ダンジョンで犯されるのは間違っているだろうか ~アイズ・ヴァレンシュタイン編~ (天舞蜜)
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獣姦される【剣姫】
【剣姫】処女喪失劇


 空気を貫くような勢いで迫る『ミノタウロス』の正拳。それがとある冒険者の鳩尾(みぞおち)を的確にとらえた。

 あまりの拳のスピードに防御も(まま)ならず、冒険者の身体が足が地面を離れ、そのままはるか後方へ吹き飛ばされる。

 

「がは――――ッ!?」

 

 直後、冒険者は背後の壁に背中をしたたか打ちつけ、そのまま地面にうつ伏せに倒れ込んだ。

 

「はっ……あ……がッ……」

 

 一瞬にして肺の空気を強引に外へ押し出されて、呼吸が上手くできず、それでもなんとか体勢を整えようと地に手をつき、立ち上がろうとする。

 しかしダメージの影響がでているのか、膝や腕がガクガクと震えて、剣を構えることができない。

 

『グルルルル』

 

 その隙を怪物(モンスター)が見過ごすわけがない。

 ミノタウロスは足に力を籠めると、生まれ持った脚力を生かして冒険者に急接近。ゼロ距離で横に薙ぐような蹴りを繰り出し、冒険者の持っていた剣を弾き飛ばした。

 

「しまっ――」

 

 冒険者は思わず弾き飛ばされてしまった剣の方に目を奪われるが、それが失策であることは明白だった。

 ミノタウロスは再度拳を突き上げるように振るう。

 

 何とか回避しようと冒険者は僅かな余力を振り絞って後ろへ跳ぼうとするが、避けきれない。僅かにかすった程度とはいえ、顎に怪物の全力の一撃を受けてしまう。

 

「あぐッ!!」

 

 脳震盪を起こして膝をつき、おもむろに地面へ崩れ落ちた。

 

(あり、えない……)

 

 朦朧とする意識の中、仰向けでミノタウロスを見上げる冒険者は歯ぎしりをする。

 

 そう、ありえないのだ。

 

 ミノタウロスというのはここ15階層という、ダンジョンの中でも冒険者適正Lv.2の階層に出現するモンスター。だから()()L()v().()6()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 しかし眼前に佇むミノタウロスのステータスは明らかに常軌を逸していた。

 油断が全くなかったとはいえないが、それでも本来ならアイズの敵ではない。

 

『フシュー』

 

 地に伏した冒険者をあざ笑うかのように、ミノタウロスはゆっくりとアイズへ歩みを進める。

 

【挿絵表示】

 

(……ころ、される)

 

 ダンジョン内で怪物に負けた冒険者の末路は決まっている。

 

 待ち受けているのは『死』のみだ。

 

 ましてや今回のダンジョン攻略は【ロキ・ファミリア】一団で潜っている【遠征】ではなく、ステータスアップのための単独行動。助けてくれる仲間は近くにいない。

 

 怪物の手がアイズの首元に伸ばされて、彼女はいよいよ最期を悟った。まさにその瞬間だった。

 

 ――バキリ、と。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………え?」

 

 何が起きているのか分からず、アイズは戸惑うばかりだ。てっきり首を絞められて息絶えるのだと思っていたのだから。

 それがこの怪物は、なぜかアイズの上に跨ると、脳震盪を起こして動けない彼女をいいことに、体中から装備を乱暴に剥がし始めたのだ。

 

 明らかな異常行動(イレギュラー)

 

 状況についていけず、アイズが戸惑っているうちに、身を覆っていた防具全てが地面に散らばり、彼女を攻撃から守るものは何もなくなってしまった。

 そうしてアイズはようやく()()の存在に気がついた。

 

「なっ、に……それ……⁉」

 

 ミノタウロスの股間で隆々とそびえ勃つペニス。筋骨隆々の身体に見合って、あまりにも猛々しい肉棒に、アイズはつい声を上ずらせてしまう。

 

 幼いころから【ロキ・ファミリア】で大切に育てられてきたアイズに、()()を目にする機会があったはずもなく、初めて見る男根、それも怪物のモノに対して畏怖の感情を抱いてしまう。

 

 ミノタウロスという巨大な体躯をした怪物が持つイチモツは、明らかに人間のサイズではない。

 人の拳ほどもある先端に始まり、腕ほどもある太さ。アイズの剣の柄に匹敵する長さのソレは、まさしく異形の怪物に相応しい形をしていた。

 

(あれは、なんなの⁉)

 

 アイズは知らない。

 そういう知識を誰からも教えられずここまで成長してきた彼女は、男根の存在を知ってはいる。しかし女性を前にしたとき、ソレがどういう役割を果たすのかまでは詳しく知らないのだ。

 

「なっ、何をっ⁉」

 

 不意にミノタウロスはアイズのスカートをめくり上げ、その中に目を向ける。アイズは思わずスカートを押さえようとするが、幾多の攻撃を受けた体はいうことをきかず、思うように抵抗が出来ない。

 

 そうこうしているうちにミノタウロスはアイズの履いている青いスパッツに手をかける。

 

「や、やめて‼」

 

 言っても無駄だと分かっていながらも、思わず叫ぶ。

 純真無垢な性格とはいえ、直接陰部を見られて黙っていられるほど羞恥心のない少女ではない。

 

 だがミノタウロスの怪力にスパッツが耐えられたのも一瞬。

 ビリッ、と亀裂が走り、瞬く間に引き裂かれた。

 

 (あらわ)になったのは毛一つ生えていない純白の局部。穢れを知らない割れ目からは僅かにピンク色の花弁が覗いている。

 だがミノタウロスにとってそんなことはどうでもいい。

 

『グルルルル……』

 

 アイズの弱々しい手を払いのけ、片手で彼女の頭を地面に押さえつける。もう一方の手でアイズの右脚を持ち上げると、最早守るものを失った少女の陰部に亀頭の先が押し当てられる。

 

 ここまでくれば流石のアイズも何をされようとしているのか悟る。

 

(まさ、か……⁉)

 

 緊張のあまり乾ききった汚れを知らない花弁。その中へ硬くて焼けるように熱い感触がゆっくりとめり込んでくる。

 ただの一度として誰にも、自分でさえも触れたことのない秘部の内側を、おぞましい肉棒が犯そうとしているのだ。

 

(い……いや、いやっ! こんな……冗談じゃ……‼)

 

 未知の恐怖から逃れようとアイズは無意識のうちにか、最後の抵抗を試みる。

 全身に魔力をこめて風属性の付加魔法(エンチャント)、【エアリエル】を発動させようと、

 

目覚めよ(テンペスト)‼」

 

 詠唱した。

 発動と共に体の、それも局部に風の鎧を集中させる。

 

『ブモオオオ⁉』

 

 突然、肉棒が『風』という見えない壁に圧しとどめられ、思うように挿入できない。

 

 何が起きたのか分からないミノタウロスは、それでも己が男根を強引にねじ込もうとする。

 

「うぐううううう‼」

 

 なおも挿入を諦めようとしないミノタウロスに対して、アイズは全力で風の鎧を編み続ける。

 最後の障壁。これを突破されればもう後には何もない。

 

(大、丈夫……! 私の魔力なら、この風を……突破されることは……ない‼)

 

 アイズの発展アビリティには【精癒】という少量ではあるが、休息をとらずとも精神力(マインド)を自動回復するものがある。これによって精神力(マインド)の消費効率のいい【エアリエル】であれば、長期戦が見込めるのだ。

 

 ……だが。

 

 怪物(モンスター)からすれば、そのようなじれったい攻防戦に付き合う義理はない。

 しびれを切らしたミノタウロスは苛立ったのだろう。押さえつけていたアイズの頭を持ち上げて、側頭部を地面に叩き付ける。

 

「がッ⁉」

 

 唯一剥ぎ取られなかった頭部のプレートアーマーが頭蓋骨を守ってくれたとはいえ、【エアリエル】への集中力が途切れてしまった。

 

(しまっ――――)

 

 邪魔者を払いのけたミノタウロスは、今度こそ入り口を探るように、秘唇を押しのけて亀頭を沈み込ませる。

 

「うっ……ふぐぅっ……ぅぅぅ……っ」

 

 ダンジョン内の冷たく柔らかい空気と、熱を帯びて硬いペニス。両者がアイズの股間を刺激して、何もかもがおぞましく気持ち悪い。

 そしてとうとう、狭い肉壁をかき分けていた亀頭があるべきところへ到達した。

 

 アイズ・ヴァレンシュタインの『処女膜』。

 

 フッ、と。怪物が笑ったような気がした。だがそれも一瞬のこと。

 生まれて初めての刺激。異物を挿入された不快感。人間(ヒューマン)の女に見合わぬ太すぎる肉棒に広げられていくことで発生する激痛。

 

「んぐうぅぅうっ! ふーっ、くふーっ……」

 

 これらに苛まれているアイズに怪物の顔を見ている余裕などない。

 そんなアイズを見て、

 

『ヴモモモオオオ……』

 

 わざと根元まで挿入せず、ミノタウロスはアイズを嬲るように、極太の亀頭で処女膜手前の膣内を泡立てるようにかき回す。

 

「んぐっ……‼ はっ、はっ、くはっ……!」

 

 たったそれだけの行為でアイズは、股から背筋を通ってうなじにまで駆け巡る不快感に苦悶の表情を見せる。

 それを確認したミノタウロスはようやく満足したらしい。

 

『ヴモオオおおおおおおおおオオオオオオオオ‼』

 

 一際大きな咆哮を上げると同時に、掴んでいたアイズの脚を手繰り寄せ、全体重を少女の股に乗せた。

 

「く、は、あ、あああああああああああぁぁぁぁぁぁああああああっ⁉」 

 

 静謐なダンジョン内に、アイズの悲鳴が響き渡る。

 それがミノタウロスにとっては至宝の喜びだったのか。ミノタウロスは鼻息を荒くし、口角を釣り上げてアイズを見下ろす。

 

 だが、股下を始点に下半身を引き裂かれるような激痛を前に、アイズは怪物(モンスター)を気にしている余裕など微塵もない。

 熱を帯びた巨大な黒塊が処女膜を突き破り、膣穴の最奥部まで届いている。

 Lv.6冒険者であり、耐久ステイタスがH153を誇るアイズでなければとっくに絶命している衝撃だ。

 

 自分の身体が壊れていくのではないかという恐怖と激痛で目を剥き、四肢をビクンビクンと打ち上げられた魚のように痙攣させ、大きな悲鳴を何度も上げてしまう。

 

 いっそ心も体も壊れてしまえば楽なのだが、皮肉にもLv.6というステータスがそれを許さない。神の恩恵を受けてなまじ頑丈なだけに、失神することすらできずにいる。

 

 だから地獄は終わらない。

 

 いいや、終わらせてたまるか、と。

 ミノタウロスは邪悪な笑みを浮かべ、そして――――――――



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【剣姫】凌辱劇

 その音はダンジョンの15階層のとある場所から響いていた。

 

 何か大きく硬い突起物が、柔らかな扉に叩き付けられるような音。

 

「やめて……っ、やめっ……あっ! あああっ……‼」

 

 力に任せて抜け出そうと四肢を動かし、股から響いてくる不快感を押しのけようとすればするほど、自分の無力さを痛感する。

 明かりの乏しい暗闇の中、ほのかに熱を帯びた白い肌。それを守る鎧は全て剥ぎ取られ、今や背中を大きく露出したワンピース一枚のアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 アイズは現在、忌むべき存在(モンスター)である『ミノタウロス』に犯されていた。

 

【挿絵表示】

 

 膣肉はこれ以上好きにされてたまるものかと、なんとか肉棒を押し返そうと狂ったように収縮する。

 だが侵入者(ペニス)はこれを嘲笑うかのように、力強くさらに奥を抉り立てて来る。

 

「ぅうーッ……うぐっ……ンンッ!」

 

 ミノタウロスは獣に相応しい乱暴な勢いで、腰を打ちつけてくる。

 そのたびに人間の拳同様の太さのペニスが、膣穴の入り口から最奥まで蹂躙し、ギチギチと肉が軋む。

 傷口に塩を塗られ、強く擦りつけられているような痛みに耐えかねて、アイズの腕や脚が痙攣する。

 

「あがあぁぁああっ! ひぐっ! うぐううぅぅ――ッ‼」

 

 苛烈な抽送のたびに身体が股から脳天まで貫かれるような衝撃に、思わずアイズは歯を食いしばる。

 すると自然に体中の筋肉が収縮してしまい、結果として膣肉までもがミノタウロスのペニスをより強く咥えこむ形となった。

 

「はぐっ⁉ はひぃいい、んうぅっ……ひぎっ⁉」

 

 刀のように緩やかな反りの形状をした黒い塊が、16年鮮度を保ってきた肉穴を味わうように何度も何度も出入りする。

 太さだけの問題ではない。処女膜を破られた傷口がズキズキと痛み、股の周囲まで痺れだす。

 

 いっぽうで膣肉は痛みに耐えようと、ミノタウロスのペニスをさらに強く絞めつけていた。

 

『ブゥオッ⁉』

 

 緋色の花弁の様子が変化したことで、ミノタウロスも学習する。

 

 どうやらこの人間(メス)は乱暴に扱えば扱うほど自分を気持ちよくさせてくれる、と。

 

 ならば怪物(モンスター)としてやるべきことは決まっている。

 

 今までの交接など子供だましであったかのように、熱を帯びた肉棒がアイズの膣内をより一層激しくかき回してくる。

 子宮口をひしゃげさせ、股関節が悲鳴を上げるほどの抽送が、波濤のごとくアイズに襲い掛かる。

 

「ひぎぃぃいい! いあっ、あうっ……あっ、あっ、ああー、ああああッ⁉」

 

 すさまじい一突きに、アイズの顎が大きくのけ反った。……いや、一突きで済むものではない。

 ただの一突きでも腹の内から殴られたような衝撃だというのに、それが何十回と続くのだ。

 あまりにも深く突き上げるものだから、時折(ときおり)下腹部に亀頭の形が浮かび上がる。

 

「ぎ……いぎ……あぐ……ぅ」

 

 アイズは味わったことのない激痛で、目の前が真っ白になる。

 意識の糸が途切れ途切れになり、真っ白になった視界が暗転していく。

 

 その瞬間。

 

『ブモオオおおぉぉぉぉおおお‼』

 

「ひぎいいいいいいぃぃぃいいいいい⁉ はぐあああああぁぁぁあああ‼‼」

 

 再度行われる勁烈(けいれつ)な突き込みが、アイズの意識を強制的に覚醒させた。

 アイズの全身から、ドッと脂汗が流れ出す。

 

『ブフウウゥゥゥウウ!』

 

 ミノタウロスは己が興じる快楽に対して、満足そうに穴息を荒くするが、そんな間近の獣の様子も、今のアイズには気にする余裕などない。ダンジョン内では常に警戒を怠らず、どんな異常事態(イレギュラー)にも対処してきた第一級冒険者の見る影もなくなっている。

 

 股間から脳天まで貫かれたような激痛と不快感に身体が痙攣し、またも気絶しそうになる。

 けれど意識を手放すことは許されない。

 

『ヴヴォオオオオオオオオオオッ‼』

 

「はぐあああああ⁉ はぐッ、ゴホッゴホッ、ふぐんっ⁉ ひぐぅううううううっ‼」

 

 アイズの懊悩(おうのう)など気にも留めず、ミノタウロスは容赦なく腰を振り続ける。

 

 人間の腕にも匹敵する怪物(モンスター)ペニスが膣肉をこそぎ落とすかのように引きずり出されたかと思いきや、一気に子宮の入り口まで穿(うが)たれる。

 

 気を失うことができれば、一体どんなに楽だっただろう。

 それを許さないのがLv.6に課せられた耐久力。普段は頼もしいステータスも、今この時ばかりは恨めしいばかりだ。

 

「んぐぁあああっ‼ あひぃぁああ⁉ んぎいいいぃぃ……っ‼」

 

 ハンマーが分厚いゴムの板を叩くような鈍い音が、アイズのお腹の奥から一定のリズムを刻むように響く。

 

(ううぅっ、こんな……こんなの、死んじゃう! ひぐぅうう‼ アソコから、内臓まで……貫通されて、死んじゃう‼)

 

 最早アイズの脳内から戦意は完全に喪失していた。

 どんなときでも怪物(モンスター)を恨み、憎み、殺意を向けるべき敵として見てきた【剣姫】。そんな彼女の姿は見る影もなく、怪物(モンスター)の一振りの肉棒で、プライドに(ひび)が入り始めている。

 

「うぐぅぇえええ! くああぁっ⁉ お腹ぁあああっ! 奥……奥がっ、潰されるぅうううっ‼」

 

 怪物(モンスター)の巨根が小さな膣穴へ杭のように打ちつけられ、再びアイズの全身が跳ね上がる。

 あまりのペニスの大きさに、齢16の少女の腹は歪に膨れ、ヘソのあたりから亀頭が飛び出すのではないかという錯覚すら覚えるほどだ。

 

「もぉおおっ、もう無理ぃいっ、無理なのぉおお‼ お願いっ、お願い……だからぁぁあああ‼」

 

 普段は無口で、滅多に大声を出さないアイズが、堪らず叫ぶように抽送の制止を懇願する。

 手足をわななかせて、少しでもこの地獄から逃れようと這うように地面を引っかく。

 

 けれどアイズの悲痛な叫びは、ミノタウロスを狂熱へ誘うだけの興奮剤にしかならない。

 

『ヴウウうおおおおおおおぉぉぉおおお‼』

 

 ()()()()()()()()()()

 

 ミノタウロスには周囲の生き物に対し、強制停止(リストレイト)を及ぼす咆哮を使うことがままある。これはLv.1の冒険者では抵抗困難なため、戦闘時に浴びせられればほぼ確実に死亡するといわれている。

 一方で、アイズはLv.6。それも【耐異常】という、状態異常の症状を防ぐアビリティを発現させている。だから今更ミノタウロスが叫んだところで、アイズには何の効果も及ぼさない。

 

 ……はずだった。

 

「がっ、あぁっ、あがっ、ッ⁉」

 

 突如として子宮を、これまでとは比べ物にならない痛みが走り抜けた。

 まるで熱く熱せられた鉄の塊を、直接子宮内へ押し込まれたような激痛。それがアイズの身体を狂ったように痙攣させる。

 咆哮がアイズの膣肉の収縮を強制停止させ、肉棒の勢いが何者にも阻まれることなく子宮口まで到達したのだ。

 

 さらにミノタウロスの咆哮が影響を及ぼしたのは、子宮だけではない。

 

 プシャァアア! プシュッ、プシュルル、ジョバババアアァァアア‼

 

 身体を内側から焼き焦がされるような痛みに白目を剥いて悶え苦しみ、股間から大量の黄色い液体が噴き出す。

 

(わた、しの……身体……、何、が……っ⁉)

 

 子宮に近接する膀胱までもが刺激され、咆哮によって尿道括約筋のタガが外れたせいで失禁したのだ。

 噴き出た黄色い噴水は無様にもあたり一面にまき散らされ、ミノタウロスの腹部にもかかる。そこから跳ね返った液体は、めくれ上がったスカートにもかかり、純白のワンピースの裾が黄色く染め上げられた。

 

(ウソ……私、こんな場所で……漏ら、したの?)

 

 ダンジョン内で無様に失禁する、という事実に一瞬だけ羞恥心が膨れあがる。

 

 けれど、そう長く含羞(がんしゅう)に浸っている余裕はない。

 膣内どころか子宮すら犯そうとする男根の勢い、そこに()められる獣の肉圧たるや、少女の思念を吹き飛ばすには十分なモノだ。

 

『ヴぅウウモオオオおぉぉおオオ‼』

 

「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいい⁉」

 

 ビュバアアアァァァアアア‼

 

 ミノタウロスはアイズが失禁するさまを気に入ったのだろうか。再度放たれたミノタウロスの咆哮によって、膀胱内の残尿が一滴残らずにダンジョン内へ放出される。

 

「はひっ、はっ……くはっ、はへっ……んぐぁあああ⁉」

 

 咆哮で馬鹿になってしまった膣肉の内側を、鋼鉄のように硬いペニスが容赦なく突き進み、守りを失った子宮口が穿たれた。

 灼熱の亀頭が子宮を圧し潰し、そのエラが周囲の膣壁を奥から外へ引っ張るように()する。

 

「ふぐぅううっ、ひぃんンッ! ひぐっ、はぐあぁあっ、うぐぐぅうううう‼」

 

『ヴフウゥゥ! ヴォヴオ、ヴオオオ!』

 

 辛く苦しいだけのアイズとは裏腹に、ミノタウロスは快楽による悦びを隠せない様子で吠えたてる。

 

 やがて一度は広がったアイズの膣内も、幾度と子宮口を押しつぶされる衝撃に痙攣を始めて再び収縮していく。

 そこにミノタウロスが、アイズにのしかかるようにして熱く滾る肉棒を叩きこんでくる。

 

 何もできない、僅かな抵抗も許されない、その圧倒的な怪物(モンスター)の力に、アイズは初めて恐怖を覚えた。

 かつては狩る側、殺す側だったというのに、今や立場が逆転して怪物の思うがまま蹂躙される立場に追い込まれている。

 

「あっ、熱いぃ! お腹の、奥ぅうう! 焼けちゃううう‼」

 

 子宮もろとも周囲の臓物をぶち破るような激しいノックを子宮口に食らう。

 たまらずアイズはミノタウロスの身体を押しのけようと、無我夢中で腕を振り回し、ぶ厚い筋肉に覆われた腹部に拳を叩きこむ。

 

 しかし頭を地面にこすりつけられるように固定され、片足を持ち上げられた姿勢で繰り出されるパンチなど、たかが知れている。ましてや相手はLv.6の女冒険者を一方的に叩きのめし、犯すに至った凶悪モンスターだ。

 

『ヴォフー、ヴォフフー』

 

 アイズの僅かな抵抗をあざ笑うかのように、より一層強く深くペニスを股の花弁の中へ突き立てる。

 

「くはあぁあっ⁉ あひぃぃいいんっ‼」

 

 ドスゥッと深く貫かれると、身体が肉棒に吊られて浮かぶような感覚に陥る。

 そのままの体勢でさらに立て続けに、火に炙られた鉄のように熱いペニスが、膣穴の最奥を連打した。

 

「お、奥ぅうう! それ以上はっ、やめっ、あああアアッ‼」

 

 生理現象とはいえ、痙攣するように(すぼ)まっていく膣穴が、ミノタウロスの巨大なペニスをいやが(うえ)にも昂らせていく。

 

『ブルうウウ‼ ブモオオおおぉぉぉぉオオオ‼』

 

「んぐあぁぁあああっ⁉ んぐっ、ひぐっ、あっ、あっ、あああぁぁああああ⁉」

 

 何の前触れもなく、ひときわ重い一撃が、子宮もろともお腹の中を揺さぶってきた。

 

(まだ、激しく……なるのっ⁉)

 

 怪物(モンスター)の底知れぬ精力に驚愕しながらも、アイズはその真意を悟れなかった。否、この先の未来に待ち受ける運命を、純粋無垢な少女は知りもしなかったのだ。

 

 突然、巨根ペニスがビキビキッと音を立てるほどに激しく痙攣をはじめ、さらに熱く膨張した。

 

「えぎっ⁉ なっ、なにっ、がっ……⁉」

 

 ただでさえ裂けそうな股が今度こそ限界を迎えて、ピンク色の花弁の中から僅かながら血を流す。

 

『ブモ、ブモ、ヴォオオオオオオオオオォォォオオオオオオオオオ‼』

 

「ぐふぅっ⁉ ぐほっ、ぎぃいあああああッ‼⁉」

 

 そして――――、

 

 ドビュルゥウウッ‼ ドパッ! ドプンッ! ビュボボォオオ! ドボボボボボボォッ‼‼

 

「ひぐぁああああああああぁぁああああああぎぃいいいいいいい〰〰〰〰〰〰〰〰っっ‼‼」

 

 アイズは頭を押さえつけられているにもかかわらずに顎を反らして、身体をビクンビクンッと震わせながら、悲鳴なのかともすれば嬌声とも聞こえる叫びを上げた。

 

 大動脈のようにペニスが膣内でドクンドクンと脈打つたびに、人間一度の射精量を遥かに上回る白濁で膠状(こうじょう)の体液が子宮へ流し込まれる。量が量だけに、亀頭によって押しつぶされていた子宮が膨れ始めたのは当然のこと。

 

「ひぐっ、あぐっ、ああぁぁあっ‼ ぶえっ⁉」

 

 ペニスが脈打つたびに、アイズも全身を仰け反らせ、膨らんでいく腹部に全身を慄かせる。

 

「ふぐぅうう、は――っ、ひ――っ! ぶふ――っ! ああ――――っ、あ――っ!」

 

 抽送が止まったことで、少なくとも激痛からは解放された。アイズは何とか自身を落ち着けようと、深く呼吸をして肺に酸素を取り込もうとする。

 ところが、

 

『ヴルルルルル‼ ヴフッ! フゥウウウ‼』

 

「ひぐっ⁉ ま、まだぁっ⁉ あっ、ああっ、待って! まだ出すって、いうのっ⁉ 待っ、待って、あひっ⁉ もう無理! お、お腹……お腹がっ‼」

 

 ミノタウロスからすればアイズの子宮の事情など知ったことではない。

 破裂していないのであればまだ余裕はある。そう判断したのか、それともミノタウロス自身、これを止めようがないのか。

 どちらにしても、ビキビキッと膨れ上がった肉棒は容赦のない追い打ちをかける。

 

 ドビュッ、ドビュルルルルルルル‼ ドクン、ドプププ、ビュルルルルル‼‼

 

『あぐぁっ! あっ、あっ、あああ、あああああああああ‼⁉』

 

 とどめの一発は、開きかけた子宮口から子宮内壁へ水鉄砲のような勢いで叩きつけられ、アイズは白目を剥きそうな様子で悲鳴を上げた。

 

 忌むべき怪物(モンスター)の子種汁が、アイズを卵巣そのものまで犯しつくさんと、子宮の奥深くへ雪崩(なだ)れ込んでくる。

 

 股の奥深いところで巨大なペニスがドクンドクンッと脈を打ち、再び注がれる熱い白濁液の奔流が胎内を蹂躙する。

 今度こそアイズの子宮は限界まで膨張し、はたから見ても分かるほど下腹部が膨れ上がっていた。

 

「はひ――っ、はひゅ――っ、かふ――っ……くふぅうううぅんっ……ッッ‼」

 

 長い長い二度にわたる射精を終えてなお巨大なミノタウロスのペニス。それズルズルとアイズの膣穴から引き抜かれていく。

 

 その瞬間ドパッ、と。

 

 開きっぱなしになってしまった膣穴から、ジョッキ数杯分はあるかというほどの白濁粘液が滝のように零れ落ちた。

 

 ドボボボボ、と派手な音を上げて、ダンジョンの通路ど真ん中に白い水たまりを広げていく。

 

「ぁ…………ぁぁっ…………は……ぁっ……」

 

 全身にまるで力が入らない。

 派手に犯された反動で腰から下が無くなってしまったかのような感覚だ。

 

(な、なんで……こんな……。ひ、ひどい……、股の、骨が……お腹の、筋肉が……、破壊された、ような……感覚…………)

 

 最早感覚は麻痺しかけていて、行為の最後に至っては激痛が和らぎ始め、ただただ不快感に苛まされた。

 

『ブフウウゥゥゥウウ……』

 

 ミノタウロスは痙攣して横たわるアイズを見下ろしていた。

 

 アイズには抵抗する力など残っていない。

 

 このまま殺されるのか、それとも再び犯されるのか。

 どちらにしてもろくな末路ではないと、アイズは虚ろな瞳でミノタウロスを見上げていると、

 

『ヴゥモウウウ』

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そしてそのままどこへともなく歩き出し、姿を消してしまった。

 

(……どういう、こと……?)

 

 朦朧とした意識では考えがまとまらず、怪物(モンスター)が自分を見逃した理由に思い至らない。

 

 そうしてアイズの記憶はここでいったん途絶える。

 

 初めての未知なる経験。壮絶な獣姦劇。

 いかに第一級冒険者とて、所詮は16歳の少女だ。蹂躙され、叫び倒した末、怪物の体液を限界まで注がれた。

 疲れ果てて気絶してしまうのは無理もないだろう。

 

 だがアイズに待ち受ける本当の地獄はここからだった。

 

 このときアイズは理解していなかったのだ。

 あのイレギュラーな怪物(モンスター)に『中出しされる』ということがどういうことなのか。

 

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幕間劇 -1‐
【剣姫】逡巡劇


 かくしてアイズ・ヴァレンシュタインは、辛うじて一命を取り留めた。

 

 だが、生き延びたとはいえダンジョン内。それも階層は中層の入り口『最初の死線(ファーストライン)』よりも遥か下の15階層だ。

 加えて装備のほとんどを、さきのミノタウロスに襲われた際に剥ぎ取られてしまった。

 

「んんっ、くっ、はぁっ、はぁっ……」

 

 強引にイチモツをねじ込まれたことで、アイズの下半身はズタボロだった。目を覚ましてからすぐに周囲への警戒に目を光らせようと立ち上がって、けれどすぐには起き上がれなかった。

 

 それでも身体を奮い立たせ、生まれたての小鹿のように足を震わせながら立ち上がる。

 

 股の間からは、未だに白濁液がゴポッと音を立てながら、太ももを伝って地面に垂れ続けている。その不快感に身震いしながら、アイズは辺りを見回そうとした。

 

 そこで再び、地面に手をついて転びかける。

 どうやら怪物(モンスター)に犯されたダメージが、抜けきっていないらしい。

 

 周囲に散らばった自身の装備は、そのほとんどが使い物にならなくなっていた。

 金属板(アーマー)そのものに損傷はあまり無かったが、身体に固定するための何本もの紐がほとんど切れていたのだ。恐らくは鎧を引き剥がされたときに千切れてしまったのだろう。

 

 アイズは防具を装備することを諦め、手持ちの精神力回復薬(マジック・ポーション)を探す。

 しかしこれも装備を奪われた際に、周囲に投げ出されて容器が破損。中身はとっくの昔にダンジョンの壁や床に吸い込まれていた。

 

 唯一残されたのは、共に数々の死闘を潜り抜けてきた愛剣(デスぺレート)……の青い『鞘』だけだった。

 

【挿絵表示】

 

 肝心の剣そのものはいったいどこへ行ってしまったのか。周囲に目を配ると、少し離れた場所に下層へ繋がる人一人がようやく通れそうな縦穴があることに気がついた。

 どうやら戦闘でミノタウロスに吹き飛ばされたとき、手放してしまった剣はそのまま空を舞い、縦穴から下層へ落ちてしまったようだ。

 

「……なんて、こと」

 

 アイズは愕然とする。

 

 現状は最悪に近かった。

 

 ミノタウロスの蹂躙劇によってズタズタにされた下半身。

 股が痛いのは言うまでもないが、犯されている間、常に強く持ち上げられていた右脚がズキズキと痛む。骨折とまではいかずとも、下手をすれば骨に(ひび)が入っているかもしれない。

 

(18階層到達は……無理……かな……)

 

 18階層。通称『迷宮の楽園(アンダーリゾート)』と呼ばれる安全階層(セーフティポイント)

 

 モンスターが出現(ポップ)しない迷宮内にある数少ない安全圏の一つである。階層全体には水晶が存在し、地上と異なって太陽光の差さないダンジョン内でありながら、天井にも存在する大量の水晶によって、朝と夜が存在し、広大な森、澄み切った湖がある。

 また、『雲菓子(ハニークラウド)』や『水晶飴(クリスタルドロップ)』といった、冒険者でも食すことのできる木の実も生っている。

 

 もし仮にアイズがそこまでたどり着くことができれば、休息がとれるのは間違いないだろう。

 

 食べ物にありつけなくとも、アイズは念のために少なからずお金を持ってきている。

 18階層内部には、リヴィラの街という冒険者たちの手で独自に構築された『世界で最も美しいならず者の街(ローグタウン)』が存在する。

 

 そこにはアイテムや武器等が売られており、法外な値段とはいえ今のアイズなら、ミノタウロスと遭遇する前に集めていた魔石を足せば、回復薬(ポーション)の一つや二つは手に入る。

 

 だからもし仮に、3つ下の階層まで降りることができれば、アイズの実力ならあとは安全に地上へ帰還できるだろう。

 

 問題は、その手前に待ち受ける17階層だ。

 

 ダンジョンに潜り始めて最初に出会う『迷宮の孤王(モンスターレックス)』と呼ばれる()()()()()()()()()()()()()

 

 階層主の名は『ゴライアス』。

 

 ギルドの推定ではLv.4に相当する。

 全長は7Mにも及び、体表は灰褐色の体毛に覆われている。出現場所は18階層へ直通する洞穴の手前、『嘆きの大壁』と呼ばれる一面真っ白で真っ平な、氷の崖のようなところ。

 

 Lv.6に到達した万全のアイズなら全力を出せば瞬殺できる相手だが、今は状況が悪すぎる。

 

 愛剣であるデスぺレートを失い、下半身にはまともに力が入らず、片足には鈍痛が今もなお響いている。加えて万が一の時身体を守ってくれる防具は一つも残っていない。

 こんな状態でゴライアスに立ち向かえば、甘く見積もっても相打ち。最悪の場合、一撃も与えることのできぬまま虐殺されるというオチが待っている。

 となれば18階層への侵攻は諦めて、地上を目指すのが最も安全な選択肢だろう。

 

(いける、かな……)

 ボタリ、と。膣内に残っていた白濁液が、再び地面に滴る。

 アイズは震える下半身に目を背ける。

 弱気になってはいけない。もうあんな無様な痴態を晒すようなことがあってはいけない。

 そう自分に言い聞かせて、アイズは剣の鞘を片手にゆっくりと歩み始める。

 

 ここは冒険者として適正Lv.2の中層だ。

 体力と気力を削られ、本来の半分の力も発揮できない不調に陥ったとはいえ、Lv.6のアイズなら。第一級冒険者なら、十分に無事地上へたどり着ける可能性が残されている。

 

 ときおり壁に手をつきながらも着実に一歩一歩前へ進み、アイズは上層を目指す。

 股の間から白濁液を垂れ流し、不快感に見舞われながらもアイズは一人、通路を後にした。

 



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強姦される【剣姫】
【剣姫】陥穽劇


 激しい激突音が連鎖する。

 

 第一級冒険者の手によって吹き飛ばされた怪物(モンスター)『ライガーファング』は、体を不規則に回転させながら地面へと崩れ落ちた。

 

 もう何度とも知れない戦いを前に、手刀を突き出したアイズ・ヴァレンシュタインは、額から流れる汗に構わず辺りを警戒する。

 

 本来なら呼吸一つ乱さず数体を同時に相手取れる怪物(モンスター)のはずだが、今の消耗したアイズでは一対一でも余裕がない。

 

 ガクリ、と右脚の力が抜けた。

 ミノタウロスに痛めつけられた部位が今になって悲鳴を上げ、力を込めるのも一苦労だ。咄嗟に左脚を主軸にして腰に力を込め、膝をつくのを防いだ。

 

 異常なまでの発汗に、気を抜くと閉じてしまいそうな(まぶた)

 原因はアイズにもわかっている。

 

精神疲弊(マインドダウン)……しかけて、いる……)

 

 自身に負担をかけ過ぎたのだ。

 

 ミノタウロスに足腰をやられ、装備一式を失った。そのマイナスを【エアリエル】という度重なる魔法行使で補っていた。

 精神力の消費が少ない魔法とはいえ、ここまでの道のりは連戦に続く連戦だった。

 長時間の魔法の行使。いかに魔力量が優れている冒険者とて、体に負担がかかるのは明白だ。

 

 精神力を大量に消費したことで、アイズの体は限界に到達しようとしていた。

 手元には精神力回復薬(マインドポーション)などという都合のいいアイテムは一本もない。

 

 この状況を覆す方法が、今のアイズには無かった。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 

 モンスターの影が消えて戦闘音が止み、自身の荒い呼吸の音以外何も聞こえなくなった途端、一気に周囲が暗くなったような気がした。

 

 幻覚だ。太陽の光も届かないダンジョン内が急に暗くなることなどありえない。

 

 だからこれは、ただの幻覚に違いない。

 だからこれは、今のアイズが抱える心象風景だ。

 

 パーティーを組んでいない今、頼れる仲間は近くにいない。たった独りっきりの不安と焦燥感。そして恐怖が、心の奥底から浮かび上がろうとしている。

 

 やがて焦慮に駆られた鼓動が聞こえてきた。戦闘が終わってとっくに呼気は落ち着いているはずなのに、心拍音は増大する一方だ。

 

「……ッ‼」

 

 ギリッ、とアイズは歯を、折れそうなくらい嚙み締めた。

 右手に握られた剣の鞘を強く握りしめて。壁に寄り掛かる左腕に力を込めて。

 

(怯えてる暇なんて……私には、ない!)

 

 そう、自分自身の心に言い聞かせる。

 

 けれど体が重い。

 

 全身が鉛でできているかのような感覚に否応なく陥る。風邪でも引いたときのような発汗が止まらない。

 でも進める。動ける。【ステイタス】のおかげで吹けば飛ぶような細身の、体の内側からズタボロにされたアイズでも、まだ移動できる。

 

(またあのモンスターと遭遇する前に、早く上の階層へ……)

 

 次に『怪物の宴(モンスター・パレード)』に出くわしたら切り抜けられるかは分からない。

 おそらく碌な戦闘もできないまま蹂躙されるか……、少なくとも無傷では済まないだろう。右脚も庇いきれない。逃げ出すのが関の山だ。

 

 いや、それよりも。

 

 最悪なのは、再びあのミノタウロスに遭遇することだ。

 万全の状態だったLv.6のアイズを一方的に蹂躙し、あまつさえ犯すに至る。そしてなぜか殺すことなく洞穴の闇へと姿を消した。

 

 異常(イレギュラー)な要素が多すぎる存在。

 

 最終的に見逃されたように終わったとはいえ、ここはまだダンジョン内だ。

 再び出遭うようなことがあれば、今度こそ『死』を覚悟するしかない。

 

 Lv.6の第一級冒険者を赤子のようにあしらう身体能力(フィジカル)を備えているとなれば、Lv,7相当かあるいはLv.8に匹敵するかもしれない。討伐するともなれば複数のパーティー、それも第一級冒険者たちを動員しなければなるまい。

 

 地上へ生還できたら、ギルドへの報告は必須だ。

 

「(でも……戦闘のあとのことは、黙っていよう)」

 

 あんな辱めを受けた事実は、口が裂けても他言できない。

 そう心に決めて、アイズが震える声で呟くと、少女はいつの間にか広間(ルーム)に辿り着いていた。

 すると、

 

「オイオイ、獲物がかかったと駆けつけてみれば……よりにもよって【剣姫】とはなぁ」

 

 アイズの背後から、男の軽薄な声が響き渡った。

 

「こんな上玉は久々だぞ」

 

 広間(ルーム)のあちこちから、岩壁に擬態する隠蔽布(カムフラージュ)を脱ぎ捨てて、二桁には迫ろうかという数の人間たちが姿を現す。

 

 体臭を無臭化させる匂い袋を投げ捨てながら、広間(ルーム)中央に立つアイズを取り囲むように、ジリジリと距離を詰めていく。

 男たちの中で、硬直するアイズの背後の通路口から姿を現した、防塵眼鏡(ゴーグル)をつけた男は、手に持った槍を慣れた様子でクルクルと弄ぶ。

 

「ああ。こりゃあ、少しは手こずるかもなぁ」

 

 男の唇の端が、飢えた狼のように吊り上がった。

 

「冒険者っ……!?」

 

 ……否、狩猟者(ハンター)の一個分隊。

 種族は大きく分けて三つ。ヒューマンに獣人、そしてドワーフだ。

 

 頭目と思しき防塵眼鏡(ゴーグル)をかけた男と同様に、残虐な笑みを浮かべる亜人(デミ・ヒューマン)たちの手には、各々の武器が握られていた。碌な手入れがなされていないのか、どの得物も刃こぼれが酷い。

 

「私に……何の用?」

 

 アイズは跳ね上がる鼓動を押し殺して、鞘を構えながら頭目らしき眼鏡(ゴーグル)の男に問いを投げかける。

 すると男はフン、と鼻をひくつかせて、

 

「聞くまでもねえだろうがよ、【剣姫】さん。それともここまできて、まーだ状況がつかめねぇのか?」

 

「言っておくけど、こんなところで争うのは、おすすめしないよ。この階層には――」

 

「――怪物(モンスター)、それも異常なまでにぶっ飛んだ身体能力(フィジカル)を秘めたミノタウロスがうろついているから、か?」

 

「ッ!?」

 

 アイズしか知りえないはずの情報が、男の口から発せられた。それが、彼女の心を動転させる。

 その瞬間を狙いすましたかのように、亜人集団のうちの一人がアイズの背中目がけてとびかかる。

 

 ドスッ、と。

 

【挿絵表示】

 

 さく裂したのはアイズの胴回転回し蹴り。

 右脚に大きな負荷をかけられないため、左脚一本で跳躍すると、そのまま空で左足のブーツ踵を獣人のこめかみに叩き込んだ。

 

「ぶげはぁっ!?」

 

 奇襲に失敗して無様に地べたを転がされた獣人は、そのまま気を失って起き上がることはなかった。

 

「奇襲は無駄。そのLvじゃ、私は倒せないよ」

 

 警告のつもりで周囲に聞こえるように、アイズは再度鞘を構える。

 

 得物を使うまでもなく倒すことができる。そう見せつけることで、挑戦者たちが引いてくれるよう、わざと肉弾戦で圧倒的実力差を見せつけるという駆け引きをしたつもりだった。

 

 しかし。

 

 パチ、パチ、パチ、と。

 

 眼鏡(ゴーグル)の男は拍手をし始め、何かを確信したように口角を釣り上げる。

 それを本能的に不快に思ったアイズは、問う。

 

「何が、おかしいの?」

 

「いやいや、今の奇襲は無駄なんかじゃねえってことだ。現に収穫があったしな」

 

(……収穫?)

 

 男の言葉の意図するところが分からず、アイズは訝しげな表情を見せる。

 

「今の回し蹴り、見事だった。さすが第一級冒険者、アイズ・ヴァレンシュタイン。剣技だけじゃなく、体術も抜群ってわけだ。ま、そんなモンを見せつけられちゃあ、大抵の挑戦者はビビッて遁走するだろうよ」

 

 でもなあ、と。男は続ける。

 

「お前、見えちゃいけねえモンまで見せたな」

 

「――ッ!」

 

 瞬間、アイズは男の台詞の意味を悟った。

 回転蹴りなどという派手な技を決めれば、当然スカートはめくれ上がる。ましてやアイズの身に着けているワンピースは、ミニがつくほど裾が短いスカートだ。『中身』が見えないなんてことはありえない。

 

 だから一瞬の出来事とはいえ、この男は見逃さなかったのだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「確信したぜぇ。お前、あのミノタウロスに負けて……犯されたな?」

 

「ッ!」

 

 今度こそアイズは大きく動揺した。

 

 敗北を悟られたこと。辱めを受けたことを他人に知られたこと。それも下卑た笑みを浮かべる、明らかに善人とは程遠い人間に知られた事実に、アイズの羞恥心は燃え上がり、無意識のうちに頬を赤く染める。

 眼鏡の男は、凍り付いたアイズにねばつくような視線を向けて、口を開いた。

 

「よし――狩れ」

 

 くだされた命令に、狩猟者(ハンター)たちは喚声を上げた。

 

「いよっしゃあああ‼」「久々の得物だああ!」「逃がすんじゃねえぞおお‼」

 

 それまで大人しくアイズを囲むように陣形を組んでいた狩猟者(ハンター)たちの顔に、残忍な笑みが浮かび上がる。

 見せつけるように白い歯を剝き出しにして、全方位からアイズ目がけて同時に突貫する。

 

「なっ!?」

 

 逃げ道を塞がれたアイズは、やむを得ず地を蹴って高く飛び上がる。

 そうして最も動きの鈍いドワーフの狩猟者(ハンター)に鞘を振り下ろし、脳天に直撃させた。

 

 瞬間、両脇から別の狩猟者(ハンター)の刃が、アイズの腹部目がけて薙ぎ払われる。

 アイズは腰を反るような姿勢で躱すと、手を地面につき、そのまま超低姿勢から蹴りを放って一人の狩猟者(ハンター)の足首をへし折った。

 

「ぎああああっっ!?」

 

 狩猟者(ハンター)の悲鳴が上がるが、誰も気には留めない。同じ仲間でさえも、知らんとばかりに無視してアイズへの攻撃に集中する。

 アイズがどれだけ攻撃を浴びせようと、狩猟者(ハンター)たちが怯むことはなかった。

 

 一人が倒れようが、アイズの攻撃で生まれた隙を好機と見て、別の狩猟者(ハンター)が彼女の懐へ潜り込もうとする。盾を構えて体当たりをぶちかまそうとする者もいれば、棍棒(メイス)を振り回してアイズの足元を狙う輩もいる。

 

 彼らの行動に一貫して見られるのは、アイズを『殺す』のではなく『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 アイズは名の知れた冒険者であり、分をわきまえない挑戦者に襲われるというのはダンジョンに限らず、よくある日常の一つだった。

 

 だが、味方さえ囮にして白刃を突き出してくる無情な人間たち。遠距離から魔法詠唱や矢を番えて、味方もろとも打ち抜こうとする粗陋(そろう)な連中。こんな襲撃はかつて見たことも経験したこともなかった。

 

 そんな仲間すら道具の一部として行動する彼らに、幾多の修羅を潜り抜けてきたアイズも動揺を隠せない。

 

 さらに狩猟者(ハンター)たちは単純に強かった。何よりも集団戦に長けていた。

 怪物(モンスター)の大群が襲ってくるのとはわけが違い、行動一つ一つに意味がある。ただ闇雲に得物を振り回しているのではなく、眼鏡の男の統率の元、()()()()()()()()()()()()()()

 

 一人一人のLvがアイズを大きく下回るとはいえ、中にはLv.3に相当する戦闘能力を秘めた輩も混じっていた。

 さしものアイズも分が悪く、独りで戦っている少女の形勢が、刻一刻と傾き始める。

 

「うぐっ!」

 

 ついに、味方を囮にしてゼロ距離まで接近した獣人の拳がアイズの背中にめりこみ、姿勢が大きく崩れる。

 

 その隙を逃す狩猟者(ハンター)ではない。

 

 多くの戦法と武器を駆使する彼らは、一度傾いた形勢をものにしてしまおうと、一気にアイズを蹂躙しにかかる。

 しかし、そこで地に伏すのであればアイズは第一級冒険者などという地位に辿り着いてはいない。

 

「【吹き荒れろ(テンペスト)】‼」

 

 鞘に、全身に大気流(エアリエル)を注ぎ込み、暴走させる。

 アイズに襲い掛かろうとしていた狩猟者(ハンター)の群れは、吹き荒れる風の奔流に揉まれ、四方八方へ散り散りに吹き飛ばされた。

 

「「「―――――――――ッッ!?」」」

 

 狩猟者(ハンター)たちは叫び声をあげることもできず、一瞬の出来事に思考が真っ白に染まり、そのまま壁にたたきつけられて地に崩れ落ちた。

 ……ただ一人を除いて、だが。

 

「ひゅー、やるじゃねえか。もう魔法を使う力は残ってねえと踏んでたんだけどなぁ」

 

 広間(ルーム)の出入り口から一歩も動かずにいた眼鏡(ゴーグル)狩猟者(ハンター)は、部下が全滅したにもかかわらず、感心したような声を上げて口笛を鳴らす。その手には穂先がねじ曲がった朱色の槍が掲げられていた。

 

 それまで傍観していただけの眼鏡(ゴーグル)の男が、アイズへ向けてゆっくりと歩みを進める。

 

 アイズもまた、警戒心を周囲ではなく眼前の男一人に絞り、呼吸を整える。

 すると男は何を思ったのか首を窄めて「やれやれ、価値が下がるな」と独り言ちり、

 

「できれば傷はつけたくないんでな……どうだ、ここらで降参するってのは」

 

 アイズに向けて投降するよう提案をしてきた。

 

「馬鹿に、しているの?」

 

「いいやぁ? むしろ称賛している。ミノタウロスに犯され、下半身はズタボロだろう? だというのに俺の部下を全滅まで追い込む底力。さすがは第一級冒険者だ。だが――」

 

 ガキイィィイイン、と。

 

 急接近した男の赤い槍がアイズの鞘とぶつかる。

 鍔迫り合いのまま数秒が過ぎたところで、ジリジリとアイズが押され始めた。

 

「――いかに第一級冒険者とて限界はある」

 

「ッ!?」

 

 そのまま男は槍を薙ぎ払い、アイズを後方へ押し詰める。

 

「もうお前に魔法を発動させるだけの精神力(マインド)は残っちゃいねえ」

 

「くっ!」

 

 男の言う通り、アイズにはもうほとんど抵抗する力が残されていなかった。無理をすれば数秒くらいは【エアリエル】を発動できるかもしれないが、その後は確実に精神疲弊(マインドダウン)するだろう。すなわち気絶だ。

 

 そうなれば倒れている狩猟者(ハンター)や、目の前の男が何をしてくるのか想像もつかない。

 

 だからアイズは普段の半分も出せない実力だけで、この壊れかけの鞘だけで、眼鏡(ゴーグル)の男を撃退しなければならない。

 

「なぁ、サッサとあきらめろよ。今ならまだ――」

 

「黙って……!」

 

 アイズはフラフラの身体とは対照的に、普段以上に意思のこもった目を向けて、眼鏡(ゴーグル)の男を睨みつける。

 

「私は、諦めないよ。あなたを倒して……ここを……ここ、を……?」

 

 ふいにアイズの様子が豹変する。目がうつろになり、視界の焦点が定まらなくなった。

 足元がおぼつかず、手に持っていた鞘を落としてしまい、ついには膝をついてしまう。

 

「……なに、これ……?」

 

 自分の身体に何が起きているのか。

 訳も分からず自問するアイズとは対照的に、

 

「……くくっ、…………くはっ、はははっ、はははははあぁ!」

 

 広間(ルーム)にただ一人たたずむ男は大きく嘲笑する。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その笑い声は、長い長い歳月をかけて育てた果実がようやく熟れたような、そんな喜びに近しいものだった。

 

「ここまで頑張ったご褒美に教えてやるよ、【剣姫】。あのミノタウロスはな、俺たちが育て上げた怪物なのさ」

 

「…………ぇ?」

 

 育てる? 人が? 怪物(モンスター)を?

 

 いったいどうやって育てるというのか。思考回路が安定しないアイズには、理解の出来ない言葉だった。

 

怪物(モンスター)はな、怪物(モンスター)の急所にあたる魔石を食らうと強化されていく。だから俺たちは、とらえた怪物(モンスター)に大量の魔石を食わせた。そうして怪物(モンスター)調教(テイム)してはダンジョン内に放ち、のこのこ潜ってきた冒険者たちを瀕死に追い込むって寸法さ」

 

 分からない。アイズには理解ができない。

 

「……なんで、そんな、こと……」

 

 すると眼鏡(ゴーグル)の男はこれまでとは比べ物にならないほど残虐非道な笑みを貼りつけて言った。

 

「楽しいからに決まってるだろう?」

 

 男はその冷徹な顔の前に手をかざし――、

 

「人も、怪物(モンスター)も、俺の掌の上で暴れまわる。何が起きているのか、訳も分からず蹂躙し、蹂躙される」

 

 ――かざした手で拳を作る。そしてふいに天井を仰ぎ、こう続けた。

 

「俺はな、()()()()()()

 

 それは男の本音の一端だった。

 

「人間でもいい。怪物でもいい。本性と本性がぶつかり合うときに散らす感情、情欲の火花。刹那の輝きを、俺は何度でもこの目に刻みつけたい」

 

 アイズは男の娯楽のための贄だった。

 

 おそらくは、ミノタウロスの精液に体を麻痺させる何らかの成分が混ざっていたのだろう。

 それを浴びるように体内へ放出された少女は、いかに【耐異常】のアビリティを保持していたとて、抵抗(レジスト)しきれなかった。あるいは【耐異常】があったからこそ、今の今まで効果が出ていなかったのか。

 

 いずれにしても、これでアイズは完全に勝機を失った。

 

「ま、それに俺たちの【ファミリア】はほとんどが男だ。少しは部下のストレスを発散させてやらねえと、俺の目の届かないところで何をしでかすか分かりゃしねえからな」

 

 さてと、と話を終えた眼鏡(ゴーグル)の男は辺りを見回す。

 

「オイ、お前ら。いつまで寝てるつもりだ。サッサと起きて仕事をしろ」

 

 男の凍てついた声音に、気絶していたはずの狩猟者(ハンター)たちが、本能的な恐怖を感じ取ったのか、皆一同に目を覚ましてすぐさま起き上がる。

 

「手足が無事な奴はこの『荷物』を運べ。残りは自力で住居(アジト)まで帰還しろ。間違っても他の冒険者に気取られるなよ」

 

 行くぞ、と告げて眼鏡(ゴーグル)の男は(きびす)を返した。

 

 アイズの手によって負傷した男たちがよろめきながら立ち上がり、回復薬(ポーション)を患部にかけて傷を癒す。やがて彼らはフラついた足取りで、眼鏡(ゴーグル)の男に続く。

 

 広間(ホール)を後にして、通路を進む無法者たちの肩に担がれ、無気力に放り出された手足が揺れるアイズ。

 

 ほんの少し前まで激戦が繰り広げられた広間(ホール)から遠ざかっていく中、もはや少女の目に光は無かった。

 



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【剣姫】興奮劇

 静寂が耳を貫いてきた。

 あまりにも静謐が過ぎて、心臓の音が目を覚ます起因となる。

 牢獄の暗澹(あんたん)たる闇が、大の字で仰向けに横たわるアイズ・ヴァレンシュタインを包み込んでいた。

 

 唯一の光源は、ブロックを積み上げて作られた壁面に置かれた蝋燭(ろうそく)の炎だけだった。

 僅かな明かりを頼りに辺りを見渡すと、5M四方の壁アダマンタイトで作られており、入り口はたった一つ、錠のついた『扉』。おそらくは最硬金属(オリハルコン)製。そして見上げれば先が目視できないほど高い天井。

 

 まるでダンジョンの深淵たる『深層』のようだと、アイズは感想を抱いた。

 だが超硬金属(アダマンタイト)製の壁で覆われている、とい点がダンジョンとは異質な空間だと認識させる。

 

「ここは……牢屋?」

 

 動こうとすると、手首と足首に強い違和感を感じた。

 見れば最上質の超硬金属(アダマンタイト)製の手枷と足枷が両手両足につながれている。足枷からは同じく超硬金属(アダマンタイト)製の鎖が伸びており、向かう先はアイズの寝かされているベッドの手すりだった。

 つまり、アイズは身動きできない状態で囚われの身となっているのだ。

 そのことに気づいたアイズは即座にこれを危機的状況であると判断し、

 

「『目覚めよ(テンペスト)』」

 

 詠唱式を口にした。

 アイズの身体を中心に噴き出た強力な風魔法が拘束具へと移り、拘束具を損耗させようとする。

 ところがアイズの思惑が外れた。

 

 ブアアァッ、と。

 

 編み上げたはずの付加魔法(エンチャント)が拡散してしまったのだ。

「えっ!?」

 アイズにはこの現象に覚えがあった。

 それは『白』を纏い、『二頭』の首を持っていた。

『幻竜』という言葉を彷彿させる巨大な体躯で、しかし中身は狂暴凶悪の化身そのものだった。

 

 27階層、『迷宮の孤王(モンスターレックス)』。

 

「『双頭竜(アンフィス・バエナ)』の『紅霧(ミスト)』。それを高濃度に凝縮させ、改良した香を焚いている。つまりこの部屋では魔法の威力が半減する」

 いつの間にか、部屋の入り口には眼鏡(ゴーグル)の男と獣人、2人の男が立っていた。

 

 片方の眼鏡(ゴーグル)の男はアイズを誘拐するときにいた、小隊の頭目らしき人物と同一だ。

 魔法に集中していて扉の開く気配に気づけなかったため、突如響いた彼の声に驚いたが、それよりも……。

(そんな怪物(モンスター)まで、利用しているの!?)

 アイズはこの組織の内情のほうにより一層驚愕する。

 

 純粋な戦闘能力はLv.5に達し、第一級冒険者でも単独での撃破は滅多にすることのない、現在確認されている唯一の移動型階層主だ。

 それを調教(テイム)したのか、それとも何らかの方法で操っているのか。どちらにせよ目の前の男たちが所属する【ファミリア】では、とんでもないことが秘密裏に行われていることだけは確かだった。

 

 男たちはアイズの拘束されている部屋の中に入ると、分厚い扉を閉めた。

 彼らは手に何も武器を持っていなかったが、代わりに獣人は分厚い大判書籍が何冊か収まりそうな木箱を一つ持っていた。歩くたびに中身がガチャガチャと音を立てるが、それが何なのかアイズには皆目見当もつかない。

 

「な、なあ、ディックス、いいか?」

 

「ああ?」

 

 獣人の男はアイズの目の前までくると振り返って、ディックスと呼んだ眼鏡(ゴーグル)の男に目を合わせる。

 ディックスはアイズの逃亡を警戒しているのか、相変わらず入り口付近で佇んだままだ。

 

 獣人の男は、どこかディックスに怯えた様子でありながらも、卑屈な笑みを浮かべて要望を伝えた。

 

「きょ、今日は()()()()()()の様子見だけだって言ったけどさ、やっぱ『味見』くらいはしてみてもいいか?」

 

「……」

 

「他の連中が嫉妬するっつーのは分かるけどよ、時間がたてば弱っていくし……ほ、ほら、もったいねえだろ?」

 

 アイズには、獣人の男が何を言っているのか分からなかった。だが自分の意思とは反して背中からドッと冷や汗が噴き出す。

 

 何か……。

 何か、よくないことが起ころうとしている。起こされようとしている。

 

「……好きにしろ。ただし後始末は自分でやれ」

 

 獣人の男と、そして硬直するアイズを一瞥したディックスは、ため息交じりに『許可』を出した。

 

 ディックスの嘆息が引き金(トリガー)となって、獣人の顔が醜悪に歪む。

 

「へ、へへっ、暴れるんじゃねえぞ?」

 

「――――ッ!?」

 

 アイズへと向き直った獣人は荒い呼吸に下卑た笑みを浮かべる。

 白い肌を舐め回すかのようなねっとりとした視線が、少女の肢体の方々に向けられる。

 瞬間、アイズの脳裏に()()()()()()()()の顔が蘇った。

 

(同じ、だ……)

 

 同じだった。

 

 アイズを襲った規格外の怪物(モンスター)、ミノタウロス。それに向けられた眼差しと同じ尾籠(びろう)な目を、この獣人はしている。

 その事実がすべてを物語っていた。

 

『強姦趣味』の男だ。

 

 人間の女、とりわけ自分に嫌悪感を抱いている女に欲情する異常性癖者。

 冒険者の間では『怪物趣味』と並んで最大級の蔑称とされ、忌避されているある種の人格破綻者。

 

 彼は(けが)すつもりだ。

 

 獣を野に放ち、襲わせ、傷つかせるに飽き足らず、今度は誘拐して自分たちの手で、アイズの尊厳を踏みにじろうという。

 

 いや、だからこそディックスは告白したのだ。

 あのミノタウロスを(けしか)けたのは自分たちであると。そうやって、アイズに忌み嫌われることで嫌悪感を増長させ、『強姦趣味』の部下に最大限の報酬を与えようとしていたのだ。

 

「や、やめてっ……また、こんなの……!」

 

 取り乱したように語気を荒げるアイズは腕を振り回そうとするが、ハッキリ言って無意味だ。

 傷ついた体に加え、枯渇しかかっている精神力(マインド)。ミノタウロスの精液を浴びて麻痺状態に陥っている、という幾多もの状態異常(デバフ)がアイズの身体を蝕んでいる上で、四肢には上質なアダマンタイト製の枷が食い込んでいるのだ。

 

 何もできないアイズはせめてもの抵抗とばかりに、下卑た笑みを浮かべる獣人を睨むが、それが逆に男の嗜虐心をそそった。

 

「ううっ……!?」

 ベロリ、と。獣人の粘ついた長い舌がアイズの頬を舐める。

 吐き気を催す獣人の所業にアイズは思わず身震いするが、その嫌悪感から逃れることは許されない。

 

 獣人がアイズの上に馬乗りになると、彼女の豊満な胸に手を伸ばし、服の上から人差し指で布地をなぞる。

 

「……んっ」

 

 服の上からでもうっすらと分かる、ぷっくりと膨れた局部。男の指が乳房のある部分にまで届くと、そこを執拗に攻めたてる。

 男は布の内側に秘されている乳頭を、指でグイグイと圧し潰すように刺激してきた。

 

「んっ……んくっ……!」

 

 柔らかな膨らみは男の強い指圧に耐えられず、胸そのものが乳首周りを中心に変形する。

 常人なら痛みを伴うほどの強い刺激だが、ことアイズが相手となれば話は違ってくる。

 冒険慣れしていて普段から傷を負っては戦うという痛い思いをしているLv.6の第一級冒険者の耐久力を鑑みれば、それ相応の触り方が求めらえる。

 

「んんっ、フゥッ!? んくっ!?」

 

 やがてアイズの身体に明らかな反応に変化があった。

 それまで平坦だった白い布地にぷっくりとした確かな膨らみが姿を現し、胸が熱く昂ぶる。

 触れるだけで倒れるような乳首がしっかりと自立し、摘まめば新鮮な豆のような弾力がある。

 

(なん、でっ……私の胸が……!?)

 

「へへへっ、どれだけ【剣姫】と恐れられても、所詮は女だったか」

 

 男はアイズの身体の変化にいち早く気がつき、人差し指で乳首をこねくり回すように弄びながら、執拗に胸を揉みしだいてくる。

 

「んんっ、やめっ! いじらない、で……」

 

 男の触れる指の先から、乳首の先から、甘美な疼きが流れ込んできた。

 

(いやな感触のはず、なのに……)

 

 アイズの情緒に反して、身体はいうことを聞いてくれない。

 熱く火照りだし、淫靡な呼気が荒くなることで胸の上下動が大きくなっていく。

 

「あくぅっ!? んんっ……は、放してっ……!」

 

「へへへ、あんたみたいな一級冒険者が網にかかって本当に良かったぜ。なんせ多少乱暴にしても壊れないんだからな」

 

 (ろく)な手入れもされていない爪と骨ばった男の指先が両の乳首に絡みつき、興奮して汗ばんだ手のひらが、グニグニと乳房の形が変わるほど強く揉みしだいてくる。

 

「いやっ! そんな、強くっ……指を、食い込ませ……ないでっ!」

 

 根っからのサディストなのか、男の手は柔らかな美乳を己が握力に任せてめいいっぱい歪ませる。指先が白い肌に食い込み、今にも血がにじみ出しそうだ。

 

 だがアイズに痛みはない。神から受けた『恩恵』が、アイズの身体を頑強な肉体へ変貌させ、多少の衝撃では痛覚に至らないのだ。

 そのおかげでアイズの不快感は薄れ、代わりに体の奥底から味わったことのない未知の感覚が頭をのぞかせようとしている。

 

「くぅっ、ふぅっ……んんっ……」

 

 アイズは生理的にその感覚を嫌悪し、遮断しようと、固く奥歯を噛んで興奮を抑えるべく必死になる。

 

「ははーん? どうやら()()()()()()()()()()()()、【剣姫】。けどなぁ、無駄なんだよ。俺が、俺たちが、いったいどれだけの雌の身体を弄り回してきたと思っているんだ?」

 

 アイズが口を噤んで苦痛に耐える構えをみせると、男は布地から浮き出た乳首をグリグリとこねくり回し、指先で摘まみ上げた部分を、もう一方の手の指で弾いた。

 

「っああああっ……!?」

 

 掴まれた乳頭がジンジンと熱くなり、乳房の先端から波紋のように全身へ、得体のしれない淫猥な感覚が広がっていく。

 

「さてと、いつまでも布越しってのも味気ないよなぁ」

 

 言うやいなや、獣人の男はアイズのワンピースの胸元の縁に手をかけた。

 

「――ッ!?」

 

 その途端、アイズの身体中を鳥肌が走った。

 唯一身に纏っていた紺色に縁どられた白いワンピース。その胸元の布を男はアイズの胸の中央へ寄せて、両の乳房を露出させる。

 

 ぶるんっ、と豊満でたわわに実った少女の胸の膨らみが揺れた。

 

 ただ一度として異性の目につかせたことのない綺麗な薄紅色の乳輪と乳首が、獣人の男の眼球に反射する。下着を着ていないにもかかわらず清潔感が保たれていて、16歳の少女に相応しく、女神像のように美しい形をした乳首がそこにはあった。

 

「いやっ、いやっ、見ないで! 見ない、で……!」

 

「おや? そういえばあのミノタウロスは、雌の胸には興味を示さないんだっけか。ならお前の乳首を生で初めて見たのは俺ってことになるなぁ」

 

「ち、違う。前に……水浴で、男の子に見られたことが、あるもの……」

 

「ふぅん? まあ、そんなことはどうでもいいんだが……」

 男はアイズの話にあまり関心を持たず、再び魔の手を伸ばす。

 

「あうっ、ああっ……!?」

 

 汚れ一つない磨き上げられた美しい鏡に、泥を塗りたくるように。

 男の指先がアイズの乳首を、今度は布越しではなく直接ひねり上げ、グリグリと刺激する。

 

【挿絵表示】

 

「ひぃいっ‼ いあっ、あああっ!?」

 

 布の上からとは打って変わって、伝わる感覚の密度が違う。それまで靄がかかっていた感覚が、ダイレクトに頭の中へ響いてくる。

 ピンクの淫靡な豆を摘まれて親指の腹でつぶされたうえで、引きちぎるかのような勢いで引っ張られ、刹那アイズは声を失った。

 

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰ッ‼!?」

 

 四肢を拘束された身体がのけぞり、男一人がのしかかっているにも関わらず、一瞬だけ彼女の背中がベッドから宙に浮いた。

 

「あっ、がっ……ああっ、あひぃっ!?」

 

 言葉にならない悲鳴を上げたアイズの腰がガクガクと震え、やがて力が抜けたかと思うと――

 

 プシュッ、ブシュウウウウウ‼‼

 

 温かな透明の液体が股の割れ目上部から漏れ出し、スカートにシミを作って太ももつたいにベッドのシーツへ流れ落ちていくのが分かった。

 

「いい声で鳴くじゃねえか、【剣姫】。正直、乳首を捻ったくらいで『潮』まで吹かせてくれるとは思わなかったぜ」

 

「し……お……?」

 

 軽い絶頂の余韻で、焦点の定まらないアイズは、うまく呂律の回らない口を動かして問う。

 

「なんだ、潮も知らねえのか。どんな箱庭で育ってきたんだお前は」

 

 男は片方の手を胸から放して、アイズの股間の方へ伸ばす。

 

 ワンピースのミニスカートを捲ると、いつも穿いているはずの青いスパッツは当然ない。代わりに(さら)されたのは陰毛一つ生えていない、滑々している恥丘。

 

 途端に男の目が獲物を目の前にした獣のごとく獰猛に見開かれるが、それも一瞬のこと。

 股の間に手を添えると、ずぶぬれになった花弁に沿うようにグチュグチュと指をなぞり下ろしていった。

 

「んっ!? くうぅぅうううんんっ!?」

 

「この()()()()()()。お前の股どころか太ももまで濡らしたこの体液が、『潮』ってやつだよ。ションベンと違うのは、快楽を得ると出ちまうって点だな」

 

「だ、誰……が……、気持ち、よくなんか……」

 

「そうか? ならこれはどうだ」

 

 男はアイズにハッキリと聞こえるように、膣穴の入り口をニチャニチャと撫でては卑猥な音を鳴らす。

 

「お前はな、乳首を弄られたていどで、愛液と潮を漏らすような淫乱女なんだよ。ほーら見ろ、俺の指がお前のまんこを擦るたびにネチャネチャとうるさく響いてくるじゃねえか」

 

「あ、ああぁっ、あああああっ!? や、やめ、やめてぇっ! それ以上……んくっ……刺激しないでっ‼ ああぁ、こすっちゃ……いやぁ、ああっ、あああああっ……!?」

 

 獣人の男の愛撫でに悶えるアイズは、いくら堪えようともブシュウッ、ブシュブシュッと潮を際限なく垂れ流し、彼の手を愛液まみれにした。

 

「ミノタウロスに襲われたときは絶望しただろう。そりゃあアイツにできるのはせいぜい純潔を奪って中出しするくらいだ。……けど俺はちがう」

 

 男は獰猛な笑みを浮かべて前歯を覗かせる。

 アイズから手を離すと、ベッドの上でカチャカチャと音を立ててベルトの金具を外す。

 

 ボロン、と。

 

 太い青筋が何本も浮かび上がった赤黒い肉棒が、アイズの眼前に姿を現した。

 獣人のソレは亀頭が拳のように球状に膨れ上がっており、そこから陰茎が伸びている。

 

「ひ、い……」

 

 思い起こされるのはミノタウロスの蹂躙劇。

 あのとき自分を貫いた絶望の象徴。

 怪物(モンスター)のモノと比べてしまえば大きさは遥かに小さいが、それでもトラウマを植えつけられたアイズにとって、見るだけで青ざめるには()()()()()だった。

 

「そう怯えられちゃあ堪んねえな。けど安心しな。優しくじっくり犯してやるからよぉ」

 

 獣人の男はアイズの股の方まで移動すると、腰に手をかけて亀頭を秘裂に圧しつけた。

 

 それだけで痺れるような、熱すぎる快楽の波動が、背骨の中を駆け上がってくる。

 

 そそり立つ肉棒を目の当たりにして、充血した乙女の秘裂がまだかまだかと、ご馳走を前によだれを垂らすように愛液を滴らせる。

 そうして男は身動きの取れないアイズの腰を手繰り寄せながら、彼女の耳元で囁くように口を歪めて宣告した。

 

「恐怖と絶望による蹂躙劇(モンスターショー)ではなく、快楽と支配による狂乱劇(レイプ)を教えてやるよ。【剣姫】……いや、()()()()()()?」

 

 



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【剣姫】屈辱劇

 赤黒い猛々しい肉棒が、美しくも儚い淫靡な花弁からズルズルと引き抜かれ、直後には勢いよく穴の中へ押し込まれる。

 

 アイズ・ヴァレンシュタインが初めて味わう獣人の淫棒は、ミノタウロスのものほど太くはなく、一回り小さく感じられた。

 

「んぁっ、ぐッ!? あぐぅっ……ンううううっ‼」

 

 恥辱に胸が焦がされる思いだが、痛みはそれほどでもない。

 すでに処女膜が破られていたというのもあるが、それ以上にあの巨大な怪物(モンスター)ペニスによって、獰猛な雄の刺激に多少なりとも慣らされていたからだ。

 

 だがその過去が、今のアイズには不都合極まりなかった。

 

 散々乳首を中心として乳房を弄り回され、秘口からは太ももを濡らすに至る量の愛液がにじみ出ていた。

 膣口はすでに、牡を受け入れる準備が整っていたのだ。おまけに獣人のペニスで膣穴を突かれると、いっそう膣壁が熱く潤っていく。

 

「ああぁっ! ううぅっ、やめ、て……!」

 

 男の思い通りにはさせまいと、アイズは腰を浮かせて肉棒から逃れようとする。

 

 ところがガチンッ、と――超硬金属(アダマンタイト)製の足枷に繋がっている――鎖がアイズの僅かな抵抗を押さえつけ、逃げることを許さない。加えて獣人の両手はアイズの腰をガッチリと掴んで離さなかった。

 

 逃げるどころか僅かな遊離さえ、今のアイズには与えられていない。

 下腹が内側から燃えるように疼き、たまらず腰をくねらせる。

 

「まったく、ミノタウロスに拡張されたはずだっていうのに、この穴どんな回復力だよ。もうキツマンに戻ってやがる」

 

「あふぁあっ……! ま、待っ、て! 動かさ、ない、でっ……!」

 

 今まで自分で触ったこともない神聖なる秘処を、身の毛もよだつ汚らわしい欲望にまみれた肉棒でえぐられていることが辛かった。

 なのに、

 

「あっ、んふっ……んんっ、あぁっ、ふぁああっ……ああぁっ……!」

 

 なのに、どうしてだろう。

 ミノタウロスの時は激痛と不快感だけが、押し寄せてきていたはずなのに、

 

(私のお腹……胸……全身が、熱くなって……ふぁっ、あああ……!)

 

 身体の奥深くまで舐め回すように入り込んでくるペニスに、肉圧に、敏感に反応してしまう。

 

「あっ、ふぁっああ……!?」

 

 子宮を押し潰し、さらに奥へ奥へ挿れようと、グリグリと子宮口を掘る亀頭。

 

 バチュッバチュッ、と何度も卑しい音を立てて腰を打ちつけてくる獣人の振る舞いに、アイズは怒りを覚えようとするが、すぐに股間を中心に爆発する熱のうねりに心まで侵され、睨み返すことすらできない。

 

「んひぃいっ、んぁっ! やめっ……奥、それ以上は、入ら……ないっ! ああぁっ、お腹、が……、お腹がっ、中から……潰れるっ!」

 

 とうとう瞳に涙を浮かべ、股間からは恥蜜を垂れ流しながらも、アイズは未知の感覚に意識を奪われ、ひたすらそれに耐えることしかできなかった。

 

「クククク、やっぱり第一級冒険者っつっても体の中までは鍛えられねえらしいな。軽く小突いただけでこのざまだ」

 

「んぐっ、くぅうっ! はぁっ、あはああっ……!?」

 

「きひひっ、胸もそうだったが尻も柔らけえ。やっぱ小娘(ガキ)の身体は瑞々しくて犯しがいがある」

 

 獣人の男は力いっぱい掴んだ腰をひきつけ、ゴリュゴリュと勃起して触手のように伸びた男性器で、アイズの体内を堪能することができてご満悦だった。

 熱い肉の棒がアイズの繊細な膣壁を覆う粘膜を、無遠慮にこそぎ落としていく。

 

「っああああーっ‼」

 

 アイズがついに涙をこぼし、弱々しく首を左右に振りたくっても姦悪なる手は止まらず、むしろゴツゴツとした太い肉杭で蜜壺をえぐる速度が増すばかりだった。

 

「いやっ、ああぁっ、あうぅっ! やめ、やめて! ひぐっ! もう、止まってえぇ‼」

 

 強烈な締めつけに逆らって、なおも男は腰を振り続ける。

 だが破瓜の痛みにも似た衝撃に、アイズの膣肉は男の竿を強く強く収縮し、その動きを押しとどめようとする。

 

「ここまできてまだ抗うかよ。ならしょうがねえなぁ、ちっとばかりサービスしてやるか」

 

 獣人の男は、ペニスがくわえ込まされた割れ目の上端の、小陰唇が合わさるところに隠れている、神経が高密度に分布している性感帯に手を伸ばす。

 

「んくぁっ……!? あっ、あふっ、ふぐぅぅうんッ……んぁっ、そ、そこ、はっ……くふぅぅうああっ!?」

 

 突如、膣内を中心に熱く燃える感覚を退かせるほどの、脳天まで貫く強烈な痺れが身体中を走った。

 痺れは男の動かす指に合わせて強弱をつけ、断続的に背中を通じて頭へと響いてくる。

 

「きひひっ、やっぱりクリが好きみてえだなぁ? マンコの反応が変わってきたぞ」

 

「くはあっ!? あぐぅうっ、ひふっ、ふくぅう……っ! はうぅっ、や、やめっ、そこは……さ、触っちゃ、だめ……っ! ひぐぐぅううっ……ッ‼」

 

 指の腹でそこを僅かにでもなぞられると、ゾクゾクっと鋭利な刺激が背筋の奥深くを駆け上ってくる。

 

 それまではっきりとしなかった下腹部の感覚の正体が、『快感』であったと否応なしに自覚させられる。

 

(そ、んな……!? 私、この男に、酷いことされているのに、なんで……!?)

 

 信じられない初めての感覚に、アイズは内心で驚愕するが、快楽を自覚してしまった今、身体の反応を否定することができない。

 それどころか男の指の動きに合わせて、腰を振りたくなってくる始末だ。

 

(ぅぅう、どう、して……? い、嫌っ、私は……、感じたくなんて、ない、のにぃ……ッ!)

 

 好きでもない男に、好き放題に身体を弄り回されて、そのせいで快楽を得てしまうなどあってはならない。

 そう自分に言い聞かせるように首を横に振って、悦代する肉体を拒絶しようとする。しかし、肉豆を指で押し揉まれればビクンッビクンッと腰が跳ね上がるのを止められない。

 

 プシュッ、とただでさえ潤った膣壁から、さらに愛液が滲み出ては性戯の後押しをする。

 

「くはははっ、やぁっと素直になってきやがったな、このツンデレマンコちゃんはよぉ。それじゃ俺も、ここいらで楽しませてもらおうか!」

 

「くはあぁっ!? ふぐぅうっ、うああっ! んはっ、はあぁっ、あはぁあああっ!?」

 

 男が本格的に抽送を開始してきた。

 今度の抽送はアイズを気持ちよくさせるための動きではない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 膣汁にまみれた卑猥な結合音と、パンパンとお尻を打ち鳴らす音が、薄暗い牢獄内に響き渡る。

 

「あふぅっ、あんっ、んんっ、はうんっ……ああぁ、だめ……やめ、てっ……そんな強くぅ! ああああっ、んふうぅっ、ふああぁっ、ああっ、激しぃっ……ぃぁああっ‼」

 

 恥核をしつこく愛撫でされ続けられたせいで、膣内の感度は高まっていた。

 自覚してはいけないと唇を噛み締めても、最奥の秘部屋を小突かれると熱い快感が下腹部から波のように広がっていく。

 

「はぐぅうう、んはっ、はぁんンッ、ひぃいああああ‼ あっ、ああぁぅ、違うぅっ、私の身体ぁっ、そんな、はずはぁっ……!?」

 

「はっ、今さら何を。何が違うっていうんだ。ここまでマンコをビシャビシャにしやがって」

 

 男はあざ笑うように、再度アイズの肉芽を摘まみ上げ、ねじ切るように強引に持ち上げた。

 

「くはああああああああぁぁぁあああッ‼!?」

 

 ブシュブシュッ、ブビュシュウウウウウゥゥゥウウウ‼

 

 今までで一番の大きな潮吹きが、辺り一面にまき散らされる。

 神経が超高密度で集中している女の秘処の中の秘処。そこを、蚊でも摘まみ潰すように乱暴したのだ。

 アイズは今までで一番の快楽と痛みを同時に味わい、喉を引き裂くような悲鳴を上げて失神しかけた。

 

 アイズの反応に気を良くした男は、彼女の心情などつゆほども気に留めず、腰遣いをさらに加速させていく。

 

 乱暴な腰遣いで奥を集中的に叩かれると、浮遊感にも似た強い快感が子宮口を中心に膨らみだす。

 その快感から逃れるように、アイズは身体を引いて股に挿された肉の棒を抜こうとするが、やはり足枷が邪魔をするだけだった。

 股の間から昇るほのかな蒸気が見えたとき、己の下腹部の熱狂を嫌でも自覚させられる。

 

「おらぁ、どうだ? 淫売がぁ! 俺のチンポが堪らないんだろ? マンコ興奮してきもちいいんだろうが!」

 

「そんな、ことっ、ぁあああっ‼ ああぁっ、違うぅっ! 私は、こんなもの、で、感じたりなんかっ……ぃやぁあああ‼」

 

 膣奥で猛り荒ぶる快楽の渦が、羞恥心や屈辱感、果ては理性をもまで焦がし尽くさんと(くすぶ)ってくる。

 膣肉は、最初の異物を排除するような拒絶感に満ちた収縮とはかけ離れ、陰茎を受け入れて性的快感を与えるようにキュンキュンと締めしめつけ、ペニスを絞り上げていく。

 

「ここまで締めつけといて、まだ言うか。ほらほら、俺のザーメンが欲しいくせによぉ?」

 

「あうぅっ、ひぐんっ……ザー、メン……?」

 

「精液のことにきまってんだ、ろっ!」

 

 ドチュン、と大きな突きがアイズの子宮口を穿つ。

 

「ひぐあああああああああぁっ!」

 

 ひときわ、強い一撃がアイズの子宮を揺るがした。

 我慢できずに思わず大きな悲鳴を上げるが、そんなアイズに男はご丁寧にも説明を続ける。

 

「前にミノタウロスの野郎に白濁液をぶちまけられただろう? あれが『精液』ってやつだよ。もっとも怪物(モンスター)と人間じゃあ中出しされたところで何も起こらない。だがお前のようなヒューマンという種族は人間の中じゃ万能だ。俺たち獣人との間に赤子(ガキ)をこさえることができる」

 

「そ、それ……あぐぁあっ、くふぅんんぅぅ〰〰〰……それ、が……どうしたって、言うのっ⁉」

 

「つまりこのままお前の子宮に子種汁を注ぎ込んでやれば、孕むかもしれないって話だよ」

 

「なっ、なに、それぇ……!?」

 

「はははっ、いい勉強になったなあ。それじゃあ座学は終わりにして実践に移るとするかぁ!」

 

 アイズ瞳孔が見開かれ、正気を失ってもおかしくないほどの動揺した表情を気に入った獣人。男は少女の肉体に半ば覆いかぶさるようにして、腰をより一層強く叩きつけてくる。

 

「くはああっ、ああああっ、嫌ぁあああっ‼ んああぁっ、あああっ、や、やめ、やめてぇえええ‼ 中はっ、中はダメ、ダメ、だからぁああっ‼」

 

 今まで行われてきた事の重大さに気づいたアイズは、もはや狂気ともよべる叫喚で男を拒もうと右に左に精一杯身じろぎする。

 だが、投獄されて鎖に繋がれた肢体では、どんな慟哭も抵抗も意味を持たない。

 

「もう手遅れだよっ! おらっおらっおらぁあっ‼」

 

「そんなっ!? なんで、私が、こんなっ……くふぅぅうんッ‼ あふっ、はぁんっ……ぁあっ、あっ! んぁああああっ!?」

 

 嘆きの嬌声を無視して、獣人の男は本物の興奮した犬のように抽送を激しくする。

 グチャグチャに濡れた繋ぎ目が激しく擦れ合い、絡み合い、アイズを肉悦に惑溺させる。

 神に祈るかの如く、その時を迎えるようにアイズは顎を引き上げ、奥歯を噛み締めた。

 

「おらぁ、イケっ! サッサとイッて孕みやがれええっ!」

 

「ッッ!? あぐぁああああああ‼」

 

 ドチュンッ、と愛液の洪水をかき分けながら、男が亀頭をアイズの最奥へとねじ込んできた。

 まさにその瞬間。

 

 ビュッ、ドビュッ‼ ドプンッ、ドビュゥウウ、ドポポポ、ビュルルルルルルル‼‼

 

「んぁあぁああああああああああぁぁぁああああ〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰ッッ‼!?」

 

【挿絵表示】

 

 獣人の射精が始まった。

 

 煮え立つように熱い白濁液を子宮口から直接子宮内へと注ぎ込まれ、アイズの悲鳴が牢獄内に響き渡る。

 

 膣肉にみっちりと包み込まれた肉棒が、ビュクンッビュクンッと何度も痙攣を繰り返し、その度に大量の精液を噴き上げた。

 噴出する白濁液に子宮の内壁を撃たれ、その快感でとどめを刺されて絶頂する。

 

「ひぁあああああああーっ!? あああっ、あっ、あっ、あひぁあああああああ‼」

 

 アイズの子宮内に、とんでもない量の精液が流れ込んでくる。その圧力に白目をむき、奇声を上げながら身体をのけ反らせた。

 

「すごいだろ? 獣人(オレ)の射精は!」

 

 獣人の男は満悦そうな顔をしてアイズを見下しながら、唇を三日月状にして笑みを浮かべる。

 そうしている間にも、射精は続く。

 ドクンッドクンッと、アイズの子宮を溺れさせんばかりの精汁が、今もなお射精され続けている。

 

(この獣人……、どれだけ、出せば……気が済むのっ……!?)

 

 あまりにも多量の精液に、アイズは恐怖さえ覚える。このままされるがままの立場では、自分の身体がどうなってしまうのか。そんな彼女の大患を読み取ったのか、獣人の男は口を開き、

 

「獣人の射精はな、10分以上続くんだよ」

 

「なっ!?」

 

 衝撃の事実に、アイズは気が動転しそうになる。

 獣人の言葉に嘘偽りがあるようには聞こえなかった。現に射精は続いており、アイズの下腹部が小さく膨れだしている。

 

「あっ、がっ……かはっ! もうっ、やめっ、てっ……抜いてっ……あああっ!?」

 

「残念だが途中退室は無理だ。射精するときはチンポの根本に血液が充満して肥大化する。だから今、マンコ穴から俺のチンポを引き抜くことはできねえのさ」

 

 快感を思って恍惚とする獣人の男はそういうと、犬のように両手をベッドについてアイズに覆いかぶさった。

 飢えた狼のように口を薄く開き、長い舌をだらりと力なく垂れさせる。

 

 ピチャリ、と音がした。

 

 粘つく音、ぬめり湿った感覚。

 舌の先からヨダレがアイズの腹の上へと垂れて、唾液の水たまりが鳩尾(みぞおち)にできる。

 

 男の口から流れ出る粘液は止まらず、鳩尾(みぞおち)の池から道が上へ上へと開拓されていく。

 唾液の筋が胸まで来ると、獣人の男は乳首にむしゃぶりついた。

 

「んんぐぅっ!? ひうぅううっ、あああっ、んぁあああ‼」

 

 流し込まれる精液に耐えようと、股に意識を集中していたアイズにとってみれば、それは不意打ちだった。

 不意打ちがゆえに、簡単に二度目の絶頂を味わう羽目になる。

 股と下腹部、そして胸。

 

 その三つの刺激に全身を戦慄させながら、悲痛な声で快感を叫んでしまった。

 

 無論、これで終わりではない。

 獣人の男は、種族特有の鋭敏な感覚を頼りに、何度も何度もアイズの弱点である乳首を舐め回す。

 

「ふひゃあっ!? うはぁっ、はっ!? あふっ、はぁっ、ああぁっ、はぁああんっ‼」

 

 アイズはこれからもその快楽に抗えず、身をゆだね続けるだろう。

 牡の長い長い射精が終わる、その時まで。

 



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【剣姫】異物挿入劇

「はぁ、はっ……んはぁ、はっ、はぁぁ……ンンッ」

 

 アイズ・ヴァレンシュタインは仰向けのままベッドに沈み込み、片息をついてヨダレまみれの胸を上下させていた。

 

 ペニスを抜かれた割れ口から、白い粘汁がゴポゴポと泡を立てては溢れ出ている。秘処を中心に、ベッドには精液と愛液の混じった粘液がまき散らされており、大きなシミを作って、強い特有の匂いを発していた。

 

 獣人の男の射精中、敏感になった胸を舐め回されては痙攣し、何度も何度も強引に絶頂感を味わうはめになったアイズ。彼女は疲れからくる身体の重さを、そして犯された余韻のような疼きを下腹部に感じながら、虚ろな目で天を仰ぐ。

 

 満身創痍、疲労困憊(こんぱい)

 

 いかに冒険慣れしていて体力に自信のある肉体をしていようとも、初めての快楽地獄に、苦痛ではなく快感に、アイズの身体はひどく動揺しつつ消耗していた。

 だというのに、パクパクと飢えた魚の口ように、割れ目だけは痙攣して、本能的に精液を求めている。

 

「へへへ、上等なのは顔だけじゃなかったようだな【剣姫】……いや、今となっちゃただの小娘『アイズちゃん』、か?」

 

 獣人の男は厭らしい目つきでアイズの股間を見る。行為に満足したのか、いつのまにかズボンを穿いてベッドから降りていた。

 

「満足したか、お二方?」

 

 それまで牢獄の出口の横で沈黙を保っていた眼鏡(ゴーグル)の男、ディックスが口を開いた。

 

「……ぁ、……ぅうぅ……」

 

 アイズは疲れ果てて(ろく)な返事もできない。文句の一つでも言いたいところだが呂律(ろれつ)が回らず、ただ言葉にならない呻き声を上げるばかりだ。

 

「よーし、持ってろ」

 

 獣人がディックスの元まで急いで戻ると、彼は脇に抱えていた大きな茶色い木箱を獣人に手渡した。

 

「へ、へい、確かに」

 

 割れ物でも入っているのだろう。

 獣人の男はそれを慎重に受け取ると、決して床へ落とさないように両手で抱える。

 

 獣人に荷物持ちを任せたディックスは木箱のふたを開けて、カランとガラス同士が軽くぶつかるような音を立てながら、中から何かを取り出した。

 

 その後、ディックスは獣人の男と入れ替わるように、入り口付近からアイズの寝ているベッドへ向けて足を踏み出す。

 

 彼の右手には丸底のフラスコ瓶が握られていた。

 アイズがソレを目に映した瞬間。

 

 ゾクリ、と。

 

 冒険者の本能を真っ赤に点滅させる嫌な悪寒。

 少なくとも(ろく)なことはおこらない、と。

 アイズの背筋が凍るような嫌悪感が、理由もなく這い上がってくるのが分かった。

 

 チャポチャポチャポンッ――――と。

 

 水の音が響き渡った。

 まるで静寂な運河の中、興奮した魚が水面に(おど)り出たような、水の揺れる音が。

 

「――――――――ッ!?」

 

 音源はディックスの手にする丸底フラスコ。

 

 ただし、彼が瓶を振ったわけではない。むしろ彼は中身を傷つけまいと、慎重に運んでいる様子だった。

 

 だから音が鳴ったのは、瓶の中身に原因がある。

 

 音が響いたディックスの手元、この部屋唯一の光源である蝋燭(ろうそく)の灯が辛うじて届かない瓶の丸底に、アイズの目が釘づけになる。

 

 何かが、いる。

 何かが、水面下で(うごめ)いている。

 

 アイズの(ひたい)から(したた)った冷や汗が、頬を伝ってベッドへ吸い込まれていった。

 

「おー、さすがは第一級冒険者。そこまで疲弊しておいて、まだ怪物(モンスター)の気配にだけは気づくかよ」

 

 ディックスは感心した様子でアイズの股の延長線上まで歩み寄り、立ち止まった。ニィッ、と卑屈な笑みを浮かべて、

 

「なぁに、そう怯えるな。俺はお前を助けてやろうって言うんだぜ?」

 

「……助、ける?」

 

 ようやく喋れるまで回復したアイズは、辛うじて疑問を口にする。

 

「お前の腹の中には大量の精液が詰まっている。獣人の繫殖能力は優秀だ。お前の年頃、危険日なら間違いなく妊娠するだろうなぁ」

 

「……ッ」

 

「そこで、だ。俺はお前の中にある精液を一滴残らず消し去ってやろう」

 

 キュポンッ、とディックスは丸底フラスコの栓を引っこ抜く。そして、

 

「こいつを使って、な?」

 

 ズブ、ズブズブズブズブゥウウウウゥゥッ、と。

 

 いまだ精液が流れ出続けるアイズの秘処に、丸底フラスコの口を奥深くまで突っ込んだ。

 

「――――ッッ‼!?」

 

 凹凸とした先端が割れ目を貫き、さらにフラスコ瓶の形に膣穴を広げられていく。

 冷たくひんやりとした瓶の感触に、アイズは強く体をのけ反らせる。

 

 感じてはいけないと、焼ききれそうな理性が必死に警告を発した。

 

 ところが肉体は、アイズの股間は、心に反旗を翻して、与えられた刺激を一気に快感に変換しながら貪っていく。

 

「ふあぁんっ、あはぁっ、はあぁああんっ! あっ、ひぎぃっ、ふあぁああっ‼」

 

 膣肉が歓迎の抱擁をするように、瓶を強烈に絞めつける。

 ディックスが膣中を抉るようにグリグリと瓶を押し回せば、背筋が蕩けるような快感が駆け上がってくる。

 

 だが、駆け上がってきたのは快感だけではなかった。

 

「あああっ、あひぃぁああ、ああっ、……ッッ!?」

 

 フラスコ瓶の中で蠢いていた何か。

 

 具体的には、人間の親指ほどの大きさのオタマジャクシのような黒い生物が、フラスコ瓶の出口をめがけて上ってきたのだ。

 そして膣壁内へ躍り出ると、そのまま子宮口を目指して一直線に肉壁の中を泳ぎ始める。

 

 アイズは思わず息を呑んだ。

 

 今度のは誰かのイチモツなどではない。

 正体の分からない、謎の異物が腹の中を奥へ奥へと駆け上ってくる。

 

「ひ、ひぁああ!? い、いやぁあ‼ いやっ、いやっ、取って! 誰か、誰かぁっ……!」

 

 得体のしれない恐怖に全身を包み込まれ、軽いパニックを起こす。

 それも束の間の出来事だった。

 

「いやっ、入ってこないで、いぁ…………あぎゃっ!? あがっ、ぎぃあぁあアアアッッ‼!?」

 

 突如、アイズは全身から汗を拭き出して、もがき苦しみ出した。

 

 腕を左右に暴れさせて鎖を限界まで引き伸ばし、手枷で手首足首が締めつけられる痛みもお構いなしに、肢体をのけ反らせて狂ったように暴れる。

 

 アイズの膣内に侵入した生物が最奥までたどり着き、それでもなお前進を止めようとしなかったのだ。

 

 アイズの子宮口は今まさに、こじ開けられようとしている。

 

 神経が高密度に張り巡らされた子宮への開口部は悲鳴を上げ、侵入者を阻もうとするが、それも時間の問題だった。

 

「その怪物(モンスター)は避妊薬代わりの一種でな、一時期娼婦の間で流行った代物。怪物(モンスター)といっても見ての通り雑魚だ。当時は安くて調達しやすく、重宝された」

 

 玉のような汗を流すアイズのお腹を優しくなでながら、ディックスは当時の思い出を振り返るように話し出す。

 

「だが流通が始まると間もなくして重大な欠陥が見つかり……、闇に葬られた」

 

「あがぁああっ、なんっ……きひぃいっ‼ 痛いっ、し、子宮っ……うぐぅうううっ、子宮にぃいいいっ‼」

 

「フン、安心しろ。その痛みは一時的なものだ。じき子宮に入ってしまえば消えちまうさ」

 

 ズルン、と。

 

 子宮口に挟まれて暴れくねっていた怪物(モンスター)が、精液に満たされたアイズの子宮内へ完全に侵入する。

 

「あっ、かはっ、はっ、はっ……はぁっ!」

 

「ほらな、もう痛みはねえだろう?」

 

 確かにディックスの言うとおりだった。

 怪物(モンスター)がアイズの子宮内部へ完全に入りこんだ途端、それまで子宮口を圧迫していた痛みは消え失せた。

 

「ソイツは精液を食い物にして生きている寄生生物だ。本来はダンジョン内の水中で、魚型怪物(モンスター)の卵を食って生きてるそうだが」

 

 ディックスはトントンと、人差し指でアイズのへその辺りをつつきながら、

 

「今頃お前の腹の中で、あの男に出された精液を貪り食っているだろうよ」

 

「!」

 

 子宮内で精液を食すということは、避妊の手伝いをしているということだ。

 その事実を悟ったアイズは、とりあえず目下の不安が一つ消えたことに安堵する。

 

 しかしなぜだろう。

 妊娠の可能性は限りなく低くなったはずなのに、アイズの心の底から湧き上がる不安は拭いきれない。

 

 ダンジョン内に強化種の怪物(モンスター)を放り込み、女をさらい、凌辱する冷酷非道さを持ち合わせているこの男が、ただの親切心で避妊薬にもなる怪物(モンスター)をただで与えるだろうか。

 

 何か。

 何か、見落としている気がする。

 まるでこの話にはアイズにとって致命的な裏があるような。

 

「……」

 

 もう少しでその真実に辿り着きそうな、その時だった。

 

「――――ぎッ!? ぎぃいいああああぁぁああああ‼!?」

 

 突如として、アイズの腹の一部、へそを中心に外へ突出した。

 まるで人間の拳が、彼女の腹を内側から食い破らんと外目がけて飛び出すように。

 

 ボコッ、ボコッ、ボコッ、ボコオオオ――ッッ‼

 

【挿絵表示】

 

 一度ではない。

 何度も何度も何度も、何かを求めるようにアイズの腹の中で何かが暴れまわっている。

 

 いや、『何か』ではない。

 

 言うまでもなくあの『怪物(モンスター)』の仕業だろう。

 

 暴れるたびに、発作にでも襲われた患者のごとく、アイズはビクンッビクンッと痙攣して、激痛に身体の制御を奪われる。

 

「なっ、がっ、何っ……がっ……あああああぁっ!?」

 

「言っただろう? 娼婦の間で流行ったが、間もなく重大な欠陥が見つかった、と」

 

 ベッドの上で涙を流すほどもがき苦しみ、暴れ狂うアイズを冷ややかな目で見下すディックスは、日常風景でもみるような冷淡さで、衝撃の事実を告げる。

 

「ただ単に、怪物(モンスター)の空腹が収まらなかったんだろ。足りないから追加を欲する。欲するがゆえに暴れる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ、あっ、そんっ、なっ……ぎっ、ひぐぅぁあああああ‼」

 

 ボコンッ! ボコンッ! と、アイズの苦しみなどお構いなしに怪物(モンスター)は養分を求めて催促をする。

 早く精液をよこさなければお前をショック死させるぞ、と言わんばかりの暴れっぷりだ。

 

「さて、アイズ・ヴァレンシュタイン。お前には二つの選択肢が与えられる」

 

 鼻歌交じりでディックスは嘲笑いながら、アイズに問いを投げる。

 

「苦痛から逃れるべく犯されるか? それとも屈辱を忌避してその痛みに耐え続けるか? まあ好きな方を選べ」

 

「……ひ、卑怯、者!」

 

「酷い言われようだな。勘違いするなよ、俺は選択肢を与えているにすぎない。選ぶのは【剣姫】、お前の自由だ」

 

 選べと言われても、選択の余地はない。

 羞恥心が残っていたアイズは僅かに逡巡したが、

 

「…………ください」

 

「ああ?」

 

「…………精液を……ください」

 

 お腹の痛みに耐えきれず、気がつけば懇願していた。これでもアイズにとってみれば、恥辱にまみれた精一杯のお願いのつもりだった。

 

 しかしこの世界、この牢獄の中で、そんな上品な言葉は通用しない。

 

「おいおい、嘘だろ? それが人にモノを頼む態度かよ。これだからボキャブラリーの貧相な小娘の相手は面倒なんだ」

 

 ディックスは首筋をボリボリとかきながら、アイズの耳元に口を近づけて囁く。

 

「(いいか、今から俺の言うとおりに懇願して見せろ)」

 

 そういうと、ごにょごにょと信じられない言葉を連ねた。

 

「なっ!?」

 

 あまりの内容にアイズは目を見開いて、カァッと顔を赤くする。

 

「時間をとらせるなよ。さっさとしねえと、俺たちはこの部屋から出ていく」

 出ていく、というディックスの言葉に肩を震わせたアイズは、いよいよ覚悟を決める。

 

 鎖に繋がれたまま腰を浮かせて、さらに脚を広げ、精液まみれの秘裂をパクパクと開口させた。

 

 そしてアイズの人生史上、最大級の屈辱的な言葉を口にする。 

 

「わ、私の、卑しい……め、メスマンコに、ディックスさん、の……ざ、ザーメンを、注ぎ込んで……くださいっ……‼」

 

 そこからのアイズの記憶は曖昧だ。

 

 ディックスに散々穴を犯され、胸を弄ばれても凌辱に終わりは来なかった。

 後から来た部下がアイズを見て残虐非道な笑みを浮かべ、手を伸ばし、全身の穴という穴を犯し尽くし、身体中に白濁液をシャワーのようにかけられ、間もなく精液の海に沈めたからだ。

 

 その有様は【剣姫】という二つ名の見る影もなく、ただのアイズという肉便器になり果てた小娘でしかなかった。

 

【挿絵表示】

 



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幕間劇 -2‐
【剣姫】困惑劇


 ギィ、ギィ、と。

 金属と金属がこすれる音に、(まぶた)が刺激される。

 

「…………う」

 

 朦朧とした意識がゆっくりと、次第に呼び起こされていく。

 全身にズキズキという重苦な痛みが張り巡らされている中、アイズは活力のない動作で顔を上げた。

 

 最初に目に入ったのは、向かって正面にある小さな魔石灯の光だった。

 辺りはただ()()()を除いて薄暗い。

 

 背中にひんやりと冷たさが伝わってくる壁は、超硬金属(アダマンタイト)製のようだった。四方の壁すべてどころか、床も天井も同じ金属製であるところを考えると、どうやらこの空間そのものが超硬金属(アダマンタイト)に囲われているらしい。

 

 大の大人が最低でも10人は横になれるほど広々としており、涼しさにも似ている冷気が足元を這うように漂っていた。

 ゆっくりと部屋の薄暗さに目が慣れていく中、ここは、とおぼつかない思考を働かせていくと、

 

「……ッ⁉」

 

 ドロリ、と。何かが太ももを伝って落ちていく不快な感触に襲われた。

 恐る恐る下を――具体的には自分のスカートから出ている脚を――見れば、白濁液が床へポタポタと垂れているではないか。

 その光景、その有様が、己の身に何が起きたのかを思い出すには十分な手がかりだった。

 

 迷宮の中層、狩猟者(ハンター)たちの襲来、不覚を取って気を失って連行、『紅霧(ミスト)』が漂う独房、そして――。

 最後に浮かんだプライドを捨て慈悲を乞う己の堕落した姿が、ズキンッと胸を痛ませ、過去から目を背けるように思わず瞼を閉じる。

 そっか、私は……、

「犯された……」

 アイズは気絶する瞬間まで……いや、気絶した後も尊厳を踏みにじられ続けたに違いない。

 ぶるり、と身の毛のよだつ忌まわしい記憶が、アイズの意識をハッキリと覚醒させる。

 

(……そういえば)

 と。

 

 冷静になって周囲を見渡してみれば、辺りには誰もいない。それどころかこの部屋にある()()()()、その二つ目は出口からのものだった。

 だが出口には嵌め殺しの窓すらなく、ただただ分厚い最硬金属(オリハルコン)製の扉が立ちはだかるだけ。

 つまり普通なら光が差し込んでくる余地はない。

 だというのに、光源になっているということは、扉が開け放たれているということだ。

 

(……どうして、開いてるの?)

 

 扉の向こうには見張りの気配すら感じられなかった。

 Lv.6であり第一級冒険者のアイズが、気配を感じられないということは、間違いなく牢屋とその周囲はもぬけの空ということになる。

 

(何が、起こっているんだろう……?)

 

 金属床につま先を立てた格好。壁に背中を預ける姿勢で、頭の上には分厚い超硬金属(アダマンタイト)製の手枷がはめられた両手首がある。

 人がいないのをいいことに、目を見開いて歯を食いしばり、能力(ステイタス)に任せて必死に破ろうとする。けれど、手枷から伸びる同じく超硬金属(アダマンタイト)製の鎖がギシギシと耳障りな音をたてるだけで、びくともしない。

 浅く息を切らしながら、身体を脱力させる。

 

「せめて、魔法が使えれば……」

 

 絶望に打ちひしがれたように呟きを漏らす。

 アイズは投獄されてからというもの、気絶しては様々な部屋へ運び込まれ、数多の種族、多種多様な趣き(プレイ)の強姦に遭った。

 逃げようにも頑強な鎖で身体を繋がれ、魔法を封じられて、時には能力(ステイタス)を阻害する筋弛緩剤や媚薬を投与された。

 

(それでも治療は……されている、みたいだけれど……)

 

 両手を頭上で拘束されたまま、自分の身体を見下ろす。

 ミノタウロスとの戦闘で武器と防具のほとんどを失い、狩猟者(ハンター)たちによる凌辱で服はボロボロになっていたものの、あれだけ痛めつけられていた全身にはほとんど傷や傷跡が残っていなかった。

 振りかけるように回復薬(ポーション)をかけられたのか、ところどころ服には変色した部分がある。まだ僅かに湿っている箇所もあり、部屋の冷気と相まって少々肌寒い。

 身体から熱が引いていき、頭も冴えていく中、アイズは今一度室内を見回した。

 と。

 そこでアイズは衝撃の事実に気づく。

 

「『双頭竜(アンフィス・バエナ)』の『紅霧(ミスト)』が…………無い?」

 

        *

 

「アイズが帰ってきた、だと⁉」

 

【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)、黄昏の館の玄関でリヴェリア・リヨス・アールヴの声が響き渡った。

 

【ロキ・ファミリア】の幹部の一人にして、ハイエルフと呼ばれるエルフ王族の出身であり、自他ともに認める現オラリオ最強の魔導士。

 風貌にや種族に似つかわしく、知的で常に冷静な判断のもと、物事を見据える尊厳ある人物。……なのだが、このときのリヴェリアは珍しく目を見開き、明らかに動揺していた。

 

「しー! 気持ちはわかるが静かにせんか、馬鹿者」

 

 そう言って彼女を制したのは、リヴェリアと同じくして【ロキ・ファミリア】幹部の一角、ガレス・ランドロック。

 種族はドワーフで、その豪快な性格と戦いぶりから【重傑(エルガルム)】という二つ名で呼ばれている。

 彼もまたリヴェリアの気迫に圧されたのか、少し慌てた様子で、

 

「何のために幹部内で箝口令(かんこうれい)()いたと思っとるんじゃ」

 暴れるリヴェリアを何とか落ち着かせるのに、しばらくの時間を要した。

 

 能力向上(ステイタスアップ)のために出かけると言って、ダンジョンへ単独行動に赴いたアイズ。彼女は2日で帰還すると言って、念のため三日分の水と食糧を持って出かけた。

 

 その後、予定の2日を過ぎても本拠(ホーム)には帰還せず、しかしあのアイズのことだから怪物(モンスター)相手に夢中になっているのだろうと誰もが当然のように予想し。

 

 それでも4日が過ぎたころ、流石におかしいと感づいた【ロキ・ファミリア】団長のフィン・ディムナは、慌ててロキの元へ駆けつけ、『恩恵』によるアイズとの回路(パス)が繋がっているか調べてもらった。

 

 結果としてアイズが生きていることは確認が取れたが、「このことが他の団員に知れ渡るのはまずい」とフィンの親指が告げていた。

【ロキ・ファミリア】中核のメンバーの【剣姫】。その()()()()()()()()()()()()()()()()()()ともなれば、団結力が頼りの【ロキ・ファミリア】の内部で動揺が走りかねない。

 ともすれば外部への情報漏洩も可能性として否定できず、弱体化した【ロキ・ファミリア】を脅かす不届き者が現れないとも限らない。

 

 だからこそフィンは、この情報の共有を主神であるロキと、古参メンバーにして幹部であるリヴェリア、ガレスのみに留めていた。

 

「それで、アイズは今どこにいる?」

 

 本拠(ホーム)の一室。もとい、普段は遠征前に幹部が集い、作戦会議を開く完全防音の部屋。

 部屋中央のテーブル、それを囲むソファーに座るリヴェリアは落ち着かない様子で、同じく向かいの席に座るフィンに問いただすように目を向けた。

 フィンの隣にはロキが座っており、リヴェリアのはす向かいのソファーはガレスが占拠していた。

 今日の空は晴天のようで、窓からは白い光が差し込んでいたが、ひるがえって部屋の空気は今にも雨を落としそうな暗雲が立ち込めるように重い。

 

「アイズたんは自室で寝とるはずや」

 

 フィンが口を動かすよりも早く、彼の隣に座っていたロキがどこか苛立たしそうに答えた。

 

「詳しいことは分からん。というかまだ何も聞けとらん」

 

 そう言ってそっぽを向くロキの顔には、絆創膏が貼られていた。

 

 アイズが行方不明になってからというもの、自暴自棄になっていたロキは、それはもう他の団員には見せられないほど酷い錯乱状態だった。終いにはアルカナを封印された()()()()のくせにダンジョンへ単独で突撃をかまさんばかりの勢いだったのだから、()()()()()()どころではない。

 だからこそ、アイズが帰還したと聞いたロキは、それはそれは泣いて喚いて鼻水を垂らして……別の意味で暴れだした。ので、ガレスが軽く小突いて気絶……もとい、落ち着かせたのだ。

 

「アイズが帰ってきたとき、彼女の道具(アイテム)はもちろんだけど、武器も防具も身に着けていなかった。服はボロボロだったし、何よりひどく疲れている様子だったんだ。だから話を聞く前に、ひとまずシャワーを浴びさせて、休んでもらうことにした」

 

 フィンはロキの言葉を補足するように、アイズが戻ってきたときのことを一通り説明する。

 

「つまり、アイズは何故か一週間も帰ってこなかったが、いざ帰還してみれば手ぶらだった、ということか?」

 

 人差し指でこめかみをグリグリと抑えながら、リヴェリアは今わかっているだけでも内容をまとめる。

 

「ま、そういうことになるね」

 

「念のために訊くが……、命に別状はないんだな?」

 リヴェリアにしては珍しく心配そうな目で不安を訴えかけてくるが、それを見抜いてかフィンは努めて落ち着き払った声音で断言した。

 

「疲れはたまっているようだったけど、パッと見たところ外傷はまったく見受けられなかった」

 

 ただ、と。

 

(僕の親指の疼きは、まだ止まっていないんだけどね……)

 

 フィンは口にするわけでもなく、懸念を心の内に秘めたまま、アイズの体を案ずるように窓の外を眺めた。

 

        * 

 

 日が落ちて、代わりに魔石灯の灯りが門の前を照らす。そこには門番の二人組が立っていた。

 それ以外の【ファミリア】の団員はみな、各々の部屋で(とこ)に就いているだろう。

 

「がっ……げぁっ……ぐぅうっ……⁉」

 

 夜も静まった【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)、黄昏の館の一室。

 とある少女が寝泊る寝室では、もだえ苦しむ一つの影が蠢いていた。

 

 新しい服に着替えたアイズは、頭まで毛布で包み込み、苦悶に満ちた呻き声を必死に押し殺そうとしている。

 アイズは、悲鳴を上げたいのをこらえ、ベッドのシーツを噛んでまで激痛に耐えていた。

 

「ぐっ……はっ、はぁ、はぁ……!」

 

 しばらくすると一時的に痛みが治まったのか、アイズは荒い息を立てて額の汗をぬぐう。

 

 全身が震えが止まらず、腕や脚が痙攣するその少女の症状は、まるで重篤患者の発作のそれだった。断続的な痛みは、まだあの牢屋での悪夢が終わっていないことを物語っている。

 

「(こんなことに、なってしまう、なんて……)」

 

 溢れ出る大量の汗が毛布を湿らせる中、アイズは悲嘆めいた呟きを漏らす。

 

「(あのディックスという人、これもあの人の……意図したことなの……?)」

 

 今もなおアイズを苦しめ続ける『原因』が(ひそ)む腹部に向けて、アイズは言葉を落とす。

 ベッドに身体を沈めて窓から差し込む月明かりに照らされている彼女は、次の発作はいつ起こるのか、と見えない恐怖に慄く。

 

 あの男は「追い込まれた人間の本性が見たい」と言っていた。

 

 しかしアイズが枷を破り、牢を出たとき、そこにはグシャグシャになった惨殺死体が幾つも転がっており、乾ききった血だまりの中にはあの男が身に着けていた眼鏡(ゴーグル)も転がっていた。

 

 あの得体のしれない【ファミリア】に何があったのか。アイズには知る由もない。

 

 しかし何者かが……それも、圧倒的な力を持つ存在が、あの【ファミリア】を壊滅させたのは考えるまでもない。

 

 だからアイズがこれ以上、襲撃拉致監禁に怯える必要はなくなった。

 

 なくなったのだが。

 

【ファミリア】が壊滅してしまったことで、一つの問題が浮上した。

 

 アイズのお腹、子宮内部に植え付けられた『寄生型怪物(モンスター)』の存在だ。

 この怪物(モンスター)は【ファミリア】壊滅に関係なく健在であり、今もなお生き続けている。

 

 最悪なことに、時折食事に飢えてはアイズのお腹を内側から食い破らんばかりの勢いで暴れだすのだ。

 

 実際、ただの一般人ならば腹に穴をあけられて、そこから怪物(モンスター)が食事を求めて飛び出して行くのだろう。

 

 ところがアイズはLv.6であり、毎日のように怪物(モンスター)の相手をしているわけで、耐久値もそこらを行き交うオラリオの人々とは段違いだった。

 だから寄生型怪物(モンスター)も、外へ出る手段を失い、腹の中で暴れ続けるしかないのだ。

 

 アイズにしてみればたまったものではない。

 

 実はあまりの苦しさに耐えかねて、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)へ戻る前に、迷宮都市オラリオ最大の巨大製薬系派閥、【ディアンケヒト・ファミリア】に立ち寄った。

 

【ディアンケト・ファミリア】の団長は、【戦場の聖女】という二つ名を持つアミッド・テアサナーレ。あらゆる怪我や病気を治す、白銀の長髪が特徴の少女だ。

 

 彼女なら何らかの対策を講じてくれるのではないか。そして何より友人にして同性ということもあり、込み入った話をできる相手と見込んで相談に向かったのだ。

 もちろん今回の事態は、傷や呪い(カース)といったものとはわけが違い、解決できるかどうかは不明だった。

 

 しかし、Lv.2にして『神秘』という神の十八番でもある『奇跡』、レアアビリティを手にした彼女のことだ。呪詛や呪道具の効果を打ち消す耐専用呪詛(アンチ・カース)の秘薬を貰えれば、あるいは……。

 

 そんな希望を胸に【ディアンケト・ファミリア】の本拠(ホーム)を訪ねたのだが、期待は泡となって弾けた。

 

 なんと【ディアンケト・ファミリア】が開店した『おふろの神様ケヒトの湯』という天然温泉が現れて以降、なぜか彼女の姿が見えなくなってしまったそうなのだ。

 

 つまり、唯一の相談相手が行方不明という事態に陥った。

 

 そんなわけで、アイズは子宮の痛みを我慢して自身の本拠(ホーム)まで戻ってきた。

 

 そんな我慢も限界に達しつつある。

 

 第一級冒険者として、怪物(モンスター)に対して狂戦士と恐れられているアイズ。幹部として団員の手前弱音は吐けず、困り果てていた。

 リヴェリアに相談するという手もあったが、そんなことをすればそうなった経緯の説明を求められるだろう。だがなぜか、彼女にはそれを言いたくなかった。というか、【ロキ・ファミリア】のメンバーだけには知られたくなかったのだ。

 

 ……いや、正確には一つだけ希望がある。

 問題の根底を覆すほどの解決策とはいえないが、アミッドが見つかるまでの時間稼ぎにはなる方法。

(でも……この手を使うのは……)

 躊躇われる。

 残された理性がアイズの心にブレーキをかける。

 その一線を越えてはいけない、と。

 しかし、

 

「……ぐっ、がぁっ、あがぁっ‼ がはっ……また……これ……ひぎぃいっ⁉」

 

【挿絵表示】

 

 残されたわずかな理性も、次の発作で弾け飛んだ。

 

 本能が告げている。

 

 今すぐにでも、苦痛から逃れよと。

 

 さもなくば痛みのあまり、ショック死してしまいかねない、と。

 

 気がつけば、アイズは白銀のアーマーを身に着けていた。

 いつもの装備に着替えると、窓を開け放ち、本拠(ホーム)の裏庭に飛び降りる。

 

 3メートルはある塀を軽く飛び越えると、着地と同時にお腹から激痛が走る。

 だが立ち止まっている時間はない。

 一刻でも早くこの苦痛から逃れるべく、アイズは走り出す。

 

 目指す先は決まっている。

 いつも()()()()()と剣を交えて稽古をつけていた、オラリオ外壁の上。

 あそこに行けば、いるかもしれない。

 あそこに行けば、会えるかもしれない。

 

「……ベル・クラネル」

 

 少女の淡い希望を乗せた呟きは彼女の駆ける足音同様、繁華街の雑踏へ吸い込まれるようにかき消されていった。

 



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憔悴する【剣姫】
【剣姫】強襲劇


 空が黒い。

 東の空から太陽の頭が覗くどころか、日の出の前兆すら見えない。

 日付が変わって随分と時間が経過したとはいえ、早朝も早朝の……どちらかといえば真夜中に近い刻限。

 こんな夜明け前に起きて外を出歩くのは、オラリオの外で農業を営んでいる者くらいだろう。

 少なくともアイズ・ヴァレンシュタインのような冒険者が、外をフラフラとうろつくような時刻ではない。

 

「……いない、か」

 

 夜明けの冷えた空気に白い吐息を一つ。

 か細い声で呟くアイズの姿は、迷宮探索時に必ず装備していく軽装のプレートアーマーに愛剣《デスペレート》。

 銀の冒険用装備一式を身に纏う金髪金眼の少女の面持ちは昨晩から変わらず、血色もよくない。

 例のごとく寄生虫型怪物(モンスター)に侵されている彼女は、下腹部を襲う激痛にうなされて目を覚まし、再び浅い眠りに入ったかと思えば激痛にもだえ苦しむ……、という負の連鎖に見舞われていた。

 そして何かに縋りつくように、常日頃と比べても格段に早い時間にベッドから這い出て、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)を抜け出して、この市壁――迷宮都市オラリオを囲う巨大壁の上を訪れていた。

 

 彼女の視線の先には巨大市壁から見下ろせる広大な円状のオラリオの街並みが、【ヘファイストス・ファミリア】のテナントが入った巨塔『バベル』を中心に広がっている。

 日没から星空のように、街全体に散りばめられていた魔石灯の光は、その多くが消え失せて、静謐な闇へ傾きつつあった。

 とはいえすべての光が失われたわけではない。都市南部にある大劇場(シアター)賭博場(カジノ)が位置する賑やかな繁華街、メインストリート。その東部に隣接する『夜の街』歓楽街。そして北東区画の工業区は日夜問わず魔石製品を生産するために稼働し続けているため、これらの場所には煌々とした夥しい数の魔石灯が密集していた。

 

 そんな自分の住み慣れた街、オラリオの全貌を眺めていると、

 

「…………ッ!? ぐっ、ううぁあっ!? ああっ、かはっ、ごふっ‼ うぐっ、ううっ、おごっ……‼」

 

 ガシャン、と。

 

 アイズの銀の腰当てが石床にぶつかる音が響いた。

 突然苦しみ出したアイズは両手でお腹を押さえて、身体を抱え込むような姿勢のまま膝をついてしまう。

 

 ――また例の発作だ。

 

 この発作が私をどうにかしてしまう。

 だから、たとえ()()が一時しのぎのモノだとしても、決行しなければならない。

 

 そう、アイズは心の内に決心を固めながら、数週間前の出来事を思い返す。

 

 アイズの知り合いには、ベル・クラネルというヒューマンの少年がいる。

 それはかつて【ロキ・ファミリア】の不手際で、ミノタウロスの騒動に巻き込んでしまった冒険者。以降、紆余曲折あったが、アイズは最後には謝罪の言葉を告げることが出来た。

 

 ところがそこで、アイズと少年との関係は終わらなかった。

 彼の人外じみた成長速度に興味を持ったアイズは、その強さの秘密を知るため、少年に近づいた。

 

 幸運だったのは、ベルもまた指導をしてくれる人がいなかったため、冒険者としての先達がいない状況下だったことだ。

 目標のために強くなりたいというベルと、彼の強さの秘密を知りたいアイズ。

 アイズはそんな彼を取り巻く現状と意思を知って、戦闘技術の伝授を自ら申し出た。

 最初、少年はポカンとした顔をして、次になぜか真っ赤にして、そして最後には何やら覚悟を決めたように、「お願いします」と頭を下げていた。

 

 ところがここで1つの問題が浮上する。

 彼は【ヘスティア・ファミリア】という零細【ファミリア】に属している。それもLv.1の冒険者であるため、オラリオ屈指の大規模【ファミリア】、【ロキ・ファミリア】と安易に関わりをもてないということだ。

 

 二人の師弟関係が公になれば、「弱小【ファミリア】の分際で何様だ」という羨望と嫉妬の眼差し、それに並行して非難の声がベル・クラネル、ひいては【ヘスティア・ファミリア】に殺到する。

 

 また、両【ファミリア】の主神は、犬猿の仲といっても違えないほど関係がすこぶる悪い。

 一種の『師弟』という関係が露見すれば、アイズもまた【ロキ・ファミリア】団長であるフィン・ディムナに間違いなく止められるだろう。

 そんなわけでアイズとベルは人知れずこっそりと、訓練という名の模擬戦(スパルタ)をしていたことがある。

 

 特訓の期間はたったの一週間だったが、その間にも彼は大きく成長した。

 実はその『一週間』という期間はもう終わっているので、彼がここにくる可能性はほとんどない。

 けれど、もしかしたら。

 ……もしかしたら、アイズが去った後もここで一人、人知れず訓練を続けているかもしれない。

 そんな淡い希望に縋って、アイズは市壁の上へやってきた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

 

 発作が治まってきたアイズは愛剣を杖の代わりにして、どうにか立ち上がろうとする。

 すると。

 

「……アイズ、さん?」

 

「!」

 

 バッ、と顔を上げると、そこには白髪の少年が立っていた。

 深紅(ルベライト)の瞳のヒューマン。

 相貌はあどけなく、白雪のような白髪を風になびかせている中世的な顔や体つきをしている、少年。

 

「ベル……」

 

【挿絵表示】

 

 それは間違いなく、以前稽古をつけた少年であり、Lv.1にしてミノタウロスを撃破した冒険者、ベル・クラネルだった。

 

「は、はい、何でしょう、アイズさん?」

 

 アイズはベルにお腹の苦しみを悟られぬよういつもの無表情を取り繕い、ベルの前に立つ。

 そして、

 

(……どうしよう)

 

 そのままアイズは硬直してしまった。

 やることは決まっている。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ただそれだけだ。

 

 問題は、それをどうやって伝えるかだった。

 どうやって話を切り出したとしても、ミノタウロスの一件から始まり、あの思い出すだけで身の毛もよだつ地獄の一週間の説明は、避けて通れないだろう。

 

 しかし見るからに純粋無垢で、汚れた世界を知らない少年にその話をするのは、アイズも気が引けた。

 

 何より自分の最悪の過去、弱い部分ともいえる話をするのは……、なぜか(はばか)られるのだ。

 

 この少年にだけは、そんな自分(アイズ)を見せてはいけない。本能が全力でそう言っている気がした。

 

 自ら思うがままにここへきて、少年との再会を望んでおきながら、アイズは途轍もない違和感を抱いていた。

 

 具体的に、何をどう頼めばいいのだろう?

 

 誰にも聞けない疑問を、アイズは視線を左右に揺らしながら持て余す。

 そんなアイズを見ていたベルは、

 

「あの、アイズさん。アイズさんはどうしてここに?」

 

 悩めるアイズの様子を見かねて、どこか気遣うような問いを投げかける。

 

「私、は……」

 

 思わず口ごもるアイズ。

 そんなアイズを見ていたベルは、何かを思いついたのか破顔して、

 

「あ、ここに来たってことは、ひょっとして秘密の特訓ですか?」

 

 見当違いの結論を出す。

 が、アイズは違うとも言えず、

 

「う、うん。……特訓を、するためにきた」

 

 目をそらしながら、嘘……もとい苦しい言い訳を口にした。

 冷や汗を流しながら、「どうしよう、嘘をついてしまった」と内心で焦るアイズ。

 すると、

 

「あ、あの、もしよければ……また僕に訓練をつけてくれませんか?」

 

 ベルの方から思いがけない申し出があった。

 

「!」

 

 途端にアイズの頭の中で、ピーン! と作戦が思い浮かぶ。

 この少年に頼むことなく、目的の()()を手に入れる方法。それが浮かんだのだ。

 

「うん、いいよ。それじゃあ……勝負をしようか」

 

「え、勝負、ですか? ああ、それっていつもの模擬戦ですね」

 

「ううん、違うよ。勝負だよ」

 

 言いながら、アイズは剣を抜くと、剣の方を壁に立てかけて、鞘を構える。

 

 アイズが見据える先にいるのは、冷や汗をダラダラと流した少年。

 この時、ベルは本能的な恐怖(トラウマ)が呼び起こされていた。

 

(なぜだろう。アイズさんの目が、どこかで見たことあるような、目に、なってる?)

 

 刹那、歓楽街でアマゾネスたちに向けられた目を思い出すが、なぜそんな過去が記憶の底から掘り起こされたのか分からないベルは、疑問に蓋をする。

 

(いや、いやいや、アイズさんに限ってそれはありえない!)

 

 飢えた狼に見つめられて硬直したように動かなくなってしまった白兎……もとい、ベル・クラネルは恐る恐る口を開いて、

 

「あのー、アイズさん? 勝負って、具体的にはどんな内容でしょうか……?」

 

「私とベルが、戦う」

 

 シンプル・イズ・ホラー。

 

 即答だった。

 

「いやいやいや! 戦ったらLv.6のアイズさんが圧勝しちゃいますよ!」

 

「大丈夫。ベルの攻撃が、私にかすりでもしたら、君の勝ち。私は君を…………き、気絶させたら勝ち」

 

「気絶!?」

 

 ナンジャソリャ!? と白目をむくベル。

 

「ちょ、ちょっと、待ってください。僕って()()気絶させられるんですか!?」

 

「そして……勝ったら、負けた方に……一つだけ何でも、言うことを聞いてもらう」

 

「……………………え」

 

 金色の瞳が、物欲しそうにベルの股間をじっと見つめる。

 

 これなら無理矢理じゃないし、あの外道な手でアイズを凌辱した【ファミリア】とは違う、はず。

 そう自分自身に言い聞かせるアイズは、すでに無茶苦茶な勝負を吹っかけていることに気づいていない。

 

「それじゃあベル、ナイフを抜いて」

 

 じり、じり。

 

 徐々に間合いを詰めてくるアイズに、どこか焦燥に駆られて余裕のない狩人のような雰囲気に、ベルは口を引きつらせる。

 とありえず腰に差した短刀を抜くが、今のベルは武器といいステータスといい絶望的なまでに心もとない。

 

「え、え、えぇ……あの、アイズさんっ、アイズさぁん!? なんかいつもの訓練と違くないですか!?」

 

「……気のせい」

 

 怯えながら短刀を構えるベルは後退しようとするが、背後はすでに市壁の縁、胸牆(きょうしょう)だ。

 

 眼前に狼、背後に壁。逃げ場はない。

 荒い息を立てて少年の疑問を切って捨てたアイズは、次の瞬間なんの遠慮もなく飛びかかる。

 第一週冒険者という領域にかすりもしないベルは、アイズの全力の薙ぎ払いを防げるはずもない。

 

 ぎぃいいああああぁぁああああ‼ という絶叫が朝日の見えぬ夜明けの空に打ちあがったのは、当然の結末だった。

 

 数分後、見事に意識を刈り取られて壁上の石床に寝かされるベルの姿があった。

 

「膝枕をしたい。モフモフしたい。癒されたい」という衝動を抑えて、アイズはベルの顔をツンツンと人差し指でつつく。

 

「眠ってる、よね?」

 

 眠っているのではない、気絶しているのだ! とツッコむ者は、残念ながらこの場にはいない。

 

 アイズはベルが起きないのを確認すると、さっそく彼の腰のベルトに手をかける。

 男物のベルトに疎いアイズは、どうやって外すのか分からず悪戦苦闘しながらも、どうにか取り外すことに成功。

 

 ズボンに手をかけて、ゴクリッと生唾を飲み込む。

 

 さすがにこの先に進むのは今のアイズでも逡巡したが、彼女には余裕がない。

 迷いはしたが、それも一分に満たない時間。

 

 やがてアイズは覚悟を決めて目をつむり、ずるりっ、とインナーもろともベルのズボンをおろした。

 

 



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【剣姫】睡姦劇

 恐る恐る目を開けると、そこには愛らしいサイズのイチモツが生えていた。

 カーッ、と。

 アイズは自分でも頬が赤くなるのが分かった。

 

(……見た……私、ベルの、見ちゃった……)

 

 羞恥心で知らず知らずのうちに鼓動が早くなる。

 手を伸ばせば届くところに、欲しいものがある。そんな情欲にまみれた想いが、アイズの心を支配していく。

 ところが、

 

「……あれ?」

 

 様子がおかしい。

 ベルのペニスの形が、アイズの知っているものとは違う。

 アイズが監禁されているときに見た男たちのモノとは、明らかに形状が異なる。

 あのときはもっとこう……反り立っていたはず、とアイズは小首をかしげた。

 

 いったいこれはどうしたことだろう。

 

 この少年の男根は機能不全でも起こしているのだろうか、と。失礼極まりないことを考えながら、ひとまずアイズは辺りを見回す。

 ここには自分とベルしかいないことを確認すると、意を決しておもむろにスパッツを脱ぐ。

 このままでいけるのだろうか、と不安に思いながら自らの衣服を乱し、ベルの腰の上に跨った。

 

 もし今、ベルが目を覚ましたらアイズの秘部は丸見えだ。

 そうしたら、この少年はどんな反応をするだろうか。

 いつぞやの出会いの時のように、また逃げ出されるのだろうか。

 

(……それは、困る)

 

 ならば一刻も早くことを済ませなければ、と。アイズは腰を落とす。

 露わになった割れ目が、ベルのペニスと重なり合う。

 しかし、肝心のペニスは萎みきったままだ。硬さも感じられなければ熱も感じられず、フニフニと柔らかく頼りない感触しかない。

 当たり前のことだが、アイズの秘裂にベルの縮んだペニスは(はい)ろうとしない。

 

 アイズは羞恥心で焦がされる身を自覚しながらも、目をつむることで必死に堪えて、その萎えたペニスの上で腰を揺らす。

 一週間近くも過ごした監禁生活の中で、アイズは知ってしまったのだ。

 このように男根には、刺激を与えれば与えるほど大きく膨らむということを。

 実際にアイズの秘裂に勃起したペニスを押し当てて、射精してくる輩もいた。

 

 アイズからすれば屈辱ではあるが、当時の記憶がこんな形で役に立つとは夢にも思わなかった。

 だが、それはあくまでも男から腰を振ってきたという話。

 

「ん、んん……ふぁあ、んんんぁ……」

 

 アイズから腰を振るというのは初めてのことで、いけないことをしている背徳感が背筋を撫でる。

 逃げ出したくなるのをグッと堪えて、懸命に腰を振り続けた。

 

「んん、んっ……ベル……なんでっ……なんで、硬く、ならないの?」

 

 ベルのペニスを勃起させて、それを膣内に迎え入れて射精へ導かなくてはならない。

 分かってはいる。やるべきことは分かっている。

 いるのだが、事はそう簡単に進まない。

 娼婦でもないアイズのテクニックは、お世辞にも上手いとは言えなかった。

 だから時間がかかる。

 

 アイズは目を開くと、萎えたペニスにより一層割れ目を強く押し当てて、腰を前後に揺らしていく。

 

「んっ……んふっ、ふぅ……んんっ、ンクッ……」

 

 グリグリと腰だけを動かして、ペニスの裏側を舐めるように強く擦る。

 そして腰を軽く浮かせては、亀頭が割れ目に当たるようにして、緩やかに円を描く。

 その瞬間。

 

「……ンンッ!?」

 

 ピクリッ、と。反応があった。

 亀頭に触れてから少しして、ベルのペニスが僅かに起き上がったのだ。

 同時にアイズの心の内の罪悪感が膨れ上がる。

 

 こんなことをしていいのだろうか。

 

 けれどアイズは、即座に心を殺して、性奴隷となっていた時に会得した拙いテクニックを駆使する。

 より速く、より強く、アイズは自分の秘裂をベルのペニスにグリグリと押しつける。

 

「はぁ、はぁ、んんっ……んくっ……!」

 

 本来なら、倫理観のある冒険者のベルが、こんな意識のない状態で欲望を覚えるわけがない。ましてやベルは、あのケダモノのような狩猟者(ハンター)の男たちとは、人としての在り方が根底から違うのだ。

 

 しかし、アイズが相手となれば話は違ってくる。

 

 憧憬であり、目標であり、何よりも好きな人である【剣姫】。ベル・クラネルの唯一の想い人。

 その少女が、今は下着を脱ぎ捨ててベルに覆いかぶさるように跨り、いやらしい動きで腰を前後に振っている。

 アイズの顔がベルの耳元に近づき、囁くように吐息が吹きかけられる。

 

 その声が、嬌声が。

 眠れる少年の性欲を無意識のうちに引き出していた。

 

「はぁっ、ふぁっ……ぁあっ……ふぅ……っ」

 

 アイズは腰の動きを、少しづつ大胆にしていく。ペニスと触れ合う肉弁が、わずかに熱くなってきている。

 ベルが感じてきていると同時に、アイズの秘処もまた、快楽を得ようとしているのだ。

 そのことに気づいて、アイズの頬がカーッと熱くなる。

 

 にちゅ、ぬちゅっ、ねちゃっ、ぬるうぅ……。

 

「ふっ……あふぅ……んんっ、んふぅう……っ」

 

 少年の腰にまたがり、いまだ萎えているとはいえ、牡の象徴であるペニスに割れ目を強く擦りつける。

 その行為にアイズの肉体は、あの一週間で磨き上げられた反応を示していた。

 

 心がどれほど否定しようとも、肉弁は熱く火照り、割れ目の奥から愛液が溢れ出てくる。

 さらに、

 

「……アイズ、さん……」

 

「――ッ‼」

 

 ビクンッ、と。アイズの腰が跳ね上がる。

 まさか目を覚ましてしまったのか、とアイズは恐る恐るベルの顔を覗き込むが、少年は相変わらず気絶したままだった。

 

(よかった……、寝言、だよね?)

 

 アイズは思わず安堵の息をつく。

 同時にベルの、純粋無垢な寝顔がアイズの心に突き刺さる。いっそ批難して、罵ってくれたほうが罪悪感が薄まったのかもしれない。

 

(ごめん、ベル……。でも、これは……これをしないと、私が……もう……無理、だから……ッ)

 

 深い眠りに落ちているベルに、逃れるすべはない。

 仮に今、目を覚ましたとしても、アイズは全力でベルを押さえつけて行為に浸り続けるだろう。

 

「はん……ぁあんっ、ぁっ…………」

 

 アイズの口から、甘い女の喘ぎがこぼれていく。

 その声が、その吐息が、その熱が、その匂い、そして柔らかさが、眠れるベルの『男』を刺激する。

 ベルは意識を手放しながらも、その顔に少しずつ興奮の色を漂わせ始めている。

 初めと比べて寝息も荒くなり、ペニスがより一層膨らんできているのがアイズにも伝わった。

 

 ベルのことを考えれば、ここで動きを止めるべきなのだろう。

 それでもアイズは懸命に、腰を前後に揺らめかせる。

 

「ふっ、くふぅっ……んぁあっ……」

 

 最早アイズには周りが見えていない。

 少しでも早くベルのペニスを勃たせて、自分の膣内へくわえ込む。理性の吹き飛んだ頭には、それだけしかなかった。

 

「ふぁっ……ああぁっ……んはぁっ」

 

 ベルの上で、これまでよりも大きく腰を揺すった。

 前後に滑らせるだけではなく、時には弧を描くように肉唇でペニスを舐め回すようにしゃぶる。

 

 べちゃっ、びちょぉっ、ぬりゅぬりゅうぅ……。

 

 割れ目からこぼれ落ちる蜜液の量が増して、膨らみつつある肉棒をテカテカとした輝きで覆う。

 このままではベルが完全に勃起する前に、アイズが果ててしまう勢いだ。

 

「……アイズ、さん……アイズ、さん……」

 

 さらにベルのこの寝言がよくない。

 無意識下の呼びかけとはいえ、名前を呼ばれるたびにアイズの背筋をゾクゾクと震えさせ、股間を熱くたぎらせる。

 教え子の劣情を促す背徳感に、アイズの中で淫らな情欲が湧き上がってきた。

 

「ベル、ベルっ……早く、勃たせて……っ! 早く、私の、中に……んんっ……」

 

 ずちゅるるるるるうぅぅぅぅううう……っ!

 

「ううっ、アイズ……さん……っ」

 

 ペニスの上で大きく腰を滑らせると、派手な水音が鳴ってベルの口から切羽詰まったような呻き声が漏れ出た。

 そしてついに、大きく反り立ったペニスは、アイズの割れ目を刺激して触れ合い、いっそう硬く張りつめていた。

 

「うぅんっ、ふはぁあああああんンン……ッ!」

 

 完全に勃起したベルの肉棒が秘処を強く圧迫し、思わずアイズの口からは甘い嬌声がこぼれ出る。

 熱くたくましいペニスの感触に、アイズの割れ目も喜ぶようにヒクヒクと震えていた。

 

(ああ、ベル……ごめん、なさい。私……もう、我慢できないっ)

 

 アイズは恍惚として我を忘れた様子で、緊張した笑みを浮かべ、ゆらりと腰を浮かせると、肉棒の先端を割れ目にあてがった。

 

「あふぅううんっ……はうぁああっ‼ んぁああああああああぁぁぁ〰〰〰〰っっっ‼」

 

 根元まで一思いに迎え入れたアイズは、熱い剛直で下腹部を貫かれる感覚に、大きな声で快感を叫んだ。

 

「くふぁあっ、ああっ、太い……何、これ……っ! 見た目、より……ずっと、硬くて……ああっ、あふぁああん!」

 

 ベルのイチモツを快楽に誘う過程で、アイズの股間も十分すぎるほど焦らされて、官能を煽られていた。

 愛液で浸された膣内はとっくに迎え入れる準備ができており、子宮も十分に降りて来ていた。

 だからこそ、亀頭が容赦なく子宮口を襲う。

 

「太い、おちんちんが……私の膣内を、広げて……はうぁっ!? ……かっ、硬い、先っぽがぁ……亀頭ちんちんが……んふぅうっ、子宮に、当たってるぅ……んひぃっ!」

 

 一週間という監禁生活の中で調教されたアイズは、無意識のうちにペニスの感想を口にする。

 犯されながら、その感想を言えと命令されたあの時の癖が、()みついてしまっていた。

 

「はぁふっ……カリの、出っ張りもぉ……ずり、ずりぃって、私の、オマンコの肉っ……こ、擦って、変になるぅ……ふぅうああっ! すごく、いいぃ……いい、おちんちん、だよぉっ!」

 

 快感を口に出せば出すほど膣内が敏感になり、肉棒の脈動に合わせてキュンキュンと収縮を繰り返す。

 その収縮に呼応するように、ペニスがより一層力強くそそり立っていった。

 

「まさか、ベルが、こんな素敵な、おちんちん……持ってたなんてぇ……あふっ! んはぁぁあっ……こんなことなら、もっと早く、味わっておけばぁ……ッ!?」

 

 そこまで言いかけて、アイズは自分が何を口にしようとしているのか、快楽に支配された頭の中で驚愕する。

 

(あぁ……私、何を、言ってるの……? いくら精液を……手に入れないと、いけないからって……なんで、私……こんなことをっ?)

 

 背徳の快楽に追い立てられるように、アイズは騎乗位で腰を上下に揺すりだす。

 

「はぁあんっ、あんっ……んぁああんっ、くふぁああっ‼」

 

 ジュプッジュプッと、淫らな抽送音が、壁上に鳴り響く。

 その音が、アイズの官能をさらに刺激する。

 

「んっ、はふぅっ……んんぅっ、あふっ、くふぅううっ、んンンンぅっ……!」

 

 小刻みに腰を弾ませたり、かとおもえば急に深く咥えこんでグリグリと秘処の最奥を亀頭に押しつけたり。最早アイズの腰遣いは、歓楽街の娼婦のそのものだった。

 

 心の底から湧き出る罪悪感と背徳感。

 アイズは何もかもから逃げ出すように、股間に突き刺さる肉棒から精液を絞り取ろうと、それだけに意識を集中させる。

 

 だが次の瞬間。

 

「うーんっ……」

 

 少年の瞼が震えた。

 

「っ‼!?」

 

 ビクンッ、と。思わず身体を震わせるアイズ。

 ハッとしたアイズは上下させていた腰の動きを止めて、おそるおそる少年の顔を覗き込む。

 固唾をのんで見守っていると、目を開けたベルはゆっくりと意識を取り戻す。

 そして……、

 

「……………………………………アイズ、さん?」

 

 今までの寝言とは違う、ベルのはっきりとした焦り声が聞こえた。

 ベルは状況を理解するなり飛び上がろうとして、しかしアイズは逃がさないとばかりにベルに覆いかぶさる。

 

「なっ、な、ななっ、なんで、こんなことをッ!?」

 

 盛大にどもりながら問いただすベルに、アイズはマズいと咄嗟に考え込む。

 今回、どう考えても非はアイズにある。

 どんな言い訳をしたところで、アイズのやっていることは到底許されることではない。と、アイズは一人考え込んでしまう。

 

「……性行為(これ)をすれば……体調が、回復するから……」

 

 そして目を逸らしながら、真実を口にした。

 実際のところアイズは、嘘はついていない。

 ベルの精液を摂取すれば、一時的とはいえアイズの発作は収まり、体調が回復する。

 

「えっ? ええっ!? はいぃぃいいいいいいいいい――――ッッッ‼!?」

 

 ただし、アイズには以前にベルを膝枕したことがある。

 その際も同じ言い訳をして、ベルを困らせた前科があった。

 

 曰く、膝枕をされた人は回復する、と。

 

 だからこそベルには、今回も同じ理由でこんな行為に及んだのだと伝わってしまった。

 

「い、いや、いやいやいや! 何言ってるんですかアイズさん! これはどう考えてもやりすぎですよっ!」

 

「やっぱり……嫌、だった?」

 

「えっっ!?」

 

 アイズが怖じ怖じと尋ねると、ベルは目をアイズに合わせる。

 次には顔を一層赤くして、手足をジタバタさせながら猛否定し出す。

 

「い、嫌じゃないですっ!? むしろ最高で、って嘘うそウソ嘘です今のは違うんですッ!? その、幸せなんですけどっ、変な意味じゃなくてって、いや変な意味になっちゃうんですけどッ!?」

 

 顔全体を熟したトマトのように真っ赤に染めて、ベルは動揺を隠せず要領の得ない言葉を口にする。

 

「じゃあ、してもいいの?」

 

「してもいいというかっ、したいんですけどこういうのは順序というものがありましてっ、いきなり始めるというのはマズいというか普通はき、キスとかから始めるのが普通なのではっ……‼」

 

「――それじゃあ、キスをすればいいんだね」

 

「えっ…………んぐッ!?」

 

 次の瞬間、ベルの言葉にならない言葉を並べる唇は、アイズの柔らかな薄ピンク色の唇によって封じられていた。

 舌と舌が絡み合い、互いの唾液が交じり合う。

 そしてアイズは口づけをしたまま、再び腰を振り始めた。

 

「んんんんっ、ぷはぁああ!?」

 

 動揺するベルをよそに、膣穴を強く引き絞って、腰の動きを速めていく。

 キツく窄めた肉壁で亀頭のエラを擦り上げて、射精を促すように竿の付け根も膣口で締め付けて(しご)き立てる。

 

「あ、アイズさん! これ本当にまずいですって! 離してください!」

 

 憧れの人に、好きな人に、想い人に。

 こんなことをされてまともでいられるわけがない。

 ベルは残された最後の理性を振り絞って、警鐘を鳴らす。

 

「ベル、私は、大丈夫……んんっ、だからっ、んぁああっ!」

 

「いやだからマズいんです! 僕これ以上は耐えられなくなるというか、出ちゃいますって‼」

 

 ジタバタ暴れるベルだったが、Lv.3止まりの冒険者ではLv.6の第一級冒険者を払いのけることなどできない。

 それどころか、アイズはベルの亀頭に子宮口をグリグリと擦りつけて、

 

「んっ、あぁっ、出してぇ! 中に、お腹の中に、射精してぇっ、お願いだからぁ! 私を見続けて、ため込んだ性欲を、ぶつけてぇ……!」

 

「そんなっ、アイズさん、僕そんなこと考えたりなんか……!」

 

「はうぁあああっ! 嘘、そんなの、嘘だよっ。特訓のたびに、ズボンの下では……ひぐっ! おちんちんを膨らませて、私を犯すこと……んああぁっ……想像して、たでしょ?」

 

「し、してませんっ! だ、駄目ですっ、アイズさん……これ以上は本当に……ひぃっ!?」

 

 どうにかアイズを宥めて、膣内射精だけは避けようとベルは身をよじる。

 だが、アイズは決して逃さないと言わんばかりにベルを抱きしめて、密着させた尻を小刻みに揺すり立てる。

 

「はんぅっ、はんあんっ、ああぁんっ、んんっ、ふうっ!」

 

「ッッ!? ひ、ひぃ、いいっ……‼」

 

 ビキビキッと、今にも破裂しそうなほど膨れ上がったベルの肉棒が膣道の中で痙攣を起こす。

 その射精の予兆に、アイズの肉体は下腹部を中心に否応なく快感を膨れ上がらせていく。

 

 アイズは早く精液が欲しくて欲しくて堪らず、なおも一層激しく腰を振りたくり、淫猥な言葉でベルを誘う。

 

「ほらっ、その妄想……んあっ! 現実になって、いるんだよっ? 私の、お、オマンコの感触、分かるでしょっ? ベルのおちんちんが、ズブズブッて、突き刺さってぇっ……ひうんっ‼」

 

「だ、だめだ、アイズさん……! 僕、もう…………っ」

 

 もはやアイズに理性は残されていない。

 腹部の痛みから逃れるためのか、それとも純粋に快楽を求めての言葉なのか。

 あるいはその両方か。

 

「はぁぁっ、いいのぉ、種付けっ、してぇえっ! はぁあん、あんっ、溜め込んだ、欲望でぇぇっ! 卑しいザーメンでっ、【剣姫】マンコをっ、どぴゅどぴゅって、いっぱいにしてぇッ!」

 

 そしてベルが苦悶に満ちた表情を見せて、アイズは最後の一押しとばかりに嬌声を叫ぶ。

 

「はぁあんっ、ああぁっ、イッてぇっ! 出して、あぁっ、イカせてぇっ! 私も、もう、イクッ! うっ、うあぁっ、もぉおうっ、イクぅううう〰〰〰〰〰〰っっ‼」

 

「ア、アイズさぁああああん……っ‼」

 

 ビュビュビュルッ! ビュルルルルル‼ ドビュルルルルルルルッ‼‼

 

「ひぐぅぁあああああッ‼ いはぁああああッッ‼ あぁっはうああああああああぁぁぁぁぁぁあああ〰〰〰〰〰〰〰〰ッッ‼‼」

 

 ついに膣内で、ベルの劣情が爆ぜた。

 

 それを待ち望んでいたアイズは、お腹を突き出すように腰を逸らしながら顎を天に向けて、感極まった嬌声を叫ぶ。

 

「ぁああっ、いいぃっ、出てるぅっ! 熱いザーメンが、オマンコを、満たしてくるぅぅぅ〰〰〰〰っ‼」

 

「あ、ああ、アイズさん、駄目ですって! うっ、ううっ!?」

 

 今となっては手遅れだが、ベルは何とか腰を捩じって、射精に脈動するペニスを引き抜こうとする。

 対してアイズは精液の温もりを感じようと、より深く腰を下ろすようにして、暴れまわるペニスをギュッと膣肉で握りこむ。

 

「んぁあああっ、ダメぇ、抜かせないっ……どこにもっ、いかせないぃっ! お、お願いぃっ! 全部、全部っ、中に出し尽くしてぇええっ……‼」

 

「うぐぅううっ……‼」

 

 アイズは絶頂に翻弄され、悶えながらも猛烈に尻を打ちつけ、ベルの精液を一滴残らず搾り取ろうとする。

 尻を打ちつけられた衝撃で、ベルは再び苦悶の表情を見せる。

 そして少年の腰が痙攣するように強く突き上げられて、

 

 ビュクルゥ、ビュビュルルルッ! ブビュルルルッ‼

 

「んああぁぁぁあああっ‼ あふぅうううううんっ、あああっ‼ あアッ!? はぁっ、あああああぁぁぁぁあああああ〰〰〰〰〰〰ッッ‼‼」

 

 膣内が精液でいっぱいになり、ついには子宮口が決壊して胎内に染み渡る精液の熱波。

 それらを感じて、アイズは心の底から絶頂を噛み締めて悶えるのだった。

 

「あはぁ……はぁ……ぁぁ……はぁ……あ、ありがとう……ベル。こんなに、たくさん、注いでくれて…………」

 

「ア、アイズ……さん……っ」

 

 と、そこでようやくアイズの心に理性が戻ってきた。お腹の中で暴れまわっていた寄生型怪物(モンスター)が食事を得て、落ち着きを取り戻していく。

 同時に、泣き出しそうなベルの顔に、アイズは罪悪感で胸が潰れそうになる。

 けれどアイズの肉体は、絶頂の余韻に小さく震えていた。

 

 本当はもう少しだけこのままベルの温もりを感じていたいけれど、そうもいかない。目的のモノを手に入れた今、いつまでもベルを拘束するわけにはいかない、と。

 アイズはそう考えて、ベルの上からおもむろに立ち上がる。

 

 秘裂からは愛液と精液の混じった白濁液がこぼれ落ち、城壁の石畳にボタボタと垂れていく。

 こうなることを想定していたアイズは、あらかじめ持ってきていた手ぬぐいを荷物から取り出そうとした。

 

 ところが……、

 

「ア、アイズさん、アイズさん! アイズさん‼ アイズさんッ‼」

 

「――――ッッ!?」

 

 突如、背後からベルが抱き着いてきたのだ。

 アイズがなんとか顔だけ振り返って見れば、ベルの目から正気が失われている。

 少年の瞳は、まるでアイズを襲った狩猟者(ハンター)たちのような、獰猛な輝きを放っていた。

 間違いない。

 我を失ったベルは、アイズを犯そうとしている。

 

(ああぁ、あぁ、こんなこと、止めなくちゃ、いけないのに……!)

 

 けれど、その資格がアイズにあるのだろうか。

 

 弱い者いじめとも呼べるような勝負をベルにけしかけて、気絶させて、あまつさえ眠っているところを犯したアイズ。

 果たして彼女に、今のベルを止める権利があるのだろうか?

 

 そんな罪悪感がアイズを迷いの迷宮に誘い、抵抗できないでいる。

 

 そうこうしているうちに、アイズの背後からベルの手が伸びてスカートを捲り上げられる。

 アイズの傷一つない綺麗な肉付きのいいお尻が露わになった。

 

 ベルの膨れ上がったペニスが太ももと太ももの間に差し込まれ、アイズの股を擦り始める。

 

「んんっ、んっ、んくっ……!」

 

 絶頂を味わったばかりのアイズの全身は敏感になっており、まだ挿れられていないにもかかわらず吐息のような喘ぎ声が漏れ出す。

 そしてベルの亀頭がアイズの秘裂を見つけると、

 

「ア、アイズさんがいけないんだ。僕はやめてって言ったのに……。だ、だから……!」

 

 そうして間もなく、容赦のない少年の『反撃』が、始まった。

 

 



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【剣姫】屈服劇

 太陽の頭が地平線に覗く夜明け。

 都市オラリオを囲む高い石壁の上では、少女と少年が水音を響かせてまぐわっていた。

 

「ぉおおぁぁああああああああぁぁぁ――――ッ‼」

 

 ベル・クラネルは理性を失って白目を剥き、白く柔らかな少女のお尻を後ろから強く鷲掴み、ただただ目の間にある小さなピンク色の肉穴へ、己の猛々しい肉棒を強引に押し込める。

 

 その様子は、さながら闇雲に武器や手足を振り回す怪物(モンスター)となんら変わりない、獲物を追い詰める肉食獣のそれだった。

 

 一方で、

 

「んひぃいいいいっ!? んぁっ、ぐッ! あぐぅっ、ンうううッッ‼」

 

 アイズ・ヴァレンシュタインは何とか地に伏すまいと胸壁に手をかけてしがみつき、立ったまま後ろから尻に腰を打ちつけられていた。

 産毛一つないツルツルの秘処はすでに、牡を受け入れる準備ができていた。

 

 つい先ほど、ベルのペニスを勃起させるために秘裂を幾度となくこすりつけ、愛液に(ひた)った膣穴に肉棒を迎え入れて絶頂を味わったばかりだ。監禁生活で改造されて敏感になった膣穴はパクパクと餌を求める魚の口のようにヒクつき、さらなる刺激を求めていた。

 だからこそベルのペニスで膣奥を突かれると、いっそう肉穴が熱く潤っていく。

 

(け、けど、これは……私が……私が、ベルを襲ったから)

 

 本当は止めなければいけない。

 恋人でもなければ、同じファミリアでもない人間同士が、それも()()でこんな行為に身を投げていいわけがない。

 

 けれど自分(アイズ)に少年を止める資格があるのか。

 ベルの好意につけ込んで訓練と称し、気絶させて寝込みを襲ったアイズに少年の暴走を拒絶する権利などあるのだろうか。

 

(だから、今度は、私が……ベルを、満足、させないと……ッ)

 

 ベルの理性を壊してしまった責任感が、アイズから抵抗の意思を削いでいく。

 

「んンンッ……んっ! んくっ、ふっ、ンんぅっ!」

 

「ア、ア、アイズ、さん、アイズさん、アイズさんアイズさんアイズさん――ッ‼」

 

 抗うどころか、逆に膣穴を引き絞り、アイズは自分からベルにお尻をぶつけていく。

 その締まりの良さに我を失ったベルが本能的に気を良くしたのか、肉棒を激しく叩き込んでくる。

 

「ひぅううっ、くぅううっ!? くっ……そんなっ、激しっ……ぁああっ‼」

 

 ベルの律動は、普段の彼の性格からは考えられないほど荒っぽい。

 戦闘訓練ではベルがどんな動きをしようと、完膚なきまでに受け流して反撃していたアイズだった。

しかし今、性行為においては人間の牡の荒々しい性欲に気圧されて、気をやらないようにすることで精いっぱいの牝に成り下がっている。

 

「んふぅうっ、ううっ、ああぁっ、広げ……られてるぅッ! んぁああっ、ふっ、くぅうっ……苦しっぃいいっ!」

 

 天を穿つように反り返ったペニスが、小さな割れ目を無残なまでに大きく歪ませて何度も押し挿ってくる。

 下腹部が内側から、メリメリと音を立てて割広げられいく。

 

 ベルに発現したスキル、【英雄願望(アルゴノゥト)】。

 効果は、「体力と精神力を引き換えに必殺技の威力を上げる」となっている。

 そのスキルの効果が今まさに、ベルのある一部に発現していた。

 

 具体的には「ペニス」という得物。

 

 寝ていたときは、そしてアイズの一方的な性行為に動揺し、拒絶しようとしていたときには発動していなかった。

 ところがベルの理性が吹き飛び、アイズを想う心が限界を超えた瞬間、ベルの股間は先ほどまでとは打って変わってより逞しく成長した。

 

『あらんかぎりの性欲をぶつける者』

 

 その本能に突き動かされた理想像を現実とするために……、より濃密で大量の精液を吐き出すために、ベルの肉棒はみるみる膨れ上がり、硬く充血させていた。

 

「んはぁっ、はぁっ、はぁああッ! こん、なっ……ぅく、ンンっ、大きっ、んぁあああ――ッ!?」

 

 アイズはお腹の感触に苦悶の声を上げながらも、最後まで規格外の巨根を飲み込もうと、一気にお尻を押しつける。

 

「ふぐっ、んふーっ、ふーっ、ふっー……ンッ、ンンンンッ‼ んはっ、はぐぅぅぅ〰〰〰〰っ……んはぁあッ!?」

 

 棍棒のように大きく硬い亀頭に、子宮口を抉られる。そう感じた時には、子宮もろとも力強く押し上げられていた。

 熱い肉竿に、鳩尾まで刺し貫かれたような感覚で、胸のあたりにドクンッと恐怖にまみれたものが脈打つ。だが、それはすぐに熱い波動となって、胎内で強く疼き出した。

 

「んはぁあっ、はぁっ、はぁああ……! なん、でぇっ……こん、なっ……ぅくっ、ンッ、んはぁあっ……んぁあああっ‼」

 

 自分を満足させたはずのごく普通サイズだったはずのペニスが、今また体の芯を貫くほどに巨大な存在感を示している。

 ベルの肉棒の強烈なまでの熱さ、硬さ、太さ、大きさに、身体も心も震えていた。

 

(む、無理ぃいっ、このオチンチンっ、無理ぃぃっ! こっ、こんなの、気持ちッ、気持ち良すぎるぅっ‼)

 

 相手は自分が利用し、汚してしまったベルという少年。

 だからこれは償いであり、決して自分が気持ちよくなるための行為であってはいけないというのに。

 

(なん、で、なの……っ? もっと、大きなっ、怪物(モンスター)にだって……、もっと、大勢の、狩猟者(ハンター)にだって、犯されたこと、あるっ、のに……ッ!?)

 

 だというのに、すでにアイズは自身の中に芽生える感情を無視できる状態ではなかった。

 

「んぐはぁあああ!? はぐっ、くふぅっ、くぅぅうっ……んふーっ、んぐっ…………ひぐッッ!?」

 

 不意に、腰が甘くしびれるような快感に襲われる。

 限界まで圧し広げられた膣壁が、勝手にペニスを強く締めつけていた。それに合わせて、ベルを気持ちよくさせるためではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――ッ!?」

 

 慌てて腰の動きを止めたが、もはや手遅れだった。

 アイズの快感は限界に達しようとしており、後戻りはできない身体が出来上がっていた。

 

「んぐぁああっ!? あっ、かはっ、はきゅっっ……ッ……ぅひぃいいいいいい‼」

 

 そのとき、ベルの抽送が一段と激しくなった。

 アイズの腰から背中にかけてゾクゾクッと得体のしれない感覚が駆け上り、頭の中までもを犯そうとしている。

 肉穴の周りがトロトロの愛液で濡れているのは当然ながら、全身から汗が噴き出て、アイズの心を身体もろとも昇天させようとする。

 

「うぁああっ、ふぅああっ! くるっ、くるっ、くるくる来ちゃうぅっ! ダメぇ、ベルっ、もうっ、私……イッちゃうッッ‼」

 

 お願いだから、と汗みずくのお尻を、ギュウッと強くベルの腰に押し当てる。

 そんなアイズを跳ね除けるように、バキバキに膨れ上がったペニスが大きく脈打つのを膣内で感じられた。

 

 ドビュルゥッ! ビュクンッ! ビュクビュクンッ‼ ドブブルルゥウッ‼

 

「ああぁああっひぁああああああああああぁぁぁああああああ〰〰〰〰〰〰〰っっ‼‼」

 

 激しく脈動する男根が、子宮口に食い込んだ亀頭から真っ白な灼熱の溶岩を一気に噴射する。

 

「あひゃあああっ、あああぁぁっ、イクぅううンッ! イクッ! イクッ、イッくぅうっ、イッってるぅうううううううっ‼‼」

 

 煮えたぎる白濁液の大噴火を子宮内に浴びたアイズは、絶頂の炎に身も心も一瞬のうちに焦がされて悲鳴を上げる。

 

「ああぁあっ、オマンコがっ、子宮がっ、子宮パンパンに、なるぅうっ! いひぃいいいっ! 子宮がザーメンっ、ザーメンにっ、犯されてっ、イッちゃうぅぅうううううっ‼」

 

 日が昇ってきて、オラリオの住人も顔を出し始めているだろう。

 だというのに、アイズは野天であることも忘れて、喉が張り裂けんばかりの大きな嬌声を壁上に響かせる。

 

アイズは眼前で火花が散るような倒錯感に襲われながら絶頂した。

痙攣は下腹部だけに留まらず、汗まみれの全身がガクガクと震え出す。その震えに翻弄されて腕に力が入らず、胸壁にしがみついていた上体がズルズルと地面に伏した。

 

膣穴からは極太の肉棒によって吐き出された白濁液が溢れ出している。にもかかわらず、未だにキュンキュンと(すぼ)む膣内へ精液が流し込まれていた。

 

「あぁっ、はぁっ、はぁっ……はふっ! はぁっ、はぁっ、はぁ…………」

 

 快楽の渦に呑み込まれて疲弊したアイズは思うように動けない。

 グッタリと頬を地面にこすりつけ、その場でお尻を突き出す姿勢でうつ伏せに倒れて荒い呼吸を繰り返す。

 

 まさに次の瞬間。

 

 ドチュンッ‼ と。

 

「ひっ、あぁっ、ぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ‼」

 

 容赦なくベルの猛々しい肉棒を最奥まで咥えこまされる。

 

「ひっ、んぐっ、うぁあっ……あっ、あっ……ああぁっ……!」

 

 すっかり終わったことだろうと安堵していたアイズは、再び強引に極太の快楽を植えつけられる未来を悟り、瞳に涙をにじませた。

 けれどそれは、目の前が真っ白になるほどの壮絶な快感ですぐさま上書きされ、次の瞬間には吠え叫ばされていた。

 

「んぁあああっ‼ ああああああぁぁぁぁああっ、ひぁああぁあああぁっ‼ ああああああぁぁぁぁああ――――ッッ‼⁉」

 

 先ほどと同じ快楽を味わうのだと思っていたが、それは大きな間違いだった。

 

 ベルのスキル【英雄願望(アルゴノゥト)】が再度発動して、今度は肉棒の表面の凹凸が激しく変態した。

 

 特に先端のエラのような部位の出っ張りは凄まじいもので、それが敏感になっている膣壁をことさらに刺激してくる。

 

「なんっ、それっ⁉ はぐあぁっ⁉ はひっ、んあっ……あぁっ、やめっ……はひぃっ⁉ ぎっ……⁉」

 

 一週間に及ぶ監禁生活の輪姦で、肉棒が抗いがたい快楽をもたらすことは十分に知っていた。

 ……そのつもりだった。

 

 だが、これはその甘い考えを遥かに凌駕する。

 

 狩猟者(ハンター)たちによって開発されてしまったアイズの肉穴の弱い部分を、的確に刺激してくる……そんな形状をしている。

 

(だっ、だめっ……早くっ、抜かないとっ! こ、この状態でっ、動かされたらっ……またっ、あの時みたいに……いや、下手したら、それ以上に……狂わされ……るっ……!)

 

 これは、まずい。

 このままでは、確実に心も身体も乱れ狂う。

 

 もはや罪悪感による無抵抗を逡巡している場合ではない。

 

 だが、頭では分かっていても、身体は動いてくれない。

 二度にわたる絶頂と、身体の痙攣。そして何より、凶悪な肉棒を咥えこんでいる現状が、身体の自由を赦さない。

 

「アイズさん、アイズさん、アイズさんアイズさんアイズさぁぁあああん‼」

 

「ま、待っ……待って、待って、ベル! やめっ……動いちゃ、ダメ……動いちゃ……ッ」

 

「アイズさんが、最初に求めたんだ! だから、だから、僕は……僕はぁああああっ‼」

 

「――――ッ⁉ ひぎっ、あひぃぃいいぁああああああああっ⁉」

 

 少年が容赦なくアイズの膣穴を肉棒でかき回してくる。

 

 グチョッ、ズチュッ、ジュチュッと耳を覆いたくなる淫らな水音が、アイズの股間から響いてくる。

 

「あっ、へぁっ⁉ んひぃいっ! んぎっ、ひっ、あひぃいっ⁉ やめっ……動いちゃっ、あっ……やめっ、やめっ、はひぁぁぁぁあああああああああ〰〰〰〰‼」

 

 えぐられた膣穴が、アイズの意思を無視して勝手に収縮した。

 

 その直後、身体がビクンッと大きくのけ反り、アイズは自分が絶頂させられてしまったことを悟る。

 

「ああぁああっ‼ はっ、へぁっ……んひぃっ、あっ、らめっ……んぎっ、はひぃぃぃいいいいいっ⁉」

 

 ビクンッ、ビクンッ、ビクビクンッ! と。

 絶頂の連鎖は鳴りやまず、腰から下の感覚が敏感になっていき、頭がぐちゃぐちゃにかき回される。

 

(わ、わたし……イッて、るの? こっ、こんなっ、後ろから……組み伏せ、られるような、格好でっ……! イキたく、ないのに……無理やりっ、ズボズボされてっ……!)

 

 自分の身体が、思った以上に快楽に対して弱くなっていることを理解させられ、軽い絶望を覚えた。

 

 一方で、ベルの勢いは衰えない。

 ベルはすでにアイズをダンジョンのように、「攻略対象」として扱っている。

 本能に突き動かされるがままに抽送しつつも、アイズが何を思い、どこを刺激すればより反応するかを見逃さず、性感帯の急所を的確に押さえていく。

 

「ひぅっ、はっ、んあぁっ⁉」

 

 地面に組み伏せられ、冷たい石畳の上に圧しつけられていた乳房。そこにベルの手が伸びて、揉みしだき始めた。

 あまりの不意打ちに、アイズはひときわ大きな嬌声を上げる。

 

 さらに、

 

「ッッ⁉ んぐぅうぅぅううッ! ふっ、うふぅうッ⁉ ひうぅっ⁉」

 

 ベルのもう片方の手が、アイズの股へと伸びる。

 そしてビンビンに充血したクリトリスを剥いたのだ。

 

 たったそれだけの刺激で、アイズは腰を震わせて絶頂する。

 

 ベルの目的はただアイズを快楽の渦に引きずり込むこと。射精はその通過点にすぎない。

 アイズを堕とすためならば、何だってやるだろう。

 

 そして、そんな一度に多くの刺激に、アイズ自身が長く耐えられるはずがない。

 

「あぁっ、あっ、ぁぁあああぁっ……イクッ、イッちゃう、またっ、イッてるのにぃ、またっ、イッちゃう! イクッ、イクッ……ッッ‼」

 

 膣奥をえぐられ、緩んだ子宮口からはとめどなく淫汁があふれ続け、いまや泡立って白濁しきった愛液が地面に糸を引きながら幾度となく垂れ落ちている。

 

 ゾクゾクとこみ上げてくる今までとは比較にならない得体のしれない感覚が、腰から背中を通り過ぎる。

 

 狩猟者(ハンター)たちによって調教されつくした膣穴は、絶頂に至るたびに子宮を下げていく。

 アイズの意思に反して、より深いところで精液を浴びて子宮内に取り込もうと、必死に肉棒にしゃぶりつく。

 

「うおあ、うああ、アイズ、さん……締まる、締まる、締まる締まる締まる――――‼」

 

 アイズの膣穴を犯すベルが、腰をグイッと掴んで引き寄せた。

 まさにその直後――。

 

 ドビュルゥウウ! ドプドプドププププッ‼ ブビュルルルルルルルルルッッッ‼‼

 

「くひぅっ……ぃあっ、あひぃいいいっ‼ ヒグゥウウウウウウゥゥゥウウウ〰〰〰〰〰〰〰〰‼‼」

 

 先ほどと同じか。

 あるいはそれ以上に煮えたぎった白濁液が一気に噴き上がり、子宮口にビシャァアッと叩きつけるほどの勢いで打ち出された。

 

 ドクドクッと脈動しながら注がれる精液の激しさに、子宮が融け落ちるかと思うほどに熱く疼く。

 

 その疼きに誘われるように、肉壺がキュンキュンッと締まり、それまでとは桁違いの快感に……、それこそ一瞬の浮遊感からの落下するような錯覚に飲み込まれた。

 

「んんんっ! あぁっは……ふぁああああああぁぁぁあああ!」

 

 自分と意思とは関係なしにアイズは身体を震わせ、絶頂の余韻に浸ろうとする。が、

 

「ま、まだ、アイズ、さん……まだ、です……っ」

 

 ずぢゅぶぶぶぶっ! ずぢゅっぶぢゅっどぢゅぢゅぢゅぢゅッ‼

 

 ベルは後ろからアイズの両膝を持って完全に抱え上げ、空に突き出された秘裂に剛直な肉棒を突き上げる。

 

「あっはぁ、んはぁあああぁっ⁉ あひんっ、ひぐぐぐぅうっ、うんっんむぁっあぐくぅうぁあああっ!」

 

 ベルの二度目の射精が終わり、アイズは体中を包み込む気怠さの中に意識を浸す間もなく、肉壺を刺激される。

 

 またしても絶頂の余韻を燃え盛らせられ、アイズの口から堪らず喘ぎ声が零れ出ていた。

 

「あひぃいいいっ⁉ らめっ、もうっ、らめっ! そこっ、ゴリッてしちゃぁ、らめっ、あああぁっ!」

 

 ベルは乱暴なようで、しっかりとアイズの膣内の弱い部分を本能で感じ取りながら的確に腰を振ってくる。

 入口の肉壁を震わせるかのごとく小刻みに擦り立てられたかと思えば、一気に最奥を突き上げられる。その予想外かつ的確な動きを繰り返されれば、アイズの肉体はどれだけ疲弊しようとも否応なく熱く燃え上がる。

 

「ひぐっ、イクッ、イクッ、イクイクイクっ! またイッちゃうぅうううう‼」

 

 アイズの肉体は、その言葉を肯定するようにギュルルッと膣壁を強く強く肉棒に纏わりつかせ、より多くの快感を得ようとする。

 

 肉壁に包み込まれたペニスが、愛液に浸されながらグググッと熱く膨れ上がるのを感じながら、アイズは快楽の頂点をすぐそこに感じ取り、

 

「イッくふぅうううううううぅぅぅううううううううっ〰〰〰〰〰〰〰〰‼‼」

 

 子宮口にめり込まされた亀頭の熱間に後押しされるように、アイズはその日一番の絶頂を叫んだ。

 

 

 それからというもの、ベルの絶倫はとどまるところを知らず、少女への蹂躙劇は太陽が空高く昇るまで続いた。

 

 途中からアイズの喘ぎ声は焼き切れ、幾度となく快楽に飲み込まれては疲弊して失神し、動かなくなってしまった。それでもベルは精液を注ぎ続け、ついにはアイズの腹の中の寄生型怪物(モンスター)を過剰なまでの量の精子で中毒死に追いやった。

 

 奇しくもベルはアイズを、限界を超えたその先に追い込むことで、窮地から救ったのだった。

 



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第二部 再び調理される【剣姫】
₋ep.1₋ 予期せぬ下ごしらえ


 それは、とある日の午前の出来事だった。

 

「ない! ないっ! なぁああああいッッ‼‼」

 

 オラリオの『とある商店』から、断末魔のような叫び声が窓をつき破って近所へ響き渡った。

 

 とある商店とは、迷宮都市オラリオの中でも指折りの道具屋(アイテムショップ)にして、ディアンケヒト神を中心とする【ディアンケヒト・ファミリア】の拠点(ホーム)の一角だ。

 

 オラリオでも指折りの店というからには、当然販売しているものの中には一介の冒険者では手が出せない高級品を扱っているわけであって、訪れる客層の中には資産家のような者も少なくない。

 従って従業員は当然ながら、客も礼儀作法(マナー)を厳守して、間違っても大声を上げて床の上で赤子のようにジタバタ転がり回るなんてことはないはず、なのだが……。

 

「……あの、ディアンケヒト様。お客様が往来する公共の場で転がるのはやめていただきたいのですが。というか営業妨害で叩き出しますよ?」

 

 店の(かなめ)にして【ディアンケヒト・ファミリア】の団長でもある少女、アミッド・テアサナーレは、額に皺を作りながら冷ややかな目で足元を見下ろしていた。

 

【挿絵表示】

 

 彼女の眼前には大の字になって、今にも『絶望』の二文字に圧し潰されそうな主神ディアンケヒトが転がっていたのだ。

 

「儂の秘蔵の魔道具(マジックアイテム)が……魔道具(マジックアイテム)がぁあああッ‼」

 

「あの、泣き喚く理由を尋ねているのではなく、お静かにしてくださいと言っているのですが?」

 

 そろそろ沸点も近くなってきたアミッドは、いくら相手が神とはいえ我慢の限界だった。団員を呼んでしばらく拠点(ホーム)の倉庫に閉じ込めてもらおうかと考えて、人を呼ぼうとしたその時。

 

 ガバッ! と。

 ディアンケヒトが跳ね起きて怒りを露わにしながら、

 

「やかましいわっ! アミッド、お前に分かるか!? 大切なものが奪われる悲しみを!」

 

 あろうことか逆ギレして詰め寄ってきたのだった。

 いくら毎日店内を掃除しているとはいえ、床の上を転がってはボロ雑巾のように汚れるのも必然。アミッドは埃まみれの主神からズリズリとすり足で距離をとって、

 

「そ、それで何が無くなったのですか?」

 

 神威を開放する一歩手前の様子の主神に気圧されながら、アミッドが疑問を呈すると、

 

「……………………『官能薬(カーマ)』だ」

 

「……何ですか、それは?」

 

 聞き覚えのない魔道具(マジックアイテム)の名前に、アミッドは首を傾げる。

 

「儂にも用途は不明なんだが、【イシュタル・ファミリア】から材料を渡されて作ったものだ。しかもイシュタルの、奴直々の依頼だった」

 

「初耳なんですが、そのいかにも怪しい依頼に独断で首を突っ込んだのですか?」

 

「突っ込んだぞ。何せ前金が良かっ……いやいやいやっ! 他の神に、それもA級ファミリアに恩を売っておくことは主神として重要なことだからな!」

 

(結局お金目当てですか……)

 

 主神の独断行動という名の狼藉に怒りを覚えつつ、アミッドはさてどうしたものかと考える。

 

 何はともあれ【イシュタル・ファミリア】の依頼でケチがつくのはマズい。あそこは『とある事件』以来、ギルドすら迂闊に手を出せず、さらにはアマゾネスの国との国交があり、問題行動が絶えず聞こえてくる闇派閥(イヴィルス)一歩手前の存在(ファミリア)だ。

 ゆえに、今回の依頼に関しては最優先でこなさなくてはならない。

 

 そう考えたとき、問題は二つ。

 

 一つは、消えた魔道具(マジックアイテム)の行方だ。

 そして二つ目は、『官能薬(カーマ)』が一体どのようなモノなのかである。

 

「それでディアンケヒト様、肝心の『官能薬(カーマ)』ですが、どこで保管されていたのですか?」

 

「そこ、にあったはずだ……」

 

 しょぼくれた様子で指をさした先は、なんと精神力回復薬(マジック・ポーション)が陳列する棚だった。

 

「なあっ!?」

 

 ここがお客様のいない店の裏手だったらアミッドの怒声が飛んでいたところだ。商品並ぶ棚に、それもよりによって精神力回復薬(マジック・ポーション)の並ぶ棚に謎の物質Xを混ぜておくなど言語道断。

 主神に説教をしたい気持ちに後ろ髪を引かれながら、慌ててアミッドは会計士の元へダッシュ。店内を走ってはいけませんなどという規則(ルール)は無視して、会計士から証文履歴を拝借。

 

「ディアンケヒト様、その薬品を最後に見たのはいつ頃ですか!?」

 

 アミッドは帳簿を(めく)って今日の記録を探しながら問い詰める。

 

「えーと、いつごろだったか……そうそう、儂がギルドへ出かけたのが開店直後でその時はあったな。温泉の件の事情聴取が終わって帰ってくると、ご覧のありさまだ。くそっ、棚の一番奥に隠しておいたのに! 商品は手前からとるのが礼儀(マナー)というものだろうが!」

 

「そのお気持ちは店長として分りますが、そもそも商品棚に隠すほうがおかしいです!……えーと、本日の来店客数は計14名で回復薬を購入しているのは7名、うち精神力回復薬(マジック・ポーション)を購入されているのは1名。ということは…………ッ!?」

 

 ドサッ、と。

 

 アミッドの両手から証文がまとめられたファイルが床に落ちた。

 しかしアミッドは顔を青ざめて固まったまま動かず、散らばった証文を拾い上げようともしない。

 

 記録によれば、買い手は【剣姫】()()()()()()()()()()()()()だったのだ。



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₋ep.2₋ 路地裏の先付け

【剣姫】ことアイズ・ヴァレンシュタインはダンジョンからの帰り道、明らかに身体の調子がおかしかった。

 

 頭がボーっとして、身体中が火照っている。何よりも、歩くたびに股間を擦れるスパッツが湿っていくような感覚があった。

 

 金銭面に余裕のある冒険者なら、一度は【ディアンケヒト・ファミリア】の本拠地(ホーム)を訪れてアミッドに治療をしてもらうだろう。あるいは万能薬(エリクサー)を服用したかもしれない。

 しかし、アイズにしてみればこの程度の倦怠感は日常茶飯事。連日ダンジョン中層の奥深くで何度も無茶な戦いをして、心身ともに酷使したのだから当然の疲れだろうと思っていた。

 

 頭がフラフラして焦点が合わなくなる一歩手前。

 

(……しょうがない、この間のポーションを……飲もう)

 

 節約して飲むのを躊躇っていた精神力回復薬(マジック・ポーション)を取り出す。すでに7割ほど口をつけて飲みかけだったが、何もお腹に入れないよりはマシだろうと思っての行動だった。

 

 ほどなくして、アイズは自力で歩くのも難しくなった。

 まるで見えない『力』に精神が蝕まれて、肉体までもが毒されているような気分。

 

【挿絵表示】

 

(なに……これ……? 私、どうして……こんな……)

 

 だからこそ、本拠地(ホーム)まで近道をしようと、街の路地裏を通って帰ることにする。

 

 しかし道中には荒くれ者たちが屯するスラム街が待ち受けていた。そこには正式な本拠地(ホーム)を持たず、スラム街を縄張りとする闇派閥(イヴィルス)の残党もうろついている。

 

 そんな悪党どもが、侵入者(アイズ)を見逃すはずがない。

 

 普段なら第一級冒険者に手を出すなど、自殺行為にも等しい真似をする物好きはいないが、この時のアイズの様子ははたから見てもおかしかった。

 目線が一点に絞れておらず、千鳥足のようで呼吸が荒い。

 

 結論から言えば、アイズが少し前に飲んだ液体こそが『官能薬(カーマ)』だった。

 

【イシュタル・ファミリア】が【フレイヤ・ファミリア】打倒計画で使用される筈だった魔道具(マジック・アイテム)にして、魔力を保持する冒険者にとって天敵ともいえる凶悪な劇薬。

 

 神イシュタルの『神血(イコル)』を原料として、【ソーマ・ファミリア】の主神ソーマの造る『神酒(ソーマ)』を数滴混ぜて、その他8種類の薬品を特殊な比率で掛け合わせた媚薬の一種。

 この薬液を僅かにでも摂取した者が魔力持ちだった場合、「魅了」と「酩酊」が同時に発現。これらの状態異常は一部冒険者を除いて如何なる場合でも抗えない。具体的には『神血(イコル)』の「魅了」によって性欲が爆発的に増幅され、『神酒(ソーマ)』の「酩酊」によってさらなる高み……すなわち絶頂を求めてしまう。

 魔力の【ステイタス】が高いほど効果は抜群で、精神力(マインド)の自動回復スキル『精癒』を発現させているアイズにとっては相性最悪の爆弾に値する。

 

 もちろん荒くれ者たちはそんな神々の悪戯など知ったことではない。

 

 が、状況はどうであれ【剣姫】との戦いの末の『勝利』という謳い文句は、縄張り争いをしている同業者への誇りと牽制になる。

 

 だからこそ、【剣姫】を襲撃しない手は無かった。

 

(——ッ⁉)

 

 囲まれている。

 

 第一級冒険者の直感が囁いた時には、包囲網の下準備は終わっていた。

 

「へっへっへっ!」

 

 アイズが顔を上げれば、武器を手にした冒険者もとい襲撃者たち十名近くが、三日月状に嗤う口から獰猛な歯を覗かせて、通路の前後を塞いでいる。

 

「総員、対人陣形でかかれい!」

 

 親玉らしき老人男性の命令で始まったのは、狩り。

 

「ッ!」

 

 スラム街を熟知した闇派閥(イヴィルス)たちは地の利を生かし、四方八方からヒット&アウェイの戦法でアイズへ襲い掛かる。

 

 アイズは緒戦こそ翻弄されたが、流石は第一級冒険者と恐れられるだけあり、次第に敵の動きや法則(パターン)に慣れ始める。

 

 一人、また一人と峰内で昏倒させていくお手並みは、流石第一級冒険者といったところか。

 

 だが、

 

「【掛けまくも畏きいかなるものを打ち破る我がよ、尊き天よりの導きよ——】」

 

「ッ!?」

 

 その声が、『呪文』が、裏路地に響いたことでアイズは動揺する。

 敵の中に魔導士がいるのは予想していたが、その姿が未だ捉えられないでいたからだ。

 

「【——卑小のこの身に巍然たる御身の神力を——救え浄化の光、破邪の刃——払え平定の太刀、征伐の霊剣(れいおう) 今ここに——我が命(な)において招来する——】」

 

「長文詠唱……っ!?」

 

 仕掛けられた重力魔法こそが王手だった。

 

「【天より降り、地を統べよ——神武闘征(フツノミタマ)】」

 

 直後、アイズの足元を中心に紫色に光る術式が展開。

 

 咄嗟に魔法陣(サークル)を抜け出そうと疾走するが、その先の足元にワイヤートラップが仕掛けてあり、これに反応が遅れたアイズは躱そうと無理に身体をひねるが、跳んだ先で戦斧を振るう冒険者の姿をとらえた。

 戦斧が胸鎧(アーマープレート)に直撃したアイズは吹き飛ばされ、衝撃で防具を剝がされて再び重力魔法(フツノミタマ)魔法陣(サークル)中央へ投げ出される。

 

 動けないのをいいことに幾多の弱体魔法(デバフ)をかけられたのはいうまでもない。

 

 重力魔法(フツノミタマ)の効果が切れても、全身に『官能薬(カーマ)』が回っていた少女は立ち上がれなくなっていた。

 

 この時、闇派閥(ファミリア)一行の団長(ボス)である白髭を生やした老人は、勝利の余韻に浸りながらも彼女が反撃してこないか、油断なく徹底的に観察していた。そして偶然捲れたインナーのスカートから覗かせる青色のスパッツの染みを見て、

 

「ん? んんー? ……くっ、くはっ、フハハハハハッ!」

 

 団長はアイズを使って金を生み出す下劣な方法を閃いた。

 

「さぁて、全団員に告ぐ」

 

 老人の年相応とは思えない悪魔のような眼光を揺らめかせて、取り巻きに命令を下す。

 

「【剣姫】を囲え。決して逃がすでないぞ?」



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₋ep.3₋ 数多のお凌ぎ

 人気のない路地裏。そこで十人近い男たちによる輪姦が行われようとしていた。

 

 闇派閥(イヴィルス)に囲まれる哀れな被害者は、満身創痍の【剣姫】ことアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 彼女の体調はお世辞にも万全とは言い難い。常に意識が朦朧として焦点が合わず、立っていることすら難しい身体

(コンディション)。それでもガクガクと震える脚に力を込めて、どうにか意識を保っている。

 

 アイズの殺気に何人かが気圧されるが、老獪の団長(ボス)の命令で勇気ある一人の男が下卑た笑みを浮かべながら襲いかかった。

 途端にアイズの回し蹴りが男の顔面に炸裂し、10(メドル)ほど吹き飛ばされる。

 

 死には至らないだろうが気絶は必死。顎の骨には罅が入ったか、最悪は砕けたかもしれない。案の定、男は仰向けに転がったままピクピク痙攣して、起き上がろうとしない。

 

「ボス、やっぱり駄目ですぜ。【剣姫】の奴、あれだけ疲弊しておいて、まだ反撃してきやがります」

 

 闇派閥(イヴィルス)の残党の部下一人が渋い顔をして、高みの見物を決め込む団長に報告をしてきた。

 

「そうか、まだ反撃してくるか。……だが問題あるまい。既に【剣姫】の余力は把握できたからのぉ」

 

 団長は懐に手を伸ばすと、とある魔道具(マジックアイテム)を取り出した。

 一見すると最硬金属(オリハルコン)で縁取られた円形の薄い手鏡。

 

 その時、また一人の男がアイズ目がけて突進する。

 対してアイズは先ほど同様に迎撃の構えを取り、拳を突き出そうとする。

 

 ——瞬間。

 

 物見櫓で静観を決め込んでいた団長が、タイミングを計ったかのように手鏡をベロリ、と舐めた。

 

「んぁッ!?」

 

 途端にアイズの様子が急変し、迎撃の拳を解いて右胸を抑えてしまう。まるで見えない何かに服の内の乳房を直接舐められたかのような感覚が伝播した。

 

「貰ったあああ‼」

 

 狩りの成功を確信する肉食動物のように、急接近する男の顔に邪悪な笑みが浮かぶ。

 男はこれ見よがしにアイズが抑えている乳とは逆の左胸に手を伸ばそうとして、

 

「させないっ」

 

 バチンッ、と瞬時に手の甲で弾かれる。

 

「チッ、まーだ余力があったか。ならば……」

 

 団員とアイズたちを見下ろしていた団長は、今一度鏡を舐める。今度は一度限りではなく、零れそうな水飴を掬い上げるように、何度も舐める。

 舐める。

 舐めまわす。

 

「くぁっ!? くぅ……あっ、ああっ!?」

 

 またしても何故かアイズは右の乳を抑えて、上体を震わせてしまう。

 そんな少女の大きな動揺を見逃すほど、飢えた男は甘くない。

 

「今度こそ貰ったぜぇ!」

 

 先ほど以上の隙を見せたアイズは、遂に男の手の接触を許してしまった。

 

「おっ……いい乳してんじゃねーか。形はもちろんだが、揉み心地も悪くねーな」

 

 ガラ空きだったアイズの左胸を服の上から揉みしだく男が嬉しそうに息を荒げる。

 

 それを見た周囲の団員たちも久しぶりの女という理由で、どう犯し倒してやろうかと舌なめずりをしている。中には我慢ができず、涎を垂らしている者もいる始末だった。

 

「くっふぅう……うっうう、んくっ! ふっ、ふぅっ……!」

 

「あ? いきなりコイツ、乳首までビンビンにしてやがるじゃねーか。こりゃー、大した淫乱娘だな」

 

 乳首が硬くなっていることに気づかれて、興奮しているのかと問い詰められながら胸をより一層責め立てられる。

 

「あっ、かぁっ……くふっ、うぅっ……うる、さいっ……! 少し、黙って、てぇっ!」

 

「はーっ、随分と生意気な口を利いてくれるじゃねーか。【剣姫】と謳われるだけあって見た目は悪くねーのによぉ。あとは態度さえ改めれば俺たちも楽しめるんだぜ?」

 

「……別にっ、あなた、達を……楽しませる、つもりっ、なんてぇっ……くぅっ、んんっ……ないっ!」

 

「どうかな? それにしては、俺の掌の中で乳首がどんどん凝り固まっていくように思えるぜぇ?」

 

「うるっさ、いっ……あっぁああっ……そんな、の、貴方がっ……勘違いしてる、だけぇっ!」

 

 普通ならいけ好かない男に無理矢理乳房(ちぶさ)を揉まれて感じるなどありえない。原因はアイズが一瓶分飲み干してしまった『官能薬(カーマ)』の効能にあるのだが、そのような事情は誰も知らない。

 それにどれだけ男の話を否定しようとも、アイズが感じてしまっていることに変わりはなく、周りの男たちにも丸分かりだった。

 

「うっ、くふぁっ……ふっうう! んぁっ、あっぁあ……ッッ!」

 

 乳房を弄られ、揉みしだかれ、アイズの唇から甘い声が無自覚に漏れ出す。

 それを見下ろす団長は、どこか虚ろな表情で、

 

「あーあ、自分だけ気持ちよくなりおって。本来ならこちらもムスコを奉仕して貰いたいところじゃが……まあ、念のため今は止めておこうかの」

 

 曲がりなりにもアイズはレベル6の第一級冒険者。数多の弱体魔法(デバフ)がかかっているとはいえ、奉仕の最中に怪物じみた握力で潰されないとは限らない。

 代わりにそれまで直に手を出してこなかった団長が、物見櫓から飛び出して地に足をつける。

 

「ッ!?」

 

 その時、アイズは団長が手にしている手鏡を見て、それがただの道具(アイテム)でないことを一目で見抜いた。

 

「それっ……まさ、か……んぁっ!?」

 

「流石は【剣姫】サマじゃ、もう気づきおったか。察しが良いのぉ」

 

 ペロッ、と長い舌で鏡面を舐めながら団長はアイズを見据えた。

 否、長い舌で舐めたのは『鏡面』ではない。

 

 一見すると最硬金属(オリハルコン)で縁取られた、ただのお洒落な手鏡。

 

 だがその正体は、縁部分に微量の魔力を流し込むことで鏡が穴となって、使用者が目視できる場所もしくは鏡から半径20(メドル)以内のどこへでも瞬間移動(ワープ)することができる、秘伝の魔道具(マジックアイテム)だった。

 ただし、瞬間移動(ワープ)できるのはあくまでも鏡面を通り抜けられるサイズのモノであり、使用者からの魔力供給が途切れれば穴は徐々に萎んでいく。

 

 つまり団長はアイズのワンピースの裏地に抜け穴(ワームホール)を作り出し、鏡越しに直接乳首を舐めていたのだ。

 

「うっく、ふっぅうう……うぅっくっ、くはぁっ! うっうぅんっ、ふっ、ふぅっ、んぅっ!」

 

「ま、気づいたところで対処しようがなかろうて」

 

 回避不可の必中奥義。取り上げて砕こうにも、縁は最硬金属(オリハルコン)で装飾されているため破壊は不可能。

 そもそも老人は的確に弱点を程よく緩急をつけて舐めてくるため、アイズは甘い刺激を抑え込むのに精いっぱいで、一歩としてその場から動けない。

 

 ヨタヨタと倒れそうになり、しかし寸でのところを壁に寄り掛かることで転倒を免れた。

 

「こん、なっ……ああっ……このっ、ていどっ、でぇ……んぁあっ!」

 

 唾液とヤニ臭い息が、アイズの汚れない乳房に吹きかかる。

 

「結構、実に結構、それでこそ神々がレベル6と認める【剣姫】に相応しい」

 

 団長の面が、アイズの反抗的態度を受けて、愉悦の情に染まる。

 

 なんと、懐からさらに10枚も同様の手鏡を取り出すと、周囲に放り投げて部下の男たちに与えた。

 

「そうこなければ、犯し甲斐がないわい!」

 

「んぁああああぁぁぁあああ〰〰〰〰〰〰〰〰ッッ!?」

 

 誰かが鏡越しにアイズの『胸』を舐めた。

 誰かが鏡越しにアイズの『脇』を舐めた。

 誰かが鏡越しにアイズの『背筋』を舐めた。

 誰かが鏡越しにアイズの『臍』を舐めた。

 誰かが鏡越しにアイズの『足裏』を舐めた。

 誰かが鏡越しにアイズの『脚』を舐めた。

 

 そして。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ、んあぁっ!? あっぁあ……ッッ!?」

 

 愛液でビチャビチャに濡れたスパッツの裏地、そこら中に数多の抜け穴(ワームホール)が出現し、いくつもの舌がアイズの股間を刺激していく。

 

「ふっ、くぅっ……あっ、あふぁっ! そ、そんなところ……舐め、なぁっ、うぅううっ、ふぅうっ……!」

 

 アイズは気をしっかり持とうと、殺気立って辺りの男たちを牽制しようとした。けれどもアイズの威勢に反して、膣口からは愛液が滲み出てくる。

 

 そこへ、とうとう舐めるだけでは満足のいかなくなった一人の男が暴走する。

 

「はあっ、はあっ、はぁっ……」

 

 ツプツププププッ、と。おもむろに指を鏡の中へ()し込んでしまったのだ。

 

「ふあっ、くはぁあああっっ!?」

 

 途端にアイズの顔から殺気が消え、ぐしょぐしょに濡れた下着を前に、第一級冒険者としての誇りを塗りつぶされてしまった。

 

 ……さらには、

 

「あ、ずりぃぞ。お前が指使うなら、俺だって使ってやる!」

「オイっ、抜け駆けは許さねえぞ!」

「だったら俺は二本指だっ‼」

 

 もはや誰のかも分からない指が、次々と幼虫のようにうねりながら膣内へ(はい)ってきた。

 

 あっという間にアイズの膣内は、無数の指で圧迫されてすし詰め状態。

 

「ふ、くふっっ、うぅぁあっ……く、苦しい……そんな、にっ……沢山、入れられたら……あっ、くっ……ううっ!」

 

 我先にと鏡を……否、蜜壺をかき回す男たちに、アイズは紅葉を散らす。

 男たちはゴツゴツと骨張った指で無遠慮にアイズの膣中をかき回し、より一層愛液を滴らせては、びしょ濡れになった指を舐めていたのだ。

 

 そうなればアイズとて、ただの少女。絶頂を我慢するのに必死で、覇気が完全に消え失せていた。

 

 そんなやせ我慢も長くは続かない。

 

「くふっ、うっうぅ、はっ、うぅっ! ……あっぁあ……あんっ、あぅっ、ひぁっ! あふっ、ふぁっ……あっ、ああっ、ひぁあああああああ〰〰〰〰っっ!?」

 

 コリッコリッ、と。

 

 誰が引き当てたのか。膣内でも敏感な場所、Gスポットを刺激されてしまった。

 

 当然、アイズの反応を見逃す男たちではない。

 

 普段は無垢でほとんど無表情な【剣姫】の顔を、一刻も早く最高の羞恥心で満たしたい下劣な男たちは、一斉に同じところをグニュグニュと押し上げる。

 

「や、やめっ……そんなにっ、されたらぁ……あっぁあ、ひっ、ひぁああっ!? あっ、あっ、あっぁあああ、ひぅううっ‼」

 

 膣内の上部、ある一点を幾本もの指に擦られ、圧され、刺激され続けると、あまりに強烈な快感と脱力感が下腹部の(なか)を中心に沸きあがり、全身をくまなく駆け抜ける。

 

(あぁっああ‼ 身体の奥っ……股の奥で、沢山の、指がっ……ううっ、もっと増えて……刺激がぁっ……あぁあああああああっ‼)

 

 とどめは団長(ボス)によるクリトリスへの愛撫だった。団員たち全員がGスポットへ夢中になっているとき、そしてアイズがGスポットからの刺激に耐えようとしているとき。

 死角からの一撃とばかりに、クリトリスを覆う包皮をズルリ、と軽く剥いた。

 

 たったそれだけで、

 

「ひぎぃいいいいっっっ!? ぃいぁああああああぁぁぁああああああ〰〰〰〰ッッ‼‼」

 

 プシュッ、プシュプシュッ! プシュルルルルッッ‼

 

【挿絵表示】

 

 執拗なまでに全身を舐められ、Gスポットへの指圧、クリトリスへの不意打ちでアイズは絶頂へと追い上げられてしまった。

 スパッツ越しに潮を吹き、下着は透き通るほどビチャビチャに濡れて、地面に崩れ落ちたアイズの股間周りには水たまりができていく。

 

 ドサリ、と。

 

 絶頂という興奮に後押しされて、ついに『官能薬(カーマ)』が全身に回ったのか、アイズは地面に伏してそのまま意識を失った。

 それを確認した団長(ボス)は、自身の作戦が成功したことを確信して、部下たちに次なる命令を下す。

 

「よし、誰かに見つかる前に【剣姫】を()()()()へ運べい。くっくっく……、()()()()()()()()()()()



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第二部 オープンキッチンで晒される【剣姫】
₋ep.4₋ ブランチの始まり


「さて今宵もやってまいりました、『怪物挑戦(モンスターアタック)』の時間ですッ‼」

 

 アイズが気絶している間に連れてこられたのは、直径50(メドル)はあろうかと思われるギルド非公認の地下闘技場。雰囲気は怪物祭(モンスターフィリア)で【ガネーシャ・ファミリア】の調教師(テイマー)が怪物を調教して観客を熱狂させる舞台、オラリオの東部に位置する円形闘技場(アンフィテアトルム)に似ていた。

 周囲は3階建ての建物に相当する高さの最硬金属(オリハルコン)の壁、その外側は階段造りの観客席で囲まれており、魔法でも使わない限り飛び越えることは不可能だった。加えてここは魔法阻害範囲(アンチ・マジックエリア)らしく、精神力(マインド)を思うように魔法発動へもっていくことができない。

 

 そんな逆境のアイズに与えられたのは、細剣が一振りのみ。

 

 真っ正面からの脱走は不可能だが、いつか隙ができれば……と考えながら注意深く周囲を見渡す。

 すると突如、闘技場の壁面の一角が鈍い音を立てて左右に開かれた。

 

 扉の奥、闇の中から現れたのは、新種の怪物(モンスター)、『巨蟲(ヴィルガ)』。

 

 それも1匹や2匹ではなく、津波のように何十という数が我先にと後続に押し出されるように姿を現した。

 

 さしものアイズもこれには動揺を隠せなかったが、それでも臆することなく立ち向かう。

 

 懸念事項があるとすれば、巨蟲(ヴィルガ)の特徴である腐食性のある体液。

 アイズの愛剣「デスペレード」と違って、不懐属性(デュランダル)が付与されていない今の細剣では、刃を通しただけで刃先が溶け落ちてしまう。

 

 つまり、何か打開策を思いつくまで、怪物(モンスター)の攻撃を回避し続けるしかない。

 

 アイズは第一級冒険者の脚力を生かして、巨蟲(ヴィルガ)が飛ばしてくる腐食液を回避する。

 

 何十匹という怪物が一斉に噴射してくるのだから、その弾幕密度は尋常ではない。

 すれすれのところを搔い潜り、怪物を誘導して闘技場の中でも比較的安全圏を作り出し続け、さらには放たれた腐食液が蒸発するまでその危険地帯には逃げ込めないという並列処理思考型戦闘が求められる。

 

 当然ながらそのような複雑な作戦をいつまでも続けられる【剣姫】ではない。

 もとより冒険中、直感に従って動くタイプのアイズは、慣れない場所、慣れない武器、慣れない怪物(あいて)に、臨機応変に対応できるほど器用ではないのだ。

 

 腐食液の直撃は免れたが、壁に当たった体液が飛び散り、数滴がアイズを襲う。

 闇派閥(イヴィルス)に襲われた後、アイズは鎧を剥がされたままここに連れてこられたようで、溶解液を防いでくれる防具は身に着けてなかった。唯一、頭部(ヘッドギア)だけは残っていたが、これが大して役立つとは思えない。

 案の定、風の鎧(エアリエル)をまとえないアイズの衣服へ、ついに腐食液が手を伸ばした。

 

 ジュウウゥゥッ! というインナーの溶解音を皮切りに、アイズはついに決心する。

 

 レベル6のステータスを活かして、脚に全ての力を集中させ、最高速で巨蟲(ヴィルガ)の群れへ特攻。

 

 まず一匹目に剣を通す……ときには既に二匹目に狙いを定め、切っ先が溶け始めるより早く三匹目にアタリをつける。

 

 金の長髪をなびかせる少女のそれは、はたからみれば超高速で蛇行する光の軌跡だった。

 残像が巨大な金色のムカデのごとく連なり、闘技場を縦横無尽に駆け回り、溶解していく刃より早く、速く、殺す。

 

【挿絵表示】

 

「おいおい、アレ本当に勝っちゃうんじゃねえか?」「ショーが成り立たなくなるぞ」「これだから第一級冒険者(ばけもの)は……」

 

 常軌を異した戦闘劇に対し、闘技場の外から覗き見ていた観客は、落胆したり嘆息したりしていた。

 しかし、

 

「ご来場の皆様、ご安心ください! 本番はここからですので」

 

 質素で不気味な仮面をつけた司会者が指を鳴らすと同時に、アイズは最後の怪物(ヴィルガ)に手をかけようとしていた。

 

 ……まさにその瞬間。

 

 天井が生き物のように大口を開け、アイズの死角(ずじょう)から再び数十匹の巨蟲(ヴィルガ)と、今度は食人花(ヴィオラス)までもが降り注いだ。

 

 まさに()()()()

 

 頭上への注意がおろそかになっていたアイズはこれを回避することができず、一匹の巨蟲(ヴィルガ)にのしかかられてしまう。

 

 その衝突、衝撃たるや生半可なものではない。

 あまりの勢いに、巨蟲(ヴィルガ)そのものが自重に耐えきれず自壊……破裂してしまう。

 

 まずい、と思ったアイズは魔法阻害(アンチ・マジック)も押しのけて、瞬間的に無理やり風の鎧(エアリエル)を発動させる。しかし完全とはいかず、弾き飛ばしきれなかった腐食液を浴びてしまった。

 

(しまった……っ!?)

 

 着ていた衣服のあちこちが溶け始めた。肌が焼けて激痛に苛まれることを覚悟したアイズは、

 

「……え?」

 

 はたと気づく。

 

 浴びた液体の色が、明らかにこれまでのものと違ったのだ。

 

 服だけが溶け、肌には何の影響もない。

 ……()()()()()()()

 

 身体中が熱く火照り、局部がジンジンとむず痒くなる感覚。

 

 そこでようやくアイズは理解した。

 

 この怪物(モンスター)は、()()を体液に含んだ合成獣(キメラ)である、と。



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₋ep.5₋ 粗だたきの濁流

 細剣の刃が完全に溶け落ち、攻撃の術を失ってからアイズは必死に逃げ惑い、幾多の触手をかいくぐっては安全地帯を求めて高速移動を続けた。

 

 しかし、いくらレベル6のステイタスをもってしても、怪物(モンスター)の数が多くては長く続かない。

 

 やがて、その時は訪れた。

 

 粘液に足を取られて転びそうになった瞬間、アイズが極彩色の怪物(モンスター)である食人花(ヴィオラス)の触手に捕らわれてしまったのだ。

 

 途端に闘技場(コロッセウム)の司会者は、意気揚々と魔石製品の拡声器(マイク)に向かって喋りだす。

 

「あーっと、ついに捕らわれた【剣姫】。さあ、どうなってしまうのか。否……否、否! そうです、本題は『どうしたいのか』。ここからは皆様の投資によって、何が起こるか! 何が行われるのか決まります。勿論、投資額の高いお客様のご意見が優先されますが……、さてさて何をご所望かッ!」

 

 何が起きているのか理解できないアイズは、司会者の言葉に戸惑う一方、嫌な汗が全身からドッと噴き出ていた。

 

 何とか触手を引きちぎろうともがいていると、観戦者の男が高価な魔石を数個手にして掲げた。本来ならチップのつもりで投げる予定だったのか。しかし、現状では払うに値しないと見て、魔石を手放さずにいる。

 

「まずはその剣姫が不感症でないことを証明しろ。娼婦でもない女に大金を払うのはそれからだ」

 

「なるほどなるほど。実に筋の通った意見ありがとうございます。異論のある方は……いらっしゃらないご様子で。ではでは、さっそく始めてしまいま、ショウ‼」

 

 司会者が指を鳴らすと同時に調教師(テイマー)が草笛を鳴らし、アイズを拘束する怪物(モンスター)たちへ命令が下される。

 途端に怪物(モンスター)が動き出し、触手の一本がアイズのワンピースの上半身を掴み上げ、引き裂いた。

 

【挿絵表示】

 

 大観衆の前で露わになった乳首。

 

「くっ、うぅううっ……」

 

 恥辱極まりない自身の現状に目を背けるようにアイズは俯くが、触手の攻めはこれからだった。

 

 乳房を撫でまわすように這う触手は、アイズの乳首を見つけると執拗に弄び始めた。

 

「ふっ、くふぅっ……うぅうっ! ぁうぅうう、んぁあっ……!」

 

 アイズは心穏やかではなかったが、これ以上の痴態を晒すまいと必死に声を押し殺す。

 

 だがたとえ乳首だけに触れられても、その効果は生半可なものではない。何せ、今のアイズには怪物(モンスター)が吐き出した媚薬成分たっぷりの体液がしみ込んでいるのだから。

 

「ふーっ、ふーっ、ぅううっ……」

 

 媚薬の効果が徐々にアイズの太ももに現れ始めた。

 

 ツツー……、と。

 

 透明な液体が、アイズの絶対領域を伝って垂れ落ちていく。

 

 それを見逃す観客たちではない。

 が、それを直接指摘するような、そんな無粋な者がこの場にいないのも事実。代わりにとある客が声を張り上げて、

 

「オイオイ、司会者さんよぉ! あの女は不感症かぁ? それとも……」

 

「それとも?」

 

 抗議者(クレーマー)は勿体ぶるように、おもむろに舞台の中央を指さして、

 

「おたくの怪物(モンスター)が下手くそなのか? 肝心の【剣姫】サマは、声一つ上げないじゃないか!」

 

 ニヤニヤと笑いながら文句にみせかけた言葉を並べる。

 

 対して提供者たる司会者も特に気分を害した様子はなく、しかしあくまで悪態をつく客(クレーマー)に困惑する店主のような振る舞いをする。

 

「心外ですねえ。我が団、自慢の怪物(モンスター)の不手際と仰られては……。なるほどなるほど、こちらも次の手段に出る他ありません」

 

 直後にアイズのスカートが触手によってめくり上げられ、穿いていたスパッツが引き裂かれて、大観衆の前で恥部があらわになる。

 

 酷く動揺するアイズを他所に、なんと触手はアイズのクリトリスを覆っていた皮を剥いて、擦り始めた。

 

「——ッッ!?」

 

 ビクンッ、と。

 

 大きな喘ぎ声こそ上がらなかったが、俯いていたアイズの顔が天井を仰いだ。

 

【挿絵表示】

 

 奥歯を噛みしめ、これ以上ない羞恥心と甘美な感覚に耐えようと必死だった。

 

 しかし、これでもアイズは嬌声を上げない。

 

 ここで若干の苛立ちを覚える観客が出始めた。

 今まで幾度となく闘技場が非合法な目的で使われてきたが、大抵での女冒険者はこの辺りで悲鳴を上げるからだ。アイズ・ヴァレンシュタインが元々無口であるというのもあるが、それにしても閉口一点張りでは、場も白けるというもの。

 

 ……やはり第一級冒険者を手玉に取る企画自体に無理があったのでは?

 

 誰もがそう思ったその時、

 

「分かります、分かりますよお! 皆様皆々様、あの【剣姫】がその気高き姿勢を貫き通し続けてしまうのではないか? そう危惧し始めたころでしょう」

 

 司会者が、指を鳴らす。

 

 するとまたしても触手の動きに変化があり、アイズの両脚を持ち上げて大きく開脚させる。蜜壷が頭よりも高く掲げられ、固定される。

 

「しかしお考え下さい。何事も、ショーも、予定調和では面白くないというもの。ハプニングというスパイスがあって、初めて蜜が甘く感じられる」

 

 尤も、そのハプニングも計算されたうえでのことだったが……。

 

「これより行うは、怪物(モンスター)の体液の投下。咲いた花弁には、蜂蜜がお似合いでしょう?」

 

 群がる幾本もの触手がアイズの膣穴を広げていく。

 

「ぐッ!? ひぃッ、いッ、あ……っ‼」

 

 そうはさせまい、とアイズは必死に膣壁を閉じようと力を入れるが、屈強な触手にこじ開けられた蜜壷には僅かな閉口も許されない。

 

 気がつけばひときわ太い管のような触手の先端が、股間の真上にやってくる。

 その触手の先端に目玉があったとしたら、きっとアイズの子宮口までもが垣間見えていたことだろう。

 

「それではカウントダウンといきましょうか、皆様皆々様…………五、」

 

「「「四」」」

 

 最早会場は熱気に包まれていた。

 先ほどまでの、今にも白けそうな雰囲気がどこ吹く風だ。

 

「「「三」」」

 

 触手の先端からは先走り汁を彷彿させるかのように、媚薬が一滴、アイズの膣穴めがけて落ちる。

 

「「「二」」」

 

 その一滴が膣壁に触れたとき、アイズは小さく痙攣するとともに悟った。このカウントダウンが何を意味するかを。

 

「「「一」」」

 

 ゆえに、彼女は最後の賭けに出る。

 

「「「ゼロ‼」」」

 

 アイズは口を開き、叫んだ。

 

風よ、吹き荒れろ(テンペスト)!」



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₋ep.6₋ 乙女の花弁に溢れる肉汁

風よ、吹き荒れろ(テンペスト)!」

 

 魔法阻害範囲(アンチ・マジックエリア)における魔法の行使は、使い手に尋常ではない負荷……具体的には疲労感が蓄積される。

 

「ぅぐっ、ああぁ……が……ッ!?」

 

 加えて魔力消費も普段と比べて圧倒的に激しい。

 それでも発動させなければ……否、発動させずにはいられなかった。

 

 ————『風の鎧』。

 

 それがアイズに残された、最後の砦だったからだ。

 

「おおーっと! 【剣姫】、ここにきてまだ魔法を試みたああッ!」

 

 けれど司会者は、まるでこれを待っていたかのように仮面の下で笑みを浮かべて、しかし口調はあくまで想定外の事態に直面しているかのように取り繕っていた。

 

 管状の触手の先端から、蛇口から水が流れ出るように体液がアイズの股めがけて落下するが、一滴残らず寸での所で辺りに弾き飛ばされてしまう。

 

 アイズに残された精神力(マインド)では、全身を覆うほどの風の鎧を発動させることは不可能だが、ある一点を守るだけなら何とかできる。

 

(……いけ、る。この程度の量の体液、なら……!)

 

 アイズが両腕両脚に力を込めて脱出を試みようとする。

 まさにその時、

 

「さあ、【剣姫】が触手を引きちぎろうとしています! ああ、このままではいたいけな怪物(モンスター)の体に傷がついてしまう」

 

 司会者が拡声器(マイク)に向かって、さも悲しげな様子で語りかける。

 

「しかーしっ! 皆様の投資、即ち『魔石』があれば結末は変わってくるでしょう」

 

 舞台上の怪物(モンスター)に限った話ではないが、ダンジョンで生まれた怪物は例外なく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「さあ、あの怪物(モンスター)に魔石を投げ込むのです!」

 

 どこまでも守銭奴の司会者は、会場への参加費だけでなく、ショーを盛り上げる射倖にみせかけた追加料金を求める。

 

 当然、熱に浮かされた観客たちの脳裏からは資金源を惜しむ理性が外れている。

 魔石を懐に多く持っている者たちほど、惜しむことなく我先にと場内へ放り込んだ。

 

 魔力に反応する食人花(ヴィオラス)は、魔石に込められた魔力(ちから)を求めて触手を伸ばし、捕食する。

 それが10回ほど繰り返されたとき、管状の触手の先端から出る体液の量に変化があった。

 

 突如として、勢いが倍増したのだ。

 

「くっ⁉」

 

 パタパタッ、と数滴の体液が風の鎧を貫通してアイズの膣壁に付着する。

 

「ッッッ⁉」

 

 媚薬の原液が繊細な膣肌に吸収される。たったそれだけ、ごく少量で、アイズの上体がビクンッ、と仰け反った。

 

(まず、い……。これは、本当に、まずい……!)

 

 アイズは慌ててエアリエルの出力を上昇(ブースト)させて、再び膣穴の封に集中する。

 

 実際より僅かでも多くの体液が付着していれば、精神力(マインド)が乱れて魔法発動どころではなくなっていただろう。

 

 だがそんなアイズの反応を見て観客たちは沸いた。

 

「オイ、いける。いけるぞ!」「あの【剣姫】が破られるんじゃないか?」「さすがの第一級冒険者でもこの闘技場では形無しか!?」

 

 好き勝手に叫び、悦び、期待を胸に一人、また一人と魔石を投じる者が増えていく。

 

 それに比例して食人花(ヴィオラス)の吐き出す体液の量も増えていく。

 

 対するアイズは絶望的だ。

 

「やっ、やめ、て……ッ、やめて、やめて!」

 

 風の鎧(エアリエル)は決して無敵ではない。

 

 初めは蛇口から出る水流程度だった体液も、気がつけば滝が流れ落ちるかのようにアイズの膣穴めがけて噴射されていた。

 

 必死で風の鎧(エアリエル)をまとわせるが、魔力の消費が尋常ではない。

 大勢の観客が持つ魔石という名の強化素材に底はなく、それが一人の少女を堕とさんと一斉に舞台上へ投げ込まれ続ける。

 

(負け、ない! 私は、こんな、ところで……)

 

 時折風の鎧(エアリエル)を破って、体液の雫がアイズの膣穴内を刺激する。

 

「くっ、あっ……あうっ……!」

 

 かき乱される集中力。

 すり減らされる精神力(マインド)

 終わりの見えない絶望感。

 

「あ、あ、ああ、うあああ!」

 

 それらを一心に背負わされた(アイズ)が破られるのは、もはや時間の問題だった。

 

 そして、

 

「————あ」

 

 心よりも先に、精神力(マインド)が尽きた。

 

 風の鎧が砕け散り、媚薬の鉾が牙をむく。

 怪物(モンスター)の体液が、一度に、大量に、アイズの膣内へと叩き込まれた。

 

 ドボボボボボブババババババババババババッッ‼

 

「いぎああああああぁぁぁぁあああああああああああッッッ‼‼⁉」

 

【挿絵表示】

 

 絶叫か悲鳴か、あるいは嬌声か。

 

 放出された体液は、幾本もの細い触手によってぱっくりと開かれた膣口へと、凄まじい勢いで流し込まれていく。

 体液の奔流が膣壁の穴へうねるように侵入して、子宮口にぶつかった。

 媚薬はあっという間に膣内を満たし、行き場を失った液体が膣口から噴水のように溢れ出ていく。

 

「がッ、ああっ! あうっ、ひぎッッ⁉」

 

 あまりの量に、催淫効果は即座に出た。

 

 水流に刺激された膣壁がキュンキュン蜜穴を絞めつけようと、膣口を拡げようと抑えつける触手を跳ね除けんばかりの淫靡な反応を示す。

 

 触手に完全拘束されているはずのアイズ。彼女の身体が、軋むような勢いで仰け反った。

 手足の指先はピンと伸ばされ、雷撃でも受けたかのように痙攣している。

 同時に、かつて凌辱されたときのような熱い炎の感覚が、下腹部から一気に押し寄せてきた。

 

 プシュッ! プシュプシュッ! ブシュウウウゥゥゥゥウ‼

 

「ふあぁあん、あっ、ひぃっ……ふぅぁあああああああああ〰〰〰〰ッ‼⁉」

 

 突如として押し寄せた壮絶なまでの快感の渦に、アイズは嘆くように喘ぎながらも、マンぐり返しされた股間から、透明の汁を勢いよく噴射させる。

 

「いひぃゃああああっ⁉ いや、いやぁっ、と、止まってぇッ! こ、こんなぁ、こんなのぉおおおっ……‼」

 

 久しく潮を吹いてしまったことに、しかし過去の凌辱とは違い、群衆の前での痴態にアイズは堪らず泣き声を上げていた。

 

 しかし、その恥ずかしい姿を忌むべき怪物(モンスター)に、司会者に、そして観客たちに見られていると思うと、なぜかアイズの身体はいっそう熱くなってしまうのだった。

 

「はっ、はふぁあっ、ぁふっ、あっ……あああぁ……」

 

 絶頂から覚めかけているアイズは、腰を震わせながら胸を上下させて荒い息を吐く。視界がぼやけ、会場の熱気が遠ざかるような酩酊状態に陥りかけるも、全身が性感帯にでもなってしまったのかと錯覚してしまうほどに、身体が火照って肌がピリピリと熱を帯びる。

 

 だが本当の地獄はここからだ。

 凌辱された過去があるからこそ、アイズには分かる。

 

 たかが超高濃度の媚薬を投与されて、無様にも絶頂を迎えた程度で『彼ら』が満足するはずがない。必ずその先がある。

 

(今度、は……触手、本体が……)

 

 意思に反して高揚する身体を理性でねじ伏せながら、アイズは眼前の管状の触手を見やる。

 

 まず間違いなく、これを()れられる。

 

 最悪、他の触手も一斉に襲い掛かってくるかもしれない。

 

「……やるなら、やれば、いい」

 

 覚悟を決めたアイズは、鋭い眼光を司会者に向けて睨みつける。

 それに気づいた司会者もまた、挑戦的な笑みを浮かべて叫ぶ。

 

「おやぁ⁉ どうやら【剣姫】は、触手に犯される覚悟がおありのようです!」

 

 司会者がパチンッと指を鳴らす。それに伴って触手が動き出し、アイズめがけて…………襲ってこなかった。

 

「……え?」

 

 それどころかアイズを拘束する触手だけを残し、他の幾本もの触手がどこへともなく姿を消していく。

 

 予想外の動きにアイズは思わず目を丸くする。

 

 コツ、コツ、と司会者は靴を鳴らしてアイズのいるステージ中央へと歩み寄ってきた。

 そしてマイクを通さず仮面越しに、周囲の観客にギリギリ聞こえない声量でアイズ本人に語りかける。

 

「(どうやら【剣姫】さんは、このショーの本質を理解されていないようですねぇ。予想のできた展開(テンプレ)、覚悟の決まった者の演舞……そんなものを披露するのは三流の道化師。我々一団が皆様皆々様にお披露目するのは、予測不能の急展開(イレギュラー)。だから貴方には、貴方のステイタスを信じて耐えていただきますよぉ? このショーの幕引き代わり(フィナーレ)に、ねぇ)」

 

 ゴガァアアアアアンッッッ‼‼ と。

 

 轟音が観客席を含めて闘技場全体を震撼させた。

 

 足元が揺れる中、いつの間にか司会者は元の壇上に戻って進行役を務めていた。

 

「さあさあ、本日最後のメインイベント。皆様の期待に応えるのはどちら様なのか⁉」

 

 天井が、大口を開ける。

 

 それは空より胎児が産み落とされるかのように。

 それは天が罰を落とすように。

 それは、重力に逆らうことなく闘技場の半分を埋め尽くさんばかりの巨躯をもってして降臨した。

 

「あれ、は……⁉」

 

 以前、アイズが遠征において【ロキ・ファミリア】最大戦力をもってしても苦戦を強いられた『宝玉の女体型(デミ・スピリット)』……、ソレにそっくりの怪物。

 ダンジョンに出現した怪物(モンスター)の中でも大型に分類され、身長だけでもアイズの4~5倍はある。そんな巨大な怪物(モンスター)から見ればアイズなど、まさしく小さな人形のような身体である。

 

 だが、いくら似ていても相手(ソレ)は以前に遭遇した『宝玉の女体型(デミ・スピリット)』ではない。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ご紹介しましょう! 我が一団、調教師(テイマー)総勢十名が一か月かけてようやく手中に収めた新種にして最強の怪物(モンスター)、その名も『宝玉の男体型(デミ・スピリット・トラニー)』‼」

 

【挿絵表示】

 

 会場が揺れた。

 

 怪物(モンスター)の咆哮によるもの、ではない。

 

 これから行われるファイナルステージへの期待が収束した、観客たちの喝采だ。

 

 足元に無数の触手を生やした芋虫を彷彿とさせる下半身と、上級冒険者の筋骨隆々を彷彿させる人の上体を模した上半身。そのちょうど境目に、男性生殖器らしき肉棒が生えていた。

 

(大き、すぎる……っ⁉)

 

 アイズは以前、ミノタウロスの強化種に犯されたことがある。

 

 人間よりも大きな体格を誇るミノタウロスのペニスは、人間(ヒューマン)女性(フィメイル)を相手に想定した大きさではなかったが、今回の新種の怪物(モンスター)は別格だ。

 甘く見積もってもアイズの細腕の太さの倍はある。

 

 それが今まさに、アイズの秘所めがけて這い寄ってきていた。

 

「ッッッ‼⁉」

 

 かつてに蹂躙された忌まわしい過去が、アイズの脳裏に蘇る。

 

『————————ッ‼』

 

 本能に支配された怪物(モンスター)が獣の欲に駆られたように咆えた。

 

 巨大なペニスがアイズの愛液を嗅ぎつけたのか、ピクピクと震えては大量の先走り汁を涎のごとく溢れさせる。

 

 その汁に濡れて小刻みに揺れる亀頭を、怪物(モンスター)はアイズの股間にグリグリと圧しつけてくる。

 

「い、やっ! や、やめてっ。無理……無理、無理! こんなの、()れられたら——!」

 

 風の鎧(エアリエル)越しに、ペニスから噴き出る肉欲に駆られた熱気が伝わってくる。

 

 思わずアイズは、怪物に対する嫌悪感よりもじんわりと心を侵食する恐怖がゆえに、身を捩らせて触手から逃れようとする。

 

 心配しているのはアイズだけではない。

 観客の中にも、少女の体が破壊されて見たくもない惨劇を見せられるのではないか、と心配する者が現れ始めている。

 

『ご安心ください! かの【剣姫】は現在レベル6。耐久値は申し分なく! この程度のショーで身体が四散するなんてグロテスクな展開はございません!』

 

「な、何を、言って……! こんな、無理だって、私っ……ッ⁉」

 

『————————ッッ‼』

 

「んぐぅうううっ⁉ ま、待って……誰、かッ! この怪物(モンスター)を止めてっ‼」

 

 もうこれ以上は我慢の限界である、と。

 

 怪物(モンスター)はより強くペニスの先端を圧しつけてくる。

 アイズの股にある、よく引き締まった小さな膣穴に、巨大な亀頭がねじ込まれ始めて、

 

「は、()いるわけ、がッッ————」

 

 そして————。



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₋ep.7₋ 刺激的なメインディッシュ

「あぎぃあああああああぁぁぁああああああ〰〰〰〰っっっ‼⁉」

 

 アイズの悲痛な叫びが、闘技場いっぱいに響き渡る。

 

 膣口に集中させた風の鎧(エアリエル)など、瞬く間に破られた。

 

 ドチュンッッッ‼‼ と。

 

 巨大な肉棒の先っぽがアイズの膣穴を弾丸のごとく貫き、子宮口を押しつぶしたのだ。

 

「かはっ……がっ! ぐがっ……がはッ⁉ ふぎぃいいっ、うぐっ、あががッッ……がぁああああっ‼」

 

【挿絵表示】

 

 限界まで広げられた両脚のつけ根とつけ根の間が軋み、秘裂はこれ以上ないほどに大きくこじ開けられ、鉄芯のように硬い先端が子宮を圧迫している。

 

 あまりの亀頭の大きさと長さに、アイズのお腹にはペニスの先端の形がハッキリと浮かび上がっていた。

 

「ぎっ、いぎぎぃっ! ぐが…………ッ‼」

 

 身体の内側で暴れまわる激痛で、アイズは目の前に火花が散るような錯覚を覚える。

 糸の切れた操り人形のように意識が飛びかけ、五感が遠のいていく。

 

 まさにその瞬間。

 

『——————ッ!』

 

 おもちゃが壊れることを赦さない怪物(モンスター)が、動いた。

 

「あがぁああああっ⁉ あっ、あぐぅあッッ、あッ……かはぁぐああっ‼」

 

 文字通り熱い肉の杭が、アイズの身体を貫いてくる。

 

 幾度となく巨大な肉棒がメリメリと股間を引き裂くように押し(はい)ってきては、アイズの身体の内側から大きく内蔵もろとも腹を押し上げていた。

 

 アイズの悲鳴と怪物(モンスター)の歓喜に染まった声が、闘技場に響き渡る。

 

「あがっ……かはっ……うっあっ……あぎぃあああ……」

 

 全身を貫かれたような感覚。想像を絶する衝撃に、アイズは肺の空気を押し出されて口を開いたまま苦悶に喘ぐ。胸元まで迫るペニスの先っぽに肺が圧迫されて、息をするのもままならない。

 

 ……だというのに。

 

(でも……な、んで……? これ……なんで、なの……⁉ 痛みが……痛い、のに……?)

 

 収まることのない激痛に苛まれながらも、アイズの心は異変を察し始めていた。

 

 味わったことのない大きさのペニスの挿入は、内臓が拉げてしまっていてもなんら不思議ではない。事実、アイズは比喩でもなくそのくらいの痛みに苛まれている。

 

 けれど同時に、その痛みが今、少しずつ和らいでいっているのだ。

 それに何より、アイズの股間は出血するほど裂けていなければ、内臓を潰されて吐血するようなことも起きていなかった。

 

「オイオイ、すげーな」「ホントにあの巨根に耐えてるぜ」「ふへへっ、どんな身体してんだよ」

 

 アイズが犯されているのを観て、客たちはゴクリと唾を呑み込んで目を見張る。中には立ち上がって歓声を上げながら拍手を送る者もいた。

 

「んぁあああっ……ふぐっ……ぁぐっ! ひぐぁあっ!」

 

 アイズは知らない。

 レベル6にランクアップした後、一度として己の限界に挑んだことがなかったのだ。

 ゆえに、自分の限界を知らない。

 それは攻撃力や破壊力に限った話ではなく、自身の肉体の耐久力も含まれていた。

 

 だから、普通の人間ならとうに息絶えている拷問染みた試練にぶつかっても、その苦痛が緩和されてしまうことを……つまるところ、アイズは自身の底を知れていなかったのだ。

 

「あぁッ、ぐっ、ぁ……ああっ、あぐっ、んあぁっ!」

 

 アイズは現状に戸惑い、困惑していく間にも痛みは薄れつつあった。

 

 けれど強烈すぎる圧迫感までは消えてくれない。

 

 だからこそ次の瞬間、アイズの目が限界まで見開かれる。

 

 ずどちゅん! どぢゅっ、どぢゅん‼

 

「がはぁあっ‼ くひぃっ、ふぐぅううあああああああッ⁉ ああっ、あぎゃぁああ! やっ、やめぇええええッ‼」

 

 ズチュン、ズチュンズチュンと、愛液にまみれた肉と肉が擦れる水音を立てながら、アイズの身体が上下に揺さぶられる。

 

宝玉の男体型(デミ・スピリット・トラニー)』がアイズの身体を触手で掴み、小刻みに上下動させ始めたのだ。

 

 はたから見れば、アイズをオナホールに見立てた怪物(モンスター)のオナニーだ。

 

「んひぃいい! んぐぅああっ! くぁあああ、あ、あああっ……これ……だ、めっ……! あっひぅっ、んくぅっ、くひぃっ‼ ひぐぅううう‼」

 

 アイズの心情などお構いなしに、怪物(モンスター)怪物(モンスター)による快楽のための独りよがりな行為。

 

 興が乗ったのか、振り幅が少しずつ大きくなっていき、巨大すぎる怪物(モンスター)の肉棒がグリュングリュンッとアイズの膣穴を抉り取ろうとする。亀頭がアイズの身体の中をグッチャグチャにかき混ぜてくるかのようだ。

 

 レベル6の異常な耐久値が原因か、あるいはアイズの心がこの苦痛を受け入れてしまったのか。いずれにせよ、もうアイズ自身に痛みはほとんど感じられない。

 代わりに別の感覚がゾワゾワと下腹部のあたりからせりあがってくる。

 

 それを知ってはいけないと、思わずアイズは悲鳴を上げる。

 

「ぐはぁああっ、はぐぅううっ……ひぎぃいあああっ! やめっ……んあぁああっ! やめ、てぇえええっ! もっ、もう無理……ダメ、だからぁああっ‼」

 

 無論そんな少女の必死の訴えは、これ以上ないくらいに性欲を滾らせた怪物(モンスター)には届かない。

 それどころか、怪物(モンスター)のオナニーショーは早くも佳境を迎えていた。

 

『————! ————ッッ‼』

 

 ドヂュンッドヂュンッドヂュンッドヂュンッドヂュンッッ‼

 

「んがぁっあぎっがはぁっ! ぅぐっ、ふぐっああっあっあぁっ! ぁんっあぐっひぃっひぁっひぐぁあああっ‼」

 

 素早く小刻みに、アイズの子宮口(ポルチオ)へ亀頭を念入りに擦りつけてくる。

 

「ああぁあっ、んぁあっ、ひぁあああ‼ ま、さか……っ! まさかあああぁぐぁあががっあぐっひぎぃいいい!」

 

 グチュングチュングチュングチュン、と。

 粘つく音もさらに大きく早くなっていく。

 

 膣粘膜や愛汁を根こそぎ削ぎ落すような抽送が、アイズの身体を内側から火照らせるほどの凶悪な摩擦熱を生み出す。

 

「んああああっっ! 熱いっ! 私、の……あそこが……熱、いぁあああ‼」

 

 この瞬間、アイズは摩擦熱だけではない、別の感覚をハッキリと自覚してしまった。

 

「あふぁあああっ! あひぃああああっ⁉ んあっ、あ〰〰〰〰っぁあああぁ……う、そ……嘘……そんな、はずっ⁉」

 

 アイズは激しく頭を振って肉壷から溢れ出ようとする感覚に蓋をしようとする。こんな人間相手を想定していないような巨大な肉棒で感じるなど、あってはならない。

 気持ちの悪い化け物ペニスに犯されて、それで快感の熱に吞まれてしまうなどあってはならない。それだけはアイズ自身の尊厳にかかわると、必死に感情を押し殺そうとする。

 

 けれど、無駄だった。

 

「んぁあああ! あくぅっ、いああああああっ‼」

 

 今、アイズは確かに未知の怪物(モンスター)に犯される恐怖と、そして快感を味わっていた。裂けそうなほど広げられた愛液まみれの膣壁を、鉄芯のような長大なペニスに擦られるたびに、身体が快楽の熱に炙られて身悶えてしまう。

 あらん限りに開かれた口から漏らす悲鳴の中で熱が弾け、嬌声が混じりだす。肉棒を受け入れ始めた膣穴がうねり、時折キュンキュンと小刻みに窄まっていた。

 

『————ッ⁉ ————‼』

 

 当然ながら怪物(モンスター)はアイズの変化に歓喜して、迎え入れた。

 ほぼ同時にアイズの膣壁に圧迫された肉棒が、終わりの時は近いと言わんばかりに膨れ上がる。

 

「はっひぃいい! んひぃひあっあひゃああああ‼ ひぅうっ! いやぁあああああ‼」

 

 アイズはせめてもの抵抗として、肉棒を完全に引き抜くことはできなくとも、少しでも浅いところで射精を済ませようと両脚に力を込めて、怪物(モンスター)の胴体を蹴り飛ばそうとした。

 

 それが一瞬早ければ結果は違っていたかもしれない。

 

 ドチュン、と。

 

 もはや後戻りできなくなった怪物(モンスター)が触手に全力を込めてアイズを手繰り寄せ、今までにないほど肉棒を蜜壷の奥まで押し込んだ。

 

 爆ぜたのは、同時か。

 

 ドビュバアアアアアアッッ‼ どびゅんっ! どびゅどびゅどびゅびゅ——どびゅるるるるるぅっ‼

 

「んぐっあぁああああああああああんんっ‼ んふぁあっ、あひゃぁあっ、あがっ、ッッ、くっはぁああああああああああああぁっっ‼」

 

【挿絵表示】

 

 噴射音がアイズのお腹の中から大音量で響き、怪物(モンスター)の精液が子宮口を貫通して子宮の内側に叩きつけられる。

 ただでさえ巨根の挿入で孕んだかと思うほど膨れていたアイズのお腹が、大量の精液を呑み込まされたことでより一層膨張する。

 

「んぁああっ、あーっ、嫌っ、いや、いやなの、に……ひぃいいいいっ‼ イキたく、ない……のに……、イクッ、イクッ、イッ……⁉」

 

 ドビュルババババッ‼ どくっ! びゅぼばばばばっ‼

 

「ふあああああああああああぁぁぁあああっっっ⁉ イックぅううう‼ とま、らない……イクッ‼ イクイクイクいくぅぅううううううううっ‼」

 

 絶頂に身体が収縮し、暴れ狂うペニスを膣壁がめいっぱいの力で締め上げる。まるで巨根の尿道に残っている精液を一滴残らず搾り上げようとしているかのようなうねりだった。

 その収縮する膣壁を引き千切るように、脈打つペニスが強く大きく跳ね上がる。

 

 とめどなく噴き上がる精液の量には底がないのか、子宮内どころか卵管までも満たし尽くすが、それでも射精は止まらない。

 ついには逆流し、巨根の突き挿さった子宮口から大量の白濁液が滝のように溢れ出した。

 

 ズルっ、ずじゅるるるる、ズルンッ!

 

「かふっ……っっ! ふぐっ、ぁ、ぁはぅぁあ…………っ」

 

 怪物(モンスター)はひとまず満足したのか、人間(ヒューマン)の娘には長大すぎるペニスを、ズルズルズルンッと引き抜いていく。

 

 直後のアイズの膣穴は、大人の手も余裕で入るだろうと思えるくらい無残なまでに開きっぱなしになり、射精されたばかりの膨大な量の泡立った精液がゴボッと勢いよく噴き出た。

 

 それはもう、溢れても溢れても止まることがないほど、観客が驚嘆するほど大量の精液が流れ出てくる。

 

 だが、アイズがそれを認知することはない。なぜなら最初に風の鎧(エアリエル)を酷使して精神力(マインド)を大量に消費していたのだ。その上、大型怪物(モンスター)にオナホール扱いされ、疲労に疲労が重なって、心身ともに彼女は限界を迎えていた。

 

 ドロリッと時折、大きな精液の塊が溢れ出すのに反応して、意識のないアイズの身体がビクンッと震える。

 

(ふむ、案の定気絶しましたか。ここまで予定通りにいくとは我ながら恐ろしいものです……)

 

 そんな【剣姫】を見て、仮面をつけた司会者の男は闘技場の端に佇んでいた。

 そして拡声器(マイク)を口元に寄せると、スポットライトが彼を照らす。

 

『いかがでしたでしょうか! 残念ながらお時間となってしまい、今宵はこれにて閉幕とさせていただきたいところですが——』

 

 司会者は仮面の内でニヤリとほくそ笑み、

 

『——その前に、皆様お待ちかねのオークションタイムとさせていただきますッ‼』

 

 瞬間、会場が沸いた。

 

 そもそも、アイズが怪物(モンスター)に犯されたのは、それを鑑賞して楽しむため……だけではない。もちろん中にはそういった目的で来る連中もいるが、会場にいる半分は別の目的がある。

 

 ()()()()()()()()()()

 

『さあさあ、今宵出品される商品はロキ・ファミリアの首脳陣が一人、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン! 彼女がいかに上玉であったか、いかに鳴いてくれるか。それは皆様皆々様がご覧になったはず。なればこそ、ここで彼女を買わない手は無いでしょう‼』

 

 カンッ! と。

 

 いつの間に取り出したのか、司会者の前には演台があり、拡声器と反対の手には木製の小槌、いわゆるギャベルが握られていた。

 

『さて、彼女をモノにするのは一体どなたなのでしょうか?』

 

 カンッ! カンッ! カンッ!

 

 ギャベルで演台上の共鳴板が叩かれ、観客の注目を集めた司会者は諸手を挙げて叫んだ。

 

『それではオークション、スタートですッ‼』



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第二部 カトラリーに弄ばれる【剣姫】
₋ep.8₋ 隠し包丁の屈辱


 薄暗い牢獄だった。

 

 光源は超硬金属(アダマンタイト)製の壁にかけられた小さな魔石灯と、()()()()()()()()()()()

 当然ながら部屋全体を照らせるほどの光量はなく、隅には影がちらついている。

 超硬金属(アダマンタイト)製の壁の継ぎ目には苔が生えており、陰湿な牢獄がずいぶんと前から存在していたことを匂わせていた。

 

 のびのびと動き回るには心もとない光……それこそ吹けば消えてしまいそうな微弱な灯りに照らされる染みついたボロな赤い絨毯、何が入っているのか分からない木製の戸棚、そしてチェストの脇には部屋の雰囲気に似合わない立派な造りの二人用寝具(ダブルベッド)があった。

 

 人が20人も入れば誰一人身動き取れなくなってしまうような、誇張しても広いとはいえない牢獄。

 そこにあまりにも場違いの、大きな寝台が置かれているせいで、より一層部屋が狭く感じる。

 

 そんな古びた牢獄に5つの影があった。

 

 男が4人と、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインである。

 

 男は、フードを深く被って黙したままのヒューマンが1人。残り3人は亜人族(デミ・ヒューマン)で、獣人2人とドワーフだった。

 

「フフ、速やかに始めたらどうですかね、【剣姫】」

「こっちは高い金を出してテメエを買ったんだぜ?」

「何を今更躊躇ってんだよ。この前のショーでは散々いい声で鳴いてくれたじゃねえか」

 

 寝台(ベッド)の端に腰かけるアイズは今、4人の男たちに()()()()()()()()()()()()

 

「誰かに鳴かされるより、よっぽど自分のためじゃねえかぁ? なぁに、簡単なことだろう? 何せお前のすることはたった一つ——」

 

 その強要されている内容とは、

 

「——オナニーをするだけなんですから」

 

「ッ」

 

 男の嗤いを含んだ下劣な言葉に、アイズは半ば反射的に肩を震わせる。

 

 誰が用意したのか、今のアイズはダンジョン内で常に鎧の下に纏っているワンピース型のインナーと青いスパッツが着せられていた。

 

 記憶の限り、もともと着ていたインナーは『巨蟲(ヴィルガ)』の体液でそのほとんどが溶かされ、穿いていたスパッツやブーツ、手袋といった(たぐい)は『食人花(ヴィオラス)』の触手に引き裂かれて、残りも『男体型の宝玉(デミ・スピリット・トラニー)』から慰み者扱いされたことで完全に消失していたはずだった。

 

 ところが現状、こうして身に着けるべき衣を身に纏っている。

 初めは何故服を用意して貰えたのか不思議だったが、自慰行為(オナニー)を強要された今なら分かる。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ここの連中は下卑た笑みという仮面を張り付かせた内側から、暗にそう囁いているのだ。

 どうやらアイズはあのオークションで、この4人に買われたらしい。

 命令に逆らう力を封じられ、魔法も使えないよう追い込まれている現状、闇取引があったのは間違いなかった。

 

 決断を迫られてからアイズは、かれこれ半日近く踏ん切りがつかないでいた。

 ソレをしてしまうことは、自尊心にかけても回避しなければならない気がしたからである。

 

「チッ、やーっぱりダメか。だから無理だって言ったんだよ俺は」

 

 いつまでも行動を起こさないアイズを見て苛立ちを覚えた獣人の片割れは痺れを切らして、いっそ自分で犯してしまおうとズボンに手をかける。

 

 ……だが。

 

 その前にもう一人の獣人がアイズの耳元で囁く。

 

「しょうがありません。ならば【剣姫】、貴女に好機(チャンス)を差し上げましょう」

 

「……好機(チャンス)?」

 

 ヒューマンの男は床を指さした。

 

「あそこに火のついた蝋燭があります。そうですねえ、あと半刻もしないうちに燃え尽きるでしょうが。ですが蝋燭が燃え尽きる前に、貴女が自ら消して見せたなら、我々は貴女を解放を約束しましょう」

 

「!」

 

 予想外の安直な提案のせいで、アイズは目の前のヒューマンを信用できない。

 思わず疑念をこめて聞き返す。

 

「……本当に、解放、されるの?」

 

「ええ勿論。ただし、炎の消し方は貴女の『自慰行為(オナニー)による潮吹き』で、ですがね」

 

「なっ⁉」

 

 アイズは驚愕と羞恥心で目を見開いて顔を赤くするが、ジッとしている場合ではなくなってしまった。

 

 アイズは今、数々の呪詛(カース)をかけられて、本来の力を発揮できなくなっている。

 それこそレベル2、下手をすればレベル1の冒険者と変わらないほど弱体化させられているのだ。

 

 なればこそ、脱出する方法はたった1つだった。

 

 意を決したアイズは、恐る恐るスカートの中に手を伸ばす。

 

 青いスパッツに手をかけて、今にも破裂しそうな羞恥心を抑え込みながら、おもむろに下着をずり下した。

 

「うっ……ううっ……」

 

【挿絵表示】

 

 アイズはこの上なく恥ずかしい思いに震えながら、寝台(ベッド)の上で股を開く。

 

 少し前まで怪物(モンスター)の巨大なペニスを咥えこんでいたとは思えないほど、秘所はピッタリと閉じており、秘裂からは綺麗で仄かにピンク色に染まる陰唇が見えた。

 

「オイ見ろよ、ホントに怪物のチンポを咥えこんでたのか?」

「ああ、流石レベル6の身体ってわけだ。回復力も並大抵じゃねぇな。もう処女みてぇなマンコに戻ってやがる」

 

 血も涙もない肉欲にまみれた野次に、アイズは心を引き裂かれる思いだった。

 

「くっ、くぅうっ……」

 

 男たちの感嘆と嗜虐に満ちた吐息から目を背けるように、アイズは自分の股へ手を伸ばす。

 最後のプライドが邪魔をして震える手が止まりかけたが、それも刹那のこと。

 

 蝋燭の炎がいつ消えるかわからない切迫した状況に後押しされて、秘所に指先を重ねた。



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₋ep.9₋ 出汁の恥辱

「これで……んんっ……いいんで、しょ……」

 

 こんな状況、こんな人前で感じられるわけがない。だが、一刻も早く自身に快楽を与えて蠟燭の灯を消さなければ脱出の機会(チャンス)は訪れない。

 

 だからアイズは思い切って、最も敏感な場所、クリトリスへと指を伸ばした。

 

「んっ、んんんっ……」

 

 ピクンッ、と。一瞬だけアイズの肩が震える。

 

 地下と思しき石牢で冷え切った指先を動かして、そっとなぞるように触れた。

 

 隠しきれない恥ずかしさに、アイズの動きはぎこちないものとなる。

 クリトリスを覆う陰核包皮の上から、上下にクリクリと転がした。触れた直後は少しくすぐったいような気がしたが、すぐにクリトリスを起点に熱さを感じる。

 

(早く……早、く……しなけれ、ば……)

 

 気がつけばアイズは腰を突き出し、自慰行為(オナニー)の様を男たちに見せつけるような姿勢になっていた。

 

 だが、男たちはアイズの拙い動きに不満だった。

 

「そんな生ぬるいオナニーショーで間に合うとでも?」

「そうだそうだ、もっとしっかりやれよ」

 

 うるさい、とアイズは思った。

 そんなことは分かっている。分かっているが、それでもせめてクリトリスを弄るだけで何とかことを済ませようと必死だったのだ。

 

 だがダメだった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 だから、

 

「……ん、んんっ、んんんんんっっ!」

 

 アイズは思い切って、膣孔に中指を滑り込ませた。

 

 クリトリスを弄ったことで膣壁は愛液まみれになっており、アイズの膣孔は指を根元まですんなり受け入れてしまった。

 

「んはぁっ、はぁっ……んんっ……んくぅっ⁉」

 

 さらに薬指も挿入()れて、浅く抜き差しする。

 

 ズニュニュニュっ、ニュポッ、ヌポッ、と。

 

【挿絵表示】

 

 愛液に浸された2本の指と膣壁がこすれるたびに淫靡な音が立つ。

 アイズは厭らしい水音に構わず指の腹を膣壁にグイグイと擦りつけ、同時にもう一方の手でクリトリスを転がす。

 

「はふっ、ひぁあん! うくぅうっ、つぅっ……んくっ……ん、あふぅっ……! んっ、あんっ! あぁっ!」

 

 無意識だったのだろう。アイズはもっと膣の深いところを刺激するために、さらに腰を突き出して、前後に腰を動かす。冒険者として鍛えてきた腹筋と体幹がこんなところで役立ってしまった。

 

「ククク、いい感じじゃねえか、【剣姫】さんよぉ」

「まったく、魚の口みたいにマンコをパクパク動かして、何を欲しがってるんだ?」

 

 下品な野次に対して、アイズの中でより一層羞恥心が沸き上がる。

 

 顔を上げればベッドの上から、男たちの股間が膨らんでいるのがよく見えた。

 

 あれほど冷え切った石牢内が淫靡な熱に犯されていく。

 それに合わせて、アイズは自分の肌もまた熱を持っていくのに気づかされた。

 

(どう、して……? 嫌っ、嫌なはずなのに……なのに、どうして……お腹の奥が……)

 

 身体中を這いずり、嘗め回すような視線。

 雄の欲望を剝き出しにした、野卑な嗤い声。

 

 それらがまるで媚薬のように、アイズの下腹部を熱くする。

 

(違う……そんなはずは、ない……っ! 私は……感じてなんか……)

 

 アイズの胸の内とは反対に、身体が、手が、指が止まらない。

 

 さらなる刺激を求めてアイズは、二本目の指を膣孔に挿し込んだ。

 

 ポタッ、ポタポタッ、と。

 

 穴の中を満たしていた愛液が寝具(ベッド)の上に溢れ出し、反対に指は抵抗なく膣穴へ潜っていく。

 

「あっ、ああっ! あふっ……はぁんっ、ああぁっ……!」

 

「おーっと、股間がビッチャビチャじゃねえか。さては俺らに見られて興奮してんな?」

 

「そ、そんなこと、はふっ、あるはずっ……んんっ、あっ、あふぁんっ、熱っい……ひぅんっ!」

 

 男の言葉に煽られたように、アイズの指は膣壁の敏感なところを引っかくように動く。指の動きに合わせてクチュクチュとなる音がより一層大きくなるのがアイズにも分かった。

 

 まさにその瞬間、

 

「ッッッ⁉ くはっ、ぁはああああああっ……⁉」

 

 アイズの腰がガクガクッと大きく震え、指を挿入()し込んでいる膣孔から多量の愛液が溢れ出す。アイズが膣壁のありとあらゆる部分を刺激した結果、ついにGスポットを探し当ててしまったのだ。

 

「あっ、あっ、あひゃんっ⁉ うっ、ぅううっ、ふくぅうっ⁉」

 

 ソコを軽く押すだけでも、下腹の奥が引き攣れるように熱く疼く。

 先ほどまでとは比べ物にならないほど脈動が激しくなり、乳首が切ないくらいに固く尖ってピクピクと震えだす。

 

「ひあぁあああっ、あっ、あああっ、こ、こんなぁっ⁉ あっ、あぁあああっ……⁉」

 

 いけないと分かっているのに、指が性欲に操られたかのように、動きを止めることも、膣穴から抜くこともできない。

 

 ソコを刺激すれば刺激するほど、股間が熱く扇情的な熱に支配されていく。自分の中の『女』の部分が無理やり目覚めさせられて、股間の割れ目の奥がより大きな刺激を求めて蠢いているのが分かった。

 

「いひあああぁっ、あっ、あああっ、ダメぇ、もう、ダメぇええっ! くるっ! 何かきちゃうっ! ああっ、もうっ、もうっ……ぁっ、あっ、あっ、ぁあああああああ……ッ⁉」

 

 アイズが逼迫(ひっぱく)した嬌声を上げ、腰を一段と大きく震わせる。

 

 先ほどまでとは比べ物にならないほどの熱い炎が、下腹部から背筋を這うように一気に燃え上がってきた。

 

 そして——、

 

 プシュッ! プシュルッ! プシュルルシュウゥ‼

 

「ふぁあんっ、あっ、ひぃっ! あふぅうんっ……ふぅああぁあぁあぁああああああぁ〰〰〰〰っっ‼」

 

 突然、押し寄せた壮絶なまでの絶頂の渦に全身を包まれ、成す術もなく呑み込まれていく。

 

 アイズは嘆くように喘ぎながらも、突き出した股間から透明の汁を勢いよく噴射させる。

 あまりの勢いに、噴き出した汁は地面に置かれていた蝋燭の火を飛び越え、その先の壁に降り注いだ。

 

「いひぃやあああっ⁉ いやぁっ、いやぁああああっ、と、止まってぇっ!」

 

 火を消すどころか、自身の潮を吹く向きも思うようにならない痴態に、アイズは悲嘆の声を漏らす。けれどアイズの予想に反して、彼女の身体は思っていた以上に深い絶頂を迎えていた。

 

「ククク、想像以上だな」

「オイ見ろよ、扉の前の床」

「うーわっ、どんだけ溜め込んでたんだぁ?」

 

 まるで噴水のように大量の透明な蜜液を辺り一面にまき散らし、部屋の端に水たまりを作ってしまった。

 

 そして肝心の蝋燭の火は、

 

「さーて、残念だったな、【剣姫】さんよぉ。消火はできなかったみたいだなぁ」

 

「ま、待っ……て……。蝋燭、は……まだ、残って……ッ」

 

 縋るような目でアイズは二度目の機会(チャンス)を獣人の片割れに乞う。

 ここで諦めたら、プライドを捨ててまで痴態を晒した意味が無くなってしまうから。

 

 アイズの懇願に対してリーダーと思しきフードを深く被った男が、アイズとの間に蝋燭を挟むようにしゃがむ。

 

 下から炎に照らされた口元が不気味に映り、底の知れない腹黒い何かが垣間見えた気がして、アイズから血の気が引いた。

 

「ああ、まだ残ってるなぁ。……けどな、こりゃあ残りの蝋燭が短すぎる。これじゃぁ、もう一度オナって潮吹くまでに間に合うとは思えねぇ」

 

「そ、そんな……こと……」

 

 フードに邪魔されて顔の全容が見えない男の声にはどこか聞き覚えがあったが、焦燥感に駆られてすぐにアイズは声の正体を忘れた。

 それよりもアイズは寝台(ベッド)の上で呼吸を乱して、さらには時折身体を痙攣させながら、なんとか反論しようとするが、男の見解に間違いはなかった。

 

「そこでだ、2度目の機会(セカンドチャンス)をやろう」

 

 謎の男はそう宣言しておもむろに立ち上がると、蝋燭を横へ蹴り飛ばした。

 そうして驚くべきことに牢屋の鍵を取り出し、重い扉を開け放つ。

 

 アイズを閉じ込めるための部屋(ろうや)だというのに、みすみす出口を与えてしまうとは一体何を考えているのか。

 

「ついてこい、アイズ・ヴァレンシュタイン。こっからは儀式の時間だぜ?」

 

 ニィッ、と。

 

 恐ろしいほどに端が吊り上がる男の口からは、獰猛な肉食獣のような鋭い歯が覗いていた。



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₋ep.10₋ 裏ごしは入念に

 アイズが牢屋から連れ出されると、そこはだだっ広い空間だった。

 

 闘技場ほどではないが、アイズの背後の牢屋の四倍ほどの広さはある超硬金属(アダマンタイト)で覆われた大部屋。そして牢屋へつながる扉とは真反対に、最硬金属(オリハルコン)で形作られた扉があった。

 

 先の牢屋とは打って変わって、天井からはシャンデリアが吊るされており、部屋の隅々まで灯りが行き届いている。

 

「ここ、は……?」

 

 アイズは警戒心を緩めないように辺りを見回す。

 

 すると先頭を歩く、フードを深く被っていた男が唐突にローブを脱ぎ捨てた。

 

「あぁ、会いたかったぜ、アイズ」

 

 顔立ちが、露わになった。

 見覚えのある顔。

 

 アイズに性的なトラウマを植え付けた、男。

 

「……あなた、は……ッ」

 

 ————ディックス・ペルディクス。

 

 かつて、アイズを性処理人形に仕立て上げようとした男。

 噂では、彼は死んだはずだった。

 

 だが、こうして目の前に再び姿を現した。

 

 一歩一歩、アイズの方へ歩みよる男は幽霊などではなく、二本足がある。

 

 それが何を意味しているのか。

 

「死んだはず? そうだな、俺は一度息絶えた。あの化け物みてぇなミノタウロスにあっさりと殺された。だが——」

 

 ディックスは、上半身の服を引き裂いて、胸部を見せつけるようにはだけた。

 

「なっ!?」

 

 思わず、アイズは目を見開く。

 

 果たしてディックスの胸部に埋まっていたのは、毒々しく輝く極彩色の『魔石』。

 

「——俺は死の淵から蘇った」

 

【挿絵表示】

 

 強烈な吐き気。

 

(間違い、ない。この男も、あの人と同じ……存在ッ!)

 

 眼前の人の殻を被った何かに、アイズは畏怖と憎悪を沸かせながら、同時にとある怪人(クリーチャー)を思い出す。

 

 ディックスは予想よりも戸惑いの小さいアイズの心境を察したのか、

 

「ほう? アイズお前、以前にも俺のような存在を目にしているな?」

 

「……それが、何」

 

「だったら分かるだろう? 過去の残り(かす)という闇派閥(イヴィルス)を脱し、神に踊らされる人形ではなくなった俺たちが、何を本能に動くかを!」

 

 ディックスの言葉にアイズは、無駄だと分かっていてもより一層警戒心を強めた。

 けれど、次に彼の口から出た台詞は、今度こそアイズを困惑させる。

 

「喜べアイズ、お前にかけられた呪詛(カース)を解いてやる。そして俺を倒せばあの扉は開く」

 

 言いながらディックスは、どこからともなく小瓶を取り出すと、中に入っていた液体をアイズに振りかけた。するとたちまち、絶えずアイズにまとわりついていた重圧感、いわば弱体効果(デバフ)が消えていくのが分かった。

 

「……何の、つもり……?」

 

 アイズが疑問を口にした次の瞬間、目の前に立っていたはずのディックスが消えた。

 

「抵抗してみろ。死ぬ気でな」

 

「——ッ!?」

 

 背後から、背筋を舐めるような濁声が聞こえた。

 

 アイズが咄嗟に振り返ると、そこにはディックスが両腕を組んで立っていた。まるで何事もなかったかのように。

 

(見え、なかった……!?)

 

 男の桁外れの移動速度に、アイズの動体視力は完全に負けていた。

 

 万全のアイズが反応すらできないスピードの極致。

 

 無意識のうちに恐怖が勝り、アイズが何もできないで立っていると、ディックスは嗤いながら、まるで壁を這い上がる百足(むかで)のように、アイズの耳元に口を近づけ、不気味なくらいに優しく囁いた。

 

「どうした? 俺は命令したぞ。抵抗してみろ、とな」

 

「くッ!」

 

 そこでようやくアイズは我に返った。

 

 愛剣が手元にない今、本領は発揮できない。それでも両の手を握りしめ、拳を作る。

 

 今できる、最善を尽くすために。

 

 アイズの金色の瞳に映る男が歪む。否、歪ませる。

 

 この男は『人』ではなく『怪物』である、と。

『男』ではなく、『魔』であると。

 

 変わる。代わる。換わる。

 

 視界の内なる定義が。

 

「ッッ‼」

 

 ステイタスが刻まれたアイズの背中が燃える氷のように黒く滾る。

 

 その猛火をもって『過去(ディックス)』を抹殺するために。

 

 アイズは両拳、両脚に魔力を限界まで集中させた。

 

「【起動(テンペスト)】——【復讐姫(アヴェンジャー)】」

 

 そして唱えた。

 アイズの根源である『風』を呼ぶ呪文を。

 

 最強の『(スキル)』と精霊の『魔法(エアリエル)』を接続する禁句を。

 

 ヴォンッッ‼ と。

 

 生じるのは魔力を帯びた螺旋の大気。黒い空気の疾走が部屋全体を暴虐なまでに軋ませ、超硬金属(アダマンタイト)製であるはずの壁がギシギシと音を立てる。

 周囲にいた男たち三人、ディックスを除く彼らはその圧倒的な暴風を前に、慌てて一人の魔術師による防護壁を展開し、内側に隠れなければいけないほどの竜巻。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 アイズの攻勢は、ここからだということ。

 

 そして、

 

「————死んで」

 

 アイズの回し蹴りが、ディックスの側頭部に炸裂した。

 

 怪人(クリーチャー)として生まれ変わり、以前よりも遥かに強く高みへ昇りつめたディックス。

 

 それでもアイズの、人外への攻撃に特化した一撃に耐えられるはずがなく。

 また、風に後押しされた神速に反応できるはずもなく。

 

 彼の頭は鼻から上が肉塊となって吹き飛んだ。

 

 アイズは興味を失ったように、同時にそのまま最硬金属(オリハルコン)製の扉をぶち壊さんばかりの勢いで、黒い風を纏いながらディックスの亡骸の横を通り過ぎて。

 

 通り過ぎようとして、

 

「……悪くない一撃だったけどなぁ」

 

「——ッッ!?」

 

 血の気が引いた。

 

「『彼女』に選ばれし肉体が、この程度で朽ち果てると思ったか?」

 

 ディックスの頭部の中でも唯一残った口が、薄気味悪く笑った。

 

「あな、た……は……ッ!?」

 

 チーズが裂けるように、怪人(クリーチャー)の唇の端が割れんばかりに吊り上がる。

 

 怪人(クリーチャー)の身体に変化があった。

 

 アイズの渾身の一撃を被った頭部が、誰が見ても致命傷の患部が。

 

 ボコボコボコッ‼ と。

 

 白い煙を上げながら、不気味な音を立てて再生していく。

 

「え——」

 

 回復魔法が発動しているわけでも、魔道具を使っているわけでもない。にもかかわらず、ありえない自己治癒能力。

 

 アイズの眼前で、ディックスの致命的な損傷が無かったことにされた。

 

 アイズが声を失っていると、漂っていた白煙は完全に天井に吸い込まれ、ディックスの両目がギョロリ、とアイズを認識する。

 

「言っただろう、死ぬ気で抵抗してみろ、とな」

 

「——ッ」

 

 流石は第一級冒険者といったところか。平常心を取り戻すとまではいかずとも、アイズは即座に次の攻勢へ出る。

 

 拳を握り、黒い風を纏わせ、触れたもの全てを圧倒する黒嵐の一撃。

 

 それを今度は男の急所、魔石が輝く胸元目がけて放つ————寸前、

 

「狙いは良い。けどもう遅っせぇ」

 

 アイズは見た。

 

 最初の回し蹴りで床や壁、天井に飛び散った肉片たちが、冬眠から覚めた虫のように蠢き始め、かと思うとアイズ目がけて射られた矢のように飛び掛かってくるのを。

 

 恐ろしいことに、肉片たちは黒い風の壁を突破する。

 まるで幽霊が石の壁をすり抜けるように。

 

「————っっ‼」

 

 アイズの本能が囁いていた。

 

 この肉片を近づけてはマズい、と。

 

「ならっ!」

 

 アイズは対処すべき優先順位を変えると、ディックスの動きに注意しつつ、飛来する無数の肉塊に拳や蹴りを叩き込もうとして。

 

「……え?」

 

 最初の肉片がアイズの拳に触れる直前にスルリと躱し、螺旋を描く軌道で腕を滑走、肩まで到達する。

 

「何こ——もがっ!?」

 

 そしてアイズの口の中へ飛び込み、胃の中へと落ちていった。

 

「あーあ、こりゃ詰みだな」

 

 傷を完全に癒してしまったディックスがアイズの体たらくに呆れたときだった。

 

 アイズの風が、消えた。

 

 胃の中に入りこんできた異物が、魔法出力のオンとオフを切り替えたのだ。

 

「う、そ……」

 

 この場、この瞬間において、一瞬の困惑は命取り。

 残りの肉片が、アイズ目がけて殺到する。

 

「しまっ——」

 

 最早対処できる距離と数ではない。

 

 アイズは咄嗟に両腕で顔を守るが、肉片たちの狙いは全く別の場所だった。

 

 ずぷんっ! と。

 

 一つ目の肉片がアイズの、女の『穴』に勢いよく挿っていく。

 

 そこはアイズが予想だにしていなかった秘所——すなわち局部。

 

「…………え?」

 

 先ほどまでの自慰行為でスパッツは脱ぎ捨ててあり、アイズの秘裂はインナーのスカートがなびけば丸見えの状態だった。

 

「……あっ!?」

 

 ビクッ、ビクンッ! と、アイズの下腹部が跳ねた。慌てて下腹部に手を伸ばすが、もう遅い。

 

 二つ目、三つ目と続けざまに残りの小さな肉片がアイズの膣内(なか)へと潜り込んでいく。

 

「あ…………あ……あ、ああ、あああっ、ああああああああああっっっ‼!?」

 

 ズリズリズリ、と膣内を圧迫し、侵していく肉片たちは集合することで再び一つになり、奥へ奥へと侵攻を始める。

 

「くぅっ、ふぐっ、あああっ、あうぅうう……っ!」

 

 苦悶の表情を浮かべるアイズは、身体の内側からの不快感と圧迫感に耐えきれず、とうとう膝をつく。肉片がアイズの子宮口をこじ開けようとしているのだ。

 

「無様だなぁ、アイズ・ヴァレンシュタイン!」

 

「はぁっ、はぁっ……あぐっ! うぎぎぎぎっ、あぎっ、ああぁぁああっ‼」

 

 ディックスは動揺と苦痛の冷や汗を流すアイズを見下ろし、凶笑とともに口を開く。

 

「この間は悪かったな、避妊薬代わりに怪物(モンスター)を植え付けたりなんかして。あのときは一族悲願のために、お前を娼婦にして金を集める必要があった。けど安心しろ、血族の呪縛から解き放たれた俺は、そんな無粋な真似はしねえ」

 

 ディックスは怪人(クリーチャー)になったことで、呪われた『眼』が黄緑(おうりょく)色に染まり、呪縛が強制的に上書きされた。だから本来彼の内にあったある種本能にも近い『目的』は、とうの昔に失われていた。

 

 代わりに得たのは、

 

「『迷宮都市(オラリオ)の崩壊』。それが今の俺の悲願だ」

 

 ディックスが『彼女』と呼ぶ存在に植え付けられた、新たなる目的。

 

「そのためにアイズ、お前はどうしても必要なんだよ。神の恩恵を受け、そして精霊の血が流れている、強い少女。それが『彼女』の求める器なんだよ」

 

 その言葉にアイズは愕然となり、刹那とはいえ下腹部の苦しみを忘れてしまうほどに強く動揺した。何故ならほんの一端とはいえ、自分の()()を暴かれたのだから。

 

「アイズ、お前は強ぇよ。正直言って、予想以上だ」

 

 ディックスの想定では、アイズの格闘術は自分に傷一つつけられないか、あるいはかすり傷が限界だと思っていた。頭を上半分持っていかれたときは、内心焦っていたのだ。

 

「だから俺も強くならなくちゃいけねぇ。お前を遥かに凌駕する極致(ステージ)へ」

 

「それ、なら……、私に呪詛(カース)を、かけたままにしておけば……」

 

 肉片が完全にアイズの子宮へ収まったのか、アイズから苦悶の表情が薄れた。ともすれば嘔吐しそうな顔色の悪さだが、それでも先ほどとは変わって何とか立ち上がれる程度には落ち着いている。

 

 アイズの様子を見て、ディックスは予定通りに事が運んでいると確信し、益々笑みを深めた。

 

「弱体化はダメなんだよなぁ。それじゃあ目的は果たせない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………っ」

 

「さぁて、そろそろ時間じゃねぇか?」

 

「ッッ!?」

 

 アイズの表情が変わる。

 額に大玉の汗を浮かべて、下腹部を抑える両手に力が入る。

 

 一度子宮を犯した肉片が、子宮内でナニかをして出ていこうとしているのだ。

 

「んっぎぃいいいいっ! がふっ、ふぐぐぅううっ‼ うぐんっ、んふっ、くふっ、んふぅぅ〰〰〰〰〰っ‼」

 

 少しでも苦痛を紛らわせようと、食いしばった歯の隙間から息を吐き出そうとする。

 

 そうしている間にもアイズの両脚は震え出し、再び立つどころか座っていることさえままならなくなってしまった。

 

「くひっ、ひぎっ、んひぃいっ……ッ! ひふっ、はふっ、くふぅうっ……ふっ、ひっ、ひぎぃい〰〰っ……んぐっ、ひはっ、はぎぎぃいいいんっ……ッッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 気が付けばアイズは地べたでうつ伏せに転がり、その苦痛の源を身体の内側から追い出そうと夢中で息んでいた。

 

「ははっ、いいぞ。それでいい、アイズ。さっさとソレをひねり出せ!」

 

 今のアイズにはディックスの嘲笑を耳に入れる余裕もない。こめかみに青筋を浮かべて力を振り絞ることで精いっぱいだった。

 

 その時、下腹部の中でズルリっ、と何かが滑り出るような感覚が生じた。

 

「んひぃいっっ……ッ!? ひはっ、はっ、はひゅっ……あっ、ああっ、かふっ……! くふっ、ふうぅっ、ンクッ……あふぅぅううう〰〰〰〰っ!」

 

 ズルンッ、と。

 

 粘液質の水音を立てて、股間から極彩色の魔石が飛び出した。

 

「お前の力を吸収した魔石、確かに頂いたぜ」

 

 アイズの膣口へ挿るときは確かに肉片だったはずのものが、今度は魔石となって産み落とされる。そんな不可思議な現象にアイズは驚きを隠せなかったが、ディックスは当然のことのように受け止めている様子だった。

 

 ディックスは地べたに横たわるアイズを他所に魔石を拾い上げると、自らの口の中に放り込んだ。

 子供が最後まで大事に残していた飴玉を舐めるように、ディックスも魔石を大事そうに口の中で転がし、やがて咀嚼しながら飲み込んでしまった。

 

「待たせたなぁ、アイズ。それじゃあお前を屈服させるとしよう」

 

 ディックスはズボンのポケットから小瓶を取り出し、中身をアイズの口に無理矢理流し込む。するとたちまち胃の中に潜んでいたディックスの肉塊が吐き出され、アイズに魔力が戻った。

 

 この男は何がしたいのか。

 

 アイズは訊ねようとして、無駄だと悟った。目の前の男は最早人間ではないのだ。根っこから理解できない存在(クリーチャー)になり果てた男に、問うことはない。

 

「さぁて、アイズ。今一度、命じようじゃねえか」

 

 ディックスは闘気を燃やし、構える。

 無抵抗に頭を吹き飛ばされる時間は終わりだ、と言わんばかりに。

 

 どすの効いた声で警告した。

 

「——死ぬ気で足掻け!」



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₋ep.11₋ 水菓子が滴るまで

 得物を持たない素手が、腕が、黄緑色に濁ったかと思えば触手に変形。

 直後、ソレが柔軟かつ硬い鞭のような風切り音を立てて、アイズの足元に幾本もの傷跡を残す。

 

 アイズの纏う漆黒の嵐の鎧が触手の攻撃をいなさなければ、彼女は直撃を免れなかっただろう。

 

「どうした、アイズ。俺の命令を忘れたかぁ?」

 

 邪悪な笑みを浮かべて、黄緑色だった触手を人間の手に戻すディックス。

 

 とんでもない戦法だ、とアイズは戦慄する。

 

 長期戦は間違いなく不利。

 

「ッ!」

 

 状況を把握したアイズは、己が動体視力を超える触手の動きを無視してディックスに特攻する。

 

 再び人外の膂力で迫る触手を、風の鎧は受け流しきれず、アイズのインナーが数か所破れる。

 

「くっ!」

 

 それでも何とか姿勢を制御して漆黒の烈風を拳に集中させる。

 

「特攻か! 悪くない案だ。あえて許そう」

 

 狙うは極彩色の魔石。

 急所以外に当てたところで即座に治癒能力が働いて、男の身体は再生してしまうからだ。

 

「はぁああああああああああああああッッ‼」

 

 ありったけの戦意と敵意を込めた渾身の一撃を、アイズはディックスの胸元目がけて放った。

 

 だが。

 

「——甘いな」

 

 寸前で風の鎧もろとも手首を掴まれ、アイズの全力の一撃は完膚なきまでに止められた。

 

「なッ!?」

 

 押しても引いてもビクともしない。

 まるで大岩に右手が埋め込まれてしまったかのように、アイズの片手は封じられてしまった。

 

「では儀式の時間だ」

 

 ディックスはズボンを下ろし、異形のイチモツを露出させる。

 

 初めて目にする怪人(クリーチャー)の勃起した男根は、アイズの想像を遥かに超えて巨大だった。

 

(な……っ‼ ま……まさ、か……!?)

 

 不気味で凶悪。異色で異常なまでの太い肉棒には、イボのような無数の突起物と稲妻のような血管が走っていた。

 

 ()()が何を意味するのか。理解できないほどアイズの頭は鈍っていない。

 

「は、離してッ‼」

 

 アイズは残された左拳に黒い風を乗せて、ディックスの顔面に叩き込む。それも一度や二度ではなく、何度も。

 

 ドンッ! ズドンッ‼ ズガンッ‼ ゴガァアアアアアン‼‼

 

 ディックスの顔面を起点に生まれる衝撃と風圧がアイズの金髪をはためかせ、拳と頭部の間から発せられる轟音が部屋中を駆け巡り、天井から吊るされているシャンデリアが激しく踊った。

 それでもディックスは顔色一つ変えることなく、傷一つ負うこともなかった。

 

「そうだ、そうやって俺をまだまだ楽しませてみろ。簡単に折れちゃあ興が冷めるってもんだ」

 

「——ッ!?」

 

 猛攻を受けてなお、笑みを絶やさぬディックスに、人間離れした耐久力に、アイズは得体のしれない恐怖を覚えた。

 

 ——瞬間。

 

「ここまでだな」

 

 グチュ、グチュチュチュ! グチュンッ! ズブブブブブププププッ……! と。

 

「んぐッッッ!? ンっ、ンアアアァァアアアッッ‼!?」

 

 突如としてアイズの連撃が止まり、代わりに口から悲鳴が上がる。

 ディックスが空いている方の腕をアイズの腰に回して引き寄せると同時に、巨大な肉棒を秘裂へ押し当てて、膣壁をゆっくりとそぎ落とすように挿入()れてきた。

 

 アイズは立ったまま、正面にいるディックスに犯されたのだ。

 

「んひぁああんっ!? あひっ、ひぐぅう……ッッ‼」

 

 全身が痺れるような熱い疼きが、股間をはじめとして広がっていく。

 

 淫らな波動に否応なく鼓動が高まり、身体が熱を帯びる。

 

 だがいつまでも挿入の余韻に浸ってはいられない。

 

 ズブっ、ズブブっ! ズチュチュ、ズチュンッ‼

 

「んひっ、あひゃぁあああ!? くひぃいいっ!? はひゅっ、はぁっ、ひはっ、ひっ、ヒ……ッ‼」

 

 限界まで引き伸ばされた膣肉が、硬く太い肉棒に削り抉られる。

 

 膣内へ挿ってきた肉棒はいつまでもとどまることを知らず、更に奥へ奥へ。

 

 そして遂には、

 

「んはひっ!? くはぁっ、かはぁあああ〰〰〰〰っっ‼!?」

 

 熱く滾る亀頭に、力強く子宮を押し上げられてしまった。

 

 敏感になってしまったアイズには、堅く閉じられた子宮口に、肉棒の先端が食らいついている様子が感じ取れる。

 

「ダメっ、ぇえっ……んひっ、はっ、はひぃっ、ひぅぅっ……ッ! ひっ、はぁっ、はっ、我慢ッ、ううぅっ……が、まんんンンぐぅうううっ……ッッ‼」

 

「はっ、悪くない肉壺だ! いいぞ、もっと抗え‼」

 

 アイズの意思に反して腰が震え、膣肉が肉棒を強烈に絞めつけた。同時に、膣肉の収縮に応えるように、ディックスはさらに強く子宮を押し上げる。

 

 もはや膣奥は限界だった。

 

 子宮口にかかる力はじわりじわりとその圧を上げて、本来広がるはずのない穴をこじ開けようとする。

 

「ぃひっ、ひぐっ、ひっ、ンアッ、はぁああっ!? そ、れッ……そこッ、そこぉおおっ……! そこっ、そッ、そこはぁあああああっ‼」

 

 閉じ合わさった小さな穴を無理矢理広げられる痛みは神によって刻まれた恩恵によって打ち消され、代わりに快楽がお腹の奥から這い上がってくる。

 

「いやっ、いやっ、そんなぁッッ……入って、こない、でッ——!?」

 

 ジュブゥウッ、ズニュルルルルルルゥウウウウッッ‼

 

「ひぐぁぁぁあああああああっ……!? あひゃぁっ、んはっ、はぐぁああっ! うぐっ、んぐっ、くはぁあああああああぁあああっ‼‼」

 

 気がつけば閉じ合わさっていたはずの子宮口が、極太亀頭に力任せにこじ開けられていた。

 

 硬くなった肉棒の先端が、それこそ子宮の形が歪むほどの勢いで内壁へと打ち込まれる。

 

「ああああぁぁぁぁああああああッッ‼!?」

 

 アイズの身体が内側からの衝撃に耐えきれず、不自然に震え上がった。

 

 こうなってしまえば、戦うどころの話ではない。

 

「…………っくはっ、ひッ……あ、んぁっ……ッッ‼ んぐっ……ふぅう、くはぁっ……ッ‼」

 

 ディックスが腰を揺するたびに、色情を掻き立てるような感覚が全身に広がっていくようで、身体(からだ)が熱を帯びていく。

 

 同時に、膣壁が異物を受け入れようと分泌された愛液が、じんわりとアイズの身体の内側を濡らして、動きをスムーズにしていく。

 それに伴って異物を挿入された嫌悪感が薄れ、張り出た肉棒の凹凸が膣壁をグリグリと擦る感触に意識が向いてしまう。

 

 不本意な甘い痺れが、下半身に広がっていく。

 

 そんなアイズに対してディックスは歯を剥き出しにして興奮を隠そうともしない。

 

「ひゃははは、子宮を責められて感じるなんてどんな変態に育ったんだよ、ええ?」

 

「ぁあっ……ッ、そんな……こと……んぐっ……、ないっ!」

 

「ああそうかよ。けどなぁ、本番はこれからだぜ。なんせお前には、俺のザーメンをお見舞いして怪物(モンスター)を孕ませてやるんだからよぉ‼」

 

「んぐぁっ、あぎぃっ、ふはぁああっ! あがっ、あぐっ、あ、ああっ……ザーメっ……ッッ!?」

 

 その言葉の意味を理解したアイズは、左手に力を込めてディックスの腰を突飛ばそうとした。

 

「ふあっ、あああっ、んぁああああっ‼ ああっ、いやぁっ、ダメっ、だめぇっ……あぐぅううううううっ‼」

 

 倒すべき相手に子宮を弄ばれるだけでなく、その子種を注がれたあげく、人間ではない存在を妊娠するなど、あまりに恥辱が過ぎた。

 

「さあて、出してやろう! 一発で孕ませてやるから楽しみに待ってろ」

 

「いぃいやぁっ! いやっ、嫌っ、イヤァアっっ‼ だ、誰がぁっ、あなたの子供なんてぇえええっ……んがぁあっ‼ んぐぅっ、ひぐぁぁぁあああああああ‼」

 

 アイズの抗いもむなしく、ディックスの腰の動きは加速し、肉棒はより深いところを責め立ててくる。その刺激に耐えられず、もはやアイズの抵抗にはほとんど力が籠っていない。

 

 弱いところを責められていることを示唆するように、下腹部や太腿がビクッビクンッと震えて、膣口が締まってしまう。

 

「ハハハッ、これが子種を拒絶するマンコかよ? 俺のチンポへの独占欲が丸出しだぞ」

 

 膣壁は快楽に屈して柔らかくなってしまい、抽送される肉棒に媚びるように絡みついている。特に弱いところを責められると、膣の動きは顕著だった。

 

 その時、酷薄に嗤うディックスと目尻に涙を浮かべるアイズの視線が交錯する。

 

「イクぞ、しっかりと孕んでくれよなぁ」

 

「やめっ、てぇえええええええっ!? んぁっ、んぐぅうっ、ひぐぅぁあ! へぁああっ! んぉぉおおおおああああっ! あっ、あっ、うぁあああああああ〰〰〰〰っっ‼」

 

 これまでにないくらい腰を強く引き寄せられると同時に、ペニスが身体の芯を穿つほど深く突き挿れられる。あまりの衝撃に、アイズの身体が弓なりに反り返った。

 

 ——瞬間。

 

 ビュビュビュルゥウウッ‼ ブビュビュビュッ‼ ドビュンッビュルルビュルルウウウウウゥッッ‼‼

 

「んっひぃいいいいいいいいいやあぁああああああああああ〰〰〰〰〰〰〰〰っっっ‼‼」

 

 子宮の奥深いところで巨悪な肉棒が大きく脈打ち、溶岩のように熱い白濁液の奔流が胎内で荒れ狂う。呆れるほど大量の精が、子宮口越しではなく直に子宮の壁へ、内へ、赤ちゃんの部屋へ余蘊(ようん)なく吐き出されてしまった。

 

 ビュブルゥッ、ビュビュルンッ! ブボビュルルルルルッッッ‼

 

「ぅぐぁあああッッ……あはぁああああぁぁぁあああああああああああっっ‼!?」

 

 ほんの刹那、アイズのお腹がディックスの肉棒から噴き出る精液の圧力に負けて膨れかけたが、すぐに子宮口が悲鳴を上げてダムが決壊するように、掃いて捨てるほど流し込まれた白熱の粘液が股の間から滝のように勢いよく溢れ出した。

 

「チッ、小せえ孕み袋だなぁ……そおらっ、まずはこれでイッとけ! そしてありがたく俺の計画の礎となれ、アイズ・ヴァレンシュタインッ‼」

 

「いやぁああっ、私ぃっ、私はぁあっ……ッッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 ビュビュウッ! ビュルルルルルゥウウウウッッ‼

 

「あひぃいいいいいいいああああああぁぁぁぁあああ〰〰ッッ‼!? も、もう、むむ、む、ムリぃいいいいいいい〰〰〰〰ッッ‼‼」

 

 融け出す蝋燭のように熱い白濁液を胎内に浴びせかけられ、絶頂の嬌声を広間に響かせた。

 

「はぁ、はっ、あっ、ああっ……んあぁっ! あっ、はひゅっ……んああッ!?」

 

 ようやく右腕を解放されたアイズは膝をついて、何度も荒い息を吐く。

 

 異形にして異色のペニスを引き抜かれた割れ目は、スカートの内側で白い粘液をブクブクと泡を立てていた。時折飴玉サイズの白濁塊がデロンッと秘裂を割って出てくるが、その度にアイズは反射的に高揚して熱を帯びた身体を震わせる。

 

「わ、私……の、オマンコ、が…………ハッ!?」

 

 アイズは顔を真っ赤にして、慌てて口を両の掌で塞いだ。

 

 今、自分は何と言ったのか?

 

 知らず知らずのうちに、怪人(クリーチャー)の望む下品な言葉を口にしてしまっていた。

 それは、ある意味怪人(クリーチャー)に屈服しかけていると表しても過言ではない。そんな恥ずべき気持ちが強くアイズの胸を抉り、心臓を締め付けてくる。

 ただ肉体を弄ばれ、蹂躙され、性欲のはけ口にされるよりも遥かに心が苦しい。

 

 けれどアイズには、苦悩する時間すら与えてはくれなかった。

 

「さあて、アイズ。どうやら心は折れていないようだし、さっそく二回戦目といこうかぁ?」

 

「——ッ!?」

 

 アイズは咄嗟に膝立ちの状態から後ろへ跳び下がった。

 

 すると直前までアイズが放心していた場所に、ディックスが片手を伸ばしていた。

 

「へへへっ、流石は【剣姫】と呼ばれているだけあるじゃねえか。まだそんな俊敏性(スピード)を見せてくれるとはなぁ」

 

「ッ」

 

 怪人(クリーチャー)が何かを考えて盛んに嘲笑している。

 人ならざる『雄』は頻りに笑っている。

 

 その笑みがあまりにも不気味で底知れず、少女は本能的に背筋を凍らせた。

 

「——だが遅え」

 

 視界から男が消えたとき、アイズの背中はガラ空きだった。

 背後に立つ圧倒的強者に対し、迎撃はおろか振り返る暇すらない。だからほとんど無意識のことだっただろう。

 

 アイズは股間を中心に黒い暴風(エアリエル)を発動させ、ディックスの次の一手に対して時間稼ぎをしようとして、

 

「風の防壁対策はオークションの時から考えてあんだよ!」

 

「え……?」

 

 ディックスの親指が、アイズのアナルに潜り込んだ。

 

「んぐぅうっ! ぅはぁあああっ、あああっ、んぐぁああああ〰〰〰〰ッ!?」

 

怪物(モンスター)共は正面からただ攻めるだけだが、生憎と俺は選ばれた存在だ。恩恵(ステイタス)に身を任せて必死に無駄な抵抗をする馬鹿どもとは違うんだよ!」

 

 尻穴を刺激され、一瞬とはいえ脱力して魔法への集中力が切れたアイズ。その僅かな(チャンス)を見逃すほどディックスの攻めは甘くない。

 

 ズブンッ! と。

 

 一思いにアイズの蜜穴へ肉棒の先っぽを滑り込ませると、最初から速いペースで腰をぶつけてきた。

 

「ふはあっ!? うはぁっ、はひゅっ!? 激しッ……ふ、太いぃっ! ふぐっ、あふぁあああああっっ‼」

 

「おぉっ、コイツはすげぇなぁ! 連戦でこんなにギュウギュウ締め付けてくるマンコはそうないぜっ!」

 

 ディックスはアイズの締まり具合が予想以上だったのか、感嘆の声を上げるとさらに奥へと亀頭を潜らせる。

 

「ははぁ、子宮口(ポルチオ)まで元通り塞がってるとは、犯し甲斐があるじゃねえか!」

 

 膣肉を抉るように愛液をかき分けるペニスを突き入れられ、最奥を力いっぱいに叩かれる。

 瞬間、全身が内側から痺れるような甘い衝撃が走り抜けた。

 

「くはあぁっ! あぐぅうっ、んうっ、んひぁああっ! はぐっ、はああっ、それっ……あぐぅううっ! んあぁっ、ダメ、なのっ……あっ、あぁああああっ‼」

 

 子宮から溢れ出す快感から逃れるように背伸びをして、少しでも後ろから膣口に挿さったペニスを引き抜こうと前傾姿勢を取る。

 

 アイズからすれば膣穴をペニスに擦られるこの状況は、嫌悪の塊でしかない。

 それなのに、凝り固まったツボをマッサージされるかのような快感が絶えず湧き上がり続けてくる。

 

 だからこそ、膣壁の激しい痙攣は止まらない。

 

 この時ばかりは、アイズも心の底から自分の身体を憎んだ。ただただ、男を喜ばせる愛らしい反応ばかりする秘裂を。男を受け入れようとする愛液まみれの蜜壺を。

 

「このマンコ、やっぱり精霊の血が流れる(メス)は一味違うようだなぁ! はっはー、絶妙な加減で俺のチンポに絡みついてきやがるっ」

 

「そんな……!? 私は、別、に……あひゃぁっ! はふっ、あっんンンぅぅ〰〰〰〰っ‼」

 

 アイズの膣肉は、ペニスを包み込んだままキュンキュンッと何度も窄まり、その度に精液を搾り取ろうと子宮口をパクパクと魚の口のように開かせる。奥にはすでに先ほど流し込まれた多量の精子が(ひし)めいているというのに、射精される気持ち良さを刻み込まれてしまった(メス)としての本能が、アイズの意思に反して白濁液を求めてしまっていた。

 

(なんでっ、なんで、私……は、こんなにも、こんなっ……‼)

 

「オイオイ、子宮口がパクついてんぞ。ははっ、もっと奥に挿れて欲しけりゃくれてやるよ!」

 

「ち、違っ……ああっ! まっ、待ってぇえっ……ひうっ、ひぐっ、ああっ、ああぁぁああッッ!?」

 

「喜べ、テメェの子宮と俺のチンポは相性が抜群だからなぁ!」

 

「あふっ、ひゃうっ、ひぐぅぁああああああああああああッッ!?」

 

 アイズは子宮口を広げられて胎内を犯され、またもや困惑したように喘いだ。

 

 相性が抜群などと称賛されても、アイズにとっては屈辱でしかない。

 

 それなのに……、

 

(そ、そんなに? 私のアソコは、そこまで……気持ち、いいの? そんなに、男のモノ……喜ばせちゃう、の……?)

 

 (メス)のプライドが刺激されて、アイズの吐息が荒く、艶っぽく乱れていく。

 

「認めろアイズ! お前は男を喜ばせる才能がある。お前を前に、何人の男が、牡が、理性を失って犯した?」

 

 アイズの脳裏に浮かぶのは、とある少年とのまぐわい。

 

 そうだ、あの純情な少年すら我を忘れて、無我夢中でアイズに腰を振ったではないか。

 

「はははっ! アイズ貴様、さては俺の精液(ザーメン)を欲しているな?」

 

「っ!?」

 

 ディックスのペニスが噴火の前触れの地震のように唸るのを、アイズはうねる膣壁に感じ取った。そのせいで、自分の子宮までもが強く熱に魘され、愛液を垂れ流していた。

 

「んはっ! くひゃっ、あはぁっ、ふぐっ……くはあぁっ! ぁああっ、やめてっ、ダメっ、あああっ、ダメっ、だからぁああああっ……‼」

 

「なぁに今さら高潔気取ってんだぁ? さっきよりも強く締めつけてきやがって。お望み通り一番奥に、タップリと中出ししてやるからよぉ‼」

 

「くふぅううっ、ひぐぐぅっ、ンアアアァァアアアっっ‼ あっ、ああぁっ、嫌ぁああっ! あっ、あっ、あああぁあっ、奥ぅっ、奥ばっかりッッ……ぃぎぃいいいっ‼」

 

 ディックスは今にも精を噴きださんとばかりに亀頭を子宮にゴツゴツンと激しくぶつけてくる。

 

 そのせいでアイズはあまりの快感に、言葉とは裏腹に尻を振り立て、膣肉をより一層強く引き窄めて肉棒を締め付けてしまう。

 

「ぅうおっ、おおっ、搾られる……出すぞっ!」

 

「ぁあっ、ああっ、もう嫌ぁっ! もうっ、これ以上はっ、ダメぇっ! 外……にぃっ! せめて外にぃっ、出しっ……ひぃああぁぁあああああっっ!?」

 

「——なぁんてな? お楽しみはここからなんだよぉ!」

 

 直後、ディックスの亀頭が2本に分裂し、胎内でさらに奥を目指して子宮を侵していく。

 娯楽に飢えた獣のように吼えたディックスは、アイズの子宮の先まで犯すように、強く肉棒を叩き付けた。

 

「んっはぁあああああっ! あぁっ、入ってくる!? それ以上なんてぇっ、無い、のに……入ってくるぅぅっ!?」

 

 驚くべきことに分裂した2本の亀頭は、それぞれ左右の卵管を突き進んでいた。

 

「はっはー、誰が大人しく子宮に卵子が降りてくるのを待ってられるかよ!」

 

 ディックスは確実に孕ませるために。

 一刻も早く受精させるために。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「——いぁぁあああああああああああああああああッッッ‼‼」

 

 どんな怪物(モンスター)にだって犯されたことのない場所を、人間のペニスではできない未知のイチモツに犯され、それでも快感を覚えてしまうアイズは、悲鳴のような嬌声を上げた。

 

 自分でも知らない未知なる場所をこじ開けられ、誰も体感したことのない性感帯を掘り起こされようとしている。そんな気分に、少女は耐えられなかった。

 

「やっ、あっ、やめてぇっ! 知らないっ! そんな場所ぉ、知らないぃいっ! 奥ダメぇっ、それ以上……あああっ、潜ってきちゃ、ダメぇっ‼ ああっ、んぁああああああっ‼」

 

 アイズが涙を流して最後の懇願をする、直後。

 

「っぐぅうううっ!」

 

 呻くような声を上げたディックスが震えると、触手のようなペニスの尿道をすさまじい勢いで精液が駆け上っていく。

 

 ——そして。

 

 ビュルビュルゥウウウッッ‼ ビュクンッ! ビュブルルルルッッ‼

 

「んっぁぁあああああっっ‼ あぁっ、出てるぅううッ! ダメって、やめてって言ったッ、のにぃいいいっ! いあっ、あぐっ、んぁあああああああ〰〰〰〰ッッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 限界まで膨張した亀頭が、はじける様に勢いよく白濁液を直接卵管へ放出させる。

 

 津波のように卵巣目がけて卵管を飲み込んでいく無数の精子。お腹奥深くまで精液を浴びせられたアイズは、焦がれるような熱に背中を震え上がらせ、天を仰いで絶頂の悲鳴を上げる。

 

「いひぃいいいいっ、ひあっ、あひぃいいいっ‼ 熱いのがぁあっ! 熱いのがぁ、いっぱいっ、奥にっ……奥に出ひゃれてるぅううううううっ‼」

 

「いいぞ、アイズ! やはりお前は最高だ。もっとだ! もっと味わえ‼」

 

 ビュクンッ! ビュクビュクッ! ドビュビュビュルルルルウゥッ‼

 

「いっひゃぁああああああぁあっ! またぁっ、あっ、あああっ、またぁ……また出てッッ……いっぱい来ちゃうぅううううううううっっ‼」

 

 もはや卵管に精液の行き場はない。

 

 一度は卵巣に押し寄せた白濁液の津波は行き止まりの壁に押し返され、子宮へと流れ出していく。最初の射精で出された精液を押し出すほどに、大量の白い粘液が注ぎ込まれたのは言うまでもなかった。

 

 そのあまりの量と勢いに、アイズは自分自身の意識が押し流されていくように感じていた。

 

 ズリュリュルルルルンッ‼ と。

 

 ようやく長く太いペニスが引き抜かれてみれば、激しい抽送にやられてポッカリと空いた膣穴が、「ヒクンッ、ヒクンッ」と収縮したり膨張したりしている。

 

「ふっ……はふっ、うふぅッ……ふぐっ、ふーっ、はひっ……ひは……うっ、んくっ! ふぐっ……!」

 

 ボビュッ! ボビュビュッ……ドパッ! ドブビュロロロロロロッッ‼

 

 大きく肩を喘がせて余韻に浸っていたアイズが、ビクンッと身体を震えさせて力む。

 

 途端に数人が一斉に放尿でもするかのような勢いで、膣口から精液が噴き零れた。

 

「ゥぐッ……ぅ、ぅぅぅぅ〰〰〰〰……ッッ……!」

 

 あまりの屈辱的惨劇に、アイズは慌てて膣の入り口に力を入れるが、白濁液の滝は止まってくれない。それに早く掻き出さなくては、逆に妊娠する確率が高まるだけだと気づき、脱力してしまった。

 

 そんなアイズの葛藤を嘲笑うかのように、足元には白濁した水たまりが広がっていく。

 

「どうだぁ? そろそろ目覚め始めてきたんじゃねえか? なあ、アイズ」

 

「……何の、話……?」

 

「決まってんだろ、快感だ! 酒でもクスリでも満たされない最高の快楽によぉ」

 

 ドクンッ、と。アイズの下腹部の奥底が熱く滾るように震える。

 

「元よりお前は純粋だ。純粋に強さを求める【剣姫】……だった。だが、今やどうだ。その純粋さが仇となり、純粋に別のモノを求めるようになりかけている!」

 

 ドクンッ、と。アイズの脳裏につい先ほどのペニスに蹂躙される自分が浮かぶ。

 

 嫌悪感しかないはずの光景に、なぜか吐息に色っぽさが混じり、呼吸が荒くなって動悸が激しくなる。

 

「ほら、もう一度逃げてみろよ、アイズ! メスの本能に逆らえるものなら、逆らってみやがれ、冒険者(メスガキ)‼」

 

 ゴクリ、と思わずアイズは唾を飲み込んだ。

 

 天を仰ぎ大きな笑い声をあげるディックスを前に、アイズは動けない。否、動かない。

 

 そうしているうちにディックスは笑い疲れたのか、顔を正面に向けてアイズという獲物を黄緑色の瞳に映す。

 

「さぁて、時間だ」

 

 一歩。また一歩と、歩み出す怪人(クリーチャー)

 

「次で三度目だ。これでお前を堕とす。お前を……【剣姫】を【雌】に塗り潰す」

 

 フシュー、と。

 

 口を半開きにして歯と歯の間から、愛欲に毒された息を蒸気のように勢いよく吐く。

 

「精々、抵抗するといい。数多の男に犯されてなお純粋な身体、魂まで徹底的に俺の色へと染め上げてやるっ!」



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₋ep.12₋ エンドレスミール

 抵抗はなかった。

 

 正確にいえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 構えようとしたその時には、アイズの腹部にディックスの拳がめりこみ、そのまま華奢な少女の身体は、元いた奥の石牢に吹っ飛ばされていた。

 

 ディックスの狙い通り、アイズは超硬金属(アダマンタイト)製の壁に激突し、そのまま寝台(ベッド)の上にずり落ちる。意識までは刈り取られなかったアイズは、笑う膝を奮い立たせて何とか立ち上がろうとするが、形勢を逆転するチャンスは失われていた。

 

「ほぉら、もう捕まえたぜぇ!」

 

 ガシッ、と。

 

 気づけば、すでにアイズの細腰は狩人の両手に捕まっており、いつの間にか寝台(ベッド)の上に仰向けに転がったディックスがいた。

 

 自身の腰を押さえて離さないディックスの両腕は怪人(クリーチャー)化の影響か、肥大化して筋肉隆々の太腕になっていた。

 当然のようにアイズの逆らう力はいとも容易く潰され、そのまま無理やり腰を落とされた。

 

 股の下に待っていたのは、いきり立った肉棒だった。

 

 ズニュルルル! ズブブ、ズブリュウッ‼

 

「っぐ……んぁあああッ! ひぐっ、ひぁあああッ‼」

 

 アイズというメスを前に狂乱的なまでに(たけ)ったペニスが一気に少女の精液まみれの膣口を押し開き、最奥まで挿入(はい)ってきた。

 

 まるで丸太のように硬く太く、そそり立った巨根の与えた衝撃は、アイズの肉体を大きく突っ張らせ、同時にのけ反らせるに十分なものだった。

 

 すでに幾度、徹底的に絶頂を味わわされた肉棒の形に、思わずつい先ほどの記憶が快感と共に蘇る。最早心ではなく、身体が感覚を覚えてしまっていた。

 

(ッぐ……!? こ、これ、は……さっきより熱く、て……感じちゃう! 挿入()れられた、だけなのに……イッ、イッちゃいそうになるっ!)

 

 背筋に雷電でも浴びせられたかのような衝撃、もとい快感が何度も駆け上がり、汗の噴きだした全身がガクガク痙攣し、意識が朦朧とする。

 

 強制的な騎乗位という屈辱極まりない姿勢だが、アイズは歯を食い締め、下腹部の内で暴れ狂う熱を抑え込むことで必死だった。

 逃げ場のない快感は乳首の先っぽやクリトリスにまで押し寄せ、末端をビリビリと震わせる。

 

「ッく……ぅ! んぐッ、くふぅぅ……ッ!」

 

 そんな少女の様子など眼中にないディックスは、肥大化させた腕でアイズの着ているインナーを引き千切ると、いきなり子宮を打ちすえるような発揚した抽送を始めた。

 

【挿絵表示】

 

 グチュンッ、ドッチュンッ! ズブッズッブンッ、ドヂュルゥンッッ‼ 

 

「んあぁッ! あひぃぃいいッ、ひぐッ……あああんッ‼」

 

 鉄拳のような亀頭で子宮口を穿たれる。下腹部の奥底から全身へくまなく広がる快感に、アイズはたまらず嬌声をあげ、全身を大きく跳ねさせた。

 

 そも挿入の瞬間からイキそうになっていたアイズ。そこに動きが加わり、肉体は絶頂寸前まで追い込まれていた。

 

 ディックスは、薄く笑いながら本能に囁いてくる。

 

「さあ、また良い声で鳴いてみやがれ。とっとと淫乱な本性を曝け出せ!」

 

「んはッ……ふっ、はんッ! あああっ……そん、な……こと……ンンンっ‼」

 

 ディックスの言葉に、先ほどまでの中出しによる絶頂の感覚が蘇った。

 

 今、アイズの心は無自覚の内に揺れ動き始めていた。

 

 ディックスによって犯されることで得られる快感の極致と、快楽に流されて理性を失ってしまうことへの恐怖が入れ替わり始めている。

 

 ディックスのオラリオ崩壊という企て。また、性行為そのものがいかに快感的とはいえ、下賤な怪人(クリーチャー)の子を孕むことへの嫌悪感は計り知れない。

 

(……けど……けど、孕んだとして、私は……あぁっ!?)

 

 キュウウゥゥウウンッ、と下腹部が、子宮が引き攣るほどに熱く疼きだす。

 

 最早アイズの思考回路はまともに働いていない。

 

 今この瞬間、絶頂を迎えてもおかしくない状態で、ディックスの下から突き上げてくる力強い肉棒に耐えなければならないのだ。

 そのまま達してしまいそうなほど強烈な快感が何度も襲いかかり、足のつま先がピンッと突っ張った。

 

「なんだぁ、もうイキそうなのか? 子宮を叩くたびにマンコの締め付けが一段と強くなっていくぜ?」

 

「ひッ! ぐ、くぅううッ……違ッ……あううぅうンッ‼ んはぁああああッ!?」

 

 全身をまんべんなく汗に濡らし、涎と愛液をまき散らして身悶えながらも、まるで何かに縋るかのように、快楽を認める発言だけは決してしまいと抵抗する。

 それを口にしてしまえば、自分が守ってきたこと、信じてきたものが本当に崩れ落ちてしまうと分かっていたから。

 

「あっひぅんッ! ひぅううんッ、ふぁッ! ああぁあんッ、くうぅッ……ぅぐふぅーっ、ふぅーッ‼」

 

 いよいよ激する抽送に応えるように何度も膣口が痙攣して、白く濁った愛液と精液交じりの粘液がドロドロと噴きこぼれていった。

 

 それでもアイズは、嬌声を張り上げそうになる本能を必死に閉ざし、ガチガチと震える歯で噛み締めようと、快楽を抑え込むことに全力を注ぐ。

 

(はぁッ、はぁッ、はぁッ……イか、ない……! ど、どんな、快楽でも……わ、私は……耐えきって、みせる……!)

 

 そんなアイズの心の内を見抜いたのか、ディックスは低く笑った。

 

「やせ我慢か……けーど、無駄だぜぇ? そろそろお前に自慰行為をさせた理由を教えてやるか? そして俺のペニスが変形できることを教えてやった理由もなぁ!」

 

 直後だった。

 

 ディックスのペニスの一部がビー玉サイズまで隆起し、アイズのGスポットを的確にゴリゴリと責め立てた。

 

 グジュルゥウッ! ズチュンッ‼ ズボッズボッジュボォッ‼

 

「あひぃいッ!? ひいぃいッ、ひぐッ……くぅうううんッ‼ んうッ、んぐぁあッ、あはぁぁああああああああッッ‼」

 

 アイズの身体がディックスの腰の上で跳ね上がり、閉じていた両脚が広げられる。

 壁にかけられた小さな魔石灯の灯りに晒された結合部から、愛液がピュシュルッ、と音を立てて噴き出していく。

 

「テメェのGスポットはもう分かってんだよ!」

 

 血管が浮き上がるほど感奮した肉棒が、潤んだ膣壁を抉り、削り、クリトリスとGスポットへ、気が狂いそうなほどの快感を強いてくる。

 同時に大きく硬い亀頭がより一層硬く熱いモノへと変わり、子宮口をゴンゴンと殴るような勢いで乱れ打ち、股の内から脳髄まで痺れるほど抗いがたい官能を与えてきた。

 

「はぉおあああッ‼ あぐッ……お、奥がぁぁああ……! あぎッ……ひぎぁああッ……‼」

 

 理性を消し炭にされそうなほど荒ぶる快感の中、アイズは絶望的な思いで部屋の外へと繋がる扉に手を伸ばそうとした。けれどそこには元々いた男4人がニヤニヤと、その瞬間を目に焼きつけようとアイズの股間を凝視しているだけ。

 

(ッが……こ、こんなッ……! あっあっ、くるっ……見られながらッ、きちゃうぅぅうっ‼)

 

 ディックスを入れれば4人の男たちの前で、絶頂の前触れはゾクゾクッと背筋を駆け上り、グチャグチャに濡れた膣と子宮が疼いて止まらない。

 

 トロトロと溶け出す膣肉の中で、ディックスの肉棒がなお熱く感奮する。そして間もなくディックスの肉棒が射精の予兆に震え出し、より大きく膨れ上がるのが感じられた。

 

「ひぐぅぁあああッ! ひぐっ、くっ、くふぅううぅ……ッ!? イきたくっ、ないぃひいいぃッ‼ 私はっ、ああああぁッ、私はぁああっ‼ あっあっああっ、あひぃいいいっ! 熱ッ、ぃひぃいいっ! んぁああっ、ああっ、私の中でッ……中でぇえええっ‼」

 

 言葉とは裏腹に、膣内はすでに絶頂の大収縮を見せて、ディックスの巨根をこれでもかとグイグイ咥えこむ。

 

 すぐそこまで迫る瞬間に、アイズの本能は歓喜に震えていた。

 

 閉じた膣肉を無理やり押し開きながら、破城槌(はじょうつい)のごとく大きな亀頭が愛液に浸された奥を突き、子宮口にめり込むように、もう一度突き上げてきた。

 

 ドビュルルルルルッ! ビュクンッ、ビュクンンッ‼ ビュバァッ、ビュルルルンッ、ビュビュクウッ‼

 

「いあああああぁあッ! んひぎぃいいいいいッ、ひッ……くぁ、あああぁあああんッ‼ んッあああぁぁあああああ〰〰〰〰ッッッ‼‼」

 

 絶頂にアイズの膣がうねるように締まり、それに応えるがごとくディックスの肉棒も精を噴き上げる。ドロッドロの溶岩のように熱い白濁液が、アイズの子宮口を突き抜けて胎内へと流れ込んでいった。

 

 絶頂中の引き締まった膣内で極太の肉棒が大きく脈打ち、熱く重い精液をまき散らす。その熱さと放出された精液が子宮を叩くたびに、アイズの痙攣は大きなものへとなった。

 

「熱ッ……んっ、ぐぁッ……あ、あっ、あッ……‼ あひぃ、ひぃぃあぁ、あ、あ……‼」

 

 直前までに幾度となく中出しされた子宮である。新たに注ぎ込まれた大量の精液はすぐに行き場を失い、逆流して結合部から勢いよく噴き出す。

 

 ビュシュルルルルゥウ! ビュバァッ、ブビュルルルルンッ! ビュブルッ! ビュククッ、ビュクゥウウッ‼

 

「いひぃいいいいッッ!? ひッ……イッ……が……ッ!いっ、いう……ッ‼ グッ、んんんんッ! んはぁああッ、あ、ああッ、あひゃぁあああああああ〰〰〰〰ッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 アイズの口端からは涎が垂れ落ち、手足は自制の効かない激しい痙攣を続ける。

 

 それでもアイズはディックスを認めない。認めようとしなかった。

 

(ぐッ……うぐぅうッ……こ、これを、耐えれば……射精さえ、乗り越えればぁぁッ……‼)

 

 射精が終われば一度は解放される。

 その隙を狙って今度は戦うのではなく、一目散に逃げて時間を稼ぐ。それに、いくらディックスが怪人(クリーチャー)とはいえ、これだけ射精を繰り返せば少しは休むに違いない。その隙に自分のコンディションを立て直そう。

 

 そんなアイズの目論見は、すぐに破られた。

 

 グチュンッ! ヂュグゥゥウ、グブヂュッ、ジュブブブッ‼

 

「ッッ……ひいぃいッ⁉ なっ……あッ……これ、はぁ!? あひゃぁああッ、ひぎぃいいいッ‼」

 

 未だ射精の終わっていないペニスが脈打ちながら、ディックスは精液で溢れ返った膣を激しく突き上げてくる。

 

 あれだけの量を続けて幾回も射精させておきながら、ディックスの巨根は萎えるどころかより一層硬く太く張りつめていた。まるで、先ほどまでが軽い準備運動であったかのように。

 

 絶頂から抜けきらないうちに、さらに塗り潰すほどの鮮烈な快感が襲いかかり、アイズはたまらず叫んだ。

 

「ひぐぅうううぅッ! やっ、やめッ! やめへっ……こ、こんなッ……わ、私はさっき……ッ、んぐッ、くはぁあああッ!? ひはぁッ、あひぃいいいッ‼」

 

 ドロドロした精液が潤滑油代わりになり、抽送はさらにスムーズで、あげく絶頂して敏感になったアイズの身体は刺激をハッキリと認識していた。

 

「どうだ認めるか? お前は孕み袋であり性奴隷人形であるということを」

 

「んくふぅッ……! ひはっ……だ、誰……が、そんな、こと——ッ」

 

 最後まで言わせず、ディックスはアイズの腰を支える手を一段と強く引き寄せ、同時に自身の腰を大きく動かした。

 

「あッ、はあああぁあッ!? あぁ、あああッ! ひうっ、ひぐぅううううぅんッッ‼」

 

 強制的に引き寄せられた少女の股は、結果として挿入をいっそう深めて子宮口により強い力で擦りつけられる。そして、その落とされた身体をディックスの逞しい腰がズンッと突き上げ、押し返した。

 

 ズンッ、ズンッ! ズブンッ! ズボォッ! ズグンッ‼

 

「ひぎぃいいいいッ!? ひぐッ……はがぁッ!? おぐがっ、がんがん……んひぃいッ! こわっ、壊れッ……あぎゃぁあっ‼」

 

「これで素直に認められそうか?」

 

 長い金髪を上下に散らしながらアイズの身体が弾むたび、膣口から白濁した愛液がブビュピュッと卑猥な音を立てて飛び散った。

 

 ディックスは再び子宮口に狙いを定めて、激しい抽送を送り込んでくる。

 

「ぅぐぁあああッ! あがっ、あはっ、はぐぐっ、いひぃいいいッ!? ひふんっ、うぅんッ、んんあッ、んがぁあっ‼」

 

 たちまち絶頂に追いやられるアイズの膣内で、ディックスの肉棒も再び急速に熱を帯びていく。その、火を噴きそうなほど熱くなった剛直を、アイズの子宮口まで一気に押し込んだ。

 

 ビュッブルルルッッ‼ ビュブルッ、ビュブブブルルッッ……‼

 

「んひゃぁあああああぁああ〰〰〰〰ッッ‼ はひぃいいああああッッ‼ あひぃいいいっ! んふぉおおおお、おおぉおぉぉおぉッ……‼」

 

 子宮口を貫通するかと思うほどの衝撃に、アイズは頭の中が真っ白になるのを感じながら、再び絶頂に果てる。あまりの快感に絶叫する膣へと、トドメでも刺すように、ディックスの精液が注ぎ込まれた。

 

「あっぎぃいいああああッ……! んひぃいいいっ、わ、私のにゃかに、ひぐっ! で、出てりゅぅううッ……! んあああぁっ! 子種汁(ザーメン)がッ、あはぁあああ……ッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 インターバル無しの二度連続とは思えないほど濃く、多量の精液が子宮内にすでにある精をかき回し、アイズの快楽は更に更にと押し上げられる。

 

「あああああッ! こ、こんなにッ、流し込まれたらぁああ……孕むぅっ! 孕んじゃうッ……‼ 本当にぃいいッ……本当に私はッ……わたしッ、孕みながらぁあああっ……ッッ‼」

 

 背が軋み、脳が蕩けそうなほどの強烈な絶頂に、アイズは我を忘れて絶叫した。

 

(き、気持ちいいッ! 気持ち良すぎるぅううっ! マンコっ、マンコが……ッ、どうにかなっちゃうぅぅうぅ‼)

 

 全身を震えさせられ、股間を貫かれたままの状態で、アイズは何度も何度も悲鳴をあげては悶えまくった。

 

「さあ、本性を見せてみろ、アイズ・ヴァレンシュタイン。お前の本来の姿を、淫らな本性を剥き出しにしろ!」

 

(ほ、本当の、わたし……は……)

 

 真っ先に思い浮かんだのは、なし崩しとはいえ、()()()()()()()()()()()()()()

 

 あの状況を作ったのはアイズ自身だった。

 だからあの少年に非はない。

 

 けれど、事情を話せばあの少年は理解し、もっと別の方法で協力してくれたかもしれない。

 

 だというのに、どうして自分はあんな状況を作り出してしまったのか。

 

 どうして…………、それは——、

 

(——私に、そんな願望があったから?)

 

 ただ精液を手渡しでも貰えればいい状況で、わざわざ性行為をしてまで中出ししてもらった理由は、

 

(私が…………私が、淫らな、女……だからッッ!)

 

 認めた瞬間、快楽が怒涛のように押し寄せてきた。

 

「んっひいぃいいいいっ、ひぃいいいいッ! あぉおおおおッッ‼」

 

 躊躇(ためら)いなくケダモノのような嬌声をあげるアイズに、ディックスはどこか満足したように笑みを浮かべると、少女の腰を引きつけて根元まで打ち込んだペニスで奥をグリグリと抉り始めた。

 

「んふぅうっ、ひぐんッ! んぐぅうううぅ! いひぃいい、それっ、それがぁあっ! 奥を抉られるの、あっあっ、ああっ! もっと、してぇえええっ‼」

 

 ディックスの腰の動きに合わせるように、汗がにじむ脚がビクビクッと震えて、アイズの腰がいやらしくくねり……、遂には自分から腰を擦りつけ始めた。

 

 ズチュッ、ズチュルンッ! ズニュニュニュッ、ニュププッ!

 

 それまでは不快に感じていた抽送による水音が、今ではアイズを官能的に煽るカンフル剤となっている。

 

「ひぐぅうううっ! まっ、またイクぅううううッッ! 子宮っ、子宮で、わたしッ、おっ、あぁあああっ‼」

 

 あまりの快感に狂ったように全身を痙攣させながらも、アイズは自ら腰を淫らにくねらせることを止めようとしない。

 

「かはぁああっ、おふぁあっ、あひぃいいッ!? 子宮ぅっ、子宮ッ、捏ねられたらぁッ、んぐッ、んはぁあああああぁっ‼ あっはぁああ、あがっ、いひぃいいんっ‼」

 

 最早ディックスが腰を突き上げるだけで、アイズは短い絶頂を何度も繰り返しているようだった。

 

 絶え間なく押し寄せる絶頂の渦に毒され続けたせいで、より柔らかく粘り気をまとった子宮口が、押し上げてくる巨大な亀頭を覆って咥えこむ。

 まるで子宮口が亀頭から出る先走り汁を啜り上げるかのように、ヂュッポリと密着していた。

 

「あああっ、イかせてぇええ! 私の子宮をぉっ、子宮がザーメンでッ、ザーメンでイキたいのぉおおおおおッッ‼」

 

 アイズは動かされるまでもなく、自ら股間を限界までディックスの腰に密着させ、グリグリと圧しつけては無我夢中で射精をねだる。

 

 ディックスはその太い腕でアイズの身体を固定すると、下腹部から脳天まで打ち抜くような一撃を浴びせた。

 

 ドッビュウウウウゥウウッッ‼ ドビュルッ、ビュブッ、ビュルルンッ‼ ビュクンビュクンッ! ビュブブルルルッッ‼

 

「んっはあぁあああああああ〰〰〰〰ッ‼ 来ちゃぁああっ! 出てる出てる出てりゅぅううううっ! 中出しザーメンでぇっ、私の子宮が満たされるぅううううううっ‼」

 

 子宮口を突き破って子宮内まで侵した肉棒の先から、大量の白濁液が噴き上がる。同じくしてアイズの膣肉が、子宮が、まるで精液を飲み干すように収縮を繰り返した。

 

「イクぅうううううッ‼ イクイクッ、イグっ……イってるぅうううううっ‼ しきゅっ、子宮がっ、ザーメンでイクぅうぅうううううう〰〰〰〰ッ‼」

 

 それまで目を背けていた快楽を受け入れたアイズは、何の躊躇いもなく絶頂の言葉を露にした。叫べば叫ぶほど、理性という名の戒めの鎖から解き放たれていくような感覚で、自身の肉体さえも溶け出してしまうような圧倒的絶頂が高まっていく。

 

「あああぁあんッ、イクッ! またイクぅうううッ‼ イクの止まらないぃいい‼ 子宮がぁッ、子宮ザーメンに犯されてっ、イキ続けてぇええええ〰〰〰〰ッ‼」

 

 アイズの淫奔(いんぽん)な言葉通り、ペニスを受け入れてしまった子宮が、竿を食い締める子宮口が、より強く収縮して更なる射精を促した。

 

「はははっ、気に入ったなら遠慮なくくれてやる!」

 

 ディックスは応じるように、なおも強く肉棒を跳ね上げた。

 

 ドビュルッ、ビュバババババッ! ビュブルルッ、ビュクンッ、ビュビュルルルルルッッ‼

 

「んっはぁああぁあぁあああっ‼ あひっ、んひぃいいぃいいいいんッ‼ またっ、また来る! 子宮アクメ来ちゃうぅううっ! 孕みイキっ、イッちゃうゥううううう〰〰〰〰ッッ‼」

 

【挿絵表示】

 

 アイズが絶頂に腰をビクビクッと震わせる度、結合部から愛液と精液が絡み合った泡を立てた白濁液が飛び散った。

 

 様子を見ていた他の4人の男たちは、もはや野次を飛ばすのも忘れて、アイズが淫らに喘ぐ姿に見入っている。

 

「くはッ……はっ……は……ぁ……あぁ…………」

 

 長い長い射精が終わり、ディックスが未だ萎えることを知らない肉棒を抜いてもなお、アイズは寝台(ベッド)の上でグッタリとして動けずにいた。

 

「あふぁっ……んんッ……あぁッ、ぁぁ…………もったい、ない……」

 

 あまりの激しい()()()()に、ディックスのサイズに広がったままの膣口からは、大量の中出しされた精液が溢れ出ていく。それを追いかけるように下を向くアイズに、ディックスの囁くような声がかかる。

 

「これでお前はもはや冒険者ではない。これからは俺の、俺のための苗床となって快楽に身をゆだね続ける孕み袋(メス)だ」

 

 あれだけの精を吐き出しておいてまだ、今にも射精しそうな、パンパンに張りつめた肉棒がアイズの目の前に聳え立っている。

 それを見るだけでアイズは、あれほど絶頂し続けたというのに、またもや股がキュンッと窄まるのを感じた。

 

「さぁて、どうすればいいか分かっているな?」

 

 アイズは熱く淫靡な吐息を零しながら、ゆっくりと自らの股間に手を伸ばした。

 

「……んんッ、あふんっ!」

 

 白濁液に塗れ、未だ絶頂の余韻にヒクつく膣口の左右に指を添え、ゆっくりと赤い肉壁を開いて見せた。

 

 アイズはディックスと、その他の男たちを眺めて懇願する。

 

「この、卑しい雌マンコを……熱い、熱いザーメンで、奥まで満たして……!」

 

【挿絵表示】

 



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