男のウマ娘がトレーナーとして頑張る話 (神領千鶴)
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第1話

アンケートで取った通り書いてみました。完全な自己満ですので読んで苦手な方はブラウザバックして下さい。


[???]

「……懐かしいな此処は。」

 

皆さんどうも村雨柊斗です。今ね、トレセン学園って所にいるんですよ。

 

『トレセン学園』

正式名称は「日本ウマ娘トレーニングセンター学園」。

国民的スポーツ・エンターテイメントとして位置付けられているトゥインクル・シリーズでの活躍を目指すウマ娘が集まる全寮制の中高一貫校である。東京都府中市に所在し、総生徒数は2000人弱。入学には願書を直接提出する方法のほか、地方の学園からスカウトされ籍を移すケースもある。

 

なんでこんな所にいるかってのはね、ぶっちゃけた話ここの理事長に頼まれたんだ。一応トレーナーとしての経験あるから大丈夫だと思う。そんな事を思っていると、校門に見知った人物がやってきた。

 

[???]

「お久しぶりです♪村雨柊斗さん♪」

 

[柊斗]

「久しぶりたづなさん。」

 

挨拶をしてきた人は駿川たづな。昔結構関わりがあった人で、今は理事長秘書をしている。

 

[たづな]

「理事長が部屋でお待ちですよ。ささ、行きましょう!!」

 

[柊斗]

「分かったからそう急かさない。」

 

たずなさんに連れられ理事長室へ向かう。確かそこそこ近かった筈だからすぐ着くだろ。

 

 

━━理事長室前━━

 

コンコンッ

 

[たづな]

「理事長、連れてきました。」

 

[理事長]

「うむ!!入れ!!」

 

ドアを開け中に入る。そこに居たのは……幼女だった。

 

[理事長]

「久しぶりだな!!柊斗!!」

 

[柊斗]

「久しぶりやよいちゃん。」

 

この人は理事長の秋川やよい。見た目は完全にロリ。因みに今いる3人で1番歳下。

 

[柊斗]

「で、なんで俺呼ばれたの?」

 

俺がここに来た理由、実はそれが分からないのだ。届いた紙には『至急、学園に来るように!!』としか書かれてなかった。

 

[やよい]

「うむ!!君にトレーナーをやって欲しくてな!!」

 

どうせそんなことだろうと思ったよ。

 

[柊斗]

「まあ別にいいよ。」

 

[やよい]

「恩に着る!!」

 

[たづな]

「これで断られたらどうしようかと思いましたよ。」

 

[柊斗]

「俺は走るのも好きだが教えるのも好きなんでな。」

 

[やよい]

「そうだ!!アレを忘れていた!!」

 

[たづな]

「そうでしたね!!」

 

2人は何処からかクラッカーを取り出し

 

パァンッ!!パァンッ!!

 

盛大に鳴らした。

 

[たづな/やよい]

「「凱旋門賞優勝おめでとう!!!!」」

 

[柊斗]

「ああ……ありがとう。」

 

『凱旋門賞』

簡潔に言うと世界最高峰レースの1つ。世界一を決めるレースとも言われている。

 

この事から分かるように俺もウマ娘である。ただし他とは違う所がある。それは俺が唯一の男であること。今まで男が生まれた事例がないから恐らく俺が初の男のウマ娘である。だが生まれた時、女性ホルモンが多いことから姿が女性に近い。だから早々バレることは無い。

 

[たづな]

「いや〜あのレースは忘れられませんね。なんせ"日本初の凱旋門賞優勝"ですからね。」

 

[やよい]

「ちゃんと録画してあるからね何時でも見れるぞ!!どうせなら学園でも販売してみようかな……。」

 

[柊斗]

「別に販売するのは構わないけど、もう何年も前の話だろ?」

 

[やよい]

「だが君のお陰で日本だけでなく海外の認識も変わったのだ!!本当に感謝している!!」

 

[柊斗]

「気にする事はない。それよりも、俺寮で寝るのか?」

 

[たづな]

「はい♪勿論、部屋は前と同じですよ♪」

 

[柊斗]

「ならいいや。端じゃないと落ち着かないからな。んじゃ行ってくる。」

 

そう言って扉を閉める。

 

 

 

[柊斗]

「懐かしいな〜この学園は。折角だしあの本でも読むか。」

 

向かうは図書室。実はそこに俺の秘書がある。あ、エロ本じゃないよ?『レースレコード本』っていうのがあるんだが俺はそれを見たい。以外と見る人が少ない。

 

ガラガラッ

 

図書室へ入り、目的の本がある場所を探す。……あった。見るのは皐月賞のタイム。……まだ抜かされてないか。なら良かった、結構本気で出しに行ったから怖かった。他にも色々と本を読んでいると

 

[???]

「ねえねえカイチョー!!この人凄くない!!」

 

[???]

「図書室では静かにするんだぞテイオー。まあ凄いのは認めるが。」

 

[テイオー]

「日本で初めての凱旋門賞優勝だって!!カイチョーは確か見に行ったんだっけ?」

 

[???]

「ああ。初めて見た時感動したよ。今でも思い出してしまうね。」

 

まさか見に来てたやつがこんな近場にいたのか。

 

[テイオー]

「綺麗な人だな〜。水色に黄色の目、外に出たら目立ちそう。」

 

結構気にしてんだぞ。まあ嫌ではないが。

 

[テイオー]

「この人来てくんないかな〜。」

 

[???]

「無理を言ってはダメだぞテイオー。」

 

今ここにいるぞ〜。

 

[テイオー]

「1度でも並走してみたいな〜。」

 

[???]

「私もそう思っているさ。だがこの世の中そう上手く行く訳では無い。」

 

[柊斗]

「この本いいな。さて、そろそろ行くか。」

 

立ち上がり本をしまう。

 

[生徒1]

「あの女性綺麗……。」

 

[生徒2]

「トレーナーなのかな……。」

 

[テイオー]

「ねえねえカイチョー!!あの人見て!!」

 

[???]

「何だいテイオー、っ?!」

 

あ、やべ。すげえ見られてる。チラッと見たけどあの2人にもだ。

 

さーて部屋にでも行こっと。あんな空間に行ったら何されるかわからん。逃げよ。

 

 

 

 

 

[柊斗]

「ふう……これでよしっと。」

 

今は柊斗がいるのはとある一室。昔引退した後、訳あって住んでいた場所だ。

 

[柊斗]

「こうして見ると結構走ったもんだ。」

 

ジャパンカップ、日本ダービー、天皇賞、有馬記念、宝塚記念、菊花賞、凱旋門賞、皐月賞、etc……

 

[柊斗]

「懐かしいね〜。てか今思うとよくこんだけ走れたよな。うんうん俺偉い。」

 

ピンポンパンポーン

 

[たづな]

『村雨柊斗さん村雨柊斗さん、ミーティングルームまでお越しください。』

 

[柊斗]

「そういえば自己紹介するんだっけな。なんて挨拶しよ……。」

 

考えながら扉を開けミーティングルームへ向かう。

 

 

 

ミーティングルームの傍へ来るとたづなさんが迎えてくれた。

 

[柊斗]

「ねえたづなさん、どうやって紹介したらいいと思う?」

 

[たづな]

「普通でいいんじゃないですか?いつも言ってたじゃないですか。」

 

[柊斗]

「いやまあそうだけど……。」

 

[やよい]

『では入ってくれ!!』

 

[たづな]

「ほら、呼ばれましたよ!!」

 

[柊斗]

「……しゃーない。」

 

ガチャ

 

扉を開け、トレーナーの目の前に行くとお辞儀をする。

 

[柊斗]

「初めまして。新しくトレーナーとして就任された村雨柊斗です。よろしくお願いします。」

 

パチパチ

 

[柊斗]

(今のところは上手く行ってる……。)

 

[柊斗]

「あともう一つ、こう見えても男なので間違えないでください。」

 

[トレーナー陣]

「え……。」

 

[柊斗]

(まあそういう反応するよね。まあ仕方ないこればかりはどうにか出来るような事じゃないからね。)

 

[たづな]

「誰か質問ある方はいますか?」

 

正直いらないです早く帰りたい。

 

嬉しいことに誰も上げなかった。やったぜ☆

 

[たづな]

「では次に今後の予定に移ります。」

 

言われたのは近々選抜レースをやる。

 

これだけだった。え、そんだけ?まあ帰れるならいいか。

 

部屋に戻り時間を確認する。時刻はまだ12時にもなってない。

 

……走るか。確か学園のターフは使っても大丈夫だった筈。なら早速シューズを用意する。俺が現役の頃から愛用しているものだ。流石に新品だがすべて同じように作ってある。そして軽い運動着に着替えシューズを持ち早速向かう。因みに言ってる最中にたづなさんに『楽しんできてください♪』って言われた。

 

 

 

 

 

━━2000メートルコース━━

 

[柊斗]

「懐かしいね~この芝も。久々だな。」

 

昔から変わっていないこの芝。流石は中央だ、きちんと手入れされてる。

 

[柊斗]

「よしいつものやるか。」

 

今も昔と同じメニューで毎朝走っている。まず12000メートルを適当に走る。

 

数十分後……

 

[生徒1]

「あの人いつまで走ってるんだろう……。」

 

[生徒2]

「これで6周目……どこにあんなスタミナがあるのかしら……。」

 

[柊斗]

(え~とこれで……何周目だっけ。まあいいやもう2周くらいしよ。)

 

と、これがいつもの事である。

 

[柊斗]

(てかめっちゃ見られてるな。あ、図書室に居た2人もいる。)

 

周りの人たちを見ながら2周を終える。水分補給をしながら歩いているとその2人組が来た。

 

[???]

「少しよろしいか?」

 

[柊斗]

「あ、ハイなんでしょう。」

 

ん?よくよく見たらこの子、なんか見た事あるな……。

 

[ルドルフ]

「初めまして。トレセン学園生徒会長のシンボリルドルフだ。それでこっちが……」

 

[テイオー]

「トウカイテイオーだよ!!宜しくね!!」

 

[柊斗]

「初めまして、今日からトレーナーになった村雨柊斗だ。」

 

[ルドルフ/テイオー]

「「え、トレーナー?!」」

 

[柊斗]

「そうだが……。」

 

なんで驚いてるんだ?普通に走ってただけだがなんか不味かったか?

 

[テイオー]

「カイチョー、トレーナーってあんなに長く走れるんだね。」

 

……そういう事か。俺ウマ娘だから走る距離多いんだった忘れてた。

 

[ルドルフ]

「1つ聞いてもいいか?」

 

[柊斗]

「いいぞ。」

 

もうバレてもいいやてか絶対バレてる。

 

[ルドルフ]

「柊斗さんがあの『ノヴァ』か?」

 

あ、そっちで聞くのか。ノヴァは俺が現役時代使っていた名だ。意味はラテン語で新しい。初の男のウマ娘で付けられた名だ。

 

[柊斗]

「そうだ。今は引退して村雨柊斗を名乗ってるけどな。」

 

[テイオー]

「……て事はカイチョー……」

 

[ルドルフ]

「ああ。柊斗さんこそ、日本初凱旋門賞優勝したウマ娘だ。」

 

[テイオー]

「えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!」

 

[柊斗]

「うるさっ。」

 

もう正体バレましたgg.まあいいや。

 

[テイオー]

「ああああの、僕貴方のファンでした!!サイン下さい!!」

 

こいつ何処からか色紙出したし。まあ別にいいか。

 

[ルドルフ]

「私もお願いします。」

 

[柊斗]

「ハイハイ……はいどうぞ。」

 

[テイオー]

「やったあぁ!!」パアアアア!!

 

[柊斗]

「随分嬉しそうだな。」

 

[ルドルフ]

「当然でしょう。柊斗さんは日本では憧れのウマ娘ですよ。」

 

[柊斗]

「さて、走るか。」

 

[テイオー]

「ええ?!」

 

[ルドルフ]

「まだ走るのですか?」

 

[柊斗]

「休憩したからな。まあ4000でいいか。」

 

[テイオー]

「春の天皇賞より多い……。」

 

[ルドルフ]

「私達も一緒に走って良いだろうか?」

 

[テイオー]

「ええ?!カイチョー?!」

 

[柊斗]

「別に構わんぞ。」

 

[テイオー]

「ええ?!いいのぉ?!」

 

[柊斗]

「あ、でもペースはそっちに任せる。」

 

[ルドルフ]

「ありがとうございます。」

 

[柊斗]

「あと敬語もなしで。」

 

[ルドルフ]

「……分かった。」

 

そんなこんなで並走が始まった。春の天皇賞は3200メートルだが今回はそれより多い。まあいいアップにはなると思う(自分だけ)。

 

 

数分後……

 

[ルドルフ]

「はあ……はあ……。」

 

[テイオー]

「う゛う゛……疲れた〜。」

 

[柊斗]

「……大丈夫か?」

 

流石に疲れたのかルドルフは膝に手をついており、テイオーはうつ伏せで寝ている。

 

[ルドルフ]

「柊斗さんは……いつもこんなに走っているのか……。」

 

[柊斗]

「俺普段毎朝12000走ってるし、さっきはそれにプラスして2周、そんで今の2周だから20000か。」

 

[ルドルフ]

「凄いな……流石は『迅帝』と呼ばれていた実力だ。」

 

[柊斗]

「懐かしいなその名前も。とりあえずお前らは休め。ドリンク余分にあるから、ほれ。」

 

[ルドルフ]

「助かる。」

 

ルドルフとテイオーにボトルを渡す。俺特製のドリンクだ。なので販売していない。

 

[柊斗]

「はーいここでトレーナーとしての発言をしマース。はーい拍手〜」

 

シーン……

 

[柊斗]

「ハイ進みましょう。今並走してわかったことが幾つかある。まず1つ目、これは2人に共通してる事だがコーナー時に体の軸がブレてる。今のままじゃレース出た時失速するぞ。オススメは体幹トレーニング。意識することはまず脚で力を入れる部分、そしてこれはみんな疎かにしている事だが肩の位置だ。」

 

[テイオー]

「肩の位置?」

 

[柊斗]

「例えば左回りの時は少し前に出すといい。右はその逆だ。そうすることで遠心力による失速が減るぞ。」

 

[ルドルフ]

「なるほど。」

 

[柊斗]

「そして2つ目、これはテイオーだけだ。」

 

[テイオー]

「え、僕?」

 

[柊斗]

「おう。お前体柔らかいだろ。」

 

[テイオー]

「その通りだよ。」

 

[柊斗]

「今の走りは体の柔らかさを使った走り方だ。そのまま走り続けると骨折するぞ。」

 

[テイオー]

「ええ?!骨折嫌だよ!!」

 

ウマ娘にとって骨折は死と同じレベルである。場合によっては折れてから走れなくなる事だってあるからだ。

 

[柊斗]

「だからストレッチを念入りにしろ。後はマッサージも。そうすれば怪我する確率は減るぞ。」

 

[テイオー]

「分かった!!」

 

[柊斗]

「と、言うことで思った事講座しゅーりょー。おつかれ〜。」

 

[ルドルフ]

「いい勉強になった。またよろしく頼む。」

 

[柊斗]

「何時でも来な。俺は暇人だからな。」

 

[テイオー]

「そういえばトレーナー、」

 

[柊斗]

「テイオーのトレーナーになったわけじゃないぞ。んで何だ?」

 

[テイオー]

「トレーナー図書室で何してたの?」

 

[柊斗]

「ああ、『レースレコード本』って言うやつ読んでた。」

 

[ルドルフ]

「ふむ、聞いたことがないな。」

 

[柊斗]

「まあ見る人がそんなにいないからな。その本の2000のタイム見てたんだよ。」

 

[テイオー]

「なんで2000なの?」

 

[柊斗]

「……2000のタイムは、俺が真面目に走ったやつだからな。気になるんだったら見てみればいいさ。んじゃお先〜。」

 

柊斗はそのまま学園の方に走って行った。まだ走れるのかと思う2人だった。

 

[ルドルフ]

「テイオー、見に行くかい?」

 

[テイオー]

「カイチョーが行くなら行く!!」

 

その後、コースを上がると見ていた生徒達から色々聞かれた。トレーナーがウマ娘だということを上手く誤魔化し、着替え図書室へ向かう。

 

[テイオー]

「カイチョー、この本だと思うよ。」

 

[ルドルフ]

「ふむ、早速開いてみよう。」

 

パラパラとページをめくり、2000のタイムを見つける。

 

見つけたと同時に、2人は驚愕することになる。なんせそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最速タイム『1分49秒98』と書かれていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[テイオー]

「……いくらなんでも速すぎでしょ。」

 

[ルドルフ]

「ふふ……決めたよテイオー。」

 

[テイオー]

「カイチョーも決めたんだ。」

 

[テイオー/ルドルフ]

「「彼(あの人)にトレーナーになってもらおう(もらう)。」」

 

2人が口を揃え言う。どうやら考えていた事が同じだった様だ。

 

その頃本人は……

 

[柊斗]

「……うめえなこれ。」

 

食堂でご飯を食べていた。

 

[柊斗]

「俺普段自炊してたから食堂の飯食わなかったけどうめえな。」

 

テーブルは4人座れるが今は1人だけ。すると声を掛けられる。

 

[???]

「相席いいか?」

 

灰色の髪を長く伸ばし、ちょっと天然そうな女の子が話しかけてきた。

 

[柊斗]

「構わんぞ。」

 

[???]

「助かる。他の席が空いてなくてな。」

 

[柊斗]

「ウマ娘にとって食事は大事だからな。人にとっても。」

 

この子、食べる量多いな。丼物を軽く越してると思う。

 

[???]

「どうかしたのか?」

 

[柊斗]

「いい食べっぷりだね。食堂の人達が喜ぶと思うよ。」

 

[???]

「む、そうか。」

 

耳がピコピコと動く。耳がピコピコと動いたり、しっぽが揺れると大体は喜んでいる証拠。え、俺普通の事言ってるだけだよ?

 

[柊斗]

「ご馳走様っと。さて、今度のレースについてでも調べるか。」

 

[???]

「……。」モキュモキュ

 

お皿を戻し、自室へ戻る。

 

━━トレーナー室━━

 

[柊斗]

「今度のレース、テイオーも出るのか。まああの走りなら負けないと思うけどな。」

 

[柊斗]

「……俺も名前変えて選抜走ろうかな……いや辞めとこう。」

 

トントン

 

[柊斗]

「どうぞ〜。」

 

[???]

「失礼する。」

 

ノックされ、扉が開くと入ってきたのはルドルフだった。

 

[ルドルフ]

「お邪魔する、柊斗さん。」

 

[柊斗]

「いらっしゃい。そこら辺で待っててくれ、今から飲み物取ってくる。」

 

[ルドルフ]

「助かる。」

 

立ち上がり冷蔵庫から飲み物を取り出す。今時の者は人参ジュースかな?俺は好きでも嫌いでもないが。コップとジュースを持って行き、ルドルフの前に置く。

 

[柊斗]

「好きに飲んでくれ。んで、なんで来たんだ?」

 

[ルドルフ]

「実は柊斗さんに頼みがあるんだ。」

 

[柊斗]

「ん?なんだ?」

 

[ルドルフ]

「私"達"のトレーナーになって欲しいんだ。」

 

ああそう来たか。まあ今担当いないし別にいいか。ん?私達?

 

[柊斗]

「私達って、どんくらい?」

 

[ルドルフ]

「今は私とテイオーだけだ。」

 

[柊斗]

「おっけー。んじゃ契約書サインして〜。」

 

[ルドルフ]

「分かった。テイオー、入ってくれ。」

 

なんだいたのか。そう思っていたが、中々扉があかない。何かあったのか?

 

[ルドルフ]

「テイオー?」

 

ルドルフが立ち扉を開けようとする。

 

[柊斗]

「待ちたまえルドルフ君。」

 

開けさせるのを止め、耳を近づける。俺は普段帽子を被って隠しているが、この程度の距離だったら全然聞こえる。

 

[テイオー]

『やったやった!!トレーナーになってもらったよ!!』

 

[???]

『羨ましいですわ……ですがわたくしも!!』

 

なんか増えてね?え?え?

 

ガチャ

 

[ルドルフ]

「早く入りなさい。む、マックイーンもいたのか。」

 

[テイオー]

「会いに来たよ♪トレーナー♪」

 

[マックイーン]

「お邪魔しますわ。」

 

[柊斗]

「はいはーい2人分のコップ今出すね~。」

 

 

[マックイーン]

「初めまして、メジロマックイーンと申しますわ。」

 

[柊斗]

「村雨柊斗だ。よろしく。(名門メジロ家か。あいつの血筋ってことは……)」

 

[マックイーン]

「お願いがありますわ。」

 

[柊斗]

「どうぞ。」

 

スゥっと息を吸い、柊斗向かって口を開ける。

 

[マックイーン]

「わたくしのトレーナーになってはくれません?」

 

[ルドルフ/テイオー]

((やっぱりそうだよね~。))

 

[柊斗]

「あれだろ?天皇賞だろ?」

 

[マックイーン]

「知っているのですか?」

 

[柊斗]

「まあメジロ家はそこそこ知ってるからな。」

 

[マックイーン]

「なら話は早いですわ。どうかお願いします!!メジロ家としての目標を達成したいのです!!」

 

[柊斗]

「……まあ構わんぞ。」

 

[テイオ―]

「え?!いいの?!」

 

[柊斗]

「担当1人増えた程度別に問題ない。前の方がひどかったしな。」

 

[ルドルフ]

「前も別の場所でトレーナーとして働いていたのかい?」

 

[柊斗]

「いや、俺元々トレーナー志望だったんだよ。」

 

[ルドルフ/テイオー/マックイーン]

「「「え……。」」」

 

[ルドルフ/テイオー/マックイーン]

「「「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!。」」」

 

[柊斗]

「俺走り出す前は普通にトレーナーの勉強してたから、暇さえあればいろんな奴に教えてたからな。」

 

[ルドルフ]

「それで?」

 

[柊斗]

「学園の殆どの奴が俺のとこ来たから、別に1人増える程度なんとも思わないんよ。」

 

[テイオ―]

「でもいつ頃から走り始めたの?」

 

[柊斗]

「確かいつも通り勉強してたら急に『一緒に走ろ!!』って言われて走ったんよ。」

 

[ルドルフ/テイオー/マックイーン]

「「「ふむふむ。」」」

 

[柊斗]

「んで走ったら最速レコード出したから強制的に走らされるようになった。」

 

[マックイーン]

「走らないほうがおかしいですわ。」

 

[テイオ―]

「僕もあんな感じにトロフィーを並べてみたいな~。」

 

[柊斗]

「ならトレーニングするしかない。まあ俺選抜見に行かないといけないらしいが。」

 

[ルドルフ]

「何故だい?担当がいるなら行かなくていいはずだが。テイオーも担当になったし。」

 

[柊斗]

「やよいちゃんがチーム作れってうるさいんよ。」

 

[テイオー]

「やよいちゃん?」

 

[柊斗]

「秋川やよい。理事長だ理事長。」

 

[マックイーン]

「理事長をちゃん付けですの?!」

 

[柊斗]

「許可貰ってるから大丈夫だ問題ない。」

 

[マックイーン]

「問題大有りですわ……。」

 

[ルドルフ]

「と、ともかく選抜レースに行くのだな。」

 

[柊斗]

「ああ。っともう3時か。」

 

[ルドルフ]

「何かあるのかい?」

 

[柊斗]

「いや~今からコース行こうと思ってな。」

 

その言葉を聞いた瞬間、3人の目の色が変わり、しっぽがブンブンと左右に揺れる。

 

[テイオー]

「トレーニング?!今からシューズとジャージ取ってくる!!」

 

[マックイーン]

「わたくしも用意してきますわ!!」

 

そう言い残して2人は走って行った。

 

[柊斗]

「慌ただしいな。」

 

[ルドルフ]

「では私も着替えてくるとしよう。」

 

ルドルフも部屋から出ていく。

 

[柊斗]

「んじゃ、俺も準備するか。」

 

まずはストップウォッチを用意する。これがないと計測が出来ない。そしてビデオカメラ。これは振り返ったりする時に使う。そして最後に着替えとシューズ。何故かって?俺も走るから。

 

 

 

 

━━2000コース━━

 

[柊斗]

「とりあえず最初は並走してくれ。お前らの走りを詳しく見たい。距離は……まあ2400でいいや。ルドルフ中心で走ってくれ。」

 

[ルドルフ]

「了解した。では行くぞ。」

 

3人は走り出す。今はアップとほぼ同じなのでそれほどスピードは出てない。

 

[柊斗]

「テイオーの奴、走り方少し変わったな。この短時間で出来たな。」

 

テイオーの走り方が少し違う。アップだから違うように見えるだけかもしれないが、どこか違う。

 

走り終わり、3人がやってくる。

 

[柊斗]

「テイオー走り方変えたか?」

 

[テイオー]

「勿論!!怪我したくないからね!!色んなウマ娘に聞いちゃったよ。」

 

[ルドルフ]

「私の所までやって来てね、色々と聞かれたよ。」

 

[柊斗]

「偉いなテイオー。それじゃあ次はインターバルトレーニングしようか。1分全力疾走その後30秒流す。これを1時間やろう。時間ごとに笛を鳴らすな。」

 

[マックイーン]

「わかりましたわ。」

 

意外と疎かにしやすいこのトレーニング。これはスピードの持続力を高めるトレーニングだ。こいつらには絶対必要な物だ。一見簡単そうに見えるが、実際にやってみるとかなりキツイ。

 

[ルドルフ]

(これは……かなり脚にくるなっ!!)

 

[テイオー]

(普通にランニングしてるよりっ!!)

 

[マックイーン]

(キツイですわっ!!)

 

[柊斗]

「はいそこまで!!」

 

[ルドルフ/テイオー/マックイーン]

「「「はあ……はあ……。」」」

 

[柊斗]

「3人ともこれ飲め。」

 

[マックイーン]

「これは?」

 

[柊斗]

「自家製はちみつレモン。」

 

3人に飲み物を渡し飲ませる。

 

[テイオー]

「何これ美味しい!!」

 

[ルドルフ]

「サッパリしていて飲みやすいなこれは。」

 

[マックイーン]

「これは店に出してもおかしくないですわ!!」

 

[柊斗]

「ありがとうな。んじゃちょっとうつ伏せになってくれ。マッサージする。」

 

[ルドルフ]

「こうか?」

 

[柊斗]

「そうで〜す。は〜い力入れま〜す。」

 

ギュゥゥゥ

 

[ルドルフ]

「これは……中々気持ちいい……///」

 

[テイオー]

「カイチョー顔がニヤけてる。」

 

[ルドルフ]

「ほ、本当か?!///」

 

ギュゥゥゥゥ

 

[ルドルフ]

「あ……///」

 

[テイオー]

「……。」チーン

 

[マックイーン]

「テイオー?!」

 

[柊斗]

「はい終了。んじゃ次やるぞ〜。」

 

これを残りの2人にもやる。まあお察しの通りルドルフみたいになってた。しかしその分効果もある。

 

[マックイーン]

「体が軽いですわ!!」

 

[テイオー]

「何処までも飛べそうだよ〜!!」

 

[ルドルフ]

「体が走りを求めているみたいだ!!」

 

[柊斗]

「んじゃ今からタイム測るぞ〜。距離は2400、8割で走ってくれ。」

 

んで、8割で走れって言ったんだが……どうやら体が軽くなりすぎてそれ以上なっていそうだ。まあ無理をしているわけでは無さそうだからいいか。にしても、3人とも綺麗な走りをするよな。カブラヤオーとは真反対だな。なんやかんやアイツはあれで普通だからな、何とも言えん。

 

[柊斗]

「は〜い今日はここまで〜。」

 

[ルドルフ]

「む、もうこんな時間か。」

 

[テイオー]

「ありがとうね!!トレーナー!!」

 

[マックイーン]

「またよろしくお願いしますわ。」

 

[柊斗]

「いやトレーナーだから当たり前だろ何言ってんだお前は。」

 

こんな雑談をしながら4人は戻って行った。だがこの時、何人かのウマ娘が見ていた事を、彼等は知らない。




とまあこんな感じで書きます。もう一個何しよっかな。

デアラの方で投票出来ます。


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第2話

皆さんこんにちは作者です。今回はウマ娘第2話です。チームメンバー誰にしようかなと思てます。一様候補は何人かいるんですけどね〜。リクエストくだちゃい。あ、未実装でもいいです。あと数が多かった場合こっちで何人かにします。あとマッサージ飛ばします。

ミスターシービー可愛いしカッコよくね?



━━午前6時━━

 

 

[柊斗]

「と、言う事で今日は増やし鬼やるぞ〜。」

 

[3人]

「どうしてそうなった。」

 

唐突にトレーナーがそう言う。そりゃそうだろう。今までトレーニングをしていたのに急に遊びになるのだから。

 

[柊斗]

「ルールは知っての通り逃げ3人の鬼1人だ。勿論俺も参加する。」

 

[ルドルフ]

「学校に許可は取っているのか?」

 

[柊斗]

「おう、理事長公認だ。んで、増やし鬼だから担当以外も仲間に入れていいって事になった。」

 

[テイオー]

「それ許可貰えたんだ。」

 

[柊斗]

「やよいちゃんはウマ娘の為なら私財まで出すからな。んで、勝ったら……まあ何か1つお願い聞いてやるよ。」

 

[3人]

「?!」

 

[マックイーン]

「も、もし負けたらどうなるんですの?」

 

[柊斗]

「安心しろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後トレーニングが倍になるだけだ。」ニヤァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[3人]

(これは何としても勝たないと!!)

 

普段からキツいトレーニングをしているのに、それが倍となったら流石に体がガタガタになる。

 

[柊斗]

「それじゃあ10秒経ったらスタートな。己の頭脳と脚を活かして頑張れ!!」

 

そう言ってトレーナーは走り去っていく。こうして、学園全体を巻き込んだ鬼ごっこが始まった。因みに鬼はルドルフ、逃げが柊斗、テイオー、マックイーンの3人だ。

 

10秒経つとルドルフが走り出す。ウマ娘の聴覚は人より優れているので何処へ走っていったかすぐに分かる。それぞれ2方向に別れて走っていった。あとはリズム。それだけで誰がどの方向に向かったかが分かる。だが1つ気になるのは足音が2つしかない事だ。逃げるのは3人だが、2つしかないのは可笑しい。だがそんなことを気にせずにルドルフは追いかける。

 

[柊斗]

「……。」ニヤァ

 

そう、この男が原因である。テイオーとマックイーン逃げ始めたと同時に足音を殺してルドルフ背後に回ったのだ。10秒数え終わった後もバレないように後ろにいたのである。

 

 

 

 

 

 

[ルドルフ]

「待てテイオーっ!!」

 

[テイオー]

「もう来たのカイチョー?!」

 

学園内は修羅場となっている。テイオーが逃げており、それを生徒会長であるルドルフが追っている。傍から見たらテイオーが悪さをしたみたいに見える。だが実際は全然そうではない。

 

[???]

「会長?!どうしたのですか?!」

 

[ルドルフ]

「エアグルーヴか!!頼む!!テイオーを捕まえてくれ!!」

 

彼女の名前はエアグルーヴ。生徒会副会長を務めており、女帝と言われるほどの実力を持つウマ娘である。基本的にエアグルーヴはルドルフに協力する。なので

 

[エアグルーヴ]

「テイオォォォォォォォォォ!!!!!」

 

[テイオー(ガビーン)]

「アイエェェェェェェ?!?!?!?ナンデェェェェェェェ?!?!?!?」

 

これが今の現状である。

 

[ルドルフ]

「エアグルーヴ!!向こうから回ってくれ!!」

 

[エアグルーヴ]

「分かりました!!」

 

逃げる、ただひたすらの逃げる。テイオーの脳内にはこれしかなかった。終わったら大好物のはちみーが飲めるとかそういうのは一切なかった。だが相手が悪い。生徒会長で無敗の三冠を達成したルドルフ、生徒会副会長であり女帝と言われるエアグルーヴ、一人なら勝機はあるが実力者が揃うと勝てない。

 

ガシッ

 

[テイオー]

「ギャアァァァァァァァ!!!」

 

[ルドルフ]

「捕まえたぞ、テイオー。」

 

[エアグルーヴ]

「大人しくしていろテイオー。」

 

[ルドルフ]

「さてテイオー、マックイーンの所にでも行こうか。」

 

[テイオー]

「……ハイ。」

 

[エアグルーヴ]

「ところで会長、テイオーを追いかけていたのは何故ですか?」

 

[ルドルフ]

「エアグルーヴは知らなかったね、今私たちは増やし鬼という名のトレーニングをしているのだよ。」

 

[エアグルーヴ]

「……はい?」

 

エアグルーヴは知らないのでルドルフは説明をする。それを聞いて納得したのか

 

[エアグルーヴ]

「私も同行します。」

 

[ルドルフ]

「助かる。それじゃあ行こうか。」

 

[テイオー]

「マックイーン……待っててね……。」

 

テイオーが鬼になった!!エアグルーヴが仲間に加わった!!三人がマックイーンを捕まえるために動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[マックイーン]

「?!」

 

[???]

「お?どうしたマックイーン?」

 

[マックイーン]

「何でもありませんわゴールドシップさん。」

 

[ゴルシ]

「そうかぁ?」

 

マックイーンは突然感じた寒気に驚いた。だが脅威はすぐそこまで近づいてきている。

 

[ゴルシ]

「にしてもマックイーンが鬼ごっことは!!中々面白いじゃねーか!!」

 

[マックイーン]

「揶揄わないでくださいます?これでも必死ですのよ?」

 

[ゴルシ]

「なあなあ!!それってアタシも参加していいのか?!」

 

[マックイーン]

「参加は……良いと思いますよ。トレーナーも言っていましたし。」

 

[ゴルシ]

「おお!!それじゃあ━━━」

 

[テイオー]

「見つけたよマックイーン!!」

 

遂にテイオーに見つかってしまったマックイーン。その言葉を聞くとゴルシを連れて逃げようとする。

 

[マックイーン]

「ゴールドシップさん!!早く行きますわよ!!」

 

[ゴルシ]

「おう!!」

 

[テイオー]

「待てー!!」

 

第2回戦が始まった。今はテイオーは1人でマックイーン達を捕まえようとしている。

 

[ゴルシ]

「うぉ!!テイオーはえぇな!!」

 

[マックイーン]

「無駄口叩いてないで逃げますわよ!!」

 

[ゴルシ]

「んじゃこっち行こうぜー!!」

 

[マックイーン]

「そっちは行き止まりですわ!!」

 

[テイオー]

「マァァァァァッックイィィィィィィィィンッ!!」

 

[マックイーン]

「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ?!?!?!」

 

[ゴルシ]

「アハハハハハハハッ!!!!」

 

マックイーンもテイオーと同じく、頭の中には逃げるのという選択肢しか無かった。だがよく考えて欲しい。今はテイオーしか追ってきていない。ルドルフ達は来ていない、ならどこに行ったのか?ノヴァというウマ娘を捕まえに行ったとしてもまず速さで勝てない。ならエアグルーヴと共同でやればどうなるか、それを向こうが考えていたら恐らく無効になるだろう。という事は、

 

[ルドルフ]

「そこまでだ!!」

 

[マックイーン]

「生徒会長さん?!」

 

当然退路を塞ぎに来る。

 

[ゴルシ]

「やむを得ん!!マックイーン捕まってろよ!!」

 

[マックイーン]

「下ろしてくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

ゴールドシップがピョンピョンとあらゆる遮蔽物を乗り越えていく。途中壁ジャンプをしたりしていたが、そのまま逃げていく。

 

 

 

 

 

 

[ゴルシ]

「ぜぇ……ぜぇ……振り切ったぜマックイーン……。」

 

[マックイーン]

「気持ち悪いですわ……。」

 

ウマ娘は揺れが苦手である。全員がそうではないが殆どがそうである。なのでマックイーンは変な揺れをずっと感じていたためグロッキーである。

 

[ゴルシ]

「生徒会長さんまでいたなんて驚いたぜ。にしても」

 

[マックイーン]

「言ってませんでしたか?」

 

[ゴルシ]

「いやだって生徒会長さんが鬼ごっこするとは思えねぇじゃん?」

 

[マックイーン]

「確かにそうですわね。」

 

[ゴルシ]

「生徒会長もやっぱりそういうお年頃なのかねぇ……。」

 

ガシッ

 

[ルドルフ]

「誰が鬼ごっこしたいお年頃だって?」ゴゴゴゴゴオ

 

[ゴルシ]

「うぉ?!」

 

ガシッ

 

[テイオー]

「見つけた……マックイーン……。」

 

[マックイーン]

「て、テイオー……。」

 

ゴールドシップ、マックイーン捕獲完了。鬼が2人増えた!!

 

[ルドルフ]

「さて、あとはトレーナー君だけだが……。」

 

[テイオー]

「うーん何処にいるんだろー。」

 

[ゴルシ]

「なら一旦戻ってみればいいんじゃねぇのか?」

 

[マックイーン]

「貴方にしてはまともな意見ですわね。そうしましょうか。」

 

[ゴルシ]

「流石天才のゴルシちゃんだぜ!!」

 

ゴールドシップに言われた通りに、鬼ごっこが開始されたコースに戻る。今の場所から大体3分位でつく。そこ目掛けて歩いていくと目的地周辺に着く。

 

[柊斗]

「お、みんな捕まえて仲間も増えたようだな。」

 

[テイオー]

「本当にいたし……。」

 

[ゴルシ]

「やっぱりアタシ天才じゃね?」

 

[マックイーン]

「今日だけはそうしておきますわ。」

 

[ルドルフ]

「さて、あとはトレ━━━」

 

[柊斗]

「逃げるが勝ちだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

[テイオー]

「待てー!!」

 

[ルドルフ]

「あ、待て!!」

 

[マックイーン]

「卑怯ですわ!!」

 

[柊斗]

「勝負で卑怯もクソもありませんンンンンンン!!」

 

[ゴルシ]

「おっもしれぇなトレーナー!!」

 

柊斗vs4人の鬼ごっこが始まった。因みにエアグルーヴは書類整理がある為戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ルドルフ]

「やっと捕まえたぞ……トレーナー君……。」

 

[柊斗]

「あらら、捕まっちゃったか。」

 

最後の鬼ごっこが始まってから数十分後、どうにか捕まえることが出来たルドルフ達。だが彼女たちはすごい疲れていた。

 

[テイオー]

「これで……トレーニング倍はないよね……。」

 

[マックイーン]

「そうです……わね……。」

 

[ゴルシ]

「流石にこのゴルシ様でも疲れたぜ……。」

 

[柊斗]

「んじゃ、みんな脚パンパンだと思うから横になれ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[柊斗]

「ほいっと。それじゃあ朝練おわったから帰れ~。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君、勝ったらお願いを一つ聞くのは忘れていないよね?」

 

[柊斗]

「おう。」

 

[ルドルフ]

「ならトレーナー室に行ってもいいかな?」

 

[テイオー]

「えぇ?!」

 

[柊斗]

「いいぞ。」

 

[マックイーン]

「いいんですの?!」

 

[柊斗]

「いやだって一度入ってきてるし。別にいいんじゃねって思った。」

 

[ゴルシ]

「でもお前ら授業どうするんだ?」

 

[ルドルフ]

「私は今日は免除されてるんでね、特にこれと言ってないのさ。」

 

[テイオー]

「えーカイチョ―ずるくない?」

 

[マックイーン]

「生徒会の仕事はないのですか?」

 

[ルドルフ]

「私がやる書類は終わらしてある。」

 

[ゴルシ]

「流石生徒会長様だな。」

 

[柊斗]

「まあやること終わらしてるなら文句はないぞ。んじゃ各自解散しろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━トレーナー室━━

 

[ルドルフ]

「すまないね、無理を言ってしまって。」

 

[柊斗]

「俺が言い出したことだからな、構わない。」

 

お茶を冷蔵庫から取り出し、ルドルフに差し出す。

 

[柊斗]

「なあルドルフ。」

 

[ルドルフ]

「何だいトレーナー君?」

 

真剣な眼差しで見てくるので、ルドルフも真剣になる。

 

[柊斗]

「ルドルフって、あの時来てたルナか?」

 

[ルドルフ]

「ぶぅぅぅぅ!!」

 

突然ルドルフが飲んでいたお茶を吹き出す。

 

[柊斗]

「だ、大丈夫か?」

 

[ルドルフ]

「だ、大丈夫だ……。それよりも、その通りだ。覚えていてくれたのか。」

 

[柊斗]

「まあな。あの時はまだガキだったのに、今はこんなに成長してたとはな。」

 

[ルドルフ]

「十年以上前のレースだったからな、私だって成長するさ。」

 

[柊斗]

「こんだけ美人なら将来結婚する男は嬉しいだろうな。」

 

[ルドルフ]

「び、美人?!」

 

[柊斗]

「おう、事実そうだろ。美人っつうか美娘?めんどくさいから美人でいいや。多分だれが見たってそう言うと思うぞ。」

 

[ルドルフ]

「そ、そうか……。」

 

[柊斗]

「ルドルフもだし、他の奴らもみんなそうだな。てかウマ娘全員が殆ど可愛い。」

 

[ルドルフ]

「それならトレーナー君も綺麗じゃないか。」

 

[柊斗]

「男に可愛さ求めてどうする、まあ今更どうこう言ったって変わんねえけど。」

 

prrrrr prrrrr

 

[柊斗]

「はいもしもしこちら村雨柊斗。」

 

[ルドルフ]

(その出方は何だ?)

 

[柊斗]

「俺?今日本だけど。」

 

[柊斗]

「……マジか。わざわざ俺の事探すために海外まで行ってたのか。」

 

[ルドルフ]

(探しに行ってた?という事は知り合いなのか?)

 

[柊斗]

「今トレセン学園でトレーナーしてるぞ。……え、帰ってくる?」

 

[ルドルフ]

(帰ってくるという事は在校生か?もしくは私たちの先輩かのどちらかだな。)

 

[柊斗]

「はいはい、帰ってきたら遊んでやるから、んじゃ。」

 

ピッ

 

[柊斗]

「速報、担当が一人増えます。」

 

[ルドルフ]

「と、唐突だね。それで誰なんだい?在校生なんだろう?」

 

[柊斗]

「ああ。ミスターシービーだ。」

 

[ルドルフ]

「み、ミスターシービー?!」

 

 ミスターシービー

 

ルドルフと同じく、三冠を達成したウマ娘である。トレセン学園内では生徒会に所属しているナリタブライアン、シンボリルドルフ、そしてミスターシービーの三人が達成している。

 

[ルドルフ]

「か、彼女と知り合いなのかい?」

 

[柊斗]

「ああ。ったく、俺の事探す為だからって海外まで来るかよ普通。」

 

[ルドルフ]

「好かれてていいじゃないか。嫌なのかい?」

 

[柊斗]

「嬉しいんだけど、アイツトレーナー付けずにずっと走ってるんだぜ?」

 

[ルドルフ]

「おかしいな、レースはトレーナーを付けなければ走れない筈だが。」

 

[柊斗]

「ある程度成績残してる奴は付けなくてもいいんだよ。まあ俺は最初っから付けなかったけど。」

 

[ルドルフ]

「そ、そうか。それにしても、彼女が唐突に『探し人見つける為に海外行ってくる。』って言っていたが、その人がトレーナー君だったとは。」

 

[柊斗]

「まあ約束してたしな。トレセン入ってこっちの仕事終わったらトレーナーになってやるって。」

 

[ルドルフ]

「約束なら仕方ないな。それでいつ頃帰ってくるんだい?」

 

[柊斗]

「今日。」

 

[ルドルフ]

「……え?」

 

[柊斗]

「今日。」

 

場所にもよるが、基本的に日帰りで海外に行くことはほぼ不可能である。

 

[柊斗]

「わざわざ大金払って日帰りできる飛行機乗るらしいんだと、全く少しは楽してくりゃいいのに。」

 

[ルドルフ]

「大変だねトレーナー君も。さて、私はこれで失礼しようかな。」

 

[柊斗]

「おっけー。んじゃゆっくり休めよ。あ、今日はトレーニングないからな。」

 

[ルドルフ]

「分かったよ。」

 

そう言いながら扉を閉める。

 

[ルドルフ]

(……ルナって言われちゃった。)

 

ルドルフは柊斗にルナと言われ赤くなっていた。ルナとはルドルフの幼称であり、家族にしか許していない名前だった。何故柊斗が知っているかと言うと、ルドルフが凱旋門賞を見に行った時、その時にシンボリルドルフではなく、ルナと名前を言ってしまった為である。

 

[ルドルフ]

(でも……トレーナー君にならいいかな。フフッ……。)

 

少し黒い笑を浮かべながら生徒会室へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━午後7時━━

 

[柊斗]

「……。」

 

周りが暗くなってきているのにも関わらず、柊斗はトレセン学園の正門前にいた。それには深い訳がある。

 

ダッダッダッダッ

 

徐々に足音が聞こえてくる。ウマ娘にはそれぞれリズムがあるが、この独特のリズムを持つのは1人しかいない。

 

[シービー]

「やっと……会えた。」

 

柊斗に会いたかったウマ娘、ミスターシービーである。

 

[柊斗]

「お帰りシービー。」

 

[シービー]

「ただいま兄さん。」

 

[柊斗]

「まだその呼び方なのか。」

 

[シービー]

「いいじゃない、私が勝手に呼んでるだけだし。」

 

[柊斗]

「ま、別にいいけどさ。それよりも、お前寮住んでんのか?」

 

[シービー]

「いや?私海外行く時に寮開けたからないよ。だから泊めて。」

 

[柊斗]

「断った所で聞かないからなお前は。仕方ない、今日は泊めてやる。」

 

2人はちょっとした雑談をしながらトレーナー寮へ向かう。因みにミスターシービーが柊斗の事を兄さんと呼んでいるのは、彼女が言っていた通り彼女が勝手に言っているだけである。柊斗が1人で過ごしていたシービーとごく稀に遊んでおりその時に呼ばれた。だがその時はまだ現役として走っていた為そんな多くではなかったが。

 

 

 

 

 

━━トレーナー室━━

 

[シービー]

「ここに来るのも久しぶりね。」

 

[柊斗]

「対して離れてねえだろ。それで、なんで態々俺の事探しに海外まで行ってたんだ?」

 

[シービー]

「……言わないとダメ?」

 

[柊斗]

「シービーがそこまでやるって事はなんか理由があるんだろ?」

 

シービーは基本的にレース以外はそんなに行動には移さない。だがそれだけで大掛かりな行動をしたという事はそれだけの事があると柊斗は考えていた。

 

[シービー]

「実はさ、お見合いの話があったんだよね。」

 

[柊斗]

「へー、それでなんで海外に行ったんだ?」

 

[シービー]

「私の両親が勝手に決めた奴と結婚なんてしたくないの。だから柊斗、」

 

[柊斗]

(なんか嫌な予感がする。)

 

バサッ

 

シービーが柊斗を押し倒す。

 

[シービー]

「私は親にその申し出を断ってきた。だから柊斗、私と結婚して。」

 

[柊斗]

(落ち着け俺。まだ彼女はまだ生徒だ。)

 

柊斗は内心焦ってた。縁談の話かと思ったら次の瞬間押し倒され逆プロポーズ、それも普通に美女の奴に。

 

[柊斗]

「あーシービー?とりあえずお前はまだ学生だから結婚は流石に早すぎる。」

 

[シービー]

「年齢的には大丈夫だよ?」

 

[柊斗]

「個人的に学生と結婚てのは嫌なんだよ。だからなシービー、取り敢えず学園を卒業したら考えてやる。前向きな。」

 

[シービー]

「なら婚約成立だね。本当ならここで既成事実を作ってもいいんだけど。」

 

[柊斗]

「そんなことしたら俺が社会的に消される。」

 

[シービー]

「そうなったら海外に逃げればいいさ。海外にも知り合いいるんでしょ?」

 

[柊斗]

「まあな。そんじゃ、俺は早めに寝ようかな。明日はトレーナー同士の交流会みたいなのあるし。」

 

[シービー]

「そうか。なら私も一緒に寝ようかな。」

 

柊斗が立ち上がり、自分の布団の中へ入る。するとシービーもその布団の中へ入る。

 

[柊斗]

「なんで入ってくるんだ?」

 

[シービー]

「私の布団がないのと、今まで心配させた罰。」

 

[柊斗]

「襲うなよ?」

 

[シービー]

「善処するわ。」

 

そう言い終え、2人は眠りに着く。向き合った状態で。

 

 

 

 

 

 

━━午前7時━━

 

[柊斗]

「zzz……。」

 

[テイオー]

「起きないねー。」

 

[マックイーン]

「ですわね。」

 

[ルドルフ]

「……。」

 

[テイオー]

「どうしたのカイチョー?」

 

さっきからルドルフが凄い真剣な顔で考えている。

 

[ルドルフ]

「いや……少し気になる事があってな。」

 

[マックイーン]

「気になることですの?」

 

[ルドルフ]

「何故かトレーナー君の方から別のウマ娘の匂いがするんだ。」

 

その言葉を聞いた瞬間、2人の顔が険しくなる。

 

[テイオー]

「おっかしいなぁー。まだ担当になって短いけど、ボクはトレーナーの事は信頼してるよー?」

 

[ルドルフ]

「この匂い……何処かで嗅いだことがある気がするな。」

 

そんな事を話していると、柊斗が目を覚ます。

 

[ルドルフ]

「おはようトレーナー君。早速だが聞きたい事がある。」

 

[柊斗]

「なんだ?ちょっと待て。おい、起きろ。」

 

トントンと肩を叩いてシービーを起こす。柊斗はごく平然とやっているが、3人からしたらかなりグレーゾーンに入る。

 

[テイオー]

「トレーナー、そのウマ娘は?」

 

テイオーが尋ねてくる。だがさっきとは違い目のハイライトが無くなってる。

 

[柊斗]

「ああルドルフ以外は知らないのか。シービー挨拶しろ。」

 

[シービー]

「ぅ〜ん?ああルドルフ以外は初めましてだね、私はミスターシービーよ。」

 

[マックイーン]

「ミスターシービーって、3人目のクラシック三冠を達成したウマ娘ですの?!」

 

[テイオー]

「ええカイチョーと同じ?!」

 

[ルドルフ]

「達成したのは彼女の方が早いがな。それよりも久しぶりだな、シービー。」

 

[シービー]

「久しぶりねルドルフ。」

 

[柊斗]

「なあ、そろそろ離れてくんね。あと服直せ。」

 

[シービー]

「おっと失礼。」

 

よく見ると少し服がはだけている。ただでさえ美人なのにそこまでやられると心臓と欲が持たない。

 

[テイオー]

「むーズルい。」

 

[ルドルフ]

「シービー、どうしてトレーナー君と一緒に寝ていたんだ?」

 

[シービー]

「そりゃあ勿論

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄さんの事が好きだからさ。」

 

 

 

 

その言葉が発された瞬間、周りの温度が下がったような気がする。ウマ娘というのは人に比べて欲が深い。それだけで無くウマ娘とトレーナーの関係は大抵色恋沙汰に発展する程である。それに加えて村雨柊斗というトレーナーはウマ娘というトレーナーの中では前例が無く、男ウマ娘として未だ前例がない人物であるのでそうなるのも無理はない。

 

[シービー]

「それに兄さんとは婚約もしてるしね。」

 

[マックイーン]

「そうなのですかトレーナー?!」

 

[柊斗]

「ん〜前向き考えてはいる。」

 

[テイオー]

「でも兄弟だと結婚できないんじゃない?」

 

[シービー]

「私が勝手に呼んでるだけだから血縁関係は一切ないよ。」

 

[ルドルフ]

「狡いぞシービー、トレーナー君は私にこそだろう。」

 

[テイオー]

「いくらカイチョーでもそれは許せないかな。トレーナーはボクの物だからね。」

 

[マックイーン]

「テイオーこそダメですわ。トレーナーは我がメジロ家の次期当主となるお方です。」

 

[シービー]

「兄さんは人気者だね。ま、私も譲るつもりは無いけど。」

 

[柊斗]

「ほんと、こんな可愛い奴らに好かれるなんてな。困ったぜ。」

 

[4人]

「っ?!」

 

[柊斗]

「さて、お前ら早く退いてくれ、着替えれない。」

 

[ルドルフ]

「す、済まないトレーナー君。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[柊斗]

「……これでよしっと。今日はトレーニングないからな、各自自由に過ごしてくれ。」

 

[ルドルフ]

「了解したぞ。」

 

[柊斗]

「ああそうだシービー、俺チーム作るんだけどお前も「兄さんの担当になるしチームに入る。」そ、そうか。ならサインしてくれ。」

 

 

CB kakikaki time.

 

 

[柊斗]

「サンキュー。ならこれ出しに行かないとな。」

 

[テイオー]

「リジチョーの所?」

 

[柊斗]

「Yes.担当を持つなら必ず行かないといけないからな。」

 

ピーン⤴︎︎︎⤴︎︎ポーン⤵︎ ︎パーン⤴︎ ⤴︎⤴︎ポーン↓

 

[たづな]

『村雨柊斗さん村雨柊斗さん、至急理事長まで来て下さい。』

 

ピーン⤴︎︎︎⤴︎︎ポーン⤵︎ ︎パーン⤴︎ ⤴︎⤴︎ポーン↓

 

[柊斗]

「丁度呼ばれたし、行ってくるわ。」

 

そう言い扉を閉める。

 

[シービー]

「兄さんも行ったことだし、準備しますかね。」

 

[ルドルフ]

「何をだい?」

 

[シービー]

「盗聴器☆」

 

[3人]

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

━━理事長室━━

 

[たづな]

「ミスターシービーさんも加入ですか。これであと一人ですね。」

 

[柊斗]

「なんで強制的に作らないといけないんだよ。」

 

[やよい]

「それは柊斗だからだっ!!」

 

[柊斗]

「理由になってねぇよ。んで、他に呼んだ理由は?」

 

[たづな]

「実はですね、柊斗さんがチームを作ったら合同練習したいチームがあるそうです。」

 

[柊斗]

「なんだそれ、知り合いか?」

 

[やよい]

「うむ!!入ってくれ!!」

 

[???]

「失礼します。」

 

扉が開き、入ってきたのは男女二人組だった。

 

[東条]

「お久しぶりですね先輩。」

 

[柊斗]

「お前らかハナちゃんに沖野君。」

 

[沖野]

「久しぶりです、柊斗さん。」

 

眼鏡をかけた女性が東条ハナ。癖毛を後ろで一つ結びに束ねており、左側頭部を刈り上げた髪型髪型をしているのは沖野。下の名前しらねぇ。俺がトレセン学園でトレーナーとして少しいた時にかかわった人物である。二人で一つのチームを持っている。チーム名は『リギル』。学園最強のチームである。因みに結婚してる。

 

[柊斗]

「んで、チーム作ったら合同練習したいってのはお前らか?」

 

[東条]

「そうです。是非私たちのチームを見て頂きたくて。」

 

[柊斗]

「それは別にいいが、選抜終わるまで待ってくれよな。少なくともあと一人は必要だからな。」

 

[沖野]

「それは柊斗さんが走ればいいのでは?」

 

[柊斗]

「それは俺の気分次第。あと一ついいか?」

 

[東条]

「なんですか?」

 

[柊斗]

「お前らが敬語使うとか違和感あり過ぎて気持ち悪い前と同じ感じにしてくれ。」

 

[沖野]

「ほんとズバっと言うな……。」

 

[柊斗]

「それが俺だからな。んじゃ俺はかえらせてもらうぜ~。」

 

ドアを閉め、再びトレーナー室へ向かう。この後担当バ達に伝えたらすごい喜んでいた。

 




皆さんこんにちは作者です。今回独自設定追加しました。あと未実装ウマ娘入れました。リクエストあるならばドンドンください。


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第3話

皆さんこんにちは作者です。ウマ娘第3話です。今回は選抜レースもやります。そしてスカウトするウマ娘は私がアプリで初めて手に入れた星3キャラです。


[生徒1]

「おはようございます先生!!」

 

[柊斗]

「おはよう。」

 

村雨柊斗は朝早くから門の前で朝活動をさせられていた。それは挨拶。みんなも知っているたづなさんがよくやっている事だ。何故俺がやっているか、それは理事長命令だ。あのロrじゃなくて理事長、1番暇そうだからと言う理由でだ。

 

[テイオー]

「おはよートレーナー!!」

 

[たづな]

「おはようございます。トウカイテイオーさん♪」

 

[柊斗]

「おはようテイオー。」

 

[テイオー]

「トレーナー何してるの?」

 

[柊斗]

「見ての通り挨拶。やよいちゃんがやれってさ。」

 

[テイオー]

「へーそうなんだー。」

 

[ルドルフ]

「おはようトレーナー君。」

 

[テイオー]

「あ!!カイチョー!!」

 

[たづな]

「おはようございます。シンボリルドルフさん♪」

 

[柊斗]

「Buon giorno(おはようイタリア語)」

 

[テイオー]

「何語それ?」

 

[ルドルフ]

「イタリア語だよ。意味はおはよう、もしくはこんにちはだ。」

 

[テイオー]

「さっすがカイチョー!!」

 

[柊斗]

「いいなこの挨拶。一人一人別の言語で挨拶するか。」

 

 

━━マックイーンの場合━━

 

[たづな]

「おはようございます。メジロマックイーンさん♪」

 

[マックイーン]

「おはようございます。」

 

[柊斗]

「สวัสดีตอนเช้า(タイ語)」

 

[テイオー]

「余計分かんない……。」

 

[ルドルフ]

「これは……タイ語かな?」

 

 

 

━━ゴールドシップの場合━━

 

[たづな]

「おはようございます。ゴールドシップさん♪」

 

[ゴルシ]

「Good morning.」

 

[柊斗]

「Good morning.」

 

[テイオー]

「これは英語だね!!」

 

 

 

━━人参を咥えながら走ってきたウマ娘━━

 

[たづな]

「おはようございます。スペシャルウィークさん♪」

 

[スペ]

「おふぁようふぉふぁいまふ!!」

 

[柊斗]

「Avalez de la nourriture puis courez(食べ物を飲み込んでから走れ。)」

 

[テイオー]

「えぇ……?」

 

[ルドルフ]

「これはフランス語だよテイオー。意味は多分、食べ物を飲み込んでからから走れ、かな?」

 

[テイオー]

「トレーナーって結構喋れるんだね。」

 

[柊斗]

「まあ海外に行ってたからな。喋れんと大変だし。」

 

[たづな]

「そういえば柊斗さん、ミスターシービーさんの部屋が決まりましたよ。」

 

[柊斗]

「やっと決まったか。んで何処?」

 

[シービー]

「マルゼンスキーと同室だよ。」

 

声がする方向を見ると、シービーとウェーブヘアを持ち、お姉さんっぽい雰囲気を出しているウマ娘━━マルゼンスキーがいた。

 

[たづな]

「おはようございます。ミスターシービーさん、マルゼンスキーさん♪」

 

[マルゼンスキー]

「おはようたづなさん!!」

 

[柊斗]

「おはようシービー。えーと、マルゼンスキーさんかな?」

 

[マルゼンスキー]

「呼び捨てでいいわよ。」

 

[シービー]

「珍しいね、柊斗が朝活してるなんて。」

 

[柊斗]

「これは全部やよいちゃんの所為。そういやテイオー、お前のデビュー戦が決まったぞ。」

 

[テイオー]

「ほんとっ?!何時何時!!」

 

[柊斗]

「選抜終わった3日後。マックイーンはその次の日、ルドルフとシービーはドリームトロフィーリーグに入ってるからデビュー戦は出ても出なくてもいいぞ。テイオー、後でマックイーンに伝えといてくれ。」

 

[テイオー]

「分かったよトレーナー!!」

 

そう言ってテイオーは走って行った。

 

[柊斗]

「嵐みたいなやつだな。」

 

[シービー]

「柊斗、私はデビュー戦出るわ。」

 

[柊斗]

「シービーは出ると、ルドルフは?」

 

[ルドルフ]

「私も出よう。レースには出来るだけ出たいからね。」

 

[柊斗]

「2人共出ると。んじゃたづなさんお願いね。」

 

[たづな]

「はい♪」

 

余談だがドリームトロフィーリーグとは、簡単に言うと実績の残した奴じゃないと入れないリーグだ。なのでまだレース経験が殆どないテイオーとマックイーンは入っていない。逆にルドルフやシービーと言った実績を残したヤツ(例:クラシック三冠)は入れる。入ると、学園を卒業してもそのまま在校する事が出来、レースにも出れる。因みに俺は入っていない。そしてデビュー戦の事をたづなさんに言ったのは、ぶっちゃけレース関係はやよいちゃんよりもたづなさんの方が権力があるからである。

 

[柊斗]

「はーい遅刻するからさっさと教室に向かえー。」

 

[ルドルフ]

「む、もうそんな時間か。では失礼する。」

 

[シービー]

「じゃあね柊斗。」

 

[たづな]

「では私達も行きましょう。」

 

門を閉め、全員でそれぞれの部屋に向かう。だが俺はトレーナー室、たづなさんは理事長室、ルドルフ、シービー、マルゼンスキーは教室に向かっている。

 

トレーナー室は、大雑把に言えば2つある。1つは個人のトレーナー室、もう1つはトレーナー全員の部屋がある。柊斗が向かっていたのは全員の方である。

 

 

 

━━トレーナー室━━

 

ガチャ

 

[柊斗]

「失礼しまーす。」

 

[ハナ]

「おはようございます先輩。」

 

[沖野]

「おはよう柊斗さん。」

 

[柊斗]

「2人ともおはよう。早速だが、何か考え事か?」

 

[沖野]

「実は、俺新しくチーム作ろうと思うだ。人数もいるし。」

 

[柊斗]

「いいんじゃね?面白そうじゃん。」

 

[沖野]

「よしそれじゃあチーム作るか。」

 

[ハナ]

「早いわね……。ま、練習とかには付き合うから何時でも言いなさい。」

 

[沖野]

「助かるぜおハナさん!!」

 

ガチャ

 

[やよい]

「確認ッ!!みんな集まっているか!!」

 

[ハナ]

「大丈夫です。」

 

[たづな]

「では、これからミーティングを始めます。」

 

内容はこう。今度行われる選抜レースで、他のトレーナーのスカウトを邪魔しないという事。そして選抜が終わった後にデビュー戦がある事も伝えられた。もしかして俺って早めに伝えられてた?

 

[柊斗]

「今回の選抜は誰が出るかなっと……そういえば沖野君とかは選抜行くのか?。」

 

[沖野]

「俺は今回は見に行くだけだ。」

 

[ハナ]

「私も同じです。」

 

[柊斗]

「へー。ふむふむ……今回の選抜は面白そうだな。さて、準備しないと。」

 

[ハナ]

「もうメニューを考えるんですか?」

 

[柊斗]

「いや、今教科の先生がいないから代わりだって。」

 

[沖野]

「柊斗さんって教員免許持ってたっけ。」

 

[柊斗]

「外国語なら無くても余裕だけど、他のは無いな。」

 

[ハナ]

「英語って事は、日常会話ですか。」

 

[柊斗]

「そんなとこだ。まあ他の言語がいいなら他のもやるけどな。あ、時間やべえ。んじゃ。」

 

直ぐに教員室に向かい準備をする。担当するのは高等部と中等部両方である。まず最初にやるのは高等部。

 

 

 

━━クラス1━━

 

ガラガラ

 

[柊斗]

「はーい授業始めるぞー。」

 

早速教室に入ると、みんな驚いている。何故なら今まで教鞭を執っていた人とは別だからだ。

 

[柊斗]

「まず初めまして。前までやってた人の代理として来た村雨柊斗だ。よろしく。」

 

[ルドルフ]

「と、トレーナー君?」

 

[シービー]

「あ、柊斗じゃん。」

 

担当したクラスはなんとルドルフとシービーがいたクラスだった。

 

[柊斗]

「んじゃまず君達、全員教科書をしまおうか。」

 

これが柊斗スタイル。まず生徒達には教科書を見せずに自力で英語を喋ってもらう。

 

[柊斗]

「俺がやる授業は基本的に教科書は使わない。日常会話を話せる程度にするだけだからな。教科書なんて要らん。では始めよう。」

 

[柊斗]

「Good morning everyone.」

 

[生徒達]

「Good morning.」

 

[柊斗]

「Ok. Have them speak English in pairs with their neighbors. Do you know?」

 

[ルドルフ]

「隣の人とペアになって英語を喋ってもらう。」

 

[柊斗]

「That's right. Anything is fine, start.」

 

この英語を聞き取れたようで、それぞれがペアを作って会話を始める。全員まずは挨拶からだった。

 

[柊斗]

「みんな簡単な英語は喋れるのか。なら発音意識すれば会話出来るくね?」

 

そう。高等部の人達は英語が普通に喋れてる。ならば発音意識すれば海外のウマ娘とも交流が取れるのではないかと思った。

 

[シービー]

「ねえ、柊斗って教員免許持ってたの?」小声

 

[柊斗]

「いや持ってない。」小声

 

[シービー]

「それなのに先生やってるんだ……」小声

 

[柊斗]

「さて、今聞いてて思ったが、君達英語はある程度話せる。なので今度から発音の練習も入れることにした。そうすれば海外のウマ娘達とも話せるし、他にもメリットがある。マジチョベリグ。」

 

若干古いネタを入れながらも授業が進んで行った。それぞれ慣れる早さは異なるが、少しづつ発音が良くなっていた。時間になると英語で終わりの挨拶をする。今日は高等部しか授業がない為、職員室に荷物を置くとトレーナー室へ向かい、今後の予定について考える。

 

 

 

 

━━飛ばして選抜レースの日━━

 

[柊斗]

「さーてお目当ての娘ちゃんはっと……いた。」

 

選抜レースの日、柊斗は前から気になっていたウマ娘を見に来ていた。食堂で会った、灰色髪のウマ娘。

 

[実況]

「オグリキャップが追いかける!出だしの遅れを感じさせない走りだ!」

 

[実況]

「オグリが追う!オグリが追う!クリーク逃げる!逃げ切れるか!オグリか!クリークか━━━。」

 

[柊斗]

「あ、アイツ靴……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果はスーパークリークに次いて僅差で二着だった。

 

[オグリ]

「……凄いな。デビューすれば、タマやクリークようなライバルたちと、これからもたくさん走れるのか……!」

 

オグリは僅差で負けたが、どこか嬉しそうだった。

 

[柊斗]

「ありゃこの後が楽しみだな。」

 

[中堅トレーナー]

「オグリキャップ!お疲れ様、素晴らしい走りだったぞ!」

 

[ベテラントレーナー]

「ええ、とても力強かったわ!ぜひあなたをスカウトさせてほしいのだけど━━━」

 

[オグリ]

「あ……そうか、デビューの為にはまずはスカウトか。そうだった……。」

 

オグリはここで考え始めた。その途中、柊斗と目が合った。

 

[オグリ]

「いや……だが、すまない。ちょっと通してくれ。」

 

オグリはそう言って人をかき分け近づいてくる。その時の目は、柊斗だけを見ていた。

 

[オグリ]

「レース、見ていてくれたか?」

 

[柊斗]

「見てたぞ、良い走りだった。だが……。」

 

柊斗はオグリの靴に指をさす。どうやらオグリは気づいていなかったようだ。

 

[オグリ]

「1つ、頼みがある。私のトレーナーになってくれないか?」

 

[オグリ]

「君と話していると、すごく温かい気持ちが伝わってくるんだ。」

 

[オグリ]

「……どうだろうか。お願い、出来るか?」

 

[柊斗]

「こちらこそ、よろしく頼む。」

 

[オグリ]

「……!ああ!よろしく頼むぞ、トレーナー!」

 

[オグリ]

「よし、それじゃあ━━━」

 

ぐうううぅぅ……

 

[柊斗]

「まずは腹ごしらえだな……。」

 

こうして、新たな担当としてオグリキャップが入った。

 

 

 

 

 

 

━━理事長室━━

 

[たづな]

「では、ここにチーム登録をお願いします♪」

 

チーム名は『ハダル』意味は地面。俺たちは地面を蹴って前へ進む。その意味でこの名前にした。

 

[柊斗]

「書いたぞ。」

 

[たづな]

「では、これから頑張ってください♪」

 

[やよい]

「これから頼むぞ!!柊斗ッ!!」

 

無事、チーム登録が終了した。早速練習メニューを考える……と言いたい所だがオグリのシューズを優先する。彼女曰く、『私はよく壊してしまう。』らしい。それはあの脚力によるものだった。正直あれ程力強い走りはそうそう見れない。ダートでも通用する程だ。

 

 

 

 

 

 

[オグリ]

「新しいのを買ってくれるのか?」

 

早速オグリに伝える。レースが終わった後は特に何も無いので買いに行こうと誘う。

 

[柊斗]

「ああ。金は俺が出すから気にしなくていい。んじゃ行くぞー。」

 

 

 

━━トレーニング用品店━━

 

ガラガラガラ

 

[???]

「らっしゃーい。お、珍客だな。」

 

[柊斗]

「誰が珍客だ。そんなどうでもいい事は後にして、1つ依頼だ。」

 

[???]

「そっちの嬢ちゃんのシューズか?いいぜ。」

 

この人の名前は暁冬夜。昔からの知り合いである。

 

[柊斗]

「んじゃオグリ、この店の中から好きに選べ。」

 

[オグリ]

「そうか。感謝する、トレーナー。」

 

 

 

 

⏰大体10分くらい。

 

 

 

 

[オグリ]

「トレーナー、やはりこれが1番いい。」

 

見せたのは白色のブーツに似たシューズだった。

 

[オグリ]

「このシューズからは……何処からか縁を感じるんだ。」

 

[柊斗]

「うん、そういうのは良いことだ。んじゃ冬夜支払いよろしく。」

 

[冬夜]

「はーい。82,005円な。」

 

[柊斗]

「カードで。」

 

[冬夜]

「まいどー。」

 

[オグリ]

「トレーナー。」

 

[柊斗]

「ん?」

 

オグリが再び声を掛ける。見せてきたのは蹄鉄だった。

 

[柊斗]

「ああシューズ変えるんだったら蹄鉄も交換しねえとな。んじゃ冬夜、ついでにこれも。」

 

[冬夜]

「オッケー。追加で34,267円な。」

 

[柊斗]

「カードで。」

 

[冬夜]

「まいどー。」

 

ガラガラ

 

[オグリ]

「感謝するぞ、トレーナー!」

 

[柊斗]

「どういたしまして。学校着いたら走ってみるか?」

 

[オグリ]

「いいのか?」

 

[柊斗]

「丁度チームメンバーの紹介もしたいし、合同練習の申し出も来てるからな。」

 

[オグリ]

「なら早く行こう!トレーナー!」

 

オグリに引っ張られるようにして学校に向かう。因みに俺達が行った店は外観はすごいボロボロである。オンボロである。だが店主は良い人だし、なんたってあそこに入ってくる道具は一級品である。なんなら非売品に限りなく近いものもある素晴らしい店である。ウマ娘の利用者は知る限り俺と、1部の担当だけだった。

 

 

 

 

━━コース━━

 

[沖野]

「お、来た来た。」

 

[ゴルシ]

「あんときの姉ちゃん!」

 

[柊斗]

「いやいや俺は男だ。」

 

[ゴルシ]

「ええうっそだー!」

 

やってきたのは学園のコース。一旦メンバーを集めその中で自己紹介をしてもらった。その後は合同練習のお誘いがある為ジャージに着替えてもらい準備をしてもらった。

 

[ハナ]

「全員集合!」

 

[担当達]

「はい!!」

 

[柊斗]

「へー君たちが担当達か。うん、みんな速そうだな。」

 

[ハナ]

「先輩こそ凄いメンバーじゃないですか。」

 

 

ハダルメンバー

 

シンボリルドルフ、トウカイテイオー、メジロマックイーン、ミスターシービー、オグリキャップ

 

 

リギルメンバー

 

エアグルーヴ、ナリタブライアン、マルゼンスキー、グラスワンダー、フジキセキ、タイキシャトル、テイエムオペラオー

 

 

スピカメンバー(沖野が新しく作った。)

 

スペシャルウィーク、ダイワスカーレット、ウォッカ、ゴールドシップ、サイレンススズカ

 

 

[柊斗]

「あれ、オグリシューズは?」

 

[オグリ]

「あ、すまない。上に置いてきてしまった。」

 

[柊斗]

「おーい?何しとるんでぃすか?とりま取ってきなさい。」

 

[オグリ]

「行ってくる。」

 

[柊斗]

「まさか今まで使ってた方履いてくるなんて思わなかった……。」

 

[シービー]

「買ってあげたの?」

 

[柊斗]

「ああ。んで、合同練習って言っても何すりゃいいんだ?」

 

[沖野]

「んーそうだな、やっぱり走りを見てもらった方がいいのか?」

 

[柊斗]

「じゃねえとわからんやろ。丁度いい、お前らも一緒に走らせてもらえ。」

 

[テイオー]

「いいの?!」パァァァ

 

[柊斗]

「合同だから基本的に同じメニューをすることになるしな。」

 

[ハナ]

「それじゃあアップで2周、ラスト1周は自分のペースで走れ!」

 

そういって、3つのチームのメンバーたちはいっせいに走り出す。

 

[柊斗]

「今年の生徒達はどんなもんかね〜。」

 

[沖野]

「オグリキャップにシューズ買ってやったのか?」

 

[柊斗]

「おう。アイツの脚力じゃそこらのシューズなんて一瞬でボロボロになるからな。頑丈そうなの選んだ(まあ本当はオグリが勝手に決めたんだけどな。)」

 

[ハナ]

「てことは差しですか。」

 

[柊斗]

「差しも先行も行ける。なんならダートも全然走れるレベルだ。」

 

[沖野]

「こりゃまたおっかねえのが入ったな……。」

 

[オグリ]

「待たせたな、トレーナー。」

 

[柊斗]

「おかえり。もうすぐ1周が終わる。そしたら合流して1周はペースを合わせて、次の周になったら自分のペースで走れ。」

 

[オグリ]

「分かった。」

 

オグリは集団へ向かう。最後尾に着き、シューズの状態を確認しながら走っている様だ。

 

[沖野]

「あれがオグリキャップか。ありゃ化けるな。」

 

[柊斗]

「シューズは……良さそうだな。」

 

[ハナ]

「楽しそうに走ってるわね……レースになると強敵になるな。」

 

 

 

 

 

 

━━集団side━━

 

[ルドルフ]

「オグリキャップ、トレーナー君にシューズを買ってもらったのか?」

 

[オグリ]

「そうだ。トレーナーが好きに選んでいいって言ってたから、これにした。頑丈そうで、足のしっくり来るんだ。」

 

[テイオー]

「いいなー僕も買ってもらいたかったなー。」

 

[シービー]

「私も自分で選んだやつだね。」

 

[マックイーン]

「値段とか幾ら位でしたの?」

 

[オグリ]

「確か、シューズが8万ちょっとで、蹄鉄が3万5千位だった筈だ。」

 

[全員]

「ええ?!」

 

走っている途中、全員が驚きの声を上げる。ハダルのメンバーだけでなく、スピカとリギルのメンバー達もだ。

 

[オグリ]

「どうかしたのか?」

 

[ルドルフ]

「オグリキャップ……そのシューズはかなり高価な物だ。私の履いているやつは3万位だぞ。」

 

[テイオー]

「僕もその位だよー。」

 

[シービー]

「私のは2万半ばだしなー、大体この位の値段だよ?」

 

[マックイーン]

「わたくしのでも4万後半ですのよ?」

 

[オグリ]

「む、そうなのか。大切にしないと。」

 

[ハナ]

「3周目だ!それぞれのペースで走れ!」

 

ハナの声で再び全員に気合いが入る。それぞれの立ち位置的に、レースに近くなっている。

 

[オグリ]

(凄い……。足が地面に吸い付くようだ……地面に着いてから蹴るまでの感覚が分かる……。これなら……!!)

 

 

 

 

━━集団side end ━━━

 

[柊斗]

「早いな先頭。」

 

[沖野]

「だろ?サイレンススズカって言うんだ。本人曰く『先頭の景色は譲らない……!』だってよ。」

 

[柊斗]

「単純に走ることが好きな奴か。いい事だ、だが……」

 

柊斗はスズカを少し険しい顔で見てた。

 

[柊斗]

(今の速さが全力じゃないなら、体格とスピードが合わない……。念入りな柔軟が必要だな。)

 

そう。サイレンススズカは今かなりの速さで走っている。だがそのスピードと体格があっていないことに気づいた。

 

[沖野]

「やっぱり柊斗さんも分かるか。」

 

[柊斗]

「その様子だと、ちゃんとやらしてるみたいだな。」

 

[沖野]

「そりゃ勿論。怪我をして欲しくないのは当然だがそうはいかない。だったらその度合いを限りなく減らすしかないからな。」

 

ドンッ!!

 

[柊斗]

「ん?」

 

コースを蹴る音。その音は力強い音だった。

 

[沖野]

「……マジでか。」

 

[ハナ]

「凄い……。」

 

[柊斗]

「ここまでは予想出来なかったな。」

 

その力強い走りをしたのは、唯一柊斗が選抜でスカウトし、一緒にシューズを買いに行った芦毛のウマ娘

 

[オグリ]

「……。」

 

オグリキャップだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるでレースを彷彿させるランニングが終わり、全員一旦休憩に入っている。

 

[オグリ]

「トレーナー、シューズありがとう。」

 

[柊斗]

「いいってことよ。それよりも、良い踏み込みからのダッシュだった。」

 

[オグリ]

「そうか、ありがとう。」

 

この子可愛すぎるだろ。

 

[柊斗]

「見た感じ……まずエルコンドルパサー。」

 

[エル]

「はいデース!」

 

[柊斗]

「君はちょっと関節が固いかな。それじゃあいい脚を持ってても完全には生かせないぞ。」

 

[エル]

「了解デース!!」

 

[柊斗]

「えーと……グラスワンダーは少し前に怪我したんだっけ。」

 

[グラス]

「はい。」

 

[柊斗]

「今は地道な筋トレの方がいいぞ。そっちの方が怪我も減るし、筋肉がつけば骨への負担が減るからな。」

 

[グラス]

「分かりました。」

 

[柊斗]

「サイレンススズカ。」

 

[スズカ]

「はい。」

 

[柊斗]

「きつく言うけど、今の君は体格とスピードがあっていない。そのままだといずれ骨折するぞ。」

 

[スズカ]

「やっぱりそうですか……。」

 

[柊斗]

「今も沖野君に嫌というほど柔軟やらされてると思うが、そのまま続ければ怪我はゼロにはならないがする確率は減るし、最悪な状態にはならないぞ。これは確実だ。」

 

[スズカ]

「はい!!」

 

[柊斗]

「あとはそうだな……リギルのメンバーは調整すれば海外でも通用するレベルまでは行けるな。スピカはもうすこし煮詰めればいいくらいだな。」

 

[沖野]

「流石走ってきた人はいう事が違うねー。」

 

[スズカ]

「柊斗さんってウマ娘なんですか?」

 

[柊斗]

「2人のチームメンバーは知らないのか。チーム『ハダル』のトレーナ兼元ウマ娘『ノヴァ』の村雨柊斗だ。( `・∀・´)ノヨロシク。」

 

 

⏱色々と大変だったのでカット

 

 

[柊斗]

「マックイーンとテイオーは今度のデビュー戦に向けて二人で並走しろ。両方距離は2,000だ。」

 

[マックイーン]

「了解ですわ。」

 

[テイオー]

「わかったよ、トレーナー!」

 

[柊斗]

「ルドルフも同じ2,000だが、少しレースを想定して走ってくれ。」

 

[ルドルフ]

「了解した。」

 

[柊斗]

「オグリとシービーは1,600だ。オグリはまずシューズに慣れること優先で、シービーはその末脚に磨きをかけろ。」

 

[オグリ/シービー]

「「分かった。」」

 

全員がそれぞれの課題をこなす為に走り出す。見たところ、テイオーとマックイーンは良いライバルであり、良い友達でもありそう。ルドルフは正直文句のつけようがない。オグリはまだ完全には慣れていなので慣れさせ、シービーは何といってもスタートが下手なのでそれを生かせる追い込みでそれに必要な末脚を強化すること。

 

[柊斗]

「ああー何で俺引退したんだろ。」

 

[沖野]

「逆にその年で走ってたらおかしいけどな。」

 

[柊斗]

「ちょっと相談してこようかな。『デビュー戦だけ出してください。』って。」

 

[やよい]

「肯定ッ!!出場を許可する!!」

 

[柊斗]

「マジでどっから現れたし。」

 

後ろにはやよいちゃんとたづなさん。神出鬼没とはまさにこのことである。

 

[ハナ]

「いいのですか理事長?」

 

[たづな]

「丁度あと一枠空いているので名前を変えれば出場できますよ♪」

 

[柊斗]

「名前か……『スーパーノヴァ』とかよくね?」

 

[沖野]

「それだと知ってるやつが見たら確実にバレるな。」

 

[たづな]

「ではそれで登録しておきます♪」

 

[柊斗]

「はい許可取れたぜー。と、いう事で俺も走ってきまーす。」

 

[沖野]

「やれやれ、自由度も変わっていないな。」

 

呆れながらもそういう沖野。だが内心嬉しかった。

 

[沖野]

(あの走りを……もう一度見られる!!)

 

日本だけでなく、海外でも最強の一角とまで言われたウマ娘の走りをまたみられる。そう考えれば嬉しくなるのは当然である。

 

 

 




皆さんこんにちは作者です。と、いう事で次回はデビュー戦からスタートします。そしてオリ主も走ります。シービー実装してほしいな。イケメンだし可愛い。


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第4話

みなさんこんにちは作者です。考えたんですけど、今回のデビュー戦カットします。理由として、全員書くと同じようなものが何回もあると飽きるし気持ち悪いのでシービーとオリ主だけにします。あとシンデレラグレイやっと買えました。最後に、1部ウマ娘時系列ズラします


[実況]

「晴れわたる空のもと行われる、阪神レース場。芝2000メイクデビュー。9人のウマ娘たちが挑みます。」

 

[実況]

「1番人気はこの娘8番。2番人気はこの娘です3番。威風堂々と待つのはこのウマ娘、3番人気スーパーノヴァ。」

 

[解説]

「私も長い事解説をやってきましたが、あれ程貫禄のあるウマ娘は見た事ないですね。」

 

[実況]

「ゲートイン完了。出走の準備が整いました。」

 

 

 

 

 

 

━━観戦サイド━━

 

[沖野]

「遂にこの日が来たか。」

 

[ハナ]

「ちゃんとビデオ撮れてる?」

 

[沖野]

「バッチリだぜおハナさん!!」

 

[ルドルフ]

「なあシービー、トレーナー君は何か言ってたか?」

 

[シービー]

「特には言ってなかったかな。『俺に作戦何てものはねえ!!』って堂々と言ってたくらい?」

 

[テイオー]

「それでも頂点に立てるんだ……。」

 

[ルドルフ]

「それは違うよテイオー。そう言うということは、その場に適応する作戦が出来るということだよ。」

 

[オグリ]

「つまりはどういうことだ?」

 

[シービー]

「こう考えればいいさ。体が必然的に動くってね。」

 

[マックイーン]

「そのレベルに達するまでには時間が掛かりそうですわ。」

 

[沖野]

「そりゃそうさマックイーン。お前らとは走ってきた量も時間も違うんだ。そう簡単に身につく物じゃないぞ。」

 

[実況]

『ゲートイン完了。出走の準備が整いました。』

 

[ハナ]

「始まるわね。」

 

ガコンッ!!

 

ドガァッ!!

 

[実況]

「スタートから早速飛ばすのはスーパーノヴァ!!まさかの大逃げか!?」

 

[全員]

「はやっ!?」

 

明らかにペースが違う。他のウマ娘が逃げや先行だったら、柊斗だけ逃げを超えた逃げ、大逃げだった。それも独特なフォームで走っていた。

 

[実況]

「まだ第1コーナーに入っていないが、2番手との差は3バ身。これは非常に早いペースです!!」

 

[解説]

「これは……あのウマ娘に似てますね。あの『ノヴァ』に。」

 

[実況]

「第1コーナーに差しかかる。今だに先頭はスーパーノヴァ。全然ペースが落ちていない!!」

 

[解説]

「恐ろしいスタミナですね。このまま続けばいいのですが。」

 

ピッ

 

[沖野]

「56秒!?」

 

[ゴルシ]

「おいそれって……!?」

 

[沖野]

「……1000メートルのタイムだ。このままだと2分切らずにゴールしちまうぞ。」

 

[エルコンドルパサー]

「本当デスか!?これが……。」

 

[グラスワンダー]

「世界レベル……!?」

 

[ナリタブライアン]

(……戦ってみたい!!)

 

[ヒシアマゾン]

「今戦ってみたいって思っただろ。」

 

[ナリタブライアン]

「何故分かった!?」

 

[ヒシアマゾン]

「顔に出てたぞ。まあアタシもタイマンしてみたいけどな!!」

 

[実況]

「第2コーナーを過ぎて直線へ向かう!!今だ先頭はスーパーノヴァ。先頭からシンガリまで15バ身。」

 

[スズカ]

(あれが……私の求めていた走り!!)

 

[シービー]

「はあ〜カッコイイな〜。」

 

[実況]

「まもなく第4コーナーカーブ!!」

 

[解説]

「ここからスパートですね。」

 

ドガァッ!!

 

[実況]

「更にペースを上げたスーパーノヴァ!!このままだと2分を切るぞ!!」

 

[フジキセキ]

「まだペースが上がるのか!?」

 

[マルゼンスキー]

「あとギアは何段階あるのかしら……。」

 

[シービー]

「私も幼い頃から見てたけど、あまり知らないかな。」

 

[実況]

「最後の直線!!ここで勝負が決まるぞ!!スーパーノヴァ!!余裕の走りだ!!後ろをグングン突き放して、これはセーフティリード!!」

 

[実況]

「残り200を通過。先頭はスーパーノヴァ!!変わらない!!」

 

[実況]

「勝ったのはスーパーノヴァ!!相手を寄せつけず、大楽勝だ!!」

 

[解説]

「おっと?これは?」

 

[全員]

「あ。」

 

[実況]

「何と!?ゴールしたスーパーノヴァ、今だ爆走!!自分がゴールした事に気付いていない!!」

 

[解説]

「今までこのようなウマ娘は見た事がありません!!非常に面白いウマ娘ですね。」

 

[実況]

「誰があのウマ娘を止められるのでしょうか!?今だスピードは落ちない!!」

 

[スペシャルウィーク]

「ど、どうするんですかトレーナーさん!!」

 

[沖野]

「こればっかしは……無理!!」

 

[実況]

「おおっと!?今度は急に止まったぞスーパーノヴァ!?動かない!?動かないぞスーパーノヴァ!!」

 

[エルコンドルパサー]

「ゴールドシップみたいデスね。」

 

[ゴルシ]

「何処がだよ!?」

 

[ダイワスカーレット]

「よく分からない所とかじゃない?」

 

[全員]

「確かに。」

 

[ゴルシ]

「ひでえなお前ら!?」

 

[沖野]

「よおーしお前ら!!早く下行って柊斗さんのこと待つぞ!!」

 

沖野達は担当達を連れて地下道へ向かう。地下道へ着くと、今まで走っていたウマ娘たちの姿が見え、柊斗の姿も見える。

 

[テイオー]

「お疲れトレーナー!!」

 

[柊斗]

「ふう、久々のレースで少し興奮しちまったな。」

 

[ルドルフ]

「お疲れ様トレーナー君。疾風迅雷、素晴らしい走りだった。」

 

[シービー]

「お疲れ柊斗。大逃げなんて珍しいね。」

 

[柊斗]

「脚が勝手に進んじまってな。抑えられなかったわイテテテテ……。」

 

[沖野]

「大丈夫っすか?」

 

[柊斗]

「大丈夫大丈夫。冷やせば何とかなるだろ。それよりも次はシービーだ。」

 

[シービー]

「私はもう準備出来てるよ、でもな〜。」

 

[柊斗]

「ん?なんかあるのか?」

 

[シービー]

「やっぱり何かご褒美が欲しいかな?」

 

[沖野/ハナ]

「「……はあ?」」

 

[柊斗]

「ご褒美……ご褒美って、何あげればいいんだ?お菓子か?」

 

[シービー]

「んーお菓子じゃ満足しないかな~?」

 

[柊斗]

「え~何あげればいいんだ?」

 

[シービー]

「そうだね、『同棲権』とか?」

 

[柊斗]

「んなもんやよいちゃんが許可するわけ━━━」

 

[やよい]

「許可ッ!!是非そうしてくれッ!!」

 

[柊斗]

「何でさ?」

 

[やよい]

「既成事実さえ作らなければ構わんッ!!」

 

[テイオー]

「ワケワカンナイヨー!!」

 

[シービー]

「それじゃあいいよね?」

 

[柊斗]

「ハイハイ分かったよ。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君、シービーにご褒美をあげるなら、一着を取った私達にあってもいいのでは?」

 

[柊斗]

「あーそっか。それじゃあお前たちは何が欲しい?」

 

[テイオー]

「はちみつ硬め濃いめ多め!!」

 

[マックイーン]

「スイーツ食べ放題ですわ!!」

 

[オグリ]

「お腹すいた。」

 

[ハナ]

「チームワーク△ね……。」

 

[ルドルフ]

「そうだな……私は生徒会の仕事を手伝ってもらおうかな。」

 

[柊斗]

「了解。ささ、帰るぞ~。」

 

[スペシャルウィーク]

「いいな~スイーツ……。」

 

[柊斗]

「どうした?お前も食べたいんか?」

 

[スペシャルウィーク]

「え!?いいんですか!?」

 

[柊斗]

「んまあ海外の奴からもらったチケットあるからそれあげるわ。」

 

[スペシャルウィーク]

「ありがとうございます!!」

 

[柊斗]

「マックイーンもその時に渡すわ。テイオーのは今日の帰りに買ってあげるとして、オグリは……後で一万渡すからこの店に行ってみればいいぞ。」

 

柊斗はポケットからペンと紙を取り出し、その店の名前と場所を書いてオグリに渡す。

 

[ハナ]

「大変ですね先輩。」

 

[柊斗]

「トレーナーやってる以上、こういうのは仕方ないって思ってるからな。ささ、帰るぞ~。」

 

全員で一斉に地下道を歩き始める。柊斗だけは控室へ向かい、私服へ着替える。そして着替えが終わると、会場の出口へ行き、全員と合流して、トレセン学園へ帰る。

 

 

 

 

 

 

 

━━トレセン学園━━

 

[柊斗]

「はい、これ。」

 

[ルドルフ]

「うむ。助かる。」

 

柊斗は今生徒会室でルドルフを含め四人で書類の整理をしていた。

 

[???]

「仕事が速いな。」

 

[???]

「私本当に必要か?」

 

[???]

「たわけ、貴様も生徒会所属だろう。」

 

[柊斗]

「エアグルーヴパイセン、これどこっすか。」

 

[エアグルーヴ]

「む、それはこっちだ。あとパイセン呼びやめろ。」

 

[ルドルフ]

「ブライアン、URAの書類をくれないか?」

 

[ブライアン]

「分かった。」

 

それが続くこと数分……

 

[ルドルフ]

「ありがとうトレーナー君、おかげで早めに切り上げることが出来たよ。」

 

[柊斗]

「外暗くなってきたし早めにお前らも寝ろよ~。」

 

[シービー]

「ねえまーだー?」

 

[柊斗]

「いやだったらお前も手伝えよ。」

 

そう、シービーは柊斗達の仕事が終わるまでずっと待っていたのだ。しかもこいつ元々生徒会所属っていうね。

 

[シービー]

「だって私そういうの苦手だからさ~。」

 

[柊斗]

「だったら文句言わないの。もう終わった事だからいいけどさ。」

 

[シービー]

「それじゃあ早く柊斗の部屋行こうか。私眠い。」

 

[柊斗]

「はいよ。んじゃ三人ともお疲れ。また明日な。」

 

ガチャンッ

 

[柊斗]

「やれやれ、トレーナーの寮から今度は自宅通勤になるとはね。」

 

[シービー]

「私は嬉しいけどね。未来の旦那さんの家に行けると思うと嬉しくなるよ。」

 

[柊斗]

「あ、自宅通勤だと車になるけど平気か?」

 

[シービー]

「全然大丈夫さ。さあ早く行こう!!」

 

[柊斗]

「そう急かさないの。」

 

2人で自宅へ向かう。トレセン学園からはそこそこ離れており、その気になればトレーニングできるほど離れている。

 

自宅へ着くと、早速寝室へ向かう。柊斗の家は一軒家。それもそこそこ大きめの。正直お客用の個室もあるのでそこをシービーの部屋にしてもいいのだが、

 

[柊斗]

「なんで俺の部屋に荷物置くん?」

 

何故か柊斗の部屋に荷物を置く。それも持っている荷物全部、衣類とか含めてだ。

 

[シービー]

「そりゃあ私が柊斗の全てを管理するつもりだからね。」ハイライトオフ

 

[柊斗]

「オイオイちょっと待ちいや。このままだと俺犯罪者になるんだが?」

 

[シービー]

「大丈夫。もしトレーナーをクビになったとしても、私たちには貯金があるし、今の年齢なら結婚も出来るからね。それに前も同じ布団で寝たでしょ?」ハイライトオフ

 

[柊斗]

「あ、そういえばそうだったな。だが着替えるのは別々だからせめて衣類くらいは持っていきなさい。」

 

[シービー]

「分かったよ。」

 

シービーは一旦柊斗の部屋を出て、自室でパジャマに着替える。その間に柊斗はシャワーを浴びに行く。

 

大体1時間後?

 

[柊斗]

「ほんじゃおやすみー。」

 

[シービー]

「おやすみ柊斗。」

 

シャワーから出た柊斗は、シービーを入れさせ、出るとすぐに耳や尻尾を乾かす。それが終わるとお互い布団に入り眠りに着く。

 

 

 

 

 

 

━━次の日━━

 

ジュ~

 

[シービー]

「んん~?」

 

[柊斗]

「━━━━。」

 

[シービー]

「柊斗はもう起きてるのね……休日なのに、流石ね。」

 

シービーは自室へ戻り、私服に着替え、下へ降りる。

 

ガチャ

 

[シービー]

「おはよー。」

 

[柊斗]

「ん?ああおはようシービー。朝食もう少しで出来るから待っててくれ。」

 

[シービー]

「うんそれはいいんだけどさ……」

 

[オグリ]

「……。」ŧ‹”ŧ‹”

 

[マックイーン]

「オグリさん!?取り過ぎですわよ!?」

 

[ルドルフ]

「テイオー、もう少しゆっくり食べなさい。」

 

[テイオー]

「だってトレーナーの料理おいしいんだもん!!」

 

[シービー]

「何でいるの?」

 

[柊斗]

「朝から家のチャイム鳴ってるから出たらいた。」

 

[シービー]

「成程ね。それじゃあ私も頂こうかな。」

 

[ルドルフ]

「シービー、昨日送ってくれた写真は非常に良かった。」

 

[シービー]

「ああアレね。」

 

[オグリ]

「アレを見たらお腹がすいてしまったよ。」

 

[柊斗]

「はいシービーの。」

 

[シービー]

「ありがとう柊斗。」

 

そのまま全員で食事を進めていく。その途中で、テイオーがこんな質問をしてきた。

 

[テイオー]

「そういえばトレーナーって、三冠取ってないの?」

 

[柊斗]

「三冠?ああクラシック三冠か。ないぞ。」

 

[テイオー]

「なんで?トレーナーの部屋にトロフィーあったじゃん。」

 

[柊斗]

「クラシック三冠はその期間内しかとれないからな。俺は皐月賞だけ別の年にとったから厳密に言うとクラシック三冠は取ってない。」

 

[テイオー]

「勿体ないなートレーナーは。」

 

[オグリ]

「……。」ŧ‹”ŧ‹”

 

[シービー]

「ねえ柊斗、今日は予定あるの?」

 

[柊斗]

「今日は休みだからないぞ。明日はトレーニングで、明後日がシービーのデビュー戦だ。」

 

[シービー]

「だったらさ、今日買い物付き合ってよ。」

 

[オグリ]

「食べ物か!?」

 

[シービー]

「違う違う。服だよ。」

 

[オグリ]

「そうか。」シュン

 

[柊斗]

「そんなシュンとすんなよ。」ナデナデ

 

[オグリ]

「撫でるのじゃやめてくれ///」

 

[マックイーン]

「そ、それはつ、つまりデートですの?」

 

[柊斗]

「んーデートでは━━━」

 

[シービー]

「そうさ。私達はこれからデートするのさ。」

 

[ルドルフ]

「む、それは見過ごすことは出来ないな。」

 

[オグリ]

「食べる事は出来るのか?」

 

[シービー]

「みんなも来るかい?」

 

Prrrrrr.

 

凄い良いタイミングで柊斗の携帯が鳴る。

 

[柊斗]

「はいもしもし。」

 

[たづな]

『あ、村雨柊斗さん!!実はこれから担当が増えるのでその打ち合わせをしたいんですけど、今から学園来れますか?』

 

[柊斗]

「マジっすか。分かりやした。」

 

ピッ

 

[シービー]

「なんだって?」

 

[柊斗]

「なんか打ち合わせが入ったから学園来てだって。すまんなシービー、また今度でいいか?」

 

[シービー]

「それじゃあうまぴょいで許すね。」

 

[柊斗]

「???」

 

[シービー]

「もしかしてうまぴょいを知らないのかい?」

 

[柊斗]

「知らんな~。ま、よくわからんがそれで我慢してくれ。」

 

[シービー]

「やったー!!」

 

[柊斗]

「嬉しそうだな。んじゃ、行ってくるね~。」

 

柊斗はそのまま家を出て、車に乗り、トレセン学園へ向かって行った。

 

[シービー]

「うっし!!私の時代来た!!」

 

[テイオー]

「本当にトレーナーってうまぴょいの意味知らないのかな?」

 

[ルドルフ]

「ダメだぞシービー。最初にうまぴょいするのは私だ。」

 

[オグリ]

「トレーナーを食べるのは私だ。」

 

[テイオー/マックイーン]

「「僕だよ(私ですわ)!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━トレセン学園━━

 

ガチャ

 

[柊斗]

「う〜す。」

 

[やよい]

「よく来た!!村雨柊斗!!」

 

[たづな]

「すみません急に呼び出してしまい……。」

 

[柊斗]

「いいよ別に。で、担当増えるとか言ってたけど今度は誰?」

 

[やよい]

「うむ!!入ってくれ!!」

 

ガチャ

 

今度は別のドアが開く。そこから入ってきたのは2人のウマ娘だった。

 

[ブルボン]

「初めまして。私の名前はミホノブルボンです。」

 

[ライス]

「ラ、ライスシャワーです!!」

 

[柊斗]

「村雨柊斗だ。そこら辺にいる平々凡々は輩だ。」

 

[ブルボン]

「マスターは元ウマ娘である事を理事長から聞きました。」

 

[ライス]

「あと、前のデビュー戦で走ってたのもお兄様だよね?」

 

[柊斗]

「マスター?お兄様?んんんんん???ちょっと何言ってるか分からない。まあいいや、この2人が新しい担当なの?」

 

[やよい]

「うむ!!既にデビュー戦は2人とも終わっているから、レースに出れるぞ!!」

 

[柊斗]

「ああそうっすか。ああそうそう、たづなさんや、ひとつ聞きたい事あるんよ。」

 

[たづな]

「何ですか?」

 

[柊斗]

「うまぴょいって何だ?」

 

ピシッ!!

 

その瞬間、柊斗以外が固まった。それが少し続くと、たづな再び口を開く。

 

[たづな]

「えーとそれはですね、そのー……。」

 

[やよい]

「柊斗に説明していないのか……?」小声

 

[ブルボン]

「マスターは本当に知らないと思います。」小声

 

[ライス]

「ど、どうしましょう……。」小声

 

[柊斗]

「うまぴょい……マジでわからん……。」

 

[やよい]

「結構真面目に考えているぞ……どうするか……。」小声

 

[ブルボン]

「これは━━━でいきましょう。」小声

 

[ライス]

「ライスも、その方がいいと思うよ。」小声

 

[たづな]

「一先ずそれで乗り切りましょうか。」小声

 

[柊斗]

「調べて見るか。」

 

[全員]

(マズイ!!)

 

[たづな]

「柊斗さん、うまぴょいと言うのは、うまぴょい伝説という曲があって、それを踊る事ですよ♪」

 

[柊斗]

「ああそう言う事か。」

 

[全員]

(ホッ……。)

 

柊斗が納得してくれて、全員内心ホッっとしていた。だがここでさらなる爆弾が投下される。

 

[柊斗]

「シービーが俺と踊るのか〜楽しみやなぁ!!」グッ

 

[全員]

「What!?」

 

[柊斗]

「どうした急に英語なんて喋って。」

 

[やよい]

「質問……今シービーと踊ると言ったのか……?」

 

[柊斗]

「うん、そう言ったぞ。」

 

[たづな]

「どうしましょう理事長、このままだと知らないままですよ!!」小声

 

[やよい]

「クッ……やむを得ない、ここは本当の事を話すしかあるまい……。」小声

 

[たづな]

「柊斗さん……。」

 

[柊斗]

「どうした?」

 

[たづな]

「じ、実はですね……うまぴょいには別の意味があるんですよ……。」

 

[柊斗]

「そうなん?」

 

[たづな]

「はい……その意味は、━━です。」

 

スッ

 

[柊斗]

「踏むなり蹴るなり煮るなり焼くなり好きにしてください。なんならセクハラで訴えてクビにしても結構です。」

 

意味を教えると、柊斗は土下座し謝り始めた。

 

[やよい]

「そ、そこまではしないぞ!!」

 

[ブルボン]

「うまぴょいを知らないトレーナーは初めて見ました。」

 

[柊斗]

「どうしよ……。」

 

[ライス]

「ど、どうかしたの?お兄様。」

 

[柊斗]

「約束しちまった……シービーと……うまぴょいの……。」

 

[たづな]

「ええ!?」

 

[柊斗]

「ソレするのは卒業してからって決めてたのにィィィィ!!!」

 

[やよい]

「これは……私達がどうにかできる問題ではないな……。」

 

[柊斗]

「ま、どうにかなんだろ。」

 

[ライス]

「お兄様って、対応力凄いね。」

 

[柊斗]

「自制心の塊って言われたからな俺は。これくらいどうってことは無い。」

 

[ブルボン]

「ですが発言には気をつけた方がいいと判断。そのままだと79.98%通報されます。」

 

[柊斗]

「何その微妙な数字、100%だろ。」

 

[やよい]

「と、兎に角、これから2人の事を頼むぞ!!」

 

[柊斗]

「はあ〜い。んじゃ帰りますねー。」

 

そう言って柊斗は扉を閉める。その後、理事長室は少しの間静かだったらしい。

 

 

 

 

 

 

━━自宅━━

 

[柊斗]

「ただいま我が家。」

 

[シービー]

「おかえり。それじゃあ柊斗、早速うまぴょいを━━━」

 

[柊斗]

「それはやっぱりなしの方でオナシャス。」

 

[シービー]

「ちぇー、知らない間にって考えてたのに。」

 

[柊斗]

「危うく犯罪者になるところだったぜ。それよりも、他の奴らは?」

 

[シービー]

「みんな友達と出掛ける用事があるから帰ったよ。私は柊斗と居れればいいからね。」

 

するとシービーは抱きついてくる。

 

[シービー]

「はあ〜いい匂い〜///」

 

[柊斗]

「どうも。」

 

この日は特別な事はせず、ただのんびりとしていた。途中シービーが危なかったが。

 

 

 

 

 

━━シービーデビュー戦━━

 

[実況]

「どんよりとした曇り空広がる、東京レース場。天気は何とか持ちこたえ、良バ場となりました。」

 

[解説]

「天気持ってくれるといいですね。」

 

[実況]

「3番人気はこの子です、6番。この評価は少し不満か?2番人気は7番。注目の1番人気、2番ミスターシービー。」

 

[解説]

「私が1番期待しているウマ娘です。気合い入れて欲しいですね。」

 

[実況]

「ゲートイン完了。出走の準備が整いました。」

 

 

 

 

 

━━観戦サイド━━

 

[柊斗]

「前からどれだけ早くなってるかな~。」

 

[ルドルフ]

「私より早く三冠を達成しているんだ。早くて当然だろう。」

 

[ブルボン]

「三冠を達成しているという事で、走りを参考にさせてもらいます。」

 

[柊斗]

「あー多分参考になるかはわからんぞ?」

 

[テイオー]

「どうして?」

 

[柊斗]

「見てれば分かる。」

 

ガコンッ!!

 

[実況]

「スタートしました。ウマ娘たち綺麗なスタートを見せました。先行争いは1番、4番、5番。」

 

[実況]

「1番人気ミスターシービー、後方からのスタートとなりました。」

 

[解説]

「彼女には爆発的な末脚がありますからね。理想的な形ですね。」

 

[ライス]

「シービーさんって、追い込むのが得意なの?」

 

[柊斗]

「そそ。シービーはスタートが下手な代わりにいい脚を持ってるから追い込みなんだよ。」

 

[マックイーン]

「ゴールドシップさんと同じ脚質ですわね。」

 

[柊斗]

「よーしよし、今のところは順調だな。」

 

[実況]

「第3コーナーに差し掛かる。今だ先頭は4番。縦長の展開になっています。」

 

[柊斗]

「そろそろ仕掛けるぞ。」

 

ドンッ!!

 

[実況]

「ここでミスターシービーが徐々に追い込んできているぞ!!次々と順位を上げて行っているぞ!!」

 

[柊斗]

「うおっしゃあぁいけえぇ!!」

 

[実況]

「第4コーナーを過ぎ、直線へ向かう。ミスターシービー次々と他のウマ娘を抜いていく!!」

 

[柊斗]

「そのまま進めぇぇぇぇぇ!!」

 

[オグリ]

「……。」モグモグ

 

[ルドルフ]

「いけ!!」

 

[テイオー]

「シービー先輩!!」

 

[マックイーン]

「頑張ってくださいまし!!」

 

[実況]

「今ゴールしました。ミスターシービー、堂々の1位です!!」

 

[シービー]

「私の走り、見ていてくれたかい?」

 

[ブルボン]

「これからこの方たちと練習するのですね。よろしくお願いします。」

 

[ライス]

「お、おねがいしましゅ!!(うう~嚙んじゃったぁ……。)」

 

[柊斗]

「よろしくな。それじゃあ行くぞ。」

 

下へ行きシービーを迎えに行く。

 

[柊斗]

「お疲れシービー。」

 

[シービー]

「ふふん、これが私の力よ。」

 

[柊斗]

「さて、これで全員のデビュー戦が終わった。シービーとルドルフは大丈夫だが、五人は本格的に指導していくからな。」

 

[4人]

「はい!!」

 

[ライス]

「頑張るぞ、おー!!」

 

全員で気合を入れ、それぞれの目標の為に走る日々が始まった。

 

 

 

 

 

全員のデビュー戦が終わって次の日の朝。村雨柊斗は家に朝食の作り置きをしており、学園に朝早くからいた。

 

[柊斗]

「なあたづなさん、飯食いに行かね?」

 

[たづな]

「本当ですか!?行きましょう!!」

 

こうして、たづなさんと飯を食いに行くことになった。行った先はラーメン屋である。

 

[柊斗]

「ここのラーメンうめえな。」

 

[たづな]

「そうですよね!私イチオシの店なんです!!」

 

何気ない会話をしながらも麺を啜っていく。

 

[柊斗]

「なあたづなさん、ケガ、やっぱり残るか?」

 

[たづな]

「……その話をするならちゃんと名前で言ってください。」

 

[柊斗]

「そうだったな。それでトキちゃん、今どうだ?」

 

[たづな]

「完治はしましたけど、痕は残っちゃいました。」

 

[柊斗]

「やっぱり残るか。でも完治してるなら大丈夫か。」

 

[たづな]

「どういう事ですか?」

 

[柊斗]

「実は理事長から聞いたんだが、近々レジェンドレースってのをやるらしいんだ。」

 

[たづな]

「レジェンドレース?何ですかそれ。」

 

[柊斗]

「今までで活躍したウマ娘とレース出来るっちゅうイベントだ。それでトキちゃん、出てみないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トキノミノルとして。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『トキノミノル』

 

戦績10戦10勝 その内レコード優勝7回でクラシック2冠を達成した幻のウマ娘。日本ダービー後、ケガで引退してしまった。旧名パーフェクト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[たづな]

「私が……レースに……。」

 

[柊斗]

「別に無理にとは言わない。もし出るんだったら俺か理事長に言ってくれ。分かるやつは俺達くらいだからな。」

 

[たづな]

「そのレースに、柊斗さんは出るんですか?」

 

[柊斗]

「俺は強制的に出されるな。いい刺激になるって。それと、これ。」

 

柊斗は1枚の紙をたづなに渡す。

 

[たづな]

「これは……?」

 

[柊斗]

「いいから読め。」

 

そう言われたづなは紙を開く。そこにはこう書かれていた。

 

『トキノミノルさん、是非貴方には参加してもらいたい。これはURA一同そう願っております。そして、あの走りをもう一度見せて下さい。 by. Uma-musume Racing Association.』

 

[柊斗]

「……どうする?」

 

[たづな]

「………す。」

 

[柊斗]

「ん?」

 

[たづな]

「出ます……もう一度、芝に戻ります!!」

 

そう宣言するたづな……否トキノミノル。その瞳にはしっかりとした意志があった。

 

[柊斗]

「分かった。上には俺から伝えておく。」

 

[たづな]

「でも私、トレーニング全然してませんし……。」

 

[柊斗]

「大丈夫大丈夫、開催するならもう少し先だし、俺が面倒見てやるから。」

 

[たづな]

「本当ですか!?」

 

[柊斗]

「担当じゃなかったけどまあある程度はわかってるつもりだからな。少しづつやっていくぞ。」

 

[たづな]

「そうですね♪ああ!?もうこんな時間!!ご馳走様でした!!」

 

[柊斗]

「ああほんとだ。ご馳走様っと。」

 

代金を支払い、店を出て学園へ向かう。

 

[たづな]

「貴方の担当達には負けませんからね?」

 

[柊斗]

「ほぉう?そりゃ楽しみだ。」

 

[たづな]

「ふふ♪それじゃあ行きましょうか♪」

 

[柊斗]

「そうだな。」

 

こうして、平和な一日が始まって行った。




皆さんこんにちは作者です。今回色んなウマ娘出しました。今回2人がなるまでの過程書いてないですけど、次回書きます


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第5話

皆さんこんにちは作者です。暫く期間空いてしまい申し訳ありません。試験とか試験とかがありました。あとウマ娘追加します。どんどん追加していきます。オマケにオリ主のプロフィール的なのも載せておきます。



名前:村雨柊斗

ウマ娘名:ノヴァ

水色ロングの髪に黄色の目。走る時の気分でポニーテールに変える。左目を隠しており、誰にも見られていない。かなりマイペースで、ウマ娘との時間を大切にしている。トレセン学園初期の頃からいる。年齢は???歳。今は引退しているが、その走りは未だ健在。

日常:見た目が女性に近い為よくナンパに遭遇する。本人は見た目は気にしているがナンパにはあまり気にしていない。

レース:レースの時になると異様な程の集中力を発揮する。


※もし実装されたら

『バトル・オブ・ザ・エンペラー』

称号:一・撃・離・脱

名前:ノヴァ

ステータス(星3時): 110 150 80 55 55 成長率スピード15% スタミナ15%

脚質:大逃げA 逃げB 先行B 差しB 追込A

コース:芝A ダートD

距離適性:短距離B マイルC 中距離A 長距離A

固有スキル:壱撃離脱

集中力もしくはコンセントレーションが発動した時、作戦が大逃げの場合発動する。その代償に賢さが強制的に1になる。 凄く早くなる。

所持スキル:直線加速、コーナー加速、直線回復、コーナー回復

覚醒レベルでのスキル:2 無し 3 曲線のソムリエ 4無し 5 大逃げのコツ

限定称号の取り方:大逃げで皐月賞を1分55秒以内に走りきり、URAファイナルを優勝する。

一言:この世で伝説を作れる者は、ほんの一握りだ。


現在、教室では生徒たちが授業中である時間。そんな中柊斗は外の木陰で寝ていた。理由は簡単、眠いからだ。つい最近新しい担当が増えた。その名はミホノブルボンとライスシャワー。何故かというと、ミホノブルボンの元トレーナーは地方の方と結婚するので新しいトレーナーを探していたらしい。ライスシャワーは、彼女の元トレーナーからの契約破棄。ライスはブルボンの三冠を阻んでヒール扱いされ、トレーナーの意見を聞かず自主トレをしたことにより契約解消。そんな二人を新しく持ったため仕事量が増えた。

 

[柊斗]

「zzz……。」

 

余談だが柊斗は基本的に夜更かしはしない。なら何故寝ているか。それは久しぶりに6人以上のメニューを作ったからである。最後に作ったのは数年以上前、久しぶりという事もあり今現在睡眠中。

 

そんなところに現れたのは……

 

ニャ~

 

可愛い猫ちゃんだった。それも1匹だけでなく何匹も。

 

[柊斗]

「ん……ああ猫か。」

 

猫の鳴き声で目が覚めた柊斗。猫を見つけると胡座の姿勢になり、ポンポンと叩き誘導する。すると沢山の猫が乗ってくる。入り切らない猫は肩や頭に乗ってきた。

 

[柊斗]

「可愛いなお前ら……ふぁあぁぁ……眠いなお前らも一緒に寝るか?」

 

ニャ〜

 

柊斗の言ったことに反応するかのように鳴く猫達。数分もすると、全員寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

何時間たっただろうか。ただ1つ言えることは、生徒達は下校時間かトレーニングが始まる時間だろう。柊斗はまだ寝ていた。今回トレーニングは筋トレメインで、既にメニューを寝る前に渡しておいた。そして今柊斗のいる場所は門のすぐ側の木陰であり、生徒達からの視線が凄い。

 

[???]

「……可愛いな。」

 

柊斗の前に1人のウマ娘が現れる。黒栗毛の髪、小さな体にバネの効いた筋肉、緑色の綺麗な瞳持つウマ娘だった。そして何より……

 

[???]

「……羨ましい。」

 

大の猫好きである。

 

[???]

「ちょっと写真でも撮るか。」

 

カシャ

 

[柊斗]

「ん?」

 

[???]

「あ、悪ぃな。起こしちまったか?」

 

[柊斗]

「いや大丈夫だ。ほれ猫達お目覚めの時間だぞ〜。」

 

ニャ〜

 

[柊斗]

「いやあの退いてくれないと俺が動けないんだが。」

 

[???]

「いいじゃねぇか別に。猫ちゃん達が可哀想だろ?」

 

[柊斗]

「そうなんだろうけど、俺トレーニング見ないといけんから。」

 

[???]

「アンタトレーナーなのか?」

 

[柊斗]

「まあな。ほれ猫ちゃん達また明日な。」

 

ニャ〜

 

猫達は柊斗から降りると何処かへ行ってしまった。

 

[柊斗]

「ある程度寝れたし、行くか。」

 

[???]

「なあ、それ俺もついて行っていいか?」

 

[柊斗]

「別にいいぞ。そういえば名前は?」

 

[リョテイ]

「キンイロリョテイだ。」

 

[柊斗]

「リョテイか。俺は村雨柊斗。こんな見た目だが男で、元ウマ娘だ。」

 

[リョテイ]

「へー、ウマ娘ならぬウマ息子ってか。」

 

[柊斗]

「今まで前例がなかったしな、その性で色々大変だったぜ。」

 

[リョテイ]

「そりゃまた今度聞くわ。早速行こうぜ。」

 

[柊斗]

「そうだな。」

 

猫を通して仲良くなったリョテイとともにトレーニングルームへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━トレーニングルーム━━

 

[柊斗]

「う~す。」

 

[テイオー]

「あ!トレーナー!」

 

[柊斗]

「ちゃんと筋トレしたか~?」

 

[ブルボン]

「オペレーション『筋トレ』完了しました。」

 

[柊斗]

「うんうん偉い。みんなお疲れ、どうする?一周だけ走るか、今日はもう自由にするか。」

 

[テイオー]

「僕もう疲れちゃったよ~。」

 

[マックイーン]

「わたくしも同じですわ。」

 

[オグリ]

「お腹すいた。」

 

[ブルボン]

「私はこの後2000メートルを一周します。」

 

[ライス]

「ライスもそうしようかな……。」

 

[柊斗]

「おっけー。んじゃ三人はちゃんとアイシングしてからあがれよ~。てかシービーとルドルフはいないんだな。」

 

[ブルボン]

「先程生徒会長がシービーさんを連行していました。」

 

[柊斗]

「入れ違いだったか。すまんなリョテイ、あんまり見せられなくて。」

 

[リョテイ]

「いや、俺が無理言ったからな。気にするな。」

 

[テイオー]

「トレーナー、そのウマ娘は?」

 

[柊斗]

「言ってなかったな。こいつはキンイロリョテイ。さっき知り合ってトレーニング見るかって聞いたらついてきた。」

 

[ブルボン]

「何度か視認したことはあります。」

 

[柊斗]

「そういえばリョテイ、トレーナーは?」

 

[リョテイ]

「俺は居ない。と言っても、前はいたけどな。」

 

[ライス]

「リョテイさんって、契約を切られたの?」

 

[リョテイ]

「ああ。元々俺は勝ちたいから走るんじゃなくて、ただ走りたかっただけだからな。トレーニングだってそう、日によってばらつきあるし。」

 

[柊斗]

「だったら沖野のとこ行ってくればいいんじゃね?あいつの所結構自由だし。」

 

[リョテイ]

「アイツは無理、脚触ってきたから。俺の脚を許可なく触るやつは許さん。」

 

[柊斗]

「あらら。だったらウチはどうだ?あくまで仮だが。」

 

[リョテイ]

「どういう事だ?」

 

[柊斗]

「仮契約だ。少しの期間そのチームに入って自分に合ってるか確かめるんだ。合わなかったら入らなければいいだけだしな。」

 

[リョテイ]

「いいなそれ。んじゃ頼むわ。」

 

[柊斗]

「おう。よろしく。」

 

2人は握手をする。

 

[テイオー]

「トレーナー、僕が次走るのっていつ?」

 

[柊斗]

「とりあえずテイオーとマックイーンはジュニア級だからな、とりあえずテイオーはホープフル、マックイーンは京都ジュニアだな。他の奴らはどうする?こう目標とかあるか?」

 

[オグリ]

「早いウマ娘と走りたい。」ŧ‹”ŧ‹”

 

[ブルボン]

「私は再びクラシック三冠を目指します。」

 

[ライス]

「ライスは……まだ決まってないかな。」

 

[柊斗]

「成程。俺としては2人が被ってるからどっちか先に走って欲しいな。」

 

[ブルボン]

「では先にテイオーが走るのを勧めます。」

 

[テイオー]

「僕?」

 

[ブルボン]

「テイオーの目標は無敗でクラシック三冠。これを達成するには早めがいいと判断。それに私は1度クラシック路線を通ったので譲りました。」

 

[柊斗]

「おっけ。んじゃテイオーとマックイーン優先だな。あとは好きにしてくれ。」

 

そう言われると、ブルボンとライスはターフへ向かい、テイオーとマックイーンは寮へ向かった。

 

[柊斗]

「俺もシービーでも拾ってくるか。」

 

[オグリ]

「……。」(´~`)モグモグ

 

[リョテイ]

「暇だし俺も走ってこようかな。」

 

[柊斗]

「無理しなければいいぞ。」

 

各々のやりたいこと(オグリは別)を見つけ、直ぐに行動へ移す。

 

 

 

━━生徒会室━━

 

[シービー]

「ねールナちゃーん、そろそろ返してくんなーい?」

 

[ルドルフ]

「断る。」

 

生徒会室の中で二人のウマ娘が話をしていた。

 

[シービー]

「もう写真送ったじゃーん。早く帰りたーい。」

 

[ルドルフ]

「ダメだ。まだ渡してない写真があるはずだ。」

 

[シービー]

「えーこれ以上私の秘蔵フォルダの中身をあげたくなーい。」

 

[ルドルフ]

「ルナだって欲しいの!!」

 

ガチャ

 

[柊斗]

「シービー帰るぞ~。」

 

[シービー]

「お、んじゃアタシはこれで━━━」

 

[ルドルフ]

「すまないトレーナー君、今日はシービーと一夜を共にするんだ。」

 

[柊斗]

「そうか?それじゃあ俺は帰るぞ。」

 

[シービー]

「え、あちょっと━━━」

 

ガチャン

 

[ルドルフ]

「さてシービー、これでじっくり話し合うことが出来るぞ。」

 

[シービー]

「えぇ……。」

 

[ルドルフ]

「さあ、さっきの続きをしようか。」

 

この後の結末は皆さんにお任せします。

 

 

 

 

 

 

 

━━次の日━━

 

朝、柊斗はトレーナー室にいた。だがそこには柊斗以外のウマ娘もいた。

 

[シービー]

「うぅ……。」ポロポロ

 

[ルドルフ]

「うむ。実に良かった。」

 

昨日生徒会室で何かをしていたルドルフとシービーだった。今はシービーが柊斗に抱き着いている所だ。

 

[柊斗]

「えーと、何があったん?」

 

[シービー]

「聞いてよ柊斗!ルナちゃんがアタシの秘蔵ファイル勝手に盗んだんだよ!」

 

[柊斗]

「秘蔵ファイル?なんじゃそりゃ。」

 

[シービー]

「柊斗の裸姿とか私服姿の━━━」

 

[柊斗]

「おいそれ何時撮った。」

 

[ルドルフ]

「見ただけではわからないが、中々引き締まった体をしているのだね。」

 

[柊斗]

「まあお前らより走ってたしなって話を逸らすな。大体そんな写真撮ってどうするんだよ。」

 

[シービー]

「その写真を売ったりそろぴょいのお供に使うんだけど?」

 

[柊斗]

「ごめんね聞いた俺がバ鹿だったわ。てかそんな堂々と言われても困るんだが?」

 

[シービー]

「だって事実だし。というか柊斗って性欲とかないの?」

 

[柊斗]

「あるに決まってんだろ。ただちゃんと分けてるだけだ。」

 

[シービー]

「偉いね~柊斗は。」

 

[ルドルフ]

「仮に私達が両思いだったとしよう。この状況で襲いたいと思うかい?」

 

[柊斗]

「両思いだとしても社会的に死ぬから却下。」

 

[シービー]

「じゃあこの学園がそういうのを推奨してたらどうする?」

 

[柊斗]

「襲いたいけどやっぱり卒業まで待つかな。仮にもお前らは生徒だし立場ってもんがあるからな。」

 

[シービー/ルドルフ]

「「成程。つまりは卒業したら襲うと。」」

 

[柊斗]

「声を揃えて言うな。互いに好きだったらな。」

 

[シービー]

「アタシはいつでもOKだからね。」

 

[柊斗]

「はいはいありがと。」

 

[ルドルフ]

「話は変わるが、テイオーは無敗の三冠を目指すのだな。」

 

[柊斗]

「らしいな。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君はどう思う?テイオーは取れると思うかい?」

 

[柊斗]

「スピードに関してはな。スタミナは今はまだ足りない。それに……。」

 

[ルドルフ]

「……やはり脚か?」

 

[柊斗]

「ああ。流石にフォームを変えたとしてもそれだけでどうにかなることじゃない。」

 

柊斗はテイオーの脚を気にしていた。彼女の脚は一級品である。だがその分リスクがあった。柊斗はその方を気にしていた。

 

[シービー]

「彼女がこれから当たる壁、どうやって乗り越えるかね。」

 

[柊斗]

「トレーナーってのはサポートしか出来ないからな。それはテイオー次第だ。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君は厳しいね。間違いではないけれど。」

 

[柊斗]

「事実だからな。さて、俺はメニューでも作るかな。と言っても、すぐ出来ちゃうけど。」

 

[ルドルフ]

「では私も生徒会の仕事をしよう。では。」

 

そう言ってルドルフはトレーナー室を出ていく。

 

[柊斗]

「そういえばシービー授業は?」

 

[シービー]

「今日は免除。だから今日はずっと柊斗と一緒にいるよ!」

 

[柊斗]

「そうか。まあゆっくりしててくれ。」

 

 

 

⏰大体5分位

 

 

 

 

[シービー]

「しゅ〜と〜構って〜。」

 

[柊斗]

「早い早いまだ終わってないぞ。」

 

[シービー]

「ひ〜〜ま〜〜。」

 

[柊斗]

「そういえばシービー、Umatubeって知ってるか?」

 

[シービー]

「知ってるよ。アタシはウマッターって言うのしかやってないけどね。それがどうしたの?」

 

[柊斗]

「いや、他のウマ娘達がそんな事を言ってたから聞いてみただけだ。」

 

[シービー]

「ふ〜ん。気になるならやってみれば?」

 

[柊斗]

「やり方知らん。」

 

[シービー]

「それはアタシが教えてあげるよ。」

 

[柊斗]

「それはありがたいけど、落ち着くまでやる気はないな。」

 

[シービー]

「やりたくなったらいつでも言ってね、機材とかやり方教えてあげるから。」

 

[柊斗]

「サンキュー。……これでよしっと。」

 

[シービー]

「終わった!?」

 

[柊斗]

「終わったぞ。さて、この後どうするか。」

 

[シービー]

「それじゃあ今日一日アタシの所有物ね!!」

 

[柊斗]

「おい待てどうしてそうなる。」

 

[シービー]

「ダメ?それじゃあアタシの執事かペット、どっちがいい?」

 

[柊斗]

「それだったら執事だな。」

 

[シービー]

「それじゃあ柊斗、アタシを食堂まで運びなさい。」

 

[柊斗]

「え?今から?」

 

[シービー]

「早くしなさい。」

 

[柊斗]

「……はぁ。畏まりました。(仕方ない……。)」

 

スッ

 

[シービー]

「うぇ!?」

 

[柊斗]

「どうかしましたか?」

 

[シービー]

「う、ううん何でもない。」

 

今の体制は柊斗がシービーをお姫様抱っこをしている体勢である。その状態で食堂へ向かっていると、学校に登校してきた生徒達に会いよく見られる。

 

[シービー]

(これがお姫様抱っこかぁ……///)

 

[ウマ娘達]

(シービー(先輩)がニヤけてる……。)

 

[柊斗]

(天使の様な顔しとる。)

 

[テイオー]

「あ!トレーナー!」

 

そんな事思ってると、テイオーがやってきた。その後ろにはマックイーンもいた。

 

[テイオー]

「トレーナー?何でシービー先輩の事抱っこしてるの?」

 

[柊斗]

「アレだ、ご褒美的なやつ?」

 

[シービー]

「そうそう!今度2人もやってもらえば?」

 

[テイオー]

「ほんとっ!?」

 

[柊斗]

「あーんーまあ……いいか。」

 

[テイオー/マックイーン]

「「絶対だよ(ですわ)!!」」

 

それだけ言ってそのまま2人は走り去って行った。

 

[シービー]

「それじゃあ早く行こう!アタシはお腹が空いてるの!」

 

[柊斗]

「分かっとるから急かすな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━食堂━━

 

食堂に着くと、真っ先に視線を感じた。その本人達は……

 

[柊斗/シービー]

「「カツデゥーンふたーつ!!」」

 

全く気にしてなかった。

 

[料理長]

「はいカツ丼2つ。」

 

[柊斗]

「シービーお前が持て。」

 

[シービー]

「はいは〜い。」

 

シービーにカツ丼を持たせ、席に座りに行く。

 

[シービー/柊斗]

「「いただきます。」」

 

[???]

「相席いいか?」

 

[柊斗]

「いいぞ。」

 

[???]

「ありがとう、トレーナー。」

 

[シービー]

「相変わらず凄い量食べるねオグリちゃんは。」

 

[オグリ]

「む、そうか?」

 

[柊斗]

「ま、そんだけ食べれば食堂の人たちは嬉しいだろうな。」

 

[オグリ]

「……。」ŧ‹”ŧ‹”

 

[柊斗]

「……やっぱりここの飯は美味いな。」

 

[シービー]

「ねえ柊斗、1つ頼みがあるんだけどいい?」

 

[柊斗]

「なんだ?」

 

[シービー]

「歌を歌って欲しいの。」

 

[柊斗]

「歌?なんでまた。」

 

[シービー]

「だって柊斗ウィニングライブ基本的出なかったじゃん。」

 

[柊斗]

「最初の方は無かっただけだけどな。まあいいけど。」

 

[シービー]

「やったー!!」

 

[オグリ]

「トレーナーが歌うのか?」

 

[柊斗]

「らしいっす。歌うのはいいが、何歌えばいいんだ?」

 

[シービー]

「ヒ·ミ·ツ」( *´ ³`)ノ ~♡

 

[柊斗]

「可愛い。」

 

[オグリ]

「……。」ジー ŧ‹”ŧ‹”

 

[柊斗]

「ŧ‹”ŧ‹”……ゴックン。ご馳走様でした。」

 

[シービー]

「ご馳走様でした。それじゃあ柊斗頼んだよ。」

 

[柊斗]

「ハイハイ……。」

 

再びシービーを担いで皿を置きに行く。

 

[オグリ]

「……。」ジー ハイライトオフ ŧ‹”ŧ‹”

 

その後ろ姿を見ていたオグリの瞳から、ハイライトが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━芝2000mコース━━

 

時間は進みトレーニングの時間。2000mのコースには担当全員がいた。

 

[柊斗]

「今日から本格的なトレーニングを始める……って言っても大してやること変わらないけどな。んじゃみんなもう一度自己紹介してな。」

 

[ルドルフ]

「シンボリルドルフだ。君達と練習出来て嬉しいよ。」

 

[テイオー]

「トウカイテイオーだよ!目標はカイチョーと同じ無敗のクラシック三冠!」

 

[マックイーン]

「メジロマックイーンですわ。目標は天皇賞連覇ですわ。」

 

[ブルボン]

「ミホノブルボンです。よろしくお願いします。」

 

[ライス]

「ラ、ライスシャワーでしゅ!(噛んじゃった〜……。)」

 

[オグリ]

「オグリキャップだ。よろしく頼む。」

 

[シービー]

「ミスターシービーだよ〜。よろしくね〜。」

 

[リョテイ]

「キンイロリョテイだ。担当ではないが少しの間よろしく。」

 

[シービー]

「では次に、ウマ娘トレーナーの村雨柊斗さんお願いします。」

 

[柊斗]

「あ、俺も?んーとりあえず、身体に違和感があったりしたらすぐ教えてくれ。もしそれが怪我に繋がったらヤバいからな。あとトレーニングは別に強制するつもりはないから『やる気がでね〜』とかなったら別に休んでもいいぞ。その代わりちゃんと言ってくれ。」

 

[シービー]

「は〜い。」

 

[柊斗]

「んじゃ2400を1回。先頭は……ブルボンよろしく。」

 

[ブルボン]

「了解しました。マスター。」

 

[柊斗]

「あ、そうそう。今回は少しレースを想定して走ってくれ。」

 

そう言われ担当たちは走り出す。順番は前からブルボン、テイオー、マックイーン、ライス、リョテイ、オグリ、ルドルフ、シービーの順番だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

結果を言おう。1着はシービーだった。

 

[ルドルフ]

「ミスターシービー、全力でないとはいえ、随分早くなったな。」

 

[シービー]

「そりゃ勿論アタシだからね。それにルドルフに負けたままじゃ嫌だからね。」

 

[柊斗]

「よーしアップしたなー。んじゃ次は1時間のインターバルトレーニングしてくれ今日はそれで〆だな。」

 

[テイオー]

「懐かしいな〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

[シービー]

「ねえ柊斗、」

 

[柊斗]

「何?」

 

[シービー]

「脚ガクガクで動けない。」プルプル

 

勿論シービーだけでなく他の奴らも同じような状態になっていた。

 

[柊斗]

「やっぱりか。んじゃ今日はこれで終わりだから、寮戻ったら相方にマッサージでもして貰え。」

 

[テイオー]

「トレーナーやってくれないの?」

 

[柊斗]

「やだ。」

 

[ルドルフ]

「前はやってくれたのに?」

 

[柊斗]

「前はな。」

 

[シービー]

「乙女の脚を合法的に触れるんだよ?」

 

[柊斗]

「ワースゴイウレシイナー。」

 

[シービー]

「気持ちが入ってないよ~?」

 

[柊斗]

「そりゃ今は触りたいとは思ってねえからな。」

 

[リョテイ]

「トレーナーのマッサージって気持ちいいのか?」

 

[テイオー]

「すっっっっっごい気持ちいいよ!!」

 

[マックイーン]

「テイオーの言っている通りですわ。」

 

[ルドルフ]

「うむ。あれは凶器だ。」

 

[リョテイ]

「ほう。それは気になるな。」

 

[オグリ]

「トレーナー、私にもやってくれないか?」

 

[ブルボン]

「私も興味があります。」

 

[ライス]

「ら、ライスもお願い……しても、いい?」

 

[柊斗]

「ダメだ、逃げ場がない。」

 

[リョテイ]

「逃げ場?ねぇよンなもん。」

 

[柊斗]

「……仕方ない。んじゃ順番にな。」

 

[シービー]

「アタシは最後ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

[柊斗]

「うし、終わったぞ。」

 

[シービー]

「はああぁぁぁ……最高///」

 

[リョテイ]

「……///」

 

[オグリ]

「確かにこれは最高だな!!」

 

[ブルボン]

「ステータス『快感』を検知。これかも継続することを願います。」

 

[ライス]

「ふわぁ……///」

 

[テイオー]

「みんな凄い事になってるよ……。」

 

[マックイーン]

「でもトレーナーのマッサージが凄いのは同感ですわ。」

 

[ルドルフ]

「これからは1人ずつやってもらおうか。」

 

[柊斗]

「ハイハイ……ま、担当の為だと思ってやるか……。」

 

[シービー]

「よろしい 」

 

[柊斗]

「んじゃお前ら気をつけて帰れよ~。」

 

トレーニングを終え、全員自分たちの寮に帰る準備をする。シービーと柊斗は同じ家に住んでいるので駐車場へ向かう。

 

[柊斗]

「そうだシービー、今日ディーラーに出してた車回収する日だから寄り道していいか?」

 

[シービー]

「いいよ~。」

 

シービーの了承を得たのでディーラーへ車を進める。

 

[柊斗]

(やっとあの車が乗れる♪)

 

[シービー]

(なんかアタシといる時よりウキウキしてる……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━ディーラー━━

 

[スタッフ]

「村雨柊斗さんですね?車の整備終わりましたので、どうぞこちらへ。」

 

[柊斗]

「ありがとうございます。」

 

スタッフの人に連れてこられた場所に会った車。それは他の車に比べて異質の存在ともいえるような見た目をしていた。

 

 

【挿絵表示】

 

【挿絵表示】

 

 

[柊斗]

「やっと乗れる~!!いや~本当にありがとうございます。」

 

[スタッフ]

「いえ、こちらも久々の改造車でしたので大変でしたけど、柊斗さんが丁寧に乗っていたので思ったより早く済みました。」

 

[柊斗]

「そうですか。んじゃシービー帰るぞ。」

 

[シービー]

「お金は?」

 

[柊斗]

「先払いしてあるから大丈夫。」

 

日産の誇るスポーツカーBNR34。ノーマルでも十分早いが、この34はただの34ではない。重量を極限まで落とし、馬力を極限まで上げるといった矛盾と言う言葉がピッタリの車に仕上げてある。

 

エンジンを動かすと、そこから発せられる音は正に異質。シービーは初めての事だったので戸惑っていたが、柊斗は慣れていた為そのまま走らせて行った。

 

[シービー]

「ねえ柊斗……。」

 

[柊斗]

「どうした?」

 

[シービー]

「すごい見られてるんだけど……。」

 

そう、視線が凄い。そりゃまあスポーツカーが走ってたら誰だって見るでしょ。

 

[柊斗]

「そのうち慣れるぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車を走らせ数十分後……

 

[シービー]

「着いた〜!!」

 

[柊斗]

「ごめんなシービー、付き合わせちゃって。」

 

[シービー]

「大丈夫だよ柊斗、未来の旦那さんに寄り添うのは妻の役目だからね!」

 

[柊斗]

「んじゃ晩飯準備するか。」

 

[シービー]

「今日はアタシが作るよ~。」

 

[柊斗]

「マジで?楽しみだな。」

 

[シービー]

「楽しみにしててね~。」

 

と、実際楽しみにしていた柊斗。手洗いうがいを済ませ、シービーは料理を始める。今回のメニューはカレーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[柊斗]

「なあシービー。」

 

[シービー]

「なぁに?」

 

[柊斗]

「このカレーうめぇ。」

 

[シービー]

「本当っ!?」

 

[柊斗]

「ああ本当だ。多分、いや絶対俺が作るカレーより美味いな。」

 

[シービー]

「やったぁ!!」

 

[柊斗]

「シービーは食べないのか?」

 

[シービー]

「んーそれじゃあ……」

 

シービーは柊斗の横に座り

 

[シービー]

「あ~ん。」

 

をやってきた。それを見た柊斗は約2.3秒程フリーズしたが直ぐに戻ってきた。

 

[柊斗]

「あ、あーん。」

 

パクッ

 

[シービー]

「ん~いいね!」

 

[柊斗]

「そ、そうか……なんか恥ずかしいな。」

 

[シービー]

「それじゃあさ、食べ終わったら歌ってくれない?」

 

[柊斗]

「そんな約束したな。まあいいけど、何歌えばいいんだ?」

 

[シービー]

「う~ん……それじゃあ柊斗のウィニングライブの時に歌ったやつで。」

 

[柊斗]

「それじゃあ結構あるけど引退するときのでいいか?」

 

[シービー]

「ラストライブね。いいよ。」

 

その後はシービーに食べさせたり、食べさせてもらったりいろいろした。そして時間になると歌の準備になるのだが……

 

[柊斗]

「何でカメラおいてるん?」

 

[シービー]

「だって録画したいし、みんなに見てほしいからね。」

 

[柊斗]

「どういうことだし。」

 

[シービー]

「ライブならライブらしく配信しようと思ってね。」

 

[柊斗]

「は?」

 

[シービー]

「あ、もう始まってるからね。」

 

[柊斗]

「拒否権なしかよ。まあいいか。」

 

そして柊斗はラストライブで歌った『極楽浄土』を披露した。歌だけでなくダンスもあったので視聴者の中には『すげえ!!』といった簡単なコメントだったり、『どうやったら綺麗に踊れますか。』とか質問が流れたり、『この曲知ってる。ノヴァのラストライブに歌われてた奴だった。』といった古参の奴もいた。

 

そして最後まで歌い終えると、コメント欄にはスゴイ量のコメントが流れてた。

 

[柊斗]

「え~その、みんな有難うございました。」

 

[シービー]

「凄いね柊斗、コメント欄面白いよ。本格的にUmatubeデビューすれば?」

 

[柊斗]

「う~ん……試しにやってみるか?」

 

[シービー]

「みんな聞いてた!?みんな概要欄からアタシのウマッターに飛んでフォローしてくれればこの人のアカウント直ぐに見れるよ!!」

 

そう言うと視聴者は『今からフォローしてくる。』っといったコメントが嵐のように流れた。

 

[柊斗]

「え~と名前は……これどうすればいい?」

 

[シービー]

「アタシはMr.CBだよ。」

 

[柊斗]

「だったら俺も昔の名前にするか。」

 

こうして決まった名前がNovaになった。

 

[シービー]

「それじゃあみんな、また会おうね~。」

 

シービーは配信を終え、機材をしまう。

 

[柊斗]

「今時のネットって便利なんだな。これなら広告とか楽になるな。」

 

[シービー]

「それだけ時代が進んで行ってるってことよ。」

 

この後は少し雑談をして、直ぐに眠りについた。

 

だがこの時、柊斗は気づいてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

Umatubeとウマッタ―のフォロワーの数が大変なことになっていることに。




皆さんこんにちは作者です。遅くなってしまい大変申し訳ございません。あ、内定受かりました。あと今回短めでしたが、もしかしたらもっと短くなるかもしれません。


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第6話

皆さんこんにちは作者です。最近初のSランク育成が出来ました。あと今回短めです。


[柊斗]

「……。」

 

朝、朝食を食べた柊斗は自分のスマホを見て放心状態になっていた。

 

[柊斗]

「……なんか増えてね?」

 

理由は、昨日シービーに『アカウント作ってみれば?』みたいなこと言われ昨日作った結果、今はフォロワーの数が既に1000を超えていたからである。因みに現在進行形で増えて行っている。

 

[シービー]

「おはよ~。あれ柊斗どうしたの?」

 

[柊斗]

「いやなんか、フォロワー?がすっげえ増えてるから……。」

 

[シービー]

「あたしが広めた。」

 

[柊斗]

「いやお前かよ。」

 

[シービー]

「今どのくらいなの?」

 

[柊斗]

「1500。」

 

[シービー]

「お、どんどん増えていってるね~。」

 

[柊斗]

「まあ増えてくのは良いけどよ、何投稿?すればいいんだ?」

 

[シービー]

「んーなんでもいいんじゃない?あたしは投稿したかったらするって感じだし。例えば柊斗の車とか愛車自慢みたいな感じでいいんじゃない?」

 

[柊斗]

「あーそんな感じでいんか。愛車紹介なら簡単にできそうだな、やってみよ。」

 

柊斗はスマホのフォルダから34の写真を取り出しウマッタ―に上げる。するとすぐに通知音がなり、色々コメントが書かれていたり、いいねやリツイートがされていた。

 

[柊斗]

「通知音うるせえな、あとで設定変えとこ。てかシービー、朝飯は食ったのか?」

 

[シービー]

「もう食べたよー。」

 

[柊斗]

「食ったのか、なら準備を……は終わらしてるのか。少し早いが行くか?」

 

[シービー]

「さんせーい♪」

 

2人は荷物を持つと、玄関を開け家の鍵を閉める。そして柊斗の愛車の34のエンジンを掛けて、学校へ向かい始める。

 

 

━━トレセン学園━━

 

トレセン学園前に着き、何回か吹かしながら入ると沢山の視線を浴びる(通勤中も見られてた)

 

[モブウマ娘1]

「ねえねえあの車って……」

 

[モブウマ娘2]

「ウマッタ―にトレンド入りしてた奴だよね……。」

 

ガチャ

 

[シービー]

「ありがとね~。」

 

[柊斗]

「おう、俺は少し待たねえといけねえからな。授業頑張れ。」

 

[モブウマ娘1]

「シービー先輩が降りてきたよ!」小声

 

[モブウマ娘2]

「運転手はトレーナーかな?」小声

 

[柊斗]

「んー少し回転が安定しないな、流石に新しくしたからまだ馴染んでないだけか?」

 

柊斗は34のボンネットを開け、エンジンを見つめる。

 

[柊斗]

「少し吹かすか。」

 

ブオォンッ!!

 

[柊斗]

「……変な音が鳴ってるわけじゃないな。じゃあ本当に馴染んでないだけか。」

 

[???]

「ハ~イ♪トレーナー君♪」

 

[柊斗]

「えーと確か……マルゼンスキーだったか?」

 

[マルゼンスキー]

「そうそう♪それで、トレーナー君は何してるの?」

 

[柊斗]

「うちの車が戻ってきたんだがアイドリングが安定しなくてな。俺そんなに車詳しくないから具体的な事知らないけどとりあえず音聞けばいいって言われたんだよ。それで特に変な音しないからいいやって感じ。」

 

[マルゼンスキー]

「トレーナー君って国産車好きなの?」

 

[柊斗]

「この車貰って好きになった。引退記念で貰ったんだよこれ、だから外に派手なステッカー張ってあんだよ。」

 

[マルゼンスキー]

「確かにこれだと目立つね~、シービーもソワソワしてそうね。」

 

[柊斗]

「俺だって最初は恥ずかしかったぞ?でも慣れって怖いよな、一週間もすれば何とも思わなくなったぞ。」

 

[マルゼンスキー]

「それじゃあトレーナー君、暇なときあったらお姉さんとドライブいかない?」

 

[柊斗]

「誰がお姉さんじゃ俺の方が年上だ。まあたまにはいいんじゃね?夏合宿とか車使うと思うし。」

 

[マルゼンスキー]

「それじゃあその時にお願いね♪」

 

[柊斗]

「ほいほい。」

 

バタンッ

 

マルゼンスキーは去っていき、柊斗はボンネットを閉じアフターアイドルを終わらせエンジンを切ると荷物を持つ。

 

[柊斗]

「さて、行くか。」

 

 

 

 

[柊斗]

「……違うな。テイオーの今の弱点は柔軟性から来る怪我と、菊花賞で必要なスタミナだな。だったら練習で実践の練習はさせないでスタミナ優先でやるか。マックイーンは……あまり無いな。今ある長所を活かすだけだな。」

 

柊斗はノートに予定を書き写すとそれを閉じて飲み物を飲む。因みにそれはいちごミルクである。

 

[柊斗]

「……寝るか。」

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に4時。外には下校するウマ娘たちがいた。

 

[柊斗]

「お前ら勉強お疲れ。取り合えずメニュー考えたんだが、なんか不満あったら言ってくれ。今日から並走がメインだな。テイオーは実践よりもスタミナ優先、だからブルボン、ライスが付いてくれ。マックイーンは長所を伸ばす為ルドルフとオグリだ。」

 

[ルドルフ]

「了解した。」

 

[オグリ]

「分かった。」

 

[ブルボン]

「了解です、マスター。」

 

[ライス]

「分かったよ、お兄様。」

 

[シービー]

「ねえねえ、アタシは?」

 

[柊斗]

「シービーは……まああれだ、自由だな。」

 

[シービー]

「自由?」

 

[柊斗]

「シービーって助言とか得意じゃないだろ?だから走りたかったら走るって感じ。」

 

[シービー]

「りょうかーい♪」

 

[柊斗]

「俺今から会議行ってくるからなんかあったら連絡してくれ。会議すっぽかしても行くから。」

 

[ルドルフ]

「そこは残らないのかい?」

 

[柊斗]

「会議って言ってもただの定期報告だからな。ぶっちゃけ他のトレーナーに任せて大丈夫。んじゃそれぞれ紙渡すからよろしく。」

 

柊斗はブルボンとルドルフにメニュー表を渡し昇降口へ向かって行った。

 

 

[ブルボン]

「ではテイオー、早速始めましょう。」

 

[テイオー]

「何やるの?」

 

[ブルボン]

「紙に書いてあるのは『坂路トレーニング』とだけ書いてあります。つまりテイオーのスタミナを克服するためにひたすら坂路トレーニングをするという事でしょう。」

 

[テイオー]

「坂路か~、よし!早速行こう!」

 

[ライス]

「ライスも、頑張るね!!」

 

テイオー、マックイーン、ライスは外へ向かって走っていった。

 

[マックイーン]

「会長さん、わたくしのトレーニングは?」

 

[ルドルフ]

「ふむ、『模擬レース』とだけ書いてある。これは私かオグリキャップのどちらかと並走していくものだな。そして何か分かったことを意見として言い合っていくものだろう。」

 

[オグリ]

「なら最初は私が走ろう。」

 

[マックイーン]

「お願いしますわ。」

 

 

 

━━柊斗side━━

 

[たづな]

「それでは、今から会議を始めます。各チーム、各トレーナー報告をお願いします。」

 

それぞれのトレーナーが理事長とたづなさんに報告していく。そして最後に柊斗の番がきた。

 

[柊斗]

「え~チームハダル、今の所問題なしです。そして今の所仮契約が一人です。」

 

[たづな]

「その仮契約は誰ですか?」

 

[柊斗]

「キンイロリョテイです。」

 

[沖野]

「ああ、ゴルシと仲いい奴か。」

 

[柊斗]

「そうなのか?」

 

[沖野]

「おう、なんかよくわからん遊びしてたりするぞ。」

 

[たづな]

「柊斗さん、ありがとうございます♪では次にそれぞれ班になってもらい、一つの目標に向けてどういったトレーニングをしていくかについて話し合ってもらいます♪班は基本的に自由ですがあまり多すぎないようにしてくださいね。」

 

そう言われてそれぞれが仲良い組で作ったり先輩後輩関係で作っていった。そして柊斗の班員は……

 

[沖野]

「よろしく先輩!」

 

[???]

「東条さんの先輩と一緒にやれるのは嬉しいですね。」

 

[???]

「ハナ先輩有難うございます!!」

 

[東条]

「元からこうするつもりだったからね、気にすることないわよ。」

 

まず最初に話した男の人が『チームカノープス』のトレーナーである南坂トレーナー、その後に話したのがハッピーミークというウマ娘の専属トレーナーで、トレーナー界の名門である桐生院家の桐生院葵。

 

[柊斗]

「えーと、まあ知らねえ奴いるし自己紹介からか。チームハダルのトレーナーの村雨柊斗だ。一様元ウマ娘でトレーナーの経験と実際に走った経験でやってる。」

 

[葵]

「桐生院葵です!担当ウマ娘はハッピーミークです!」

 

[南坂]

「チームカノープスのトレーナーの南坂です。」

 

[柊斗]

「んじゃお題の紙取ってくるわ。」

 

柊斗は席を立ち、たづなさんからお題の書かれた紙を受け取り元の席へ戻る。

 

[柊斗]

「えーとお題は……『練習がマンネリ化したときの対処法』だと。」

 

[東条]

「マンネリ化ね、うちのブライアンとかがそうね。」

 

[沖野]

「俺だったら他のチームに頼み込んで模擬レースしてもらうな。」

 

[東条]

「それが一番ね。」

 

[南坂]

「僕は今までとは違う新しいトレーニングを考えますね。」

 

[葵]

「わ、私はゲーム感覚で楽しめるようなトレーニングにします。」

 

[柊斗]

「へ~意外とすぐ出るもんなんだな。流石だな。」

 

[沖野]

「先輩は?」

 

[柊斗]

「俺?一つ目はしばらく練習を中止するだな。」

 

[南坂]

「何故ですか?」

 

[柊斗]

「ウマ娘はそう簡単に走る感覚ってのは消えねえんだよ。一週間くらい休んだって何か変わるわけじゃないからな。だけどそこで急にハードなものをやるのはバ鹿だから慣らしからだけどな。」

 

[東条]

「二つ目は?」

 

[柊斗]

「俺が走る。」

 

[葵]

「……え?」

 

[柊斗]

「だから俺が走る。まああれだ、沖野と同じで模擬レースって感じだ。」

 

[葵]

「あ、ああ成程。」

 

[沖野]

「でもただ並走するだけじゃないんだろ?」

 

[柊斗]

「当然。まずそうソイツと同じ脚質で走って先行する。その時に自分でアレンジできるところをアレンジして、足りない所を見せる。そうすりゃ何か掴める筈だ。」

 

[東条]

「もし掴めなかったら?」

 

[柊斗]

「悪いがそれ以上は何もしない。自分で考えて頑張れとしか言えねえな。」

 

[南坂]

「やはり厳しいのですね。」

 

[柊斗]

「今の時代カメラあるんだから自分の走ってる姿撮ってもらってそれを何百何千何万と観ればいいんだよ。絶対何かわかるからな。」

 

[葵]

「……。」かきかき

 

[たづな]

「終わりましたか?では最後に『ウマ娘にとってレースとは何か』、『ウマ娘にとって走る意味』について全員で話し合ってもらいます♪」

 

[柊斗]

「また変わったお題だな。」

 

[沖野]

「レースとは何か……走る意味……むずいな。」

 

[東条]

「こういうのは当事者が一番理解してるでしょ。ね、先輩?」

 

[柊斗]

「レースに関しては一言で済むが、走る意味ね〜……正直わからん。ウマ娘全員が同じ事を思ってるわけじゃないからな。家族の為、自分の為、お金の為、色んな奴がいる。何故トレーニングをするかって言われたらそりゃ勝つ為だろう。何故走るかって言われたら必ず同じとは言えねえ。」

 

[南坂]

「流石走ってきた人は言うことが違いますね。」

 

[葵]

「なら柊斗さんは何故走ったのですが?」

 

桐生院の言葉にこの場にいる人全員が柊斗に視線を向ける。

 

[柊斗]

「……アイツの為だな。」

 

[葵]

「アイツ?」

 

[柊斗]

「俺の後輩だ。俺がトレーナー目指してた時、そのウマ娘が入学してきたんだ。ソイツは片脚が弱くてな、でも滅茶苦茶速かったんだ。万全な状態だったら間違い無く日本で最強最速のウマ娘だったな。そのウマ娘は三冠獲ったらアメリカに行く予定だったんだがダービーで1着獲った後に破傷風って怪我を負ってな、そのまま引退したんだ。戦績は10戦10勝、無敵のウマ娘だ。あの時病院で横になってた時の顔は今でも覚えてる。そん時に頼まれたんだ。」

 

[???]

『私の代わりに……私の……日本の夢を叶えて下さい……。』

 

[柊斗]

「ってな。そっからはトレーナーの勉強を中止してひたすらトレーニングしたぞ。飯食わない日もあったし、寝ない日もあったな。明らかにオーバーワークってレベルのトレーニングしてたって思う。怪我しても放置で、永遠と走ってた。そのお陰で今の戦績になったって感じだ。」

 

[葵]

「そうだったんですか……。」

 

[柊斗]

「ソイツは今普通に仕事して、かなり上の役職についてるぞ。」

 

[東条]

「なんか先輩って行動力ありますよね、やり過ぎですけど。」

 

[柊斗]

「だろ?」

 

[東条]

「褒めてないです。」

 

[たづな]

「あの時は大変でしたよ、主に止める方で。当時の理事長が『これ以上トレーニングするのは禁止ですッ!!』って言ったら柊斗さんってば『黙れ、今すぐその口を閉じろ。』なんて言うんですから。」

 

[トレーナー達(引いてる)]

「うわぁ……。」

 

[柊斗]

「……まああれだ、あの時はおかしかったと自分でも反省してるぞ。あの後理事長の所行って謝ったら7時間くらい説教食らったぞ。あの人どんだけ喋んだよマジで。」

 

[たづな]

「あの時怖かったんですよ!?あの人ただでさえ怒らせたらダメな人だったのに……。」

 

[やよい]

「うむ、あれは確かに恐怖であったッ!!」

 

[沖野]

「あれ、理事長とたづなさんは知ってるんですか?」

 

[たづな]

「当時から学園にいましたので♪」

 

[やよい]

「私は理事長見習いだッ!!」

 

[柊斗]

「因みにその時の理事長はやよいちゃんのお母さんな。」

 

[トレーナー達]

「……は?」

 

トレーナー全員が固まる。まあ無理もないだろう。なんせ喧嘩を売った相手が今の理事長の母親だからである。

 

[柊斗]

「ほれ、さっさと会議終わらせるぞ。早くあいつらの練習見たい。」

 

[たづな]

「そうですね、他の方々も同じでしょうし終わりにしますか。ではこれで会議を終わります♪」

 

[柊斗]

「は~いお疲れさまでした~。待ってろ担当共ォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

[たづな]

「廊下は走っちゃだめですよ~!!」

 

その言葉を無視して柊斗は走り去ってしまった。

 

[南坂]

「個性的な人でしたね……。」

 

[沖野]

「あれでもウマ娘第一の人だからな。あれはあれで参考になるぞ、所々真似したらダメなやつあるけど。」

 

[東条]

「さて、私達もそろそろ行きましょうか。メンバーを待たせてるわ。」

 

ぞろぞろとトレーナー達が自分のチーム、担当の所へ向かって行く。

 

[たづな]

「……。」

 

たづなは柊斗の話を聞いて過去の事を思い出していた。10戦10勝のウマ娘は過去のたづな、トキノミノルだった。

 

[たづな]

(私は今でも覚えてますよ……あなたが私に言った言葉。)

 

『走ることの出来ないウマ娘に出来る事ってあるんですか……?』

 

『夢のない私に出来る事ってあるんですか……?』

 

『教えてくださいよ……先輩……。』

 

『……ならさ、ウマ娘たちを導くウマ娘になればいいだろ。』

 

『トキちゃん、理事長秘書になればいいんじゃねえか?そうすればウマ娘と関わりながらそれに関する仕事も出来るぞ。』

 

[たづな]

(私の夢は……ウマ娘達を万全な状態で、夢に向かって駆けられるようにすること。)

 

[やよい]

「たづなよッ!!」

 

[たづな]

「どうかしましたか秋川理事長?」

 

[やよい]

「……っふ、何でもないぞ!!」

 

[たづな]

「何ですかそれ。」

 

[やよい]

「うむ、私達も仕事に戻ろう。」

 

[たづな]

「……はい!」

 

 

 

━━トレーニングコース━━

 

[マックイーン]

「ハァ……ハァ……。」

 

[ルドルフ]

「ふむ、1度休憩を挟もう。」

 

[オグリ]

「お腹が空いたな……。」

 

[シービー]

「ねえルドルフ〜、並走しない〜?」

 

[ルドルフ]

「水分補給してからならいいぞ。」

 

[柊斗]

「いぇ〜いちゃんとトレーニングしてるぅ?」

 

[マックイーン]

「トレーナーさん!?」

 

[柊斗]

「はいは〜いみんなのトレーナー柊斗さんだぞ☆」

 

[シービー]

「柊斗の喋り方なんか合わないね。正直ウザイよ。」

 

[柊斗]

「おいシービー、それは言っちゃダメなやつだぞ。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君、もう会議は終わったのかい?」

 

[柊斗]

「ああ、会議って言っても定期報告して適当に話し合いした程度だけどな。で、マックイーンの方はどうだ?」

 

[オグリ]

「今はいい感じだ。それよりもお腹が空いたぞ。」

 

[柊斗]

「食堂いって下さい。」

 

[シービー]

「まあようやく本題ってとこかな?まあアタシは楽しく走れればいいからわからないけどね。」

 

[柊斗]

「まあ進歩があるなら結構。その調子で頑張ってくれ。あ、ケガしないように。」

 

[マックイーン]

「分かりましたわ。」

 

[柊斗]

「マックイーンの班は大丈夫そうだからテイオーの所にでも行ってくるか。」

 

[ルドルフ]

「了解した。」

 

柊斗はテイオーの所へ走っていき、ルドルフ達は練習を再開した。

 

 

 

 

 

[テイオー]

「ぷはぁ!ハチミーおいしー!」

 

[ブルボン]

「このハチミーと言う飲み物、甘くて飲みやすいです。今後の練習後に飲んでみましょう。」

 

[ライス]

「うぅ~甘い~。」

 

[柊斗]

「♪♪♪♪〜〜。」

 

[テイオー]

「あ!トレーナー!」

 

[柊斗]

「テイオーお疲れ。ブルボンとライスもありがとな。」

 

[ブルボン]

「マスターの命令『坂路トレーニング』完了しました。」

 

[柊斗]

「何往復した?」

 

[ライス]

「えっと……何往復かな?」

 

[柊斗]

「……まあ見た感じかなり走ってたっぽいな。お疲れ様。」

 

[テイオー]

「ねえねえトレーナー!休憩したらあと1本走っていい?」

 

[柊斗]

「う〜ん……1本だけな?それ以上はダメだ。」

 

[テイオー]

「りょーかーい!!」

 

[ブルボン]

「マスター、私にもトレーニングの許可を。」

 

[ライス]

「ライスも走りたい、かな。」

 

[柊斗]

「んじゃ2人も1本だけだぞ。終わったら帰るからな。」

 

[ブルボン]

「了解です。マスター。」

 

[ライス]

「う、うん!」

 

数分すると、テイオーを先頭に走っていく。その姿をじっと見ながら今後の予定を立てていく。

 

 

 

 

━━午後6時━━

 

[柊斗]

「お前らお疲れ。もう6時だから帰って大丈夫だぞ〜。」

 

[ルドルフ]

「私はまだ生徒会の仕事があるからな。まだ残る。」

 

[シービー]

「待ってる。」

 

[テイオー]

「ねえトレーナー。」

 

[柊斗]

「ん?」

 

[テイオー]

「トレーナーの親ってどんな人なの?」

 

[柊斗]

「俺の親?」

 

[シービー]

「確かに気になるね。実際にスゴイウマ娘だったりするの?」

 

[柊斗]

「俺の親は普通の人間だぞ。祖母が海外のウマ娘だった。実質俺はハーフだな。」

 

[ルドルフ]

「ふむ、君の祖母はそれだけ素晴らしいウマ娘だったのだろう。」

 

[柊斗]

「ルドルフとシービーは知ってるやつだけどな。」

 

[シービー]

「そうなの?」

 

[柊斗]

「おう、てか他の奴らも名前だけなら聞いたことある。」

 

[マックイーン]

「どんな方でしたの?」

 

[柊斗]

「え、秘密。」

 

[全員]

「は?」

 

[柊斗]

「秘密で~す。あ、因みに本人の許可がないと教えられないからな。」

 

[テイオー]

「む~なら仕方ないか~。」

 

[マックイーン]

「気になりますわね……。」

 

[柊斗]

「だけどマジでお前ら知ってるやつだからな。」

 

[オグリ]

「そうなのか、ふむ。」

 

[ブルボン]

「気になりますね。」

 

[ライス]

「ライスも気になる、かな。」

 

[柊斗]

「ヒントを与えると最初の文字は『エ』だ。んじゃ教えたから帰れよ~。」

 

[ルドルフ]

「最初の文字が『エ』……か。ありがとう。」

 

ヒントを教えたところで解散し、それぞれ家や寮に帰っていった。

 

 




皆さんこんにちは作者です。6話投稿しました。次のウマ娘は時間軸飛ばします。


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第7話

今回ちょっとシリアス要素ありです。許して。あと完全に妄想なんで嫌な方飛ばしてええどす。あ、アンケートは答えて下さいお願いします。次回から本格的に入ります。


メイクデビューから、無事無敗でジュニア級を制したテイオーとマックイーン。今日は年明けという事でトレーニングはオフである。

 

[柊斗]

「……。」

 

この男、村雨柊斗は今日もトレセン学園で仕事をしていた。主にこれからの予定についいてである。

 

[柊斗]

「……よし、終わり。」

 

[シービー]

「あ、終わった?」

 

[柊斗]

「ああ、終わったぞ。」

 

[シービー]

「そっか♪それじゃあご褒美の、投げキッス๑´ ³`)ノ〜♥」

 

[柊斗]

「ハイハイウレシイウレシイ。」

 

[シービー]

「棒読みじゃん!もう……。」

 

[柊斗]

「すまんすまん、ちょっとお使い頼んでいい?」

 

[シービー]

「いいよ〜!」

 

[柊斗]

「それじゃあちょっと飲み物買ってきてくんね?シービーのも買っていいから。」

 

[シービー]

「わかった!!」

 

柊斗はシービーにお金を渡すと、すぐに部屋を出ていった。

 

[柊斗]

「シャワー浴びるか。」

 

 

 

 

[シービー]

「ん〜どれにしよっかな〜。」

 

[ルドルフ]

「おや、シービーじゃないか。」

 

[シービー]

「やっほールドルフ。生徒会は?」

 

[ルドルフ]

「エアグルーヴとブライアンに休みを取れと言われてしまってな、早めに切り上げたのさ。」

 

[シービー]

「ほえ〜大変だね。ジュースいる?」

 

[ルドルフ]

「ふむ、では頂こうかな。」

 

シービーはお金を取り出し、コーヒーを2缶買った。

 

[ルドルフ]

「ありがとう。」

 

[シービー]

「柊斗は何が好きかな。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君かい?恐くだが、緑茶が好きだと思うぞ。」

 

[シービー]

「そうなの?」

 

[ルドルフ]

「この前トレーナー君の部屋に訪れたのだが、その時冷蔵庫に緑茶がびっしり入っていてね。」

 

[シービー]

「ほぼ確定じゃん。それじゃあそれでいいか。」

 

シービーは緑茶を買い、それを左手で持つと柊斗の部屋へ向かって歩き出す。その横を流れでついて行くルドルフ。

 

 

 

 

 

[シービー]

「帰ったよ〜ってあれ、いない。」

 

[ルドルフ]

「この音は……彼はシャワーを浴びているようだね。」

 

[シービー]

「シャワー浴びるなら言ってくれれば良かったのに……一緒に入ってあげたのに。」

 

[ルドルフ]

「生徒会長としてそれは認められないぞ?」

 

[シービー]

「本当は自分も入りたいのに?」

 

[ルドルフ]

「っ!?」

 

[シービー]

「ルドルフ顔真っ赤だよ?どうしたのかなぁ〜?」

 

[ルドルフ]

「な、なんでもないッ!!」

 

[柊斗]

「あ?お前ら来てたのか。」

 

[シービー]

「あ、柊斗上がったん……だ……。」

 

[柊斗]

「うん?どうした?」

 

[ルドルフ]

「と、トレーナー君///その……だな……///」

 

[柊斗]

「どうした?顔赤いぞ?」

 

柊斗は気になりながら2人の方へ歩いていく。

 

[シービー]

「しゅ、柊斗!!///そのまま来ちゃダメ!!///」

 

[柊斗]

「そのまま?」

 

柊斗はさっきまでの事を考えた。

 

シャワーを浴びる→2人が来る→出てくる→2人が焦る。

 

柊斗はそうじゃないことを祈りながら下を見ると……

 

[柊斗]

「……。」

 

見事に履いていなかった。

 

[柊斗]

「ま、いっか。」

 

[ルドルフ/シービー]

「「良くないッ!!//」」

 

柊斗は来客が来る前にすぐに下着を履いて、軽装を纏った。と言っても、タンクトップに本当短いズボンだけだったが。

 

[シービー]

「その服装と容姿だと完全に痴女だね。」

 

[柊斗]

「痴女ちゃうわ。」

 

[ルドルフ]

「ならもう少し別の格好をしないか?」

 

[柊斗]

「嫌だね。俺はこの服装だけで十分だ。もしこれで襲ってくる男がいたらホモ認定してやる。」

 

コンコン

 

 

[柊斗]

「どうぞ〜。」

 

ガチャ

 

[???]

「失礼します……。」

 

扉が開き入ってきたのは、真っ黒、厨二病?とやらで漆黒って名前のつきそうなほど黒い髪を持ち、白いアホ毛が生えており、その目は吸い込まれそうな瞳を持っていたウマ娘だった。

 

[柊斗]

「どちら様で?」

 

[ルドルフ]

「彼女はマンハッタンカフェだ。」

 

[カフェ]

「生徒会長に、シービー先輩……どうも……。」

 

[柊斗]

「俺は村雨柊斗だ。チームハダルのトレーナーで一応こいつらのトレーナーをしている。」

 

[カフェ]

「お友だちから聞きました……。」

 

[柊斗]

「お友だち?」

 

[シービー]

「カフェには他の人には見えない物見えるんだって。」

 

[柊斗]

「あれか?幽霊的なやつか?」

 

[シービー]

「そんな感じ。」

 

[カフェ]

「あなたの後ろに……お友だちがいます。」

 

[柊斗]

「後ろ?」

 

柊斗は後ろを見るが、そこには誰もいなかった。

 

[柊斗]

「そのお友だちとやらは、どんな姿なんだ?」

 

[カフェ]

「私に似ています……。」

 

[柊斗]

「カフェに似ているウマ娘……………………あ、1人いたわ。」

 

[カフェ]

「そうですか……貴方が何故かここに来たがっていたのかわかりました……。」

 

[柊斗]

「まあアイツは負けず嫌いだったからな。ことある事に突っかかってきてたからな。」

 

[カフェ]

「突然入ってすみません……では失礼します……。」

 

[柊斗]

「ちょっと待ってくれ。」

 

カフェは扉から出ようとするが、柊斗がそれを止める。

 

[カフェ]

「どうかしましたか……?」

 

[柊斗]

「アイツは早いぞ?」

 

[カフェ]

「……ええ、とっても……。」

 

カフェはそう言って出ていった。

 

[柊斗]

「結構そっくりだったな。」

 

[シービー]

「そんなに?」

 

[柊斗]

「ああ。多分映画とかで代役頼まれてもおかしくないレベルで。」

 

[ルドルフ]

「そこまで似ているのか。名前は?」

 

[柊斗]

「サンデーサイレンスだ。」

 

[ルドルフ]

「サンデーサイレンスだと!?」

 

[シービー]

「大物だねぇ〜。」

 

[柊斗]

「そういえばシービー、飲み物は?」

 

[シービー]

「はい緑茶。」

 

[柊斗]

「サンキュー。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君。」

 

[柊斗]

「ん?」

 

[ルドルフ]

「今日の予定は知っているかい?」

 

[柊斗]

「え、自由なんじゃねえの?」

 

[ルドルフ]

「それが新年という事で、どうやら今日は学園主催の祭りをするらしいんだ。」

 

[柊斗]

「え、何それ聞いてない。」

 

[ルドルフ]

「実は私も今日聞いてな。それでトレーナー君に聞いてみいたって事さ。」

 

[柊斗]

「祭りか……祭りって何やればいいんだ?」

 

[ルドルフ]

「中には屋台をやる者もいるぞ。」

 

[柊斗]

「えぇ~俺なんも準備してない……。やれるの精々歌ぐらいなんだが……。」

 

[シービー]

「いいんじゃない?どうせなら今聞きたいかな?」

 

[ルドルフ]

「私も同感だ。」

 

[柊斗]

「ん~ダメ。何歌うか決めてないから。」

 

[シービー]

「おねがい……。」(๑o̴̶̷᷄﹏o̴̶̷̥᷅๑)

 

[柊斗]

(そんな顔するなよ……可愛いなお前。)

 

[柊斗]

「でも歌わんぞ。」

 

[シービー]

「そんなぁ……。」

 

[柊斗]

「……。」

 

[シービー]

「……。」(๑o̴̶̷᷄﹏o̴̶̷̥᷅๑)

 

[柊斗]

「……1曲だけだぞ。」

 

[シービー]

「本当!?」

 

[柊斗]

「ああ……。」

 

[シービー]

「やったー!!それじゃあさ、これ歌って!!」

 

[柊斗]

「……お前これ俺が今日歌おうとしてたやつじゃねえか。」

 

[シービー]

「本当!?それじゃあ歌って!!」

 

[ルドルフ]

「どんな歌だい?」

 

[シービー]

「━━━ってやつ。最近見つけてこれいいなぁって思ってんの。」

 

※選んだ理由は最近作者がその曲がOPのゲームを久しぶりにやったから

 

[ルドルフ]

「聞いた事ない曲だな。是非聞かせて欲しい。」

 

[シービー]

「それじゃあカラオケ設定するからちょっと待ってね。」

 

シービーが設定をしている途中、柊斗は声を男にしていた。元の声が女性に近い為、変えなければいけないのだ。

 

[シービー]

「はい準備出来たよ〜。それじゃあルドルフ電気消して。」

 

[ルドルフ]

「了解した。」

 

ルドルフは電気を消して、シービーの隣に座る。

 

ピンポンパンポーン

 

[たづな]

『村雨柊斗さん、村雨柊斗さん、至急理事長室までお越しください。』

 

[三人]

「…………。」

 

[柊斗]

「……なんかすまんな。」

 

[ルドルフ]

「……まあ仕方ないさ。たづなさんに呼ばれてるんじゃ。」

 

[シービー]

「うぅ……もうちょっとだったのにぃ……。」

 

[ルドルフ]

「その代わり━━━が見れたからいいじゃないか。」

 

[柊斗]

「おい本人の前で言うな。」

 

[シービー]

「……それもそっか!!」

 

[柊斗]

「何故そこで嬉しがるシービー。お前らの方がよっぽどちzy━━」

 

[ルドルフ/シービー]

「「なんか言った?」」

 

[柊斗]

「……なんでもない。んじゃ行ってくるわ。」

 

柊斗は部屋を出て理事長室へ向かっていった。そして2人は思った。

 

[ルドルフ/シービー]

「「あの服装大丈夫かな……ま、いっか。」」

 

 

 

 

 

━━理事長室━━

 

ガチャ

 

[柊斗]

「はーい呼ばれて参上村雨さんだぞ☆(棒)」

 

[たづな]

「来て下さりありがとうございます♪ですがその服装はちょっと……。」

 

[柊斗]

「少し前にシャワー出たばっかだからな。しゃーない。」

 

[やよい]

「感激ッ!!中々良い筋肉のつき方をしているなッ!!」

 

[柊斗]

「そりゃあ他の連中よりも鍛えてますから。あとジロジロと見てくるな。」

 

[やよい]

「それはすまなかったッ!!」

 

[たづな]

「それで呼んだ理由なんですけど、柊斗さんのチームにサブトレーナーを就けようと思いまして。」

 

[柊斗]

「サブトレ?まあ仕事量減るから嬉しいっちゃ嬉しいけど、誰がやるか決めてんの?」

 

[たづな]

「はい♪もう隣の部屋にいます♪入ってきて下さ〜い♪」

 

ガチャ

 

[???]

「……。」

 

[柊斗]

「……。」

 

入ってきた白髪短髪で黄色の瞳を持った女性は、柊斗を見ると急に黙り、柊斗もその女性を見て黙り始めた。

 

[たづな]

「今回サブトレーナーに就いて貰う、『ホワイトカリ』さんです♪」

 

[柊斗/ホワイトカリ]

「「パスで。」」

 

[たづな]

「せめてもう少し考えてくださいよ〜。」

 

[柊斗]

「いやだって、たづなさんうちらの関係知ってるでしょ。」

 

[たづな]

「知ってますけど、話し合う時は結構仲良かったじゃないですか。」

 

[ホワイトカリ]

「その時はその時よ。にしても、前からあんまり変わんないじゃない。少し柔らかくなった程度かしら?」

 

[柊斗]

「俺だって歳取りゃ変わるさ。んで、真面目な話どうすんだ?」

 

[ホワイトカリ]

「そうね……最初はお試しって感じでいいかしら?元々私は医療方面で来たわけだし。」

 

[柊斗]

「そうか。んじゃ今から担当等に挨拶行くぞ。」

 

[ホワイトカリ]

「案内頼むね。」

 

[たづな]

「それでは頑張ってくださいね♪」

 

柊斗とホワイトカリは理事長室を出ていった。

 

[たづな]

「最大のライバル同士……これからどうなっていくか楽しみです♪」

 

 

 

━━柊斗side━━

 

[ホワイトカリ]

「あ、そうそう。これから私の事人の名前で呼んでね。」

 

[柊斗]

「そうか?なんて名前だ?」

 

[遥]

「舘 遥(たち はるか)よ。」

 

[柊斗]

「遥な、了解。」

 

新しい名前を知ってからは、今まで何してたかとかの雑談をしながら歩いて行った。

 

 

━━トレーナー室━━

 

[柊斗]

「はーい戻りましたー。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君おかえり……誰だいその女性……?」ハイライトoff

 

wow帰ってくると早速ハイライトが消えました〜。そして何故シービーまで消える。

 

[柊斗]

「今日からサブトレのお試しに来た知り合いだ。」

 

[シービー]

「知り合い?もしかしてアタシは遊びだったノ?本命はその女?嘘だよね?」ハイライトoff

 

[柊斗]

「こいつとはそんな関係じゃねえよ。マジで。」

 

[シービー]

「……そっか。」

 

[遥]

「舘遥よ。一応柊斗と同じ元ウマ娘で、現役はホワイトカリって名前で走ってたわ。」

 

[ルドルフ]

「ホワイトカリ……確かトレーナー君と何度も勝負して、お互い勝ち負けを繰り返し、白いカリスマと呼ばれたウマ娘か?」

 

[遥]

「そ。そのホワイトカリよ。」

 

[シービー]

「へーて事は、柊斗のライバルって感じ?」

 

[柊斗]

「まあそうだな。ま、仲良くしてくれ。俺はちょっとコーヒー買ってくる。」

 

[シービー]

「お茶は?」

 

[柊斗]

「貰ったやつはもう飲んだし、冷蔵庫にあるのは緑茶に見せかけたウォッカだし。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君ってもしかしてかなりの酒豪かい?」

 

[柊斗]

「そんなにだぞ。飲みたい時に飲む程度だし、大量はあまり飲まんからな。そうだ遥、なんかいるか?」

 

[遥]

「私はコンビニで買ったフルーツオレがあるからいいわ。」

 

[柊斗]

「そうか。んじゃ、他の奴ら来たら説明してくれ。」

 

バタンッ

 

[遥]

「さて、君達には学生時代のアイツについて話そうか。」

 

[2人]

「是非。」

 

そこから、柊斗の学生時代の出来事から黒歴史、全てを暴露された。

 

 

 

━━数分後━━

 

[柊斗]

「あら、コーヒーねぇな。代わりにカフェオレでも飲むか。」

 

チャリンッ ガッコン

 

[柊斗]

「……部屋帰ったら寝ようかな。」

 

そう言って柊斗はトレーナー室へ歩いて行った。

 

 

 

 

━━シービーside━━

 

[遥]

「そういえば、君等柊斗の目について聞いた?」

 

[シービー]

「目?」

 

[遥]

「隠れてる左目について。」

 

[ルドルフ]

「左目については何も言われてないな。ただ怪我対策にかなり力を入れてるなとは思っている。」

 

[遥]

「知らないなら言っておくけど、柊斗の左目は怪我で隠してるのよ。」

 

[シービー]

「そうなの!?」

 

私は知らなかった……柊斗は髪が長いからそういう風にしてるだけだと思ってけど……。

 

[遥]

「どうせなら見せてあげる。柊斗が何故隠してるのか、何故怪我に対してあんなに敏感なのかを。」

 

遥はタブレットを出して一つの動画を流し始めた。それはオープン特別の時のレースだった。

 

[実況]

『今、スタートしました。いいスタートダッシュを決めたのは二番人気ノヴァ。一番人気ホワイトカリは後方からのスタートです。』

 

[解説]

『これはお互い理想的な形ですね。今日はどちらが勝つのでしょうか。』

 

[遥]

「このレースは私は柊斗、他のチームメンバーも出てたレースなのよ。距離は3600メートルの左回り。」

 

[ルドルフ]

「今の所特に変わった点はないが?」

 

[遥]

「もうそろそろね。」

 

[シービー]

「……。」

 

[実況]

『おぉと!?ノヴァペースが上がっていっている!!この速度で最後まで持つのか!?』

 

[解説]

『彼のスタミナは無尽蔵ですからね。このままいくかもしれません。』

 

[遥]

「少し飛ばすわね。」

 

遥はタブレットに触れ、動画を少し飛ばす。

 

[実況]

『まもなく第四コーナー。ホワイトカリが上がってきている!!先頭はノヴァのまま!!このまま行ってしまうのか!!』

 

[ノヴァ]

『っ!?』

 

フラッ……

 

[ルドルフ/シービー]

「「!?」」

 

[遥]

(分かったみたいね。)

 

[実況]

『ノヴァの動きがおかしいぞ!?走りが安定していません!!』

 

バタンッ!!

 

[ルドルフ/シービー]

「「トレーナー君!!(柊斗!!)」」

 

[実況]

『ノヴァが転倒しました!!ノヴァに故障発生です!!』

 

ノヴァは時速75kmで転倒し、そのままコースの枠へ衝突した。しかも顔から。走ってたウマ娘達は、何人かはそのまま走っていったが、1部のウマ娘はノヴァの介護をしていた。

 

[ホワイトカリ]

『大丈夫かノヴァ!?』

 

[ノヴァ]

『……。』

 

[???]

『救護班早く!!少し見せろ。』

 

???は柊斗に顔を見せるように指示する。

 

[???]

『酷いな……頭からの出血に左目に強い衝撃と異物混入。脚は━━』

 

[ノヴァ]

『多分右脚は完全に逝ったな……左も多分ヒビが入ってるかも……。』

 

[ホワイトカリ]

『起きたのか!?よかった……。』

 

[???]

『正直今の状態はかなり不味い。もう少しで救護班が来る筈だ。そのままにしてた方がいい。』

 

[ノヴァ]

『いや……ゴールするぞ。』

 

[ホワイトカリ/???]

『『はあ!!??』』

 

[???]

『絶対ダメだ!!これ以上脚に負担掛けたら確実に歩く事さえ出来なくなる!!』

 

[ノヴァ]

『俺は這ってでも行くぞ……ゴールがある以上、絶対に。』

 

[ホワイトカリ]

『はぁ……本当に馬鹿ね。』

 

そう言いながら、ホワイトカリは柊斗に肩を貸す。

 

[???]

『……しょうがないな。私も肩を貸すぞ。』

 

[ノヴァ]

『サンキューな……。』

 

ノヴァは2人に助けられながらもゴールした。その瞬間、沢山の拍手が起きた。

 

[遥]

「こんな感じね。あの後病院に行って、脚はギリギリ治ったわ。正直、柊斗のバカみたいな量のトレーニングがなかったら間違いなく治らなかった。顔は傷跡が少し残る程度で治まった。だけど目は……。」

 

[シービー]

「治らなかったの……?」

 

[遥]

「……ええ。予想以上に目に土や芝が入って、その上打撲に切り傷。それに加えて柊斗の無茶、それで目に負担をかけすぎた性で治らなくなったのよ。」

 

[ルドルフ]

「そんな……。」

 

[遥]

「だからね……貴方たちや担当達にお願いがあるの。」

 

[遥]

「どんな事があっても、柊斗の傍にいてあげて。」

 

[シービー]

「……うん!!」

 

[ルドルフ]

「勿論です……彼を知っている者として、全力を尽くします。」

 

[遥]

「そっか……それじゃあ暗い話はお終い!!気分を変えましょうか。」

 

[シービー]

「そういえば、柊斗って昔どんなウマ娘だったの?」

 

[遥]

「そうね……努力を怠らず、常に勝利を目指し、他者の力になるウマ娘って感じね。あとは……挑発されたら同じか倍返しで、ヤジを飛ばす観客には容赦しないって感じだったわ。誰だったかしら……確かライスシャワーって子がブーイング受けてる時『こいつら焼き入れてくるわ』って言ってたわね。」

 

[シービー]

「柊斗らしいね……でも優しいから。」

 

[遥]

「柊斗は生粋のウマ娘バカだからね。いつも仕方ないで済ましてたわ。」

 

ガチャ

 

[柊斗]

「戻りました~。」

 

[遥]

「お帰り~。あ、柊斗の学生時代の全て話しといたから。」

 

[柊斗]

「あ、ふ~ん。」

 

[遥]

「……なんか反応薄くない?」

 

[柊斗]

「別に恥ずかしいこととかねえしな。どうせ怪我の事も言ったんだろ?」

 

[遥]

「勿論。担当である以上、トレーナーの事を知っておかないとね。それよりも、その左目どうなったの?」

 

[柊斗]

「あれ、言ってなかったっけ。」

 

[遥]

「だって貴方、見せてくれないし、なんかはぐらかすじゃない。」

 

[柊斗]

「見せてもいいが、本当にいいのか?」

 

3人は頷く。柊斗はため息をつきながら髪をずらした。

 

現れたのは、結膜、虹彩、角膜が黒くなっており、瞳孔が赤くなった目だった。

 

[柊斗]

「見ての通り、左目はもう完全に使えない。中でも出血して、腐ったりしたのを無理やり止めたせいでこのザマだ。」

 

[柊斗]

「だからルドルフとシービーも、あまり無茶は━━」

 

[ルドルフ/シービー]

「「トレーナー君!!(柊斗!!)」」

 

柊斗は言っている途中、ルドルフとシービーに抱きつかれた。

 

[ルドルフ]

「トレーナー君……その約束、必ず守る……だからトレーナー君も、無茶はしないでくれ……。」

 

[シービー]

「柊斗……柊斗は凄いよ……どんな事があっても他人の為に動くなんて……。」

 

[柊斗]

「お前ら……分かった。」

 

[遥]

「あらあら、現役女子高生に抱きつかれてるなんて、こりゃ見つかったらヤバいね。通報してあげようかしら?」

 

[柊斗]

「いくら貯金があるとはいえ流石に無職になるのはマズいからやめてくれ。」

 

[シービー]

「クビになったらアタシが養ってあげるよ。貯金ならあまり使ってないから沢山あるし。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君、クビになったら私が生徒会役員として雇ってあげよう。」

 

[柊斗]

「頼むからクビ前提で話を進めないでくれ。」

 

[遥]

「まあ柊斗がクビになったら私が専業主婦として養ってあげるよ。」

 

[柊斗]

「話聞いてました?」

 

[シービー]

「柊斗の正妻はアタシ!!」

 

[ルドルフ]

「いや、私だ。」

 

[遥]

「なら愛人にでも立候補しようかな?」

 

[柊斗]

「もういいや……。」

 

ガチャ

 

[テイオー]

「トレーナー!!遊びにきたよー!!」

 

[柊斗]

「あ、\(^o^)/オワタ」

 

[テイオー]

「トレーナー?ソノオンナダレ?」ハイライトoff

 

[ルドルフ]

「テイオー、彼女は舘遥さん。このチームのサブトレーナーになった人だ。そしてトレーナー君と共に勝負しあったウマ娘だ。」

 

[テイオー]

「そうなの?僕はトウカイテイオー!夢は無敗の三冠ウマ娘!」

 

[遥]

「よろしくねトウカイテイオー。」

 

[テイオー]

「トレーナー、僕と一緒に買い物行かない?」

 

[柊斗]

「いいぞ。」

 

[シービー]

「お使い頼んでいい?」

 

[柊斗]

「何だ?なんかほしいのあんのか?」

 

[シービー]

「お菓子♪柊斗がよさそうだと思ったので♪」

 

[柊斗]

「はいはい適当な。」

 

[ルドルフ]

「私は必要ない。」

 

[遥]

「同じく。」

 

[柊斗]

「ほいよ。テイオー、車か歩きどっちがいい?」

 

[テイオー]

「歩きがいい!早く行こ!」

 

[柊斗]

「んじゃ行くか。」

 

ガチャン

 

柊斗とテイオーが部屋を出ていくと、入れ違いでブルボンとライスが入ってきた。その時の反応は……まあ察してください。

 

 

 

 

 




みなさんこんにちは作者です。ウマ娘、次回から本格的にストーリー入ります。なのでアンケートお願いします。あと4月から働くので遅くなります。


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第8話

みなさんこんにちは作者です。最近ハマってるアニメは星のカービィーです。多分今回性格改変タグ有り?


 

━━4時30分━━

 

[柊斗]

「ふわぁ~……。」

 

現在4時半。この時間に柊斗は目を覚ます。そして朝食と昼食を作り、テレビを点ける。

 

[柊斗]

「どのチャンネルもダービーの話ばっかだな。」

 

テイオーは少し前に皐月賞に出走し、無事一位を取ることが出来た。テイオーの憧れ、シンボリルドルフと同じ無敗の三冠を目指しており、テイオーもその道を進んでいる最中である。

 

[柊斗]

「テイオーが参戦する日本ダービーにはそこそこの実力があるウマ娘が出る筈。ちょっとばかし本格的にやるか?」

 

そんなこと言いながら、シービーの部屋に向かう。

 

[柊斗]

「シービー、おはようの時間だぜ。」

 

[シービー]

「……んん~?おふぁよ~。」

 

 

 

[柊斗]

「おう、おはよう。とりあえず朝食は作ってあるからそれ食べてくれ。俺は少し走ってくる。」

 

[シービー]

「わかった~。いってらっしゃ~い。」

 

柊斗は服を着替え、ランニングをしに外へ出て行った。

 

 

━━約一時間後━━

 

ガチャ

 

[柊斗]

「ふぅ……ん?」

 

柊斗は足元を見て、気になることがあった。

 

[柊斗]

「誰か来てんのか?」

 

玄関に柊斗とシービー以外の靴があるのである。それも2つ。

 

[柊斗]

「不審者……いやトレセンの靴だな。誰だ?」

 

柊斗はリビングへ向かい、扉を開ける。

 

[柊斗]

「……ルドルフと……誰だ?」

 

[シリウス]

「シリウスシンボリだ。アンタがルドルフのトレーナーか。」

 

[柊斗]

「シリウスシンボリ……お前ら従兄弟か何かか?」

 

[ルドルフ]

「彼女とは幼馴染でね……朝あったから一緒に来たわけさ。」

 

[柊斗]

「敢えて家に来た理由は聞かないでおくが、飯食ったのか?」

 

[ルドルフ]

「勿論食べてないさ。何せ来た理由は手料理を食べに来たからね。」

 

[柊斗]

「それを堂々と言うの流石だわ。シリウスシンボリは?」

 

[シリウス]

「シリウスでいい。私も食べてはいないぞ。元々食堂で食べるつもりだったしな。」

 

[柊斗]

「ウチの担当が迷惑かけたな。なら2人分追加か、シービー手伝え。」

 

[シービー]

「は〜い。」

 

 

 

 

 

少女手伝い中……

 

 

 

 

[ルドルフ/シリウス]

「「いただきます。」」

 

[柊斗]

「召し上がれ。飯食ったら取り敢えず台所に置いておいてくれ。ちょっくら車のエンジン温っめて来る。」

 

 

 

 

━━柊斗side━━

 

[柊斗]

「俺、シービー、ルドルフ、シリウスだから……4人か。だったらアッチの車にするか。」

 

そう言い、柊斗は駐車場に入る。するとそこには、青いR34と"IMPREZA"シートで隠された車があった。

 

そして柊斗はそのシートを剥がす。現れたのは34みたいに派手なステッカーはないが、装着されたエアロは派手な丸目のインプレッサだった。

 

 

【挿絵表示】

【挿絵表示】

 

 

※貼った写真をロールバーとステッカー取った姿です。

 

柊斗は車に乗り込み、エンジンをかける。

 

キュルキュルキュル ヴォンッ!!

 

[柊斗]

「この車ガソリンそんな入ってねぇじゃねぇか。学園行くついでに入れるか。」

 

━━5分後━━

 

[シービー]

「やあ、お待たせ。」

 

[柊斗]

「お、来たか。どうせならルドルフとシリウスも乗せてやるよ。」

 

[シリウス]

「随分と派手な見た目した車だな。隣の車の方がもっと派手だが。」

 

[柊斗]

「隣が引退記念、これが自分で弄った車だ。」

 

[ルドルフ]

「自分で買って、自分で改造したわけか。」

 

[シービー]

「ほんとっ柊斗ってお金持ちだよね。」

 

[柊斗]

「まあな。んでお嬢さん方、どうする?」

 

[シービー]

「アタシは助っ席乗るね♪」

 

[ルドルフ]

「では私達は後部座席に乗ろう。」

 

4人はそれぞれドアを開けシートに座る。そして早速シリウスからとある質問が。

 

[シリウス]

「なあ、アンタとシービーの席だけ違うのなんでだ?」

 

[柊斗]

「これは俺が付けたかったから付けただけだな。まあそれなりのメリットはあるけど、見栄え重視だと思ってくれ。んじゃ先ガソスタ寄ってから学園に行くからな。」

 

柊斗はエンジンを吹かしながら駐車場を出て、ガソリンスタンドへ車を進めていった。

 

 

 

━━ガソスタ━━

 

柊斗は場所に着くと慣れた手つきで給油し始めた。(給油に慣れもクソもあるかってツッコミは無しで♪)

 

[シービー]

「ねぇ柊斗、なんか道混んできてない?」

 

[柊斗]

「確かにな。どうする?ギリギリで着くか、出来るだけ早めに着くようにするか、どっちがいい?」

 

[シリウス]

「私は早めに着きたいな。」

 

[ルドルフ]

「私も同じ意見だ。それにしても驚いたぞシリウス。まさか君がそんなことを言うなんて。」

 

[シービー]

「ね〜。シリウスならギリギリの方選ぶと思ったんだけどな〜。」

 

[シリウス]

「アンタ達は私を何て思ってるんだ……。」

 

[ルドルフ/シービー]

「「問題児。」」

 

[シリウス]

「……。」

 

[柊斗]

「ひでぇなお前ら。」

 

まあ多方間違っては無いので否定できないシリウスだった。柊斗はその間にエンジンをかけ終えていた。

 

[柊斗]

「よし。んじゃ出発するけど、シートベルトしてるな?」

 

ガコッガコッ ヴォンヴォンッ!!

 

1速にギヤを入れると綺麗なスタートダッシュを決め、スラスラと車を避けて行った。

 

内心2人は……

 

『降ろしてくれええぇぇええええ!!』

 

そしてもう1人は……

 

『いやっほー!!』

 

と楽しんでいた。

 

 

 

 

━━所変わってトレセン学園━━

 

 

[遥]

「遅いわね……。」

 

[テイオー]

「ねー。トレーナーって何時も最初に部屋にいる筈なんだけど、カイチョーとシービー先輩もいないし。」

 

[マックイーン]

「そうですわね。来るまでテレビでも見ますか?」

 

[遥]

「そうね。それじゃあライスちゃん、テレビ点けてもらっていい?」

 

[ライス]

「は、はい……。」

 

ライスはリモコンを取るとテレビを点ける。

 

『速報です。現在高速道路で暴走行為をしている車両があると情報が入りました。空から中継が繋がっています。━━さん。』

 

『はい、━━です。現在空から中継しています。見てください。』

 

そして映し出されたのは、みんな知っているあの青い車だった。

 

[テイオー]

「なんか、トレーナーが乗ってる車に似てるねー。」

 

[遥]

「ん?」

 

[ブルボン]

「マスターの乗っている車とは色が少し違いますね。」

 

[遥]

「……。」

 

[マックイーン]

「どうかしましたの?遥さん。」

 

[遥]

「あのインプレッサ、柊斗の車よ。」

 

[ウマ娘達]

「ええ!?」

 

[ライス]

「お兄様って、車2台持ってるの?」

 

[遥]

「そうね。厳密に言えば、あの普段乗ってる34Rは引退した時に貰った車で、今映ってるインプレッサは柊斗が自分で買って自分で弄った車よ。」

 

[テイオー]

「トレーナーって、色んな車持ってるんだね。」

 

[遥]

「まあ車バカだし。」

 

『今度は後ろから黄色の車と赤色の車が追いかけていきました!』

 

[全員]

「は?」

 

全員が同じ反応をし、テレビを見る。映っていたのは1台は黄色い車で、平べったく、後ろにでっかいリアウィングが付いている車。もう1台は黄色い車とは違く、かなりシンプルに作られた車だった。

 

[遥]

「はぁ……また車バカって本当に集まりやすいんだから……。」

 

[ウマ娘達]

「?」

 

どうやら担当達はわからなかったようだ。あとお前が言うな。

 

 

 

 

━━変わってインプレッサ内━━

 

[柊斗]

「今この時間だと……まあ間に合うな。」

 

[シービー]

「思ったより早く着きそう?」

 

[柊斗]

「あぁ。……ん?」

 

柊斗はバックミラーに視線を移すと、赤と黄色の車が追いかけてきていた。

 

[柊斗]

「NSXと……7か。」

 

[シービー]

「知り合い?」

 

[柊斗]

「多分な。昔のチームメンバーだ。」

 

[シービー]

「確かかなり人数が多かったチームだっけ?」

 

[柊斗]

「まあな。んじゃ、そのまま行くぞ。」

 

柊斗は更にスピードを上げていった。そしてその後ろを2台が追走していった。

 

因みに後部座席の2人は……察してね?

 

 

 

━━7時30分━━

 

ウォン〜ウォンッ!!

 

[柊斗]

「本日は村雨特急インプレッサ号をご利用頂き、誠にありがとうございました。終点、トレセン学園でございます。お忘れ物が無いようにお願いします。」

 

[ルドルフ]

「やっと着いた……。」

 

[柊斗]

「どうした?気持ち悪いか?残念ながらこの車に袋はないんで外でお願いしますよ。」

 

[シリウス]

「アンタの車にはもう二度と乗らないぞ……こっちの身が持たない……。」

 

[柊斗]

「楽しいと思うけどな、なあシービー。」

 

[シービー]

「ね〜。」

 

[柊斗]

「んじゃ、今日も一日頑張りますか。」

 

全員車から降り、それぞれ目的の場所へ向かう。(2人はフラフラしてた。)

 

 

 

 

━━トレーナー室━━

 

[柊斗]

「ちゃ〜す。」

 

[遥]

「アンタ、随分派手にやったみたいね。」

 

[テイオー]

「トレーナー遅いよ〜!僕待ちくたびれちゃった。」

 

[柊斗]

「悪ぃな。今日は……オープンキャンパスか。で、オープンキャンパスって何だ?」

 

[ライス]

「お兄様……オープンキャンパスはね、今の小学生とかに学校を案内したりするんだよ?」

 

[柊斗]

「へ〜そんなんあったんだ。」

 

[遥]

「実際始まったのが、柊斗が海外遠征してる最中だったからね。知らないのも無理ないわ。」

 

[柊斗]

「何かめんどくせぇな。んなもん来たいやつ来ればいいのに。」

 

[オグリ]

「どうやら実力のある者が、この中央に集まるらしい。私もルドルフにそう言われ、『中央を無礼るなよ』と言われた。」

 

[柊斗]

「あらルドルフったらイケメンだけど怖い。」

 

[ルドルフ]

「だがオグリから返ってきたのは『ならば実力で覆す。常識も……ルールも!この脚で!』だった。」

 

[柊斗]

「オグリもイケメンじゃん。ガキの頃親に『ハツラツ』って言われてた時とは大違いだな。」

 

[オグリ]

「なっ?!知ってたのか?!」

 

[柊斗]

「知ってるも何も、お前らの親は大体知ってるぞ。何せ担当してたり同期だったり後輩だったりするからな。メジロの当主は後輩でシンボリ家の当主はその同期。色々知ってるぞ。」

 

[ルドルフ]

「ハツラツ……。」

 

[柊斗]

「因みにルドルフの幼名はルナ。オグリ、食堂でルドルフに会ったら是非。」

 

[オグリ]

「分かった。」

 

[ルドルフ]

「やめてくれ!!」

 

[遥]

「話逸れてるけどいいのかしら?」

 

[柊斗]

「おおそうだった。で、この前くじ引いてスピカの連中が見事アタリを引いて案内役に抜擢されたわけだが、如何せん人数が少ないからこっちからも二人出すことにした。それじゃあマックイーンとテイオー、よろしく。」

 

[テイオー]

「えぇ~僕~?」

 

[マックイーン]

「わたくしですの?」

 

[柊斗]

「まあお前ら中学生だし、今の内にこういうのやっといた方がいいぜ。んじゃ、頼んだぜ。」

 

 

 

 

 

 

━━11時くらい━━

 

[柊斗]

「……。」

 

柊斗は悩んでいた。それはトレーナー室から理事長室へ向かった時の事。

 

 

 

 

~~回想~~

 

[柊斗]

「呼ばれて登場柊斗さんだぞ☆」

 

[たづな]

「お疲れ様です♪」

 

[やよい]

「うむッ!!よく来てくれたッ!!」

 

[柊斗]

「で、話ってなんよ。」

 

[やよい]

「……実は柊斗に重大な問題が起きているのだ。」

 

[柊斗]

「俺?俺なんかしたか?」

 

[たづな]

「柊斗さん、よく聞いてください。」

 

たづなさんは一呼吸おいて、こう告げる。

 

[たづな]

「柊斗さんは、高校卒業資格を持っていません。」

 

[柊斗]

「……そうじゃん!!」

 

なんとこの男、卒業証書を貰っていないのである。どうやら本人も忘れていたらしいが。

 

[柊斗]

「そういや俺遠征の時も学校とか行ってなかったしな……どうする?」

 

[やよい]

「うむ!!それで柊斗には、暫く学生として過ごしてもらう。」

 

[柊斗]

「まさかの公開処刑。いい歳したおっさんがJKJCの連中と授業?こりゃ逮捕案件だぜ。」

 

[やよい]

「柊斗なら問題ないッ!!頑張りたまえッ!!」

 

[たづな]

「これ、制服です。」

 

そう言いながら、たづなは袋に包まれた制服を渡す。

 

[柊斗]

「で、何時から着ればいいん?」

 

[たづな]

「明日からです♪」

 

[柊斗]

「えぇ……。」

 

[たづな]

「頑張って下さい♪」

 

[柊斗]

(この年になってまさかの学生生活を過ごすことになるとは……俺初なんじゃね?)

 

そう思いながら柊斗は理事長室を出て行った。

 

 

 

~~回想終了~~

 

[柊斗]

「そういえば、俺何処のクラスに行けばいいんだ?」

 

[シービー]

「あ、柊斗~~。」

 

[柊斗]

「シービーか。授業は?」

 

[シービー]

「今は休み時間だよ。それよりも柊斗、その袋どうしたの?」

 

[柊斗]

「ああ、実はな……。」

 

柊斗はシービーにさっきまでの出来事を説明する。

 

[シービー]

「それじゃあさ、アタシのクラスに来ない?」

 

[柊斗]

「シービーの?」

 

[シービー]

「ルドルフとかマルゼンもいるし、アタシも柊斗と一緒がいいしさ。」

 

[柊斗]

「それもいいんだがなぁ……多分たづなさんとかが勝手に決めてると思うけど。」

 

[シービー]

「ねえ柊斗、その袋に紙入ってない?」

 

[柊斗]

「んん?ホントやん。」

 

柊斗は紙を取り出し、それを読む。

 

[柊斗]

「『希望のクラスがある場合、この紙の空欄に書いて提出。出さなかった場合、こちらで勝手に決めることにする。』ほ~ん、だって。」

 

[シービー]

「それじゃあアタシと一緒のクラスにしようよ!紙貸して!」

 

[柊斗]

「お、おう。」

 

シービーは柊斗から紙を受け取ると、ポケットからボールペンを取り出し紙に記入し始める。

 

[シービー]

「この紙出してくるね!!」

 

[柊斗]

「お、おう。」

 

そう言うと、一瞬でシービーの姿は見えなっていった。すると後ろからシービーとは違った声が聞こえた。

 

[テイオー]

「あ、トレーナー!」

 

[柊斗

「ん?マックイーンにテイオー、何してんだ?」

 

[マックイーン]

「今は子供たちを案内してるところですわ。」

 

[テイオー]

「紹介するね!この人が僕たちのトレーナーをしてる村雨柊斗だよ!」

 

[キタ]

「キタサンブラックです!」

 

[ダイヤ]

「サトノダイヤモンドです!」

 

[柊斗]

「キタサンブラックにサトノダイヤモンドな。よろしく。」

 

2人はテイオーとマックイーンの大ファンらしく、彼女たちが出場するレースには必ず見に行っているらしい。普通にすごい。

 

 

少し会話をすると、まだ回る所があるらしくそっちの方へ歩いて行った。

 

 

━━12時くらい━━

 

柊斗は食堂で昼食を摂っていた。するとそこへ遥がやってくる。

 

[遥]

「珍しくテンションが低いじゃない。何かあったの?」

 

[柊斗]

「実はな……。」

 

同じ説明を遥にもする。すると……

 

[遥]

「私から言える事は無いわね。頑張りなさい。」

 

[柊斗]

「そんな〜遥ちゃん助けて〜。」

 

[遥]

「普通にキモイわね。やめた方がいいわよ?」

 

[柊斗]

「流石にストレート過ぎない?」

 

[遥]

「冗談よ。」

 

[柊斗]

「お前が言うと冗談に聞こえねぇんだよな。」

 

[遥]

「まあ正直言うと本当に頑張れとしか言えないわ。問題行動を起こさなければいいんじゃない?」

 

[柊斗]

「失礼だな問題なんて起こした事ねぇよ。」

 

[遥]

「本当かしら。現役の頃、クラスが違うとは言え随分話題になってたわよ?」

 

[ルドルフ]

「おや、トレーナー君にサブトレーナーさんじゃないか。」

 

[柊斗]

「ルドルフにオグリ、揃って昼食か。」

 

[オグリ]

「トレーナー、一緒に食べないか?」

 

[柊斗]

「席空いてるしいいぞ。」

 

[ルドルフ]

「失礼する。」

 

[柊斗]

「なあルドルフ、昼の授業って何時からだ?」

 

[ルドルフ]

「1時からだよ。それがどうかしたのかい?」

 

[柊斗]

「まあ事情があってな。そんだけだ。」

 

[ルドルフ]

「そうか。助けが必要だったらいつでも言ってくれ。」

 

[オグリ]

「私も協力するぞ。」

 

[柊斗]

「thx。」

 

その後もちょっとした雑談をしながら昼食を食べていった。だが周りからの視線はいつもより多かったのを、ここの人たちは気づいていなかった。

 

因みに午後はオープンキャンパスが終わり、普通の日程に戻った。

 

 

 

 

 

 

━━飛ばしに飛ばしてダービー当日━━

 

[赤坂]

『国民的スポーツエンターテイメントトゥインクルシリーズ、実況は私赤坂と解説は細江さんでお送りします。」

 

[細江]

『よろしくお願いします。』

 

[赤坂]

『本日のメインレースは日本ダービーです。なんと入場規制されるほど多くの人がここ東京レース場に押し寄せています。』

 

ダービー当日、家電用品店のテレビで見ている人、スマホで見ている人、ラジオで聞いてる人、いろんな人がいた。

 

 

━━地下通路━━

 

[柊斗]

「調子はどうだテイオー。」

 

[テイオー]

「バッチリだよ!それに楽しみなんだよね、勝ったあとのウィニングライブが。」

 

[ルドルフ]

「もう勝った気でいるのか。」

 

[テイオー]

「にししし。」

 

[マックイーン]

「テイオー応援しています。ライバルとして。」

 

[ブルボン]

「テイオー、貴方なら出来ます。」

 

[ライス]

「頑張ってね!テイオーさん!」

 

[遥]

「頑張りなさい。」

 

[柊斗]

「行ってこい。」

 

[テイオー]

「うん!」

 

 

そして、各ウマ娘がターフに入場してくる。

 

[柊斗]

「お前こんなところに居たのか。」

 

[シービー]

「まあね。今回気になってる子がいるしね。」

 

[柊斗]

「ほ~。」

 

[赤坂]

『そして三冠ウマ娘のミスターシービーが期待を寄せる、三番人気『シダーブレード』が入場です。』

 

シービーは彼女と目が合うと、親指をグッっとした。

 

[柊斗]

「あの子が。」

 

[シービー]

「なんか他人じゃない気がするんだよね。」

 

[赤坂]

『そしてここまで無敗のウマ娘、トウカイテイオーが皐月賞が続いてこのダービー、二冠を制するかどうか。非常に注目されます。』

 

[柊斗]

「頑張れ~。」

 

そしてファンファーレが鳴り枠入りが始まる。テイオーは外枠18番、最後に入った。

 

[赤坂]

『無敗の二冠ウマ娘が期待されているトウカイテイオー。皐月賞に続き、このレースを制することが出来るのか。大きな歓声、大きな期待に包まれて、東京優駿日本ダービー。』

 

ガコンッ

 

[赤坂]

『今、スタートしました!』

 

[柊斗]

「いいスタートだ。」

 

スタートして第一コーナーに差し掛かった時、テイオーの順位は8番手。外目を走ることになっているが、

本人はあまり気にしていない様子のまま向こう正面へ走っていき第三コーナーへ差し掛かる。

 

順位は7番手に浮上。そして第四コーナーを間借り最後の直線。テイオーは6番手5番手と順位を上げて行く。

 

[テイオー]

(前に誰もいない、よーし!おっと……。)

 

そして力強く踏み込み……

 

[テイオー]

(トウカイテイオーいっちゃうよ〜〜!!)

 

スパートをかけ始める。

 

[柊斗]

「こうなったらもう止められねえな。」

 

[ライス]

「凄い……。」

 

[ブルボン]

「流石です。」

 

外から他のウマ娘を追い抜き、そのまま1番手をキープしたままゴールした。

 

[赤坂]

『トウカイテイオー二冠達成!まさに横綱相撲!トウカイテイオー日本ダービーを制しシンボリルドルフ以来無敗での二冠達成です!』

 

テイオー‼ テイオー‼ テイオー‼ テイオー‼

 

会場内からはテイオーコールが響く。テイオーが観客に手を振っていた時、柊斗は違和感を感じていた。

 

 

 

そして最後にウィニングライブが行われる。柊斗はルドルフ達と合流し、同じ場所で見ることにしていた。

ここで柊斗が感じていた違和感が確信に変わった。

 

途中の踊りでテイオーの動きがおかしくなったりしていた。それに気づいたのは柊斗だけではなかった。

 

[柊斗]

「遥、頼めるか。」

 

[遥]

「はいはいいつもの所ね。」

 

[ルドルフ]

「トレーナー君……。」

 

[ライス]

「テイオーさん、大丈夫かな……。」

 

[ブルボン/シービー]

「「……。」」

 

[オグリ]

「大丈夫だ……。」

 

[柊斗]

「ルドルフ、オグリ、今から車のエンジンを掛けてくる。それまでの事は頼んだ。」

 

[ルドルフ]

「分かった。」

 

[オグリ]

「任せてくれ。」

 

[柊斗]

「遥、行くぞ。」

 

[遥]

「分かったわ。」

 

柊斗と遥は急ぎ足で車の方へ向かって行った。ルドルフ達はひとまずテイオーのウィニングライブが無事に終了することを祈っていた。

 

 

 

 




みなさんこんにちは作者です。今回投稿するの遅れて申し訳ありませんでした。多分これからも同じことがあると思いますが出来るだけ早くできるよう頑張りたいと思います。


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第9話

皆さん本当にお久しぶりです。仕事が忙しすぎて肉体的にも精神的にも死んでた作者です。今回キャラ崩壊あると思いますが許してください。あと今回いつもより短いです。


 

テイオーのウィニングライブが終わると、柊斗はテイオーを車に乗せ病院へ車を走らせていった。そして着いたのは知り合いが院長をしている病院だった。

 

[柊斗]

「どうだ?」

 

[テイオー]

「もうトレーナー大袈裟だよ〜。僕はなんともないってば〜。」

 

[柊斗]

「万一の事がある。」

 

[テイオー]

「早く終わらせてよ。僕菊花賞に向けたトレーニング始めたいんだから。」

 

[???]

「テイオーだっけ?」

 

[テイオー]

「何?」

 

[???]

「折れてる。」

 

[テイオー]

「え?」

 

[柊斗]

「やっぱりそうか……。」

 

[???]

「骨折。復帰できるのは来年の春頃かしら。」

 

[柊斗]

「思ってた以上だな。」

 

[テイオー]

「ええええええええええ?!」

 

[???]

「入院しましょうか。」

 

[テイオー]

「にゅ、入院?!」 ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ

 

[柊斗]

「まじの骨折か?」

 

[???]

「取り敢えず痛み止めを打っておくわね。」

 

[テイオー]

「え?」

 

ブスッ

 

[テイオー]

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!」

 

その日、深夜の病院でテイオーの断末魔が、響き渡った……。

 

 

━━次の日━━

 

[柊斗]

「……テイオー、もう一回言ってみ?」

 

[テイオー]

「だから菊花賞出るってば!」

 

[遥]

「出るって言ってもねぇ……。」

 

[テイオー]

「全治6ヶ月?復帰は来年の春?だからなんだっての、そんなこと言われて菊花賞諦める僕だと思う?」

 

[柊斗]

「本気なんだな?」

 

[テイオー]

「絶対出る、そして絶対勝つから!」

 

[柊斗]

「……。」

 

柊斗は目を閉じ、少しの間考える。

 

[柊斗]

「……はぁ、分かった。」

 

[テイオー]

「てことはっ!!」

 

[柊斗]

「取り合えず菊花賞までのプランは練ってやる。その代わりいう事はちゃんと聞けよ?」

 

[遥]

「大変ねぇあなたも……。」

 

[テイオー]

「頼んだよ2人とも!三冠ウマ娘がかかってるから!!」

 

[遥]

「だったら大人しく入院しなさい。」

 

[テイオー]

「え〜嫌だな〜入院。」

 

そして翌日になると、テイオーの骨折がニュースになっていた。早いね。

 

 

━━数日後━━

 

この日、柊斗は遥にトレーニングの指導を任せ、一人で復帰メニューの作成に取り組んでいた。

 

[遥]

「今日のメニューは終わったわよ。」

 

[柊斗]

「サンキューな。こっちもある程度は完成した。」

 

[ルドルフ]

「それでトレーナー君、テイオーの怪我の調子はどうだ?」

 

[柊斗]

「それなら━━━」

 

ガラガラッ

 

[テイオー]

「たっだいま〜!」

 

[ルドルフ]

「テ、テイオー?!」

 

[テイオー]

「あ!カイチョ―だ!」

 

[柊斗]

「お~すテイオー、メニューは一通りできたぞ。」

 

[テイオー]

「ほんとっ?!」

 

この時、テイオーとシービー以外が驚きの顔をしていた。

 

[マックイーン]

「トレーナーさん、本気で言っていますの?」

 

[柊斗]

「本気じゃなかったらこんなことしないぞ。」

 

[遥]

「ただし1つ条件よ。」

 

[テイオー]

「なに?]

 

[遥]

「菊花賞ギリギリまで粘る。だけどその時医者に止められたら出場はなしよ。これが条件。いいわね?」

 

[テイオー]

「分かった!」

 

テイオーと約束して、早速練習に入る。この時テイオーは見学だったが、イメージトレーニングとして見させている。そんな日が続き数日後……

 

[マックイーン]

「トレーナーさん、あとでテイオーをうちに連れてきていただけますか?」

 

[柊斗]

「うちってことはメジロ家か?いいぞ。」

 

[マックイーン]

「はい。お願いします。」

 

それから外へ出て、街中を歩いているテイオーを見つけると、車に乗せそのままメジロ家へ向かった。

 

 

━━メジロ家のとある部屋━━

 

[テイオー]

「なに?なになに?」

 

部屋の中に入り、そこにはメジロ家の使用人なのか色んな人がいた。

 

[テイオー]

「なにこれ?」

 

[マックイーン]

「菊花賞に間に合わせるのでしょう?」

 

[爺や]

「こちらはメジロ家お抱えの理学療法士。」

 

[理学療法士]

「理学療法士です。」

 

[爺や]

「鍼灸師。」

 

 

[鍼灸師]

「鍼灸師です。」

 

[爺や]

「シェフ。」

 

[シェフ]

「シェフです。」

 

[爺や]

「パティシエ。」

 

[パティシエ]

「パティシエです。」

 

[爺や]

「テイオー様にあらせられましてはこの週末当家でごゆっくりお過ごしくださいますよう。」

 

[柊斗]

「んじゃ、俺はここの当主のとこ行ってくるから後はお好きに~。」

 

[テイオー]

「マックイーンどういうこと?」

 

[マックイーン]

「使えるものは使って頂こうと思いまして、主治医もいますから。」

 

[主治医]

「主治医です。」

 

[テイオー]

「え。」

 

その主治医の手には注射器

 

[テイオー]

「なんでお注射持ってんのぉ?!」

 

[主治医]

「それはお嬢様の主治医だからです。」

 

[テイオー]

「わけわかんないよぉ〜!」

 

[マックイーン]

「それでは私は失礼致します。不明な点がありましたらいつでもお呼びください。」

 

[テイオー]

「わけわかんないって言っているでしょ?!」」

 

ギー ガチャン

 

だが扉は閉められてしまった。

 

[テイオー]

「マックイーン、1人にしないで、お願い……。」

 

ブスッ

 

テイオー「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

テイオーの断末魔がメジロ家に響くのであった。

 

数日後……

 

ようやくテイオーのギプスが外れるようになった。それに関してチームメンバーだけでなく、他のチームやウマ娘たちも喜んでいた。

 

[柊斗]

「よしテイオー、走りたいのは分かるがまずは歩いて慣れることから始めろ。じゃないとまたケガするからな。」

 

[テイオー]

「分かった!」

 

この時から、少しずつだがテイオーは変わっていった。以前からテイオーは人一倍練習していたが、今までとは気合の入り方、眼つきが変わっていた。

 

[柊斗]

(これなら復帰できそうだな。)

 

それから月日が過ぎて10月半ば、今日は病院で最終検査を受ける日だった。今まで他のチームメンバーや友達に励まされ、同じメンバーにも付き合ってもらっていたテイオー。全力まではいかないが7割の速さで走ることが出来ていた。

 

[???]

「……。」

 

[柊斗]

「どうだ……?」

 

[???]

「……。」

 

医者は触診などを終えると柊斗と向き合う。

 

[???]

「よくここまで仕上げられたものだわ。」

 

[テイオー]

「てことは!」

 

[???]

「よく頑張ったわね。これなら出れるわよ。」

 

[テイオー]

「……よかった……よかったよぉ……。」ポロポロ

 

[柊斗]

「よく頑張ったなテイオー。遥、俺は伝えてくるからここは頼んだ。」

 

[遥]

「分かったわ。みんなによろしくね。」

 

柊斗は部屋を出ると、待合席で待機していたチームメンバーが一斉に柊斗を見つめた。そして柊斗は言う。

 

[柊斗]

「テイオーは菊花賞出れるぞ。」

 

それを聞いた瞬間、メンバーは全員喜んでいた。特にルドルフとマックイーンが。

 

[柊斗]

「俺は今から出走手続きをしてくる。だからテイオーの手助けとか少し頼んだ。」

 

[ルドルフ]

「ああ!」

 

[マックイーン]

「まかせてくださいですわ!」

 

そう言って柊斗は小走りで駐車場へ向かって行った。そこからとんとん拍子で進んでいき、テイオーの調子は上がっていき、9割近くまでの実力を発揮することが出来るようになった。

 

 

━━菊花賞当日━━

 

菊花賞当日、まだ一般人が寝ている時間帯に柊斗はトレセン学園の前に居た。

 

[???]

「おっまたせー!」

 

[柊斗]

「ん、来たか。」

 

[テイオー]

「トレーナーの言われた通りきたよ!」

 

[柊斗]

「態々悪いな時間合わせてもらって。」

 

[テイオー]

「全然大丈夫だよ!それよりも何でこんな早い時間に呼び出したの?」

 

[柊斗]

「ああ、実はテイオーに見せたいものがあってな。」

 

[テイオー]

「見せたい物?もしかして婚姻届けとか?」

 

[柊斗]

「アホかまだおめえは結婚できる年じゃねえだろうが。」

 

[テイオー]

「いいじゃん少し夢見たって~。」

 

[柊斗]

「取り合えずさっさと行くぞ。」

 

柊斗とテイオーはトレセン学園内へと入っていくと、そのまま学園の裏の方へやってきた。そしてそこには布にかぶせられてる車が一台あった。

 

 

[柊斗]

「いくぞ。」

 

柊斗はその布を捲り上げる。現れたのは日産シルビアS15だった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

[テイオー]

「トレーナーっていっぱい車持ってるよね。それも全部見た目派手だし。」

 

[柊斗]

「まあ金だけはあるからな。んじゃテイオー、そこで見てろ。」

 

[テイオー]

「分かった!」

 

キュルルルル ヴォン!

 

[柊斗]

「んで確かスイッチが……これだっけな。」

 

カチッ ウィーン ピカッ!

 

[テイオー]

「眩しッ!?」

 

[柊斗]

「えーとどれどれー……よしおっけい。テイオー車見てみろ。」

 

[テイオー]

「んんん……?」

 

テイオーは細目でシルビアを見る。そこに移ってたのはテイオーが走ってる姿や出走の広告だった。

 

[テイオー]

「どうやってこれ……。」

 

[柊斗]

「プロジェクションマッピングってやつをどうにか車にも出来ねえかなって思ってな、知り合いとか全員であれこれして完成した。」

 

[テイオー]

「トレーナー……ありがとう……!」

 

[柊斗]

「よし、んじゃあ行くか!」

 

[テイオー]

「うん!!」

 

テイオーは助手席に乗り、門の前まで車を動かす。

 

[???]

「お待ちしてましたよ♪」

 

[テイオー]

「たづなさ……ん?」

 

[たづな?]

「おはようございます♪トウカイテイオーさん♪」

 

[テイオー]

「お、おはようございます……。」

 

[柊斗]

「あーたづなさん、帽子ないぞ。」

 

[たづな]

「……あ……。」

 

[柊斗]

「まあ見ての通り、たづなさんはウマ娘だ。もう引退してるけどな。」

 

[たづな]

「今までバレないようにしてきたのに……。」

 

[テイオー]

「そ、そうだったんだ……。」

 

[柊斗]

「まあドンマイ。んじゃ行ってくるぜ~。」

 

[たづな]

「はい♪あ、テイオーさん。」

 

[テイオー]

「ん?何々?」

 

[たづな]

「今日あなたは勝ちますよ♪」

 

[テイオー]

「それってどういう……。」

 

[たづな]

「ではいってらっしゃいませ♪」

 

[柊斗]

「おう。」

 

そう言って、柊斗とテイオーは会場に向かって行った。

 

 

 

 

━━高速道路━━

 

[柊斗]

「なあテイオー、正直に答えてほしい。走るのは怖いか?」

 

[テイオー]

「……うん……すごく怖い……。またケガするって思うと……。」

 

[柊斗]

「……そう思ってれば大丈夫だな。」

 

[テイオー]

「トレーナーも怖いって思ったことあるの?」

 

[柊斗]

「何回もあるぞ。それに引退するんじゃねぇかっておもってた。」

 

[柊斗]

「でも俺はそのまま走り切った。」

 

[柊斗]

「安心しろテイオー、お前も勝てるさ。」

 

[テイオー]

「うん……。」

 

[柊斗]

「んじゃ、前もそこそこ空いてきてるし飛ばすか。」

 

ガコガコッ ウォンウォンッ!!

 

[テイオー]

「え……?」

 

[柊斗]

「はーい唇かまないようにね~。」

 

[テイオー]

「ぎゃああああああああああああああああッ!!」

 

柊斗はそんなことを言いながらアクセルを目一杯踏み込んでいった。

 

 

 

 

 

━━時間は進み京都レース場━━

 

[シービー]

「やっぱ賑わってるねぇ~。」

 

[ルドルフ]

「それはそうだろう。今日はテイオーの無敗の三冠ウマ娘がかかってるんだ。」

 

[マックイーン]

「それに今日はテイオーの復帰レースでもあるのですから。」

 

[遥]

「そういえば今日ブルボンとライスはいないのね。」

 

[ルドルフ]

「どうやら二人は今トレーニングしているそうだ。ミホノブルボンは『今のテイオーなら勝てます。少しでも勝てる確率を上げるためにトレーニングします。』と言っていたね。ライスシャワーも同じようなことを言っていたよ。」

 

[遥]

「……そう。ま、私もテイオーが勝つと思うけどね。」

 

ウォンッ~ ウォンッ~!!

 

[遥]

「……SR……それもかなりのハイチューンのね。」

 

ウォンッ~  キュッ

 

[柊斗]

「う~し。テイオー着いたぞ~。」

 

[テイオー]

「うぅ……もう少し優しく運転してよー!」

 

[柊斗]

「そんなにか?まだ本気では走ってなかったけどな。」

 

[遥]

「随分派手な登場じゃない。車まで用意して。」

 

[柊斗]

「そりゃ本気だからな。応援も本気でやらんと。んじゃ主役、さっさと着替えるぞ。」

 

[テイオー]

「そうだね!それじゃあ行ってくる!」

 

[ルドルフ]

「ああ、行ってこい。」

 

[マックイーン]

「テイオー、あなたならできますわ!」

 

テイオーは頷き、控室へ向かっていった。

 

━━控室━━

 

[柊斗]

「どうだテイオー、緊張してるか?」

 

[テイオー]

「……まあね。」

 

[柊斗]

「ま、そうだろうな。取り合えず俺から言えることは一つだけだ。自分を信じろ、お前は怪我をしてもめげずにあれだけ頑張ってここまで来たんだ。自分を信じれば負けない、気持ちで負けるなよ?」

 

[テイオー]

「そうだね!僕がんばるよ!!」

 

[柊斗]

「よーし、そんじゃ行ってこい!」

 

柊斗はテイオーを見送ると、観客席のところへ歩いて行った。

 

[遥]

「あら、随分早かったわね。」

 

[柊斗]

「まあ言いたいことは殆ど車の中で言ったしな。俺ができるのはここまでだ。」

 

[遥]

「貴方が思うに、彼女は勝てそう?」

 

[柊斗]

「さぁな、勝負に絶対はない。絶対に勝てる勝負はないし、絶対に勝てない勝負もないからな。それと同じだ。」

 

[遥]

「……今もその考えは変わらないのね。」

 

[柊斗]

「当たり前だ。俺がお前とやりあって勝ったり負けたり繰り返してるのと同じだ。」

 

[赤坂]

『晴天の京都レース場。果たして菊の勲章を手に入れるのはどのウマ娘か』

 

[細江]

『今回の菊花賞は、いつもとは違う感じがしますね。』

 

[赤坂]

『そうですね。なんといっても、このレースには復帰が厳しいと言われていた、あのトウカイテイオーが出走していますからね。』

 

[遥]

「人気者ね~彼女。」

 

[柊斗]

「お前人気者になりたくないって言ってたもんな。」

 

[遥]

「だって走る前に言われたら変なプレッシャー掛かって嫌なんだもん。」

 

[柊斗]

「それはわからなくはないが仕方ないことなんだぜ。」

 

そしてなんやかんや話してる内にファンファーレが鳴り、ゲートインが始まった。

 

 

━━テイオーside━━

 

[テイオー]

「……。」

 

[テイオー]

(遂にここまで来れた……どれだけこの日を待ってたんだろう……。)

 

テイオーはゲートの中で一人自分の世界に入っていた。周りの歓声も、ほかのウマ娘の声も聞こえていなかった。

 

[テイオー]

(……楽しみで仕方ないや。こんなに気持ちが高ぶったのは初めてだよ……。)

 

その時、隣のゲートにいたウマ娘によると、『あんなテイオーを見たのは初めてだった。いつもとは違かった。』と言っていた。

 

 

━━テイオーside end━━

 

[柊斗]

「……ありゃ完全にスイッチ入ってるな。こりゃあテイオーに勝つのは厳しいぞ。」

 

[遥]

「正直、あれはレースに出る顔じゃないわね。狩りをする目になってる。」

 

[ルドルフ]

「正直、私もあれ程のプレッシャーをかけられると掛かるかもしれないな……。」

 

[マックイーン]

「ここまで伝わってきますわ……。」

 

ガチャンッ!

 

ゲートが開き、レースがスタートする。その時点で綺麗にスタートダッシュが決められたのは数名だけだった。

 

 

 

━━数分後━━

 

結果から言おう。テイオーの大差勝……ではなく二バ身差で勝利だった。

 

[遥]

「彼女、圧勝じゃなくてもまだ余裕そうね。」

 

[柊斗]

「今のテイオーはリミッターが外れてるんだろうな。あれじゃあ勝つのは厳しいだろ。」

 

今のテイオーは、観客から見ても異常だった。ほかのウマ娘は本気で走り、膝に手をついていたり、芝に横になっていたりしていた。だがテイオーは汗をかいているものの息は殆ど乱れておらず立っていた。

 

[柊斗]

「さて、あとはウィニングライブだけだが……まあ大丈夫だろ。俺は準備でもしてますかね。」

 

[遥]

「……ああ、なるほどね。それじゃあとはやっておくわ。それじゃあ私たちはテイオーの迎えに行きましょうか。」

 

[ルドルフ]

「ああ!」

 

[マックイーン]

「そうですわね!」

 

[シービー]

「それじゃあ行こっか!」

 

 

━━ウィニングライブ後 控室━━

 

[テイオー]

「すぅ……すぅ……。」

 

[遥]

「流石にスイッチが切れちゃったか。まあ仕方ないか。」

 

[マックイーン]

「そういえば、トレーナーさんはどうしてるのですか?」

 

[遥]

「柊斗なら今……お、来た。」

 

[全員]

「来た?」

 

[遥]

「それじゃあルドルフ、テイオーのこと担いでくれる?」

 

[ルドルフ]

「了解した。」

 

[遥]

「それじゃあ新幹線に乗るわよ。場所は柊斗が取ってくれたからね。」

 

 

━━また数分後━━

 

[遥以外]

「……。」

 

[遥]

「いやぁ態々人の少ない所を取ってくれるなんてね、ありがたいわ。」

 

今遥たちがいる新幹線には、なぜか人がいなかった。なので特に気を遣うわけではなく、堂々とウマ娘たちの前でお酒を飲んでいた。

 

[ルドルフ]

「遥さんって……結構お酒飲むんですね。」

 

[遥]

「まあ私はお酒ないとダメな体になっちゃってるし、お酒好きだし。これでも私学生から飲んでるのよ?」

 

[遥以外]

「!?」

 

ここで衝撃の事実、国内では最強クラスの元ウマ娘、まさかの未成年飲酒をしていたことが発覚。

 

[遥]

「実際、私は柊斗に勧められて飲んだんだけどね。」

 

[シービー]

「でも、冷蔵庫とかにお酒とかは入ってなかったよ?」

 

[遥]

「最近は殆ど飲まないようにしてるらしいわよ。元々柊斗お酒別に強いわけじゃないしね。」

 

この後、駅に着くまで柊斗に関してのことなどについて話したりしていた。

 

 

 

━━駅━━

 

[テイオー]

「ついたー!!」

 

[遥]

「お疲れ様……は?」

 

ウォンウォンウォンッ!

 

[柊斗]

『テイオーの勝利だぜお前らぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

[外野]

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

[テイオー]

「……ナニコレ……どういう状況?」

 

[遥]

「大方どっかのバカ(柊斗)がやらかしてるんでしょうね。」

 

[柊斗]

『本人登場だぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!Fooooooooooooooooooooo!!』

 

その言葉で、周りのファンは一斉にテイオーのほうへ向き拍手が送られた。

 

[柊斗]

「長旅お疲れ様。」

 

[テイオー]

「トレーナー!」

 

[柊斗]

「まあ色々派手にやってるが気にすんな。」

 

[ルドルフ]

「流石にそれは厳しいと思うが?」

 

[柊斗]

「大丈夫大丈夫、それじゃあお前らはこの後好きにしていいぜ。帰るもありだし、もう少しファンサービスしてもここからは完全自由だ。」

 

[遥]

「あんたはどうするの?」

 

[柊斗]

「メンバーと首都高走ってくる。」

 

[遥]

「私も行くわ。って言ってもFDはガレージだから一回戻るけど。」

 

[柊斗]

「俺もGTR取りに一回戻るぞ。んじゃお前ら、どうする?」

 

[テイオー]

「僕はここにいようかな。せっかくファンのみんなが来てくれたんだからね!」

 

[ルドルフ]

「私もここにいよう。テイオーの見守りとして。」

 

[シービー]

「まるで父親ね。」

 

[マックイーン]

「確かにそうですわね。」

 

[ルドルフ]

「……そんなにか?」

 

[シービー]

「うん。」

 

[ルドルフ]

「テイオーの父親か……悪くないかもしれないな。」

 

[柊斗]

「んじゃ遅くなるなよ。遥行くぞ。」

 

[遥]

「了解。」

 

柊斗は遥を乗せて家へ車を走らせて行った。テイオー達は来てくれたファンのために、特別にサイン会などをやって過ごしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんこんにちは作者です。前回からかなりの期間が開いてしまい申し訳ありませんでした。


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