそ向けてないが射抜くような鋭い視線をこちらに向けている赤装者。普段だと同じく敵意で返しているがここは勝手の知らぬ並行世界。装者達の方が詳しいようだし、敵対関係は避けたい。

 

「あなた達の方が詳しい」

 

「なら、我々の敵でないと言うならお前自身の事を教えてくれ」

 

風鳴が刃をした向けながら語りかけてくる。と言うか私の知っている風鳴と性格やギアが違う。

 

「わたs「あぁ、そうだ! さっきの交戦で襲撃者のマントの下がチラリと見えたんです」……」

 

「___立花」

 

「このバカ! 話を遮るな」

 

「ごめんなさいぃ~」

 

「続けて」

 

遮られた言葉より重要そうだし。実際、聞くとそうだった。どうやら彼女達の世界にも私を襲った奴、もしくは仲間が襲撃に来たらしい。偶発的に橙装者が見たマントの中身、それは【リディアン音楽院】の物と同じらしい。

 

『どうやら敵は同じみたいですけど、どうしますか?』

 

別にどうもしない。襲い掛かってくるなら倒すだけ。

ニャルと何気ない会話を脳内で広げながら彼女達に難と自信を紹介するかを纏める。そしていざ身の上話をしようとしたその時、どこからともなく黒服にサングラスをした集団が私達を囲む。

 

「動くな、侵入者ども! 発砲許可は下りている!」

 

「もしかしてこの黒服さんたちは____」

 

銃口をこちらに向けてくる男達。そんな彼らの姿に立花と呼ばれた装者、いやこの場にいる装者は知っているようだ。

 

『彼らの名前だけなら夢真だってしってますよ』

 

「我々は特異災害対策機動部二課! 速やかに身に纏った武装を解除するんだ!!」

 

確かに知ってる。

明確なかかわりこそないがフィーネの資料で組織のメンツも目的も。それこそ当人達よりも。

 

こちらに警戒を続ける彼ら。その片手に収まるハンドガンではナイトローグの装甲に傷をつける事は無理。それどころか生身の私ですら相手取る事は不可能。戦うならアメリカ軍の空爆機、バルベルデの物量作戦ぐらい必要。

 

仮に瀕死なったとしてもニャルに肉体の主導権が移り、名状しがたいこの世の生物とは思えないなにかに変貌するから結局無理。

 

『酷い! ちょっと本来の姿に戻って羽虫を追い払ってるだけなのに!!』

 

うん、過剰戦力。装者に任せておこう。

 

「どうにかするわよ!」

 

「来てくれたのか」

 

突如として鳴り響く少女に声。声が聞こえてきた方角に視線を向けると3組の少女がこちらに向かって来ていた。彼女達の登場に歓喜する男達。そして人一倍驚く立花。

 

「みんなお待たせ」

 

「そちらの方々が二課敷地内への侵入者ですか」

 

「へえ、面白そうなの纏ってるじゃない」

 

三者三様の反応。装者が固まる中、中央の子が一歩前進、こちらを指さす。

 

「だけどその輝きは、悪の手先に似合わない…ッ!」

 

『まぁ、宇宙の混沌その物ですし』

 

私、悪魔の科学者。悪の手先と言う訳ではない。

私達の心情を知らない彼女達の身体は眩い光、しかしどこか飢えた獣のように刺々しい輝きに包まれる。その光が弾けると彼女達はシンフォギアに酷似した鎧に身を包んでいた……………………




夢真(調)にとっては異世界どころか、時間すら超えてる事になるんですよねこれ。なので人生のネタバレを盛大にくらう事でしょう。そして申し訳程度のナイトローグ要素。今後ナイトローグが出てくるかは時の運(その時の作者の気分)しだいです。


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私、葛城夢真。調ってだれ?

ニャル「フィーネによって半強制的に新たに発見された聖遺物の調査をしていた私達。そこに襲い掛かって来たのはローブで身を隠した学生少女。彼女が使役するアングィスマリシアスを撃破したのもつかの間、聖遺物の力で異世界に飛ばされてしまった!」
夢真「時を同じく、襲撃者によって同じ世界に飛ばされたか並行宇宙の装者と共にノイズを撃破。情報を交換しようとして黒ずくめの集団に囲まれる」
ニャル「けどシンフォギアや夢真が変身するナイトローグ相手には役不足な彼ら。その事を説得しこの場を切り抜けようをする装者の皆さんを眺めていたその時! 3人の少女が旋律を結んだ!!」
クトゥグア「果たして無事、夢真ちゃんは無事に元の世界に帰る事が出来るのか?気になるところでだけど、まずは第23話どうぞ!」
ニャル「だからお前があらすじに絡んでくるなぁぁあああ~~~~!!!」( º言º)


「「「メックヴァラヌス、テイクオフッ!」」」

 

その掛け声と共に3人の少女が光に包まれる。光が晴れると少女達はどこかシンフォギアを思わせる装甲に身を包んでいた。違いはその鎧からフォニックゲインが観測されない事だろう。

 

『ぶっちゃけ、思春期の地球人少女が摩訶不思議な鎧に身を包むのは昔からあるベタ展開ですからね。驚きを超えて、今回はこんなデザインなんだ~で済みますよ』

 

そうだね。私、前世でそういう系統に触れる機会はなかったら詳しくないけど。

場違いな感想を浮かべる私達の横で正常な反応を示す装者達。

 

「うぇぇぇーーー!?どういうことぉぉぉーーーー!?!?」

 

「リディアンの隠された目的の一つに適合車の選出がある」

 

「つまりあたしらのいないこの世界ではあいつらが装者として「ごちゃごちゃ言わない、パチモン三馬鹿!」…」

 

赤装者の言葉を遮ったのは赤の指し色が入った【メックヴァラヌス】と呼ばれる鎧に身を包んだ少女。オリジナルだのパチモンだの、馬鹿を否定しないするなど、私を退けてヒートアップしていく6人。そしてついには実力行使に出た。

 

『完全に忘れられてますね』

 

ニャルの言う通り彼女達の頭から私は消えたのだろう。黒服連中も木を背もたれに無防備の私に行動する様子も無く、戦いを見つめている。そんな最重要機密の鎧を身に纏う者同士の戦いはあっけなくシンフォギア側の勝利へと終った。鎧の性能差より、経験の差が勝負の分かれ目。

 

一方的に勝った装者も呆気にとられ、なんとも言えない表情を浮かべる。一方のメックヴァラヌスの少女達は歌を紡ぎながら戦闘する装者に手加減されたと表情を歪ませていた。

 

「………【Dモジュール】さえ解除されていたら」

 

レイピア片手に戦闘していた青鎧が悔し気に言葉を溢す。気になる単語が聞こえては来たが立花が彼女達に語りよる。それを動けないメックヴァラヌスの少女達への追撃と深読みし過ぎた黒服連中が立花へと敵意むき出しで接近。

 

「「「「「うぉぉぉーーーーーーっ!!」」」」」

 

「影縫い」

 

そんな黒服連中の動きを止めたのは何の因果か、かつて私が彼女の動きを止めた忍術。まぁ、【私のいた世界で】と言う頭文字は付くけど。

 

「___あの……」

 

「…なによ、とどめでも刺すつもり?」

 

恐る恐ると立花が赤鎧に声をかける。狼狽える彼女に向け立花は優しく手を伸ばし再び優しい声色で話しかけた。呆気にとられながら赤鎧はその手を握り立ち上がる。

 

「私達は戦いに来たんじゃないんです。だから、攻撃してごめんなさい」

 

謝罪の言葉と共にシンフォギアを解除した立花。そんな彼女の行動に辺りが驚愕の思考が広がる。それは赤装者も同じで驚愕の声を荒げる中、風鳴が見守るように落ち着かせた。

………ほんと記憶の風鳴と違い過ぎて思考がショートしそうになる。

 

「私は【立花響(たちばなひびき)】、あなた達の友達……… 友達になりたいんだ」

 

「_____友達?」

 

立花の言葉を受け次々と鎧を解除し私服へと戻っていく少女達。先程までの切り詰めた空気は既になく、黒服たちはただ事の成り行きを見守っている。

 

『……一人だけ変身しっぱなしなのどうにかしません?』

 

変身解いた瞬間、実は最初からグルでしたとか言われたら対処がめんどくさい。

 

『いやいや、仮にも原作主人公の陣営なんですからしませんよ!』

 

あ、シンフォギアの中心いるんだ。

ニャルと軽く雑談をしてる間に装者達の方は話がまとまってきたようだ。

 

「話をするのは構わないけど込み入った内容なら、代行と直でしてもらえないかな?」

 

「代行?」

 

「うん。私達の上司で指令代行【凪景義(なぎかげよし)】。通称【さなぎマン】」

 

サナギマン… ここイナズマンの世界?

 

『違います』

 

ニャルの返答を聞き、脳内に浮かび上がった戦士のイメージを振り払う。

 

「コウモリ男さんも構いませんか?」

 

お金持ちのお嬢さんの雰囲気を持つ黄鎧を纏っていた子が話しかけてくる。___ところでなんで男と思われてるんだろう?

 

『ナイトローグのノイズ加工、オンだからじゃないですか』

 

ニャルの言葉に内心納得しながら黄鎧の言葉に軽く頷き肯定。

 

《失敬な! 僕はそんなあだ名でもましてや、指令代行などと言うまどろっこしい官職でもない! 特異災害対策機動部二課、期待の新指令【凪景義】と覚えてくれたまえ!》

 

信号機少女達の通信機から男性の声が周囲に響き渡る。彼の声に答えたのは装者の中で一番の年上である風鳴。凪は彼女の性を聞くと声が裏返り、少し媚びるような声色に変化した。その様はまるで社長の子を案内するサラリーマンと言ったところか…

 

『社会経験のない転生者が何言ってるんですか……』

 

《早速本部へと案内いたします。ほれ、黒服ども! そして【竜姫(りゅうき)】の3人も粗相の無いようにな》

 

呆れるニャルの言葉を軽く受け流し、事の成り行きを見守っていると【龍騎(りゅうき)】の単語が聞こえてきた。サナギマンと言い、龍騎と言い、今日は懐かしい単語をよく聞く日だ。

 

「__と言う訳だからアンタも出来れば武装を解除してほしいな」

 

そう言いながらこちらに視線を向けてきたのは龍騎と呼ばれる3人組の青い鎧の子。普段だったらこの(ナイトローグ)ままなんだけどまぁ、異世界だし追われることないか。

 

『この世界のあなたが悪人じゃないとは限らないじゃないですか』

 

その時は生身でどうにかする。

 

『いつの間にか逞しくなってますね、この小学生は………』

 

ニャルの呟きを聞きながらボトルスロットからロストボトルを抜き、パイプから出た黒煙に身を包む。するとスーツ内部で魔力の人型だった私、それが空中で元の少女へと戻り髪を靡かせながら着地。黒煙が晴れきる前にスチームガンとロストボトルを収納、首を左右に振り前髪を軽く整える。

 

「これは……まぁ………」

 

「マジか!?」

 

「___ははは」

 

「っな!?」

 

「____女の子だったの!?」

 

「っへ、えええぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!?」

 

三者三様の反応を見せる彼女達。周りの黒服ぐらいの男性と予測してたみたいだし仕方ない。

 

「小っちゃい調ちゃん!?」

 

……………だれ?

 


 

学校の地下に広がる場違いな景色、二課の基地が広がる。ま、ここら辺はフィーネの資料通りと言う事だろう。前方を歩く少女達の内、装者組が何度かこちらを振り向いてくる。

 

「___しかし、何と言ったものか…… なかなかに趣のある人物なのだな」

 

「指令代行ね、本来の指令は病気療養中だから」

 

無言で歩くのに耐えられなかったのか、いったん私の子を頭の隅に追いやりたかったのか風鳴が零した言葉を気に会話が弾む少女達。なんと言うか、逞しくなったな風鳴。

 

「はい、全身に水虫が広がったらしく……」

 

「間が悪いな、話をしたいと言ったのはこっちだが、正直嫌な予感しかしない……」

 

こっちのイチイバルの装者、どこかで会ったような気がする。どこだっけ? ニャルに聞いても良いけど今は別のニャルラトホテプと交信中。この世界の情報を集めてるらしい。

 

「ま、どんな奴かは実際に合えばわかるか。あたしは【雪音(ゆきね)クリス】、よろしく頼む」

 

「こっちもちゃんと名乗って無かったわね、あたしは【板場弓美(いたばゆみ)】。そっちのが【安藤創世(あんどうくりよ)】と【寺島詩織(てらしましおり)】よ」

 

イチイバルの装者が雪音、赤龍騎が板場、青龍騎が安藤、黄龍騎が寺島。…覚えた。それにしても雪音か、道理で見覚えのあるはず。

 

「やっぱり!」

 

そう言葉を溢した立花。おそらく、彼女達の世界で龍騎組と何らかの縁があったのだろう。この推測は間違っていないのか、寺島の疑問をはぐらかす雪音。

 

「…………うん、どんな事情であそこにいたのか指令代行の所に付いたら、しっかりと説明してほしいな」

 

「もちろんだ。にわかにも信じられないかもしれないが……」

 

「板場さんは突飛なアニメを見ていらっしゃいますので、多少の事では動じたりはしませんわ」

 

「そうよ、私は鍛えているからね!って、なんであんたが言うの?」

 

先程まで武器を交えていたとは思えない程、極々ありふれた学生のような雰囲気で会話を進める彼女達。その様子を最後尾で眺める。なんと言うか…… 陽キャ女子の会話だ。

 

「ねぇ、君も自己紹介ぐらいはしてくれないかな?」

 

「___葛城夢真」

 

「「「え……っ!?」」」

 

安藤の質問に答える形で名乗ると装者組に動揺が走る。恐らく今の今までさっき立花が呟いた【調(しらべ)】だと思っていたんだろう。龍騎達も装者組の動揺に唖然としてる。ま、私には関係ない。

 

歩みを止めた彼女達に合わせ立ち止まる私。装者組が頭の中で整理を終え移動を再開するまでの間、懐からヨーヨーとフルボトルでもロストボトルでもない少し異なるデザインのボトルを異次元収納から取り出した。左手でキャプを下にし赤い兎を上下に遊ばせ、右手で軽いヨーヨーの技を決める。これが案外、マルチタスクの特訓に役立つ。

 

結局移動を再開会したのは数分後だった。




うちの主人公、無口だし他人と関わらない性格だから中々物語の展開に組み込めないや………
執筆に時間はかかっても完結に向けて頑張りますので今後もよろしくお願いします。


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私、葛城夢真。話が分からない時は観察に限る。

夢真「シンフォギアとメックヴァラヌスによるオリジナル、パチモン戦は経験の差でシンフォギアの勝利で終わる」
クトゥグア「勝者の一人である原作主人公の立花響がメックヴァラヌス装着者の一人、板場弓美へ手を差し伸べる」
夢真「立花が原作主人公なんだ…」
クトゥグア「あぁ!無知な夢真ちゃん可愛い!!」
夢真「戦闘の後、自己紹介をした私達はこの世界の二課へと向かい指令代行凪の元で話をする事に」
クトゥグア「そんなこんなの第24話どうぞ!!」


クトゥグア「____ところでいつもならガヤ入れてくるアイツは?」
夢真「ニャルなら別のニャルと交信中」


「よくも、特異災害対策機動部二課を率いる(ボキ)を謀ったな!」

 

二課の作戦指令室らしき場所で声を荒げるのは福与かな体系に鼻の下にひげを蓄えた眼鏡姿の男性。この人が龍騎達の通信機でこちらに話しかけていた凪だ。

 

「調べさせてもらったが、風鳴の家に翼と言う名の人物は存在してない」

 

「…………」

 

指令室にただり着くまでの間に調べた風鳴の家系、その結果で先の勢いを取り戻したのか憤怒する凪。その言葉を受け唖然とする風鳴、一方の龍騎達は身元調査の素早さに驚きを隠せないようだ。別にあの時間で調べ上げるのは普通だと思うけど………

 

ハッキングで調べたと堂々と宣言する彼に苦言を零す板場。

 

「ビックネームをちらつかせれば、うぶな(ボキ)が怯むと思ったようだがそうはいかん! こうなったら全部洗いざらい吐いてもらう! まず(チミ)達はどうやって二課敷地内に侵入した?」

 

さて、どうした物か。風鳴が自身名を告げた事で少し面倒になった。いや、あの場で誰が名を上げても一緒か。まぁ、最初から傍観するつもりでいたしどうなろうと私の知ったこっちゃない。けれどいつでも反撃できるよう、分からない様に身構えておく。

 

「【仰陽館女学院】からの出入り口は、全て厳重な動作しているはずなのに!」

 

「仰陽館女学院!?」

 

「ここって、リディアン音楽院の地下じゃないのか?」

 

どうやら仰陽館女学院とリディアン音楽院は同じ見た目をしているらしい。それにしてもあまり自分達の世界の情報を口にするのは良くないと思う。同じ世界同士でも常識が違うなんてよくあるし、別の世界ならなおさら。ノイズとか錬金術とか。

 

「特異災害対策機動部二課は仰陽館女学院の地下に位置する隠し砦! 特異災害ノイズに対抗しうる技術。 _____メックヴァラヌスの秘密を探りに来たのだろう!!」

 

「信じていただけるかはわかりませんが、順を追ってお話ししましょう」

 

「許可する。さっさと話したまえ」

 

凪が粗方言いたい事を言い終えたタイミングで風鳴が説明を始めた。

その内容はどこか私の状況と似ている。細かな説明をしながら語られたので要約するがシンフォギアのデータを狙った襲撃者を追っている最中、彼女達の所属する組織【S.O.N.G.】で保管していたギャラルホルンが暴走し、この世界へとやって来たそうだ。

 

「無数に存在する並行世界!? メックヴァラヌスに比肩するシンフォギア!? 夢がある! だがリアリティは欠片も無い! 付くならもっとうまい嘘にするべきではないかね」

 

風鳴の言葉聞き凪は一蹴。まぁ、平行世界の実在を知らなければ信じられない現象ではあるのは間違いない。……………エグニマ関連の技術を出して信じてもらう事は可能だろうけど、リスクが大きいな。

 

『シンフォギア世界には英雄狂いの様なつもいますし、大っぴらにその手の技術は見せびらかさない方がいいでしょう。ここが私達が根城にしてる世界線ではないですから、いつも以上に慎重になってください』

 

あ、お帰りニャル。

 

『はい、ただいま戻りました!色々と他の私と交信してこの世界線の情報を軽く仕入れてきましたので、また後でゆっくりとお話しします』

 

了解。

さて、混沌を好むニャルにやめるよう言われたのだ。私の持つ技術の開示はしない方向で話を進めなければいけない。同時にこの手の案件に慣れているであろう並行世界の装者と仲良くしとく方向性が好ましいだろう。だけど最悪、この場の全員と敵対する可能性も考慮して………

 

「大方、どこかの国の特務機関所属でメックヴァラヌスの秘密を奪いに来たのだろう!」

 

装者達や私を疑う凪、それに反論する雪音。装者達の言葉を無化に出来ない龍騎達。彼・彼女らの並行する会話をBGMにどう行動するか思考を巡らせる。そんな私達の様子をニャルは蟻の列を面白がる幼児の様に眺めていた。

 

「代行、あたしは彼女達を信じてみようと思う」

 

驚愕する凪を他所に板場は装者に向けて言葉を紡ぐ。

 

「さっきのあんた達、アニメみたいでカッコ良かった。戦闘の強さも、その後の優しさも。 …だからあたしは信じてみる事にしたんだ」

 

満面の笑みを浮かべ名が言う彼女。どうやらパチモン、パチモンじゃないの戦闘はアニメの様な絆を紡いだみたいだ。その言葉に何度目かの驚愕の声を上げる凪。その一方で立場は嬉しそうに微笑んでいた。少女達によって場が和む中、第三者の声が扉の向こうから響き渡る。

 

「その話、我も信じよう」

 

声の主は白髪に白いひげを生やした威厳のある和服に身を包んだ御年輩の男性。

 

「はわわわッ!? あ、貴方は!!」

 

『マジですか… 情報としては仕入れていましたが、まさかこんな形で出会う事となるとは……』

 

その男性の姿を目にしたとたん凪が声を震わせ、ニャルが珍しく真面目なトーンで言葉を零す。

 

「鬼よりも、蛇よりも、潜んでいやがったな ……………伏魔殿にはとんでもないのが」

 

「___訃堂様」

 

雪音が静かに警戒を高める中、凪がその名を様付で呼ぶ。装者達が険しげな表情を浮かべるそばで、龍騎達は一切変わってない。一方で様子を見守っていたオペレータ人にも緊張の糸が見える。視線を一身に受ける訃堂なる人物を知らぬのはこの場で私のみ。騒めく第六感に従い、いつでもドリルクラッシャーを振るえるようにだけ準備し、この先の展開をひたすら見守る。

 

そして訃堂が次に放った言葉が______

 

「よ~~~~く来たのう、お嬢さん方!」

 

_____孫が遊びに来たおじいちゃんの様なセリフだった。




当初の作者の予定よりも長くなりそうな「メックヴァラヌス編」。切りの良い所で終わらす今のスタイルか、無理やり詰め込んで1話で話を大きくスタイルかで悩み中です。


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