あなたが選ぶ競争馬の道 (6LD)
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目標1:馬主になる

ウマ娘から入ったにわかでも架空馬列伝は書けるかもしれないので初投稿です。
飽きるかしんどくなったら唐突に更新が途切れます。

ウマ娘要素皆無なので原作はウマ娘ではなく競馬
ウマ娘要素が入ったら原作ウマ娘に変わるけどそこまで続かないと思う


「競馬行かんか?」

「競馬っすか?」

 

レギュラーシーズンも終わって契約更改シーズン、早々に契約をまとめ終えた俺は、OBの笹木さんに呼ばれての食事会にてそんなことを言われた。

 

「そうそう、興味あるけどきっかけが無いーっちゅうのを小耳に挟んでなぁ。今度うちの馬が走る日があるけん、来んか?この日なんやけど」

「12/22っすか。ファン感も終わってますしテレビ収録も無いんで構わないっすけど……うちの馬ってことは馬主やってるんすか」

「引退して少し経ってからな。馬券買って楽しむのもええけど、自分の馬の応援するのもまたオツなもんやで」

 

競馬。

ギャンブルという側面が強いが単純な娯楽としても面白いらしく先輩やOBでハマってる人も多いとはなんとなく聞いていたが、馬主と言うんだろうか?自分の馬を所有している人までいるとは知らなかった。

 

「自分の馬っすか。考えたことも無かったっすわ」

「結構もらっとるんやろ?馬主になるだけなら、まあ書類は面倒やけど割とハードル低いんよ。ワイも馬主生活長くなってきて多少は顔が利くし、色々サポートしたるで」

「まあ、考えときますわ。とりあえず12/22っすね」

「おう!んじゃあ時間と場所は……」

 

馬主。馬主ねぇ。

そりゃOBの前なので否定するようなことはしないけれども、まあ正直食指が動いてないのは、現時点ではしゃーないと思うんよ?

 

 

 

 

 

「……面白いっすね、競馬」

「せやろ?」

 

それが覆されたのは、実際にそれを目の当たりにした中京競馬場でのことであった。

我ながら中々に単純ではあるが。

 

昼前に集まり、ビールを飲みつまみを食べながら、そして笹木さんから色々と競馬の基礎を教えてもらいながらの観戦。何やらいつもの自分とファンの立場が入れ替わったような立ち位置だが、純粋に観戦し応援することの楽しさというのは久々に知ったものだった。

それに「100円単勝だけでいいから買っとき」と言われ適当に買った馬券は紙屑になったが、なるほど金を使ったかそうでないかでは熱の入り方も違う。

 

……自分のファンも球団のファンも、球場に来てくれる時には金を払って来てるのだなと、改めて思い知った気分である。別に手を抜いていたつもりは無いが、観客をがっかりさせないようにせないかんというのを心に誓ったところで、先輩の馬の出走レースの時間となった。

 

 

 

「失礼しますー」

「失礼します」

「おや笹木さん、こんにちは」

「こんにちはー」

 

連れてこられたのは馬主席と言われるらしい特等席。その名の通り馬主となっている人のみが入れるのだが、事前の招待申請があれば部外者でも入れてもらえるそうだ。

 

「笹木さんこんにちは、そちらの方はプロ野球選手の……?」

「そです。駿、挨拶せぇ」

「駒場駿太(こまば/しゅんた)です、お初にお目にかかります」

「申し遅れました、わたくし茶台ファームスタッフの春日藤人(かすが/ふじと)と申します。よろしくお願いします」

「駒場は競馬に興味あるってんで、馬主仲間増えへんかなーと誘ったんですわ」

「もしなったら改めてよろしくお願いします」

「こちらこそ、新たな同士は歓迎させていただきますとも」

 

藤さん以外にも挨拶を済ませ席に付く。〇〇会社の社長とか代表取締役とか普通に名乗ってくるから心臓に悪いわ。

馬主席には各席に専用のモニターが設置されているのだが、やはり前の方にいて出来るだけ近くで見たいという人の方が多いようだ。

 

「馬主ゾーンにはこの馬主席の他にも専用の食事処とか、さっき他のレースで見に行ったパドックでも専用のスペースもあるんやが、まあそこは自分で体験してほしいかな」

「色々と特典っちゅうか、専用の待遇があるんすね」

「馬主あっての競馬やからな。そろそろ始まるわ。俺の馬が走るで!」

 

 

 

樅の木賞、ダート1700m。

教えてもらった先輩の馬はスタート直後から集団の後ろ側に付けた。

 

「追い込みっちゅー最後の直線で一気にごぼう抜きにする馬やからあの位置でええんや」と語った言葉通り、コーナーを回った所から猛然と加速した。

 

「行けー!」

「差せ!差せ!」

「逃げろ逃げろお前なら行ける!」

「抜け抜け抜け抜け!」

 

いい歳をして地位も持っているはずの大人が、鬼気迫る顔で真剣に、そしてまるで少年のように楽しそうに、自分の馬を応援している。

その雰囲気は中々に新鮮だ。

 

「かーっ!駄目か!6着!」

「でも確かに終盤の追い上げすごいっすね」

「せやろ!初めての勝利の時もあんな風に後方からダーッと猛然と追い上げていったんや!能力はありそうだから勝ってほしいんやが……ああそうや、遠藤さんおめでとうございます」

「ありがとうございます、2連勝ですから期待してしまいますね。そちらの馬も……」

 

なるほど。自分の玩具を自慢し合うような子供っぽさと、贔屓を応援する熱量と、馬を……選手を全力でサポートする大人の真剣さが混じり合った、本気の「遊び」。

 

「……おもろいやん」

「ん?どないした?」

「いやあ、なんでもないっす」

 

 

 

その後笹木さんに馬主になるための書類集めしてるとこですって連絡をしたら「まあいうてハードル高いしまずは一口馬主から」と言おうとしてたらしく酷く驚かれた。

そういうのがあるなら先に言ってくれっちゅう話やわ。

 

というか勢いでやっちゃったけど監督にはどうやって説明したらええんやろか。

マスコミにも説明せなならんし。

 

 

 

 

バイソンズ駒場、馬主になる

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:9gtCYYh35

オリオン・バイソンズに所属する現役野球選手の駒場駿太選手(28)が、JRAの主催する中央競馬において馬主になるための申請準備を進めていることがわかった。

「これと言った趣味を持たずオフの過ごし方に難儀していたのですが、先輩に誘われた競馬を見て色々思うところがあり、馬主になることを決めました」とのこと。

気になるのは当然本業である野球との兼ね合いではあるが、「あくまでも野球が中心。監督や首脳陣の皆さんには色々交渉をして納得してもらったので、趣味程度に抑えて楽しもうかなと思います」と語った。

 

今後は順調に行けば10月2週に行われるオータムセールにて1歳馬を購入し、本格的にレースを見守るのは来年以降となる予定。

「僕も馬も応援してくださると嬉しいです」と、地味ながらも先発ローテーションを支える右腕は笑顔で語った。

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:aDxX4Nx4L

何言ってんだこいつ

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:z98d3uimM

まず野球の方をですね

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:49WDE5AG8

引退してからってのは聞いたことあるが、現役プロ野球選手でってのは初か?

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:3Bi5UhVga

貯金作ってから言えや

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:LmuXUdg7e

無駄に金もらってるだけはある

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:MT8Ch6ssF

しゃ、借金も無いから……

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:MpUGQXXBg

1年間ローテ守ってイニング食ってあの防御率なら十分いい投手って散々言われとるやろ

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:NewBp2XYW

駒場欲しくない球団おらんやろ

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:9gtCYYh35

エースは平之なのは間違いないけど駒場も無くてはならんよ、フロントからもちゃんと評価されてその分の年俸もらってるわけだし

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:G46C8mceU

にしたってもうちょい抑えて欲しかったのはあるけどな

しかし馬主か、競馬よく知らんのだがどうなん

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:ZtiaR8z6d

まあ追いかけてるぶんには面白いよ

去年はダイワスカーレットとウオッカのくっそ強い牝馬が熱かった

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:QcQQNhT7S

馬主誘ったのって誰だろ、大魔王か?

 

 

 

 

 




駒場駿太(架空)
野球選手兼馬主。高卒10年目の先発ピッチャー。現実でも出来るのかは知らないがこの次元では出来る。
ローテの真ん中に登板して6~8イニングを平均3失点で抑えて中継ぎを休ませるのが仕事。怪我も貯金も借金も作らずにシーズンを終える。
座右の銘は"即断即決"。

笹木さん
野球選手を引退してすぐに馬主になった。他に解説者とかもやってる。
元ネタは大魔神。ただしあちらと違い今話の時点で馬主10年目くらい。
また今話で描写されたレースは元ネタがあるが、現実のものとは年代が違う。

春日藤人(架空)
茶台のスタッフ。この後馬主登録のサポートの為に茶台に連絡を取った駒場の担当となり、調教師や騎手の紹介及び仲介を行うが本編には不要な描写なので特にその辺の言及は無し。
名前の元ネタはフジキセキ。

オリオン・バイソンズ
序盤低迷したものの監督がシーズン中に変わり終わってみればAクラス。CSは2連敗。
元ネタはちょっと前11連勝してた球団。


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馬主になる、達成!

長い会話文が多く若干くどめ。難しいね。

アンケートがありますのでご協力をお願いします。(※終了しました)
結果によって今後の主人公となる架空競争馬が変化し、それにより以降の展開も変化します。
選ばれなかった馬は以降本編に出てきません。

※史実ではこの年の時点で既に引退している種牡馬の仔が出ます。



さてシーズンも終わり際、いつもよりは少し頑張った投球で勝ったり負けたりを繰り返しながらチーム最下位が確定した10月。

9月末の登板を終えオフ入りを告げられた自分は笹木さんに連れられ、10/14開催のオータムセールというものに顔を出していた。

 

「本当はブリーズアップセールがええんやろうけど流石に4月後半にっちゅうのは無理やしな」

「シーズン序盤ですしねぇ」

 

前日入りしてホテルで宿泊、翌日朝からホテルから直通のシャトルバスで現地へ。

シャトルバスは馬主や競馬関係者限定のものになっているようで、当たり前ではあるが一般の人というのはいない。なんとなくわかってはいたが、動く金が本当にでかいんだなと感じる。

 

「現地に着くまで90分くらいあるやろうから、ほいこれ。前言っとった希望に沿って良さそうな馬にアタリを付けといたから、読んどいてくれや」

「いやあ何から何までありがとうございます」

「ええんやええんや。どうせ現地で直接見るまで当てにならんからな、参考程度のもんや」

 

自分の希望としてはまず「安めに買えそう」。高額な良血馬であるほど走る可能性は高いとこれまでのデータで示されているものの決して確実ではない以上、最初から高額馬に手を出すリスクはかなり高いと見ている。所謂穴馬で条件戦での掲示板及び一着、そしてあわよくばオープン入りを狙うのがいいという考えだ。

そして「頑丈だと良し」。「無事是名馬」と格言にもあるし、あまり勝てなくても長期間走ってくれれば嬉しい。自身の預託料+αを稼いでくれれば十分といったところだろう。

 

ついでに、今回は一頭だけ買う予定。慣れていない馬主業で何頭も諸々を管理できる気はしないので、再来年くらいまではとりあえず年1頭くらいとしている。

 

「まあセリにも色々あって、このオータムセールで数千万とか億とか乗る馬はほぼほぼ出てこーへんからな」

「そうなんです?」

「〇〇が〇億円!なんてニュースが出るけど、あれは夏のセレクトセールっちゅう厳選された良血馬しか集まらんセールやからな。海外からの注目度が高いのもそこやし、セリ取引で活躍する馬も大体はそこ発や。最近やとディープインパクトとかな。

んでオータムセールっちゅうんは年内最後の1歳馬セリや。セレクトセールや8月にやってるサマーセールと比べると、まあどうしても期待値は落ちる分出す方も買う方も敷居も低いっちゅう感じや」

「売れ残りとかもいるんですかね」

「セレクトセールだって全部が全部売れる訳とちゃうしな。セレクトセールでの相場なら買いたくないけどこっちでの相場なら買いたい、なんてのもおるやろ」

 

などと雑談をしながらカタログを捲っていく。

事前にチェックを付けてもらっていたのは15頭。◎をつけてもらったのが3頭、○をつけてもらったのが12頭。

◎をつけてもらった馬について、笹木さんに聞いてみることとした。

 

 

 

 

 

1.イクノディクタスの08(牡) 鹿毛 星

父:ナイスネイチャ

母父:ディクタス

生月日:4/16

 

 

「ナイスネイチャって馬はなんとなく知ってますわ、親父がファンだったんすよね。確かブロンズコレクターだったとか」

「そうやな。90年から96年までと長い間走って、GⅠでは最終的に一回も勝てなかったんやけど、その世代のトップに届かないながらも賢明に走り続けた姿が好きって人は多いなぁ」

「なるほど」

「母親の方のイクノディクタスっちゅーのもざっくり同じ世代の馬で、こっちもGⅠにこそ届かないものの50戦、しかも怪我無く走り続けた「鉄の女」って言われとる女傑や」

「よくわからないんすけど、50戦って凄いんです?」

「メインで走る距離次第やけど、一般的な競走馬が年8戦くらいを目安にしてるなぁ。デビュー年となる2歳戦は早デビューしたとしても半年しか無いって考えると、ざっくり4年半で50戦は相当多いで。しかも毎年8戦ってわけじゃなくて、確か年16回走ってた年とかあったはずやし」

「他の馬の倍っすか、そりゃすげぇや。そんな馬同士なら高くなりそうなもんすけど」

「まあ結局のところGⅠ勝ってない馬同士の子供やからどうしてもな、これまで産んだ他の子供も成績はさっぱりやし、両親とも歳も食ってるしな。

血統は別にすこぶる悪いってわけじゃないんやが」

「そうなんです?」

「あーと、競走馬の配合の基礎ってまず近親相姦するかしないかなんよ」

「近親相姦っすか」

「そうそう。新しい馬を作るにあたってすごいざっくり言うと、強い馬と強い馬同士を掛け合わせると強い馬が産まれやすいって話なんやけど、なら強い馬Aの子孫と強い馬Aの子孫同士で掛け合わせりゃええんとちゃうか、ってのがインブリードって配合や」

「なるほど、理屈はわかりますわ」

「詳しくはないんやけど、その同じ親となる強い馬Aの血が濃すぎると奇形が発生したりとか、DNA?かなんかに異常が出やすいらしくて難しいらしいんよ」

「なるほど、確かにありそうな話っすなぁ」

「んでこのインブリードによる影響を抑えつつその強い馬の優秀な遺伝子をなりやすいって言われとるのが4×3……ようするに父親か母親のどっちか側の曾曾祖父か曾曾祖母と、もう片親側の曾祖父か曾祖母のバランスっちゅうわけや」

「実際どうなんです?」

「科学的に解明されたわけや無いけど、実際この4×3のインブリード……奇跡の血量とも言われとるんやが、このインブリードで活躍した馬がいる事はマジやな。古くは60年前から、最近やと2002年にダービーで勝ったタニノギムレットっちゅうのがグロースタークの4×3、2006年に皐月とダービー2007年に天皇賞春と秋に勝ったメイショウサムソンっちゅうのがノーザンダンサーの4×3やな」

「ははあ、実際の事例があるんすね。んで、この仔馬もその奇跡の血量ってやつなんです?」

「おう、メイショウサムソンと同じノーザンダンサーの4×3やな。まあとはいえあくまでも奇跡の血量ってのはそういう理論があるってだけで、実際4×3にすりゃ必ず強い馬が産まれるってわけじゃあない。

単純にこれまでの他の子供が活躍してないナイスネイチャとイクノディクタスじゃあ、いくら奇跡の血量って言ってもまあ買い手はほぼ付かないやろな。

何の因果か生まれた日付がナイスネイチャと同じやし、ファンがおうたら買うかもしれんくらいや」

「なるほど……」

 

 

 

2.インナモラータの08(牡) 鹿毛 流星

父:トウカイテイオー

母父:サンデーサイレンス

生月日:5/1

 

 

「一応ノーザンの4×5やが、まあほぼインブリードの影響は無いな。父はナイスネイチャと同じ時代にGⅠを4勝した歴史的名馬や、同じレース走ったことも何度かある。

現役時代に強くても産駒が走らないってのはよくある事やが、このトウカイテイオーにはどうしても血を繋ぎたいって執念持っとる輩がいるんよな」

「そうなんです?ってか、こっちも他の子供は成績駄目なんすね」

「まあそりゃ、値段が安い馬ってのは相応の理由があるもんや。

トウカイテイオーは父親のシンボリルドルフってのがクラシック三冠っていう3つの一生に一度しか出れんGⅠレースを全部無敗で勝っとる歴史に残る馬で、テイオー自身も無敗のまま2つ勝っとるんよ」

「最後の1つ負けたんすね」

「いや、2つ目のダービー勝った後に怪我が発覚して、挑むことすら出来んかったんや」

「あら……」

「その後もレースに出て勝って負けて骨折って、レースに出て負けて勝って骨折って、ってなったら流石にもう引退やなって空気になってたんやが、怪我で丸一年レースに出てないトウカイテイオーは年最後の有馬記念っちゅうGⅠレースで勝って奇跡の復活を遂げたんや」

「すげぇ馬だったんすね」

「そやろ、まあその後もう一回折って今度こそ引退になったんやが」

「あらぁ」

「んでまあその後種牡馬入りして最初は期待を集めたけど、産駒は全然走らんでもう終わった血ってことで人気は無くて、でもどうにか血を繋げたがってるっちゅうわけや」

「なるほど。ちなみに母親の方はどんな馬なんです?」

「競走馬としての実績は皆無と言ってもいいくらいやが、父親がサンデーサイレンスだから選ばれたっちゅう感じやな」

「えーと、母親のお父ちゃんがってことっすか」

「そうそう、競馬界やと流行の血っちゅうのがあるんよ。

10年前くらいまではさっき言ったノーザンダンサーってのの血が色んな形で色んな馬に血が流れてたんや。お祖父ちゃんがノーザンダンサーで父親がその息子のどれかって感じでな。

んでここ10年くらい圧倒的な人気を持っとるのがこのサンデーサイレンスっちゅう馬や。

子供の稼いだ金額ランキングはここ10年くらいずーっとサンデーサイレンスで、まあどいつもこいつも強い上に数が多くてあっち見てもこっち見てもサンデーの息子孫って感じやな」

「ははあ……それはなんか、おもろなさそうですな」

「馬を作る側からしたら稼ぐため、そして大手だと強い馬を作るための一番いい動きをしとるんやが、見とる側からしたらまあおもろないかもな。

んでそのサンデーのめちゃめちゃ多くいる娘の1頭がこのインナモレータやな。まあサンデーの血欲しさにって感じやわ」

「母親の実績が無くても血だけ欲しいってことっすか」

「せや。まあ現役時代の成績が悪くても血統が良ければ繁殖に使われるのが競馬の常やし、実際それで実績残した馬も多いしな。

三冠取ったナリタブライアンの母親とかも、血統はそれなりやったが現役時代2勝くらいしかしてなかったはずやし」

「なるほどなぁ」

 

 

 

3.エスペラーダの08(牝) 鹿毛 曲流星

父:メイショウドトウ

母父:フサイチペガサス

生月日:4/2

 

 

「父親は現役時代GⅠ1勝……いうても実質6勝くらいしとる外国産まれで輸入されてきた馬やな。これも父は強いけど産駒は走ってないパターンや」

「実質ってなんです?」

「メイショウドトウは成長が遅めで本格的に重賞戦線に参加したのは4歳。3歳の時はパっとせんくて、条件戦勝ち上がってようやくオープン入りしたけどオープン初戦は惨敗やったんよ。

それが年明けたらいきなりGⅡ2着で、休養挟んでGⅢも勝利と、人っちゅうか馬が変わったかのように勝ち始めたんや。

んでそこから順調にGⅠ戦線に参加したんやけど、そこにはテイエムオペラオーっちゅう同い年の馬鹿ほど強い馬がおったんや。別名を世紀末覇王っちゅうんやが」

「強そうな異名っすねぇ」

「古馬王道っちゅう5つのGⅠがあるんやが、テイエムオペラオーは日本競馬史上唯一その5レースを1年の内に全て1着取った馬なんよ」

「バケモンやないすか」

「バケモンやで、それを成し遂げたのが2000年……丁度20世紀最後の年やったから世紀末覇王って言われとるわけやな。

んでそのテイエムオペラオーが1着になったGⅠで5回2着になったのがメイショウドトウや」

「はー、ってことはもしオペラオーがいなかったらそのメイショウドトウが世紀末覇王だったんですかね」

「2000年の最初の古馬王道GⅠは出られなかったからそういうわけやないんやが、もし単純にオペラオーがいなかったらと考えると2000年にGⅠ4個取ってたバケモンやな。2000年にオペラオーいなくてドトウが出てたレースは2、1、3、1、1着で、オペラオー以外はほぼほぼ虐殺しとったし。

んでまあオペラオーに5回連続2着の負けをした後にようやくオペラオーにGⅠで勝って、その年にオペラオーと一緒に仲良く引退したわけや」

「んで子供がそんな成績残してないから安いと」

「そういう事やな。現役強くても子供が強くないから血が途切れそうっちゅうのは、寂しくもあるけどそういうもんやからしゃーないな。

んで母親の方も外国産馬やな。血統はかなり良いんやが怪我して全然走れんかった馬で、これが初の子供や。

せっかくの良血なんやからもう少しいい血付けてやれば良かったんじゃ?とは言われとるが……まあ買い取った輩の趣味やろなぁ」

 

 

 

「とまあ、こんな感じやな。まあ浪漫に寄った感はあるけど、どれも古馬戦線で戦った馬が父親やし怪我さえ無きゃそこそこ長めに楽しめるやろ。強いて言うなら言った通り2番目の候補は父親が怪我がちだったことを考えると体質面で若干不安なくらいか。

もちろん他の候補に上げた馬狙ってもええし、そもそも現地で直接見てみんとわからんことだってぎょうさんある。

そこら辺は現地で待ってる先生とまた相談やな」

「うっす」

 

安い馬でとりあえず体験したい、というのを言い出したのは自分だが、思った以上に夢と現実を突きつけられた気分だ。

さて自分が選ぶ馬は……。




駒場駿太
シーズンを終えいつも通りの成績に落ち着く
競馬の知識を蓄えながら野球に精を出す二足の草鞋

笹木さん
一見万全なサポートをしているように見えるが、実は経営が苦しい牧場が生産した馬を体よく買わせようとしている
それでもちゃんと牧場からの評判がいい馬を選んではいるが自分で買う気は無い

アンケート
7/1の12:00が期限

種牡馬
ウマ娘の☆1・☆2、☆3、育成未実装の中でそれぞれサイコロを振って決定
牝馬側はd6で1が出たらイクノディクタス、2~4でサンデー産駒、5~6でその他
最初のネイチャが1発で1出してカノープスてぇてぇってなった


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目標2:幼駒を買う

アンケート結果
イクノディクタスの08(牡) 12
インナモラータの08(牡) 7
エスペラーダの08(牝) 2
馬体見るまで決めない(次話まで保留) 26

慎重派が多いですね、やはりというか当然というか



セリや馬の肉体的特徴については参加したり直接見たわけではないのでネットで調べながらの執筆になるのですが、思っていたのと違うというのが感想
金持ちの集まるコミケというか。


「着いたか」

「賑わってますね」

 

約1時間半のバスの旅を経て、たどり着いたのは静内という町のセリ会場。

流石は北海道というべきかかなり広い公園のような場所に、いくつもの露店。セリというだけあってピリピリした雰囲気なのかと思いきや、思ったよりも談笑が多く和やかな雰囲気だ。

お祭りというか、一大イベントといった感じか。

 

とりあえず受付で購買者登録を済ませる。セリで「〇〇番の方お買い上げありがとうございました」などと聞くが、その番号をもらうためのものである。

 

「買ったのが誰かとか、実際のとこどうでも良い気もするんすけど」

「長い間馬主やったり毎年複数頭買うような大馬主になったりすると、例えば序盤にあの馬主があの種牡馬の仔で粘ったから他の仔も吊り上げられそうとか、セリにも色々読み合いとかあるんよ」

「うわぁ」

 

そしてすごく目立たずひっそりと配られている測尺表という冊子。これが実は一番重要である。

これには馬の体長、胸囲、脚の太さ、そして生産者による最低落札希望価格が記載されており、これを見てその日一日の予算配分や狙い目の馬を決めていくわけだ。

 

「ま、言うても体長何㎝とか数字だけ見てもわからんやろうから、実際は馬見て決めるんやけどな」

「値段が見る点すか」

「これまでのデータで良さげな数字っちゅうのはあるけどな。実際に馬見ながらの方がええ、まあまだやることはあるけどな」

 

測尺表を手にじゃあ馬を見に……と思いきやまだ見るものがあるようだ。

次はレポジトリ、ようするに健康診断らしい。

 

 

 

「牧場だとそこまで大がかりな、レントゲンとか内視鏡とか見れんからな。ここで初めて検査ってことも多いんや」

「あーそういう……」

「まあもちろん素人じゃ見てわからんから会場にいる獣医とかに見てもらうんやが、長く見続けてるとわかるようになるらしいで」

 

試しに自分で見てみたが、まあやはり何もわからないので素直に獣医さんに頼ることにした。

その結果。

 

「インナモラータ08の右前脚飛節に、OCDの症状が見えますね」

「おーしーでぃー……?」

「成長の過程において関節の軟骨が壊死して、骨軟骨片が剥がれてしまった状態です。人間でも小中学生の育ち盛りにおいて時折発見される障害ですね。

インナモラータ08の症状はごく軽微に見える上臨床症状も無いため気にするほどでは無いでしょう」

「ふーむ」

「現状色んな国の調査では臨床症状が無いならそのままでも運動能力には問題ないっちゅう調査結果が出とるが、まあ気にするなら頭に入れといたほうがええな」

 

 

 

 

さて、朝8時に起きたはずがいつの間にやらお昼前。セリはなんというか、お金持ちがゆったりと談笑しながら札束で殴り合うのを想像していたのだが、朝から各所を移動して何かして移動して何かしてと、結構な忙しなさ。

因みに昼飯は、なんと購買者登録をすれば無料で食える。北海道名産の屋台もあるんだが、なんとも豪勢なものだ。

笹木さんはサマーセールで必要分の馬を購入したため今回買う予定は無く自分は狙い目の馬が少なく比較的遅めの出品番号だから余裕があるが、1頭目からセリに参加したり何十頭も目星をつけているような馬主は大変そうだ。昼をゆっくり食べる時間も無いだろう。

というか、2つ隣のテーブルで数人の馬主がカレーとお茶を高速で流し込みながらどの馬を買うか激論を交わしている。血走った目でちょっと怖い。

 

「……まあ、飯のタネやからな。ちょっとでも良い馬を探すのに必死なんや。特にセリ開始すぐの番号っちゅーのはそのセリの目玉なことが多いからな」

「会場の熱気を上げるためとか、そういうことっすかね」

「そやなぁ……ん?あ、池尾さーん!こっちですー!」

 

そして自分たちは早めの昼飯をゆっくり食いながら何をしているかと言えば、調教師さんを待っていたところだ。

 

「ああ笹木さんこんにちわ。駒場さんは直接では初めましてですね。

調教師の池尾泰弘(いけお/やすひろ)です。よろしくお願いします」

「初めまして、駒場駿太です。よろしくお願いします」

 

今日馬を見てもらい、また買ったウマを預かってくれることになっている調教師さんだ。

 

予め茶台の藤さんが紹介してくれたのだが、長らく調教助手として勤めていたことからか腕が良いと評判で、かつ調教師としてのデビューは2004年と最近で「馬主の初めての馬」を請け負った事が無いことから、その経験を得るために承諾をしてくださったそうな。

まだ管理している馬が少ないというのもあるが既に最高勝率調教師というタイトルを得ているそうで、期待のホープと呼ばれているらしい。

そんな人に馬を預けられるというのは随分な幸運だ。

 

 

 

 

「じゃあ馬出してもらおか」

 

挨拶を済ませいよいよ実際の馬を見に行くことに。なんだか少し緊張してきた。

会場の隣の厩舎エリアのスタッフさんに声を掛けることで馬を出してもらう。当然ながらこの時点では自分の馬では無いのでお触りは厳禁だ。

 

 

 

「こちら、278番のイクノディクタス08です」

「ありがとうございます」

 

イクノディクタスの08。

体高は152㎝、馬体重は445㎏。希望価格は100万円。

 

「なるほど、俺にはわからんっすね。なんとなく毛並が綺麗だって思うくらいっすわ」

「素人目に見て毛づやが綺麗ってのは重要な事やで。毛づやってのはきちんと栄養が足りてて健康で元気ですって証拠やからな」

 

「この年齢の馬体としては普通の大きさですが、その割に肉体が若いように見えますね。調教次第ですが肉体が出来上がるには少し時間がいりそうです」

 

「ずいぶん大人しいというか、従順な馬やな。こういう馬は折り合いは問題ないやろうが、闘争心に欠けないか心配になるな。まあ1歳だしまだまだわからんが」

 

 

 

 

「こちら、315番のインナモラータ08です」

「ありがとうございます」

 

インナモラータ08。

体高は149㎝、馬体重は423㎏。希望価格は150万円。

 

「さっきの馬よりちっちゃいっすね」

「いうても平均サイズやと思うで、今後の成長次第やな」

 

「この時期にしてはトモの形がいいですね、運動量が多かったんでしょうか。腰の筋肉も十分ですし、早い段階から走りそうです」

 

「歩き方を見るにバネがありそうやな、もしかしたらテイオーのバネを継いどるんちゃうかこれ?そう考えると軽微なOCDも納得いくが……」

 

 

 

 

 

「こちら、351番のエスペラーダ08です」

「ありがとうございます」

 

エスペラーダ08。

体高は150㎝、馬体重は428㎏。希望価格は100万円。

 

「なんか、なんとなくほっそりしてる気がしますね」

「の割に馬体重は平均だから、育ちきったら480とか行くかもしれんなぁ」

 

「脚の形はダート向けですかね、馬体重が伸び切ればダートや芝の重馬場で好走しそうです。親が欧州血統同士ですし洋芝を走らせても面白いかもしれません」

 

「体の作りは全体的に短めの距離の方が向いとると思うが、その割に胸がでかいな。肺が大きいと見るなら距離適性広そうか?」

 

 

 

 

その他12頭の〇印の馬も見て回ったが、どうにもピンと来ないというコメントを2人からもらったので、やはり◎印の3頭から選ぶことにする。

さて、どの馬を選ぶべきか……。




池尾泰弘
自身も調教師である父親の厩舎で腕を磨いた。キャリアは若いが腕は一流
「偶然にも」◎印の3頭のうち2頭の母が彼の元管理馬


馬の特徴
事前にある程度適性などを決めてあり、それに合わせた身体的特徴を後付け
いうても素人が調べた範囲での記述なので合っているかは未知数


アンケート
今話のアンケートは前話での得票数を加え「ません」
今話のアンケート結果のみを参照します
期間は7/5 12:00まで


馬名募集
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=263443&uid=360038
活動報告にて競走馬の名前を募集します。軽い気持ちでご参加ください。
これURLの貼り方あってますかね


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幼駒を買う、達成!

イクノディクタスの08(牡) 38
インナモラータの08(牡)  53
エスペラーダの08(牝)   9

実際に馬を見たことで大きく票数が変化しましたね。
主人公となる馬は父トウカイテイオーの産駒、インナモラータ08となります。

デビューは2010年、クラシック年代としては2011年。はたしてどんな馬生が待っているのでしょうか。

実際この年はどんな競馬だったのかどんな年だったのかあらかじめ調べておくと参考になるかもしれないですね。
その分選択肢を選ぶときにノイズが入るかもだから調べない!っていうのももちろんOK。


「260万、260万ありませんかー260万ありませんかー、260万無ければこれがラストコール、右手のお客様にハンマー。

250万越えは、ありませんか!

250万円です!343番のお客様、ありがとうございました!」

『250万円、大阪市、駒場駿太様、ご購買ありがとうございました』

 

タァン、という木と木のぶつかり合う音、そして簡単な書類1枚を書くことで、あっけなく自分の初めての馬を買うことに成功した。

注目度の低い馬だとこんなものなんだろうか。こんなもんなんだろうな。

 

「目当ての馬は買えたし外出よか」

「うっす」

 

セリ会場から離れ一旦外へ。会場裏から出てきた馬と対面し、外で記念撮影をすることとなった。

 

「お久しぶりです駒場さん、無事買えましたか!」

「藤さん、お久しぶりです。お陰様で買えました。終わってみればあっさりとしたものですね」

 

真っ先に声をかけてくれたのは初めての競馬場で会っての縁で、時折サポートを請け負ってくれている茶台の藤さん。

笹木さんとも連絡を取って調教師さんの紹介もしてくれたりと、本当にいいのかってほどに目をかけてくれている。

 

「そうですね、オータムセールは競争率が低いこともあってあっさり買えて拍子抜けと言う方もいらっしゃいます。駒場さんにはセレクトセールでセリを行うような大馬主になることを期待してしまいますね」

「ははは、持ち上げ過ぎですよ」

「お、そちらは駒場さんですか。ニュース見ましたよ」

「駒場さん、実はうちの息子がファンなのですがサインをもらっても?」

 

藤さんと話していると周囲の個人馬主さんも話しかけてくる。

競馬界では人との繋がりも非常に大事と聞くので笑顔で受け答え。野球もその辺は同じだ。

馬主さんだけでなく、その馬主さんの相談役として来ている調教師さんや馬を生産した牧場主さんなどが一堂に会する。セリというものは馬を手に入れるためだけではなく、こうやって顔を広げるためのものでもあるのだ。

まあこれは笹木さんや藤さんの受け売りだが。

 

しばらくの歓談の後そこから離れ改めて自分の馬を見に行く。そこに立っていたのは2人の男性。

 

「お疲れ様です」

「おお駒場さん、初めてのセリお疲れ様でした」

「駒場さん、お買い上げありがとうございました」

 

池尾さんと、このインナモラータの08の生産者である高井秀明(たかい/ひであき)さんだ。

 

「血統的に魅力が無いという点で買い手がつかず正直に言うと焦っていましたが、一安心です。本当にありがとうございます」

「いえ、そんなに感謝される程では……」

「駿太、受け取っとけ。どういう形であれ、生産者にとっちゃ自身が生産した馬が売れないっちゅうんは本当にキツい事なんや」

「まあ、でしたら」

 

随分と腰が低いが、まあ全部では無いにしろ買い手が付かなかった馬の末路はなんとなく想像できるので考えをやめることとした。

 

自分の買った馬に目を向ける。話しているのを意に介さずぼうっと立っていたその馬が、そこで初めて動いて目を合わせてくれた。

 

「いい名前つけたるから、よろしくな」

 

語りかけたその言葉にブルル、と鼻を鳴らしたのは、偶然か、それとも答えてくれたのだろうか。

 

 

 

 

バイソンズ駒場、幼駒を購入

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

オリオン・バイソンズに所属する現役野球選手の駒場駿太選手(29)が10月14日に行われたオータムセールで自身初となる幼駒を購入した。

 

購入したのは1歳馬、インナモラータの08。父にトウカイテイオー、母父にサンデーサイレンスとそこまで実績のある血統構成ではなく、セリにおいては250万円とかなりの安値で落札された。

「茶台グループの方をはじめ色々な方のサポートを受け、初めての馬を買うことが出来ました。怪我せず走ってくれれば嬉しいです」と笑顔で語る。

 

今期は24試合に登板し8勝9敗、163回を投げ防御率4.58。離脱者が続出する主力陣を支えた。

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:RH2cVyU3A

いいご身分ですこと

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:JePVeNBwS

オフなんやからええやろ別に

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:gTEEtJymQ

終わってみればなんだかんだで一番活躍した先発だったな今年は

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:iPbHe5Nca

わからんもんだなぁ

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:eAm8VULRB

今年は打線も投手陣もやばかったなぁ、なんかしら新戦力作らんと来年以降厳しいし色々試さんと

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:mfrcBnmmB

主力の怪我多すぎやねん

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:JezJuYeax

怪我せずローテ守ることの大事さを痛感したなぁ今年

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:dM7cQDgS5

駒場除いて全員怪我したんとちゃうか開幕の先発ローテ

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:gTEEtJymQ

しかし変な血統買いおったな

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:EV2rjaCyB

最初は安いの買いたいって言い出したから買い手が付かないゴミ掴まされたとかじゃね

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:dasQiFgFT

言い方よ

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:5hSbUKtST

まあ中央に入れるなら1勝した時点で元取れるからそういう意味じゃお手頃ではある

預託料込みだとわからんけど

 

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:asmVhjxs9

母父サンデーだし1勝くらい頑張ってほしいね

 

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:WP4d5VZz8

なんだかんだ応援馬券くらい買ったるわ

テイオーの血繋がってほしい

 

 

 




藤さん
茶台は茶台なりに色々裏で思惑はあるが、とりあえずちゃんと親身にサポートはしてくれてる人

個人馬主
目を付けてた人もいたみたいだけど、血統が血統なので競りかける人はいなかった模様

高井秀明(架空)
ロマン大好き零細牧場長
選ばれたルートによってはもう出てこない




https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=263443&uid=360038
引き続き馬名を募集しています。募集期限は次話投稿5分前まで。いつ投稿されるかは未定。


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目標3:新馬戦に出走

競争馬名募集は終了しました。

採用された馬名はにかわさんの「サイレントロード」となりました。
どれも良い名前でとても悩んだのですが、

・主人公の初馬ということであまり捻った名前にはせず英単語2つの組み合わせ
・競争馬命名基準にて「馬主自身の名称は冠名として認められる」ということから今回は冠名無しでの募集であるため「コマバ」はNG
・親トウカイテイオーと関連付けられポエム実況が作りやすい(メタ)

ということで自分の好みと合わせて決定しました。
皆様本当にありがとうございます。

そしてまだまだ説明回ですが、いよいよデビュー戦を決める段階となりました。
本格的な競争馬生のスタートです。是非皆様の手で歴史に名を残す名馬としてもらえれば幸いです。


「ん?」

 

2月の春季キャンプ中、午後全休の日で身体をほぐしていた所に電話が来た。

この番号は……調教師さんか。定期的な経過報告をするという話でまとまっていたもののそのタイミングとはまた違う。はてさて良い報告か悪い報告か。

 

「もしもし、駒場です」

『お疲れ様です、池尾です。今お時間よろしいでしょうか?』

「構いませんよ、どうされました?」

 

休憩のタイミングとしては丁度いいので、とりあえず話を聞くことにする。……む、スポーツドリンクが切れている。持ってこなければ。

 

『先日育成牧場さんの方にサイレントロード号の様子を見に伺いまして。お話というのはサイレントロード号のデビュー戦についてです』

「もうデビュー戦の話ですか。仕上がりが早いのですか?」

『そういうわけでは無いのですが……』

 

なんでも、競走馬にはデビューする時期も大事らしい。

 

新馬戦というものは6月中旬がスタート時期となる。所謂素質馬と呼ばれる、例えば血統や馬体に見るべきものがある馬というものはこの6月から8月といった「早い時期」にデビューさせるのが現在の主流となっているらしい。現にここ数年、日本ダービーという競走馬に関係する仕事に携わるものとして目指す最高のレースにおいて好走している馬はこの時期のデビューが多いそうだ。

日本ダービーだけでなくそれを始めとした3歳限定のレースを目標に据えるのが競走馬調教においての基本となっており、それを見越して早めのデビューが好まれる。

 

特に競走馬生産と馬主を兼ねている、それこそ茶台系列の複数の牧場やヒュージブラッドファームのような所にとっては幼駒が6、7月に勝つというのはセレクトセールにおいての値段に直結する。

そういう商売事情も加味して、特に種牡馬デビューして1年目の産駒は早い内から走らせることが多いようだ。

 

今年は2010年、つまりは2008年生まれが2歳としてデビュー戦を行う年。ということは2007年種付けデビューが初年度産駒ということだ。

つまりは2006年夏頃~年末に引退し種牡馬となった競走馬。競馬に携わる者なら誰でも、そしてそうでなくても知っているビッグネーム。

 

「なるほど、今年はディープインパクトの初年度産駒のデビュー年なんですね」

『そういうことです。まあもちろん傾向というだけなので必ずそうであるという訳ではないのと、単純に早めにデビューすれば賞金を積むチャンスが多いというのもあります』

「賞金ですか。確かにお金はあって困るものではないですしね」

『あー……なるほど。まあそれもそうなのですが、そうではなくてですね』

 

なんでも、レースの出走登録自体には有料でこそあるが制限が無いものの、例えばじゃあ18頭しか参加できない日本ダービーに200頭も300頭も出走登録してそこからランダムで出走する馬を選ぶとかそういうことはあり得ないのである、とのこと。

言われてみればなるほどそれはそうであるが、ではどうやって出走する馬を決めているのかと言えば、そのレースまでに獲得した賞金を下に決められているそうだ。

 

賞金には「本賞金」と「収得賞金」の2種類が存在している。

前者はレースごとに着順に応じて支払われる賞金。例えば新馬戦なら1着700万円、2着280万円、3着175万円……といった具合だ。

そして後者は重賞レースであるGⅠ~GⅢの1着か2着、それ以外のレースの1着馬に加算される記録としての賞金であり、これはその馬が今どれくらいのランクにいるのかの基準となる。

 

あまり長くなっても困るから端折るが、新馬戦と未勝利戦で400万、所謂条件戦と呼ばれる500万以下戦では500万、3歳の7月以降から参加できる1000万以下戦では600万、1600万以下では900万円。簡単に言えば「3歳の6月までなら900万円以上、7月以降なら2500万円以上の収得賞金を稼げば出走除外の憂いを少なく賞金の高いレースに出走登録できる」というわけだ。

 

そして早めに走らせることが出来れば、それだけ純粋に賞金を積むチャンスが増える。まだ馬が少ない2歳限定のオープン戦や重賞戦に勝てれば今後、特に3歳限定戦……所謂クラシックでのレース選択に余裕が出る。

遅めのデビューの馬をクラシックを目指して無茶なスケジュールで条件戦に走り詰めにさせれば怪我のリスクも増えるし、パフォーマンスにも影響が出る可能性が高い。

 

特に2歳の早い内は500万以下戦の選択肢が少ない分そのクラスの強さの馬と一緒に2歳限定重賞を走ることになり、本当に強い馬にとっては賞金を早い内に多く積めるチャンスでもある。

もちろん、そこまでの実力が無くても早い内から走れば賞金がもらいやすいというのもあるが。

 

 

 

ふむ。

 

「仕上がりが早いわけではないんですよね」

『そうですね』

「クラシックを目指せるほどの馬ということですか」

『……』

 

そう、もし所謂素質馬でない……将来に期待が持てない馬であればこんな話をする必要は無い。条件戦を走らせてあわよくばオープンにいければいいなと思っていればいいし、事実自分もそういう考えでいた。

 

『……調教が順調、というよりは順調すぎると言ってもいいでしょう。調教助手時代から数えても、育成牧場でここまで早いペースで調教メニューを熟している馬はいませんね』

「そんなにですか」

『とにかく賢く大人しく、そして人懐こくよく従う馬ですね。こんな馬は初めて見ました。

ですが、どうも手を抜いている様子があるのですよね』

「手抜き?」

 

手抜き。

意味は分かるが、「調教が順調」という話と少々つながらない気がするが。

 

『教育のための軽い調教と、スピードを出すための強めの調教があるんです』

「はい」

『軽めの調教では騎手の言うことを聞いて真面目に走ってくれるんですが、しかし強めに追うと全く指示を聞かないんですよね。

自分の走りたいように走るというか……基本的には遅れすぎない程度に付いてくるんですが、「ここからスピードを出してくれ」という指示は全く聞かないんです。他の馬の同じような調教を見させたりして色々試してはいるのですが、あまり効果は無いです。

調教後に疲れを見せないことから、能力は間違いなくあるんですが』

「なるほど……」

『気性の問題だとは思うのですが、例えば去勢するなり馬具を取り付けるなりで対処できる問題とは思えず……自分が関わった馬にも実はこの馬は手抜きをしていたんじゃないか?と思える馬はいましたが、ここまで露骨に外から見てわかるのは初めてですね。私も正直どうしたらいいか困っているというのはあります』

「なるほど」

 

 

 

 

という問題点の下、改めてデビュー戦についてだ。

現在の調教では調教助手という厩舎に所属するスタッフが勤めているが、現役ジョッキーに依頼し現役馬と同じような調教を行うことを検討している。実戦での騎乗に慣れたベテランに依頼すれば何かが変わるかもしれないからだ。

だがベテランジョッキーというのは当然他の厩舎からも引っ張りだこなので、実際話が進むのは月単位で先の話となるかもしれない。

そして一人目のベテランジョッキーで上手く行くかも当然わからないので何人かに依頼する予定で、最初は池尾さんの友人の方から声をかけてみるそうだ。

 

 

 

 

 

まず池尾さんからは、馬体の作りを見るに距離としては短すぎると相性が悪そうで、将来のクラシック戦線を見据えるのであれば1800mや2000mといった新馬戦としては長めの距離のものに出た方が良さそうということ。

そして自分からは、折角の初の所持馬であるため自分で会場に脚を運んで見に行きたいということ。これに関しては「口取り式」とも呼ばれる勝利した際の記念撮影に関わるため、新馬戦だけでなく顔を出せるレースは出来れば顔を出してほしいとも言われた。もちろん自分も行けるなら行きたいがあくまで本業はプロ野球選手なので、そっちを優先するとは伝えておりそれを了承されている。

このことから早めデビューをするならオールスターゲームのある7月終盤となる。

 

それを踏まえて、新馬戦の候補として挙げたのは以下の4つだ。

 

 

 

1.7/25新潟1800

早めの新馬戦に挑むケース。この時期はプロ野球はオールスターなので自分は縁が無く休み。

7月終盤の長めの距離の新馬戦で自分が見に行けるのはここ以外に選択肢無し。

直線が長くスローペースになりがちな競馬場で、脚の形や馬体と走り方を見ると比較的相性の良さそうな競馬場で、活躍は期待できるとのこと。

懸念点は輸送距離が長く体調が心配であること。輸送の問題から基本的に新潟新馬は関東の美浦所属の馬が良く利用する場所だそうだ。

 

 

 

2.10/2阪神1800

秋開催の主要競馬場。

なんといっても栗東所属厩舎であるため輸送が楽というのがポイント。自分も自宅から遠くないので見に行くのが楽なのは嬉しい。

ここからのスタートでも順調に勝てれば2歳GⅠである朝日杯や年明けの2000m重賞京成杯に十分間に合う他、負けても未勝利戦は時期が後になるほどに距離が伸びていく傾向にあるため、勝っても負けても除外されたとしても次走の選択肢が幅広い。

特にこれといった懸念点が無いことが強みだ。強いて言うなら早めに輸送を経験させ慣れさせたいというならそれは出来ないという点か。

 

 

 

3.11/28東京2000

東京競馬場としては年内最後の開催で、ジャパンカップの当日同会場。

輸送の問題はあるが、ダービーを始めGⅠなど重賞が複数あり一度は経験させておきたい競馬場。

ジャパンカップ当日ということで複数の有力ジョッキーが会場に顔を揃えており、もし手が空いていれば騎乗依頼が通る可能性が他と比べて高いのが利点。

ここで能力を披露しその有力ジョッキーにそのまま後のレースにも乗ってもらえれば文句無しだろう。

問題は上記は絵に描いた餅であることと、最終開催ということで芝の調子が悪いであろうことか。

 

 

 

4.12/25中山2000

年末の中山で、有馬記念の1日前。

後の皐月賞と同じ舞台同じ距離で、主要競馬場での出走に慣れさせるのであればここからというのも悪くは無い。

ただここに出て皐月賞を目指すなら、休養も考えると連勝か格上挑戦しない限りはローテが厳しい。順調に勝利したとしてもここ→1月に1勝クラス→2月休養→3月にトライアルから短期放牧→4月皐月賞→5月ダービーと使い詰めになるかもしれない。

結果と体調次第で皐月賞を捨ててダービー1本に絞るか、1勝クラスを捨てOPや重賞に直行など、ローテを捻るのもやむなしだろう。

懸念は新潟ほどでは無いが輸送の長さ、そして人気のある主要競馬場であるため多少除外の可能性が残る。

逆に言えば他頭数という重賞など人気レースと同じ条件になりやすく、地力を図るためにちょうど良いとも見れる。

 

 

 

 

といった具合だ。年明けデビューは現状考えていない。

 

阪神を除きどれも一長一短だが、そもそもとして「素質がある」というものの実際それがどれくらいなのかとかは自分にはわからないので、ある程度調教が上手く行ったという確信を調教師さんが持てるまで待つというのは個人的にはかなりありな気がする。

しかし早めデビューの利点はさっき説明されたとおりで、それに関しては自分もかなり納得できる。

うぅん悩むが……新馬戦は……。

 




>ディープインパクト初年度産駒
最終的にこの年2010年、初年度産駒の2歳戦獲得賞金ランキング(5.37億)と初年度産駒2歳戦勝利数ランキング(41勝)において父サンデーサイレンスを越え単独1位。
初年度産駒の数がサンデーより多いというのもあるが、それでも凄まじい記録なのは間違いない。

>500万以下、1000万以下、1600万以下
現在における「1勝クラス」「2勝クラス」「3勝クラス」。この年代ではまだこの表記。
収得賞金に関するルールは変わっていないので、未勝利戦勝利+重賞2着とかで1勝しかしてないけど3勝クラスにいるっていうことは現在でもあり得る話。

>池尾さんの友人
池尾さんの同い年幼馴染で現役ジョッキー。
一体どんなレジェンドなんだろう……。

>アンケートについて
選択肢の後に「!」が複数付いていますが、これは「後の展開に影響を及ぼす度合い」を示しています。最大5で多ければ多い程影響が大きくなります。
この影響は良い方向である可能性もあれば悪い方向である可能性もあり、「これを選べばOK」という訳ではないです。
悪い方向にわかりやすい例だと、この選択肢が選ばれると予後不良確定という場合最大の!!!!!表記となります。
安定を選ぶか波乱を選ぶか。皆様の選択を楽しみにお待ちしております。


>新馬戦アンケート
期限を7/11の12:00とします。
次話投稿は7/12の12:00予定です。


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イベント:サイレントロードという馬

順調に書けたので早め投稿

7/25新潟1800(!!!!) 117
10/2阪神1800(!!) 72
11/28東京2000(!) 22
12/25中山2000(!!) 9

早めの時期の方が人気がありますね
波乱の方が好きなのか早めの方が有利やろ派が多いのかはてさて

新潟が選ばれたので本来想定されていた今話の内容に変化があり、今話でも同じ内容のアンケートがあります
詳しくは本文と後書きをどうぞ


「……ふぅ」

 

駒場に新馬戦の相談を持ち掛けた池尾はそれが決定したところで電話を切り、そして自然と溜息を零した。

 

 

 

サイレントロード号の調教の遅れ。

癖のある馬は何頭も見てきたが、担当予定厩務員からの報告には流石に困惑した。これは想定外である。

何かアドバイスを求められ、咄嗟に出てきた言葉が「一度いい騎手を回す」だった自分にもむかっ腹。

これを馬のせい、としているようではプロとは言えない。馬によってその能力性格に差はあれど、それをきちんと走るようにするのが仕事なのだから。

 

「……」

 

数分の無思考と脱力。そして彼はおもむろに携帯電話を取り出し、慣れた手つきで電話帳を呼び出し通話をかける。

コールは2回ですぐに出た。

 

「もしもし」

『もしもし、ヤスヒロ?どうしたん急に』

「……」

『ヤスヒロ?』

 

かけた相手は調教を頼みたいベテラン騎手。そして、同級生にして幼馴染。

 

「ああすまん……2歳馬の調教の依頼したいんだけど、空いてる時間あるか?」

『この時期に?ええとちょっと待ってて』

「出来れば早めがええんだけど」

『んー……再来週の火曜日とかなら』

「なら頼む、場所は」

『いやいや、どんな馬なのか教えてよ』

 

半笑いで雑談に興じようとする騎手に対して難しい声で唸る池尾。それを聞いて騎手……「天才」関稔(せき/みのり)は思わず居住まいを正した。

 

『……なんか問題ある馬なのかい?』

「問題がある、っちゅうかな……」

 

もごもごと口を動かし、観念したようにサイレントロード号のことを伝える池尾。

それを聞き終え関も唸った。

 

『馬側にやる気が無いとは、なるほど難儀だね。言葉を噤んだのも仕方ないか』

「あっちにとっちゃ恥やからな。だがまあ正直打つ手無いからこうして頼んどるわけや」

『まあ話はわかったから、予定を調整しておくわ』

「助かるわ、じゃあお疲れ」

『お疲れ、また今度』

 

勝手知ったる仲。だからこそのあっさりとしたやり取り。親とコネは使ってナンボだ。

はてさて、どうなるか。

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

「おう、おはよう」

 

言っていた通り2週間後の火曜にふらっと現れた関。サイレントロード号は電話の5日後に輸送して既に入厩させている。

入厩直後は環境の変化でピリピリする馬が多いのだが、この馬は一切そんなことはなく輸送翌日もピンピンしており、一応2日明けて始めた調教ではなんの影響も見られず飄々と指示を熟していた。

 

「この馬かい」

「おう」

「利口な馬だね」

 

人の気配を察したのか既に馬房から顔を覗かせようとしていたサイレントロード号。本当に人に慣れている。

生産した牧場がそもそも馬自体がそこまで多くなく、また母馬が子に関心を示さなかった影響で人の手を主に育てられたからではないかとは聞いた。

父のトウカイテイオー、母父のサンデーサイレンス、父父のシンボリルドルフ、どれを取っても気性が大人しいとは言えない馬なのだが……。

 

「庄司」

「はい」

「担当厩務員さんですか」

「はい、馬場庄司(ばば/しょうじ)です」

「よろし、うわ本当に人懐っこいね」

 

興味深そうに関の方に顔を寄せるサイレントロード号。

サイレントロード号の担当にはベテランの厩務員を現状付けている。しかし……。

 

「厩舎での様子は?」

「あまりにも手がかからなくて困る、といったところでしょうか。大人しく、利口で、そしてよく言うことを聞きます。他の厩務員にも一度世話をさせてみましたが、印象はあまり変わってないですね」

「ありがとうございます。じゃあ本当に調教だけなんだね……とりあえず、乗ってみますね」

「頼む」

 

 

 

 

調教の場として選んだのはウッドチップコース。普通の馬の調教時間と大きくズレた午前11時という都合人も馬も朝と比べてまばらな時間。

厩舎から歩かせているサイレントロード号の背に乗った関は乗り心地を確かめていた。

 

(背に乗っても嫌がる様子は無し。淡白というか、乗り手を気にしていないのかな。暴れるわけではないにしろ確かに指示に従わないような気性ではあるかもしれないけど、強めに追う時だけ反応しないというのは引っかかるな)

 

到着したウッドチップコースは1周1800m。比較的内側ということで小回り気味で、実戦さながらのコース取り練習が行えることで非常に需要の高いコースだ。

 

「1周を回って、最後の直線で加速してゴール。育成牧場でやることは概ね終わってるから、一度走ってみて単走で本番さながらの走りをしてみてほしいってとこだ」

「了解。じゃあよろしく、サイレントロード」

 

ぶるひん、と首を振って返事をしたサイレントロード号。

それを合図にゴーグルを付けた関はコースをまずはキャンターから入り、少しずつ脚を慣らしていく。

そしてスタート地点で停止の指示を出せば素直に止まり、池尾に目で合図を出し頷きが返ってきたところでスタートの指示を掛けた。

 

ポンと飛び出しそのまま直線を駆けて第1コーナーへ。とりあえずは馬の好きなように走らせつつコース取りだけの指示であったが、少しペースが早いように思えて手綱を引けば、途端に力を抜いて速度を落とし楽なリズムで、実に楽しそうに走るようになった。

 

(言うことは間違いなく聞く。

重心をずらすだけで器用に手前を変えるからコーナーの回り方も問題無い。

ハミもしっかり噛んでる。

ここで3コーナー……手前を変える指示もしっかり理解してる。

これが満2歳にすらなってない、育成牧場での調教しかしてない馬だって?冗談だろ?)

 

4コーナーを回ってさあ直線に入ったところで、関は他の馬に乗る時のように姿勢を変えて手綱をしごく。

聞いていた話ではこれをしても全く反応しないという話だった。

しかし。

 

 

 

「うお」

「え?」

 

 

 

大きめに一つ手綱をしごいた瞬間、関は一瞬「浮いた」と感じた。

池尾と馬場は一瞬「残像がブレた」ように幻視した。

 

 

 

それは僅か1秒。あまりの急加速に思わず関がバランスを崩し、その瞬間サイレントロードは減速し元のスピードに戻っていた。

そのままゴールと指定されたラインを通過したところで関は関らしからぬ慌てようで手綱を引っ張り、そしてやはり理知的なサイレントロードは少しずつ速度を落とし、そして池尾の下へと歩いていった。

 

「関」

「うん」

 

短いやり取り。

たった1秒、されど1秒。その1秒で見せた輝きは、2人の目を潰すのに十分なものであった。

 

「印象は?」

「ディープやね」

「それほどか」

 

日本競馬の至宝、英雄ディープインパクト。

記憶に新しい人々を魅了したその馬に唯一乗り続けた騎手をして、その断言はある種最大級の賛辞であり最大級の侮辱でもあった。

 

「詳しく聞いてええか?」

「もう少し乗ってからでも?ちょっとまだ確信が持てへん」

「おう」

 

再びサイレントロードに指示を出してスタート地点へ。

指示と共にポンと飛び出して駆けだす。さっきと同じく手綱を持ったまま好きに走らせると、今度はさっきよりは少しだけ早めのペースとなった。

 

 

 

馬というのは基本的には全力で走りたがる生き物だ。競馬というのは、騎手というのはそれを如何に馬の気分を害さないように適切なペースで走らせ、絶好の位置でスパートをかけさせるかが問われる競技だ。

そしてそれは馬の性格や癖によって方法は様々で、それを如何に矯正させるなり馬に納得させるかが鍵となる。

 

18歳でデビューして20年以上。数多の馬に乗った。

癖馬もいた。

気性の荒い馬もいた。

走ろうとしない馬もいた。

それらと対話し続け、乗り続け、数多の勝ちと負けを齎した。

 

そんな関がサイレントロードの背に乗って伝わってきたこと。

 

(……試されている)

 

先ほどの一瞬の加速でバランスを崩したことでこちらを気遣ってか、そもそも育成牧場でのスタッフの騎乗が基準となっているのか、理由はまだわからないが……。

恐らく全力で走ると騎手が完璧な騎乗を出来ないことをわかっている。

逆説的に、こいつは恐らく完璧な騎乗が出来ない騎手を背に乗せてレースをさせたい……いや、本気で走らせる為に言うことを聞かせたいなら完璧に乗りこなせと挑発している。

 

(上等)

 

こちらもトップジョッキーとしての意地がある。

乗り越してみせようじゃないか。

 

淀み無く3コーナーを回り、4コーナーに入り、コーナー終わりで手綱をしごく。

……動く様子無し。舐めてるなこいつ。

そちらこそ舐めてるんじゃないぞ。

 

 

 

 

直線残り150m付近、手綱をしごき続けていた関の騎乗にようやく応え、脚の回転数が一気に変わる。

今度は関もバランスを崩すことなく騎乗しきったように、池尾の目には見えた。

その約8秒か9秒、150mの走りをなんと表現すればいいか、池尾は何も言葉が出なかった。

 

 

 

 

ゴールラインを過ぎたところでしごくのをやめて、それに呼応するかのようにサイレントロードも減速していった。

 

「関」

「この馬やばいわ」

「そんなにか」

「乗りこなしさえすれば、そして騎手の指示に従うようにさえなれば、という枕詞は着くしそれも馬の能力のうちではあるんやけど。

……ディープ以上とは、言いたくないな」

 

言葉を選んだ発言。しかしそれは事実上の、ディープインパクトの敗北宣言ですらあったのかもしれない。

池尾は背が震えた。だって、凡百の騎手じゃない。

関なのだ。「生けるレジェンド」関稔なのだ。

「若き天才の恋人」スーパークリークから始まり、「大井から来た豪傑」イナリワン、「葦毛の怪物」オグリキャップ、「ターフの名優」メジロマックイーン、「一等星」ベガ、「女帝」エアグルーヴ、「海を越える輝き」シーキングザパール、「気品漂う胡蝶蘭」ファレノプシス、「日本総大将」スペシャルウィーク、「黒船来航」クロフネ、「雷神」カネヒキリ、「朱に染まる砂の王座」ヴァーミリアン……そして「英雄」ディープインパクト。

数多のGⅠ馬の立役者であり近代日本競馬史で常に先頭を走り続けた関稔なのだ。

 

「……乗りたいか?」

「そりゃあ乗りたいね」

「なら鞍上頼む」

「いいのかい?」

「乗るの難しいんやろ?」

「難しいというか……乗るだけなら簡単だね、乗り心地は凄くいい。難しいのは言うことを聞かせて、レースで勝たせることだと思う。とにかく上手く騎乗しないと舐められてしまう馬だよ」

「出来るか?」

「……乗せてもらえるなら、やってみせる」

「なら頼む」

「いいのかい?」

「お前にそんなこと言わせる馬を乗りこなせるやつおらんわ」

「そんなことは無い……って言える立場じゃないもんね。わかった、乗るよ」

 

こうして実にあっさりと、トップジョッキー関稔が主戦となることが決まった。

 

 

 

 

 

 

その1ヶ月後の3月27日。

GⅢ毎日杯にて、関稔騎乗馬ザタイキが骨折。

その場で予後不良と診断され、処置が施された。

そして騎乗していた関稔は、頭から叩きつけるように落馬。

肩関節が破壊されたかのような重症に、医者は全治半年の診断を出した。

 

 

 

 

 

そのニュースは競馬ファンと関係者全ての下へとあっという間に知れ渡った。

もちろん、池尾の下にも。

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

関の担当エージェントからの現状の連絡を受けた池尾は電話を切り、そして自然と溜息を零した。

 

「どうする……いや、駒場さんに連絡して聞く方が早いわな」

 

幸いにも今日は事前に聞いていた連絡可能日、池尾はすぐさま電話をかけた。

 

『池尾さんお疲れ様です』

「お疲れ様です。少しご相談したいことが……」

『おやまたですか……なんでしょう?』

「実は……」

 

そして言葉を選びながら、池尾は順に説明を始めた。

 

新馬戦を決める際にも話したベテランジョッキーへの調教依頼が思ったよりも早く通ったこと。

そのジョッキーをして「怪物である」と言わしめたこと。

そしてそのジョッキーを所謂主戦としてデビューする予定であったこと。

そのジョッキーが先日大怪我をしたこと。

 

「関稔さんって言うんですけど、聞いた事ありませんか」

『あー聞いた事ある気がします……え、そんなすごい人が乗る予定だったんですか?』

「このまま行けばその予定でした。ですが……」

 

全治6ヶ月。

現在は3月の末。となれば当然7月に予定されている新馬戦に騎乗するのは不可能だ。

 

幸い期間はまだまだ4ヶ月もあるので別のジョッキーの手配自体は問題無い。

しかしそのジョッキーがきちんとサイレントロードを乗りこなせるかどうかは別の話だ。

なんせ関稔に「乗りこなすのが難しい」「上手く騎乗しないと舐められる」と言わしめたのだ。他のジョッキーに頼んだとして、乗りこなすまでに舐められてもう本気を出さなくなるなんてのは想像に難くない。

 

逆に、もしかしたらサイレントロードと相性が良く折り合いの付くジョッキーが見つかるかもしれない。こればかりは試してみなければわからないのだ。

 

『うーん……なるほど』

「調教師である私としてももちろん依頼する騎手にとっても、もちろんそれが仕事というのもありますがプライドというものもありますので、全力を尽くすという事は変わりません。

ですが、全力を尽くしてもどうにもならないということはあるかもしれないというのは、覚えておいていただきたいのです」

『まあ野球もそういう面はありますから、理解は出来ますよ』

 

 

 

新馬戦の決め直し。

関稔の復帰を待たず有利な時期の新馬戦を目指すか、関稔の復帰を待ちローテを考えるか。

 

駒場の選択は……。




原作が残酷過ぎる定期



>関稔
苗字は2文字ずらし
名前は元の名前からの連想

>関西弁
元ネタとなるお二人の対談では関西弁だったので軽く混ぜる感じで

>馬場庄司
サイレントロードの担当厩務員(架空)。
この道30年のベテラン
その内設定が生えるかもしれない

>最大級の賛辞であり最大級の罵倒
「日本近代競馬の結晶」と称されたディープインパクトと並ぶという賛辞であり、乗っている馬を全然関係無い別の馬に例えるという罵倒
罵倒っていう表現もなんか違う気がするが語彙力G
表現を罵倒→侮辱に直した(7/13)

>異名
軽く調べて出てきたやつだけ
ちょっと待って?〇〇が入ってないやん?っていうのは別にその馬が嫌いとかじゃなくて軽く調べた範囲では出てこなかっただけ
こういうの好きなんだけどどうやって探せばいいのかわからん


>アンケート
というわけで前話と全く同じ選択肢でもう一回。今話のアンケートは前話での得票数を加え「ません」、今話のアンケート結果のみを参照します
期限は7/16の12:00まで
前話のアンケートなんだったの?とは思うかもしれないが原作者がすぐ怪我させるのが悪い


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イベント:怪我と向き合うということ

7/25新潟1800(!!!!) 88
10/2阪神1800(!!) 129
11/28東京2000(!) 57
12/25中山2000(!!) 43
それなりに割れましたが10月にズレましたね。



三人称視点の練習という名の閑話。
全然レースしねーなこの小説。

※この小説には現実の人物をモチーフとしたキャラクターが複数出演していますが、あくまでもモチーフであり思考や言動などは筆者の考えたものとなっています。
モデルとなった人物の思考その他とは一致しているとは限らないということを念頭に置いて閲覧をお願いします。


4月某日。

駒場は池尾調教師と相談の下、サイレントロードに騎乗予定だった関の下へお見舞いへ向かっていた。

病室の前でノックを3つ。

 

「どうぞ」

「お邪魔します」

 

がらりと扉を開ければ、個人用の広い病室。純白のベッドにはテレビで何度か見たかもしれないトップジョッキーが、少し青白い顔で寝転がっていた。

 

「初めまして、駒場駿太です」

「こちらこそ初めまして、関稔です。こんな姿ですいません」

「いえいえ、お気になさらないでください」

 

「競馬というのは去年本格的に見始めましたが、思った以上の迫力ですね。安田記念でのウオッカには痺れました」

「あの騎乗は最後は馬の力だけで勝ったようなものですよ、ウオッカが自分で道を探し出して切り抜けたんです」

「なんと、それはすごい……利口な馬だったんですね」

「そうですね、子供にも期待してしまいます」

 

「そうだ、この前の登板テレビで見ていましたよ」

「そうなんですか、負けた試合だから少し恥ずかしいですね」

「何分病室ではやることが無くて……この歯痒さは初めてですね」

 

30歳の野球選手と41歳の騎手。

年齢も離れているはずの二人の会話は、本人たちの思っている以上に弾んだ。

しかし本来、そんな話をしにここに来ているわけではない。

池尾の「駒場さん、そろそろ……」という言葉に居住まいを正した駒場は本題を切り出す。

 

「関さん」

「はい」

「サイレントロード号に乗れますか?」

「……」

 

サイレントロードの新馬戦は現状7/25を予定している。

関が怪我をしたのは3/27。

そして出された診断結果は全治半年。

当然、このまま行けば7月末の新馬戦には間に合うはずもない。

 

「……体調次第ですが、復帰は5月を予定しています」

「なんですって?」

「日本ダービー。ヴィクトワールピサでの騎乗依頼をもらっているので、そこを目途に復帰する予定です」

「……全治半年って言っていましたよね」

「はい」

「失礼な物言いをしますが、治るとお思いですか?」

「……それを言われると、ちょっと弱いですね」

 

苦笑を一つ。

 

「ですが、それでも……ダービーに出たいです、僕は」

「関さんは歴代騎手の中で一番日本ダービーを勝っている騎手だと聞いています。それでもですか」

「はい。一度でも多く出たい。一度でも多く勝ちたい。僕にとってのダービーは、そういうものです」

「なるほど……」

 

うーむ、と天井を見上げ思案する駒場。関はその真意を測りかねていた。

 

「……」

「駒場さん?」

「関さんがサイレントロードに乗りたいと言っていたと、池尾さんから聞きました。それは本当ですか?」

 

唐突な質問。

 

前提として、いい馬に乗りたいというのは騎手全てが持ちうる思いだ。馬主との関係などもある以上当然口になど出すはずが無いが、血統だけは良い駄馬よりも重賞クラスで勝ち負けできる馬に乗る方が単純に身入りやキャリアの面で大きい。

ただ何より、勝利そのものが嬉しいからだ。重賞でなら、GⅠでなら、そしてダービーでならなおのこと。

 

その上で、サイレントロードという馬の力は。そしてサイレントロードに乗りたいという願いは本物だ、と関は改めて返答した。

 

それを聞いて駒場はまたも考え込み、そして。

 

「……もし」

「?」

「もし診断通りの半年間の療養を経ず……いや違うな、全治する前に復帰するなら、私はサイレントロードに関さんを乗せることはありません」

「そっ……理由を聞いてもいいですか?」

 

思わず声が出そうになったのを堪え問いを返す関。

その目を正面から見つめ返し、言葉を続けた。

 

「私は野球選手です」

「? はい」

「野球選手は、怪我とは切っても切り離せない関係です。僕はその辺のケアを一番の優先としているので幸いまだ大怪我をしたことは無いですが、先輩、OB、別チーム、怪我によって泣く選手を嫌というほど見てきました。

リハビリに苦しみ、やっとの思いで復帰しても以前のような成績を残せなくなる選手も。

そして、焦りから治療をそこそこに早く復帰して、そのまま翌年に戦力外として放り出された選手も」

「……」

「焦って早い復帰をしてその後いい成績を残した選手というのを自分は知りません。

競馬をスポーツと考えるのであれば、騎手だって同じはずです。焦って復帰したところでそれまでのパフォーマンスが出来るとは思えません。

そんなボロボロの騎手を、折角の初めての馬には乗せたくないです」

 

無音が部屋に充満する。

池尾も、視線を落とした関も、そして自身の主張を伝えた駒場も、何も言わない。

 

沈黙を破ったのは、駒場だった。

 

「新馬戦に挑む日付を、遅らせようと思っています」

「駒場さん」

「池尾さん、勝手なことを言うのをお詫びします。

関さんがきちんと快復したら、乗せたいと思っています。ですが無理して復帰するなら乗せません。

まだ新米馬主である自分がこういうことを言うのは少し傲慢ではあるのですが……選んでください、関さん。今年のダービーを選ぶか、サイレントロードに乗るか」

「……ずるいな、その2択は。わかりました、では……」

 

 

 

 

 

 

 

関稔、復帰は年明けを目途に

 

1:1番人気の名無しさん ID:xNnmexnTA

 落馬負傷で休養中の関稔騎手(41)=栗東・フリー=が4/20、自身のブログにおいて、ヴィクトワールピサで予定していた日本ダービー騎乗を断念、また他に入っていた騎乗予定も全てキャンセルし、年内は治療に専念することを明らかにした。

「色々な関係者様方と念入りな話し合いを行いましたが、大事を取りしばらくは馬に乗る事はお休みとさせていただくこととなりました。経過が良ければもう少し早くに復帰するかもしれませんが、基本的には年内は騎乗せず、2011年の明けから騎乗を再開するつもりでいます」

「皐月賞とダービーについては特に乗りたかったレースの2つですし、1番人気になるくらいの馬。乗ってクラシックに挑めなかったのは悔しい。急な乗り代わりで大変だとは思いますが、石田君とヴィクトワールピサには僕の分も頑張ってほしい」と語った。

 

 関は3月27日の毎日杯で落馬により負傷。左鎖骨遠位端と腰椎横突起骨折、右前腕裂創と診断され治療を行っていた。

「欲を出さず、可能な限り元の状態で復帰できるよう調整していきます。」早ければ7月の函館での復帰も叶いそうだが、時間をかけての完全復帰を目指すようだ。

 

2:1番人気の名無しさん ID:P9R3adJXY

年内騎乗無しか

 

3:1番人気の名無しさん ID:yEgGzf6bY

落ち方やばかったもんなぁ

 

4:1番人気の名無しさん ID:NR6aSjKw9

まあこれはしゃーなし

 

5:1番人気の名無しさん ID:gtUE6G5Kf

ここ数年調子悪かったし、ちと不謹慎だがいい感じにリフレッシュして帰ってきてほしいね

 

6:1番人気の名無しさん ID:ZNSNnYxbT

どうだかなぁ、もう歳だろ?

 

7:1番人気の名無しさん ID:x2zV8ny25

まあそろそろ引退を考える時期ではあるわな

 

8:1番人気の名無しさん ID:wKjTeJM2H

もう全盛期の力は無いしな

 

9:1番人気の名無しさん ID:V8wiz764j

案外これをきっかけに引退もあるのかも

 

10:1番人気の名無しさん ID:9ZEbrKPNT

やめーや縁起でも無い

 

11:1番人気の名無しさん ID:8Rf7ex57c

もう歳だしなぁ

 

12:1番人気の名無しさん ID:B8e3P7DBP

いうて今引退されると後継スターがいないんよな、マルコかセドリック?つっても外人だし

やっぱ華があるよ関は

 

13:1番人気の名無しさん ID:Seiuw5gED

古馬王道制覇を達成したのがおるじゃろ

まああっちもそろそろおっさんに片足突っ込んでるけど

 

14:1番人気の名無しさん ID:m6nPtthM5

竜田がまたGⅠ取る姿見てぇよなぁ

 

 

 

 




>怪我と向き合う
詳細は省きますが、プロット制作中選ばれた馬次第でレジェンドが乗ると決まってからやりたかった展開の一つ
ぶっちゃけこれの為に主人公をスポーツ選手にしたみたいなところは半分くらいある


次話は多分いよいよ新馬戦です


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新馬戦に出走、達成!

netkeibaに加入するかどうかで散々悩んだけど「まあ……ええか!」となって資料を基にレース展開を一から考えながら作ったらクソほど時間かかった上に他の描写に回す頭が無くなったマンです。投稿遅れてごめんなさいね。
参考にする資料が……資料が多すぎる……!

非常に描写が薄味です。どうにか慣らしていきたい。
アンケートはまた次回です。本当は今話に入れたかったのですが脳みそが死んでる。



「聞いたか?関さん年内は乗らないってよ」

「聞いた聞いた、早く良くなってほしいね」

「うちの厩舎でも何頭か騎乗予定いたよな?」

「アップカントリーとかエアラフォンとかそうだな。あと、サイレントロードもそうじゃなかったか」

「あーそうか。新馬戦も乗れないもんな。代わりに誰乗せるんだ?」

「どうだろなぁ、下手な騎手乗せてもやる気出さないんだろ?」

「誰か有力なの捕まえられりゃいいけど、クラシックや新馬戦もあるし中々難しそうだよなぁ」

「関さんが早めに治ってくれりゃいいんだけど」

「無茶言うない」

 

『……』

 

 

 

 

 

「流石に10月は無理か」

『そうやね。怪我は順調に治っていってるけど、入院中に増えた体重を戻したり落ちた筋肉を増やしたり、そもそもぶっつけで馬に乗るのも怖いのでどこかのタイミングでトレセンにお邪魔させてもらって、調教で勘を取り戻してから復帰という流れになるやろし』

「なら代わりに騎手探しとくから、予定通り年明けから乗ってくれ」

『わかった』

 

電話を切り思案。代わりの騎手。

言うは易しだが探すは難し、色々試すしかあるまいが。

 

……。

ふむ。

 

頼めば乗ってくれるベテラン、心当たりはある。下手という訳ではないし、十分な戦績もある。

勝率は良いとは言えないが騎乗依頼を断らない分出走数が多いというのもあるし、負けと言っても掲示板や奨励金範囲内とそれ未満では差がある。

それにまだ未出走馬だ。年末まで2~3走して経験を積ませ、年が明けてから関を乗せて仕上げていけばクラシックは十分間に合うはずだ。

とりあえず連絡を取ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

バイソンズ駒場購入の競争馬、いよいよデビュー

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

 

「新馬戦」(10/2、阪神)

 

オリオン・バイソンズに所属する現役野球選手の駒場駿太選手(30)が購入したサイレントロード(牡、父トウカイテイオー、栗東・池尾)がいよいよ初陣を迎える。

母は現役時代4戦0勝と戦績こそ無いが血統は良好。調教助手の渡辺は「秘めたる力はある。騎手との意思疎通さえ上手く行けば間違いなく大きなところを取れる」と高評価。

 

調教に4週に渡って乗り続け新馬戦でも騎乗を予定している幸秀幸騎手は「素質は高いが難しい馬。上手く気持ちが上がってくれれば」と言葉を濁す。

強い調教ではやる気を出さないということで調教タイムは平凡だが、その力を本番で発揮できるか。

 

駒場は今期24試合に登板し9勝8敗、165と1/3回を投げ防御率4.26。

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:FdnMAySHZ

いよいよデビューか

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:7KBuTQGit

なんだかんだ楽しみにしている自分がいる

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:sCrLM4jEQ

まあ勝てるとは思ってないけど、幸のコメントは気になるな

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:hmY2zyEkT

テイオー産駒とか買わん(買わん)

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:6kCBJTu8N

期待薄だけどまあ100円くらいなら買いもありかなぁ

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:EVeJsRf7c

騎手との意思疎通さえ出来れば勝てる(どうせ意思疎通は出来ない)

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:THRhcMCs3

まあ応援馬券だけかな

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:pR7TgWCSw

ワイ檻党、せっかくだし諭吉をぶち込むことを決意

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:jyKAg7zXp

鞍上幸なのか、ほんとタフだなあの人

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:n7YEVRLff

>>9

正気に戻れ

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:QhJh9pRck

幸好きだけどどうにもな

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:JXpGc3iLk

まあそういう意味でも応援馬券よね

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:Uf6PREX4K

あの人何鞍乗るねん

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:jYgwfhW9X

鞍上幸なら一応馬券に絡めるのもありか

 

 

 

 

 

 

 

「お~いこっちやこっち!」

「ああ笹木さん、来てくださってありがとうございます」

「ははは、ええねんええねん」

 

10/2、阪神競馬場。

無事にオフとなった自分は笹木さんをお誘いし、サイレントロード号のデビュー戦を観戦しに来ていた。

 

「いやぁ遂にデビュー戦たぁ感慨深いなぁ」

「短いようで長かったっすね」

「わかるわー、待ち遠しいというかな」

 

会場こそ違うが前回と同じく馬主席へ。

新馬戦は早い時間……今回だと昼間の12時頃にスタートするため、挨拶や昼食などを考えるともっと早い時間から競馬場に入らなければならない。

発走前には騎手さんや調教師さんの方、パドックや検量室で愛馬の姿も見たいし。

……別に自分が走るわけでも無いのだが、なんか緊張してきた。

 

 

 

早めの昼食を取り他馬主との挨拶も済ませ、いよいよ第3レースが発走準備を始めた為パドックへ向かう。今回は笹木さん抜きで1人だ。

 

実を言うとサイレントロードとはセリで買った時以降一度も顔を合わせていない。

シーズン中はもちろんのことキャンプ中も無理だし、その前は色々ゴタゴタもあってそれどころでは無かったのだ。馬主をやるにあたっての交渉とかも球団としないとならんかったし。

 

約1年ぶりに見たサイレントロードは、買った時よりも更に少しがっしりとしたような印象を受けた。

 

「池尾さん、お疲れ様です」

「おお駒場さん、お疲れ様です。見に来られたんですね」

「どうにかこうにか時間が作れました。サイレントロード、なんだかがっしりしましたね」

「調教自体は緩めに体調を落とさない程度に、夏には生産元の牧場さんに放牧に出したことで身体が成長したかと。3歳戦までの仕上がりは問題無いでしょう」

「ほうほうわっぷ」

「どうどう」

 

池尾さんと話していると、サイレントロードが鼻づらを押し付けてきた。なんだこいつかわいいな。

 

「人慣れしてるとは聞いてましたが、ほんとに人懐こいんですね」

「ですね。厩務員からも可愛がられていますよ」

 

歓談を続けていると、一人の男性が近寄ってきた。

 

「駒場さん、初めまして」

「初めまして、騎手さんですか?」

「はい、サイレントロードに今日乗る幸秀幸(みゆき/ひでゆき)です」

「そうでしたか、今日はよろしくお願いします」

 

幸さんは騎乗依頼をほとんど断らないことから非常に騎乗回数が多く、その分勝率はそこまででも無いが現役である期間と比べて経験は多いとのこと。

経験の多い騎手に乗ってもらえるのはありがたい。

 

「それじゃあそろそろパドックに行くので、見ていきますか?」

「写真とかも取りたいので、お邪魔させてもらいます」

「わかりました。自分もそろそろ行くので、ではレース後に」

 

 

 

 

パドックでの撮影も終わり(ここでもパドック周回中にサイレントロードがこっちに寄ってきて、会場の笑いを誘っていた。かわいい奴め)、馬主席へと戻る。

 

「随分懐いとんなぁ」

「顔見せてないんすけどねぇ、買った時に顔を覚えたんでしょうか」

「賢い馬や」

 

さあてコースへの入場も終わり、発走準備。

デビュー戦、もちろん勝ってほしいが、怪我無く回ってくれるだけでも御の字と言ったところだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

『それでは阪神第4レース、サラ系2歳の新馬戦芝1800m、11頭がデビューを迎えます。

お昼を少し回ったところで気持ちの良い日差し、雲が所々浮かぶ程度の晴天、良馬場となっております。

1番人気は1.8倍で7枠8番リベルタス、2番人気は少し離れて8枠10番ダノンシャークと、どちらもこの年初年度産駒となるディープインパクト産駒。

ここまで日本の様々な初年度産駒記録を更新しそうなハイペースとあって、高い人気となっています。

そのリベルタスは少々入れ込み気味でしょうか、ゲート前で興奮するそぶりを見せています。

 

1枠1番サイレントロードから順にゲートへと収まっていきます。サイレントロードは非常に落ち着いていますね。おっと8番リベルタスやはり少し落ち着かない様子です。

コスモアジル……バロンルージュ……エクスプライド……10番のダノンシャークが先に入って、最後に8番リベルタスが……無事入って態勢が整いました、係員が離れまして……』

 

『スタートしました。11頭が第3コーナーへと向かいます。

各馬良いスタートを切りましたが中でもポンと飛び出したのはサイレントロード、それを追うようにダノンシャークとファイアアローが横に並んで先頭争いに加わります。

 

3頭が横に並びかけました後ろにコスモアジルとエーシンミラージュ、ダイヤノゲンセキが先行集団を形成しようかというところ。

その後ろ1馬身程の差があってシンワカントリー、バロンルージュ、1番人気リベルタス。

後方には2馬身後ろにデンコウジュピター、エクスプライドと続きました。

 

さあサイレントロードはハナをダノンシャークとファイアアローに譲り3番手、ファイアアローが先頭となりました。

外目半馬身後ろにダノンシャーク、内にサイレントロード。

サイレントロードのちょうど1馬身後ろにコスモアジル、少し後ろに固まって2頭エーシンミラージュとダイヤノゲンセキと続いて、シンワカントリーとバロンルージュ、リベルタスが並んでいるところで3コーナーへと入ります。

 

1馬身後ろにデンコウジュピター、しんがりはエクスプライド。

3、4コーナー中間ファイアアロー1馬身のリードですが後続集団との差は縮まってきているか。

4コーナーに入りましたがダノンシャーク、リベルタス、サイレントロードも外に持ち出して上がってきました、少し外を回らされたリベルタス、ダイヤノゲンセキも上がっていく構えのまま第4コーナー回って直線に入りました。

 

先頭はファイアアロー粘っていますがロス少なく回ったサイレントロード、ここで躱して先頭に立ちました。

 

内目最後方からデンコウジュピターが追い上げを図りますがはたして届くか。

ダノンシャークリベルタス並んで2番手叩き合い、サイレントロードとの差は2馬身ほど。

コスモアジルは内、エーシンミラージュは外から懸命に追っています。

 

エクスプライド外からようやく上がってきた、ファイアアローは沈みましたでしょうか。

サイレントロード1馬身差ですが粘ります粘ります、1馬身差が埋まりません。

 

残り200、粘るサイレントロードを追うリベルタスとダノンシャーク、45番手争いはダイヤノゲンセキコスモアジルエーシンミラージュ、それを躱してデンコウジュピターが4番手。エクスプライドは5番手争いには届かない。

ダイヤノゲンセキがややコスモアジルとエーシンミラージュを引き離しました。

 

先頭変わらずサイレントロード、粘って粘ってサイレントロード1着を譲らずゴールイン!

2着争いはややリベルタスが優勢外にダノンシャーク、4着はデンコウジュピター、5着ダイヤノゲンセキとなりました。

お手持ちの勝ち馬投票券は確定までお捨てにならないようお気を付けください。

 

勝ったのはなんと7番人気、トウカイテイオー産駒の1番サイレントロード。好位から早め先頭に立ち押し切りました強い競馬。後方からの追い脚と並んで抜かせないポテンシャルを見せつけました』

 

 

 

 

 

 

 

「……勝ったっすね」

「……勝っちまったなぁ」

 

2分も無いレース時間、終わってみればあっという間というか、正直レース中自分が何をしていたかも覚えていないくらいに熱中した気がする。

 

「とりあえず口取り式、行ってきますわ。荷物お願いしても?」

「おう、行ってこい」

 

なにかふわふわとした足取りで下へと降り、スタッフの案内を受けウイナーズサークルへ。

下では池尾さんと幸騎手が笑顔で出迎えてくれた。

 

「駒場さん、勝ちましたね!」

「駒場さん、やりましたよ。いい馬ですよサイレントロードは」

「ありがとうございます、なんか……変な気分ですね」

「初めての事柄が上手く行っている時はそんなものだと思います」

「そのうち実感するようになりますよ」

「そんなものですかねぇ」

 

どうも気持ちがふわふわしているが、とりあえず勝ちは勝ちということで、ウイニングサークルへと池尾さんと幸さんに連れられるサイレントロードと共に向かう。

詰めかけた報道陣に笑顔を返して記念撮影。向けられるカメラが多い気がするのはその強さゆえか、話題性からだろうか?

 

 




>レース展開
netkeibaのコーナー毎順位と最終着順、馬身差を基に展開を脳内で作って実況という形で出力。
今後大レースとかならもう少し何か付け足すかもしれんですが今はとりあえず練習代わりというところでこの程度で勘弁……。


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目標4:???で5着以内

拙者水着スぺちゃん全力侍と申すもの、故あってお相手仕る

お待たせしました次走決め回です。
め↑っちゃ悩みました……。


サイレントロード、新馬戦を勝利

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

<阪神4R>◇2日=阪神◇芝1800メートル◇2歳新馬◇出走11頭

 

サイレントロード(牡、栗・池尾泰弘、父トウカイテイオー)が7番人気ながらも圧巻の競馬で見事勝利を飾った。

 

好スタートから好位に付け、手応えよく4角を回ったところで先頭に立ち、後続の追撃を抑え切るという手本のような勝ち方。

勝ちタイムは1分50秒2。幸秀幸騎手は「調教では中々加速する指示を聞かなくてどうしたものかと思っていましたが、十分なレース内容。距離は伸びても大丈夫ですし、スピードもまだまだ出せそうな手応えでマイルでも通用しそう」と話した。

次走は未定。

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:XMQx6UrrA

強いやんけ!

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:EMkjXBXcc

応援馬券が3日分の食費になってホクホクですわ

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:yNgBPzVJ4

単勝30倍美味しすぎ

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:GEgJhTJDW

強い勝ち方だったな、これは応援したい

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:u2zyPaGdh

テイオーの血繋がってくれー

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:Cd3BeAfNJ

十分指示に従ってるように見えたな

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:LWszMiDxC

序盤で3番手に下げた辺り折り合い良かったよね

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:aj3RsPK9s

リベルタスとダノンシャークも人気通りの強さだったんだがなぁ

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:yEJTf5Sg2

ディープ産駒マジで強いよなぁ、次代のサンデー枠かしら

後継が多すぎるわサンデー

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

【クラシックを見据え】 池尾師「クラシック戦線の主役に」

 

《戦評》スタート良く好位に付け、逃げ馬を見ながら追走。4コーナーからキレる脚で先頭に立ち、直線ではリードを保ち続けて快勝。

 

《血統》父は平地芝で1600メートルから2000メートルあたりで活躍馬が多く、重賞ウィナーも出している。母は7戦未勝利で引退して本馬が初子だが、母の父がサンデーサイレンスという血統はすでに活躍馬が多数。

 

《将来性》幸騎手は「相変わらずスピードを出す指示には鈍いが、それでも十分な能力。更に強い相手との対戦を経て精神面で成長してくれれば」と完成度と将来性の両方を評価。池尾調教師は「4月までにきちんと育て上げれば間違いなくクラシックの主役」と豪語。次走以降も注目がかかる。(安田信人)

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:dKE4KsW6Z

めっちゃ高評価やんけ

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:nDxjLgefQ

「俺はまだ本気出してない」ってか

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:X9aj8aS94

どこまで本気かは知らんけど次走次第か

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:7mbg2Er3C

大口叩くねぇ

 

16:名無しさん、プレイボール! ID:pR7TgWCSw

1万が30万になった……脳みそ壊れる……

 

17:名無しさん、プレイボール! ID:CnXGPhX5e

>>16

もしもし?

 

18:名無しさん、プレイボール! ID:7aimPYkQS

親に似てイケメンだったなサイレントロード

 

19:名無しさん、プレイボール! ID:U4jYVyJGH

そうなん?見れてないんだが

 

20:名無しさん、プレイボール! ID:U4G7GzVmF

探せばツイにあるよ

 

21:名無しさん、プレイボール! ID:c4ascGERz

カメラ目線投げてたね、わかってるんだろうか

 

22:名無しさん、プレイボール! ID:Nm74BbYDc

パドックで馬主に甘えに行ってるのめっちゃ可愛かった、好きなんだな

 

24:名無しさん、プレイボール! ID:MWTEFsE8y

酒呑んでるおっちゃんがすげぇほっこりしてて笑った

でもその懐いてるのはなんなんだ、駒場暇さえあればトレセンに見に行ってんのかな

 

25:名無しさん、プレイボール! ID:7hGahinpJ

野球の方に集中してほしいんだけどなぁ

いや十分ローテ回してくれてるのはありがたいんだけど

 

26:名無しさん、プレイボール! ID:uRcXUaTKQ

ツイで擬人化書かれてて草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レースの終わった翌日、スポーツ新聞に小さいながらも載ってようやく実感がわいてきて年甲斐も無くゴロゴロとベッドを転がる。

いてもたってもいられず次走を決めるついでにサイレントロードを見に行ってもいいですかと聞けば、快くOKを出してくださった。

 

というわけで3日後、火曜。一昨年買ったばかりの愛車を飛ばして栗東トレセンへ向かうことに。

CS無くてシーズンが終わっている身は気楽である。自分も日本シリーズで投げてみたいもんではあるがはてさて。

 

車を飛ばして約2時間、若干迷いながらも無事到着。来たのは初めてだが本当に広い。

そして駐車場から歩いてみれば、当たり前のように馬が歩いている。それも何頭も引き連れて。

これ全部競走馬なんだよな……と考えて中々に壮観である。

 

「ああ駒場さん。ようこそ栗東トレセンへ」

「お邪魔します、いやあ本当に広いですね」

「それだけの馬を預かっていますから。ではサイレントロードを見に行きましょうか」

 

 

 

 

「こちらです」

『ぶるる?』

 

厩舎に連れられてきたのだが、やはりというか馬房に顔を見せた途端寝転がっていたサイレントロードが起きて近寄ってきた。

本当に人懐っこい。おう林檎食うか。高いやつ買ってきたんだぞ。

 

「レース後は消耗してしばらくぐったりしてしまう馬も多いのですが、サイレントロードはピンピンしていますね。精神的にはそこまで間隔を空けなくても良さそうで、年内に1戦か2戦しても問題無いでしょう」

「ははあ。あ、林檎あげても?」

「事前に言っていましたからね、どうぞ」

 

というわけでカバンから取り出してみると、耳をぴこっとこっちに向けて鼻を突きだしてきた。

そのまま近づけてやれば……おお食っとる食っとる。

しかし可愛いなこいつ。SNSではイケメンと言われてるのだが……馬のかっこいい顔の基準とかはよくわからないが、どうもサイレントロードは親であるトウカイテイオーに似たイケメンらしい。

 

「まあせっかくなので、早速次走を決めましょうか」

「はい、といってもどんなレースがあるかとかは知らないので、言っておいた通り……」

「ええ。こちらでいくつかの候補は考えておきました。その中からお選びください」

 

 

 

 

 

1.11/6東京 百日草特別(500万下) 芝1800M

9月や10月にデビュー戦を勝利、もしくは未勝利戦からの勝ち上がりをした競走馬がよく使う時期のレース。

素直に1勝戦からコツコツ行くのであればこの辺りとなるようだ。距離は新馬戦と同じ。

阪神と大きく違うのは左回り……上から見て反時計回りに周回するコースということ。

現在調教では左回りでの走行でも問題無く動きを見せていたが、やはり強めの調教でやる気を出さない都合、実戦でどうなるかをダービーのある5月までにどこかのタイミングで一度見ておきたいというのが理由として挙げられる。

またこれから色々なレースに挑むにあたって、輸送の問題もある。東京開催のレースは11月を逃すと次は2月としばらく無いため、早めに輸送経験をさせたいならば。

 

2.11/14京都 黄菊賞(500万下) 芝1800M

関西に留まり経験を積む方面。

輸送に関する不安は少なく、距離も前回と同じで不安無し。コースも阪神と似ているため力は十分発揮できるはず。

輸送などはここを勝てたらまた別で考えればいいだろう。

一応12月のGⅠ朝日杯フューチャリティステークスを狙うならば、ここか百日草特別のどちらかを勝ったらということになるだろうか。

 

3.11/20東京 東スポ杯2歳S(GⅢ) 芝1800M

2戦目でいきなりの重賞戦。距離会場などは1の百日草特別と同じで、懸念点なども大体同じ。レース間隔は少し余裕がある。

そちらとの違いは相手の強さ。少ない勝ち上がり馬の中から500万下クラスを勝った馬が参戦してくることが多く、また夏デビューから数戦して経験が豊富な馬もいるため実戦慣れという面で不利。

それでもここを推したのは、池尾さんがそれだけの期待を寄せているという証でもある。実際素質馬……見込みがある馬はこういうローテを取ることも珍しくはないそうだ。

ここをもし勝てるなら今後GⅠ含む3歳戦で抽選になることはほぼ無いし、2着だったとしても500万下戦を勝った馬よりも収得賞金が多くなるため、今後のローテにはかなり余裕が出る。

負けたとしても、現在有力な馬との力関係を測るには十分なものとなるはず。

 

4.1/8中山 寒竹賞(500万下) 芝2000M

関騎手の復帰を待つパターン。また、後の4月皐月賞と同舞台同距離で、そこに慣れさせる意味もある。2000mという距離は前回より長いが、問題無いと池尾さんは語った。

懸念点はその後のローテ。ここを勝てばいいが、負ければクラシックトライアルへの間隔が厳しい。

サイレントロードの能力と復帰明けの関騎手を信じるなら、といった形か。

また坂がきついコースなので、パワーがあるかどうかを確かめるという意味もある。

 

 

 

 

 

「1800mが多いですね」

「間隔がちょうどいい1600m戦が少ないためですね。東京1600の赤松賞も考えましたが、初の遠征で距離短縮もというのは少し怖いかなと。

レースに慣れて次走大きく勝てるなら、GⅠ朝日杯に出すのもありかなとは思います。

ただ親がトウカイテイオーという怪我に泣かされがちだった馬だったこともあり、使い詰めにするのは少し怖くはありますが……どうなさいますか?」

「そうですね……」




競馬のレース名の由来とか各競走馬の名前の由来とか本編とは関係無いレース映像とか、そういうコンテンツを見ているだけで無限に執筆時間が潰れていく……

アンケートは8/2の12:00までとします。
アンケート文の文字数制限に引っかかったので!表記はこちらで。
百日草特別 !
黄菊賞 !!
東スポ杯 !!
寒竹賞 !!!


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目標4:東スポ杯2歳Sで5着以内

もうちょい執筆スピード上げたい。ぐぬぬ。
感想返しも出来てないし……尻尾も濡れるし……

(56) 百日草特別 芝1800
(74) 黄菊賞 芝1800
(228) 東スポ杯2歳S 芝1800
(119) 寒竹賞 芝2000

というわけで2戦目にして重賞戦です。2歳随一の出世レースとして知られ、このレースでもGⅠホース含む重賞馬4頭を送り出した府中1800重賞。
はてさてサイレントロードは勝てるのでしょうか。




【2歳次走報】サイレントロードは東スポ杯2歳Sへ

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

★10月2日阪神の新馬戦(芝1800メートル)を制したサイレントロード(栗・池尾、牡)は東スポ杯2歳S(11月20日、東京、GⅢ、芝1800メートル)へ向かう。

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:XMQx6UrrA

東スポ杯か

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:EMkjXBXcc

いきなり重賞とは期待されてんな

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:yNgBPzVJ4

騎手は幸が続投か?

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:GEgJhTJDW

有力馬どんなん?

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:Cd3BeAfNJ

新潟2歳S2着のマイネルラクリマ期待してる

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:ihy8ABMsC

札幌新馬でくっそ強かったイイデタイガーが復帰するって噂が出てたな

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:LWszMiDxC

イイデタイガーか、楽しみや

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:aj3RsPK9s

イイデタイガーって逃げて圧勝したやつだっけ、どこまでやれるか楽しみやね

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:yEJTf5Sg2

あとはサダムパテックがスメッツに乗り替わって未勝利勝って次東スポ杯予定だね、こいつが本命じゃないかな

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw

サダムパテック良かったよな、俺もここが軸だわ

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:dKE4KsW6Z

サダムパテックは絶対クラシックの主役になるやろな

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:nDxjLgefQ

トーセンケイトゥーは?鞍上デュランに変わるらしいけど

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:X9aj8aS94

デュランはとりあえず買っとけ

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:ab3s4Fcyn

あれ、幸この日京都だから乗れんやん

誰乗るんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『阪神外回り、1800mの新馬戦を好位からの抜け出しで快勝した、トウカイテイオー産駒のサイレントロード!

前走から1ヶ月半程の間があっての2走目、どんな走りを見せるか注目です!』

 

「7月デビューの話もあったんですが、オーナーとの相談で遅らせて様子を見つつ調教に時間をかけて新馬戦に出して、結果的にはそれが上手く行ったかなと。

特に人懐こい面などまだまだ精神的には幼い面がありまして、稽古も上手く積めているかと言われるとそうではないんですけど、ジョッキーも何回も乗ってもらえていい感じに息も合っていて、多分それが一番大きかったと思いますね。

これからレースに出していくことでレースに集中するようになれば大きいところを狙うつもりでいます。

調教はタイム云々よりも、馬の気持ちを切らさない程度に追ってくれと指示は出しました。

素質は前に調教で一度見せてくれた走りがすごく良かったので、真面目に走ってくれればと思います。持っている能力は相当なものと思っていますので」

 

11/17 栗東 坂路 良

800m 600m 400m 200m

56.0 41.2 27.5 13.7

 

---藤TV『皆でKEIBA!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重賞。

勘違いしていたのだが重賞とは「重要な賞」じゃないらしい。

 

毎年レースをして歴史を「重」ねて「賞」を行うから重賞。まあ歴史を重ねることで重要になったりとか、箔付けとしての意味での重要さも兼ねているから重要な賞でも間違っていないらしいのだが。

 

東スポ杯2歳Sはそんな重賞レースの一つで、名前の通り2歳馬……ようするにデビューしたての歳の馬のみが参戦できる。

後で知ったのだが勝ったり好走した馬が後に出世することの多いレースで、例えば今年の凱旋門賞というらしい海外のビッグレースで2着になったナカヤマフェスタや皐月賞3着馬フサイチホウオー、もっと古いと「名牝」エアグルーヴやメジロドーベルなど。少し前仔馬選びの時に話題に出たメイショウサムソンもここを2着になった馬だ。

それだけにここを推した池尾さんの本気度が窺えるというもの。

 

「池尾さん、お疲れ様です」

「ああ、駒場さん……」

「どうしたんです?」

 

そんなわけで東京競馬場に来たのだが、

何やら暗い顔の池尾調教師。なんかトラブルでもあったのだろうか。

 

「サイレントロードが騎手を舐めるって話はしたと思います。なので出来れば調教に何度も乗ってもらった幸に任せたかったんですが、今日は別の会場で乗ることが決まってしまったので別の騎手に乗ってもらうことになりました。それが不安で……」

「そんなことですか。別に負けても失うものなんて特に無いですし、無事に回ってきてくれれば十分ですよ」

「そういうわけにも……」

「お、そちらが駒場さんですか?」

 

話しかけてきたのは明るい印象の男。服からして騎手さん、ということは。

 

「はい、駒場です。そちらは今日のサイレントロードの?」

「小田晴雄(おだ/はるお)です。どうぞよろしく。いやあいい馬ですなサイレントロードは」

「そう言ってくれると嬉しいですね、今日はよろしくお願いします」

「絶対勝つなんて口が裂けても言えませんが、やるだけやらせてもらいますよ。あまり乗ってないので心配ではありますけど。では検量があるので失礼します」

 

笑いながら去っていった。中々愉快な人だ。

 

「……腕はいいんですがね、オダハルさんも。まあもうなるようにしかなりません……」

「ですね。今日も頑張ってくれよサイレントロード、勝ったらまた今度林檎持ってったるからな」

『ぶるる!』

「ははは、嬉しがってら」

「はあ……」

 

 

 

 

 

【サダムパテック】2010東スポ杯スレ【トーセンケイトゥー】

 

289:名無しさん、プレイボール! ID:TxP4G6azJ

そろそろ発走か

 

290:名無しさん、プレイボール! ID:whdbJENRZ

頼む~サダムパテック

 

291:名無しさん、プレイボール! ID:WrsLGFRM5

サダムパテック良さそうやな、やっぱここだわ

 

292:名無しさん、プレイボール! ID:n5R2cRZdB

いやーマイネルラクリマが来るね

 

293:名無しさん、プレイボール! ID:92RCdDz5y

サイレントロードかわいいなw

 

294:名無しさん、プレイボール! ID:TCLrZA2wK

ぴょこぴょこしとる、マジでテイオーの生き写しみてぇだ

 

295:名無しさん、プレイボール! ID:9TVRkXiLT

テイオーステップやんけ!

 

296:名無しさん、プレイボール! ID:22M48TnLA

かわいい

 

297:名無しさん、プレイボール! ID:5XpyhnG6V

鞍上オダハルかぁ……

 

298:名無しさん、プレイボール! ID:74JKNjCZg

穴人気のオダハル怖いし単勝ちょっとだけ買っとけばよかった気もする

 

299:名無しさん、プレイボール! ID:ctWYcfZxP

パドックで馬主にすり寄る

カメラ目線よこしてパドックで止まる

テイオーステップ

何このアイドルホース

 

300:名無しさん、プレイボール! ID:MxhVTKZMS

こんなん好きになるわ

 

301:名無しさん、プレイボール! ID:PBhbpPZjr

これは勝ってほしいが厳しそうか?

 

302:名無しさん、プレイボール! ID:PnYNSUk9N

流石にサダムパテックでしょ

 

303:名無しさん、プレイボール! ID:eh7RxsY6H

トーセンケイトゥーこいこいこいこい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『東京競馬場のメインレース、第15回東京スポーツ杯2歳ステークス。若駒たちが来年のクラシックに向けての登竜門に挑みます。1800m16頭立て、人気は割れ気味でしょうか。

今年の新馬を勝ったばかり、或いは未勝利で勝ち上がったばかりという馬がほとんど。例年ですとここにいちょうS馬が入ってきて、結構そういう馬が上位に絡んでくるんですが、今年はそのいちょうS組がおりません。

 

2勝馬が1頭。後は全て1勝馬ということになりました。

注目のディープインパクト、ハーツクライの産駒がそれぞれ2頭ずつ。まだ重賞制覇は無いというところですが、一番乗りとなるでしょうか。

人気はフジキセキ産駒、サダムパテックが1番人気に推されています。

 

ゲートインは順調に進んできましたが大外15番のサイレントロードがちょっとぼうっとしているでしょうか。偶数番を先に入れて……6番のフェイトフルウォーもゲートの後方で一旦立ち止まっています。この辺りはまだまだ若い馬たちという事でしょうか。

これを見ながらサダムパテックの方が今収まっていきました。フェイトフルウォーも入ります。そしてイイデタイガー、これは札幌のデビュー戦以来久々のレースです。ゲートに収まっていきました。

16番のビップセレブアイ。これは9月の阪神新馬戦を勝ちあがっています。

そしてサイレントロードもようやく動いて……すんなりゲートに収まりました。

16頭立て、ゲートインが終わりました。』

 

『スタートしました。ほぼ揃った出方、今日も2番サダムパテックは後方から。トーセンケイトゥーも後方からになりました。

 

先行争いは好スタートを切った1番のマイネルラクリマ、ショウナンカライス、外を通ったセトノシャンクス、サイレントロード。

間から11番のアッパーイースト、この辺りが前に行きました。

14番セイカプリコーンが外から、その間を突いては8番のマイネルギブソンが先団に取り付いていきます。

その後ろには黄色い帽子マイネルハイセンス、あとは内を突いたサダムパテックが位置を上げます、その内から4番のカインバディックが上がっていきます。

 

外を通っては黄色い帽子のイイデタイガーが中団。その後方にフェイトフルウォー、内に3番サトノペガサスそれから7番トーセンケイトゥーは後方から、さらに外を通ったダコールが最後方という形になりました。

 

さあ3コーナーのカーブを回っていきます。

前の争いは抜けています。飛び出している16番ビップセレブアイ、それから5番のショウナンカライスが2番手。

3番手以下が4馬身か5馬身引き離されていますが、サイレントロードが現在3番手内ラチ沿いで追走。

その外を通ってはマイネルラクリマと緑の帽子のアッパーイーストが5番手、じわじわと位置を上げていきました。

更に14番のセイカプリコーンがその直後。そして黄色い帽子の2頭イイデタイガーマイネルハイセンス、外を通って上がってこようとしています。

あとこの馬群の中には2番のサダムパテックなど。

 

4コーナーカーブ直線に向きました。前の争いですがまだ2頭この中からビップセレブアイが僅かに抜けて400を通過、後が固まってきた並んできてます。

ここで逃げる2頭を抜いてサイレントロードが先頭に立ちます!

外を通って1番マイネルラクリマ突っ込んできているさらにその外2番のサダムパテックが一気に伸びてきました!

 

残り400で先頭サイレントロードが後続とは4馬身程、そして2番手懸命にサダムパテック追走!マイネルラクリマ、あと外を通った、6番のフェイトフルウォーが突っ込んできている!3番手争いは混戦です!

先頭は2番のサイレントロード!これは混戦の中一気に突き抜けて今1着ゴールイン!2着は2馬身届かずサダムパテック!

強い勝ち方をしました、3着争いは並んでいます!小田春雄ガッツポーズです!

 

勝ったのは15番のサイレントロード。1分47秒1というタイムが上がりました。ゴールまで800mが47秒2、600mが35.0!

直線力強く抜け出しましたサイレントロード、なんと8番人気の激走であります。

直線始めで先頭に立って以降は先頭を譲らず長い直線を走りぬいて2番手以降を離した、鞍上は小田春雄騎手!

穴男に違わずの結果となりました。直線のリプレイを見てみましょう』

 

『この馬は前走でも見せたスタートの良さを見せましたね』

『そうですね、はい。枠は大外と先行争いには不利な立ち位置ではありましたが、スタート直後から良い脚足を使って先行集団のハナに立って、4コーナーをロス無く回りながらも4コーナーで外に回って逃げる2頭をかわしてそのまま押し切り勝ち。

いやあ強い競馬でしたね。スタート直後と4コーナーで距離のロスはありましたがそれでもこの着差での勝ち。今後も期待できそうです』

『そして2着は力強い追い脚を見せたサダムパテック、3着は……』

 

 

 

 

 

「勝っちゃいましたね」

「勝っちゃいましたね……」

 

終わってしまえば実にあっさりと、サイレントロードは重賞レースを勝ってしまった。

同年代しかいないレースではあるが、何頭かはこちらよりも実戦経験豊富な馬。

にも拘らず、普通に勝ってしまった。プロ野球に例えるなら、1軍で高卒1年目が大卒1年目投手に投げ勝つみたいなものだろうか。もしかしたらなのだが。

 

「サイレントロード、もしかしてすごい強い馬なのでは?」

「ですね……調教中に見せた手抜き、レース中は全然見せません。レースのことを理解してるのか?うーん……」

 

悩む池尾調教師を横に、サイレントロードは走り終えて徐々に減速し、返し馬の時にも見せた特徴的なステップでこちらへと戻ってきていた。

どうやら親であるトウカイテイオーも似たような歩き方をしていたらしい。

 

「まあなんにせよ、勝ってくれるのはありがたいですね。これで1年分以上の預託料稼いでくれましたし、気が楽です」

「ははは……記念撮影行きましょうか」

「おおそうだ」

 

口取り式のためにウィナーズサークルへ降りると、検量を終え戻ってきた小田騎手とサイレントロードが待っている。

 

「おお駒場さん、勝ちましたよ!いやぁ強い馬ですわ!」

「ありがとうございます、小田さんの騎乗のおかげでもありますよ、っとお前も頑張ったなぁ」

『ひん』

「いやほんと懐いてますなぁ」

 

また顔を寄せてきたサイレントロードの鼻面を撫でてやると気分良さそうに目を細めてぐりぐりと押し付けてくる。

ちくしょう可愛いぞこいつ。でも撮影の時はじっとしててな。

 

 

 

 

 

 

 

642:名無しさん、プレイボール! ID:HwPVf9Us4

つんよ

 

643:名無しさん、プレイボール! ID:AGNL7VYDt

なんだよあの馬

 

644:名無しさん、プレイボール! ID:ssLimZ5Kh

ざけんなよなんだよテイオー産駒って

終わった血だろ

 

645:名無しさん、プレイボール! ID:jKSzSGRMc

母父サンデー見落しおじさん(笑)

 

646:名無しさん、プレイボール! ID:2cRZgse3c

はーーーーーーーくそ

 

647:名無しさん、プレイボール! ID:VP8VpB6Ai

サダムパテック2着かぁ

複勝とか込みでちょい負け

 

648:名無しさん、プレイボール! ID:5eFRpEESC

8人気1人気6人気

人気割れ気味とはいえ荒れたなぁ

 

649:名無しさん、プレイボール! ID:XcDKs9pMj

オダハルはーほんま

 

650:名無しさん、プレイボール! ID:fZ7rPb2SR

ワイドは当たったがサイレントロードは流石に入れてへんわ

人気割れてたからマイナスにならなかったしそれでよしとすべきか

 

651:名無しさん、プレイボール! ID:GYyjhnu2C

いやマジで強いな

朝日杯来るならこいつ軸だな

 

652:名無しさん、プレイボール! ID:iGfz9Zt9u

マイルでも十分行けそうだね

 

653:名無しさん、プレイボール! ID:CXJZLi6EF

どうだろ、1800→1800と来てるしマイル無視してクラシック路線じゃないの?

 

654:名無しさん、プレイボール! ID:R429AHQVW

年内もう一戦やるならラジニケ2歳じゃね

間隔も場所もちょうどいいでしょ

 

655:名無しさん、プレイボール! ID:6BujmgTWd

三連複153.3倍美味しすぎる

今日は回らない寿司食べに行っちゃうぞ

 

656:名無しさん、プレイボール! ID:Ec4xZi4ct

>>655

もしもし?

 

 




>いちょうS
後のルナちゃんの墓場ことサウジアラビアロイヤルカップの旧名

>オダハル
穴男さん。モデルさんまだ現役ってマ?
レジェンドといい騎手の現役期間長すぎでは……

>サダムパデック
史実勝ち馬。クラシックでは皐月賞2着ダービー7着菊花賞5着、後にGⅠマイルCS含む重賞5勝、セレクトセールで約1600万での取引ながら4億を稼ぐフジキセキの子供
こういう安値取引の馬が活躍するの好き

>イイデタイガー
新馬戦を逃げて圧勝、調教タイムも非常に良かったことから後のクラシック候補かと期待されたステゴ産駒、鞍上はikze
しかし新馬戦後怪我、治って復帰のこのレースは直線で競争中止しその後予後不良
生きていれば金色の暴君を阻んだかもしれないなんて夢を見るファンもいるが、これも競馬
ヤンナルネ……


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東スポ杯2歳Sで5着以内、達成!

はい、次走決め話です。
感想返し出来てなくて申し訳ないです。ちゃんと全部ありがたく読ませていただいております。

東スポ杯を勝利し、クラシックの有力馬として数えられるようになったサイレントロードの次走は如何に。

後書きに追記しました。



「はい駒場です……はい……はい……ああ種牡馬入りの……。

いや流石にまだそういうの考えてないので……はい……いやおたくでもう10件目くらいで……引退前には決めるんでかけてこないでもらっていいですかね……はい……失礼します……」

 

 

 

 

「って感じでもう引退後の話の電話がかかってきてて……流石に気が早すぎないかと思うんですけどね」

「どこも有力な種牡馬の獲得には必死ですから……」

 

東スポ杯が終わり例の如く栗東トレセン池尾厩舎にお邪魔させてもらった。

 

種牡馬。

ようするに競走生活を終えた馬が、その血を残すために繁殖を行う仕事に就くというもの。

優秀な血を残すためという都合、多少の例外を除けば現役生活で優秀な成績だった馬がその任につく。

多いと年100頭で済まない程の牝馬と交配するそうだ。健康に悪そうだがどうなんだろうかそこら辺。

 

「まあ種牡馬とかはいいんですよ、次走の話ですね。サイレントロードはどうです?」

「見てもらった方が早いですね、行きましょうか」

 

 

 

 

「おおサイレントロード!あいも変わらず可愛えやっちゃなこいつぅ!」

『るひー』

「ほれほれ林檎な。こんくらいで勝ってくれるなら安い出費やわ」

『ぶるるぅー』

 

しゃくしゃくと差し出したりんごを咀嚼するサイレントロードを横目に池尾さんが話を切り出す。

 

「レース後には肉体的又は精神的な疲労でばててしまう馬もいるのですが、現状1ヶ月半で2レース行っても目立った疲労は見られませんね。若さでしょうか、タフな馬です」

「それはいいことですね。まだ何レースか走らせてもいいんでしょうか?」

「はい。ただあくまでも疲労のみを考慮したものです。父であるトウカイテイオーもそうですが、母インナモラータ……これは父の厩舎に所属し、調教助手であった私の管理馬だったのですが、現役時代9月にデビュー、11月までに4戦し骨折。その後オーナーの意向で繁殖入りしています。

父もそうですが母の方もそこまで頑丈という訳ではありませんでした」

「なるほど……」

「4つの課に渡ってたくさんのスタッフが競走馬そのものを。十年単位のデータを用い、馬場の改善を。JRAは、トレセンは、様々な手段を用いて競走馬の怪我を少しでも無くし、競走馬が走りやすい環境を整えています。

証拠に、というほどではありませんが年々少しずつ競走馬のタイムは縮んでいき、それは競走馬がレースとして走りやすい環境になっていっていることを意味しています。

……ですがそれでも、競走馬の怪我、骨折、そして予後不良という悼ましい事故は起きます。

どうしても体質というものは遺伝してしまうこともありますので、そこを考慮して次走を決めてもらえればと。

レントゲンなどで確認していますが、現状怪我の兆候は幸い見られていませんとはお伝えしておきます」

 

なるほど。

ようは、俺自身がどこまでサイレントロードの体質……というよりは脚を信じるかどうかか。

あとはまあ、俺の財布を潤したいかどうか。

はてさて、次走はどうするか……。

 

 

 

1.12/19阪神 朝日杯フューチュリティS(GⅠ) 芝1600m

GⅠ。ようするに一番上の階級のレース。

それそのものも何種類もあって、これは2歳牡馬が出場できる唯一のGⅠだそうだ。

会場は中山。未経験のレース場だが、不利って程ではないらしい。

「直線が短く、坂の多いレース場です。阪神1800や東京1800に比べて瞬発力よりも持久力が試されますが、2戦共に見せた早め抜け出し競馬には脚質も合っていて有利と言えるでしょう」とのこと。

となれば相手関係だ。サイレントロードと同じく重賞級のレースで通用する馬が出てくることは必至ともなれば、特に枠順次第ではかなり不利なレースになるかもしれない。

 

また、そもそもとしてここを勝つ意味は自分の懐事情以外にはぶっちゃけそんなに無いそうだ。

「東スポ杯での収得賞金がありますから、ここから1戦もせずとも3月に行われるクラシックトライアル……ようするにメインイベントたる3歳GⅠの前哨戦ですね。上位何着かまでに3歳GⅠ皐月賞の優先出走権が与えられます。

ここに参加するだけの収得賞金は既に足りているので、そういう意味では朝日杯FSに参加する意味はありません。

距離も1600と少し短く、現に私の管理馬であるドリームジャーニーはここを勝ちましたがクラシック本番では結果を残せませんでした。

参戦するのであれば現時点での他有力馬との完成度の違いを確かめるためとなりますが、クラシック本番まで4ヶ月以上ありますからひっくり返る可能性は十分にあります。

その他には後にマイル路線を視野に入れるなら、という形でしょうか。トウカイテイオーも春の天皇賞(3200m)を5着としていますから、長距離を捨てる選択肢もあるかもしれません」

 

 

2.12/26中山 ホープフルS(オープン) 芝2000m

皐月賞と同会場同距離。

1800→1800と来ているので、クラシック戦線を見据え今のうちに2000mを経験させるという意味でGⅠを蹴ってこちらに。

「同週のGⅢ、R-NIKKEI杯も2000mですがそちらは阪神です。現状問題無いとは思っていますが輸送+距離延長でのパフォーマンスを見たいというのもあります」

 

 

3.1/22京都 若駒S(オープン) 芝2000m

年明け後のオープン戦。輸送の心配の少ない2000m。

東スポ杯でのパフォーマンスを見て輸送の問題は無いと見るなら、2000m挑戦はここでも問題無い。

また、トライアル前に1戦するというなら、関騎手の復帰が年明けであることを考えればここを選んで慣れてもらうというのもいい。

「ここを通るなら、トライアルでは弥生賞かスプリングステークスで中山に行くべきでしょう。スプリングステークスは1600戦線を戦っていた馬がクラシックのために弾みをつける、もしくは現在は2000mを超えると長そうだが経験を積めば2000mを走れると思われる馬が使うレースという印象です。もちろん他の理由もありますが、本命は弥生賞ですね。

もちろんここから休息を挟んで皐月賞へ直行というのもありです」

 

 

4.3/6中山 弥生賞(GⅡ) 芝2000m

5.3/19阪神 若葉ステークス(オープン) 芝2000m

6.3/20中山 スプリングステークス(GⅡ) 芝1800m

上であげたクラシックトライアルレース。そこへの直行路線。

前述のように参加するだけの収得賞金は問題無い。なのでここで優先出走権を得る前提で年内及び年明けを放牧して過ごし、2月頭辺りに厩舎に戻してレース勘を戻すように調整。そして出走、という形。

というか、そもそも東スポ杯を制した時点で皐月賞を賞金順の抽選で弾かれることはほぼ無いことから、ここへの出走はあくまでも本番に向けての叩き台ということになる。

現在11月、ここから4月末の皐月賞を狙うには間隔が空きすぎるので、レース勘を取り戻すために使うという形だ。

 

「放牧するのであれば、どこか大きな牧場にアポイントを取ってお金を出して預かってもらう形になるでしょう。

もしくは、サイレントロードの生まれた牧場の方へ戻すというのもいいですね。そこはオーナーさんの方で相談してもらうという形になります」

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……」

「ようするに、皐月賞トライアル及び皐月賞を目標として、そこまでに1戦するかどうかです。

一応、皐月賞に直行という線も無くは無いですが……そこまでに空く期間の長さを考えると、休ませるだけというのはレース勘などの問題を考えると少々怖いかと」

「皐月賞……」

 

皐月賞、2000m、3歳のみが参加できるGⅠの中でも、所謂三冠レースと呼ばれる権威のある3つのレースのうち最初の1戦。

……自分の初めての所持馬がそんな場所に出走出来るどころかその中でも有力な馬として数えられているのは、なんだか変な気分だ。いいんだろうか。

これも運が良いといえばその通りなのだが。

 

「まあ、いいや。とにかく次走ですね。朝日杯以外の1600m戦というのは無いんですかね?」

「ありますがレースの格の都合、朝日杯に比べて出る理由が少ないですね。

朝日杯より間隔を空けたいのであれば1800や2000といったレースでクラシックを目指す方がいいかと。

2000を超えたレースに距離不安があれば別ですが、そうでは無い訳ですから」

「ふぅむ……」




>種牡馬
先に言ってしまうと多分この種牡馬選択肢が最後の選択肢です

>インナモラータ
実は史実にも存在する00年生まれの馬。父サンデーサイレンス、母父はシアトリカル。
シアトリカルはBCターフで凱旋門賞馬に勝つなどGⅠ6勝をあげた名馬。有名どころだとヒシアマゾンやヒシピナクルの父。
インナモラータは現役時代4戦0勝で引退というところまでしか情報が手に入らなかったので大胆に捏造。
4戦後骨折し引退、零細牧場に売却され繁殖生活。資金難から種付け料の低いトウカイテイオーの種を付けられたという流れ。
どうして骨折した牝馬に骨折した牡馬を付けたんですか(猫)

>GⅢR-NIKKEI杯
正式名称ラジオNIKKEI杯2歳ステークスであり、後のGⅠホープフルステークス。84年独自グレードの重賞競争として創設、2010年(文中の年代)から正式にGⅢR-NIKKEI杯となり、2014年から開催を阪神から中山に移しGⅡホープフルステークスに昇格。そして2017年にウマ娘ファンにはマックEーンでお馴染みGⅠホープフルステークスへと昇格という流れ。
そして選択肢2のホープフルステークスは中山2000の同名のオープン特別競走であり、こちらは88年に施行され13年に廃止された全く別の競争。
後者は現在のホープフルステークスと比較して距離も会場も開催週も名前も同じですが前身はあくまでもR-NIKKEIの方です。マジ?

>アンケート
投票は8/15の12:00までとさせてもらいます。


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目標5:若駒Sで5着以内

8割掲示板の繋ぎ回です。若駒Sは次話。


【2歳次走報】サイレントロードは若駒S 無傷2連勝で東スポ杯2歳Sを制覇

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:JHfytFskh

★11月20日東京の東京スポーツ杯2歳S(芝1800メートル)を制したサイレントロード(栗・池尾、牡)は若駒S(1月22日、京都、OP、芝2000メートル)へ向かう。

 

<東スポ杯2歳S>◇20日=東京◇G3◇芝1800メートル◇2歳◇出走16頭

 

単勝13.4倍の8番人気サイレントロード(牡、池尾)がデビューから2連勝でJRA重賞初制覇を飾った。

馬体は+2キロとそこまでの成長は無かったが、好位から直線で抜け出し後続に影を踏ませず押し切った。勝ちタイムは1分47秒1。

 

◇   ◇   ◇

直線からは500mに渡る独壇場だった。

力強く4コーナーを外に回って逃げるショウナンカライスとビップセレブアイをかわした後は、後方から迫るサダムパテックらに詰め寄らせることもなく長い直線を駆け抜けた。

「攻め馬では確かに賢い馬だなと思ったくらいで特別凄い馬には見えてなかったんですけど、スタートした直後の手応えであ、これは勝ったなと。」と背に乗った小田騎手。

 

前走新馬戦から約1か月半の間隔での出走。この頃の新馬としては中々にゆとりのあるローテーションといえる。

 

池尾氏からは「血統的にそこまで丈夫な馬では無いということでオーナーとの相談の下、そこまで使い詰めしないようにしています」とのこと。

「能力の高さは事前に行っていた調教の中で見せてくれていたので真面目に走ってくれれば大丈夫だろう、と思っていたのがハマった形になります。体付きもしっかりしていますので、あとはゆっくりと必要な部分の筋肉を伸ばしていきます」と自信を持って話した。

 

今年皐月賞を勝利したヴィクトワールピサなど活躍馬を送り出す「出世レース」としての地位を確立し始めたこのレースを勝利した意味は大きい。

そんなサイレントロードの次走は若駒Sを予定しているようだ。「次走からはデビューから乗ってもらう予定だった関稔騎手に乗ってもらう予定です。怪我さえ無ければねぇ」と池尾氏は語る。

 

はたして本当に予定通りなのかレース結果を見ての乗り代わりなのか。どちらであるとしても、その期待は最高潮であると言ってもいいだろう。

 

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:FiSRdRspx

若駒か

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:AKbpU4hmm

GⅠは行かないか

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:TbcXH3jVD

2000やるなら年内でいい気もするが

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:w6Leh89zP

えー朝日杯来ないの?軸にしようと思ってたんだけど

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:LryVAAP6S

若駒→トライアル→皐月か?

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:GnarWnT96

まあテイオーの息子なら怪我怖いか

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:kKFwN97Sr

デビューから年内2走、そして若駒

なんかディープみたいなローテだな

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:ppLXFd8wt

あっちよりは間隔あるが確かにそうだな、テイオーもそうだし

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:z9YuQHW8U

アンライバルドとかもそんな感じだね

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:p4wD6ccVB

てことはマジで期待度高いのか?

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:28JHDsH3S

サンデーの血入ってるとはいえ内国産の古い血統が活躍してるとほっこりするね

いいとこまで行ってほしい

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:GN88MANjg

いいとこまでっていうか割ともうクラシックの最有力じゃない?

勝ち方強いよ

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:X9aj8aS94

ナタの切れ味を思い出すな

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:QyUSANUw8

おじいちゃんかよ

 

16:名無しさん、プレイボール! ID:f3fHekQcU

というか正式に関復帰の情報出たのって初?

 

17:名無しさん、プレイボール! ID:Cm5u7ahpJ

いや、この記事の1時間位前に関の個人ブログに復帰のお知らせ載ってる

 

18:名無しさん、プレイボール! ID:ynduiMuBJ

結構なこと書いてあったな

 

19:名無しさん、プレイボール! ID:sMmJyzKc6

>今週、池尾弘厩舎にて8ヶ月ぶりに馬に乗らせてもらいました。今話題の2歳馬、サイレントロードという馬です。追い切りなどの調教ではなく、完全に僕の都合に合わせてオーナーさんと調教師さんに用意してもらいました。

>乗っていて思ったのは、「ああやはり、僕は馬が好きなんだな」といったもの。まるで子供に戻ったかのように、馬という生物の雄大さですとか、とても賢い生き物だなとか、そういう一度覚えたはずの感想を改めて感じました。

>

>肩に異物が入っている違和感を半年間持ち続けて、9月にようやくプレートを除去して、今度はプレートが無いことにまた若干違和感を持ちつつも、ようやく慣れてきました。

>肩の可動域は怪我前と比べて9割といったところ。経過を見つつですが、来年のクラシック本番までには完治してるだろうという見込み。

>また怪我もですが、それとはまた別に実は3年ほど前から苦しめられていた腰痛が怪我の時に更に悪化したためそちらも治療。

>こちらも騎乗を続けてきたツケが出たか、全治には時間がかかりそうです。

>ですがどちらも日常生活には影響が出るほどという訳ではなく、また騎乗にもしかりです。左ムチを打っても違和感はありません。予定通り年明けから復帰することになります。

 

>またそれに合わせて、2011年の騎乗数を前年までと比べて大幅に減らす予定です。

>具体的には1週ごとの騎乗数を最大3鞍、月ごとの騎乗数を最大10鞍、そして月ごとに必ず完全休養週を作る予定でいます。

 

>復帰後も治療は続けていきます。特に腰の方はかなりの長期治療が必要そうで、細かく整体などに通いながら徐々に完全復調を目指していきます。

>個人的な目標として、フランスに拠点を移していた01年を除きここ10年くらいは年間100勝を目標としそれを達成し続けてきました。

>今年はその年間100勝の記録も途切れ、また連続GⅠ勝利年数の記録も22年で途切れました。

>記録は重荷としていた訳ではないのですが、なんだか憑き物が落ちたような気分です。

>これを機に心機一転、また新たな気持ちで競馬に向き合っていこうと思います。

 

>怪我ではなく半年以上のブランクと変わった身体のバランスによって、きっとしばらくは以前のような騎乗は出来ないでしょう。

>馬を歩かせているだけでも以前と全く同じことは出来ていないと自分でも感じています。

>皆様には不甲斐ない姿を見せてしまうこともあると思います。様々なオーナー様方にも予め話を通しており、騎乗依頼は慎重にしていただけると幸いですと伝えてあります。

>本来は騎乗依頼を待つ側である騎手の方からそのような申し出をすることは通常ありえないのですが、オーナー様方には快く話を聞いてくださいました。

>こういう時は自分の積み上げたものに感謝です。そしてそれでも乗ってくれ、という依頼もあり本当にありがたい限りです。

 

>焦りに駆られもしかして復帰出来ないのかとナーバスになったりもしましたが、多くのファンの皆さんの温かい励ましの声に支えられここまで来ました。

>今復帰を迎えるにあたり、改めて感謝の気持ちを述べさせてください。本当にありがとうございます。これからも関稔をよろしくお願いします。

 

 

20:名無しさん、プレイボール! ID:GB5Ug686d

有能いるね

 

21:名無しさん、プレイボール! ID:JFkeDHVCG

サンクス

 

22:名無しさん、プレイボール! ID:cJeKbLYpA

長い3行

 

23:名無しさん、プレイボール! ID:ipmHYY2Vc

ほほー

 

24:名無しさん、プレイボール! ID:6AeYQ2BHS

腰痛か

 

25:名無しさん、プレイボール! ID:jMVmwccWC

しばらく寂しくなるなぁ、やっぱ日本競馬は関いてこそ感はある

 

26:名無しさん、プレイボール! ID:cE5J2V2Pa

一昨年だいぶ酷かったのはそれでか

 

27:名無しさん、プレイボール! ID:H29EtATSr

確かに競馬の騎乗フォームは腰やりそうだけどやっぱ辛いんやな

 

28:名無しさん、プレイボール! ID:YZRw3rsYi

>>22

だいぶ治ったけどまだ治りきってないで、特に腰

来年騎乗数ガッツリ減らすで

応援ありがとう!

 

29:名無しさん、プレイボール! ID:HWerMhMwL

まあゆっくり休めたみたいで良かったんちゃうか

 

30:名無しさん、プレイボール! ID:8GmsNjimW

ちょっと不謹慎だけど来年は騎手切り出来そうで何よりです

ゆっくり治してほしいね

 

31:名無しさん、プレイボール! ID:z6BWxNc7P

>>28

ありがとう

まあしゃーないわな

 

32:名無しさん、プレイボール! ID:chHeNhcyc

実際いつまで乗るんやろな

 

33:名無しさん、プレイボール! ID:RXkW2g4JN

騎手は現役長いからなぁ

あと10年は乗るでしょ

 

 

 

 

 

 

 

 

『という状態なんですが……どうでしょう駒場さん、サイレントロードに関を乗せても構いませんか?』

「ああその件ですか、大丈夫ですよ」

『……ええと、よろしいのですか? 前に直接会った時には全治するまで乗せないと言っていましたが』

「あくまでも無茶な早期復帰が嫌なのであって、復帰の目途が十分にたっていてきちんと身体のケアをしながらというなら断ることはありませんよ。仮にブランクがあるとしても、実績のあるジョッキーに乗ってもらうことはありがたいですから」

『はあ……まあ、わかりました。関に依頼をしておきます』

 

 

 

 

 

 

『ちゅう訳や、予定通り若駒Sから乗ってくれ』

『わかった。……いやあ、ちゃんと治療に専念してよかったな』

『それはどういう?』

『駒場さんと話す前は遅くても8月には復帰したいと思ってたからね』

『……それは流石に、無茶じゃ?』

『まあ今思えばそうだね。でもそれ程までに馬に乗りたかったのさ』

『そんなにか』

『病院にいる間も家で安静にしている間も乗りたくて仕方なかったね。馬は僕の全てといってもいいし。まあそうしていたらサイレントロードに乗れないから我慢したけど』

『なるほどな。そこまで言うほどの馬をお前がどう乗るか、楽しみにしとるわ。言っとくが不甲斐ない騎乗したら降ろすからな』

『復帰早々にいきなりプレッシャーだなぁ』



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イベント:真価

貴様ァァァ!逃げるなァァ!
地の文から逃げるなァァ!


【サイレントロード】2011若駒Sスレ【リベルタス】

 

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190:名無しさん、出走を回避 ID:K7HX7GVLF

サイレントロード8枠10番wwwwwwwwwwwwwwwwwww

 

191:名無しさん、出走を回避 ID:WGymFV2mt

うっわ悩ましい

 

192:名無しさん、出走を回避 ID:68HL7bH8L

うわあマジかよ最外じゃん

 

193:名無しさん、出走を回避 ID:64HK8AeCY

これは買うか悩む

 

194:名無しさん、出走を回避 ID:RinUymYaL

いやあどうだろ勝ってもオッズまずそうだしワイドに絡める程度にしとくかなぁ

 

195:名無しさん、出走を回避 ID:UBcQBTryc

競馬初心者なんだけど、そんなに大外って駄目なの?

サイレントロード応援してるんだけど

 

196:名無しさん、出走を回避 ID:pYgawPk7G

いやあ流石に切るかなこれ、リベルタスが3枠3番だしそっち軸の方が良さそう

 

197:名無しさん、出走を回避 ID:5XpyhnG6V

リベルタスも先行馬だしね

俺も今回はこっちが軸だな

 

198:名無しさん、出走を回避 ID:gCPduikux

俺もリベルタス軸かなぁ、サイレントロードが人気吸ってくれれば結構返し大きそう

 

199:名無しさん、出走を回避 ID:yLCQ8Fx3C

>>195

前提としてサイレントロードって先行っていう前目で競馬する馬なのね、過去2戦見ればその辺はわかると思うけど

んで京都の2000って1800以下と違ってコーナー4回、ようするにコース1周するんだけど最初のコーナーが半径短い急カーブで曲がりにくいから、あまり速いスピードで突っ込むと曲がり切れないのね

競馬って横一列でスタートするから、最初のコーナーまでに先頭近くに行きたい馬って外側であればあるほど必要な速度って上がるのよ、京都2000って最初のコーナーまで300mくらいでめっちゃ短いから猶更

ここで無駄に力使って、その後速度を抑えながらコーナーを回らなきゃいけないから力加減を騎手も馬も細かくしなきゃいけなくてしんどい

あと2番人気になりそうな3枠のリベルタスも先行馬だからどうしても内リベルタス外サイレントロードみたいなポジションになって距離のロスありそうってのも不安要素としてあるかな、最初の先行争いと外回しで体力使ってラストの直線で脚が残ってないってのが外枠先行馬の基本パターン

 

まあ個人的にはそれでも問題無くサイレントロードが勝つと思ってるけどね、直線短いコースだから先行有利だし

長くてすまんね

 

200:名無しさん、出走を回避 ID:54wtZAMHK

流石にそれでも勝ちそうな気がするけどな、3番手くらいに付ければ十分チャンスあるでしょ

 

201:名無しさん、出走を回避 ID:4VU7wrSzM

単純にスペックで抜けてるだろうからな

 

302:名無しさん、出走を回避 ID:TVXMDydQf

でも鞍上関なんだよな、前行けるか?

 

303:名無しさん、出走を回避 ID:NCJxbNrRp

溜め殺しが無きゃ素直にサイレントロード推せるんだけどなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駒場

@orions_komaba

今日は若駒S

サイレントロードが走ります

僕はニュースで流れていた通りルルーシュくん田上くん他4選手と合同自主練習なので行けません、競馬もいいけど本業もね

今をときめく若武者たちから色々教わってこようと思います

37 Replies 1,881 Retweets 3,216 Likes

   @     ↺     ♡     …   

Reply to @sorions_komaba

タスラ @xxxxxx
3s

Replying to @orions_komaba

すごい豪華なメンバーでの自主練習だ!

@ ↺ ♡ …

リバタリア @xxxxxx
5s

Replying to @orions_komaba

サイレントロード頑張れー

@ ↺ ♡ …

一棟@競馬大好き @xxxxxx
10s

Replying to @orions_komaba

帝王の跡を継げるか期待!

@ ↺ ♡ …

タリス@オリオンズを日本一へ! @xxxxxx
30s

Replying to @orions_komaba

今年こそ15勝頼んます

@ ↺ ♡ …

自由 @xxxxxx
1m

Replying to @orions_komaba

駒場さんもサイレントロードもどっちも応援!

@ ↺ ♡ …

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『京都競馬場第10レース、第23回若駒ステークス。3歳のオープンクラスのレースで、芝2000m戦です。

どんよりとした曇り空ですが雨は降らず、馬場は良馬場の発表。頭数は10頭となりました。

 

例年ともこのレースを勝った馬からクラシックで注目される馬が現れる、まさに若駒の登竜門とも呼べるレースですが、解説の大野さん。今年も注目馬が出てきましたね』

 

『はい。それはもうそうですねぇ。なんだか少し前にも似た話をこのレースでしましたが、まああの時ほどでは無いにせよ注目度は高いレースだとは思ってるんですけどね』

 

『はぁい。デビューから2戦とも所謂強い馬の勝ち方を鞭も入れずにという、奇しくも親であるトウカイテイオーと似た貫禄。何の因果か、単勝支持率も親と同じく1.3倍となっております』

 

『2番人気の朝日杯3着馬リベルタスは、2000m初挑戦かつ新馬戦で対戦済み、3番人気ショウナンマイティは前走2000mを8着としていますからねぇ。このオッズもまあ仕方ないのかなとは思いますねぇ。

ただ京都2000で最外枠、そして鞍上は怪我からの復帰間もなく、まあ騎乗数が少ないのもありますが今年まだ未勝利の関騎手ということで怖い面もありますが、逆に言えば不利条件での真価が問われていいんじゃないでしょうかね』

 

『さて現在順調にゲート入りが行われています、3番の……』

 

 

 

 

 

(調子は良さそうかな)

 

サイレントロードの背でそんなことを考える。

落ち着いた佇まいと楽しそうな歩き方が同居した、所謂走りそうな気配。

 

大外ということで枠入りは最後。通常京都2000mというのは、直線が短くコーナーの多いコースということで比較的前に立ちやすい内枠が有利とされていて、しかしそんなコースで大外枠でもこのオッズというのはどれだけ期待が持たれているかがわかるというもの。

 

(ディープの時の1.1倍は4枠だったのもあった……いや、比べるのは野暮かな)

 

枠入りの指示が出たためサイレントロードの手綱を引けば、耳をピンと立てて係員の補助無く自身の枠へと歩いていく。

 

(本当に賢い馬だ、それじゃあ……)

 

慣れ親しんだガコン、という音。

「馬主からは別に負けてもいいから一度好きに乗ってみてくれと言われとるから、俺もその意向を尊重する。だが、せめてダービーに繋がる走りはしてくれ」という、池尾の指示。

となれば、目的はここで勝つことでは無く、2400での走りをして勝つこと。

 

(僕が初めて乗った時のあの走り、皆に見せつけてやろう)

 

サイレントロードは平凡なスタートを切った。

 

(……やる気は出してね?)

 

 

 

 

 

『スタートしました!

ほぼ揃った綺麗なスタート、まず飛び出したのは3番リベルタス。内枠からぐんぐん伸びてハナを切る構え。大外サイレントロードは前に行くでしょうか。

 

先行集団に入ろうとするのは7番ナリタキングロードに6番ユニバーサルパンク、5番ハーバーコマンド。この頭で前後3馬身程。そしてその後ろに内に入ろうという2番カピオラニパレス、その外に8番エーシンミズーリ。

7、8番手に入ろうかというサイレントロードは今回は後ろからの競馬となりそうです。

その内にショウナンマイティと後ろに続いてゴールドブライアン、2馬身離れてダーズンローズが最後方となって第1コーナーへと向かいます。

 

2番手から1馬身の差を維持しつつ淀み無くリベルタスが逃げます。

後続は少し先行集団との差を詰めにかかりましたでしょうか、サイレントロードの内ショウナンマイティが少しポジションを上げて並びかけにきました。

ゴールドブライアンはそれに釣られそうですが、鞍上懸命になだめております。

 

向こう正面に入りまして全体的に少々縦長となり後方集団から先行集団までおよそ3馬身、最後方ダーズンローズから先頭リベルタスまで15馬身程でしょうか、京都の直線は短いですがはたして届くのか。

前半1000mは凡そ61秒に乗ったでしょうか、平均ペースか少し遅いくらいのペースでしょうか』

 

 

 

(前半が多分61.2。平均ペース、なら残り200で……いや、直線で前に……5番手には出たいか)

 

このペースで外を回らされているにも関わらず全く辛そうにしない、どこか軽快に駆けるサイレントロードに頼もしさを覚える。

大外枠と聞かされた時は苦い顔だったが、なかなかどうして。

 

(京都2000は後方不利外枠不利、前方有利内枠有利。そんなことは皆知ってる)

 

 

 

 

『さあここで上がっていったのはカピオラニパレス、3コーナーを外に回っていこうというところでしょうか。

それに合わせてサイレントロードも外に持ち出して大きく回っていきます。

後続と前の差は縮まってきました、しかし先頭リベルタスの脚色も良さそうですこれは前は止まらないか。

1馬身後ろに続くのはナリタキングロード、そしてサイレントロードカピオラニパレスがどんどん上がってきた!

 

4コーナーを回って直線に向きます!先頭は変わらずリベルタスが逃げる逃げる!

短い直線これは逃げ切るか、リベルタス脚色がいい!

後方ナリタキングロード上がってきたが先頭には届かないか!ショウナンマイティも中団から伸びてきた!

ナリタキングロード脚色一杯か、これは後ろに落ちていきます!

カピオラニパレス先頭に迫る、サイレントロードは伸び切らないか!

残り200を切って、おっとサイレントロード一気に伸びてきた一気に伸びてきた!

前方リベルタスに2馬身、1馬身、カピオラニパレスをかわしてリベルタスもまとめて抜き去る!これはすごい脚!

 

そのまま差を広げて、これは強い!これは強い!サイレントロード1着でゴールイン!

2着は2馬身後ろのリベルタス、3着カピオラニパレスです!

 

サイレントロードはこれで3連勝、親子揃って無敗で若駒ステークス制覇です!』

 

 

 

 

(でもそれで勝てるからこそ、ってね)




T〇itterや掲示板、実況は書く上で便利なんですが多用しすぎるとそもそも小説とはなんぞやとか文を書く練習にならないとか色々あってもにょる
そもそもこのテンプレも他の小説書いてる方々からありがたく使わせてもらってるだけで自分で作ってないので実際のとここの作品の8割は人様ありきなのです
言ってて悲しくなってきたのでやめよう

>ルルーシュ
元ネタはメジャーで活躍中のyoutuber兼野球選手
作中年代だと翌年からちょうどメジャーへ飛び立つ

>田上
元ネタは今年日本に帰ってきた負けないエース
なお今年の成績、まあ帰りたてだし中々慣れない面も大きかろうて

>少し前にも~
この辺の実況は05年若駒Sを意識

>リベルタス
この年若駒Sを征したディープの息子
同じ馬主の親子制覇で話題になったものの皐月賞をビリ、ダービー競争中止と散々
その後も条件戦こそどうにか勝ち上がったものの8歳で引退

>2400での走りを~
サイレントロードの祖父シンボリルドルフの「1000のレースで1600の走りを、1600のレースで2000の走りを教えた」に由来


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若駒Sで5着以内、達成!

アオハル杯何もわからん

次走決め回です。
とはいってもここまでの戦績だと選択肢は少ないですが、はてさて


サイレントロード3連勝 父と同じ道で狙うは無敗の三冠か

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:QpR3QU55G

<若駒S>◇22日=京都◇オープン◇芝2000m◇3歳◇出走10頭

 

 1番人気に支持されたサイレントロード(牡3、栗東・池尾)が直線4番手から一気に脚を伸ばし3勝目を挙げ、91年トウカイテイオーに続く父子制覇を飾った。勝ちタイムは2分1秒5。

 

 ここまで2戦で見せた好スタートではなく平凡な立ち上がりから道中は馬群中央後ろを追走。残り200程で一気に加速し、逃げるリベルタスらをねじ伏せた。「事前に思い描いていた通りの勝ち方」と語る関騎手は、昨年3月の怪我からの復帰から初勝利となる。「外枠引いたら不利を承知で府中の直線をイメージしての競馬をしようと思っていた」と振り返る。

 

 これで新馬戦、東京スポーツ杯から続けて3連勝。「これでもまだまだ底を見通せていない。本当にどこまで強いのか」と讃えた。

 

 池尾師も胸を撫で下ろした。「大外でこの形のレースを出来たことは大きい。これでゆっくりローテーションを組んで大きいレースに行けるし、皐月賞に直行もありかもしれない」と話した。次走は未定だが、テイオーやディープインパクト、アンライバルドなど勝ち馬にクラシックホースが名を連ねる一戦を無敗で制し、春のクラシック戦線の主役に躍り出たと言ってもいいだろう。【谷崎晴人】

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:ipVS7Hzi5

いやーマジで強いな

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:V3VyiCeGp

これは三冠待ったなし

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:c3ykYke3K

相手が弱かっただけでしょ

皐月賞トライアルで化けの皮が剥がれるね

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:xS7wjyNNb

こんなん期待しちゃう

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:2jWkKM6ZB

逆張りおじさんおるね

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:V7mHAanmH

京都であんな勝ち方出来る馬が弱いわけないわ

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:GN5xutf8d

でも確かに他に今年この馬が熱いっていうのおらんな

勝ち馬がバラけてる

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:rc2BD2FFA

サイレントロードいなけりゃ群雄割拠の年だったかな

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:RzHLtXmwf

一強ムードよね今の所

銀行出来てて何よりですわ

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:r5TTYg2Xi

トライアルで何か台頭してくるかな

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:yre7uF4HL

つってもこっからサイレントロードに勝てる上積みありそうな馬あんまりいないんだよな

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:a7jsjTKa3

まだサイレントロードとぶつかった馬も少ないけど、どうにも勝てるビジョンが見えないんだよな

グランプリボスは2000不安だし

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:rkTQUBR7z

まあ三冠馬が出てくる年は周りが弱いとはよく言われることだが

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:VzinMpwHF

つってもまだ1月で断言し過ぎではある

ディープじゃないんだから

 

16:名無しさん、プレイボール! ID:wxWSGTzwk

そうか?後の三冠馬ってこの時期にはもう「これはモノが違う」って噂が出てきてるイメージだけど

 

17:名無しさん、プレイボール! ID:BhXb68m7f

先差どっちでも行けるのはでかい

中山の皐月賞も府中のダービーもどっちも戦えるもんな

 

18:名無しさん、プレイボール! ID:N3nUNRwmj

怖いのは菊かね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、メール来てるわ」

「どうかしました?」

 

それは合同トレーニング合宿の最中、練習終わってのことだった。そういえば今日はサイレントロードのレースだったな。

 

「ああいや、持っとる馬の調教師さんからやな。次どこのレース走るかって」

「ああ、馬主やってるんでしたっけ。どうなんです?」

「幸運にも3連勝。初めて買った馬としちゃ出来すぎやな」

「へぇ、そりゃすごい」

「でしょう。先に戻ってていいよ、しばらくメールの処理してるから」

「じゃあお先です」

 

本当に出来すぎといってもいいだろう。

3歳限定のGⅠ3種、そして特に日本ダービーというレースはホースマン……競馬に関わる者にとっての最高の栄誉となるレース。らしい。

5月に行われるこのレースにおいて、この時期既に最有力候補として数えられているというのは素晴らしく強いという事だろう。名も無い零細高校野球部が地方予選で既に片鱗を見せ始めて複数球団のスカウトの目に留まっているみたいなもんなのかね。

 

 

 

 

 

さてさて内容はっと。

 

まずは挨拶から始まり、現在のサイレントロードの状況。

どうやらレースの影響は少なく元気に過ごしているらしい。それは良かった。

 

続いてレース内容の評価。

京都レース場で不利なスタート地点から不利とされる戦法を取ってなお勝ったことでかなり大きな手応えを掴んだようだ。

漠然としてしか知らなかったのだがレース場ごとにコースの形状に差があり、それと距離によって有利な戦法などが変わるそうだ。

神宮だとホームランが出やすいとかそういう感じのイメージだろう。多分。

 

そして肝心の次走だ。

候補は4つ。

 

1.3/6中山 弥生賞(GⅡ) 芝2000m

2.3/19阪神 若葉ステークス(オープン) 芝2000m

3.3/20中山 スプリングステークス(GⅡ) 芝1800m

クラシックトライアルレース。

当然相手も有力馬が揃う。特に皐月賞と同距離同会場の弥生賞には集まりやすい。

しかし現状の出走予定では東スポ杯で下したサダムパテックが弥生賞1番人気と目されていて、これに勝っているサイレントロードはまず間違いなく現状の3歳牡馬では最有力だろう。

というのも今年は重賞・オープン戦勝ち馬がかなりばらけているのと、安定して上位に入り続ける馬がいないそうなのだ。

その中で無敗の3連勝、また勝ち方と下した相手が強いサイレントロードが最有力となるのも当然とのこと。

 

そして各レースの特徴としては、弥生賞は前述の通り。

 

若葉Sは3つのトライアルレースで唯一関西で行われることから、サイレントロードと同じ栗東所属馬が参戦しやすい、そしてサイレントロードにとっては輸送が少ないことが利点だ。

輸送は東京開催の東スポ杯で既に試しているが、本番である皐月賞前に無用なストレスをかけたくないのであればという形。

サイレントロードにとってはあくまでも叩き台として、無理をさせずに走らせるための選択だろう。

また父トウカイテイオーもここを通っての皐月賞出走で、話題性もある。あちらは強敵の集うトライアルでの消耗を避ける為にという理由で当時トライアルレースではなかったこのレースに出走していることから、出走理由は別物となってしまうが……。

 

スプリングステークスは同会場のレースの中では皐月賞までの間隔が最も短いレース。

本番との距離差200mというのもあって、例えば気性に問題があって落ち着きが少ない馬とか、逆に温厚で休養明けのレースだと気持ちが入らない馬とか、そういう叩きが大事な馬にとっては弥生賞よりもこっちの方が合っているという馬も多いそうだ。

また、既に実績ありでNHKマイルや安田記念といったマイル路線に進む馬が2000mを走れるかどうかを計るために挑戦することもある。

現にここまで重賞2歳GⅠ朝日杯FS(1600m)と京王杯2歳S(1400m)含む4戦3勝のグランプリボスも次走はここに出走予定だそうだ。

 

 

4 .4/17中山 皐月賞(GⅠ) 芝2000m

本目標への直行。

前述の通り現状既にサイレントロードはクラシックの最有力馬で出走が弾かれるということも無い。

ならばここから放牧……長期休養を挟んで3月からゆっくりと仕上げていき、4月を万全の状態で迎えることを考えてもいいのかもしれない。

 

サイレントロードが賢い馬であるという点も大きく、調教メニューの調整できちんとレース本番のタイミングを理解してくれるはずというのもある。

叩き台というものを使わなくていいなら今後秋以降のローテにもかなりの余裕が出来る。

 

問題は絵に描いた餅ということだろう。

休養が長期に渡ることで体重が重くなったりレースに身が入らないようでは困る。

野球でもそのため……だけってわけではないが、オープン戦や練習試合があるわけだし。

 

 

 

……と、この4つ。

やはり皐月賞及び日本ダービーを大目標としている以上は選択肢は少ない。

トウカイテイオーのようにトライアルを避けて強敵と当たらない選択肢も欲しかったが、どうも現在のレース形態では皐月賞に出る前提だとちょうどいい間隔のレースが無いようだ。

さてどれを選んだものか……。




>サイレントロードいなければ群雄割拠
後の暴君はこの時期不安定でまだ頭角を現しているというほどでは無く、当時の皐月賞は本命不在の大混戦という風潮

>グランプリボス
父バクシン、母父サンデー。この年のNHKマイル勝ち馬。海外GⅠセントジェイムズパレスに挑戦するも9頭中8着(勝ち馬はFrankel)。GⅠ勝利は朝日杯とNHKマイルだけだが重賞5勝、安田記念2回とマイルCS1回2着と結構な通算成績。しかし残念ながら同い年の短距離路線はアイツがいた。
ちなみに2021年現在3頭しかいないバクシンの直系種牡馬。どうにか血を繋ぎたいところだが同い年のアイツがいて厳しい感じ。

>選択肢
9/7の12:00を期限とします。
システムメッセージ:「■■■■■に■■■■し■■■■■■■■■■■■■■■したため、選択肢を解放しました」


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目標6:皐月賞で5着以内

(263) 弥生賞(!)
(146) 若葉ステークス(!)
(54) スプリングステークス(!!!)
(399) 皐月賞(!!)
(148) !クソボケ(!!!!)
流石にクソボケは選ばれないと思っていましたが思ったよりは票を集めた印象。
アンケートは(まあこれが選ばれるんとちゃうか)と思って設置しているのですが大体外れてるのでここは読者と筆者の持つ情報量の違いによる目線の差やなぁと


【3歳注目馬次走報】サイレントロードは皐月賞へ直行 無敗のクラシック王者を狙う

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:QDSR3zB2a

★1月22日京都の若駒S(芝2000メートル)を制したサイレントロード(栗・池尾、牡)は皐月賞(4月14日、中山、GⅠ、芝2000メートル)へ直行を予定。鞍上は引き続き関稔となる。

 

約3ヶ月と長い間隔が空くことになる。

「賞金を十分積めていることが大きい。放牧できちんと休ませつつ馬体のさらなる成長に期待。2月の終わりくらいに厩舎に戻して、じっくり感覚を取り戻させたい」と池尾調教師は語った。

 

しかし90年からの20年間で、トライアルレースか毎日杯を使わず皐月賞に勝利した馬は90年ハクタイセイのただ1頭のみ(厳密に言えば91年トウカイテイオーも当時トライアルレースとして指定されていなかった若葉Sを勝利して皐月賞に挑んでいる)。

特に1月開催レースから直行での皐月賞制覇は記録されている限りではこれまでに例が無い。

 

クラシック最有力候補のこの大胆な選択ははたして吉と出るか凶と出るか。

サイレントロードは生まれ故郷である高井牧場で放牧となる。

 

2:出走登録名無しさん ID:PueeKAbN9

えっ直行?

 

3:出走登録名無しさん ID:fzK74zGLf

マジ?

 

4:出走登録名無しさん ID:mjw6ceW2L

直行て

 

5:出走登録名無しさん ID:K7gQ732pu

なんやそれ

 

6:出走登録名無しさん ID:xzKMsKAJs

叩き無しってありなの?

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:Jd9jN2aHu

叩きってのはようするに長期休養明けだと気持ちが上向かないからってのが主な理由だから、休み明けにきっちり調教して気持ちを上向かせるってのはわかるんだが

 

8:出走登録名無しさん ID:shTSguuUP

下手にステップレースに出して無敗が途切れるのを嫌ったんやろ

 

9:出走登録名無しさん ID:CQ6CwL4AU

軽い怪我でもしてんじゃね

 

10:出走登録名無しさん ID:cnGwXXcfS

>>8

狡っからい考えだなぁ

ディープもルドルフも弥生賞出たんだし、負けを恐れず出てくりゃいいのに

 

11:出走登録名無しさん ID:mJEcWwrEm

別に前哨戦なんて絶対出ないといけないわけじゃないやろ

 

12:出走登録名無しさん ID:fgJBHsXVZ

馬主が止めたのか調教師が止めたのか

 

13:出走登録名無しさん ID:FmNkJMuEx

>>9

あーなるほど、大きい怪我じゃないけど大事を取ってってこと?

 

14:出走登録名無しさん ID:wN9AdK43c

怪我は確かにありそうな話だな

京都での末脚はちょっと足に負担かかりそうな気がするし

 

15:出走登録名無しさん ID:aHBmMnuea

怪我なら素直に言ってもいいと思うけどなぁ

 

16:出走登録名無しさん ID:gfVA5gbmH

>>11

主題そこじゃなくて、トライアル使わずに皐月賞勝った馬いないのに大丈夫かってことだろ

 

17:出走登録名無しさん ID:tiQrSx8fk

脚部不安でもあるのかねぇ

 

18:出走登録名無しさん ID:puLJyMk3A

まあ俺らがどうこう言ってもローテが変わるわけでもないしそれが陣営の選択ならしゃーないとするしかないな

皐月賞どうなるかねぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

「さむっ」

 

2月の頭。

 

ルルくん達との合同練習に熱を上げすぎて投げた球数を監督に報告したらキレられて合宿参加を少し遅らせることになったので、その間にアポを取ってサイレントロードの生まれ故郷でもある高井牧場へと顔を出していた。

もちろん監督とフロントには許可をもらってある。頭を抑えながらの承諾であったが。いや本当わがまま三十路おじさんで申し訳ない。

 

「駒場さーん!こっちですー!」

「ああ、高井さんお久しぶりです」

 

駅から出て見回せば、競りの時に一度会った牧場主さんをすぐに見つけることができた。田舎様々であろうか。

出してもらえるトラックに乗り込む。場所はそんなに遠くないらしい。

 

「いやあ寒いですね北海道は。秋のセールの時も結構なものでしたが」

「キャンプは確か宮古島でしたか。気温差で風邪を引かないよう気をつけておいてくださいね」

「あーなるほど確かに……そこら辺考えないとなぁ」

 

「そういえば賞金額の配分率はご存知ですか?」

「えーと、ざっくり馬主8割調教師1割、厩務員と騎手で5%ずつと聞きました。…そういえば、馬の生産者には何も無いんですね?」

「はい、本賞金から割合でというものはありません。しかし生産牧場賞と繁殖牝馬所有者という本賞金とは別枠の支払いがありまして、例えばG1で1着を取ったらいくら、G1でない重賞で3着を取ったらいくら、という形です。

ざっくりですがサイレントロードの3走1着で、私達にも計300万円程のお金が入って来たことになります。文字通り現金な話ですが、そういう意味でもサイレントロードと駒場さんには感謝の念が絶えないんです」

「そんなのがあるんですね。本当に動くお金が物凄いんだなぁ…」

 

雑談しながら車に揺られること約15分、到着したのは通称「サラブレッド銀座」とも称される牧場通りの中の小さな牧場。

調べた限りでは乗馬が2頭、繁殖用の牝馬が2頭(うち1頭がサイレントロードの母インナモラータ)とその仔2頭。計6頭しかいないようだ。

 

「サイレントロードは今ちょうど外に出してます。行きましょうか」

「お願いします」

 

牧場の施設を抜けると、柵で囲われた開けた場所に出た。広さは……20平米くらいか、もう少し広いか?

そしてそこに佇んでいたのは、もう何十度も会ったようなその実数えるほどしか会っていない俺の愛馬。

 

「サイレントロード!」

『!』

 

声を掛けてやれば耳をピンと立てて振り向いて駆け寄ってきた。声で人を区別できるとは、やっぱり本当に馬って生き物は賢い。

確認を取って毎度の如く林檎を差し出してやれば、やはり毎度の如く嬉しそうに食べ始めた。

 

「いやあほんとかわいいですね……前からこうだったんですか?」

「そうですねぇ。仔馬の時は私含め牧場スタッフの後ろを付いてきたりで、皆メロメロでしたよ」

「ははぁ」

 

歩いていると小さい馬が後ろから付いてくるのは、なるほど可愛かろう。

 

そのまま運動の為に引き馬をやらせてもらうこととなった。ファンが見れる範囲だとパドックであるとか、よく人が馬を引いて歩いているあれだ。

あれはようするに馬を引っ張って歩かせているのかと思っていたのだがどうやら違うらしい。

 

「レースや調教前の準備運動や落ち着かせるためとしての側面はもちろんありますが、人との信頼関係を高めるためという意味合いが大きいんです。

人と一緒の歩様で歩いて、「この人と一緒に歩くんだぞ」「この人は安心だぞ」「俺はお前を信頼しているぞ」と伝えるのが主な目的ですね」

「なるほど、無理やり歩かせているわけじゃなかったんですね」

「馬は理解力は低いですが記憶力は高い生き物だとされています。なので一度無理にやろうとしてそれが嫌なことだと記憶されてしまうと、その後ずっと影響が出てしまうんですね」

「なるほどなぁ。そう考えると、お前が調教嫌がるのも?」

『ふるるるぅ』

 

まあ言葉がわかるわけないのだが。

 

慎重にサイレントロードの綱を引きながら、ゆっくりと放牧場を周回していく。

ここの柵は前に一度飛び越したことがあって牧場スタッフが大慌てしたこと。(すぐ戻ってきたらしい)

サイレントロードは決まった場所でしか排泄をしないから放牧場の管理が楽なこと。

1歳になってから味の好みががらりと変わったこと。

いろんな話を聞かせてもらえた。

 

 

 

「……駒場さん、ありがとうございます」

「どうしました?」

 

引き運動を終えて馬房へと戻す時間になったということでサイレントロードを連れて施設へ向かう中、改めて高井さんから礼を言われた、

というか放牧というのは外にずっと出しておくわけではないものだったのか。

 

「調教師の池尾さんから、レース後にはトレセンに顔を出して構ってやっていると聞きました。ここに来てくれたことといい、この仔は人好きですからきっと嬉しがってることでしょう。レースのモチベーションにも繋がっているんじゃないかと思います」

「うーんそういう狙いで会いに行っていたわけじゃないんですが……」

「それでもですよ。本業でもお忙しいとは思いますが、また会いに行ってくれればサイレントロードも喜ぶと思います」

 

そんなもんだろうか。ならまた、林檎を持って会いに行ってやるとするか。皐月賞と日本ダービーの時は流石にシーズン始まってるし、行けるかどうかはまた別の話だが。

 

「なあ、サイレントロード」

 

「絶対勝ってくれなんて言わんからさ」

 

「俺も本業で頑張ってくるからよ、怪我しない程度に頑張ってくれな」

 

『ぶるるぅ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんな調子や?」

「いい感じですよ、少しずつですが前に進めてる実感があります。……あの、今更なんですけど本当に俺乗せてていいんですか? 自分で言うのも変な話っすけど、ここまで惜しいレース続いてますし……」

「……ちょっと残酷な話やが、ええか?」

「はい」

「今、うちの厩舎のクラシック最注目馬はサイレントロードや。わかっとるやろ?」

「そりゃまあ、乗った事は無いけどこいつとの併せで一緒に走ったことありますし」

「気性面で、同じ騎手を乗せ続けて信頼関係を築いてもらいたいっちゅう理由だってもちろんある。

クラシックってのはどう足掻いても勝者は絞られる。サイレントロードをクラシックで勝たせることが厩舎としての最善……というのは言い方が悪いが、乗り替わりを依頼してまでこいつで絶対にクラシックで勝ちたいっていう理由は、無い」

「……」

「だから、お前に言うなら……勝つのは「いつか」でいい。だから乗り替わりも依頼せん。代わりにきちんとこいつに競馬を教えて、そのいつかを少しでも早くできるようにするんや」

「……はい!」

「とりあえず次は中山のスプリングステークスや。半端な騎乗はすんなよ」

「はい!」

 

 

 

「……なあ。」

 

「俺は、お前とならやれると思ってるんやぞ」

 

「お前の力は絶対こんなもんじゃない」

 

「だから」

 

「……頑張ろうな」

 

「オルフェーヴル」




>直行
今でこそトライアル通らず直行はよく見るローテではあるが作中年代時点では本文の通りほぼ無い路線であり、それが主流となったのは恐らく2012皐月賞勝ち馬の白いあいつ(共同通信杯→皐月賞)から。一転して2012年以降でトライアルを通って皐月賞を勝った馬は2018エポカドーロ(スプリングS)の1頭のみ。どうしてこう極端なのか。
理由は2012から新馬戦の開始日時が2週間早まったこととホープフルSのGⅠ格上げなど2歳戦の整備が進んだことによる賞金加算チャンスの増加及び、調教技術の底上げや外厩放牧などレースに出さなくても調整が楽になったことなどが上げられる。
なので作中年代においてはこういう反応になると思うけどどうなんすかね。(雑)

>わがまま三十路おじさん
現実でこんな野球選手いたら無限に炎上してそう


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イベント:本命不在?の一冠目

GⅠレース前の各誌の予想とかニュースとか、執筆資料の為に掘っているんですが見てるとなかなか面白いですね。
毎日のように出てる本番前のざわめきと言いますか。



今回試験的に、前回までの選択肢での選択によって影響が出た部分を太字で強調してみました。
ちょっとシステマチックなのでいらんと言う人もいると思うので、感想欄でその辺触れてくれると今後の参考になるので嬉しいです。(乞食)

特大ガバを修正(9/14)


【皐月賞2011予想】混戦模様の第一冠、その手に掴むのははたして

 

 皐月賞。普段は中山2000mで行われる、3歳限定戦通称「三冠レース」の一冠目。

 

 今年は東日本大震災の影響により一時は開催も危ぶまれたが、各関係者の尽力により1週間の遅れと会場変更で無事に開催が決定した。

本記事を書くにあたってまずは各関係者への感謝、及び競馬が見れるという当たり前だった幸せを享受できることへの感謝をここで述べたい。

 

 先述の通り今回は会場変更、1988年ヤエノムテキが勝って以来の東京競馬場での開催となる。

当然例年の皐月賞とは全く違う予想をしなければならない分難しいところだが、有力馬に印をつけていこうと思う。

 

 東京2000mは左回りで、1コーナー奥からのポケットからスタート。2コーナーまでの距離が非常に短く外枠が不利、特に先行馬にとっては地獄とも言えるだろう。初めから飛ばして脚を使ってもいいポジションにつけず沈むことが多い。

必然的に内枠の馬がいいポジションを確保しやすく有利となるだろう。

 

 一般的にはスピード重視の高速馬場になることが多い。最終直線は約530mと非常に長く、高低差2mの急坂も相まってキレる瞬発力を持つ馬が好走する傾向にある。

ただし開幕間もない時期は馬場の状態が良いことから先行馬がバテずに粘り切ることも多い。特に今回は変則日程につき初週開催であるため見逃せる点ではない。

 

 昨今形骸化しがちだが「最も速い馬が勝つ」という二つ名に相応しいものとなるだろう。

 

 

 

有力馬予想

サイレントロード(想定1番人気)

3戦3勝の無敗で皐月賞まで駒を進めて来たサイレントロードはやはり抑えたい。弥生賞を鋭い差し脚で勝利したサダムパテックや朝日杯3着のリベルタスなど負かした相手も強く、力は抜きんでている。

また過去10年の記録ではキャリア3戦の馬は【4.0.0.8】(勝率33.3%)と狙い目でもある。

同じく東京競馬場開催の東スポ杯で見せた先行抜け出しからの鞭を打たずの直線一人旅や京都開催の若駒Sで見せた鋭い切れ味の差し脚も好印象。内枠なら前目、外枠なら後ろでどちらでも対応可能だろう。

不安視するとすればやはり約3ヶ月という間隔の開き。このローテで皐月賞馬になった馬がいない以上楽観視は出来ないだろう。

 

サダムパテック(想定2番人気)

スローペースを外目で折り合って最後は末脚を伸ばして差し切った弥生賞馬。

同じ中山開催の朝日杯は不覚を取ったが、それをきっちりと修正し結果を出して2000mの目途を立てられたのが大きいだろう。

例年通り中山でも好結果を出せそうだったが東スポ杯2歳Sでは上がり33.7秒の強烈な末脚を発揮し、走破タイムの1.47.3も2月の共同通信杯ナカヤマナイトの勝ち時計を上回っている。東京競馬場への変更は大歓迎といったところだろう。

スタートが比較的苦手なことから枠次第で大きく不利を受ける可能性はあるが、成長した姿を見せられればサイレントロード相手にも勝機十分と言える。

 

ナカヤマナイト(想定3番人気)

初勝利こそ3戦かかったものの通算成績3.3.1.0で複勝率100%の安定感。逃先差の自在な立ち回りが強みで、枠順を苦にしないだろう。

ホープフルSでは外目を回らされベルシャザールを捕らえ損ねるも、2枠2番の共同通信杯では内をあがり2番手の豪脚で捌いて見事重賞初制覇。複勝には絡めておきたいし、内枠を引いたなら勝機も十分だろう。

こちらもサイレントロードと同じく、少し間隔が開いている点は気になる。動向と仕上がりを注視したい。

 

オルフェーヴル(想定5番人気)

ここまで6戦中5戦上がり最速タイムをマークしている切れ味の脚が武器。

しかし勝ち鞍は新馬と前走スプリングSとようやく重賞制覇を飾ったばかりで、典型的な馬場と展開に左右されるタイプ。前が飛ばすか残るパターンだと厳しいだろう。一団で流して直線ヨーイドンの展開が理想。

また唯一上がり最速でなかったのは東京開催の京王杯2歳S。全兄ドリームジャーニーも小回りの差しが得意だった一方で東京コースは大の苦手としており、力は上位なものの不安は大きい。

気性面か、内に刺さる癖や幼い部分も引っかかる。前走の折り合いを本番でも見せられればあるいは。

 

×ダノンバラード(想定10番人気)

例年強いメンバーの出揃うラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬だが、前走の年明け初戦共同通信杯では1番人気を背負っての9着。直線外から追い出しても全く反応がなく味の無いレースっぷりだった。

NIKKEI杯2着のオールアズワンも弥生賞3番人気8着と期待を裏切る形で、不安要素は大きい。

とはいえNIKKEI杯3着のコティリオンはきさらぎ賞6着→毎日杯2着と好走しており、調子を上げてくればという欲は残る。前走の敗戦だけで見限るのは少々早計だろう。

 

 

 

大本命か、はたまた成り上がりか、それとも刺客か。

府中の皐月の栄冠を掴むのは、はたして。

 

 

 

----競馬予想サイト『競馬研究所』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨシ、ロードはどうだ?」

「ああテキ(調教師のこと)、順調ですよ。最近としては……」

 

 クラシック前哨戦も終わりどこか浮足立つ栗東トレセン、その中でも2頭出しでどちらも有力候補として注目を浴びる池尾厩舎。

そのうち1頭の担当厩務員のヨシは報告の為にここ1ヶ月の様子を思い返していた。

 3月の頭に厩舎に戻ったサイレントロードだったが3月終わりくらいまでは気持ちが入っていないようでぼーっとしていることが多かったが、そこからは少しずつ調子が良くなってきており、先日関騎手を乗せての調教でもきちんと走れていた。

 これならば皐月賞に調子十分に持っていくことは出来るだろう。

 

「なるほど、それなら良かった。報告だとしばらく元気が無かったと聞いていたからどうなるかと思っていたが」

「例のあれで自分達も結構沈んでいたんですけど、そうしてもいられないって頑張り始めたらロードも元気出してましたね。今考えると人間の様子見て自分も元気無くしていたのかもって」

「ああ……なるほど。賢い馬だからな、ロードは」

 

 3/11に起きた大震災で中央競馬は一時開催が危ぶまれていたものの、会場への被害が大きかった中山開催レースの複数日程の中止や代替レース日程などの迅速な決定によって1週間後に再開、4月にはほぼ元の形での開催が決まっている。

 池尾厩舎スタッフ内でも当然その凄惨な光景を目にして暗い顔が目立っていたが、「こんな時だからこそ」というまとめ役スタッフの馬場の言葉で少なくとも表面上はいつも通り過ごすことを心掛けた。

 人懐こいサイレントロードは既に厩舎の癒しとも言える存在で、それが元気が無いことでスタッフ側も参っていたのかもしれない。

 

「まあ現状問題が無いならいい。それから3日後に皐月賞についてのテレビ取材が来る、お前も出ることになるから準備しとけ」

「い!? テレビの取材とか初めてなんですけど……」

「誰だって初めてはあるだろ。どういう質問するかとかも事前にもらってて馬場さんがまとめてくれてるから、仕事上がったら受け取ってきてくれ」

「はぁい……」

「じゃあ任せた」

 

「……はぁ」

『るるる』

「ぶ、ロードありがぶぇ」

『るるぅ』

「はぁ、ロードはかわいいねぇ。よし、頑張らないとな」

 

 去っていく池尾を見送って肩を落としたヨシの顔を舐めるサイレントロード。手がかからない馬ということでその年厩務員になったばかりのヨシが割り当てられたのだが、例によって人懐こいサイレントロードにはメロメロで、他の厩務員からも羨まれる立場だ。

 既にクラシック最有力候補となった馬の担当になるなんて運がよく幸運だと思うし、それだけプレッシャーも大きい。やれることはやらなければと、気合を入れ直したヨシであった。

 

 

 

 

 

 

 普段見ている顔でない女性と男性の姿に興味があるのか馬房から顔を突き出して頭を揺らすサイレントロード。どうやら男性が肩に担ぐ機械が気になるようで、何度も目線を向けている。

 そんなサイレントロードを気にかけることもできず、自分がテレビに映ると改めて自覚したヨシはガッチガチに緊張していた。

 

「……えぇと、大丈夫ですか? なんなら少しキューを遅らせますけど」

「いえ、そちらもお忙しいでしょうし始めちゃってください。ほらヨシ、さっさと立ち直れ」

「は、はいです」

「では事前の連絡通り、サイレントロードとオルフェーヴル、ダノンバラードの3頭出しについて、サイレントロードはどういう馬なのか、皐月賞に向けての調整具合、皐月賞への抱負、この4点についてお言葉を頂戴しようと思います」

「わかりました」

「ではいきます」

「5、4……」

 

 カメラマンが撮影開始のカウントダウンを始め、ここに初めて本格的にサイレントロードがテレビに映ることとなった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「本日は栗東、池尾泰弘厩舎にお邪魔して、皐月賞出走予定のサイレントロードについて、こちらの池尾泰弘調教師と担当厩務員である日向さんにお話を伺っていこうと思います。

 池尾調教師に日向さん、本日はお忙しい中ありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ取材に来てもらって、ありがとうございます」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

「まずはサイレントロードとオルフェーヴル、ダノンバラードと3頭ものクラシック出走おめでとうございます」

「ありがとうございます。多くの方の協力と幸運に恵まれてこういう状態に持って行けたということで、非常に嬉しく思います」

 

――――サイレントロードが柵から首を伸ばすのを見て慌ててそれを抑えようとする日向厩務員と、それを努めて見ないようにしている池尾調教師。

 

「カメラに興味津々ですね」

「えぇと、そうみたいですね。普段から人懐こい馬なのですが、新しい人が来て見慣れないものを持っているから気になるのかもしれません」

「人懐こい馬ですか。詳しくお伺いしても?」

「えー、言葉通りでして。どうも牧場にいた時からそうだったようなのですが人のことを怖がっていなくて、よく顔を寄せたりしてきて可愛いやつなんです。レース前のパドックとかでもその様子は出てましたね」

「新馬戦や東スポ杯ではパドックで馬主さんの元に歩いていく様子や、観客の向けるカメラに顔を向けて立ち止まる姿が見られましたね」

「そうですね。トレセンでも他の厩舎の人から声をかけられると顔を向けたりして、程度は置いといて可愛がられていると思います。

 名前を呼ぶと時折返事を返すことがあって、自分の名前を憶えていられるくらいに賢い馬だと思います。なぁサイレントロード」

『ぶるるぅ』

 

「本当だ、返事をしましたね。賢い馬というと、レースにも影響はあるのでしょうか?」

「3戦とも騎手からは「レース中は指示をよく聞く」と言ってたことが印象的ですね。スタートも良いので、理想の勝ち方をそのまま決められる馬なのだと思います。ただよくインタビュー記事にも書いていただいてるように、調教をサボりがちなのは困りどころですね」

 

「池尾泰弘厩舎ではオルフェーヴル、ダノンバラードと合わせ3頭のクラシック有力候補馬を輩出しております。その点については思うところあるでしょうか?」

「どれか1頭しか勝利できないというのはありますが、それ以上に3頭の有力馬を送り出せたことはもちろん非常に嬉しく思います」

「どうでしょう、どの馬が勝ってほしい、どっちが有利などありますか?」

「1着同着がもちろん理想ですが、現実はまず無いことですから難しいところですね(笑)

 あまりオーナーさんのこともあるのでどちらが強い弱いどちらが勝つ負けるとは言えないですが……そうですね、ワンツースリーで決めるだけの実力はあるのではないかと思います」

「非常に強気な発言ですね」

「外れると恥ずかしいからあまり大口を叩くべきではないとは思うのですが、どこか歴史に名を残す程の何かを秘めているように思えてるんです。外れたら数年後に笑ってやってください(笑)」

 

「前走若駒Sから皐月賞へは約3ヶ月と長い期間が空きます。なかなか見ないローテーションですが、調整のほどはいかがでしょうか?」

「現状は問題ないと思います。ヨシ」

「は、はい! えー、と、3月の頭に帰厩してから半月ほどは軽い運動のみで3月半ばすぎてから少しずつ調教を施しています。

 現在ちょっと体重を絞り切れてない面はありますが、皐月賞までの間隔が1週長くなったことも考えるとベストな状態に持っていけると思います」

「不謹慎な言い方ではあるのですが、皐月賞を叩きに同会場のダービーに向かえるという意味では結果的に会場変更はありがたいかなと。東スポ杯で左回りも経験済みですし、不安はありません

 

「それでは、最後に抱負をお願いします」

「はい。えー……

 オーナーとの相談でこの前代未聞のローテとなっておりますが、それでも勝ち切ることのできる馬だと思っていますし、自分たちもそれを実現できるように精一杯頑張ってまいります。

可愛い馬ですので、皆様是非とも応援よろしくお願いします。ヨシも何か無い?」

「え!? えーっとその……」

「ははは」

『ぶるふぅー』

「はい、池尾調教師と厩務員の日向さんでした! ありがとうございました~!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「はい、OKでーす!」

「お疲れ様でした。予定通り15分の休憩の後、オルフェーヴルの方のインタビューで大丈夫ですか?」

「大丈夫です。ヨシ、もう行っていいぞ」

「は、はい……全然喋れなくてごめんなさい」

「いやいや十分でしたよ」

「最後はともかく調整の部分はあれだけ言えれば問題ないわ。これからロードと一緒に何回も出ることになるかもしれんのだから追々慣れていけな」

「ひえぇ」




太字強調はいうても選択肢で出た全ての影響をどこかで必ず本文中に出すわけではないので、正直個人的にはこれいる?感はある
あと普通に太字にし忘れとかもあるだろうし

>キャリア3戦の皐月賞成績4.0.0.8
数字の見方は1着.2着.3着.4着以下になった馬の数。上記ならばデビューから3戦した後に皐月賞に出走した馬の成績は1着4頭と4着以下8頭という意味。
1着馬4頭はアグネスタキオン(新馬→ラジオたんぱ→弥生→皐月)、ディープインパクト(新馬→若駒→弥生→皐月)、ノーリーズン(新馬→500万下→若葉→皐月)、ヴィクトリー(新馬→ラジオNIKKEI→若葉→皐月)。
アグネスタキオンとディープインパクトは無敗での達成。
2021年まで見るとサートゥルナーリア(新馬→萩S→ホープフル→皐月)、コントレイル(新馬→東スポ→ホープフル→皐月)、エフフォーリア(新馬→1勝→共同通信→皐月)。いずれも無敗での達成。

>ヨシ
サイレントロードの担当厩務員。元ネタ無し。
苗字は日向(ひなた)。それ以外のことは特に決めていない。

>ダノンバラード
史実皐月賞3着。実はオルフェーヴルと同じ厩舎。
よく確認してなくてガバってたのに気づいたので修正しました


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イベント:クラシック第一冠

皐月賞回です。なお出走はまだの模様
流石に見栄え的に冗長になりそうだったので分割しました。本走はもうちょっとお待ちを……


皐月賞枠順決定、無敗サイレントロードは絶好1枠1番

 

1:出走予定の名無しさん ID:XpkiKwfSM

 

1-1 サイレントロード

1-2 ダノンバラード

2-3 ノーザンリバー

2-4 サダムパテック

3-5 ナカヤマナイト

3-6 ダノンミル

4-7 ロッカヴェラーノ

4-8 ビッグロマンス

5-9 カフナ

5-10 エイシンオスマン

6-11 ベルシャザール

6-12 オルフェーヴル

7-13 リベルタス

7-14 フェイトフルウォー

7-15 デボネア

8-16 トーセンラー

8-17 プレイ

8-18 オールアズワン

 

2:出走予定の名無しさん ID:fJWL89Km5

はい勝った

 

3:出走予定の名無しさん ID:Cnc2SHJ7w

これは銀行

 

4:出走予定の名無しさん ID:HFbxY9bVt

給料全部突っ込むぞ

 

5:出走予定の名無しさん ID:9UF2DxDYf

元返しもありそう

 

6:出走予定の名無しさん ID:3MKFX28fm

いやーどうだろ、包まれるかもしれんぞ

 

7:出走予定の名無しさん ID:WfRUwMFd5

流石にマーク厳しそうだし、逆に34枠あたりが欲しかったかもよ

 

8:出走予定の名無しさん ID:FjrrwtP48

新馬東スポでスタートめちゃめちゃ良かったけど、関乗った若駒だと普通のスタートだったんよな

まさか1枠の先行馬で後ろに下げたりしねーだろーな

 

9:出走予定の名無しさん ID:T8mgeF9Ts

好スタートから逃げ馬の後ろ辺りにつければって感じか

 

10:出走予定の名無しさん ID:Apz3szjtL

ダノンバラードも1枠嬉しそうね

 

11:出走予定の名無しさん ID:4VYzE8i2Q

ダノンバラードは1枠なら結構ワンチャンある気がするな、いいポジションつけるでしょ

 

12:出走予定の名無しさん ID:t3MZdFk9U

池尾厩舎3頭出しで笑ってしまう

 

13:出走予定の名無しさん ID:bDXVZYJ7U

他枠で言うとオルフェーヴルは?後ろからの競馬だし6枠は結構いいとこ引いたなって感じだけど

 

14:出走予定の名無しさん ID:7nZi7PEd3

オルフェーヴルは府中じゃ無理やてドリジャ見てればわかるやろ

 

15:出走予定の名無しさん ID:ZwUHeKTXF

なんか有力馬が大体内枠引いてる感あるな

サダムパテックサイレントロードナカヤマナイト全部内じゃん

 

16:出走予定の名無しさん ID:NJcpj93Bp

はいはい陰謀陰謀

 

17:出走予定の名無しさん ID:LpDRs6N7Q

頼むから前で競馬してくれよー

 

18:出走予定の名無しさん ID:EzNKDh2Cb

いやあ流石にサイレントロード一択だなこれ

 

19:出走予定の名無しさん ID:RXfabFz5J

まあ流石にこれでサイレントロード買えないのはセンスなさすぎだわ

 

 

 

 

 

 

 

 皐月賞。3歳のみ出場可能なGⅠの中でも「三冠レース」というとても権威のあるレースの1つ。

 

「よく「最も速い馬が勝つ」なんて言われとるけどあれは「仕上がりが早い馬」って意味やな元々は。昔は調教技術の都合で馬としてのピークが3歳に間に合わなかったっちゅうこともザラだったらしいからな」

「へぇー」

「ちゅうか、よく来ること出来たな。シーズン始まったばかりどころか昨日投げたやろ」

「まあ、わがまま言った結果ですわ」

「ははあ」

 

 その観戦の為に東京競馬場へと笹木さんと来場していた。

 昨日京セラドームで投げて、シャワー浴びてユニフォームから着替えて色々とロッカーに放り込んで、事前に持ち込んでいた荷物を掴んで夜の新幹線に飛び乗って事前予約したホテルにチェックインして即就寝。朝起きてストレッチして……って感じだ。

 

「どや、クラシックの大舞台やしちょっとは緊張したりするんか?」

「いやー言うてもそんなにですね。無事に回ってきてくれればその方が嬉しいっすわ」

「お前は変わらんなー」

「走るのは俺じゃないですしね」

「まあそうやがなぁ」

 

 

 

「お邪魔しますー」

「お邪魔します」

「駒場さんに笹木さん、お久しぶりですね。リベルタスは今日こそ勝ちますよ」

「銀木さん、お久しぶりです。対戦は3度目ですがサイレントロードは負けませんよ」

 

 馬主席に入ると、初めて来たときそしてサイレントロードのレースの観戦に来た時と変わらず馬主さんたちが観戦していた。

 心なしか、身なりが更に立派な人が多い気がするのはやっぱりクラシックという大舞台だからだろうか。その中でも数人のスタッフを連れ、多少知り合った仲の馬主さん方と挨拶を終えた後を見計らって話しかけに来た人がいた。

 

「初めまして駒場さん」

「初めまして。ええと……」

「茶台ファーム代表及び茶台スタリオンステーション代表取締役、吉岡照三です」

「茶台ファームさんの! その節はお世話になりました」

「いえ、私は部下に任せていただけですから」

 

 茶台の代表、ようするに社長さんだった。茶台さんには馬主デビューするにあたって色々世話をかけてもらった恩がある身だ。

 

「いやしかし、あの馬がここまで走るとは思ってもみませんでしたな」

「そうなんですか?」

「トウカイテイオーの産駒が競りに出てきたのは久々でしたから、買うかはともかくとして話題にはなっていました。

スタッフからの報告でも成長ぶりはそれなりに良く早めに走りそうとは聞き及んでいましたが……」

「こんなに走るとは、ですか」

「そうですね、自分の相馬眼もまだまだだなぁと。毎年のことですが、走る馬を探すのは難しいです」

 

 軽く頭を抑えてみせる吉岡氏。

 茶台グループというのは日本で一番大きな競走馬生産牧場兼(複数所有しているクラブ等を含む)馬主で、同業他社との差がそれこそ桁が違うと言えるほど圧倒的であることから実質的な日本競馬の支配者とも呼べる立ち位置である、と聞いている。

 なのだが、こうして話している印象では他の馬主さん達と同じで馬好きな人の一人といった感じだ。

 考えてみれば当然なのだが手間やそれにかかる資金その他諸々を考えれば好きでもない馬の生産なんてやらないだろうし、根っこに馬が好きというのがまずあって、そこから幹や枝が伸びているのだろう。

 やはり落ちてた話など当てにならないものである。まあもちろん巨大な組織相応の裏もあるのだろうが。

 

「そろそろ次のレースが始まります、良ければ手慰みに馬券でもいかがです?」

「いいですね。特に調べ物とかもしてませんから適当ですが」

 

 

 

 

 

 

 適度に複勝当てたり外したりしてちょっと勝ちながら、いよいよ本番皐月賞の前段階となった。馬主とその関連人物しか知りえない情報を元に予想するのはちょっと特別感があったが、どうも自分は馬券よりも自分の馬を見てる方が向いてる気がする。

 馬主さん方と話しながら検量室前へと向かう。池尾調教師の厩舎からは俺のサイレントロードの他に2頭の馬を出しているそうだ。

 そのうちオルフェーヴルの馬主は茶台系列クラブで茶台全部合わせると計5頭出し、ダノンバラードはダノンという冠名で馬主をやっている野田さんの持ち馬でこちらも2頭出しということで、まずは自分が池尾さんの方に向かうことになった。

 茶台さんはともかく個人馬主で複数頭所持ってすごいなぁと思っていたが、どうやら創立40周年くらいの企業の社長さんで世界長者番付……ようするに個人の金持ちランキングで日本で1桁順位間近、世界で見ても3桁以内という物凄い金持ちだった。住んでる世界が違うというのはこのことである。そりゃあ何十頭所有してそれらが成績残してようがなかろうが問題無かろうて、まさしく金持ちの趣味だわ。

 ただそんなすごい金持ちの人で何十頭も持ってても初GⅠ勝利は去年だったらしいから、やはり自分はかなりの幸運なのだろう。

 

「池尾さんに関さん、お疲れ様です」

「ああお疲れ様です駒場さん」

「お久しぶりです」

「お邪魔でしたか?」

「いえいえそんな事は無いですよ、ただの作戦会議ですから」

 

 大人しくしていたサイレントロードの元へ向かうと真剣な顔で話していた池尾さんと関騎手が声を返してくれた。

 

「それなら良かった。調子はどうです?」

「そうですね、体重を落とし切れなかった点は少し気になりますが調子自体は良さそうで特に問題は無いですよ。十分勝ち負け狙えます」

「楽しみですね。関さんもサイレントロードのことよろしくお願いします」

「任されました。体の調子も良いしやるだけやってきますよ」

「はい。頑張れよサイレントロード」

『ぶるる』

「やっぱ返事してらぁ」

「ははは」

 

 

 

『―――東京競馬場第11レース、GⅠ皐月賞。これが第71回の開催となります。

1週間の日程遅れ、そして府中2000mを舞台に行われるのは23年ぶりになります。

選ばれし18頭が奇数番号から続々とゲートに収まっていきます。1枠1番、単勝1.9倍の1番人気サイレントロードが一番先に入りまして、今か今かと待っていることでしょう』

 

 

 

(良馬場判定だったけど、流石に柔らかかったな)

 

 落ち着いて佇むサイレントロードの背の上で、関は返し馬での感触を思い出していた。

 前日に降った雨で午前中のレースは重馬場とされていたが、晴れた日差しに当たるうちに馬場は回復しメインレースとなる皐月賞では良馬場と発表された。しかしサイレントロードの上で感じた内ラチ沿いの芝の感触は比較的柔らかいという感想を持っていた。稍重に近い良といったところか。

 柔らかい芝コースならば、内枠先行は更に有利になる。もちろんそれ以上に馬自身が重馬場に対応できるかどうかが圧倒的に重要だが、有利な条件はいくらあってもありがたいところだ。

 

「やるぞ、サイレントロード」

『ぶるる』

 

 わかってるかのようなその返事にふふと笑みが漏れる。

 さあ、行くぞ。

 

 

 

『それぞれの思いを胸に、鮮やかな日差しの中1コーナー奥ゲートに入っていきます。最後の誘導オールアズワンも静かに、入って!』

 

『皐月賞、スタートしました!』




>銀木
ディープの馬主でありリベルタスの馬主。ちなみにこの人もこの皐月賞2頭出し。

>ダノンの馬主
2021/7現在個人資産が約5000億とか書いてあって目玉飛び出た


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イベント:最も速い馬

お待たせしました。
レース展開は早々に決まってたんですがそれをどう文字起こしするかが難しい
本当に競走馬視点入れるか騎手と馬喋らせたくて仕方ない
実況のみでもいいのかなーとも
試行錯誤


『内サイレントロード抜群のスタート、ダノンバラードも好スタートを決めました。

 10番エイシンオスマンがスッとかわしてこれはハナを切る構え。サイレントロードは無理せず2番手につけようというところでしょうか。

 ダノンバラードはその真後ろ。外からビッグロマンスと、ベルシャザールが押し上げていって、ベルシャザール3番手から更に上げてサイレントロードに並んで2番手といったところ』

 

 

(スタート絶好でハナ主張が10番……先行集団2番手に……11番に前譲ったら包まれて終わるかな、ちょっとだけ頑張ってね)

 

 猛然と外から強引にハナを奪いにかかったエイシンオスマンにはあっさりと譲り、外から更に飛んできたベルシャザールとは併走する構えを見せる。

 少しの間2番手に付けようと粘ったベルシャザールだったが、下り坂で加速するサイレントロードのハナを奪うことは容易では無く、諦めて併走に付き合うことにしたようだ。

 

 

『その後ろにカフナとプレイがつけまして、2コーナー回って向こう正面で内ダノンバラードが悠然と追走。

 外の中団前フェイトフルウォー、インコースサダムパテックとナカヤマナイトが中団ピタッと並んで前との差を詰めようとする形。

 1400を切ったところで中団から1馬身半ほど離れまして、外リベルタスと内オルフェーヴル。オルフェーヴルとその後ろロッカヴェラーノは位置を上げそうですリベルタスの外にはトーセンラー。

 しんがりオールアズワン、その前デボネアとノーザンリバーという形になりました』

 

『向こう正面から3コーナーへと各馬向かっていきます。

 さあエイシンオスマンが2番手サイレントロードとベルシャザールにこれは、5~6馬身程でしょうか大きくリードを取っています1000mを通過してタイムは60秒ちょうどといったところでしょうか。』

 

 

(1000mが61……61.5くらいかな、逆算して多分先頭が60.5かもう少し早い。馬場考えれば平均ペースくらいだけど……この差だと逃げ粘りがありえるから早めに動くとして、上り坂で抜くイメージで)

 

 先頭とついた目測6馬身。坂を登った直後で少しだけ手綱を緩めて気持ち程度に速度を上げていく。

 

 

『エイシンオスマンリードを6馬身持っています。2番手は内のサイレントロード、半馬身差ベルシャザール、その後ろ1馬身半差で4番手17番のプレイは脚を残せるでしょうかおっとサイレントロード足を伸ばしましてこれはエイシンオスマンを早めに捕まえにいくようです。800を切って3、4コーナーの中間。』

 

 

(コーナー曲がるの本当に上手いね、全然ロス無い。後続は……これなら……ここで外)

 

 ちらりと横を向けば後続集団はまだ後ろ。かなりの早仕掛けに先行集団先頭のベルシャザールがついていくのが遅れ、それが蓋となって後続の仕掛けも遅れた形だ。

 関が手綱を引いて外に出す指示を出せばサイレントロードはすぐさまそれに反応して、ペースを落としてインコースを逃げるエイシンオスマンを第4コーナーでかわす。

 

 

『そして2馬身空いて内ダノンバラード外カフナ2頭の間にビッグロマンス。

 後続ダノンミルらも差を詰め始めました、中団前ナカヤマナイトサダムパテックがインコースで並んでいます。

 逃げるエイシンオスマンがサイレントロードに捕まって、第4コーナーを回って直線に向かいます!

 早い仕掛けから抜け出して先頭に立ちましたサイレントロード、2番手に上がるベルシャザール懸命に追います3番手並んでプレイと内で粘るエイシンオスマンですが少々苦しいか。

 坂をあがってきて外ダノンバラードカフナ、更に外ナカヤマナイト、サイレントロード更に外に持ち出していって先頭を突き進む!』

 

 

 坂の手前で減速させて消耗少なく坂を登り、再びの加速で後続を置いていく。馬場もインコースではなく少しでも状態の良い外に持ち出す。

 

(坂も越えた、あとは……)

 

 勝負は決まったと、少なくない観客がそう考えた。

 

 

 

『後続とは3馬身くらいありますが、ここでいぃっきに来た一気に来たオルフェーヴルが真ん中抜け出して前を行くサイレントロードに襲い掛かる!』

 

 

 

(そう楽には行かないか)

(まだ、まだ届く!)

 

 馬群を、まさにこじ開けるというほどの豪脚で抜け出してきたのはオルフェーヴル。

 それを確認した関はもう後ろを見ることなく騎乗に集中する。残り短くなった直線を全力で走らせるために。

 

 

 

『オルフェーヴル池澄健二鞭を打って、さあ外サイレントロード先頭の2番手内オルフェーヴル! 200を切って差が縮まってきた!

 もはやこの2頭の一騎打ちさあ競り合いになった!

 

 サイレントロード、オルフェーヴル、サイレントロード粘る粘る!

 残り半馬身差が埋まらない!差が埋まらない!

 

 オルフェーヴル懸命に追う!懸命に追うがあと100も無い!

 3番手ようやくサダムパテック上がってきますがこれはもう届かない!

 

 サイレントロードかオルフェーヴルか!

 

 サイレントロード!

 

 オルフェーヴル!

 

 

 

 譲らずそのままサイレントロード1着でゴールイン! 2着オルフェーヴル、3着はサダムパテック!

 

 

 

 3ヶ月の出走間隔! 全く問題ありませんでした!』

 

『持ったまま先頭を駆け抜け続けた500m。

 馬群を力強く抜け出したオルフェーヴルの猛追を退けた、まさにクビ差圧勝とも言うべき強いレース運びでした!

 父と祖父に続き親子三代、場所は違えど無敗で皐月賞を制して見せました!

 そしてその夢はこの皐月賞と同じ舞台。1ヶ月と400m先の、日本ダービーのゴールへと受け継がれていきます!』

 

『2着オルフェーヴルも、負けて強しの競馬でした。一つ一つ、鞍上と一つ一つ信頼を築きあげ、もどかしいレースを続けながらも少しずつ覚えたことを結実させたような、そんなレース運びでした。

 馬群の中インコースで折り合いよく進め、前を行く各馬を引き剥がしての勢いある末脚でしたが、僅かサイレントロードに届かず。兄ドリームジャーニーの取れなかったクラシック制覇とはなりませんでした』

 

『最後に追い込んだサダムパテックが3着を確保、外に出して追い上げたダノンバラードが4着となります。

 

 もう一度走れば、枠順が違えば、結果は違ったかもしれません。しかしこれも競馬ということでしょう。

 

 クラシック第一冠皐月賞は、サイレントロードと関稔です!』

 

 

 

 

 

 

2011皐月賞スレPart14

 

341:出走予定の名無しさん ID:fH69E7KWj

あっっっっっっっぶな

 

343:出走予定の名無しさん ID:H4dGc5kRT

ひやひやさせてんじゃねーよぼけ!!!!!!!!!!

 

345:出走予定の名無しさん ID:Jz3rLmTf4

いやあ熱かった

そして懐は寒くなった

 

349:出走予定の名無しさん ID:zLfuwiKFr

オルフェーヴルなんか切ったよ!!!!!!!

 

352:出走予定の名無しさん ID:Zx3iVZHY6

どうしてくれんのこの無残な複勝馬連の紙束さぁ

 

356:出走予定の名無しさん ID:wDXAjtrmp

誰だよオルフェーヴル府中じゃ走らねぇとか言ってたやつふざけんじゃねぇよ

 

371:出走予定の名無しさん ID:X2ZDFXs4p

いやあいいレースだった

間違いなく平成競馬の名勝負ベスト100に入る

 

378:出走予定の名無しさん ID:7BxrgG3CK

嫌な予感してサイレントロード単勝だけ全つっぱして正解だったわ

これで1.9倍は美味しい

 

391:出走予定の名無しさん ID:xBze7Pzdg

正直早仕掛けがたまたま決まった上で最後あの着差ならむしろオルフェーヴルの方が強いんじゃねぇのこれ

枠次第だけどダービーはオルフェーヴル軸に考えたい感ある

 

400:出走予定の名無しさん ID:fhBXUgJUw

勝ったサイレントロードもそうだけどオルフェーヴル今日は折り合いついてて馬鹿強かったな

マジで気性だけの問題だったのかこれまでは

 

402:出走予定の名無しさん ID:4yAMEgH2T

ベルシャザールが壁になって後ろが遅れただけじゃねぇの?

 

408:出走予定の名無しさん ID:fAf3V7xXs

もしかしたら知らないかもしれないけど普通の馬は2000のペースで1000から加速して大逃げ捕まえてそのままばてずにゴールすることは出来ないんですよ

 

413:出走予定の名無しさん ID:efDmPue2S

いうてタイム遅いじゃん

単独のレースとして見ると熱いんだが正直今年の馬不作なんじゃね? サイレントロードとオルフェーヴルが抜けて強いけど古馬戦で通用するのかな

 

419:出走予定の名無しさん ID:45Jgfk5jh

世代が弱いおじさん乙

馬券外れて悔しかったね^^

 

422:出走予定の名無しさん ID:UtyuRi5Ri

今の時代にタイムだけで馬の能力語るとかマジ?

 

429:出走予定の名無しさん ID:wKZxhJVKQ

3歳牡馬のGⅠクラスで府中2000は例年やらないからあんまわからんけど、前半6馬身離してる馬が1000m60秒ちょいのドスローペースで2:00:3ってむしろかなり速くない?

 

433:出走予定の名無しさん ID:gguFJhiu9

どうでもいい

今年はサイレントロードとオルフェーヴルの2頭の年ってだけ

 

438:出走予定の名無しさん ID:j8GXW2n5j

後ろに5馬身だもんなぁ

古馬とかち合ってどうとかはともかく、力関係では単純にこの2頭が抜けてるわ

 

442:出走予定の名無しさん ID:JKWcWsEHA

サイレントロードイケメンだから優勝レイが映えるな

 

445:出走予定の名無しさん ID:fAf3V7xXs

駒場!?

 

447:出走予定の名無しさん ID:7BxrgG3CK

駒場おるやん

 

449:出走予定の名無しさん ID:xBze7Pzdg

おめー昨日京セラで投げてただろ!

 

451:出走予定の名無しさん ID:sdbQ3a544

駒場ニッコニコやん

 

454:出走予定の名無しさん ID:UtyuRi5Ri

こんな満面の笑みの駒場初めて見た

 

460:出走予定の名無しさん ID:45Jgfk5jh

おめーは投手で三冠取れ

 

 




レースイメージ
天皇賞・秋(1993)+皐月賞(2011)
あくまでもイメージということで

>2:00:3
史実タイムが2:00:6
この世界線ではサイレントロードの早仕掛けによりタイムが縮まったものとしている

>タイム遅いじゃん
大逃げ馬がスローペースに持ち込んだらまあこういうタイムになるよねって


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皐月賞で5着以内、達成!

難産of難産
ほんとに何も思い浮かばなかった……

9/25 あとがきに追記
(そんなに穿って見ないで)ええんやで


【皐月賞】クビ差凌いでサイレントロードが戴冠 次はダービーで無敗の二冠へ

 

1:出走予定の名無しさん ID:Yn+12fKym

「皐月賞・GⅠ」(24日、東京)

 

 例年と違う府中の地で無敗の皐月賞馬が誕生した。1番人気のサイレントロードが4角で抜け出してオルフェーヴルの猛追を抑え込んで逃げ切り、池尾弘厩舎のワンツーフィニッシュ。3着は2番人気のサダムパテックが追い込んだ。

 

 「良馬場発表だったけど思っていたよりは柔らかかったから、前残りの展開になるかもしれないなって」。昨年騎手生命にも関わるほどの大怪我を負いながらも見事復活を見せつけた関騎手はそう語った。

 

 道中は外目からハナを奪いにかかった大逃げエイシンオスマンを5~7馬身後ろから見る2番手から、向こう正面でただ1頭だけ加速してそれを捕まえにかかった。4コーナー手前で外に持ち出して、他のライバルがようやくエイシンオスマンとの差を詰めた時には既に先頭に立っていた。

「ちょっと太かったからそもそも瞬発力勝負が嫌だったし、加速のタイミングを早めにして直線で先頭に立っておきたかった」と語った通りの展開。鞍上の指示をほぼノータイムで実行したサイレントロードの賢さと名騎手の作戦がぴたりとはまったと言っていいだろう。

 残り600mの時点で先頭に立つとしばしの一人旅。懸命にただ1頭迫ったオルフェーヴルに並びかけられてからも抜かせず、見事今年の「一番速い馬」と相成った。

 

「オーナーからは無理に勝てなくてもいいと言われていたんですけど、そういう人ほど勝たせたくなるのは人の情ですかね」と笑って語る。口取り式ではサイレントロードの馬主であり現役のプロ野球選手でもある駒場駿太と共に1本指を掲げるパフォーマンスを行い観客らを沸かせた。

 

 次は競馬の祭典日本ダービー(5月29日・東京)で2冠を狙う。初のクラシックGⅠ制覇となった池尾師は「きちんと疲れを取って調整していく」と決意も新た。鞍上も「馬が強いので作戦さえ外れなければ能力で勝ってくれるとは思っていた。次もサイレントロードに失礼の無いように乗りたい」と、新たな競馬史の1ページを書き上げる準備は万全だ。

 

2:出走予定の名無しさん ID:ntsF+7ssR

いやーマジで強かった

 

 

3:出走予定の名無しさん ID:3y8j2+MGp

ダービーも取るやろなぁ

 

4:出走予定の名無しさん ID:qnX0l12i1

柔らかい馬場だと前残りしやすいの? よくわからん

 

 

5:出走予定の名無しさん ID:+gljdnHdu

馬場柔らかかったのか? 良馬場発表だったけど

 

6:出走予定の名無しさん ID:i0d7Nvp+u

>>4

校庭の硬い砂と海岸の砂浜、どっちの方が踏み込みで加速しやすいか考えればわかるやろ

 

 

7:出走予定の名無しさん ID:nYvwidHZq

>>4

馬場が硬い方が加速しやすくて柔らかいとその逆

差しが届きにくくなるから前残りしやすいって理屈ね

 

8:出走予定の名無しさん ID:RsMmdCfJr

いやー横綱相撲は見てて気持ちいいわ

 

9:出走取消の名無しさん ID:qnX0l12i1

>>6

>>7

わかりやすい、サンクス

後ろの仕掛けがもっと早かったら差してたのかな?

 

10:出走予定の名無しさん ID:lH3JPvwwf

>>5

稍重にかなり近い良判定だったってことやろ

こっからここまでの範囲が良でその上が稍重でって完璧に分けてるわけじゃないからな、HP見ればわかる

 

 

11:出走取消の名無しさん ID:j5x1TUrbg

その馬場が重くなると差し決まりにくくなるって話だと、後ろからやべぇ勢いで追い上げてきたオルフェーヴルやばいって話にならない?

 

12:出走予定の名無しさん ID:t26DYwQ43

直線での競り合いの強さは親父を思い出すな

 

 

13:出走予定の名無しさん ID:BO3J7nG0b

サダムパテックは距離不安、その他は力負け

ダービーは2頭以外買わなくてええやろ(慢心)

 

 

14:出走予定の名無しさん ID:R30JNd/bI

>>11

やばいから俺はダービーオルフェ軸だぞ

 

 

15:出走予定の名無しさん ID:zbvj3P8Ny

しかし関は思ってるより怪我の影響無い感じなのかな、しっかり休養を取れてるおかげなのかもしれんけど

 

 

16:出走予定の名無しさん ID:cqGAAoJ+H

>>12

お前の親父競走馬なのか

 

 

17:出走予定の名無しさん ID:abjjG52j3

関最近メディア露出増えたよな

 

 

18:出走予定の名無しさん ID:aaKKb2pLk

騎手会長やしな

騎乗できなくても仕事はいくらでもある

 

 

19:出走予定の名無しさん ID:SJKAzwDff

ダービー待ち遠しいなぁ

 

 

20:出走予定の名無しさん ID:t26DYwQ43

>>16

そうじゃねぇよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん」

「テキ?」

 

 飼い葉をもしゃもしゃと食べるサイレントロードを遠目に見ながら、池尾は首を捻っていた。

 

「いや……皐月賞ですごい走りを見せてたろう?」

「そうですねぇ。最後の叩き合い……いや関さんは鞭打ってないですけど。早仕掛けのロングスパートだったし、あれで粘り切るのはすごいですよね」

「その割にあんまり堪えてないよな、って」

「あぁ」

 

 約1000mのロングスパート。前半スローペースだということを加味しても先行集団先頭の位置から後半1000m58.8というタイムは柔らかかった馬場であることも考えればかなり速いと言える。

 得てしてそういう爆走は馬に、ストレスであったりもしくは脚への負担であったりという形で表れることがある。しかし今回の皐月賞が終わって検査を行ったサイレントロードには怪我の兆候や体調不良は見られていない

 

 アグネスタキオンという馬がいる。光速とも言われるその脚は間違いなくクラシックで大活躍すると言われた馬だ。

 しかしサイレントロードと同じく無敗の4連勝で皐月賞を勝った後屈腱炎が発覚、引退し種牡馬となった。その仔はスピードに優れた馬も多かったが、同時に怪我に泣かされる仔もまた多かった。血統面で脚の脆さといった体質も受け継がれる事が多いというのはもはや現在の馬産地にとっては常識と言ってもいい。

 散々駒場に対して血統面で身体面で不安視していることを伝えてきた。しかし思い返せば、(そもそも活躍馬が少ないというのはあれど)トウカイテイオー産駒の中で度重なる怪我に泣かされたという情報は少ない。 GⅠ勝利馬のトウカイポイントとヤマニンシュクルは現役中大怪我を負い引退したが両方とも腱断裂であり、トウカイテイオーが幾度も泣かされた骨折では無い。

 そもそもトウカイテイオーの骨折の原因は、身体が柔らかいことから前脚を振り上げて叩き付けるような走法が脚への衝撃が大きかった事が原因とされている。サイレントロードは確かに身体が柔らかいのだが、「一目見ただけで歩様がおかしいとわかる」と言われたトウカイテイオーと比べれば歩様に特徴は無く、また走法も似ていない。

 ならば過度に怪我を心配しすぎる必要は無いのではないかと、池尾はそう考え始めていた。

 

「そういえばそうですね。千両賞のあとのモスカートローザ、げっそりしていてビックリしましたもん」

「あっちはほぼ5ヶ月連続で走ってたから単純比較は出来んがな。まあなんにせよ健康に過ごせているならいいが、何かしら変化があったらすぐに報告に来てくれ」

「はい!」

 

 とはいえもちろん調子に乗って運動メニューを増やして怪我をしましたでは元も子もない。改めて慎重な調整が必要になると、池尾は気を引き締め直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「牡馬クラシックは今まで縁が無いですし、取りたいですね」

 

「強敵なのはわかってますけど、それでも勝てる相手かなと」

 

「皐月賞では負けましたけど内容はかなり良かったですし、最近は調教でも集中してるんで、やれると思ってます」

 

「先生はいつか勝ってくれればいいと言ってくださってて、ありがたいことにここまで全部乗せてもらってるんで、そのいつかをダービーという大舞台で勝って恩返ししたいなと。まああっちの方も先生の馬なんで、ちょっとアレなんですけど」

 

「この世代で一番強い馬だと思ってますので。ダービーは僕とオルフェーヴルが勝ちます」




システムメッセージ:「皐月賞」に勝利したため、次走は「日本ダービー」になります。

システムメッセージ:怪我しにくさ「■」→「■」に上昇


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目標6:日本ダービーで5着以内

ダービー前の一幕。
次話で発走予定です。


 日本ダービー。

 

 年中行われている日本競馬の中で最も重要視されるレースが近づくにつれ、栗東トレーニングセンターは賑わいと緊張感を見せていた。

 それは厩舎や騎手などだけではなく、時には馬主であったり、またマスコミもそうだった。

 連日取材許可の申し出が殺到し、各出走馬の動向に目と耳を光らせている。

 

 そして今日は、その中でも特に注目度の高いものだった。

 皐月賞馬、サイレントロードの追い切りである。

 

「ま、いつも通りならどうせ調教じゃ走らんのやろうけど」

「ますますシンザンだねぇ」

 

 巷ではサイレントロードについて少しずつ、まるでシンザンのようだなどという話が上がっていた。

 460kg前後を平均体重とすること、気性が非常に落ち着いていること、調教で走らないのにレースでは勝つことなど、エピソードとして伝わっているものがそのまま当てはまってるということからきているものだ。

 

「調教師からしてみれば、調教で走ってくれる方が安心できるんだけどな」

「だろうね。ところで、今日は?」

「300辺りから強めに追ってくれ」

「了解」

 

 いつもの指示。

 普通の馬だと疲労度合いや気の入り方などを見て「この区間を○○秒で走破させてくれ」といった細かい指示を出す事も多いのだが、サイレントロードがどれだけ追っても調教で走らないことをとっくに理解している。

 そんな追い切りでは見せる価値も薄く、実はこれまでサイレントロードの追い切りをマスコミの前で大々的に行うということは無かった。

 とはいえダービー直前の大本命皐月賞馬ともなればそうも行かず、マスコミが近くにいる状態では初めての追い切りとなったのだった。

 

「まあ、調子の良さそうな所を見せられれば良しか」

「たまには真面目に走って安心させて欲しいんだけどね、サイレントロード?」

『るるる』

「言って聞くなら苦労はしないわ」

「違いないね」

 

 

 

 

 

 鹿毛の雄大な馬体が姿を現した時、ある記者は思わず息を呑んだ。

 様々な視線を受けながらそれを見返し睥睨するかのような首の動きに、ある記者は思わず身が竦んだ。

 騎手が乗り込み悠然とした歩みでスタート地点に向かうその様に、ある記者は思わず見惚れペンを落とした。

 

 騎手の指示に即座に応えて徐々に加速し、300での再びの加速。

 身軽な、そして力強い足運び。大きなストライドと早い回転による、サラブレッドの理想とも言える走り方。

 そのどれと比べても違うとわかっているのに、ある者はシンボリルドルフを。ある者はナリタブライアンを。そしてまたある者はディープインパクトを幻視した。

 

 調教でこんなに走るとはと目を丸くした池尾といつもやってくれよと苦笑する関、そして知らないよと言わんばかりにそっぽを向くサイレントロードを他所に、期待半分諦め半分での取材だった記者達はこぞって手帳に、そして記事の提出稿に書き記した。

 

 

 

 

 

 

 

 

【日本ダービー/追い切りジャッジ】皐月賞馬に「S」評価、ダービーに向け死角無し「万全の手応え、いつもこの感じで安心させて欲しい」

 

【中間調整】前走皐月賞をクビ差制してV。日本ダービーに向けて厩舎での休養を挟み、5月8日に坂路で初時計を出している。15日にはCWコースで流しての調教。どちらもこの馬らしく真面目に走った様子は無く、前走までの結果が無ければこの時点でもう切るという人も多いほどだろう。それが一変したのが本走1週前22日、マスコミを多く入れての単走CW追い。本番でも騎乗する関騎手を乗せての8ハロンは手応えが違い、軽めに追い出した走りは本番さながらの迫力。ラストの仕掛けもタレるどころか更に足を伸ばし、まさに万全の気合の入り方と言えるだろう。

 

【最終追い切り】栗東坂路で終まい強目の最終追いを行った。1週前の時点で凄まじいと言わざるを得ないほどだったため、それを切らさない程度にという目的。終始機嫌良く最初から最後まで自身のリズムを崩さず楽な手応えで上り、最後の1ハロンでの指示にも鋭く反応して一気に駆け上がった。ゴールしてからも少し走りたがる素振りを見せたものの、順調な手応え。

 

【見解】この馬としては珍しく抜群の手応えとなる調教。皐月賞でのクビ差で闘争心に火が点いたか。脚力も心肺機能も2400という距離に問題は無さそうで、鞍上鞍下の息も合っている。やる気も問題無く走りそうな気配しか無い。絶好の状態と言えるだろう。

 

総合評価「S」

 

 

 

 

 

 

日本ダービー枠順発表、皐月賞馬サイレントロードは一転8枠18番に

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:GJibn2Xbg

 

1-1 ウインバリアシオン

1-2 サダムパテック

2-3 オールアズワン

2-4 リベルタス

3-5 オルフェーヴル

3-6 クレスコグランド

4-7 ベルシャザール

4-8 フェイトフルウォー

5-9 コティリオン

5-10 ナカヤマナイト

6-11 デボネア

6-12 エーシンジャッカル

7-13 ロッカヴェラーノ

7-14 ショウナンパルフェ

7-15 トーセンラー

8-16 トーセンレ―ヴ

8-17 ユニバーサルパンク

8-18 サイレントロード

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:FtWkKxMwT

はい切ります

 

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:kuuUERJJn

切り

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:DyuGR6RX9

これは切ります

 

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:farNT8uLf

オルフェーヴル軸ですねこれは

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:iP7CbAXu3

いやーどうだろ、東京2400って割と1番人気ならどの枠でも勝つイメージあるけど

 

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:cHxunyDyD

三冠は厳しいかなぁ、最も運の良い馬が勝つとは言うが

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:jgJf7Lbz8

これで前回が枠順に恵まれただけのフロックってことが証明されるな

 

9:名無しさん、プレイボール! ID:B9y5xSj3P

>>6

まあ確かに1番人気好走しがちだけど、いうて8枠はきついよ

一強ならともかく前走クビ差だし

 

10:名無しさん、プレイボール! ID:3gf27R3HC

悲しい

 

 

11:名無しさん、プレイボール! ID:dsRriAP5r

買い甲斐の無い馬券だなぁ、流石にオルフェーヴル

 

12:名無しさん、プレイボール! ID:wwTcSDmnp

ウインバリアシオンは? 青葉賞で結構強い勝ち方してたからきになってるんだけど

 

 

13:名無しさん、プレイボール! ID:XGLUnzD3s

デボネアにディーノ乗るらしいから個人的に注目してる

殿下見に来るらしいし気合入ってそう

 

 

14:名無しさん、プレイボール! ID:EiCaz6zmk

うーん調教で珍しく張り切ってたようだからサイレントロード切りたくないんだよな……

 

 

15:名無しさん、プレイボール! ID:tQ65NzGXJ

>>12

青葉賞馬とか無条件で切ります

 

 

16:名無しさん、プレイボール! ID:t7Ek7b6KY

それでもやってくれるんじゃないかと思ってるんよなサイレントロード

 

 

17:名無しさん、プレイボール! ID:naCJrjAbX

京都での差し脚が忘れられねぇんだ俺は

 

 

18:名無しさん、プレイボール! ID:nmhcnPrbC

というかサイレントロード5戦やって最内2回最外3回か

極端だなこいつ

 

 

19:名無しさん、プレイボール! ID:umFVB986t

普通に真ん中からの競馬も見たいがこれはこれで面白い

 

 

20:名無しさん、プレイボール! ID:ZgrdF96T2

ヒント:トウカイテイオーの日本ダービーは8枠20番

 

21:名無しさん、プレイボール! ID:mFmFzz8uY

>>20

これは勝ったな風呂

 

 




>そのどれとも違う(走り方)
正直詳しくないのでフィーリングですがちょいちょい描写していけたら

>最内2回最外3回
特に意識はしてなかったのですが気づいたらこんなことに
トライアルに出場していたらそこの出走馬の枠と入れ替え、くらいしか考えていなかったのでちょっと後悔


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イベント:クラシック第二冠

【サイレントロード】2011日本ダービーPart6【オルフェーヴル】

 

1:出走登録名無しさん ID:EV9ST8TZa

語れ

 

 

 

 

221:出走登録名無しさん ID:jhkCeCRss

雨やまねぇな

 

 

223:出走登録名無しさん ID:HAubUyJiQ

まあ薄々察してたけどこれ不良馬場ダービーだな

 

229:出走登録名無しさん ID:H8QJzThx5

一昨年のロジユニヴァースも不良馬場だったけど、その前は40年前の69年とか見たな

 

 

233:出走登録名無しさん ID:Nb7K4FzGT

府中の皐月賞に不良馬場のダービー

なんや今年のクラシックは波乱が続くね

 

238:出走登録名無しさん ID:VUwGQznQ5

不良馬場ならますます内有利の前有利だな

切れ味勝負は無理無理の無理

 

 

241:出走登録名無しさん ID:TXVEmaBjF

サイレントロードは残念という他無い

 

248:出走登録名無しさん ID:gKQHFieFD

>>238

とおもーじゃん?

7Rでは外回った8枠の7番人気が2着、8Rは外回った10番人気がまくり勝ち

10Rの結果次第だけど、内の馬場ボロボロで外有利ってこともあり得るよ

 

249:出走登録名無しさん ID:GTYYKPuzj

正直オルフェーヴルも不安なんだよな

切れ味勝負の馬に不良馬場はかなりきついでしょ

 

256:出走登録名無しさん ID:TeEsZ9Mdu

ベルシャザール気になってる

瞬発力勝負はきつかったけどワンチャン前残りにならんかな

 

 

261:出走登録名無しさん ID:Q9WCMkWKg

本当に強い馬なら馬場がどうだろうが枠が悪かろうが勝つだろ

ここで勝てないならサイレントロードもオルフェーヴルも大した馬じゃないね

 

269:出走登録名無しさん ID:6iKijKkaK

つっても他に買う馬いなくね

 

 

275:出走登録名無しさん ID:NmZcxRgpX

ディーノ信じてデボネアに突っ込もうかしら

 

 

284:出走登録名無しさん ID:uK9K8xGPW

>>261

おっさん乙

 

 

285:出走登録名無しさん ID:5AJy58ZVs

>>261

いつの時代の人間だよ

 

 

289:出走登録名無しさん ID:Ddtx3kBZW

>>269

それはある、それくらい皐月賞が圧倒的だった

 

 

297:出走登録名無しさん ID:j66wHWKQe

そろそろ10R始まる?

 

 

300:出走登録名無しさん ID:Vp7sD8RCg

うーん素直にサイレントロードでいいとは思うんだが

前評判通りSOダービーになるのか、不良馬場で一発あるのか

 

 

305:出走登録名無しさん ID:ML46GbWk5

トウカイテイオーって重馬場耐性あったっけ?

なんとなく軽い馬場での一気の脚がすごいイメージがあるんだけど

 

 

310:出走登録名無しさん ID:JNuTrQX2p

単勝1.6か1.5くらいで落ち着きそうか?

 

321:出走登録名無しさん ID:QDT3gRpxn

>>305

ジャパンカップ見てこい

 

 

 

 

 

 

 

「お前……」

「どうしました笹木さん」

「……いや、ええわ」

 

 約1ヶ月ぶりの東京競馬場。今回は来れるかわからなかったために特に連絡はせず一人で来たので、偶然会った笹木さんにすごい顔をされた。なんだと言うのか。

 

「次の登板いつや? 最近絶好調やし期待もかかっとるだろうに来てええんか」

「明々後日っすね。まあもう6勝してるし1敗くらいしてもいいでしょ」

「お前なぁ……そういうこと外で言うなや」

 

 呆れた顔。いや流石にマスコミの前ではこんなこと言わないっすよ。

 

 

 

 

 

 今日は来場した時間が遅かったので、馬主席での挨拶はそこそこ程度にして足早に下に向かう。

 

「お疲れ様です」

「ああお疲れ様です駒場さん」

「お疲れ様です、いやあ大外引いちゃいましたよ」

 

 談笑に花を咲かせていた関騎手と池尾調教師に声をかける。付き合いは短いはずだしそう何度も会っているわけでは無いはずなのだが、もはや見慣れた顔だ。

 

「8枠18番でしたっけ、やっぱ厳しいですか?」

「心情的にはきついですけどなるようになりますよ。若駒Sで感覚も掴めてますし

「まあ絶対勝ってくださいとか言わないんで、気楽に乗ってくださいよ」

「あはは! 剛毅だなぁ」

 

 首を傾げると、胃が痛そうな顔をした池尾さんが説明してくれた。

 

「これがただのレースならまだしも、日本ダービーですからね。他のどんなレースで負けてもいいからこのレースだけでも勝ちたいと願う競馬関係者がほとんどですよ」

「そんなにですか?」

 

「ええ、私だってそうです。創作での話ですが、「ダービー馬を持つことは一国の宰相になるより難しい」とすら言われる程ですから。どうして?と言われると中々難しいですが、競馬に携わる者にとってダービーはそういうものなんです。

 それに、皐月賞ダービー菊花賞の3つを制する三冠という勲章に挑戦出来る馬は年に1頭しかいませんから。尚更絶対に勝てと言うのが普通のことですよ」

「僕としても初めて勝つまでに10年くらいかかってその間はもうダービー勝ちたくて勝ちたくて仕方なかったですし、ありがたいことに都合四度勝たせてもらってるんですけど、それでも何度だってダービーに出られることは光栄ですし何度だって勝ちたいですね。

 ダービーっていうのはそういうものです」

 

 なるほど。野球選手なら甲子園みたいに、所謂世代戦というか、一世一代の勝負みたいなのが価値が大きいのは理解できる。例えるなら甲子園が三冠戦、プロ野球が古馬重賞戦みたいな感じだろうか。もちろんそんな単純な話ではないんだが。

 歴戦の騎手と調教師に言われているし、そこは別に否定する気は起きない。

 

「となると流石に気楽に、とは言えませんね。ただ……」

「ただ?」

「それでも僕からは絶対勝ってくれとは言いませんよ。野球で例えるなら騎手と馬が選手で調教師が監督とコーチ。そして馬主は球団の経営陣。

 元々1勝しただけで既に元が取れている身、あとは頑張っているところを見れるだけで満足ですよ」

「無欲ですねぇ」

 

 まあ幸運なことに初年度からこんなに活躍する馬を持てたお陰で、普通の馬主さんと比較して感覚がおかしいだけかもしれない。

 というかもしこれでダービー勝っちゃったら、歴戦の馬主さん達に嫌われたりしないだろうか……うん、まあ、そういうのは勝ってしまったらその後で考えよう。

 

「まあ気楽に乗ってというのは取り消しますけど、負けても文句言うことは無いのでやれるだけやってくれればそれで構いませんよ」

「ははは、わかりました。やるだけやってきましょう」

 

 

 

 

 

 では馬主との挨拶があるのでとその場を辞した駒場さんを見送って、改めて関に向き直る。

 

「で、実際どうする」

「外かな」

「だろうな」

 

 午前中の第4R未勝利戦では関騎乗のファンフェアが逃げ切り勝ちを決めたが、その時点で関からは「馬場がかなりボロボロ」と告げられていた。そのレースも最終直線では最内を避けた走り。

 それを裏付けるかのように午後のレースは外からの差し馬の成績が良好。ようするに、内側の荒れ果てた馬場を先行して走った馬の脚が残らなくなっているのだ。

 

「タフなレースになりそうだな」

「まあ頑張るし、なんとかしてもらうとするよ」

 

 

 

 

 

「池尾さん」

「ああ、健二。どうする?」

「外で行きます」

「それがいいだろう……だがそれが何を意味してるかはわかってて言ってるな?」

「はい」

「ならやれ」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 誰かが言った。

「オルフェーヴルが世代王者を倒すところが見たい」

 

 誰かが言った。

「サイレントロードの無敗二冠が見たい」

 

 誰かが言った。

「人気下位馬の下剋上が見たい」

 

 

 

 

 

 

『さあそれでは現在の単勝オッズを見てみましょう。

 皐月賞馬サイレントロードが最外枠ながら1.6倍の1番人気。2番人気にはオルフェーヴルが3.4倍で入ります。

 3番人気には5.9倍のサダムパテック、そしてデボネア、ナカヤマナイトの5番人気までが単勝10倍以下となっています』

 

 

 

 

 

 ……誰かが言った。

「まだ走らないでくれ」

「結末をまだ見たくない」

 

 

 

 

 

『生涯ただ一度、世代の日本一を決める戦い、東京優駿改め日本ダービー。2008年生まれ7458頭の中から選ばれし18頭が、芝を叩く強い雨の中パドックを周回しております。まず馬体重の増減からお伝えします。

 

―――今日も馬主と和気藹々。ただ1頭のみに許された二冠への挑戦、当然の1番人気はサイレントロード。467㎏、皐月賞から+4㎏となっております』

 

 

 

 

 

 それでも時間は刻々と流れる。

 待ち受けるのは見る者全てを熱狂させる極上の2分半。

 

 

 

 

『平成23年5月29日。雨は降りやまず午前午後芝ダート全てのレースが不良。はたしてこれがどのような記録と記憶となって刻まれるのでしょうか。

 第78回日本ダービー本馬場入場です!

 

 

 

―――ひとつひとつ積み上げた集大成がわずかクビの差届かなかった皐月賞。悔しさをバネに狙うは名君の首ひとつ。赤い帽子のオルフェーヴル、鞍上はずっと一緒の池澄健二!

 

 

―――さあそして、史上22頭目の二冠へ、そして父祖父と合わせて親子三代の無敗二冠へ挑みますは23年ぶりの府中の皐月賞馬、サイレントロードの鞍上にはピンクの帽子の関稔!』

 

 

 

 

 

「頼むぞー頑張れよサイレントロード……」

(オルフェーヴル、このレースの結果次第では……)

 

 

 

 

 

『東京競馬場に重く伸し掛かる雨雲を吹き飛ばすかのような大歓声が上がりました。いよいよ11レース、第78回東京優駿日本ダービーが発走を迎えようとしています。

 激しい雨が降り続き、相当に水を含んだ芝コース。今年の二冠目は非常にタフさが求められそうな、過酷な舞台となりました。ダートコースはそこかしこに水溜りが浮かぶほど。

 そんな中この7458頭の中の選ばれし18頭の男馬が、2400m先の世代の頂点という栄光のゴールを目指し続々とゲート入りしています。

 さあオルフェーヴルと池澄健二、数少ない長き信頼で結ばれたコンビがゲートに入りました。

 奇数番がこれで入りまして次は偶数番、フェイトフルウォーにサダムパテックにリベルタスなど。

 

 そして最後は、17頭のゲート入りを悠然と見守ったサイレントロードが、ゆったりとした歩みで、大外18番へと進みます。

 

 第78回日本ダービー、体勢整いまして!』

 

 

 

 

 

(絶対に勝つぞ)

 

(やるだけやってやろうじゃないか)

 

 

 

 

『ゲートが開いた!』

 

 

 

 

 ダービーへ、ようこそ。




次話発走予定(嘘は言ってない)

>SOダービー
シンボリルドルフとビゼンニシキの「SBダービー」を由来

>もう6勝
この年は震災の影響で4月中旬開幕
ん?

>ポエム
競馬特有のポエムすき


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イベント:ダービー馬という称号

遅くなりましたが日本ダービー回です。
ホースマンの1年はダービーに始まりダービーに終わるなどと言いますが、この作品のダービー馬ははたして。


『リベルタスがやや後方、ロッカヴェラーノも後ろになりそうなところ。

 その他の馬はまずは揃ったスタート、大外サイレントロードが中でも好スタートでしょうか。

 さあ、まず最初の1コーナーに向かってそして、1、2コーナーでどういったポジションを取ることが出来るのか!』

 

 

 

(前は無理だね)

 

 いつも通りの好スタートを切ったサイレントロードだったが、鞍上の関は早々に先行集団を諦めた。14~17番の4頭がほぼ横一線となって前へ行くことを主張したのである。端的に言えば、ようするに大外のサイレントロードに先行させない為だ。

 不良馬場は一般的に差し馬の加速がしづらく前が残りやすい馬場。もちろん、今日は馬場の内側が荒れ果てていることにより外差しが決まりやすくなっていることくらいは皆わかっている。

 しかしそれ以上に、「サイレントロードが状態の良い馬場の外側を走りながら先行する」ような状態になれば勝ち目がほぼ消える。

 外枠の馬達の鞍上はその考えで一致していた。揃って先行集団に取り付き、自分こそがと先行で馬場の外側を走る有利を狙いに行ったのだ。

 

 展開次第では好スタートに任せて好位を確保しに行くことも考えていた関だったが、ここで強引に前に出たとして更に距離ロスのある外側を走らせた上で最後に足を残せるとの断言はできない。

 無理せず後方からの競馬を選択することとなった。

 

(こうなると中途半端な枠順より大外だったのはむしろラッキーだったな、内と前だけならともかく外も抑えられたら相当厳しい。

 ……それじゃあ腹括っていこうか)

 

 

『18番サイレントロードは前に出ません、外からはショウナンパルフェ、トーセンラー、トーセンレーヴ、ユニバーサルパンクらが前を窺おうというところ。

 1コーナーに入りまして、内オールアズワンもいいポジションにつけそうです。皐月賞2着オルフェーヴルと……白い帽子ウインバリアシオンは位置を下げます。同じく白い帽子、サダムパテックは好位。

 2コーナーに入りまして、おっとどうやらオールアズワンがレースを引っ張る形になりそうです1頭だけ抜け出しました。』

 

 

(並びかけられた……!)

(しばし並走に付き合って欲しいね)

 

 関とサイレントロードが選択したのは馬群最後方。

 既に不良馬場に足を取られ後方に下がった3頭の前、先行勢からポジションを下げた内側オルフェーヴルを見るすぐ外側。ようするにこれは、自身以外の最有力馬オルフェーヴルを馬場の悪い内側に押し込むような形。

 ここまで上がり最速を出し続ける切れ味勝負の馬を状態の悪い馬場を走らせて消耗させ、そして直線まで外に出させないのが狙いだ。

 

 

 

『外サイレントロードと内オルフェーヴルが並んで馬群の後方。

 向こう正面の直線に入りまして、3番のオールアズワンが早くも2番手以降を、7~8馬身程でしょうか大きく引き離しました!

 内を通るショウナンパルフェに外ユニバーサルパンクが2番手、その後ろに7番ベルシャザールと16番のトーセンレ―ヴ、15番のトーセンラーと外枠の馬が続きます。

 2番のサダムパテックフェイトフルウォーにエーシンジャッカルが3頭横並び、2馬身離れてナカヤマナイトクレスコグランドに中のデボネアが少し前に出ました。

 そしてその後ろに皐月賞のワンツー、オルフェーヴルとサイレントロードが並んでいます。

 ちょうど馬群の後ろに張り付くような形となりました』

 

 

 

(とはいえ、あまりマークに夢中になってもいられない。直線勝負は分が悪いし)

(この展開じゃサイレントロードは大外回す。気にしても仕方ない、折り合い専念でいい、けど……)

 

 1000mをサイレントロードが通過したのがざっくり64秒後半くらい。コーナーで見えた位置から逆算して先頭の62~63秒ほどか。比較的遅いペースと言え、それはつまり大逃げの粘り込みがあり得る。

 後ろに下げた以上は馬群を割るか外を回すか内に切り込むかしなければならないが、このレースでは外を行くと決めている。

 直線だけで外に出るのは前方の馬の妨害をかわすことも考えれば厳しいからコーナーで外に出す事になる、となればいつまでもマークにかかずらっているわけにもいかない。

 

(……ならもうここで外に出す。距離ロスは大きいけど、それでもこの手応えなら最後まで行けるし、ここまで抑えればオルフェーヴルは内に行かざるをえない)

(サイレントロードが邪魔で大外は無理、となれば馬群を割る。腹を括るしか無い)

 

 

 

『前半1000m通過は62秒4。さぁ3,4コーナー、隊列変わらず先頭逃げますオールアズワン。

 しかし脚色が鈍ったか後ろとの差が縮まってきました、大ケヤキに差し掛かって各馬がにわかに色めき立ちます。馬群はほぼ団子ですがおっとこれはサイレントロードがすうっと外に持ち出して回っていきます、ピンクの帽子が早くも6番手か5番手か内の馬群を抜き去っていく!

 さぁこの長い直線に不良馬場でどんな、どんな結末が待っているのか!オールアズワン苦しいか!

 さあサイレントロードは外、ピンクの帽子は外だサイレントロードだ!

 

 来た来た来た来た、サイレントロード突き抜けるサイレントロード来た!オールアズワンをかわして先頭サイレントロード!』

 

 

 

(お前は……強い馬だ、サイレントロード)

 

 大外は確かに馬場状態は悪くなかった。だが不良馬場であることには変わらず、控えさせて外を回ってと出来ることはしたが脚を残せるか一抹の不安がレース開始前からここまでずっと関の心には残っていた。

 

 杞憂だった。

 4コーナーを力強く大回りしても全く鈍らず、坂を苦も無く駆け上がって、17頭を従え広い東京競馬場の芝コースの中央で先頭を駆けるその姿。

 

 ある者は先陣を切り戦場を駆ける王を、そしてある者は20年前の日本ダービーを幻視した。

 

 これは決まったと、そう誰もが思った。……皐月賞と同じように。

 

 そして、それは誤りだった。皐月賞と同じように。

 

 

 

 

『先頭サイレントロード後続を引き離し、いや馬群を割ってきたのが1頭赤い帽子のオルフェーヴル! 抜け出したこれは皐月賞の再現となるかあるいはリベンジなるか!

 さらに外ウインバリアシオン! オルフェーヴル! ウインバリアシオン! サイレントロード必死に逃げる!』

 

 

 

 

(まだ……まだ!)

(届く……!)

 

 上手く外に持ち出すことができず馬群の中ほどを通らされたオルフェーヴルだったが、残り200mといったところでこれもまた皐月賞と同じように馬群の間をこじ開けて一気に肉薄を図る。

 また向こう正面でオルフェーヴルの真後ろに、そしてコーナーではサイレントロードの後ろを付いていったウインバリアシオンが溜めに溜めた脚を一気に解放して猛追を開始した。

 

 目測5馬身のリードが縮まっていく。しかしゴールまでの距離も無い。

 どの馬だ。サイレントロードか。オルフェーヴルか。ウインバリアシオンか。

 ある者は言葉を発するのを忘れ、ある者は何も思考できず声を張り上げ、そしてある者は思わず馬券を握り潰した。

 

 

 

 

 

 

 

『先頭サイレントロード鞭が入った!オルフェーヴル!ウインバリアシオン!ウイン届かないか!ウインは届かない!』

 

 

 

『先頭はサイレントロード! オルフェーヴル! 二冠馬、三代無敗の二冠馬誕生! サイレントロード1着ゴールイン! 二番手にはオルフェーヴル!ウインバリアシオンが3着!』

 

 

 

『鞍上プレッシャーを見事跳ねのけた大外からのロングスパート! 史上22頭目の二冠、史上7頭目の無敗、そして史上初の府中の皐月と府中のダービーを無敗での二冠!

 祖父が、父が成し遂げた無敗の二冠!そしてその仔も同じく無敗で二冠!こんなことがありますでしょうか! まさに奇跡の血統!

 勝ちタイム2分30秒4、執念の粘りこみ! ゴールまでの600mが36秒9!

 

 大外を大きく回して直線では後続を置いていき、迫った2頭を抑え込んでのゴールイン、なんと強い馬でしょうか!』

 

 

 

『内のオルフェーヴル並びかけた、並びかけたがそこがゴール! まさに負けて強しではありますが、あぁ鞍上池澄腕で目を覆う! 二度続けて僅かに逃した栄冠は悔しさも一入でしょうか。世代が違えば二冠だった、しかしこれも競馬ということでしょうか。

 

 ウインバリアシオンがオルフェーヴルから1馬身での3着、あとは7馬身、大きく離れてベルシャザールナカヤマナイトクレスコグランドの順で入線しています。まさに3頭のみの争いといったところでしょうか。

 

.』

 

 

 

 

 

 

「……勝っちまった」

「勝っちゃいましたねぇ」

 

 呆然とする笹木さんを横目に頭をかく。いやもちろん勝ったことは嬉しいのだが……どうにもやっぱり実感が無い。

 勝った実感ではなく、これが日本ダービーというレースであることにだ。

 

「いやぁほんっま……運の良いやつやお前は」

「ですねぇ。俺プロ入りしてから稼いだ合計年俸超えられちゃいましたよ」

「そこかい!」

 

 まあ契約金込みでならまだ勝っているのだが、それもこの強さだと今年中に抜かれそうな感じだ。馬に生涯収入負けたなんて話は流石に酒の肴にしかならないので、引退までにもっと頑張らねば。

 ……いや、それはいいのだが。

 

「駒場さんおめでとうございます」

「あぁ吉岡さん、ありがとうございます」

「まさかダービーまで制してしまうとは思いませんでした。オルフェーヴルがいいところまで行ったんですが」

 

 声をかけてきたのは茶台の吉岡氏。……うーん吉岡氏はそうでもないけど、周りの馬主さんからの視線が痛い気がする。

 まあさもありなんか、外から見たらダービーに対しての情熱が薄い新人馬主が初めての馬で勝っちゃったわけだし。

 

「もしよろしければ、この後夜に池尾さん達も含めて会食など如何でしょう? 詳しくは無いのですが現役スポーツ選手ですし、食事制限などがあるなら無理は言えませんが……」

「会食ですか」

 

 ふむ、なんだろう。競馬界を支配する茶台グループからの「あまり調子に乗るなよ」って釘刺しなんてことは無いだろうし、池尾さんも来るなら同じ厩舎所属のオルフェーヴル絡みか?

 まあ、食事に配慮してくれるなら断る理由は無いか。

 

「構わないんですが、仰る通り栄養管理があるので食事内容には注文を付けさせてください」

「わかりました、後で一緒に店を決めましょう。そろそろ口取り式が始まりますよ」

「おっと、そうですね。ではまた後で」

 

 

 

 

 

 

 

2011日本ダービースレPart22

 

451:出走予定の名無しさん ID:HWba6Uizh

つっよ

 

456:出走予定の名無しさん ID:KXQa7FPX7

二冠おめ

 

471:出走予定の名無しさん ID:TS9ZMDCH8

強すぎるわ、三頭だけ別のレースやんけ

 

478:出走予定の名無しさん ID:zw7GfYtwy

よし、次戦はキングジョージだな!

 

481:出走予定の名無しさん ID:Azjft4zak

デボネアどこいった?

 

490:出走予定の名無しさん ID:ZE4mWUyGJ

雨の中大外ぶん回して脚を残せるサイレントロード

塞がった馬群こじ開けてそれに迫ったオルフェーヴル

それを抑えて上がり最速のウインバリアシオン

なんやこいつら

 

497:出走予定の名無しさん ID:uLYLF8EQt

三冠期待してるぞ

つっても菊はスタミナもつか怪しいけど

 

499:出走予定の名無しさん ID:bjm6EVrr8

ここまで強いとは

 

508:出走予定の名無しさん ID:sACbRRhA5

トウカイテイオーの息子からダービー馬

どうしよおじさん泣きそうや

 

512:出走予定の名無しさん ID:ZB5hMtxVA

タイムおっせぇw

これは雑魚w

 

516:出走予定の名無しさん ID:iDiA6dhXT

ディープ産駒掲示板にすら絡めんのかい

繁殖全部ステゴに回そうぜ

 

519:出走予定の名無しさん ID:wwPJdCTgT

ウインバリアシオンは道悪向けなのか? 本格化が遅れてただけかもしれんが

 

523:出走予定の名無しさん ID:CLVFGE8GA

4着と7馬身はやべーな、3頭が相当強い

馬場の影響はまああるだろうけど

 

529:出走予定の名無しさん ID:YZzZTGUYx

不良馬場でずっと外回されてあの動き出来るサイレントロードバケモンだろ、馬じゃねぇよあれ

 

534:出走予定の名無しさん ID:g3gMUjRs8

凱旋門行こうぜ、菊とか価値無いでしょ

 

539:出走予定の名無しさん ID:wKZxhJVKQ

デボネアとは何だったのか

 

544:出走予定の名無しさん ID:Fh4P78CfS

不良馬場ってこと考えたらあんま後ろとの着差は参考にならんな

 

548:出走予定の名無しさん ID:7JeBYdEKf

流石に無敗三冠かかってるサイレントロードは菊でしょ

産駒成績見る限り3000もつとは思えんけど

 

552:出走予定の名無しさん ID:4TUQj6Jke

トウカイテイオーの血を繋ぐのはもちろん、サンデー系4×3用の後継種牡馬としても期待がかかるな

しかしステゴは本格的に一流種牡馬だな、あいつやっぱ手抜いてただろ

 

556:出走予定の名無しさん ID:Lb73JuQrz

ウインバリアシオンもG1いくつか取れそうやな

 

560:出走予定の名無しさん ID:4Wt4hc8DB

エアシャカール世代みたいにならなければテイオーの血もマックイーンの血も無事残りそうかこれは

感無量や

 

561:出走予定の名無しさん ID:Ger82eP3J

頼むからロジユニみたいになってくれるなよ……

 

564:出走予定の名無しさん ID:bFa2EQfRN

でもなんかこういう年に限って伏兵が出たり怪我したりする印象

 

574:出走予定の名無しさん ID:FPLXk8tPy

駒場ァ!

 

580:出走予定の名無しさん ID:nkadhP7mX

また駒場おるやん

 

581:出走予定の名無しさん ID:ybbb54tMG

こいつ自由にやりすぎやろ

 

583:出走予定の名無しさん ID:xc9tNJHUP

6連勝してるから許すが……

 

590:出走予定の名無しさん ID:QehBeaw8W

こいつ絶対菊も見に来るやろ

 

599:出走予定の名無しさん ID:45Jgfk5jh

W三冠待ってます

 

 




レース映像イメージ
ジャパンカップ(1987)+日本ダービー(2011)+日本ダービー(1991)

>会食
馬主と調教師、あとは騎手や報道関係者などを交えての会食というのはよくあることだそう
貴族の遊びは社交を交えた仕事でもあるのだ

>ウインバリアシオン
正直個人的にはジャスタウェイを抑えてハーツクライ産駒で一番強かったんじゃないかという思いがちょっとある

>ロジユニ
ロジユニヴァース。弥生賞を含む4連勝で皐月賞に挑むも14着、しかし不良馬場となった09年ダービーでノリさんに初めてのダービー勝利、また馬主にも初年度保有馬でのダービー勝利と初GⅠ勝利をプレゼントした
しかしその後は怪我が続いてまともに出走することもできず12年札幌記念に2年ぶりのレース出走も大差の最下位、結局それを最後に13年引退
作中年代では10年札幌記念から約10ヶ月の未出走が続いている状況
不良馬場を勝利した、馬主の初年度保有馬という共通点と父の骨折癖のこともありちょっと話題になっている


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日本ダービーで5着以内、達成!

次走決め回。
書いては消して書いては消してでこんなに間が空いてしまいました。申し訳ない。
以下の注意を「必ず」読んでから本編をお読みください。

※注意1※
非常に長くまた会話文が多くとても読みづらいです。
読みやすくなるよう自分の思いつく範囲で調整はしましたがそれでも読みづらいと思うので、あっ無理となったら後書きまで飛ばしてください。

※注意2※
この作品に登場する人物はあくまで現実の人物を基にしたオリジナルキャラクターであり、行動・発言は全て創作です。
予めご了承ください。




「……よろしいですか?」

「あ、はい構いません。すいません食べる量多くて」

「いえいえ、現役のスポーツ選手ですからな」

 

 吉岡氏に誘われホイホイと会食についていった。まあやっぱお金持ってる人だけあって都内のいい店に連れていってもらった、店ごと貸し切りとは随分大掛かりなことだ。

 ここにいるのは自分と吉岡氏、池尾調教師、あと関ジョッキー。

 あと卓にはついていないが、SPさんが何人か。SPとか初めて見た、本当にいるんですねそういう存在。

 

「それでまあ、そろそろ本題に入ろうかと思います。初めにここでの話はこの4人のみの秘密ということで、他言無用でお願いします」

「ああやっぱり、嫌な予感はしてたんですけど結構重大な話なんですね」

「そうですね。場合によっては談合に近いとも取られかねませんから」

 

 こほん、と咳ばらいを一つつく吉岡氏。談合とはなにやら不穏な響きだが……まさか八百長とは言わないだろうが。

 

 

 

 口火を切ったのは池尾調教師だった。

 

「まず私から、一番根本的なことでこれをまず決めないと話が進まないのでお話ししますね。サイレントロードの次走……秋の大目標のことです」

「次走ですか?」

「はい。三冠という概念はご存じでしょうか?」

「それはまあ、多少は勉強しました」

 

 次走……そういえば新馬戦やクラシック開幕前みたいに上を上を目指すのとは違って、ダービーという世代の頂点に立ったから選択肢は少なくなるのか。

 皐月賞とダービーを勝って、更に菊花賞というレースを勝つと三冠馬と言われる。となれば最有力はこれか。そういえば野球の三冠王も競馬の三冠が語源なんだっけか。

 

「であるならば話は早いですね。まず大前提として、皐月賞と日本ダービーに勝利したうえで菊花賞に出走する意思を見せなかった馬は1頭もいません」

「出走しなかった馬はいるんですか?」

「91年のトウカイテイオーと97年のサニーブライアンがいますが、しかしそれは骨折の影響によりそもそも出走が叶わなかったことが理由です。そういう意味では、二冠馬が菊花賞に挑むのは義務とすら言ってもいいかもしれません。

 

 挑戦をせずに三冠を諦めて別路線へというのは、数々の批判に晒されることとなるのはほぼ間違いないと思っています。競馬というのはギャンブルではあるのですが、数々のドラマや夢を描き出してきたスポーツ興行でもありますから」

 

 ふむふむ。例えばプロ野球で言うなら、例えばシーズン終盤に負けが込んで3位くらいになって優勝の可能性少なくなっても、そこでじゃあ残りの試合は選手起用や采配など色々試すことにして優勝は来年狙って今年はBクラスでいいですとか言ったら監督は大炎上間違い無しだ。

 例としてはちょっと違うかもしれないが……まあとにかく挑戦する意思は大事ってことだな。

 

「ということで、秋の大目標となるレースは菊花賞とすることがほぼ既定路線だと思ってください。ですがそれにあたっての最大の障害が二つあります。まず1つ目が距離です」

「距離ですか」

「はい。単純な話で、短距離走とマラソンランナーは必要な筋肉が違うのと同じように馬にもそれぞれ適正な距離というものがあります。そして、例外ももちろんありますが基本的にはその距離適性というものは親のものを受け継ぎやすいということが長年の交配の結果によって明らかになっています。

 

 現在は動画サイトというものもありますが、トウカイテイオーのレースというのはご覧になったことはありますか?」

「えーと、ダービーとジャパンカップ、ラストレースの有馬記念くらいは。不勉強ですいません」

「いえいえ、それではこちらをご覧ください」

 

 そう言って取り出したタブレットを少し操作し、用意されたのは一つのレース映像。「ああ、懐かしいな」と関さんがこぼしたが、知っているレース……いや、関さんの活躍ぶりならこの時期はブイブイ言わせてた時期だっけ? なら出走馬に乗っていてもおかしくないのか。

 

「このレースは?」

「1992年のGⅠ天皇賞・春。菊花賞という長距離レースに挑めなかったトウカイテイオーが怪我から復帰し、前哨戦のGⅡ産経大阪杯を圧勝し無敗を維持。本番の3200mという超長距離レースに初めて挑むことになったレースです。ピンクの帽子の14番がそれです。

 

 対抗馬はメジロマックイーン。トウカイテイオーより1つ年上のこの馬は菊花賞と前年の天皇賞春を制し史上初の同レース連覇に挑む当時現役最強と謳われた馬で、特にこのレースの前哨戦である3000mの阪神大賞典を連覇していて長距離レースでの実績が非常に優れている馬です。5番の馬ですね。

 

 騎手も当時の現役最強クラスの陣容で、イニシャルを取ってTM対決とも呼ばれ話題となりました」

「めちゃめちゃ熱いマッチじゃないですか」

「そうですね、こういうドラマ性を求めて人々は熱狂しているわけです。レース映像を流しますね」

 

 始まったそのレースはちょっと画質が粗いが数字は確認できる。えーと中団にいるのがトウカイテイオーでその前の方にいるのがメジロマックイーン。

 先頭を走るのはメジロパーマー、これはメジロマックイーンと同じ馬主さんってことか。

 トウカイテイオーは大外スタートだったからか、サイレントロードのダービーと同じく外を回らされているようだ。確か外目だと距離ロスが大きいから内を回るのが基本だけど、大外スタートだとそれが難しいから勝ちにくいんだったっけな。

 

 コーナーを回りかけたところでメジロマックイーンが外からメジロパーマーをかわして、それに合わせるようにトウカイテイオーが2番手に上がってきた。1.5馬身くらいの差かな。

 サイレントロードとトウカイテイオーのダービーだとここから一気に加速して先頭を走るのが勝ちパターンみたいな感じだったはず。

 しかし実況の『トウカイテイオーは伸びない!』の声の通り先頭からずるずると置いていかれて遂にはカメラからフェードアウトしてしまった。

 ゴールした時の順位は……4~6位。 ってことはついていけなくて後続にも追いつかれたってことか。

 

「トウカイテイオーの3000m級レースへの出走はこの一度きりです。このレースの敗北した要因として調教師は「距離の壁」、そして騎手は「相手が強かった」と発言しています。関さん、そのあたりどう思いますか?」

「まあ距離の壁もそうですが、マックイーンはトウカイテイオーが挑む相手としては相性が悪かったとは思います。トウカイテイオーは終盤のキレで勝負する馬ですが、延々ハイペースで走り続ける馬が相手だとどうしても脚を残せません。それでも1600や2000mとかなら勝負できると思いますが、3200では……それでも5位に残ったのは実力ある証拠ですが」

「え、てことは」

「マックイーンに乗ってたの僕なんですよ」

「ははぁ」

 

 出走していたどころじゃなかった。本当にレジェンドと呼ばれてる騎手なんだなぁ。

 

「実際トウカイテイオー産駒に目を向けても1600mあたりでの活躍が多く、偏にトウカイテイオーが2400mや2500mを勝てたのは自身の能力の高さ故であり適正距離は1600や2000あたりだったとの考えが現在では主流です。

 というわけで、サイレントロード単体で見てもそもそも菊花賞に勝てるかどうかわからないため、あくまで勝って賞金を稼ぎたいのであれば他のレースを検討してもいいといったところです」

「なるほど。

 障害が2つあると言っていましたが、距離と……もう一つはオルフェーヴルですか?」

「はい。先ほどのレースで1着を取ったメジロマックイーンは、オルフェーヴルの母の父にあたります」

 

 ということは子と孫という違いはあれど、20年の時を経てTM対決がクラシックという舞台で再演されているというわけか。そりゃファンの熱狂も頷けるというものだ。

 そしてさっきの血統と距離適性の話と合わせると……なるほど話が見えてきたぞ。

 

「論より証拠というわけでは無いですがオルフェーヴルと両親が同じであるドリームジャーニーが天皇賞・春を3着や菊花賞5着など一定の活躍を残していることと、メジロマックイーンや父ステイゴールドがそうであったようにそもそも成長が晩成的な傾向にある血統です。

 私の目から見てもオルフェーヴルの馬体を見るとまだまだ成長が見られそうで、菊花賞ではダービーよりも更に強くなっている公算が大きいと言わざるを得ません。

 

 もちろんサイレントロード自身の強さは疑うべくも無いですし自分も三冠に対する欲目もありますから調教や管理などより一層力を入れることをお約束しますが、総評するなら菊花賞でオルフェーヴルとの直接対決は分が悪いと見ていいでしょう。

 ここまでで何か聞きたいことはありますか?」

 

 なるほどなるほど。

 とりあえず言いたいことは理解した。ここに吉岡氏がいることも合わせるとなんとなく話の察しが付いてきたが、きちんと言葉にしてもらわないといけないだろう。

 

「質問があります」

「なんでしょうか」

「菊花賞に出ても勝利が厳しいことは理解できましたが、この話だけでは吉岡氏らがいる理由がありません。今までのように通話で済ませればいいだけですから。

 ということはまだ何かあるんですよね?」

「そうですね。吉岡さん、お願いします」

 

「はい、ここからが本題ですから。

 サイレントロードが菊花賞に出走することをこの場で確約していただけるのであれば、オルフェーヴルを菊花賞に出走させないことをお約束します」

 

 ……なんとなく予想は出来てたけど、言い切ったな。うーん。

 

「理由を聞いても?」

「はい。勝率の高いとされる菊花賞に出走させるよりも、オルフェーヴルがはたして世代内で強いだけなのかそれとも古馬を蹴散らしこれからの活躍次第で歴史に名を残す名馬となり得るのか、それを試したいのです。

 確かに3000mの距離は十分勝てるとは思います、ですがそれを確かめるのは来年の阪神大賞典や天皇賞でいいと考えています。それよりも後々の種牡馬入りした時のことを考えると早めに2000mと2400mでの勝ち鞍が欲しいので」

「種牡馬需要ですか」

「はい。詳しく説明すると長くなるので省きますが、日本だけでなく世界全体において3歳における2000mと2400mの実績というものが重要視される傾向にありますから」

 

 ふむ。種牡馬。

 茶台グループというのは日本で間違いなく一番大きな馬産地であり非常に大きなグループ企業だ。ビジネスというものもあるだろうし、そちらを優先するのはまあおかしくないのか。

 

「それともう一つ。好感を持たれないかもしれませんが……」

「お聞きします」

「はい。まずはこちらのレースをご覧ください」

 

 タブレットを操作し映し出されたのは……画質的に、さっきのレースと同じくらいの年代だろうか?

 

「このレースは?」

「1992年、菊花賞。前年怪我で出走が叶わなかった無敗の二冠馬トウカイテイオーの翌年。

 またしてもここまで無敗のまま二冠を達成し前哨戦も圧勝したミホノブルボンが無敗の三冠に挑むレースです」

「2年連続で無敗の二冠ですか。ドラマがありますね……ん?」

 

 えーっと無敗の三冠馬ってサイレントロードの祖父シンボリルドルフと、あと数年前のディープインパクトしかいないんだよな? ってことはこのレースでミホノブルボンは……。

 

「察しが付いたと思いますが、とりあえずレースを流しますね。特に最終盤の実況と、あとはスタンドの様子に注目をください」

 

 始まったレースは終始12番の馬が先頭に立ち、それをミホノブルボンが追いかける形。

 そして終盤にミホノブルボンが先頭に立つが、後ろから一気に差を詰めてきた2頭の馬。

 

『ああライスシャワーがかわした!ミホノブルボン三冠ならず!ライスシャワーです!ライスシャワーが一着!

 ああーという悲鳴に変わりましたゴール前!昨年と同じく、ダービー2着が菊を取りました!』

 

 ゴールに近づくにつれ歓声は悲鳴に、そしてゴール後にはそれはざわめきと溜息に変化していった。なんか異様な雰囲気だな。

 サイレントロードのダービーとか皐月賞はもっと歓声が大きかったような気がするけど。

 

「例えば、ボクシング世界王者がタイトル防衛をかけたマッチでKO負けしたら。

 例えば、マジック1を灯したチームが9回2アウトでサヨナラホームランを決められ敗戦したら。

 スポーツにはそういう、「こっちが勝つべき」という大衆心理が存在します。競馬もそれは然りです。

 

 競走馬は夢を乗せて走っている、なんて言い方をされることがあります。ですがその夢を破ったものに対しての風当たりは強いのが実情です。

 怪我であれば嘆き悲しむだけで済みます。ですがそれが敗戦であったなら……まあ、こういう言い方はよくありませんが、ファンというものは身勝手ですからね」

 

「なるほど……オルフェーヴルがそういうなんと言いますか、非難の目に晒されるのは避けたいわけですか」

「そういうわけではありません」

「あれ?」

 

 

 

「今年は東日本大震災という、未曾有の災害が起きた年。そんな日本にはね、明るいニュースが求められてるわけです。

 3/26にはドバイで、ヴィクトワールピサが日本馬初優勝を決めたことで日本に明るいニュースを届けた、なんてスポーツ新聞の1面に載っていましたね。

 ……わかりますか? 恐らくJRAからも、「絶対に菊花賞に出てくれ」という話をどこかのタイミングでされることでしょう」

 

 

 

 明るいニュース、ねぇ。

 ようするに、「勝つべき馬がいる、ただしあくまで真剣勝負をした上で。そしてそれに参加するかどうかは別問題」、ってところか。

 まあ、実質的に競馬界のほとんどを支配……っていうのは言い方がおかしいが、そういう立場にいる人ってのは何でもかんでも勝てばいいってものではなく、色々考えを巡らせないといけないってことだろう。

 

 

 

「幻滅されましたかな?」

「そこまでは行きませんが、まあちょっと意外ではありました。こんなにはっきりと言うもんかと」

「まあこちらにも色々事情があるということです。仮にオルフェーヴルがいなかったとしても先程池尾さんが仰ったように距離の壁というものもありますから、オルフェーヴルがいないなら絶対勝てるというわけではありませんからな」

 

 

 

「話を次走に戻しますね。

 秋の大目標を菊花賞と仮定した場合、ここから約5ヶ月空くので事前に1つ、調子を上げるためにレースに出すのが基本のローテーションです。

 中山2200mで行われるセントライト記念と阪神2400mで行われる神戸新聞杯の2つのトライアルレースのどちらかを使うのが基本で、輸送の負担を避けるためにセントライト記念は美浦の、神戸新聞杯は栗東の馬が使う事が多いです。有力馬を避け確実に菊花賞の出走権を得るために栗東の馬がセントライト記念に、あるいは美浦の馬が神戸新聞杯に来ることもありますが。

 トライアルレースを使わないという選択肢もあります。しかし5ヶ月もの期間が空く以上やはり調子の管理は難しく、過去10年を見ても馬券内に絡む馬もいないので出来れば避けたいところです。

 3歳では3000m級の長丁場を未経験であることから、前走をスピードを重要視しスタミナを軽視する2001m未満のコースにすることはおすすめしません。

 菊花賞に行く前提であれば選択肢は多くありません。ですので、菊花賞に出るか出ないかをまず決めましょう。出ないのであればまたいくつか選択肢がありますので」

 

 秋の大目標、か。

 この選択はサイレントロードにとって非常に重要な選択になるだろう。

 慎重に決めなければ……。




本編を3行で
1.池尾「秋の大目標は菊花賞がほぼ既定路線やで、他にするならめっちゃ批判されるで」
2.吉岡「サイレントロードが菊に出るならオルフェーヴルは菊に出ないで」
3.池尾「秋の目標を菊にするならその前に1レース挟みたいで」


というわけでちょっと変則的な次走決め回です。期限は11/08の12時までとします。
秋の大目標を菊花賞に「する」「しない」を選びます。
「する」が選ばれたなら菊花賞の前走を、しないが選ばれたなら秋の大目標を選定することになります。

それから、今回からアンケートの!表記を消します。ぶっちゃけいらんかったねこれ。


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イベント:秋の大目標

(656) する
(96) しない
(625) 来いよオルフェーヴル!
思った以上に接戦でどっちが勝つかは最後まで分かりませんでしたね。

メガテンやってて遅れました。
前話の続き、及びネタばらし回。そして前話と合わせて筆者が読者の反応に戦々恐々とする回。
正確な次走決めは次々回あたりです多分。


【日本ダービー】サイレントロードが歴史に名を刻む無敗2冠 3着は11番人気

 

1:名無しさんゲートイン ID:Yn+12fKym

 

 5月29日の東京11Rで行われた第78回日本ダービー(3歳オープン、牡・牝、GⅠ、芝2400m、定量、18頭立て、1着賞金=1億5千万円)は、関稔騎手騎乗の1番人気サイレントロード(牡、栗東・池尾泰弘厩舎)が皐月賞に続き、無敗で2冠制覇。東京競馬場で開催される“競馬の祭典”を制し、親子三代で無敗の二冠を手にした。タイムは2分30秒5(不良)。

 

 雨天による不良馬場で、逃げたオールアズワンはスローペース。中団の後方オルフェーヴルと並んで外を進んだサイレントロードは、3コーナーから徐々に外へ持ち出して直線の始点で先頭に。皐月賞と同じく、東京競馬場の長い直線で先頭を譲らず駆け抜けた。

 半馬身差の2着には狭い馬群の隙間をこじ開けて末脚を伸ばしたオルフェーヴル(2番人気)、さらに1馬身3/4差遅れた3着に後方から追い込んだウインバリアシオン(11番人気)と続いた。

 

 サイレントロードは2歳時に連勝で東京スポーツ杯、3歳1月に若駒Sを制した。その後はトライアルなどに出走せず皐月賞へ直行し無敗の皐月賞馬となった。無敗で皐月賞&ダービーの2冠制覇は、2005年のディープインパクト以来6年ぶり7頭目の偉業。また皐月賞と東京優駿ともに東京競馬場で行われての2冠は1964年のシンザン以来47年ぶり3頭目となる。

 

 日本ダービーを勝ったサイレントロードは、父トウカイテイオー、母インナモラータ、母の父サンデーサイレンスという血統。トウカイテイオー産駒はこれが日本ダービー初勝利となる。北海道新冠町・高井牧場の生産馬で、馬主は駒場駿太氏。通算成績は5戦5勝。重賞は昨年の東スポ杯2歳S(GⅢ)、今年の皐月賞(GⅠ)に次いで3勝目。日本ダービーは池尾泰弘調教師は初勝利、関稔騎手は2005年ディープインパクトに次いで5勝目。

 

 ◆関稔騎手「5度目、5度目ですか。なんとなく区切りのいい数字で、ここまでこれたんだなという気持ち。ちょっとすぐにはこれを正確に言葉に出来ないです。ごめんなさい。

 楽な勝負というわけでは全く無かったけれど、(サイレントロードが)非常にいい走りをしてくれた。雨ということもあってレースは流れなかったし。前に行くことも考えていたけどスタートで外の馬が皆前に行ったので、腹括って後ろから外を回そうと。サイレントロードは非常に頭の良い馬なので、指示をしっかり聞いてくれて進路もスムーズに取れたのでそこが大きかった。

 直線もきっちりゴールまで全力を出して走ってくれた。良い脚を長く鋭く使える。精神面でも最後まで気を抜かない。レースにストイックで真面目な馬だと思います。

 日本競馬史に残るスターホースになったわけですが、今年は歴史的な震災もありましたので、競馬を応援してくださっている方々の気持ちの拠り所というか、大きな存在になってくれたらと思います。馬にとっては知った事じゃないとは思いますけど」

 

◆池尾調教師「最後のゴールインの瞬間までオルフェーヴルとどちらが勝つかはわからなかった。とてもいい勝負。この二頭を管理させて貰うことができているのは一生の誇りになる。

秋は菊花賞か、距離を考えれば天皇賞か、オーナー側と相談。私自身としては三冠の重みというものは十分理解しているつもり」

 

2:名無しさんゲートイン ID:ntsF+7ssR

三冠期待

 

 

3:名無しさんゲートイン ID:3y8j2+MGp

流石に秋は菊やろ

 

4:名無しさんゲートイン ID:qnX0l12i1

テイオー産駒に3000mは長いと思うが、まあ強い馬なら行けるのかな

 

 

5:名無しさんゲートイン ID:+gljdnHdu

これでオルフェーヴル勝ったらライスシャワーの再来になんのか?

 

6:名無しさんゲートイン ID:i0d7Nvp+u

テイオーとマックイーンが菊で激突とだけ聞いたらまあマックイーンが勝つよなって

 

 

7:名無しさんゲートイン ID:nYvwidHZq

あの雨の中大外ぶん回して最後まで脚もつんだからスタミナもパワーもありそうだけどな

 

 

8:名無しさんゲートイン ID:9npN4VeiG

オルフェはどうもステゴ感出てきた

勝ちきれない感じ好きよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……再確認しますが、サイレントロードが菊花賞に出走するならオルフェーヴルは菊花賞に出走しないんですね?」

「はい、お約束します」

「……。

 …………。

 わかりました、その話お受けします。サイレントロードの秋は菊花賞で行きましょう」

「ご理解いただきありがとうございます」

 

 その言葉を口に出すと、薄っすらと弛緩した空気が流れた。疑っていたわけではないが、少なくともサイレントロードが菊花賞に行って欲しかったのは本当のようだ。

 

「その上でいくつかいいですか?」

「どうぞ」

「まず現在はサイレントロードが無敗の三冠に挑むという形で、オルフェーヴルが皐月賞と日本ダービーを僅差の2着としていて、オルフェーヴルの方が菊花賞に有利な条件が多いんですよね。

 これだと、もしサイレントロードが勝ってもオルフェーヴルがいないから勝ったという声も出るんじゃないでしょうか」

 

 勝った時の心配を今するのはちゃんちゃらおかしいのだが、この提案を飲むにあたってまず思いついた懸念がそこだった。

 「あの選手がケガで離脱したからこの選手がタイトルを取れた」なんて口さがない意見は時折見る。それと同じで、「有利条件が多いオルフェーヴルがいないから三冠を取れた」という意見は出るんじゃないだろうか。

 

「大前提として競馬でたらればは禁句ですし出たとしても極極一部でしょうけれども、そういう意見自体は出ると思います。ですがもしそうなったとして、その意見が本格的になるのは古馬以降の対戦成績次第ですから、今気にするところではないかと。

 何らかの記録を残した馬には逆張りと言いますか、そういうやっかみが付くものです」

「そういうものですか……まあ勝つかどうかもまだわからないですしね」

 

 他には何かありますかと聞かれるも、現状とりあえずは特に思い付かない。

 それを伝えるとではそろそろお開きということになった。また何か思い付いたら聞けばいいだろう。

 

 サイレントロードの秋までの今後をどうするかについても教えてもらった。

 どうやら吉岡氏が手を回してくれたらしく、茶台系列の所有している施設を使わせてもらえるらしい。

 

「本来ならば春と同じように北海道の高井牧場さんに戻す予定だったのですが、吉岡さんのご厚意で使わせてもらえることになりました。

 夏の北海道と栗東の温度差は激しく馬が体調を崩すこともあるので、栗東より涼しく移動の負担も少ない場所を使わせてくれるのはありがたい限りです」

「サンデーファーム甲賀といいまして、栗東トレーニングセンターからほど近いところにあるトレーニングセンターと似た役割を持つ施設になります。

 オルフェーヴルもそちらへ向かわせる予定です。本来ならばサンデーファーム関係者でない方からは使用料を取る予定なのですが、今回は構いませんよ」

「いいんですか? そこまでしていただくのはちょっと心苦しいのですが」

「昨年出来たばかりの施設でして、ここを利用して三冠馬が出たとなれば箔が付きますから。先程言った通り我々としても菊花賞はサイレントロードに勝ってほしいですし、こちらにもメリットがあって言っていますから気にしないでください。

 それでもというのであれば、まあ馬の1頭や2頭買っていってくださいね」

 

 確か馬を手に入れるにはセリだけでなく、庭先取引と言って生産者から直接購入する手段もあると聞く。茶台さんの良質な環境で産まれた馬ならば当たる可能性は高いだろうし、競走馬のセリは開催期間がシーズンに被ってるからあまり参加できないからそれに影響されない庭先取引を利用できるのはありがたい話だ。

 ……一瞬囲い込みという言葉が頭に浮かんだ気がするが……いや、流石に穿ち過ぎだろう。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……再確認しますが、サイレントロードが菊花賞に出走するならオルフェーヴルは菊花賞に出走しないんですね?」

「はい、お約束します」

「……。

 …………。

 わかりました、その話お受けします。サイレントロードの秋は菊花賞で行きましょう」

 

 その言葉を聞いて、池尾は思わずほっと胸を撫で下ろした。

 

 

 

「オルフェーヴルの秋の天皇賞への出走を考えている」とエブリデイレーシングの代表吉岡俊一からの打診があったのは、皐月賞が終わってすぐのこと。

 その連絡に仰天し、その数日後にはすぐに茶台グループ総帥吉岡照三と吉岡俊一を含む数人との会合を取り付けた。

 

「あくまで日本ダービーをサイレントロードが勝利した場合の話です」とは俊一氏からの枕詞。

 

 

 

 新馬戦やシンザン記念での末脚からムラは大きいが世代随一の力は持っていると確信していた俊一だったが、同時にシンザン記念の2週後に若駒Sを走るサイレントロードにも注目していた。

 

 一大グループの総帥である照三は言うに及ばず、その茶台グループの主軸生産牧場の副代表でありクラブの代表取締役である俊一も多忙を極めているため、各世代の注目馬の情報を集めるのは部下の仕事だ。

 サイレントロードについての情報が上がってきたのは10月の東京スポーツ杯2歳Sの直後だった。

 部下からの報告からレース映像を撮影したものを見せてもらった俊一は、しかしその時点ではクラシックを1つ取るかもしれない……つまりはオルフェーヴルのライバルとなるかもしれない、くらいの認識だった。

 

 それが変わったのは若駒Sを直接見に行ったその日。

 この日出走馬を複数出して現地に来ている池尾調教師との会談と、エブリデイレーシング保有でクラシック出走候補であるユニバーサルバンクの視察を目的に訪れた京都競馬場。

 そのレースでの残り200mからのギアチェンジに、俊一はまさしく「衝撃」を幻視した。

 

 着差で言えば「あれ」程ではない。ないのだが、しかしその余裕を持った走りと鞍上との折り合いの良さは目を見張るものがあった。

 すぐさまその背に乗った3人の騎手にその乗り味を聞いてみたが、帰ってきた返事は「とにかく乗りやすい」「指示への反応の早さがこれまで乗った馬とは別次元」「まだ真価を見せてない」と賛辞の数々。

 それは各勝利インタビューや東スポ杯と若駒Sでの勝利に合わせた各種メディアのインタビューなどで世間にも伝わり始めており、競馬ファンの間では親子での無敗二冠を、そして祖父に続き父の無念を晴らす歴代3頭目の無敗三冠を期待する声さえ上がり始めていた。

 

 オルフェーヴルがスペックで劣っているとは思っていない。

 そのスペックを最大限発揮させるために様々な手段を試している。もちろん、勝つために。

 しかし3歳1月という非常に早い段階で、騎手の指示にほぼ完全に従う賢さでフルスペックを存分に発揮できる程のサイレントロードと比べて、総合的に見て勝ち目が高いとはどうしても言えない。

 

 

 

 実際にサイレントロードが皐月賞で勝利したのを見て、俊一氏は天皇賞・秋出走の考えを固めたと話す。

 

「震災というものもありましたから、少々露骨ではありますが競馬界でも明るいニュースを作りたいという思いがあります。

 もちろんオルフェーヴルがダービーを取れれば二冠を目指しに向かいます、菊で二冠をかけて決戦というのも話題になるでしょう」

「わかりました、その方向で調整しましょう」

「それでなんですが……」

「はい?」

 

 真面目な顔から一転、俊一氏は渋面で続けた。

 

 

 

 オルフェーヴルの次走選択肢として天皇賞・秋があることそのものはいい。そこで問題となるのは、サイレントロードの馬主である駒場だ。

 

 馬主となる人物というのは得てして金持ちで、始める以前からある程度横の繋がりから競馬を教えてもらっておりその界隈への憧憬からというものが動機の大半だ。

 その都合実際に馬主資格を取るまで長い時間をかけ、場合によっては年単位で知識を収集してからということもある。

 

 しかし駒場はそれとは全く別の道を通ってきている。

 同じく馬主の笹木氏に誘われ、そのあとすぐにほとんど何も調べず馬主資格を取ったという、中々考えられない経歴だ。

 本来はレースで惹いて馬主資格取得の際の煩雑さを見せ、まずは一口馬主からどうかという流れを想定していたようだが、そこは駒場氏のマイペースさといったところだろうか。

 そのような経歴で買った初めての馬がスルスルと勝ち進み遂にはクラシックまで取ってしまった。端的に言えば熱量と実績が全く釣り合っていないのだ。

 

 大前提としてオルフェーヴルの天皇賞出走は、サイレントロードに三冠を取ってもらうためのものだ。本来ならば周りが何を言わずとも二冠馬ともなれば当然菊花賞を目指す。

 しかし駒場は競馬界隈の空気に浸った所謂「普通の馬主」ではない。現役野球選手ということもあって他の馬主と比べてメディア露出が圧倒的に多く、東スポ杯や若駒S勝利後のインタビューでは「(サイレントロードがクラシック有力馬であることを聞かれて)あまり意識していない、無事走ってくれれば」と答えている。

 普通に見れば馬を大事にする美点だ。しかしクラシックGⅠレースという格を理解しているのであれば、ここで出てくる言葉には勝利への期待が枕詞として必ず付く。普通の馬主が必ず実感するはずのその価値を真に実感することなく勝ってしまっているのだ。

 

「私が怖いのはそこで、例えばここ数年で急速に発展したインターネットですとかもしくは評判が良くないメディアのインタビューですとか、そういう変な影響を受けてじゃあ菊花賞に出ませんと言い出し始めるのを恐れています。本来ならばこんな考えをすることはありえませんが……」

「絶対無い、とは確かに言い切れませんね」

 

 競馬に関する知識も情熱も(あくまで普通の馬主と比較して)極端に低い駒場氏の動きを完全に推察することは難しい。

 どうするか話し合った結果、まずは「オルフェーヴルを天皇賞に出すから絶対に菊花賞に出てくれと普通にお願いをすればいいのでは」という提案から始まった。

 下手に誤魔化したりするよりはということだが、これに難色を示したのが照三氏だ。

 

「正直に言うということ自体には賛成ですが、茶台グループという看板を掲げてる以上、お願いという形でもこちらから頭を下げるというのはちょっと承服しかねます。

 白魚の方も、まあ八つ当たりというかお門違いという話ではあるのですが少し荒れてますので、この上刺激するのはちょっと」

「ああ……照三氏の立場からするとそうなりますね。でしたらどうしますか?」

 

 照三氏から提案されたのは、事実ではあるが確実ではない事項を中心とした説得を行うものだった。

 

「無知な馬主を騙すという形にはなってしまいますが……菊花賞ではサイレントロードよりもオルフェーヴルが血統的に有利であるということ、そして三冠の重みというものを軸として並べれば、魅力的な提案として映るのではないでしょうか」

血統(メジロマックイーン)と……無敗三冠の重み(ミホノブルボン)でしょうか?」

「そうなりますね。過去の名馬をこういう形で使うのは気が引けますが」

 

 あくまでもオルフェーヴルの方が勝ち目があるがそれを放棄する、という名目で伝えるということが決まり、普段の仕事の裏で「台本」を作っていった。

 調教師の目線では、サイレントロードとオルフェーヴルの力関係は直前調教の時点では展開次第の五分五分と見ている。伏兵は、青葉賞のウインバリアシオンが少し気になる程度。

 多少の贔屓目はあるが、少なくとも自分はこの2頭のどちらが先頭か、という目で見ていた。

 

 その予想通り圧倒的な力の差を見せて、サイレントロードとオルフェーヴルは駆け抜けた。

 それを見届け喜びを分かち合い、各種メディアに対応し……そして事前に話を通していた関騎手も交えての話し合いを取り付けた。

 

 結果は先述の通り。少しヒヤッとする面もあったが、概ね想定通りになって一安心と言ったところだ。

 こちらの思う通りに動かした負い目の分も込みで、菊花賞に向けてきっちりと仕上げなければ……。




というわけで秋はサイレントロードが菊花賞、オルフェーヴルが秋天となりました。
まだ作中世界のファンは知る由も無いですがはたして反応や如何に

>急速に発展したインターネットの影響
netkeiba.comのプレミアサービス開始が2005年
ディープインパクト引退が2006年末、個人ブログ文化の本格化もこの辺りの年
TwitterとFacebookのサービス開始が同じく2006年、日本語対応が2008年
youtubeのサービス開始が2005年末、日本語対応が2007年
ニコニコ動画のサービス開始が2007年
iphoneの発売が2008年
LINEの登場が2011年(作中年)
インターネット発展においてはまさに激動と言っていいこの辺の年代
2ch全盛期から一気に拡大した匿名文化に警戒を強めている、という感じ

>茶台グループという看板
所謂面子の問題
最近龍が如く7プレーしていたのが執筆に影響されてるかもしれない

>荒れてる白魚
オルフェーヴルの生産牧場白魚(しらうお)ファーム。ステイゴールドやゼンノロブロイなどを生産したとても良質な牧場だが(分割により白魚ファームとして独立した後は)クラシックに縁が無く、ようやく届きそうだったオルフェーヴルが2着2着としたことで「どうしてよりによってサイレントロードが同じ年に生まれたんだ」と嘆き節
この年生まれたイスラボニータが皐月賞取るからそこまで待っててもろて



感想欄などで一部選択肢がずるいという意見がありましたが、ずるい選択肢になるよう茶台と池尾氏が狙ってたからでしたというお話し。


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イベント:W三冠?

メンタルが回復したので初投稿です。
お待たせして申し訳ない。ただヒカセンになってしまったのでまた更新遅くなると思います。エルデンリングも気になる……。

選択肢がありますが、サイレントロードの次走決めでは無いので直接は影響しません。悪しからず。


駒場駿太が無敗の8連勝、目指すは"W三冠王"?

 

1:名無しさん、プレイボール! ID:3CAaNLNGM

◆パ・リーグ オリオンズ4―1アトムズ(25日・神宮)

 

 オリオンズの駒場 駿太投手が8連勝を飾った。8回を投げ3塁を踏ませない0行進、9三振と今季初の無失点で堂々とマウンドを降りた。

 「定位置」となっていたローテ5番手でシーズンを迎えたが、誰もが予想外のまさに無双と呼ぶべき快投っぷりでチームを牽引している。

 防御率はここまで1.08をマークし、登板数の差で主要タイトルでは1位にはなっていないものの投手三冠に向けてひた走っている。

 

 チームメートにも助けられた。2回、4回、7回と出したランナーをゲッツーで仕留め、笑顔とガッツポーズ。「多少打たれても取ってくれるから気が楽。本当に助かる」と感謝した。

 

 転機は2つだった。1つは現役野球選手でありながら始めたことで話題にもなった馬主業。

 初めての持ち馬であるサイレントロード(父トウカイテイオー)は4月に行われた皐月賞、5月に行われた日本ダービーを無敗で勝利し歴史上数少ない「無敗の二冠馬」になった。

 「駒場選手はそれまでは無趣味でぼうっとしていることが多くどこか話しかけづらい印象だったのですが、馬を買って以降は笑顔が増えて親しみやすくなりチーム内でも口数が増えました」とはオリオンズスタッフからの弁。マウンドを見ていても昨年と比べてその差は顕著で、ここ数年のクールな仕事人といった風貌ではなくガッツポーズや笑顔など感情を表に出す面が増えた。

 

 もう一つは春季キャンプ前に現在タイトル争いの真っ最中のルルーシュ選手や田上選手らと行った沖縄合宿。「ルルーシュ君に教えてもらった変化球がとても手に馴染んだ」との言葉通り、今期から投げ始めた打者の手元で強烈に曲がるスライダーは並みいるパ・リーグの強打者たちをきりきり舞いにさせている。

 あまりにも事前合宿で投げすぎたせいで監督からキャンプ参加を遅らせるという"カミナリ"を落とされたが、それに見合うだけの成果があったということか。

 

 

2:名無しさん、プレイボール! ID:Uj7FVAuhF

完全に別人になってんだよなぁ

 

 

3:名無しさん、プレイボール! ID:XN5ir8f8J

今季1試合に2失点してないのバケモン

 

4:名無しさん、プレイボール! ID:wYZLctUBV

絶対ゲッツー取るマン好き

 

 

5:名無しさん、プレイボール! ID:wxf9XQYTc

マジで何があったんだよこいつ

 

6:名無しさん、プレイボール! ID:W5xUDgGrz

ルル駒場田上の3人のせいでパリーグの打者成績が中々無惨なことに

 

 

7:名無しさん、プレイボール! ID:HGe9tVC87

突然覚醒した駒場はまだしもルル田上ははよメジャー行けよと

 

8:名無しさん、プレイボール! ID:ZA6TFDcK8

>>3

申し訳程度の人間アピール好き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月。ダービーを境目とするホースマンの一年の始。

 宝塚記念が近づいたことで女王ブエナビスタとそれを追う昨年のダービー馬エイシンフラッシュら4歳勢の対決が取り沙汰され、また今年から開催が早まった新馬戦で未来のダービー馬や大物探し、開幕が近づくサマーシリーズなど夏競馬に話題が盛んになる頃。

 

 サイレントロードは、函館競馬場の温泉で疲れを癒しに来ていた。

 今後の予定としてはそのままサンデーファーム甲賀へ向かう予定だったが、ここで2週間過ごした後高井牧場で人の乗らない完全休養としての放牧を2週間行い、その後改めてサンデーファーム甲賀へと移すことが決定された。

 この温泉の他にも平坦で静かなコースが存在し、ここにいる間は毎日軽い運動を熟してから温泉に浸かっている。

 

 いくら調教嫌いのサイレントロードといっても栗東トレセンでの調教は負荷がかかる。特にダービー前は気合が入っていたからか調教も順調だったため尚更だ。

 また大雨の中のダービーが堪えたのか、ダービー直後の週は比較的ぐったりと厩舎内で元気無く過ごしていたのも決め手となった。

 一気に完全休養にはせず徐々に調教負荷を落としていくことで、効率的で有意義な休息を取ることが狙いだ。

 

 ちなみにだが、プロ野球での先発投手においては登板翌日は全く運動しない休養日にするのではなく負荷の低いウェイトやリカバリートレーニングなどを行うことが一般的だ。これは血流の促進や交感神経のスイッチを切り替え、より効率良く疲労を取るためのものだ。

 

『ぶるるるるぅーー』

「……やっぱり駄目か?」

「駄目ですね、動きそうにないです」

「はぁー……」

 

 そしてそのサイレントロードはといえば、競走馬用温泉の中でとろんと気の抜けた顔を晒しながら佇んでいた。

 ゆったり走るだけの負荷を下げた運動を楽しそうに走ったサイレントロードだったが、その後に連れて行かれた温泉をたいそう気に入っていた。

 

 本来1頭に付き料金を支払って15分の使用が許可されているのだが、時間が来たことから担当がサイレントロードを促しても動こうとせず。

 押しても引いても手応えが無く仕方ないから複数人で引いてみればいやだいやだと言わんばかりに粘る。

 結局温泉の栓を抜きシャワーも止めることで強引に中断させたのだが、その際の悲しげな視線がツボに入り笑いを堪えながら身体を拭いているスタッフがいたのは記憶に新しい。

 

 最終的には温泉に入る順番をその日の最後に回すことで、特例で30分の入浴が許可された。

 温泉入浴時は汗をかくためその後の食事では粉末状の塩を混ぜているのだが、これもいたく気に入ったようで厩舎より1.2倍増しで食事をねだり、食べ終わるとすぐさま欠伸をしだす始末。

 函館競馬場スタッフが「親しみが出る無敗二冠馬ですねぇ」と苦笑したのには、初日のみ顔を出すことになっていた池尾と厩務員のヤスも気まずそうに頬を掻くことしか出来なかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

419:1枠1番名無しさん ID:aBYXKsYfx

オルフェーヴル菊回避か

 

 

421:1枠1番名無しさん ID:i9aGNSX8D

>>419

は?




>パリーグの打者成績が中々無惨
ボールのせいもあるから……(未来からの視点)

>温泉
温泉参考
https://www.youtube.com/watch?v=OpcWx164bZE
これとオグリが頭にタオル乗っけて温泉に浸かってる画像好き

>サマーシリーズ
GⅠが無く主要競馬場での開催が少なくなる夏競馬を盛り上げるための施策。スプリント、マイル、2000の競走馬を対象とした3部門とジョッキーズという騎手を対象とした部門があり、それぞれの対象レースの出走馬に順位に応じたポイントが付与され、各部門でのチャンピオンである競争馬・騎手にはボーナス賞金が出る。
競馬ゲームウイニングポストシリーズではゲーム内重要アイテムのお守りを比較的安定して稼ぐ手段として知名度が高い。
創設は2006年と意外と歴史が浅いためウマ娘で縁がある者は少なく、ゲームウマ娘プリティーダービーではカレンチャンの育成シナリオ内で言及される。実際にカレンチャンは2011年にサマースプリントシリーズの対象レースに2度出走し2勝している(チャンピオンには選ばれていない)。

>選択肢
3/17の12:00を期限とします。
システムメッセージ:「一部の選択肢において、■■■■■■■■■により、票数の操作(■■■■)が入ります」


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イベント:悲痛

システムメッセージ:「一部の選択肢において、実現の可能性の低さにより、票数の操作(-50%)が入ります」
(187) 京都大賞典→天皇賞・秋かー
(139) オールカマー→天皇賞・秋ねぇ
(100) え、天皇賞・秋直行?
(422→211) ニエル賞→凱旋門賞!?!?

アンケート結果貼り忘れてました。てへぺろ。

(作者の)リハビリ回なのでめっちゃ短いです。
ほんとは選択肢入れるとこまで行きたかったんですけどもまあ多少は。

架空馬もの恒例(?)の騎手曇らせ回です。そんなものを恒例にするな。


オルフェーヴル凱旋門賞出走へ 王者サイレントロードとの決戦を回避

 

1:出走回避名無しさん ID:3CAaNLNGM

 驚きの海外挑戦となった。

 皐月賞・ダービー共に2着のオルフェーヴル(牡3、栗東・池尾)が関稔騎手とのコンビで凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=ロンシャン)に挑戦することが31日、エブリデイレーシング公式HPにて発表された。8月19日に成田から出国。3歳限定のニエル賞(G2、芝2400メートル、9月11日=ロンシャン)をステップにする。

 凱旋門賞では重量面に恩恵がある3歳馬が昨年ヴィクトワールピサが遠征したものを含む過去10年で7勝しており、最も適したタイミングと陣営が判断した模様。取材に対応してもらえた池尾調教師からは「様々な判断がありギリギリまで協議を進めましたが、最終的にはオーナーの判断により出走を決定しました。皐月賞、ダービー共に力は示しましたし、ダービーのあの馬場(不良)をこなしてくれたので、欧州の重い馬場にも対応できることを期待しています。私の夢の一つでもあるし、気合を入れて調整していきたい」とのこと。同馬は北海道のサンデーファーム空港牧場で調教を進めており、参戦が実現すれば日本の3歳馬としては2度目になる。

 

2:出走回避名無しさん ID:Uj7FVAuhF

なるほどなぁそう来たか

 

 

3:出走回避名無しさん ID:XN5ir8f8J

クラブ所属馬が3歳で凱旋門とは思い切ったな

重賞勝っててGⅠ2着2回とはいえ出資者から文句出そうなもんだが

 

4:出走回避名無しさん ID:wYZLctUBV

大雨のダービーであの末脚出せるなら夢持つのはわからんでもない、去年のヴィクトワールピサもそうだったしな

 

 

5:出走回避名無しさん ID:wxf9XQYTc

えっ乗り替わり?

 

6:出走回避名無しさん ID:W5xUDgGrz

【悲報】ダービーで「テン乗りの馬にだけは負けたくない」と言い放ったikzmさん、降板

 

 

7:出走回避名無しさん ID:HGe9tVC87

>>3

なーに勝てば掌クルクルよ

 

8:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

これは惨い

 

9:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

>>4

ヴィクトワールピサの結果はどうでしたか……?

 

10:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

ほんまや乗るの関やん

 

11:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

ikzm降ろされてて草

 

11:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

そんだけ本気って事かいな?

 

11:出走回避名無しさん ID:ZA6TFDcK8

フランスで騎乗経験無いんだっけikzm

それでも外人乗せた方がいいような気もするが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

『お前には申し訳ないと思っているが……』

 

 池尾さんからの電話でその話を聞いた時、口から出たのはそんな間抜けな声だった。

 

『もう一度言う。……オルフェーヴルの次走はフランスのニエル賞を経由しての凱旋門賞。鞍上は関稔。菊花賞には出走しない』

「……」

 

 言葉が続かない。眩暈がするような感覚。

 

『菊を狙いに行くよりは中距離路線での実績を手にしたいという考えから菊花賞を見送って天皇賞・秋を目指すっていうのが元の本線だったが、2400m不良馬場のダービーでのパフォーマンスを見て、3歳馬での海外遠征に対するデータ取りも兼ねてそっちに切り替えた』

「……」

『……騎手については』

「……」

『一番の理由はロンシャンでの騎乗経験が無いこと。遠征費の都合、ロンシャンでの騎乗経験もあり実績もある関稔に変更するっていう話で一致した』

「……」

『主戦騎手はお前で変わっていない。気を落とすなとは言えんが……とにかく、伝えることは以上だ。切るぞ?』

「……わかり、ました」

『……』

 

 ブツリ、という音と共に通話が切れた。

今日は函館、明日は札幌。その移動中での通話だった。

タクシーの中、力が抜けた。

何も考えることも出来ず、タクシーの揺れに身を任せ。

 

「……飲むか」

 

 ふらっと入った安居酒屋。

適当に注文した安酒を適当に流し込んで、流し込んだらまた適当に注文して。

 

「……」

 

 ……何度繰り返したって、全く酔えやしなかった。




この曇らせが公式だっていうから原作には参るね……。

>騎手変更
この世界線では2010ヴィクトワールピサの凱旋門賞には関稔は騎乗していない
一説によるとこの騎乗や同年ブエナビスタのジャパンカップ騎乗などによって元ネタの人物は信頼を無くし干されたみたいな噂もあるが、この世界線では発生していないので信頼度は高いまま
ちなみに序盤の選択肢でサイレントロードのデビュー時期が7月になっていたらこの騎乗は成立しておらず、別の外人騎手が騎乗することになっていた

>テン乗りの馬にだけは負けたくない
元ネタの人物が実際に発言した言葉。テン乗りというのはレースでその馬に初めて乗る騎手のこと。
2011年日本ダービーの参加馬18頭のうち、新馬戦から同じ騎手が乗り続けてきた馬はオルフェーヴル含め3頭のみ。デビューから絆を育み続け二冠を制しただけにその言葉は重い。
なおこの世界線。自分で書いておいてなんだがちょっと心が痛む。



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