生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 (紙吹雪)
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本編
キャラクリエイトまで



初投稿なので初投稿です



ある晴れた、昼下がり。

私は全力で走って帰宅していた。

「はぁ、はぁ……」

息を切らしながらも必死に走る。何故なら……

 

今日は楽しみにしていたゲーム、New World Online、通称NWOとVRMMO用のハードが届くから!

 

 

 

「ただいまぁ!」

 

「あらあら、おかえりなさい。そんなに息を切らして……そんなに楽しみだったの?」

 

「うん!」

 

返事をしながら、階段を蹴って二階の自分の部屋に向かう。

 

「ゲームもいいけど、宿題もちゃんとしなさいよ〜。」

 

「う、うん……」

 

なんてこった。今日の宿題は多いのに……まぁいい、とっとと終わらせてやる……!

 

 

二時間後、やっとこさ宿題が終わった。強敵だった……

何がともあれこれでようやくNWOを始められるぜ……!

NWOとは、巷で大人気なVRMMOらしい。私はこれまでゲームとかしたことはなかったんだけど、クラスのみんなの話を聞く限り、凄い面白そうだったのだ。

 

「はぁ〜……」

 

私はあまり、人と話すのが得意ではない。

しかし、このNWOはVRMMOだ。知らない人と話すことは多々あるだろう。なので、いっそのことこの機会に人見知りを克服しよう!……と考えた次第で。

面倒な初期設定をとっとと終わらせて、私はゲームにログインした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「さて、名前か…」

やっべ、名前とか考えてなかった……どうしよ。

本名そのままは不味いよなぁ……むむむ。

……そういえば、この前食べたイチゴのミルフィーユ、美味しかったなぁ。よし、名前はミルフィーとでもしておこう。

 

名前が決まったので次は初期装備を選ぶ。

とは言っても、実は私は生産職をやってみようと思っている。

別に私は戦いたい訳でもないし、運動も得意ではない。

それに、生産職だと自然と他人と話をする機会が多そうだし。

大丈夫かな……いやいや!一度決めたんだから頑張ってみようよ!

事前に調べておいた情報によると、生産職の場合初期装備はそこまで考えなくてもいいらしいので適当に短剣でも選んでおく。

 

そして、ステータスはどうしようか……

生産職ならSTRはともかく、VITやHPは必要ないでしょ、多分。

う〜ん、悩むなぁ。……いや、待てよ?

私程度が考えることなど、きっと既にみんな考えてるのでは?

よし、ならば他の人が普通しないことをやってみよう!最悪、キャラメイクはやり直せばいいや!

 

私は初めてのVRMMOで舞い上がったテンションのまま、ステータスポイントを全てDEXに注ぎ込んだ。

 

「よし!」

 

最後に外見か。これは……どうすれば?

……とりあえず、適当に決めよう。

髪は緑色に。目も緑色でいいや。

全ての設定を終え、私の身体は光に包まれた。

……良い出会いがあるといいなぁ。




更新速度はかなり控えめになると思います。許して下さいなんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)


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同職との出会い


初めての連投なので初投稿です。


「わぁ・・・!」

 

すごい・・・最近のゲームはこんなにも進んでいたのか・・・!って、別に昔のゲームも私はよく知らないのだけれどね。

見たところ、ここは城下町の広場だろうか?

 

「さて、これからどうしようかなっと。」

 

と言っても、実はもう決まっている。

どうも、【裁縫】や【鍛治】はスキルの巻物と言うアイテムを購入しないと習得出来ないらしい。スキルの巻物自体も初期値の所持金の3000Gで足りるらしい。

むふふ、行き当たりばったりとは違うのだよ!

 

「さて、それじゃあ行ってみよう!」

 

私は早速スキルの巻物を売っているお店を探して歩き出した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」

 

私は戦闘もしていないのに疲れ果てていた・・・

何故かって?理由は幾つかある。

 

まず、私の足が遅い。

おのれ、こんなことになるならAGIをもっと上げておけば良かった・・・

次に、私が人混みが苦手だからだ。

うえ、酔いそう。まさかここまで人が多いとは・・・

 

「う〜ん・・・」

 

困った、お店のある場所までは調べていなかった。くそう。

これからどうしよう・・・?

 

「あの〜?」

 

「ひゃいっ!??」

 

わっ!?ちょ、誰!?びびびびびってないし!?

ただいきなり話しかけられたらほらちょっと面食らったって言うかそもそも背後から話しかけてくるのは反則というかあばばばばば

 

「ええっと・・・」

 

ク、クールになるのだ私!ここかこういう時は一旦深呼吸をしてだないやすぐそばに人が居るのにそんなことしてる暇はあるのかどどどどうしよう

 

「何か困っていた様に見えたから話しかけたのだけれど〜。」

 

ふぅ、ふぅ・・・

よし少し落ち着いた。改めて背後を振り返ってみる。

すると、そこには話しかけてきたであろう女性がいた。ぱっと見年上に見える。すごい緊張する。

 

「え、ええっと・・・あの、そのー」

 

えーい!働け私の脳細胞!こんなところでつまづいていては人見知りの克服なんて夢のまた夢だ!

 

「あ・・・あの!」

「何かしら?」

「う、そ、その・・・ええっと・・・」

 

ダメだ、もう会話できない・・・無力な私を許してくれ・・・

 

「・・・・・・なんでもないです」

「え?」

 

そのまま私は立ち去ろうとした。やっぱり私には無理なのかな・・・

 

「いやいや、絶対困っているでしょう?」

「ぐっ・・・」

 

うぐぐ、だから私は会話が致命的に苦手なんだって!

そう言えたら少しは楽になれるのかもしれないが、残念なことに口が動かない。

 

「・・・もしかして、会話、苦手?」

「・・・!(ブンブン)」

 

その言葉に私は全力で首を縦に振った。た、助かった・・・

 

「ええっと、もしかして、街の外でレベル上げがしたいの?」

「(ブンブン)」

 

違う。私は生産職をやってみたいのだ。

 

「・・・じゃあ、もしかして生産職になりたいからスキルの巻物を買いたくてお店を探してる?」

「・・・!(ブンブン)」

 

そうです!そうなんですよ!

 

「だから、えっと、その」

「お店の場所を教えてほしいのかな?分かったわ!」

 

確信した。この人はいい人だ!

こうして私はこの女性プレイヤーさんの案内で無事にスキルの巻物を購入することが出来た。

お店を出て、私はお礼を言う。

「その、ありがとう、ごさいます・・・」

「ふふ、どういたしまして。まぁ私も生産職だし、同じ生産職のよしみよ」

 

え、そうだったんだ。初めて話をした相手が同じ生産職だなんて、意外と私はついているのかもしれない。

 

「あ、自己紹介をするのを忘れていたわね。私の名前はイズ。さっき言った通り生産職で、その中でも鍛冶を専門にしてるわ。調合とかも出来るけどね」

「わわ、私は、えと、ミルフィー、といいま、す」

「ミルフィーちゃんね。生産職になりたいのは何故かしら?こう言ってはなんだけど、あまり人気のある職ではないのだけれど・・・」

「あわわ、えっとそのそれはですね、え、えっと・・・」

「あ、どうしても知りたいわけじゃないから無理して話さなくても・・・って、お話が苦手なんだったっけ」

「(ブンブン)」

 

ここまで会話が続いたのは家族以外では滅茶苦茶久しぶりな気がする・・・

 

「うーん、そうだなぁ。最初は・・・・・・」

 

と、初心者におすすめな素材のあるフィールドまで教えてもらった。

本当に私は運がいいのでは?と思った。

そして、イズさんは私とフレンド登録までしてくれた。女神か。

私はイズさんにお礼を言い、教えてもらったフィールドに向かうためその場を後にした。

 

 

「ふふふ、最近は可愛い後輩プレイヤーが増えて嬉しいわ」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

早速教えてもらったフィールドである森にやって来た。が、

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

もう結構疲れた・・・やはり、AGIに少しは振っておけば良かった・・・まぁ、いいか。折角ここまで来たし。

 

「それじゃ、行ってみよう!」

 

私は、ウキウキしながら森の奥に向かって行った。

 




短くてすみません


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森での出来事

3話目なので初投稿です


それから私は、ひたすら採集を続けていた。どうやら採集だけでもレベルは上がるようで今はレベル6になった。森にはあまり他のプレイヤーさんやモンスターも居ないのでとても静かだ。子供の頃の遠足を思い出す。このままずっと自然を楽しむのも・・・いや、忘れてはいけない。私の目的はあくまで人見知りの克服だ。それを忘れるのは良くない。

試しにステータスを確認してみる。

 

ミルフィー

Lv6

HP 32/32

MP 25/25

 

【STR 0〈+11〉】

【VIT 0】

【AGI 0〈+5〉】

【DEX 100】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【初心者の短剣】

左手 【空欄】

足 【空欄】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【空欄】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

【鍛治】【裁縫】【採集】【短剣の心得I】

 

へ〜、こんな感じなんだ。う〜ん、AGI0だと思っていたけど、まさか装備で+5されているとは・・・つまり、私が遅いと思っていたのは思い込みだった・・・?

今から考えてみるとイズさんとはそこまで歩く速度は変わらなかったような・・・

うん、思い込みの力って凄いね、ははは。

 

あと、ステータスポイントってのが15あるらしい。どうしよう?

 

「うーん・・・」

 

AGIに振ろうかな・・・いや、ここは初志貫徹、全てDEXに注ぎ込もうじゃあないか!なに、もしもの時はやり直せば良いさ。

じゃあないか!なに、もしもの時はやり直せば良いさ。

 

さて、十分採集もしたし今日はもう帰ろうかな?

・・・いや、まだ時間もあるしもっと奥へ向かってみよう!

何か、こう、面白い何かがあるかもしれないし!

こうして私はさらに森の奥に向かっていった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「う〜ん・・・」

「どうしたんだ、イズ?そんなに唸って・・・」

「いや、メイプルちゃんの他にもう1人新人さんとお話したのだけど・・・」

「へー、どんな奴なんだ?」

「えっとね、すごい人見知りの激しくて、 生産職になりたいんだって。名前はミルフィーちゃんって言うの」

「え、生産職?人見知りをする奴には難しいんじゃないか?それと、もしかして女の子か?」

「・・・クロム?」

「ちょ、違う!違うんだって!俺はただまた女の子が後輩になっんだなって思っただけで・・・!」

「ふふ、冗談よ」

「あまり驚かさないでくれ・・・で、その子がどうかしたのか?」

「私ね、その子に初心者向けのフィールドを教えてあげたんだけどね」

「おう」

「あの辺りにはそこまでモンスターはいないんだけどね、奥の方に行くとかなり強めのモンスターが湧くことを伝え忘れちゃって・・・」

「あ〜、フレンド登録してるならメールは、したか?」

「したんだけどね、まだ読んでないみたいなのよ・・・そこでなんだけどね・・・」

「・・・俺に行って助けてやって欲しいと?」

「そんな感じかな」

「はぁ〜。分かったよ。ここから結構距離があるからなるべく急ぐが間に合わないかもしれんぞ?」

「それでもいいわ、お願いね♪」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ギャーーーーーーーー!!?」

 

なんで!?なんでこんな強そうなモンスターがいるの!?どうして!?

今、私は絶賛鬼ごっこ中だった。逃げる役は当然私。鬼役はなんか猪みたいな奴だ。クッソ怖い。

 

「ふぅ、ふぅ・・・ヒィ!?」

 

掠った!今絶対掠った!HP削れてるもん!ちょっと掠っただけでもう残りが四分の一位しかない!?やばいやばい!

 

「ぜぇ、ぜぇ・・・っは!?」

 

あ!あそこの大きな木!地上から2Mくらいのところ、中が空洞になってるみたい!

ええい、考えてる余裕はない!行くぞ!

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

身体全身を使って全力でジャンプする!

 

『スキル【跳躍I】を取得しました』

ええいそんなのは後だ!なんとか木の空洞には入れたが問題はあの猪がここまで来るかだ!

 

「・・・・・・・・・」

 

・・・どうやら大丈夫みたいだ。助かっ・・・

 

 

ピカー!

 

 

「ゑ?」

 

あの、なんか足元が光ってる・・・?これは・・・魔法陣?

たしか、事前情報だと魔法陣の上に乗ると何処かに転送されるらしいけど・・・まさか、隠しダンジョン!?

いやいやいやいや無理無理!私か弱い少女だよ!?しかも生産職志望だよ!?待って待って!ダンジョンってもっと多人数で装備も整えて挑むものなんじゃないの!?

 

「ええい、こんな所にいられるか!私は街に帰らせてもらう!」

 

私は空洞から出ようとするが、外を見るとあの猪がこっちを見ていた。

なるほど、最初から拒否権は無いわけか・・・

 

「一体全体どうしてこうなるの〜〜〜〜!!?」

 

一瞬の浮遊感の後、私の体は光に包まれた。

どうも、私は少し調子に乗るとこんな目に遭うらしい・・・




ミルフィーちゃんの容姿について
身長152cm、髪の色は緑でかなり長め。普段は前髪で目元が見えませんが前髪を上げると意外と美人さんです。胸は実はミィ以上カスミ未満で、結構大きい。彼女のぼっちの理由の一つが胸にどぎまぎして男子が話しかけられない事なんですが、本人はカケラも気付いていません。

7/5 誤字を訂正しました。指摘してくれた方、ありがとうございます!


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不思議な場所にて

髪が伸びてきたので初投稿です


気がつくと、私はとても奇妙な場所に立っていた。

 

そこはどうやら屋外のようだ。日光が眩しい。それから、地面は砂だった。かと言って周囲は砂漠かと言うと、完全にそうと言うわけでもない。

 

周りには中世風な建物の残骸が彼方此方に放置されている。なんだか滅んでしまった古代都市の跡地を見ているようだ。実際それがコンセプトなのだろう。

 

「・・・すごい」

 

こんな景色、現実じゃ滅多に見られないだろう。この景色だけでもこのゲームを買った甲斐があったと思える。

 

それで、結局此処はダンジョンなのだろうか?いや、ダンジョンって洞窟とか、塔を登って行く感じのイメージなんだけど・・・

 

取り敢えず、じっとしていても意味が無いと思い、私は適当な方向に向かって歩き出した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

どれだけ歩いても景色が変わらない・・・どうしよう、困った。あれから1kmは歩いたと思うけど、全く目に入るものに変化が無い。上を見て太陽を目印にしようと思っても真上にあるし、建物には入り口が見当たらないから入らなさそうだし・・・

 

「はぁ、どうしよう・・・うん?」

 

いや、よく見ると変化がある。なんと言えばいいか、金色の糸?みたいなものが建物に巻き付けられている。なんなんだろう、あれ?

 

その金色の糸みたいなのに巻き付けられた建物はある方向に固まって配置されていた。他に何も指標もないことだしそこに向かって見よう。

 

あと、一つ気になる事がある。ここが仮にダンジョンだとすると、敵が全く出てこないのはおかしい、はず。

つまり此処はダンジョンではない別の何かである可能性が高いのではないだろうか。その何かが分からないのだが。

 

「う〜ん、一体何が待ち受けているんだろう?」

 

考えてもさっぱり分からない。仕方ないのでとっとと例の方向に向かってみよう。

 

「キシャーーーーーー!」

「わっ!?え!?なになに!?」

 

地面からなんか出てきた!?見た目は・・・カマキリ?え?カマキリって地面に潜ったりするの?初耳なんですけど!?しかも色が金色じゃん!確か草の色とか木の色に擬態するんだっけ!?だったら砂の色に擬態したのかな?ってそんなことを考えてる暇はない!

 

大きさは大体私二人分はある。でかい!しかもあの鎌、当たったら絶対死ぬじゃん!ど、どうしよう!?

 

「キシャーーーーーー!」

 

・・・いや、待てよ?確かカマキリは複眼だった筈・・・ならば!

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

やっぱり・・・動がなければ認識されない!しかし、これからどう行動すべきか・・・あのカマキリが地面に戻ってくれれば助かるが、そんな気配は全くない。ぬぬぬ・・・

 

「キシャー?」

 

辺りを見回しているようだ。これでは動いた瞬間あの鎌の錆になりそうだ。

私が身動き出来ないで困っていると、あることに気付いた。

 

「むむ?」

 

よくよく見れば、そのカマキリは脚を怪我していた。というか、千切れていた。あれか?共喰いでもしたのかな?いやでもここはゲームの世界なのに?そんなことある?そこを妙に現実ににせる必要ある?

 

「キシャーーーーーーー!」

「げっ、二体目!?」

 

やばい、挟まれた・・・どうやらここまでかもしれない・・・と思ったその時。

 

「キシャーーーーーーー!」

「キシャーーーーーーー!」

 

え?え?仲間割れ!?いや、なんだっていい!ここから逃げるチャンスだ!

私はその場を離脱しようとした。振り返ると、意外にも脚が千切れていた方の個体が圧倒していた。というか、瞬殺してる!?

 

「ひぇ・・・」

「キシャーーーーーーー!」

 

って、やばいやばい追いつかれる!?急げ急げ!と言うかなんで脚欠けているのにあんなに速いの!?これ絶対あの猪よりも速いよね!?

 

「はぁ、はぁ・・・!」

「キシャーーーーーーー!」

 

くそ、このままじゃダメだ・・・こうなったら、ストレージから何か出して投げるしか・・・

私はアイテムストレージから適当な物を出して投げつけようとする・・・が

 

「キシャーーーーーーー!」

「みゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

捕まった!?やばい、死ぬぅ!?鎌で首を落とされるぅ!!??

 

「助けてぇぇぇ!?」

「キシャーーーーーーー・・・シャ?」

「・・・・・・え?」

 

動きが止まった・・・?なんで?

 

「キシャー」

「えっと・・・もしかして・・・これ?」

「キシャ!」

 

どうやらストレージから取り出したアイテムの・・・『ミドラシアの花蜜』というアイテムが欲しかった・・・のかな?ちなみにこのアイテムは確か料理に使う奴で、甘い味がする、らしい。説明欄にそう書いてあった。

花蜜を差し出すと、カマキリは喜んで食べ始めた。瓶の中に入っているのだが、両手の鎌で器用に蓋を開けて飲んでいる。

 

・・・確か、カマキリって主食は他の昆虫だったような・・・って、ちょ!?

 

「キシャーーーーーーー!」

「ちょ、放し・・・みゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

避けるまもなく鎌で掴まれて、そのまま捕食される・・・と思ったがそのまま鎌で掴まれただけだった。何故かダメージもない。そのまま、カマキリはその場から動き、何処かに向かっているようだった。

 

暴れても離してもらえず逃げたくても逃げられないので、私はそのうち考えるのをやめ、借りてきた猫のように大人しくカマキリにドナドナされていった・・・

 




カマキリってカッコいいよね。
9/2 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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女王様からの贈り物

初投稿ではないので初投稿です


カマキリにドナドナされてから10分後。ずっと変わり映えしないと思っていた景色がようやく変わった。

おそらく砦だっただろう建物にあの金色の糸の様なものが、先程見たそれよりも多くなっている。

 

「・・・カマキリって糸なんて吐いたっけ?」

 

それから、風も強くなってきたせいか砂嵐が発生していた。周囲を見回した時にはこんなの絶対なかったのに・・・

 

「あの・・・いつになったら離してくれますか?」

「キシャー」

「あ、ど、どうも・・・」

 

やっと解放された・・・何気に鎌で掴まれたままなのは辛かったから良かった・・・けど、これからどうすれば?

私が悩んでいると、私を運んできたカマキリが地面に潜っていった。だからカマキリは地面掘ったりしないだろ・・・

 

「さて、運ばれたのは良いものの・・・いや、良くはないけど・・・まぁいいや。どうしよ・・・う!?」

                              

「キシャーーーーーーー!!」

 

「なにごと!?」

 

地面から、またカマキリが出てきた。出てきたのは、先程のカマキリよりも一回りデカいカマキリだった。

いや、それだけじゃない。鎌もより鋭く感じるしなにより金色の糸みたいなのを周りに漂わせている。目も紫色に妖しく輝いてる。

まるで女王の様な威厳に溢れたカマキリだった。多分、ボスかなんかではないかと思う。

 

成る程、建物に糸を巻き付いていたのはこいつか・・・

 

「キシャーーーーーーー!!」

 

それで、私はどうしろと・・・いや、待てよ?

あの足の欠けたカマキリは、私が花蜜を持っているのを見てここに連れてきたんだ。と言うことは、もしかしてあの女王も花蜜が欲しいのかな?

そう思って、ストレージにあった『ミドリシアの花蜜』をありったけ出してみる。

 

「キシャーーーーーーー!!」

 

おお、凄い勢いで食べ始めた。しかし、私はあまり昆虫は得好きというわけじゃないから特に感想はない。

と言うかあの女王様声が凄い大きくて耳が痛い・・・

 

「キシャーーーーーーー!!」

 

女王カマキリは咆哮すると、現れた時と同じように地面に帰って行った。

 

「結局、私の苦労はなんだったのよ・・・」

 

猪に追いかけ回され、よくわからないところに転移して、カマキリに拉致されて、その女王に花蜜あげて・・・

 

「はぁ〜ログアウトしよう・・・ん?」

 

よく見ると、女王がいた所に宝箱が置いてあった。おお!なかなか粋なことを致しますね女王様!

 

「ありがとうございます!女王様!・・・で、ではご開帳!」

 

ちょっと緊張しながらも宝箱を開けてみる。

やばい、すごいテンション上がる!ワクワクが止まらない!

 

入っていたのは上品な金色のドレスや紫色の宝石の装飾が付いた髪飾り、あのカマキリの鎌を彷彿とさせる鎌、そしてスキルの巻物が入っていた。

 

取り敢えず、まず装備の説明を見てみることにした。

 

【ユニークシリーズ】

単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。

一ダンジョンに一つきり。

取得した者はこの装備を譲渡出来ない。

 

『紫藍の髪飾り』

【DEX+15】

【確率補正】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

 

『金麗眩のドレス』

【DEX+35】

【裁縫美人】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

 

『煌金の鎖鎌』

【DEX+15】

【STR+10】

【鎖鎌】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

 

【確率補正】

スキルの発動する確率が、5%上昇する。

 

【裁縫美人】

あらゆる場所で裁縫が使えるようになり、品質が上昇する。

また、裁縫によって得られる経験値が2倍になる。

 

【鎖鎌】

鎖を伸ばすことによって攻撃範囲を増やす。

 

【破壊成長】

この装備は壊れれば壊れるだけより強力になって元の形状に戻る。修復は瞬時に行われるため破損時の数値上の影響は無い。

 

スキルスロット

自分の持っているスキルを捨てて武器に付与することが出来る。こうして付与したスキルは二度と取り戻すことが出来ない。

付与したスキルは一日に五回だけMP消費0で発動出来る。

それ以降は通常通りMPを必要とする。

スロットは15レベル毎に一つ解放される

 

「す、すごい!」

こんな装備、事前情報にはなかったよ!

カマキリの女王様!本当にありがとう!!

 

そして、スキルの巻物はどうも【絲使い】というスキルを習得出来るらしいが、これがとにかく私向きだった。

 

【絲使いI】

複合スキル。スキルレベルが上がるごとに新たな効果を得られる。

【絲生成】

MPを100消費して、一度で最大十本まで絲を生成でき、自由に操ることが出来る。

絲のSTR、AGI、VITはDEXの四分の一の値になる。

 

「こ、これ・・・すごく私向き?」

 

っていうかこれって多分女王カマキリが出してるあの糸だよね!?

こ、これは早く確かめないと・・・・・・!!

私が興奮していると、いつのまにか転送の魔法陣が出ていた。

どうやらさっきいた森に戻る奴らしい。

・・・まだ少し時間はあるな。よし!ここは手に入れたスキルを試してからログアウトしよう!

私はウキウキとしながら転送の魔法陣の上に乗った。

そして、私の身体は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一話の後書きで更新が遅くなると言ったな。あれは嘘だ。

NWO運営<うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

ちなみに、あの女王カマキリの元ネタは某狩ゲーで大量に狩られたあいつです。
7/3 微修正 
7/4 絲のステをDEXの半分から四分の一に変更


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新スキル


ミィ様が滅茶苦茶可愛いので初投稿です


 

「帰ってきたぞー!」

 

さて、早速手に入れたスキルを試す・・・と、その前に、【絲使い】はどうやらMPを使うみたいだからこの鎖鎌のスキルスロットに付与してっと。そういえば糸じゃなくて絲なのはなんでだろう?まぁ、どうでもいいか。

そして手に入れた装備を装着してみる。

 

「うーん、似合ってるかな?」

 

手鏡があれば良かったんだけどないものは仕方ない。似合ってると良いんだけど・・・とと、

 

「この髪飾りをすると、自動的にハーフアップになるのね・・・」

 

髪型が変わるとは、なかなか変わった装備ではなかろうか?・・・前髪を上げた分、視界が広くなって他人の顔がよく見えるようになってしまった。どうしよう、今まで以上に人見知りになるかも・・・というか私は生産職を目指すんだった、忘れかけてた。

 

「まぁ、それは後で考えればいいかな・・・取り敢えず、スキルを使ってみよう!【絲生成】!」

 

シュルシュルシャル・・・

 

「おお!絲が出た!しかもちゃんと操れる!いかも、感覚が分かる!すごい!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!」

「うわぁ!?」

 

いきなりモンスターらしき鳴き声に驚き、咄嗟に絲を木の枝に引っ掛け、そのまま絲を縮ませる。そして木の枝の上に登って先程自分がいた場所を見てみると、あの忌々しき猪がいた。

 

「次に会ったらギッタンギッタンにしてやろうと思っていたわ・・・」

 

よく考えたらあの不思議な場所に行けたのはあいつのおかげとも言えなくもない。が、それとそれとは話が別だ!

とは言えどうするべきだろうか。たしかに絲は強力だが、絲自体に攻撃力はない。となると鎌で攻撃するしかないが、迂闊に近づいて突進を食らうと即死しかねない・・・むむむ。

 

「・・・あ、そうだ!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「さて、ミルフィーちゃんはどこにいるのかなっと・・・」

 

大盾使いのクロムは、知り合いの生産職イズの頼みでとある森の奥地に向かっていた。その頼みとは、生産職志望の新人『ミルフィー』を助けてやってほしいというものだ。

 

「とは言っても、フィールドは広いからな。まぁ、気長に行くとしようか・・・」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「む、モンスターか?」

 

クロムは今までの経験から、この鳴き声は猪のモンスターだと察した。

しかし、なんというか・・・

 

「なーんか悲鳴のような気がするのは・・・気の所為か。うーん、目的の子とは関係ないとは思うが・・・まぁ行ってみるとするか。」

 

そして彼は鳴き声のした方向に向かった。

するとそこには・・・

 

 

 

 

「えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!」

 

金色の糸のようなもので拘束された猪に跨って、鎌を何度も猪の首に振り下ろしている少女がいた。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「えいっ!えいっ!えいっ!・・・ふぇ?」

「・・・ええと、邪魔したな・・・すまん」

「うあ!?え、あ、そ、その、えっと、あの・・・」

「・・・もしかしてなんだが、君がミルフィーさんか?」

「ふえ!?えっと、は、はい・・・そ、その、どちら様、でしょうか・・・」

 

もしかして、メイプルみたいな子なのだろうか・・・とクロムは一瞬思ったが、性格は真逆なようだった。

 

「いや、俺は怪しい者じゃなくてな。イズに頼まれてきみを助けにきたんだが、どうやら必要なかったみたいだな・・・」

「はえ?そうなんですか?」

「ああ、と言うかこれは一体?」

「!?!?あ、あの!失礼します!」

「お、おう」

 

少女は猪に鎌を振り下ろし、しっかり倒してからその場を去った。

 

「なんだったんだ一体?まぁ良いか・・・取り敢えず、イズにはミルフィーちゃんは無事だったとメールで伝えよう。それにしても・・・」

 

————猪を倒した時、一瞬びくついてたのはどうしてだろう?

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「き、緊張した・・・・・・お、男の人とまともに話すのなんてお父さん以外だとすごい久しぶりだったからすっっっごい疲れたぁ!!しかもあの現場を見られちゃったし・・・あ〜も〜!」

 

————私のやったことは簡単だ。

 

まず絲を使って動きを封じる。その後、動けない相手を鎌でひたすら斬りつけるだけだ。絵面は凄まじく悪いけど。

でも、私はそのおかげで新しいスキルをなんと3つも取得した!

 

【神業師】

このスキルの所有者のDEXを二倍にする。【HP】【STR】【INT】のステータスを上げるために必要なポイントが通常の三倍になる。

取得条件

状態異常になっていない同じ相手の弱点かつまったく同じ箇所に50回攻撃を単独で当てること。

 

【大物喰らい《ジャイアントキリング》】

HP、MP以外のステータスのうち四つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが二倍になる。

取得条件

HP、MP以外のステータスのうち、四つ以上が戦闘相手であるモンスターの半分以下のプレイヤーが、単独で対象のモンスターを討伐すること。

 

【首狩り】

相手の弱点が首の時、首へ攻撃した時、30%の確率でダメージが3倍になる。弱点が首ではない相手とボスモンスターには無効。

取得条件

自分よりAGIの高い相手の首を50回攻撃する。首以外の箇所を攻撃するとカウントリセット。

 

 

まさか、こんなスキルがあるだなんて・・・なんというか、すごく・・・戦闘向けです・・・いや、DEX上昇は鍛治や裁縫に関わるんだけどね?なんというか、私は生産職になりたかったのになんでこんなことになったんだろう?・・・いや、考えないでおこう。それに、別に生産職が直接戦ってはいけない、なんてルールもないしね。

 

「さて、今日はもうログアウトしよっと!」

 

満足した私はゲームからログアウトした。

 

 

 

「あ、そういえばあの人の名前聞くの忘れてた・・・まぁ、今度会った時に聞けばいいか・・・」

 




次回、掲示板と運営サイド。お楽しみに!(唐突な予告)


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掲示板と運営とお披露目


サブタイのネーミングセンスが欲しいので初投稿です


364名前:名無しの大盾使い

また変わった少女と遭遇してしまった・・・

 

 

365名前:名無しの槍使い

ちょっと嫌そうに言うなw詳細はよ

 

 

366名前:名無しの弓使い

kwsk

 

 

367名前:名無しの大盾使い

知人の頼みで森に出向いたんだけどな、そこで偶然出会ったんだが、話しかけると赤面してオドオドしながら立ち去られた

 

 

368名前:名無しの大剣使い

可愛いかよw今度は打って変わってコミュ力低いなw

 

 

369名前:名無しの魔法使い

で、どんな容姿だった?装備は?

 

 

370名前:名無しの大盾使い

確か、髪は緑色でかなり長めだった。前髪は綺麗な紫色の髪飾りで留めてハーフアップにしてたな。身長はメイプルちゃんよりちょい高め。すごい上品な金のドレスを着ててすごい似合ってて美少女だった。あとなんか鎌?みたいなのを持ってた。鎌なんて武器あったっけ?

 

 

371名前:名無しの槍使い

鎌は少し聞いたことある。どっかのダンジョンのモンスターを倒すと低確率で落とすらしいぞ。カテゴリーは短剣らしい

 

 

372名前:名無しの弓使い

へー

 

 

373名前:名無しの大盾使い

いや、本題はそこじゃなくてだな

その子な、多分金色の糸?で縛られたモンスターに跨ってさ、何度も首に鎌を振り下ろしてたんだよ

 

 

374名前:名無しの大剣使い

え?こわ・・・

 

 

375名前:名無しの魔法使い

生産職ってそんなことするの?おかしい

 

 

376名前:名無しの槍使い

そういえば知人の頼みとはなんぞ?

 

 

377名前:名無しの大盾使い

376>生産職の知り合いがいてさ、その知り合いが生産職志望の新人が森に向かってるけど、森の奥に行き過ぎないか心配だからと様子を見に行って欲しいと頼まれたんだ。

ちな、その新人が例の美少女らしい模様。名前はミルフィーちゃん

 

 

378名前:名無しの弓使い

最近の少女は変わった子が多いなぁ()

 

 

379名前:名無しの大盾使い

またなにか分かったら書き込むわ。知り合いにも話を聞いてみる

 

 

380名前:名無しの大剣使い

情報提供あざーす!

 

 

この掲示板のことは、当然本人は知るよしもなかった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

その頃、運営達の部屋

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「おいどうした!?今度はなんだ!?」

 

「クイーンマンティスのいるダンジョンを平和ルートでクリアした奴がいる!!」

 

「おかしいだろ!?確かあそこのダンジョンの入り口はモンスター多めのエリアかつ出現場所がランダムのはずだろ!?しかも、武器を構えた時点で平和ルートは不可能になるし必要なアイテムもあったんだぞ!?なんでだ!?」

 

「誰がやったんだ!」

 

「えーっと、ミルフィーというらしいです!」

 

「今モニター映します!」

 

 

モニターに映ったのは

絲でモンスターを縛ってその上に跨って鎌を何度も振り下ろすミルフィーの姿だった。

 

 

「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」」

 

「おい!いつからNWOはホラーゲームになったんだ!?」

 

「待って!怖い怖い怖い!」

 

「あの子胸大きいな・・・じゃなくて!一体何故こんなことに!?」

 

「うお!?」

 

「今度は何だ!?」

 

「【神業師】をとったやつが居ます!あと【首狩り】も!」

 

「はぁ!?あの意味不明な条件クリアした奴がいるだとぉ!?」

 

「ええっと・・・取ったのは、ミルフィーです!?」

 

「あ!そうか!絲で縛ってなら条件を満たすのも簡単だ!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「メイプルといい、最近の女の子はこんなのばっかか!?」

 

「取り敢えず、第一回イベントまでメイプルもミルフィーも見守ろう!それで問題が起こったらその都度対処するぞ!」

 

「「「了解!!」」」

 

果たして、運営達が休める時は来るのだろうか。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「イズさーん。あ、あの、えっと・・・」

翌日、私はまたゲームにログインしてイズさんと連絡して広場で待ち合わせをしていた。誘ってきたのは当然イズさんからだ。私にはそんな高等テクニックはとても使えない。

 

「あら〜待たせちゃったかしら?ごめんなさいね〜」

「い、いえ!滅相もございません!・・・う〜」

「まだ人と話すのは緊張する?」

「ご、ごめんなさい・・・」

「いいのよ!ゆっくり慣れていけば!ところで、その素敵なドレスは?」

「え、ええっと・・・これは、その・・・」

「言いたくないなら無理に聞かないわ。あまり言いふらすものでもないもんね。」

 

優しい。初めてこのゲームで会話した人がこの人で本当に良かったと思う。

そう言えば、なんで私は呼ばれたのだろう?

 

「あ、あの・・・」

「ああ、ごめんごめん。ミルフィーちゃんを呼んだのはね————」

 

どうも、自分の教えたフィールドの比較的近くに強いモンスターのあるエリアがあるのを伝え忘れていたのを謝りたいそうだ。メールもしてくれたそうだが、どうやらちょうどその時猪に追いかけられていたので確認するのを忘れていたようだ。

 

「ご、ごめんなさい・・・」

「いいのよ、元はと言えば私が悪いんだから。」

「で、でも、そのおかげでこの装備を手に入れられましたし・・・」

「へ〜、それは良かったのかしら?」

「は、はい・・・」

 

うう、会話、本当に苦手・・・

 

「それにしても本当に似合ってるわね〜」

「ふぇ!?そそ、そんなことな、ないですよ・・・///」

「そんなことないわ!特に前髪を上げたからかなんだか明るい感じに見えるわ!」

「ふ、ふぇぇ・・・///」

 

私はあまりにも恥ずかしくて顔を伏せた。だ、だってこんなこと言われたことないし・・・

 

「あ、おーい!イズー」

「ひゃん!?」

 

だ、誰?私は咄嗟にイズさんの背中に隠れた。話しかけてきた人はたしか昨日会った大盾を背負った人だった。

 

「あ、貴方は確か昨日の・・・」

「あー・・・昨日は驚かせたのだったらすまない。」

「い、いえ!そそ、そんなことは・・・」

「こらークロム、女の子を怖がらせたら駄目でしょう?」

「ちょ、違う!わざとじゃないんだって!」

「え、ええっと・・・」

 

わわ、私はこれからどうすれば良いの?

 




だんだん文字数が増えてきた
思いついたら書いていくスタイルです


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第一回イベント序盤まで

今回、最初に少しだけ掲示板パートがあるので初投稿です


425名前:名無しの大盾使い

例の首狩り少女ともフレンド登録できたw

 

 

426名前:名無しの大剣使い

は?うらやま。というか名前w

 

 

427名前:名無しの弓使い

なぜ貴様ばかり・・・ぐぬぬ、どうやったんだ?

 

 

428名前:名無しの大盾使い

知り合いがいるのを見かけてな。話しかけようとしたらその子がいたんだよ。まぁすぐにその知り合いの後ろに隠れられたが。その後、ちゃんと会話したあとフレンド登録した。

 

 

428名前:名無しの魔法使い

で、結局その子について何か分かった?

 

 

429名前:名無しの大盾使い

それに関してはすまん。知り合いがあまりそういうことを聞かせてくれなかったんだ。結局その子は知り合いの店、ああ、知り合いは生産職ね。そいつがその子を雇ってな・・・

まぁイベントには参加するかもしれないからそこで何か分かるかもな。

 

 

430名前:名無しの槍使い

成る程、明日のイベントを楽しみにしてるわ。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「い、いらっしゃいませー!」

 

私はイズさんに誘われて、お店の接客をしていた。私が人見知りを克服したいと言ったからだ。イズさんは快く私を受け入れてくれたおかげで、今ではイズさんとはある程度話せるようになった。

 

「ミルフィーちゃーん、この注文をお願い出来ない?」

「は、はい!任せてください!」

 

今では、主に裁縫スキルが必要になる注文は私が担当していた。他にも調合や料理なんかも私がやることもある。特に裁縫だけならイズさんよりも上手いかもしれない。が、鍛治に関しては私の場合筋力が足りないせいであまりいいものは出来なかった。残念。

暇な時はひたすら裁縫したり、一人で狩りに行っているので今ではだいぶレベルが上がった。

 

ミルフィー

Lv21

HP 32/32

MP 25/25

 

【STR 0〈+15〉】

【VIT 0】

【AGI 0】

【DEX160 《+75》】

【INT 0】

 

装備

頭 【紫藍の髪飾り】

体 【金麗眩のドレス】

右手 【煌金の鎖鎌】

左手 【空欄】

足 【金麗眩のドレス】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【ミドリシアの花飾り】

【ハンディリング】

【空欄】

 

スキル

【神業師】【大物喰らい】【短剣の心得Ⅲ】【裁縫Ⅳ】

【鍛治Ⅰ】【採集Ⅲ】【料理Ⅲ】【首狩り】【跳躍Ⅱ】【釣り】

【気配遮断Ⅰ】【採取速度強化小】【スラッシュ】【パワーアタック】

 

だいぶ成長したなぁ・・・そして、戦闘中のDEXの実数値はなんと940である。ちなみに、【ミドリシアの花飾り】は自作のDEXが5上がる装飾品で、【ハンディリング】は店売りの同じ効果の奴だ。

 

「そう言えば、ミルフィーちゃんは明日の第一回イベントに参加するの?」

「うーん、しようとは思っているんですがまだ対人戦にはあまり自信がなくて・・・どうするか迷っています。」

「参加すれば良いんじゃない?貴方ならそこそこの成績を残せそうだと思うわ」

「・・・そうでしょうか。」

「そうよ、もっと自分に自信を持って!かわいいんだから!」

「か、かわいいだなんて、そんな、私には勿体ないです・・・///」

 

うう、時々唐突に褒め言葉が飛んでくるのが油断ならない・・・

ちなみに、イベントの内容はバトルロワイヤルだ。あまり私はそういう経験がないので実は密かに楽しみにしている。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

そして、イベント当日。

 

「準備よし!・・・それでは、行ってきます!」

「頑張ってね〜。応援するからね〜。」

「はい!ありがとうございます!」

 

イベント開催時刻より少し早めにログインした私は、イズさんのお店でポーション等の準備をしてから開催場所に向かった。

 

 

 

 

「ガオ〜!それでは、NWO第一回イベントを開始するドラ!制限時間は3時間!ステージは、イベント専用マップ!ちなみに僕は、このゲームのマスコットドラぞう!初めての人は、以後よろしくドラ!」

 

どうやら割とギリギリだったようだ。私が来た時には大半のプレイヤーがすでにログインしていた。見回してみると、クロムさんも居る。すると、こちらに気づいたようで小さく手を振ってきたので私も小さく振り返す。

 

クロムとは、まだイズさんほどではないがそこそこ仲良くなった。たまにお店に来てくれるからだ。フレンド登録もしてくれた。

と、そろそろ始まるみたいだ。

 

「それではカウントダウン!」

 

「最後に持ち物を確認しておこう。回復ポーションよし!毒系回復ポーションよし!そして・・・」

 

「3! 2!  1!    0ー!

それではみんな頑張ってー!ガオ〜!」

 

最後の確認を済ませ、私はステージに転移した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ここは・・・何処だろう?」

 

転移してすぐに自分の場所を確認する。どうやら、私は森のエリアが初期配置らしい。【絲使い】のことを考えると立体的な動きの出来る森は悪くない場所だ。

 

「・・・【絲生成】」

 

私がそう告げると、鎌を装備していない左手から絲が出て来る。どうやら【絲使い】は鎌のスキルスロットに付与しているから鎌から出る、というわけでもないらしい。私は絲を周囲に張り巡らせる。絲には感覚が繋がってるようなのでこうすることで事前に敵プレイヤーを探知することができるのだ。

 

「お、早速誰かいるみたいだ、どうしよう?」

 

倒しに行こうか?それとも逃げようか・・・いや、逃げない!

今まで、私は逃げることの方が多かった。折角ほんの少し、ほんのちょっとだけ人見知りを克服できたのだ。もうこれ以上怖いことはないだろう。

 

「よし、こっちに向かっているみたいだし迎え撃とう!」

「おっ?いた!覚悟しな!」

 

おっと、弓使いは厄介だな、ここはこっそり・・・

 

「さあ、倒してや・・・な!?」

「・・・かかったな」

 

背後からひっそりと絲を操作して相手を拘束する。どうやら私の絲はちゃんとプレイヤー相手でも機能するらしい。

 

「くそ!これは一体・・・ぎゃあ!?」

「・・・さようなら。」

 

私はゆっくり近づいて、鎌で直接首を掻っ切った。

初戦は無事に突破出来たようだ。

 

「さて、移動するとしますか・・・」

 

周りの木の枝に絲を絡ませ、私は獲物・・・じゃないや、敵のプレイヤーを探す為移動を開始した。

 




この小説はアニメとweb版を元に作られています

7/5所持スキルを修正


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神速との邂逅とラスボス系少女との出会い

メイプルがドヒドイデにしか見えなくなったので初投稿です
あと、今回は少し長めです


イベント開始から一時間半程経過した。絲によって移動している為、私はかなり速く移動出来ている。そのお陰だろうか、私はすでに数えるのも億劫になる程のプレイヤーを倒すことに成功している。中には集団で襲い掛かってきた人達もいたが、全員絲に捕まった後鎌の錆にしてやりました。

 

「ふっ!」

「な、なんだぁ!?」

 

基本的な戦法は奇襲だ。まず、絲で敵を感知する。足元の辺りに絲を展開すると気付かれにくいです。そして、絲で一気に拘束!後は鎌で首を掻っ切るだけ。とても簡単だ。ちなみに、【首狩り】の効果が発動する時には赤黒いエフェクトが出るみたいだ。

ふっふっふ、これはもしかしてランキング上位になれるのでは?調子に乗っても許されるのでは?

 

「ふふふ・・・」

「なーに気持ち悪い笑いをしてるんだ?」

「みゃぁぁぁぁぁぁぁあ!?不審者ぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「おいおい、不審者は酷いだ、ろ!」

「ひい!?」

 

相手の攻撃をなんとか躱す。そして咄嗟に絲を操作して不審者を捕らえようとするが、躱されてしまった。今まで一度も躱されなかったのに・・・!というか・・・

 

「何故探知出来なかったの!?」

「やっぱりなんかしていたのか、どうやら警戒して正解だったようだな・・・」

 

この不審者さん(仮)まさか、勘がとてつもなく鋭いのか・・・?さっきの攻撃だって私よりも他の何かを警戒しているようだった。

パッと見たところ、武器は短剣で凄い身軽そうだ。

 

「え、えっと、不審者さん・・・」

「いや、不審者じゃねーよ。俺はドレッド」

「・・・ど、ドレッドさんはこんなか弱い女の子をど、どうするつもりなんですか?」

「いや、俺はお前が何人ものプレイヤーを倒すのをちゃんと見てるからな。それと、会話で時間稼ぎをするのは無駄だぞ?」

 

そう言って、彼は短剣を構えた。どうやら私の快進撃もここまでかもしれない・・・いや、まだだ。まだ終わらない!終わらせない!

 

「・・・覚悟は決めました。さぁ!来なさい!」

「それなら、遠慮なく行かせて貰おうか!」

 

不審者さんが突っ込んできた!かなり速い、私の絲よりも速いかもしれない。私は放射状に絲を展開する。が、躱される。速すぎない?

 

「そんな短調な攻撃には当たってやらないな!」

「ぐぬぬぬぬ・・・」

 

こうなったら・・・事前に用意していた策を用いるしかない・・・か。

 

「こんのぉぉぉぉ!」

「ほう、突っ込んでくるか!しかし、その速度、どうやらAGIはかなり低いようだな!」

「まぁね!」

 

私は突っ込むと同時に絲を不審者さんの左右に絲を展開する。そして、右手で鎌を持ち横に薙ぎ払おうとする。

 

「逃げ道を塞ぐつもりか!しかし、左右に糸を出すだけじゃ躱されて逆に俺に斬られるだけだぜ?」

「それは、どうかな?・・・【鎖鎌】!」

「な!?」

 

私のイメージ通りに鎖が伸びて鎌が不審者さんの首にせまる。

ふっふっふ、急に間合いが変わるとは思うまいて!

 

「そして喰らえ!【スラッシュ】!!」

「ぐぅ!このっ!」

 

なんと、不審者さんは思いっきり上に跳躍して攻撃を躱した。まさか躱されるとは!しかし、私にはまだもう一つだけ攻撃手段がある。それは、【絲使い】スキルのレベルが上がったことで得た新しいスキル。

 

「【装着・鉄塔】!やぁぁぁぁ!」

 

【装着・鉄塔】は【絲使いⅢ】で使えるようになった技だ。このスキルは絲を使って地面から巨大な瓦礫を掘り出して振り回すことが出来るスキルである。ちなみに、Ⅱで使えるようになったのは【絲弾】という絲を打ち出すスキルだ。もはや、絲使いではなく瓦礫使いである。

そして、流石に空中ではこの瓦礫は躱せまい!

 

「ぐはぁ!?くっ、やられた、か。判断を間違えた、か!・・・次は、必ず勝つ・・・!」

 

・・・なんだか、すごい面倒な人に目を付けられた気がする・・・このイベント中は出会わないように気を付けよっと。

そういえば私、戦闘中は喋れたな・・・私は戦闘狂なのだろうか・・・?私は、イレギュラーな戦闘で疲れながらもプレイヤーを探しに移動を再開した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

それから、私は廃墟のようなところに着いたのだが・・・

 

 

「現在の一位はペインさん!二位はミルフィーさん!三位はメイプルさんドラ!これから一時間上位三名を倒した際、得点の三割が譲渡されるドラ!三人の位置はマップに表示されているドラ!」

 

「うぇー、マジですか・・・面倒臭い・・・」

 

得点の3割譲渡はまだ良いけど、マップ表示がかなりきついかな・・・おっ?

 

「よく見たら3位の人が近くにいるみたいだ。どうしよう、接近しようか・・・」

 

流石に2位と3位が固まってるのに襲い掛かる人は少ないだろう、多分。

 

「よし、行ってみよう!」

 

そして、3位の人がいるであろう建物に入ろうとしたのだが・・・

 

「おい、いたぞ!2位の奴だ!やるぞ!」

「うおおおおおおお!」

「げっ!?見つかった!?」

 

しかも、結構な人数だ・・・ざっと50人はいるぞ・・・流石に正面から戦うのは難しいだろう。ここは、3位の人には悪いけどなすりつけようっと。

 

「・・・くっ!?」

「逃げたぞ!追え!」

「逃すな!」

 

敵わないと見て逃げるフリをしながら3位のいる場所に誘導する。追ってくるプレイヤー達は夢中なのか、そのことに気付かない。

 

そして、3位の人のいるところにたどり着いたのだが・・・

 

「【致死毒の息吹(デッドリーブレス)】!」

「危なっ!?」

「やっと追いつい・・・ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「な、なんだ!?」

 

咄嗟に絲を上に向けて伸ばして身体を持ち上げなかったから良かったものの、私を追い回してたプレイヤーの反応を見るに相当強力な毒系統の魔法らしい。流石は3位と言ったところか・・・

 

「ふぇ!?躱された!?」

「・・・・・・えと、その・・・」

 

・・・こんなところで人見知りを発動させないでよ、私。

 

「おい、あそこだ!」

「2位だけじゃなくて3位もいるぞ!」

「たおしてやらぁ!」

 

げっ、思ってたより多い!ここは・・・

 

「あの、きょ、協力しませんか?」

「う〜ん、別に良いよ!」

「ほ、本当ですか!」

「うん!一緒に頑張ろう!」

 

この人は実は天使なのかもしれない。見ず知らずの人である私を助けてくれるなんて・・・ん?

 

「【毒竜(ヒドラ)】!」

「え、ちょ、えー!?」

 

私を巻き込んでる!巻き込んでるよ!一瞬で裏切られたよ!

訂正。この子は悪魔だ・・・しかも表情を見るに、恐らくわざとじゃない。悪意のない攻撃がここまで恐ろしいとは・・・

 

「・・・あの・・・」

「うぇ!?、わわ!ご、ごめんなさい!パーティとか組んだこととかなくて・・・」

 

もしかしてぼっち仲間か?いや、この声、表情、言動、間違いなく陽キャだろう。陰キャ歴の長い私の言うことだから間違いない。ってそんなことはどうでもいいんだ。

毒で絲が汚れたので、新しく絲を用意する。

 

「あの!何かであの人達を私のすぐそばに移動させられる!? 」

「【絲生成】・・・わかった。」

 

ここで逆らってあの毒魔法を喰らわせられるのは怖いので言う通りにしよう。絲を操って適当な相手をぐるぐる巻にして一本釣りにする。

 

「よっと。ほい、移動させたよ?」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!?なんだ!?」

「わぁ!すごいすごい!えいっ」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

うわ、釣った奴に盾で触ったかと思うと、触れられた奴は盾に吸収された。何これ怖い。

 

そして、2人がかりで大量のプレイヤーを屠っていく。たまに私に毒のフレンドリーファイアが来そうになるが。

敵だけでなく3位の人にも気を配りながら、私達はイベント終了までずっと戦闘を続けた。

 




この主人公、ドラぞうの発言に対しての発言がドレッドと殆ど同じである
7/4 誤字を訂正
7/5スキルにルビを付けました。あと、誤字も訂正しました


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イベント結果と学校


メイプル×サリーが尊いので初投稿です


 

「ガオ〜!終了!結果、1位から3位まで順位変動はなかったドラ!」

「やった〜!私凄い!」

「はぁ、はぁ・・・」

「?どうしてそんなに息を切らしてるの?」

「!・・・それは、その、えと・・・」

「(?雰囲気が変わった?)」

 

イベント終了まで、なんとか持ったようだ。相手の攻撃よりも味方の攻撃の方が怖かった・・・なんですかあの三首の毒竜は。見た感じそんなに【INT】は上げてなさそうなのにどんな威力してるんですか・・・あと、気軽に話しかけてくるのはやめてください、吐血しそうになる。

 

「あ、そうだ!貴方の名前は?」

「え、えと、ミルフィー、です・・・」

「ミルフィーさんって言うんだね!ああ、私の名前はメイプルって言うんだ!よろしくね!」

 

距離が近い・・・やめて、その笑顔で浄化されそうになる。というか、この人かなりちっちゃい。私もあまり背の高い方ではないけど私よりも背の低い。しかし、先程の戦いを見る限りおそらくだが【VIT】極振りだろうか。まさか、自分以外にも極振りがいようとは思わなかった。

 

「それでは、3位から順にインタビューしていくよ!」

 

な!?なんですと!?インタビュー!?聞いてない聞いてない!?私がこれって多分大勢の人に伝わるよね!?私そういうのすごい苦手なのに・・・!ど、どうしよう!?

 

「メイプルさん、振り返ってみてどうだったドラ?」

「えっあっえっ?えっと、その、一杯耐えれてよかったでしゅ・・・」

「ガオ〜!おめでとう!それでは、記念のメダルをどうぞ!」

「あ、ありがとうございましっ・・・やだぁもう、恥ずかしいよ〜!」

 

あ、すごい噛んでる。とか言っていられない。たった今目撃したのは未来の私自身なのかもしれないのだ、とても楽観できない。

 

「お次は2位のミルフィーさんドラ!」

「・・・ええと。」

 

な、何を言えば良いんだ!?誰か教えて〜!

・・・あ、一つ思いついた。

 

「と、とても疲れました。あ、あと、私は普段はイズさんのお店では、働いています、そ、その、良ければ来てくだしゃい!・・・う〜、噛んじゃった・・・」

「ガオ〜!おめでとう!それでは、記念のメダルをどうぞ!」

「・・・」

 

一度噛んじゃったのでこれ以上何も言わないでおく。これ以上余計なことをして恥を重ねる必要はないでしょう・・・

 

「あ、イズさんのお店で働いてるんだ!私、今度行くね!」

「は、はい。えっと、ご利用あ、ありがとうございます・・・」

 

もしかして、メイプルさんはイズさんの知り合いなのかな?

そんなこんなで、イベントは無事に終わった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ふわぁ・・・」

 

翌日、私は学校の朝にて、机に頭を埋めていた。あのイベントの後、すぐにログアウトしてゆっくり休んだとだけれど、どうやら睡眠が足りなかったらしい。今日も今日とて教室は騒がしい。友人と一緒に話をしている人が多い。いいなぁ・・・友達欲しいなぁ・・・

 

「ええ・・・!なにその化け物キャラ・・・流石楓、天然すぎる・・・」

「?そうかな?」

「そうだよ!・・・あー、これは楓に追いつくの大変そうだな〜」

「で、でも私と同じようにすれば・・・」

「ぶー!。楓は楓、私は私。」

「じゃあ、理沙はどうするの?」

 

特に、前の席にいる2人の話がよく聞こえてくる。多分、ゲームの話だろう。あーあ、NWOの話なら私にも出来るのになぁ。いや、無理か。まず、まともに会話出来る気がしない。

 

「・・・よし、決めた!私は回避盾になる!」

「回避盾?」

「うん。敵の攻撃を惹きつけて回避することで攻撃を無力化するんだよ!」

「おー、カッコいい!でも、盾なら私がやるよ?盾と盾が組んでも仕方ないんじゃない?」

「楓と私のパーティはどんな戦いに出てもノーダメージ!いつだって無傷!・・・どう?カッコ良くない?」

「・・・!良い!すっごく良い!

 

女3人集まれば姦しいなんて言うが、2人でも十分楽しそうだなぁ・・・さて、陰キャである私は授業まで寝るとしますか・・・

 

「そう言えば楓、1位の人と2位の人ってどんな人だった?」

「えっとね、1位の人は知らないけど2位の人なら知ってるよ!たしか、ミルフィーって名前だったんだけどね・・・」

「げほ!?げほごほ!?」

「ん・・・?どうかしたの?荒川さん?」

「な、なんでも・・・」

 

え!?この人まさか、3位のメイプルさん!?嘘でしょ!世間狭すぎじゃない!?どんな偶然なのよ・・・

 

「んー・・・?」

「どうしたの、楓?」

「いや、最近学校以外で荒川さんを見かけたような・・・」

 

話しかけられた時の陽キャ特有のオーラといい、話し方や言動といい、間違いない。この人、たしか本条さんがメイプルさんだ。

 

「え、ええっと・・・」

「ん?何?」

「ひうっ・・・そ、そのや、やっぱりなんでもないです・・・」

「理沙ー、怖がらせてない?」

「えー。そんなつもりはないんだけどな〜・・・」

 

くっ・・・なんて光のオーラだ・・・メイプルさん(仮)もすごいオーラだったけど、白峯さんと合わせるとさらに強くなって気を抜くとすぐに浄化されそうだ・・・

 

「ごめんごめん。そんなつもりはなかったんだ。許して?」

「は、はい・・・それでその・・・」

「なぁに?」

「あの、えっと・・・メイプルさん、ですか?」

「え!も、もしかしてミルフィーさん?」

「は、はいぃ・・・」

 

ぜぇ、ぜぇ・・・学校でこんなに口を開くのは授業以外だと初めてかも知れない・・・

 

「え!?嘘!?こんなに身近にそんな人がいるってどんな偶然よ・・・」

「わ、私もそう、思います・・・」

「ねぇねぇ!キャラの方針はどんな感じなの?」

「ひゃっ・・・」

「もー、理沙ー?」

「えー・・・」

 

と、学校にいる間、彼女達は積極的に話しかけてくれたので少しだけ人見知りが改善でき・・・てるといいなぁ。

 




バーに色がないと悲しいので評価を付けてくださるとありがたいです。低評価でも全然構いません

ペイン「これは俺も噛まなきゃいけない流れなのか?」
ドレッド「違うと思うぞ」


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はじめてのお友達と釣り


ファミチキが相変わらず美味いので初投稿です


 

「たしか、この時間帯の筈・・・」

「あ、いたいた!ミルフィー!」

「こ、こんにちは・・・」

 

私達は学校で一緒にプレイしようと約束をした。白峯さんも今日から一緒に遊べるんだそうだ。

 

「おー、こんな感じなんだ。」

「すごいよね、私も初めて入った時ビックリしたもん」

「わ、私もです・・・」

「やっぱり楓も・・・っと、やば・・・」

「うぇ?モンスター?」

「じゃなくて、本名を呼ぶのはマナー違反。だから、2人とも私のことはサリーって呼んで。本名をひっくり返してサリー」

「サリー・・・サリーだね!うん、覚えた!」

「わ、分かりました・・・」

「さて、まずはっと・・・」

 

白峯さん・・・もとい、サリーさんがステータスを確認する。覗いてみると、AGIが高くて、HPとVITには無振りのようだった。そういえば、教室で回避盾になるとかなんとか言ってたね・・・

 

「色んなステータスに振ってるんだね」

「いえ、多分それが普通だと思います・・・」

「ミルフィーの言う通りだよ・・・VITとMPとHPには取り敢えず今は振らないでおいたんだ」

「どうして?」

「全部回避して、ノーダメージならHPもVITもいらないからね!魔法を使うかどうかは分からないから…今はMPとINTは低めでいい。STRは武器である程度補えるしね」

「か、かっこいいですね・・・そういうの」

「色々考えてるんだねー」

「ふふふ・・・受け切ってノーダメの人とは考える量が違うのだよ。そういえば、結局ミルフィーのステータスってどうなってるの?」

「み、見ますか?ほら・・・」

「どれどれ・・・って、貴方も極振り!?」

「さっき、いろんなステータスに振るのが普通だって言ってたのに!?」

「えへへ・・・元々生産職になろうと思ってて、それで、普通に振り分けるのもつまらないかなって」

「へ、へ〜・・・」

 

学校で色々話しかけてくれたおかげか、2人とはそこそこ話せるようになった。こんな無口で暗くて陰キャな私にも2人は優しくしてくれた。まるで天使の様な人達だ。

 

「ご、ごほん!それでこれからどうするの、メイプル?」

「えっとね・・・」

 

メイプルさんの話だと、使ってる盾が相手の攻撃を全て飲み込んじゃうから相手の攻撃を受け止めることが条件のスキルを取れないのだそうだ。実際に飲み込んでいる現場を見たことはあるけど改めて言葉にすると恐ろしいな・・・それで普通の盾が作れないかイズさんに聞いたところ、南の地底湖のにいる魚の鱗が素材として必要になるらしい。

 

「だから、一緒に行ってくれないかな?」

「えっと、いいですよ」

「わかった、行こう!」

 

行き先は決まった。私の分の釣り竿はあるので、まず2人の分の釣り竿を買おうとしたのだけれど・・・

 

「まっ、待って、速いよ〜」

「ま、待ってくださいぃ〜」

「ああ、ごめんごめん。これでも速かったか・・・うーん」

「あ、フィールドに出たら、私が運びましょうか?」

「「え?」」

 

さて、と。ひと働きしますか・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」

「えい!・・・えい!」

 

私達がどのように移動しているかというと、絲を使って移動していた。具体的には2人の身体を絲で巻き付けて持ち上げ、残った絲で前方の地面を絲で掴んで収縮させるのを繰り返す事で高速で移動していた。我ながらとんでもなく変則的な動きだと思う。絵面もまるで、誘拐犯みたいだし。

 

「こ、これ、速いけど、ちょっと酔いそう・・・」

「ご、ごめんなさい・・・」

「もう少し、速度を落として欲しいかも・・・というか、ミルフィーは兎も角メイプルは平気なの!?」

「?うん、大丈夫だよ?」

「あ、そうなんだ・・・」

 

この絲を使った変則移動はサリーには不評のようだった。慣れると楽しいのに。

そうこう言っているうちに目的の場所に到着した。

 

「と、到着です・・・」

「な、なんか疲れちゃった・・・」

「私は楽しかったよ!」

「ご、ごめんなさい・・・で、でも釣りは得意だからま、任せて!」

 

そして、私達は釣りを始めた。のだが・・・

 

「えい、えい、えい!」

「入れ食いだ〜!」

「流石はDEX極振りね・・・お、レベル6になった」

 

釣り始めてから一時間でメイプルは3匹、サリーは12匹釣って【釣り】スキルを習得した。ちなみに、私が釣った数は150から先は数えてない。

 

「これくらいあれば足りますか?」

「うん!ありがとう!でも、結構余りそう・・・」

「あー、私一つ試したいこと思い付いたから・・・ちょっと素潜りで魚を狩ってきてもいい?」

「え、そんなこと出来るんですか!?」

「出来ると思うよ?それに私、リアルでも泳ぎ得意だし!」

「そういうのも関係してくるの?」

「うん。リアルで泳ぎが得意とか、木登りが上手いとか、反射神経が良いとかいうのはプレイにも反映されるの。プレイヤースキルってやつ」

「泳ぎ、ですか・・・私は苦手ですね。プールや海にはあまり行ったことがないので・・・」

「へー、そうなんだ。まぁうちの学校はプールないしね・・・」

「前に一度だけ海に行ったことがあるのですが、その時は何故か、周囲の視線が痛くて・・・」

「「・・・・・・」」

 

あの時はちょっと怖かったかな・・・特に男の人の目線が私に突き刺さってて・・・女の人はそれほどでもなかっただけどね。

 

「まぁ、とにかく行ってらっしゃい。私は待ちますので・・・」

「あ、う、うん。分かった・・・」

「?」

 

心なしかサリーさんの元気が無い気がする・・・なんでだろう?

も、もしかして嫌われちゃった!?

 

「あ、あの・・・メイプルさん」

「・・・な、何かな?」

 

あれ、メイプルさんも元気がない!?どうして!?

私、何かやっちゃった!?

 




バーに色ついたぜいやっふぅ!
評価してくださった方、ありがとうございます!
感想もお待ちしております!

メイプル「胸が・・・うう」
サリー「胸が・・・うう」
イズ「あはは・・・」


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第二回イベントに向けて


掲示板形式で書くのが楽しいので初投稿です


 

532名前:名無しの大盾使い

皆もう二層には行ったか?俺は無事に二層に入ったぞ

 

 

533名前:名無しの槍使い

おう

ついさっき勝って二層入ったところだ

 

 

534名前:名無しの大剣使い

俺も無事に勝利

 

 

535名前:名無しの魔法使い

俺も

勝ったぜ

やったぜ

 

 

536名前:名無しの弓使い

何と俺も二層到達してるんです

 

 

537名前:名無しの槍使い

あれ?俺ら割と強くね

 

 

538名前:名無しの大剣使い

メイプルちゃんやミルフィーちゃんがさっと二層にいってもついていけるようにレベル上げてたら…

 

第一線の仲間入りですよ

 

 

539名前:名無しの弓使い

俺もそれだわ

 

 

539名前:名無しの大盾使い

そんなメイプルちゃんだがまだ二層に行ってないっぽい

っていうかミルフィーちゃんがメイプルちゃんと誰かとパーティー組んだ表記が俺のフレンド欄に出てるんだけど

 

 

540名前:名無しの弓使い

俺それ見たぞ多分

 

 

541名前:名無しの魔法使い

ちょっとそれ詳しく

 

 

542名前:名無しの弓使い

名前はわからないが初期装備だったし仲よさそうだったからリア友だと思う。2人ともミルフィーちゃんとも仲良さそうな雰囲気だった

 

 

543名前:名無しの大剣使い

その子の武器は?

 

 

544名前:名無しの弓使い

短剣だったはず

 

 

545名前:名無しの魔法使い

意外

魔法使いか弓使いだと予想してた

 

 

546名前:名無しの槍使い

俺も

 

 

547名前:名無しの大盾使い

まあ三人で戦うならその構成は良くないな

だが…メイプルちゃんとミルフィーちゃんの友達だろ

果たして普通の初心者なのか

メイプルちゃんタイプの初心者かもしれん

 

 

548名前:名無しの魔法使い

確かにありうる

 

 

548名前:名無しの弓使い

メイプルちゃん「極振りは強いよ!」

友達「そうなの!?じゃあそうする!」

 

これ

 

 

549名前:名無しの大剣使い

結局ミルフィーちゃんのステータスについてはメイプルちゃんと一緒に考察班が考察してたけど結局ほとんど分からなかったんだよなぁ

 

 

550名前:名無しの槍使い

スキルに関しても糸を出すやつと瓦礫みたいなの出すやつくらいしか判明しなかったもんな。ステータスに至っては完全に不明

 

 

551名前:名無しの魔法使い

あれ凄かったよな。あのドレッドを倒してたし

 

 

552名前:名無しの大盾使い

瓦礫をぶんまわす前に糸を左右に出して逃げ道を塞いで鎖鎌の鎖を伸ばして空中に回避させたのも秀逸だったよな

 

 

553名前:名無しの弓使い

たしかに。あんなに小さい身体なのに度胸あるよな

 

 

554名前:名無しの大剣使い

わかる

 

 

555名前:名無しの槍使い

まあその友達も多分勝手に頭角を現してくるだろ

次のイベントっていつだっけ?

 

 

556名前:名無しの大盾使い

今からだいたい一ヶ月後で時間加速させてゲーム内とリアルの時間がずれるらしい

んでイベントは二時間で途中参加と退場は時間加速の関係で出来ないんだと

運営が前回の盛況でイベントの開催スパンを短くしたらしい

 

 

557名前:名無しの魔法使い

運営ぐう有能

 

 

558名前:名無しの槍使い

一ヶ月あれば多分鍛えてくるだろうしプレイスタイルも見れるだろ

そこで判断出来る

 

 

559名前:名無しの大剣使い

あー早く次のイベント来いよー

その子の実力気になってしゃーない

 

 

560名前:名無しの弓使い

ミルフィーちゃんも気になる〜

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

イズさんにお店番を頼まれたので私は盾の素材集めに最後まで付き合えなかったから良く知らないけど、サリーさんが隠しダンジョンを見つけてクリアしたらしい。結局私が付き合えたのは最初の一日だけだったが役に立てたようでなによりだ。その間、私はイズさんやクロムさんと一緒にニ層に進出していた。

階層ボスは大きい鹿さんだったけど、クロムさんが攻撃を惹きつけている隙に私が絲で拘束して【装着・鉄塔】を駆使して倒した。この時クロムさんが「これがあのイベントの時の・・・」とつぶやき、イズさんが「強くなったわね〜」と言っていたのが妙に印象的だった。

 

「ふぅ・・・これで二層に行けますね・・・」

「なぁ、さっきのスキルは・・・」

「えと、森で隠しダンジョンっぽいのに入って手に入れたものです。」

「あら、言っちゃって大丈夫なの?」

「はい。2人とも良い人ですし、あのダンジョン出現場所がランダムなので。まあ、一部の人には知られている秘密のダンジョンみたいですけどね」

「あー、そういえば聞いたことがあるな。けど、あんなスキルが取れるなんて聞いてないんだが・・・」

「そこら辺は秘密です」

「あまり深く聞いちゃダメよクロム?」

「ああ・・・」

「まぁ、実は絲の方はこの前のメンテナンスで弱体化したんですけどね・・・」

「あれでか・・・」

 

具体的には絲のステータスが4分の1から5分の1になった。それ以外には【装着・鉄塔】の瓦礫の威力が下方修正されたくらいだ。それでも階層のボスのHPの大半を削り取る威力はあるんだけどね。

 

ボスを倒した後は、第二回イベントに備えてイズさんのお店で裁縫をしてせっせとレベル上げに勤しんだ。その結果、レベルはかなり上がった。

 

 

ミルフィー

Lv28

HP 32/32

MP 25/25

 

【STR 0〈+15〉】

【VIT 0】

【AGI 0】

【DEX180 《+75》】

【INT 0】

 

装備

頭 【紫藍の髪飾り】

体 【金麗眩のドレス】

右手 【煌金の鎖鎌】

左手 【空欄】

足 【金麗眩のドレス】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【ミドリシアの花飾り】

【ハンディリング】

【空欄】

 

スキル

【神業師】【大物喰らい】【短剣の心得Ⅳ】【裁縫Ⅵ】【気配察知Ⅰ】

【鍛治Ⅰ】【採集Ⅳ】【料理Ⅲ】【首狩り】【跳躍Ⅲ】【釣り】

【気配遮断Ⅱ】【採取速度強化中】【スラッシュ】【パワーアタック】

【ディフェンスブレイク】

 

 

ついにDEXの実数値が1000を超えた。これならイベントも大丈夫でしょう。イズさんによるとメイプルさん達も二層に来れたらしい。

 

「うーん、何しよう・・・ん?」

 

フレンドからメールが来た・・・あ、メイプルさんからだ。

なになに・・・「一緒にイベントに参加しない?」

私は「もちろん!」と返事をする。正直願ったり叶ったりだ。イベントは探索型らしいからね。人数が増えれば探索の幅も広がるだろうし。

 

「イベント、楽しみだなぁ・・・」

 




評価、感想お待ちしております

553名前:名無しの弓使い
たしかに。あんなに小さい身体なのに度胸あるよな←

この部分が「小さい身体なのに胸あるよな」に見えた人は先生怒らないので感想で教えなさい


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第二回イベント序盤


思っていたより長くなった
感想を貰えたので初投稿です


 

イベント当日。二層の町にて。

 

「あ、いたいた!ミルフィー!」

「こ、こんにちはメイプルさん、サリーさん・・・」

「うん?元気ないね、ミルフィー」

「ひ、人混みはまだ苦手で・・・」

「あー、たしかにそういう人もいるよね。うーん、初めてのイベントだしちょっと緊張するなぁ」

「前と同じくらい人がいるよ。やっぱりイベントにはみんな参加するんだね。」

 

 

二層の町にはたくさんのプレイヤーがひしめいていた。今回は開催時刻前から待っていたので、少しだけ酔ってしまった。それにしても、気合の入ってる人達が多い。

 

「あ、クロムさん!」

「おお、久しぶり。盾、新しくなったんだな」

「はい!悪食はいざという時に取っておこうと思って」

「そっちが噂の友達か?」

「はい!サリーです」

「うぇ?噂のって?」

「?噂ってなんですか?」

「ああ、いや!何でもないんだ・・・」

 

その時、歓声が聞こえた。

 

「いいか!このイベントで、我ら『炎帝の国』の名を高らしめるのだ!約束しよう。私と共にある限り、勝利の二文字あるのみだと!炎帝の国、そのメンバーである誇りを胸に地の果て、空の彼方までも付いてくるがいい!大地も空も、私達の情熱の炎で焼き尽くそうではないか!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「おお!気合い入ってるー!」

「あれは『炎帝の国』って言うグループだ」

「えんてい?」

「炎の帝って書いて炎帝。リーダーが強力な炎使いでな」

「あの人は確か第一回イベントで四位だった人だよね?」

「ああ。相当な実力者だぞ」

「へ〜、ミィさん!かわいい名前だけど凄いんですね!」

「・・・?」

「ん、どうしたの、ミルフィー?」

「いや、あの人から少しだけ私と同じオーラを感じました・・・」

 

ミィさん、なんだか私と同じ臭いがする気がする・・・なんでだろう?あんなにカリスマ性のある人と私とじゃ似ても似つかない筈なのになぁ。っと、そろそろ始まりそうだ

 

「ガオ〜!まもなく第二回イベントのカウントダウンが始まるドラ!今回のイベントは探索型、目玉は移転先のフィールドに散らばる500枚の

銀のメダルだよ!これを10枚集めることで金のメダルに!金のメダルはイベント終了後、装備やスキルに交換できるドラ!」

 

「あ、こないだ貰ったのと同じ・・・」

「その金のメダル、私とメイプルさんは貰ってましたよね?」

 

「前回イベント12位以内の方は、金のメダルをすでに一枚所持してるね。プレイヤーキルをして奪い取るも良し、我関せずと探索に励むも良しドラ!」

 

「あれ、ただの記念品じゃなかったんだ!」

「私もそう思ってました・・・」

「俺も11位だから、メダルは貰ってる。盗られないよう気を付けないとな」

「はい!」

「が、頑張ります・・・!」

 

「それではカウントダウン!5!4!3!2!1!・・・」

 

第二回イベントの幕が開いた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ここは・・・平原みたいですね。」

「わぁ・・・すごーい!」

「うん・・・きれいすぎてゾクゾクした」

「サリーとミルフィーと一週間ずっと一緒かぁ・・・冒険旅行って感じでわくわくするね!」

「それはゲーム内の時間でしょう?リアルでは2時間なんだから」

「たしか、そうでしたね。それにしてもきれい・・・」

「よーし、3人合わせて目標メダル30枚!」

「頑張って探そー!」

「「「おー!」」」

 

そして、行動を開始したのだが・・・

 

「・・・行けども行けども草ばかり・・・」

「ヒントとかってないのかな・・・」

「うーん・・・」

「そうだなぁ、迷宮の隠し財宝だったり、ボスキャラがドロップしたらっていうのは定番だけど・・・メイプルはどう思う?」

「?あれっ?」

 

平原を歩いていたら、急にメイプルさんが消えた!?

 

「え!?メイプル!?」

「い、一体何が・・・」

「おーい、サリー!ミルフィー!」

「ど、どこ?どこに隠れているの?」

「下ー!下だよー!」

「下・・・?どういうことでしょう?」

「下・・・?なにこれ、トラップ?」

 

サリーさんが地面を触ろうとすると、手がすり抜けた。そのまま顔を突っ込んだ。

 

「サリー!おーい!」

「大丈夫ー?結構深いみたいだけどー?ダメージとかは?」

「うん!全然平気!ノーダメージ!」

「ああ、そうだよね・・・」

 

どうやら、メイプルさんは落とし穴に落ちてしまったようだ。私も地面に顔を突っ込むと12mくらい下に地面がある洞窟のような場所だった。こんな深さから落ちてもノーダメージって・・・メイプルさん、すごく硬いなぁ・・・

 

「私の絲で引っ張り上げましょうか?」

「ちょっと待って!この穴、横にも続いているみたい!」

「横に・・・?ちょっと待ってて!そっち降りる!」

 

そう言うとサリーさんはサッと飛び降りた。私も絲で自分の身体を支えてながらゆっくり降りる。

 

「その絲、便利だね・・・うーん、隠しダンジョンかな?」

「行ってみる?」

「うん、当然!」

「頑張りましょう!」

 

 

それからしばらく歩くと、いかにもボス部屋に繋がっていそうな大きな扉が鎮座していた。

 

「おお!本当にあった!」

「準備は良い?じゃあ、開けるよ?」

「わかりました」

「うん、おっけー!」

 

サリーさんが扉を開けた。暗い部屋の中に私達は足を踏み入れる。しかし、ボスらしいモンスターは見当たらない。絲を伸ばしても岩の感触しか感じない。

 

「何もない・・・?」

「ハズレでしょうか・・・」

「いや、絶対に居るはず・・・!」

「くぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

「っ!【カバームーブ】!」

 

咄嗟にメイプルさんがスキルを発動し私とサリーさんを庇う。たしか、そのスキルはAGIを無視して5m以内の味方の元に移動できるが被ダメージが二倍になるやつだったはずだ。襲ってきたのはこのゲームに出てくるゴブリンの親玉みたいな見た目をした奴だった。どうやら天井に張り付いて奇襲してきたようだ。

 

「ナイス、メイプル!」

「ありがとうございます!」

 

サリーさんが相手に向かって走り出す。そして、何故かメイプルさんがその後を【カバームーブ】で追いかける。いや、そのスキルはそう使うものではないのでは?

 

「うぇ!?」

「【カバームープ】!・・・ぐっ!」

「メイプルさん!?」

「ノックバック!?メイプル、大丈夫!?」

 

ボスゴブリンの攻撃でメイプルさんが吹っ飛ぶ。いくらVITが高くてもノックバックは防げないのか・・・!けど、メイプルさんは無傷らしかった。

 

「ふふん!ダメージ0は何倍しても0!」

「ふふ・・・なら私も。【超加速】!」

 

すごい勢いでサリーさんが走る。ドレッドさんにも負けてない。その勢いのまま、ボスに連撃を浴びせる。

 

「【ダブルスラッシュ】!【ウィンドカッター】!【パワーアタック】!【ダブルスラッシュ】!」

「くぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ボスが悲鳴を上げ、苦し紛れに攻撃を繰り出すが、サリーさんは余裕を持って躱す。その間に私は背後からボスの足に絲を伸ばす。

 

「いいの?私なんか追いかけて?」

「せいっ!」

「ぐぎゃあ!?」

「やー!」

 

ボスをぐるぐる巻きにして思いっきり上に放り投げる。そして、首目掛けて斬りつける!

 

「【跳躍】!そして、【パワーアタック】!」

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

赤黒いエフェクトが出たから多分【首狩り】の効果が発動したのだろう。ボスはそのまま一際大きな悲鳴を上げて、その巨体を輝く光に変えて消滅した。

 

「ふぅ・・・」

「やったー!いきなりだったねー」

「だね。で、さっきの謎の挙動は何?」

「カバームーブのこと?これ、良いよね!使うとダメージが倍になっちゃうけど、これならついていけるよ!」

「移動スキル代わりに使うのなんてメイプルだけなんじゃ・・・」

「あ、あれ、宝箱じゃないですか?」

 

宝箱と同時に、転移の魔法陣も出現した。

 

「じゃあ、開けるよ?」

「はい!」

「うん、開けちゃって!」

 

宝箱の中身は、メダルが3枚あった。

 

「おお!3枚もありましたよ!」

「やったね!」

「ええ!これも、メイプルがドジって落とし穴に落ちてくれたおかげだね!」

「も、もう!あれは誰も気付かないよ〜!」

「まあまあ、次からは私が絲を出して警戒しておきますから・・・」

 

その後、とりあえず私達は転移の魔法陣に乗ってその場を後にした。

 




第一回イベント順位
一位ペイン 【聖剣】
二位ミルフィー 【首狩り姫】
三位メイプル 【移動要塞】
四位ミィ 【炎帝】
五位ドラグ 【地割れ】
六位ドレッド 【神速】
七位???【???】
八位カスミ
九位シン 【崩剣】
十位マルクス 【トラッパー】
十一位クロム
十二位ミザリー 【聖女】
???の人は後々集う聖剣に入ります。
後炎帝の国と楓の木にも1人づつ入ってきます。
ミルフィーちゃんは本当はドレッドが倒すはずだった人達を横取りしたので二位になれたのでした
メダルは300枚はちょっと少ないと思ったので増やしました


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VS銀翼


戦闘シーン描くのがとても難しかったので初投稿です


 

「さてと。2人とも、次はどうしよっか?」

「取り敢えず、前進してみよ!」

「そうですね、あの高い山にも何かありそうですしね。」

 

平原に戻った私達は、取り敢えず山に向かうことになった。

そして、翌日。なんとか私達は山の頂上付近に到着した。

 

「着いた〜!」

「もうクタクタです〜」

「もう、2人とも情けないなぁ。む、あれは・・・」

 

あれは魔法陣?あれ、後ろから誰か来てる・・・警戒しなきゃ。

 

「2人ともちょっと来・・・!」

「誰ですか?・・・っと」

「!?」

 

背後を見ると、クロムさんと多分そのパーティメンバーさん達がいた。

 

「クロムさん?」

「なんだ、クロムさんですか・・・」

「おう、メイプルとミルフィーか!あとそっちはサリー・・・だよな?」

「・・・はい」

「ああ、戦闘の意思はないぜ」

「その通りだ」

「やり合う気なんてないよ」

「私も知っている人とは戦いたくないかな・・・」

「私もそれはちょっと・・・」

「まあ、2人がそう言うなら良いけど・・・でも降りかかる火の粉だったら、払ってたとこです」

「おお、おっかないなぁ」

 

結局、メイプルの提案で先にクロムさん達が魔法陣になることになった。クロムさん達は礼を言って魔法陣に乗ったのだが・・・

 

「・・・あれ?」

「再突入出来るみたい」

「なんで?1パーティしか入らないんじゃなかったの?」

「可能性は2つ・・・」

「メダルを回収だけですぐに終わったか、強力なモンスターに瞬殺されたか、でしょうか・・・」

「・・・」

「どうする?」

「・・・行こう」

「分かった。でも何があるか分からない。メイプル、悪食を使えるようにしといて。ミルフィーも糸で警戒を続けて」

「うん」

「わかった」

 

メイプルさんが盾を持ち替えた後、私達は魔法陣に乗った

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

転移した先は、円形の広い空間だった。壁は青く輝く結晶に覆われ、天井は吹き抜けになっている。

 

「誰もいない?」

「うん・・・」

「絲にも反応はないよ」

 

私がそう言った直後、上空から轟音と共に、何かが高速で広間に撃ち込まれた。しかし、警戒していた私達は辛うじて後ろへと飛び退いて躱すことが出来た。それは鋭く尖った氷だった。それに続いて雪のような白の翼を持った怪鳥が急降下してくる。ギラついた目に鋭い嘴と爪、強者の持つ風格をその身に纏い怪鳥は広間に降り立った。女王カマキリの時のような和解の道など最初から存在しないだろう。

 

「かなり強敵っぽいね・・・でも負けられない」

「うぅ、強そうです・・・」

「来るよ!【カバー】!」

 

メイプルさんが盾をサリーさんに預けて怪鳥の放った氷の攻撃をその身一つで受け止める。すると、怪鳥は大きな氷塊を放ってきた。それもメイプルさんが盾を持って受け止めた

 

「よし、反撃だよ!」

「【絲弾】!」

 

私がスキルで怪鳥の気を逸らし、サリーさんが突っ込んで行く。しかし、怪鳥が一鳴きすると、地面から氷が突き出して来る。まずい!?

 

「危ない!?」

「やば!」

「【カバームーブ】!」

「ナイスタイミング!」

 

メイプルさんが咄嗟に庇ったのでサリーさんは無事だった。ヒヤヒヤさせないでほしい。

 

「【超加速】!」

「【カバームーブ】!」

 

2人がほぼ同時にスキルを発動する。怪鳥はメイプルさんに襲い掛かったけど、【悪食】付きの盾で片脚を削り取っていた。

 

「えーい!【毒竜(ヒドラ)】!」

 

第一回イベントでも見せた三つ首の竜が怪鳥に襲いかかる、が・・・

 

「どうだ!?」

 

怪鳥はなんと毒竜を凍らせて砕いた。HPゲージもほとんど減っていない。

 

「全然減ってない!」

「うそ・・・」

「来ますよ!」

「【カバームーブ】!」

 

盾を渡す暇もなくメイプルさんが怪鳥の氷の礫の攻撃を受け止める。悪食の回数がまた削られてしまった。

 

「【瞑想】!」

「【ヒール】!」

 

あのメイプルさんがダメージを受けているということはあの攻撃、貫通攻撃!?どうする?あの怪鳥には絲が全くと言って良いほど効かない。

このままだとジリ貧だ。

 

「行くよ・・・」

「うん・・・!」

 

サリーさんが突っ込み、怪鳥が攻撃してくる。それをサリーさんはすごい速さで躱していく。え、すご。なにあれ、なんかのスキル?

そして、すれ違いざまに斬撃を喰らわせる。

今度は、怪鳥がメイプルさんに向かって直接攻撃しようとする。

 

「・・・!ここ!はぁぁぁぁ!」

 

メイプルさんが悪食の盾で迎撃する。怯んでいる内にサリーさんが怪鳥の上に飛び乗った。

 

「【大海】!」

「【毒竜(ヒドラ)】!」

 

サリーさんが大量の水を発生させるらしきスキルを使い、メイプルさんが追撃する。すると・・・

 

「う、何か来ます!」

「【カバームーブ】!【カバー】!」

 

怪鳥がすごく太いレーザーを放ってくる!しかし、メイプルさんが身を挺して私達を守った。地面が抉られている・・・メイプルさん以外が受けたら即死だったね・・・

 

「悪食はあと一回・・・」

「うん、分かってる」

「了解です」

 

すると、怪鳥が空に舞い上がってその白く輝く翼を闇すら飲み込むような漆黒に染めていった。そして、こちら目掛けて物凄い勢いで突進してくる

 

「来るよ!」

「【カバー】ッ!!」

 

真正面から怪鳥が突進してくる。空気が震え、地面にも伝わるほどの衝撃がメイプルさんを襲う。そして

 

「えっ・・・!?」

「なっ!?」

 

怪鳥の突進はメイプルさんを吹き飛ばしただけでなく、なんと大盾と防具までも破壊してしまった!

そして、怪鳥は再び空高くに飛び上がる。まだ余力があるのか・・・!

 

「メイプル!こっち!」

「く、【カバームーブ】!」

 

怪鳥が先程と同じ様に突進してくる。そして、またメイプルさんが前に出る。だ、大丈夫なの!?

 

「【カバー】!!」

 

突進を受けたメイプルさんは、またも吹き飛ばされてしまった!しかし、盾も鎧も壊れていないし、怪鳥も疲れてるのか少しのけぞった。

 

「メイプル!」

「メイプルさん!?」

「大丈夫!やって、サリー!ミルフィー!」

「・・・メイプルの作ったチャンス、絶対無駄にしない!」

「行きます!」

「うん!」

 

サリーさんが跳躍して怪鳥目掛けて突っ込んでいく。?いや、あれは・・・なるほど。

怪鳥は、空中にいるサリーさん目掛けて氷の礫を飛ばしてくる。が・・・

 

「スキル【蜃気楼】・・・私のとっておきはどう?」

 

空中にいたサリーさんの姿は掻き消え、気付くと怪鳥の足元にいた。

 

「【毒竜(ヒドラ)】!!!」

 

メイプルさんが渾身の攻撃を繰り出す。怪鳥は飛んで逃げようとするが、

 

「逃がすかっての!」

 

絲で拘束してその場に釘付けにする。そして、怪鳥はメイプルさんの攻撃を受け遂にその身を地面に落とし、光り輝く粒子になって消滅した。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「や、やった・・・勝った・・・!」

「疲れたぁ・・・」

「お疲れ様です・・・あまり役に立ちませんでしたね・・・」

「そんなことないよ。最後、糸で相手を拘束してくれなかったら躱されてたかもしれなかったし」

「そう言ってもらえるとありがたいです・・・」

「そうそう、最後ヤバくなかった?やられちゃったかと思ったよー」

「あの瞬間新しいスキルが手に入ったみたい。えっと、これかな?

【不屈の守護者】。HPが一割以下の時に味方を庇うと習得出来る大盾専用スキル。一日に一度だけ、どんな攻撃もHP1で耐えられる、だって」

「なるほどね〜・・・って、それがなかったらやられてたってこと!?HP1!?」

「あはは・・・そうみたい、うぇ!?」

「笑い事じゃないですよ!?」

「【ヒール】!【ヒール】!【ヒール】!【ヒール】!【ヒール】ゥ!」

「早くポーション飲んでください!私の分あげますので!」

 

どうにも締まらないなぁ・・・

 

 




評価、感想お待ちしております!

運営A「銀翼がやられた!」
運営B「この人でなし!」




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新しい仲間と刀使い

今回、早見んが登場するので初投稿です


なんとか怪鳥を倒した私達は、その怪鳥の巣らしい場所にいた。そこには、メダルが5枚と何かの卵が3つあった。

 

「これは、怪鳥の卵でしょうか・・・?」

「いや、二つは大きさも色も違うし…何処かから拾ってきたとかも……何の卵かも分からないかな」

「これも持って帰れるのかな?」

 

卵はそれぞれ深い緑色、白色、鮮やかな黒色をしている。

 

「どっちにする?」

「メイプルさんが先に選んでいいですよ」

「じゃあ……緑が好きだからこっちで!」

「それじゃあ、私はこっちのね」

「では、私はこれを」

 

私が貰ったのは鮮やかな黒色の卵だ。卵の情報を確認すると、

 

【モンスターの卵】

温めると孵化する。

 

とだけ出た。

 

「情報が少ないですね・・・」

「もしかしてテイムできるのかな!?ペットみたいに連れ歩いたりとか!」

「ペット!?いいね!」

 

ペットか・・・私はペットなんて飼ったことないからちょっと不安だ。

ふと下を覗くと転移の魔法陣が3つ現れていた。

 

「とにかくここから移動しようか。転移先、選べるみたいだけど」

「しばらく戦闘がないところが良いなぁ」

「それは同感・・・」

「戦闘になったら主に私が戦いますよ。お二人は私に任せて下さい。今回はあまり活躍も出来なかったので」

「その時はお願い!」

 

そんな問答の後、私達は魔法陣に乗り込んだ。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

その後、特に戦闘もなく、強いて言うなら崖から降りる時にメイプルがメダルを一枚見つけたくらいで無事にイベント三日目を迎えた。

しばらく川辺に座って卵を温めていると、卵がパキパキと音を立てて割れ始めた。

 

「「「わぁ・・・!」」」

 

深い緑色の卵から生まれてきたのは卵と同じ色の甲羅を持つ亀だった。亀だからか、動きはゆっくりとしている。

白の卵から生まれてきたのは雪のような白の体毛を持つ狐だった。狐は体の感覚を確かめるように数回伸びをした。

鮮やかな黒色の卵からは真っ黒な体毛を持つ黒猫が生まれた。狐と同じように伸びをしている。

三匹とも私達に擦り寄ってきた。

 

「「かわいい〜!!」」

「か、かわいいです〜!」

 

三匹のかわいさに悶えていると、卵の殻が指輪になった。手に取って見てみると、【絆の架け橋】というアイテムだった

 

【絆の架け橋】

装備している間、一部モンスターとの共闘が可能。

共闘可能モンスターは指輪一つにつき一体。

モンスターは死亡時に指輪内での睡眠状態となり、一日間は呼び出すことが出来ない。

 

「あはは、くすぐったいよー!」

「んー、もふもふ〜・・・あっ、この子のステータスが見れるようになってるね」

 

指輪の効果でしょうか?たしかに自分のステータス表示の下にもう一つステータスがあるので確認してみます。

 

ノーネーム

Lv1

HP 60/60

MP 60/60

 

【STR 60】

【VIT 10】

【AGI 150】

【DEX 75】

【INT 45】

 

スキル

【引っ掻き】

 

 

流石はモンスターなのか、ステータスはプレイヤーよりもかなり高いです。

 

「ノーネームってことは…名前をつけてあげないとだね!」

「そっか、それもそうだね」

「わ、私はそういうの苦手です・・・」

「この子の名前はシロップ!むふふ…私と合わせてメイプルシロップだよ!」

「じゃああなたは朧、朧でどう?」

「えーっと、えーっと・・・エクレア!エクレアはどうかな?」

 

黒猫ことエクレアは名前を付けてもらって嬉しかったのか、顔をさらに擦り付けてきた。かわいい。

 

「AGI150!?」

「あ、メイプルとミルフィーよりも速い・・・」

「い、いや、私は絲使えばもっと速いし・・・」

 

結局その後は、三匹のレベル上げだけで3日目は終わった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

イベント4日目、私達は砂漠に足を踏み入れていた。エクレア達はレベルアップして【休眠】と【覚醒】というスキルを覚えた。【休眠】は三人の指令で指輪の中で眠って安全に体力を回復させるスキル。【覚醒】は三人の指令に応じて指輪から出てくるというスキルだ。現在は三匹は指輪の中で眠っている。砂漠だと三匹とも不快だろうしね。

しばらく歩いていると、オアシスが見えてきた。

 

「あ!あそこで休憩出来そう!」

「蜃気楼じゃないと良いけど・・・」

「多分本物だと思いますが・・・にゅ?」

「ん?どうかしたの?」

「・・・木の影に誰か居ます。ここは、知らないふりをしてのこのこ出てきたところを襲いましょう」

「・・・ミルフィーはなんだか発想が物騒じゃない?」

「そうでしょうか?」

 

普通のことだと思うんだけどなぁ・・・それよりも。

 

「絲を斬られた。砂漠だと保護色で気付からにくいはずなのに、ね。」

「多分、かなり強い人ってことかな?用心して行こう!」

「うん!」

 

そして、オアシスに到着した時。

 

「前回2位のミルフィーと、3位のメイプルだな。」

「えっと、どちら様でしょう?」

「・・・本当は気付いていた癖に」

 

む、流石にそう思われるだろうな。なにせ、絲を認識されているのだし。

そこにいたのはやってきたのは和服を着た女性だった。桜色の着物に紫の袴。そして刀を一本装備しているのがぱっと見て分かる特徴だろうか。

 

「持っているのだろう?金のメダルを・・・」

「たしか、この人は・・・」

「前回イベント八位のカスミさん、ですよね?」

「ああ、そうだ」

 

しばしの間、構えで睨み合う。

 

「・・・三対一では分が悪過ぎる、か。」

「喧嘩売っておいて、はいそうですかって逃すと思う?」

「喧嘩は・・・相手を見てするものですよ?」

 

 

・・・・・・・・・

 

 

「・・・【超加速】!」

「【超加速】!」

 

・・・・・・あれ?

 

「え?えー!?待ってよ〜」

「置いていかないでください〜」

 

私とメイプルさんは仲良く二人でノロノロと2人を追いかけ始めた。

 

 




卵は「3つ」あったッ!!
評価、感想お待ちしております!

カスミ「蟲の呼吸 一の太刀 陽炎!」
サリー「混ざってる混ざってる」

10/25 誤字修正しました。指摘してくれて方ありがとうございます!


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極光の射手の襲撃

感想欄が胸のことばかりだったので初投稿です



「何故【超加速】を・・・」」

「私のこと舐めてました?」

「そうではないから引いたのだがな・・・」

 

サリーとカスミ、二人の超加速が切れる。そこは大きな砂丘に囲まれた谷間だ。逃げ場もなく見通しも悪い。先に動いたのは・・・

 

「【一ノ太刀・陽炎】」

 

カスミだった。彼女の姿が揺らいで消える。

そして、次の瞬間にはサリーの目の前に現れていた。

横薙ぎに振るわれた刀がサリーの胴体を深く切り裂く。

 

「なにっ!?」

カスミが驚く。サリーだったものは目の前で空気に溶けるように消えてしまったのだ。

 

「皆、最初はそういう反応をするんですよ」

「くっ!?」

 

すれ違いざま、サリーはカスミを両手の短剣で斬りつける。カスミの身体からエフェクトが飛び散る。

位置を替えて2人が再び構えた、その時。

 

「う、うわぁ!?止まってーーーー!!?」

「あわわわわ・・・!?」

「め、メイプル!?とミルフィー!?」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「あ、あの!メイプルさん!?これ止まれるんですか!?」

「えーっと!無理かも!?」

 

2人の後を追いかけようとしたのは良いものの、全く追いつけそうにない。どうしようかと悩んでいると、メイプルさんが「盾をソリみたいにして滑って行こう!」と提案したので私はその案に乗りました。メイプルさんに絲を巻き付けて、後ろから引っ張られながら移動していたのですが、止まらなくなってしまいました・・・

 

「う、うわぁ!?止まってーーーー!!?」

「あわわわわ・・・!?」

「め、メイプル!?とミルフィー!?」

 

大きく飛んだ後、私達は2人の間に派手に砂を巻き上げながら着陸しました。私はメイプルさんが下敷きになってくれたので無事でした。って違う!早く退かないと!?

 

「わわわ、ご、ごめんなさい!?」

「いいのいいの!・・・って、うぇ!?」

「!?メイプル!?」

「なにっ!?」

 

落下の衝撃がトリガーになったのでしょうか、流砂が発生してカスミさんも含む4人を沈めようとしてきます!

 

「そ、そうだ!絲を使えば!」

 

私は2人に・・・いや、カスミさんにも伸ばすべきか?いや、こうなった原因は私とメイプルさんだし押し付けるのもなんかなぁ・・・あ、絲切られてたんだった!?まずい!

 

「【絲生成】!せいっ!」

 

【絲生成】には約2秒ほどのラグがある。普段ならそこまででもないけど、咄嗟に使うとなるとかなり厳しい。結局、自分自身しか流砂から逃れられなかった。

 

「うう・・・2人ともごめんなさい・・・」

 

メールで2人に謝罪する。すると、「気にしてないよ」と返事が来た。あの人達は菩薩か何かですか?私だったらタバスコをぶっかけるくらいするかもしれないのに。

 

「・・・何しよう?」

 

取り敢えず、周囲の探索でもしておきますか。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

オアシスの湖の中に一枚。砂の中にニ枚。合計3枚のメダルを見つけた。砂の中にあったメダルを見つけたのは絲を駆使して力技で見つけたのだけれど、かなり疲れた。まさか、地下5メートルくらいのところに埋まってるんですもん。大変でしたよ、ええ。

日が落ちかけてきている。サリーからのメールによると、どうやら3人は隠しダンジョンにいるらしいが、まだ脱出して来ないみたいだ。やられてしまった訳ではないみたいだけど、少し不安だ。

 

「ふぅ・・・ん?」

 

今、気の所為かもしれないが何かが光ったような・・・?

 

「なんだろ・・・!?」

 

ビュン!と音を立て、近くの地面に何かが刺さっていた。咄嗟に絲で移動していなければ、恐らくそれは私の頭に突き刺さっていただろう。それはすでにお日様が沈んでいるものの、はっきりと視認できる。何故ならそれ自体が光を放つ矢だったからだ。しかし、それはすぐに何事もなかったかのように消えてしまった。

 

「まさか、狙撃!?」

 

私は咄嗟に砂山の影に隠れようとするが、光の矢が正確に私の頭部を狙って飛んで来る!偏差射撃もできるのか!?それに、光の矢って確か・・・

 

「ぐ・・・」

 

こうなればひたすら動き続けるくらいしか方法はないだろう。

もう周囲はかなり暗いのに射撃の狙いは正確だ。

 

「どうする?このままだといつかきっと当たってしまう・・・」

 

実際、絲を使った変則的移動はかなり動きが読みにくく、速い筈だ。しかし、相手は既に対応し始めている。こうなれば・・・

 

「光の矢を受けるのを覚悟して突っ込む!」

 

何回も光の矢を見ているので、射手の大体の位置は分かる。その方向に向かって全力で移動する。矢の狙いは主に頭なので、絲を頭に巻いておく。こうすることで、メイプルさんの半分くらいのVITが見込める。

 

「【装着・鉄塔】!やぁー!」

 

瓦礫を出鱈目に振り回す。すると、人影が一瞬だけ見えた。多分、あいつが矢を撃っていた下手人だ。そいつは綺麗な着地を見せるとこちらに向き直った。

私より少し高い程度の身長で、髪は肩に掛かるくらいで綺麗な茶色をしている。女の子のようだ。そして、これらの特徴からして・・・

 

「前回七位の【極光の射手】ティアラさん、ですよね?」

「ええ、そうよ」

 

やっぱり・・・

 

「そういう貴方は二位の【首狩り姫】ミルフィーかしら?」

「・・・」

 

その名前はやめてほしい。なんというか、気恥ずかしい・・・というか、見た目の割に言動がかなり大人っぽい。多分、私より大分年上だ。

 

「大人っぽい・・・」

「!?」

 

思わず私がそう呟くと、ティアラさんの肩をビクンと跳ねた。

 

「・・・わ。私は、大人っぽいか?」

「?えっと、はい」

「!!?・・・そ、そんな褒めたって何も出ないからな!」

 

あれ、この人意外とチョロい?

しばらく不思議な沈黙が訪れたが、そこに3つの人影が現れた。

 

「おーい、ティアラ?何してん・・・なるほど」

「気づいたら姿が見えなかったが・・・そういうことか」

「おう、久しぶりだな・・・ミルフィーさんよぉ」

 

前回五位、一位、六位がいた。ドレッドさんだ・・・・・・

うん逃げよう。すまない2人とも・・・

 

「逃げる!!」

「逃がすと思うか!」

「わ、私は一度狙ったものは逃さない主義でな・・・!」

 

うわぁ!?追ってきた!?

 

「な、なんでそんなに追ってくるんですか!?」

「前のイベントの仕返しだ!」

「獲物を仕留め損なうなど、一生の恥だ!」

「こ、こっちに来ないでぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

この後の鬼ごっこは朝まで続いた。タスケテ・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」

 

私は息を荒らしながら密林の中にあった洞窟で座っていた。な、なんとか逃げ切った・・・もうやだ疲れた。途中で炎帝の国の人達がいたから巻き込んで来た。多分、あれがなかったら逃げ切れなかった。ごめんなさい、そしてありがとう炎帝の国・・・

 

「サリーさんとメイプルさんの居場所は・・・うわぁ、遠い・・・」

 

3人はあの後無事に脱出できたらしい。それは良かったのだが、2人とはぐれてしまった。合流しようにも闇雲に逃げ回ったせいでかなり遠くて難しい。おのれドレッドさん・・・まぁ逃げ回ってる途中で三枚もメダルが取れたけどね。と言うのも、轢き逃げした相手がちょうどメダルを持っていたらしい。

 

「さてと、合流しに向かいますか・・・ん?」

 

疲れていて良く分からなかったが、洞窟の向こうで何か輝いているようだ。もしこれがあのティアラさんの矢だったらもうログアウトしよう。

 

「よし、行ってみますか・・・」

 

私はなんとか息を落ち着かせてから洞窟の奥に向かった。

 




評価、感想お待ちしております!
ぶっちゃけとっとと第二回イベント終わらせたい

【極光の射手】ティアラ
作者が「原作に弓使う人いないなぁ。せや、追加したろ!」みたいなノリで生み出されたオリキャラ。灼眼のシャナのあの人とは関係ない。光の矢を高速かつ正確に放つことを得意とする。
背の低さがメイプル以上のコンプレックスで、指摘されると烈火の如く怒り出す。実はフレデリカよりもよっぽど年上らしい。大人っぽいと言われると照れる見た目通りの面も持っている。胸はメイプルよりマシな程度。イメージCV茅野愛衣


フレデリカ「なんで私いなかったの?」
ティアラ「置いていかれたんでしょ(適当)」
7/6 ちょっと付け足しました。
7/19 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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友達なら

腰が痛いので初投稿です


「結構深いなぁ・・・うう」

 

洞窟は結構深かった。3時間は歩いたのにまだ先がある。わ、私は・・・いつまで歩き続ければ良いんだ・・・うう。

相変わらず奥には何か輝いているのが見えるが、あまり近づいてる実感がしない。どういうことだろうか・・・

 

「このままだと気が狂っちゃいそう。何かないかな・・・」

 

ストレージからランプを取り出し、あまり注目していなかった壁や床、天井をよく見てみる。すると、壁には何か文字が書いてあった。

 

「なになに・・・〈光を追い求めんとするものよ、先ずは目ではなく心で光を見よ。死を恐れず、真っ直ぐ進め。さすれば道は開かん〉・・・意味が分からない」

 

心で見るって何ですか、心眼ってやつですか?

全く分からないので取り敢えず目を閉じて歩いてみる。が、案の定こけそうになる

 

「おっとと・・・って、うぇ!?」

 

思わず目を開くと目の前の光景が洞窟からがらりと変わっていた。

まず目についたのはお花畑。綺麗なお花がいっぱい咲いています。赤色、黄色、白色・・・様々な色のお花が目一杯咲いていました。

また、綺麗な小川がある。水がとても澄んでいて、対岸には妙なことに霧がかかっていて見えない。

 

「・・・ふと思ったけど、ここって・・・」

 

・・・三途の川では?え、私死んだの!?いつ!どこで?いや、ここゲームの世界だよね!?大丈夫!?

 

「はぁ、はぁ・・・い、一旦落ち着こう・・・」

 

まず、多分私はどこかのマップに転移した。そ、そしてそこが三途の川によく似たマップだった。どういうことなの?

 

「いや、ヒントを思い出せ・・・確か、真っ直ぐ進めって言ってたはず・・・」

 

幸いにも、私はまだ一歩も動いていない。だから、壁に書いてあったことをまだ破っていない。

そのまま私は真っ直ぐに進んでみた。途中で川を渡ったが別になんともなかった。しばらく進むと、また急に景色が変わった・・・いや、戻った、というのが正解だろうか。

突然私は、洞窟に戻っていた。目の前には、キラキラ光る宝箱が置いてある。

 

「おお!良いものが入ってそう!」

 

私は心を弾ませながら宝箱を開けた。

 

『黄泉を渡る者のブーツ』

【HP −20】

【AGI−20】

【VIT−20】

【黄泉渡り】

 

【黄泉渡り】

5秒の間、半透明になって無敵になる。使用中に攻撃は出来ない。

一日一回のみ使用可能

 

 

「おおう・・・極端な性能」

 

一瞬かつ攻撃できないとはいえ無敵になるのは非常に強力だけど、マイナスが普通なら痛すぎる。私には無意味だけど。

これは中々の収穫ではないだろうか。私はホクホク顔で洞窟を後にした。出口は何故かすぐ側にあった。私の3時間は一体・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

洞窟から出ると、メイプルさんからメールが来た。内容は「合流しよう!」と「メダルいくつ?」というものだった。

 

「ええっと、「ぜひ合流したいです。メダルは8枚集まりました」っと」

 

どうやら私が洞窟でウォーキングに勤しんでいた間に、

向こうからこっちに近づいて来てくれたみたいだ。ありがたい。

あと、向こうはサリーさんがメダルを集めるためにPKして

メイプルさんがメダルを守る作戦をするらしい。

よし、じゃあまず近い方にいるメイプルさんと合流しましょう。

そしてそのついでにPKしてメダルを集めよう!

 

「さて、と。行きますか・・・」

 

 

 

絲を使って移動すること2時間程。

 

「お〜い、メイプルさ〜ん!」

「あ、ミルフィー!追いかけられてたらしいけど大丈夫だった?」

「・・・疲れました、とだけ」

「た、大変だったんだね・・・」

「うん・・・」

「あ、そうだ。この洞窟の奥に丁度いいレベルのモンスターがいるんだ!だからシロップと朧のレベル上げをしているんだけど、エクレアもした方が良いかな?」

「あ、お願い出来ますか?」

「もちろん!」

「ありがとうございます!メイプルさん!」

「あ〜、実はずっと気になってたんだけど・・・」

 

ん?なんだろう?

 

 

 

 

「‘さん’を付けなくても良いよ?」

 

 

 

 

え?え?

 

「もっと言うと敬語じゃなくていいよ!だって、もうミルフィーとは

友達だもん!サリーもきっとそう思ってるよ!」

「ふぇぇ!?そ、そんな、いきなり言われても・・・」

「それとも、友達じゃないの・・・?」

「そそ、そんなことないよ!」

 

この子は!涙目でそんなこと言われたら肯定出来るわけないじゃん!

 

「え、えっと、メ、メイプル・・・こ、こんな感じかな・・・///」

「あ、顔赤くなってる〜」

「も、もう〜言わないでよ〜///」

 

うう、だって人の名前を呼び捨てで読んだことなんてないもん・・・

 

「えっと、ミルフィーは行くんだよね?PK」

「う、うん」

「頑張ってね!そのかわりメダルは任せて!」

「分かった、メイプルさ・・・じゃなくて、えと、メイプル・・・」

「・・・ふふ!」

「も〜笑わないでよ〜///」

 

全くこの子は・・・もうっ。

私は赤くなった顔を隠しながらサリーさん・・・じゃなくてサリー・・・の元へ向かった。

 

「うう・・・呼び捨てだと気恥ずかしいよぉ・・・」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「お、ミルフィー!来てくれたんだ!」

「う、うん。え、えっと、さ、サリー・・・うう・・///」

「そう言えばメイプルがメールで呼び捨てで呼ばせてやって欲しいって言ってたね」

「も、もう!2人して揶揄わないで!」

 

顔がニヤニヤしてる・・・う〜、人のこと揶揄って・・・

 

「ほ、ほら!行くよ!さ、サリー!」

「ちょ、悪かった!謝るから置いていかないで〜」

 

私は揶揄われた腹いせとばかりにサリーと一緒に沢山のプレイヤーをキルした。

後になって知りましたが、私とサリーが2人で暴れた結果、その時の私達のことは『一対の悪夢』と呼ばれていたらしい。

 

 

 

 




うーん  ゆりは  いいぞ。

イズ「あら^〜」
フレデリカ「あら^〜」
カナデ「あら^〜」
ティアラ「今男居なかった!?」
カスミ「多分気の所為だろう(棒)」

7/7誤字修正しました。
指摘してくれた方、ありがとうごさいました!


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イベント終了

なんとか第二回イベントが終わったので初投稿です


「ふぅ・・・もう朝・・・」

「うーん・・・これだけやってたった4枚か〜。持ってる人って少ないんだなぁ」

「私達の運が良かっただけかもしれませんね・・・」

「そうだね」

 

夜通しPKを続け、なんとかメダルを目標の4枚手に入れることに成功した。

正直、途中から流れ作業みたいな感覚だったからかあまり記憶がない。

 

「さて、帰りますか!」

「うん!」

 

戻ると、メイプルが出迎えてくれた

 

「ただいまー、メイプル」

「ただいまです」

「あ!2人ともおかえり!」

「あ、メダルはちゃんと4枚集まったよ!」

「すごーい!これで30枚達成!」

「後は今日一日、ここで隠れてやり過ごそう!」

「だね!」

「あと、奥に弱い敵が湧いてたから朧達のレベル上げしといた!」

「うわ〜助かる〜。ありがとう!」

「ありがと・・・!」

「!」

 

出口の方向から足音が聞こえて来る。咄嗟に私とサリーが構える。

この人は、確か砂漠で会った・・・

 

「カスミ!?」

「何やら声が聞こえたのでな」

「どうしたの?こんな所に」

「最終日を前に対人戦が横行していてな。少し身を隠そうと思ったのだが・・・」

「だったら一緒に隠れてようよ!こっちこっち!」

「あ、ああ・・・」

「何をするんですか?メイプルさ・・・じゃないや、メイプル」

「まだ恥ずかしいの?」

「は、恥ずかしがってなんかないです〜!」

「あはは、そんな顔を赤くして言われてもね〜」

「ち、違います〜///」

「・・・随分と仲良くなったのだな」

「あ、そうだ。忘れてた。【毒竜(ヒドラ)】!

これで誰も入ってこれないよ〜」

「・・・そうね」

「ああ・・・」

「ですね・・・ははは」

 

そんなこんなで、私達はイベント終了までお話ししたりメイプルが持ってきたオセロなんかで遊びながら過ごし、気づけばカスミさんとも仲良くなっていた

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ガオガオ!みんなお疲れドラ!第二回イベント終了だよ!獲得したメダルが10枚を達成した人は————」

 

「あー、終わったー!」

「終わったな」

「終わっちゃったねー」

「終わりましたね」

 

楽しかったけど、とても疲れた7日間でした。

カスミさんが私達のメダル保持数を見て驚いた。

 

「すごいな・・・」

「うん!サリーとミルフィーが一緒だったお陰だよ!でも、それよりも・・・」

「「「?」」」

「色々なところに行ったし、いろいろな人にも会えた!

強いボスもいたし、謎解きもあったし!

すっごく濃厚な7日間だった!もう、今までのプレイ全部よりも内容濃いかも!」

「一言で言うと?」

「滅茶苦茶楽しかった!」

 

・・・こんなかわいいこと言うから、こんなに周りの人に親しまれているんだろうなぁ。

 

「あと、照れたミルフィーも見れたし!」

「な!?ちょ、ちょっと〜やめてくだしゃい・・・!///」

「あ、噛んだ」

「噛んだな」

「噛んだ!」

「も、もう〜・・・」

 

全く・・・そんなこと、すごい笑顔で言わないでよ・・・もうっ!

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

私の視界はステータスプレートと同じ青に埋め尽くされている。

私が現在いる出口の無い部屋の中心には一つのパネルが浮かんでいる。

私がそれに近寄って見てみるとそこにはスキル名が並んでいて、一つ一つのスキルから詳しい説明のページに飛ぶことが出来た。

 

「えっと・・・数は百個かな?」

戦闘系スキル、生産系スキル、ステータスアップ系スキル、そのどれにも属さないスキル。それらが順に並べられている。

 

「時間制限は無さそうだし・・・じっくり見て決められるね!」

私の選ぶことが出来るスキルは二つ。

 

生産系スキルが狙い目だろうか。う〜ん・・・あ!このスキルなんか良いかも!

【耐性付与】

自身が作った物に、耐性を付与することが出来る。

付与できる耐性は以下の通り。

【毒耐性】【火炎耐性】【氷結体制】【雷撃耐性】【光耐性】

【闇耐性】【斬撃耐性】【打撃耐性】【貫通耐性】

 

これは中々良いスキルではないでしょうか。よし、一つはこれにしましょうか。後は・・・どうしよう・・・

 

ーーーーー30分後

 

「な、何にすれば・・・・」

 

ぐふぅ・・・な、悩む・・・う〜ん・・・

私がうんうん唸っていると、ある一つのスキルが目に入った。

 

「・・・?これは・・・」

 

これ・・・使えるかも!

私は長時間かけてスキルをなんとか決めて、その場を後にした

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「サリーはどんなスキルを選んだの?」

「んー…結構迷ったんだけど【追刃】にした」

「【追刃】?」

「そんなスキルありましたね。たしか、武器での攻撃が成功した時にその攻撃の三分の一の威力の追撃が発動するスキルでしたっけ。」

「えっと・・・?」

「手数が二倍になる。私は二刀流だから【ダブルスラッシュ】が八連撃になったりする」

「すごっ!」

「おおー」

「まあ、【器用貧乏】もあるし二刀流は一撃ごとのダメージが減るし、まだまだ本格的な運用は出来ないけどね」

「メイプルはどんなスキルにしたの?」

「私もちゃんと使えるか分からないスキルだよ」

「じ、実は私もです」

「え?」

「じゃあ砂漠にいこう?人目につかないところで試してみたいな」

「う、うん。分かった」

「わかりました!」

 

メイプルが何のスキルを選んだのか、私には見当もつきませんでした。

が、メイプルなら面白いことをしてくれるだろうという妙な確信がありました。

 

そして、砂漠にて。

 

「シロップ!【巨大化】!・・・上手くいきますように。【念力(サイコキネシス)】!」

 

すると、なんとシロップが宙に浮き始めた・・・

 

「ええっと、メイプル。それって・・・」

「【念力(サイコキネシス)】だよ!シロップと空を飛んでみたくて・・・」

「・・・今頃運営さんが頭を抱えてそうですね」

「本当だわ・・・そう言えば、ミルフィーの取ったスキルは?」

「えっとね・・・【スーパーノヴァ】ってスキル!」

「えーっと確か、自爆スキルだったよね?なんでそんなものを?」

 

そう、このスキルは自爆技だ。具体的には、発動して十秒後、HPとMP以外の一番高い能力値をダメージソースにした大爆発を引き起こすというかなり変わったスキルだ。

ただし、自分もその分ダメージを受け、死亡後レベルが減ってしまうというデメリットを抱えている。

 

「さて、と。じゃあ試してみよう!」

「ええ!?たしか、デスペナがあるじゃなかったっけ!?」

「行っくよー!【スーパーノヴァ】!」

 

ドォォォォォォォォォォォォン!!

 

凄まじい音を響かせた後、周囲の地形がまるで隕石でも落ちてきたかのようなクレーターが出来る。が、私は無傷だ。何故なら・・・

 

「ミルフィー!?って、なんで無事なの!?」

「【黄泉送り】っていうスキルを使ったの!5秒の間だけ無敵になれるスキルなんだ!」

「あぁ。なるほど・・・あなたもなかなか運営泣かせね・・・」

「?何か言いました?」

「いや、何も」

 

サリーさんが顔を引き攣らせている。

一方、メイプルは近くにいたモンスターに毒の雨を降らせていた。

それらの様子が運営達や掲示板の住人の間で語り草になったことを

私達は知らなかった。

 




評価、感想お待ちしております!
小説を書くのって、難しい(今更)

サリー「ドゥエドゥエドゥエドゥエ」
ミルフィー「イヤヤヤヤヤヤヤヤヤッフー!」
モブ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

7/7誤字修正しました。
指摘してくれた方、ありがとうございます!


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学校での失敗

誤字報告が多いいいいいあぁぁぁぁぁぁぁあ!!??

というわけでお詫びの初投稿です。短めです。誤字はなるべく気をつけます、はい。


 

「むにゃむにゃ・・・」

「麻里ー、そろそろ起きなさーい」

「うーん、あと5年・・・」

「せめて5分と言いなさい」

「にゃー」

 

イベントの疲れが取れてないや・・・朝からややしんどい。

今日も今日とて学校だ。しかも、確か今日は体育があったはず・・・

 

「もう7時40分過ぎてるわよー?」

「いや!それ先に言って欲しかった!」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてない聞いてない!」

 

いつもならもう家を出ている時間帯じゃん!?

私は急いで朝食を摂るとダッシュで家を出た。

 

 

久しぶりにリアルで本気で走った結果、ほとんどいつも通りの時間に登校出来た。

ゲームを買った時よりも本気で走ったかもしれない。

教室に入ると、既にメイプル・・・じゃないや、楓さんと理沙さんが座っていた。他にも登校している人がたくさんいた。

 

「おはよう楓、理沙」

「もう恥ずかしがらないんだね」

「それはもう良いって!」

 

私は自分の席に荷物を置くと楓と理沙の元へ近づいていった。

 

「何だか学校に来るの、久しぶりな気がしますね」

「同じことを楓も言ってたよ・・・ああそうだ、楓も麻里も、今日は気を付けた方がいいと思うよ」

「え?な、何に?」

「何にですか?」

 

気を付けた方がいいと言われても、私には何に気を付ければいいのかが分からない。

 

「ゲーム内ではいつもモンスターやプレイヤーを警戒してたでしょ?ついついあっちでの習慣が出ちゃうかもしれないってこと」

「なるほど・・・」

「でも、もう結構プレイして来たけど今までそんなことなかったよ?」

「まあ、念のためね?楓と麻里は、今までに七日も連続してログインすることなんてなかったでしょ?」

「確かに…うん、分かった!気を付けておくね」

 

そうして話しているうちに殆どの生徒が教室の自分の席に座っていた。

私は授業の始まる五分前には話を切り上げて後ろの自分の席に戻った。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

一限目

 

 

「ぐぅ・・・ぐぅ・・・」

「すぅ・・・・・・すぅ・・・」

「楓、楓・・・麻里も」

「ふぇ?もう見張り交代?・・・あ、」

 

教室から笑い声が漏れる。しかし、麻里はまだ起きない。

 

「麻里、麻里、起きて」

 

 

 

「う〜ん、やめて・・・そんなものを、後ろから・・・あぁ・・・嫌・・・もうらめなんれす・・・」

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

「・・・ふぇ?あ、ああ!居眠りしてごめんなさい!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

「・・・?え。えっと、どど、どうしました?」

「・・・え、ええと、はい!この問題が分かる人〜!」

 

なお、授業が終わっても楓はどういう意味か分かっていなかったそうな。

 

 

三限目の休み時間

 

 

「あのう、理沙?一限目の時、私何か言っちゃった?」

「い、いや。な、何も言ってないよ!?」

「私覚えてるよ!えーっと、たしか・・・」

「しー!言っちゃダメ!楓!」

「「え、なんで?」」

「あぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

「ど、どうしたの理沙?」

「お腹でも痛いんですか?」

「・・・ノーコメントで。そ れ よ り!楓、だから私気をつけろって言ったよね?」

「も、もう〜掘り返さないでよ〜・・・わぁ!?」

「あ。ごめ・・・!?」

楓はそれはもう綺麗にターンを決めて左手を突き出して右手を腰に持っていく。

麻里に至ってはぶつかった男子生徒を腕を捻り上げんとしていた。

「楓!?それに麻里も!?」

「ああああ!?なんでもないなんでもない!」

「き、ききき、気にしないでくだしゃい!」

「あ、ああ・・・」

 

その男子生徒は何かに目覚めかけたらしい。

 

 

昼食後の体育

 

 

「『闇夜ノ写』!・・・ぐひゃ!」

「楓・・・大丈夫?」

「あはは・・・しばらくゲームお休みした方が良いみたい」

「・・・・・・」

楓は三日間ゲームにログインしなかった。

そのおかげか、これ以上失敗をすることはなかった。

なお、麻里は誰からも狙われず、時間が来るまでずっと暇だった。

 

「こっちに関わるなオーラを出すのは陰キャの必須スキルです」

 




短くてすいません。
評価、感想お待ちしております!

麻里の寝言は変な意味じゃないですよ?
ドレッドとティアラに追いかけられた苦い記憶ですよ?
変な意味で捉えた人は先生怒らないので大人しく感想で述べなさい


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ギルド結成

お気に入りが100超えたので初投稿です


「三日振りだー!」

「おかえり、メイプル!」

「おかえりなさい!」

「早速だけど、メイプルがいない間にまた新しい要素が追加されたよ!」

「新しい要素?」

「そうなんです。【光虫】っていう金色の虫がフィールドに出るようになったんですよ」

「それを捕まえると、ギルドホームを買う権利が手に入るの!」

「ギルドホーム?」

「この街って、入れない建物いっぱいあるよね?

それを自分達の家に出来るの!」

「ええ!すごい!」

「今までは宿屋とか山小屋に泊まってたけど、これからは本拠地が出来るということですね。」

「じゃ、じゃあすぐ見つけに行こう!」

 

メイプルがログインして来なかった三日間、私はサリーと【光虫】集めに奔走していた。

 

「そう言うと思って・・・ジャジャーン!」

「メイプルが休んでいる間に取っておきました!」

「おお!流石サリーとミルフィー!」

「所持金も十分ありますし、いつでも家が買えますよ!」

「すごい!すごいよ!」

 

その後、いくつかの建物を探したのですが良い家が見つかりません。

 

「ちょうどいい家って中々無いね・・・」

「良いのは高かったり、もう誰かに買われちゃってたりね」

「今、いろんなギルドがどんどん増えてるらしいですからねぇ」

「そうなの?」

「うん。例えば前にも見かけた『炎帝の国』。ギルドマスターのミィって人が物凄いカリスマ力で仲間を集めて、今じゃ巨大ギルドになってるの」

 

ああ、たしか私と同じ匂いがした人だね。

 

「それから、第一回イベント上位者が集まってる『集う聖剣』。ギルドマスターはペインさんで、ドレッドさんやドラグさん、ティアラさんも参加してる。後、前にドラグさんが言ってたフレデリカって人も」

「・・・そのギルドとはあまり関わらないようにしたいです・・・」

「ああ、すごい追いかけられたもんね・・・」

「思い出させないでよ・・・」

「あはは・・・ん?」

 

メイプルがふと足を止める。前には、木をそのまま家にした感じの隠れ家的な雰囲気を感じさせる家があった。

 

「・・・あれは?」

「まだ空き家みたいですね」

 

私達はその家に足を踏み入れてみる。

中は思ってたより広い。

 

「ここ・・・良いかも」

「なんか隠れ家っぽいよね」

「私もそう思います」

「ここで良い?メイプル、ミルフィー?」

「うん!良いんじゃないかな!」

「私も気に入りました!」

 

静かな感じがとても良い。私はわいわい騒ぐのはあまり好きというわけではないから。

結局、ここを私達の家にすることに決めた。

サリーが扉に光虫の証を押しつける。

 

「これで、この家は私達の物になりましたー!」

「やったー!」

「わ、わーい!」

 

シロップも朧もエクレアも気に入ったみたい!

 

「でも、私達だけが使うにしては少し広いね?

 このホームだと・・・50人まで登録出来るって!どうする?」

「うーん・・・カナデとカスミを誘ってみよう!」

「そう言うと思った。じゃあ、早速メッセージを送ってみよう!」

「異議なし!・・・って、カスミさんは分かるけどカナデさんって?」

「ああ、その人はね・・・」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

街の広場にて。

 

「2人とも来てくれてありがとう!」

「僕も誘ってくれて嬉しいよ!」

「メイプルとサリーとミルフィーのギルドなら、此方からお願いして入れてもらいたいくらいだ」

 

2人は割とすぐに来てくれた。カナデさんは私とほぼ同じくらいの身長の赤毛で癖っ毛のある中性的な少年だった。若干私の方が高いかな?

 

「えへへ・・・」

「良かった、これからよろしく!」

「よ、よろしくお願いします、か、カナデさん!カスミさん!」

「そっちの人は初めましてだね。僕はカナデ、よろしくね」

「は、はい・・・」

 

すると、そこにイズさんとクロムさんが通りかかった。

 

「あ!クロムさん!イズさん!」

「あら〜メイプルちゃんサリーちゃん!ミルフィーちゃんも!」

「よ!」

「もしかしてデートですか?」

「え!?ええ!!?そそそ、そうなんですか!?」

「まさか!素材を取ってきた帰りよ」

「ん?もしかして第一回イベント八位のカスミさんか?そっちは・・・」

「カナデ!私の友達!」

「初めまして」

「おう。こっちこそよろしく」

「はっはーん。もしかして、ギルド結成の相談?」

「はい!今私達のギルドに入ってもらったところなんです!」

「そうだ!良かったらクロムさんとイズさんもどうですか!」

「顔見知りが多いと私がありがたいです・・・」

「俺たちが?」

「う〜ん、メイプルちゃんとサリーちゃんとミルフィーちゃんのギルドなら私も入ってみたいけど!」

「俺もだ。他のみんなが良ければだが・・・」

「カスミ?カナデ?どう?」

「うん、良いと思うよ」

「良かったー!サリーとミルフィーも賛成だよね?」

「もちろん!」

「私もです!」

 

こうして、私たちのギルドメンバーは7人になった。

 

 

 

「なかなか良い家じゃないか」

「たしかに〜。居心地が良さそうね!」

「ギルドマスターはメイプルだよな?」

「わ、私!?」

「当然!だってこの家もメンバーも、メイプルが決めたんじゃない!」

「僕も異議なーし!」

「わ、私も・・・」

「ご挨拶をどうぞ、マスター?」

「ふぇ、ええっと・・・じゃあ改めて、ギルドマスターのメイプルです!防御と毒攻撃には自信があります!よろしくお願いします!」

 

パチパチと拍手する。私にはリーダーなんて到底無理でしょうから助かりました。

 

「後は、ギルドの名前を決めないとね。」

「メイプルが決めてよ、ギルドマスターなんだし」

「そう?それじゃ・・・ミルフィー、何かある?」

「え!?私ですか!?」

 

急に私に振られても・・・あ、メイプルの顔笑ってる!?むぅ・・・

 

「えっと、えっと・・・最近食べたのは、メイプルシロップを掛けたホットケーキだから・・・ってそれだとメイプルさんと被っちゃう・・・」

「あらあら、食いしん坊さんね〜」

「だって美味しいんですもん!・・・太っちゃいますけど。特に最近胸元がちょっとキツくて・・・」

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

え?なんでしょう、この沈黙・・・?

特にサリーの表情が暗いです。まるで、肥溜めで溺れかけているネズミみたいな顔をしている気がする。

 

「・・・さ、サリー?」

「・・・そっとしておいてあげてね。」

「・・・?は、はぁ・・・」

 

イズさんはそう言うけど・・・なんでだろう?

 

「・・・楓の木、楓の木っていうのはどうでしょう!」

 

少し暗くなった空気の中拍手の音が響いて、ギルドの名前が決定した。

また、学校で理沙が牛乳を飲んでいる姿を良く見かけるようになった。

 




評価、感想お待ちしております!

サリー「どうしたらそんな身体になるの・・・?」
ミルフィー「?えっと、毎日甘いもの食べたりしているだけですけど?」
サリー「」
メイプル「」
7/24 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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メンバー勧誘


徒然なるままに初投稿です


 

それから、私達はギルドホーム内の工房に素材を溜め込むために様々な場所に向かっては素材を集めていた。

鉱山に行ったり森に行ったり、あちこちを奔走した。

そうそう、カナデは【神界書庫(アカシックレコード)】というスキルを持っていた。

正確にはルービックキューブの形をした杖のスキルらしい。

 

神界書庫(アカシックレコード)

生産系スキル、戦闘系スキル、その他スキルからそれぞれ三つずつランダムで、合計九個のスキルを取得する。

スキルレベルは中またはⅤ固定。

使用後一日経過で取得スキルは消える。

既に取得済みのスキルは選ばれない。

 

つまり、一日毎に違うスキルを使うことが出来るということらしい。すごい。

【採掘Ⅴ】が出た時は鉱山に、【採取Ⅴ】が出た時には森に行って素材を集めた。

ちなみに、私はDEX極振りなので採集系の素材集めは大活躍だった。

 

 

 

「それでは!『楓の木』の定例ギルド会議を始めます!今日はクロムさんから提案があるそうなんですが!」

「みんなも知っての通り、運営からメッセージが届いた。第3回第4回のイベント、それからまもなく三層の追加もあるらしい」

「盛り沢山だな・・・」

「人が増えてきたから、運営さん達もやり甲斐があるでしょうね〜」

「第3回イベントは一週間後、期間限定のモンスターが現れてそいつが落とすアイテムを集める。まぁ、シンプルな企画と言っていい」

「問題は第4回イベントの・・・」

「ギルド対抗戦・・・」

「その通り。第二回と同じく、ゲーム内での時間加速があるらしい」

「じゃあ当日、リアルの方で用のある人はログイン出来ないわね・・・」

「『楓の木』は少人数ギルドだからな。1人欠けても、戦力は大幅に削減されてしまう」

「そこで、どうだろう。ギルドメンバーを増やすのもありだと思うんだが」

「たしかに、考えてもいいかもしれん」

「味方は多い方が良いもんね」

「生産職の私としても、作業量には余裕があるわ」

「私なんか、寧ろ少ないぐらいです!」

 

私の裁縫スキルはついこの前Ⅷになった。DEX極振りのお陰で作業時間も殆どかからない。

それは良いとして新しいギルドメンバーか・・・優しい人だといいなぁ

 

「じゃあ、クロムさんの提案に賛成ってことで!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

メイプルとサリーは、ギルドメンバーを探してくると言って一層に戻って行った。私は日課となっている【絲使い】と【裁縫】のスキルレベル上げを終わらせるとステータスを確認してみた。

 

 

ミルフィー

Lv36

HP 12/12〈−20〉

MP 25/25

 

【STR 0〈+15〉】

【VIT 0】

【AGI 0】

【DEX205 《+135》】

【INT 0】

 

装備

頭 【紫藍の髪飾り】

体 【金麗眩のドレス】

右手 【煌金の鎖鎌】

左手 【空欄】

足 【金麗眩のドレス】

靴 【黄泉渡りのブーツ】

装飾品 【ミドリシアの花飾り】

【ハンディリング】

【空欄】

 

スキル

【神業師】【大物喰らい】【短剣の心得Ⅵ】【裁縫Ⅷ】【気配察知Ⅲ】

【鍛治Ⅰ】【採集Ⅵ】【料理Ⅳ】【首狩り】【跳躍Ⅳ】【釣り】

【気配遮断Ⅲ】【採取速度強化大】【スラッシュ】【パワーアタック】

【ディフェンスブレイク】【耐性付与】【スーパーノヴァ】

 

ドレスはあの忌々しいドレッドさんとティアラとの鬼ごっこの時に破壊された。まあ、成長するから良いんだけどね。

【絲使い】はなんとⅧにまでなった。大体はあの2人の所為なのが腹立たしい。今度会ったらとっちめてやりたいです。

ちなみにだが、このドレスは下から覗くと深淵みたいな闇が広がってるらしい。例の鬼ごっこの時に『炎帝の国』の誰かがそう叫んでいた。

私は特にすることもないので、街に繰り出すことにした。

 

 

 

「うーん、1人はなんだか久しぶりな気がする」

 

街は活気もあって人がかなり多い。酔わないように気をつけないと。

私は何か良いものでも売ってないかとお店を回ってみる事にした。

 

「う〜ん・・・」

 

STR強化系やAGI強化系のスキルの巻物は沢山あるんだけどなぁ・・・DEXに関係するスキルが見当たらないや。

 

「仕方ない。甘いものでも食べよっと。」

 

そして、いつもゲームで利用しているスイーツの美味しいお店に行く。

 

「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」

「えっと、えっとね!いちごのタルトにガトーショコラ!あとモンブランとマカロンも!」

「かしこまりました!」

 

流石はNPCと言ったところだろうか。

現実の店員さんだと大体驚かれて「ほ、本当にそれでよろしいですか?」などと聞かれるがゲームではそれがないので素晴らしい。

周囲がどよめく。このくらい普通だと思うけど・・・

まぁ、いいや!お金もいっぱいあるし!

 

「お待たせしました!」

「わーい!いただきまーす!」

 

甘い!美味い!凄い!

夢中になって食べる。やはり甘味は偉大だ。

そうしていると誰かがお店に入って来たが、気にせず食べ続ける。

 

「いらっしゃいませー!ご注文はお決まりですか?」

「いちごのタルトにガトーショコラ。あとモンブランとマカロンもお願いします」

「かしこまりました!」

 

ざわざわ・・・

 

またもや、周囲がどよめく。あの男の人、私と全く同じもの頼んでる・・・

すると、向こうからこっちに話しかけてきた。

 

「貴方も甘味、好きなんですか?」

「は、はい・・・」

 

人見知りは未だ健在。これでも少しは良くなっているのですが、相手は男の人で年上、更に身長もかなり高いです。私でなくても萎縮しちゃうと思います。

 

「いやー、あまり周りに甘味が好きな人が居なくてね、つい話しかけてしまった。」

「は、はぁ・・・」

 

悪い人ではないと思う。甘味の好きな人に悪い人は居ない。これ真理。

 

「ん?何処かで見たことあると思ったら、もしかして【首狩り姫】の・・・」

「わ、わぁ!?あ、あまり目立ちたくないのでその二つ名はやめて下さい〜!」

「ああ、それはすまない。」

 

話をすればわかってくれる人で良かったぁ。

 

「おっと、自己紹介を忘れていたな。俺はジェラートと言うよろしく頼む。」

「えっと、き、気付かれてるかもし、しれませんが、み、ミルフィーです・・・お互い、お菓子の名前ですね」

「ははは、そうだな!」

 

うーん、見たところ装備は前衛風な出立ちだ。悪い人ではないので誘ってみるのもいいかもしれない。

 

「あ、あの!そ、その・・・」

「ん?なんだ?」

「わ、私達のギルドには、入りませんか?」

「ほう、君のギルドか・・・うん、いいぞ。まだ何処にも所属してないしな。」

「あ、ありがとうございます!」

 

思ったよりあっさり決まって良かった良かった。

こうして私はジェラートさんを伴って、ギルドホームに戻った。

 




評価、感想お待ちしております!
特に評価が投票数が少なくて寂しいです。

登場人物に洋菓子の名前が多いのは私の趣味です。
ジェラート
槍使いの前衛タイプ。スキルによる氷を纏った槍の攻撃が強力。
イメージCV子安武人。と言うかぶっちゃけCV子安のキャラがいて欲しいが為に出てきたまである。


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顔合わせとクエスト

「あ、あの・・あっさり決めてほ、本当に良かったんですか?」

「問題ない。どうせなら趣味の合うやつが居るギルドに入りたいしな。

『集う聖剣』のペインは甘味には興味無さそうだったし、『炎帝の国』のミィもそんな奴じゃ無さそうだったしな」

「・・・そうですか」

 

しばらく歩いているとギルドホームに着いた。

中には全員揃っていて、見知らぬ双子の子が居た。

 

「あ!おかえり、ミルフィー!」

「おかえりなさいミルフィーちゃん・・・あら?」

「おいおい・・・まさか彼氏か?」

「ち、違います〜!そ、そんなこと言われたら気まずくなっちゃうじゃないですか〜!///」

「いえいえ、ただの甘味好き仲間ですよ」

 

ジェラートさんはすごい落ち着いて対応していた。なんか大人っぽい感じがする。私も見習わなきゃ。

 

「そそ、そうです。ただの甘味仲間です・・・」

「で?その人はミルフィーが勧誘してきたの?」

「う、うん。」

「ジェラートだ。貴方がギルマスのメイプルさんか?もし貴方さえ良ければこのギルドに入れて欲しい。」

「うん!もちろん良いよメイプルって呼んでね!」

 

メイプルは誰とでもすぐに仲良く出来るんだなぁ・・・

 

「ねえねえ、2人は何処で会出ったの?」

「ああ、彼女とはスイーツのお店で会ったんだ。彼女がふと此方を見てきてな」

「わあ!もしかして一目惚れかしら?」

「だ、だから違うんです〜!///」

 

イズさん揶揄わないで!?

 

「ははは・・・彼女と私の注文が全く同じだったからだよ。そうだろう?」

「は、はい!」

 

ジェラートさんのフォローに全力で乗っかる。

すると、サリーが口を開いた。

 

「へー。因みに2人とも何頼んだの?」

「「いちごのタルトにガトーショコラ。あとモンブランとマカロン」」

「え・・・?いくらゲームだからって多くない?」

「え、現実でもこれくらい食べますよ?ねぇ?」

「ああ。勿論だ。」

「ははは・・・ミルフィーちゃんが連れてきた奴も変わった人材だったな・・・」

「私はそんなに変わっているだろうか・・・?」

「別に、普通では?」

「結構、気が合うみたいだね・・・ミルフィーはかなり人見知りするのに」

「甘い物が好きな人に悪い人は居ませんから!」

「そうだな」

 

割とジェラートさんは、このギルドに早く馴染めそうだった。

良いことです。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

次の日、メイプルが新人のマイとユイと一緒にレベル上げに行くと、双子の子が妙なスキルを獲得してきた。

 

「えっと……【破壊王】?と【侵略者】?」

「聞いたことのないスキルだな・・・」

 

「【侵略者】はSTRを二倍にするんです!取得条件は、一定時間内にボスを決められた数だけ倒すことで・・・」

「【破壊王】は両手の装備スロットを必要とする武器が片手で装備出来る様になるんです!条件は規定時間の内にダンジョンをクリアすることです!」

「え?あ、じゃあ、今後2人のSTRは常に二倍になるのか?」

「しかも、両手じゃないと持てなかった武器が、片手で持てるようになる!?」

「「はい!」」

「攻撃極振りの2人にぴったりなスキルだよねー!」

 

メイプルが絡むととんでもないことになる・・・

私も負けていられません。明日から街に繰り出してクエスト探しに行ってみましょう!

 

 

 

街に繰り出したのは良いけど、特に行くあても無い。困った。

 

「う〜ん、掲示板でも覗いてみましょうか・・・」

 

掲示板にはパーティメンバーやギルドメンバーの募集以外にもクエストの情報なんかも載っている。

とは言え、そこに載っている物の大半を私は覚えているから未知のクエストがあるかどうかは分からないが・・・

 

「うーん・・・にゅ?」

 

一つ、私の知らないクエストがあった。

なになに・・・『落ちぶれ騎士の後悔』?

このクエストの内容は、ボロボロの騎士NPCのお願いで、

色んなものを作って持って行くおつかい系クエストらしい。

作るものは全部【裁縫】で作れる物みたいだ。

 

「これ、やってみようかな・・・」

 

ちなみに、作成はそのNPCのいる建物にある作業場でやらなければならず、クエストを受けないとその作業場は使えないらしい。素材の持ち込みは出来るようだ。

 

「よし、行ってみよう!」

 

手持ちに必要な素材があることを確認して、私はそのNPCの居る建物に向かった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

情報によると、この建物にそのNPCが居るらしい。

その建物は割とボロボロで大きく、街の外の北側にあった。

中に入ってみると瓦礫が大量に散らかっていて、奥の方に全身を鎧で固めた騎士風の人が座り込んでいた。すごく、弱々しく衰弱していることが伺える。おそらく目的のクエストのNPCだろう。

 

「・・・あんた、【裁縫】に自信はあるか?」

「えっと、はい」

「そうか。ならいくつか頼みを聞いてくれるか?」

 

頼みと言うのは事前情報の通り、洋服を作って欲しいだとか刺繍をして欲しいだのだった。このゲームの【裁縫】スキルは刺繍もできる。

それにしても、何でこの人はこんなことを頼んでくるのだろう?

まあ良いや。とっとと終わらせてしまおっと。

ぱぱっと作って持って行く。これを合計5回繰り返せばクリアらしい。

ただ、後味の悪い終わり方をする。

何故か、そのNPCは自殺してしまうそうだ。ほわい?

4回目の納品の時までは何も変わらなかったそうだが、一体どうしたのやら・・・

 

 

 

「ああ、裁縫の頼み事はこれで全部だ・・・感謝する」

「あ、はい・・・?」

 

全然生きているんですけど?あれ、事前情報と違う・・・?

 

「・・・少し、昔話をしよう。私は元は騎士だった・・・」

 

NPCの話に耳を傾ける。大体、こんな感じだった。

・昔自分は騎士で、それなりの階級だった。

・しかし、国の命令より自分の家族を優先した為家族諸共国を追われた。

・国から逃げる際、家族を親友だった男に斬られ、自分も斬られたから自分はもう長くない。

・自分の子供は洋服や髪飾りが好きだったから、最期に天国に居る子供や妻に送ってやりたい。

 

「・・・だから、あんたに頼んだ・・・」

「・・・・・・」

 

お・・・重い、重いよすごく。

 

「俺の親友はある魔剣を持っていてな。それに切られると魔物になってしまうのだ。だから、早くここから離れなさい。」

「ええ!?」

 

だ、だから通常なら自殺していたって言う事!?

 

「そそ、そんなことできません!」

「裁縫は得意でも戦闘は不得意だろう?だから、早く去りなさい。」

「それは大丈夫です!」

「・・・そうか。済まない。もう一つだけ頼みができてしまった。」

「え?」

 

'エクストラクエスト 悲劇の騎士の本懐 が発生しました。'

 

え?エクストラクエスト?なんですか、それ?

・・・もしかして、早くクリアしたから・・・?

取り敢えず、私はYESを選択する。

 

「・・・ありがとう。頼みと言うのは、私を殺してくれる事だ。」

「・・・やっぱり。」

「難しいかもしれないが、頼む。」

「・・・分かりました!」

「では、参る・・・があぁぁぉぉぉぉぉ!!!」

 

騎士の姿が変わる。先程の弱々しそうな雰囲気は吹っ飛んだ。

鎧は見るからに禍々しい代物に変わり、いつの間にか直剣を握っている。

戦闘開始だ。

 




前書きが無かったからと言って、初投稿でないと思ったか?

評価、感想お待ちしております!
特に評価者数が全然増えなくて悲しいです。
7/8 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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悲劇の騎士の本懐と新スキルお披露目

いつだって俺は最高に粋がってカッコいい初投稿じゃなきゃいけねぇんだ


完全にモンスターと化した騎士は襲い掛かってきた。

さて、屋内だから【装着・鉄塔】なんかは使えない。

取り敢えず、いつもの通り絲で相手を拘束してみる。

が、僅かな間拘束しただけで絲を引きちぎられてしまった。むむむ

 

「エクレア、【覚醒】!そして【黒雷】!」

 

エクレアにも手伝ってもらう。【黒雷】は直線を攻撃するスキルだ。

黒色の電撃は命中したが、すこし鎧を焦がしただけでそこまで効果的には見えなかった。

騎士が突っ込んで来た。そこまで速くないが、素の私より断然速い。

絲を天井にくっ付けて斬撃を躱す。空ぶった剣は床を抉っている。

 

「これは当たったら即死だね・・・」

「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

空中の相手には攻撃手段がないかもしれないと思ったが、そんなことはなかった。

剣の斬撃を飛ばしてきた。そんなスキルあるっけ?

そこまで素早くはないので躱すことに問題はない。

絲で一瞬騎士の動きを封じて、その隙に鎌で斬りつける。

 

「やぁ!」

 

 

 

すると、なんと騎士の首が取れた。

 

 

 

「・・・え?え?」

「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「わあ!?」

 

デュラハンだったのだろうか、首への攻撃が全く効いていない!?

と言うかすごいビックリした!このゲームいつからホラーゲームになったの!?

真面目にこれは困った。首が弱点じゃないとダメージソースが・・・

このままではジリ貧だ。こうなったら・・・

 

「【スーパーノヴァ】!」

 

このスキルを使うことにする。

騎士の攻撃が激しくなる。首が取れたからだろうか?

しかし、躱せない程ではないので余裕を持って10秒の間耐え凌ぐ。

 

「終わりですっ、【黄泉渡り】!」

「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして、大爆発が起こる。

 

ドオォォォォォォォン!!

 

建物が耐えられる訳もなく、吹っ飛んだ。

 

 

 

「・・・・・・」

 

驚くことに、騎士はまだ倒れていなかった。しかし、もうボロボロで立っているのもやっとに思える。

 

「・・・ありが、とうこれ、でもう思い残すことは、ない。」

「・・・安らかに眠ってください」

 

いくらNPCとは言え、心が傷んだ。すると、騎士は何かを差し出して来た。どうやら、スキルの巻物のようだ。

 

「最後、にこのち、からを君にた、くす。有効、に使って、く、れ」

「は、はい!」

「それか、ら、私の亡骸か、ら、石のよ、うなもの、がでてく、ると思、う。それ、も、あんた、の好きなよう、に使ってく、れ。

ああ、今、会いに行くぞ・・・」

 

普通、モンスターはHPが0になるとポリゴンとなって消える。

しかしこの騎士はそうはならず、黒い灰になって、風で何処かに飛んで行ってしまった。

 

「・・・」

 

私は、無言で頭に手を当て敬礼のポーズを取っていた。

彼の友人は何故そんなことをしたのか。それはよく分からない。

でも、彼は親友を恨んでないように感じた。家族を殺されているにも関わらず、だ。

彼は、とても優しい人だったのだろう。そして、それ故に国を追われた。

もはや、誰も彼を慈しむ者はいないだろう。だったら、私くらい彼の死を悲しんであげよう。

まあ、あくまでNPCで、これはゲームなんだけど、なんだかそんな気分になってしまった。

 

「天国で会えると良いですね・・・さて。」

 

貰ったスキルの巻物を確認する。

 

【清濁併呑】

自分を含む全ての周囲のプレイヤー又はモンスターのスキルや魔法による一時的なステータスの変化を無効にする。

クールタイムは30分。

 

バフやデバフを無効にするスキルですか・・・

説明によると、【神業師】みたいな永続的にステータスが上昇するものには効果外で、【超加速】みたいなスキルの上昇効果を無効化するのだろう。悪くない、いや、かなり良いスキルだ。

そして、ドロップ品のような扱いの・・・宝石みたいなものが落ちていたのだが、これもスキルを習得出来るアイテムの一つらしいが・・・

 

「・・・なぁにこれぇ?」

 

なんというか、とても変わったスキルだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

数日後。ギルドホームに向かうと、メイプルが新しいスキルと装備をお披露目したいそうだ。

最近イズさんが張り切っていたのはそれででしょうか?

——私のスキルもついでにお披露目しようかな?

そんなことを考えながら、ギルドメンバー全員でフィールドに向かった。

 

 

 

「じゃーん!」

「おお、それがイズの作っていた装備か?」

「いいんじゃないかな、似合ってるぞ!」

「イメージ一新って感じだね!」

「メイプルさん素敵です!」

「きれい・・・!」

「うん、騎士みたいで良いんじゃないか?」

「かわいいです〜」

 

メイプルは普段の黒い全身鎧とは正反対に、真っ白な鎧を着ていた。

VITではなく、HPに極振りしているらしい。

 

「でも、それだけじゃないでしょ、メイプル?」

 

私もそう思った。

 

「新装備のお披露目ならギルドホームでも出来るもんね」

「ですよね。なんででしょう?」

「流石サリー!実は私の新しいスキルを見て欲しくて!」

「「新しいスキル?」」

 

私とサリーの声が重なる。

メイプルがスキルの名前を言う。

 

「【身捧ぐ慈愛】!」

 

すると、メイプルを中心として半径十メートルの範囲の地面が薄っすらと輝く。

それだけではない。

メイプルの背中からは二つの真っ白い翼が伸び、頭の上には白く輝く輪が浮かんでいる。

その髪は綺麗な金に変わり、瞳は深い青色になった。

 

「「「「「「え?・・・」」」」」」

「私も最初はそう反応したわ」

 

あ、モンスターが来た。

 

「あ、来たよ!」

「私が受けるわ…皆分からないだろうしね……」

 

イズさんがモンスターの前に自ら歩み出るとその攻撃を胴体に受けた。

しかし、イズさんのHPバーは全く動かない。

これは、どういう・・・

 

「どういうことだ?」

「これが新しいスキルよ。

身捧ぐ慈愛の中にいるパーティメンバーに、常にカバーが働くんですって。」

「えーっと、じゃあ、この光の中にいる限り、私達はメイプルと同じ防御力になるってこと?」

「そう!最初にHPを一定値持ってかれちゃうけどね!」

「これは強力過ぎるだろう・・・」

 

クロムさんの言う通りだろう。これは強い。

これで私も万が一攻撃を受けても大丈夫ってことだ。

 

「ちなみにメイプル、今のVITは?」

「えーっと、いくつだろ?1000は超えてることは確かだけど・・・」

「「「「「「「・・・」」」」」」」

「あ、私のDEXも多分そのくらいです。」

「まさに守護天使メイプルちゃんね!」

「えへへ・・・あ、そう言えばミルフィーもなにか見せたいスキルがあるって言ってたっけ?」

「は、はい。これの後では霞んじゃうかもしれませんが・・・」

「それは仕方がないと思うぞ。で、どんなスキルなんだ?」

「えっと、二つあってね、一つ目は【清濁併呑】ってスキル。

敵味方関係無くバフもデバフも剥ぐスキルなんですが、一時的にステータスを上げるスキルを持ってる方、居ますよね?」

「ふむ、なるほど。だからみんながいる時に・・・」

「そうです。味方も影響するので気を付けて欲しいかなって」

「分かった!で、二つ目は?」

「・・・この中にホラーが苦手な人居ます?」

 

みんなが顔を見回せる中、サリーが1人だけ震えている。

 

「な、なに!?どど、どんなスキルなの!?」

「・・・見ます?」

「うー・・・見たくないけど見る・・・」

「わ、分かりました・・・あの、私もホラーはあまり得意ではないですから」

「慰めは良いから早くスキルを見せて!」

「では・・・よいしょっと。」

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

「!?!?!?」

 

サリーだけ驚き方が違う。何をしたのかと言うと・・・

 

 

 

私の首は取れていた。

 

 

 

「き、きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「さ、サリー!落ち着いて!」

「み、ミルフィーちゃん?これ、どういう事?」

 

ふっふっふ、流石にこれにはイズさんもビックリしたようだ。

 

「【首無し騎士(デュラハン)】ってスキル。効果は・・・分かりますよね?」

「なんでそんなスキルを・・・?」

「私が聞きたいくらいです・・・」

 

サリーちゃんが怯えて後ずさるのをメイプルが抑えている。

他の人もポカーンとしてしまっている。

・・・どうしてこうなったんでしょうね(棒)

 




評価、感想お願いします!
特に、評価数が少なくて悲しいです。
低評価でもいいので投票して頂けるとモチベが上がります!

ミルフィー「そう言えばクロムさんも装備新しくなったんですね」
クロム「写輪眼の本当の力を見せてやる・・・」
ミルフィー「なんだ別人ですか・・・」

7/8 誤字訂正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
8/26 【清濁併呑】のスキル内容を一部変更しました。


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羊の毛刈りとPvP

そろそろネタが尽きてきたので初投稿です
やだ・・・私の誤字、多過ぎ・・・!
いや、本当に気を付けます。うん。


私がサリー達を驚かせてから数日。

短いメンテナンスが入り新スキル【毛刈り】が追加されました。

【毛刈り】は文字通り毛を刈るためだけのスキルです。

それに伴い一部のエリアに羊が現れるようになったのですが、

第三回イベントのアイテムのドロップ数に関わるらしいです。

私はちょうどすることも無かったので、毛刈りしに探索に出かけました。

 

 

 

「よっと。【毛刈り】!」

 

絲で羊を拘束して【毛刈り】を繰り返すこと百回以上。

私はもはや流れ作業の如く無言無表情で毛刈りをしていると、メイプルからメールが来た。

 

『二層の町から真西。

毛を刈りに来て下さい。

なるべく急いでくれると嬉しいです。』

 

「・・・どうしたんだろう?」

 

 

 

「えっと・・・メイプルか?」

「あ、カスミさん。もしかしてこれってメイプル?」

「良かったー、来てくれたんだ!」

 

メールで伝えられた場所に向かってみると、そこにはカスミさんと謎の白い大きな毛玉がいた。

毛玉の中からはメイプルの声がする。

 

「・・・何してるんだ?」

「どうしたらそんなことに・・・?」

「素材集めを手伝おうと思ったんだけど、

羊さんと遊んでいるうちに新しいスキルが手に入っちゃって!」

「あー、大体分かった・・・」

「また妙な事を・・・」

「待ってろ、【毛刈り】!」

 

カスミさんがスキルを使うと、メイプルの周りの白い毛は全てカットされた。

 

「助かったー!」

「一体どんなスキルを手に入れたんですか?」

「えーっとね、【発毛】って言うの!

見てて、もう一回やってみるから!【発毛】!」

 

メイプルがそのスキルを使うと、先程と全く同じ謎の大きな白い毛玉が

完成した。

 

「「・・・」」

「これで好きなだけ羊さんのスキルが手に入る訳!

あと、思い付いたんだけど!毒の魔法と組み合わせれば・・・」

 

白い毛玉がみるみるうちに毒々しい紫色に染まっていく。

 

「敵が近づけなくなる!良い考えじゃない!?」

「ていうか、私も近づけないんだが・・・」

「うぇ?ちょ・・・?助けて!

これ自分一人だと解除できなくて!誰かに毛刈りしてもらわないと!」

「はぁ・・・しょうがないなぁ。【黄泉渡り】!【毛刈り】!」

 

【黄泉渡り】を併用して【毛刈り】を使う。

まさか、こんな用途でこのスキルを使うとは・・・

 

「うう・・・ありがとうミルフィー・・・!」

「全く・・・メイプルを見てると飽きないな」

「同感です」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

両手の短剣を振るう。しかし、避けられ逆に氷を纏った槍を突いて来る。それを避け、一度距離を取って魔法を使う。

 

「【ウィンドカッター】!」

「シッ・・・」

 

槍で魔法を弾かれ、距離を詰めてくる。

 

「【薙ぎ払い】!」

「くっ・・・!?」

 

槍の武器スキルの中でも広範囲のスキルをなんとか躱す。が、すでに相手は次の攻撃の用意をしていた。

 

——この人、強い・・・!

 

サリーはジェラートから対人戦の練習に付き合ってくれと言われ、さらに快く承諾した。そして今に至るわけだが・・・

 

「【疾風突き】!【フロストスピア】!」

「ふっ!よっ!はぁ!」

「おっとと、まさか反撃されるとは・・・」

 

割とVITが高いのか、一回の攻撃では殆ど効かないようだ。

AGIはそれほどでもないが、それをスキルで補っている。しかも、クールタイムが妙に短い。

 

ただし、何でもかんでもスキル頼りの戦いをしてる訳でもない。

足運びと言い、狙いと言い、かなり高水準だ。回避もかなり上手い。

 

「なかなか、やりますね・・・!」

「う〜ん、一発も攻撃を当てられて無いのにそう言われてもなぁ・・・」

 

ジェラートの様子はいつもとやや違う。

まず、周囲に冷気が漂っている。それに、持っている槍が氷に覆われているのも異なる点か。

目付きもいつもの温和な雰囲気とは打って変わり、刺々しい印象を受ける。視線で人が殺せるなら1人や2人、楽に殺せそうだ。

 

今のところジェラートの攻撃は全て回避出来ているが、当たるのも時間の問題だとサリーは考えた。

 

「(私の集中が途切れる前に、片を付けるしかない!)」

「どうやら、決着の時が来たようだなぁ・・・!」

「ええ。・・・行きます!」

「さぁ来い!!」

 

今度は、サリーがジェラート目掛けて突進する。そこに迷いは一切無い。

 

「【ダブルスラッシュ】!はぁぁぁぁ!!」

「【薙ぎ払い】!【疾風突き】!これで終わりだ、【アイスジャベリン】!」

 

スキルを跳んで避けた後に追撃が来る。

槍から氷塊が飛んで来る。かなりのスピードで避けられない・・・が。

 

「!?幻影か!」

 

まるで、幻だったかのようにサリーは消えた。

サリーが消えたことからいち早く立ち直ったジェラートは周りを槍で一閃した。それをいつの間にか彼の背後に回っていたサリーはくぐって回避する。

 

「なんの!【疾風突き】!・・・な!?」

 

背後のサリーに素早く反応しスキルを使ったが、そのサリーも幻のように消えてしまった。

 

「それも偽物・・・!?ぐっ!」

「これで・・・終わり・・・はぁ、はぁ・・・」

「あー、完敗だぁ・・・」

「・・・貴方とは二度と戦いたくないです・・・」

 

それはサリーの本音だった。ジェラートはもっと戦いたそうだったが、流石にかなり疲労した様子のサリーを見てそれを言い出す程野暮ではなかった。

 

「しかし、まさか二重でフェイントを仕掛けてくるとは驚いたよ。」

「一度目はすぐに対応されちゃいましたけどね。」

「あはは、勘だよ。君との模擬戦は凄く良い経験になるから、また気が向いたら頼むよ!」

「・・・・・・うん」

 

戦闘の時はジェラートは鬼のような形相にはなるが、普段は気遣いの出来る優男だ。先程の雰囲気は完全に霧散している。

 

「疲れてるなら肩貸そうか?」

「いや、遠慮しておく。今日はもうログアウトする・・・」

「そうか。お疲れ様!次は負けないぞ」

「ええ・・・」

 

また戦う気満々のジェラートを見て、サリーは辟易してしまった。

 

 

「次は絶対に勝ってやるぞ・・・ふふふ・・・!」

 

 

ジェラート、彼は見た目と違ってかなりの戦闘狂であった。

 




アニメと順番違うな・・・ま、エアロ。
戦闘描写って、難しい。

ジェラート「片を付けるッ!」

7/11 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございますれ


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第三回イベントと脱線

評価がなかなか変わらなくてモチベが上がらないので初投稿です



イベント当日、私達はギルドホーム内に集合していた。

 

「もうイベントも3回目か〜。楽しいと良いね、牛イベ!」

「何、牛イベって?」

「牛を倒してベルを獲得するってイベントなんでしょ?だから牛イベ!」

「ベルの数に応じて報酬があるらしいね」

「イベントとしてはオーソドックスなタイプだな」

「はいはーい、注目!みんながたくさん羊毛を集めてくれたのでやっと完成しましたー!」

「作ったのは私で、デザインはイズさんです!」

 

完成したのは毛刈りした羊毛で作った装備だ。

 

「じゃーん!」

「かわいー!」

「うん!それに暖かい!」

「使った羊毛の量によってイベントドロップにボーナス補正が付くみたいよ〜」

「し、しかし・・・これでは可愛すぎる!」

「ん?」

「も、もう少しその・・・違ったデザインにはならなかったのだろうか?」

「ならなかったの〜!・・・もこもこ装備のメイプルちゃん達を見たかったから」

「あはは・・・しかし、ちょっと胸がキツイような・・・?」

「時々思うんだけど、ミルフィーって本当に私と同い年なの?」

 

サリーが聞いてくる。ど、どういう意味でしょう?

サリーは私だって成長すれば・・・とかなんとか呟いている。

 

「カナデもとっても似合ってる〜!」

「良いね、ありがとう、気に入ったよ!」

「私達も!」

「イズさんに貰ったハンマーで!」

「牛をやっつけまくります!」

 

 

 

 

 

 

「みんな、かわいいなぁ・・・」

「微笑ましい光景だ。優しく見守ってあげようじゃないか」

「ああ、そうだな・・・いや、お前がいて良かったよ。1人だけ仲間外れだったからな」

「そうか・・・」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

イベント開催時刻から一時間後。

 

「よっと、これで十匹目っと」

 

絲のお陰でそこそこの移動速度を持つ私はそこそこ順調に牛を狩っていた。

 

「そこそこ良いペースかな・・・ん、メールだ。サリーからみたい」

 

メールの内容を確認してみる。

 

『ちょっとメイプルのことが気になっているんですけど』

 

まあ、たしかに。今回のイベントはAGIの高いプレイヤーが有利です。

すると。クロムさんからもメールが来る。

 

『ああ。たしかにメイプルには不向きなイベントだったかもな。』

『それに変なことをやらかさないか心配で』

『じゃあメイプルちゃんにイベントのアドバイスをしましょうよ』

『賛成!』

『賛成!』

 

みんな、メイプルさんを心配しているんだなぁ・・・

 

『それに、ミルフィーがまた変なスキルを取ってきそうで怖い』

『その気持ちは分からなくもないな』

『私も首がいきなり取れたのは驚いちゃった』

 

わ、私も心配の対象なんですか!?

こ、ここは反論しないと!

 

『大丈夫です!』

『あ、見られてたか』

『ごめんごめん。でもまた怖いスキルを取って来ないか心配で・・・』

『イベント、頑張りましょうね』

 

なんと言うか、流されてる気がするけど・・・まあ、いいか。

とは言え、ここら辺りの牛は全て狩り尽くしたから移動しましょう。

 

『意外と集まらないよな。でも集中して頑張ろうぜっ!』

『草原には人がいっぱい来るから仕方ないよ。焦らず、のんびり行こうね』

『みんなが殺到しちゃうと、狩れないわよねぇ。

コツコツと一歩ずつ・・・牛歩作戦よ〜』

『みんなアドバイスありがとう!頑張ります!』

『私も頑張ります!』

 

さてと、では移動しますか。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「せいっ!っと・・・」

 

私は気付けば以前【首無し騎士(デュラハン)】のスキルを獲得した時の場所に来ていた。

建物は破壊してしまった時とあまり変わっていない。

 

「う〜ん、特に用事も無いし別の場所に行きますか」

 

私がそのまま立ち去ろうとした時、ふと足音がした。

振り返ってみると建物の入り口の前に騎士のような装備の男性が立っていた。

しかし、どこか様子がおかしい。

まず、全身が薄ら白く光っている。それになんだかボーッとしているみたいだ。

俯いてる為か顔が見えない。帯剣していて、鞘の上からも邪悪そうだと分かる剣だ。

 

そいつはふらふらしながら此方に向かってくる。

 

「あー・・・」

 

不気味だ・・・しかし、これはなにかのクエストか何かだろうか?

私がどうするか悩んでいると、そいつは急に顔を上げた。

 

「みつけたぁ・・・!!ひゃははは!!」

「ひぃ!?」

 

そいつは血走った目で此方を睨むと襲い掛かって来た!

かなり速い。が、躱せなくはない。

 

「よっ!」

「ぎざまをづがまえでやる!ぞじでおればもっどぢがらをえる!」

「くっ・・・!」

 

動きが速いだけでなく、攻撃も強い。絲が一撃で斬られてしまった。

私は【絲使いⅣ】で覚えたスキルを使う。思えば、このスキルはあまり使う機会が無かった。

 

「【装着・穿槍】!これでも喰らいなさい!」

 

【装着・穿槍】は【装着・鉄塔】の槍バージョンだ。

攻撃力はやや低いが、貫通効果を持ち、鉄塔より軽いのが特徴だ。

相手は避ける素振りも見せず攻撃を受けた。が、まるで無傷だったように突進してくる。

 

「このっ・・・!?」

 

絲で横っ飛びして回避する。奴の振るう魔剣が建物の瓦礫を掠る。

すると・・・

 

「がぁぁぁぁ!」

「なん、ですか、これ・・・!?」

 

瓦礫がまるでゴーレムか何かのように動き始めた。

そう言えば————

 

『俺の親友はある魔剣を持っていてな。それに切られると魔物になってしまうのだ。だから、早くここから離れなさい。』

 

まさか、この人ってあの人の友人の?

此奴が正気だとは思えない。あの魔剣の所為か、謎の光の所為か・・・

もしかしたらそのどちらかが此奴の異常な速さと攻撃力、耐久力の秘密かもしれない。

なら・・・!

 

「【清濁併呑】!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「だ、駄目か・・・」

 

どうやら全く効いていないようだ。

あのクエスト関連のイベントだから何かしらあると思いましたが、違いましたか・・・

このままでは埒があかないので、私は一旦建物に逃げる事にした。

此奴はこの建物から出てきた。もしかしたら、何かヒントがあるかも・・・!

 




頑張れ!たとえ評価が貰えなくても!お気に入りの数が減っても!
俺が挫ける(エタる)ことは決してない!
たとえ、誰も見てくれなかったとしても!

7/11 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
7/22 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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叛逆の翼

皆さんの応援で元気が出たので初投稿です


建物は前に来た時は作業場くらいしか調べなかったので、今度は他の部屋も調べてみる。

奴は相変わらず私を追いかけて来ている。

今もドアを全力で絲で塞いでいるが突破されるのも時間の問題だろう。

ドアを壊されたら絲で時間稼ぎしてその間に逃げる。

 

そんなことを繰り返す事3回目。

 

「なにかないか・・・む?」

 

三部屋目の調査に入った時、違和感を覚えた。

謎の魔法陣が床に書かれている。しかし一部分が欠けてしまっているようだ。

普通の転移の魔法陣なら詳細を確認できるがこの魔法陣は出来ない。

 

「これはなにかあるはずです!一体どうすれば・・・!?」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「くっ、早い・・・!」

 

思っていたよりも早く奴が入って来た。

どうすれば良い・・・?

 

そんな時だった。

 

『・・・、聞こえるか?』

「!??な、何!?」

『この部屋に落ちている本を拾え。そして魔法陣を完成させろ。

描くものはこの部屋のチョークを使え・・・』

 

な、なんだ?今、男の人の声が頭に響いてきた。

本・・・あった。チョークも見つけた。ここは、声の言う通りにするべきか・・・

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「考えてる暇は、ないみたいですね・・・!【絲生成】!」

 

取り敢えず、絲を新しく作って時間稼ぎのために奴を拘束する。

奴の魔剣は灰色のオーラを放っていて、彼の身体の光とは正反対だ。

 

「おのれぇ・・・あいづをよびだずぎが。ぞゔばざぜない!」

「あいつ・・・?」

 

よく分からないが、声の主と此奴は知り合いなのかな?

絲で自分の身体を持ち上げ、回避する。

此奴は私よりも魔法陣を消す事を優先することにしたらしい。

 

「そうはさせません!【鎖鎌】!」

「ぐぅ・・・!」

 

久々に鎖鎌を使う。奴は攻撃を躱すと私をターゲットにし直し、こちらに向かって来た。

絲で邪魔しながら、また魔法陣を完成させていく。

 

これが案外難しい。

邪魔は入るし、なにより魔法陣がかなり細かい。

本によると、一センチでもズレるとアウトらしい。

現実の私だったら多分無理だろう。DEX極振り様々だ。

 

「これでっ、完成・・・」

「ごの、おのれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

『・・・良くやった。』

 

魔法陣が煌々と赤く光る。少し眩しいくらいだ。

私は思わず眼を閉じ、光が収まったと感じると目を開いた。

 

目を開くと眼前には謎の人物が立っていた。

そいつは美しい白銀の長髪に黒い服、黒い翼を三対、計6枚持っていた。

頭の上には天使の輪っか・・・ではなく、赤い輪っかがあった。

ただの輪っかではなく不思議な紋様で出来ていて、その一部は魔法陣の紋様とそっくりだった。

そいつは私と奴を見つめている。

 

「・・・呼んでくれて感謝する」

「あ、はい・・・」

「ぐぐぐ・・・がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「あ、危ない!?」

 

あいつは最早私のことなど目に入っていない様子で謎の人物に襲い掛かった。

あわや、袈裟斬りにされると思った時。

 

「ふん・・・」

「ごばぁ!?」

 

急に奴が吹っ飛んだ。彼が手を一振りすると、まるで何かにぶつかったように奴が吹っ飛んだのだ。

彼は今まで攻撃しても効かなかったのに、何故かすごいダメージを受けたような反応だった。

そのまま奴は壁まで吹っ飛び、倒れた。が、まだHPはゼロになっていないらしい。

 

「ふむ。あまり余裕はないようだな。そこの我を呼び出した人間」

「は、はい・・・」

「なんとか我は降臨できたが、どうやらあいつを倒すには時間が足りないらしい。」

「は、はぁ・・・」

「よって、貴様に命じる。我の力を貸す。そして、奴を倒すのだ」

「わ、分かりました!」

 

この人かなり美形だけど、怒ると怖そうだったので声が少し上ずってしまった。

彼が此方に手を伸ばすと、彼は黒い結晶になって私の身体に吸い込まれて行った。

 

『スキル【叛逆の翼】を取得しました。

 

どうやら、新しいスキルが「力」らしい。

私がスキルの内容を確認すろと、このスキルは複数のスキルを内包しているらしい。

なになに、【堕天】と・・・

そこまで確認すると奴が起き上がって此方に向かって来た。

 

「ぎざまをじまづじでやるぅ!!」

「え、え〜い!どうとでもなれ!【堕天】!」

 

すると、私の身体に変化が起こった。

まず、髪の色が彼と同じ白銀になった。黒い翼も生えたし、この分だと赤い輪っかもあるだろう。

ドレスも黒くなった。

 

「ぐぐぐ・・・」

 

怯んでいる・・・?今のうちに私はスキルをもう一度確認する。

それぞれ、【暗黒の主】、【純然たる傲慢】、【堕天】と言うらしい。

 

 

【暗黒の主】

MPを消費して闇魔法を行使できる。

また、光属性や善属性の攻撃やスキルの影響を半減する。

 

【純然たる傲慢】

自分の周囲半径10メートル以内の相手はHPとMPの回復が無効になり

回復した分だけ減少させる。

また、味方に闇属性や悪属性の攻撃やスキルを使うと、HPが回復する。

 

【堕天】

AGIとINTが50になり、MPが1000になる。

また、HPが少なければ少ないほどAGIとINTが上昇する(最大100)。

使用回数は一日二回。使用中他のスキルの使用不可。

 

 

すごく強い!これなら勝てる・・・!

私は早速闇魔法を使ってみた。

 

「【ダークボール】!」

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

す、凄い効いてる!初級の魔法なのに!

奴はふらついている。今がチャンス!

 

「おのれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「トドメです!【ダークジャベリン】!」

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

奴は私の魔法を喰らって、地面に倒れ伏した。

 

「ああ・・・俺は・・・すまな・・・よ・・・」

 

・・・最期、奴が消える前に何か言っていた気がするが、聞き取れなかった。

一体どういう経緯でこんなことになったのかは分からないが、

奴も、あいつも被害者だったのではないだろうか?

私はなんとなくそう思った。

 

色々あって忘れてたけど、今はイベントの途中だった。

私は急いでその場を後にした。

 

「このスキル、魔法使いっぽい装備の方がいいかな?」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「「「「「「「「「「イベントお疲れ様ー!」」」」」」」」」」

 

第三回イベントが終わって、私達『楓の木』は打ち上げをしていた。

 

「『炎帝の国』、『集う聖剣』、流石だな。キッチリランクインしている。」

「どっちももう、第三層に行ったみたいだね。」

「開放されたばかりなのに、流石に早いなぁ」

「ごめんね・・・今回はあんまり活躍出来なかったよ・・・」

「でも、個人報酬には届いたんでしょ?」

「うん!【カウンター】のスキルを取ったよ!」

「十分じゃない!今回はAGIの高い人向きのイベントだったもの!」

「それに、案ずることはない。皆で稼いだ分、ギルド報酬は最高のものを取れた」

「だな」

「できる限り!」

「頑張りました!」

「また次の機会に活躍すれば良いです!」

 

「これ、ギルドメンバーのSTRが3%上昇するんだよね」

「積み重ねが効いてくるって訳だ。」

「でも、メイプルには関係無いか。ゼロには何掛けてもゼロ何掛けてもゼロだしね」

「ふふーん!あるんだなこれが!」

「・・・もしかして、またなんかやったの?」

「それじゃ、第三層に、向かおう!」

「あはは・・・」

 

・・・私も新しいスキルを手に入れたことは、まだイズさんにしか伝えてない。

私は【裁縫】は得意だけどデザインのセンスはあまりないらしい。

前に自分だけで作った洋服を見ると、イズさんはあからさまな苦笑いをしていた。

頼んでいた装備が出来るのがとても楽しみだ。が、その前に・・・

 

「メイプル・・・今度はどんなスキルを?」

「ふふ!ボス戦まで秘密!」

 




評価、感想等お待ちしております!
あ、質問とかもしてくださって構いません。

今回絶対セフィ◯スとかクロワッサンとか言われそう。

7/12 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
7/15 【堕天】の効果を一部変更しました。


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暴虐と第三層

初投稿だッ!初投稿こそが道を切り拓くッ!
今回少し短めです。


私達は二回層のボスに直面していた。

ボスは樹木の姿をしており、幹の部分が顔になっていて強そうだ。

 

「此奴を倒せば第三層、だな。」

「ああ。中々手強そうだが・・・」

 

私を含め、ギルメン全員がメイプルの方を振り返る。

サリーが代表してメイプルに話し掛ける。

 

「あの・・・じゃあ、どうぞ。」

「任せて!それじゃあまず、【捕食者】!」

「えぇ・・・?」

 

メイプルがスキル名を口にすると、メイプルの足元が真っ黒な光に覆われて、そこから真っ黒な何かが二本伸びてきました。

長さは三メートル程です。そいつは蛇のような姿で地面から直接生えていました。

樹木のボスが木の枝を伸ばしてそいつを拘束するが、すぐに振り払われる。

 

「【滲み出る混沌】!」

 

メイプルがまたスキル名を口にすると、そいつは樹木のボスに向かって攻撃を開始した。

その光景はさながらモンスター同士の戦いだった。

 

「そっかぁ、そんな感じか・・・」

「見る度に付属品が増えているのはなんでだろうか・・・?」

「どう取り繕っても、もうモンスター寄りだろ・・・」

「味方なら良いわ・・・味方なら。それにミルフィーちゃんも・・・

「む?どうかしたのか、イズさん?」

「あははっ!本当にメイプルは見てて飽きないなぁ!」

「「すごいです、メイプルさん!」」

「よーし、トドメは・・・【暴虐】!」

 

メイプルの体を黒い殻の様な物で包まれる。

そして、まるで心臓の様に鼓動を響かせた後卵の殻を破るようにメイプルの両サイドにいた化物に似た姿の化け物が姿を現しました。

メイプルの両サイドにいた化物に似た姿の化け物が姿を現しました。

違う点は何本もの手足が生えている点でしょうか。

メイプルの両サイドの化物は消えてしまいました。

 

化物が樹木のボスに突進して掴みかかる。ボスは化物を倒すためにと根や枝を使って反撃に出ます。

しかし、樹木のボスは化物を倒すに至らないどころか傷一つつけることが出来ませんでした。

化物は爪で幹を裂き、蹴りつけて陥没させ、口しかない頭部で喰らいつく。

しばらくそうして戦っていた二体だったが、結局耐えきれずに樹木のボスが倒れてしまった。

もはやモンスター同士の戦いではなく、化け物の蹂躙でした。

 

化物は呆然としていた私達の方に向かってのしのしと歩いてきます。

警戒する私達に向かって化物がなんと話しかけて来ました。

 

「いやーこれ、操作が難しいよ〜」

「その、メイプル、だよね・・・?」

「うん!ちょっと待ってて!」

 

すると、その化け物は光になって消え失せ、中からメイプルが出てきました。

 

「・・・あの、なんでしょう?今の・・・?」

「えっとね、【暴虐】って言ってね!装備の効果がなくなる代わりに、STRとAGIが 50増えて、HPが1000になって、HPが無くなっても元の状態に戻るだけ!」

「・・・ああ、遂に人間を辞めたのか・・・」

「ああ、辞めたな。間違いない」

「もうメイプルの行動は、気にしても仕方ないみたいね・・・」

「うんうん」

「あんなスキルがあるとはな・・・一度、戦ってみたいものだ」

「え、あれを見てそういう事良く言えるな!?」

「これでもっともーっとみんなのことを守れるよ!」

「うーん・・・私の『アレ』と少し似ている・・・?」

「ん?どうしたのミルフィー?」

「いや、なんでもないです。もう少し後に話します」

 

こうして私達は無事に第三層へと行く権利を手に入れた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ここが第三層・・・!」

「第一層や第二層とは違う雰囲気だわ〜」

「面白いね!機械の世界だ!」

 

カナデの言った通り、第三層は歯車が沢山ある街があった。

こういう雰囲気も私は良いと思います。私はそこまで機械は好きではないですけど。

 

「取り敢えず手分けして、ここら辺のフィールドを一通り見回ってみよう」

「バラバラで?」

「来たばかりで情報が少ないからな。人海戦術ってやつだ」

「じゃ、二時間後に集合って事で!」

「了解!」

 

私達は別れて行動を開始した。

 

 

 

しかし、この街はなかなか面白そうな物が多い。

『DON'T TOUCH』と張り紙に書いてあるボタンとか、ジャンク品など、興味が尽きない。

 

「う〜ん、しかし・・・」

 

特に目ぼしい情報は見当たらなかった。

この街は高低差が激しく、どうやら購入できる機械を使って移動するのが前提のようです。

一応、私にかかれば絲で無理矢理移動することも出来ますし、その方が速いですが目立ちそうなのでやめておきましょう。

 

「うにゅ・・・」

 

どうも思うように行かないなぁ。どうしよう・・・

私が悩みながら街を歩いていても何も見つからない。

 

ふと横を見てみると裏路地があったので、入ってみる。

今まで普通の道ばかり歩いていたから何も見つけられなかったのかもしれない。

 

歩けども歩けども目に入ってくるのは歯車ばかり。流石は機械の街と言ったところだろうか。

 

「むむむ・・・何も無い・・・お?」

 

これは・・・マンホール?こんなもの他の場所にありましたっけ?

取り敢えず持ち上げてみる。滅茶苦茶重い。むぎぎ・・・

えーい!こうなったら!

 

「【絲生成】!うぎぎ・・・」

 

絲を作ってマンホールらしきものを持ち上げる。それでもかなり重かったが、なんとか持ち上がった。

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・や、やっと開い・・・!?」

 

マンホールを持ち上げて中を覗こうとした瞬間、私は何かに引っ張られるように穴に引きずり込まれた!

 

「き、きゃー!?だ、誰か・・・!」

 

絲を使う暇もなく、私は穴に落ちて行った。

と言っても底は割と近く、落下ダメージも受けなかったが。

暗くて見えにくい・・・と思っていたらいきなり明かりがついた。

 

 

 

私は何故か牢屋の中に居た。

 

 

 

え・・・なんで?わ、私まだ何もしてないよ!?

 




雨に濡れると心まで冷たくなるんですね()

7/12 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!

10/25 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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牢屋からの脱出

UAが10000を超えたので初投稿です
これも皆さんのお陰です。感謝。


あ・・・ありのまま今起こった事を話します!

『私は街で穴から落ちたと思ったらいつのまにか牢屋にいた』

な…何を言ってるのかわからないと思いますが私も何をされたのかわからなかったです・・・

頭がどうにかなりそうでした・・・催眠術だとか超スピードだとかそんな不可思議なものとは断じて違います・・・

もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました・・・

 

あ、慌てててててもしし仕方ありませせせ・・・ええい、落ち着いて私!まずは周囲の確認をするのです!

牢屋の外は薄暗くてよく見えません。もっと近寄って見ようとすると何かで引っかかりました。足元を見ると私の両足に足枷がはまっていました。足枷には鎖が付いてあり、出口の反対側の壁と繋がっているみたいです。このままだと牢屋の出口らしき所まで動けません。出口の先には転移の魔法陣があるようです。

足枷はよく見ると鍵穴らしきものが付いている。

他にもワインの瓶とかバケツ、鉄製の箱とか紙とかが落ちている。試しに紙を拾ってみると、こんな事が書かれていた。

 

『5分以内に牢屋から脱出しろ。このフィールドではスキルは使えない。そして、最後まで油断するな。』

 

スキルが使えない・・・?そういえばさっき蓋を持ち上げた時に使った絲が消えている。試しに【絲生成】を使おうとしてみるが出ない。なるほど・・・たしかに使えない。

 

たしかこういう状況から脱出するというゲームはサリーから聞いたことあったけど、まさかいきなりそんな状況に自分がなるとは・・・

牢屋の中は意外と広く、多分半径5mくらいある。天井を見ても穴は無く、ただ無機質な金属質の天井が広がっているあるだけです。

困った・・・と、辺りを見回していると、背後に何やら数字が書かれていた。ヒントか何かだろうかと思って近づいてみます。

 

数字はどうやら変化し続けているみたい・・・あれ?これヒントではなく時間制限のタイマーでは!?えっ、待って待って、後3分を切っているんですけど!?紙には時間制限が書かれていたけれども、思っていたより時間が経っているみたいです!

 

もうゆっくり考えている暇は無い。考えろ・・・まずは足枷をどうにかしないといけない。鍵穴があるから何処かに鍵があるとは思うんだけど・・・あと見てない場所は・・・あ、バケツの中は見ていない!

 

急いでバケツを持って中を覗くと、中には水が入っていただけだった。湯気が出ているので多分お湯かな?ってお湯でどうすれば良いの!?

バケツについては後回しにしようと考えて元の場所に戻そうとすると、鍵が落ちていた。

バケツの下にあったのですか!取り敢えず、足枷に付いている鍵穴に鍵が合うかどうか試してみると無事に開きました。役割を終えたのか鍵は光になって消えました。

 

よし、これで出口まで歩いていけます!早速牢屋の出口の扉を開けようとしますが、やはりと言うべきか開きません。鍵穴を確認しようとしますが何故かありませんでした。

 

「え!?な、なんで!?」

 

開かないのに鍵が無いってどうすればいいか・・・いや、まだだ!まだ終われません!出口の近くにあったワイン瓶を手に取る。軽く振ってみると中にはワインの代わりに何か入っているみたい。音から鑑みるに多分金属製の何かだと思う。鍵かも!

しかし瓶の蓋のコルク栓が開かない。少なくとも私の筋力ではとても開きそうにない。

 

「むむむ・・・」

 

コルク栓を開けるのを諦めて他に何かないかと辺りを見回すと、壁に何か掛かっている。これは・・・なんだろう?ばね?いや、ばねならびょんびょんするけどこれは違う。

えーっと、あ!思い出した!これ、お父さんがワイン飲む時に栓を開けるのに使ってた気がする!これなら・・・!

 

私はそのばねみたいなやつをコルク栓に突き刺してお父さんがしてたみたいにグルグル回す。そして慎重に引き抜いていく。すると、コルク栓は見事に外れた。よし!

 

「中には何が入っているかなっと・・・」

 

瓶からは予想通り鍵が出てきた。・・・あれ?あと鍵使うところなんてあったっけ?あ、鉄製の箱はまだ見てない!

時間はあと1分半くらい!箱を見てみると鍵穴があった。急いで鍵を使うと鍵が消えて蓋が開いた。中には一辺10センチ程の正方形の形をした氷だった。氷の中には何かがあるみたいだ。

 

多分、お湯で溶かすんだね!急ごう!私は急いで氷をバケツに入れた。

早く早く!もう1分切ってる!

30秒以上かけてやっと氷が溶けた。氷の中にあったのは何かのスイッチだった。これが一体なんなのか考えてる暇もない!

とにかく私はスイッチを押すと、牢屋の扉が「ガシャーン!」と音を立てて開く。やった!脱出ゲーム、完!

 

私が右手で汗を拭いながら出口に向かおうとした、その時。

 

 

床がいきなり消失した。

 

 

「えっ!?」

 

お、落ちる!?ああ!紙に書いてあったのはこれかぁ!?

な、なんで私は調子に乗るといっつもいっつも〜!!?

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

—‐——ええい、こうなったら・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

運営達の部屋。彼等は三層の実装が終わり、とてと疲れてはいたが達成感も同時に感じていた。

 

「ふ〜。やっと終わった〜」

「だな。さて、プレイヤー達の様子はどうかなっと・・・」

「おー、結構多い多い」

「だな。実装からそんなに経っていないのにかなりいるな」

 

三層の街には既にかなりのプレイヤーが到達している。

運営達が街を覗いてワイワイしていると突如叫び声が響く。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「おい!どうした!」

「なんだよ・・・またメイプルか・・・?」

「ああ、また、だ。【機械神】を取得している!」

「ウッソだろ!?あれは確かフラグになるアイテムが二層にあったはずだぞ!」

「なんでだぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

運営達の受難は続く。

 

「うおっ!?マジか!」

「今度は何だ!?」

「あの脱出部屋に入った奴がいる!」

「あー、見つかっちゃったかぁ。」

「まあ、あの俺たちの悪ふざけの一つのあの部屋ならなんとか・・・」

「・・・・・・」

「おいどうした?急に黙って」

「だ、脱出部屋に入ったのは・・・ミルフィーです!?」

「な、なにぃ!?」

「どうしてメイプルといいミルフィーといい、こんな運が良いんだ!?」

「お、落ち着け!あの部屋はスキル使用不可だった筈だ!」

「あ、ああ!そうだな!絲さえ無ければなんとか・・・」

「と、取り敢えず様子を見るぞ!」

「「「了解!」」」

 

全員で映像を確認する。

そこにはミルフィーが真っ当に仕掛けを解いてある様子が映っていた。

 

「よ、良かった・・・」

「この様子なら俺たちの想定通りに行くかも・・・!」

「頼む!」

 

そして、最後の仕掛けである落とし穴が起動した。

 

「「「「おおっ!!」」」」

 

全員が上手くいったと思ったその時だった。

 

 

 

ミルフィーは、自分の頭を投げていた。

 

 

 

「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」」

 

運営達は自分達が実装したスキルなのに、驚いてしまった。

 

「まさか、そう来るか!?」

「いや、スキルは使えないんじゃなかったか!?」

「いや、使えないのは宣言して使うようなやつでパッシブスキルは・・・」

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

運営達が休める日は、果たして来るのだろうか。

 




そろそろネタが・・・更新遅くなったらすいません。
評価、感想お待ちしております!

7/13 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
あと、そろそろアンケートを締め切りにしたいと思います。
運営、掲示板パートは書きます。
番外編は本編終わったら考えるという事で。


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機械神と機械仕掛けの堕天使

初投稿が初投稿なので初投稿です


危なかった・・・あの時、頭を投げていなかったら今頃私は死んでいただろう。

私は今、狭い個室に立っていた。目の前には宝箱らしきものと魔法陣がある。私の首から上は地面に転がっているが。首から上だけが魔法陣に乗ると、どうやら身体も転移されるらしい。もし首から上だけ転移されていたら、私は多分死に戻っていただろう。首から上がダメージを受けると身体の方もダメージがいく。つまるところ、私の身体は離れていてもHPは共有しているということなのでしょう。転移の方は試した事はありませんでしたが、上手くいって良かったです。

 

取り敢えず首から上を持ち上げて首の上に乗せる。軽く首をポキポキと動かして異常がないか確かめた後、宝箱を開けてみる。

 

「何が入っているのかな〜っと」

 

中身は・・・スキルの巻物が2つあった。なになに・・・

 

【ギアチェンジ】

自分の一番高いステータスを別のステータスと入れ替える。

使用回数は一日二回。使用後、3時間の間解除不可。

 

【リミッター解除】

一分間、HPとMP以外の全ステータスを2倍にする。

その後、五時間の間HPとMP以外のステータスが75%減少し、再使用不可。

使用回数は一日二回。

 

成る程・・・便利なスキルだと思う。特に【ギアチェンジ】だ。このスキルを使えば一時的にメイプルみたいな防御力を得たり、あの双子の子達のような攻撃力を得ることが出来るという事。もう一つの【リミッター解除】も悪くない。デメリットが大きいが、【清濁併呑】と組み合わせると実質デメリット無しと同じだ。

 

これらのスキルの存在はかなり大きい。大きい、けど・・・

 

「・・・装備、イズさんにまた頼まないと・・・」

 

イズさん・・・すみません。また仕事が増えてしまいました。【ギアチェンジ】を使うなら新しい装備は必須になってくるだろう。

スキルの巻物を使うと、私は部屋にあった魔法陣に乗って、その場を後にした。

 

 

 

転移した場所は、私が先程までいた裏路地だった。ただ、マンホール的なものは無くなっていました。

 

「ふぅ・・・」

 

今日はもう疲れたので、私はログアウトして泥のように眠りました。いきなりは、卑怯です・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

数日後、私を含むギルドメンバーみんなでフィールドに集まっていた。そこはモンスターが少なく、人も居ない場所なので静かだ。

何故そんな場所に集まっているのかというと、メイプルと私の新スキルのお披露目の為だ。丁度、私の新しい装備が出来たのとメイプルがまた進化(?)して来たのがほぼ同じタイミングみたいだ。

 

「見せたいものって・・・まさか、まさかだよね?」

「私はもう、何が来ても驚かんぞ」

「俺もだ」

「ドキドキ・・・」

「ワクワク・・・」

「うふふ・・・」

 

イズさんの笑い方がちょっと怖い。あれは確か、私のお母さんが徹夜明けにしてた顔に似ている気がする。ありがたいんだけど恐ろしい。

新しい装備を着て、みんなの前に出る。

 

「ど、どうでしょうか・・・」

「おお!似合ってるぞ」

「イメージ一新だね」

「「綺麗です!ミルフィーさん!」」

「そ、そうかな・・・?」

 

新しい装備は、檳榔子黒(びんろうじぐろ)のドレスと短剣、それにティアラだ。INTとMPに特化した性能になっている。デザインはイズさんがして私が作ったものだ。

 

【堕天使のティアラ・Ⅸ】

【MP+160】

【INT+40】

 

【堕天使の小邪刀・Ⅷ】

【INT+60】

 

【堕天使の小魔刀・Ⅷ】

【MP+200】

 

【堕天使の黒衣・Ⅹ】

【MP+180】

【INT+50】

 

こんな感じの性能をしている。二刀流になったけど、多分振るう機会は無いかな・・・

 

「へ〜。似合ってるよ!ミルフィー!」

「え、えへへ・・・」

「それじゃあミルフィーちゃん。例のアレ、みんなに見せて?」

「はい!」

「さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・」

 

クロムさん、失礼なこと言わないでください。

 

「じゃあ、今度は私が先に見せますね」

「うん、良いよ!」

「では・・・【堕天】!」

 

スキル名を口にすると、初めて使った時と同じように私の身体が変化していく。

髪は輝く白銀。目は血の色を思わせる赤。三対の翼は新月の夜と見間違いそうな漆黒。赤い輪っかが私の頭の上に乗っかる。私の姿はどこからどう見ても堕天使になった。

 

「わぁ!凄い!私とお揃いだね!」

「成程・・・そう来たか。」

「メイプルは天使だったが、ミルフィーは堕天使か・・・」

「黒いドレスが更に似合ってるな・・・」

「えへへ。あ、そうだ。まだあるんだった!【純然たる傲慢】!」

 

すると、私を中心に半径10m程の黒い円が出来た。

 

「これは、メイプルのアレと同類みたいな感じか?」

「えっとですね、この中に居ると相手はHPとMPを回復すると逆に減るようになって、味方は闇魔法で回復するようになります!あ、私はこの状態の時は闇魔法が使えます!」

「えげつないな・・・」

「メイプルのアレと合わせると相手は絶望しかないだろうな・・・」

「しかも、闇魔法で回復までするのか・・・」

 

メイプルさんのあれと合わせるともはや敵無しかもしれない。

そして・・・

 

「では、メイプル。見せて?」

「うん!じゃあ、完全に使っちゃうと目立っちゃうからちょっとだけ。【展開・左手】!」

 

メイプルがそう叫ぶと左手に巨大な機械のようなものが現れました。今度はそんな感じですか・・・

 

「いっくよー!はぁぁぁ!!」

 

すると、機械の先から赤いエネルギーみたいなものが飛び出し、少し離れた所にあった岩に直撃し、爆発した。岩は当然粉々になった。

 

「いいね、カッコいい!」

「「素敵です、メイプルさん!」」

「そっかー、今度はそう来たかー・・・」

「また付属品が増えたな」

「今度はメカか・・・」

「2人共味方ならいいの。味方なら・・・ふふふ」

 

むむむ、これは負けていられません!

 

「私もメイプルみたいに・・・」

「考え直せ!?」

「もうこれ以上人外は要らない!」

「待って、ミルフィー!」

「いいえ、待ちません!解除!そして【ギアチェンジ】!また【堕天】!」

 

【ギアチェンジ】でDEXをVITに変えてから堕天使になってみる。すると、身体の一部が機械になったまま堕天使になった。

あ、【ギアチェンジ】使うとこうなるんだ。

 

「言ってるそばからまた・・・!」

「もうメイプルとミルフィーの事は気にしないようにしよう・・・」

「ああ、そうだな・・・」

「おお!これでもっとお揃いだね!」

「そうだね!私、嬉しい!」

 

こうしてお披露目は終わった。今後はレベル上げなんかをするつもりだ。私自身は裁縫すればガンガンレベルが上がるけど、エクレアはそうもいかないしね。

さあ!頑張ろう!

 




投稿速度ががががが

評価、感想等お待ちしております!
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偵察と闇騎士

今回、登場人物の殆どが貧乳なので初投稿です


「それそれー!」

「うわぁぁ!?やったな〜、どりゃー!」

「「私達も!それぇ!」」

「「うわぁぁぁ!?」」

「・・・元気で良いですねぇ」

 

私はメイプルに誘われてサリーとマイとユイと水場で遊んでいた。と言っても、私は釣りをしてるんですけどね。4人が楽しそうで何よりです。私は泳ぐのは苦手なので釣りをしているんですけどね。まあ、楽しくないわけではないですよ。

 

「ミルフィーは泳がないのー?」

「あはは・・・私は遠慮しておきます」

「それにしても、すごい・・・」

「うう・・・」

「すごく、大きいです・・・」

「・・・?」

 

サリーと双子ちゃんは何故か落ち込んでいた。こんなケースは前にもあったような・・・

 

「そういえばミルフィー、レベル上げはいいの?」

「うん。一段落ついたし。それに、エクレアが新しいスキルを習得したから」

「え!どんなスキル?」

「えっとね、【視覚同調】ってスキル。なんとなく効果は分かりますよね?」

「うーん、それは分かるんだけどどう使えば良いのかな?」

「ああ、それは・・・ん?」

「?どうしたの?」

「いや、なんでも・・・えっと、ひとつ思い付いた使い方があってね———」

 

こうして話している間にも、私はひたすら手を動かして魚を釣り上げている。いやー、大漁大漁!現実だと無理な事も出来るからこのゲームは好きだ。

 

「イズさんが作ってくれた水着、素敵です!」

「ちょっとだけ【水泳】スキルにボーナスも付いてますし」

「対抗戦は、どんな感じになるんだろう?」

「楽しめるといいね」

「ですね〜。ふぅ・・・」

 

釣りの手を止めて、私は持ってきたビーチチェアに腰掛けて目を閉じる。4人も浮き輪の上でのんびりしている。

気分転換に来て正解でした。時々ゆっくりするのは重要だってお父さんも言ってましたっけ。しかし・・・全く、やれやれです。

 

「・・・サリー」

「うん。分かってる」

「あー!楽しかったー!・・・どうかしたの?」

「さて・・・ねえ!そこの人!もういい加減出てきたら!?」

 

すると、近くの岩陰から女性が顔を出した。

金髪で魔法使い風な装備をしている。

 

「あはは。バレてたー?」

「ずっと見つめられてたら、そりゃあ・・・」

「ええ!?ずっと見つめて・・・!?」

「そういう趣味なんですか?」

「あ、もう、違うわよ!」

「否定するなんて怪しい。やっぱり・・・」

「だから違うってば!」

 

そう金髪さんは言うけど、視線が私の・・・む、胸に向いているのですけど。

 

「でも、視線が私の・・・その、あんまり見られると・・・は、恥ずかしいです・・・」

「みみ、見てない!ましてや比べてなんかしてない!」

「・・・その気持ちは分かる」

 

サリーが何故か同情するように金髪さんに語りかけた。貴方はどっちの味方なのですか?メイプルまで何故か顔を下に向けちゃってるし、一体なんなんでしょう?

 

「うう・・・たしか、フレデリカさん?」

「・・・やっほー。久しぶり」

 

なんだか二人とも元気が・・・おや?何故か、天気が怪しくなって来ました。ゲームでもそういった事は起こるのでしょうか?

 

「あれ?ゲーム内で雨なんか降るっけ?」

「いや、そんな事は・・・まさか」

「もしかして・・・」

「な、何が始まるんですか?」

「なんだか不穏です・・・」

 

サリーとフレデリカさんには何か心当たりがあるらしい。うーん、そういえば私も何処かで天気が変わるという噂を耳にしたような・・・うーん、いつ聞いたっけ?

 

「クックック・・・ふはははは・・・ふーっはっはっはっはぁ!!!」

 

うるさ!?この声は何処から・・・上か!

声のした方を見ると、木の上に誰かが立っていた。

その人は真っ黒な鎧を装備していて、髪の色も真っ黒だ。手を腰に当てて口を大きく開いて高笑いをしている。声からすると、多分女の子だと思う。それにしては女の子らしくない行動だけど。

 

その子は「とぅっ!」と声を上げ跳躍し、空中で3回転捻りを入れて着地しました。体操選手の方でしょうか?

 

「くっくっく!そこにいるのは『集う聖剣』の多重詠唱者(マルチプルキャスター)フレデリカではないか!それに『楓の木』のギルドマスターで第一回イベント3位の浮遊要塞(フロートフォートレス)メイプルもいるみたいだな!そして君は確か二位の首狩り姫(マーダープリンセス)の・・・」

「あわわ・・・そ、その名前は恥ずかしいのでや、やめてください〜!?」

「恥ずかしい・・・?カッコいいとおもうが・・・?」

 

こ、この人、昔私が見つけたお父さんが中学校の頃使っていたノートに書いてあったことと同じような事を言ってる気がする・・・!たしかに貴方の鎧はカッコいいかもしれないけどその呼び方は微妙だと私は思うよ!?

 

「あなたはたしか、『炎帝の国』の・・・」

「ふっ・・・私の事を知っている者もいるようだな。ならば、名乗ってやろう!」

「第一回イベント十四位、『闇騎士』ニュクスでしょ?」

「なっ!?」

 

ああ!そういえばこの人の名前は聞いた事がある!たしか、行く先々で暗雲が立ち込める、なんて呼ばれていたような。まあ、そのせいで第一回イベントでは避けられたみたいだけど。

 

「か、勝手に名前を言うのは反則だろう!?」

「いや、知らないよそんな事」

「なん・・・だと・・・!」

「あー、おほん!・・・二人共、偵察でしょ?ギルド対抗戦に向けての情報収集ってとこかな」

「いや?私は唯の散歩だが?」

「「ゑ?」」

 

サリーとフレデリカさんの声が重なる。私も同じ気持ちです。まさかそんな理由とは・・・

 

「クックック・・・しかし、これはチャンスでもある」

「チャンス、ですか?」

「おうともさ!首狩り姫(マーダープリンセス)ミルフィー!私と決闘しろ!」

「いやだからその名前で呼ばないで・・・って、ええ!?」

 

なんでわたしがこの人と!?

 

「・・・で、貴方に相談があるんだけど」

「な、なぁに?」

「私と決闘してくれません?」

「なんでそんなことしないといけないのかなぁ?」

「勝った方が欲しい情報を得るって事でどう?」

 

サリーがフレデリカさんに短剣を突き付ける。あれ、私達は無視ですか?

 

「見つけちゃった以上、ただで帰すわけにはいかない。4人を相手にするよりかは、良いと思うけど?」

「・・・良いよ。分かった。でも、渡すとしたら『炎帝の国』の情報だけど・・・」

「別に構わんぞ。そんな事で揺らぐ程我等がマスター炎帝(フレイムエンペラー)ミィは甘くないぞ」

 

驚く事に、ニュクスさんは自分のギルドの情報が広まるのを全く気にしていない。それに、話し方からしてもなんだか強そうです。私が思うに、この人は自分のギルドに絶対的な自信があるのだろう。

 

「さて、我等も闘おうではないか!」

「え、いや、ちょ、たすけ・・・」

「じゃあ、行ってくるね!」

「さ、サリー!?」

「ふはは!もう逃げ場は無いぞ!」

 

うう、メイプル達は傍観するみたいだし・・・仕方ない。この決闘、受けますか。

 

「はぁ・・・分かりました。闘えば良いんでしょう?」

「ほう。覚悟を決めたようだな。いざ、尋常に勝負!」

 

こうして、折角羽根を伸ばしに来たのに決闘を行う事になってしまった。

 




『闇騎士』 ニュクス
真っ黒な鎧を纏い、髪まで真っ黒な少女。ぺったん。
痛々しい言動が特徴的な中性的な美少女。第一回イベントではスキルによる天気の変容が目立ち「あいつには近寄らんとこ」となった所為で惜しくも入賞を逃したが、本人はあまり気にしていない。
ミィとは友人。本人の素を察している節もあるが、その上であんな物言いをしているので、ミィは内心ぷんぷんしているとか。
別に呪いで歳を取れないなんて事は無い。

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首狩り姫VS闇騎士


ははははつ投稿です(ダダダダ天使的なノリで)



 

「う!?どっか行っちゃったよ!?」

 

「決闘ですよメイプルさん!たしか、そんなシステムがあった筈です」

「決着がついたら戻ってくると思いますけど・・・」

 

「ん?どうかしたの?」

 

「サリーさんがとても強いのは知っていますけど・・・」

「ミルフィーさんは大丈夫でしょうか・・・?」

 

「ああ!2人はミルフィーが戦ってる所を見たことないんだっけ!それなら平気だよ!ミルフィーはこう見えて私やサリーより頼りになるから!」

 

「ええっ!?」

「そ、そうなんですかっ!?」

 

「うん!特に戦っている時の表情がすっごく凛々しいって言うか・・・とにかく、ミルフィーは絶対に負けないよ!」

 

「だって私、ミルフィーのこと信じてるから!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

迫りくる巨大な瓦礫を受け流す。かなりのスピードのそれは掠っただけでも即死になりかねない程の破壊力を持っている。受け流すのもやっとだ。それを振り回している本人は、無表情でこちらを伺っている。

 

———こいつ、かなり強い・・・

 

首狩り姫(マーダープリンセス)ミルフィーの実力は第一回イベントのハイライトムービーを視聴して知っているつもりだったが、予想以上だ。

まず、速度が第一回イベントよりもかなり速い。しかも、瓦礫の数も増えている。イベントでも見た巨大な鉄の塊の瓦礫と、槍のような形状をしたこれまた巨大な瓦礫を縦横無尽に操ってくる。これでは近づけない。

 

「くっくっくっ・・・やるなぁ、首狩りィ!」

「・・・とっとと倒れろ。」

 

・・・雰囲気も違う気がする。決闘前はおどおどしていて、正直あまり強そうには見えなかった。が、今は違う。まるで歴戦の戦士なのでは無いかという錯覚すら覚える。

 

「くっくっくっ・・・ふははは・・・ふーはっはっはっ!!」

 

だからこそだ!だからこそ面白い!

 

「さぁさぁ!ここからが本番だ!行くぞッ!」

「・・・早くしろ」

 

・・・調子狂っちゃうなぁ。まあ良い!

ここからは速攻で片付けるッ!

 

「【黒炎斬】!ぜあッ!」

 

炎と闇属性を纏った剣で糸に斬撃を喰らわせる。しかし、かなり頑丈なようで切れない。糸だから炎には弱いと思ったが・・・ならば!

 

「【黒雷斬】!【黒水斬】!・・・!」

 

どうやら、糸は水の攻撃には弱いらしい。これなら押し切れるッ!

 

「【黒水剣】!」

「ぐっ・・・【装着・大車輪】」

 

よし!糸をちゃんと切れる!これなら・・・なッ!?

彼女は新たな瓦礫を掘り出してきた。それは鉄の塊でも槍のようなものでもなかった。それはその2種類の瓦礫よりも更に巨大な大車輪とでも呼ぶべきものだった。その直径8mはありそうな大車輪を首狩りはぶん回してきた。

 

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「さっさと倒れろ・・・!」

 

あんな巨大なものまで使いこなすとは・・・!流石にこれは回避の一手だ。こんな攻撃を受け流そうとするなら相応のSTRと技術が必要になるだろう。私はSTRならそこそこ自信があるがあれを受け流す技量はない。これが第一回イベント二位の実力・・・!

 

「ぐはッ!?」

 

片手に車輪が掠った。この威力は不味い・・・もうHPが4割を切った。ならば一旦距離をとって体勢を・・・

 

「【射出・穿槍】っ!」

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

今度はあの槍のような瓦礫を5本も撃ち出してきた!?・・・くっ、これでは距離をとっても意味がない!こうなったら・・・

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

彼女に向かって突進する!こうでもしなければ活路が見出せない!近づけば瓦礫のぶん回しも当たりにくい筈だ!進め!今ここで止まったら良い的になってしまう!

 

「ぐっ・・・おのれ」

「私はッ!絶対に負けられないッ!」

 

盟友であるミィに約束したからな・・・必ず情報集めて仇をとってくるってな!本当はギルド対抗戦で戦うつもりだったが、偶然会ったからには今!ここで!決着をつけるッ!

糸が足に絡みついてくるのを剣で切る。行く手を阻む障害を振り切って彼女に迫る。そして、遂に私の剣の間合いに到着するッ!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「しまっ・・・!?」

 

私は剣を振り下ろし・・・彼女の首を袈裟斬りにした。

勝った!これでなんとか仇は・・・なッ!?

 

「ど、どうして・・・」

「私に勝てると思った?ごめんね、そんな儚い希望を持たせて。私は自分で自分の首を切ったんだよ」

「ぐっ・・・!?」

「じゃあね。まあ、悪くは無かったよ」

 

巨大な瓦礫の影が私の真上に現れる。すまない、ミィ・・・

無慈悲な一撃が、私に振り下ろされ・・・あれ?

てっきりなんの躊躇いもなく攻撃されると思っていたが、いつまで待っても何の衝撃もやって来ない。何故だろうと顔を上げる。

 

 

すると、彼女・・・ミルフィーは何故か俯いて肩を震わせていた。Why?

 

「うう・・・わ、私ったら、しょ、初対面の人に失礼な事を・・・」

 

・・・なんだか、様子がおかしいな。

 

「うう!私のバカバカ!あぁぁぁ・・・穴があったら入りたい〜」

 

あ、なんか誰もいない時のミィに似てる。なんだ、ミィと同じタイプな感じか。それにしても・・・

 

「あのー、私がいること忘れてますー?」

「っ!?は、早く降参して下さいっ!」

「どうしよっかな〜」

「も、もうっ!は、恥ずかしい・・・」

「冗談だ。・・・よっと。では、また会おうッ!」

「え、ちょ、待っ・・・」

 

とっとと降参してこの場を去る。

今回の収穫は奴の首が外れるという事が分かったくらいか・・・まあ良い。次は必ず勝つッ!・・・だけど、意外だったな。かの首狩り姫(マーダープリンセス)がミィと同じロールプレイするタイプだとは、な。いや、あれは無意識か?戦闘中のみあんな感じみたいだし。

 

こうして決闘は私の負けで終わった。この経験は、次に生かすとしますか。

 

 

「うう・・・恥ずかしい・・・」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

ああぁぁぁぁぁぁぁ!?あ、あんな言動私はしてたのっ!?やだやだ、恥ずかしいよぉ!?

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「あ、ミルフィー!おかえり・・・って、どうしたの!?」

「「ミルフィーさん!?」

 

ごふぅ・・・これは、今後戦闘は控えた方が良いかも・・・

 

「で、結果はどうだったの?」

「うう・・・あ、ちゃんと勝ったよ」

「流石ミルフィー!」

 

サリーの方も既に帰っていたみたいだ。

私達はサリーの決闘の結果を聞こうとしたが、サリーの提案でギルドホームに帰還してから話をすることになった。

 




遅れてすみませんm(__)m


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第4回イベント開始まで

すいません遅くなってしまいました。
夏バテで頭が致死毒の息吹(デッドリーブレス)されてました。
お詫びに初投稿です


「え?嘘のスキルですか?」

「そ。【攻撃誘導】は相手の攻撃を任意の方向に逸らすスキル。【流水】は一定時間攻撃を弾くスキルって感じで」

「簡単に言うがそれを自身の技量でこなすなど、並大抵の事ではないぞ?」

「でも、どうしてそんな事を?」

「間違った情報は何も知らないより怖いからね」

「フレデリカってそれなりのランカーだろ?そんな相手によくブラフかましながら戦えたな」

「ま、自分が格上なら格下を演じることは簡単って事だよ」

 

サリーは凄い。私には相手をただ轢き潰す事しか出来ないから、ちょっとだけ羨ましい。その頭脳を勉強にも使えばいいのにとは思いますけどね。まあ私の学業の成績もあまり良くは無いんですけどね。特に数学と英語が・・・って、そんな事はどうだっていいんです。重要な事ではありません。そろそろ第4回イベントのギルド対抗戦のルール説明が来るらしいです。

 

「お、そろそろだぞ。」

「みたいだな」

 

「ガオ〜!みんなお待たせ!第4回イベント、ギルド対抗戦のルールの説明をするよ!よーく聴くドラ〜!」

 

「「「おお〜!」」」

 

 

「事前に告知した通りイベント中は時間が加速。前回と同様に途中参加や中断は無しドラ!イベント内時間の期間は5日間となるドラ!」

 

 

「ちょっと短くなったんだ」

「はえ〜。そうなんですか」

 

 

「ギルドは条件によって大中小のランク分かれ、それぞれ獲得するポイントに差があるドラ!」

 

 

「私達は小規模ギルドに分類されるみたい」

 

少人数のギルドはややキツイでしょう。昔、『お父さんが戦いは数だ』って言ってましたし。そしてなにより・・・間違いなくあの2人(神速と極光)が私を襲ってくる筈です。夜間の奇襲も警戒しなければ・・・

 

 

「ギルド毎に拠点が設けられその拠点に配備された自軍オーブの防衛、または他軍オーブを拠点に持ち帰ることでポイントが加算されるドラ!自軍オーブが自軍にある場合6時間毎に1ポイント、小ギルドは2ポイント。他軍オーブを自軍に持ち帰り3時間防衛することで自軍に2ポイント、奪われたギルドがマイナス1ポイント」

 

 

「つまりはオーブの争奪戦か」

「んん、自軍のオーブを持っていれば6時間で1ポイント・・・ああ、小ギルドだと2ポイントか。で、相手チームのを奪って3時間キープしたら2ポイント、盗られた方はマイナス1ポイント」

「要するに、キッチリ守ってどんどん盗って来た者勝ちって事だね!」

 

 

「他軍オーブはポイント処理が終わり次第元の位置に戻されるドラ!防衛時間3時間以内に奪還された場合ポイントの増加や減少は無いので注意ドラ!」

 

 

「あら?オーブは奪われても自動的に戻ってくるのね」

「何処に自軍オーブがあるかマップで分かるみたいだね」

「逆に相手のオーブを奪っても安心出来ないって事だよ」

「防衛が大事だな」

 

なるほど、つまり他軍オーブを奪って逃げても場所が分かるから逃げ切るのは無理、という事みたいですね。絲でオーブを奪うだけ奪って・・・というのは難しいかもしれません。結局は拠点に持ち帰る事になりますからね。うーん・・・

 

 

「続いてデスペナルティドラ!」

 

 

「なるほど、5デスでリタイアになるのか・・・」

「人が減れば攻略が厳しくなる。私達の様な小ギルドなら尚のこと・・・」

 

 

「説明は以上ドラ!ふう、いっぱい喋って疲れちゃったから分からない事があったら、またナビ画面を呼び出すドラ!それじゃみんな、頑張ってね!ガオ〜!」

 

 

・・・疲れると言う事は中の人がいるのでしょうか?確かにドラぞうの声は日曜日の朝に少女アニメの主役でもやってそうな可愛らしい声ですけど。

 

「取り敢えず防衛には人数を割きたいけど・・・これはキツいなぁ」

「何処が大変そう?」

「攻撃に出られる人数が足りない。防衛も同じ。そして少人数の問題点はそうそう休めない事・・・」

「休めないのはかなり問題だと思います」

「ひっきりなしに誰かが攻めてくるだろうし、夜襲もあるだろうしね」

「そっか、今回はずっと戦闘になるから・・・」

 

回数制限のあるスキルなんかにも注意を払わないといけませんね。幸いな事に【絲生成】は一度作ってしまえば斬られたりしない限りずっと使えます。ただ、耐久力は設定されてるみたいなのでそこは気を付けないと。

 

「5日の内には色々バレると思う。特にメイプルのスキルに回数制限がある事を悟られたらやばい」

「げ、確かに・・・」

「私も注意します」

「要はメイプルをどれだけ温存出来るか、かな。」

 

防衛はメイプルさんが鍵になりそうですね。私はあまり守るのは得意ではないですから。

 

「防衛はメイプルとユイ、マイ。」

「「はいっ!」」

「カナデもお願い」

「なんでも良いよ」

 

この4人なら大丈夫でしょう。火力も耐久もサポートも出来ます。

 

「基本、アタッカーは私とミルフィーとカスミ、それとジェラートさんとクロムさんで。イズには拠点のバックアップって事でどうかな?」

「うん!それで行こう!」

「頑張ります!」

「後はイベント開始まで、各自レベルアップに努めよう!」

「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」

 

イベントがとても楽しみです。こんな気持ち初めてかもしれません!

とは言え、何をしましょうか?【絲使い】のレベルは今は9だけど中々上がる気配が無いですし・・・あ、そうだ。結局、首無し騎士(デュラハン)のスキルの検証をしようと思ってましたけどあまり進んでいませんでしたね。メイプルにも協力してもらいましょう。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

イベント当日。

 

「よーし!頑張ろー!」

「目指すは上位!10位以内!」

「「「「「「「「「異議なし!」」」」」」」」」

 

 

「さぁ!第4回イベント、ギルド対抗戦!スタート!」

 

 

イベント開始の幕が切って落とされた。

 

 




ミルフィーの実験とは一体・・・次回!対抗戦序盤!乞うご期待!


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首無し姫誕生秘話


初投稿しなければ、生き残れない
タイトルでネタバレしてる・・・


 

私達は、どうやら洞窟の中に転移したみたいでした。薄暗いです。私は絲を伸ばす事である程度索敵出来ますけどね。絲に感覚が通っているのは中々便利です。

 

「此処が私達の拠点!?」

 

入り口は一つしか無かった。これなら防衛がかなりやり易いのではないでしょうか。絲で罠を作るのもありかもしれません。

 

「じゃあ、私達は攻撃に」

「おう。予定通り行こう。」

「頑張りましょう!」

「行ってらっしゃい!・・・あっ、そうだ!」

「覚えてたんだね、メイプル」

 

ふっふっふっ・・・ようやくあの作戦を使う時が来ました!

 

「えっ?な、何するつもりなの?」

「ふっふー。えっとね、先ずは首を取ります!」

「ヒィッ!?」

「な、何回見ても不気味だな、それ・・・」

「で、どうするのだ?」

「いや〜実はね・・・」

 

どうも、首と首から下も私という一人として扱われるらしい。と言ってもよく分からないと思います。私もイマイチ理解できていませんし。つまり何が言いたいのかというと・・・

 

「どうにも、首だけメイプルの【身捧ぐ慈愛】の範囲いると、身体の方にも効果があるみたいなんです!」

「なん・・・だと・・・!」

「・・・でもそれだと視界が確保出来ないんじゃ?」

「ふふん。それなら対策済みです!」

 

エクレアのスキル【視覚同調】で視界は確保出来ます。問題は指示が出せないと言う事ですが・・・つい昨日、エクレアが【遠隔指示】と言うスキルを覚えてくれました!このスキルのおかげで離れていても指示が出せます!

 

「なるほど、それならなんとかなるね・・・」

「メイプルと言いミルフィーと言い、行動パターンが読めないな」

「エクレア、【覚醒】!」

 

黒い猫、エクレア。世界一可愛いです。異論は認めますが却下します。

 

「エクレア、私は首無しで攻撃に出かけますので私の目となってください!【視覚同調】!」

 

うわ、目線が低い!って当たり前か。エクレアは首から下の身体に擦り寄っている。首だけの方の視界もちゃんと確保されるので安心だ。いざという時は【堕天】を使う。首だけでも【堕天】は使えるみたいです。スキルは使えなくなるとは言ってもパッシブスキルだからでしょうか。なお、ちゃんと首だけでも魔法が使えるのは検証済みです。

 

「あー・・・あ、それだと身体、動かし辛くない?」

「一応練習しましたし、なんとかなります!」

「そ、そうか・・・」

 

確かに三人称視点は難しいけど、メイプルのお陰でダメージを受ける心配もないですしね。

 

「それじゃあ、行ってきます!・・・って、行ってくるのは私の身体だけですけどね!」

 

ジョークだったのにサリーが少し震えていた。ごめんねサリー・・・でも、やめる気はないです。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ぐわぁ!?」

「な、なんだと!?」

「き、貴様ぁ!」

「ぐはぁ・・・」

「ひぃ!?」

 

奇襲は成功したみたいだ。襲った集団の内1人はわざと逃がす手筈になっている。後をつけて拠点の場所を案内させるためだそうだ。サリーは考えることがあくどいね。因みに私達は身バレ防止の為にフードを被っている。私の場合は首から上が無いからあんまり意味はないかもしれないけど。エクレアは私の肩に載っている。同調出来るのは視覚だけなので何言ってるのか分からないのが辛いところだ。ゆっくり口パクしてくれれば分かるのだけれど。メールを送ればコミュニケーションはどうにかなるのですけどね。

逃げていく奴の後をつける。すると洞窟らしき場所に着いた。私、閉所での戦闘あまり得意じゃないのよね。瓦礫を振り回すのが難しいし。

 

 

「大変だぁ!」

「どうした!?」

「そ、その…がっ!?」

「道案内ご苦労様」

 

ノコノコ私達をここに案内した奴をサリーが背後から斬りつける。サリー怖いなぁ・・・本当に味方で良かったと思います。

 

「ぐぅ!?総員、かかれぇ!」

 

敵も負けじと火矢を撃ち込んで来ますが、クロムさんは大盾で防ぎサリーは突っ込みながら躱しています。なんで前進しながら躱せるんでしょうか?

 

「相変わらずの回避力だ。私も出来れば、な!」

「うーむ、私は集団戦はあまり得意では無いのだが・・・この程度の相手なら問題ない」

「ウチのギルメンはみんなおっかねぇなぁ!」

 

うわぁ、カスミさんとジェラートさんもすごい。カスミさんの方は一瞬で3人を斬り捨てているし、ジェラートさんも槍で一気に2人も貫いている。クロムさんも地味だけど確実に敵を倒している。

 

「何が、起きている・・・一体・・・何がぁぁぁ!?」

 

このギルドのリーダーらしき男は何が起きたのかも理解できずに死んでいった。ちょっとだけ可哀想。

 

「まずはこれで一つ・・・」

「カスミ、これ拠点に持って帰ってくれる?」

「承知した。」

「私は周りの偵察してくる。」

「気をつけてな。」

 

とと、メールメール・・・ふむふむ周辺の偵察をする、とな。なるほど・・・私は指で輪っかを作って了承の意を示す。するとサリーはすぐに走り出した。うーん、私もそうするべきか・・・よしっ!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

ふぅ、先ずは一つ、と。始まったばかりだが順調にだな。

 

「メイプルやミルフィーも相当だが、改めてサリーも化け物だな」

「ああ。味方で良かったと心から思う・・・ん?」

「む、メールか。どれどれ・・・ミルフィーから?」

 

 

『私もちょっと一人で暴れてくる!』

 

 

「・・・そうか」

「承知した」

「うっかり転ばないようにな」

 

ぷんぷん!

そう言っているみたいにミルフィーは地団駄を踏んだ。ああ、また被害が出てしまうのか・・・可哀想に。俺だって怖いぞ、首のない奴が襲い掛かって来たら。

 

ミルフィーはペコリと一礼するとその場を去った。

 

「・・・サリー以上に味方で良かったな。ある意味」

「ああ・・・」

「よし、俺たちも負けていられないな!」

「「おお」」

 

ジェラートはなんか生き生きしてるな・・・何故だ?

 




最近暑いので熱中症等にご注意ください。

ジェラート「WRYYYYYYYY!!」
カスミクロム「「落ち着け!」」


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屍山血河


久しぶりの連投なので初投稿です

アンケート、意外と運営の憂鬱が人気で驚いています。
次に人気なのはフレデリカのバストアップ大作戦です。君達胸好きすぎじゃない?



 

とある中規模ギルドの拠点にて。

 

「!?て、敵襲・・・ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「ど、どうした!?」

「な、なんだアイツ!?」

「首が無いだとっ!?」

 

襲撃者はたった1人だった。特徴はローブをかぶっている事。金色の糸を漂わせている事。そして・・・首が無い事。そいつは巨大な瓦礫を地面から掘り出して振り回してきた。

 

「うわぁぁぁぁ!?」

「お、落ち着けぇ!魔法使いはファイアボールを!」

「「「「【ファイアボール】」」」」

 

しかし、その首の無い襲撃者は糸で自分の身体を動かして躱す。

 

「糸ってことは・・・ミルフィーか!?」

「くそっ!せめてオーブだけでも・・・あっ!?」

「な、なんだ!?オーブが無い!?」

 

いつのまにかオーブが無い。よく見ると、首の無い襲撃者は一本の糸でオーブを掴んでいた。襲撃者は糸を引き寄せて手でオーブに触ってストレージに入れると一目散に逃げ出した。

 

「ま、待てぇ!」

「ああ、くそっ。逃すな!」

「この野郎・・・ぶっ!?」

 

追いかけようとした矢先、1人が糸に引っかかって転んだ。すると、転んだ者はあの襲撃者が去って行った方に引き摺られて行った。

 

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁあ!!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

誰かが助けようと動いた。が、余りにも遅かった。少しでも対抗しようと地面を掴む。爪が地面にめり込む。しかし止まらない。引き摺られた者は、遂に見えなくなった。

 

まるで嵐にでもあったのでは無いだろうか。この光景を見た者はそう言いたくなる様な光景が広がっていた。木は薙ぎ倒され、地面まで抉れている。・・・先程の悲劇を見た被害者達は嵐よりもよっぽど怖い目に遭ったと主張するだろうが。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ふむふむ、これで5つ目です!」

「おーやったね、ミルフィー!」

「「流石です!ミルフィーさん!」」

「いえいえ、まだまだ始まったばかりですから油断出来ません」

 

ふーむ、やはり全員相手にせずとっととオーブを奪って逃げるのが一番効率が良いかな?サリーもそうしてると思う。取り敢えず、サリーに負けないように頑張ろっと。サリー、AGI結構高いから移動が速いんだよね。私の場合、首無しの状態で視点がエクレア頼りだからやや遅くなっちゃうんだよね。万全の状態なら多分こっちの方が速いとは思うんだけど・・・いや、それよりも。

 

「見つからないなぁ・・・」

「え?何が?」

「『炎帝の国』と『集う聖剣』の拠点。探してるんだけどねぇ・・・」

「なんで探しているんですか?」

「いや、個人的に避けたい相手がいるから・・・早めに見つけて見つからない様にしたいなって」

「あ〜、前に言ってたこと?」

 

あの神速と極光には見つかりたくないです。絶対追い回されますし。首無しなら絲を隠せば私だってバレないでしょうし。その場合、【ギアチェンジ】を使ってAGI極振りになって逃げに徹する事になりそうですけど。

 

さて、と。そろそろ一旦オーブを拠点に持って帰りますか。サリーも帰って来るみたいだし。この位置ならほぼ同じタイミングで帰還出来るでしょう。

 

 

 

「ここがあの女達の拠点か・・・!」

「間違い無い。ここに俺の・・・いや、オレ達のオーブが・・・!」

「全員で行くぞぉ!」

 

カナデが入り口の方を指差す。どうやら来たみたいですね。

 

「そういえば、10人で一緒に戦うのって初めてだね!」

「言われてみればそうだな。」

「確かにですね」

「メイプル、いつもの頼む」

「了かーい!」

 

お、来ましたね。人数は・・・10人ですね。

 

「取り戻せぇ!誇りと玉を!攻撃ぃ!」

 

その言葉を合図に炎が飛んで来る・・・が。

 

「な、なんだアレは!?」

 

メイプルの【身捧ぐ慈愛】のお陰で全くの無傷です。私も合わせて堕天使になりたいですが、ここは我慢です。

動揺した相手に容赦なく双子の子達が鉄球を投擲する。

 

「怯んでる場合・・・ぐわっ!」

「「投擲投擲!」」

「こいつぅ!」

「きゃっ・・・!」

「な、なんでダメージが通らないんだ!?ぐわっ!」

 

残った相手は逃げようととしたけど、カナデが【パラライズレーザー】を使うと麻痺状態になって動けなくなった。そこをサリーが切り刻んだ。残るは・・・1人ですか。

 

「く・・・せめて、一太刀!」

 

どうやら逃げる事も出来ないと察して特攻してくるみたいだ。向かってる相手は・・・うわ、メイプルだ。案の定、剣は弾かれてしまった。

 

「まさか、何故だ!?」

 

その時、ローブが少し捲れて顔が露わになった。

 

「メイプルかよ・・・」

「・・・じゃあね?」

 

最後くらい私がやります!首を刈って一先ず勝利です!

 

「よーし!ガンガン行くよー!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

集う聖剣の拠点

 

「むぅ・・・」

「どうした、ドレッド?お前が悩んだりするなんて珍しいな?」

「いや、中々目当ての奴が見当たらないから焦っているだけだ。気にするな」

「私の方でも探したが、中々見当たらないな」

「2人とも、結構しつこいんだな・・・」

「お、ペインか。どうだったか、オーブ?」

「20から後は数えていないな。それで、ちょっとした噂を聞いたんだが」

「む、なんだ?お前が気にするなんて滅多に無い事だ」

「ああ。それで、噂の内容なんだが・・・」

「私は今の所ミルフィーしか狙っていないのだが・・・」

「いや、もしかしたらミルフィーに関連しているかもしれないんだ」

「「詳しく!!」」

「分かった。なんでも、首の無い謎の人物が徘徊しているらしいんだが・・・」

「首が無い・・・?それがどうしたんだ?幻覚でも見たんじゃ無いか、それ?」

「かもしれないが、話によるとそいつは金色の糸を使っていたらしい。」

「それって・・・もしかして」

「ああ。ミルフィーかもしれない」

「ペイン、そいつが徘徊していた場所って分かるか?」

「ははっ、そう言うと思って調べて来た」

「流石だぜ」

「頼りになるわ」

 

 

 

炎帝の国の拠点

 

「うう〜・・・次に会ったら絶対・・・」

「・・・・・・」

「今度は逃がさないんだから・・・うぇ!?に、ニュクス!?」

「やぁ、ミィ。どうした?」

「な、なんでもない。少し、強者らしき者を見かけてな。どう戦うべきか考えていた。」

「へ〜・・・」

「(・・・ば、バレてない、よね?うー・・・なんでいっつもこういう時に限ってニュクスがいるのよ〜・・・)」

「ま、なんだ。あんまり気を張りすぎると疲れちまうから気をつけな」

「忠告、ありがたく受けとろう」

「(私からすれば演技だってバレバレなんだけどな。まあ、面白いし放っておこっと。むふふ)」

「・・・?どうした、急に笑って?」

「いや、なんでも無いさ。ああ、そうだ。実は、ミルフィーらしき者の目撃証言があったんだった」

「ほう?教えてくれ」

「ああ。なんでも————」

 

邂逅の時は、近い。

 




メイドラ2期面白い。それにしても今回は割とスッと内容が思い付いたね。不思議。


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遭遇とサリーからの知らせ


遅れてごめんなさい。遊戯王ADSやってました。
私が増G投げるとどうして2回に一回くらいで指名者やうららを握ってるんですかねぇ・・・
先行制圧がキツくて壊獣がないと不安になる病気を患わったので初投稿です


「すっごーい!16個だよ16個!大量大量って感じ!やったー!」

「まだイベント初日なのにかなり良いペースね!」

「消えちゃった!」

「三時間経ったから元のギルドに戻ったんだよ」

 

よし、これでそこそこのポイントが入ったのではないでしょうか?私達の拠点は洞窟なので防衛がとてもやりやすいのでオーブを守るのはそこまで大変では無いのも大きいです。

 

「これでまたポイント追加だな」

「喜ぶのはまだ早いぞ。目標は10位以内。だが、我々はまだ15位だ」

「ふむ。これからはペースを上げなければならない、か」

「さて、もう一回行ってくるよ」

「え、もう?」

「明るくなったら奇襲とかやり辛くなるからね。ここはお願い」

「私もまだ余裕があるので行きます!」

 

エクレアの視点から動くのも慣れてきました。けどまだ改善の余地はありそうなので、今のうちに慣れておきたいです。

 

「ミルフィーまで・・・大丈夫?」

「うん!普段なら動くと肩が凝っちゃうんですけど、今日は頭が無いお陰か凝っていませんので!」

「肩が凝るのはむ・・・いや、なんでもない」

「?サリー?」

「な、何でもない!行ってくる!」

「あ、私も行ってきます!」

「い、行ってらっしゃい!」

「頑張って!」

「気を付けて!」

 

サリー・・・ちょっと疲れているのでしょうか?なんだか俯いていたみたいですけど・・・まあ、いっか。よし!気を取り直して頑張ろ!

 

 

 

「大丈夫かな・・・?もうちょっと休んだ方が良かったんじゃ・・・」

「集められる内に集めようっていう考えなんでしょうね。小規模ギルドは早い段階で全滅する可能性が高い。そうなればオーブは消えてしまってポイントが取れなくなる。だから、中小規模ギルドが残ってるうちに出来る限り順位を上げるつもりなのよ。そうしないと、人数の多いギルドに敵わないから」

「にしても、ちょっと頑張り過ぎって気がするが」

「サリーのことだ。何か他にも考えがあるのかもしれん。」

「ミルフィーはどう思う?」

「ミルフィーは多分・・・あんまり、チームで動く経験がないから張り切ってるんじゃないかなぁ」

「そこまで疲弊はしてなさそうだったしな」

「それに、ミルフィーは頼りになるから!」

「ミルフィーの事、信頼しているんだな」

「うん!」

 

 

「・・・あの、私、居るから、えっと、は、恥ずかしいですよぉ・・・」

「あ!?」

「すっかり忘れてたな」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

お、ギルド発見。人数からして多分中規模ギルドでしょう。よし、襲いますか。オーブも幾つかあるみたいです。

 

襲う前にまず、エクレアに【潜影】と言うスキルを使って貰います。このスキルは文字の通り影に潜むスキルです。このスキルのお陰でエクレアは狙われずに済みます。種族特性なのか、元からあまり目立たず相手の死角によく回り込むみたいですけど一応です。彼女には【身捧ぐ慈愛】がないので念の為です。

 

次に、見張りが注意を向けるように派手に瓦礫をぶん回します。この時、ついでに1人くらい倒しておくと敵の動きがやや鈍るので狙えるなら狙いましょう。また、この時点でこっそり絲を伸ばして置くのを忘れずに。

 

最後に適当に暴れた後、オーブを掻っ攫って逃げましょう。この時に絲で1人を引きずって行くと中々効果的だと思います。こうすると何故か追手も来ないですし。

 

「て、敵襲ー!」

「相手は・・・ぎゃあぁぁぁぁ!?く、首がねぇ!?」

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!?モンスター!?」

 

モンスターとは失礼ですね。まあ、今の私は確かにモンスターと言えなくも無いですけど・・・むむむ。まあ良いでしょう。早く次のギルドを探しに行きましょう。

 

 

 

ふっふっふ。これで5つ目です。これは中々のペースではないでしょうか。カナデもオーブを奪いに行っているし、これはいけるかもしれませんね、10位以内!さてと、もうそろそろ夜が明けそうですし、帰りますか。

 

「ふっふ〜ん♪」

「なんだ、上機嫌だな」

「!!??」

 

こ、この声と展開は・・・まさかっ!?

 

「よぉ。第二回イベント以来だな?」

「ああ、やっと見つけたぞ・・・!」

 

げぇっ!?ドレッドさんとティアラさん!?

 

「ほ〜ん。聞いた話通り、確かに首が無いな。だが、雰囲気からなんとなくお前だって分かるぜ」

「半信半疑だったんだがな・・・やれやれ、これじゃあ貴様の頭に矢を打ち込めないじゃないか」

 

さ、殺意が高い!ここは・・・逃げる!

 

「メイプルやばい!あの人達に見つかった!」

「大丈夫なの?」

「あの人達・・・ああ、前に言ってたドレッドとティアラか」

「2人のランカーに狙われて大丈夫なのか?」

「に、逃げるだけならなんとか・・・もし攻撃が当たったらごめんね!【ギアチェンジ】!」

「そこまでするのか・・・」

 

私は生き延びる!アクシデントなど無く行けるのが理想だったけど・・・やっぱり会っちゃったかぁ。取り敢えず【ギアチェンジ】でDEXとAGIを入れ替える。

 

「速っ!?」

「なんだ!?あいつ俺より速いぞ!?」

 

逃げるんだぁ!勝てる訳がない!相手は2人で、しかも強敵。ここは逃げる。あ、エクレアは抱っこしてるよ。軽い。

くっ!来ましたね極光が!高速で迫る矢は、どうやら正確に私の心臓の辺りを狙っているみたいです。なんで?どうして走りながら当ててくるの?何本か掠っちゃいましたよ?あとドレッドさんも地味にナイフ投げるのをやめて下さい。メイプルにダメージ入ってます。もう追いかけられてから5分以上経過しているのに、まだ追いかけて来ます。

 

「痛っ!」

「どうやら貫通攻撃みたいですね・・・厄介な・・・」

「メイプルさん、ポーションです!」

「ありがとう!で、振り切れそう?」

「ええ、なんとか・・・」

 

ヒールが使えるカナデは居ませんが、ポーションなら沢山あります。よし、この調子なら・・・逃げ切れる!勝った!逃げるが勝ちなんですよ!ふはは!・・・なんだか嫌な予感がします・・・。私も流石に学習しますよ、ええ。

 

「あ、サリーからだ」

「え?」

 

サリーからメール?一体・・・?

 

「ええっと、内容は・・・!?」

「ど、どうしたの?」

「『多分死ぬ。ごめん。』って・・・!」

 

ああもう!やっぱりそんな事だろうと思いました!なんで私がちょっと調子に乗るといっつもいっつも・・・!って、そんな事言ってる場合じゃない!場所は・・・・・・ドレッドさんとティアラさんがいる方向だ。これは、逃げてる場合じゃない、ですよね・・・

 

「私、ちょっと行ってくる!」

「いや、ここは近い私が行きます!」

「え!?でも・・・2人に追いかけられているんだよね?」

「・・・だだだだ、大丈夫だよよ!?」

「こ、声が震えてますよ、ミルフィーさん!?」

 

ち、違います。こ、これは武者振るいです。誰が何と言おうと武者振るいです。

それにしても、サリーが危険な状況に陥るとは・・・さては原因は疲労ですね?全く・・・無理をするんですから。無事に帰れたら、説教しないと。

 

「・・・?急に止まった?」

「よく分からないが、今がチャンス、か?」

「・・・なんとなく、違う気がする・・・」

 

さて、その為にもまず、この2人をどうにかせねば。

 




感想、評価等お待ちしております!
待たせてしまった方には申し訳ないです。


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反撃と救出

今更ながら見切り発車なので初投稿です


さあ、反撃の時間です!私を散々追いかけ回した事を後悔しなさい!

 

「【堕天】!」

 

「なんだ、アレは!?翼が生えた!?」

「おいおい、滅茶苦茶嫌な予感がするぞ・・・」

 

くくく、首が拠点にあるから一体何のスキルを使ったか分かるまい!さてと、切り札の一つを使ったからにはなるべく迅速にサリーの救出に向かわないと!

 

「【ダークボール】!【エビルジャベリン】!」

 

「!これは、闇魔法か?」

「そんなものまで使えるようになっているとは・・・面白い!」

 

ぐっ・・・牽制とはいえ、そう簡単には当たってくれなさそうです。2人は冷静に私の闇魔法を避けていきます。ええい、ちょこまかと・・・

 

「間に合わないようなら私、行くよ!?」

 

メイプルがそう叫びました。サリーの事が心配なんでしょう。しかし、そうすると拠点の防衛が不安要素です。カナデもイズさんも外出中なので、メイプルがサリーの救出に向かうと双子の子達しか残りません。彼女達はSTR極振りなので一度攻撃を受けてしまうと即死してしまう可能性すらあります。なので、私一人でサリーの救出に向かうのが一番なのですが・・・このままだと間に合わないかもしれません。ここは覚悟を決めましょう。

 

「・・・仕方ない、か」

「えっ?何?」

「メイプル、サリーの所に行く方法はどうするの?」

「それは、えっとね————」

 

ふむふむ、機械神の砲撃の反動で飛んで行く、と。あはは、ちょっと何言ってるのか分からないです。まあ、メイプルらしいとは思いましたけど。

 

「じゃあメイプル、貴方も今すぐ向かってください。それと、私の首は置いていって構いません」

「え!?いいの?」

「心配しないで。キツいけど方法はありますから」

「・・・うん!分かった!」

「ユイとマイも留守番お願いね!」

「「はいっ!」」

 

頭だけでも闇魔法は使えるからたとえ誰かが侵入しても大丈夫でしょう。さて、と。あの二人を倒してから向かいたかった所ですけど、どうやらそれは難しいみたいです。ならば、私のする事は一つです!

 

「【影沼(シャドウスワンプ)】!」

 

「くっ!?これは何だ!?」

「動きにくい・・・!?」

 

影沼(シャドウスワンプ)は一定時間指定した空間内にいる相手のAGIを大幅に下げる魔法です。範囲は消費したMPによって変わります。範囲が狭いとあの二人だとすぐに抜け出しそうだったので、最大まで範囲を広げました。お陰でMPがもう半分切りましたよ、全く・・・とにかく、今のうちにサリーの救出に向かいましょう!

 

「この、待てぇ!」

「貴様、また逃げるか・・・!」

 

あーあー、聞こえない聞こえない!今私は急いでいるんです!幸いにもさっきまでまるでダメージが通らなかった所為でしょうか、攻撃がきません。今がチャンスです!

 

私は2人を無視して急いでサリーの所に走り出しました。マップによると、どうやらメイプルの方が早く目的の場所に着きそうです。早っ。このGOサインが吉と出るか凶と出るか・・・?無事でいてくださいね、サリー・・・!

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

(振り切れない・・・やっぱり凄い・・・!)

 

サリーは追いかけられていた。それも数人ではなく、100人よりも大勢に追いかけられていた。それなりの時間走ったが振り切れず、先回りされていたのかとうとう囲まれてしまった。何処にも逃げ場はない。そんな中、サリーに声がかけられた。

 

「あら?サリーちゃん?」

「フレデリカさん!?」

 

フレデリカだった。

 

「うちの索敵部隊がね、一人で頑張ってるプレイヤーがいるって報告くれたから来てみたわけ」

「くっ・・・」

「派手に動き過ぎたみたいだね。悪いけど集めたオーブ、横取りさせて貰うよ!」

 

(ごめん・・・メイプル。多分、生きて帰れない。)

 

サリーは心の中で拠点を守っている親友に謝った。

 

 

 

次々と攻撃が向かってくるのを、ひたすら躱していく。武器での攻撃は短剣で弾き、魔法は避ける。側から見れば、まるで攻撃が避けているような錯覚すら覚える。フレデリカも、その回避力に戦慄すら覚えた。

 

「スキルじゃ、無い!?」

 

当初、フレデリカはサリーの回避はスキルによるものだと考えていた。決闘の時に【攻撃誘導】、【流水】と言っていたからだ。しかし、そんな強力なスキルなら必ずクールタイムがあるはずなのに、そんな物はないと言わんばかりに避け続けている。と、言う事は・・・

 

「まさか、ただの反射神経!?」

 

試しに【多重炎弾】を使ってみる。

 

「朧、【影分身】!」

 

そう叫ぶと、サリーの姿が複数現れ、攻撃は全て躱された。

 

「何それ!?」

 

(これ、ヤバいかも・・・)

 

既にかなりの人数がやられている。このままだと・・・

 

「フレデリカ様、応援に来ました!」

「間に合ったー!ありがとー!」

 

(援軍が来た!サリーちゃんも肩で息していて膝も地面につけている。もう限界が近いんでしょ?ふっふーん♪)

 

「上手く騙してくれたもんだねー!実在しないスキルを有るように見せかけるなんて。」

「くっ・・・!」

「でも、これだけの人数と戦う力は残ってないでしょう?【多重障壁】!」

 

ギルメンに防御魔法を使う。これで勝った、とフレデリカは確信した。

 

「次は、負けないから・・・!ごめん、メイプル・・・」

「【多重・・・」

 

 

 

「サリー!!」

 

 

 

そこに、ある少女が空中から勢いよく降り立った。

 

その人物は金髪で背中から翼が生え、頭には天使の輪が付いている。目の色は青、漆黒の全身鎧を身に纏い、サリーとフレデリカ達の間を阻むような位置取りだ。やや、厳しい表情をしている。

 

「やらせない・・・絶対に!」

 

超がつく要注意人物、動く要塞とも呼ばれる少女。

メイプルだった。

 

「め、メイプルぅ!?ま、魔法攻撃!」

 

フレデリカがやや取り乱しながらも指示を出すと、次々と魔法攻撃がメイプルに降りかかる。

 

「シロップ、【城壁】!」

 

が、それらはメイプルに到達する前に突如現れた岩壁によって阻まれた。

 

「メイプル!?どうやってこんなに早く!?」

「話は後!私に捕まって!あ、後ミルフィーも来てるから!」

「え?う、うん!」

 

戸惑いながらも言われた通り、サリーはメイプルに捕まる。ミルフィーの事はやや気になったが。

 

「【砲身展開】!【全武装展開】!【攻撃開始】!【毒竜(ヒドラ)】!」

 

そこからは、最早ただの蹂躙だった。

最初の爆発で飛んだメイプルは、空中から大量の赤黒いレーザーと毒の竜が襲いかかる。逃げ惑う人達の悲鳴が朝明けの空に響き渡る。たった一人のプレイヤーの為、フレデリカ達は敗走した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「何アレ・・・!?」

 

地獄と化したフィールドの中、フレデリカは辛うじて生き残っていた。毒無効と全力の防御によってなんとか難を逃れる事が出来たからだ。今は崖を登って逃走中である。背後を振り返ってみると、メカメカしい姿をしたメイプルが空中で佇み次々とレーザーを放っている。幸いにも、メイプルがフレデリカに気付いている様子は見られない。

 

「でも、タダでは終わらない・・・!ドレッド、ティアラ、緊急連絡!」

 

『楓の木』の拠点の場所は割れている。今ならメイプルも居ない。近くにいたドレッドとティアラに頼んで拠点に向かって貰う。これなら一矢報いる事が出来るだろうと思った。が・・・

 

「・・・?」

 

ふと、メッセージウィンドウに影が映る。不審に思い、崖の上を見上げる。

 

 

そこには、首の無い人物が佇んでいた。

そいつは片手で闇を凝縮したような大剣を担ぎ、黒いオーラを放っている。檳榔子黒のドレスを身に纏い、背中にはメイプルとは正反対の真っ黒な翼を生やしている。そいつは頭も無いのに、何故か視線を此方に向けているようにフレデリカは感じた。

 

「ひいっ!!?」

 

怖い、怖い、怖い!メイプルだけでも無理なのに、もはやフレデリカは限界だった。

 

彼女が最後に見たのは、首の無いそいつが自分に大剣を振り下ろす姿だった。

 




姉がゴキブリを捕まえてたそうですが、どう見ても蛾だったんですけど。
後に調べてみると潰れたゴキブリだったそうな(だからなんだよ)。


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ユイ&マイと首だけミルフィーVS神速と極光


初/投稿です。
今回ちょっと長めです。
UAが20000到達しました。やったぜ。
いつも読んでくださっている方、本当にありがとうございます!



 

楓の木の拠点にて。

 

「メイプルさん、間に合ったかなぁ・・・」

「早く戻って来てくれると良いけど・・・」

「・・・おっと、間に合ったみたいです」

 

 

「「あっ・・・」」

 

 

「・・・もしかして忘れられてたました、私?」

 

この子達は・・・まったく・・・

 

「「ご、ごめんなさい!」」

「別に良いよ〜。こんなの、少し前までは日常茶飯時・・・むむっ?」

 

「ど、どうかしましたか?」

「も、もしかして、サリーさんがやられちゃった!?」

 

「あーいや、そうではなくてですね・・・どうやら、ここにお客様がいらっしゃるようです」

 

「「お客様・・・」」

 

・・・うう、なんだかカッコつけた言い方をしてしまいました。ちょっと恥ずかしいです。まだ緊張している、という事でしょうか・・・?

 

「えっと、誰か来るんですか?」

「う、うん。多分、ドレッドさんとティアラさんが来る筈です」

「「ええっ!?」」

 

フレデリカさんを真っ二つにしたのは良いけど、あの二人が来るのは不味いですね・・・いや、単純に私が2人が苦手だからではなく強いからですよ?ここの私は頭だけですからそこまで戦闘力があるわけではありません。今の私が攻撃されると避ける事すらままなりませんし。

 

「め、メイプルさんはまだ戻らないんですか?」

「うーん、多分だけど2人の方が早い・・・おっと」

「「ん?」」

 

ふと、足音がした。2人分だ。入り口の方から、二つの人物が現れた。

ドレッドとティアラだ。もう来てしまいましたか・・・!

 

「「!?」」

 

「成程・・・メイプルとサリーが居ないってのは本当みたいだな」

「ああ。しかし・・・」

「・・・ああ、まさか首だけになって拠点にいるとはなぁ!ミルフィー!」

 

待って、殺意が強い!?なんでなんで!?

 

「まさか、2回目も逃げられるとはな・・・!」

「今度こそ、絶対に逃がさないぞ・・・!」

 

それが原因か!こんな事になるならサリー救出はメイプルに任せて2人を相手していれば良かったー!?

ええい、反省は後!今は2人を倒すかメイプルの帰還まで時間を稼ぐ!

 

「行くよ、2人とも!【純然たる傲慢】!」

「「はいっ!」」

 

【純然たる傲慢】は黒い光の領域の相手のMPとHPの回復を封じ、自分達は闇魔法で回復するようになるスキル。この2人に対してはあまり相性の良いとはいえないが、それでも・・・!

 

「この黒いのは・・・まあいい。行くぞ!」

「ああ、首だけのミルフィーと女の子2人だが、油断はせん!」

 

・・・どうやら、かなり警戒しているみたいだ。油断はない、と考えた方が良いだろう。

 

「【飛撃】!」

「【ダブルスタンプ】!」

 

2人とも、遠距離攻撃を仕掛ける。当たればまず即死だろうが、当たらなければ意味がないとばかりにドレッドさんが衝撃波を避けながらグングン距離を詰め、2人を短剣で切りつける。

 

「ぐっ!?」

「きゃっ!?」

「【ダークボール】!」

「なっ!?味方を攻撃するだと!」

 

私の役目は回復と、2人の攻撃をなんとか当てさせてやる事だろう。

 

「回復している・・・?ならば、先にミルフィーを!」

「おっと、【エビルジャベリン】!」

「くっ・・・ん?いつもより、矢の手応えが無い・・・?」

 

どうやら、ティアラさんの矢は光属性らしい。それなら【暗黒の主】で威力を下げられる・・・!

 

「ティアラ!お前はミルフィーを攻撃してろ!癪だが俺は先にこいつらを相手してやる!」

「良いだろう!ミルフィー!今度こそ貴様をキルする!」

 

こ、怖い。身長は私とそこまで変わらないのに・・・

 

「・・・おい貴様、今私の事を馬鹿にしたか?」

「ひぇっ!?」

 

エスパーですか!?いや、違うんです!ちょっ待っ

 

「容赦しないっ!」

「ぐっ、【ダークボール】!【エビルジャベリン】!」

 

光の矢が私に飛んでくるのを闇魔法で迎撃する。弓なのに連射出来るの!?十本は超えてると思うんですけど!?ぐぬぬ、数で攻めてきましたか・・・!

いや、今はそれよりも2人の回復を!

 

「遅いな!」

「!?お姉ちゃん!」

「えーいっ!!」

 

マイちゃんが持っている大槌を投げつけたぁ!?

奇策ではあるけど、ドレッドさんは投げつけられた大槌を踏んで・・・って、ええぇ!?何その曲芸!?木◯大サーカスですか!?

投げられた大槌はユイちゃんがキャッチし、

 

「【飛撃】!」

 

ドレッドさんを追撃した。なるほど、こっちが本命か・・・!

衝撃波を受けてしまったドレッドさんは壁に叩きつけられた。が、まだギリギリ生きているらしい。いけない!速くトドメを刺さないと!

 

「私達、半人前だから!」

「2人合わせて!」

「「一人前の貴方を倒すよ!」」

 

うう、2人とも・・・私がいなくても成長している・・・!この子達の為にも、私も出来ることをしなければ!

 

「避けれねぇし・・・ほんと、エグい奴ばかりで面倒だ!」

 

ドレッドさんが2人に迫る。不味い、一撃で決める気だ・・・!

どうする?【影沼(シャドウスワンプ)】は使うとMPが枯渇しちゃうし・・・メイプルと私の身体の帰還はまだ時間がかかりそうだ。・・・ここは、最強の闇魔法を使って、一気に殲滅するしかないだろう。MPが枯渇してしまいますが、一撃で決めれば問題ないでしょう!

 

 

「させません・・・来たれ!循環と完全を冠する龍!【闇龍(ウロボロス)】!」

 

 

「な、なんだアレは!?」

「まだこんなものを隠して・・・!」

 

ドス黒い色の龍が出現する。全長は20メートルはあるだろう巨大な龍だ。龍は2人に向かってその巨大な体躯を蛇のように拗らせて襲いかかる。

 

「ぐ!避けきれない!?」

 

ドレッドは【闇龍(ウロボロス)】を躱そうとしたが、この魔法はそう簡単には逃げきれません。追尾性能が非常に高い上にしつこく追ってくるからです。前にメイプルと色々実験した時の検証では、化け物形態のメイプルを一キロくらい追いかけていました。

さらに、この魔法はただダメージを与えるだけでなく、継続してダメージを与えるうえにデバフまで掛かるというおまけ付きです。しかも、割合ダメージなので最終的に当たったメイプルが少し涙目になっていました。最終的に機械神の自爆で振り払われましたけど。

 

「また、俺の負け、か。だが、また戻って来るぜ。今度は他の仲間も一緒にな・・・!」

「ドレッド!?くっ、せめてあの2人だけでも・・・!」

 

ぐっ、ドレッドさんはあの二人が先にHPを削っていたお陰ですぐに倒せましたけどティアラさんが残ってしまいました!しかも、死亡覚悟で突っ込んでくる気ですね!?

 

「!?お姉ちゃんっ!?」

 

不味い、このままだとユイかマイのどちらかは確実にやられちゃう!MPはもう殆ど残ってないし、もう間に合わない・・・!

 

 

 

 

————と、思うじゃないですか?

 

 

 

 

入り口から爆発音が響く。土煙の中きら現れたのは我等がギルドマスター。

メイプルだった。後ろにはサリーもいます。どうやら時間稼ぎは完了みたいですね。

 

「このタイミングでメイプル・・・!?」

 

「【身捧ぐ慈愛】!【捕食者】!」

 

「範囲防御か!?くっ!」

 

「シロップ!【大自然】!」

 

メイプルの足元から醜悪な化物が姿を現し、地面から蔓が伸びてティアラさんを拘束しようとする。ティアラさんは逃げようとしましたが、出口側にはメイプルとサリーがいるので逃げる事は不可能です。最終的にはキッチリ蔓に縛られました。これはもう勝ちましたね。ふぅ、一件落着・・・はっ!?

 

「拘束系のスキルは私には効かん!」

 

ティアラさんは一度捕まったけど、すぐに抜け出してしまいました。いつの間に!?手品でも見ていた気分です!?

 

「【矢切り一閃】!」

「えっ!?うわぁ!?」

「メイプル!?」

 

ティアラさんが一瞬でメイプルさんに近づき、すれ違いざまに斬撃を浴びせる。ダメージは通っていないようですけど、問題なのは・・・

 

「あ、逃げられちゃう!?」

 

メイプルの背後に回られた、即ち出口を塞ぐ者が居なくなってしまったという事です!あ、いやでも・・・

 

「また来る!今度こそ仕留めてやるから首を洗って待っていろ!」

「全力でお断りします!」

 

ティアラさんが去って行く。サリーさんが一瞬追い掛けようとしますが、疲れていたのでしょうか崩れ落ちそうになりました。

 

「サリー、無茶しないで!」

「でも・・・」

「でもじゃないの!全く・・・【スーパーノヴァ】!!【黄泉渡り】!」

「えっ?」

 

10秒後、とてつもない爆発音が響く。現実だったら洞窟が崩落していたでしょう。

しばらくの沈黙の後、首の無いプレイヤー・・・要するに、私のボディですね。こちらにゆっくり歩いてきました。いや、私が動かしているんですけど。

 

「あ、アレってミルフィーの!」

「なんとか、間に合った、みたいですね・・・はぁ、疲れました・・・」

「ああ、だから止めたのね・・・」

 

ドレッドさんとティアラさんと戦っている間もなるべく急がしていたのが功を評したみたいですね。滅茶苦茶つかれましたけどね!今の私はサリーと同じくらい疲れていると言っても過言ではないです。

 





今回のタイトル、知らない人が見たら?ってなる気がするけど・・・ま、エアロ。
感想、評価等お待ちしております!
評価は別に低評価でも構いません。


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お説教

お気に入り数が300に到達しました!いつも読んでくださっている方本当にありがとうございます!初投稿です!
今回は箸休め的な回です。


「サリーは〜!!もう!なんであんな無茶したんですか〜!!」

 

このっ、このっ、ぐりぐり。

 

「痛い痛い!?ちょ、悪かったからやめてミルフィー!?」

「じゃあ二度とこんな事しない?」

「・・・それは」

「なんで言い淀むのかなぁ?」

 

全く、サリーったら〜。

 

「ひぃ!?メイプル、ヘルプ!」

「え、えっと、ミルフィー?」

「え?今何か言いました?」

「・・・いえ、なんでもないです」

「メイプル!?」

「さぁ、サリーはこっちでちょっと″お話し″をしましょうね?」

「だ、誰か助け・・・むぐ!?」

 

サリーが口を開けようとしたので絲で縛ります。

 

「サリーは口が上手いから。だから喋れないように縛っておかないと。ああ、逃げられないように手と足も縛ろうかな?」

「さ、流石にそこまではしなくていいんじゃないかなぁ?」

「そう?後は・・・サリーはホラーが苦手らしいしこの機会に克服出来る様に首は外しておきましょうか」

「むぐー!?むぐむぐむぐ!?」

 

サリーが何か言いたそうですが、いやー何が不安でしょうねー(棒)

 

 

 

「・・・ミルフィーだけは怒らせちゃいけないな」

「ええ・・・昔は独りぼっちだったって話だけど、なんだか今は生き生きしてるわね」

「ごめん、サリー・・・」

「「あわわ・・・」」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

サリーとのお話が終わると、限界だったのかサリーは寝てしまいました。狸寝入りかもしれませんしやはり念の為手足を縛ってからみんなの所に戻りました。

 

「みんなお待たせ!」

「お、おう。サリーはどうした?」

「もう寝てしまいました。起きてすぐにまた無茶が出来ないように手足を縛っておきました!絲を一本引くだけで解けるようにしておいたのでサリーが起きたら誰か解いてください」

「あ、ああ。分かった」

「結局縛っちゃったかぁ・・・」

「あ、それからサリーからオーブを預かっているよ!」

 

なんと10個以上もある。助かるんだけど、もう少し自分の事を気遣って欲しいものです。

 

「僕も。サリーほどじゃないけど」

「奪ったオーブが32個。これを3時間守りきれば、順位はかなり上がる筈だな」

「取り返しに来た連中は、今のところ全滅させてる。ここがヤバいって分かれば、今後も攻撃してくる奴も減るだろう」

「ああ、そうでした。サリーから伝言があります。『少し早いけどプランBに移行する』との事です。後、もう一つ預かりものが。よっと」

「「「「おお!」」」」

 

預かり物と言うのはフィールドのマップでした。それも、全域をカバーしていて何処にどのギルドがあるのかも記載されたものです。

 

「そうか!このマップを作る為にずっと外に・・・」

「何処にどんなギルドがあるのかまで書き込まれているので、これならプランBが実行出来るでしょう・・・って、サリーが言ってました」

「プランB・・・メイプルちゃん解放策ね!」

 

そう、プランBはメイプルを防御ではなく攻撃に使うという物です。護衛にマイとユイが付けば大抵の状況に対応出来るでしょう。

 

「では、一旦解さ・・・ん?」

 

あれ・・・?なんか、地面が迫って・・・あだっ!?

 

「ミルフィーちゃん!?」

「あ、そうか。ミルフィーもサリーに負けないくらい外で動いていたもんね。首が拠点にあっていつでも話出来たから忘れてたけど」

「と言うか、第三者視点でずっと動いていたから下手したらサリーより疲れてるんじゃ・・・ドレッドやティアラとも戦ったんだしな」

 

あ、やばい。どんどん視界が暗く・・・う、寝てしまう前に一つだけ言っておかないと・・・

 

「わ、私のスキル【純然たる傲慢】は、寝てても効果がある、から。『炎帝の国』と戦う時には、頭だけでいいか、ら、連れて行って・・・【純然たる傲慢】・・・」

「ちょ、ちょっとミルフィー!サリーに無茶しないでって言ってたのに自分は無茶するのはどうなの!?」

「・・・ぐぅ」

「あ、寝たね」

 

おやすみなさい・・・ぐぅ。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「メイプルさん!」

「行きましょう!」

「うん!」

 

メイプルは慣れた手つきでミルフィーの首を外して両手で抱え、ユイとマイの2人を連れて外へと向かった。ミルフィーの首を持って行くのは少し躊躇われたが、ミルフィーが怒ると怖いのでメイプルは素直に持って行く事にした。スキルも使ってしまったのでそれを無駄には出来ない、と考えたからだ。後で私もお説教する!と可愛らしくぷんぷん怒りながら出発した。

 

「なんか、妙に手慣れてるな。首を外すのが」

「色々と実験してたそうだぞ」

「ミルフィーちゃんの身体は運んでおきましょう」

「ああ、そうだな」

 

イズとカスミが2人がかりで運ぶ。ミルフィーの身体は首が無い為それなりに軽かったが、一人で運ぶのは流石に大変だった。

 

「よっと。場所はサリーと同じでいいか」

「ええ、そうね」

 

そして、2人は先程ミルフィーとサリーが″お話し″をした場所に足を踏み入れた。すると、当然2人には縛られたサリーが目に入る訳だが・・・縛られているサリーは、かなり背徳的な姿だった。

手は後ろで縛られていて、足は畳まれた状態で縛られている。そして、何故かアイマスクまでされている。口も糸が噛まされていて、もはや完全に″そういうアレ″である。アイマスクはミルフィーなりの気遣いではあるのだろうが・・・

 

「・・・糸は起きる前に外しておきましょう」

「ああ、そうだな・・・」

 

VRなので、糸の痕は残らないのが幸いだ。イズとカスミは心からそう思った。サリーが起きた後、2人がやや気不味い雰囲気だったのをサリー本人が知らないのは幸福な事なのかもしれない。

 

 

 

「・・・?2人共、なんか顔が赤いぞ?どうした?」

「・・・なんでもない」

「クロム、最低・・・」

「なんでだ!?」

 

・・・いや、真の被害者はクロムなのかもしれない。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

炎帝の国の拠点

 

「ミザリー、聞いた?『楓の木』があちこちのギルドを立て続けに襲ってるって」

「ですね。シンも死に戻りましたし、あのギルドとはぶつかりたく無いですね・・・」

「はぁ・・・メイプルかぁ、来ないと良いなぁ・・・」

 

【トラッパー】マルクスと【聖女】ミザリーが話し合っていたところ、伝令が慌てた様子で走って来た。

 

「マルクスさん!ミザリーさん!亀がこっちに飛んできます!しかも、なんか黒いオーラみたいなのが出てます!」

 

「亀!・・・って事は」

「来てしまったみたいですね・・・ですが、黒いオーラとは一体・・・?」

「ミィに連絡した?」

「ええ。急いで向かうと返信が」

「良かった・・・じゃあ僕らは時間稼ぎをしてれば良いんだ」

 

『炎帝の国』と『楓の木』。2つのギルドの対決が始まった。

 




今回、R15タグが息してましたね。
感想、評価等お待ちしております!


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VS炎帝の国 前編

はぁ、最近思うんですよ。
ついつい思いついた事を書いてる所為か
とうとうタイトルから脱線している気がします。
うう、申し訳ないです。
こんな小説を読んでくださる方、感謝です。
うーみーはーひろいーなー♪



「はてさて、僕のトラップがどれだけ通用するか・・・」

 

傍に大槌を持った2人の少女と二匹の化け物を侍らせ、メイプルがゆっくりとこちらに歩いてくる。亀は上空に漂い、メイプルと同じ速度で此方に向かってくる。相変わらず黒いオーラは漂ったままだ。

マルクスの仕掛けたトラップが起動し、爆発が起こる。が・・・

 

「やっぱり効かないかぁ。流石メイプル、凄い範囲防御だ」

「でも、メイプル用のトラップもキッチリ用意してある。そうでしょう?」

 

メイプルは爆発をものともせずに歩き続ける。が、ここまではある程度マルクスは想定していたのでミザリーの言う通り、メイプル用の罠も用意していた。

 

「かかった・・・!」

 

メイプルがその罠を踏むと次々に植物が伸び始めた。

それはメイプルの腕や足を拘束してその歩みを止めさせる。

こういった進行を妨げるための罠は機動力が低いメイプルによく効くのだ。

 

破壊するにはそれ相応のダメージを与える必要があるが、マルクスは自分の持つスキルからメイプルのスキルに何らかの制限があると予想していた。

そうそうポンポンと大規模なスキルは使えないだろうと考え、もし使ってきたならばミィが戦いやすくなると考えた。

 

マルクスはここで一度死んでもそれはそれで仕方ないと思っているため、メイプルがスキルを使ってきたとしても構わなかったのだ。

 

「ええー!?マジ!?」

 

ただ、かなり頑丈なはずの植物を一撃で粉砕するユイとマイのことは予想していなかった。次々に罠は発動するものの、ダメージはメイプルが、拘束はユイとマイがそれぞれ受け持って無傷のまま少しずつ進んでくる。

 

「マルクス、有効なトラップはあといくつ仕掛けてあるのですか?」

「3つ。でも、この調子だと全部突破されるかも・・・」

 

そして、結局マルクスの言葉通りにメイプル達は全ての罠を乗り越えてしまった。遠隔で貫通効果のある魔法を撃ち込んでみるも、大して効いていないように見える。

 

「しょうがないなぁ。みんな戻ってて」

「よろしいのですか!?」

「ここは僕とミザリーが引き受ける」

「少しでもメイプル達を足止めします。貴方達はオーブを」

「・・・分かりました。ご武運を!」

 

全てのプレイヤーを退避させた後、2人はメイプル達と対峙する。

・・・先に仕掛けたのは、メイプルだった。

 

「【毒竜(ヒドラ)】!」

「うわぁぁ!?」

「【アンチドーテ】!」

 

毒攻撃を喰らうが、ミザリーが即座に治す。そして、即座にマルクスが反撃に転じる。

 

「【遠隔設置・岩壁】!【遠隔設置・風刃】!」

 

地面が盛り上がり、内側に向かって鋭い風が吹き荒れる。が、しかし・・・

 

「マイちゃん、ユイちゃん!お願い!」

「「分かりました!」」

 

「「【飛撃】!」」

 

いとも簡単に双子に潰されてしまった。

 

「!?」

「・・・どうやら、ここまでのようですね」

 

2人の元にメイプル達が迫る。

 

 

 

突然、その間に爆炎が生じた。

 

 

 

「ミィ!」

 

『炎帝の国』ギルドマスター、【炎帝】のミィの参戦だ。

ミィは振り返り、メイプル達の方に振り向く。両者はしばらく睨み合う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっくっくっ・・・ふはは・・・はーっはっはっはっはぁ!!」

 

「「「「「「!!??」」」」」」

 

突如、大きな笑い声が辺りに響き渡る。メイプル達とミィ達は困惑して周囲を見渡す。すると・・・

 

「・・・雨?」

「こんな事、たしか前にも・・・」

「これって・・・」

 

「これは、多分・・・」

「間に合ったね・・・」

「あいつは・・・まったく」

 

空が曇り、雨が降る。その勢いはもはや豪雨と言っていいだろう。

 

「ふーっはっはっはっはっはぁ!!!【闇騎士】ニュクス!拠点の危機を知り、華麗に参上!」

 

近くにあった、高い木の上にニュクスはいた。両手を腰に当て、高笑いをしている。

 

「とぅっ!」

 

ニュクスは木から跳躍し、空中で四回転捻りを入れて綺麗に両足で着地した。決めポーズのつもりなのか、片手を上げもう片方の手を腰に添えている。

 

「キラッ☆」

 

なんと言うか、もう色々と混ざっていて原形が分からなくなっていた。

 

「ふはははは!相手はかの【浮遊要塞(フロートフォートレス)】に前に見た双子・・・くっくっく!マルクスの罠を悉く潰すその様から、この私が【破壊者(デストロイヤー)】の名を送ろうではないか!ふーっはっはっはっはぁ!」

 

「は、はぁ・・・」

「そ、そうですか・・・」

 

流石のユイとマイも、ニュクスの発言が理解できず、困惑する。メイプルは素直にカッコいいと思った。

 

「良いじゃん!その名前!」

「いやいや!?」

「それより、早くオーブを!」

「あ、うん!」

 

「くっくっくっ・・・破壊の双子を連れし守護天使は破滅を齎す騎士に憧れ、暗黒に呑まれし天を掴むため爆炎の支配者との戦いに身を投じるという訳か・・・!」

「「「意味が全く分からない」」」

「ふっ・・・いずれ分かるさ・・・いずれな」

 

味方に総スカンされても表情すら変えないのは、ここまで来るともしかしたら凄いのかもしれない。

 

「しかし、この状況においてはニュクスは頼もしいな。【炎帝】!」

「うわぁっ!?」

 

ニュクスの登場に気を取られていたメイプル目掛けてミィが攻撃を繰り出すが、爆炎が散ると中からは傷一つついていないメイプルの姿が露わになる。

 

「だよね・・・」

「流石ですね・・・」

「ふっ。それでこそ、我が宿命の血族と因縁の・・・」

「馬鹿な事を言ってないで働け」

「ふっ・・・承知した」

 

ニュクスが黒剣を抜く。

 

「くっくっくっ・・・ああそうだ、言わなくてはならない事があったな」

「・・・一応聞いてやろう。なんだ?」

「あの亀の周りの黒いオーラ、あの内側に居るとHPとMPの回復が出来なくなるらしいぞ。寧ろ、減ってしまうらしい」

「・・・なんだと?」

 

ニュクスがそれを知ったのはほぼ偶然だ。木に登る前に回復ポーションを使ったが、回復するどころか減ってしまった。MPまでそうなってしまうのはハッタリだったが・・・

 

「!?気付かれてる!?」

「いったいいつのまに・・・?」

 

「・・・え、マジ?それはキツイな・・・」

「ハッタリだったのか・・・」

「取り敢えず、ミィのMP管理は重要ですね」

 

「え、うぇ?」

「だ、騙されました・・・」

 

炎帝の国との戦いは、続く。

 




縦文字って難しいね。
皆さんの評価や感想がモチベ上昇になりますので、評価や感想をしてくださると作者の投稿速度が上がります。ここテストに出ます。
8/12 誤字修正しました。指摘してくれた方、ありがとうございます!


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幕間 メイプルのホントのトコロ

8月中に完結させたい所存。
あ、今回も初投稿です。


「ねぇ、メイプル」

「ん?なぁに、ミルフィー?」

 

「私のスキル【純然たる傲慢】なんだけどね」

「どうかしたの?」

 

「いや、寝てたりしてる間も効果があるのかなって。それと、悪属性って一体なんなんだろうかなって」

「うーん、多分悪い感じのスキルなんじゃないかな?」

 

「いや、それは分かるんだけどね・・・まあいいや。それで、少し実験したいんだけど・・・」

「えっ・・・」

 

「い、嫌がらないで!?【闇龍(ウロボロス)】の件なら謝るからぁ!」

「えっと、それはもう良いんだけど・・・」

 

「・・・じゃあ、なんで?」

「嫌な訳じゃないよ?けど、なんでミルフィーはこんなに実験したがるのかなって。それに、本業は生産職なんでしょ?」

 

 

 

 

「・・・・・・あっ」

 

 

 

 

「・・・もしかして、忘れてた!?」

「そそそ、そんな事ないよ!?」

 

「声が震えてるよ?」

「む、武者振るいです!・・・私はもう、独りじゃないですし」

 

「そう言えばミルフィーが生産職になりたかったのは、人見知りを克服したくて人と話す機会が多そうだったからなんだよね」

「お陰で多少は人見知りを克服出来たと思います。まだ知らない人と話す時は少し緊張しますけど・・・これもメイプルさんのお陰です!」

 

「あ!また″さん″を付けてる〜」

「す、すいません。なんというか癖で・・・えっと、実験する理由でしたか。それはですね、勿論本番で失敗をしないようにする為ですよ」

 

「と言うと?」

「もしこんな状況になったらどうなるのかとか、こういう時はどうすれば良いのかとか、気になっちゃうんです」

 

「へ〜・・・」

「それに、私だってみんなの役に立ちたいのです!」

 

「ふぇ!?ミルフィーは十分貢献してくれてると思うけど・・・」

「私、誰かの為に何かをするって初めてだったんだ」

 

「・・・?」

「いつも独りぼっちで、下を向いて歩いてた・・・けどね、メイプルやサリー達と出会って変わったの」

 

「え、私?」

「そう。誰かの為に行動して喜んでもらえるのが嬉しいって、教えてくれたのはメイプル達だよ。本当にありがとね!」

 

「えへへ・・・なんだか、照れるなぁ」

「私もなんだか照れ臭いです・・・そうだ、メイプルも色々実験しましょうよ!」

 

「へ?」

「そうだ、【暴虐】あたりは悪属性のスキルかもしれないし、【純然たる傲慢】で回復するか試してみよう!あと、寝てる時も【純然たる傲慢】の効果が続くかどうかも調べましょう!」

 

「えー!?」

「えーじゃないです!やりますよ!」

「あはは・・・ミルフィーは生き生きしてるなぁ」

 

 

 

「・・・貴方と一緒に居るからです。まったく、本当に分かっているのでしょうか・・・」

 

 

 

「何か言った?」

「な、なんでもないです!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

ミルフィーはいつも一所懸命だ。たしかに、以前学校にいる時はとても暗くていつも下を向いていて口数も少なかった。けど、今はまるで別人のように色んな事を頑張っている。

 

 

・・・私は、ミルフィーに追いつけているだろうか。

 

 

私は痛いのがあまり得意ではない。中学の頃に打った注射も泣きそうになった。けど、ミルフィーは痛みなんて無いように行動している。

 

わたしが最初にミルフィーと会った時は、たしか第一回イベントの時だったっけ。その時、私はミルフィーの事をなんだかおどおどしていて、妹がいたらこんな感じなのかな〜って思ったんだ。・・・身長も胸も、私より大きいけど。

 

『あ、あの、きょ、協力しませんか?』

 

あの時のミルフィーは、直面するとなんだか守ってあげたいような気持ちになっちゃうんだ。でもね、私はミルフィーが戦っている時の横顔を見て思ったんだ。

 

 

————こんなに頼りになるのに、なんだか寂しそうって。

 

 

たしかにミルフィーは強い。実際、今戦っても正直あまり勝てる気がしない。第一回イベントで共闘している時は最初に対面した時とは印象が真逆だったよ。なんというか、妹からお姉ちゃんって感じに変化したんだって思える。

 

・・・お姉ちゃんって思ってる事、ミルフィーには秘密だよ?だって恥ずかしいんだもん。

 

イベントが終わった後、学校でミルフィー・・・荒川麻里がミルフィーだって知った時はすごーくビックリしたんだ。妹みたいな時とお姉ちゃんみたいな時とも印象がまるで違ったもん。妹の時はなんだか微笑ましくて、お姉ちゃんみたいな時は頼りになるけど、学校にいる時はなんだか、全てが疎ましい様な・・・排他的って言うのかな?よく分からないけど、とにかくそんな感じがしたんだ。その時から、段々雰囲気は変わって今みたいに明るい感じになったけど・・・

 

つまるところ、ミルフィーは学校で友達を作ることを半分くらい諦めてたんじゃないかなぁ。今のミルフィーは諦めるなんてない!って感じだけど。それでも仮想現実ならと期待して、一生懸命ミルフィーなりに頑張って・・・あれ、私、何が言いたかったんだっけ?

 

ああそうだ、ミルフィーはまるで痛みなんて全く怖がってないように行動する時があるんだ。もう少し自分を労って欲しいな・・・なんだか、ミルフィーが苦しそうだと、私も苦しいから・・・とにかく、ミルフィーが無茶しないように私も強くならないと!

 

ミルフィーはもう少し、私を頼りにしてもいいと思う。サリーもだけどね。それでも無茶してしまう時もあるのは、多分ミルフィーがそういう性分なんだと思う。他人には自分を大事にしろって言っておいてミルフィーが一番自分を大事にしていないと思う。なんだか、それは嫌だ。ミルフィーが苦しいと私まで苦しくなるし・・・なんだかこんな感覚、サリー以外だと初めてかも。

 

あと、学校でミルフィーの事を見つめる男の子が増えたんだ。ミルフィーは第二回イベントを終えた後くらいから学校でも髪を上げるようになった。ミルフィー、髪を上げるとすごく、その・・・可愛いんだよね。私よりも胸も大きいし・・・サリーも大きさの秘密が気になっていたっけ。それで、その・・・学校ではたまに話しかけられるようにもなったし、ミルフィーはすごく頑張って苦手を克服出来たんだけど・・・ミルフィーが男の子と話していると、なんだか胸がもわ〜って感じになるんだ・・・病気なのかなぁ。

 

ミルフィー、起きたら覚悟しててね。サリーよりも長い時間、お説教するから。その時は、思いっきりほっぺを引っ張るんだ。お餅みたいに。

・・・だから、『炎帝の国』との対決、負けられない!

 




気がついたらメイプルの回想みたいな事になっていた。な、何を言ってるのか分からねぇと思うが、俺もよく分からない・・・

8/13 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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VS炎帝の国 後編

遅くなって申し訳ないです。
初投稿です。
今回で炎帝の国編はまだ終わらなさそうです。


「私は一旦下がる。時間をかせげ。その間に例のアレの準備をする。MPの回復が出来ないなら、なるべく短期決戦に持ち込むべきだろうからな」

「・・・承知した。が・・・」

「・・・なんだ」

 

ミィが怪訝な様子でニュクスを見つめる。そして、ニュクスは自信満々に口を開く。

 

 

「別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

「・・・お前は相変わらずだな」

「そりゃもう、ミィに会う前からな・・・【黒炎斬】!」

「【遠隔設置・岩壁】!」

「【ホーリージャベリン】!」

 

「きゃあ!?」

「「行きます!【飛撃】!」」

「させん!」

 

ミィが下がり、他の3人が足止めする。どうやら、何かのスキルの発動を狙っているようだ。ミィを衝撃波が襲うが、ニュクスが剣で攻撃を弾いた。ミィは全く意に関していない。当たれば即死の攻撃を綺麗に無効化してニュクスはユイとマイにそのまま近づき斬撃を浴びせる。

 

「【黒岩斬】!」

「「きゃあ!?」」

 

「くぅ・・・ノックバック!?」

 

どうやら、その攻撃にはノックバック効果があるらしい。【身捧ぐ慈愛】のスキルによって2人へのダメージを肩代わりしているメイプルはユイとマイの代わりに後方に動かされてしまった。お陰で、2人が【身捧ぐ慈愛】の範囲から飛び出してしまった。

 

「あわ・・・!?」

「早く戻らないと!」

 

「くっくっくっ・・・そろそろ我が封じられし力を解放させて貰おう・・・【解放(リリース)】!はぁっ!」

「「!?」」

 

ニュクスの周りに禍々しいオーラが漂う。その後のニュクスの動きは今までと比べても非常に素早い。ただでさえ速かったのに更に速くなってしまった所為で、2人は攻撃をただ受けるしか出来なくなった。

 

「【カバームーブ】!」

「ほう・・・」

「「あ、ありがとうございます!」」

 

このままでは不味いとメイプルが【カバームーブ】で2人の近くに移動した。

 

「先ずはあの二人をなんとかするべきか・・・行くぞ!ふーっはっはっはっはぁ!!」

「「了解」」!

 

ニュクスは相変わらず高笑いを交えながら果敢に攻撃を続けている。しかも、マルクスとミザリーの援護も加わると隙がない。上手く連携を取っている。流石は上級ギルドと言ったところだろうか。

 

「【毒竜(ヒドラ)】!」

「遅い遅い!動きがスローリィなんだよぉ!ふーっはっはっはっはっはぁ!」

 

メイプルの十八番の毒攻撃を変態じみた動きで躱し続ける。たまに掠るが、殆ど効いていないようだ。その動きはサリーとは似ても似つかないが、その回避力はたしかである。笑い声に至ってはもはやそこらの不審者と相違ない。ユイとマイは少しだけ怯えた。

 

「【滲み出る混沌】!」

「ええい、邪魔だ!」

「うえぇ!?」

 

驚く事に、なんとニュクスはいきなり現れた化け物の攻撃を躱し更にメイプルを横から蹴り飛ばした。

すかさず、そのタイミングでマルクスとミザリーが援護する。

 

「【遠隔設置・スネア】!】

「【ホーリージャベリン】!」

「くっ・・・」

 

ユイとマイを一瞬木の根が拘束するものの、すぐに抜けられてしまう。攻撃は全てメイプルが受けとめている所為でダメージは通らない。だが、メイプル達の攻撃は当たらない。

 

「全然当たりません!」

「当たれば倒せるのに・・・!」

 

「マイちゃんユイちゃん!一旦離れてて!」

 

「で、でも・・・!」

「メイプルさんは!?」

 

「2人は秘密兵器として温存しておかないとね!」

 

「・・・分かりました!」

「お気を付けて・・・!」

 

「くっくっくっ・・・知らなかったのか?私からは逃げられない・・・!」

「させないよ!」

 

亀を空中から呼び寄せて2人を乗せようとすると、ニュクスがそれを阻止しようと襲ってくるが、メイプルが身体を張って止める・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

じ  か  ん  だ  。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでチェックメイトだ、メイプル!【虚無(ギンヌンガガプ)】!やれ!ミィ!」

「【火炎牢】!!」

「うえぇ!!?閉じ込められた!?ああ、【悪食】が!?」

 

ニュクスが何かのスキルを使ってメイプルを斬ったと同時に、ミィの【火炎牢】の中にメイプルは閉じ込められてしまった。

【火炎牢】とは、ミィの切り札である。対象を中に閉じ込め、継続ダメージを与え続ける。相手が1人の場合、決まるとほぼ勝ちが確定する強力なスキルだが欠点もある。発動まで時間もかかるし、発動中の間、MPがずっと減り続けるため、今回のイベントにはあまり向いていない。脱出も出来なくはないのだが・・・

 

「なんとか間に合いましたね」

「良かったぁ。ヒヤヒヤしたよ」

「ふぅん・・・私が居たのなら当然の結果だ・・・」

「【火炎牢】まで出さざるを得ないとはな・・・」

「ええ、これで倒れて欲しいです」

「僕の罠ももう無いしね」

「くっくっく・・・脱出出来るわけないだろう?なにせ・・・」

 

マルクスとミザリーは一安心と言った様子だ。ミィは未だ浮いている亀を中心とした黒い円の外でずっとMPポーションを飲み続けている。ニュクスは何時出したのかマントを翻して虚空を見つめている。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「どうしよう・・・?出かたも分からないし、【悪食】も使い切っちゃったし・・・まだ見せたくなかったけど、仕方ないね!」

 

メイプルは温存していた【機械神】を使って脱出を試みようとするが・・・

 

「あ、あれ?」

 

何故か発動しなかった。

 

「・・・ま、まさか、あの時の・・・!?」

 

そう、ニュクスの切り札の【虚無(ギンヌンガガプ)】は、攻撃を受けた相手のスキルを封じるスキルである。相手のスキルを封じてある間、自分のスキルも封印されてしまうが、味方のフォローによって弱点をカバーしている。

 

「ど、どうしよう・・・!?」

 

【機械神】はおろか、【絶対防御】や【フォートレス】まで封印されてしまったメイプルはかなり弱体化されてしまった。幸いにも割合ダメージなのですぐにやられてしまう事はないが、時間の問題だろう。

 

「・・・ごめん、ミルフィー。私、失敗しちゃったみたい。ミルフィーの言う通り、もっと本番に向けて色々考えてた方が良かったのかな・・・」

 

メイプルはミルフィーの事を思い浮かべ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【闇龍(ウロボロス)】!」

 

 

「・・・えっ?」

「「「「なっ!?」」」」

 

亀から声が高らかに上げられ、世界の全てを邪悪に染めんとするような漆黒の龍が現れる。その龍はミィの【火炎牢】を侵食して消し去り、ミィ達にまで襲いかかる。声の持ち主は・・・

 

 

「ミルフィー!!」

 

「ごめん、待たせた?」

 

最終ラウンドが、始まろうとしていた。

 

 

 

 

「【爆炎】!」

「ひぃ!?く、首だけ!?」

「い、意味が分からないです!?」

「DI◯様!?」

「(う〜、何アレ〜!?)」

 




俺は止まんねえからよぉ・・・お前らが感想と評価する限り、その先に俺はいるぞ!
だからよ・・・UA、止まるんじゃねえぞ・・・


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怖くない


*初投稿を続けろ。


 

「な、なんなのあれ!?」

「首、ですよね。多分、ミルフィーの」

「あいつ・・・首が取れるのは知っていたが、まさか首だけで出て来るとは・・・」

「落ち着け!どうやら、あの首は闇属性魔法を使ってくるらしい。おそらく、黒い円もミルフィーの仕業だったのだろう」

 

ミィが一喝し、落ち着きを取り戻します。あのカリスマ性は中々のものですね。やっぱり、何処か違和感がありますけど。

 

「ミルフィー、もう大丈夫なの?」

「いえ、まだ眠いです・・・」

 

メイプルの元に亀が降り立ち、メイプルと会話する。

正直、まだ寝ていたいです。瞼が滅茶苦茶重いです。でも———

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「メイプルさん、ピンチだよ!?」

「大丈夫・・・きっと、メイプルさんなら・・・」

「けど、全然出て来ないよ・・・?」

「ど、どうしよう・・・」

「ミルフィーさんなら・・・でも、メイプルさんが起こさないでって」

 

 

「・・・・・・起きてるよ」

 

 

「「うえぇ!?」」

 

「おはよう。状況を教えて欲しいな」

「は、はい!え、えっと・・・」

 

 

 

「・・・成る程。全くメイプルは・・・何処か抜けてるんだから、全く・・・」

「あ、あの・・・」

「分かった。なんとかしましょう。それにしても、メイプルなら出れると思うんだけどなぁ・・・」

「「・・・メイプルさんをお願いします!」」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

ユイとマイに、真摯に頼まれちゃいましたからね。それに・・・

 

「友達を助けるのは当たり前です!」

「ミルフィー・・・」

 

あるぇ?メイプルは何故か不満そうな顔をしています。・・・私、何かしちゃつた!?えー、えーと、心当たりは・・・ああ、全く分かりません!?何か気に触る事でもしてしまったのでしょうか・・・?

 

「ミルフィー、疲れてるのに無理させちゃってごめんね・・・」

 

・・・うーん、別に平気なんですけどねぇ。私、あまり睡眠を取らないので。昼寝はたまにするんですけど。

 

「ああ、そんな事でしたか。それなら大丈夫、少しは休めたのd」

「・・・そんな事?」

「!!??」

 

あ、あのー、メイプルさん?か、顔がなんか黒いですよ!?目が笑ってないんですけど!?ユイちゃんとマイちゃんだけでなくて炎帝の国の人達まで怖がってない!?真っ黒なオーラみたいなものまで見えてますよ!?

 

「お、落ち着いて・・・わぶっ!?」

 

メイプル!?いきなりほっぺを引っ張らないで!?いやいきなりじゃなかったらやって良いというわけでもなおんだけどね!?

 

「いひゃいいひゃい!ひゃめてくらはい!?」

「あのね、ミルフィー。私はね、ミルフィーの事、すっごく大事なんだよ?なのに、また無茶するの?ついさっきサリーに無茶するなって言っていたのに?ねぇ、なんで?」

「・・・え、えっとですね?」

「言い訳するの?」

「いや、その・・・」

 

な、なんかいつものメイプルと雰囲気が違う気がします!おかしい、私が少しお説教する感じだったと思ったんですけど!?あ、あれぇー!?

 

「ととと、取り敢えず話は後です!今は戦闘中ですよ!?」

「・・・後で、覚えておいてね?」

「ひゃ、ひゃい・・・」

 

な、なんかゾクゾクする・・・なんでだろう?これは、恐怖・・・?

 

「・・・話は済んだか?」

「クックック・・・いくら我等がマスターの切り札を抜け出したとて、我がスキルの影響からは逃れられまい・・・」

 

・・・さて、一旦切り替えましょう。

相手は『炎帝の国』のミィさんとニュクスさん、それにミザリーさんとマルクスさん・・・

 

「メイプル、どうして脱出しなかったの?」

「・・・えっとね、スキルが使えないの」

「・・・」

 

スキルが使えない・・・?スキルを封じるスキルでも使われたのでしょうか・・・怪しいのはニュクスさんでしょうか。我がスキルは〜って言ってましたし。うーん、メイプルがスキルを使えず、私も首だけだから十全には戦えません。どうしたものでしょうか・・・むむむ。

 

「・・・メイプルが弱体化している今が好機だ!」

「イエス!マイマスター!」

「誰がマスターだ・・・行くぞっ!」

「「了解!」」

 

あっ来た!?ど、どうしましょう・・・!・・・・・・いや、一つだけ策があるんですけど・・・いや、あるにはあるんですけどね!?その作戦、実行すると絶対にメイプルとあとサリーにも多分怒られてしまうと思うんですよね・・・!

 

「・・・えーい、背に腹はかえられません!」

「・・・ミルフィー、また無茶する気?」

「ユイちゃんマイちゃん!フォーメーションBです!」

「「えっ!?」」

 

しまった、つい私の中での作戦名を言ってしまった。・・・後で、メイプルに怒られるだろうなぁ・・・他に方法もなさそうだし、私も腹を括りましょう。ああ、忘れないようにイズさんにメールを送っておきましょう。さて、後は・・・

 

 

 

 

「ユイちゃんマイちゃん!私を投げてください!」

 

 

「「「・・・えっ」」」

 

 

 

 

「良いから早く!どっちでも良いから!」

「は、はい!」

「ちょ、ちょっと!ミルフィー!?」

 

「【ギアチェンジ】!」

 

さあ、後は思い切りぶつかるだけです。真正面から!私は、決して止まれません!本当はこんな事したくないんですけど、魔法の射程と【純然たる傲慢】の範囲的にはこうするしか無いと思います。

そして、ユイちゃんが私を手に持ちました。

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁ!」

「・・・ミルフィー・・・?」

「な、なに!?」

 

だから背後の恐ろしい声は聞こえません!聞こえないったら聞こえません!

 

「さあ行きますよ!【影沼(シャドウスワンプ)】!【闇龍(ウロボロス)】!【ダークボール】!【エビルジャベリン】!」

 

「「「!?」」」

「くっ、特攻する気か!」

 

私の使える闇魔法をありったけ使う!それを打ち落とそうとニュクスさんが剣を薙ぎ払うが、【闇龍(ウロボロス)】だけは打ち落とせなかった。メイプルも逃げの一手だった魔法だ。そう簡単には突破できない。その代わり、結構MP持っていかれるけどね。それに、ニュクスさんの動きが鈍い。前に闘技場で決闘した時と比べると大分差がある。多分ですけど、スキルを封じるスキルは自分まで使えなくなる、という事かもしれませんね。

 

「くっ・・・すまない、私はここまでのようだ。頼む、私の仇を取ってくれ・・・!」

「ニュクス!?おのれ・・・!」

「回復は・・・出来ないんでしたね・・・!」

 

よし!これで1人!ニュクスさんはしつこく逃げ回りましたが、最後は【闇龍(ウロボロス)】に飲まれました。後は・・・

 

ゴトン!

 

へぶし!痛い!?着地が顔からは痛々しいよ!【ギアチェンジ】でDEXをVITに変えたからダメージ自体はないんだけどね、なんというか、凄い痛そう。って、そんな事は後です!

 

「【ブラインドネス】!【エビルジャベリン】!・・・・【闇龍(ウロボロス)】!!」

 

「またその魔法か!【フレアアクセル】!」

 

ミィさんが足に炎を纏わせ、ミザリーさんとマルクスさんと一緒に飛び上がる。空中に逃げたところで【闇龍(ウロボロス)】は回避出来ませんよ?ふっふっふっ・・・

 

「【爆炎】!【炎槍】!」

【ホーリージャベリン】!」

 

くっくっく、無駄無駄。結果は既に見えていますよ〜・・・ん?

 

「あれ?スキルが使える?」

 

お、スキルが使えるようになりましたね。どうやらニュクスさんを倒したお陰でスキルの効果が消えたのでしょう。それにしてもミィさん、粘りますねぇ。あれをなんとかするには私をどうにかするしかないんですけどねぇ。

 

 

 

 

————あれ、なんかおかしくない?つい先程、ミィさん達はニュクスさんがやられる所を見てるんだよね?私だったら、諦めてオーブだけ回収して逃げるなりする筈・・・!?

 

「やれっ!ニュクス!」

「はぁっ!!」

 

背後から硬い何かが振り下ろされる。しかし、それは私の頭に弾かれた・・・だ、誰ですか!?

振り返ると、ニュクスさんが背後に立っていた。なん、ですって・・・

 

「そ、そんな・・・さっき、やられた筈じゃ!?」

「残念だったな。トリックだよ。【偽造(フェイク)】というスキルでね」

 

いや、スキルは使えない状態の筈・・・いや、自分からスキルを解いた、と考えるべきか。

 

「それにしても、硬いな。一体なんのスキルを使ってるんだ?」

「・・・秘密です」

「だろうね」

 

くっ・・・油断しました。この距離だと魔法を使う前にアクションを起こされてしまいます。幸い通常の攻撃は効かないみたいですが・・・

 

「さて、私はメイプルを倒しに行こう」

「・・・え?」

「私のスキル【闇黒の一撃】は受けたダメージと同じ割合ダメージを相手に与える攻撃スキルだ。先程死ぬ程のダメージを受けたからな。これならメイプルも瀕死になるだろう」

「・・・」

 

不味いな・・・かすり傷でも受けると死ぬようになるのは回避力皆無のメイプルにとってはかなりキツイ・・・

 

・・・ここは、お母さん直伝の交渉術を使う時かもしれません。

 

「さて、君はもうMPもないだろう?この後ゆっくりと倒すとしよう」

「・・・どうした、そんなに怖いのか?」

「・・・なに?」

「そんなにメイプルに対して大袈裟に・・・もしかして、こわいんですか?」

「ぐっ・・・」

「ほら、私はここに居ますよ?それも死にかけです。それとも、メイプルの事がそこまで気になりますか?」

「こ、この・・・」

「ああ、それとも、ギルドマスターの命令がないとこんな私も倒せないんですか?あ、それとも私の事が怖いんですか〜?いや〜、ミィさんも大変ですね〜。こんな怖がりさんがいると」

「だ、誰が貴様なんか!貴様なんか怖くねぇ!」

 

・・・よし、このまま来い・・・!

 

「【闇黒の一撃】ィ!!ヤァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ニュクスさんの持つ剣に黒いオーラが集まる。そして、そのまま漆黒の大剣と化したそれを思い切り振り下ろす。

 

「ミルフィー!?」

 

メイプルが駆け寄ろうとするのを視線で制す。

・・・大丈夫だよ、多分。多少、賭けの要素もあるんだけどね。

 

そして、大剣の切先が私に触れ・・・

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

 

闇色に染まった爆発が起こった。耳が・・・

 

「これなら・・・なっ!?」

「くっくっく・・・」

「何故だ!?」

 

良かった・・・そのスキル、どうやら闇属性か悪属性のスキルらしいですね。そうでなかったら死んでました。

 

「敢えて言いましょう。残念だったな。トリックだよ。【闇龍(ウロボロス)】!」

「な!?まだMPが残っ・・・」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ん?なんでイズはポーション持ってんだ?」

「ふふ、それはね、ミルフィーちゃんがそうして欲しいってメールが来たからよ」

「え、なんでポーションが必要な事に・・・ああ、また何かやったのか・・・メイプルに怒られるぞ、ミルフィー・・・」

「まぁ、たまにはいいんじゃない?怒られるのも」

「まあ、ミルフィーには良い薬かもね」

 





明日にはアンケート締め切ろうと思います(唐突)
今回今までで一番長くなったなぁ。


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お説教ぱーとつー


はちゅとうこうでしゅ


 

私がなんとかニュクスさんを倒した後、スキルが解放されたメイプルが【機械神】を使って大暴れしました。ミィさんが自爆するハプニングもありましたが、メイプルは無傷でした。まあ、私の【スーパーノヴァ】も無傷でしたもんね。ですが、オーブの回収は出来なかったそうです。なんでも、別のギルメンにオーブを持って逃走させたんだとか。そして、現在拠点にいるんですが・・・

 

「あのね、普段だったら私もここまで言わないよ?でもね、サリーに無茶するなって言っておいてなんでまた無茶したの?ねぇ、聞いてる?」

「ごめんなさい・・・」

 

・・・私、メイプルにお説教されています。しかも、もうかれこれ15分くらい・・・なんとか逃れようとしてもすぐに止められちゃいますし、反省が足りないよって膝にエクレアとシロップと朧を置かされています・・・あ、足が・・・しびれ

 

「ちょっと!まだ話は途中だよ!」

 

「も、もう勘弁して・・・」

 

「ダーメ!」

 

「そ、そんな〜・・・」

 

うう、なんだかメイプルがいつもと違って積極的です・・・怖い。しかし、ここはなんとかして逃げなければ私の足が産まれたての子鹿みたいになってしまう・・・!

 

「・・・あ、今逃げようとした?」

 

「え!?い、いや、そんな事・・・」

 

「嘘。だってミルフィー、嘘つく時に癖があるもん」

 

「え!?」

 

速攻でバレた事も驚いたけど癖って何!?私そんなのあるんですか!?

 

「ふーん。まだそんな事考えてるんだー・・・」

 

「だ、だってもう限界・・・ん・・・」

 

「・・・なんだか、ミルフィーが苦しんでる顔、ちょっと可愛らしいね」

 

「ええっ!!??」

 

ええ!?め、メイプル!?そんな趣味だったの!?いや、そうじゃなくて、えっ!?えっ!?

 

「うーん、ミルフィーって髪綺麗だよね・・・」

 

「え、えっと、ありがとうございます・・・?」

 

自然な仕草でメイプルが私の髪に触れる。あ、あの・・・

 

「か、顔が・・・」

 

「あ、照れてるー」

 

「いや、えっと、その」

 

「ふふーん・・・えいっ」

 

「きゃっ!?」

 

あ、ありのまま今起こった事を話します!わ、私はメイプルにお説教されていたら、いつのまにかメイプルに押し倒されていました!?な、何を言ってるのか分からないと思いますが、私も分かりません!あ、エクレア達は自分から退きました。

 

「ミルフィーの胸、なんでこんなに大きいんだろう・・・」

 

「ちょ、さ、触らないでぇ・・・あん///」

 

「このっ、このっ、えいっ!」

 

「んん!?///」

 

「えへへ・・・なんだか、今、すっごく楽しいなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・め、メイプルちゃん?ミルフィーちゃん?」

 

 

 

 

「!!??い、イズさん!?こ、これはえ、えっと、その・・・」

「・・・失礼するわ。ごゆっくり・・・」

 

イズさん!?

 

「ち、違うんです〜!!メイプルも何か・・・」

「これで続きが出来るね?」

「え、ちょ、待っ・・・」

「大丈夫!ここじゃ痛くないし!あ、でもミルフィーが痛がってるの、見たいかも・・・

 

今、何か言いました?あ、そこ、やめ・・・

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

は、恥ずかしい・・・まさか、メイプルがあんな事するなんて・・・もう、メイプルの顔まともに見られないよぉ・・・///

 

「あ、め、メイプル・・・」

「なーに、サリー?」

「い、いや、なんでも・・・」

 

サリー、顔が赤い・・・多分、私も滅茶苦茶赤くなってると思います・・・カスミさんもちょっと赤くなっていて、メイプルはなんだかつやつやしている。イズさんは笑っています。もう・・・

 

「ごほん!メイプルはオーブを集められた?」

「うーん・・・あんまり・・・オーブの無いギルドが多くて・・・」

「そうだったのね」

「結局、私達が取れたのは2つだけでした・・・」

「展開が予想していた以上に早いみたい・・・小規模だけじゃなくて、中規模ギルドも大分壊滅してるみたい。そこで、もう次の段階に移行して良いと思う」

「うん!」

「気がかりは一つ。『集う聖剣』」

「たしかに・・・」

「また来るって言ってました・・・」

「うん。きっと決着をつけにね」

 

そういえば言ってましたね、全く・・・

サリーによると、今晩『集う聖剣』の襲撃あると言います。だから、その前にオーブを持って拠点を離れようとの事。大規模ギルドの行軍速度ならここに来るまで時間が掛かる筈だ、と。でも・・・

 

「も、もし少人数で向かってきたらどうするんですか?」

「うーん・・・トッププレイヤーの少人数パーティならたしかに移動時間は短縮出来るけど・・・大規模ギルドの特権、物量で押し切るギルドを捨ててまでそうするかなぁ?」

「私だったら行くかもしれません」

「あー、ミルフィーはそういうの好きそう」

「そ、そうですか?」

「そう言えば、第一回イベントにもドレッドに特攻してたな」

「いや、あれはそうするしかなかったから・・・」

 

思えば、あそこで負けておけば・・・いや、わざと負けるのはなんか嫌ですね。やっぱり良いかな。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

炎帝の国の拠点。その外れにて。

 

「・・・・・・」

 

「うう〜!やられた〜!もうなんなのよぉあれ〜・・・!?」

 

「ミィも復活しましたね」

「とんだ化け物だったなぁ・・・」

 

「ああ、だが一矢は————」

 

「ミィの【自壊】をくらったのに大丈夫だなんて・・・はぁ」

「は?」

 

「シン達の報告によると、メイプルは無事だったそうです」

「え?」

 

「でも、オーブは確保してあるから安心してって」

「え?え?・・・えーーーーー!?」

「ミィちょっと!?」

 

「次は絶対やっつけるんだから〜!!!」

 

 

 

 

「うう・・・ぐすん・・・次・・・次は・・・」

 

「あらら。いつものカリスマはどうしたの?」

 

「!!!??にゅ、ニュクス!!?い、いつからそこに!?」

 

「ずーっと見てたよ♪」

 

「!!??!!え、いや、これは、その・・・」

 

「いや、初めて会った時からずっと知ってたから。ミィはあんまりギルマスとか向いてないって」

 

「!!!!????・・・あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

「でも、ギルド結成の時は私がギルマスになるのを応援してなかった?」

 

「ああ、それは・・・その方が面白そうだったから♪」

 

「にゅ、ニュクス〜!!」

 

「はっはっは」

 

「も、も〜!!」

 

「まあ、なんだ。お疲れさん」

 

「うう・・・」

 

 

「・・・ここなら、誰にも見られないな・・・」

 

 

「・・・え?」

 

「こっちに来い、ミィ。疲れてるんだろ?ゆっくりしてけよ」

 

「え?え?」

 

「大丈夫だって。すぐに気持ち良くなるから・・・な?」

 

「!?え!?そ、そんな事・・・///」

 

「何恥ずかしがってんだ?膝枕でもしてやろうと思ってたのに」

 

「!?か、勘違いさせるなぁ!」

 

「はっはっは。このスケベ!何想像したんだ?ん?」

 

「ぐっ・・・全く、ニュクスは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・今のは見なかった事にしない?」

「・・・そうですね」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「じゃ、準備ができ次第出発だよ」

「うん!」

 

さて、『集う聖剣』は本当に来るのでしょうかね?案外、来なかったりして・・・あ、入り口の絲に反応が・・・

 

「・・・誰か来たよ?」

「まさか・・・」

 

入り口の方から姿を現したのは5人。

 

【聖剣】のペイン。

【神速】のドレッド。

【地割れ】のドラグ

【極光】のティアラ。

そして、フレデリカさん。『集う聖剣』の人達だ。

 

「まさか、本当に大人数のメリットを捨ててまで来るなんて・・・」

「それでも勝てると判断して、倒しに来た」

 

「舐められてるなぁ・・・」

「こうなった以上、やるしかねぇって事だな」

 

「やっほー、サリーちゃん!あとミルフィー・・・も!今度は騙されないしびびったりしないからねー」

「お前達の力、見せてもらおうか」

 

「お嬢ちゃん方。それとミルフィー!第二ラウンドだ」

 

げっ、やっぱり根に持ってる・・・

 

「メイプル。一度戦ってみたいと思っていた」

「ペインさん・・・最強のプレイヤーって聞いてますけど・・・負けません!」

 

「ふ・・・勝負だ!!」

 

2日目最後の戦いが、今始まった。

 






フレデリカ「今回百合百合してたねえ」
ティアラ「これ、私達もそうなる流れなのか?」
フレデリカ「私は別に構わないけど〜?」
ティアラ「いや、お前は多分受けだろう?」
フレデリカ「」


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VS 集う聖剣!


ネ刀手殳禾喬です


 

「【身捧ぐ慈愛】!」

 

メイプルがお馴染みとなった範囲防御スキルを使う。けど、炎帝の国との戦いで派手に暴れましたからね。対策されている可能性は少なく無いでしょう。

 

「行かせない!」

「押し通る!」

 

ペインさんが突っ込んでくるのをサリーが止めようとする。しかし、サリーはペインさんの一振りを防ぐのでやっとだった。体制の崩れたサリーをカスミさんが支えます。レベルの差でしょうか。噂だと確か、ペインさんは60超えていたんでしたっけ?

 

「お前らの相手は俺だ」

「気乗りはしないが、な」

 

・・・意外です。てっきり2人は私に攻撃してくるかとばかり思っていましたが、ドレッドさんとティアラさんはカスミさんとサリー、ジェラートさんを相手にするみたいです。彼女達ならなんとかなる・・・と思います。私もやるべき事をやらないと!

 

「「【飛撃】!」」

「【地波】!」

 

ドラグさんのスキルがユイとマイを【飛撃】ごと吹き飛ばす。ダメージはメイプルに行くから・・・まずっ!?

 

「ノックバック!?戻らなきゃ!【カバームー・・・」

「ふっ!」

「うわわ!?」

「この!」

 

私は絲で無理矢理メイプルを引き寄せる。メイプルなら引き摺られてもノーダメージだ。

 

「わ、私の扱い雑・・・」

「言ってる場合ですか!?」

 

ドラグさんの攻撃はクロムさんが防いだみたいだけど、フレデリカさんはオーブを狙ってるみたいですね。

 

「ふっふっふー・・・ほったらかしならオーブは貰っちゃうよー!」

「イズ!カナデ!オーブをお願い!」

「はぁ!」

「【多重障壁】!」

 

イズさんが投げた爆弾をフレデリカさんが防ぐ。煙の中飛んで来た炎弾をカナデが対処する。ふふふ・・・

 

「ふぅ!こっちも中々・・・アレェ!?」

「!?オ、オーブが!?」

「・・・お探しのものは、これかな?」

「い、いつの間に!?」

 

イズさんの爆弾の爆発で視界が閉ざされた時に、絲でこっそりと回収しておいた。一日目で一杯盗んだからもう慣れっこです。一応、相手の足元にも伸ばしてあるんですけど、すぐに切られるか回避されます。流石はトッププレイヤー・・・!

 

「オーブが欲しければ、私も倒してね?」

「ふっ、言われなくとも・・・!」

「や、やっばり強い・・・!」

「言っただろう?勝てると判断してきたと!」

 

メイプルは攻撃を躱せないのでペインさんの攻撃を一身に受けている。あのままだと・・・

 

「【ディフェンスブレイク】!」

「【グランドランス】!」

「くぅ・・・!もう!」

 

ペインさんの攻撃とドラグさんがクロムさんに当てた攻撃をメイプルが全部受け持つ。このままだと普通にやられるかも・・・!

 

「メイプル!解除した方が良い!」

「わ、分かった!」

 

メイプルが普段の姿に戻る。うーん・・・閉所は私、苦手なんだよね・・・瓦礫を振り回すスキルが使えないし・・・

 

「くらえ!」

「WRYYYYY!!!!」

 

・・・何気にジェラートさんが戦ってるの見るの初めてなんだけど、なんだか凄く狂っ・・・楽しそうですね!ティアラさんの攻撃を嬉々として避けています。・・・って、何か来る!?

 

 

 

「その首貰う!」

 

「【神速】!」

 

「【バーサーク】!」

 

「【オーロラベール】!」

 

「【多重全転移】!」

 

 

瞬間、ペインさんの姿がぶれた。

 

 

気付くと、彼はメイプルの目の前に居て、

 

 

「【断罪の聖剣】!!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

 

メイプルは斬り伏せられ、壁まで弾き飛ばされた。

 

 

「メ、メイプルー!!?」

「メイプルっ!?」

 

サリーとほぼ同時に私は叫んでいた。

油断するなって、言ったのに・・・いや、違う。多分、ドレッド達が使ったのはステータスを一時的に上げるスキルだ。ああ、もう!私がメイプルが斬られるよりも前に【清濁併呑】を使っていれば・・・!くそっ・・・メイプル・・・

 

・・・後悔は、後だ。私が今するべき事は、一つだけだ・・・。

 

「【不屈の守護・・・」

「【清濁併呑】・・・」

「!?これは、ステータス変化を無効にするスキルか!?」

「おい・・・」

「・・・!?」

 

 

 

「ただで帰れると思うな。必ず貴様らには地獄を見せてやる。私の友達を傷つけた事を後悔しながら死に逝け」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

ミルフィー・・・メイプルが攻撃されてから雰囲気が・・・!

 

 

「ただで帰れると思うな。必ず貴様らには地獄を見せてやる。私の友達を傷つけた事を後悔しながら死に逝け」

 

 

待って、おかしい・・・普段のミルフィーならそんな事絶対言わない・・・と言うか、メイプル多分生きてるよね?【不屈の守護者】があるんだし。でも、なんかミルフィーの怒り様を見ると、あれは多分、やられたと勘違いしてる・・・のかな?って、考えてる場合じゃ・・・!

 

「ミ、ミルフィー!い、一旦落ち着いて・・・」

 

「【装着・穿槍】!」

 

ミルフィーは瓦礫の槍を地面から取り出して・・・って、え!?ちょ、ちょっと待って!?まさか・・・!?

 

「死ねやオラァァァァァ!!」

「!?」

「うお!?ちょ、ミルフィー!?」

「きゃっ!?」

 

危なっ!?ミ、ミルフィー!?味方ごと振り抜くつもり!?うわぁ!?また来た!?

 

「失せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「くっ・・・!?」

「ぐっ・・・2人とも、無事か?」

「「は、はい」」

 

イズとカナデは位置的に当たらず、私とカスミ、ジェラートさんは避け、ユイとマイはクロムさんが守ってる。敵は・・・

 

「あーもう!【多重障壁】!」

「【バーンアックス】!」

「怖え怖え」

「危険だな」

「流石に当たると不味いな・・・」

 

フレデリカさんとドラグさんは防ぎ、ペインさんとティアラさんとドレッドさんは避けていた。洞窟でやや振りにくいのもあって当たりにくいのだろう。

 

「ならば!【射出・穿槍】!」

 

ミルフィーが叫ぶと地面から槍が飛び出し、ペインさん達の方に飛んでいく。え、いつの間にそんなスキルを・・・?

 

「ぐお!?まさか飛ばして来るとはな・・・」

「ペイン、どうする?」

「そうだな・・・このまま押し通る!」

「「「「了解!」」」」

 

不味い、このままだとミルフィーが・・・!?

 

「ミルフィー!落ち着いて!」

「いいや、私は冷静ですとも。冷静に・・・あいつらを潰す事だけを考えている」

 

駄目だ、話が通じない!と言うか言ってる事が怖いよ!?なんかぶつぶつ呟いてるし・・・メイプル早くなんとかし・・・あれ?

 

 

 

メイプルが居ない。

 

 

 

あ、あれぇ!?ど、何処に行ったの!?この状況、いや、今のミルフィーをなんとか出来そうなのはメイプルしか居ないのに・・・!

 

「!?メイプルが居ないぞ!?」

「な!?」

「い、一体何処に・・・」

 

相手も気付いたようだけど・・・一体何処に・・・あ、あそこ!

 

「エクレア!メイプルをこっちに!」

 

ふと、洞窟の影から黒い猫のモンスターが現れた。ミルフィーの相棒のエクレアだ。なるほど、こっそり指示を出していたのか・・・いや、何の為に!?と言うか、回収させるって事は死んでいない事に気付いてるよね!?分かっててあれだけ怒ったの!?

 

「メイプル、さっき伝えた作戦通りにな!」

「う、うん。分かった・・・」

「なら、良し!!エクレア!もう一度【潜影】!」

 

エクレアを影の中に潜らせ、メイプルとミルフィーは再びペインさん達に向き直った。

 





少しずつお気に入りや評価が増えてきてウレシイ・・・ウレシイ・・・
感謝。


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始動、女王の墟城

タイトル通り、今回は期待していた人も居るだろうアレが出ます。
なので、初投稿です。


「【絲生成】・・・」

 

ミルフィーは糸を作ると一歩下がってメイプルにペインさんの相手を譲った。

 

「(なんか、意外・・・)」

 

てっきり、自分が相手するものだと思っていたけど・・・「冷静に・・・あいつらを潰す事だけを考えてる」って言った通り、なのかな・・・?

 

「さあ、どう戦う!?」

 

ペインさんがメイプルに斬りかかる。メイプルは大盾で受け止めているけど、ミルフィーは無視して他の相手に集中しているみたい・・・先程とは打って変わって冷静な雰囲気だ。

 

「【捕食者】!【毒竜(ヒドラ)】!」

 

メイプルが反撃するけど、ペインさんにすぐに斬って捨てられてしまった。

 

「メイプルちゃん!」

「イズさんは下手に動かないで、守りにくい」

「え?」

 

ミルフィー・・・なにか考えがあるのは分かるけど、それじゃ伝わらないよ・・・こんな時にコミュニケーションが苦手な面出さなくていいよ!

 

「ふっ!!」

「させないと言っている!」

 

ペインさんが他のメンバーに攻撃しようとすると、すかさずミルフィーが糸で妨害する。強引に突破しようとされると、

 

「きゃっ!?」

「あ・・・ごめんなさい」

 

糸で味方を引きずって距離を取らせてる・・・い、痛そう。

 

「シロップ、【大自然】!」

「無駄な抗いだ!」

 

不味い・・・このままじゃメイプルが・・・!

 

「メイプルを信じろ!」

 

ミルフィーはそう叫んだ。なら、私もメイプルを信じよう!だから、今は・・・

 

「貴方を相手しないとね」

「分身してみるか?俺の速さからは逃げられないぜ?」

「ここは私がなんとかする。カスミとジェラートさんはティアラさんとフレデリカさんを!」

「【多重石弾】!」

「ぐっ!?」

「カスミ!?」

 

うっ・・・もう少しフレデリカさんの事を見ているべきだったか・・・!

 

「いつも後ろに居るとは限らないよ。【多重障壁】!」

「!しまった!」

「どんなに素早くてもこれなら動けないでしょ?」

「くっ・・・!朧、【覚醒】!」

「させるかよ!」

 

朧をドレッドさんにあっという間に切り捨てられてしまった・・・

 

「朧っ!?」

「フレデリカ!このまま押さえ込んどけ!」

 

ドレッドさんがオーブを持っているミルフィーに向かっていく。み、ミルフィー?大丈夫だよね!?

 

「【堕天】・・・!」

「それはもう見たぜ!」

「【黒煙】!」

 

ミルフィーが煙を出してドレッドさんを撹乱する。が・・・

 

「俺は視覚だけに頼っていないぜ?」

「・・・!」

「今までの礼だ!」

 

煙にドレッドさんが突っ込む。そして煙が跳ねると・・・

 

 

 

ミルフィーは、斬られていた。

 

 

 

辺りにミルフィーが持っていたオーブが散らかる。嘘、でしょ・・・?

 

「お、やったじゃねぇかドレッド」

「・・・ああ」

「ん?どうした?」

「いや・・・」

「ドレッド、オーブを頼む」

「了解」

 

「(もう!あれだけ色々口出ししておいてあっさりやられるなんてどういう事!?)」

 

ふと、気になってメイプルの方を見る。しかし、メイプルは特に反応が無い。あれぇ?少し妬けちゃうくらい仲が良かったからてっきり怒っていると思ってたけど・・・まさか、作戦?でも、ミルフィーが犠牲になる作戦なんかメイプルが取らせる筈がない・・・

 

「シロップ、【精霊砲】!【捕食者】!【毒竜(ヒドラ)】!」

 

全て斬り捨てられる。圧倒的とはこのような事を言うのだろうか。

 

「トドメだ。全力で行かせて貰う・・・!【壊滅の聖剣】!」

 

ペインさんが異名の元になった聖剣を掲げる。そして、勢いよくメイプルに向かって突進していく・・・

 

「メイプル!?」

「メイプルちゃん!?」

「「メイプルさん!?」」

 

メイプルが大盾を正面に向ける。その手に持った大盾が手から離れて前方へと倒れていく。そして、大盾に隠されていた左手が大きな砲口になっているのを確かに見た。

 

「なっ・・・!?」

「【カウンター】!!」

 

ペインさんの攻撃よりも早く砲口から放たれた一条のレーザーがペインの体を焼き尽くす。先程、メイプルに向けた最大威力攻撃を跳ね返した。これなら、流石のペインさんも・・・!

 

「「「「ペイン!?」」」」

「「メイプルさん!」」

「「メイプル!」」

「メイプルの全力の【カウンター】をモロに喰らったんだ。いくらペインでも・・・」

 

 

メイプルの攻撃の余波で土煙が舞う。その中から、満身創痍になりながらも確かにペインさんが立っていた・・・

 

「・・・まだだ」

「・・・ミルフィーが言った通り、かな。でも、どうして・・・」

「俺も持ってるんだよ、【不屈の守護者】を!それにしても、彼女を倒されたのに気にしないんだな?」

「ミルフィーだからです」

 

なるほど、だからか・・・!けど、まだメイプルには切り札がある・・・!

 

「【破砕ノ聖剣】!」

 

 

 

「【暴虐】!!」

 

黒い靄が形を成して現れたのは一瞬前までメイプルだったもの。逆転した手数とリーチにペインさんが目を見開いて迫る化物の数本の腕を見た。メイプルが咆哮し、ペインさん達に襲いかかる。ペインさんはしばらく抵抗していたけど、結局メイプルが捕まえた。なんとかなったか、と私がそう思った、その時。

 

「【正義の一矢(ジャスティスアロー)】!」

「ティアラ!?」

 

今まで見守っていたティアラさんがスキルを放つ。すると、メイプルの動きが目に見えて悪くなった。

 

「逃げましょう!私のスキルは長く持たない!」

「・・4口惜しいが、それが良いだろうな」

「仕方がない、か」

 

不味い、このままだとオーブを持ったまま逃げられる・・・!あれ、メール?ええっと・・・ミルフィーから!?

 

『チェックメイトです!』

 

・・・だから、それだけじゃ分かんないってば。

 

「後は任せたよ、ミルフィー・・・」

 

メイプルがそう呟いていたのが印象的だった。・・・見た目は化け物だけどね。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「メイプルを倒すには、至れなかったな・・・」

「まあ、次の機会にまた挑めばいいんじゃないか?」

「そうだよ!今は逃げれた事を喜ぼ!」

「・・・」

「・・・」

「んで、2人は何考え込んでいるんだ?」

「いや、ミルフィーを倒した時、手応えが妙でな・・・もしかしたら身代わりかもな、と」

「それに、あっさり我々を見逃すのも何処か妙だ。抵抗する余裕がなくなったという事も考えられるが・・・」

「えー。でも、もし身代わりだとしたらオーブを落とす訳無いと思うけど?」

「・・・いや、まさか、な」

「え?何、ペイン?」

「もしかすると、俺たちを逃さないようにする算段があったんじゃ無いか、と思った。それなら身代わりにオーブを持たせていた事もあっさり俺たちを逃した事も分かる・・・」

「考えすぎだよペイン!ほら、もうこんなに暗く・・・ん?」

 

ペイン達は洞窟から出ると、辺りは妙に暗かった。まるで、月明かりのない新月の夜のように・・・

 

「とにかく、早く帰らない?」

「ああ・・・そうだな」

「よし!そうと決まれば・・・びゃあ!?」

「どうしたフレデリカ?」

「な、何かにぶつかって・・・あれ?行きの時、ここになんかあったっけ?」

「・・・おい、なんか音がしないか?」

 

ドラグの言う通り、たしかに音がする。しかも、それはどんどん大きくなっていく・・・

 

「う、動いてる・・・さっき私がぶつかったやつが・・・」

「い、一体どういう・・・?」

「・・・!?上だ!」

 

ティアラがふと上を見上げ、すぐさまそう叫ぶ。何故なら、空が動いていたからだ。否、空にも見間違うほどの巨軀のナニカが動いているのだ。

 

それは客観的に見れば巨大な竜のようにも見える。全長は100メートルもありそうだ。これと比べるならメイプルの【暴虐】だって小さいだろう。本物の竜との決定的な違いは、身体のほぼ全てが瓦礫で出来ている事だろう。背中には大車輪や巨大な槍を背負い、四本の足で立っている。よく見ると、足の指には金色の糸が巻かれていた。さらに、中央部では金色の繭のようなものまである。

 

「「「「「なっ・・・!?」」」」」

 

5人は言葉を失った。突然これほどの大きさの謎のモンスター(?)が現れたのだから当然だろう。そして、その謎の巨大な瓦礫造りの竜モドキは、驚く事に前脚を振り上げた。

 

「!!??逃げっ・・・」

「ぬおっ!?これは、糸!?」

「って事はあいつの正体は・・・!」

「もう少し、早く引くべきだったか・・・完敗だ」

「あーもう!?」

 

そいつは、金色の繭から糸を放出し、5人の動きを止めた。そして、動けない5人は哀れ、そのままそいつに踏み潰された・・・

 

 

 

 

なお、その時に発生した揺れで辺りのギルドは混乱したんだとか。

 




『集う聖剣』って打とうとすると『集う政権』ってなる。独裁政権か何か?

9/22 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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殲滅する者、される者


スデウコウトツハ ニママクムモオノキ



 

「勝てた、か」

 

戦闘中、私は新しいスキルを習得した。と言うか、【絲使い】のスキルレベルが上がりました。まさか、こんなスキルだとは・・・私は今、金色の絲に囲まれています。外の様子はエクレアに見てもらっているお陰でよーく分かります。

 

・・・なんですかコレェ!?大きすぎませんかこれ!?【暴虐】発動中のメイプルが凄い小さく見えますよ!?拠点がある洞窟の入り口にも入れません!?う、うっかり踏まないようにしないと・・・

 

私はこのスキルが獲得した通知が来た時に確信した。これは相手にトドメを刺すことが出来る、ってね。それで、エクレアの【分身】というスキルを使った。このスキルは対象を文字通り分身させるスキルです。ただし、オリジナルのステータスよりやや下がってしまいます。スキルは使えるようですが。それでも、勘のいいドレッドさん相手だと勘付かれると思ったのでオーブを持たせてみました。怪しんでいたようですが、引っ掛かってくれてなによりです。

 

しかし、この状態だと会話が出来ませんね・・・メールを使いますか。ええっと・・・

 

『なんとか倒せましたね』

 

送信っと。お、早速サリーから返信が来ました。どれどれ・・・

 

『なに、それ』

『【絲使い】の新しいスキル。戦闘中に獲得した。』

『大きすぎない!?』

『うん。うっかり踏んだらごめん』

『それで、解除しないの?』

『メイプルの【暴虐】と同じで一日一回しか使えないからね。ちよっと勿体無いかなって』

『2人は考え方も似てきたね・・・それでなんだけどね————』

 

・・・メール打つの、面倒くさいです。しかし、このスキル、【女王の墟城】は一日しか使えませんから解除するのは勿体無いですね。因みに、この状態だとSTRが100、AGIが1に固定されます。あまり暴れ回るのには向いてない、かな。まあこれだけ大きいので、数値よりは早く感じるんじゃないかな?

 

それから、サリーから今後の予定を聞きました。打って出る、との事です。あとイベントは3日もあるので、このままだと大規模ギルドに逆転されてしまう可能性があります。なので、他のギルドがポイントを取りにくくする必要があります。そこで、オーブの絶対数を減らす為に他のギルドを潰すそうです。私やメイプルがスキルを使っているのと、今ちょうど拠点に他のギルドのオーブが無いからと言うのもあるそうです。

 

移動は私に乗って行くんだってさ。メイプル達が降りてから襲撃を行うんだそうです。まあ今の私、かなり遅いからね・・・

 

「・・・よーし、行こうっ!!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

あるギルドの拠点。

 

「かなりハイペースでギルドが潰れてるな」

「ああ。いつ大規模ギルドが仕掛けてきてもおかしくない・・・ん?」

「どうした?」

「いや・・・今、地面が揺れたような気が・・・!?」

「いや、気のせいじゃないぞ!?」

 

地面が揺れる。木々がざわつく。2人が音のした方に振り向く。

 

 

 

そこには、到底視界に収まらない程の巨大な何かが蠢いていた。

 

 

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」

 

唯の足踏み。たったそれだけで、2人のプレイヤーは消滅した。それも、直接踏まれたわけでもなく、足踏みの衝撃だけで、だ。

 

「お、おい!?なんだ、あれは!?」

「で、でけぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

「に、逃げろぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

逃げ惑うプレイヤー達。そこに、追い討ちがかけられる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!?ま、また化け物だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「だ、誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「おい!?ボスモンスターが出んのか!?」

「知らない!聞いてないわ!」

 

新たな化け物の登場だ。背中には8人のプレイヤーが乗っている。

 

「1人も逃しちゃダメだよ!キッチリ全滅させて、オーブを消滅させないと!」

 

その宣言通り、二体の化け物と8人のプレイヤーに襲われた結果、このギルドは消滅した。

 

 

 

「(私に襲われたのは、災害に遭ったのと同じだと思ってね?)」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

集う聖剣の拠点にて。

 

「悔しいっ!あんな小さいギルドに何度も何度も!しかも最後のメイプルと推定ミルフィーの何なのアレ!?あんなの存在自体が反則だよ!反則!」

「反則じゃないさ。何処かでちゃんとイベントを経て手に入れたスキルなんだろう」

「そりゃそうだろうけど・・・」

「負けたのに、あんまり悔しそうじゃねぇな、ペイン」

「そんな事はない。いつかきっと借りは返す。だがそれは、今じゃなくていい」

「ああ、オーブを奪われたわけでもねぇし、順位は俺らが一位でほぼ確定だ。なんも焦る事ないって」

「だよね、うん。完全に負けたわけじゃ無い!負けたわけじゃ!」

「私は普通に悔しいぞ・・・はぁ」

「ははは、俺もやはりちょっとは悔しいかな」

「ペインさん!」

 

「———なるほど・・・分かった。ありがとう」

 

 

「・・・また、面白い事になりそうだぞ」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

楓の木、移動中。

 

「大規模な戦闘が起きているみたいだな」

「あれは、『炎帝の国』の方です」

「え?何が起きてるの?」

「そういう事か・・・ミルフィー!って聞こえないんだっけ・・・」

 

いや、近くに居たら聞こえるみたいですよ?私からは声を伝えられないみたいですけどね。

 

『聞こえてる。『炎帝の国』の方に行けばいいの?』

 

「あ、そうなんだ・・・うん、お願い!」

 

任されました!とは言ったものの、そこまで速度が出ませんねぇ・・・まあ、やりようはあります。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

炎帝の国の拠点にて。

 

「隊列を乱すな!ダメージを受けた者はミザリーに回復してもらえ!」

 

「流石はミィですね。あの状況から、ここまでオーブを集めて挽回するなんて」

「その分、襲ってくる数も増えちゃったけど・・・味方の数も半分になったし。それに、うちを全滅させて自分達の順位を上げようとしてるところもあるし、これ以上数が増えたら・・・」

 

「シン、ニュクス、頼む!」

 

「りょーかい!」

「分かった!」

 

「【崩剣】!」

 

「【黒炎剣】!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

炎帝の国は、多数のギルドに襲われ、このままでは全滅であろう事は容易に想像できた。

 

「えぇ・・・嘘ぉ。無い無い無い・・・え、待って。何それぇ・・・」

 

そこに、ある知らせが伝えられた。

 

「どうしたのですか、ミィ?」

「偵察部隊から報告だ。ミルフィーらしき巨大な城が此方にやってくる・・・そうだ」

「「へっ?」」

「俺、カスミにも負けてるんだけどなぁ。あと、城ってなんだ?」

「分からん」

「動く城・・・ハ◯ルか!」

「なんの話だ?」

「辛い・・・とても・・・」

「私達を包囲している敵の数は・・・この上、『楓の木』が加わったら・・・」

 

一瞬、諦めのようなものがギルド内に流れた。

 

「・・・どうせ全滅だ。1人でも多く道連れにするぞ!」

 

「分かりました!」

「我々は何処までもミィ様についていきます!」

「ミィ様の力をお見せください!」

 

「回復は任せて下さい」

「ほら、ミィもああ言ってんだから!」

「・・・やるよ、やる・・・」

「あんたがそう言うなら、私は何処までもついて行くだけさ・・・ふっ」

 

————みんな、ありがとう・・・

 

「行くぞ!【フレアアクセル】!はぁぁぁぁぁぁぁ!!【爆炎】!」

 

ミィによって多数の相手が葬られていく。しかし、いくら倒しても次から次へと新手が現れる。

 

「・・・MPも残り僅かだ。これまでか・・・」

 

ミィがそう思った、その時。

 

「なっ・・・!?」

 

そこに、化け物が現れた。

そして、周りのプレイヤーを倒してすぐにその場を去った。

 

「(・・・え、なに?)」

 

「どうなってるんだこれ?」

「分からん・・・とにかく、『楓の木』が敵ギルドを攻撃しているのはたしかだ」

「私達を助けに来たのでしょうか・・・?」

「まさか、前のお詫びとか・・・?」

「その方が自分達にとって都合が良いのだろう。詰まるところ、私達と協力して敵ギルドを殲滅した方が効率が良いって判断じゃ無いかな?」

「何にせよ、チャンスだ!反撃に出るぞ!」

「「「「うん!」」」」

 

「そう言えば、ミルフィーは?」

「・・・もしかして、あれじゃ無いかな?」

「え、どれ?」

「あれ、か。いやいや、デカすぎんでしょ!?マジでハ◯ルくらいあるぞ!」

「ま、まさかあれ程の大きさだとは・・・」

「あ、糸吐いた」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ふ〜、危なかった〜!間違ってミィさんもやっつけちゃうとこだったよ。『炎帝の国』の人達は攻撃しちゃダメなんだよね?」

「そう!私達の目的はここに集まってるギルドを一個でも多く壊滅させる事だから。『炎帝の国』にも手伝って貰わないとね」

「うん!」

 

サリー、考える事が黒いねぇ。まあ、私も多分全く同じ事をすると思うけどね。それにしても、『炎帝の国』の人達、頑張ってたなぁ。私達も頑張らないと!

 

「ちょっ!ミルフィーはこれ以上頑張らなくて良いから!」

「ミルフィー・・・また無茶するのぉ・・・?」

 

物事は程々が一番だよね!うん!

そして、しばらくギルド殲滅行脚をしていたところにペインさん達を発見しました。どうやら、私達と同じで周りの敵を片っ端から殲滅しているようです。

 

「ペインさん達だ」

「考える事は同じみたいだね・・・カナデ、一気に決めるよ!」

「例の作戦だね?」

 

ああ、あれですか・・・本来、メイプルにだけ使うつもりだったんですけど、私にも使うそうです。楽しみ。

 

「朧、【影分身】!」

「【ファントムワールド】!」

 

「さて、と。エクレア、【分身】!」

 

【ファトムワールド】と【影分身】、そして【分身】は対象の分身を3つまで作るスキルです、これによって、私達は9体に増えました。

さあ、敵は殲滅です!何処まで抗えますかねぇ!あっはっは。

私は目に見える敵プレイヤーを片っ端から絲で捕まえて踏み潰していきました。

メイプルが追い立てて私が踏み潰す。それはさながら『追い込み漁』のようであった。

 

 

 

 

「ミルフィーとメイプルが9体・・・!?」

「来るぞ、ミィ!」

「え、何が来るの?」

「知らん」

「どういうスキルなんだ・・・!?」

「助けてくれるのはありがたいですけれど・・・」

「なんつうか、なんなんだろうな・・・」

 

 

 

 

「どうなってんだ、ありゃあ?」

「見る度におかしくなってんぞ、おい」

「だから言ったじゃない、存在自体が反則だって・・・」

「・・・鍛え直すか。俺も、新たなスキルでも探してみるとしよう・・・」

「それにしても、すごく、大きい・・・いや、元から一部は大きかったけど・・・

「ん?何か言ったか?」

「い、いや、何も・・・」

「・・・分かるよ、ティアラ・・・」

 




夜明けのメイプルを見て。

ニュクス「巨◯兵かっ!」
ミィ「どうした?」
ニュクス「腐ってやがる。早すぎたんだ・・・」
ミィ「だから何の話だ!?」

なんとか、次で一旦完結できそうです。満足。


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幕間 一仕事終えた運営達


最後の……初投稿…

メ…ッセージ……で…す…
これが…せい…いっぱい…です
読者…さん 受け取って…ください…

伝わって……… ください……

まあ、嘘なんですけどね。



 

ゲーム外では運営陣が残りギルド数を表す表示を見つめていた。

 

「これは・・・もう終わっただろ」

「だな・・・」

 

明るく輝く数字は六という数字を浮かび上がらせている。そして、それらのギルドは全て現在十位以内であることが確認されている。つまり、もう十位以内に入るギルドは確定したということだ。

五日を予定していた今回のイベントは三日目の後半には実質の終了を迎えていた。先程までは減り続けていたギルドの数表示は全く動きを見せなくなった。

 

「どいつもこいつも殺意高いなぁ!?おい!?」

「今回のイベントの見所編集して動画にするぞ。もうこれといったことは起こらないだろ」

 

男が周りに指示を出すと次々に膨大な量の録画データからこれはと思ったシーンが選び出されていく。

 

「7割近くメイプルとミルフィーが映ってるんだが・・・」

「メイプルやミルフィーを映さずに見所を抜き出せと言うのか?これでも削った方だぞ」

 

呟いた男の方に首だけを向けてそう言うと、呟いた男は額に手を当てて項垂れた。

 

「まあ『楓の木』に引っかき回されたのがイベントが思うようにいかなかった原因か・・・」

 

「『炎帝ノ国』は十位だしな、しかも既に全滅だろ?順位予想もやってみていたんだが……まあ当たらない」

『炎帝ノ国』はライバルを次々に倒していたが、無理をし続けたために全滅に至った。

ただ、何とか十位を確定させることには成功していた。

 

「メイプルとミルフィーの行動が読めるようになればなあ・・・」

 

それは多くのプレイヤーも思っていることだった。対策の立てやすい者ほど対処は容易になるからだ。もっとも、出来ればの話だが。

 

「無理なことを考えても無駄・・・それより次回の日数・・・考え直さないとな」

「だな、流石に丸二日余るほど加速するとは・・・」

 

プレイヤー達のやる気を読み切れなかったが故のミスである。彼が次回のことを考えていたところで、思いついたというように一人の男が全員に聞こえるように言い放つ。

 

「なら一つ予想してみよう!お題は今のメイプルが何をしているか!どう?当たった奴には俺が一回奢るよ」

 

その提案にその場にいた全員が乗った。

メリットしかないのだから当然である。

 

「少し前の録画データを見ればいけるか。オーブ周りしかないが・・・」

 

そう言って適当に選び抜いた【楓の木】の四日目の広間の映像を映し出す準備をし始める。

 

「なら、拠点にいないってのもありか?」

「いいんじゃね?それだと簡単に探せないからな・・・まあ多分拠点にいるとは思うが・・・」

「じゃあ予想開始!思いついた奴は挙手!」

 

奢ると言い出した男が合図をすると早速何人かが手を上げた。そして、男が指示した順にそれぞれに予想を述べていく。

 

「ギルメン全員でボードゲーム中」

「機械神で空を飛ぶ練習」

「蓑虫ごっこ」

「双子に人間お手玉をされている」

「糸でトランポリンを作って体操している」

「【鍛冶】で作られた武器を齧ってスキルが得られないか試している」

「何だ、皆普通過ぎやしないか?」

「ちくわ大明神」

「それもそうか・・・」

「誰だ今の!?」

 

普通過ぎると言われたことで全員がメイプルやミルフィーならばどんなことをするかと再び思考を巡らせた。そうしてどんどん予想は混沌としていく。

 

「巨大化した亀の口の中に入っている」

「糸で自分を縛っている」

「何故かミルフィーと戦っている」

「いっそ亀を齧る」

 

全員が口々に予想を述べていく。そして粗方意見が出尽くして部屋が静かになったところで発案者が終了を宣言した。

 

「じゃあ……映すぞ」

「ああ」

 

一瞬の後、大きなモニターに【楓の木】が映し出される———

 

 

 

 

「あ、あの・・・メイプル?」

「ん?なぁに?」

「えっと・・・顔が、近いかなって・・・」

「別に良いでしょ?それとも、嫌・・・?」

「い、嫌じゃないけど」

「なら問題ないよね!」

「う、うん・・・」

「ねぇ・・・」

「な、なに?」

「ミルフィーは私の事、どう思ってる?」

「!?・・・そ、それは、どういう意味・・・?」

「ふふふ、どういう意味だと思ってる?」

「え、いや、その・・・」

「私はミルフィーの事大好き!」

「くぁwせdrftgyふじこlp!?そ、そんな、いきなり・・・///」

「ねぇ、ミルフィーは・・・?」

「そ、そんなの言えませーん!?」

「あ、もう!待ってよー!」

 

 

 

 

それから、メイプルがミルフィーに背後から抱きつく場面を見たところで動画はそっと閉じられた。

 

「あれも入れるか?」

「・・・ああ」

「ああ・・・百合は、いいぞ・・・だからよぉ、止まるんじゃねぇぞ・・・」

「なんか昇天しそうになってない!?」

 

そのワンシーンはそっと見所集に加えられ、運営陣はそれぞれが何か理解を超えたものを見たことに対する処理へと移った。

 

 

 

 

「ところでなんだが」

「なんだ?」

「これとこのシーン、入れるべきだろうか?」

「・・・入れよう!」

「お前今吐き気を催す邪悪な顔してるぞ」

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!(。∀ ゚)」

「(ファミ◯キください・・・)」

「(こいつ直接脳内に・・・!)」

 

この職場、自由すぎる。

 





幕間を急遽入れてみました。どうでしょう?

ななななんと!バーが伸びました!評価してくれた方、本当にありがとうございます!!嬉しいので連投してみました!


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イベント終了と打ち上げ

最終回(仮)なので初投稿です。


「ふぅ〜、終わったね!順位はまた3位!ちゃんと目的達成出来たよ!いやったー!」

「凄ーく、疲れましたけどね」

「思ったよりずっと上の順位だったよ。でもこれで、次からイベントのマークがもっとキツくなるだろうけどね〜」

「次は次だよ!なんとかなるって!」

 

第四回イベントはその後、無事に終了しました。今はメイプルとサリー・・・もとい、楓と理沙とテレビ電話中です。

 

「ほんと、理沙にこのゲーム教えてもらえて良かったなぁ。私の人生、変わっちゃった!麻里にも出会えたしね!」

「・・・?麻里・・・?あ、ああ!私の事ですね!」

「自分の名前忘れてたの!?」

「いや、これまで名前を呼ばれる機会が殆ど無くて・・・でも、そう言われるのは少し、照れちゃいますね」

 

いや、イベント中の楓の様子を見るに・・・いや、考えるのはよしましょう。深淵を覗く時は深淵もまた此方を覗いているってお父さんが言ってました。

 

「そうそう、勉強もちゃんとやってよ?楓がゲーム禁止になったら、ギルドマスターが居なくなっちゃうんだから」

「そうだ!明日英語で当てられるんだっけ!予習しとかないと!」

「英語はそこそこ得意なので教えましょうか?」

「ほんと!?」

 

こう見えて、私は暗記科目は得意です。英語は文法と単語が分かればまだなんとかなります。・・・国語は苦手なんですけどね。なんで登場人物の心情を考える必要があるんですか・・・うう。

 

 

それから、楓と一緒に英語を勉強した次の日。私達は三位入賞のお祝いに、打ち上げパーティーをしようとギルドホームに集まっていました。けど、メイプルが中々やって来ません。どうしたのでしょう?

 

「私も何か買ってくるって飛び出したっきり・・・私も付いていった方が良かったか・・・」

「そうね・・・一人にするとフラフラとどこかへ行くもの」

「転んでないと良いんですけど・・・」

「おかんか!」

 

そんな言い合いをしてると、メイプルがホーム内に入ってきました。背後には・・・んん?

 

「うん、おかえりメイプル。で、後ろの皆は?」

「なんでこの連中もここに?」

 

サリーとクロムさんの目線の先には【集う聖剣】の5人と【炎帝ノ国】の5人です。何故いるんでしょう?特にティアラさんとドレッドさん・・・

 

「そんなのこっちが聞きてぇよ」

「いつものメンツで狩りに行こうと思ってたら、街でいきなりメイプルちゃんに声をかけられて連れて来られたの」

「突然で本当に驚いたよ・・・まあ、そういうのは嫌いじゃない」

「折角のご招待だ。断るのも失礼じゃないか?」

 

「私達も同じです。『楓の木』がどんなところか興味もありましたし・・・」

「他所のギルドって来た事ないから、ちょっと緊張するけど・・・」

「戦いが終わればノーサイドだ。既にフレンド登録もしてしまったしな」

「だな」

「宴に誘われては、此方も参加せねば無作法と言うもの・・・」

 

なんとなく、マルクスさんとは気が合いそうです。コミュ障仲間として。おや、勝手にそんな仲間に認定されても迷惑でしょうけど

 

「まあ、マスターがそう言ってるんだから私達も異存無しかな」

「それじゃあ改めて、みんなお疲れ様って事で!かんぱーい!!」

 

「「「かんぱーい!!」」」

 

「ガオ〜!それでは第四回イベントの名場面集を紹介するよ!vol.1は、激闘!楓の木編、ドラ!」

 

あ、ドラぞうだ。相変わらず魔法少女みたいな声してるなぁ。そして、第四回イベントのハイライトをギルドに備え付けられたモニターで視聴します。大体はここに居るメンバーが写っていますね。私やメイプル、ミィさんにペインさんが多いかな。

 

「ああこれ・・・あの夜の私の失態がー!」

「ひゃっ!?」

 

フレデリカさん率いる『集う聖剣』のメンバーがサリーを取り囲む映像が流れたと思ったら、急に首のない謎の人物がアップで映る。あ、私だ。

 

「客観的に見ると気持ち悪いね・・・」

「・・・」

「あれあれ〜?サリーちゃん、もしかしてホラー苦手?」

「後で勝負しましょう。叩き潰してやる・・・!」

「なんで!?」

 

そして、ミィさんVSメイプルと私VSニュクスさんのシーン。

 

「さて、君はもうMPもないだろう?この後ゆっくりと倒すとしよう」

「・・・どうした、そんなに怖いのか?」

「・・・なに?」

「そんなにメイプルに対して大袈裟に・・・もしかして、こわいんですか?」

「ぐっ・・・」

「ほら、私はここに居ますよ?それも死にかけです。それとも、メイプルの事がそこまで気になりますか?」

「こ、この・・・」

「ああ、それとも、ギルドマスターの命令がないとこんな私も倒せないんですか?あ、それとも私の事が怖いんですか〜?いや〜、ミィさんも大変ですね〜。こんな怖がりさんがいると」

「だ、誰が貴様なんか!貴様なんか怖くねぇ!」

 

・・・

 

「なんか、すいません・・・ちょっと埋まってきます・・・」

「ミルフィー!?」

「いや、別に構わないというか・・・引っかかった私が悪いんだ。気にするな」

「うう・・・貴方、いい人です。口調はなんかお父さんみたいで無駄に仰々しいけど・・・」

「待ってその話詳しく」

 

「メイプル、VITいくつだっけ?」

「えっと・・・そろそろ五桁かな?」

「流石にそれでは・・・」

「「「はぁ・・・」」」

 

そして、楓の木VS集う聖剣戦。

 

「これもやられたなぁ」

「次は勝つさ。今回でメイプルとミルフィーのスキルも確認出来たし」

「でもメイプルとミルフィーの事だから、次までにきっとまた変な進化しちゃいますよ?」

「えへへ・・・」

 

メイプル、それ多分褒められてません。

 

「ほんの少し目を離しただけで、毛玉になったり化け物になったりするからな」

「・・・私は普通にプレイしてるだけなんだけどなぁ」

「「「「何処が!」」」」

「へ!?」

「そりゃそうだよ・・・全く」

「いや、ミルフィーも同じ枠だからな?」

「いや、私は普通の生産職・・・」

「「「嘘つけ!」」」

 

くっ・・・否定できない。せめて、パーティーの料理でも頑張らないと!

私は追加の料理を作る為、一旦席を外しました。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「しかし、ミルフィーのあの巨大な何かになるスキルは一体なんなんだろうな?」

「取得条件は秘密だそうですよ?」

「まあ、そうだろうな。当たり前だろう」

「しかし、あの大きさだと・・・ん?」

 

あれ、この映像は・・・・・・!

 

 

「・・・あ、今逃げようとした?」 

「え!?い、いや、そんな事・・・」 

「嘘。だってミルフィー、嘘つく時に癖があるもん」

「え!?」

「ふーん。まだそんな事考えてるんだー・・・」

「だ、だってもう限界・・・ん・・・」 

「・・・なんだか、ミルフィーが苦しんでる顔、ちょっと可愛らしいね」

「ええっ!!??」 

「うーん、ミルフィーって髪綺麗だよね・・・」

「え、えっと、ありがとうございます・・・?」 

「か、顔が・・・」 

「あ、照れてるー」 

「いや、えっと、その」 

「ふふーん・・・えいっ」

「きゃっ!?」 

「ミルフィーの胸、なんでこんなに大きいんだろう・・・」 

「ちょ、さ、触らないでぇ・・・あん///」 

「このっ、このっ、えいっ!」 

「んん!?///」 

「えへへ・・・なんだか、今、すっごく楽しいなあ」

 

 

「あ、あの・・・メイプル?」

「ん?なぁに?」

「えっと・・・顔が、近いかなって・・・」

「別に良いでしょ?それとも、嫌・・・?」

「い、嫌じゃないけど」

「なら問題ないよね!」

「う、うん・・・」

「ねぇ・・・」

「な、なに?」

「ミルフィーは私の事、どう思ってる?」

「!?・・・そ、それは、どういう意味・・・?」

「ふふふ、どういう意味だと思ってる?」

「え、いや、その・・・」

「私はミルフィーの事大好き!」

「くぁwせdrftgyふじこlp!?そ、そんな、いきなり・・・///」

「ねぇ、ミルフィーは・・・?」

「そ、そんなの言えませーん!?」

「あ、もう!待ってよー!」

 

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

・・・き、気まずい。気まずすぎるよメイプル!!

 

「お待たせー!さあ、いっぱい食べていいですよー!・・・あれ、なんで皆さんそんな黙っ・・・て・・・」

 

大きな苺のケーキを乗せたトレイを持ったミルフィーの顔がものすごい勢いで赤くなっていく。持ってる苺より赤いんじゃないかな、これ・・・

 

「・・・わわわ、忘れてくださーい!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

その後、ミルフィーが大暴れしてパーティーはお開きになりましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ・・・こうして見るとなんだか恥ずかしいなぁ」

「ほう。貴方もそういう趣味だったのか・・・私と気が合いそうだ」

「ん?何か言ったか、ニュクス?」

「いや、なんでもないぜ、ミィ」

「・・・?変なの」

 




むーん!これにて本作品は一旦完結です!
こんな小説を最後まで見てくださった方、誠にありがとうございます!!
これからはアニメ二期が来るまでは番外編とかを投稿していくつもりですので、良ければそちらも読んでくださると幸いですっ!二期が始まったらまた本編の投稿を再開すると思いますっ!ではっ!

8/31 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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番外編
登場人物紹介


そういえばやっていなかったので初投稿です。
遅れてごめんね。短くてごめんね。


 

 

荒川麻里/ミルフィー

本作の主人公。楓の木所属。メイプルと合わせてダブル主人公みたいなイメージ。女の子。

身長152cm、髪の色はゲーム内だと緑でかなり長め。現実では途中まで上げてなかったが、前髪を上げてからはさらに男子に人気が出た。胸は実はミィ以上カスミ未満で、結構大きい。彼女のぼっちの理由の一つが胸にどぎまぎして男子が話しかけられない事なのだが、本人はカケラも気付いていない。

人と話すのが苦手でそれを克服しようとNWOを始める。最初は生産職志望だったが、何をとち狂ったのかダーマや累きゅんみたいに戦う武人に……どうしてこうなった。一応、裁縫スキルなんかの生産職らしいスキルもあるにはある。長期戦闘時には普段のおろおろした雰囲気が吹き飛び凍りついたような表情で無慈悲に敵を蹂躙する。本人にあまり自覚はないが実はサリーには及ばないもののかなりの集中力を持っている。なお、無表情の時は集中しているため、記憶はうっすらとしか残ってない。

甘いものが好きで休日にはよく近所の駄菓子屋やスイーツ店に行っていたが、NWOを始めてからはゲーム内で食べる頻度が多くなっている。もしかしたら行きつけのお店でジェラートが働いていたりするのかもしれない。

百合趣味というわけでは無いがメイプルの事は好きらしい。

 

「そ、そういう意味じゃ無いですからぁ!!」

 

 

 

ジェラート

槍使いの男性。楓の木所属。大学生くらいの年齢に見える。

高身長でかなりイケメン……なのだが、基本女の子よりも戦闘か甘いものにしか興味がない。氷菓子が1番好きらしい。名前にもなってるし。

戦闘時には人が変わる。阿修羅すら裸足で逃げ出しそうな表情で氷を操る槍で敵を殲滅する。現実でも槍を使う武道を習っているらしく、スキルなしでもかなり強い。本編では語られなかったが、基本彼のスキルはタイマン特化で1人しか対象にできないものが多い。そのため、1VS1には強く、サリー以外にはほとんど負けない。多分タイマンで彼に勝てるのはペインとメイプル、ミルフィーくらい。ドレッドや相性の悪いミィにすら勝利できる。

本編では出番がなかった分番外編では活躍させてあげたい。

 

「甘いものが好き?違うな。私は甘いものを崇拝している」

 

 

 

ティアラ

弓使いの女性。集う聖剣所属。高校生くらいに見えるが、ちゃんと成人しているらしい。

身長156cm。髪は茶色かつ短めで余計幼く見える。彼女にとって幼く見えるのは大変不本意らしく、指摘されると烈火の如く怒る。逆に大人扱いされると態度がやや軟化し、その時は見た目相応な風に見える。

戦闘スタイルは狙撃。遠くからこっそり一撃を見舞う……のだが、近接戦も十分こなせるらしく、むしろそちらの方がイキイキしてるんだとか。第二回イベントでミルフィーを逃して以来、ドレッドと共に彼女の事を狙っている(獲物的な意味で)。恋愛には全く興味がないらしい。その割には彼女の部屋には少女漫画がチラホラ転がっているが。

実家は猟師らしい。弓を武器として選んだのはその為だろうか。

 

「バカにするな!私はもう成人している!なに?そうは見えないだと!?ぐぬぬ……!」

 

 

 

ニュクス

剣使いの女の子。炎帝の国所属。厨二病だがミィの良き(?)友人。

身長はミィと同じ154cm。ただし胸は無い。

中学生の頃、医師から子宮癌と診断され、まともに子供が産めないだろうと宣告される。当時、素敵な男性と結ばれ、素敵な家庭を築きたいと願っていた彼女はかなり落ち込んでしまった……その後、アニメやゲームにのめり込み、今現在のような性格になってしまった。本人にとってはもはやそんな過去の事なんぞ気にしていないかのようにしているが、未だに少しだけ未練が残っているらしい。それを決して表面に出さず、明るく(?)振る舞うのは空元気だろうか?なお、現実だと普通の元気な女の子として振る舞っている。ごく稀に昔の性格が出ることがある。

ミィとはNWOで出会った。ミィの演技(彼女からしたらバレバレ)にいつもニヤニヤしている。本人に演技だとバレてからは何故かミィへのスキンシップが多くなった。

 

「……少しだけ、昔を思い出す。あの頃の私には夢にも思わなかっただろうな。まさか、同性を好きになるなんて……な。くくくっ、人は変わるものだ」

 

 

 

 




割と雑なのでいつか加筆修正するかも。


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ミルフィーの誕生日会 前編

気持ちも新たに初投稿です


第4回イベントが終了して数日後。現在『楓の木』の拠点には、ミルフィーを除く9人のメンバーがメイプルの呼び出しで集まっていた。ギルドホーム内は第4回イベント前くらいの緊張感が漂っている。

 

「・・・で、メイプルちゃん?なんでみんなを集めたの?ミルフィーちゃんだけ居ないけど・・・」

「えへへ、それはね・・・」

 

メイプルが一旦間をおいてから発表する。

 

 

 

 

 

「明日、ミルフィーの誕生日だからです!」

 

 

 

 

 

ギルドメンバーの反応は好意的なものだ。

 

「ほぉ〜、そいつはめでたいな」

「プレゼントでも用意するのか?」

 

クロムがメイプルに尋ねる。

 

「うん!大体そんな感じ!それでね、ミルフィーには秘密にしてこっそり準備してサプライズみたいにしたいんだ!」

「へー、なんで?」

「えっとね、前にミルフィーが言ってたんだけどね———」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ふわぁ・・・」

「おはよう、めい・・・じゃないや、楓〜」

 

「なんだか眠そうだね」

「うん・・・昨日は遅くまでNWOにログインしてたから・・・」

 

「へ〜そうなんだ〜。ちなみに何していたの?」

「えっとね、最近また新しいケーキが発売されてたから、食べたいなぁと思って。でも、1人じゃ食べきれなさそうなほど多くって……現実だときっと太っちゃうなぁ。ゲーム内だから太らないけど」

 

「ちなみに、どんなケーキだったの?」

「えっと・・・私は見た事ないけど、多分バースデーケーキってやつかな?」

 

「え・・・(見た事ないの?)」

「うちは誕生日にはケーキじゃなくて普通に外食に行ったりするからね。美味しいから良いんだけど」

 

「・・・(話題変えよう)でも、麻里は現実でも一杯甘いもの食べてるよね?」

「現実で食べるのもまた美味しいからね!まあ、以前よりは食べる頻度は減ったけどね」

 

「その割には元から痩せてない?」

「そんな事ないよ、特に胸元とか・・・あれ、こんな流れ前にもあったような・・・」

 

「むぅ・・・えいっ!」

「ひゃわ!?ちょ・・・やめっ、急に触らないで!?」

 

「ねぇ・・・今この教室、誰も居ないよ?」

「う、うん。そ、それで?」

 

「誰も見ていないんだよ?」

「えっ、それ、どういう・・・」

 

 

 

「おーい、楓ー!麻里ー!もう来てるんでしょー!」

 

 

 

「あ、理沙だ。・・・もう少し遅かったら良かったのに・・・」

「ふぁ・・・恥ずかしい///」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「という事があってね!」

「妙にミルフィーの顔が赤いなぁと思ってたけど原因はそれか!」

「・・・俺はどう反応すればいいんだ・・・?」

「聞き流しなさい、クロム」

「あんまり気にすると酷い目に遭うぞ、勘だが」

 

1人クロムは話を聞いて動揺していたが、他の男性陣、ジェラートとカナデは特に無反応である。ジェラートにとって優先順位は異性<超えられない壁<甘いものだからだ。カナデは元々女性陣に違和感なく混ざり込んでいる。

 

「ごほん!それで、ミルフィーの為に誕生日会的なのを開きたいって事?」

「うん!多分、今までミルフィーは友達と誕生日を祝ったりした事ないと思うんだ!だから、ここは敢えて本人には秘密にしてビックリさせてあげようって思って!」

「なるほどね。みんなもそれでいい?」

 

サリーの問いかけにギルドメンバーの全員が賛成した。

 

「勿論だ。同じギルドだし、なによりミルフィーは同志でもある。料理に必要な食材は私が出そうじゃないか」

 

そう提案したのはジェラートだ。この男、実は自分で甘いものを食べたいからという理由で【料理】スキルを持っている。食材も大量に集めているが、全て甘い味のものばかりだ。甘党の執念とは恐ろしいものである。

 

「そ、そうなんだ。じゃあ、食材は任せてもいいかな?」

「任してくれ。そうだ、最近新しく発見された食材がという噂を聞いた。かなり美味いらしいから、今日中に入手したいから誰か採ってきてもらえないだろうか?」

 

ジェラートがそう提案し、話し合いの結果食材集めはサリー、カスミ、クロムが。そして、料理がイズと本日の【神界書庫(アカシックレコード)】で【料理】スキルを引き当てたカナデとジェラートが。ミルフィーを引きつけるのはメイプル、ユイ、マイが担当する事になった。

 

「じゃ、行ってくるねメイプル!」

「うん!お願い、サリー!」

 

サリー達が出発しようとした時・・・

 

「・・・ん?」

「む、どうしたのだサリー?」

「今・・・物音がしたような?」

「気の所為じゃないか?早く行こうぜ、その食材とやらが簡単に手に入るものでもないだろうしな」

「うーん・・・そうかなあ?」

 

サリーは不思議そうにしていたがクロムに促され、目的の食材があると言うフィールドに向かって行った。

 

「あ、ミルフィーにメールしよっと!えっと、『今何処に居る?』っと!」

 

メイプルがミルフィーに向けてメールを送信する。するとすぐに返信が来た。

 

「わ、もう来た!えっと、『3層で1番人気のダンジョン』?何処になるのかな?」

「えっと、たしか・・・」

 

メイプルの疑問にマイが答える。楓の木のギルドホームからはかなり遠い場所だ。

 

「よし!行こーう!」

「「おー!!」」

 

「行ってらっしゃ〜い」

「気をつけてね〜」

「頑張れー」

 

メイプル達が出発した後、拠点に残った3人はどんな料理を作るか話し合い始めた——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ギルドホームの中に1人、こそこそしながらその様子を伺っていた人物が居た。

 

「・・・どうしよう・・・」

 

それは話題の中心に居る人物。

 

「私の事を祝ってくれるのは、素直に嬉しいけど・・・うう・・・!」

 

ミルフィーであった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

どうしよう・・・みんなが祝ってくれるのはとても嬉しいけど・・・私は、当日どうすれば良いんだろう?しかも、ジェラートさんが言っていた食材って多分一昨日に私が見つけて掲示板に書いた奴のはず・・・

 

「・・・取り敢えず、ギルドホームから脱出しよう」

 

幸い、イズさん達は今は広間にいるから気付かれずに脱出するのは簡単だ。中では何やら会話をしているらしい。

 

「でも、ちょっと意外ね。まさか、ジェラートが【料理】スキルを持ってるなんてね」

「ああ。現実でもバイトで料理をするんだ」

「へ〜!ちなみに作る料理って?」

「甘いものだな」

「あはは・・・甘いものって言うとケーキとか?」

「大体は合っている。他にもパフェやクレープなんかも作っている。逆に普通のものは作ったことがないな」

 

ジェラートさん、バイトしてたんだ・・・知らなかったや。たまに一緒にお店でケーキを食べたりするけど、自分で作れるんだ・・・まあ、私もそうなんですけどね。店売りのも自作のもどちらも私は美味しいと思う。

 

「私は店売りのも自作のもどちらも美味いと思っている」

 

あ、同じ事考えてた。流石私と同じ甘党。

 

「で、どんなのを作る?取り敢えず、バースデーケーキは確定として」

「そうだな・・・甘いものは外せないとして、チキンとかどうだろうか?」

「それってクリスマスみたいだね」

 

やばっ、これ以上誕生日会のネタバレは聞きたくない。私は音を立てないようにそっと出口に向かう。

 

こういう時、頼れる人が居れば・・・誰か、相談に乗ってくれそうな人は・・・そもそも、ギルドメンバー以外の知り合いって言ったら『集う聖剣』の人達か『炎帝の国』くらいだし・・・ミィさん、相談に乗ってくれるかなぁ・・・ああ、甘いもの食べたい・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「・・・あっ」

 

・・・適当に歩いていたら思わずいつも通ってるお店に来ちゃったよ。ま、ここなら今日はギルドメンバーのみんなは来ないだろうし、ここで甘いものを食べながら対策を考えるのも悪く無いかも!

 

からんからん

 

「いらっしゃいませー!」

 

もうここに来るのは何回目だろうか?数えてないから分かんないや。ウェイトレスさんの接客も慣れてきちゃった。

 

「——で、美味しい?」

「ああ、まるで零れ落ちた月の涙(ティアドロップ)が様々な色の花を咲かせるが如く・・・」

「・・・分かるように言って欲しい」

 

・・・この人達、まさか?

 

「あの・・・」

「む?なんだ、折角秘密のデート中なのに」

「で、デー・・・!?いや、たしかに2人っきりでしかもお忍びだけど・・・!」

 

・・・なんだか、この赤毛に眼鏡を掛けてる方の人、親近感が湧きます。何故でしょう?いや、多少変装しているみたいですけど、この人って、

 

「ミィさん、ですよね?」

「・・・み、ミルフィー!?」

「ほう、【首狩り姫(マーダープリンセス)】改め【首無し姫(ヘッドレスプリンセス)】のミルフィーではないか」

「変な風に呼ばないでくださいっ!」

「?何処か変なところがあったか?」

 

ぐぬぬ・・・

 

「それで、どうした?そんなしけた顔をして。何か悩みでもあるのか?」

「え?そ、そうなの?」

 

・・・あれ、ミィさんってこんな感じの人だっけ?

 

「・・・ミィ?」

「あ、いや、ごほん!それで、悩みがあるのだろう?言ってみるがいい」

「もう手遅れだと思うぞ」

「・・・そ、そんな・・・」

 

あ、ミィさんが机に蹲ってしまった。・・・私、どうすれば?

 

「あ〜・・・気にするな、うちのギルマスは大体いつもこんな感じだ。あまり、他人に言わないようにな?さもなくば闇の裁きが貴様を襲うだろう」

「は、はぁ・・・」

 

後半は全く意味がわからなかったけど・・・ま、いっか。

 

「たしかに、多少ミィさんに違和感は覚えていたけど・・・」

「えっ、嘘ぉ!?」

 

ガバッとミィさんが起き上がり、顔を物凄い勢いで私の方に向ける。ちょっと怖い。

 

「いつ!一体いつから!?」

「えっとたしか、第二回イベントが始まる前の演説だったかな?」

「えぇぇ・・・そんな前からぁ?」

 

あ、また項垂れた。

 

「・・・ふっ、やれやれだぜ。元気だしなよ、ミィ。よしよし・・・」

「うう・・・」

 

ニュクスさんが顔を埋めたミィさんの背中をさすっている。なんだか私とメイプルみたいな・・・というか、私すごーく居づらいんですけど。

 

「おっと、忘れるところだった。取り敢えず早く席に着いたらどうだ?・・・で、何に悩んでいるのだ?」

「あっはい。えっと——」

 

私は2人と同じテーブルに座ってから2人に今の私が置かれた状況を説明した。

 

「・・・むむ、中々難題だな」

「た、大変だね・・・」

「はい・・・当日、私は一体どうすればいいのか・・・」

「大人しく白状したらどうだ?」

「そ、そんな事したら折角張り切って計画したメイプルが可哀想ですっ!」

 

そんな事、絶対に出来ない。だって、メイプルは・・・メイプルは?あれ?私にとってメイプルは・・・大事な友達。だよね?妙に距離は近いけど・・・

 

「おーい、きーこーえーてーるー?」

「・・・あ、はい」

「ふむ、そうだな・・・後は、知らないふりをするくらいしか方法は無いのではないか?」

「私にはそんな演技だなんてできません・・・できたとしても、みんなを騙し続けるだなんて私にはとても・・・」

「・・・・・・」

「あ、ごめんなさい!ミィさんの事を否定するわけでは・・・!」

「・・・いや、いい。分かってる」

 

うう・・・怒らせてしまったでしょうか?

 

「私から言えるのは一つだ。・・・演技を続けるのは、結構きついぞ」

 

実感の籠った言葉ですね・・・

 

「・・・相談に乗ってくれて、ありがとうございます」

「あんまり助けにはなれなかったと思うけど・・・」

「いえ、お話を聞いてくださっただけでもありがたいです」

 

おかげで、少しだけ楽になれた気がします。

 

「それにしても、大きい・・・」

「ふぇ?えと、その、あまり見られると・・・」

「あ!ご、ごめんなさい」

「い、いや、構いませんが・・・私、そろそろ行きますね」

 

まだ何も注文してないけど・・・取り敢えず、他にも話を聞いてもらえる人を探しましょう。

 

「それでは」

「またね〜」

 

そう言って、私はお店を後にした。

 

 

 

 

 

 

「・・・ミィ、もしかして大きい方が好きなのかなぁ?」

 

 

 

・・・?今の声、誰だろう・・・?まあ、いいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




思ったより長くなったので分割しますた。

9/30 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


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