佐藤くんの大嫌い家族 (痲歌論)
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♥出会いも嫌い♥
俺は家族が嫌い。
だが、その家族は普通の家族じゃない。天使や悪魔、ワルキューレやサキュバスなど。
人間とは程遠い存在の“姉妹”のことを、俺はすごく嫌っている。
最初の出会いは突然だった。
学校に向かう中、スマホで色々いじっていた。
上からMINEのバーが降りてくる。
母親からのメッセージだった。
バーをタップし、トーク画面に移り送られてきたものを読む。
「裕樹、言ってなかったけど今日転校生が来るらしいわよ。可愛い女の子2人だって。その子たちとこれから仲良くする予定だから、学校でちゃんと話すのよ〜 」
言うことが同級生の男子なんだよな…。
ていうか、なんでそんなこと知ってんだ?あと、『これから仲良くする予定』ってどういうこと?
「クラスメイトってことか……?」
つい思っていたことが口から出てしまう。その画面を見つめたまま、歩いていく。
(※歩きスマホは危ないからやめようね!by裕樹ママ)
角を曲がる時、正面から来た人とぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!」
謝った時、頭の上に何かが乗った。
それを手に取り、見てみると真っ白な羽根。
美しく、見惚れてしまうほど。
我に返り、ぶつかった人を見るとその人は真っ白な羽が生えていて、神々しいオーラを感じた。
金髪ツインテールで、真っ白なワンピースを来ていて……真っ白なパンツ……。
つい、ほんの出来心でその人のワンピースの中のパンツに目がいってしまった。
「ってあんた!どこ見てんのよ!!!!」
思い切り顔面を蹴られ、ぶっ倒れた。
どうやら軽くやったつもりだろうが、あまりにも派手に倒れたので、あたふたしている状態で目の前まで来た。
「あっ、えっと…ごめんなさい!強くやりすぎてしまって…。」
その子は膝を付き、俺の顔に手をかざす。
すると、緑色の花粉(オーラ)のようなものが俺の周りを囲んでいく。
どんどん痛みが引いていき、楽になっていった。
「あ、あれ…痛くない。それに、怪我も治ってる……。」
「実はアタシ、治療が得意な天使なので!」
「ほぉーん…天使か。ん……天使?」
「あ……。」
顔を真っ赤にしたその子は、強引に俺の事を後ろに向け、「少し待って」と言った。
そのあと、「いいよ」と言われたので振り返った。
そこにいたのは、さっきとはまったく違う子だった。
「は?えっと…さっきの子は?まだお礼も言えてないのに……。」
(まぁお礼というか蹴られたのは俺が悪いんだけど。)
「そのさっきの子よ!同一人物!ここでは天使の姿がバレないように人間の姿に変身できるのよ。」
黒髪ツインテールで、真っ白なワンピースではなく制服を来ており、羽も消えていた。
「意外と便利なもんなんだな。」
「素直に受け止めすぎよ!なにか疑問に思わないの!?」
「だって目の前で怪我をあんな綺麗に治されちゃ疑問もなにもほんとに天使としか思うしかないだろ。」
「確かに…それはそうね。」
あれ、案外バカか?
そして、天使とか関係なく1つ疑問が浮かんだ。
「もしかして、お前転校生か?」
「ええ、知っていたの?」
「なんか俺の母親からMINEが来てな。」
そういうと、その子は俺から顔を背け、学校に着くまでずっと目を合わせてくれなかった。
目を合わせてくれないが、名前をまだ聞いてないもんなぁ…。
「なぁ、名前聞いてもいいか?」
「……アタシは
「俺は
俺が名を名乗ると、いきなり目を合わせ、「やっぱり…」という言葉を残して学校に向かっていきなり走り去っていった。
「あの子、結局なにがしてぇんだ。」
☆ ☆ ☆
学校に着き、自分のクラスへと向かう。
席に座り、静かに読書を始める。
ここ最近俺の趣味は読書だ。
本は現実とは違う世界に連れていってくれる。その世界がとても面白い。
だから、俺は読書を邪魔されるのが嫌だ。
なのに………。
「なんで邪魔をするんだ!愛!」
「うわぁ!急に大きな声出さないでよ、裕樹。びっくりするじゃない。」
毎朝学校に来た時、読書中に邪魔をしてくるのは幼なじみの
左からずっとツンツンとやってくる。
日に日にその回数は増えて、対応すらめんどくさい。
「毎回なんで邪魔するんだ、愛。」
「そんなことよりさ〜、今日うちのクラスに転校生が来るらしいよ?」
そんなことよりと流されたが、転校生?もしかして、さっき会った…名前なんだっけ。魚だっけ?
まぁ多分そいつかな。
「でも、ほかのクラスにも、もう1人転校生来るらしいよ。うちに来る子どんな子かな〜。友達になろっかな〜。」
「もう1人来る…のか。」
すると魚以外にも誰か来るのか。
「もう1人も……女の子なのか?」
「噂によるとね。ん?もう1人“も”?なに裕樹、知ってんの?」
「嫌。俺はあまり知らん。なにも知らん。」
愛から逃げるように後ろに下がると、ホームルームのチャイムがなった。
愛は席が隣ではなく、少し後ろの方なので、自分の席に歩いていく。
そして、ずっと気になっている転校生。どちらも女の子。魚と、もう1人誰かのどっちかがうちのクラスに来る。
担任がクラスの扉を開け、さっそく転校生の話を始める。
「では、今日からみなさんの友達になる
紹介された人は礼をし、自己紹介を始める。
「親の仕事の関係でここに来ました。佐藤伊織です。しばらく……えっと、佐藤裕樹君の家に同居予定です。」
・・・は?
なに?どういうこと?いや、そんな馬鹿な……。
頭の中で朝の母のMINEがよぎる。
『これから仲良くする』ってそういうことかよー………。
まぁ当然、伊織さんは美少女。そんな子が俺の家に同居すると言うんだから、全生徒から視線を向けられる。
うん、俺もよく知らないのよ。俺も被害者だから、だからこっち見ないで…。怖いですみなさん。
伊織さんは俺の方に歩み寄り、俺の手を握る。
クラスが少しザワっとした。そして俺の背筋もザワっとした。
「裕樹君、これからよろしくお願いしますね。」
「あ、ああぁ。よ、よよよろしく。」
突然のことで、今日の授業の内容全てが頭の中に入らなかった。
友達にも話しかけようとしても、きっと朝のことで無視されるんだろう。
帰りの下駄箱で伊織さんが待ち構えていた。
「裕樹君、一緒に帰りましょう。」
「あぁ、帰るか。」
2人で並んで帰ることになり、校門で伊織さんのことについて聞いた。
「伊織さんって__」
「伊織さんじゃなくていいわよ。伊織で。」
「い、伊織。なんで家に来るんだ?親は仕事でこっちに来たんだろ?だったらその親と一緒に暮らせばいいんじゃないか?」
伊織は歩きながら顔を少し下げ、思い切ったような顔をしてこちらを向いた。
伊織が足を止めると目の前で白いものがぶわっと勢いよく出てきた。
白い羽が散る。あのとき、学校に向かっていたときと同じ羽が。
「私に親はいませんよ。いや、ほんとはいるんですがここにはいません。」
「は…?じゃ、じゃあ死んだのか?」
「いいえ。天界にいます。この世にはいません。遠く、遠く上にある世界です。」
「となると、親の仕事っていうのは嘘。でも、なんで俺の親と接点があるんだ。」
俺の口を人差し指で抑え、ニコッと笑う伊織。
「それは、今は秘密です。私のタイミングで言いますね。」
☆ ☆ ☆
伊織と家に着き、リビングに向かうと朝ぶつかった人がいた。
「あっ、朝に会った……魚だっけ。」
「砂亜菜よ!さ・あ・な!!!」
砂亜菜と睨み合う中、伊織は砂亜菜の手を取る。
「砂亜菜、裕樹君と仲良くしなさい。これから一緒に暮らすんだもの。」
あぁ、やっぱこう目の前にするとこれから一緒に住むってことが実感できる。
伊織が胸に手を置き、思い出したかのように話し始めた。
「あ、忘れてたわね。改めて自己紹介させてもらうわ。私は姉の伊織。ここに来たから、佐藤伊織ね。」
「ならアタシも…。アタシは妹の砂亜菜よ。佐藤砂亜菜。」
2人は俺に近ずき、耳元でこう言う。
「「よろしくね!お兄ちゃん!」」
裕樹の2人への感情→少し気になる。
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嫌いなワケ
「「よろしくね!お兄ちゃん!!」」
俺に新しい家族が出来た。姉妹だ。それに2人。
だが、俺はそこから恋愛展開に発展することも姉妹が出来ることに嬉しく思っていなかった。
なぜなら俺は、姉妹が欲しくないからだ。
それはこんなことを思い出しちまったからだ。
姉妹が嫌いな理由を俺は頭の中でコマ撮り写真のように流れていった。
ある日、俺がまだ幼かった頃。とある姉妹がいた。その姉妹のことはもう覚えていない。覚えたくもない。
俺は昔、臆病で消極的な性格だった。友達の家に行った時たまたま階段の踊り場でその友達の姉妹にばったり会ってしまった。つい驚いてしまって階段から落ちてしまった。
幸い怪我は大きくなかったが、俺が落ちた時、その姉妹は高々と笑っていた。友達はすぐに駆け寄ってくれたが、その姉妹はずっと腹を抱えて笑っていたのだ。それから俺は姉妹という存在に恐怖と嫌悪の感情を抱いていた。
そして、嫌いなのはもうひとつある。
深夜寝付けなくてテレビをつけた時に流れていたアニメを見ていた。それは途中で話はあまり入ってこなかったが数分後に流れたシーンで絶句した。それは主人公がその主人公の姉妹に無惨に殺されるシーンが流れたこと。
それでトラウマに思ってしまい、それ以降姉妹というものに再びあの2つの感情を抱いてしまった。
これが俺の姉妹という存在が嫌いな理由。
単純で地味と思われていても何も思わない。
弱いやつは恐怖というものに長い時間かけても勝てない時がある。
そう、こんな回想してる時も……。
「ねぇ!お兄ちゃん!アタシの話聞いてる?」
砂亜菜からの攻撃を受けていた。
俺は砂亜菜からも伊織から話しかけられても適当に返すか無視するかの2択。
冷たくして、なんとか俺は過去の経験のようなことをしないようにしていた。
あんなトラウマ…俺はまだ死にたくねぇ……
(殺されません)
「ちょっとー最初は声掛けても聞いてくれたのにいきなり冷たくして…。妹ちゃん悲しんじゃうなー。」
「そうか。冷たいならコーヒーでも飲んでくる。」
「あ、ちょっと!話聞いてよ!」
「話を聞いたからコーヒーを飲みに行くんだ。」
ぷいっと顔を横に向ける砂亜菜を一瞥して、コーヒーを飲みに台所に向かった。
台所には伊織がいた。伊織は姉妹の姉だ。そして俺の姉でもある。誕生日が伊織の方が数日早いということで姉となっているが、正直今まで話した文は画用紙両面1枚くらいだろう。
「裕樹君、どうしたの?というか、私たち一緒に住んでから1週間は経つけど……どうしてそんなに冷たいの?」
「ただコーヒーを飲みに来ただけだ。それにさっきも砂亜菜に言われたが俺は冷たいから今コーヒーを飲みに来た。」
今の俺は2人に対して、情はない。
だが、これはすべてあのトラウマのせいなんだ…。
正直、あのトラウマからは解放されたいが、この2人を見るとどうしても思い出してしまう。
「裕樹君、最初は話聞いてくれたよね…。今は…なんで?」
____最初は声を掛けても
____最初は話聞いてくれたよね
伊織の「最初は」という言葉に砂亜菜に言われたことも頭の中で過ぎる。
最初は最初はって…そりゃあれを思い出してなかったからだ。俺だって消したかったのに自分に姉妹が出来たらこうなっちまった。
時刻は夜10時。台所で伊織と重たい雰囲気の中にある。
確かにこんなことで姉妹と仲良くしないことはどうかと思う。でも、俺は乗り越えられないんだ…。
いきなり俺はなにかもの淡い光に包まれた。
これはと思い、伊織を見るがなにもしていない。というかなぜかホッとした顔をしている。
つい、後ろを見ると砂亜菜が俺に光を与えていた。出会った時のように、俺は体と心が楽になっていった。
「少し楽にさせようと思っただけよ…最初みたいに勘違いしないでよね。」
「あれは勘違いとかじゃなく俺の怪我だろうが…。」
まだ俺は2人に理由を話すつもりはない。
だが、この姉妹といると少し楽になる気がする。
「それで、お兄ちゃんはアタシたちに話す気はないの?」
まだ…いいかな。正直言ってこの2人に慣れてないし。怖いし。臆病者ってことはわかってるけど、どうしても慣れない。
「あぁ。まだ…な。」
「ふーん…わかったわ。お姉ちゃん。兄か弟が出来たらの話…実行しよ。」
砂亜菜が伊織とコソコソ話を初め、何かを決心したような顔をした。
「裕樹、まずは私の“おもちゃ”になってもらうわ。」
「は?おもちゃ、おい伊織何言って…ちょ、砂亜菜!!」
砂亜菜に助けを求めても、笑顔で手を振って見送るだけだった。
くっ、くっそ〜。あの野郎。あとで覚えておけよ……。
そう心の中で思い、俺はただ伊織に引きずられていくだけだった。
そして俺は伊織の部屋で沢山遊ばれたのであった。
翌日の学校。
「つ”か”れ”た”〜”」
「だ、大丈夫裕樹?」
机の上に顔を付けて疲労感じる俺を愛が休み時間ずっと心配してくれた。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
1話から投稿が遅くなって申し訳ないです。
この作品は不定期更新となるので、自分も次の話を投稿できるか分かりません。
ということで、2話が終わりましたが、どうでしょうか。
読んでくれた方に姉妹はいますか?もしくは兄弟はいますか?
ぜひ、嫌いにならずちゃんと受け入れてくださいね。
ちなみに言うと私は妹が欲しかったです。
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ネコのおぎゅう
春が終わり、梅雨の時期に入ったある日。住宅街の道、茶色の毛をした猫がダンボールの中に入っていた。
まるでその雨を降らしたかのように大きく鳴いている。
学校の下校中に私__
「ニャーニャー!」
「あら、可哀想…一体誰が捨てたのかな。」
持っていた傘の中に猫を入れ、共に雨をやり過ごす。
「裕樹君の家って、ペット大丈夫なのかしら。」
「ニャー?」
「そんな愛くるしい顔で訴えられちゃ…連れていくしかないじゃない。」
私はダンボールごと猫を運び、家に帰った。
☆ ☆ ☆
「ただいま、裕樹君少しいいかしら。」
「おぉ、なんだ。改まって。」
「単刀直入に言うわ、ここってペットは大丈夫なの?」
ポカンとする裕樹君…案外可愛いじゃない。
「あ、あぁ。母さんに聞いてみる。」
台所に向かった裕樹君を見送り、靴箱に靴を入れて猫を自室に連れていく。
ニャーと可愛らしく鳴く猫を見ていると心が癒される…。
しばらく猫とじゃれていると、ドアがノックされた。ガチャと音を立てる。開けてきたのは裕樹君だった。
「おーい、伊織。ペットは大丈夫らしい。それと、今日の夕飯は牛丼だ。」
裕樹君の“牛丼”ということに反応したかのように猫はいきなり走り出し、裕樹君の足の間を颯爽とくぐり抜けてリビングに向かった。
私と裕樹君は猫を追い、リビングで見た姿に驚いた。
猫が人のように椅子に座り、牛丼を食べていた。
「は…?なに、伊織なにした?トラックに轢かれそうなところを助けたのか?」
「いや別にそんなことはしてないわよ。ただ道に置いてあったから、連れてきただけよ。」
裕樹君と共に困惑をしていると、家では聞いた事のない声が響いた。
「この度はありがとうございましたにゃ……少しわがままなのですが…お風呂に入ってもいいかにゃ?」
「は?(え?)」
「「ええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」」
状況が理解できないわ…。猫が人みたいに食べてて、人の言語を話す…。どういうこと、最近の猫は最新技術で話せるようになってるのかしら。
「どうやら……驚いてるみたいね…。」
「そりゃ驚くわよ。普通この世に言語を話す猫とか悪魔とか天使とかいるわけないでしょう?」
「あんた天使だろ。」
「へぇ…あなた天使だったんだ……。私は…
化け猫…聞いたことしかないわ。日本のものに関しては無知だからどう対処すればいいのか…。
再び化け猫は牛丼の食事を始める。
1口食べるごとに化け猫の体から煙が立ち込み、徐々に姿が変わっていく。
そして、変わったあとの姿は私たちと同じような人間の姿。
「ほう…これが人の姿。……悪くは無い。」
グレーの長い髪の毛で、身長は中学生くらいの姿。肌は白く、顔は人形のように綺麗に整っていた。そして、裸。
「って服を着てください!!」
「そうか…人となると服を着なければいけないのか。……そこの男。」
「え、お、俺…?」
化け猫が1歩1歩と裕樹君に近づき、なにをするのかと考える。
服を貸すとの要求?一緒にお風呂?昼寝?なにをするの…?
化け猫は裕樹君のシャツを掴むと、そのシャツの中に入り込み、裕樹君との密着度MAXの状態になった。
その時、いきなりリビングのドアが開く。
リビングに入ってきたのは私の妹の
「ただいま〜……ってえぇぇぇぇぇえ!?ちょ、お兄ちゃんなにやって…この変態!!」
「待てこれは誤解だ砂亜菜ぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うるさい…耳を閉じなきゃいけないじゃないか…。」
「あぁ…わりぃ。」
猫耳をペコペコ動かす化け猫。ちゃんと可愛いじゃない…。
色々あってみんなで牛丼を食べて、裕樹君の部屋で裕樹君、私、砂亜菜、そして化け猫の4人で会議をすることになった。
「それでお兄ちゃん、さっきのことは__」
「だからあれはこの化け猫の野郎が入ってきたからだ!」
化け猫が手を挙げ、ひとつの提案をした。
自分の名前の提案だ。
「私は……化け猫という名じゃない…。だけど、私にはちゃんとした名前はない…。だから、お前らが付けて…。」
私たち3人はしばらく悩んだ。雨が降っている中見つけたから【アメ】
牛丼を食べていたから【おぎゅう】
化け猫だから【ばけにゃ】
いくつかの提案をした結果この3つに絞れた。
「ちなみにアタシはおぎゅうにするつもりよ。」
砂亜菜は大きく宣言をした。
「俺はばけにゃだな。さすがは俺のネーミングセンス。」
「あんたのネーミングセンスは最悪よ。」
この2人は仲良くなったのね。良かった。
「私はアメね。」
「全部1票ずつ…どうするの……。」
ここでまた悩む。
「やっぱりここは化け猫のあんた自身に決めてもらうしかないんじゃないかしら。」
砂亜菜の発言を聞いて、しばらく悩む化け猫。
数分経ち、閉じていた瞼を開く。
「そう…なら、おぎゅうで…。」
「やったー!情報提供ありがとね、お兄ちゃん♡」
「くっ…教えるんじゃなかった……。俺の失態。」
「やっぱり、2人とも仲良いじゃん。」
「「仲良くない!!!」」
ふふ、と微笑むおぎゅうの笑顔を私は見逃さなかった。
今すぐにも…私はこのおぎゅうをなでなでしたいぃ。
裕樹君と砂亜菜は2人で楽しんでるし、今のうちに…。
「そこの女……名は?」
「伊織よ。」
「伊織…覚えた……。ここは温かいな。」
「そうね、とても温かい所よ。きっとおぎゅうも好きになってくれると思う。」
「あぁ、そうだな。」
「それと、おぎゅう。」
「なんだ?」
「なでなでさせてぇ〜!!」
「んにゃ!?にゃぁぁぁぁぁー!!!!」
裕樹君の部屋におぎゅうの悲鳴がこだましたとさ。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
言い忘れてましたが、この作品は1話完結物となっております。
この回から登場した「おぎゅう」は妖怪の化け猫。
天使との関係はあるのか…。
そして、未だに裕樹は伊織と砂亜菜のことを嫌ってます。
前回の嫌いなワケで裕樹の冷たい態度により、砂亜菜も裕樹のことをあまりよく思っていません。なんとか仲良くなるかな…?
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おぎゅうの日常
私は__
現在、
「すぅ…すぅ……」
「おーい、おぎゅう。起きろー。寝るなら俺のベットでいいから、俺の上で寝ないでくれ、動けないよ。」
「主が動けなくても私には問題ない…」
「俺に問題があるんだよ。」
「仕方ない……私は主の部屋で寝るとする…。」
目を擦り、眠いという意識もありながら、主の部屋の2階へと向かう。
主の扉を開けると、主の妹、
「…魚……?」
「砂亜菜よ!猫だからって許してもらえると思ってんの!?」
「だが…似てる…。それに……眠いからあまり大きな声を出さないでくれ…。」
フラフラとしながらベットへ向かい、倒れ込む。
「あんたねぇ…休日だからよかったけど、平日だったらアタシたち3人とも学校行ってるんだからね?ご飯とか出来るの?」
「なんだか……
母上…今頃どうしているの…。私は主を見つけたことを母上に報告したい。どこで、なにをしているんだろう母上…。
「誰があんたの母親なんてするもんか!」
「砂亜菜は…厳しいな。」
砂亜菜は何も言わず、ドアを静かに閉めて部屋から出ていった。
静かになったせいか、睡魔が襲ってくる。そのまま私は主のベットで寝てしまった。
☆ ☆ ☆
目を覚ますと、外はまだ明るかった。主によって早寝させられたから昼寝もそこまで長くならなかったのだろう。人間の体になったせいで、人間のような生活を送ることになってしまうのか…。猫は楽だな…。
「ふぁ〜…んにゃ、やばい……また猫耳としっぽが…。見られるのは…恥ずかしいから集中しないと…。」
妖力で人間に
妖力の効果が弱まると猫化が進んでしまう。
それに、あまり人間の姿で猫耳と尾が生えてるのは色々とめんどうなことになるからな。
以前、主の部屋で見つけた擬人化とやらの本を見てみたらなにかと大変なことになっていたので嫌なのだ。
耳と尾をしまう為、妖力を溜めているとノックの音もせず、いきなり部屋の扉が開いた。
「おーい、おぎゅう。起きろー。さすがにもう起きたよな___」
「はにゃ!?ぬ…主…?こ、この姿は忘れろにゃー!!!!!」
「えっ!?っつか、猫耳……って引っ掻くな痛い痛い!わかった、わかった!今すぐ出て忘れるからー!!!」
バタンと大きくドアが閉じる音が部屋に響く。
もう一度妖力を溜める。
溜める中、私は主にあの姿を見られたことを考えていた。
正直言って、私も一応乙女だ。恥ずかしいものは恥ずかしい。いくら同じ人間の姿だとしても、猫耳と尾が生えているし、きっと人間界じゃ、ああいうものは醜い大人に襲われてしまうものだろう。
まったく…特別に主と2人きりの時だけは見せてやるか。
妖力を溜め終わり、主に声をかけると、ゆっくりとドアが開き、隙間から主の顔が出てきた。
「そんな警戒しなくていいぞ。もう終わった。」
「はぁ、良かった。でも、初めて会った時にはあんな風な姿はしてなかったのに、なんで?」
「あぁ、あれは妖力の問題だ。あの時は牛丼を食べてなんとかなったが、昼寝をして気が抜けてしまっていたのだろう。ついああなってしまった。」
「ほぉ…天使とか妖怪とか俺の身の回りには色々多すぎるよ。でも、楽しいからいいけど。」
主の笑った……。
「ど、どうしたの?そんなぽかんとした顔して…。やべ、なんか俺変なこと言ったか?」
「ふふ、なんでもないぞ。ただ主は優しいんだなと思っただけだ。」
「ま、家の飼い猫だし、一緒に住んでるんだからな。」
☆ ☆ ☆
日が暮れ、月が綺麗な頃。
私は主の姉__
「伊織…胸大きいんだな。」
「わお、かなりストレートに言うんだね…。」
「私は……。ないに等しい…。」
自分の胸元を手で擦りながら、伊織の大きい胸を眺める。
感触はいかがなものか。
「伊織…触っていいか……?」
「へっ!?ま、まぁ…おぎゅうは女の子だし…い、いいよ……。」
差し出すように胸を張る伊織。目を閉じ、頬が赤いことから、恥ずかしがっていることがわかる。湯気で少し分かりずらいが…これが乳首か?
恐る恐る指で突くと、伊織の口から「ひゃん」という甘い声が漏れた。
「お、おぎゅう…そんな風に触んないで…。ちょっと恥ずかしい…。せめて触るなら思いっきり揉んで欲しい。」
思いっきり掴んで欲しい…。なるほど、伊織はMなのか。
「そうか、Mなら仕方ない。思い切り揉もう。」
大きな膨らみにいざ手を伸ばしてみる。それはとても柔らかく、マシュマロのようだった。
それに、指が埋まる。なんというデカさ…。
欲しい。
「あ、あの…おぎゅう?これ…いつまでやるの?」
「私の…気が済むまで…にゃ。」
「そう…。」
一体どうやったらここまでなるものか…。
そういえば、どこかで聞いたことがあるのだが、揉まれたら大きくなるという説を聞いたことがある。試しに今夜主に揉んでもらうか。
お風呂から上がり、パジャマに着替えて主の部屋に向かった。
主は椅子に座り、本を読んでいた。
私は焦っている訳では無いが、多少は欲しかったから、すぐに主に事情を話した。
「__ということで、揉んでほしいのだ。」
「ということで……じゃないよ!なんで男の俺なんだ!?」
「きっと伊織と砂亜菜じゃ、私を遊ぶ。だから、主でないと嫌なのだ。」
「そんな…俺は、恥ずかしいし、まずまず女の子のものなんて揉むほどの度胸は__」
パジャマの上着を脱ぎ、上裸になる。
「んなぁぁぁ!?なんで、ぬぬぬ脱いでんの!?ちょ、今すぐ着て!?」
「抵抗する主も…可愛い……。」
私は主を椅子ごと押し倒し、覆い被さるような形になった。
主の手を取り、自分の胸をへと運ばせる。
「ほら、揉むのだ。揉んで私の胸を大きくさせるのだ。」
主…抵抗しようと力を入れてる…。
「ちょ、おぎゅう、力強くない?」
「妖力で強くしてるだけ…早く揉んで。」
「だからって無理やり揉ませようとしないで!?」
むむ…主のモノが膨らんでいる…。もしや、貧乳好きか。
「主よ、私とヤるか?」
そう言うと、いきなり部屋のドアが破られ、主から剥がされる。
「お兄ちゃん!大丈夫?」
「さ、砂亜菜…助かった。」
く…主の妹、砂亜菜。どこまで私を妨害するのだ…。
「仕方ない、今日は出直すとする。だが、主、いつでもヤる準備をしておくのだ。では、おやすみ。」
「まったく…あの猫は…。お兄ちゃん!ちゃんとしっかりしてよね。じゃないと…私のお兄ちゃんじゃないわ。」
「あはは…以後気をつけます。」
その日を境に、毎日おぎゅうが寝込みを襲いに来るのだった。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
おぎゅうのように上で寝てくれる可愛い女の子がいてほしい(そんな人がいたら鼻血ブーで出血多量)
おぎゅうの家庭も後々出す予定なので、楽しみにしていて下さい!
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♥友と興奮♥
初めてあの2人と出会ったのは春の時だった。おぎゅうと会ったのもすぐだった。俺__
「んで、その姉妹は前に転校して、ウチに来た伊織っていう子と、3組に来た砂亜菜ってやつだろ?」
大輔は、両親が銭湯を経営しておりそこの高校を卒業したらそこに就くらしい。運動が大の得意で、筋肉も多いが勉強は下から数えた方が圧倒的に早い。
「僕のクラスに砂亜菜って人が来た。席は僕の後ろで、転校初日は僕に握手を求めてきたけど、適当に返しといた。」
妖精がヘッドフォンを首に下ろして、スマホをポチポチしながら大輔に続けて言った。
妖精は女子によく間違えられるが、実は男である。銀髪ショートで腕のところに白いラインが入った黒の上着をよく着ている(生徒指導室にとょくちょく呼ばれてる)。授業中以外ヘッドフォンをずっと付けているので話を聞いてるかわからないが、ヘッドフォンを首に下ろしたら確実に聞いてる。スマホをいじらながら。
「それでさ大輔、妖精。少し俺に案外あるんだけど__」
俺は前に思いついた作戦を2人に話した。その名も、多様性作戦。現代社会で、同性愛なども許されている。だから、この2人に協力をしてもらって男3人で夜の営み的なことをしてる感じにする。もちろん、親のいない時だよ。
「……うわ、キモ。」
妖精の言葉が1番痛かった…。
肉体的じゃなくて精神的に響く言葉はキツイって妖精。
「協力するのは問題ないんだけどよ、そんなことして俺らにメリットはあんのか?」
「協力するのは問題ないの!?」
「どうした妖精、恥ずかしいのか?」
「そういうことじゃ……」
もじもじするな!男だろ!女みてぇなことするな!目覚めるだろうが!
「嫌なら…作戦を変える。だけど、もしこれ以上出なかったらこれでいく!」
その後、何度も話し合いを行ったが良い案は出てこなかった。
ということで…。
「いざ決行!!」
「なぁ、妖精。俺らって裕樹の家来るのって初めてじゃねぇか?」
「確かに。というか、まずはあの姉妹が家でどんな服装か。」
「服装?なんでだ?そこまで問題ある事じゃ……はっ!」
「気づいた?もしかしたらだけど、家でラフな格好で裕樹を魅了するような服装だったら、近親そ__」
「それ以上はR―18になるからやめろ。」
「メタ発言もやめといた方が。」
☆ ☆ ☆
裕樹の部屋にて。
「おおおい、お前ら落ち着くぞ…。ききき今日は作戦の決行日だ。マジではしなくていいから、とりあえず声だけでも…。」
「1回裕樹が落ち着いたら?」
「そそ、そうだな…深呼吸。すぅーはぁーすぅーはぁー。よし!妖精、ヤるぞ!」
「僕みたいな…女の子にそんな大胆に言うなんて…」
トゥンク…じゃねぇよ!なんで俺は胸がときめいてんだコノヤロウ!こいつは男!大丈夫、きっと大輔も__
「やばい…妖精が女の子に見えてきた。」
ダメだったわ。ここにストッパーがいねぇ。どうしよう、これじゃあこの作品がBLになっちまう。
この作品の趣旨が変わろうとした時、部屋のドアがノックされた。
今の状況はまずい…。脱ぎかけてる妖精に俺は覆いかぶさってるし、大輔は息が荒いし…。
「主……入っていいか。私も主の友達とやらに会ってみたいのだ。」
「おぎゅう!?ちょ、ちょっと待ってくれ。」
おぎゅうならきっとストッパー役になってくれる!
そう期待したんだがな……。
「主、この前の続き……しよう。ほら、私の胸を、ぎゅっと…。」
「お、おい妖精!マジもんが目の前で見れるぞ!一応お前も男なんだから興奮するだろ!」
「まぁ…うん。」
やべぇ、変質者を呼んじまったかもしれねぇ。
大輔がこんな風になるのは初めて見るな。
昔からの付き合いで、憧れていたけど今の様子には憧れないな。こんな状態が学校にバラされたらきっとあいつは大変な目に…。
だから俺は、これを止めなくちゃいけない!
「おぎゅう!ダメだ!俺たちはそんな関係になっちゃいけない!」
「私はただ…揉んでほしいだけなのだが……。主は交尾を期待していたのか…?」
「あ…そういえば前は胸を揉んでほしいだけだったのか…ホッ…。」
安心したとき、元気になった息子をなんとかバレないようにしていたが、おぎゅうに先端を掴まれた。
「安心しているが、主のここは期待しているようだぞ。私は…別にシても構わない…」
心臓の音がよく聞こえる。目の前の光景にドキドキしてしまっている自分がいる。
期待している自分と罪悪感に包まれている自分もいる。
その時、廊下から「ちょっと待ったー!」という声が響くと同時に俺の部屋のドアが強引に開けられた。
「おや、主の妹の砂亜菜…。」
開けてきたのは砂亜菜だった。
「アタシの…アタシのお兄ちゃんなんだから!!」
砂亜菜の口から大きく放たれた言葉に少し驚いてしまった。
自分が姉妹を嫌っているのに関わらず俺のことを兄だと思っていたと知ると、どこか安心したような感覚だった。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
私の事情で投稿頻度が下がるかもしれません。いや、下がります。そこのところは申し訳ございません。
ですが、作品はしっかり続けていくので応援よろしくお願いします。
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突入!学校!
今日も今日とて、新しい姉妹が出来たとのにも関わらずいつも通り1人で登校。
それは、俺が姉妹を嫌いだから。家族になったんだから仲良くしろと思われても仕方がないが、前にも話した通り俺には姉妹が嫌いな理由がある。
それが無くならない限り、俺はあの2人のことを好きにはなれないだろう。
そして今日もいつも通り教室で本を読んでいると、幼なじみの
「ちょっと、裕樹ー?また無視?愛ちゃん悲しんじゃうなぁー。」
「お前、一人称愛じゃないだろ。」
「あ、やっと返してくれた。」
元気にニコッと笑う愛の表情はどことなく砂亜菜に似ていた。
そう思っていると、愛からあの“姉妹”について聞かれた。
「またかお前は。家でも学校でもそんなに話さないよ。まずまず、幼なじみならわかってるだろうが、俺は昔から姉妹というものが嫌いだろ。」
「そうだねー。でも、あれから時間も経ったし、もう大丈夫だと思ったんだけどな、私は。」
「時が癒してくれたら良かったんだがな。」
「時が癒してくれたら、あんな風に伊織ちゃんが裕樹のことを気になってないんだろうなー。」
そう愛が言うと、伊織が気になってしまい、そちらに目線を送ってしまった。
すると、愛の言った通りもじもじとした感じで俺を見つめていた。
だが、俺はすぐに読書に戻る。
「あらら、すぐに本読んじゃって。もしかして、伊織ちゃんと熱い眼差しで照れちゃったのかなー?」
「そんなことがあったら今すぐ早退する。」
「主が早退したら…私が……慰めてやろう…。」
愛の横から現れてきたおぎゅうが続けて言った。だが、なぜここにいる。ここは学校だ。
おぎゅうまでここに転校となったら困る…。
毎回寝ている時に裸でベットに入ってくるもんなんだから、同じように学校でもやられたらとんでもないことになるぞ。
「えぇー!?何この子可愛いー!」
「んにゃ、そんな風に撫でるな…。私を……撫でていいのは…主とその…姉妹だけだぞ。」
「そこに私も追加してよー!」
「今日…初めて会った人を……撫でて良いと…承認するわけがない…。」
ホームルームのチャイムが鳴り、愛は自席に戻りおぎゅうは俺の隣にいたままだった。
もちろん、先生が来るとおぎゅうは連れていかれしばらくすると先生と制服姿のおぎゅうが来た。
「えー、今日また転校生が来ました。では自己紹介お願いします。」
「よろしく……お願いします。主…いや、裕樹君のペットの……おぎゅうです…。」
はい来ましたクラスメイトの痛い視線。
「裕樹君、君は一体この子になにをしているのかな?」
先生がじりじりと問い詰めて来るのが怖すぎる…!確かにペットではあるけどここでは誤解を生むからやばい!
突然椅子を引く音が聞こえ、伊織が先生の元へ向かう。
「おぎゅうちゃんは私と裕樹と共に住んでる方です。ペットというのはおぎゅうちゃんの虚言です。ので、裕樹君は別に悪いことはしておりません。」
伊織は普段学校では真面目で誰からも好かれている存在、先生からも変な風には思われてなく、嘘はつかないと思われているのだろう。
先生はすぐに引いてくれた。
後で礼を言うか。
その日は休み時間におぎゅうがずっと俺の膝の上に座っていること以外普通だった。
だが、授業中にわかったのはとんでもなくおぎゅうが勉強出来ないということ。
化け猫ということもあり、人間の勉学に疎いことは予想はついていた。
その日の帰り道、俺と伊織とおぎゅうの3人で帰ることとなり、休日に砂亜菜含め4人で勉強会を開くことになった。
「てっきり俺は妖力で勉学もなんとかなるとは思ったが、出来ないのか?」
「無理…出来るけど……したくない。めんどうくさい。」
「おぎゅうがやりたくねぇだけじゃねぇか…。仕方ねぇ、一応俺だって勉強が苦手なわけじゃない。教えられることは教えてやる。」
「それと裕樹君、実は砂亜菜も…色々と。」
「は?砂亜菜も?マジか…まぁ伊織と2人体制でいけばなんとかなるよ。」
砂亜菜も勉強が苦手とはびっくりだ。あれだけでかい口を叩くもんだから俺よりなにもかも上とは思ったがな。
勉強会当日。
砂亜菜とおぎゅうは机でぐったりとしていた。
「こーら、2人ともしっかりしなさい。勉強会するわよ。」
伊織がしっかりしていて助かった。もししっかりしてなかったから俺は部屋に引きこもってるね。
「お姉ちゃん〜、なんで勉強会なんて開くのよ〜。それにおぎゅうが学校行くなんて初耳だったのに。」
「なぜか学校に来てて、色々あって学校に入ることになったらしいわ。」
「え?でもお金とかは…。」
「主が払ってくれる。」
自慢げに言うな。経済的に俺が死ぬんじゃ。
「というのは…冗談で……。本当は…主の両親が払ってくれる。」
「それじゃあ、感謝しなきゃね。ということでアタシは部屋で感謝するためになにかお礼の物を考え__」
「砂亜菜ちゃん?なに逃げてるのかしら?」
「お、お姉ちゃん…ひえぇ。」
おぎゅうと砂亜菜は俺たち2人にみっちり勉強を叩き込まれたとさ。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回はおぎゅうが学校に転校してくる話でした。
ちなみにおぎゅうは妖力で頭が良くなるのは本当です。
それと、身体能力も可能です。しようと思えばボンキュッボンも可能です。いつかの話に出しましょうかね。
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構ってくれないならヤっちゃうぞ☆
※本編内に微エロ要素あり
今日も今日とて、俺__
「ねぇーねぇー、裕樹さーん?いつもこうやっても構ってくれませんけど、いつになったら構ってくれるんですかー?」
「死んだら構ってやる。」
「へぇーそれじゃあ…」
ん、いきなり睡魔が…。今日もしっかり寝たはず。くっ…無理だ……寝てしまう。
俺は睡魔に負けてしまい、そのまま机の上に腕を組んだ状態で寝てしまった。
目を覚ますと、学校ではなかった。
周りにはクラスメイトもおらず、自分が読んでいた本も、座っていた椅子もなかった。
ただ目の前にあるベッドを見つめたまま俺は立っていた。
ベットの上にはYESと書かれたピンクのハート型の枕が
恐らく、アレだろう。だが、俺はそこまで夢に出てくるほどではない。そこまでそれの欲は強くは無いはずだ。きっとな。
背後から扉の開く音が聞こえ、そちらへ向くと裸の
愛のように具現化された何かの生き物か、本当に愛か。
「裕樹が構ってくれなかったから、こうするしかなかったんだよ?」
「愛…だよな?本物の愛だよな?」
「うん、このサキュバスの姿では初めてかな?でも、この姿を人に見せるのは裕樹が最初じゃないんだ。何十人も何百人も、私はその人たちの性欲を食べてきたんだよ。」
ほう…サキュバスか。前に天使と来て、今度はサキュバス。
正直あまり驚きはしない。
それは表情と行動にも出ていた。
「えぇ!?裕樹が驚かない!?そんな…。」
「まぁ、新しく出来た家族が天使だから。それに、前に来たおぎゅうだって化け猫だから。もうそういうので驚くのは慣れたぞ。」
「くっ…だけど、私のHのテクには驚くんじゃない…?私のここに入れたら、即イキするんじゃない?」
愛はそう言いながら、自分の
その指は、そのまま陰部の中へと入っていく。
愛は俺の目の前で
いやらしい音、愛の喘ぎ声、陰部から溢れてくる液体。
俺はその光景から目を外すも、俺のアソコは元気だ。
視界の端で愛がこちらに近づいてくるのが分かる。きっとここで俺は卒業する。高校卒業の前に、ここでひとつ卒業してしまう。だが、それもいい。いや、ダメかもしれない。
ここでしてしまったら、あの姉妹になんて説明をすれば…。
「
つい、思っていたことが口に出てしまう。
その言葉は愛にも届いていて、俺の目の前で動きを止めた。
「やっぱり、その二人だったのね。でも、奪えばいいよね。死ぬまで搾り取ってあげるからね☆」
愛が俺のズボンを下ろし、俺のアソコを咥えようとした時。頭の上に白い羽根が乗る。その時に、初めて砂亜菜と会ったことを思い出した。
角でぶつかり、俺の頭の上に砂亜菜の羽根が乗ったこと。なぜか蹴られ、治療してもらったこと。
砂亜菜、もしここにいるなら__
「このバカ兄貴。」
俺をここから出して、また治してくれ。
☆ ☆ ☆
砂亜菜に助けられ、放課後に伊織と砂亜菜と愛と俺の合計4人で、会議室でこのことについて話し合うことになった。
伊織は不満げに、砂亜菜は少し
「お姉ちゃん!またこのサキュバスだよ!それに前と同じようにヤろうとしてた!」
「砂亜菜、落ち着いて。前にも何度かあったけど、今回も同じね。対象も。」
どうやら、二人は愛がこのようなことを元々知っていたようだ。となると、二人がここに来る前にも愛と関係があったと。中々気になるぞ。
「愛、今ここでは【サキュア】と呼ぶわね。」
「え?そっちで呼ぶの?そっちの名前はあまり好きじゃないのに…。」
「文句言わないこの兄貴をまた食べようとした性欲サキュバス!」
「サキュバスは性欲を食べるのが義務なんですぅー!」
砂亜菜と愛は仲があまり良くないようだな。
まぁ俺は実際この会話についていけてないんだが。
というか、いつから砂亜菜は俺を【兄貴】と呼ぶようになった?
砂亜菜が愛との口喧嘩で、ぷいっとこちらを見た時に、手招きで呼んだ。
「なぁ砂亜菜。いつから俺を兄貴と呼ぶようになったんだ?」
「あ、えっ、えーっと…それは、漫画の読みすぎで…。」
「そうか…。」
「なに?お兄ちゃんの方がいいの?」
「いや、砂亜菜が呼びたいように呼んでくれれば俺は構わない。」
俺的にはお兄ちゃん呼びがいいが、校内でそう呼ばれたらクラスメイトからの視線が痛い。
もうこれは二度も経験してるからわかる事だが、中々キツい。
「おやおやー?二人で密会なんて、ずるいな〜。」
「げっ、サキュア…。」
「なにが、『げっ』よ!昔から【サナ】は変わってない!」
サナ…。今の流れ的に砂亜菜の
「ていうか、サナのお姉ちゃんは名前言わないなんて卑怯ね。せっかくなら全員の名前を裕樹に覚えてもらわない?【イオ】?」
姉妹の姉の伊織はイオ。妹の砂亜菜はサナ。
幼なじみの愛はサキュア。
ということか。つい覚えてしまった。
よく人名は覚えてしまうのだが、中学の時にある女子を呼ぶ時に名前で呼んで、気持ち悪がられた経験があるため、それ以降あまり覚えることはしていないのだが、友好関係を築いてしまったがため覚えてしまった。
「お姉ちゃん!とりあえずサキュアにこれからああいう行動をやめてもらうようにしよ!」
「そうね。でも、抑制するためにはあの子の力が必要ね。」
「あの子?もしかして【エル】?」
その名を愛が聞くと、即座に嫌そうな顔をした。
「えぇ…エル?あの子に縛られたら何も出来ないじゃない!縛りプレイも悪くないけど。」
「そういうところよ!この変態サキュア!」
「サキュバスですが?」
「うるさい!変態!」
今日も元気ですね、この三人は。
ちなみに言うと俺は。ただ椅子に座ってその風景を眺めているだけでした。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回は、愛の正体が明かされた回でした。
サキュバスということもあり、サキュバスさを出すためには裕樹とHの手前まで行ってもらおうと思いましたが、1度はヤるのも考えました。
アナザーストーリーで、ヤったバージョンも書くのもありです。
そして、「あの子」の正体【エル】という人物は一体誰なのか?
これから登場するキャラ?もしくは、もう登場済みキャラ?
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認められたい
「んにゃァァァァァーーーー!?!?」
朝の7時にとある化け猫の叫び声で起こされた。
原因は
今日も今日とて、佐藤家の朝は騒がしい。
☆ ☆ ☆
放課後。
コンピューター室に俺__
そして何故か俺は椅子に座っている
それはなぜか。数時間前に遡る。
昼休み中に屋上で伊織と砂亜菜含めた3人で昼食を食べていた。
実は砂亜菜はまだ中学2年生である。だがなぜここにいるかと言うとこの学校は中高一貫校である。だが、高校の屋上に中学生は立ち入り禁止である。何故いるかは正直俺にもわからない。
「それで、今日の体育の持久走の時に男子が胸をよく見てきたのに気づいた時は冷や汗が止まらなかったよ〜」
「仕方ないよ、お姉ちゃんのそのたわわは男にとって欲望の塊だろうからね。ね、裕樹?」
「なぜ俺に聞く!?」
砂亜菜はいじわるな顔で俺に問いかける。
まるで悪魔のようだ。こいつ本当に天使なのか?
「悪魔みてぇな顔しやがって。本当に砂亜菜は天使なのか?初めて俺と会った時なんて俺の顔面蹴ったじゃねぇか。」
「はぁ!?なにアタシが悪いみたいな言い方してんのよ!あれはあんたがアタシのパンツ見たからでしょ!?」
「
「前をちゃんと見てなかったのはあんたもでしょ!」
「ちょ、ちょっと2人とも…落ち着いて。」
「「伊織(お姉ちゃん)は黙ってて!」」
その後も俺と砂亜菜は口喧嘩を続けていた。
伊織は時々止めに来るも、すぐに弁当を食べることに戻ってしまう。
そんな中、静かにこの会話を聞いている者がいた。
「まったく…うるさいな。ヘッドフォン越しでも聞こえるんだけど。」
周りを見ても声の主はいない。
「どこ見てんの裕樹。上だよ上。」
言葉の通りに上を見ると、そこには白い翼の生えた人がいた。
この人も…天使なのか?つか、なんで俺の名前知ってんだ?
「あー!!エルちゃん!お久しぶり!!」
「だから…砂亜菜が一番うるさいんだけど…。」
“エルちゃん”と呼ばれた人が地に足をつける。
最初は太陽のせいで顔がよく見えなかったが、降り立った時、俺は絶句した。
「よっ、裕樹。まさか友達が天使だとは思わなかったでしょ。」
彼女の名は、いや間違えた。彼は
後で大輔にも……
「ちょっと裕樹。
あれ、今思考読まれた?
「わ、わかった。俺たち以外の人には秘密にしておくよ。」
「ところで…」
妖精が腕を組み、プルプルと震える。小便漏れそうなのかな。
「なんでここに中学生が立ち入っている!!」
「「「すみませんでしたー!!」」」
そして現在に至る。
俺たち3人は妖精の前で土下座をしている。
妖精は風紀委員会副会長に務めており、1年フロアの風紀をほぼ完璧に保っている。
「まぁ、今回は初めてだから多めに見るけど次からは本当に怒るからね。」
「す、すみませんでした…」
砂亜菜が深々と頭を下げる。それを見て、俺と伊織も同じように頭を下げる。
「それじゃあ、もう各教室に戻っていいよ。その代わり砂亜菜は気をつけてね。高校生のフロアに中学生がいるなんて、先生に見つかったらめんどくさいし。」
「た、確かに…でも、見つからずになんて難しくない?」
「だったら…君のお兄さんについて行ってもらった方がいいんじゃないかな?妹が高校フロアに来ていたので、しっかりと帰るように送ってますって裕樹が言えばどうにかなるんじゃない?ね、裕樹?」
「なんで俺に押し付け__」
「ね?裕樹?」
「はい、わかりました…。」
妖精ってこんな怖かったっけ…。
俺たち3人は立ち上がり、コンピューター室を出ようとした時に妖精が思い出したかのように言った。
「そういえば伊織、砂亜菜。2人ともさ、裕樹に自分たちが天使かってちゃんと思われてる?」
そう問われると、2人は黙っている。
確かに俺も2人は家に住み込む姉妹と名乗っている2人(姉妹と認めたくない)と思っている。
天使らしいことを俺にしたのは、砂亜菜の治療くらいだ。
「天使は天使として、しっかり認めてもらう。それは父上に教えてもらわなかった?それに、君たちは特殊で裕樹と婚約する予定なんだから。今は姉妹として、次は恋人として、その次は妻として。そして、天使として認めてもらわなければ意味はない。認められることで僕たちの存在意義が達成される。」
“婚約”という言葉を聞いて、俺は耳を疑った。
伊織と砂亜菜に真実か問いかけるも、2人は首を横に振らない。
「裕樹、君は………いや、これはまだ言わないでおこう。」
「それ言わないならさっきの婚約の話も言わないで!!」
砂亜菜が顔を赤くしながらも素早くツッコミを入れる。だけど、その顔は姉妹でなく女の子としての顔に近いものだった。
俺は2人を姉妹として見ることから初め、次に恋人として見なければならないと言うのか。
先程の言葉を嘘とは思えない。
だが、今のところ。俺が2人をどう思ってるかと言うと……。
ただ話しかけてくるだけの女の子たちなんだ。
仲良くしようって意思が伝わってくる。俺もそれに応えようとする気持ちはある。
だけど、俺は…姉妹以上の関係を持たなければいけないのか……………。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
私の事情の関係で、投稿が遅れてしまいました。
申し訳ございません。恐らく、この作品は今年の12月に入ると同時に投稿が一時“中止”してしまいます。
完全に終了ではありません。ですが、これらのことをご理解の上作品を楽しんでくれると、誠にありがたいです。
では次回もお楽しみに。
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Acknowledge you
婚約…か。姉妹という存在が嫌いな俺にとって、この2人を姉妹として、恋人として見なければならなくなってしまった。
意識してしまうと、つい2人の顔から目線を逸らしてしまう。
だが、いきなりそんなこと言われても、俺も…
2人は元々そのこと知っていた上で俺と話していたとしても、結局は苦難の道。俺がまだ姉妹とすら認めていないからな。
「あ、あのさ…」
沈黙の中、最初に口を開けたのは砂亜菜だった。
「その…アタシたちはゆっくりいこうと思ってるから、お兄ちゃんも、ゆっくり慣れていって…ね?」
もじもじしながら言う砂亜菜はまるで
恥ずかしかったのか、すぐぷいっと目線を逸らしてしまった。
伊織はずっと黙ったままだ。
この重い空気を閉ざすかのように昼休み終了のチャイムが鳴った。
砂亜菜は走って中学の方に戻り、俺と伊織は教室に戻っていった。
午後の授業の内容はなにも入ってこなかった。
昼休みのことでいっぱいになっていた。
誰と婚約するか、なぜこんなことになっているのか、うちの母親はこのことを知っているのか、これからの生活はどうなるのか。すべてそんなことで頭の中が埋め尽くされていた。
ノートはあとで家に帰って伊織に見せてもらうか…。
そう思った時、肩をつつかれた。つつかれた方を見ると
「裕樹さ、昼休みからずっと考えてるけどどうかした?性欲ごとその悩み吸ってあげようか?」
「実はさ__」
今日の昼休みに起こったことを1からすべて愛に話した。
愛はしばらく考え、一言放った。
「まずは姉妹として認めたら?」
「それが出来たら良かったんだがな…」
「裕樹は昔からなにかを引きずりすぎなんだよ。昔にあったとこと、今の裕樹の姉妹は違うでしょ?伊織ちゃんや、裕樹の妹ちゃんは、裕樹のトラウマと同じじゃない。もう乗り越えていいんだよ、2人は裕樹を認めてくれる。絶対に。」
昔からそうだった。いつも何事も愛に背中を押される。運動だって、勉強だって、何かが引っかかってることを愛は理解している。俺のすべてを見透かしているように。
「ありがとう、愛。俺、なんか
「幼馴染に任せればどうってことないよ!」
ニカッと笑う愛に感謝をする。
この恩は忘れない、必ず返す。
そう決心し、教室を飛び出た。
「はぁ…いつも私は裕樹を助けちゃう。私だって、裕樹に認めてもらいたいのにな…。私も…裕樹好きなのにな…。」
☆ ☆ ☆
荒々しく玄関のドアを開け、リビングに向かう。
「あら、裕樹。そんな焦ってどうしたの?」
「母さん!伊織と砂亜菜は!どこにいるの!!」
「え、2人はここにいるけど…」
母親が指差す方向を見ると、心配そうな顔をした伊織と砂亜菜2人がいた。
「ど、どうしたのお兄ちゃん、そんな焦って。」
「なにか相談事ならお姉ちゃんに頼んでもいいのよ。」
「えっと…その、ここじゃあれだ!俺の部屋にしよう!」
俺は2人の手を掴み、自分の部屋へ連れていく。
2人をベットに座らせ、土下座をする。
「本当に今までごめん!今まで、俺は2人に良い態度をしてこなかった。良い弟として、良い兄として、過ごしてこなかった!だけど、そんなことは昔に引きずられてた弱っちぃ俺だった。昔のことなんて、抱えてきたトラウマなんて2人には関係ないのにそれを2人に写して見ていた俺が馬鹿だった!俺はずっと…2人に悪いことをした……。本当に…ごめん…。」
俺は震えた。俺は泣いた。俺は怖かった。俺はここまで自分が正直だと思わなかった。
だけど、俺は今までにない程に震えている。
悲しさか、嬉しさか俺にはわからない。
そして、今俺は2人の顔を見ることを出来ない。
「お兄ちゃん…もう顔上げていいよ。」
そう言われるも、俺は上げなかった。俺には今2人に合わす顔がないから。
「裕樹、気持ちは伝わったよ。私たちにそんなことを思っていたなんて初めて知った。私からも謝らせて、この前強引みたいに話させようとして。」
「アタシも…“最初は話してくれた”なんて傷つけてかもしれないのにね。アタシたち天使なのに、傷つけてたんだもん。言葉は怖いよ。お兄ちゃんも今思ってる通りアタシも怖い。だけど、アタシたちは天使。」
俺の背中に暖かい手が乗る。2人の優しさに包まれた手が。
「「だから、
俺の体全身が、包まれていく。あの時と同じ、砂亜菜に蹴られた時と同じ緑色のオーラのようなものが。
心が軽くなる。俺の不安がなくなっていく。
俺のトラウマが、2人に重ねていたトラウマがなくなっていく。
ありがとう、
「ありがとう…2人とも。」
俺は顔をあげ、2人に抱きつく。
「これで私たちも天使として……姉妹として認めてくれたかしら。」
ホッしたかのように伊織が言う。
「あぁ、認めたさ。2人は俺にはとって大事な家族で、姉妹だ。」
この時、俺は胸が高鳴っていた。
この日の夜。裕樹の部屋にて。
「お兄ちゃん〜!姉妹として認めてくれたんだからさ、今日くらい一緒に寝ない?」
「…………は?」
「えっ、ちょ、なに怖いんだけど。」
「砂亜菜…順序ってもんを考えろ!!やっぱお前ら姉妹嫌いだ!俺は姉妹と一緒に寝たくねぇ!高校生になって姉や妹と一緒に寝るか!この姉妹は、この2人はやはり嫌いだ!!俺の大嫌いな家族だ!!」
「あれ、順序ってことは、段階踏めば一緒に寝ていいってこと?」
ギクッ。やべ、俺は間違えて順序って言ってしまった…。今から訂正するのもあれだしな…。
「勝手にしろ。お前ら姉妹がどうしようがお前らの勝手だ!ただし、拒否するがな。」
「はぁぁー!?やっぱアタシもお兄ちゃん嫌い!」
そんな会話をドア越しに聞くお姉ちゃんの伊織であった。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回で裕樹は伊織と砂亜菜のことを姉妹として認めた?のかな。
まぁ本人もおそらく段階を踏めばよいのではと思います。
だけど、未だに嫌いという感情は残っている。それを好きにする2人の治療を見届けてください!
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抑えていたこの気持ち、まだ応えられない。
日曜の朝。
いつもの通りのパンと目玉焼き、ベーコンとサラダが出てくる。
そして、おいしそうにこれら頬張る。そんな姿を見つめている。
「おぎゅうちゃん、私の特製の牛丼はいかがかしら?」
主の母親は頬に手を当てながら聞く。
「とても...おいしい...。いつも...ありがとう...。」
「あらあら、嬉しいわ。」
「本当におぎゅうは牛丼が好きなんだな。今日の昼、ファストフードの牛丼を食いに行くか?」
それを聞いて、不意に猫耳が出てしまった。
主の素晴らしい提案......乗るしかないにゃ。
だが、さすがの私も朝昼の連続で牛丼は少しきついかもにゃ。
「
「そうだよな...さすがにおぎゅうでもきついよな。今日じゃなくても、いいもんな。ご馳走様、ありがとう母さん。」
「
主がお皿を片付け、洗い始めた。
洗ったお皿を置く音だけがリビングに響く。
「ねぇ、裕樹。
主の母親は思い出したかのように言った。
「さぁ、俺は知らない。」
母親は次に私の方を見るが、私も知らないので、首を横に振る。
「そう...。」
すると、母親がいきなり私の方に詰めてくる。
「ねぇねぇ、おぎゅうちゃん。今日こそチャンスじゃない?」
最初は何を言っているかわからなかったが、話を聞いていくごとにだんだんと思い出してきた。
その話は約1週間前、主が
☆ ☆ ☆
主と、天使の姉妹が寝た後、私は中々寝付けずにいたので、水を飲もうと冷蔵庫に向かっていると、リビングのテーブルと向き合っている主の母親を見つけた。
「あ...寝てないんですか...。」
「あぁ、まだ仕事が終わらなくてね。大丈夫、心配しないで、ちゃんと休憩はとってるから。」
「そうですか...。いつもあり..がとう。」
「いえいえ。」
......いつもお母さん大変そう..。私のお母さん、今大丈夫かな。早く見つけなきゃ。
考え事をしていると、主の母親から話しかけられた。
「ねぇねぇ、おぎゅうちゃん。実は裕樹がさ、幼馴染の愛ちゃんに襲われかけたって話を聞いて思いついたんだけど、この前おぎゅうちゃん裕樹に胸触らせてたじゃない?それってかなりどきどきするはずなのね。それと同じようなことを二人きりで出かけるときするのよ。そしたら、おぎゅうちゃんが裕樹の嫁になれる日も遠くはないわよ。」
それを聞いてその時のことを思い出してしまい、
「あ..あれは、確かにしましたが...かなり思い切ったことでしたので...さすがに外は少し恥ずかしい..です...。」
「あら、そうなの?裕樹から聞いたときはお母さんもびっくりしちゃったわよ。おぎゅうちゃんもそこまでやるかってね。」
私は赤面、そしてその顔を見つめてくるお母さん。すると、お母さんが「あっ!」と声を出した。いきなり出されたものだから驚いてしまい、コップに入った水をこぼしてしまった。
「あら、大丈夫?まってて、今タオルとってくるから。」
タオルを取りに行ったお母さんを待つ中、私はあのことについてまた考えていた。
さすがに外ではできないけど、家の中だったらいいかもしれない...。いやいや、でも、あれやるの結構勇気いるんだから。
うーん...主と二人きりで出かけるか...そんな機会できるかな...。
☆ ☆ ☆
まさかその機会があまり遠くなかったとは思わなかったなぁ...。ふふ、主とデート~。楽しみだにゃ~。
「主、そ、そのさっきのお昼行く...ふぁ、ふぁーすとふーど?行く...。」
「そうか、なら行くか。だったら、伊織と砂亜菜を昼までに呼ぶからちょっと待っ___」
私はあの二人の名前が出てきてほしくなかった。私は主と二人で行きたい。
私は___
「主と二人で、デート...がした..い...。」
「で、でででデート!?おぎゅうと...」
ふと、主の母親の方を見ると、腕を組んで頷いていた。
「わかった、俺もそれなりに準備するから。」
主はそう言い、ドアを静かに閉めた。
ドアが閉まってからすぐに主の母親が私に飛びついてきた。
「よくやったわね、おぎゅうちゃん!二人きりで行くこと私から提案しようかなって思ってたけど、自分から言ったわね!これは大きな成長よ!」
「は...はい...。」
私は主を誘った直後にあることが頭に
それは___洋服のことをまったく考えていなかったのだ。
「お...お母さん、その..洋服どうすれば..いい?」
「洋服ねぇ...。そうね、私に任せなさい!!」
主の母親は自信満々に言い、私の手を引っ張って、自室へと連れ込んでいった。
今日の昼。
最寄りの駅に集合ということにして、主には先に待ってもらった。
「ひ...裕樹...!」
周りの人がいるため、緊張していたが、勇気を振り絞って声をあげた。
私の声は周りの音にかき乱されて聞こえなかったらしく、主は反応していなかった。
駅の壁に寄りかかっている主のもとへ向かう際に、妖力を使って気配を消して、いきなり目の前に現れるということを思いついた。
そして、これを決行した。
「ふふ..。主はどういう反応するのかな...。」
ふっと影のように主の目の前に現れる。
「うお!おぎゅうか...。びっくりした...。てっきり愛かと思った___」
主の口に人差し指を置いて、一言放つ。
「今は、おぎゅうのことだけを...考えてください。他の...女の子の名前は出さないでください。」
「わ、分かった...。それと服に合ってるよ...。」
主の母親
白のワンピースに麦わら帽子というものをかぶっている。
正直主に似合ってると言われてうれしい。
「じゃあ...一緒にいこ?」
主と私は二人隣で歩く。少し歩いてから、私は主の手に私の手を伸ばす。
手と手が触れ合うと緊張してしまって握れなかった。だけど、主が私の手を握ってきた。私はそれに応えるように握り返す。気づけば、それは恋人つなぎになっていた。
「今度は...私から主の...裕樹の手を握るから...。」
そう言うと主は顔を赤くする。
「おぎゅうは、あの二人と比べたら好きだ。」
...私はその時返事することができなかった。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
しばらく期間が空いてしまって申し訳ございません。
うp主が大事な期間だったために更新することができなくなってしまいました。
以後は更新頻度が遅くなる可能性がありますが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。
次回、そしてその次もデート回です!
そのお相手は誰なんでしょう!みなさん予想してみてください。
では、次回とその次回のデートをお楽しみください。もしかしたら、その次もデートかもしれませんよ。
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恋心と響いた声
朝の話題にもなっていたふぁすとふーど、というものを目の前にした。
それはもう、とても美味しいそうで...。私は我慢できずにすぐに食べだしてしまった。
「あはは、本当におぎゅうは
口の中に入った牛丼を飲み込み、水を飲む。
「う、うん...。それに、これ、すごくおいしい...。」
「そっか、それはよかった。」
また牛丼を食べてるときに、
食べたい...。
と思いつつ、ずっと見ていると主が察したのか、食べるというように、牛丼を私の方に差し出す。
主が食べている牛丼は[ねぎたま牛丼]というもので、私の食べている普通の牛丼とはかなり異なっていた。
「食べる?」
「うん...。」
私は口を開ける。
主は何をしているかわかっていないようで、しばらく私の顔を見つめていた。
「むぅ...。主。わからないの...?」
「うーん、もしかして___」
主が自分の牛丼をスプーンですくい、私の口に運んだ。
「こういうことかな?」
「私が聞いたのは...。さっきのと`あーん`というものが...あるって聞いたんだけど...。」
「え、あ、あぁ...。」
主が再び牛丼をスプーンですくう。
主は周りを見渡すと、周りからの視線が刺さっていること気づいた。
私は主が持っているスプーンに口を持っていく。
「あーん」
ぱくっ。
うんうん...。おいしい。
「あ、あれ。おぎゅう食べちゃったの?まぁ、いいけど...。」
「今度は...。私の番...。」
私は主のように牛丼をスプーンですくい、主の口に運んでいく。
「はい、主...。私の牛丼...。あーん..。」
「あ、あーん。」
主は恥ずかしくなりながらも私のスプーンを口の中に入れる。
「うん、美味しい。やっぱり普通の牛丼も美味しいね。」
「そう..だね...!」
このあと、食べ終わり主と店内から出た。
私は店から出たときに気づいてしまった。私と主が
「ん?どうしたおぎゅう?」
「い、いや...。その...。な、なんでもない...!」
私はつい恥ずかしくなり、その場から逃げ出してしまった。
気づけば知らない所にいて、私は近くにあった公園のベンチに座っていた。
「なんで私...逃げちゃったんだろ...。主に迷惑かけっちゃてるよね...。戻りたいけど、ここ..わからないし..。」
どうしよう...。
「ねぇ、ここでなにしてるのお嬢さん?困ってるならお兄さんが聞こうか?」
「だ、誰?」
「お嬢さん一人だから危ないでしょ?だから俺たちが守ってあげるってこと。ついていて、安全なところに連れていあげるから。」
手を掴まれる。怖い...。この人たち主みたい優しくない人たちだ..。
「ちょっと無視しないでよ、いいことしてあげるから。」
「い、、い..や...。」
「え?なんて?大丈夫安心して、俺らが守るから。」
怖い...。怖い怖い怖い怖い...。
怖いから..逃げなきゃ...。
私のお母さんが言ってた、危ない人にはついていかないでって。
でも、力を使わなきゃ、逃げられない..。妖力なしじゃ、逃げられない。
「おい、このガキ全然来ねぇ。おい、あれ使え。」
後ろから細いものが刺される。
後ろを
だけど、意識が遠くなる中である人の声が響いた。
その声が私の中で、響いたとき目が覚めた。
目が覚めたとき、私の周りにいた男の人達は全員倒れていた。
「おぎゅうー--!!」
主の声が聞こえ、そちらの方へ走る。
「ぬ、主~!!」
「あ!おぎゅう!!」
私は主に飛びつき、泣いてしまった。
「いきなりどっか行っちゃったからびっくりしちゃったよ。次からはしないでね、心配したよ。」
「ごめんなさい...。その、さっき変な男の人たちに囲まれて...怖かった..。」
「そう、よく逃げたね。よかった。ほら、涙拭いて。」
主はポケットからハンカチを取り出し、私に渡した。
涙を拭いて、主に返した。
「ありがとう...。主。」
「いえいえ、じゃあデートの続きしよっか。」
「うん...!」
私は心の中である一つの疑問が浮かんでいた。
なぜ私は妖力を使ってないのにあそこから抜け出せたのかがいまだにわからない。
それに、あの時に聞こえた声、なんて言ってたんだろ。
そんなことを思いつつも、主のデートをそのあとも楽しんだ。
私に合う洋服を見つけてくれたり、からおけ?というもので歌ったりしてとても楽しかった。
帰り道。
私は主に聞いた。
「ねぇ主。また今日みたいにデートしたい。」
「うん、俺も。また時間空いてるときにね。」
風と足音しか聞こえない。この沈黙の中、私は妖力を開放して、本来の姿___猫耳としっぽが生えた姿になった。
「ねぇ、主。こっち向いて。」
主は私の方を向く。
「私はさっき逃げたとき...間接..キスだから恥ずかしくなって...逃げちゃったの。でも、今日の中で..決心がついた。」
私は主に近づき、主の口に私の唇を重ねる。
「私は..あの伊織と砂亜菜に..負けない。主と私は絶対に..ずっと一緒に...いる!!」
私は口づけしたことにまた恥ずかしくなり、先に家に戻ってしまった。
このことを主の母親に話すと、「キャー!」と乙女のように叫んでいた。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回はおぎゅうのデート回でした。
次は一体誰のデート回でしょう?
そして、おぎゅうの聞いた声の主は?なぜあの状況から抜け出せたのか?
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素直な気持ち
おぎゅうとのデートの翌日。
昨日のキスのことに少し信じれていない自分もいる。
そんな中、朝から俺の部屋騒いでいる妹がいる。
「ちょっとお兄ちゃん!?早く起きて!聞きたいことがあるから早く起きてー!」
「うるせぇよ..こっちだって疲れてんだよ..。」
「じゃあいいわここで話すわ。昨日おぎゅうちゃんとデートしたらしいじゃない。」
「あ、あぁあれか。確かにしたけど。それがなにかどうしたの?」
俺そう言うと、妹の
「んなっ!?‘そんなこと‘って言った?女の子にとってね!デートは特別なものなのよ!!!!」
と俺の部屋の椅子に乗せてるクッションを俺に投げつけ、部屋のドアを大きな音を立てて出て行った。
「相変わらずうるせぇな...。そういうところが嫌いなんだよなぁ..。」
朝ごはんを食べるため、髪を少し整えて、リビングへ向かう。
向かう途中、用を足そうとトイレの扉を開けると、中にはおぎゅうが入っていた。
「お、おぎゅう!?ご、ごめん!!そういうつもりはなかったから!!」
「主...もしかして、
「んなっ、何言ってんだ!そういうつもりはないから!それにそういうのはお互い大人になってから!!」
「むぅ...。」
なんかおぎゅう「むぅ...」っていうのハマってない?
おぎゅうがトイレから出てきてから俺は入り、用を足してリビングに行った。
「あら、
「おはようお母さん。」
お母さんの挨拶に続いて砂亜菜が挨拶をする。
「ふん。おはようお兄ちゃん。」
「あぁ、おはよ。」
朝のこともあり、砂亜菜は機嫌が悪くなっていた。
席について、目の前にいた姉の
「伊織、おはよう。」
「おはよう裕樹。そういえば、おぎゅうとデートに行ったんでしょ?」
それを聞いて砂亜菜がピクリと動く。
俺が答えようとしたとき、おぎゅうがいきなり現れ、俺より先に早く答える。
「そうだよ..。私と主、その..き、キスしたんだから...!」
おぎゅうがそのことを恥ずかしそうに言った。
「はぁー-!?おぎゅうちゃんが抜け駆けー!?くぅー!!」
「砂亜菜、落ち着きなさい。」
「でも、お姉ちゃん。アタシたちが先にする予定だったのに、負けちゃってるんだよ?アタシたちも少しは焦らなきゃ。」
「そうね。」
俺は友達の
そのため、この二人は俺を取り合ってるわけだが、俺はそれが嫌いだ。好きでもない人と婚約させられても、いやだろうし、俺はこの二人が嫌いだ。なんならおぎゅうの方が好きだ。
そう思い、おぎゅうの方を見ると、なぜかおぎゅうはふふん、と胸を張っている。
「いいわ、おぎゅうちゃんがその気なら。お兄ちゃん!今度はアタシの番よ!今度の土曜日、アタシと...その、で、デートよ!!」
「砂亜菜...頑張って..!」
おぎゅうが小さく頑張れとポーズを決めながら言った。
「ライバルのあんたに言われるとなんかいやね..。まぁ、いいわ。アタシもアタシで、全力を尽くすから。絶対に負けないわよおぎゅう!!!」
土曜日。
砂亜菜とのデートの日。
おぎゅうと同様に駅で待ち合わせをしていた。
俺が駅に着くより砂亜菜は早くついており、俺を見つけた途端俺に近づいて俺の目の前で止まった。
何か言えと言わんばかりに表情が怖い。
だが、服はジーパンに白シャツの上に革ジャンを着ていた。
「...服。」
「え?」
「だから!服が似合ってるかって聞いてるのよ!」
「は、はい!似合ってまふ!」
緊張して噛んでしまった。
「...ふふ、なによ。‘まふ‘って。」
「あはは、つい噛んじゃった。」
「お兄ちゃんらしいわね。さ、行くわよ。」
砂亜菜はファッションに興味があるらしく今日は俺をモデルに色々服を試すらしい。
俺はショッピングモールに連れていかれて、流行りの服、かっこいい系の服、ロック系の服など様々な服を着させられた。
「ふぅ、やっぱりあんたいつも通りの服が似合ってるわね。あんたの服の
「じゃあ、今度は俺が砂亜菜の服選んでもいいか?」
「別にいいわよ、アタシの服はアタシが選ぶわ。」
俺の服の権利はないのかな。
「...でも、一緒にまた出かけたときにはいいわよ。」
すると、近くにいた女の子に話しかけられる。
「あー!!砂亜菜じゃん!これが例のお兄さん?」
どうやら友達のようだ。
「うっさいわね!今日はアタシのモデルになってもらってるだけで、決して一緒にいたいわけじゃないから!」
「相変わらず砂亜菜はツンデレだねー。これじゃお兄さんも大変でしょ。ねぇ?」
と俺に共感を求めてくる砂亜菜の友達。
「まぁ。大変っちゃ大変かな。だけど、今日に関しては砂亜菜がデー__」
デートと言うときに砂亜菜が俺の口を手で塞いできた。
「おぉー?これはお兄さんからの
「ちょ!だめよ!」
「別にいいでしょ?私が交換したいだけだし。別に砂亜菜の邪魔になるようなことはしないから。」
砂亜菜は少し考えたあと、アイコンタクトで良いと俺に伝えてきた。
俺は砂亜菜の友達にスマホを渡す。
砂亜菜は機嫌が悪そうだ。
砂亜菜の友達が俺に手招きし、俺は耳を貸した。
「安心して、知ってると思うけど、砂亜菜はツンデレ。対応とかわかりずらいと思うから私がサポートするね。よろしく。」
そう言われると、スマホを返され、その友達は足早に去っていった。
「もう、‘さっちー‘め...。」
‘さっちー‘というのはおそらくあの友達のことだろう。
こりゃまた面倒くさくなりそうだなぁ。
「さっちーからなにか変なことされてない?」
「なにもされてないよ。」
「そう、ならよかった。アタシはあんたが嘘つかないことはわかってるから信じる。」
「信じられてるならよかった。」
「それとお兄ちゃん...いや、なんでもない。今日の夜部屋で待っててね。」
砂亜菜の言う通り、夜に俺の部屋で待っているとコンコンとドアが叩かれる。
「どうぞ」と言うと、砂亜菜が部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、そのいつも言葉きつくてごめん。その、なぜか素直になれなくてね...。どうもちゃんと言葉にできないの。」
「そんなことない、むしろあのくらいが砂亜菜らしいと思う。」
「え、なに?あんたドM?」
「いや、そういうわけじゃないけど。ただ、逆に素直すぎると砂亜菜っぽくないから。時々素直になるくらいがちょうどいい。だけど、俺はまだ伊織と砂亜菜のことをあまり好きじゃない。けど、最近は認めつつある。」
「そう。なら、さっきお兄ちゃんが言ってたし今くらいは素直になろうかな。」
砂亜菜が俺に近づいてきて、俺を押し倒し、唇を重ねてきた。
「じゃあね、‘アタシの‘お兄ちゃん」
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回は砂亜菜のデート回です。
今後は砂亜菜の友達の‘さっちー‘が砂亜菜とのサポートをしてくれます。
次回は誰とのデートでしょう?
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特別編:ある日の会話。
さっちー『お兄さん( `・∀・´)ノヨロシク。そういえば、自己紹介してなかったよね。あたし、さっちーって呼んで。友達からもそう呼ばれてるし、あたしもあたしでそっちの方がいい。』
裕樹「了解。知ってるかもしれないけど、俺は
さっちー『それで、デート終わりなにかあったりした?』
裕樹「夜に俺の部屋で...。いや、言うのなんか恥ずかしいな。」
さっちー『ほう?これはこれは、砂亜菜も
裕樹「まだ何されたとは言ってないだろ?」
さっちー『私は察しがいいことで有名なので!(^^)!。』
裕樹「その
さっちー『ていうか、お兄さん怒ってる?』
裕樹「いや、そんな感じじゃないが、なんでだ?」
さっちー『なんか
裕樹「めんどくさいし、そういうもん使わないしな。」
さっちー『えー!?使わないの!?今や珍しい...。今じゃそんな人中々そんな人いないよ。』
裕樹「そうなのか..。だけど、いいよ俺は。俺のことは普段からそういうのは使わない人だと思っていて。怒ってるときは言っとくから。」
さっちー『はいはーい~』
会話が終わり、スマホを閉じる。
閉じた瞬間、スマホが鳴り始める。
砂亜菜『ねぇ、あんた。さっちーとMINEで話してたんだって?』
裕樹「あぁ、確かについさっきまで話してたな。」
砂亜菜『さっきアタシがしたこと...言ってないよね?』
裕樹「さっきしたこと?」
砂亜菜『もしかして忘れたの?ついさっきのことじゃない、アタシのファーストキスだってのに。』
裕樹「あ、あぁあれか!いや、あれはされると思ってなかったし、本当にあれは驚いたよ。」
砂亜菜『それで、さっちーには言ったの?言ってないの?』
裕樹「言ってないよ。あんなこと簡単に人には言えないよ。」
砂亜菜『そう。ならよかったわ。』
はぁ...。まさか人生初めてのデートでおぎゅうと帰り道にキスされて、今日砂亜菜とデートして、その夜に俺の部屋で俺のことを押し倒して、キスされたし。
もしかしたら
いや、なにを考えてるんだ。俺は。
「主。」
「うわぁ!?」
いきなりおぎゅうが目の前にいた。
「私も主と...MINE交換したい...。」
「もちろん、いいよ。」
おぎゅうからスマホを預かり、MINEを交換した。
交換できたことを確認すると、おぎゅうは足早に出て行った。
すると、おぎゅうからMINEが来た。
おぎゅう『ぬし みえる ?』
裕樹「あぁ、見えてるよ。」
おぎゅう『これ どうやつてうつか あまりわからない』
今度、おぎゅうにスマホの使い方教えてやるか。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回はおまけ回です。
本編とは変わった感じで書いていこうと思います。
基本的にMINEというメールアプリでの会話が主体となります。
今回のように裕樹とさっちーや、砂亜菜や伊織、おぎゅうなどいろいろな視点で書いていくと思います。
このようなおまけ回と佐藤君の大嫌い家族をこれからもよろしくお願いします。
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あなたの気持ち、気づいてくれない私の気持ち
学校での昼休み中に俺の周りは騒がしくなっていた。
「主~。私と校内...回らないか?」
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。今日の放課後アタシのファッションの手伝いまたしてくれない?」
「「ねぇねぇ、
この通り騒がしい。このせいで俺はクラスの中でも浮く存在になってしまった。
周りからの視線がとても痛い..。
「てゆーか、おぎゅうちゃん。あんた、昨日の夜お兄ちゃんの布団にもぐりこんだらしいわね。」
「あぁ、そんなこと..
「んなっ、日常茶飯事だって?ちょっとお兄ちゃん!!どういうこと?」
昨日の夜...。昨日以外の夜も侵入されてるけどな...。
というか、おぎゅうに関してはデートしてからのアピールがものすごいんだよなぁ。
「俺に聞かれても、勝手におぎゅうが俺の寝てる間に入ってくるから俺はどうもできないし、起きたときにおぎゅうが気持ちよさそうに寝てるから中々俺も断れないんだよ。」
「んじゃあアタシから断るわ。おぎゅうちゃん、‘アタシの‘お兄ちゃんが寝てる間に忍び込むのやめてくれない?」
「ふん...主は私のだ。砂亜菜に私の行動の決定権はない。」
「そう、なら勝負ね。」
ここ最近。ずっと砂亜菜とおぎゅうがバチバチです。助けて。俺の生活が過ごしずらくなってるからとてもいやだ。
クラスの男子からはこの二人がいないときに俺は色々いちゃもんつけられるし、おぎゅうはうちの学校に来てクラスの中で人気だし、砂亜菜は昼休みにここに来るからうちの高校の男子から人気だ。
そんな二人に毎日囲まれてる俺。
だが、こんな状況を
「ちょっと、砂亜菜。おぎゅうちゃん。裕樹が困ってるでしょ?それにそろそろ時間も時間だから砂亜菜は学校に戻りなさい。」
「はーい。わかったよ、‘お姉ちゃん‘。」
そう、そのマドンナは俺の義理の姉___
「さすが姉。人間でも天使のような癒し___」
おぎゅうの口を砂亜菜が塞ぐ。
__天使のような癒し。これは
伊織と砂亜菜。この姉妹は天使。そして、おぎゅうは化け猫という妖怪。
人じゃないのが多い...。
学校のチャイムが鳴り始める。砂亜菜がそれに気づき、急いで教室を出ようとしたとき、ヘッドフォンを首にかけた女の子のような男の子。いわゆる男の娘と呼ばれる類の俺の友達___
彼は風紀委員副会長で、よくここに来る砂亜菜を取り締まっている。
「こら、砂亜菜。早く自分の学校に戻って。授業に遅れるよ。」
「あ、エルちゃん!お久~。」
「その名前で呼ぶなー!!」
廊下が騒がしくなっている中、おぎゅうはしぶしぶ自席に戻っていった。
伊織はなにか言いたそうにしていたが、先生が来たため自席に戻っていった。
放課後、
「ねぇ、裕樹。」
「ん、なんだ伊織。」
「その、、砂亜菜とのデート楽しかった?」
「あぁ、俺が連れまわされてたに近いかな。」
それを聞くと、伊織は「ふふ」と笑った。
「そうね。それは砂亜菜らしいわね。」
沈黙が始まる。お互い靴を履き、一緒に歩き出す。
先に口を開いたのは、伊織だった。
「ねぇ、裕樹。このまま私とデートしない?放課後デート。」
「へ?」
「へ?じゃないわよ、言葉通り。私と放課後二人きりで遊ばないってこと?」
「それはわかってるけど...。まさか伊織からも言われるとは思ってなかった。」
俺はしばらく返事ができなかった。俺は考えていた。この前に妖精が言っていた[
「まさか、この前にエルちゃんが言ってた[婚約]が気になってるんでしょ?私たちが、裕樹のことを好きじゃないのにデート誘ってることに疑問を持ってるんでしょ?」
伊織は俺の思考を読み取ったかのように。
「あぁ、その通りだ。俺だって好きじゃない人とデートしろって言われても俺は必ず抵抗が生まれる。」
「ねぇ、裕樹。いつから私たちが裕樹のことを嫌いだと思ってるの?」
「だって...。俺は伊織と砂亜菜二人のことを好きじゃないし、婚約したいとも思ってない。だから___」
「それは裕樹の気持ち。私たちの気持ちはそうじゃない。裕樹のことを私たちは...私は、砂亜菜は、おぎゅうは。あなたのことが好きなの。今は付き合えなくても、姉でいい。私は負けないから。だから、あなたの彼女になる最初のステップを踏むために今日のデートに付き合ってほしいの。そして、あなたの気持ちを変えて見せる。」
俺の気持ちを変えて見えるか...。そう簡単には変えられないと思うけど、今日限りはこの話に乗るか...。
「あぁ、今日だけな。俺は嫌いだが、みんな平等にな。とりあえず一回ずつデートは受ける。」
俺は伊織とのデートに出かけた。
「ねぇ、裕樹。最近学校の帰り道に新しくできたクレープのお店ができたから一緒に食べに行かない?」
「あぁ、もちろん。いいぞ。」
伊織についていくと、キャンピングカー型のクレープ店だった。
開店サービスとしてカップル限定で半額サービスが行われていた。
「カップル限定の半額サービスか...。」
「ちょうどいいじゃない。ささ、早く食べましょ。」
家にいるときの伊織とは違い、今の伊織はまるで乙女のようでしっかり女の子していた。
伊織も普通の女の子だもんなぁ...。そりぁ当然か。
「ていうか、まさかこれの半額サービスを狙ったわけじゃないよな?」
「さぁ~?どうなんでしょう?」
伊織も策士だなぁ...。
そして、カップルの証明として、店員さんの目の前で恋人つなぎすることでこのサービスが適応されるらしい。
よくアニメとかであるキスとかじゃなくてよかった..。
俺は
「こんなものを見せるだけでも緊張しちゃうな。」
「そうなの?じゃあ、これは?」
と伊織が言うと、伊織は俺と唇を合わせ始めた。
それを店員さんの目の前でやるもんだから、後ろにカップルとかも、驚いちゃってるし、店員さんも同様。
「ふふ、どう?クレープ前の‘彼女‘からの甘い甘いキスは?」
「...クレープの方より甘かった..よ。」
このキスのおかげでクレープがひとつ無料でもらえた。
その後、このクレープ店では、キスすると、おまけで無料でもう一つクレープがもらえるという噂が立つようになった。
「ふふ、あの噂。私たちのせいかな?」
「たぶんそうだ。ていうかあれ写真撮られてネットに流されてたらしい。」
「ええ!?私と裕樹のラブラブ度ばれちゃうじゃない。」
「そっちかよ...。」
俺の部屋でそんなことを話していると、砂亜菜とおぎゅうが部屋に押し寄せてきた。
砂亜菜がスマホを俺たちに見せながら言った。
「ちょっとあんたたち!?これどういうことよ?」
「あら、噂をすれば..」
「そう...。その通り...。」
「新しくできたクレープ店でカップル限定でキスをすると無料でクレープをひとつ無料っていうのを見てさらに調べたらこんな写真出てきたんだけど?」
「せっかく主と...二人きりで行こうと思ったのに...。」
「今回は私が先に取ったわね。遅れてるのは砂亜菜だけよ?」
「くぅー!アタシだって負けてないんだから!!!」
この日の夜。
俺のベットには俺以外にもおぎゅうと、砂亜菜と伊織がいた。
緊張しすぎて俺は寝れなかった。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
天使の姉妹とおぎゅうとのデートを終えました。
裕樹の気持ちを変えることはできたのか?
おぎゅうと伊織、砂亜菜からのアピールが激しくなり、裕樹の恋路はどうなってしまうのか。
これからも誰が裕樹と付き合うのか?そして、おぎゅうのあの力は...。
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誰も知らない
頭の中に昔によく聞いたことのある声が響いた。
「おぎゅう。おぎゅう。あの力を。ずっと
「ん...あなた、誰..?」
「お前がよく知る人だ。」
目を開くといつもの天井だ。
「ほんと...。誰なんだろ..?」
最近の夢はほとんど同じだ。
そんなことを考えていると、ドアが突然開く。
開けた人、私の主__
「おぎゅう?うなされてたけど、大丈夫?」
「え..。そうなの?」
私は前までリビングのソファで寝ていたが、最近は主との
どうやら、あの夢の影響でうなされているようだ。
「あぁ、それに最近毎日だ。最近なにか悪いことでもあった?」
「...いや、特にない..よ。」
「なにかあればすぐに言っていいからね。」
学校にて。
私は休み時間中に屋上にいた。
そろそろ次の授業が始まるというのに私は戻る気がしなかった。
なぜなら、夢で響いてくる声の正体がわかった気がしたからだ。
私は昔のようにはなりたくないです。
もうあんなことはしたくないです...。
あの力はもう使わないと約束したのに...。
『おぎゅう。私の言うことを聞きなさい。今の妖怪の世界にはあなたが必要なのです。』
「いやだ、私はここにいたい...。」
『ここであなたの力を解放させましょうか?そうすれば、ここにいる人たちはほとんどの人が大きな被害を受けますよ。それでも、言うことを聞きませんか?あなたの大事な‘主‘も...場合によっては死にますよ。』
それは...。絶対ダメ...。
でも、断ればこの学校のみんな危ない。なら...。
「わかった。私は..母上についていきます...。」
『よろしい。ならここに転送するわ。』
私の足元に円が描かれ、穴が空く。
私の記憶はここで途切れている。
平凡な朝。
俺にはある
俺はつい最近この二人とデートの話を持ち掛けられ、ほぼ無理やりに連れていかれた。
そのデートから数日後の学校。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。今日の放課後アタシのファッションの手伝いまたしてくれない?」
昼休みに俺の教室に来る妹の砂亜菜。
ほぼ毎日ここに来るため俺の友達__
そして彼は風紀委員会副会長だ。
そんな彼が俺に放課後に
「おぎゅう?誰だ?それ。」
「え?本当に覚えてないの?」
「覚えてないというかまず知らないんだけど。」
「そんな...。」
妖精は目を丸くしていた。
「なぁ、妖精。疲れてんじゃないか?」
「それはそっちの方でしょ!?あんな子を裕樹が知らないわけない...。伊織も砂亜菜も知らなかった。なにかおかしい。」
妖精とは途中でわかれ、俺は家に向かった。
「はぁ...。今日の妖精なんか変だったな。」
☆ ☆ ☆
裕樹が知らないわけない。おぎゅうとのあんな日々を送ってるのに...。
僕は独自でこの原因を調べた。
前に裕樹から聞いた話によると、おぎゅうは妖怪の一種の
天使が妖怪の世界に干渉することはできない。
となると、神様の力を借りて
僕は神様の力を借りて、無理やりに妖怪の世界へと突入し、おぎゅうを探した。
その世界はまるで地獄のよう。
一つ目の鬼や、おそらく死んだ者と思われる魂が食事とされていたり、普段の生活からは想像もできないものだった。
この中におぎゅうがいるの...?
なんてとこで育っただ...。でも、妖怪の中じゃこれが普通なんだよね。
「ん?なんだ人間がいるじゃねぇかァ。」
「おや、これはこれは。中々なべっぴんさんですなぁ。」
一つ目の鬼と、おじいさんが話しかけてきた。
この中で当たり前のように生きれていることからこのおじいさんも妖怪の人なんだろう。
「僕は男だよ。そして、僕はおぎゅうって子に用があるんだ。」
「あぁ、おぎゅうかァ。そいつはァあのし___」
一つ目の鬼の口を杖で強引に塞ぐおじいさん。
「あんた、おぎゅうに用があるって言ったね...。なら、わしについてきな。」
そう言われ、僕はおじいさんについていった。
「お主、[嫌]という漢字の由来を知ってるかい?」
ついていく中、おじいさんが僕に言った。
「いえ、知らないです。」
「両手をしなやかに重ねて、ひざまずく女性の
「へぇ。」
「この意味わかったかな?おぎゅうはこれから
命を摘ままれる。つまり、死。
「そんな...なんで?」
「ここを救うため...とでも言っておくか。」
救うため...。大いなる力には大いなる責任を伴うという言葉があるが、おぎゅうには、この世界を救えるほどの大きな力があるということかもしれない。
「おじいさんは...おぎゅうがここを救える力があることを知ってたんですか?」
「いいや...おぎゅうの真の力を知るのはおぎゅうの両親のみ。わしはただの情報屋だよ。色々とコネを使って知っただけさ。わしには止めることも何もできん。」
大きな城を目の前にしておじいさんは立ち止まった。
「ここからは命の保証はないぞ?それでも入るかい?」
「はい。僕の大事な友達のためです。」
裕樹がおぎゅうと話してる時の顔を、失うことなんてできない。
僕は意を決してこの大きな城の中に入った。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
妖精以外おぎゅうの存在を知らなくなってしまった。
なぜ妖精だけはおぎゅうのことを知ってるのか?そして、この城には一体なにがあるのか。
このおじいさんはなぜこの城まで妖精のことを連れて行ってくれたのか?
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帰還
大きな城を目の前にしておじいさんは立ち止まった。
「ここからは命の
「はい。僕の大事な友達のためです。」
僕は意を決してこの大きな城の中に入った。
城の中はとても物静かで、ここにおぎゅうがいるとは思えなかった。
少し進むと階段が見えた。
僕は誘われるかのように、その階段を上って行った。
何分経っただろうか...。もう何段上ったかわからない。
終わりらしきものが見え、上りきると、大きな猫がいた。
「ふっふっふっふ...。まさかここまで来るとはなぁ...。それに、私の妖力が効かないとは、なにかの
これが
「そう怖い顔しないでよ...。私の力が効かなかった初めての人なんだから...。」
「あなたがおぎゅうのお母さん?」
「ええ。」
そう言いながら大きな猫は人の姿になっていく。
「どうやら、私の娘のおぎゅうに用があるじゃない...。あなたが先ほど言っていた、‘裕樹‘という人のため...。なんて人は面白いんでしょう。自分の心配だけしていればいいのに...。今、あなたはこれからおぎゅうの
「はぁ...。さっぱり言ってることがわからない。この世界を救うため?だったらあなたが
「さぁ、行きなさい。おぎゅう!!!」
どんどんと僕の目線は高くなる。先ほどの大きな猫の...2倍以上の大きさの猫が出てきた。
これが...おぎゅうなの?なんとしてでも取り戻さなきゃ...。
「えい!!」
必ず僕はおぎゅうを裕樹のために取り戻す!!!
☆ ☆ ☆
今日も
俺__裕樹は学校に来ない妖精の家をほぼ毎日通っていた。でも、妖精は家にもいない。あいつはひとり暮らしで、あいつ以外に家に誰かがいることはない。
「はぁ...。なんであいつは今日も来なかったんだろ...。なんか言ってくれれば俺だって手伝うのに...。」
妖精の家に着き、ベルを押す。
.......
反応はない。
ドアノブに手をかけると開いてることに気づいた。
開けてみるとそこは今まで見たことのある妖精の部屋ではなかった。
燃える地面。一つ目の化け物。
この世では見られないような者がその場には広がっていた。
「なん...だこれ...。」
どういうことだ?なんで妖精の部屋がこんな風になってるんだ...。
ていうか、この化け物たちはいったいなに者なんだ...。
すると、後ろから老人の声が聞こえた。
「おや?君もおぎゅうを助けに来たのかい?」
驚きつつも、その声の方向に体を向ける。
「な、なんなんだあんたは!?それと...。今おぎゅうって言ったか?」
おぎゅう...。なんか妖精も同じことを言ってたな。
でも、おぎゅうって。なんか聞いたことあるような、ないような...。
「おや?あの子...。帰ってきよった。まさかあの女王を打ちのめすとはねぇ...。」
あの光景が映っていた方へと向き直すと、妖精ともう一人誰かがいた。
「はぁ...はぁ...はぁ...。や、やぁ裕樹。ほら、君の大事な人__おぎゅうだよ。」
妖精の肩を借りている人がこちらに顔を向ける。
すると、その人は俺を見ると顔がパッと明るくなり、妖精の肩から離れ、俺に抱き着いてきた。
「ぬ、
猫耳としっぽ。俺のことを主と呼ぶこの子...。
___主は私と交尾したいのか?
___あの二人には...負けない。
そう言っていた子が俺の近くにいた。
化け猫の...。おぎゅう。
なんで忘れてしまったんだろう。忘れちゃいけない、家族のひとりだったのに。
俺の大事な家族。あのとき、伊織が雨の日に拾った猫から化けて牛丼が好きな人型の妖怪。
「おかえり...。おぎゅう。忘れててごめん。」
「大丈夫だよ...。主。私も母上の指示に従ってるだけだった。私も...自分で考えて...行動することをこれで知れた。」
「成長したんだな、おぎゅう。」
俺はおぎゅうを抱きしめた。それに応えるかのようにおぎゅうはさらに強く俺の体を抱きしめた。
妖精が少し笑いつつ俺に話しかけた。
「まったく、僕に感謝するんだよ?僕がこうしなきゃおぎゅうは帰ってこなかったんだから。」
「あぁ、ありがとう妖精。」
そう言うと、妖精は俺の後ろに視線を向けた。
それを俺は感じ取ると、首だけを動かして後ろを確認したが、あの老人はいなかった。
「実は、あのおじいさんも妖怪の人なんだよ。」
俺は妖精からそれを聞いて「えぇ!?」と大きく声をあげてしまい、妖精の隣の家の人がドアを開けてこちらを確認してきていた。
「ちょっと、裕樹。声でかい。ここの壁って案外薄いから気を付けて。」
「は、はいぃ...。て、ていうかおぎゅう?だんだん強くなってないかい?」
実を言うと、さっきからおぎゅうの抱きしめる力が少しづつ強くなっているのだ。
「そう...?私からしたら普通なんだけど...。」
「ちょちょ痛い痛い!!!!」
体が
その音がおぎゅうにも聞こえたのか、力を緩める。だが、おぎゅうの形は変わらない。
妖精がぼそっとなにかを言う。
「ん?妖精なんて言った?」
「いや、なんでも?それと、おぎゅうおなか減ってるっぽいから牛丼食べさしてあげな。」
「あぁ、そうする。」
「それと、裕樹。あの二人との[婚約]の話。ちゃんと、決めてね。」
くっ...。それに関しては触れてほしくなかった...。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
見事、妖精の力によっておぎゅうを取り返すことが出来ました。
そして、これからはきっと伊織と、砂亜菜の猛攻撃が始まると思うので、乞うご期待!!
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特別編:帰還の夜
おぎゅうが帰ってきた日の夜。
23:00
おぎゅう『多分...母上の
伊織『へぇ~そうなのね。だから覚えてたのね。』
裕樹「正直、俺は俺で普通の人の生活とかけ離れすぎてて怖いんだが。」
砂亜菜『なに言ってるのよ、会った初日からアタシのパンツ見たくせに。』
裕樹「はぁ!?あれはお前が曲がり角でいきなり出てきたからだろ?」
砂亜菜『いいや、あんたがいきなり出てきたのよ。アタシが
裕樹「んなわけあるか。
砂亜菜『あんたそれ言わないでよ!!今から部屋に行くよ!?』
裕樹「別にいいが?ただしお前の嫌いなものを仕掛けておくがな。」
伊織『はいはい、もうやめて。それにもう遅いんだからもう寝ましょ?』
砂亜菜『伊織...主のお母さんみたい...。』
裕樹「それは同感だ。家に二人母親がいるみたいで。」
伊織『悪かったわね、お母さんみたいで。』
裕樹「い、いや...その冗談。」
伊織『とりあえず寝ましょ。』
00:17
砂亜菜『起きてる人いますか~?』
おぎゅう『ノ』
砂亜菜『あんた...もうネット民なのね。』
おぎゅう『ネットは面白い。色々...ネタが転がってるからな。』
砂亜菜『てか、アタシたち明日学校だけど、こんな時間まで起きてて大丈夫かな?』
おぎゅう『私は大丈夫。妖力を使えば...。』
砂亜菜『中々妖力は便利なものね、アタシもそういうのあれば、よかったんだけどねぇ。』
伊織『あんたたち、うるさいんだけど。ずっと私の携帯がピコピコ鳴ってるんだけど。明日学校なんだから早く寝なさい。』
砂亜菜『はーい』
おぎゅう『は~い~』
ありがとう伊織...。俺もこの通知のせいで起きたんだ。
砂亜菜『てか、思ったけど、既読4になってない?』
おぎゅう『もしかして...主も起きてる...?』
裕樹「伊織と同じ理由でな。俺も通知で起こされた。」
伊織『ほんと、困るわ。とりあえず早く寝ましょ。』
砂亜菜『はーい』
おぎゅう『は~い~』
裕樹「うい」
伊織『おやすみ。』
ふぅ...。これで快適に眠れる。ありがとう、伊織。
4:26
おぎゅう『おはよう、みんな。起きてる?』
おぎゅう『返信がない...。まだ起きてないのか?』
おぎゅう『そういえば...。前にネットで見た[スタ連]っていうのをやってみるか...。』
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
裕樹「うるせぇ!!!!!!」
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回の特別編は「帰還」の日の裏話でした~!
次回をお楽しみに~!!
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ひとつ目の借り
おぎゅうが戻ってきて、学校でも家でも今まで通りの雰囲気だった。
「
「はぁ...。この前に課題ちゃんと終わらせとけって言ったろ?」
「だって、めんどくさかったから...。」
俺はしぶしぶながらもおぎゅうにノートを渡した。
「ありがと...主。」
おぎゅうが自分の席へと戻っていくと、肩をポンと叩かれ、そちらの方へと顔を向ける。
「やっぱり優しいな~私の
俺の幼馴染__
「うるせ。俺のことを襲おうとした奴が何言ってんだ。」
「うっ...。そ、それはまた別の話じゃない?」
「なにが別の話だ、まぁ現状もうしてこないからいいんだが。」
朝のHRのチャイムがなり、
☆ ☆ ☆
「あ...。弁当忘れた...。」
ポケットの中から財布を取り出し、小銭を確認する。
65円...。うまぁ棒5本しか買えねぇじゃねぇか。
困ったなぁ...。さすがに
おぎゅうは
そうなると...。
俺は教室の隅で集まってる女子グループの方を見る。
愛か...。くっ、行くしかねぇ。
俺はなるべく不自然にならないようにそこへと向かった。
大丈夫だ、俺なら大丈夫だ。だって謎に姉妹ができ、猫が人になり、家にJKが3人いるわけだ。
俺なら大丈夫だ。
そう心の中で唱え、いざ決心して話しかける。
「愛、弁当忘れたから__」
「うっさい黙って、たらし。」
愛の友達からそう言われて本気でへこんでしまった。
はぁ...。確かにそうか。周りから見たらそうだもんな。
教室から出て、一人でとぼとぼと歩く。
数歩歩くと、朝の時と同じように肩を再び叩かれる。
「またか...。愛だろ。」
「にしし、あたり。」
「ここじゃあれだから、屋上で話さない?」
俺は愛の提案に乗り、屋上で話すことにした。
屋上には誰もおらず、ただ風だけがここにいた。
ていうか、屋上には
「なぁ、愛。なんで屋上に行けたんだ?お前が鍵持ってたし...。」
「うーん、秘密。」
「...んで、話って?」
愛は屋上のフェンスに近づき、手をかける。
今...愛は何を考えてるのだろうか。
俺はつばを飲んだ。風と謎の緊張を感じる。
愛は俺の方へと振り返る。
「お金、貸してあげる。」
「...は?」
「いや、は?じゃなくて、言葉の通り。」
「いや、別にここで言わなくてもいいだろ!!」
俺が少し声を荒げると、愛は一歩引く。
「なによ、せっかく私が優しい気持ちで言ってあげたっていうのに。」
「まぁ、その言葉に甘えるがなぁ...。」
「よし、じゃあこれで貸し1ね!!」
「うん、ありがと。」
愛と共に屋上から離れ、食堂へと向かった。
俺らがそこに着いたときにはあまり人はいなかった。
恐らく食べるのが遅い人や、ずっと話してる陽キャならいた。
「んで、
「うーん...。」
上に貼られたメニューを眺める。
カレーうどん、焼肉弁当、そば、天ぷら...。
これは奢り...。自分の好きなものを食べてもいいはず。
愛の方へ視線を向ける。
「ん?」
うーむ、どうしよう。なんか
「もー、裕樹遅い~。遠慮しないでいいから~。」
くっ、そういうならやってやる...!
「なら、カレーうどんで。」
「はーい。」
愛はお代を出す。
愛は「席に座ってていいよ」といい、俺は言われたとおりに近くの席に座って愛を待った。
しばらくすると、愛がカレーうどんを持ってきてくれた。
「はい、お待ち。食堂特製のカレーうどんで~す。」
「ありがとう。」
箸を割り、いたたぎますをしてうどんを口に運ぶ。
自分がすする音と話し声が俺には聞こえていた。
「どう?美味しい?」
「あぁ、うまい。食堂のカレーうどんの味だ。」
「なに当たり前のこと言ってんのよ。」
愛から飯へと視線を戻す。
麺にはカレーの風味が染み込んでおり、ルーの濃い匂いが鼻から内部に進んでいく。
全身に染み渡る香り。
幼馴染からの奢りという罪悪感。
このふたつを噛みしめながら今日の昼食を食べる。
そう思いつつ、気づいたらもう完食していた。
「ふぅ、ご馳走様。」
箸を置き、カレーうどんの入っていた容器と共に指定の返納の場所に返す。
「幼馴染に払ってもらった罪悪感を感じつつ、食べきれてえらいえらい。」
そう言って愛は俺の頭の方に手を伸ばし、なでようとする。
「今度返す。必ず。」
俺は愛の手を振り払いつつ、そう言った。
食堂から出て、教室に向かう。
次の授業は数学だったっけ...。
「数学だよ。」
俺の思っていたことが分かっていたかのように愛は答える。
「そうか...。ありがと。ていうか、なんでお前俺の考えてることわかったんだ?」
愛と二人で並んで歩いていたが、この質問と同時に俺は動くのを止める。
愛は少し前に行き、止まった。
そして、こちらに振り向く。
「ふふ、秘密。強いて言うならサキュバスだから?」
愛は唇に指を当てながら言う。
愛はそう言うと、早足で教室へと向かっていった。
俺はその後ろ姿を今日の感謝と共に眺めていた。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回は愛回でした。
幼馴染としての優しさがサキュバスではなく、裕樹と同じ人としての優しさだったと思います。
では、また次回もお楽しみに~!
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急病
季節は夏。
前年より、
「はぁ~、いい加減熱くなるのやめてほしいねぇ...。こんなんじゃ枯れちまうよ。」
俺は部屋で冷房の効いた部屋でそんなことをつぶやく。
どうやら、この暑さのせいで
「ぬ、
「お、おぎゅう!?どうした!?」
おぎゅうは俺の座っているベットにしがみつき、ばたんと倒れている。
も、もしかして熱中症か!!
まずい、そうなるとまずは水を飲ませなきゃいけない。
...で、でも妖怪って水あげればいいのかな。人間と変わらないのかな。
わからん。どうすれば___。
俺はこのとき、思い出す。
俺と
あのときは俺は思い切り蹴られたあとに、砂亜菜に治療されて起こされたことを。
人間じゃないし、砂亜菜に聞こう!!
そう思い、俺は砂亜菜の部屋へと走り出した。
砂亜菜の部屋の扉を思い切り開ける。
思い切り過ぎたせいで扉が嫌な音したけど、これでおぎゅうは大丈夫だ。
と、部屋に入ると、砂亜菜タオル一枚だけの姿だった。
「んなっ!!部屋入るならノックくらいしなさいこの変態!!!!」
砂亜菜のビンタが俺の頬を襲い、土下座をして事情を説明した。
「そういうことね。わかったわ。おぎゅうの状態をすぐ見るわね。」
ホッと安心したが、砂亜菜からの視線はとても痛い。
部屋に戻ると、おぎゅうは最初見たときよりも苦しそうにしていた。
息が荒く、頬は赤い。熱があるようで、やばそうな状況だった。
「そうね、とりあえず水をあげましょう。それと、濡れたタオルを。」
俺はそう言われ、すぐに水と濡れたタオルを準備した。
おぎゅうを俺のベットに寝かせ、水を飲ませてから濡れたタオルと額にそっと置いた。
「...お兄ちゃんがいなかったらおぎゅう危なかったかもね。ありがと。すぐアタシに相談してくれて。」
「あぁ、俺と砂亜菜が初めて会ったときのことを思い出してな。きっと砂亜菜なら治せるんじゃないかなって思って。」
「そんなこと覚えてたの?...ちなみにアタシのパンツの色覚えてんの?」
...白。って言えるかよ。
「い、いやぁ覚えてないかな。」
「ふぅん、嘘ついてるようにも見えるけど。まぁいいわ。しばらく様子見て、おぎゅうが楽になってきたらなにか作るわ。」
そう言って、砂亜菜は俺の部屋を出ていった。
俺はおぎゅうへと視線を向ける。
先ほどよりか楽になったように見える。
俺は椅子に座り、学校の課題を進めた。
数時間後、おぎゅうを目を覚ました。
「ん...主...?」
「お!体は大丈夫か?」
「うん...。もしかして主がやってくれたの?」
「いや、ほとんど砂亜菜がやってくれたよ。」
「そうなんだ...。いっぱい、お礼しなきゃ。」
おぎゅうはベットから立ち上がり、砂亜菜のところへ行こうとしていた。
「ちょ、おぎゅう。まだ治ったばっかだしゆっくりした方がいいと思うぞ。」
俺はおぎゅうの手を掴み、ベットへと引き戻した。
すると、俺とおぎゅうの会話に気づいたのか、砂亜菜が部屋に入ってきた。
「おぎゅう、状態はどう?」
「たぶん...大丈夫。」
「そう。ちょっと様子見るわ。」
砂亜菜はおぎゅうの前髪を上げ、砂亜菜の額とおぎゅうの額を当てた。
「まだ熱はあるわね。きっとお兄ちゃんが触ったらやけどするくらいにね。」
「そんなか!?でも、普通の熱中症じゃそんなには...。」
「まぁ、普通のならね。だけど、お兄ちゃんとおぎゅうの違いは
そういえば、この前
あいつならもしかしたら、おぎゅうの熱の原因を知ってるかもしれない。
「砂亜菜、もしかしたら妖精ならなら治せるかもしれない。」
「確かに、エルなら過去に色々調べてたから知ってるかもね。じゃあ、エルに聞いてみましょう。場合によってはこの熱が大きいことを引き起こすかもない。人間でも熱中症は危ないものよね。それと同じで、妖怪もものによっては弱いかも。」
「おぎゅう、俺の部屋でゆっくりしてな。俺と砂亜菜で行ってくるから。」
「うん...いってらっしゃい。あ、砂亜菜。」
砂亜菜は振り返り、おぎゅうの言葉を待つ。
「ありがとう。」
「っもう。アタシはただお兄ちゃんの手伝いだから!」
「砂亜菜、ツンデレだね...。」
「あぁ、確かに砂亜菜はツンデレだ。俺もよくそのせいで___」
「うるさい!!」
俺の頬が再び襲われる。
その痛みを頬にかすかに感じながらふたりで妖精のもとへと向かった。
ご読了ありがとうございます。
作者の痲歌論です。前々から名前は変えていましたが、しっかりと報告します。
本日から活動名を、塩ボウズから、痲歌論(まかろん)とさせていただきます。
名前が変わったからといって今までと変わらず活動させていただきます。
おぎゅうの熱の正体はなんなのか。
そして、なぜ発症したのか。
次回もお楽しみに。
名前が変わってもこれからもよろしくお願いします。
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