機動戦士ガンダムSS -アフターストーリー オブ センチネルー (豊福茂樹)
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スタート・ユウ・アップ

 暑中お見舞い申し上げます(初アプ時7月)。
 『ハーメルン』読者の皆様初めまして。『小説家になろう』からお付き合いの方はお久しぶりです。
 お目にかかれて感謝感激の東の外記・しげき丸です。
 新ログホラなどをボチボチと書いておりましたが、この度どうしても書きたかったガンダム小説をアプしました。
 題名からも分かるように、本作はガンダムセンチネルのアフターストーリーとなっております。
 センチネルを読んでから、ルーツのその後を書くのは小説書きを志すきっかけとなった夢であり、同人サイトとは言え今回やっと形になり、その夢を叶える事が出来ました。
 センチネルを御存知の方にも、そうでない方にも、一人でも多くの方に面白いと思って読んで貰えればと、シリアスな所はシリアスに、ユーモラスな所はユーモラスに、お楽しみ頂けるよう頑張って書きましたので、どうか宜しく御一読をお願い致します。
 それでは、本編をどうぞお召し上がりください。
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 機動戦士ガンダムSS -アフターストーリー オブ センチネル―

 

 ―第1部地上編―

 

 第一話:――スタート・ユウ・アップ――

 

 -1-

 

「そらそらどうしたぁ!」

 的確なビームがモビルスーツの機能を削り取って行く。

「ちっ、畜生畜生!」

「くそっ、くそっ、どうして当たんないんだよぉ!」

「何てデタラメな動き?」

「嬲りやがって!」

 反撃のマシンガンやビームスプレーガンは虚しく瓦礫に色を付けるばかり。

 全長18メートル超の合金の巨人、MSが地響きを立て闘い合う。

 だが、ジムⅢの三機一個小隊が、たった一機のZプラスに敵わない。

 プラスは戦闘が始まってからずっとモビルスーツ形態のまま。

 重力下では圧倒的有利な飛行形態を封じていても、まるで相手にならないのだ。

 しかも、武装的には長く取り回しの悪いスマートガンに不利で、短く取り回しのいいマシンガンやスプレーガンに有利な筈の、市街廃墟地の近距離戦でこの結果だ。

「いいわめきだ、ガキども! そいつが手前の本当の気持ちだ! 精々ベッドの中でも眠れず悔しがって、いつか俺の鼻を明かしてみせろ!」

「くそぉっ! てめえなんか死んじまえ! キャプテン(大尉)ルーツ!!」

「チクタク鰐に喰われちまえ!」

「アンタの手には、サディストの証のフックがお似合いだよ!(ピーターパンの仇敵、キャプテンフックの事)」

「オーライ、いい啖呵だ! 一丁前なら、テメエの気持ちで喧嘩しやがれ!」

 演習用のビームの微弱な熱を、コンピューターが機能停止のダメージと、非情な判断を下す。

 演習はジムⅢ小隊の三度にわたる全滅の敗北で終わった。

 一矢すら報いる事無く。

 

 宇宙世紀0090年。

 グリプス戦役、ニューディサイズの乱、ネオジオン抗争と、立て続けに起こった争いを、無事治め得たかに見える地球連邦。

 しかし、これらの戦争終結の代償は、実質的な実働部隊の消滅であった。

 こう言うと、矛盾に聴こえるかもしれないが、いまだに太陽系で最大の戦力を保有するのは各コロニー自治軍では無く、地球連邦である。

 しかし、有事に対応出来る遊撃戦力は皆無に等しく、最大でも中隊規模に過ぎない。

 その理由は、艦艇戦力の払拭である。

 一年戦争時に、国力に明かせて建造した大量の艦艇も、コロニーレーザー、デラーズ紛争の核兵器により半減。残りの艦艇の四分の一はティターンズ所属であり、それらは連邦の残り四分の一の艦艇と相打つ結果となったのは周知のとおりである。

 更に残り半数も、或いはニューディサイズの乱で敵味方に分かれ相打ち、また或いは少数精鋭主義のネオジオン軍に各個撃破され、残りの艦艇は各宙域警護防衛の為の、動けぬ艦艇ばかりとなった。

 故に、地球連邦軍は最大の軍事力を持ってはいても、有力政治家や官僚の公然の私兵部隊等の例外を除き、実質的に分散した各区域の固定警備戦力としてしか機能していない。

 後に第二次ネオジオンに対抗する事になる、ブライト・ノアのロンド・ベルが結成されるまでは。

 

 -2-

 

 北アメリカ大陸、テキサス第2ヒューストン基地。

 この第2ヒューストン基地は、北米のジオン戦力との激戦地の一つであり、旧アメリカ・カナダ地区奪還の為の重要な拠点ともなった。

 この基地では毎日の様に、ジャブローで生産されたジムが運び込まれ、これまたジャブローで訓練された新兵が乗り込み、北米各地に出陣して行ったものである。

 重要拠点の意味を失った今日でも、歴史的モニュメントとしての意義のある基地だ。

 何故第2かと言えば、隣には言わずと知れた、西暦時代最大の化学ロケット宇宙基地であった、これまた歴史的モニュメントである第1基地が有るからだ。

 連邦成立前はNASAと呼ばれていたと言う。

 しかし―――

 現在では第1は記念博物館であり、第2もありふれた、ただの地方基地である。

 

「よう、リョウ。今日もこってりルーキーどもを絞ったな」

 整備班長が囃す。

「まあな」

 リョウ・ルーツは今しがた整備台に着けた、Zプラスのコクピットでヘルメットを脱ぎながら応える。

「後はゲリラ(主にジオン、ネオジオン残党)のパイロットが、俺よりへたくそな事を祈るばかりさ」

「ちげえねえ」

 班長が笑いだす。

「お前さん、ますますマニングスの奴に似てきやがったぜ」

 彼は、ルーツの恩人の古い友人でもあった。

「人にしてもらって感謝した事を、また人にするのは当たり前の事だろう?」

「そこら辺を、ガキどもにも言ってやんなよ」

「ヤダね。そんなんするか、格好悪りー」

「おいおい、マニングスはもっと品が良かったぞ。そこは似てねーな」

「ほっとけ」

 親父の様になれない不肖の息子なのはわかってるさ。と、ルーツは心の中で呟く。

 それでも、彼にとって尊敬できる親と言える人は、彼しかいなかった。

 物心ついた時には離婚した挙句、身勝手に1年戦争で亡くなった父と、自分をほったらかしてコンピューターの研究ばかりで、これまた身勝手に研究中の事故で早死にした、母などでは無かった。

 

 基地内酒保。

「畜生! あのサディストめ!」

 ウェイ・バードマン准尉がウォッカのグラスをテーブルに叩きつけながら愚痴る。

「俺たちは奴みたいな、暇さえあればシミュレーターに乗ってるMSヲタクじゃない! いわゆる初心者いじめの廃ゲーマーってやつだ! 狂ってる!」

 トマス・オコーナー准尉もビールのジョッキを呷りながら同意する。

「そこまでやるからペズン・月面紛争(ニューディサイズ事変)のスーパーエース様なんだろううけど、今じゃ時代が違うって。相手が最新機に乗った教導隊のトップエースなんてありえない。せいぜいポンコツのザクやドムに乗ったゲリラだよ。時代錯誤もいいとこ!」

 ルーシー・ランファン准尉がカクテルを揺らしながら溜め息をつく。

 すると横槍が入る。

「お前らはザクやドムと戦った事が有るのか?」

「やつらはな、他にやる事がねえから、それこそ訓練ばかりしてるんだぜ。ルーツみたいにな」

「仲間の戦死を味わった事の無い、お子様の言いそうなこった」

 古参達はあからさまな嘲笑を浴びせた。

「なんだとぉ!」

 喧嘩が始まる。

 ルーツはその仲裁の為に、シミュレーターから引っ張り出される事となった。

 

 -2-

 

 ニューヨークの高層ビル。

「セヴ、ノイ、おいで」

 その白衣の老人の呼びかけに現れたのは、十五歳の少女と十二歳の少年。

「おお」

「では、彼女たちが」

 大人たちは彼等を笑顔で迎え入れ、代わる代わる抱擁する。

 だが子供たちの顔に特に抑揚は無い。

 感情の無い機械のように。

 しかし大人たちは別段それを忌避するどころか、涙さえ流してより温かく接した。

「大丈夫だ。大丈夫だよ」

「おじさんたちも、君達と一緒だ。連邦の役に立つため、育てられてきたのに、捨てられたんだ」

「ここには君達の居場所が有る」

「共に戦おう」

 だが、一歩離れた所で冷ややかに見る者達もいた。

「はっ。アタシらは別に連邦に捨てられたわけじゃない。ハナから敵さ」

「まま姉御。腐った連邦に異を唱えるって意味じゃあ仲間じゃないですか。グリプスの時がそうだったでしょ」

「まあね。金と物資さえ頂けるんなら文句は無いよ」

「それにしても、出資者は誰なんでしょうね?」

「そこら辺、下手に突っ込むと長生きしないよ」

「承知しやした」

「ま、でも、ばれないようにこっそり調べる分には有りさ」

 女の答えに髭面から笑みがこぼれる。

「無論、承知しやした」

 

 -3-

 

 北アメリカ大陸ネバダ基地。

 そこに並んでいたのは、ジオン共和国を除く、宇宙経済のトップが送り込んだ面子だった。

 ビスト財団代表代理、ギース・カーバイン。

 ブッホコンツェルン代表代理、ロマーニュ・シャル。

 スカールグループ代表代理、ウラノス・アシャー。

「お久しぶりですな」

「息災で何より」

「まったくです」

「地球の重力など、杖突く老骨には堪えますがな」

 一同に苦笑が漏れる。

「しかし意外ですな。貴殿の所はアナハイムにべったりだと思っていましたが」

「今更、新規ルートでモビルスーツ技術の開発など必要無いでしょう?」

「そちらは姪っ子たちに任せておりましてな。こちらは死にかけの年寄りの道楽です」

「にしては、個人で動かせる額ではありませんが?」

「他にも物好きな年寄り共がいましてな。むしろ私など抑え役です」

「御大ですか?それとも現御当主?」

 カーバインはそれには笑って答えない。

「それにしても、連邦は良くこの申し出を受けましたな」

「MSの開発資金など、今の彼等にとっては出し渋りたいものでしょう」

「他人が出してくれるなら、願ったりかなったりと言った所ですかな」

「開発を積極に行っていたティターンズの乱が有って以降、世論は軍縮一本槍ですからね」

「『軍部の肥大化を許すな! まず対話による解決を!』、ですな。お蔭で軍事予算は毎年削減」

「あちこちのコロニーで緊張が高まる度に、連邦高官の外交努力で解決」

「軍部の出る幕は無し。めでたしめでたし」

「はて、誰の仕込みでしょうなあ?」

「人聞きの悪い。強気に出て緊張を高めるのも外交手段の内ですよ?」

 老練狡猾な狐狸たちが笑う。

「宇宙経済と地球経済のパワーバランスも逆転しつつある」

「後はもう一押しあれば、コロニーの時代が来る」

「そう、一押しが」

 

 -4-

 

 ペガサス級強襲揚陸艦アルビオン。

 アーガマ級ペガサスⅢの艦長を退き、准将になったヒースロウに与えられたのは、宇宙艦隊を率いる提督職では無く、MS実験開発部隊司令の肩書と、老艦アルビオンだった。

 アルビオンは実験開発部隊の為に建造された船である。軌道飛行航空母艇であるガルーダ級とともに、数少ない地球上での航空移動MS運用能力を持つ、貴重なホワイトベース級ミノフスキークラフト艦艇でもあった。

 だが、ヒースロウの心に昇進の喜びは無い。

 失態を犯した初代コーエンの代から規模は、司令階級が中将から准将に格下げになったのに比例して縮小され、やる事は正直アルファ任務部隊を運用していた、ペガサスⅢの艦長時代にやっていた事よりも劣る。

 それでも、ヒースロウの口元は緩んでいた。

 先程から眺めていたモニター画面の所為である。

 人物ファイル、リョウ・ルーツ大尉。

 ペズン、月面紛争のトップエース。

 特にトップオブトップエース、ブレイヴ・コッド駆る最強機体、ガンダムMk.Ⅴの撃墜は特筆すべき戦果。

 しかし、少なくない戦友と恩師ストール・マニングスの死の影響もあってか、重度の戦闘疲弊性に陥り、半年間ほどは演習、シミュレーター評価共に低いものとなる。

(マニングスの葬式で、一番泣いてたのは奴だったな)

 ルーツが何度も小さな声で、親父、親父と漏らしていたのを、ヒースロウは聞いていた。

 だが、ヒースロウだけは知っている。

 戦闘疲弊性などでは無く、それが当時の彼本来の実力だったのだ。

 彼の驚異的な戦果は、ガンダムに搭載されていた高性能学習型コンピューター、ALICEあっての物だと。

 むしろ、今の彼の非常に高い演習やシミュレーターの評価にまで辿り着いたのは、彼自身の不断の努力と、何より、亡きマニングスの薫陶の賜物だろう。

 きっと、マニングスの様な頼れる古強者になっているに違いない。

 ヒースロウは孫も同然(とは言ってもヒースロウはまだ三十代で孫を持つ年齢では無い)の部下の成長を思い、涙腺が緩むのを感じた。

 目頭に手を当てたが、気を引き締めねばと思い直し、軽く頭を振る。

 新型機の一年の試験評価期間を上首尾に終えれば、少将は内定しているとゴップ議長にも言われた。

 連邦軍立て直しの重責を担う身となるのだ。

 エリートと言うものを当然の権利と、軽く浅ましく思い上がっていた昔とは違う。

 権利には責任と義務が伴う。

 孫の成長に負けてはいられない。

 

「起きなさい、アルス」

『はい、マザー』

「よう、シェリーちゃん。今日もコンピュータのお相手? いつも飽きないね~」

 アルビオンのMSハンガーの一角で、シン・クリプト中尉が、戦闘支援コンピューターALSSの調整に余念のない、シェリー・ブラウン主任技師に軽薄にコナをかける。

 愛嬌と言えば聞こえはいいが、軽薄なお調子者とも言えるそのベビーフェイスは、2年の月日を経てもあまり変わっていない。

「仕事ですから」

 ブラウンの返事は冷淡だ。

 白銀の真っ直ぐな長い髪。神話のケルトの妖精の民を思わせるシャープで繊細な目鼻立ち。細めだがヨーロッパ系の様にごつごつと骨ばらず、モンゴロイドの様に甘さのある頬や顎の輪郭。血が混じってやや薄いとはいえ黒人の肌。

 幾つの血が混じったのか分からない奇跡的な美貌は、羨望でも揶揄でもダークエルフとあだ名される。

 だから、彼の様にちょっかいをかける者の対応にも、辟易しながらも慣れていた。

「そう言わないで、俺にも手伝わせてよ。子供の相手は得意なんだぜ」

「貴方みたいな程度の低い人の性格が伝染ると困ります」

「じゃあ、誰ならいいんだよ?」

「決まっています。この子のパートナーになる、リョウ・ルーツ大尉です」

 クリプトは目を見開き、その後激しく咳き込んだ。

 ブラウンの知る所では無かったが、クリプトは盛大に噴き出しかけ、余りの笑いに喉を痛めて呼吸困難になり、咳き込んだのだ。

「どうやら恥を御知りのようですね」

 ブラウンは誤解する。

「貴方も御存じのトップエースですもの」

(し、知ってるも何も)

 クリプトは呼吸困難で悶絶しそうになる。

「貴方のようなヤンキー(東部アメリカ人では無く、日本語での不良)とは違います」

(お、おれがヤンキーなら、あいつはヤンキーの上にチンピラのならずものの愚連隊だっての!)

「私はあの方のお母様に会った事が有ります。ルーツ博士は私の恩師です」

「え?」

 クリプトはあまりの意外さに冷静になり、逆に口がきけるようになった。

「ルーツ?博士?」

 

 ルーツ博士はALSSの前身となるコンピューターシステム(ルーツが過去乗っていたSガンダムに搭載されていた人工知能、ALICEの事である。ちなみにルーツはその事を知らない)を設計した人物だった。彼女がそのシステムを開発中だった時、当時学生だったブラウンは特別優秀かつ、同種の研究をしていた事もあり、ゼミの教授の伝手でルーツ博士に紹介されたのだ。

 ブラウンとルーツ博士は短い期間だったが、激しく議論を交わし、実りのある時間を過ごした。

「驚いたね。普段、ルーツ君は自分の研究に夢中で、あんなに人と話さないんだよ。君のセンスが抜群で、質問や理解が的を得ていたからに違いない」

 そう、ゼミのジェファーソン教授に褒められたのは、今でも誇りである。

 

「ですから、ルーツ大尉も、仕事に一途で誠実な方に違いありません。むしろ、なぜあなたが軽薄なままで、彼を見習わなかったのか理解に苦しみます」

「いやー、生憎俺は昔から人に流されない性質でね」

 こいつは実際に顔を合わせた時が見ものだと、クリプトは思う。

「今からでも見習って、さっさとデルタSの訓練に行ってください」

「はいはい」

 クリプトは与えられたばかりの新しい愛機のコクピットに向かった。

 ブラウンは厄介払いできた安堵の溜め息をつく。

「御免なさいね、騒がしくして」

『いいえ、僕の基本設計理論を残された、ルーツ博士とその御子息が、いかにマザーの尊敬する人かを知れて、嬉しかったです』

「そうね。ママも嬉しい。もうすぐ会えるわ。あなたの身体、ガンダムSSとともに、ネバダ基地で」

『楽しみです』

 

 -5-

 

 第2ヒューストン基地、基地司令室。

「ランファン准尉、オコ-ナー准尉、バードマン准尉」

 司令直々の辞令。

「「「はっ」」」

「以上三名は当基地での研修を終え、ネバダ基地に於いて新機体を受領し、実験開発部隊への転属を命じる」

「「「謹んで拝命致します!」」」

 綺麗な敬礼で応える。

 彼等は指令室を出て、MSハンガーまで来ると、手を叩き合い飛び上がって喜んだ。

「いやっほう!」

「これでおっかねえルーツの馬鹿面ともおさらばだ!」

「開発部隊よ! あたしたち腕利き扱いじゃない?」

「そうとも!」

「ルーツみたいな化けもんが特別なだけで、俺たちゃ充分強いんだよ!」

「最新型に乗る、エリートパイロットよ!」

 意気揚々とバッグを片手にジムⅢのコクピットに乗り込む。

「あばよ、糞溜め!」

「せいせいすらあ!」

「いざや自由な新天地!」

 三機のジムⅢは、整備員を踏み潰さん勢いで基地を出た。

「バカヤロー!」

「さっさとくたばれ!」

 整備員の怒りを無視してジムⅢは去って行く。

 それを見送りながら班長が傍らのルーツに呟く。

「いいのか? 言わせといて」

「俺も昔はあんなもんだったよ。事あるごとにマニングスの悪態ついてた」

 呑気に欠伸する。

「それに、どうせまたすぐ会うしな。奴らのジムⅢと違って、俺のプラスはネバダまでひとっ飛びだ」

「かー。同情するぜ」

 喜びが激しい分、反動はいかばかりか。

「―――懐かしいな。ネバダ」

 それはルーツがクリプト達と出会い、共に訓練し、アルファ任務部隊へと送り込まれた始まりの地であった。

 

 -6-

 

 ネバダ基地、司令室。

 ここでも開発部隊転属の辞令を受ける者がいた。

 元教官、ライル・バックス中尉。

 そして、新兵三名。

 シャーリィ・カーリー准尉。

 ロデム・ケンザキ准尉。

 ノートン・ウォード准尉。

「ライル及び新兵三名。実験開発部隊への転属命令、拝命致しました!」

「「「拝命致しました!」」」

「うむ」

 司令は満足げに頷く。

「教官職だったバックス君はもとより、君達も当基地訓練課程をトップでクリアした者達だ。期待しているよ」

「「「はっ」」」

「君達の隊長となるルーツ大尉もネバダ訓練施設の出身だ。きっとすぐうちとけられるだろう」

「彼の勇名は聞き及んでおります」

「我々も彼に続く所存であります」

「自信はあります~」

「「「努力も惜しみません」」」

「宜しい。頼もしい限りだ」

 司令は満点の解答に満面の笑みで髭を撫でる。

「それと、新兵器の開発には、優秀な人間だけでなく、それを上手く扱う事の出来ない平凡な人間も必要だ。なぜなら、兵器は平凡な人間にも扱えないと意味が無いからな。君達と同じ新兵のその三人は、何かと君らに比較されて可哀想な目に遭うだろう。是非、彼等にも優しくしてやってくれたまえ」

 バックスは無表情を貫いたが、若い三人からは失笑が漏れた。

 

 -7-

 

 ザック・ラドックは愛機ドムのコクピットで瞑想していた。

『大尉、大尉の言う通りです。ジムⅢが徒歩で三機やってきます』

 偵察型ザクに乗った部下から無線が入る。

「やはりな」

『まったく、索敵能力はこっちが上なんですよ。何で大尉はいつも先にわかっちまうんすか?』

「ただ視える。それだけだ」

 おそらく自分はニュータイプとやらなのだろう。

 それで今まで自分と部下を生き残らせて来れた。

 マ・クベが去る前、簡単な検査とやらを受けた。

 地上が地獄になった頃、キシリアからニュータイプ部隊とやらへの出向命令が来た。

 キシリアのスパイの手によって、自分独りなら民間人を装って宇宙に還る事は出来たらしい。

 だが、彼に部下を見捨てる選択肢など選べなかった。

 あれから長い時が過ぎた。

 部下のグフとザクがそろそろ限界だ。今はだましだまし動けるが、予備パーツが尽きている。

 最低でも二機、出来れば予備部品の為に三機のMSを捕獲しなければならない。

 ラドックは部下に包囲を敷くよう命じた。

 

 -8-

 

 ALARM ALARM ALARM

 ――ロックオン警告――

 

「うるさいよ!分かってるよっ!」

 ランファンが叫ぶ。

「きゃあっ!」

 足元至近で炸裂する、グフデザートタイプのジャイアントバズーカ弾。

「ランファンっ!」

 オコ-ナーが倒れたランファン機を助け起こしに向かうが、鼻先をドムのビームが掠める。

「ひぃっ!」

 近付く事も出来ない。

「当たれ、当たれ、当たれよぉ!」

 バードマンが無闇に打ちまくるが、動きの遅いはずのザクにすら当たらない。

 

『お前らはザクやドムと戦った事が有るのか?』

『やつらはな、他にやる事がねえから、それこそ訓練ばかりしてるんだぜ。ルーツみたいにな』

『仲間の戦死を味わった事の無い、お子様の言いそうなこった』

 

「くそおっ、くそ、くそくそぉっ!!!!!」

 あの時、もっとルーツのように訓練していれば。

 もっとうまくなるにはどうしたらいいか、ルーツに素直に聞きに行けば。

 悔しい。

 俺達はなんて莫迦だったんだ。

 ザクのマシンガンがバードマンのジムⅢのマシンガンを捉え、右腕ごと吹き飛ばした。

「畜生ぉ――――――っ!」

 

 -9-

 

 ペガサスⅢ。

『マザー』

「どうしたの? アルス」

『クリプトさんに頼んで。ニュータイプが戦闘している。きっと味方が襲われてるんだ』

 

 ネバダ基地。

「友軍部隊からの救援要請信号受信!」

「例のヒューストンの新兵と思われます」

「すぐ行ける機体は?」

「バックス中尉のZプラスと部下のワイヴァーン戦闘機が、自主飛行訓練中です」

「向かわせろ!」

「おそらく、間に合いません!!」

 

 -10-

 

 ジムⅢの膝が撃ち抜かれる。

「オコ-ナーっ!」

 ランファンが叫ぶも、次々に周囲に着弾し、自身も立ち上がる事すらできない。

『降伏しろ』

 ドムがビームバズーカを構え勧告する。

『機体を置いて行けば命だけは助けてやる。徒歩で基地まで行くんだな』

 ―――終わった―――

 三人の闘志は挫ける。

 

 その時。一線の光条。

 

 ドムがビームバズーカを虚空に放ちながら横に跳んだ。

 さっきまでラドックがいた所を高出力のビームが薙ぐ。

 ニュータイプで無ければ確実に殺られていた一撃。

 

 一方。

 ルーツもスマートガンを撃った瞬間にきりもみに入っていた。

 ニュータイプ能力では無く、ただの勘と、マニングスに言われ続けた、撃ったらすぐに回避機動と言う基本。

 それが無ければルーツもまた、ドムの反撃のビームに殺られていただろう。

 

「撤収だ!」

 ラドックが叫ぶ。

『そんな。数はまだこっちが有利ですよ! 実質3対2、いや、まだ地上の残りは腰を抜かしてやがるから、3対1でしょう?』

『大尉ならあいつだって殺れます!』

「俺でも相打ちかもしれん。それぐらいヤバイ奴だ。何より俺は躱せても、お前等では躱せん。殺られる。俺は、もうお前等を一人も死なせるわけには行かん」

『『了解………』』

 

「助かったのか?」

 バードマンは信じられないと呟いた。

 ランファン機が立ち上がり、膝の砕けたオコーナー機に肩を貸し助け起こす。

 眼前に、見慣れたルーツのプラスが変形し着地する。

 コクピットが開き、ヘルメットを脱いだルーツが優しい笑みで降りて来る。

「大尉……」

「アンタって人は」

「ごめんなさいごめんなさい」

 三人もコクピットから降りてルーツの下に集まる。

 すると、

 三人の頭に拳骨が落ちた。

「このっバーカ! 悔しくねーのか、あんな無様な真似してよぉ。悔しくねえなら今すぐ辞めて、サラリーマンでも農夫でも嫁さんにでもなっちまえ! 頼むからなれ! 清々すらあ!!」

「何だとぉ!」

「せっかく感謝してやったのに!」

「アタシの感動を返せ!このサディスト!」

「そうか、悔しいか」

 今度は頭を軽く一撫でづつ。

「ならしょうがねえ。またしごいてやるよ」

「残念でした!」

「もうアンタとは縁切れました!」

「もっと優しく教えてくれる、まともな上司の下で働くよーだ!」

「ふーん」

 気付けば上空には見た事の無い金色のウェーブライダー。

 更に別のZプラス一機とワイヴァーン戦闘機が三機。

 ウェーブライダー、金色とプラスは変形して着地する。

「やっほう! ルーツ!」

 金色、デルタSのパイロットは、コクピットから降りるなり、走ってルーツにタックルする。

「てめえ! クリプト! お前は犬っころか何かか? 痛えぞ!」

 ルーツはクリプトの腹を殴り返す。

「てて、スキンシップスキンシップ」

「そーゆーのは女とやれ、もてそーな顔してやがんだからよ! おまけに何だ?俺より強そーなの転がしやがって!」

「いーだろ。俺にお似合いのゴールドだぜ、ゴールド!」

 遅れてプラスのパイロット、バックスも挨拶する。

「初めましてルーツ大尉、クリプト中尉。歴戦の方々にお目にかかれて光栄です。バックス中尉です」

「おう。よろしく」

「よろしくー!」

 ルーツは鷹揚に、クリプトは軽薄な敬礼を返す。

「この方々は?」

「おうおう、そうだ。紹介しとく。てめーら、こいつらがお前らの言う、これからの優しいまともな上司だ」

「「「は、はあ」」」

「そして、俺様が、これからこいつらのそのまた上司になる。まともで無くてサディストで悪かったな」

「「「はあ!?」」」

「もっと、たあっぷり、しごいてやるから安心しろ」

「「「嘘だ――――――――っ!!!!?!!!?」」」

 

 -11-

 

 ブラウンの心臓は高鳴っていた。

 部下の危機に颯爽と駆けつけた白馬の騎士。

 まさしく心に思い描いていた通りの人物。

 アルビオンのデッキに着艦したプラスから降りてきた、その人に一番に駆け寄る。

 ヘルメットが脱がれる。

 ワイルドな風貌。豪胆な戦士を絵に書いたらこんな風かと思った。

「は、初めまして」

 男性に話しかけるのにこんなに緊張したのは初めてだ。

「私は大尉の乗る新型機のコンピューター主任技師で、シェリー・ブラウンと言います。大尉のお母様は、私が最も尊敬している人物で――――」

「御袋を尊敬?」

「は、はい」

「ケッ。あんた、顔は美人だが中身は最悪だな。よりにもよって、あんな女を尊敬してるなんてよ」

「…………………………………」

 出会いは最悪だった。

 皆が唖然呆然とする中、クリプトだけは腹を抱え、文字通り床で笑い転げていた。

 

 ―第2話に続く―

 

 

 おまけ(解説です。蘊蓄がお好きな人はどうぞ(^^)/)。

 

※メカ解説

 

●デルタS

 デルタガンダム系試作機。

 後にユニコーンでリディが乗ったデルタプラスに比べると、動出力系が百式やZ系のままで、新型に換装された後者には劣る。本機の動出力系を、0089にロールアウトした、新型量産機ジェガンをベースにする案も有ったのだが、設計が違い過ぎて見送られた。

 実はジェガンの動出力系は、後にνガンダムやジェスタに使用された程、堅実な造りで、チューニングベースとしての性能は高い。その後30年以上現役機であった事が証明している。

 逆シャアでやられメカだったのは、連邦は物量が基本戦術なので、どの兵にも扱い易くする為に、ネオジオンのドーガ系と比べ、出力設定がエース向きのピーキー(ハイパワーだが扱い辛い事)な特性では無かっただけと思われる。サイコフレームを積んだヤクトやサザビーに至っては、もはや別次元の存在で、比べる方が悪い。

 そのνをベースにデルタプラスやユニコーンは造られている。つまりジェガンの孫。

 本作でもこの後の新型機には、ジェガンベースの機体が出てくるのでお楽しみに。

 とは言え、デルタSの能力が低い訳は無く、量産型のZプラスに比べると、出力設定はエース専用のピーキーハイパワーなものの上、Z計画でZに開発競争で敗れたオリジナルデルタと違い、MS形態の強靭さでも大きく上回る(ちなみにオリジナルデルタで、強度に問題のあった変形機構が省かれたものが百式)。本機の改良された変形機構は、後にデルタプラスの原型となった。

 武装の変更点は、腰に近距離戦用のビームマシンカノン2門(ZプラスやSガンのビームカノンからやや出力を落とした代わりに、高速連射可能となった物。SガンやFAZZがガンダムMk.Ⅴに接近された時、苦戦や為す術が無かった例を鑑み、弾幕を張る目的で採用。他のデルタガンダムには無い)の追加もあって、格闘、接近戦能力は非常に高い。

 コンデンサーの改良もあって、専用スマートライフルの集中速射能力も高く、遠距離戦でもZプラスを上回る事となった。デルタSのSはスマートライフル装備型と言う意味も。

 バランスに優れた良機と言える。

 クリプト専用機。ゴールド(笑)。

 しかし今回は顔見せだけで活躍せず。残念。

 

●ドム

 別段新型MSではないが、地上型には珍しいビームバズーカ装備なので解説。

 ビームバズーカは、コンデンサー容量を超え連続発射すると、本体のパワーダウンを起こす。宇宙空間ではそれでも最低限の機動や慣性での移動が出来るが、地上ではホバーの出力低下イコール着地、即ち停止。

 この欠点が最初から判明していたので、地上型の装備例はほとんど無いのだが、実地試験用に宇宙から一丁だけ降ろしていた物を、ラドックはニュータイプ能力を活かした遠距離からの一撃必中戦法で活用。

 もっとも、普通のパイロットではそもそも距離を詰めないと当てられない。たとえ遠距離では高威力ビームより命中し辛くとも、距離を詰めるのはホバーでどうにか出来る為、心置きなく連続発射できるし、技量に関係なく若干の誘導能力を持つ、通常のジャイアントバズーカの方がやはり有利なのだ。

 余談になるが、リックドムでもビームバズーカを有効活用したのは、シャアやガトーと言った一握りのエースのみで、彼等は宇宙でもラドックと同じ位、パワーダウンで機動力を落とす事の無い、無駄打ちの無い必中の射撃で扱う事が出来たからと思われる。小説版ではシャアの後半戦の愛機だが、TV版ではニュータイプ部隊成立前の僅かな期間に、一回ぐらいキシリアの突撃機動軍でジョニー・ライデンと轡を並べて戦った(と、『ジョニーライデンの帰還』でシャアがそれらしい事を言っていた)時にだけ乗り、すぐにゲルググに乗り換えたと思われる。

 ジョニーや黒い三連星がビームバズーカを使わなかったのは、ジョニーはリックドムより乗り慣れたRザクを選び、三連星は単に兵隊ヤクザな性格故に、接近乱戦が好きだったからだろう。ジェットストリームアタァック!

 

●アルス(ALSS)

 オート・ラーニング・サポート・システム。略してALSS。

 まだ肝腎のMS部分であるガンダムSSが出て来ていないが、本作の主役メカ。

 そのうちルーツによって別の愛称が付けられる。

 アルスはALICEに比べて色々な部分が未完成であり、それを補う為、ビスト財団の要望でアナハイムから提供させた技術協力により、バイオセンサーが組み込まれている。AIによってニュータイプに対抗する為の試みであり、システム設計の一部には不完全ながらEXAMから解析された部分もある。後にNT-Dシステムの基礎データともなっていくのである。

 うわあ、メタい(俺が言うと身も蓋も無い)。

 ALICEはなぜ人を超えるシステムとなったのか? ALSSはそれに追いつく事は出来るのか?

 それはルーツ博士がコンピューターに施した、実は単純で恐ろしい一つの事であり、本作のメインテーマとなって行くのである。

 ちなみに後に付けられる愛称はアレです。クラークさんですよ。ALICEとALSSはHALのオマージュとも言えるのだから。

 

 

※キャラクター解説

(注:平野先生の如きギャグ解説が含まれており、シリアス好きな人は読まない方が幸せかも(爆))

 

●リョウ・ルーツ大尉(24)

 元祖エモいだけが取り柄のおニャン子主人公。

 おニャン子とはつまり現代で言うAKBや乃木坂であり、可愛いけど中身はクラスに居そうな平凡な女の子が、タカさんノリさんの無茶振りにも負けず、一所懸命に頑張ってアイドルになって行く姿を見せる、等身大アイドルの事。

 クラスに当たり前に一人はいそうな、ありふれた平凡な不良健康優良児共が、毎回無茶振りミッションと強敵相手に死にそうになって、悪態をつきながらも頑張る、等身大アイドル(爆)パイロット。

 恐ろしい事に、この設定は筆者のでっち上げでは無く、当時の大日本絵画社による『ガンダムセンチネル』の公式コンセプト(本当)。

 今で言えば、平凡ヤンキー異世界転移召喚勇者?が、チート聖剣エクスガンダムに振り回されながら戦う物語? きっと呼び名は、ス○ホ太郎ならぬガンダム三郎(ヤンキーだから)。

 そんなルーツ君もすっかりベテランパイロットに成長して……いる所はいるけど、進歩してない所は相変わらずですね。何?今回の酷い終わり方。

 まあ、今作では彼がタカさんポジションだから、やらかす事は基本酷いんですね(納得)。

 ちょっと格好いいと思った感動を返せこの野郎と、三バカに共感。

 きっと相変わらず、最初から最後まで大人気ないエモさを発揮してくれる事でしょう。

 愛称はロックン・ロール(R&R)。

 

●イートン・ヒースロウ准将(36)

 ものすごく頭が良くて、ものすごく足元や脇が甘かった人。

 そんな彼も部下や敵に回った師に鍛えられ、強かな知将になったのが『ガンダムセンチネル』。

 アレ、この人ひょっとして真の主役だったの?wwwwwww

 今回の彼はとにかく活躍、と言いたいのですが、頼れる中間管理職(マニングス)と言う、丸投げできる緩衝材がいなくなった状態で、直接悪ガキどもを抱え込む羽目になり、胃の痛む日々を送る事でしょう。

 ブライトたちもそこを経て名指揮官になったので、今後を生暖かく見守りたい所です(ひどい)。

 

●シン・クリプト中尉(24)

 おニャン子メンバー、賑やかし役。

 彼も年を重ねベテランパイロットになりましたが、お調子者は磨きがかかったかもしれません。

 センチネルでのブレーキ役の二人、比較的常識人のテックスと苦労人のシグマンがいないせいです(彼等のその後は、その内クリプトの口から語られるでしょう)。

 何故そんな配役にしたかと言えば、ぶっちゃけ今の所ヒロインに潤いが少ないので、お笑いで補わざるを得なかったからですね(マジ)。

 ただしお笑い潤い成分は有っても、見る人をイラッとさせる成分も抱え込んだ爆弾児。取扱には注意。

 ナンパの達人にしてフラれの達人(さもありなん)。それでもちっとも懲りない不屈の男。

 今からネタばらしすると、ハーレムパーティーを組む事になるルーツを歯噛みして羨ましがる事になる。

 だって流行りですもの。ガンダムを書くからにはウケを取らねば(おい)。いや、ちゃんと理由も有るけど。

 そんな訳で、彼も本作ではおニャン子からノリさんポジションに昇格です。

 

●ライル・バックス中尉(23)

 いわゆるエリート。士官学校を卒業した時には戦争が終結していたので実戦経験は無し。

 テックスやシグマンの代わりにアホ二人の良心、ブレーキ役になる事が期待される。

 が、彼本来のストーリー上の役割は、『もし、悲劇の裏主人公、ジョッシュ・オフショーがアホのおニャン子に巻き込まれる、主人公サイドの人物だったら』と言う、意外に重要なテーマをしょったもの。

 オフショーと同じく、他人の正義と言いつけに従う『良い子』なので今は大人しいが、いずれ『良い子』故に、逆に酷く厄介な問題を起こす事だろう。

 頑張れアホ二人。彼の運命はアホ主人公どもにかかっている。

 

●ザック・ラドック大尉(33)。

 ぶっちゃけルーツのライバルポジションキャラ。

 今回は顔見せ。過去の設定については今話本文を参照。

 ニュータイプにして歴戦の勇士。

 ベテランパイロットになったルーツが主役ガンダムに乗った時、彼を苦しめるには最早ただのベテランでは足りず、センチネルでは禁じ手だった、ニュータイプや強化人間がニュータイプ専用機に乗るしかあるまいと投入。

 結果敵のベテランが雑魚になるインフレ。

 という事で、新兵達は雑魚が全てベテランと言う恐怖の戦場に叩き込まれた(涙)。

 最初の村を出て遭遇したスライムが、すべて炎のブレスを吐くメタルキングスライムみたいな。

 だが、それもかつてルーツたちの通った道だ(よく考えると酷いな、元祖センチネル)。

 戦争を描く時、それは酷いものでなければならないのはガンダムの鉄則ですので。うん、いい言い訳。

 

●シェリー・ブラウン技術中尉(24)

 本作のヒロイン。

 見た目は凄い美人だが、中身は理工系ヲタクでいわゆる残念な子。

 それでも生真面目さ、ひたむきさがチャームポイントである。でも今後も多分素直ではない。ルーツの所為。

 アホ二人のブレーキ役が期待される人その2。

 この人のブレーキは正座やバケツ持たせて説教とかそんなのになりそう。

 彼女とルーツ博士が本作の重要ポイントを握る。

 こんなだけど善い子なんですよぉ(フォロー)。

 

 新兵6人(前作の主人公チームおニャン子ポジション。つまりAKB(笑))とその他の登場人物の紹介は、また次回以降でいたします。




 ついに姿を現すルーツの新たな愛機、ガンダムSS。
 なんと姿を隠し引き籠るシェリー・ブラウン(おい)。
 SSのみならず次々とお披露目される新型機。
 そして評価試験の為の初演習が始まるが、その時―――
 第2話 -スカウト-
 
 てなわけで、ガンダムSS第2話は、7月中旬アップの予定です。
 よろしければ、また次も読んでね!
 お楽しみに~。
 


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―スカウト―

 半月ぶりの御久し振りです。また会う事が出来て感謝感激の豊福茂樹です。
 初めましての方は是非ガンダムSS第一話もご覧ください。宜しくお願いします。
 さて、ルーツ達MS実験開発部隊がいよいよ立ち上がり、初演習となりましたが―――
 気になるその先は是非本編をお召し上がりください。
 m(--)m
 追伸:捩じれ骨子様感想有難うございました。


 機動戦士ガンダムSS

 

 第二話:――スカウト―ー

 

 -1-

 

 ジオン残党ゲリラ、ザック・ラドックのキャンプに、旧ジオン軍暗号コードでの通信が入った。

 曰く、こちらはネオジオンの者であり、君達の同士だ、と。

 無論疑ってかかった。

 だが、MSをくれると言う。

 グフ・デザートタイプと偵察型ザクは最後の無理が祟り、遂に動かなくなっていた。

「大尉、受けましょう!」

「俺達は最後まで大尉の御供がしたいんです! 足手纏いなんてまっぴらです!」

 グェンとジェイスはラドックに詰め寄る。

 ラドックは目を瞑り、押し黙る。

 やがて口を開く。

「よかろう。お前等を野盗になど貶めはせぬ。たとえ騙されようと、最後まで戦士の道を歩むのみ」

 グェンとジェイスは、そして整備兵や歩兵たちも顔を輝かせた。

 

「ミデア型、連邦の輸送機ではないか?」

『盗んだんだよ。お空をガウやザンジバルなんかで飛んだら、たちまち捕まっちまうよ』

 通信の台詞の筋は通っている。だが胡散臭さは漂う。

『間違っても撃たないでおくれよ。ドムのお兄さん』

 人を食った口調にも不快を覚える。

 やがてミデア輸送機が着陸した。

 カーゴハッチが開く。

 ドム?

 いや、更にその精悍さと獰猛さを増した機体が三機。

 中央の一機には両肩に小型の戦闘機の様な兵器を二器積んでいる。出力も増強されていそうだ。

 輸送機のコクピットからも人が降りる。

 事ここに至っては、ラドックもモビルスーツから降りて、出迎えぬわけには行かなかった。

「アンタがザック・ラドックさんかい?」

 鋼鉄色の波打つ髪に、サングラスをしたネオジオン士官制服の女。

「そうだ」

「アタシはアナンダ・ゴルゴン。ゴーゴンでいい」

 女はそう言うとサングラスを外す。

 金色の瞳に蛇のような縦長の瞳孔。

「強化人間さ。フラナガン機関でアンタの同僚になるはずだった。でも、アタシは失敗作で、アンタは入隊を拒否した」

「…………拒否した自分を恨んでいるか?」

「さてね。でも、昔はどうあれ今はよろしくやるしかないだろう?」

「ならば一先ずその言葉を信じよう。それで、あの機体は?」

「ドライセンさ。中央のはサイコドライセンって言って、ニュータイプ用のドローンファンネルを搭載している。アンタ専用のおもちゃさ」

「お前のお下がりか?」

「さてね?」

 

 -2-

 

 ネバダ基地係留中、アルビオン司令室。

「ブラウン中尉が勤務拒否だとぉ!?」

 素っ頓狂な声を上げるヒースロウ。

「いえ、勤務拒否ではありません」

 冷静に報告する艦長、メアリー・サンズ中佐。

「只の引きこもりです。勤務自体は自室のコンピューターで変わらずにこなしています。例の件がショックで人前に出る意欲を失っているだけかと」

「………何という事だ」

 これまでは、こう言った事が起こってもマニングスが処理してくれた。それどころか、そもそも問題児の塊の様なアルファ任務部隊においても、ここまでの事態になる前にマニングスはことごとく手を打っていたのだ。

 学校のクラス分けで問題児が居れば、必ずそのクッションやブレーキになる人物を近くに置く、ベテラン教師のような卓越した配慮。

 だが――――

 寄りにもよって、本来その配慮をすべき、マニングスと同じ位階の、MS部隊長の大尉である人間が、今回の事態を引き起こしたのだ。

 騙された―――。

 ルーツと、己の身勝手な期待に。

 ヒースロウは医務室に胃薬の出前を頼む。

 生憎ベッドで横にはなれない。

 これから第8期MS実験部開発部隊、新規結成の訓示を皆の前でしなければならないからだ。

 

 まだモビルスーツのいない、がらんどうの左舷MSデッキには、第8期MS実験開発部隊のほぼフルメンバーが整列していた。

 ほぼ、と言うのは、約一名は生身で無く、デッキの可動モニターパネルに顔だけで出席していたからだ。

 勿論、シェリー・ブラウンである。

 泣き疲れたのか眼は赤く、隈もできている。

 それを見る事が出来たのは、上段の訓示席側である、ヒースロウとサンズ艦長だけだったが。

 ヒースロウは胃に加えて頭も痛くなってくる。

 大きく肺の全てを絞り出すような息を吐き、気を取り直し部下達を見据える。

 右側には海軍MS運用研究チームとアナハイムエレクトロニクス出向チームの、MS整備、開発グループ。

 先頭に立つ責任者、バリー・スミス少佐は早く済ませろと言わんばかりに欠伸をしている。

(この髭面樽め、覚えたからな!)

 左側にはMS部隊員と、航海士、兵站などの一般兵種部隊の人員。

 先頭に立つ責任者、リョウ・ルーツ大尉は引き締まった顔つきだ。

(優等生も出来るなら最初からやれ! トラブルを起こすな!)

 ヒースロウはぐっと悪態を呑み込み、厳かに口を開く。

「第8期MS実験開発部隊の諸君、私が部隊司令のヒースロウだ。諸君は栄えある地球連邦の主力兵器たるモビルスーツの、まさしく栄光ある未来を切り拓く責を負った、スカウトされし精鋭であり―――――」

 

(ひゃー、来た来た精鋭よ!エッリィートよ!アタシたち!)

(ふん、まあ見る目が有るじゃねえか、あの司令官)

(だよねー)

 

(浮かれてるな。おめでたい事だ)

(自分達が引き立て役のモルモットだって知らないんだね)

(モルモット………可愛い!)

((んん???))

 

 ギリィッ―――

 それを聞くバックスの歯噛みは誰にも聞こえなかった。

 

 -2-

 

 ネバダ基地MS用舗装グラウンド。

 既にクリプトの手によって屹立状態のプロトデルタの周りに次々と巨大クローラーが並ぶ。

 油圧ジャッキが唸りを上げ、18メートル超の鋼の巨人、モビルスーツが次々と立ち上がる。

「すげえ」

「これが新型機?」

「格好いいー!」

 だが、一機だけが取り残され立ち上がらない。

 クローラーの隣でスミス少佐が端末に向かって怒鳴る。

「だから、説明だけじゃわからねえって言ってるだろう! それとも何か? こっちでテキトーにやっちまって、お前さんの可愛いALSSちゃんとやらのシステムがパーになっちまってもいいんだな? それでもいいならやるぞ! もう待たねえ!!」

『○×※△~っ!!!!!!!!!』

 三分後。

 アルビオンの開きっ放しのデッキから、ものすごい勢いで電動スクーターがかっとんで来る。

「この野蛮人! 変態ちびドワーフ!!」

 ヘルメットを地面に叩き付けながらブラウンが叫ぶ。

「それならお前さんは、性根の腐ったダークエルフだな。まあ、それでも魂までは腐ってなかったか。早くしろ。今日の稼働実験ノルマがこなせんだろう?」

「やればいいんでしょう!」

 すでにモビルスーツの頭部ユニットに押し込まれている、ALSSの未接続のコード類を、凄まじい勢いで接続して行く。一つ繋ぐたびにモニターをチェックして高速タイプで調整して行く手際は、最早神技である。

 スミスが口笛を吹く。

「やるなあ。コンピューターは専門外の俺でもお前さんが超一流なのはわかるぜ」

 そう言うと、傍らのルーツに目配せする。

 ほら、今度はお前の番だ。

 言外に言われているのは、ルーツもさすがに察する。

「……俺も認める。中尉を侮辱して悪かった」

「………分かればいいわ」

 ブラウンは振り返る事無く答える。気のせいか口調は和らいでいた。

「このALSSってのはなんなんだ?」

「オート・ラーニング・サポートシステムよ。学習するサポートAI。貴方の癖を覚えて最適の操縦サポートをしてくれる。でも、それだけじゃない」

「?」

「この子にはバイオセンサーが組み込まれているの。この子自身や貴方がニュータイプになれる訳じゃあないけれど、ニュータイプの精神感応波を捉えて、貴方がニュータイプと戦うための手助けをしてくれる。自分で言うのもなんだけど、画期的なシステム」

「――――そりゃすごい。それでスケジュールには強化人間との演習も有った訳か」

 ルーツは心底感心する。

 そしてうっかり虎の尾を踏む。

「あんたは凄いな。少なくとも御袋なんかより、よっぽど凄い技術者だ」

「なんかより?」

「ああ」

「聞き捨てならないわね! この子の基礎設計理論を作ったのは他ならぬルーツ博士よ! 取り消しなさい!」

「お、おい、俺は」

「このアルスはルーツ博士の孫よ! あなたの甥っ子よ! 侮辱の言葉を今すぐ取り消しなさい!」

 今度はブラウンが地雷を踏んだ。

「お前が、御袋の!何を知ってると!?」

 スミスは二人の耳たぶを引っ掴むと、自分の顔の前に寄せる。

「「痛いッ!」」

「いいから仕事しろ。喧嘩は後でやれ」

「「………」」

 

 やがて調整を終えた最後のモビルスーツが立ち上がる。

 周りのモビルスーツよりも1メートル以上は低い、小柄のガンダムタイプだった。

 そして何より―――

「何あれ?」

「骨だよな」

「スケルトンガンダムだ」

 スミスは兵たちの感想を聞いて苦笑いする。

「まあ、そう言われても仕方ねえな。だが、これでも一応俺達の設計した自信作なんだぜ」

「こいつが俺の―――」

「そうだとも。ルーツ大尉。こいつがお前さんの乗機、ガンダム・システムコア・シルエット。通称ガンダムSSだ」

「悪くない」

「ほう?」

「こいつは強い。俺には何となくだが分かる」

「そいつぁ嬉しいな。嬢ちゃんもそうだろう」

「……否定はしないわ」

 

「では搭乗機体及び所属小隊配置を発表する」

 ルーツの声にクリプト以外の顔が引き締まる。

 いい機体、いい上司に恵まれる様、必死の祈りが漏れて聴こえる様だった。

「まず、A小隊、指揮及び前衛小隊は自分とガンダムSS。そして僚機二機はZプラスF型。搭乗者はシャーリィ・カーリー准尉とルーシー・ランファン准尉だ」

 流麗なシルエットのZ系の機体。

「光栄です」

「「ええ~~~~っ!?」」

 叫びを上げるランファンとクリプト。

「不満か?」

「機体は不満ないよっ! この子だってビッと来たから! でも上司がアンタなのは納得できない!」

「狡いッ、狡いぞルーツ! 女の子独り占めなんてハーレムかよ!? 一人ぐらい俺に分けろ!」

 女性陣の、いや、みんなの白い目がクリプトに集まる。

「……言っとくがな、これはちゃんと適性だ。データを見て決めた。こいつら女子二人は前衛、特に接近戦に向いている。他の奴らはそれぞれ別の事が向いてるからだ」

「じゃあ、俺が前衛する!」

 クリプトが父兄参観日の簡単な問いを出された小学生よろしく、元気よく挙手する。

「駄目だ。俺は熱くなるとむきになって前に出るタイプだから前衛しかできないし、その点お前は器用だから何でもできる。言っとくがこいつは褒めてるんだからな」

「ううっ、俺は、俺のこの天才的器用さが恨めしい!」

 えーと、それでもちゃんと、この説明で納得する所は彼もプロの軍人なんですよ(とって付けたフォロー)。

「B小隊は中衛及び遊撃。小隊長はシン・クリプト中尉とデルタS。僚機二機はプロトガズィ。搭乗者はロデム・ケンザキ准尉とトマス・オコーナー准尉だ。特にプロトガズィは次期Z型量産機の本命だからな。データ供出するお前らの役目は重大だと覚悟しとけ」

 巨大なバインダーシールドをアームで左右に展開した、プラスよりやや無骨なZ系機体だった。

「「はいっ」」

「……は~~い」

 消え入りそうな弱弱しい返事は、本来範たるべき小隊長。

「C小隊は後方火力支援。小隊長はライル・バックス中尉とファット・バレト。僚機二機はグスタフ・ガン。搭乗者はノートン・ウォード准尉とウェイ・バードマン准尉だ」

 重厚な鎧をまとい、巨大なミサイルポッドとメガカノンを肩に装備した機体。他にも手持ち火器や追加武装で、歩く火薬庫と言った風情だ。

「「「はいっ」」」

「では本日これより、フォーメーションを組みながら基本歩行稼働実験を行う! 各員搭乗!」

「「「サーイエッサ―!」」」

「………はー。この世には神も仏も無いのか」

 皆が意気を揚げる中、一人テンション低いクリプトであった。

 

 -3-

 

「スカウト任務。新型試作機とやらへの強行威力偵察か」

 ラドックがネバダ基地近郊に集まったジオンゲリラを前に呟く。

 ラドック隊の他にもゴ-ゴンからモビルスーツを供出された部隊はいた。

 それぞれガルスJ3機とガザC3機を与えられている。

 そして皆、それと引き換えにミッションも与えられていた。

「我が小隊が道を切り開く。異存は無いな?」

「『北米の死神』ラドック大尉に先陣を努めてもらえるなら、こちらも安心と言うものです」

「後ろはお任せください」

「側面は我らが」

 

 -4-

 

 ネバダ基地所属の通常部隊二個中隊は、実験開発部隊の相手を努めるべく、演習場に散開配置していた。

『大尉、新型のガンダムと言っても相手は一個中隊です。勝って鼻を明かしましょうや』

「当たり前だ。指揮官級を除いて残りは新兵だぞ。負けたら恥と思え」

 通信機から兵士たちの笑いが次々と漏れる。

 だが、その時―――

『敵襲です!』

「馬鹿な、演習開始時刻には早いぞ」

『違います! 相手は実弾でジオン、ネオジオン混成MS部隊! 本物の敵です! ぐわあぁっ!』

「くそっ! 全機実弾に換装! ビームを通常出力に戻せ!」

 罵りながら機体の出力を上げて行く。

 

「ルーツ! 聴こえたな!」

 アルビオン艦橋指揮席でヒースロウが叫ぶ。

『了解。全ビーム兵器封印解除します。各機、メイン機関戦闘出力に上昇まであと二分』

『こちらC小隊バックス。実弾兵器の実包換装もあと二分かかります』

「二分か……、それまで持ちこたえろよ」

 

『ぐわあああぁっ』

 ジムⅡが、量産型ガンキャノン改が、次々と爆散して行く。

 小隊長の新型機ジェガンは辛うじて生き残っていたが―――

「は、早すぎる!」

 三機のドライセンが高速ホバーで翻弄する。

 時に重なり合い、散開し、手が付けられない。

 おまけに―――

「ファンネルだとぉ?」

 後ろからも狙い澄ましたビーム。

 背部バーニアがやられた。こちらの機動力はもう相手に付いて行けない。

 更にトライエッジが解き放たれ、ジェガンは切り刻まれた。

 

「他愛も無い」

 ラドックがサイコドライセンのコクピットで呟く。

『この調子なら偵察どころか、全滅させられますぜ。大尉!』

「調子に乗るな。きっとあのZプラスのパイロットが出てくる。おそらく新型に乗ってな」

『そうだ。調子に乗るな、ジェイス』

『お前まで言わなくてもいいんだよ! グェン!』

「フ」

『見ろ、大尉に笑われた』

 ラドックは苦笑する。ジェイスを笑ったのでは無い。

 それは誤解だ。プラスのパイロットを心のどこかで待ち望んで笑ったのだから。

 

 空中からガザCのビームが戦列をかき乱し、ガルスJがさらに突入し攪乱する。

 組織的な連携を封じられた連邦部隊は、旧式のドムやグフ、ザクと言ったMSにすら圧倒されていく。

 

『大尉!』

「クソォ! 新型は、ガンダムはまだなのか?」

 ジェガン3機の指揮官小隊も、包囲を受け始めた。

 下手に身動きもできず、必死にシールドを構えライフルを応射する。

 彼等は死を覚悟し始めた。

 だが―――

 

 ゴォォォオオオ!

 

 高出力の3本のメガ粒子ビームが空間を薙ぎ払う。

 包囲右のザク部隊が蒸発した。

 

「あ、当たった?」

 バードマンが呆けたように呟く。

『当然だろ。素人かよ』

 ウォードが呆れたように答える。

『二人とも、私語は慎め』

 バックスの叱責。

 ネバダ基地屋上にブーストで飛び乗り、狙い澄ました射撃を放ったのはC小隊だった。

『ガザC部隊がこちらに気付いた。基地に攻撃を加えられるわけには行かん。一度降りて応戦するぞ』

「りょ、了解」

『了解』

 

 包囲左、後ろに回り込もうとしていたドム部隊を遮ったのはB小隊。

 速射型スマートガンとメガビームライフルの火箭が彼らの足を止める。

 クリプトとケンザキの射撃はそれぞれドムの脚を破壊した。

 だがオコーナーの射撃は後ろの地面を打つにとどまる。

『オコーナー、味方を見過ぎだ。一瞬射撃が遅れたのは、仲間に合わせようとし過ぎたからだろう? もっと敵を見ろ!』

「は、はい!」

 クリプトの普段と人の変わったような正確な指摘に、オコ-ナーは恐縮する。

『無様だな』

『まったくだがそれどころじゃねー。変形して降りるぞ。ウェーブライダーで一撃離脱じゃあ、上空旋廻でもたもたしてる間に味方がやられちまう!』

「は、はい!」

『了解です』

 

 そして、包囲正面に速射型スマートガンとロングビームライフルの火箭を浴びせ、その背後に変形して降り立ったのはルーツ率いるA小隊だった。

「あ、あたった。アタシのビーム、ザクのバズーカ吹っ飛ばしてドカーンて!」

『良かったわね~』

 ランファンを優しく受け流すカーリーも、1機を墜としている。

『それより前を見ろ』

 手綱を引き締めるルーツは既に2機撃墜。

『俺達の相手は一番厄介だぜ』

 眼前に迫るのは3機のドライセン。

 

「た、助かったのか?」

 ネバダ基地駐屯部隊大尉は忘我の台詞を吐く。

『た、大尉、我々は?』

「そ、そうだ、反撃だ! 撃て撃てぇっ!」

 

『撤退だ。ガザC部隊は最後まで重火力MSを押さえろ! 我が部隊とガルスJ部隊は、敵変形機、ガンダムを討つ! 残りはその間に退け!』

『『『了解!』』』

 ラドックは吠えながらガンダムに挑みかかる。

 

 ルーツとラドックは互いに牽制の射撃を放つ。

 

「この殺気」『この感覚』

「『やはりあいつかっ!』」

 

 互いに紙一重で躱しながらまた次の射撃。

「カーリー、ランファン! 中央の奴はお前らの手には負えねー! 手を出すな!」

『了解』

『そんなのやって見なきゃ、わきゃきゃきゃ!?』

 すぐに二人も左右からグェンとジェイスの機体に挟まれて、それどころでは無くなった。

 

 ケンザキとオコ-ナーはすぐに違和感を感じた。

『反応が鈍い?』

『機体が重い?』

 スペック上それは有り得ないはずだった。ガズィはプラスに機体の軽さも出力も劣っていない。

 だが実際にはガルスJにいいように翻弄される。

 必死で翳すバインダーシールドがすぐにボロボロになって行く。

 クリプトもそのフォローに手一杯で、敵機を墜とすに至れない。

「くそっ! じり貧だぜ!」

 

「そんなバカな?」

 アナハイムから出向のガズィ主任技師、アダム・チェレンコフ大尉相当官はアルビオン艦橋で呆然と呟く。

「バカなもクソも有るか。見りゃあわかるだろ、シールドの重さに振り回されてんだよ」

 スミスが呆れに鼻を鳴らしながら答える。

「何故だ?」

「重心よりも遠過ぎる位置に重量物が有れば、そうなるのは当たり前だ。あっちのプラス連中の翼は背中、つまり重心に近い位置にあるから、役に立たねえ無駄な重量でも、悪さはしねえ。少なくとも片側ぐらいはパージできる機能も付けとくべきだったな」

「ぐっ……」

 技術者の、機体の改良と言う闘いも、始まったばかりである。

 

「くそっ! あのデカブツ砲、意外と発射間隔が短い!」

 ガザCのパイロットが毒づく。

『こっちのナックルバスターとは出力が違い過ぎます! 遠距離砲戦ではこっちが不利です』

「懐に潜り込むしかないか。全機散開して突入!」

 

「う、うわあ。来る!」

 バードマンはグスタフ・ガンのコクピットで慌てふためく。

『落ち着け、こっちにはブラストファイヤーが有る。引きつけて撃て』

『みっともない』

『私語もつつしめ』

『……』

 バードマンはガザCの突入を待ち構える。

 コンマ一秒が引き伸ばされ、恐ろしく長く感じられる。

 まだか?

 射撃命令はまだか?

「うわあああああ!」

 バードマンは耐えきれず引き金を引いた。

 145ミリヘビーマシンガンが、ビームマシンカノンが、マイクロミサイルポッドが、恐るべき火力飽和攻撃を放つ。通称ブラストファイヤーである。

 だがその戦慄すべき弾幕は、タイミング的に僅かに早く、回避機動を行うガザCを捉える事は無かった。

「畜生! 当たらねえ、何で当たらねえんだあ!?」

 わずかに距離が遠く、捉えるタイミングを失ったのである。

『美味しい所、もーらい。ピエロちゃんありがと~』

 ウォードがロングミサイルポッドを発射する。

 回避のために出力の余裕を使い切った、ガザCの脚部を吹き飛ばす。

『止むを得んか』

 バックスもすでにファット・バレトのインコムを解き放っていた。

 3方向からの有線遠隔誘導攻撃は、別のガザCのナックルバスターと脚を貫く。

 もう一機も狙いたかったが、インコムの推進剤は大気圏内では猛烈に消費するため、断念せざるを得ない。

 

 一方、サイコドライセンのドローンファンネルは、大気を利用するジェット推進で動いており、通常戦闘下では活動限界を持たない。丸一日でも飛行していられる。

 しかし――――

「躱せる、躱せるぜ! サンキュー! アルス!」

『恐縮です。大尉』

 ALSSはファンネルを動かすラドックの精神感応波を拾い、ファンネルの動きと攻撃タイミングを、立体音響信号の形でルーツに予測指示していた。

 だが、躱せるのはそのせいだけでは無い。

 

「ファンネルが、トライエッジが、振り切られるだと?」

 ラドックが驚愕する。

「連邦の新型ガンダムは化け物か?」

 ガンダムは有ろう事かモビルスーツ形態のまま、重力も大気も無視するかの如き、恐るべき機動を繰り広げる。手数ではこちらが遥かに圧倒しているのに、味方に手を出されないように抑え込むのが精いっぱいだ。

 高出力と、何より超軽量の機体が生み出す、異次元の高速ドッグファイト能力。

 グェンとジェイスもプラスF相手に、今一攻めあぐねている。

『くそっ! 何だあの長いビームサーベル? 滅茶苦茶間合いが広い!』

『トライエッジを頭部バルカンで払うかよっ?』

 

「くそっ! このドローンクルクル兵器め! 来るな来るなっ!」

『ふふっ。ランファンちゃん可愛い。背中は任せてね~』

「子ども扱いすんな!」

『可愛いランファンちゃんにおイタする奴は許さないわよ~!』

「人の話を聞けえ!?」

 ビームマシンカノンと三連装ビームキャノンが錯綜する。

 

 上空に信号弾が上がった。

 

『『大尉!』』

「味方は充分に退がったか。我々も撤退する!」

 ラドックは冷や汗を拭いながら、今度は生還に全神経を注ぐ。

 

 戦闘は痛み分けに終わった。

 

 アルビオン艦橋。

『ヒースロウ司令、追撃しますか?』

 ルーツが無線で確認してくる。

「いや、追える足が有るのは君とクリプトとプラスF二機の計四機に過ぎない。危険が多い。無理はすまい」

 ガズィは残念ながらウェーブライダーへの変形機能を失っていたのだ。

『了解。それでは全機帰投します』

 通信が切れる。

「戦果は我が部隊のみを見ればまずまず。だが、基地全体を見れば惨憺たる有様、か」

 ヒースロウは軍帽を脱いで溜め息をつく。

「すまんがコーヒーを。ブラックは胃に悪いから、ノンシュガーのカフェオレで頼む」

 

 -5-

 

 アルビオンのモビルスーツデッキで、バックスはバードマンとウォードの頬を平手で張った。

「どうして指示よりも早く撃った?」

「申し訳ありません……」

「中尉、何故俺まで? 連帯責任ですか?」

「同僚への侮辱も許さん。軍に必要なのは鉄の規律と団結だ」

 バックスは再度、手を振り上げる。

 背後からその手をルーツが掴む。

「その辺にしとけ」

「―――――、御命令と有らば」

 バックスは手を下げ、歩み去る。

「すみません大尉」

「恐縮です」

「命令はちゃんと聞けよ。みんなの命にかかわるんだからな。それと仲間に恨まれたら、回り回ってやっぱりお前とみんなの命にかかわるんだ。あいつの言いたい事もちゃんと分かってやれ」

「「はい………」」

「ルーツちゃん格好いい―――、へぶっ?」

 茶化すクリプトにルーツの裏拳。

「ひどい~、ほめたのに~」

 両手で顔を覆いうずくまるクリプト。

「そうは聞こえなかったぞ? 大体手加減したのに大げさに痛がんな。てめーの言うスキンシップだろーが?」

「ルーツのスキンシップには愛が足りねえ!」

「気色悪りー事を言うな!」

 一同から笑いが漏れる。

 ふとルーツは、デッキの通路の角から、顔を半分出してこちらを覗いているブラウンに気付く。

「ブラウン中尉」

 ブラウンは呼びかけられて慌てふためく。

「中尉のアルスのお蔭で助かった。礼を言う」

「そ、そう」

「大したやつだぜ、ペンは」

「……ペン?」

 ブラウンのこめかみに血管が浮く。

「何? そのペンギンみたいなブッサイクで弱そうなニックネームは?」

「ガキの頃、みんなやったゲームの主人公が、アルトリウス・ペンドラゴンだったんだ。響きがアルスになんとなく似てるだろう? だからペンだ。可愛いじゃねーか」

「信じられない、それなら普通アーサーでしょう? それよりも、アルスなら大いなる叡智の宝アルスマグナを思い浮かべるべきよ! この無教養の頭空っぽピーマン頭!」

「誰がピーマンだ!? それならお前は頭でっかちのかぼちゃ頭だ!」

「なんですってえ!?」

 一同がまたも唖然呆然とする中、クリプトはまたも床に笑い転げていた。

 

 ―第3話に続く―

 

 

 以下、おまけの解説コーナー。

※MS解説

 

●ガンダムSS

 本作の主役MS。

 今回出てきたのはその基本素体となる、正式名称、ガンダム・システムコア・シルエットである。

 ゼータ系、いや、そもそも最初の連邦MSであるガンダムの最大の特色は、ジオンのそれに比べて軽量小型の核融合炉を複数器積む事によって、ハイパワーを実現した事にある。

 だが軽量小型の核融合炉は製造にコストがかかり、少数生産機にしか採用しにくかった。

 どうせ少数生産機にしか積めないならばと、より搭載器数を増やし、恐竜の様に高出力で重量増加した、ExSやダブルゼータが生まれて行った訳である。

 だが、海軍MS運用研究チームはある発想に辿り着いた。

 どうせ軽量小型のジェネレーターなら、それを活かした軽量の機体を作ってはどうか?と。

 車やバイクでも、エンジンが小型なら、エンジンの重さを支える為のフレームもまた軽量に造る事が出来る(過去、そう言う2ストロークと言う軽量エンジンを軽量フレームに載せたマシンがあり、排ガス問題で厳しいハンデが科せられる前、世界グランプリに於いて出場バイク総てその機構のエンジンで席巻していた時代も有った)。

 重い機体でもパワー任せで加速性能を同じに作る事が出来ても、軽量の方が圧倒的に小回りに優れてサーキットを速く走れる。MSならドッグファイト性能に優れた機体が作れるのではないか、と。

 そうして生まれたのがこの機体である。

 当初連邦は難色を示した。

『少数生産機は、一騎で多数の敵を駆逐できる恐竜であるべきだ』

 ドッグファイト性能に優れると言えば聞こえはいいが、回避が上手なだけで、短時間に敵機を殲滅して友軍に貢献する能力に欠けては困る。戦線維持は量産機の数に任せるべきだ。と。

 だが、この機体のコンセプトに興味を示した者達もいた。

 ブッホコンツェルンとスカールグループである。

 彼等が興味を示した最大の理由は、軽量のMSイコール少ない資材で建造できる機体と言う意味であった。

 新興勢力がもし連邦に対抗して大量のモビルスーツを作る必要性に駆られれば、これは最大の利点である。

 それでプラン通りドッグファイト能力も上がるなら、願ったりかなったりだった。

 彼等はこの機体の、核融合炉を除く開発データのコピーを貰う事を条件に、スポンサーになる事を申し出た。

 連邦はこれを受諾した。軽量のMSなど、ジェット戦闘機の時代に、今更軽量なだけが取り柄のプロペラ戦闘機を作るようなもので、肝心な融合炉のデータが無ければ、量産性に優れただけのおもちゃしか造れまいと。

 だが、後の歴史は、それが間違いだったことを証明している。

 彼等が軽量小型融合炉の製造を成功させた時、連邦は驚愕したのであった。

 さて、話を本筋に戻す。

 本機は可能な限りの軽量化を念頭に開発された。

 ところどころ、特に脚部に於いては太腿も下腿もむき出しのアクチュエーター。

 無論、装甲を付けたのと同じくらい分厚く、そしてガンダリウム合金で頑丈に作られているが、既存のMSに比べれば骨だけの『スケルトン』に見え、このMSを口の悪い者が呼ぶ別称となった。

 アクチュエーターと対になる骨格は何とウェーブライダー形態時の『羽』である。MS形態ではデッドウェイトになるそれを、構造材として使ったのだ。

 ダブルゼータでは盾として活用したり、他の機体でもAMBAC用のスタビライザーとする方法も有ったが、それは余分な重量の軽減であり、本機の様にゼロとまでするアイディアでは無かった。発想の転換である(某GTMのツインスイング構造程では無いが(苦笑))。

 ちなみに『羽』やアクチュエーターのどちらかが破壊されても、各関節に内蔵された小型モーターで最低限動く事も可能である。ここら辺は今までの変形機の技術からのフィードバック。

 変形はまず胸部が頭部やバックパックごと90度回転し、バックパックが本来頭のあった場所、ウェーブライダー形態では機体後部に来る。

 肩と椀部は機体上部に移動。上に開いた元胸部中央装甲にカバーされて収まった頭部を挟む形となる。肩のスラスターはMS時に下向きだったものが180度回転して後部へ向けられる(後に出てくる大型バックパック仕様では180度回転せず、前方に向いたままブレーキスラスターとなる)。

 腕の速射型スマートライフルはグリップがマニュピレーターに保持されたまま、グリップの角度が変更され、基部がスライドし、ライフルの後端が頭部の上を覆うぐらい後退する。腕も若干縮む。

 股関節部分は一部装甲がマニュピレーターを覆うように、一部が機首となる様に前にせり出し変形。

 そして脚部は一度180度開脚してから90度回転、更に機体の両側を挟むように後ろに向く。

 腰の2門のビームマシンカノンは機首を挟み込む位置となる。

 そして腿と脛の前側のフレームはロックが外され、羽として展開するのである。

 ついでに下腿はやや縮み(大型バックパック仕様では縮まない)、足首は斜めとなる。

 以上変形終了。

 脳内3Dには骨格概要と機構が存在するが、肝心の格好いい装甲やパーツのでじゃいんをする能力が筆者には無く、イラストに起こせないのが残念無念(TT)。

 ○○をデザインした○○さんに依頼を発注したい所。でも同人でギャラなしコネなしだしなあ(涙)。

 まあでもお頼みするだけ頼んでみようかなあ(ヘタレ)。

 なお、システムコアと名前に有るように、随時増加武装システムを追加換装可能。

 ここら辺はやはり、駆逐用機体としての連邦のオーダーである。

 無論海軍チーム転んでもただでは起きず、後にジョブ・ジョンの元、サナリィへと発展第3セクター企業化した際に、この経験をF89、90の追加武装換装システムとして技術活用するのである。

 言い忘れていたが、機体高は連邦としては小型の17メートル(通常18メートル)。ワンセブンだが必殺技はグラビトンではない。残念(おい)。Sガンダムが20メートル超な事を考えると凄い小型化。

 しかし既存パーツの流用や武装など、規格の問題もあって、これ以上の小型化は断念。

 ジェネレーター出力合計はExSより低いが、軽量化も有って、推力比、つまり直線加速及び巡航性能は同等のロケット並み。旋廻や切り返しと言ったドッグファイト能力は、ExSを大幅に上回る事に成功したのだ。

 流石に残像は作れなかったが(笑)。

 それでもデビュー戦に於いては、サイコドライセンのドローンファンネルの攻撃を、見事振り切って見せたのである。

 もっともアルスの名サポート有っての事ですよ、ルーツさん。

 ALICEあってのSガンダム、ALSSあってのガンダムSSと言う構図は本作も継続。でも勝手に動かしたりは(今の所は)しない。連邦のオーダーがあくまでも戦闘サポートのみだからだよねー。

 現時点、ALICEは黒歴史として葬られた事すら、ブラウンにもルーツにも知らされてはいない。

 全てを知るのはヒースロウだけである(胃痛の元の一つ)。

 この機体の解説はこれだけ長々としたにも拘らず、その内またする。流石は主役機手間がかかるかかるwww

 

●ZプラスF型

 Zプラス系最終試作機。通称プラスF。

 FはABCDEと続いた型番の次の意味であり、ファイナルのFでもある。

 何故最終かと言えば、後述のガズィが次期Z系量産機と決定しているからである。

 なのになぜ作ったねんと聞かれると、至極まっとうにガズィの比較検証用である。ガズィがこの機体に劣る部分(ネガ)を発見する為だ。ネガは潰され改良されねばならない。機械の宿命であり、本機はその当て馬。

 しかし当て馬と言えど、その性能はZプラス系では(ハミングバードの様な特殊仕様を除き)最も高い。

 オリジナルZと同じく強化された出力系。ピーキーな扱い辛さは可能な限り最新ソフト(ブラウンも制作参加)で緩和され、状況に応じてハイモードとローモードのチェンジも可能。

 何故量産機でもそれをしないかと言えば、ピーキーハイパワーな出力機関を作るには、ベースが同じでも高価なパーツが必要となるから。ここら辺バイクや自動車のエンジンと同じ。世知辛い。

 デルタSと同じく強化コンデンサーも追加、両腰にはビームマシンカノン2門、両腕には2連装マイクログレネードランチャー2門、細かいパーツもオリジナルZやZⅡから流用して強化。

 メイン武装は速射型ロングビームライフル。一発の威力と射程はプロトデルタやSSの速射型スマートライフルには劣るが、速射性能自体はこちらが上。そして何よりオリジナルZと同じくロングビームサーベルとしても使用可能。結果、総合白兵戦能力もデルタSに劣っていない。乗っているのが二人とも女子なので、まるで見た目は薙刀ガンダム(笑)。

 A小隊、指揮及び前衛担当チームとして、ガンダムSSの僚機を務める事となった。

 

●プロトガズィ

 後のリ・ガズィの試作実験機。通称ガズィ。

 Z系だが、皆さんもご存じのとおり、胴体に複雑な変形機構を持たない。

 故に新型であるジェガンの骨格、動出力系をベースに作成されている。だがジェネレーター自体は、Z系と同じく、胴体に通常型1基から、脚部に軽量小型2基に変更。潜在性能は理論上プラスFより上。

 だがまだ今一チューニングノウハウが確立されておらず、現時点で上回っているとは言えない。

 リ・ガズィではパージされるパーツがこの機体ではまだフレキシブルアームで繋がっており、それぞれMS形態ではメガビームランチャー、左右の大型バインダーシールドとして使用。

 この構成でどうなったかは、劇中で語った通りである(TT)。

 サブ武器はこの時点ではビームサブマシンガン。ライフルやWR時の小口径ビームカノン×2はまだ無い。

 B小隊、中衛及び遊撃担当チームとして、デルタSの僚機を務める事となった。

 

●ファット・バレト

 正式名称ガンダムMk.Ⅴ改修型フルアーマータクティカル(F・A・T)・バレト

 バナージ君も乗ったシルヴァ・バレトの兄弟機。

 FAZZがMk.Ⅴにけちょんけちょんに負けた結果、重装火力支援機をどうするか、軍上層部が考えた結果、『ならMk.Ⅴをフルアーマー化すればいいのでは?』と安直な意見を採用。

 Ⅴ、正確にはその発展型のドーベンウルフをベースに制作されたバレト系に、増加装甲とバーニアを追加。胸部と脚部装甲内に収納されたインコム×3、腰部ビームマシンカノン×2。FAZZからの改良型である巨大バックパックには追加ジェネレーター、12連装4斉射マイクロミサイルポッド(一度に発車できる数は減ったが、その代わり、ポッド自体が大型化。一度撃ち尽くしても、仕切り板がパージされ、次のミサイルが発射可能となる。計四斉射発射可能)、ハイパーメガカノン(FAZZより一発の威力は落ちたが速射化)を装備。手に持つのはガンダリウム合金をも貫通する、145ミリヘビーマシンガン(ファット・バレトの重量故に、反動を抑え込んで打てる。本機や後述のグスタフ・ガン専用銃であり、通常モビルスーツはおろか、他の実験機たちにも運用できない)。

 まさしくてんこ盛りである。

 遠距離からのスマートメガカノンとインコムで火力支援がメインだが、その他武器全部撃ち、『ブラストファイヤー』とあだ名される近接弾幕能力は圧巻(元ネタ知ってる人は笑いましょう)。

 遠距離火力支援チーム、C小隊の隊長、バックス中尉の機体。

 ちなみに顔はほとんどMk.Ⅴ。

 

●グスタフ・ガン

 グスタフ・カール改修型。

 中身はほぼジェガンに刷新の上、トルクアップ(分かり易く言えばZ系のスピードアップに対して怪力増強)のライトチューンがされており、結果はガズィよりも良好。ジェネレーターも本体内に一個から軽量小型三個に。初代ガンダムと同じですね。凄いぞ、通常の三倍のエネルギーゲインだ!wwww

 更に加えてファット・バレトと同じハイパーメガカノンとマイクロミサイルポッドと追加ジェネレーターとブースター付きのバックパックも装備。重装ながら、機動性は並みの量産機を上回る怪物。

 でも超重量故に小回りは利かない。しょうが無い。

 その為に、腰部にはやはりビームマシンカノン×2が装備され、エネルギーを消費しない実弾なので遠慮せずに同時に打てる、145ミリヘビーマシンガンとマイクロミサイルポットをも合わせた、『ブラストファイヤー』が有るのである。

 それでも結果アレだったのは、バードマンの近接戦能力がアレだったから。しょうが無い。

 今気付いたが、名前がバードなのに自力では飛べない機体に乗っているのはこれ如何に(無情)。

 機体は結構優秀なんですよ。FAZZよりも駆動系は実は優秀。あれの駆動系ZZと違ってジム系だから。ジェネレーター出力活かせない張りぼて(マニングス談)なのね。パワーは武装に使ってた。砲台。しょうが無い。

 ファット・バレトとの武装の唯一の違いは、インコムの代わりに長距離2連ロングミサイルポッド×2装備な事。

 乗り手が新兵二人だからしょうが無い(繰り返しのギャグ)。

 頭は顔の辺だけ陸戦型ガンダム。

 C小隊でファット・バレトの両脇を固める僚機となった。

 はあ、やっと主役チームMS全部紹介出来た。

 ちなみに各機体はSS以外はその気になればキット流用で作成可能な筈である(……ファット・バレトは難しいか)。

 お金と時間が有れば(爆)。

 

●ドライセン、サイコドライセン

 基本的にネオジオン軍が使用していたドライセンと同じスペック。

 ジャイアントバズ、両腕に三連装ビームキャノン、トライエッジなどの武装も同じである。

 サイコドライセンは更にそれに加えてドローンファンネルを装備している。

 ファンネルはサイコガンダムMk.Ⅱの、浮遊するだけのリフレクターファンネルなどを除き、地上では重力と大気の抵抗による、推進剤不足の理由で、飛行時間がごく短い、効率の悪い兵器である。それを解消するために、ジェットエンジンと翼を付けた、ドローンファンネルが試作された。

 飛行機構は有名なイギリスのハリアー戦闘機と同じVTOLであり、ホバリングも可能。欠点は大型故に、二基しか搭載できなかった事である。基数の不足はトライエッジもサイコミュ誘導化する事によって補った。

 バックパックはサイコミュユニットも含めた重量増を出力増強によって補うため大型化。出力設定も更にニュータイプ用にピーキーハイパワーにセッティングされている。

 結局やりたかったのだよ、ジェットストリィイムアタアァック!(注、本作中に技名を叫んだ人はいません)

 

 

※人物解説

 

●ルーシー・ランファン准尉(22)

 以下、AKG6(アキバガンダム6)(笑)。

 中華系だが派手な顔立ち、黒髪だが前髪メッシュで一部赤と青に染めている。

 見た目通り大人気ない負けず嫌い。溢れるガッツで接近戦のセンスがある。

 第一話では真っ先に無力化されて、へぼい印象が有ったが、それはラドックが、距離を詰めた時に一番厄介なのは彼女だと見抜いて、集中攻撃を仕掛ける様に指示したからである。

 今回は善戦したが、やはりA小隊では一番未熟なのは変わり無い。無念。

 

●シャーリィ・カーリー准尉(22)

 ブロンドの母性溢れるお姉さんキャラ。でも怒らすと怖く、前衛を努めるのにふさわしい性格。A小隊。

 今後何かとルーシーをかまってはうざがられるが、彼女は気にせずルーシーをオモチ………、もとい、可愛がるだろう。南無。

 

●トマス・オコ-ナー准尉(22)

 落ち着きはあるが積極性に欠けるタイプ。協調性がある分、接近戦では仲間を気にし過ぎて動きが悪くなる傾向が有るため、中衛兼遊撃のB小隊に。

 今回は設計ミスによってひどい目に遭ったし、僚機が自分よりも技量が上で、自分の面倒をまず見なければいけない状況になったので、彼も変わって行く事だろう。

 

●ロデム・ケンザキ准尉(22)

 冷静だが積極性もあり、新兵6人の中では一番バランスのとれた高い技量を持つ完璧眼鏡君。B小隊。

 完璧ゆえに人を小馬鹿にするのが欠点。

 彼自身は優秀故、教官であったバックス中尉に一番気に入られていると思っているのだが――――。

 まあ、直接の上司であるクリプトと同僚のトマスが何とかするだろう。多分(おい)。

 

●ウェイ・バードマン准尉(22)

 接近されるとパニクる癖がある。人間関係でも虚勢を張ってやらかす人。ああ無情。

 だが遠距離狙撃にはセンスが有り、C小隊に抜擢。

 きっとその内芽が出るだろう。今回もアレだったが(ひどい)。

 

●ノートン・ウォード准尉(22)

 ちゃっかり君。狙撃も立ち回りも美味しい所を横から攫うちゃっかり君。C小隊。

 ちゃっかり過ぎてその内トラブルを起こす。

 彼にも本当の意味で美味しい所を頂くキャラになって欲しいものである。

 以上、本作におけるAKG6人衆でした。

 

●メアリー・サンズ中佐(36)

 ヒースロウ准将とそう歳は変わらないが、本来これでもスピード出世のエリートである。

 強襲揚陸艦アルビオン艦長。

 色々苦労を重ねてきて、並大抵の事では動じない所が長所となった。小学生の双子の男女を養う逞しき母でもある。その分やや不感症気味。でも滅多に帰らない家庭では、繊細で優しい夫が補ってくれているので問題ない。

 しかし、仕事はきっちりこなすものの、ヒースロウの精神的ストレスを和らげる役割はあまり果たさない。合掌。

 

●バリー・スミス技術少佐(48)

 海軍MS運用研究チーム室長。事実上のMS実験開発部門の責任者である。

 小柄だが兎に角パワフルな人物。平気で耳たぶを掴んで引っ張りスパナを投げる整備の鬼。今時天然記念物。

 髭面で太っているので愛称はドワーフ。そしてその貌は、知る人ぞ知る往年の名レスラー、ジャイアント馬場の宿敵世界チャンピオン、ハリー・○イス(Gさん笑って許してね)。

 機械以外の世事にはあまり興味ないヲタクだが、年の功で偶にいい事を言う。

 後の世に、ひょっとしたら別姓で、小柄な所や性格とかが似た曾孫とかがいるかもしれないwww

 

●アダム・チェレンコフ技術大尉相当官(40)

 アナハイムエレクトロニクスから出向してきた、プロトガズィ開発責任者。

 優秀な人物には違い無いが、いまいち机上の理屈や数字を追いかけ過ぎるきらいがある。

 所謂青瓢箪だが、これからスミス達に鍛えられ、一人前の技術者となって行くだろう。

 ちなみに見事なアラフォーだがこの先、賢者になって異世界転移する予定は無い(おい)。

 

 ゴーゴン、グェン他のキャラクターの紹介はまた次回以降で。




 痛み分けに終わったジオンゲリラとの戦い。
 だがゴップの命により再戦は許されず、当初の予定通りの演習任務を続ける。
 ニュータイプとの演習を予定されたカリフォルニアに向かった彼等が出会ったのは―――
 第三話 ―サイトシーイング―
 
 てなわけで、ガンダムSS第3話は、8月初旬アップの予定です。
 よろしければ、また次も読んでね!
 お楽しみに~。
 


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サイトシーイング

 半月ぶりの御久し振りです。月2回の連載も軌道に乗り、また皆様にお会いできて感謝感激の豊福茂樹です。
 初めましての方は、どうか是非第一話からご覧ください。もちろん今回つまみ読みしてからでもいいですよ~。
 さて、今回はサブタイトル、サイトシーイングの名の通り、半舷休息、のんびりゆったりバカンス回です。
 皆様も肩の力を抜いて隊員たちの日常をお楽しみください。どうしても緊迫した戦闘を心待ちにしていた人は、ラドック君たちの戦いにご注目下さい。
 それではどうぞ本編をお召し上がりください。
 m(--)m


 機動戦士ガンダムSS

 

 第3話:――サイトシーイング――

 

 -1-

 

 アルビオン司令官室。

 スクリーンに、地球連邦連邦ゴップ議長のデスクに座った姿が映し出されていた。

『ご苦労だった』

「いえ、満足と言える戦果ではありません」

 ヒースロウは眉根を寄せ応える。

『君達本来の任務では無いのだ。そこまで気に病む事は無い』

「………では、ゲリラ追撃は他の部隊が?」

『そうなる』

「自惚れが過ぎ恐縮ですが、我々以外の部隊では徒に被害を出すだけです」

『他の者には聞かせられん台詞だな』

「失礼いたしました」

『私と言えど、全ての者に頭ごなしに命令が下せるわけではないのだよ。人の面子は立てねばならん。連邦軍内部の立て直しを図る我々が、軍内部の対立を生んでは本末転倒だろう?』

「………戦闘指揮官としてばかり物を考え、官僚の考えが出来ず、未熟を恥じるばかりです」

『君の優秀さは知っているし、未熟さを導くために年寄りがいる。肩の力を抜く事だ』

「重ね重ね恐れ入ります」

 通信が切れる。

 ヒースロウは溜め息をつく。

 議長にも、かつての校長にも、軽くあしらわれてばかりだ。

 だが、それでへこんでばかりいないのが自分の性分のはずだ。

 考えろ、自分にできる事を。

 

「おいルーツ、それじゃあ、俺達の出撃は無しか?」

「ああ」

 食堂でクリプトとルーツは、夕食を平らげた後の配給の缶ビールを傾けていた。

「つまんねえの」

「俺だってそう思って部隊長として上申したんだぜ。文句言うな」

「ヒースロウのおっさん、昔はもっと肉食系だったろ?」

「確かに、やられたらやり返すタイプだったよな」

「俺達も含めて、みんなそんな奴ばっかりだったろ」

「でなきゃ軍人なんかやってねえ」

「言えてらあ。でもテックスはちょっと違ってたかな?」

「それは言える。そういや、あいつ今何やってるんだ?」

「軍兵站局。なんでも輸送艦護衛用のモビルアーマーと長距離用ブースター装備のモビルスーツの運用と研究やらをしてるらしいぜ」

「へえ、そりゃスゲーな」

「今戦艦の数が足りなくって、アルファ任務部隊の時も満足なモビルスーツの補給が無くて苦労したろ? だから輸送船単艦でも安全に物資が届けられるようにって、頑張ってるらしい」

「あー。そういやそいつで苦労したよな。最後にはSガンダムを3機の戦闘機に分離させて、無理やり数を揃えてたもんなあ。チクショー、カッコいいじゃねえか」

「美味しいとこだよな」

「まったくだ。俺達なんかパイロットしか能がねえもんな。シグマンは?」

「ギャプランに乗り換えて高高度航空展開部隊の小隊長だと。ガルーダ級のどれかに乗ってるって」

「あいつもパイロットしか能がねえ口か」

「の割には、こないだ同じギャプラン乗りのヴァースキ小隊とやらに演習でボコスカに負けたらしいぜ」

「だっせー。よーし、メールでからかってやるか」

「俺も俺も」

 喜び勇んでポケット端末をピコピコする二人。

 哀れ、シグマン・シェイド(合掌)。

「ここにおられましたか」

 食堂にバックスもやって来た。

 夕食のトレーをテーブルに置き、ルーツ達の向かいに座る。

「結局、我々の任務はどうなるのですか?」

「相変わらずモビルスーツ実験評価の為の演習任務だ。がっかりしたか?」

「いえ。軍人は命令に従うまでです」

「かわいげがねーな」

 クリプトの挑発。

「評価は実力でのみ得るものと思っております」

「クリプトが言ってるのはそう言う意味じゃねーよ」

「?意図がわかりかねます、大尉」

「仲間がやられたんだ。私怨や復讐が褒められたもんじゃねえってわかってても、悔しがる事までするなって命令は誰にも言えねえんだぜ」

「…………」

「ま、お前の心はお前のもんだから、これ以上は言わねえ。それより質問の答えがまだだったな。カリフォルニア基地で強化人間を含む部隊との演習だ」

「強化人間?」

「新型モビルスーツが、どれくらいニュータイプに対して有効かのテストだそうだ」

「あれ、こないだのルーツの相手って、ニュータイプじゃなかったっけ?」

「だよなー。なんでわざわざ、予定とやらばっか消化させようとすんのかね?」

「実戦でいいじゃん」

「いえ、貴重な実験機を破壊の危険に晒すのは合理的ではありません」

「「……堅ってー!」」

 ルーツとクリプトは天を仰いだ。

 

 -2-

 

 ロッキー山脈。

 峻厳な山岳地帯の中に、その保管庫は秘匿されていた。

 コロラド秘密基地。

 連邦が北米戦線に於いて鹵獲、接収した、ジオン、ネオジオンMSの保管基地である。

 ラドックたちの次の攻撃目標だ。

「抜かるなよ」

『当然です』

『任せてください』

 部下たちの頼もしい声。

『誰に物言ってんだい?』

 ゴーゴンは憎まれ口で返す。

 ここにはラドック小隊、ガルスJ小隊、そして奇妙なバックパックを付けたゴーゴンのR・ジャジャ・メデューサの、計7機のモビルスーツで乗り込む。

 歩兵やMSを失った搭乗兵は遅れてワッパ(ホバーバイク)でついて来ている。

「良かろう。行くぞ!」

 ラドックたちは躍り出た。

 

「う、うわあっ!」

 歩哨のジムⅡが撃破される。

 だが、通信を受けた基地の一個中隊、残り8機のMSが次々と出撃準備に入り、固定防禦火砲にも火が入る。

 

『トーチカからの射撃が邪魔で近付けません!』

「止むを得ん。ドローンファンネルを飛ばす」

『待ちな、ラドック。防禦火砲はあたしが黙らせる』

「ゴーゴンか、だがどうやって?」

『一応アタシもフラナガン上がりさね』

 R・ジャジャ・メデューサのバックパックが唸りを上げる。

 ラドックたちは軽い眩暈に襲われる。

 だが、連邦の兵士を襲ったのはそれ以上だったようだ。

(か、怪物が、怪物が来た!)

(ゆ、幽霊だ! ヒイィイ!)

(や、やめろ、やめろぉお!)

 激しい幻覚と恐怖と混乱に陥る。

 トーチカの火砲が有らぬ方向を撃ち始めた。

『神話宜しく石像には出来ないけれどね、サイコウェーブでこれくらいはできる』

「大した力だ。何故ニュータイプ部隊では重用されなかったのだ?」

『効かなかったのさ。シャアやララァ・スンには。意志の強い熟練兵にも同じ。キシリアに見限られるには十分だったし、ハマーンにも重用されたとは言い難いね』

 それも、威圧能力を高めるため、大蛇や大型猛獣のDNAまで注入されたのに、だ。

 金色の猫の目は虚仮脅しの証。

『ほら、現にあのジェガンたちには効いてない。あいつらは任せたよ、本物のニュータイプさん』

「………充分助かった」

『チッ』

 苛立ちを感じたのはラドックにか、敵にか、はたまたゴーゴン自身にか?

 

 -3-

 

 ネバダ基地を飛び去るアルビオンを見送る三つの影。

「期待以上の出来でしたな」

「ガンダムSS、か」

「いい成果になりそうだ」

「掛けた金額が金額だ。そうでなくては困る」

「忙しい身で無ければ、カリフォルニアにも付いて行きたかったですがな」

「そんな事をすれば、後で若い者の小言が怖い」

 笑い合う老人たち。

 

 アルビオン船内。

「結局、あの爺さんたち、なんだったんだ?」

 ルーツがブラウンに問う。

 結局仲は悪いが、遠慮なくものを言い合うようにはなった。

「ヒースロウでも頭が上がらない感じだったぞ?」

「呆れた、経済誌も読まないの? 宇宙経済の重鎮よ」

「へー。で、なんでここに?」

「か・れ・ら・が、この部隊のメインスポンサーなの! とくにガンダムSSとALSSの!」

「そうか。じゃあ、『ありがとな、爺さん』ぐらい言っときゃよかったな」

「貴方、上流階級のマナーってもの知ってる?」

「お前知ってんの?」

「………」

「知らねーんじゃん」

 ヲタクのブラウンも雑誌や漫画で読んだ以上の事は知らないのであった。

 

 -4-

 

 果てしなく青い空と青い海。

 かつて、ジオン公国軍北米拠点であった、現地球連邦拠点カリフォルニアベースに着いたルーツ達を待っていたのは半舷上陸。

 つまり短めの休暇、バカンスであった。

 部隊の人員は当直を決め、交代でカリフォルニアの街に繰り出す。

 MS隊はまずAB小隊が上陸休暇となり、C小隊が待機である。

 そして用意された2台のレンタルオープンカー。

「ルーツ」

 詰め寄るクリプト。

「何だ?」

「ここは譲らねえからな! 誰が何と言おうと女の子たちのエスコートとドライバーは俺がする! 絶対に!」

「好きにしろよ」

「反対しても無駄だ! うんと言うまで駄々こねるからな!ホントだぞ!覚悟しとけ!」

「いや、だから、うん。好きにしろよ」

「………へ?」

「だから好きにすればいいって。俺だってかしましい女子の面倒ばかり見るのも面倒くせーし、有り難いぜ」

「ルーツー!!」

 熱烈なハグをかますクリプト。

「よせやめろ、うっとおしい!」

「有難う、恩に着るぜルーツ! もしお前が靴を舐めろと言えば喜んで舐める!!」

「いらねーってんだ!このボケえ!!」

 ボディーを貫く鉄拳制裁。

「うへへへ、痛いけど痛くないぜ………」

 腹を押さえ崩れ落ちながらも、クリプトは危ない薬でもキめているかのように、凄く爽やかな笑顔だった。

 

 結果、ルーツの車には、オコーナーとケンザキとスミス。

 クリプトの車には、ランファンとカーリーとブラウン。

 ルーツ一行は主に、のんびり出来る飲食店やビーチを巡り休息を満喫するルート、クリプト一行はやはり、女性中心なので、ショッピングとレジャーを満喫するルートとなった。

 

 -5-

 

 贅沢なランチと観光船のミニクルーズを楽しんだ後は、のんびりと夕食までの時間を、ビーチ際のデッキでスナックとビールやカクテル(ルーツだけノンアルコール)をテーブルに並べ、チェアに寝そべって過ごす。

「今だけはセレブ気分だな」

 スミスが欠伸をしながら呟く。

「ああ、出来れば毎年こうしたいもんだ」

 ルーツもグラスを傾けながら肯く。

「平和様様だな」

「ゲリラにだってこうして欲しいぜ」

「フッ、違いねえ」

「それでは我々の仕事が無くなりますね」

「そ、それは困るよ」

 ケンザキの茶々にオコーナーが狼狽える。

「生憎そうはならねーから困ったもんでな」

「違いねえ」

「喜ぶべきか悲しむべきか」

「だよねー」

「ケンザキ、オコーナー」

「「はい?」」

「―――いや、まあいいか。仕事の話は今するもんじゃねー」

「「はあ」」

「それよりあっちでビーチバレーやってるぞ、お前等混ぜてもらったらどうだ?」

 流石に3月初めでは、泳ぐ者はいない。

「大尉は?」

「年寄りだからな。昼寝の方がいい」

「我々と2歳しか違いませんよ?」

「ていうか、訓練でしごく時、いっつも俺達よりタフじゃん」

「それとこれとは別さ。ほれ、行って来い」

 二人はルーツの言いように、顔を見合わせて肩をすくめてから、それでもバレーをしに立ち上がった。

 だが、その向かう先の砂浜のバレーコートでトラブルが起きる。

 姉弟と思わしき子供が遊んでいたボールが、バレー場に転がり込んだ。

 子供たちはイタチのように素早く走り、ボールを取りに飛び込む。

 当然プレーの邪魔になり、大人たちは子供に文句を言う。

 だが、子供は欠片も取り合わず、無言、無表情で立ち去ろうとした。

 大人たちは当然怒りだして子供たちのパーカーを掴もうとするが、子供たちはするすると逃げる。

 だが、人数の差は明らかで、いかに子供が俊敏でも、いずれ掴まって酷い目にあわされるのは、時間の問題に思えた。

「まずい、あれじゃあ」

 オコーナーは仲裁に入ろうかどうか逡巡する。

「放っておけよ」

 ケンザキは我関せずとチェアに戻ろうとする。

「いや、でも、やっぱり」

 オコーナーはルーツに頼みの視線を向ける。

 だが、チェアに彼の姿は無い。

「あれ?」

 振り返ると、既にルーツは陸上選手のような勢いでバレー場に向かって走っていた。

「ええ、えー?」

 オコーナーは慌ててその後を追う。

 

 -6-

 

 クリプトは途方に暮れていた。

 カーリーはひたすらランファンの世話を焼きたがり、ランファンはそれに抵抗するので一杯で、会話に割り入る隙がない。

 ブラウンはと言えば、イヤホンに音楽を流しっぱなしで、目線は店の食べ物や商品か。それ以外は文字通りうわの空で、空中に絡まった思考やアイディアの糸を、解そうと必死になっているようにしか見えない。

「そ、そろそろお茶にしない?」

 必死に食い下がるクリプト。

「お茶ですって、ならランファンちゃん、ここにしない?」

 端末にお勧めの店を浮かび上がらせるカーリー。

「うっせーな! アタシはこう言うのが好みなんだよ!」

 ゴシックな店とパンクな店に真っ二つに割れる。

「な、なら、間を採ってこんな店は……」

 クリプトは仲裁のふりをして会話に加わろうとしたが―――

「うわー、凄ーい、パンクー! 一度行って見たかったのー。案内してね、ランファンちゃん」

「アタシだってカリフォルニア自体初めてだよ!」

「でもー、パンクな店には行き慣れてるでしょー」

「そりゃそうだけど、おい、ブラウン。お前はそれでいいのかよ?」

 とても上官に向ける言葉遣いではない。

「んー。いいわよ」

 そう答えるブラウンはちっとも気にせず、端末には何か小難しい論文。

「お、俺もそれでいいよ」

「「あ、別に聞いてないから」」

 クリプトは顔で笑いながら、心で滂沱と涙を流した。

(どうして俺はこうも相手にされないんだ?)

 もし、この心の声が彼女らに聴こえていたら、

(ハーレムを羨ましがる男なんてねー)

(自分もっていうか、自分こそハーレムを築きたがってるって公言してるのに気付かないのかしら~)

(アホよね)

 と答えただろう。

 自業自得である。

「こっから近いよな。車よりも歩いて行った方が早いみたいよ」

 端末で道を確かめるランファンに一同が付いて行く。

「あ、この信号機の先だよ」

 一同はシグナルが変わるのを待つ。

 横断歩道の向かいには大きな荷物を抱えた年配の女性。よたよたしている。

(危ないなあ)

 一同が危惧したその通りに、荷物の一部が車道側にこぼれ、それに慌てた老女がバランスを崩す。

「「「やばっ!」」」

 女性陣が驚愕に固まり、やって来た車は急ブレーキを踏む。

 間に合わないタイミング。

 だが、クリプトは既に駈け出し、老女に抱き付きタックルを決める。

 こぼれた商品は轢かれた。

 だが、二人はギリギリで轢かれずに済んだ。

「「「は~~~~~~~」」」

 女性三人はへたり込んで安堵のため息を漏らす。

 車は一度止まったが、ばつが悪かったか、すぐに逃げ去る。

「ふ~」

 クリプトも立ち上がり息を衝く。

「婆ちゃん大丈夫か? 予め言っとくが、俺に惚れるなよ」

 

 老婆は重ねて礼を言い去って行く。

「やるじゃん」

「正直見直しましたわ」

「ホントに」

「まあな。この世の女性は、みんな俺の心のハーレムの姫だからな。皆等しく助ける義務が俺にはあるのさ」

「「「…………………………」」」

「あー、あれだ。お前、ただのアホじゃなくって、本当のアホだったんだな」

「格を下げるべきか上げるべきか悩みますわね~」

「いっそ立派ね。関わりたくはないけど」

「えー、関わってくれないと泣いちゃうよ、俺!」

 一同に笑いが巻き起こる。

 女性陣のクリプトへの扱いは多少マシになった。

「ま、命懸けだったもんな。正直で嘘が無いのだけは、いい奴だと認めてやるよ」

 そう言って笑い涙を拭うランファン。

 

 -7-

 

 不思議な子供達だった。

 大人たちが手を延ばそうと、目つぶしに顔に砂を投げつけても、まるで予め、それがわかっていたかのように、するりするりと身を躱してしまう。

 だが、大人達は輪を作り、それを縮めにかかる。

 こうなると、もう、どう先を読んでもあがいても、子供と大人の身体能力差で無理だ。

 女の子と男の子は逃げ回るのをやめる。

 大人は当然泣いて謝るものと思った。

 だが、女の子は冷たく無表情に言う。

「好きにすればいい」

 男の子も口を開く。

「やっぱり人間て、弱い者いじめが好きなんだね」

「「「なっ」」」

 大人たちは唖然とする。

「ふざけんなよ!」

「てめえが人の邪魔して迷惑かけておいてそれか!」

「親の代わりに躾けてやんぞ、コラ!」

 次々と浴びせられる恫喝。

「ほら、正義を振りかざす」

「自分が時に弱者や敗者に追いやられるなんて考えてない。目を背けてる」

 大人たちは薄気味悪くなる。

 だが、一人がブチ切れる。

「そう言う可愛げの無い舐めた口きいてると、どうなるか教えてやるぜ」

 拳を振り上げる。

 だが、その腕は背後から掴まれた。

 万力か何かで固定されたように動かない。

「地球連邦軍の者だ」

 ルーツが空いている方の手でサングラスを外す。

 猛禽の眼光。

「生憎警察と違って逮捕権は無いが、治安を守る義務と、職務遂行の障害と見做せば拘束する権利はあるぜ」

 大人たちはたじろぐ。

 本物の命のやり取りをした戦士にしか、出し得ない威圧感。

 それはかつてルーツが、敵であったブレイヴ・コッドに感じたそれであったのだが。

「そのガキどもは俺が説教くれてやる。それで勘弁してやれ」

 大人たちは引き下がる。

 

 遅れて(実は大人の数よりルーツにビビッて)やって来たオコーナーは、子供たちに優しい言葉をかける。

「怖かったね、もう大丈夫だよ」

「別に」

「怖くなかった」

「そんな………、強がらなくてもいいんだよ」

「強がってない」

「平気」

「せいぜいぶたれるぐらい、なんでも無い」

「もっとひどい目いっぱいあった」

「―――――――っ!」

 オコーナーは絶句した。

「それでも、例え行きずりでも、お前等が平気でも、俺達はお前らが酷い目に会えば辛い。欲張りなんでな」

 子供たちはルーツの言葉に目を丸くする。

「お前らの言う通りだ。たとえ勝者でも正義でも、何をしてもいい訳じゃない。それでも人は人を労わらなくちゃならない。でも、だからこそ、お前等もお前ら自身を労わるために、礼を尽くし、可愛げも見せて自分を守らなくちゃならない。今お前を愛してくれる人の為、これから愛してくれる人の為だ」

「………むずかしい」

「………出来ない」

「ゆっくり考えてわかってくれればいい。その内できる。きっとそのために、お前たちは今まだ子供なんだぜ」

 ルーツは子供たちの頭をポンポンとあやすように叩く。

 子供たちは不思議とされるがままだった。

「礼を言います」

 近付いてくる年配の黒い肌のアーリアの紳士。

「私の子を助けてくれて有難う。その上、私が、この子らに言わなければならない事まで、貴方は言ってくれた。どう感謝をすればいいかわからない」

「………失礼だが、実のお子さんじゃないな。そりゃあ、遠慮して言い難かったのも仕方ねえ」

「まあ、分かるのは当たり前ですな。歳も違い過ぎるし肌の色も違えば当然の推理。この子らは戦争で孤児になった子です。私は幸運にも引き取り手になれただけ。可愛くて仕方無く、つい説教をおろそかにしてしまう」

「遅れてきた親バカだな」

「まったく」

「俺は、お役に立てませんでした……」

 項垂れるオコーナー。

「いえ、貴方がお優しいのは見ていて分かりました。努力と経験は、これから積まれればいい。私の様に爺馬鹿になる前にね」

 紳士はウィンクした。

「そう言えば名を名乗っていなかったですな。私はソラン・ラマカーニ。この子らはセヴ・ラマカーニ、ノイ・ラマカーニと言います。よろしく」

「……よろしく」

「……よろしく」

「こちらこそヨロシクな」

「よ、宜しくお願いしますっ」

 しゃちほこ張るオコーナーにルーツが苦笑していると、今度は息せき切ってケンザキが走って来た。

「も、申し訳ありません! ラマカーニ准将のお子様とは露知らず! 知っていればこのケンザキ、身命に変えましても――――」

 ラマカーニは手で制す。

「もういい。それ以上言い訳をすると、却って不快だよ」

「………は、」

「まあ、そう目くじら立てんな爺さん。こう見えてこいつらは、お互いに無いものを持ってていいコンビなんだ。それに免じて勘弁してやれ」

「た、大尉、何と不遜な!」

「じゅ、准将ですよぉ?」

「いや、いい。確かに私も大人気なかった。言われてみれば、ケンザキ君とオコーナー君はお互いを見習うと好いようだな。そうしてくれるなら矛を収めよう」

 

 その後、成り行きで皆でビーチバレーをする事にした。

 ただしスミスを誰も誘わなかった。あの背丈にバレーは地雷だろうと、誰も口にせず思った。

 ルーツとソランとセヴ、ケンザキとオコーナーとノイに分かれてゲームを始める。

 ゲーム中もルーツの容赦の無い説教が飛ぶ。

「オコーナー、仲間の顔色ばかり窺ってんじゃねえ! 初めて女をデートに誘った童貞かお前は? 仲間が好き過ぎて仲間の方ばっかり怖がるのは結構だが、敵だっておっかねえんだ、敵にも気や眼を配りやがれ!」

 容赦の無い顔面アタック。

「ケンザキ! オメーはその逆だ! 仲間だって機嫌を損ねりゃおっかねえんだ! いつまでテストで自分だけいい点取ってりゃいいと思ってんだ? 今回の爺さんの事で思い知っただろうが! オメーは仲間や人に惚れる度胸もねえ、金の代わりにテストの点数払って色町に通う素人童貞か? この臆病モン!」

 容赦の無い顔面スパイク。

 二人は色んな意味で砂浜に沈んだ。

 いと哀れ(合掌)。

「礼を言うぜ爺さん。爺さんこそこっちが奴等にするべき説教の機会を作ってくれたもんな」

「では、貸し借り無しだね」

「ああ、おあいこだ」

「だが、この後君達にディナーを御馳走するのは、年長者の見栄という事で勘弁してくれたまえ」

 太平洋の波を、夕日が煌めく黄金に染めていた。

 

 -8-

 

 鋼の巨躯が蹂躙を始める。

 その名を量産型ビグザムと言う。

 Iフィールドがビーム兵器を弾き、ミサイルや戦闘機は拡散メガ粒子砲が迎撃して寄せ付けず、180ミリ砲でさえその装甲を貫けはしなかった。

 中央の収束巨大メガ粒子砲に火が入る。

 火箭は、時にモビルスーツを部隊ごと、時に基地を建物ごと蒸発させた。

 随伴の部隊は連隊規模に及び、最早、これを単独の基地や部隊で止める事は不可能と思われる。

 すでに、それはゲリラと呼ぶには相応しくない規模の災厄、脅威だった。

 

「まさか、こいつが眠っていたとはな」

 ラドックが呟く。

『しかも連邦の奴ら、まさか御丁寧に未完成のこいつを、足りないパーツまで作って組み立ててくれてたなんて、傑作さね』

 ゴーゴンも興奮を隠せない。

『やれる、大尉、これなら北米を再び俺たちの物にできますぜ!』

『調子に乗るな、ジェイス。それより、こいつで打ち上げ基地を奪って宇宙に還った方が得策だろう』

『グェンに賛成』

『そういやオフクロ、サイド3で元気にしてっかなあ?』

『じゃあ、逃げ回ってた生活も終わりか』

『帰れるんだ』

『長かったなあ』

 兵達は、再び目に輝きと希望を灯し始める。

 いい事なのだろう。

 だがラドックは思う。

 この惨禍のツケは、いつか自分の命で償う時が来るだろうと。

 そうせねばならぬ。

 だが、せめて部下たちだけは、生かして家族の元に還したかった。

 

 ―第4話に続く―

 

 

 おまけ。

 

 ガンダムSS設定

※キャラクター解説

 

●リョウ・ルーツ

 紹介2回目。やはり主人公。

 SMどちらかと言えば、やっぱりタカさん系面倒見のいいサディストな性格。きっと星座は牡羊か獅子だと思うけど、大日本絵画社さんに教えて欲しいこの頃。そんなSでもセンチネルから相変わらず、人の言葉をきちんと受け止める、根が素直な処がいい所。

 何?じゃあ、機動戦士ガンダムSSの『SS』は、『素直なサディスト』の略だったのか?(おい)

 可哀そうにAKG6(TT)。だが、今後も被害者は増えるだろうwwww

 

●シン・クリプト

 ついでにこいつも。『M』で嘘が無い欲望に『正直』な人。略して『MS』………苦しい。

 二人ともエースパイロットだけあって、心と行動が常にダイレクトである。別にギャグで言ってる訳では無く、本当にそれは大切な事。自分に嘘や誤魔化しを重ねれば―――、この言葉の先を、AKG6とバックスが早く気付いてほしいものです。で無いと死にます。だってガンダムだから。

 

●セヴ・ラマカーニ(15)

 ムラサメニュータイプ研究所強化人間、セヴン・ムラサメ。

 ナイン・ムラサメとともにムラサメ研究所崩壊とともに行方不明となっていたが、カルト宗教団体に拾われその能力を悪用されていた所を、警察当局が摘発、保護した。

 その後、それを知ったソラン・ラマカーニが、ナインともども自らの養子として引き取ったのである。

 無理な強化処置の所為か、あまり感情を表に出す事が無かったが、今回ルーツ達と出会う。

 本来ならば初恋の一つでもする時期の、中学生の女の子である。

 

●ノイ・ラマカーニ(12)

 ムラサメニュータイプ研究所強化人間、ナイン・ムラサメ。

 彼も感情表現に乏しいが、本来ならば腕白盛り遊び盛りの、小学生の男の子である。

 だが、数奇な運命は彼を姉ともども、巨大で過酷な渦に呑み込んでいくのである。

 

●ソラン・ラマカーニ(62)

 元ティターンズ兵站局長。現北米地区方面軍兵站局長。准将。

 外見は眼鏡をかけたインド系なので、ふくよかなマハトマ・ガンジーの様。

 グリプス戦役後は大佐に降格されていたが、その働きぶりと人柄から、すぐに准将に復帰。

 温厚篤実、公正にして面倒見の良い人柄を慕う者は多く、また、彼が何故、後方勤務専門とは言えども、過激なティターンズに所属していたのか首をひねる者も多く、それが無ければ既に少将以上になっていたろうとの評価を得る人物である。

 せヴとノイを養子にしたのも、美談として疑う者はいない。

 そして、ある意味彼ほどグリプス戦役に関わる一連の悲劇を悲しんで止まぬ者はいないのも、事実である。

 

●アナンダ・ゴルゴン(29)

 通称ゴーゴン。階級は大尉。

 1年戦争時、ニュータイプの素養有りとしてフラナガン機関で訓練を受けるが、キシリアの目には敵わず、すぐにニュータイプ部隊からマハラジャ・カーン提督部隊に転属となった。

 その能力はいびつであり、一般兵への効果は絶大であったが、本文中にもあるようにニュータイプや熟練兵には通用せず、結果、マハラジャもハマーンも、あまり重要でない拠点の制圧任務、所謂『ドサ回り』部隊として運用した。ネオジオンが少数ながらも地球連邦と互角に戦えた一翼を担いながらも、遂に陽の目を浴びる事の無かった悲運の戦士と言える。

 そりゃひねた性格にもなるわ。

 そんな彼女もラドックと出会った事により――――

 だが、それが果たして幸運かどうか。

 戦争とは哀しみと悲しみしか生まぬ存在である。

 

●グェン・ロー(33)

 ラドックの副官。

 冷静な人物だが、思い詰める傾向のあるラドックをおもんばかって、わざとジェイスと同じ様な明るいお調子者を演じている。撫でつけた黒髭の似合う部隊内で一番大人の好人物である。

 

●ジェイス・クール(27)

 ラドック隊最年少(整備兵や歩兵も含めて)。

 こっちは本当のお調子者であるが、それゆえに部隊内では愛されキャラのムードメーカーである。

 

 

※メカ解説

 

●R・ジャジャ・メデューサ

 ニュータイプ同士が精神感応によって、お互いの記憶やイメージを一瞬にして大量に伝達する現象は皆様ご存知の通りだが、ゴーゴンのそれは、一方的に恐怖のイメージを一般人に送りつけるものであった。

 故に本機体は、その精神波を増幅する為のバックパックを装備している。頭部後ろからバックパックには、その為の灰鉄色の装甲ケーブルが、メデューサの蛇の髪の毛の様に複数本繋がっている。

 乗り手ともども『ドサ回り』に使用された、不遇の機体と言えよう。

 

●量産型ビグザム

 ゲーム等で御存知の方もいらっしゃるであろう、重モビルアーマー。本作オリジナルではありません。

 かつて、ドズルの命により、亡きガルマの為、そしてジャブロー攻略の為に地上制圧用に部品を持ち込んで組み立て始めたはいいが、完成率38パーセントの時点で一年戦争終了。活躍の無かった機体であった。

 何故、本機が連邦の手で組み立てられていたかと言えば、サイコガンダム系列開発の為のデータ収集用。本当にこんなでかい機体が地球上で動かせるの? 何だ出来るんだ。じゃあ予定通りサイコ作っちゃえ。である。

 もしこの機体が無ければ、実験データ採取用の試作巨大フレームを、何体も、しかもパーツ一つの設計から自前開発で作らねばならなかったので、予算上最も少ないコストのこの方法が取られたのだが、ただより高いモノは無く、後にサイコガンダムとMk.Ⅱ自体も含め、色々と連邦自身の首を絞める事になったのである。

 たたりじゃあ、ドズル様とガルマ様のたたりじゃあ(おい)。

 




 切なくよぎる、ラマカーニとティターンズの過去。彼等にだって、幸せな時は有ったのだ。
 そして始まるカリフォルニア演習。パイロットスーツを着て姿を現したのはあの―――
 待遇改善を望む元ティターンズパイロット達とルーツ達の意地がぶつかり合う。
 第4話 ―シミュレーション―
 
 そろそろお気付きの人もいらっしゃいますでしょうが、サブタイトルはすべて頭文字『S』で統一しております。
 せっかくメインタイトル『SS』なので。
 六田昇先生の『F』と言う漫画を知っていらっしゃるお方は、ああ同じ洒落方だな。と御納得下さい。。
 さて、次回はまた半月後。ガンダムSS第4話は、8月中旬アップの予定です。
 よろしければ、また次も読んでね!
 おたのしみに~。
 (^^)/


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シミュレーション

 今回も半月ぶりの御久し振りです、またお会いする事が出来て感謝感激の豊福茂樹、またの名を東の外記・しげき丸です。
 初めましての方は興味をお持ち下さりありがとうございます。是非第一話からを宜しくお願いします。もちろん今話をつまみ読みしてからもOKですよ!
 月2回の連載もどうにか軌道に乗ってまいりました。全12話、アニメで言えば1クールの予定ですので、本連載は予定では丁度年内いっぱい12月中旬までと言う事になります。宜しければ最後までお付き合いください。
 今回はニュータイプ(強化人間)や元ティターンズパイロットとの大規模演習回です。全開戦闘成分不足だった分も是非お楽しみください。人間ドラマの方は、特にラマカーニおじさんに注目となっております。
 それではどうぞ本編をお召し上がりください。
 m(--)m

 追伸:捩じれ骨子様、毎度感想有難うございます。
 


 機動戦士ガンダムSS

 

 第4話:――シミュレーション――

 

 -1-

 

 大西洋上空。高高度航空展開部隊。

「悪いな。大尉の辞令は俺が先に受け取らせてもらった」

 ヴァースキ元中尉はそう言って、シェイド中尉の胸を拳で軽く小突く。

「演習はアンタの勝ちだったんだ。当然だろう」

 シェイドは眉根を寄せて言い返す。

「何故負けたかわかるか?」

「腕の差だろう?」

「違うな」

「?」

「見たところ貴君は苦労を背負い込む性質らしい。周りを俺が面倒見てやっていると思ってないか?」

「説教か?」

「まあ聞け。所詮それは、貴君が好きでやっている事に過ぎんのだよ。自分が割を食ってやっているだのの、美化や言い訳はしない事だ。素直に楽しめ。結局勝負を分けるのはそんな事の差だ」

「アンタは、何が好きでやってるんだ?」

「戦争さ。

 好きな事をやっているんだ、そもそも損などしてはいない。

 それで不自由ない給料まで貰えている。十二分だろう?」

 そしてヴァースキはシェイドの肩を叩き、すれ違いその背後に去って行く。

「行くぞ、バレンスタイン、カワセ」

「「はっ」」

 

 シェイドは暫らく言葉の意味を考えながら、三人の去った通路を眺めていた。

 するとポケット端末が鳴る。

 見ると馬鹿二人からのメールだ。

 地獄耳め。

 シェイドは唸る。

 美化や言い訳か。そういえば先に大尉になっちまったルーツは、美化や言い訳なんか大嫌いな、ツッパリ野郎の大馬鹿で、クリプトの奴は美化や言い訳以前の、只のお調子者で素のおバカだったな。

 あいつらもこれから演習か。

 シェイドは『うるせー、お前等も負けちまえ!』と返事のメールを送る。

 そのまた返信は『『負け犬の遠吠え、腹抱えてワロタ(^Д^)』』。

 端末を床に投げつける。

 頑丈な軍用で無ければ壊れていただろう。いと哀れ(合掌)。

 

 -2-

 

『オヤッさん、有難う』

『オヤッさんのお蔭で物資に苦労せず戦えたよ』

『一年戦争の時とは大違いだぜ。あの時は晩飯が缶詰一つだけなんて時も有ったもんな』

『弾薬の心配もせずに済むし、飯の苦労どころか本物の肉だって好きなだけ食える』

『これでゲリラになんか負ける訳無いって』

『バスクの親父なんか、人使い荒いだけで、オヤッさんみたいな気づかいしてくれないもんな』

『ジャミトフの爺さんだって、ラマカーニのオヤッさんには頭が上がらないよ』

『オヤッさんの恩に報いるためにも、早くゲリラを根絶やしにしないとな』

『そしたらみんな平和に暮らせる』

『待てよ、そうなったらティターンズも解散か?』

『連邦軍だって大半はリストラだぜ』

『モビルスーツだって、昔のカートゥーン(子供向けアニメ)みたいに、小型の警察用しか要らなくなるって』

『いいな、それ。子供のヒーローだぜ。じゃあ、俺達みんな警官に鞍替えだ』

『じゃあ総監はオヤッさんがなってくれよ。バスクの親父はホント人使い荒いから』

『しょうがねえよ。あの親父だってオーストラリアのコロニー落としで身内が死んでんだ。親父自身だって目をやられてる、そりゃ、仕事にも身が入り過ぎるさ』

『ジャミトフの爺さんだって、可愛い部下を沢山スペースノイドに殺されてる』

『必死にもなるよな』

『だから俺達だって、付いて行くんだ』

 そこには、確かに平和を願ってやまぬ、夢と理想が有った。

 だが、彼等の姿が消える。

 ラマカーニは必死で探す。

 彼等の姿は手の届かぬ所にあった。

 ある者は士官の身分を剥奪され、仲間に蔑まれ、暑い日も寒い日も銃を持って孤独に歩哨を努める。

 ある者はやはり身分を剥奪され、仲間に蔑まれ、整備士の下働きで、来る日も来る日もMSにすら触らせてもらえずに、重いオイル缶や工具箱やMS部品を運ばされるだけの、奴隷同然の扱い。

 ある者は、独房の中、雑居房の中、監獄の中、戦争犯罪者として絶望の日々を過ごす。

『『『助けてくれ、ラマカーニ、オヤッさん』』』

 せめてその声だけでも、聞く事が出来ればどれだけマシか。

 彼等からの電話は、メールは、連邦に厳しく監視され、連絡を取り合う事すら反逆準備罪に受け取られかねなかったのだ。

 手を伸ばす、手を伸ばす、手を伸ばす。

 だが、可愛い子供たちに、この手は届かない。

 自分にもっと長い手が有れば、自分にもっと力強い手が有れば。

 必死に手を伸ばし叫ぶ。

 なのに、叫んでも叫んでも喉から声が出ない。

 伸ばせ、振り絞れ、もっと、もっと―――

 

「ヒハッ」

 

 気付くと、そこはベッドの上だった。

 腕を虚空に伸ばし、息を荒げる老骨の無様な姿が有った。

 ラマカーニは身を起こし頭を振る。

「大丈夫だ」

 立ち上がり歩き出し、カーテンを開け、朝日を睨み付ける。

「必ず、手を届かせる、届かせてみせる」

 流す涙は、決して眩しさの所為だけでは無かった。

 

 -3-

 

 北米カリフォルニア基地、アルビオンMSデッキ。

「………参ったな」

 スミスがぼやく。

「どうしたのよ?」

 共に整備していたブラウンが、スミスの手元を覗き込む。

「――スマッシュユニット納入延期の御報せ――って、演習に間に合う筈だったモノじゃない?」

「工廠の奴らめ、本当なら俺達がカリフォルニア入りする前に届けるって言ってやがったんだぞ」

「無いとヤバいんじゃない?」

「仕方ねえ、戦闘機用の短距離ミサイルやロケット弾でも積むしかねえな。この基地なら模擬弾の備蓄があんだろ。重量増加対策は、有りもののブースターでどうにかするか」

「まあ、相手がIフィールドなら、それしかないわよね」

「そういや、こっちもスマッシュユニットに付く筈だったIフィールド装置だが、どうする?」

「強化バックパックが無いと、SSに付けても出力不足がいなめないわよね」

「ますます機動力が落ちちまうからなあ、いっそ別の機体に付けちまうか」

「そうね、どうせ別ユニット用のと予備も併せて3基もあるし―――」

 

 一方、整備の様子をキャットウォークから眺めながら、ルーツ達パイロットは流動食での昼食を摂っていた。

 パイロット用に凝った味付けがされているとはいえ、やはり満足感には欠けるが、大規模演習前の、最後の実機練習を控えているので、高Gに備えて吐瀉の危険は減らさねばならない。

 ルーツとクリプトは、たまたま隣にいたバードマンに声をかける。

「よう、お前等の休暇はどうだった?」

「ナンパでもした~?」

「したよ………」

「ほう。の、割には浮かない顔だな?」

「フラれたんだ~、あらら」

「違うっすよ………」

 バードマンは続きを言い辛そうにしていたが、やがて口を開く。

「………ウォードの奴、俺が声をかけてた女の子を、横から攫いやがったんだよ!それも可愛い方を!」

「「あ~~~~」」

「お前、戦闘でも女でも、いざ相手が近付くとテンパるもんな」

「そうなんだ~、じゃあ今度、俺がナンパ教えてやるよ」

「ち、違うっスよっ、俺の所為じゃなくて奴の所為だよ!」

「どっちでもいいよ、そんなの。それよりもクリプトの好意は素直に受け取っとけ。折角の度胸を磨くチャンスは棒に振んな」

「そ、そんなのって、どっちでもよくねーよ!」

「まあ、それでも可愛くない方とはよろしくやれたんだろ? どこまで行った? シンお兄さんに教えて御覧」

「それが、途中でバックス中尉がやって来て、『大規模演習前に不謹慎だ』って。お流れだよ」

「「あ~~~~~~」」

「ヒデエだろ。全く踏んだり蹴ったりだよ!」

「美味くねえなあ」

「確かに」

「だろう? 俺可哀想だよ!」

「いや、お前だけじゃなくてさ、三人とも可哀想っつーか、ウォードの奴、その内手前の狡すっからさで自爆して痛い目に遭うだろうし、バックスも、その内爆発するぜ。さて、どうしたもんかなぁ?」

「部隊長は大変だ~」

「他人事みたいに言うな、てめーも副部隊長だっ!」

 ルーツの振り下ろす拳槌がクリプトの脳天をクリティカルヒット。

 KO。

 

 -4-

 

 やがてカリフォルニア基地は演習当日を迎えた。

 基地東部の演習場の荒野で、お互いの部隊長が開始前の儀礼としての挨拶を交わす。

「リョウ・ルーツ大尉です。よろしく」

「カルロス・アヴァン大尉だ。よろしく」

 年の若いルーツから出した手を、アヴァンが握り返す。

「実は、もう二人、ルーツ君に挨拶したい者が居る」

「光栄だな。喜んで」

 アヴァンの後の車両から、小柄なノーマルスーツ姿が二つ。

「お前ら………」

「人工ニュータイプのセヴとノイだ。なんでも一度会った事が有るそうだな?」

 かつてそれは強化人間と呼ばれていたが、今は差別用語としてそう呼ぶ事は憚った。

「軍人だったのか?」

 二人に問うルーツ。

「違う」

「軍から協力して欲しいと言われただけ」

「立場は民間人」

「軍属、違う」

「そりゃそうだな。お前等は子供をするのがホントの仕事ってもんだ」

「ソランもそう言ってた」

「うん」

 アヴァンは口笛を吹く。

「驚いた。本当に普通の子供として扱うんだな、剛毅なものだ。流石スーパーエースは違う」

「……別に、普通だろ」

「でも、お兄さんを負かしてもいいの?」

「負けたらお兄さんが可哀想」

「言ってくれるな、俺様達に勝つ気でいやがる。心配するな、どっちが勝っても誰も死なねー御遊びさ。この前のビーチバレーと同じだ、負けん気もいいが楽しむくらいで丁度いい」

「本当?」

「いいの?」

「ああ、手加減無しでいいさ、こっちもそうする。

 それに俺達は本当の事がわかりたいんだ。もっとMSを上手く操るにはどうしたらいいか、もっと強いMSを作るにはどうしたらいいか、いつだって本当の事が知りたいんだ。お前等が本気で戦ってくれなきゃわからない事がきっといっぱいある、それはきっとお前らもだぜ。ワクワクするだろう?

 だから本気で来い。ニュータイプなんて関係ないさ」

 セヴとノイはまた目を丸くし、それから顔を見合わせ、少しだけ喉をククッと鳴らす。

 それは、僅かだが、初めての年相応の笑みだった。

 

 -5-

 

「ではこれより大規模実機シミュレーションを開始する。カリフォルニア基地司令として模擬交戦を許可する」

「ヒースロウだ。同じく許可する」

「では、見届け人として私ラマカーニも許可します」

 准将3人の立会いの下、演習が開始される。

 3人の他にもモニターでは、ブラウンやスミスはじめ技術者たち、ゴップ議長や軍高官たちがこの演習を眺めていた。それには新型機開発のみならず、もう一つの重要事案の対処にも関わる判断が有ったからだが。

 

 部隊は共に中隊規模、9機対8機。

 カリフォルニア特別編成部隊が8機なのは、セヴとノイの人工ニュータイプ部隊が2人で1小隊とするからだ。その理由は、セヴ操る可変巨大モビルスーツ、サイコガンダムMk.Ⅱを、その巨大さゆえに1機で2機分と戦力換算しての事だ。

 カリフォルニア特別編成部隊は、カルロス・アヴァン大尉の指揮第1小隊がジェガン・Oタイプ3機、第2小隊もジェガン・Oタイプ3機、そして第3ニュータイプ小隊がドローンファンネルを12基装備したサイコガンダムMk.Ⅱと2基装備のサイコバイアラン。

 ジェガン・Oはジェガンをプロトガズィ同様のチューンを施した機体。ノイのサイコバイアランも通常型より機体を強化したニュータイプ専用機である。

 対する第8期MS実験開発部隊は、ミサイル強化型となったガンダムSS、そしてやはり使い捨てのミサイルポッドを装着したプラスF2機、デルタS、プロトガズィ2機、及びファット・バレットとグスタフ・ガン2機のおなじみの面子である。

 

 カリフォルニア部隊は鉄壁の防御力を誇るサイコガンダムMk.Ⅱを前面に押し立て、両翼をジェガン・O部隊で固めるオーソドックスな戦法。サイコバイアランは単騎で遊撃役である。

 対するヒースロウは、前衛兼右翼を第1指揮小隊。左翼やや後方を第3火力小隊にして、戦況の推移によってはそのまま火力の力押しで前面を受け持たせる戦法を選択。

 これには、第2小隊のプロトガズィがMS形態での近接戦に、改良を加えたものの不安が残るためで、なるべく高速飛行形態での遊撃のみをさせたい事からの、苦肉の策であった。

(α任務部隊では火力支援機のFAZZの運用に、マニングス共々手を焼かされたが、今度は可変機の方とはな。やはり試作機がすべて上手く行くと思うなど、虫のよい話だ)

 基地管制塔の特別席で、肉眼とモニター両方で戦場を眺めながら、ヒースロウは誰にも聞こえぬ声で呟く。

(一番の問題はやはりファンネルだな。ルーツの奴、1基でも多く引き付けろよ)

 

 ガンダムSSが突出する。

「行くぞ、ぺ……じゃなかった、アーサー!」

『はい、大尉』

 12基のドローンファンネルがWR形態のSSを一斉に取り囲む。

「うおおおぉおりゃあぁあ!」

 警告音とモニターに浮かんだ矢印で、ALSSが最適の回避ルートを示す。

 ルーツはそれに大体は従いつつ、時に自分の勘も優先し、ビームの嵐を潜り抜ける。

 SSがサイコガンダムMk.Ⅱを短距離ミサイルの射程に捉える。

 

『やらせない』

 セヴは拡散メガ粒子砲で迎撃にかかる。

 

 だが、ルーツは機体を寸前で翻し、全てのミサイルをジェガン・O部隊に放つ。

 

『馬鹿なっ?』

『うわあぁあっ!』

 2機のジェガン・Oに下される戦闘不能の判定。

 

「よっし! ヒースロウの作戦通りだ!」

 ルーツの快哉。

 ミサイルと言えど、西暦時代の『外れる事の無い』レーダー誘導と違い、ミノフスキー粒子下では、不確実な熱源、光学併用誘導方式に過ぎない。厄介な事に、これらの誘導方式で確実に命中させるには、今度はミサイル自体の速度を落とさざるを得ず、そうすると今度は拡散メガ粒子砲のような対抗火器で撃墜されやすくなる。

 ならばミサイルは通常MS相手にさっさと使い切り、機体を身軽にしてから無誘導のロケット弾を超至近距離でぶつける。

 ヒースロウの戦術が、1手目は上手く嵌った。

 しかし―――

「と、っとと。やっぱり、躱すだけで精一杯かよ!?」

 再接近を試みるも、弾幕が厚すぎる。

 だが、他の仲間にこの大量のファンネルが向かえば負ける。

 自分が引き受けるしかないのだ。

 

 -6-

 

 ルーツ以外の機体も戦闘状態に入る。

 右翼、プラスFの2機が、残り1機となった敵左翼部隊に襲いかかる。

「沈めぇええ!」

 ランファンが距離を詰めるや変形、いきなりロングビームサーベルで斬り付ける。

 

『させるかっ!』

 ジェガン・Oがサーベルをかざして受け止める。

 

『ランファンちゃん、後ろ!』

 カーリーがライフルを撃つ。

 ビームがランファンのすぐ横に着弾。

「わわわわっ!」

 着弾したのは無論、カーリーのビームでは無く、機数不足となった左翼小隊の為に、セヴがファンネルの内2基を寄越したモノだ。

 カーリーがファンネルに向けてビームを撃たなければ、ランファンはやられていただろう。

「くそっ! へたれルーツのアホ! もっと引き付けろよ!」

『12基も有るのよ、無茶言わな~い』

 

 -7-

 

 上空ではサイコバイアランとB小隊が対峙する。

 1機対3機。

 だが、2基のドローンファンネルも数に入れれば3機対3機。

 ファンネルの基数は姉に比べれば少ないが、逆を言えば、より集中した高度なコントロールが可能だ。

『隊長、私にバイアランを任せてもらえませんか?』

 ケンザキからの通信。

「ま、ファンネルなんか墜としても、スコア的には美味しくねえもんな」

 クリプトが面倒臭げに答える。

『…………』

「オコーナーはそれでいいのか?」

『お、俺はファンネルでいいです。ファンネルを精一杯怖がります』

「ふーん」

 クリプトはニヤリと笑う。

 モニターに映るオコーナーの顔は、情けない台詞とは裏腹に、なかなかいい面構えになっていた。

「なら好きにやれよ」

『『了解』』

 ドッグファイトに突入。

 

 -8-

 

 C小隊とアヴァンの指揮小隊はやや離れた距離で対峙。

 3門のメガスマートカノンが、模擬戦出力と言えど閃光で大気を灼く。

 

「散れっ!」

 アヴァンは即座に散開、前進を命じる。

 更にこちらにも2基のファンネルが援護に飛ぶ。

 

「ファンネルは私が受け持つ。お前等は落ち着いてジェガンを迎え撃て」

 バックスの指示。

『『了解』』

 グスタフ・ガンの火力の前にジェガン・Oはなかなか近付けない。

 だが――――

 サイコガンダムMk.Ⅱが、いきなり大型メガ粒子砲の火箭をこちらに向ける。

 着弾。巻き上がる風と砂塵。

 

「やったか?」

 アヴァンは慎重に覗き見る。

「『『うぉおっ?』』」

 反撃のメガ粒子砲。

 ジェガン・Oの3機はは辛うじて回避。

 敵3機の重モビルスーツは無傷だったのだ。

『馬鹿な?』

 胴体で呻りを上げるユニットに気付く。

『向こうもサイコガンダム同様のIフィールドかよ?』

『隊長?』

「動揺するな。どうせ通常MSの出力では背中にまでIフィールドは張れん。予定通り包囲するまでだ!」

 

 -9-

 

 サイコガンダムMk.Ⅱに、プラスチック模擬弾と言えど、少なくない質量のロケットがぶつかる。

「きゃああぉあ!」

 着弾の振動にセヴが悲鳴を漏らす。

 コンピューターは肩への着弾に左椀部全ての喪失を判定。

 甘かった。

 ルーツを完全に封じ込めていると思っていた。

 だが、本体の火力を敵左翼に振り向けた途端、ルーツは針の穴ほどの僅かな隙に捩じり込んで、ロケット弾を喰らわしてきた。

 負かしてもいいの?など、とんだ思い上がりだ。

「負けない―――――」

 ソランを悲しませるわけには行かない。

 

 -10-

 

「くそっ、くそっくそっ!」

 ケンザキは呪詛を吐く。

「何なんだよ、意味分かんないんだよ! 点数が高い方が勝ちだろ、評価が高い方が勝ちだろ、金が有る方が権力が有る方が勝ちだろ!? そっちの方が分かり易いだろ!」

 ケンザキは射撃を重ねる。

「人に褒められれば権力が貰える、分かり易いじゃないか!? 素人童貞って何だよぉ? 侮辱だろぉお!!」

 だが、VRシミュレーションではまず外す事の無いその射撃は、ノイのサイコバイアランに掠りもしない。

『褒める人はすぐ裏切る』

 ケンザキの脳裏に響く声。

「や、やめろ」

『褒める人は、結局またその上の人に褒められるのに都合がいいから褒めているだけ。それだけじゃ愛しているとは言えない。すぐ捨てる』

「やめろ、化け物ぉお! 僕の頭に入るなあぁ!」

『貴方可哀想。僕達もそうだったからソラン達に可哀想がられたんだね』

「やめろおおぉぉぉおおおお!!」

 

「ケンザキ!?」

 オコーナーの眼前で、ビームに包まれたケンザキの機体から戦闘不能の発光信号が出る。

『まだだっ! まだファンネルに集中しろ、オコ-ナー!』

「は、ハイっ、隊長」

『こっちはファンネルを墜とした。あいつは俺が受け持つ! よく怖がったオコーナー、その調子でファンネルは任せたぜ!』

「はいっ!」

 

 -11-

 

 昨夜の士官食堂。

「結局な、女も接近戦も秘訣は相手を見る事聞く事なんだよ」

「は、はあ」

 バードマンは結局、クリプトのアドヴァイスを断り切れずに聴く事になった。

「女が近付いてきた、敵が近付いて来た。射撃のコツは引き付けて撃つなのに、慌てて喋っちまう引き金を引いちまう。それでとりあえず喋った事が相手の地雷話題だったらどうなるよ?」

「………逃げられます」

「だろう? こっちが喋るのは相手が喋ってからでいいんだよ。向こうが喋らないなら喋りやすい雰囲気を作って喋らせる。そうすりゃあ、向こうにしてみれば、こっちの話題に合わせてくれる、自分に心から興味を持ってくれているって思う。その逆なら、何だコイツ自分の自慢したいだけかよってなる。こっちから先に喋るのは、気遣い程度でいいんだ」

「そ、それと射撃がどういう関係が?」

「近付かれても相手の動きを見てから撃った方が得なんだよ。

 お前は遠距離なら落ち着いてよく敵の動きを見て撃ってる。だからよく当たる。女でも遠くから見る分には偉そうに品定めできるだろう?」

「いいか?」

 ここで黙って見ていたルーツが口を開いた。

「近くでもそうすりゃいいのにそうできないのは、お前がいつもは偉そうにしてるのに、本当は近付かれて偉ぶる割には大した事ないって、バレるのにビビってるからだ。

 仲間は、偉ぶってるお前にそのまま付き合ってくれるから、平気なのにな。お前はさ、普段いつも仲間に守られてんだぜ。有り難がれよ」

「……………」

「いっそ、近付いた敵の前でも偉そうにしてろ。開き直っちまえ。俺の方が呑んでやる、喰ってやるってな」

 

 演習場、現在。

 近付くジェガン・O。

「こっちから喋るのは気遣い程度。引き金は引き続けない、すぐ戻す」

 一瞬だけブラストファイヤーのトリガーを引く。

 慌てるジェガン・O.

 相手を見る。

 物陰に隠れようとする。

 何だ馬鹿らしい。

 その程度の遮蔽が、ハイパーメガカノンの前に役に立つわけないじゃないか。

 コンピューターが遮蔽を貫通して命中と判定。

 1機撃墜。

 呆気なかった。

 

『くそぉっ! 何すんだよ、美味しい所は俺に譲れよ、生意気なんだよ、モルモットの癖に!』

『ウォード! 同僚への侮辱はよせと何度言わせる!』

『悔しくないのかよ!? 教官、俺はアンタの教え子だろう?』

『いつまで学生気分でっ?』

 

「仲間割れか? 動きが悪いぜっ!」

 アヴァンのジェガン・Oがミサイルを放つ。

 ウォードのグスタフ・ガンは捉えられた。

 戦闘不能の発光信号。

 

 -12-

 

「もうっ! 何でたった1機の敵が墜とせないんだよぉ、これじゃまた、ルーツにでかい顔されるだろぉ!」

『ランファンちゃん焦り過ぎ~、て言うか、もう私も体力が持たないかも~』

 勿論、同様にジェスタ・Oの動きも疲れで悪くなっている。

 にもかかわらず、ファンネルに疲れの色が見えない分、こちらが不利になりつつある。

 

 -13-

 

 ルーツは執拗に、腕が無くなり防禦火砲の少なくなった、左半身に回り込もうとする。

 セヴは防戦一方になる。

 懸命に左へ左へとルーツを追い、機体を回しよじらせる。

 このままではルーツに回り込まれる、その瞬間――――

 ――――刹那背中を見せる危険を冒し、右に瞬時に反転。右手五指のメガ粒子砲をビームサーベルにし、ルーツを捉えにかかる。

 だが、ガンダムSSが消える。

 ルーツも瞬時に機体をMS形態に変形させ失速させていた。

 変形版木の葉落とし。

 SSはMk.Ⅱの右脇の下に潜り込んだ。

「これで終わりだ!」

『ソランを、悲しませはしないっ!』

 ルーツが残りのロケット弾を全て解き放ったその瞬間、セヴはIフィールドを切り、ファンネルで、己の機体もろともガンダムSSとロケット弾を撃ち抜いた。

 

 コンピューターの判定は、両機体爆散、相打ち。

 

 -14-

 

『ここまでだ』

 ゴップ議長が演習終了を告げる。

『どちらも兵、機体ともに素晴らしく、ゲリラ討伐の任に当てるには申し分が無い』

 軍高官、官僚たちも同意の首肯。

「それでは―――」

 ラマカーニが期待に満ちた瞳でゴップを見る。

『だが、同種の機体同士を当てるのは消耗戦になり危険が高い。ガンダムSSが巨大兵器に対して有効性を示した分、量産型ビグザムに当てるには、より適当に思う。アムロ・レイとドズルの例も有ろう?』

『ですな』

『ファンネルが無い分、より攻略は容易かと』

『逆にこちらにファンネルが有っても、Iフィールドを抜けねば意味が有りませんからな』

「………そうですか」

『落胆する事は無い、ラマカーニ君。ヒースロウ君に受け持ってもらうのはビグザムだけだ。残りのMSを駆逐するには、それこそサイコガンダムMk.Ⅱを中心にした部隊が適任だろう』

「それでは?」

 ラマカーニの顔が輝く。

『君の提案は前向きに検討させてもらうよ』

 そして、発言する事の無かったヒースロウも、予め自分とゴップの書いた筋書き通りになった事に、人知れず、安堵の息を漏らす。

(周りの顔を立てるのも楽ではないな。だがこれで当初の目的は果たせる。これが高官の処世術か)

 

 -15-

 

「セヴ、ノイ」

 ルーツは再び手を差し出す。

「強いな、お前たちは。楽しかった。一人前の戦士として尊敬するぜ」

 姉弟は手を握り返す。

「ルーツも強かった」

「その仲間も」

「当たり前さ」

「ルーツ達が強かったお蔭で、ソランの願いも叶いそう」

「礼を言う」

「そうか、じゃあ、お前等御褒美に爺さんにうんと甘えさせて貰え」

「甘えさせて貰う?」

「こうされる事さ」

 ルーツはセブとノイを両腕で抱き締めた。

 

「―――化け物相手に、偽善者め」

 ケンザキは遠くから毒衝く。

 

「あの、そのよ」

 バードマンは改まってランファンとオコーナーに向き合う。

「いつもありがとな。えらそうにする俺なんかに二人とも付き合って、仲間でいてくれてよ」

「………なんか悪いもんでも食った?」

 やや引くランファン。

「いや、俺も言うよ。俺もみんなが怖い位大好きなんだ。でも、それだけじゃみんなを守れないから、これからは敵もうんと怖がるよ」

「オコ-ナーまで? やめて、今回一番活躍しなかったのアタシだから! 今感謝とかマブダチ告白とかされるとかえって惨めなんですけどぉ!? それともいやがらせ?コレぇ?」

 それを見る一同から笑いが起きる。

 見れば堅物のバックスまで笑っている。

 だが、ケンザキとウォードの顔に、笑みが浮かぶ事は無かった。

 

 ―第5話に続く―

 

 

 おまけ。

 

 ガンダムSS設定

※キャラクター解説

 

●シグマン・シェイド(24)

 連邦中尉。おなじみ元祖おニャン子メンバー。

 苦労人は相変わらずだが、吹っ切れてはいない様子。眉間の皺が取れるのはいつの日か。頑張れシグマン。

 でも、出番はこれっきりだろーかなー。ますますいと哀れ(合掌2)。

 だが、テックスの方は本当に美味しい所で出演しそう。はっ?ピンチに新メカを持ってくるって、美味しいけど大概死亡フラグじゃん、どうしよう? 今からそこら辺考えとこう。

 

●ヴァースキ(年齢不詳)

 連邦大尉。みんな大好きカメの人。別名野獣。

 流石に戦闘狂……、もとい、ベテランパイロットして、とても重要な含蓄ある言葉を語ってくれましたね。

 この為にゲスト出演して頂きましたが、彼とバレンタインとカワセの出番もこれだけ……と、思っていたのですが、もう一遍セリフだけ言いに出てくる予定?失礼しました。

 ちなみにヴァースキ好き過ぎて、筆者の別作品にもヴァースキと言う名の軍人キャラを出しましたが、そっちはヤ○ンとは似ても似つかぬ、髭面の太っちょイワン(ロシア系男性の俗称)です。

 

●カルロス・アヴァン(35)

 連邦大尉。

 演習の相手部隊指揮官となったベテラン。彼もやはり元ティターンズでなければ、もっと昇進していたであろう人物。陽気で気さくな好人物である。

 だが、彼らの様な人物評価の無い元ティターンズ将兵は――――

 

●ケンザキとウォード

 再解説だけど二人まとめて。今話如何にも冨野節っぽいセリフを吐いてくれて有難う。頑張れAKG6。

 

 

※メカ解説

 

●アーサー

 ALSSの愛称。人工知能物の名作、『2001年宇宙の旅』の作者アーサー=C=クラーク氏へのオマージュでした。

 

●サイコガンダムMk.Ⅱ

 セヴ・ラマカーニの乗機。

 本体部分は強化Iフィールドと白い機体色以外はZ、ZZにおけるそれとほぼ同スペック。

 最大の変更点は、リフレクターファンネルがドローンファンネルに換装されている。

 地上でも長時間運用可能な、12基のドローンファンネルはやはり凶悪の一言。

 

●サイコバイアラン

 ノイ・ラマカーニの乗機。やはり連邦ホワイト色。

 サイコガンダムと同じドローンファンネルを2基ながら搭載し、バックパックもより高出力型に換装。

 姉弟による剛と柔、大と小の連携は本来恐るべきものであるが、今回は分断せざるを得ず、それを発揮する事は無かった。

 

●ジェガン・O

 Oはゼロではなく、オーバータイプのO。

 熟練兵用にスラスター追加や、動出力系のピーキーハイパワー化が行われている。

 そこら辺はプロトガズィと、見た目はともかくほぼ同じ。違いは、ジェネレーターが脚部に2基でなく、本体と強化バックパックに2基。変形機構の追加と、素材変更による軽量強化が行われていない。装甲形状は、ほとんどノーマルのジェガンと同じ。と言った点である。

 後にそれぞれリ・ガズィとジェスタに分化していったのは、皆様ご存じの通りであるが、実戦採用はエース専用機と割り切って生産された、リ・ガズィの方が早かった。そしてジェスタが生産された頃にはすでに、リ・ガズィはリゼルへとモデルチェンジし、一歩先を行っていたのである。

 特殊部隊用の少数生産ながら、エース専用機なのにその脚光を浴びぬ、時代に埋もれた名機の系列であった。

 ジム・スナイパーカスタムほど人気も出なかったしね(涙)。

 




 
 無敵の進軍を続けるラドック率いる量産型ビグザムを柱に据えたジオンゲリラたち。
 最強のビグザムを撃破する希望は、ルーツ操るガンダムスマッシュシルエットに託された。
 落ちこぼれと見做されていたランファン、オコーナー、バードマンも意地を見せるか?
 第5話 -スマッシュ―
 
 ってな訳で、半月後の次回、ガンダムSS第5話は9月初旬アップの予定です。
 是非是非また次も読んでね!
 お楽しみに~。
 (^^)/


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スマッシュ

 今回も半月ぶりの御久し振りです。またまたお会いする事が出来て感謝感激の豊福茂樹です。
 初めましての方も興味をお持ち下さりまことにありがとうございます。本話からでも第一話からでもお好きな方からお読みください。きっと損はさせません(本当か?)。
 月2回の連載も順調で、第一部地上編も早残り2話となりました。
 第一部クライマックスへ向け、量産型ビグザムと激しい戦いを繰り広げるルーツ達の雄姿を是非ご覧ください。人間ドラマの方も、色々変化が出てきております。是非ご注目を。
 それではどうぞ本編をお召し上がりください。
 m(--)m
 
 追伸:捩じれ骨子様、ご感想、毎度励みになっております。大変有難うございます。
 


 機動戦士ガンダムSS

 

 第五話:――スマッシュ――

 

 -1-

 

 カリフォルニアベース、アルビオン、MSデッキ。

「ブラウンさん」

「何?」

 ブラウンが横たわったガンダムSSに接続された調整パネルから振り返ると、そこにはオコーナーとバードマンとランファンが並んで立っていた。

「忙しいんだけど、用件は何?」

「あ、あのさ」

「お、俺達とルーツのさ、FCS(火器管制装置)ってさ」

「ひょっとして設定違ってない? 命中率が全然違うんですけど?」

「……はあ」

 ブラウンは溜め息をつく。

「別に何も違わないわよ」

「じゃあなんでこんなに差があんの?」

「同じならおかしいだろ?」

「腕の差が有っても、同じフルロックオンなら命中率にそれほど差ができる訳無いだろぉ?」

「あら、戦闘履歴だと、意外とルーツはフルロックオンで撃ってないわよ。それでも命中してるの」

「「「はああああ?」」」

「まあ、そこら辺の操縦技術に関しては、私は詳しくないから、アーサーに説明してもらうわね。アーサー、いいかしら?」

『はい、マザー』

 

 命中率の差も、つまるところは操縦技術の差である。

 まず、FCSがフルロックオンした場合、射撃はほぼ命中する。

 だからMSの基礎教本では、とにかくフルロックオンするまで引き付けて撃て、と教える。

 だが、それは相手が静止していたり、慣性で一定速移動をしていたり、一定加速をしていたり、同一芯単純円軌道旋廻をしていたりといった、単純で計算の容易な軌道をしていた場合に限り、である。

 相手がランダムな加速や減速、旋廻をすれば、フルロックオンでも余程の近距離でも無ければまず外れる。

 そこでモノを言うのが、操縦技術だ。

 フルロックオン一つにしても、機体の向き自体を相手の未来位置に向けて素早く正対させれば、ロックオンまでの時間は短縮され、素早く先制できる。

 更にルーツのクラスになれば、フルロックオンまでの時間を逆に利用しているのだ。

 相手が減速して回避すると読めば、フルロックする前、MSの腕が追って向きを変え切る前に撃つ。

 FCSの単純軌道予測では無く、相手の減速に合わせた手前への射撃を放つ。

 すると、相手がランダムに回避したにもかかわらず命中してしまう。

 相手が加速すると読めば、機体の向きをわざとオーバーに変え、ロックと腕が後ろに向き切る前に、相手の加速に合わせた予測位置に撃つ。

 やはり、ランダムに加速したにも関わらず、命中してしまう。

 

「「「………………」」」

「何ソレ?」

「ほとんどFCS使ってないよね」

「狙撃の目視偏差射撃技術と同じじゃねーか? そんなんドッグファイトでやってるなんて信じらんねー!?」

『いえ、FCSの照準を大まかな目安に使っていますので、狙撃の目視偏差よりは、ドッグファイトで有効な戦術です。つまり、機材の使いこなし方、MSの操縦特性や構造自体を、より大尉は熟知しているだけです』

「いやでも、ドッグファイトならランダムな機動って、自分もしなくちゃなんないのよ?」

「そうだそうだ」

「そんなんで落ち着いてそんなのできる訳ナいじゃん?」

『ラフな操縦ならばそうなるでしょうが、大尉の機動はあれだけランダムにも拘らず、操縦自体は至極精度が高く丁寧なのです。貴方達も大尉の操縦を外から見た時、次の挙動が全く読めないのに、動き自体は恐ろしく滑らかな流れる水の様なのを見たでしょう?』

「「「………………」」」

『貴方がたは基礎操縦技術自体、荒く精度が低いので、ロックオンまでの時間が長いどころか、折角のフルロックオンでさえも、しばしば乱れた挙動によって、撃つ瞬間外れてしまってから撃っているのです。そしてロックオンに手間取る時間は、隙となり相手の格好の的になっています。貴方がたの意図とは逆の結果ですね』

 ――そもそもの操縦の次元が違い過ぎる――

 三バカは倒れ地に伏した。

 おお勇者よ、死んでしまうとは何事だ。

「ハイハイ御愁傷様」

 ブラウンはALSSのモードをチェックモードに切り替え直し、調整を再開する。

(それにしてもあのアホ、こうして見てみるとやっぱり操縦技術はまさに、夢見てた理想の王子様そのモノなのよねー)

 吐く溜め息は深い。

 

「へっ。あの馬鹿ども、やっと本気になってきやがったみたいだな」

 こっそり上から覗いていたルーツは、ひとしきりニヤリと笑うと、またこっそりと立ち去る。

 

 -2-

 

 同艦、シミュレータールーム。

 カーリー、ケンザキ、ウォードの三人は、バックスに頼み込んで自主訓練を課していた。

「今度こそ可愛いランファンちゃんを、ちゃんと守らなくちゃ~」

 意気上がるカーリー。

 だが、ケンザキとウォードの口数は少なく暗い。

 バックスはモニターを凝視する。

 カーリーの訓練の成果は眼に見えて上がっている。

 だが、ケンザキとウォードの動きは、演習で撃墜されて以降悪いままだ。

 機体の動きに心の迷いが目に見えて現れている。

『三人ともそろそろあがれ。バイタルサインの低下と操縦精度低下の兆候が見える。これ以上は効率が悪い』

「「「イエッサー」」」

 シミュレーターから出てきた3人を、バックスがガラスで隔てられたコンソールルームから見つめる。

『カーリー准尉。団結への強いモチベーションがシミュレーターでもいい結果となって表れている』

「恐縮です~」

『ケンザキ、ウォード、それに引き換え君達の今の状態がいいとはお世辞にも言えない。卒業時席次の1、2、3のポジションは逆転した。それもおそらくは君達の団結への低いモチベーションが原因だ。自覚したまえ』

「「……………」」

「今度は、『団結』がテストの評価基準ですか?」

『……質問の意図が掴みかねるが、軍隊においてはそうだ』

「俺達はアンタの良い生徒だったはずだよな?」

『これまでにおいてはそうだった。これからは良い部下、良い軍人として振る舞いたまえ。いつまでも学生気分では困ると、言うのは2回目だぞ?』

「キリがないんですよっ!」

「もっと分かり易く、俺達の味方しろよ! 要求ばかりするかよ? 俺達に何か言う前に、あんたがルーツよりも活躍して、ルーツよりも偉くなって、可愛い仲間の俺達を優遇しろよぉ! それがわかりやすいだろぉ?」

「貴方が私達に要求するなら、私達も貴方に要求する権利があるっ!」

『それこそキリが無いッ! お前たちは何故規律と団結の精神がわからない? それこそが軍隊を軍隊ならしめているのにっ?』

「………もういいよ」

「貴方は、私達の味方では無かったんですね。あの強化人間の言った通りだ。貴方が上から褒められるための駒に過ぎなかったんだ!」

『それは違うっ!』

 だが、ケンザキとウォードは、それ以上口を利かず、シミュレータールームから足早に退出する。

「待って~」

 追いかけるカーリー。

 やがて、誰もいなくなった施設を眺めながら、バックスは顔を覆い懊悩した。

 

 -3-

 

 北米大陸、旧メキシコ地区。

 サボテンしか生えぬ広大な荒野を、鋼の巨人達は進軍する。

 パナマ洋上基地を目指して。

 ジャブローがティターンズの核兵器使用によって基地機能の大半を喪失した現在、パナマこそが両アメリカ大陸における最大の宇宙打ち上げ基地であった。

 連隊規模となったジオンゲリラの目的地である事は、もはや誰の目にも明白。

 連邦各基地の部隊は、せめてもの戦力漸減を狙い、それぞれが散発的な攻撃を試みたが、効果を上げる事は無かった。少数部隊で接近を試みるには、量産型ビグザムの火力は、まさに圧倒的過ぎたのである。

『見ろよ、メキシコまで来たぜ』

『パナマはもうすぐだ』

『帰れる。宇宙に還れるんだ』

「ああ……」

 ラドックが答える。i

「もうすぐだ」

『頼りにしてるよ、中佐』

 ゴーゴンの軽口にラドックは苦笑を浮かべる。

 連隊規模を率いるに、大尉では具合が悪かろうと、全員の賛同を得て中佐を名乗る事になった。

「……できれば、ドズル閣下から直に拝命を得たかったな」

『?、何て言ったのさ?』

「何でも無い」

 

 -4-

 

 アフリカ大陸ダカール、地球連邦本部。

「では、ジオン残党軍撃滅は、第1陣をヒースロウ准将率いる第8期MS実験開発部隊、第2陣をラマカーニ准将率いる新設増強連隊に任命を、正式に議会においてこれを承認する」

 満場の拍手。

「円満な議決を得られて嬉しく思う」

 ゴップ議長が壇上で腹をゆする。

「それにしても、私は可愛いヒースロウ君を矢面に立たせねばならぬ心労で3キロは痩せた。その上勝っても手柄はヒースロウ君から取り上げねばならぬ。更に心労で3キロは痩せる。皆が私のダイエットに貢献してくれて、それこそ感謝をすればいいのか文句を言えばいいのかわからぬな」

 叩く腹の脂肪が景気よく揺れるのを見て、会議は笑いに包まれる。

「それでもこうして名誉我欲を捨て皆の顔を立てたのだ。連邦が増々の団結をしてくれる事を切に願うよ」

 笑いが満場の拍手に取って代わる。

 手を叩きながら、一部の高官たちはため息を漏らす。

(このままでは、タヌキモグラの天下はまだまだ続きそうだな……)

 

 -5-

 

 カリフォルニアベース、アルビオン指令室。

「今しがた連邦議会より、我々に正式な命令が下った」

 ヒースロウが居並ぶMS運用部隊員と、スミス、ブラウン、チェレンコフに向かって告げる。

「我々は旧メキシコ国境において、海軍工廠のミデアと合流。ガンダムSSのスマッシュユニットと補充のIフィールド発生装置を受け取り、その後航行中にこれに換装。そのまま量産型ビグザム破壊任務に就く」

「実射試験は?」

 スミスが食って掛かる。

「残念ながらその時間は無い」

 その返答にスミスは鼻を鳴らす。

「いいさスミス。んなのはα任務部隊でも良く有った。それでも俺は生き延びてきたんだ、心配すんな」

 ルーツは一見気楽に請け負う。

「だからって、ガンダムとアーサーを壊さないでよっ!」

「ハイハイ、ブラウン中尉」

 面倒臭げに耳をほじる。

「俺達の相手はビグザムだけかよ? 残りは?」

 今度はクリプトが食って掛かる。

「君達の腕が如何に高く、如何に機体が優秀でも、連隊を相手取るには流石に弾薬もエネルギーも足りんし、弾幕密度から考えて、一撃離脱以外では被撃墜も確実だ。兵学校の授業を思い出したまえ」

「チッ」

「それはそうと」

 ヒースロウは小さく咳払いをする。

「バックス中尉、君にしばらくランファン、バードマン、オコーナー各准尉のシミュレーター訓練指導を任せる。今彼等に必要なのは、明確な理論に基づいた指導だ。それには君が最も向いているとの、ルーツ大尉の推挙でもある。受けてくれたまえ」

「……命令と有らば」

「ケンザキ准尉、ウォード准尉、カーリー准尉。君達は暫らくクリプト中尉の指導を受けたまえ。今の君達には頭を冷やす期間が必要だ、異論は許さん」

「「「イエッサー」」」

「チェレンコフ君、プロトガズィの改良の目途は立ったかね?」

「いえ………」

「そうか、ではガズィは前回と変わらずウェーブライダー形態で運用する様に」

「「「イエッサー」」」

「ルーツ大尉は私との戦術と部隊運用の打ち合わせと、スマッシュユニットのVR習熟に努めてくれ給え。それでは解散」

 

 -5-

 

 バックスの指導はランファンたちに好評だった。みるみる腕を上げて行く。

「有難うございます、中尉」

「どっかのアホ大尉と違って、凄く分かり易いっす」

「丁寧だし優しいし」

「いや、ここまで吸収が早いのは、君達の素地がいいからだ。その素地を作った大尉には敬意を表するよ」

「うっそー?」

「只のサディストですって、あんなん」

「本当。腕はいいけど、教官としては、只しごきばっかで最低ですよ」

「…………なるほど。そうやって、あえて反感を買う事で、君達を団結させたのだな」

「「「???」」」

 

 一方、クリプト達の方は。

「お前等さ、大事に育てられたんだな」

「「「…………」」」

「失敗しない様に、損しない様に、効率よく、間違いなく。まあ、それはいいさ。でも、そればっかり繰り返す内に、それ以外の事をするのが怖くなってる、ビビっちまってんだ。お蔭で次に何をするか読みやすいッたら無え。そんなんじゃ、俺やルーツクラスのベテランにも、ニュータイプにも敵わねえわけだ」

 3人は何も言い返せない。

 それもそのはず、シミュレーションでクリプト相手に3対1で1度も敵わなかったのだ。

「でもまあ、カ-リーちゃんはイケてたぜ。勘を信じて思い切った動きが出来始めてる。バックスの言う通りだな」

 カーリーは褒められても素直に喜べなかった、何故なら――――

「………バックスは、俺達を見捨てて逃げたチキンだ!」

「自分の評価にならなくなれば、私達を貴方に押し付けた!違いますか?」

「―――お前らが言えた義理かよ」

「「なっ?」」

「あーもう、確かにルーツの言う通りだ。テメーらは人に惚れる事も出来ねーチキン、素人童貞だな。

 ま、お前らも分かってる通り、喧嘩ってのは大概自分の事が好きな方が勝つ。自分の事が好きでない奴は、周りはおろか自分だって守れやしねえ。

 でもな、女や仲間に惚れる事の出来る奴は、一人好きになれば2倍、二人好きになれば3倍、自分が好きになれるもんだ。お蔭で世界中の女を愛する俺様は無敵だ! ルーツだって、俺達の師匠のマニングスだってそうだ。人に惚れれば、目先は損するかも知れねえが、人の2倍、3倍、泣けるし怒れるし笑えるんだよ!」

「そうよ、そうなのよ、私分かりますっ!クリプト中尉!」

 カーリーが潤んだ瞳でクリプトを見つめる。

「だって私―――」

 クリプトは唾を呑む。男と言うのは哀しいもので、例えこのオチが100パーセント予測出来ていても、有らぬ期待をしてしまうものである。

「―――ランファンちゃんが大好きですものっ!」

「………だよねー」

 分かっていてもクリプトの目尻に涙が浮かぶ。合掌。

((感情論なんかで現実がどうにかなるのかよっ!))

 ケンザキ達の反論は、口に出される事は無かった。

 

 -6-

 

 旧合衆国、メキシコ間国境。

 着陸したミデア輸送機より積み荷が降ろされる。

 220ミリ低反動ライフル砲搭載オプション、スマッシュユニット。

「ドジャーの野郎に、今度遅れやがったら承知しねぇぞって伝えといてくんな」

 スミスの言いようにミデア機長クリストファーは苦笑する。

「そう言うと思って言伝を預かっています。『お前の設計注文が細かすぎるせいだ』、そうです」

「ぬかせ」

 通常のモビルスーツや戦車に積む事の出来るライフル砲や滑空砲の実質上限は180ミリ。

 220ミリは、本来ならば駆逐戦車や海上艦艇でも無ければ搭載できぬ巨大口径砲である。

 バズーカなどはこれよりも口径が大きいが、それは発射時の反動を後方噴射で打ち消し、それでも足りない弾速を発射後もロケット推進で補う事によって可能にしている。

 しかしこのスマッシュユニットに搭載されたこの砲は、反動を後方に樹脂製のカウンターマスを火薬で排出する事によって打ち消し、超高初速のライフル弾を発射する事を可能にした。

 この弾速はバズーカ弾やロケット、ミサイル弾と違い、対空砲火で迎撃する事はほぼ不可能。

 欠点は、流石に砲身を艦艇並みの長砲身にする事が出来ぬ故の、短い射程。

 それをガンダムSSと強化大出力バックパックの機動力によって補う。

 ガンダムSS第二形態、スマッシュシルエットである。

「チッ、しょうがねえ。こうなったらALSSの補正能力頼みだ。頼りにするぜ、ダークエルフ」

「任されたわよ、ドワーフ。貴方達の出来そこないの鍛冶の腕を、魔法の呪文で補ってあげますとも」

 

 -7-

 

 連邦軍の各基地には、時折民間人からの差し入れが入り、兵士達に配られる。

 最も多く差し入れを持ってくるのは、やはり退役、予備役軍人会の面々だ。

 彼等にとって、今も現役で働く軍人達は、かつての戦争での掛け替えの無い戦友や、命を救ってくれた恩人や、勝利を導いた憧れのヒーローたるエースだからだ。

 今日もビール缶とローストビーフのサンドイッチが、各兵士に配られる。

 基地の片隅で黙々とゴミ片付けを一人していた兵士にも、気の良い赤ら顔の元軍人は差し入れを手渡す。

 兵士は周りを気にする。

 他の兵士達は眉をしかめてこちらを見ていた。

 兵士は差し入れを拒んだが、赤ら顔の男は強引に懐にねじ込む。

「オヤッさんからの差し入れだ。有り難く受け取りな」

 兵士は怪訝な顔になる。

 ゴミを片付け終わった後、兵士はトイレの中でラップの包みを開ける。

 他の場所では、他の兵士に奪われかねなかったからだ。

 ビールを飲み、サンドイッチを頬張る。

 歯に当たるモノに気付く。

 サンドイッチの中に紙片が入っていた。

 兵士はその紙を広げる。

『ラマカーニより』

 兵士は、その後に続く内容を読み、やがて涙と嗚咽をこぼした。

 

 -8-

 

 旧、メキシコ、パナマ国境近辺。

『もうすぐパナマですね、中佐』

「ああ、だが気を抜くな」

『大丈夫ですよ。連邦の奴ら、ビグザムにビビッて手を出さなくなったじゃないですか』

『おいジェイス、それはちょっと気を抜き過ぎだろう?』

『グェンこそ、そう言うの年寄りの冷や水って言うんだぜ』

 その時、ラドックの脳裏に閃く映像。

 空を切り裂く無数のミサイル。

「全機散開! 長距離ミサイルが来る!!」

 

 アルビオン艦橋。

「ミサイル、敵部隊に到達する時間です」

 サンズ艦長の淡々とした報告。

「ミノフスキー粒子下だ。大して当たりはせんだろうな」

 ヒースロウが眉根を寄せる。

「では次射は?」

「それでも、弾が尽きるまでは続ける。C小隊にも射撃を開始させろ。嫌がらせにしかならんが、突入するAB各小隊機を、そのまま80機以上からの敵弾幕に晒すわけには行かん」

「イエッサー。ミサイルランチャー、次射装填!」

「アイアイマム!」

 

『くそっ!今度はメガ粒子砲かよっ?』

 ジェイスが叫ぶ。

『敵機はどこだ?』

 グェンの声は低く抑えられている。

「落ち着け。岩陰から撃っては隠れ、移動を繰り返している。距離も遠い、このまま反撃してもまず捕捉できん。俺が接近を試みる」

『待ちな、ラドック。アンタは指揮官だ、軽々しく動かれても困る。アタシが手下と行くよ』

「済まんな、ゴーゴン。だが、手に余る様なら替わる。無理はするな」

『おや、ひょっとして口説いてくれてるのかい?』

「軽口は後にしろ」

『ハイハイ』

 

 -9-

 

「こちらルーツ。AB各小隊、これより突入する。A小隊、ランファン機とカーリー機はは敵航空戦力、ガザタイプに対する攻撃と攪乱。B小隊は地上戦力への攻撃と攪乱、ビームスマートガンとメガランチャーの長射程を活かして、くれぐれも高度を落とすな。弾幕に捕まるぞ」

『『『『『了解』』』』』

「ガンダムSSは一度上昇した後、予定通りビグザムへ向けて吶喊、220ミリ砲で一撃離脱を繰り返す。お前等に命預けたからな!」

 5機のモビルスーツは敵連隊上空に突入。敵味方八十数機の火砲が飛び交う。

 ガンダムSSは只1機上昇に転じる。

 

 地上で支援攻撃を行うC小隊。

『バックス中尉、敵が3機接近してきます!』

 叫ぶバードマン。

 いい傾向だとバックスは思った。一人で抱え込まず、虚勢を張らない。仲間との連携意識が高まっている。

『いちいち喚くなよ、見ればわかるだろ。みっともない』

 それにひきかえ、何故ウォードは何もわからない? 自分の育て方が間違っていたのか?と、自責と後悔の念に囚われかける。だが頭を振るい、それを振り払う。

「大丈夫だ。その3機は私が引き受ける。お前たちは引き続き火力支援を続けろ」

 

 B小隊は地上掃射。

 だが、安全のため高度を取り過ぎたせいで、今一つ命中率が悪い。

「クソっ! 当たらないのか!」

 ケンザキは罵る。

『当たった!』

 オコーナーの快哉。

(クソっ、頼れるのは自分だけなのにっ!)

 ケンザキの苛立ちは加速する。

 

「よしっ!命中!」

 A小隊ランファンも、撃墜では無いが有効打を与える。ガ・ゾウムは黒煙を上げ、ゆっくり高度を下げる。

『すごーいランファンちゃん!』

「どうだ、カーリー! わかったなら過保護にすんな!」

『あら、それとこれとは別よ~。だって好きでやってるんですもの』

「なんじゃそりゃー!?」

 相変わらずやれやれである。

 

 ガンダムSSは、ほぼ垂直に近い角度で急降下する。

 ビグザムのビームをIフィールドで弾き、直衛機の火砲を潜り抜け、螺旋にきりもみ落ちて行く。

『有効射程距離です』

 アーサーの声。

 だが、ルーツは自分の勘に従って、ほんのわずか引き付ける。

 射撃。

 補正しきれない反動が、機体のバランスを大きく崩す。

「うおおぉぉりゃぁあ!」

 火砲が危うく機体を掠めるも、強引に立て直し再び急上昇。

 十分な高度を稼ぐと、ようやく眼下の戦果を確かめる。

 命中はしていた。だが着弾は右にずれ、バイタルパートと呼ばれる中枢からは外れていた。まだ戦闘力を失ってはいない。

 ビグザムが大型メガ粒子砲をこちらに向ける。Iフィールドで防げる角度ではない。、

 ルーツはペダルを蹴る。

 反撃のビームを紙一重で躱す。

「アーサー、補正計算は?」

『終了しました。次は外させはしませんし、反動も押さえ込んで見せます』

「いい子だ!」

 

 -10-

 

 眼前にはR・ジャジャの改造機とリゲルグ2機。

 相手が自分以上の腕で無ければ、ブラストファイヤーと制限はあるもののインコムとで充分抑え込めるはず。

 バックスはそう目算した。

 だが。

 気付くと、自分は小さな子供になっていた。

 眼前にはモビルスーツでは無く、いがみ合う、影と影。

 自分の小さな手では到底止められぬ、その諍いを繰り替えす影はMSよりも大きくなって行き――――

「うわあああぁああぁぁあ!」

 

 ウォードは支援攻撃を止めていた。

 当たる見込みの薄い長距離火力支援よりも、バックスの美味しいおこぼれをちゃっかり狙う方が、スコアが稼げると踏んでだ。

 故に見てしまった。

 R・ジャジャ・メデューサの機影とその恐怖を。

 メデューサの髪が伸びる。

 その髪の毛の、無数のパイプの先が、無数のミサイルに変わるのを。

 あのミサイルは、間違いない、自分を演習で沈めた、あのミサイル!――――

「ひいいぃぃいいいぃ!」

 

 バードマンは支援射撃を続けていたが、僚機の異変に気付く。

 出鱈目な射撃をし、逃げ回るファット・バレトとグスタフ・ガン。

 そして自分も見てしまう、メデューサの恐怖を。

 いつの間にか敵機が増えている。

 ジャジャとリゲルグの他に、忘れようも無い最初の実戦の、ドムとデザートグフと偵察型ザク。

 引き金に懸けた指がすくむ、身がすくむ。

 自分の射撃が、どうやっても当らない恐怖が蘇る。

 畜生、畜生、もっとルーツみたいに訓練を積んでいれば、ルーツに教わっていれば―――

 だが思い出す。

 自分はルーツが何をやっていたかALSSに教わった。

 それに追いつくにはどうしたらいいかバックスに教わった。

(やれる。やってやる、今、この瞬間俺はルーツになるんだ! 仲間を守ってやる!)

「うおおおおおぉぉおおぉ!」

 自分の射撃がザクに当たる。

 すると不思議な事にグフとドムが消え去った。

 

「チィっ! あいつ呪縛を破りやがった!」

 ゴーゴンが呻く。

『落ち着いて下せえ、姉御。1機なら俺達でどうにか抑えます』

『今までそうして来たでしょう?』

「あ、ああ。頼むよ」

 

 -11-

 

 ケンザキは執拗に射撃を繰り返す。

 やっと地上のグフに当たる。

「やった!見ろ、やっぱり僕は当てられるんだ!」

『ケンザキ、後ろ!』

 クリプトの声に振り返るとガザDに背後を取られていた。

 慌てて機体を暴れさすも、振り切れない。

「や、やめろおおぉぉお!」

 だが、ガザDが火を噴く。

『やったな、オコーナー!』

『は、はい、クリプト中尉。で、でもよかったんでしょうか? また味方を気にし過ぎじゃないですよね?』

『バーカ。そう言うのは美味しい所を頂いたって言うんだよ。ちゃんと仲間を守ったんだ、胸を張れ!』

『オコーナー達をやらせるかああ!』

 空中乱戦となるも、プラスFがB小隊を守りにかかる。

『じゃあ、そのランファンちゃんは私があ!』

『なつくな!カーリー、鬱陶しいのっ!』

『ははっ、その言い様に態度。ランファン、ルーツにそっくりだぜ』

 がーん。

 クリプトのツッコミに、ランファンはショックのあまり、帰艦まで黙り込んでしまいましたとさ。合掌。

 

「やらせはせんっ!」

 ラドックは渾身の射撃をガンダムSSに対して繰り返す。

 グェンも撃つ。ジェイスも撃つ。他の者も撃つ。

 だが、遂にガンダムはその執拗な火砲を潜り抜け、四度目の降下で、量産型ビグザムを捉えた。

 

 220ミリ弾は、誤たず量産型ビグザムの中枢を貫く。

 永劫とも思える静寂の後、ビグザムはその巨体を大地に投げ打ち、二度と立ち上がる事は無く――――

 

 ――――爆散した。

 

 その光と爆雲は、直接射線の通らぬ位置に居たアルビオンからも見る事が出来た。

「終わったか」

 ヒースロウは呟く。

「ネバダの借りは返したぞ」

 

 -12-

 

 北米、カリフォルニアベース。

「では、我々の出番だな。アヴァン少佐」

「はっ」

「セヴも、ノイも、頼んだよ」

「分かった。ソラン」

「そらを目指すんだね」

 複数のミデアと鹵獲改修型ガウ。

 54機のモビルスーツは次々とそれに乗り込み、サイコガンダムMk.Ⅱはモビルフォートレス形態に変形し、ミデアやガウとともに、それぞれ巨体を轟と唸らせ空に飛び立つ。

 脇に小さな28の機影、アッシマーやガブスレイ、そしてサイコバイアランが随伴する。

 ガウのコクピットでラマカーニは呟く。

「………長かった。ようやく―――」

 

 ―13-

 

 アルビオン士官食堂。

「最悪よ、よりによってルーツのアホに似てるなんて………………」

 落ち込むランファン。

「いいんじゃねえの。やっぱさ、ルーツって格好いいしな」

「はああ? バードマン、あんた頭でも打った?」

「いや、俺もそう思うよ。ルーツって嫌な奴だけど、やっぱ格好いいよ」

「オコーナーまでええぇぇえ!?」

「ランファンちゃんも格好いいって事よ~」

「あほぉ! カーリー! そもそもその例えが嫌なのぉおお!」

 悶え苦しむランファンであった。

 なんか前回と似たオチで済まん。

 

 -14-

 

 そして。

 バックスは、ケンザキは、ウォードは、それぞれ照明を消した自室で、じっと暗闇を見つめる。

 

 ―第6話に続く―

 

 

 おまけ。

 

 ガンダムSS設定

 

※キャラクター解説。

 

●AKG6

 遂に6人ひとまとめの扱い(笑)。

 この6人も明暗分かれてきました。腕前自体はランファンたちがやっとケンザキ達に追いつき始めたに過ぎないのですが、結果として逆転しつつあるのは、ランファンたちとカーリーが、『大切な事』に気付き始めたからですね。その『大切な事』とは、今目を覚ます事、そして第1話で既にルーツが言ってる台詞まんまなんですがね。

 ヴァースキさんが言ってる事も同じ事です。当たり前の事なのに、考え過ぎて、忙しさにかまけて、つい心亡くしてしまう、文字通り忘れてしまう事ですよねえ。

 ケンザキとウォードも頑張れ~。

 

●ライル・バックス

 彼は何故、執拗に軍隊に、規律と団結に縋るのか? その一端が、見えてきましたね。それは実は、多くの子供達が、一度は味わった事でもあります。そして、彼は能力に優れていたが故に、今も子供である事に、周りの子供も大人も気付けなかった。誰もが羨む人であるが故に、誰も彼を労わらなかったとも言えます。

 

●カルロス・アヴァン

 昇進して少佐に。ラマカーニ増強連隊第1大隊隊長となる。ラマカーニの戦闘担当副官でも有るので、実質連隊の戦闘リーダー格。彼より上の中佐大佐もいるが、それは整備兵站や機長などの後方職である。

 増強連隊は81機の正規連隊+セヴとノイのニュータイプ部隊となっている。連隊は通常大佐が率いるが、増強なので准将であるラマカーニが率いる名目を立てている。逆にZでバスクが明らかに連隊を越える部隊を率いているのは、アヴァンと同じくジャミトフの戦闘担当副官と言う名目からであろう。

 そして、この連隊は、3分の1以上が元ティターンズ兵である。グリプス戦役からこちら、特に素行の良かった兵を選び、彼等に失地回復の機会を与える温情行為だったのだが――――以降次話にて。

 

 

※メカ解説

 

●ガンダムSS『スマッシュシルエット』

 皆さんお待たせしました。主役メカ第2形態です。

 強力大口径砲に、通常型の二倍強の推力を持つ強化大型バックパック(簡単に言うと、BstSガンダムとほぼ同じ推力比)で機動力もばっちり、最強だー!!!

 と言いたいのですが、それはWR形態に限っての話。MSに変形したら、砲が巨大すぎて振り回されて、プロトガズィと同じ目に遭うんですよ(爆)。砲身にエンジン積んだだけとも言えますねwwwwww

 さて、ついでですが、何ででっかい大砲がMSに普通は積めないの?の話です。

 もし、海に浮かぶ船に、自分よりも長い砲身の砲を積むと、転覆します。

 戦車でも、同じく転覆、または砲身を常に地面に引きずって持ち上げられません。

 ではもっと短くしても、やはり自分よりかなり短い砲で無いと、撃った反動で転覆します。

 そうすると、水に浮かぶ分、底面積を大きくできる艦艇の方が大きい砲が積めます。

 じゃあ、弾丸はでかくて砲身が短いハンドガンみたいな砲でいいじゃん、ってな話になりますが、それもそう単純ではありません。

 弾丸がでかすぎると、面積が広いイコール空気抵抗がでかい、で、すぐ失速します。だからスマッシュユニットの220ミリ砲や、S&W500マグナムや、某バ○ルテックのオートキャノン/20は射程が短いのです。

 あれ? おかしいじゃん? 俺『艦○れ』やってるけど、普通弾丸がでかい方が長い距離飛ぶよ。

 それは正解ですが、それ自体の条件が、砲身も長ければ、です。

 砲身それ自体が、火薬を燃やす燃焼室、エンジンで言う排気量なわけですね。

 エンジンの例えでまた話しますが、もし燃焼の勢い自体が強すぎれば、エンジンは壊れます。ある一定以上は混合気、砲で言えば火薬の量は増やせません。なので、小さい口径の砲では、火薬を増やし過ぎると暴発します。砲身を長くしても、暴発します。細いホースに高すぎる水圧をかけると破裂すると言えば分かり易いでしょうか?

 大量の水を流すには太いホース、大パワーには大排気量が必要。

 爆発(発射)エネルギーは、大口径砲ほど大きくできる訳です。

 さらに突っ込んで言うと、口径に見合うある一定の速度を超えると、空気抵抗による失速と飛距離の関係が逆転して、質量の大きい弾丸程良く飛びます。単純に言えば、空気抵抗は面積(縦横で2乗)×速度×距離で4乗。エネルギーは質量(縦横長さで3乗)×速度の2乗で5乗。だから例えば単位1以下(0.1とか)だと4乗の方が5乗より大きい(0.0001と0・00001)けど、1以上(10とか)だと5乗の方が大きくなる(1000と10000)関係に近いと思って下さい。式の書ける人は分かりますが、最大の理想発射速度を得られる時、口径と飛距離(より正確には飛翔時間)は比例する。になるのです。

 当然実際は重力も加わりますが、もっと詳しい事が知りたい人は自分で調べてね(おい)。

 話を元に戻して、逆に言うと、同じ長さの砲身なら、小口径の弾丸の方が高い発射初速度が得られます。

 砲身の長さが同じであれば、先程の式の応用で、火薬の燃焼速度が同じ、且つ火薬の空気抵抗を受ける距離(砲身の長さ)が同じとなり、面積(2乗)と質量(3乗)の差の分、発射速度は低くなる事が計算でお分かりになるはずです。

 実際には大口径短砲身ほど火薬の燃焼速度(圧力)を高くできるので、もう少し補えますが。

 以上で、普通機動戦闘を行う現行戦車では120ミリが上限。より大きい(底面積や歩幅が広い)核融合戦車やモビルスーツでも180ミリ砲が上限となる訳です。これより口径が大きいと飛距離が極端に落ちます。ほとんどハンドガンで、広い戦場では実用性が有りません。極端な例ですが、1キロ先のスナイパーライフルのゴ○ゴ相手にハンドガン(そもそも届かねえ)で撃ち合うのを想像しましょうwwwwww。お分かりいただけましたでしょうか? ちなみにザメルなどはMSや戦車と言った機動兵器では無く、自走砲や陸上戦艦とお考え下さい。ヒルドルブは? あれは砲塔の回転しない駆逐戦車ですね(現実の戦車ではヤクトパンサーやエレファント。本来機動戦闘には向かず、分厚い装甲と強力な砲で正面戦闘のみを受け持つ、いわゆる壁、盾役)。

 本文中でも書きましたが、ガンダムSSはゴル○の射撃を躱し弾きながら超スピードで1キロを走れるスーパーマンと言う前提で、超強力ハンドガン(スマッシュユニット)を運用している訳ですね。わあ、ちーと。

 尚、弾くためのIフィールド装備ですが、前面にしか効かないので、旋廻中や上昇中は意外と無防備でした。

 ふう。今までの解説の中でも、最も読者置いてきぼりな、ガチヲタ解説だったぜ(核爆)。

 

●リゲルグ

 ZZに搭乗したものとほぼ同じだが、2機のうち片方は、マイクロミサイルポッドがガトリングポッドに換装されている。R・ジャジャ・メデューサとの連携で本領を発揮するMSである。

 

●ガ・ゾウムやガザDなど

 十把ひとからげ。Zの後期とZZの最初の頃から地上編にかけての、高級少数機を除くほとんどのネオジオンMSと、一年戦争時のほとんどのジオン地球戦MSが有った筈ですが、ほとんど名も出ずひとまとめです。

 80機以上あるとねー。コミックやアニメなら、すごい絵面だったでしょうけどねー。

 恨むなら小説に出演したと言う生まれの不幸を恨みたまえ(おい)。

 冨野監督に映像化希望(むちゃゆーな)。

 

●鹵獲改修型ガウ

 ジオンのそれにほぼ色を塗り替えただけ。連邦ブルー&グレー色。ミノフスキークラフトは高価なのじゃ、ホワイトベース(アーガマ系含む)型ばっかり量産してたら連邦破産するわ。と言う設定で登場でした。

 まあ、ミノフスキークラフト自体は浮かべるだけで推進力が無い事も有って、MSに通常推進器と一緒に積めるサイズは、『閃光のハサウェイ』の時代になってから、と言う設定もありますよねー。サイコガンダムMk.ⅡのZ劇中のリフレクターファンネルは、MSよりやや小さいサイズですが、MSと違って手足を動かす機関やコクピットを積む必要が無いし、ほぼ浮かぶだけだからですよ。クスィーやペーネロペーに積まれてるそれって超小型なわけですよねー。ほぼ只の板。一体いくらしたんだろう? 相当のコストがかかったはず。Vガンダム時代には改良されて(安価になって)ビームローターや光の翼と言ったミノフスキードライブとなりましたが。

 そんな事情で、元ティターンズの将が、皮肉にもジオンのガウのコクピットに立つと言う構図で、今話のエンディングとなったのでした。次話は全12話中第6話。遂に前半期地上編の最終話ですよっ!

 




 PTSD(戦闘後遺症)に陥ったバックス、ケンザキ、ウォード。
 彼等のケアと言う、指揮官としてのもう一つの闘いへ挑むルーツとクリプト。
 一方、ジオンゲリラ本隊をパナマ洋上基地で迎え撃つラマカーニ増強連隊。
 だがそこで行われた降伏勧告は、意外な言葉へと繋がって行く―――
 第6話 ―スクランブル・スピーチ―
 
 ってな訳で、ガンダムSS第6話、第一部地上編最終話は半月後の9月中旬アップの予定です。
 是非是非また次も読んでね!
 おっ楽しみに~。
 (^^)/


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スクランブル・スピーチ

 またまた半月ぶりの御久し振りです。今回も再び皆様にお目にかかれて感謝感激の豊福茂樹です。
 お初にお目にかかる方もまことにありがとうございます。本話からでも第一話からでも、お好きな方からご覧ください。きっと面白いですよぉ!(本当か?)
 相変わらず月2回でやっております当連載も、今回で遂に第一部地上編最終回となりました。
 連邦対ジオンゲリラの戦いもクライマックス。隊内の不安。そしてあの残念ヒロインも今回は?
 激変する状況に、ヒースロウとルーツが下した重大な決断とは?
 それではどうぞ本編をお召し上がりください。
 m(--)m
 
 追伸:捩じれ骨子様、感想毎度パワーになっております。みんなもオラにパワーをくれろ(ネタ古い&図々しい)。半分冗談はさておき、読んでくださるだけでも有り難いのですよ、ホントに。


 機動戦士ガンダムSS

 

 第6話:――スクランブル・スピーチ――

 

 -1-

 

 南北アメリカの各所の基地で、彼等は姿を消していた。

 ある者は公然と休暇を取り―――

 ある者はパトロールや買い出しの最中に姿を消し―――

 ある者は人知れず脱走し―――

 退役軍人達が用意した、自家用ヘリやセスナ、ジェット、民間輸送機に拾われ、空へと飛び立っていたのだ。

 その事に連邦軍上層部が気付いた時には、既に手遅れになっていた。

 

 -2-

 

 メキシコの空で強襲揚陸艦アルビオンと、ラマカーニ率いるガウやミデアの編隊がすれ違う。

 ヒースロウとラマカーニ、そしてブリッジに居並ぶ主だった人物達が、敬礼を交わす。

 豆粒の様なお互いの姿に、刹那、ただ視線の意志をほのかに感じ、次の瞬間には背後に消え去って行く。

「これで肩の荷が下りたな」

 ヒースロウは振り返り、ルーツやクルーを労う。

「ええ」

 ルーツも、珍しく穏やかな顔と声で応える。

「バカ共を一人も死なせずに済んで、ホッとしています」

「………そうだな」

 ヒースロウは制帽を脱ぎ、笑う。

「カリフォルニアに戻ったら、酒でも奢ろう。ホワイト&マッコイを置いてある店を見つけてあるんだ」

 

 -3-

 

 とは言うものの、ルーツの仕事はまだ終わってはいない。

 確かに一人も死なせずに済んだ。

 これは奇跡と言えば言い過ぎだが、上出来すぎる部類だ。

 だが、PTSD(戦闘後遺症)と思われる者も出た。

 強い恐怖感に囚われ、感覚が麻痺し、進行すれば、日常においては選択してはいけない短絡的な暴力(戦闘)行為を取る。

 その兆候がウォード、ケンザキ、そして小隊長のバックスにまで現れている。

 実戦を経験した軍隊においては、不可避の心理傷疵である。

 ルーツとクリプト、艦長のサンズが、パイロット各個人から口頭で、今後の部隊運用の参考にするための詳細な報告をしてもらう―――と、言う名目において、件の3人には、実質的なカウンセリングを行わねばばらない。

 別室には医療士官が控え、マイクとイヤホン越しにサンズに助言もする。

 

 まず、ランファン、カーリー、オコーナー、バードマンには通常の戦闘報告をしてもらう。

 若者たちは自分の戦果を、以前の様にただ自慢と言うよりも、仲間を守り抜けた事を誇らしげに語る。

 だがそれでもルーツは釘を刺す。

「確かに、お前たちは仲間を救い、ひいては他の連邦兵士の命を救い、連邦市民の安寧を救った。それは誇りたいだけ誇ればいい。だけどな―――――、人の命を奪った事だけは、今後も誇るな。これは命令じゃなく、俺個人の願いだがな」

 この言葉には、流石に4人も神妙な顔をする。

 そして、4人の内最後のバードマンからは貴重な話が聞けた。

「幻覚?」

「ええ、そうです」

 本来その場にいないはずのドム、グフ、ザクの幻影を見た。最初の戦闘で出会った、バードマンが今までで最も恐怖に思った敵の姿だと言う。唐突に現れ、そしてすぐに溶ける様に消え去った事から、幻覚としか思えない。

 サンズが眉根を寄せ、自分の記憶を掘り出す。

「大尉、私が以前聞いた話では、かつてニュータイプと戦い生き残った兵士の報告では、敵の思っている事や伝えたい事が、声や映像として脳に送り込まれる体験が有ったと言う」

「………特にそういう幻覚を送り込む力に長けたニュータイプか。良く生き残ったな、バードマン」

「おまけに仲間まで守り切ったんだ、美味しい所頂きまくりじゃねーか! ヒュー、やるー!」

「……大尉と中尉達のお蔭っす」

 それは、以前のバードマンからは、決して聞けなかった台詞だった。

 流石に、ルーツとクリプトも照れる。

 

 いよいよ問題となる3人の内、ウォードの番となる。

「ウォード、教えてくれ。一体何が有った?」

 ルーツが切り出す。

「狡いだろ、あんなの。人が他に気を取られてる時に卑怯だろ」

「?」

「気を取られてなきゃ、あんなミサイルなんて、それなのに今度は馬鹿みたいにたくさんのミサイルなんて、狡いだろ、どこに隠してたんだよ、おかしいだろ?」

「ウォード」

 強めの語気。ルーツの眼光にウォードが息を呑む。

「戦いなら、相手が他に気を取られている隙を突くのは当たり前だ。ヨーイドンで始まる授業とは違う。そしてお前が見た、たくさんのミサイルは、ニュータイプが見せた幻影だ」

 ウォードが呆然とする。

「嘘だろ……、じゃあ、なんでバードマンの奴は平気だったんだよ? あいつだって見た筈だぜ? それなのに、エリートの俺が駄目で、落ちこぼれのモルモットが平気だなんてあり得ねえよ!?」

「ウォード」

 今度は落ち着いた声。

「これはただの勘だがな。それはお前が怖いと思った物に、卑怯だとか狡いとかの言い訳に逃げて、立ち向かわなかったからだ。そして、バードマンは恐怖に、今度は負けないって立ち向かったんだ。幻影なんて関係ない。ただの闘う意志、基本ってやつだ」

「…………」

「くっだらねえなあ」

 クリプトも口を開く。

「大体なんだよ? お前、黙って聞いてりゃあ、エリートだのモルモットだの? 別に俺ぁなあ、誰が美味しい所を頂こうが、それはそれでいいと思ってんぜ。世の中持ちつ持たれつ、花の持ち合い持たせ合いってもんだ。

 だがよ? お前のそいつは人が苦労した成果を横から盗んでるだけに聞こえるし、自分だけが得して他人は損するのが当たり前って聴こえんだよ!」

「落ち着け」

 ルーツが、立ち上がりかけたクリプトの肩を押さえる。だが彼も告げる。

「ウォード。確かにお前はクリプトの言うように格好悪く見える。お前の言う落ちこぼれって奴は、お前の中では大層クズなんだろうな。何せ、今お前は落ちこぼれになりかかってるんだ。さぞ自分で自分が許せねえよな」

「――――――っ!」

「大尉、中尉。これはカウンセリングだ」

「悪りいな。艦長。一度言っとかなきゃ気が済まなかった」

「俺もだぜ」

 そこに、サンズのイヤホンに医療士官からの指示が入る。

「フム。つまりウォード准尉。君を苦しめているのは君自身の価値観という事だ。もっと他者への寛容とリスペクトを持ちたまえ。それが結局のところ、君自身のストレスを緩和するそうだ」

 

 ウォードと入れ替わりにケンザキが入室する。

 以前の彼は新人6人の中で、一番自信に満ち溢れていた。

 だが、今は見る影も無く憔悴している。

「私はどうしたらいいんですか?」

「俺達の出番は終わったんだ。のんびりすればいい」

「それじゃ駄目なんです、大尉。それじゃ、私の評価はどうなりますか?」

「評価を得てどうするんだ?」

「評価を得て偉くなれば、思い通りにできます。今のままじゃ駄目なんです!」

「思い通りって、どうしたいんだ?」

「それは………」

 口ごもるケンザキを見てルーツは頭を掻く。

「お前さ、オコーナーの事をどう思う?」

「……………」

「人の顔色ばっかり窺ってる、格好悪い奴に見えるよな」

「はあ、それはまあ」

「でも、お前も、偉い人の顔色ばっかり窺ってる、格好悪い奴に見えるぜ」

「そ、それは―――――」

「俺には、オコーナーより、お前やウォードの方が子供に見える。お前等は、結局自分より偉い人に自分の人生をどうにかしてもらいたいように見えるし、オコーナーの方が、自分の気持ちと力で生きてるようにも見える」

 クリプトも口を開く。

「だから言ったろ、オコーナーの方が、人に惚れる大器ってやつが有んのさ。お前さ、今のまま生きてて楽しいか? 今のまま偉くなったって、きっとずっと楽しくないままだぜ? だって、自分がどうすれば楽しくなるか、いつまでも分からないままなんだからさ。逆に、もし、オコーナーが偉い奴になっちまったら、きっと幸せになるだろうぜ。だって、大好きなみんなの顔色窺って、みんなを守ったり幸せにするのが好きなんだからな。お前はどうなんだよ? きっと偉くなっても、そんなんじゃあ、やりたくない義務ばかり増えて行くぞ!」

 ケンザキは、完全に胸を衝かれた。

「あーあ、クリプトに美味しい所頂かれちまったな」

「悪いな、ルーツ。俺の方が愛に満ち溢れてるからな」

「主に女にだろ?」

「否定はしね~」

「まあな、ケンザキ。この際だ、回り道に見えても、自分が偉くなったら何をしたいか、じっくり肌で感じてみろよ。頭じゃ無くさ。『考えるな、感じろ』って、ブルース・リーとやらも言ってたぜ。他人の評価じゃなく、理屈じゃなく、自分の心や魂ってやつが震える、楽しいと思う、今、好きな何かを探してみろよ」

「僕の、好きな、事――――――?」

「やれやれ、こいつはウォードにも言ってやるべきだったな。ケンザキ、出来ればこの事は、お前からウォードにも伝えてくれ。あいつも、俺達から言われるよりも、お前に『一緒に探そう』って、言ってもらう方が、きっと心に響くと思うしな」

「―――――はい」

 ケンザキは、やっと過ちに気付いた。

 感情論で現実がどうにもならないなんて、自分自身に吐いた、嘘だった。

 自分の真心が、魂が幸せに思う、感じる、現実を、選び続ければ良かったのだ――――

 

 そして、最後に現れるはずだったバックスは、体調不良を理由に、書類での報告で済ますとの連絡だけで、姿を見せる事は無かった。

 彼の対処は、医療士官に任せる事になったのである。

 

 -4-

 

 パナマ洋上基地。

 メガフロートと呼ばれるその巨大人工島は、巨大港湾施設と大気圏内航空機の空港を複数持ち、また、何よりも宇宙への打ち上げ施設も複数保有する、南北米大陸と太平洋大西洋と、宇宙とを繋ぐ最新の軍事的要衝である。

 ラマカーニ増強連隊は、一先ず空路でジオン軍を先回り、洋上基地に降り立った。

 基地にてラマカーニ達は、基地司令と、増強連隊設立に尽力してくれた、退役軍人会の幹部の歓迎を受ける。

 ラマカーニは挨拶もそこそこに、フェリーニ退役中将と抱擁を交わす。

「中将のお蔭です」

「そう言われると、私も老骨に鞭打った甲斐が有った」

「テムジン少将も」

「基地司令などと言う机に縛られているとね、いつも宇宙を夢見るようになる。君達がもう一度飛ぶ宇宙をね」

「後は任せたよ、ラマカーニ君。手筈はすべて整えた」

「はい」

 

 複数の補給物資を積んだトレーラーのコンテナから、人や物資が増強連隊に流れ込んで行く。

 逆にゴミや排泄物、クリーニング行きの制服がコンテナに積み込まれ、トレーラーにまた積み直される。

 そして―――

 基地から兵站施設へ向かうはずだったそのトレーラーが、途中で乗り捨てられ、コンテナの中に睡眠薬で眠らされ、下着姿で拘束され鮨詰の連邦一般兵達が見つかったのは、この後の一通りの事が済んだ、その後だった。

 

 -5-

 

 ジオン軍兵士たちは、黙々と進む。

 彼等の精神的支柱であった、ビグザムを失って、尚。

 パナマ洋上基地へ向けて。

 進む歩みを止めれば、絶望のぬかるみに嵌り、もう、二度と立ち上がれる事は無い。

 誰もが口にせず、そう思っていた。

 宇宙に還れぬくらいなら、戦って死のう。

 誰もが口にせず、決意を共にしていた。

『姉御』

 ゴーゴンの手下達が彼女に話しかける。

 宇宙でよく使う、無線を用いず銃の先端を味方機に付けての、接触通信だ。

『連中、申し出に乗ってくれますかね』

「どうだろうね」

『………』

「こいつらはさ、プライドってやつが有るんだよ。ドサ回りと傭兵稼業でアタシらが無くした、ジオンの誇りってやつがさ。飼い主が誰でもいいって訳じゃないだろうね」

『姉御はそれでいいんですか? だって、姉御は――――』

「言うんじゃないよ」

『……………』

「馬鹿みたいだよね。今更年頃の小娘みたいに、都合のいい夢が叶うなんて思ったりしてさ」

『――――馬鹿じゃないっすよ』

『そうです』

「すまないね」

『謝らんでください』

「………」

『姉御?』

 気付くとゴーゴンのR・ジャジャ・メデューサは、いや、七十余機のMSは、立ち止まっている。

 見えたのだ。

 パナマ洋上基地の、一際高い、その管制尖塔が。

 そして、見えたのだ。

 浮塵子や砂粒のような、だが決して砂粒などでは無い、重厚な存在感のオーラを放ち、轟炎の唸りを上げる、鋼の巨人の、八十三の騎影が。

 それは、空を、洋上に架けられた巨大橋の上を進み、こちらに近付きつつある。

『皆』

 ラドックが全員に語りかける。

『今まで良く付いて来てくれた。後は、先立ったジオンの英霊に恥じぬ、戦士としての真価を示すのみだ』

 

 -5-

 

 アルビオン居住区。

 バックスは、自室のベッドの上で膝を抱える。

 結局彼は、医療士官にも、ゴーゴンに見せられた幻影について語る事が出来なかった。

 今まで彼は、模範的な学生、模範的な兵士、模範的な教官として、常に周囲の期待に応えてきた。

 誰もが彼を羨んだ。

 このまま行けば、そのうちきっと願いはかなえられると信じていた。

 模範的な軍人として。

 だが今はどうだ。

 教え子に、部下に、命令一つ聴かせられない。

 願いを叶える力など、何一つ持っていなかったのだ。

 自分は結局、無力な子供の頃のままだったのだ。

 あの光景に抗えなかったのも、当然だ。

 彼には、ルーツが眩しい。

 伝説のトップエース。

 かつては、自分も素質では劣っていないと、無邪気に信じていた。

 だが、根本的な何かが違っていた。

 自分の教え子は、優秀な生徒だ。

 しかし結局、ただそれだけだ。

 なのに、ルーツの教え子たちは、まさに彼が願った―――――

 

 -6-

 

 MSデッキ。

 ブラウンが、いつもの様にALSSの調整に躍起になっていると、ルーツがコーヒーカップを両手に持ってやって来る。

「ほらよ」

 差し出すそれを、彼女は少しためらいつつも、結局は受け取る。

「調子はどうだ?」

「アタシが見てるのよ。悪い訳無いじゃない」

「違いない」

 彼は苦笑する。

 それきり黙る彼を見て、流石に何かを察する。

「貴方の方は?」

「ああ」

 彼が困りながらも、訊ねられて救われたような顔になったのを見て、それが間違いで無かった事を感じる。

「生憎うまく行ってない」

「バックス中尉の事?」

「ああ」

「どうするつもり?」

「………もしもさ、アーサーに重大な欠陥が発覚して、ユニットを全部取り替えるか、ALSSをなんとか修復してそのまま生かすか、その選択を迫られたら、あんたはどうする?」

「決まってるじゃない。私がこの子を見放すと思う?」

「だよな」

 彼は、顔を輝かせ笑う。

 彼女は、この答えが間違いで無かった事を悟る。

「貴方の思うようにしなさいよ。どうせそうするつもりだったんでしょう」

「ああ」

「だって、貴方は―――――」

「?」

「な、何でも無いわよ」

「歯切れ悪りーな、はっきり言えよ」

「あ、アホだけど、そう悪い奴でも無いって事よ!」

「あー、ハイハイ」

「…………ね、ねえ、ルーツ」

「?」

 だが、その会話の先が続く事は無かった。

『全乗組員に告ぐ』

 ヒースロウからの船内放送。

「「?」」

『今からモニター及び船内放送に重大な映像と音声を流す。傾注せよ』

「何だと?」

「一体何?」

『スクランブル待機せよ。とんだヘイトスピーチだ』

 

 -7-

 

 時は僅かに遡る。

 パナマの岸で、両軍は交戦距離ギリギリで対峙する。

 そして、その降伏勧告のスピーチは始まった。

 

 -8-

 

 ある放送局では、『終戦より2年、平和への道』と言う、生討論番組が放送されていた。

 退役した軍幹部達と軍事評論家達と有識タレント達が、今後の地球圏をいかに平和にして行くかの意見をひな壇で交わし合う、良く有る類の番組に過ぎなかった。

 本来生放送の予定では無かったのだが、最後のジオン残党軍とやらに降伏を勧告するシーンが生中継できる、局側に嬉しい誤算が有ったため、生に差し替えられた。

『それでは、今これから、ラマカーニ准将がジオン残党軍に降伏を勧告されるそうです! 今こそ、まさに!戦争の全ての傷跡が拭い落とされんとする、世紀の一瞬です!!』

 アナウンサーの声にも興奮の色が隠せない。

 

 -9-

 

 全ての無線通信帯とMSの外部スピーカーから、ジオン残党軍に、そして連邦全ての視聴者に、ラマカーニの、その言葉は投げかけられた。

『真の戦士達よ、我々に帰順し給え』

 ――――???――――

 それは、誰もが予想していた降伏の言葉とは、微妙にニュアンスが違っていた。

 耳を貸さぬつもりだったジオン兵達にも、動揺が走る。

『我々と君達は同じなのだ』

 

 -10-

 

 地球の、宇宙の、あらゆる基地や船舶の中で、兵士達は固唾を呑んで聞く。

 その中には元ティターンズ兵士も。

「オヤッさん、何を言うつもりなんだ?」

 

 -11-

 

『刑法には殺人教唆罪と言うものがある。

 自らの手を汚さず殺人をそそのかした者は、実際に手を汚した者よりも罪が重いと言うものだ。

 だが、悲しいかな、事、軍事の世界においては、その限りでは無い。

 自らの信じる理想や正義の為に、己の命を賭した者よりも、安全な後方でそれを煽った政治家や官僚、財界人の方が、素知らぬ顔をして、のうのうと罪に問われず生き残る、それが現実なのだ。

 我々ティターンズもそうであった。

 安全な後方に引き籠りたがる、己の保身しか考えぬ軍官や政財人の代わりに戦った。

 かく云う私も、事務兵站職と言う、安全な後方に居た身だ。誹られても構わない。

 そして、確かにジャミトフやバスクは狂っていたかもしれない。

 だが狂うほどに同胞を愛し、戦争を憎んでいたのだ!

 理想を、正義を、地球圏の永久の平和を、追い求めていたのだ!

 それはすべてのティターンズ将兵の、偽らざる本心だったのだ!

 なのに、ジャミトフを、バスクを、狂気に追いやった責任を持つべき高官たちは、政財界人たちは、さも自分達が被害者面をして、のうのうと生きさらばえている!

 全ての罪咎を、偏見を、蔑みを、負わされたのは、前線で掛け替えの無い命を賭した、忠実で哀れな、真の戦士達だったのだ!

 ジオンの将兵よ、貴方達もこう思った事は無いのか?

 自分達も、ジオンの理想と正義の為に戦ったのだと! 扇動者たるギレンなどではなく、前線で将兵と命を共にした、ガルマやドズルこそがジオンを率いるべきだったのだと!

 我々は誰よりも命を奪い、奪われてきた、その自覚がある!

 誰よりも、命の儚さ尊さを知っている。誰よりも同胞を失ってきたが故に!

 全てをモニターと書類で、まるで他人事の数字でしか見れぬ、憐れな者達が、如何に世界を治めてきた?

 傲慢と無自覚、無感覚、無感動、無神経、その繰り返しだ!

 何も見てはいない、聴こえてはいないのだ!

 人の想いを、人生を、踏みにじる!

 効率と利益の名の下に、自らの心が貧しいから、他人も心など無いのだと思う、この上無く裕福な代わりに心貧しき乞食で、傲慢で、臆病で、憐れな道化達が、世界を治めているのだ!

 これほど恐ろしい事が有るか!?

 命の重みを知っている、真の戦士が世界を治めるべきなのだ!

 この放送を見る心あるものよ、真の戦士よ。ティターンズも、ジオンも、ネオジオンも、連邦も、エウーゴも、カラバも、その軛に意味は無い! 命を賭した者、命の重みを知る者は皆同胞なのだ!

 我が元に来たれ!!

 そして、新たに≪ウラノス≫の名と旗の下に、団結し、世界を治めるのだ!』

 

 -12-

 

 波紋は各所に広がる。

 

『君は行かないのかね?』

「何の御冗談ですかな、ゴップ議長。私はティターンズとは関わりの無い、ただのヴァースキです。それよりも、彼等の討伐を私にお命じにならないので?」

『君は彼等の昔の知人に似ている。君を彼等の前に出して、下種の勘繰りをされるのを私は好まない』

「ごもっともで」

『君達高高度緊急展開部隊の任務は、彼等に空路で合流しようとする者の阻止だ。もっとも、私の読みでは、その必要も無いだろうがな』

「愚か者はいないと?」

『いや、既に合流した後だと私は読む。この演説は地球連邦軍に動揺を誘う為のヘイト攻撃だ』

 

「お前、行かないのか? 元ティターンズで、その中でもエリートのMS開発部隊だったんだろう?」

「いや、僕の仕事はもう戦う事じゃない。どのパイロットも生きて還れる様に、その為に育てる事だ。綺麗事に聴こえるかもしれないけど、もう、人を生かす為にしか操縦桿を握る気は無いよ。それが僕の今の闘いだ」

 

「滑稽だな、ナナイ」

「彼がですか、大佐?」

「いや、こんな老人に喝破される程、連邦は、地球は腐敗し破綻しているという事だよ。安全な揺り籠の幻想に囚われた人々は、目を覚ますべきだ」

 

 -13-

 

 カリフォルニア基地、アルビオン艦橋。

「シビリアンコントロールの破壊だと? 傲慢なのは貴様だ!」

「どうされます? 司令」

「独断専行の責咎は私が負う。サンズ艦長、直ちにパナマ洋上基地に向けて本艦を発進させたまえ!」

 

 -14-

 

 パナマ沿岸。

「我々が断ればどうするつもりだ?」

 ラドックが問う。

『矛盾に聴こえるかも知れんが、平和を乱す犯罪者として討伐する。真の戦士とは認めない』

『ラドック、頼む、聞き入れておくれよ』

「ゴーゴン………」

『アンタには死んで欲しくないんだ、お願いだよ』

 ラドックはしばし沈黙に閉じ、考え抜いた末に、答えを出す。

「――――その申し出、私個人は受ける」

『『『中佐!?』』』

『君個人―――、とは?』

「私と、私に賛同する者はお前らに協力する。だがそれには条件が有る」

『―――聴こう』

「私が申し出を受ける代わりに、その代わりに、他の者が去るのを見逃して欲しい。宇宙に還りたい者達は宇宙に還してやり、モビルスーツを捨てられぬ者達が、再び北米に戻るのを許してくれ。それが条件だ」

『…………良かろう』

 こうして、ラドックと約1個大隊のジオン兵は彼等に恭順し、残りの者はモビルスーツを捨て、サイド3に還るか、モビルスーツとともに、北米の地に帰って行く。

 ラドックと運命を共にしなかった者達のその後は、シャアの反乱やラプラス事変と後に呼ばれる、ネオジオンの闘争の時代に、また名も無き兵として語られている。

 

 -15-

 

 アルビオンMSデッキ。

 バックスを除く待機中のパイロットに、ヒースロウから命令が下る。

『ゴップ議長から正式な通達が出た。連中はパナマ基地係留の予備宇宙戦力、マゼラン改級1隻、サラミス改級4隻、コロンブス級3隻で宇宙に上がる動きだ! 我々は全航空戦力でそれを阻止する!』

「C小隊は待機ですか?」

 ルーツが問う。

『そうせざるを得まい』

 ――二重の意味で――、とまではヒースロウは口にしない。

「了解! A小隊及びB小隊、各員搭乗!急げ!」

 各ガンダムのジェネレーターが唸りを上げる。

 ケンザキはその音を聞いて、不思議な感覚に包まれる。

 ああ、そうだ―――――、この音だ。振動だ。操縦桿の手応えだ。

 僕はきっと、エリートになりたくてMSの操縦が上手くなったんじゃない―――

 MSの操縦が、きっと、ただ好きだったからなんだ。

 バックスとの仲がこじれたのもきっと―――

 生きて帰って、その事を伝えたかった。

 

 -16-

 

 パナマ洋上基地、マゼラン改級『ウラケノス』艦橋。

「准将、敵性と思われる6機の戦闘機接近中! おそらく打ち上げを阻止しに来た、アルビオンのWRMS部隊と思われます!」

「残念だ………。彼等も、特にルーツ君は、真の戦士の心を持っていると思っていたのに」

「どうされます?」

「セヴ、ノイ。遠隔操縦だが、やれるかい?」

「やってみる」

「どうせサイコガンダムとサイコバイアランは宇宙には持っていけない」

 特設のシートに座った少女と少年の頭を、武骨なコードの伸びたヘルメットが覆う。

 

 -17-

 

「迎撃来やがったぜ!」

 ルーツが叫ぶ。

 14基のドローンファンネルとサイコガンダムMk.Ⅱ、サイコバイアランが襲いかかる。

『クリプト中尉!』

『何だ?ケンザキ、またサイコバイアランは自分に任せろってか?』

『いえ、それは中尉にお任せします! それより僕はファンネルを相手するので、僕のフォローにオコーナーを付けて下さい!』

『ほ~。いいか?オコーナー?』

『か、構いません。俺もその方が得意です!』

『頼む、生きて帰りたいんだ! ウォードみたいに美味しい所を攫ってくれ!』

『…………ケンザキ』

『な、何だよ?』

『何か、初めて友達扱いしてくれた気がして、嬉しいよ』

『よ、止してくれ』

 

 -18-

 

「――――駄目、やっぱり遠隔じゃ無理」

 セヴのサイコガンダムMk.Ⅱが、ルーツのガンダムSSに墜とされる。

「いや、いい。時間稼ぎは充分だ」

 鳴り響くロケットエンジンの轟音。

「もう、間に合わん」

 ラマカーニ達を乗せた船たちは、次々と打ち上げを開始する。

 

 -19-

 

『ルーツ、もう間に合わん! 斯くなる上は、一隻でもいい、ガンダムSSの推力で貼り付いて撃ち落とせ!』

 ヒースロウの命令。

 ルーツはラマカーニ達の船に向かう。

 だが逡巡する。

 それでいいのか―――?

 脳裏に浮かぶセヴとノイの笑顔。そして―――――

(貴方の思うようにしなさいよ)

(あ、アホだけど、そう悪い奴でも無いって事よ!)

「アーサー、220ミリ砲をパージだ!」

『了解、主砲スマッシュカノンを投棄します』

『ルーツッ!?』

 ヒースロウの悲鳴に近い抗議。

「その代わり、ビームマシンカノンをビームサーベル代わりにできるか?」

『可能ですが、およそ1.1秒で砲身が焼き切れます』

「なら両方で2.2秒。充分だ! 船とロケットブースターの接合部をそいつでぶった切る!」

 

 コロンブスの一隻にガンダムSSが追い付く。

「信じられん、奴は化け物か!!!?」

 オリンポスの兵士達がGと驚愕に顔を歪める。

 そして、ブースターを切断されたコロンブスは、ぐらりと傾き、落ちて行き―――

 水しぶきを上げ、海面に不時着した。

 

 -20-

 

 アルビオン艦橋。

「スミス、お前等の部隊は海兵隊の訓練も受けているはずだ。医療士官を伴い緊急連絡艇で突入し、睡眠ガスを用いてコロンブス級を無血制圧し、人員を拘束せよ」

『人使いが荒いぜ、まったく』

「ルーツ。あのまま放っておけば、おそらく衝撃から醒め絶望した彼等の多くは、自決を選んでいたはずだ」

『――――っ、ヒースロウ、すまねえ!』

「戦いだけでなく、平時においても人の心の2手先3手先を読め。私もゴップ議長から学んだ。たとえ考えるより先に体が動いても、動いた後には必ず考えろ」

『……肝に命じる。いや、命じます!』

 

 -21-

 

 6機のガンダムが次々と無事に着艦する。

「Rock’n Roll!」

「「「ロックンロール! ロックンロール!」」」

 メカニック達が、クル-達が、歓呼の声を上げる。

『チェッ、こういうとこ敵わねーよな。ルーツにはよ』

 クリプトが呆れながらも笑う。

『熱くなったら前に出ちまう、か。まんまロックンロールだぜ』

 普段は愛想が無いくせに、いざやの刻、誰よりも誰かを愛する事すらも、躊躇わず前に転がって征く。

 気付けばヒースロウさえ、デッキに降りて出迎えに来ていた。

 ヒースロウは願う。

 R&R。この数奇なイニシャルを持った若者よ。

 どうか、優し過ぎたマニングスの様に、死神の手に捉えられる事なかれ。

 ガンダムSSよ、メカニック達よ、この若者に、誰よりも速き、疾き、死神の手よりも迅き翼を授けたまえ。

 ――Ryou Roots―― この転がる(Rolling)石(Rock)に。

 

 ―第一部地上編完。第二部宇宙編開始、第7話へと続く―

 

 

 おまけ。

 

 ガンダムSS設定。

 

※キャラクター解説。

 

●リョウ・ルーツ

 彼のニックネーム、『ロックンロール(R&R)』が、やっとここに来て本編中に出ました。

 狙ったタイミングへの過程を消化するまでが長かった~。はい。エモかったでしょうか?

 ちゃんと主人公してくれて、お養父さんは嬉しいです(実父は勿論センチネル原作者高橋さん)。

 このままブラウンとも………え?あれが何してそうなるの?ヒデエ。

 続きは続きにて(日本語が変)。

 

●ロデム・ケンザキ

 第六話の裏主人公でしたね。吹っ切れて何よりです。ですが成長した彼には、これからウォードと共に立ち向かう問題が有るのですが。続きは(以下略)。

 

●ライル・バックス

 どツボです。

 もしジョッシュがルーツ達と共に居れば、彼もこんなふうに打ちのめされた事だろうと、まさにジョッシュの代わりであるキャラクターとしては、予定通りなのですが可哀想(俺が言うな)。

 それでも、立ち上がるには、彼が彼の言葉で言うしか、叫ぶしかないのです。

 

●シン・クリプト

 今回いっぱい美味しい所を頂きましたが、最後の美味しいとこはルーツのモノでした。いいコンビですね。

 

●イートン・ヒースロウ

 渋い名将になってきました。アホ二人とセットで不屈の闘志で頑張ってほしいものです。

 

●シェリー・ブラウン

 ヒロインっぽくなってきましたが………。えー?あれが何(以下略)。

 

●ラドック&ゴーゴン

 周りから見てあからさまにそうでも、思い詰めてたりすると、当人なかなか気づかないものですよね。

 

●ソラン・ラマカーニ

 彼は兵を愛し過ぎ、そして悲しみ過ぎた人です。

 結果悪役としての行動に走りましたが、彼の言っている事にも理は有るのです。

 数字、効率、利益、そして不安と恐怖。それを追い求め過ぎると、他人の大切な何かを踏み潰してしまう。

 それは偉い人に限った事で無く、つい誰もがしてしまいがちな事。

 人からしてみれば大した事に見えないそれも、後になって大事だと気付く。

 他人に踏みにじられても尚、大切にできる人が、結局は名クリエーターや芸術家、名指導者等、各分野のトップランナーになる。そう言うモノです。

 きっとそれが、そして挫けそうな誰かに、負けるなと云う事が、本当の勇気なのに、彼は暴力で人に味方する事を選んだ。

 踏み潰し踏みにじる側になる事を。

 哀将。そう呼ぶべき人でしょう。

 

 

※メカ解説。

 

●ガンダムSS・ハイスピードVer

 単にスマッシュシルエットから主砲を外しただけ。ですがそれにより、BstSガンダム以上の推力比を発生。機動力においてはまさに化け物になった訳です。ルーツはさぞ、あれ(衛星攻防戦)から鍛え直したのでしょう。で無いとGで死んでるよこれ。努力って無駄になったように見えても、後でひょっこり役立つもんですよ。

 さて、ビームマシンカノンですが、病院船ケルゲレン墜としで悪名高い、某ジムスナイパーの様に、理論上あらゆるビーム兵器は連続照射でサーベルのように使えます。普通はエネルギー供給や冷却の問題で、セーフティーが働き、出来ない訳です。区切る事により、威力の高いビームが撃てたり、砲身が焼け溶けずに済むのです。

 じゃあビームサーベルは?って、あれは凄く低出力のIフィールドで閉じ込められた、超省エネビーム兵器なのですよ。Iフィールドで閉じ込められている間のエネルギー供給と冷却の必要はごく僅か。敵に触れて、はじめてIフィールドが壊れて破壊兵器になる(その時はそれなりにエネルギー供給がいる)訳です。

 逆に言えば、防禦兵器の壊れない超高出力Iフィールドに比べて、壊れ易く低出力な分、簡易安価なフィールドなんですよね。だから開発順序としては、こちらが先に実用化された訳です。

 ふう、またガチオタ解説だったぜ。多分、他で同じ解説してると思うけど、せずにいられなかった(笑)。

 そんな訳で第一部地上編終了です。第二部宇宙編のガンダムSS新形態にも期待してね!

 ストーリーは? 鋭意努力する所存にございます(政治家の様な胡乱な発言)。

 ではでは。

 まったねー。

 




 ルーツ達はウラノスを追う為、宇宙を目指す。
 回復し切らないバックスたちを敢えて補充兵と交代させず、問題を抱え込んだまま。
 ウラケノスと激突する連邦艦隊。姿を現すガンダムSS新形態、ストライクシルエット。
 ラグランジュ4の戦いの趨勢や如何に?
 第7話 ―ストライク―
 
 ってな訳で、いよいよ始まる第2部宇宙編、ガンダムSS第7話は10月初旬アップの予定ですよ。後半戦突入でますます気合いを入れております!
 是非是非是非また次も読んでね!
 おっ楽しみに~!
 (^^)/


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