ドラえもん のび太の仮面冒険記 (Δデルタ)
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プロローグ

え〜どうも。Δデルタと申します。こんな初心者ですが、初心者なりに頑張って行くので宜しくお願いします。では、本編をどうぞ。

7/13 修正しました。


辺り一面何も無い荒野で2人の人影が戦っていた。だが、どちらも人間の姿をしていなかった。一方は、黒い身体に胸に赤い装甲、白いマントで顔は青い装飾のついた赤いマスクをしており、手には、細身の剣と周りに刃のついた大きな丸い盾を持っていた。もう一方は、マゼンタと白と黒の身体に顔に黒い線が幾つも入っており、額は黄色で緑の複眼を持ち、さらに腰には14のマークが描かれたベルトを身につけて、その姿はまるでヒーローの様であった。

 

?「ディケイド‼︎ 此処が貴様の墓場にして、

旅の終わりの場所だ‼︎」

ディケイド(以後ディ)「そうはいかないよ、鳴滝いやアポロ

ガイスト‼︎ 僕は仲間や先輩達と約束

したんだ。お前を倒して皆の所に帰

るって‼︎」

アポロガイスト(以後アポロ)「ふん、無駄だ。貴様は此処で

私に倒されるのだ‼︎」

 

そう言いながら2人は剣と拳を交わす。アポロガイストが剣で斬りかかるとディケイドはそれを横に躱すと拳で反撃するがアポロガイストは大きな盾“スーパーガイストカッター”で受け止めてディケイドを押し返しスーパーガイストカッターを投げ、さらに細身の剣“スーパーアポロフルーレ”から2連装式の銃“アポロショット”へと持ち替えディケイドに向け発射した。ディケイドは、スーパーガイストカッターは何とか躱すも、アポロショットの銃弾は躱しきれず次々と銃弾を受け、火花を散らし吹き飛ばされる。ディケイドは腰のカードホルダー“ライドブッカー”をガンモードにし、相手の銃弾を全て一発も外さず迎撃するが、反撃しようとし所で、さっき躱した筈のスーパーガイストカッターがブーメランの様に戻ってきた。ディケイドはそれに気づき射撃逸らすが、その隙にアポロショットの銃弾をくらってしまい、地に倒れ伏してしまう。

 

ディ「ぐわぁああああ! うっ! くっ!」

アポロ「どうだ、ディケイド‼︎私の力は‼︎様々な世界を旅

する事によって、私はとうとう貴様を倒す程の力を

手にしたのだ‼︎」

 

そう言うと、アポロガイストはアポロショットの銃口にエネルギーを溜めてゆく。

 

ディ「くっ!」

 

ディケイドもライドブッカーから一枚のカードを取り出し、腰のベルト“ディケイドライバー”に装填する。

 

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

すると、ディケイドの前に15枚のホログラム状のカード型エネルギーが現れる。そして、飛び上がりカード型エネルギーを潜り抜け、右足にエネルギーを溜めながら、飛び蹴りを放つ【ディメンションキック】をくらわせようとする。アポロガイストもアポロショットからビーム【スーパーマグナムショット】を発射した。そして、互いの必殺技が衝突した。最初は、均衡を保っていたが、徐々に【ディメンションキック】が押され始めた。

 

アポロ「フハハハハッ!ディケイド、貴様も所詮人間。1人

では、この私に敵うまい‼︎」

ディ「確かにそうだ。今の僕の力だけじゃあお前には敵わ

無い」

アポロ「フッ。ようやく諦めたか」

ディ「だがな‼︎今の僕は1人で戦ってるわけじゃ無い!今も

僕の帰りを待ってる仲間や自分達の世界を守るために

戦ってる先輩達の想いと共に戦ってるんだ‼︎」

アポロ「下らん!そんな物でこの私に勝てるとでも?」

ディ「違う!勝てるんじゃ無い、勝つんだ‼︎ ウオオオオオ

オオオオ‼︎」

 

次の瞬間、ディケイドの後ろに似たような仮面の戦士達の幻影が現れた。すると、【ディメンションキック】が【スーパーマグナムショット】を押し始めた。

 

アポロ「何⁈」

ディ「はああああああ!」

 

そして、その後【ディメンションキック】が【スーパーマグナムショット】を打ち破り、アポロガイストを貫いた。

 

アポロ「バカな⁈この私が、圧倒的な力を手に入れたこの

私が⁉︎」

ディ「どうだ、アポロガイスト。これがお前が馬鹿にした

人の想いの力だ」

アポロ「ぐぅぅぅっ。だがなディケイド、貴様が生きてい

る限り、私は貴様の前に立ち塞がり続けるぞ!そ

れを忘れるな!」

 

そう言い残すとアポロガイストは爆発した。それを見ながら、ディケイドは変身を解いた。すると、そこにいたのは丸いメガネをかけ、黄色のTシャツに紺の半ズボンをはいた少年だった。その後ろに、銀のオーラが出て、そこから青年が出てきた。

 

?「ありがとうございます。のび太君。貴方のお陰で世界

は鳴滝の脅威から救われました」

のび太「いや〜。僕だけの力じゃ無いですよ。これまで出

会って来た人達のお陰ですよ」

?「ですが、貴方が世界を救ったのも、また事実。本当にありがとうございます」

のび太「もう、いいですって。それより、僕の世界は…」

?「大丈夫です。鳴滝が消えたので直に元に戻ります」

のび太「はぁぁぁぁ。良かった〜。」

?「さあ、貴方の世界に戻りましょう」

のび太「あっ、ちょっと待ってもらえますか? 皆にお別れ

を…」

?「すみません。それは出来ないのです」

のび太「そうですか…。いや、いいですよ。渡さんは悪くありません。それに、これ以上此処に居られないのは大体わかってましたから」

渡「そうですか…」

のび太「とにかく、早く戻りましょう」

渡「分かりました」

 

すると、のび太の後ろに銀のオーラが現れた。

 

渡「そこを通ればすぐの筈です」

のび太「分かりました。ありがとうございました」

渡「いえいえ、助けていただいたのは此方です。なので、

これぐらい当然です」

のび太「そうですか。では」

渡「ええ、さようなら」

 

そう言うと、のび太は銀のオーラの中に消えた。

 

渡「では、僕も行きましょうか」

 

そして、渡も銀のオーラの中に消えて行った。




最後まで読んでくださりありがとうございます。できれば、感想を貰えると嬉しいです。あ、でも批評に関しては、できればお手柔らかにお願いします。では、また。


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設定

今回は、この作品の設定をかきます。其れでは、どうぞ。


登場人物

 

野比のび太(仮面ライダーディケイド)

11歳 小学5年生

特技 昼寝、綾取り、射撃、剣、格闘、料理など家事全般、楽器の演奏

苦手 面倒な事、つまらない事

この作品の主人公。ドラえもんが来る前、紅 渡から鳴滝を倒して欲しいと頼まれ世界を旅した。今までの旅の経験によって、剣と素手の格闘が出来、射撃に関しては更にレベルが上がっている。戦闘能力は、戦闘員クラスの怪人なら生身でも倒せ、普通クラスの怪人ともある程度渡り合える程。更に、知識も増え知能は、人並み以上持っている。そして、精神年齢も上がっていて、原作ののび太より落ち着いている。家事は津上翔一によって教え込まれている。料理も翔一や天道 総司、相馬 晴人に教えられており、その実力はかなり高い。楽器の演奏は、キバの世界で色々な人に教わった為、種類ジャンル問わず演奏出来る。ちなみに、歌も上手い。だが、本人がそれらをを隠している為、周りからはいつもダメ人間だと思われている。その理由としては本人曰く、バレるといろいろ面倒な事になりそうだから。変身後の能力は他のライダーにカメンライド出来るのは、原典と同じだがカメンライド出来るライダーが一号ライダーから鎧武までになっている。ちなみに面倒な事は嫌いだが、毎日の訓練は欠かしていない。

 

紅 渡(仮面ライダーキバ)

22歳

特技 バイオリン製作、修理、演奏

皆さんお馴染みの世界の管理者。鳴滝の計画を知り、それを阻止する為に、のび太にディケイドライバーとライドブッカーを渡し、様々な世界を旅させた。自身も仮面ライダーキバであるが立場上、直接手を出せなかった。次元の壁を自由に使え、世界を行き来することができる。

 

鳴滝(アポロガイスト)

年齢不明

特技 不明

苦手 不明

全てが謎に包まれた男。動機は不明だが、全ての世界を滅ぼし新たに創り直そうとした。何故か、ディケイドの事を酷く憎んでおり、行く先々でのび太を殺そうとした。最後は、ショッカーを始め様々な世界の悪の組織や怪人の力を盗み、自らの身体を改造しアポロガイストとなり、のび太が今まで回った世界に怪人を送り込み、滅ぼそうとしたが各世界のライダーに邪魔され、最後はディケイドの手によって倒された。アポロガイストとしてののステータスは、スーパーアポロガイスト以上で、スーパーアポロガイストの武器を使用する。

 

登場アイテム

 

ディケイドライバー

のび太がディケイドに変身する時に、使用する。外見は各仮面ライダーのマークがクウガから鎧武まで増えている以外は原典と変わらない。

 

ライドブッカー

ディケイドの左腰についているカードホルダー。中には、数々のライダーカードが入っている。また、射撃が出来るガンモードと剣になるソードモードにも変形する武器でもある。ちなみに、変身していなくても使用可能。外見は原典と変わらず。

 

マシンディケイダー

ディケイドが使用するバイク。このバイクは、最高時速350kmで走り、次元エネルギーによって、陸、海、空、宙で走行出来る。更に、歴代主人公ライダーのバイクに姿を変えることも出来る。また認識阻害機能もある。サイズはのび太が変身していなかったら、其れに合わせたサイズになり、変身すると元のサイズに戻る。外見は原典と変わらず。

 

Dフォン

のび太が使用する携帯電話型アイテム。このアイテムは、ただの電話では無く、世界を超えて通話したりすることができる。もちろん、普通に使用することも可能。さらに、マシンディケイダーを呼び出す事も出来る。外見は、スマートフォンで、色はマゼンタで、模様はディケイド顔の様に黒い線が入っている。

 

その他

 

ポラロイドカメラ

のび太が昔、おばあちゃんに買って貰ったカメラ。外見は原典の門矢 士の物と同じだが、のび太の持っている物はポラロイドカメラなので、撮った写真がすぐに出てくる。

 




はい、以上設定でした。まず、のび太の設定が大分違います。ええ、何か後から後から追加していったらこんな事になっちゃいました。どうしよう…。まあ、頑張って書いていくので応援宜しくお願いします。次回は、とうとう一話に入ります。


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第一話

え〜、はいΔデルタです。今回は、やっと本編に入ります。
のび太「随分、長かったね」
いや〜、GWの宿題が、あり得ん程あって。
のび太「ふ〜ん。で、終わったの?」
いや、全然。
のび太「オイッ!大丈夫かよ⁉︎」
へーき、へーき。休みまだあるし。終わらんくても、夜中やれば、いいし。
のび太「そんなんだから、授業中、居眠りすることになるんだよ!」
別に、何時寝ても授業中寝る事になるんだから一緒やて。
のび太「高校生として、あるまじき発言だな」
まあ、そんな事より第一話始まります。


 

東京都練馬区

 

その日、町はとても賑わっていた。理由は、簡単。正月だからだ。ある者は、家でおせちを食べ、ある者は、外で凧揚げやコマ回し、羽根つきなどに興じ、またある者は、お年玉の使い道を考えているであろう。そんな中、ある二階建ての一軒家の一室で、一人の少年がゴロゴロしていた。

 

のび太「いや〜、やっぱり、お正月は家でのんびりするに限るね〜。何で、皆外で遊ぶんだろう?たまの休み位、家でのんびりすれば、いいのにね〜」

 

と、まるで仕事が無い日のお父さんみたいな事を言っているのは、この作品の主人公である、野比 のび太である。しかし、主人公が初っ端から、これでは正直、不安しか湧いてこない。

 

のび太「ん?今、誰かに馬鹿にされた様な…。気のせいかか」

 

地の文に、反応しないで欲しい。まあ、兎に角この少年が、主人公である。さて、この少年。今は、こんな状態であるが、この少年周りは知らないが、かなり凄い実績を持っている。実は、一年前、仮面ライダーの力を手に入れ様々な世界を旅し、世界を救うと言う偉業を成し遂げているのである。ん?仮面ライダーって何だって?そういう人は、ネットでググれば、此処で説明するより分かり易いであろう。決して、説明が面倒とかでは無い。無いったら、無い。

 

のび太「今、誰か必死で弁解してる様な気が…」

 

だから、地の文に反応しないで欲しい。それと、弁解では無い。

 

のび太「(それにしても、あの旅からもう一年か…。先輩達や他の皆はどうしてるかな)」

 

と、のび太は旅先で出会った仮面ライダーとしての先輩達や、旅の仲間達の事を考えていた。が、その時

 

ガタガタガタ

のび太「‼︎」

 

突如、勉強机の引き出しが揺れ始めた。のび太は、それに驚きながらも、今までの様子からは考えられないぐらいの素早さで起き上がり、勉強机から距離を取った。と、同時に勉強机の引き出しから、何かの気配を感じた。

 

のび太「(何だ?地震…じゃあ無いな。じゃあ、何で引き出しが…。いや、そんな事よりなんで、机の引き出しの中から気配が。普通は、そんなのあり得ないのに…!まさか、怪人⁉︎」

 

のび太は、目の前の現象を冷静に分析する。頭の中で、様々な仮説を立てていき、一つの考えに辿り着く。その考えは別に、のび太にとっては何らおかしくは無かった。何せ、のび太は一年前に経験しているのだから。今の、のび太には、こんな現象を起こせるのは怪人以外考えられなかった。

 

のび太「(何でこの世界に怪人が?いや、それを考えるのは後だ。何が来るかは分からない。だけど、このまま様子見で先に何かされたら皆を巻き込んじゃう。なら、一か八か、こっちから…)」

 

のび太は、間も無く来るそれに対して先手を仕掛ける事を決意する。自惚れでは無いが、今の自分の攻撃でも、よっぽど防御力のある奴か、幹部レベルの怪人でもない限り少しは効くだろうと、のび太は考えていた。何時でも仕掛けられる様に構える。引き出しがひとりでに開き始めた時、のび太は勉強机との距離を一気に詰める。そして、引き出しが完全に開き、その中から何かが出てきた。

 

のび太「フッ!」

?「やあ、やあ。僕ドラえmボッハーーーー‼︎」

 

何か喋ろうとしていた様だが、のび太は容赦無く引き出しから出てきたそいつを回し蹴りで蹴り飛ばした。余談だが、先程の回し蹴りは仮面ライダーカブトである天道 総司から教わったものである。

 

ヒューー…ズテン!

のび太「あれ?」

 

のび太に蹴り飛ばされたそいつは部屋の中で綺麗な放物線を描きながら横に飛んで行き、部屋の窓の前で落ちた。のび太はそれに対して、呆気なさを感じながらも警戒は解かず、構える。だが、何時まで経っても動かない。不審に思ったのび太は、慎重にそいつに近寄り様子を見た。

 

?「うーん…」

のび太「もしかして…、気絶してるのか?」

 

そいつが目を回していることから、のび太はそう結論づけた。それを確認したのび太は少し安堵しながらも、気絶しているそいつを観察し始めた。そいつの姿は少なくとも人間では無かった。形は雪ダルマの様で身体の色は青と、手と足と思われる部位と顔とお腹の辺りは白い。顔は、楕円の両眼が横に繋がっており、髭の様なものが左右に三本ずつ付いていて、さらに、口はかなり大きかった。首には、赤い首輪があり、顔の下の辺りに黄色い鈴が付いていた。そして、腹には半月状の白い何かが付いていた。

 

のび太「(こいつ、少なくとも人間じゃ無いよね。形もそうだけど、さっきの蹴り、怪人だと思って本気でやったから、人間が入ってたりしたなら、骨折か首の骨が折れてたかもしれない。だけど、気絶で済むってゆう事は、人間の耐久力じゃ無い。何なんだ?)」

 

のび太には、それがさっぱり分からず、取り敢えず縛っておくかと思い、紐を持ってこようとする。

 

のび太「あれ〜?無いな〜紐。あっ!セロテープとガムテープがあった。しょうがない、これで縛るか」

 

紐の代わりにセロテープとガムテープを使い、未だ気絶している、そいつを縛る。まず、セロテープを巻き付けて、その上から、ガムテープを巻き付けていく。何とか、そいつを縛り終え、少し水でも飲もうと台所へ行こうと襖に手をかけた様とした所で、また引き出しから何かが出てきた。それを見たのび太は瞬時に後ろに飛び退き、警戒する。が、今度のは、少年の様だった。

 

?「やあ、おじいちゃん。初めまして。僕はセワシ。宜しく」

のび太「は?おじいちゃん?それは、もしかして僕の事?」

セワシ「そうだよ。正確には、おじいちゃんのおじいちゃんだけど、長いからおじいちゃんでいいや」

のび太「となると、君はまさか未来から来たのか?」

セワシ「そのまさかだよ。僕達は、この時代で言う百年後から、来たんだ」

 

普通だったら、こんな話誰も信じようとしないだろう。当たり前だ。普通だったら、頭のおかしい奴か中二病だと思うだろう。だが、のび太は

 

のび太「成る程。そういう事か」

セワシ「信じてくれるの⁈」

のび太「うん、信じるよ。(今まで話しててそんな悪い奴には見えないし大丈夫でしょ、それに、面白そうだし)」

セワシ「よかった〜。信じてくれなかったら、どうしようかと思ったよ」

 

セワシは話を信じてもらえた事に安堵する。

 

のび太「取り敢えず、ここに来た目的を話してくれないかな?」

セワシ「うん、分かったよ。おじいちゃん」

 

のび太はセワシから話を聞くことにし、セワシはそれを承諾する。取り敢えず、お茶でも出そうと台所へいく。セワシは、遠慮したのだがのび太がそれを断ったのだ。

 

のび太「(まさか、自分の子孫に会うなんてね。でも、それだけじゃなくて、もっと大きな事が起こりそうだな〜)」

 

のび太は、お茶とどら焼きを用意している時にふと、そう思った。でも、のび太は、それを楽しみにしていた。そこまで考えて気づいた。

 

のび太「(そうか、僕はこんな出来事を待ってたんだ。こんな、不思議な出来事を。ワクワクするな〜)」

 

そう思い、のび太は自分の部屋に向かう。これからのことに対して少しの不安と大きな期待を胸に抱きながら。

 

 

 

 

 

 




はい、今回はここまでです。
のび太「なんか、あんま進んで無いね」
それに関してはすいません。でも、これが俺の限界なんです。本当にすいません。
のび太「まあ、作者。ネット小説初だもんね。この作品で。それにしても、この駄文なんとかならない?とても見るに耐えないよ。なんか、色々無理矢理感あるし」
うっ!それは、自分でも、分かってるけど…。その文才が…。
のび太「はぁ〜。今までネット小説結構読んだでしょ。何とかならない?」
ごめんなさい。
のび太「ったく。こんなんでよく小説書こうと思ったね。僕、作者の馬鹿加減に頭痛がするよ。」
だって、俺だって書いてみたかったんだよ。
のび太「それで、このザマか。情けない」
…。
のび太「まあ、取り敢えず今日はこの辺に」
?「待てぇぇぇぇぇぇぇ!」
ん?
のび太「この声は」
?「おい、駄作者。僕の名前が出てないとは、どうゆうことだ!ってか、僕、途中から空気じゃねーか‼︎」
いや〜、今回君の名前どうしても出せなかった。話の都合上。
?「だからって、あれは無いだろう⁈」
もう〜、諦めな。今回は無理だ。
のび太「そうだよ。次まで待ちなよ」
?「なんだ、のび太君。他人事みたいに⁉︎」
のび太「だって、他人事じゃない」
?「大体、この差は何さ⁈僕、原作じゃ主人公だぞ⁉︎」
でも、この作品の主人公はのび太だ。
のび太「そうゆうこと」
?「お願いだから、何とかしてよ〜」
うるさい!無理ったら無理だ!何回も言わせんな‼︎←逆ギレ
?「…ウ…し…る」
あっ?何だって?
?「ヤロウ、ぶっ殺してやる‼︎」
やっべ!逃げろ‼︎←逃走
?「待てやー‼︎」←追跡
のび太「ええっと…。皆さんまた次回。それでは」←困惑


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第二話

のび太「え〜、始まりました。第二話」
セワシ「そうだね、って、おじいちゃんだけ?他の人は?」
のび太「えーっと、ほら一人は感想欄でのイザコザの所為で頭がね…。だから、後で僕が直しておくよ。だ、大丈夫!後書きまでには何とかなるよ‼︎」←かなり必死
セワシ「う、うん…。作者は?」
のび太「作者なら、さっき旅に出た」
セワシ「ふ〜ん。って、はあーーーーーー⁉︎何で⁈」
のび太「いや、作者、感想欄でマジのリアル鬼ごっこ経験したじゃない?だから、自衛の為の力が欲しいっつってたけど、あの様子だと中二病が再発したんだと思うよ。多分、仮面ライダーの変身アイテムや力を探したり、変身する為の修行でもしてるんじゃない?」
セワシ「おいおい、ふざけんなよ!動機が不純過ぎんだろ‼︎ってか、そもそも変身アイテムとか力ってそんな簡単に見つかったり、身についたりすんのかよ⁈」
のび太「?何を言ってんの?普通に無理に決まってんじゃん」
セワシ「おい‼︎じゃあ、あいつ何しに出てったんだよ‼︎馬鹿じゃねぇのか⁈ってか、あいつ今いくつだよ⁈」
のび太「作者が馬鹿なのは今に始まったことじゃない。何たって授業中、普通に居眠りする様な奴だからな。そして、今は高校生だ」
セワシ「はぁ〜。第二話で作者が失踪とか、大丈夫かな?」
のび太「大丈夫だ、問題無い。作者が、死なない限りは」
セワシ「それも、そうだね。よし。じゃあ、そろそろ」
のび太「うん。そうだね。それでは、第二話を」
のび・セワ「「どうぞ!」」


お茶とどら焼きを用意し終え、話を聞こうとしたのび太だが、その前にやる事があった。それは、あの青い雪だるまのような何か…セワシ曰く、ドラえもんと言うらしい…に、ぐるんぐるんに巻かれたテープを剥がすことだった。何故そんなことになったのかと言うと、お茶を用意し、部屋に戻ってみるとセワシがドラえもんに巻かれたテープを、必死に剥がしていた。そして、のび太に気付いたセワシに、これはどうゆう事かと聞かれたので、蹴り飛ばしたら気絶したので、取り敢えず縛っておいたと答えた。すると、何故蹴り飛ばしたのかと聞かれ、引き出しの中から謎の物体が出てきたので蹴り飛ばしたと答えると、セワシはそれ以上問い詰めるのを諦め、セワシにこれを剥がすのを手伝えと言われたので、手伝う事にし今に至る。その後、何とかテープを剥がし終えた二人は、いまだ気絶しているドラえもんを叩き起こした。

 

ドラえもん「う~ん?なんで僕こんなところで寝てるの?」

セワシ「え~と、それは「それはね!引き出しから出てくる時、足を引っ掛けて転んで気絶したんだよ!!」おじいちゃん!?」

ドラえもん「そうなんだ~。えへへへ、僕ったらまたドジしちゃったんだ。気をつけなくちゃ。ごめんね、のび太くん。手間かけさせちゃったみたいで」

 

ドラえもんの問いに、セワシが答えようとした所で、のび太がそれを遮り誤魔化そうとする。正直、かなり無理がある誤魔化し方だったが、ドラえもんは素直にそれを信じてしまう。

 

のび太「いいって、いいって。気にしないで」

ドラえもん「ありがとう。いや~、のび太くんは優しいな~」

セワシ「…。(ドラえもんを連れてきたのは失敗だったかな…。ドラミちゃんの方がよかったかな…)」

 

その光景を見たセワシは少々、と言うか正直かなりの不安を感じてしまい、ドラえもんではなく、その妹を連れてくるべきだったかとすこし考え直してしまった。と、ここで本来の目的を思い出し、本題に入ろうと話を切り出そうとする。

 

ドラえもん「そうそう、僕ドラえもん。22世紀の猫型ロボットです」

のび太「あ、うん。もう知ってると思うけど、僕は野比 のび太。よろしく。(猫型…どうしてだろう?ドラえもんが言うと、猫への冒涜に聞こえる)」

セワシ「ドラえもん。そろそろ、本題に」

ドラえもん「あっ!そうだね。すっかり忘れてた」

セワシ「…。(本当にどうしよう、やっぱドラミちゃんのほうが…)」

ドラえもん「のび太くん。まずはこの写真をみて」

のび太「ん?何?」

 

ドラえもんが腹部に付いている物“四次元ポケット”からアルバムを取り出す。そこに写っていたのは、くたびれた感じの男性と、それとは対照的な美人と言える程の女性が写っていた。のび太は、それが誰なのかは初めは判らなかったが眺めている内に誰なのか判った。おそらく、このくたびれた感じの男性は未来の自分だろう。すると、この女性は誰だろうか?そう考えた所で、ある予想が立つ。

 

のび太「まさか、この女の人は…嬢子ちゃんか?」

         

嬢子ちゃん…本名 亜区志 嬢子(あくし じょうこ)。のび太の学校の生徒でクラスメート

である。容姿は良いのだが、その性格に問題がある。と言うか、最悪である。彼女は、その容姿や口の巧さを利用して他の生徒をこき使ったりし、裏で陰口を言う。さらに、自分の思い通りにならない奴や気に入らない奴は、陰湿な方法で追い詰めるという所謂、悪女というやつである。実際、彼女の所為で不登校になった生徒がいるという噂もある。噂ではあるが、あの性格を見る限り本当である可能性の方が高い。と言っても、先ほど述べた通り、口が巧くさらに、先生や親の前ではいい子ぶっているので、その本性は極一部の生徒しか知らない。しかも、その極一部の生徒も彼女に恐れを生して告げ口など出来ないでいる。では、何故のび太が気付いたのかと言うと、実は以前までの、のび太は彼女にその甘さとお人好しな性格を利用され、かなりこき使われていた。その時、彼女は、のび太だからと油断していたのか、かなり本性を出していた。以前は、気付けなかったが、旅を終え自分の世界に帰ってきた後に気付いたのだ。それから、のび太は気付かれないように彼女の事を密かに避け続けていた。

 

のび太「どうして…?」

セワシ「実はね、おじいちゃんは、高校あたりから、すごく成績が伸びて大学も一流大学をでて、仕事だって大手の企業でかなり出世したんだ。だけど、この人と結婚してから人生が変わってしまったんだ。この人は、おじいちゃんのお金を使って遊び歩いていたんだ。しかも、途中で浮気をして、それからさらにおじいちゃんのお金を使い込んで、挙句の果てにおじいちゃんのお金のほとんどを使い切っちゃうんだ。さらに、そこからかなりの借金までして、その借金を全部おじいちゃんに押しつけて、おじいちゃんとノビスケくんを置いて出ていちゃうんだ。もちろん、借金なんてとても返せなくて、それからどんどん利子がついてしまいには返しきれない程の額になっちゃうんだ。そして、その借金は今の僕の代まで残っちゃってるんだ」

のび太「そんな!?」

ドラえもん「のび太くん。ショックかもしれないけど事実なんだ」

のび太「…。(でも、何で僕が嬢子ちゃんと結婚なんか…。今の僕なら絶対しないのに。前の僕ならともかく…。あっ!そうゆう事か。なるほどな。それなら、まだ納得できる)」

 

のび太は、何故彼女なんかと結婚することになるのか疑問に思っていたが、途中で、ある事に気づく。今の、のび太は1年前の旅によって、かなり成長していた。しかし、のび太が旅をしている間この世界の時間そのものが止まっていて、のび太が戻ってきた直後にまた動き出した。つまり、この世界では何も起こっておらず、この世界はのび太が変わったと認識していない。つまり

 

のび太「(この未来は、旅をする“前の”僕の未来か)」

セワシ「でも、安心して!そんな未来を変えるために」

ドラえもん「僕が来たんだ」

セワシ「どう?わかってもらえた?」

のび太「えっ!ああ、うん。理解したよ」

セワシ「よかった。じゃあ、そうゆう事だから後頼んだよ、ドラえもん」

のび太「はっ?いや、ちょっと待って!」

 

のび太が引き留めようとするが、時既に遅し。セワシはそう言うと未来へ帰って行った。正直、のび太にとっては迷惑極まりなかった。この悲惨な未来は以前の自分の物のため、そんな未来を歩むつもりは無かった。それなのに、こんな謎のロボットを押し付けられ、100年後の子孫の為に面倒事を請け負う事になったのだ。そんなのび太の胸中も知らずに

 

ドラえもん「じゃあ、のび太くん。これからよろしくね」

のび太「…うん。(はぁ、あの時の期待は間違いだったのかな~。でもまあ、しょうがないか。一応、前の僕の責任だし)」

 

のび太は、この件について諦めて、覚悟を決めた。

 

玉子「のびちゃ~ん。お使い行ってきてちょうだい」

のび太「うげっ!?面倒だな~」

 

下の階から、のび太の母である野比 玉子の声が聞こえた。それを聞いたのび太はあからさまに嫌な表情をする。

 

ドラえもん「のび太くん。お使いくらいいってきなよ」

のび太「冗談じゃない。ただでさえ面倒なのに今日はいつものスーパーが休みなんだ。だから、行くとしたら隣町まで行ってこなくちゃいけないんだよ」

ドラえもん「いいじゃない?いってこれば」

のび太「あのね、ここは未来じゃないの。未来の移動手段がどんなのかは知らないけど、この時代、隣町まで行く事も面倒で手間の掛かることなの」

ドラえもん「じゃあ、未来の移動手段を使ってみる?」

のび太「えっ?」

 

そう言うと、ドラえもんは四次元ポケットに手を入れると何かを探し始める。

 

ドラえもん「あった!タケコプター‼︎」

のび太「?タケコプター?」

 

のび太は、ドラえもんが取り出した小さなプロペラを不思議そうに見つめる。

 

ドラえもん「この道具はね、頭に付けると空を自由に飛ぶ事が出来るんだ」

のび太「ふ〜ん。本当かな〜?」

ドラえもん「本当だよ。じゃあ、これをつけてみなよ」

 

試しにのび太は、タケコプターを頭につける。

 

ドラえもん「それで、スイッチを押してご覧」

 

のび太は、言うとおりにスイッチを押す。すると、プロペラが回転し始めて体が浮いた。のび太は、驚きのあまり固まっていた。

 

ドラえもん「ね?飛べたでしょ?」

のび太「はっ!う、うん」

ドラえもん「それで、行けば隣町なんてひとっ飛びさ」

のび太「ありがとう!ドラえもん!じゃあ、行ってきます!」

 

そう言うと、のび太はとても嬉しそうな顔をして外へ出て行った。

 

ドラえもん「うふふ、のび太くんったらあんなに嬉しそうに。良かった。ん?」

 

ドラえもんは、部屋に置かれたどら焼きに気づいた。

 

ドラえもん「なんだろう?お菓子かな?は〜む、もぐもぐ。!こっ!これは‼︎」

 

ドラえもんは、とても驚いた表情をして、その後ドラえもんの体が震え始めた。

 

ドラえもん「お、お、おいし〜〜〜〜〜〜‼︎」

 

そう言うと、ドラえもんは残りのどら焼きをばくばくと食い始め、ものの数分で食べきってしまった。

 

ドラえもん「いや〜、どら焼きがこんなに美味しいものだ何て知らなかったな〜」

 

ドラえもんは、とても満足そうな顔をして言った。その後、思い出した様に言った。

 

ドラえもん「そうだ。のび太くんの親御さんに挨拶しなきゃ」

 

すると、ドラえもんは襖を開け、下の階へ向かった。その頃、のび太は…

 

のび太「いや〜、空を飛ぶのは気持ちがいいな〜。こんな楽しいとは、思わなかった」

 

のび太は、空の上をゆっくり飛んでいた。暫くすると、隣町のスーパーが見えてきた。とここで、のび太はあることに気付く。

 

のび太「あっ!財布忘れた…仕方ない、取りに戻るか」

 

のび太は、財布を取りに家に向かって飛んだ。今度は、かなり飛ばしたので直ぐに着いた。そして、急いで財布を取ると、またスーパーに向かって飛び始めた。そして、スーパーに着いて、さっさと買い物を済ませたのび太は家に帰ろうと飛び立つ。

 

ガタガタガタガタ

のび太「⁈」

 

突然、タケコプターが妙な音を出し始める。そして、プロペラの回転数が落ちて行った。のび太は、突然の事に驚きを隠せない。実は、このタケコプター。充電が十分にされていないのである。何故、ドラえもんはこんなものを渡したのかと言うと、彼は普段ポケットの整理をしていない。そのせいで、このタケコプターを渡してしまったのだ。そして、こんなタケコプターで、急に加速したり、長い時間使用するとどうなるか?答えは、簡単。

 

ヒューーーーーーーー

のび太「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ、お〜ち〜る〜‼︎」

 

のび太は、結構な高度を飛んでいたため、かなりのスピードで落ちて行った。

 

のび太「ええい、こうなれば!」

 

のび太は、ポケットからマゼンタ色のスマホ“Dフォン”を取り出し、操作し始めた。

 

《DECADRIVER》

 

すると、のび太の前にディケイドライバーが出現する。のび太は、Dフォンを仕舞うと、ディケイドライバーを手に取る。そして、ディケイドライバーを腰に当てると自動的に銀の帯が巻かれる。さらに、腰のライドブッカーから、一枚のカードを取り出す。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECAD》

 

のび太が、ディケイドライバーにカードを装填すると、彼の周りに14の半透明の影が現れ、それらがのび太に重なるとのび太の身体が、マゼンタ色の戦士“仮面ライダーディケイド”となった。ディケイドは、そのまま落下して行き、裏山の中に着地した。下の地面は、ディケイドが着地した場所は没落し、そこから無数の罅が入っていた。

 

ディケイド「はぁ〜〜〜。良かった〜〜〜。それにしても、これ何で急に止まったんだ?故障か?欠陥品?それとも充電か何かか?ってか、どれにしてもドラえもんの所為だな。子守ロボットに殺されかける何てシャレになん無いよ。ったく」

 

ディケイドが、ブツブツと文句を言っていると、後ろに次元の壁が出現した。

 

ディケイド「何⁉︎何でこれがここに⁉︎」

 

ディケイドが、それに驚いていると中から、あるライダーが出て来た。白い身体で顔はギリシャ文字のΨの様な顔で複眼と胸の真ん中は紫、左肩の一部が剥き出しのようになっており、さらに背中に飛行用バックパック“フライングアタッカー”を装備し、腰のベルトには、そのライダーと同じ様なカラーリングの携帯がはまっていた。

 

ディケイド「お前は⁉︎」

 

ディケイドは、そのベルトを知っていた。ファイズの世界に行った時、話に聞いた二本の帝王のベルト。その二本のうちの一つ、天のベルト。つまり、そのライダーは

 

ディケイド「天の帝王…」

天の帝王「そっ!私の名前は、仮面ライダーサイガ。宜しくね、ディケイドくん♪」

 

ディケイドは、酷く驚いた。そのライダー、サイガから聞こえる声は女の子の様な声だった。しかも、自分と同じ様な年の子の声に聞こえた。

 

ディケイド「お、女の子⁈」

サイガ「ん?そうだよ。それがどうかした?って、あ!そうか。この姿じゃ、判んないか〜。でも、これでも私はれっきとした女の子だよ。判った?」

ディケイド「う、うん…」

 

ディケイドは、戸惑いながらも答えた。が、気を取り直して、彼女の目的を聞くことにした。と言っても、変身した状態で現れたので、目的はある程度予想がついた。

 

ディケイド「それで、君は何しに来たの?」

サイガ「そんなの、君ならわかるでしょ?ある人に、頼まれて君を倒しに来たんだよ」

ディケイド「ある人…」

 

ディケイドは、サイガの答えを聞き、彼女を差し向けた人物を割り出した。今の自分を倒そうとする人物は一人しか思いつかない。

 

ディケイド「鳴滝…」

サイガ「鳴滝?名前は分からなかったけど、ベージュ色のコートを着たおじさんだったよ」

ディケイド「やっぱりか」

 

そう呟くのび太の脳裏には、鳴滝の最期の言葉が蘇ってきた。

 

『貴様が生きている限り、私は貴様の前に立ち塞がり続けるぞ!』

 

ディケイド「…」

サイガ「ねぇ、お取り込み中悪いんだけど、そろそろ倒させてもらっていいかな?私そんなに暇じゃないんだけど」

 

ディケイドは、鳴滝の事を考えていたが、彼女から掛けられた言葉で意識を目の前の事にうつす。

 

ディケイド「それなら、さっき僕が考えて込んでた時に攻撃すれば良かったじゃない?」

サイガ「はぁ〜。よく言うよ。今の今まで全然、隙なんて見せてない癖に」

ディケイド「そうか。それは、悪かったね」

 

ディケイドは、全く詫びれもせずに言ったが、サイガはそれに気を悪くする様子は無かった。

 

サイガ「さて、じゃあそろそろ始めない?」

ディケイド「そうだね。よし始めようか」

 

ディケイドが、そう言うとその場の雰囲気が変わった。さっきまでの緩んだ雰囲気からピリピリとした雰囲気となった。さらに、二人からも殺気や闘気が放たれる。

 

ディケイド「…」

サイガ「…」

 

両者の間に緊張が走る。ディケイドが、動きだそうと足を僅かに動かしたその時。

 

サイガ「…ねぇ?」

ディケイド「何?」

サイガ「あのさ…それ持って戦う気なの?」

ディケイド「それ?それって、なん…」

 

サイガの指摘を受けたディケイドが目を向けた先には、頼まれていた食材などが入った買い物袋があった。

 

ディケイド「…」

サイガ「…」

 

両者の間には、さっきとは違う沈黙が流れた。二人は、この状況をどうすればいいのか必死に考えていた。

 

ディケイド「えっと…、取り敢えず、これ置いてきてもいいかな?」

サイガ「…うん。なるべく早くしてね」

 

その瞬間、場の雰囲気がまた緩んだ。二人の最初の戦いの始まりは、何とも締まらない始まりだった。

 

 

 

 

 




のび太「今回は、ここまでです」
セワシ「おじいちゃん、ドラえもんは?」
ドラえもん「僕なら、ここにいるよ」
セワシ「ドラえもん!大丈夫かい?」
ドラえもん「うん!のび太くんが直してくれたから、もう大丈夫だよ」
セワシ「良かった〜」
のび太「そうだね。これで、作者が戻ってこれば全員なんだけど」
セワシ「あっ!おじいちゃん、それは言っちゃあいけ」
ドラえもん「ん?作者がどうかしたの?」
セワシ「あれっ?作者に怒ってたこと憶えて無いの⁈」
ドラえもん「えっ?なんのこと?」
セワシ「…。おじいちゃん、ちょっといいかな?」
のび太「うん」←セワシとその場を離れていく
セワシ「おじいちゃん、これってどうゆう事?」
のび太「それが、わかんないんだよ。直してみたら、憶えて無かったんだよ」
セワシ「どうするんだよ」
のび太「どうするも、こうするも別に良かったじゃない。あのままだったら、面倒くさかったんだし」
セワシ「確かに…」
のび太「まあ、それ以外は憶えてる様だし、いいんじゃ無い?」
セワシ「それもそうだね」
ドラえもん「おーい!二人ともなに話してるの?」
のび太「いや、何でもないよ」
セワシ「そうそう」
ドラえもん「本当?」
のび・セワ「「本当、本当」」
ドラえもん「?変なの。それより、もう時間だよ。そろそろ締めなきゃ」
セワシ「じゃあ、おじいちゃん。お願い」
のび太「うん。分かった。次回のドラえもん のび太の仮面冒険記は、襲い来る天の帝王。その恐るべき実力とは?次回、第三話。次もヨロシクな‼︎」


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第三話

皆、只今帰ったぞ!
のび太「あっ、作者。生きてたんだ」
ドラえもん「確かに…何で生きてんだ、お前」
えっ⁉︎そんな言い方って
セワシ「第二話で失踪しといて何を偉そうに」
サイガ娘「うん、うん」
皆、酷いな⁉︎僕、一回真面目に死んだんだけど⁈
ドラえもん「そのまま、朽ち果ててればよかったのに」
俺は…不死身だ‼︎
のび太「てめえ、お前如きが葦原さん穢してんじゃねよ!無礼にも程があるだろうが‼︎」ドロップキック
ぐぼぁぁぁぁぁぁぁ!
セワシ「結構、飛んだね〜」
サイガ娘「そうだね〜」
よし、皆そろそろ始めよう
皆「お前、いつの間に戻った⁉︎」
あ〜、それ含めて後書きで発表するから。では、第三話を
皆「どうぞ‼︎」




裏山。そう呼ばれているその山は町の、特に子供達にとって憩の場所となっている。その山中で、仮面ライダーディケイドと仮面ライダーサイガがぶつかり合う。まず、サイガがディケイドに向かって拳を放つ。それをディケイドは、横に逸らすし反撃しようとする。しかし、サイガは拳を逸らされた勢いのままミドルキックを放つ。ディケイドは、それも何とか防ぐ。が、サイガはそこからディケイドに拳と蹴りの素早い連打を浴びせる。ディケイドは、その素早さに、中々攻撃に移れず防戦一方だった。それもそのはず、サイガギアはメインウェポン以外の武装をオミットし、エネルギーを一点に特化しているため圧倒的なスピードを有している。

 

サイガ「ほぇ〜、君凄いね。今までの相手だともう終わってるのに」

ディケイド「生憎、僕は君が今まで戦って来た相手とは違うみたいだよ」

サイガ「ふ〜ん、成る程ね〜。それは、楽しみだね〜♪じゃあ、これはどう?」

 

すると、サイガは下に下げていた操縦桿“ステアコントローラー”を持ちディケイドに向ける。ディケイドは、その行動を空へ飛ぶ為の動作だと思い、ライドブッカーからカードを取り出そうとする。サイガは、それを見逃がさずディケイドに向け濃縮フォトンブラッド光弾を連射する。それを全て受けたディケイドは、後ろに吹き飛ばされる。サイガは、追撃を掛けようとさらに光弾を発射しようとする。が、その前にディケイドはカードをベルトに装填した。

 

《KAMENRIDE KUGA》

 

ディケイドは、筋肉を模したような赤いアーマー、二つの赤い瞳、頭に生えている二本の角、全体的にクワガタのような印象のライダー“仮面ライダークウガ マイティーフォーム”に姿を変える。DクウガM(ディケイドクウガ マイティーフォーム)は、さらにカードを装填する。

 

《FORMRIDE TITAN》

 

すると、上半身のアーマーが形を変え、鎧の様な形状になり色も紫で縁取られた銀になって、瞳も紫色の“タイタンフォーム”になる。ディケイドは、ライドブッカーをソードモードにし手に持つと、ライドブッカーから顎に紫色の霊石の嵌め込まれた紫の大剣“タイタンソード”になる。その時、サイガの発射した光弾がDクウガTに次々と命中し、砂埃で見えなくなった。

 

サイガ「ふ〜、中々手強かったね。ここまで手こずったのは久し振りかも…。でもまあ、これで終わりでしょ。さ〜てと、早く帰って明日からの学校の準備を「甘いよ」‼︎」

 

サイガは、ディケイドを倒したと思い、この場から立ち去ろうとする。が、突然背後から声がして、サイガが振り向くと無傷のまま悠然と立っているDクウガTの姿があった。その様に思わず声が漏れる。

 

サイガ「どうして…」

DクウガT「簡単な事だよ。全部、受け切った。ただそれだけだよ。まあ、少し危なかったけど」

 

仮面ライダークウガ タイタンフォームは素早さを犠牲にしている代わり、パワーと防御力がかなり高い。DクウガTは

、それを利用し先程の光弾を受け切ったのだ。それにしても、とDクウガTは続けて言う。

 

DクウガT「相手の状態も確認しないで、帰ろうとする何て甘いにも程があるよ」

サイガ「!で、でも今から君を倒せば問題ないよ」

 

サイガは、先程と同じようにステアコントローラーの銃口をDクウガTに向けると光弾を連射し出した。それに対してDクウガTは、サイガに向かってゆっくりと歩き出した。サイガの光弾がDクウガTに次々と当たるが、DクウガTはそれでも歩みを止めない。

 

サイガ「何で⁉︎全部命中してるはずなのに⁈」

DクウガT「…」

 

サイガは、動揺を隠そうともせずに叫ぶように言うがDクウガTは無言で迫っていく。すると、サイガはフライングアタッカーをシングルモードにしてエネルギーを充填していく。充填が完了すると先程までの物よりも巨大な光弾をDクウガTに発射する。

 

サイガ「(流石に、これを喰らえば無事では済まないはず)」

 

確かにサイガの思うとおり、シングルモードの光弾はいくら防御力が高くとも、無傷では済まない。だが、それはマトモに喰らえばの話。DクウガTは、その巨大な光弾をどうしたのかと言うと、

 

DクウガT「フンッ!」

 

真っ二つに斬り裂いた。比喩でも何でも無く、言葉通りに。サイガは、それを見て度肝を抜いた。サイガの脳裏に規格外の三文字が浮かぶ。DクウガTは、その隙に一気に距離を詰め、タイタンソードを振り上げた。サイガが、それに気づくがもう遅い。DクウガTは、振り上げたタイタンソードを振り下ろし、サイガを一気に斬り裂いた。

 

サイガ「きゃっ!うぅぅ」

 

斬られたサイガは、叫び声をあげながら吹き飛ばされる。立ち上がろうとするが、上手く立てない。それ程までにDクウガTのパワーが凄かったのだろう。だが、DクウガTは構わず歩き出す。それに気づいたサイガは、今もまだ上手く動かない身体に鞭を打って立ち上がる。そして、接近される前にフライングアタッカーで空へ飛び上がる。何とか、離れられた事で気が緩む。が、その緩みが勝負を分けた。

DクウガTは、既にカードをベルトに装填していた。

 

《FORMRIDE PEGASUS》

 

すると、アーマーの形状が変わり左肩の方だけ大きく変化し、色も緑色になる。さらに、瞳も紫からアーマー同様、緑色に変わる。DクウガPは、ガンモードのライドブッカーを、銃口後部に霊石が嵌め込まれた緑のボウガン“ペガサスボウガン”に変化させる。さらに、DクウガPはライドブッカーからカードを取り出し、ベルトに装填した。

 

《FINALATACKRIDE KU KU KU KUGA》

 

DクウガPは、ペガサスボウガンのトリガーを引き、照準を絞る。サイガは、自分が狙われていると気づいたが遅すぎた。それでもサイガは、悪足掻きとばかりに上昇していく。だが、感覚神経が極限まで強化されたDクウガPの前には、無意味だった。DクウガPは、ペガサスボウガンの引き金を引き、【ブラストペガサス】を放った。【ブラストペガサス】は、上昇しているサイガに一瞬で追い付き命中し、爆発した。

 

DクウガP「フゥ〜、疲れた。やっぱ、このフォームはキツイな。ん?あれ…!」

 

DクウガPは、久々の強敵との戦いが終わったことへの安心感で気が緩み爆発地点を眺めていたが、その強化された視覚があるものを捉えた時、走り出した。そして、爆発地点の真下でその捉えたものを受け止めた。それは、女の子だった。年は恐らくのび太達と変わらないだろう。髪は茶髪で、顔立ちは日本人ぽく非常に整っていて美少女と呼ぶには十分過ぎる程だった。この少女は、さっきまで戦っていたサイガの変身者だとDクウガPは確信した。あの時、DクウガPが捉えたものはサイガの変身が解除され、落下して行くこの少女だったのだ。

 

少女「う、う〜ん」

DクウガP「あっ、起きた?」

 

少女が眼を覚ましたので、色々事情を聞いてみようと思い、声をかけた。

 

少女「ん?君は…ディケイドくん?」

DクウガP「えっ、ああ。うん、そうだよ」

少女「えっと…私は負けたの?」

DクウガP「そうだね。そうゆう事になるね」

少女「そっか…あれっ?(どうしてディケイドくんの顔がこんな近くに?)」

DクウガP「?どうしたの?」

少女「今、私どうなって…!////////」

 

少女は、今の自分の状態に疑問を持ち確認した直後、顔を紅潮させた。今の少女の状態は、キャッチされた体制。つまりは、横抱きの状態。所謂お姫様抱っこと言うやつである。

 

少女「/////////(私…男の人に…)」

DクウガP「ん?顔紅いよ?もしかして、具合悪い?」

 

この少女、ある事情によって今まで異性どころか人と接した事が極端に少ないのである。まあ、要は照れているのだ。少女の顔が紅い事に気づいたDクウガPが、そんな少女の気持ちも知らずに全く的外れなことを尋ねる。

 

少女「…して」

DクウガP「?ゴメン聞こえなかった。もう一回、言ってもらっていい?」

少女「降ろして‼︎/////」

DクウガP「うわ!チョット暴れないでよ。落ちるって!」

 

少女の混乱が解け、落ち着くまで数分を要した。

 

 

 

 

何とか少女を落ち着かせたが、今のび太は事情を聞くに聞けなくなっていた。理由は、少女の顔がさっきよりも紅くなっていたからである。先程、のび太が変身を解いた時、それを見ていた少女の顔がさらに紅くなったのだ。それは、少女がのび太を自分と年の変わらない男の子だと気付いたからなのだが、

 

少女「/////」

のび太「(やっぱ、具合でも悪いのかな〜)」

 

この男は、全く分かっていない様だった。のび太が事情を聴こうとしたが、少女がのび太と顔をあわせた途端に顔を俯かせてしまった。二人の間が、何と無く気まずい雰囲気になる。暫く、二人共黙っていたが、のび太がこれでは流石に不味いだろうと思い、話しかけて見ることにした。

 

のび太「ね、ねぇ」

少女「!う、うん。何?////」

のび太「顔、紅いけど大丈夫?」

少女「ほぇ⁈あ、うん。大丈夫」

のび太「そっか。よかった〜」

少女「!/////」

 

未だに、少女が顔を紅くしている事に気づいたのび太が、調子を尋ね、大丈夫そうだった事に安堵し、自然と笑顔が漏れる。その笑顔を見た少女が更に顔を紅くするが、のび太は其れに気付かない。のび太は、会話が成立したことで緊張が解れたので、自己紹介に入る事にした。

 

のび太「僕、野比 のび太。君は?」

少女「え///ああ、うんと。私の名前は、空井 奈々」

のび太「奈々ちゃんか。宜しくね、奈々ちゃん」

奈々「うん、宜しくね。えっと…野比くん?」

のび太「僕の事はのび太でいいよ」

奈々「あっ、うん。えっと…の、の、のび太くん///」

のび太「うん」

 

恥ずかしがりながらも自分の名前を読んでくれた少女に対し、のび太は満足そうに返事をする。

 

のび太「さて、奈々ちゃん。事情を聴く前に少し質問しても良いかな?」

奈々「うん。良いよ」

のび太「ありがとう。じゃあ、早速。君は、鳴滝の指示で

僕を倒しに来たって言ってたけど、あれ嘘だよね?」

奈々「!ど、どうしてそんな事…」

のび太「だって、君戦闘経験まだ少ないでしょ?」

奈々「えっ!」

のび太「しかも、今までの相手も全員格下の相手で、自分と同じ位の相手とは戦ったことは無い。更に、言えば人間相手とも戦ったことが無い。違う?」

奈々「…」

 

のび太の言ったことは全て当たっていた。その証拠に、奈々は驚きの余り呆然としながら、何故分かったのかと尋ねると、

 

のび太「だって、君が言ったんじゃ無いか。今まで戦って来た相手と違うって。それに、戦闘中に感情を表に出し過ぎだったからかな。別に戦いに感情を持ち込むなとは言わないけど、せめてもう少し押さえたり隠したりした方が良いよ。特に、動揺なんかは相手に悟られると一気に主導権持って行かれちゃう事もあるからね」

 

奈々の質問に答えつつ、戦闘の問題点を指摘し改善する様に助言する。傍から観れば、戦闘のプチ講座の様だった。更に、とのび太が付け加える。

 

のび太「何より、君は甘い。最初、戦いが始まる時も別に僕を待つ必要は無かった筈だからね。君は隙が無いと言ったけど、遠距離からの攻撃手段があったんだからそれを使えばいいだけだよ。まあ、これだけ点から君は鳴滝の使いじゃないと思ったんだよ。鳴滝は、僕を倒すのに甘い奴や戦闘経験の浅い奴を送り込む様な事は絶対しないからね」

 

のび太は、自信を持って言い切った。これは、鳴滝に狙われ続けたのび太だからこその自信だった。実際、そうだった。鳴滝が送り込むライダー達は皆、甘さなんて物は無くただ全力で此方を潰そうとする物ばかりで、強さもかなりの実戦経験を積んでいてかなりの手練ればかりだった。奈々も決して弱い訳じゃ無い。だが、そう言った奴らと比べると、どうしても見劣りと言うか何と言うかそうゆう感じが歪め無いとのび太は感じたのだ。そこまで言うと奈々は目に見えて落ち込んでしまった。

 

奈々「はぁぁ〜」

のび太「うっ…。ま、まあ感情については兎も角、甘い事自体はそんなに問題じゃ無いと思うよ。甘過ぎるのは流石にアレだけど、君ぐらいだったら大丈夫だよ」

奈々「本当?…」

のび太「ほ、本当だって。感情だって、今から直せば何とかなるって」

?「そうだぜ。だから、気にすんなよ」

 

のび太が、落ち込んだ奈々の姿に罪悪感を感じ慰めていると、何処からか男性の声が聞こえてきた。

 

奈々「あっ…」

のび太「この声は?」

 

すると、次元の壁が出現し、其処から一人の男性が現れた。歳は二十代半ば位で、腰に赤い縁取りの手形が付いたベルトをしており、両手に普通の物より大きめの指輪をしていた。

 

?「それにしても、凄いなお前さん。その歳でそこまで戦える上に、分析も中々的確だ」

のび太「はあ、どうも。あの、貴方は?」

?「ん?ああ、悪い。自己紹介が遅れたな。俺は白魔 郎夜(しらま ろうや)だよろしく頼むぜ」

のび太「はい。あっ、僕は野比 のび太です」

郎夜「何⁉︎じゃあ、お前さんがあの野比 のび太か⁈」

のび太「へっ?どののび太かは分かりませんが、多分そうです」

 

お互いに自己紹介をすると、郎夜は酷く驚いていた。のび太は内心、何で有名人みたいになってるんだ?と疑問に思っていたが、

 

郎夜「いや〜、まさかあの英雄の野比 のび太に逢えるとはな…。今日は中々、運が良いぜ。やっぱ、朝の占いで一番

だったからか?」

のび太「あの〜、英雄って?」

 

のび太は、郎夜の台詞で一番引っかかった事を聞く。他にも引っかかった部分はあったが、そこは無視する事に決めた。

 

郎夜「ん?まさか、お前さん。自分の事なのにしらねぇのか?」

のび太「はい、聞き覚えありません」

郎夜「そうか。いや、お前さんが英雄ってのはな、かつて世界を旅しながら鳴滝って奴から世界を救ったっつう話があんだよ。俺達、旅人の間じゃあすげぇ有名な話だぜ。お前さんに憧れて旅人になった奴だっているぐらいな」

 

のび太は、それを聞いて納得した。まあ確かに、それだけの事をやってのければ、そら有名にもなる訳である。だが、自分に憧れている人が居ると言うのは正直かなりの衝撃だったが、それよりも気になる単語があった。

 

のび太「旅人って何ですか?」

郎夜「お前さん、しらねぇのか⁈旅人っつうのは、俺やお前さんみたいな世界を旅する奴らの事だ。本当に知らなかったのか?」

のび太「ええ、まあ。その時は、色々事情が有りまして」

 

のび太は、自分が世界を旅する事になった経緯を話した。すると、郎夜は納得した様で。

 

郎夜「成る程な〜。お前さんも大変だったんだな」

のび太「ええ、まあ。でも、そのおかげで仲間も出来たし、今では良い思い出ですよ」

郎夜「そうか…。そうだ!それはそうと、奈々が世話になったみてぇだな。礼を言うぜ」

のび太「いえいえ、気にしないで下さい。こっちも久しぶりの戦闘で、良い経験になりましたし。所で、ちょっと聞いても良いですか?」

郎夜「ん?何だ?」

のび太「貴方は、もしかして奈々ちゃんの師匠みたいな事をやっていたりしますか?」

 

のび太は、先程から気になっていたことを聞いてみた。

 

郎夜「ああ。確かに俺はあいつに戦い方を教えてはいるが、何で分かった?」

のび太「いえ、簡単な事ですよ。貴方の動きが戦ってる時の奈々ちゃんの動きと似てたからです。まあ、師匠の様な人がいる事自体は、奈々ちゃんと戦ってる時に気付いてましたけど」

奈々「ふぇっ?」

 

急に名指しされた奈々は、可愛らしい声で反応する。

 

郎夜「ほ〜う、何でだ?」

のび太「奈々ちゃんの最初の連打。正直、あれは見事なものでした。だけど、先程も言った様に他の部分は未熟な所も多かった。じゃあ、何で戦闘経験も少ないあの娘があれ程見事な連打を出来たのかと考えると、師匠が居るとしか考えられないんです」

奈々「未熟…うぅ」

 

のび太の推測は実に見事なものだった。郎夜も、同じ様な感想を抱いた様で、流石は英雄。戦闘だけじゃ無く頭もかなり回る様だなと思った。一方、未熟と言われた奈々はまた落ち込んでしまい、目も少し涙目になっていた。のび太は、慌てて励ます。

 

のび太「だ、大丈夫だって。さっきも言ったじゃないか、これから頑張れば良いって。だから、気にしないでよ」

奈々「でも、のび太私と同い年なのに私なんかよりも全然強いじゃん…ぐすん」

のび太「それは、ほら経験の差だよ。僕だって最初は全然弱かったけど、たくさん特訓したり負けを経験したりして今の僕があるんだよ。だから、奈々ちゃんも頑張れば強くなれるよ。ねっ?だから、頑張ろうよ。僕も出来る限り協力するからさ」

奈々「…うん。分かった。ありがとう、のび太」

のび太「良いんだよ。もう友達何だから」

奈々「友達…」

のび太「?嫌だった?」

奈々「ううん。全然!嬉しいよ。ありがとう!」

のび太「うん。どう致しまして。ふふっ」

奈々「?どうしたの?」

 

奈々は突然、小さく笑ったのび太に疑問を持ち、尋ねる。

 

のび太「ん?いや〜、やっぱ奈々ちゃん落ち込んだ時よりも笑った時の方が可愛いな〜と思ってさ」

 

のび太は、そんな事を何の躊躇いも無くあっけらかんと言い放つ。お前は、どっかのオリ主かラノベの主人公かと思った貴方は間違っていない。

 

奈々「かっ、可愛い⁉︎/////」

のび太「うん?そうだけど」

奈々「はう〜//////」

郎夜「(ほ〜う、成る程。そうゆう事か…。頑張れよ、奈々。師匠として応援してるぜ)」

 

郎夜は、その様子を観て奈々の気持ちに気付いた様で心の中で応援しながらも、その様子をニヤニヤしながら眺める。と、のび太はある疑問を抱いた。

 

のび太「ねぇ、奈々ちゃん。何で、この世界に来て僕と戦ったの?」

奈々「えっ!そ、それは〜」

 

のび太の質問に、奈々は言葉を濁す。だが、郎夜が、

 

郎夜「あ〜、そりゃあそうゆう修行だったんだよ」

のび太「修行?」

郎夜「そうだ。色んな世界で怪人とかと戦って、自分の力が何処まで通用するのかっつう修行だ。まあ、自分より弱い奴らとしか当たらなかったから、最後の最後で油断してお前さんに負けた様だけどな」

奈々「うっ!そ、それは〜その〜」

郎夜「ったく。たるんでんぞ。修行が足りないな。のび太相手に勝てとはまだ言わんが、せめてもうちっと粘って欲しかったぜ」

奈々「…はい。師匠」

 

郎夜は、自分の弟子に今回の戦いについて軽く注意する。奈々も、反省した様で申し訳無さそうに返事をする。その言葉で反省したとみて、郎夜はそれ以上は何も言わなかった。

 

郎夜「よし。じゃあ、そろそろ帰るとするか」

奈々「えっ!…はい」

 

そろそろ帰ろうと郎夜が言うと、奈々はまた落ち込んでしまう。それを見かねたのび太は、メモ帳を取り出しそこに何か書き込むと、それをやぶり取り奈々に渡す。

 

のび太「はい、奈々ちゃん」

奈々「えっ、これは?」

のび太「何って、僕の連絡先」

奈々ちゃん「えっ‼︎」

のび太「いや、何でそんなに驚くの?僕等、友達何だから別に気にしなくていいのに」

 

奈々は、渡された紙を暫く呆然と見つめる。

 

奈々「本当に…良いの?」

のび太「?うん、良いよ」

奈々「わぁ〜、ありがとう!のび太くん!」

のび太「うおっ!う、うん。どう致しまして」

 

のび太は、奈々の予想以上の変わり様に驚いた。

 

奈々「のび太くん!帰ったら、すぐ連絡するからね」

郎夜「阿呆、帰ったら修行の続きだ」

奈々「あっ…そうでした」

郎夜「ったく。浮かれ過ぎだ。(まあ、それもしょうがないか)よしっ!じゃあ行くか」

奈々「はい!それじゃあね、のび太くん」

郎夜「また、会おうぜ!そん時は、俺とも戦ってくれよな。じゃあ」

 

そう言うと、二人は次元の壁を使い帰って行った。それを確認したのび太は、自分も帰ろうとする。と、ここである事に気が付いた。

 

のび太「あっ‼︎もうこんな時間だ」

 

空は、すでに赤くなり始めていた。のび太は、かなり急ぎめに家へと戻った。頼まれていたお使いを残して…。その後、のび太が家で帰りが遅くなった事とお使いを忘れて来た事で母に叱られ、晩御飯が抜きになった事は言うまでもない。

 

のび太「どらえも〜〜〜〜ん‼︎」

 

 

 

 

〜おまけ〜

 

郎夜「しかし、奈々ちゃんね〜」

奈々「どうかしました、師匠?」

郎夜「いや〜、俺が居ない間に随分とのび太と仲良くなった様だな〜」ニヤニヤ

奈々「えっ!////それはその〜」

郎夜「で、実際どう思ってんだよ、のび太の事」ニヤニヤ

奈々「!////////え〜っと、その〜。と、友達です!」

郎夜「へ〜、の割にゃ連絡先貰った時、随分とはしゃいでたな〜」ニヤニヤ

奈々「そ、その。え〜。////////」

郎夜「まあ、頑張れよ」

奈々「えっ!だから、別にそういう感情では//////」

郎夜「ほ〜う、ならのび太に他に女が出来ても別にいいんだな?」

奈々「えっ‼︎だ、誰ですか、それ‼︎一体、誰なんですか⁉︎」

郎夜「お、落ち着け。例えばの話だよ。例えば」

奈々「何だ、例えばか。はぁ〜」

郎夜「お前、やっぱりそうなんだな」

奈々「……はい////」

郎夜「ったく、最初から素直にそう言えよ。まあ、何度も言う様だが応援してるぜ。精々、悔いの残らない様にしろよ」

奈々「はい!」

郎夜「よし、じゃあ修行するか。いつか、のび太と一緒に並んで戦える様に」

奈々「(一緒に、並んで…)はい、分かりました!」

 

一人の少女が、自分の想い人と並んで戦える位強くなると心に誓った。

 

 

 

 




後書きだーーーーーーーー‼︎
のび太「テンション高いな。アイツ」
セワシ「まあ、いんじゃ無い?別に関係無いし」
ドラえもん「それも、そうだね」
奈々「やっと、私の名前が…」満面の笑み
郎夜「ってか、作者。俺たちの名前の由来は何だ?」
サイガ=天の帝王=空と言う事だ。郎夜の場合は、ネタバレになるから、そん時に。って言っても読者の方々は、もう分かってるだろうが。あれ?じゃあ、良いか。なるがやっぱ言います。
郎夜「どっちだよ!」
言う。白い魔法使い=白魔と言う訳だ。
セワシ「安直だな」
のび太「これが、アイツの限界なんだよ。察してあげなよ」
ドラえもん「ところで作者。発表は?」
ああ、その事だが。実は僕…
皆「…」
人間辞めました。
皆「…はっ⁉︎」
正確には、オルフェノクになったんだよ。
セワシ「おいおい、待てよ。オルフェノクって、短命じゃねぇかよ!この小説どうすんだ‼︎」
いや、短命は問題ない。この件の続きは次回だ。
ドラえもん「お前、何やってんだよ?」
奈々「まあまあ、落ち着いて」
郎夜「そうだぜ。次回、ゆっくり問いただせば良いじゃねえか」
そうそう。そうゆう訳だ。と言う事でセワシ。締めよろ。
セワシ「分かったよ。えー、何々?次回は番外編だ。ここの作者と、ある他作品の作者様とがエキシビションマッチ的な試合をします。…おい、作者!」
と言う訳で、次回もヨロシクな!


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番外編-前編-

よう!読者の皆様、久し振りだな。
のび太「本当だよ。何でこんなに間が空いたんだよ」
いや実は、これ書こうとした時、丁度テストがな。
セワシ「それにしては、空きすぎじゃあ…」
ドラえもん「これが、此奴の限界なんだよ…」
郎夜「それより、他の作者様とコラボする何て聞いてないんだが?」
そりゃそうだ。言ってねぇもん。
のび太「はぁ⁈」
だってさ、言う必要ねぇじゃん。お前らに関係ねぇし。
ドラえもん「それにしても、教えてくれたっていいじゃないか」
はいはい、解った解った。今度、教える。それで良いな。
セワシ「何か、癪に触るな」
のび太「まあまあ、本人もこう言ってるし。それに、今度やったら僕と郎夜さんで必殺技ぶち込んどくからさ」
ドラえもん「まあ、それなら…」
よし!話は終わったか?
皆「(お前[あなた]の所為だけどな[ね])
じゃあ、そろそろ始めるか。では、番外編を〜
皆「どうぞ!」


ある普通の一軒家。その中で、何やらアタッシュケースを持ってはしゃいでいる男が居た。

 

Δデルタ「よっしゃー、ついに届いたぞ!遂に僕の、僕のライダーズギアだーーーーーーー‼︎」

 

この年も考えず馬鹿みたいに騒いでいる男はΔデルタ。残念な事に、この仮面冒険記シリーズの作者である。こんな馬鹿な男が作者と言うのは、非常に不本意であり遺憾である。本当なんでこんなんなんだろうか?まあ、それに関してはひとまず置いておこう。

 

Δデルタ「しかも、なんと!オリジナルフォームにオリジナル武装まで付いていると言う‼︎こんな素晴らしお宝が手に入るなんて‼︎」

 

それにしても、嬉しいのは解るがもっと静かにして欲しいものだ。近所迷惑もいいところである。

 

Δデルタ「さて、手に入れたは良いが使うのはいつになるのやら。非常に楽しみだ」

 

Δデルタが、こんな不謹慎な発言をかましていると、

 

TV「え〜、ここで臨時ニュースが入りました。先程、謎の化け物が市内の玩具店に出現したとの情報が入りました。目撃者の証言によると数分前に、この店に入った男二人が突然灰色の化け物に変わったいうことです。なお、この化け物は今現在も店内に立て篭っている様です。繰り返しお伝えします。先程…」

 

Δデルタ「灰色の化け物ってオルフェノクだよな。丁度良い、このギアの性能の確認をするとするか。さ〜てと、そうと決まれば支度してサッサと行…くか…」

 

オルフェノクが出たにも関わらず、この馬鹿はそんな呑気な事を吐かしていた。が、TVにその現場の映像が映し出された時、作者は言葉を失った。

 

Δデルタ「こ…ここは、すぐそこの…。こうしてはいられん‼︎」

 

Δデルタは、驚きの余り目を見開いていたが、すぐさま我に帰るとアタッシュケースを持って大急ぎで家を飛び出した。ようやく事の重大さに気付い…

 

Δデルタ「彼処の店は何時もフィギュアーツ買いに行ってるとこじゃねーか⁉︎冗談じゃ無い!まだ、Xとスカル買ってないんだよ‼︎」

 

…たのでは無く、ただ物欲の為に行動しているだけの様だった。こいつは、こんな時までこんな事しか思い付かないのだろうか。

 

Δデルタ「くそ、今のままじゃ間に合わん。なら!」

 

そう言うと、Δデルタの顔に一瞬奇妙な模様が浮かび上がり、Δデルタの姿が龍の様な顔で頭に一本の角、身体には鱗が有り、胸は鎧の様な物で覆われ、腕や脚には稲妻の形をした突起、背中には翼の様な装飾が付いている麒麟を模した人型の異形“キリンオルフェノク”になった。キリンオルフェノクは背中の装飾を焔を象った翼に変えた姿“飛翔態”になる。そして、キリンオルフェノク(飛)は翼をはためかせ空へ飛翔すると、そのまま目的地にまで飛んで行った。

 

 

とある玩具店

 

その店の店内では、二人の異形がいた。一人は、背中に大きな亀の甲羅を背負った異形“タートルオルフェノク”、もう一人は、側頭部に鋭い角が二本生えている異形“オックスオルフェノク”だった。その奥では、逃げ遅れた客が大勢いて、オルフェノク達に追い込まれていた。

 

オックスオルフェノク「これで逃げられねぇな」

タートルオルフェノク「さあ、もう終わりだよ」

 

オルフェノク達が、客達を手に掛けようとしたその時、

 

キリンオルフェノク「はぁ!」

タートルオルフェノク「うぉ!」

オックスオルフェノク「ぐぁ!」

 

キリンオルフェノクが、現れ二体を殴り飛ばした。さらに、そこからオルフェノク達の頭を掴み、店の外まで引きずり出して投げ飛ばした。

 

オックスオルフェノク「ぐっ!てめえ、何しやがる‼︎」

キリンオルフェノク「何って、投げ飛ばしただけなんだが?」

 

怒りを隠そうともせず聞いてくるオックスオルフェノクに対し、キリンオルフェノクは当然の様に返した。それを聞いて、更に怒りが湧いてきた様で突進を仕掛けようとしたところで、タートルオルフェノクがそれを手で制止し冷静にこちらに尋ねて来た。

 

タートルオルフェノク「まあ、落ち着け」

オックスオルフェノク「何だと⁉︎てめえ、馬鹿にされて黙ってろって言うのか⁈」

タートルオルフェノク「そうじゃ無い。唯、あちらさんに何か事情が有るのかと思ってね。じゃなきゃ、同族の俺たちを襲う訳が無い」

オックスオルフェノク「ぐぅぅ…」

タートルオルフェノク「解ったか?さて、そちらさんに質問だ。何故、俺たちを攻撃した?」

 

そう尋ねてくるタートルオルフェノクに対し、キリンオルフェノクは、

 

キリンオルフェノク「何故?そんなの決まってる。まだ、この店で欲しいフィギュアーツ買ってねえからだ‼︎」

タートル・オックスオルフェノク「「は?」」

 

キリンオルフェノクが、そう答えた瞬間オルフェノク達は予想外の返答に驚きと呆れが混じった声を上げた。それも、そうであろう。コッチは真面目に質問しているのに、そんな馬鹿げた返答をされればそうなるのも無理は無い。と、そこでオックスオルフェノクは恐る恐る尋ねた。

 

オックスオルフェノク「ま、まさか、その為だけに来たのか?」

キリンオルフェノク「ん?いや、アレを試してみたいのもあるが、急いで来たのはそれが理由だな」

 

その返答を聞いた瞬間、オルフェノク達は理解した、

 

タートル・オックスオルフェノク「「(こいつは、馬鹿だ)」」

 

そこで、何を思ったのかキリンオルフェノクは変身を解き、Δデルタに戻った。

 

タートルオルフェノク「ん?何故戻った?」

Δデルタ「いや、ちょっと試してみたい事があるから」

オックスオルフェノク「はぁ⁈巫山戯てんのかガキ‼︎」

Δデルタ「まあまあ、落ち着けよ」

 

そう言うと、Δデルタは例のアタッシュケースを開け、その中から少し変わったベルトを取り出し腰に装着する。更に銃のグリップの様な物を取り出し、それを顔の横に持って行き、トリガーを引きながらある言葉を言う。

 

Δデルタ「変身!」

《Standing by》

 

Δデルタは、その電子音声を聞くと銃のグリップの様な物“デルタフォン”をベルトの横に付いているビデオカメラ“デルタムーバー”に接続する。

 

《Complate》

 

すると、腰のベルト“デルタドライバー”から白色のエネルギー流動経路“ブライトストリーム”が全身を駆け巡り、ブライトストリームが一際強く輝く。

 

オックスオルフェノク「くっ⁈どうゆう事だ⁈」

タートルオルフェノク「これは⁈」

 

余りの輝きにオルフェノク達は、驚きながらも手で視界を覆う。やがて、その輝きが収まりオルフェノク達が先の光の原因と思われる相手を見ると、驚きの余り固まった。

 

タートルオルフェノク「こ、これは⁉︎」

オックスオルフェノク「どうなっていやがる⁉︎」

 

黒い身体に白色に輝くブライトストリームが駆け巡り、複眼“アルティメットファインダー”はオレンジで、顔はギリシャ文字のΔが象られていた。

 

オックスオルフェノク「お前、な、何者だ⁈」

?「デルタ…」

タートルオルフェノク「何?」

デルタ「仮面ライダーデルタだ!さあ、ここがお前等の終焉だ‼︎」

 

オックスオルフェノクが、動揺しながら叫ぶ様に尋ねると、デルタは腰からデルタムーバー(ブラスターモード)を引き抜き、構えながらそう答える。

 

オックスオルフェノク「な、嘗めやがって、このぉぉ‼︎」

タートルオルフェノク「おい!ま、待て!」

 

自分の想像を超える出来事が次々と起こり過ぎて半ば混乱状態オックスオルフェノクが、タートルオルフェノクの制止も聞かずにデルタに向かって突進を繰り出す。

 

オックスオルフェノク「おおおおぉぉぉぉぉ‼︎」

デルタ「Fire」

《Burst Mode》

 

デルタは、デルタムーバー(ブラスターモード)を起動すると、突っ込んで来るオックスオルフェノクへ向けて構える。そして、トリガーを引くとフォトンブラッド光弾が3連射されてオックスオルフェノクに命中する。

 

オックスオルフェノク「おわぁぁぁ!」

デルタ「まだまだぁ!」

 

光弾を、喰らいオックスオルフェノクは大きく後退するが、それに構わずデルタはどんどん撃ちまくる。それを、全て喰らったオックスオルフェノクは後ろに吹き飛ばされる。

 

デルタ「よし!このまま!」

カチカチ

デルタ「え⁈弾切れ⁉︎」

オックスオルフェノク「馬鹿め!死ねー‼︎」

デルタが更に追い討ちを掛け様とするが、そこから光弾が発射されることはなかった。それを、好機と見たオックスオルフェノクはデルタに襲い掛かる。

 

デルタ「くっ⁉︎Charge!」

《Charge》

オックスオルフェノク「おおおぉぉぉぉぉ‼︎」

 

デルタは、デルタムーバー(ブラスターモード)のエネルギーをチャージし始めるが、オックスオルフェノクはもうそこまで迫って来ていた。すると、デルタはデルタムーバー(ブラスターモード)を腰に戻し、腰を低く落とし両手を前に突き出し構える。

 

オックスオルフェノク「ふんぬっ!」

デルタ「ぐっ⁉︎」

 

オックスオルフェノクとデルタが激突する。デルタはオックスオルフェノクの角を掴むが、オックスオルフェノクは其れに構わず、そのまま突っ込む。デルタは、オックスオルフェノクに押されっぱなしの状態だった。が、途中からデルタは脚に力を込める。すると、地面から火花を散らしながらも段々スピードが遅くなり、最後にはとうとう止まった。さっきまで引き摺られていた地面は黒く焦げ、シュー!と言う音と共に煙が出ていた。

 

オックスオルフェノク「あ、あ…」

デルタ「ふっ」

 

突進を止められたオックスオルフェノクは、もはや声も真面に出せないと言った様子だった。そんな、オックスオルフェノクに対してデルタは軽く笑うと、角を掴んだままオックスオルフェノクの顔面に膝蹴りを叩き込む。更に、一発では無く何度も何度も叩き込む。

 

デルタ「はあ!」

オックスオルフェノク「うぉ、ぐはっ!ううぅぅ」

 

そこから、デルタは角を持ってオックスオルフェノクを立たせると、鳩尾の辺りに一発パンチを叩き込み、後ずさったところに後ろ回し蹴りを喰らわせる。それを喰らったオックスオルフェノクは、大きく後ろに吹き飛ばされる。吹き飛ばされたオックスオルフェノクは苦しそうに呻きながら地面に這う。と、そこに、

 

タートルオルフェノク「はあ!」

デルタ「何⁉︎ぐぁっ⁉︎」

 

急に後ろから現れたタートルオルフェノクの鋭い爪で切り裂かれ、地面を転がる。タートルオルフェノクは二人が戦っている時、後ろへ回り隙を見てデルタを倒そうとしていたのだ。タートルオルフェノクは追撃をする為、デルタへ近づく。

 

デルタ「Fire!」

《Burst Mode》

デルタ「ふっ!」

タートルオルフェノク「無駄だよ!」

 

デルタは倒れた態勢のまま、デルタムーバー(ブラスターモード)をタートルオルフェノクに向けて放つが、タートルオルフェノクは後ろを向き背中の甲羅で弾く。

 

デルタ「な、何⁉︎」

オックスオルフェノク「うがぁぁぁぁぁ‼︎」

デルタ「しまった!ぐあっ!」

 

攻撃を全て弾かれた事に動揺するデルタに、起き上がったオックスオルフェノクが突進を仕掛ける。突然の反撃にデルタは、反応出来ず吹き飛ばされる。

 

デルタ「くあぁぁ、うっ!」

オックスオルフェノク「終わりだぁぁぁぁぁ!」

 

起き上がれずに苦しむデルタに、オックスオルフェノクが再び突進を仕掛ける。デルタは、デルタムーバー(ブラスターモード)にデルタの顔の模様のメモリーカード“ミッションメモリー”を装填する。

 

《Ready》

 

すると、ポインターシリンダーが伸びて、デルタムーバー(ポインターモード)になる。

 

デルタ「Check!」

《Exceed Charge》

 

デルタは、オックスオルフェノクにデルタムーバー(ポインターモード)を向けて、トリガーを引く。発射された光弾がオックスオルフェノクに着弾すると、青紫色をした三角錐状の光になり、オックスオルフェノクを拘束する。

 

オックスオルフェノク「何だと⁉︎」

デルタ「はあっ‼︎」

 

それを確認するとデルタは、高く跳び上がり空中で前蹴りの態勢になる。すると、デルタは三角錐状の光に吸い込まれる様に突っ込み、前蹴りを喰らわせる“ルシファーズハンマー”を放つ。

 

デルタ「はあぁぁぁぁぁ‼︎」

オックスオルフェノク「うあぁぁぁ‼︎」

 

そして、ルシファーズハンマーを放ったデルタが、オックスオルフェノクを貫いたと思うと消えて、オックスオルフェノクの後ろに現れる。すると、オックスオルフェノクの動きが止まり、赤い炎に包まれて灰化しながら崩れ落ち、青紫のΔの文字が浮かび上がる。

 

デルタ「はあはあ…、まず一体」

タートルオルフェノク「隙有り!」

 

デルタは肩で息をしながら、そう呟く。そこへ、先程と同じ様に隙を伺っていたタートルオルフェノクが飛びかかって来る。

 

デルタ「ふっ!」

タートルオルフェノク「うがっ!」

 

しかし、デルタは瞬時に振り向きデルタムーバー(ポインターモード)をタートルオルフェノクに放つ。それを、受けたタートルオルフェノクは撃ち落とされて地面に転がる。デルタは、タートルオルフェノクが起き上がる前に接近して行く。

 

デルタ「はあ!だあ!だりゃあ!」

タートルオルフェノク「うっ!がっ!ああっ!」

 

デルタは、タートルオルフェノクを掴んで無理矢理立ち上がらせると、顔の左半分を思いっきり殴りつける。タートルオルフェノクは掴まれているので、吹き飛ぶ事も出来ず衝撃が逃げられない。そんなタートルオルフェノクの、顔面を殴りつけ、更に鳩尾を殴り、相手の態勢が前屈みになったところで膝蹴りを喰らわせ、相手が顔を上げたところに肘鉄を顔面に叩き込み、数歩相手が後ずさったところに蹴りを喰らわせて吹き飛ばした。

 

タートルオルフェノク「がぁっ!うぅ⁉︎」

デルタ「コレで終わりだ!Check!」

《Exceed Charge》

 

デルタは、タートルオルフェノクに向けて光弾を放ち、青紫色の三角錐状の光で拘束する。が、タートルオルフェノクは咄嗟に背を向けて、甲羅を此方に向けた状態で拘束された。それを気にせずデルタは、ルシファーズハンマーを放つ。ルシファーズハンマーと甲羅がぶつかり合うが、タートルオルフェノクがデルタを上に打ち上げる。

 

タートルオルフェノク「今のウチだ」

デルタ「なっ⁉︎くそ!」

 

その隙に逃げ出そうとするタートルオルフェノクを見たデルタは、驚いて思わす毒づいた。が、その時、

 

《Single Mode》

タートルオルフェノク「がっ⁉︎」

デルタ「‼︎」

 

突然、そんな電子音声が聞こえてきたと思うと緑色の光弾がタートルオルフェノクに命中し火花を散らす。それに驚いたデルタだったが、すぐさま我に帰りデルタドライバーの左側にセットされているデジタルカメラ“デルタショット”にミッションメモリーを装填する。

 

《Ready》

デルタ「Check!」

《Exceed Charge》

 

左手に装着したデルタショットにブライトストリームを経由してフォトンブラッドが集まる。

 

デルタ「はあー‼︎」

タートルオルフェノク「し、しまった⁉︎」

 

デルタは、デルタショットを装着して放つパンチ“グランインパクト”を、落下の勢いに乗って放つ。グランインパクトを喰らったタートルオルフェノクは、赤い炎に包まれながら灰化すると、青紫のΔの文字が浮かび上がる。

 

デルタ「ふ〜、さてと。何とか倒しはしたが、あれは一体…」

?「よお、大丈夫か?危うく逃げられるところだったな?」

 

デルタが、その声の方向に目を向けると、そこにはバイクに乗っている顔にマスクをつけた男がいた。

 

デルタ「あんたは…まさか…」

ドラレンジャー「久し振りだな、Δデルタ」

デルタ「やっぱり、久し振りだな?どうした?」

ドラレンジャー「いや、俺達が作ったデルタギアはどうだ?」

デルタ「(達?作ったのはクルト一人じゃなかったか?)ああ、かなりいい感じだ。装備も充実してるし中々使いやすいし」

ドラレンジャー「そうか、それは良かった。ところで、少し頼みがあるんだが」

デルタ「頼み?」

ドラレンジャー「ああ、実はな、俺と戦って欲しいんだ」

デルタ「えっ⁉︎」

 

これがΔデルタにとって、初のライダーとの戦いの始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




後書きの時間だ!
のび太「おい、作者」
ん?なんだ?
ドラえもん「なんだじゃ無い!」
郎夜「肝心のドラレンジャーさん、最後チョロって出て来ただけじゃねぇか⁉︎失礼過ぎんだろ⁉︎」
いや、これまだ前編だし。
セワシ「お前なー!」
奈々「すいません。ドラレンジャーさん」
のび太「ところで、作者のオルフェノク化については…」
おお、そうだ。それについてはこれを見てくれ。

スペリオル
「オリジナル」として覚醒する中で、突然変異を起こした個体の事を指す。この「スペリオル」と呼ばれるオルフェノクは、戦闘力が他の「オリジナル」などよりも格段に高く、能力も強力。特徴的なのが、このスペリオルは体内に“ネオフォトンブラッド”と言う物質を持っている。そのため、多少のフォトンブラッドなどは、全く平気である。更に、ネオフォトンブラッドを使用する事も出来るので、身体にに纏って戦う事も出来る。その場合、身体能力などが一時的に上がるが、やはりオルフェノクなので長時間の使用は危険。後、スペリオルは短命と言うわけでは無い。恐らく、スペリオルとしての進化は人間の身体に適応しているからであると考えられる。今現在、確認させているスペリオルは一人(Δデルタの事)しかいない。

キリンオルフェノク
伝説上の麒麟の能力を持つオルフェノク。能力は、電撃を操ることが出来、それを放ったり、身に纏ったりして戦う。背中に炎を象った翼を展開した飛翔態と四足歩行の状態の疾走態がある。

まあ、こんな所だな。
皆「…」
ん?どした?
のび太「い、いや。別に。(もしかしたら今、こいつってオルフェノク関係の世界から注目されてる、凄い実験材料なんじゃ…)」
まあ、いいか。そろそろ締めるか。奈々ちゃん。
奈々「は〜い、次回はとうとう、Δデルタとドラレンジャーさんがぶつかり合う!果たして、勝利の行方は?次回もヨロシクね♪」


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番外編-中編-

え〜、まず初めに読者の皆様に謝らせてください。すいませんでした。前回、僕とドラレンジャーさんとのバトルと言いましたが、あれは嘘になりました。本当にすいませんでした。
のび太「何やってんだよ作者‼︎」
ドラえもん「そうだよ!これで、読者の皆様が離れてったらどうするんだよ⁉︎」
はい。事の重大さは、こんな馬鹿で阿呆でどうしようもない人間である僕でも重々承知しているつもりです。
郎夜「本当かよ⁈そうだ、のび太。奈々の奴を慰めに行ってくれ。頼む」
のび太「えっ⁉︎な、何があったんですか?」
郎夜「ほら…前回、予告やったのあいつだろ?だから、変に責任感じちまってるみたいでな」
のび太「ああ〜、分かりました。行って来ます」
郎夜「応、済まねえな。さて、作者。ウチの弟子を泣かせといて唯で帰れると思うなよ?」
えっ⁉︎
セワシ「読者の皆様、本当にすいませんでした。それでは本編を」
セワシ・ドラえもん「どうぞ!」



作者の家

 

此処のΔデルタの部屋に、Δデルタとドラレンジャーは居た。何故、此処に来たかと言うと、本当はあの場で話すつもりだったらしいが、先程の戦いで騒ぎが起こってしまい話そうにも話せない状況だったのでΔデルタの家に来たと言う訳だ。

 

Δデルタ「あ〜っと、それで何で俺と戦おうと言う事になったんだ?」

ドラレンジャー「それはだな。まあ、単純に気になったんだよ」

Δデルタ「と言うと?」

ドラレンジャー「俺等の持ってるギアはクルトが作ったギアだろ?」

Δデルタ「そうだな」

ドラレンジャー「だからだよ。つまり、クルトの作ったライダーギア同士を戦わせてみたい。要は、興味本位だ。解ったか?」

Δデルタ「まあ、大体は」

ドラレンジャー「よし!そうと決まれば」

Δデルタ「いや、今は無理」

ドラレンジャー「ん⁉︎な、何でだ?」

Δデルタ「ぶっちゃけ、疲れた」

 

そう。Δデルタはライダーに変身したのはこれが初めてなのだ。なので、情けない事だが何時もより疲れてしまうのは当たり前なのだ。

 

ドラレンジャー「そ、そうか。そうだったな。失念していた。なら、また後日に…」

Δデルタ「いんや。今日で大丈夫だ」

ドラレンジャー「ん、ん?」

 

Δデルタの言葉に、ドラレンジャーは訳が分からないと言う感じだ。それもそうであろう。戦えないと言ったのに、今日戦えると言ったのだ。

 

ドラレンジャー「えーっと、それはどうゆう?」

Δデルタ「まあ、取り敢えず五分時間をくれないか?」

ドラレンジャー「ああ、解った」

 

時間をくれと言うΔデルタの言葉に戸惑いながらも、了解するドラレンジャー。それを聞いたΔデルタは、部屋を出て何処か行ってしまった。

 

五分後

 

Δデルタは、部屋から出て来た。

 

Δデルタ「よし、良いぞ。じゃあ、行くか」

ドラレンジャー「ちょっと待て」

Δデルタ「ん?何だ?」

 

急に元気になったΔデルタに待ったをかけるドラレンジャー。

 

ドラレンジャー「この五分間何やってたんだ?」

Δデルタ「ん?寝てたんだが?」

 

ドラレンジャーの質問に当たり前の様に寝てたと返すΔデルタ。

 

ドラレンジャー「ね、寝てた⁉︎」

Δデルタ「ああ」

ドラレンジャー「何でだ?」

 

Δデルタの回答に驚きながらも、理由を聞くドラレンジャー。

 

Δデルタ「ああ、疲れてたからな。俺は、普通の人間じゃないから傷の治りや疲れが取とれるのが早いんだ。だから、あれくらいなら五分で十分なんだ。それに、疲れをとるなら寝るのが一番だしな」

ドラレンジャー「そうか」

 

Δデルタの言ったことに対して、納得の意を示すドラレンジャー。

 

Δデルタ「さて、疑問も解消した事だしぼちぼち行くか?」

ドラレンジャー「そうだな」

 

二人は、Δデルタの家から出た。そして、Δデルタは、キリンオルフェノク(飛)へ変身し、ドラレンジャーは、バイク“オートバジンver.2”に乗る。

 

ドラレンジャー「なあ」

Δデルタ「ん?どうした?」

 

ドラレンジャーは、気になった事をキリンオルフェノク(飛)に質問した。

 

ドラレンジャー「その、なんだ。オルフェノクの格好で行くのか?」

キリンオルフェノク(飛)「ああ、そうだが?なにか問題があるのか?」

 

恐らく問題大有りであろう。今の姿は、完全に化け物で有る。ただでさえ、先程の騒ぎが有ったばかりなのだ。もし、見られでもしたら一瞬で大騒ぎになること間違いなしだろう。

 

キリンオルフェノク(飛)「いや、これで行くのが一番なんだ」

ドラレンジャー「俺達が作ったバイクは?」

キリンオルフェノク(飛)「俺、無免許」

ドラレンジャー「…」

 

一番最もな理由を聞き、黙ってしまうドラレンジャー。結局、オルフェノクの姿で行くことにした。

 

移動中

 

キリンオルフェノク(飛)「ん?」

 

途中、キリンオルフェノク(飛)が不思議そうな声を上げた。

 

ドラレンジャー「どうした?」

キリンオルフェノク(飛)「いや…!止まれ‼︎」

 

キリンオルフェノク(飛)の慌て様を見て、ドラレンジャーは、急停止する。

 

ドラレンジャー「どうした⁉︎」

キリンオルフェノク(飛)「あれを見ろ」

 

キリンオルフェノク(飛)の言う通りの方を見る、ドラレンジャー。すると、遠くの方に多数の人影らしき物が見えた。ドラレンジャーは、最初は其れが何か分からなかったが、其れらが近づいて来るに連れて、正体が分かった。

 

ドラレンジャー「あれは…オルフェノクか?」

 

何故、ドラレンジャーの言葉が疑問形なのかと言うと、そのオルフェノク達は皆、同じ姿をしていた。身体は灰色で装飾の全くない簡素な鎧を着ており、頭部も鎧と同じ様に装飾の無い丸い兜を被り、右手には幅広の片手剣が握られ、左手には小さな丸い盾を持っていた。

 

ドラレンジャー「あれは何だ…」

キリンオルフェノク(飛)「ピースオルフェノクシリーズ…」

ドラレンジャー「ピースオルフェノクシリーズ?あれを知っているのか?」

 

ドラレンジャーは、キリンオルフェノク(飛)がピースオルフェノクシリーズと呼んだオルフェノク達を指差しながら、そう聞いた。

 

キリンオルフェノク(飛)「ああ、あいつらはピースオルフェノクって言う、人造オルフェノクだ。その中でも、ポーンと呼ばれる奴らだ」

ドラレンジャー「人造オルフェノク…ポーン…」

 

ドラレンジャーは、ピースオルフェノク(ポ)を見ながら、そう呟いた。

 

キリンオルフェノク(飛)「でも、ポーン何て正直、唯の雑魚と変わんねぇから大丈夫だ。それにしてもポーンだけか…。珍しい事もあるもんだな」

 

キリンオルフェノク(飛)は、そう呟きながらピースオルフェノク(ポ)達の前に降り立った。

 

ドラレンジャー「お、おい、大丈夫なのか⁈あの数だぞ⁉︎」

キリンオルフェノク(飛)「大丈夫、大丈夫。さっきも言ったが、ポーンは雑魚だから僕だけで十分だ」

 

そう言うと、二枚のコインを取り出し、両手でそれぞれ上へ弾く。そして、キリンオルフェノク(飛)はネオフォトンブラッドを含んだ電撃を発生させる。

 

キリンオルフェノク(飛)「見よ!これが、ひたすら練習を重ねて物にした技!その名も」

 

弾かれたコインが、落ちてくる。キリンオルフェノク(飛)は、そのコインを弾き出す。

 

キリンオルフェノク(飛)「超電磁砲だー‼︎」

 

すると、弾き出された二枚のコインが電磁加速により、物凄いスピードで飛んで行き、ピースオルフェノク(ポ)達を次々と貫いていった。貫かれたピースオルフェノク(飛)は、青い炎を上げながら灰化して行く。

 

ドラレンジャー「すげえな…」

 

ドラレンジャーは、その様を見てそう呟いた。キリンオルフェノク(飛)は、更に超電磁砲を放つ。それにより、ピースオルフェノク(ポ)の数が半分くらい減った。

 

キリンオルフェノク(飛)「よし!お次はコレだ!」

 

キリンオルフェノク(飛)は、右手を前にだす。すると、キリンオルフェノク(飛)は身体の周りに電気を発生させ、溜める。身体の周りの電気がドンドン大きくなっていく。そして、電気を限界まで溜めた。

 

キリンオルフェノク(飛)「十万ボルト!」

 

右手から、溜めた電気を一気に電撃として放つ。十万ボルトは、ピースオルフェノク(ポ)達に命中すると、ドンドン広がって行く。そして、十万ボルトが命中したピースオルフェノク(ポ)は、青い炎を上げながら、灰化して行く。それにより、数が更に減っていった。

 

ドラレンジャー「ポケモンか…」

キリンオルフェノク(飛)「ラスト!」

 

キリンオルフェノク(飛)は、灰色の細形の長剣“天叢雲剣”を作り出す。そして、身体に電気を帯電させながら、天叢雲剣を真上に向ける。すると、空に雷雲が発生しそこから落雷がキリンオルフェノク(飛)に落ちて来た。その落雷を受けながら、雷のエネルギーを溜めた天叢雲剣をピースオルフェノク(ポ)達に向ける。

 

キリンオルフェノク(飛)「トールハンマーブレイカー‼︎」

 

すると、天叢雲剣からピースオルフェノク(ポ)達に雷が放出されて、それを受けたピースオルフェノク(ポ)達は青い炎と共に灰化する。これでピースオルフェノク(ポ)達は全滅した。

 

ドラレンジャー「…」

キリンオルフェノク(飛)「ふぅ〜。これで全部か?」

 

驚きで声も出ないドラレンジャーを他所に、いい仕事したとばかりに額を拭う仕草をするキリンオルフェノク(飛)。が、そこへ、

 

ドラレンジャー「!後ろだ‼︎」

キリンオルフェノク(飛)「‼︎」

 

ドラレンジャーの警告で、その場を飛び退くキリンオルフェノク(飛)。すると、さっき迄いた場所に大鎌が振り降ろされた。そこに居たのは、灰色の身体にピエロの様な帽子と顔、格好もピエロの様で胸には十字架の模様があり、足の先は反り上がっており、手には先程振り降ろされた灰色の大鎌があった。

 

キリンオルフェノク「ちっ!ビショップ…、成る程。そうゆう魂胆か…」

ドラレンジャー「どうゆう事だ?」

キリンオルフェノク「つまり、さっき迄のポーンは全部捨て駒で、倒しきって消耗した僕を奇襲で倒そうって事だ」

ピースオルフェノク(ビ)「…、正解だよ。まさか、こんな簡単にバレるとは思わなかったよ」

ドラレンジャー「しゃ、喋った!」

キリンオルフェノク「ああ、言ってなかったな。こいつらピースオルフェノクは、普通は自我を持ってはいない。が、ごく稀にそうゆう個体が生まれるケースがある。そして、そうゆう奴らは総じて能力が極めて高い」

ピースオルフェノク(ビ)「そ。だから今迄の出来損ないと一緒にしない方が良いよ」

 

キリンオルフェノクは、通常形態に戻りながらピースオルフェノクの解説をする。そして、その解説をピースオルフェノク(ビ)は、肯定する。

 

キリンオルフェノク「で、目的はやっぱり」

ピースオルフェノク(ビ)「君の捕獲だよ」

キリンオルフェノク「相変わらず、しつこいな。嫌になってくるな」

ピースオルフェノク(ビ)「じゃあ、さっさと僕達に捕まってくれないかな?」

キリンオルフェノク「何が哀しくて、自分から進んで実験動物なんかにならなくちゃいけないんだよ。お断りだ」

ピースオルフェノク(ビ)「そう。じゃあ、無理矢理にでも連れて行くね」

キリンオルフェノク「くそっ!やっぱそうなるか!」

 

キリンオルフェノクは、忌々しそうにそう吐き捨てると天叢雲剣を構える。と、そこへ、

 

ドラレンジャー「俺も戦わせてもらうぜ」

キリンオルフェノク「くっ!本当は僕の問題だから巻き込みたくは無いが、今回ばかりは頼む」

ピースオルフェノク(ビ)「ん?まさか、君も戦うの?冗談でしょ?」

ドラレンジャー「冗談でも何でも無く本気だぜ」

ピースオルフェノク(ビ)「いやいや、死にたいだけなら後で殺してあげるからさ。落ち着いたら?」

ドラレンジャー「…これを見ても、その台詞が言えるか?」

 

すると、ドラレンジャーはベルト“イプシロンドライバー”を取り出し、腰に当てる。するとベルトが現れ自動的に装着される。そして、少し変わった携帯“イプシロンフォン”を開き、1、2、4、6と入力し、ENTERキーを押す。

 

《Standing by》

 

イプシロンフォンを閉じ、右手で構える。そして、右手と左手を交差し、

 

ドラレンジャー「変身!」

 

ドラレンジャーは、右手を右側に伸ばしイプシロンドライバーにセットし、倒す。

 

《Complate》

 

すると、イプシロンドライバーから緑色のフォトンストリームver1.5が全身を駆け巡り、そこからスーツ“フォトンフレーム”が形成される。

 

ピースオルフェノク(ビ)「これは…」

 

全身を駆ける緑のフォトンブラッドver1.5、青色のアルティメットファインダー、そしてギリシャ文字のYを象った様なライダー“仮面ライダーイプシロン”だ。

 

イプシロン「さて、これでお前と戦えるぜ、ピエロ野郎」

ピースオルフェノク(ビ)「…そうみたいだね」

 

ピースオルフェノク(ビ)は、イプシロンから放たれる雰囲気から強敵と判断した。故に、警戒を引き上げた。

 

イプシロン「さて、これで二対一だな」

キリンオルフェノク「いや、それは無い」

イプシロン「何故だ?今は、俺とお前であいつと戦えば二対一だろ」

キリンオルフェノク「どうせ、ゲスでセコイ奴の事だ。このまま、僕達とまともに戦う訳が無い」

 

イプシロンの言葉を、キリンオルフェノクが即座に切り捨てる。

 

ピースオルフェノク(ビ)「酷い言い草だね。まあ、その通り何だけど」

 

ピースオルフェノク(ビ)がそう言うと、キリンオルフェノク達の後ろに、三体のオルフェノクが現れた。灰色の身体で全身を覆う鎧、頭部は馬の頭で、手にはロングソードを持っている“ピースオルフェノク(ナイト)”だ。

 

キリンオルフェノク「やっぱり、いたか」

イプシロン「くっ!」

ピースオルフェノク(ビ)「行くよ!」

 

キリンオルフェノクとイプシロンが構えると、ピースオルフェノク(ビ)が斬りかかってくる。二人は、それぞれ別の方向に避ける。ピースオルフェノク(ビ)は、イプシロンの方を追って行く。キリンオルフェノクは、襲いかかって来たピースオルフェノク(ナ)と交戦する。

 

ピースオルフェノク(ビ)「はあ!ふ!やあ!」

イプシロン「うお!くっ!ええい!」

 

ピースオルフェノク(ビ)が振り降ろした斜めに振り降ろした大鎌を、イプシロンは屈んで避ける。更に、そこから斬り上げられた大鎌を左に跳んで避け、右薙ぎに振るわれた攻撃を後ろに飛び退いて避ける。

 

ピースオルフェノク(ビ)「うーん、中々当たんないな〜。でも、避けてばかりじゃあ勝てないよ?」

イプシロン「じゃあ、攻めさせて貰うぜ!」

 

イプシロンは、ミッションメモリーをイプシロンフォンから外すと、オートバジンver.2の左ハンドルに差す。

 

《Ready》

 

そして、左ハンドルを抜くと輝く緑色の刀身を持つ剣“イプシロンエッジ”になる。

 

イプシロン「さて、行くぞ!」

 

イプシロンはピースオルフェノク(ビ)に接近し、イプシロンエッジを振るう。だが、それは大鎌によって受け止められる。イプシロンは、それを気にせずに左薙ぎ、袈裟斬り、左切り上げ、刺突とどんどん攻める。が、ピースオルフェノク(ビ)は、其れらを全て難なく受け止め、躱す。

 

イプシロン「くっ!せりゃあ!」

ピースオルフェノク(ビ)「ぐっ⁉︎うわぁぁ!」

 

イプシロンは、再度攻撃を仕掛ける。それは、大鎌によって受け止められるが、イプシロンは相手の腹に前蹴りを放ち、更に後ずさったところにミドルキックを放つ。そして、態勢が崩れたところにイプシロンエッジで連続で切り裂く。

 

ピースオルフェノク(ビ)「中々やるね。なら、これはどうかな!」

イプシロン「はあ!」

 

イプシロンが斬りかかる。が、その時、ピースオルフェノク(ビ)の姿が消えた。

 

イプシロン「な、何⁉︎」

ピースオルフェノク(ビ)「此処だよ」

イプシロン「!うわぁぁ!」

 

消えたピースオルフェノク(ビ)を探していたイプシロンは、死角から現れた、ピースオルフェノク(ビ)に大鎌で切り裂かれた。

 

イプシロン「く!くあぁぁ!」

ピースオルフェノク(ビ)「ハハハハハ、どうしたの?さっきみたいに攻撃して来なよ」

 

ピースオルフェノク(ビ)は超高速で動き回りながら、イプシロンの死角から斬りかかる。イプシロンは、それを防ぐ事も躱すことも出来ず、唯々それらを喰らい続ける。

 

イプシロン「くそ、嘗めるな‼︎」

 

イプシロンは、左腕に着けているリストウォッチ“イプシロンアクセル”からアクセルメモリーを外すと、イプシロンフォンに差し込む。

 

《Complate》

 

すると、胸のアーマーが展開し、アルティメットファインダーが緑になり、フォトンストリームは銀色のシルバーストリームへと変化する。これが、イプシロンの超高速形態“アクセルフォーム”だ。イプシロン(ア)は、イプシロンアクセルのスイッチを押す。

 

《Start Up》

 

すると、イプシロンアクセルからカウントが開始されて、イプシロン(ア)の姿は消えた。

 

イプシロン(ア)「見つけた!」

ピースオルフェノク(ビ)「な、何だって⁉︎」

 

超加速したイプシロン(ア)は、同じく超高速状態のピースオルフェノク(ビ)を見つけ、走り出す。ピースオルフェノク(ビ)は、突然の事に驚きを隠しきれない。

 

イプシロン(ア)「はあ!ふっ!おりゃあ!」

ピースオルフェノク(ビ)「うっ!くっ!うおわっ⁉︎」

 

イプシロン(ア)は逆袈裟に斬るが、大鎌で受け流される。が、更に刺突を繰り出し、それを喰らったピースオルフェノク(ビ)は火花を散らし、よろける。そこに、袈裟斬りを放ち、それを喰らったピースオルフェノク(ビ)は更に火花を散らしながら後ろへ吹っ飛ぶ。イプシロン(ア)は、腰のイプシロンフォンを開き、ENTERキーを押す。

 

《Exceed Charge》

 

すると、イプシロンエッジにフォトンブラッドが注入され刀身が一際強く輝く。それを構えるとイプシロン(ア)はピースオルフェノク(ビ)に向かって駆け出す。

 

《Three》

 

ピースオルフェノク(ビ)も、大鎌を構え走り出す。

 

《Two》

 

イプシロン(ア)「はあー‼︎」

ピースオルフェノク(ビ)「ふっ‼︎」

二人の距離が一気に縮まる。

 

《One》

 

そして、お互いがすれ違う瞬間にイプシロン(ア)はイプシロンイプシロエッジで切り裂く“アクセルイプシロンスラッシュ”を繰り出し、ピースオルフェノク(ビ)も大鎌を振り抜く。

 

《Time Out》《Refomation》

 

制限時間を迎え、イプシロンは通常の形態に戻る。お互い、己の得物を振り抜いたまま微動だにしない。そこだけ時間が止まったかの様な錯覚に陥りそうなほどだった。と、その時、

 

カラン

ピースオルフェノク(ビ)「…」

 

ピースオルフェノク(ビ)の大鎌の刃の一部分が斬れ、下に音を立てて落ちる。ピースオルフェノク(ビ)は、それを暫く無言で眺めていたが、

 

ピースオルフェノク(ビ)「…は…はは…はははは…ははははははははははははははははは‼︎」

イプシロン「⁈」

 

突然、ピースオルフェノク(ビ)が、狂った様に笑い始めた。

イプシロンは、それに驚き思わず振り返る。そして、笑い続けながらも此方を向く。それを見て、再び驚く。それは、その瞳には先程迄には無かった筈の確かな狂気の光が見て取れたからである。やがて、ピースオルフェノク(ビ)が口を開く。

 

ピースオルフェノク(ビ)「いやぁ、驚いたよ。Δデルタ以外にも僕とまともに戦える奴がいるなんてね。しかも、武器まで破壊する何て…。まだ、こんな奴がいたとは嬉しいよ。それに、本気では無いとは言え、僕のあのスピードと同じ速さで動ける何て全く。楽しいったりゃ、ありゃしないよ。これだけ殺し甲斐があるやつなんて早々出会えるもんじゃ無い。」

 

イプシロンは、ピースオルフェノク(ビ)の正気とは思えない台詞を聞きながら、気になる部分を見つけた。

 

イプシロン「(本気のスピードじゃ無い…だと…。じゃあ、何だ奴のスピードは、アクセルフォームを超えるとでも言うのか…)」

 

アクセルフォームは間違いなく現状での最速の形態で、スピードもあれが限界の筈だ。だが、そのスピードを持ってしてもピースオルフェノク(ビ)の全力には届かない。それが示す物はつまり、全力のスピードのあいつの前には、アクセルフォームは効かないと言う事だった。

 

イプシロン「(不味いかもしれないな…)」

ピースオルフェノク(ビ)「さてと、本当だったらまだまだ君と戦いたいけど、本社から通達でね。今日のところは撤退しろだってさ。全く、上の連中は頭が固い上に臆病な奴ばかりだよ。これじゃあ、成功する物もしやし無い。まあ、仕方ないや」

イプシロン「お、おい!」

 

ピースオルフェノク(ビ)は、そう言うと止めようとするイプシロンの声を無視して、背を向けて歩き始める。が、何かを思い出した様に此方へ振り返った。

 

ピースオルフェノク(ビ)「あ、そうそう。まだ君の名前を聞いてないや。何て言うの?」

イプシロン「…イプシロン、仮面ライダーイプシロンだ!」

ピースオルフェノク(ビ)「ふ〜ん。イプシロンか、よし憶えた。じゃあ、僕も」

 

ピースオルフェノク(ビ)は此方に身体を向けて、刃の一部分が欠けた大鎌を肩に乗せながら言った。

 

ピースオルフェノク(ビ)「僕はブレインガード社製ピースオルフェノクシリーズ、特異体CMー03ビショップだよ。じゃあね」

 

そう言うと、ピースオルフェノク(ビ)はその場から消えた。否、高速移動でこの場から撤退したんだろう。それを確認すると、イプシロンは安堵の息を吐く。

 

イプシロン「ふぅ〜。何とか終わったな。そうだ!Δデルタは…」

キリンオルフェノク「喰らえ!ボルテッカー‼︎」

 

キリンオルフェノクは何処かで聞きたことがある様な技名を叫びながら、身体に電撃を纏いピースオルフェノク(ナ)の最後の一体に向かい突撃する。そして、その突撃がピースオルフェノク(ナ)を弾き飛ばすと、ピースオルフェノク(ナ)は青い炎に包まれながら灰化した。

 

キリンオルフェノク「よし、上手く出来てるな」

イプシロン「おーい」

キリンオルフェノク「ん?おお、無事だったか」

 

キリンオルフェノクは、イプシロンの無事を確認しながら手を振った。

 

イプシロン「まあな、そっちは?」

キリンオルフェノク「見ての通り、楽勝だ。にしても、凄いな。あの特異体のビショップ相手にあそこまでやるなんて」

イプシロン「見てたのか?」

 

イプシロンは、戦闘中にそんな事出来るキリンオルフェノクに驚きながら聞いた。

 

キリンオルフェノク「ああ、ぶっちゃけこいつ等そこ迄だから、余所見しても余裕だった」

イプシロン「そうか」

キリンオルフェノク「いやー、本当に凄いな。あいつはブレインガードの中でも、かなり上位に位置する奴なんだよ」

イプシロン「なあ?あいつも言ってたが、ブレインガードって言うのは何だ?」

 

そこで、キリンオルフェノクはイプシロンにブレインガードの説明をいていない事に気が付く。

 

キリンオルフェノク「あ!悪い悪い。色々、一度にあり過ぎて説明するのを忘れてた」

 

そう言うと、キリンオルフェノクはブレインガードについて説明を始めた。

 

キリンオルフェノク「ブレインガード社って言うのは、この世界にある企業の名前だ。ブレインガード社は工業、商業、出版、芸能、貿易など様々な事をやっていて、今や日本に大きな影響を与える事が出来る程の大企業だ」

イプシロン「へぇ〜」

キリンオルフェノク「まあ、それはあくまで表の企業としての顔だけどな…」

イプシロン「ん?」

 

イプシロンは、キリンオルフェノクの意味深な発言に首を傾げる。

 

キリンオルフェノク「表の企業としての顔なんて唯の隠れ蓑だ。本当の正体は、軍事兵器や薬などを製造してる軍事企業だ」

イプシロン「何⁈それは、本当か⁉︎」

キリンオルフェノク「ああ、間違い無い。裏の世界の人間じゃあ、まず知らない奴はいない。それ程迄に、裏で色々やってるって事だ」

イプシロン「マジかよ」

 

イプシロンは、大企業のかなりブラックな事実を聞いて驚いていた。

 

キリンオルフェノク「更に、不味い事もある」

イプシロン「不味い事?」

キリンオルフェノク「ああ、どうやら彼奴ら、人造の怪人を作っているらしい」

イプシロン「それって…」

キリンオルフェノク「ああ、さっき襲って来たピースオルフェノクシリーズもその中の一つだ」

イプシロン「ん?一つ?どうゆうとこだ?」

キリンオルフェノク「簡単だ。彼奴らが手出してんのはオルフェノクだけじゃ無い」

イプシロン「何だって⁉︎」

 

キリンオルフェノクの言葉にイプシロンはかなり驚いた。そもそも、怪人と言うのは種類にもよるが大半が人間の技術では手が出ない物ばかりである。霊石を体内に埋め込んだ超古代生命体や、闇の力より生まれし超越生命体などがその最たる例だ。そんな奴らを自分達の手で作り出しているた聞けば、驚くのも無理はない。寧ろ、驚かない方がおかしい。

 

キリンオルフェノク「僕が確認してるのだけで、グロンギ、オルフェノク、魔化魍、更には改造人間やらもいた」

イプシロン「…」

 

イプシロンは、もう言葉が出なかった。そして、先程自分が相手にした敵の黒幕の強大さを知った。

 

キリンオルフェノク「さて、僕が分かるのはこれ位だ」

イプシロン「そうか…」

キリンオルフェノク「それより、早く行って戦おうぜ。僕、明日から学校あるから次いつ時間取れるか分からないし」

イプシロン「そうだな。じゃあ、行くぜ」

 

そう言うと、二人は目的地に向けて出発した。本気でぶつかり合う為に。

 

 

 




ドラえもん「…ねぇ、作者」
な、なんでせう。←郎夜にボコボコにされた
郎夜「あのよ、何だあれは?」
あ、あれとは?
ドラえもん・郎夜「本編中のパクリ技の数々だよ、駄作者‼︎」
ドラえもん「何だよ、あれは⁈何でそうなったんだよ⁉︎」
いや、電気技って言ったらあれが真っ先に浮かんで来た。
郎夜「じゃあ、せめてアレンジくわえろよ!なんで、モロパクリ何だよ」
いや、あのー、ですねー
ドラえもん・郎夜「あぁん⁈」
僕の頭じゃあ、あれが精一杯で
ドラえもん「だったら」←ジャンボガン2丁
郎夜「そのカス程も役に立たない脳みそ」←エクスプロージョン嵌める
ドラえもん・郎夜「一回ぶっ壊してやらぁ‼︎」←全力全壊で攻撃
わぁーーーーーーーー‼︎死ぬーーーーーーーーー‼︎
セワシ「あれ?おじいちゃんは?」



のび太「ねぇ、大丈夫?」
奈々「うん…、あ!のび太くん…」
のび太「やっぱり気にしてる?」
奈々「うん。だって私の所為で…」
のび太「あれは君の失敗なんかじゃ無いよ、あの馬鹿のミスだよ」
奈々「でも…私…」
のび太「君が何時も一生懸命なのは知ってるよ。それに、人間なら誰でも失敗位何度もあるよ」
奈々「のび太くんも…?」
のび太「そりゃあ、もう数え切れない位に」
奈々「そうなんだ…」
のび太「でもさ、そう言う失敗とか嫌な所とか全部含めて自分なんだよ」
奈々「全部含めて…」
のび太「そう、だからいつ迄も引き摺らずに前、向こうよ。その失敗も受け入れてさ」
奈々「…うん。わかった。私、頑張る!」
のび太「うんうん、やっと元気になったね」←奈々の頭を撫でる
奈々「あっ////うん!/////」
のび太「よし、もう大丈夫だね」←手を離す
奈々「あっ…うん」←寂しそうな表情
のび太「うん?どうしたの?」
奈々「あ、あの、もっと、その〜、な、撫でて欲しいなって…」
のび太「?こう?」←再び頭を撫でる
奈々「ふぇっ////うん!ありがとう///////」
のび太「これ位なら別に良いよ」
奈々「////えへへ♪////」



郎夜「うんうん、上手く行ってるな」
ドラえもん「中々、良い雰囲気だね」
セワシ「じゃあ、今日は、こっちだけで予告やろっか」
ドラえもん・郎夜「異議無し‼︎」
セワシ「よし、じゃあ郎夜さん」
郎夜「応!何とかブレインガード社の刺客を退けた二人。その二人が今度こそ激突する!一方、その頃ブレインガード社では?次回、番外編-後編-。皆、次回もヨロシクな!」


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番外編-後編-

俺!投稿!
郎夜「何かテンション高えな、あいつ」
のび太「最近、鎧武の極やらバトライド・ウォーⅡの発売間近と言う事で気分が高まってんだよ」
ドラえもん「そして、テストに対する現実逃避と言う面も」
セワシ「駄目人間じゃねえか」
奈々「取り敢えず、始めましょうよ」
のび太「そうだね。大変間があいてしまいすいませんでした。では、後編を…」
皆「どうぞ‼︎」


廃工場

 

キリンオルフェノク(飛)のΔデルタと、オートバジンver.2に乗ったドラレンジャーは目的地に到着した。キリンオルフェノク(飛)はΔデルタの姿に戻る。

 

Δデルタ「よし、ここなら遠慮無くやれるな」

ドラレンジャー「そうだな。じゃ、早速やろうぜ」

 

そう言うと、ドラレンジャーは腰にイプシロンドライバーを装着し、イプシロンフォンを取り出す。そして、イプシロンフォンを開き1、2、4、6と入力し、ENTERキーを押す。

 

《Standing by》

 

その電子音声を聞きながら閉じたイプシロンフォンを右手で構える。そして、右手と左手を交差する。

 

Δデルタ「よっしゃ、僕も行くぞ!」

 

Δデルタも、腰にデルタドライバーを装着して、デルタフォンを取り出す。そして、デルタフォンを顔の横辺りに持ってくる。ドラレンジャーとΔデルタは、同時に同じ言葉を発した。

 

ドラレンジャー・Δデルタ「変身!」

 

《Standing by》

 

その後、ドラレンジャーは右手を右側に伸ばしイプシロンフォンをイプシロンドライバーにセットし、倒す。Δデルタは、デルタフォンをデルタムーバーに接続する。

 

《Complate》

 

すると、二人の身体に変化が表れる。ドラレンジャーの方は、イプシロンドライバーからフォトンストリームver1.5が全身を巡り、緑の光に包まれる。Δデルタも、同じ様に全身をブライトストリームが駆け、白の光に包まれる。緑と白の輝きが工場内を満たす。そして光が晴れた時、二人の姿は変わっていた。ドラレンジャーは仮面ライダーイプシロンに、Δデルタは仮面ライダーデルタへと変身していた。イプシロンは拳を構え、デルタはデルタムーバー(ブラスターモード)を抜き放ち構える。お互いが攻める機会を伺う。

 

イプシロン「はあ!」

デルタ「Fire」

《Burst Mode》

 

先にイプシロンが仕掛け、デルタに向かい走り出す。デルタはデルタムーバー(ブラスターモード)を起動し、一発放つ。だが、イプシロンは首を逸らすことで回避し、そのまま接近する。

 

デルタ「くっ!うっ!うあ!」

イプシロン「ふっ!はっ!」

 

デルタは、更にデルタムーバー(ブラスターモード)を発射しようとしたが、イプシロンが接近して来た事で断念し、攻撃の回避に移る。イプシロンが振るってきた右拳を外側に弾き、デルタムーバー(ブラスターモード)を向ける。が、イプシロンはそれを手ごと上に弾き、ミドルキックを放つ。更に、そこから足を戻さずハイキックを繰り出す。デルタは、それを諸に貰い少しよろける。イプシロンは、その隙を逃さず顎にアッパーカットを放つ。

 

デルタ「うぅっ!らぁぁぁ‼︎」

イプシロン「うお⁉︎がぁ!」

 

しかし、デルタはアッパーカットを喰らいながらもイプシロンの手を掴む。イプシロンは逃れようとするがギアの出力に差があり逃れる事が出来ない。デルタは、そのままイプシロンを空中に放り投げ、そこに蹴りを放ち蹴り飛ばす。イプシロンは吹き飛んで積んであった廃材にぶつかり、廃材ごと奥に倒れ込む。デルタは、その隙に攻撃しようとデルタムーバー(ブラスターモード)を構えるが、先程の顎への攻撃の所為で脳震盪を起こし上手く狙いが定まらない。イプシロンも、すぐさま立ち上がろうとするが、デルタに喰らった蹴りが鳩尾に中った事で、肺の中の酸素が一気に吐き出された為立ち上がれない。デルタは、無理矢理にでも狙いをつけて、デルタムーバー(ブラスターモード)を発射するが全く的外れの場所に中る。その間に、イプシロンは立ち上がり、イプシロンフォンを手に持つ。そして、イプシロンフォンに1、0、3と入力する。

 

《Single Mode》

 

イプシロンフォンを横に曲げ、フォンブラスターにする。イプシロンは、それを構え連射する。

 

デルタ「ぐあぁぁ!」

 

その光弾がデルタに命中し、火花を散らしながら後ろに倒れる。その隙に、イプシロンは一気に突っ込む。デルタは何とか立ち上がり、それを迎え撃つ。

 

イプシロン「ふっ!やっ!はあっ!おりゃあ!」

デルタ「くっ、うお⁉︎ええい!ぐっ!くぅ…はあ!」

 

イプシロンは右拳を振るう。それをデルタは、拳をはたき落とす事によって無効化する。イプシロンは其処から左拳をデルタの顔面に放つが、それをデルタは一歩下がることにより何とか避ける。更に、前蹴りをデルタに放ち、デルタは其れを腕をクロスにして防ぐ。イプシロンは足を戻し飛び回し蹴りを放つ。デルタも回し蹴りを放ち、飛び回し蹴りにぶつける。そして、そのままイプシロンを弾き飛ばす。デルタはデルタムーバー(ブラスターモード)を構え、イプシロンに向かう。

 

デルタ「うおぉぉ!」

イプシロン「何⁉︎ぐぁっ!」

 

立ち上がったイプシロンに、デルタはデルタムーバー(ブラスターモード)を零距離で突き付ける。そして、そのまま光弾を連射する。零距離で光弾を喰らったイプシロンは大きく吹き飛ばされる。デルタは倒れたイプシロンに近寄り、更に拳を振るうが、イプシロンは倒れた体勢のまま蹴りに放つ。それによって、デルタは後ろに後退する。イプシロンは起き上がり、オートバジンver.2に駆け寄る。

 

《Ready》

 

イプシロンは、オートバジンver.2の左ハンドルにミッションメモリーを挿入し、イプシロンエッジを引き抜く。そして、イプシロンエッジを構えながら、デルタに向かって行く。

 

デルタ「くっ!」

イプシロン「はあー!」

 

デルタは、近づけさせまいとデルタムーバー(ブラスターモード)を放ち牽制するも、一発目は首を逸らして避け、二発目もイプシロンエッジで弾かれる。

 

デルタ「…何かデジャヴ…」

 

デルタがそんな事を呟いている内に、イプシロンはデルタに接近しイプシロンエッジを振るう。デルタは、それを半身になり躱す。イプシロンは更にイプシロンエッジで斬り上げ、デルタはそれを喰らい火花を散らし後退する。イプシロンはそこにイプシロンエッジで袈裟懸けに斬るが、デルタはそれをデルタムーバー(ブラスターモード)で受け止める。イプシロンエッジを受け止めながら、デルタはベルトの後ろにセットされている剣“デルタストランザー(短剣モード)”を引き抜き、イプシロンに向けて振るう。

 

イプシロン「うわぁぁ⁉︎」

 

それを喰らったイプシロンは、火花を散らしながら後ろに吹き飛ばされ、地面を転がる。デルタがデルタストランザー(短剣モード)にミッションメモリーを差し込むと、刀身が伸びてデルタストランザー(長剣モード)になる。デルタは、デルタムーバー(ブラスターモード)とデルタストランザー(長剣モード)を構えて、イプシロンに向かう。

 

デルタ「Charge」

《Charge》

 

デルタストランザー(長剣モード)を振るうが、イプシロンはイプシロンエッジで受け流す。デルタはそれを気にせず更に右薙ぎに切り裂く。だが、これをイプシロンは受け止める。

 

デルタ「Fire」

《Burst Mode》

 

デルタはデルタストランザー(長剣モード)を受け止められながらも、デルタムーバー(ブラスターモード)を発射する。光弾を至近距離で喰らったイプシロンは後ろに吹き飛ぶ。

 

イプシロン「やるな、Δデルタ」

デルタ「はあ、はあ、いや、やっぱり貴方は強いな。ここまで戦って息一つ上がってないなんて」

 

そう、イプシロンはここまでの戦闘では全く息を切らしていないのである。それに比べ、デルタはかなり息が上がっており、どちらが優勢かは一目瞭然であった。

 

デルタ「でも、僕は勝利を諦める気は更々ないですよ。確かに僕は弱い。戦闘の才能も無いし、頭の回転も早い訳じゃ無い。でも、例え不利な勝負でも粘って粘って勝ちを取りに行く。それが、こんな僕に出来る唯一のやり方だから」

イプシロン「そうか…。なら、かかって来い。お前のそのやり方、貫いてみろ!」

デルタ「言われなくとも、貫いてみせますよ!」

 

デルタとイプシロンが其々の得物をその手に握り、二人の仮面の戦士は再びぶつかり合う。

 

 

ブレインガード社 研究室

 

薄暗い研究室の中に二人の人影があった。一人は茶髪で首にピエロの顔を模したネックレスをつけ顔に幼さを残した高校生位の少年。もう一人は、白衣を纏い細い眼鏡をかけた猫背の老人。

 

?「ふむ、これで良いか。調子はどうじゃ?ビショップ」

ビショップ「うん、バッチリだよ。流石Dr.ネル。感謝するよ」

Dr.ネル「いやいや、気にするな。何たってお主達はわしの自慢の息子なのじゃから」

ビショップ「うん」

 

Dr.ネルは笑顔でそう言うと、途端に表情を曇らせて呟いた。

 

Dr.ネル「しかし、Δデルタもやるようになったな。お主をそこまで傷つけるまでに至るとはの」

ビショップ「?Dr.ネル、今回は映像で僕達の作戦を見てなかったの?」

Dr.ネル「ん?ああ、ちょっとスフィアの調子が悪くてね。今回は見ていないんだよ」

ビショップ「ふ〜ん。そんなんだ」

Dr.ネル「何かあったのか?」

ビショップ「いやね、僕が戦ったのΔデルタじゃ無いんだよ」

Dr.ネル「何じゃと…、それはどう言うことじゃ」

 

Dr.ネルは目を細め訝しげな表情でビショップに問いかける。

 

ビショップ「うん、それがさ妙なやつでさ。確か…仮面ライダーイプシロンとか言ってたよ」

Dr.ネル「な、何⁉︎そ、それは本当か⁉︎確かにそ奴は言うたのか?仮面ライダーと‼︎」

ビショップ「う、うん。自分から名乗ってたし間違いないと思うけど…って、Dr.ネル?」

 

Dr.ネルは動揺を隠そうともせずにビショップに問いかける。そしてビショップが、それを肯定した途端、顔を俯かせると身体をプルプルと震わせ始めた。それを不審に思ったビショップが尋ねる様に声を上げる。

 

Dr.ネル「…フ、フフ…フハハハハハハハハ、ハハハハ‼︎」

ビショップ「…」

 

Dr.ネルは顔を上げたかと思うと、急に笑い始めた。目は極限まで見開かれており、瞳孔は開き、口を大きく開け、その老体からは考えられない程の声量で狂った様に笑う。ビショップは、そんな自らの創造主の姿に呆然とする。

 

ビショップ「ど、Dr.ネル?」

 

ビショップは、何とか先程の驚愕から抜け出してDr.ネルに声をかける。

 

Dr.ネル「ビショップ、少し頼まれてくれないかね?」

ビショップ「えっ!うん、分かった。それで何を…?」

Dr.ネル「ああ、その仮面ライダーを始末して欲しいんだ」

ビショップ「えっ⁉︎」

 

Dr.ネルの指示にビショップは酷く驚いた。別に仮面ライダーを一人で始末しろとの命令を無理と判断した訳では無い。寧ろ、自分一人で十分だと思っている。しかし、Dr.ネルの性格からして例の仮面ライダーの事を聞けば、すぐさまデータを収集するよう頼まれると思ったのだ。だが、実際どうだろうか。自分が創造主から頼まれたのはデータ収集では無く抹殺。それがどうにも腑に落ちないのだ。だがどうやら、それが顔に出ていたらしくDr.ネルから

 

Dr.ネル「お前が感情を表情に出すとは珍しいな。まあ、当然かの。こんな指示を出すとは流石のお前も予想出来なかったんじゃろう。だが、仮面ライダーを野放しにしておく事は出来ん。その名を持つ者は儂等の計画に障害として立ち塞がるだろうからな。じゃから、頼んだぞ」

ビショップ「うん。事情は分かんないけど仮面ライダーを始末すれば良いんだね。簡単、簡単♪」

 

いつも通りの調子に戻ったビショップが余裕そうにその仕事を承諾した。が、Dr.ネルはそんなビショップを諌めた。

 

Dr.ネル「これ!奴らを侮るでは無い。確かにお主なら今のその仮面ライダーを始末することは容易だろう。じゃが、奴らはその程度で屈する者たちでは無い。どのような苦境、逆境にも諦めず、自らの手でその運命を切り拓いて行く者達じゃ。奴らに儂等の常識は通用しない。この事を肝に銘じておけ」

ビショップ「わ、分かったよ。あのさ、Dr.ネル?」

Dr.ネル「何じゃ?」

ビショップ「何でそんなに仮面ライダーの事をしっ…」

?「何だ騒々しいぞ。誰だ騒いでいるのは」

 

ビショップが、さっきから気になっていた事をDr.ネルに尋ねようとしたが、廊下から聞こえてきた声によって遮られた。そして、その声の主が研究室に入ってきた。それは、肩位まである黒髪、目は吊り目で鋭い眼光が宿っており、右手には甲の部分に交差した二本の腕に剣を下向きに交わらせた模様のメダルが付いた指抜きグローブが嵌められている20台前半の男であった。

 

Dr.ネル「どうした?ナイト」

ナイト「むっ、ドクター。いや実は、先程この部屋から妙な笑い声が聞こえてきたもので」

ビショップ「あ、それDr.ネルだよ」

ナイト「何?ふんっ!嘘をつけ。大方、お前がまた何かやらかして、それをドクターになすりつけようとしているのだろう」

ビショップ「違うよ!今回は本当にDr.ネルだよ!」

ナイト「ふん、どうだかな」

Dr.ネル「いや、ビショップの言ってる事は正しい。さっきの声なら儂のものじゃ」

ナイト「なっ!そ、それは誠なのですか?」

 

ナイトは、ビショップの嘘かと思っていた事が真実であるため、それに驚きながらも確認する。Dr.ネルは首を縦に振ることで肯定の意を示す。

 

ナイト「失礼した、Dr.ネル。貴殿のものとは知らず無礼なもの言いであった。どうか許して欲しい」

Dr.ネル「いやいや、気にしないでくれ。騒がしかったのは事実なのだから、儂の方が悪い。すまなかった」

ナイト「いえ、貴殿こそ気にしないでいただきたい」

ビショップ「ちょっと!僕に対する謝罪は⁈」

ナイト「はっ!そんなものあるはずがなかろう」

ビショップ「何で!僕を真っ先に疑った癖に!」

ナイト「そんなの、お前が普段から疑われる様な事をしているからだろう。自業自得だ」

ビショップ「何だよ、その言い方!」

ナイト「何だ文句でも…」

Dr.ネル「ほらほら、それ位にせんか、お主ら」

 

そろそろヒートアップしてきた言い合いを止める為にDr.ネルが二人を諌める。それにより二人は言い合いをやめると

Dr.ネルの方を向く。

 

ナイト「みっともない姿を見せてしまい申し訳ありませんでした」

Dr.ネル「いや、構わんよ。そうだ、君に頼まれて欲しい事があるんじゃが」

ナイト「はっ、何なりと」

Dr.ネル「ありがとう、感謝するよ。それで内容だが、ビショップと一緒に仮面ライダーを始末して欲しいんだ」

ナイト「仮面…ライダー?それは…」

 

ナイトは聞き覚えの無い単語に首を傾げる。それにDr.ネルは説明をする。

 

Dr.ネル「まあ、簡単に言うと儂等の計画の障害になり得る者じゃ」

ナイト「何と!まだ、その様な奴らがいようとは…。しかし、それならビショップだけでも良いのでは?」

ビショップ「うんうん」

 

ナイトの言葉にビショップが首を縦に振る。しかし、Dr.ネルはその言葉を否定する。

 

Dr.ネル「いや、恐らくビショップ一人では荷が重くなるであろう。Δデルタも一緒にいるじゃろうからな」

ナイト「成る程、わかりました。そうゆう事なら。お前もそれでいいな?」

ビショップ「うん、Dr.ネルの指示って言うなら別に構わないよ」

 

Dr.ネルの言葉に納得したナイトは、ビショップに確認をとる。それに対し、ビショップも了解する。

 

Dr.ネル「ありがとう」

ナイト「いえ、貴殿の為に働く事こそ我らの指名。お気になさらず。では、行って参ります」

Dr.ネル「ああ、ちょっと待ってくれ」

ナイト「?どうかしたのですか?」

Dr.ネル「これを持って行きなさい」

 

出発しようとしたナイト達をDr.ネルは引き止める。二人は頭に?マークを浮かべる。そんな二人にDr.ネルはある物を渡す。

 

ビショップ「ねえ、Dr.ネル」

ナイト「これは?」

Dr.ネル「何、御守りみたいな物だよ。気を付けて行ってきなさい」

 

二人は渡された物を不思議そうに眺めながらも研究室を出て行く。二人が出て行った後、Dr.ネルは引き出しから一枚の古ぼけた写真を取り出した。そこには、二人の青年が肩を組みながら笑顔でピースしながら写っていた。

 

Dr.ネル「まさか、お主と同じ名を持つ者が現れ、更には儂の前に立ちはだかるとはの。じゃが、不思議と納得してしまう。それは儂が心の何処かで、いずれそうなると分かっておったからかもしれんな。そうじゃろうな、今儂がしようとしている事は正しい事とは言えん。寧ろ、間違ってさえおるだろう。お主が今この場に居れば、問答無用で殴っておる事だろう。そのお主と同じ名を持つ者じゃ、立ちはだかるのは必然なのだろうな」

 

Dr.ネルは写真を見ながらそう呟いた。

 

Drネル「じゃが、それでも止める事は出来ぬ。儂はどうしてもお主の様に人間を守ろうと思えんのじゃ。それどころか、酷く憎んでおるんじゃ。理解してくれとは言わぬ。嫌わないで欲しいとも言わぬ。あの世で会ったらどれだけ罵られ様とも構わぬ。じゃから…」

 

そう呟くDr.ネルの表情は

 

Dr.ネル「もう少し見ておってくれ、(りょう)…」

 

何処か哀しそうだった。

 

 

廃工場

 

デルタ「うわっ!」

イプシロン「はあ!」

 

デルタが吹き飛ばされ、冷たい地面を勢いよく転がる。そこへ、イプシロンが追撃を仕掛ける。

 

デルタ「ちっ、うおりゃ!」

イプシロン「ぐあっ!」

 

デルタは、すぐさま起き上がりイプシロンの拳を避け、逆にカウンターでパンチを喰らわせる。それを喰らったイプシロンは後ろへ後退する。

 

デルタ「はあはあっ」

イプシロン「はあはあっ」

 

お互いに息を切らしながら向かい合う。この数時間でお互いの体力は限界に近かった。そこで、デルタはイプシロンに一つの提案をすることにした。

 

デルタ「なあ」

イプシロン「何だ、どうした」

デルタ「いや、お互いもう限界に近いんだ。そろそろ、ここら決めないか?」

イプシロン「わかった、それでいいぜ」

 

そう言うと、二人はこの勝負に決着をつける為動き出す。デルタは、デルタムーバー(ブラスターモード)にミッションメモリーを装填し、デルタムーバー(ポインターモード)にする。イプシロンも腰の“イプシロンポインター”を外し、ミッションメモリーを装填する。

 

《Ready》

 

デルタは、デルタムーバー(ポインターモード)に音声入力し、イプシロンは、イプシロンポインターを左脚のエナジーホルスターにセット、更にイプシロンフォンを開き、ENTERキーを押す。

 

《Exceed Charge》

 

すると、デルタは右手のブライトストリームを伝いデルタムーバー(ポインターモード)にフォトンブラッドが集約する。イプシロンの方も、フォトンストリームver1.5を伝いイプシロンポインターにフォトンブラッドが集約する。

 

デルタ「はっ!」

イプシロン「ふっ!」

 

デルタがデルタムーバー(ポインターモード)から光弾を発射するのと、イプシロンが左脚のイプシロンポインターから光弾を発射するのは同時であった。そして、二つの光弾が空中でぶつかり合うと其々展開する。デルタの光弾は三角錐状に、イプシロンの光弾は六角形の中に円がある平面の光になる。

 

デルタ「はあぁぁぁ‼︎」

イプシロン「おりゃぁぁぁ‼︎」

 

二人は走りながら跳び上がり、デルタはルシファーズハンマーを、イプシロンは回し蹴りを放つ“エンジェルストライク”を放つ。ルシファーズハンマーとエンジェルストライクが二つの光と共に空中で激突する。

 

デルタ「せやぁぁぁ‼︎」

イプシロン「うっ!負けるかぁぁぁ‼︎」

 

ルシファーズハンマーとエンジェルストライクは暫くは均衡状態を維持するが、やがてイプシロンが推し始める。

 

イプシロン「くぅぅっ!はあっ‼︎」

デルタ「!ぐわぁぁぁ‼︎」

 

そして、イプシロンのエンジェルストライクがデルタのルシファーズハンマーを破り、それと同時に三角錐状の光が消滅する。そのままイプシロンはエンジェルストライクをデルタに喰らわせる。すると、エンジェルストライクがデルタに命中すると、イプシロンの姿が消えデルタの後ろの地面に着地する。空中のデルタにはギリシャ文字のYが浮かび上がり、やがて爆発する。その後、その爆発地点から一人の男が落ちて来た。

 

イプシロン「お、おい…大丈夫か?」

Δデルタ「大丈夫だ、問題ない」

イプシロン「いや、悪かった。まさか、爆発するとは思わなかったんだ…」

 

イプシロンは少しビビっていた。まあ、それも当然だろう。敵なら兎も角、味方の、しかも模擬戦の様な物で相手が爆発したのだ。ビビらない訳が無かった。

 

Δデルタ「いや、本当に気にすんな」

イプシロン「ああ、サンキュー」

Δデルタ「さて、そろそろ帰るとする…!」

イプシロン「どうしたん…成る程な」

 

突然、不自然に言葉を切ったΔデルタに疑問を抱くも、イプシロンもそれに気付き納得する。

 

Δデルタ「はあ〜、コッチはさっきまで戦ってたからさ、さっさと帰って寝たいんだがなあ?」

 

そう言うと、Δデルタとイプシロンは入口に目を向ける。そこには、ピースオルフェノク(ビ)とピースオルフェノク(ナ)が立っていた。

 

ピースオルフェノク(ビ)「悪いけどそうゆう訳にはいかないよ。寧ろ、それなら僕達にとってはチャンスだからね。ね、ナイト?」

ピースオルフェノク(ナ)「ああ、本来ならばあまりそうゆうやり方は好かんのだが、ドクターの指示ならば仕方が無い。作戦の成功を優先しなければならないからな」

イプシロン「あいつ、特異体か」

Δデルタ「そうらしい」

 

ピースオルフェノク(ナ)が喋った所を見て、Δデルタとイプシロンはその正体に気付く。そんな二人に、ピースオルフェノク(ビ)は喋りかけてくる。

 

ピースオルフェノク(ビ)「さてと、無駄話はこれぐらいにして、取り敢えず倒されてくれないかな?ねえ、仮面ライダー?」

イプシロン「何?」

ピースオルフェノク(ナ)「どうやら、今回の対象は貴様の様だからな。恨みは無いが…此処で死んで貰おう」

 

ピースオルフェノク(ビ)とピースオルフェノク(ナ)は、大鎌とロングソードを構える。と、そこで

 

ピースオルフェノク(ビ)「ねえ、ナイト」

ピースオルフェノク(ナ)「何だ?」

ピースオルフェノク(ビ)「あの時、Dr.ネルから貰った物だけど」

ピースオルフェノク(ナ)「あれが、どうかしたのか?」

ピースオルフェノク(ビ)「あれさ、使ってみない?」

ピースオルフェノク(ナ)「何だと?」

 

ピースオルフェノク(ビ)の提案にピースオルフェノク(ナ)は、怪訝な声をあげる。

 

ピースオルフェノク(ビ)「僕にはアレが唯の御守りだとは思えないんだよね」

ピースオルフェノク(ナ)「確かにな。それにドクターは無意味な事や迷信に基づいた行動はしない人だからな。恐らく、これにも何が意味があるのだろう」

 

そう言って、二人はある物を取り出す。それは右側に小刀の様なパーツが付いた黒い物体だった。

 

Δデルタ「!そ、それは⁉︎」

イプシロン「何でそれを‼︎」

 

それを見たΔデルタとイプシロンは動揺を隠し切れない。それもその筈。何せそれは、本来ならばこの世界に、ましてやあの二人が持っている筈の無い物だったからだ。

 

ピースオルフェノク(ビ)「ん?その様子だとコレの事を知ってるみたいだね」

ピースオルフェノク(ナ)「その様だな。やはり、唯の御守りなどでは無かったか」

ピースオルフェノク(ビ)「でも、どうやって使うんだろ?」

 

そう言いながら、ピースオルフェノク(ビ)は何気無くそれを腰の辺りに持っていく。すると、その物体の両端から銀色の帯が腰に巻かれ固定される。そして、左側のプレートには蝙蝠の様な頭部を持つ横顔が浮かぶ。

 

ピースオルフェノク(ナ)「むっ」

ピースオルフェノク(ビ)「おっ!成る程ね、こうするのか」

ピースオルフェノク(ナ)「だが、それ以外は何も起こらんぞ」

ピースオルフェノク(ビ)「う〜ん?あ、そうだ。もしかして、これかな?」

 

そう言うと、ピースオルフェノク(ビ)はフェイスプレートと同じ様な顔が描かれた錠前を取り出す。そして、それを適当に弄る。

 

《ダークキバ》

ピースオルフェノク(ビ)「なっ!何だこれ⁈…もしかして」

 

ピースオルフェノク(ビ)の頭上にファスナーの様な裂け目“クラック”が円を描いて出現し、そこからフェイスプレートと錠前に描かれていた物と同じ顔の様な物が現れる。ピースオルフェノク(ビ)は、腰の物体“戦国ドライバー”に錠前“ダークキバロックシード”をセットする。そして、錠前を閉じ、ロックする。

 

《ロックオン》

 

戦国ドライバーからファンファーレの様な音声が流れる。ピースオルフェノク(ビ)は、右側に付いている小刀の様なパーツ“カッティングブレード”でダークキバロックシードを斬る様に倒す。すると、ダークキバロックシードが開く。

 

《カモンッ、ダークキバアームズ!Dark of Vampire!》

 

ピースオルフェノク(ビ)の頭上の顔の様な物が落ちて来る。そして、ピースオルフェノク(ビ)の頭に覆い被さる。すると、ピースオルフェノク(ビ)の身体にアンダースーツ“ライドウェア”が装着される。その後、覆い被さっている顔が展開し、鎧になる。蝙蝠の様な頭部、緑色の複眼、胸には蝙蝠の羽の様な装飾があり、緑色の宝玉が埋め込まれていて、背中には黒いマントが付いている。その姿は、腰の戦国ドライバー以外は仮面ライダーダークキバに酷似、否ダークキバそのものだった。

 

ピースオルフェノク(ナ)「ほう、そうゆう使い方か。よし、私も」

 

ピースオルフェノク(ナ)も戦国ドライバーを腰に巻く。フェイスプレートには額に龍の紋章がある黒い騎士の様な顔が描かれたロックシード“リュウガロックシード”を取り出し、解錠する。

 

《リュウガ》

 

頭上にクラックが出現し、そこからリュウガロックシードに描かれている顔と同じ顔が落ちて来る。ピースオルフェノク(ナ)は、錠前をロックする。

 

《ロックオン》

 

すると、戦国ドライバーからホラ貝の様な音声が流れる。そして、カッティングブレードでリュウガロックシードを斬る様に倒す。そして、リュウガロックシードが下に展開する。

 

《ソイヤッ、リュウガアームズ!もう鏡の中の幻じゃ無い!》

 

ピースオルフェノク(ナ)に頭上の顔が落ちて来て、頭に覆い被さる。すると、身体に黒いライドウェアが装着され、頭の顔が展開する。黒い身体、兜を被った騎士の様な顔に額の龍の紋章、上半身の黒い鎧に淵の金色の線、左腕には龍の頭部を模したガントレット“龍召機甲ブラックドラグバイザー”を装備している。その姿は、ダークキバ同様、戦国ドライバー以外は仮面ライダーリュウガだった。

 

Δデルタ「何だ…と…」

イプシロン「その姿は…」

 

Δデルタ達は、その姿を見て酷く動揺する。そんな二人を他所に変身した二人は自分の姿を確認する。

 

ピースオルフェノク(ビ)?「凄〜い!凄くカッコイイ!それに力が湧き上がってくる!」

ピースオルフェノク(ナ)?「確かに。オルフェノクの時とは比べ物に成らん力だ。それにしても、この姿。あのイプシロンとか言う奴の姿と何処か似た様な物を感じるな」

ピースオルフェノク(ビ)?「そうだね…。そうだ!じゃあさ、この姿の名前さ、仮面ライ…」

ピースオルフェノク(ナ)?「却下だ」

 

ピースオルフェノク(ビ)?の提案をピースオルフェノク(ナ)?は即座に否定する。

 

ピースオルフェノク(ビ)?「ええ〜!何でだよ」

ピースオルフェノク(ナ)?「今から戦う敵と同じ名を名乗るなど御免だ」

ピースオルフェノク(ビ)?「んも〜、じゃあそうだな。じゃあ、アーマードライダーってのは?」

ピースオルフェノク(ナ)?「はあ〜、まあ良いだろう。本当はそれも御免なのだが、これ以上文句をつけるとお前が煩そうだからな」

ピースオルフェノク(ビ)?「へへ〜、じゃあ決まり!」

 

すると、ピースオルフェノク(ビ)?とピースオルフェノク(ナ)?はΔデルタとイプシロンの方を向き、向かい合う。それに、Δデルタとイプシロンは警戒する。そんな二人にピースオルフェノク(ビ)?は腕を左右に広げ

 

ダークキバ「僕は、アーマードライダーダークキバ。それで…」

リュウガ「アーマードライダーリュウガ…」

 

そう名乗ると二人は、Δデルタとイプシロンに向かって構える。それに対し、Δデルタ達も急いで構えをとる。

 

《ストライクベント》

 

突然、くぐもった低い声が聞こえたと思うと、リュウガの右手にはドラゴンの頭部を模した黒い手甲“ドラグクロー”を装備していた。リュウガが、ドラグクローを後ろに引くと、ドラグクローの口内に黒い炎が溜まる。そして、炎が完全に溜まった所でドラグクローを前へ突き出し、黒い火球を放つ。

 

Δデルタ「やばい!」

 

Δデルタはキリンオルフェノクに変身し、エレキボールを放つ。黒炎とエレキボールが衝突し、爆発を起こす。そして爆発によって、辺りが爆煙に包まれる。

 

《ソードベント》

 

爆煙の中から、黒い青龍刀“ドラグセイバー”を構えたリュウガがキリンオルフェノクに向かって斬りかかる。それに対しキリンオルフェノクは、天叢雲剣を出現させ受け止める。

 

リュウガ「はっ!」

キリンオルフェノク「うあっ!」

 

鍔迫り合いの中、リュウガはキリンオルフェノクを蹴り飛ばす。それによって、キリンオルフェノクは壁を突き破って外に吹き飛ぶ。リュウガはキリンオルフェノクを追い、その穴から外に出る。

 

イプシロン「まてっ!」

ダークキバ「それはコッチの台詞だよ」

 

イプシロンはリュウガを追おうとするが、ダークキバに阻まれる。ダークキバはイプシロンを狙いパンチを放ち、それをイプシロンは腕でガードしながら蹴りを放つ。ダークキバはそれを後ろへ飛び退く事で回避する。お互いに睨み合う状況になる。

 

ダークキバ「君の相手は僕だよ、仮面ライダーさん?」

イプシロン「ちっ!(不味いな…)」

 

イプシロンは焦っていた。自分達は先程まで全力で戦っていたのでかなり疲労している。それに対し、彼方は前回以上の力を身につけて来ている。勿論、全快の状態。その差は大きかった。Δデルタと二人ならば何とかなったのかも知れないが、残念ながら引き離されてしまった。つまり、この場は自分一人で乗り切らなければならないと言うことだ。

 

イプシロン「(何とかこの場を乗り切って、Δデルタと合流する。それしか方法は無い、が…)」

ダークキバ「合流させると思う?」

イプシロン「っ!」

ダークキバ「驚いてるね〜、丸分かりだよ。今の君の状況なら次に何をすべきかなんて直ぐに分かるよ。だって、今の君達では合流して戦うしか勝ち目は無いもん」

イプシロン「…(完全に読まれてる)」

ダークキバ「ふふっ、図星の様だね。さてと、立話も程々にして、そろそろ始めようか」

イプシロン「くそっ!」

 

ダークキバがイプシロンに向かって行った。

 

 

廃工場 外

 

キリンオルフェノク「うおっ!」

 

廃工場の壁を突き破ったキリンオルフェノクが勢い良く地面を転がる。そこへ、キリンオルフェノクが突き破った穴からリュウガが出て来る。キリンオルフェノクは天叢雲剣を支えに立ち上がる。

 

キリンオルフェノク「っつつ、これまた勢い良く吹き飛ばしてくれたものだな」

リュウガ「ふん、自分から勝手に吹き飛んでおいて何を言う」

キリンオルフェノク「…気付いてたか」

 

そう、キリンオルフェノクは蹴り飛ばされる瞬間、後ろへ跳ぶ事によってダメージを軽減したのだ。だからこそ、疲労している状態でリュウガの蹴りを喰いながらも、軽口を叩ける訳なのだが。

 

リュウガ「とは言え、やはり消耗しているようだな。呼吸が乱れているぞ?」

キリンオルフェノク「くっ、余計なお世話だ」

リュウガ「威勢だけは良いようだが、そんな状態で何が出来ると言うのだ?」

キリンオルフェノク「そんなの、お前を倒す。それだけだ」

リュウガ「出来ると思っているのか?」

キリンオルフェノク「出来る、出来ないじゃない!やるんだよ!変身‼︎」

《Staneing by》

《Complete》

 

キリンオルフェノクは、仮面ライダーデルタへ変身する。それを見たリュウガは驚きを隠せない。

 

リュウガ「何だと⁉︎貴様も仮面ライダーか⁉︎」

デルタ「そう言う事だ。仮面ライダーデルタだ!さあ、ここがお前の終焉だ!」

リュウガ「ふん、やれるものならやってみろ‼︎」

 

デルタは、拳を構えながらそう言うとリュウガに向かって駆け出す。リュウガもドラグセイバーを握り締め迎え討つ。リュウガがドラグセイバーを振るい、デルタはそれを半身になり躱す。そこからデルタは、右脚でミドルキックを放つ。リュウガは両腕でガードするが、そこへデルタは更に左脚でローキックを放ち相手の体勢を崩す。そこへ、渾身の右ストレートを顔面に喰らわせる。それにより、リュウガは大きく吹き飛ぶ。

 

リュウガ「ぐおわっ!くっ、成る程。確かに、これは中々の強敵か…。くくっ」

デルタ「何だ?何が可笑しい?」

リュウガ「ふっ、そうでは無い。私は単純に嬉しいのだよ」

デルタ「嬉しい、だと?」

リュウガ「そうだ。まだ、この世界には貴様らの様な強者が存在するのだと分かった。これを悦ばずにいられるものか。くくくっ、くっはははは!」

デルタ「…(こいつ、戦闘狂(バトルジャンキー)か!)

 

リュウガの意外な本性に、デルタは心の中で絶叫する。そんなデルタを尻目にリュウガは笑い続ける。

 

リュウガ「さあ、行くぞ!仮面ライダー‼︎」

デルタ「くそっ!Charge!」

《Charge》

 

リュウガは、ドラグセイバーを横に振るう。それをデルタは上半身を僅かに逸らして躱すが、更に袈裟懸けに振り下ろし斬り裂く。デルタは咄嗟にデルタムーバーで受け止める。

 

リュウガ「愉しい、愉しいぞ!ここまで心躍る戦いは久し振りだぞ!」

デルタ「コッチは全然だがな」

リュウガ「さあ、もっとだ!もっと愉しもうぞ!仮面ライダー‼︎」

デルタ「話を聞け!」

 

デルタは力任せにドラグセイバーを弾くと、リュウガの腹に蹴りを喰らわせる。それによりリュウガは大きく後退するも、また直ぐに立ち直って向かってくる。

 

デルタ「Fire!」

《Burst Mode》

 

デルタはリュウガに向かってデルタムーバー(ブラスターモード)を連射する。が、リュウガは走りながらドラグセイバーで全て弾く。それを見たデルタは

 

デルタ「だろうと思ったよ‼︎」

 

と、言いなが走ってくるリュウガに向かって行く。お互いの距離が縮まった処で勢いに乗ってデルタが蹴りを放つが、あっさり受け流され背後に回られドラグセイバーで連続で斬り裂かれる。

 

デルタ「がはっ!ええい!」

 

デルタは振り向き様に回し蹴りを放つが、リュウガに後ろへ跳ぶ事によって回避される。回し蹴りを回避したリュウガはドラグセイバーを投擲する。デルタはそれを躱せず切り裂かれた部位が火花を散らす。すると、リュウガはデルタに向かって駆け出す。デルタは何とか立ち上がり迎え討とうとする。が、ここで先程投擲したドラグセイバーがブーメランの様に戻って来て、それをリュウガが左手で逆手持ちで掴む。

 

デルタ「何っ⁉︎」

リュウガ「はあぁぁ!」

 

驚いているデルタをリュウガはドラグセイバーで連続で斬りつける。更に、蹴りを喰らわせ距離を取る。

 

《ストライクベント》

 

リュウガは再びドラグクローを装備し、黒炎をその口内に溜める。その光景にデルタは焦りを見せる。そうしている間に黒炎のチャージが完了し、一気にそれを放出する。狙いは勿論デルタに。

 

デルタ「あっぶ、ねぇぇぇ‼︎」

 

デルタはその黒炎を咄嗟に右に飛び退く事で何とか回避する。しかし、それはリュウガの思惑通りだった。リュウガは戦国ドライバーのカッティングブレードを一回倒す。

 

《リュウガスカッシュ!》

デルタ「しまった⁉︎」

 

すると、リュウガの右手のドラグクローを黒炎が包み込む。そして、デルタに向かって駆け出す。デルタは反射的に腕を前で十字に交差させ、防御の姿勢をとる。が、その行動は正しい行動では無かった。リュウガは黒炎に包まれたドラグクローでパンチを喰らわせる“ドラグクローブレイク”を放つ。

 

リュウガ「はあっ‼︎」

デルタ「ぐあぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ドラグクローブレイクを喰らったデルタはかなり後ろへ吹き飛ばされる。立ち上がろうとするも、先程まで喰らったダメージがそれを許さない。更に、ドラグクローブレイクの所為で身体の一部が石化していた。そうしている間に、リュウガはトドメをさす為にゆっくりとデルタに近づく。デルタは後ずさるも、あっという間にリュウガに追い詰められる。リュウガはドラグクローをデルタに向け、黒炎を溜め始める。

 

リュウガ「終わりだ、仮面ライダー」

デルタ「くっ!どう、すれば」

 

追い詰められたデルタにはそう言うしか無かった。

 

 

廃工場内

 

一方、イプシロンとダークキバの戦いも熾烈を極めていた。

 

ダークキバ「はあぁぁっ!」

イプシロン「おらぁぁっ!」

 

ダークキバの拳を避け、イプシロンはカウンターで蹴りを放つ。だが、それはダークキバの左腕によって掴まれる。

 

ダークキバ「ふふっ、残念でした」

イプシロン「ぐわぁぁ‼︎」

 

ダークキバはその状態でイプシロンに拳の連打を放ち、投げ飛ばす。イプシロンはされるがままに殴られ、吹き飛ぶ。地面に倒れ込むイプシロンにダークキバは追撃を仕掛ける。

 

ダークキバ「ふっ、やぁっ!」

イプシロン「ぐっ、うあっ!」

 

立ち上がったイプシロンにダークキバがミドルキックを放つ。それをイプシロンは何とか腕でガードするも、続けて放たれた左ストレートを諸に喰らいよろけ、その隙に右ストレート、前蹴り、後ろ回し蹴りと連続で繰り出す。怒涛の連撃を続け様に喰らい吹き飛ばされる。

 

イプシロン「ぐぁっ!くそっ!」

《Complete》

ダークキバ「おっ」

 

イプシロンはアクセルフォームになり超高速で動く。そして、ダークキバの死角から攻撃を仕掛けようとするも…

 

イプシロン(アクセル)「うあぁぁっ!な、何⁉︎」

ダークキバ「ざ〜んねん。惜しかったね」

 

イプシロン(アクセル)の足元にはダークキバの顔の様な模様“波動結界”があり、イプシロン(アクセル)の動きを封じていた。その波動結界に苦しめられながらも、イプシロン(アクセル)は何とか抜け出そうともがく。

 

ダークキバ「無駄無駄、抜け出せないよ」

《ダークキバスカッシュ!》

 

ダークキバはカッティングブレードを一回倒す。すると、周囲を赤い霧が包み込み、その霧が晴れると辺りは夜となり空には赤い満月が浮かんでいた。その中をダークキバは空高く跳び上がり、上空からストレートパンチを繰り出す“ダークネスヘルクラッシュ”を発動する。

 

イプシロン(アクセル)「うわぁぁっ‼︎」

 

ダークネスヘルクラッシュを受けたイプシロン(アクセル)は爆発を起こしながら吹き飛ぶ。その際、変身が解除されてしまった。

 

ドラレンジャー「くっ、くそ!強い…」

ダークキバ「ははっ、呆気なかったね。さて、それじゃあさよならだ。仮面ライダー」

 

ダークキバは倒れたドラレンジャーに向かって拳を振り上げる。ドラレンジャーは身動ぎをするが逃れる事は出来ない。そして、その拳は無情にも振り下ろされた。

 

 

廃工場 外

 

リュウガ「とても愉しい時間だったぞ、仮面ライダー。そして、さらばだ」

 

リュウガはドラグクローに溜まった黒炎を放とうとする。が、そこへ

 

リュウガ「ぐぁっ!」

デルタ「⁉︎」

 

突然、数多の銃弾がリュウガに命中し、リュウガは火花を散らしながら後ずさる。デルタは困惑しながらも銃弾の飛んできた方向に振り向く。

 

?「ふぅ〜、危ない所じゃったの。大丈夫かの?」

 

そこにいたのは、青いロボットだった。腰にはバックル“インジケータ”があり、背中には“バッテリーパック”を装備し、三本の角に複眼はオレンジで胸部や顔の前面は白く、手には先ほどの銃弾を放ったであろうサブマシンガン“GM-01改 スコーピオン”が握られていた。それは仮面ライダーG3-MILDだった。

 

デルタ「あ、あの〜、貴方は?」

G3-MILD「ん?儂かの?何、唯のしがない老人じゃよ」

 

いや、この場に居るんだから唯の爺な訳無いだろ‼︎とデルタは心の中で叫ぶ。そんなデルタを無視して、G3-MILDは続ける。

 

G3-MILD「いやぁの、何か騒がしいなと思うて様子を見に来たら、何とライダー同士が戦っておるでは無いか。目ん玉飛び出るかと思うたわい。それで何やら君がそこの黒いのに殺られそうじゃったから助けに入ったのじゃよ」

 

聞いても無いのにベラベラと喋るG3-MILDにデルタは問う。

 

デルタ「何で僕の方は助けた?この状況じゃあ、誰が敵か味方なんて分からないだろう?」

G3-MILD「む?それはの…」

リュウガ「おい、爺」

 

と、そこでリュウガは先程のダメージから立ち直り殺気の篭った視線をG3-MILDに向けながら喋る。

 

リュウガ「貴様は自分が何をしたのか分かっているのか…」

G3-MILD「ん?君達の戦いに割って入ったのじゃが、それが何か?」

 

G3-MILDがあっけらかんとした返したことにより殺気が更に膨れ上がる。

 

リュウガ「貴様…生きて帰れると思うな‼︎」

デルタ「あ、危ない!」

G3-MILD「全く、最近の若者はせっかちじゃの」

 

背後から襲ってくるリュウガを見て、デルタはG3-MILDに警告を送るも、G3-MILDは全く聞いていない、否…

 

リュウガ「何⁉︎」

G3-MILD「ほれほれ、動揺し過ぎじゃ」

 

聞く必要が無かった。G3-MILDは自身の背後から襲って来たリュウガの拳を見ずに、腕だけ動かしてそれを受け止めた。これにはリュウガも驚くしか無い。が、直ぐ様立ち直り、連続でパンチを繰り出す。

 

リュウガ「はあぁぁぁぁぁ‼︎」

G3-MILD「ほ、ほい、あ、それ」

 

しかし、G3-MILDはそれすらも正面を向いたまま右腕だけを動かして全て受け止める。

 

リュウガ「なっ⁉︎くっ、これならどうだ‼︎」

G3-MILD「ほぅ」

 

自身の攻撃を全て受け止められたリュウガは全身全霊の一発を打ち込む。だが、それもG3-MILDは体を屈んで避ける。更に、そのままリュウガの右腕を掴む。

 

G3-MILD「今のはなかなか良い攻撃じゃったぞ」

リュウガ「な、なん、だと…」

 

自分の渾身の一撃を避けられたリュウガは一瞬固まり、その隙にG3-MILDはリュウガを背負い投げの要領で投げ飛ばす。

 

G3-MILD「ほっほっほっ、まだまだ青いのう」

デルタ「…」

 

このG3-MILDの予想外の強さに驚きのあまり声が出ない様子のデルタ。そんなデルタにG3-MILDは声をかける。

 

G3-MILD「あ、そうじゃった。先程の質問の答えじゃが、儂がそれなりに経験を積んでいるつもりじゃからかの、どちらが儂の助けるべき相手かなんて最初に見た時から決まっておったわい」

 

デルタにはこの時、G3-MILDの姿がとても大きく見えた。そんな事は知らず、G3-MILDはデルタにあることを問いかける。

 

G3-MILD「所で、君はこれからどうするつもりじゃ?」

デルタ「えっ?」

G3-MILD「そこの黒いのにやられっぱなしのままで良いのかと聞いておるのじゃ」

デルタ「そんなの…」

 

その問いかけにデルタは立ち上がりながら答える。

 

デルタ「良いわけ無いに決まってるだろ‼︎」

G3-MILD「ほっほっほっ、その意気じゃ。やはり、若さとは良い物じゃの〜。じゃが、勝算はあるのか?今の君ではあの黒いのに敵わんぞ」

デルタ「分かってる。悔しいがその通りだ。だけど…」

 

デルタは左腕に黒い直方体の箱が付いたブレスレット“ルシファーギア”を装備し、上の窪みについていたルシファーメモリーを外す。。そして、デルタフォンをデルタムーバーから切り離し、ルシファーギアの横に取り付ける。更に、ミッションメモリーをルシファーギアの上の窪みに差し込む。

 

《Ready》

 

デルタは、ルシファーメモリーをデルタドライバーにセットする。

 

《Complete》

 

すると、デルタが輝きだし、その身体に変化が訪れる。複眼はオレンジのままだが、スーツの色が白く、ブライトストリームは黒の“ブラックアウトストリーム”に変化した“ルシファーフォーム”だった。

 

G3-MILD「ほほぅ」

リュウガ「何だと…」

 

デルタ(ルシファー)の姿に各々の反応をするG3-MILDとリュウガ。そんな中、デルタ(ルシファー)は構えを取るとリュウガに言い放つ。

 

デルタ(ルシファー)「さあ、ここからは第二ラウンドだ。かかって来い!」

リュウガ「はっはっはっ、ああ、やはりお前は面白い!良いだろう…行くぞ!」

 

リュウガはいつの間にかΔデルタに対しての一人称が貴様からお前になっているのに気付かない。それほどまでに興奮していたのだ。それと同時に、リュウガはΔデルタの力を無意識ながらも認めていた。そして、二人は同時に走り出す。そして、距離が縮まった所で同時に拳を突き出す。

 

デルタ(ルシファー)「っらぁ‼︎」

リュウガ「はあっ‼︎」

 

激しい激突音を立てながら二つの拳がぶつかり合う。そして、その拳はお互いの力が拮抗している為、その場から動かない。

 

リュウガ「まさか、こんな隠し球を持っていたとはな…これでまた、愉しめるというもの!」

デルタ(ルシファー)「ふっ、お前が愉しむ前に倒してやるよ!」

 

デルタ(ルシファー)は拳を戻し、蹴りを放つ。リュウガはそれを防ぎ、パンチを繰り出す。が、デルタ(ルシファー)は、それを上半身を後ろに逸らして躱し、その状態から飛び回し蹴りをリュウガに放つ。そして、後ろ回し蹴り、前蹴り、左フック、膝蹴り、右ストレートと連続で放つ。

 

リュウガ「がぁぁぁ‼︎」

 

それを全て喰らったリュウガは後ろに吹き飛ぶ。更に、追撃を仕掛けようとデルタ(ルシファー)は突っ込む。

 

リュウガ「舐めるな‼︎」

デルタ(ルシファー)「うがっ⁉︎」

 

リュウガはハンドスプリングの要領で起き上がり、その勢いで蹴りを放つ。更に、それを喰らってよろけたデルタ(ルシファー)に、パンチ、肘打ち、蹴りと喰らわせる。それを喰らったデルタ(ルシファー)は倒れはしなかったが、地面を足で削りながら強制的に後ろに下げられる。

 

デルタ(ルシファー)「くぅぅ!だらぁっ‼︎」

リュウガ「はぁぁぁぁっ‼︎」

 

二人は接近すると、再び拳を同時に突き出す。さっきよりも激しい激突音が辺りに響き渡る。

 

デルタ(ルシファー)「オラオラオラオラオラオラオラオラ」

リュウガ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

 

二人は連続で拳を放ち続ける。かなり高速で打ち合っている為、腕が何本もある様に見え、衝撃波が僅かに辺りに飛ぶ。

 

デルタ(ルシファー)「オラオラオラオラオラオラオラオラ」

リュウガ「しまっ!くがっ‼︎がぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ラッシュの打ち合いにはデルタ(ルシファー)が勝利し、そのままラッシュを放ち続ける。リュウガは何も出来ず、されるがままにラッシュを受け続ける。

 

デルタ(ルシファー)「オラァっ!」

リュウガ「ぐはっ⁉︎」

 

デルタ(ルシファー)は締めの一撃をリュウガに放ち、それを喰らってリュウガは吹き飛ばされた。デルタ(ルシファー)は倒れたリュウガに近づき、無理矢理立ち上がらせて蹴りを放つ。

 

リュウガ「ぐおぉぉっ!」

 

すると、デルタ(ルシファー)の足裏から一発の光弾が発射され、それがリュウガに着弾すると光弾は三角錐状の光に展開して、リュウガを拘束する。リュウガはその衝撃で後ろに下げられる。

 

デルタ(ルシファー)「はあぁぁぁぁぁ‼︎」

リュウガ「がぁぁぁぁぁ!」

 

デルタ(ルシファー)は高く跳び上がってリュウガにルシファーズハンマーを放つ。それを喰らったリュウガは爆発を起こす。

 

デルタ(ルシファー)「ふぅー、やったか…。あっ!そうだ!あの人は…」

 

デルタ(ルシファー)は辺りを見回すが、G3-MILDの姿は何処にも無かった。

 

デルタ(ルシファー)「居ない…、何処へ、ってそれよりもドラレンジャーさんの助けに行かないと!」

 

デルタ(ルシファー)は、そう言うと急いで廃工場の中に戻って行った。

 

 

廃工場内

 

ダークキバ「じゃあね、仮面ライダー」

 

ダークキバはドラレンジャーに向けて拳を振り下ろす。が、その時…

 

?「まあ、待てよ」

ダークキバ「っ!がっ!」

ドラレンジャー「⁉︎」

 

ダークキバの拳を誰かが止めた。更に、そのままダークキバを蹴り飛ばした。白い身体に白いローブを纏い、荒削りのオレンジ色の宝石の様な顔で両手にはそれぞれ違う指輪が嵌まっており、腰に手形のついたベルト“ワイズドライバー”があった。それは白魔 郎夜こと白い魔法使いだった。

 

ダークキバ「お前も仮面ライダーか⁈」

白い魔法使い「まあ、そんな処だ。さあ、宴の時間だ」

《コネクト、ナウ》

 

白い魔法使いは剣と笛が一体化した様な剣“ハーメルケイン”を取り出しながら、そう言った。

 

ダークキバ「まあ、どんな奴が来たって今の僕には叶わないよ」

白い魔法使い「余裕ぶっこいてると足下掬われるぜ?」

 

ダークキバは柄は黒、刀身は銀で剣先は金色の剣“魔皇剣ザンバットソード”を取り出し構えると白い魔法使いに向かって行く。白い魔法使いもハーメルケインを構えダークキバに向かって行く。

 

ダークキバ「はあっ!やあっ!ええいっ!」

白い魔法使い「ふっ!はっ!でりゃっ!」

 

白い魔法使いはダークキバが振り下ろしたザンバットソードをハーメルケインで受け止め、左薙の斬撃も受け流し、突きの攻撃も剣先を上へ弾く事によって無力化する。

 

ダークキバ「くっ、このぉぉぉ‼︎」

白い魔法使い「ふんっ!だぁぁぁっ!」

 

ダークキバの袈裟斬りを受け流すと、そのまま回転してその勢いで後ろ回し蹴りを放つ。それをまともに喰らったダークキバは吹き飛んで地面を転がる。

 

ダークキバ「ぐぁ、くっ、うぅぅ」

白い魔法使い「さて、そろそろ幕引k…ん?なんでだ?…ああ、分かったよ」

 

不自然に言葉を切った白い魔法使いは、突然何か呟き出した。暫くすると、ドラレンジャーの方に向き直る。

 

白い魔法使い「悪いな、俺が出来るのはここまでだ」

ドラレンジャー「はっ?」

 

白い魔法使いの言葉に間の抜けた声をあげるドラレンジャー。それを無視して白い魔法使いは続ける。

 

白い魔法使い「悪いな。だが、その代わりこいつを渡しておくからよ。じゃあ、頑張れよ」

《テレポート、ナウ》

 

白い魔法使いはドラレンジャーにそれを渡すと、テレポートで消えてしまった。呆然となるドラレンジャー。

 

ダークキバ「はあはあ、随分と舐めた真似をしてくれたものだね。散々甚振っておきながら、あっさり帰るなんてね」

ドラレンジャー「!」

 

ダークキバは起き上がると、忌々しそうに吐き捨てるとドラレンジャーを睨み付ける。それを見たドラレンジャーは直ぐ様イプシロンフォンに1、2、4、6と入力し、ENTEREキーを押す。

 

《Standing by》

ドラレンジャー「変身!」

《Complete》

 

ドラレンジャーは再びイプシロンに変身する。そして、さっき白い魔法使いから渡されたものを見る。それは銀と白の色の直方体の物体“ハイパーギア”だった。イプシロンはハイパーギアをイプシロンアクセルの後部に取り付ける。

 

《Ready》

 

そして、アクセルメモリーをイプシロンフォンに装填する。

 

《Complete》

 

その電子音声が流れるとイプシロンの装甲が展開し、スーツの色がメタルシルバーになり、複眼は紫でエネルギー流動経路は水色のネオフォトンストリームに変化し、身体の周りには銀色の粒子が舞っていた。これがイプシロンの新たな形態“ハイパーアクセルフォーム”だ。

 

イプシロン(ハイパーアクセル)「これは…」

ダークキバ「何だか知らないけど、姿が変わった位で良い気にならないでね!」

 

ダークキバはザンバットソードで斬りかかる。それを見たイプシロン(ハイパーアクセルフォーム)はハイパーイプシロンアクセルのスイッチを押す。

 

《Start Up》

 

すると、ハイパーイプシロンアクセルの画面に20と表示され、カウントが始まった。

 

ダークキバ「はっ!なっ⁉︎ど、何処に⁈があっ!」

イプシロン(ハイパーアクセル)「凄い…アクセルとは性能が段違いだ…」

 

ダークキバがザンバットソードを振り下ろした時、もうそこにはイプシロン(ハイパーアクセル)は居なかった。と、同時に背中に強烈な衝撃を受けて倒れる。ダークキバの背後にはイプシロン(ハイパーアクセル)が立っていて、そのスピードに驚いていた。それもそうであろう。ハイパーアクセルフォームは通常のアクセルフォームの100倍の速度で動けて、更にネオフォトンブラッドを使用している為、出力も今までとは比べ物にならない位になっている。そして、その負荷もハイパーギアによって軽減されている為、活動限界も20秒と通常のアクセルフォームよりも長くなっているのだ。

 

ダークキバ「こんのぉぉぉ」

イプシロン(ハイパーアクセル)「ふっ!はっ、でりゃぁ!」

 

ダークキバは再び斬りかかるも、イプシロン(ハイパーアクセル)はもうそこには居なく、代わりにダークキバの身体に幾つもの衝撃が走った。

 

ダークキバ「わぁぁぁぁぁっ!」

イプシロン(ハイパーアクセル)「当たるか!」

 

ダークキバはビショップ本来の能力である高速移動を使うも、イプシロン(ハイパーアクセル)を捉えることは出来ずされるがままにイプシロン(ハイパーアクセル)の攻撃を連続で喰らう。

 

ダークキバ「ぐあぁぁ、あっ、はあはあ…」

イプシロン(ハイパーアクセル)「そろそろ止めだ‼︎」

《Exceed Charge》

 

イプシロン(ハイパーアクセル)は、ミッションメモリーを装填したイプシロンポインターを左脚のエナジーホルスターにセットし、イプシロンフォンのENTEREキーを押す。すると、ネオフォトンストリームを伝い左脚を経由してイプシロンポインターに集約する。

 

《Three》

イプシロン(ハイパーアクセル)「はあっ!」

ダークキバ「うあっ⁉︎」

 

イプシロン(ハイパーアクセル)が跳び上がると、ダークキバの周りに一瞬にして幾つもの緑と水色の六角形の中に円のある平面の二重の光が現れる。

 

《Two》

 

イプシロン(ハイパーアクセル)は、ダークキバの周りの光から超高速で回し蹴りを放つ“ハイパーアクセルエンジェルストライク”を喰らわせる。

 

《One》

 

そして、全て蹴り終わると地面に着地し、ダークキバは爆発に包まれる。

 

《Time Out》

《Refomation》

 

ハイパーイプシロンアクセルの表示が0になった時、装甲部分が元に同時に戻り、スーツの色なども元に戻る。

 

イプシロン「ふぅ〜、苦労したな」

デルタ(ルシファー)「ドラレンジャーさん、大丈夫か?」

 

イプシロンが安堵している時、後ろから声をかけられる。イプシロンが振り向くと、此方に向かって来るデルタ(ルシファー)を見つけた。

 

イプシロン「おう、そっちはどうだ」

デルタ(ルシファー)「ああ、どうにか切り抜けた」

イプシロン「そうか」

ビショップ「はあはあ、ぐあっ!ぐ…」

 

イプシロンとデルタ(ルシファー)が話していると、爆発の中から全身傷だらけのビショップが出て来た。

 

イプシロン「あいつ…!」

デルタ(ルシファー)「まだやられてない…って事は、あいつも多分生きてるのか」

 

ビショップはその傷だらけの身体を引きずって逃げようとする。が、勿論イプシロンとデルタ(ルシファー)がそんな事を許す筈が無かった。

 

イプシロン「まてっ!」

デルタ(ルシファー)「そんな身体で逃げられるわけ無い、諦めろ」

ビショップ「諦める?そんな事する筈が無いよ。それにこうすればどうかな?」

 

ビショップがそう言うと辺りが突然大きく揺れ出す。その揺れは段々大きくなっていくのが分かった。

 

イプシロン「これは…」

デルタ(ルシファー)「何をした!」

ビショップ「ふふふ、もうすぐ分かるよ」

 

その瞬間、廃工場の壁が壊され砂埃が充満し視界が遮られる。

 

デルタ(ルシファー)「くっ!何なんだ!」

イプシロン「これは…」

 

やがて、視界が晴れると廃工場の壁を突き破り、壊した者の正体が分かる。

 

デルタ(ルシファー)「な…何だこれ…」

イプシロン「で、でかい…」

 

驚く二人の目の前にいたのは、身体が灰色の巨大な恐竜の様な生物だった。その姿は太古の昔に地球に生息していたティラノサウルスの姿の様な姿をしていた。

 

デルタ(ルシファー)「…って、ビショップは⁈」

イプシロン「しまった!何処だ」

ビショップ「どう?驚いた?凄いでしょ、これがブレインガードが開発した最新型の人造オルフェノク“T-REXオルフェノク”その試作品さ」

 

デルタ(ルシファー)とイプシロンがビショップの姿を探していると、何処からともなくビショップの声が聞こえ、目の前のT-REXオルフェノクの正体を明かした。それを聞いた二人は驚きながらも目の前のT-REXオルフェノクを見つめた。

 

イプシロン「これが…オルフェノク、だと」

ビショップ「じゃあ、僕はこれで」

デルタ(ルシファー)「待てっ!」

ビショップ「T-REXご飯の時間だよ」

T-REXオルフェノク「ガァァァァァァァァァ‼︎」

 

ビショップがそう言うと、T-REXオルフェノクの灰色の瞳が一瞬、輝きを放つと大地が振動しそうな程の咆哮を上げなからデルタ(ルシファー)とイプシロンに、その巨大な顎を開け突っ込んで来た。

 

イプシロン「うおっ!」

デルタ(ルシファー)「やばっ!」

 

二人は突っ込んで来たT-REXオルフェノクに驚きながらも何とか左右に跳ぶ事で回避に成功する。T-REXオルフェノクはそのまま突き進み、その先にあった二階の通路に喰いつき、噛みちぎり粉々に粉砕する。

 

デルタ(ルシファー)「…化け物かよ…」

イプシロン「本当にその通りだな…」

 

それを見たデルタ(ルシファー)達は、その脅威的な力に戦慄する。T-REXオルフェノクはそんな二人に今度は後ろを向いたまま巨大な尻尾を振り回し攻撃して来た。

 

イプシロン「ちっ!」

《Burst Mode》

 

その攻撃を躱しながらイプシロンはイプシロンフォンをフォンブラスターにするとT-REXオルフェノクに向けて光弾を3連射する。しかし、その光弾はT-REXオルフェノクには効果が無く、此方を向いて口から青い火球を吐いて来た。それをイプシロンは避けながら、フォンブラスターを撃ち続ける。一方デルタ(ルシファー)は…

 

デルタ(ルシファー)「うおぉぉぉぉ!やべぇぇぇぇ!」

 

必死こいて逃げ回っていた。それも仕方ない。ルシファーフォームはその性質上、他のツールが使用出来なくなるのだ。なので飛び道具の武器も使用出来ないデルタ(ルシファー)は逃げ続けるしか無いのだ。が、その姿は何とも情けなく、子供達の憧れである仮面ライダーの姿とは似ても似つかない様相だった。

 

デルタ(ルシファー)「なっ⁉︎恐竜が火吐いてんじゃねぇぇぇぇ‼︎」

 

だが、今のデルタ(ルシファー)にはそんな事を気にする余裕は無く、只々その攻撃が中らない様に必死だった。しかし、T-REXオルフェノクはデルタ(ルシファー)を追いかけ始める。

 

デルタ(ルシファー)「何でコッチ来るんだよぉぉぉぉ!」

イプシロン「Δデルタ‼︎」

 

デルタ(ルシファー)は全速力で走るが次第に追いつかれていく。イプシロンがフォンブラスターを撃つがやはり効かなかった。そうこうしているうちに、デルタ(ルシファー)とT-REXオルフェノクの距離が縮んでしまう

 

デルタ(ルシファー)「ええい!こうなったらヤケクソだ‼︎」

イプシロン「待て、無茶は止せ!」

 

デルタ(ルシファー)は突然、T-REXオルフェノクに向き直ると跳び上がって足を向ける。すると、足裏から光弾が放たれT-REXオルフェノクに命中すると展開して三角錐状の光になる。その光はT-REXオルフェノクを拘束する。そのままデルタ(ルシファー)はルシファーズハンマーを放つ。

 

T-REXオルフェノク「グワァァァァァ‼︎」

デルタ(ルシファー)「何っ⁉︎」

イプシロン「Δデルタ‼︎」

 

しかし、T-REXオルフェノクは拘束を無理矢理破壊する。そして、空中で固まっているデルタ(ルシファー)に向けて火球を放つ。それを喰らい落下するデルタ(ルシファー)に、更に尻尾を中て遠くへ吹き飛ばす。デルタ(ルシファー)の元へ行こうとしたイプシロンだったがT-REXオルフェノクの攻撃によって阻まれる。

 

イプシロン「くそぉぉ、どうすれば⁉︎」

T-REXオルフェノク「ガァァァァァァァァァ‼︎」

 

一方、吹き飛ばされたデルタ(ルシファー)は…

 

Δデルタ「あぁ、イっテテ。何てパワーだよ。凄いだろうとは予想してたけど、まさかここまでとは…」

 

廃材に埋まりながらも生きていた。と言うか、何か結構ピンピンしてた。

 

Δデルタ「それにしても、僕がスペリオルじゃ無かったら危なかった処じゃ済まなかったな」

 

そう、Δデルタはオルフェノクである。しかも、オリジナル以上の力を持つスペリオルである。その為、オリジナルよりも頑丈な身体を持っている。そのお陰で、こうしてピンピンしていることが出来るのだ。

 

Δデルタ「だが、どうするか。今、あの化け物に向かって行っても勝てる可能性は万の一つも無いだろう。弱ったな、うん?」

 

何とか勝つ方法が無いかと模索しているΔデルタは側に落ちているアタッシユケースを見つけた。

 

Δデルタ「これは、まさか…そうだ!これだ、これがあればあいつを倒せる。よし」

 

そのアタッシュケースの中身を確認した、Δデルタは不敵な笑みを浮かべた。

 

T-REXオルフェノク「グワァァァァァ‼︎」

イプシロン「くそっ!駄目だ、幾ら攻撃しても効かない。これじゃあ、キリが無い」

 

イプシロンの方では、戦況は芳しく無かった。それもその筈、今のイプシロンにはこの状況を切り抜けられる程、高威力の武装は無く、出力の高くないイプシロンは苦戦を強いられていた。

 

T-REXオルフェノク「ゴアァァァァァァ⁉︎」

イプシロン「これは…Δデルタ⁈」

 

T-REXオルフェノクに雷球が命中した。イプシロンがその方を見ると右腕を此方に伸ばしたΔデルタがいた。どうやら、人間体のまま放った雷球の様だ。しかし、人間体のままの攻撃など、幾らスペリオルでもT-REXオルフェノクの前には無力だ。

 

Δデルタ「よし、コッチを向いたな」

 

だが、Δデルタにとってはこれで良かったのだ。あいつの気を此方に向ける事が目的だったのだ。T-REXオルフェノクはΔデルタの方を向き、威嚇する様に咆哮を上げる。

Δデルタはトランクケースの様な物体を取り出す。

 

Δデルタ「変身!」

《Standing by》

 

Δデルタはその物体に音声入力すると、その物体“デルタバスター”の下の部分を180度上へ展開させ銃の様な形“キャノンモード”にする。更に、デルタフォンを銃身の横に取り付ける。

 

《Awakening》

 

すると、Δデルタの身体に黒のブラックアウトストリームが駆け巡り、オレンジ色の光を放つ。やがて、その光が晴れるとそこに居たのは、オレンジ色の身体に黒のブラックアウトストリーム、複眼は黒の仮面ライダーデルタ バスターフォームだ。

 

イプシロン「あの姿は…」

T-REXオルフェノク「ガァァァァァァァァァ‼︎」

 

T-REXオルフェノクはデルタ(バスター)に咆哮を上げながら突進して来る。

 

デルタ(バスター)「Float」

《Delta Buster Take Off》

 

すると、背中のΔ型のブースター“フォトン・フィールド・フローター”を起動すると、空へ飛び上がる。それでT-REXオルフェノクの突進を避ける。T-REXオルフェノクは壁に向かって思いっきり突っ込んだ。

 

デルタ(バスター)「喰らえっ!」

 

デルタ(バスター)は後ろ向きのT-REXオルフェノクに向けて

ハンドグリップの様な部分を前後に往復させトリガーを引き、フォトンブラッド光弾を発射する。しかし、それは今までの物とは違い、拡散弾の様な光弾だった。

 

T-REXオルフェノク「グギャァァァァァァァ‼︎」

 

それを至近距離で喰らったT-REXオルフェノクは、ここへ来て初めて苦しむ様な声を上げた。が、その後怒ったような咆哮を上げると、火球を吐いて来た。

 

デルタ(バスター)「Cannon」

《Delta Buster Discharge》

 

フォトン・フィールド・フローターが変形して両肩に背負う様に展開された“ブラッディ・キャノン”になる。そして、それを発射し、火球を相殺する。T-REXオルフェノクは、更に叫び尻尾を振り回したり、火球を吐いたりするがデルタ(バスター)はそれらを避けて、拡散光弾やブラッディ・キャノンを浴びせる。それによって、次第にダメージが溜まっていき、ふらつくT-REXオルフェノク。しかし、それでも暴れるのをやめない。

 

デルタ(バスター)「くそっ、あいつがめちゃくちゃに暴れる所為で隙が出来ない!」

イプシロン「Δデルタ!」

デルタ(バスター)「ドラレンジャーさん?」

イプシロン「俺が隙を作る。お前はその後に」

デルタ(バスター)「わかった」

 

デルタ(バスター)の返事を聞いて、イプシロンは腰のイプシロンフォンを外し、7、7、7と入力しENTEREキーを押す。

 

《Standing by》

 

そして、再びイプシロンドライバーにセットする。

 

《Complete》

 

すると、イプシロンの装甲が弾け飛びその姿が変わる。仮面ライダーイプシロン・オリジナルだった。イプシロン(オリジナル)はイプシロンフォンを開き、ENTEREキーを押す。

 

《Exceed Charge》

 

イプシロン(オリジナル)の左脚に光が集約し、T-REXオルフェノクの後脚の一本に向ける。すると、左脚から一発の光弾が放たれ、それが後脚に着弾すると展開して六角形の中に円がある平面の光になる。そして、跳び上がってそこへエンジェルストライクを放つ。

 

T-REXオルフェノク「グオァァァァァァァァァ‼︎」

 

エンジェルストライクを喰らった後脚は破壊され、T-REXオルフェノクは苦しそうな咆哮を上げながら崩れ落ちる。そして、そこへ付け入らない隙は無かった。

 

デルタ(バスター)「Check」

《Exceed Charge》

 

すると、デルタバスター(キャノン)の銃身が少し伸び、銃口に青紫色の光が集まっていく。そして、T-REXオルフェノクに向けて光弾を発射し、それが着弾すると三角錐状の光に展開する。デルタ(バスター)は、デルタフォンを取り外し腰のデルタムーバーに取り付ける。そして、三角錐状の光に向かい前蹴りを放つ技“強化ルシファーズハンマー”を喰らわせる。

 

デルタ(バスター)「はあぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

T-REXオルフェノク「グギャァァァァァァァ‼︎」

 

超強化ルシファーズハンマーが命中すると、白いフォトンブラッドが渦巻く。それは、工場を突き破り更に広がる。そして、デルタ(バスター)がT-REXオルフェノクを貫通すると、T-REXオルフェノクの動きが止まる。そして、青紫のΔの文字が浮かび上がり、赤い炎を上げながら灰化する。

それを見て、デルタ(バスター)とイプシロン(オリジナル)は変身を解く。

 

Δデルタ「はあ、やっと終わったか…」

ドラレンジャー「やったな、Δデルタ!」

Δデルタ「ああ、最後はヤバかったけどこれのお陰で何とかなったな」

 

Δデルタはその手に持っているデルタバスターを見ながらそう言う。

 

ドラレンジャー「そうだな。さて、俺は帰るとするか」

Δデルタ「ん、そうか。色々、助かった。ありがとう、ドラレンジャーさん」

ドラレンジャー「何、気にすんな。ライダーは助け合い、だろ?」

Δデルタ「そうか、ありがとう。そうだ、礼と言っちゃあ何だが、これを受け取ってくれ」

 

Δデルタは懐から無色透明の輝く液体が入った試験管を取り出し、ドラレンジャーに渡す。

 

ドラレンジャー「これは?」

Δデルタ「ネオフォトンブラッドだ」

ドラレンジャー「えっ⁉︎」

Δデルタ「いや、他に渡せそうな物が無くて…。悪いな、そんな物しか渡せなくて」

ドラレンジャー「あ、ああ、気にすんな。それより、これどうやって手に入れたんだ?」

Δデルタ「うん?簡単だ、ちょっと針が頑丈な注射器で僕の体内から抜いたんだが。それがどうかしたか?」

ドラレンジャー「…いや、何でも無い。これはありがたく受け取っておく。サンキューな」

Δデルタ「こっちも受け取って貰えて助かる。貴方達ならそれを調べて、ネオフォトンブラッドを作り出す事が出来ると思う」

ドラレンジャー「分かった。じゃあな、Δデルタ。また、会おう」

 

そう言うと、ドラレンジャーはオートバジンver.2に跨がり走り去って行った。それを見届けたΔデルタも動き出す。

 

Δデルタ「コッチも帰るとするか。ああ〜、疲れた。取り敢えず、帰ったら寝るか」

 

Δデルタは先程迄のの戦闘でボロボロになった廃工場を出ると、自宅へと足を進めた。

 

 

廃工場 屋根

 

廃工場の屋根の上から、そんな二人を見下ろす二つの影があった。それは、白い魔法使いとG3-MILDだった。

 

G3-MILD「ほっほっほ、何とか終わった様じゃな」

白い魔法使い「みたいだな。全く、急に呼び出されたから何事かと思ったら唯の宅配係かよ」

G3-MILD「済まなかったな、白坊」

白い魔法使い「…まあ、あんたは俺の恩人だから別に良いけどよ。その白坊ってのは止めてくれねぇかな」

G3-MILD「ほっほっ、何を言う。儂にとってはいつ迄も白坊じゃよ」

白い魔法使い「はあ〜、もう良いわ。それより、俺はもう帰るぜ」

G3-MILD「ん?何か、急ぎの用でも?」

白い魔法使い「ああ、今から弟子の特訓だ」

G3-MILD「ほう!弟子とな。それはそれは、あの生意気な小僧がいつの間にか立派になりおったの」

白い魔法使い「ふっ、まあな。じゃあな、リョウさん」

《ディメンション、ナウ》

 

白い魔法使いは次元の壁を出現させ、それを通り帰って行った。

 

G3-MILD「儂も帰るとするかの。それにしても、中々光るものを感じさせたの、あの二人」

 

G3-MILDは空を仰ぎ見ながら呟く様に言った。

 

G3-MILD「ネルよ、儂等の後輩達はとても優秀な者じゃったぞ。…のう、儂はまたお前さんと一緒に酒を飲み明かして、馬鹿騒ぎしたいぞ。一体何処にいるのじゃ、ネル…」

 

その声は透き通る様な青空に消えていった。

 

 

ブレインガード社 研究室

 

Dr.ネル「ふむ、戦国ドライバーを使用したビショップとナイトを倒す処か、T-REX000まで倒すとは予想以上じゃの…」

 

薄暗い研究室でDr.ネルは今回の映像を見て、戦闘データを収集していた。

 

Dr.ネル「姿を変えて能力を上昇させるとは、儂等の時代とは変わったのう」

 

ルシファーフォームやバスターフォームに変わるデルタとハイパーアクセルフォームやイプシロン・オリジナルに変わるイプシロンを見ながらそう呟き、更に映像を変えてG3-MILDと白い魔法使いを見る。

 

Dr.ネル「この白いのは兎も角、これはG3-MILD…。まさか…いや、そんな筈は無い。了は確かにあの時。では、これは…要調査じゃな」

 

Dr.ネルはそう結論づけると映像が終わり、停止する。その時、パソコンの画面が切り替わり黒い人影が写る。

 

Dr.ネル「これはこれは、社長。どうかなされましたか?」

社長「Dr.ネルよ、今回の作戦は失敗したそうじゃ無いか?この責任はどうするつもりだ」

 

社長のその言葉にDr.ネルはとぼけた様な声で…

 

Dr.ネル「失敗?まさか、今回の作戦は成功ですぞ?」

社長「ほぅ、開発中の試作型の戦国ドライバーを持ち出しておいてか?」

Dr.ネル「社長、今回の作戦を何か勘違いなされておりませぬか?」

社長「何?」

Dr.ネル「今回の真の目的は仮面ライダーの戦闘データと戦国ドライバーの運用データの収集ですぞ。それを思えば今回の作戦は成功では?」

社長「そうか、分かった。そう言うことなら処罰の件は不問としよう。処で、その運用データは取れたのか」

Dr.ネル「ええ、それは勿論。これなら更なる進展が期待出来るでしょう」

社長「そうか、頼んだぞ」

 

社長がそう言うと映像は途切れた。

 

Dr.ネル「さてと、これだけのデータが集まったのだ。早速、取り掛かるとしよう」

 

すると、Dr.ネルは画面を切り替える。そこに写っていたのは、真ん中に黒い窪みがあり果物ジューサーの様な赤いバックルと赤い吊り目の白い蝙蝠の様なメカの設計図だった。Dr.ネルはそれらを狂気の笑みで見つめながら作業に取り掛かるのだった。

 

 




Δデルタ「…」←正座
郎夜「おい、駄作者。なんだこれは?」
Δデルタ「何とは、何の事でしょう…」
郎夜「何だじゃねえ‼︎どう言うとこだよこの字数‼︎えぇ?」
Δデルタ「そ、それは…」
のび太「2万字とか何だよ⁉︎お前の文才でそんな文字数あっても、読み辛いだけだろ‼︎」
Δデルタ「はい、その通りです…」
ドラえもん「もう、何でこんな事になったんだよ!」
Δデルタ「書きたい物がいっぱいあって気が付いたら」
セワシ「馬鹿だな、お前」
Δデルタ「…」
奈々「と、取り敢えず、ここら辺にしませんか?後書きもそろそろ締めないと」
ドラえもん「そうだね。次回からは、本編の方に入っていくつもりだから皆様、待っていて下さい。それでは、次回もヨロシクな!」


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第四話

Δデルタ「投稿完了!」
ドラえもん「作者元気だね〜」
のび太「まあ、仕方が無いんじゃない?バトライド・ウォーⅡが予想以上に楽しいらしいから。あと、テストの結果が良かったらしいよ」
郎夜「浮かれ過ぎじゃねぇか?」
奈々「あれ?セワシさんは?」
Δデルタ「ああ〜、切り捨てた」
Δデルタ以外「‼︎」
Δデルタ「いや、感想欄には出るけど前書き、後書きには出さないつもり」
ドラえもん「何で!」
Δデルタ「いや、セワシまで書くの大変だし…面倒いし」
のび太「絶対、最後のが本音だろ!」
Δデルタ「兎に角、彼奴はもう出ないから宜しくお願いします〜」
郎夜「作者の気紛れが発動したか…」
奈々「みたいですね…」
Δデルタ「よし!じゃあ、始めるか!第四話を…」←無視
皆「どうぞ‼︎」


 

まだ、日が出きっておらず外は薄暗い早朝。そんな時間にランニングをしている少年がいた。黄色いシャツに紺色の半ズボンを履いて首にマゼンタのポラロイドカメラをかけたのび太だ。何故のび太がこんな時間に起きているのかと言うと、のび太は旅が終わり、この世界に帰ってきた後も訓練を続けているからだ。のび太は旅をしている間、この時間に訓練をすることは日課だった。なので、それがのび太にとって当たり前になっていた。まあ、のび太自身この訓練を辞めるつもりなど毛頭無いのだが。因みに先程ランニングと言ったが、それはあくまでのび太にとってのランニングであり、他の人から見るとほぼダッシュと変わらない位の速さで走っていた。

 

のび太「ふぅ、無事到着っと。さて、体もあったまってきたし早速始めるか」

 

のび太は訓練の場である裏山に着いた。そして、今日の訓練を開始した。どうやら、先程までのランニングは訓練の為のウォーミングアップらしい。のび太は、ポラロイドカメラを首から外し少し開けた場所に着くと、拳を構えて目を閉じて集中する。

 

のび太「はあっ!」

 

のび太は目を開けて鋭い眼光で目の前を睨みつけると、そんな掛け声と共にパンチを繰り出す。更にミドルキックを放ち、そこから肘打ち、前蹴り、ハイキック、右ストレート、後ろ回し蹴りと次々と連続で技を放ち続ける。その技は全て、スピードもキレも素人目から見ても桁違いだと分かる程である。そのまま暫く、パンチやキックなどを休みなく打ち続け、最後にパンチを放つと動きを止める。そして、パンチを戻し構えを解くと深く深呼吸する。

 

のび太「はぁ〜、前回よりは良くなってるみたいだけどまだ少し動きに無駄があるな…。まあ、そこら辺はやってく内に何とかなるか」

 

そう言い終わると、のび太はライドブッカーをソードモードにして取り出す。すると、先程と同じ様に鋭い眼光で前を睨みつけるとライドブッカー(ソード)の刀身を撫でる様な仕草をして、一気に振り下ろす。その後も斬り上げ、袈裟斬り、左薙ぎとその場で動きながら斬撃を繰り出す。そして、最後に後ろに下がりながらの逆風からの刺突と繰り出し構えを解いた。

 

のび太「良し、次は射撃だな」

 

のび太は辺りに落ちている葉っぱを集め、ある程度集まった処で、それを上へ放り投げる。そして、ポケットからエアガンを取り出し、落ちてくる葉っぱに向けて連続で発射する。落ちてくる葉っぱの動きは不規則な筈だが、のび太はその全てを撃ち抜いていく。途中、弾切れになるが空の弾倉を排出し、予め用意していた弾倉を取り出し素早く装填し再び撃ち続ける。そして、最後は正面を向いたまま後ろに落ちてくる葉っぱを自身の横にあった小石に跳弾させて撃ち抜いた。

 

のび太「問題無しっと。いつも通りだね。さて弾を拾わないと、ん?」

 

すると、近くの茂みが揺れだしそこから一匹の子狐が出て来た。

 

のび太「あっ、葛葉(くずは)!おはよう」

葛葉「キューン」

 

葛葉はのび太が訓練をする様になってからのび太が見つけたのだ。最初はのび太を警戒して近寄って来なかったが、のび太が餌をあげて、早朝に通い続ける様になってから次第に懐いていって今では甘えてくる様になったのだ。葛葉はのび太に駆け寄り、身を擦り寄せる。のび太は、くすぐったいよと言いながら屈んで葛葉を撫でる。それに葛葉は気持ち良さそうに目を細める。やがて撫でるのを止めるとのび太は弾を拾いに行こうとする。それに葛葉はのび太の服を咥えて、もっと撫でてと言う様に鳴く。

 

のび太「ごめんね。今からこの弾を拾わなくちゃいてないからさ、その後ね」

 

のび太はそう言うと弾を拾い始める。すると葛葉はのび太の後ろ姿を見つめて、茂みの奥へ走り去って行った。その後のび太は周辺の弾拾いを終え、遠くへ飛んで行った弾を拾いに行こうとする。

 

のび太「あれっ?何で弾が集めてあるんだ?」

 

後ろを見ると、遠くにある筈の弾が一箇所に集められていた。のび太が疑問に思っていると、葛葉が弾を咥えて戻って来た。

 

のび太「もしかして、葛葉が集めてくれたの?」

葛葉「キュン」

のび太「そうか、ありがとね。助かったよ、葛葉」

葛葉「キューン」

 

のび太は葛葉を抱っこして、撫でる。葛葉はのび太の腕の中で気持ち良さそうにしながら撫でられる。そして、葛葉を下ろして何時もの様に食べ物をあげ、それを葛葉は食べる。

 

のび太「それじゃあ、僕は帰るね。またね」

葛葉「キュン」

 

のび太がそう言うと葛葉は一鳴きした後、山の奥に帰って行った。それを見届けたのび太も自宅へ帰る。勿論、異常な速度のランニングをしながら。

 

 

数分後

 

のび太が家の前に到着した時には空は若干明るくなり始めていた。のび太は昨日、借りておいたタケコプターを装着し二階の屋根に上がる。因みに、充電はちゃんとされている。そして、予め開けておいた窓から部屋に入る。

 

のび太「よし、ばれて無いな。さて、じゃあ僕はもう一眠りするか」

 

そう言うとのび太は、布団に入り一瞬で眠りについてしまった。恐ろしい程の寝つきの良さである。

 

 

数時間後

 

ドラえもん「ふぁ〜、よく寝た。あ、のび太くんまだ寝てる。もう、のび太くん!朝だよ!」

 

ドラえもんはのび太の体を揺すって起こそうとする。しかし、のび太はそんな程度では起きない。現に揺すられているにも関わらず、まるで気付いていないかの様に…否、本当に気付かずに惰眠を貪っている。のび太は一応わざと起きない様にしているが、起こされている事自体は本当に気づいていないのだ。

 

ドラえもん「のび太ーーーーーーー‼︎起きろーーーーーーー‼︎」

のび太「zzz…、うん?何?」

ドラえもん「何じゃ無い!起きてのび太くん、また遅刻するよ!」

のび太「ん〜、分かったよ〜。(遅刻なんて何時ものことじゃないか。まあ、目も覚めたし良い加減起きるか)」

 

のび太はノロノロと布団から這い出て、大きな欠伸を一つする。そして、眠たそうに目を擦りながらパジャマから普段着に着替える。

 

ドラえもん「も〜、早く早く!」

のび太「分かってるって。てか、危ないから押さないでよ」

 

ドラえもんはのび太を急かす。それでもマイペースを崩さないのび太の背中を押して階段を降りさせる。洗面所で顔を洗い、歯を磨く。そして、のび太がドラえもんに背中を押されながら台所に辿り着くと玉子がテーブルに朝食のトーストを並べていた。

 

のび太「おはよう」

ドラえもん「ママ、おはよう」

玉子「あら、のびちゃんドラちゃん。おはよう。今日は珍しく早起きじゃない」

のび太「うん、まあね」

玉子「朝ご飯、出来てるから食べなさい」

のび太・ドラえもん「はーい」

 

のび太とドラえもんは自分の席につくと、トーストにそれぞれジャムとバターを塗って食べ始める。すると、今起きたのか台所にのび太の父であるのび助が現れる。

 

のび助「やあ、おはよう」

のび太・ドラえもん「おはよう」

玉子「あら、あなた、おはよう。朝ご飯出来てるわよ」

のび助「うん、ありがとう。それにしても、のび太。今日は、早いんだな」

玉子「そうなのよ。だから、今日はコッチが慌てなくて助かったわ。ドラちゃんのお陰ね」

ドラえもん「いやいや、そんな〜」

のび助「そうか、ありがとうドラえもん。これからものび太を頼むよ」

ドラえもん「はい!」

のび助「ははっ、頼もしいな」

玉子「そうね、うふふ」

のび太「(今更だけど、よくドラえもん受け入れられたな)」

 

のび太は両親とドラえもんの会話を聞きながら、そんな今更ながらの疑問を浮かべる。ドラえもんは野比家に来た日、のび太が色々疲れながら家に帰ると普通に家族の一員として迎えられていたのだ。なので、どうやって両親を説得したのかを聞こうとしたのだが、玉子に買い物を忘れた事がバレて説教を受けとてもそんな気力も起きず、寝てしまったのだ。いつもだったら、玉子の説教など別に何とも無いのだが、あの日は色々と蹴り飛ばしたり驚いたり死にかけたり戦ったりしたので、流石ののび太でも堪えたのだ。

 

のび太「ふう、ご馳走様」

ドラえもん「ご馳走様、のび太くん学校の準備」

のび太「分かってる」

 

のび太は朝食を食べ終わると自分の部屋に戻る。それにドラえもんも着いて行く。のび太はランドセルに教科書、ノート類を入れると、それを背負い玄関に行く。

 

ドラえもん「のび太くん、ハンカチとティッシュ持った?」

のび太「うん、大丈夫。持ったよ」

ドラえもん「忘れ物は?」

のび太「多分、無い」

ドラえもん「そう。気を付けてね」

のび太「うん、ありがとう。じゃあ、行って来ます」

ドラえもん「行ってらっしゃい」

 

のび太はドラえもんに見送られながら家を出る。それを見届けたドラえもんはのび太の部屋に戻る。

 

ドラえもん「さて、漫画でも読むか。今日はオシシ仮面の3巻からだな」

 

 

通学路

 

のび太が学校への道を歩いていると、後ろから声をかけられた。

 

?「のび太さ〜ん」

のび太「ん?ああ、しずかちゃんか。おはよう」

 

その人物は黒髪で短く揃えた二つ結びのお下げの少女。のび太のクラスメートである源 静香であった。静香はのび太の隣に来ると並んで歩く。

 

静香「のび太さん、今日は随分と早いのね」

のび太「それママやパパにも言われたよ」

静香「あら、そうなの」

のび太「そうなんだよ。そんなに珍しいかな?」

静香「うふふっ、でも悪い事じゃ無いんだから良いじゃない」

のび太「それもそうか」

 

その後、のび太と静香は最近の事などを話しながら歩いていた。すると、急に静香がある話題を話し始めた。

 

静香「 あ、そう言えばのび太さん。また出たらしいわよ?」

 

のび太はその話に内心、動揺する。しかし、それを表情に出すこと無く話を聞く。

 

のび太「?出たって、例の怪人?」

静香「ええ、そのマゼンタ色の怪人が出たって話よ。また、怪物を倒したんですって」

のび太「そう、良かったじゃない。怪物と違って、人を襲ってる訳じゃ無いし皆を助けてくれてるんだから」

静香「そんな事、分からないじゃ。ただ仲間割れしてるだけかも知れないし、それに…」

のび太「それに?」

静香「私、怖いの。どれ位って聞かれると分からないけど、想像もつかない様な怪物を全部倒してるって思うと、分からない筈なのに凄く恐ろしく感じるの」

のび太「…そう、なんだ」

 

のび太はその言葉を聞きながら考える。先程の意見は別に静香だけのものでは無いだろう。寧ろ、大衆の殆どが抱いている事だ。勿論、その怪人と言うのはディケイドの事である。何故、その様に呼ばれ出したかと言うと、少し前からこの町で怪人が現れ出したのである。のび太はそれに常々、疑問に思いながらも戦っていた。ある時、怪人を倒して襲われていた男性に声をかけようとした時、その男性が酷く怯えながら悲鳴をあげて逃げてしまったのである。それを呆然と見ながら、のび太は本当の意味で理解した。仮面ライダーと怪人は紙一重と言う事を。薄々とだが、のび太は気付いていた。怪人と戦っている自分を見る町の人の瞳の中が期待でも安心でも無い、恐怖で染まっているいることに。元々、自分を味方と見ることが出来る人間なんてごく稀でしか無い事は分かっていた。その他の人間から見れば自分だって、怪人と変わらない事ぐらい分かってはいた。何せ、どちらも人間の理解を超えた化け物なのだから。結果、ディケイドは市民から怪人と言う扱いとされた。だが、のび太はそれに対して思う所はなかった。何故なら、自分も仮面ライダーの事を知らなかったら同じ様な反応をしたと思ったからだ。だから、仕方が無いと分かっていた、分かってはいたがただそれでも…

 

のび太「(辛いな、やっぱり。分かってても…)」

 

のび太は空に浮かぶ雲を見ながら、心の中でそう呟いた。

 

 

学校

 

学校に着いたのび太と静香は教室のドアを開けた。すると、一人の少年から声をかけられた。

 

?「やあ、野比くん静香くん。おはよう」

のび太「出木杉か、おはよう」

静香「おはよう、出木杉さん」

 

整った顔立ち、明らかに優等生オーラを持つ少年、出木杉 英才がいた。机の上にノートが広がっている所を見るあたり恐らく自主勉強をしていたのだろう。

 

のび太「(朝早くから頑張る物だね、素直に感心するよ)」

 

のび太は出木杉の事を嫌ってはいなかった。寧ろ、良い奴だと思っている。学業優秀、スポーツ万能、誠実で容姿端麗な優等生。更に、それらを鼻にかけずに努力を怠ることはない。しかも、勉強だけで無く漫画やゲームやテレビを楽しんだりもするのでクラスでも一番の人気者だ。そのお陰かクラスの学級委員を務めている。今ののび太には嫌う要素は無かった。

 

出木杉「それにしても、野比くん今日は早いんだね。どうしたんだい」

のび太「君までそれを言うのか…」

出木杉「どうしたんだい?」

のび太「何でも無いよ、何でも…」

出木杉「そ、そうかい。そうだ、一緒に勉強しないかな?折角、時間があるんだ。どうだろう?」

静香「良いわね、やりましょう。ねぇ、のび太さんはどうするの?」

のび太「んっ?僕は…」

 

考え込むのび太。そして、一瞬だけ出木杉と静香を見て…

 

のび太「いや、僕はいいよ。二人でやりなよ」

出木杉「えっ、でも…」

のび太「良いんだよ、僕は朝早くから自主勉強なんて柄じゃ無いし。それに、やる気も無いからね」

出木杉「野比く…」

のび太「じゃあ、僕は外に出てるよ」

静香「えっ、のび太さん。どうして?」

のび太「僕が居たら集中出来ないだろ。それにやる気の無い奴が居ても邪魔になるだけだしね。それじゃあ」

 

そう言うと、のび太は教室から出て行った。静香と出木杉は、その背中を悲しそうに見ていた。

 

出木杉「野比くん、何があったんだろう?」

静香「分からないわ。のび太さん、去年から何だか様子が変で…」

出木杉「やっぱり、そう思うかい?僕もおかしいと思ってたんだ。それまで、参加していた野球やサッカーにも顔を出さないし」

静香「私達を避けてるのかしら…」

出木杉「いや、と言うより人付き合い自体を避けてる様に感じられるんだ。どっちにしろ、何かあったのは確実だろうね」

静香「…何で私達に一言も話してくれないのかしら」

出木杉「彼、変に一人で抱え込むからね。それだけ僕達が思っている以上に深刻な事なんだと思う」

静香「のび太さん…」

 

 

屋上

 

教室から出たのび太は屋上のフェンスにもたれながら、ボンヤリと青空を眺めていた。

 

のび太「はぁ〜、何であんな事言っちゃったのかな。でも、まぁ、これで良かったのか…」

 

のび太は先程の出来事を思い出しながら、そんな事を呟いた。本当はのび太は出木杉と静香と一緒に勉強も良いと思っていた。だが、今ののび太には出来なかった。のび太は旅の中で沢山の人と出会った。しかし、旅の中で死別した者もいた。クウガの世界やファイズの世界などだ。更に龍騎の世界では共に戦っていた仮面ライダーライア 手塚海之を失った。その為、のび太は自身の周囲の人間が傷付く事や失うことを恐れて、無意識の内に人との関わりを少なくしていたのだ。

 

のび太「それにしても、屋上に来たは良いけど何にもやること無いや。…うん?これは…、どうやらやるべき事は見つかったみたいだね。居るんだろ?出て来い!」

 

のび太がそう言うと、屋上の物陰から一つの人影が現れた。それは、ワインレッドのスーツ姿の壮年の男性だった。

 

?「いや〜、まさか気付かれるとは思いませんでしたね。出来れば気付いた理由を聞きたいのですがね」

のび太「わざと気付かせた癖に何を…あんだけ気配を隠さないでいたら普通は気付く」

?「いえいえ、普通は気付かない物ですよ?」

のび太「そう。で、お前は誰だ?」

?「おやおや、初対面の相手に対して随分な言葉遣いですね。聞いた話とは全然違っていますね」

のび太「こんなに堂々と殺気を放って来る様な奴に礼儀なんて必要無いよ」

?「駄目ですよ?人間、最初が肝心何ですから」

のび太「肝に銘じておくよ。で、お前は誰だ?」

 

のび太の問いに男性は不気味な笑みを浮かべると、一呼吸置いて口を開いた。

 

キョウ「私の名前はキョウです。以後、お見知り置きを」

のび太「キョウね…で、キョウ。お前は何をしに来た?場合によっては…」

《RIDEBOOKER》

 

のび太はDフォンでライドブッカー(ガン)を出現させ、構える。

 

キョウ「おっかないですね〜、そんな物を出さないで下さいよ?じゃないと……叩き潰したくなるじゃ無いですか」

 

キョウは殺気を更に放ち、胸ポケットからPの文字が書かれた端子の部分が透明な深緑色のUSBメモリの様な物を取り出す。

 

のび太「!ガイアメモリ…お前、ドーパントか⁉︎」

キョウ「如何にも。だが、このメモリは特製品でね。そんじゃそこらの有象無象とは性能も格も何もかもが違う」

《プレディション》

 

キョウがプレディションメモリのスタートアップスイッチを押すと、ガイアウィスパーが発声し起動する。そして、腰にベルト“ガイアドライバー”を巻き、そのバックル部分にプレディションメモリを挿入する。すると、プレディションメモリが吸い込まれ挿入口に金色の球体が現れる。と、同時にキョウの身体に変化が現れる。身体は迷彩柄の深緑色になり、紅い目は細く、頭部はマスクの様で、手には鋭い爪があり、胸には鋭い牙が付いた口の様な物があった。

 

プレディション「さあ、変身しなさい。そして、私と戦いなさい!」

のび太「じゃあ、そうさせて貰うかな」

《DECADRIVER》

 

のび太は腰にディケイドライバーを巻く。そして、ライドブッカーからディケイドの顔が描かれたカードを取り出す。そして、それを前に掲げる。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

カードをディケイドライバーに装填し、ディケイドライバーを閉じる。すると、のび太の周りに14の半透明の影が現れ、それがのび太に重なり仮面ライダーディケイドに変身した。

 

プレディション「さて、じゃあ行きますよ!」

 

そう言うと、プレディション・ドーパントはディケイドに向かって駆け出す。そして、その鋭い爪をディケイドに振り下ろす。しかし、ディケイドは後ろに下がることで回避し、カウンター気味にパンチを繰り出す。それを喰らったプレディション・ドーパントはよろけ、その隙にディケイドは更に追撃を仕掛ける。ミドルキック、パンチ、前蹴り、回し蹴りと放ち、最後に蹴りで吹き飛ばす。

 

プレディション「はあはあ、やはり一筋縄ではいきませんね。これは鳴滝も苦戦する訳だ」

ディケイド「っ⁉︎お前、鳴滝を知ってるのか!」

プレディション「ええ、彼は私の古い知人ですからね。ついこの間も話したばかりですよ」

ディケイド「…やっぱり生きてたのか…」

プレディション「ん?ええ。鳴滝はそう簡単にやられる様な男では無いですよ。それは貴方もよく分かっていると思いますが?」

ディケイド「…そうだな。それより、そろそろ続きといこうか」

プレディション「やはり、休ませてはくれませんか」

ディケイド「当たり前だ。それと、そう言う時間稼ぎはもっとさりげなくする物だよ」

 

ディケイドはプレディション・ドーパントにライドブッカー(ソード)を振り下ろす。プレディション・ドーパントは爪で受け止めるが、ディケイドはそこから腹に蹴りを入れ距離を取り、一気に詰め寄りライドブッカー(ソード)で切り裂く。更に連続で切り裂いていく。そして、ディケイドは締めに刺突を放ち、それを喰らったプレディション・ドーパントは大きく吹き飛ぶ。

 

プレディション「そろそろ頃合いですね」

ディケイド「何だと?」

プレディション「では、私はこの辺で退散するとします」

 

そう言うと、プレディション・ドーパントの後ろに次元の壁が出現する。ディケイドは逃がすまいと近づくがその前にプレディション・ドーパントを飲み込み消えた。

 

ディケイド「逃がしたか…」

 

ディケイドはそう言うと変身を解き、のび太に戻る。

 

のび太「それにしても、態度の割りに随分と呆気なかったな。でも、あの余裕…一体何が目的で……駄目だ、さっぱりだ。あのメモリの能力さえ分かればはっきりするんだけどな〜」

 

のび太は暫くプレディションメモリについて考えていたが結局、分からず仕舞いだった。その後、時間が時間なのでのび太は教室へと戻って行った。尚、教室に戻った際、のび太が既に来ていたと言う事実にクラスメイトが面喰らったのは言うまでも無い。

 

 

空き地

 

奥に土管が三つ山状に積まれた空き地ではキョウが脇腹を苦しそうに押さえながら、土管にもたれ掛かっていた。

 

キョウ「くっ!流石はディケイド…少し甘く見ていたか。あれ程とは…」

?「だから言った筈だ。今のお前ではディケイドは倒せないと」

 

突然、聞こえてきた声にキョウが正面に目を向けると、そこにはベージュ色のコートにフェルト帽を被った眼鏡の男が居た。

 

キョウ「その様ですね。ですが、先程の戦いでかなりの力が溜まりました。これからも順調に力を蓄え続ければディケイドも倒せます。そうでは無いですか?鳴滝」

鳴滝「だと良いがな。だが、ディケイドもそう甘くは無いぞ?」

キョウ「大丈夫ですよ。僕は貴方の様に失敗はしないですから」

 

そう言うとキョウは空き地から出て行った。それを見届けた鳴滝は空を仰ぎ見る。

 

鳴滝「待っていろ、ディケイドっ!。貴様だけはこの手で…」

 

鳴滝は空を睨みつけながら手を握り締め、忌々しそうに呟いた。

 

 

学校

 

出木杉「起立、礼」

皆「さようなら」

先生「はい、さようなら。気を付けて帰るんだぞ」

 

学校では今日の授業が終わり、生徒が帰り出していた。のび太も帰ろうとするが…

 

嬢子「野比くん」

のび太「ん?どうしたの?」

 

黒髪の少女嬢子がのび太に声をかけて来た。のび太はそれに対し、返事をするがその内容などのび太にはわかっていた。

 

嬢子「あのね、今日私日直でプリントとかを運ばなくちゃいけないんだけど、一人だと重いから手伝ってくれない?」

のび太「分かった。良いよ」

 

口調こそ丁寧でお願いしている様だが、その目は言外に手伝えと告げていた。まあ、ここで断ると後が面倒なのでのび太は引き受ける。

 

嬢子「ありがとう!じゃあ、早速お願いね」

 

嬢子はのび太に重い教材類を持たせ、自分はさりげなく軽いプリント類を持つ。のび太には全て分かっているのだが、別に指摘してもメリットがある訳では無いのでスルーする。そして、二人は教室を出る。すると、ひと気の少ない場所に出た途端…

 

嬢子「はぁ〜、良い子ぶるのも疲れるわ」

のび太「…(相変わらず表裏が激しいな。てか、ここまでの演技出来るなら役者に向いてるんじゃ無いのか?)」

 

嬢子の態度が一変した。これが素の状態であり本性でもある。本来はひと気の無い場所と言っても横に誰かがいる時に演技を解くことは無い。だが、のび太は別で馬鹿だからと言って油断しているのか演技を解くのである。

 

嬢子「ん?何?なんか用?」

のび太「いや、別に」

嬢子「そう。のび太、分かってると思うけどこの事は絶対に他の奴に喋らないでね」

のび太「分かってるよ」

嬢子「それなら良いのよ。じゃあ、さっさと運んでよ」

のび太「うん」

 

それから無言で二人は歩いて行き、職員室の前に着いた。

 

嬢子「じゃあ、それ頂戴」

のび太「はい」

 

のび太は嬢子に持っていた教材類を渡す。嬢子はそれを持つと職員室に入って行く。それを確認したのび太は職員室から離れる。

 

のび太「ああ、面倒な作業だったな〜。早く帰ろっと」

 

のび太は下駄箱で靴に履き替えて昇降口を出る。そして、校舎の陰に隠れて周りを確認するとタケコプターを頭に装着し飛び立つ。

 

のび太「ん〜、タケコプター何気に便利だな。と、それより早く帰らなくちゃ」

 

のび太はスピードを上げて、家に向かって飛んで行った。そして、数分後。のび太は家の前に降り立つと、タケコプターをポケットに仕舞い、家に入る。

 

のび太「ただいま〜」

玉子「お帰り。おやつ、台所にあるから手を洗ってからドラちゃんと食べなさい」

のび太「は〜い」

 

のび太は洗面所で手を洗うと、おやつのどら焼きを持って自分の部屋に向かって行った。

 

のび太「ドラえも〜ん、おやつあるよ。って、何これ⁉︎」

ドラえもん「あ、のび太くん。お帰り。ごめんごめん、今ちょっと道具の整理しててさ」

のび太「整理?」

 

のび太の部屋には様々な秘密道具が無造作に散らかっていた。それらは団扇の様な物やピンク色のドア等、実に多くの種類があった。その中でのび太は顔の鼻の部分に赤いボタンが付いた手持ちサイズの人形を手に取った。

 

のび太「ドラえもん、これは?」

ドラえもん「ん?ああ、それはコピーロボットだよ」

のび太「コピーロボット?」

ドラえもん「うん、そこに赤いボタンがあるだろ?」

のび太「うん、あるよ」

ドラえもん「ちょっと押してみて」

のび太「う、うん」

 

のび太はコピーロボットの赤いボタンを押した。すると、コピーロボットはのび太と同じ位まで大きくなり、容姿はのび太と瓜二つになった。

 

のび太「僕そっくりに…なった…」

のび太(コピー)「やあ、僕」

のび太「喋った…」

ドラえもん「そうだよ。この道具はそのボタンを押した人そっくりに変わるんだよ。

のび太「これ、戻す時はどうするの?」

ドラえもん「簡単だよ、鼻の部分を押せばいいんだよ」

のび太「?こう?」

 

のび太はのび太(コピー)の鼻を押す。すると、縮み出して先程の人形の姿になった。のび太はそれを手にとって興味深そうに眺める。

 

のび太「ヘぇ〜、不思議な道具だな〜。ん?ドラえもん、この鏡は何?」

ドラえもん「それはフエルミラーだよ」

のび太「どうゆう道具なの?」

ドラえもん「ん〜と、そうだな〜。ん?そうだ!のび太くん、そのどら焼き一個取って」

のび太「あ、ああ」

 

のび太は不思議に思いながらもおやつのどら焼きを一つ渡す。ドラえもんはそれを、ありがとう、と言って受け取るとフエルミラーの前に翳し、どら焼きを映す。そして、ドラえもんはフエルミラーの下の台に付いているボタンを押す。

 

のび太「ドラえもん、何してるの?」

ドラえもん「まあまあ、見てなって」

 

ドラえもんはフエルミラーに手を突っ込む。ドラえもんの手がフエルミラーに入り込み、鏡面が水の様に波打つ。そして、ドラえもんが鏡面から手を抜き出すと手にはどら焼きが握られていた。

 

のび太「はぁ?…これはどうゆう…」

ドラえもん「つまり、簡単に言うと増やしたい物を二つに増やす事も出来るんだ。はむはむ、ん〜美味しい〜!」

のび太「成る程。じゃあ、お金とかは?」

ドラえもん「はむはむ。あ〜、無理無理。この道具で増やした物は鏡映しの状態になるんだ。だから、お金とか左右非対称の物は増やしても使えない事もあるんだ。はむはむ」

のび太「ふ〜ん。ん?(コピーロボットとフエルミラーか…)」

ドラえもん「さて、そろそろ整理を始めないと」

 

ドラえもんは再び道具の整理を開始する。それを見たのび太はドラえもんの注意が他の道具にいったのを確認して、フエルミラーでコピーロボットをコピーし、本物を元の場所に戻し、コピーした方を持つ。そして、部屋を出る。

 

のび太「じゃあ、僕遊びに行ってくる」

ドラえもん「のび太くん、おやつは…」

のび太「ドラえもんにあげるよ。行ってきまーす」

ドラえもん「本当!行ってらっしゃーい。さて、整理を早く終わらせてどら焼き食べよっと」

 

そう言うと、ドラえもんは整理に取り掛かった。一方、のび太は家を出ると、暫くした所で立ち止まる。

 

のび太「ごめんね、ドラえもん。でも、今はこれが必要なんだ」

 

そう、のび太がコピーロボットを盗んだのには理由があった。今まで、のび太は変身する時に周りにバレない様に気を配る必要があった。だが、それでも怪人が出る度に一々その場を離れていたらバレる可能性がある。そこで、この道具だ。これがあれば、多少人目は気にする必要はあるが、今までよりも大分変わる筈だ。つまり、正体を隠すのに丁度いいのだ。

 

のび太「だけど、やっぱ気が引けるな」

 

これがのび太がコピーロボットをわざわざコピーした理由だ。勿論、ドラえもんにバレない様にするのもあるが、実はこの理由の方が大きかったりする。

 

のび太「それよりもどうしようか?外に出たからってアテがある訳でも無いしな〜」

 

のび太は取り敢えず歩いてみることにし歩いて行った。暫くすると、のび太は商店街に着いた。

 

静香「のび太さ〜ん」

のび太「あっ、静香ちゃん」

静香「のび太さん何してたの?」

のび太「いや、特にやる事が無かったから適当にぶらついてただけ。静香ちゃんは買い物?」

静香「ええ、ママに頼まれちゃって。それで今日の晩御飯の買い物に来てたの」

のび太「そうなんだ。多いの?」

静香「ええ、まあ」

のび太「じゃあ、手伝うよ」

静香「えっ、そんな悪いわよ」

のび太「大丈夫、気にしないでよ。コッチはやる事が無くて丁度よかったよ」

静香「そう、分かったわ。じゃあ、お願いするわね」

のび太「任せてよ」

 

その後、二人は一緒にスーパーに向かって行き、その間も学校の事や習い事の事などを話しながら歩いて行った。その時…

 

男「邪魔だ!退けぇ‼︎」

のび太「!危ないっ‼︎」

静香「きゃあっ!」

警官1「待て!」

警官2「逃がすな!」

 

後ろから何やら男が必死の形相で走って来て、それに気付いたのび太は静香をすぐさま自分の方に引き寄せる。そして、ついさっきまで静香が居た場所を男が走り去る。すると、その後ろから数人の警官が走って来て先程の男を追っていた。その中の一人がのび太達に話しかける。

 

警官3「君達、大丈夫だったかい!」

のび太「はい、僕は。静香ちゃんは?」

静香「私も平気です」

警官3「そうか、怪我が無くて安心したよ。本当に良かった」

 

のび太達の答えに警官は取り敢えず怪我が無いと分かると安堵した声で返した。ここでのび太は先程の事について聞き出そうとする。

 

のび太「あの、それでさっきのは…」

警官3「ああ、それはね実は指名手配中の凶悪犯を追っていてね」

静香「凶悪犯って…」

警官3「今のがそうなんだ」

のび太「…。(なんか、この町って妙に空き巣やら強盗やらが多いんだけど気の所為かな…)」

警官3「でも、もうすぐ捕まるだろうね」

静香「えっ?どうしてですか?」

警官3「犯人の逃げた先では仲間の警官達が待機しているからね。だからだよ」

 

と、話していると仲間の警官から無線が入ってきた。

 

警官3「どうした?」

警官1『は、犯人がきゅ、急に化け物に、なって、う、うわぁぁぁ‼︎」

警官3「ど、どうした!どうゆことだ!応答しろ!」

 

警官が必死に呼びかけるも無線からは何も応答は無かった。一方、のび太は先程の無線で言っていた化け物について考えていた。

 

のび太「…。(化け物…まさか…いや、間違いない!)

静香「のび太さん?」

警官3「君達はここから直ぐに離れるんだ!」

のび太「!お巡りさんはっ!」

警官3「僕は大丈夫だから。早く逃げなさい!」

のび太「あ、お巡りさん!」

 

のび太達に、そう言うと警官は仲間のいる所へ応援の為に行ってしまった。焦った表情ののび太の腕を静香が引っ張る。

 

静香「のび太さん。早く逃げましょうよ。ここも危なくなるかも知れないわ」

のび太「くっ、で、でも…。!」

 

のび太はこれからの行動を迷っている時に遠くから高速で飛来する物体を確認した。その後ののび太の行動は速かった。

 

のび太「伏せてっ‼︎」

静香「きゃっ!な、何⁈」

 

のび太達が伏せると、その近くに先程の物体が地面にぶつかり、辺りが砂埃で覆われる。

 

のび太「!ここだ!」

《DECADRIVER》

 

のび太はコピーロボットで自分のコピーを作る。そして、手元にディケイドライバーを出現させ、腰に装着する。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

カードを装填して、のび太は仮面ライダーディケイドに変身した。そして、辺りを覆っていた霧が晴れる。

 

静香「の、のび太さん。大丈…っ!。か、怪人…」

ディケイド「…(ま、こうなるか)ねぇ」

静香「は、はいっ」

ディケイド「怪我とか無い?」

静香「えっ……」

ディケイド「ん?どうした?」

 

突然、黙り込んだ静香をディケイドは不思議に思い、声を掛ける。その言葉に静香は、はっとした様になり慌てた様になる。

 

静香「い、いえ。大丈夫です」

ディケイド「そう、良かった。じゃあ、そこの男の子と速く逃げて」

静香「あ、あの…」

ディケイド「ん?何?」

静香「どうして助けてくれたんですか?」

ディケイド「…人を助けるのに理由なんか要らないよ」

静香「えっ…」

ディケイド「それに…」

静香「…」

ディケイド「僕は仮面ライダーだからね」

静香「仮面…ライダー…」

ディケイド「じゃあ、僕はもう行くね。気を付けて逃げるんだよ」

《MACHINEDECADER》

 

ディケイドはマゼンタ色のバイク“マシンディケイダー”を出現させる。そして、それに跨ると走り去る。静香はその後ろ姿を呆然と見つめていた。

 

 

ディケイドがマシンディケイダーで現場に到着すると、その場所は酷い惨状だった。地面のコンクリートは抉れ、周りの壁は崩れ、辺りには大勢の警官が倒れていた。その中に一体の異形の姿があった。ヘルメットを被った様な頭部に黒い身体、そして手や脚など至る所に丸い小さなタイヤの様な物体が付いている“ホイール・ドーパント”だった。

 

ホイール「何だこんな者か?俺は今までこんな奴らに怯えてたのか。ったく、情けねぇ話だぜ」

警官3「あ、ああ…」

 

愚痴る様に呟くホイール・ドーパントの前に警官はただ腰を抜かして震え怯えるしか無かった。

 

ホイール「何だ、まだ居たのか。まあ、いいや。これで終わりだ、あばよっ」

警官3「ひっ!」

 

ホイール・ドーパントがその手に付いたタイヤを回転させ、一気に振り下ろそうとする。ディケイドはそれを見るとライドブッカー(ガン)でホイール・ドーパントを銃撃する。

 

ホイール「うわぁぁぁっ!くっ、誰だ!」

警官3「へっ…」

ディケイド「次は僕の相手をしてもらうよ、ドーパントさん?」

ホイール「てめぇ、例の怪人か」

警官3「怪人…」

ディケイド「怪人に怪人なんて言われたく無いね」

 

ディケイドは肩を竦め、おどけた様に言う。それに対してホイール・ドーパントは苛立ちを隠さずにディケイドを睨みつける。

 

ホイール「舐めやがって…ぶっ潰してやらぁ‼︎」

 

ホイール・ドーパントは再び両手のタイヤを回転させるとディケイドに殴りかかる。ホイール・ドーパントの右拳を後ろに下がる事で回避、更に振るわれた左拳も相手の腕に手を当て受け流す。そこへ右の中段蹴りを放ち相手がよろけた所に左フック、右ストレート、膝蹴り、前蹴り、と連続で放つ。

 

ホイール「がぁぁっ!っくそ!」

ディケイド「もう終わり?」

ホイール「!余裕ぶっこきやがって‼︎これならどうだ‼︎」

 

ホイール・ドーパントは脚のタイヤを高速回転させる。そして、その場で蹴りを放ちタイヤをディケイドに飛ばした。

 

ディケイド「何っ⁉︎ぐぁぁっ!」

 

予想外の攻撃に対応し切れず、それを諸に喰らい火花を散らす。ホイール・ドーパントは更にそこへ手脚のタイヤを飛ばして攻撃する。ディケイドは、ライドブッカー(ガン)で全てのタイヤを撃つ。だが、威力が足りず相殺することが出来ずにまたしても全て喰らう。

 

ホイール「はっはっはっ!さっきまでの威勢はどうした!」

ディケイド「…そんな余裕も今の内だ」

《KAMENRIDE W》

 

ディケイドは新たなカードを装填する。すると、ディケイドの姿が変わる。赤い複眼“ホークファインダー”、銀色のW字型の触覚“ダブルフィーラー”、体の中央の銀色の線“セントラルパーテーション"を境に右半身は緑、左半身は黒の『風の切り札』の姿“仮面ライダーW サイクロンジョーカー”だ。

 

ホイール「何だとっ!」

警官3「姿が…変わった」

DW(CJ)「まだまだ行くよ!」

《FORMRIDE W HEATTRIGGER》

 

DW(CJ)の右半身が赤、左半身が青に変わり『熱き銃撃手』の姿“ヒートトリガー”になる。そして、右手には銃身が真ん中で折れた様な青い銃“トリガーマグナム ノーマルモード”が握られていた。

 

警官3「また…」

ホイール「次から次へと…ええい!そんな見掛け倒しが通用するか!」

 

ホイール・ドーパントは再び手脚のタイヤを連続で飛ばす。DW(HT)はそれに動じること無くトリガーマグナム(ノーマル)を構え、高熱を纏った弾丸を連続で放ち全て撃ち落とす。

 

ホイール「な、何だと…」

DW(HT)「これでただの見掛け倒しじゃ無いって分かっただろ」

 

ヒートトリガーはWのフォームの中でも極めて高い攻撃力を誇る形態である。なので、さっきのタイヤも全て一発で撃ち落とすことが出来たのだ。DW(HT)は近づきながら更に連続で弾丸を放つ。ホイール・ドーパントはタイヤを飛ばして応戦するも全て撃ち落とされ逆に弾丸を喰らってしまう。

 

ホイール「うぁぁぁぁ‼︎」

DW(HT)「さあ、これで終わりだ!」

ホイール「ぐっ!くそっ!」

 

ホイール・ドーパントはまたしてもタイヤを飛ばす。DW(HT)はそれを悪足掻きと思い、それらを避けようとする。しかし、ホイール・ドーパントが狙ったのはDW(HT)では無かった。

 

警官3「ひっ、うわぁぁぁ!」

DW(HT)「な、何っ⁉︎ええい‼︎」

 

警官に向かって放たれたタイヤをDW(HT)が驚きながらも撃ち落とす。

 

ホイール「ふっ、今だっ!」

DW(HT)「あっ!くそっ、待て!」

 

ホイール・ドーパントはその隙に足のタイヤを高速回転させ、その場から逃走する。DW(HT)が気付いた時は、もうかなり遠くまで逃げていた。

 

ディケイド「まずい、あっちは皆の家の方…!絶対、逃がすか‼︎」

 

DW(HT)はディケイドに戻るとマシンディケイダーでホイール・ドーパントを追跡する為に走り出す。警官はそれを呆然と見ながらも、ある事に気が付いた。

 

警官3「僕を…助けて、くれた…のか」

 

警官は立ち上がりそう呟くとディケイドが走り去って行った方向を見つめた。

 

 

ディケイドはマシンディケイダーを走らせ、ホイール・ドーパントを追っていた。やがて、ディケイドの視界にホイール・ドーパントの姿が見えてきた。

 

ディケイド「見つけたぞ!」

ホイール「なっ!くっ、これでも喰らっとけ!」

 

ホイール・ドーパントは追ってくるディケイドを確認すると、走りながら身体の向きを変え後ろに走っている様になりながらタイヤを飛ばす。ディケイドはそれを巧みなバイクテクニックで躱していく。暫く、その状態が続いたが、ここでディケイドがホイール・ドーパントと並んだ。

 

ホイール「ええいっ!鬱陶しい‼︎」

ディケイド「ふっ!やあっ‼︎」

 

ホイール・ドーパントはディケイドに向かってパンチを繰り出す。しかし、ディケイドはそれを屈む事で回避する。そして、ライドブッカー(ソード)でホイール・ドーパントの脚を斬りつける。

 

ホイール「ぐあぁぁぁ‼︎」

 

ホイール・ドーパントはそれによってバランスを崩し、物凄い勢いよく転倒する。ディケイドはその間にホイール・ドーパントを追い抜く。そして、ある程度まで来ると、バイクをUターンさせてホイール・ドーパントに向かう。

 

ホイール「しまった!」

ディケイド「これでトドメだ‼︎」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

ディケイドとマシンディケイダーの前に15枚のホログラム状のカード型エネルギーが縦に並ぶ。そして、ディケイドがマシンディケイダーでそれらを通り抜ける度にマシンディケイダーにエネルギーが溜まる。

 

ホイール「く、来るなー‼︎」

 

ホイール・ドーパントはタイヤを飛ばすが、ディケイドの勢いは止まらない。そして、そのままバイクタックルを喰らわせる“ディメンションブレイク ”を放つ。

 

ホイール「があぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ディメンションブレイクがホイール・ドーパントを貫くと、ホイール・ドーパントは叫びながら爆発を起こす。ディケイドはマシンディケイダーを止め、それを見つめる。やがて、爆発が収まるとそこには先程の指名手配の男と黒色のHのイニシャルが描かれた“ホイールメモリ”が落ちていた。

 

ディケイド「ん?メモリが壊れていない…」

 

本来ならば、ドーパントが倒されるとそのメモリも壊れる筈なのだがホイールメモリは全く壊れてはいなかった。更によく見ると、ホイールメモリの端子は黒色だった。

 

ディケイド「これは…」

プレディション「いや〜、やっと見つけました。随分、探しましたよ」

 

ディケイドがホイールメモリを拾おうとした時、横から突然プレディション・ドーパントが現れホイールメモリを回収した。

 

ディケイド「‼︎キョウ‼︎」

プレディション「おや、これはのび太くん。いや、今はディケイドと呼んだ方が正しいかな?」

ディケイド「おい!それは何だ!」

プレディション「それ、とは?」

 

プレディション・ドーパントはとぼけた様に返す。

 

ディケイド「そのメモリだ!どうしてメモリブレイクされない!」

プレディション「ふむ、それはそういうものだとしか言えませんね」

ディケイド「取り敢えず、それを渡せ」

プレディション「それは出来ない相談ですね。では、頂きます」

 

そう言うとプレディション・ドーパントはホイールメモリをなんだ胸の口の中に放り込む。胸の口はホイールメモリを噛み砕き、やがて飲み込む。すると、プレディション・ドーパントに変化が訪れる。頭部の耳の辺りから上に向かって角が生え、鋭かった爪は無くなり代わりに手には手甲が付き、身体の至る所に迷彩柄の小さなタイヤが現れる。その姿は、ホイール・ドーパントの特徴を合わせた様な姿だった。

 

ディケイド「これは…!」

プレディション「流石だ…やはりTXガイアメモリは最高だ…!」

ディケイド「TXガイアメモリ?」

プレディション「ええ、財団Xの開発したガイアメモリの最新型です」

ディケイド「財団…Xだと。彼奴らがこの世界に…!」

プレディション「おや?ご存じ無かったのですか?それは喋り過ぎたかも知れませんね。まあ、良いでしょう。その情報はお近づきの印に受け取っておいて下さい。では、私はこれで」

ディケイド「待て!」

 

プレディション・ドーパントは足のタイヤを回転させその場から逃げる。そのスピードはホイール・ドーパントとは段違いで流石のディケイドもマシンディケイダーに乗って追う暇は無かった。ディケイドは変身を解く。

 

のび太「財団X…こんな所にまで…。でも、関係無い。どんな相手でも皆を傷付けるのなら…僕が破壊する!」

 

その後、何とかコピーロボットを回収し、家に帰った。

 

 

次の日

 

のび太「ふぁ〜、眠い。昨日は色々あり過ぎて眠れなかったな。ああ、ヤバイ…」

静香「のび太さ〜ん」

 

のび太が眠たそうに目を擦りながら歩いていると、後ろから静香が走って来た。

 

のび太「ああ、静香ちゃん。おはよう。昨日は大丈夫だった?あんな事があったけど」

静香「ええ、ちょっと怖かったけど…でも、大丈夫!仮面ライダーさんが守ってくれたから」

のび太「…恐いんじゃ無かったの?」

 

のび太がそう尋ねる。

 

静香「確かに恐かったけど…でも、昨日のあの言葉を聞いたら平気になっちゃって」

 

静香はそれに、と言って言葉を続ける。

 

静香「仮面ライダーさんがいると何だか凄く安心したの。あんなに簡単に人を安心させられる様な人だから、きっと悪い人じゃ無いと思うから」

のび太「そう何だ〜」

 

その言葉を聞くと、のび太は立ち止まって小さな声で呟く。

 

のび太「ありがとう…」

静香「ん?何?」

のび太「いや、なんでも無い。それより、早く学校行こうよ」

静香「ええ」

 

のび太は歩きながら思う。

 

のび太「(こんな僕を信じてくれる人がいる…なら、余計にこの平和を奪われる訳にはいかない、絶対に」

 

のび太は改めて戦う事を胸に誓った。

 

 

 

 

 




Δデルタ「後書きの時間〜」
のび太「何だよ、それ」
Δデルタ「ただの気紛れ」
のび太「そうかよ…」
ドラえもん「てか、キョウって何者?」
Δデルタ「ん〜、味方じゃ無い事は断言できる」
郎夜「そりゃ、見てればわかるわ」
奈々「後、何かオリジナルのメモリが出ましたよね」
Δデルタ「TXガイアメモリの事だな」
郎夜「何だよ、それ」
Δデルタ「手っ取り早く言うと、財団X製の最新のガイアメモリだな」
ドラえもん「財団Xまで出すのか…大丈夫か」
Δデルタ「大丈夫だろ、何とかなるわ」
のび太「取り敢えず、今回出たガイアメモリの紹介だね」

ホイールメモリ
回転の記憶を宿したメモリ。メモリの能力は回転による攻撃力、機動力の強化。更に、周囲の物体を回転させて破壊したり、投げる事も可能。しかし、大き過ぎる物体は回転させられない。

のび太「こんな所かな」
ドラえもん「あれ、プレディションメモリは?」
Δデルタ「あれはまだ紹介しない。そうすると、今後のネタバレになるかもだから」
奈々「いや〜、今回ので大体分かっちゃうんじゃ…」
郎夜「作者が話さないって言うなら、一応追及はこれぐらいにしてやろうぜ」
ドラえもん「そうだね」
のび太「それじゃ、今日はこれぐらいかな」
ドラえもん「そだね。じゃあ皆、次は第五話で会おう。次回もヨロシクね」


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第五話

投稿…とうっ!
のび太「何だか相変わらずのテンションだね」
ドラえもん「ただでさえコイツ面倒なのに夏休みに入って余計にはしゃいでる」
Δデルタ「休みだ休みだ〜。わ〜い‼︎」
郎夜「本当に面倒だな…」
奈々「もう仕方が無いんじゃあ」
のび太「それもそうなんだけどね。まあ、良いか。話すネタも無いしそろそろ始めよう」
郎夜「だな。ほんじゃ、まあ。第五話を…」
皆「どうぞ‼︎」


空き地

 

この日、空き地には三人の少年と一人の少女の姿があった。そして、その中で一際、小柄で三段リーゼントの様な髪型の少年が自慢気な表情で他の三人に話していた。

 

スネ夫「でね、この前の休みに行ったハワイ旅行なんだけどすっごい楽しくてさ。青い空、白い砂浜、そして輝く海!もう、最高だよ!」

静香「へぇ〜、良いわね。羨ましいわ〜」

武「おい、スネ夫。もっと、話聞かせろよ」

のび太「…。(ああ〜、長い。いつまで話す気なんだ…)」

 

スネ夫の旅行自慢に静香と同年代の中でも大柄なジャイアンと呼ばれる少年の剛田 武が目を輝かせ話に聞き入っていた。一方、のび太は口には出さないものの、胸の中でスネ夫に愚痴を言う。

 

スネ夫「あっ、そうだ〜!今度の休みに皆で僕の家の四畳半島の別荘に行かない?僕のパパに頼んで連れってって貰おうよ」

武「本当か!」

静香「ありがとう、スネ夫さん!」

のび太「(このパターンは…何だ結局そう言う事か)」

 

スネ夫の提案に武と静香は大きな声で感激し、のび太はこの話の流れからある事を察して心の中で大きな溜息を吐く。

 

静香「のび太さんも行くの?」

のび太「いや、僕は…」

スネ夫「悪いなのび太。その別荘、三人用なんだ。いや〜、すまないね。また、誘ってあげるよ」

のび太「(僕の予想と一字一句一緒だよ。分かり易い奴だな)」

 

のび太が静香の問いに返答する前にスネ夫は嫌味ったらしく言い放つ。それにのび太はその予想通りの答えに呆れる。

 

スネ夫「今から、僕の家に来ない?ハワイ旅行のお土産とかもあるんだ」

武「おお!行こうぜ、今すぐ‼︎なっ?静香ちゃん」

静香「ええ、のび太さんも行きましょう?」

のび太「いや、僕は良いよ。先に帰る」

スネ夫「ほっとこうよ、静香ちゃん。旅行に行けないのび太を誘っても可哀想なだけだよ。家で漫画でも読みながらゴロゴロしてるんだな。その間に僕達はゆっくりとバカンスを楽しんでくるから」

武「がははっ!そういうこった、じゃあなのび太」

 

馬鹿にした様な笑いを浮かべてスネ夫と武は静香と共に歩いて行く。のび太はそれとは逆の方向へ足を進める。

 

のび太「はあ〜、ったく誘うつもりが無いなら呼ぶなよ。折角の暇な時間なのに…」

 

のび太はブツブツと文句を言いながら家に着いた。そして、自分の部屋に向かう。

 

のび太「ただいま〜」

ドラえもん「あっ、のび太くん。お帰り。スネ夫の用事って何だったの?」

のび太「下らない自慢話だよ…」

 

ドラえもんの質問にのび太はゲンナリした表情で答える。ドラえもんは不思議に思い、更に問う。

 

ドラえもん「それにしては随分な様子だけど」

のび太「それはね…」

 

のび太は空き地での出来事をドラえもんに話す。それを聞いたドラえもんは呆れた様な顔になった。

 

ドラえもん「何だ、何時ものことか」

のび太「そうだよ。全く、コッチも暇じゃ無いんだから、そんな事で呼び出さないで欲しいよ」

 

のび太は寝転びながら漫画を読み始めた。ドラえもんは暫く何か考え始めた様子になる。そして、唐突にのび太に声を掛ける。

 

ドラえもん「のび太くん」

のび太「何?」

ドラえもん「旅行に行きたい?」

のび太「はっ?」

 

いきなりそんな提案をされたのび太は顔をドラえもんの方に向けたまま固まる。数秒後、フリーズが解けたのび太は当然の疑問を投げかけた。

 

のび太「ドラえもん、何言ってるの?」

ドラえもん「いいから旅行に行きたい?」

のび太「そりゃあ、まあ…どっちかと言うと行きたいかな」

 

のび太は取り敢えず、そう答える。のび太は先程、旅行より漫画を読む方が良いとは言ったが、一年前の経験から旅行と言うか旅自体は嫌いでは無かった。ただ、その気が中々起きないだけなのだ。

 

ドラえもん「よし!行こう!」

のび太「…何言ってるの?」

 

ドラえもんはのび太の疑問を聞かず、ポケットの中に手を入れゴソゴソと動かし、道具を探し始める。のび太はそれを怪訝な表情で見ていた。

 

ドラえもん「あった!どこでもドア〜‼︎」

のび太「ただのドアじゃん。て言うか、何でドアだけなの?」

 

やがて、お目当ての物を見つけたドラえもんはそれを引っ張り出す。それは、ピンク色の普通のドアだった。

 

ドラえもん「のび太くん、今見たい物とかある?」

のび太「えっ、う〜ん。そうだな、アメリカの自由の女神かな?」

 

のび太の要望を聞いたドラえもんはどこでもドアの方に向く。

 

ドラえもん「よし、じゃあ。アメリカの自由の女神の所へ!これで準備完了だ。のび太くん、靴取って来て」

のび太「な、何で?」

ドラえもん「いいから、早く」

 

のび太は取り敢えずドラえもんの言うとおり靴を取りに一階の玄関に行った。その途中、居間からニュースが聞こえてきた。

 

TV「え〜、次のニュースです。一昨日、○○市で連続殺傷事件が発生しました。被害者達は野生動物に襲われた様な傷を負い精神的に酷く不安定な状態にある様です。専門家の見解では恐怖で混乱しているとの事です。襲われた被害者達は皆、同じ系列の会社に勤めていると言うことで警察は会社での人間関係のトラブルなどを調べている様です」

玉子「怖いわね〜。ここら辺で起きなきゃいいけど…」

のび太「ママ、ちょっと出掛けてくるね」

玉子「気を付けるのよ、最近物騒だから」

のび太「分かってるよ」

 

のび太は玉子にそう答えると、自分の部屋に戻って行った。

 

のび太「ドラえもん、靴取って来たよ」

ドラえもん「分かった。準備は良い?」

のび太「あ〜、ちょっと待って」

 

のび太は机の引き出しからポラロイドカメラを取り出し、それを首にかける。そして、ドラえもんの方を向き直る。

 

のび太「準備出来たよ」

ドラえもん「よ〜し、じゃあ出発〜‼︎」

 

ドラえもんはどこでもドアを開ける。すると、その向こうはのび太の部屋…では無く自由の女神の目の前だった。それを見たのび太は唖然とする。

 

のび太「ど、ドラえもん、此処って…」

ドラえもん「うん、アメリカのニューヨーク、リバティ島だよ」

のび太「…これはどういう事?」

ドラえもん「このどこでもドアはね、行き先を言えばどんな場所にでも行ける道具なんだ」

のび太「へぇ〜(秘密道具って、何でもありなのか…)」

 

ドラえもんの説明にのび太は驚きながらも、心の中で秘密道具の万能性に呆れる。そんなのび太の今日胸中も知らずにドラえもんはのび太に話し掛ける。

 

ドラえもん「のび太くん。ほら、観光しようよ。折角、来たんだしさ」

のび太「そうだね。よし、行こう!」

 

のび太は先ず自由の女神をポラロイドカメラで何枚か撮る。更に、違う角度で写真を撮り、その後は近くの街を観光した。一通り観光を終えたのび太とドラえもんはどこでもドアを出す。

 

ドラえもん「さて、次はどこへ行こうか?」

のび太「う〜ん、じゃあね…エジプト!」

ドラえもん「はい、きた。エジプトへ!」

 

のび太とドラえもんはどこでもドアを潜りエジプトに到着する。のび太は始めて見るエジプトの光景に感嘆する。

 

のび太「ほぇ〜、やっぱり一面砂漠だね。それにあっついな〜」

ドラえもん「そりゃ、エジプトだからね。さあ、行こう」

のび太「そうだね」

 

のび太とドラえもんは砂漠が広がる地を歩いて行く。途中、のび太は砂漠の風景や生物などを写真で撮っていた。そうこうしている内にのび太とドラえもんはピラミッドの前に到着した。

 

ドラえもん「うわ〜、大っきいね!」

のび太「うん!TVとかで見るのとは迫力が全然違うよ!」

 

二人は始めて見るピラミッドやスフィンクスに大きな声を上げて感動を露わにしていた。のび太はそんな中でも写真を撮ることは忘れず、色々な所から写真を撮っていた。そして、あらかた満足した二人は次の場所へ行こうとするが、ここでドラえもんがある事に気付いた。

 

ドラえもん「あっ〜〜‼︎」

のび太「ど、どうしたのさドラえもん」

ドラえもん「もうすぐ近所の猫達の集会の時間だ!こうしちゃ居られない!」

 

ドラえもんはポケットの中から出した時計を見ると、大慌てしながらどこでもドアで日本へ戻ろうとする。

 

のび太「ちょ、ちょっとドラえもん…」

ドラえもん「ごめん、のび太くん!悪いけど一人でまわってて。どこでもドア好きに使っていいから、それじゃ!」

 

ドラえもんはそう言うと日本へ帰って行った。暫く、ポカーンとしていたのび太だったが、ドラえもんに言われた通り一人で色々な所をまわる事にした。

 

のび太「次は…富士山!」

 

のび太はどこでもドアを潜る。すると、富士山の頂上に着いた。そこは、のび太が想像を超える絶景だった。

 

のび太「うわ〜〜〜‼︎こりゃあ、凄いや‼︎」

 

のび太は今まで通り、富士山の頂上からの絶景を写真に収めながら、始めての光景を楽しんでいた。そして、あらかた楽しんだのび太は次の目的地を考える。その時、ある一つの事を思い付いた。

 

のび太「これをスネ夫に見せたら、絶対驚いくだろうな〜。よし、何枚か見せてやろうっと」

 

のび太はスネ夫の家に向かう為、日本に戻った。そして、スネ夫の家に向かっていた。

 

のび太「ん?あの人…此処ら辺の人じゃ無いな」

男性「くそ、どこだ。俺は早く…」

 

その男性は、髪はボサボサで顔も髭の手入れが出来ていない様子で薄汚れた背広を着ていて全体的にくたびれた印象を抱かせた。

 

男性「ん?そこの君」

のび太「は、はい。何でしょう?」

男性「骨川さんの家を知らないかい?」

のび太「骨川…スネ夫の家か…」

男性「知っているのかい!」

のび太「ええ、僕も今から行こうとしてましたし」

男性「なら、案内を頼んでも良いかな?」

のび太「はい、分かりました」

 

のび太と男性は一緒にスネ夫の家に向かう事になった。その途中、のび太がまだ名前を聞いていない事に気付いた。

 

のび太「あの〜」

男性「何だい?」

のび太「僕は野比 のび太です。貴方の名前は…」

男性「僕は益野 忠(ますの ただし)だよ。宜しく」

のび太「はい、忠さん」

忠「…君を見ていると息子の事を思い出すよ」

のび太「お子さんがいるんですか?」

忠「ああ、丁度君と同じ位の年かな。最も、今はもう会えないけどね」

のび太「…そうですか」

 

のび太はそれ以上の追及をやめた。何だか他人が入り込んではいけない様な雰囲気を醸し出していたからだ。何と無くお互い黙ってしまう。そして、二人はスネ夫の家に着いた。

 

のび太「着いた」

忠「此処が…あいつの」

 

忠が何か言っていた様だったが、のび太には聞き取る事が出来なかった。のび太はインターフォンを押そうとする。

 

忠「すまない」

のび太「うわっ⁉︎」

 

忠はのび太がインターフォンを押す前にのび太を後ろに突き飛ばした。のび太は驚きながらも受け身をとると、忠の方を向く。

 

のび太「何するんですか!」

忠「…驚いたな。まさか、咄嗟に受け身をとるとは…。もしかして、格闘技か何かやっているのかい?」

 

忠は心底驚いたと言う表情で尋ねる。しかし、のび太はその質問に取り合う気は更々無かった。

 

のび太「質問に質問で返さないで下さい。もう一度聞きます。何のつもりですか?」

忠「何のつもりか…。そうだな…先ず第一に君を突き飛ばしたのはこれから起こる事に巻き込みたく無かったからかな」

 

のび太の有無を言わさぬ気迫に忠は微塵も怯えや動揺も見せず、淡々と答える。そして、その返答にのび太は顔を顰めた。

 

のび太「起きる?起こすの間違いじゃ無いですか?」

忠「確かにそうだね、訂正しよう。そして、第二に僕が此処に来たのは復讐の為だ」

のび太「復讐…」

忠「そうだ。少し昔話をしよう。僕は息子と二人暮らしをしていた。妻は息子を産んで直ぐに事故で亡くなった。僕は息子に辛い思いをさせない様に仕事も早く終わらせて、息子との時間もなるべく取れる様にしたさ。だけど、その後、無理が祟ってね。倒れてしまったんだよ。その時、息子に泣きながら言われたんだ。僕の為に無理しないで、僕は平気だから、だって男だからって。正直、嬉しかったよ。息子がいつの間にかこんなに立派になっていて。それからの僕等の生活はより幸せだったよ。本当に…」

 

過去の話を語る忠の表情は本当に幸せそうだった。だが、その表情は途端に一変し、憎しみの篭った表情になる。

 

忠「だが、そんなある日。息子は事故にあった。即死だったよ。原因は飲酒運転だった。犯人は会社の重役でね、捕まったが直ぐに無罪放免で釈放になった。恐らく、その立場を利用したんだろう。僕にはそれが納得出来なかった。だから、僕は直接本人に問い詰めたさ。そしたら何て言ったと思う?ああ、あの子供か、それは悪い事をしたな。だが、だからどうだと言うんだ?私はもう無罪だ、今更何を言われても判決は揺るがない。まっ、恨むのなら会社を恨むのだな、って。我慢ならなかった、息子を殺しておいて自分は悠々と生きている事に。だから、僕はその事実を世間に公表しようとした。だが、誰も相手にしてもらえず、僕は会社をクビになったよ。それからと言う物、僕は抜殻の様になった。生きている事の意味を見出せず、自殺を謀ろうといた」

 

そう語った忠の過去をのび太は沈痛そうな表情で聞いていた。それを見て、忠は更に語る。

 

忠「だが、その時だったよ。あの男が現れたのは。あの男も君の様に親身になって僕の話を聞いてくれてね。そこで言われたんだ。その会社に復讐をしなくは無いか、とね。正直、したかった。それがいけない事だとは十分理解していた。だけど、息子を失った今の僕にはそれ以外の道は無かった。僕はそれを言ったさ。すると、あの男は、ならその為の力を君に与えよう、受け取りたまえ。そう言って貰ったのがコレだよ」

 

忠はそう言うと背広の内ポケットからある物を取り出す。それは持ち手が黒く、上に白いドームとその真ん中に赤いスイッチが着いたものだった。

 

のび太「ゾディアーツスイッチ…」

忠「知ってるのか、君は本当に何者だ」

のび太「それで復讐したんですか?」

忠「ああ、先ずは息子を殺したあの屑だ。いやぁ、奴の最後の瞬間は見物だったね。泣き叫びながら許しを請う姿は本当に醜くて滑稽だったよ。まあ、散々痛め付けて殺したがね。その後、僕は奴の言葉を思い出したんだ。恨むのなら会社を恨むのだなと言う言葉を」

のび太「…まさか…」

忠「僕はその言葉通りに会社を恨み、復讐した。まあ、殺しはしなかったが、かなりの恐怖を植え付けて置いたから何人立ち直れるのやら」

のび太「…」

忠「そして、これで最後だ。僕等の会社の大元の会社。骨川グループ、詰まり此処の一家を皆殺しにすれば僕の復讐は完了する」

のび太「そうですか…」

忠「だから、此処は見逃してくれないか?君を巻き込みたく無いんだ」

 

忠は真面目な表情でのび太に頼んだ。のび太はこれが本気で頼んでいるのは理解している。この人は心根はとても優しい人だ。現に僕を巻き込むまいとこうして説得していてくれるし、さっきの突き飛ばしもかなり手加減がされているのが分かった。だが…

 

のび太「出来ません」

忠「のび太くん…」

のび太「貴方の方こそ、こんな事はやめて下さい。貴方の様な人がこれ以上罪を重ねるべきではありません」

 

だからこそ、此処で退く訳にはいかない。此処で退いたら友達であるスネ夫達も間違い無く巻き込まれるだろう。それに、この人にこれ以上誰かを傷付けて欲しく無い。だから、のび太は此処に留まる事を決める。

 

のび太「それでも貴方がこれ以上進むと言うのなら…」

《DECADRIVER》

のび太「僕が貴方を止めます」

忠「君は…」

 

のび太はディケイドライバーを出現させて、腰に装着させる。すると、のび太の腰に銀色のベルトが巻かれる。それに対し、忠は強く握る。

 

忠「君の気持ちは嬉しい。だが、僕も此処でやめる訳にはいかないんだ‼︎」

 

忠がゾディアーツスイッチを押すと、身体が黒煙に包まれ狼座の星が浮かび上がる。そして、その星座が身体に付くと黒煙が晴れ、忠の身体は異形になっていた。青緑色の身体に尻尾、狼の様な頭部、黄色の目に両手両足には長く鋭い爪の“ウォルフ・ゾディアーツ”に変わっていた。

 

ハウンド「さあ、今の僕を止められるかな?」

のび太「止めますよ、絶対!変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

のび太はディケイドライバーにカードを装填する。すると、のび太の周りに14の影が現れ、それらがのび太に重なり仮面ライダーディケイドへと変身する。それを見たウォルフ・ゾディアーツは驚きの声をあげる。

 

ウォルフ「君が…怪人…」

ディケイド「正確には仮面ライダーですけどねっ!」

 

ディケイドはウォルフ・ゾディアーツに向かい一気に突っ込む。そして、拳を振るい攻撃する。ウォルフ・ゾディアーツは拳に蹴りを当てる事で受け流す。ウォルフ・ゾディアーツは隙によって無防備になったディケイドを切り裂こうとするが、ディケイドはその腕に裏拳を打ち込み止める。更に、そこから腕を曲げ肘鉄を叩き込み、ウォルフ・ゾディアーツが怯んだ処に蹴りを入れ吹き飛ばす。だが、ウォルフ・ゾディアーツは直ぐに受け身をとると、狼の様な四つん這いの姿勢で着地する。

 

ウォルフ「やはり君は只者じゃ無いね」

ディケイド「そう言う貴方こそ随分と武術の心得がある様ですね」

ウォルフ「何、少しばかり齧っていた程度だよ」

ディケイド「これで齧った程度とは大した才能ですね」

ウォルフ「まっ、現代の社会じゃあ何にも役に立たないけどねっ‼︎」

 

ウォルフ・ゾディアーツは四つん這いの体勢からディケイドに飛び掛かる。そして、空中でディケイドの頭部に蹴りを放つが、ディケイドはそれを腕で防ぐ。そこからウォルフ・ゾディアーツは更に連続で空中から蹴りを放つ。ディケイドは何とか防いでゆくも、途中で防御を崩されされるがままに蹴りを喰らう。そして、ウォルフ・ゾディアーツは踵落としを放ち、その鋭い爪を利用してディケイドを縦に切り裂く。ディケイドは火花を散らしながら後退りするも、ウォルフ・ゾディアーツは着地して直ぐに距離を詰め前蹴りを放つ。それを喰らったディケイドは空中に上げられ後ろに飛ばされる。その後ろにはスネ夫達の居る部屋の窓があった。

 

バリーンッ‼︎

ディケイド「ぐあっ‼︎」

スネ夫「う、うわぁー‼︎」

静香「キャアーーーー‼︎」

武「な、何だ⁉︎」

 

部屋の中に居たスネ夫達は突然の乱入者に悲鳴を上げて驚く。だが、静香は直ぐにその正体に気付きディケイドに駆け寄る。

 

静香「大丈夫ですかっ⁈仮面ライダーさん!」

ディケイド「くっ、うぅ…。っ!来るな、下がれ‼︎」

 

ディケイドは苦しみながらも此方に跳んで来るウォルフ・ゾディアーツに気付き警告をするも、静香は咄嗟に動けない。その間にウォルフ・ゾディアーツが部屋に入って来て、ディケイドは静香を抱き抱えジャイアンとスネ夫の居る所に下がる。

 

静香「えっ…」

ディケイド「大丈夫?」

静香「……!はっ、はい」

ディケイド「そうか、それは良かった」

 

静香は突然の事に驚くが、今のディケイドにはそれを気にする余裕は無く気付かなかった。そこへウォルフ・ゾディアーツが歩いて近づいて来る。

 

ウォルフ「もう終わりかい?此方はまだまだいけるのですが?」

ディケイド「はっ、冗談。僕もまだ余裕だよ」

ウォルフ「そうか、では行くよ!」

 

ウォルフ・ゾディアーツがディケイドに向かって来る。ディケイドは後ろの皆を巻き込まない為、敢えて前へ出て迎え討つ。ウォルフ・ゾディアーツは爪で切り裂こうとするがディケイドはそれを半身になり回避する。そして、ディケイドはカウンターでパンチを繰り出す。そこから、ライドブッカー(ソード)で切り裂く。

 

ウォルフ「うっ!強いね」

ディケイド「そりゃ、簡単に負けるつもりはありませんからね」

ウォルフ「だけど、これはどうかな?」

 

すると、ウォルフ・ゾディアーツは部屋の隅に居たスネ夫を素早い動きで捕らえた。

 

スネ夫「うわぁ〜〜〜‼︎ママ〜〜〜〜〜〜‼︎」

武「!スネ夫‼︎」

静香「スネ夫さん‼︎」

ディケイド「しまった、くそっ!」

ウォルフ「ふふふ、これで形勢逆転だよ」

 

スネ夫は泣き叫びながら暴れるがウォルフ・ゾディアーツから逃げる事は叶わなかった。武と静香はスネ夫の名を呼び、ディケイドは己の失態に悪態をつく。

 

スネ夫「うわぁぁぁ‼︎」

ウォルフ「!こら、暴れるな!」

ディケイド「今だ!」

 

スネ夫は恐怖の余り無茶苦茶に暴れだして、ウォルフ・ゾディアーツがそれに気を取られた一瞬にディケイドはライドブッカー(ガン)で銃撃する。それを喰らったウォルフ・ゾディアーツは後ろに倒れ、倒れてきたスネ夫は咄嗟に入ってきた武が受け止めた。

 

武「スネ夫、大丈夫か!」

静香「スネ夫さん!」

スネ夫「ジャイア〜〜〜〜ン!うわぁぁぁん〜‼︎」

ディケイド「ふぅ、何とか無事みたいだね…」

 

スネ夫は助かった事に気付くと武にしがみついて泣き出した。静香も駆け寄りスネ夫の安否を確認する。その光景を見たディケイドは安堵の息を吐き、ウォルフ・ゾディアーツの方に向き直った。

 

ウォルフ「くうぅ、おのれ…」

ディケイド「これ以上、好きにはさせない‼︎」

《KAMENRIDE SKYRIDER》

 

そのカードを装填すると、ディケイドの姿が変わっていく。赤い複眼に緑のマスクに銀のクラッシャー、マスクと同じ緑の肩と下半身、オレンジの胸部と腕に手足の黒いグローブとブーツに赤いマフラーの戦士“スカイライダー”だ。

 

静香「…」

武「すげぇ…」

スネ夫「かっこいい…」

 

その更なる変身に一同はポカーンとした表情で男子二名はその姿に魅入っていた。ウォルフ・ゾディアーツは少したじろぐ。

 

ウォルフ「くっ、姿を変えた位でどうにかなるか!はあっ!」

Dスカイライダー「ふっ」

《ATACKRIDE SAILINGJUMP》

 

Dスカイライダーはウォルフ・ゾディアーツの爪を避けると、ウォルフ・ゾディアーツに掴みかかる。そして、先程自分が割って入ってきた窓からそのまま飛び出る。すると、Dスカイライダーの身体が落ちること無く飛び上がった。

 

ウォルフ「な、これは…!」

Dスカイライダー「場所を変えて思いっきりやりましょうよ」

 

ウォルフ・ゾディアーツを掴んだままDスカイライダーは飛び続ける。そして、裏山まで来るとDスカイライダーはウォルフ・ゾディアーツを掴んでいた手を離して落とす。

 

ウォルフ「うわぁぁぁ‼︎ぐへっ‼︎」

Dスカイライダー「さあ、決着をつけよう」

 

地面に落下したウォルフ・ゾディアーツはカエルが潰れた様な声を出し、Dスカイライダーは地面に降り立つ。

 

ウォルフ「やってくれるね…はあっ!」

Dスカイライダー「ふっ、はっ、やあっ!」

 

ウォルフ・ゾディアーツはDスカイライダーに接近し蹴り放つ。Dスカイライダーはそれを屈んで避けるも、更に連続で蹴りを放ってくる。Dスカイライダーはそれらを捌き続け、最後の蹴りを手刀ではたき落とすと、拳や蹴り、手刀を喰らわせて投げ飛ばす。投げ飛ばされたウォルフ・ゾディアーツはダメージの為か受け身が取れず、背中から思いっきり落ちていった。背中を打ち付けたウォルフ・ゾディアーツは肺の中の空気を一気に吐き出し、その場で苦しみ悶える。

 

Dスカイライダー「もうやめて下さい。これ以上は…」

ウォルフ「煩い‼︎私は何が何でもやらなくちゃいけないんだ‼︎ウォーーーーーーーーンッ‼︎」

 

ウォルフ・ゾディアーツはそう叫ぶと、Dスカイライダーに向かって咆哮をあげる。そして、その咆哮は衝撃波となって襲う。Dスカイライダーはそれを空中へ跳び上がる事で回避し、空中で前方宙返りをしてウォルフ・ゾディアーツの後ろに回り込む。そして、振り向き様に回し蹴りを入れ、拳を二発叩き込み前蹴りで吹き飛ばす。

 

ウォルフ「あがっ!ぐぅぅ…」

Dスカイライダー「これが最後です。本当にやめないんですか?」

ウォルフ「僕は、僕は…まだ‼︎」

Dスカイライダー「そうですか…」

 

最後まで復讐に拘るウォルフ・ゾディアーツにDスカイライダーは悲しそうに呟くとトドメをさそうとカードを装填しようとする。ウォルフ・ゾディアーツは何とか足掻こうとよろよろと立ち上がる。Dスカイライダーはそんな姿さえも見ていられなかった。その時…

 

?「もう十分だよ、益野くん」

ウォルフ「!どうして貴方が此処に⁈」

Dスカイライダー「お前は…確か、金井 横瀬(かねい よこせ)

 

突然、現れた男は金井 横瀬。有名な大企業である金井財閥の社長で、度々TVにも出ていた事があった。骨川財閥とはお互いライバル関係の様な立場にある。

 

ウォルフ「どう言う事だ!まだ、俺の役目は…」

横瀬「貴方の役目は此処で終了です。お疲れ様でした」

ウォルフ「何故だ⁉︎理由を説明しろ‼︎」

横瀬「ふ〜む、そうですね。言うなれば、もう十分と言う事です。騒ぎを起こす役目はね」

ウォルフ「騒ぎを起こす?僕の復讐に手を貸してくれているんじゃ…」

 

ウォルフ・ゾディアーツの言葉に横瀬は心底馬鹿にした様な表情になりフッと鼻で笑う。

 

横瀬「ご冗談を。何が悲しくて貴方なんかの為にこんな下らない茶番に付き合わなければならないのです?馬鹿も休み休みに行って欲しい物ですね」

ウォルフ「なっ⁉︎」

横瀬「この際、良いでしょう。話しましょう、私の本当の目的を」

 

そう言うと横瀬は語り始めた。

 

横瀬「先ず、私達金井財閥と骨川財閥がライバル関係にあるのはご存知ですね?ここ最近、金井財閥の利益が低迷していましてね。それでどうした物かと考えまして思ったのです。骨川財閥を潰せばもう金井財閥に敵う企業はいなくなる。そして、日本のトップ企業として更に名を馳せられる。正に一石二鳥、これしか無いと思いましたね。ただ、問題はその方法でね。下手に失敗をするとあっという間にマスコミに騒ぎ立てられてしまう。だから、迂闊には動けなかったんです。そんな時です、私があいつに出会ったのは…」

Dスカイライダー「あいつ…?」

横瀬「そう、あの時の私にとっては救世主でしたね。そして、その人物から貰ったのが益野くんが持つそれと…これです」

 

横瀬はポケットからゾディアーツスイッチを取り出した。

 

Dスカイライダー「何故お前もそれを⁉︎」

横瀬「いや〜、これは素晴らしい物だ。このスイッチを押すだけで文字通り超人になることができる。最高だよ」

Dスカイライダー「それで?」

横瀬「そして、私は考えました。これらを使えば金井財閥がトップとして君臨する事が出来ると。先ず、当時骨川財閥の子会社の社員だった益野くんにこれを渡し欲望のまま暴れさせる。それで、ある程度大事になった処でこの真実を公開する。そうすれば骨川財閥の利益は右下がりだ」

Dスカイライダー「ちょっと待て。幾ら連続殺傷事件の犯人が骨川財閥の系列だからって、たかが子会社の一社員に過ぎない忠さんじゃあ、利益に影響が出るとは思えない」

横瀬「確かに幾ら何でもそれだけじゃ無理ですね。ですが、それだけじゃ無いとしたら?」

Dスカイライダー「何?」

 

頭の上に?を浮かべるDスカイライダーを嘲笑うかの様に見下して言い放つ。

 

横瀬「つまり、益野くんの会社の不祥事も一緒に公表すればどうでしょう。単体では何とも思われない二つの事件。それを一つの事件として公表すれば世間の意見は変わってくる。重役の隠蔽によって犠牲になった子供、その父親の悲劇の復讐劇。ここまで他人の涙を誘う展開なんて早々無いですよ」

ウォルフ「お前…」

横瀬「そして、骨川財閥全体の信用はガタ落ちし、金井財閥は日本のトップ企業に…フッフッフッ、フッハッハッハッハッハッハッ‼︎」

 

横瀬は空を見上げ大きな声で高笑いをする。それにウォルフ・ゾディアーツは身体をプルプル震わせて、まるで怒りに耐えている様だった。

 

横瀬「さあ、これで最後です。此処で貴方には死んでもらいます」

ウォルフ「っ‼︎」

横瀬「さっき言ったでしょ?悲劇(・・)のと。復讐半ばで力尽きる、これで完璧な脚本の完成です。では…」

 

横瀬はそこまで言い切るとゾディアーツスイッチを押す。すると、黒煙が身体を包みケルベルス座が浮かび上がる。そして、星座が身体に付いて黒煙が晴れると、紫の細身の身体に蛇の様な頭部、更に両腕には白い蛇が付いている“ケルベロス・ゾディアーツ”へと変化した。

 

ウォルフ「…け…な。巫山戯るなぁぁぁぁぁ‼︎」

Dスカイライダー「なっ、待て。行くな‼︎」

ケルベロス「あらあら、自ら突っ込んで来てくれるとは有難い。では、遠慮無く。はあっ!」

 

ウォルフ・ゾディアーツはDスカイライダーの制止も聞かずに怒りに身を任せてケルベロス・ゾディアーツに向かって行く。ケルベロス・ゾディアーツはそんなウォルフ・ゾディアーツに右腕を向ける。すると、右腕の蛇が口を開けて伸びていきウォルフ・ゾディアーツの胸を貫いた。

 

ウォルフ「がはぁっ‼︎」

Dスカイライダー「忠さん!」

 

貫かれたウォルフ・ゾディアーツは力無く崩れ落ち忠の姿に戻る。Dスカイライダーは忠に駆け寄り支える。

 

Dスカイライダー「忠さん、忠さん!しっかりして下さい!」

忠「ああ…僕は…僕のしてきた事は…ただの、無駄…だったのか…」

 

忠は胸を真っ赤に染めて口から血を垂れ流しながら途切れ途切れに小さな声で言う。その表情は何処までも後悔を残した表情だった。

 

忠「僕は…これから…地獄に行くん…だろうな。息子とももう…」

Dスカイライダー「そんなこと無い!貴方は、貴方は息子さんと二人で安らかに…それで、それで…」

 

忠の言葉にDスカイライダーは大声で否定する。その声は心無しか涙声の様に聞こえた。その言葉に忠はDスカイライダーに僅かに笑顔を見せる。

 

忠「ありがとう…その言葉…が、聞けたら…もう…十分…」

Dスカイライダー「忠さん、待って!死んだら…」

忠「…じゃあね…のび太くん…少ない時間だったけど…息子との時間の、様で…楽しかったよ…ありが…」

 

そこまで言うと忠は静かに目を閉じ力尽きた。Dスカイライダーは暫く無言で忠の遺体を抱えていたが、やがて静かに地面に下ろし寝かせる。

 

ケルベロス「おやおや、やっと終わりましたか?それにしても感動的な場面でしたね、もうハンカチが手放せませんでしたよ。最もその男は最後まで知らなかった事もありますが…」

Dスカイライダー「…何をだ」

ケルベロス「その男の息子の事故。あれ私が仕組んだんですよ。その男の会社の重役は此方に寝返った奴でしてね、謂わばスパイみたいな者ですね。それでこの状況を作り出す為にわざとそいつに子供を轢かせたんですよ。まあそいつも死にましたけど、どうせ信用も出来ない様な奴です。どうなろうが私の知る処では、がぁっ⁉︎」

Dスカイライダー「…黙れよ…」

 

得意気に語るケルベロス・ゾディアーツに接近し殴り飛ばす。それによりケルベロス・ゾディアーツは吹き飛ぶも直ぐに体勢を立て直しDスカイライダーを睨みつける。

 

ケルベロス「お前ッ!どうやら死たいようだなっ!あっ⁈」

Dスカイライダー「お前みたいなのに殺られるか屑蛇野郎が…」

 

ケルベロス・ゾディアーツの威圧をものともせずに逆に威圧し返す。ケルベロス・ゾディアーツはその迫力に無意識のうちに冷や汗を流していた。

 

Dスカイライダー「…」

《KAMENRIDE AGITO》

 

Dスカイライダーは赤い複眼“コンパウンドアイズ”に黒のスーツ、胸部などの金の装甲に同じ金色の二本の角“クロスホーン”を持った超越肉体の金“仮面ライダーアギト グランドフォーム”へと変身する。更にDアギトはカードを装填する。

 

《FORMRIDE AGITO BURNING》

 

すると、アギト(グランド)に更なる変化が訪れる。コンパウンドアイズは黄色くなり、全身の金色の部分が赤く染まり、上半身の装甲が大きくなり溶岩の様に赤熱し、クロスホーンが常時展開した様になった燃え盛る業炎の戦士“バーニングフォーム”になる。

 

Dアギト(バーニング)「…」

ケルベロス「っ!図体が少しデカくなっただけでそれだけだろ!」

 

ケルベロス・ゾディアーツは感じる威圧感を誤魔化す様にそう言うと両腕の蛇を伸ばしてくる。対する、Dアギト(バーニング)は微動だにせず待ち構える。そして、伸びてきた蛇がDアギト(バーニング)を貫こうとするが…

 

ケルベロス「な、何っ⁉︎」

Dアギト(バーニング)「…はあっ!」

 

その攻撃がDアギト(バーニング)を貫く事は叶わず弾かれるだけに終わる。Dアギト(バーニング)はその蛇の片方を片手で掴むと思いっきり引っ張る。それにより、ケルベロス・ゾディアーツはDアギト(バーニング)の方に勢い良く引っ張られる。

 

Dアギト(バーニング)「たあっ‼︎」

ケルベロス「ぐがっ‼︎」

 

Dアギト(バーニング)は飛んできたケルベロス・ゾディアーツを力の限り殴りつける。それを喰らったケルベロス・ゾディアーツはボールの様に吹き飛び近くの木を薙ぎ倒し倒れる。

 

ケルベロス「く、来るなぁぁ!」

Dアギト(バーニング)「ふんっ!」

 

ケルベロス・ゾディアーツはゆっくりと近づいて来るDアギト(バーニング)に恐怖し、叫びながら周囲の石やさっき倒した木を蛇を使って同時に投げる。だが、Dアギト(バーニング)は立ち止まること無く飛んでくる石や木を無視する。当たった石や木は逆に装甲に当たっただけで破壊される。そして、Dアギト(バーニング)はケルベロス・ゾディアーツの目の前に辿り着く。ケルベロス・ゾディアーツは腰を抜かして情けない声を上げながらDアギト(バーニング)を見上げていた。

 

ケルベロス「ひっ!か、金なら幾らでも払う!金以外でも宝石でも地位でも何でもやる。だ、だから見逃してくれ!そ、そうだ、何なら手を組まないか?あんたが居れば何だって出来る。も、勿論手柄は山分け、いやあんたの取り分を優先する!だ、だから…」

Dアギト(バーニング)「…お前と話す事はもう何も無い」

《FINALATACKRIDE A・A・A・AGITO》

 

ケルベロス・ゾディアーツの命乞いを無視してDアギト(バーニング)は右手を握り込み炎を溜める。それを見てケルベロス・ゾディアーツは逃亡を謀ろうとするがDアギト(バーニング)はそれを許さず、左手でケルベロス・ゾディアーツの首根っこを掴むと上へ放り投げる。情けない声を上げながら落下して来るケルベロス・ゾディアーツに向かって炎力を込めたパンチ“バーニングライダーパンチ”が炸裂し、爆発を起こす。そして、その中から気絶した横瀬が落ちて来る。ディケイドの姿に戻り、暫くその場で既に息絶えた忠を茫然と見ていたが、その場に一人の警官が現れる。

 

警官3「こ、これは一体…」

ディケイド「…あの」

警官3「はっはい!」

 

いきなり声をかけられた警官は緊張した様子で返事をする。だが、その声の中に恐怖が一切含まれていないのが不思議だったが、それよりも今やるべき事を優先した。

 

ディケイド「そこの人をお願いします」

警官3「この人…死んでる!これは…」

ディケイド「…その人に何の罪も無いとは言わない。けど、その人はただ普通に生きたかっただけなんだ…」

警官3「そ、それはどう言う…」

 

ディケイドは警官の話は聞かずにそのまま去ろうとする。警官は事態が呑み込めず混乱していたが、自分が言いたかった事を思い出す。

 

警官3「あ、あの!この前は助けて頂きありがとうございました!」

ディケイド「えっ?」

 

ディケイドは警官の思いがけない言葉に思わず足を止めて振り返る。警官は緊張した面持ちで言葉を続けた。

 

警官3「僕は…以前助けて頂いた者で、永山 啓と申します!」

ディケイド「あ、ああ、あの時のか」

 

ディケイドは啓が以前、ホイール・ドーパントに襲われていた警官だった事を思い出した。

 

ディケイド「あの時は大丈夫だった?」

啓「はい!お陰様で無事でした。それで…その、お名前を伺っても宜しいでしょうか?」

ディケイド「…」

啓「い、いえ、やっぱり良いです。貴方が言いたくなければ…」

ディケイド「…仮面ライダー」

啓「へっ?」

 

啓は突然、ディケイドの言った言葉に首を傾げる。それに構わずディケイドは続ける。

 

ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ…」

啓「仮面ライダー…?」

ディケイド「それじゃあ」

啓「あっ、ちょっと…」

 

ディケイドはそう言うとその場から姿を消した。啓は辺りを見回すがもうディケイドは居ない。啓はディケイドの捜索を諦めて、彼から託された事をやり遂げる為、救急車と仲間の警察を呼んだ。

 

翌日

 

金井のやった事は全て暴露てTVや世間を賑わせた。金井財閥は倒産、例の寝返った重役も会社からクビを言い渡され再逮捕された。そして、益野 忠の事もTVで報道された。怪人の事は知られる事は無かったが世間からは横瀬の言った通り運命を狂わされた悲劇の復讐者として同情を浴びた。

 

のび太「此処か…」

 

のび太は小さな花束を持ってあるお墓の前に来ていた。その墓には益野と書いてある。のび太は持って来た花束をお墓の前に置いた。

 

のび太「すいません。本当はもっと大きなのを持って来られれば良かったんですが、お小遣いが無くて…今度はお供物と一緒に持って来ますから」

 

のび太はそう言うとお墓の前にしゃがみ込み目を閉じて手を合わせる。そして暫くして、のび太は目を開けて立ち上がる。

 

のび太「じゃあ行きますね忠さん。どうか息子さんと安らかに」

 

のび太は墓の前から立ち去り少し進んだ処で…

 

ーーありがとうーー

のび太「っ!…どう致しまして…」

 

ふと、声が聞こえた気がして振り向くもそこには誰も居なく、ただ供えた小さな花束が風によって微かに揺れているだけだった。しかし、のび太には一瞬見えた様な気がした。自分と同じ位の男の子と一緒に此方に笑いかけている忠の姿が。のび太は正面に向き直り家に向かって歩いて行く。その後ろでは、忠の墓が一筋の太陽の光に暖かに照らされていた。

 

 

 

 




後書きの間

のび太「何?後書きの間って?」
奈々「作者が急に思い付いて採用したらしいよ」
ドラえもん「何やってんだろ、あいつ…」
郎夜「知らん…」
Δデルタ「では、今回の怪人&アイテムの紹介だ!」

ウォルフ・ゾディアーツ

狼座をモチーフとしたゾディアーツ。能力はその身軽さと鋭い爪、更に咆哮を衝撃波として飛ばす事も。戦闘では主に、その身軽さと鋭い爪を活かした白兵戦で真価を発揮し、咆哮の衝撃波での遠距離攻撃も織り交ぜる。

ケルベロス・ゾディアーツ

ケルベルス座をモチーフとしたゾディアーツ。能力は自らな意思で自由に伸ばしたり操作できる両腕の蛇。戦闘では両腕の蛇を鞭の様に使用した近〜遠距離戦や周囲の物体を蛇によって投げ飛ばす遠距離攻撃をするなど全ての間合いにおいて戦闘が可能。ただ、攻撃のバリエーションが乏しいのとパワーの低さが欠点。しかし、両腕の蛇は別でパワーが凄まじい。

郎夜「今回はキレたのび太の大暴れか…容赦が無いな。まあ、俺もこんな奴に容赦する気なんて更々無いけどな」
奈々「今回のは私も同意です!」
ドラえもん「そう言えば、のび太くん。何だか口調変わってたね」
のび太「あ〜、あれはキレるとたまになるんだよ。まあ、よっぽどキレない限りは無いけどね」
奈々「後はあの永山 啓さんですね」
ドラえもん「何だか協力者になるフラグっぽいのが立ってる気がするけど」
郎夜「てか、ありゃなるだろ。普通に考えて」
のび太「だよね」
ドラえもん「作者、もうちょっと隠すとか出来ないの?」
Δデルタ「僕の技量では無理だ!」
郎夜「威張ってんじゃ無えよ!下手くそ!」
奈々「まあまあ、落ち着いて下さいよ師匠」
Δデルタ「んじゃま、今回はここら辺にしとくか」
ドラえもん「そだね」
奈々「それでは皆さん、今回はここまで。次回またお会いしましょう。次回もヨロシクお願いします♪」


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第六話

Δデルタ「どうも、デルタだ」
のび太「どうもじゃない」←思いっきり蹴っ飛ばす
Δデルタ「ゴフゥッ⁉︎」
ドラえもん「おい、愚作者!焔崩しさんとのコラボはどうしたのさ‼︎」
のび太「場合によっちゃあただじゃおかないからな!」
Δデルタ「そ、それはだな…」
のび太「うん」
Δデルタ「今回の話ではどうしてもやりたい事があったんだ」
ドラえもん「それで?」
Δデルタ「だから、今回の話にコラボを入れると凄いぐちゃぐちゃになっちゃいそうで、そんなの失礼だろ?だから、次回にちゃんとしたコラボの話を書こうと言う訳なんだ」
のび太「成る程」
ドラえもん「一応、筋が通ってなくはないね」
郎夜「焔崩しさん、本当にすみません!コラボは次回の話で絶対にやらせていただくので!申し訳ありません!」
奈々「えっと、それでは第六話を…」
皆「どうぞ!」


 

ある晴れた日の朝に、のび太はランドセルを背負って学校へ向かって走っていた。

 

のび太「しまった〜!今日は遅刻するつもりじゃなかったのに〜!」

 

何故のび太がここまで焦っているのかと言うと、実は最近のび太はそのつもりじゃなくても遅刻している日が続いており、今日遅刻すると五日連続となってしまうのである。それは流石に不味いと思ったので、こんなに急いでいるのである。

 

のび太「最近、弛んでるのかな〜…」

 

のび太は最近の自分の姿に嘆きながらも走るスピードは緩めずに向かっていた。

 

のび太「はぁ〜。…ん?」

 

走っていたのび太は違和感を感じて、急に立ち止まる。そして、辺りをキョロキョロと見回す。

 

のび太「ん〜、何だろう?この違和感…何かいる?でも、そんな気配は…って!こんな事してる場合じゃない!遅刻〜!」

 

少しの間、自分が感じた違和感について考えていたのび太だったが、現在の自分の状況を思い出し慌てて走り出す。そんなのび太の後ろ姿を近くの屋根の上で見ている影があった。

 

 

学校

 

学校ののび太のクラスには既にのび太以外の全員が席に座っていた。そこへのび太のクラスの担任の先生が入ってくる。

 

出木杉「起立、礼」

全員「おはようございます!」

先生「うん、皆おはよう。さて、それでは出席をとる」

 

そう言って先生は生徒の名前を呼んでいき出席をとっていく。そして、とうとうのび太の番になった。

 

先生「野比くん。…野比くん!」

のび太「は、はい!」

 

先生が二回目にのび太の名前を呼んだ時に、のび太が乱暴にドアを開け、返事をしながら滑り込む様に入ってきた。先生は今さっき入ってきたのび太の方を向く。

 

先生「野比くん。ギリギリじゃないか」

のび太「すいません!」

 

先生の言葉にのび太はすぐに頭を下げる。それを見た先生は呆れた様に溜息を吐く。

 

先生「はぁ…。本来なら遅刻の所だが、今回は特別に許そう」

のび太「っ!あ、ありがとうございます!」

先生「今回だけだぞ。分かったな、野比?」

のび太「はい」

 

何とか許されたのび太は素早く自分の席に着く。そして、ランドセルを下ろして安堵の息を吐く。

 

のび太「ふぅ〜。あ、危なかった」

静香「大丈夫?のび太さん」

 

のび太の様子を見て静香は心配をして、声をかける。それにのび太は笑顔で返す。

 

のび太「うん、大丈夫だよ。何時もの事だし」

静香「そう?なら、いいけど」

先生「皆!それでは授業を始めるぞ!」

 

のび太と静香の会話が終わったところで、先生が授業を始めたので皆は話をやめて、前を向いた。

 

 

裏山

 

郎夜「いつ来ても此処は落ち着くな」

 

子供達が学校へ行っている時間に、郎夜は裏山で寝転がっていた。郎夜はのび太に会いにこの世界に来たは良いが、のび太が学校に行っている時間だったので裏山昼寝でもして時間を潰そうと思ったのだ。因みに、奈々は郎夜たちの世界で学校に行っている時間である。

 

郎夜「すぅ、はぁ〜、…うん?」

 

郎夜は深呼吸をしていざこれから昼寝しようと言う時に何かを感じて寝そべったまま首を左右に向ける。しかし、何も見つからないので気の所為かと思い、再び昼寝に入ろうとしたその時。

 

ワーム(サナギ)「キシャァァ!」

郎夜「ふっ、よっと!」

 

突然、外殻に覆われた緑色の身体に右手に長い鉤爪を持った不気味な怪人“ワーム サナギ体”が郎夜に飛びかかってきた。郎夜は、それを転がって躱すとカウンターに蹴りを放つ。それを受けたワームは吹き飛ばされ、地面を転がる。すると、郎夜の周りの茂みや木の陰から四体のワーム(サナギ)が現れる。

 

郎夜「違和感の正体はお前らか。全く、人の昼寝の邪魔をするとは野暮な奴らだな」

《ドライバーオン、ナウ》

ワーム達(サナギ)「キシャァァ‼︎」

 

郎夜がワーム達に文句を言いながらワイズドライバーを起動すると、ワーム達は一斉に向かってくる。郎夜もワーム達に向かってゆっくりと歩き出す。

 

《シャバドゥビタッチヘンシン、シャバドゥビタッチヘンシン》

郎夜「変身」

《チェンジ、ナウ》

 

郎夜はフィンガースナップをして、リングをドライバーに翳し白い魔法使いに変身する。そして、ハーメルケインを構えながら、ワームの集団に向かっていく。

 

白い魔法使い「はあっ!だあっ!」

 

ワームの集団に突っ込んだ白い魔法使いは一番手前にいた二体のワームを切り裂く。そして、正面から来たワームも鉤爪の攻撃を躱し、背後から蹴り飛ばす。その隙を見て、二体のワームが背後から飛びかかってきたが、白い魔法使いはそれを前を向いたまま屈んで躱す。攻撃を躱されたワームは、その勢いで白い魔法使いの前で無防備な姿を晒す。そこへハーメルケインでの連撃を喰らわせ、最後に蹴りをいれて吹き飛ばす。

 

白い魔法使い「何だ、大した事無えじゃねえか。それなら一気に決めちまうか」

《エクスプロージョン、ナウ》

 

白い魔法使いはワーム達の呆気なさに呆れながらも、リングをドライバーに翳す。すると、ワーム達のいた地点に魔力の爆発が起こり、ワーム達の断末魔の叫びの様な声が響き渡る。それを見た白い魔法使いは肩の力を抜く。

 

白い魔法使い「はぁ〜、終わったか〜。さてと、それじゃあ昼寝の続きでも…ぐあっ!」

 

戦闘終わりで完全に気を抜いていた白い魔法使いは突然の衝撃に吹き飛ぶ。だが、すぐに立て直しハーメルケインを構え、自身を攻撃した敵を見る。それは、紫色の身体にオレンジの突起、両手に長い鉤爪を持ったワーム“ベルバーワーム”だった。

 

白い魔法使い「何だ、もう一体隠れてたのか?いや、だが辺りにそんな気配は無かった。と言うことはさっき倒し損なった奴が変わった?まあ、どうでもいいか。さてと、来い!」

ベルバーワーム「シャアアアアッ‼︎」

 

白い魔法使いが少し挑発すると、ベルバーワームは鉤爪を振り上げながら向かっていく。ベルバーワームは鉤爪を一気に振り下ろすが、白い魔法使いはそれを屈んで躱す。ベルバーワームは更にそこから連続で鉤爪を振り回すが、白い魔法使いに悉く躱され、逆に蹴り飛ばされる。

 

ベルバーワーム「グウゥ…シャアア!」

白い魔法使い「何⁉︎」

 

蹴り飛ばされたベルバーワームは怒った様に咆哮をあげると、クロックアップをする。クロックアップによりベルバーワームを見失った白い魔法使いは辺りを探す。ベルバーワームはそのまま白い魔法使いの背後へ移動して鉤爪の一撃を喰らわせる。更に、白い魔法使いが地面に倒れこむ前に、正面にまわり上へ打ち上げる。そして、打ち上がった状態の白い魔法使いを地面に叩きつける。

 

白い魔法使い「ゴハッ!く、くそっ!」

ベルバーワーム「シャアアァ」

 

ベルバーワームは地面に思いっきり叩きつけられて悶える白い魔法使いを見下ろしながら、右の鉤爪を構える。それを見た白い魔法使いは何とか立ち上がる。

 

白い魔法使い「舐めんな!」

《エクスプロージョン、ナウ》

 

白い魔法使いはエクスプロージョンを発動するが、ベルバーワームは再びクロックアップをして躱す。それでも、連続でエクスプロージョンを使うが、やはりクロックアップしたベルバーワームには当てることが出来ない。そして、全ての攻撃を躱したベルバーワームがとどめを刺そうと白い魔法使いに向けて一歩踏み出したその時…

 

ベルバーワーム「シャアアアアッ⁉︎」

白い魔法使い「へへっ!掛かりやがったな!」

 

突然、ベルバーワームの足元が爆発した。それにより、ベルバーワームは悲鳴のような声をあげながら吹っ飛ぶ。それを見た白い魔法使いは仮面の下でしてやったりと言わんばかりに笑う。吹っ飛んだベルバーワームは立ち上がり、再び接近しようとするが、またもや爆発がおこり吹っ飛ぶ。

 

ベルバーワーム「シャアァァ!」

白い魔法使い「面白い位に掛かるなお前」

 

吹っ飛ぶベルバーワームに対して素直な感想を述べる白い魔法使い。ベルバーワームは一旦距離を取ろうと離れようとするが…

 

ベルバーワーム「シャアアアア⁉︎」

白い魔法使い「自分で言うのもアレだが、お前何回吹っ飛ぶつもりだ?」

 

一歩下がった瞬間また爆発がおこり、やはり吹き飛ぶベルバーワーム。それを見た白い魔法使いは若干可哀想だと内心思った。が、その本人がこの状況を作り出した原因なのを忘れてはいけない。一方、ベルバーワームは何が起こっているか訳が分からないという様子だった。それを見た白い魔法使いは種明かしをする。

 

白い魔法使い「お前、訳が分からねえって感じだな。仕方ねえ、特別に種明かしといこうか。つっても、そんな難しい事じゃねえけどな。要は、さっきの魔法をこの辺りの地面の中に埋め込んで、お前さんが踏んだら発動するように細工した。ただ、それだけだ。つまり、お前さんはもうそこから身動きがとれねえって訳だ。俺が意味もなくただ魔法を乱発してるだけだと思ったか?」

ベルバーワーム「シャ、シャア!」

白い魔法使い「そうだ。この白魔郎夜、何から何まで計算づくだぜーッ!(まあ、何時もそうじゃねえけどな)」

 

説明を聞いたベルバーワームは、まさか⁉︎という感じの声をあげる。それを見た白い魔法使いはベルバーワームを指差しながら何処かで聞いたことある様な台詞を言い放つ。

 

白い魔法使い「種明かしも終わったし、そろそろ…。さあ、幕引きといこうか!」

《♪〜〜〜♪〜〜〜》

 

白い魔法使いはハーメルケインを吹いて、その刀身に魔力を込める。そして、そのままハーメルストライクを放つ。ハーメルストライクを喰らったベルバーワームは、身体が真っ二つになり紫色の炎と共に爆発した。それを見た白い魔法使いは変身を解く。

 

郎夜「ふぅ、やっと終わったか。面倒な相手はやっぱ疲れんな〜。さてと、じゃあ俺は寝るか」

 

そう言うと、郎夜は地面に寝転がるとそのまま寝入ってしまった。それを陰で見ていた人影に気付くことなく。その人影は郎夜が寝たのを見ると離れていった。

 

 

学校

 

のび太たちの通う学校では、もう下校の時間の様で沢山の生徒が校舎から出てきていた。その中には、のび太たちの姿もあった。

 

武「のび太、お前今日はやけにぼーっとしてたな」

のび太「えっ?そうかな?」

 

武の言葉にのび太は驚く。その会話に、スネ夫や静香も入ってくる。

 

スネ夫「確かに。今日ののび太何時も以上にぼーっとしてたな」

静香「何処か具合でも悪いの?」

のび太「いや、そういう訳じゃないんだけど…う〜ん」

武「だけど、何だよ?」

 

のび太の言葉に不思議そうな顔をしながら聞く武。

 

のび太「何だろう。よく分かんないけど、何かおかしいんだよ」

スネ夫「随分はっきりしないな」

のび太「僕にもよく分かってなくて」

武「なんだそりゃ」

 

結局、違和感の正体が掴めないままのび太は武とスネ夫と別れた。静香と二人で帰っている時には、のび太は違和感の事については考えない様にした。

 

静香「そうだ。今週の土曜日ねママと一緒にクッキーを作るんだけど、よかったら食べに来ない?」

のび太「え、良いの?」

静香「勿論」

のび太「じゃあ、行くよ。今週の土曜日だね」

静香「ええ。あら?」

のび太「どうしたの?」

静香「あれ…」

 

急に様子が変わった静香にのび太が聞くと、静香は前方少し遠くを指差した。そこには先程、別れ道で別れた武とスネ夫が立っていた。

 

のび太「ジャイアンとスネ夫?」

静香「おかしいわね。さっき別れたばかりなのに。それに武さん達と別れた所から私達の前の道に出る道なんて無かった筈なのに」

のび太「確かに。それに…ちょっと様子が変だよ」

 

のび太の言う通り、のび太たちの前にいる武たちは様子がおかしかった。姿や服装はさっきまでと同じだが、顔が無表情で真っ直ぐ前を向いたまま、道の真ん中に棒立ちしていた。

 

のび太「ちょっと、様子を見てくるから静香ちゃんは此処で待ってて」

静香「あ、のび太さん」

 

のび太は静香に待つように言って、様子がおかしい武とスネ夫に近づいて行った。そして、目の前まで行って声をかけた。

 

のび太「ジャイアン、スネ夫。どうしたの?さっき別れたばかりだろ?なんで此処に?」

武「…」

スネ夫「…」

 

のび太は武達にどうしたのか問いかけるが、武達は相変わらず無表情で一言も口を聞かない。それをのび太は少し不気味に思うも、もう一度声をかけようとした時、後ろから静香の驚く声が聞こえてきた。

 

静香「ええっ!武さん、スネ夫さん!」

のび太「えっ⁉︎」

 

静香の声にのび太が驚きながら振り返ると、そこには今まで走ってきたのか全身汗だくで、何か怖いものでも見たのか顔が真っ青になり、荒い呼吸を繰り返す武とスネ夫が座り込んでいた。

 

静香「どうしたの⁉︎」

武「で、出た!か、怪物が!虫、虫の…」

スネ夫「はぁはぁ…っ!うわあああ、ジャイアン!」

武「ん?っ!う、うわあああ‼︎」

 

あまりの様子に静香が聞くと、武は混乱していて真面に返答することが出来ず、スネ夫は呼吸を整えていたが先程の無表情の武とスネ夫を見た途端、更に顔を青くして叫びながら武の名を呼ぶ。そして、それによって武も無表情の武とスネ夫に気付き叫び声をあげる。

 

スネ夫「うわああ…の、のび太!」

武「逃げろ!そいつは俺たちじゃない!化け物だ!」

静香「な、何を言って…」

のび太「化け物って…(っ!まさか!)」

 

静香は二人の武とスネ夫やさっき来た武とスネ夫の様子や言葉に混乱していた。一方、のび太は武とスネ夫の言葉で目の前にいる無表情の武とスネ夫の正体に気付き、振り向く。それを見ていた無表情の武とスネ夫は不気味な笑みを浮かべると全身に棘が生え、右腕に鋏状の爪を持った赤色の“アキャリナワーム”と黄色の“アキャリナワーム アンバー”へと姿を変えた。

 

アキャリナワーム「ギャアアッ!」

のび太「くっ!うわっ!」

 

アキャリナワームは右腕を振り上げ、それを見たのび太は咄嗟に腕でガードする。しかし、アキャリナワームは振り上げ右腕を思いっきり振ってのび太を殴り飛ばす。殴り飛ばされたのび太はランドセルが吹き飛び、思いっきり背中を塀に打ってしまった。

 

のび太「うっ、くっ…」

静香「のび太さん!」

武、スネ夫「のび太!」

 

アキャリナワームに殴られたのび太を見て三人は駆け寄ろうとするが、何処からか大量のワーム(サナギ)が現れて三人を取り囲み、のび太の姿が見えなくなってしまう。囲まれた三人は少しでも離れようと真ん中に固まるが周りのワーム(サナギ)はじりじりとにじり寄って行く。

 

のび太「皆っ!うおっ!」

 

のび太が取り囲まれた三人に気を取られている隙にアキャリナワームが攻撃してくる。それをのび太は何とか躱して立ち上がる。そして、ポケットからコピーロボットを取り出してスイッチを押す。その時、アキャリナワーム(アンバー)が襲い掛かってくるが、それを避けてコピーロボットを投げる。すると、コピーロボットはのび太そっくりになる。そして、のび太はディケイドライバーを腰に装着する。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

のび太はディケイドに変身する。その時、変身する際に現れる幻影がアキャリナワーム達を吹き飛ばす。のび太はライドブッカーをガンモードにする。

 

《ATACKRIDE BLAST》

ディケイド「コピーロボット、皆をお願い!」

のび太(コピー)「うん!」

 

ディケイドはディケイドブラストで静香達を取り囲んでいるワーム(サナギ)を倒しながら、コピーロボットに皆の所に向かうように言う。それを聞いたコピーロボットは頷き、ディケイドによってワーム(サナギ)が全て倒された直後、三人の所に向かう。

 

のび太(コピー)「皆、大丈夫!」

静香、武、スネ夫「のび太(さん)!」

 

コピーロボットが三人に駆け寄ると、コピーロボットをのび太だと思っている三人は驚きの声をあげる。そこへディケイドも近づく。

 

武「無事だったのか!」

静香「良かった!」

ディケイド「皆、喜ぶのは後にして今は逃げるんだ」

スネ夫「あ、仮面ライダー…」

ディケイド「早く!」

武「は、はい!ほら、皆行くぞ!」

静香「ええ。…危ない!」

ディケイド「何っ⁉︎ぐっ!」

 

ディケイドの言葉に逃げようとする三人だったが、後ろから襲ってくるアキャリナワームに気が付いた静香がディケイドに言う。それを聞いたディケイドだったが反応が一瞬遅れてしまい、後ろから掴みかかられてしまった。

 

静香、武、スネ夫「仮面ライダー!」

ディケイド「くっ…!僕の事は良いから逃げるんだ!」

武、スネ夫「だ、だけど…」

ディケイド「良いから!」

静香「で、でも…」

のび太(コピー)「行こう、皆!急いで!」

 

ディケイドの言葉に武とスネ夫は素直に従い、最後まで渋ってした静香はコピーロボットが手をひいて逃がした。それを見たディケイドは自分に掴みかかっているアキャリナワームに肘打ちを喰らわし引き離す。そして、離れて一旦体勢を立て直す。

 

ディケイド「よくも、静香ちゃん達を襲ってくれたな。覚悟しろよ!」

 

ディケイドはライドブッカーをソードモードにしながらアキャリナワーム達に対する怒りを露わにする。しかし、アキャリナワーム達はそれに怯むことなく威嚇するように鳴き声をあげると二体同時に襲ってくる。アキャリナワーム

は真正面から右腕で殴りかかってくる。それを避けてカウンターを喰らわそうとするディケイドだったが、アキャリナワーム(アンバー)の横からの攻撃をライドブッカーで防御したことにより失敗する。それでも、受け止めた攻撃を弾いて、ライドブッカーで二体同時に切り裂く。それにより、アキャリナワーム達は火花を散らして後退する。しかし、すぐに構えなおしアキャリナワーム(アンバー)が正面から、アキャリナワームは跳び上がって空から同時攻撃仕掛けようとする。だが、その時二発の銃弾がアキャリナワームに直撃した。ディケイドが銃弾が飛んできた方向を見てみるとそこには、ウィザーホワイトガンを構えた白い魔法使いがいた。

 

白い魔法使い「よお、大丈夫か?」

ディケイド「郎夜さん!何で此処に?」

白い魔法使い「まあ、ちょっと遊びに来たんだが…」

 

白い魔法使いはそう言いながら、此方を見ながら警戒心を露わにするアキャリナワーム達を見る。そして、ハーメルケインを取り出して構える。

 

白い魔法使い「取り敢えず、彼奴ら片付けるか」

ディケイド「そうですね」

白い魔法使い「そうそう、彼奴ら何か高速移動みたいなの使うぞ」

ディケイド「クロックアップでしょう。大丈夫、分かってます」

白い魔法使い「ん?知ってんのか?」

ディケイド「はい」

白い魔法使い「じゃあ、それに対する対抗手段とかも?」

ディケイド「勿論、あります」

白い魔法使い「じゃあ、彼奴らがクロックアップしたら正直お前に任せっきりの形になっちまうが」

ディケイド「分かりました。任せてください」

 

そう言いながら武器を構えるディケイドと白い魔法使いだったが、アキャリナワーム達はクロックアップしてしまう。

 

白い魔法使い「言ったそばからか…悪りぃ、のび太」

ディケイド「いえ、大丈夫です」

《KAMENRIDE FAIZ》

 

その時、ディケイドの身体にフォトンストリームが走り、紅い閃光と共にディケイドの姿が変わる。黄色の複眼と黒い身体に銀色の装甲が着いた戦士“仮面ライダーファイズ”になる。更に、Dファイズはライドブッカーからカードを取り出し、装填する。

 

《FORMRIDE FAIZ ACCEL》

 

すると、Dファイズの銀色の装甲が肩の位置まで展開され、複眼の色が赤色になり、フォトンブラッドは銀色のシルバーストリームの“アクセルフォーム”になる。Dファイズは左腕に装着された“ファイズアクセル”のスタータースイッチを押す。

 

《Start Up》

Dファイズ(アクセル)「はっ!」

 

ファイズアクセルのカウントダウンと共にDファイズの動きが超高速になりクロックアップ中のアキャリナワーム達を捉える。アキャリナワーム達を捉えたDファイズは瞬時に接近し、アキャリナワームを殴る。そして、後ろから迫って来たアキャリナワーム(アンバー)を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。アキャリナワーム達は態勢を立て直すとDファイズの左右から全身の棘をミサイルの様に飛ばす。

 

Dファイズ(アクセル)「たあっ!」

 

Dファイズはそれを飛び上がることで回避する。それにより、Dファイズ目掛けて放たれたお互いの攻撃はお互いを攻撃することとなり、攻撃を喰らったアキャリナワーム達は火花と共に倒れる。Dファイズは着地すると、すぐによろけながらも立ち上がるアキャリナワームの後ろに回り込み蹴りを入れる。それにより、アキャリナワームは同じく立ち上がったばかりのアキャリナワーム(アンバー)に突っ込む事になり二体とも倒れる。その隙にDファイズはファイズショットにミッションメモリを装填。

 

《Ready》

 

ファイズショットにミッションメモリが装填されると腕のシルバーストリームを経由してフォトンブラッドがファイズショットに充填される。

 

《3》

 

そのまま、Dファイズはアキャリナワーム達の方へと接近する。

 

《2》

 

そして、接近したDファイズはアキャリナワーム達にファイズショットでの一撃“アクセルグランインパクト”を喰らわせようとする。

 

《1》

Dファイズ(アクセル)「何っ⁉︎」

 

しかし、そこで予想外の事が起きた。それは、アキャリナワーム(アンバー)が隣にいたアキャリナワームを自身の前に突き出す。身代わりにされたアキャリナワームは爆発するが、その後ろにいたアキャリナワーム(アンバー)はアクセルグランインパクトの直後の隙に近距離から棘をミサイルの様に飛ばす。それを受けたDファイズは大きく吹き飛ばされディケイドの姿に戻ってしまう。そこへ、間髪入れずアキャリナワーム(アンバー)が襲ってくる。

 

白い魔法使い「のび太!」

ディケイド「しまった…!」

 

白い魔法使いが助けに行こうとするがアキャリナワーム(アンバー)はクロックアップをして、それを許さない。アキャリナワーム(アンバー)はディケイドの目の前へと行き右腕を振り上げ、それを、一気に振り下ろそうとする。しかし、

 

《ATACKRIDE BLAST》

アキャリナワーム(アンバー)「ギャアアァ⁉︎」

 

突如、シアン色の光弾が幾つも飛んできてアキャリナワーム(アンバー)を吹き飛ばす。アキャリナワーム(アンバー)が光弾の飛んできた方向、隣に立っている家の屋根の上をみる。そこには、シアン色と黒色の身体、沢山のカードが刺さった様な頭部と胸部、所々に入った金色の線が特徴の何処かディケイドと似たライダー“仮面ライダーディエンド”がいた。

 

ディエンド「本当ならまだのび太の前に出てくる予定じゃ無かったんだけどな〜。まあ、いっか。そろそろ会いたかったし」

アキャリナワーム(アンバー)「ギャアアアアッ‼︎」

 

独り言を呟くディエンドに対して、アキャリナワーム(アンバー)は全身の棘を飛ばす。それをディエンドは屋根から飛び降りることで難なく回避する。そして、アキャリナワーム(アンバー)の真後ろに着地する。

 

ディエンド「やれやれ、あんまりせっかちだとモテないよ?」

アキャリナワーム(アンバー)「ギャアッ!」

ディエンド「よっと!」

 

アキャリナワーム(アンバー)は振り向きざまに攻撃してくるが、ディエンドはそれを一歩下がって状態を少し逸らすことで回避する。アキャリナワームはそれでも続けて攻撃する。

 

ディエンド「まあ、最も…」

アキャリナワーム(アンバー)「ギャアアアッ!」

ディエンド「ふっ!」

 

ディエンドは身軽な動きでアキャリナワーム(アンバー)の攻撃を次々と回避すると、逆に蹴りをいれる。そして、相手がよろけた隙にシアン色の拳銃“ディエンドライバー”を押し付けてゼロ距離射撃を喰らわせる。アキャリナワーム(アンバー)は吹き飛んで、地面を転がる。

 

ディエンド「僕がのび太以外の人を好きになる事は先ずないけどね」

 

アキャリナワーム(アンバー)はディエンドの態度に舐められていると感じて怒りの咆哮をあげる。それを見たディエンドは右腰のカードケースから一枚のカードを取り出す。

 

ディエンド「こいつを相手にするなら、このカードが一番かな?」

《KAMENRIDE DORAKE》

 

ディエンドがそのカードをディエンドライバーに装填してスライドさせて撃ち出すと、そこにトンボを模した頭部、青色の複眼、水色の装甲に羽根の様なものが付いた左右非対称の姿のライダー“仮面ライダードレイク ライダーフォーム”を召喚した。

 

ディエンド「それじゃあ、行ってらっしゃい。頑張ってきてね」

 

ディエンドがそう言うとドレイクはドレイクゼクターを構えるとアキャリナワーム(アンバー)に向かっていく。そして、ある程度まで接近すると引き金を引きドレイクゼクターを撃つ。アキャリナワーム(アンバー)は銃撃を受けながらも接近してきたドレイクに攻撃するも、ドレイクはそれを屈んで躱すと後ろに回り込む。そして、アキャリナワームが振り向くと同時に顔に射撃を撃ち込み、ダメ押しとばかりに顔面にハイキックをいれる。頭への連続攻撃でふらつくアキャリナワーム(アンバー)だったが、何とか意識を保ち攻撃してくるドレイクの首を右腕の爪で挟み込む。そして、そのままドレイクの首を砕こうと力を入れる。ドレイクは抵抗するが中々脱げ出せない。

 

ディエンド「あらら、捕まっちゃったか。でも、まあそんなに隙を見せられたら流石にとどめ刺さない訳にはいかないかな」

《FINALATACKRIDE DI・DI・DI・DIEND》

 

ディエンドが一枚のカードを装填し、スライドする。すると、ディエンドの前に半透明のライダーカードが照準を合わせる様に円形に展開され、そこにディエンドライバーを構える。その際、ライダーカードの一部となった為、アキャリナワーム(アンバー)はディエンドの姿に気が付くが時すでに遅し。ディエンドはライダーカードのエネルギーを込めた巨大なビーム“ディメンションシュート”を放つ。それを喰らったアキャリナワーム(アンバー)は黄色の炎で爆発した。アキャリナワーム(アンバー)を倒したディエンドはクロックオーバーする。

 

白い魔法使い「こ、これは…」

ディケイド「一体…って、君は!」

ディエンド「やあ、久し振りだね。のび太」

 

驚くディケイドや白い魔法使いをよそにディエンドはディケイドに近付く。

 

白い魔法使い「知り合いか、のび太?」

ディケイド「ええ。僕が旅してた時の仲間です。けど、何で此処にいるの⁉︎」

ディエンド「ふふっ♪のび太のいる所に僕ありって所かな?」

ディケイド「はあ?」

ディエンド「それより変身解かない?こんな所見られたら少し面倒くさいことになりそうだけど」

ディケイド「そうだね」

 

三人は取り敢えず変身を解いた。そして、ディエンドは自己紹介を始めた。

 

幸「僕の名前は海東(かいとう) (ゆき)。宜しくね、白魔 郎夜さん」

郎夜「な⁉︎俺の名前を何で⁈」

幸「当たり前さ。僕は今日一日君たちを見てたからね」

のび太「見てた…まさか!」

 

のび太は幸の言葉に今日一日の違和感を思い出して、確信する。

 

のび太「今日一日僕が感じた違和感って…」

幸「うん。多分、僕だよ」

郎夜「何⁈じゃあ、俺が昼寝する時のも…」

幸「僕だね」

のび太「何でそんな事してたのさ」

幸「僕はこれでもトレジャーハンターだよ?情報収集は大事だろう?」

のび太「それでも、わざわざコソコソする必要なかったんじゃない?」

幸「ん?のび太はそんなに僕に会いたかったのかい?」

 

からかうように聞いてくる幸に対して、のび太は相変わらずの幸の態度に呆れる。幸は、そんなのび太の反応を楽しむように見ていた。だが、次にのび太は幸の想像していなかった言葉を言う。

 

のび太「まあ、そうかな」

幸「えっ…」

のび太「折角、幸ちゃんが来てくれてたんだ。もっと、早くに会いたかったよ。そうすれば、この町の案内とかも…って、どうしたの?急に後ろ向いて」

幸「な、何でもないよ!(まさか、肯定してくるなんて…あそこは呆れて終わりだと思ってたけど…さっきのは不意打ちすぎだろう)」

 

実際、今の幸の顔は真っ赤になっていて、とてものび太の顔を真面に見れる状態ではなかった。そんな幸の様子にも気付かずにのび太は会話を続ける。

 

のび太「本当に?」

幸「ほ、本当だよ。それにしても、今日はいい天気だね〜」

のび太「え?う、うん。そうだね」

郎夜「ほほ〜う。(成る程ね、そう言うことか)」

 

のび太の追求を逃れる為に話題を逸らす幸を不思議に思うのび太だった。郎夜は先程の幸の態度で察したようで、面白そうにニヤニヤしていた。そこでやっと落ち着いたのか幸は漸く前を向いた。

 

幸「そうだ。さっきのび太、この町を案内してくれるって言ったよね?」

のび太「うん。だけど、幸ちゃんには必要ないんじゃないの?」

幸「どうして?」

のび太「いや、だって。情報収集はできてるんじゃ…」

幸「いやいや。情報収集したのはのび太と郎夜さんの周りだけだよ。この町についてはあんまり」

のび太「なんでさ?」

 

のび太は幸の抜け目なさを知っているので、軽く驚きながらも聞いてみる。

 

幸「簡単に情報収集って言っても優先度ってものがあるんだよ。時間もあんまりなかったしね。だから、お願い」

のび太「…まあ、良いか」

幸「ありがとう!…よし、計画通り…」

 

どうやら此処まで幸の計画通りだった様で内心ガッツポーズをし、ボソッと呟く。

 

のび太「ん?何か言った?」

幸「いや、何でもない。じゃあ私はこの辺で失礼するよ」

のび太「何かあるの?」

幸「まあね。女の子には色々とあるものなんだよ」

 

のび太はこの世界に来たばかりの筈の幸が、この世界でやることがある事に少々不思議に思い聞いてみるも、幸にははぐらかされてしまった。のび太はそこまでして聞きたかった訳でもないので、そこで追及をやめた。

 

幸「じゃあね、のび太」

のび太「うん。じゃあね」

幸「あっ、そうだ。のび太」

のび太「うん?何?」

 

幸は何か思い出しようで、のび太を呼び止める。のび太もそれに反応して振り返る。

 

幸「僕はトレジャーハンターだ。狙ったお宝は絶対に手に入れてみせる」

のび太「?うん、知ってるよ」

幸「僕は今、今までで一番最高のお宝を狙ってる。それは簡単に手に入るものじゃない。けど、絶対に諦めないからね」

のび太「そうなんだ。頑張ってね」

幸「…はぁ〜」

のび太「な、何さ。その溜息は」

幸「いや、何でもないよ。それじゃあ」

 

幸は最後に指鉄砲をつくりのび太に狙いを定めるような仕草をすると何処かへ歩き去って行った。それを見届けたのび太は郎夜の方を向き、あることに気付いた。

 

のび太「郎夜さん、何ニヤニヤしてるんですか?」

郎夜「いや、別に。それより、お前さんも罪な男だな」

のび太「はい?何言ってるんですか?」

郎夜「はぁ〜、まあ分かんねえなら今は良い。(この様子じゃあ、奈々も苦労するな)」

のび太「?郎夜さん僕は帰りますけど、家に寄って行きます?お茶くらい出ますけど」

郎夜「いや、そろそろ奈々が帰ってくる頃だし俺も帰るわ」

のび太「そうですか。じゃあ」

 

そう言ってのび太と郎夜は別れた。そして、のび太は家へと着いた。だが、玄関からは入らずタケコプターで二回の屋根へと上がる。窓から部屋の様子を見てみるとコピーロボットが一人で昼寝しているだけだった。どうやらドラえもんはいないようだった。それを確認したのび太は部屋に入りコピーロボットのボタンを押して元の人形に戻す。それを引き出しにしまった時、部屋に玉子が入ってきた。

 

玉子「のびちゃん、ちょっと来て頂戴」

のび太「分かった」

 

玉子に言われてのび太は一回へ降りて、玉子の後に居間に入る。その瞬間、のび太は思わず固まった。その訳は…

 

玉子「仕事で外国にいるママとパパの知り合いから預かって欲しいって言われてね、紹介しておこうと思って」

幸「さっき振りだね、のび太」

 

何と、野比家の居間にはさっき別れたばかりの幸が座っていた。それも今日から家に居候すると言うおまけ付きで。

 

玉子「あら、二人とも知り合いだったの?」

幸「はい、ちょっと昔に」

玉子「あら、そうだったの!うちののび太と仲良くしてね?」

幸「勿論です!」

玉子「ありがとう。それにしても、いい子ね。やっぱり女の子は違うのかしら」

幸「そんな事ないですよ」

玉子「そんなことないわよ。うちののび太なんか…」

 

玉子と幸は完全に二人で話し始めてしまった。それに蚊帳の外にいるのび太は思った。

 

のび太「(もう、何がなんなんだよ…)」

 

想定外の状況すぎてのび太の頭は混乱の極みに達していた。のび太の気苦労がまた増えてしまった様だった。




後書きの間

Δデルタ「後書きの時間だな」
のび太「今回は幸ちゃんが登場したね」
ドラえもん「最後にのび太くんの家に居候することになってたけど」
Δデルタ「そういうお前も居候兼ペットだろ?」
ドラえもん「ペットじゃない!」
郎夜「居候は否定しないんだな」
奈々「まあ、事実ですし」
ドラえもん「それにしても郎夜さんがクロックアップに対して苦戦した様子が少なすぎる気が…」
Δデルタ「ぶっちゃけ、経験って奴だ」
郎夜「そう言うことだ」
奈々「でも、のび太君にワーム二体を任せてたのは…」
郎夜「いや、ぶっちゃけ倒せない事はないがあの場でやるとのび太の邪魔をしかねないし、それなら任せた方が良いと思ってな」
奈々「そうですか」
Δデルタ「後はディエンドこと海東 幸だが…まあ、説明はいらないな」
郎夜「だな」
Δデルタ「一言で言えば、まあのび太のライダーとしての一番のパートナーって所だな」
ドラえもん「僕は⁈」
Δデルタ「ドラえもんも勿論のび太の相棒だが、幸ものび太のパートナーだな。この小説ではドラえもんより先に会ってるし」
ドラえもん「僕のポジションが…」←orz
Δデルタ「で…」
サイガ「一番の…パートナー…?」←暗黒空間並みのドス黒い負のオーラ全開
Δデルタ「っ⁉︎」←ビクッとする
サイガ「どういう事ですか?」
Δデルタ「どう言うこととは?てか、何故に変身を…」
サイガ「…少し、O☆HA☆NA☆SHIしましょう」
Δデルタ「いや、ちょっと字が違…ギャアアアアアアッ‼︎」←モザイクがかかる
のび太「ん?あれ?奈々ちゃん達どうしたのさ?」
郎夜「…お前の所為でもあると言っておく」
のび太「えっ?」
ドラえもん「取り敢えず、次回は焔崩しさんとのコラボ回になる予定です。それでは」
郎夜「のび太、締めを」
のび太「え、ええっ⁉︎せ、世界を破壊し、全てを守り抜け!」


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第七話-前編-

Δデルタ「よ、漸く投稿…出来た…」←力尽きる
のび太「おい、起きろ」
ドラえもん「そうだ。まだ、後編あるんだから」←思いっきり踏みつける(注:129.3Kg)
Δデルタ「ぐおっ⁉︎」
郎夜「焔崩しさん、投稿遅くてすまねぇ。この愚作者に変わって謝罪する」
奈々「まったく、うちの作者は…」
幸「本当だよ…。さて、今回と次回は焔崩しさんとのコラボ回だよ。じゃあ、第7話を…」
一同「どうぞ‼︎」


裏山

 

深夜の裏山に、暗闇の中に一人佇む人影があった。その人影の姿は初めこそ分からなかったが、空に浮かぶ三日月を隠していた雲が消えると、その光が裏山をぼんやりと照らし、その姿が見えた。それはベージュ色のコートを纏い、フェルト帽を被った姿の鳴滝だった。鳴滝は、無表情で空を見上げていた。

 

鳴滝「この世界も…何れ破壊されるだろう…。ディケイド、貴様は自分の世界すらも自らの手で壊す。だが、その前に私は貴様を…」

 

そこまで言うと鳴滝は急に言葉を切り、ゆっくりと後方に振り返る。そこには、先程まで居なかった筈のワインレッドのスーツを着た男、キョウが不気味な薄ら笑みを浮かべて立っていた。鳴滝はキョウに向き直る。

 

鳴滝「何の用だ、キョウ」

キョウ「いえいえ、綺麗な月が出ていたのでね、少し夜の散歩でもとおもいまして。そしたら、偶然あなたを見かけたものですから挨拶をと」

 

キョウは鳴滝の問いに、少し芝居掛かった様な口調で返す。それに鳴滝は暫く疑いの目を向けるが、キョウが相変わらず不気味に薄ら笑みを浮かべているのを見ると、ふんっ!と鼻を鳴らすと無表情に戻る。

 

鳴滝「随分と余裕だな。お前はTXガイアメモリの収集で忙しいのではなかったのか」

キョウ「その心配ならご無用です。順調に集められていますからね」

 

すると、キョウはポケットから大量のTXガイアメモリを取り出す。それらのTXガイアメモリは様々なイニシャルの物があった。

 

キョウ「いやぁ、私もまさかこの期間で、ここまでのメモリを集められるとは思ってませんでした。我々“財団X”の力をもってすればメモリを探すことなど雑作もないという事でしょうか」

鳴滝「何が我々財団Xの力だ。それがこの世界に散らばったのは、お前らの不手際が原因ではないのか?」

キョウ「ふむ、確かにそうでした。すっかり、その事を失念していました。ですが、貴方だって我々の力を借りて、この世界に怪人やら何やらを送り込んでいるのではないのですか?」

鳴滝「私が送り込んでる訳ではない。もともと、世界間の壁が不安定になり、勝手に怪人どもがこの世界に雪崩れ込んできてるのだ。私は、そこに少し手を加えているだけだ」

キョウ「似たようなものでしょうに。屁理屈ばかり…」

 

キョウは鳴滝の言葉に呆れて、肩を竦める。しかし、鳴滝はそんな態度を取られても表情一つ変えなかった。その時、キョウは思い出したように再び鳴滝に話しかける。

 

キョウ「そうそう、面白い事があったのを思い出しました」

鳴滝「…何だ」

キョウ「おやおや、気になるのですか?」

鳴滝「どうせ、気にならないと言っても無理矢理聞かせようとするだろ。いいから、話したいならさっさと話せ」

キョウ「では、遠慮無く。実は、偶然なんですがこの世界と非常に酷似した世界を見つけたんですよ」

鳴滝「そうか…それで?」

キョウ「おや?興味が湧かないのですか?」

 

キョウは自身の予想していた反応をしなかった鳴滝に首を傾げる。それを見た鳴滝は相変わらずの表情で淡々と話す。

 

鳴滝「別に特別珍しくもないだろう、似たような世界など。現にクウガの世界とアギトの世界だって、似てると思うが?」

キョウ「いえ、それがね…そこに住んでる人物も酷似、殆ど一緒なんですよ」

鳴滝「何?」

キョウ「ですからね、そこにはあののび太くんもいたんですよ。勿論、別世界のですが」

鳴滝「…そうか」

キョウ「これにも興味は沸きませんか?」

鳴滝「別に。並行世界の野比のび太だったとしても、ディケイドでないのならば用はない」

 

キョウは鳴滝のつまらなさそうな様子に若干呆れるが、直ぐに調子を取り戻す。そこで、鳴滝が急に話しかけだした。

 

鳴滝「…おい、私も暇ではない。用があるならさっさと言え」

キョウ「…相変わらず、底が知れませんね。分かりました。実は…」

 

キョウは鳴滝に自分の目的を話す。それを聞いた鳴滝は一瞬目を見開き、顔を顰める。

 

鳴滝「貴様は何を…」

キョウ「ただの実験(・・)ですよ」

 

月の明かりに僅かに照らされたキョウは不気味に笑いながらそう言う。その表情を見た鳴滝は背筋に悪寒が走るのを確かに感じた。

 

鳴滝「…良いだろう。その実験とやらに協力してやる」

キョウ「助かります。では、私はこれで」

 

次の瞬間、一瞬だけ月が雲に隠れ、再び月に照らされた場所にはもうキョウはいなかった。鳴滝はそれを見届けると、踵を返して去っていった。

 

 

のび太の部屋

 

のび太「ふぁ〜」

 

日課である訓練の為に起きたのび太は、ドラえもんに気付かれない様に準備をしていた。だが、日課とは言ってもやはり眠気は完全には醒めていないようであった。

 

のび太「ムニャムニャ…あれ?そういえば…?」

 

のび太はここでドラえもんに続く二人目の居候の姿がない事に気付いた。実は、のび太の知らぬ間に居候になった幸であるが玉子とのび助に気に入られ、その幸が二人に頼んでのび太の部屋で暮らす事になったのだ。のび太は勿論、反論はしたのだが流石に両親相手には敵わず、結局のび太の部屋で暮らす事に決まってしまった訳である。のび太は部屋を軽く見回してみるが、やはり居ないようであった。

 

のび太「まあ、幸ちゃんの事だから大丈夫でしょ。それに幸ちゃんがフラフラどっか行くのは今に始まった話じゃないし。そのうち戻ってくるだろう」

 

そう結論づけたのび太は自身の勉強机の鍵付きの引き出しからDフォンを出しポケットに入れ、ポラロイドカメラを首にかけると家族を起こさないように家から出た。

 

のび太「よし。じゃあ、早速行くとするか」

 

そう言いのび太は裏山に向かって行った。その時、いつも通りのランニングとは思えない程の速さのランニングで向かったのは言うまでもない。

 

 

裏山

 

キョウ「ふふっ、いよいよですね」

鳴滝「私には、お前が理解できないな。何故、こんな面倒なことを?」

 

裏山の一番上にある千年杉の近くにキョウと鳴滝はいた。鳴滝の質問にキョウはいつも通りの口調で答える。

 

キョウ「何度も言ったと思いますが?実験(・・)ですよ」

鳴滝「…もういい」

 

キョウの答えに、これ以上の追求を諦めた鳴滝は口を閉ざす。それを見たキョウも無言になり、しかしその顔には不気味な笑みが張り付いていた。そんな事が起こっているとも露ほども知らないのび太は裏山に到着して、いつと訓練している場所に向かった。しかし、そこにはのび太が予想していなかった人物がいた。

 

幸「ん?おはよう、のび太。意外と遅かったね?」

のび太「な、何でここに?」

幸「何で?のび太が此処で訓練してるっていうから、僕もそれに付き合おうかなと思っただけさ」

のび太「何でこの場所が…。いや、やっぱいいや」

 

のび太は何故幸が自分の訓練を知ってるのか聞こうとしたが、何時ものようによく分からない答えが返ってくると思いやめた。そんなこんなで幸が訓練に参加することになった。

 

幸「で、訓練って何やってるんだい?」

のび太「うん。取り敢えず、徒手格闘と剣、それから射撃での訓練かな。日によってや若干変わる事があるけど、これが基本的な内容だよ」

幸「ふ〜ん。意外と少ないね」

のび太「まあ、一人だからね。思った程、やる事がないんだよ」

 

幸はのび太の言葉に納得すると、何やら思案顔になる。のび太はそんな幸の様子を見て、声をかける。

 

のび太「どうしたの?」

幸「いや…。のび太、新しい訓練内容を思いついたよ」

のび太「えっ?」

 

のび太は幸の突然の提案に驚く。そんなのび太の様子を見て、幸は思いついた事を説明する。

 

幸「組み手なんかどうかな?」

のび太「く、組み手?」

幸「どうかな?」

のび太「いいけど…。珍しいね」

幸「ん?何が?」

 

幸はのび太の言葉に首を傾げる。

 

のび太「いや、だって幸ちゃん格闘も強いけど、自分から正面きって戦うようなタイプじゃないし」

幸「ふ〜ん、成る程。確かにそうだけど、僕だって全く自分が戦わない訳じゃないよ?」

のび太「確かにそうだったね。…ありがとう」

幸「えっ?」

のび太「僕の為に訓練に付き合ってもらっちゃってさ」

 

幸は突然のお礼に戸惑うが、のび太の言葉を聞くと笑みを浮かべる。

 

幸「別にお礼を言われる程の事じゃないよ。これは僕がやりたくてやってるだけなんだ。だから、僕がお礼を言われる必要はないよ」

のび太「それでも、だよ。幸ちゃんがどう思ってるにしろ、僕は訓練に付き合ってもらってるだ。だから、ありがとう」

幸「…全く、のび太って変なところで真面目になるね。けど、そこまで言われたらそのお礼、受け取らない訳にもいかないね」

のび太「そう。さて、そろそろ始めようかな。何か僕の訓練とかで気付いた事があったら、教えてね」

幸「分かってるよ。その為に僕がいるんだから」

 

のび太は首のカメラを幸に預けると、何時もの訓練を始めた。その中で、幸に気づいたことを指摘してもらいながらやっていた。のび太は、今まで一人でやってた時よりも、この訓練の時間が充実していると感じていた。そして、何時ものメニューを粗方終わらせた後、幸の提案した組み手に移ることした。

 

のび太「幸ちゃん、そろそろ組み手やらない?」

幸「そうだね。じゃ、始めようか」

 

そう言いつつも、幸は構える気配が全くない。それを不思議に思っていたのび太だったが、幸はディエンドライバーとカードを取り出した。

 

のび太「へっ?」

《KAMENRIDE KAIXA》

 

面食らうのび太をよそに、幸は構わずカードを装填し撃ち出す。すると、のび太の前に紫のエックスファインダーに黄色のダブルストリームが身体を走るギリシャ文字のΧを模したライダー“仮面ライダーカイザ”が現れた。カイザは右腰のホルスターから自身と同じΧを模した剣・銃一体型の武器“カイザブレイガン”を抜き、ミッションメモリーを装填する。すると、カイザブレイガンから黄色に輝くフォトンブレードが生成され、ブレードモードとなる。そして、カイザブレイガンを逆手に構えてのび太に襲い掛かる。

 

のび太「ちょっ⁉︎」

 

のび太は幸の突然の行動に戸惑いながらも、自分に向けて振るわれたカイザブレイガンを躱す。しかし、カイザはそこから更に連続でカイザブレイガンを振るう。のび太は襲い掛かるカイザブレイガンを次々と躱しながら、この状況の原因である幸を問い詰める。

 

のび太「ちょっと!これ、どういう、こと⁉︎」

幸「どういうことって、さっき言った通りだけど?組み手だよ組み手」

のび太「いや、幸ちゃんが、相手、してくれるんじゃ⁉︎」

幸「それでも良いけど、こっちの方が面白そうだったからね」

のび太「面白そうって…こっちはそれどころ、じゃっ!」

幸「ほらほら、余所見してると危ないよ〜」

 

幸の答えにのび太が更に問い詰めようと視線を僅かに幸に向けた瞬間、振るわれたカイザブレイガンがのび太の顔の真横を通過する。それにより、髪の先が少し切られ、のび太の意識が強制的にカイザに向かされる。

 

のび太「やるっきゃないか。変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

Dフォンからディケイドライバーを召喚したのび太はディケイドに変身し、ライドブッカーのソードモードでカイザブレイガンを受け止める。そして、一気に上へ弾き、がら空きの胴を切り裂こうとする。しかし、カイザは素早くバックステップをする事により、ギリギリで回避する。お互いの距離が開いた事で、ディケイドもカイザも自分の得物を構えなおして、対峙する。

 

ディケイド「何でこんな事に…」

 

ディケイドは今の現状を嘆きながらも、攻撃を仕掛ける。ライドブッカーを横薙ぎに振るうが、カイザは上体を後方へ僅かに反らすことで苦もなく回避する。そして、逆にカイザブレイガンを斜め下から切り上げる。それに対し、ディケイドは振るわれたカイザブレイガンにライドブッカーをぶつける。火花を散らしながら鍔競り合うが、ディケイドはライドブッカーに更に力を込めて、カイザブレイガンを下へと押し込める。カイザはカイザブレイガンから片手を離して、裏拳を放つ。

 

ディケイド「ふっ、たあっ!」

 

しかし、ディケイドもライドブッカーから片手を離し、それを受け止める。そして、無防備の背中に蹴りを見舞う。蹴りを諸に喰らったカイザは、体勢を崩しながら前へよろける。ディケイドはそこに更に畳み掛ける。体勢を崩しながらも前を向いたカイザに連続で斬撃を繰り出し、最後に渾身の蹴りを入れる。それにより、カイザは思いっきり吹き飛ぶ。

 

ディケイド「これでっ!」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

ライドブッカーを構えたディケイドの前に15枚のホログラム状のカード型エネルギーが縦に重なるように並ぶ。そして、ディケイドがその中を走ると、カードを走り抜ける度にライドブッカーにエネルギーが溜まる。それを見たカイザは、よろよろと立ち上がり腰についている携帯“カイザフォン”を下に回転させ、ENTNRを押す。

 

《Exceed Charge》

 

カイザブレイガンを一度ガンモードにする。そして、コッキングレバーを引くと、銃口に黄色のエネルギーが集まる。そして、トリガーを引くとそのエネルギーが発射された。しかし、それはホログラム状のカード型エネルギーに阻まれ、ディケイドに届く事は無かった。それでも、カイザはフォトンブラッドが集まったブレードモードとなったカイザブレイガンを逆手で後ろで振り上げ、構える。

 

ディケイド「だああああっ!」

 

ディケイドは最後のカードを通り抜け、エネルギーの溜まったライドブッカーで敵を切り裂く“ディメンションスラッシュ”を繰り出す。カイザもディケイドに向かって駆け出し、黄色のX状の光になって相手を一瞬で切り裂く“カイザスラッシュ”を発動する。そして、二人はお互いの丁度真ん中の位置でぶつかりあった。しかし、勝負は一瞬だった。ディメンションスラッシュとカイザスラッシュがぶつかり合った瞬間、ディメンションスラッシュが競り勝ち、そのままカイザを切り裂いた。切り裂かれたカイザはその場で爆発する。ライドブッカーを振り切った状態で静止していたディケイドは変身を解いて、溜め息を一つ吐いた。

 

のび太「はあ〜…。朝から、これは辛い…」

幸「お疲れ様、のび太。流石だね」

 

労わりの言葉を掛けられたのび太だったがそれには答えず、こんな目に合うことになった元凶をジト目で睨む。それに幸は全く動じず笑みを崩さない。それを見たのび太は呆れた表情になり、さっきよりも大きな溜め息を吐く。

 

のび太「幸ちゃん」

幸「何?」

のび太「組み手は偶にで良いよ、うん…」

幸「そう、分かったよ。あ、あとこれ」

 

そう言って手渡されたのは、冷えたスポーツドリンクだった。それをのび太はお礼を言いながら受け取り、座り込んで蓋を開け一気にかなりの量を飲む。

 

のび太「ぷはぁ〜!これだけ動いた後はやっぱり美味しいや!でも、いつの間にこんなの…ま、いっか」

 

のび太は幸がいつの間にか、スポーツドリンクを持っていた事に一瞬疑問を抱いたが、さっき自分が戦っているときに用意してくれたんだろうと思い、考えるのをやめた。そして少し休憩した後、のび太はもう一つの目的を思い出した。

 

幸「どうしたの?」

のび太「ちょっとね。お〜い、出ておいでよ!」

 

のび太がそう呼ぶと、近くの茂みから葛葉が出てくる。葛葉は飛び出してくるなり、のび太に飛びつく。のび太はそれに少々、驚きながらも難なく受け止める。

 

のび太「ふふっ、どうしたの?くすぐったいよ」

葛葉「キューン」

 

のび太に抱かれたまま頭を擦り付ける葛葉に、のび太はくすぐったさを感じながらも撫でる。そんな感じで戯れていたが、そこで幸が声をかけてきた。

 

幸「のび太、その子狐は?」

のび太「ああ、葛葉って言うんだ。かわいいでしょ?」

幸「へぇ〜」

葛葉「キュッ!」

 

幸はそう言いながら葛葉に手を伸ばすが、葛葉はその手から逃げる様にのび太の腕から抜け出し、のび太の肩に移る。

 

幸「どうやら、僕の事がお気に召さなかったみたいだね」

のび太「多分、幸ちゃんのこと怖がってるんだよ。僕も最初の方はそんな感じだったし」

幸「そうなんだ」

のび太「うん。だから、これからだんだん慣れてくるよ。そうすれば、怖がらなくなるよ。ね?葛葉」

 

のび太はそう言って、葛葉の頭を撫でる。葛葉も嬉しそうに鳴き声をあげる。それから、いつもの様に餌をあげ、少し遊んだ後に葛葉は山の中に帰っていった。それを見たのび太と幸は立ち上がる。

 

のび太「そろそろ、帰るとしようかな」

幸「そうだね」

 

二人は帰るために裏山を降りていく。しかし、その途中で急に足を止めた。そのまま二人は暫く動かなかったが、のび太はコピーロボットを取り出すと、ボタンを押して自分とそっくりの姿にする。そして、コピーロボットに自身のタケコプターを渡し、指示を出す。

 

のび太「少し時間が掛かりそうだから、皆が起きないうちに帰って誤魔化しといてくれない?」

コピーロボット「うん、分かったよ」

 

そう言うとコピーロボットはタケコプターをつけて、空を飛んで家に帰って行った。それを見届けたのび太は再び前方を向く。そこには何も居なかったが、暫くすると奥の木々の間から何かの影が近づいてきた。そして、その影がのび太達の前に出た時、その姿が明らかになった。青色の複眼、大型の背中の羽、そして貴族の様な風格を持つクジラの様な怪人“水のエル”だった。

 

のび太「こいつは…」

幸「成る程、これは少し面倒くさい相手だね」

 

のび太達が水のエルに驚いていると、水のエルは徐に右手を上げて、こちらに向ける。そして、口を開いた。

 

水のエル「人でない者は滅びなければならない…」

のび太「ふっ!」

幸「よっ!」

 

水のエルは念動力で衝撃波として放ってくる。のび太と幸は、それを左右に飛び退くことで回避する。そして、のび太はディケイドライバーを、幸はディエンドライバーを構える。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

幸「変身!」

《KAMENRIDE DIEND》

 

二人はお互いのドライバーにカードを装填して、ディケイドとディエンドに変身した。ディケイドはガンモードのライドブッカーを、ディエンドはディエンドライバーで水のエルに狙いをつける。そして、二人同時に引き金を引き、連射した。ディケイドとディエンドの同時射撃を喰らった水のエルは、火花を散らしてよろめくが直ぐに立て直すと、今度は先に鯨の尾びれのような物がついた杖“怨嗟のドゥ・サンガ”を構えて、向かってきた。それを見たディケイドはライドブッカーをソードモードにする。そして、ディケイドも水のエルに向かっていく。

 

ディケイド「はああっ!」

水のエル「ふんっ!」

 

ライドブッカーと怨嗟のドゥ・サンガがぶつかり合い、鍔競り合いになる。ディケイドはライドブッカーを握る両腕に力を込める。水のエルも負けじと力をいれる。両者の力は拮抗していて、お互いに一歩も引かない。

 

《KAMENRIDE ZOLDA》

《KAMENRIDE TODOROKI》

ディエンド「のび太!」

 

ディエンドは、ディエンドライバーで緑の身体に戦車の意匠が取り込まれている銀の装甲に包まれたミラーライダー“仮面ライダーゾルダ”に濃い緑色の身体に頭部の一本角、顔の隈取りと手は銀色で胸部にギターの弦を模した斜め掛けの装甲を纏った音撃戦士“仮面ライダー轟鬼”を召喚した。ディエンドはディケイドの名前を呼び、ディケイドはそれだけでディエンドの言わんとする事を察して鍔競り合いを中断してそこから飛び退く。その直後、ディエンドとゾルダはディエンドライバーとゾルダの専用武器であるハンドガン型のバイザー“機召銃マグナバイザー”で、水のエルを狙い撃つ。更に、そこへ轟鬼が飛びかかっていき、拳に雷を纏わせて攻撃する技“鬼闘術 雷撃拳”を連続で浴びせる。

 

水のエル「ぬぅ…」

ディケイド「はあっ!」

 

今までの連続攻撃のダメージでふらつく水のエルに、ディケイドは休む暇も与えずに向かっていく。そして、ライドブッカーで連続で斬りつける。轟鬼もエレキギター型の音撃武器“音撃弦 烈雷”を逆手に構え、水のエルを斬りつける。そして、ディケイドと轟鬼は見事な連携を取りながら斬撃を放つ。水のエルも防御しつつ反撃をしようとするも、後ろで控えているディエンドとゾルダが射撃を繰り出し、それを許さない。段々ダメージで動きが鈍ってきた水のエルを見て、ディケイドと轟鬼は同時に蹴りと拳を放ち、距離を開ける。

 

水のエル「ぐっ⁉︎う…うぅ…がぁ…」

ディケイド「さてと…」

ディエンド「決めるかな」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

《FINALATACKRIDE DI・DI・DI・DIEND》

 

ディケイドの前に15枚のホログラム状のカード型エネルギーが、ディエンドの前にはゾルダと轟鬼を吸収しながら円形のエネルギーが展開される。そして、ディケイドがディメンションキックを放つ。水のエルは念動力と怨嗟のドゥ・サンガを盾に耐えるが、後から放たれたディメンションシュートを喰らい、それにより体勢が崩れた処にディケイドが水のエルの防御を突き破り、ディメンションキックで貫く。

 

水のエル「ぐ、ぐぅ…グオオオォォォッ‼︎」

 

二人の必殺技を立て続けに喰らった水のエルは、その場でよろめきながら身体中から火花を散らし、頭上に天使の輪の様なものを浮かべながら爆散した。それを見たディケイドとディエンドは変身を解除する。

 

のび太「これで終わり、かな?随分、呆気ないような…」

幸「う〜ん、のび太の言うことも分かるけど…何か隠してる様な感じはしなかったし、大丈夫だと思うけどね」

のび太「そっか…そうだよね。それじゃ、今度こそ帰ろうか。朝からこんな戦ったから疲れちゃったよ。だから、もう一回寝るとするかな」

幸「そんな時間あるの?」

のび太「…あ」

 

のび太と幸は裏山を降りていった。だが、二人はまだ知らなかった。この世界全体を巻き込む異変がこれから始まると言うことを…。ところ変わって裏山の頂上。そこでずっと佇んでいた鳴滝とキョウだったが、やがてキョウが笑みを浮かべた。

 

キョウ「来た…!」

 

そこに現れたのは、青色に輝く野球ボール位の大きさの球体だった。その球体は、フワフワと浮遊しながら鳴滝の手に収まる。それを見たキョウは益々、笑みを深める。

 

キョウ「これが!」

鳴滝「ああ。さっき、ディケイドに倒された怪人のエネルギーの塊。謂わば、魂の様なものだ」

キョウ「では、早速お願いしますね」

鳴滝「…本当にやるんだな?こんな事をすれば、何が起こるのか私にも分からんぞ」

キョウ「だからですよ。分からないなら、試してみるのが一番でしょう?」

 

それを聞いた鳴滝は、次元の壁を出現させる。すると、その中から先程、ディケイドとディエンドに倒された筈の水のエルが出てきた。そして、鳴滝は手の中の青色の球体を水のエルに向ける。すると、青色の球体は一人でに水のエルに向かい、瞬く間に溶けるように吸い込まれていった。

 

鳴滝「これで…」

キョウ「始まる!平行世界とはいえ自身と全く同じ存在をその身に宿した時、一体どうなるのか!さあ、その答えを見せてくれッ‼︎」

水のエル「ぐっ…⁉︎くっ…な、何…が…おこっ…て…こ、これはぁぁぁぁぁぁッ⁉︎」

 

水のエルは自身の中に入ってきたものに違和感を覚えるが、直後その身体が青色の光に包まれる。そして、自身の身を壊さんばかりに溢れてくる凄まじいまでの力に驚き、苦しみもがく。水のエルは自分の身に何が起こっているのか分からず、只々自身の奥底から溢れ出る力を抑え込もうと、自らの力と理性を総動員させる。しかし、抵抗虚しく水のエルの意識は圧倒的な力の前に飲み込まれてしまう。更に水のエルの身体が一際強い輝きを放ったかと思うと、水のエルは青色の光となって何処かへ飛んで行ってしまった。

 

鳴滝「何て事だ…!これは…」

キョウ「素晴らしい…素晴らしいぞっ!これ程までとは…!ふっはっはっはっ!ふははははははっ…」

 

水のエルが消えた後の裏山の頂上に残ったのは、目を見開き驚愕と恐怖の表情を浮かべる鳴滝と狂ったような笑顔で片手で顔を抑えながら狂気を感じさせる笑い声をあげるキョウだった。だが、この実験の齎した影響は既にこれだけに収まっていなかった。裏山の更に別の場所で次元の壁が出現した。そして、そこから二つの人影が飛び出てきた。

 

???A&B「うわっ⁉︎」

???A「イッテテ…此処は?」

???B「えっと…どうやら裏山みたいだね」

 

飛び出てきた???Aは、飛び出て来た時の痛みに悶えながら場所を問い、???Bは場所を特定する。それを聞いた???Aも立ち上がって周りを見回して確認する。

 

???A「本当だ…。さっきまで僕の部屋にいた筈なのに。一体どうなってるのさ?」

???B「分からない。でも、此処が裏山って事は僕たちの町に違いない。だから、町に行って皆に話してみよう」

???A「うん。僕、何だか嫌な予感がするよ」

???B「僕もだよ。だから、早く行こう」

 

そう言うと、二つの人影は町の方に向かって裏山を降りていった。

 

野比家

 

野比家ののび太の部屋では準備を終え、ランドセルを背負ったのび太と幸がいた。

 

ドラえもん「二人とも、忘れ物は無いね?」

のび太「僕は大丈夫。幸ちゃんは?」

幸「大丈夫、問題ないよ」

 

今朝の朝食の時間に玉子の話によると幸も学校に通う事になったとの事だった。まあ当然と言えば当然なのだが、正式な戸籍や住民票などもないのにどうやって学校に通う事が出来るようになったのか。

 

幸「そこは気にしちゃいけないよ」

のび太「幸ちゃん、急にどうしたの?」

幸「いや、細かい事は気にしちゃいけないって事を画面の向こう側の皆さんにね」

のび太、ドラえもん「?」

玉子「二人とも、そろそろ時間よ〜!」

幸「は〜い!ほら、行くよのび太」

 

若干メタっぽい事を言う幸に首をかしげるのび太とドラえもんだった。その時、下から玉子の声が聞こえてきた。幸がそれに返事をするとのび太の手を引く。

 

のび太「うん。ドラえもん、行ってくるね」

幸「行ってきます」

ドラえもん「行ってらっしゃ〜い」

 

幸はのび太の手を引きながら部屋を出て、玄関まで行く。玄関では、玉子が待っていた。

 

玉子「準備できたのね。幸ちゃん、そのランドセル如何かしら?」

幸「はい!とっても気に入りました。ありがとうございます!」

玉子「いいのよ、それくらい。でも、喜んでくれて何よりだわ。気をつけてね」

幸「はい!行ってきます!」

のび太「行ってきます」

玉子「行ってらっしゃい」

 

のび太と幸は玉子に見送られながら家を出た。その様子を玉子は微笑ましそうに見ていた。学校へ行く道を歩いていたのび太は幸の様子を見て、ある事に気付いた。

 

のび太「ねぇ、学校が楽しみなの?」

幸「え、如何して?」

のび太「だって朝から何だか楽しそうじゃない。だからかな」

幸「まあ、確かにそれも無くはないんだけど…。(一番の理由はのび太なんだけど、言ったって気付いてくれないよね…)はぁ〜」

のび太「どうしたの、溜息なんてついちゃって」

 

幸がのび太の鈍感さに頭を悩ませて溜息を吐くと、その悩みの種になっているとは全く気付いていないのび太が呑気に溜息の理由を聞く。それを幸は何でもないと言い、そこから色んな話題に移る。それから楽しそうに話していた二人だったが、不意に幸が立ち止まって周りを見る。それに気付いたのび太は不思議に思い、声をかける。

 

のび太「どうしたの?急に立ち止まっちゃって」

幸「うん。…のび太、こっちから行こう」

のび太「え、如何して?こっちの方が…」

幸「いいから、いいから。行こう?」

のび太「ちょ、ちょっと⁉︎分かったから、引っ張らないで」

 

のび太は何時も自分が通ってる道とは違う道を行こうとする幸に理由を聞くが、幸は誤魔化してのび太の手を引いて連れて行く。その直後、さっき行こうとしていた道を静香と武とスネ夫の三人が会話をしながら通った。

 

幸「ふぅ〜。(何とか、邪魔が入らずに済んだ)」

のび太「さっきからどうしたの?様子が変だけど…」

幸「…君のせいだよ…」

のび太「えっ?」

幸「何でもない。さっ、早く行こう!」

 

心配するのび太に幸は思わずボソッと呟くが、それを誤魔化して歩き出した。それにつられてのび太も不思議に思いながらも歩き出した。その後、二人は何事もなく学校に着く事ができた。因みに学校までの道中、二人は誰にも会わずに来た。だが、のび太はそんな幸の頑張りに気づくことは無かった。そして、昇降口の下駄箱まで来た二人は上履きに履き替えた。

 

のび太「職員室はそこを右に曲がっていけば見つかるから」

幸「うん、ありがとう。まあ、後でね」

のび太「うん、またね」

 

幸と別れたのび太は階段を上り自分のクラスに向かっていた。周りに生徒がいないのをみるに、時間もあまりない様だった。のび太は少し早足になり、階段を上りきった。そして、自分のクラスに到着した。

 

のび太「ふぅ、間に合った」

 

騒いでいたクラスの皆はドアの開く音を聞き、そちらを振り向くが入ってきたのがのび太だと確認すると殆どの生徒はまた騒ぎだした。のび太が自分の席について一息ついていると、静香と武とスネ夫が近づいてきた。

 

静香「おはよう、のび太さん」

のび太「おはよう」

武「のび太、今日は遅刻しなかったみたいだな」

のび太「僕だって、そんな毎日する訳ないじゃないか」

スネ夫「とか言って、このまえ五回連続遅刻の校内最高記録を出したのは誰だっけ?ね、ジャイアン」

武「そうそう。次は十回連続でも狙ってみるか?がはははっ!」

 

のび太は武とスネ夫のからかいを軽く聞き流しながら、クラスの皆がいつも以上に騒がしいのに気付いた。のび太は学校内や町中の情報に詳しいスネ夫に聞いてみることにした。

 

のび太「ねぇ、スネ夫。今日は皆やけに騒がしい、て言うかそわそわしてるけど何かあるの?」

スネ夫「おっ、いつもそういうのに疎いのび太にしちゃあ珍しいな。明日は雨か?」

のび太「…で、何かあるんだね?」

スネ夫「うん。どうやら今日、この学校に転校生が来るって話さ。僕らと同じ学年の」

のび太「それでか」

 

のび太はスネ夫の嫌味混じりの説明を聞きながら、クラスの様子に納得する。そこで、のび太はその転校生と言うのが誰のことなのかすぐに分かった。

 

のび太「(成る程、幸ちゃんの事か)」

スネ夫「でも、どんな人でどのクラスに来るかってのが分かってないんだよ」

武「そうなんだよ。スネ夫でも知らねえから、どんな奴なのか見当もつかねえんだ」

のび太「スネ夫でも分かってないなんて珍しいね」

 

のび太は本音でそう言った。スネ夫の情報網はかなり広く、その域はこの町だけでなく隣町まで及ぶこともある。なので、この町周辺の情報は結構すぐにスネ夫のところに入ってきて、スネ夫のクラスメートや友人もその情報を楽しみにしてる事もある。その情報通のスネ夫が、転校生と言う大きな情報を何も分かっていないことにのび太は素直に驚いた。

 

スネ夫「そうなんだよ。転校生とかだったら引っ越してきたって事だから、見慣れない子とかがいても不思議じゃないんだけど…」

静香「でも、転校生ってどんな子なのかしら?お友達になれるといいわね」

のび太「そうだね。(ここで言ってもいいけど…まあ、いっか)」

先生「皆、HRを始めるぞ」

 

腕を組んで自分のところにあまり情報が入ってこないことを不思議がるスネ夫の横では、静香がまだ見ぬ転校生がどんな人物なのかと思いを馳せていた。だが、教室に先生が入ってきた事で武達や他のクラスの皆も自分の席につき、静かになる。それを見た先生は出席簿を教卓に置き、教室を見渡して話し始める。

 

先生「え〜、今日は皆に大事なお知らせがある。実は、このクラスに転校生が来ることになった」

 

先生がそう言うと、クラス全体がざわめきだす。それもそうだろう。今まで話題になっていた転校生が、このクラスに来ると言うのだから。

 

先生「静かに!それでは、今からその転校生を紹介する。入って来なさい!」

 

先生がそう言った直後、教室のドアが開き転校生が入ってくる。クラスの全員の視線がそちらに向けられる。そして、クラスの、特に男子は思わず目を見開き固まった。それはのび太も例外ではなかった。勿論、他の男子とは違う理由でだが。その原因となった人物は教卓の隣に来て、クラスの全員の前に立つ。そして、自己紹介を始める。

 

幸「今日からこの学校に転校してきた、海東 幸です。皆さん、今日から宜しくお願いします♪」

クラス男子全員「(キタアアアアアアアァァァッ‼︎)」

 

自己紹介をする幸を見てのび太や出木杉を除くクラスの大多数の男子のテンションは最高潮だった。なにせ、転校してきたのが女子で、しかも綺麗な黒髪に整った可愛らしい顔の超がつくくらいの美少女で、更に極め付けは自己紹介の最後に見せた笑顔だ。これに一般の男子小学生が惹かれない訳がなかった。

 

先生「では、海東くんは…そこの席に座ってくれ」

幸「はい」

 

先生が指差したのはのび太の隣の列の後ろから二番目の席だった。幸は指定された席に座り、教科書類を出していた。その時、隣の席の男子生徒が声をかけた。

 

男子生徒A「あの〜…」

幸「ん?」

男子生徒A「ぼ、僕、稀崎って言います!よ、よろしくお願いします!」

幸「うん、宜しくね」

男子生徒A「あ、あ…は、はい!」

 

その男子生徒は他の男子より幸とお近づきになりたいのか、緊張しながらも自己紹介をした。それに幸は笑顔で返し、それを見た男子生徒は顔を赤くして惚けていたが、すぐに我に帰り言葉を返す。それに満足きたのか男子生徒はこっそりガッツポーズしていたが、それを見たのび太など以外の男子は全員先生に気付かれないように嫉妬と殺意を込めた鋭い視線を送っていた。だが、幸せの中にいる男子生徒はそれに気付くことはできなかった。因みに、この男子生徒は放課後にクラスの嫉妬と殺意の視線を浴びせた男子達によって何処かに連れて行かれたらしい。そして次の日、彼は全身包帯だらけのミイラの様な姿で学校に現れたのは完全な余談だ。何はともあれ、幸の自己紹介は大成功だった。そして、一時間目の放課になった。

 

女子生徒A「ねえねえ、どこから来たの?」

女子生徒B「お家どこ?」

男子生徒B「趣味とかは?」

男子生徒C「好きな人とかは⁉︎」

女子生徒C「BLとか興味ある?」

男子生徒D「生まれる前から好きでしたぁーっ‼︎」

女子生徒D「あ、あの…結婚を前提にお付き合いをっ‼︎」

幸「え、えっと…。(よ、予想はしてたけど、ここまでとは…どうやって抜け出そうか…。てか、質問になってないのあるし、一部ちょっとアレだし、このクラス大丈夫なの⁉︎)」

 

幸は大勢の生徒から男子女子問わず、質問責めにあっていた。幸は自分の想定より斜め上の状況に戸惑っていた。そして、一部の生徒の変わった質問にこれからの学校生活に不安を感じていた。そこで幸は頼みの綱であるのび太に助けを求めようと、そちらを見るも…

 

幸「(い、居ない?)」

 

その席にのび太は居らず、代わりに何か字が書かれているメモが置いてあった。幸は群がる生徒の合間から、そのメモを読む。そのメモにはこう書かれていた。

 

《ごめん。僕には無理》

幸「(逃げた⁉︎)」

 

のび太と言う現状唯一の突破口を失った幸は愕然とする。このまま幸は、この時間ずっとこんな状況に置かれるかと思われたが、そこへ救いの手が差し伸べられた。

 

静香「皆、そんなにいっぺんに質問しても、海東さんが困っちゃうだけよ」

出木杉「そうだよ。皆、一人ずつ質問しようよ」

 

この状況を見かねた静香と出木杉は幸を取り囲んでいる生徒達を窘める。すると、幸を取り囲んでいた生徒達は申し訳なさそうな顔になる。それを見た幸は苦笑しながら気にしてないと言うと生徒達は表情を戻し、また質問を始める。ただし、今度はちゃんと一人一人落ち着いて質問をしていた。

 

放課後

 

無事、転校初日を終えた幸はのび太と共に帰路についていた。だが、幸はずっとジト目で一言も話さずのび太を見ていて、微妙な雰囲気になっていた。それに居心地が悪く感じたのび太は話しかける。

 

のび太「何でそんなに不機嫌になの?」

幸「別に。ただ、のび太があんな状況で僕を見捨てるほど薄情なんだなぁって分かったからさ」

のび太「それについてはずっと謝ってるじゃないか…」

幸「謝って済むなら警察はいらないよ。ふんっだ!」

のび太「はぁ…」

 

幾ら何を言っても一向に機嫌を直さない幸にのび太は困り果てて溜息を吐いた。のび太も自分に非があると言うのは分かっているので、ずっと謝っていた。しかし、それでも幸の様子は変わらなかった。のび太がどうしたものかと頭を悩ませながら歩いていた。その時、幸が急に足を止めた。それを見てのび太も立ち止まる。見れば、周囲にいる人たちも立ち止まって、空を見ていた。それにつられて、のび太も空を見る。そこには奇妙な青色に輝く光の球が浮遊していた。

 

のび太「何だあれ?」

幸「分からないけど、普通じゃないのは確かだね」

のび太「うん。なんか妙な力というか、異常なものを感じるよ」

 

二人がその球から発せられる雰囲気に警戒していると、光の球は急に呻き声の様なものをあげながら、動き回り始める。その不気味な光景を見た町の人たちは更にざわめき始める。そして、光の球がより大きな呻き声をあげたかと思うと、激しく動き始め、地上に向かって落ちてきた。そこには、先程まで様子を伺っていたのび太と幸がいた。

 

のび太「うわっ⁉︎」

幸「⁉︎」

 

二人は左右に飛び退く事で落下してきた光の球を避ける。光の球が落下した地点では砂埃が舞っていて、そこから光の球が飛び出してくる。砂埃が晴れた地点を見たのび太と幸は驚く。そこには光の球よりも少し大きいクレーターが出来ていた。と、同時に周囲から悲鳴が聞こえた。

 

幸「これは…!」

のび太「皆、逃げて‼︎」

 

慌てて周りを見た幸は目を見開き、のび太は他の人たちに逃げるように叫んだ。そこには、光の球が暴れながら飛び回っていて、その光の球が通過した道路や建物が抉れたり、破壊されていた。一部の建物は、その衝撃でコンクリートなどが落ちてきていて非常に危険な状況だった。町の人たちはパニックに陥っていて、まともに避難できる状態ではなかった。

 

幸「ふっ!」

 

その時、幸はディエンドライバーで光の球を狙撃する。ディエンドライバーの射撃を喰らった光の球は動きを止めると空へと舞い上がり、真っ直ぐ何処かへ飛んでいく。

 

のび太「幸ちゃん、追うよ!」

《MACHINEDECADER》

幸「分かったよ」

《MACHINEDIENDER》

 

のび太は幸に呼びかけながらDフォンを操作してマシンディケイダーを呼び出す。幸ものび太の声に応えながら、のび太のと同じ形でシアン色のDフォンを操作して、マシンディケイダーと同型のシアン色を基調としたバイク“マシンディエンダー”を呼び出す。そして、二人はヘルメットをつけると、飛んで行った光の球を追ってマシンを走らせた。

 

 

空き地

 

???A&B「はぁ〜…」

 

時は少し遡って、裏山に現れた二人は空き地の土管の上で深い溜息をついていた。二人の周りはどんよりとした空気に包まれており、とても近寄り難い雰囲気だった。

 

???A「どうなってるんだ…。裏山から降りてきたはいいけど、何故か学校に行く時間になってるし、家に行ったらママに叱られて、それで午後になってやっと皆を見つけたと思ったら様子が変だし…」

???B「おまけに裏山の研究所まで無くなってて、訳がわからない…」

 

二人は再度溜息を吐くと、黙り込んでしまう。その様子はとても痛々しいものであった。暫く、言葉を発せずにいた二人だったが、唐突に一人かもう一人に声をかけた。

 

???A「ねぇ」

???B「ん?」

???A「これから、どうしようか…」

???B「…」

 

???Aが不安そうな声音で問いかけるが、???Bも現状が分からないので言葉を返すことができない。それを見た???Aは再び黙り込む。二人が意気消沈といった感じで

俯いていた時、片方の一人が急に顔を上げて土管から降り周囲を見渡す。それを見たもう片方は不思議に思い、首をかしげる。

 

???B「どうしたの?」

???A「しっ!…何か聞こえない?」

???B「何かって?」

???A「何って、こう…呻き声みたいなのがさ」

 

???Aの言葉を聞き、???Bも土管から降りて耳をすます。すると、本当に何やら呻き声の様なものが聞こえてきた。それを聞いた???Bは???Aの顔を見る。

 

???A「ね、聞こえるでしょ?」

???B「うん!それに…近づいてきてる?」

 

???Bの言う通り、その呻き声はだんだん大きくなってきていて、近づいてきているのが分かった。二人は辺りをしきりに見回しながら呻き声の正体を見つけようとする。そして、呻き声がこれまでで一番よく聞こえた時、二人は一瞬だが見た。自分達の上空を通過する、光の球体を。

 

???A「今の見た⁉︎」

???B「勿論!よく分かんないけど、何かが起こってるのは確かなんだ。だから、さっきのを追えば何か分かるかも」

???A「うん!それに今の。一瞬しか見えなかったけど…凄い力を感じた。嫌な予感がする…だから、ドラえもん!」

???B「行こう、のび太くん!」

 

二人の人物“のび太”と“ドラえもん”はタケコプターを装着すると、さっきの光の球を追う。後に、二人は知る事になる。自分達が置かれた状況を。

 

 

廃工場

 

光の球を追ってきたのび太と幸はある廃工場の前でマシンを止める。そして、ヘルメットを外し、マシンから降りる。

 

幸「どうやら、ここに来たみたいだね」

のび太「うん。油断しないようにね」

幸「ああ」

 

のび太は幸の返事を聞くと、廃工場の僅かに空いた入り口から中の様子を伺う。そして、扉を開けて中へと入る。幸もそれに続き、ディエンドライバー片手に辺りを警戒しながら入る。

 

のび太「何もいない?」

幸「けど、さっきのがここに入ったのは確かだ。だから、ここにいる筈だよ」

 

のび太と幸はお互いに警戒を怠らずに状況の確認をする。そして、光の球を探す。工場内は不気味なほど静まり返っていて、物音一つ聞こえない。その様子に思わず背筋に薄ら寒いものを感じた時、二人の死角となっている所から何かが飛びかかってくる。

 

のび太、幸「!」

 

二人はその気配をいち早く感じ取り、避ける。そして、距離をとりつつ、襲い掛かってきたものを挟み込むような位置に移動して、その存在を見た。それは外見は水のエルに酷似しているが、背中の羽根は小型となっており高貴な装飾は簡素な鎧の様なものになっており、貴族や美意識を思わせる風格は一欠片もなく、更に自我や自意識さえも感じさせず、人形の様な印象を抱かせる“水のエル 劣化態”だった。

 

のび太「まさかこいつ…?」

幸「のび太、どうやら一体だけじゃなさそうだよ」

 

幸の言葉通り、周りから多数の水のエル(劣化)が現れる。その手には、魚のヒレの様な両刃がついた手斧“私怨のトマホーク”を持っている。のび太と幸は互いに背中を向けて構える。

 

のび太「さっきのがこいつらなのかは分からないけど、取り敢えずやるしかないみたいだ」

幸「みたいだね」

 

のび太はディケイドライバーを腰にあて、ベルトを装着する。そして、ライドブッカーから一枚のカードを取り出す。幸もディエンドライバーを右手に持ち、カードを取り出す。のび太と幸は同時にカードを装填する。

 

のび太、幸「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

《KAMENRIDE DIEND》

 

のび太と幸の周りに人型の幻影が現れ、それらが重なるとのび太と幸はディケイドとディエンドへと変身した。そして、二人の変身が完了した直後、水のエル(劣化)達が襲いかかってくる。

 

ディケイド「ふっ、はっ、だあっ!」

 

 

ディケイドとディエンドは迫り来る水のエル(劣化)を蹴散らしていく。ディケイドは正面のをソードモードのライドブッカーで斬り裂き、斜め後ろから斬りかかってきた奴のトマホークを受け止め弾く。そして、無防備となった正面を容赦なく斬りつける。更に、後ろに接近していた敵の横薙ぎに振るわれた斬撃を屈んで避けると、振り向きざまに斬り裂くと、そのまま敵を蹴り飛ばしその後ろにいた集団にぶつけて、その集団はドミノ倒しの様に倒れる。それを見逃さず、ライドブッカーをガンモードにして倒れた奴ら全てを狙い撃つ。

 

ディエンド「ふっ、よっと!」

 

ディエンドは斜め上から飛びかかってきた奴らをディエンドライバーで正確に射撃を当て、撃ち落とす。横からきた奴の攻撃も半身で躱して、肘打ちを叩き込む。敵の一人がディエンドに向かって私怨のトマホークを投擲する。ディエンドはそれを飛び上がり空中で回転することで回避し、そのまま私怨のトマホークをキャッチする。そして、着地しながら上から私怨のトマホークを近くにいた一体に向けて振り下ろす。更に、私怨のトマホークを投擲し、投げられたトマホークは何体もの敵を切り裂いていく。そこへディエンドはダメ押しとばかりにディエンドライバーを連射する。

 

ディケイド「全然減らないな。はあっ!」

ディエンド「たぁっ!大して強くはないけど、何体いるのやら…」

 

二人は水のエル(劣化)の数の多さに呆れながらも、倒していく。だが、倒しても倒しても水のエル(劣化)はウジャウジャと湧いてくる。離れて戦っていた二人は周りの敵を倒しながら、合流した。

 

ディケイド「こうなったら…」

《KAMENRIDE BLACK》

 

ディケイドはカードを装填するとその身体が強烈な光に包まれる。すると、身体がバッタ男の様な姿に変わる。そして、その上から強化皮膚が包み込み、また姿が変わる。夜の闇の様な漆黒の身体に真っ赤な複眼、所々に赤と黄色のラインが入った戦士“仮面ライダーBLACK”へと変身した。そのまま、Dブラックはカードを取り出すとディケイドライバーに装填する。

 

《ATACKRIDE KINGSTONEFLASH》

 

すると、Dブラックの腰あたりから赤色のエネルギーの閃光を放つ。その閃光は工場内全てを覆い、赤色に包まれる。そして、閃光が晴れた時、大量にいた水のエル(劣化)は全て消滅していた。Dブラックはディケイドに戻る。

 

ディケイド「全部やったのか…?」

ディエンド「…いや、まだ何かいるみたいだね」

 

ディエンドの言葉にディケイドは気を引き締めて気配を探る。そして、何者かの気配がする方向へ向き目を凝らす。

そこには、ディケイドやディエンドも見た事がないライダー。腰にスマートフォンを付け、両手には下部にブレードがついた銃“GNピストルビット”をもっている緑色のライダー“仮面ライダーガルガイン”と同じく腰にスマートフォンを付けて、手には剣“インフィニティブレイド”を持ち、つま先辺りに剣“ボルガレッグソード”が付いているライダー“仮面ライダーボルガ”だった。

 

ディエンド「敵かな?」

ディケイド「さあ?まだ何とも。もしかしたら、光の球の正体かも」

ディエンド「見た目はライダーみたいだけど、ライダー全員が味方って訳じゃないしね」

ディケイド「そうだね。それに結構やるみたいだ」

 

構えを解かずに警戒をやめないDブラックとディエンド。一方、ガルガインとボルガも二人をかなり警戒しながら、向こうに聞こえないように会話する。

 

ガルガイン「彼奴らって敵なのかな?何か僕たちと似てるような感じがするんだけど…」

ボルガ「確かに…。でも、あの二人かなり強い。それにさっきの見たでしょ?」

ガルガイン「だけど、さっきの奴らをやっつけたんなら…」

ボルガ「だとしても、僕たちの敵じゃないとは限らないだろう?だから、不用意に近付くのは危険だよ。さっきの光の球の事もあるし」

 

何かお互いがお互い深読みしすぎてとんでもない勘違いが発生していた。それに気付かず両者の間には緊迫した空気が流れる。お互いに相手の出方を伺っている時、意を決してディケイドが話しかける。

 

ディケイド「ねぇ、一つ聞くよ」

ボルガ「…何だい?」

ディケイド「(どっかで聞いた事がある声だな…)君達は敵?それとも味方?」

ボルガ「さあね?それはこっちの台詞なんだけど?(何かのび太くんみたいな声だな…)」

ディケイド「へぇ…。なら、こっちが君達にとって敵だとしたら?」

ボルガ「だった、らあっ!」

ディケイド「!」

 

ディケイドの言葉にボルガはインフィニティブレイドを構えて突っ込んでくる。ディケイドもそれに反応してライドブッカーを構え、向かっていく。ディケイドとボルガがぶつかり合い、両者の得物も甲高い音をあげながらぶつかり合った。それを見たガルガインはディケイドにGNピストルビットを向けるが、足下にシアン色の光弾が撃ち込まれ注意がそちらに向く。

 

ディエンド「君の相手はこっちだよ?」

ガルガイン「くっ⁉︎」

 

ディエンドはガルガインに向かって走っていく。それをガルガインは迎撃しようと連射するが、ディエンドの射撃により全て撃ち落とされる。

 

ガルガイン「うそぉ⁉︎」

ディエンド「驚いてる暇なんてあるのかな?」

ガルガイン「くっ!」

 

自分の射撃を全て相殺されたガルガインは驚くが、接近してくるディエンドに意識が戻される。ガルガインは距離を取ろうと慌ててバックステップで離れようとするが、それより早く接近したディエンドが蹴りを入れる。ガルガインは咄嗟に腕を上げて防御に成功するも、続けて放たれたローキックで体勢を崩され、そこに再び渾身の蹴りを入れられる。それにより、ガルガインは蹴り飛ばされる。

 

ディエンド「こっちは任せて、そっちは存分に戦ってね。それじゃ!」

 

ディエンドはディケイドにそう言うと、吹き飛ばされたガルガインの下へと向かっていく。それを聞いたディケイドは意識を目の前のボルガに集中すると、鍔競り合いを止めて離れる。

 

ディケイド「という事だから、僕とお前の一対一だ」

ボルガ「望むところさ!」

 

そこで再びディケイドとボルガは同時に駆け出す。お互いに自分の間合いまで接近すると、剣戟が繰り広げられる。ボルガはインフィニティブレイドを左薙ぎに振るうが、ディケイドはそれを半歩下がる事で紙一重で避け、逆に斬りつける。ボルガは身体を強引に捻ることで回避すると、膝蹴りを入れる。更に、身体をくの字に曲げたディケイドを切り裂こうとするが、ディケイドは片方の手で相手のインフィニティブレイドを持つ方の腕を掴むことで攻撃を止める。そして、くの字の状態から戻る勢いを利用して思いっきり頭突きを喰らわす。だが…

 

ボルガ「ふっ、甘いね」

ディケイド「⁉︎痛って!な、なんで⁉︎」

ボルガ「そりゃあ、石頭はこっちの専売特許だからね。ほら、お返し、だぁっ‼︎」

ディケイド「があっ‼︎」

 

全然痛がる様子を見せず逆にこちらがダメージを喰らった事に驚くディケイドに、ボルガは頭を思いっきり仰け反らせ、そしてかなりの勢いがついた頭突きを放つ。あまりの衝撃と痛みにディケイドは頭を押さえながら後退り、蹲る。そこへボルガが一気に畳み掛けようと、インフィニティブレイドを構えて向かってくる。そして、振り上げたインフィニティブレイドを一気に振り下ろす。

 

ディケイド「そっちも甘いね!」

ボルガ「なっ⁉︎うわぁぁっ!」

 

だが、ディケイドはインフィニティブレイドが振り下ろされる前にライドブッカーをガンモードにし零距離射撃を放つ。ボルガはそれをまともにくらい後退し、倒れる。ディケイドは倒れているボルガを撃つ。しかし、ボルガは転がることで避けて、そのまま立ち上がる。ディケイドは構わず射撃を放つが、ボルガは前へ飛び込みながら前転し接近する。ディケイドはすぐさまライドブッカーをソードモードにし、斬りかかる。

 

ボルガ「おりゃあっ!」

ディケイド「なっ⁉︎」

 

ボルガはそれを上半身を思いっきり仰け反らせてイナバウアーなような体勢で避ける。そして、そのまま両手を地面につけてバク転しながらその勢いで蹴り上げる、所謂サマーソルトキックを放つ。その際、足のレッグソードによって斬り裂かれる。ディケイドは斬り裂かれた際の衝撃で吹き飛ぶ。

 

ボルガ「どうだっ!」

ディケイド「くっ…、やるな。だけど!」

《KAMENRIDE BLACK RX》

 

ディケイドの身体が光に包まれる。そして、光が晴れるとそこには、黒と濃い緑の身体に真っ赤な複眼、左胸に描かれたRXと言うマークが特徴の戦士“仮面ライダーBLACK RX”がいた。

 

ボルガ「か、変わった⁉︎」

DブラックRX「まだまだ行くよ!」

《FORMRIDE BLACK RX ROBORIDER》

 

すると、再びDブラックRXの姿が変わる。黒と黄色の頑強な身体に赤い複眼、全体的にロボットの様な印象の戦士“悲しみの王子 ロボライダー”へと変身した。

 

ボルガ「な、なんかゴツくなったな…。けど、それでも!」

 

ボルガはDロボライダーに向かってかけていく。そして、インフィニティブレイドを振り下ろす。ボルガはそれを見てDロボライダーがあまり俊敏に動けない事を見抜きながら切り裂く。しかし、その刃はDロボライダーの身体を通ることはなく、ダメージにはならなかった。

 

ボルガ「そ、そんな⁉︎」

 

ボルガはDロボライダーの防御力に目を疑うが、すぐに我にかえるとインフィニティブレイドとレッグソードでの連撃を与える。しかし、それでもダメージとはならず、Dロボライダーはボルガの蹴り足を掴む。

 

ボルガ「しまった!」

Dロボライダー「だあっ!」

 

Dロボライダーはボルガの足を掴んだまま、顔面をぶん殴る。Dロボライダーのパワーでのパンチを喰らったボルガは思わず、仰け反る。だが、未だに足を掴まれているので離れる事ができない。Dロボライダーは思いっきりボルガを空高く放り投げた。

 

ボルガ「ぐがっ!」

Dロボライダー「逃がすか!」

 

ボルガを放り投げた方に方向に向かっていくDロボライダー。その行動に容赦などという言葉は見当たらない。ボルガは空中で射撃武器であるセンターライフルを連射する。

 

Dロボライダー「そんなもので、止まるかぁっ!」

ボルガ「…なんてタフネス…」

 

ボルガがDロボライダーの防御力に唖然としていると、Dロボライダーの少し手前にドラム缶が数個重なっているのを見つけた。そのドラム缶からはオイルの様なものが溢れでていた。

 

ボルガ「ようし!」

 

未だ滞空しているボルガは再び照準を合わせる。そして、センターライフルを発射する。だが、銃弾はDロボライダーから外れる。それを不思議がるDロボライダーだったが、次の瞬間オイルの入ったドラム缶に銃弾が命中し爆発を起こす。Dロボライダーは驚く暇もなく、その爆発に飲まれた。それを見たボルガは難なく着地する。

 

ボルガ「はぁ、はぁ…。のび太くんみたいに上手くできるか心配だったけど、何とか当てられた…」

 

ボルガは乱れる呼吸を整えながら安堵し、仮面の下でほくそ笑む。だが、ボルガは知らなかった。先程の行動が、現在のディケイド、ロボライダーにとってどんなに悪手だったか。ボルガは爆炎の中から、ロボットの足音の様なものを聞いた。そして、顔を上げた瞬間目を見開いた。何故なら、そこには…

 

Dロボライダー「うおぉぉぉぉっ‼︎」

ボルガ「わあぁぁぁぁっ⁉︎」

 

爆発の炎を吸収しながら咆哮を上げて向かってくるDロボライダーがいた。その姿は対峙したものにとって最早恐怖でしたかない。ボルガは今のDロボライダーに接近されまいと、センターライフルを連射する。しかし、恐怖で照準が上手く定まらないのか結構な数を外し、当たったとしてもDロボライダーの装甲の前には無力だった。そうこうしてる内にDロボライダーはボルガに接近する。そして、腕を振りかぶる。

 

Dロボライダー「らあっ‼︎」

ボルガ「!」

 

ここに来て正気を取り戻したボルガは、Dロボライダーの拳をセンターライフルでガードする。しかし、炎を吸収した事でパワーアップしているDロボライダーの拳はセンターライフルを容易く粉砕して、その衝撃でボルガは吹き飛ばされ廃材の束に突っ込んだ。ボルガが突っ込んだ廃材の束は崩れ、大きな音を立てる。

 

ボルガ「く、くそっ!どうすれば…」

 

ボルガは考えた。今、あのDロボライダーに対抗しうる手段を。ボルガは必死に頭を回転させる。そして、考えついた。Dロボライダーのパワーをも受け止める手段を。それは自身の特技の一つであり、アイデンティティーを利用したものでもある。そう、それは…

 

ボルガ「でえぇぇぇいっ‼︎」

Dロボライダー「⁉︎うおぉぉぉぉっ‼︎」

 

石頭による頭突きである。だが、頭突きと侮るなかれ。なんと、その頭突きは炎を吸収してパワーを増したDロボライダーの拳を受け止め、拮抗する。Dロボライダーも予想外の反撃に驚きながらも、自らの拳に力を込める。ボルガも押し切られまいと力を入れ直す。結果、両者は互いに弾かれ距離をとることになった。

 

Dロボライダー「何て石頭…」

ボルガ「だから、言っただろ?石頭は僕の専売特許だってね。行くぞ!」

Dロボライダー「っ!うおぉぉぉぉっ‼︎」

ボルガ「だあぁぁぁぁっ‼︎」

 

Dロボライダーは腕を振りかぶり、ボルガは頭を仰け反らせる。そして、再び互いの拳と石頭が激突する。一方、その頃のディエンドとガルガインも互いに一歩も引かぬ状況にあった。

 

ディエンド「はっ!」

ガルガイン「うおっ⁉︎たあっ!」

 

ディエンドの光弾をガルガインは横に転がる事で躱し、逆にディエンドを狙い撃つ。ディエンドはそれをギリギリで躱すと、カードを装填する。

 

ディエンド「中々やるね。だけど、これはどうかな?」

《ATACKRIDE BLAST》

 

ディエンドはディエンドブラストを発動し、大量の光弾がガルガインを襲う。だが、ガルガインはバックステップをしながら、両手のGNピストルビットでの早撃ちの連射で全て相殺する。大量の光弾を捌ききれた事に安心したガルガインだったが、ふと前を向いた時ディエンドの姿が消えていることに気付いた。ガルガインは慌てて周りを見回すが、気付いた時には自身の左斜め後ろでかなりの至近距離まで接近を許していた。

 

ガルガイン「しまっ…⁉︎」

ディエンド「ふっ、やあっ、たあっ!」

 

自身の失態による動揺で隙を見せたガルガインに向かって、ボディブローを放つ。ガルガインは何とか身体を捻り、相手の拳に自身の手を添えて受け流す。だが、続けてディエンドライバーで殴打する。銃使いであるディエンドが銃で殴りかかってきたという事に驚いた所為でディエンドライバーの一撃を顔面にまともに喰らう。更に、そのまま何も出来ずにディエンドライバーでの近距離連射を喰らう。ガルガインは思わず後ずさり、距離をとる。

 

ガルガイン「痛ってて…。今までの様子から格闘もこなすだろうとは思ってたけど、まさか銃で殴りかかるなんて」

ディエンド「別に射撃だけが僕の武器じゃないしね」

ガルガイン「こっちだって、撃つことしか出来ないわけじゃないよ」

《Ready》

 

そう言うとガルガインは緑色の剣“サイクロンソード”にミッションメモリを装填し、その刀身に風を纏わせる。そして、一気にディエンドに斬りかかる。ディエンドは横薙ぎに振るわれたサイクロンソードを少し下がってギリギリで回避し、逆にカウンターを浴びせようとする。しかし、ガルガインはディエンドが回避した直後、サイクロンソードの風を斬撃として飛ばし、それを近距離で諸に喰らったディエンドは火花を散らしながら吹き飛ぶ。だが、ディエンドは受け身をとりながら直ぐに立ち上がる。

 

ディエンド「はぁ、はぁ…、くっ⁉︎まさか、僕がこんなに綺麗に一撃貰うなんてね。少し油断してたかな?」

ガルガイン「なら、油断はもうやめなよ。僕だって油断した相手に負ける様な鍛え方はしてないからね」

 

斬撃を喰らった箇所を片手で押さえながら息を整えるディエンドに、ガルガインはサイクロンソードを持っている方とは逆の手でGNピストルビットを持ちながら言い放つ。それを聞いたディエンドは、押さえていた手を離していつもの構えに戻る。

 

ディエンド「そうだね。そうさせてもらうよ、っと!」

《KAMENRIDE IBUKI》

ガルガイン「っ!」

 

ディエンドは黒い身体に青の顔面の隈取りと腕、頭部の金の三本の角に袖のないダウンジャケット状の金管を模した装飾を纏った音撃戦士“仮面ライダー威吹鬼”を召喚する。威吹鬼はトランペットを模した拳銃“音撃管 烈風”をガルガインに向って連射しながら、駆け出す。

 

ガルガイン「はっ!」

 

ガルガインは自分に発射された弾をGNピストルビットで撃ち落とすと、接近してきた威吹鬼にサイクロンソードを振り下ろす。だが、威吹鬼は手刀や蹴りに真空の刃を纏わせて切り裂く技“鬼闘術 旋風刃”を纏った蹴りを放ってサイクロンソードと打ち合う。威吹鬼の蹴りによる真空の刃が、サイクロンソードの纏う風を切り裂いていく。それを見たガルガインは打ち合いを止めて、距離を取ろうとする。しかし、威吹鬼は素早い動きと烈風の射撃ですぐさま距離を詰めて、離させない。

 

ガルガイン「くそっ⁉︎距離が、取れないっ!」

 

ガルガインは威吹鬼の射撃と手刀や蹴りを捌くことに精一杯で中々距離が話せないことに思わず悪態を吐く。それに構わず威吹鬼はどんどん攻めたてる。そして、とうとう威吹鬼の手刀により、サイクロンソードが弾き飛ばされる。

 

ガルガイン「あっ、しまった!…があぁぁっ!」

 

ガルガインが弾かれたサイクロンソードの方を向き隙がうまれたところに、威吹鬼はここぞとばかりに攻め込む。上や横などあらゆる方向から旋風刃による手刀や蹴りを浴びせ、更に銃撃も加える。そして、最後に威吹鬼が放った下からの手刀の切り上げによって、ガルガインは打ち上げられながら後ろに吹き飛ぶ。

 

ガルガイン「ぐあっ⁉︎ぐっ…こんな所で…こんな所で、負けられるかぁぁぁぁ‼︎」

 

ガルガインは地面に落ちる瞬間、両手を地面につける。そして、そのままバク転をして更に後ろに下がり、その先にある壁を思いっきり蹴る。それにより、ガルガインは一気に威吹鬼の上まで跳ぶ。

 

ガルガイン「っらぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

そこで素早く両手にGNピストルビットを持ち替えると、威吹鬼に向けて撃ちまくる。ビームの雨から逃れることは出来ず、威吹鬼はそれらを喰らい続ける。そして、ガルガインが着地すると同時に威吹鬼は爆発して消えた。

 

ガルガイン「はっ…はっ…。や、やった…」

ディエンド「あそこから逆転なんて凄いね」

ガルガイン「っ!えっ…」

 

荒い呼吸を整えようとしているガルガインは、ディエンドの声に勢いよく振り向く。が、次の瞬間ガルガインの口から困惑の声が漏れた。何故なら、そこには二人(・・)のディエンドの姿があった。驚くガルガインに、ディエンドはあるカードをひらひらさせながら見せる。それはILLUSIONと書かれたカードだった。ディエンドは、このカードの効果で分身を生み出す“ディエンドイリュージョン”を発動したのだ。

 

ディエンドA「お疲れのところ悪いけど…」

ディエンドB「第二回戦の開始だよ」

ガルガイン「くっ!」

 

二人のディエンドに銃を向けられたガルガインは相手が発砲する前に横に駆け出す。それを追ってディエンドもガルガインと平行に駆け出す。そして、互いに一定の距離を保ちながら射撃を放ち合う。

 

ディエンドA「はっ!」

ガルガイン「ふっ!」

ディエンドB「やっ!」

 

ディエンドA、Bの射撃を躱したり、相殺したりすると、ガルガインがお返しとばかりにビームの連射を喰らわせる。それをディエンドも回避や相殺をして、撃ち返す。これをお互いに走りながら繰り返す。

 

ディエンドA「中々の射撃だね」

ガルガイン「そりゃ、僕の特技の一つだからね」

 

そう言うと、お互いに向かって射撃をしながら方向転換して駆け出すディエンドとガルガイン。そして、距離がつまったところでディエンドAが蹴りを放つ。それをガルガインは、屈んで避けてディエンドAの後ろに回り込む。そこへ、ディエンドBが横から拳を放つ。ガルガインはその拳をGNピストルビットで受け止めると、蹴り飛ばす。そして、ディエンドAが振り返った瞬間に、零距離射撃を叩き込む。それにディエンドAはのけぞりながら後退する。その衝撃でディエンドは分身が解けた。

 

ディエンド「うっ⁉︎…まさか、ここまでなんてね」

ガルガイン「やっと、一人に戻った」

 

ディエンドは相手の力を見誤っていたことを悔やみ、ガルガインはディエンドイリュージョンが解けた事に安堵した。二人は、それから言葉を発するとこなく対峙する。そして、今にも動き出すという瞬間…

 

ディエンド「っ!」

ガルガイン「⁉︎」

 

ディエンドとガルガインの前に、あの光の球が現れる。だが、その光の球からは先程とは比べ物にならない程の力を感じられた。その力は向こうで戦っていた二人にも感じられたようで、Dロボライダーから戻ったディケイドとボルガもやってきた。一同はその力、この状況に混乱する。そして、光の球は暫くその場で浮遊していたが、地面に降り立つ。その時、凄まじい衝撃と光の波動が周囲に放たれる。ディケイド達はそれに思わず腕で顔を覆う。そして、衝撃が治ったことで光の球があった場所を見たディケイド達は驚愕を隠せなかった。

 

一同「っ⁉︎」

 

そこにいたのは水のエルの様な姿だがどこか違う怪人だった。それは、纏っている衣や装飾が大型化していて、身体の所々が金色になっており、そして身に纏っている雰囲気が以前のそれとは格段に違っている“水のエル 究極体”だった。

 

ディケイド「こ、こいつは…一体…」

 

ディケイド達は思わぬ敵の出現とそのオーラに威圧されていた。水のエルはそんなディケイド達の方を向き、ディケイドはそれに身構える。

 

水のエル(究極)「人でないものは…消えろ…」

 

そう言って手をディケイド達に翳した。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 




後書きの間

Δデルタ「今回と次回の後書きにゲストが来ることになった!」
のび太「それって…」
Δデルタ「そう、こちらの二人だ。どうぞ!」
のび太(焔)「やあ、どうも!」
ドラえもん(焔)「こんにちは!」
Δデルタ「焔崩しさんの所から、のび太とドラえもんだ」
ドラえもん「本当にもう一人の僕達なんだ」
ドラえもん(焔)「そりゃあ、別世界の僕なんだしね」
郎夜「でも、本編じゃ互いに認識するどころか、いきなりバトってるがな」
のび太(焔)「そ、それは…」
奈々「まあまあ。それより、そろそろ本編の話に行きましょうよ」
幸「そうだね。所で、今回は異様にBLACK系が多かったけど」
Δデルタ「スーパーヒーロー大戦GPのてつをがかっこよかった!」
のび太(焔)「成る程、だからなのか」
ドラえもん(焔)「でも、ロボライダーと戦う事になるなんて…うぅ、頭が」
のび太「だ、大丈夫?」
ドラえもん「君がそれを言うか。でも、別世界のとは言え炎を吸収したロボライダーのパワーと互角の僕の石頭って一体…」
奈々「本当にそれに関しては凄いの一言しか言えませんね」
郎夜「本当にな。で、あの最後の水のエルだが、どんだけパワーアップしてるんだ?」
Δデルタ「詳しくはいえないが、少なくとも強化態以上とだけ言っておく」
のび太(焔)「ただでさえ、四体一でも圧倒した強化態以上だなんて…」
ドラえもん(焔)「ぼくたち、生きて帰れるかな…」
のび太「ま、まあ、大丈夫…だと思う、よ。うん…」
ドラえもん「余計に不安煽ってるよ、のび太くん…。さて、そろそろ締めに入ろう!」
Δデルタ「だな。じゃあ、のび太(焔)頼めるか?」
のび太(焔)「OK!それじゃあ。勘違いして戦っていた僕たちの前に現れた水のエル。だけど、その力は圧倒的で…。そんな敵に僕たちは勝てるのか、そして無事に元の世界に帰れるのか!次回、第7話-後編-。全てを破壊し、全てを守り抜け!」


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第七話-中編-

この小説を読んでくださり続きを待っていらっしゃった読者の皆様、そして焔崩し様、大変長らくお待たせしてしました。そして、かなりの時間が空いてしまい申し訳ございませんでした!モチベーションなどの事情で思うように書けず…申し訳ないです…。思ったより長くなりそうで急遽、前、中、後編と分けることにしました。本当にすみません…。では、早速本編の方をどうぞ!


廃工場

 

水のエル(究極)「人でないものは…消えろ…」

 

水のエルが手を前に翳した時、ディケイド達は嫌な予感を感じ咄嗟にその場から飛び退く。その瞬間、さっきまでディケイド達がいた地面が衝撃波によって爆ぜる。それをディケイド達は、相手の凄まじいパワーに驚きながらも、各々の武器を構える。

 

水のエル(究極)「人は人のままであればいい…」

ディケイド「はっ!」

ボルガ「だぁ!」

 

次の衝撃波を避けると、ディケイドとボルガが同時に斬りかかる。それを水のエルは魚類の尾びれのような刃に豪華な装飾が付いた何処か神秘的な雰囲気を纏った戦斧“怨恨のハルベルト”で受け止める。

 

ディケイドとボルガは腕に力を込めて、水のエルを押し込めようとする。しかし、ディケイドとボルガが幾ら力を入れても、水のエルは揺るがなかった。

 

水のエル(究極)「無駄だ…。ふんっ!」

ディケイド、ボルガ「うわっ⁉︎」

 

水のエルは自身の得物に力を込めてディケイドとボルガを弾くと、目にも留まらぬ速度の突きをディケイドとボルガに連続で放つ。それだけの攻撃で、ディケイドとボルガは火花を散らしながら吹き飛ばされ、あまりの痛みに地面を這い蹲る。

 

すると、水のエルは倒れているディケイドとボルガにむかってゆっくりと近づいていく。

 

ディエンド「させない!」

ガルガイン「やめろ!」

 

それを見たディエンドとガルガインはすぐさま、水のエルに向けてディエンドライバーとGNピストルビットを連射する。しかし、水のエルが視線を向けた瞬間、光弾とビーム

がそこで停止する。

 

水のエル(究極)「愚かな…」

ガルガイン「なっ⁉︎」

ディエンド「まずい!」

 

水のエルが怨恨のハルベルトで地面を一回突くと、停止していた光弾とビームがディエンドとガルガインに向けて動き出した。それに驚きながらも二人は何とか躱す。

 

だが、二人が躱した光弾とビームは急に方向転換して、また二人に迫る。

 

ディエンド「きゃっ!」

ガルガイン「ぐあっ!」

 

先程回避したばかりの二人にこれは流石に躱せず、背中に直撃する。それを見た水のエルは再び視線を正面に向けるが、そこには倒れていたディケイドとボルガの姿がない。

水のエルは二人の姿を探す為に辺りを見回す。

 

《KAMENRIDE BLACK》

 

その音声に水のエルが振り向いた先には、Dブラックとボルガが走ってきていた。そして、二人が同時に跳び上がるとDブラックが左拳、ボルガが右拳を振るう。水のエルはそれぞれの拳を弾いて、軌道を逸らす。Dブラックとボルガはその勢いで倒れかけるが、受け身をとって立て直す。

 

Dブラック「はっ、だあっ!」

 

Dブラックは右拳を水のエル目掛けて振るうが、水のエルはそれを怨恨のハルベルトで防ぐ。だが、Dブラックは怨恨のハルベルトを上に蹴り上げて、弾く。そして、ガラ空きの胴体に全力のストレートを放つ。

 

Dブラック「⁉︎」

水のエル(究極)「何だそれは?…ふっ!」

Dブラック「があっ⁉︎」

 

だが、Dブラックはまるで素手で岩でも殴ったかのような手応えに仮面の下で目を見開く。そんなDブラックを見ながら、水のエルは全くダメージを与えられていないDブラックの拳を掴む。

 

そして、無理やり腕を捻り、そのまま投げ飛ばす。Dブラックは碌に受け身も取れず地面に叩きつけられる。

 

ボルガ「やあっ‼︎」

水のエル(究極)「む…」

 

水のエルに向かって駆けて行ったボルガは、その勢いを殺さずに跳び上がり、右膝を折り曲げて膝蹴りを叩き込む。しかし、水のエルはそれを諸に喰らっても微動だにしない。

 

ボルガはそれに構わずに左足で思いっきり蹴りつけて、その反動で後ろへ跳ぶ事で距離を取る。

 

ボルガ「くっ⁉︎効かないか…」

水のエル(究極)「無駄な足掻きだ」

 

水のエルはボルガに怨恨のハルベルトの鋒を向ける。ボルガはそれを見て思わず身構える。その時、横から銃撃が放たれ、水のエルに命中する。

 

水のエルとボルガがそちらを向くと、ガルガインとディエンドがGNピストルビットとディエンドライバーを構えて立っていた。

 

ガルガイン「僕たちはまだまだやれるぞ!」

ディエンド「そういう事だよ。あんまり嘗めない方が良いよ?」

水のエル(究極)「貴様ら…」

ボルガ「!(今だっ!)」

 

それぞれの銃を構えたディエンドとガルガインの方を見て自身から注意が逸れている水のエルを、ボルガはチャンスとみて向かっていく。それに気付いた水のエルは自身に放たれる銃撃を無視して、ボルガの攻撃に対応しようとする。

 

水のエル(究極)「ふんっ!」

ボルガ「そこだっ!」

 

ボルガは自分に振るわれた怨恨のハルベルトをギリギリで受け流し、懐に潜り込む。そして、そこへ勢いをつけた全力の頭突きをお見舞いする。周囲に甲高い音が鳴り響く。

 

ボルガ「そ、そんな⁉︎」

水のエル(究極)「…」

 

水のエル自慢の頭突きでも目に見えてダメージを与えられていないことに驚き固まっているボルガの頭を片手で掴むと、そのまま軽々と持ち上げる。そして、ボルガの頭をギリギリと締め上げる。その痛みにボルガは思わず悲鳴をあげ、抜け出そうと必死にもがく。

 

ボルガ「があぁぁぁぁぁ‼︎」

水のエル(究極)「…」

 

悲鳴をあげ、もがき苦しむボルガを見ても水のエルは何の反応も示さず、どんどん力を加えていく。ボルガはあまりの痛みに意識が朦朧とし、視界が次第に暗くなっていく。と、その時…

 

ガルガイン「やめろぉぉぉ‼︎」

水のエル(究極)「⁉︎」

 

ガルガインが後ろから水のエルの腕に向けてビームを連射し、更に水のエルの横に回り込みボルガを掴んでいる腕をGNピストルビットで殴る。

 

それにより、ボルガを離したところに、追撃として蹴りを一撃喰らわせる。その予想外の反撃と怒りの蹴りの威力に水のエルは蹴られた箇所を腕で庇いながら初めてよろけて後退する。

 

ガルガイン「大丈夫⁈」

ボルガ「う、うん…なん、とか…ね」

 

ガルガインはボルガに駆け寄ると、ボルガはまだ意識がはっきりとしていない様だったが、心配させまいと片手を上げて答える。その様子を見て一先ず安心したガルガインは、水のエルを睨みつけると立ち上がる。そして、二挺のGNピストルビットを向けて構える。

 

ガルガイン「今度は僕が相手だ!」

ボルガ「ま、待つん…だ…」

 

ガルガインはボルガの制止も聞かずに、水のエルに向かって飛び出す。ガルガインは距離を詰めた所で近距離射撃を放つが水のエルは何ともないように受け止め、逆に怨恨のハルベルトを横に振るう。

 

それをGNピストルビットで受け流しながら体勢を低くするガルガイン。そして、怨恨のハルベルトを振り切った状態の水のエルに連続で打撃を加え、最後に回転の勢いを加えた肘打ちを見舞う。だが、その攻撃も難なく受け止められる。

 

水のエル(究極)「はあっ!」

ガルガイン「がはっ‼︎」

 

水のエルは念動力で吹き飛ばしたガルガインに、追撃として下からの切り上げを喰らわせる。それを喰らいガルガインは一回転して地面に叩きつけられる。そこへ先程のダメージから立ち直ったボルガが駆けつける。

 

ボルガ「大丈夫かい⁉︎」

ガルガイン「う、うん。だけど、彼奴…」

ボルガ「ああ、恐ろしい程に強い…!」

 

ボルガとガルガインとは別の場所で合流していたブラックへの変身が解けたディケイドとディエンドも水のエルの方を向きながら焦りを隠せないでいた。

 

ディケイド「まずいね…」

ディエンド「僕たちの攻撃が全く通用しない」

ディケイド「此処までの奴と戦うのは初めてって訳じゃないけど、対抗策が浮かばないよ」

ディエンド「今までの様子を見る限りだと、他のライダーの能力でも…」

 

それぞれの様子を見ていた水のエルだったが、不意に手を前に翳した。すると、ディケイド達とボルガ達の足元に何かの紋章が現れ、輝き出す。それに嫌な予感を感じた四人はその場から逃げようとするも、その瞬間に紋章から念動力による爆発が起こり、四人を同じ方向に吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされた四人は、そのダメージ量に起き上がれない。そんな四人に怨恨のハルベルトを向けながら近づいて来る水のエル。もう駄目かと思われたその時、ガルガインの視線の先に落ちているあるものが映った。

 

ガルガイン「あれは…。!そうだっ!」

 

それはディエンドとの戦いで弾かれたサイクロンソードであった。それを見付けたガルガインは何を思いついたのか、そこへ向かう。そして、サイクロンソードを拾い上げると刀身に風を纏わせ、最大威力で風の斬撃波を放つ。

 

だが、その斬撃は水のエルではなく、その頭上の天井に向かって行く。そして、斬撃は廃工場のボロボロの天井を突き抜け、空へと消える。

 

水のエル(究極)「なんだ、今のは…?」

ガルガイン「今にわかるさ」

 

ガルガインがそう言うと、水のエルの頭上の古びた天井とその付近が崩れ降りかかり、それにより生じた砂埃で水のエルの視界が遮られる。

 

だが、水のエルは一切動じる事なく、怨恨のハルベルトの柄の部分で地面を一回突く。すると、水のエルに降ってきた天井だったものや砂埃が何か見えない力に吹き飛ばされる。そして、周りを見渡す水のエルだったが、ディケイド達の姿が見当たらない事に気付いた。

 

水のエル(究極)「…まあ、いい。あの程度の奴らなど放っておいても問題あるまい…」

 

逃げたディケイド達を追おうともせずに、独り言のように呟く。そして、踵を返して歩き出す。だが、突然水のエルの姿がスゥーっと薄れていき、とうとう最初からそこに存在しなかったかの様に完全に消えてしまった。天井に大穴が開いた廃工場には沈黙しか残されていなかった。

 

 

裏山

 

自然が多く存在する裏山に二つのエンジン音が響く。そして、それぞれのマシンを操縦しているディケイドとディエンドが現れた。

 

ディケイド「取り敢えずは、逃げ切れたかな…?」

ディエンド「恐らくはね。それにしても、良かったのかい?」

ディケイド「ん?何が?」

 

ディケイドの問いに自身たちの後ろに乗っている人物達に視線を向ける。その視線に気付いた人物がディケイド達に声をかける。

 

ガルガイン「ありがとう!」

ボルガ「おかげで助かりました」

ディケイド「いや、良いよ。こっちだって、そっちのおかけであそこから逃げられたんだし、お互い様さ」

 

ディケイド達の後ろに乗っていたのは、脱出の際に一緒に連れてきたガルガインとボルガだった。二人のお礼を受けたディケイドは軽く手を振り、気にしないでと言う。それを見たガルガインは先程から気になっていた疑問を口にする。

 

ガルガイン「でも、どうして僕たちを助けてくれたの?」

ディケイド「なんでか〜…正直なところ、そこまで考えてなかったよ。そんな暇なかったし」

ボルガ「でも、本当に助かりました!ありがとうございます」

ディケイド「もうお礼は大丈夫だよ」

 

ディケイドはガルガインの問いにハッキリとしない答えを返した。それを見ていたディエンドは三人の会話に口を挟む。

 

ディエンド「盛り上がってるところ悪いけど、そろそろ変身を解いたほうが良いと思うけどね」

ディケイド「あ、そうだね」

 

そう言うと二人は変身を解いて、のび太と幸の姿に戻る。

 

ガルガイン「えっ…」

ボルガ「そんな…⁉︎」

のび太「?どうかしたの?」

 

その瞬間、ガルガインとボルガが驚きのあまり動けなくなる。それを見ていたのび太が頭に疑問符を浮かべながら理由を問おうとする。それには答えず、未だ呆然とした様子でガルガインとボルガが自身のベルトへ手を伸ばし、変身を解除する。そして、現れたのは…

 

のび太「っ!ドラえもんに…僕⁉︎」

のび太?「これって…」

ドラえもん?「一体…」

 

あまりの事態に思わず思考停止に陥る三人だったが、このままでは埒があかないと言う幸の言葉で、ドラえもん?がピンク色のテニスボール大の球体に針のようなものがついた宿泊用の秘密道具“キャンピングカプセル”を出して、それを地面に刺して巨大化させる。そして、四人はその中に入る。

 

のび太「本物の秘密道具だ…」

幸「取り敢えず、そっちの事情を聞かせて欲しいね」

 

のび太がキャンピングカプセルが本物である事を確認し、幸はドラえもん?とのび太?に話を聞こうとする。

 

ドラえもん?「うん、分かったよ」

のび太「って言っても、こっちだってよく分かってないんだけど…」

 

そう言ってから、ドラえもん?はここに至るまでの経緯を全て話しだす。どうやら、町を歩いていたら銀色のオーロラを発見し、それに近づこうとして誤って潜ってしまったら学校の裏山に出てきて、町をさまよっていたところにあの光の球を発見し、あの廃工場に来たということらしかった。それを聞いたのび太と幸は一つの結論に辿り着く。

 

のび太「成る程ね。そういう事か」

のび太?「何か分かるの⁈」

幸「まあね。僕たちも経験した事あるしね」

ドラえもん?「どういう事?」

 

のび太と幸はお互いに顔を見合わせて、頷く。そして、身を乗り出しているのび太?とドラえもん?に今の状況を伝える。

 

のび太「その二人が潜った銀色のオーロラはね、別の世界同士を繋ぐものなんだ」

のび太?「…え?」

幸「つまり、ここは二人のいた世界とは別の世界で、二人はこの世界に飛ばされてきちゃったって事かな」

ドラえもん?「そ、それって本当?」

 

のび太と幸の言葉にポカーンとなるのび太(別)とドラえもん(別)だったが、ドラえもん(別)がそれが冗談ではない事を聞く。それにのび太は黙って頷く。それを見たのび太(別)とドラえもん(別)が固まる。そして、油の切れた機械の様な動きで顔を見合わせる。その後、再び前を向くと…

 

のび太(別)、ドラえもん(別)「ええぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎」

 

二人は驚愕の表情で魂から叫び声をあげた。因みに、その叫びはキャンピングカプセルの天井を通り抜け、雲よりも上の空を越えて、宇宙にまで響いていたという。まあ、そんな事は置いておくとしよう。

 

のび太「大丈夫?」

のび太(別)「いやいや、僕ら今大丈夫な状況じゃないんだよね⁉︎」

ドラえもん(別)「これからどうすれば⁈」

幸「う〜ん…原因を突き止めないことにはどうしようもないし、先ずはそこからかな?」

 

慌てふためく二人に、至って冷静さを崩さないのび太と幸。それを見た二人も何とか自分を落ち着かせる。そして、この状況になっている原因を考える。

 

のび太(別)「原因って…あの銀のオーロラ?」

のび太「そうなんだけど、正確にはそのオーロラが発生した原因かな?」

幸「例外もあるらしいけど、なんの理由もなく突然でてくる様な代物じゃないからね」

ドラえもん(別)「そう言われても、僕等も心当たりは正直…」

 

銀のオーラの発生原因を考える四人だったが、中々思いつかない。と、ここでのび太(別)が閃いた。

 

のび太(別)「もしかして、さっきの怪人が関係してるのかな?」

幸「確かに、そう考えるのが今は一番自然だね」

ドラえもん(別)「でも、そうすると今度は彼奴がなんなのかって疑問が浮かび上がってくるけど…」

のび太「滅茶苦茶な強さってこと以外、分からないからな〜」

 

今ある情報だけでは幾ら考えても全く答えに辿り着けず、頭を悩ませる四人。完全にお手上げ状態に陥っていた、その時…

 

鳴滝「随分と困っているようだな、ディケイド」

のび太(別)「だ、誰⁉︎」

ドラえもん(別)「て言うか、何処から⁉︎」

幸「この声…」

のび太「鳴滝か…」

 

唐突に聞こえてきた声にのび太(別)とドラえもん(別)はキョロキョロと辺りを見回す。一方、のび太と幸は聞こえてきた声からその人物を察する。そして、のび太はその人物がいる方向へ向き直る。

 

のび太「鳴滝」

幸「それで、僕たちに何の用かな?悪いけど、今は君に構ってるほど暇じゃないんだけどね」

鳴滝「それは此方も同じ事だ。だが、状況が状況なだけに今こうして此処に来ているのだ」

のび太「…まるで、何かを知ってるみたいな言い方だね」

 

事態が呑み込めていないのび太(別)とドラえもん(別)を置いてけぼりにして、話を進める三人。のび太と幸はそれぞれのDフォンをポケットの中で掴み、何時でも操作出来るように準備する。のび太は鳴滝の何かを知っているような言い方に疑問を感じる。

 

鳴滝「ああ、知っている。知りたいか?」

幸「まあね。でも、それを言うためにわざわざ来るなんて、どういうつもり?」

鳴滝「今回はお前達をどうこうしようと言うつもりはない。ただ、今の状況は私にとって都合が悪い。それだけだ」

幸「それを信じろと?」

鳴滝「そうは言っていない。だが、どちらにしろ私は話すだけ話させてもらうぞ」

 

鳴滝の物言いや態度から真意を探ろうとする幸とのび太。だが、鳴滝もそれらを一切悟られないように無表情を貫く。その場を沈黙が支配する。事情がさっぱりなのび太(別)とドラえもん(別)は、どうすることも出来ずにその場の流れに身を任せていた。そんな中、とうとうのび太が口を開いた。

 

のび太「分かった。話を聞くよ」

幸「…のび太?」

のび太「今、僕達には情報が無さ過ぎる」

幸「こいつの言葉を信じるの?」

のび太「そうじゃない。けど、聞くだけ聞こうって言うだけさ。それを信じるかどうかは後から考えればいいさ」

幸「…そこまでのび太が言うなら、それでいいよ」

のび太「ありがとう。そっちの僕とドラえもんもそれでいい?」

ドラえもん(別)「う、うん」

のび太(別)「事情はさっぱりだけど、君達がそれでいいなら」

鳴滝「話は纏まったか?」

 

のび太の意見に皆がとりあえず賛成したところで、鳴滝がそう言ってきた。それに頷いたのび太は早速、鳴滝に説明を求める。鳴滝もそれに頷き、説明を始めた。

 

鳴滝「まず、あれについてから話そう。ディケイド、お前は今朝戦った怪人を覚えているか?」

のび太「今朝…ああ、覚えてる。それが?」

鳴滝「お前達がさっき戦ったのは、それだったものだ」

のび太「…は?」

 

鳴滝の言った事実に思わず素っ頓狂な声をあげるのび太。幸も声こそ出さなかったものの、内心のび太と同じような事を思った。

 

のび太「だったもの…?」

幸「それってどういう…?」

鳴滝「お前達が倒した怪人、水のエル。それが倒された後にエネルギーの塊が残った」

ドラえもん(別)「エネルギーの、塊?」

鳴滝「要は魂みたいなものだ」

のび太(別)「それが残るって…そんなのあるんですか?」

鳴滝「滅多にない。だが、元が強力なだけにあり得ないとも言い難い」

のび太「で、その魂からどうなったの?まさか、魂の状態からさっきの状態に蘇ったってこと?」

鳴滝「いや、違う。魂と言っても所詮は残り物。本来ならば、ただ消える筈の存在だった…しかし、私がそれを別の世界から連れてきた水のエルに融合させた」

のび太、幸「⁉︎」

のび太(別)、ドラえもん(別)「?」

 

鳴滝の言葉に驚きを隠せないのび太と幸。それを見たのび太(別)とドラえもん(別)は二人の反応を不思議に思った。故に、のび太(別)は二人に尋ねる。

 

のび太(別)「ねぇ。その、融合させるのってそんなに不味いの?そりゃあ、強くはなるだろうけど」

のび太「うん。それがただの融合ならまだ良いよ。けど、今回の場合は違う」

ドラえもん(別)「違う?それってどういう事?」

幸「今回は水のエルと別の世界の水のエルを融合させた。つまり、本質的に同じ存在を融合させたんだ。パワーアップだって、ただの足し算って訳でもない。同じ存在が混ざり合うんだ、爆発的に力が上がってもおかしくないよ。で、僕たちが懸念してるのはそれだけの力を彼奴が完全に制御出来てるのかだけど…」

 

幸はそういいながら、鳴滝の方をチラリと見る。のび太も鳴滝の方を睨むように見ている。それらの視線を受けながら鳴滝は再び口を開く。

 

鳴滝「それは今のところ分からない…だが、彼奴の力が暴走でもしたら被害はこの世界だけでは収まらないだろう。少なくとも近くの世界は影響を受けるだろう」

のび太(別)「そ、それって…僕たちの世界も…?」

鳴滝「ああ、この世界とお前たちの世界はかなり近くに存在している。なにも影響がないというのは無いだろう」

ドラえもん(別)「そんな…!」

 

自分たちの世界も危ないという事を知って目を見開き、顔を青くさせるのび太(別)とドラえもん(別)。鳴滝はそんな二人から視線を外し、出口に歩いていく。

 

鳴滝「話す事は話した。ではな」

のび太(別)「待ってよ!」

 

この場から去ろうとする鳴滝をのび太(別)は大声で制止する。その声に鳴滝は前を向いたままだが、のび太と幸とドラえもん(別)はのび太(別)を見る。

 

のび太(別)「何でこんな事をしたの?」

鳴滝「何でだと?」

のび太(別)「だって、貴方の所為でこんな事になってるんですよ」

鳴滝「だから、何だ?それがお前にわけを話す理由にはならない」

のび太(別)「そんな…!貴方は…」

のび太「止めなよ。そんなこと言っても無駄だよ」

 

のび太(別)と鳴滝の会話にのび太が割って入る。

 

幸「そいつにそんなこと言ったって相手にされないよ」

のび太(別)「でも…」

ドラえもん(別)「のび太くん。気持ちは分かるけど、今は水のエルを探さないと」

のび太(別)「くっ…!」

 

幸とドラえもん(別)の言葉に顔を俯かせて、拳を固く握しめる。それを見た鳴滝は何も言わずに、今度こそ去っていった。その後、のび太たちは水のエルの捜索の為に町へと降りていった。

 

 

河川敷

 

のび太「いないなぁ…」

のび太(別)「うん…」

 

現在、幸は別行動でのび太とのび太(別)とドラえもん(別)は水のエルを探すために河川敷に来ていた。のだが、一向に見つからず三人は途方に暮れていた。三人は既に他の場所も探したのだが、それでも見つからなかった。

 

ちなみに、のび太(別)とドラえもん(別)は変装している。理由としては、のび太とドラえもんがこの世界に二人もいると後々にややこしい事になりそうだったからである。

 

のび太は着せ替えカメラで服を着替え、少し大きめの帽子を深く被っていた。ドラえもんは、ただ服装を変えても無意味だったので着ぐるみを着せて動物と言う扱いにしている。なんの動物かと言うと…

 

ドラえもん(別)「ねぇ、二人とも…。なんで僕だけこんな扱いなんだい⁉︎」

のび太(別)「仕方ないじゃない、ドラえもん着替えるだけじゃ誤魔化せないんだもん」

のび太「だから、動物に扮装した方が楽なんだよ」

ドラえもん(別)「…君たちの考えはよく分かったよ。だから、百歩譲って動物に扮装させるのは納得するよ。けど、けど…何で…よりにもよって…狸なんだよ‼︎」

 

そう、ドラえもんが来ているのは狸の着ぐるみなのだ。だか、意外にこれが似合っているのもあってか案外誤魔化せていたりしていた。サイズとか色々とおかしい部分もあるものの、元が元なのでと言うところもあるのだろう。

 

のび太(別)「何でって言われても…」

のび太「それが一番しっくり来るんだからねぇ…」

ドラえもん(別)「僕はネコ型ロボットなんだぞ!」

のび太、のび太(別)「ネコ、ねぇ…」

ドラえもん(別)「納得いかない反応だな!あと、息ピッタリだね君たち!」

のび太、のび太(別)「そりゃ、自分同士ですから」

 

妙に息の合ったのび太コンビにドラえもん(別)が憤りをぶつけるが、全て悉く躱される。そんな話題の中、のび太(別)が脱線していた話を戻そうとする。

 

のび太(別)「そんな事は置いておいて、本当に見つからないね」

ドラえもん(別)「…。(納得いかない…けど、我慢だ我慢…)」

のび太「そりゃ、当てが全くないから当然っちゃあ当然なんだけど…どうしたものか」

 

三人は何とかならないものかと頭を悩ませるが、完全にお手上げ状態で何も思いつかない。三人は揃ってため息をつく。そして、のび太(別)が目の前の川を目にした時、ふと口を開いた。

 

のび太(別)「一緒だなぁ」

ドラえもん(別)「どうしたの、のび太くん?」

のび太(別)「うん、僕たちの町と一緒の光景だなぁって」

のび太「そりゃ、君たちの世界とこの世界はかなり似てるらしいし、そこら辺も変わらないんじゃないかな?」

のび太(別)「そうなんだ…うん?」

 

のび太(別)の感慨深げな呟きに、のび太が応える。それを聞いたのび太(別)は自分の世界とこの世界とを比べていたが、何かに気づいた様に声をあげた。

 

のび太(別)「この世界は僕たちの世界と似てるんだよね?」

のび太「そうだけど、それがどうかした?」

のび太(別)「だったらさ、この世界にもドラえもんたちもいるんじゃない?」

のび太「うん、いるけど」

ドラえもん(別)「のび太くん、一体どうしたのさ?」

 

のび太(別)の疑問に次々と答えるのび太。それを不自然に思ったドラえもん(別)はのび太(別)に何をしようとしているのかを尋ねる。

 

のび太(別)「だから、この世界のドラえもんたちに協力してもらうのさ。別世界って言っても、皆ならきっと頼りになるよ!」

ドラえもん(別)「でも…」

のび太「駄目だ」

 

ドラえもんの言葉に被せ気味に案を否定するのび太。そのあまりの真剣な表情に二人は言葉が出ない。そんな二人にのび太は言葉を続ける。

 

のび太「この世界の皆は、こっちの事情を知らないんだ」

のび太(別)「だけど、皆ならきっと手伝って…」

のび太「だからだよ。ドラえもんや静香ちゃんやジャイアン、スネ夫は皆いい奴だから。言えば、僕たちの助けになろうとしてくれると思う。でも、だからこそ僕はそんな皆を巻き込みたくないんだ」

 

のび太の言葉に何か言いたそうだが、その気持ちが分かる故に中々返す言葉が見つからないのび太とドラえもん。そのまま、三人とも黙ったままでいたが、突然のび太がその場から飛び退く。すると、さっきまでのび太がいた場所を何かが猛スピードで通過する。のび太は何かが飛んできた方向に向き直り、2人も自身の警戒度を最大にして構える。そのまま、三人が周囲を警戒しながらいると、それは現れた。

 

キョウ「やあやあ、ご機嫌よう」

のび太「キョウ!」

ドラえもん(別)「知ってるの?」

のび太「うん。あんまり詳しい説明はできないけど、敵なのは確かだよ」

 

その場の雰囲気に似合わない挨拶をしながら現れたキョウと対峙しながら、2人にキョウが敵であると教える。それを聞いたキョウは態とらしく肩を竦める。

 

キョウ「酷いですね〜、のび太くん。そこの初対面の2人にいきなり敵と教えるなんて。私はこれでも君たちと仲良くしたいと思ってるんですよ?」

のび太「何をしに来たんだ」

 

キョウの台詞を無視して、のび太はキョウの目的を探ろうとする。そんなのび太の態度を見ると、徐に内ポケットに手を入れる。そして、P(プレディション)メモリを取り出し、それを腰に巻いているガイアドライバーに挿入する。すると、その身体は瞬く間に異形の姿、プレディションドーパントに変化した。それを見た三人は腰にそれぞれベルトを巻いて、臨戦態勢をとった。

 

Pドーパント「そうですね〜、ちょっとした力試しってところですかね。私の実験の邪魔をして欲しくないというのもあるのですが、まあ、あれは最悪もうどうでもいいですね。一応の結果は見れましたし」

ドラえもん(別)「実験…まさか、今回の事件の黒幕は⁉︎」

Pドーパント「まあ私、ということになるのですかね。鳴滝にも協力してもらいましたが、言い出しっぺが私なのでそういうことになりますね」

 

それを聞いて、三人は激しい怒りを覚えた。それを知ってか知らずか、Pドーパントは、数本のTXガイアメモリを取り出す。

 

Pドーパント「さあ、そろそろ話は終わりです。言ったでしょう?目的は力試し、と。どんな力も実際に使ってみないことには使いこなせませんからね」

 

すると、Pドーパントは手に持ったガイアメモリを空へ放り投げる。そして胸にある口が牙を光らせながら大きく開くと、落ちてきたガイアメモリを飲み込み、バキバキと音を立てながら噛み砕く。その瞬間、Pドーパントの身体に変化が現れる。身体の胴や手足など所々に銀色の装甲が纏われ、頭部にはヘルメットが装着され赤く細い目や口を覆い隠す。更に、首元には毒々しい紫色のマフラーがたなびく。その姿は、以前の怪物然としたものとは打って変わって戦士の様な印象を受ける姿へと変わっていた。

 

のび太「変わった…?」

Pドーパント「さて、早速はじめましょう」

 

そう言うや否や、Pドーパントは脚に力を込め、踏み込む。

そして、一瞬で三人の元へと肉薄すると、その腕を振り上げる。

 

のび太(別)「速い⁉︎」

ドラえもん(別)「避けて!」

 

三人は何とかその場から離れる。そして次の瞬間、そこへPドーパントの拳が振り下ろされ、地面が砕ける。三人はそれを見ながら各々のベルトを巻く。そして、それぞれのアイテムを取り出す。

 

三人「変身!」

 

その言葉と共に三人の身体は大人と同じ位の体格となり、変身が完了する。そして、ディケイドとボルガは剣を、ガルガインは二丁の銃を持ち、Pドーパントへと駆け出す。

 

ディケイド「たあっ!」

Pドーパント「ふん」

 

ディケイドがPドーパントに斬りかかる。それを手甲のついた腕で受け止める。それを見るとすぐさま剣を引き、今度は横一閃に振るう。しかし、それを手刀で捌く。そこからPドーパントはもう片方の手で鳩尾めがけて拳を放つ。ディケイドは剣を握っている手を片方離し、咄嗟に受け止める。そして、その衝撃を利用して後方へと跳び、距離を取る。

 

ボルガ「やあっ!」

ガルガイン「えいっ!」

Pドーパント「甘い」

 

その直後、ボルガはPドーパントに突きを放つ。しかし、それは身体を捻ることで軽く避けられる。だが、そこからさらに踏み込み、身体を回転させそのまま切り裂こうとする。だが、Pドーパントは両腕の装甲の部分で上下から挟み込む、謂わば真剣白刃取りの様な形で防ぐ。それには流石にボルガも驚き、一瞬硬直する。その隙を逃さず蹴りを放とうとするが、後ろから接近してきたガルガインに気付き急遽その蹴りをそのままの状態で後方へ放つ。それに反応できなかったガルガインはそのまま蹴り飛ばされる。そして、正面のボルガの頭部と胴に裏拳の二連打を打ち込み怯んだところに追撃として後ろ回し蹴りを放つ。それを受けたボルガは吹き飛び、地面を転がる。

 

ディケイド「(何だ…前とは何もかもが違う⁉︎動きも一撃の重さも、全て)」

Pドーパント「三人掛かりで向かってきて、その程度ですか?だとしたら、期待外れなのですが」

ガルガイン「なんの!」

ボルガ「まだ、これからだ!」

 

Pドーパントと組み合ったディケイドは以前との違いに戸惑う。それを見たPドーパントは落胆の意を隠しもせずに、三人に言う。だが、ガルガインとボルガは勝負はこれからだという意の言葉を放つ。それを聞いたディケイドはカードを二枚取り出し、ベルトに連続で装填する。

 

《KAMENRIDE BRACK RX》

《FORMRIDE BIORIDER》

 

ディケイドは一度、DブラックRXへと変わり、そこから更に青い身体に赤い複眼、ロボライダーと比べて身軽そうな姿のバイオライダーへと変身した。

 

ボルガ「ええっ!」

ガルガイン「か、変わっちゃった…」

 

二人の驚くのを余所に、Dバイオライダーは専用武器である白銀に輝く細身の剣“バイオブレード”を構える。それを見たPドーパントも再び拳を構える。そして、二人は同時に地面を蹴り、飛び出した。お互いがお互いの間合いに入ったのを確認すると、Pドーパントが勢いを利用した鋭い拳を放つ。当たれば決して軽くない傷を負うであろうことは確実な攻撃をサッと身を翻して躱すと、今度はお返しとばかりに斬撃を放つ。それをさっきと同じように腕の手甲で防ごうとする。だが、Dバイオライダーは剣を持っていない左手でPドーパントの顔面を殴る。思わぬ不意打ちに怯むPドーパントに、ここぞとばかりに鋭く素早い斬撃を連続で放っていく。更に、相手からの反撃を警戒して相手の周りをぐるぐると回るように動いているので、結果としてPドーパントは全身が剣撃の嵐に晒される事となった。それでも、反撃として拳や蹴りが飛んでくるが、それらは剣で上手く受け流してき、その動きはまるで流れる水のようだ。

 

Pドーパント「くうぅ…ちょこまかと。だが、これはどうです!」

Dバイオライダー「⁉︎」

 

突如、Dバイオライダーの剣を防いでいた腕から鋭い刃が生え、その刃で剣を上に高く弾き飛ばす。それにより、無防備となったDバイオライダーに腕の刃で斬りかかる。だが、その刃が届く直前、Dバイオライダーの身体が青いゲル状へと変化する。当然、ゲル状態では斬撃など通用するはずもなく、無力化される。ゲル状態のDバイオライダーはPドーパントの周りを飛び回る。それをどうにかしようとPドーパントも攻撃するが、物理的な攻撃ではどうしようもない。

 

ガルガイン「はっ!」

ボルガ「やっ!」

Pドーパント「ぐあっ⁉︎」

ガルガイン「僕達もいることを忘れるな!」

ボルガ「そうだ!」

Pドーパント「おのれ…」

 

Dバイオライダーを落とす事に躍起になっていたPドーパントに、二丁の銃を突きつけたガルガインは零距離の連続射撃を見舞う。そして最後に蹴りを入れると、入れ替わるようにボルガが現れ手持ちの剣、そして足のレッグソードを使い怒涛の連撃を放つ。防御態勢をとるPドーパントだが、それでもかなりの数の斬撃を貰い思わず後ずさる。だが、そこへゲル状態のDバイオライダーが下降してきて、その身体に巻き付く。身動きを封じられたPドーパントを見てガルガインとボルガはポインターにミッションメモリを嵌めて起動し、脚に取り付ける。

 

《Exceed Charge》

 

ガルガインとボルガはポインターをPドーパントに向ける。すると、そこから光弾が放たれPドーパントの自由を完全に奪う。Dバイオライダーはすぐ様離れる。ガルガインとボルガは同時に走り出すと、同じタイミングで飛び上がり、これまた同じタイミングで飛び蹴りの姿勢を作る。そして、そのまま突っ込む。二人の蹴りがPドーパントに直撃すると、その身体を貫く。苦しみに悶えるPドーパントは数歩下がる。

 

《FINALATACKRIDE BU BU BU BRACK RX》

Pドーパント「しまった⁉︎」

 

上を向いたPドーパントが目にしたのはゲル化を解いたDバイオライダーが先程弾かれて現在落下しているバイオブレードをキャッチし、こちらに向かって振りかぶりながら落下してくる姿だった。よく見れば、その刀身は青く輝きを放っていた。

 

Dバイオライダー「はあああっ‼︎」

Pドーパント「ぐあああっ⁉︎」

 

必殺の斬撃技“スパークカッター”を落下の勢いと合わせて喰らったPドーパントは大量の火花を散らす。そして次の瞬間、爆発を起こす。三人はその爆発をじっと見ていたのだが、それが晴れた時ガルガインが疑問の声を上げる。

 

ガルガイン「…いない?」

ボルガ「逃げた、のか?」

ディケイド「多分そうだろうね」

 

敵がいなくなったのを確認した三人は変身を解き、一息つく。その時、のび太が空を見上げてあることに気づいた。

 

のび太「そろそろ帰らないと叱られるな」

のび太(別)「もうそんな時間⁉︎」

ドラえもん(別)「じゃあ、今日はここまでかな」

のび太「そうだね」

 

のび太(別)は思ったより時間が経っていることに驚き、ドラえもん(別)は調査を打ち切ろうとする。二人ともそれには反対しなかったので、解散する流れになる。

 

のび太「二人はキャンピングカプセルに戻るの?」

ドラえもん(別)「うん、そうだけど」

のび太「そう。じゃ、また明日」

のび太(別)「あ、じゃあね〜」

ドラえもん(別)「またね〜」

 

のび太は二人と別れて歩き出す。それを暫く見ていた二人だったが、やがてのび太の姿は見えなくなる。

 

ドラえもん(別)「僕達も帰ろうか」

のび太(別)「…」

ドラえもん(別)「のび太くん?」

のび太(別)「(この世界の僕…皆を巻き込みたくないって言ってたな。確かに、その気持ちは分かるけど…けど、それじゃあ…)」

ドラえもん(別)「のび太くん!」

のび太(別)「へっ⁉︎な、何?」

ドラえもん(別)「何じゃないよ。僕達も帰ろうよ」

のび太(別)「そうだね。行こうか」

 

ドラえもん(別)に急かされながら、のび太(別)はキャンピングカプセルのある裏山まで歩き出した。

 

 

小学校屋上

 

人々が寝静まった深夜、小学校の屋上に水のエルの姿があった。何を見ているのか、町の方に見ながらも微動だにしないその姿は何処か神々しく、そして不気味であった。

 

水のエル(究極)「…この世界は、危険だ。特にあの子供…ディケイドは何れ他の世界をも滅ぼす。そうなる前に…」

 

水のエルは怨恨のハルベルトを空に突き上げる。すると、その先端からとてつもない輝きの金色の光を放つ。その眩さにあたりは一面光に覆われ、視界が遮られる。そして、光が晴れた時、星々が輝く夜空には巨大な紋章があった。

 

水のエル(究極)「…」

 

その完成した紋章を見上げながら、水のエルは只々一言を言葉を発することもなく、黙っていた。

 

 

続く

 

 

 

 




如何だったでしょうか。かなり久々の投稿でおかしな部分などもあるかもしれません…。今後はもっと早いペースで更新していくよう努めさせていただきますので、どうかこれからもよろしくお願いします!では、次回はドラえもん のび太の仮面冒険記 第七話-後編-です。全てを破壊し、全てを守り抜け!


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第七話-後編-

どうも、なんとか後編を書き上げることが出来たΔデルタです。コラボしてくださった焔崩し様には感謝と申し訳なさがあります。では、第七話-後編-をどうぞ!


裏山

 

夜の闇に包まれた裏山に不自然にぽつんと佇むピンク色のキャンピングカプセル。その中では、別の世界から迷い込んでしまったのび太(別)とドラえもん(別)がこの世界での生活の拠点としていた。その2人も今は既に就寝済みだった。

 

のび太(別)「う、うん…トイレ…」

 

のび太(別)がそんなことを呟きながら起き上がる。そして、のろのろと動きながらトイレに入る。その後、用を済ましたのび太(別)は再びベッドに戻ろうとする。その時、彼の目に窓から見える町の景色が映り込んだ。それを見たのび太(別)は窓に近寄り、町を眺める。

 

のび太(別)「僕達の町と本当に全く同じだな…。皆、心配してるかな…」

 

のび太(別)は、ふとそんな事を思い、不安に襲われる。本当に元の世界に帰れるのか、帰れなかったらどうしようかなど心の奥から湧き水のように溢れてくる。だが、すぐに頭を振るとそれらの不安を振り払う。

 

のび太(別)「きっと帰れるさ!そうだよ。皆だって探してくれてるかもしれないし、この世界の僕も協力してくれてるんだ。だから、大丈夫だよね」

 

自分に言い聞かせるようにそう言うと、再びベッドに入ろうとする。と、その時だった。窓から視界全てを覆う程の光が溢れる。

 

のび太(別)「うわっ⁉︎な、何⁉︎」

 

あまりの眩しさに思わず目を瞑り、手を翳すのび太(別)は急な事態に困惑を隠せない。そして、暫くすると光は消える。のび太(別)がドラえもん(別)を起こそうと後ろを振り向くと、既にドラえもん(別)が真剣な表情でこちらを見ていた。

 

のび太(別)「ドラえもん、今の!」

ドラえもん(別)「分かってる。すぐに原因を探しに行こう!」

のび太(別)「うん!」

 

二人はキャンピングカプセルから出ると、タケコプターをつけて空高く飛び上がり、町の方へと向かっていく。すると、上空に浮かんでいる巨大な紋章に気付いた。

 

のび太(別)「な、何あれ⁉︎」

ドラえもん(別)「分からないけど…昼間の奴と何処か同じような力を感じる」

のび太(別)「って事は…まさか!」

 

二人は原因を探して回りながら、紋章について考える。その時、二人は背後から自分たちを呼びかける声が聞こえた。振り向いた先には、こちらに向かってくるのび太が見えた。

 

のび太「二人とも大丈夫⁉︎」

のび太(別)「うん、僕らは大丈夫」

ドラえもん(別)「そっちは?」

のび太「僕は大丈夫なんだけど、どうにも様子がおかしいんだ」

ドラえもん(別)「おかしいって?」

のび太「あまりにも静かすぎるんだよ」

のび太(別)「夜なんだから当たり前じゃないの?」

ドラえもん(別)「いや、いくら夜でも起きてる人くらい居る筈だ。それでも、騒ぎ一つ起きてないってことは…」

 

のび太の話を聞いたドラえもん(別)は周りを見渡しながらも、思考を止めることなく働かせ続ける。すると、同じく辺りを見ていたのび太(別)は下に何かを見つけて、降りていく。後の二人も疑問に思いながらも降下していく。

 

のび太「どうしたの?」

のび太(別)「なんか人影みたいなのが見えたから」

ドラえもん(別)「なんだって!」

のび太「その人影はどこに?」

のび太(別)「えっと…あっ、あそこ!」

 

のび太(別)は人影の方へ向かって走っていく。他の二人もそれを見て追いかける。そして、近づいて行くとその人影の正体が分かった。その人物は警察官の制服をきた若い男性で、今は力無く地面に倒れていた。

 

のび太「永山さん!」

のび太(別)「知り合いなの?」

のび太「うん、ちょっとね。あの、大丈夫ですか!」

 

その人物は以前にのび太が助けた警官、永山だった。のび太は永山の体を揺するが、一向に目を覚まさない。次にのび太は脈を確認する。

 

のび太「生きてはいる。意識だけ失ってる?」

ドラえもん(別)「とにかくここは…お医者さんかばん〜‼︎」

 

お医者さんかばんを出したドラえもんはかばん本体とコードで繋がっている聴診器をつけると、永山の体に当てる。すると、お医者さんかばんから電子音が断続的に鳴り、すこしすると解析の終了を告げる音がなった。そして、診断結果が画面に表示される。

 

《意識ヲ失ッテイルダケデ今ハ大丈夫デス。シカシ、原因ハ不明デスガ、ジョジョ二衰弱シテイッテイマス。コノ状態ガ続ケバ非常二キケンデス》

 

のび太(別)「なんだって⁉︎」

ドラえもん(別)「そんな⁉︎」

のび太「もしかして、これと同じ事が他のみんなにも…!」

キョウ「ご名答」

三人「‼︎」

 

のび太が先程自分が感じた疑問の答えに辿り着くと、暗闇の中にキョウの声が響く。それを聞いた三人が顔を向けた先の暗がりの中からキョウが姿をあらわす。

 

キョウ「それにしても、こんな時間に外を出歩くなんて思ってたより悪い子のようですね」

ドラえもん(別)「何しに来たんだ!」

キョウ「いやぁ、なに。まあ、端的に言うと君たちの妨害、ということになるのかな?」

 

そう言うとキョウは右手に握ったガイアメモリを構える。それを見た三人も身構えるが、その前を突如として幸が遮るように現れる。

 

のび太「幸ちゃん!」

幸「のび太、ここは僕に任せてよ」

のび太「で、でも1人じゃ…」

幸「僕を信じてよ」

 

自分の心配をするのび太に微笑みながら声をかける。それを聞いたのび太は黙って一回頷くと、後ろの2人に目配せして、キョウたちの横を通り過ぎる。その時、キョウがのび太たちの方に視線を向けようとすると、足下にシアン色の光弾が撃ち込まれる。それにより、反射的に幸の方を見る。

 

幸「よそ見なんて随分と余裕なんだね」

キョウ「まあね。前までの私ならともかく、今の私ならライダーといえども1人を相手するなんてわけないよ」

 

幸は腰のカードホルダーからカードを引き抜きながら、キョウはメモリを構えながら互いに様子を見る。だが、キョウの言葉からは余裕からくる油断の色が見えた。

 

幸「言ってくれるね〜」

キョウ「さて、君は私をどうするのかな?まさか、たった1人で足止めが出来るとでも?」

 

キョウの言葉に幸は笑みを浮かべる。だが、細かな表情だけは暗闇のせいか見えなかった。

 

幸「なんか勘違いしてるみたいだから、一応言っておくよ」

キョウ「何?」

幸「別に僕は足止めのためなんかに此処に来たわけじゃない」

キョウ「…1人で私を倒すつもりですか?」

幸「もう、察しが悪いな〜」

 

幸の闇に隠れた表情が露わになり、キョウに向けられる。その時、悪寒が走り、キョウの背筋は凍った。幸は笑っていた。だが、それは口だけ。彼女の目にはそんな表情はなかった。先程ののび太に向けた微笑みとはまるでベクトルの違う笑み。あえて、それを表現するならば…“狂気”。

 

幸「あなたを殺すために決まってるでしょ」

キョウ「⁉︎」

幸「あなたの最終的な目的は知らないけど、あなたはのび太の命を狙った。そんなやつに倒すなんて生易しいこと、するわけないよ。だから、ここで死んでよ?」

キョウ「‼︎」

 

幸は濃密な殺気と狂気を放ちながら、言葉を放つ。その一言一言にさえ、それらが込められているかのように感じた。そして、最後の言葉を聞いた瞬間、キョウは無意識的にメモリを起動し、ドライバーに差し込んだ。そして、思った。こいつは異常だ、どこか狂ってる、と。

 

《プレディション》

プレディション「どうやら君が一番危険のようだ。ここで排除する!」

幸「ふふっ。いいよ、別に。そっちが先に死ななかったらだけど。…変身」

《KAMENRIDE DIEND》

 

幸は挑発的に返しながら、変身する。その際のディエンドライバーの音声もいつもより少し低く聞こえた気がした。ディエンドは向かってくるプレディションに銃口をむけた。そして、そのトリガーを、引いた。

 

 

学校付近

 

のび太(別)「ねぇ、大丈夫なの?あの子、1人で」

のび太「大丈夫さ。幸ちゃんは十分強いから」

のび太(別)「で、でも…」

ドラえもん「2人とも、あれ!」

 

のび太(別)は1人あの場に残した幸のことを心配していたが、のび太はそうは思ってなかった。幸は自分に信じて、と言ったのだ。のび太が仲間を信じるには、それで十分すぎる言葉だった。そんなことを話しながら学校の校門の近くまで来ていた3人だったが、突然ドラえもんが2人に慌てた様子で声をかける。その言葉に2人は学校の校庭を見た。

そこにいたのは前回、廃工場にも現れた水のエル(劣化態)だった。それも大量の数の個体がひしめき合っていた。

 

のび太「こんなにいるなんて⁉︎」

ドラえもん(別)「と、とにかくこいつらをなんとかしよう。学校から一体でも出られたら町の皆が!」

のび太(別)「わかったよ!変身!」

 

のび太(別)が変身したのを合図に2人も変身する。そして、校庭へと駆け出す。それに気付いた劣化態たちも3人に向かって進む。

 

ディケイド「はあっ!」

 

ディケイドは劣化態の集団に向かって飛び蹴りを放ち、一気に数を減らす。そして、そのまま劣化態が固まっている場所の真ん中に着地する。

 

ディケイド「こうしてみると益々、多く見えるな」

 

ディケイドがそう呟いていると、周りから劣化態が押し寄せる。正面から切りかかってくるが、それを半身になって躱し無防備な背中に蹴りを見舞う。蹴られた個体はそのまま何体かを巻き添えに倒れる。だが、それも気にせずに他の個体は襲いかかってくる。ディケイドは横からの攻撃を一歩下がりつつ腕で防ぐ。そして、それを弾くと後ろの個体を蹴り飛ばす。先程、弾いた個体が再び飛び掛かってくるが、カウンター気味に右拳を喰らわせ吹き飛ばす。

 

ガルガイン「倒しても、倒してもきりがないよ!」

 

ガルガインは一定の距離を保ちながら四方八方から向かってくる劣化体たちに射撃を浴びせる。だが、劣化態もただ接近しようとするだけでなくトマホークを投擲し、遠距離から攻撃を試みる。

 

ガルガイン「甘いよ!」

 

それをガルガインは精密射撃により全て迎撃する。その隙に何体かが激しい弾幕を抜けて接近してくる。それを確認すると、周りへの弾幕は緩めずに迎え撃つ。振るわれたトマホークを相手と密着するほどまで接近し、回避する。懐に潜り込んだガルガインは肘と膝の連撃を放つ。そして、その個体を他の接近している奴らにぶつける。そこに勢いをつけた横からの蹴りで一気に薙ぎ払う。

 

ボルガ「ここで食い止めないと、街が大変なことになる!」

 

ボルガは右手の剣で数体まとめて切り裂く。さらに、こちらに投げられた幾つものトマホークはレッグソードも使用し、全て弾きかえす。弾かれたトマホークは全て投げた個体に向かっていき、撃破される。その時、ボルガの背後から一体の劣化態が襲いかかる。

 

ボルガ「バレバレだよ、っと!」

 

ボルガはそれを跳び上がって躱すと、宙で後ろへ回転しながら奇襲してきた個体をレッグソードで斬り捨てる。そして、着地してから剣を前に突き出すとまたも回転する。だが、回転はどんどんと速度を上げていき、まるで独楽のようになり、その周囲はかなりの風圧だった。ボルガはその状態で辺りの劣化体を切り刻んでいき、さらにそこから動き回りどんどんと劣化体の数を減らしていく。

 

ガルガイン「すごいや、ドラえもん!いつの間にそんな技を!」

ディケイド「いや、確かに凄いけど終わった後が…」

 

ガルガインがボルガの技に感心して賞賛する一方で、ディケイドはある不安を抱く。そして、その不安は見事に的中する。

 

ボルガ「目が、目が回る〜」

 

暫くして回転を止めたボルガは、目が回ってふらふらとよろめく。勿論、劣化態はそんな隙は見逃さずどんどんと襲いかかる。

 

ガルガイン「やあっ!」

ディケイド「たあっ!」

 

だが、ガルガインとディケイドがそれらの行く手を阻み全て殲滅する。そして、ガルガインがボルガに近付いて一言いう。

 

ガルガイン「君はじつにばかだな!」

ディケイド「本当だよ!少しは後先のことを考えなよ」

ボルガ「のび太くんに言われるのは納得いかないけど、返す言葉もない…」

 

ボルガは納得いかないようだったが、自分がやらかした所為なので言い返すことはしない。少々、アクシデントはあったが、3人は順調に減らしていった。

 

《KAMENRIDE BLACKRX》

ディケイドBLACK RX「リボルケイン!」

 

ディケイドBLACK RXは光り輝く刀身をもつ杖“リボルケイン”を取り出すと、それを振るう。すると、刀身にあたる部分がまるで鞭のようにしなり辺りの敵を切り裂いていく。ディケイドBLACK RXはガルガインの隣に立つとリボルケインを構える。

 

ディケイドBLACK RX「一緒にいくよ!」

ガルガイン「任せて!」

 

お互いに声を掛け合うと、ガルガインは両手の二丁の銃から、ディケイドBLACK RXは剣先から光弾を発射する。それらの光弾は攻撃手が射撃の名手なだけあって一発の撃ち漏らしも外しもなく全て命中する。それにより劣化態は全滅した。

 

ガルガイン「やった!」

ディケイド BLACK RX「まだだよ!」

ボルガ「あ、そうだ!肝心のあいつは!」

 

3人は水のエルを探そうと学校の中に向かおうとする。が、そのとき嫌な予感がしたガルガインは直感的に上を見る。

 

ガルガイン「上だ!」

ボルガ「なっ⁉︎こんな近くに!」

ディケイド BLACK RX「くっ⁉︎」

水のエル(究極)「やはり、きたか」

 

水のエルは3人の前方の空中で佇んでいた。その姿はあまりに幻想的で一瞬見惚れてしまいそうになるが、水のエルが怨恨のハルベルトをこちらに向けるとハッとなる。

 

水のエル(究極)「ふんっ!」

 

水のエルの持つ怨恨のハルベルトの切っ先から槍状のエネルギーが発生する。そして、それはディケイドたち3人に向かって飛来する。

 

ディケイド BLACK RX「やばいッ!」

 

ディケイドBLACK RXは咄嗟に前に出ると、リボルケインで防御する。槍状のエネルギーとリボルケインの光のエネルギーが衝突して辺りに閃光が迸る。だが、やがてぶつかり合っていたエネルギーとエネルギーは爆発を起こした。

 

のび太「ぐあっ‼︎」

 

その爆風によって吹き飛ばされたディケイドBLACK RXは変身を解除されながら地面に叩きつけられる。2人はのび太に駆け寄ろうとしたが、間を空けずに第2、第3の槍状のエネルギーが放たれる。後ろに無防備なのび太がいる以上、避けることは出来ない。2人は右脚にポインターを装着すると、バックルにあるスマホを操作する。

 

《Execeed Charge》

ガルガイン「だあぁぁっ!」

ボルガ「とりゃぁぁっ!」

 

2人は右脚にエネルギーが溜まったことを認識すると、跳び上がる。そして、前方に一回転してこちらに迫ってくるエネルギーに向かって飛び蹴りを放つ。エネルギーと2人が接触すると、またも爆発を起こす。

 

のび太(別)「がはっ!」

ドラえもん(別)「うわっ!」

 

爆発の中から変身解除した2人が落ちてくる。そこへ水のエルが地上へと降りてくる。水のエルは地面に蹲る2人に向かって、怨恨のハルベルトを振り上げる。2人は抵抗できる力は残されておらず、思わず目を瞑る。その時、振り上げられた怨恨のハルベルトの柄の部分に何かが発射され水のエルは全身が微かに痺れるような感覚を味わった。それにより水のエルは動きを止め、そこへのび太の声が聞こえてきた。のび太の手には以前に自作した銃剣型秘密道具“ショックブレードガン”が握られていた。

 

のび太「いまだよ、2人とも走って!」

 

それを聞いた2人は痛む身体に鞭打って水のエルから離れようとする。だが、水のエルは逃さまいと再び怨恨のハルベルトを振り下ろそうとする。が、そこへ何かが投げ込まれた。それものび太が以前に作ったショック機能をもった手榴弾型秘密道具“ショック手榴弾”だった。ショック手榴弾は距離を取ろうとする2人を追う水のエルの目の前で炸裂し、強烈な光と人を簡単に気絶させる程度の電気を放つ。だが、そんなものは水のエルには効かず、目くらまし程度にしかならなかった。

 

水のエル(究極)「無駄なことを」

 

水のエルは視界が光に覆われた状態で怨恨のハルベルトを横一線に振るう。すると、水色に輝く斬撃が発生して目の前の光を斬り払う。そして、そのまま直進し3人の付近の地面に直撃し、その衝撃で3人は吹き飛ぶ。

 

のび太「くそっ…」

のび太(別)「つ、強すぎる…」

ドラえもん(別)「どうすれば…」

 

地面で這いつくばる3人は水のエルの力に戦慄する。一方、水のエルは地面の3人を見下ろすと問いかける。

 

水のエル(究極)「何故、そこまでして戦おうとする?」

のび太「皆を守るためだ」

水のエル(究極)「皆とはこの町にいる人間共のことか?何故、お前がそこまでする必要がある?何故、そこまで自ら傷付こうとする?」

のび太「そんなの決まってるよ。僕がそうしたいからだ!」

 

水のエルの問いかけにのび太は地面に手をつき立ち上がろうときて膝たちになりながら力強く答える。自分の戦う理由を。だが、水のエルは理解できない、といった様子だった。

 

のび太「僕はこれまでの旅で知ったんだ。世の中には色々な人がいる。いい人やわるい人だけじゃない、本当に色々な。そして、その大勢の人が集まって初めて世界は成り立つんだ。人がいなくちゃ、それは世界じゃなくて、ただの抜け殻だ。だから、僕はそんな世界を形作る人たちを守りたいと思ったんだ。その障害になるものがあるなら僕が破壊する!」

水のエル「だが、所詮は人間。1人でそんな決意をもって戦おうが我には敵わない」

のび太「1人だとしても…」

のび太(別)「1人じゃない‼︎」

 

水のエルに反論するのび太の言葉を遮り、のび太(別)は叫んだ。それに水のエルは押し黙り、のび太も目を見開いて驚く。

 

のび太(別)「1人なんかじゃ決してない。だって、僕等がいるから!仲間がここにいるんだから!」

水のエル(究極)「お前はここの世界の住人ではない」

のび太(別)「そんなの関係ない。僕はこの世界の僕の助けになりないと思った。理由なんてそれで十分だ!」

ドラえもん(別)「そうさ!それに、僕はのび太くんを助けるために未来から来たんだ。別の世界だろうと、それは変わらないよ。僕は2人ののび太くんを助けるんだ!」

のび太「ふ、2人とも…」

 

のび太は水のエル相手に立ち上がって啖呵をきる2人を驚きの表情で眺める。2人はのび太の方に振り返ると笑顔を向けながら手を差し伸べる。

 

のび太(別)「ほら、いこうよ」

ドラえもん(別)「1人で頑張るのは良いことだと思うけど、1人で頑張り過ぎるのはいけないよ。人が1人で出来ることなんて限られてるんだから」

のび太「でも…僕は皆を…」

 

2人の言葉に動揺しながらも、のび太は関係ない皆を巻き込んでまで頼る気にはなれない。仲間が傷ついたり、いなくなってしまうのはもう見たくない。そう思っていると…

 

のび太(別)「この世界の皆に頼れないならさ、それまでは僕らに頼ってよ。僕等だって鍛えてるんだ、簡単にやられたりなんかしないさ。それに、1人で頑張ってる君を放っとけないし」

ドラえもん(別)「一方的に守る守られるだけが仲間じゃない。それは君も知ってるはずだよ。さっきも言ったけど、僕らは君を助けたいんだ。だから、何があっても君の味方だよ」

のび太「…」

 

心から言っていると分かる2人の言葉にのび太は思わず涙が流れそうになる。だが、今やるべき事は泣く事ではない。それを分かってるのび太は涙をぐっとこらえると、2人と同様に笑顔を浮かべる。そして、自らに差し出された手を両手で掴むと2人に引っ張られながら立ち上がる。

 

のび太(別)「さあ!」

ドラえもん(別)「一緒に!」

のび太「うん!」

 

のび太は2人の言葉に頷くと水のエルの方に向き直る。他の2人も堂々とした表情で水のエルのほうを向く。水のエルは心なしか3人の姿が自分よりも大きく感じた。それはつまり、取るに足らない筈の下等だとおもっていた種族に威圧された、ということだった。

 

水のエル(究極)「何なのだ…何なのだ貴様らは!」

のび太(別)「通りすがりの」

ドラえもん(別)「仮面ライダーだ!」

のび太「だってさ。だから、覚えておけ!」

 

そう言うと3人はベルトを腰に巻く。そして、それぞれのアイテムを取り出す。のび太(別)とドラえもん(別)はスマートフォンにコードを打ち込み、のび太はカードを掲げる。

 

3人「変身‼︎」

《KAMENRIDE DECADE》

《Complete》

《Complete》

 

のび太の周りに14の影が現れて、それらが重なる。のび太(別)とドラえもん(別)の身体に光の線が走り、更に強い光を放ってその身体を包み込む。のび太はディケイドに、のび太(別)はガルガインに、ドラえもん(別)はボルガにへと姿を変える。

 

ディケイド「ん?」

 

その時、ディケイドの腰のライドブッカーから2枚のカードを取り出す。すると、ブランク状態だったカードに絵柄が浮かぶ。それを見ながらディケイドは仮面の中で笑みを浮かべる。そして、その内の1枚をディケイドライバーに装填すると、2人の背後に立つ。

 

《FINALFORMRIDE COLLABORATION》

ディケイド「ちょっとくすぐったいよ」

ガルガイン「え?うわぁ!」

ボルガ「ちょ⁉︎わあぁ!」

 

ディケイドの言葉に戸惑う2人だったが、ディケイドは2人の背中に手をかざす。すると、2人は突然宙に浮かびだし、引き寄せられるようにお互いが近づいていく。2人はぶつかると感じて何とかしようと手足をばたつかせる。だが、そんな抵抗も意味を成さず、2人は衝突する。その瞬間、2人から激しい光が発生する。その眩しさにディケイドは腕で顔を覆うが、光が晴れると予想通りといった風に再び笑う。

 

?「これって…どうなってんの⁉︎」

 

光が晴れた先にいたのは1人の戦士だった。白銀の身体に両腕足や両肩、胸部、背部にメタルブラックの装甲があり、身体には緑と青のフォトンストリームが流れていて、脚にはボルガのレッグソードが。複眼は黄色で、腰の携帯部分にはガルガインとボルガのメモリが付いていた。

 

ディケイド「それは2人の力が合わさった姿。言うなれば…仮面ライダーボルガインってところかな?」

ボルガイン「仮面ライダー、ボルガイン…」

 

ボルガインは自分の手を見ながら、そう呟く。声も2人の声が合わさったような声だった。そして、よしっと呟くと前を向いて構える。

 

ボルガイン「さあ、反撃開始だ!」

ディケイド「ああ!」

水のエル(究極)「2人合わさった程度で何が出来る!」

 

水のエルは槍状のエネルギーを無数に展開する。そして、それらを一斉にディケイドとボルガインに向けて発射する。ボルガインはガルガインの時の二丁の銃を手にすると、それらに向かって連射する。その光弾は一発で槍状のエネルギーを粉砕する。

 

水のエル(究極)「何⁉︎」

ボルガイン「よし!行ける!」

 

ボルガインは射撃を続けながら未だ飛来する槍状のエネルギーに向かって駆け出す。ボルガインの射撃を掻い潜ってくる槍状のエネルギーへとレッグソードを振るい切り裂く。ガルガインの精密な射撃にボルガの巧みな剣裁き。それらが融合した戦闘スタイルは最早敵なしだった。

 

ボルガイン「はあぁぁぁっ!」

水のエル(究極)「ぐおっ⁉︎」

 

全ての攻撃を捌いたボルガインは水のエルの横っ腹に蹴りを放つ。防御も間に合わなかった水のエルは、その威力とパワーに吹き飛ぶ。だが、すぐさま地に足をつけ、立て直そうとする。が、間髪入れずにボルガインは攻撃に移る。

 

ボルガイン「だあぁぁぁぁぁっ‼︎」

水のエル(究極)「ぬうぅぅぅ!」

 

水のエルの懐に飛び込んだボルガインは拳を振るう。水のエルはかろうじてガードをするも、直後放たれた逆の拳をくらいダメージを受ける。水のエルの武器である怨恨のハルベルトはハルバード型の武器。故に、ボルガインはそれが自由に振るえない超至近距離で戦っていた。水のエルは苛立ちを隠せずに、不用意に反撃の拳を振る。しかし、それをボルガインは外側に弾き、ガラ空きになった胴に両の拳と蹴りの連打を浴びせる。

 

ボルガイン「おりゃあ!」

水のエル(究極)「ごはっ!」

 

ボルガインは連打の締めとばかりに水のエルの顎を下から蹴り飛ばす。打ち上げられた水のエルはなんとか空中に浮く。だが、そのな体には相当なダメージが蓄積されていた。一方、ボルガインは膝を深く曲げて水のエルに向かってジャンプする。しかし、そこまで行くにはまだ高度が足りない。その時、背中のメタルブラックの装甲が変形して、飛行ユニットとなる。ボルガインはそこから飛行ユニットで加速を行い水のエルの目の前に現れる。

 

水のエル(究極)「こ、これは…!」

ボルガイン「喰らえ!」

 

水のエルの虚をついたボルガインはボルガの時の剣を装備するとそれを振るう。水のエルは怨恨のハルベルトで受け止めるものの、ボルガインのパワーにより水のエルの手から怨恨のハルベルトが弾き飛ばされる。

 

水のエル(究極)「しまった…」

ボルガイン「これであの厄介な武器はもうない!ここだ!」

 

ボルガインは剣を袈裟懸け、横薙ぎ、逆袈裟、刺突、切り上げと素早い剣裁きを見せる。水のエルはろくな防御も出来ずに喰らい続ける。

 

ボルガイン「次、そっちいくよ〜!」

ディケイド「OK!」

《FINALKAMENRIDE DECADE》

 

ボルガインの掛け声に反応しながら、あらかじめ操作しておいたケータッチをバックル部分につける。すると、ディケイドは胸に14のライダープレートが並んだディケイド コンプリートフォームになる。それを見たボルガインは水のエルの背後に回り込み、思いっきり蹴り飛ばす。ディケイドは飛んできた水のエルをライドブッカーですれ違いざまに切り裂く。

 

水のエル(究極)「ぐっ!」

ディケイド(コンプリート)「やあっ!」

 

倒れこんだ水のエルはよろめきながらも立ち上がるが、ディケイドはそこへライドブッカーをふるう。さらに、そこへ斜め下からの切り上げに右足での蹴りにと流れるような動きで攻撃を加えていく。ディケイドは刺突の後に後ろ回し蹴りを喰らわせ、水のエルは吹き飛ぶ。ディケイドの横にボルガインが降り立つ。

 

水のエル(究極)「お、おのれ…貴様らぁぁぁ‼︎」

ディケイド(コンプリート)「うわっ!」

ボルガイン「もしかして…暴走⁉︎」

 

水のエルが怒りの叫びをあげると、そこを中心に凄まじいエネルギーが吹き荒れる。そのエネルギーはディケイドやボルガインでも容易には近づけない。どころか、周りで暴れている規格外のエネルギーからダメージを受ける。

 

ボルガイン「このままじゃ、近づくこともできない」

ディケイド(コンプリート)「けど、放っておいたらこの世界どころか近くの世界まで」

水のエル(究極)「ウオォォォォッ‼︎」

 

2人が話してる間にも、エネルギーはどんどん量と大きさを増していく。よく見れば水のエル自身の身体にも少しずつヒビが入っている。あまりのエネルギー量に身体が内側から崩壊を始めている。もう一刻の猶予もなかった。ディケイドとボルガインは意を決する。

 

ボルガイン「こうなったら、やる事は一つだね」

ディケイド(コンプリート)「こっちもエネルギーをぶつけて打ち消す!」

《FINALATACKRIDE BOLGAIN》

 

ディケイドがカードを装填するとボルガインとディケイドの右脚にエネルギーが溜まっていく。そして、水のエルに向けて蹴り飛ばすようにその一部分を蹴り出す。そのエネルギーは辺りのエネルギーを物ともせずに進み、水のエルまで到達するとそれはマゼンタと緑と青の円錐となり、水のエルまでの道を作る。2人はそこへ向けて走り出し、高く飛び上がる。飛び上がった2人はその円錐に向かって急降下しながら飛び蹴りを放つ。

 

ディケイド(コンプリート)「はあああああッ‼︎」

ボルガイン「だああああああッ‼︎」

 

ディケイドとボルガインの蹴りが水のエルまで届くと、水のエルを抉るように円錐が回り始める。それと共に2人の蹴りも威力を増していく。そして、その威力を増した蹴りはやがて水のエルの身体を貫通する。

 

水のエル「ぐっ、ウオオォアアァァッ‼︎」

 

水のエルは蹴りで貫かれた箇所を抑え苦しみながら、最期の断末魔をあげながら爆発を起こす。その爆発の熱を背中で感じながらディケイドは変身を解く。ボルガインもそれにならって変身を解く。すると、ボルガインはのび太(別)とドラえもん(別)に分かれた。

 

のび太(別)「終わったんだね、これで」

ドラえもん(別)「うん、そうだよ。僕たちがやり遂げたんだよ」

のび太(別)「なんか一気に疲れがきちゃったな〜」

のび太「そうだね。でも、良かった。これで守れたのかな?」

ドラえもん(別)「そうだね」

 

3人は無事にことが終わったことに安堵しながら、話していた。そこへ、銀色のオーロラが現れる。それに気付いたのび太(別)が声を上げた。

 

のび太(別)「これ、僕たちが通ってきたやつだ」

ドラえもん(別)「って、ことは…帰れるってことだね!」

のび太(別)「やったー!」

 

2人は帰る方法が見つかったことを互いに笑い合いながら喜ぶ。その時、銀色のオーロラの向こう側から声が聞こえた。

 

?「な、なんだこれ⁉︎」

?「こんなの見たことないよ」

 

オーロラの向こう側からのび太(別)とドラえもん(別)のよく知っている声が聞こえてくる。

 

のび太(別)「皆の声だ!」

ドラえもん(別)「早く帰ろう!」

 

2人は銀色のオーロラに向かおうとするが、潜る直前で振り返ってのび太のほうを見た。

 

のび太(別)「色々とありがとね、こっちの僕」

のび太「いいよ、僕も助けられたんだ。お互い様さ」

ドラえもん(別)「こっちの世界の僕や皆にも頼れるようになるんだよ」

のび太「うん、分かってるよ。君たちから教えられたことは忘れないよ」

ドラえもん(別)「そう、なら良かった」

のび太(別)「うん。僕たちはいつどこにいたって君の仲間だよ」

のび太「ああ、ありがとう!」

のび太(別)「じゃあね!」

ドラえもん(別)「元気でね!」

 

そう言うと、2人は銀色のオーロラを潜っていった。そして、2人の姿が見えなくなると銀色のオーロラは消えてしまった。その後、あたりは静かさに包まれた。

 

のび太「…帰ろうかな」

 

のび太は銀色のオーロラがあった場所を見つめていたが、やがて踵を返して校門の方へと歩き出した。のび太が校門から外に出た時に声がかけられる。

 

幸「終わったみたいだね、のび太」

のび太「うん。そっちは大丈夫だった?」

幸「問題なし。なんかあいつ途中で逃げちゃったし」

 

校門のところにもたれながらのび太に声をかけた幸はのび太の問いに大丈夫だったという意の言葉をかける。それを聞いたのび太も安心したように微笑んだ。

 

のび太「よかった。やっぱり、強いね」

幸「当たり前だよ。のび太と同じで僕も通りすがりの仮面ライダーなんだし」

のび太「そっか。じゃあ、帰ろうか?」

幸「うん」

 

幸の言葉にのび太は笑いながら返すと、また家に向かって歩き出す。少しの間、のび太の後ろ姿を見ていた幸だったが、少し小走りでのび太の隣にくる。

 

幸「のび太」

のび太「何?」

幸「僕だって、君の仲間なんだよ?」.

のび太「っ…うん、分かってるよ」

幸「なら、良し!さ、ママさんにバレないうちに早く帰ろ?」

のび太「ちょっ、幸ちゃん!」

 

のび太の言ったことに満足した幸は満面の笑みになり、のび太の手を取り走り出す。それにのび太は慌てながらも何とかついて行った。だが、のび太の顔にも満面の笑みが浮かぶ。その空には無数の星が煌めいていた。

 

 

裏山

 

鳴滝「どうやら、ディエンドに手酷くやられたみたいだな」

 

裏山の千年杉の近くで鳴滝は何者かに声をかける。だが、何も返ってこない。それを感じた鳴滝は再び口を開く。

 

鳴滝「しゃべることもままならないくらいにやられたのか。いつぞやに油断するなと言ったのだが、お前の耳には届いてなかったみたいだな」

 

鳴滝が喋り終えると、千年杉の陰から何かが飛び出し暗闇の中に消えていった。それを見た鳴滝は前を見る。そこにはのび太たちの住む町の景色があった。

 

鳴滝「怪人を倒した直後に元の世界への道など、そんな都合よく現れるわけないだろう」

 

1人になった鳴滝は誰に言うでもなく呟く。あたりには静けさの漂う空間しか存在しない。故に、次に呟いた言葉を拾うものも当然いなかった。

 

鳴滝「今回だけだぞ、ディケイド。次は必ず…」.

 

それを最後に鳴滝の姿も闇に溶けていった。




やっと、やっと終わることが出来ました!どれだけの時間がかかったか…大半待たせてしまい誠に申し訳ないです。が、無事?にコラボを終えることができて非常に安心しております。焔崩し様、今回は本当にありがとうございます!これにてコラボ編完結です。では、また次回に!
全てを破壊し、全てを守り抜け!


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第八話

どうも、毎回毎回遅くなり申し訳無いです。3年ということで大学受験の勉強とか諸々で忙しく…はい、言い訳ですね。すいません‼︎
今回は、いつもと書き方を変えてみました。今後の書き方を如何するかは読者様方の意見とか反応次第で決めるつもりです。どうかよろしくお願いします!それでは、どうぞ!


野比家

 

空は曇っていて昼間だというのに外は薄暗く、そのためか少し肌寒く感じるそんなある日。

一階の居間には、のび太とドラえもんが揃ってテレビのニュース番組を見ていた。

 

「次のニュースです。先日、○○で男性が失踪するという事件がありました。男性は自宅付近の工場に勤めており、仕事から帰る際に行方を眩ましたとのことです。男性の所持品である財布などは見つかったものの、手掛かりは一切見当たらなかったとのこと。これについて、警察は…」

「謎の失踪事件か、物騒だな〜。ねぇ、ドラえもん」

「うん…」

 

のび太に話しかけられたドラえもんだったが、ドラえもんは考え事でもしているのか、うわの空だった。

その様子を怪訝に思ったのび太はドラえもんの方を揺すりながら声をかける。

 

「ドラえもん?…ドラえもん!」

「うわっ!な、なんだい、のび太くん。急に大きな声出さないでよ、ビックリするじゃないか」

「ドラえもんがボーッとしてて、人の話を聞いてないからじゃないか。何か、あったの?」

 

驚いているドラえもんの抗議を真っ向から切って捨てると、のび太は心配そうに問いかける。

それにドラえもんは目を伏せると、黙り込んでしまう。

だが、少しすると目をあげて、のび太の方を向く。

 

「のび太くん。もしかしてなんだけど…僕に何か隠し事とかしてないかい?」

「何だよ藪から棒に。隠しておいたどら焼きでも無くなったの?だったら、僕じゃないよ」

「そういうことじゃないんだ。もっと…重大な事を隠してないかい?」

 

あまりに真剣な言うドラえもんの言葉に一瞬固まるのび太だったが、直ぐに元の調子に戻ると笑いながら誤魔化す。

 

「…気のせいじゃないの?大体、僕が隠し事してるっていう根拠でもあるの?」

「無いけど…何だかそんな気がしたんだ」

「も〜、ドラえもんは考え過ぎなんだよ」

 

のび太は表面上は苦笑しながら言っているように見えるが、内心はそうはいかなかった。

 

「(隠し事って…いや、まさかね。こんなに隠してるんだ、バレる訳ないじゃないか)」

 

ドラえもんには何とか誤魔化したものの、なんだか変な雰囲気になってしまい、お互いに押し黙る。

のび太がどうしようかと頭を悩ませていると、台所から玉子がのび太たちを呼ぶ声が聞こえた。

 

「のびちゃん、ドラちゃん。悪いけどおつかいに行ってきてちょうだい」

「「は〜い!」」

 

玉子の声に半ば反射的に返事をした2人は、お使いのメモと買い物カバンを持って家を出た。

しかし、先ほどの事が尾を引いているのか何となく気まずい空気で、お互いに会話が思うように進まない。

その時、2人の後ろから自転車のベルの音が聞こえてくる。

 

「よお、のび太にドラえもん」

「あ、ジャイアン」

「何してるんだ、お前ら?」

 

 

声をかけた後、自転車に乗ったジャイアンが2人の横に止まる。

ジャイアンは2人を見て、何をしてるのかと尋ねる。

それにドラえもんが答える。

 

「ママにお使い頼まれてね。そういうジャイアンは配達かい?」

「おうよ。今日は母ちゃんと父ちゃんが温泉旅行に行っててよ。だから、俺が配達してるって訳だ」

「へぇ〜、えらいじゃない!」

「へへっ、まあな!って、訳だからじゃあな!」

 

配達している理由を聞いてドラえもんがジャイアンを褒めると、ジャイアンは鼻の下を擦りながら若干照れくさそうにしながらも得意げに胸を張る。

そして、残りの配達を終わらせるため、ジャイアンは再び自転車を漕ぎ出した。

しかし、すぐにまた自転車を止めて振り返る。

 

「あ、そうだ。なあ?」

「どうかしたの、ジャイアン?」

「いや…お前ら、なんかあったのか?」

「っ!何もないけど、どうして?」

 

ジャイアンの質問に2人はギョッとなるものの、瞬時に再起動したのび太が誤魔化す。

それを聞いたジャイアンは、その反応に頭に疑問符を浮かべながらも、そうかと返す。

 

「なんか、お前らの様子がちょっと変な気がしたからよ。でも、何にもないってんならいいや。じゃあな!」

 

そう言うとジャイアンは前を向き今度こそ自転車を漕ぎ進める。

それを見送った2人はお互いに顔を見合わせると揃ってため息をついた。

 

「そんなに分かりやすかったかな、僕たち」

「多分ね。ジャイアンが意外と鋭かったってのもあるかもしれないけど」

「…ドラえもん、あのさ」

「…うん、そうだね。何時までも、こんな状態でいるわけにもいかないしね!」

「うん!そうだね」

 

のび太の言わんとしてることを全て言わずとも察したドラえもんはいつも通りの状態に戻ろうという意で言葉を返す。

それを聞いたのび太も嬉しそうに笑いながらそれに肯定する。

無事にいつも通りの仲に戻った2人は色々な事を話しながら歩く。

学校の事、友人の事、今日の晩御飯の事、近所の猫の事…さっきまでのことが嘘のように、不思議と話題は尽きなかった。

商店街に着いて頼まれていたものを買っている時、またもや不意に声をかけられた。

 

「のび太くん!」

「ああ、奈々ちゃん。どうしたの、こんなところで?郎夜さんは?」

「師匠は今、別の場所にいるの。それで、私は折角だからここら辺の色々なもの見ておこうと思って。もしかしたら、お買い物に来るかもしれないから」

「へぇ、そうなんだ」

「のび太くん、その娘誰だい?」

 

奈々は自分が商店街にいる理由を話す。

その時、とても嬉しそうな様子の奈々を見て、のび太は何だか自分まで嬉しいような気持ちになっていた。

その仲の良さそうな様子を見て不思議に思ったドラえもんは、のび太に奈々の事を聞く。

それを聞いてのび太は、ドラえもんに奈々を紹介する。

 

「紹介するね。僕の友達の奈々ちゃん。で、こっちはドラえもんだよ」

「どうも。僕、ドラえもんです」

「よ、よろしくお願いします」

 

のび太の紹介を聞いてもう一度自己紹介しながら手を差し出すドラえもん。

それに対し、奈々は若干人見知りの気があるのか、戸惑いながらも手を差し出して、握手をする。

特に何事もなく自己紹介を終える2人を見て安心したのび太は、奈々に話しかける。

 

「そうだ。もし良かったら奈々ちゃんも一緒に来る?今、お使い頼まれてるから、ここら辺のお店色々見て回れると思うし」

「え…い、一緒に⁉︎い、いいの?」

「僕は全然いいけど。ねぇ、ドラえもん?」

「うん。僕も構わないよ」

「だから、どうかな…って、どうしたの?」

「(こ、これはデート!いや、でもドラちゃんもいるから違うよね。そ、それでも、これは…)はわわわっ⁉︎」

 

突然ののび太の申し出に、奈々は内心の動揺を隠しきれず、顔を真っ赤にしながら訳のわからない言葉が出てしまう。

それを見たのび太は不思議そうな顔で首を傾げるも、隣のドラえもんは1つの推測を立てる。

 

「(もしかして、奈々ちゃんって…のび太くんのこと…)」

「どうかしたの?もしかして、なんか一緒に行けない訳があるt」

「はっ!…ないないない‼︎だから、一緒に行かせて!」

「う、うん。じゃあ、行こうか?」

「うんっ!」

 

奈々の様子を勘違いしたのび太の言葉を途中で遮って、食い気味に言葉を被せて否定する。

その必死な姿に少し驚きながらも、のび太は歩き出す。

それと同時にドラえもんと奈々も歩き出す。

 

「ところで、今日は何買うの?」

「えっと、メモには…じゃがも、玉ねぎ、醤油にアジ。あとは、来客用の饅頭、おやつのどら焼きだね」

「どら焼き!やったぁぁぁ!のび太くん、奈々ちゃん。そうと分かれば早く行こう‼︎」

「あ、ちょ、ちょっとドラえもん!」

 

のび太はお使いで頼まれているものが書かれているメモを取り出すと、順番に読みあげていく。

その中の最後に書かれていたどら焼きという言葉をのび太が読んだ瞬間、テンションが最大まで高まったドラえもんは2人を置いて駆け出してしまう。

それをのび太が止めようとするものの、そんな静止の言葉が聞こえていないドラえもんは走り出そうとするが、間一髪で首輪を引っ掴んだのび太が止める。

 

「落ち着けよ、ドラえもん。君が先走ったって意味ないだろ」

「止めるな、のび太くん!どら焼きが、どら焼きが僕を待ってるんだぁ!」

「全く、ドラえもんは…」

「のび太くん。ドラちゃんってそんなにどら焼き好きなの?」

「大好物なんだよ。三度の飯よりどら焼きって位に」

「そ、それは凄いね…」

 

のび太に掴まれていても尚駆け出そうとするドラえもんを見て奈々が不思議に思う。

それにのび太は呆れながらも、ありのままに事実を伝える。

それを聞いた奈々は思わず苦笑してしまう。

そんなことをしている間にのび太の拘束を振り切ったドラえもんは走って行ってしまう。

 

「うおおおお、どら焼きィィ‼︎」

「あ!おい、ドラえもん!…行っちゃったよ。財布持ってるの僕なのに…」

「もう見えなくなっちゃった…」

「仕方がないなぁ〜。僕らも急ごっか」

「ふぇっ⁉︎の、のび太くん⁉︎(そ、そんな急にて、手を⁉︎恥ずかしいような、嬉しいような…)」

 

既に姿が見えなくなってしまったドラえもんを追うためにのび太は、呆然とする奈々の手を取って走り出す。

奈々はあまりに突然のことで顔が先程よりも更に顔が真っ赤になっていき、まるでトマトのようだった。

そして、表情は戸惑いもあるがやはり嬉しいのか、照れていながらも幸せそうだった。

 

 

キクチ屋

 

和菓子屋であるキクチ屋に到着した2人は、店の前で立っているドラえもんを見つける。

ドラえもんものび太たちを見つけて、駆け寄っていく。

 

のび太「やっぱり、ここにいたのか」

ドラえもん「ごめん、のび太くん。よくよく考えたら財布持ってるののび太くんだったって気付いたんだけど、その時はもうキクチ屋に着いてて…」

のび太「もう良いよ。けど、次からは気を付けてよ」

ドラえもん「うん。奈々ちゃんもごめんね」

奈々「私も気にしてないからいいよ」

 

申し訳なさそうに謝るドラえもんを、2人はあっさりと許す。

そして、3人は店に入りメモに書かれていた饅頭とどら焼きを買うと外に出る。

ドラえもんの顔はとても満足気なものであった。それを見た奈々はふふっ、と小さく笑いながらドラえもんに話しかける。

 

「ドラちゃんって本当にどら焼きが好きなんだね」

「うん!どら焼きなら幾らでも食べられちゃうよ!」

「何言ってんのさ。この前、どら焼きの食べ過ぎでお腹痛めてたじゃない」

「ちょ、のび太くん⁉︎それは、その〜…」

 

ドラえもんは奈々にどら焼き大好きアピールをするものの、横からののび太の言葉によって台無しになってしまう。

それにドラえもんは動揺して、恥ずかしそうにする。

それを見た奈々は仲の良い2人の微笑ましいやり取りに思わず暖かい気持ちになる。

その時、不意に上を向いたのび太が声を漏らす。

 

「ん?」

「どうかしたの、のび太くん?」

「いや、空で何か動いててさ」

「鳥とかじゃないのかな?」

「それにしては大きすぎるような…」

 

のび太の言葉を聞いたドラえもんと奈々も上を向く。

のび太の言葉通り、確かに空で動いている何かは鳥にしては大きすぎる。

3人がその正体を見極めようと更に目を凝らしていると、突如その何かが大きくなっていく。

否、大きくなっていくように見えた。

 

「ねぇ、のび太くん。アレだんだん近づいてきてない?」

「うん、そうみたいだね。ドラえもん、あれ何?」

「さ、さあ?あっ、そんなことよりお使いの続きしなきゃ」

 

ドラえもんの言葉を受けて奈々はその場から動こうとしたものの、どうしても気になったのび太は見上げ続ける。

そうしていると、その何かがこちらを向いた。

そして、その何かと目があった。

その瞬間、のび太は叫ぶように言葉を発した。

 

「2人とも、急いで逃げて!」

「えっ?」

「のび太くん?」

 

その時、上空の何かが突如、のび太に向かって急降下してきた。

凄まじい速度のそれをのび太は間一髪で横に転がり、躱す。

急降下してきたそれは地面と激突し、あたりは激しい砂埃で覆われる。

ドラえもんと奈々は、何が起こったのか分からず、困惑する。

 

「のび太くん!」

「一体、何が…!」

「奈々ちゃん、気を抜かないようにね」

「まさか…」

 

のび太の言葉に奈々が何が起こったのかを大体察した所で、砂埃が晴れてくる。

しかし、そこにいたのは人なんかではなかった。

灰色の身体に鋭い眼と嘴、背中に大きな翼を持ったカラスのような怪人、クロウオルフェノクだった。

 

「か、怪物!」

「ドラえもん、早く逃げて‼︎」

 

地面に降り立ったクロウオルフェノクは、自身を見て驚愕し、狼狽えているドラえもんに目をつけると、その両手に刃の周りに刺々しい刃が付いているクナイを出現させると投擲する。

咄嗟のことに反応できないドラえもんだったが、奈々が倒れこむように押しのけた事で、クナイはギリギリの所で当たりはしなかった。

だが、そこへクロウオルフェノクは更にクナイを投げこむ。

しかし、それは自分の後ろから飛来してきたエネルギーの銃弾に全て撃ち落とされる。

クロウオルフェノクは銃弾の飛んできた方向に顔を向ける。

 

「お前の相手はこっちだ!」

「…面白い」

 

クロウオルフェノクはショックブレードガンを構えたのび太に対して、両手の指を使いクナイを2本ずつ構える。

そして、クロウオルフェノクが計4本のクナイを投げると、のび太は後ろに下がりながら全て撃墜する。

それでも尚、間髪入れずにクナイが投げ込まれるが、のび太はブレード部分も使い捌く。

そこへ、クロウオルフェノクが背中の翼を広げ、それを大きく羽ばたかせる。

すると、とてつもない風量の突風が巻き起こり、のび太のその身体を吹き飛ばす。

 

「うわぁっ!」

「のび太くーん‼︎」

「のび太くん!」

 

吹き飛ばされたのび太を心配する2人をよそに、クロウオルフェノクはそのままかなり遠くまで飛ばされたのび太の方へ飛んで行った。

2人はのび太が飛ばされてしまった方へ走っていった。

一方その頃、のび太の方もドラえもんから離れたところでディケイドライバーを出現させると、巻きつける。

 

「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

のび太はディケイドへと変身すると、受け身を取りながら上手く着地する。

そこに自分を追ってきたクロウオルフェノクも現れる。

 

「お前のような子供が…マゼンタの怪人だったのか」

「まあね。さあ、始めようか」

 

ディケイドはライドブッカーをソードモードにして、構える。

クロウオルフェノクもクナイを両手に3本ずつ持ち、構える。

両者とも、そこから一歩も動かなくなった。

その時、突然起こった風に舞い上げられた葉っぱが両者の間を通り過ぎた。

そして、2人は動き出した。

 

「はあっ!」

 

クロウオルフェノクの投げたクナイを全て剣で切り払ったディケイドは一直線に突っ込んでいく。

クロウオルフェノクもクナイを一本、逆手持ちに構えると、一直線に走り出す。

互いの得物がぶつかり合い、甲高い音を立てながら火花を散らす。

 

「…やるな」

「そっちこそ!」

 

ディケイドがつば競り合いの状態から強引に相手のクナイを押しのけると、そこへ斬りかかる。

横一閃に振るわれた剣を一歩下がることで回避したクロウオルフェノクがクナイをディケイドの肩口に突き刺そうと迫る。

だが、ディケイドは剣を振るった勢いに身を任せ、一回転して再び斬りかかる。

 

「⁉︎」

 

慌ててクナイで受け止めるクロウオルフェノクだったが、咄嗟のことであったのと回転して威力が増していたことで横に吹き飛ばされる。

そこへディケイドが追撃しようとするが、クロウオルフェノクが吹き飛ばされながらも放ったクナイを喰らい倒れる。

 

「あの武器が厄介だな…なら、これで!」

《KAMENRIDE BRADE》

 

ディケイドライバーにカードを装填するとディケイドの姿が仮面ライダーブレイドの姿へと変わっていく。

更に、Dブレイドはディケイドライバーにカードを装填する。

 

《ATACKRIDE MACH》

 

そして、Dブレイドが駆け出すと一瞬にしてクロウオルフェノクの眼前に出現する。

そして、驚きで硬直しているクロウオルフェノクに右手に持ったブレイラウザーでの高速の連撃を浴びせていく。

 

「ぐうっ⁉︎いつまでも…調子にのるな!」

 

体を切り裂かれながらもクナイを振るうクロウオルフェノクだったが、Dブレイドは姿勢を低くして躱すと、そのまま流れるような動作で後ろへ回り込む。

 

《ATACKRIDE BEAT》

 

振り向こうとするクロウオルフェノクに、Dブレイドは強化された腕力で繰り出された拳撃“ライオンビート”を容赦なく打ち込む。

その威力にかなりの勢いで吹っ飛ぶクロウオルフェノクだっが、そんな中でも背中の翼で何とか勢いを殺そうと試みる。

 

《ATACKRIDE METAL》

《ATACKRIDE MACH》

 

その時、再び高速で接近してきたDブレイドが視界に入る。

クロウオルフェノクは、それを迎撃しようと蹴りを放つ。

しかし、蹴りが命中した筈のDブレイドはメタルのカードによって強化された防御力で以って耐え抜く。

そして、カウンターでクロウオルフェノクにマッハでの高速移動の勢いを利用したタックルで更に吹き飛ばす。

 

「ガハッ‼︎」

 

これまでの連続攻撃を全て受け続けたクロウオルフェノクは立ち上がるのも困難な様子で、如何にも満身創痍といったふうだった。

トドメを刺そうとライドブッカーに手を伸ばしたDブレイドだったが、後ろから聞こえてきた声に中断させられる。

 

「のび太くーん‼︎」

「待って、ドラちゃん!一人じゃ危ないよ!」

 

どうやらのび太を心配して急いで来たようで、その後ろから奈々が追いかけていた。

2人に一瞬注意がいったのを見たクロウオルフェノクは空へと翔びあがりながら、叫ぶ。

 

「今だ、やれっ!」

「⁉︎」

 

その時、地面から何かが飛び出しDブレイドに迫る。

それをDブレイドはブレイラウザーで弾くが、ブレイラウザーと自身も吹っ飛び、ディケイドへと戻ってしまう。

だが、弾かれたそれは今度はドラえもんへと迫っていく。

今のドラえもんには避けることは叶わない。

奈々もそれに間に合いそうにはない。

そして、それがドラえもんに届こうとし、ドラえもんは思わず目を瞑る。

しかし、いつまでたっても何も起きない。

それを不思議に思ったドラえもんが目を開けると…

 

「ぐ、ああ…」

「!」

 

ディケイドがドラえもんを、その身を挺して庇っていた。ドラえもんはディケイドの身体に刺さっているものを見た。

それは先端が針のようになっている刃の様だった。

やがて、その刃がディケイドから引き抜かれる。

そして、地面から何者かが姿をあらわす。

クロウオルフェノクと同様の灰色の身体、長く鋭い針を持った尾。

そして、たった今ディケイドを突き刺した尾と同じ形状の蛇腹剣を持ったエイのようなレイオルフェノクだった。

 

「僕に頼るなんて、なっさけな〜い」

「…うるさい」

「あれれ?助けてくれた相手に対して、それはないんじゃない?」

「…チッ」

 

ふざけたような喋り方で馬鹿にしてくるレイオルフェノクにクロウオルフェノクは言い返すも、そこから更に煽ってくる。

それに苛ついたのか小さく舌打ちをする。

一方、ドラえもんを庇ったディケイドは膝をつく。

それを見たドラえもんはディケイドのもとに駆け寄る。

そして、奈々もそれに続く。

 

「だ、大丈夫ですか⁉︎」

「あ、ああ。この、くらい…」

 

ディケイドは大丈夫だとドラえもんに伝えようとするが、身体に走る異様な苦しさのせいで強がることもできない。

そんなディケイドにレイオルフェノクが話し出す。

 

「大丈夫な訳ないじゃない。僕の毒を諸に喰らったんだよ?」

「毒…!」

「そう、毒だよ。ただの人間が喰らえば一瞬で毒が回って、死んじゃうような強力なやつ。君はいつまで保つのかな〜?」

 

そういうとレイオルフェノクはゲラゲラ笑いだす。

そして、ふらふらな様子のクロウオルフェノクに話しかける。

 

「ねぇ、そろそろ帰ろうよ。つまんないし」

「ま、まて。そいつのトドメを…」

「別にいいじゃん?どうせ、死ぬんだから。せいぜい、苦しんで死んで貰いたいしね。あれれ?僕って、鬼畜〜w」

「お、おい!」

 

クロウオルフェノクの言葉を聞かずに去っていくレイオルフェノクに、それを追うクロウオルフェノク。

2体のオルフェノクが去った後、ディケイドは立ち上がってドラえもんから離れようとする。

 

「ちょっと、そんな状態でどこに行くんですか⁉︎」

「僕なら大丈夫、だから。はやく、いっ、て…」

「大丈夫じゃないでしょう!そうだ、お医者さんカバンで…」

 

去ろうとするディケイドを引き止め、ポケットから道具を出そうとするドラえもん。

しかし、既に体力が毒で限界だったディケイドは倒れてしまう。

そして、ドラえもんの前で変身が解かれてしまう。

 

「え…」

 

それを見たドラえもんはそれ以上の声が出なかった。

手も道具を出しかけたまま止まってしまう。

呆然としたまま固まってしまうが、それでも目の前の現実が否応なく襲いかかってくる。

何故、如何して。

そんな疑問が次々と湧き上がってくるものの、生憎とその答えは持ち合わせていなかった。

そして、やっと出た声は震えながら、その少年の名前を呼ぶ。

 

「のび太、くん…」

 

その時、ポツポツと雨が降り始め、その声は雨の中へと消えていった。

 

 




どうでしたかね?初の試みということで少々書きにくかったのですが、これの方が良い、見やすいということならば今後こういった書き方にするつもりですので、よろしくお願いします。あと、次回の話の後に劇場版を予定しています。時間がかかってしまい申し訳ありません。それでは次回予告といきましょう。

毒に倒れてしまったのび太に衝撃の事実を知ってしまったドラえもん。果たして、のび太の運命は、真実を知ったドラえもんの心は。そして、2人の友情は…
次回、第九話
全てを破壊し、全てを守り抜け!


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第九話

やっと完成しました!毎回謝ってばかりですが、今回もすいませんでした!不定期更新と言っても、やはり遅すぎますかね…。何とか早く書こうとはしているのですが、なかなか難しいです…。まあ、ここで時間を取るわけにもいきませんので、本編をどうぞ!


のび太の部屋

 

野比家の一室であるのび太の部屋では真ん中に布団が敷かれてあり、そこにはレイオルフェノクの毒に侵されたのび太が眠っていた。

そして、その周りには秘密道具の一つである“お医者さんカバン”でのび太の治療をしているドラえもんとのび太の様子を心配そうに見ている奈々がいた。

部屋の中には重苦しい雰囲気が漂っており、誰も言葉を発さない。

部屋の中には外の土砂降りの雨の音だけがうるさいほどに響いていた。

暫くすると、ドラえもんがお医者さんカバンからと繋がっている聴診器のようなものを外す。

それを見た奈々がドラえもんに少々、躊躇いながら問いかける。

 

「その…ドラちゃん。のび太くんはどうなの?」

「…分からない。いくら秘密道具っていったって、結局は遊び道具だからね。それに薬こそ出てはいるけど、完全に効くっていう保証はないみたいだし」

「そう…」

 

そう言うと、またお互いに口を閉ざしてしまう。

奈々も、落ち込んだ空気をなんとかしようと口を開きかけるも、目の前のドラえもんの表情を見て結局、やめてしまう。

そうしていると、話す様子のなかったドラえもんがぽつりと呟くように言葉を発した。

 

「ねぇ」

「なに?ドラちゃん」

「奈々ちゃんは…知ってたの?」

「のび太くんのこと?」

 

奈々の声に、ドラえもんはこくりと一つ頷く。

それに奈々は、少しの間をおいて答えた。

 

「…うん、まあね」

「そうなんだ…」

 

すると、ドラえもんは俯いてしまう。

その姿に心配になり、何か言葉の一つでもかけようとする奈々だが、目の前のドラえもんを慰めてやれるような言葉が自分にはないと分かると、何も言えなくなる。

そして、そんな不器用な自分が嫌になり、何だかいたたまれなくなってしまい、思わず立ち上がる。

 

「私、何か飲み物持ってくるね」

「うん…」

 

部屋を出た奈々は階段を降りながら、自己嫌悪に陥る。

何故、あの場から逃げてしまったのか。

本来なら何か言葉をかけ、そうでなくとも共にいるべきなのに。

それなのに、自分は何もできないことを恥じて、逃げてしまった。

弱い自分が何よりも恨めしい。

そんなことを考えながら階段を降りていると、玄関の扉が開いた。

 

「ただいま〜。あら?奈々ちゃん来てたのね」

「あ、玉子さん!お邪魔してます」

「ふふっ」

 

玉子は自分に気づき、お辞儀をする奈々に微笑む。

今まで、家にのび助、のび太、ドラえもんと男しかいなかったので、奈々や幸を娘のように可愛がり、それが嬉しかった。

そして、のび太とドラえもんのことを考えて、奈々に聞いてみた。

 

「ところで、のびちゃんとドラちゃんは?」

「あ…今、二階にいます」

「そうなの?なら、おやつがあるから呼ぼうかしら」

 

玉子がのび太たちを呼ぼうとしているのをみて焦る奈々。

今、のび太たちが下に降りてこれるわけないし、かといってそれを玉子に見られるわけにもいかない。

どうするかと咄嗟に考え、口を開く。

 

「え、えっと…の、のび太くんは、いま勉強中で…それで、ドラちゃんはその勉強を見てるので…」

「あら、そうなの?」

「は、はい!だから、その…」

 

言い淀む奈々を見て、玉子は思った。

きっと奈々は、勉強中ののび太の邪魔をしないでほしいと、そういうことを言いたいのだろう。

のび太が勉強しているのは驚きだが、それは玉子にとっては喜ばしい事である。

玉子としても、それを邪魔するのは本意ではない。

それに、奈々ともゆっくり話してみたいと思う。

 

「なら、2人で食べちゃいましょうか」

「2人って…私ですか?」

「そうだけど、もしかして嫌だった?」

 

玉子の言葉に奈々は手をブンブン振って、慌てて否定する。

 

「いえ!そんなことは決して!むしろ、是非!」

「ふふっ、分かったわ。じゃあ、少し待っててちょうだい。直ぐに用意するわ」

「何か手伝いましょうか?」

「大丈夫よ。奈々ちゃんは先に居間にいってて」

 

奈々の申し出をやんわりと断ると、玉子は台所へ向かう。

それを見た奈々は少し申し訳なく思いながらも、居間に入り座布団の上に座る。

そのまま待っていると、美味しそうなクッキーとお茶を乗せたお盆を持って、玉子が入ってくる。

 

「どうぞ」

「ありがとうございます!」

 

二つあるうちの片方のお茶を渡された奈々はそれを一口飲み、テーブルに置かれたクッキーに手を伸ばすと一番手前のを掴むと、いただきます、と言って口にする。

すると、奈々の表情が緩む。

 

「美味しい!」

「そう?口にあって良かったわ〜」

「とっても美味しいです!でも、こんな美味しいクッキー本当にいいんですか…?」

「いいのよ。貰い物なんだけど、のびちゃんは珍しく勉強にやる気になってるみたいだし。それに、奈々ちゃんと二人でお話してみたかったのよ」

 

玉子の言葉に不思議に思い、首を傾げる。

それを見た玉子は微笑みながら、話す。

 

「私とですか?」

「ええ。もしかして、嫌だった?」

「そんな事は無いです!私でよかったら」

「ふふっ、ありがとう」

 

奈々の言葉を聞いた玉子は、嬉しそうに笑いながらお礼を言う。

二枚目のクッキーに手を伸ばした奈々に、玉子は話しかける。

 

「奈々ちゃんは郎夜さんと暮らしてるのよね?」

「はい、そうです」

「郎夜さんから聞いてるわよ。すごくしっかりしてて、家事もできる良い子だって」

「そ、そんなことないですよ。私なんか…」

 

玉子から褒められた奈々は、顔を赤くして照れながら謙遜する。

それを見た玉子は、その可愛らしい仕草と様子に微笑ましく思い、さらに褒める。

 

「本当に偉いわね〜。ウチののびちゃんにも見習った欲しいくらいよ」

「大したことじゃないですよ。それに、私の方こそのび太くんに何時も助けてもらってばかりで…」

「へぇ〜、そうなの。あの、のびちゃんがねぇ〜」

 

奈々が言った言葉に玉子は驚いた表情を見せたが、すぐに嬉しそうな表情で頷いた。

それを見た奈々は、少し気になったことを聞いてみることにした。

 

「普段ののび太くんって、どんなふうなんですか?」

「気になる?」

「はい!あっ…」

「ふふっ、いいわよ。何から話そうかしらね〜」

 

玉子の問いに思わず勢いよく肯定してしまい、その後すぐに我に帰り恥ずかしそうに俯く。

それを見て微笑みながら、玉子は話し始めた。

それから時間にして数十分の間、玉子と奈々は話し続けていた。

途中から奈々も慣れてきて、2人はまるで本当の母娘のように親しくなっていた。

すると、お互いのお茶が無くなってしまったので、玉子がまたいれてこようと立ち上がろうとする。

その時に、誤ってテレビのリモコンのスイッチをいれる。

どうやら、たまたまニュースのチャンネルだったようで、画面の中では男性のキャスターが速報のニュースを読み上げていた。

 

「速報です。先程、東京都練馬区月見台で連続で一般人が襲われるという事件がありました。犯人は現在不明で捕まっておらず、またたまたま近くに居合わせた通行人は灰色の人影らしきものを見たと証言しています。被害者たちは皆重傷を負い、犠牲者も多数出ているとのことです。このことについて…」

「うちの近くじゃない⁉︎怖いわね〜、パパ大丈夫かしら…」

「…(これ、あの怪人たちの仕業だよね…)」

 

ニュースを見て夫の心配をしている玉子の横で、奈々はこの事件が先程のオルフェノクが起こしたものだと推測した。

少しの間考えて、そして決心をする。

 

「(私が戦う!今はのび太くんはとても戦える状態じゃないし、このまま放って置けない。それに…)」

 

戦う理由が、守りたいものが分かったと思った。

今までの奈々には自分自身の普通の暮らしを犠牲にしてまで、戦う理由が見つからなかった。

強いて言うならば、自分には力があるからという義務感や使命感にも似た、曖昧なものだった。

だが、今ならそれ以外の理由ができた。

先程までの2人での会話はとても楽しく、奈々からすれば新鮮で幸せな時間だった。

また、玉子ものび太のことを話している時は呆れたりしている場面もあったが、けれど最後には幸せそうな表情をしていた。

きっと、誰にでも大なり小なり自分なりの幸せ、というものがあるんだろうと思った。

しかし、それは時に少しの悪意で崩れ去ってしまう。

怪人などという超常の存在による悪意ならば、簡単に粉々に砕け散ってしまうだろう。

だから、自分が守りたいと感じた。

勿論、怪人だけではなく、悪意がなくとも病気や事故という仕方のない要因で、消えてしまうこともあるだろう。

全てを救えるわけではないが、だからと言って自分の手が届く所にまで手を伸ばさない理由にはならない。

人々の幸せを、それを脅かすものから守りたい。

それが、今の奈々が自分で見つけた戦う理由だった。

奈々はその目に力強い光を秘めながら、立ち上がる。

 

「あの、私用事があるので、これで失礼します」

「そうなの?でも、さっきのニュースの事もあるし、もうちょっとゆっくりしていったほうが…」

 

玉子は奈々を心配して、まだ家にいるように言うが、奈々は首を振る。

 

「ありがとうございます。でも、どうしても行かなくちゃいけないので」

「そう?なら仕方ないわね…」

 

奈々は玄関で靴を履くと、玄関の扉を開けようとする。

そこへ玉子が声をかける。

 

「そうだわ。今、雨が降ってるから、そこにある傘使って頂戴」

「でも…」

「いいのよ、別に。風邪を引いたら大変だし、傘は今度来た時にでも返してもらえればいいわ」

「玉子さん…はい!また来ます!」

「ええ!」

 

玉子の優しさに嬉しく思いながらそう言うと奈々は傘を一本持って外に出る。

すると、先ほどはまだ弱かった雨が強くなっていたので、傘をさす。

そして、今も襲われている町のある方に向かって駆け出した。

 

 

のび太の部屋

 

「う、うん…。ここは…?」

 

目を覚ましたのび太はまだ少し朦朧としながら、辺りを見渡す。

すると、視界に心配そうな表情のドラえもんの姿が映る。

目を覚ましたのび太に声をかけるドラえもん。

 

「大丈夫、のび太?」

「ドラえもん…?僕は何で…っ!」

 

意識が完全にはっきりしたのび太は今までの事を全て思い出し、布団から起き上がろうとする。

しかし、すぐにふらふらとして倒れてしまう。

そんなのび太を見たドラえもんは、心配のあまり少し大きな声をあげる。

 

「ちょ、ちょっとのび太くん⁉︎まだ完治してるわけじゃないんだよ!」

「で、でも…!僕がこうしてる間にも襲われてる人だっているんだ、だから!」

「…今までも、こうやって無茶してきたのかい?」

 

ドラえもんの制止を振り切って起き上がろうとするのび太だったが、ドラえもんの呟いた一言を聞いて固まってしまう。

ドラえもんの方を見れば、顔は俯いていて表情を伺うことは出来ないが、その言葉と雰囲気にのび太は動けなかった。

 

「どうなんだい、のび太くん?」

「…」

「そうなんだ」

 

その問いに沈黙で返したのび太を見て、ドラえもんは察する。

俯いているドラえもんだったが、何か感情を抑え込んでいるかの様に身体を震わせる。

その後、お互いに沈黙が続いたが、徐にドラえもんが口を開いた。

 

「どうして今まで何も言ってくれなかったんだい?」

「それは…」

「そんなにぼくが信用できなかったのかい?友達だと思ってたのはぼくだけだったのかい?」

「そんな事ないよ!」

「じゃあ、どうして‼︎」

 

ドラえもんの言葉に思わず声を荒げて返すと、ドラえもんはそれ以上に声を荒げて返した。

そこでのび太は、顔を上げたドラえもんの表情を見た。

それは怒っているような、悔しそうな、そして悲しそうな、そんな思いがごちゃまぜになっていた。

更に、目には涙が浮かんでおり、声も震えている。

 

「どうして何も言ってくれなかったんだい!どうしてぼくを頼ってくれなかったんだい!君のやってた事は新聞やテレビでやってたから、少しは知ってるよ。それがどれだけ危険なことかも!」

「巻き込みたくなかったんだ、皆を。これは僕がやるって決めた事だから。皆には平和に暮らしていて欲しかったんだ…」

「そんな…!ぼくだって、君に平和に暮らして欲しいと思ってるよ!いや、ぼくだけじゃない。ママやパパ、しずかちゃんやジャイアンにスネ夫だって、君にこんな危険な事をして欲しいなんて思ってないよ‼︎」

「…だけど」

 

自分の抱えていた思いを全て言ったドラえもんは、一度深呼吸して落ち着く。

のび太は、ドラえもんの言葉に何も言い返さない。

すると、ドラえもんは静かな口調で話し始める。

 

「もう、やめようよのび太くん。こんな危険なこと続けてたら、いずれ君は…」

「ごめん。でも、それは出来ないよ」

「のび太くん…。君がドジでバカで、だけど誰よりも優しくてお人好しなのは分かってる。けど、このままだと死ぬかもしれないんだよ⁉︎そんなの誰も望んでないよ!」

「死ぬつもりなんてないよ。僕は僕に出来る事をやるだけさ」

「のび太くん!」

「…ドラえもん、僕ね。この街と皆と、そしてこの世界が好きなんだ」

 

なお止めようとするドラえもんに向けて、のび太は話しだす。

自分の思いを、戦う理由を。

 

「この力を手に入れる時にいろいろあったんだけど。その時に分かったんだ。朝ママに叱られながら起きて、学校で先生に廊下に立たされて、ジャイアンやスネ夫にからかわれても、なんだかんだ皆と仲良くいられることが、優しい皆が周りにいることがどれだけ大切か。そして、その大切な事が当たり前のようにあるこの世界がどれだけ尊いか。だから、僕はそれを守る為に戦うんだ。どんな障害があっても、それを破壊しながらでも」

「のび太くん…」

 

全てを話すとのび太は部屋から出て行った。

ドラえもんは止めたいけれど、止められない。

のび太の思いを聞き、受け止めたから。

そんなドラえもんを置いて、のび太は下に降りていく。

時折、ふらつくが何とか降りきる。

そして、居間の前を通った時にあるニュースが耳に飛び込んできた。

それは先程、奈々が聞いたニュースと同じ内容だった。

それを聞いたのび太は家を飛び出し、一目散に駆けて行った。

 

 

スーパー

 

現在のび太の家から少し離れた場所にあるスーパーでは、阿鼻叫喚の嵐に包まれていた。

激しく雨が降るなか傘もささずに、大勢の人が悲鳴をあげながら我先にと逃げ惑う。

その後ろには、筋肉質の男性と肥満体のメガネの男性が立っていた。

そして、その周りには雨で水を多量に含んだ決して少なくない量の灰らしきものが見えた。

 

「すごい慌てようだね。こんな面白い光景そうそうないよ」

「そうか。俺としてはさっさと終わらせたいのだがな」

 

肥満体の男性の言葉に、筋肉質の男性は呆れながら言葉を返す。

周りが騒然としている中、この2人の態度は明らかに異常だった。

だが、そんな事を気にする余裕もなく逃げ回る人々を見ながら、会話は続く。

 

「まったく、あんたはもう少し楽しむ余裕を持ったらどうだよ?見ろよ!僕らたった2人相手に、あんな必死な表情で走り回ってさ!滑稽にも程があるよ〜」

 

肥満体の男性は心底面白いと感じているようで、目の前の光景を見ながらニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる。

しかし、筋肉質の男性はそれに何も言わず、無言で返す。

それを見た肥満体の男性は一転して冷めたような表情になる。

 

「まったく…分からない奴だな。まあ、いいや。そろそろ終わらせようか」

 

そう言うと、2人の姿が変異する。

筋肉質の男性はクロウオルフェノクとなり、肥満体の男性はレイオルフェノクとなる。

2体のオルフェノクは未だ逃げ回っている人々に向けてそれぞれクナイと蛇腹剣を持つと、クロウオルフェノクはクナイを投擲し、レイオルフェノクは蛇腹剣を振るう。

そのスピードはとても一般人が反応出来るものではなく、2つの凶刃は人々に向かって一直線に伸びていく。

 

「えいっ!」

 

しかし、それらは途中で間に入ってきた白い影、サイガによって弾かれる。

予想外の敵の出現に驚きながらも、2体は警戒しながら構える。

その間に人々は全員が逃げることが出来たようで、この場にはサイガと2体のオルフェノクしか残っていなかった。

 

「これ以上、あなたたちの好きにはさせない!」

「また邪魔者か…煩わしいことこの上ない」

「いいじゃん、いいじゃん。面白そうだし、暇潰しにはもってこいじゃない?」

 

クロウオルフェノクはまたしても邪魔が入ったことで苛つきサイガを睨みつける。

一方で、レイオルフェノクは軽く剣を振り回しながら、愉快そうに笑う。

そんな2体を相手にサイガは、いつでも動けるように油断なく構える。

 

「それに、1人でどうしようっていうのさ?2対1で勝てるとでも?」

「勝ってみせる!」

「威勢はいいな…だが!」

「それだけじゃどうにもならないよ!」

 

レイオルフェノクの言葉にも怯むことなく、逆に闘志を漲らせるサイガ。

対して2体のオルフェノクは瞬時に動き出し、地面を蹴って加速する。

そして、2体同時にサイガに迫ろうとした、次の瞬間!

 

「1人じゃないさ」

「ぐおっ⁉︎」

「ぎゃっ⁉︎」

「えっ、のび太くん⁉︎」

 

突如として2体の身体から火花が散り、思わず後ずさる。

サイガが振り向くと、そこにはびしょ濡れの状態でガンモードのライドブッカーを構えたのび太の姿があった。

それを見て、サイガは思わず驚きの声を上げる。

 

「のび太くん、なんでここに⁈」

「怪人が出たってニュースで見てさ。だったら、僕が来ないわけにはいかないでしょ」

「駄目だよ!今ののび太くんが万全じゃないことなんて、私でも分かるよ。それなのに戦わせることなんて出来ないよ!」

 

サイガは、まだ怪我が治りきっていないのび太が戦うことに反対の意を唱える。

実際に今ののび太が万全の状態ではないことなど明らかだった。

顔色も表情も優れず、足下もどこかおぼつかないようで危なっかしい。

だが、のび太の瞳には強い意志と覚悟の光が宿っていた。

 

「確かに怪我は完全に治ってないし、調子もかなり悪いよ。今にも倒れそうくらいだよ」

「だったら…!」

「でも、戦わないっていう選択肢はないかな。もう何も失いたくないし、戦わずに後悔なんてしたくないんだ。なにより…」

 

そこまで言うとのび太は敵意剥き出しでこちらを睨んでいるオルフェノク達の方に向き直るとディケイドライバーを腰に巻き、ライドブッカーからカードを取り出す。

そして、そのカードを前方に突き出しながら構える。

 

「僕が仮面ライダーだから!ライダーが逃げたら、誰が戦うのさ」

「のび太くん…」

「…変身!」

 

のび太がディケイドライバーにカードを装填すると周りに14の影が現れ、それが重なるとのび太は仮面ライダーディケイドへと姿を変えた。

ディケイドはライドブッカーをソードモードにすると、その刀身を撫でるような仕草をする。

すると、その横にサイガが並ぶ。

 

「のび太くん。死なないでね…」

「うん、分かってるよ。奈々ちゃんも気を付けてね。じゃあ、行くよ!」

 

そう言うと、ディケイドとサイガは同時に駆け出し、オルフェノク達の方へと向かう。

すると、レイオルフェノクはその行く手を阻むように2人に対して蛇腹剣を振るう。

しかし、ディケイドはライドブッカーでそれらを弾きながら、サイガは空中で回転したりなど郎夜直伝のアクロバティックな動きで回避しながら進む。

そして、蛇腹剣による刃の嵐を切り抜けると、今度はクロウオルフェノクがクナイを構えていた。

それを見たサイガはさらに加速し自身が出せるトップスピードまでだすと一気にクロウオルフェノクに接近し、今にもクナイを投げようとしていた腕を蹴り上げる。

そして、そのまま跳び上がり体を捻りながら、飛び回し蹴りを浴びせる。

クロウオルフェノクはそれを蹴り上げられた腕とは逆の腕で辛うじて防御するものの、途轍もない加速から繰り出された蹴りの威力に吹き飛ばされる。

 

「何っ!」

「お前の相手は僕だ!」

 

あっさりと吹き飛ばされたクロウオルフェノクの方に一瞬注意を向けたレイオルフェノクの目の前に、ライドブッカーを振りかざしたディケイドが飛び出してくる。

レイオルフェノクはそれに毒づきながらも、蛇腹剣を鞭のような状態から剣の状態に戻すと、ディケイドの斬撃を受け止める。

 

「あれれ〜、随分と弱ってるみたいだね?全然、力が籠ってないよ〜」

「うわっ!」

 

レイオルフェノクはライドブッカーをあっさりと受け止めると、それを弾く。

そして、ガラ空きになった胴を連続で斬りつける。

 

「ふんっ!」

「ぐあぁぁぁっ‼︎」

 

さらに、さんざん斬りつけたディケイドの身体を思いっきり蹴飛ばす。

ディケイドは先程までの攻撃のダメージもあり、かなり遠くまで吹き飛ばされる。

 

「あれあれ?軽く蹴ったつもりだったんだけど、結構飛んでっちゃったな〜」

「く、くそっ…」

 

レイオルフェノクのいちいち煽るような口調に苛つきながらも、ディケイドは身体に力が入らず立ち上がることが儘ならない。

レイオルフェノクは、そんなディケイドに向かってゆっくりと近づいていく。

それを見たサイガは、ディケイドの方へ向かおうとする。

 

「のび太くん!」

「お前の相手は俺だ!」

 

しかし、クロウオルフェノクは問答無用で攻撃を仕掛け、それを許さない。

サイガはそれを躱しながら攻撃をするものの、相手もそれらを的確に見切り、躱していく。

お互いに手数と速さで戦うことを得意とするためか、なかなか有効打を決めることが出来ない。

結果として、決着が長引くという状況になっていた。

 

「(どうしよう、早くのび太くんの方に行かないといけないのに…!)」

「この状況で仲間を気にするとは、余裕だな‼︎」

 

奈々は早くのび太の元へ行かなければという思いから、知らず知らずの内に焦りが生じる。

それを見抜いたクロウオルフェノクは両手のクナイを構えて、一気に接近する。

 

「しまっ…⁉︎きゃっ‼︎」

 

接近してくるクロウオルフェノクを見て迎撃しようと拳を放つが、焦りで単調になったそれを躱すとすれ違いざまにサイガを切り裂く。

さらにそこから反転し、隙だらけの体勢のサイガに凄まじい速度で連続で斬りつける。

そして、最後に十字を描くように切り裂くと、サイガはその衝撃で倒れる。

 

「う、ううっ…!」

「それだけの攻撃を受ければ、流石に厳しいだろう。戦闘の技術自体は中々だが、精神的に追いつけていないな」

 

倒れているサイガを見下しながらクロウオルフェノクはそう言うと、右手に持つクナイを振り上げる。

サイガはどうにかしようとするが、身体が言うことを聞かず動かない。

そして、クロウオルフェノクは無情にも、その右手を振り下ろす。

 

「終わりだ」

「っ‼︎」

 

振り下ろされるクナイの剣先を見つめながら、サイガの脳裏にある光景がよぎる。

師匠である郎夜、想いびとであるのび太、自分を娘のように思ってくれる玉子、そして…

 

(奈々……)

 

「何⁉︎」

 

クロウオルフェノクは目の前の光景に目を見開く。

そこには先程までは死に体だったサイガが、自身の振り下ろしたクナイを白刃取りで受け止めていた。

 

「くうぅぅぅっ!てえぇぇい‼︎」

「うおっ⁉︎」

 

驚いているクロウオルフェノクをよそに、サイガは更に力を入れてそのまま後方へと投げ飛ばす。

そして、すぐさま立ち上がり、クロウオルフェノクの方を向く。

 

「終われない‼︎あの人に生かしてもらったこの命、終わらせる訳にはいかない‼︎」

 

サイガはそう力の限り叫ぶと、背部のフライングアタッカーで空へと飛翔する。

そして、どんどんと加速しながら昇っていく。

それを見たクロウオルフェノクも負けじと飛び上がり、後を追う。

しかし、そのスピード差は歴然で全く追いつけない。

一方サイガはかなりの高度まで来ると、その場で反転すると今度は地面に向かって落ちるように飛ぶ。

その途中、サイガは自身のバックルのサイガフォンを開くと、Enterキーを押す。

 

《exceed charge》

 

すると、サイガフォンから全身のフォトンストリームVer.2を伝って、右手にフォトンブラッドが集中する。

サイガは青く光る右手を後ろに引きながら、視線は前を見据える。

そして、こちらに向かってくるクロウオルフェノクの姿を視認する。

こちらを見て驚くクロウオルフェノクに向かって、後ろに引いた右手を落下の速度と合わせて力一杯撃ち出した一撃“スカイインパクト”を放つ。

その威力はクロウオルフェノクに大きな風穴を開け、声を上げる暇もなくその身体をΨの文字と共に灰化させる。

サイガは空中でスピードを緩めながら地面へと着地する。

しかし、完全にスピードを殺しきれなかったのか地面が陥没する。

 

「のび太くんの所に行かなきゃ!」

 

本人はそれを気にする余裕もなく、ディケイドが戦っている方向へ向かった。

一方で、ディケイドとレイオルフェノクの戦いは完全にディケイドの劣勢だった。

本調子のディケイドならば特に苦戦もせずに勝てるのだろうが、今は治りかけとはいえレイオルフェノクの毒に侵されている状態だった。

いくらディケイドでも、かなり無理があった。

そんなディケイドを鞭状の蛇腹剣の猛攻が襲う。

 

「くっ、ううっ、駄目だ、力が…」

「ほらほらどうしたのさ?もっとちゃんとやらなきゃ死んじゃうんじゃない?」

 

余裕綽々なレイオルフェノクは軽口を叩きながら蛇腹剣を振り回す。

ディケイドはライドブッカーで何とかギリギリ防御しているが、それが長くは続かないだろうことは明らかだった。

その状況をどうにかしようと、一枚のカードを取り出す。

 

《ATACKRIDE SLASH》

「だあぁぁっ!」

 

ディケイドはライドブッカーの斬撃を強化すると、その威力で一気に蛇腹剣を斬り払おうとする。

しかし、その大ぶりな斬撃は空を切り、逆にライドブッカーを絡め取られてしまう。

 

「しまった⁉︎」

「ははっ!それそれそれぇ‼︎」

「があぁぁぁっ!」

 

そのままライドブッカーはディケイドの手を離れ、少し離れた場所に落下する。

無防備になったディケイドに向かって、蛇腹剣がうねりを上げて襲いかかる。

碌に防御も回避もする体力がないディケイドではどうすることもできず、なす術もなく喰らい続ける。

そして、ボロボロになったディケイドをその刃の鞭で縛り上げる。

 

「ぐあぁぁぁ…!」

「痛い?そりゃそうだよね〜。痛いに決まってるよね、僕だったら泣いちゃうかも〜」

 

痛みに苦しむディケイドを見ながら、相手をおちょくるような喋り方で話す。

そして、縛り上げる強さを強め更に苦しむ様を見ながら、ケラケラと笑う。

 

「ああ、面白かった〜。なかなか悪くない暇つぶしだったよ。じゃ、そろそろ死んでもらおうかな?」

「う、うあ…‼︎」

「このまま上半身と下半身を真っ二つにしてあげるよ」

 

ギリギリと音を立てながら更に強く縛られるなか、ディケイドの意識はもう既に限界に近かった。

視界は暗く霞んでいき、意識は朦朧とする。

そして、意識が完全に途切れようとした瞬間…

 

「ドカーン!」

「ぐはっ⁉︎」

「うっ、ゲホッ、ゲホッ!い、今の、まさか…」

 

突然、レイオルフェノクが何かに吹き飛ばされる。

それにより開放されたディケイドは咳き込みながら、自分が聞いた声の主を思い浮かべながら驚いて顔を上げる。

 

「大丈夫かい、のび太くん!」

「ドラえもん…なんで」

 

右手に銀色の筒“空気砲”をはめたドラえもんが大慌てでこちらに駆け寄ってくるのが見える。

それを見たディケイドは思わずそう口にする。

しかし、声が小さかったためか聞こえなかったようだった。

 

「傷だらけじゃないか!早く治さないと!」

「ま、まってよ!今はそれよりも先にあいつをなんとかしないと。じゃなきゃ、危ないよ」

「はっ、そうだった」

 

慌てているのか敵の目の前で治療を始めようとするドラえもんを止める。

その様子に慌てると相変わらずだな、と思いながら立ち上がる。

それを見てドラえもんは心配そうな表情になる。

 

「のび太くん、あまり無理は…!」

「あいつを倒さないことには、そうも言ってられないよ。だから、ドラえもんは危ないから離れて…」

「いや、ぼくも一緒に戦うよ」

「ド、ドラえもん⁉︎」

 

ドラえもんの申し出に驚き、慌てる。

いくら秘密道具を持っていてもドラえもんは戦うためのロボットではない以上、危険は大きいだろう。

そんなことをさせる訳にはいかないために止めようとするが、今のドラえもんには何を言っても聞かない。

それが一緒に暮らしてきたのび太にはわかった。

 

「ぼくはのび太くんみたいな物凄い力があるわけでもないし、戦いに慣れているわけでもない。でも、ぼくには友達を見捨てるなんてことはできない。それに…」

「ドラえもん?」

 

ドラえもんはディケイドに向かって微笑みかけながら、さも当然のように言い放つ。

 

「ぼくは君を助けるために未来から来たんだぞ。僕は何があっても君の味方さ」

「ドラえもん…!」

「さあ、さっさとあいつをやっつけちゃおう!」

「ああ!」

 

ディケイドは拳を構え、ドラえもんは右手の空気砲を向ける。

レイオルフェノクは急に現れたドラえもんに困惑していたが、殺してしまえば一緒かと考えて蛇腹剣を構える。

 

「さっさとやっつける、ね。随分と嘗めてくれるじゃないか、青ダヌキくん」

「ぼくはタヌキじゃない!猫型ロボットだ!」

「そうなの?まあ、どっちでも変わらないよ。死んだらね!」

 

そう言いながら、不規則な軌道で蛇腹剣が襲いかかる。

それを見たドラえもんはポケットに両手を入れると、空気砲の代わりに表が赤色、裏が青色のマントを取り出す。

 

「ひらりマント〜!」

「なっ⁉︎」

 

ドラえもんがそのマント“ひらりマント”を振ると、こちらに迫っていた蛇腹剣が無理やり跳ね返されたような軌道を描いてレイオルフェノクに向かう。

レイオルフェノクは目の前の光景に目を疑うが、そんなことをしてる間に返された蛇腹剣が自身を傷つける。

ドラえもんをそれを見て、力強く声を張り上げる。

 

「どうだ!参ったか!」

「(いや、まだだ。まだ倒れるほどのダメージじゃないはず)」

 

しかしディケイドの考えた通り、レイオルフェノクは多少ふらつくもののあっさりと立ち上がる。

そして、その様子からかなり怒っているということが嫌でもわかる。

 

「よくもやってくれたね…死に損ないとタヌキの分際でぇ‼︎」

「だから、ぼくはタヌキじゃないやい!」

 

怒り心頭の様子で叫びながら剣を振るうレイオルフェノクに負けじと声を張りながらひらりマントで返すドラえもん。

しかし、今度は自らの剣を返されても動揺を見せることはなく、さらに剣を振るう。

 

「わっ、おっと、あわわっ⁉︎」

「返されることさえ分かっていれば、返された後でまた軌道を修正すればいい。それに、そんな防御がいつまでもつかな」

 

先程とは違い剣を跳ね返されても、その後また軌道を修正するので、レイオルフェノクには剣は届かない。

また、ひらりマントが一方向にしか防御できないことを利用して上下左右から縦横無尽に振るうので、それら全てに対応せざるを得ないドラえもんはかなりのペースで体力を消耗させられる。

ディケイドは自身から少し離れた所にあるライドブッカーを拾いに行こうとする。

しかし、レイオルフェノクはそれを許さない。

 

「そんなことはさせないよ!」

「うわっ!」

「のび太くん!」

 

自分に向かってきた剣を半ば後ろに倒れるように回避する。

更にそこから、相手が畳み掛けてくるがそれはドラえもんがカバーに入り、全て捌ききる。

 

「のび太くん、大丈夫⁉︎」

「僕は大丈夫。だけど受けてばかりじゃ、ジリ貧になる。空気砲の威力じゃ、あいつを倒しきるには今ひとつ足りない。武器も拾えないし、ここから動かずにあいつに十分な威力で攻撃出来たら…」

「ここから動かずに…だったら、あれで!」

 

ドラえもんはディケイドの言葉を聞いて何か思いついたようで、ポケットにまた手を突っ込む。

そして数秒後、探していた目的の物を取り出すとディケイドに差し出す。

 

「はい。これ使ってあいつを思いっきり殴るんだ!」

「それってどういう…」

「いいから早く!」

「何をゴチャゴチャと‼︎」

 

差し出されたものに困惑するディケイドだったが、ドラえもんが急かしたことと今の状況を思い返し、それを両手に嵌めた。

そして、そのまま拳を繰り出すような動作をした。

すると、驚愕の光景が飛び込んできた。

 

「がっ!な、なんだ!」

「ほ、本当に当たった…!」

 

ディケイドが拳を突き出した次の瞬間、レイオルフェノクはまるで殴られたかのように後退した。

しかし、レイオルフェノクには何がどうなったいるのか理解できず、辺りをキョロキョロと慌ただしく見回す。

一方で驚いていたディケイドにドラえもんが得意げに説明する。

 

「それはマジックハンドと言って、それをつけると離れた所にある物を触ったり、動かしたり、掴んだりできるんだ。だから、それであの剣から離れて攻撃できるってわけ」

「なるほどね。こりゃ、すごいや」

 

ディケイドは両手に嵌めたどこか機械的な印象の手袋“マジックハンド”を見ながら呟く。

そして、未だに混乱の渦の中にいるレイオルフェノクに更に拳を振るう。

 

「はあぁぁぁ!」

「うがっ、ごふっ、ぐえっ⁈」

 

レイオルフェノクには謎の攻撃に晒されているとしか認識できず、どうにかしようと思うがその激しさに何もできない。

ディケイドは、更にスピードを上げながら連撃を叩き込み続ける。

もうほぼ限界と言ってもいいディケイドには、ここで決めに行く以外にもう手はなかった。

 

「だぁっ!」

「がはぁぁっ!」

 

そして、ディケイドが顔面めがけて振り抜いた一撃で、レイオルフェノクは吹き飛ばされる。

その様子はかなり弱々しく、もう剣を持つのもやっとのようだった。

 

「のび太くん、これを!」

「おっと。ありがとう、ドラえもん!」

 

ディケイドが攻撃してる間に、ピンク色の肩掛けチェーンのついた婦人用バッグの形のどんなに離れたものでも回収できる秘密道具“とりよせバッグ”でライドブッカーを回収したドラえもんはディケイドに投げ渡す。

受け取ったディケイドはお礼を言いながらライドブッカーをガンモードにして、更にカードをドライバーに装填する。

 

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

「く、くそ!」

 

ドライバーの音声がなると共にディケイドの前にカード型エネルギーが15枚並ぶ。

それらを見て危険を察したレイオルフェノクは逃げ出そうと、その場から背を向ける。

しかし、その前にディケイドの後ろにいたドラえもんが動いた。

 

「ロ!」

 

ドラえもんが大声で叫ぶ。

すると、ドラえもんの目の前に急にカタカナのロの文字をした物体が現れ、音速で飛んでいく。

そして、そのロの文字は逃げ出そうとしていたレイオルフェノクの身体にすっぽりと嵌り、動きを封じ込める。

 

「今だ!」

「う、うわあぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

その隙を見逃さなかったディケイドは、ガンモードのライドブッカーから撃ちだすエネルギー光弾“ディメンションブラスト”を放つ。

その光弾はカード型エネルギーを通るごとに巨大になっていき、全てのエネルギーを通過した光弾はレイオルフェノクの体を貫く。

それにより、レイオルフェノクは悲鳴にも似た叫び声を上げながら爆発を起こした。

それを見たディケイドは変身を解いて、のび太の姿に戻った。

 

「やったね、のび太くん!」

「うん、そうだね。あ…」

「のび太くん⁉︎」

 

戦いが終わったことを笑顔で喜ぶドラえもんにのび太も笑顔で返そうとするが、身体に力が入らなくなり倒れてしまう。

ドラえもんは慌てながらそれをなんとか受け止めて、心配そうにする。

 

「ちょっと、無理しすぎたかな…?」

「あんまり心配させないでよ…」

「うん、ごめんね。ドラえもん」

「のび太くん!」

 

弱々しい様子でのび太が謝ると、後ろからサイガが走ってきた。

そして、のび太の傍にいるドラえもんに気付くと驚く。

 

「なんでドラちゃんがここに⁉︎」

「え、ええっと…どちらさまですか?」

 

途轍もないスピードで走ってきたサイガを警戒していたドラえもんだったが、相手に戦おうとする意思がなさそうだと判断する。

どころか、自分のことを知ってるような口ぶりに、こんな知り合いいたっけかなと考え始める。

最初はわからなかったものの、その声である人物が1人思い浮かんだ。

ドラえもんは恐る恐る尋ねてみる。

 

「もしかして、奈々ちゃん?」

「う、うん…」

 

正体がばれたサイガは変身を解除する。

ドラえもんは自分の予想通りの人物だったことに、驚きを隠せないでいた。

 

「君も、のび太くんと同じように…?」

「まあ、そんなところかな。それより、のび太くんは!」

 

ドラえもんの質問に曖昧に答えると、奈々は横に来てのび太の顔を覗き込む。

その表情はドラえもんと同様に心の底から心配しているようだった。

のび太はそれを見ながら心配をかけて申し訳ないという思いと共にここまで自分のことを心配してくれて嬉しく思った。

だから、その2人の心配を少しでも和らげようと口を開く。

 

「大丈夫だよ、2人とも。確かに無理はしたけど、そこまで酷くはないよ。ちゃんと休めば治ると思うから」

「本当…?」

「うん、本当。だから、心配しないでよ。ね?」

 

2人にはまだ不安が残ってるようで、表情はなかなか晴れない。

それに対してのび太は本当に大丈夫だということをもう一度言って、微笑みかける。

 

「っ!あ、あう…。そ、それなら、良かった…」

「顔赤いけど、奈々ちゃんの方こそ大丈夫?」

「えっ⁉︎だ、大丈夫、大丈夫。何でもないから!本当だよ!」

 

のび太の微笑みを見て顔を赤くする奈々を見てのび太は逆に心配するが、本人が物凄い勢いで否定するので納得する。

そして、ドラえもんの方を向くと、ドラえもんの表情も先ほどよりかは晴れていた。

 

「ドラえもん」

「なんだい?」

「ありがとう、助けてくれて。正直、ドラえもんがいなきゃ危なかったよ。だから、ありがとう」

「のび太くん…」

 

のび太はドラえもんに感謝の言葉を伝える。

今、自分が抱いている偽りのない本心を。

ドラえもんに今まで大きな隠し事をして騙してきたというのに、ドラえもんはそんな自分の事を自分が危険に晒されることを承知で助けに来てくれた。

どれほど感謝しても感謝しきれないほどだった。

ドラえもんはのび太の言葉を聞くと、笑みを浮かべる。

 

「さっきも言ったけど、ぼくは君を助けるために22世紀の未来からやってきた猫型ロボットだぞ?だから、そんなの当たり前だよ」

「ドラえもん…!うん!これからもよろしくね!」

「こちらこそ!」

 

その言葉を聞くとのび太の心に温かいものが生まれた。

そして、それが分かるとのび太の意識は途切れた。

眠るように気を失ったのび太を見て、奈々が慌てて声をかける。

 

「のび太くん、のび太くん!」

「大丈夫。気を失っただけみたいだ」

 

慌てふためく奈々を宥めると、ドラえもんは気を失ったのび太を背中に背負うと立ち上がる。

それを見ると、傍にいた奈々も立ち上がる。

 

「じゃあ、ぼくはのび太くんを連れて家に帰るよ。奈々ちゃんは?」

「私もついて行きたいけど、帰らなくちゃいけないから。のび太くんのこと、お願いね?」

「任せてよ。じゃあ、気を付けてね!」

「うん、じゃあね!」

 

そう言うと、お互いに別々の道へと歩き出した。

いつの間にか雨は止んでいたようで雲の晴れた空に浮かぶ夕陽に照らされてできた影が、その姿を見守っていた。

ドラえもんは周囲がオレンジに染まるなか、自分の背にいるのび太に届くことはないと分かっていながら優しく呟く。

 

「何があってもぼくと君は親友だよ、のび太くん」

 




何だか今回はいつもよりも文字数が多くなってしまいましたかね?自分が書くと、いつもいつも長くなってしまうような…。そして、のび太とドラえもんメインの筈が、いつの間にか奈々の話みたいになってしまった気がしてならないです。どうしてこうなった…。戦闘もディケイドの方は最後がかなり味気ないものになってしまいました。秘密道具って、仮面ライダーが絡むとどれもチートみたいになってしまって…。あと、今回の2体のオルフェノクの解説を入れておきますね。

クロウオルフェノク
カラスの特徴を持ったオルフェノク。背中に翼を出して、飛行することも可能。武器は少し変わった形状のクナイ。戦闘ではこのクナイを投擲したり、逆手に持っての近接戦を得意とする。

レイオルフェノク
エイの特徴を持ったオルフェノク。鋭い針を持った長い尾を持っており、それを戦闘に使うことも可能。武器は蛇腹剣。鞭状にしたり、普通の剣にしたりすることで直ぐに射程を変えられる。戦闘では鞭状の蛇腹剣で距離をとって一方的に攻撃するのが得意。

さて、次はやっと劇場版に入ることができます!以前、大分前にやったアンケートで決まった新宇宙開拓史です。自分もこの映画はかなり好きな部類に入る映画なので、すごく楽しみな反面うまく出来るか非常に不安ですが、皆様の期待に応えられるよう頑張らせていただきます。では、次回予告といきましょう。

いつも通りの日常を過ごすのび太だったが、ある日不思議な夢を見る。謎の宇宙船の悲惨な事故の夢。それは夢と呼ぶにはどこかリアル過ぎて…。そんなある日の夜中、のび太の部屋の畳の裏にある変化が…!
次回、映画ドラえもん 真・のび太の宇宙開拓史
全てを破壊し、全てを守り抜け!


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映画ドラえもん 真・のび太の恐竜2006
エピソードⅠ


投…稿!

のび太「とうとう劇場版の作品だね」
ドラえもん「うん。やっぱり最初を飾るのは、のび太の恐竜だね!」
奈々「ですね!それにしても、何か投稿やけに早い気が…」
郎夜「そりゃ、作者が劇場版と言う事で張り切ったんだろ」
Δデルタ「そう言う事だ。では、のび太の恐竜2006 エピソードⅠを…」
皆「どうぞ‼︎」





スネ夫の家

 

スネ夫の家にはのび太、武、静香の三人がスネ夫に呼ばれてきていた。その部屋には恐竜の模型などの恐竜グッズが至る所に並んでいた。

 

スネ夫「僕達、人類がこの地球上に出現する遥か以前の話。ざっと一億年も昔の時代。まあ兎に角、すっご〜く大昔の白亜紀と呼ばれる時代。この地球は恐竜達の天下だったって訳。それでね…」

 

スネ夫が話している間、のび太は出された菓子を食べ、静香は誤って取れてしまった恐竜の模型の首を直そうと、そして武はスネ夫の長い話に大きな欠伸をしていた。つまり、この中にスネ夫の話をまともに聞いている者は一人もいなかった。と、此処で武がスネ夫の長い話に痺れを切らした。

 

武「おい、スネ夫!前置き長えぞ!なぁ、静香ちゃん?」

静香「えっ、ええ」

武「早く凄え物見せろよ!」

スネ夫「待ってよ、この前置きが大事何だから」

 

武は静香に同意を求め、静香はそれに冷や汗を流しなから曖昧に返答する。だが、スネ夫は勿体ぶる様に話を続ける。

 

スネ夫「まっ、兎に角大恐竜時代の王者がこのティラノサウルス」

 

スネ夫はティラノサウルスの模型の頭を皆の方に向ける。そして、高そうなケースに入れられたある物を取り出した。

 

武・静香「うわぁぁー」

スネ夫「ティラノサウルスの爪の化石。パパのアメリカ土産さ」

 

それを見た武と静香は歓声を上げて興味深そうに眺める。スネ夫はその様子に得意気な表情で話す。そして、武が手に取って近くで眺める。

 

武「これが大昔には生きて動いてたって訳か。へぇ〜、凄えなぁ…。はい、静香ちゃん」

静香「じっと見てるとその時代の光景が目に浮かぶ様だわ。鬱蒼と繁ったシダのジャングルに小山の様な恐竜が…」

 

化石を受け取った静香は目を閉じて当時の様子に思いを馳せる。そして、ある程度見た所でのび太に渡そうとしたがスネ夫に横から持って行かれてしまった。

 

スネ夫「仕舞っとこぉっと。貴重な物だから壊されると困るし〜」

のび太「…(はぁ、全く…)」

 

スネ夫はティラノサウルスの爪の化石を仕舞い、のび太に見せる事は無かった。どうやら、のび太に見せるつもりはこれっぽっちも無かった様だ。のび太もそれを薄々と察していたのか心の中でスネ夫に溜息を吐いた。その後は、話と自慢だけで終わり解散となる。のび太は玄関先で話すスネ夫達を無視して一人先に帰路についた。

 

のび太「相変わらずの様子だな。他にやる事無いのかなぁ〜。だとしたら、あいつ相当暇人だな」

 

と、のび太が歩いていると…

 

おじさん「ぎゃあああ〜〜‼︎」

のび太「!こっちか‼︎」

 

のび太は悲鳴の聞こえた方へと向かって走って行った。そして、暫くすると反対側から此方に向かって走って来る悲鳴の発生源と思われる人がいた。

 

のび太「あの、大丈夫ですか⁉︎」

おじさん「あ、あ、わ、儂の家に、か、怪物が!」

 

その言葉を聞くとのび太は走って先程のおじさんの家に向かった。そして、走りながらディケイドライバーを装着する。

 

のび太「変身!」

《KAMEMRIDE DECADE》

 

のび太は仮面ライダーディケイドに変身し、おじさんの家と思わしき家に到着する。ディケイドは塀を一気に跳び越えて中に入る。そこには、緑の上半身に虎の様な顔、大きな爪が特徴の“ビャッコインベス”がいた。ビャッコインベスはディケイドの姿を確認すると一直線に向かって来た。

 

ビャッコ「ギャオ!」

ディケイド「ふっ、たぁっ、やあっ!」

 

ビャッコインベスが振り下ろした爪を捌き、膝蹴りを打ち込む。それにより後退したビャッコインベスに向かい更に、右拳、左拳、中段蹴り、前蹴りと連続で放つ。

 

ビャッコ「グウルル、ガァッ!」

ディケイド「うおっと、危ない!」

 

ビャッコインベスは恨めしそうにディケイドを睨むと、紋章の部分からビームを撃ってきた。ディケイドはそれを横に跳んで回避する。ビームが着弾した地面には大きな穴が空いていた。ビャッコインベスは更にビームを連続で撃ってくる。ディケイドはそれらを悉く避ける。

 

ディケイド「って、不味い!庭が穴だらけに…ええい!これ以上は撃つなっ‼︎」

《ATACKRIDE BLAST》

 

ディケイドは分身、強化されたライドブッカー(ガン)で放つ“ディケイドブラスト”を喰らわせる。光弾を全て喰らったビャッコインベスは火花を散らし後ろへ後退する。ビャッコインベスはダメージの所為か、もうかなりフラフラの状態だった。

 

ディケイド「コレでトドメ!」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

ディケイドはビャッコインベスにディメンションキックを放つ。それにより、ビャッコインベスは爆発を起こし、倒された。

 

ディケイド「ふぅ、終わった終わった。って、この庭ヤバイな…」

 

ディケイドが辺りを見回すと穴だらけになった地面が映る。ディケイドが面倒になる前に立ち去ろうとした時、穴の中に奇妙な物を見つけた。

 

ディケイド「これは…」

 

ディケイドが穴の中から取り出すと、それは丸い形をした大きな石の様だった。ディケイドはそれを眺める。

 

ディケイド「これ…石?にしては、何とも変な形だな。それにやけに大きい。表面も石のそれとは違うな…。不思議だな〜」

 

ディケイドはそれをその石を眺めたり触ったりしながら正体を確かめ様とするが一向に分からない。

 

ディケイド「それにしても、心無しか卵みたいな形だな。…卵?もしかして、恐竜の…。いやいや、無いか。でも…」

 

ディケイドは辿り着いた結論を自分で否定しようとするが、スネ夫に恐竜の話をされた所為か何処か信じようとしている自分がいる。ディケイドは暫く考えた後、取り敢えず家に持って帰る、と言う事にして変身を解きそれを抱えて家に帰った。

 

のび太「ただいま〜、ドラえも〜ん」

 

のび太は家に帰ると自分の部屋に入る。しかし、ドラえもんは悠々と昼寝をしていた。

 

のび太「おい、ドラえ、あっ…」

ドラえもん「zzz…ヘゴっ‼︎」

 

のび太がドラえもんを起こそうとした時に誤って抱えていた石を落としてしまい、それがドラえもんの顔面に直撃した。ドラえもんは思わぬ衝撃で目を覚まし、のび太は石をを拾い上げて傷などが無いか調べ大事に抱え直す。

 

ドラえもん「痛ててて…、もう何だよのび太くん!折角人が気持ち良く昼寝してたのに…って、何?それ?」

のび太「これ?それがイマイチ分かんないんだよね〜」

 

のび太はドラえもんに拾って来た石を見せる。ドラえもんはそれをじっくり見つめるとやがて興味が尽きた様に視線を外す。

 

ドラえもん「何だよ、ただの石じゃ無いか」

のび太「でも、ただの石とは思えなんだよ」

ドラえもん「何で?」

のび太「いや、何と無く」

ドラえもん「はあ〜…」

 

ドラえもんはのび太の答えに大きな溜息を吐く。そして、ドラえもんは部屋を出ようとするが、それをのび太が引き止める。

 

のび太「あ、待って」

ドラえもん「ん?」

のび太「タイム風呂敷貸して」

ドラえもん「何で?」

のび太「良いから」

ドラえもん「ん〜と、あった。タイム風呂敷〜‼︎」

 

ドラえもんは仕方無くポケットから時計の模様がついた赤と紫の風呂敷“タイム風呂敷”を出してのび太に渡す。それをのび太は受け取ると石をタイム風呂敷で包む。ドラえもんはそれを呆れた目で見ながら部屋を出て行った。

 

のび太「これが本当に卵の化石なら、時間を戻せば分かる筈。にしても、遅いな〜」

 

のび太はタイム風呂敷に包まれた石を見ながらそう呟く。のび太は大人しく待っていたが、やがて飽きて寝転ぶ。そこで部屋の隅に置かれた機械が目にはいった。

 

のび太「ん?何だこれ?」

 

それは二本のアンテナに横長の穴と無線機の様な物がついた四角の箱だった。その横には工具箱の様な物もあった。のび太がそれを眺めているとドラえもんが部屋に戻ってきた。

 

ドラえもん「のび太くん、どうしたの?」

のび太「ドラえもん、これ何?」

ドラえもん「ああ、それはハツメイカーだよ」

のび太「ハツメイカー?」

ドラえもん「そう、それと横の材料箱を使えば自分の好きな秘密道具を作る事が出来る」

のび太「秘密道具を…作る…」

 

ドラえもんの説明を聞きながらのび太は興味津々といった様子でハツメイカーを眺める。そして、ドラえもんの方に向き直る。

 

のび太「ねぇ、ドラえもん!使って見ても良い?」

ドラえもん「言うと思った。良いよ、別に。大丈夫、のび太みたいのでも作れる様になってるから」

のび太「どう言う意味だよ…。って、ドラえもん。どっか行くの?」

 

タケコプターをつけながら窓を出ようとするドラえもんを見てのび太が尋ねる。

 

ドラえもん「うん、ちょっとね。どら焼きが切れちゃったから買いに行くの。じゃ、行って来ま〜す」

のび太「行ってらっしゃい」

 

ドラえもんはのび太の方を見ずに、そう言うとタケコプターで飛んで行く。のび太はそれを見送りハツメイカーを見る。

 

のび太「さて、じゃあ暇潰しがてら何か作るか。で、何作ろうか…」

 

のび太は胡座で腕を組みながら考える。

 

のび太「そういやぁ、秘密道具って護身用のってあんまり無かったよね。う〜ん、僕も変身前の武器はあるけど皆の前だと使えないし…。よし!これだ!」

 

のび太は大体の案を決めると早速、製作にとりかかった。

 

数十分後

 

のび太「ふぅ、出来た出来た。ちょっと作り過ぎたかな?」

 

そう言うのび太の周りには様々な武器の様な物が散らばっていた。そこへ、ドラえもんが帰ってきた。

 

ドラえもん「ただいま〜って、わあっ!こんなに作ったの⁈」

のび太「うん、楽しかったからついね」

 

驚くドラえもんにのび太は頭の後ろに手を当てながら答える。ドラえもんはそれらを見回し一つの道具を取った。

 

ドラえもん「このショックガンみたいなのは?」

のび太「それはショックブレードガンさ。その上に付いてる撃鉄を下げると銃身の下にブレードが展開するんだ。因みに、ブレードの刀身は電光丸の刃が使ってあって自動迎撃機能も健在だよ。後、自動迎撃機能については持ち手の部分のボタンでON、OFF可能で弾もビームからエネルギー弾になってるよ。ホルスターもある」

ドラえもん「じゃあ、この短くて鍔の無い電光丸は?」

のび太「それは電光ナイフ。まあ、電光丸のナイフバージョンだね。機能は変わらないけど、取り回しや持ち運びがしやすいから便利な筈だよ。強度もバッチリ。後は自動で手元に戻ってくるから投げても安心。ナイフホルスターも勿論ある」

ドラえもん「…じゃあ、この馬鹿にデカイのは」

のび太「スナイパーショックライフル。スナイパーライフルにショックガンの機能を搭載した狙撃銃さ。高倍率スコープもあるから命中精度には自信がある。真ん中で折りたためるし、銃身の赤いボタンで小さくなるから持ち運びには困らない」

ドラえもん「…じゃあ、これ」

のび太「グレネードショックランチャー。高威力に主眼を置いた物でね、発射するのはショック弾だけどショックガンとは比べ物にならないんだよ。これも小型化出来るよ」

ドラえもん「…これ…」

のび太「ショックナックル。手甲型でね、コレで殴った相手を気絶させられるんだ。グローブ型と腕全体を覆う型の二種類ある」

ドラえもん「…ん…」

のび太「ショック手榴弾。まあ、手榴弾にショック機能を付けた物だね」

 

次々とドラえもんの質問に答えていくのび太。その目は珍しく輝きを放っており、どれだけ熱心に作ったかが伺える。ドラえもんはその説明を聞く度にあまりの偏った道具類に気力が無くなっていく。

 

ドラえもん「…君は戦争でも始めるつもりかい…」

のび太「え?いや、ただの興味本位だけど…」

ドラえもん「はあぁぁ〜〜」

 

のび太の答えにドラえもんは深い溜息を吐きながら項垂れる。のび太には、その意味が理解出来なかった。と、その時…

 

チーン

ドラえもん「お?」

のび太「出来た!」

 

のび太がタイム風呂敷を剥がしていくと、そこには茶色の斑模様が付いた白い球体だった。のび太はそれを見て確信した。

 

のび太「卵だ!恐竜の卵だ!」

ドラえもん「う〜ん、そうだけど…恐竜のだとは限らないだろ?」

のび太「それは…」

 

ドラえもんの言葉にのび太は意気消沈する。

 

のび太「で、でも、恐竜の可能性だってあるだろ?」

ドラえもん「どうかな〜?」

 

のび太の言葉を次々と否定するドラえもん。だが、のび太は希望を捨てずに、この卵を孵す事を決めた。だが、どうすれば良いのか分からなかったので取り敢えず布団の中に包む事にした。

 

のび太「楽しみだな〜」

ドラえもん「はあ〜、のび太くんったら。(でも、またのび太くんがここまでやる気になる何て珍しいからね。ここは暖かい目で見守ろう。ん?暖かい目ってどんなだろう?)」

のび太「ドラえもん…君は何してるの…」

 

ドラえもんは暖かい目を見つけようと目を細めたり見開いたり輝かせたりしていた。それを見たのび太は若干引きつつも尋ねたが、ドラえもんは答えずに続ける。それに気味が悪くなったのび太は隠れる様に布団の中に入り卵を暖め始めた。

 

 

玉子「まあ、何ですか!昼間っから布団何かだして、具合でも悪いの⁉︎」

のび太「別に…」

玉子「じゃあ、起きなさい!」

 

のび太の部屋に入って来た玉子が布団に潜っているのび太に注意をするがのび太は聞く耳を持たず無視をする。それに玉子は言葉にならない言葉を発して怒るも、無視を決め込んだのび太に諦め疲れた様子で部屋を出て行った。

 

 

 

のび太は卵を抱きながら布団に入り眠りについていた。その時、目が少し覚めてしまう。

 

のび太「ふぁ〜、まだ夜中か…!動いた!」

 

のび太が再び眠りにつこうとした時、卵が少し動いた様な気がした。それに気付いたのび太は卵に耳を当てる。そして、嬉しそうな表情で布団に入り眠りについた。

 

 

翌朝

 

早朝にのび太が何時もの様に起きる。だが、今日は訓練出来ない事を思い出す。

 

のび太「(ごめんね、葛葉。また、今度行くから)ちょっとトイレ…」

 

のび太は心の中で今日も待っているであろう葛葉に謝罪して、トイレへ行く。そして、戻って来るとやる事が無い事に気が付いた。

 

のび太「じゃあ、ハツメイカーで新しい秘密道具(武装)でも作るかな」

 

と、のび太がハツメイカーを出そうとドラえもんを起こそうとした時、卵が大きく揺れ出した。

 

のび太「!」

 

のび太は驚き、それを眺める。卵には罅が入り、どんどん広がっていく。そして、殻が割れる。そこから、小さな首の長い恐竜が現れる。

 

のび太「産まれた…」

恐竜「ピィー!ピィー!」

 

恐竜はのび太を見ると鳴き声をあげながら近寄って来る。のび太は恐竜を抱き上げて、見つめる。恐竜ものび太の瞳をじぃっと見つめる。

 

のび太「もしかして、僕の事、親だと思ってるのか?」

恐竜「ピィー!」

のび太「ふふっ、可愛い奴だな。名前は…」

恐竜「ピィー」

のび太「ピーか…よし!お前は今日からピー助だ。どうだ?」

ピー助「ピィー!」

のび太「そうかそうか。ドラえもんにも教えてやろう」

 

のび太はドラえもんを起こす為、押し入れを開ける。ドラえもんは涎を垂らしながらだらしない表情で眠っていた。

 

のび太「ドラえもん!ドラえもん!起きろよ!」

ドラえもん「ん〜…何だよまだこんな時間じゃ無いか…」

のび太「ねえ、見てよ!」

 

のび太はまだ眠たそうにしているドラえもんにピー助を抱えて目の前で見せる。最初、ドラえもんは訳が分からないと言った顔だったがピー助の事を理解すると、目を極限まで見開かせて飛び起きた。

 

ドラえもん「どわぁぁぁっ‼︎の、のび太くん⁉︎これどうしたの⁈」

のび太「あの卵から産まれたんだよ」

ドラえもん「そ、そんな⁉︎いや、それよりこいつは…」

ピー助「ピィー」

 

ドラえもんはピー助をじっくり観察する。ピー助はそんなドラえもんに一鳴きする。やがて、ドラえもんは正体が分かったのか驚いた表情をする。

 

ドラえもん「ま、間違いない。これは白亜紀の日本に生息していたフタバスズキリュウだ!

のび太「って事は…」

ドラえもん「うん、ティラノサウルスとかと同じ時代だよ」

 

ドラえもんの説明を聞いてのび太はピー助の方を向き直る。此方をじっと見つめてくるその姿は何とも愛らしかった。のび太は横に倒れながらピー助を見る。

 

のび太「僕がね、君を見つけたんだよ」

ピー助「ピィー?」

 

ピー助ものび太を真似てか首を傾げる。そして、のび太が布団にゆっくり倒れ込むと、ピー助もゆっくり倒れる。

 

のび太「ふふっ、あはははっ」

 

のび太はその姿を見て、何だかおかしくなり笑う。それにピー助は不思議そうな表情でのび太を見ていた。後ろではドラえもんが何故か横に転がっていた。

 

 

続く




後書きの間

のび太「後書きの間って奴採用なんだ」
ドラえもん「そうみたい…って、のび太くん!」
のび太「何?」
ドラえもん「何じゃ無い!何であんな秘密道具(兵器)を大量生産してるのさ!」
郎夜「まあまあ、良いじゃねえか。どうせ今後使うんだし」
のび太「そうそう。って、奈々ちゃんは?」
郎夜「ああ、あそこ」


ピー助「ピィー!ピィー!」
奈々「可愛い〜♪ピー助、よしよし〜」
ピー助「ピィー!」←嬉しそう


のび太「ピー助が気に入っちゃったんだね」
郎夜「らしい。まあ、良いか」
のび太「そうですね。ピー助も嬉しそうだし」
ドラえもん「って、何でピー助連れて来てんの⁉︎」
のび太「何言ってんだい!ピー助を一人置いて行けるわけ無いだろ‼︎」
ドラえもん「で、でも作者が…」
のび太「あいつ?今日は休みだよ」
ドラえもん「な、何で?」
郎夜「さあ、そこまで来てたけど、何か狙撃音みたいなのがして急に寝ちまったよ」
ドラえもん「のび太くん、早速使ったのか⁈」
のび太「何の事?それより、今回はここら辺にして締めといこうよ」
郎夜「だな。お〜い、奈々」
奈々「はい、何ですか?師匠」←ピー助抱えてる
郎夜「締め宜しく!」
奈々「はい!次回はのび太くんがピー助を育てる事を決意します。では、エピソードⅡで会いましょう。それじゃあ、次回もヨロシクね♪」
ピー助「ピィー!」


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エピソードⅡ

投稿だァ‼︎

のび太「ねぇ、これ何なの?」
ドラえもん「作者が何と無くでやってるらしいよ」
郎夜「何て無意味な…」
奈々「でも、それなくなったら作者の前書きの唯一の個性が無くなりますよ?」
ドラえもん「これ個性なの?」
のび太「さあ?」
Δデルタ「個性だよ!」
郎夜「何だよ急に出て来て」
ピー助「ピィー」
Δデルタ「何故ピー助が…?」
のび太「僕が連れて来たんだけど駄目なの?」←ショックナックル(グローブ)装備
Δデルタ「駄目に決まって…」

ボゴッ‼︎←殴打音
バタッ←何かが力尽きた音

のび太「じゃあ、皆さんのび太の恐竜2006 エピソードⅡを…」
Δデルタ以外「どうぞ‼︎」


その後、ピー助を育てると言う方針で決まった。ドラえもんは反対していたがのび太としてはピー助と離れたくなかっのである。ピー助ものび太にとても懐いていたので、ドラえもんも強くは言えなかった。のび太とドラえもんは風呂場に水を張ってピー助を泳がせてやる事にした。

 

のび太「どうだ、ピー助。気持ち良いか?」

ピー助「ピィー!」

のび太・ドラえもん「あわわっ、しい〜〜っ!」

 

ピー助が出した鳴き声が大きく、二人は慌ててピー助に静かにする様に言う。ピー助はそれを気にせずに風呂場の中を悠々と泳ぎ回っていた。その様子は、とても楽しそうで見ているのび太とドラえもんの頬が自然と緩む。

 

のび太「餌はどうしようか?」

ドラえもん「多分、首長竜だから魚とかなら食べるんじゃ無いかな?」

のび太「魚か…。確か、今日の晩御飯は刺身だったな。よし、ピー助。ご飯は夜まで待ってくれないか?」

ピー助「ピィ!」

のび太「ありがとう」

 

のび太はピー助に微笑むとピー助を撫でる。ピー助は気持ち良さそうに目を細めて撫でられていた。

 

 

 

のび太とドラえもんは玉子とのび助と台所で晩御飯を食べていた。のび太はご飯と味噌汁だけ食べる。

 

玉子「あら、のびちゃん。お刺身食べないの?」

のび太「部屋でゆっくり食べるよ」

 

のび太は刺身を持って二階へと上がって行く。それに玉子とのび助は不思議そうな表情になる。自分の部屋に戻って来たのび太は寝転んでピー助と向かい合う。

 

のび太「ほら、ピー助。お腹空いたろ?ごめんね、遅くなって。お食べ」

 

のび太は刺身を箸で刺身を差し出す。ピー助はそれを食べようとする。のび太はそれを見ると何だか嬉しくなった。ピー助は食べづらいのか中々、刺身を食べる事が出来ない。

 

のび太「食べづらいね。はい」

 

のび太は刺身を掌に乗せて差し出す。ピー助は勢い良く刺身にかぶりつく。そして、綺麗に残さず食べてしまった。のび太は更に嬉しくなった。

 

のび太「ほら、まだあるよ」

 

のび太は次の刺身をピー助に差し出す。ピー助はそれもあっという間に食べてしまった。その後も、のび太はピー助に刺身をあげていた。そして、ピー助は刺身を全て食べ切った。ピー助の満足な顔にのび太は笑顔になる。

 

のび太「ピー助、これからも一杯食べて、ふわぁぁぁ…大きくなるんだよ…」

ピー助「ピィー!」

 

のび太は襲って来た眠気に負けて眠ってしまった。ピー助はそんなのび太の腕の中に入り込み寄り添って眠る。そこへ晩御飯を食べたドラえもんが入って来た。のび太とピー助に気付くと暖かな視線を向けた。のび太とピー助の様子ははまるで親子の様に見えた。

 

 

翌日

 

のび太「ただいま〜、ピー助!」

ピー助「ピィ!」

 

学校から帰ったのび太は一直線にピー助の元へ向かう。ピー助はのび太を見ると嬉しそうにはしゃぐ。のび太はそんなピー助を抱きかかえて笑いかける。

 

のび太「さてと、今日は何して遊ぼうか?」

ピー助「ピィ?」

 

のび太が首を傾げるとピー助も同じ様に傾げる。その様子を見ながらのび太は考える。

 

ピンポーン

のび太「ん?」

ピー助「ピィー?」

 

突然、家のインターホンが鳴る。それに玉子が対応している様だ。気にせずにピー助と遊ぼうとしたのび太だったが玉子から声をかけられる。

 

玉子「のびちゃ〜ん。お友達が来てるわよ〜」

のび太「は〜い!友達?ジャイアン達か?でも、それならそう言うか…。誰だろ?そうだ、ピー助。悪いけどちょっと隠れててくれない、ゴメンね」

 

のび太はピー助を押入れの下の段の水の張ったバケツにピー助を入れて閉める。そして、一階へと降りる。そこに居たのは予想外の人物だった。

 

のび太「奈々ちゃん!それに、郎夜さん!」

郎夜「よう、のび太。久し振りだな!」

奈々「こんにちわ、のび太くん!」

 

何と郎夜と奈々がのび太の家に来た。驚きで固まっていたのび太だったが取り敢えず上がって貰う事にした。郎夜は居間でお茶を頂くそうでのび太と奈々で二階へと上がって行った。

 

のび太「それにしても驚いたよ。まさか、奈々ちゃん達がウチに来るなんて」

奈々「もしかして何か迷惑だった?」

のび太「うんうん、全然。来てくれて嬉しいよ。さ、入って」

奈々「うん、失礼しま〜す」

 

のび太は奈々を部屋に入れる。奈々は部屋を仕切りに見渡す。のび太はそれを見て声をかける。

 

のび太「ゴメンね、何もなくて。つまんないよね」

奈々「そ、そんな事…のび太くんの部屋で二人っきりになれたんだからつまんないわけが…」

のび太「?なんか言った?」

奈々「///い、いや何でも無いよ」

 

のび太は奈々の最後のボソボソと呟かれた言葉を聞き取れず聞き返すが奈々は何とか誤魔化す。

 

のび太「まあ、それなら良いんだけど。それよりさ…」

奈々「どうしたの?」

のび太「よく、ウチの場所が分かったね〜」

奈々「えっ///…そ、それはその〜」

のび太「誰かに聞いたの?」

奈々「そ、そう。聞いたの、人に」

のび太「成る程ね〜」

 

奈々の言っている事は嘘だった。本当はのび太の家の場所が分からず、奈々の勘で何となく歩いていたら辿り着いただけである。これが恋する乙女の力だと言うのだろうか。もし、そうならば凄まじい物である。

 

奈々「そ、それより、何してたの?」

のび太「いや、学校から帰ったばっかで特には」

奈々「じゃあ…」

ピー助「ピィー」

のび太「!(やばっ!)」

奈々「ピー?のび太くん、今ピーって?」

のび太「な、何?何の事?」

奈々「何か飼ってるの?」

のび太「え〜っと、別に…」

ピー助「ピィー」

奈々「押入れから?」

のび太「あっ、ちょっと…」

 

奈々は押入れからに向かう。そして、のび太の制止虚しく開けてしまう。奈々はピー助を見て固まる。のび太は焦りながらも奈々に黙って貰っておくべく話掛ける。

 

のび太「奈々ちゃん、これはね…」

奈々「…い…」

ピー助「ピィ?」

奈々「可愛い〜!」

のび太「あれ?」

 

奈々は再起動するとピー助を抱えてはしゃぐ。それにのび太は唖然とし、ピー助は不思議そうな表情でされるがままにされる。

 

のび太「えっと…驚かないの?」

奈々「驚いたよ!こんなに可愛いペットを飼ってたなんて!」

のび太「いや、そうじゃなくて…」

奈々「ねぇ!この子の名前なんて言うの!」

のび太「ピー助…」

奈々「そうかピー助か〜!宜しくね?ピー助」

ピー助「ピィー!」

 

奈々はピー助を撫でながら微笑みかける。ピー助は嬉しそうに撫でられていた。のび太はこの事態を如何に収めようかと悩んでいると新たな乱入者が現れる。

 

郎夜「おい、奈々。人様の家なんだからもう少し静かに…って、なんだそいつ?」

奈々「あっ!師匠!見て下さい、可愛いでしょこの子!」

のび太「ちょ、奈々ちゃんタンマ!」

郎夜「取り敢えず、お前ら落ち着け」

 

数分後、漸く全員が落ち着いた処でピー助について二人に話す。二人は驚いていたが、目の前に居るピー助によって納得していた。

 

のび太「と言う訳だから、この事は他言無用に」

奈々「分かった。私もピー助が連れて行かれるのは嫌だしね」

郎夜「そうだな。まあ、黙っときゃあ良いんだろ」

のび太「ありがとうございます」

 

のび太はお礼を言った後、ある事に気付いた。それはピー助に餌を上げなければいけないと言う事だったが、一階には玉子がいる上、何時もあげている魚肉ソーセージはもう無かった筈だ。なので、のび太は買い物に行く事にした。

 

奈々「あれ?のび太くん、どこ行くの?」

のび太「うん。ちょっとピー助の餌を買いにね」

郎夜「よし、じゃあ俺も行くか」

 

立ち上がったのび太に奈々は理由を尋ね、それを聞いた郎夜も着いて行くと行った。のび太は不思議に思いながらも理由を聞く。

 

のび太「良いんですか?」

郎夜「ああ、買い物がてら此処ら辺の地理を憶えとこうと思ってな」

のび太「わかりました。奈々ちゃんはピー助の事を頼まれてくれる?」

奈々「うん!」

 

のび太の頼みを奈々は嬉しそうに承諾する。それを聞いたのび太は玉子に出掛ける趣旨を伝え、郎夜と共にスーパーへと向かった。そして、目的の物を買う事が出来た。

 

郎夜「よし、じゃあ」

《コネクト、ナウ》

 

郎夜は人気の無い場所でコネクトリングを発動し、魚肉ソーセージをのび太の部屋に届ける。今頃、奈々がピー助にあげている事だろう。

 

郎夜「帰るか」

のび太「そうですね」

 

二人が帰ろうとした時…

 

?「キシャァ!」

?「シャァァ!」

のび太・郎夜「!」

 

突如、後ろからのび太と郎夜に何者かが襲って来た。二人はそれを左右に転がって避けて、襲って来た何者かを見る。それは、青い身体に頭部から生えた二本の長い触角が特徴の“カミキリインベス”、緑の身体に虫の様な模様、そして拳と一体化した様な鎌状の武器を持つ“カマキリヤミー”だった。

 

のび太「インベスにヤミーか…何故僕らを…?」

郎夜「のび太!考え事は後だ!」

のび太「!はい!」

《ドライバーオン、ナウ》

《DECADRIVER》

 

二人は再度襲いかかって来た怪人を蹴飛ばして、人気の無い事を確認して、それぞれのベルトを起動する。郎夜はハンドオーサーを上下に操作する。

 

《シャバドゥビタッチヘンシン、シャバドゥビタッチヘンシン》

 

郎夜はチェンジウィザードリングのバイザーを下ろし顔の様にする。のび太はカードを取り出し掲げる。そして、郎夜は左手でフィンガースナップをする。

 

のび太・郎夜「変身!」

《チェンジ、ナウ》

《KAMENRIDE DECADE》

 

郎夜は白い魔法使いに、のび太は仮面ライダーディケイドに変身した。

 

白い魔法使い「さっさと片付けるぞ!」

《コネクト、ナウ》

ディケイド「勿論!」

 

白い魔法使いは魔法陣から白を基調とし、赤で縁取られた黒い手形の付いた銃“ウィザーホワイトガン”とハーメルケインを取り出しカミキリインベスへ、ディケイドはライドブッカー(ソード)を構えてカマキリヤミーへと向かう。

 

白い魔法使い「さあ、宴の時間だ!はあっ!」

カミキリ「キシャァァ!」

 

白い魔法使いがカミキリインベスを銃撃するが、カミキリインベスは触角を鞭の様に使い叩き落とす。更に、触角を振るって白い魔法使いを狙う。

 

白い魔法使い「うおっと、てりゃあ!」

カミキリ「キシャ⁉︎」

 

白い魔法使いは振るわれた触角を飛び前転や跳びながら回転して躱していきハーメルケインで切り裂く。カミキリインベスは火花を散らしてよろけ、そこから白い魔法使いは連続でハーメルケインで切り裂き最後にウィザーホワイトガンで銃撃し吹き飛ばす。

 

カミキリ「キシャァ‼︎」

白い魔法使い「甘い、ぜっ!」

 

カミキリインベスは怒り狂った様にメチャクチャに触角を振り回す。それを白い魔法使いは躱して近付き触角を根元から断ち切る。カミキリインベスはその痛みに叫び声をあげる。その間に白い魔法使いは突きを放ち、カミキリインベスは地面を転がる。一方、ディケイドの方も特に苦戦はせず順調に戦っていた。

 

ディケイド「はあっ‼︎」

カマキリ「シャァ!」

 

ディケイドはライドブッカー(ソード)をカマキリヤミーに向けて振るう。カマキリはそれを両手の鎌を交差させて受け止める。ディケイドはそこへ前蹴りを腹に放ち距離をとる。

 

ディケイド「そこだっ!」

カマキリ「シャァァァァ!」

 

ディケイドはよろけたカマキリヤミーに連続で斬撃を放つ。カマキリヤミーは堪らず後ろへ吹き飛ぶ。カマキリヤミーはよろよろと立ち上がるも接近して来たディケイドに対応出来ず膝蹴り、中段蹴り、斬撃と喰らう。

 

ディケイド「大したこと無いな」

 

ディケイドはカマキリヤミーの力量を見て余裕が生まれた事で軽口を叩く。カマキリヤミーは満身創痍と言った状態で立ち上がる。

 

カマキリ「…首長竜」

ディケイド「何?」

カマキリ「首長竜…見つける」

ディケイド「首長竜だと…(まさか、ピー助⁉︎)」

 

ディケイドはカマキリヤミーの呟いた言葉で今回の目的が分かった。そして、それを白い魔法使いに伝える。

 

ディケイド「郎夜さん!こいつらの目的はピー助です!」

白い魔法使い「何だと⁉︎」

 

白い魔法使いはディケイドから教えられた真実に驚く。その間にカミキリインベスの攻撃を喰らってしまい、ディケイドもカマキリヤミーな鎌で切り裂かれる。

 

?「ばれたか…やはりあんな雑魚を差し向けても無駄か…」

 

二人が戦っている所から少し離れた電柱の陰に居る人影はカマキリヤミーを見ながらそう呟いた。その手にはイチゴが描かれた錠前“イチゴロックシード”が握られていた。

 

?「これ以上は駄目か…ならば」

 

その人影はイチゴロックシードをカミキリインベスの方に投げる。カミキリインベスはそれを見ると飛び付き吸収する。

 

白い魔法使い「何⁈」

カミキリ「キシャァァァァァァ‼︎」

 

カミキリインベスの身体に変化が訪れる。身体の外骨格や腕足が大きくなり、切られた触角が生えて更に腕からも長い触角が生えた“強化体”に変異する。カミキリインベス(強化)は計四本の触角を振り回し白い魔法使いを攻撃する。

 

白い魔法使い「く、避けきれ、ぐあっ‼︎」

 

白い魔法使いは全て避けきる事は出来ず喰らって吹き飛ぶ。カミキリインベス(強化)はそんな白い魔法使いにゆっくりと近づいて行く。白い魔法使いは立ち上がり左手に青い指輪“ウォーターウィザードリング”を嵌める。そして、ハンドオーサーを操作して、ウォーターウィザードリングを翳す。

 

《ハイドロ、ナウ》

 

すると、横に青い魔法陣が現れて白い魔法使いを通過する。そして、魔法陣が通過し終えると白い魔法使いはローブと身体の金色の縁取りの部分が青くなった“ハイドロスタイル”へと変身した。白い魔法使いは右手の指輪を嵌め変える。

 

《エクスプロージョン、ナウ》

 

カミキリインベス(強化)の前に魔法陣が現れ、大爆発を起こす。カミキリインベス(強化)は、その威力に吹き飛ばされる。そして、カミキリインベスは立ち上がり怒りのままに白い魔法使い(ハイドロ)に向かう。が…

 

白い魔法使い(ハイドロ)「もういっちょ!」

《エクスプロージョン、ナウ》

カミキリ(強化)「キシャァァァァァァ‼︎」

 

白い魔法使いは、またエクスプロージョンリングを発動させ、今度はカミキリインベス(強化)の真下で爆発を起こしカミキリインベス(強化)は上へ打ち上げられる。白い魔法使い(ハイドロ)はウィザーホワイトガンのハンドオーサーを開ける。そして、ウォーターウィザードリングを翳す。

 

白い魔法使い(ハイドロ)「そろそろ幕引きだ」

《キャモナ・シューティング・シェイクハンズ、キャモナ・シューティング・シェイクハンズ》

《ハイドロ、シューティングストライク》

白い魔法使い(ハイドロ)「喰らえ‼︎」

 

ウィザーホワイトガンの銃口に水のエネルギーが渦巻き、白い魔法使い(ハイドロ)が引き金を引くと強力な水流“シューティングストライク”が放たれカミキリインベス(強化)に命中すると爆発を起こす。

 

白い魔法使い(ハイドロ)「まっ、こんなもんかな。さて、のび太の方はっと…」

 

ディケイドは苦戦はしていなかったが、カマキリヤミーは中々倒れなかった。

 

ディケイド「しぶといな、こいつ…」

カマキリ「シャァァァァ!」

ディケイド「はっ!」

 

ディケイドは突っ込んで来たカマキリヤミーを横に避けると、その背中に肘打ちを喰らわせ右拳を放つ。そして、前蹴りで蹴り飛ばす。だが、カマキリヤミーは尚も立ち上がる。

 

ディケイド「本当にしぶとい…どんだけ深い欲望で生まれたんだよ」

カマキリ「シャァァ!」

ディケイド「埒があかない。なら…」

《KAMENRIDE SUPER1》

 

赤い複眼にマフラー、黒いスーツ、銀の胸のアーマーにブーツ、ひだの付いたグローブが特徴のライダー“仮面ライダースーパー1”に変身する。

 

カマキリ「シャァァ‼︎」

Dスーパー1「はぁ…」

 

向かって来るカマキリヤミーに動じる事なくDスーパー1は集中する。カマキリヤミーはこれを好機と見て一気に両の鎌を交差させて振り下ろす。Dスーパー1は右手を貫手にすると、振り下ろされた鎌に向かって突き出す。

 

Dスーパー1「赤心少林拳、桜花!」

 

桜花は鎌の交差している中心に当たり、鎌は砕け折れる。鎌を折られた事で動揺するカマキリヤミー。

 

《ATACKRIDE REINETUHAND》

 

Dスーパー1の両手が緑色の“冷熱ハンド”に変化する。Dスーパー1は右拳を握り込み引く。そして、カマキリヤミーに突き出す。

 

Dスーパー1「赤心少林拳、正拳突き!」

 

Dスーパー1の拳がカマキリヤミーに突き刺さる。Dスーパー1は、その状態で右手の冷熱ハンドから超高温火炎を発射する。カマキリヤミーは火炎に焼かれ苦しみ悶えながら転がる。

 

Dスーパー1「赤心少林拳、諸手打ち!」

カマキリ「シャァァァァァァァァ⁉︎」

 

Dスーパー1は両手を手刀にしてカマキリヤミーの両側頭部を挟み込む様に浴びせる。諸手打ちを喰らったカマキリヤミーはふらつきながら後ろに下がる。

 

Dスーパー1「コレでラスト!」

《FINALATACKRIDE SU・SU・SU・SUPER1》

 

Dスーパー1は高く飛び上がり、空中で型をとる。そして、超高速でキックを繰り出す。カマキリヤミーはフラフラでもう逃げられない。

 

Dスーパー1「スーパーライダー閃光キック!」

カマキリヤミー「シャァァァァァァァァァァ‼︎」

 

スーパーライダー閃光キックを喰らったカマキリヤミーは断末魔の叫びをあげながら爆発する。Dスーパー1はその爆発を背に着地する。そして、変身を解く。すると、向こうから変身を解いた郎夜も来た。

 

郎夜「終わったか」

のび太「そうですね、それにしても何故ピー助を…」

郎夜「分からねえ。だが、いつまでもここに居る訳にはいかねえだろ?取り敢えず、帰ろうぜ」

 

郎夜の言葉にのび太は一旦思考を中止した。そして、ピー助と奈々が心配だったので急いで帰った。

 

のび太「ただいま」

玉子「おかえり、随分と遅かったのね」

のび太「うん、ちょっとジャイアン達と話し込んじゃって」

郎夜「そう言う事です」

玉子「そうだったの。郎夜さんもありがとうございます」

郎夜「いやいや、大した事はして無いですよ」

のび太「じゃあ、二階に行ってるね」

 

のび太は自分の部屋に急いで戻った。

 

のび太「ねぇ、大丈…夫…」

奈々「zzz…」

ピー助「zzz…」

 

奈々とピー助は仲良く昼寝をしていた。そこへ郎夜ものび太の部屋にやって来た。

 

郎夜「おい、のび太。奈々とピー助は…」

のび太「シィー…」

 

のび太は郎夜に静かにする様に指示をする。郎夜は最初、意味が分からないと言った様子だったが部屋の中の様子を見て察した。二人は昼寝の邪魔にならない様に部屋を出て、ゆっくりと襖を閉めた。

 

夕方

 

郎夜「おい、奈々。起きろ〜」

のび太「ピー助も起きて」

 

奈々とピー助は夕方になっても起きなかったのでのび太と郎夜が起こしに来たのである。奈々とピー助は二人に起こされてやっと目を覚ました。

 

奈々「あれ?私…」

郎夜「ほら、寝ぼけてないで帰るぞ」

奈々「は、はい。それじゃあ、ピー助またね〜」

ピー助「ピィー」

 

奈々がピー助に別れを告げて部屋を出て行き、ピー助もそれに応える様に鳴く。どうやら、今日一日でかなり仲良くなった様だ。

 

郎夜「のび太、今回の件。どうも何だか怪しい匂いがするぜ。コッチも色々と調べてみるが、そっちも気を付けてな」

のび太「はい、分かりました」

奈々「師匠〜、何してるんですか〜」

郎夜「ああ、大丈夫だ!じゃあな、のび太」

 

二人が帰った後、のび太は考えていた。今回の襲撃は明らかに自分達、そしてピー助を狙っての物だった。郎夜の話だとカミキリインベスが突然強くなったらしい。恐らく、ロックシードを取り込んだのだろう。そう考えると、あの場には自分達以外の何者かが居たのは間違い無い。そして、そいつが今回怪人達を送り込んで来た輩だろう。何故ピー助を狙うのか、そしてどうして怪人を持っていたのか?悩みの種は尽きない。のび太はそんな思考に没頭しそうになる。

 

ピー助「ピィー」

のび太「っ!ピー助?」

 

ピー助が心配そうな表情で此方を覗き込んでいた。どうやら、のび太の不安が表情にまで出ていたらしい。のび太はピー助に笑いかけると優しく撫でる。

 

のび太「大丈夫だよ。ピー助は僕が守るからね。だから、心配しないで…」

ピー助「ピィー!」

 

のび太の言葉にピー助は一鳴きする。そんなピー助を見てのび太はあの決意を思い出した。

 

のび太「(そうだ。どんな奴が来たって関係無い。決めたじゃないか、皆を傷付けるのなら僕が破壊するって。来れるものなら来てみろよ、その時は容赦しない!そして、皆を絶対に守る!)」

 

のび太はピー助と戯れながら、そう思った。




後書きの間

ドラえもん「のび太くん、君は鬼か!」
のび太「何故に?」
郎夜「いやいや、赤心少林拳の奥義+技二連+必殺キックやっといてそりゃ無いわ」
奈々「しかも、途中火炎放射のおまけ付き…」
のび太「ピー助を狙う奴に容赦はしないよ」
ピー助「ピィ?」
Δデルタ「復活‼︎」
のび太「あっ、生き返った」
Δデルタ「のび太!ピー助は駄…」
《バナナオーレ》
Δデルタ「ぎゃあぁぁぁぁ⁉︎」
ドラえもん「さ、作者がいきなりデカイバナナに吹き飛ばされた⁈」
郎夜「どう言う状況だよ!」
奈々「今のって、バナナのライダ…」
ーーバナナじゃ無い!バロンだ!ーー
ドラえもん「今の声って、セワ…」
のび太「はい、ドラえもん。もう今回終わりだから閉めよろしく〜!」
ドラえもん「え、ええ⁉︎っと、次回はのび太くんとピー助の別れ。そして、のび太くんに近づく不穏な陰…。それじゃあ皆さん、エピソードⅢで。次回もヨロシクね」
ピー助「ピィー!」


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エピソードⅢ

投稿成功!

のび太「また妙な言い回しだな〜」
ドラえもん「もう諦めない?多分、言うだけ無駄だよ?」
郎夜「そう言うこった」
奈々「それにしても、作者って本当に前書きのネタありませんよね〜」
Δデルタ「しゃあねだろ?ネタが無いんだから。それよりも、のび太の恐竜 2006エピソードⅢを…」
皆「どうぞ‼︎」


ピー助はどんどんと成長して行った。それこそ、もう家では飼いきれない位に。そこでのび太は近所の池で飼う事にして、夜に遊びに行っていた。そんなある日…

 

のび太「じゃあ、行って来るね」

ドラえもん「気を付けてね」

 

のび太はドラえもんに一言言って家をでる。勿論、ピー助に会いに行く為だ。のび太はピー助に早く会いたい為に凄いスピードで走っていた。そして、のび太はピー助のいる池に着く。すると、池からピー助が出てきた。

 

ピー助「ピィー」

のび太「ピー助!足音だけで分かるのか?」

ピー助「ピィー!」

のび太「そうか」

 

のび太はピー助の頭を撫でながら言う。撫でられているピー助はとても嬉しそうだった。のび太はピー助に餌をあげようと持って来たバッグから魚肉ソーセージを取り出し開けようとする。すると、ピー助はバッグに入っていたボールを指した。

 

のび太「ボールで遊びたいのか?」

ピー助「ピィ!」

のび太「よし、じゃあ遊ぶか」

 

のび太はピー助とボール遊びをする事にした。のび太が投げたボールをピー助は頭で受け止め保持する。そして、のび太に投げ返す。のび太はそれを弾きピー助の方へ放る。それをピー助がまた弾いてのび太に返すと言う風に遊んでいた。のび太もピー助も心の底から楽しそうな表情で遊んでいた。暫くして、遊び終わったらのび太は魚肉ソーセージを上げた。ピー助はそれを喜んで食べる。

 

のび太「さてと、今日は帰るかな」

ピー助「ピィー」

 

のび太が帰ると言うとピー助は寂しそうに鳴く。のび太はピー助に笑顔を向けて安心させる様に言う。

 

のび太「大丈夫だよ、また明日も来るからな」

ピー助「ピィ!」

のび太「よしよし、じゃあね」

 

のび太はピー助に別れを告げ、公園を出る。それを見たピー助も池の中に隠れる。ここら一帯に夜の静寂が戻る。だが、そんな中で暗闇の中に妖しく光る視線があった。

 

翌日

 

のび太が家族と朝食をとっている時、玉子が唐突に話しかけて来た。

 

玉子「そう言えばのびちゃん。最近、夜中に出歩いてるみたいだけどどうしたの?」

ドラえもん「(ギクッ‼︎)」

のび太「ああ、あれ?散歩だよ、散歩。いやぁ、夜の散歩は気持ち良くて」

玉子「そう?ならいいけど…。気をつけるのよ、最近は物騒な世の中だから」

のび太「は〜い、ご馳走様〜」

 

のび太は朝食を済ませると着替えをして学校へ出発する。その途中、静香、武、スネ夫の姿を見つけた。

 

静香「あ、のび太さん。おはよう」

のび太「うん、おはよう」

武「おう、のび太か。おはようさん」

スネ夫「おはよう」

 

四人は最近の話をしながら学校へ向かっていると、スネ夫が突然、その話題を振ってきた。

 

武「でよ、ムクがその時、母ちゃんに叱られてよ…」

のび太・静香「あははははっ…」

スネ夫「ねえねえ皆。最近話題の怪獣事件って知ってる?」

静香「知ってるわ、怖いわね〜」

のび太「えっ…」

武「そこの○○公園なんだよな?」

スネ夫「そうなんだよ、どうやら夜中に見たって言う目撃情報があるだって」

のび太「で、でも夜中だろ?なら、寝ぼけてって言う可能性だって…」

スネ夫「最初はそう思われてたらしいんだけど、それにしては目撃情報が多過ぎるんだよ」

静香「へぇ〜」

スネ夫「それでね今日、調査団がやってきて池を調べるらしいよ。もう、準備してるんじゃ無いかな?」

のび太「っ!(ピー助…⁉︎)あ、ああ!しまった!」

スネ夫「何だよ、のび太」

のび太「忘れ物しちゃった〜、ゴメン先に行ってて」

 

のび太はそう言うと、走って近くの陰に隠れる。そして、ランドセルの中からコピーロボットを取り出し、自分のコピーを作りランドセルを背負わせる。

 

のび太「じゃあ、後は頼んだよ」

のび太(コピー)「うん、任せて!」

 

のび太(コピー)は三人の方に戻っていく。のび太はそれを見て、元きた道を戻って行く。すると、途中で黒いマスクをつけた怪しげな人物に呼び止められた。

 

黒マスク「野比 のび太くんだね?」

のび太「何ですか?今ちょっと急いでるんで…」

黒マスク「ピー助の事なら大丈夫だ。まだ、調査団の調査が始まるには時間がある」

のび太「!」

 

のび太はその言葉を聞いた瞬間、後ろへ飛び退き警戒を露わにして睨みつける。

 

のび太「お前…あの時インベスとヤミーを!」

黒マスク「おやおや、中々鋭い子だ。しかし、それには少し語弊がある」

のび太「何だと?」

黒マスク「インベスに関してはそうだが、ヤミーの生みの親では無い」

のび太「そうか…」

黒マスク「驚かないのかね?」

のび太「正直、そんな事はどうでもいい。何故、ピー助を狙う?」

 

のび太の問いに黒マスクは不気味な笑みを浮かべながら語る。

 

黒マスク「私は今まで数多くの恐竜を見てきたが、あれ程までに人に懐いた首長竜は初めてだ!」

のび太「それで?」

黒マスク「売って欲しい。勿論、タダでとは…」

のび太「断る‼︎」

 

黒マスクが言葉を言い終わらないうちに、のび太はその提案を一蹴する。それに黒マスクは呆れた様に首を横に降る。

 

黒マスク「全く、せっかちだね。もう少し考えて貰っても…」

のび太「黙れ。お前の言葉には一考の余地さえも無い!」

 

のび太はまたも黒マスクの言葉を遮り、切り伏せ走り去る。黒マスクはそれに対し気を悪くした様子を見せず、只々不気味にそれを眺めるのだった。手にさくらんぼが描かれた水色の透明のロックシードを握りながら。

 

数分後

 

家の前に着いたのび太はタケコプターで二階に上がり、部屋に入る。そこには奈々が来ていた。

 

奈々「あっ、のび太くん…」

のび太「ゴメン!今は時間が無いんだ!」

 

のび太は奈々の横を通り過ぎて押入れからドラえもんのスペアポケットを取り出す。そして、どこでもドアでピー助の居る公園に行く。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

《KAMENRIDE KABUTO》

 

のび太はディケイドに変身し、更に青い複眼に赤い身体、頭のカブト虫を思わせる大きな角“Dカブト ライダーフォーム”に変身する。Dカブト(ライダー)は公園の木の陰に隠れて状況を確認する。そこには、調査団と思われる集団と報道陣が多数居た。

 

Dカブト(ライダー)「(よしっ)〜〜っ、コッチに出たぞーー!」

 

Dカブト(ライダー)の言葉に調査団や報道陣は一斉に此方に向かってくる。Dカブト(ライダー)は、それを確認して一枚のカードを使う。

 

《ATACKRIDE CLOCKUP》

 

その瞬間、Dカブト(ライダー)以外の時間が止まる。否、正確にはゆっくりと流れ出す。その間にDカブト(ライダー)は

公園を突っ切り池に辿り着く。そして、変身を解除する。

 

のび太「ピー助、出ておいで」

ピー助「ピィ!」

のび太「しぃ〜」

 

のび太は出てきたピー助に向かってスモールライトを当てる。スモールライトの光を浴びたピー助はみるみる内に小さくなって行く。そして、小さくなったピー助を箱の中に入れると、どこでもドアで部屋に戻る。すると、奈々が話しかけて来た。

 

奈々「ねぇ、何をするつもりなの?」

のび太「ピー助を白亜紀に帰す」

奈々「っ!それって…」

のび太「分かってる。でも、もうそれしか…」

 

のび太は悔しそうな表情で俯く。奈々はのび太の気持ちを察して何も言えなかった。ピー助との別れが一番辛いのはのび太なのだ。のび太とピー助はまるで親子の様な関係だった。奈々はそれを短い時間の中で分かっていた。のび太は机の引き出しを開け、タイムマシンに乗ろうとする。

 

奈々「待って!」

のび太「奈々ちゃん?」

奈々「私も連れて行って」

のび太「…分かった。じゃあ、早く」

 

のび太は奈々の同伴を認め、タイムマシンに乗る。奈々がタイムマシンに乗った所で行き先を設定して出発する。奈々は周りの光景を物珍しそうに見ていて、のび太はタイムマシンを自動操縦モードに切り替えピー助と別れをしていた。

 

のび太「ゴメンなピー助。僕には何も出来なかった…」

ピー助「ピィー」

のび太「情けないな、守るって言ったのに…」

ピー助「ピィ!」

のび太「そうか…」

奈々「のび太くん!」

 

のび太がピー助との別れを済ませていると奈々が切羽詰まった声で話しかけて来た。それにのび太も厳しい表情になる。

 

のび太「どうしたの?」

奈々「あれ」

 

のび太が奈々の指の指す方向を見ると、タイムマシンに乗った人影が見えた。それは先程、話した黒マスクだった。黒マスクはのび太達の横にタイムマシンをつけると此方を向く。

 

黒マスク「やあ、のび太くん」

のび太「お前…」

黒マスク「ピー助を渡す気になったかね?」

奈々「何ですって⁉︎」

のび太「はっ、お断りだ。誰がお前何かに!」

黒マスク「そうか、それは残念だ。出来れば話し合いで解決したかったのだが…」

 

そう言いながら黒マスクは真ん中に窪みがあり、下にコップの様なパーツと左右にハンドルが付いた赤いバックル“ゲネシスドライバー”とさくらんぼの描かれたロックシード“チェリーエナジーロックシード”を取り出す。

 

のび太「!それはっ!」

黒マスク「何、私の仕事道具だよ」

《チェリーエナジー》

 

黒マスクはゲネシスドライバーを腰に当てる。すると、銀色の帯が伸びて腰に巻かれる。そして、チェリーエナジーロックを解錠する。

 

黒マスク「変身」

《ロックオン、ソーダ、チェリーエナジーアームズ》

 

黒マスクがチェリーエナジーロックシードをゲネシスドライバーに装着すると、上にクラックが開き、そこから巨大なさくらんぼが現れる。そして、黒マスクが帽子に触れながら右側のハンドル“シーボルコンプレッサー”を握り押すとチェリーエナジーロックシードが展開しさくらんぼが落ちて来る。すると、さくらんぼが黒マスクの頭に落ち、黒マスクの身体を薄緑色の“ゲネティックライドウェア”が包み、さくらんぼが展開して鎧になる。赤い双眼“ステアリングアイ”、赤く光る額の“コンセントレイドポット”、腕部と脚部の毛皮状のアーマー“シグルドボーア”、そして左側に集中した赤い鎧が特徴のライダー“仮面ライダーシグルド”になる。

 

シグルド「さあ、行くぞ!」

のび太「くっ、奈々ちゃん。ピー助をお願い!変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

のび太はディケイドに変身して迎え討つ。シグルドは赤い弓矢型の武器“ソニックアロー”でエネルギー矢を放つ。ディケイドはそれをライドブッカー(ガン)で相殺する。シグルドは次々と矢を放ち続けるも、ディケイドがそれらを見事に全てを相殺してみせる。これにはシグルドも感嘆の声を漏らした。

 

シグルド「ほぉ、中々やるね。のび太くん」

ディケイド「そりゃ、どうも」

シグルド「だが、これはどうかな?」

ディケイド「何の!」

《ATACKRIDE BLAST》

 

シグルドは矢を上に向けて放った。すると、矢はさくらんぼ型のエネルギーとなり、そこから大量の矢が飛来する。ディケイドはそれをタイムマシンに当たりそうな矢のみをディケイドブラストで撃ち落とす。そして、何とか撃ち落とすも、本当の狙いはこれでは無かった。

 

《ロックオン》

シグルド「これは避けきれるかな?」

ディケイド「なっ、しまっ…」

《チェリーエナジー》

 

シグルドはソニックアローにチェリーエナジーロックシードを装着し弦を引く。すると、ソニックアローに赤いエネルギーが集まっていく。そして、シグルドはさくらんぼ型のエネルギー弾“ソニックボレー”を放つ。さくらんぼ型のエネルギーは此方のタイムマシンの真後ろに止まるとアメリカンクラッカーの様に挟み込んでくる。

 

ディケイド「奈々ちゃん!」

奈々「うん!」

 

ディケイドは奈々の名を呼び、奈々は急いでタイムマシンのレバーを引いて回避に移る。しかし、完全には避けきれず、さくらんぼ型のエネルギーがタイムマシンのタンクの所に掠ってしまう。それにより、機体が大きく揺れる。

 

ディケイド・奈々「うわぁぁっ⁉︎」

シグルド「はっはっはっ、これで…」

 

体勢を崩したディケイド達に向かってシグルドが更に矢を放とうとした時、アラームの様な物が鳴り白い一つ目の球体“タイムボール”が現れてシグルドを取り囲む。

 

シグルド「ちっ!監視エリアに入ったか…。のび太くん、ピー助は諦めないよ!」

 

シグルドは周りのタイムボールに向けて苛立ち気に舌打ちをして、のび太にそう告げ帽子に触れる様な仕草をすると黒い穴が現れて消える。タイムボールもそれを追う様にして消えた。ディケイド達のタイムマシンは揺れが収まり安定した運転に戻る。ディケイドは変身を解く。

 

奈々「ふぅ、何とかなったね。のび太くん、大丈夫?」

のび太「ああ、大丈夫だよ。そっちは?」

奈々「私もピー助も無事だよ」

のび太「そうか、よかった〜」

 

のび太は奈々とピー助が無事な事に安堵する。そして、そうこうしている内にタイムマシンの出口が空いた。

 

白亜紀

 

辺り一面が濃い霧で覆われていて少し先も見えずらい様な浜辺。そこからのび太と奈々とピー助は海を見ていた。

 

奈々「ここが…」

のび太「うん。ピー助、ここがお前の世界なんだよ」

 

のび太はピー助に優しく語りかける。ピー助は海の方をじっと見つめていた。

 

のび太「これからお前は、ここで暮らすんだ…。だから、ここでお別れだ…」

奈々「じゃあね、ピー助…」

 

のび太と奈々はピー助から離れてタイムマシンの出口へ向かう。暫く歩くと、後ろから地響きが聞こえてきた。のび太と奈々が振り向くと、そこにはピー助がいた。

 

ピー助「ピィ!」

奈々「ピー助…」

ピー助「ピィ」

のび太「駄目だ、来ちゃ駄目だ…」

 

のび太が言ってもピー助は着いてくるのをやめない。のび太は涙を耐える様に震えながら立ち止まる。

 

ピー助「ピィ」

奈々「ピー助、あのね…」

のび太「着いて来るなってのが分かんないのかっ‼︎」

ピー助「ピッ…」

 

のび太が大声で怒鳴るとピー助は止まる。その間にのび太は走りだし、奈々も着いて行く為に走り出す。

 

ピー助「ピーーーーー…」

のび太「うっ、うっ、くっ」

奈々「のび太くん…」

 

のび太は泣きながら走った。ピー助の悲し気な声を振り切るかの様に。奈々も、そんなのび太を心配しつつも目尻に涙を浮かべていた。そして、二人はタイムマシンへ乗り込み現代へと帰還した。帰りの時空間の中では大量の涙が宙を舞っていた…。

 

 

続く




後書きの間

Δデルタ「じゃあ、後書きいこうか」
郎夜「ちょっと待て、のび太はどうしたんだよ?」
ドラえもん「ああ、のび太くんは今ちょっとピー助との別れでね…」
奈々「そう言うことなのでお休みです」
郎夜「そうか…。それにしても、あの黒マスクがシグルドとはな」
ドラえもん「でも、意外と何と無く似てない?」
Δデルタ「そうなんだよ。帽子被ってるし、遠距離武器使うし、性格も冷酷だし」
奈々「なるほど…。て言うか、私は変身しませんでしたよね」
Δデルタ「だな。ぶっちゃけ原典ディケイドのユウスケポジみたいだな」
奈々「orz」
郎夜「ああ、今の所否定は…」
ドラえもん「出来ないね」
Δデルタ「さて、そろそろ締めといくか」
郎夜「よし、来た!無事にピー助を送り届けたのび太。しかし…。じゃあ、エピソードⅣで会おうぜ。次回もヨロシクな!」


ダークカブト(マスクド)「このまま終われると思うなよ!」←アバランチブレイク発動
デルタ「ゴボォォォォォォォ⁉︎」←叩きつけられる


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エピソードⅣ

投〜稿!

のび太「始まったねエピソードⅣ」
ピー助「ピィ」
ドラえもん「そうだね、やけに投稿が遅かったけど」
Δデルタ「五月蝿いな!仕方ないじゃん!」
郎夜「何でだよ」
Δデルタ「だって、夏休みなのに七月三一日まで高校で補充があるんだぞ!全員参加の!」
奈々「それは…」
Δデルタ「何でだよ!何で夏休みに学校行って勉強してから午後の部活に臨まなくちゃいけないんだよ‼︎意味分かんねえよ‼︎休ませろよ‼︎」
のび太「五月蝿い!」←ショックブレードガン(ブレード)で切り裂く
Δデルタ「ぐおっ⁉︎」←倒れる
奈々「皆様、大変お見苦しい所をお見せしてしまいすいませんでした。では、ドラえもん のび太の恐竜2006 エピソードⅣを…」
皆「どうぞ!」
ピー助「ピィー!」
Δデルタ「ど、どう…ぞ…」←力尽きる







のび太がピー助を白亜紀に帰した後、明らかに落ち込んでいた。普段ののび太ならしない様な失敗を立て続けにして、周りの人は皆一様に心配していた。

 

のび太「はぁ〜…」

郎夜「のび太、気持ちは分からんでも無いが…。そろそろ元気出したらどうだ?」

奈々「そうだよ。その…皆心配してるよ?」

 

郎夜と奈々がのび太を励まそうとするも効果は全く無く、のび太は更に落ち込むばかりである。そこへ郎夜は突然、何かを思い付いた様な顔をする。

 

郎夜「じゃあよ、のび太。一回ピー助の様子を見ればいいじゃねえか。出来るだろ?」

のび太「えっ…」

奈々「師匠!それは…」

郎夜「ピー助の様子を見て元気にやってる様なら、お前さんも一応安心するだろ?」

のび太「…はい」

 

のび太は郎夜の案でピー助の様子を見る事にした。勿論、ピー助を見る事によって今まで抑え込んでいた気持ちが再び顔をみせるかもしれない。だが、このまま落ち込んだまま周りを心配させるよりも、ピー助の様子を見て吹っ切った方が自分にとっても周りにとっても良いと思ったのだ。のび太はスペアポケットからタイムテレビを取り出す。そして、白亜紀の映像を映す。しかし、そこに映し出されたのは予想していた物では無かった。

 

のび太「えっ⁉︎」

奈々「嘘っ‼︎」

郎夜「こりゃあ…」

 

タイムテレビが映したのは、複数の首長竜に囲まれ威嚇されているピー助の姿だった。その映像にのび太達は驚きを隠せない。

 

のび太「な、何で…」

郎夜「のび太…こいつら何かピー助と種類が違くないか?」

奈々「そんな⁈」

 

のび太はピー助の現在地を割り出す。そこは、ピー助の故郷である日本近海では無く北アメリカの辺りだった。それを見てのび太は、ある事に気付く。

 

のび太「そうか…あの時の攻撃でタイムマシンの目的地が狂ったんだ!」

奈々「なっ…!」

郎夜「おいおい、どうすんだ…」

 

のび太は静かに立ち上がると、そのまま黙って机の引き出しに向かう。それを見て郎夜が止める。

 

郎夜「おい!待て!タイムマシンはこの前の攻撃で…」

のび太「ええ、故障してます」

郎夜「だったら…」

のび太「でも…行かない訳には行かないです‼︎」

奈々「あっ、私も行く!」

郎夜「えっ、いや…ああ!もう!」

 

のび太は郎夜の言葉を無視してタイムマシンに乗り込む。奈々もそれに続き、郎夜も半ばヤケクソ気味に頭をかきながら乗り込む。タイムマシンは前回と違いかなり不安定で常に酷く揺れている状態だった。

 

奈々「きゃあっ!」

郎夜「くっ、ここまでとは…」

のび太「っ、ピー助…」

 

暫くすると、タイムマシンは出口に出た。三人は、それと同時に放り出され砂の中に埋まる。

 

のび太「うう、はぁ…。出れた…、二人共大丈夫〜?」

郎夜「ああ、大丈夫だ〜!」

奈々「ぷはっ!こっちも同じく〜」

 

どうにか三人は砂から抜け出せた様で砂だらけになりながらも、集まる。そして三人が辺りを見回すと、そこは後ろに林がある青い海が輝く綺麗な砂浜だった。前回来た時は霧が濃くて分からなかったが、こんなに綺麗な場所だったのかとのび太は感動する。奈々と郎夜も同じ様で海に見惚れていた。その時、のび太は少し先にある物を見つける。

 

のび太「あそこは…!」

奈々「あっ、のび太くん!」

郎夜「どうした!」

 

のび太が見付けた物はピー助が歩いた跡とのび太達の足跡だった。途中で途切れているピー助の足跡を見ると、のび太は心が痛むがその痛みを抑え込み海の方に向かう。

 

のび太「ピー助〜〜〜〜〜〜〜!」

 

しかし、のび太が読んでもピー助は現れない。それから何度も呼ぶかピー助の姿は一向に見えない。のび太はとうとう呼ぶのをやめてしまった。だが、その時…

 

奈々「あっ!あれ!」

郎夜「ありゃあ…」

のび太「っ!」

 

のび太は二人の言葉に顔をあげる。すると、向こうの方に小山の様な影が見えた。それは形を変えて長い首の様な物が現れる。それで、のび太は確信した。のび太は更に大きな声で叫ぶ。

 

のび太「ピー助〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼︎」

ピー助「ピィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

のび太「ピー助…ピー助!」

 

のび太は海の方に向かって走る。ピー助も此方に泳いで来てるのが分かる。のび太はピー助に早く会いたいが為に夢中で走る。しかし、途中で深い所に足をとられ沈んでしまう。

 

のび太「(不味い…)」

郎夜「のび太!」

奈々「のび太くん!」

 

のび太は咄嗟の事に反応出来ず泳ぐ事が出来ない。しかし、何者かに引き揚げられた。ピー助はのび太を自身の背中に乗せる。のび太はピー助の姿を間近で確認するとピー助の頭を優しく抱き締める。ピー助も嬉しそうな表情でのび太に擦り寄る。やがて、二人は二人の元へ戻る。

 

郎夜「おい、のび太。大丈夫だったか⁈」

のび太「はい、ピー助に助けて貰いましたから。ねっ?ピー助」

ピー助「ピィ?ピィー!」

奈々「よかった〜。ピー助久しぶり!私の事覚えてる?」

ピー助「ピィ!ピィ!」

奈々「ありがとうね、ピー助」

ピー助「ピィー」

郎夜「俺は?」

ピー助「ピィ?」

郎夜「あれ?」

 

ピー助は覚えて無いなとばかりに首を傾げる。その目は本気で誰?と言う目をしていた。それにショックを受けながらも郎夜は改めて自己紹介をしてピー助に分かって貰えた。再会ムードが落ち着いてきた所で三人はこれからの方針を決める事にした。

 

郎夜「で、どうやってピー助を日本に帰すんだ?」

奈々「それは勿論タイムマ…」

郎夜「無理だな」

奈々「な、何でですか?」

 

郎夜は後ろを親指で指差す。そこには傷だらけで至る所が壊れているタイムマシンの姿が。それを見て奈々は一つの疑問を抱く。

 

奈々「じゃ、じゃあ私達このままじゃもしかして…」

郎夜「帰れんな」

奈々「そんな〜〜〜!」

ピー助「ピィ?」

 

奈々の叫びが辺り一面に木霊する。ピー助はそれに不思議そうな表情をしていた。

 

のび太「落ち着こうよ」

奈々「落ち着ける訳無いよ!」

郎夜「いや、冷静になれ」

奈々「だから冷静になれないの!」

のび太・郎夜「何で?」

奈々「じゃあ逆に何で落ち着けるの〜!」

 

奈々は自分の心の不満を目一杯吐き出して疲れたのか息をきれさせる。それにのび太と郎夜は何やってんだろ?と言う目線を向ける。それに奈々はまた憤りを覚えたのかジト目でのび太と郎夜を見る。

 

奈々「…何ですか」

のび太「いや…お疲れ様?」

郎夜「のび太、それ何か違うぞ。それより奈々。お前は何を怒ってんだ?」

奈々「だ・か・ら!何で帰れないこの状況でそんな冷静になれるんですか⁈何?もうこの時代で生きていく覚悟でも決めたんですか?私は嫌ですよ!こんな所で化石に何かなるのはゴメンですよ‼︎お家に帰りたいですよ‼︎って、何が可笑しいんですか‼︎」

 

のび太はやっと分かった様な表情になり、郎夜は笑いを堪えていた。奈々はそれが気に入らない様子で怒り心頭で問い詰める。

 

郎夜「や〜、悪い悪い。そんな事で悩んでたのかと分かってな」

奈々「そんな事って何ですか!私達にとっては死活問題ですよ⁉︎」

郎夜「いや、それは大丈夫だ。な?のび太」

のび太「はい、大丈夫です。壊れたのは空間移動系の機能で時間移動機能の方は問題ありません。だから、帰ること自体は可能です。それでも日本に着かなきゃ話にならないので、やっぱり問題は日本に行く手段ですよね」

奈々「えっ…」

郎夜「そうなるな…。変身して行くのは?俺達、一応全員飛べる訳だしよ」

のび太「僕は一向に構わないですけど…郎夜さん魔力持ちますか?」

郎夜「…これは没だな。となると、歩きか?」

のび太「それだと冗談抜きで化石になりますよ?」

郎夜「だよな〜」

のび太「このタケコプターで行くのもありですけど電池が上がっちゃうんですよね〜」

郎夜「そうか。じゃあ、タケコプターを休ませながら行くのはどうだ?」

のび太「出来ない事も無いと思いますけど、この海の上でどうやって休ませすか?」

郎夜「う〜む」

ピー助「ピィ、ピィ」

 

ピー助が突然、話に入って来て自分の背中を指す。その意味が分かったのび太が無理だと告げるとショボンと落ち込んでしまう。

 

のび太「…そうだ!」

郎夜「ん?何かいい案があったのか?」

のび太「ええ。この時代は確か大陸は陸続きで繋がってた筈です。だから…」

郎夜「そうか!それなら休ませながら行ける。それだ!よし、そうと決まれば早速出発だ!」

のび太「はい。って、奈々ちゃん?どうしたの?」

 

のび太と郎夜が奈々を見ると不満そうな表情で此方を睨んでいた。

 

奈々「…知らない!」

 

 

飛行中

 

一同はタケコプターで陸に沿って移動していた。しかし…

 

のび太「ゴメンよ、奈々ちゃん」

郎夜「ああ、だから機嫌直してくれよ」

奈々「…」

 

奈々の機嫌がすこぶる悪いのだ。どうやら、二人に余計な心配をさせられた事と話に置いて行かれた事を根に持っている様だ。さっきからのび太と郎夜が謝ったりしているが機嫌が直る事は無かった。

 

のび太「はぁ、どうします?これ」

郎夜「どうするっつったって…どうするよ?」

 

のび太と郎夜はそう言う訳で困っていたのだ。この二人、戦いに関してはエキスパートだが、こういう事に関してはまるっきり役立たずなのだ。そんな訳で二人には奈々の機嫌を直すことは出来ていなかった。

 

のび太「ピー助、どうすればいいんだろう」

郎夜「俺達には分かんねぇよ」

ピー助「ピィ?」

 

のび太と郎夜は、困り過ぎてピー助に助けを求めた。男二人が首長竜に助けを求める様は酷く情けなかった。勿論、首長竜であるピー助が人間関係の問題を理解出来る訳も無く不思議そうに首を傾げるだけであった。それを見た男二人は更に溜息を漏らすばかりであった。

 

 

 

のび太達は途中、夜も遅くなってきたと言う事でキャンプをすることにした。

 

郎夜「で、キャンプをするは良いが、どうするんだ?」

のび太「確か…あった!キャンピングカプセル!」

 

のび太は小さな球体に杭の様な物が付いているピンク色の“キャンピングカプセル”を取り出す。そして、それを地面に刺す。すると、キャンピングカプセルは巨大化しする。

 

郎夜「凄えな…」

奈々「…」

 

郎夜と奈々はキャンピングカプセルの巨大化に驚きを隠せなかった。のび太は、そんな二人にのび太はキャンピングカプセルを渡し、説明をする。

 

のび太「じゃあ、今日はこれで野宿と言う事で」

郎夜「分かった。奈々も良いな?」

奈々「…はい」

のび太「奈々ちゃん、まだ怒ってるn…」

奈々「先に行ってるから」

 

奈々はのび太の言葉を聞かずに先にキャンピングカプセルに入って行ってしまった。残された、のび太と郎夜は如何した物かと頭を悩ませたが結局、この事に関しては役に立たない男二人では何にも思いつかなかったので、キャンピングカプセルに入り身体を休める事にした。

 

のび太「ああ〜、疲れた〜。最近は戦いでもここまで疲れた事は無かったから辛いな。取り敢えず、寝…zzz」

 

のび太は最後まで言葉を言い終わらない内に眠りにはいった。恐ろしい程の寝つきの良さは何処へ行っても変わらない様だ。

 

奈々「はぁ〜、もう師匠とのび太くんったら…」

 

奈々はキャンピングカプセルの中で溜息を吐いていた。理由は勿論、男二人への不満だ。だが、怒りとは少し違う不貞腐れている様な物だった。自分の不安をあっさりと解決して、自分が入る余地も無くこれからの事を決める事が出来てしまった事に、そして自分とは違い、あの状況で帰るアテがあったとは言えピー助の事を考える余裕があった二人と何か大きな壁の様な物を感じてしまったのだ。奈々は一応、少々特殊ではあるが学校の様な物に通ってはいる。だが、色々と事情があり周囲から浮いてしまっていた。なので、奈々にとって郎夜とのび太は唯一自分の身近に居る人間だった。しかし、今回の事で二人が遠くに居る様に思えてしまい、二人が離れている様に思え怖くなったのだ。だが、それを二人に対して言ってしまったら今度こそ二人と自分の決定的な差を思い知らされてしまうと思った。結果、不貞腐れると言う状況になったのだ。

 

奈々「(私じゃあ駄目なのかな…。師匠やのび太くんと一緒には居られないのかな…。そしたら、また一人になって…嫌!もう一人は嫌だ!だけど…)」

のび太「奈々ちゃ〜ん!」

 

奈々が自身の葛藤に悩んでいる所にのび太が外から呼んできた。奈々は一瞬驚きながらも、直ぐに不貞腐れた表情に戻り、窓の外ののび太を見る。

 

のび太「ちょっと散歩しない?ほら、気分転換にさ〜」

奈々「…分かった。直ぐに行く」

 

奈々は不貞腐れてはいたが、折角ののび太からの誘いだったので断りはしなかった。それに少し気が楽になってもいた。そりゃあ、自分の想い人からの誘いに喜ばない筈が無いし、のび太の事を遠くに感じているからこそ、のび太の側に居たかった。そうする事で自分の悩みを誤魔化したかった。

 

のび太「あっ来た来た。じゃあ、早速行こうか」

奈々「…うん」

 

のび太と奈々はキャンプ地点から少し離れた場所を歩いていた。暫く歩いていると、丁度人が二人位座ることの出来る岩を見付け、二人は腰掛けた。すると、のび太が上を見上げ、空に輝く満点の星に気付き歓声をあげた。奈々もそれに釣られて空を見上げる。

 

奈々「うわぁ〜、綺麗」

のび太「うん。僕達の時代の夜空とは違うね」

奈々「うん」

のび太「…ゴメンね、奈々ちゃん」

奈々「もう、良いよ。私の方こそゴメンね、迷惑だったでしょ?」

のび太「とんでも無い!そんな事無いよ」

 

のび太がその言葉を否定すると、奈々は嬉しそうな表情をする。しかし、直ぐに哀しげな表情になる。

 

奈々「私ね、のび太くん以外の友達が居ないの」

のび太「えっ?」

奈々「色々あってさ、周りと上手くいかないんだ。だから、のび太くんが友達って言ってくれた時ね凄く嬉しかったんだ」

のび太「そう…」

奈々「でもね、私何かが本当に居てもいいのかなって思うんだ」

のび太「…」

奈々「私は師匠やのび太くんとは違ってさ、本当の意味で仮面ライダーにはなれてないんだよね…。強さだって、のび太くん程持ってない、力も心も。だから…」

のび太「奈々ちゃん」

 

のび太は奈々の頭に手を乗せ、軽く撫でる。奈々は突然ののび太の行動に顔を赤らめる。

 

奈々「の、のび太くん///⁈」

のび太「僕はね相手が強いから友達になるとか、そんな事は全く考えてないよ」

奈々「のび太くん…」

のび太「ただ純粋に友達になりたい、仲良くなりたいと思うからなるんだ」

奈々「…」

のび太「僕の先輩の一人に居るんだ、そう言う人が」

奈々「先輩?」

のび太「うん、僕に仮面ライダーの意味を教えてくれた尊敬する先輩達でね。その中の一人の先輩は、友情を大切にする人でね。最初は他人同士だった人達を絆で繋いだんだ。その人達は今では大切な仲間同士になっててね。そして、皆との絆の力で自分の守るべき物を守っていったんだ」

奈々「そうなんだ、凄い人なんだね」

のび太「うん、本当に凄かった。だから、思ったんだ。さっき言った先輩達みたいになりたいって。だから、僕は変われたんだ」

奈々「私は…」

のび太「…奈々ちゃん、ちょっと手を貸して」

奈々「えっ…うん」

 

奈々は言われた通りに手を出す。のび太は、その手を二回握り、拳を握って軽くぶつけ、そして上下にぶつける。奈々はのび太のこの行動の意味が分からず困惑していた。そんな奈々にのび太は、先輩から教わった物を説明する。

 

のび太「これはね友情の証って言うんだ」

奈々「友情の証?」

のび太「そう、友達同士になった人がする仕草だよ」

奈々「えっ、でも私は…」

のび太「奈々ちゃん。その先輩が言ってたんだ“この宇宙に友達になれない奴なんか居ない”って。僕もそう思ってる。だから、僕は君と本当の意味で友達になりたい。駄目かな?」

 

のび太は奈々の目を真っ直ぐに見る。それだけ本気で言っているのだ。奈々も最初は目を逸らしていたが、やがてのび太の目を見つめ返す。

 

奈々「だ、駄目じゃ無いよ。でも、私で良いの?」

のび太「違うよ、奈々ちゃんが良いんだ」

奈々「っ!///…分かった。その宜しく…」

のび太「うん!此方こそ改めて宜しくね、奈々ちゃん」

奈々「う、うん////」

 

のび太は石から降りると、背伸びをして戻す。そして、奈々の方に振り返る。奈々の顔は何だか赤い様だったが、のび太は気にしない事にした。

 

のび太「さて、そろそろ戻ろうか?」

奈々「そ、そうだね///。お腹も空いたしね」

のび太「じゃあ、帰るか」

 

のび太はキャンプ地点に向かい歩き出す。奈々は暫く立ち止まり、それに気付いたのび太が声をかける。

 

のび太「あれ?奈々ちゃん如何したの?」

奈々「え、えっとね///…」

 

奈々はのび太にお礼を言うつもりだったが恥ずかしくて中々言えず、モジモジしていた。それを見たのび太は奈々の手をとり歩き出した。

 

奈々「あっ///…」

のび太「ほら、行こうよ。ね?」

奈々「…うん!のび太くん」

のび太「何?」

奈々「ありがとう!」

 

その時の奈々の顔は一番の笑顔だったそうだ。

 

 

翌朝

 

キャンピングカプセルの外ではのび太が何時もの様に日課の訓練を行っていた。

 

奈々「のび太くん、おはよう」

のび太「ああ、おはよう」

 

奈々とのび太は朝の挨拶をして、奈々はのび太の訓練を見学する事にした。

 

のび太「はっ、やあっ、たあっ!」

奈々「ほぇ〜、凄いな〜」

のび太「ふぅ、別に凄い事じゃ無いよ。毎日やってたら身に付くよ?」

奈々「そうなんだ」

のび太「奈々ちゃんは何かやってないの?」

奈々「うん、朝は学校の準備とかで忙しいから」

のび太「成る程ね。所で、郎夜さんは?」

 

のび太の問いに奈々は少し苦笑しながら答えずらそうに答える。

 

奈々「あ〜、うん…まだ寝てるよ」

のび太「へぇ、意外だな」

奈々「うん、よく言われてるよ。でも師匠って、基本的に時間ギリギリまで寝てる人だから」

 

のび太は郎夜の意外な所を見て驚いていた。てっきり、早くに起きて訓練なり何なりしてるものだと思っていたのだ。

 

のび太「所で何か用でもあったの?」

奈々「ううん。外を見たらのび太くんが居たから何やってるのか気になって来たんだ」

のび太「成る程ね、そう言う事か」

 

のび太はそこまで言うとDフォンを取り出し時間を確認した。

 

のび太「さて、そろそろ朝ご飯食べて出発するか。僕は郎夜さんを起こしてくるから、奈々ちゃんはピー助と先に朝ご飯食べてて」

奈々「分かった」

 

のび太は奈々にピー助を任せて、郎夜のキャンピングカプセルに向かった。そして、中に入ると奈々の言葉通り未だ爆睡している郎夜が居た。

 

のび太「郎夜さん、起きてください」

郎夜「zzz…」

のび太「郎夜さん、出発しますから」

郎夜「zzz…う、うん?何だ飯か?」

のび太「おはようございます。はい。だから、早く起きて下さい」

郎夜「了解…ふぁぁぁぁ…」

 

郎夜は目を擦り、欠伸しながらベッドから這い出る。それを見たのび太は外に向かう。外では奈々とピー助が朝食をとっていた。

 

奈々「あっ、のび太くん。師匠は?」

のび太「もうすぐ来ると思うよ。後、ピー助おはよう」

ピー助「ピィ!」

郎夜「おはよう〜」

奈々「あっ、おはようございます」

ピー助「ピィー」

 

一同は朝食を取り終わるとキャンピングカプセルを仕舞い出発した。そして、タケコプターである程度まで進むと歩いて行く事にする。午後になる頃には火口湖が見えて来た。

 

のび太「今日のキャンプ地点はここら辺にします?」

郎夜「そうだな」

奈々「ですね。それにしても大きな湖ですね」

ピー助「ピィー!」

 

のび太達が火口湖の近くでゆっくりしていると大きな足音が聞こえてきた。何事かと見てみると、首の長い巨大な恐竜“アラモサウルス”が現れた。アラモサウルス達は火口湖に集まってくる。

 

奈々「の、のび太くん。大丈夫なの?」

のび太「大丈夫だよ。こういう恐竜は大体が草食だから、踏まれない様にしていれば害は無いよ」

奈々「良かった〜」

ピー助「ピィー!」

郎夜「おお!こりゃ凄え!」

 

奈々はのび太の説明を聞き安堵の息を吐き、ピー助はその巨体に驚き、郎夜は子供の様にはしゃぎまくりながらアラモサウルスに触れている。まあ、郎夜に関しては色々とアレだが本物の恐竜を目の前にすれば仕方ない反応だろう。しかし、のび太と奈々はそんな悠長に見ている事は出来なかった。それは、郎夜がアラモサウルスの足をかなりギリギリで避けている為、非常に危なかっしいのだ。そして、のび太がそんな郎夜に少し注意をしようとした時、郎夜にアラモサウルスの足が振り下ろされた。

 

のび太・奈々「あぁぁーーーーーーーーー!郎夜さーん!(師匠ーー!)」

郎夜「んだ?」

のび太・奈々「わぁぁぁっ⁉︎」

 

のび太と奈々が郎夜が踏み潰された瞬間を見て叫びながら郎夜の名を呼ぶ。しかし、郎夜はのび太達の後ろの地面の中から現れる。のび太と奈々は、突然の事に驚く。如何やら、踏み潰される直前にドリルウィザードリングを発動して地中に避難した様だ。それをのび太と奈々に説明すると…

 

のび太・奈々「あんまり心配させんなや!(させないで下さい!)」

郎夜「へぶっ⁉︎」

 

郎夜はのび太と奈々から同時に攻撃を喰らい吹き飛ぶ。まぁ、人を此処まで心配させたのでのび太と奈々に一切の非は無い筈だ。そして、のび太と奈々はピー助を抱えてアラモサウルス達を見ていた。うつ伏せに倒れている郎夜を放置して。

 

のび太「大きいな〜!」

ピー助「ピィ!」

奈々「そうだね!…あれ?」

 

奈々はのび太とアラモサウルスを見ている途中に何かを見つけた。奈々が木々の中を少し進むと、其処には割れた卵の殻と産まれたてと思われるアラモサウルスの子供であった。

 

奈々「可愛い〜!チビちゃん一人?」

チビ「ピュイ!」

奈々「そっか〜。じゃあ、一緒にお母さん探そうか」

チビ「ピュイ!ピュイ!」

 

奈々はアラモサウルス達の元へと戻る。その下にはチビがヨタヨタと着いて来ていた。チビはアラモサウルス達を見ると鳴き声をあげる。

 

チビ「ピュイ!ピュイ!」

奈々「どれが貴方のお母さんかな?」

チビ「ピュイ!」

奈々「…一杯居るね」

 

奈々がチビの親のアラモサウルスがどれか分からず困惑していた頃、のび太はアラモサウルスの頭に乗って昼寝していた。そんな中、突然巨大な咆哮が辺りに鳴り響いた。それに、昼寝していたのび太と奈々、そして倒れていた郎夜は瞬時に目を鋭くさせ各々警戒態勢をとる。すると、近くの草むらから巨大な何かが吹き飛んで来た。それは巨大な体躯に強靭な顎と牙を持った恐竜“ティラノサウルス”だった。

 

のび太「!ティラノサウルス!」

郎夜「だが、随分と傷だらけだな。他の恐竜か何かにやられたのか?」

奈々「それにしては傷が不自然です」

シグルド「見つけた。全く手こずらせてくれた」

 

のび太達がティラノサウルスの様子を見ていると林の奥からシグルドが現れた。それに気付いたのび太と奈々がシグルドを睨む。

 

のび太「お前は!」

シグルド「また会ったね、のび太くん」

郎夜「おい、知り合いか?」

奈々「例のピー助を狙う奴です。以前、タイムマシンで襲われたのも彼奴です」

郎夜「っ!成る程な、事情は分かった」

 

郎夜も事情を理解してシグルドに敵意を向ける。三人から睨まれているシグルドは肩を竦めてやれやれとでも言う様に首を振る。

 

シグルド「そんなに警戒しなくても良いだろう?今回はピー助を狙う訳では無い。私が用があるのは其処のティラノ何だから」

のび太「そう言う事か。この傷はお前がやったんだな」

シグルド「そうだよ、今回のターゲットだからね。でも、中々暴れるものだからちょっとばかしやり過ぎてしまったよ」

奈々「酷い…」

シグルド「酷いと言われても此れが私の仕事なのでね。さぁ、そのティラノを渡してもらおうか」

郎夜「誰が渡すかよ」

シグルド「それなら此方も考えがある」

郎夜「へっ!そっちがその気なら…」

奈々「私達にだって…」

のび太「やり様はある!」

 

《DECADRIVER》

《ドライバーオン、ナウ》

 

のび太はディケイドライバーを、奈々はサイガドライバーを装着し、郎夜はワイズドライバーを元の大きさに戻す。そして、のび太はカードを掲げ、奈々はサイガフォンに3、1、5と入力しENTERキーを押し、郎夜はハンドオーサーの向きを変える。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

《Standing by》

奈々「変身!」

《Complete》

《シャバドゥビタッチヘンシン、シャバドゥビタッチヘンシン》

郎夜「変身!」

《チェンジ、ナウ》

 

のび太はカードを装填し、奈々はサイガフォンをサイガドライバーのバックルに突き立て倒し、郎夜はフィンガースナップをしてチェンジウィザードリングを翳す。三人はそれぞれ、ディケイド、サイガ、白い魔法使いに変身した。

 

シグルド「ふむ、流石に此の戦力差はキツいな」

白い魔法使い「なんだぁ?開始早々降参か?」

シグルド「そんな事はしないよ」

サイガ「でも、今は3vs1。この差は大きいよ?」

シグルド「今は(・・)その様だね。ならば…」

ディケイド「(今は、ね…これは何かあるな)」

 

シグルドはマンゴーロックシードを取り出し解錠する。すると、シグルドの横にクラックが出現し、其処からライオンインベスが現れる。それと同時に森の奥から紫色の体にプテラノドンの様な姿の“プテラノドンヤミー(雄)”と白い身体の“プテラノドンヤミー(雌)が出現する。

 

ディケイド「こいつらは!」

シグルド「おや?これを知っているのかな?」

ディケイド「まあね」

白い魔法使い「のび太!あのライオンは俺がやる」

サイガ「私はプテラノドンみたいなのを相手する。だから…」

ディケイド「ああ、黒マスクの方は任せて」

 

そう言うと白い魔法使いはハーメルケインを取り出しライオンインベスへ向かい、サイガはフライグアタッカーで空へ飛び上がりプテラノドンヤミー達もそれを追う様に飛び、ディケイドはライドブッカー(ソード)を構えシグルドと対峙する。

 

ディケイド「行くぞ!」

シグルド「ふん、来るなら来なさい!」

 

ディケイドとシグルドはお互いに駆け出し、それぞれの得物を振るいぶつかり合った。

 

 

続く

 




後書きの間

のび太「今回は随分と話が進んだね」
ドラえもん「色々と端折り過ぎじゃない?」
Δデルタ「だって、道中の奴全部書こうと思ったらとんでも無い量になるし、そうなったら書けないよ」
郎夜「まあ、作者には無理な相談か」
奈々「ですね。所で何か今回の終わり中途半端じゃないですか?」
のび太「確かにね」
郎夜「おい、作者ァ」
Δデルタ「いや〜ね、本当はのび太達vsシグルド達の終わりまで書く予定だったけど…文字数が多かったから無理矢理切った」
奈々「何だ、そう言う事か〜」
ドラえもん「別段珍しくも無いな、この無能作者ならね」
のび太「だね!」
郎夜「そうだな」
Δデルタ「ひ、酷い…」
のび太「それにしてもシグルドとインベスは良いとして…」←作者はスルー
ドラえもん「まさかの恐竜系のヤミーだね、だとするとヤミーの親の正体は…」
郎夜「待て!ネタバレだ!」
奈々「あ、あの、そろそろ締めの方をお願いします」
のび太「ん、分かった。シグルド達との戦闘を開始した僕達。シグルドの実力とは、そして僕達は無事に切り抜けられるのか!次回、エピソードⅤもヨロシクな!」
ピー助「ピィ!」


ダークカブト(ライダー)「無事に済むと?」←アバランチスラッシュ発動
《Clock up》
Δデルタ「えっ…あばばばばばばばばっ⁉︎」←連続で切り裂かれる





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エピソードⅤ

大投稿!

のび太「おい愚作者ァ、これはどういう事だ?」
Δデルタ「ど、どういう事とは?」←ビビってる
郎夜「っざけんなよ!こんだけ投稿が遅れといて何を言ってやがる!」
Δデルタ「だ、だってねリアルの方が忙しくt…」
奈々「今、夏休みだよね?」
Δデルタ「夏休みでも馬鹿みたいに忙しいんだよ!」
ドラえもん「知るか‼︎」
のび太「そうだ!それに、そんなのお前が馬鹿だからだろうが‼︎」←明らかに暴論
Δデルタ「んな横暴な…」
郎夜「でも、実際サボってたのと変わんねぇんだろ?」
Δデルタ「それは、まあ若干は…」
『1,2,3』
ダークカブト(ライダー)「ライダーキック…」
『Rider kick』
Δデルタ「ボガァァァァ」←大☆爆☆発
ダークカブト(ライダー)「汚ねぇ花火だ…」
のび太「セワシくんナイス‼︎」
ドラえもん「本当本当。汚物は消毒に限るね〜」
郎夜「てか、セワシ結局出ちゃってんな。まあ、あの愚作者の決めた事だから破っても構わんけどな」
奈々「ですね。所で、そろそろ始めた方が」
郎夜「ん?そうだな。じゃあ、ドラえもん のび太の恐竜2006 エピソードⅤを…」
全員「どうぞ‼︎」
愚作者「…」←唯の屍


ディケイド「はあっ!」

シグルド「ふんっ!」

 

ディケイドはライドブッカー(ソード)で斬りかかるがシグルドはソニックアローで受け止める。ディケイドが更にライドブッカー(ソード)を振るうもシグルドはソニックアローで防ぎ、前蹴りを放ち後ずさったディケイドにソニックアローで連続で切り裂く。袈裟、左薙ぎ、唐竹と放ちソニックアローで殴る。そこへ矢を放って追撃する。ディケイドは矢を喰らって後ろへ吹き飛ぶ。

 

シグルド「ん〜?その程度かな、のび太くん?」

ディケイド「くっ!舐めるな!」

 

ディケイドは再びシグルドへ駆け出し切り結ぶ。その頃、空ではサイガとプテラノドンヤミー(雄)、(雌)が空中戦を繰り広げていた。

 

サイガ「やあっ!」

プテラノドン(雄)「ふっ」

プテラノドン(雌)「此れが如何した?」

 

サイガは空を飛んでプテラノドンヤミー達にフライグアタッカーで光弾を連射するが、プテラノドンヤミー達は上手く飛び回り躱し、時折破壊光弾を吐きサイガを攻撃する。サイガは破壊光弾は何とか躱すも敵がバラバラに飛び翻弄してきて、自身の光弾を当てられずに焦りを感じていた。

 

サイガ「このっ!」

プテラノドン(雌)「緩いな」

プテラノドン(雄)「たわいもない」

 

サイガは光弾を撃ちながら接近するも、逆に背後をとられ破壊光弾を喰らい吹き飛ぶ。何とか空中で立て直すもサイガはプテラノドンヤミー達を見失ってしまう。

 

サイガ「きゃっ!くっ、何処に⁈」

 

サイガが敵の姿を探していると下からプテラノドンヤミー(雄)が破壊光弾を発射してきた。サイガは間一髪それを躱すも、突然後ろ斜め上にプテラノドンヤミー(雌)が現れる。

 

プテラノドン(雌)「ふんっ!」

サイガ「なっ⁉︎きゃぁぁ!」

 

驚きで一瞬固まったサイガをプテラノドン(雌)が翼ではたき落とす。落ちて行くサイガは落下した瞬間、地面に足をつけて思いっきり跳び上がり、その勢いを利用してフライグアタッカーを加速させる。そして、瞬時に肉薄し蹴りを放つが、プテラノドンヤミー達は左右に散開して避ける。

 

プテラノドン(雄)「この程度か…」

プテラノドン(雌)「期待外れだな」

サイガ「何ですって!」

プテラノドン(雄)「これぐらいの連携にも歯が立たないとは」

プテラノドン(雌)「一つ教えてやろう。私達を相手するにはお前では動きも速さも未熟過ぎる」

サイガ「っ!五月蝿い!勝手な事を言わないで!」

 

プテラノドンヤミー達の言葉にサイガはそう叫ぶ。一方、白い魔法使いもライオンインベスに苦戦していた。

 

ライオン「ウガァッ!」

白い魔法使い「うおっ⁉︎くぅぅぅ、何て、パワーだ」

 

ライオンインベスの鋭い爪をハーメルケインで受け止める白い魔法使いだが、そのあまりのパワーに膝を折る。それでも、何とか耐えていたがライオンインベスの蹴りに体勢を崩され、そこへ振るわれた爪で火花を散らす。更にライオンインは両手の爪を同時に振るい白い魔法使いを吹き飛ばす。

 

白い魔法使い「ちっ、ここはホライゾンで力押しか…」

ライオンインベス「ウオガァァァ‼︎」

白い魔法使い「糞っ!無駄にすばしっこいんだよ!」

 

白い魔法使いは、このままではジリ貧だと考えスタイルチェンジを行おうとするが、ライオンインベスの素早い動きに指輪の交換を中断させられる。ライオンインベスの爪を防ぎながら悪態を吐く。その間にライオンインベスは次々と爪を振るい、白い魔法使いはハーメルケインで防いだり受け流したりしながら躱し続ける。

 

白い魔法使い「このまま、じゃ!ヤバイ、なっ!」

 

白い魔法使いは躱し続けながらも打開策を模索するが、指輪の交換が難しい今それは難しかった。そして、ライオンインベスによってハーメルケインが弾かれてしまい、白い魔法使いはライオンインベスの爪によって切り裂かれ、蹴りで吹き飛ぶ。

 

白い魔法使い「がぁっ!ええい!どうすれば!」

ディケイド「ぐあっ‼︎」

白い魔法使い「!のび太!大丈夫か⁉︎」

ディケイド「くぅぅ、何とか。でも…」

シグルド「おやおや、もう終わりかい?」

白い魔法使い「くっ、どうする⁉︎」

サイガ「きゃぁぁぁぁ‼︎」

ディケイド・白い魔法使い「‼︎奈々(ちゃん)‼︎」

 

ディケイドと白い魔法使いが空を見ると、プテラノドンヤミー達の攻撃でサイガか撃ち落とされいた。落下して行くサイガだったが、ディケイドと白い魔法使いによって受け止められる。

 

白い魔法使い「大丈夫か奈々!」

サイガ「は、はい…」

シグルド「さて、三人共ピンチの様だが如何する?」

 

シグルドの横にはライオンインベスとプテラノドンヤミー達が居て、ゆっくりと迫ってくる。ディケイド達は後ずさりながらも構える。ここで、白い魔法使いが何かに気付き右手の指輪を交換する。それを見たディケイドも郎夜の行動を察してカードを装填する。

 

シグルド「この後に及んで何をするつもりかな?」

白い魔法使い「へっ!こうだよ!」

《ルパッチマジックタッチゴー》

《チェイン、ナウ》

シグルド「な、何だと⁉︎」

 

シグルド達の周りに幾つもの魔法陣が現れ、そこから白い鎖が飛び出してシグルド達を拘束する。シグルドは思わぬ反撃に驚愕する。

 

《KAMENRIDE HIBIKI》

《ATACKRIDE ONGEKIBOU REKKA》

 

ディケイドは紫の身体、目の部分が無い赤い隈取のついた顔、赤い手、銀の装飾の付いた胸部、そして頭の二本の角に額の金の鬼の顔が付いた音撃戦士“仮面ライダー響鬼”へと変身した。D響鬼は先端に赤い石が付いた二本の赤い太鼓の撥“音撃棒 烈火”を召喚し烈火に炎を溜める。

 

D響鬼「はあぁぁぁ…、たあっ‼︎」

 

D響鬼は烈火に溜めた炎を火炎弾として放つ“烈火弾”をシグルド達に喰らわせる。烈火弾によりシグルド達の周りに土煙が舞い上がる。そして、土煙が晴れるとシグルド達の姿はもう無かった。

 

D響鬼「退いたか…」

白い魔法使い「そうみたいだな」

サイガ「…強かったですね」

D響鬼「そうだね。っと、それよりもティラノサウルスは⁉︎」

 

D響鬼がティラノサウルスの方を向くとティラノサウルスは今にも息絶えそうな様子だった。D響鬼は変身を解除して、急いで駆け寄りポケットからお医者さんカバンを取り出しティラノサウルスを治療する。そして、治療が済むと一息吐いた。

 

のび太「ふぅ〜、もう大丈夫だぞ。直ぐに良くなるからな」

奈々「のび太くん、ティラノサウルスは…」

のび太「大丈夫だよ、危なかったけど何とかなったよ」

奈々「良かった〜」

 

のび太は未だに倒れているティラノサウルスを撫でながらそう呟く。奈々はティラノサウルスの命が助かった事に安堵の息を吐く。しかし、直ぐにその表情は曇ってしまう。

 

のび太「ん?如何したの?」

奈々「だって…負けちゃったし…それに弱いって…」

郎夜「ああ、そんな事か」

奈々「そんな事って…負けたんですよ‼︎なのに何で…」

のび太「確かに負けたね。でも、それは今回は、でしょ?」

奈々「えっ…」

郎夜「そうそう、こんだけ派手にやられたんだ。流石に次はこんなへまはしねぇよ」

奈々「だ、だけど!今のままで勝てるか如何かは!」

郎夜「そんなの分かんねぇよ?」

奈々「でも!」

のび太「奈々ちゃんは不安なの?彼奴らに勝てるか如何かが」

奈々「うん…だって、今のままじゃあ」

のび太「鍛え足りなきゃ、鍛えるだけさ。相手が強いのならコッチも強くなれば良い」

郎夜「おっ、良い事言うなのび太。そういうこった、不安になるなら、自分に自信を持てる位に強くなれば良い」

奈々「でも、私に出来るかな…」

のび太「大丈夫だよ」

郎夜「ああ、俺が師匠なんだ。それに、のび太だって居る。だから心配すんな、お前はまだまだ強くなれる」

奈々「は、はい!」

 

郎夜の言葉に奈々は笑顔で返事をする。その様子に郎夜はウンウンと頷き、此れからの事を考える。と、その時…

 

クゥ〜〜〜

のび太「…」

郎夜「…」

奈々「//…」

 

奈々のお腹から空腹を告げる可愛らしい音が鳴り響き、奈々は恥ずかしさに顔を真っ赤にし俯く。そんな奈々に、のび太と郎夜の視線が向く。

 

のび太「ええっと、お腹空いたの?」

奈々「…う、うん///」

郎夜「安心したらいきなり腹減るとか…」

奈々「はぅ〜////」

 

兎に角、三人はピー助を呼んで少し早めの夕御飯を食べることにした。のび太がグルメテーブルかけを広げた所でのび太達は夕御飯を食べ始めた。

 

 

何処かの基地

 

?「それでまんまと逃げて来た訳か?」

 

暗くて広い部屋の中で一箇所だけライトで照らされている場所に居る椅子に座ったサングラスを掛けた金髪の男“ドルマンスタイン”が黒マスクの報告を聞いていた。

 

ドルマンスタイン「全く情けないな。そこまで追い詰めといて最後に巻き返されるとは」

黒マスク「申し訳ありません。しかし、お言葉ですが最後の攻撃は真面に喰らえば唯では済まなかったかと」

ドルマンスタイン「言い訳など聞く気は無い。それよりも何時になったらピー助を捕まえて来るのだ!」

 

ドルマンスタインは黒マスクに向かって苛立たしそうに言い放つ。それに黒マスクは動揺などは見せず相変わらず不気味な笑みを浮かべながら対応する。

 

黒マスク「ご安心を。まだピー助を捕まえるチャンスはあります。っと、言ってる間に如何やらその時が来た様です。では…」

 

黒マスクはそう言うと帽子に触れ軽く頭を下げて出て行く。ドルマンスタインは椅子から立ち上がり、部屋の後ろを照らす。そこには、全身が凍らされた様々な恐竜がいた。それを見ながらドルマンスタインは不気味に笑う。その時の目には一瞬紫の光が浮かんでいた。

 

 

峡谷

 

のび太達は翌日、タケコプターでの移動を開始した。だが、峡谷に入った所で奈々が違和感に気付いた。

 

奈々「あれ…?」

のび太「如何したの?」

奈々「うん、何だか周りの岩が白い様な」

郎夜「確かに言われてみればそうだな」

 

奈々の言葉に周りを見ると確かに周りの岩の先が白くなっていた。更に、少し先に行った所の岩には巨大な鳥の巣の様な物があり、その中には何かの生物の白骨化した死骸があった。のび太が、それに嫌な予感を感じて後ろの二人に早く行こう、と催促し様とした時…

 

郎夜「おい、あれって…」

奈々「鳥ですかね?」

のび太「いや…⁉︎違う、逃げろ‼︎全速力で‼︎」

 

のび太達の後ろからは大きな翼竜“ケツァルコアトルス”の群れがやって来ていた。それに気付いたのび太は他の二人に逃げる様に言いながら自分も加速する。奈々と郎夜ものび太の切羽詰まった様子を見て全力で加速する。しかし、翼竜相手に速度では不利な様でケツァルコアトルスはあっという間に距離を段々と詰めてくる。

 

奈々「何で追って来るの⁉︎翼竜って魚とかを食べるんじゃないの⁉︎」

のび太「いや、ケツァルコアトルスの食生については魚食動物だったとか死肉を漁ってたとか色々と説があるらしいんだけど、今までの様子を見るに小動物とかを食べてたんじゃないかと思う!」

郎夜「詳しい解説どうも!って、んな事言ってる暇あったら全力で逃げろ‼︎」

のび太「いやいや、これ以上は加速出来ません!流石に翼竜相手に、こんなおもちゃ(タケコプター)で逃げ切れる訳ありませんて‼︎てか、今の距離を離せてる状態でもやっとですから‼︎」

 

三人は逃げながらもそんな会話をしていた。流石は現役の仮面ライダーと言った所か、巨大な翼竜に追われて命の危険に晒されているにも関わらず解説出来たり突っ込んだりしている辺りから精神的余裕が見て取れる。だが、ここへ来て無理な飛行にタケコプターが悲鳴をあげ始めた。

 

のび太「えっ、うわっ⁉︎」

奈々「のび太くん‼︎」

郎夜「掴まれ‼︎って、俺もォォォ⁉︎」

 

高度が下がって行くのび太の手を郎夜が掴むも、郎夜のタケコプターも今までの無理な運転で限界に近かった。二人は何とか立ち直りながら逃げる。しかし、ケツァルコアトルスはどんどん迫ってくる。郎夜が魔法を発動しようとしたその時、いきなりケツァルコアトルス達が何者かに撃墜された。

 

のび太「なっ…⁈」

奈々「これは…」

郎夜「如何なって…」

 

三人が驚いていると、視界の先に幾つかの飛行艇とホバーバイク型のマシン“ダンデライナー”に乗ったシグルドの姿があった。シグルドはダンデライナーで銃撃しながらも自身もソニックアローでケツァルコアトルスを撃ち落としていた。ダンデライナーの銃撃やソニックアローの矢を喰らったケツァルコアトルス達は、どんどん落ちていく。のび太は、そんなシグルド達を強く睨みつけていた。

 

 

陸地

 

のび太達が陸へ降りると、シグルドも飛行艇と共に降りてくる。そして、ダンデライナーをビークルモードからロックモードに戻して、自身も変身を解除する。

 

黒マスク「やあ、のび太くん。また会ったね」

のび太「そうだな。こっちとしては全く会いたく無かったけど」

黒マスク「酷い言われ様だな。仮にも私達は君達の命の恩人なのだがね」

のび太「お前みたいな奴に感謝する事は一生無いね」

黒マスク「そうか。まあ、良いか。まどろっこしい前置きは苦手なのでね率直に言おう。ピー助を渡してくれないか?」

 

黒マスクの問いに、のび太はキッと眼光を鋭くして睨みつける。更に、尋常でない程の殺気を飛ばして威圧する。黒マスクは表情を崩さなかったが、後ろの部下達はのび太に怖気付いたり、冷や汗を流したり、酷い者は気絶していた。

 

のび太「何度も言ったけど断る。分かったら付き纏うのをやめろ」

黒マスク「これはおっかない。しかし、そう結論を急いではいけない。もし、ピー助を渡すのなら君達の安全を保証して元の時代に帰してあげよう」

奈々「元の時代に⁉︎」

黒マスク「ああ。勿論、金もしっかりと払う。如何だろう?」

のび太「…」

 

黒マスクの言葉に何も言わずに押し黙るのび太。その反応を迷っていると解釈したのか、黒マスクはダンデライナーをビークルモードにして立ち去ろうとするが、何かを思い出した様にのび太達の方を振り返る。

 

黒マスク「そうそう、この川の下流に私達の基地があるんだ。よければ来てみないか?」

のび太「ふんっ、気が向いたらそうさせて貰うよ」

黒マスク「そうか、ならその時は最高のおもてなしをさせて貰うとするよ。それじゃあ」

 

黒マスクは、帽子に触れる様な仕草をしてからダンデライナーで飛び去って行く。それに続いて他の部下達も起きている者が飛行艇を操縦し飛び去る。

 

 

 

皆「…」

 

三人は夜になったので適当な場所でキャンプしていたのだが、何故か黙っていた。恐らく、夕方の黒マスクとの接触だろう。そんな中、奈々がのび太に問いかけた。

 

奈々「…ねぇ」

のび太「ん?何?」

奈々「その…ピー助を渡さない、よね?」

のび太「当たり前じゃ無いか。大丈夫だよ、彼奴らにピー助は渡さない」

奈々「よかった〜」

のび太「それに彼奴らの約束は信用出来ないし」

郎夜「だな。仮にピー助を渡したとしても奴らが俺達を無事に現代に帰すとは思えないしな」

奈々「えっ?それって…」

 

郎夜の言葉に奈々は顔を郎夜の方に向ける。その表情は驚きで染まっていた。如何やら色々と分かっていない様な奈々にのび太が説明を加える。

 

のび太「良い?彼奴らのやっている事は恐らく犯罪だよ、これは分かる?」

奈々「うん。それは分かるよ。だって、そんな無闇矢鱈に恐竜や動物が狩られたら未来の生態系が崩れちゃうもん」

のび太「そうなんだ。そして、未来にはタイムパトロール、謂わば警察の様な組織があって其処で取り締まってるんだ」

郎夜「へぇ、そうなのか」

のび太「彼奴らのやっている言葉を犯罪だけど、捕まっていないと言う事は暴露ていないか足を掴まれていないって事なんだ」

奈々「確かに」

のび太「其処で考えて欲しい。もし、このまま僕らを帰すと如何なる?」

奈々「それは…如何なるの?」

のび太「詰まり、奴らのやっている事を僕らがばらすかもしれないって事さ。それに僕らの証言とかで手がかり、最悪の場合には足取りを掴まれるかもしれない」

奈々「成る程。言われてみれば」

のび太「奴らにとって、それは避けたい筈。だから、考えられる手段は…」

郎夜「口封じ、詰まりは此処で俺達を化石にしちまおうと言う訳だな」

 

のび太の言葉の続きを郎夜が続いて言う。それを聞いた奈々は納得した様に頷く。

 

郎夜「分かったか?」

奈々「はい!それでこれからの方針は?」

のび太「ん〜、それなんだけど…」

 

奈々からな質問にのび太は困った様な表情をして言葉を途切れさせる。そして、暫く言葉を濁した後に言葉を続ける。

 

のび太「ルート的には、この川を下らなくちゃいけないんだよね」

奈々「なら下れば…」

郎夜「はぁ〜、この川の下流には何がある?」

奈々「それは…あっ!彼奴らの基地!」

のび太「そう言うことだよ」

奈々「避けては通れないの?」

のび太「う〜ん、さっきからそれを考えてたんだけど…如何やら避けては通れる道では無さそうでね」

奈々「そうなんですか」

のび太「それで何とか奴らの目を欺きたいんだけど、プロ相手だから下手なのは直ぐに暴露る可能性が高くて」

 

三人が必死に頭を悩ませるも解決案は一向に浮かばない。そのまま更なる思考の渦に入り込みそうになった時…

 

ピー助「ピィーーー!」

皆「ん?」

 

ピー助が突然、月の出ている方角に向かって鳴き出した。三人が驚いている間もピー助は鳴き続けていた。その時、のび太にはピー助の行動の意味を理解した。

 

のび太「そうか、そう言うことか」

奈々「どうしたの」

のび太「多分あの方角に日本が、ピー助の故郷があるんだよ」

郎夜「成る程な。それでピー助は」

奈々「ピー助…」

 

のび太はピー助に近付いて抱き抱える。

 

のび太「大丈夫だよ、ピー助。お前は僕が守るからな、ちゃんと日本にも送り帰すからな、だから安心しろ」

ピー助「ピィ!」

郎夜「…これで決まったな」

奈々「はい。彼奴らを倒してピー助を故郷に帰す、ですね」

郎夜「ああ。ピー助の本当の平和の為に」

 

郎夜がそう言った後、のび太は郎夜と奈々の方に向き直る。

 

のび太「色々と考えたんだけど、この案で行くしか無さそうなんだ」

郎夜「どんなだ?」

のび太「それはですね…」

 

のび太は二人に明日の作戦を伝えて準備に取り掛かった。

そして、夜はふけていった。

 

 

続く




後書きの間

のび太「ん〜、流石に今までサボってた分、酷い事になってるね」
ドラえもん「確かにね。ただでさえ文才が皆無なのに」
郎夜「それより本編の話しねぇか?これ後書き何だしよ」
奈々「じゃあ、そうしましょうか」
のび太「今回は僕達の実質的な敗北と敵の黒幕の登場だね」
ドラえもん「てか、黒幕の正体は映画で知られてるし、今回も何か能力で大体の見当が付いちゃうよね」
郎夜「でも、それを上手く隠せないのが愚作者クオリティだな」
奈々「それは作家としては致命的なんじゃ」
のび太「元々、人間としても致命的な奴だから良いんじゃない?」
ドラえもん「そうそう。まあ、既に人間では無いけども」
奈々「そして、峡谷での襲撃ですね」
のび太「これは、まあ原作とあんま変わらないね」
郎夜「最後のシグルド以外はな」
ドラえもん「ダンデライナーで銃撃しながらソニックアロー撃つって出来るの」
のび太「そこは聞いちゃあいけない。だって、あの愚作者だもん」
郎夜「そうだな。よし、ここらで締めるか。奈々、締めよろしくな」
奈々「はい。では、皆さん。次回のエピソードⅥで会いましょう。それでは、次回もヨロシクね♪」


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エピソードⅥ

と〜う〜こ〜う!

のび太「なんだこりゃ」
ドラえもん「多分、アマゾンの掛け声だと思う」
奈々「随分と解り辛いね」
郎夜「本当だな。てか、他に何か案は無いのかよ」
Δデルタ「無い」
カリス「即答だな」
のび太「思考する努力すら怠ったな」
郎夜「最低だな」
Δデルタ「そんな事を僕に求める方が間違っている」
奈々「開き直った」
ドラえもん「屑だな此奴」
カリス「元からだろう」←矢を放つ
《TORNADO》
Δデルタ「…」←苦しむ間も無く力尽きた
のび太「では皆さん、ドラえもんのび太の恐竜2006 エピソードⅥを…」←何時もの様に愚作者はスルー
全員「どうぞ‼︎」


ドルマンスタインの基地

 

ドルマンスタイン「さて、あれだけ言っておきながらピー助を捕まえ損なったな。この責任は如何するつもりだ?」

 

ドルマンスタインが椅子に座り、ワインの入ったグラスを揺らしながら黒マスクの失態を責める。それに対して黒マスクは、帽子に触れながら軽く頭を下げる。

 

黒マスク「申し訳ありません。しかし、ピー助はもう捕まえたも同然な訳です」

ドルマンスタイン「ならば、さっさと此処へ連れて来ないか」

黒マスク「いえいえ、実は最後の仕上げをオーナー自身の手でやってもらいたいのです」

ドルマンスタイン「ほぉ…」

 

黒マスクの言葉にドルマンスタインは軽く驚きながらも、その顔に笑みを浮かべる。それに黒マスクは言葉を更に続ける。

 

黒マスク「それに飼い主の子供がすんなりとは渡さんでしょう」

ドルマンスタイン「ふんっ、君が時空間でヘマをしなければこんな事にはならなかったのでは?」

黒マスク「らしからず。当局のマークも厳しくなってるのでね」

 

その時、部屋の中のモニターに血の様な浮かび上がる。それを見ながら黒マスクはドルマンスタインに語りかける。

 

黒マスク「ん、彼奴らが動き出した様です。如何です?人間狩りは?」

ドルマンスタイン「ふっ、面白そうだな」

黒マスク「では、私は先に行って飛行艇の準備をして来ますので」

 

そう言うと黒マスクは、その場から消える。残されたドルマンスタインは徐に立ち上がると、その場で腕を横に軽く振る。すると、ドルマンスタインの周囲が椅子も含めて凍りつく。そして、凍りついていない場所まで下がり凍結している場所に向かって手を翳すと、その手から紫の波動を出して凍結している場所を粉砕する。粉砕された場所は大きな穴が空いていた。ドルマンスタインは、その穴から飛び降りて難なく着地する。暫く歩くと、其処には台の上に恐竜や恐竜の卵が幾つも積み重なった様な悪趣味なオブジェがあり、その上にある大きなライフル銃を取り、そのまま黒マスクが待っている飛行艇の所まで足を進めた。

 

 

荒野

 

太陽が激しく照らす荒野では、三台のレースカーのラジコンが激走していた。その中には、のび太達の姿があった。そして、その上に飛行艇とダンデライナーが飛んでいた。黒マスクがダンデライナーに乗りながら下に呼び掛ける。

 

黒マスク「最後の警告だ!ピー助を渡さねば身の安全の保障はしない!」

 

しかし、のび太達からの応答は無い。黒マスクはドルマンスタインの方を向き合図を出す。それを確認したドルマンスタインはライフル銃を構えてスコープを覗く。そして、郎夜が乗ったレースカーを照準に入れ引き金を引く。発射された銃弾はレースカーの片方の後輪に命中し、レースカーは走行不能になる。そして次は、奈々のレースカーに狙いを定めて銃撃し走行不能にする。最後にのび太とピー助の乗ったレースカーを狙って構えて、その引き金を引いた。それもレースカーのタイヤに命中し走行不能に陥る。それを確認した黒マスクは部下達と共にゆっくりと降下する。そして、のび太達のレースカーの近くまで歩いて行く。

 

ドルマンスタイン「ふっ、急所は外してある」

黒マスク「さあ、出て来い!死なない様にしてやったんだ」

部下1「死ぬも何も無え!最初っから生きてませんぜ!」

黒マスク「何⁉︎」

 

部下の報告を聞くと黒マスクは苛立たしそうにのび太のレースカーに近づき車体を蹴る。すると、蹴られた部分が簡単に陥没する。それを見て黒マスクは驚きの表情を浮かべた。

 

黒マスク「これは…ラジコンねん土だと⁉︎」

ドルマンスタイン「説明してもらおうか。君は私におもちゃ狩りをさせたかったのかね?」

黒マスク「い、いえ、とんでもない!直ぐ探します」

 

ドルマンスタインは呆れながら黒マスクを問い詰める。それに黒マスクは慌てながら返し、部下達に直ぐにのび太達を捜索する様に指示を出す。そして、自身もダンデライナーに乗り込み飛び立つ。

 

黒マスク「まだそう遠くへは行ってない筈だ。この礼はたっぷりさせて貰うぞ!」

ドルマンスタイン「今度こそ楽しませて貰おう」

 

苛立ちを隠さずに呟く黒マスクの横を飛ぶ飛行艇ではドルマンスタインが銃弾を装填しながら言った。

 

 

 

のび太達は近くの木で作ったイカダで周囲が木々で覆われた川を下っていた。のび太はコントローラーを持ってラジコンを操縦しており、奈々はピー助の入った箱を抱えていて、郎夜はオールを持ってイカダを動かしていた。

 

のび太「手応えが無いな…やられたか。もうちょっと位は保つと思ったんだけど」

奈々「予想より早かったね」

郎夜「そりゃ相手もプロだからな、あんなラジコンじゃ直ぐにやられても無理は無い。のび太、まだスイッチ切るなよ」

のび太「分かってます」

 

のび太はコントローラーの手応えからラジコンがやられたと予測した。それに郎夜はオールを漕ぎながら、のび太に指示を出す。それに、のび太はラジコンのスイッチを切らずに待つ。すると、遠くの方で飛行艇の音が聞こえてきた。それを確認したのび太はラジコンのスイッチを切る。そして、四次元ポケットからある物を取り出す。

 

のび太「じゃあ手筈通りに。って言っても、そんなに難しい事じゃ無いけどね」

 

のび太は取り出した物を持ちながら余裕の表情で2人に笑いかける。それに2人も笑みを返しながら己の役割をこなす準備をして行った。

 

 

川 上空

 

黒マスク達はラジコンの電波を辿って追って来ていた。

 

黒マスク「ラジコンの電波は此処で途切れた。探せ!まだ近くにいる筈だ!」

 

黒マスクの指示で部下達は散り散りになって捜索を開始する。黒マスクは自身も探すが辺り一面のジャングルによって一向に見当たらない。

 

黒マスク「糞っ、見つからない。小賢しい!」

ドルマンスタイン「まあまあ、落ち着きたまえ。幾ら、このジャングルで隠れながら進もうとしても、ジャングルは途中で途切れる。其処を狙えば早い話だ」

黒マスク「それもそうですね。よし!全員ジャングルが途切れている所に集まれ!待ち伏せして一気に叩くぞ!」

 

ジャングルが途切れている所に続々と飛行艇が集まってくる。黒マスクもドルマンスタインも不気味な笑みを浮かべながら、その時を待つ。そして、のび太達のイカダの先端が見えた瞬間…

 

部下1・2「うわぁぁぁ⁉︎」

黒マスク「何だと⁉︎」

部下3・4「ぐあぁぁぁ⁉︎」

ドルマンスタイン「これは如何いう⁈」

 

部下達の乗る飛行艇が次々と操縦不能になり墜落して行く。黒マスクもドルマンスタインも突然の出来事に只々、驚くしか無い。その原因のイカダではのび太がにやりと不敵に笑った。

 

のび太「まさか集まって来てくれるとは思ってなかったけど、そのお陰で楽に撃ち落とせる」

 

のび太の手にはスナイパーショックライフルが握られており、そのスコープを覗きながら次々と正確に飛行艇のエンジン部分を撃ち抜いていく。因みに、何故のび太にエンジン部分が分かるのかと言うと、ケツァルコアトルスに襲われた後、黒マスクの部下達の飛行艇をじっくり観察していて大体の場所は確認していたからだ。

 

奈々「確かに密集して止まってる状態程、狙い易い物は無いね」

 

奈々もグレネードショックランチャーを持ち、集まっている飛行艇を複数同時に撃ち落とす。威力が威力なだけに近くにいた飛行艇にもダメージがいく。

 

郎夜「俺には正直あんま関係無いがな」

《コネクト、ナウ》

 

郎夜はショック手榴弾のピンを抜き、コネクトリングで相手の飛行艇の中に直通路を開き、その中に放り込む。そして、ショック手榴弾を放り込まれた飛行艇内はパニックに陥り、急いで脱出する。操縦を失った飛行艇は付近の飛行艇を巻き込みながら落下してショック手榴弾の爆発によって完全に機能を停止する。のび太が立てた作戦。それは逃げることでは無く、黒マスク達を迎え撃つ為の作戦だったのだ。先ず、ラジコンねん土で黒マスク達の注意を引き、敢えてラジコンの電波を辿らせて此方の大体の居場所を掴ませる。そして、彼方が此方の姿を確認した瞬間に攻撃する。突然の攻撃で相手が動揺するのは解り切っているので、其処からどんどん攻め落としていくと言う内容だ。ジャングルが途中で無くなっているのは予想外だったが、そんなの攻撃のタイミングが早くなるだけで作戦に支障は出なかった。寧ろ、相手の飛行艇が一定の場所にある程度集まっていたので予想よりも簡単に撃ち落とせていた。因みに、この作戦の発案者は言うまでも無く1〜10まで全てのび太である。

 

のび太「何か結構あっさりと堕ちていくね」

奈々「まあ、あんな突然の攻撃を喰らったら無理も無いんじゃない?」

郎夜「楽に越した事は無えよ。この後がキツイんだから」

 

三人は其々、飛行艇を撃ち落としていきながら言葉を交わす。如何でも良いが、傍から見たら完全に飛行艇を撃ち落としまくる武装集団である。はっきり言って物騒極まりない。一方、いい様にされっぱなしの黒マスクは歯を食いしばりながらのび太達の方を睨んでいた。

 

黒マスク「調子に乗りやがって…!その余裕も此処までだ!」

《チェリーエナジー》

黒マスク「変身!」

《ロックオン、ソーダ、チェリーエナジーアームズ》

 

黒マスクはシグルドに変身してソニックアローでイカダを狙う。それに気付いた郎夜はウィザーホワイトガンを取り出して矢を全て迎撃する。

 

シグルド「チッ、忌々しい!」

 

シグルドは苛立ちながらそう言うと、ソニックアローを構えてダンデライナーを飛び降りて此方に落ちてくる。郎夜は指輪を嵌め変えてベルトに翳す。

 

《チェイン、ナウ》

シグルド「な、何⁉︎うわぁぁ…」

バシャーン!

 

郎夜はチェインを発動して鎖をネットの様にする。其処へ飛び込んできたシグルドを受け止めて弾く。勿論、周りは川なので当然の如く水に落ちた。郎夜は暫く見ていたが浮き上がってくる気配は無かったので、また飛行艇の撃ち落としの作業に戻る。

 

のび太「郎夜さん、キツイ戦いは…」

郎夜「ありゃ嘘だった。そんな物は無かったんだ」

奈々「主に師匠の仕業ですけど…」

 

3人は何とも言えない空気の中で飛行艇を撃ち落とし続ける。だが、残り僅かとなった所で飛行艇がドルマンスタイン以外は引き上げ始めた。そして、ドルマンスタインの飛行艇は何故か水面に着陸する。3人は不思議に思いながらも取り敢えず機能停止させ様と各々の武器を構えた所で突然、辺りの気温が急激に下がった。それに驚いて見てみると何と此処ら一帯の川が凍りついていた。3人が驚いていると飛行艇からドルマンスタインが降りてきて凍結した川を歩いてきた。

 

ドルマンスタイン「貴様らよくも好き勝手やってくれたな…!私が直々に叩き潰してくれる‼︎」

 

そう言うとドルマンスタインの瞳が紫に光り、その姿を変えていく。紫の身体にティラノサウルスの意匠の頭部、プテラノドンの様な肩鎧、トリケラトプスの顔の胸部に背中にマントを付けた“恐竜グリード”の姿になった。

 

のび太「なっ⁉︎くっ、変身!」

奈々「変身!」

郎夜「変身!」

 

3人は変身して恐竜グリードに向かっていく。しかし、その時、空からプテラノドンヤミー(雄)、(雌)が襲いかかってくる。3人は何とか回避するも、プテラノドンヤミーはまた旋回して向かってくる。

 

サイガ「此処は私が!」

白い魔法使い「俺も行くぜ!」

《テンペスト、ナウ》

 

サイガはフライングアタッカーで飛び上がり、白い魔法使いもローブと金の縁取りが緑になった“テンペストスタイル”へと変わりプテラノドンヤミー達の方へ向かっていく。ディケイドは拳を構えて恐竜グリードと対峙する。

 

ディケイド「はあっ!」

恐竜グリード「ふん、無駄だ」

 

ディケイドは右拳を振るうが恐竜グリードは左腕で受け止める。更にディケイドは中段蹴り、前蹴り、右拳と攻撃を連続で放つも全て受け止め捌かれる。恐竜グリードは右拳を捌いた後、ディケイドに拳を連続で喰らわせ膝蹴りを放つ。ディケイドが膝蹴りで体をくの字に折った時に上段蹴りで右に吹き飛ばす。

 

ディケイド「がぁっ!まだだ!」

恐竜グリード「懲りないな。はあっ‼︎」

 

直ぐに立ち上がり向かって来るディケイドに、恐竜グリードは呆れながら手を翳して紫の波動を放つ。波動を喰らったディケイドは再び地に伏せる。恐竜グリードは、その姿を見て嘲笑う。

 

 

上空

 

サイガ「やあっ!」

白い魔法使い(テンペスト)「おらぁ‼︎」

プテラノドン(雄)「ぐうぅ…」

プテラノドン(雌)「ええい!」

 

サイガと白い魔法使い(テンペスト)は、プテラノドンヤミー達相手に結構善戦していた。前回の戦いは2対1だったが、今は2対2。サイガも最も本領発揮出来る空中戦。よって、比較的有利に戦いを進めることが出来ていた。サイガが光弾を連射してプテラノドンヤミー達を攻撃する。プテラノドンヤミー達は、それを躱すも其処へ白い魔法使い(テンペスト)がウィザーホワイトガンで銃撃する。流石に其れまでは躱せずに攻撃を喰らうプテラノドンヤミー。サイガも怯んでいるプテラノドンヤミー(雄)に向かってフライングアタッカーのスピードを利用して蹴りを放ち、その威力にプテラノドンヤミー(雄)は吹き飛ばされる。プテラノドンヤミー(雌)はサイガの後ろをとり襲いかかる。

 

白い魔法使い(テンペスト)「おっと、そうはいかないな!」

《チェイン、ナウ》

 

プテラノドンヤミー(雌)は突然、魔法陣から出現した幾つもの鎖に拘束される。抜け出そうともがくプテラノドンヤミー(雌)を他所に白い魔法使い(テンペスト)は更に魔法を発動させる。

 

《エクスプロージョン、ナウ》

プテラノドン(雌)「ぐおあぁぁ⁉︎」

 

プテラノドンヤミー(雌)は、魔力の爆発によって大ダメージを受けながら吹き飛ぶ。プテラノドンヤミー(雄)もサイガの至近距離での光弾の連射に同じ方向に飛ばされる。

 

プテラノドン(雄)「くそっ!」

プテラノドン(雌)「人間風情が…!」

サイガ「人間をあまり舐めない方が良いよ?」

白い魔法使い(テンペスト)「そう言うことだ。決めるぞ奈々」

サイガ「はい!」

 

サイガと白い魔法使い(テンペスト)が其々の必殺技を繰り出そうとした時、下から紫の波動が2人を襲った。2人は、それによって動作を中断させられる。そして、下の戦いを見てみるとディケイドが一方的にやられていた。

 

恐竜グリード「もう終わりとは、彼奴はこんな奴に手こずっていたのか」

ディケイド「ぐわぁぁ!」

 

恐竜グリードは呆れた様な口調でそう言いながら紫の光弾を放つ。それにディケイドは火花を散らしながら後退して膝をつく。

 

ディケイド「こいつ…何て力だ。だけど!」

《KAMENRIDE NIGOU》

 

ディケイドはバッタの様なマスク、赤い複眼、二本の触覚、黒のスーツに緑の胸部装甲、肩などを走る白いライン、そして手足の赤い手袋とブーツが特徴の戦士“仮面ライダー2号”へと変身する。

 

恐竜グリード「ほお…だが、姿を変えた位では私には勝てんよ」

D2号「それはどうかな!」

 

D2号は恐竜グリードに向かって走り、そのスピードに乗り拳を振るう。恐竜グリードは手で受け止めようとするも、そのパワーに弾かれる。D2号はガラ空きになったボディーに左拳を振るい、恐竜グリードの体が僅かに宙に浮いた所に顔面に右拳を放つ。恐竜グリードは後ろへ吹き飛ばされるが何とか勢いを殺す。

 

恐竜グリード「これは…成る程、中々のパワーだな。これなら手加減の必要は無いか…」

D2号「何?」

恐竜グリード「ふっ!」

D2号「っ!ど、何処に⁈ぐわぁぁっ⁉︎」

 

恐竜グリードは身体を液状化してD2号の後ろに回り込む。D2号が驚いている隙に攻撃して吹き飛ばす。D2号が立ち上がり攻撃を仕掛けるも、またもその身体を液状化して躱しD2号の横に現れ紫の光弾を放つ。

 

D2号「お前…その能力は…」

恐竜グリード「こんな事も出来るぞ」

 

恐竜グリードは左腕に二連装の砲身を出現させる。そして、D2号に向かって容赦無く発射する。D2号は火花を散らし倒れる。

 

D2号「これは…まさか!」

恐竜グリード「此れでも喰らえ!」

 

恐竜グリードは両の掌を前に突き出す。すると、其処から竜巻が発生しD2号に向かう。それ喰らったD2号は大きく吹き飛ばされディケイドの姿に戻る。

 

恐竜グリード「はっはっはっ、呆気ないな!この程度か!」

ディケイド「あぁ…ぐっ…はあはあ…」

 

ディケイドはフラフラになりながらも何とか立ち上がりもたつく足で恐竜グリードに向かおうとする。

 

シグルド「其処までだ‼︎」

ディケイド「っ!お前!」

シグルド「よくもやってくれたな!もう容赦はしないぞ‼︎」

ディケイド「くっ⁉︎」

シグルド「おっと、動くなよ?此方にはこいつが居るんだ」

ディケイド「っ!ピー助!」

ピー助「ピィ!ピィ!」

 

シグルドの手にはピー助が抱えられていた。シグルドは驚くディケイドの頭上を飛び越えて恐竜グリードの元へ行く。

 

シグルド「オーナー、ピー助です」

恐竜グリード「おお!漸く手に入れた!」

シグルド「それで彼奴の相手は私にさせて貰えないでしょうか?」

恐竜グリード「構わん。ピー助さへ手に入れば如何でも良いわ」

シグルド「では」

 

シグルドはディケイドの方を向き直る。ディケイドは構えを取るも、それをシグルドは静止させる。

 

シグルド「おっと、此方にはピー助が居るんだ。下手に動くなよ」

ディケイド「!くそっ!」

シグルド「ふっふっふっ、はあっ‼︎」

 

シグルドはディケイドに向かって走り、ソニックアローで切り裂く。ディケイドは抵抗する事が出来ずされるがままになる。シグルドは連続でディケイドを切り裂き、殴り、蹴りつける。ディケイドは吹き飛ばされ倒れて悶え苦しむ。シグルドは空中に矢を放ちさくらんぼのエネルギーを発生させ、其処から大量の矢を飛ばす。今のディケイドには、それを迎撃も避ける事も出来ず全て喰らう。更に、ディケイドの周りの氷が砕かれ下の川が姿を見せる。シグルドはふらつくディケイドにゆっくりと近づいていく。

 

シグルド「さらばだ、のび太くん」

《チェリーエナジースカッシュ》

シグルド「はあっ‼︎」

ディケイド「があぁぁぁぁぁ‼︎」

 

シグルドはハンドルシーボルコンプレッサー握り押し込み、ソニックアローのアークリムに赤いエネルギーを溜める。そして、それをディケイドに向かって一気に振り切り裂く。それを喰らったディケイドは火花を散らして吹き飛ばされ川に投げ出される。

 

シグルド「此れでもう終わりだな」

恐竜グリード「よし、では基地に戻るとするか」

シグルド「はい」

 

シグルドはダンデライナーに乗り、恐竜グリードは自身の力で飛び立ちながらその場を離れる。水中のディケイドは変身が解除されて薄れゆく意識の中で尚も此方に向かって鳴くピー助に向かって手を伸ばそうとする。しかし、その手は途中で力尽きたかの様に降ろされ、のび太は完全に意識を失った。

 

 

 

続く




後書きの間

ドラえもん「後書き〜、って皆は?」
カリス「おじいちゃん達は本編の戦闘で欠席、愚作者は前書きでの…」
Δデルタ「呼んだか!」
ドラえもん「何故生きてるし!」
Δデルタ「しぶとさが今の僕の長所さ」
カリス「逆に言えばそれ以外は皆無」
Δデルタ「さあ、本編での話に移ろうか!」←露骨な話題逸らし
ドラえもん「全く…。所で、あのドルマンスタインが変身した恐竜グリードの能力って…」
カリス「他のグリードの能力だよな」
Δデルタ「まあ本編では語れないと思うから言うけど、あの恐竜グリードは恐竜系以外に他のコアメダルも取り込んでる訳だ」
カリス「成る程な、そう言う事か」
ドラえもん「そしたら大分、強くなってるんじゃない?」
Δデルタ「当たり前だろ?」
カリス「今回使ったのは、メズールの液体化、ガメルの左腕の二連装の砲身、カザリの風を操る能力の三つか」
ドラえもん「苦戦を強いられてたね。無理も無いか」
カリス「そして、シグルドは…。何だか小物感が半端無いぞ」
Δデルタ「まあ、そんなもんじゃない?彼奴は」
カリス「お前、絶対黒マスク嫌いだろう」
ドラえもん「でも、のび太くんのやられ方がまるでメロンの主任の様なんだけど」
Δデルタ「そのつもりだし」
カリス「でも、まあ何とかなるだろ」
ドラえもん「そうだね。てか、恐竜グリードの衝撃で忘れてたけど、のび太くんの作戦が鬼畜すぎやしないかい?」
カリス「それは思った。特に郎夜さんのコネクトで手榴弾を直接投げ込む奴。あれ防ぎ様ないだろう」
Δデルタ「3人とも流石と言うべきかやり過ぎと言うべきか…。のび太の射撃能力がスナイパーのお陰で更に跳ね上がってたな」
ドラえもん「まあ、のび太くんだし。射撃に関しては負けないだろうし」
カリス「それは同意する」
Δデルタ「さてと、そろそろ締めるとするか」
カリス「わかった。じゃあ皆さん。次はエピソードⅦで会おう。次回もヨロシクな!」


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エピソードⅦ

Δデルタ「やっと投稿出来たぜ!」
のび太「やっとって言う程、頑張ってたっけ?」
ドラえもん「そんな事は無かったよ」
Δデルタ「酷いな!」
郎夜「事実だろ?」
Δデルタ「そんな事は、な…い…」
奈々「図星だね」
のび太「言い切れてないもんね」
Δデルタ「さ、さあ、そろそろ本編にいこう!」
全員「…」←ジト目
Δデルタ「…な、何だよ、その目は」
全員「はぁ…」←ため息
Δデルタ「そのため息はなn…」
ドラえもん「それでは皆さん。のび太の恐竜2006 エピソードⅦを…」
全員「どうぞ!」
Δデルタ「おい!さっきのため息はなn…」
カリス「五月蝿い」
《CHOP》
Δデルタ「おごっ⁉︎」←後頭部に直撃


ドルマンスタインの基地

 

ドルマンスタイン「ふははははっ‼︎遂に、遂にピー助を、この手にしたぞ‼︎」

 

ドルマンスタインは自身の横にあるケースに入ったピー助を見ながら、手を左右に広げて叫ぶ。隣で怯えるピー助を視界に入れながら笑い続ける。其処へ黒マスクが現れる。

 

黒マスク「しかしオーナー、彼奴らはピー助を取り戻しに来る筈です。そこら辺は如何するおつもりで?」

ドルマンスタイン「ふん、別に構わん。如何せ来ても、あの2人だ。少し見た位だが、片方の子供は未熟。もう片方の奴も私に敵う力は無い。無駄な足掻きだ」

 

そう言うとドルマンスタインは椅子に腰掛け、ワインを飲む。聞くべき事を聞いた黒マスクは軽く帽子に触れて頭を下げると部屋から出て行く。1人残されたドルマンスタインは不気味な笑みを見せながら佇んでいた。

 

 

イカダ

 

周りの川が凍結した所為で動かなくなったイカダの上には意識の無いのび太と、それを看病する奈々と郎夜が居た。のび太の頭と腕には包帯が巻かれていた。そして、服の下も包帯だらけの状態であった。奈々は心配そうな表情で、寝ているのび太の隣に座っていた。郎夜も暫く様子を見ていたが、のび太は奈々に任せても良いと判断すると辺りの警戒に移る。

 

奈々「此れから如何なるんでしょうか…」

郎夜「そうだな…」

奈々「ピー助は彼奴らに攫われて、のび太くんも重傷を負って…本当に如何すれば良いんでしょうか……のび太くん…」

 

奈々の言葉には誰も答えられず、その場に虚しく響いた。

 

 

謎の空間

 

のび太「うっ、此処は…何処だ?」

 

のび太が目を覚ますと、その視界の全てに白が映る。不思議に思い起き上がると其処は上下左右全てが白で埋め尽くされていた。

 

のび太「あれ?僕は確か…彼奴らと戦って、そして負けたのか?」

?「その通りです」

 

のび太しか居なかった筈の空間に別の声が響く。のび太が、その聞き覚えのある声に慌てて振り向く。其処には自分に視線を向ける紅 渡が居た。

 

のび太「渡さん‼︎」

渡「久し振りですね、のび太くん」

 

のび太は笑顔で渡に駆け寄る。渡も、のび太に笑顔で応える。

 

のび太「はい、何だか凄い久し振りに感じます。まだ、あれから一年しか経ってない筈なんですけどね」

渡「そうですね、そう考えると不思議な物ですね」

のび太「全くですね」

渡「っと、再会を喜ぶのはこれ位にしておきましょう。時間もそんなにある訳ではないので」

 

渡は其処で区切ると真剣な表情になる。のび太も、それを見て自然と顔が引き締まる。のび太の表情を見て渡は語り出した。

 

渡「のび太くん。実は今、とんでもない事が起ころうとしています」

のび太「とんでもないこと?それって…」

渡「のび太くん、君は不思議に思いませんか?何故、君の世界に怪人達が現れ出したのか」

のび太「っ‼︎それは確かに思いました」

渡「実は最近、世界、つまり僕の管理する世界に何かが入ってきました」

のび太「何か?それって何ですか?」

 

のび太の質問に渡は首を横に振る。

 

渡「それは分かりません。ただ何かが入って来たのは間違いありません。その所為で世界のバランスが崩れ、次元の壁が脆くなり怪人の力が君の世界に紛れ込んでしまったのです」

のび太「世界のバランスが⁉︎そしたら…」

 

のび太の脳裏には一年前の危機が頭をよぎる。しかし、渡はのび太の考えを否定する。

 

渡「いえ、バランスが崩れたと言っても僅かなものです。世界の崩壊の危険性はありません」

のび太「ふぅ〜、良かった。取り敢えず安心した〜」

渡「しかし、ほんの僅かな崩れで壁が脆くなったのは事実です。そう悠長に考えてる事は出来ません」

のび太「そうなんですか…」

渡「その所為で君の世界に怪人の力を広めてしまい、平和に暮らしていた筈の君を再び戦いに巻き込んでしまいました」

のび太「気にしないで下さいよ、渡さんの所為じゃないんですから」

渡「いえ、僕の力不足です。入ってきた時点で何とか出来なかった、いや僕の力では取り除く事は出来なかった」

のび太「渡さんの力で⁈」

 

のび太は渡の言葉に驚愕を隠せなかった。渡の力はのび太も理解している。それは、管理者としての能力も渡本人の実力も。それをわかっているからこそ渡の発言は信じ難かった。

 

渡「だけど、何かについて分かっていることが1つあります」

のび太「何ですか?」

渡「その存在は僕の管理する世界ではない世界のもの。全くの未知なるものだと言うことです」

のび太「っ⁉︎ちょっと待って下さい!と言うことは、それは此処とは別の世界、異世界から来たと言う事ですか⁈」

渡「はい」

のび太「それはおかしいんじゃないですか?だって、異世界との境界なんてまず破れるものじゃあ…」

渡「ですが、実際にこちら側に来てしまっているのです。この事実は覆せません」

 

信じ切れていないのび太に語りかけ納得させる。のび太は一応は納得した様子だった。

 

渡「話を戻します。その異世界の何か、まあ異分子(イレギュラー)とでも呼びましょう。その異分子が入ってきた所為で世界の壁は不安定になり彼らの暗躍を許してしまった」

のび太「彼ら?」

渡「鳴滝とキョウの事です」

のび太「っ!知ってたんですね」

渡「ええ、鳴滝の生存を確認した時は流石に焦りました。それに加えて今度はキョウと言う者までも居ます」

のび太「こんなタイミングで、ですか」

渡「はい、そして財団Xまでもが動き出した。これは、かなりの緊急事態です」

 

渡の告げた事実を聞いて、のび太の内心は穏やかではなかった。前回、世界を崩壊させようとした鳴滝、目的の分からないキョウ、財団Xに得体の知れない異分子。此れだけの者たちが動き出して何かをしようとしていると思うと不安でいっぱいになる。しかし、そんなのび太に渡は優しく笑いかける。

 

渡「だけど、そう君が気負い過ぎる事はありません。こちらも事態の収拾に僕と仲間達が既に動き出しています。今は、そう案ずることはありません」

のび太「でも!」

渡「それに、君にはやるべき事があるのではないのですか?」

のび太「あっ、ピー助…そうだ、助けなきゃ!ピー助は僕を待ってるんだ‼︎」

 

そんなのび太の様子に渡は安心する。

 

のび太「渡さん、僕…」

渡「分かっていますよ。ですが、君に渡すべき物があります」

のび太「渡すべき物?」

渡「ええ、これです」

 

渡はそう言うとある物を取り出す。のび太はそれを見て何とも言えない表情になる。それはマゼンタに黒の線の入っていて真ん中に黒い画面のある端末“ケータッチ”だった。しかし、ケータッチには数々の大きな亀裂が入っており、とても使える様な状態ではなかった。

 

のび太「渡さん、これはもう…」

渡「分かっています。ですから、こうします」

 

渡はそう言うとケータッチを握る。すると、ケータッチが輝きだし、やがて光の球になる。それを見ているのび太に渡はDフォンを出す様に言う。のび太はDフォンを出して前に出す。そうすると、光の球が1人でに動き出してDフォンに入っていく。Dフォンは一瞬だけ輝き、やがて元に戻る。

 

のび太「渡さん、何をしたんですか?」

渡「それは使ってみれば分かる事です。しかし、その力は必ず君の力になる事でしょう」

のび太「分かりました。ありがとうございました」

渡「あっ、あとそれと此処からは僕個人からの言葉です」

 

そう言うと渡は柔和な表情を浮かべる。

 

渡「のび太くん、君は本当に強くなった。体も心も。だけど、1人では何時か限界を迎える時が訪れる。その時は遠慮無く周りを頼って良いんだよ。君は少々、1人で突っ走り過ぎな所があるからね。だから、忘れないでね。君の周りには常に仲間がいる事を」

のび太「はい‼︎」

渡「うん、いい返事だ」

のび太「あの、そう言えば僕って如何やって帰れば良いんですか?」

渡「大丈夫だよ。今、君は意識だけをこちらに飛ばしてる状態なので直ぐに元に戻れます」

のび太「分かりました。ありがとうございました、また会えて嬉しかったです。それじゃあ!」

 

のび太の姿がこの場から消える。それと同時に1人の男が、この空間に入ってくる。

 

?「ふぅ、やっと終わったぜ。今回の奴らは苦労したな」

渡「おや、真司。ご苦労様です」

真司「ああ、サンキュー。所で、さっきまで誰かと話してたみたいだけど誰だったんだ?」

渡「のび太くんですよ」

真司「へぇ〜…って、のび太⁉︎」

 

渡の言葉を聞いた真司は渡に詰め寄る。渡は若干、下がりながらも態度は崩さない。

 

渡「ええ、そうです」

真司「マジかよ、折角だから久し振りに会いたかったのにな」

渡「もう少しタイミングが違っていれば会えたかもしれませんよ?」

真司「はぁ、運悪りぃな。良太郎の運の悪さがうつったか?」

渡「いえ、良太郎の運に比べたら全然悪くはないです」

真司「そりゃ、彼奴と比べたらどんな奴でもそうなるだろ?」

渡「ごもっともですね」

真司「でも、やっぱのび太と話したかったな〜。で、如何だったのび太は?」

渡「相変わらず、と言った所ですね。戦いの腕はあげた様ですが、根の部分は何も変わっていませんでしたよ」

真司「そうか。まっ、それが彼奴の良い所だからな」

渡「そうですね。それより、また怪人が出て来た様です」

真司「またって、随分と早かったな」

渡「ええ。ですが、放っておく訳にはいきません」

真司「だな。ったく、死んでからもこんなに働くとは思ってなかったぜ」

渡「まあまあ。そんな事より、次に向かう世界には鳴滝がいると言う情報があります」

真司「何っ⁉︎じゃあ、さっさと行ってこようぜ!」

渡「勿論。キバット!」

キバット「おっしゃあ!キバって行くぜ!ガブっ!」

 

そう言うと渡の前に赤い目の金色のコウモリのモンスター“キバットバットⅢ世が飛んでくる。渡はキバットを掴むと自身の手を噛ませる。すると、顔にステンドグラスの様な模様が現れ、腰に数本の鎖が出現し巻きつく。そして、鎖はやがて赤いベルト“キバットベルト”になる。真司は龍の顔の様な模様の入った黒い長方形のケース“カードデッキ”を前に突き出す。すると、腰に銀色のベルト“Vバックル”が現れる。そして、左手を左腰に、右手を左斜め上に伸ばす。

 

渡・真司「変身!」

 

渡はキバットをキバットベルトに逆さに装着し、真司はカードデッキをVバックルに装填する。すると、渡と真司の姿が変化する。渡は半透明の硝子の様な物に包まれて、それが弾けると黄色のコウモリの羽根の様な形の複眼、赤い上半身、体と右足には銀色の鎧があり、肩と右足に鎖“カテナ”が巻かれている黄金のキバと呼ばれる戦士“仮面ライダーキバ”になる。真司の身体には鏡像が重なり赤い複眼に銀色の顔を覆うマスク、赤い身体に上半身の銀色の装甲、左腕には龍の頭を模した“龍召機甲ドラグバイザー”が装備されたミラーライダー“仮面ライダー龍騎”になる。

 

龍騎「っしゃあ!」

キバ「そうそう、一真は既に到着しています」

龍騎「相変わらず仕事が早いな」

キバ「僕達も行きますよ」

龍騎「おう!」

 

キバと龍騎の前に次元の壁が出現し、2人はそこへ飛び込んで行った。そして、2人が消えた後、次元の壁も消えた。

 

 

イカダ

 

のび太「うっ、ううん。ここは…」

奈々「!のび太くん!」

のび太「あれ、奈々ちゃん?ここは?」

奈々「良かった〜‼︎」

のび太「えっ⁉︎」

 

奈々は目覚めたのび太に抱きつく。のび太はどんな状況か理解出来なかったが、段々と分かってくる。が、そこで激痛がのび太を襲った。

 

のび太「っ⁉︎(痛たたたたたっ‼︎き、傷が!傷が‼︎)」

郎夜「おい奈々。安心したのは分かるが、そろそろ離してやれ。のび太がやばい」

奈々「えっ…ああっ!ご、ごめん!大丈夫?」

のび太「うん、何とか」

 

郎夜の言葉でのび太が重傷の怪我人だと言うことを思い出して奈々は慌てて離れる。のび太は奈々の心配そうな様子を見て大丈夫だと返す。取り敢えず落ち着いた所で状況の確認をすることになった。

 

のび太「郎夜さん、今の状況は?」

郎夜「まあ分かってはいると思うが、お前さんはあの金髪と黒マスクに敗北しピー助は攫われた。俺達はあと一歩の所でプテラノドン擬きを取り逃がした。で、今ガルーダに敵を追跡してもらっている。これが現状だ」

のび太「そうですか…分かりました」

奈々「これから如何するの?」

のび太「決まってるよ。敵の基地を見つけ次第ピー助を助けに行く」

 

奈々の問いにのび太はきっぱりと答える。それに奈々は驚き、郎夜は難色を示した。

 

郎夜「だが、正直ピー助の救出は難しいぞ。あっちには、あの金髪がいる。彼奴の力は凄まじいものだ。今回は何とか助かったが、次も助かる可能性は少ない」

奈々「そうだよ!それにあっちには黒マスクや怪人達も居るだよ⁉︎」

のび太「それでも行く。ピー助を助ける」

郎夜「あのな、のび太。今回ははっきり言って無理に近い。だから…」

のび太「関係無いです。行きます」

奈々「のび太くん!」

のび太「ピー助は僕を待ってくれてるんだ。こんな本当の親でもない僕なんかの助けを待ってるんだ。僕はピー助に言ったんだ。必ず日本に送り返すって、守るって。だから、だから!何が何でも助けに行く!」

 

のび太の言葉に郎夜と奈々は圧倒される。それだけの迫力が今ののび太の言葉にはあった。それは、のび太の覚悟の大きさを示していた。

 

郎夜「分かった。行こう」

のび太「郎夜さん…」

奈々「うん。今の言葉で思い出したよ。ピー助に言ったもんね。だから、助けに行こう!」

のび太「奈々ちゃん…」

郎夜「おっと、丁度良い所にガルーダが戻って来たな。良し行くぞ!」

のび太・奈々「はい!」

郎夜・のび太・奈々「変身!」

 

3人は変身をする。サイガはフライングアタッカーを起動し、白い魔法使いはハリケーンウィザードリングを嵌め、ディケイドはカードを装填する。

 

《テンペスト、ナウ》

《FORMRIDE WIZARD HURRICANE》

 

白い魔法使いはテンペストスタイルにチェンジし、ディケイドは逆三角形の緑色の宝石の様な顔に黒いローブ、緑色の胸部、左手のハリケーンウィザードリングが特徴の指輪の魔法使い“仮面ライダーウィザード・ハリケーンスタイル”に変身する。3人は飛び上がるとホワイトガルーダの案内に従って飛んで行った。

 

 

ドルマンスタインの基地前

 

3人がホワイトガルーダの案内に従って来た場所は大きな滝の前だった。

 

白い魔法使い(テンペスト)「如何やらここみたいだな」

サイガ「そうみたいですね」

Dウィザード(ハリケーン)「ん?あれは?」

 

Dウィザード(ハリケーン)の視線の先には幾つかのタイムボールが滝の内部に入ろうとしていた。しかし、滝に触れた瞬間に電撃が走り落ちていく。

 

Dウィザード(ハリケーン)「バリアが張ってあるみたいだ」

サイガ「本当だ」

白い魔法使い(テンペスト)「如何する?」

Dウィザード(ハリケーン)「如何するって、決まってるじゃないですか」

白い魔法使い(テンペスト)「だな!奈々良いな?」

サイガ「?…あっ!そう言うことですか!」

《FINALATACKRIDE WI・WI・WI・WIZARD》

《イエス!キックストライク!アンダースタンド?》

《Exceed Charge》

 

Dウィザード(ハリケーン)と白い魔法使い(テンペスト)は右脚に風の力を纏った飛び蹴り“ストライクウィザード”と“ホワイトストライク”を放ち、サイガは右脚にフォトンブラッドを収束して落下の勢いを利用しての蹴り“コバルトスマッシュ”を放つ。3人の蹴りが滝のバリアと接触すると拮抗するが、それも僅かな間だけで直ぐに破られてしまった。3人はバリアを破った勢いで内部に侵入する。

 

サイガ「無事に入れましたね」

白い魔法使い(テンペスト)「そうだな。それにしても、そんなに広くはなかったな」

Dウィザード(ハリケーン)「はい。意外でしたね」

 

白い魔法使いの言ったとおり中はそんなに広くはなく天井も特別高いとは言えない位であった。3人は警戒しながらも急いで向かっていた。その時、突如前の地面が爆発する。3人は驚きながら止まる。すると、3人の前にプテラノドンヤミー(雄)、(雌)が現れる。

 

プテラノドン(雄)「ここから先には行かせん」

プテラノドン(雌)「ここで朽ちろ」

サイガ「ここは私に任せて、2人は先に行って!」

Dウィザード(ハリケーン)「うん。分かった」

白い魔法使い(テンペスト)「気を付けろよ!」

サイガ「はい!」

プテラノドン(雄)「行かせん!」

 

プテラノドンヤミー(雄)はDウィザード(ハリケーン)と白い魔法使い(テンペスト)に破壊光弾を放とうとするがサイガの銃撃に怯む。その隙に2人はプテラノドンヤミー達の横を通り過ぎる。敵の侵入を許してしまったプテラノドンヤミー達は忌々しそうにサイガの方を向く。

 

プテラノドン(雌)「貴様っ…!」

サイガ「2人を追いたいなら私を倒してからだよ!」

 

サイガはフライングアタッカーをステアコントローラーにミッションメモリを装填し引き抜いたトンファー“トンファーエッジモード”にする。サイガはトンファーを構えてプテラノドンヤミー達に声高々と宣言した。

 

 

Dウィザード(ハリケーン)と白い魔法使い(テンペスト)は真っ直ぐに続く通路を走っていた。

 

Dウィザード(ハリケーン)「長いな、この通路」

白い魔法使い(テンペスト)「全くだ。どこまであるんだよ」

 

2人が愚痴を言いながら走っていると目の前に何かが飛び出して来て2人に襲いかかる。2人は咄嗟に銀色の剣銃“ウィザーソードガン・ソードモード”とハーメルケインで受け止める。2人が目の前を見ると、そこに居たのはライオンインベスであった。しかし、爪が伸びて背中に翼が生えている強化体であった。

 

Dウィザード(ハリケーン)「こいつは…」

白い魔法使い(テンペスト)「あの時の…」

ライオンインベス(強化)「ウガァァァ‼︎」

Dウィザード(ハリケーン)「うあっ⁉︎」

白い魔法使い(テンペスト)「うおっ⁉︎」

 

ライオンインベス(強化)は爪を思いっきり振って2人を弾き飛ばす。Dウィザード(ハリケーン)は、その衝撃でディケイドに戻ってしまう。

 

ディケイド「何てパワーだ」

白い魔法使い(テンペスト)「のび太、お前さんは先に行け」

ディケイド「でも…」

白い魔法使い(テンペスト)「安心しろ、こんなのに負けねえよ。だから早く行け!」

ディケイド「分かりました。お願いします!」

 

ディケイドは先に向かおうとするがライオンインベス(強化)が行かせまいと爪を振るう。しかし、ディケイドはスライディングの要領で避けるとそのまま走り去る。ライオンインベス(強化)は尚も追おうとするが、白い魔法使い(テンペスト)にハーメルケインで切り裂かれた事で意識を完全に白い魔法使い(テンペスト)の方に向ける。

 

ライオンインベス(強化)「ウオガァァァァ‼︎」

白い魔法使い(テンペスト)「さあ、かかって来い!」

 

ライオンインベス(強化)は白い魔法使い(テンペスト)に向かって駆け出して、白い魔法使い(テンペスト)はそれを迎え撃つ為にハーメルケインを構えた。

 

 

闘技場

 

ディケイドは通路を抜けて何やら広い場所に出た。ディケイドが辺りを見回していると背後から矢が飛んでくる。ディケイドはそれを後ろ回し蹴りで迎撃し、そのまま後ろを向く。其処には、ソニックアローを構えたシグルドがいた。

 

シグルド「君は随分としぶといな。まさか、あの川に落ちて助かっているとは」

ディケイド「あいにく、僕はそんな簡単にくたばるつもりはないからね。それより、ピー助は何処だ?」

シグルド「まあまあ、落ち着きたまえ。一つゲームをしないか?」

ディケイド「ゲーム?」

シグルド「そう。ルールは簡単だ。君と私がこの場で戦う、ただそれだけ。君が勝てばピー助を渡そう、私が勝てば君は此処で朽ちて化石となる。どうする?」

 

シグルドの問いにディケイドは深呼吸を一回すると、シグルドを見据える。そして、答える。

 

ディケイド「ああ、分かった。その条件で受けて立つよ」

シグルド「ふっふっ、そうこなくては」

 

ディケイドはライドブッカー(ソード)を構え、シグルドもソニックアローを手に構える。お互いに緊迫した空気が流れる。2人は無言で睨み合いながら武器を構えて待つ。そして、お互いの手が動いた瞬間、2人は走り出す。

 

ディケイド「はあぁぁぁ‼︎」

シグルド「であぁぁぁ‼︎」

 

お互いの距離が段々と縮んでいき、ゼロになった所で其々の得物を振るった。

 

 

続く

 




後書きの間

のび太「さて、恒例の後書きの間だね」
ドラえもん「今回はピー助の救出に向かう回だったね」
郎夜「それにしても、奈々は大丈夫か?あの2体の相手」
奈々「大丈夫です!今度は勝ってみせます!」
Δデルタ「てか、侵入方法が荒過ぎる…」
のび太「仕方が無いじゃない。それ以外に手っ取り早いのが思いつかなかったんだから」
ドラえもん「そう言えば、今回は渡さんと真司さんが出て来たけど、何故に真司さんが居るの?」
Δデルタ「それは、真司が原典の世界で死んだ後その魂を渡に拾われて渡が魂の記憶から真司の肉体を再現したと言う訳だ」
奈々「渡さんってなんでもあり?」
Δデルタ「割とな」
郎夜「後は渡から貰った力なんだが、それは本編で分かるのか?」
Δデルタ「勿論。劇場版編の最終決戦で使用予定だ」
ドラえもん「所で、如何してケータッチが使用不可能な程に破損してたの?」
のび太「それは、一年前のアポロガイストとの最後の戦いの直前に破壊されちゃってね」
奈々「誰に」
のび太「鳴滝」
郎夜「あの人は本当、何でもやらかすな」
Δデルタ「それが鳴滝だろ?」
ドラえもん「まあ、否定はしないけどさ」
奈々「じゃあ、そろそろ締めにしません?」
のび太「そうだね。それでは皆さん!次回のエピソードⅧで会いましょう!」
Δデルタ「全てを破壊し、全てを守れ!」
全員「また何かその場の思いつきで言ったな…」


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エピソードⅧ

Δデルタ「皆さん、お久しぶりです」
のび太「本当だよ何やってたんだよお前」
ドラえもん「そうだよ。こんなに間をあけて。待ってる読者様に失礼だろ!」
郎夜「まあ、こんな小説を待ってる読者様がいるとは思えないが」
奈々「師匠、それは言ってはいけないです」
Δデルタ「いや、そのな。忙しかったんだよ。夏休み明けて、直ぐ課題テストに文化祭、体育祭と行事がありすぎたんだ」
郎夜「でも、お前さんテストは夏の課題さぼって解らず、体育祭なんて何の競技にも出てないだろ?」
Δデルタ「何故その事を!」
奈々「図星だったんだ…」
ドラえもん「それにね…」
のび太「忙しいのは他の作者様方も同じだよ!お前なんか目じゃない位にな!」
郎夜「お前なんか忙しいのうちに入らねぇよ!」
Δデルタ「酷いな、お前ら⁉︎」
ドラえもん「では、皆様。ドラえもん のび太の恐竜2006 エピソードⅧを…」←作者の意見は徹底的に無視
全員「どうぞ‼︎」
Δデルタ「…もう皆嫌いだ…」←膝を抱えて蹲る


サイガ「たあっ!」

プテラノドン(雌)「ふんっ!」

プテラノドン(雄)「はっ!」

 

サイガは拳を振るうも、プテラノドンヤミー達はそれを後ろへ下がって回避し再び接近する。サイガは左から攻めてきたプテラノドンヤミー(雄)に蹴りを放つ。それを喰らいプテラノドンヤミー(雄)は後退するが、プテラノドンヤミー(雌)がその隙に腕で攻撃を仕掛ける。しかし、サイガはそれを片方のトンファーエッジで受け止めると、もう片方のトンファーエッジで斬り裂く。更にそこへ右拳で攻撃し、その勢いを利用して右回し蹴りを繰り出す。それによりプテラノドンヤミー(雌)は吹き飛ばされる。そこへ、プテラノドンヤミー(雄)が再度攻めてくるも、先程の回し蹴りの勢いで後ろ回し蹴りを放ち蹴り飛ばす。

 

プテラノドン(雄)「ぐあっ⁉︎くぅ、はあっ‼︎」

サイガ「っ!きゃあ‼︎」

 

プテラノドンヤミー(雄)は蹴り飛ばされながらも、破壊光弾をサイガに放つ。突然の反撃にサイガは反応出来ず喰らってしまう。更に、そこへプテラノドンヤミー(雌)が接近し腕を連続で振るいサイガを攻撃する。火花を散らしながら攻撃を受け続けるサイガを、横からプテラノドンヤミー(雄)が

破壊光弾で吹き飛ばす。

 

サイガ「くっ⁉︎うわぁっ‼︎」

プテラノドン(雄)「やはり、貴様1人では大した事は無いな」

プテラノドン(雌)「大人しくしていれば直ぐに楽にしてやるものを」

サイガ「巫山戯ないで‼︎」

 

プテラノドンヤミー達の言葉を聞いたサイガは、そう言いながらトンファーエッジを構えて一直線に向かっていき攻撃を放つ。しかし、プテラノドンヤミー達は攻撃を受け止めると蹴り飛ばす。そして、地面を転がるサイガに同時に破壊光弾を放つ。それによってサイガは更に後ろに吹き飛ぶ。

 

プテラノドン(雌)「幾ら足掻こうと貴様では我らには勝てん」

プテラノドン(雄)「所詮は無駄な事だ」

サイガ「たああああっ‼︎」

 

サイガはプテラノドンヤミー達の言葉には耳を貸さずに駆け出す。そして、ある程度の距離に来た所で飛び蹴りを放つ。プテラノドンヤミー達は左右に分かれて躱し、腕で攻撃を仕掛ける。それをサイガは両のトンファーエッジで其々の攻撃を受け止める。プテラノドンヤミー達はサイガを抑え込もうと腕に力をいれる。サイガは、プテラノドンヤミー達の攻撃を受け止めながらも、プテラノドンヤミー(雌)に足払いをかける。それにより、プテラノドンヤミー(雌)はバランスを崩し倒れる。サイガは空いた片方の腕でプテラノドンヤミー(雄)に拳を放ち、相手がよろけた所へ飛び回し蹴りを放ち、蹴り飛ばす。すると、先程倒れたプテラノドンヤミー(雌)が向かって来て至近距離で破壊光弾を撃つ。それを避けられずサイガは大きく吹き飛ぶ。更にプテラノドンヤミー(雄)は吹き飛ばされたサイガに低空飛行で接近しすれ違い様に腕で攻撃を放つ。サイガは火花を散らして倒れる。

 

プテラノドン(雄)「ぐっ!少々侮り過ぎたか…」

プテラノドン(雌)「だが、貴様が調子づくのもここまでだ!」

サイガ「くっ!」

 

プテラノドンヤミー達は同時にサイガに向かって行く。そして、同時に攻撃を放つ。更に、どんどん攻撃を加えていく。実に見事な連携で、サイガは為す術も無く攻撃を喰らう。偶に反撃をしようとするも呆気なく潰されて機会を失う。プテラノドンヤミー達はサイガを吹き飛ばし、そこへ連続で破壊光弾を撃つ。

 

サイガ「きゃああああっ‼︎」

プテラノドン(雄)「まあ、こんなものか」

プテラノドン(雌)「人間にしては良く粘ったが、ここまでだな」

 

プテラノドンヤミー達はとどめを刺そうと倒れているサイガに近づく。しかし、あるものを見て途中で足を止めた。それは、サイガが少しふらつきながらも立ち上がる光景だった。

 

サイガ「まだ、終わって、無い‼︎」

プテラノドン(雄)「分からんな、何がお前をそうさせる?」

プテラノドン(雌)「我らに敵う筈も無いだろうに」

 

そんなサイガの様子に至極不思議と言った風にプテラノドンヤミー達は問い掛ける。

 

サイガ「…諦めたくないから」

プテラノドン(雄)「何だと?」

サイガ「私は何時も誰かに守られてきた。師匠やのび太くんに…。でも、もうそんなのは嫌だ!私も一緒に戦いたいから!2人の隣で戦える様になりたいから!今はまだ届かないけど、それでも!それに、これは2人が任せてくれた戦いなんだ。だから私は戦うんだ‼︎」

プテラノドン(雌)「そんな事をしても、貴様の力では絶対に我らに勝てはしない」

サイガ「こんな未熟な私だけど1つ貴方達に言えることがある」

プテラノドン(雄)「何?」

 

サイガはそこでトンファーエッジを構えて闘志を漲らせながら言い放つ。

 

サイガ「世の中に絶対なんて事は無い!」

プテラノドン(雄)「生意気な」

プテラノドン(雌)「小賢しい」

 

プテラノドンヤミー達はサイガに向かって攻撃を仕掛ける。サイガはプテラノドンヤミー(雄)の攻撃を躱し、プテラノドンヤミー(雌)の攻撃は受け止めて蹴りを放つ。プテラノドンヤミー(雌)は少し後退するも再び向かっていく。サイガは、それを見て右手のトンファーエッジを逆手に持ち替えてサイガドライバーに付けたままサイガフォンを開きENTERキーを押す。

 

《Exceed Charge》

 

右手のトンファーエッジにフォトンストリームVer.2を経由しフォトンブラッドが集約し、その刀身が青色に輝く。サイガはトンファーエッジを構える。そして、此方に向かって来るプテラノドンヤミー(雌)に駆け出す。

 

サイガ「はあっ‼︎」

プテラノドン(雌)「がぁ⁉︎」

 

サイガはエクシードチャージしたトンファーエッジで敵を斬り裂く技“サイガスラッシュ”で、すれ違い様にプテラノドンヤミー(雌)を斬り裂いた。そして、そのまま攻撃をしてこようとしてきたプテラノドンヤミー(雄)にトンファーエッジを突き刺す。

 

サイガ「たあっ‼︎」

プテラノドン(雄)「ぐがぁぁ‼︎」

 

そして、そのまま横に振り抜きプテラノドンヤミー(雄)を一気に斬り裂いた。サイガスラッシュを喰らったプテラノドンヤミー達は一瞬、動きが止まるも2体共、浮き上がったΨの文字と共に爆発した。

 

 

 

ライオンインベス(強化)「ガアッ!」

白い魔法使い(テンペスト)「おらぁ!」

 

白い魔法使い(テンペスト)は、ライオンインベス(強化)の爪を屈んで回避するとハーメルケインで斬り裂く。しかし、テンペストスタイルでは力が弱い所為か大したダメージでは無かった。ライオンインベス(強化)は、またも爪を振るう。白い魔法使いは転がって躱し、ライオンインベス(強化)の背後をとって袈裟、左切り上げ、袈裟と連続で繰り出す。だが、やはりあまり効いてはいない様で大したダメージをみせず、ライオンインベス(強化)は振り返り様に爪を振るう。

 

ライオンインベス(強化)「ウガァッ‼︎」

白い魔法使い(テンペスト)「うおわっ⁉︎」

 

白い魔法使い(テンペスト)は、それに気付き咄嗟に飛び退いて回避し、バク転して距離をとる。そして、ある程度距離をとって離れた所で呟く。

 

白い魔法使い(テンペスト)「やっぱ此奴を相手するならホライゾンで押すのが手っ取り早ぇな」

 

白い魔法使い(テンペスト)は、腰からランドウィザードリングを外し自分の指に嵌めようとする。しかし、それにライオンインベス(強化)が気付き、止めようと一直線に突っ込む。

 

白い魔法使い(テンペスト)「あまいっ!」

 

しかし、白い魔法使い(テンペスト)はライオンインベス(強化)の爪を跳んで躱し、そのままライオンインベス(強化)を踏み台に更に跳躍する。跳んでいる間に白い魔法使い(テンペスト)はハンドオーサーを操作して、指輪をランドウィザードリングに嵌め変える。そして、それをワイズドライバーに翳す。

 

《ホライゾン、ナウ》

 

白い魔法使い(テンペスト)の前に黄色の丸い魔法陣が現れる。それを、前方宙返りをしながら通過し、そのまま着地する。そこに居たのは、ローブと身体の縁取りが黄色の“ホライゾンスタイル”となった白い魔法使いだった。白い魔法使い(ホライゾン)は、ハーメルケインを構えながらライオンインベス(強化)と対峙する。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「さて、ここからが本当の宴の時間だ!」

ライオンインベス(強化)「ウガァッ!」

 

白い魔法使い(ホライゾン)が、そう言い放つとライオンインベス(強化)は咆哮を上げながら駆け出す。白い魔法使い(ホライゾン)も、ライオンインベス(強化)が駆け出したのを見ると自身もライオンインベス(強化)に向かって駆け出す。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「ふっ!」

 

ライオンインベス(強化)は、爪を振るい白い魔法使い(ホライゾン)を斬り裂こうとする。しかし、白い魔法使い(ホライゾン)は、それを力任せに上へ弾く。そして、ガラ空きとなった相手にミドルキックを放ち、それでよろめいた所へ袈裟、左薙ぎと斬りつけ最後に突きを繰り出す。それを喰らいライオンインベス(強化)は後ろへ飛ばされ地面を転がる。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「如何した?もう終わりかい?」

ライオンインベス(強化)「ガアァァァァァ‼︎」

白い魔法使い(ホライゾン)「良いねぇ…やっぱり、そう来なくちゃなぁ!」

 

未だ咆哮を上げ闘おうとするライオンインベス(強化)の様子に、白い魔法使い(ホライゾン)は嬉しそうに、そう言いライオンインベス(強化)に向かって駆け出す。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「はあっ!どりゃっ!だあっ‼︎」

ライオンインベス(強化)「ウガッ⁉︎グガッ!ガアァァ!」

 

白い魔法使い(ホライゾン)は、ライオンインベス(強化)の攻撃を上に跳び上がって回避し、そのまま落下の勢いでハーメルケインを振り下ろす。ライオンインベス(強化)は、火花を散らしながら後退する。そこへ白い魔法使い(ホライゾン)は、ハイキック、後ろ回し蹴り、飛び回し蹴りと蹴りの三連撃を放つ。ライオンインベス(強化)は大きく吹き飛ばされる。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「さてと、そろそろ幕引きといこうか」

 

白い魔法使い(ホライゾン)は、ハーメルケインを横に構えて吹く。辺りに、ハーメルケインの音色が響き渡る。それと同時にハーメルケインの刀身に黄色の魔力が収束する。そして、ある程度溜まった所で吹くのをやめてハーメルケインを構える。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「はぁぁぁ…だあっ‼︎」

ライオンインベス(強化)「ウガァァァァッ‼︎」

 

白い魔法使い(ホライゾン)は、魔力の斬撃“ハーメルストライク”をライオンインベス(強化)に飛ばす。先程までのダメージで避ける事が出来ないライオンインベス(強化)は、ハーメルストライクを受けて爆発を起こす。それを見て白い魔法使い(ホライゾン)は、ハーメルケインを下ろす。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「ふぅ〜、終わった」

サイガ「師匠〜!」

白い魔法使い(ホライゾン)「ん?おお、奈々。如何やら勝ったみたいだな」

サイガ「はい!」

白い魔法使い(ホライゾン)「そうか。よし、じゃあさっさとのび太と合流するか」

サイガ「分かりました」

 

白い魔法使い(ホライゾン)とサイガは、のび太のいる所を目指して走り出した。

 

 

 

闘技場

 

ディケイド「はあっ!」

シグルド「ふんっ!」

 

ディケイドの振り下ろしたライドブッカーソード)をシグルドはソニックアローで受け止める。そして、ライドブッカー(ソード)を上へ弾き、斬りかかろうとする。しかし、ディケイドは後ろに下がりギリギリで躱し、カウンターでミドルキックを喰らわせる。更にシグルドがよろけた所に、袈裟、左薙ぎ、袈裟、左斬り上げと斬りつける。シグルドは斬撃を喰らい地面を転がる。ディケイドは追撃を仕掛けようと接近するが、シグルドは地面に倒れながら矢を放つ。

 

ディケイド「ぐあっ⁉︎くっ…!」

シグルド「はあ、はあ…。たあっ‼︎」

 

ディケイドは矢を喰らった箇所を押さえながら後退し、シグルドも直ぐに立ち上がりソニックアローを構えながら下がる。

 

シグルド「中々やるね、正直ここまでやるとは予想外だったよ。この前のは手加減していたのかな?」

ディケイド「さあね、それよりさっさと続けよう」

シグルド「ふっ、やはり君は少しせっかちな様だね」

ディケイド「そうかも、ねっ!」

 

ディケイドはそう言いながら、ライドブッカー(ソード)を手に向かって行く。シグルドは、ディケイドを狙って矢を放つが、ディケイドはライドブッカー(ソード)で弾いたり躱したりしながら勢いを緩めること無く向かって行く。そして、ライドブッカー(ソード)を振り下ろす。シグルドは、ソニックアローで受け止めるが、ディケイドは更にそこへ前蹴りを放ち、斬りかかる。シグルドは前蹴りで少し後退するが振り下ろされたライドブッカー(ソード)に反応し半身になり躱す。そして、逆にソニックアローで斬りつける。火花を散らして下がるディケイドに矢を放ち追撃を仕掛ける。

 

ディケイド「ぐあぁぁ‼︎」

シグルド「ふっ、そろそろ終わりにしないかい?のび太くん」

ディケイド「はぁ、はぁ…。ああ、そうだね。僕も今、調度そう思った所さ」

シグルド「そうか、なら精々苦しまない様に死なせてあげようかな」

《ロックオン》

 

シグルドは、そう言うとチェリーエナジーロックシードをソニックアローに装填する。すると、ソニックアローに赤色のエネルギーが溜まっていく。シグルドは、ゆっくりとソニックアローを引きながらディケイドを見据える。ディケイドは何をする訳でも無く唯その場で立ち尽くしシグルドを見ているだけだった。

 

シグルド「さよならだ、のび太くん」

《チェリーエナジー》

 

シグルドはソニックボレーを容赦無くディケイドに向けて放つ。放たれたソニックボレーはディケイドの所まで到達すると爆発する。

 

シグルド「終わったか…」

ディケイド「…まだだ」

シグルド「っ⁉︎」

 

シグルドは慌てて後ろを向く。そこには、変わらず立っているディケイドの姿があった。シグルドは、その姿を見た時、酷い混乱に襲われた。

 

シグルド「なっ⁈(何故だ、何故なんだ‼︎何故あれを真面に喰らいながら立っていられるんだ⁉︎)」

ディケイド「…訳が分からないって感じだな」

シグルド「何⁉︎」

ディケイド「お前は何で僕が立っていられるのかが不思議な様だね。でも、正直に言うと僕にも分からない。けど、それでも分かったことがある」

シグルド「何だと⁉︎」

ディケイド「それは…お前には負けないってことだ!僕は今ピー助の為に戦っている。だから、お前なんかには負けない‼︎負けられないんだっ‼︎もう何も失いたくないから、後悔なんてしたくないから、絶対にっ‼︎」

 

その時、Dフォンが突然輝き出す。ディケイドは驚きながらもDフォンを取り出してみる。そして、気付く。

 

ディケイド「(そう言うことか…ありがとうございます、渡さん)ふっ」

シグルド「何が可笑しい?」

ディケイド「いや。ただ、お前を倒す算段がついただけさ」

シグルド「何だと?」

 

シグルドの疑問の声を他所に、ディケイドはDフォンを操作する。

 

《COMPLETE MODE》

 

すると、横向きにしたDフォンの画面に14のマークが表れる。ディケイドはそれを順にタッチしていき、最後にディケイドの顔のマークをタッチする。

 

《KUUGA AGITO RYUKI FAIZ BRADE HIBIKI KABUTO DEN-O KIVA W OOO FORZE WIZARD GAIMU FINALKAMENRIDE DECADE》

 

そして、開いた状態のディケイドライバーのバックルの部分を外し、Dフォンをそこに横向きでセットし、バックルは右腰に装着する。すると、ディケイドの姿に変化が訪れる。身体のマゼンタ色の装甲が銀に変わり、右肩から左肩にかけて14の仮面ライダーのライダーカードが並び、更に頭部にライダーカードが配され、複眼がマゼンタになったディケイドの真の姿にして最強の姿“コンプリートフォーム”へと変身した。

 

シグルド「くっ⁉︎姿が少しばかり変わった位で!」

ディケイド(コンプリート)「…」

 

ディケイド(コンプリート)の姿に威圧されながらも向かってくるシグルドに対し、ディケイド(コンプリート)はライドブッカー(ソード)の刀身を撫でながら無言で歩み寄る。

 

シグルド「はあっ‼︎」

ディケイド(コンプリート)「ふんっ、たあっ!」

シグルド「ぐあっ⁉︎」

 

ディケイド(コンプリート)は、シグルドの振ったソニックアローを弾き、逆に斬りつける。更に、火花を散らし後退するシグルドに近付き袈裟、左薙ぎ、右薙ぎ、左切り上げと連続で斬撃を放つ。

 

シグルド「ぐあぁぁぁっ‼︎」

 

斬撃を全て喰らい吹き飛び、地面を転がるシグルドを見ながらディケイド(コンプリート)はDフォンを外し一つのマークをタッチする。

 

《HIBIKI KAMENRIDE ARMD》

 

すると、ディケイド(コンプリート)の姿が変わる。黒い身体に胸や肩、脚の赤い装甲、更に胸部装甲の上の金色の装甲、背中にマウントされた音撃棒、身体同様の赤い頭部に二本の金色の角に黒いマスクの様な顔の最強の音撃戦士“装甲(アームド)響鬼”へとなる。D響鬼(装甲)は、剣型の音撃武器“装甲声刃(アームドセイバー)を右手に構える。シグルドも、それを見てソニックアローを構えて向かってくる。

 

シグルド「たあぁぁっ!」

D響鬼(装甲)「はっ‼︎」

 

D響鬼(装甲)は、シグルドが振るったソニックアローを装甲声刃で受け止める。シグルドは力を込めてD響鬼(装甲)を押し込めようとするが、D響鬼(装甲)はビクともしない。D響鬼(装甲)は、ソニックアローを横に受け流しシグルドの態勢を崩す。そして、装甲声刃で袈裟斬りに斬りつける。

 

D響鬼(装甲)「たあぁぁっ‼︎」

シグルド「ぐっ⁉︎があっ!ぐあっ‼︎」

 

後退するシグルドに直ぐに接近し左拳で殴りつける。そして、よろけた処に装甲声刃を連続で振るい斬り裂く。斬撃を喰らいながらも、シグルドは何とか下がり一旦抜け出す。そして、直ぐ様ソニックアローを大きく振り上げて襲いかかる。

 

D響鬼(装甲)「はあっ‼︎」

シグルド「がはっ‼︎」

 

しかし、D響鬼(装甲)はソニックアローを屈んで避けてシグルドの懐に入る。そして、すれ違い様に斬り裂く。それを喰らったシグルドは大きく吹き飛ばされる。

 

D響鬼(装甲)「これで決める!」

《FINALATACKRIDE HI・HI・HI・HIBIKI》

シグルド「ふざけやがってぇぇぇっ‼︎殺すっ‼︎」

《チェリーエナジースパーキング》

 

D響鬼(装甲)はカードを腰のバックルに装填し、バックルを叩く。シグルドは半狂乱になり叫びながらシーボルコンプレッサーを2回押し込む。

 

D響鬼(装甲)「はぁぁぁぁぁ…」

シグルド「死ねぇぇぇぇぇ‼︎」

 

シグルドが空中に飛び上がると、その身体が大きなサクランボのエネルギーに包まれて、そのまま飛び蹴りを放つ。それに対し、D響鬼(装甲)は装甲声刃に炎を溜めながら構える。

 

シグルド「はあぁぁぁぁぁっ‼︎」

D響鬼(装甲)「たあっ‼︎」

シグルド「っ⁉︎な、何だと!そんな、馬鹿なぁぁぁぁっ‼︎」

 

シグルドの蹴りがD響鬼(装甲)に近づいた時、D響鬼(装甲)は装甲声刃での強力な炎の斬撃“音撃刃 鬼神覚醒”を炎の刃として飛ばす。それを見て冷静さを取り戻すシグルドだったが既に手遅れで、炎の刃はシグルドの目の前まで迫っていた。そして、シグルドの蹴りと炎の刃が激突するが、炎の刃がシグルドの蹴りを一瞬で打ち破り、シグルドに命中し爆発を起こす。その後、爆発の中から黒マスクが落ちてきた。更にその横に、黒く焦げて大きな抉られた様な傷痕がついたゲネシスドライバーとチェリーエナジーロックシードが落ちて来た。それを見たD響鬼(装甲)はディケイド(コンプリート)の姿に戻る。

 

ディケイド(コンプリート)「ふぅ〜、何とか倒したな…」

白い魔法使い(ホライゾン)「のび太〜!」

サイガ「のび太くん〜!」

ディケイド(コンプリート)「ん?あっ、おお〜い!二人共〜!」

 

此方に向かって走って来る白い魔法使い(ホライゾン)とサイガの姿を見たディケイド(コンプリート)は2人に向かって手を振る。

 

サイガ「やったね、のび太くん!」

ディケイド(コンプリート)「うん」

白い魔法使い(ホライゾン)「流石だな。で、その図鑑みたいな姿は何だ?」

ディケイド(コンプリート)「ず、図鑑って…。まあ、間違っては無いですけど…」

 

ディケイド(コンプリート)達が合流している時、倒れている黒マスクはディケイド(コンプリート)を睨みつけていた。

 

黒マスク「く、くそっ!餓鬼…がぁ…!こうなれば‼︎」

 

黒マスクは懐から紫色の禍々しい木の実の様な物“ヘルヘイムの果実”を取り出す。そして、顔を怒りに歪ませながら再びディケイド(コンプリート)に目を向ける。

 

黒マスク「この俺が、このままくたばると思うなよ…‼︎」

 

そして、黒マスクはヘルヘイムの果実に齧り付く。中身を貪る様に食べ、やがて食べ終わり外の皮を投げ捨てる。黒マスクは身体に力が漲るのを感じて立ち上がる。

 

ディケイド(コンプリート)「お前、まだやるつもりか」

白い魔法使い(ホライゾン)「諦めな、もうベルトも壊されたお前さんに戦う術は無い筈だ」

黒マスク「…」

サイガ「な、何だか様子がおかしくないですか?」

 

サイガの言う通り黒マスクは顔を俯かせて黙っているだけだった。その様子に不審感を抱きながらもディケイド(コンプリート)は更に声をかける。

 

ディケイド(コンプリート)「おい、約束だ。ピー助を…」

黒マスク「ぐっ⁉︎があぁぁぁぁっ‼︎」

ディケイド(コンプリート)「っ⁉︎」

 

黒マスクは突然、叫び声を上げながら苦しみだす。その様子に驚きながらもディケイド(コンプリート)達は構えながら様子を見る。すると、黒マスクの身体から植物の蔓が生えて、黒マスクを覆う。やがて、黒マスクの身体が蔓で見えなくなると、黒マスクは異形の者になる。伝説上の辟邪をモチーフとした顔、右手の大きな爪、緑色の上半身のヘキジャインベスとなった。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「これは…」

ディケイド(コンプリート)「お前…!」

ヘキジャインベス「グルルゥゥゥゥ…」

 

驚愕するディケイド(コンプリート)達を他所に、ヘキジャインベスは唸り声をあげながらディケイド(コンプリート)を睨む。

 

ヘキジャインベス「ガアッ‼︎」

 

そして、右手の爪を振り上げながらディケイド(コンプリート)目掛けて飛び掛かって行った。




後書きの間

Δデルタ「さあ、後書きタイムだ!」
のび太「復活早いな」
郎夜「作者、単純だからな」
Δデルタ「今回は3人の其々の敵の撃破と黒マスクの怪人化だな」←聞こえてない
ドラえもん「あと、ディケイドの最強形態のコンプリートフォームの登場だね」
郎夜「それにしても、コンプリートの能力が最強形態のライダーの召喚から変身に変わってるんだがそれは?」
のび太「実は作者が前々からやりたかった奴らしいよ」
奈々「アイテムもケータッチじゃありませんでしたよね?」
Δデルタ「それは、前回の話を書いてる途中に思いついたからだ」
ドラえもん「そして、シグルドこと黒マスクの見事な初瀬り」
のび太「恐らく読者の皆様が予想してたであろう黒マスクのシグるでは無く、まさかの初瀬るという」
郎夜「読者様方の予想と期待を裏切りやがったな」
奈々「所で、何で黒マスクがヘルヘイムの果実を持ってたんですかね?」
Δデルタ「そこは、この小説の話の根幹に関わることだから言えない」
ドラえもん「そうなんだ。そうだ、そろそろ締めないと。じゃあ、郎夜さん!」
郎夜「おう。黒マスクはヘルヘイムの果実によりインベスとなり襲いかかろうとするが…?そして、ドルマンスタインこと恐竜グリードとの決着は…!ピー助を助け出す事は出来るのか!次回、エピソードⅨ」
Δデルタ「全てを破壊し、全てを守り抜け!」


舞台裏
Δデルタ「さて、今回はセワシの報復は無s…」
カリス「しだと思ったか?」
Δデルタ「はっ!いつの間に⁉︎」
カリス「さっきだ」
《DRILL》
Δデルタ「ぐぼぉっ‼︎」←吐血しながら吹き飛ぶ


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エピソードⅨ

Δデルタ「はぁ…」
郎夜「おい、あいつ如何したんだ?」
のび太「何かもうすぐ、テストがあるらしくて絶望してるらしいです」
ドラえもん「理由が下らねぇ…」
奈々「確かに…」
郎夜「おら、作者。絶望してねぇで、さっさと始めろ」
Δデルタ「…では、皆さん。のび太の恐竜 2006 エピソードⅨを…」
全員「どうぞ‼︎」


ヘキジャインベス「ガアァァァっ!」

ディケイド(コンプリート)「ふっ!」

 

ヘキジャインベスはディケイド(コンプリート)達に向かって飛びかかる。ディケイド(コンプリート)達は、散開して避ける。すると、ヘキジャインベスはディケイド(コンプリートフォーム)の方を向くと右手の爪を振り上げながら向かって行く。

 

ディケイド(コンプリート)「狙いは僕か⁉︎」

ヘキジャインベス「ガアッ‼︎」

 

ヘキジャインベスは爪を一気に振り下ろす。ディケイド(コンプリート)は、それを屈んで躱すとライドブッカー(ガン)をヘキジャインベスの腹に押し当て、引き金を引く。

 

ヘキジャインベス「ギャアアアアっ⁉︎」

 

ゼロ距離で連続で射撃を喰らったヘキジャインベスは堪らず後ろへ下がり、片膝を付く。しかし、黒マスクの執念故かヘキジャインベスは直ぐ様、立ち上がると再び構える。

 

ディケイド(コンプリート)「もう立ち上がるか…」

白い魔法使い(ホライゾン)「おいおい、あのゼロ距離射撃を喰らって、もう立てるのかよ…⁉︎」

サイガ「何て執念…!」

ヘキジャインベス「ウガァァァッ‼︎」

 

ヘキジャインベスの尋常じゃない執念を目の当たりにし驚くディケイド(コンプリート)達を他所に、ヘキジャインベスは咆哮を上げ駆けて行く。ディケイド(コンプリート)が、それを迎え討とうとライドブッカー(ガン)を構えた時、横から緑の雷撃がヘキジャインベスを吹き飛ばす。ディケイド(コンプリート)は、雷撃が飛んできた方向へ振り向く。そこには此方に右手を翳す恐竜グリードの姿があった。

 

恐竜グリード「ふん、あまりにも遅いから来てみれば…貴様は実に愚かだな」

ヘキジャインベス「ウガァァッ‼︎」

恐竜グリード「もう話す知性どころか自らを御する理性すら残っていない様だな」

 

恐竜グリードはヘキジャインベスの姿を見て嘲りの意味を込めて言い放つ。だが、ヘキジャインベスには、そんな事は関係無かった。ヘキジャインベスは自分の邪魔をした恐竜グリードを敵と認識し襲い掛かる。それを見て恐竜グリードは呆れた様に呟く。ヘキジャインベスは、爪を振り上げ、恐竜グリードに向かって振り下ろす。

 

恐竜グリード「こんなもの痛くも痒くもないわ、はあっ!」

 

しかし、ヘキジャインベスの爪が恐竜グリードを切り裂くことはなく、その防御力の前に止められてしまった。恐竜グリードは、右手を握り込みヘキジャインベスに向けてパンチを放つ。すると、その右拳はヘキジャインベスの身体を貫く。更に、恐竜グリードはヘキジャインベスを貫いたまま右手から冷気を発する。ヘキジャインベスは声を上げる間も無く一瞬で凍結させられる。そして、恐竜グリードが右手を引き抜くと、ヘキジャインベスは粉々に砕け散った。

 

恐竜グリード「ふぅ、こんなものか。さて、不要物の処理は済んだ。さっさと、この時代から去るとするか」

ディケイド(コンプリート)「待て!」

恐竜グリード「ん?」

 

その場を去ろうとした恐竜グリードをディケイド(コンプリート)が呼び止める。恐竜グリードは首だけディケイド(コンプリート)の方を向く。

 

ディケイド(コンプリート)「お前、今自分が何をしたのか分かってるのか!」

恐竜グリード「何、とは?」

白い魔法使い(ホライゾン)「ふざけんな!彼奴はお前さんの部下じゃなかったのかよ!」

恐竜グリード「…貴様ら何か勘違いをしているな」

サイガ「勘違いですって!」

 

そう言うと、恐竜グリードはゆっくりとディケイド(コンプリート)達の方へ向き直る。

 

恐竜グリード「私にとって他の奴等など所詮、使い勝手の良い消耗品でしかないのだよ。他人など信用出来ないからな。だから、奴も私にとっては唯の道具…いや、最後の最後でヘマをやらかし、化け物となり私に襲いかかって来たから愚物、ゴミにすぎんか。貴様らだって自分にとって不要な物やゴミは処分するだろう?つまりは、そう言うことだ。分かったか?」

ディケイド(コンプリート)「お前…ふざけるなよ‼︎」

恐竜グリード「私はふざけてなんかないが。至って真剣だ」

白い魔法使い(ホライゾン)「こいつ、何て腐った根性してやがる…‼︎」

恐竜グリード「何とでも言うが良い。私は貴様らなどに構っている程、暇ではないのだ。さっさとピー助を連れて、逃げなければならないからな」

サイガ「そんな事はさせない‼︎」

恐竜グリード「しつこい連中だな。貴様らは、これの相手でもしていろ」

 

恐竜グリードは大量のセルメダルとロックシードをばら撒く。すると、セルメダルから全身に包帯が巻かれており顔の中心に黒穴があるミイラの様な姿の“屑ヤミー”とロックシードによって開いたクラックから灰色で丸っこい身体の“初級インベス”が無数に現れる。初級インベスの中には背中に羽が生えている個体もいた。

 

恐竜グリード「ではな」

ディケイド(コンプリート)「待てっ!」

恐竜グリード「やれ」

 

恐竜グリードが、そう言うと屑ヤミーと初級インベス達が一斉に襲いかかって来る。ディケイド(コンプリート)が、恐竜グリードを追いかけ様とするが、屑ヤミーと初級インベスによって道を塞がれる。そして、屑ヤミーと初級インベス達はディケイド(コンプリート)に襲い掛かる。ディケイド(コンプリート)は向かって来た初級インベス一体を殴り飛ばし、その後ろから現れた二体の初級インベスも拳と蹴りで吹き飛ばす。

 

屑ヤミー「ゔあぁぁぁ…」

ディケイド(コンプリート)「ちっ!数が多い!」

 

一体の屑ヤミーが後ろからディケイド(コンプリート)に掴みかかろうとするが、ディケイド(コンプリート)は悪態を吐きながら其の手を身体を逸らして躱すと振り向きながら裏拳を放ち、よろけた処に前蹴りで止めを刺す。だが、ディケイド(コンプリート)の左右から初級インベスが走ってきており、背後からは屑ヤミーが直ぐそこまで迫っていた。

 

ディケイド(コンプリート)「おっ、と!」

 

ディケイド(コンプリート)は敢えて後ろへ転がって避けライドブッカー(ガン)で初級インベス二体を撃ち抜く。更に後ろに迫っていた屑ヤミーを、ソードモードにしたライドブッカーで振り向き様に突き刺す。そして、屑ヤミーを突き刺したままライドブッカー(ソード)を振って投げ飛ばす。その際に投げ飛ばした先にいた屑ヤミーや初級インベスを巻き添いにする。

 

白い魔法使い(ホライゾン)「のび太!お前さんは先に行け!」

ディケイド(コンプリート)「でも!」

サイガ「此処は私達だけで大丈夫だから!のび太くんはピー助をお願い!」

 

白い魔法使い(ホライゾン)は、周りにいた初級インベス達を回し蹴りで蹴り飛ばしながらディケイド(コンプリート)に先に行く様に言う。ディケイド(コンプリート)は、それに対し反論しようとするが、そこへ更にサイガが声をかける。

 

ディケイド(コンプリート)「…分かりました。此処は、お願いします」

白い魔法使い(ホライゾン)「応、任せろ!さて、その前に道を開けなくちゃな」

《ボルケーノ、ナウ》

 

白い魔法使い(ホライゾン)は、ローブと身体の縁取りが赤に変わった“ボルケーノスタイル”に変身する。そして、ハーメルケインを両手に持ち吹き鳴らす。赤い魔力が溜まった所で、更にウィザーホワイトガンを取り出し、ハンドオーサーにフレイムウィザードリングを翳す。

 

《キャモナ・シューティング・シェイクハンズ》

《ボルケーノ、シューティングストライク》

白い魔法使い(ボルケーノ)「オラァッ‼︎」

 

白い魔法使い(ボルケーノ)は炎の魔力を纏ったハーメルストライクを飛ばし、その後ろに同じく炎を纏ったシューティングストライクを発射する。シューティングストライクはハーメルストライクに追いつき、お互いの炎を合わせて飛んでいく。そして、それはディケイド(コンプリート)の先にいた屑ヤミーと初級インベス達に命中し大爆発を起こす。

 

白い魔法使い(ボルケーノ)「今だ行けっ!」

ディケイド(コンプリート)「はい!」

 

ディケイド(コンプリート)は、先程の攻撃で開いた道を走り抜け恐竜グリードを追う。何体かの屑ヤミーや初級インベスがディケイド(コンプリート)に攻撃を仕掛けようとしたが、それは白い魔法使い(ボルケーノ)やサイガによって遮られた。

 

白い魔法使い(ボルケーノ)「よし、行った様だな」

サイガ「はい、そうですね」

白い魔法使い(ボルケーノ)「さてと、のび太にあんだけ啖呵切ったんだ。さっさとやっちまうか」

サイガ「勿論です」

 

そう言うと白い魔法使い(ボルケーノ)とサイガは互いに背中合わせになるように立つ。そして、白い魔法使い(ボルケーノ)は右手にハーメルケイン、左手にウィザーホワイトガンを、サイガは両手にトンファーエッジを構えて戦闘態勢をとった。

 

 

 

格納庫

 

格納庫の中には飛行艇や大きな箱などが大量にあった。恐竜グリードは、その中の一際大きな乗り物の近くにいた。その手には、ピー助の入った檻があった。

 

ディケイド(コンプリート)「待て!」

ピー助「!ピィー、ピィー!」

恐竜グリード「何だ、もう追って来たのか。如何やって、あの中から…?」

ディケイド(コンプリート)「あの場は郎夜さんと奈々ちゃんに託したさ。僕の役目は、お前を倒してピー助を取り返す事だ!」

恐竜グリード「ふんっ、生意気な」

ディケイド(コンプリート)「ピー助、もう少しの辛抱だからな」

ピー助「ピィー!」

恐竜グリード「仕方ない…」

 

恐竜グリードは、ピー助の檻を後方へ投げる。そして、檻は一際大きな乗り物の近くまで転がる。

 

ディケイド(コンプリート)「っ!ピー助!」

恐竜グリード「よそ見している暇があるのか?」

ディケイド(コンプリート)「っ!」

 

ディケイド(コンプリート)が気付いた時には恐竜グリードは眼前に迫り拳を振りかぶっていた。振り下ろされた恐竜グリードの拳をディケイド(コンプリート)は何とか腕をクロスさせることによって防ぐ。そこへ恐竜グリードは更にミドルキックを放ってくるが、ディケイド(コンプリート)は後ろへ飛び退いて躱す。

 

恐竜グリード「ほぉ、以前とは大違いだな」

ディケイド(コンプリート)「まあね、こっちも本気なんでね」

恐竜グリード「ふっ、そうか。なら、此方も全力で応えねばなっ‼︎」

 

恐竜グリードは右手から竜巻を放つと、ディケイド(コンプリート)は、それを跳び上がって避ける。すると、恐竜グリードは空中のディケイド(コンプリート)に向けて緑の雷撃と紫の波動を放つ。

 

ディケイド(コンプリート)「っ⁉︎」

《WIZARD KAMENRIDE INFINITY》

 

ディケイド(コンプリート)は、驚きながらもDフォンを操作する。緑の雷撃と紫の波動がディケイド(コンプリート)に全て命中し、大爆発を起こす。それを見た恐竜グリードは、背を向けて歩き出す。だが突然、恐竜グリードの背中に衝撃が走り、吹き飛んだ。恐竜グリードが後ろを見ると、其処にはダイヤモンドの指輪の様な輝く頭部、銀色のローブに胸や膝にある頭部同様に輝く装甲が付いた、仮面ライダーウィザード“インフィニティースタイル”がいた。

 

Dウィザード(インフィニティー)「さあ、戦いはこれからだ!」

恐竜グリード「ちっ!随分としぶとい奴だ」

Dウィザード(インフィニティー)「はあっ!」

 

舌打ちをして忌々しそうに呟いた恐竜グリードに向かってDウィザード(インフィニティー)は、ドラゴンの模様が入った斧剣“アックスカリバー”カリバーモードを構えて走って行く。そして、接近した所にアックスカリバー(カリバー)を振り下ろす。それを恐竜グリードは腕で防ぐ事に成功する。だが、Dウィザード(インフィニティー)は素早く戻し超光速で斬りつける。

 

Dウィザード(インフィニティー)「はああああっ‼︎」

恐竜グリード「くっ⁉︎ぐぅぅ…はあっ!」

 

恐竜グリードはDウィザード(インフィニティー)の超光速の剣を腕を使い防いだり、ギリギリで避けたりしていたが次第に避けきれなくなり、とうとう刃が届いた。だが、恐竜グリードはアックスカリバー(カリバー)で連続で切り裂かれながらも、抜け出す為に左腕に二連装の砲身を出現させ発射する。

 

Dウィザード(インフィニティー)「無駄だ!」

恐竜グリード「なっ…⁉︎」

 

しかし、発射された弾丸はDウィザード(インフィニティー)の装甲に弾かれる。それにより、恐竜グリードは呆然とする。Dウィザード(インフィニティー)は、それを見逃さず袈裟、左薙ぎ、右薙ぎ、左切り上げ、唐竹とアックスカリバー(カリバー)を超光速で振るい畳み掛ける。其れらを全て喰らい恐竜グリードは火花を散らしながら吹き飛び地面を転がる。

 

恐竜グリード「はぁ、はぁ…。くっ!ならば…此れならば‼︎」

Dウィザード(インフィニティー)「っ!しまった!ぐあぁぁっ!」

 

恐竜グリードは肩で息をしながらも液状化して、Dウィザード(インフィニティー)に纏わり付きながら翻弄する。更に、恐竜グリードはDウィザード(インフィニティー)を吹き飛ばすと実体化して飛び掛かる。

 

恐竜グリード「これで終わりだ!」

Dウィザード(インフィニティー)「くっ、まだだ‼︎」

恐竜グリード「何っ⁉︎」

 

Dウィザード(インフィニティー)は、素早く態勢を立て直すと超高速状態になる。Dウィザード(インフィニティー)が消えた様に見え驚愕する恐竜グリードを、超高速状態のままで近付いて斬り、近付いて斬りを繰り返し斬りつける。恐竜グリードは何も出来ないまま、されるがままにされる。そして、Dウィザード(インフィニティー)は最後に蹴りを喰らわせ恐竜グリードを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされ地面を転がって行く恐竜グリードを見ながら、Dウィザード(インフィニティー)はディケイド(コンプリート)に戻る。

 

恐竜グリード「ぐっ…何故だ‼︎何故、貴様はそうまでしてピー助の為に戦う⁈貴様はこいつの親でも何でも無いだろ!こいつが珍しいからか⁉︎其れとも金か⁉︎それかこいつの親代わりにでもなったつもりか⁉︎」

ディケイド(コンプリート)「…確かに僕はピー助の親では無いし、親代わりをやれているとも思ってないさ…」

 

ディケイド(コンプリート)の言葉は間違ってはいなかった。ディケイド(コンプリート)は気付いていたのだ、ピー助が親を恋しがっている事に。事実、道中何度か恐竜の親子を見たピー助は毎回、決まって羨ましそうな、寂しそうな表情で見ていた。

 

ディケイド(コンプリート)「だけど!僕はピー助を守るって、そう誓った!僕はピー助の親じゃないさ。けど、ピー助の事を想う気持ちに嘘偽りは無い!その気持ちなら本当の親にだって負けてないつもりさ。だから、僕は戦う!ピー助の為に‼︎」

恐竜グリード「分からん…分からん分からん…何なんだ…何なんだ貴様はぁ‼︎」

 

恐竜グリードの、その問いにディケイド(コンプリート)は此れまでの旅で何度も言ってきた言葉を口にする。

 

ディケイド(コンプリート)「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!」

恐竜グリード「許さん…許さんぞ‼︎もう絶対に貴様は私の手で殺す‼︎くたばれ‼︎」

 

恐竜グリードは右手を上に上げて、巨大な紫の光弾を作る。更に、その光弾に緑の雷撃や竜巻、炎に水を纏わせる。

 

ディケイド(コンプリート)「お前なんかには絶対に負けないさ!」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

ディケイド(コンプリート)が、腰のバックルにカードを装填し、叩く。すると、ディケイド(コンプリート)の前に15枚のカード型エネルギーが出現する。そして、跳び上がってカード型エネルギーを潜り抜けながら強力な蹴りを放つ“強化ディメンションキック”を発動する。

 

恐竜グリード「終わりだぁぁ‼︎」

 

恐竜グリードは巨大な光弾をディケイド(コンプリート)に向けて放つ。空中で強化ディメンションキックと巨大光弾がぶつかり合い、爆発が起きる。

 

恐竜グリード「ふっ、漸くくたばっt…」

ディケイド(コンプリート)「はあああっ‼︎」

恐竜グリード「な、何だと⁉︎ぎゃああああっ‼︎」

 

爆発の中から飛び出してきたディケイド(コンプリート)に驚き、強化ディメンションキックをまともに喰らう。強化ディメンションキックを喰らった恐竜グリードは爆発を起こして倒された。それを確認したディケイド(コンプリート)は一直線にピー助のもとに向かう。

 

ディケイド(コンプリート)「ピー助‼︎」

ピー助「ピィー!」

 

ディケイド(コンプリート)は、檻を破壊してピー助を出す。ディケイド(コンプリート)の姿を見たピー助は嬉しそうに鳴き、身体を摺り寄せた。

 

ディケイド(コンプリート)「ごめんな、ピー助。怖い思いをさせて…」

ピー助「ピィー!ピィー、ピィー!」

ディケイド(コンプリート)「そうか…そうか…」

 

ディケイド(コンプリート)はピー助を優しく抱きしめた。と、その時、基地全体が大きく揺れた。

 

ディケイド(コンプリート)「っ!これは一体…郎夜さんと一度合流するか。よし、行くぞ!」

ピー助「ピィ!」

 

ディケイド(コンプリート)は、マシンディケイダーに乗り闘技場に向かって走り出した。

 

 

 

闘技場

 

闘技場に居た屑ヤミーや初級インベスはかなり数を減らされ後、僅かとなっていた。

 

白い魔法使い(ボルケーノ)「はああああっ‼︎」

サイガ「たああああっ‼︎」

 

白い魔法使い(ボルケーノ)とサイガが二人同時に最後の集団に飛び蹴りを放ち、飛び蹴りを喰らった屑ヤミーや初級インベスの集団は一斉に爆発を起こした。

 

白い魔法使い(ボルケーノ)「これで全部か?」

サイガ「みたいですね」

白い魔法使い(ボルケーノ)「じゃあ、のび太と合流するか…って、うおっ⁉︎」

サイガ「きゃっ!」

 

突然の大きな揺れに二人はよろける。が、何とか立て直す。

 

白い魔法使い(ボルケーノ)「こいつは…ちょっとヤバイかもしんねぇな」

サイガ「師匠?」

 

白い魔法使い(ボルケーノ)の呟きにサイガは疑問の声を上げる?と、そこにピー助を連れたディケイド(コンプリート)がマシンディケイダーに乗って現れた。

 

ディケイド(コンプリート)「郎夜さん、奈々ちゃん!」

サイガ「のび太くん!ピー助!」

白い魔法使い(ボルケーノ)「のび太、如何やらやったみたいだな」

ディケイド(コンプリート)「はい」

サイガ「良かった〜」

ディケイド(コンプリート)「いや、安心するのはまだ早いよ

。早く脱出しないと」

白い魔法使い(ボルケーノ)「ああ、そうだな。行くぞ!」

サイガ「はい!」

 

ディケイド(コンプリート)はマシンディケイダーを走らせて、白い魔法使い(ボルケーノ)はテンペストスタイルになり、サイガはフライングアタッカーを起動して、出口に向かって行った。

 

 

 

続く

 

 

 




後書きの間

Δデルタ「後書きの間、始まりまーす!」
ドラえもん「あれ?作者もう立ち直った?」
郎夜「馬鹿だからだろ?」
のび太「つまり何時も通り」
奈々「成る程」
Δデルタ「今回は恐竜グリードとの最終決戦だな」
のび太「そうだね。それにしても恐竜グリードが結構あっさりとやられちゃった感があるんだけど…」
ドラえもん「まあ、インフィニティースタイルの防御力に超高速移動、そしてのび太の恐竜編って最強フォームのお披露目って意味合いもあるし仕方ないよ」
奈々「黒マスクは瞬殺されましたね」
郎夜「まあ、彼奴はそんなもんで十分だろう」
Δデルタ「そう言うこと。じゃあ、のび太。締めの方を」
のび太「分かった。恐竜グリードを倒してピー助を取り戻した僕達。しかし、基地はもう崩壊寸前で…。果たして無事に脱出出来るのか?そして、訪れるピー助との別れの時…。次回、エピソードFINAL」
Δデルタ「全てを破壊し、全てを守り抜け!」



舞台裏

Δデルタ「あれ?セワシは?」
のび太「ああ、セワシくんは今日、休みだよ」
Δデルタ「そうか!よっしゃぁ‼︎」
のび太「何か作者を本格的にぶちのめすとか言ってたから、その準備じゃない?」
Δデルタ「…」


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エピソードFINAL

前書きの時間

Δデルタ「皆さん、如何もすいませんでした!こんなに間が空いてしまい何と申せば良いか」
のび太「本当だよ!何やってんのさ!」
Δデルタ「いや、もう本当にすいませんでした!」
ドラえもん「僕らからも謝ります。すいませんでした」
郎夜「てか、何で遅れたんだよ」
Δデルタ「いや、あのさ、テストだったり部活だったりで時間が取れなかったと言うか」
奈々「何か言い訳がましいですね…」
Δデルタ「うっ、それは…」
のび太「取り敢えず、始めていこうか」
ドラえもん「そうだね。では、真・のび太の恐竜2006 エピソードFINALを…」
全員「どうぞ‼︎」




ディケイド(コンプリート)達はバイクに乗ったり、飛行したりして出口を目指していた。

 

ディケイド(コンプリート)「くっ!さっきより崩れるペースが早まってる⁈」

白い魔法使い(テンペスト)「そろそろ本格的に不味いらしいな…」

サイガ「急がないと!」

 

ディケイド(コンプリート)達は崩れ行く基地の様子を見ながら、急いだ方が良いと判断し速度を上げる。だが、三人は出口付近に近付いた時、一斉に止まる。

 

サイガ「これって…⁉︎」

白い魔法使い(テンペスト)「不味いどころじゃなかったな…」

ディケイド(コンプリート)「くそっ!一体どうしたら…」

 

三人は瓦礫や岩などによって塞がれた出口を見ながら、嘆く。その時、白い魔法使い(テンペスト)があることに気付く。

 

白い魔法使い(テンペスト)「そうだ…!。のび太!此処は奴らの基地なんだよな?」

ディケイド(コンプリート)「当たり前ですよ!こんな時にn…」

白い魔法使い(テンペスト)「だったら、奴らの飛行船とかもある筈だろ。それを使えば!」

ディケイド(コンプリート)「!そうか!それなら!」

サイガ「でも、そんなのどこにあるかなんて…」

ディケイド(コンプリート)「大丈夫。それは僕が知ってるから、二人ともついて来て」

 

ディケイド(コンプリート)が先導し、その後をサイガと白い魔法使い(テンペスト)がついていく。そして、闘技場を通り抜け三人は格納庫に到着した。

 

ディケイド(コンプリート)「着きました」

白い魔法使い(テンペスト)「よし、ならさっさと乗り物パクって逃げるぞ」

サイガ「師匠、パクるって言い方はどうかと思いますが…」

 

サイガの呟きは聞かずに白い魔法使い(テンペスト)とディケイド(コンプリート)は三人が乗れそうな乗り物を探す。すると、ドルマンスタインが乗ろうとしていた大きな乗り物が目にはいった。サイガはそれに近付いて行く。

 

サイガ「二人とも!これは如何ですか?」

ディケイド(コンプリート)「これか…。確かに此れなら三人で乗れるし丁度いいかな」

白い魔法使い(テンペスト)「そうだな。他に良さそうな物はなかったみたいだしな。よし、乗り込むぞ!」

 

三人は、その乗り物に近付いて行く。しかし…

 

白い魔法使い(テンペスト)「あれ?此れ如何やって開けるんだ?」

サイガ「ちょ、師匠!何やってるんですか⁉︎」

ディケイド(コンプリート)「早く、早く!」

 

入り口のドアを開ける事が出来ず、あたふたしていた。だが、それも仕方ないだろう。未来の技術の乗り物の取り扱いなど初見で出来る訳がない。しかし、そうこうしている間に基地全体の揺れが大きくなり、完全崩壊までのタイムリミットが迫る。

 

白い魔法使い(テンペスト)「ちょっと、待てって⁉︎俺だって分かんねぇから困ってんだよ⁉︎」

サイガ「そんな〜!」

ディケイド(コンプリート)「何とかして下さい!」

 

焦る白い魔法使い(テンペスト)を三人が急かしていると、格納庫の入り口から大量の初級インベスや白ヤミーが入ってきた。三人は、それを見て更に焦る。

 

サイガ「な、何で⁈何で彼奴らが居るの⁉︎」

ディケイド(コンプリート)「多分、黒マスク達が基地中に配置させてた奴らだと思う」

白い魔法使い(テンペスト)「よし!なら、此処は俺が彼奴らを…」

ディケイド(コンプリート)「彼奴らは僕と奈々ちゃんで食い止めます。だから、貴方は口じゃなくて手を動かして下さい。いける、奈々ちゃん?」

サイガ「うん、勿論!師匠、その間に扉を開けといて下さい」

白い魔法使い(テンペスト)「…」

ディケイド(コンプリート)「あ、郎夜さん。ピー助の事もお願いします」

白い魔法使い(テンペスト)「…おう」

 

白い魔法使い(テンペスト)の返事を聞くと、ディケイド(コンプリート)とサイガは敵の集団に向かっていく。そして、それぞれ戦闘を始める。それを横目に白い魔法使い(テンペスト)は片手にピー助を抱えながら必死に扉を開けようとする。しかし、扉はうんともすんとも言わず、全く動かなかった。

 

白い魔法使い(テンペスト)「くっそー!開かねぇよ!もう如何なってんだよ、このドア‼︎」

 

遂に苛つきが頂点に達した白い魔法使い(テンペスト)が、扉に向かって割と強めに蹴る。しかし、扉は、ばんっ!と言う音を立てるだけで、それ以外は何も起こらない。それを見て白い魔法使い(テンペスト)は、虚しさと共に落ち着きを取り戻した。

 

白い魔法使い(テンペスト)「はあ、いい歳して何ドアに向かって一人切れてんだが…。開かねぇな…これ…」

 

白い魔法使い(テンペスト)は、ため息を吐きながら呟き操作を開始する。その時、突然ピー助が頭で何かを指しだした。

 

ピー助「ピィ、ピィ」

白い魔法使い(テンペスト)「ん、如何したピー助?俺の手、いや指?を指してn…あっ、そうだ。俺には此れがあったんだった。何で気付かなかったんだ…」

 

ピー助の指した自身の指を見て、それに気付いた。そして、今の今まで言われるまで気付かなかった自分自身に呆れて頭を抱える。それをピー助は首を傾げて見ていた。その頃ディケイド(コンプリート)達は…

 

ディケイド(コンプリート)「はあっ、せいっ!それにしても数が多い!たあっ!」

サイガ「本当に、そうだね。やあっ!こんなに居たなんてっ!」

 

ディケイド(コンプリート)は、ライドブッカー(ソード)で白ヤミー二体を斬りながら敵の数の多さを口にし、サイガも初級インベスを蹴り飛ばしながら肯定する。二人はずっと休みなしで戦い続けていた。敵の強さは雑魚レベルなので苦戦などはしないが、数が数なので休みなしでの連戦を強いられていた。

 

ディケイド(コンプリート)「郎夜さんはまだかな」

サイガ「多分そうだと思う」

ディケイド(コンプリート)「なるべくは急いで欲しいけど…仕方ないか…」

 

二人が、そう呟きながらも敵を倒していると、大きな乗り物の上に乗っている白い魔法使い(テンペスト)から声がかかった。

 

白い魔法使い(テンペスト)「おおーい、お前ら!」

サイガ「師匠!もしかして開いたんですか⁈」

白い魔法使い(テンペスト)「いや、まだだ」

ディケイド(コンプリート)「じゃあ、何d…」

白い魔法使い(テンペスト)「いいから、こっちに来い!」

 

白い魔法使い(テンペスト)の意図が分からないまま二人は取り敢えずピー助を片手に抱えた白い魔法使い(テンペスト)のいる所まで跳ぶ。

 

白い魔法使い(テンペスト)「よし、来たな」

サイガ「師匠、此れから如何するんですか?」

白い魔法使い(テンペスト)「ん?そんなもん此れの中に入るに決まってるだろ」

ディケイド(コンプリート)「如何やって?」

白い魔法使い(テンペスト)「こうするんだよ」

《テレポート、ナウ》

 

すると、ディケイド(コンプリート)達は魔法陣に包まれて、そこから消えた。

 

 

乗り物の中

 

無人だった場所に突然、魔法陣が現れディケイド(コンプリート)達が現れた。

 

白い魔法使い(テンペスト)「最初から、こうすれば良かったんだ」

サイガ「確かに…焦り過ぎてて思い付きませんでした」

ディケイド(コンプリート)「本当だよ…ん?じゃあ、テレポートで基地からの脱出も出来るんじゃ?」

白い魔法使い(テンペスト)「ああ、それは無理だ」

 

ディケイド(コンプリート)の案を白い魔法使い(テンペスト)は一蹴する。

 

ディケイド(コンプリート)「如何してですか?」

白い魔法使い(テンペスト)「いやな、テレポートっつう魔法はな何処でも好きに跳んで行けるって訳じゃねぇんだ。目的地の場所や付近の地理を頭に入れてイメージしながらじゃねぇと駄目なんだ。そうしなきゃ、目的地があやふやになってとんでもない場所に来ちまったってなっちまうんだよ。テレポートした場所が地面の中でしたとかになったらヤバイだろ?今回もそれだ。正確にテレポートするには俺は此処らの事を知らなさ過ぎる。それに今、外の状況が分かってねぇ。そんな時に不用意に跳ぶのも危険だろ?」

ディケイド(コンプリート)「成る程、そう言うことですか。なら、さっさと此れ動かして脱出しましょう」

 

ディケイド(コンプリート)達は変身を解除して、操作パネルらしき物を見付ける。

 

のび太「此れで動くらしいですね」

郎夜「だな。だが、これも如何する?」

奈々「そうですね…。うん?これは…」

 

奈々は操作パネルの一番横にあった少し他より大きなボタンを見付けて押す。すると、前に大きな画面が現れ、乗り物内の電気などがつき明るくなる。

 

奈々「やった!動いた!」

郎夜「ああ、使えるって事だ!」

のび太「でも、ここからの操作g…」

《タイムシップ起動確認シマシタ。次ノ操作ヲ音声マタハパネルデ入力シテ下サイ》

 

突然、画面から電子音声が聞こえてきて三人は驚く。如何やら、これに搭載された機能らしい。のび太は、タイムシップと言う言葉に一つの可能性を思い付いた。

 

のび太「タイムシップって…。もしかして、これ…タイムマシン…?」

郎夜「本当か⁉︎」

のび太「ええ、タイムシップって言う名前からして…多分」

奈々「やった!なら、これで何とかなるね!」

 

のび太の言葉に郎夜と奈々は大喜びする。のび太はタイムシップにこの場所から離れる様に言う。

 

のび太「タイムシップ、取り敢えず此処から離れて時間移動して!」

《了k…caution、caution、caution…》

のび太「えっ、な、何⁈如何したの⁈」

 

のび太達は突然の警告音に驚き困惑する。のび太は、その原因をタイムシップに聞く。

 

《超空間ニ突入スル為ノエネルギーガ足リマセン。ヨッテ、時間移動ハ不可能デス》

のび太「何だって⁉︎」

奈々「そ、そんな…」

郎夜「くそっ、如何すりゃぁ…」

 

その時、外で天井が崩れタイムシップの近くに落下し、それによりタイムシップが大きく揺れる。

 

のび太「うわっ!」

奈々「きゃっ!」

郎夜「どわっ!」

 

三人は、その揺れに思わずよろける。よろけながらのび太はタイムシップに言う。

 

のび太「これって飛んで出ることは出来ないの⁈」

《可能デス。シカシ、周リニハ脱出スル為ノ出口ガアリマセン》

郎夜「これに何か脱出口開ける為の装備とかねえのか⁈」

《迎撃用ノ反物質粒子砲ガ搭載サレテイマス。シカシ、今発射スルトコノ場所ガ一気ニ崩壊シテシマイマス》

奈々「撃たなくても、もう十分崩れてるよ!」

郎夜「構わん!撃てぇぇぇ‼︎」

 

すると、タイムシップの前面から極太の巨大な砲身が出てきて、その砲身にエネルギーがチャージされていく。

 

《反物質粒子砲発射マデ後5秒、4、3、2、1反物質粒子砲発射シマス》

 

その瞬間、砲身から巨大な光の砲撃が放たれ天井に命中し、一気に外まで貫いた。それにより、タイムシップが通れる程の巨大なトンネルが出来る。

 

のび太「今だ一気に飛べぇぇぇ‼︎」

 

のび太が叫ぶ様に言うと、タイムシップは急に動きだし凄まじい速度でトンネルを潜る。しかし、反物質粒子砲の影響で基地が一気に崩壊しだし、その影響でトンネル内も岩や瓦礫が無数に落下して、タイムシップに傷をつけていく。

 

郎夜「ぐうぅぅ、後どれ位だ⁉︎」

《間モナクデス。脱出ノ際ニ非常ニ大キナ揺レガ予想サレマス。警戒シテ下サイ》

 

タイムシップが出口付近に差し掛かった時、出口が一気に崩れた。しかし、タイムシップは速度を緩めることなく出口へと向かっていき、崩れた出口を無理矢理こじ開けて外へと出た。

 

のび太「治まった…?」

奈々「脱出できたの…?」

《脱出ニ成功シマシタ》

郎夜「…や…」

皆「やったぁぁぁぁぁ‼︎」

ピー助「ピィーーー‼︎」

 

タイムシップの報告を聞くと、三人は一斉に歓声をあげて喜ぶ。それから暫く、三人は騒ぎまくっていた。その間にタイムシップは地面へ着陸する。そして、漸く落ち着いた三人は外へと出る。

 

奈々「すぅぅぅ…はぁ〜〜。何だか外の空気を吸うのが久し振りに思えちゃうね」

のび太「そうだね。ずっとって程じゃなかったのかもしれないけど、結構あの基地にいたからね」

郎夜「本当だぜ。正直、息が詰まりそうだったぜ」

ピー助「ピィ、ピィ」

 

のび太たちは外へ出ると、思い思いの感想を言う。それから、のび太たちは外の空気を味わいながら休んだ。

 

 

数時間後

 

のび太たちが休んでいた場所には青と白の制服に身を包んだ“タイムパトロール”の隊員たちがタイムシップの調査をしていた。その中でサングラスにヒゲを生やした人物に一人のタイムパトロール隊員が報告をする。

 

隊員1「長官、タイムシップの調査が完了しました。奴らのアジトの方も調査がもうすぐで完了するとのことです」

長官「そうか。ご苦労だった。それでは、暫くは待機だ。そして、アジトの調査が終わり次第帰還する。準備だけはしておけ」

隊員1「はっ!」

 

隊員は敬礼をして返事をすると、離れていく。そこで、別の隊員が長官に話しかけた。

 

隊員2「長官、よろしいでしょうか」

長官「如何した?何か問題でも起きたのか?」

隊員2「あ、いえ。そうではありません。その…今回の事件の功労者である野比 のび太たちの姿がありません」

 

そう言うと、長官は一息吐くと明後日の方向を向く。

 

長官「彼らなら、もう行っただろう」

隊員2「そうですか。本来ならば、事件解決の貢献の表彰を

する筈だったのですが」

長官「まあ、行ってしまったものは仕方がない。後で表彰すれば良いだろう。確か、野比 のび太の家には子守ロボットが行っているんだったな?」

隊員2「はい。子守用猫型ロボットMS-903 ドラえもんが行っているとのことです」

長官「なら、問題は無い。未来の事を知っているのだ、渡せない事もない」

隊員2「はい。しかし、彼らも此処に居れば私たちが彼らの時代まで送れたのですが…」

長官「いや、それは出来なかっただろう」

隊員「?それは如何言う?」

長官「彼らは我々が送ると行っても恐らくは断るだろう」

隊員2「何故ですか?」

長官「それは若さ故だろうな」

隊員2「は?」

長官「彼らには彼らなりの意地があるんだろう。あの首長竜を自分たちの手で返すという」

隊員2「はあ…」

 

長官は隊員の納得のいかないという声音を感じ取り、そちらの方に向き直る。

 

長官「納得がいかなさそうだな」

隊員2「い、いえ!そんなことは!」

長官「ふっ、構わん。納得がいってないのは声を聞いたら大体は分かる」

隊員2「は、はあ…。それにしても何故、長官はそこまで言い切れるのでしょう?」

長官「何故、か…。私にも、あの様な時代があったからだろうからな。後先の事は考えず無鉄砲に突っ走っていた時代がな」

隊員2「それh…」

隊員たち「うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

隊員が長官に言葉の意味を聞こうとした時、他の隊員たちの方から悲鳴が聞こえた。長官と隊員は其方を向き、状況を聞く。

 

長官「如何した?」

隊員3「ちょ、長官。怪物が、怪物が現れて、そ、それで…」

 

長官は隊員の報告を聞くと現状を概ね把握する。

 

長官「成る程、奴らの残党か…。よし、お前たちは下がっていろ。私がやろう。最近は戦闘なんて滅多になかったからな、腕や感をなまらせない様にするにはちょうどいい」

 

そう言う長官の腰にはバックルに金色のタイムパトロールのマークのベルト“G電王ベルト”が巻かれていた。そして、自分の懐から黒いパス“ライダーパス”を取り出す。すると、G電王ベルトから音声が鳴りだす。

 

長官「変身」

 

長官がライダーパスをG電王ベルトのバックルにセタッチすると、身体が銀色の装甲に包まれた黒いスーツに変わり、頭部のレール部分をパトカー型のパーツが走り、顔の前で止まるとパトライトを模した赤と青の仮面に変形し、サイレンが鳴り響く。そして、長官は“仮面ライダーG電王”へと変身した。

 

G電王「総員、タイムマシンへ一時退避」

隊員たち「了解!」

 

G電王の命令に隊員たちは返事をし、タイムマシンへと戻っていく。そして、全ての隊員がタイムマシンへ退避した事を確認したG電王は刃が出ている銃“デンガッシャー ガンモード”を片手に構えると、此方へ向かってくる初級インベスたちを見る。

 

G電王「これより、敵残党の殲滅を開始する」

 

そう言ってG電王は、初級インベスたちにゆっくりと近づいていった。

 

 

平原

 

のび太たちはタイムマシンが来る前に、あの場から離れて先へ向かっていた。

 

奈々「ねぇ、のび太くん」

のび太「ん、なに?」

 

奈々は横を歩いているのび太に声をかけ、のび太はそれに反応する。

 

奈々「良かったの?あのタイムシップ置きっ放しにして」

のび太「大丈夫だよ。タイムパトロールが後始末してくれるでしょ。僕らじゃ如何しようも無かったし」

奈々「でも、タイムパトロール本当に来るのかな?私たちが休んでる間、全然来る気配が無かったけど…」

郎夜「だが、タイムパトロールってのは航時法ってのに則って活動してるんだろ?なら、あのタイムシップは何としても処理しなきゃならない筈だ。じゃないと、あんなのがこの時代にあったって事実が歴史に歪みを与えかねないからな」

のび太「そう言うこと。ま、どっちにしろ僕達には如何する事も出来ないからね。タイムパトロールに丸投げするしか方法が無いんだよ」

奈々「成る程」

 

のび太と郎夜の説明に奈々は納得したと言う表情で頷いた。それから三人は色々な事を喋りながら歩いていた。その時、三人の目にあるものが映った。それは一面の海だった。

 

郎夜「こりゃあ…」

奈々「陸が無くなってる…」

のび太「多分、陸地がくっついたり、離れたりって移動を繰り返してるんだよ」

 

そう、この先に続く筈だった陸地が離れていたのだ。三人が如何したものかと頭を悩ませていると…

 

ピー助「ピィ、ピィ」

のび太「ん?お前に乗れって?」

ピー助「ピィ〜!」

 

ピー助が、のび太の頭を叩きながら鳴き、その意図を察したのび太が確認の意味を込めて聞くと、ピー助は肯定する様に鳴いた。

 

 

海上

 

奈々「凄い!全員で乗っても沈まないよ!」

郎夜「成長したんだろうな、ピー助も」

 

三人は元の大きさのピー助の背中に乗って移動していた。ピー助は三人を乗せても沈むこと無く問題無く進んでいた。それを見た奈々ははしゃいで、郎夜はピー助の成長だと言う。その中で、のび太はピー助の背中を撫でながら嬉しそうな、しかし少し寂しそうな表情をしていた。

 

奈々「二人とも、あれ…」

 

すると、奈々が何かを見つけたのか、その方向を見ながらのび太と郎夜に声をかけた。二人も、その方向を見ると其処には小島程度の大きさの陸地の中に四角い黒い穴の様なものがあった。

 

のび太「タイムマシンの入り口だ…!」

郎夜「と言うことは、ここは日本⁉︎」

奈々「帰って来たんだ‼︎」

 

三人は、それがタイムマシンの入り口だと分かると一斉に喜ぶ。そして、ピー助が陸地に着くと降りて確認をする。

 

のび太「うん、間違いない。これだ!」

郎夜「よし!じゃあ、これで帰れるな!」

奈々「はい!…あっ、でもピー助とは…」

のび太「…」

 

奈々の言葉に、のび太は現実を再確認させられて押し黙る。もうとっくに分かっていたことだった。自分とピー助が何時迄も一緒にいられないことは。分かってはいたが心の何処かでは認めたくなかったのだ。毎回、そう思う度に何度も心の中で誤魔化していた。だが、もう誤魔化せない。これは現実だからだ。

 

郎夜「…のび太、行ってこい」

のび太「郎夜さん…」

郎夜「別れを言うのは辛いかもしれないが、言わなかったら一生後悔する事になるぞ」

のび太「…はい」

 

のび太は砂浜で海を眺めているピー助のそばに行く。ピー助もそれに気付き頭をのび太の方に近付けて、のび太はピー助の頭を優しく抱き締める。

 

のび太「ピー助、やっと日本に着いたんだよ。分かるか?」

ピー助「ピィ」

のび太「長かったな…」

ピー助「ピィー」

 

のび太がピー助に語りかけていた時、海から何か音がした。のび太とピー助が海の方を見ると、それはピー助と同じフタバスズキリュウの群れだった。その群れは、仲間同士でじゃれあったりしていた。そして、その群れがピー助に気付くと全員がピー助を見つめる。

 

フタバスズキリュウ達「ピー、ピー」

ピー助「ピィ…」

フタバスズキリュウ達「ピー、ピー、ピー」

 

フタバスズキリュウ達は、まるでピー助を呼んでる様に鳴き始める。それにピー助も呆然とする。のび太は、別れの時を感じて涙を零しそうになるが無理矢理抑え込んでピー助に語り掛ける。

 

のび太「ここがお前の故郷なんだよ」

ピー助「ピィ〜〜!」

フタバスズキリュウ達「ピー!」

ピー助「ピィ〜」

 

のび太が少し震えた声で、そう言うとピー助は仲間の呼びかけに応える様に鳴き、フタバスズキリュウ達もまたそれひ応える。そして、ピー助は仲間のもとへ向かおうと海に入る。のび太もその後をついて海に入る。ピー助の後をついて行くのび太は、ピー助のヒレや背中を見る。それは出会った頃とは違い、とても大きくなっていてピー助の成長を改めて感じる。それを見て、また涙が零れそうになるがまだ我慢する。今、ここで泣いてしまったらピー助が自分を心配して仲間のもとへ帰れない。そう思ってのび太は必死に涙を堪えていた。

 

のび太「ピー助…。お前は、これから色々なものを見て、知って、学んで。その中で、お前はまた成長するんだ。その中には知りたくなかった事や辛いこともあるかもしれない。でも、それでも逃げないで欲しいんだ。その経験も、お前をきっと大きくしてくれるから。それで今度はお前が皆を守るんだ。だから、だから…」

 

のび太が話している間にピー助は群れに近づいて行った。そして、群れもピー助を受け入れていた。その様子を見たのび太はとうとう涙を隠せなくなっていた。顔は泣きそうに歪んでいて、今にも涙が零れそうな表情だった。

 

のび太「ぼ、僕も、頑張るからな!じゃあ、げ、元気で、な!」

 

そう言うとのび太は後ろを向いて一直線に走り出す。その途中、足がもつれつまづいてしまう。

 

のび太「二人とも!早く乗って、早く!」

奈々「のび太くん…」

郎夜「乗るぞ…」

奈々「はい…」

 

その様子を見ていた奈々は涙ぐんでいて、郎夜はのび太の気持ちを察してタイムマシンに乗り、奈々に乗る様に言う。

 

ピー助「ピィ〜〜!」

 

離れていくのび太を見て、ピー助は鳴くとのび太を追う。のび太は気持ちが落ち着かず足が思う様に動かない。

 

ピー助「ピィ〜!」

のび太「くっ…うっ…来るなぁぁぁぁ‼︎」

ピー助「ピ…ピィ〜〜〜〜!」

 

のび太は振り向いてピー助に来るなと言う。その時、ピー助は見てしまった。のび太の涙を、表情を。今の今までピー助を行かせる為に堪えていたそれらを。それを見るとピー助は追えなくなってしまう。しかし、それでも涙を流しながらピー助はのび太を呼ぶ様に鳴く。その鳴き声を背に受けながらのび太はタイムマシンに駆け込む様に乗り、泣きながら運転席のレバーを引く。すると、タイムマシンは起動してどんどん上昇して行く。

 

ピー助「ピィ〜!」

 

ピー助は上昇して行くタイムマシンを見て鳴き声を上げる。奈々と郎夜は涙を流しながらもピー助を見ていて、のび太は顔を俯かせて泣いていた。そして、タイムマシンが一定の高さまで来るとオレンジの光に包まれる。

 

奈々「さよなら、ピー助!」

郎夜「元気でやれよ!」

のび太「ピー助〜〜〜〜〜〜‼︎さようなら〜〜〜‼︎」

 

奈々と郎夜は、少し落ち着いたのか泣きながらもピー助に別れを言う。のび太も最初は顔を俯かせたままだったが、覚悟が決まったのかピー助の名前を呼び、別れを言う。その顔は、もう泣いていなく優しげな表情だった。

 

のび太「出発!」

 

タイムマシンが動き出し、オレンジの光が激しくなる。その中で、のび太はもう一度だけピー助を見る。見るとピー助は此方に向かって鳴いている様だった。それを見たのび太が小さな声で言う。

 

のび太「さようなら。強くなれよ、ピー助…」

 

のび太がその言葉を言ったのをきっかけに、タイムマシンが発進する。そして、オレンジの光を煌めかせながらのび太たちを乗せたタイムマシンは白亜紀の日本から消えた。

 

 

のび太の家の前

 

のび太「今日は本当にありがとうございました」

郎夜「気にすんなよ。こっちも貴重な体験させてもらったしな」

奈々「うん。だから、こっちからもありがとうねのび太くん」

 

白亜紀から帰ってきたのび太は、家の前で郎夜と奈々の見送りをしていた。時間はもう夕方だった。

 

郎夜「じゃあ、そろそろ行くか」

奈々「はい。またね、のび太くん」

のび太「うん。またね」

 

奈々と郎夜はのび太に別れの挨拶を言うと、のび太に背を向けて歩いていく。のび太はそれを二人が見えなくなるまで見ていた。そして、二人が見えなくなって家に入ろうとした時、夕やけ空が目に入った。

 

のび太「夕やけがきれいだな…」

 

のび太は空を見ながら誰にとも無くそう言うと、家に入っていく。家に入ると玉子が台所から出てきた。

 

玉子「あら、郎夜さんと奈々ちゃんはもう帰ったの?」

のび太「うん」

玉子「そう。もうすぐご飯の支度するから、降りてきてね」

のび太「分かった」

 

のび太はそう言うと階段を登っていく。それを見ていた玉子は、ふと思い出した様にのび太に問いかける。

 

玉子「所で今日は何してたの?」

のび太「…ちょっとね」

 

のび太は問いかけられて一瞬動きを止めたが、今日の冒険を全て振り返りそう答える。そして、ゆっくり階段を上がって自分の部屋に向かった。

 

 

夜中

 

真夜中、のび太は中々眠れずにいた。何だか、気持ちが落ち着かず寝ようとする気になれなかった。のび太は起き上がって机に向かって座る。そして、ライトをつける。のび太は机の引き出しから何枚かの写真を取り出す。それは現代でのピー助との写真と白亜紀でのピー助との写真だった。それを見ながら、のび太はピー助がいた時の毎日を振り返る。

 

のび太「…寝ようかな」

 

のび太は写真を引き出しに仕舞うとライトを消し、布団に入る。すると、のび太のそばにピー助と遊んだボールがあった。それを見てのび太は全ての始まりである、あの卵を思い出し、重ねる。のび太はそっとボールを抱き寄せると目を瞑って呟く。

 

のび太「お休み、ピー助」

 

その時、のび太の耳にピー助の鳴き声が聞こえた様な気がした。

 




後書きの間

のび太「いや〜、とうとう書き切ったね」
Δデルタ「ああ、長かったよここまで来るのに」
郎夜「ほんとだな。まあ、言っちまえばまだエピローグがあるんだけどな」
奈々「でも、本編は此れで終わりですよね?」
ドラえもん「そうだろうね」
のび太「さて、そろそろ本編の方を見て行くとして。今回は基地からの脱出とピー助の別れの場面だね」
Δデルタ「ラスト映画でめっちゃ良かったよな。俺、泣いたもん、あのシーン」
ドラえもん「で、脱出は敵のタイムマシンに乗ってしたね。所でさ、反物質粒子砲って物騒過ぎない?」
郎夜「いや、犯罪者の基地なんだからありじゃね?未来人だし」
ドラえもん「未来って怖い…」
奈々「ドラちゃんが言っちゃう?」
郎夜「で、タイムパトロールの長官が変身しちゃったんだが?」
Δデルタ「なんか似合うと思って」
のび太「それだけ⁉︎」
Δデルタ「うん。あっ、設定的にはG電王はタイムパトロールが開発した技術って扱いだから」
郎夜「未来ってすんごい…。でも、ベルトのバックルの部分だけ違うよな?」
Δデルタ「だって、タイムパトロールが開発したのに時間警察のマークじゃおかしいでしょ?」
奈々「まあ、確かにそうですけど」
ドラえもん「所で、これのラストのシーンって旧版の映画のシーンだよね?」
Δデルタ「おう。なんかあのシーンが頭に残ってて」
のび太「へぇ〜」
Δデルタ「さあ、話すべき事は話した。じゃあ、次回予告を郎夜!」
郎夜「おう!冒険が終わり平和な日常を過ごしていたのび太。だが、何故かタイムパトロールから呼び出しが…。そして、とある世界ではのび太の知らない間に事が進行していた。次回、エピローグ」
Δデルタ「全てを破壊し、全てを守り抜け!」


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エピローグ

Δデルタ「読者の皆様。お久しぶりです」
のび太「本当だよ!何やってたんだよ、今の今まで!」
ドラえもん「そうだよ。ただでさえ文才が無いのに、これじゃあ読者の皆様が離れていく一方だぞ!」
Δデルタ「いや、それは本当にすまない。マジで反省してる」
郎夜「それより、早く始めようぜ。これ以上、読者の皆様を待たせるわけにはいかねぇだろ」
奈々「そうですね。では、真・のび太の恐竜2006 エピローグを…」
皆「どうぞ!」


22世紀

 

のび太「へぇ〜、ここが22世紀か」

 

のび太は、初めて見る未来の世界の風景を見渡しながら写真を撮っていた。そして、ある程度とれた所で目的地へ向けて歩き出した。今、のび太は一人で22世紀に来ていた。その理由は…

 

のび太「タイムパトロール本部って何処なんだよ…。どの建物も大きくて検討もつかないし」

 

そう、のび太はタイムパトロールに呼び出されて来ていたのだ。のび太が家で漫画を読んでいた時、タイムマシンの入り口である机の引き出しから手紙が入ってきた。のび太が、それを取って見てみると自分宛の様だった。それで、中身を見てみるとタイムパトロールからの呼び出しの内容の様だったので、ドラえもんのタイムマシンを使い未来に来て今に至ると言う訳だ。

 

のび太「それにしても、地図位は入れておいて欲しかったな。はぁ〜、探すの面倒だなぁ」

 

のび太は未来の世界で迷っていた。送られてきた手紙には地図や目的地を示したものなどは一切入っておらず、のび太には如何しようも無かった。

 

のび太「駄目だ〜!全然、見つかんないや。 これから如何しよう…」

 

いくら探してもタイムパトロールの本部が見つけられず、手掛かりすら見つけられず疲れたのび太は近くの公園のベンチに座り込んだ。

 

のび太「はぁ…これから如何しよう…」

 

のび太は座り込んだままガッリクリと項垂れる。その時、突然のび太の耳に非常ベルの音が聞こえた。その音に顔を上げたのび太は辺りを見回し音の発生源を探す。すると、のび太から見て左側の道路の向こうにある銀行らしき建物から何かが飛び出して来た。それは二つの赤く丸い目にドリルの様な鼻を持ち、青い身体に赤いコートを羽織った様な姿で右手に大きな爪とそれぞれ別の左手を持った三体の怪人“モールイマジン”であった。モールイマジン達は銀行から奪ったと思われる金を詰め込んだ袋を担いで走り去っていく。

 

のび太「はぁ…この前あんな事があったばっかなのに…。取り敢えず、追いかけよう」

 

のび太は未来に来てまで怪人関連の騒動に巻き込まれる自分の運の無さに溜息を吐くと、ベンチから立ち上がりモールイマジン達が逃げて行った方向へ向かった。

 

 

廃ビル

 

都市部から大分離れた所にある廃ビル。その中では先程のモールイマジン達が机の上に銀行から奪ってきた金を撒き散らして、その額に興奮していた。

 

モールイマジン(アックス)「おお!こりゃ凄ぇぜ‼︎」

モールイマジン(クロー)「こんな大金初めて見たYO!」

モールイマジン(ドリル)「落ち着きなさい。この金は契約者の為の物で私達が貰う訳では無い」

 

大金にはしゃぐ二体のモールイマジンを丁寧口調のモールイマジンが窘める。しかし、二体のモールイマジンは金を掴んで見せながら反論する。

 

モールイマジン(アックス)「良いじゃねえかよ。こんなにあるんだ、ちょっと位パクった処で暴露やしねぇよ!」

モールイマジン(クロー)「そうだYO!けち臭い事言ってんじゃねぇYO!」

モールイマジン(ドリル)「兎に角、一度落ち着きなさい。それに、まだ油断は出来ません。世の中、何が起こるか分からないものですから」

モールイマジン(クロー)「考え過ぎだYO!もっと気楽にいこうYO!」

モールイマジン(アックス)「そうだぜ。大体、お前は何時も慎重すぎんだよ。俺達がヤバくなる位の事なんてよ、そうそう起こってたまるかよ!ガハハハハハハッ‼︎」

モールイマジン(ドリル)「全く、貴方達は…」

 

モールイマジン(ドリル)は、お気楽過ぎる二人のモールイマジンに注意を促すも、まるで聞かずに笑ってる二人の様子に顔に手をあてて呆れていた。そんな様子にも気付かず乱暴な口調のモールイマジンは金を袋に詰め直すと立ち上がる。

 

モールイマジン(アックス)「さて、何はともあれ目的は果たしたんだ。さっさと言って契約完了しようぜ」

モールイマジン(ドリル)「…そうですね。ここで話し合っていても意味はありませんし」

モールイマジン(クロー)「そうと決まれば早速行くYO!…ん?」

 

部屋から出ようとドアへと歩きだしたモールイマジン達であったがラップ口調の様なモールイマジンが足を止めると振り返った。それに気づいた他の二人も足を止めて声をかける。

 

モールイマジン(アックス)「あん?おい、如何したんだよ?」

モールイマジン(ドリル)「何かあったのですか?」

モールイマジン(クロー)「分かんないけど、何か聞こえるYO!」

モールイマジン(アックス)「んだと⁈」

モールイマジン(ドリル)「少し周りの部屋を見てきます。二人はここにいて下さい」

 

モールイマジン(ドリル)はそう言うと部屋を出て右隣の部屋に入った。何時でも戦えるよう左手のドリルを構えながら警戒して部屋を見渡す。そして、慎重に部屋の隅々を調べる。しかし、その部屋には何も無い。すると、次は左隣の部屋に入り調べる。しかし、そこでも何も無い。少し肩透かしを食らった様になりつつも警戒は解かずに部屋に戻った。

 

モールイマジン(アックス)「おい、どうだったんだ」

モールイマジン(ドリル)「いえ…特に異常は見られませんでした」

モールイマジン(アックス)「んだよ。ただの勘違いかよ、紛らわしい!」

モールイマジン(クロー)「そんな事ないYO!確かに聞こえたYO!」

モールイマジン(ドリル)「しかし、周りの部屋には何も問題は無かったのですが…」

モールイマジン(アックス)「そうだぜ。それに、このビルに入った時に一通り調べて問題無かったじゃねえか。それは参加したお前もよく分かってるだろ?」

モールイマジン(クロー)「そ、それは…」

 

モールイマジン(アックス)の言葉に反抗するモールイマジン(クロー)。しかし、返された言葉に反論出来ず言い淀む。それを見たモールイマジン(アックス)は前を向き直し歩き出す。

 

モールイマジン(アックス)「おら!寝ぼけた事言ってねぇでさっさと行くぜ!早くしろ!」

モールイマジン(クロー)「わ、分かったYO…」

 

モールイマジン(クロー)は渋々納得しながらついていく。だが、それでも気になり後ろを向く。すると、先程までいた机の周りの床に金が落ちているのを発見した。恐らく、さっき袋に詰めた時に落ちたのだろう。それを拾いに行こうと机の方に向かうモールイマジン(クロー)。そして、金を拾い戻ろうとすると、また何か聞こえてきた。モールイマジン(クロー)は、その原因を探ろうと必死に耳を澄ませる。すると、音は窓の外の方から聞こえてきていた。モールイマジン(クロー)が窓の方に寄って行き窓を開けようとしたその時…

 

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

モールイマジン(クロー)「⁉︎や、ヤバイy…」

モールイマジン(アックス)「何⁉︎」

モールイマジン(ドリル)「これは…⁉︎」

 

ディケイドがディメンションブレイクで窓ガラスを割りながらビル内に侵入し、そのままモールイマジン(クロー)を倒す。突然の出来事に二体のモールイマジン達は呆然とするがすぐさま我に帰り各々の左手の武器を構えて戦闘態勢を整える。

 

モールイマジン(アックス)「てめぇ‼︎何者だ‼︎」

モールイマジン(ドリル)「くれぐれも油断は…」

モールイマジン(アックス)「わかってる。不意打ちとはいえあいつが瞬殺されたんだ。油断なんてしねぇ」

 

モールイマジン達はいきなりの襲撃で、しかも仲間の一人を瞬殺された事に戸惑うがそれらの気持ちを押し殺して目の前の敵と対峙する。一方、ディケイドはマシンディケイダーから降りるとモールイマジン達に向かって話す。

 

ディケイド「ただの通りすがりだよ、銀行強盗のイマジンさん」

モールイマジン(ドリル)「⁉︎」

モールイマジン(アックス)「如何やら俺等の事を知ってる様だな。しかも、イマジンだとまで分かるとはな。もしかして、電王の仲間か?」

ディケイド「うーん…まあ、そんな所かな?」

 

モールイマジン(アックス)の問いにディケイドは少し思案し肯定する。それを聞いてモールイマジン達はより警戒を強め、何時でも戦闘や逃走が出来る様にする。

 

モールイマジン(ドリル)「それで貴方の目的は、と言っても分かり切っているのですが一応聞いておきましょう」

ディケイド「勿論、お前達を倒す。後は、盗んだお金を取り戻したり契約の妨害ってところだね」

モールイマジン(アックス)「ちっ!」

 

ディケイドの言葉を聞くとモールイマジン(アックス)は舌打ちをし、一気に飛び出し襲い掛かった。そして、斧の形状の左手をディケイドに向け振り下ろす。

 

ディケイド「ふっ、はあっ!」

モールイマジン(アックス)「ぐあっ!」

 

ディケイドは振り下ろされる斧を屈んで躱すとライドブッカーをソードモードにして斬り裂く。そして、火花を散らしながら下がるモールイマジン(アックス)を連続で斬り裂いていく。ライドブッカーの連撃を受けたモールイマジン(アックス)は吹き飛ばされ地面を転がる。

 

モールイマジン(ドリル)「たあっ!」

ディケイド「甘いよ!」

 

後ろからモールイマジン(ドリル)がドリルを突き出して迫って来るが、ディケイドはライドブッカーで受け止める。そして、直ぐに上へと弾き無防備な体勢となったモールイマジン(ドリル)を斬り裂く。

 

モールイマジン(アックス)「うおらぁぁっ‼︎」

ディケイド「ぐっ⁉︎」

 

横から突撃してくるモールイマジン(アックス)の斧を受け止めたディケイドだったが、モールイマジン(アックス)は力任せに弾き右手の爪で切り裂く。そして、斧で殴りディケイドを前蹴りで思いっきり蹴り飛ばす。さらに、吹き飛ばされているディケイドの後ろから迫っていたモールイマジン(ドリル)がすれ違い様にドリルで切り裂く。それにより、ディケイドは火花を散らしながら地面を転がる。

 

モールイマジン(ドリル)「ふぅ、貴方は危険です。今この場で始末します、良いですね?」

モールイマジン(アックス)「おうよ!さて、どんな風に甚振って欲しいんだ?今なら、それ位の要望には応えてやれるぜ」

ディケイド「はっ!悪いけど甚振られて喜ぶ様な趣味はしてないんでね」

《KAMENRIDE KIVA》

 

ゆっくりと歩み寄ってくるモールイマジンに対し、ディケイドは立ち上がりディケイドライバーにカードを装填し、仮面ライダーキバになる。Dキバはさらに、ライドブッカーからカードを取り出す。

 

Dキバ「随分とこの場にピッタリなカードだね」

《FORMRIDE KIVA DOGGA》

 

カードを装填するとDキバの胴体と両肩と両腕が頑丈な鎧に覆われた形状となり複眼は紫に染まった”ドッガフォーム”となる。Dキバは右手に紫色で拳の様なハンマー部を持つ巨大な鉄槌“ドッガハンマー”を持つ。

 

Dキバ(ドッガ)「さて、モグラ叩きのスタートだ!」

モールイマジン(アックス)「舐めやがって!喰らえっ‼︎」

モールイマジン(ドリル)「ふっ!」

 

ドッガハンマーを肩に担ぎながら言うDキバの態度に怒りを感じたモールイマジン(アックス)は思いっきり斧を振り下ろし、モールイマジン(ドリル)もドリルで貫こうとする。しかし、二人の攻撃はDキバにダメージを与える事は無く甲高い音と共に頑丈な鎧に攻撃を止められた。

 

モールイマジン(アックス)「な、なんだとぉ!」

モールイマジン(ドリル)「そ、そんな…」

Dキバ(ドッガ)「ふぅ…ふんっ!」

モールイマジン(アックス)「があっ!」

モールイマジン(ドリル)「げふっ!」

 

自身の攻撃を止められて呆然とするモールイマジン達にDキバはドッガハンマーを横薙ぎに振るう。その一撃を諸に喰らったモールイマジン達は横殴り吹き飛ばされ壁を突き破りながら転がる。

 

Dキバ「そろそろ決めるとするか」

《FINALATACKRIDE KI・KI・KI・KIVA》

 

何とか立ち上がるもダメージの所為で真面に立っていられない様子のモールイマジン達を見ながらDキバはトドメを刺す為にカードを装填する。辺りの雰囲気が変化しドッガハンマーの拳が開く。すると、その掌の部分の目の様な部分“トゥルーアイ”から魔皇力が放たれモールイマジンを拘束する。Dキバは再び拳が閉じられた状態のドッガハンマーを振り回し拳型のオーラを出現させる。そして、その拳型のオーラで敵を粉砕する“ドッガ・サンダースラップ”をモールイマジン達に向けて放つ。ドッガ・サンダースラップを喰らったモールイマジン達は爆発を起こす。それを見ながらDキバは変身を解く。

 

のび太「はぁ、これで終わりかな?後はお金を…って、如何やって返そう?普通に返すのは明らかに怪しすぎるし、う〜ん…。まあ、それは後で考えるとして先ずは盗まれたお金はって、あれ?」

 

ディケイドが一旦、お金の返し方を考えるのを止め盗まれたお金があるであろう場所に目を向けるが、そこには何も無かった。不思議に思ったのび太がその場所に行こうとすると窓の方から物音が聞こえた。のび太が咄嗟に振り向くとそこには先程、倒されたと思っていたモールイマジンが盗まれたお金が入った袋を持って窓の前にいた。

 

のび太「なっ⁉︎どうして⁉︎」

モールイマジン(ドリル)「危なかったですが、ギリギリの所で何とか抜け出せましてね。いや〜、ヒヤヒヤしましたよ」

 

のび太の驚愕を他所にそんな事を言っているモールイマジンは窓を開けて窓枠に足をかける。それを見たのび太はモールイマジンに近付こうとする。

 

のび太「待てっ!」

モールイマジン(ドリル)「では、私はこれで」

 

モールイマジンはのび太が近づく前に窓から飛び降りる。そして、無事に着地できたモールイマジンは直ぐさま走り去る。それを見たのび太も直ぐに追おうとビルから出る為に階段へと向かった。

 

 

金を持って逃走するモールイマジンは後ろを見て誰も追いかけて来ていない事を見て安堵する。もし、自分が今ディケイドに追いつかれたら終わり。それを、分かっているから今もスピードを落とさない。

 

モールイマジン(ドリル)「ふぅ、一先ずは撒けましたかね。(ですが、油断は出来ませんね。実力は恐らく…否、確実に彼方の方が上。そんな相手とわざわざやり合うほど私は馬鹿ではありません)」

 

そんな事を考えながら走っていると、モールイマジンは突然の銃撃を受けて吹き飛ばされる。モールイマジンは直ぐに立て直して相手を確認する。それはガンモードのデンガッシャーを此方に向けたG電王だった。

 

モールイマジン(ドリル)「で、電王!」

G電王「漸く見つけたぞ」

モールイマジン(ドリル)「く、くそっ!こんな時にっ!」

G電王「お前のデリート許可は既に出ている。潔く諦めろ」

 

自分のあまりの運の無さに悪態をつくモールイマジンにG電王は銃口を向けながらゆっくりと近づいていく。モールイマジンは逃走の機会を伺いながら後ろに下がっていくが、G電王にはそんなもの全く無かった。モールイマジンが思わず諦めかけた時、後ろからモールイマジンを追って来たのび太が現れた。のび太はモールイマジンと対峙しているG電王を見て驚きの声をあげる。

 

のび太「電王⁉︎何でこんな所に⁉︎」

G電王「おや?君は…」

モールイマジン(ドリル)「!今だっ‼︎」

のび太「あっ、しまった!」

 

G電王が、先程この場に現れたのび太に一瞬気を取られた隙にモールイマジンはG電王の上を飛び越えようとする。それに気付いたのび太は声をあげて、ライドブッカーを取り出そうとする。

 

G電王「無駄だ!」

モールイマジン(ドリル)「があっ!」

 

しかし、G電王は上を見ずにデンガッシャーを上に向けて発射する。すると、その弾は飛び越えようとしていたモールイマジンに命中し、モールイマジンはG電王の直ぐ後ろに落下した。

 

G電王「だから、潔く諦めろと言ったんだ。まあ、良い。これで終わりだ」

《perfect weapon》

 

G電王がそう言いながらライダーパスをG電王ベルトにセタッチするとベルトから音声が流れる。そして、G電王の周囲にバリアが展開し、デンガッシャーにエネルギーが集まる。

 

モールイマジン(ドリル)「不味い!こ、これは…」

G電王「遅いっ!」

 

モールイマジンは、その光景を見て危機感を感じて逃げようとするが、その前にG電王が赤と青の光弾を無数に発射する“ワールドバニッシュ”を喰らい爆発した。

 

G電王「ミッションコンプリート」

のび太「凄い…」

G電王「ん?おお、そうだった」

 

G電王は、のび太に気付くと変身を解きながら歩み寄って行く。そして、のび太の目の前に来ると話しかけてきた。

 

長官「君が野比のび太くんかな?」

のび太「は、はい」

長官「私はタイムパトロールトウキョウ本部の長官のクロキと言う者だ。よろしく」

のび太「こ、こちらこそ」

 

クロキの自己紹介を聞いて予想以上に偉い人だった事に若干緊張しながらも、のび太は差し出された手を握る。ここで、のび太は本来の目的を思い出した。

 

のび太「あの、実は僕…」

クロキ「分かっているよ。あの手紙を出したのは私だからね」

のび太「えっ、そうなんですか?」

クロキ「ああ。だが、後で本部までの地図を入れてない事に気付いてね。済まなかったね、困っただろう」

のび太「え、ええ。でも、こうして会う事が出来たんですから気にしないで下さい」

クロキ「そう言ってもらえるとありがたい。さて、このまま立ち話もなんだし、早速本部に案内しよう」

のび太「はい、お願いします」

 

二人は、そこで会話を一旦切ると本部に向かって歩き出した。

 

 

タイムパトロール本部

 

タイムパトロール本部に到着し、中を案内されているのび太だったが本部の中の様子を見て一つの疑問を抱いた。

 

のび太「(何で人がこんなに少ないんだろう?)」

クロキ「どうかしたかね?」

のび太「えっと、如何してこんなに人が少ない、と言うか殆ど居ないんですか?」

クロキ「その事か。それなら、この後分かるよ」

のび太「?」

 

のび太は素直にクロキに聞いてみたが、その答えに頭にハテナを浮かべるが、今は気にしないことにした。すると、クロキは、ある扉の前で立ち止まった。

 

クロキ「ここだ」

のび太「え、ここで何かあるんですか?」

クロキ「まあね。入ってみれば分かるよ」

 

クロキはそう言いながら目の前の扉を開ける。その中に入った瞬間、のび太は驚きのあまりの惚けてしまった。何故なら、その中にあったのは目の前の真っ直ぐの道を開ける様に並べられた椅子に座る大勢の本部の隊員や職員、奥にある台、そして感謝状贈呈式と書かれた看板だった。

 

クロキ「こっちだよ」

のび太「は、はあ…」

 

未だに惚けたままののび太をクロキが誘導して台に登らせ、自身も台の側に居た職員から何かを受け取るとのび太の前の台に登る。

 

クロキ「感謝状。貴方はこの度…」

のび太「(…はっ!僕は一体、てかなにこの状況⁉︎)」

 

クロキが感謝状の文を読んでいる時に、漸くのび太は我に帰るが今の状況を全く理解出来ないでいた。そんなのび太の様子も知らずに式は進行する。

 

クロキ「よって、ここに感謝状を贈り感謝の意を表します。どうぞ」

のび太「は、はい!」

 

クロキが感謝状をのび太に渡すと、周りの人は皆拍手する。その後、式は滞りなく進んだ。

 

 

応接室

 

のび太「はあ〜、緊張した〜!」

クロキ「ははっ、済まなかったね。君を驚かせ様と思ったのだが、効果があり過ぎたみたいだね」

のび太「本当ですよ」

 

式が終わった後に、のび太はクロキに応接室に案内され其処のソファーに座りながらクロキと話をしていた。のび太の様子にクロキは笑いながら謝罪をする。のび太はその謝罪を聞きながら質問をする。

 

のび太「あの〜」

クロキ「何だい?」

のび太「聞きたいことがあるんですけど」

クロキ「私に答えられる事だったら構わないよ」

のび太「では。貴方が変身したのって電王なんですか?」

クロキ「…。この質問は本来なら重要機密であり関係者以外には答えることは出来ないんだが、君は例外だ」

のび太「例外?それって…」

クロキ「その疑問も分かるが、先ずは先程の君の質問から答えよう」

 

クロキはそこで一旦切ると、ライダーパスを取り出し何かを入力する。すると、机の上にG電王ベルトが出現する。

 

クロキ「これは私達、タイムパトロールが開発した対怪人用殲滅システム G電王だ」

のび太「G電王…」

クロキ「目的は分かっていると思うが怪人に対抗する為だ。まあ、強力な力故に色々と制約があったりして思う様に動けない事もあるのだがね」

のび太「そうなんですか」

クロキ「それで、君が例外と言う事についての答えだが、君がディケイドだからだよ」

のび太「⁉︎」

 

クロキの言葉にのび太は内心動揺した。それもそうだろう。のび太は自分がディケイドだと言う事をばらした覚えはない。にも、関わらずクロキは自分がディケイドだと言う事を知っていた。混乱するのび太にクロキは話を続ける。

 

クロキ「何故君の事を知っていたのかと言うのは、聞いたからだ。鳴滝と言う男からね」

のび太「鳴滝⁉︎」

クロキ「うん。ある日、突然私の前に現れてディケイドは悪魔だ、全ての世界を破壊する。と言ってね。そこから色々と聞いた訳だ」

のび太「そのあと鳴滝は?」

クロキ「話すだけ話して消えてしまったよ。それから、偶然侵入に成功したタイムボールでドルマンスタインの基地での君の戦いを見たと言う訳だ」

のび太「そうですか…」

 

クロキの話が終わると応接室は一気に静かになった。その中でのび太は今聞いた話しから鳴滝の事について考えていた。何故、鳴滝は自分の事を悪魔と言うのか。自分が全ての世界を破壊すると言うのは如何言うことなのか。しかし、幾ら考えても答えは出ない。のび太が黙り込んでいると、クロキから話しかけてきた。

 

クロキ「さて、此方も質問をしてもいいかな?」

のび太「はい。何ですか?」

クロキ「君がディケイドの力を手に入れた経緯やそちらの事情を教えて欲しいのだが」

のび太「分かりました」

 

それからのび太はクロキに旅での出来事など全ての事情を話した。それらを聞いたクロキは難しい表情をする。

 

クロキ「まさか、そんな事があったとは…。それで、鳴滝とは一体何者なのだ?」

のび太「すいません。それは僕も分かりません。ただ、僕を敵視していることしか」

クロキ「そうか…」

 

そこで会話が終わり何と無く静かになる。だが、クロキがのび太に話しかける。

 

クロキ「所で、のび太くん。実は君を案内したい場所があるんだが」

のび太「案内したい場所?」

クロキ「うん。良いかな?」

のび太「はい、大丈夫ですけど」

クロキ「良かった。じゃあ、ついて来て」

 

そう言われて、のび太はクロキの後について行って応接室をあとにした。

 

 

訓練場

 

のび太がクロキに案内されて来たのは何やら周りが真っ白な広い場所だった。

 

のび太「ここって何する場所なんですか?」

クロキ「ここはね、私達タイムパトロール怪人特別対策科の訓練場になる場所だ」

のび太「怪人特別対策科?」

 

また新しく出て来た言葉にのび太は思わず聞き返す。

 

クロキ「怪人特別対策科と言うのは、日に日に活発になる怪人の脅威に対抗する為に作られる予定の部署だよ。今まではタイムパトロール全体で対処していたんだが、最近は怪人の出現頻度も増えてきてね。それで普通に対処するのが難しくなってきた事で、怪人用の対策が取られる事が先日決定してね。その為の部署だよ」

のび太「ヘぇ〜。あ、じゃあG電王もその部署が作られる事が決定した事で作られたんですか?」

クロキ「いや、G電王のシステムはその件とは全く無関係だったんだ」

のび太「えっ?」

 

のび太は思わず聞き返す。のび太はてっきり怪人特別対策科の創設に先駆けて開発された物だとばかり思っていたのでクロキの言葉は予想外だった。

 

のび太「(じゃあ、如何やってG電王システムは出来たんだ?あんな強力で完成されてる物が偶然出来たって言うのは考えにくい。とすると、それ以前に開発されていた?何の為に?…分からないや)あの、如何やってG電王システムが作られたんですか?偶然って訳ではないですよね?」

クロキ「確か、G電王システムが完成する前に元となるシステムが既にあったと言う話は聞いたことがある」

のび太「元となるシステム?」

クロキ「ああ、私は開発班ではないからこれ以上の事は分からないんだ。済まないね」

のび太「いえ、ありがとうございます」

 

G電王システムの話が終わった所でクロキは訓練場の説明の途中であったことを思い出した。

 

クロキ「話が大分逸れてしまったね。話を戻すが、ここは怪人特別対策科の訓練場となる予定で新たな機能も色々と加えられている」

のび太「新たな機能ですか」

クロキ「うん。それで一つ頼みたい事があるんだが」

のび太「何ですか?」

クロキ「その機能の一つを君に試して欲しいんだ」

のび太「僕がですか?」

クロキ「どうだろうか」

 

クロキの提案にのび太は少し考えるが結論は直ぐに出た。

 

のび太「分かりました。それで何をすれば良いんですか?」

クロキ「ありがとう。試すと言っても簡単だよ。ここで少し訓練して感想をくれれば結構だよ」

のび太「どんな訓練を?」

クロキ「模擬戦みたいなものさ。変身してここで待っていてくれ」

 

そう言うとクロキは出入り口とは別のドアから出て行ってしまった。のび太がディケイドに変身して暫く待っていると何処からかクロキの声が聞こえてきた。

 

クロキ「済まないね、待たせてしまって。漸く此方の準備が終わったから早速始めようか」

ディケイド「お願いします」

クロキ「うん。じゃあ、擬似戦闘訓練装置起動!」

 

突然、ディケイドの周りの景色が真っ黒になる。だが、それも一瞬で大量の光が放たれ思わずディケイドは目を瞑り、手を顔の前に翳す。やがて、光が晴れるとそこは真っ白な空間では無くビルが大量に並ぶ都会の街になっていた。

 

ディケイド「これって…」

クロキ「驚いたかい?これは擬似戦闘訓練装置と言って文字通りあらゆる場面での戦闘訓練を行う事ができる装置なんだ。その街並みは装置が映しだしたものだが、ちゃんと質量も再現している」

 

クロキの説明にディケイドは言葉が出なかった。22世紀の物だから何が出てきても不思議ではないとは分かっていたが、これは流石に予想外すぎた。だが、いつまでも驚いているわけにはいかないので心の準備をする。

 

ディケイド「クロキさん、準備は出来てます」

クロキ「よし、では擬似戦闘訓練開始!」

 

クロキの言葉と共にディケイドの前に大量のマスカレイド・ドーパントが出現する。マスカレイド・ドーパント達は一斉にディケイド向けて駆け出す。それに対し、ディケイドは特に焦ることも無くライドブッカーからカードを取り出し、装填する。

 

《ATACKRIDE BLAST》

 

ディケイドはディケイドブラストでマスカレイド・ドーパント達を撃つ。それにより一気に数が減ったが、全滅とまではいかずかなりの数が向かってくる。ディケイドは、それを見るとライドブッカーをソードモードにしてマスカレイド・ドーパントの大群に突っ込む。

 

《ATACKRIDE SLASH》

ディケイド「はあっ!」

 

ディケイドはライドブッカーの刀身を強化・分身させて切り裂くディケイドスラッシュでマスカレイド・ドーパント達を切り裂いていく。後ろからマスカレイド・ドーパントの一体が隙をみて殴りかかってくるが、ディケイドはそれを屈んで避けて蹴りを放つ。更に、近距離で光弾を放とうとする奴もディケイドは瞬時に接近し斬り払う。そうやって敵の数を確実に減らしていくディケイドだったが、ある程度倒した所で急にマスカレイド・ドーパント達が離れていくのに気付いた。何かあると思い周りを見ると、ディケイドを囲む様に並ぶマスカレイド・ドーパント達に気付いた。マスカレイド・ドーパント達は一斉に中心にいるディケイドに向けて光弾を放った。かなりの数の光弾を受けてディケイドのいる場所が爆発する。

 

《KAMENRIDE W》

《FORMRIDE W LUNATRIGGER》

 

爆発の中から『幻想の銃撃手』であるDW(ルナトリガー)が高く飛び上がる。そして、DWはそのまま空中でトリガーマグナムを連射する。すると、発射された光弾は一発一発が意思を持ったかの様な軌道でマスカレイド・ドーパント達に向かい、周りのマスカレイド・ドーパント達が全滅する。

 

DW「ふぅ、さてと。あとは何処に…ぐあっ!」

 

DWが周りの敵を倒して残りを探していると突然、背中を痛みと衝撃が襲う。DWは直ぐに立て直し後ろを向き辺りを見回す。そこで、目の前のビルの上に数体のマスカレイド・ドーパントがいるのを見付けた。

 

《KAMENRIDE KUUGA》

 

DWはDクウガへと変身し、さらにカードを装填する。

 

《FORMRIDE KUUGA DORAGON》

 

すると、Dクウガの複眼と身体が青くなり肩のアーマーがなくなってパワーの代わりにスピードとジャンプ力が上がっている“ドラゴンフォーム”となる。ドラゴンフォームとなったDクウガはジャンプして一気にビルの屋上まで辿り着く。Dクウガの姿を確認したマスカレイド・ドーパントは一斉に光弾を放とうとする。それを見たDクウガは後ろの落下防止用の手摺の一本を折ると、それを両端の部分に霊石が嵌め込まれた青い棒“ドラゴンロッド”に変化させる。そして、マスカレイド・ドーパント達が放った光弾をDクウガはドラゴンロッドを回転させる事で全て防ぐ。

 

Dクウガ「今度はこっちの番だ!」

 

そう言うとDクウガはマスカレイド・ドーパント達に向かって行く。先ず、最初の奴をすれ違い様にドラゴンロッドで足を払い一回転させる。そして、次に来た奴はドラゴンロッドを横薙ぎに振るい薙ぎ払う。更に、次も縦に振り打ち下ろしを喰らわせる。最後の奴も相手の攻撃を頭を逸らして避けて蹴りを放ち相手が下がった所に渾身の突きを放つ。突きを喰らった相手はそのままビルから落下していった。

 

Dクウガ「さあ、次、は…」

 

Dクウガは目の前の光景に言葉を失った。何故なら、そこにはマスカレイド・ドーパントが乗った三機の攻撃ヘリコプターがあったからだ。

 

Dクウガ「そんなのありかよっ⁉︎」

 

Dクウガが、そう叫んだ瞬間ヘリから機関砲が一斉掃射される。Dクウガは、それを慌てて隣のビルに飛び移る事で回避する。だがヘリは直ぐに此方を向き、また機関砲を撃ってくる。Dクウガは、その為に反撃できず防戦一方となっていた。

 

Dクウガ「くそっ!変身する隙が無い。せめて、一機か二機落とせれば…そうだ!」

 

名案を思い付いたDクウガは次のビルに飛び移る時にヘリの方を見ながら跳ぶ。そして、ヘリが前のビルに機関砲を撃っている隙にDクウガは右手のドラゴンロッドを一機のヘリに向かって投げる。投げられたドラゴンロッドは真っ直ぐに飛び、目的のヘリのガラスを破り中で操縦していたマスカレイド・ドーパントの顔面に直撃する。中の操縦士が倒された事でヘリは不安定な動きで落下していく。その際、近くにいたヘリを巻き込みながら落下した。

 

Dクウガ「よしっ!後は」

 

二機のヘリを落としたDクウガは最後のヘリがいる方向とは逆の方から飛び降りる。

 

《KAMENRIDE FORZE》

 

Dクウガはオレンジ色の複眼に白い宇宙服の様な身体のライダー“仮面ライダーフォーゼ”に変身する。

 

《ATACKRIDE ROCKET》

 

Dフォーゼの右腕にオレンジ色のロケット“ロケットモジュール”が装着される。Dフォーゼはロケットモジュールの噴射により一気に飛び上がる。それにより、あっという間にヘリよりも高所をとる。

 

《ATACKRIDE DRILL》

 

Dフォーゼの左足に黄色のドリル“ドリルモジュール”が装着される。その時、ヘリが此方に向けてミサイルを放ってきた。

 

《FINALATACKRIDE FO・FO・FO・FORZE》

 

Dフォーゼはロケットモジュールの勢いを加えたドリルモジュールによる蹴りで敵を貫く“ライダーロケットドリルキック”を放つ。ライダーロケットドリルキックは向かって来るミサイルをあっさりと破壊して、そのままヘリを貫いた。貫かれたヘリは爆発を起こし粉々になる。こうして、戦闘訓練は終わりを告げた。

 

 

 

休憩所

 

のび太「はあ〜、冷や冷やした…。ヘリまで出すなんて聞いてないですよ…」

クロキ「すまなかったね。だけど、実際の戦闘ではそんな事は言ってられないからね」

のび太「それはそうですけど…」

 

のび太は先程、クロキから受け取ったジュースを片手に休憩所のソファーでぐったりしていた。クロキは、そんなのび太に一応謝罪の言葉を述べるが、その後に最もな事を言う。のび太もクロキの言葉は正しいと分かっているので何とも言えない。それを見ながらクロキは会話を続ける。

 

クロキ「それで、どうだったかな?我がタイムパトロールの開発班が改良に改良を重ねて出来たシステムは?」

のび太「いや〜、それに関しては本当に凄いです。周りの町並みや仮想敵もよく出来てて本当の戦いと殆ど変わらない様に感じました」

クロキ「そうか、それなら良かった。これで、このシステムも漸く使われる事になるだろう。ありがとう、のび太くん」

のび太「いやいや、こんな良い訓練をさせて貰ったんですから。僕の方こそ、お礼を言わなくちゃいけないですよ」

クロキ「なら、これでお互いにおあいこと言う事になるかな?」

のび太「ですね」

 

そして、その後暫く会話をした後のび太は元の時代に帰ることになった。その時、また何時でも来てくれと言われたのび太はよろこんでと返事をした。

 

 

のび太の部屋

 

机の引き出しにあるタイムマシンの入り口から出て来たのび太は時計を見て、自分が未来に行った時間から五分しか経ってない事を確認した。何故かと言うと、のび太はタイムマシンで自分が未来に行った時間から五分後の時間に着く様にしたからである。

 

のび太「ふぅ〜、色々あったけどいい経験も出来たし良しとするか」

 

のび太はその場で軽く伸びをすると、再び時計を見る。

 

のび太「う〜ん、これから何しようか…。よし!昼寝しかないね」

 

そう言うとのび太は手近にあった座布団を手に取ると、それを枕にして寝転がると一瞬で眠りに落ちてしまった。因みに、先程ののび太の眠りに入るまでのタイムは一秒掛からなかったと言っておこう。

 

 

何処かの世界

 

辺りが廃墟の様になっているこの世界で大量の怪人と三人の戦士が戦っていた。それは、キバと龍騎、そして赤い複眼にカブト虫の様な頭部、青い身体に銀の鎧を纏った戦士“仮面ライダーブレイド”だった。

 

キバ「ふっ!さっきから全然減ってる気がしない、なっ!」

龍騎「おりゃ!てか、むしろ増えてってないか⁉︎たあっ!」

ブレイド「はあっ!それでも、やるしかないだろ!」

 

キバ、龍騎、ブレイドは迫り来る怪人達を蹴散らしながら会話していた。幾ら、大量に発生したとは言っても基本的に戦闘員クラスの奴らばかりだったので特に苦戦はしていなかった。だが、次々と襲ってくる怪人達の多さにうんざりしていた。

 

龍騎「鳴滝もいないし、どう言うことだよ。だあっ!」

ブレイド「それは分からない。俺が来た時にはもう。はあっ!」

キバ「だけど、これを放っておく訳にはいかないでしょう。たあっ!」

 

三人共、地道に怪人達を蹴散らしていたが、突然目の前敵を倒すと後ろへ下がって距離をとる。それを見て怪人達は一気に押し寄せるが、三人は微塵も焦りを見せずにキバは腰から赤い笛の様な物“ウェイクアップフエッスル”を、龍騎は腰のVバックルからカード“アドベントカード”を、ブレイドはその手に持つ剣“醒剣ブレイラウザー”の持ち手の部分を展開し其処からトランプの様なカード“ラウズカード”を取り出す。

 

《ウェイクアップ!》

《FINALVENT》

《KICK、THUNDER、MACH LIGHTNINGSONIC》

 

すると、辺りを赤い霧が覆い三日月が浮かぶ夜になる。そして、キバは右足を高く振り上げ、その周りをキバットが飛び回ると右脚の拘束具 “ヘルズゲート”が解放される。龍騎は赤い龍“無双龍ドラグレッター”を従えながら腰を落として構えをとる。ブレイドは周りに出現したエネルギー状のラウズカードが取り込まれ、頭部の角から口元にかけて赤く発光する。三人は、そのまま飛び上がりそれぞれの必殺キック“ダークネスムーンブレイク”、“ドラゴンライダーキック”、“ライトニングソニック”を放つ。

 

キバ「はああああっ‼︎」

龍騎「だああああっ‼︎」

ブレイド「ウェェェェイ‼︎」

 

三人の必殺キックを喰らった怪人達は一斉に爆散する。三人は辺りを見回しながら合流する。

 

キバ「やっと、片付いたみたいですね」

龍騎「だな」

ブレイド「ああ。じゃあ、帰るとするか」

龍騎「なあ、あいつ(・・・)は放っておいていいのか?」

 

ブレイドの言葉に、龍騎はある一点を見ながら言う。

 

キバ「大丈夫でしょう。彼女(・・・)の強さは分かっているでしょう?それに彼女曰く、のび太くん以外の人と馴れ合うのは好きじゃないらしいですし。」

ブレイド「それに、話せたとしてもまたからかわれるだけだぞ」

龍騎「うっ…確かに。分かった。それじゃあ、帰るか」

 

三人は目の前に出現した銀色のオーラをくぐって元の場所に戻って行った。

 

 

 

廃ビルの屋上

 

ぼろぼろになった崩れかけの廃ビルの屋上で、一人の少女がいた。その少女は手摺に腰掛けて三人が大量の怪人と戦って撃破し、帰るところまで見ていた。

 

少女「おっ、帰ったみたいだね。偶然立ち寄った世界で怪人達と鳴滝がいた時は流石に驚いたよ。でも、鳴滝はすぐに帰っちゃったし、その後に一真が出て来たから特に問題はなかった訳だけど」

 

少女は足をぶらぶらさせながら誰ともなくそう呟いた。そして、手摺から降りると後ろを向く。

 

少女「さてと。そろそろ行こうかな?いつまでも此処にいたって仕方ないし、僕だって暇じゃないしね」

 

そう言うと、少女の目の前に銀色のオーラが出現する。銀色のオーラはそのまま少女に接近し、飲み込もうとする。銀色のオーラに飲み込まれる直前に少女は呟いた。

 

少女「何処の世界か検討はついてる。待っててね、のび太♪」

 

そして、少女は完全に銀色のオーラに消えた。

 




後書きの間

のび太「これで、何とかのび太の恐竜編は終わりだね」
Δデルタ「そうだな。次は、また何話か日常編をやって、その後に劇場版に入ると言う形だ」
ドラえもん「この小説の基本的な進め方だね。それより、モールイマジンの性格なんだけど…」
郎夜「なんだよあれ」
Δデルタ「いや、だってさ。三体もいるんだよ。三体とも同じ様な奴だとややこしいじゃん?」
奈々「だから、個性をだしたってことですか?」
Δデルタ「そう言うこと」
のび太「それにしたって、あれは…まあ、いいか。所で、クロキさんって前回の長官だよね?当たり前だけど」
Δデルタ「ああ。クロキはこれからたまに出てくる様な感じだから、出番が多いとは言えないが」
ドラえもん「それでさ、G電王の元になったシステムって?」
Δデルタ「それは言えんな。でも、何れ明かすつもりだ」
郎夜「本当か?」
Δデルタ「保障は出来ん」
郎夜「おい」
Δデルタ「で、最後に出て来た人物は勿論まだ秘密だ。まあ、次の話辺りで明らかにするつもりだから」
のび太「早いな、もうちょっと伸ばすとかしないの?」
Δデルタ「いやいや、次の劇場版の前にやりたいことが結構あるから、余裕があんま無いんだ」
ドラえもん「何だ、それ」
Δデルタ「じゃあ、そろそろ締める!異論は認めん!と言うことでのび太宜しく!」
のび太「はぁ…。至って普通の日常を送っていた僕達。しかし、そこに突然…。次回、第六話」
Δデルタ「全てを破壊し、全てを守り抜け!」


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映画ドラえもん 真・のび太の宇宙開拓史
エピソードⅠ


どうも、最近オーレンジャーの虹色クリスタルスカイに嵌っているΔデルタです。ようやく、劇場版の話に入ることが出来ました。ここまで長かった…、主に自分の不定期更新の所為ですが…。それでは劇場版第2作目、真・のび太の宇宙開拓史をどうぞ!


宇宙空間

 

地球から遥かに遠く離れた宇宙。

その広大な空間の中を飛行する巨大な宇宙船があった。

その大きさは地球ではまずお目にかかれないであろうというくらいのサイズだった。

その巨大な宇宙船の操縦室に少々年配と思われる男性の声が響く。

 

「これよりワープを開始する!」

 

すると、その宇宙船が光に包まれ始める。

そして、完全に光に包まれるとその宇宙船はワープしたことにより、その場所から姿を消していた。

そんな宇宙船のある一室、沢山の草木に覆われ、変わった動物達が数多くいる部屋。

その部屋で、藁の敷かれた地面の上で風船のように丸いパンダに似た動物の世話をしている少女がいた。

その少女は明るい赤色の髪に緑色の瞳、そして胸にはその瞳と同じ緑色のペンダントがぶら下がっていた。

その時、近くの茂みから少女よりも年下に見える緑色の髪を持つ幼い少年と空を飛ぶウサギのような丸っこい生き物が飛び出してきた。

どうやらアフロ頭を持つタツノオトシゴのような生物を追っかけて遊んでいるらしく、元気いっぱいな様子でウサギのような生き物と共に走り回っていた。

 

「ロップル、待ちなさい!」

 

それに気付いた少女は立ち上がるとその幼い少年、ロップルに声をかける。

しかし、ロップルは止まる様子はなく、なおも走り続ける。

それを見た少女は、ロップルを追いかける為に走りだした。

 

「走らないで、危ないわよ!」

 

自身の前を走るロップルにそう声をかけ続けるが、それでもロップルは止まることはなかった。

少女はそれで少し意地になったのか、周りの動物たちが驚くのも構わずに走り続ける。

しかしそれも最初のうちだけで、途中からは少女もだんだん楽しくなってきたのか表情は笑顔になり、その声も笑い声に変わっていった。

そうして追いかけっこを続けていると、ロップルが不意につまづいて転ぶ。

しかし、地面が柔らかい芝生だったためか特に怪我などもしていないようだった。

そこに少女とウサギのような生き物が近寄ってくる。

 

「ほら見なさい」

 

少女はロップルを気遣うように座り込む。

そして、ロップルの様子を見て怪我をしていないことが分かると安堵の息を吐く。

その時、部屋が…否、宇宙船全体が不自然に揺れ始める。

周りの動物たちが、驚いてあたりを見渡す。

 

「なに、なに?どうなってるの?」

「大丈夫よ、きっと…」

 

ロップルの頭にしがみついているウサギのような生き物が戸惑いの声を上げる。

ロップルも声には出していないがかなり戸惑っていた。

そんな2人を安心させようとするも、少女にも何が起こっているか分からず、その言葉は自信なさげだった。

ふと、部屋にある窓から外を見てみると、そこには自分の見慣れた宇宙の星空ではなく灰色の雲のようなものが渦巻き、時折稲妻が走っている空間だった。

その稲妻が走るたびに部屋の動物達が怯え、群れで固まってい縮こまっていた。

 

「何が起こってるの…?」

「私にも分からない、でも…」

 

すると、船中の警報機が赤く点滅し始め、耳をつんざくようなアラート音が鳴り始める。

それを聞いた少女は緊急事態であることを何となく理解し、ロップルを自分の背に背負う。

 

「行くわよ、ロップル」

「どこに?」

「お父さんのところよ」

 

ロップルを背負った少女はその部屋を飛び出すと、宇宙船の最前部にある操縦室に向かって走り出した。

途中、さまざまな人から好奇の視線を向けられるも、それらを気にせずにただひたすらに走り続ける。

そして、操縦室にたどり着くと同時に会話が聞こえてきた。

 

「バーンズ博士、まさかこの嵐の中に…⁈」

「誰かがやらなければならないんだ。ならば、私が行くしかない」

「無茶だ!」

「それでも私は行く」

 

少女には何を話しているのかは全くわからないが、何故だか嫌な予感がする。

そう思った少女はロップルを下ろすと、宇宙服をきたバーンズ博士と呼ばれた男性のもとへと駆けよっていく。

 

「お父さん!何があったの?」

「モリーナ、ここに来ちゃ駄目だと言っただろう」

 

バーンズ博士は少女、モリーナを咎めると宇宙服用のヘルメットを手に取ると外へと出るための出入口に向かう。

それを見たモリーナはこのまま行かせてはいけない、そうしなければ2度と会えなくなってしまうような気がした。

咄嗟に父を呼び止めるモリーナ。

 

「待ってよ、お父さん!どうする気なの!」

 

バーンズ博士はモリーナの不安そうな表情を見ると、微笑みを浮かべながら、優しく頬を撫でる。

そして、安心させるように優しい声音で話しかける。

 

「大丈夫。こう見えても宇宙船をいくつも作ってきたんだぞ?心配しなくてもいい」

 

それでも不安が残っているモリーナの表情は晴れない。

すると、ロップルがモリーナの横に来るとバーンズ博士に話しかける。

 

「気をつけてね、おじさん!」

「ああ、ありがとう」

 

ロップルのエールに頼もしげに頷くと、バーンズ博士は船内と出入口を繋ぐ扉のハッチを閉める。

そしてヘルメットを被り、自身の身体と宇宙船を1本のケーブルで繋くと、修理用具を持って外に出る。

嵐のあまりの激しさに何度も吹き飛ばされそうになるものの、何とか船にしがみつきながら破損している部位までたどり着く。

そこからの修理作業は順調だった。

何度も何度も身体を揺られても、手元は着々と作業を進めており、修理が終わるのも時間の問題であった。

少しすると、操縦室の乗組員の1人が声を上げる。

 

「ブースター動きました!」

「よし、ワープから抜け出すぞ。準備を急げ!」

「はい!」

 

バーンズ博士の作業を見守っていた少々年配の男性と太っている男性は自らの仕事を全うするため位置に着く。

モリーナはバーンズ博士の作業を心配そうに見守っていた。

その時…

 

「っ⁉︎う、うわぁっ!」

「お父さん!」

 

稲妻状となったエネルギー波が作業中のバーンズ博士を襲う。

その際に、船から手を離してしまい宙に投げ出されてしまう。

なんとかしようにも、もう自分の力ではどうしようもない。

 

「くっ!急げ、急ぐんだ‼︎」

 

モリーナの声でバーンズ博士の状態を察した男性は急いで準備を完了させて、この空間から抜け出すためにブースターを全開にする。

一方バーンズ博士の方は、エネルギー波に襲われながらも何とか耐えようとしていた。

だが次の瞬間、船と自身を繋いでいたケーブルが途中で千切れてしまった。

 

「お父さん⁉︎誰かお父さんを助けて‼︎」

「おじさん!」

 

モリーナの声で事態に気付いたが、時すでに遅し。

誰も助けに行けないまま、バーンズ博士は嵐の中に吸い込まれていってしまった。

船員たちはその光景を見ていることしかできなかった…。

 

 

のび太の部屋

 

「起きてよ、のび太くん」

「うん…?」

 

野比家ののび太の部屋では、昼寝しているのび太をドラえもんが起こそうとしていた。

その横では、幸がその様子をクスクスと笑いながら見ていた。

のび太はまだ寝ぼけてるようで、半目だけ開けながらもぼーっとしているようだった。

 

「のび太くん!」

「ん……あれ?」

 

ドラえもんが一際大きな声で名前を呼ぶと、のび太は完全に目を覚まして、身体を起こす。

のび太が目を覚ましたことでドラえもんは大きなため息を1つ吐いた。

 

「はぁ〜、やっと起きた〜」

「相変わらず眠りが深いね、のび太は」

「ん〜、あぁ。なんだ夢か…」

「何が?」

 

笑いながら幸がのび太にそう言う。

目を覚まして言ったのび太の言葉に反応したドラえもんが、のび太に聞き返す。

 

「おかしな夢を見たんだ。宇宙船がワープ中にエネルギー波の嵐に襲われて、それで…」

「随分と壮大な夢だね」

「でも、夢にしては妙にリアルだったような…」

 

のび太の説明を聞いて、幸がそう感想を述べる。

しかし、のび太にはあの夢がどうしても気になり、考え始める。

だが、それをドラえもんが中断させる。

 

「のび太くん、のび太くん。今はそれよりジャイアンだよ!」

「え?」

「そうだったね。剛田君がのび太のこと呼んでたんだってさ」

 

どうやらジャイアンがのび太のことを呼んでいるらしく、ドラえもんはそれを伝えるために起こしたそうだ。

それを聞いたのび太は面倒くさいなと考えつつも立ち上がって、部屋を出ようとする。

 

「幸ちゃんは来る?」

「いや、僕は源さんと一緒に宿題する約束してるから。悪いね、のび太」

「そうなんだ。でも、幸ちゃんがクラスのみんなと上手くやっていけてるみたいだし、安心したよ」

「僕からしたらそれくらいわけないよ。それよりも、早く行った方がいいんじゃない?」

「そうだよ、のび太くん」

 

幸とドラえもんにそう言われて、のび太は部屋を出て行く。

それに続いてドラえもんもそのあとを追っていった。

幸はそれを見届けると、静香の家に行く準備を始めた。

 

 

空き地

 

「大変だ。わがジャイアンズの球場が中学生に乗っ取られた」

 

ジャイアンはのび太が着いて早々そんなことを言う。

どうやらいつもの野球のメンバー達から話を聞くと、いつも野球をするのに使っている空き地が近所の中学生の集団に奪われて、追い出されてしまった。

そこで、空き地を取り戻す交渉をするためにのび太を呼んだようだ。

つまり、厄介ごとをのび太に全て押し付けようとしていたようだ。

 

「(こんな事だろうと思った…)」

 

全てを理解したのび太は心の中でため息を吐く。

そんなのび太の心中など知らず、ジャイアンは話を続ける。

 

「そういう訳で、お前を我がジャイアンズの代表に任命する!」

「中学生から球場を取り戻してこい!」

 

ジャイアンとスネ夫に背中を押されて無理やり行かされる。

周りから見えないように悪態を吐きながら、近くにいる中学生の1人に話しかける。

 

「あの、ちょっといいですか?」

「ああん?」

 

その中学生がかなりの強面だったので、振り向いた瞬間ほかのメンバーは全員隠れる。

しかし、のび太は特にビビりもしてなかったので、どうしようかなと考えながら話を切り出す。

 

「僕たちもここで野球がしたいんですけど」

「何だと!」

 

強面の中学生がそう叫ぶと、他の中学生もぞろぞろと集まりはじめる。

のび太は心の中でまいったなぁと弱音を吐く。

どうやらあまり聞き分けの悪そうな中学生たちのようで、こういうタイプは特に年下から何か言われても言うことなど聞かないだろう。

 

「だって、空き地はみんなで使うものだし」

「なんだと、生意気な!」

「それに中学生なら学校で野球部があるんだから、それに入ればいいんじゃ」

 

のび太がそう言うと、周りの中学生の動きが固まる。

のび太がその反応に疑問を抱いていると、再び動き始めた中学生たちが反論をする。

 

「だ、だれが野球部なんかに入るかよ!」

「俺らは自由に野球を楽しみたいんだ!」

「そ、そうだ、そうだ」

「(…あっ、成る程)下手過ぎて入れてもらえなかったとか、野球やらせてもらえなかったとかか!…あ」

 

思わず考えてたことを口に出してしまい、全て言った後に気付く。

中学生たちはそれをまた固まって手に持ったバットやらグローブやらを落としてる辺り、図星のようだ。

のび太はそれを見て状況を把握すると、中学生たちが動き始める前に走り出す。

 

「えっと、用事を思い出したから…さようなら!」

 

次の瞬間、のび太は中学生たちに背を向けると一気に走り出す。

すると、フリーズしていた中学生たちも顔を真っ赤にして、怒りながら走り出した。

 

「よくも気にしてることを〜!追え、逃がすなぁ‼︎」

 

強面の中学生がそう言うと、他の中学生も怒りを露わにしながらのび太が走り去った後を追っていった。

それをジャイアンたちは呆然としながら見ているしかなかった。

 

 

裏山

 

中学生たちを難なく撒いたのび太は、太めの木の枝の上で幹に身体を預けながら寝っ転がっていた。

空を見上げながら、のび太はボソボソと呟く。

 

「どうしようかな〜。荒事にするのは論外だし、かと言って話が通じるようには見えなかったしなぁ。全く…皆して僕に押し付けるけど、僕にどうこうできると思ってるのかねぇ。押し付ける相手を間違ってるんじゃないかな〜。ふあぁぁ…、何だかまた眠くなっちゃった。一眠りしてから、また考えようっと」

 

そう言うとのび太は目を閉じると、そのまま1秒も掛からずに眠りにつく。

のび太が眠った後に残ったのは、穏やかな風に吹かれて揺れる木の音や小鳥の囀りのみであった。

 

 

宇宙

 

どこかのある宇宙で2機の宇宙船が飛んでいた。

1機の宇宙船は小型の白くて小さいカタツムリのような形で、もう1機は全体が濃い緑色で不気味な雰囲気を持つかなり大型の宇宙船だった。

どうやら小型の宇宙船の方が大型の宇宙船に追われているらしく、大型の宇宙船から放たれるレーザー攻撃をなんとかギリギリで回避しながら飛行していた。

しかし毎回ギリギリで回避しているため、その度に船内は大きく揺れ、操縦席に置いてある父親と母親と自分とまだ幼かった妹の映った写真が入った写真立ても右へ左へと揺れる。

 

「あいつら、まだ追いかけてくる!どうしよう、どうしようロップル君‼︎」

「ちょっと黙っててくれよ、チャミー!今それを考えてるんだから!」

 

丸い体のウサギのような生物、チャミーがのび太たちと同い年くらいの緑色の髪の少年、ロップルに大型の宇宙船が追いかけてきてることを慌てながら知らせる。

しかし、少年も気が立っているのか、それに対して声を荒げさせて応える。

チャミーはそれに構う余裕もなく、大きく揺れる船内でまるでボールのようにそこらじゅうにぶつかってバウンドする。

そして、チャミーがそのままロップルの顔に張り付く。

 

「はやく逃げて、逃げて〜!」

「そんなの僕だって分かってるさ!」

「なら、ワープして逃げよ?今すぐ!」

「なっ…⁉︎今はダメだったら。止せってチャミー‼︎」

 

ロップルは顔に張り付いたチャミーを鬱陶しそうに引き離す。

すると引き離されたチャミーが操縦席に飛び移ると、ワープ用の大きめで赤色のボタンのカバーを足で外す。

それを見たロップルが大慌てでその行動を止めようと手を伸ばす。

しかし、チャミーはロップルの手が伸びてくる前にその足で思いっきりワープ用ボタンを押す。

すると、ロップルたちの乗ってる小型の宇宙船が光に包まれて、その場から消える。

 

「馬鹿な奴らだぜ」

「あんなスピードのままワープしたらひとたまりもないだろうな」

「始末する手間が省けたな。じゃあ、帰るぞ」

 

船内でそのような会話がされると、大型の宇宙船はUターンすると帰投し始める。

一方、ロップルたちの宇宙船はワープした瞬間に大きな揺れに襲われ、操縦席から身を投げ出される。

ロップルは床をゴロゴロと床を転がると、壁に身体をぶつける。

その痛みに思わず顔を歪める。

 

「痛ってて…一体どうなったんだ?」

「寝てる場合じゃないわよ、ロップル君!見てよ、大変な事になってるわよ!」

「どうしたんだ…っ⁉︎何だ、これは‼︎」

 

チャミーが倒れてるロップルにまくしたてる。

それを聞きながらロップルは身体の痛みを我慢して近くに落ちている写真立てをポケットにしまって立ち上がり、操縦席から見える眼前の光景に目を見開く。

そこには宇宙空間とは違い光の1つもない暗闇でありながら、時折その闇がうねっているように見える奇妙な空間だった。

 

「どうしよう⁈船がおかしな空間で止まってる!」

「だから、言ったじゃないか。あんなスピードでワープに入るからだぞ」

「だって、はやく逃げたかったんだもん……」

「これはまいったな…。…駄目だ、何をやってもちっとも動かない」

 

焦るチャミーに、責めるような口調で言うロップル。

それにチャミーは言い訳みたいなことを言うが、本当は反省しているのかその台詞には元気がない。

そんなチャミーを見てロップルは責めるのを止めると、操縦席のボタンや計器を手当たり次第に触ってみる。

しかし、うんともすんとも言わないのを見ると手を止める。

そして操縦室を出て行き、梯子を下りた先にある扉の前に着く。

チャミーもすぐに追いつく。

 

「はやく修理しないと。皆が待ってるんだ」

「直せるかな…」

「とにかくやってみなくちゃ始まらないだろ?」

 

そう言って目の前の扉を開ける。

しかし、そこには彼らが予想だにしない光景が広がっていた。

 

「あれあれ?どうして、どういうこと⁉︎倉庫がなくなってる‼︎」

「おかしいな、そんなことあるはずが…」

 

予想外の事態にチャミーは慌てふためき、ロップルは呆然と呟くことしかできなかった。

 

 

裏山

 

「……ん?」

 

木の上で熟睡していたのび太の目が、ふと覚める。

そして、おおきなあくびを1つすると、身体を思いっきり伸ばす。

空の方を見るとまだ十分明るかった。

かなり眠っていたと思っていたが、自分が思ってたよりもあまり時間が経っていないようだった。

 

「まだそんなに時間は経ってないのか…。でも、完全に目が覚めちゃったし、そろそろ行こうかな」

 

そう言うと木の枝から飛び降りるのび太。

のび太が寝ていた木はそうめちゃくちゃ高い訳ではなかったが、それでもまあまあ高い部類の木だった。

しかし、そこから躊躇いもなく一気に飛び降りると、危なげなく着地する。

そして、何事もなかったかのように山を下り始める。

のび太をよく知るものが見たら唖然とすること間違いなかっただろうが、この場面は誰にも見られることはなかった。

 

「そう言えば、さっきの夢もなんか変だったな。前に見た夢と同じで、何故だか現実感があるような気がする。でも特に町とかでは何も起こってないみたいだし、何なんだろう」

 

先ほど見た夢について考えながら歩いてるのび太。

頭の中は今日で2度も見た不思議な夢の事で一杯であり、歩いているルートは無意識であった。

気がつくと静香の家の前を歩いていた。

 

「あれ?ここ静香ちゃんの家じゃないか。なんでここに来たんだろう…」

 

その時、静香の家の門からジャイアンとスネ夫が出てきた。

ジャイアンは見るからに不機嫌といった風で、スネ夫は顔に殴られた跡があった。

それを見て、恐らく野球ができずにムシャクシャしたジャイアンに憂さ晴らしに殴られたんだろうなとのび太が呑気に考えていると、2人がのび太に気付く。

 

「あ!のび太!」

「なに!やい、のび太‼︎空き地は返して貰えるんだろうな‼︎」

「さぁ?」

 

ジャイアンとスネ夫が怒り心頭といった様子でのび太に迫る。

ジャイアンは野球ができないことに、スネ夫は理不尽にジャイアンから殴られたからだろう。

そんな2人を見ながらのび太はあっけらかんと言い放つ。

それを見た2人は更に肩を震わせながら詰め寄る。

 

「さあだと⁉︎お前、俺様のこと舐めてんのか!」

「そうじゃないよ。ただ、あっちが話をまともに聞いてくれないんじゃどうしようもないじゃないか」

「それを考えるのがお前の役目だろ!のび太の癖に生意気だぞ!」

 

大声を出しながら胸倉をつかんでくるジャイアンに、のび太は今の自分の本音を話す。

それを聞いたスネ夫が理不尽なことをいいながら、ジャイアンの後ろから罵倒する。

のび太が2人に内心呆れていた時、救いの手が差し伸べられた。

 

「ちょっと、やめないよ2人とも!」

「だって、のび太が悪いんだよ。逃げてばっかで、ちっとも空き地を取り返してこないんだから」

 

見かねて飛び出してきた静香にスネ夫はボロボロの顔で振り向いて、これまた理不尽なことを言う。

それを聞いた静香は顔を顰めながら、言い返す。

 

「のび太さん1人に押し付けるなんて、おかしいじゃない!

これは皆の問題でしょう?」

「でもよ…そんなこと言ったってどうするんだよ」

「代わりの場所を皆で探すのよ」

「代わりの場所って言ったってなぁ…」

 

3人が腕を組んで頭を悩ませているのを見ながら、のび太はジャイアンに掴まれていた部分の皺を伸ばしていた。

すると、静香の家から幸が出てきて、のび太のところへと歩いてくる。

 

「どうしたんだい、のび太」

「ああ、幸ちゃん。実は…」

 

事情を聞いてきた幸に、のび太は今までの経緯を説明する。

そして、全てを聞き終えた幸は納得したようで大きく頷いた。

 

「成る程、そういうことか」

「うん。だから、それでどうしようか困っててさ」

 

のび太幸に全てを話した直後、スネ夫は何か思い付いたようで唐突に声を上げた。

それを聞いた他の全員の視線がスネ夫に集中する。

スネ夫はのび太たちに自分の考えを話す。

 

「それなら、ドラえもんに探してもらうのはどう?」

「そうか!その手があったか!」

「そうね!ドラちゃんなら何とかしてくれるわよ!」

 

スネ夫の提案にジャイアンと静香の表情が晴れる。

そして、3人は一斉にのび太の方を見る。

ドラえもんに頼むなら一緒に暮らしていて、1番仲が良いのび太に頼むのが最適だと思ったのだ。

一方のび太は一瞬3人からの視線に困惑したが、その意味を理解して納得する。

結局、のび太がドラえもんに頼むという事が決定し、その場はお開きとなった。

ジャイアンとスネ夫はスネ夫の家に遊びに行き、静香と幸は2人で勉強の続きに戻り、のび太はまっすぐ家に向かった。

 

のび太の部屋

 

家に帰るとドラえもんは床に肘を立てて寝っ転がりながら、漫画を読んでいた。

のび太はドラえもんに事情を説明して、頼み込む。

すると、ドラえもんは体勢を崩さずに四次元ポケットに片手を突っ込むとごそごそと中を探り出す。

暫くすると目的のものが見つかり、それを背中側にいるのび太にそのまま渡す。

 

「はいこれ」

「スモールライト?」

「皆が小さくなれば、どこでも野球場になるよ」

 

ドラえもんは簡単な説明を終えると、再び漫画を読みだす。

しかし、のび太としてはこれではおそらくジャイアンが納得しないだろうことは分かりきっていたうえに、小さくなるとまた別の危険が発生する可能性もあるので再び頼み込む。

 

「そういうことじゃなくてさ、今のサイズのままで野球ができる場所が欲しいんだよ」

「そんな広い土地があったら、もうとっくに誰かが使ってるって」

「まあ、確かにそうだろうけどさ。…そうだ!宇宙ならどう?宇宙なら、そんな星が1つくらいあるんじゃない?」

 

ドラえもんの言葉に納得してしまうのび太。

しかし、そのあと少し考えると1つのアイデアを閃き、ドラえもんに尋ねる。

それを聞いたドラえもんは溜息を1つ吐くと、渋々といった感じで起き上がる。

 

「あのねぇ、まずどうやって地球から移動するつもりだい?」

「どこでもドアじゃダメなの?」

「君は知らなかっただろうけど、どこでもドアは10光年の範囲でしか使えないんだ。その中に野球のできそうな星なんかないって、ちゃんと未来の調査で分かってるんだ」

「ドラえもんでも無理なのか…」

「ま、諦めるんだね」

 

のび太はドラえもんの話を聞き終えると、ため息をつきながらがっかりする。

ドラえもんはその後、また横になると漫画を読み始める。

それを見たのび太もドラえもんが無理といったのでこれ以上は自分ではどうしようもないと考え、自分も本棚から漫画を何冊か取ってくると寝っ転がりながら読み始めた。

そしてそれから暫く時は経ち、現在の時間帯は真夜中。

布団の中で眠っていたのび太は妙な違和感を感じて、目が醒める。

 

「何だろう、この感じ?なんか違和感があるような……布団?いや、畳からかな?」

 

布団の中で色々と考えていたのび太だったがやがて眠気の方が勝ったので、思考を停止すると目を瞑って睡眠に入ろうとした。

だが、その時…

 

「っ?…揺れてる?」

 

不意に感じた揺れに再び目を覚ました。

布団の下からなにかが何度も押し上げようとしているかのような感覚で、またも違和感を覚える。

のび太がすぐさま半身だけ起き上がる。

しかし、揺れは狙ったかのようなタイミングで収まる。

のび太が不審がっていると、隣から声をかけられた。

 

「のび太もさっきの揺れで起きたのかい?」

「幸ちゃんも気付いた?」

 

幸はまだ眠気が少し残っているのか片目を手で擦りながら、のび太に話しかける。

のび太が幸に先程の出来事について聞くと、幸はそれに首肯することで応える。

 

「あれだけ揺れれば流石にね。けど、地震でもなさそうだね。普通の揺れではなかったみたいだし」

「うん。それにこの部屋いつもと違って、変な感じがするんだ。特に部屋の真ん中あたり」

 

のび太と幸はドラえもんや両親を起こさないように声を抑えて話し合う。

のび太は布団をめくると、なんとなく違和感を感じるという部屋の真ん中あたりの畳を触る。

幸も、その畳を観察するようにジッと見つめる。

 

「うわっ⁉︎」

「きゃっ!」

 

するといきなり、その畳が勢いよくめくれる。

その瞬間、ピンク色の丸っこい物体が飛び出す。

のび太と幸は畳の上にいたために、思いっきり吹き飛ばされる。

のび太は本棚に、幸は押入れにぶつかる。

その衝撃と音にドラえもんが起きて、押入れの襖を開けて顔を覗かせる。

その目は、まだ眠いのか細められていた。

 

「どうしたの、こんな夜中に?」

「痛ったた…何かが畳の中から飛び出してきたんだ」

「そんな馬鹿な」

「いや、ほんとだよ。痛った〜…ほら、見てみなよ」

 

のび太の言ったことを信じてないドラえもんは呆れたような視線をのび太に向けるが、幸は痛がりながらもドラえもんに部屋の入り口を見てみるように言う。

ドラえもんが部屋の入り口を見てみると、ちょうどサッカーボールくらいの大きさの穴が開いていた。

そして、1階からガサゴソという物音が聞こえてきた。

 

「どうやら1階に降りていったみたいだね」

「でも、畳の下なんかから一体なにが?」

「ともかく、行ってみよう」

 

幸が謎の物体が向かった先を言うと、ドラえもんは押入れから出て畳と襖の穴を見ながら考える。

のび太は立ち上がると襖を開けて、下に向かうと2人も後を追う。

そして、2人は台所の入り口のところで中の様子を伺っているのび太を見つけた。

 

「2人とも、ここだよ」

「台所にいるのかい?」

「うん、冷蔵庫の中を漁ってるみたい」

「冷蔵庫の中を?お腹でも空いてるのかな?」

「分からない。けど、あのウサギ…」

 

台所の中を覗き込みながら話す3人。

だが、のび太は冷蔵庫を漁っている丸いウサギのような生物に見覚えがあった。

それは今日見ていた奇妙な夢の中に出てきたチャミーと呼ばれてた生き物だった。

3人はもう少し近付こうと忍び足で歩いて行く。

しかし、そこで突然チャミーが何かを察知したのか後ろを振り向いた。

 

「「「「………」」」」

 

お互いの目が合い、その瞬間に両者とも固まってしまう。

その状態が続くこと十数秒。

 

「キャアアアアッ‼︎」

「わあああああっ‼︎」

 

我に返ったドラえもんとチャミーが大声で叫びだし、それにのび太と幸が驚く。

チャミーはドラえもんに飛びかかると、その顔面を足蹴りにしながら宙に飛び上がる。

急に顔面を蹴られたドラえもんは蹴られた部分を赤くしながら、フラフラする。

 

「ちょっと待ってよ!」

「キャアッ!」

 

のび太はパニックになり台所中を跳ねまわるチャミーの動きを予測して、先回りする。

それにチャミーは驚いて、何とかのび太を避けようと進路を変える。

 

「よっと。はい、捕まえた」

 

しかしそこには既に幸が待っており、真っ直ぐ突っ込んできたチャミーをキャッチすることに成功する。

チャミーは抜け出そうとするも、意外に幸がガッチリと掴んでおり抜け出せそうになかった。

 

「もう駄目。空気は汚いし、体は重いし…。挙げ句の果てに、どこか分からない星の野蛮人に食べられるなんて…。さあ煮るなり、焼くなりすきにして!どこを食べても美味しくないわよ!」

「野蛮人とは失礼だね。君を食べるつもりはないよ」

「そうだよ。それより君、確か緑色の髪の男の子と一緒に宇宙船に居たよね?」

「っ!なんでロップル君のこと知ってるの⁈」

 

半ばヤケになっているチャミーの台詞に幸が呆れながら返す。

それに続くようにのび太は夢で見た内容を思い出しながら、チャミーに質問する。

それを聞いたチャミーは驚きながら、逆にのび太に質問し返す。

それを聞いたのび太は、自分の見た夢がただの夢ではないと確信する。

 

「やっぱりか」

「のび太、このウサギのこと知ってるの?」

「うん、今日の変な夢の中に出てきたんだ」

「でも、一体どういう事だ?現実のことを夢で見るなんて…」

 

幸の問いに、のび太は奇妙な夢で見たと答える。

それにやっとフラフラ状態から復帰したドラえもんが話に入ってくる。

のび太はここで考えていても埒があかないと思い、チャミーに気になっていたことを尋ねる。

 

「ねぇ、君はどこから来たの?」

「えっと、それは……」

 

チャミーの話を聞いていると、どうやら畳の下を通ってきたようだった。

3人は半信半疑になりながらものび太の部屋に戻り、件の畳の前に来る。

そしてその畳を捲ると、その下にあったのは3人が想像していた板張りの床ではなく…

 

「畳の下が!」

「宇宙船に繋がってる!」

「どうやら、さっきの話は本当みたいだね…」

 

宇宙船の倉庫の中だった。

 

 

続く




今回は変身も戦闘もない回でした。戦闘がない回が毎度のことながら1番難しく感じてしまいます…。この作品ののび太は原作とは色々とかけ離れていますのでアニメの映画とは結構違う感じになりましたが、どうでしょうか?皆様に受け入れてもらえたら幸いです。では、次回予告と行きましょう!

のび太の部屋の畳の下はなんと宇宙船と繋がっていた。そこで出会ったのは夢でみた少年。果たして、のび太たちはどうするのか…!
次回、ドラえもん 真・のび太の宇宙開拓史 エピソードⅡ
全てを破壊し、全てを守り抜け!


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エピソードⅡ

また物凄い時間を掛けてしまい、申し訳ありません…。なかなかモチベーションが上がらず、ポケモンやモンハンをやりまくっていたらまた時間があるかかってしまいました…。投稿に時間はかかりますが失踪をするつもりは一切ないので、待っていただけたら嬉しいです。それではどうぞ!


畳の下に広がる宇宙船の中の景色を見つめていたのび太たち三人だったが、途中でドラえもんがこの現象の原因に気付く。

 

「なるほど…何かの拍子で時間と空間がずれて、この畳と繋がったんだな!」

「そんなことあるの?」

「滅多にないけどね。それに、そういう事ならのび太くんが見た夢のことも説明がつく」

「どういうこと?」

 

ドラえもんの言葉に疑問をもった幸が、説明を求める。

すると、ドラえもんはのび太と幸に畳と宇宙船の繋ぎ目の部分を見るように言う。

その通りにのび太たちがそこを覗き込むと、そこにはすき間があり、そこからは終わりの見えない妙な空間が見えた。

 

「ドラえもん、これって…?」

「多分、のび太くんの夢はこのねじれの所為だと思う。ロップルくんたちの必死の思いがこのねじれを通じて、のび太くんに伝わったんだよ」

「でも、なんでのび太だけ?私やドラえもんには全く伝わってないのに」

「それは…おそらくのび太くんの体質というか、そういうのに敏感なのかもしれない。正確なことはよく分からないけど…」

 

ドラえもんの説明でひとまず納得した、のび太はもう一度眼下に広がる宇宙船内の景色を見る。

夢の通りならば小型の宇宙船のようだったが、それでも中々の広さがありそうという印象だった。

そうしていると、チャミーが話しかけてくる。

 

「はいはい、ちょっとどいて」

「ああ、ごめん」

 

チャミーはのび太たちを一旦退かせると宇宙船の中に飛び込んでいく。

それを見たのび太はチャミーにひとつ尋ねる。

 

「僕たちもそっちに行ってもいいかい?」

「いいわよー」

 

のび太はチャミーの思ったよりも軽い返事に少し困惑しながらも、宇宙船に飛び込む。

それを見ていたドラえもんと幸は、のび太の突然の行動に驚く。

 

「ちょ、のび太くん⁉︎」

「やれやれ、のび太ったら…。私たちも行こうか」

 

2人ものび太を追って飛び込んでいく。

しかし、宇宙船の中に入った瞬間、体が背中側に引っ張られる。

その事に驚きながらも、幸は何とか体勢を立て直して着地する。

ドラえもんも宇宙船のドアを閉めながら飛び込むと、難なく着地する。

先に来ていたのび太は、見た目はタヌキでもそういった性能はやはりネコ型ロボットなんだなと心の中で思ったが、もちろん顔には一切出さない。

そんな失礼なことを考えているとは思ってないドラえもんは、辺りを見回す。

 

「縦と横がずれてるんだ。ねじれて繋がった影響かな?」

「どうしたの?さあさあ、中にどうぞ」

 

チャミーは、自分なりに考察しているドラえもんたちを促すと奥へと進んでいく。

それに続いてのび太たちも進もうとするが、あることに気付く。

 

「それにしても、凄く空気が爽やかだね」

「そうだね。それに妙に体が軽いような気がするよ」

 

のび太の言う通り、宇宙船の中はかなり空気が綺麗なようで、地球とは比べ物にならないくらいだった。

体が軽いのも空気が綺麗で気分がいいからなのかなと考えていると、チャミーの悲鳴が聞こえてきた。

 

「ど、どうしたんだ⁉︎」

「とにかく、行こう!」

 

急いでのび太たちがチャミーの行った方向に進むと操縦室に到着し、そこには倒れているロップルとその体を心配そうに揺らしているチャミーの姿があった。

それを見た3人は急いで駆け寄ろうとする。その時、倒れていたロップルが目を覚ました。

 

「大丈夫?」

「⁉︎何だ、君達は!どうやって中に⁉︎」

「いや、僕たちは怪しいものじゃ…」

「さては、お前たちが海賊か‼︎」

「海賊だって⁉︎」

「どうやら、かなり混乱してるね。このままじゃ勘違いされそうだよ」

 

のび太はロップルを心配して声をかけるが、ロップルの方はのび太たちの存在に気付くと驚いて起き上がると、その場から飛び退く。

のび太は怪しいものではないということを伝えようとするも、ロップルが捲し立てているためにうまく伝わらない。ドラえもんも幸もどうやってこの場を収めようかと頭を悩ませていると、チャミーが横からロップルに飛びつく。

 

「落ち着いて!のび太さんたちは海賊なんかじゃないわ!」

「チャミー、それは一…体…」

「ロップルくん、しっかりして!」

 

混乱するロップルを落ち着かせるためにのび太たちのことを説明しようとするチャミー。

だが、ロップルは意識が朦朧として倒れかけてしまう。

チャミーは急いでその体を支える。

それを見たのび太は、ある道具を催促する。

 

「ドラえもん、お医者さんカバンだして!」

「分かってるよ!お医者さんカバン〜!」

 

ドラえもんはお医者さんカバンから聴診器を出すと、それをロップルの体に当てる。

少しすると、お医者さんカバンの画面にロップルの診断結果が表示される。

 

《カナリ衰弱シテイマス。シカシ、処方スル薬ト栄養ノアルモノヲ食ベレバ、スグ二良クナルデショウ》

 

すると、お医者さんカバンからカプセル型の錠剤が2粒出てくる。

ドラえもんはそれをロップルに飲ませると、四次元ポケットからグルメテーブルかけを出すと、床に広げる。

そして、栄養のとれそうなメニューをどんどん言っていくと、グルメテーブルかけにはそのメニューが次々と現れる。

その光景にロップルとチャミーは目を丸くする。

しかし、2人のお腹からは空腹を告げる音が鳴る。

それを聞いたドラえもんは笑顔を浮かべる。

 

「好きなだけ食べてもいいよ」

「本当にいいのかい?」

「うん、さあどうぞ」

 

ドラえもんがロップルの質問に笑顔で答える。

2人は少し遠慮がちに手をつけ始める。

だが、そこからの2人の勢いは凄まじかった。

最初の一口を食べると、相当な空腹だったらしい2人は怒涛の勢いでどんどん料理を食していく。

そのまま1品目を完食した2人は2品目、3品目とかなりのハイペースで食べていく。

驚くのび太たちを尻目に、ドラえもんが少し多めに出した料理をものの数分で完食してしまった。

 

「はぁ〜、美味しかった!ごちそうさまでした」

「もうこれ以上食べられないわ」

「それは良かった」

「うん、元気になったみたいで何よりだよ」

「助けてくれてありがとう。えっと…」

 

すっかり元気になり満足気な顔をする2人に、のび太たちは笑顔になる。

ロップルはのび太たちにお礼を言おうとすると、途中で言い淀む。

それを見た3人は、自分たちがまだ自己紹介していないことに気が付き、自己紹介していく。

 

「僕は野比のび太」

「ぼく、ドラえもん」

「僕は海東幸。トレジャーハンターさ」

 

3人の自己紹介を聞いたロップルは、3人にお礼を言うと自分も名乗り返す。

 

「助けてくれて本当にありがとう、みんな。僕はロップル。こっちはチャミー。それで君達はどうしてここに?」

「それが…」

 

ロップルが3人にそう尋ねると、一番状況を把握しているであろうドラえもんが代表して説明をしていく。

そして、ドラえもんが説明を終えると、ロップルは腕を組んで首をかしげる。

 

「銀河系地球?う〜ん…僕たちの住んでるコーヤコーヤ星じゃあ、聞いたこともないな」

「コーヤコーヤ星?ドラえもん知ってる?」

「いや、聞いたこともない星だ」

「ってことは、のび太の部屋が遥かに離れてる宇宙につながってる状態なんだね」

「これは大変なことだぞ…!」

 

お互いに聞いたこともない程に離れた宇宙がのび太の部屋の畳の下を通じて繋がっているという異常な事態に、焦りと困惑の表情を浮かべるドラえもん。

するとロップルが、もしかしたらワープに失敗したのが原因かもしれないと言う。

そこで、幸がある事を思いつく。

 

「それなら、もう一度ワープすればいいんじゃないかい?」

「それが、ワープのための装置も動かなくて。直そうにも道具が無いし、あったとしても僕に直せるかどうか…」

 

ロップルは話していく中で、現実を再確認させられ段々と目を伏せていく。

ロップルは自分の力ではどうしようもない状況と自分の無力さに絶望しかけていた。

それは表情からも見てとれた。

それを見たのび太は、何とかしてあげたいという気持ちに駆られた。

隣を見るとドラえもんも同じだったようで、2人の目が合う。

そして、2人は互いに言葉を交わすこともなく、しかし力強く頷く。

 

「ロップルくん。その故障している場所に案内してくれない?」

「え?でも…」

「もしかしたら、直せるかもしれないんだ。だから、お願い!」

「のび太くん、ドラえもん…。どうして僕たちのためにそこまでしてくれるんだい?」

 

ロップルには不思議で仕方なかった。

ドラえもんたちとは、今ここで初めて出会っただけの仲に過ぎない。

にも関わらず自分たちに食事を与えてくれて、そして次は宇宙船まで直そうとしてくれている。

とても、初めて出会った人にわざわざすることとは思えない。

そんなロップルの心情を読み取ったのか、幸はクスッと笑うと口を開く。

 

「そういう人なんだよ、この2人はね。目の前で困っている人を放っておけないんだ。甘すぎるんじゃないかって思うくらいにね」

「…ありがとう!」

「お礼なんかいいよ。僕たちは、自分がそうしたいと思ったからやるんだ」

「そうだよ。さあ、早く故障してる所へ案内して?」

「わかった、着いてきて」

 

そう言うとロップルは立ち上がって3人を案内する。

途中で、目的の部屋であるメカルームに続く扉がのび太の部屋とつながっているために進めないということがあったが、そこはドラえもんの出した“通り抜けフープ”であっさり解決した。

ロップルたちはドラえもんの道具に驚いていたが、気を取り直して案内を続ける。

通り抜けフープを潜ると倉庫に出た。

倉庫には大きな袋が棚や床に所狭しと置かれていた。

気になったのび太はロップルに尋ねてみる。

 

「ロップルくん、これは何?」

「春に蒔くための野菜とか穀物の種だよ。僕たちはこれを買ってコーヤコーヤ星に帰る途中だったんだ」

「なんでロップルくんがそんな事を?」

「以前はコーヤコーヤ星の定期便がやってたんだけど、不気味な宇宙船に襲われるようになってからは無くなってしまってね」

「さっき言ってた海賊の仕業なのかい?」

 

幸がそう尋ねると、チャミーが激しく憤りながら答える。

 

「ええ、きっとそうよ!今回だって種を買った帰りに襲われたのよ!」

「色々と工夫してみたんだけど、それでも駄目だったみたいだ」

「なんて奴らだ!」

「手口もバレないようにやってるから、警察も動かないんだ」

 

ドラえもんはロップルの話を聞いて怒りが隠せない様子だった。

のび太も表情を歪めて、静かに怒る。

すると、目的の部屋についてロップルが足を止める。

 

「着いたよ。ここがメカルームだよ」

「「うわぁ…!」」

 

メカルームに着いたのび太とドラえもんは表情が一転して、様々な装置や機械が並んでいる光景に驚く。

幸も物珍しそうに見上げている。

ロップルは目の前にある1つの装置を指差す。

 

「たぶん、ここにある次元振動ヘッドに問題があるんだと思う」

「って、言われても…。見たこともない構造だし、どうしようか…」

「う〜ん…そうだ!ドラえもん、壊れる前に戻すのはどう?」

「戻す?…そうか!なるほど、その手があった。タイムふろしき〜!」

 

のび太の言葉を聞いて、ドラえもんものび太の言わんとしていることを理解する。

そして四次元ポケットからタイムふろしきを取り出すと、次元振動ヘッドに被せる。

少しすると、メカルームにある装置に光が灯る。

それを見てロップルの表情が明るくなる。

その時、いつ間にか操縦室に戻っていたチャミーがロップルを呼んだ。

 

「ロップルくん‼︎」

「どうした、チャミー!」

 

チャミーの声を聞いたロップルは急いで操縦室に戻る。

その後に続いて、のび太たちも急ぐ。

そして操縦室に戻ると、窓の外には星々が輝く宇宙空間が窓の外に広がっていた。

その中心にあるコーヤコーヤ星が目に入ると、ロップルとチャミーは大喜びする。

そんな2人を見ながら、のび太たちも微笑む。

 

「よかったね、ドラえもん」

「うん、そうだね」

「…あれ?そういえば、宇宙船が直ったらあの畳の扉はどうなるの?」

「…た、大変だ〜‼︎あの扉が消えたら帰れなくなっちゃう‼︎」

「それはまずい‼︎」

 

のび太とドラえもんは大慌てで扉へと走って行って、体当たりするように扉を開けた。

すると、まだ繋がっていたようで2人は無事に部屋へと着いた。

その後に幸が出てくる。

 

「よかった〜、まだ繋がってた…」

「焦って損した…もしかして、幸ちゃん知ってた?」

「うん。戻るときに確認しといたからね」

「なら、教えてくれてもよかったじゃないか」

「教える前に、2人とも走って行っちゃったじゃないか」

 

そんな話をしていると、ロップルとチャミーが扉の前まで来る。

時折、咳き込みながらも3人にお礼を述べる。

 

「皆、本当にありがとう。ゲホッ!…のび太くんたちのおかげで無事に帰ることができそうだよ、ゴホッ!」

「地球の空気じゃロップルくんたちには汚すぎるみたいだ」

「そうみたいだ。早く閉めたほうがいいよ」

「うん。じゃあ、元気で」

「ええ。じゃあね」

「さよなら」

 

のび太がそう言うと、ドラえもんと幸は畳を戻す。

そして、畳がしっかりはまっていることを確認すると一息つく。

のび太は先程までのことを思い返すと、しみじみと呟く。

 

「こんな不思議なこともおこるんだなぁ」

「ふふっ。世の中には何がおこるか分からないよ、今までだってそうだったみたいにさ」

「確かにそうだったね」

「さあ、2人とも早く寝ようか」

 

ドラえもんの言葉に2人は同意すると、布団を元に戻して眠りにつく。

夜空には数多の星たちが輝きを放っていた。

 

 

とある惑星

 

ロップルたちの住むコーヤコーヤ星からそう遠くない場所に位置する惑星。

あちこちに高層ビルが立ち並び、舗装された道路にはタイヤの付いてない未来的な自動車が走っており、その流れが途切れることはない。

それは経済的に非常に発展していると一目でわかるような光景で、誰もが都会と呼称するであろう街並みだった。

現在の時間は日が落ちてかなり時間が経った深夜のようだったが、それでも明かりのついている建物は多く、その中でも幾つかの高層ビルは一際大きな輝きを放っている。

その内の一つのビルの屋上に1人の男が立っていた。

黒いマントに身を包み、同じく黒のテンガロンハットを被った男。

顔つきは少々痩せこけてるように見えて、常に無表情なのも相まって生気というものが感じられない。

しかし、それに反してマントから時折のぞく両腕は筋肉質でかなり鍛えられている。

そして、腰にはホルスターが装着されており、そこに納められている銀色の拳銃は妖しく輝いている。

 

「あれだな」

 

その男は数多く建ち並ぶビルの内の一つを見つめると、抑揚のない声で呟き、その場から歩き出す。

ゆっくりとした一定の速度で、どんどん歩いていきビルの端まで来ると立ち止まる。

男の眼下には街灯や走る車の光など夜の景色が広がり、強い風が容赦なく吹いて来る。

それなのに男は微塵も揺るぐことなく、視線を先ほどのビルから外すことはない。

そして、男が膝を軽く曲げた次の瞬間…跳んだ。

普通ならばすぐに真っ逆さまに落下してしまう筈なのだが、男は当たり前のようにありえないような高度まで跳んだ。

それは最早、跳ぶというより飛ぶ。

男は他の建物や間をあっさり飛び越えると、さっきから見つめていたビルの屋上に着地する。

その時、屋上の扉が開く。

 

「おやおや、こんな時間にお客さんだなんて珍しいな。それも空から来るなんてね」

「貴様は…」

 

そこに現れたのは高級そうなスーツに身を包んだ、悪人面の男だった。

悪人面の男性はニヤニヤという擬音がぴったりと当てはまる表情浮かべる。

 

「…今回のターゲットか」

「君がここ最近噂になってる、ガルタイト鉱業が雇ったとかいう凄腕の殺し屋かな?はじめまして、と言っておこう」

「…」

 

その言葉に対し殺し屋の男、ギラーミンは沈黙を貫きながら周囲の状況を伺う。

すると、ギラーミンはあることに気付く。

 

「既に手は打ってある、ということか…」

「流石に気付くか。なら、隠す必要もないな」

 

悪人面の男が指を1回鳴らすと屋上のありとあらゆる物陰から大量の人影が飛び出して来て、誰もいないと思われていたその場をあっという間に埋め尽くす。

その人影を見ると、頭部は白のヘルメットが顔の半分を覆い、バイザー部分の真ん中に不気味な単眼が描かれている。

胴体や肩、手脚の所々にも頑丈そうな白い装甲に覆われており、装甲とは正反対な真っ黒な銃が全員の手に握られている。

それはどうやらサブマシンガンのようではあるが、その形状は他のどの銃器にも似つかない特殊な外観をしていた。

そこ銃から放たれるレーザーサイトの赤い光は全てギラーミンに向けられている。

絶対絶命という言葉が、その状況を正しく表現していた。

にも関わらず、ギラーミンの表情は微塵も崩れない。

 

「おやおや、どうした?恐怖のあまり動けないかい?」

「…」

「凄腕の殺し屋といっても、これではどうしようもないか。すぐに楽にしてあげよう」

 

悪人面の男性が手をあげると、武装した集団は一斉に銃を構える。

それに対しギラーミンは、落ち着いた動作で腰のホルスターから拳銃を抜く。

それを見た武装集団も警戒をよりいっそう高める。

しかし、悪人面の男性は無駄な抵抗だと笑い飛ばす。

その場が重い雰囲気に支配される。

そんな中、ギラーミンが動いた。

拳銃を握った腕をゆっくりと後方へと振り、そこから次は腕を素早く振り上げる。

その途中で拳銃を離すと、拳銃はそのまま真上に放り投げられ回転しながら空高くへと飛んでいって、次第に見えなくなっていった。

 

「は…?」

 

悪人面の男性は空を見上げながら、思わず間の抜けた声を発する。

それはそうだ。

全方位から敵に囲まれている状況で、自分の武器を自ら捨てるなど自殺行為だ。

ギラーミンを警戒していた武装集団も流石に困惑し、注意を一瞬空に向けてしまった。

とうとうおかしくなったか、と結論づけた悪人面の男性は再びギラーミンに視線を戻す。

 

「なっ…、いない!ど、どこに⁈」

 

悪人面の男性は慌てて周囲を見渡そうとするが、その必要はなかった。

慌てふためく男性の目の前にギラーミンが現れる。

そして、混乱している男性めがけて回し蹴りを放つ。

その蹴りは男性の首を正確に捉え、首から嫌な音が聞こえると共に男性は目を見開きながら倒れ、そのまま動かなくなる。

 

「な、何だと⁉︎ 一体どういうことだ!」

「…標的(ターゲット)、死亡確認。任務完了」

 

さっきまで自身が銃を向けていたはずのギラーミンが一瞬で集団の後ろへと移動したこと、そして護衛していたはずの男性の首を一撃でへし折りその命を刈りとったことに武装集団はひどく動揺する。

そんな様子を気にも留めず、目的の男性が絶命したことを手早く確認したギラーミン。

それを見た武装集団の1人が我にかえると素早くギラーミンに照準を合わせ、銃の引き金をひく。

その銃はどうやら小型のエネルギーを弾として発射するようで、銃口からいくつものエネルギーの弾丸が飛び出し、ギラーミンに襲いかかる。

 

「ふん、鈍い」

「⁉︎ く、来るn…」

 

しかし、ギラーミンはそれらを身体を反らしてあっさり躱すと、銃を発射した者のもとへ一直線に走る。

それに対して再び照準を合わせようとするがギラーミンが接近する方が早かったようで、ギラーミンは相手の持っていた銃を奪うとそれを相手の喉に押し付けると何の躊躇いもなく引き金をひいた。

銃声と共に辺り一面に真っ赤な鮮血が撒き散らされ、その中に倒れた白い装甲が赤く染まる。

すると、ギラーミンが空に向けて左手を挙げるとさっき放り投げた銀色の拳銃がその手にちょうど収まる。

そして、未だ呆然としている武装集団を見る。

テンガロンハットから覗く無機質な眼を見てしまった武装集団は理解してしまった。

殺らなければ殺られる、ということを。

 

「う、うわぁぁぁぁっ‼︎」

「死にたくない、死にたくないっ‼︎」

「嫌ダァァァァ‼︎」

 

そう理解した瞬間、恐怖に呑み込まれてしまった者達は一斉に銃を乱射しだした。

自分の弾丸が仲間の命を奪おうとも、そんなことはお構いなしに狂ったように叫びながら撃ちまくる。

しかし、それも1分も経たないうちに終わりを迎えた。

そこには、さっきまで生命だった(・・・)筈のものたちが辺り一面に転がっていた。

それを一瞥したギラーミンは来た時と同じようにビルとビルの間を跳び越えながら、闇の中へと消えていった。

その後、さっきまでギラーミンのいたビルは火災が発生し、何もかもが全て燃え尽きてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます! 本当にかなり久し振りなので、誤字・脱字があるかもしれないのであれば報告してくださると助かります。

話が急に変わりますが、ビルドが個人的にとても面白いなと思う今日この頃。皆さん的にはビルドはどうですか? 僕としてはスタークの真意や目的が全く分からない感じが非常に気に入っています。ライダーとしてはグリスが一番気に入っています! この小説でもいつか出せたらいいな…(願望)

さて、今回はここまでにしておきます。もし、こんな超不定期の小説でも待ってくださる読者様方がいるならば、とても嬉しいです。それでは次回予告です。

はるか遠くの惑星に住む少年、ロップルと友になったのび太たち。もう会うことはないと思いつつも、畳をあけると驚きの事実が…! そして、ロップルとチャミーの住む星コーヤコーヤ星を脅かそうとする不穏な影の正体は…。
次回、ドラえもん 真・のび太の宇宙開拓史 エピソードⅢ
全てを破壊し、全てを守り抜け!


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