ビルドダイバーズコズミックファイターズ (赤いおばけ)
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言葉では想像させれなかった私の落ち度だ……


ガンプラの(勝手な)強さ

普通に考えるとジムとガンダムならガンダムが強いのは当たり前。

ただし、ジムはスミ入れされガンダムは素組しただけの場合はジムのほうが強くなる。

もっと言うとジムを改造済でオリジナル化したものと素組のガンダムではガンダムはジムにダメージを与えられないほど強化される。

もっとも、GBNではガンプラ感を消すために作られたガンプラを読み込み自動でスミ入れなどが行われるのでぱっと見ではわからない。

対人も活気があるが素組だけでもいろいろなミッションが楽しめる難易度になっているので安心してほしい。

 

 

 

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ハヤス/早川進

高校1年生でビルドダイバーズリライズの主人公ヒロトの後輩という本編では語られない裏設定がある。だって出てこないし。

幼馴染に鳥井リネと長瀬瑠梨の2人がおり、2人に誘われたことでGBNへと足を踏み入れた。初めて行ったミッションをクリアしたものの、急かされたことで乱入の可否のチェックを入れ忘れたことで後に深くかかわってくる3人組と知り合う。

3人とも手先が器用なため初めて作ったガンプラであったが丁寧な作りとスミ入れもしっかりしたものだったため改造されたガンプラにもダメージを与えることができた。

フォースを組んだ時点でのダイバーランクは全員Cに上がっておりいつ必殺技を手に入れても不思議ではない。

 

所属フォースはコズミックファイターズ

使用ガンプラは初めて作ったOガンダム、その後ゼロストライクガンダムを新たに作る。

1話から12話まではOガンダムを使用。13話から自らの戦い方と目標を定め初めてガンプラを改造しゼロストライクガンダムを生み出した。

ベースはストライクガンダムでウィングガンダムゼロカスタムを合わせたガンプラ。元がストライクのためアグニを装備したりシュベルトゲベールを装備したりできる。ウィングガンダムの翼を装備しており、その翼はフェザーファンネルを内蔵している。ハヤスはもっぱらAIで動かしている。

 

ゼロストライクガンダムフルパッケージ

ハヤスの作ったゼロストライクガンダムの強化形態、両肩にマイダスメッサーを搭載。バックパックは左側にアグニを二つ合体させたツインアグニ。右側にシュベルトゲベールの威力等を上げたシュベルトゲベール改。

トーナメント戦の時よりもドラグーンを増やしたストライクフリーダムの翼。

全体的なシルエットはどちらかというとデスティニーガンダムのような感じ

 

 

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リネ/鳥井リネ

高校1年生で早川進と長瀬瑠梨の幼馴染。快活な性格でムードメーカー。ハヤスに気があるものの中々踏み出せていない。鳥の羽を模した髪飾りをもらったことでもっと好きになる。

初めてのミッションで乱入されるが3人の力を合わせて倒す事に成功する。その後乱入した3人組と知り合うが未だに乱入してきた相手と知らない。

 

所属フォースはコズミックファイターズ

使用ガンプラはウィングガンダム、その後ダブルオーガンダムセブンソード/Gとミキシングしたセブンソードウィングガンダムを生み出す。

ウィングガンダムのバスターライフルはもちろんのこと、ダブルオーガンダムを合わせたことでツインドライブを装備している。

トランザムは目が回ってしまうためここぞの時にしか使う事ができないらしい。

 

セブンソードウィングガンダムフルセイバー

リネの作ったセブンソードウィングガンダムの強化形態。ダブルオークアンタフルセイバーを更にミキシングしたためセブンソードの面影はあまりない。

しかし火力、特に近接に関していえば3人の中では一番高いと言える。以前までならトランザムを使うとその速さに引っ張られ目を回していたが、今では見事に使いこなしている。

 

 

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ナグサ/長瀬瑠梨

高校1年生で早川進と鳥井リネの幼馴染。落ち着いた性格で言葉遣いから育ちの良さが窺える。リネがハヤスに気があることに気付いており応援している。

初めてのミッションで乱入されるが3人の力を合わせて倒す事に成功する。その後乱入した3人組と知り合うが未だに乱入してきた相手と知らない。

 

所属フォースはコズミックファイターズ

使用ガンプラはヴィクトリーガンダム、その後V2ガンダムアサルトバスターに射撃武装や装甲を追加するなどをしたガンプラを使用する。

ヴィクトリーガンダムにV2のバスターパックを装備させ、色々な射撃機体の武装を換装することですべての距離で戦えることを実現した。近距離ではガトリング砲、中距離ではビームライフル、遠距離ではビームカノンを使う。

見た目はヴィクトリーガンダムではあるが、素体となったガンプラはV2であり、3人の中で改造が最もうまいことが窺える。

 

ヴィクトリーキャノンフルバースト

ナグサの作ったヴィクトリーキャノンの強化形態。バックパックに追加でミサイルを搭載し、飛び回る相手にも対応した。

ビームカノンに追加で出力を抑えることで狙撃することが可能となった。威力は落ちていても元が元なだけにあまりデメリットにはなっていないようだ。

 

 

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カリスト

拙い私の説明ではこの姿を皆の頭に想像させれなかった。

肩と膝の尖った部分は着脱可能で、ハヤスと会ったGBN内のショップでは外した状態で現れた。

身長は2Mもありめちゃくちゃデカい。メカマスターも同じくらいでかい。

 

所属フォースはDOLG

機械の体を持つダイバーが多く所属している、中堅フォース。

目立った活躍をしているのは主にカリスト、メカマスター、アフサイドの3人組

噂では人間ではないのではないかと言われている。

元々は別のゲーム12Cで活動していたと言われている、その時も3人組で行動していた。その時のポジションは今と異なっておりメカマスターが前線で暴れアフサイドが空中の敵と戦い、カリストは少し後方から足を止めてメカマスターに殴らせたりアフサイドに斬らせたりしていた。

 

主に乱入バトルで遭遇することが多い。その際に使用するガンプラはガブスレイアイン。名前の通りZガンダムに登場したティターンズ所属MSガブスレイと、OOガンダム第1期に登場したチームトリニティが使用するガンダム、スローネアインをミキシングしたガンプラ。ガブスレイのブースター部分をGNドライブ[T]に変更し、スローネアインのGNランチャーをフェダーインライフルと混ぜているため通常のフェダーインライフルよりも若干太い。

第3話では持っていなかったが実はサブ兵装にスローネアインの持っていたGNビームライフルがある。しかしランチャーとフェダーインライフルを混ぜているので無用の長物となってしまった。

 

第8話で使用したガンプラ、カラミティパラディンはハヤスと会った際に手に持っていたカラミティガンダムを改造したもの。盾の大型化に伴い武装を排除、守りに特化させた。その分重くなった盾を持ったまま飛行する、ビームスマートガンを片手で撃つ等フレーム自体を強化して機体のパワーを上げている。waveミッションの序盤や、ハヤス達が行ったストーリーミッションの大量のジンならば殴るだけで倒せるほど。本来のカラミティガンダムにはビームサーベルは持っていないが盾の裏にビームサーベルを仕込んでいる。腰のサイドアーマーにもストライクガンダムと同じアーマーシュナイダーを内包している。

 

Ex-S(イクスェス)カラミティ

カラミティパラディン改に、Ex-Sガンダムの脚部と肩。バックパックをつけた機体。

主な武装はビームスマートガンにバックパックのビームカノン。大腿部ビームカノンとジャベリンという遠距離が主軸となっている。

しかし、あるギミックが搭載されている。

 

 

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メカマスター

初登場時から多少姿を変えた。見た目からは想像できないほど冷静であり、他の2人の援護や補助に徹している縁の下の力持ち。

噂では3人の中で最も近接特化と言われているが使用ガンプラを見るにデマだと言われている。

 

所属フォースはDOLG

機械の体を持つダイバーが多く所属している、中堅フォース。

目立った活躍をしているのは主にカリスト、メカマスター、アフサイドの3人組

3人の付き合いは12Cからと言われている。3人で行動することが多いがアフサイドが現実で忙しかったりするとカリストに誘われて2人で行動することが多々見られる。

 

乱入バトルの際に使用していたガンプラはハンブラビドライ。名前の通りZガンダムに登場したティターンズ所属MSハンブラビと、OOガンダム第1期に登場したチームトリニティが使用するガンダム、スローネドライをミキシングしたガンプラ。

腕部のクローをビームライフルに換えており全体的に射撃よりの機体になっている。最大の特徴は背中のレドームであり、敵にはジャミングを与え味方には敵の位置を知らせる役目を担っている。かといって戦闘力がないわけではなく機体のスピードを生かしたアウトレンジ戦法を得意とする。

 

GNメッサーラ

通常のメッサーラよりも大きく作られている、最大の特徴はやはり六つのGNドライブを合わせたヘキサドライブだ。

GN粒子を使う攻撃と機体の推進力や性能が上がる半面、トランザムや量子化などといった特殊な兵装を扱うことが制限されている。

 

通常のメッサーラよりも大きく作られている理由は中にもう1機別の機体を搭載しているからだ。

GNメッサーラが遠距離攻撃を得意とするが、中に搭載されている機体は近距離を得意としている。

GNメッサーラが一つの武装扱いされているため、実は本来の火力などは出せなくなっている。

 

 

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アフサイド

初登場時から姿を一新した。最初は機械の竜人のような姿だったが、背中に2つ剣を装備したMSのような姿になった。

戦闘スタイルは近距離で斬り合うことが得意ではあるが、射撃が苦手というわけではないらしい。

 

所属フォースはDOLG

機械の体を持つダイバーが多く所属している、中堅フォース。

目立った活躍をしているのは主にカリスト、メカマスター、アフサイドの3人組

3人の付き合いは12Cからと言われている。3人の中で最も現実が忙しい。

 

乱入バトルの際に使用していたガンプラはマラサイツヴァイ。名前の通りZガンダムに登場したティターンズ所属MSマラサイと、OOガンダム第1期に登場したチームトリニティが使用するガンダム、スローネツヴァイをミキシングしたガンプラ。

最大の特徴はやはりバスターソードと増設されたファングユニットである。量産機ではあるもののその性能は他の機体の追随を許さない。

 

Ξ(クスィー)フルセイバー

ダブルオークアンタフルセイバーにまるでクロスボーンガンダムフルクロスのようにΞガンダムのファンネルミサイルなどが搭載された装甲を被せてある機体。

ファンネルミサイルはファングミサイルへと変更されており、ミサイルだがビームサーベルを展開してそのままファングとしても使える。

トランザムや量子化が使う事ができ、熟練度の高さが分かる。



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本編
初めてのミッション


初めて投稿極めて難解
自己満足の二次創作


GBN、ガンプラバトル・ネクサスオンラインとは自分の想像力を形にする夢のようなゲーム。君たちもぜひ足を踏み入れてほしい!

 

そんなコマーシャルがテレビから流れている。

その時はまさか自分がそのゲームをやるとは思っていなかった。

 

高校1年生の俺は早川進(ハヤカワススム)、いつも通り朝食をとり通学する。

いつも通りの授業が終わり放課後、幼馴染の鳥井リネと長瀬瑠梨(ナガセルリ)の2人が話しかけてくる。

 

「ねぇねぇ進!GBNやってみない?」

「12Cで知り合った人たちもやってるんですって」

 

12C、GBNが出てくるまでは盛況だった数あるロボットゲームの一つだけど今はいい。

 

「でも俺、ガンプラ持ってないぜ?2人も持ってるのかよ」

「うっ……それを言われるとちょっと……」

「だからこれから作りに行くのよ。帰り道にあるでしょ?GBNの筐体もあるガンプラショップ」

 

それから話はとんとん拍子に進み、模型店で俺たちは気になるガンプラを

それぞれ探しながら見ていた。

 

「ピンとくるガンプラがないなぁ~……?おっ、これとかいいんじゃないか?0(ゼロ)ガンダム!」

 

その時の俺はあまりパッケージを見ていなかったから気付いていないが、

それは0(ゼロ)ガンダムではなくO(オー)ガンダムだった。

気に入ったガンプラを購入し、さっそく組み立てエリアで作り始める。

 

「2人は何にしたんだ?」

「ふふーん、あたしはウィングガンダム!」

「私はビクトリーガンダムよ」

「そういえば、素組だけでもいいけどスミ入れって作業も意外と簡単だから

 それやるだけでも変わるって知り合いが言ってたぜ」

「そうなんだ~、じゃあそこまでやったらさっそくやってみよ!」

 

あまり見た目をいじらずに、黒髪に白と青のエクステを入れただけの姿で

俺は最初のロビーに降り立った。そういえば2人の姿を聞くのを忘れていた。

どうしようかと一人焦っていると2人の女の子に話しかけられた。

1人は金髪のポニーテールでボーイッシュなイメージ。

もう1人は黒髪の長髪で大人しいが芯の通った大人の女性だ。

 

「ねぇねぇ!もしかして進?」

「そうだったら待たせてごめんね」

「いや、俺もちょうど終わったとこだから気にしなくていいよ」

 

お互いをどう呼んだらいいか話し合いさっそくミッションを受ける。

色々な種類がある中とりあえずストーリーミッションを選択する。

ストーリーミッションとは、簡単に言うといろんな作品の話の中から選んで

追体験することができるミッションだ。

 

「SEEDの第一話とかどうだ?内容的にはアークエンジェルの離脱がクリア条件らしい」

「いいんじゃない?オススメされてるし早くやろ!」

「皆ビーム兵装がメインだしザフトのガンダムが出てきても対応できそうね」

 

さっそくミッションをスタートする俺たちだったが、俺は大切な項目を見落としていた。

ミッションには様々な項目がありフレンド限定とかフォースメンバー限定などがあるが

その中には乱入可能といった突発的な対人もできる場合もある。

せかされるあまり俺はその項目をチェックし忘れたまま開始してしまった。

それが後の自分のGBN生活を決めることだと知らずに……

 




自分があとで読みたいと思って書き殴ったもので
ついでにいろんな人が見てくれたらいいなってことで
次の話は気が向いたらやるかもしれません。


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乱入

書いた話を見直すと
テンション上がる筆が乗る


「そういえばGBNでの二人の名前はなんだ?俺はハヤスにした」

「何も思いつかなくてそのままリネにしちゃった」

「私はちょっといじってナグサにしたわ」

 

そんな雑談を交えながらミッションが始まるのを待つ3人。3人がいるのは謎のカタパルト、SEEDの第一話に戦艦はアークエンジェルしか出てこない。これはミッションが始まったと同時にカタパルトで発進する臨場感を味わうための仕様だった。

 

「そろそろ始まるみたいだ、0(ゼロ)ガンダム!ハヤス行きます!」

「え?それO(オー)だよ?」

「え?そうな……グウゥゥ!」

 

カッコよく出撃しようとしたハヤスだったが、作っていたガンプラの名前を間違えていた事を今更に指摘され更にそのタイミングが発進した時だったためカタパルトによって強制的に射出されてしまう。

 

「も~何やってるのさ、ウィングガンダム!リネいっきま~す!」

「ふふふ、ビクトリーガンダム、ナグサ出ます」

 

何とも締まらない3人の出撃ではあったがついにミッションが始まった。3人の出てきた場所は宇宙空間、目の前にはいたるところで爆発の起きているスペースコロニーヘリオポリス。SEEDの物語はここから始まった。さっそく3人がコロニーへと近づいていくと同時にコロニーから護衛対象であるアークエンジェルが飛び出してくる。今回のミッションはこのアークエンジェルを目標地点まで守り切れば達成となる。サブクエストも存在しており、現れるジンを一定数撃破と唯一守ることのできたG兵器、ストライクガンダムの護衛の2つだ。

 

「アニメで見たけどこうやって自分の目で見れるのはやっぱすごいなぁ!」

「こうやってみるとアークエンジェルっておっきいねぇ!」

「SEEDでこれだもの。他の作品も楽しみね」

「っと、さっそくジンも出てき……なんか数多くないか?」

 

ハヤスが疑問に思ったのも当然で、このミッションは確かに初心者用ではあるものの複数人で受けるとその機体数に合わせて倍になる仕様だった。現れるジン自体はそこまで強くはなく何ならザクマシンガンで倒せるほどの体力に設定されている。だが戦いは数だよ兄貴と言わんばかりの数が押し寄せてくる。塵も積もればなんとやらで一つ一つの火力は小さくともアークエンジェルの耐久値はガリガリと減っていく。

 

「まずい!早く倒さないと!」

「ウィングガンダムでよかった!バスターライフルで一網打尽!」

「私もビームカノンを持ってきたわ。撃ちもらしたジンをお願いハヤス!」

 

大量のジンの追撃を何とか凌いだ3人、アークエンジェルとストライクガンダムは無事に目標地点へとたどり着き、ミッションクリアの文字が3人のコックピットのディスプレイに表示される。最初のミッションにしては大分ハードな内容だったがその興奮はさめやらなかった。……だが思い出してほしい、ハヤスは乱入可能のままミッションを開始していたことを。そして一向に終わらないミッションの中、3人のディスプレイにWarning!!と点滅と共にアラートが鳴り響く。

 

「な、なんだ?!」

「警告だって!SEEDの第1話でこんなのあったっけ?!」

「乱入された……ってもしかしてハヤス!乱入可能のチェック忘れてた?!」

「そ、それかも」

「「ハヤス!!!!」」

 

慌てる3人にお構いなく乱入してきた機体が遠目で確認できた。

全身を黒く塗られ、襟と脇腹を赤く塗ったガブスレイ。全身を緑色で塗られ、背中にはレドームのようなものを装着したハンブラビ。サブフライトシステムに乗り2機に追従する青く塗られ、巨大なバスターソードを持ったマラサイが接近してくる。一見ただのティターンズの機体だったがそのブースターから出る光は赤い粒子になっていた。

 

「よし、ジャミングしろ」

「了解」

「先制攻撃ってヤツ!」

 

混乱する3人にさらに追い打ちをかけるかのようにジャミングがかかる。ハンブラビドライのレドームが回転し、あたりにGN粒子をまき散らし始める。それと同時にマラサイツヴァイが乗っていたSFS(サブフライトシステム)を3人に目掛けて飛ばしてくる。その攻撃を回避することで3人はバラバラになってしまった。ハヤスのOガンダムにガブスレイアインが、リネのウィングガンダムにマラサイツヴァイが、ナグサのビクトリーガンダムにハンブラビドライが対峙する。

3人の苦しい戦いが始まろうとしていた……。




ビクトリーガンダムじゃなくてヴィクトリーガンダムだったんだ


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決着

初心者のファーストミッションに乱入かますってマジ?


擬似的なタイマン状態にされた3人は、お互いの相手とにらみ合いが続いていた。先手をいかにとるかの読み合いにしびれを切らし戦いの火蓋をきったのはハヤスだった。

 

「相手のほうが性能が上なら先手は貰う!」

「果敢に挑むか、だがその手には乗らん!」

 

ガブスレイアインに斬りかかるハヤスだったが、その攻撃を変形によって回避された。変形したことによりMS形態以上の機動力でハヤスは防戦一方の戦いを強いられる、宇宙空間ということもあり縦横無尽に飛び回る敵に狙いをつけることができない。さらにGNフェダーインライフルによる遠距離攻撃を撃ち込まれたかと思えば突撃しクローによる斬撃を仕掛けてくる考えの読めない動きに翻弄されてしまう。

 

だが、ハヤスはこの攻撃パターンをどこかで見た覚えがあった。一撃離脱を繰り返したかと思えば大胆に接近戦を仕掛けてくる、次第にハヤスはガブスレイアインの攻撃を確実にかわしはじめついに攻撃を当てることに成功する。

 

「1…2…3…!ここだァ!」

「何?!俺の動きを見切ったとでもいうのか!」

 

一見ランダムに仕掛けていると思っていたがその実、いくつかのパターンを組み合わせ、それを繰り返していただけだったのだ。それを見抜いたハヤスはGNフェダーインライフルの攻撃をかわした動きのままガブスレイアインがMA形態で突進してくることをよみビームサーベルを振り抜いたことでクローの片方を切り飛ばす。

 

「くっ……アレを使うぞ!集まれ!」

 

クローを切り飛ばされたことで今までの苛烈な攻撃はなんだったのか突如として味方との合流を図るガブスレイアイン、ハヤスも2人との合流を急ぐ……。

 

 

 

 

ハヤスとガブスレイアインの戦いが始まったと同時に他の2人の戦闘も始まっていた。リネと対峙するマラサイツヴァイはバスターソードを振り回し、リネを追いかける。その重さを感じさせない動きにリネは冷や汗をかく。

 

「オラオラァ!逃げんじゃねぇ!」

「くっ……一発でも当たったら終わる!」

「仕方ねぇ、行けよファング!!」

 

ギリギリのところを避け続けるリネに痺れを切らしたのか、マラサイツヴァイの右肩のシールドがさらに割れるとそこからファングが飛び出した。マラサイツヴァイの意のままに飛び回るファングにリネは手も足も出ない。だが、ファングに対応しているリネはあることに気付く、マラサイツヴァイの攻撃がないのだ。何を隠そうファングやファンネルといった自立行動型の武装はオート操作とマニュアル操作の二つがあり、マラサイツヴァイはマニュアル操作によってリネを追い詰めていたのだ。オート操作はAIが動かしており、その規則正しい動きでは簡単に動きをよまれ壊されることが多い。だがその分マニュアル操作の難易度は高いが自由な動きで破壊されにくいが、操作に集中して本体の動きがおろそかになることは多々あることだった。

 

「隙あり!ファングに集中しすぎ!!」

「アァ?!俺のファングが!!」

 

ファングの猛攻の一瞬の隙を突き、無防備だったマラサイツヴァイの右肩のファングの格納部分を切り裂くことで残りのファングを扱えなくする。残っていたファングも元の部分が壊されたことで動きを止め始める。ファングを壊されたことでマラサイツヴァイは味方と合流する判断をし、そそくさと撤退する。そんなマラサイツヴァイをリネは見送ることしかできなかった、ファングを壊したとはいえその戦闘はリネの精神を大きくすり減らすほど激しかったのだ。

 

「チッ、割に合わねぇ。アイツも呼んでるしお前らは終わりだ」

「はぁはぁ……見逃された?……いったん合流しよう」

 

 

 

 

ハヤスとリネの戦いと同じくナグサの戦いも始まった。ジャミング効果のあるGN粒子をまき散らしながら飛び回るハンブラビドライにナグサは攻撃を当てれないでいた。ハンブラビ自体が元々高速で一撃離脱を主にする機体だったためにこうも近寄ることができないと遠距離からの攻撃しかできず、さらにジャミングによってレーダーが使えないために目視で探し自力で偏差射撃をしなくてはならず膠着状態が続いていた。ハンブラビドライから攻撃することは少なく、他の2人の支援が主な仕事のようだった。かといって攻撃が全くないというわけではなく腕部のクローの代わりにつけられたビームライフルによる狙撃はナグサに当たることはなくとも回避を強制するほどの正確さだった。

 

「ちょこまかと!くっ……一向に当たらない!」

「こちらを狙っているのか、だが足を止めては狙ってくれと言っているようなものだ」

「っ回避を!」

 

膠着状態を突破するべく、ナグサはあることを思いつく。ヴィクトリーガンダムは分離合体が可能であり、ハンブラビドライを攻撃するさなかにボトムリムを外すと数秒後に追尾するように設定する。ヴィクトリーガンダムらしい搦め手だがハンブラビドライには効果覿面であった。ナグサに集中していたハンブラビドライは死角からミサイルのごとく飛んできたボトムリムがレドームに直撃したことでジャミングをすることができなくなった。レーダーや通信が回復すると同時にナグサもハンブラビドライも味方への合流を優先した。

 

「なめた真似を、だがアレを使うのだな」

「ハヤス達は?!無事ね……」

 

 

 

 

それぞれが味方と合流したのも束の間ガブスレイアインを先頭にマラサイツヴァイとハンブラビドライが両脇に並ぶとコードを取り出しガブスレイアインに接続する。そしてGNフェダーインライフルに3機のエネルギーが充填されGN粒子砲をハヤス達に放つ。只ならぬ気配を感じたのかガブスレイアイン達3機が並んでいた時にハヤス達も同じく並んでいた。

 

「アイツらは多分スローネの3機をそれぞれ合わせているんだ、ということはおそらく合体攻撃をしてくる」

「どうするの?ここまで離れちゃうと近寄るころにはビーム来るよ!」

「相手も手負い、こちらも手負い。逃げようにも逃げれないわ……」

「いや、最後の抵抗はする。バスターライフルを貸してくれ」

 

ハヤスはリネからバスターライフルを借りるとその出力を限界まで上げる。機体が悲鳴を上げてもなお出力を上げついにバスターライフルを撃つ、それと同時にガブスレイアインからもGN粒子砲が放たれ両者の攻撃が直撃する。そのエネルギーの爆発は凄まじくハヤス達は撃墜判定をもらってしまうほどだった。だが、その判定は相手にも起きたようで乱入バトルの結果は勝利扱いとなっていた。

今更ながら、乱入バトルとは一見乱入された側が不利に思えるがDRAWはなく、お互いが同時に撃墜されたりした場合は乱入された側が勝利となる。それに加えて相手を撃破すると多額の賞金、もしくはパーツデータなどがもらえたりするなどどちらかというと乱入した側が不利不平といった具合で、乱入バトル自体があってないようなシステムだった。しかし一部の人間はこの乱入バトルを気に入っており今回はたまたまそのパターンが当てはまったに過ぎなかった。

 

ミッションがクリアした後に乱入バトルになるためたとえ乱入バトルに負けてもミッション報酬は貰える。結果的にハヤス達はミッション報酬と乱入バトル報酬の二つをもらうこととなった。しかし、ハヤス達は腑に落ちなかった。結果が勝利であっても実際は引き分けのようなものだったからだ。

 

「勝利ではあるけど……」

「相手が隙を見せなかったら負けてたね……」

「なんだか意図的に隙を見せていたような気がするわ」

「でも、バトル楽しかったな!」

「うん!(ええ!)」

 

ロビーへと戻ってきた3人はミッションと乱入バトルで新たな目標を決めた。そのためにも自らのガンプラを強化するべく新しいガンプラを買うことになるが今回はここまで。




書き溜めとかせずに思い付きでパパっと書くから多かったり少なかったり投稿しなかったり申し訳ないです。


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新しい力

僕自身ガンプラ初心者でよくわかりません。


最初のミッションから三日後、進は自分の部屋で作ったガンプラを見ていた。初心者故にゲート処理が甘かったり、シールが歪んでいたりと細かいところを見ていくときりがなかった。GBNでは小さなミスと言えるものは自動的に処理されガンプラを詳しく見せてもらうなどをしない限りはそういった処理や歪みは見えないのは救いだった。だが、あの時乱入してきた3機のような性能を底上げするにはそういった細かいところを直すことが大事だった。

 

O(オー)ガンダム……こいつだけじゃ勝てない。あの3機もZガンダムの機体とOOの機体をミキシングしたものだった。俺も何か別の機体を合わせてみたい!」

 

進は一人悩んでいるようだったが、他の2人も同じ時同じ事を思い悩んでいた。そんな悶々とした思いを胸に秘めながら3人は再びGBNへとやってきた。前回と違うのはガンプラショップではなく各自の家からのログインだ。

 

「よっ!2人とも今日はどうする?」

「ん~あたしは何でもいいけど強いて言うならお金稼ぎ?」

「私もそれには賛成よ」

「ゲーム内通貨で何か買えるのか?」

「知らないのハヤス?GBN始める時に登録した住所にGBNで買ったガンプラが届くんだよ!」

「それにマイルームがあれば買ったガンプラを飾れるのよ」

「そうなんだ、じゃあミッションに行く前にガンプラを見ないか?値段とかも知りたいし」

「あっ!それいいね!」「ならそうしましょう」

 

GBNでは現実で提携したお店から登録した住所へと届くガンプラ専門の通販のような機能がある。この機能があることでショップに見に行ってほしかったガンプラがなかった等の徒労がなくなりGBNに集中することができるといった声も上がっている。そんな話をしながら3人はGBNのショップへやってきた。そこには壁一面に広がるガンプラ、サイズごとに並べられ手に取ることもできるほか名前を検索して買うこともできる夢のような世界があった。

 

「すげぇ……いったん自由行動にしようぜ、決まったら連絡する」

「分かった!」「了解よ」

 

自由行動になり、ハヤスは検索ではなく実際に見て探すことにしたようだ。最初のミッションがSEEDの第一話ということもあり、自ずとハヤスはSEEDの棚へと向かっていく。棚を見ながらどんな機体にミキシングビルドしようか悩んでいると他の利用客も見にやってきた。だがその見た目は……ロボだった。

 

「やっぱり合わせるならストライクガンダムかな……ソードとランチャー、それに二つ合わせたパーフェクト。IWSPなんてのもあるし武装の少なさを補える気が……ん?」

 

奥から棚を見ながらやってきたロボットの第一印象は戦隊シリーズの敵幹部のようだった。全身を黒で塗られ脇腹や肩の部分が別の赤い装甲で覆われている。腰にはスカート状の防刃布が巻かれ、左肩からはマントが垂れている。頭部はまるで王冠のような意匠にジェガンタイプのような目の奥から時折ツインアイが光る。

 

(うおぉ……威圧感すごいな)

 

そんなことを思っていると見ていた人物が足を止める、どうやら探していたガンプラは自分と同じSEED系のようだった。自分のガンプラ探しに戻ろうとすると件のロボは独り言が出るタイプのようだった。

 

「やっぱここならあるよな!フルメカニクスのカラミティガンダム!HGと違って細かいモールドもあるし、プロポーションもスリムになってますますカッコいいぜ……!」

 

(いやすごい喋るな!見た目で絶対損してるぞ……)

 

「あ?何見てんだお前」

「かっこいいロボがどのガンプラ選ぶのか気になって……って何言ってんだ俺」

「カッコいいって思ってくれるか?!お前いいやつだなー!オススメは今お前が持ってるストライクだぜ!」

「えぇ……急にフレンドリー……でもそうか、出来がいいから?」

「それもあるが武装の種類が豊富だからサブ機体としても優秀だぜ……っと、俺はもう行くな!そうだフレンド登録しとこうぜ、じゃあな!」

「な、なんだったんだ……でもストライクか。いいな!」

 

思わずできた新しい友人に勧められたストライクガンダムは3つのパックによって姿を変える機体だ。万能なエール、近接のソード、射撃のランチャーと最終的には全部乗せのパーフェクトもある。派生した機体もいくつかありまさにハヤスにとって痒い所に手が届くような機体だった。ハヤスはガンプラを決めたことを2人に連絡し入口で合流する。2人も決めたようだがどうやらナグサは複数選んだらしくすぐに組みたいと今日は解散を促す。

 

「ごめんなさい!色々選んでたんだけど一度形にしてみたいの!」

「あたしも実は組んでみたくて……ごめん!」

「仕方ないさ、ミッションは逃げないしまた今度な」

 

1人残ったハヤスは淡い期待を胸にさっそく新しくできた友人に連絡をしてミッションに誘ってみる。すると承諾する返事が来たことに嬉しさが湧いてくるのだった。

まさか新しくできた友人が大きな悩みの一つになるとも知らずに……




悪の三兵器いいよね……


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wave

宇宙忍者のwaveはナイダス使ってくれる友人のおかげでめっちゃ楽だった


「誘ってくれてありがとう!いつも一緒の連中としか遊んでないからできたばかりの友人と遊ぶのは初めてだ!」

 

そういいながら現れたのはつい先ほどフレンド登録したカリストだ。

 

「知っているか?ハヤス。実はガンプラをタダも同然に入手できるってこと」

「どういうことだ?」

「GBNのゲーム内クレジットでも買うことができるのさ、その分桁違いな値段だけどな」

「時間さえかければ買えるのか……ってことは2人は?」

「まぁ、現金で買ったんだろうさ。あ、ただしゲーム内クレジットで買ったガンプラを転売するとGBNに二度と入れなくなるからやるなよ」

「やるわけないだろ!!」

「まぁ、一応な」

 

そんな会話をしながらミッションカウンターへ行く2人はどんなミッションを受けるかを決めかねていた。ストーリーミッションはできれば幼馴染の2人とやりたいハヤスはお金稼ぎのできるミッションがないかカリストに相談する。そんな相談に笑顔(?)で返答する。全員が倒されなかったらいつまでも稼ぎ続けることができるものがあると。

 

「それってどんなミッションなんだ?」

「いわゆるwaveミッションってやつさ、最初は弱い機体が現れるだけだけど10waveごとに強化されていくのさ」

「どのくらい稼げるんだ?」

「ん~、まぁ倒されるまで稼げるけど50waveまで行けば安いガンプラ買えるくらいかな、ストライクの半分」

「そんなに稼げるんだ……」

「でもハヤスは初心者だし、一緒にいた子たちとやるなら行けても20か25だろうね。敵も硬くなるから1機倒すのに時間かかりすぎて倒されちゃうよ」

「……だけど俺はやりたい、いつも世話になってる2人に何か返したいんだ」

「アオハルだ……いいね、じゃあ俺もいつもの連中呼んで行けるところまで行こうぜ」

「ありがとう、カリスト」

 

感謝の言葉にサムズアップしながらカリストは仲間を呼んだ。しばらくして現れたのはまたしても悪の敵幹部のような姿をした二人だった。1人は緑色の装甲に、右腕だけに装甲を固め首には赤いマフラー、左肩にはカリストと同じようなマントが垂れている。腰には毛皮を巻いて野性味あふれるロボット、青い装甲に特殊部隊のような装備を取り付け、その頭部はまるでドラゴンのような意匠のロボットだった。

 

「ロボットが3人……アバターも自由なんだな」

「フェレットがリーダーのフォースもいるんだ、意外と何でもありだぜ?それに俺とこいつ、メカマスターは昔のゲームと似たような見た目だしな。こっちのアフサイドは新しい見た目だけど」

「初めましてメカマスターです」「アフサイドだ、よろしく!」

「じゃあさっそくやっていこうぜ」

「ああ!(OK!)(了解)」

 

waveミッション、1から9waveは人数分の敵機が配置されwaveが増えるごとに1機増えていく。節目である10waveはボス戦でありMAが配置される。敵機もランダムであり、雑魚敵にビルゴⅡやマンロディなどが配置されることもあるため、武装の属性が偏っているとクリアが難しくなるため注意が必要だ。そんなwaveミッションが今始まる。




会話とか日常→戦闘みたいな構成にしようと思ってるので少なかったり多かったりばらつきがあります。


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苦悩

「とりあえず行けるところまで行こうぜ、今回は4人だしその分敵の数も増えてるから気をつけろよ」

「了解(オッケー!)」「よし、頑張るぞ!」

「その意気だ!じゃあミッションを始めるぞ」

 

その言葉を聞き、4人は出撃準備を始める。ハヤスは相も変わらず謎のカタパルトからスタートするが、他の3人は別のカタパルトからだった。そのカタパルトの形状はZガンダムに登場した戦艦、ドゴスギアのものだった。

 

(カリストたちはまだなのか)

「Oガンダム!ハヤス行きます!って、あの赤い戦艦から出るのか?」

 

先にカタパルトから射出されたハヤスはカリストたちを待っていた。だが、カリストたちの乗っていた機体は見覚えのあるものだった。

 

()()()()()()()()、出るぞ!」

()()()()()()()()、行くぜェ!」

()()()()()()()()、戦闘開始」

 

ハヤスは見た瞬間驚愕した、幼馴染の2人と初めてやったミッションに自分のミスとはいえ乱入し襲い掛かってきた機体と全く同じ機体だったからだ。あまりの事に動きを止めるがカリストたちが近くに降り立ったのと同時に思わずハヤスは問いただしてしまう。

 

「なぁ、もしかして最近乱入バトルをしたか?」

「ん?あぁ、したぜ。動きが全くの素人だったから思わず手加減しちまったけどなぁハヤス?」

「っ!気付いていたのか!気付いたうえで俺の誘いに乗ったのか!」

「いや?今言われて気付いた。あの時のOガンダムだなって」

「え?そ、そうだったのか……」

「こんな事もあるんだなぁ、まぁ?昨日の敵は今日の友ってことで改めてよろしくな?」

「あ、あぁ……」

 

ぎこちなく始まったwaveミッション、最初のうちはハヤスもビームガンで対処できていたがwaveが15になるころには1機を相手にするのも苦労するようになってしまった。ドライのジャミングによって敵機の動きが鈍くなっているため何とかなっているがいつ倒されてもおかしくはない状態だった。

 

(ダメだ……!弱体化している敵機にやられそうになるなんて!だけど、俺がやらなきゃ……)

「俺が一番頑張んなきゃいけないんだ!!!」

 

ハヤスが叫びながら対峙していたストライクダガーをビームサーベルで切り裂くがその一瞬の油断を別のストライクダガーに突かれてしまう。咄嗟にシールドでガードを行うが間に合わない、倒される!と思ったその時。

 

「オラァァァ!ぼさっとするな!」

 

カリストのGNビームサーベルによってハヤスは窮地を脱する。そこにはスタート時のぎごちなさはなく、ショップで出会った時と同じ接し方だった。

 

「武装が通用しないならこいつを使え!後で返せよ!」

 

そう言いながらハヤスにGNフェダーインライフルを押し付けGNビームサーベルを二刀流しながらストライクダガーへと突っ込んでいく。試しに撃ってみればあれだけ苦労して倒していたストライクダガーは1撃で吹っ飛ぶ威力だった。

 

ガンプラの武装は確かにメインであるガンプラの付属品ではある。だが、オリジナルの機体を作るうえでその武装もまたオリジナルの武器となるのだ。数いるランカーや、それこそチャンピオンも自らの機体に合わせて武装も作りこんでいる。そんな作りこみの一端を垣間見ると同時にハヤスは頭にある自分のガンプラへの創作意欲をわかせるのだった。

 

「敵機がストライクダガーってことはおそらくボスはゲルズゲーか。例によって射撃が効かないかもしれないがアレを使うか。」

「アレ?」

「あぁ、俺たちのこの機体だけの必殺技だ」

「必殺技なんてあるのか」

「条件はCランク以上で自分で作ったガンプラによるから気長に待っとけ」

「そろそろ出てくるぞ!GNフェダーインライフルセット!」

「GNレドーム合体」「GNバスターソード合体!!」

 

そう言いながらGNフェダーインライフルに背中のレドームを取り付けバスターソードを真ん中で分解して左右にとりつける。GNメガバズーカランチャーと称するそれをボスであるゲルズゲーの出現ポイントに構える3人に目を輝かせながら見るハヤス、それは正しく()()()のポーズであった。

 

「ゲルズゲー出現!リフレクターを張られる前に仕留める!」

「「了解!」」「おお!」

「「「GNメガバズーカランチャー!ファイヤー!」」」

 

リフレクターを起動する前に撃ち抜かれたゲルズゲーはなすすべもなく撃墜された。必殺技というものを目の当たりにしたハヤス。新たなwaveが始まろうとしていたが学生の身であるハヤスはここでやめておこうと提案する。その提案は承諾され、今回はお開きとなった。しかしハヤスは今日であった3人の友人が以前乱入してきた3人だということを幼馴染の2人に伝えるか苦悩するのであった。

 



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ライセンス

ご都合主義とは言わないけど今回はちょっと「ん?」ってなるかも


その日長瀬瑠梨は一人でGBNへとやってきていた。自分のオリジナルのガンプラを作成している途中で思った形を生み出すことができなかったからだ。おそらく近距離タイプのカスタマイズにするであろう鳥井リネと中距離で二人のカバーができるカスタマイズにする早川進、そして遠距離からの支援攻撃をしようとバスターガンダム、ランチャーストライク、サバーニャなどといろいろな射撃特化機体のガンプラを買っては何かが違うと思い悩む日が続いていた。もはや部屋にはガンプラ専用の棚まで作ってしまう始末で、息抜きにGBNにログインをしていた。

 

「何かが足りない気がするわ……。遠距離からの支援ならいいのかもしれないけれど……」

 

GBNのロビーにあるベンチで武装を調べていると、目に留まる武装がいくつかあった。プラズマダイバーミサイル、アトミックバズーカ、ダインスレイブなどの強力な武装だ。どれもが必殺技には劣るものの、通常の武装より圧倒的に強い武装たち。しかしそんな武装もある種の制限のようなものがかかっていた。

 

「ライセンスがないと使えないの?でもそんなライセンスどこで手に入れれば……」

 

強力な武装になるほどダイバーランクが高くないと使えないうえに、その武装のライセンスがなければ威力が通常の武装と同じになってしまうという制限があった。この武器の見た目がいいんだ!といった意見や、威嚇目的にライセンスがなくとも装備するといったこともあるがナグサは自分のランクで取れるライセンスの武装を探していた。

 

彼女たち三人はまだ始めたばかりではあったが乱入バトルを勝利したことでDランクへと上がっていた。そしてDランクで使えるライセンス武装の中には彼女の使うヴィクトリーガンダムの強化プランであるV2アサルトバスターも存在していた。ライセンス自体はランクアップ時に自動開放されるものもあるが、ランクアップ時に開放されるライセンスはランダムのため目当てのものが解放されていなければ別途取りに行く必要があるのだ。

 

そして現在、彼女はライセンスを取るべくエリアを移動し散策しているのだが、見るからに怪しい場所で、表通りではなくどちらかというと裏通りで、どうしてそんな見た目でGBNをやっているんだと言わんばかりの見た目のダイバーたちが屯していた。そんな中に美人のダイバーが一人で歩いていれば寄ってくるのは当然の事だった。

 

「おいねーちゃん。こんなところで一人か?」

「こう見えて俺たちは強いぜ?手取り足取り教えてやろうか?」

 

GBNは昔PK(プレイヤーキル)が横行していたが三人が始める前にあったというレイドボス暴走鎮圧の際に、多くのダイバーが参加したことでダイバー間の意識が向上し、事件後はPK行為などが激減した。今でも減ってはいるが0ではない。女であることと見るからに初心者の域を出ていないため目をつけられてしまったのだ。

 

「どいてください、今なら通報はいたしません。」

「何だと?!人が下手に出ればつけあがりやがって!」

「そ、そんなつもりでは……」

「うるせぇ!!!覚悟しろ!!!」

 

現実ではどちらかというと優等生であり、怒鳴られる経験がなかったせいか全くの赤の他人から謂れのない事で怒鳴られたことで委縮してしまったナグサは次第に壁のほうへと追いやられてしまう。通報したらいいだろうと思われるかもしれないが人間いきなりの事では焦ってその発想が出てこれないのだ。だが、そんな暴挙が行われようとしているところに声をかけるものがいた。

 

「おい、お前ら何してんだ。複数人で一人を追い詰めるとは程度が知れるぞ」

「誰だてめぇは!!」「カッコつけてんじゃねぇぞ!!」

 

声をかけた人物、それは当時のナグサには知りえないことだが以前ハヤス達といった最初のミッションで乱入してきたダイバーであり、つい最近ハヤスとwaveミッションを行ったカリストだった。なぜこんなところに都合よく現れるかといえば自らもライセンスを取ったばかりで裏通りから出ようとした時に中へ入っていくナグサを見て危なそうだなと後をつけたからだった。

 

「暴力沙汰になんてしたら運営に見つかって下手したらGBNができなくなっちまうなぁ……そうだ!おたくらと俺たち二人で不規則マッチをしよう!勝てば好きにしたらいい、だが負けたらそれ相応のものをもらうぜ」

「こっちのほうが数が多いんだ!調子に乗んじゃねぇ!!」

 

なぜか対人する羽目になってしまったナグサ、恨めしそうな目でカリストを見るがカリストは笑顔(?)を向けながらサムズアップする。

4対2で始まる不規則マッチ、結果だけを先に言うとカリストが一人で四人を倒してしまった。




ハヤスが主人公です


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強化案

不慣れなことをしました。


「カラミティパラディン、出るぞ!」「ヴィクトリーガンダム、ナグサ出ます!」

 

成り行きのままにバトルすることになってしまったナグサ、隣に並び立つ機体を見てため息をつく。ライセンスを取るためだけだったのに変な輩に絡まれてしまったせいだ。助けてもらった手前あまり文句は言えないが、自分の意見を言う前に決まってしまった事には言及した。

 

「ちょっと、勝手に決めないでください!助けていただいたのは感謝しますがまさかバトルだなんて……」

「そいつは悪かったな、だがそこに立っているのは危ないぞ」

「ちょ、ちょっと!」

 

カリストに腕を引かれて真後ろへと動かされたのと同時に激しい砲撃が2人を襲う、だがその砲撃は全てカリストによって防がれた。通常のカラミティガンダムの盾から大型の盾へと変えられ、射撃機能をオミットしIフィールドと盾自体にジェネレータをつけたことでTP装甲(トランスフェイズ)に送る電力を確保したことで圧倒的な防御力を手に入れた。攻撃を防いだカリストは乱入バトルの時のような荒々しさを表に出し始める。

 

「ククク、その程度の攻撃でこの防御を突破できるものか……!お前はそこで待っていろ!俺が全部終わらせてやる」

「一人で?!無茶よ!」

「無茶なものかよォォーー!」

 

その場で大きくジャンプをし、敵機の場所を確認したかと思えばその付近へとシュラークを撃つ。あぶり出された敵機をトーデスブロックの代わりに装備していたビームスマートガンで狙撃していく。その狙撃の威力を目の当たりにしたナグサは自らの目指す遠距離の形をほんの少し想像することができた。味方に居れば心強く、敵に居れば厄介極まりないその攻撃方法は図らずもナグサの経験値となったのだ。

 

(作りこみや改造でこれだけの性能差がでるなんて、やっぱり自分だけのガンプラは必要……。彼の今の言動は置いておくにしても戦い方は理に適う……)

 

「何棒立ちでいやがる!アイツは無理でもお前ぐらいは墜としてやる!」

「し、しまっ!」

 

カリストの狙撃を免れた残りの1機が身を隠しながらナグサの付近までやってきていたことに、考え事をしていたナグサは気が付くことができなかった。不意打ちによってダメージを覚悟していたナグサは咄嗟に目をつぶってしまう。しかし一向に来ない衝撃にゆっくりと目を開けるとそこには巨大な盾によって潰された敵機がいた。空から狙撃していたカリストが一手早く気が付き盾を敵目掛けて投げていたのだ。

 

変則バトルが終わり逃げようとする4人のうち1人を捕まえカリストはバトルが始まる前にした約束を履行しろと詰め寄る。そして受け取った4人分の有り金をナグサに渡してきた。自分は何もしていないから受け取れないというナグサにカリストは「勝手に巻き込んじまった迷惑料だと思えばいい」と無理やり渡す。

 

「それにライセンス取るにも結構金かかるんだよ。その様子だと知らなかったみたいだしな」

「それは……。じゃあありがたくもらうわ」

「ついでにライセンスの場所を案内してやるよ、近いうちに運営が場所を移すだろうがここまできて後日ってのもおかしな話だしな」

「えっと……ありがとう」

 

無事にライセンス手に入れ、V2アサルトバスターの適正使用許可を得たナグサ。そこには武装や戦法に迷走していた面影はなく、目標が定まったという決意をした女がいた。そんな彼女を見たカリストは思わず「綺麗になった」とつぶやく。不意打ち気味に呟かれた言葉に顔をわずかに赤くしながらナグサは睨む。

 

「口説かれてます?」

「ククク……どうかな?だがライセンスを取る前と比べて何か吹っ切れたような感じがする。バトルで何を感じたのかは知らないが、伸びるぜ。」

「あ!ちょっと!」

 

色々とはぐらかしながらその場を去るカリストを一瞬止めようとしたが片手をあげながらそのままログアウトしてしまう。別の意味で悩みができてしまったナグサだった。

 

 



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決闘ディメンション

これ、自己満足の二次創作なんすよ


(はぁ~、今日は一人か~。進も瑠梨も現実(リアル)で用事があるからごめんって言われたら仕方ないか)

「たまには1人で行けるディメンションでも見て回ろっかな!」

 

そう言いながらGBNにログインしたリネはロビーでどんなディメンションがあるかを見ていた。ダイバーの服装や、自らの機体につけることができる特殊なアイテム。そういったものを取り扱うショッピングディメンションに、広大な自然が続き、いろいろな環境が用意されたオープンディメンション、無法地帯ハードディメンションヴァルガ等楽しそうなところや初心者には難しいところなど様々なディメンションにあふれていた。

 

そんな中でやたらと人だかりのできている場所があった。決闘(デュエル)ディメンションと呼ばれ、対人専用の場所でありヴァルガと違ってガチガチに固められた規則によって成り立っているところで、そんな場所で人だかりができているのを不思議に思ったリネは好奇心が勝りその場所へと移動する。

 

移動した場所へ降り立ったはいいものの、周りのダイバーたちが大きくて人だかりの中心が見えないリネだったが、周りのダイバーたちの会話が聞こえてきて何が行われているのかが分かる。

 

「アイツらまたやってるのかよ」「いつもの痴話喧嘩か」「どっちが勝つと思う?」「赤い方が勝つわ」「結局許しちゃうからな」「緑の方が勝つ」

 

どうやら対人が始まるらしく、その野次馬がこの人だかりのようだった。なんとかダイバーたちの隙間に潜り込み前のほうへと移動したリネはその対人を行おうとしている件の人物たちを目撃する。赤い方と呼ばれていたのは乱入バトルを行ってきたダイバーであり、つい最近ハヤスとwaveミッションをし、ナグサのライセンス取得を手助けしたカリスト。緑の方は乱入バトルを行ってきたうちの一人で、同じくハヤスとwaveミッションをしたメカマスターだった。

 

もちろんリネには乱入バトルの時の2人とは知らないため、2機のロボットがくだらないことで言い争っているということしかわからなかった。話に決着が付かなかったからかどうやら決闘を始めるようだ。

 

互いに決闘の合意をしたことで始まった戦いだが、GBNでは本来ガンプラによる戦闘があるがこの決闘ディメンションではガンプラによる戦闘のほか、人対人による対人も選べるのだ。その理由は様々なミッションの中にはガンプラで行けないところへの潜入や探索があり、そんな場所での戦いなどの対処の仕方が学べるのがこの決闘ディメンションだからだ。

 

先に仕掛けたのはカリストだった。どこからともなく刀を出したかと思えばメカマスターへと剣戟を見舞う、その刀に対してメカマスターが拳を当て、ついにはその刀を殴り折ってしまう。残った刀だったものを捨て一気に近寄ったかと思えば右ストレートを放ち、その反作用で後ろへ行った左拳をその勢いのまま放つのを繰り返す。拳を角度をつけながら連続で出す、その拳の速さが常人よりも速いのか周りが妙にざわついていた。ラッシュの最後を放った時その最後のストレートは当たらなかった。メカマスターが一瞬の隙をつきカリストの背後に回ったかと思えば腕を腰に回し大ジャンプをする。その大ジャンプの意味を理解したカリストは大慌てでもがくが、抵抗むなしくそのままバックドロップを決められダウンする。

 

「やっぱりこうなるよね」「いつもの」「もうみた」「親の顔より見た光景」「もっと親の顔見ろ」

 

そんな言葉を投げられる2人に対してリネは興味を引かれていた。リネは自らのガンプラを近接仕様に改造しようとしていたが、どんなガンプラを使って改造しようか迷っていたのだ。それに、ただ格闘武器を振るだけと技術を持った状態で振るとなら明らかに後者の方が強いのは明白だ。

 

ダウンしたカリストを引きずりながらショッピングディメンションに向かうメカマスター。野次馬たちは再び決闘ディメンションで対人を始める中リネは2人の後を追いショッピングディメンションへと向かうのだった。




カリストが実質自分の分身みたいなところあるから主人公の3人にガンガン絡ませてくぞ~~~~~~~~~~


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強さとは

二人を追ってショッピングディメンション内にあるカフェエリアへとやってきたリネは先に入ったであろう二人を探す。あれほどの大男が二人も入ったのだ、すぐに見つかるだろう。と思っているとさっそく見つける、奥まったところでメカマスターはコーヒーを飲みながら読書をしている一方、カリストは腕を組み、目の前にはメガホンのようなものを置いて何かを待っていた。するとそんな二人に一人の男が近づいていくとカリストはメガホンの小さい方を耳(?)のある場所へ持っていく。男はまるでクイズ番組の回答を答えるように大きい方に口を当て何かをおそらく喋っている。しばらくするとカリストは笑顔(?)を男のほうに向けながら握手をしている。男は感謝の言葉をしながら一緒にきていた女のところへ戻っていく。

 

そんな光景を何度か見て、リネは近づいていくと、カリストはメガホンを耳に当てながら「最近あった親しい友人、恋人とのなれそめを教えてください」と言い放つ。リネは疑問符を浮かべながら最近あったことを話し出す。

 

「幼馴染の男の子からゲーム内で使えるアクセサリーをもらいました。一緒にGBNを始めたのにいつの間にかアクセサリーを買えるくらい頑張ってて」

「ホホッそれで?」

「いつも守ってもらってばかりだから今度は守ってあげたいです」

「ッアーいいね」

「そのために強くなりたいんです」

「うん……うん?」

「さっきお二人が戦っているのを見てました!鍛えてほしいです!!」

「ぅゎこえでか」

 

メガホンを耳(?)から放し、メカマスターへと目配せすると同意するようにうなずく。そしてカリストはリネを鍛えてやるべくとあるミッションを受ける、その名も【塩が足らんのです】だ。フォースを組むと、フォースネスト内で取れる料理の味が上がる効果のある塩が手に入るが、その塩が取れる場所にはガンプラが入れないため対人技術が必要なのだ。現れる敵はSDガンダムに登場するMS風のモンスターが襲い掛かってくる。ただ、あくまでモンスターのためMSのような金属の硬さはない。

 

三人でやってきたのは広大な海、海岸にはスライムアッザムが飛び跳ねている。カリストが徐に近づくとスライムアッザムが飛び掛かってくるが決闘ディメンションで見せた刀で一刀のもとに断ち切ると塩がドロップする。この塩を集めるのが今回のミッションであり、ここでリネが剣の振り方を学ぶのだった。渡された刀はリネには大きすぎるため、脇差を渡される。普通に振り回すだけでは切り裂くのではなく鉄の塊で殴っているような倒し方しかできない。カリストの我流ゆえに教え方は少々雑ではあったがミッションクリアに必要な数の塩を集めきるころには殴るような倒し方ではなくちゃんと切って倒す事ができるようになった。

 

「やった!ちゃんと切れたよ!」

「あくまで俺のやり方だから本格的にやるんならちゃんと現実(リアル)で剣道なり道場いくなりしなよ」

「うん!ありがとうございました!」

「ッハーマブシー」

 

今回入手した塩はフォースを組んでいなくても保存され、フォースを改めて組んだ際に使う事ができる。塩ポイントによってフォースネスト内で作ったり、出される料理の幅が広がるため生産系のフォースはちょくちょくこのミッションを受けていたりする。今更ながらに説明するが、GBN内でも食事は可能でありちゃんと味覚も反応する。だが、実際に食べているわけではないため現実(リアル)に戻ると空腹感が強調されてしまう。ダイエットなどで甘いものなどを取れない女性ダイバーはGBN内で食べている姿を確認できる。

 

剣の使い方を学んだリネは改めて自らのガンプラの改造方針を定めることができた。これでハヤスとリネ、ナグサの3人は自らのガンプラの作成に目途が立ったのだ。



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中立地帯ぺリシア

1人なのか一人なのかむずいよね。日本人なのに。


「ねぇ~……まだつかないの?」

「う~ん……」

「ハヤス、本当にあってる?」

「う~ん……」

 

3人は砂漠を横断する道を歩いていた。3人とも新たなガンプラの作成目途はたち、そのためのお金もあり、あとは作るだけなのだが、作る前に「ほかのビルダーの作品を見てみたい!」とリネが言い始めたのが発端だった。そんなリネの可愛い我儘を2人は聞き入れ調べると、中立地帯ぺリシアと呼ばれているエリアには世界中のビルダーが自らのガンプラを展示していると出てくる。さっそくその場所へ行くため、マップを見るとそこまで遠くない。ならば歩いていこうとなったわけだが、それは大きな間違いであった。

 

「地図だともう見えていいはずなんだけどなぁ」

「ねぇハヤス。その地図貸してくれる?」

「あ、あぁいいよナグサ」

「…………ハヤス、良いニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?」

「え、じゃあ良いニュースから……」

「この地図は合ってる」

「じゃあ悪いニュースは?」

「ここみて、これ縮図よ」

「え゛、じゃあこの地図があってるってことは……」

「まだまだ遠いわよ」

「ええ~~~~~~!!もう歩きたくない~~~~~!!」

 

歩き続けて数十分ではあるが、もはや体感では何時間も歩いていると錯覚してしまうほどだった。GBNはゲームであり動いているのはただのアバターではあるのだが、触覚や痛覚を感じるためこれは現実であると脳が勘違いしてしまうのだ。初心者のうちはこのことに気付くことができないため疲労などを感じてしまうのだった。

 

するとそこへ遠くから砂煙が近づいてくる。ブロロロ……と車のような音とシルエットが近づいておりそれは次第に大きくなっていくハヤス達が座り込んでいるのは道の真ん中だったため慌てて端へとよる。近づいてくる車は次第にその車種が判明する。それはバスだった、ただのバスではなくちゃんと防塵処理がされタイヤも砂地が走れるタイプのものに改造されていた。そのバスがハヤス達の前に留まると運転席の真後ろの窓が開く。そこには3人の見知った顔が現れた。

 

「……お前らこんなとこで何してんだ」

「「「カリスト!!!」」」

「「「え?」」」

 

確かに3人は知り合いだったが同時にあったわけではなく色々なところで遭遇し、まさか同じ友人だったとは思いもしなかった。故に同時に声を上げ、同時に疑問に思ったのだった。呆れたような雰囲気を出しながら乗るように言われありがたくバスに乗る3人。車内にはハヤスは知っているが乱入バトルの乱入者の3人ともう1人知らない人がいた。

 

「メカマスターにアフサイド!……と誰?」

「こいつもお前らと同じだよ。こんな砂漠の道でとぼとぼ歩いてたからな、事情を聴いて乗せたんだよ」

「ど、どうも」

 

先客の名前はテックスター、ハヤスたちと同じく勘違いによってハヤス達よりも少し遠くを歩いていた。その姿は全体的に灰色のSFのような服装に頭にはアンテナのようなアホ毛が1つつけたショートヘアの女の子だった。話してみた感じだとどうやら同い年らしくぺリシアに向かっている間にその仲を深めていった。

 

「おい、そろそろつくぞ!今度はちゃんとマップ見ろよ」

「うん……身に染みた。ところでカリストたちは何しにぺリシアに来たんだ?」

「俺たちか?仲間の一人が展示してるから来るってこと教えずに見に行ってやろうと思ってな」

「二人組じゃなかったんだ……」

「ひどくない?こいつら暇さえあればいっつも二人で遊んでんだよ」

「だってアフサイド君仕事忙しくて滅多に遊べないじゃん」

「それはそう」

「俺たちはそんな感じだ、じゃあな!」

 

カリストたちと別れたハヤス達だったが、一人で行動しようとしたテックスターを誘い4人で展示物を見ることにしたのだった。




ネームドは基本ストーリーに絡んできます


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新顔

ハヤス達4人は至る所に展示してあるガンプラを見上げていた。通常なら手に取れるサイズではあるが設定された頭身で展示されているためその姿はアニメなどで見るように大きい。そのためあまり見ることのないところのディティールも見ることができた。

 

展示者に許可がもらえればその詳しい改造を説明してもらえることもある。そんな中にはハヤス達3人の作ろうと思っているガンプラの参考になるものもいくつか発見することができた。だが一つ問題があるとすれば、ハヤス達が初心者のためスミ入れやデカールを貼る等の事は出来たとしてもミキシングに必要な改造までは手が出せない事だった。しかしそこへ手助けがあった。

 

「うーん、こういう改造がしたいんだけどなぁ……」

「私たちじゃ難しいね」

「絶対折っちゃったりするよ~……」

 

「あ、あの……よかったらミキシングの仕方教えましょうか?」

 

そう声をかけたのは一緒に行動をしていたテックスターだった。彼女の機体もまたミキシングされた機体であり、彼女の戦い方にあった改造が施されたものだった。GBN内にもフリーのカスタマイズスペースが存在しており、そんな場所でミキシングの仕方を教えてもらうことを約束した。しかしここぺリシアではあくまで展示するための場所であり一度ロビーエリアに戻らないといけなかった。

 

どんな改造をしたいのかメモ書きをし、今日のところはもうしばらく見た後に戻ることとなった。そしてふと、カリストたちが見に行くと言っていた展示はまだ見ていないことを思いだす。そして歩くこと数分、その間にもいろいろな展示を見ながら探していると人だかりから頭二つ分大きい人物が確認できた。

 

奥にそびえたつのはガンダムセンチネルに登場したMS、ゼクアインをベースにカラーリングも灰色と暗い緑色に塗られ、頭部はまるで工事用ヘルメットのような黄色に【安全第一】の文字、肩のタンクは工具箱のようになっている。武装はスレッジハンマーにネイルガンといった改造が施されていた。

 

「おぬしたち来ておったのか!ワシに何も連絡せずに!カッカッカ!」

「キユウのジジイも元気そうでよかった」

「孫もおぬし達の知ってる通り元気だ!」

「爺さんには敵わねェな~」

 

設置された休憩スペースに座りながら展示者と思われる老人と談笑するカリストたちがいた。そこへ近づいていくとカリストが気が付き声をかけてきた。老人を紹介される、周りがロボットに囲まれているせいか博士のように見えてしまう。

 

「紹介しよう、俺たちの仲間のキユウだ」

「よろしくな坊主たち、と言ってもワシはがんぷらを作るのはもうやっておらんがな」

「よろしくお願いします!えっと、じゃあ後ろのガンプラは?」

「ワシの孫のじゃよ、今は現実で作業しておっておらんがの」

 

そしてしばらく話した後、今日はロビーエリアに戻ることを伝えて別れることとなった。新たな仲間と作るガンプラに思いをはせる3人だった。

 



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不思議体験

今回はちょっと初めての試みを


あれから数日、テックスターに教わりながら改造の仕方を学び、各々はオリジナルのガンプラを仕上げてくることができた。テックスターは先にロビーで待機し、完成したガンプラを登録してから来ると言っていた3人を待っていた。

 

するとそこへ3人がやってくる、その顔を見れば納得のいく出来のガンプラができた事が窺え、さっそく新しいガンプラの試運転をするために4人はストーリーミッションの続きをする。

 

今回は乱入されないようにし、SEEDのストーリーミッション2。

軍事要塞アルテミスから脱出したアークエンジェルを防衛するミッションであり、敵にはザフトのMSのほかに連合のMAメビウスも襲い掛かってくる。

 

さらにザフトに奪われたG兵器デュエル、バスター、ブリッツの3機も出撃してくる。例によって人数に合わせて敵の数が増えるため適度に倒していかないとすぐにアークエンジェルが壊されてしまうため注意が必要だ。

 

「ゼロストライクガンダム!ハヤス行きます!」

「セブンソードウィングガンダム!リネいっきま~す!」

「ヴィクトリーキャノン、ナグサ出ます」

「ZプラスAC、テックスター出ます!」

 

出撃した4人、しかしなぜか戦闘はすでに始まっていた。相変わらず数が多いジンを相手にストライクが応戦している、しかしストーリーミッション1の時のような冷静な迎撃ではなく若干の疲れが見える戦い方だった。

 

格闘戦を仕掛けるジンの攻撃をガードするも押し込まれたりと危ない戦い方だ。今回のミッションも前回と同じくアークエンジェルとストライクの防衛であり、今は正しく危ない状況と言える。

 

「やばいやばい!ストライクが墜とされる!」

「あたしとハヤスとテックスターで前出るからナグサはアークエンジェルから狙撃して!」

「「了解!」」

 

ガードが崩れ、フェイズシフトがもうじきダウンしてしまいそうなその時、ハヤスの攻撃が割込みストライクを助ける事に成功する。本来ならばまっすぐアークエンジェルへと撤退するがストライクは動かず、困惑しているかのような様子を見せる。

 

そんなストライクを見て頭に疑問符を浮かべながらアークエンジェルのほうへと押し出すと、リネもそこへ合流しバックパックの翼から対艦刀を二つ取り出しジンの群れへと突撃する。

正面に出てきたジンはリネによって次々と真っ二つにされ撃破されていく、テックスターも変形した状態でビームライフルを撃ちそんなリネを援護する。

 

押し出されたままアークエンジェルへと帰還したストライク、しかしそんな油断を狙うかのようにブリッツガンダムが現れる。ハヤス達3人は間に合わない、しかしアークエンジェルの主砲である二つのゴットフリートの真ん中に鎮座していたナグサが襲い掛かるブリッツガンダムへ牽制射撃をしたことでストライクは無事にアークエンジェル内へと格納される。

 

ブリッツガンダムは不利を覚ったのか再びミラージュコロイドによって透明化し撤退する。ブリッツが撤退したことを確認すると再びナグサは狙撃へと移り、遠方から次々にジンを倒していると連合のMA、メビウスがアークエンジェルを追って出てくる。出てきたメビウスをナグサがショルダーガトリングによって対空射撃をしていく。

 

ハヤス達は現れたデュエルガンダムとバスターガンダムを相手していた。このミッションのボスなだけあって他のジンとは全く違う動きをしていた。だが、ハヤスがデュエルを抑えている間にバスターをリネとテックスターで撤退に追い込んだためデュエルも一緒に撤退していく。そうこうしていると、アークエンジェルが脱出ポイントに到達したためミッションがクリアとなった。ハヤス達も撤退ポイントへと向かいミッションの報酬をもらう。

 

不思議に思いながらも、このミッションはこういうものなんだと納得し後にこのことを経験者に話すとそれはおかしいと言われ謎が深まるばかりであった。

 

ゼロストライクガンダム

ハヤスの新たなガンプラ。Oガンダムは記念に残し新たに作った。ベースはストライクガンダムでウィングガンダムゼロカスタムを合わせたガンプラ。元がストライクのためアグニを装備したりシュベルトゲベールを装備したりできる。

ウィングガンダムの翼を装備しており、その翼はフェザーファンネルを内蔵している。ハヤスはもっぱらAIで動かしている。

 

セブンソードウィングガンダム

乱入バトルから手数の少なさに悩み、ダブルオーガンダムセブンソードとウィングガンダムを合わせたガンプラ。ウィングガンダムのバスターライフルはもちろんのこと、ダブルオーガンダムを合わせたことでツインドライブを装備している。

トランザムは目が回ってしまうためここぞの時にしか使う事ができないらしい。

 

ヴィクトリーキャノン

ヴィクトリーガンダムにV2のバスターパックを装備させ、色々な射撃機体の武装を換装することですべての距離で戦えることを実現した。近距離ではガトリング砲、中距離ではビームライフル、遠距離ではビームカノンを使う。

見た目はヴィクトリーガンダムではあるが、素体となったガンプラはV2であり、3人の中で改造が最もうまいことが窺える。

 

ZプラスAC

テックスターの使うガンプラ、ZプラスのA1とC1を合わせた。ただ合わせただけではなくスラスターの数を増やしているため通常のZプラスよりも速度が上がっている。今回のミッションのために用意したと思われる。

 

sideアークエンジェル

アルテミスから脱出したアークエンジェル、しかしそこに待ち構えていたのは膨大な数のジンだった。すぐさま迎撃にストライクを出すが連戦による疲れがその動きを鈍くしていた。

 

「なんて数のジンなの?!」

「まさかこれほどの数を投入してくるとは……!」

 

ブリッジ内が騒然としていると、突如アラートが鳴り響く。戦闘宙域に謎のスモークが発生したのだ、そしてそのスモーク内から見慣れないMSが4機飛び出してくる。所属不明機は二手に分かれ、3機がストライクのほうへ飛んでいき残る1機がアークエンジェルへと向かってくる。

 

「宙域にモビルスーツ反応確認!データにない機体です!」

「そんな!G兵器は全部で5つのはずよ!」

「くっ……!所属不明機へ呼びかけろ!」

「応答がありません!ッ1機まっすぐ向かってきます!」

「迎撃しろ!」

「砲塔が動きません!とりつかれます!」

 

二つのゴットフリートの間に立ち、こちらを見る謎のG兵器は戦闘宙域のほうへ向き直り狙撃態勢をとると近づくジンを撃ち始める。警戒はやめないがストライクの様子を確認するとこちらに補給しに戻ってきていた。

 

ストライクを収納するべくカタパルトを開けようとしたとき、目の前の不明機が立ち上がりストライク目掛けてビームライフルを構えている。ブリッジは緊張が走り悲鳴が上がる、だがビームライフルはストライクの真横を撃ち抜いた。外したかに思えたが奪われたG兵器であるブリッツガンダムが姿を現すと、それがストライクを助けたということが分かる。

 

続けてブリッツガンダム目掛けてビームライフルを撃つが致命傷を与えることができなかった、しかし撤退させることには成功する。しばらくすると不明機は飛び去り、他の3機と合流すると再びスモークの中へと飛び去って行く。スモークが晴れるとそこには何も確認できなかった。アークエンジェルの面々は謎の4機をアンノウンと呼称して警戒するのだった。

 

sideキラ

膨大な数のジン相手にストライク1機で迎撃を任されてしまったキラ。仲間を守るため必死に倒してはいるが戦場のプレッシャーで気付かぬうちに疲れが操縦に表れる。

 

そんな一瞬の油断にジンが格闘戦を仕掛けてきており、咄嗟にシールドで防御するもそのまま押し崩されてしまう。さらに追撃で切り裂かれようとしたその時、ビームがジンを撃ち抜く。ストライクの頭を動かし、ビームが飛んできた方向を見るとこちらへ向かってくるもう1機のストライクが確認できた。

 

「もう1機のストライク?!G兵器は5つじゃなかったの?!」

 

驚愕するキラにお構いなしに謎の機体はキラのストライクをアークエンジェルのほうへと押し出した。もはやフェイズシフトがダウンするのも時間の問題であり敵意を感じなかったキラは大人しくアークエンジェルのほうへと向かう。

 

押し出されたときに謎の機体の背後では1機の戦闘機ともう1機未確認のG兵器が戦闘を繰り広げていた。格闘機と確認できたG兵器は被弾を恐れないかのようにジンの群れへと突貫していき、それを援護するようにそのあとを戦闘機がビームを撃ちながら進んでいく。

 

急いで戦線へと戻るためにアークエンジェルへ向かうが突如アークエンジェル側からビームが飛んでくる。ロックオンされて撃たれたわけではなかったので回避することができなかったが、ビームは真横を通り過ぎていく。攻撃を外したかに思えたそれは自分へ奇襲しようとしていたブリッツへの牽制射撃だったのだ。

 

「攻撃?!でも外れた……?、ッブリッツか!」

 

キラが残り弾数が僅かなビームライフルをブリッツに構えるころには連続したビームが立て続けにブリッツを狙い、最後には撤退させてしまう。無事に収納されたと同時に戦闘が終わり、所属不明の4機は消えたと補給中のコックピット内で知らされたのだった。




ガンブレ2のプレイヤーはゲームやってるつもりなのに実は別世界での本当の出来事っていうのが好きでいつかやりたいと思ってました。


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フォース

書き溜めせずにパッと頭に浮かんだものを殴り書きするせいで
今の今まで続きが出てこなかった……


最終決戦、ハヤスとデクーの2人は相手を倒す事ができずにいた。相手の相方は倒したものの、残った側が的確に攻撃をいなしてくることで小さなダメージしか与えることができないでいた。

 

 

 

 

 

 

最終決戦から数日前に話は巻き戻る。決闘ディメンションで開催されるタッグトーナメントの優勝賞品が特別なフォースネストということで参加してみないかとカリストから話が来たことから始まった。

不思議な体験を運営に報告し、調査のため一時的にストーリーミッションが凍結しているため時間を持て余していた。そんな時、フォースを組まないのか?と尋ねられたハヤスはカリストたちのところに入れないのか?と聞き返す。

 

カリスト自身は入れてもいいがハヤスたちの事を考えると入るのはやめた方がいいと断る、その理由が自分を含めて機械種族であるキャストによってほとんど構成されているため入った場合めちゃくちゃ浮くからというもの。

 

フォース同士でアライアンスが組めるからそれをするためにフォースを作ってみたらどうかと言われハヤスは改めて幼馴染たちを見ると作ることに賛成のようだ。

フォースとは別段5人10人いて初めて組めるというわけではなく、何人からでも大丈夫で何なら1人でも組めるものだ。今まで組んでこなかったのは自分たちが学生の身で基本同じタイミングでログインできるからというものだった。

 

しかし、ぺリシアへ行く道中で知り合ったテックスターができたことでその考えを改めフォースに入ったり組んだりしてもいいのではとうすうす考えていた。

そしてハヤスはフォース【コズミックファイターズ】を結成、その由来は元々やっていた12Cという古いゲームからとったものだ。こうしてハヤスたちはフォースを組み、アライアンスを結んだはいいものの最初に貰えるフォースネストは必要最低限のものであり、女性陣から不満が出る。

 

そして話は戻り、このタッグトーナメントの優勝賞品に繋がるのだった。だが最大の問題が浮上する、このタッグトーナメントの参加条件が男性ダイバー限定だったのだ。幸い同じフォースじゃなくてもフリーのダイバーであれば相方にしてもいいという救済措置があることでハヤスは現地で自分の相方を探すこととなる。

 

 

トーナメント当日、様々なダイバーたちが自らの相方と喋っている中ハヤスは一人焦っていた。ハヤスと同じ考えのダイバーは早めに来場し、フリーのダイバーを捕まえていたのだ。参加ダイバーの受付時間がギリギリに迫ったころ、1人のダイバーが決闘ディメンションに訪れる。ハヤスと同い年か少し上に見える、赤髪で褐色肌の筋肉質な男性ダイバーだった。しかしその表情はハヤスと同じ焦り顔だ、このダイバーもハヤスと同じく遅刻したダイバーだった。

 

そしてハヤスと目が合う。その表情からお互いが1人ということが分かると駆け足で受付へと向かう2人。ギリギリで参加完了をすると改めて自己紹介が始まった。

 

「俺の名前はハヤス!遅刻して1人焦ってたぜ……!」

 

「俺はマイトデクー、デクーって呼んでくれ。同じく遅刻したがハヤスがいてくれて助かった……!」

 

「遅刻した者同士、優勝目指して頑張ろうぜ!」

 

「おう!」

 

初対面ではあったが共通の遅刻という体験から仲を深める二人、そして今タッグトーナメントが始まる。

 




次はいつになるかな……


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腕試し

トーナメント第1回戦のAブロックが始まる。ハヤスとデクーの2人がいるのはDブロックのため順調に勝ち進んでいけば決勝で対峙するブロックのうちの1つだ。他の参加者たちは同じフォースや友人同士で組んだため相方の機体の動きが分かるがハヤスとデクーの2人は急ごしらえのタッグのため観戦する暇がなかった。

 

「とりあえず、お互いの機体の動きを確認しよう。俺たちDブロックとCブロックは調整のために模擬戦闘が許されてるみたいだし」

 

「あぁ!了解だ。何も知らないまま挑むのは愚の骨頂だ」

 

ハヤスとデクーはお互いの機体の動きを知るためにタイマン勝負をする。ハヤスのゼロストライクガンダムと対峙するのはマイトデクーの駆るグレイズバンカー。

前面に追加装甲を増やし、その重量分を補うため脚部を大きくしホバー移動を可能とし、頭部には大きな角が増設されている。その最大の武器はダインスレイブを改造した巨大なパイルバンカーだ。

ダインスレイブの破壊力をそのままに装填を必要としないが、最大の利点であるその射程は消えてしまっている。

 

「なんていうか、やたら近接特化なんだな?トーナメントの時は俺が下がった方がいいか」

 

「一応射撃武器も持ってるが期待しないでくれ。だが近距離ならこいつをぶち込んでやれるぜ」

 

「あぁ!期待してる。そのために俺が援護してやるぜ」

 

「だが、まずはこの勝負。トーナメントは一時忘れてどっちのガンプラが強いか勝負!」

 

「望むところだ!行くぞ!」

 

ハヤスとデクーの模擬戦闘が始まる。デクーの射撃武器はパイルバンカーの大きさに比べ小さくハンドガンサイズだった。だがゼロストライクガンダムに着弾した衝撃はとてもハンドガンと言えるものではなかった。それはいわゆるハンドキャノン、マグナムと言われるものでありゼロストライクガンダムに的確に当てていく。

 

「くそっ!期待しないでくれっていう割に上手いじゃないか!!」

 

「本命じゃねぇからなぁ!!」

 

急速に近づくグレイズバンカー、狙うはもちろん大本命ダインバンカーだ。その破壊力はダインスレイブと全く同じでありその先端からは不思議と威圧感のようなものを放っている。正しく一撃必殺の武装であり当たれば大破は免れない。

 

ハヤスは一撃でも貰えば大破する緊張感に包まれながらもダインバンカーを避け続ける。射出された杭を咄嗟に左へ避け、そのままの勢いでビームサーベルを振るうがグレイズバンカーの装甲は圧倒的だった。ビームサーベルが負けそのビームを散らす。装甲に若干の焼け跡を残しビームサーベルがすり抜ける。

 

お互い一度離れて態勢を整える、再びぶつかり合うところで突然戦闘が強制終了させられる。1回戦のA、B、Cブロックが終わりついにハヤスとデクーの試合がやってきたためだ。不完全燃焼で終わってしまったものの、お互いの機体特性も分かり一応の準備は完了した。

 

ハヤスとデクーはDブロックの会場へと走る。

 



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トーナメント

若干駆け足


第一回戦Dブロック、ハヤスとデクーの対戦相手はソードインパルスとブラストインパルスのコンビだった。明確に前衛後衛の分かれた相手ではあったがよく見るとその武装はデスティニーガンダムのアロンダイトと高エネルギー長射程ビーム砲を装備していた。

 

戦闘が始まったと同時にグレイズバンカーが自らの装甲を盾に突撃、ソードインパルスが反応して斬りかかろうとするがゼロストライクガンダムのアグニによって回避を強制される。道を開ける形となってしまいグレイズバンカーがブラストインパルスへと迫ったその瞬間、ブラストインパルスの高エネルギー長射程ビーム砲が放たれる。

 

グレイズバンカーは回避することなく突撃、1人倒したと油断するインパルスチームだったがグレイズバンカーの装甲が高エネルギー長射程ビーム砲を弾きブラストインパルスへ肉薄し、ついにダインバンカーの射程へ近づく。左手に装備したダインバンカーを打ち込める状態のままブラストインパルスの肩を右手で押さえつけ逃げられないようにし、ダインバンカーを胴体に押し当て打ち放つ。

 

ブラストインパルスは肩を押さえつけられたため、分離回避することができずに上半身と下半身と破壊される。ソードインパルスも僚機の破壊される姿をみてグレイズバンカーへと慌てて攻撃しようと振り返ってしまい、アグニを撃った後に近づいていたゼロストライクガンダムのシュベルトゲベールを背中から振り抜かれて同じく上半身と下半身と切り分けられ破壊された。

 

無事に1回戦を勝ち上がった二人、2回戦のAブロック勝者とBブロック勝者の戦いを観戦するが一方的な戦いが繰り広げられていた。Aブロックチームがマスターガンダムとプロヴィデンスガンダムのコンビで、Bブロックチームのダブルオーガンダムとνガンダムのコンビで悪役と主人公といった試合だったがその技量はAブロックが圧倒的であった。トランザムが使用できるダブルオーガンダムであったがマスターガンダムは当然のように明鏡止水を使いその動きを見切りついにはカウンターの貫き手によってダブルオーガンダムを貫く。

 

フィンファンネルとドラグーンが飛び交う空中戦、本来ならどちらも地上では使えないが特にそういった縛りはなく撃ちあいが発生しているがここでもAブロックのプロヴィデンスガンダムが圧倒していた。νガンダムはフィンファンネルと機体の同時操作によってぎこちない動きになっているが、プロヴィンデンスは同時操作をしているにもかかわらずその動きはなめらかでその技量の高さが窺える。そして動きが止まったその瞬間プロヴィデンスガンダムの複合兵装防盾システムに搭載されたビームサーベルがνガンダムを切り裂き爆散する。

 

Aブロックのチームが決勝で待ち構えることになり、2人はここで勝っても苦戦は免れないと覚悟を決める。2回戦Bブロックの戦闘が始まるアナウンスが入り、2人は目の前の試合に集中する。

 

2回戦の相手はキュリオスガンダムとZZガンダムだった。飛行形態で一瞬でこちらの頭上からGNミサイルやGフォートレス形態から繰り出されるミサイルやビームキャノンによって足を止められてしまう。ハヤスは咄嗟にフェザーファンネルを展開しファンネルのビームを交差させちょうど頭上を通り抜けようとした2機を小破させその飛行を封じることに成功する、キュリオスは焦ったような動きで隙だらけだがZZはむしろここからが本番かのように冷静に攻撃を繰り出してくる。

 

ハヤスはビームライフルをキュリオスに撃ち、さらに焦った動きを見せるキュリオスはついに撃破される。ZZはハイメガキャノンをグレイズバンカーに撃ち、その威力から初めて前面装甲を破壊されてしまう。だがその装甲分の重量から解放され高速移動を繰り返し、ハンドキャノンでビームライフルと頭部ハイメガキャノンを破壊する。頭部を破壊された際の爆風によって視界を覆われたZZガンダム、爆風が晴れて最後に見たのはシュベルトゲベールを垂直に振り下ろすゼロストライクガンダムだった。

 

「ついに決勝戦まで来たな……!相手はあの悪役コンビだけど俺たちなら行けるぜ!」

 

「相手は強敵だけど一人ずつ墜とすことができれば勝ち目はあるな!」

 

「よし、行くぞ!」

 

二人の決勝戦が今始まる、相手はマスターガンダムとプロヴィデンスガンダム。格闘機と射撃機という相性のいい2機だ、二人は覚悟を決め歩みを進める。



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決勝戦

設定とか更新してお茶にごしてました


ついに始まった決勝戦、地形は隠れるところが多い森林地帯と遮蔽物のない平原の合わさった場所だった。マップ中央には巨大な山があり、二手に分かれた場合合流するのに時間がかかる仕様だ。

ハヤスとデクーは二手に分かれての捜索はせず、お互いをカバーし合いながら森林地帯を進む。

 

背後からの射撃を警戒するデクーに対し、前方を警戒しながら進むハヤス。両手にビームサーベルを展開せずに持ち、敵に察知されないようにして進む。だが、突如としてプロヴィデンスガンダムのドラグーンが飛び出し、ハヤスへと射撃する。

 

「なんとォーーーーッ!!!」

 

ハヤスは咄嗟にビームサーベルを展開し、手首を回転させその場しのぎのビームシールドを作りだす。ドラグーンの射撃を防御していると前方が一瞬光る、デクーはその光がプロヴィデンス本体からの射撃と気付きハヤスの前へと飛び出る。

 

ハヤスのビームシールドでは防ぎきれない威力ではあったがデクーのグレイズバンカーの装甲を少し焼いて消える。だが、再びドラグーンの射撃が始まった。プロヴィデンスはドラグーンを操作しながら自らの位置を知られないように動き回っており、ドラグーンを何とかしなければ本体を攻撃することはできなかった。

 

「デクー!これからファンネルでドラグーンを落とす!その間持たせてくれ!」

 

「分かったがそう長く持たないぞ!奴めこの装甲の弱点をもう気付きやがった!」

 

装甲の弱点、それは同じ場所への集中砲火だった。デクーは何とか射撃を散らしてはいるが次第に装甲が壊れ始めていた。リボルバーでドラグーンを狙うがすぐにかわされ撃たれる。しばらくするとフェザーファンネルが飛び交いドラグーンを撃ち落としていく。ドラグーンの射撃が消え、フェザーファンネルをしまい終えたと同時にプロヴィデンスが飛び出してくる。

 

デクーへと複合兵装防盾システムに搭載されたビーム砲を撃ち、蹴り飛ばす。最後の蹴りがトドメとなったのか装甲を砕かれながら吹っ飛ばされるデクー。振り下ろされるビームサーベルをハヤスはビームサーベルを交差して受け止めるがプロヴィデンスのビームサーベルのほうが出力が上だった。

 

次第に押し込められこのままでは両断されてしまう時、装甲がなくなったグレイズバンカーがプロヴィデンスへとタックルする。鍔迫り合いをしていたプロヴィデンスは避けることができず、先程とは逆に飛ばされる。

 

体勢を立て直し、二対一の構図が出来上がるがプロヴィデンスはそれでもなお2人を手玉に取っていた。そんな余裕から慢心を生んだのか、グレイズバンカーに正面から組みつかれる。肩と頭部の近接防御用の機関砲を撃ちそのまま撃破しようとするがグレイズバンカーの硬さの前ではあまり効果が無いようだった。

 

グレイズバンカーの頭部にある角、その正体はラムズゴックの頭部についていたヒートラムだった。グレイズバンカーの角が赤く変色したことに気付き組みほどこうとするが時すでに遅し、ヒートラムによって縦に両断される。

 

強敵であるプロヴィデンスを撃破した二人だったが、すでに機体は消耗しグレイズバンカーに至ってはその装甲がなくなってしまった。

 

残りの敵であるマスターガンダムを探そうと平原へと入った時、そこにはマスターガンダムが腕を組み佇んでいた。2人が来たのを確認したのか腕組を外し、構えをとる。ハヤスはフェザーファンネルを飛ばし、先制攻撃を仕掛けるがファンネルの一つをマスタークロスによって絡めとられるとそのまま振り回され展開していたファンネルを全て破壊されてしまった。その間にグレイズバンカーが、急接近しダインバンカーを打ち込むがマスターガンダムは少しジャンプして左足でダインバンカーを外側へと逸らし、そのままソバットをグレイズバンカーへと決める。

 

吹き飛ばされるデクーの横を抜け、ハヤスはシュベルトゲベールをマスターガンダムへと振り下ろすが難なく白羽取りをされ、そのまま投げ飛ばされる。

 

ハヤスとデクー、2人はまさに絶体絶命に陥っていた。

 



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必殺技

ハヤスとデクー、2人の猛攻をマスターガンダムは被害を最小に守り続けていた。デクーのグレイズバンカーはメイン武器であるダインバンカーを手放しており、サブ兵装であるハンドアクスを叩きつけ、ハヤスは投げ飛ばされた際に手放してしまったシュベルトゲベールではなくビームサーベルを振り回しているが、それぞれ左手とマスタークロスを巻き付けた右手で弾かれてしまっていた。

 

そんな状態を嫌がったマスターガンダムによってハヤスは蹴り飛ばされてしまう、そんな大きな隙をデクーは見逃さなかった。左手を掴み、逃げられないようにした後に己の必殺技を放つ。頭部のヒートラムが光り輝き本来の長さ以上に伸びていく。

 

巨大なビームサーベルとなったヒートラムを振り下ろしマスターガンダムから後ろの地形に縦一文字の傷を残す。巨大なビームの奔流によってマスターガンダムを倒した……はずだった。一向に終わらない試合にデクーはハヤスへと呟く。

 

「ハヤス……わりぃ……」

 

肩越しに振り返りながらつぶやくデクーのグレイズバンカーの背中からマスターガンダムの貫き手が生える。グレイズバンカーから手を抜きながら邪魔だと言わんばかりに振り飛ばしたマスターガンダムは隻腕になっていた。必殺技を振り下ろしている最中、マスターガンダムは自らの左手を右手で切断し、必殺技を終えた直後に再び接近し貫き手を放ったのだ。

 

そしてマスターガンダムはついに明鏡止水を発動、金色に輝くままにハヤスのゼロストライクガンダムを殴り飛ばす。ハヤスはガードしたにもかかわらず吹き飛ばされ、片膝をついてしまう。ゆっくりと近づくマスターガンダム、ハヤスにとって近づいてくるまでの間が酷く長く感じた。だが、その間ハヤスは己の中で葛藤していた。

 

ただのトーナメント、死にはしない。

デクーとは今日あったばかりの他人じゃないか。

フォースネストだってビルドコインを貯めてから手に入れればいい。

もう、諦めてしまってもいいんじゃないか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にそれでいいのか?

ここで諦めたら一緒にここまで頑張ってくれたデクーの思いを無下にするんじゃないか?

今も応援してくれている幼馴染たちが、期待してくれる友人たちが悲しむんじゃないか?

 

「負けて……たまるかよ!!!!!」

 

そんな葛藤の間にマスターガンダムは目の前にやってきていた。トドメを刺すため残った右手を貫き手の形にし振り下ろす。だがその貫き手はハヤスのゼロストライクガンダムを貫くことはなかった。ゼロストライクガンダムの左手が貫き手を止めていたのだ。蹴りを放とうとしたマスターガンダムは咄嗟に後ろへと飛ぶ。じっくりとゼロストライクガンダムの様子を油断なく見る。

 

ゆっくりと立ち上がるゼロストライクガンダムの二つの目が光ると同時に機体が青白く光り、バックパックであるウィングカスタムの翼が広がり、ハヤスの周囲に羽根が舞う。ハヤスの想いに応えるようにゼロストライクガンダムは必殺技を会得した。

 

セラフ化と銘打たれたそれの能力は状況に応じて変化するものだった。そして今この状態で変化した能力は機体性能の底上げだ、一瞬でマスターガンダムへと近づき殴り飛ばす。油断なく構えていたはずのマスターガンダム、一瞬ゼロストライクガンダムが動いたと思った時には吹き飛ばされていた。しかしマスターガンダムも隻腕とはいえ反撃を試みるも、その攻撃は全て弾かれていた。

 

何度かそんな攻防を繰り返し、一度お互い距離を取る。ハヤスは手放していたシュベルトゲベールを見つけ、拾い上げる。この試合を終わらせるべくハヤスはシュベルトゲベールを刺すように構えマスターガンダムへと突撃する。マスターガンダムは自らの経験から突撃してきたゼロストライクガンダムの攻撃をギリギリでかわし胴体へ貫き手を放つ。

 

その貫き手はゼロストライクガンダムの胸へと伸び、貫いた……はずだった。貫き手が直撃した瞬間、ゼロストライクガンダムの姿が消え羽根が舞う。そして背後からダインバンカーが押し当てられる。

 

「デクーの敵、取らせてもらう!終わりだ!!!!」

 

そう叫ぶと同時にダインバンカーが打ち込まれ、マスターガンダムは上半身と下半身とに分かれ試合終了のブザーが鳴り響く。

 

 

 

 

全ての試合がおわり、ハヤスとデクーは表彰台に立っていた。観客席からは様々な声が上げられ、そのどれもが健闘を称える物だった。

 

優勝賞品である、特別なフォースネストを手に入れたハヤスはデクーをフォースへと誘う。しかしデクーはその誘いを断り、代わりにアライアンスを結ぶことになった。

 

「俺は一匹狼だからよ、ただの腕試しのために今回のトーナメントに参加したが……ハヤス。お前のおかげですごく楽しめたぜ」

 

「デクー……、ありがとう。デクーのおかげで俺は優勝できたよ。」

 

握手を交わしながら二人はアライアンスを結びトーナメントの全工程が終了したことをアナウンスされた。

 

『これにて、男だらけの熱いタッグトーナメントの終了となります!!!!お疲れさまでした!!!!!』

 

「「「「「お疲れさまでした!!!!!」」」」」

 

 

 



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再開

タッグトーナメントから数日後、優勝賞品であるフォースネストでコズミックファイターズの4人は招待したアライアンスを待っていた。フォースネストはちょっとしたリゾート地のようなものだった。桟橋から続く島には各々専用の家が建ち、招待した人間用のゲストハウスもいくつか建てられていた。島の反対側は巨大なドックとなっており、戦艦を持てばそこへ配置できる作りになっている。

 

4人がそれぞれ別の事をしていると桟橋に一隻の船が停泊する。そこから降り立ったのはカリストたち3人だった。3人がそれぞれハヤスへタッグトーナメントを優勝したことを称えていく。

 

タッグトーナメントを終えた後、ハヤスたちはしばらくGBNへとログインしていなかったため知らなかったがその間に起きたことをちょっとした世間話で教えられる。その内容とはトーナメント前に報告されたストーリーミッションの調整が完了し、受注できるようになったことだった。他にもいくつかあったが、特にハヤスたちに関係することではなかった。その後やることができたとカリストたちは帰り、トーナメントの時に組んだデクーや対戦相手だった者たちも訪れその日は終わった。

 

「明日のGBNどうする?よかったらまたストーリーミッションをやりたいんだけど」

「いいよ!最後にやった時は変な感じだったけど次は普通だといいね!」

「今度は私もある程度動いてみたいわ。前は狙撃ばかりだったし。」

「私はしばらくできないかもです……」

「そっか……、じゃあ久しぶりに3人でやろう」

「「わかった!(良いわよ)」」

「ごめんなさい~」

 

明日の予定を決め、GBNからログアウトする4人。寝る前に進は、トーナメントには間に合わなかった武装であるストライクフリーダムのバックパックの改造品を自らのガンプラに装備させ就寝した。ちょっとした胸騒ぎを久しぶりにやるストーリーミッションへの緊張と誤解したまま……。

 

翌日、学校も終わり帰ってきてからさっそくGBNへとログインする3人はある人物からメッセージを受け取る。そのメッセージの差出人はカリストからだった。

 

『話がある、ミッションを受ける前に俺たちのフォースネストに来てくれ。入る許可は出してある』

 

3人は初めて誘われた他のフォースネストを見学できると、ミッションへ行く前に立ち寄ることにする。アライアンス一覧からカリストのいるフォース名をタッチし、フォースネストへと移動する。

 

3人の降り立った場所、それは宇宙に浮かぶ小さな採掘衛星を改造した軍基地だった。宇宙港と思われるそこには様々な戦艦が並んでいた。分かるだけでもドゴスギア、ミネルバ、プトレマイオス2改、アドラステアと作品もバラバラではあるがところどころ手を加えられ、プトレマイオス2改をベースにミネルバとドゴスギアを合わせる作業のようなものが見えていた。

 

周りの景色に目移りしキョロキョロとしていると後ろから声を掛けられる。

 

「お前たち、そこで何をしている。」

 

声のしたほうへ振り向くとそこにいたのはメカマスターだった。事情を説明すると「あいつは……」とため息をつきながら案内をしてくれた。

 

歩くこと数分、メカマスターの後に続き入った部屋は基地の指令室のようなものではなく、どちらかというと漫画やアニメに出てくる企業の社長室のようなところだった。

 

そして外の宇宙空間を眺めるカリストの背を見るとカリストは「来たか、適当に座ってくれ」と言いながら振り返り、自らの席へと座る。

 

「よく来てくれた、早速で悪いがお前たちに聞く。異世界は知っているか?」

「異世界って……あの漫画とかアニメでいう転生ものとか?」

「でもあるかもしれないってだけで結局のところ空想でしょう?」

「そうだ、だが俺は存在していると確信している」

「それがどうしたの?」

「お前たちも知っていると思うがレイドボス暴走事件の際に表れた軍勢、あれは運営の用意したものではない。BUILD DiVERSのカザミの投稿していたミッションの動画に出てくるNPCやその町、あれこそが異世界だ」

「そんな馬鹿な、あれはミッションで運営の作りだしたステージだろ?」

「そう思うか?ならば同じミッションを見つけたことはあるか?GBNで獣人アバターは見たことはあるだろうがあれだけ大規模の、それこそ年齢差、動きをたった1ミッションのためだけに用意することができるか?」

「そ、それは……」

「それに、カザミにも直接聞いた、誤魔化し切れたと思っているだろうが目が泳ぎすぎていて嘘がバレバレだ。あとハヤスたちも異世界は体験したことがあるだろ」

「え?あったっけ……」

「ッ!ストーリーミッションの動きのおかしかったストライクと始まった時のスモークね……」

「そうだ、どうして原作に介入できたのかは分からない。直ったかもしれないし直ってないかもしれない。」

「ストーリーミッションは受けるな……ってことか?」

「いや、そこまでじゃない。何だかんだ帰ってこれているしな。これはちょっとした願掛け……お守りみたいなものだ」

 

そういってカリストはキーホルダーを取り出す。円が反時計回りにまるで回転するように羽が取り付けられたマークの小さなキーホルダーが人数分机の上に置かれハヤスたちはそれを手にする。

 

「もしも、お前たちのだれかが帰ってこなかったら俺が絶対に助けてやる……なんてな!話は終わりだ!適当に見学でもしてミッションでもやってこい!」

 

そういわれ部屋を退室する3人の背を見送りながらカリストは呟く。

 

「杞憂だといいがな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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遭難

半ば追い出されるような形で退室した3人はカリストに聞かされた話を思い出していた。異世界、与太話もいいところではあるもののその一端を体験しているため完全に嘘とも言い切れないことが3人にモヤモヤを生み出していた。

 

「うーん……、どうする?」

「でも運営は大丈夫って言ったんでしょ?」

「けれど、本当に直ってるかはやってみないとわからないじゃない?」

「……やろう。もしそうなったとしても結局のところ出てきたスモークに戻れば帰ってこれるんだ。最悪ミッション失敗になってでも戻ればいい」

 

3人は恐る恐るストーリーミッションを始める。万が一異世界なんてところに行ったらどうしようと不安なままに始まるが、その不安は杞憂に終わりカタパルトからの出撃となった。

 

「よかった!カタパルトだ!」

 

カタパルトからの出撃に安心し、受けたストーリーミッションを難なくクリアする。ゼロストライクガンダムの新武装であるストライクフリーダムのバックパックの改造品は対多数に大きく貢献した。フェザーファンネルを扱っていたことが活き、ドラグーンも同様に扱うことができた。本来のストライクフリーダムよりも4つドラグーンが少ないがこれはドラグーンよりも推力維持を目的にしているためだ。アグニとシュベルトゲベールを同時に装備しても動けるように以前使っていたウィングゼロカスタムの改造バックパックよりも高い推力を実現し、操作した時の感覚は以前よりも軽いものとなった。

 

そうしてストーリーミッションを1日に1ミッションとやり続けたある日、その時はついに訪れてしまった。原作30話のストーリーミッション、3人はカタパルトのような地に足の着いたものではなくスモーク内からの出撃で警戒を強めていた。

 

「ッ!スモークからのスタートだ!気を付けろ二人とも!」

「う、うん!」

「リネ、落ち着いて。ハヤス、私はリネを見ておくわ」

「頼む!」

 

スモークから飛び出した3人の目にした光景はやはり、すでに始まっていた戦闘だった。応戦するアークエンジェルに襲い掛かる無数のジン、いくつか墜とすことはできているが防御砲台以上の数にダメージが蓄積している。

 

そこへビームライフルをジンへ撃ちながら3人が現れアークエンジェルの護衛に着く。しかし大まかな道筋は変わらないのかアークエンジェルは致命的なダメージを受け着陸を余儀なくされる。

 

バスターガンダムも、3人による攻撃でフェイズシフトがダウン。その後エネルギー切れを起こし撤退することができずに投降することをアークエンジェルに通信する。そんな原作の再現を見て大分落ち着きを取り戻した3人、キラとアスランが戦っている地点へと移動するがそれを追い抜くように1機のスカイグラスパーが飛んでいく。それに嫌な予感がしたのか急いで援護に向かうが到着した時にはすでにイージスガンダムがMA形態でストライクガンダムに組み付いたところであった。

 

「ミッションはクリア!急いでスモーク内に撤退!イージスが爆発する!」

 

ハヤスはそう大声を上げ脱出ポイントのスモークへ2人を急かす、しかしこのままでは間に合わないと判断したハヤスは2人を押しスモーク内へと飛ばした直後イージスガンダムが爆発、スモークも爆風によって吹き飛びあまりの爆発にハヤスも制御を失い近くの無人島へと不時着する。

 

「ハヤス……?」

 

ストーリーミッションはクリア扱いとなっているがロビーに戻ってきたのは2人だけであった。2人は急ぎGBNからログアウトし、進の家へと向かう。そこには救急車が到着しており今まさに意識不明の進を搬入しているところだった。

 

翌日、進は意識不明のまま治ることはなく入院となってしまった。時の流れは待ってはくれず、2人は半ば茫然としたまま学校を終える。だが、一つ思い出したことがありGBNへとログインすると同じ事を考えていたのか2人はロビーで合流しカリストのフォースネストへと移動する。

 

「ん?どうした。今日は2人だけか?」

「あ、あの!ハヤスが目を覚まさなくて、ミッションで帰ってこなくて、それで……」

「……そうか、杞憂で終わらなかったか。2人とも諦めるのはまだ早いぞ」

「諦めてない!」

「うん、この前の話の続きだ。ハヤスと似たようなことは今回が初めてじゃない、今回のは2回目だ」

「2回目?」

「そうだ、以前話した異世界の話。BUILD DiVERSはその異世界で自分たちと同じガンプラを駆る人物と遭遇した。それが元Sランクダイバー、シドだ」

「そのシドさんは今は……」

「生きてるよ、目も覚ましたし今は元Sランクダイバーのガンプラ教室ってネットで話題になっていた」

「じゃ、じゃあ!」

「そうだ、連れ戻すことができれば意識を取り戻すだろう」

「なら早く連れ戻さないと!」

「まぁまて、今すぐに行こうってのはできないんだ」

「ど、どうして?」

「足がない。助けに行くにしても結局それはミッションだ。目標をクリアしないとおそらくその脱出ポイントは出てこないだろう」

「私たちが抱えていく!」

「スモークの向こうの世界は撤退する3人をみて、はいそうですかと見逃してくれるのか?伏兵がいてクリア扱いになっても攻撃されるかもしれないぞ」

「そ、それは……」

「任せておけ、ちゃんと助けてやる。その世界へ行くトリガーはおそらくだがお前たち3人だ。そして本来のミッション以上の人数でいける方法もある」

「そうなの?!ど、どうやって」

「アレだよ」

 

そういってカリストは窓の外を指さす。そこにあったのは以前見た時よりも開発が進んでいる一つの戦艦、プトレマイオスBS(バトルシップ)船体流用ニコイチ型新2改だった。

ベースであるプトレマイオス2改の後ろ部分を切り離し、ドゴスギアの大型カタパルト部分を切り離し、中央に接続。そしてミネルバの巨大な変形翼を取り付けたド級戦艦だ。

 

「もうじき完成する。アイツが完成したら本来のミッション以上の人数で行ける。そして、ハヤスも帰ってこれる」

 

そんな話を聞き、2人の目に活力が戻り機体の調整をしてくるといって飛び出していく。

 

「元気だねぇ……、だが一番戻ってきてほしいのは案外俺なのかもな。なぁ……ハヤス」

 

その呟きには誰も返事をしない。カリストの目が怪しく光る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アークエンジェル

 

「くっ!なんて数のジンなの!対空防御!」

「数が多すぎて抜けられます!ダメージコントロール!」

 

突然湧いて出るかのように大量投入されるジン、その動きはどこか制御されている機械じみた動きで死を恐れない無茶な行動も見受けられた。

 

「ストライクは何をしている!」

「ストライク、イージスと戦闘中!どうやら押されているようです……!」

「キラ……!」

「ジン接近!とりつかれます!ッ!上空にスモーク散布!所属不明のMS反応確認!以前に見たパターンからアンノウンと思われます!」

 

上空から飛来したアンノウン、数が4機から3機に減り、そのうちの1機は以前見た時からバックパックが変更されていることが確認できた。

そして、アークエンジェルにとりつこうとしていたジンを3機それぞれが持っていたビームライフルで撃ち抜き、他の攻撃を繰り返すジンへとターゲットを切り替えていく。

 

ストライクがイージスに抑えられ、スカイグラスパー2機だけでは対処できなかったジンを次々と撃ち落としていきアークエンジェルはまたしても窮地を脱することができた。

だが、その一瞬の気の緩みがアークエンジェルに致命的なダメージを許してしまう。ビーム攻撃を受け、アークエンジェルは不時着を余儀なくされる。

 

そして、アンノウンの3機がバスターガンダムへ攻撃を開始し、ついにバスターガンダムは機能停止へと追い込まれバスターガンダムのパイロット、ディアッカはアークエンジェルへと投降する通信を送る。

 

その時、トールの乗るスカイグラスパーがキラの援護のために全速で飛んでいく。それを追うかのようにアンノウンの3機が飛び立ち、しばらくするとトール機のシグナルがロスト。

そのあとを追うかのように大爆発が起こり、それと同時にキラのシグナルもロストする。

 

その報告はアークエンジェルのクルーにとって絶望に等しいことだった。今まで守ってくれた子が、大切な友人が目の前で消えてしまう喪失感がクルーたちに襲い掛かる。

何とかオーブへ救援要請を送ることに成功し、M1アストレイにバスターガンダムの回収、アークエンジェルの修復をしてもらい動けるようになる。

 

そして、オーブの救助隊はストライクの残骸、イージスの破片、そして波打ち際に倒れるザフトのパイロットを発見する。

一方、空中から索敵をしていたムウもあるものを発見する。それは、今までピンチの時に必ず現れていたアンノウンのうちのストライクに酷似した機体だ。

 

「こちらムウ!坊主は見つからなかったが……ちょっとヤバいものを見つけた。アンノウンの1機だ」

 

その後、M1アストレイに抱えられアークエンジェル内に運び込まれたアンノウン機、コックピットを外部から開けると中にはパイロット席はなく、床に倒れ伏すパイロットの姿だった。

 

「ッ!パイロットだ!気を失っている、救護班!」

「それにしても、操縦席もないのにどうやって動かしていたんだ?パイロットスーツでもなく見たこともない服装だ」

 

アークエンジェルはオーブの救助隊たちと共にオーブへと帰還する。

 



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救出、正体

side アークエンジェル

 

アークエンジェル医務室、そこにはアンノウン機のパイロットである一人の少年が寝ていた。体のあちこちに打ち身が見られ、おそらくイージスガンダムの爆風に巻き込まれ不時着していた島へと飛ばされた際に打ったのだろうと考えられる。

 

どこからともなく現れ、そして助け、去っていく。その目的を知るため今、オーブに停泊している間に少年が目を覚ますことを願われていた。

 

「こんな子供がアンノウンを操縦していたなんて……」

「なんだかやるせないねぇ、へたしたら坊主よりも下なんじゃないか?」

「ムウさん……、この子がヘリオポリスから脱出した時に助けてくれた……」

 

ハヤスが意識を失ってから数日たち、すでにアークエンジェルはアラスカでの一件を終え、オーブへと身を寄せていた。そして……

 

「オーブ近海に反応あり!照合確認!連合艦隊です!」

「ついに攻めてきたのね……」

「連合の目標はおそらくオーブの持つマスドライバー【カグヤ】、連合は自分たちの持つマスドライバーを破壊されたからここを狙ってきた」

 

オーブ防衛線が今始まる、しかし連合艦隊の数は想定以上の数だった。侵攻する艦隊で海が見えないほどだった。

アークエンジェルはこれまで戦ってきて一つの仮説に思い至っていた。敵の数が少ないときは自分たちだけで対処できる戦闘、だが敵の数が膨大な時は必ず第三者が、アンノウンがどこからともなく現れ場を荒らし結果的に助けられていたと。

 

そしてその仮説は、まさに正しいことだった。

 

 

 

 

sideオーブ防衛線

 

あまりにも多い連合のMS、さらに後期GAT-Xシリーズの3機も投入され、オーブの防衛を担うM1アストレイは次々に撃墜されていく。

フリーダムを駆るキラは投入された後期GAT-Xシリーズの2機、フォビドゥンとレイダーの相手をしM1アストレイ隊を援護することができない。

そして、後期GAT-Xシリーズの最後の1機であるカラミティはオーブ内へ侵攻。ストライクダガーを引き連れ次々にM1アストレイを落としていく。

 

「きゃああああ!!」

「ジュリ!」

「マユラ!だめ!」

 

敵の攻撃を受け脚部を損傷したジュリを庇うように動くマユラ、それは連合機の仕掛けた罠だった。完全に倒すよりも負傷させた方が動きを阻害するのは定石であり、テストパイロットを務めていた彼女たちにはなすすべがなかった。

トドメを刺すべく、一斉にストライクダガーからビームが放たれる。それを防ぐ手立ては3人にはなくビームは3人の機体に吸い込まれ爆散……することはなかった。

 

3人の機体の前に投げ入れられた巨大な盾、Iフィールドと内部にジェネレータを搭載することで盾の装甲に使われているTP装甲(トランスフェイズ)に送る電力を確保、圧倒的な防御力を誇るその盾によりビームが弾かれる。

 

「なに、これ……」

「シールド……?」

「と、とりあえず身を隠して!」

 

3人が負傷したジュリのアストレイに肩を貸しながら盾の裏へと身を隠すと同時に上空から1機のMSが降りてくる。その姿は今まさに対峙しているカラミティガンダムそのものではあるがカラーリングと武装に大きな違いがあった。

黒を主体に、黄色だった場所が赤く塗られており、背中のシュラーク砲はなく右側に見たことのないビーム砲(ビームスマートガン)を下側に向け、左側には放熱フィン(ジャベリン)を装着していた。

 

その姿に動揺したのは3人だけではなかった。連合側のストライクダガーたちももちろん、カラミティガンダムを駆るオルガ・サブナックも動揺していた。

 

「なんなんだよ!その機体は!どうしてカラミティがいるんだよ!」

 

そう叫びながら一斉にビーム砲をストライクダガーたちと一緒に未確認のカラミティへと撃つ。未確認のカラミティは左側に付けていた放熱フィン(ジャベリン)を展開し、左手に持つと放熱フィン(ジャベリン)はビームを帯び始める。

そのまま回転させるとビームシールドの役割をし、ストライクダガーやカラミティのビームを弾きながら一気に距離を詰める。オルガも咄嗟にトーデスブロックを撃つが直前で大きくジャンプをされ避けられる。

 

放熱フィン(ジャベリン)の両端からビームのワイヤーが伸びると、未確認のカラミティが振り回しあっという間にストライクダガーを一掃する。そのワイヤーはオルガにも襲い掛かり、やむを得ず撤退する。

 

「クソが!何だってんだよ!撤退する!クロト!!」

 

そう叫びながら撤退するオルガ、だがやってきたクロトのレイダーもシャニのフォビドゥンもどこかしら負傷していた。

それに不思議に思ったのか周囲を見回すと、自分と同じように見たことのないレイダーとフォビドゥンがフリーダムを援護するように飛び回っていた。

 

 

 

 

sideフリーダム

 

アークエンジェルから飛び立ち、連合のMS部隊を退けるため戦っているとロックオン警報がなる。キラは咄嗟に回避運動をすると先程までいた場所にツォーンが走る。

後期GAT-Xシリーズのレイダーが変形した状態のクローでフリーダムを攻撃する。シールドに傷が入るが通り過ぎたレイダーに対してビームライフルを撃つが、突如割り込んできた別の機体によって軌道を曲げられる。

後期GAT-Xシリーズのフォビドゥンによるエネルギー偏向装甲(ゲシュマイディッヒ・パンツァー)により曲げられ、さらにそれを応用し背面砲のフレスベルグを曲げまるで誘導するビームのようにフリーダムを襲う。

 

「くっ!こいつ……!隙がない!」

「はァァァ!滅殺!」

 

レイダーのミョルニルがフリーダム目掛け飛ばされる、それに対してビームで撃つがミョルニルにはあまり通用せず弾かれる。そのまま飛んできたミョルニルをかわし再び2機との交戦に入る。

お互いの攻撃が通らないことにブーステッドマンの2人が苛立ちを浮かべると、どこからともなく2人目掛けて長距離のビームが飛んでくる。

 

「あぁ?なんだよ……あれ……」

「なんでレイダーがいるんだよ!」

 

機体の色が元の黒色から変えられ、全体的に緑色に、差し色に白色が入れられライトカラーが水色のレイダーがそこにはいた。武装も近接武装を外されており、遠距離からの攻撃を主体とした武装をつけられていた。

手に持っているものは見たことのないビーム砲(ビームスマートガン)であり、先程撃ち込まれたものがそれだと銃口をこちらに向けていることから一目瞭然だ。

 

シャニがそんなもう1機のレイダーへと斬りかかろうとするがそんなフォビドゥンと鍔迫り合いをするように割り込むのは全体的に白く塗られ、緑色だった背面のバックパックが青色となったフォビドゥンだった。

武装はあまり大きく変わっていないがニーズヘグからシュベルトゲベールに装備を変えられていた。鍔迫り合いをしているがそれを終わらせるようにもう1機のフォビドゥンがシャニを蹴り飛ばす。

 

そこからは形勢が逆転、次第にブーステッドマンの2人は追い詰めれれていく。そんな時地上侵攻をしていたオルガから撤退要請を受ける。

オルガも何かに切り裂かれたような傷跡と共にクローで肩を掴み撤退する。

 

フリーダムがアークエンジェルのほうへ戻ると、そこには黒いカラミティがアークエンジェルの艦橋へ銃口を向けているところだった。

 

 

sideアークエンジェル

連合艦隊は壊滅、オーブ防衛線もそのほとんどが壊滅し第1次オーブ侵攻は痛み分けとなった。

だがすべてが終わったわけではなかった、未確認のカラミティが武装を全てしまった後、落ちていたストライクダガーのビームライフルを手にしながらアークエンジェルへと近づきその銃口を艦橋へと向けたのだ。

 

「なっ!ど、どうして!」

「味方じゃないのか?!」

 

銃口を向けながら黒いカラミティは艦橋へと手を伸ばす。すると接触回線でカラミティのパイロットから通信がある、しかしノイズまじりで何を言っているか分からなかったが次第にノイズが消えはじめパイロットの声が聞こえ始める。

パイロットの声は機械音声のような、ヘルメットごしのようなくぐもった声で話し始めた。

 

『アークエンジェル聞こえるか、そちらに一人の少年がいるはずだ。即時引き渡しを求む』

「そんな……彼はまだ意識が戻ってないわ!」

『そんなことは知らない、少なくとも目を覚ました時に周りに知らない連中ばかりのほうが辛いだろう』

「……まだ貴方が彼の仲間という確証もないわ。確かに助けてもらったけれどそれとはまた別よ」

『……そうか、悪いが強引にでも連れていく』

「ま、まちなさい!」

 

そう言いながら黒いカラミティはアークエンジェルの格納庫の扉を外部から開け内部に入ってくる。律儀というか格納庫内に機体を止め中から出てくる。

それを阻止するためにアークエンジェル内の兵士が格納庫へと向かう、そしてそこで見たものは人間ではなく黒いロボットであった。

 

「止まれ!止まらないと撃つぞ!」

「こんなところで撃つな、悪いが通らせてもらうぞ」

 

相手が人間ではなく、ロボットと知ると警告はしたが抵抗なく銃撃戦が始まる。両手で顔を守りながらロボットはまっすぐ兵士の元へ走り、跳弾を恐れた兵士が思わずトリガーから指を離した瞬間、瞬く間に昏倒させられてしまう。

 

「出てこなければやられなかったのに……ってなぁ!」

 

そのまま医務室へと向かい到着する、中へ入ると医療ベッドで眠りにつく少年がいた。

背中と腰のマントで、少年を体に固定し格納庫へと再び走り出す。途中兵士に見つかるが、ロボットに固定された少年に銃弾が当たってはいけないため撃つことができず、そのまま素通り。

少年を固定したまま黒いカラミティに乗り込んだロボットは、少年と一緒に格納した機体をカタパルトに乗せるとそのまま射出し、そのあとに続いて脱出。

 

何が起きているのか分かっていないキラはともかく、事情を察したムウは乗っていたストライクで捕まえようとするが横から思い切り蹴り飛ばされてしまう。

 

「うああっ!なんだ!」

 

その蹴り飛ばした犯人はフリーダムを援護していたアンノウン6である緑色のレイダーだった。それを見ていたキラはムウの援護に向かおうとするが今度は白いフォビドゥンが行く手を阻む。

そうこうしているうちに今度は空から大きな影が降りてくる。見たことのない巨大な戦艦、そこから出てきたのは見覚えのあるアンノウン2機。それを見ていたマリューは相手が戦艦を持ち、いつでもこちらを攻撃できたことに身震いする。

すると、さっきと同じように黒いカラミティが艦橋に手を当て接触通信をしてくる。

 

『悪いな、少年は引き取った。手荒な真似をして申し訳ないが事情が事情だ』

「……もっと詳しく説明してほしかったわね」

『こちらも、少年が行方不明になり焦っていたんだ。ではな」

 

そう一方的に通信を切ると同時に現れた巨大戦艦へと戻っていく。それを皮切りに他のアンノウン機も帰還していく。あとを追おうとすると巨大戦艦の砲塔がこちらを向き、言外に「追ってきたら撃つ」と脅す。

立て続けに行われた戦闘と騒動に、アークエンジェルのクルーたちにどっと疲れが来る。

 

戦艦は全ての機体を格納すると再び上昇し、反応が消える。こうして一連の騒動がいったん幕を閉じるのだった。

願わくば次も味方であるようにと。

 

 

 

 

 

side コズミックファイターズ

数日後、カリストから呼び出されたリネとナグサ。その内容とは以前開発途中だった戦艦が完成したという報告だった。

 

「戦艦が完成したって本当?!」

「ああ」

「なら、急いでいきましょう」

「分かった、なら戦艦に乗りな。戦艦でミッションに行く場合はその戦艦に乗ってないと駄目だからな」

 

そして、カリストの仮説通り原作介入のトリガーはハヤス、リネ、ナグサの3人だった。今まさにハヤスの元へ行くべくスモーク内に戦艦が現れる。

戦闘はすでに始まっており、オーブ側の機体が次々に破壊されていた。

 

「艦は頼んだ、キユウ。カラミティパラディン改、出るぞ!」

「ガンナーレイダー、出る」

「フォビドゥンブレイブ、行くぜ!」

 

早速と言わんばかりに出撃し、降下していく3人。実は異世界という響きに一番ワクワクしていたのはこの3人だったのかもしれないと、リネとナグサは艦橋内で思う。

 

「まったく、年寄りを呼び寄せたと思うたら。なんじゃ異世界って、お嬢ちゃんたちも一応ガンプラに乗って待機じゃ」

「は、はい!」

「わかりました」

 

カリストは二手に分かれ、別の地点へと降下する。その降下途中に攻撃され庇い合うアストレイ3機を発見する。少し気になり咄嗟に盾をアストレイ3機の前に投げ立て壁にする。

その目論見はうまくいき、アストレイ3機は慌ててその盾に身を隠す。

 

攻撃が止んだのを見計らって盾の近くに降り立つ。銃撃が再び始まると同時にジャベリンを展開し左手で持つ。そのままビームを帯びさせ左手を回転させることでビームシールドを生み出す。

ストライクダガーやカラミティのシュラーク砲を弾きながら一直線に進むと、トーデスブロックを撃ち込まれる。ジャベリンはあくまでビームだけを弾けるもののため咄嗟にジャンプをする。

そのまま空中でジャベリンの両端からビームワイヤーを伸ばしそれを鞭のように振り回しストライクダガーを一掃する。ついでにカラミティガンダムも攻撃するが、その攻撃は弾かれる。

 

そのままカラミティガンダムは撤退し、レイダーガンダムに掴まれて飛び去る。

それを見送った後、盾を回収する。アストレイから通信があったがノイズ交じりで何を言っているのか分からなかったがジャベリンをしまった後に空いた手を軽く上げその場を去る。

そのついでに連合のビームライフルを持ちアークエンジェルへ近づく。

 

(おそらく今のステージ的にはアラスカが終わった後、下手したらアラスカと一緒に吹っ飛んでたが流石アークエンジェルだな)

「アークエンジェル聞こえるか、そちらに一人の少年がいるはずだ。即時引き渡しを求む」

『そんな……彼はまだ意識が戻ってないわ!』

「そんなことは知らない、少なくとも目を覚ました時に周りに知らない連中ばかりのほうが辛いだろう」

『……まだ貴方が彼の仲間という確証もないわ。確かに助けてもらったけれどそれとはまた別よ』

「……そうか、悪いが強引にでも連れていく」

『ま、まちなさ』

(ハヤスがいるのはさっきの会話的には医務室か、まさかアークエンジェル内部を見れるなんてな)

 

接触通信によって会話したため、相手の通信が途絶えるがそれを無視してアークエンジェルの格納庫へと向かう。

 

「メカマスター、アフサイド。カバー頼む」

「了解(オッケー)」

 

外部から無理やり開き内部へと侵入するカリスト、奥にハヤスのゼロストライクガンダムがいることを確認してカラミティパラディン改から降りる。

すると通路から兵士が現れカリストへ銃を向ける。その表情は驚愕一色だった。

 

「止まれ!止まらないと撃つぞ!」

「こんなところで撃つな、悪いが通らせてもらうぞ」

(ダイバールック準拠なら大丈夫っぽいな)

 

顔を腕で守りながら一気に近づく、その予想は的中しカリストは銃弾を弾きながら走り銃撃が止んだのを見て殴り気絶させていく

 

「出てこなければやられなかったのに……ってなぁ!」

 

医務室を目指し、辿り着いた部屋には眠り続けるハヤスがいた。背中と腰のマントでハヤスを自分の体に固定し、格納庫まで戻る。その道中、兵士に見つかるがハヤスに攻撃が当たってしまうかもしれないと銃を咄嗟に上げる。

その横を素通りし、格納庫にたどり着くとそのまま自らの機体に乗り込む。

 

「救出作戦成功!ハヤスの機体だけ先にカタパルトで出すぞ!」

「嬢ちゃんたちに運ばせる、出番だぞ!」

「ありがとう!」

 

カタパルトで出した後、そのまま格納庫から出ると再び艦橋へと向かう。そのまま艦橋に手を当て接触通信をする。

 

「悪いな、少年は引き取った。手荒な真似をして申し訳ないが事情が事情だ」

『……もっと詳しく説明してほしかったわね』

「こちらも、少年が行方不明になり焦っていたんだ。ではな」

 

艦橋から手を離し、ちょうど降下していた戦艦へと戻る。その後戦艦内部の医療室に寝かせてしばらくするとリネとナグサが駆け込んでくる。

その目には涙をため、リネはハヤスに抱き着きナグサも2人へ近づいていく。

 

「よし、ミッションはクリアした。あとは戻るだけだ」

「話を聞くにこのまま戻れば現実世界で坊主は目を覚ますってことじゃな?」

「あぁ、シドもそうだったらしい」

「よーし、撤退!」

 

戦艦は上昇をはじめ、脱出ポイントにはやはりスモークが出現しその内部へと入っていく。

ミッションクリア報酬をもらうと、ハヤスは自動的にログアウトさせられそれを追うように2人もログアウトする。

 

進の入院する病院に駆け込む二人を見る二つの影、それは本来現実世界ではコスプレでもしない限り見れないロボットだった。

 

「……本当によかった」

「救えてよかったな、カリスト」

「あぁ、これでだめなら新しいハヤスを見つけに行かなきゃならないところだった」

「次の目途は立ってるのか?」

「一応な、こっちでケリつけたら移動するかな」

「次はどんな設定なんだ?」

「現代ヒーローものだよ」

 

そんな会話をした後、2人の姿は煙のように消え去る。




正体は活動報告に


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最後のミッション

薄味


「やはり、最強の量産機はビルゴⅡ……プラネイトディフェンサーでビームを弾くんだ!しかも武装がビームライフルとオプションでメガビーム砲と攻防一体だ!」

「出力だけならサイコガンダム並みのスモーは?」

「……ビルゴⅡのほうが好きだからこっちで」

「はいはい」

 

ここはドルグのフォースネスト、資源衛星シャーオック……の執務室。その机の上で戦艦に搭載するモビルスーツを選考し、今まさに決定した。そこへノックが響く。

 

「いいぞ」

「失礼しま~す……」

「もう!はやくはいりなよ!」

「お、押すなって!」

 

選考し終えたカリストとメカマスターの前に現れたのはハヤスたちコズミックファイターズの3人だった。ハヤスはミッション中に原因不明の意識不明となり、入院し数日前に意識を取り戻した……と表向きはそうなっている。だが実際はSEEDのストーリーミッションの最中、原作世界へと介入しそこへ取り残されたことが原因であり、数日前ハヤスを除いた二人とドルグの面々で救出作戦を実行し、無事に帰還したことで意識を取り戻したのだ。

 

「目が覚めたんだな、退院おめでとうハヤス」

「あぁ、ありがとう。2人から聞いてるよ、色々と助けてもらって」

「いいさ、困ったことがあれば何でも助けてやる。それで今日はどうしたんだ?」

「うん……、ストーリーミッションはもうやらないって決めてきたんだ。俺たちがいると原作通りに進まないと思うし」

「そうか、まあ別にそれでもいいと思うが……あの世界は原作以上に悪くなるだろうな」

「なっ!ど、どうしてそんなことが分かるんだ!」

「決まってるだろ?ハヤス……いやお前たちが介入したからだ」

「でも、それは不可抗力じゃない!」

「そうよ!突然スモーク内から始まって、戦闘が始まってて……」

「故意にせよ、不可抗力にせよ、介入したという事実は変わらない。そして悪化する原因は実のところお前たちであって、お前たちではない」

「?ますますわからないぞ」

「介入した原因はストーリーミッションだな?あれのミッションシステムはなんだった?」

「ストーリーの追体験?」

「そこじゃない、難易度調整の仕方は?」

「人数に合わせて敵を……増やす!」

「そうだ、不可抗力にせよ介入したことが原因でその増やす部分があの世界に流れた。お前たちが幾度となく介入した時にもいたあの大群は実のところ無人だ」

「無人で動いてたってこと?じゃあ大丈夫じゃないの?」

「無人で動いた、自立行動?……!モビルドールってことね」

「そうだ、まさにウィングガンダムの後半のようなことがお前たちがやらなくなったあの世界で起きることだろうよ。しかも嬉々として使いまくる連中しかいない」

「ど、どうやったら止められるんだ!」

「まぁ、製造工場があるんだろう。それに、お前たちがやめるミッションは最後のミッションだろう。案外ジェネシスの近くにあったりしてな」

「……やる、やればいいんだろ!」

「ハヤス……」

「唆すんだ、手伝ってくれるよな」

「あぁ、もちろん。とっておきを用意してるよ」

 

そう言うとハヤスたちは自らのガンプラを呼び出し、カリストの用意した戦艦、プトレマイオスBS(バトルシップ)船体流用ニコイチ型新2改へと搭載していく。

3人の搭載した部分は元々ドゴスギアの大型カタパルトのあった部分であり、そこには巨大なコンテナ3つと6機のビルゴⅡが搭載されていた。

ドゴスギア本体部分にもビルゴⅡが搭載されておりその数は少なくとも20機以上は存在した。中にはプラネイトディフェンサーの数を倍にした防御特化に改造されたビルゴⅡもおり何をするのか一目瞭然であった。

 

「いつの間にこんなものを……」

「ハヤスが訪ねてきたときには戦艦自体は作ってたぞ」

「うわぁ!急にくるな!」

「失礼な奴だな、まぁいいや。ガンプラに搭乗しておけ、あと数分もしたらミッションを受注して始める」

「……分かった、いこう二人とも」

「OK!!(了解よ)」

 

ハヤスたちが自らのガンプラに搭乗して待つと通信が繋がる、それはカリストたちがいる艦橋からだった。

『くぅ~!一度やってみたかったんだよな。』

『はやくやれ』

『分かった分かった、ン゛ン゛ッ』

『今回の作戦を説明する、俺たちのやることは二つ。まずハヤスチームは用意したメガライダー3機にそれぞれ搭乗しまっすぐジェネシスへと向かってくれ。3機にはビルゴⅡを2機ずつ着ける。

そしてメガライダーに搭載しているビーコンをジェネシスに取り付けてくれ。ビーコンが信号を発信した後は別に破壊されてもいいからそこから脱出だ。

そして俺たちだが、おそらくいるであろう三隻同盟を援護、防衛を主とする。ビーコンからの信号を受信次第……原作から逸脱したパラレルの世界をぶっ壊すとっておきを使う。とっておきが何かって?フフ、秘密だ』

『作戦開始』

『作戦開始!これよりミッションを始める、おそらく戦闘はすでに始まっているだろう。向こうにつき次第順次発進!』

 

「メガライダーなんて用意してたのか……でも若干大きいな、やっぱりビルゴⅡを左右に乗せるからか」

「初めてのるな~!SFS(サブフライトシステム)は流石に用意できないもんね」

「自分たちのガンプラで精一杯だもの、しょうがないわ」

 

『お前ら、そろそろスモークを抜けるぞ……そら、始まった!』

 

「メガライダー!ハヤス行きます!」

「メガライダー!リネいっきま~す!」

「メガライダー、ナグサ出ます」

『ビルゴⅡの操作を行う、お前たちに随伴する方はジェネシス到着までは自動防御だ。到着後はお前たちの動きに合わせて攻撃したり防御する、では頼んだぞ』

 

戦艦から3機のメガライダーが飛び出し、まっすぐにジェネシスへと向かっていく。本来のメガライダーから大きくし航続距離を伸ばしたうえ、出力も上がっているため3機乗せても本来以上の速度が出ている。

 

「プトレマイオスBS(バトルシップ)船体流用ニコイチ型新2改はちと長いな……命名!こいつは今からベレロフォン!」

「唐突だな」

「唐突で結構!操舵はメカマスター、砲撃はアフサイド!俺はビルゴⅡを操作する!」

「ヒュ~~~撃ちまくるぜ~~~」

「了解」

 

 

 

 

 

「もうすぐジェネシスだけど、やっぱり敵の対空砲火が激しいな!」

「ビルゴⅡが防いでくれるけどちょっときついね!」

「二人とも、頑張って。私もカウンター射撃で数を減らしているから」

 

ジェネシス、原作では100%の出力で撃てば地球を破壊するほどの兵器。そのチャージ量が分からないためいつ撃たれるかも分からない。そんな不安を飲み込みながらジェネシスへと接近する3人。

ジェネシスの鏡面部分へと着陸し、ビーコンを設定して設置をするとすぐさまメガライダーに乗り込み脱出を始める。

ジェネシスを脱出した後、防衛MSが襲い掛かり、ビーコンを破壊されてしまう。ビルゴⅡたちも6機のうち3機も破壊されてしまった。リネの乗るメガライダーからは煙が出始め、いつ動かなくなってもおかしくはなかった。

 

「ハ、ハヤス!ちょっとやばいかも!」

「リネ、こっちに乗って!」

「ありがとうナグサ!」

 

煙の出はじめたメガライダーに、残ったビルゴⅡを乗せ来た道を戻らせる。追ってきた防衛MSのいくつかがそのビルゴⅡたちへと向かうと、突如前方から急速に接近する巨大な物体を複数確認する。

それは鉄血のオルフェンズに登場した戦艦イサリビであった。一つ違うところがあるとすれば、船尾に巨大なロケットエンジンを備え、本来の速度以上の速度でジェネシスへとまっすぐ突撃していた。

 

「今のってイサリビだよな……?」

「もしかしてとっておきって……」

「「「あれ?」」」

『そうだ!』

「「「うわぁ!」」」

 

突然通信が開きカリストから通信が入る。そしてとっておきの正体を聞き驚愕する。それはイサリビを巨大な質量兵器としてジェネシスへと撃ち込むことだった。

どこかで見たようなことを実行し、そして……。

 

「ジェネシスが……」

「壊れたね……」

「いいことじゃない」

「戻ろう、戦艦に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideアークエンジェル

 

「いよいよね……ザフトと連合の戦闘に介入。この戦争をここで終わらせます!」

「ストライク、出撃します。続いてバスター、発進どうぞ」

(ムウ……キラ君……)

「フリーダムとジャスティス、敵機と戦闘を開始!戦線を離脱します!」

「周囲状況確認急いで!」

「これは……!戦線の広域にスモーク確認!スモーク内から巨大なエネルギー反応!戦艦クラスです!」

「まさか……!来てくれたの?」

 

スモーク内から現れた巨大な赤塗の戦艦、そのサイズはアークエンジェルを前後に合わせてやっとというほどの大きさだった。

オーブ上空から降りてきた時よりも大きくなっており、翼の下には巨大なミサイルのようなものを担架していた。

三隻同盟の右舷側に位置するところまで移動すると前方の格納庫が開き、3つのバイクの機体(メガライダー)が飛び出していく。確認できたかぎりそれは時折現れ、そして助けてくれたアンノウンの3機であった。

キラと同い年か年下にも見える少年が乗るガンダムとその仲間が今ジェネシスへと向かって発進していった。

 

「彼らに……任せるしかないのね……」

「アンノウン艦より通信あり!繋げます!」

 

アンノウン艦から繋がった映像通信にはオーブ内でアークエンジェル内から救助した少年を奪い去ったロボットが映っていた。

 

『あー、聞こえてる?こちらベレロフォン艦長代理カリスト。これより貴官らを護衛する』

「どういうこと?護衛は助かるけれどそれをする理由が見えないわ。それに貴方、以前アークエンジェルに侵入した人…人よね?」

『そうだな、侵入したよ。だがそれはアイツを助けるための致し方ないことだ。人は殺してないだろ?』

「……故あれば殺すという事?」

『どうとってもらっても構わない、俺は別に貴官らがどうなってもいいと思ってる。貴官らを助けるのはハヤス……貴官らが救ってくれた友人の願いだからだ』

「……そう。護衛、感謝いたします」

『結構、何か要求があれば可能な限り叶えよう』

「敵艦のドミニオンには友人が……ナタルがいるの」

『そうか……要求を承諾。何とかしよう』

「なんとかって……ちょっと!」

 

「……彼本当にロボットかしら」

「ロボットなんじゃないですか?」

「でもそれにしては人間味が強い気がするわ」

「勝手に通信切っちゃいましたしね」

「説明不足が目立つわね……」

 

一方的に通信を切られ、何をするのかが謎のままアンノウン艦ベレロフォンからMSが発進していく。その数は三隻同盟の全MSを含めても足りないほどの数だった。

ザフトにも連合にも、そしてオーブにも見られない特徴を持ったMSが次々と発進するとアークエンジェルの周りを飛び始める。

そして何機かはM1アストレイたちにも追従し、三隻同盟に足りなかったMSの数を埋め合わせてしまった。

 

「このMSたち一体何だろうね」

「気になるけど敵じゃないっぽいし」

「ちょっと可愛いね」

「そ、そう?」

 

 

 

連合艦隊からの攻撃、しかしその攻撃はアークエンジェルに届くことはなかった。その攻撃の多くはベレロフォンが受けていたからだ。しかし、ベレロフォン自体には緑色のフィールドが張られダメージを無効化しているようだった。

ベレロフォンから攻撃してきた連合艦隊へ全砲塔を向けるとその火力によって跡形もなく消し去ってしまった。一歩間違えればあの砲塔が全てこちらへと向き攻撃してくる可能性があったのかと思うと安心してみることができなかった。

 

しばらくするとベレロフォンの翼下のパイロンに搭載されていた4つの物体が切り離されたと同時にロケットエンジンを点火しジェネシスへと向かっていく。

すると正面から、ついに現れてしまった。戦友であるナタル・バジルールが艦長を務めるドミニオンだ。

 

『アークエンジェル、来たぞ』

「えぇ……ごめんなさい、これからやることに手出しはしないで」

『……そうか。だがナタルの件、何とかしてみよう』

「何をするのか分からないけど、お願い」

『……幸運を』

「……何よ、意外とそういうこと言えるのね」

 

アークエンジェルとドミニオンの戦闘、同型艦と苦楽を共にした戦友が敵に回りお互いの攻撃は五分五分だった。

だが、アークエンジェルはついにドミニオンに捉えられる。ドミニオンから発射されたローエングリンはまっすぐアークエンジェルの艦橋へと進む。

咄嗟に目をつむる、つむってしまうマリュー・ラミアス。しかしその衝撃は訪れなかった。

 

「へっへっ……やっぱ俺って不可能を可能に……」

 

ストライクに乗ったムウがアークエンジェルの前に躍り出る。ドミニオンのローエングリンからマリューの乗るアークエンジェルを守るためだ。

ストライクの限界が近づいたその時。

 

『ハッ!ガンプラも創作も自由なんだよ!!』

 

オーブ内に現れた黒いカラミティがあの時の大盾を持ってストライクの前に出る。ストライクはビルゴⅡに回収され、ムウはそのまま助け出される。

 

『ラミアス艦長!ナタルは任せろ』

「ちょ、ちょっと……!」

 

またしても通信を一方的に切られる。黒いカラミティはそのままドミニオンへと進むとしばらくしてドミニオンから離れる。離れる際に残ったローエングリン砲へビームを放つと黒いカラミティから通信が届く。

その通信からは懐かしい声が息も絶え絶えに聞こえてくる。

 

『はぁ…はぁ……撃て!マリュー・ラミアス!』

「ッ!ローエングリン砲!撃てぇー!!!」

 

アークエンジェルの撃ったローエングリン砲はドミニオンへと直撃、ドミニオンは轟沈する。

黒いカラミティは再びアークエンジェルの格納庫にいる。奥には中破しているストライクが固定されている。

黒いカラミティはナタルを引き渡した後再び出撃する。

 

「この恩は……ちょっとやそっとじゃ返せそうにないわね……」

「ムウ・ラ・フラガ少佐、並びにナタル・バジルール少佐収容完了しました」

「ベレロフォン、本艦に接近。防衛行動へ移行……」

「戦闘中だけど、ちょっと休めるわね……」

 

アークエンジェルの周囲を囲うようにビルゴⅡが飛び、その近くにはアンノウン艦ベレロフォンが待機している。砲塔は最も近い敵へ向き、牽制射撃を行い艦隊に近づけさせない。

そんなベレロフォンへ数時間前に出撃したバイクの機体(メガライダー)が戻ってくる。しかしその数は減っており、随伴していたビルゴⅡもその姿を消していた。

 

「彼らも激戦だったのね……」

「これは……!艦長!ジェネシス大破!」

「なんですって?!あの子たちがやったのね……」

「連合艦隊も徐々に戦線を離脱していきます」

「ザフト艦からも砲撃が見受けられません、もしかして……」

 

 

 

 

「くっ!こいつ……!」

 

キラは苦戦していた。クルーゼの駆るプロヴィデンスガンダムのドラグーン攻撃によって追い詰められていた。ミーティアは破壊され、援護に来ていたアスランのミーティアも破壊された。

クルーゼの正体、それはムウ・ラ・フラガの父親の劣化クローンだった。身勝手に生み出され、そして身勝手に捨てられた男は世界を恨んだ。

 

キラとアスランを意図的に離され、足を止められた瞬間。キラの周りにドラグーンが展開する。

 

「しまった!」

 

ドラグーンから緑色の光があふれ、あと数秒もしたらそれぞれからビームが飛び出し、キラとフリーダムに風穴を開けようとしたその時。

青い光がドラグーンに照射される。そのままビームで薙ぎ払いドラグーンを全て破壊する。

 

その光景を見てプロヴィデンスは狙撃された方角を思わず見る。わずか数秒の確認ではあったがその隙は大きかった。

そのチャンスを逃さずフリーダムはプロヴィデンスへ肉薄し片腕を切り飛ばす。ジャスティスもその姿をみて足を撃ち抜く。

大きく姿勢を崩したところへさらにフリーダムがビームサーベルでトドメを刺す。

 

あれだけ苦戦していた相手がたった一つ盤外から撃たれた攻撃によって均衡が崩れ、打ち倒すことができた。

最後に狙撃地点を見ると、自らの戦艦に戻る黒いカラミティが確認できた。キラはアスランのジャスティスへ目配せすると2人はエターナルへと戻っていく。

長い戦いの最後はあっけなく終わった。だが、原因だったクルーゼも、禍根を残すジェネシスも、ブルーコスモス現当主もいなくなったことでヤキン・ドゥーエ戦の幕が閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『終わったな、ハヤス』

「あぁ……これでもう終わりかな……」

「長かったね、初めてやったストーリーミッションが……」

「まさかこんなことになるなんてね」

『よーし、ミッション完了!停戦の信号弾でも撃っとけ!』

『了解』

 

ベレロフォンから停戦の信号弾が上がる。ザフトも連合もどちらも矛を収め各々の基地へと帰還していく。あとのことは政治家が決めることだと言わんばかりに。

残存するビルゴⅡを収納したベレロフォンは再び散布されたスモーク内へと潜航する。その光景を見るのはもはや三隻同盟しかおらず、潜航するその艦影を三隻同盟のクルーたちは敬礼をもって見送るのだった。

 

『なぁハヤス。お前たちもそろそろ強くなったことだし、リベンジマッチ。しようぜ』

「……あぁ!望むところだ!」

「次は絶対勝つんだから!」

「最初の戦いは実際引き分けのようなものだしね」

『あぁ、次は本気で行くぞ』

 



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リベンジマッチ

長かった……


『ハ…ハハ…ハハハハハハハハ!アーッハッハッハ!』

 

燃え盛るカリストの機体、そしてそんな状態からの大笑いがハヤスたちへ聞こえてくる。

先程まで互角の戦いをしながら、お互いを認めていた雰囲気が変わり一気に禍々しい雰囲気へと変わっていく。

 

「カリスト…!」

「ど、どうしたの?」

 

カリストを心配する3人、そんな3人の中ハヤスへと攻撃が繰り出される。

突然のことに反応ができず、このままで真っ二つに切り裂かれる……はずだった。

 

『……馬鹿が』

 

そんな呟きと共に攻撃を防いでいた見たことのない機体、深緑の装甲を持つ格闘機。

頭部はトールギスⅢを改造したツインアイ、腕と胴体はゴッドガンダムを使い徒手空拳を使い、脚部はEx-Sガンダムを使い膝のリフレクター・インコム、大腿部ビームカノンにより遠距離への攻撃も対応している。

そんな機体を駆る人物、それは先程まで激戦を繰り広げたメカマスターだった。

 

どうしてこうなったのか、それは数十分前まで遡る……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リベンジマッチは一月後にしよう、楽しみにして待ってるぜ』

一月前、そんなことを言ってカリストたちは帰っていった。

それから一月後、ハヤスたちは自らの機体を強化していた。

 

「やれることはやったし、ランクも皆Bになった。あいつらに一泡吹かせてやろうぜ!」

「まさか乱入してきたのがカリストたちだったとは気づかなかったなぁ~」

「何も知らないまま助けてもらったから親切な人だと思ったけど確かに荒っぽさはあったわね」

 

そんな作戦会議と言えないような会議を終え、今まさにリベンジマッチの幕が開く。

 

「ゼロストライクガンダムフルパッケージ!行きます!」

「セブンソードウィングガンダムフルセイバー!いっきま~す!」

「ヴィクトリーキャノンフルバースト、ナグサ出ます」

 

カスタムマッチの戦闘、戦場は三次元の戦闘を想定される宙域。奇しくも初戦闘の時と同じ場所だった。そこへ遠方からGN粒子砲が二つ撃ち込まれる。

その威力は乱入時のお互いの攻撃を撃ちあった時以上の、waveミッションのボスへと放った必殺技級の威力を持ったものだった。

咄嗟に回避した3人はバラバラになってしまった。それは以前にもされたことだ。ハヤスたち3人はそれぞれ「しまった」と思った時にはカリストたち3人は目の前へと迫っていた。

 

カリストの駆る機体は素体をカラミティガンダムに肩と脚部、バックパックをEx-SとミキシングしたEx-S(イクスェス)カラミティ。カラーリングはカラミティパラディン改と同じ配色だ。

 

メカマスターの駆る機体は大きなブースターに六つのGNドライブを搭載したヘキサドライブ、中に1機入りそうなほど大きなメッサーラ。カラーリングは藤色だった部分が白色になり、紫色の部分が緑色へと変更されていた。

 

アフサイドの駆る機体は素体にダブルオークアンタフルセイバーを使い、動きを阻害しない程度にまるでクロスボーンガンダムフルクロスのようにΞ(クスィー)ガンダムの装甲を羽織るように装備していた。

 

カリストの突進を避けるハヤス、しかしハヤスの機体がワイヤーによって巻きつけられその場から一気に離脱していく。ハヤスを連れ去るカリストを追いかけようとする二人だったがリネへとバスターソードを振り下ろすアフサイドによって阻止されそのまま推し進められる、狙撃によってワイヤーを切ろうとするもロックオン警報によって回避をせざるを得ない状況へと持ち込まれたナグサ。そのロックオンをしたのはメカマスターだ。

 

今再びあの時の状況が生み出された。リベンジマッチの開始である。

 

 

 

 

sideリネ

 

連れ去られたハヤスを追いかけようとした一瞬の隙、前までのあたしだったら反応できなかった。

けれど、カリストに動きを教えられた後言われた「本格的にやるんならちゃんと現実で剣道やるなり道場いくなりしなよ」という言葉であれからずっと習っていた。

殺気のようなものを感じ、あたしは咄嗟にその向きへとバスターソードでガードする。その読みは当たってた。

あの時の青いマラサイ、アフサイドと戦ったあたしはまさかこうなるなんて思ってなかっただろうな。今ではちゃんと反応できるし、やっぱりあたしは格闘戦が性に合っている気がする。

だってこんなにも楽しいのだから

 

「うぅ!あの時とは違う!簡単には負けない!」

『ハッ!どんだけ強くなったのか見物だなァ!』

 

主人公機とは思えない言動で攻撃してくるアフサイド、自らの機体に取り入れた元の機体の改造機。元なだけあって大部分の武装が同じ故に大振りの剣による鍔迫り合いが幾度となく繰り返される。

 

『こいつは対処できるか?行け!()()()()()()()()!』

 

両手を広げるポーズと共に装甲の裏側からファングが展開しリネへと襲い掛かる。

無数のファングミサイルがリネに接近するが、リネは向かってきたミサイルを撃ち、大体のミサイルを撃ち落とした後爆発する前にビームサーベルで切り払う。

爆風に隠れて再びアフサイドが切り込んで鍔迫り合いが始まった。

 

『成長してるじゃねぇか!戦いがいがあるってもんだ!』

「まだまだこんなものじゃないから!」

 

そして、リネの機体が赤色に染め上がる。元の機体はウィングガンダムではあるものの、GNドライブを搭載しているため使用できる技だ。

以前までならあまりの速さにリネが付いていけず目を回すことしかなかったが、あれから数か月。その弱点は克服していた。

 

『トランザムか!だったらこっちもだ!』

 

そしてアフサイドの機体も赤色に染め上がる。トランザム同士のスピード勝負だ。

先に攻撃を当てたのはリネだ。それはまさに致命の一撃……のはずだった。突如としてアフサイドの機体は緑色の量子となってリネの背後へと現れる。

だが、この勝負は再び睨み合いとなった。リネもアフサイドの攻撃を量子化によって回避したのだ。

 

GBNでの量子化はいわゆる緊急回避の一つとして実装されていた。トランザムの熟練度を上げることによって使う事ができ、リネが量子化に成功したことでアフサイドの熟練度に並び立った。

 

『まさか量子化までできるとはな……!』

「ぶっつけ本番だったけどね……!やっぱり強い人と戦うと一気に成長できる!」

 

そして再び剣戟が始まった。一進一退の攻防、だがここでリネの仕掛けた罠がアフサイドを捉えた。

量子化による回避の時にGNソードビットを一つだけ切り離しておいたのだ。そして鍔迫り合いになったその時、リネは切り離したソードビットをアフサイドの背後から突き刺した。

 

その突き刺した場所はアフサイドのGNドライブ。一気に性能を落としたアフサイドへとトドメを刺すべくGNソードⅤを構え突進する。

だが、ただで終わらないのがDOLGというフォースだった。性能の落ちた状態でリネの機体の片足を切り飛ばした。その瞬間リネのGNソードⅤがアフサイドの機体の胸から背中にかけて貫通する。

リネのリベンジマッチはリネの勝利で終わった。

『ハッ……強くなったな……』

「……ありがと」

 

リネはその言葉を残し、ハヤスの元へと急ぐ。

 

 

 

 

sideナグサ

 

ナグサとメカマスターの戦い、このまま戦い続けても決着はつかないと言えよう。

ハヤスを援護するべく後を追おうとするもその行く手に強力なGN粒子砲が二つも撃ち込まれ、そのまま進めば即撃墜してしまう。

すぐさま方向転換し、その攻撃を避ける。そんな攻防ともいえない遅延戦闘が繰り返され、ナグサは焦り始める。

 

メカマスター側もあくまで足止めを第一に行動しているため、積極的に撃墜を狙わずに行く手を遮るばかりだった。

GNメッサーラから放たれるGNミサイルを放つもナグサのV(ヴィクトリー)キャノンFB(フルバースト)の放つビームですぐに落とされ決定打にはなりえなかった。

 

常に動き続けるGNメッサーラは攻撃のタイミングの時だけは足を止め狙い撃ってきていた。ナグサはギリギリで避けついにGNメッサーラの片側のビーム砲を潰すことに成功するが動きにはあまり支障はなかった。

 

そんなことを繰り返すうちにナグサはあることに気が付く。一向にトランザムを使ってこないのだ。

六つもGNドライブを付けているからさぞ長時間トランザムや量子化ができると思われるが、実際は制限がかかっている。

これはトランザムや量子化が便利で無造作にGNドライブをつけることを防ぐための運営からの処置の一つだった。

GNドライブはよくて二つがトランザムや量子化が使える限界でそれを超える数を使う場合は取得難易度の高いライセンスが必要だ。

 

ナグサはひとつの賭けを仕掛ける。メカマスターがトランザムを温存していれば自分の負け、使えないなら希望が見える。

 

(この賭けに勝てば私にもチャンスが来る……!)

「いけぇーーーーー!!!」

 

そう叫びながらメカマスターの飛行ルートに、わざと穴をあけた攻撃を仕掛ける。

バックパックに搭載されたミサイルが一気にメカマスターを襲う。

メカマスターはミサイルに追いつかれないように機体の速度を上げ、ジグザグに動くもミサイルはそれに追従する。

そして、一気に加速しミサイルから直線で逃げ多少距離を置いた後に変形しながら前転し、残った1門のGN粒子砲を放ちミサイルを破壊する。

 

ナグサは賭けに勝った。あの状態であればトランザムを使わざるを得ない状況にもかかわらずあくまでもヘキサドライブの推力で逃げ切った。

そして、攻撃の瞬間に足を止めた時。ナグサはアサルトバスターを狙撃モードに切り替え、さかさまのGNメッサーラの足を撃ち抜く。

 

撃ち抜かれてもなおナグサへと接近しGNミサイルを放とうとする。だが、ナグサの持っていたビームライフルによって撃ち抜かれ、最後のGN粒子砲も潰されてしまう。

 

『お手上げだ、強くなったなナグサ……』

「貴方達のおかげよ、色々な体験をさせてくれてありがとう」

『あぁ……だが、DOLGの意地は見せる!!』

「な、なにを!!」

 

そういうと腕を広げ、ナグサの機体を抱きしめる。その行動に嫌な気配を感じたナグサはすぐさま脱出するべくもがく。

GNメッサーラから光が漏れ始め、まさに今自爆する瞬間にギリギリのタイミングで脱出に成功する。

手持ちの武装であるビームライフルとシールドを犠牲にして……

 

「やっぱり侮れないわ……貴方たち……」

 

そうつぶやきながらハヤスを追うナグサ。ナグサは気が付かなかった、爆発の影に揺らめく謎の物体が飛び去る所を……。

 

 

 

sideハヤス

 

ワイヤーによって拘束され、連れ去られるハヤス。ビームサーベルでワイヤーを断ち切り、脱出するも2人と大きく離され、援護は期待できなかった。

そんなハヤスへロックオンのアラートが鳴り響く、咄嗟に回避してみれば先程までいた地点に青いビームが通過する。

それはカリストの放ったビームスマートガンだった。カリストへの反撃のため、ハヤスはフルパッケージの武装であるバックパック左側のツインアグニを打ち込む。

赤いビームは真っ直ぐカリストへ向かっていく、当然回避されるが回避した先へ両肩のマイダスメッサーを投げ移動先を縛る。

その目論見通りに動いたカリストへバックパック右側のシュベルトゲベール改を振り強襲する。

 

カリストはシュベルトゲベール改を左手のジャベリンで防ぐと同時にそのままビームスマートガンをハヤスへと向け躊躇なく引き金を引く。

 

「あっぶね!!」

『惜しかったな』

「まだまだこんなものじゃないぜ!」

 

ハヤスはフルパッケージの最大の武装であるドラグーンを飛ばす。トーナメント戦の時まではオート操作しかできなかったハヤスはこの一か月で自機を操作しながらドラグーンを操作することができるようになっていた。

オールレンジ攻撃によってカリストの機体の装甲へダメージを与えていく、だがビームコーティングがされているのかあまり大きなダメージにはならなかった。

ビームがダメならと、脚部の脹脛側面に搭載されたマイクロミサイルを放つ。その作戦が功を奏したのかカリストの装甲はひび割れていた。

 

トドメを刺すべくシュベルトゲベール改を両手で持ち思い切り振り下ろすハヤス。

カリストはそれを防ぐようにビームスマートガンを構えるが、あっけなく断ち切られカリストの胸部装甲を切り裂く。

 

しかし、ハヤスは手応えのなさに言い様のない違和感を感じていた。

そんなハヤスの元にそれぞれアフサイドとメカマスターを打ち倒したリネとナグサが合流する。

 

 

 

sideコズミックファイターズ

リネとナグサがハヤスに合流した時、カリストとの決着はついていたように見えた。

だが、ハヤスからは困惑の声が出ていた。斬ることはできたが、ダメージになっていなかったように見えるというのだ。

そんなことを言った直後、ハヤスの切りつけた装甲の傷から激しい炎が吹き上がる。

 

禍々しい気配と、高笑いと共にその姿を現すとまっすぐハヤスへと斬りかかる。

あまりの速さに反応できず、このままでは即撃墜されるところだったが、そこへ見知らぬ機体が助けに入る。

だが、カラーリングと聞こえる通信からその機体のパイロットがメカマスターということが分かる。

 

渦巻く炎が消えた後に現れたカリストの機体、それは先程までのEx-Sガンダムの面影が消え、クロスボーンガンダムゴーストに出てきたファントムガンダムのようだった。

陽炎のような揺らめく炎ではなく、荒れ狂う業火のような激しい炎をまとった機体。

 

『これが俺の機体の本当の姿だ!!!カラミティファントムの力を味わえ!!!』

 

そう叫ぶと同時にカラミティガンダムの口が開き、ファントムガンダムのような口が現れ、バックパックも割れ中からファントムガンダムのバックパックが現れる。

バックパックの脇からはダハックのアームド・アームが展開され、先程斬られたスマートビームガンの代わりに遠距離攻撃を可能とする。

威圧感の増したカリスト、その異常な変わりようにメカマスターがハヤスたちに助太刀をする。

 

だが、ハヤスたち3人はダメージが重なり、次第に押されていった。

 

『俺が時間を稼ぐ、お前たち3人は何か作戦を考えろ!』

 

そう叫びながらカリストへと攻撃を繰り出すメカマスター。

リベンジマッチだったはずが、突然のカリストの暴走にハヤスたちはピンチに陥る。



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仲間、友人、幼馴染

メカマスターが時間を稼いでいる間に、一度距離を取る3人。その3人を見てカリストは後を追おうとするも、その行く手をメカマスターに阻まれる

 

「あぁ?邪魔すんなよ!」

『悪いが、今のお前を行かせることはできん!』

 

メカマスターの機体によるラッシュが始まる。格闘タイプのゴッドガンダムの腕から打ち込まれる強力なラッシュパンチ。だが、カリストの機体はそのラッシュに合わせて同じラッシュを打ち込んでいく。

 

「ハッ!ラッシュ勝負か?楽しいなぁ!!!」

『くっ…ふざけた性能だな!』

 

ラッシュ勝負は次第にカリストが優勢になっていく、それはまるで決闘ディメンションの再来だった。トドメのストレートを放ったその時、一瞬の隙をついて背後に回り込む。

だが、それはダイバールック故に防がれることがなかった技だ。メカマスターが背後に回った瞬間に、改造されたファントムライトが勢いよく燃え上がる。

Iフィールドの嵐を防いだメカマスター目掛け決闘ディメンションの時と同じようなラッシュを再び仕掛ける。

 

「吹っ飛んでなァ!!!!」

『ぐっ!すまん…ハヤス!』

 

ラッシュ攻撃によってダメージを蓄積され、トドメと言わんばかりに回し蹴りによって吹き飛ばされるメカマスターを一瞥しハヤスを追いかけるカリスト。

本来ファントムガンダムには変形機構が備わっており、変形による高速移動が可能だがカラミティファントムには変形機構が搭載されていない。

しかし、元の機体よりも推進力を上げているため変形せずとも圧倒的な速度を誇る。すでにその視界にハヤスたち3人を捉えていた。

 

『見つけたぞ!!鬼ごっこは終いだァ!!』

「くそっ!どうしたら……!」

 

『ここは私たちに任せてください!』

『ハヤス!助けに来たぜ!!!』

 

迫りくるカリストにビームスマートガンを撃つ灰色のデルタプラスとハンドキャノンを撃ち込む前面に装甲をつけたグレイズが現れる。

ビームスマートガンはIフィールドの嵐によってかき消され、ハンドキャノンはカラミティガンダムのTP装甲(トランスフェイズ)によってダメージには至らなかった。

だが、注意を逸らすことに成功する。

 

「テックスター!それにデクーも!いったいどうして……」

『私もコズミックファイターズの一員ですよ!どうやらコズミックファイターズなら参戦自由らしいんです!』

『だから俺も、アライアンスからコズミックファイターズの一員にテックスターにしてもらったってわけよ!』

「二人とも……」

『あー……、話し合いは済んだかよ?悪いが俺はハヤスに用があるんだよ。邪魔すんじゃねェ!!』

『来るぞ!テックスター!』

『はい!デクーさん!』

 

ビームスマートガンを撃ちながらカリストを中心に旋回射撃を行うテックスター。デクーはハンドキャノンを撃ちながらダインバンカーで貫くべくカリストへと接近戦をする。

Iフィールドの嵐によってビーム属性の攻撃は射撃、格闘。防御用の武装までも無力化する。故にビームスマートガンによる射撃は無視していた。

だが、バックパックの脇についていたダハックのアームドアームが飛来物を迎撃射撃する。それはビームスマートガンと共に撃ち込まれたミサイルだった。

背後の爆発によって、若干前のめりになったカリストに対し、デクーはダインバンカーの適正距離へ移動することに成功する。

そしてダインバンカーはついにカリストを貫いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

ダインバンカーの射出された杭を右脇に逸らし、右側のアームドアームを一つ吹き飛ばすだけに終わってしまった。

杭を回収しようにも右脇に逸らされ、そのまま伸びきった状態の杭を掴まれてしまい回収することができなかった。

ガンダムフレームのように、カリストは自らのガンプラのフレームを改造していた。それはカラミティパラディンから引き継いだオリジナルの改造だった。

 

『ハッ、捕まえたぜ』

「こいつ……!なんて性能してやがる!並の機体じゃねぇ!」

『そんなに大事なら返してやるよ!!!』

「くそっ!放せ!」

 

ダインバンカーの杭をへし折られ、左手で機体を掴まれたデクーは逃げ出すことができなかった。

掴まれた装甲が掴んだ手の力の強さを物語るように歪んでいる。逆手に持った杭によって胸部から腰に掛けて思い切り突き刺され、デクーは退場してしまう。

 

『まずは一人、次はテメーだ』

「ひっ……」

 

残ったテックスターは向かってくるカリストに対して残ったミサイルの全てを撃ち込みウェイブライダー形態に変形して退避する。

しかし、向かってくるミサイルを残った三つのアームドアームで迎撃し、ついには高速で移動するテックスターに追いついてしまう。

飛行形態のまま掴みかかられ、その衝撃に恐怖したテックスターは思わず目を閉じる。目を開けた時、すでにテックスターは撃墜判定を受けていた。

カリストは掴んだデルタプラスにそのままの勢いでコックピットのある部分へと拳を突き刺した。テックスターの感じた衝撃とはまさに突き刺されたときのものだった。

 

『思ったよりも時間がかかったが……作戦の一つや二つ思いついてんだろうなァ!』

 

再びハヤスたち3人の後に追いついたカリスト、そこへナグサの放ったメガビームキャノンが直撃する。

ダメージはあまり見受けられないが直撃した衝撃で足を止めたところへリネのバスターソードが振り下ろされる。

しかし、そのバスターソードを白刃取りするとそのままナグサのいる方へと投げ飛ばす。

そして、投げ飛ばした硬直を狙いハヤスは急接近しカリストの機体の胸部へと渾身の拳を打ち付ける。

 

『なぁ……、まさかそれで終わりじゃねぇよな』

 

そんな通信が接触したと同時に聞こえ、ハヤスはドラグーンを展開しながらツインアグニをカリストに撃つ。

投げ飛ばされたリネを受け止め、再びメガビームキャノンを撃ち込むナグサ。

だが、ビーム属性を持つドラグーンやツインアグニ。メガビームキャノンは全て無効化されてしまう。そんな中、ハヤスはあることに気が付く。ファントムガンダムのファントムライトは時間制限のあるものだ。

しかし、カリストのカラミティファントムはその時間制限を感じないほど展開し続けていた。

それもそのはず、ファントムライトに必要な排熱をTP装甲(トランスフェイズ)の展開に必要な電気エネルギーへと変換する改造を施していた。

故に物理属性のラッシュやハヤスの放った渾身の拳も受けきることができたのだ。

 

『終わりか?せっかく本気を出したってのに……じゃあな』

「う、うわああぁぁっ!!!」

『……あぁ?』

 

失望したようにハヤスへとトドメの一撃をもってリベンジマッチを終わらせようとするカリスト。

ハヤスはその一撃による強い衝撃に身構えていたが、その衝撃は一向に来なかった。

 

『ハヤス…!コイツを倒すのに必要なのは味方を、仲間を信じることだ!幼馴染の2人をな…!』

『メカマスター、てめぇ……』

『カリスト、少しは手加減ってのを知れよ!!!爆熱!ゴッドフィンガー!!!!!』

『手加減なんてしたら分かるもんも分かんねぇだろ!!!極熱!デモンフィンガー!!!!!』

 

ハヤスへと振るわれた一撃を防ぎ、必殺技を放つメカマスター。それに応えるようにカリストも自らの必殺技を出し巨大な爆発が起きる。

ハヤスは吹き飛ばされ、その両脇にリネとナグサが付き添い、支える。

ハヤスはメカマスターに言われた言葉を改めて思い返す。今まで自分を誘ってくれたのも、助けてくれたのも、好きでいてくれたのも

全部幼馴染の鳥井リネと長瀬瑠梨の2人だった。改めて二人の大切さに気付かされたその時、早川進に新たな必殺技が上書きされるように現れる。

それはリネと瑠梨の2人にも現れていた。

 

『メカマスター……俺は止まらねぇよ。まだ【ハヤス】を見出してねぇ……あ?』

「カリスト……これが最後だ!!!」

『万策尽きたってか?』

「いいえ!とっておきが今できた!」

『急ごしらえってことか?そんなんで俺に勝てるか!!!』

「勝てるわ!これが私たちの」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「必殺技!」」」

 

 

 

 

 

UNITE(ユナイト)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんだよ……できるじゃねぇか……!』



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さらば、戦友よ

『なんだよ……できるじゃねぇか……!』

 

以前の必殺技を上書きするように現れた新たな必殺技、UNITE(ユナイト)。三人の機体が明鏡止水のごとく金色に光り、ハヤスを中心に左右にいたリネとナグサの機体が重なり、一層光り輝く。

元になったゼロストライクガンダムの面影を残し、ヴィクトリーとウィングの要素を取り込んだような頭部。

左肩はウィングガンダムのような形へと変化し、リネのメインウェポンだったGNソードⅤとシールドのように合体したGNソードビットを装備している。

右肩はV2ガンダムのような形へと変化し、ナグサの機体のバックパックのバスターパックとハヤスのツインアグニを合体させたような手持ちのロングビームライフルを装備している。

バックパックはウィングガンダムEWのような翼が生え、あたりにはフェザーファンネルが機体を中心に飛び回っている。

脚部にもヴィクトリーとウィングの要素が混じった装甲が追加され、防御力が上がっている。

 

「できた……!これが俺たちの必殺技、UNITE(ユナイト)!」

「人呼んでトリニティ……えっと……」

「トリニティストライクでいいんじゃないかしら」

「いいな……いいなそれ!」

 

そんな劇的な変化を目の当たりにしたカリストの目はギラギラと輝いていた。正しく彼の見たかったもの、早川進に見出していたかつてのライバルを重ねていた。

 

『ハハハハハハ!そうだ!!それでこそ【ハヤス】だ!!!俺は正しかった!!!!』

 

そう叫びながら残ったアームドアームのビームガンを撃ちながら急接近する。フェザーファンネルで迎撃するも、次々と撃ち落とされシールド状態だったGNソードビットを飛ばしても飛ばしたビットを殴り飛ばされ防御されてしまう。

正気を失っているカリストの暴走状態の前にトリニティストライクは押されていく。

インファイトの距離に近づかれ思い切り殴りつけられ咄嗟に防御するハヤス、必殺技を使う前の機体であればこの時点で腕を破壊され、そのまま胴体を貫かれるほど強力なパンチだった。

しかし、ただ吹き飛んだだけでダメージと言えるダメージが見受けられなかった。若干へこんだくらいの損傷であった。

 

『……なんだその馬鹿みてぇな硬さは!!3機分とでもいうのか……?』

「ダメージ!……は無い?嘘だろ?」

「すごい!すごいよ!」

「これなら勝てるわ!でも……」

 

新たな必殺技UNITE(ユナイト)、まさに3体が合体した姿であり見た目は1機であってもその中身は3機分の性能だった。しかし強力な必殺技にも制限がある。あまりにも強力ゆえに時間制限が施され、悠長に戦っていればいずれ解除され再び3機に分かれてしまい、機体性能の差によっておそらく撃墜されるのは明白だった。

 

『面白れぇ!!もっと見せろよ!!』

 

再び急接近し始めるカリストに対し、ハヤスはロングビームライフルを撃ちこむ。咄嗟にカリストは上方へと回避する。しかしそこで思わぬアクシデントにあう。

本来であれば強力なIフィールドによってビーム属性を無効化するはずだった。しかし今の状態のハヤスたちの攻撃はそのほとんどが必殺級の一撃。

躱したはずが脚部を掠めたことで脚部のIフィールドの機能を停止させたのだ。

 

『Iフィールドを貫通しただと……!』

 

次々と撃ち込まれる必殺級のビーム、いくつか躱し接近するものの再びインファイトの距離に来るまでにもはやIフィールドは胴体部分にしか機能していなかった。

そして最後のIフィールドもハヤスたちの目の前でパージした。

 

「な、なにを!」

『奥の手ってのは隠しておくもんだぜ!!!』

 

ロングビームライフルのためインファイトの距離に持ち込まれると取り回しが不便だったことと、GNソードⅤを持つ手首をつかまれ拘束されるハヤス。

カリストがパージしたIフィールドの下にはカラミティガンダムのスキュラが残されており、近距離で撃ち込まれる。

その威力はすさまじく、ハヤスの持っていたロングビームライフルを破壊しGNソードビットも破壊されてしまった。だが、近距離で使ったことでカリスト側にも損壊があった。スキュラはもはや使い物にならなくなっていた。

 

『もっと見せろ!!!お前たちの力ってやつをよ!!!』

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

GNソードⅤを振り下ろすも、白刃取りをされ上へと蹴り飛ばされてしまい、さらにそこへ残ったアームドアームを撃ちさらに遠くへと飛ばされ、今の状態で回収することができなくなってしまった。

そして、UNITE(ユナイト)の残り時間もあとわずかになってしまう。

 

「くそっ!!あと少しだったのに……!」

『おい、もしかして時間制限でもついてんのか』

「ッそうだよ……!」

『ハッ……だったら最後にとっておきで決着をつけようぜ!!!』

「……ありがとう」

『勝ってから言え!!!俺が勝つけどなぁ!!!』

「いや、俺が……俺たちが勝つ!!!!」

「「ハヤス!!!」」

「あぁ!!!」

 

最後の力を振り絞るように光り輝くトリニティストライク、その光は左拳へと収束していく。カリストも右手へと力をためていく。全身にあったIフィールドが壊れたことで光の翼が形成される。だが、その見た目は優雅なものではなく悪魔のような翼だった。

 

「くらえ!コズミック!!!ナックルゥゥゥ!!!」

『ハァァァ!!極熱!!!デモンフィンガァァァァ!!!』

 

二つの力が鬩ぎ合い、次第にカリストが押していく。だが、ハヤスの機体の背後に連なるように光が形成されていく、形成された姿はハヤスたちが出会ってきた仲間たちの姿だった。

テックスターから始まり、デクーやトーナメント後から交流のできたインパルスコンビや苦戦を強いられたプロヴィデンスやマスターガンダムの姿もあった。

そしてカリストはその背後をみてしまう。

ハヤスたちを支えるように現れた仲間たちの中には先程戦っていたメカマスターとアフサイド。そしてカラミティパラディン改の姿を。

 

「いっけええええぇぇぇ!!!!」

(……やっぱり俺は正しかった、お前は【ハヤス】だ。甘々のな……)

 

背後に現れた仲間たちの姿がハヤスの機体へと吸い込まれていくごとに、その力を増していき、ついにカラミティファントムの右手から肩にかけてひびが入り始める。

ハヤスの左拳がカリストの右手を破壊しながらその背後へと振り抜く。

 

『ハハハハハ!!!やっぱりお前は最高だ!!!!』

 

そう叫びながら爆発し、振り抜いたままの姿で固まるハヤス。コクピットの画面には BATTLEEND WINNER COSMICFIGHTERS 

の文字が浮かんでいる。そして次第にハヤスたちの視界がホワイトアウトしていき

気付くとハヤスたちは草原に立っていた。周りを見渡していると、見覚えのある二人のロボットがいることに気付く。

緑色のほうはメカマスターであり、青色のほうはアフサイドだった。2人は足元を見ているようでそこに誰かが倒れているとわかる。

ハヤスたちは二人のほうへと歩いていく、倒れていたのはカリストだった。3人は何か会話をしているようだった。

 

「……負けたんだな、俺たち」

「あぁ」

「楽しかったな、あの戦い」

「あぁ、満足したか?」

「うん……大満足だ」

 

ハヤスたちが近づく足音が聞こえ、2人がハヤスたちのほうへ顔を向けると、場所を譲るように移動する。

 

「ありがとう」

「何がだ」

「最後に、決着をつけさせてくれて」

「ハッ……全てを出し切らないと不完全燃焼になっちまうからな」

 

そう言いながらカリストは起き上がるとどちらからと言わず自然とハヤスと握手する。

握手した際にハヤスはカリストから何かを渡される。それはカリストたちの所属するDOLGのフォースエンブレムとカラミティパラディン改のデータだった。

リネとナグサもいつの間にやら同じものをそれぞれアフサイドとメカマスターからもらっていた。

 

「お、おい!急にどうしたんだよ」

「あぁ、悪いな。野暮用でGBN離れることになったんだ。おそらく今後できないからよ」

「……現実の事を聞くのはマナー違反だけどもしかして重い病気とかなのか?」

「ちげーよ、本当にできなくなるだけなんだ。だから信頼できるお前らに渡した方がこいつらも喜ぶだろ」

「………」

「そんな深刻な顔するなって、笑顔で見送ってくれよ」

「あぁ……!ありがとう!またどこかで!」

「へっ、あばよ!!!」

 

三人はそれぞれ別れの言葉を言いながらログアウトしていく、残されたハヤスたちは託されたエンブレムと機体データを見てそっと涙を流す。

さらば、戦友よ。いつかどこかでまた逢おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、コズミックファイターズのフォースネストの会議室のような場所の中央にそれぞれ背中合わせに立たされた、3つのガンプラが輝いていた。

-fin-




終わり


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