産まれちゃいました (maihimemaiotome)
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1話

やってもうた・・・

 

続くかどうかは分かりませんが続けていこうかなとは思ってます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その日まさに全世界を揺るがしたと言って良いほどの者が産まれた

 

 

 

「おお!産まれたか!?」

 

 

 

赤子の産声が聞こえたのか

 

それともただの勘でそう感じたのか

 

分娩室の外でただただ待っていた男は座っていた椅子から立ち上がる

 

 

 

それから数分ほどすると赤子と共に母親と思われる者がベッドに寝かされて運び出されてきた

 

 

 

「あなた、私がんばりましたよ」

 

 

 

ベッドに寝かされた女性は父親と思われる男性にそう喋りかけ嬉しそうに笑顔を作る

 

 

 

「ああ、ああ!そうだな!」

 

 

 

男性は涙を浮かべながら女性に頷いて赤子に目を向けると・・・

 

 

 

「なんと・・・この子はウマ娘か!?」

 

 

 

男性が赤子の頭と臀部から出ている個所を見て声を上げた

 

 

 

それと同時に主治医と思われる女性に

 

 

 

「お父さんですね?少々話があるのですぐに応接室まで来てください。あなたたちはこの事を一切他言しないように。すぐに政府の者たちが調査に来ます、それまでは個人情報保護プラグラムに基づいてあなたたちをこの病院から出ることは出来ないので気を付けるように」

 

 

 

口早に主治医はどこか焦った感じで父親と看護師にそれだけを告げる

 

 

 

「・・・わかりました」

 

「まぁ・・・これは流石にねぇ・・」

 

「ええ!?私これから予定あったのに!」

 

 

 

指示をうけた看護師達はそれぞれ文句を言いつつ従う

 

 

 

「政府!?先生!うちの子達に何かあったんですか!?」

 

 

 

父親は顔を青ざめさせて主治医を問いただそうとすると母親から

 

 

 

「あなた・・・この子はウマ娘であってウマ娘じゃないみたいなの」

 

 

 

「・・・ウマ娘じゃない?え?どういうことなんだ?」

 

 

 

母親からの意味の分からない説明をうけて完全に混乱し始める

 

 

 

「もっとよくこの子を見てあげて」

 

 

 

母親にそう言われて視線を赤子に向けて今一度産まれたばかりの我が子を見る

 

 

 

頭見て

 

 

 

ウマ娘特有の耳があり

 

 

 

臀部を見て

 

 

 

尻尾がある

 

 

 

そして・・・・その臀部から視線をほんの少しだけ【前の部分】に移動させると

 

 

 

「・・・っ!?この子もしかして・・・男の子・・なのか?」

 

 

 

ウマ娘は女の子しか産まれないこれは世界の絶対法則・・・のはずだった

 

 

 

女の子しか産まれない。故に【ウマ娘】なのだ

 

 

 

そう、女の子のはず!

 

 

 

しかしこの子は男性特有の・・・まぁなんというかアレが付いているのである

 

 

 

「御覧の通りです。事が事ですのでウマ娘保護プログラムを発動させました」

 

 

 

主治医の女性は努めて冷静に言う

 

 

 

「今から精密検査のための機材搬入や、報道規制、そして面会規制など様々な規制が行われると思います」

 

 

 

そこまで言い終えると主治医の女性は・・・

 

 

 

「すごいですよ!!これはもう世紀の出産ですよ!?マジやばくないですか!?ウマ娘の男の子ですよ!?超絶可愛くないですか!?うへへへへ・・・・」

 

 

 

何やら崩壊したらしい

 

 

 

その様子をただただ茫然と父親と母親はもう如何していいのか分からず見ている

 

 

 

その空気を潰すがごとく

 

 

 

「・・・あぅ・・あっ・・・あぅ~・・・」

 

 

 

赤ん坊は声にならない声で産まれてきたことを周囲にアピールしていた

 

 

 

父親はそれを聞き

 

 

 

「まぁ俺たちの子だ!なんとかなるだろ!お姉ちゃんも居るんだし元気なウマ娘なりウマ男にでもなんでもなれるさ!」

 

 

 

「あなたったらもう・・・でも・・そうね、私たちの子なのよ。とても元気に育ってくれればそれで良いの」

 

 

 

母親もまさに慈愛の眼差しといった目で産まれたばかりの我が子を愛でる

 

 

 

「でも二人目もウマ娘だとは思わなかったわ」

 

 

 

「ははっ!そうだな!ルナが超喜ぶぞぉ!」

 

 

 

父親は妻にそう返して産まれたばかりの子に語り掛ける

 

 

 

「名前はそうだな・・・『黒風』(こくふう)だ!どうだ!?」

 

 

 

言語を理解しているとは到底思えない赤子にドヤ顔で命名していると

 

 

 

「あぅ~・・きゃっきゃっ」

 

 

 

赤ん坊はそれが良いと言わんばかりに笑う

 

 

 

「ふふ、勝手に決めちゃってルナに後で怒られても私はしりませんよ」

 

 

 

母親は肯定しつつも家で待つ我が長女を思い浮かべた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてとある時空に漂っていた『とある戦乱の時代の二頭の名馬』の魂が融合を果たしてしまい産まれてしまった

 

 

 

ある一頭は乱世を駆け抜けた世紀末覇者を背に乗せ

 

 

 

ある一頭は戦乱の世を駆け抜けた傾奇者を背に乗せ

 

 

 

まさに『名馬』と呼ぶにふさわしい・・・いやもはや英傑と言って差し支えない者が産まれ出たのである



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到着

 

 

自分で見直してみて誤字など結構多いので直していきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「・・・むぅ・・どうやら迷ったか?」

 

先ほどから歩けど歩けど目的地に着かぬ

 

「まったく・・・姉者はもう少し詳細な手順を書くべきだろうに」

 

駅を出てから姉者から届いた手紙を睨みつけながら歩いてはいるのだがそれらしき建物は見えない

 

「そもそもだ、何故に俺がこのような所に行く必要があるのだ?」

 

姉者が家を出て何年が経ったのかどうようでも良いので覚えてなぞいない

 

だがしかしだ・・・・

 

「・・・流石にこのままというわけにもいくまいしなぁ・・」

 

商店街に迷い込んでいた俺はガラスに映り込む自分の姿を見てついぞ言葉が出てしまう

 

「・・・さっさと姉者になんとかしてもらうほかあるまい」

 

ガラスに映っていたのは真っ黒な髪がもはや地面にまで届きそうになった伸びに伸びた自分の姿

 

身長は188cm

 

体重・・・k

 

先月あった健康診断の時の情報を思い浮かべた

 

この情報が世の男の平均なのか『ウマ漢』の平均なのかは知らん

 

理由は俺一人しか居ないからだ

 

俺が産まれたとき世が騒いだらしいがそれもどうでもいい

 

ただありがたいことに食費や交通費など色々なものが政府が持ってくれるのは非常に助かっている

 

それについてはそのうち謝辞でも言ってやらんでもない

 

ただ今はそんなことを考えている場合ではない

 

「来いと言うからには迎えの一つも寄こすのが道理であろうが!」

 

とうとうイライラが少々漏れ出てしまい正面脇にあった電柱を蹴ってしまう

 

ドォン!と音をたてて折れてしまいおった

 

「ふん・・・惰弱な・・鍛えて出直してこい」

 

倒れた電柱に一瞥くれてやってからそのまま進む

 

「おい!なんか突然電柱が倒れたぞ!?」

「怪我人は居ないか!?」

「誰か下敷きになっていないか調べろ!」

「おい触るな!感電するかもしれん!」

 

・・・・・あ~・・くそっ!

 

「すまぬ、俺がぶつかったせいで折れてしまったらしい」

 

進めた歩を戻し、俺は周りの者に言う

 

俺の声を聞いた者の一人が目を少し見開いて

 

「ぶつかったってあんた・・・」

 

文句の一つでも言ってやろうとでも思っているのだろう、耳障りではあるが俺がやったことだ。適当に流して終わりだな

 

「怪我はないか!?」

 

・・・・ん?

 

「どこか痛い所とか身体に違和感はないのか!?」

 

・・・こいつは何を言っている?

 

「俺は問題ない」

 

一言だけ言うとその者は安堵したように笑みを浮かべる

 

「良かった!大事な体なんだ、何かあったらたまったもんじゃないしな!」

 

・・・ふむ、悪くない

 

いや、悪くないではないな

 

良いな

 

この者たちは良い

 

いや、この街に来てから・・違うな

 

駅を降りた辺りからだろうか

 

他の街に居る時とは違う空気を感じてはいたがここに至ってその正体がぼんやりとだが見えてきた

 

「・・・何故怒らぬ?」

 

そのぼんやりとした正体をはっきりとさせるために言葉を放つ

 

「ん~?なんだ兄ちゃん怒られると思ってたのか?」

 

「当然であろう。如何なる理由があろうと俺が関与し、電柱は倒れたのだ。周りは停電し、迷惑を掛けているのではないか」

 

「そりゃそうかもしれないが誰も怪我してない。停電なんぞ何れ回復する。迷惑?そんなもん生きてりゃひたすらかけ続けるもんだ」

 

その者は俺の問いに答えてまだ続ける

 

「それによぉいつもこの街じゃあの娘達に助けられて楽しませてもらってる」

 

その者は視線を少し先に向けてこちらに走ってくるウマ娘を見て言う

 

「こんな電柱が一本や二本倒れたところでどうてことないさ。それに・・・」

 

俺を上から下まで見て

 

「兄ちゃんも似たようなもんだろ?」

 

あはは、と笑うとその者は電柱の周りに散らばってしまったコンクリの破片や周りの者達に業者に連絡するように指示をだしていた

 

「・・・すまなかった。次からはこのような事がないよう気を付けると約束しよう」

 

俺はその者の傍に行き電柱を少し浮かせて路肩に寄せて置く

 

「それで充分さ・・・・つーかなんつー力してんだよ兄ちゃん!?いやそうじゃなくてそんなもんを持ったりして腰いわしたらどうんすんだよ!?」

 

電柱を折った事は怒らぬのに電柱を持ったら怒りだすとは・・・

 

面を食らって呆けていると笑いが込み上げてきた

 

「・・・ふふふ・・はははは!良い!真に気分が良い!高まってきよる!」

 

この者達は『区別』しないのだ

 

実に良い!

 

『一緒』なのだ!

 

俺たちは他の者に比べて明らかに力が強い、足が速い、そして身体が強い

 

それは持たざる者たちからすれば脅威

 

故に多くの者は恐れる

 

映像や遠巻きにみている分にはアイドルなどと持ち上げられる

 

だがしかしだ、一度諍いが起こればそれは如実に表れてしまう

 

その力は脅威となる

 

そしてそうならないように媚び諂う者は多い

 

だがだ・・・だが違う

 

この者達は『普通』なのだ

 

『一緒』なのだ

 

持たぬ者と持たざる者に向ける全てが『同じ』なのだ

 

気分が良い

 

ああっ!この上なく良い!!

 

「コクフウだ」

 

俺は短く言う

 

「え?」

 

突然言われた言葉を理解出来なかったのだろう

 

「コクフウ。俺の名だ」

 

「お、おう?」

 

「名を許す、そう呼ぶが良い」

 

「そうか、コクフウか・・・良い名前じゃんか!次から気をつけろよっ」

 

「そうしよう、この場は任せても?」

 

「構わないよ、手に持ってるもんを見る限りどこか行きたいんだろ?急ぎなよ」

 

顎を俺が進んでいた方へしゃくる

 

「助かる」

 

そう言うと俺は歩きだそうとすると背後から声を掛けられる

 

「クロっ!」

 

・・・・・もう少し早く来るべきだろ

 

「今更だぞ・・・・姉者」

 

俺は声のした方へ振り向く

 

「何が今更だ、これはお前がやったのか?」

 

振り向いた先にはこめかみに明らかに血管が浮き出てそうな笑顔で仁王立ちしている俺の姉

 

「・・・風速500くらいの風でも吹いたんじゃないか?」

 

とりあえず目を逸らす

 

「そうかそうか、500の風が吹いてしまったか・・・・で、言いたい事はそれだけか?」

 

「・・・すまぬ」

 

「はぁ・・・・」

 

盛大に溜息をそこでかましてくれているのが俺の姉

 

「皇帝がそのような溜息をつくもんでは無いぞ姉者」

 

皇帝シンボリルドルフ

 

俺の姉だ

 

「誰がそうさせたのかは分かっているな?」

 

「・・・電子の妖精さんだな」

 

「二度目は無いぞ?」

 

「・・・すまぬ」

 

俺はそう言って頭を少し下げた

 

「いつまで待っても来ないから探しに来ればこれだ。次からはもう少しで良いから穏便にしてくれ」

 

「善処しよう。だが姉者も迎えくらいは寄こしてくれ、いきなりこんな所に呼び出されても俺はわからぬ」

 

「む・・・そう、だな。それについてはすまなかった」

 

俺の次は姉が頭を下げた

 

「だがな・・・」

 

下げた頭を上げて俺を見て

 

「こんな所とはいただけないな・・・その言葉取り消せ」

 

鋭い眼光が俺を捉えた

 

「・・・申し訳なかった。貶す心算ではなかった、謝ろう」

 

今度は先ほどとは違いしっかりと頭を下げた

 

これについては俺の失態だ

 

この街は『違う』と先ほど認識したばかりだ

 

なのに俺が『他の場所』と一緒にしてしまった

 

恥ずべきことだ

 

「すまない、私も気が立っていた」

 

姉は俺の下がった頭を胸に抱きかかえるようにして

 

「久しぶりだなクロ、会いたかったぞ」

 

そして

 

「ようこそトレセン学園へ。私はお前を歓迎する」

 

久しぶりの姉の感触を確かめながら何やらとんでもないことを言われた

 

 

 

 

 

 

何故俺が女の園に行くことになっておるのだ!?

 

 

 

 

 

 



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