ダンジョンに、ダンジョンマスターが現れた! (ずぼらさん)
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契約

俺…どうなったんだ?

真っ暗闇…だ…。

身体が…動かな…い…ぞ。

死んだのか?

そうい…え…ば…乗っていた飛行機…が…。

なんてこった。

ああ…死にたく…ねえな…。

 

〝ならば私と契約しませんカ?〟

 

男性の…声?

誰だ?

 

〝私はアクマ〟

 

悪魔?

 

〝くくク、少々違いますガ、まあ似たようなモノでス〟

 

そうか。

で…契約って…なんだ?

 

〝ある世界のパラレルワールドデ、働いて欲しいのでス〟

 

返答に困る…話だな…。

もっと…詳し…く…話してくれ。

 

〝ゲームをやった事はありますカ?〟

 

うん?

やった…事はある…が…。

それ…が…話に関係…あるの…か?

 

〝実ハ、ダンジョンマスターになって頂きたク〟

 

なんだ…と?

あれか?

魔物や罠を…配置して…冒険者を…殺すやつか?

 

〝素晴らしイ!正解でス!〟

 

俺に…人殺しを…しろと…。

 

〝嫌ですカ?〟

 

………。

 

〝あるエネルギーを貯めて欲しいのでス〟

 

エネルギー?

 

〝契約したら詳しく話しますガ、貯まったら生き返らせてあげまス〟

 

っ!!

 

〝ただシ、パラレルワールドの方で〟

 

ふ…ざけて…るのか?

知らな…い…世界で生き返っても…意味が…ない。

 

〝残念ながラ、もとの世界の貴方は身体がありませン〟

 

まさか…今の俺は…魂だけ…の…存在なのか?

し…かも、消えそうな感じの。

 

〝はイ、あと数分で完全に消滅しまス〟

 

くそった…れが…。

 

〝パラレルワールドでしたラ、私の方で新しい身体を用意できまス〟

 

………。

 

〝どうしますカ?〟

 

死に…たくな…い。

悪に落ちて…もい…い…。

生…き返り…たい。

 

〝でハ、契約しましょウ!〟

 

…分かった。

 

〝手続きハ、私がしておきますのデ、しばしお休み下さイ〟

 

ああ…任せ…る…。

…………。

……。

…。

 

〝くくク〟

 

〝良き駒が手に入りましタ〟

 

〝このままでハ、貧弱なままの転生になりますネ〟

 

〝力を授けましょウ!貴方の善なる心を代償ニ〟

 

〝成功、力を獲得しましタ〟

 

〝そしテ、あのお方の加護をプレゼントでス〟

 

〝能力上昇、特殊能力発現、魔法強制習得〟

 

〝新しい姿ハ、貴方の好きな小説のキャラクターにしましょウ〟

 

〝成功、あくまで姿のミ〟

 

〝さすがニ、能力の再現は不可能〟

 

〝続けテ、とある世界のパラレルワールドに転移…成功〟

 

〝安全な異空間居住を作成…成功〟

 

〝ダンジョンを支配しまス…成功…いえ、失敗〟

 

〝中途半端になりましタ〟

 

〝極一部の階層のみ支配成功〟

 

〝ダンジョンの支配を再度実行…失敗しましタ〟

 

〝これは貴方に頑張ってもらいましょウ〟

 

〝さテ、行きましょうカ〟

 

〝ダンジョンヘ〟



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ダンジョン異端記録その1

【アクマと会話パート】

おい。

 

〝お呼びですカ?〟

 

目が覚めたら、出入り口のない部屋にいるんだが?

 

〝貴方を守る為でス〟

 

じゃあ、俺が…。

新約とある魔術の禁書目録の魔神。

オティヌスの姿になっているのは何故だ?

 

〝貴方の魂を覗いたラ、そのキャラクターが好きだったのデ〟

 

いや、ふざけんな。

好きなキャラだからって、なりたいとは限らんだろう!

 

〝これはこれハ、大変失礼ヲ〟

 

まだあるぞ。

お前は、どこにいる?

声が聞こえるだけで、姿がまったく見えない。

 

〝形を持たぬ者、もしくは透明な悪意〟

 

何だそれ?

 

〝私ハ、そう呼ばれている存在でス〟

 

だから姿は無いと?

 

〝はイ〟

 

…あっそう。

で、ここはパラレルワールドだよな?

 

〝えエ、ダンまち世界のパラレルワールドでス〟

 

ダンまち!?

あのダンまちか!?

 

〝貴方の想像通りでス〟

 

そ、そうか。

パラレルワールドって、どこか違いがあるのか?

 

〝貴方と私が存在する事でス〟

 

えっ?

それだけ?

 

〝ちょっとした事デ、世界は分岐シ、パラレルワールドが生まれまス〟

 

マジかよ。

じゃあ、本題を聞きたい。

あるエネルギーって何だ?

 

〝デビルエネルギーでス〟

 

ネーミングセンス最悪だな。

 

〝ほっといて下さイ〟

 

それを貯めれば、俺は生き返るんだな。

この世界で。

あれ?

もう生き返ってないか?

 

〝まだ仮初の命状態でス〟

 

ちっ、そんなに甘くないか。

 

〝エネルギーを貯めるには、人間の命と絶望の心が必要でス〟

 

ふーん。

だから、ダンジョンマスターになって、人間を殺せと。

ちなみに絶望の心は、心を折ってやればいいのか?

 

〝正解でス!命より少ないですガ、絶望でもエネルギーは貯まりまス〟

 

了解した。

魔物とか罠は、どう配置すればいい?

というか、そもそもダンまちのダンジョンって…。

意志みたいなモノあるだろ?

勝手にして大丈夫か?

 

〝問題ありませン、支配してありまス〟

 

はあっ!?

とんでもない事、さらりと言ったな!?

 

〝たダ、中途半端な状態でス〟

 

全然支配してねえじゃん。

 

〝貴方の魂が貧弱だったのデ〟

 

俺のせいかよ!

貧弱で悪かったな!

 

〝現状では3階層まデ、支配してまス〟

 

どうやったら、支配できる階層は増える?

 

〝デビルエネルギーを使いまス〟

 

いやいや。

貯めなきゃ駄目なやつだろ?

使ってどうする。

 

〝確かに減りますガ…支配した階層が増えれバ、後々挽回できまス〟

 

なるほど。

必要経費みたいなものか。

よし!

頑張って、デビルエネルギーを貯めるぜ。

 

〝魔物と罠の設定ハ、パソコンを使って下さイ〟

 

………。

ツッコミたい事が山程あるんだが?

出入り口のない部屋。

生活に必要な物は、ほとんど揃ってやがる!

トイレと風呂場や台所。

ベッド、机、椅子、本棚、タンス、パソコン。

 

〝魔法を利用していますのデ、電気の心配は要りませんヨ〟

 

わーい、便利だ♪

って違う!

はあー、もうなんでもありだな。

食事は?

 

〝仮初の命状態時ハ、食事・トイレは必要としませン〟

 

ある意味助かるが、食べる楽しみがないのは、ちょっと寂しい。

睡眠の方は?

寝ずに働けるか?

 

〝いエ、逆に睡眠は必要でス〟

 

どのくらい寝ないと駄目だ?

 

〝現在は48時間でス〟

 

おいいいいっ!

2日間も寝ろと!?

魔物や罠を配置している時間がねえ!

ダンまちのダンジョンは、メッチャ広いんだぞ!

 

〝その為のパソコンでス〟

 

はい?

 

〝電源を入れテ、操作してみて下さイ〟

 

え、えーと。

なになに…各階層に罠を2つ配置可能。

選べる罠は5種類。

ゴブリンの強化可能。

 

〝罠の配置と魔物の強化をしたラ、放置して大丈夫でス〟

 

まさかの放置ゲー!?

 

〝デビルエネルギーが貯まったラ、色々拡張・強化可能でス〟

 

な、なあ。

俺は必要か?

お前だけでも出来たんじゃないか?

 

〝残念ながら私ハ、この世界に干渉できませン〟

 

してるじゃん?

 

〝貴方がいるから出来るのでス〟

 

つまり、俺の役目は…。

お前と世界を繋ぐ中継ポイントか。

 

〝そんなところでス〟

 

罠の配置は、罠の種類を選ぶだけでいいのか?

 

〝選べバ、自動配置されまス〟

 

うわー。

楽ちんだが、物足りないというか。

まあいいか。

こうして、ああして、配置完了だ。

続けて、ゴブリンの強化。

ぽちっとボタンを押して完了。

おっ、スキルが3つ付いたぞ。

集団戦闘、苗床、俺の屍を越えてゆけ。

………おい。

 

〝なんでしょうカ?〟

 

懐かしいゲームのタイトルが入っとるぞ!

 

〝違いまス!説明文もあるのデ、ちゃんと読んで下さイ〟

 

これか?

死んだゴブリン達の経験を…。

生きている・生まれてくるゴブリン達に引き継がせる能力。

すげえ有能なスキル!?

苗床は…。

女性を孕ませて、魔物を増やすスキル。

エロゲーか!?

ダンジョンが産む魔物より強く、母体の能力を引き継ぐ。

えげつねえな。

集団戦闘は…。

集団で戦った時に、能力上昇。

数が多ければ多い程、能力上昇。

え、ええー。

冒険者ピンチじゃないか?

 

〝素晴らしい事ですガ、世の中そんなに甘くありませン〟

 

あー。

ダンまちの世界だったな。

化物みたいに強い冒険者いっぱいだ。

これくらいで丁度いいのか。

うっ?

眠くなってきた?

 

〝今の貴方でハ、30分起きているのが限界でス〟

 

30分!?

48時間寝て、30分しか起きれないの!?

 

〝デビルエネルギーを使えバ、起きている時間を延ばせまス〟

 

それにも、デビルエネルギーかよ。

や、やべえ。

本格的に眠く…ベッドまで…くっ…移動できた。

冒険者は…ゴブリンと…罠に…任せ…た。

 

〝おやすみなさイ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層に、『爆発ダンゴ虫』を配置しました。

1階層に、『張り付き呪い陣・石』を配置しました。

 

※爆発ダンゴ虫

見た目は普通のダンゴ虫。

冒険者を発見すると近寄り、接触した瞬間に爆発する。

ダメージは与えられないが、1~3m吹き飛ばす効果がある。

配置コスト:1

 

※張り付き呪い陣・石

床に見えない魔法陣が描いてあり、触れると発動する。

発動すると、ダンジョンの砂や石が身体に張り付く。

呪いの効果中は、砂や石は取れない。

効果時間30分。

魔物は魔法陣が見える。

配置コスト:1

 

2階層に、『落とし穴・小』を配置しました。

2階層に、『媚薬霧・弱』を配置しました。

 

※落とし穴・小

穴の深さは、首辺りまで(人間サイズ)。

穴の幅は狭く、落ちる時はスッポンと入るが…。

抜け出る時は、ギュウギュウ状態で大変。

もしも、片手・両手も落とし穴に落ちてしまえば、益々大変に。

魔物は落とし穴の位置が見える。

配置コスト:1

 

※媚薬霧・弱(興奮状態(エッチな気分)にする)

見た目は、薄っすらとした桃色の霧。

皮膚呼吸により吸収される。

最初はムラムラする程度。

しかし、時間の経過と共に効果は上昇していく。

耐異常のアビリティがあれば、無効化可能。

魔物に効果なし。

配置コスト:1

 

3階層に、『ゴブリンの巣』を配置しました。

 

※ゴブリンの巣

ゴブリンの巣を配置すると、他の罠を配置できません。

ゴブリンの巣は、捕まえた女冒険者を苗床にする場所です。

巧妙に隠されており、発見は難しいです。

ゴブリンの巣には、隷属の首輪があります(持ち出し不可)。

装備させられた女冒険者は、ゴブリンに攻撃不可状態(命令に逆らえない)になります。

配置コスト:特殊

 

1~3階層のゴブリンが強化されました。

 

1~3階層で起きた結果を記録・蓄積(ログ)しました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

1階層で、ゴブリン5匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(エルフ、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Bに、ダメージ・小。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その2≫

2階層で、ゴブリン10匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者C(獣人、男性、レベル1)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル1)

戦闘エリアで、媚薬霧の罠が発動中。

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、興奮状態・小(アマゾネスの尻チラ見)

冒険者Bは、興奮状態・中(仲間にエロい目で見られてゾクゾク)

冒険者Cは、興奮状態・小(アマゾネスの胸ガン見)

冒険者Cに、ダメージ・小。

冒険者Dは、興奮状態・小(アマゾネスの太腿にハアハア)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その3≫

1階層で、ゴブリン6匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばれた。

冒険者Aに、ダメージ・大(倒れたところをタコ殴りにされた)

冒険者Cは、張り付き呪い陣・石に苦しめられた。

冒険者Cに、ダメージ・中(石が足の裏に張り付き動きが阻害された)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その4≫

1階層で、ゴブリン8匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル1)

冒険者B(エルフ、男性、レベル1)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Bは、落とし穴に落ちた(両手も落ち、身動き取れず(無抵抗状態)

冒険者Bに、ダメージ・特大

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その5≫

1階層で、ゴブリン20匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル1)

戦闘結果。

途中で他の冒険者達が救援。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aに、ダメージ・大。

冒険者Bに、ダメージ・大。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

ゴブリン達は学習しました。

爆発ダンゴ虫と連携(持ち運びする)すべし。

張り付き呪い陣・石に、冒険者達を誘導すべし。

落とし穴・小に、冒険者達を誘導すべし。

媚薬霧・小に、冒険者達を誘導すべし。

戦いは、数の暴力である。

逃がさない様に、挟み撃ちすべし。

援軍が来ない場所で、襲撃すべし。

 

 

 

 

 

【主人公パート】

マジか。

パソコンのログを見て驚いた。

ゴブリン達がすげえ。

まだ1人も殺せてないが、その内できるのでは?

多分、苗床の方も…。

俺の為に頑張ってくれ。

しかし、酷い事をやっているのに、罪悪感が一切ない。

1度死んで、精神でも病んだかな?

まあいいや。

仮初の命状態から完全に生き返って、2度目の生を謳歌する!

デビルエネルギーは…1%も溜まってない。

まだまだ先は長そうだ。

部屋を見回す。

様々な家具があるものの、出入り口のない部屋

アクマの話によれば、異空間に作った部屋らしい。

何でも出来るな、あの悪魔。

とはいえ、感謝する。

今は30分しか起きれない身。

ダンジョンで行動したら、冒険者にあっという間に殺される。

しばらくは、部屋で大人しくしよう。

何もしなくても、デビルエネルギー貯まるし。

大きな鏡の前に立った。

新約とある魔術の禁書目録の魔神オティヌス。

うーん、エロい。

とにかく服装がエロい。

見た者は絶対に言う。

痴女と。

そんなところも俺は、好きなわけだが…。

スタイルもメッチャ良いし。

…あっ。

すっかり頭から抜け落ちていた。

これから女性として生きるわけで。

ちょっと不安だなー。

この身体にも早く慣れないと。



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※異端児の悪夢その1

「なんだ!?」

 

(ダンジョン)の気配が変わった。

まるで、何かに塗り替えられたような…。

むむ?

今は何ともない?

気のせいだったかな?

おいらは、ペパ。

異端児(ゼノス)のメンバーの1人。

種族は、ゴブリンだ。

今は1階層にいて、3階層の隠れ里に向かう途中。

みんな元気かなー。

ちょっと野暮用で、単独行動していた。

早く会いたいなー。

特に、リドの兄貴。

人間に追いかけられて、死にそうだったおいらを、助けてくれた。

強くて、超カッコイイ蜥蜴人(リザードマン)

ペパって、名前を付けてくれたのも、リドの兄貴だ。

凄く嬉しかった!

おいらは弱い。

多分、メンバーの中で1番。

足手まといは嫌で、修行した!

我流だけど短剣の二刀流。

魔物と戦って、勝てるようになってきた。

逃げる事が多いのは、内緒だ。

冒険者とは戦わない。

いつか仲良くなれると、信じているから。

必ず、みんなと地上に行くんだ。

うっ!?

 

「うぐがああああっ!?」

 

あ、頭に、死んだゴブリン達の記憶が入ってくる!?

やめろ!

やめてくれ!

襲って、戦って、殺される。

何度も何度も。

嫌な声も聞こえた。

 

〝男ハ殺セ!〟

 

〝女ハ犯セ!〟

 

だ、誰だ!?

嫌なはずなのに、従ってしまいそうになる。

うぐぐ、おいらは負けない!

リドの兄貴のところに、みんなのところに帰るんだ!

歯を食いしばって走る。

 

「ぐうっ、また記憶が!うあっ、何匹死んでる!?」

 

死んだゴブリンの記憶が、次々に入ってくる。

あの声も、止まらない。

 

〝男ハ殺セ!男ハ殺セ!男ハ殺セ!〟

 

〝女ハ犯セ!女ハ犯セ!女ハ犯セ!〟

 

黙れ!黙れ!黙れ!

無駄だと分かっていても、耳を塞いだ。

おいらを惑わすな!

そんな事するものか!

 

「はあはあ、2階層に着いた。」

 

頭が痛い。

倒れそうだ。

あいつは、大丈夫かな?

異端児(ゼノス)には、俺以外のゴブリンもいる。

 

「…ちっ。」

 

ゴブリンの集団と鉢合わせてしまった。

こいつらは敵。

仲間じゃない。

その証拠に、俺を殺す気満々だ。

戦闘回避不可。

異端児(ゼノス)は、人間にも魔物にも襲われる。

リドの兄貴に会うまでは…。

どうして自分だけ嫌われるのか。

どうして仲間外れなのか。

泣いて苦悩した。

今は違う!

仲間達と笑い合って、夢に向かって進んでいる!

だから戦える。

 

「行くぞ!」

 

万全の調子じゃないが、斬って刺して倒していく。

 

「ぐううっ!?」

 

おいらが殺したゴブリンの記憶も入ってくる!?

心が、真っ黒に染まって…。

あああうううアウ!?

男ハ殺ス!女ハ犯セ!

 

「チ、違ウ!おイらハ…!」

 

頭を押さえて倒れたおいらに、ゴブリン達は攻撃しない。

そのまま去っていった。

なゼ?

駄目ダ、意識が、薄レテ、リドの兄貴ニ、ごめん。

 

「…キシシッ!男ハ殺ス!女ハ犯ス!」

 

 

 

 

 




リド「ペパっちのヤツ、遅いな…。」

レイ「大丈夫。すぐニ来ますヨ。」





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ダンジョン異端記録その2

【アクマと会話パート】

なあ。

 

〝何でしょうカ?〟

 

この世界にとって俺は、本来いるはずのない異物だ。

物語の修正力で、排除されないか?

 

〝急に、どうしましたカ?〟

 

主人公(ベル・クラネル)に倒される悪夢を見た。

 

〝それはそれは、楽しそうな夢ヲ〟

 

ちっとも楽しくない!

目的の為に、冒険者達を絶望させ、容赦なく殺す。

彼が知ったら、それを見逃すだろうか?

否!

断じて否だ!

絶対に止めに現れる。

 

〝確かニ〟

 

ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアまで来たら…あわわっ。

 

〝落ちついて下さイ、まだそうなるとハ〟

 

俺には分かる!

ベル・クラネルは、王道の主人公!

多く困難に巻き込まれるも、全て解決し、大きく成長する。

強い意志を持ち、努力を怠らず、運にも恵まれている。

支えてくれる仲間達もいる。

人を惹きつける輝きが、多くのファミリアを呼び寄せる。

 

〝なるほど、敵対すると厄介な相手ですネ〟

 

だろ!?

 

〝ですが、パラレルワールドですヨ?〟

 

うん?

 

〝………はァー〟

 

溜息!?

しかも「なんで、こいつ分からないんだ?」的な溜息!?

 

〝つまり本来の物語と異なり、終着地点が不明になった世界でス〟

 

そ、そうなのか?

えーと。

物語を本で例えるなら…。

途中からページが、白紙になった感じ?

 

〝その通りでス〟

 

未来は確定していない…修正力も無いか。

サンキュー。

少し安心した。

悪夢を気にし過ぎたようだ。

 

〝安心できる情報ガ、もう2つありますヨ〟

 

本当か!?

 

〝1つハ、貴方が強いという事でス〟

 

えっ?

いやいや、待てくれ。

オティヌスの姿になったけど、中身は変わってないぞ。

普通の凡人だ。

 

〝こちらの世界に来る前、強化しておきましタ〟

 

ちょっ!?

人が寝ている間に、何してんの!?

安心が一気に不安になったけど!?

 

〝教えて差し上げたいのですガ、今は時間が足りませン〟

 

時間?

もしかして、俺が起きている時間か?

 

〝えエ、最低でも3時間は起きていないト〟

 

うげっ。

30分から180分か。

6倍だ。

道のりは遠いなー、

時間が必要なのは、慣れてない力を練習する為?

 

〝はイ〟

 

180分は、さすがに長くない?

60分くらいで、十分だろ?

 

〝全然足りないでス〟

 

足りないって…。

どんだけ俺を強化した?

ほら、正直に言ってごらん。

 

〝………黙秘権を行使しまス〟

 

アクマさーん!?

 

〝うっかり話しテ、狭い部屋で練習されるト、死ぬかもしれないのデ…〟

 

死ぬの!?

自分自身が怖くなってきたけど!?

 

〝すみませン…これは黙っておくべきでしタ〟

 

じゃ、じゃあ、1つだけ教えてくれ。

ダンまちの冒険者に例えると、どれくらいの強さ(レベル)だ?

 

〝レベル8くらいでしょうカ〟

 

猛者オッタルより上!?

化物じゃん!?

 

〝力の使い方を知らない今ハ、負ける可能性が非常に高いでス〟

 

あー、確かに。

強い武器を持っていても、使い方を知らない素人だと、宝の持ち腐れ。

経験や技術面でも、差は大きいか。

30分経ったら強制睡眠だし。

 

〝そうゆう事でス〟

 

もう1つの安心は…安心だよな?

 

〝勿論でス〟

 

良かった。

今度こそ期待するぜ!

で、何?

 

〝この部屋でス!異空間にあるのデ、冒険者達に見つかりませン〟

 

おおおっ!

素晴らしい!

あっ、神々にも見つからない?

 

〝………テヘペロ〟

 

お、お前ええええええええええぇっ!

ふざけんなよ!

 

〝神々ハ、滅多にダンジョンへ来ないのデ………安心ですヨ〟

 

間!

今の間は!?

なんてこった。

安心が猛ダッシュで逃げて行く。

うっ、こんな時に…眠くなって…きた…。

永眠だけには…ならない…よう…に。

ぐー。

 

〝失敗しましたネ、口が滑りましタ〟

 

〝ただ…神とテ、この部屋を見つけてモ、何も出来ませんヨ〟

 

神の力(アルカナム)を使わない限りハ〟

 

〝天界へ強制送還〟

 

〝そんな覚悟のある神ガ、果たして居るのやラ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層の『爆発ダンゴ虫』を継続しました。

1階層の『張り付き呪い陣・石』を継続しました。

 

2階層の『落とし穴・小』を継続しました。

2階層の『媚薬霧・弱』を継続しました。

 

3階層の『ゴブリンの巣』を継続しました。

 

1~3階層で起きた結果を記録・蓄積(ログ)しました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

2階層で、ゴブリン50匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、落とし穴に落ちた(両手が無事により力尽くで脱出(ゴブリン達「マジで!?化物か!?」)

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Bに、ダメージ・極小

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その2≫

1階層で、ゴブリン23匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(獣人、女性、レベル1)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aに、張り付き呪い陣・石が発動(呪い状態)

冒険者Aに、ゴブリンの投げた石が顔面に命中(暗闇状態(目が目があーっ)

冒険者Aに、ダメージ・特大(何も見えずタコ殴りにされた)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Cに、ダメージ・極小

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その3≫

1階層で、ゴブリン19匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(エルフ、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばされた(混乱状態)

冒険者Aは、爆発ダンゴ虫に再び吹き飛ばされた(混乱状態継続中(またかよ!?)

冒険者Aに、ダメージ・特大(仲間と離れ離れにされ、タコ殴り祭り)

冒険者Bは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばされた。

冒険者Bは、爆発ダンゴ虫に再び吹き飛ばされた(武器を無くした(高かった武器が!?)

冒険者Bに、ダメージ・大(武器を失い、ゴブリン達と殴り合い祭り)

冒険者Cは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばされた。

冒険者Cに、ダメージ・小(男性陣を助ける為に奮闘した(あんた達、しっかりしなさい!)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その4≫

3階層で、ゴブリン20匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル1)

冒険者B(獣人、男性、レベル1)

冒険者C(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者D(エルフ、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、ゴブリン達の奇襲に戦慄した!

冒険者Aは、ゴブリン達の挟み撃ちに戦意を失った!

冒険者Aは、ゴブリン達の増援に絶望した!

冒険者Aに、ダメージ・大

冒険者Bは、ゴブリン達の奇襲に応戦した!

冒険者Bは、ゴブリン達の挟み撃ちに奮戦した!

冒険者Bは、ゴブリン達の増援に苦戦した!

冒険者Bに、ダメージ・中

冒険者Cは、ゴブリン達の奇襲で、深い傷を受けた!

冒険者Cは、ゴブリン達の挟み撃ちで、致命傷を受けた!

冒険者Cは、ゴブリン達の増援で、止めを受けた!

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Dは、ゴブリン達の奇襲により、魔法の詠唱が止まった!

冒険者Dは、ゴブリン達の挟み撃ちにより、魔法の詠唱が止められた!

冒険者Dは、ゴブリン達の増援により、気絶させられ捕獲された!

冒険者Dは、ダメージ・中(冒険者Bの活躍により捕縛解除)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

ゴブリン達は学習しました。

冒険者PTの陣形を崩すべし。

奇襲・増援で、冒険者達の心を折るべし。

率先して狙うは、後衛・サポーター。

戦闘不可及び逃走不可の冒険者は、放置すべし。

上記、仲間を見捨てれない冒険者(バカ)が釣れる。

張り付き呪い陣・石に掛かった冒険者へ、石を投げよ。

上記、特に顔を狙うと尚良い。

気絶・行動不能になった雌は捕縛し、何よりも優先して巣へ運ぶべし。

 

 

 

 

 

【主人公パート】

ついに冒険者を殺した。

ログを少し確認しただけで、10人は死んでいた。

自ら手を下していないせいか。

なんとも思わない。

いや、違うな。

デビルエネルギーが、4%貯まっているのを見て…。

口元の笑みが止められなかった。

喜びが湧き上がる。

まったく俺って奴は。

短期間で、外道になったもんだ。

さて、ゴブリン達だけど。

最弱の魔物と呼ばれない程、成長した。

なんて頼もしい!

頭を使うのは大事だって、実感したよ。

とはいえ…。

ダンまちの世界は、力技で戦況を覆す冒険者が多い。

その証拠に、50匹のゴブリン達に襲われても、掠り傷の冒険者達がいる。

レベル2の上級冒険者だ。

たった1レベル違うだけで、戦闘能力が大きく変わる。

ゴブリン達では、限界かもしれない。

苗床で生まれるゴブリンに期待するか。

貯まったデビルエネルギーを使い、罠の種類と魔物を強化するか。

今は待つしかない。

歯がゆいなー。

魔女のような帽子を置き、マントを脱いで、ベッドに寝っ転がる。

そういえば、右目。

本物のオティヌスと同じく、眼帯を付けている。

不思議な事に、この状態で目が見えた。

おかしくね?

そもそも眼帯の下に、目が有るのか無いのか。

外して確かめるか。

うん?

ぐぬぬぬっ!

ふんぬうううううぅぅっ!

あ、あかん。

眼帯が取れない。

どうなってんだ!?



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※ギルド職員の先輩と後輩その1

あー、忙しい忙しい。

私が働いているのは、迷宮都市オラリオのギルド。

ダンジョンで異変が起きてから、てんてこまいだ。

ゴブリンの集団行動。

謎の爆発、落とし穴、石が張り付く現象、桃色の霧。

調べる事が多過ぎ。

勘弁してよー。

 

「痛っ!気をつけろ!」

 

「す、すいません!」

 

あら?

誰かと誰かが、曲がり角で、ぶつかったみたいね。

1人は口うるさい上司。

もう1人は…見た事ない顔ね。

ギルド職員の服を着ているから、新人さんってところかしら。

 

「大量に本を持って歩くからだ!今後注意しろよ!」

 

「申し訳ありませんでした!」

 

「まったく、最近の若い奴らは。」

 

「はあー、また失敗してしまった。」

 

ガクッと肩を落とし、落ちこんでいる新人。

しょうがない。

声をかけて、あげますか。

こう見えても私は、10年も勤務しているベテランなのだ。

 

「君、大丈夫?」

 

「えっ?は、はい!」

 

「私は、テリア。貴方は?」

 

「ゼクスです!3カ月前に、ギルドへ入りました!宜しくお願いします!」

 

緊張しちゃって、初々しいわね。

私も昔は、こんな感じだったわ。

 

「大変だったね。あの人、ちょっとした事でも口うるさいから。」

 

「い、いいえ!俺の前方不注意だったので!」

 

床に散らばっている大量の本は、魔物関係ばかり。

なるほど。

ゴブリンの集団行動を調べる為の資料ね。

ギルドにある資料は膨大。

過去の記録を調べるだけで、ウンザリするわ。

とりあえず、本を拾うの手伝いましょうか。

 

「あっ!俺が1人でやりますので!」

 

「いいのいいの。2人でやった方が早いでしょ。」

 

「先輩…ありがとうございます!」

 

先輩か。

何度聞いても良い響きね。

後輩の面倒を何人もみてきたけど、教育するのは楽しい。

みんな素直で、立派に成長したし。

ギルド職員じゃなくて、教師になるべきだったかしら?

でも、ギルドのお給料は高いから、辞められないのよねー。

ゼクスは私と同じ、ヒューマン。

10代後半ってところかな。

背は低く、可愛い系の顔。

羨ましいなー。

私は背が高く、凛々しい系の顔。

思い出すわ。

異性より同性にモテてしまった過去を…。

今でもそうだけど。

 

「はい、これで全部ね。」

 

「助かりました!」

 

「いいのよ、気にしないで。」

 

「本当にありがとうございました!では、俺はこれで。」

 

大量の本を抱えて、歩き出そうとする後輩。

前、見えてる?

学習しないのは駄目ね。

また誰かとぶつかるわよ。

 

「待ちなさい。」

 

「はい?」

 

「半分持ってあげるわ。」

 

「そんな!いいです!先輩に、ご迷惑をお掛けするわけには!」

 

怪我でもされた方が迷惑よ。

今回は口うるさい上司が正しかったわね。

ギロリと睨んで、駄目なところを指摘した。

シュンと落ち込む後輩。

クスッ。

怒られた子犬みたいで可愛い。

 

「ほら、行くわよ。どこに運ぶの?」

 

「第三会議室までです。」

 

「じゃあ、行きましょうか。」

 

「はい!」

 



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ダンジョン異端記録その3

【アクマと会話パート】

やばい!

やばいぞ!

人として、女性として、オティヌスとして、超やばい!

 

〝いきなリ何ですカ?〟

 

服と布団の洗濯、風呂場で入浴、部屋の掃除。

こっちの世界に来てから、1度もしてない。

 

〝そうですネ〟

 

起きている時間は、僅か30分。

ダンジョンの記録(ログ)を確認。

アクマと会話。

毎回これで、ほぼ終わる。

何も出来ねえぇっ!

 

〝問題がありますカ?〟

 

大有りだ!

 

〝しかシ、睡眠時間を増やすにハ、デビルエネルギーが…〟

 

そこを頼む!

男の時だったら、まだ諦めがつく。

でも今の俺は、オティヌスの姿だ。

偽者でも、彼女の尊厳を汚す事は出来ない。

不潔は、絶対あかん!

 

〝おヤ?言ってませんでしカ?〟

 

えっ?

 

〝この部屋は24時間に1回、魔法により洗浄されまス〟

 

せ、洗浄?

 

〝簡単に言うト、全て綺麗になりまス〟

 

はあああぁっ!?

聞いてないぞ、そんな大事なこと!

 

〝ちなみニ、貴方の汚れた心までは洗浄できませン〟

 

やかましいわ!

悪魔のお前が言うなーっ!

 

〝くくク〟

 

まったく、禄でもない奴だ。

…ただ感謝はしておく。

ありがとう。

オティヌスの尊厳を守れた。

 

〝いえいエ!他に質問ハ、ありませんカ?〟

 

うーん。

洗浄の魔法があるなら、風呂場や洗面台は要らないんじゃ?

部屋の隅に置いてある掃除機と洗濯機も。

 

〝先ほども言いましたガ、24時間に1回ですヨ〟

 

あっ、そうか。

待っていられない時に使うのか。

 

〝その通りでス!お風呂ハ、命の洗濯と聞きましタ〟

 

うんうん、まさにそう。

お風呂は素晴らしい!

長風呂派の俺にとっては、最高の一時♪

…無性に入りたくなった。

 

〝やめて下さイ、マジで死にますのデ〟

 

あははは。

そんな馬鹿な…って、あったわ!

死ぬ可能性大だ!

お風呂中に強制睡眠が来たら、溺死体の完成。

くっ、我慢するか。

 

〝デビルエネルギーを貯めれバ、起きている時間も増やせまス〟

 

だなー。

よーし、頑張るか!

…ところで、ダンまちについて聞きたい。

今は物語のどの辺りだ?

 

〝私が知り得た情報ハ、この世界に来た時点のモノだけでス〟

 

かまわない、教えてくれ。

 

〝ベル・クラネルがミノタウロスを単独で撃破〟

 

…そうか。

手に入れているな。

持ち主と共に成長する武器、ヘスティアナイフを。

切り札となるスキル、英雄願望(アルゴノゥト)を。

しかも、レベルは2。

ゴブリン達が殺してくれる事に、期待していたが…。

無理か。

…残念…だ…。

 

〝時間ですネ〟

 

早い…な…。

また48…時間後…に…。

スヤー。

 

〝おやすみなさイ〟

 

〝心配は無用と思いますヨ〟

 

〝この物語(せかい)の彼…そして彼女ハ、まだ弱イ〟

 

〝貴方の介入デ、途中退場する可能性モ、生まれていまス〟

 

〝何より殺す機会なド、これから幾らでモ〟

 

〝くくク〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層の『爆発ダンゴ虫』を継続しました。

1階層の『張り付き呪い陣・石』を継続しました。

 

2階層の『落とし穴・小』を継続しました。

2階層の『媚薬霧・弱』を継続しました。

 

3階層の『ゴブリンの巣』を継続しました。

 

1~3階層で起きた結果を記録・蓄積(ログ)します。

記録の一部を表示します。

残りの記録を調べたい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

1階層で、冒険者達が倒れている冒険者を発見。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者C(獣人、男性、レベル1)

救助活動。

冒険者Aは、助けに近寄った!

冒険者Bは、死んでいる事に悲しんだ!

冒険者Cは、隠れているゴブリン達に気がついた!

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aに、ダメージ・大(罠とは思わず油断した)

冒険者Bに、ダメージ・大(遺体を利用された事に動揺した)

冒険者Cに、ダメージ・小

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その2≫

1階層で、ゴブリン17匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(エルフ、男性、レベル1)

冒険者B(パルゥム、女性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、ゴブリンに弓矢で攻撃された(・・・・・・・・・・・・)

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Bは、殺して奪った斧で攻撃された(・・・・・・・・・・・・)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Cは、見覚えのある槍で攻撃された(・・・・・・・・・・・・)

冒険者Cに、ダメージ・大(激怒して後先考えず戦った(なんで持っている!それは恋人の!)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その3≫

2階層で、ゴブリン10匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(エルフ、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、落とし穴に落ちたが、魔法で反撃した!

冒険者Aは、ゴブリンの増援に驚愕した(落とし穴から抜け出せない)

冒険者Aは、冒険者Bの逃走に動揺した(落とし穴から抜け出せない)

冒険者Aは、冒険者Cの逃走に絶望した(落とし穴から抜け出せない)

冒険者Aは、捕縛された。

冒険者Bは、仲間を守って奮戦中!

冒険者Bは、ゴブリンの増援に恐怖した!

冒険者Bは、逃げ出した!

冒険者Cは、仲間を守って奮戦中!

冒険者Cは、ゴブリンの増援に恐怖した!

冒険者Cは、逃げ出した!

ゴブリンの巣に向けて、移動中。

邪魔者が…出現した!

戦闘結果…ゴブリン達は全滅した。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その4≫

3階層で、巣に移動中のゴブリン達が、冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、果敢に戦った!

冒険者Aは、捕縛されていた女冒険者を助けた!

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Bに、ダメージ・極小

冒険者Cに、ダメージ・極小

女冒険者は、捕縛から解放された!

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その5≫

2階層で、ゴブリン30匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル1)

戦闘エリアで、媚薬霧の罠が発動中。

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、興奮状態・小(ルームに閉じ込められた)

冒険者Aは、興奮状態・中(脱出を試みる…失敗)

冒険者Aは、興奮状態・大(もう1度脱出を試みる…失敗)

冒険者Aは、捕縛された(興奮限界突破により行動不能(触るな身体が敏感になって、ひぁん!)

冒険者Bは、興奮状態・小(出入口は、ゴブリン達に塞がれている)

冒険者Bは、興奮状態・中(ゴブリン達は、様子を見ている)

冒険者Bは、興奮状態・大(ゴブリン達は、ニタニタしながら様子を見ている)

冒険者Bは、捕縛された(興奮限界突破により行動不能(離せ!私をどこに連れて行くきだ!?)

冒険者Cは、興奮状態・小(倒しても倒しても、ゴブリンの数は減らない)

冒険者Cは、興奮状態・中(ゴブリンの増援を確認)

冒険者Cは、興奮状態・大(ゴブリンの再増援を確認)

冒険者Cは、捕縛された(興奮限界突破により行動不能(助けてイシュタル様ザコの雌にされる)

ゴブリンの巣に向けて、移動中。

邪魔者は…出現せず。

冒険者達は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

ゴブリン達は学習しました。

冒険者の死体を利用すべし。

殺した冒険者の武器を使うべし。

女冒険者を手に入れたなら、男冒険者は無視しても良し。

 

 

 

 

 

【主人公パート】

やったー!

デビルエネルギーが、10%貯まった。

これで、色々な拡張と強化が出来るはずだ。

嬉しい事は更に続く。

なんと!

苗床も確保できた。

合計15人。

ゴブリン達、頑張ったな!

彼女達には、沢山の子供(ゴブリン)を産んでもらおう。

あれ?

苗床の説明文に、情報が追加されている。

女冒険者を手に入れたのが、条件だったっぽい?

どれどれ。

孕むと1日で、ポッコリお腹に。

次の日には出産。

出産後、子供は24時間後で大人に。

マジか!?

3日で戦力増加!?

ゴブリンの苗床能力恐るべし。

ただ問題も1つ。

ダンジョン産より強いと書いてあるけど、ゴブリンはゴブリン。

レベル2以上の冒険者達に、どこまで対抗できるか。

鍵となるのは、母体の能力を引き継ぐだ。

能力とは?

普通に考えれば、身体能力(ステータス)

だが、他の可能性も十分に有り得る。

アビリティ、スキル、魔法だ。

うーん。

何度見ても説明文に、詳しい事は書いてない。

後で、アクマに聞いてみるか。

そういえば…。

名前は、どうしようか?

姿だけ似ている俺が、オティヌスと名乗っていいものか。

魔術を極めた偉大な魔神の名を。

中身は男だし。

でもなー。

この姿で、別の名前を名乗るも、間違っている気がする。

………。

覚悟を決めた。

オティヌスと名乗るぞ!

 

 



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※運命が変わった冒険者達の話その1「散った花と守られた花」前編

注意!
今回は女性達が酷い目に遭うので、嫌な方はお戻りをm(_ _)m








両手両足を縄で縛られた上、ゴブリン共に担がれて、あたしは運ばれていた。

同じイシュタル・ファミリアのカネスとバリナも。

しくじった!

たかが、ゴブリン如きに負けるとは…。

桃色の霧。

多分あれは、媚薬の類を含んでいる。

動けば動く程、身体が熱くなって、最後は動けなくなった。

気持ち良過ぎて。

まだ余韻が色濃く残っている。

 

「んあっ!やめろ!ひいんっ!」

 

運んでいるゴブリン共が、あたし達の身体をちょくちょく撫で回す。

普段なら気持ち悪いはずなのに。

甘い痺れに、喘ぎ声が漏れてしまう。

くっ、屈辱だ!

アマゾネスのあたし達が、こんな雑魚(ザコ)共に!

 

「はうっ!ねえ、ネイスン。私達、んくっ!どうなるかな?」

 

カネスの言葉に、答えられない。

あたしにも分からないから。

どうして、殺されない?

ゴブリン共は、何を考えている?

 

「はあはあはあ、あれ?行き止まり?」

 

バリナの声で、ゴブリン共が止まっている事に気がつく。

確かに行き止まりだ。

一体何をするつもり…なっ!?

ダンジョンの壁をゴブリン共が触ると、扉の様に壁の一部が開いた。

なんだ!?

この仕掛けは!?

驚くあたし達を気にせず、再びゴブリン共は移動する。

長い長い通路。

その先にあったのは…。

 

「「「っ!?」」」

 

広いルーム。

50匹以上のゴブリン共がおり、裸にひん剥かれた女性達もいた。

いや、それよりも…嘘だろ。

奇妙な宝石の付いた首輪を付けられ、女性達は犯されていた。

 

「な、何これ…。」

 

「あの人達は…私達と同じ、連れて来られた冒険者?」

 

カネスとバリナが震えている。

あたしもだ。

魔物が、人を殺さず喰らわず、犯す?

何故?

考えた瞬間、背筋が凍った。

ま、まさか。

孕ませようとしている!?

 

「きゃっ!?」

 

「いたっ!?」

 

「うぐっ!?」

 

犯されている女性達と同じ首輪を、強引に付けられた。

ちっ!

自分達の所有物にしたつもり?

ふざけるな!

強い危機感と怒りが、動けないはずの身体に、力を呼び戻す。

チラリと2人を見れば、同じ様子だ。

戦う事は無理。

というか、身体が動かせるのは、僅かな時間だけ。

チャンスが来たら、全力で逃げてやる。

 

「ギギッ。」

 

ゴブリン共が、あたし達の縄を解く。

早速チャンスが来た。

馬鹿め!

まったく動けないと思ったか?

アマゾネスを舐めるな!

出口に向かって、全力で走…「ギグムスッ!」…えっ?

ゴブリンが何か言うと、足が止まった。

 

「や、やだ!動いてよ!」

 

カネスが涙目で、動かない足を叩く。

もしかして、魔法?

ゴブリンが使った?

 

「ネイスン…首輪。」

 

バリナが、引きつった顔で首輪を指差した。

こんな時に首輪が、なんだって…はっ!

首輪に付いている宝石が、赤く光っていた。

粘土を握り潰したような奇妙な形の宝石。

 

「ギガロロネッ!」

 

ゴブリンが声を上げると両手が、あたし達の意思とは関係なく動いた。

身に纏っている服を脱ぎ始める。

魔法じゃなかった!

まずい!

この首輪はまずい!

命令に逆らえない効果がある!?

あっという間に、裸にひん剝かれた。

自らの手で。

犯されている女性達も、これで…。

 

「ギナガグラッ!」

 

「「「ひいぃっ!?」」」

 

ゴブリン共に尻を見せる格好で、四つん這いにさせられた。

下卑た笑いを上げながら、ゴブリン達が近づいてくる。

た、た、助けてーーーっ!

あっ…あああああああああああああああああああああああああああぁっ!

 

 

 

 

 

 




【ネイスン、カネス、バリナ】
イシュタル・ファミリアのアマゾネス達。
本来は、殺帝(アラクニア)の放った暗殺者の手によって死亡。
このパラレルワールドでは、ゴブリン達の苗床に…。


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※運命が変わった冒険者達の話その1「散った花と守られた花」後編

私が5歳の時、優しかった母が病気で亡くなりました。

泣いて泣いて泣き疲れて、目を覚ますと、父が私を抱きしめていました。

 

「すまなかった。許してくれ。俺が悪かった。」

 

強面の父が怒られた子供のように、何度も謝りました。

母の看病を出来なかった事。

最後を看取れなかった事。

葬儀に出れなかった事。

でも、それは仕方がないことでした。

父の職業は冒険者。

遠い遠い地にある迷宮都市オラリオで。

家に帰って来るのは、1年に1回だけ。

1週間滞在して、また戻ってしまう。

寂しくはあったけど、私と母に怒りや恨みはありません。

楽しそうに冒険談を話す父が、大好きだったから。

母の死後、父は冒険者を辞めて、一緒に暮らすようになりました。

とても嬉しかったです。

 

それから11年後。

 

父も病気で亡くなり、私は独りぼっちに。

しばらくの間塞ぎ込みましたが、ある決断をしました。

父と同じ、冒険者になると。

周囲に反対されましたが、押し切って迷宮都市オラリオへ!

とある神様のファミリへ入団。

冒険者として頑張る日々が始まりました。

大変だけど充実した毎日。

ある日ダンジョンの様子が、おかしいという噂が広がりました。

神様にも、注意するように念を押されましたが、私は…。

 

「おら!うぜえな!ゴブリン共が!」

 

んん?

男の人の声?

揺れが激しい?

ゆっくりと意識が回復していきます。

確か私は…落とし穴に落ちて…魔法で必死に応戦…。

ゴブリンの増援が沢山きて…あっ。

思い出しました。

PTメンバーに、同じファミリアの仲間に見捨てられました。

そして、ゴブリン達に囲まれたところで…。

恐怖のあまり気を失いました。

今の状況は?

目を開けると…っ!?

男の人の顔が、すぐ目の前にありました。

だ、誰ですか!?

30代後半くらいの強面の方。

どことなく、亡き父に似ています。

 

「おっ!目が覚めたか、嬢ちゃん。」

 

「は、はい。」

 

ひょっとして、この方に助けてもらったのでしょうか?

 

「こんな体勢で悪いが、我慢してくれや。」

 

えっ?

………ひょわあああああああっ!?

お姫様抱っこをされていていました。

どうしてですか!?

 

「モルド!そっちにいったぞ!」

 

「うぜええぇっ、ゴブリン共だ!」

 

ひいぃっ!

周囲を見ると、私を抱っこしている…モルドさん?の他に、男の人が2人。

あとは30匹以上いるゴブリンの群れです。

ギラギラした目で、こっちを見ています。

怖くてモルドさんに、ギュッとしがみつきます。

気を失っていた間に、一体何が!?

 

「てめえぇ、モルド!巨乳美少女とっ!」

 

「デレデレした顔しやがってっ!俺と代われえぇ!」

 

「で、デレデレしてねえよ!つーか、そんな事言ってる場合か!」

 

モルドさん達は、怒鳴り合いながら戦っています。

凄い。

こんな状況なのに、余裕があります。

男の人達は、モルドさんと同じヒューマン。

歳も同じくらいです。

モルドさんより、強面ではありませんが…。

私と比べて、段違いの動きです。

レベル2の冒険者?

 

「「「「「「ギギッ!」」」」」」

 

なっ!?

ゴブリンの増援が、また来ました!?

 

「やべえっ!モルド、さっさと逃げろ!」

 

「行け!そのままじゃ戦えないだろう!」

 

その通りです。

私を抱えているせいで、両手が使えません。

ずっと蹴りだけで応戦しています。

強くても、この数を相手には!

 

「お、降ろして下さい!大丈夫ですから!」

 

「駄目だ。」

 

「何故ですか!?」

 

「身体が震えているぞ。それで、どう戦う?どう逃げる?」

 

指摘されて、気がつきました。

しがみついている手も離せません。

私、ゴブリンが…。

怖い怖い怖い怖い怖い!

今まで倒してきたはずなのに、どうしようもなく怖いです。

降ろされたら、きっと何も出来ない。

 

「「「「「「ガルギギッ!」」」」」」

 

「おいおい、マジかよ。」

 

「冗談きついぜ。」

 

再びゴブリンの増援です。

しかも、完全に包囲されました。

逃げ場無しです。

いえ、レベル2のモルドさん達なら、強行突破できるかもしれません。

その場合、また私は見捨てられる?

これが私の運命なのでしょうか?

 

「お前らあぁ!強行突破だ!」

 

モルドさんが叫びます。

私を強く抱きしめて。

 

「あ、あの?」

 

「俺は第三級冒険者様(レベル2)だぜ。無事に切り抜けてやるさ!」

 

ニッと笑いかけるモルドさん。

まるで父のような、頼もしい笑みでした。

ふえっ!?

いま心臓(ハート)の辺りが、高鳴りました(ドキッとしました)

こんな時に何で!?

 

「モルド!ここを抜けたら、酒を奢れよおおおおぉぉっ!」

 

「まったくだぜ!ゴブリン共しつこいぞおおおおぉぉっ!」

 

「はっ、割り勘に決まってるだろうがああああああぁぁ!」

 

行く手を阻むゴブリン達を倒し、追いかけてくるゴブリン達を振り切ります。

強行突破は順調です。

い、いけます!

助かる可能性に安堵した時、相手の戦法が変わりました。

私を狙い始めます。

殺そうというよりは、捕まえて連れて行こうとしている?

そんな感じの猛攻でした。

 

「痛ええぇっ!くそったれがっ!」

 

私を守ろうとするモルドさんにも集中します。

あああっ!

攻撃を避け切れず、どんどん傷が増えていきます。

血が!

私のせいで、あんなに血が流れて…。

 

「私を置いて逃げて下さい!モルドさん達だけなら…。」

 

「そうだな。だが断る!」

 

「えええっ!?」

 

「俺自身も分からねえ!ただ言える事は、絶対に嬢ちゃんを置いていかん!」

 

あわわっ!?

胸の高鳴り(ドキドキ)が止まりません。

顔を熱いです。

ゴブリンだらけの状況なのに、お姫様抱っこされて、安心している自分がいます。

父のように素敵な人。

私、ファザコンだったのでしょうか?

………違います。

父も大好きでしたが、モルドさんの方が、はわーーーっ!

 

「どうした?顔が真っ赤だぞ?」

 

「な、な、な、なんでもありません!」

 

ううっ、母の言葉を思い出しました。

『友達に言われたけど、私ちょろイン?だって。娘の貴女もそうなるかもね。』

両親の出会い。

魔物が襲った馬車に、母が乗っていました。

他の人は助けてくれず、囮にまでしたとか。

傷らだけになりながら、助けてくれたのは父でした。

強面で、山賊にしか見えなかったそうですが、母は惚れたそうです。

ちょろインの意味は分かりません。

ただ、今の私は母と同じ。

ああああああああああああああああっ!

 

「大丈夫か!」

 

「またゴブリン共か!手伝ってやるぜ!」

 

「おおおっ!助けてくれ!」

 

独りで悶えている間、他の冒険者PTが助けてくれました。

それも2PTも。

あっという間に、ゴブリン達を掃討。

危機的状況から脱出しました。

 

「ありがとうございます。」

 

モルドさんの手当てをしながら、私が意識を取り戻すまでの話を聞きました。

ゴブリン達に担がれ、どこかへ運ばれている女性冒険者(わたし)を発見。

隙をみて救助し、逃走していたそうです。

本当に感謝の言葉しかありません。

もし、発見されて助けてもらえなかったら、今頃どうなっていたのか。

想像しただけで身が震えます。

 

「さっきは顔が真っ赤だったが、今は体調は平気か?」

 

「はわっ!?へ、平気です!」

 

体調が悪かったわけではなく、貴方に…。

 

「そいつは良かった。てっきりに俺に惚れたかと思ったぜ。」

 

「っ!?」

 

惚れました。

大好きです。

ちょろインです。

 

「それはねえだろ。鏡で自分の姿を見て言え。」

 

「まったくだ。美少女とおっさんは有りえねえ。」

 

「冗談だよ!夢ぐらいみたっていいだろう!」

 

モルドさんと一緒に、私を助けてくれた方。

ガイルさんとスコットさん。

2人の言葉に、モルドさんが叫びました。

良くない状況です。

私は本気なんです!

このままお別れとかは嫌です!

 

「ほ、惚れてます!結婚して下さい!」

 

「…ま、マジで?」

 

「「なんだと!?」」

 

あわわわっ!?

私は何を言って!?

いきなり結婚して下さいとか!?

 

「おい、モルド。ちょっと向こうの曲がり角まで、面貸せや。」

 

「だな。この裏切り者め、祝福してやんよ(フルボッコにしてやんよ)。」

 

「ば、馬鹿!やめろ!まだダンジョンだぞ、ぎゃあああああああああぁっ!」

 

恥ずかしい!

穴があったら入り…たくないです。

 

 

 

 

 

ダンジョンからオラリオへ、無事に帰還しました。

その後、色々な事がありました。

ゴブリンに恐怖し、ファミリアの仲間達を信頼できなくなった私。

冒険者を引退しました。

そんな私を嫁に貰ってくれたモルドさん。

両親の話をしたら、これからずっと一緒に居てくれるって。

素敵な旦那様です。

あっ、報告します。

元冒険者の私こと、アルディーネは…。

故郷へ帰る前に、オラリオで結婚しました!

この後、10人の子宝に恵まれますが、また別の話です。

 

 

 

 

 

〝くくク〟

 

〝確認しましタ〟

 

〝18階層デ、ベル・クラネルとモルドハ、再会せズ〟

 

〝運命ハ狂っていク〟

 

 

 

 

 

 




【アルディーネ】
本来は、ミノタウロスと戦闘で死亡。
ファミリアの仲間達と共に、ミノタウロスと初遭遇。
ミノタウロスの強さの前に、仲間達はアルディーネを囮にして逃亡。
胴体を真っ二つにされた。

【モルド・ラトロー】
本来は、仲間のガイル・スコットと共に、冒険者を続けている。
このパラレルワールドでは、アルディーネと出会い、冒険者を引退。
愛妻家で、子煩悩な父親になる。


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ダンジョン異端記録その4

【アクマと会話パート】

アクマ!

デビルエネルギーが貯まったぞ!

 

〝おめでとうございまス〟

 

10%だけど、支配する階層を増やせるか?

 

〝はイ、5%で可能でス〟

 

おっ、いいね!

予想より少なくて助かる。

それで、ダンジョンの支配できる階層は、どこまで増える?

+1階層だけって事はないよな?

そうだったら泣くぞ!

 

〝泣…少々お待ちヲ〟

 

待てーい!

いま泣けって、言おうとしただろう!?

 

〝ピュッピュー、気のせいでス〟

 

誤魔化し方が雑っ!?

あと口笛が超下手だな!?

 

〝支配階層を増やしましタ、パソコンの方で確認して下さイ〟

 

OK。

パソコンの電源を入れて…。

おおおおっ!

6階層まで支配しているぞ!

 

〝各階層に配置できる罠の数モ、増えてまス〟

 

本当だ!

2から3に増えてる。

しかも、新しい罠まで追加されているぞ!

うん?

なあ、アクマ。

 

〝何でしょうカ?〟

 

知らないモノが表示されている。

『トラップポイント』と『モンスターポイント』って、何?

どっちも、2ポイント貯まってんだけど?

 

〝それは消費しテ、罠と魔物を強化しまス〟

 

へえー。

ゴブリン以外の魔物も、強化できるのか。

あれ?

ゴブリンの強化には、2ポイント必要。

他の魔物の強化には、1ポイント必要。

差があるな?

あっ、なるほど。

ゴブリンは1度強化したから、ポイントが多く必要なのか。

 

〝その通りでス〟

 

そうなると…。

ゴブリンを再び強化するか。

別の魔物を強化するか。

うーん。

ゴブリンだけに頼るのも問題あるし。

決めた!

今回は別の魔物を強化する!

 

〝どの魔物にしますカ?〟

 

フロッグシューター!

蛙の魔物だ。

 

〝また面白い魔物を選びましたネ〟

 

だろ?

決定のボタンを、ぽちっと押して強化完了。

よしよし。

ゴブリンと同じで、スキルが3つ付いたぞ。

巨大化・小、踊り食い(まるのみ)、伸縮舌・改。

………実に蛙らしいスキルと思わないか?

 

〝パソコン画面かラ、目を背けテ言われてモ〟

 

ゴブリンがエロゲーなら、蛙はリョナゲーか。

踊り食い(まるのみ)

生物を生きたまま、丸呑みするスキル。

完全に呑み込まれると、脱出は非常に困難。

1日かけて溶かされる。

 

〝素晴らしいスキルですネ〟

 

そ、そうか?

確かに強力だけど…。

丸呑みシーンは、ちょっと見たくないなー。

次は巨大化・小。

丸呑みする為に、身体を巨大化したスキル。

大きさは牛並。

ふむ。

踊り食い(まるのみ)の前提条件みたいなものか。

打撃攻撃耐性の効果もあるみたいだ。

最後は伸縮舌・改。

舌の伸縮スピードアップ。

舌攻撃のダメージアップ。

舌の締めつける力アップ。

舌の伸びる距離がアップ。

うん、こいつも悪くないスキルだ。

強化したフロッグ・シューター。

冒険者達を、絶望に叩き落としてくれそうだ。

 

〝楽しみですネ〟

 

もう1ポイント余っているが…。

念の為に取っておくか。

おっと、忘れるところだった。

アクマに聞きたい事がある。

 

〝私で分かる事なラ〟

 

ゴブリンの苗床だけど。

母体の能力を引き継ぐって、具体的には何だ?

 

〝それですカ、情報を送りまス〟

 

むおっ!?

頭に情報が入ってきた!?

引き継ぐ能力は…。

身体能力(ステータス)、スキル、アビリティ、魔法。

どれか1つと思っていたら、全部かよ。

 

〝ただシ、母体のレベルで変わりまス〟

 

えーと。

身体能力(ステータス)=産まれるゴブリンの強さ。

レベル1の母体だと、普通のゴブリンより少し強い程度。

レベル2の母体だと、下級冒険者に勝てないが、簡単に負けない強さ。

レべル3の母体だと、下級冒険者より強くなる。

うわー。

こうなると、最弱の魔物と呼べないぞ。

 

〝スキル・アビリティ・魔法モ、母体の強さで変わりまス〟

 

こっちも、とんでもねえなー。

レベル1の母体は、引継ぎ無し。

レベル2と3の母体は…。

スキル・アビリティ・魔法の中から、1つか2つ引き継ぐか。

 

〝そろそろ時間ですネ〟

 

もう30分間近!?

デビルエネルギーで、起きている時間を増やせるんだよな。

残り5%でも可能か?

 

〝残り5%使うト、40分増やせまス〟

 

マジか!?

しかし、全部使うのは…。

30分増やす場合は、何%必要だ?

 

〝3%でス〟

 

………じゃあ、それで頼む!

 

〝分かりましタ、デビルエネルギー使用、成功でス〟

 

サンキュー!

これで30分+30分。

1時間起きてられるぞ!

ちなみに、強制睡眠の48時間は減らせないのか?

 

〝24時間起きている事が可能になれバ、減らせるようになりまス〟

 

うげっ、道のりが遠い。

厳し過ぎねえか?

 

〝こればっかりハ、どうする事も出来ませン〟

 

ぬぐぐっ。

コツコツ頑張るしかないか。

じゃあ、続けて罠の強化をしよう。

トラップポイントは2。

モンスターポイントと同じなら、2つ強化できるな。

 

〝ですでス!ただシ、配置した事のある罠に限りまス〟

 

つまり…。

新しい罠には、適用されないって事か。

配置した事のある罠は5つ。

ここから2つ選ぶ。

そうだなー。

………媚薬霧と落とし穴にするか。

ポイントを1つ使って、んん?

選択だと?

強化するか、進化するか。

ふふふ、面白い!

 

〝慎重に決める事ヲ、お勧めしまス〟

 

分かってるよ。

ふむふむ

強化だと…こうなって、進化だと…こうなるのか。

 

〝時間にも注意ヲ〟

 

他の罠と組み合わせるなら…。

こっちは…強化で、あっちは…進化を。

 

〝聞いていませんネ〟

 

1階層には、これとこれとこれで。

2階層には………。

 

〝もう時間が来るまデ、放置しますカ〟

 

罠の配置が出来た!

お…ろ…?

眠く…なって…き…た。

 

〝夢中になり過ぎでス〟

 

つい…楽しく…て…。

ベッドに…あいたっ!

ううぅ…痛い…眠い…ZZz。

 

〝椅子から転げ落ちたまマ、寝てしまいましたカ〟

 

〝さてさテ〟

 

〝この程度ならバ、まだあちら側は本腰で、動かないでしょウ〟

 

〝デビルエネルギーを貯めれるだけ貯めましょうカ〟

 

〝楽しい楽しい血の宴デ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層に、『爆発ダンゴ虫』を継続しました。

1階層に、『おとし穴・小』を継続しました。

1階層に、『壁ドン』を配置しました。

 

※壁ドン

男性が女性にする恋愛的な壁ドンではない。

お隣さん煩いぞ!的な壁ドンでもない。

壁の一部が飛び出し、ドンと衝突してくる罠である。

ダメージ+3~5mの吹き飛ばし効果。

飛び出してくる壁の一部は、高さ2m幅1m厚さ3m程。

魔物は壁ドンの位置が見える。

配置コスト:1

 

2階層に、『幻覚苔』を配置しました。

2階層に、『電撃地雷』を配置しました。

2階層に、『媚薬雨・弱』を配置しました。

 

※幻覚苔

見た目は、岩や地面に生えている普通の苔。

しかし、危険な胞子を常に飛ばしている。

抵抗に失敗すると…。

味方が敵に、敵が味方に、見える幻覚に陥る。

強い一撃を受けると、幻覚は消える。

耐異常のアビリティがあれば、無効化可能。

魔物に効果無し。

配置コスト:1

 

※電撃地雷

地面に埋まっている、魔法の浮彫細工(レリーフ)

踏んで割る事により、電撃が放たれる。

ダメージ+麻痺の効果。

耐異常のアビリティでも、無効化は不可。

ただし、熟練度が高い場合やレベルが高い場合は効き難い。

魔物は電撃地雷の位置が見える。

電撃地雷は、ダンジョンから持ち出し不可。

持って行こうとすると、雷撃が暴発する。

配置コスト:1

 

※媚薬雨・弱(興奮状態(エロエロ)にする)

媚薬霧・弱を、媚薬雨・弱に進化します。

………成功。

進化によって、媚薬霧・弱は、罠の中から消滅しました。

見た目は桃色の雨。

乾き難い雨で、乾くまで媚薬の効果が続く。

更に雨は、肌や服を伝い身体中へ。

最初はムラムラする程度。

しかし、濡れた範囲が広がる度に。

もしくは、濡れた場所によって、効果は急上昇します。

耐異常のアビリティでも、無効化は不可。

ただし、熟練度が高い場合やレベルが高い場合は効き難い。

魔物に効果なし。

配置コスト:1

 

3階層に、『ゴブリンの巣』を継続しました。

 

4階層に、『幻覚苔』を配置しました。

4階層に、『電撃地雷』を配置しました。

4階層に、『張り付き呪い陣・石』を配置しました。 

 

5階層に、『媚薬雨・弱』を配置しました。

5階層に、『落とし穴・中』を配置しました。

 

※落とし穴・中

落とし穴・小を、落とし穴・中に強化します。

………成功。

落とし穴は、円柱型になりました。

直径5m深さ5m。

魔物は落とし穴の位置が見える。

配置コスト:2

 

6階層に、『壁ドン』を配置しました。

6階層に、『落とし穴・中』を配置しました。

 

6階層のフロッグシューターが強化されました。

 

ゴブリン達の制限が解除されます。

6階層まで活動範囲が広がりました。

 

1~6階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

6階層で、フロッグシューター5匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(エルフ、女性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル1)

戦闘結果。

フロッグシューター達の全滅。

冒険者Aは、攻撃を回避できなかった(舌が身体に巻き付いた(1番遠い私に届いた!?)

冒険者Aは、踏ん張っている(失敗、引っ張られて上半身が口の中に)

冒険者Aは、藻掻いている(失敗、更に膝辺りまで口の中に)

冒険者Aは、仲間達に助けられた(粘液でベトベトになった)

冒険者Bは、攻撃を回避した(仲間が食べられるのを見た(蛙デカッ!?)

冒険者Bは、慌てて助けに向かった!

冒険者Cは、攻撃を回避した(仲間が食べられるのを見た(キモい!キモい!)

冒険者Cは、慌てて助けに向かった!

 

≪ログ報告その2≫

1階層で、ゴブリン19匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(獣人、男性、レベル1)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、壁ドンされた!

冒険者Aに、ダメージ・特大(激しく吹き飛ばされ、衝撃で朦朧としている)

冒険者Aは、ゴブリン達に囲まれ、止めを受けた!(ゴブリン達「いらっしゃい~♪」)

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、助けに向かったが、手遅れだった!

冒険者Bに、ダメージ・中

冒険者Cは、助けに向かったが、手遅れだった!

冒険者Cに、ダメージ・小

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その3≫

2階層で、ゴブリン38匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者D(獣人、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、幻覚苔で仲間が、ゴブリンに見えた!

冒険者Aは、冒険者C(ゴブリン)に攻撃した!

冒険者Aは、冒険者C(ゴブリン)に攻撃した!

冒険者Aは、冒険者B(ゴブリン)に攻撃した!

冒険者Aは、ゴブリン(仲間達)に総攻撃された!

冒険者Aに、ダメージ・特大。

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、幻覚苔でゴブリンが、仲間に見えた!

冒険者Bは、冒険者D(ゴブリン)の攻撃からゴブリン(冒険者D)を庇った!

冒険者Bに、ダメージ・中(幻覚の効果が解けた)

冒険者Bは、冒険者Aに攻撃された!

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、冒険者Aに攻撃された!

冒険者Cに、ダメージ・大

冒険者Cは、冒険者Aに攻撃された!

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Dは、仲間達の異常に混乱した!

冒険者Dは、逃げ出した!

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その4≫

2階層で、冒険者達がダンジョン探索中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(エルフ、男性、レベル1)

冒険者D(パルゥム、女性、レベル1)

探索エリアで、媚薬雨の罠が作動中。

探索結果。

冒険者達の壊滅(精神的に)

冒険者Aは、興奮状態・中(全身がびしょ濡れに)

冒険者Aは、興奮状態・大(本能が理性を殴り倒した)

冒険者Aは、本能の大勝利(服を脱ぎ始めた(子作り♪子作り♪)

冒険者Bは、興奮状態・小(身体が濡れ始めた)

冒険者Bは、興奮状態・中(理性と本能が戦っている(煩悩退散!煩悩退散!)

冒険者Bは、理性が勝った(仲間達を止めている)

冒険者Cは、興奮状態・中(媚薬雨を飲んでしまった)

冒険者Cは、興奮状態・大(性的趣向を叫んだ(私はロリコンだーっ!)

冒険者Cは、本能に負けた(仲間に襲い掛かった)

冒険者Dは、興奮状態・小(防水性のコートを着ていた)

冒険者Dは、興奮状態解除(仲間(ロリコン)に恐怖した)

冒険者Dは、恐怖状態・中(全力で逃げた)

 

≪ログ報告その5≫

1階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者C(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者D(エルフ、女性、レベル1)

探索結果。

1人だけ不幸に。

冒険者Aは、壁ドンされた(防御には成功するが転倒)

冒険者Aは、爆発ダンゴ虫を数匹潰した(大爆発して宙を舞う)

冒険者Aは、落とし穴に頭から落ちた(頭隠して尻隠さず)

冒険者Bは、慌てて助けに向かった(わあーっ、ヒュアキントス団長)

冒険者Cは、慌てて助けに向かった(おいら、噂の罠を始めて見たよ)

冒険者Dは、慌てて助けに向かった(馬鹿、早く引っこ抜くの手伝え)

 

≪ログ報告その6≫

5階層で、ゴブリン10匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(エルフ、女性、レベル2)

冒険者B(エルフ、男性、レベル1)

冒険者C(エルフ、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、逃走したゴブリンを追いかけた!

冒険者Aは、ダメージ・小(落とし穴に落ちた、着地に成功(一緒に落ちたゴブリンは囮!?)

冒険者Aは、ダメージ・小(ゴブリン達の大増援(後輩達が怪我を…)

冒険者Aは、ダメージ・中(頭上から、弓矢・投石・投げ槍の攻撃(逃げたいのに、逃げ場がない!)

冒険者Aは、ダメージ・大(仲間達を庇って倒れた(攻撃を捌ききれない!?)

冒険者Aは、捕縛された。

冒険者Bは、逃走したゴブリンを追いかけた!

冒険者Bは、ダメージ・中(落とし穴に落ちた、着地に失敗)

冒険者Bは、ダメージ・特大(頭上から、弓矢・投石・投げ槍の攻撃)

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、逃走したゴブリンを追いかけた!

冒険者Cは、ダメージ・中(落とし穴に落ちた、着地に失敗)

冒険者Cは、ダメージ・特大(頭上から、弓矢・投石・投げ槍の攻撃)

冒険者Cは、死亡した。

ゴブリン達は巣に向けて、移動中。

邪魔者が…出現した!

戦闘結果…邪魔者を排除した!

冒険者は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

ゴブリン達は学習しました。

フロッグシューターと連携すべし。

ただし、注意しないと自分が食べられる。

電撃地雷に、冒険者達を誘導すべし。

電撃地雷を、持ち運べる事に気がついた。

ただし、掘り出し中・持ち運び中に割ると大惨事に。

幻覚苔に、冒険者達を誘導すべし。

落とし穴・中に、冒険者を誘導すべし。

上記、落ちれば冒険者達に逃げ場なし。

壁ドンに、冒険者達を誘導すべし。

ただし、巻きこまれると即死する。

 

 

 

 

 

【主人公パート➡オティヌスパート】

わ、わーお。

ログの量が膨大だ。

まあ原因は分かっている。

支配階層を増やしたからだ。

成るべくして成った結果か。

うん?

デビルエネルギーが………もう8%も貯まっている!?

マジか!?

貯まる速度が半端ないぞ。

どんだけ冒険者が死んで、心が折れたのやら。

ふふふ。

俺としては嬉しい限り。

おっ、レベル2の苗床もゲットだ!

1人だけど、デビルエネルギーといい、運が向いてきたなー。

確か産まれるゴブリンは…。

下級冒険者に勝てないが、簡単に負けない強さだったはず。

ここに集団戦闘の能力上昇が加われば、どうなるか?

互角になるかもしれない。

素晴らしい!

いっぱい産んでもらおう。

罠の変更は無し。

しばらくは、このままでいいかな。

………。

ある物が視界に入った。

木製の両開きクローゼットである。

何が入ってるんだろう?

普通に考えれば、服や下着だ。

中を確認してみるか。

パカッと開けば…。

オーマイガー!

全部オティヌスの衣装じゃん!

違う服が1着も無かったよ。

アクマの嫌がらせか!?

はっ!

そういえば、下着もないぞ。

ノーブラノーパンで過ごせと!?

………いや。

もとから、そうだったわ。

 

 

 

 



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※ギルド職員の先輩と後輩その2

「し、調べ終わりました…。」

 

「疲れた~。」

 

「…先輩、次はどうしたら?」

 

後輩達は力尽きて、机に突っ伏していた。

休めと言っても、頑固に仕事を続けたゼクス。

応援として回され、大変な目に遭ったミィシャ。

そして、そんな2人を手伝ってあげたエイナ。

 

「3人とも、お疲れ様。」

 

机や床に、山積みとなった資料。

頑張ったわね。

用意した紅茶とサンドイッチを置く。

時間は午後1時過ぎ。

昼ご飯を食べていない様子だったから持って来た。

 

「「「ありがとうございます!テリア先輩!」」」

 

「いいのいいの、気にしないで。」

 

ギルドは今、大忙しだからね。

数日前から発生しているダンジョンの異常事態。

3人が調べていたのは、最弱の魔物(・・・・・)ゴブリンについて。

うーん。

だったというべきかしら。

ゴブリンに殺され、連れ去られた冒険者が増え始めていた。

脅威の魔物になりつつある。

だからこそ、事は一刻を争う。

 

「該当…無しか。」

 

でも、調べた結果は無慈悲ね。

過去に類似したダンジョンの異常状態は、一切無かった。

つまり、今回が初めてとなる。

勘なんて信じたくないけど…。

嫌な予感がするなー。

連れ去られた冒険者達も心配。

全員女性には、何か意味がある?

神々の報告だと、授けた恩恵が切れてないらしい。

生きている証拠だ。

どうか無事で!

 

「先輩の方は、何か分かりましたか?」

 

「いいえ。」

 

ゼクスの質問に、溜息を吐きながら答えた。

私の方も、さっぱりだった。

石が張り付く現象、謎の爆発、落とし穴、桃色の霧。

原因は不明。

こちらも過去の資料に該当無し。

ただ…。

冒険者達から気になる情報を、いくつか聞いた。

謎の爆発が起きる前、ダンゴ虫を見た。

桃色の霧の中にいると、性的に興奮する。

石が張り付く現象は、なる前に魔力の流れを感じた。

等々である。

資料を作って、調査依頼している冒険者達に、渡しておくべきね。

注意しとけば、新しい発見があるかもだし。

 

「そういえば、あれって本当ですか?」

 

ミィシャが、サンドイッチを頬張りながら質問した。

あれって何?

 

「集団だと、ゴブリンは強くなるっていう噂です。」

 

んー、その件か。

確かに冒険者達から、その情報は届いている。

他には、落とし穴や謎の爆発の位置を、知っている可能性がある情報も。

これも調べてもらっている途中。

困ったわね。

どう答えたものか。

大丈夫とは思うけど、未確認の情報が流れたら大問題になる。

迂闊な事は言えないわね。

 

「ぐはっ!?」

 

「「「っ!?」」」

 

何事!?

物凄い音と悲鳴が聞こえたわよ!?

 

「いつつ、すみません。」

 

悲鳴の主は、赤く腫れた額を擦っていた。

あー、なるほど。

状況を理解した。

私が何度も注意したのに、休まなかった馬鹿(ゼクス)

サンドイッチと紅茶で腹が満たされ、溜まりに溜まった睡魔に敗北。

姿勢が崩れて、額を机にぶつけたのね。

怒ってばかりだと、やる気を無くすかなーと思ったけど…間違いだった!

 

「ゼクス、仮眠室に行くわよ。」

 

「だ、大丈夫です!それにまだ、片付けと報告が残ってますから。」

 

ふーん、口答えするか。

いい度胸ね。

また子犬のように、しょんぼりさせてあげる!

 

「ミィシャ、エイナ。」

 

「「は、はい!」」

 

「片付けと報告を、お願いしてもいいかな?」

 

「「任せて下さい!」」

 

席を立つと、ゼクスの腕を掴んで歩く。

普段なら力負けするでしょうけど、フラフラの人には勝てる。

 

「先輩!?2人とも助けてーーーっ!」

 

あとは私とエイナがするから(いいから、さっさと行け)。」

 

気にしないで、ゆっくり休んで(先輩が目が、凄く怖いから)。」

 

ほらほら、諦めなさい。

味方なんて、1人もいないわよ。

まったく!

ちょっと前まで、怒られたら子犬みたいに、しょぼんりしていたのに。

たった数日で、仕事中毒者になって!

仮眠室に着くと、ベッドに寝っ転がし、布団を投げつけた。

 

「ほらほら、早く寝なさい。」

 

「ううっ、1人だけ休むわけには…。」

 

まだ無駄な抵抗をするわけ?

仕方ないわね。

最終手段よ。

この手を使わせた事を、後悔しなさい!

 

………………………………(真っ赤になって、ぷるぷるしている)。」

 

膝枕してやった。

 



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ダンジョン異端記録その5

【アクマと会話パート】

そういえば…。

ダンジョンって、もう1つあったよな。

えーと。

名前は何だっけ?

 

〝奇人ダイダロス一族が建造中ノ、人造迷宮クノッソスですネ〟

 

そうそう、それ!

ベル・クラネルやロキ・ファミリアが、苦戦を強いられる場所。

壁は全部、超硬金属(アダマンタイト)

扉は全部、最硬精製金属(オリハルコン)

出入口を開くには、ダイダロス一族の左目か、マジックアイテムが必要。

多くの仕掛けがあり、拠点としても使え、実験施設も完備。

地上とも繋がっている。

欲しいなー。

クノッソスも支配が出来たりする?

 

〝それハ…〟

 

あー、すまん。

言わなくても分かってる。

無理だって。

ダンジョンマスターとはいえ、そこまで万能(チート)じゃないだろう。

闇派閥のアジトに、ちょっと憧れただけ。

忘れてくれ。

 

〝いエ、支配は可能ですヨ〟

 

出来るんかーい!

 

〝条件を2つクリアすれバ〟

 

ふむ。

まあ簡単ではないと思うけど…。

教えてくれ!

 

〝18階層まで支配する事ト、デビルエネルギーが100%必要でス〟

 

マジかー。

正直、どっちもきつい。

6階層を支配したばかりの上、デビルエネルギーは8%しかない。

だけど、可能と知った今は、諦めたくない。

 

〝現状でハ、一部のファミリアしカ、存在を知りませン〟

 

その通り!

ベル・クラネルとロキ・ファミリアが関わるのは、まだまだ先の話。

故に、もしも奪って隠し通せたら…。

最高の隠れ家に、ならないだろうか?

こっそりオラリオへ行ける。

安心して修行が出来る。

主人公達の成長も妨害できる。

最高じゃないか!

 

〝なるほド、支配する価値はあるかト〟

 

よし!

頑張って、条件をクリアするぞ!

まあ頑張るのは、ゴブリン達とフロッグシューター達。

俺は、ダンジョンの設定をするだけ。

放置ゲー様様だ。

 

〝言い忘れていましたガ、ダンジョンの中で神々ヲ…〟

 

うん?

神々が、どうしたって?

 

天界へ強制送還させた(ころした)場合、膨大なデビルエネルギーが貯まりまス〟

 

本当か!?

神々がダンジョンに入ったのは…。

えーと。

ベル・クラネル達の救助の時だ!

確か、ヘスティアとヘルメスの2柱。

 

〝時期的にハ、そろそろでス〟

 

大チャンスだ!

…あっ、駄目だわ。

厄介な護衛が2人いる。

疾風と万能者。

どちらも、レベル4の第二級冒険者だ。

 

〝難しいですネ〟

 

まったくなー。

6階層を突破されたら、それまでだし。

魔物達は、おそらく瞬殺される。

どれだけ数がいても。

期待するとしたら、罠か。

ヘスティアとヘルメスが掛かれば…。

 

〝運次第ですネ〟

 

運次第だな。

ふわー。

眠くなってきた。

そろそろか。

2日前は床で寝てしまったが、今日は失敗しないぞ。

このベッドのシーツって、肌触りが最高。

 

〝喜んで頂けれバ、幸いでス〟

 

枕も…ふかふか…。

お…やす…み…。

………。

 

〝おやすみなさイ〟

 

〝しかシ、人造迷宮を狙うとハ…〟

 

〝実に素晴らしイ!〟

 

〝あそこにハ、大勢の獲物が隠れていまス〟

 

〝支配し逃げ場の無くシ、じわじわと狩っていク〟

 

〝くくク、楽しみですネ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層に、『爆発ダンゴ虫』を継続しました。

1階層に、『おとし穴・小』を継続しました。

1階層に、『壁ドン』を継続しました。

 

2階層に、『幻覚苔』を継続しました。

2階層に、『電撃地雷』を継続しました。

2階層に、『媚薬雨・弱』を継続しました。

 

3階層に、『ゴブリンの巣』を継続しました。

 

4階層に、『幻覚苔』を継続しました。

4階層に、『電撃地雷』を継続しました。

4階層に、『張り付き呪い陣・石』を継続しました。

 

5階層に、『媚薬雨・弱』を継続しました。

5階層に、『落とし穴・中』を継続しました。

 

6階層に、『壁ドン』を継続しました。

6階層に、『落とし穴・中』を継続しました。

 

1~6階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

6階層で、冒険者達が敗走中。

冒険者A(エルフ、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル1)

敗走結果。

冒険者達の全滅。

冒険者Aは、地上に向かっている(現在、狭い通路を移動中(仲間達が、殺された…)

冒険者Aは、壁ドンされた!

冒険者Aは、壁ドンと通路の壁に挟まれ、即死(圧死)した!

冒険者Bは、地上に向かっている(現在、狭い通路を移動中(ゴブリンが強過ぎだよ)

冒険者Bは、目の前で仲間が潰され、悲鳴を上げた!

冒険者Bは、取り乱している(背後から近寄るフロッグシューターに、気がつかない)

冒険者Bは、奇襲された(舌が身体に巻き付いた)

冒険者Bは、踏ん張っている(失敗、引っ張られて上半身が口の中に)

冒険者Bは、藻掻いている(失敗、更に膝辺りまで口の中に)

冒険者Bは、足をジタバタしている(失敗、ついに全身が口の中に)

冒険者Bは、丸呑みされた。

救援は…来なかった。

冒険者は、消化されました。

 

≪ログ報告その2≫

5階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者D(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者E(エルフ、男性、レベル1)

探索結果。

冒険者達は、転がっている袋を発見(袋の口から、大量の貨幣が…)

冒険者達は、落とし穴に落ちた(拾った瞬間、地面が崩れた)

冒険者達は、ダメージ・極小(ゴブリン達が現れた)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者達は、幻覚状態になった(ゴブリン達が幻覚苔を、大量に投げ込んだ)

冒険者達は、仲間同士で殺し合っている(ゴブリン達と戦っている)

冒険者達は、ダメージ・大(正気に戻る幻覚を見るを、繰り返している)

冒険者達は、ダメージ・特大(ゴブリン達は、ニタニタしながら見下ろしている)

冒険者達は、力尽きた。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その3≫

2階層で、ゴブリン11匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル1)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル1)

戦闘エリアで、媚薬雨の罠が発動中。

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、興奮状態・極小(強い理性で耐えている(興奮しても女がいねえ)

冒険者Aは、油断していた(最後のゴブリンが魔法の浮彫細工(電撃地雷)を割った)

冒険者Aは、感電した(麻痺状態になった)

冒険者Aは、ダメージ・特大(ゴブリン達の増援に襲われた)

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、興奮状態・特大(理性が崩壊寸前である(あいつの尻を掘りてえ)

冒険者Bは、油断していた(電撃が雨を伝い、襲ってきた)

冒険者Bは、感電したが耐えた!

冒険者Bは、ダメージ・特大(仲間達の盾になるが、1人では守きれず…)

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、興奮状態・極小(強い理性で耐えている(仲間の視線が怖ええぇ)

冒険者Cは、油断していた(広範囲の電撃に逃げ場なし)

冒険者Cは、感電した(麻痺状態になった)

冒険者Cは、ダメージ・特大(ゴブリン達の増援に襲われた)

冒険者Cは、死亡した。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その4≫

5階層で、ゴブリン32匹が冒険者達を奇襲。

冒険者A(エルフ、女性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル2)

戦闘エリアで、媚薬雨の罠が発動中。

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、挟撃されても慌てなかった(少ない方へ突破を試みる)

冒険者Aは、落とし穴に落ちた!

冒険者Aは、興奮状態・中(雨が地面に浸透し、底へ溜まっていた)

冒険者Aは、興奮状態・特大(身体に力が入らず、媚薬のプールに沈んでイク)

冒険者Aは、捕縛された。

冒険者Bは、リーダーの指示に従った(ゴブリン達が笑っているような…)

冒険者Bは、落とし穴に落ちた!

冒険者Bは、興奮状態・中(着地に失敗、頭から落ちた)

冒険者Bは、興奮状態・特大(全身媚薬塗れで、理性が溶かされてイク)

冒険者Bは、捕縛された。

冒険者Cは、並行詠唱を始めた(冒険者()を殺したゴブリン共は焼き殺す)

冒険者Cは、落とし穴に落ちた!

冒険者Cは、興奮状態・中(効果があるか分からないが、解毒剤を飲んだ)

冒険者Cは、興奮状態・大(必死に耐えている)

冒険者Cは、捕縛された。

ゴブリンの巣に向けて、移動中。

邪魔者は…出現せず。

冒険者Cが、逃亡に成功!

残り2人は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その5≫

1階層で、ゴブリン39匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者C(パルゥム、女性、レベル1)

冒険者D(獣人、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、ギルドのマニュアル通りに行動した!(数を減らせば、ゴブリンの強さは低下する)

冒険者Aは、猛攻撃した!

冒険者Aは、猛攻撃した!

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Bは、ギルドのマニュアル通りに行動した!

冒険者Bは、落とし穴に落ちた(両手を咄嗟に上げた)(何も出来ない、お荷物状態は避ける)

冒険者Bは、落とし穴から脱出した!

冒険者Bに、ダメージ・極小

冒険者Cは、ギルドのマニュアル通りに行動した!

冒険者Cは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばされた!

冒険者Cは、急いで仲間と合流した(タコ殴りや孤立を避ける)

冒険者Cは、ダメージ・小

冒険者Dは、ギルドのマニュアル通りに行動した!(仲間の援護をして、PTの壊滅を避ける)

冒険者Dは、落とし穴に落ちた仲間の援護をした!

冒険者Dは、吹き飛ばされた仲間の援護をした!

冒険者Dは、ダメージ・小

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その6≫

4階層で、ゴブリン7匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、短剣二刀流のゴブリンに苦戦している!

冒険者Aに、ダメージ・大

冒険者Aは、激闘の末に敗北(死亡)した。

冒険者Bは、仲間を倒したゴブリンと一騎打ち!

冒険者Bに、ダメージ・大

冒険者Bは、あと一歩というところで敗北(死亡)した。

冒険者Cは、異質なゴブリンに恐怖した!

冒険者Cに、ダメージ・大

冒険者Cは、逃げるが追いつかれて敗北(死亡)した。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

短剣二刀流のゴブリンは、冒険者達の持っていた魔石を食べました。

 

ゴブリン達は学習しました。

囮を使って、冒険者を嵌めるべし。

罠と罠を組み合わせて、冒険者を追い詰めるべし。

冒険者の持っている不明な品(貨幣)を利用すべし。

電撃は水を伝い感電すると知った。

女冒険者を桃色の液体に漬ければ、楽に捕縛できると知った。

 

報告します。

ゴブリンキング候補が出現しました。

「…オイラ…強イ…ガリッボリボリ(魔石を喰らう音)…兄貴…兄貴…誰ダッケ?」

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

ふむふむ、なるほど。

落とし穴について、いくつか分かった事がある。

落とし穴・小は、ランダムで配置され、使用後に消滅する。

消滅といっても、ダンジョンの修復力で穴が埋まるだけ。

そして、別の場所に配置される。

冒険者にとって、悪夢のような罠だ。

次に落とし穴・中。

使用後は崩れた地面、落とし穴の蓋部分のみ修復される。

つまり配置場所は、そのまま。

厄介だなー。

引っ掛かった冒険者が生還すると、報告されてしまう。

地図にでも記載されたら、結構な痛手だ。

そう思っていたが…。

とんでもない裏技に気がついた。

階層に配置した罠を、一旦解除して、また配置する。

あ~ら不思議。

再びランダムで配置された。

命懸けで手に入れた情報が無駄になる。

まさに鬼畜の所業。

ふふふ。

毎回やろう。

さて、今回の戦果は…よくやった!

偉いぞ、ゴブリン達。

レベル2の苗床を、多く確保した。

強いゴブリン達が生まれ、益々冒険者達を苦しめるだろう。

フロッグシューター達も頑張ったな。

中々の働きっぷりだ。

うん?

ゴブリンキング候補の出現?

何コレ!?

階層主…じゃないか。

ファンタジーでは有名な魔物(ボス)だけど、ダンまちでは聞いた事がない。

候補ってところも気になる。

あとで、アクマに聞いてみるか。

冷蔵庫を、チラリと見る。

仮初の命状態なので、俺に飲食は不要。

しかし、キンキンに冷えたビールが飲みたい。

身体は求めてないが、心が求めている!

就寝前の一杯。

軽く酔って、気分良く眠るのが好きだった。

ああー。

想像すると欲望が止まらない。

冷蔵庫の扉を開けて…なっ…ぬあああああああああああああああぁっ!

栄養ドリンクしか入ってねえっ!

 

 

 

 

 

 




ダンジョンの6階層にて。

ヘスティアは上半身を、フロッグシューターにパクッと食べられた。
「ほぎゃあああああああぁっ!?」
女神の絶望の悲鳴が、ダンジョンに響いた。
デビルエネルギーが、大幅に増えました。

命 「ヘスティア様!?」
千草「あわわわっ!」
桜花「今お助けします!」

「まったく、何をして…えっ?」
ヘルメスは上半身を、フロッグシューターにパクッと食べられた。
「ほげえええええええぇっ!?」
男神の絶望の悲鳴が、ダンジョンに響いた。
デビルエネルギーが、大幅に増えました。

アスフィ「ヘルメス様!?もう!何やってんですか!」
リュー 「………。」


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※異端児の悪夢その2

いま僕達、異端児(ゼノス)の雰囲気は暗いの。

原因は、(ダンジョン)の異変。

特にゴブリンさん達が、その影響を強く受けたみたいなの。

リドさんを先輩と呼んで慕っていた、ペパさんの失踪。

ゴブリンさん達の凶暴化。

幸いにも、12階層の隠れ家に着いた時は、元に戻ったの。

 

「知らない声が聞こえて…逆らえなかった…。」

 

「自分ガ自分デ、無クナルミタイダッタ。」

 

部屋の隅で震えながら、ゴブリンさん達は呟いていたの。

知らない声。

(ダンジョン)の声かな?

聞こえなかった僕には、分からないの。

でも、怖い体験をした事は分かったの。

ペパさんは、この声のせいで、失踪したのかな?

 

「何カ新しい情報ハありますか?」

 

「ウラノスの話によれば、異変は3階層から6階層まで拡大したそうだ。」

 

「そうか。後輩の…ペパの情報は?」

 

向こうで、レイさんとフェルズさんとリドさんが、何か話しているの。

とても深刻そうな顔なの。

また悪い事が起きたのかな?

 

「すまないがない。」

 

「………やっぱりオレっちだけでも、探しに行くのは駄目か?」

 

「リド、今ハ。」

 

冒険者さん達は、凄くピリピリしているの。

出会ったら、血走った目で攻撃されたの。

いつも攻撃されるけど、以前と全然違ったの。

思い出したら、震えが止まらないの(ガクガクブルブル)

だからかな?

フェルズから、お願いされたの。

しばらくの間、もっと奥にある隠れ里で身を潜めて、欲しいって。

 

「…すまん。同胞達の避難が優先だな。」

 

「こちらこそ、すまない。ペパの情報が分かり次第、報告しよう。」

 

「お願イします。そういえバ、新しい罠ヲ発見しました。」

 

罠!

突然できた恐ろしいモノなの!

僕達や魔物は見えるけど、冒険者さん達には見えないの。

昨日落とし穴に落ちた冒険者さん。

無事だったかな?

助けたかったけど、みんなに止められたの。

しょんぼり。

 

「チェン、大丈夫カ?悲シソウナ顔ヲシテイルゾ。」

 

あっ、グロスさんが近づいてきたの。

小角兎(ニードルラビット)の僕より、凄く大きい石竜(ガーゴイル)なの。

 

「へ、平気なの。」

 

「昨日ノ冒険者ガ気ニナルカ?」

 

「…うん。」

 

「近クニ魔物ハ居ナカッタ。他ノ冒険者ガ来ル足音モ聞コエタ。」

 

だったら、大丈夫かな?

元気になったの!

グロスさんは優しいから大好き。

ありがとうって、お礼を言ったの!

 

「それでは行くよ。ダンジョンの異変も調べたい。」

 

「オレっちも、何か分かったら報告するよ。」

 

「でハ、今度ハ隠れ里で、会いましょウ。」

 

リドさん達の話が、終わったみたいなの。

これから移動かな?

隠れ里には、お留守番組がいるから、会うの楽しみ!

きっと、ゴブリンさん達も元気になるの!

もしかしがら、ペパさんが帰ってきてるかもなの!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ボリッガリッゴクッ(魔石を喰らう音)。」

 

ギャ(あっ)グギャギャググギギギャ、ペパグ(こんな所に居たんですか、ペパ様)。」

 

「何カ、大切ナモノヲ…思イ出シタヨウナ気ガスル。」

 

グギャガギ(大切なモノ)?」

 

「…地上を求めた同胞達(美味しそうな獲物達)…ダ。デ、何ノ用ダ?」

 

グギャガギャギャギャグ(冒険者共を発見しました)!」

 

「行クゾ、男ハ殺ス!女ハ犯ス!」

 

「「「「「グギャ!ガギャ!(男ハ殺ス!女ハ犯ス!)」」」」」



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※ギルド職員の先輩と後輩その3

「やってられるかーーーっ!」

 

私の叫びに、周りにいた同僚達は頷く。

みんな、目の下のクマが酷い。

ダンジョンの異変は変わらないけど、少し落ちつき始めた。

調査で分かった事を、随時提示板へ張り出した。

更に対策を練って、冒険者達に説明した。

頑張った!

私達は頑張ったよ!

ああ、やっと家に帰れる。

お風呂でさっぱりして、ゆっくり眠って、美味しい物を食べる。

疲労した心と身体を労う。

そう思っていた矢先に、ダンジョンの新たな異変が…。

勘弁してよ!

 

「先輩…私…もう駄目です…スヤー。」

 

「こら、こんな所で…寝たら…駄目よ…スヤー。」

 

ミィシャとエイナも限界ね。

それにしても、フロッグシューターの巨大化か。

魔物に何が起きたら、そうなるのよ。

最初は強化種が出現した!?って、騒然となったけど…違った。

全てのフロッグシューターが、巨大化していたっぽい。

おまけに、冒険者を丸呑みしようとしたらしい。

 

「うぷっ。」

 

想像しただけで、気分が悪くなるし、鳥肌が立つ。

昔から蛙とか蛇って、苦手なのよね。

ギルドの上層部からは、また過去の資料を調べるようにと言われた。

 

「はあー、無駄だと思うなー。」

 

きっと、ゴブリンと同じ。

過去にない初めての異変。

立て続けに起きるなんて、最悪よ。

 

「罠もかー。」

 

テーブルに置いてある報告書を取る。

そこには、発見された罠について書いてあった。

電撃を発する浮彫細工、桃色の雨、大きな落とし穴、襲ってくる壁。

あとは、謎の幻覚症状。

味方が敵に、敵が味方に、見えるとか。

 

「あーもう!どうなってるのよ!」

 

調査している冒険者達に、また依頼しないと…。

対策も考えないと…。

 

「………これもあったわね。」

 

問題は、ダンジョンだけじゃなかった。

オラリオでも起きていた。

桃色の雨は桃色の霧と同様、媚薬と言っても過言ではない。

どこかの馬鹿が、雨を…媚薬を回収して販売。

耐異常のアビリティを持つ冒険者にも、効き目がある強力な効果。

刺激をも求める人達や神々が、高額で買っているとか。

売る方も買う方も、危機感が足りない!

どんな副作用があるか分からないし、媚薬でなく毒の可能性だってあるのに。

取り返しのつかない事になっても、後の祭りなのよ!

犯罪に使われる可能性だって出てくる。

そうなる前に、手を打つしかない。

忙しい時に、余計な仕事を増やしてくれちゃって!

犯人を捕まえたら、1発殴ってやらないと、気がおさまらないわ。

 

「とりあえず、ガネーシャファミリアに協力を要請しないと。」

 

あ、あら?

立ち上がった瞬間、眩暈が…。

やばっ。

このまま倒れそう。

 

「「「「「テリア!?」」」」」

 

ちょっと頑張り過ぎたかも。

人には休めと言っといて、自分が倒れるなんて…。

どんどん床が近づいてくる。

 

「先輩!」

 

後ろから誰かに、受け止められた。

この声は…ゼクス?

確かめる間もなく、私は意識を失った。



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ダンジョン異端記録その6

【アクマと会話パート】

質問だ。

ゴブリンキング候補って、何?

 

〝名の通リ、強化した魔物の中かラ、王として相応しい者でス〟

 

へえー。

じゃあ、フロッグシューターキング候補とかも、出たりするのか?

 

〝出ますガ、条件を満たせばでス〟

 

条件か。

いくつぐらいあるんだ?

 

〝10項目あリ、3つ満たしていれバ、候補となりまス〟

 

なるほど。

ゴブリンキング候補も、3つ以上満たしたわけか。

 

〝満たした数が多い程、キングになった時、力に影響しまス〟

 

ちなみに、階層主とは違うよな?

 

〝違いまス〟

 

だよなー。

あっちは単体の化物。

正式名称は…迷宮の孤王(モンスターレックス)だっけ。

 

〝階層主と比べたら弱いですガ、中々厄介な存在に成長しますヨ〟

 

マジか?

詳しく教えてくれ。

 

〝特定の階層に縛られズ、群れで行動しまス〟

 

移動するボスか。

いいね。

配下を率いているのも悪くない。

単体だと集中攻撃されるし。

それを防げる上、同じく数で対抗できるのは大きい。

 

〝他の魔物と違イ、魔石が主食になのデ、強さも上がり続けまス〟

 

なるほど。

あと気になったが…。

ゴブリン達は、魔石を食わないのか?

俺の屍を越えてゆけのスキルで、経験を引き継いでいるはずだ。

 

〝ゴブリンキングの異質能力(ヘタロジーニアス)、王に捧げる供物の影響でス〟

 

何それ!?

 

〝ゴブリン達が手に入れた魔石ヲ、ゴブリンキングに捧げる能力でス〟

 

王を強くする為の能力か。

もしくは、王が王で有り続ける為の能力(自分以外の強い同族を認めない)

 

〝候補かラ、ゴブリンキングに為るにハ、デビルエネルギーが必要でス〟

 

げっ、またデビルエネルギーを消費するのか。

貯めたいのに貯まらない。

でも、ゴブリンキングの存在は、頼りになりそうだし。

 

〝結構貯まってますヨ、デビルエネルギー〟

 

えっ?

そういえば、確認してなかったな。

どれどれ。

………なっ!?

51%も貯まってるうううぅっ!?

なんで!?

 

〝神2柱ガ、フロッグシューターに襲われましタ〟

 

ヘスティアとヘルメスか!

まさか、殺せたのか(天界に強制送還)!?

 

〝いいエ、残念ながラ〟

 

ふむ。

食べられたけど、助けられたってところか。

疾風と万能者が居たし。

 

〝はイ〟

 

殺せてないから、絶望で貯まった?

 

〝食われた恐怖によるものカ、こんな死に方で天界に戻るのが嫌だったカ〟

 

あー、両方だろうなー。

しかし、こんなに貯まるとは…さすが神と言うべきか。

ゴブリンキングにするのは、何%必要だ?

 

〝20%でス〟

 

よし、やってくれ!

 

〝そうそう30%デ、ダンジョンの支配階層も増やせまス〟

 

なに!?

前よりも早いな!?

 

〝神に感謝ですネ〟

 

そうだな。

こんな幸運は、もう2度とないかもしれない。

それだけに、殺せなかったのは悔しい。

 

〝チャンスならありますヨ、人造迷宮デ〟

 

クノッソスで?

………あっ!

タナトスとイケロスか!

 

〝運が良けれバ…〟

 

視察に来ているかもしれない、イシュタル。

そして、都市の破壊者(エニュオ)として行動している、ディオニュソス。

4柱か。

デビルエネルギーは、もともと8%貯まっていた。

前回で、16~20%貯まったと考えよう。

神の絶望で、30%程か。

もしも、殺せたら?

 

〝くくク〟

 

きっと、とんでもなく貯まるだろう。

それこそ、1柱で100%も有り得る。

うん、超やる気が出た!

 

〝でハ、ゴブリンキングの誕生ト、支配階層を増やしまス〟

 

OK!

 

〝………完了でス、パソコンで確認して下さイ〟

 

了解だ。

まずは、ゴブリンキングから。

スキルは表示されているけど、強さについては無しか。

 

〝ゴブリンキングになった今、1対1デ、レベル2の冒険者に勝てまス〟

 

強いじゃん!

活躍が期待できるな。

おっ、画像もあるのか。

普通のゴブリンと比べて、身体が一回り大きい。

装備も追加されているぞ。

頭には金の王冠、背中には赤マント。

キングっぽい。

スキルは集団統率、斬鬼、地上に憧れる者の3つ。

集団統率は…。

ゴブリン達に、軍隊のような行動を可能とする。

絶対君主(ゴブリンキング)の存在により、能力上昇。

 

〝良いスキルでス〟

 

うむ。

ゴブリン達は、集団戦闘のスキルを持っているし。

効果が合わさる事で、益々強くなるぞ。

斬鬼の方は…。

二刀流の場合のみ、ゴブリンキングの攻撃力増加。

 

〝そのゴブリンキングですガ、もともと二刀流の使い手だったのデ…〟

 

影響を受けたわけか。

最後の地上に憧れる者…どこかで聞いたような?

 

異端児(ゼノス)ですネ〟

 

ちょっと待て。

もしかしてこいつ、異端児だったのか?

 

〝俺の屍を越えてゆけの影響を受けテ、こちら側になりましタ〟

 

そ、そうか。

うーん。

異端児達に知られたら、敵になりそうだが…。

いま心配しても仕方ないか。

肝心の効果は…。

地上に近い階層へ行く程、能力上昇。

地上に遠い階層へ行く程、能力低下。

地上に行くと、地上に憧れる者は消滅する。

珍しいタイプのスキルだな。

 

〝確かニ〟

 

それと異質能力(ヘタロジーニアス)、王に捧げる供物か。

こっちは、アクマに聞いた通りの能力だな。

あれ?

名前持ちだ。

異端児だし、あってもおかしくないか。

ゴブリンキングのペパ。

頑張ってくれよ。

 

 

〝支配階層は、12階までとなりましタ〟

 

い、一気に増えたな!?

1階層から12階層、ダンジョンの上層を…。

全て支配下に置いたわけだ。

 

〝各階層に配置できる罠の数モ、3から4に増えていまス〟

 

嬉しいけど、配置するのが大変だ。

新しい罠も増えているし。

トラップポイントは、今回4ポイントか。

モンスターポイントは、前回の残りを足して、5ポイント。

困ったな。

かなり悩みそうだ。

 

〝その割にハ、楽しそうな顔ですネ〟

 

ふふふ。

ゲームの下準備は、好きだからな。

少し考える。

 

〝分かりましタ〟

 

魔物は…。

こいつとこいつの強化で、新しくこいつの強化…待て待て。

あっちの方がいいか?

そっちも捨てがたい。

うぬぬ。

こっちにしよう。

 

〝………〟

 

罠は…。

強化2と進化1。

残りは取って…いや…これは!

増築なんかあったのか。

決定だな。

やべっ。

強制睡眠のタイムリミットが近い。

1時間でも足りないとは…。

デビルエネルギーが貯まったら、起きている時間を増やそう。

必ず!

罠の配置は…適当でいいか。

2日後に配置し直す。

 

〝終わりましたカ?〟

 

大体な。

魔物は、ゴブリンとフロッグシューターを強化した。

2段階目だ。

 

〝それはそれハ〟

 

強化の結果だが…。

ゴブリンは、魔物騎乗と多胎妊娠。

フロッグシューターは、擬態・保護色と地中待伏。

それぞれ2つスキルを覚えた。

 

〝素晴らしイ!私好みのスキルばかりでス〟

 

魔物騎乗は、魔物に騎乗できる様になる。

ただし、強化した魔物限定。

フロッグシューターと、新たに強化した魔物の2種だ。

ゴブリンライダーの誕生だな。

 

〝冒険者達ハ、嘸かし驚くでしょうネ〟

 

多胎妊娠は、苗床が1匹でなく、2匹以上のゴブリンを産む。

戦力の増加を、底上げするスキルだ。

 

〝苗床の確保ガ、最重要になってきますネ〟

 

擬態・保護色は、カメレオンやイカと同じ。

周囲の色に擬態して、冒険者達から発見され難くする。

奇襲攻撃には、持ってこいだな。

 

〝食べられる冒険者達が増えるでしょウ〟

 

地中待伏でも増えるぞ。

土の中に隠れて、じーっと冒険者達が来るのを待つ。

上を通ったら、下から一気にバクッと一飲みだ。

 

〝この分だト、デビルエネルギーはまた直ぐニ、貯まりますネ〟

 

俺もそう思う。

さて、新たに強化した魔物は…ダンジョン・リザードだ!

 

〝フロッグシューターといイ、また意外な魔物を選びましたネ〟

 

そうでもないさ。

ダンジョン・リザード…ヤモリでいいか。

ヤモリは四肢の吸盤で、壁や天井を縦横無尽に移動できる。

ゴブリン達の乗り物としては、うってつけの魔物だ。

 

〝ほほウ〟

 

強化で付いたスキルは、いつも通り3つ。

巨大化・小、黒息、運搬尻尾。

まずはフロッグシューターと同じ、巨大化・小。

馬並の大きさになった。

ゴブリンを2~3匹乗せて、移動可能だ。

次に黒息。

黒い煙のようなモノを吐く。

範囲は広く、狭い通路なら、覆い尽くせる。

効果時間は1分程。

宙を漂ったままで、後に自然消滅。

何もしなければ無害。

だが、通ろうとした時に牙を剥く。

肌に針を突き刺したような毒ダメージを受ける。

死ぬ事はないが、治療するまで苦しむ羽目に遭う。

まあ、耐異常のアビリティ持ちには、効果ないけど…。

 

〝視界を塞ぐ効果もあリ、十分かト〟

 

撤退に使えそうだよな。

最後は、運搬尻尾。

長い尻尾で、荷物を運べる。

主に、捕らえた女冒険者とか。

ゴブリン達だと、運ぶのは大変だし、時間も掛かる。

ヤモリが居たら…問題は…解…決…だ。

 

〝大丈夫ですカ?〟

 

ここまで…か…。

ベッド…まで…戻れた。

ゴブリン…キング…達に、あとは…任せた…。

ぐー。

 

〝お疲れ様でしタ〟

 

〝しかシ、お見事ですヨ〟

 

〝運もありましたガ、よもや短期間デ、ここまで支配できるとハ〟

 

〝くくク〟

 

〝貴方ハ、本当に素晴らしい駒ですヨ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層から12階層に、罠を配置しました。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダを開いて下さい。

 

※宝箱 new!

1階層から12階層、全てに配置されます。

他の罠と比べて、数は極少。

中身の大半は、金銀宝石の財宝。

極稀に、貴重な魔法薬。

極稀に、人食い箱(ミミック)

宝箱が補充される度に、デビルエネルギーが消費されます。

効果は、冒険者達をダンジョンへ誘い込む甘い()

魔物は宝箱を開く事は出来ない。

配置コスト:0

 

※痴態砂人形 new!

普段は核となる部分が、地面の中に埋まっている。

誰かが近づくと、特殊な魔法により砂を集めて、近づいた者の姿に変身。

ちなみに、全裸である(・・・・・・・・・)

変身後は誰かが近づくと、罠や魔物の方へ全力で逃げる。

痴態砂人形は、罠に掛からず、魔物に襲われない。

また攻撃力が一切なく、軽いダメージでも簡単に破壊可能。

ただし、変身した者と同じ速さで走れる。

変身の効果時間は1日。

砂がない階層で、痴態砂人形の配置は不可。

魔物が近づいた場合は、変身せず無反応。

配置コスト:1

 

※首吊り蚯蚓(ミミズ) new!

天井に潜んでいる巨大なミミズ。

冒険者が真下を通ると、巨大な口を開けて、頭から首元まで呑み込む。

そのまま天井まで引き上げ、冒険者が死ぬまで離さない。

ミミズ自体は非常に弱い。

ただ本体は天井の中にあり、攻撃は至難。

呑み込んでいる口も気をつけないと、冒険者の顔にまでダメージがいく。

天井の高い階層で、首吊り蚯蚓の配置は不可。

魔物は襲わない。

配置コスト:1

 

※冷凍庫 new!

床全体に冷凍の魔法が掛けられた部屋(ワナ)

部屋の中心に来ると、床下から石扉が迫り上がり、部屋を完全封鎖する。

その後、温度が急速に氷点下まで下がる。

効果時間は3時間。

時間の経過と共に、石扉は床下に戻る。

魔物が部屋に入っても、魔法は作動しない。

配置コスト:2

 

※接着ダンゴ虫

爆発ダンゴ虫を、接着ダンゴ虫に強化します。

………成功。

接着ダンゴ虫を潰した場合、接着性のる体液が拡散。

とても強力で、力尽くで剥がすのは困難。

30分経過すると、接着力は無くなります。

魔物にも効果あり。

配置コスト:1

 

※床ドン

壁ドンを、床ドンに強化します。

………成功。

男性が女性にする恋愛的な床ドンではない。

引きこもり(ニート)が食事を運ばせる床ドンでもない。

天井の一部が飛び出し、ドンと衝突してくる罠である。

ダメージ+地面に叩きつけ効果。

飛び出してくる天井の一部は、天井の高さによって変化。

天井の高い階層で、床ドンの配置は不可。

魔物は床ドンの位置が見える。

配置コスト:1

 

※引き寄せ呪い陣・魔法

張り付き呪い陣・石を、引き寄せ呪い陣・魔法に進化します。

………成功。

進化によって、張り付き呪い陣・石は、罠の中から消滅しました。

床に見えない魔法が描いてあり、触れる事で呪われます。

近くで発動された魔法は、全て呪われた者に引き寄せられます。

特定の魔法は引き寄せられません。

(例:接触系の魔法など)

魔物は呪われない。

配置コスト:1

 

※ゴブリンの巣・追加施設セット①

………増築成功。

解体小屋。

死んだ苗床を解体し、肉としてゴブリン達に振る舞う施設。

淫蝕(飲食)場。

産めなくなった苗床が送られる施設の1つ。

搾乳の首輪があります(持ち出し不可)。

装備させられた苗床は、乳が出るようになります。

いやーんあはーんをする事により、搾乳の出る量が増えます。

ゴブリン達の食糧となり、ダンジョンの食糧庫(パントリー)の役割を果たします。

配置コスト:0

 

ゴブリンの巣が、3階層から6階層へ移動しました。

 

強化された魔物達の制限が解除されます。

12階層まで活動範囲が広がりました。

 

1~12階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

4階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル1)

探索結果。

狂喜乱舞する成果を上げた。

冒険者達は、宝箱を発見した!

冒険者達は、罠じゃないかと警戒した(慎重に宝箱を開けた)

冒険者達は、宝箱の中身に目を疑った(なんと、金銀宝石が大量に入っていた)

冒険者達は、意気揚々と凱旋した!

オラリオに危険な罠(甘い蜜)が広がった。

 

≪ログ報告その2≫

10階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者D(パルゥム、男性、レベル1)

痴態砂人形の罠が発動。

探索結果。

ボロボロになって、地上へ生還。

冒険者Aは、痴態砂人形(自分の裸体)に悲鳴を上げた!

冒険者Aは、痴態砂人形に攻撃(しかし、回避され逃げられた)

冒険者Aは、痴態砂人形を追った(他の冒険者PTに見られた(いやあああっ!見ないでえぇーっ!)

冒険者Aは、痴態砂人形を追った(電撃地雷を踏んだ)

冒険者Aは、感電したが耐えた!

冒険者Aは、痴態砂人形を追った(地面が崩れた)

冒険者Aは、落とし穴に落ちた(痴態砂人形を見失った(あは、あはは、嘘でしょうおおぉっ!)

冒険者Bは、驚き戸惑っている(でも、痴態砂人形(冒険者A)の胸をガン見)

冒険者Bは、冒険者Aを止めようとした(邪魔!と蹴り飛ばされた)

冒険者Cは、驚き戸惑っている(でも、痴態砂人形(冒険者A)の尻をガン見)

冒険者Cは、冒険者Aを止めようとした(電撃地雷に巻き込まれた)

冒険者Cは、感電した(麻痺状態の上、どいて!と殴り飛ばされた、)

冒険者Dは、驚き戸惑っている(でも、痴態砂人形(冒険者A)写生(スケッチ)した)

冒険者Dは、冒険者Aを止めようとした(一緒に落とし穴に落ちた)

冒険者Dは、冒険者Aに倒された(落ちた拍子に描いた絵が、冒険者Aの足元に…)

 

≪ログ報告その3≫

3階層で、苗床産ゴブリン20匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

冒険者C(エルフ、男性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、ゴブリン達の粘り強さに驚愕した!

冒険者Aは、仲間達の援護に向かえない!

冒険者Bは、ゴブリンが魔法を唱えた事に動揺した!

冒険者Bは、自分の事で精一杯だ!

冒険者Cは、ゴブリン達の見事な連携攻撃に恐怖した!

冒険者Cは、深い傷を何度も受けた!

冒険者Cは、死亡した。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その4≫

5階層で、冒険者達が敗走中

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者C(パルゥム、女性、レベル1)

敗走結果。

冒険者達の壊滅。

冒険者Aは、地上に向かっている(武器を失い、右腕もない)

冒険者Aは、地面の中から奇襲された(フロッグシューターに一飲みされた)

冒険者Aは、懸命に胃袋で暴れている(狭くて上手く動けない)

冒険者Aは、胃袋で暴れている(胃酸で身体が焼けるように熱い)

冒険者Aは、暴れている(息苦しく意識が朦朧としている)

冒険者Aは、静かになった。

冒険者Bは、地上に向かっている(仲間を失い、疲労困憊で、注意散漫状態)

冒険者Bは、魔物に気がついてない(フロッグシューターが岩に擬態中)

冒険者Bは、奇襲された(舌が両足に巻き付いた)

冒険者Bは、両手で地面を掴んでいる(失敗、引っ張られて下半身が口の中に)

冒険者Bは、両手で口を開こうとした(失敗、更に胸辺りまで口の中に)

冒険者Bは、両手で必死に口を掴んでいる(失敗、ついに全身が口の中に)

冒険者Bは、丸呑みされた。

冒険者Cは、地上に向かっている(軽傷なので、先頭に立ち進んでいる)

冒険者Cは、擬態していた魔物に気がついた(攻撃を回避)

冒険者Cは、もう1体いた事に気がつかなかった(舌が首に巻き付いた)

冒険者Cは、踏ん張っている(失敗、引っ張られて膝辺りまで口の中に(小さいパルゥムの身体が災いした)

冒険者Cは、足をジタバタしている(失敗、あっという間に口の中へ)

冒険者Cは、丸呑みされた。

救援は…来たが…。

冒険者Aを丸呑みしたフロッグシューターは、発見されなかった。

冒険者Aは消化されました。

冒険者Bは救助されました。

冒険者Cを丸呑みしたフロッグシューターは、発見されなかった。

冒険者Cは消化されました。

 

≪ログ報告その5≫

9階層で、ゴブリンキング達と冒険者達が遭遇。

冒険者A(獣人、女性、レベル2)

冒険者B(獣人、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリンキング達の勝利。

冒険者Aは、防戦一方だ(ゴブリンキングの斬撃に、防具が斬り裂かれる)

冒険者Aは、ダメージ・大

冒険者Aは、武器ごと身体を斬られた!

冒険者Aは、ダメージ・特大

冒険者Aは、捕縛された。

冒険者Bは、ゴブリン達に囲まれている(包囲網を突破できない、まるで統制された…)

冒険者Bは、ダメージ・大

冒険者Bは、複数の魔法攻撃を受けた!

冒険者Bは、ダメージ・特大

冒険者Bは、捕縛された。

冒険者Cは、奮戦している!

冒険者Cは、冒険者Aが倒れるのを見た(ゴブリンキングに恐怖した(反則だ!ゴブリンの強化種かよ!)

冒険者Cは、冒険者Bが倒れるのを見た(ゴブリンの集団に恐怖した(卑怯だ!ゴブリンが魔法なんて!)

冒険者Cは、並行詠唱を始めた(味方共々すべて吹き飛ばそうとした(悪く思うなよ、全滅するよりマシだ!)

冒険者Cは、ゴブリンキングの連続攻撃を受けた(斬撃!斬撃!斬撃!斬撃!斬撃!斬撃!)

冒険者Cは、五体バラバラになって死んだ。

ダンジョン・リザードに乗り、苗床を速やかに巣へ輸送。

邪魔者は…出現せず。

冒険者達は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

ゴブリンキングは、冒険者達の持っていた魔石を食べました。

 

ゴブリン達は学習・研究している。

接着ダンゴ虫と連携(持ち運びする)すべし。

引き寄せ呪い陣・魔法に、冒険者達を誘導すべし。

冷凍庫に、冒険者達を誘導すべし。

床ドンに、冒険者達を誘導すべし。

首吊り蚯蚓に、冒険者達を誘導すべし。

痴態砂人形の活用法を研究すべし。

フロッグシューターの擬態・保護色を利用すべし。

魔物騎乗の練習をすべし。

確保した苗床は、ダンジョン・リザードで、速やかに運ぶべし。

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

良い感じだな。

宝箱が、いくつか回収された。

新たな稼ぎがあると、オラリオに知れ渡った。

罠や強化した魔物に警戒するだろうけど、冒険者は欲望に正直だ。

お宝目当てに、ダンジョンへ来るはず。

デビルエネルギーが、補充の度に減るのは、痛手だが…。

必要経費と思うしかない。

んー。

まだ使用されてない罠もあるな。

時間がなくて、適当に配置したせいだ。

配置を直すつもりだったし。

よく考えるか。

ゴブリンキングのログは…あったあった!

うおっ、凄いな。

冒険者PTと3戦して、圧勝。

どのPTも、ほぼ全員がレベル2だぞ。

魔石を食べ続ければ、早い内にレベル3相手に勝てるかも。

苗床産のゴブリン達は…うん、頑張っているな。

全滅も多いが、これからだ。

そういえば、本棚に大量の本が収まっている。

何の本だろう?

ダンまちの世界の本?

読んでみるか。

むっ?

よく見ると…どの本も、タイトルがないぞ。

嫌な予感が、ぷんぷんする。

1冊手に取り、ページを開いてみた。

なっ!?

白紙だと思ったら、BLだった。

まさか全部!?

恐る恐る、次の本を手に取った。

BLだった。

いやいや、次こそは…。

BLだった。

諦めたら、そこで終わりだぞ俺。

BLだった。

ア、アクマああああああああああああああああぁっ!

俺を腐女子にするつもりか!

許さん…ぞ…いや、待て。

1つの可能性に気がついた。

お前、ホモなのか?



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※神娯亭にて、神々の会話その1

酒場≪神娯亭≫。

俺が経営する酒場だ。

他の酒場と比べて、少々変わっている。

客は神々のみ。

下界の子供達に聞かれたくない話や愚痴を、酒を飲みながらする場所だ。

ここでの出来事は外には漏れない。

元冒険者だった俺の呪詛(カース)によって。

従業員達は勿論、俺も墓場まで持っていく。

そのおかげか、酒場は盛況だ。

今日も多くの神々が来ている。

さあ、仕事だ仕事!

 

 

 

1番テーブルに果実の盛り合わせを運ぶ。

客は、貧乳の女神と巨乳の女神。

どちらも美しい。

眼福眼福。

 

「最近ダンジョンの話を、よく聞くわ。」

「聞くねー。あたし達みたいな生産系ファミリアには、関係ないけど。」

「そうでもないでしょ。冒険者が減ったら困るもの。」

「大丈夫大丈夫。下界の子供達は、しぶといもん。」

「相変わらず、お気楽ね。今まで無かった罠とか…私は心配よ。」

 

オラリオで話題になっているダンジョンの話か。

冒険者(身内)から話を聞いている。

過去にない異変らしい。

魔物の異常行動。

嫌がらせレベルから危険なレベルの罠。

一体ダンジョンで、何が起きているのか?

冒険者がダンジョンで死ぬのは、よくある事だ。

ダンジョンは、それだけ危険な魔境。

とはいえ…。

異変が起きてから、死者数は跳ね上がっている。

冒険者を引退して正解だったな。

 

 

 

3番テーブルに魚料理を運ぶ。

客は、仮面を付けた男神と前髪が超長い男神。

どっちも顔の大半が隠れている。

怪しさ大爆発だ。

まあ詮索しないのが、ここの規則(ルール)

 

「不確かな情報だが…ダンジョンは何者かに、干渉されているらしい。」

「馬鹿な、有り得ん。どこの情報だ?」

「不確かな情報と言っただろう。情報源はヘルメスだ。」

「あいつか。ウラノスの祈祷は?効果がないのか?」

「ない。狡猾になった魔物や恐ろしい罠の数々が、それを証明している。」

「一体誰だ?俺達は下界で、神の力(アルカナム)を使えないぞ。」

「さあな。もっと情報が欲しいところだ。」

 

おいおい。

とんでもない話をしているぞ。

ダンジョンに干渉している奴がいる?

何者だよ。

俺達人間には不可能。

目的の為なら手段を選ばない闇派閥(イヴィルス)にだって、無理だ。

もしかしたら…。

天界に送還されなかった邪神がいる?

ははは、それはないか。

 

 

 

4番テーブルに葡萄酒を運ぶ

客は、泣いてる男神と慰めている男神。

あー想像はつく。

大体こういう時は…。

 

「俺の眷属(こども)が、ダンジョンで死んだ!ちくしょう!」

「泣くな泣くな…って、言っても駄目か。初めての経験だし。」

「行方不明の眷属(こども)も2人いるんだ!俺はどうしたらああああぁっ!」

「分かった分かった。でも、そっちは恩恵が消えていないんだろ?」

「ああ、まだ感じる!生きている!」

「捜索したのか?」

「うううっ、しているけど、見つからないんだよおおおおおぉっ!」

「ぎゃあ!鼻水垂らしたまま抱きつくな!」

 

やっぱりか。

眷属を失った神だ。

しかし、行方不明で生きているか。

そうなるのは、女性の冒険者達だけらしい。

犯人は最弱だった魔物(ゴブリン)

殺さず、喰らわず、何をしている?

………エロい事とか?

いかんいかん、不謹慎だな。

無事を祈るのみだ。

 

 

 

9番テーブルの空になった皿を片付ける。

客は、陽気な男神達だ。

 

「聞いてくれ!我は悔しい思いをした!」

「どうせ、眷属の女の子に振られたんだRO!」

「ぎゃははは、これで35回目か~?」

「うるせえ!違うわ!ダンジョンを徘徊していた裸の女についてだ!」

「「詳しく聞かせろ。」」

「新しい罠っぽいんだが、人に化ける。裸の状態で!見たい!見たいぞ!」

「ひゅー、最高の罠じゃんKA!」

「マジかよ~!俺も見てえ~!」

野郎(おとこ)に化ける時も、あるけどな。」

「ぶーぶー、最低の罠じゃんKA!」

「女の子限定にしとけよ~。」

 

ただの変態共だった。

あっ、やばい。

直ぐに9番テーブルから離れよう。

10番テーブルの女神達の視線が怖い。

 

 

 

13番テーブルは…うおおおっ!?

美の女神イシュタル様だ!

抜群のスタイルに、蠱惑的な雰囲気。

目のやり場に困る大胆な衣装。

俺の酒場に来て頂けるとは、感激だ!

もう1人は…見た事のない男神だな。

 

「ふーん、これがダンジョン産の媚薬かい?」

「うん、そうだよ。あと僕が手を加えたから、より強力だよ。」

「くれるなら、遠慮なくもらっておく。」

「好きに使ってよ。ああ、副作用とかないから安心して。」

「実験したのか?」

「うん。うちの実験た…じゃなかった。眷属で試したよ。」

「そうか。危険がないなら、アレに使ってみよう。」

「イシュタルの眷属?」

「ああ、大切な切り札(眷属)さ。」

「いやいや、大切なら使うのおかしくない?」

「ふっ、優しい親心さ。死ぬ前に、女の喜びを経験させてやろうと思ってね。」

 

はっ!

イシュタル様の魅力に、ちょっと意識が飛んでいた。

何を話していたのだろうか。

相手の男神が羨ましい。

おっと、いけない。

素晴らしい接待をして、また来て頂くのだ。

 

 

 

ふーーー。

最後の客が帰った。

疲れたが、いつも通り売り上げは良い。

神様々だ。

ボーナスは期待していいぞ!と言えば、従業員達から歓声が上がる。

ははは。

冒険者の時より、俺の生活は充実している。

普段は聞けない、神々の会話も聞けるしな。

よし、さっさと片付けを終わらせて、昼まで寝るか!



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※運命が変わった冒険者達の話その2「咲いた花」

「そっちからも来たぞ!」

 

「ちょっ、数が多過ぎませんか!?」

 

どうして、こんな事に…。

冒険者を引退して、実家で農業を手伝うはずだったのに!

 

「ゴブ!ガウウゥッ!」

 

ゴブリン達に囲まれた。

乱戦になる。

味方との距離に注意しながら、愛用の槍で攻撃する。

薙ぎ払い、突き刺し、叩き潰す。

くっ、一向に数が減らない!

 

「おい!こっちからも来たぞ!」

 

冗談でしょ!?

 

「もうやだあああああぁっ!」

 

私は、パルゥムのロナロ。

冒険者になったけど、ずっと下級冒険者(レベル1)のまま。

魔法の才能もなく、武器の才能もない。

同期達も後輩達も、みんな上級冒険者(レベル2)になっていた。

ああ、私は駄目なんだ。

夢を持って、オラリオに来たけど、もう疲れた。

引退しようかなー。

そう思っていた時、ダンジョンに異変が起きた。

魔物が強くなり、複数の罠が出現した。

発見し難い罠で、何度も痛い目に遭った。

先輩が1人、同期が2人、後輩が1人。

罠が原因で死んだ。

悲しくて、悔しくて、怖かった。

罠を発見できる力があれば…。

ううん、違う。

早く引退した方がいい。

弱い私は、いつか必ず死ぬ。

主神へ伝えに行くと、えっ?

ランクアップできる!?

………今更だよ。

心は折れかけている。

こんな状態で、上級冒険者になっても、きっと途中で折れる。

何の才能もないし。

そんな私に、主神は言った。

最後の思い出に、念願だったランクアップをしよう。

 

これが間違いだった(・・・・・・・・・)

 

ランクアップと一緒に、アビリティが発現。

罠感知(トラップセンシング)

何コレ。

い、嫌な予感が…。

案の定、主神は大喜び。

ファミリアの仲間達は、私を逃がさなかった。

拒否権はなく、ダンジョンに連行される(さそわれる)日々。

うわーん!

実家に帰りたいよ!

 

「ロナロ!大丈夫か!」

 

「死にそう!冒険者を引退したい!」

 

「よし、大丈夫そうだな。」

 

ひどっ!

同期のベックスが悪魔だよ。

私の願いを無視した。

ゴブリンを倒しながら、戦況を確認する。

数は、あちらが圧倒的に有利。

でも個々の強さは、こちらが上。

何事もなければ、勝てるはず。

 

「っ!」

 

アビリティが反応した。

罠の位置が分かる。

全部で2つ。

 

「トーネラさん、3歩手前に落とし穴!」

 

「了解だ!」

 

「ザーネ、壁から離れて!」

 

「えっ、ひょわぁっ!?危なかった(壁ドンだ)!」

 

はあー、よかった。

先輩(トーネラさん)後輩(ザーネ)は無事。

あとは、ゴブリンを…。

 

「待て!」

 

「ぐへっ!?」

 

服の襟元をベックスに掴まれ、強引に引っ張られた。

く、首が絞まって苦しい!

文句を言おうとして、私は固まった。

地面の中から、フロッグシューターが飛び出してきた。

口を大きく開けた状態で。

さっきまで居た場所だ。

助けがなかったら、今頃は…。

身体が震える。

 

「安心しろ、何度でも助けてやる。」

 

ベックスが、ポンと頭を軽く叩く。

 

「さっきは、ありがとうございます!命拾いしました!」

 

ザーネが、笑顔で感謝してくる。

 

「無理をさせて、本当に悪い。だが、お前の力が必要だ。」

 

トーネラさんが、世話になった先輩が、頼ってくれる。

 

「あっ。」

 

身体の震えが止まった。

私は弱い。

心も枯れている。

引退して、実家に帰りたい。

だけど…。

仲間達には、死んで欲しくない!

 

 

 

 

 

 

 




【ロナロ】
本来は、語られる事のない冒険者。
才能の無い自分に絶望して、冒険者を引退。
その後、実家に戻り、農家を継いだ。
新しいアビリティを発現させ、一時的に運命が変わったが…。
まだ、本来の運命に戻る可能性がある。






「これが…子供達の可能性か!」

神会(デナトゥス)で、神々は歓喜鼓舞した。

ダンジョンの異変後のランクアップ。
子供達の中に、新しいアビリティを発現させた者達がいた。

罠感知(トラップセンシング)

現在3名。
これから、発現する者が増えるのか?
はたして、ダンジョンの異変に通用するのか?

まだ誰も分からない。
神々すらも…。





死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。
「危険ナ奴ラ、イル、殺ス」


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ダンジョン異端記録その7

【アクマと会話パート】

説明してもらおうか!

アクマ!

 

〝いきなり何ですカ〟

 

タンス、冷蔵庫、本棚。

この3つについてだ!

 

〝何か問題でモ?〟

 

問題しかないわ!

まずは、タンス。

入っている服が、全部オティヌスの衣装なんだけど!?

 

〝貴方の魂ニ、この衣装以外は有り得ない!ト、刻んであったのデ〟

 

俺のせいだった!?

確かに、オティヌスの衣装は素晴らしい。

初めて見た時は衝撃を受けた。

敵の魔神(ボス)が、魔女帽子+眼帯+水着マント。

最高(痴女)かよ!と。

 

〝ちなみニ、その服は魔法で強化されていまス〟

 

えっ?

 

〝第一等級防具ト、同等の防御力でス〟

 

マジで!?

もしかして、タンスの中の服も全部?

 

〝はイ〟

 

わ、わーお。

とんでもない事になっていた。

布面積少ないのに、防御力があるのか。

 

〝激しく動いても胸や尻ガ、ポロリしない魔法も掛かっていまス〟

 

非常に助かる。

ありがとう…って、違う!

感謝している場合じゃない。

次は冷蔵庫の件だ。

栄養ドリンクしか入ってないぞ!

 

〝貴方の冷蔵庫に入って飲み物ヲ、増やして入れておきましタ〟

 

そんな馬鹿な。

さすがに、それ以外の飲み物も…あっ。

長期留守にするから、飲んだ気がする。

お茶も、ジュースも、アルコールも。

残っていたのは、栄養ドリンクのみ(疲れた身体に欠かせない、元気強制飲料)

 

〝好きな飲み物と勘違いしましタ、申し訳ありませン〟

 

ぬぐぐ。

アクマは悪くない。

俺の自業自得だ。

 

〝ついでニ、警告しまス〟

 

警告?

 

〝飲食するト、吐きますのデ〟

 

なんだと!?

仮初の命だからか?

栄養ドリンクを飲まなくて、よかったー。

 

〝24時間起きれるようになれバ、仮初から疑似の命状態になりまス〟

 

うん?

それは、何が変わるんだ?

 

〝トイレは不要のままですガ、疑似飲食が可能になりまス〟

 

ううん?

飲食可能って事だよな?

何か違いがあるのか?

 

〝ありまス!栄養にはならズ、食べた物は微量な魔力に変換されまス〟

 

なるほど。

食感や味だけを楽しめるわけか。

いいじゃん。

微量っていうけど、魔力に変換されるのも、お得っぽい。

 

〝どれだけ食べても1回の食事デ、MP1回復するくらいですヨ〟

 

十分だよ。

吐くより断然マシだ。

さて。

最後の本棚は、1番説明して欲しい。

何故、BL本にした。

俺を腐女子にするつもりか!

 

〝貴方の本棚ハ、8:2でしタ〟

 

何を言って…はっ!

エロ本()普通の漫画や小説()って、意味か!

 

〝女性になったのデ、エロ本よりBL本の方が良いのでは?ト、愚考しましタ〟

 

本当に愚考だよ!

普通のエロ本でいいよ!

…待てよ?

8:2なら、普通の漫画と小説がある?

 

〝10:0が喜ばれると思イ、全てBL本にしましタ〟

 

何やってんの!?

小さな親切、大きなお世話!

 

〝まあまア、大変貴重な本も入れてありますのデ〟

 

ほほー。

どんな本だ?

 

王者(オッタル)×女神の戦車(アレン)とカ、勇者(フィン)×凶狼(ベート)とカ〟

 

うおおおおおおおおおおいいいぃっ!

貴重な本じゃねえよ!

禁書確定じゃねえか!

本人達に知られたら、ぶっ殺されるぞ!

 

〝ですよネー〟

 

分かってんなら、入れるなよ!

それと!

BL本は読まないから、全部処分してくれ。

 

〝残念ですガ、了承しましタ〟

 

はあー、疲れた。

話は変わるが…。

起きている時間を増やしたい。

 

〝どれだけ増やしますカ?〟

 

1時間…いや、2時間だ。

 

〝デビルエネルギーが足りませン!1時間なら可能ですガ、どうしますカ?〟

 

じゃあ、1時間で。

もう1時間は、デビルエネルギーが貯まったら増やすよ。

 

〝了解…時間を増やしまス…成功しましタ〟

 

仮初の命から疑似の命まで、あと22時間か。

まだまだ先だなー。

クノッソスも、早く手に入れたいし。

唯一の救いは、少しだけ時間に余裕があること。

ベル・クラネルには、2つの事件が起こる。

アポロン・ファミリアと戦争遊戯(ウォーゲーム)

イシュタル・ファミリアから春姫の解放。

もう1つの懸念…。

 

〝ロキ・ファミリアですネ?〟

 

ああ、そうだ。

こちらも事件が起きる。

カーリー・ファミリアと大乱闘(ヒュリテ姉妹の過去話)

3つの事件後、物語(ダンまち)更に加速(ヒートアップ)する。

ベル・クラネルが、異端児達(ゼノス)と邂逅。

ロキ・ファミリアが、クノッソスの発見と攻略開始。

 

〝人造迷宮の存在ヲ、秘密にするならバ…〟

 

事件が終わる前に、支配して隠蔽するしかない。

まあロキ達は、気がついているけど。

ダンジョンの入り口が、もう1つある事に。

 

〝ただ現時点デ、それが人造迷宮とは思ってもみないでしょうガ〟

 

だな。

さて、罠を直すか。

時間が無くて、配置が適当だったし。

今回は2時間もある。

冒険者達の脅威となる組み合わせを作る。

 

〝頑張っテ〟

 

………。

 

〝集中していますネ〟

 

………。

 

〝私も仕事をしましょうカ〟

 

………。

 

ゴミ(BL本)を、ゴミ箱(宝箱)へ〟

 

………。

 

〝くくク、冒険者達の反応が楽しみでス〟

 

よし、終わった!

待たせたな、アクマ。

 

〝お疲れ様でス〟

 

時間に余裕があるのは、実にいいな!

おっ、BL本を処分してくれたのか。

サンキュー。

 

〝いえいエ〟

 

なあ、この世界の本を手に入れる事は可能か?

 

〝転生前なら可能でしたガ、今は無理でス〟

 

むうう。

読書は諦めるか。

アクマ、悪いけど…。

時間がくるまで、話し相手を頼むぜ。

 

〝喜んデ〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層から12階層の罠を変更しました。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダを開いて下さい。

 

ゴブリンの巣は、6階層のままです。

 

1~12階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

3階層で、苗床産ゴブリン11匹+ゴブリン19匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(エルフ、男性、レベル1)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者D(ヒューマン、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、引き寄せ呪い陣・魔法に接触!呪われてしまった(誰も気がついてない)

冒険者Aは、自分の放った魔法で負傷した!

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、仲間の放った魔法で負傷した!

冒険者Aに、ダメージ・特大

冒険者Aは、魔物の放った魔法で負傷した!

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、魔法を放つが冒険者Aに命中した!

冒険者Bは、大きく動揺した!

冒険者Bに、ダメージ・大

冒険者Cは、冒険者Aの魔法に驚愕した(引き寄せられ、本人へ命中)

冒険者Cは、冒険者Bの魔法に驚愕した(引き寄せられ、味方へ命中)

冒険者Cは、ゴブリンの魔法に驚愕した(引き寄せられ、呪われた者へ命中)

冒険者Cに、ダメージ・小

冒険者Dは、苗床産ゴブリンの強さに苦戦した!

冒険者Dに、ダメージ・大

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その2≫

7階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(獣人、男性、レベル2)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(パルゥム、男性、レベル1)

探索結果。

宝箱を発見したが、人食い箱(ミミック)だった!

冒険者Aは、大喜びしながら近づく。

冒険者Aは、冒険者Dの警告を無視した(嫌な予感がする?馬鹿か、宝箱だぞ!)

冒険者Aは、宝箱に食べられた!

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、大喜びしながら近づく。

冒険者Bは、冒険者Dの警告を無視した(臆病者のパルゥムめ、そこで見ていろ!)

冒険者Bは、冒険者Aが食べられるのを見た(中身は鋭い牙が無数に生えた口だった)

冒険者Bは、逃げ出そうとしたが、捕まって食べられた!

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、大喜びしながら近づく。

冒険者Cは、冒険者Dの警告を無視した(お前の取り分は無しだからな!)

冒険者Cは、冒険者Aが食べられるのを見た!

冒険者Cは、冒険者Bが捕まって食べられるのを見た(口の中から触手が飛び出して巻きついた)

冒険者Cは、逃げ出そうとしたが、捕まって食べられた!

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Dは、猛烈に嫌な予感がした。

冒険者Dは、仲間達に警告した。

冒険者Dは、宝箱を開ける前に逃げ出した!

冒険者Dは、冒険者Aの悲鳴を聞いた!

冒険者Dは、冒険者Bの悲鳴を聞いた!

冒険者Dは、冒険者Cの悲鳴を聞いた!

冒険者Dは、背後から迫るナニカに恐怖した(触手はギリギリ届かなかった)

 

≪ログ報告その3≫

11階層で、苗床産ゴブリン37匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、ゴブリン達の数に苦戦している!

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、冒険者Bを助けようとしたが…ゴブリン達の大増援が現れた!

冒険者Aは、見捨てて逃げた!

冒険者Bは、爆発ダンゴ虫に吹き飛ばされた!

冒険者Bは、接着ダンゴ虫を潰してしまった!

冒険者Bは、右腕・背中・左足が地面と接着(何これ!?くっついて離れない!?)

冒険者Bは、仲間達に助けを求めた(た、助けてー!動けないの!)

冒険者Bは、仲間達に見捨てられた(嘘っ!おいて行かないでー!)

冒険者Bは、ゴブリン達に降伏した(女性は殺されない可能性が…)

冒険者Bは、捕縛された。

冒険者Cは、ゴブリンの猛攻に押されている!

冒険者Cに、ダメージ・中

冒険者Cは、冒険者Bを助けようとしたが…ゴブリン達の大増援が現れた!

冒険者Cは、見捨てて逃げた!

ダンジョン・リザードに乗り、苗床を速やかに巣へ輸送。

邪魔者は…出現せず。

冒険者は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その4≫

10階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル3)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル2)

探索結果。

仲間を1人失った…。

冒険者Aは、天井から忍び寄る(首吊り蚯蚓)に気がつかない。

冒険者Aは、頭から首元まで呑み込まれた!

冒険者Aは、そのまま天井まで引っ張られた!

冒険者Aは、激しく抵抗している(剥がそうとしたが、ピッタリ張り付いて取れない)

冒険者Aは、抵抗している(重力に身体を引っ張られ、首吊り状態に)

冒険者Aは、弱弱しく抵抗している(ずっと呼吸が出来ない)

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、冒険者Aを助けようとした(魔物を斬るしかない!)

冒険者Bは、攻撃した(失敗!武器が届かなかった)

冒険者Bは、絶望した。

冒険者Cは、冒険者Aを助けようとした(強引に引っこ抜いてやる!)

冒険者Cは、抱きついた(失敗!引っこ抜けず、冒険者Aの首に大ダメージ)

冒険者Cは、絶望した。

冒険者Dは、冒険者Aを助けようとした(我慢しろよ、魔物ごと攻撃する!)

冒険者Dは、魔法を放った(失敗!首吊り蚯蚓は獲物を離さなかった)

冒険者Dは、絶望した。

 

《ログ報告その5》

7階層で、ゴブリンライダー23匹が冒険者達と遭遇。

騎乗している魔物は、ダンジョン・リザード。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者C(パルゥム、男性、レベル1)

冒険者D(エルフ、男性、レベル2)

冒険者E(獣人、女性、レベル1)

戦闘結果。

双方、痛み分け。

冒険者Aは、ゴブリンライダーの存在に弩肝を抜かれた!

冒険者Aは、必死に戦った。

冒険者Aは、ダンジョン・リザードの黒息を浴びた(煙?こんもので逃げれると…ぐわああっ!?)

冒険者Aに、ダメージ・中(毒状態になった)

冒険者Bは、ゴブリンライダーの存在に血が騒いだ!

冒険者Bは、獰猛な笑みを浮かべて戦った。

冒険者Bは、ダンジョン・リザードの黒息を浴びた(おい、どうした!?まさか毒か!?)

冒険者Bに、ダメージ・小(毒を無効化した)

冒険者Cは、ゴブリンライダーの存在に狼狽した!

冒険者Cは、怯えながら戦った。

冒険者Cは、ダンジョン・リザードの黒息を浴びた(痛っ!針で刺されたような…全身が痛い!)

冒険者Cに、ダメージ・中(毒状態になった)

冒険者Dは、ゴブリンライダーの存在を見ても冷静だった!

冒険者Dは、指揮しながら戦った。

冒険者Dは、ダンジョン・リザードの黒息を浴びた(無事なのは耐異常持ちだけか…撤退するぞ!)

冒険者Dに、ダメージ・極小(毒を無効化した)

冒険者Eは、ゴブリンライダーの存在に卒倒しそうになった!

冒険者Eは、気力を振り絞って戦った。

冒険者Eは、ダンジョン・リザードの黒息を浴びた(うあぁっ、ダンジョン・リザードが毒を!?)

冒険者Eに、ダメージ・中(毒状態になった)

ゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

《ログ報告その6》

1階で、冒険者が敗走中。

冒険者A(エルフ、女性、レベル2)

敗走結果。

冒険者は、無事に地上へ帰還した。

冒険者Aは、地上に向かって走っている(はぐれた皆は無事かな?)

冒険者Aは、落とし穴に落ちた!

冒険者Aは、ダメージ・小

冒険者Aは、よじ登り始めた(フロッグシューターの存在に気がつかなかった)

冒険者Aは、奇襲された(舌が足首に巻き付いた)

冒険者Aは、運良くブーツが脱げた(フロッグシューター!?)

冒険者Aは、再び登り始める。

冒険者Aは、攻撃された(舌がお尻に巻き付いた)

冒険者Aは、両手で壁を掴んでいる(抵抗に成功)

冒険者Aは、運良くスカートが脱げた(た、助かったけど…)

冒険者Aは、諦めずに登った。

冒険者Aは、攻撃された(舌がお尻に巻き付いた)

冒険者Aは、両手で壁を掴んでいる(抵抗に成功)

冒険者Aは、運良く下着が脱げた(なんでえーっ!?)

冒険者Aは、落とし穴を登りきった!

冒険者Aは、下半身がスッポンポンである(いやああああぁぁっ!)

 

《ログ報告その7》

4階で、ゴブリン44匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者D(パルゥム、女性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、冒険者Dの警告で罠を回避した(ベックス、足元の虫を踏まないで!)

冒険者Aは、冒険者Dに群がるゴブリン達を蹴散らす!

冒険者Aに、ダメージ・小

冒険者Bは、冒険者Dの警告で罠から遠ざかった(トーネラさん、そこの苔に近寄らないで!)

冒険者Bは、冒険者Dを囲もうとするゴブリン達を薙ぎ払った!

冒険者Bは、ダメージ・小

冒険者Cは、冒険者Dの警告で罠を破壊した(ザーネ、地面の中に罠の核が埋まってる!)

冒険者Cは、冒険者Dが捕まらない様にゴブリン達を吹き飛ばす!

冒険者Cは、ダメージ・小

冒険者Dは、冒険者Aに罠を警告する(ゴブリン達の視線が集中した)

冒険者Dに、ダメージ・極小

冒険者Dは、冒険者Bに罠を警告する(ゴブリン達の殺意が増大した)

冒険者Dに、ダメージ・小

冒険者Dは、冒険者Cに罠を警告する(ゴブリン達の増援が急増した)

冒険者Dに、ダメージ・中

冒険者Dは、無事に生き残った(なんで私ばかり狙われるの!?)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

ゴブリン達は学習・研究している。

人食い箱に、冒険者達を誘導すべし。

ただし、雌が居る場合は極力避けるべし。

首吊り蚯蚓を研究して、口を開かせる方法を発見した。

ダンジョン・リザードに騎乗の際、天井と壁から攻撃する方法を習得した。

落とし穴の中に、隠れる・隠す事を学習した。

罠を感知する冒険者は、絶対に殺すべし。

雌でも関係ない。

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

帽子を置いて、鏡の前に立つ。

オティヌスの金髪は美しい。

触ってみると、なめらかな手触りで、とても心地良い。

指通りも最高だ。

更にしなやかで、頭を揺らすと、髪全体が流れるよう動く。

艶もあり、人を惹きつける魅力がある。

だからこそ、勿体ないと思った。

髪型は1つだけで、いいのか?

もっとバリエーションがあっても、いいはずだ!

というわけで、髪型を変えてみた。

まずは、ポニーテール。

………やばっ。

可愛過ぎる!

ちなみに毛先が、小さい馬(ポニー)尻尾(テール)のように見えるのが、ポニーテールの由来である。

ポニーテールは位置によっても、印象がガラリと変わる。

奥が深いのだ。

個人的には、高めのポニーテールを、お勧めしたい!

健康的、元気で活発、運動系女子のイメージ。

しかし、とんでもない欠点があった。

帽子をかぶれない。

魔女帽子をかぶれないオティヌスは、オティヌスではない!

………コホン。

いかんいかん。

つい取り乱してしまった。

次は、三つ編みだ。

文学少女、清楚で大人しい、眼鏡が似合うイメージ。

うん、悪くない。

帽子もかぶれるし。

だが、またしても欠点があった。

三つ編みのやり方…知らなかったよ。

諦めよう。

今度の髪型は、お団子ヘアだ。

シニヨンとも呼ばれている。

ぶっちゃけると、ポニーテールを丸くまとめた髪型。

見た目は、お団子そのもの。

こうやって…少し違うか…ああ、こうか。

出来た!

くっ、これも可愛すぎる!

カメラが無いのが悔やまれる。

ふーーー。

ナルシストになりそうだ。

ショートカットやミディアムヘアも、捨てがたいな。

いやいやいや。

せっかくの長い髪を切るわけには…。

待てよ。

アクマが言っていた。

髪を切っても焼かれても、直ぐに元に戻ると。

あはは、冗談だろ?

………ハサミで、ちょっとだけ切ってみた。

げっ!?

生えた。

にょろっと、一瞬で生えた!?

怖いんだけど!?

 

 

 

 

 

 




作者は毎日、栄養ドリンクを飲んでいます(。-`ω-)ケフッ


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ダンジョン異端記録その8

【アクマと会話パート】

ふふふ。

前回は足りなかったが…。

起きている時間を、また1時間増やせる。

これで、目標の3時間達成だ!

 

〝おめでとうございまス!デビルエネルギーが貯まっていますネ〟

 

ああ、正直驚いたよ。

46%も貯まっていたし。

絶望した冒険者と死亡した冒険者が急増中だ。

原因は…。

 

〝支配階層の大増加、凶悪な罠を大量配置、魔物の強化…特にゴブリンガ〟

 

だよねー。

甘い罠(宝箱)のおかげで、まだまだ冒険者達は来るだろうし。

デビルエネルギーを、どんどん貯めよう。

次なる目標、クノッソスの支配の為に!

さて、そろそろやってくれ。

 

〝了解でス!18%消費して時間を増やしまス…成功しましタ〟

 

サンキュー!

近いうちに練習するよ。

この身体(オティヌス)に、どれだけの力があるか確かめたい。

あっ、そうだ。

俺に特殊能力(スキル)とか、魔法はある?

 

〝ありまス!練習の時ニ、詳しく説明しましょウ〟

 

頼んだぜ。

戦うのは好きじゃないが、特殊能力(スキル)や魔法には憧れる。

前の世界には無かったし。

今から楽しみだ。

 

〝練習相手ハ、ゴブリンがいいですカ?〟

 

んん?

ゴブリン?

 

〝数は沢山いますシ、使い捨てても(ぶっ殺しても)問題なしでス〟

 

いやいやいや、ちょっと待て。

 

〝ご安心ヲ!苗床産のゴブリンハ、ちゃんと省きますのデ〟

 

そうじゃなくて!

味方に酷い扱いしたら、反旗を翻されないか?

 

〝味方?ゴブリンと相対すれバ、冒険者達と同じく襲われますヨ〟

 

なんで!?

俺って、ダンジョンマスターだよ。

魔物達を強化した存在じゃん。

 

〝私達以外、ダンジョンマスターの存在を知りませン〟

 

マ、マジか。

支配した階層の魔物達は、認識ぐらいしているかと思っていた。

うーん。

知らないなら、教えたらどうだ?

 

〝却下しまス!冒険者達に存在を知られる危険(リスク)ハ、減らすべきかト〟

 

うっ、そうだけど。

味方は多い方がいいだろ?

 

〝魔物に忠誠心や仲間意識を求めるのハ、お勧めしませン〟

 

………つまりだ。

あくまでも、目的の為の道具ってわけか?

 

〝はイ〟

 

きっぱりと言いやがって。

だが、間違ってないか。

分かったよ。

最初の練習相手は、ゴブリンでいい。

ただし!

クノッソスを支配してからだ。

 

〝理由を聞いてモ?〟

 

アクマの言う通り、存在を知られるのを防ぐ為だ。

絶対に目撃されない場所で、練習する。

何か不具合が起きた場合でも、対処し易いだろ?

 

〝なるほド、それで人造迷宮ですカ〟

 

ゴブリンを連れて来れるか?

 

〝支配した後なラ、何匹でも問題なク〟

 

なら、最初は1対1。

徐々に数を増やていく。

レベル8の強さがあっても、俺は戦闘のド素人だ。

焦らず、堅実に強くなる!

練習メニューを考えてくれると助かる。

 

〝お任せ下さイ!私が安全かつ熱血指導(スパルタ)デ、戦闘狂に育てまス〟

 

おい、不穏な言葉が聞こえたぞ!?

存在が知られたら危険って言ったのは、お前だぞ。

戦闘狂にしてどうする。

メチャクチャ目立つわ!

 

申し訳ありませン(非常に残念でス)うっかりしてましタ(またの機会ニ)

 

本当に分かってるんだろうな…。

ところで、俺が冒険者達を殺しても、デビルエネルギーは貯まるのか?

 

〝良いところに気がつきましたネ!答えはYESでス!〟

 

ふむ。

場合によっては、俺自身で稼ぐ事も可能か。

まあ、その時は存在がバレたり、クノッソスに誘き寄せてか。

 

〝強くなる前のベル・クラネルを誘き寄セ、暗殺できたら最高ですネ〟

 

それは思った。

ただやっちゃうと、高確率でフレイヤ・ファミリアが襲ってくるかも。

とはいえ、主人公(ベル・クラネル)も…ほっとくと脅威だし。

どこかで腹をくくるしかないか。

 

〝撃退できるようニ、頑張りましょウ〟

 

おうよ!

また各階層の罠を変更するか。

これだけでも、冒険者達は混乱するからな。

 

〝罠で思い出しましたガ、魔物と同じク、隠された罠が見えますヨ〟

 

えっ?

助かるけど…。

俺って、魔物のカテゴリーに入るの?

 

〝いえいエ、眼帯の効果でス〟

 

こいつかあああぁっ(取れない眼帯か)

 

〝他にも効果がありますガ、注意点を1ツ〟

 

待て待て。

取り方も知りたいのだが?

 

〝罠は冒険者と同じく作動しますのデ、回避するか近づかないようニ〟

 

無視(スルー)された!?

 

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層から12階層の罠を変更しました。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダを開いて下さい。

 

ゴブリンの巣は、6階層のままです。

 

ダメージ表示に「即死級」が追加されます。

 

1~12階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

8階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者D(ヒューマン、女性、レベル2)

ルームに閉じ込められ、冷凍庫の罠が発動(石扉が床から迫り上がり、出入り口を塞いだ)

探索結果。

冒険者達の全滅。

冒険者Aは、必死に石扉を叩いている(石扉の破壊率5%)

冒険者Aは、凍傷状態・小

冒険者Aは、死に物狂いで石扉を叩いている(石扉の破壊率9%)

冒険者Aは、凍傷状態・中(体の動きが鈍い)

冒険者Aは、凍傷状態・大(眠くなってきた)

冒険者Aは、凍傷状態・特大(眠ってしまった)

冒険者Aは、凍死した。

冒険者Bは、床の魔法陣に攻撃している(魔法陣の破壊率3%)

冒険者Bは、凍傷状態・小

冒険者Bは、床の魔法陣に全力攻撃をしている(魔法陣の破壊率7%)

冒険者Bは、凍傷状態・中(指先が凍り、武器が持てなくなった)

冒険者Bは、凍傷状態・大(足が凍り、転倒してしまった)

冒険者Bは、凍傷状態・特大(身体が凍り、意識を失った)

冒険者Bは、凍死した。

冒険者Cは、脱出口がないか探した(見つからなかった)

冒険者Cは、凍傷状態・小

冒険者Cは、冒険者Aと共に石扉を叩いた(石扉の破壊率10%)

冒険者Cは、凍傷状態・中(身体の震えが止まらない)

冒険者Cは、凍傷状態・大(初めて薄着で後悔した)

冒険者Cは、凍傷状態・特大(身が凍るのを感じつつ、意識を失った)

冒険者Cは、凍死した。

冒険者Dは、床の魔法陣に魔法を放つ(魔法陣の破壊率10%)

冒険者Dは、凍傷状態・小

冒険者Dは、驚愕した(あまりの寒さに、唇がくっ付き詠唱できない)

冒険者Dは、凍傷状態・中(何故か身体が、熱くてたまらない)

冒険者Dは、凍傷状態・大(熱くて熱くて、服を脱ぎ捨てた)

冒険者Dは、凍傷状態・特大(身体が凍り付き、彫像のように動かなくなった)

冒険者Dは、凍死した。

 

≪ログ報告その2≫

3階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者D(ヒューマン、女性、レベル2)

探索結果。

女冒険者達は新しい性癖(とびら)を開いた。

冒険者Aは、大量の金銀宝石に喜んでいる(数冊の本に気がついた)

冒険者Aは、興奮している(えっ?男同士の絡み?何コレ…凄い)

冒険者Aは、大興奮している(わわっ!勇者(フィン)凶狼(ベート)が!)

冒険者Aは、腐女子に目覚めた!

冒険者Bは、大量の金銀宝石に目を輝かせている(数冊の本に気がついた)

冒険者Bは、興奮している(今までにない絵と文字の本…これは売れる!)

冒険者Bは、大興奮している(勇者(フィン)の相手こそ王者(オッタル)でしょ、くふふ)

冒険者Bは、腐女子に目覚めた!

冒険者Cは、大量の金銀宝石に気絶しそうだ(数冊の本に気がついた)

冒険者Cは、興奮している(友情を超えた先は…愛!?)

冒険者Cは、大興奮している(尊!尊み!世界は妄想(BL)で満たされていた!)

冒険者Cは、腐女子に目覚めた!

冒険者Dは、大量の金銀宝石に物欲が止まらない(数冊の本に気がついた)

冒険者Dは、吐き気がした(おえっ、男同士で…キモい…やっぱり女性同士でしょ)

冒険者Dは、自分の性癖に気がついた(あっ、私の恋愛対象は…同性だ)

冒険者Dは、百合に覚醒した!

 

≪ログ報告その3≫

5階層で、苗床産ゴブリン30匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(エルフ、男性、レベル2)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(獣人、男性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、挟み撃ちに苦戦している(前後にゴブリン達、乱戦で味方の援護は望めない)

冒険者Aは、右壁からの壁ドンを避けれない(ゴブリン達が回避の邪魔をした)

冒険者Aは、左壁からの壁ドンを避けれない(左右の壁ドンに挟まれた)

冒険者Aに、ダメージ・即死級(壁と壁の隙間から、大量の血が溢れ出た)

冒険者Aは、圧死した。

冒険者Bは、移動しながら弓矢で攻撃している!

冒険者Bは、頭上から来る何かに気がついた(上を見上げた)

冒険者Bに、ダメージ・特大(正体は床ドンだった)

冒険者Bは、動けない(ダメージを受けた時の体勢が悪く、首の骨が折れた)

冒険者Bは、ゴブリン達に止めを受けた。

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、苗床産ゴブリン達を蹴散らす(ゴブリン達は壁に仕掛けをしている)

冒険者Cは、更に苗床産ゴブリンを蹴散らす!

冒険者Cは、壁ドンを防いだ(咄嗟に武器を捨て、両手で受け止めた)

冒険者Cは、両手が壁から離れない(ゴブリンの仕掛けは、接着ダンゴ虫だった)

冒険者Cは、狼狽している(ニタニタしながら、苗床産ゴブリン達が近づいてくる)

冒険者Cに、ダメージ・特大(回避も反撃も出来ないまま、タコ殴りにされた)

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Dは、仲間の援護に向かった(擬態しているフロッグシューターに気がついてない)

冒険者Dは、奇襲された(舌が身体に巻き付いた)

冒険者Dは、踏ん張っている(ゴブリン達に攻撃されて、抵抗失敗)

冒険者Dは、藻掻いている(更にゴブリン達から攻撃されて、抵抗失敗)

冒険者Dは、怪我が酷く抵抗できない!

冒険者Dは、丸呑みされた。

救援は…来なかった。

冒険者Dは、消化されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その4≫

12階層で、冒険者が敗走中。

冒険者A(パルゥム、女性、レベル2)

敗走結果。

冒険者の捕縛。

冒険者Aは、地上に向かっている(逃がしてくれた先輩達…どうか御無事で!)

冒険者Aは、戦闘を目撃した(戦っているのは、ゴブリン達とウォーシャドウ達!?)

冒険者Aは、観察している(ゴブリン達が勝った…あれは魔石を拾っている?)

冒険者Aは、考察している(何の為に?凄く凄く嫌な予感する…ギルドに報告しないと!)

冒険者Aは、電撃地雷を踏んだ(しまっ、あああああああっ!?)

冒険者Aは、麻痺して動けない(ゴ、ゴブリン達に気がつかれた)

冒険者Aは、捕縛された(嫌っ!助けて!誰か助けてーっ!)

ダンジョン・リザードに乗り、苗床を速やかに巣へ輸送。

邪魔者は…出現せず。

冒険者は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

ゴブリン達の集めた魔石は、ゴブリンキングに献上されました。

 

≪ログ報告その5≫

9階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(エルフ、男性、レベル2)

冒険者C(獣人、男性、レベル2)

疾走する痴態砂人形を目撃した。

探索結果。

冒険者達の全滅。

冒険者Aは、痴態砂人形に見惚れた(うほー!美人の全裸だ!眼福だぜ!)

冒険者Aは、痴態砂人形の首飾り(高級品)に気がついた!

冒険者Aは、首飾りを奪おうと追いかけた!

冒険者Aは、幻覚状態になった(仲間達が魔物に見える)

冒険者Aは、慌てて冒険者B(魔物)に全力攻撃した!

冒険者Aに、ダメージ・大(幻覚の効果が解けた)

冒険者Aは、ゴブリンの増援に囲まれた!

冒険者Aに、ダメージ・特大

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、痴態砂人形に恐怖した(あれが噂の罠か、他人に全裸を見られるとは…)

冒険者Bは、痴態砂人形の足首に注目した!(苔が付いてる?)

冒険者Bは、欲に目が眩んだ冒険者Aを追いかけた!

冒険者Bは、幻覚状態になった(仲間達が魔物に見える)

冒険者Bは、冒険者A(魔物)の攻撃に全力反撃した!

冒険者Bに、ダメージ・大(幻覚の効果が解けた)

冒険者Bは、ゴブリンの増援に囲まれた!

冒険者Bに、ダメージ・特大

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、痴態砂人形に興味がなかった(なんて品のない罠だ!)

冒険者Cは、痴態砂人形の身体に注目した!(虫が付いてる?)

冒険者Cは、欲に目が眩んだ冒険者Aを追いかけた!

冒険者Cは、幻覚に抵抗した!

冒険者Cは、奇襲された(背後から複数の魔法攻撃(こんな時にゴブリン共か!)

冒険者Cは、ダメージ・中

冒険者Cは、更に奇襲された(別方向から複数の弓攻撃(まさか、待ち伏せ!?)

冒険者Cは、ダメージ・大

冒険者Cは、逃げようとした(失敗、ゴブリン達に囲まれた)

冒険者Cに、ダメージ・特大

冒険者Cは、死亡した。

勝ったゴブリン達の記憶が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その6≫

4階層で、ゴブリンキング達が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者E(獣人、女性、レベル3)

戦闘結果。

ゴブリンキング達の勝利。

冒険者Aは、落とし穴に落ちた!

冒険者Aは、魔法の集中攻撃を受けた(落とし穴から抜け出せない)

冒険者Aに、ダメージ・大

冒険者Aは、再び魔法の集中攻撃を受けた(落とし穴から抜け出せない)

冒険者Aに、ダメージ・特大

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、冒険者Eの援護に向かう(邪魔するゴブリン達を斬り伏せる(シェイナ、私が行くまで耐えろ!)

冒険者Bは、驚いた(大量のゴブリン達が抱きついてきた(斬っても斬っても切りがない!)

冒険者Bは、驚愕した(抱きついたゴブリン達が剥がせない(馬鹿な!死体すら剥がせない!?)

冒険者Bは、気がついた(自分とゴブリンの間に虫の死体が…(やられた!虫の体液が原因か!)

冒険者Bは、ゴブリン達の重さで転倒した(起き上がる事が出来ない(すまない、シェイナ…私は…)

冒険者Bは、捕縛された。

冒険者Cは、動きを封じられた(フロッグシューター達の舌が身体に巻き付いている)

冒険者Cは、激しく抵抗した(舌が1枚剝れた、残り3枚)

冒険者Cは、いくつもの短剣で刺された!

冒険者Cに、ダメージ・中

冒険者Cは、激しく抵抗した(舌が1枚剝れた、残り2枚)

冒険者Cは、いくつもの槍で刺された!

冒険者Cに、ダメージ・大

冒険者Cは、激しく抵抗した(舌が全て剝れた)

冒険者Cは、いくつもの矢が刺さった!

冒険者Cに、ダメージ・特大

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Dは、ゴブリン達を戦棍(メイス)で殴り殺した!

冒険者Dに、壁ドンが直撃!

冒険者Dに、ダメージ・大(右腕が骨折した)

冒険者Dは、片手で戦棍(メイス)を豪快に振り回した!

冒険者Dは、電撃地雷を踏んだ(止まらずに、ゴブリン達を叩き潰していく)

冒険者Dは、電撃地雷を踏んだ(あちこち焦げているが、まだ止まらない)

冒険者Dは、電撃地雷を踏んだ(ゴブリン達は恐怖した)

冒険者Dに、ダメージ・特大

冒険者Dは、立ったまま死んだ。

冒険者Eは、ゴブリンキングと一騎打ちしている(「俺ト同ジ獲物カ、面白イ!」)

冒険者Eは、ゴブリンキングに連続攻撃(「今マデデ、1番強イ!」)

冒険者Eは、ゴブリンキングから強烈な一撃を受けた(「負ケラレナイ、勝ツノハ俺ダ!」)

冒険者Eに、ダメージ・中(互いに流血)

冒険者Eは、ゴブリンキングと激しい攻防を繰り返す(「ハァハァ、ソロソロ決着ヲツケルゾ!」)

冒険者Eに、ダメージ・大(互いに片腕が負傷)

冒険者Eは、ゴブリンキングに必殺の一撃(「ヌウアアアアアアアァッ!」)

冒険者Eに、ダメージ・特大(クロスカウンター炸裂)

冒険者Eは、気を失って倒れた(「俺ノ勝チダアァッ!」)

冒険者Eは、手当され捕縛された(「「「キング!キング!キング!」」」)

ダンジョン・リザードに乗り、苗床を速やかに巣へ輸送。

邪魔者は…出現した!

戦闘結果…邪魔者を排除した(更に苗床ゲット)!

冒険者達は、ゴブリンの巣に幽閉されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

ゴブリンキングは、冒険者達の持っていた魔石を食べました。

 

ゴブリンの学習・研究している。

騎乗できる魔物以外は、魔石獲得対象して狩るべし。

痴態砂人形の研究結果。

・ダメージを与えなければ無抵抗で、何をしても反応しない。

・アクセサリーを付けても外さない。

・身体に張り付けた幻覚苔は自生する。

・接着ダンゴ虫を乗せても落とさない。

・爆発ダンゴ虫を乗せると嫌がる。

・水に濡れると動きが鈍くなる。

冒険者の死体(エサ)を与えたフロッグシューターは、簡単な命令を聞く。

例:舌で相手の動きを封じる。

ただし、腹が減ると命令を聞かないどころか、喰われるので注意。

 

報告します。

小鬼の祭典(ゴブリンフェスティバル)を開催可能になりました。

開催を決定すると、2日間の準備期間に入ります。

準備期間中は、1~12階層では…

ゴブリン、フロッグシューター、ダンジョン・リザードしか産まれません。

1度決定すると、中断は出来ません。

また、小鬼の祭典(ゴブリンフェスティバル)が終わるまで、以下の事が出来ません。

御注意を。

支配階層の増加不可。

モンスターポイント及びトラップポイントの使用不可。

罠配置の変更不可。

キング候補のキング化不可。

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

ええー。

目が覚めて、パソコンを見たら…とんでもない事になっていた。

まず、デビルエネルギーが60%まで貯まっている。

過去最大だ。

冒険者達の被害が気になる。

こちらも過去最大かも?

記録・蓄積ログを、あとで確認しよう。

それにしても60%か。

支配階層を増やせるんじゃない?

だとすれば、クノッソス支配に近づく!

ふふふ。

アクマに聞かなければ!

…聞くといえば、もう1つあったな。

小鬼の祭典(ゴブリンフェスティバル)だ。

詳しい内容が書いてない。

ゴブリンに関するイベントで、間違いないと思うけど…。

準備期間もあるし、途中で止める事も出来ない。

強化した魔物しか産まれないみたいだし。

制限も多い。

知らずに決定するのは、危険か。

とりあえず、聞くまで保留だな。

そして!

ゴブリンキングが大金星だ。

レベル3の上級冒険者に、1対1で勝ったよ。

よくやった!

ついに、レベル3の苗床ゲット!

レベル1の下級冒険者より、強いゴブリンが誕生する。

もはや最弱魔物と呼ばれまい。

ゴブリンの時代が始まった。

冒険者達を恐怖のどん底に落として、デビルエネルギーを稼いでくれ。

期待しているぞ!

さてと。

記憶・蓄積ログを、ちょっと見るか。

えーと。

ふんふん、へえー、なるほどね。

壁ドンと床ドンは、意外とえぐいわー。

………げっ。

BL本が、宝箱の中に入ってる!?

しかも、禁書確定(ダンまち題材)のBL本まで!?

アクマ!

処分してねえええええええええええぇっ!



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※ギルド職員の先輩と後輩その4

「お、遅れて、すみません!」

 

「大丈夫よ。」

 

待ち合わせの場所に、後輩(ゼクス)が走って来た。

うんうん、偉いぞ。

10分前行動で、人を待たせない。

当たり前だけど、大切な事よ。

身だしなみも、バッチリね。

 

「先輩は…その…どのくらい前から、ここに?」

 

「30分かしら?」

 

「早いですね!?」

 

お礼をする側が、後から来るのは格好悪い。

そう思って早く来たのは、内緒。

今から1週間前。

過労で倒れかけた私を、ゼクスが抱き留めてくれた。

運が悪かったら、頭を打って怪我をしていたかも。

まったく情けない。

人には無理するなと言っておいて、自分がこの様である。

猛省したわ!

2度と倒れるような無茶はしない。

ギルドにも迷惑がかかるし。

多忙で余裕がない時期に、1人でも減れば、他の職員達へ負担がいく。

それだけは避けないと。

 

「さあ、行きましょうか。」

 

「はい!」

 

向かう先は『舌が歌う御馳走』という名の料理店。

お礼をしたいと言ったら、一緒に食事しませんかと誘われた。

なるほど。

お姉さんは理解しましたよ。

奢って欲しいって、意味でしょ?

任せなさい!

贅沢してないし、ギルドの給料良いし、お財布の中身は充分にあるわ。

 

「楽しみですね!」

 

満面の笑みを浮かべるゼクス。

尻尾を振って喜んでいる子犬に見えた。

頭をナデナデしたい。

周りから御主人様と飼い犬…ではなく、きっと姉弟に見られているわね。

私が20代後半で(詳しくは秘密よ)彼が10代後半だし(詳しく聞いてない)

 

「先輩!今日は、もう仕事の話は無しにしましょう。」

 

「別にいいけど、どうしたの?」

 

「食事の時ぐらいは仕事を忘れて、楽しまないと損です!」

 

「…そうね。」

 

ダンジョンの異変は、全然収まらない。

ううん、混迷を極めている。

行方不明者や死亡者が増加し、冒険者達が慎重になると思った矢先で…。

宝箱の出現。

中身は、大量の金銀宝石。

発見された宝箱にハズレはなく、どれも相当な金額になっていた。

多い時には1日で、2~3個も発見される。

一攫千金を求める冒険者達が、急増してしまった。

危険と注意しても、聞いてくれない冒険者達の方が多い。

案の定、行方不明者と死亡者が更に増加。

はあー、嫌だなー。

慣れてしまった(・・・・・・・)

どんどん死んで逝くから、悲しみが薄れていく。

また死んだのね。

それで終わらす自分が、堪らなく嫌だ。

………ふうー、いけないわね。

ゼクスに言われたばっかりじゃない。

忘れて楽しみましょう!

 

「あれ?先輩?」

 

「ゼクス君もいるね。」

 

声がした方を向けば、後輩達がいた(エイナとミィシャ)

2人も食事に行くところかしら?

 

「あっ、もしかして…。」

 

「まさかテリア先輩とゼクス君が…へえ、そうなんだー。」

 

ちょっと2人の様子が、おかしい。

エイナは何か察した感じで、ミィシャはニヤニヤしている。

一体どうしたの?

 

「やるわね、ゼクス君。難攻不落(テリア先輩)をデートに誘うなんて!」

 

デート!?

いいえ、それよりもミィシャ!

難攻不落って何!?

冒険者の二つ名みたいな呼び名は!?

 

「ま、待って。」

 

落ちつきなさい私。

ミィシャ達の勘違いを訂正して、呼び名について問い質すのよ。

食事があるから、明日がいいわね。

 

「ミィシャ。ギルドの第3倉庫に、朝一で来なさい。」

 

「テリア先輩!?笑顔が怖いです!それに第3倉庫って、滅多に使用されない…。」

 

「分かった?」

 

「は、はいぃっ!」

 

涙目で返事するミィシャは置いといて…。

いつの間に、変な呼び名を付けられたのかしら?

思い当たる節がない。

しかし、デートとは思わなかったわ。

相手が私なんて、ゼクスに申し訳ない。

男性より背が高いし、ちっとも可愛げがない(凛々しいと言われるけど)

 

「いい、2人とも。デートじゃなくて、お礼の「デートです!」…はい?」

 

訂正しようとしたら、ゼクスが勘違いを肯定した。

大声で。

私も、エイナ達も、周りの人達も、吃驚している。

 

「先輩、行きましょう!」

 

「ちょっ!?」

 

手を掴まれ、引っ張られていく。

ゼクスの顔は、林檎のように赤い。

あれ?

もしかして、食事に誘ったのは…本当にデートのつもりで?

 

「っ!」

 

ま、まずいかも。

そう意識したら、私の顔も赤くなった。

掴まれている手が熱い。

料理店に着くまで、互いに何も喋れなかった。



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※運命が変わった冒険者達の話その3「尊みの花」

最近オラリオで、問題になっている本があります。

BLと呼ばれる男性同士の愛が描かれた物語。

百合と呼ばれる女性同士の愛が描かれた物語。

今までに無い、絵と文字で表現された画期的な本。

これだけなら問題になりません。

架空の物語だし、見たくない人は見なければいいだけ。

では、何が問題なのか?

一部の本には、有名な冒険者達が登場人物として、描かれているからです。

無断で。

しょ、しょうがなかったの!

描きたかったから!

主神が言う、萌えだもん!尊みだもん!

私の名は、ゼーリエ。

レベル2の冒険者で、とあるファミリアの団員。

先にも述べたオラリオを騒がせている本。

これを描いているのは、私達のファミリアです。

ダンジョンで発見した宝箱。

その中には、金銀宝石を凌駕する宝が、聖典が入っていました。

見てしまった私を含め、団員全員が、真実の愛を知ったのです!

主神様は鼻血を流しながら、笑顔で叫びました。

下界に聖典を広めよと。

勿論です!

ただ、普通に広めると…残念な事ですが捕まります。

故に私達は、暗躍しました。

本を扱っている店の本棚に、こっそりと入れたり。

誰か拾って見る事を計算し、人通りの少ない場所に置いたり。

闇のオークション会場にて、出品者不明のまま出品したり。

他にも色々やりました。

ええ、頑張りましたとも!

全ての本は、作品達は、私達の手作り!

同じ本はありません!

睡眠時間を削って、生み出し続けます。

もっと多くの人達に真実の愛を伝え、同志を増やしていく為に。

だからこそ、この危機を乗り越えなければ、なりません。

フード付きのローブと仮面で、素顔と姿を隠しつつ、秘密のアジトへ向かいます。

 

「探せ!くそったれ野郎共は、この辺りに居るはずだ!」

 

くっ、もう嗅ぎつけましたか。

真実の愛を否定する者達。

私達の本を無残にも破り捨て、燃やして消し去る悪魔の所業。

許せない!

でも、でも、でも!

 

「本当に、この辺り何だろうな。戦車野郎(アレン)!」

 

「黙れ、疑うなら自分で探せ。狂犬(ベート)が!」

 

ありがとうございます!

推しの声が聞こえて、凄く幸せです!

秘密のアジトへ入ると、作業している団員達に知らせます。

 

「ここの存在を気づかれました!逃げて下さい!女神の戦車と凶狼が来ます!」

 

「嘘でしょ!?もうちょっとで原稿が仕上がるのに!」

 

その気持ちは分かります。

ですが、捕まったら2度と描けません。

血の涙を流してでも、原稿を放置して逃げて下さい。

 

「やばっ!女神の戦車×凶狼の組み合わせ、萌えるわ!」

 

私も萌えました!

しかし、萌えるのは逃げ切った後です。

1人でも捕まったら、私達のファミリアが、壊滅の危機に晒されます。

一応掟はありますが…。

推しに吐けと言われたら、口を割ってしまうかも。

なので、全力で逃げて下さい。

秘密のアジトは、個人を断定されない様に、厳格な管理体制です。

証拠隠滅の必要はありません。

 

「隠し通路Bで逃げます!急いで!」

 

灯りを消して、速やかに移動しました。

いくつかある秘密アジト。

使う際は、隠し通路を覚えるのが義務です。

 

「ひっ!し、静かに移動を…。」

 

隠し通路を塞いだところで、何かが粉砕される轟音と激しい振動を感じました。

おそらく、アジトの扉を破壊されました。

あ、危なかったです。

その後、無事に別のアジトへ生還しました。

まだまだ理解されないBLと百合。

だけど、私達は負けません。

真実の愛が、下界に広がるまでは!

 

 

 

 

 




「団長!団長が、ベートさんと×××の○○〇って、本当なんですか!?」

「ははは、どこでそんなデマを。違うよ。本当に。」

勇者の二つ名を持つ、ロキ・ファミリアの団長フィンは疲れきっていた。
同じ質問してくる団員達に。
特に、双子のアマゾネス。
その片割れに信じてもらうまで、大変苦労した。
それもこれも、ある本のせいである。

「団長、よく効く胃薬をもらって来たっす。」

「ありがとう、ラウル。是非使わせてもらうよ。」

胃薬を服用するようになったフィンに、ラウルは言えなかった。
新たに、勇者(フィン)×王者(オッタル)勇者(フィン)×重傑(ガレス)の本が発見された事を。
更に主神のロキが、九魔姫(リヴェリア)×剣姫(アイズ)の百合本を持っており…
先程、リヴェリアに地下室へ連れて行かれた事を。





【ゼーリエ】
本来は、語られる事のない冒険者。
ファミリアも、ダンジョン探索系ファミリアのまま。
しかし、BL本を拾った為に運命が歪んだ。
ゼーリエ以外の団員達にも、歪みは浸透した。


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※神娯亭にて、神々の会話その2

へえー、個室もあるんだ。

知らなかったよ。

えっ?

最近できたの?

そっかそっか。

いや、助かるよー。

同じ神々にも聞かれたくない事があるからねー。

あっ、イシュタルはこの部屋?

案内ありがと。

下界の子供、もとい酒場≪神娯亭≫の店員に礼を言って、部屋に入る。

 

「遅い。」

 

ええー。

時間通り来たのに。

不機嫌な顔で、イシュタルが葡萄酒を飲んでいた。

美人だけど、おっかない女神だよ。

 

「ごめんごめん。今度から気をつけるよ。」

 

こっちは悪くないけど、謝っといた方が無難だよね。

お得意様になりそうな予感がするし。

末永く付き合いたい(利用したい)

 

「そういえば、この間の薬はどうだった?」

 

「ああ、ダンジョンの媚薬か。」

 

「イシュタルとこの切り札(眷属)に使ったの?」

 

「ああ、使った。効果抜群だったよ。」

 

「でしょでしょ!うちの目玉商品だからね。」

 

鼻で嗅ぐと、性的興奮する。

肌に塗ると、更に性的興奮する。

飲ませると、性的興奮が止まらない。

全部やると、理性が吹き飛ぶ。

ダンジョンで降っている桃色の雨を回収して、僕が手を加えた媚薬。

欲しがる者は多い。

ちょっと高いけど、今じゃんじゃん売れている。

客が喜び、僕が儲かる。

素晴らしいね。

まあ、困った事も起きた。

持っているだけで、逮捕されちゃう危険物に認定された。

ギルドによって。

なんでかなー。

副作用とか一切ない、良い薬なのに。

 

「スキルしか役に立たなかったが、ちゃんと客が取れるようになった(娼婦が出来るようになった)。」

 

「良かったね。」

 

「タルウィ、もっと寄越しな(・・・)。」

 

「勿論イシュタルのとこに、優先的に売るよ(・・・)。」

 

前は、プレゼンを兼ねたプレゼント。

次からは、ちゃんと買ってもらわないと。

大量に仕入れてくれるなら、このくらい金額かな?

歓楽街で儲けているから、問題ないでしょ。

提示すると、了承してくれた。

嬉しいなー。

可愛い僕の眷属達(子供達)

新たな発注を頂きました。

忙しくなるよー。

睡眠時間が、また削れるけど、いいよね?

 

「あっ、そうそう。これもサービスするよ。」

 

「緑色の粉?なんだい、これは?」

 

「ダンジョン産の苔を、粉末状にした物。」

 

「………。」

 

「ちゃんと説明するから、睨まないでよ。」

 

麦酒を飲みながら、イシュタルに説明した。

魔物が味方に、味方が魔物に。

そんな風に見えてしまう異常状態があってね。

原因は現在も不明。

必死にギルドが調査中しているよ。

でもね。

僕のファミリアが、なんと原因を発見した。

それが、この苔。

幻覚作用がある胞子を飛ばすんだ。

ビックリだよねー。

眷属達に頑張って、回収してもらったよ。

そんで僕が、桃色の雨と同じく、手を加えてみた。

出来上がったのが、麻薬「嘘想(コンフェッション)」。

ちなみに媚薬の方は、「淫墜(ナースティー)」と名付けたよ。

麻薬の効果は、大切な人と過ごす幻惑が見える。

周りから見たら、ぼーっとしているような感じかな。

強い一撃を受けるか、時間が経つまで無防備だよ。

耐異常のアビリティ持ちにも、効果があり。

僕が手を加えたからね!

あと、1番面白いのが…。

ぼーっとしている時に質問すれば、何でも答えるよ。

質問している人間が、大切な人に見えているから。

自白剤より強力さ。

 

「…というわけで、説明は以上だよ。」

 

「麻薬は、飲ませるタイプ?」

 

「それもOKだけど、鼻から嗅がせるもOKだよ。」

 

「ふーん。それも買うから、用意しときな。」

 

「毎度あり!」

 

その後は、色々情報交換をして、イシュタルが帰っていった。

いやー、商売繁盛だねー。

僕も帰ろうか。

明日は、闇派閥(イヴィルス)との商談もあるし。

異変が起きたダンジョンには、ほんと感謝だよー。

 

 

 

 

 

 




〝くくク〟

〝この世界のベル・クラネル〟

〝助ける相手ガ、より深き闇に堕ちタ〟

〝果たしテ、救い出せるかナ?〟







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ダンジョン異端記録その9

【アクマと会話パート】

 

〝すみませんでしタ〟

 

説教する前に謝った!?

はあーーー。

もういいよ。

次からは、ちゃんと処分しろよ。

流出してしまったBL本は、どうしようもない。

今更だ。

それに、よくよく考えてみれば、出所は宝箱。

俺が犯人だと、辿り着く事はあるまい。

 

〝水たまりより深ク、砂場より高ク、反省しておりまス〟

 

ちっとも反省してねえええええぇっ!

まったく、こいつは…。

怒るだけ体力の無駄か。

聞きたい事がある。

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)についてだ。

どんなイベントか知りたい。

 

〝ゴブリン達による地上大侵攻でス〟

 

………マジで?

 

〝開催ヲ、お勧めしまス〟

 

いやいやいや、ちょっと待て。

さすがに無理だ。

ダンジョンと違って、冒険者達は分散しない。

戦力がオラリオに集中している。

おまけに、罠の配置できないだろ?

苗床産のゴブリンも増えたが、敗北するぞ。

下手したら全滅だ。

 

〝でしょうネ〟

 

おいおい。

せっかく増えた戦力を、無駄に減らすつもりか?

 

〝デビルエネルギーが大量に貯まれバ、問題ありませン〟

 

そのデビルエネルギーも、勝てないと…あっ。

冒険者じゃない?

もしかして、ターゲットは一般市民か!?

 

〝その通りでス!神の恩恵がない無力な一般市民達ガ、狩りの対象でス〟

 

とんでもない事を、サラリと言いやがる。

………まあ、俺も同類か。

デビルエネルギーが貯まるなら(一般市民の大量虐殺は)、有りだと思ったし。

 

〝くくク〟

 

だが、ウラノスの祈祷は?

あれで魔物は、地上に出れないはずだ。

もう1つ。

ダンジョンの外で殺しても、デビルエネルギーは貯まるのか?

 

〝解決方法ハ、パソコンに表示されまス〟

 

ふむ。

パソコンを立ち上げ、マウスで小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)をクリック。

おっ?

何か表示されたぞ。

えーと、何々。

開催すると、ウラノスの祈祷を一時的に無効化する。

ただし、ダンジョンマスターの存在に気がつく。

デビルエネルギー15%消費で、存在を隠蔽可能。

更にデビルエネルギー15%消費すると…。

ゴブリン達が地上に出るまで、侵攻を隠蔽する。

うわー。

神の祈祷を無力化するのか。

消費効果も半端ねえ。

 

〝あのお方の力なら当然でス〟

 

うん?

何か言ったか?

 

〝いえいエ、続きを読んで下さイ〟

 

分かった。

オラリオのダンジョン領域化。

なんだこりゃ?

ダンジョンの領域を、一時的にオラリオまで広げる。

そんな事できんのかよ!?

基本はバベルの塔を中心に、オラリオの3分の1まで。

デビルエネルギー15%消費で、オラリオの3分の2まで拡大。

更にデビルエネルギー15%消費すると…。

オラリオ全体を、ダンジョン領域化する。

あー、なるほど。

この仕様で、デビルエネルギーが貯まるのか。

 

〝ですでス!楽しい楽しい祭典になりますヨ!〟

 

アクマ。

珍しく、テンションが高いな。

 

〝無力な一般市民達の死!それを守れなかった冒険者達の絶望!〟

 

絶望の方でも、きっちりとデビルエネルギーが貯まるわけね。

確かにこれなら、大量に貯まるかもしれない。

んー。

今あるデビルエネルギーは60%。

どうせやるなら完璧に。

俺の事は知られたくないし、ゴブリンの侵攻もギリギリまで隠す。

ダンジョン領域化は、当然オラリオ全体。

すっからかんになるが、小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)の成果を上げたい。

支配階層を増やすのは、また今度だな。

 

〝開催しますカ?〟

 

やるさ!

開催ボタンを押したぞ。

もう後戻りは出来ない。

準備期間は2日間か。

 

〝その間、ゴブリン達は冒険者達との戦いを避けまス〟

 

数を減らさない為に?

 

〝それもありますガ、他の魔物達を狩っテ、自分達の数を増やしまス〟

 

そういえば、支配した1~12階層。

準備期間中は…。

ゴブリン、フロッグシューター、ダンジョン・リザードしか産まれないんだっけ。

 

〝かなりの数が増えるでしょウ〟

 

そうだな。

よし、罠の配置を変更しよう。

毎回しているけど、今回は少しでも、祭典の準備が出来るように。

この階層とこの階層に、落とし穴・中を。

うーーーん。

床ドンは減らして、冷凍庫と幻覚苔を増やすか。

あとは………。

 

〝また集中しましたカ〟

 

〝デビルエネルギーこソ、あのお方の力〟

 

〝ウラノスの祈祷を邪魔するなド、難しい事ではありませン〟

 

〝もっとモ…あの方が封印されている(眠っている)今ハ、一時的が限度〟

 

〝アアアァ、早く封印を解きたイ(目覚めさせたイ)

 

〝この優秀な駒にハ、頑張ってもらわないト〟

 

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)の開催が決定しました。

準備期間に入ります。

詳しい事を知りたい場合は、イベントフォルダを開いて下さい。

 

1階層から12階層の罠を変更しました。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダを開いて下さい。

 

ゴブリンの巣は、6階層のままです。

 

1~12階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

3階層で、ゴブリン37匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル1)

冒険者B(パルゥム、女性、レベル1)

冒険者C(エルフ、女性、レベル1)

戦闘結果。

ゴブリン達の逃走。

冒険者Aは、武器を振り上げたまま固まっている(ゴブリン達が逃走した!?)

冒険者Aは、慌てて追いかけた!

冒険者Aは、舌打ちした(バラバラに逃げられ、追うのを断念した)

冒険者Bは、魔法の詠唱を止めてしまった(戦いもせず、一目散に!?)

冒険者Bは、再度魔法の詠唱を始めた!

冒険者Bは、安堵した(1匹しか倒せなかったが、味方は無傷だった)

冒険者Cは、構えた弓から矢を落してしまった(数はあっちが上でしょ!?)

冒険者Cは、矢筒から新しい矢を抜き取った!

冒険者Cは、怪しんだ(攻撃しても反撃せず、決まっていたかの如く逃走した事に)

逃げたゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その2≫

10階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(獣人、女性、レベル1)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者E(パルゥム、女性、レベル1)

探索結果。

ゴブリンキングを発見した。

冒険者Aは、震えている(ゴブリンキングが単独で、オーク達と戦っていた)

冒険者Bは、怯えている(次々とオーク達が斬り殺されていく)

冒険者Cは、戦慄している(インプとバッドバットの集団も来たが、それらも狩られていく)

冒険者Dは、汗が止まらない(全て倒した静寂の中で、魔石を嚙み砕く音だけが響く)

冒険者Eは、恐怖で動けない(目が合ってしまったものの、ゴブリンキングは去って行った)

ゴブリンキングは、大量の魔石を食べた。

死んだオーク・インプ・バッドバットの代わりに、ゴブリンが産まれます。

 

≪ログ報告その3≫

5階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者D(ヒューマン、男性、レベル2)

探索結果。

冒険者達の全滅。

冒険者達は、落とし穴に落ちた。

冒険者達に、ダメージ・小

冒険者達は、感電した(落とし穴の底に、大量の電撃地雷が…)

冒険者達に、ダメージ・中

冒険者達は、更に感電した(一緒に落ちた岩々が(落とし穴の蓋だった地面が)、次々と電撃地雷に直撃)

冒険者達に、ダメージ・大

冒険者達は、電撃の嵐に包まれた(発動した電撃地雷が、無事だった電撃地雷を誘発させた)

冒険者達に、ダメージ・即死級

冒険者達は、黒焦げになって死亡した。

 

≪ログ報告その4≫

9階層で、ゴブリンライダー10匹が冒険者達と遭遇。

騎乗している魔物は、ダンジョン・リザード。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

冒険者C(エルフ、男性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、ゴブリン達を追跡している(逃げるな!この雑魚共が!)

冒険者Aは、嘲笑した(蜥蜴の黒息なんて効くか!こっちは全員耐異常持ちだ!)

冒険者Aは、命令した(お前ら!黒息を抜けて、ゴブリン共を皆殺しだ!)

冒険者Aは、異変に気がついた(おい、お前ら?どうした?返事しろ!)

冒険者Aは、目を疑った(黒息から出てきたのは、腹が膨れたフロッグシューター2匹)

冒険者Aは、焦った(まさか黒息は、蛙共に気づかせない為に!?)

冒険者Aは、逃走を考える(くそったれ!後ろは駄目だ!まだ蛙がいるかもしれねえ!)

冒険者Aは、突破を試みた(ゴブリン共を抜けて、そのまま逃げてやる!)

冒険者Aは、怪しんだ(何もしないで左右に避けた?はは、そうか!また地面の中に蛙だな!)

冒険者Aは、再び嘲笑した(馬鹿の1つ覚えめ!そんな手に引っ掛かるかよ!)

冒険者Aは、天井から忍び寄る(首吊り蚯蚓)に気がつかない。

冒険者Aは、頭から首元まで呑み込まれた(なんだこれは!?天井からか!?)

冒険者Aは、そのまま天井まで引っ張られた(ぐえええっ!く、首が苦しいいぃっ!)

冒険者Aは、激しく抵抗している(や、やべえ!滑って引き剝がせねえぇ!)

冒険者Aは、抵抗している(うああ…息が出来ない…俺が…こんな所で…。)

冒険者Aは、弱々しく抵抗している(誰か…助け…て…くれ…)

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、ゴブリン達を追跡している。

冒険者Bは、ダンジョン・リザード達の黒息を受けた(毒に耐えたが、何も見えない)

冒険者Bは、地面の中から奇襲された(フロッグシューターに一飲みされた)

冒険者Bは、冒険者Aの呼びかけに答えられない(状況が掴めず、パニック状態)

冒険者Bは、必死に藻掻いている(胃袋の締め付けと胃酸で、意識が遠のいていく)

冒険者Bは、静かになった。

冒険者Cは、ゴブリン達を追跡している。

冒険者Cは、ダンジョン・リザード達の黒息を受けた(毒に耐えたが、嫌な予感がした)

冒険者Cは、地面の中から奇襲された(フロッグシューターに一飲みされた)

冒険者Cは、冒険者Aの呼びかけに答えられない(呑み込まれてしまった事を悟った)

冒険者Cは、懸命に藻掻いている(朦朧とする中、隣にいた冒険者B(恋人)を心配した)

冒険者Cは、静かになった。

ゴブリン達は、フロッグシューターと交渉して(冒険者Aの死体と交換で)、冒険者Bを吐いてもらった。

ダンジョン・リザードに乗り、苗床を速やかに巣へ輸送。

邪魔者は…出現せず。

冒険者Bは、ゴブリンの巣に幽閉されました。

救援は…来なかった。

冒険者Cは、消化されました。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その5≫

11階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル4)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者C(パルゥム、女性、レベル3)

探索結果。

冒険者達は回収に成功した。

(媚薬雨・幻覚苔・new!接着ダンゴ虫)

冒険者Aは、溜息を吐いた(ダンジョンで、薬の素材集めか。)

冒険者Aは、触れない様に桃色の液体を瓶に注いだ(したくないけど、主神様(タルウィ)の命令だし)

冒険者Aは、再び溜息を吐いた(断ったり失敗したら、新薬の実験体だもんなー)

冒険者Bは、腹ただしかった(あの糞神め!)

冒険者Bは、息を止めながら慎重に苔を袋に詰めた(弱みさえ握られてなければ!)

冒険者Bは、襲ってきた魔物を瞬殺した(いつか絶対に殺してやる!)

冒険者Cは、うっとりしている(くふふ!新しい素材発見♪)

冒険者Cは、虫を潰さない様に籠へ入れた(接着の正体は、キミだったんだね♪)

冒険者Cは、小躍りした(僕が、もっともっと素敵な危険物に、変えてあげる♪)

 

≪ログ報告その6≫

11階層で、冒険者達が闇派閥5人と交戦中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル3)

戦闘エリアで、媚薬雨の罠が発動中

戦闘結果。

闇派閥…殺人狂の勝利。

冒険者Aは、仲間達に逃げろと叫んだ!

冒険者Aは、闇派閥Aに首を斬られた(貴様…生きていたのか)

冒険者Aに、ダメージ・特大

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、悲鳴を上げて逃げた!

冒険者Bは、闇派閥Aに追いつかれて刺された(暗黒期に暗躍した…きゃあああっ)

冒険者Bに、ダメージ・特大

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、1対4で奮闘中!

冒険者Cに、ダメージ・中

冒険者Cは、仲間達の死に動揺して隙だらけに…。

冒険者Cに、ダメージ・大

冒険者Cは、仲間達の死に捨て身となった!

冒険者Cは、闇派閥Bと闇派閥Cを倒した。

冒険者Cは、闇派閥Aと対峙した(殺帝えええええぇっ)

冒険者Cに、ダメージ・特大

冒険者Cは、死亡した。

闇派閥Aは、媚薬雨で興奮が止まらない(くくく、ははは、ひひひひっ!)

闇派閥Aは、闇派閥Dと闇派閥Eを斬り殺した。(「ヴァレッタ様!?」「何故我らまで!?」)

闇派閥Aは、落ち着いた(桃色の水たまりが、真っ赤に染まっていく)

闇派閥Aは、狂った笑みを浮かべながら反省した(この雨はやばいな、殺戮衝動が止まんねぇ)

 

ゴブリンの学習・研究している。

電撃の壺(ライトニングバーズ)を開発した。

時間と労力を使うが、レベルの低い冒険者達は嵌め殺せる。

罠を回収している冒険者達を発見した。

要注意人物と認定。

冒険者達を殺す一団を発見した。

苗床まで殺されるので、即抹殺対象に認定。

ただし、強い雌は確保したい。

現状では非常に確保は難しい。

 

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)の準備が整いました。

5時間後に開催。

ゴブリンキングを筆頭に、オラリオへの大侵攻が開始されます。

同時に…。

ウラノスの祈禱を一時的に妨害、ゴブリン達の行軍を隠蔽。

オラリオのダンジョン領域化を、最大まで拡大します。

1日に経過するか、ゴブリン達が全滅するまで、祭典は続きます。

祭典後は、ダンジョン領域化の解除。

1~12階層で産まれる魔物も、通常通りになります。

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

5時間後か。

寝ている間に始まって、寝ている間に終わるな。

どんな結果になるのやら。

楽しみだけど、不安でもある。

ただ最低限、消費した分のデビルエネルギーは、取り戻して欲しい。

さて、ログ3の電撃の壺(ライトニングバーズ)か。

凄い罠を作ったものだ。

落とし穴・中の蓋部分は、しばらくしたら修復される。

それを利用したな。

ログを見ると…。

電撃地雷を大量に集めた後、自分達で落とし穴の蓋を崩す。

底に下りて、床全体に電撃地雷を配置。

細心の注意を払い、落とし穴から出れば完成だ。

あとは、落ちるのを待つだけ。

冒険者達自身、崩れた蓋の落下物、激しい電撃で誘爆。

この3つで、落とし穴の中は電撃の嵐に。

まさに電撃の壺。

レベル1~2だと即死は確実。

レベル3も死ぬか?

レベル4以上は分からない。

欠点は、俺が罠の配置を変えた時、電撃の壺は消滅する。

こればっかりは仕方あるまい。

毎回出来てるかどうか、チェックするのも面倒だし。

んん?

罠を回収している冒険者達が居るのか。

媚薬雨、幻覚苔、接着ダンゴ虫。

ダンジョンの外に持ち出す事が、可能な物ばかり。

普通に考えれば、罠の研究。

媚薬と幻覚の抗体薬や防ぐ防具を作ったり、接着を解除できる薬を作ったり。

でもなー。

何か違う気がする。

とりあえず、用心しておくか。

そして、闇派閥(イヴィルス)

ログに残っているのは、初めてみた。

まあ今まであったけど、気が付かなかった可能性も、否定できないが…。

っていうか、こいつ。

殺帝(アラクニア)じゃないか!

超危険人物、快楽殺人狂、闇派閥の主要幹部の1人、フィンぶっ殺すマン。

ダンジョンに出ていたのか。

行動し過ぎて冒険者達に、クノッソスを発見されるなよ。

俺が非常に困る。

奪って隠す予定だし。

凶狼(ベート)に殺されるはずだが、ここはパラレルワールド。

未来が変わる可能性はある。

厄介な存在に、ならないといいけど。



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小鬼の祭典・前編(パート)

まだ陽が昇らない深夜。

誰にも知られる事なく、ゴブリン達が地上に向かっていた。

迷宮都市オラリオの歴史で、暗黒期と同じように恐怖の惨劇して語られる。

こちらは、たった1日。

されど平穏な日常を破壊するには、十分の出来事だった。

 

 

 

 

 

【ゴブリンキングパート】

蜥蜴ニ乗リ、螺旋階段ヲ縦ニ登ッテ行ク。

登リキレバ地上ダ。

心ノ奥デ、不思議ト燻ッテイタ願イ。

地上ニ行キタイ!

何故ソウ願ッタカハ、モウ思イ出セナイ。

 

「「「「「ゴギャギャギャギャギャッ(キングの為に!キングに栄光を!)!」」」」」

 

俺ノ後ロカラ、同ジク蜥蜴ニ乗ッタ配下共ガ、叫ンデイル。

精々俺ノ役ニ立テ。

巨蛙ニ乗ッタ配下ハ、螺旋階段ヲ使ッテイル。

鉢合ワセシタ冒険者共ヲ、始末シナガラ。

着イタ。

登リキッタゾ。

 

「なっ!?魔物が、ぐはっ!」

 

「警報を、ぎゃあっ!」

 

見張リデアロウ冒険者達ヲ、即座ニ斬リ殺シタ。

ココハ建物ノ中カ。

入リ口カラ外…街並ミガ見エル。

夜トイウヤツカ。

辺リハ薄暗ク、上ハ天井デハナク、天高ク無数ノ輝キガアッタ。

素晴ラシイ!

アアア、アレガ地上ノ光景カ!

ツイニ俺ハ、地上ヘ来タ!

願イガ叶ウト、ドス黒イナニカニ、心ガ支配サレル。

 

「蜥蜴部隊ハ女ヲ奪エ!巨蛙部隊ハ男ヲ殺セ!侵攻ノ開始ダアアアアアアアアアアアッ!」

 

「「「「「ボギャギャギャギャッ!(おおおおおおおおおっ!)」」」」」

 

 

 

【ギルド職員ゼクスパート】

残業が遅くに終わって、ギルドに寝泊まりしていたら…。

悲鳴声で目が覚めた。

慌てて、部屋から飛び出すと…そんな!?

居るはずのない魔物がいた。

あれは…ゴブリンだ。

沢山いる。

先輩や同僚達が、次々に襲われている。

ギルド職員は冒険者と違い、主神から恩恵を受けていない。

一般市民と同じで、戦闘能力は皆無。

助けたいけど、死体が増えるだけだ。

逃げて、冒険者達に助けを…あっ!

寝泊まりしている中に、ミィシャとエイナ。

それから、テリア先輩がいる!

急いで探さないと!

あちこちから聞こえる悲鳴声に恐怖しながら、俺は走った。

先輩達の居る場所は近い。

どうか無事で!

幸運にも襲われず、女性専用の仮眠室に着いた。

 

「テリア先輩!」

 

誰も居なかった。

争った跡や血痕があるだけ。

………遅かった?

3人とも魔物に?

う、嘘だああああああああああああああああああああああっ!

 

 

 

【一般市民とある父親パート】

待ってくれ!

娘と妻を連れて行かないでくれ!

私は涙を流し、心の底から叫んでいた。

数分前の事だった。

玄関の扉を乱暴に叩く音が聞こえて、目が覚めた。

こんな深夜に一体誰だ?

可愛い娘や美人の妻も起きてきた。

まさか、強盗か?

護身用に買っておいた剣を掴み、玄関に近づく。

 

「だ、誰だ!?」

 

「「「グギャギャギャア!」」」

 

「うおおおっ!?」

 

扉が破壊され、入って来たのは…魔物!?

馬鹿な!?

街の中に何故!?

 

「パパ!」

 

「あなた!」

 

「2人とも奥へ!逃げるんだ!」

 

怖かった。

足の震えが止まらない。

だが、父親であり夫である私が、大切な家族を守るのだ!

我武者羅に剣を振るった。

剣を使った事はないし、剣術を習った事もない。

時間を稼げれば…。

 

「ぐわああああっ!」

 

左腕・右脇腹・左太腿を短剣で刺された。

あまりの痛みに倒れ、動けなくなった。

魔物達は私を無視して、家の奥へ入って行く。

やめろ!行くな!

 

「パパ!パパ!」

 

「あなた!」

 

魔物達が娘と妻を、家の奥から引き摺り出してくる。

神よ!お願いだ!私はどうなってもいい!

 

「だから、家族に救いの手を…ぐふっ!」

 

最後の力を振り絞って、立ち上がろうとしたが、胸に短剣を突き立てられた。

 

「いやああああああああっ!パパ!」

 

「お、夫を殺さないで!」

 

2人は必死に抵抗したが、魔物から逃れる事は出来ず、家の外へ連れて行かれた。

もう目が霞んで、よく見えない。

血を吐き、身体から力が抜けるのを感じる。

誰でもいい。

娘と…妻…を…助け…て…く…。

 

 

 

【豊穣の女主人の料理人パート】

はあー、酔い覚ましの水を。

アーニャさん達の酒盛りに、付き合ったのは失敗でした。

リューさんのように逃げるべきでした。

私は、ドワーフのウラミオ。

まだまだ未熟ですが、料理人をしています。

 

「うぷっ。」

 

こんな所で吐いたら、ミア母さんに怒られます。

お薬も飲みましょう。

どこでしたか。

うん?

外が騒がしいですね?

どこぞの冒険者達が騒いでいるのでしょうか。

近所迷惑ですよ。

窓を開けて、外の様子を見ます。

へっ?

建物が燃えていました。

火事!?

1軒や2軒ではありません。

一体何が…まさか放火ですか!?

 

「ウ~ラ~ミ~オ~、お酒のおかわりニャー!」

 

「うひゃっ!?」

 

背後から誰かに抱きしめられました。

って、アーニャさん!?

それどころじゃないです!

 

「ちょ、離して下さい!外を見て…えっ!?」

 

抱きしめたまま寝ている!?

うぐぐっ。

振りほどけないです。

寝ているのに、なんて力ですか!

火の手が豊穣の女主人にまで、来るかもしれません。

何より、ご近所さんの火事を見過ごせません。

消火の手伝いに行かないと!

 

「「「グギャギャギャア!」」」

 

「アーニャさん、いい加減に…ん?グギャ?」

 

改めて外を見ると…魔物のゴブリンが沢山いました。

うじゃうじゃいます。

どうして街の中に!?

 

「「「ゴグギャギャギャ!」」」

 

ああっ!

扉を破壊して、豊穣の女主人の中に入ろうとしています!

大変です!

寝ている皆さんに知らせないと!

ぐぬぬっ。

アーニャさんが重くて、移動できません。

 

「起きてーっ!」

 

 

 

【一般市民達を守る冒険者パート】

うっざい!

ゴブリン達の数が多い。

とにかく多い。

私や仲間達だけでは、手が足りない。

一般市民達を守りきれない。

 

「冒険者様、お願いです!妹を助けて下さい!」

 

女性が泣きついてきた。

指差す方向には、担がれている少女の姿があった。

ちっ!

逃がしたら、もう助けれない。

そんな予感がした。

だから走った。

なのに、目を離した僅かな隙に…。

 

「きゃああああああっ!」

 

泣きついてきた女性が連れて行かれた。

ダンジョン・リザードに乗ったゴブリンによって。

くっ、移動が早い!

片方を追えば、確実に片方を見失う。

仲間達も一般市民達を守っていて動けない。

どっちを助ければいい?

妹の方?姉の方?

私は迷った。

 

「「「「「グギャギャギャガ!」」」」」

 

「なっ!?」

 

ゴブリンの増援が来た。

また数が多い。

姉妹を追いかけたら、守っている一般市民達と仲間達が…。

 

「戻ってきて!ウッドリア!」

 

「こいつら魔法を使うぞ!」

 

「ウッドリアさん!うわっ!」

 

くそ!くそ!くそおおおおおぉっ!

仲間達のところに戻る。

私は姉妹を見捨てた。

自分の弱さに涙が流れた。

 

 

 

【ソーマ・ファミリアの団員パート】

ダンジョンの異変が、オラリオまで及んだのか!?

ゴブリン共が攻めてきた!

俺の所属するソーマ・ファミリアのホームにも、恐ろしい数で来やがった。

やばいぞやばいぞ。

最近強くなっているゴブリン共。

団員の大半が、レベル1の俺達は防戦一方だ。

このままだと、負けちまう。

ザニス団長が頑張っているけど、指揮が出来てねえ。

………逃げるか?

周りの連中も、そう思っているはずだ。

ソーマ様を連れて、オラリオを出る。

 

「裏口が破られた!」

 

絶望的な悲鳴声が聞こえた。

同時に、ホーム内部でも争う音が聞こえてきた。

いよいよ後がなくなってきた。

逃げるなら早い方がいい!

提案しようとしたら…巨大な光の柱が空に昇った。

ホームの屋根が吹き飛び、俺も吹き飛ばされた。

 

「なんだ!?何が起きた!?」

 

身体の痛みを我慢して立ち上がる。

状況を確認しようとして、失っていくモノに気がついた。

神の恩恵が…消えた?

 

「馬鹿な!?」

 

今の光の柱は、神の送還なのか?

まさか、ソーマ様が?

ゴブリン共に殺されて?

 

「「「ギャギャギャギャ!」」」

 

ゴブリン共の醜悪な笑い声が聞こえた。

ひいいいぃっ!

恩恵がなくなった俺達は、一般市民と変わらない。

魔物に勝てる力はない。

その証拠に団員達が、あっさりと殺されていく。

に、に、逃げないと!

 

「ぐあっ!?」

 

後頭部に強い衝撃を受け、意識が薄れる。

やら…れ…た…?

嫌…だ…死にたく…な…。

 

 

 

【ディアンケヒト・ファミリアの団員パート】

死なないで!

私は重傷患者に治癒魔法を使いました。

オラリオにゴブリンの大軍が現れてから、多くの怪我人が運ばれてきます。

たった数時間でホームは、野戦病院のような有様です。

必死に治療しても、亡くなってしまう人が後を絶ちません。

冒険者でない一般市民の方ばかり。

 

「母さ…ん…姉…さん。」

 

「しっかりして!」

 

重傷患者…血塗れの少年の手を握ります。

避難中に襲われ、お姉さんと母親が行方不明に。

血が止まらない。

もっと治癒魔法を!

ううっ、眩暈がします。

精神疲弊(マインドダウン)が近いのかも。

でも、諦めません!

お願い!生きて!

 

「ん…ここ…どこ?」

 

良かったー。

傷が塞がり、意識を取り戻しました。

油断できない状態ですが、あとは仲間に任せましょう。

次の重傷患者の所へ向かいます。

フラフラしますけど、休んでいる暇はありません。

ポーションを飲み、精神力の回復。

本来治療する聖女様(アミッド様)は、ここを守る為に前線で戦っています。

私達が頑張らないと!

 

 

 

【ゴブリン達と戦う冒険者パート】

ギレマ!ダッタガ!デッロー!

仲間達が倒された。

最弱の魔物ゴブリンに1対1で敗れた。

あ、ありえねえぇぇっ!

仲間達だけじゃない。

他の冒険者達も倒されている。

俺が勝っているのは…多分レベル差だ。

倒された仲間達は全員レベル1。

レベル2以上は、俺を含めて勝っている。

まあ勝っているだけで、押されまくっているがな!

数の暴力は厄介だ。

しかし、ゴブリンが強くなったのは、何故だ!?

いや、レベル1に倒されているゴブリンもいるか。

個体によって違う?

 

「グワギャギャギャ!」

 

「うるせえよ!」

 

強いゴブリンは俺が倒して、弱いのは仲間に任せるしかねえ!

これ以上オラリオで、好き勝手させてたまるか!

 

「お前ら!作戦を伝えるぞ!」

 

 

 

【逃げ出す冒険者達パート】

だ、駄目だ。

ゴブリンの癖に強くなっているし、この数は反則だ。

勝てるはずがない。

ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアは、何をしているんだ!

さっさっと出て来て退治しろよ!

役に立たねえ連中だ!

逃げよう。

まだ死にたくない。

 

「た、助けて、冒険者様!」

 

怪我をした一般市民が片足を掴んだ。

 

「しるかよ!」

 

「ひぎゃあぁっ!」

 

もう片方の足で、一般市民を蹴り飛ばした。

お前らみたいな弱者を助けたら、こっちの命が危なくなる。

勝手に死ね。

ついでに、囮になってくれると嬉しいぜ。

どこへ逃げる?

オラリオの外か?

慌てて逃げたから金がねえ…そうだ。

 

「ぼ、冒険者様?一体何を…ぐあああぁぁっ!」

 

「へへへ、金品を頂くぜ。」

 

どうせ、お前は死ぬんだ。

死人に金品は要らねえ。

ありがたくもらって、使ってやるよ。

 

 

 

【ガネーシャ・ファミリアの団員パート】

 

「俺がガネーシャだ!」

 

何やってるんだ、あのアホ主神は!

危ないから隠れとけよ!

面倒を見るように頼まれた、火炎爆炎火炎(フィイアー・インフェルノ・フレイム)はどこだ!?

責任は、お前が取れよ!

 

「ハオルタ、どうする?」

 

「俺達が団長に頼まれたのは、消火活動と避難誘導だ。」

 

シャクティ団長もイルタ副団長も、別行動中だ。

与えられた仕事は、きっちりやるさ。

救助した一般市民達を安全な場所へ誘導。

安全な場所が、少な過ぎるけどな!

問題は消火活動だ。

多くの建物が燃えている。

原因は、生意気にも魔法を使うゴブリン共だ。

消しても消しても、火をつけやがる。

とはいえ、火事を放置できない。

消火活動をしながら、魔法を使うゴブリン共を駆除する。

ったく、暑いな!

汗が止まらないぜ。

 

「おい、あの燃えている建物の2階!子供がいるぞ!」

 

なんだと!?

その建物に向かうと…くそが!

確かに居やがる。

 

「火の勢いが強いな。」

 

消火活動は間に合わない。

このままだと子供は、数分で焼け死ぬ事になる。

 

「お願いです!娘を、娘を助けて下さい!」

 

父親らしい男性が、必死に懇願している。

だが、建物の1階は火の海だ。

誰もが迂闊に助けられない。

 

「………はあー、しょうがねえか。」

 

バケツに入っている水を、頭からかぶる。

見捨てられない自分の性分を恨むぜ。

 

「何かあったら、指揮は任せた。」

 

「ハオルタ!?」

 

「馬鹿野郎!やめろ!」

 

「死んじまうぞ!」

 

仲間達の制止を振り切り、俺は燃え盛る家に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

数刻の間に、多くの命が消え、多くの絶望が生まれた。

あざけり笑うゴブリン達の声と燃え盛る炎の合唱。

人々は地獄を見た。

しかし、ここは迷宮都市オラリオ。

英雄達が集う場所。

無作法な来訪に、黙っているはずがなかった。

 



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小鬼の祭典・前編(ログ)

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)が開催されました。

 

ダンジョンの領域を、オラリオ全体まで拡大します。

ウラノスの祈祷を妨害します。

 

ゴブリン達の大侵攻が始まりました。

現在、地上は午前3時。

 

ゴブリン達は、2つの部隊に分かれています。

ダンジョン・リザードに乗るゴブリンライダー部隊。

フロッグシューターに乗るゴブリンライダー部隊。

 

オラリオで起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

バベルの塔内部:螺旋階段から、ダンジョンへ向かう冒険者達。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(エルフ、男性、レベル2)

冒険者C(獣人、男性、レベル2)

移動途中。

ゴブリン達の勝利。

冒険者Aは、地獄の底が開いたような光景を見た(噂のゴブリンライダーか、いやそれより…)

冒険者Aは、仲間達に託した(オラリオに危機を知らせてくれと)

冒険者Aは、孤軍奮闘する!

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、ゴブリンライダーの体当たり攻撃を受けた!

冒険者Aは、螺旋階段から吹き飛ばされ宙に舞う。

冒険者Aに、ダメージ・即死級

冒険者Aは、落下死した。

冒険者Bは、悪夢のような光景を見た(なんだ、この馬鹿げた数は!?)

冒険者Bは、螺旋階段を駆け上る(しかし、苗床産ゴブリンの魔法攻撃を受けた)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Bは、転倒した(その上を、ゴブリンライダーの大軍が通過する)

冒険者Bに、ダメージ・中(ベキッボキッゴキッ)

冒険者Bに、ダメージ・大(ぎゃあああああぁっ!)

冒険者Bに、ダメージ・特大(グシャ!グシュ!グショ!)

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、信じられない光景を見た(ゴ、ゴブリンの大軍だと!?)

冒険者Cは、螺旋階段を駆け上る(しかし、腰にフロッグシューターの舌が巻き付いた)

冒険者Cは、引っ張られた(そのままフロッグシューターの口の中へ)

冒険者Cは、藻掻いている(失敗、更に膝辺りまで口の中に)

冒険者Cは、足をジタバタしている(失敗、ついに全身が口の中に)

冒険者Cは、丸呑みされた。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

ゴブリンキング達が、地上に到達しました。

ウラノスが、ゴブリン達の侵攻に気が付きました。

地上に到達した為、ゴブリンキングのスキル 地上に憧れる者 が消滅します。

新たに 死者の徴兵(エインヘルヤル)発現させられました(・・・・・・・・・)

 

≪ログ報告その2≫

バベルの塔内部:ギルド施設にて、襲撃されるギルド職員達。

ギルド職員A(ヒューマン、男性、恩恵なし)

ギルド職員B(エルフ、女性、恩恵なし)

ギルド職員C(獣人、女性、恩恵なし)

ギルド職員D(獣人、男性、恩恵なし)

ギルド職員E(ヒューマン、女性、恩恵なし)

襲撃結果。

ゴブリン達の勝利。

ギルド職員Aは、一目散に逃げた(ま、魔物だあああぁっ!)

ギルド職員Aは、背中を刺された!

ギルド職員Aに、ダメージ・特大

ギルド職員Aは、死亡した。

ギルド職員Bは、震えて足に力が入らない(ひぃっ!こ、来ないで)

ギルド職員Bは、鎖の付いた首輪を嵌められた!

ギルド職員Bは、捕縛された。

ギルド職員Cは、激しく抵抗した(この!あっち行け!近寄るな!)

ギルド職員Cは、縄で手足を拘束された。

ギルド職員Cは、捕縛された。

ギルド職員Dは、モップを振り回した(ミィシャだけでも逃がす!)

ギルド職員Dは、ゴブリン達に槍で突かれた!

ギルド職員Dに、ダメージ・特大

ギルド職員Dは、死亡した。

ギルド職員Eは、部屋の隅に追い詰められている(先輩!残っているのは、もう私だけ)

ギルド職員Eは、諦めずにチャンスを窺っている。

ギルド職員Eは、飛び掛かってきたゴブリン達を躱した(やった!部屋から出て…っ!?)

ギルド職員Eは、絶望した。

ギルド職員Eは、絶望している(そ、そんな…廊下にも大量のゴブリン達が…)

ギルド職員Eは、ゴブリン達に押し倒された。

ギルド職員Eは、捕縛された(エイナ!テリア先輩!助けて!)

ダンジョン・リザードに乗り、捕まえた女性職員達を、ゴブリンの巣へ速やかに輸送。

邪魔者は…出現せず。

女性職員達は、苗床にされました。

 

≪ログ報告その3≫

迷宮都市オラリオにて、襲撃される民家。

一般市民A(ヒューマン、男性、父親)

一般市民B(ヒューマン、女性、母親)

一般市民C(ヒューマン、男性、息子)

襲撃結果。

ゴブリン達の勝利。

一般市民Aは、扉が破壊される音で起きた。

一般市民Aは、家族を安心させ玄関に向かった(2人はここい居ろ、何大丈夫さ)

一般市民Aは、侵入してきたゴブリン達に驚愕した。

一般市民Aは、喉を短剣で刺された!

一般市民Aに、ダメージ・特大

一般市民Aは、死亡した。

一般市民Bは、扉が破壊される音で起きた。

一般市民Bは、確認に向かった夫を待った。

一般市民Bは、争う物音を聞いた。

一般市民Bは、息子をクローゼットの中に隠した(何があっても静かにしているのよ)

一般市民Bは、聞こえてくる複数の足音に身構えた。

一般市民Bは、侵入してきたゴブリン達に抵抗した。

一般市民Bは、手枷を付けられた。

一般市民Bは、捕縛された。

一般市民Cは、扉が破壊される音で起きた。

一般市民Cは、頼もしい父の無事を祈った(父さん、大丈夫だよね?)

一般市民Cは、優しい母にクローゼットの中へ入れられた。

一般市民Cは、クローゼットの隙間から見ていた(うぅっ、母さんが魔物に連れて行かれた)

一般市民Cは、泣いた。

一般市民Cは、自分の無力さに悔いて誓った(冒険者になって、魔物共を駆逐してやる)

ダンジョン・リザードに乗り、捕まえ一般市民を、ゴブリンの巣へ速やかに輸送。

邪魔者は…出現せず。

一般市民は、苗床にされました。

 

≪ログ報告その4≫

迷宮都市オラリオにて、襲撃される酒場。

店員A(獣人、女性、レベル4)

店員B(獣人、女性、レベル4)

店員C(ヒューマン、女性、レベル4)

店員D(エルフ、女性、レベル4)

襲撃結果。

ゴブリン達の全滅。

店員Aは、酷く酔っぱらっている(暑いニャー服はいらないニャー)

店員Aは、ゴブリン達を掴んでは投げた(次々と酒場に激突するゴブリン達)

店員Aは、楽しそうに暴れている。

店員Aは、恐ろしい怒号に一瞬で酔いが醒めた(アタシの店で、何やってんだいっ!)

店員Bは、ギラギラした目でゴブリン達を見ている。

店員Bは、酔った上に凄く眠かった(下着姿のまま寝ていた)

店員Bは、睡眠を邪魔するゴブリン共を許せなかった。

店員Bは、ゴブリン達をボールのように蹴った(次々と酒場の窓に突き刺さるゴブリン達)

店員Bは、恐ろしい怒号に眠気が吹き飛んだ(また、この有り様かい…馬鹿娘ども!)

店員Cは、いち早く酔いから醒めた。

店員Cは、ゴブリン達を殴り飛ばしていく(次々と酒場の壁に赤いシミを作るゴブリン達)

店員Cは、恐ろしい怒号に竦み上がった(何回アタシの店を壊す気だい!)

店員Dは、事態に驚きつつ同僚に呆れている。

店員Dは、ゴブリン達を斬り裂いていく(2人とも、まずは服を着なさい)

店員Dは、店に侵入されないよう扉を守っている。

店員Dは、扉の向こうから恐ろしい足音を聞いた。

店員Dは、必死に事情を説明した(「私は無実です」「「「裏切り者!」」」)

店員Dは、恐ろしい怒号に冷汗が止まらない(アホンダラがああああああああぁっ!)

店員達は女主人から、鉄拳制裁(ゲンコツ)を受けた。

酒場の周囲にいたゴブリン達は、女主人の手でお帰りになった(皆殺しに)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

あの酒場に行くなと…。

 

≪ログ報告その5≫

迷宮都市オラリオにて、転倒している馬車。

冒険者A(獣人、男性、レベル1)

救助結果。

自分の弱さに嘆く。

冒険者Aは、救助活動中(くそ!馬車と地面に挟まれた男性が抜けない!)

冒険者Aは、泣いている子供を励ます(大丈夫だ、君の父さんは必ず助ける!)

冒険者Aは、向かってくるゴブリン達に気がついた(こんな時に…頼む!抜けてくれ!)

冒険者Aは、男性の言葉を拒否する(あんたを置いて逃げろだと?馬鹿言うな!)

冒険者Aは、男性の願いに苦しむ(息子だけでもって…俺にあんたを見捨てろってか)

冒険者Aは、迫るゴブリン達に焦る(ギリギリ勝てるかどうかの数…どうすれば!?)

冒険者Aは、決断した(すまない…許してくれ)

冒険者Aは、子供を抱きかかえ逃げた(子供の泣き声が、こんなにも辛いとは…)

冒険者Aは、男性の断末魔を聞いた(ちくしょう!ちくしょうがああああぁぁっ!)

 

≪ログ報告その6≫

迷宮都市オラリオにて、ホームへ戻る途中の冒険者達。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者B(パルゥム、女性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

移動結果。

無事にホームへ到着。

冒険者Aは、天に昇る巨大な光の柱を見た(あ、あれは神々の強制送還!?)

冒険者Aは、心配しながらホームへ向かった。

冒険者Bは、天に昇る巨大な光の柱を見た(ゴブリン達に殺られたのか!?)

冒険者Bは、ゴブリンを倒しながら走った。

冒険者Cは、天に昇る巨大な光の柱を見た(どこの神!?うちじゃないよね?)

冒険者Cは、主神の無事を祈り急いだ。

 

≪ログ報告その7≫

迷宮都市オラリオにて、襲撃される治療現場。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者D(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者E(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者F(ヒューマン、女性、レベル1)

襲撃結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、団員達と協力してくれる冒険者達を指揮した。

冒険者Aは、避難してきた一般市民を全て受け入れている。

冒険者Aは、ゴブリン達と戦う者達の傷を治していく。

冒険者Aは、ホームを守るしか出来ない自分を呪った。

冒険者Aは、一般市民が亡くなった報告を聞く度に心を痛めた。

冒険者Bは、ホームに近づく魔物を撃退している(アミッド様と民を守れ!ついでに主神も)

冒険者Cは、一般市民達をホームの中へ避難させている(怪我人を最優先!魔物が来るぞ!急げ!)

冒険者Dは、冒険者Aの治癒魔法に感動している(あっという間に傷が…戦場の聖女すげえ!)

冒険者Eは、冒険者Aと同じく己の非力を呪った(助けに行きたいのに…守るので限界だ)

冒険者Fは、辛い報告を冒険者Aに伝える(アミッド様、8名の方が亡くなりました)

 

≪ログ報告その8≫

迷宮都市オラリオにて、ゴブリン達と冒険者達が戦闘中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者B(エルフ、男性、レベル2)

戦闘結果。

冒険者の撤退。

冒険者Aは、驚き戸惑っている(信じれん、下級冒険者達(レベル1)が倒されておる)

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Aは、驚愕して動きが止まった(な、なんと!?ゴブリンがスキルを使った!?)

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、全力で戦った(まずいの、一般市民だけでなく下級冒険者も危ういぞ)

冒険者Aは、情報を伝えるべきだと考えた。

冒険者Bは、倒れている冒険者達を守った(ゴブリン相手にレベル1が、1対1で負けた)

冒険者Bに、ダメージ・極小

冒険者Bは、自分の目を疑った(そのスキルは…行方不明になったシェイナさんの!?)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Bは、油断なく本気で戦った(何故ゴブリンが使える!?)

冒険者Bは、ゴブリンの数に押され始めた。

冒険者Bは、負傷した冒険者達を逃がした(行方不明なった女冒険者達は…まさかな…)

冒険者Bは、一旦撤退する事にした。

 

≪ログ報告その9≫

迷宮都市オラリオにて、冒険者達が強奪中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

強奪結果。

冒険者達は一般市民達に恨まれた。

冒険者Aは、一般市民を脅して金品を強奪している。

冒険者Aは、反抗した一般市民を殺した。

冒険者Aは、憎しみの目で見られている事に気がつかない。

冒険者Bは、民家に入って盗みを働いた。

冒険者Bは、民家に居た女性に乱暴を働いた。

冒険者Bは、犯罪行為を見ていた目に気がつかない。

 

≪ログ報告その10≫

迷宮都市オラリオにて、消火活動する冒険者達。

冒険者A(エルフ、男性、レベル3)

冒険者B(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル2)

冒険者D(エルフ、女性、レベル2)

消火結果。

魔法を使うゴブリン達とイタチごっご。

冒険者Aは、消火活動をしている。

冒険者Aは、一般市民達と協力してバケツリレー(近づき過ぎるな!交代で火を消すぞ!)

冒険者Bは、消火活動をしている

冒険者Bは、消火を邪魔するゴブリン達を一掃している(一般市民達に被害を出させるな!)

冒険者Cは、消火活動をしている。

冒険者Cは、魔法で放火するゴブリン達を排除している(これ以上、オラリオは燃えさせない!)

冒険者Dは、消火活動している。

冒険者Dは、水の魔法で火を消している(せ、精神力が尽きそう…)

 

デビルエネルギーが大量に貯まっています。

 

警告!

 

ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアが、動き始めました。



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小鬼の祭典・後編(パート)

蹂躙される迷宮都市オラリオ。

我が物顔で暴れるゴブリン達は気がつかない。

反撃の牙が、己の首に突き刺さる寸前だという事に。

人々の絶望が、希望に変わる。

英雄達が来た!

 

 

 

【ロキ・ファミリアの団員ニーテルパート】

はうー、眠れません。

気分転換に散歩でもしようかなー。

同室の仲間(ルームメイト)を起こさない様に、そっと自室を出ます。

ボクは、ニーテル。

フィン団長に憧れて、ロキ・ファミリアへ入団したパルゥムです。

冒険者になって6年。

レベル2。

槍術は、そこそこ。

魔法も、そこそこ。

平凡でした。

現実は甘くなく、フィン団長のような英雄には、程遠いです(なれない)

これがボクの限界。

ダンジョンの異変が起きてからは、足手まといになる事も増えて…。

一時は冒険者を辞めようかと考えました。

いえ、ラウルさんやアキさん達の励ましがなかったら、辞めていました。

歯を食いしばって頑張って、数日前にランクアップ。

レベル3になりました!

おまけに、罠感知(トラップセンシング)のアビリティが発現。

嬉しかったです。

フィン団長も喜んでくれて、ついはしゃぎ…それが失敗でした。

ティオネさんの視線が痛いです。

怖いです。

逃げたいです。

ボクは、恋の宿敵(ライバル)じゃありません。

そして、追い撃ちのような主神(ロキ)の言葉に、愕然としました。

はい?

罠感知の効果を、フィン団長と確かめて来いと?

はひーっ!?

凄まじい殺気が!?

ティオネさん、違うんです。

誤解です。

命令なんです。

ボクは本当に、恋の宿敵(ライバル)じゃありませんから!

ううっ、精神的苦痛(プレッシャー&ストレス)で胃が…。

フラフラと中庭の訓練場に行くと、先客が居ました。

 

「フィン団長!?」

 

「ニーテル、君も眠れないのかい?」

 

座って話そうと誘われ、一緒に訓練場の長椅子(ベンチ)へ座ります。

勿論、フィン団長とは少し離れて。

ティオネさんに見つかったら、大変まずいので(命が危ないので)

 

「はあーーー。」

 

深い深い溜息を吐く、フィン団長。

酷くお疲れのご様子。

多分、ギルドのせいです。

ダンジョンの異変を調査して欲しい。

そんな依頼がありました。

他のファミリアも調査していますが、原因は不明のままです。

更にフィン団長を苦しめている存在があります。

BL本と呼ばれている書物です。

えーと、その…だ、男性同士の絡みを書いた本です!

登場する人物(男性)は、有名な冒険者の人ばかり。

特に被害を受けているのが、フィン団長です。

おいたわしや。

えっ?

常備している胃薬をくれんですか?

ありがとうございます!

胃が助かります。

お礼を言い、ついでに気になっている事を聞きました。

 

「親指、どうしたんですか?」

 

さっきからずっと、握ったり摩っています。

 

「夜になってから疼くんだ。段々強くなっていてね。」

 

疼く?

凄く嫌な予感がします。

だって、フィン団長の親指が疼いた時は…。

 

「魔物だあああああああああああぁっ!」

 

黄昏の館(ホーム)の外から、叫び声が聞こえました。

魔物!?

街の中に!?

 

「ニーテル!全員起こせ!」

 

「は、はいっ!」

 

勇者(ブレイバー)の顔になって、フィン団長は駆け出します。

ボクも急がなきゃ!

オラリオで何か、とんでもない事が起きようとしていました。

 

 

 

【ゴブリンキングパート】

アレハ!?

冒険者共ガ、塔ニ向カッテ進ンデイル。

配下共ガ手モ足モ出ナイ。

俺ニハ分カル。

冒険者ノ中ニ、化物ガ2人イル。

ドワーフノ爺ト人間ノ小娘。

カ、勝テナイ。

戦ッタラ瞬殺サレテシマウ程ノ実力差。

ダンジョンノ出入口ヲ封鎖スルツモリカ?

不味イナ。

 

「オイ!」

 

グギャゴギャ(なんでしょうか?)?」

 

「撤退スル。急ゲ。近クニイル奴ラニ知ラセロ。」

 

ギャ!ギャゴギャゴギャゴギャギャ!(なっ!何故撤退などするのですか!)

 

「聞コエナカッタカ?」

 

ナギャギャ!ゴギャギャゴギャギャ!(もっと殺し!もっと攫うべきです!)

 

「…馬鹿ガ。」

 

口答エシタ配下ノ頭ヲ掴ンデ、地面ニ叩キツケタ。

飛ビ散ッタ血肉ニ、他ノ配下共ガ怯エル。

 

「モウ1度ダケ言ウ。撤退ダ。」

 

「「「「「タギャ!(はい!)」」」」」

 

ダンジョン・リザードニ乗リ、全力デダンジョンノ出入口ニ戻ル。

先ニ、アノ化物共ガ着イタラ、オシマイダ。

少々物足リナイガ、十分ナ成果ハ出タ。

苗床モ大量ダ。

更ニ数ヲ増ヤシ、俺ガ強クナッテカラ、再度侵攻スレバイイ。

 

グギャギャゴグギャギャ、ダギャギャ?(撤退の間に合わない者達は、どうしますか?)

 

「捨テテイク。」

 

手遅レダ。

アイツラハ全テ倒サレルダロウ。

残サレタ使イ道ハ、精々足止メクライ。

アトハ巣ニ戻ルマデノ、時間稼ギダ。

 

「ヨシ、間ニ合ッ、ウオォッ!?」

 

塔ノ出入口ニ到着シタ同ニ、背後カラ凄マジイ悪寒ヲ感ジタ。

迷ワズニ、ダンジョンノ出入口ニ飛ビ込ンダ。

後ロニイタ配下共ハ来ナイ。

冷汗ガ止マラナイ。

 

「危ナカッタ。アト1歩遅カッタラ俺モ…。」

 

短剣ヲ2本トモ壁ニ突キ立テ、削リナガラ落チル。

途中デ2本トモ折レテシマッタガ、上手ク減速シタ。

身体ニ、ダメージハナイ。

ダンジョンニ帰ッテ来タゾ!

 

「イヤ…マダ安心デキナイナ。」

 

俺ハ急イデ、巣ニ向カッテ走ッタ。

 

 

 

【ギルド職員テリアパート】

………あれ?

身体が揺れている?

もうちょっと振動を抑えて欲しい。

あちこち痛いから。

痛い?

いつ怪我したんだっけ?

少し考えて、私は最悪な記憶を思い出した。

ゴブリンの襲撃。

信じられなかった。

ダンジョンでなく、オラリオの郊外でもなく、ギルドでだよ?

逃げるのに必死だった。

途中で、ミィシャと逸れてしまい、それから…。

同僚のケビンを庇った。

我ながら無茶をしたと思う。

おかげさまで、身体に何発も受けた。

その後から記憶は途切れている。

生きているだけでも、運が良かったかも。

ケビンは結婚して、奥さんが妊娠中。

死なせたら駄目だよねー。

一緒にいたエイナは無事かな?

ミィシャと合流していたら、いいのだけど。

 

「………ゼクス。」

 

こんな事になるなら、ちゃんと返事しておくべきだった。

食事(デート?)の最後に、「好きです」と告白された。

吃驚したよね。

人生で初めての経験。

同性に言われた事は、…まあ忘れましょう(ノーカウント)

年下で可愛い後輩。

嫌いじゃない。

むしろ、好感度は高い。

恥ずかしくて、返事せずに逃げたけど。

………私、ヘタレだわ。

彼もギルドに居た。

どうか死なないで、生きて欲しい。

 

「テリア先輩、気がつきましたか?」

 

「ふえっ!?」

 

目を開けると、ゼクスの顔が近くにあった。

えええっ!?

状況を確認すると、お姫様抱っこされてました。

 

「ゼ、ゼクス「先輩、静かに」むぐっ。」

 

口を閉じた。

簡単に説明を聞くと、私は倉庫の中に隠されていて、ゼクスが偶然発見。

救助を求めて、ギルドから外へ移動中らしい。

多分私を隠したのは、ケビンとエイナ。

気を失った負傷者を連れて行くより、隠した方が安全と判断したのね。

よく見ると、ゼクスはボロボロだった。

大きな怪我は無いものの、服は汚れて破れている。

息が荒く、かなり疲労していた。

きっと彼も、大変な目に遭っていたはず。

無事で良かった。

でも、このままじゃいけない。

お荷物(わたし)を連れていたら、危険にさらす。

閉じた口を開こうとしたら…。

 

「絶対に先輩を離しません。死んでも離しません。」

 

「なっ!」

 

「生きて、告白の答えを聞きたいですし。」

 

「………馬鹿。」

 

子犬みたいだった後輩の癖に。

今は頼りになる異性だった。

 

「よし、外に出れた。先輩、もう少しの辛抱です。」

 

「ゼクス待って!ゴブリンが!」

 

すぐ近くに、短剣を持ったゴブリン達がいた。

こちらに気がつき、向かって来る!

疲労しているゼクスと動けない私。

絶体絶命の危機。

お願い!

どうか彼だけでも助けて!

そう願った時、風が吹き荒れた。

 

「もう大丈夫…だよ。」

 

ゴブリン達は斬り倒され、美しい女性が立っていた。

ロキ・ファミリア所属の第一級冒険者(レベル6)

剣姫アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

「た、助かったー。」

 

「最強の救助が来ましたね、先輩。」

 

本当にね。

剣姫の事は、よく知っている。

有名なのもあるけど、彼女の冒険者登録をしたのは、私だから。

あの小さい女の子が、ここまで立派になるとは。

うん、歳取ったなー(20台後半)

しみじみしていた私は聞こえなかった。

バベルの塔の中を覗き、呟いた彼女の言葉を。

 

「あのゴブリンは…居ない…見失った。」

 

 

 

【タルウィ・ファミリアの団長メビアパート】

斬って、踏み潰して、また斬った。

突如オラリオに現れたゴブリンの大群。

ダンジョンの異変といい、厄介な事ばかり起こるなー。

………まあ、厄介な存在は身近にいるけど。

私達の主神様(タルウィ)だ。

自分の作った良薬(麻薬)オモチャ(危険物)を、人々に愛用してもらう。

それが最高の喜びと、恍惚な表情で語っていた。

うん、下界の子供達には迷惑極まりない。

あと金儲けも大好き。

表向きは化粧品をメインに、アクセサリー等の装飾品も担う商業系ファミリア。

裏の顔は、毒や危険物を販売する犯罪系ファミリア。

あー、やだやだ。

もう闇派閥(イヴァルス)と変わらない。

入団当初は知らなかったものの、もう引き返す事は出来ない。

数えきれない程、犯罪の手伝いをした。

それに…。

団員の大半が、知ったところで脱退できないのだ(・・・・・・・・・・・・・・・)

はあーーー、私もそうだし。

 

「メビア、あっちから逃げてきた人達を助けて。ほら、急いで急いで。」

 

「はいはい。主神様は危ないから、隠れていてよー。」

 

「護衛も頑張れ。」

 

「………はーい。」

 

主神様は、本当に眷属使いが荒い。

仕事優先で、よく睡眠時間を削られる。

最近は、ダンジョンへ素材取りに行かされたり、新薬の実験体にされる事が多い。

邪神ではないかと思う。

本気で(マジで)

 

「大丈夫ですか!こちらへ避難を!」

 

「タルウィ・ファミリアだ!た、助かった!ありがとうございます!」

 

ゴブリン討伐と人々の救助。

眷属達(私達)にやらせているのは、困っている下界の子供達を見捨てられないから?

あははは。

そんなわけ、ないない。

裏の顔を隠す為に、普段から善神の振りをしているだけ。

一緒になって善人の振りをするのは、正直疲れる。

 

「主神様。」

 

「なんだい?」

 

無愛想エルフ(フォビーヌ)の姿が、見えないんですけど?」

 

「ああ、副団長(フォビーヌ)かい。いつもの仕事(暗殺)をしているよ。」

 

うわー。

笑顔で言ったよ、主神様は。

こんな大変な時に、裏の顔の仕事をさせるなんて…。

顔に出ていたのか。

楽しそうに理由を話してくれた。

 

「こんな時だからこそだよ。不幸が起きても、誰も気にしないだろ?」

 

「………ダンジョンとは違いますよ。」

 

「心配性だな、メビアは。ゴブリンも弓を使っていたし、大丈夫さ。」

 

「………さいですか。」

 

もう好きにして。

何を言っても、主神様は聞いてくれないし。

副団長が、どこで仕事しているか分からない。

今更止めようがなかった。

 

「さあ、今日は徹夜で仕事(オールナイト)だよ!」

 

「「「「ゴ、ゴブリン共があああああぁぁっ!」」」」

 

睡眠時間が無くなった事で、団員達の怒りが爆発した。

矛先は全て、ゴブリン達へ。

ごめんね。

でも、貴方達が悪い。

私達の睡眠を妨害したから…。

 

 

 

異端者(ゼノス)のジャジャパート】

やれやれじゃ。

雌鹿魔物(ソードスタッグ)のわしは、溜息を吐いた。

行方不明の小鬼(ペパ坊)が見つかったと、情報を持ってきたフェルズが、大慌てで帰ったわい。

地上で良からぬ事が起こったらしい。

しかし、驚いたのう。

ゴブリン達を統率する王のような存在に、なっていたとは…。

フェルズも本人を見るまで、気づかなかったそうじゃ。

もはや正気では…ないか。

異端児から、もとの魔物に戻ってしまったか?

(ダンジョン)とは違う力を、度々感じたのう。

その影響を受けた可能性もある。

長生きしとるが、そのくらいしか分からん自分が恨めしい。

 

「オレっち、ちょっとゴブリン共を見てくる。」

 

もう我慢できない。

そんな思いが顔に出ている蜥蜴人(リド坊)

1匹で行って、何が出来る?

正気でないペパ坊が、話に応じるはずがあるまい。

最悪、殺し合いになるぞ。

お前さんが行くなら、他の面々も着いていくだろうし。

 

「私も行ク!」

 

「おいらも!」

 

「僕モダ!」

 

ほれみたことか。

古参の者達が注意しとるが、言う事きかんじゃろ。

本当に、やれやれじゃ。

暴走するぐらいなら、何人か行かせてやればいい。

そう言ったら、噛みついてきよったわ(文句いってきよったわ)

 

「ジャジャ、無責任ナ発言ハヤメロ。」

 

「だったら、お主が一緒に行けばいい。のう、石竜(グロス)よ。」

 

「………今、人間共ハ危険ダ。」

 

ダンジョンの異変で、冒険者達は殺気立っておる。

今後の事を考えれば、大人しくした方が賢明じゃろう。

しかし、このままリド坊達は、居ても立っても居られなくなる。

そっちの方が、危険かもしれんわい。

故に、ガス抜きが必要じゃ。

一応言っておくが、わしも行くのは反対じゃからな。

約束を決めて守るべし。

それが行く為の最低条件よ。

破ったら、2度と許可せぬ。

よいな?

 

「わかった!感謝するぜ、ジャジャ!」

 

「………イイダロウ。コチラカラノ条件ハ、オ前ガ着イテイク事ダ。」

 

喜ぶリド坊と渋い顔のグロス。

うん?

ちょっと待て。

今、わしに行けと言ったか?

 

「頼むぜ!人数は最小限で、オレっちとジャジャ。あと2人だな。」

 

「待たんか「ワタシガ、イク!オネガイ。」いいっ!?」

 

「………。」

 

ええい!

わしの言葉を遮るんじゃないよ、半人半蛇(ラウラ)

あと行きたいのは分かるが、戦影(オード坊)や。

喋れんお前さんは、態度で示さんかい!

 

「メンバーは決まりだな!」

 

「話を聞けえええぇっ!」

 

わしの叫び声が、隠れ里に空しく響いた。

おのれ、グロス。

自分が行けばよかろうに、面倒事を押し付けよって。

許すまじ!

 

 

 

【ギルド職員ケビンパート】

くそおおおおおおおおおおおおっ!

エイナが、ゴブリンに連れ去られた。

守れなかった!

 

「がはっ。」

 

口から血を吐いた。

脇腹に短剣が突き刺さっている。

血が止まらない。

歩く度に、激痛が走る。

ここまでか…。

エリアス、僕の可愛い奥さん。

ごめんよ。

産まれてくる最愛の我が子を見れない。

 

「うぐっ。」

 

地面に倒れた。

僕を庇って、大怪我したテリアは大丈夫だろか?

倉庫に隠してきたけど、不安だ。

どうか見つかりませんように。

ああ…意識が…薄れて…。

 

「大変だ!痛いですけど、我慢して下さいね。」

 

誰かが僕に声をかける。

痛い?我慢?

ぐっ、ぐああああああああっ!?

短剣を抜かれた。

そして、液体をぶっかけられた。

何するんだ…って、あれ?

 

「痛くない!?」

 

「良かった!ポーションを使ったので、もう傷は大丈夫です。」

 

そう言ったのは、白髪で赤目の少年。

知っている子だ。

ヘスティア・ファミリア所属で、エイナが担当している冒険者。

ベル・クラネルだ。

奇跡だと思った。

僕は彼の手を掴んで、お願いした。

 

「頼む!エイナを助けてくれ!」

 

事情を話し、連れ去られた方角を教えた。

任せて下さいと頷き、ベル・クラネルは疾走した。

は、早い!

もう姿が見えなくなった。

冒険者は…いや、彼が凄いのか?

 

「ははは、情けない。」

 

今日は助けられてばかりだ。

立ち上がり、我が家に向かって急ぐ。

こんな僕だけど、奥さんと産まれてくる子ぐらいは、守りたい。

 

 

 

【イシュタル・ファミリアの団員キリシパート】

いい男が捕まらなくて、不貞寝していたら、この騒ぎだよ。

歓楽街に、お帰り頂きたいお客様(ゴブリン)が大勢押し寄せてきた。

丁度良かったかも?

憂さ晴らしに、愛して(殺して)あげる。

踊るように剣を振るえば、血肉が舞い。

御ひねりの代わりに、濃い血の匂いが充満する。

くふ、楽しい。

快楽とは違った高揚感が、心と身体に広がる。

 

「「「きゃああああっ!」」」

 

恩恵のない娼婦達が、悲鳴を上げながら逃げている。

おっと、守らなきゃ。

死人が出たり建物が壊されると、後で主神様(イシュタル様)が怒る。

姉御(アイシャ)にも怒られるだろうし。

あっ、きたきた。

他の戦闘娼婦(バーベラ)達も、お客様の対応に(ゴブリン皆殺しに)

 

「ゲゲゲゲゲゲッ!」

 

うげっ、団長(フリュネ)の笑い声だ。

お客様(ゴブリン)、良かったですね。

当店きっての美女が(本人が思っているだけ)、お相手して下さいますよー。

はあー、溜息をつく。

ちょっと前まで、そこそこいい男なら捕まえられたのに。

とある獣人が、処女を卒業したら…。

凄い色気が出て、大人気になった。

そこから歓楽街は、獣人人気(ケモノブーム)が来ている。

うぬぬ。

猫耳バンドでも、付けてみようかなー。

 

 

 

【ヘルメス・ファミリアの団員バーノパート】

報酬が良いからって、勇者(ブレイバー)の依頼を受けるんじゃなかった。

いや、断っても無駄か。

きっと主神様(ヘルメス様)が勝手に受けていた。

 

「あ、あの、私達…。」

 

「大丈夫、安心して。必ず地上まで、俺達が守るから。」

 

不安げな女性達に、笑顔で対応した。

頭の中は、絶賛混乱中だけどな!

依頼が終わり、ダンジョンから地上へ帰還する途中。

数名の女性を保護した。

ゴブリンに運ばれていた女性を助けたり、倒れていた女性を発見したり。

彼女達が冒険者なら問題なかった。

違ったんだよ。

全員が、ただの一般人。

オラリオに住む一般市民だ。

なんで、ダンジョンにいるの!?

と、思わず叫びそうになった。

事情を聞けば、ゴブリンに襲われ攫われたとか。

………おお、ジーザス。

ダンジョンの異変だけでも、クソ面倒なのに。

オラリオにゴブリン共の襲撃?

誰か嘘だと言ってくれ。

 

「バーノ、魔物の気配がする。」

 

「OK、ルルネ。俺が倒してくるから、彼女達を頼む。」

 

先行して、魔物を確認する。

コボルト共が3匹。

ゴブリン共じゃなくて安心した。

最近あいつら、妙に厭らしい手を使ってくる。

知恵をつけたと言うべきか。

油断すると、レベル2ですら危ない。

 

「はああぁっ!」

 

「「「グギャアアッ!?」」」

 

コボルト共を瞬時に倒す。

戦闘音で、ゴブリン共を引き寄せたくない。

隠れているルルネ達に、進むぞと合図する。

さあ、俺。

気を引き締めろよ。

彼女達を地上まで、無事に送り届けるぞ!

 

 

 

【ディオニュソス・ファミリアの団員ジッカロパート】

全員の準備が出来た。

主神のディオニュソス様に報告しなければ!

忙しい副団長のアウラさんに頼まれた。

本当は団長のフィルヴィスさんが報告に行くのだが…。

さっきから姿が見えない。

ディオニュソス様の所に居るのか?

急いで向かうと…バルコニーの方から笑い声が聞こえた。

 

「くひ、くひひひひひっ!」

 

だ、誰だ?

いや、この声は…ディオニュソス様?

 

「なんと素晴らしい狂乱(オルギア)!」

 

そっと覗けば、神が嗤っていた。

燃え盛る建物を見て、泣き叫び人々を見て、ゴブリン達の暴れる姿を見て。

 

「だが足りない!こんな程度では、私は満たされない!」

 

信じられない。

あの優しいディオニュソス様が、オラリオの惨状に喜んでいる。

 

「もっともっと大きな!壮大な!愛しき狂乱の宴が見たいのだ!」

 

何を…何を言っているのだ!?

思考が定まらない。

驚きと恐怖で、足元が覚束ない。

 

「まあいい。私の計画が実れば、極上の葡萄酒にも勝る狂乱が見れる。」

 

計画だと?

やばい、やばい、やばい、やばいぞ!

ディオニュソス様は、とんでもない事をしようとしている。

 

「しかし、いい気味だ。ウラノスの老害め!」

 

なっ!?

ウラノス様を老害呼ばわり!?

ギルドの活動に不満を持っているのは、聞いた事がある。

でも、敵意を通り越して、殺意を抱いてないか!?

 

「祈祷の効果がなかったのは、ダンジョンの異変のせい?」

 

地上に出て来れないはずの魔物。

それが今、覆されている。

ダンジョンの異変が原因なら、大変な事だぞ!

 

「ふっ、私には関係ない事だ。今までの憂さ晴らしに、たっぷりと糾弾してやろう!」

 

俺の心の中で、大事な物が砕けた。

ディオニュソス様…貴方は…邪神だ。

 

「早く誰かに知らせ、がふっ!?」

 

喉に剣が突き刺さった。

うぐお…馬鹿な…誰の気配も感じ…なかった…の…に。

相手の顔は…団…長…っ!?

 

「秘密を知られたからには、生かしておけない。」

 

 

 

【フレイヤパート】

ふと目が覚めた。

はだけた寝間着をそのままに、ベッドから降りる。

葡萄酒をグラスに注ぎ、窓からオラリオを見下ろした。

ここはバベルの塔の上層階。

深夜でも灯りは消えず、子供達の営みが見えた。

いつもと変わらない光景。

今頃あの子は、何をしているかしら?

普通に考えれば、寝ているのだろうけど。

ふふふ。

私の夢を見ていたら嬉しい。

あら?

地上から騒ぎが聞こえてくる。

次に、魔物(ゴブリン)が見えた。

まさか…ダンジョンから魔物が出てきた?

ウラノスの祈祷を破って?

興味深く観察していたら、アレを見てしまった。

王冠と赤マントを装備した一回り大きな魔物(ゴブリンキング)

 

「気持ち悪い。」

 

真っ白なあの子と、正反対の真っ黒な魂。

それだけなら、なんとも思わなかった。

禍々しい瘴気(ナニカ)を放っていた。

 

「駄目ね。」

 

見ていたら吐き気が止まらない。

下界に…いいえ、どこにも存在してはイケナイ存在。

あの子と会わせるのは許されない。

 

「オッタル。」

 

「はっ、ここに。」

 

「魔物を一匹残らず排除しなさい。特に、あの魔物は。」

 

「仰せのままに。」

 

 

 

 

 

陽が昇った頃に、ゴブリン達は残らず倒された。

消火活動も終わり、本格的な救助活動が始まる。

英雄達の活躍で、オラリオの危機は防がれた。

しかし、大きな傷跡が残った。

大切な人を失った者、住む家を失った者、重傷を負った者。

被害を受けなかった者達も、魔物の地上侵攻に慄いた。

またあるのではないかと。

次は我が身ではないかと。

ダンジョンの異変から始まった暗雲は、更に濃くなっていた…。

 

 

 

 

 

 




リリルカ・アーデの大ピンチ!

「ベル様は、どこに!?」

「天に向かって昇る…巨大な光の柱。」

「神の強制送還!?」

「あ、あれ?」

「恩恵が消えて…まさか、ソーマ様が!?」

「ひいっ!?」

「ゴブリン達に囲まれた状態で、そんなあああああぁっ!?」

という事があった、リリちゃんですが…
ヴェルフや他の冒険者がいたので、無事でした。


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小鬼の祭典・後編(ログ)

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)が開催中です。

 

ゴブリンの大侵攻は継続中。

一般市民・冒険者達の殺害及び拉致(苗床)は、多数成功。

神々の天界へ強制送還は、3件成功。

 

ダメージ表示に「皆無」が追加されます。

 

再度警告!

ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアが動き始めました。

 

オラリオで起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

黄昏の館(ロキ・ファミリア)で、冒険者達の準備完了。

冒険者A(パルゥム、男性、レベル6)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル6)

冒険者C(エルフ、女性、レベル6)

準備結果。

道化師(トリックスター)のエンブレムが、オラリオを駆ける。

冒険者Aは、都市の現状を団員達に知らせる(準備している間、迅速に情報収集した)

冒険者Aは、団員達を3つの部隊に分けた。

冒険者Aは、第一部隊の任務内容を話した(ギルドを、ダンジョンの出入口を押さえろ)

冒険者Aは、第一部隊の指揮を冒険者Bに任せた(これ以上魔物を出す事も逃がす事もさせるな)

冒険者Aは、第二部隊の任務内容を話した(人命救助及び魔物の掃討をしろ)

冒険者Aは、第二部隊の指揮を冒険者Cに任せた(他のファミリアとの連携は現場判断に任す)

冒険者Aは、第三部隊の任務内容を話した(ホームの護りと一般市民の避難受け入れだ)

冒険者Aは、第三部隊の指揮は自分がすると告げる(戦況と命令変更等、各部隊に随時伝達する)

冒険者Aは、団員達を鼓舞し行動開始した(ロキ・ファミリアの出陣!)

冒険者Bは、ゴブリン達を蹴散らしながら目的地(ギルド)へ向かった!

冒険者Cは、親友の娘(エイナ・チュール)の安否を心配している。

ロキは子供達を見送った(みんな、気をつけるんやで)

ゴブリン達の数が、急激に減っていきます。

苗床産ゴブリン達の数が、急速に減っていきます。

 

≪ログ報告その2≫

バベルの塔の入り口にて、冒険者達(ロキ・ファミリア)はゴブリン達と戦闘開始。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル6)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル6)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、両手斧を振るいゴブリン達を吹き飛ばす!

冒険者Aは、ゴブリン達の一斉攻撃を受けた。

冒険者Aに、ダメージ・皆無

冒険者Aは、動揺するゴブリン達を再び吹き飛ばした!

冒険者Bは、次々にゴブリン達を斬り捨てる!

冒険者Bは、ゴブリン達に囲まれて攻撃された。

冒険者Bは、全て回避した。

冒険者Bは、ギルド職員達の遺体を見た。

冒険者Bは、烈火の如くゴブリン達を斬り捨てた!

冒険者Bは、バベルの塔に入るゴブリン達を発見。

冒険者Bは、付加魔法を使用した(目覚めよ、エアリアル)

冒険者Bは、ゴブリン達を斬り刻んだ(1匹だけ剣が届かなかった)

冒険者Bは、襲われているギルド職員達を目撃(人命救助が最優先!助けた!)

冒険者Bは、バベルの塔の中を覗いた(あのゴブリンは…居ない…見失った)

冒険者達(ロキ・ファミリア)は、バベルの塔の内部(ギルド)へ進攻。

ゴブリン達の掃討を開始しました。

ギルド職員達の救出を開始しました。

ダンジョンの出入口の警備をします。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

ロキ・ファミリアの情報を手に入れました。

 

≪ログ報告その3≫

バベルの塔内部:ギルド施設にて、冒険者達(ロキ・ファミリア)はゴブリン達と戦闘開始。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル6)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル2)

冒険者D(ヒューマン、女性、レベル3)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、ギルド施設の中へ進む(レミリア達は、ダンジョンの出入口を見張れ)

冒険者Aは、更にギルド施設の中へ進む(リーネ達は、救助した職員達の治療と護衛じゃ)

冒険者Aは、ギルド施設の奥へ進む(クレア達は、引き続き掃討を任せたわい)

冒険者Aは、知り合いの遺体を見つけた(………ロイマン)

冒険者Aは、祭壇で(ウラノス)の無事を確認した(黒衣の人物…ウラノスの眷属か?)

冒険者Bは、ダンジョンの出入口を見張っている(人を担いでるゴブリンは絶対逃がさないで)

冒険者Cは、ギルド職員達の治療と護衛をしている(怪我人は奥の部屋へ!通路の確保を頼みます)

冒険者Dは、ギルド施設のゴブリン達を掃討している(気をつけて!隠れて奇襲する奴いるよ)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

ロキ・ファミリアの情報を手に入れました。

 

≪ログ報告その4≫

迷宮都市オラリオにて、建物の上で 標的(ターゲット) 探索中の冒険者(暗殺者)

冒険者A(ダークエルフ、女性、レベル5)

探索結果。

数名の暗殺に成功。

冒険者Aは、標的の書かれたリストを見ている(王者(オッタル)………こっちが死ぬ)

冒険者Aは、標的の書かれたリストを見ている(勇者(フィン)………超難しい)

冒険者Aは、標的を発見した(あいつは…雇った売人達を…よく捕まえる奴。)

冒険者Aは、弓を構え矢をつがえ弦を引く(ガネーシャ・ファミリアの…レベル3)

冒険者Aは、スキルと魔法を使用した(少々遠い…でも、力を使えば…)

冒険者Aは、矢を放った(命中した…右目に刺さって…後頭部から突き出た)

冒険者Aは、次の標的を探しに移動した(…いた…戦場の聖女(アミッド)

冒険者Aは、弓を構え矢をつがえ弦を引く(治療師で…レベル2…指揮に気を取られている)

冒険者Aは、スキルと魔法を使用した(念には念…入れて)

冒険者Aは、矢を放った(命中し…っ!?防がれた(邪魔された)

冒険者Aは、速やかに撤退した(九魔姫(リヴェリア様)が居たとは…こっち来る…逃げるべし)

 

≪ログ報告その5≫

5階層で、ゴブリン30匹が異端児達(ゼノス)と遭遇。

異端児A(剣雌鹿(ソードスタッグ)

異端児B(蜥蜴人(リザードマン)

異端児C(半人半蛇(ラミア)

異端児D(戦影(ウォーシャドウ)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

異端児Aは、体当たりでゴブリン達を蹴散らした!

異端児Aは、倒れている人間の女性を見つけた(冒険者じゃないね、一般人って奴かい?)

異端児Aは、冒険者達の気配を感じた。

異端者Aは、急に走った仲間を追いかけた(お待ち、リド!約束を守りな!)

異端児Bは、剣でゴブリン達を斬り刻んだ!

異端児Bは、気絶している人間の女性を担いだ(こんな所に放置できねえ、安全な場所に)

異端児Bは、人間の女性を見つかり易い場所に置いた。

異端児Bは、弟分を見つけて追いかけた(ペパっちだ!見間違いじゃない!)

異端児Cは、尻尾でゴブリン達を薙ぎ払った!

異端児Cは、人間の女性に怪我はないか診ている(地上カラ、無理矢理、攫ワレタノ?)

異端児Cは、人間の女性が救助されるのを見守った。

異端児Cは、異端児Bを追いかけた(ドウシタノ、リド!?)

異端児Dは、鉤爪でゴブリン達を斬り裂いた!

異端児Dは、周囲を警戒している(「………………」)

異端児Dは、人間の女性が救出されて安堵した。

異端児Dは、異端児Bを追いかけた(「………………」)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その6≫

迷宮都市オラリオにて、冒険者がゴブリンライダー達を追跡していた。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

追跡結果。

ギルド職員の救出に成功。

冒険者Aは、ゴブリンライダー達を追跡した(どこだ、どこにいる。早く見つけないと!)

冒険者Aは、ゴブリンライダー達を発見した(いた!エイナさんを担いでる!)

冒険者Aは、ゴブリンライダー達に接近する(敵は3匹!えっ、2匹が足止めにきた!?)

冒険者Aを、ゴブリンライダー達は妨害した(エイナさんとの距離が…邪魔するなああぁ!)

冒険者Aは、ゴブリンライダー達を蹴散らす(つうっ!この程度の傷、なんともない!)

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、ゴブリンライダーに肉薄する(うおおおおぉっ!エイナさんを返せーっ!)

冒険者Aは、ゴブリンライダーに連続攻撃(よし、倒し…エイナさんが落ちる!くうっ!)

冒険者Aは、ギルド職員を強く抱きしめた(ダメージは全て、僕が引き受ける!)

冒険者Aは、ギルド職員と激しく転がった(痛た…はっ!エイナさんは!?ふうー、無事だ)

冒険者Aは、ギルド職員の涙を優しく拭う(助けられて、本当に良かった)

冒険者Aは、ギルド職員に御褒美(・・・)を貰った(頬に…ええっ!?エイナさーん!?)

冒険者Aは、ギルド職員と一緒に避難した(か、か、神様達の所に行きましょう!)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

≪ログ報告その7≫

迷宮都市オラリオの歓楽街にて、ゴブリン達は戦闘娼婦(バーベラ)達の歓迎を受けていた。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル5)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者Aは、笑いながら武器を振り回している(「人間達の中に、味方がいるぞ!?」)

冒険者Aは、ゴブリン達を転ばし踏み潰していく(「本当だ!フロッグシューターが!」)

冒険者Aは、武器を舐めて不気味に微笑んでいる(「馬鹿な、二足歩行で立っているぞ!」)

冒険者Aは、ゴブリン達を掴み千切っていく(「武器や鎧も着ている!?蛙の癖に!?」)

冒険者Aは、自分の美しさを語りながら戦っている(「な、なあ…あれ、人間じゃないか?」)

冒険者Aは、ゴブリン達を体当たりで吹き飛ばした(「あんな蛙みたいな顔の人間いるか!?」)

冒険者Aは、活躍に邪魔な団員達を追い払っている(「そうだぞ!ゲゲゲゲッと鳴いてるし」)

冒険者Aは、ゴブリン達を雑巾のように絞っていく(「じゃあ何で、人間の味方をしている!?」)

冒険者Aは、戦いを見守っている男性客にウィンク(「知るか!げっ、こっち来た!うぎゃあ!」)

冒険者Aは、男性客に逃げられてブチ切れた(「あれは地上の化物だ!逃げろ!」)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

地上に蛙の化物が居ると…。

 

≪ログ報告その8≫

5階層で、冒険者達は保護した一般市民達を守りながら移動中。

冒険者A(男性、ヒューマン、レベル3)

冒険者B(女性、獣人、レベル3)

移動結果。

無事に地上へ帰還。

冒険者Aは、魔物の索敵を冒険者Bに任せた。

冒険者Aは、一般市民達を守っている(罠の無い階層に何か(・・)あるか)

冒険者Aは、冒険者Bから魔物接近の報を受ける。

冒険者Aは、先行して魔物を倒していく。

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Bは、慎重に進みながら魔物の索敵をしている。

冒険者Bは、魔物の気配を感知した。

冒険者Bは、戦闘を冒険者Aに任せた。

冒険者Bは、一般市民達を守っている(勇者(ブレイバー)の、にらんだ通りだったね)

冒険者Bは、再び慎重に歩みを進めた。

 

≪ログ報告その9≫

迷宮都市オラリオにて、冒険者達(ディオニュソス・ファミリア)はゴブリン達と戦闘開始。

冒険者A(エルフ、女性、レベル3)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

戦闘結果。

ゴブリン達の全滅。

冒険者達は、剣と杖で次々と倒していく(フィルヴィス、ジッカロの姿が見えないけど?)

冒険者達は、口喧嘩しながら倒していく(ディオニュソスの命令で別行動中よ、アウラ)

冒険者達は、魔法を放ち倒していく(聞いてないのだけど?)

冒険者達は、連携攻撃で倒していく(すまない、極秘任務だから黙っていた)

冒険者達は、他のファミリアと協力して倒していく(極秘任務?内容は?)

冒険者達は、火事の消火活動をしていく(私も内容までは聞いてない)

冒険者達は、怪我人の治療をしていく(信用されてないのかしら、右腕気取りさん)

冒険者達は、次の戦場へ移動していく(………ジッカロが戻って来たら(・・・・・・)、聞けばいい)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

ディオニュソス・ファミリアの情報を手に入れました。

 

≪ログ報告その10≫

戦いの野(フレイヤ・ファミリア)で、冒険者達…強靭な勇士達(エインヘリヤル)の準備完了。

冒険者A(獣人、男性、レベル7)

冒険者B(獣人、男性、レベル6)

冒険者C(ダークエルフ、男性、レベル6)

冒険者D(エルフ、男性、レベル6)

冒険者E(パルゥム、男性、レベル5)

冒険者F(パルゥム、男性、レベル5)

冒険者G(パルゥム、男性、レベル5)

冒険者H(パルゥム、男性、レベル5)

準備結果。

戦乙女の側面像のエンブレムが、オラリオを駆ける。

冒険者Aは、一振りで数十のゴブリン達を吹き飛ばした!

冒険者Aは、余波で壊れた建物を気にしない(手加減してるけどコレ)

冒険者Bは、高速移動でゴブリン達を瞬殺した!

冒険者Bは、他のファミリアを邪魔だと罵った(本当に邪魔だった)

冒険者Cは、剣と魔法でゴブリン達を蹂躙した!

冒険者Cは、他のファミリアの協力要請を無視した(ただの人見知り)

冒険者Dは、容赦ない魔法でゴブリン達を滅した!

冒険者Dは、味方による被害を見なかった事にした(女神の意向優先)

冒険者Eは、4人兄弟の絶技でゴブリン達を倒した!

冒険者Eは、消火活動を手伝わない(魔物殺すから任せた)

冒険者Fは、4人兄弟の絶技でゴブリン達を倒した!

冒険者Fは、救助活動を手伝わない(魔物殺すから任せた)

冒険者Gは、4人兄弟の絶技でゴブリン達を倒した!

冒険者Gは、略奪する冒険者を無視(後でぶっ殺すからな)

冒険者Hは、4人兄弟の絶技でゴブリン達を倒した!

冒険者Hは、白髪冒険者を目撃した(嫉妬でぶっ殺したい)

ゴブリン達が、撃滅されていきます。

苗床産ゴブリン達が、撃滅されていきます。

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

フレイヤ・ファミリアの情報を手に入れました。

 

ゴブリン達が全滅したので、小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)は終了します。

 

拡大していたダンジョンの領域が、解除されます。

妨害していたウラノスの祈祷が、元に戻ります。

 

ゴブリンキングは撤退により、生存しました。

 

デビルエネルギーが大量に貯まりました。

 

苗床を大量に手に入れました。

 

ファミリアの情報を手に入れました。

 

ゴブリンの学習・研究している。

オラリオの地図を作成可能に。

ただし、侵攻した範囲限定となります。

 

 

 

 

 

 




オッタルのお仕置き

「オッタル、アレは倒したの?」

「………申し訳ありません。取り逃がしました。」

「そう、大きな失態ね。」

「この命を持って償「お仕置きね」なっ!?」

「誰か、メイド服を持って来て!」

「フレイヤ様!?」


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※異端児の悪夢その3

「待ちな、蜥蜴人(リド坊)!」

 

こりゃ駄目だのう。

わしの声が聞こえてない。

ペパ坊を見つけて、はやる気持ちは分からんでもないが…。

約束の1つ。

勝手な行動せず、団体行動をする事。

あっさり破るんじゃないよ!

 

「ジャジャ、追イカケル!」

 

落ちつきな、半人半蛇(ラウラ)

周りが見えてないリド坊の代わりに、わしらが警戒するぞ。

ダンジョンの異変のせいで、魔物と人間の溝は更に深まった。

こんな所で冒険者と鉢合わしたら、最悪じゃ。

 

「………。」

 

戦影(オード坊)が踊っていた。

いや、違うか。

何か伝えたいらしい。

うむ、さっぱり分からん。

 

「ペパあああああああああああああああああああっち!」

 

「リザードマン!?ドウシテ俺ノ名前ヲ!?」

 

「オレっちを忘れたか!?リドだ!同じ異端児(ゼノス)の仲間だ!」

 

「…知ラヌ!失セロ!」

 

リド坊がペパ坊に、追いついたようじゃ。

見えた、あれか!

なるほどのう。

フェルズの言った通りか。

身体が一回り大きくなっており、生意気に王冠とマントを装備しておる。

多少違う姿じゃが、間違いなく小鬼(ペパ坊)

 

「行かせるか!」

 

「邪魔ヲスルナ!」

 

2人の戦いが始まったわい。

ラウラとオード坊には、手を出さんように言った。

リド坊に任せる。

兄貴分として、しっかり弟分を説得せい。

しかし、無理かもしれんのう。

ペパ坊の表情と雰囲気。

魔物より凶暴で、人間より凶悪に感じる。

ダンジョンの異変の影響を、濃く受けたゴブリン達。

よもや、ここまで酷いとは…。

 

「正気に戻れ!ペパっち!」

 

「俺ハ正気ダ!」

 

通路を移動しながら、激しく攻防を繰り広げる2人。

力量は、リド坊の方が上。

ペパ坊も以前より強くなっとるが、まだまだじゃ。

とはいえ、戦いが終わらん。

気持ちの差か。

逃げる為に、殺す気で攻撃するペパ坊。

無力化を狙って、手加減しているリド坊。

おっと、いかん。

 

「罠じゃ!」

 

「おう!見えてるぜ!」

 

「チッ!」

 

わしの警告に、リド坊は頷き、ペパ坊は舌打ちした。

ダンジョンに発生するの罠。

何故か人間達には見えず、異端児(わしら)や魔物には見えていた。

原因は不明じゃ。

助かるから文句はないがのう。

今見つけたのは、大きな落とし穴。

ペパ坊の真後ろにある。

決着がつきそうじゃな。

飛び越えて逃げようとすれば、隙だらけの背中に攻撃を叩きこまれる。

戦いを続ければ、一緒に落ちて、完全に退路を断たれる。

仮にリド坊を突破しても、わしが居るから逃さん。

 

「「「「「グギャ、ガガガアッ(キング、助けに来た)!」」」」」

 

ほほー、初めて見た。

ダンジョン・リザードに乗ったゴブリン。

確か、ゴブリンライダーと呼ばれていたか?

数は…3…4…5匹。

少々厄介じゃな。

ダンジョン・リザードは、壁や天井を歩けるからのう。

リド坊の邪魔はさせんぞ。

わしらが相手をして…むっ?

気絶した人間を、担いでいるゴブリンがおる。

地上(オラリオ)から攫ってきた一般人か?

 

苗床(人間)ヲ、罠ニ向カッテ、投ゲ捨テロ!」

 

ペパ坊!?

何を言って…。

まさか、わしらの気を逸らす為に!?

なんて事を!

気絶した人間は冒険者ではない。

投げ捨てれば大怪我するし、落とし穴に落ちたら死ぬぞ!

 

ゴゴギャ(御意)!」

 

まずい。

わしの位置からでは、遠過ぎて助けられん。

 

「うおおおおおおおおおおおっ!」

 

リド坊が跳躍した。

地面へ激突する前に、人間を受け止める。

でかした!

じゃが、罠の範囲から抜け出せてない。

着地した瞬間に、足元が崩れ落ちた。

 

「リド!」

 

ラウラが叫んだが、心配せんでもいい。

人間を抱えたままでも、リドは平気じゃ。

問題なのは…。

 

「気ヲ逸ラス為ダッタガ、助ケルトハ愚カナ。」

 

嗤いながら、落とし穴を飛び越えるペパ坊。

ふざけるでないぞ。

愚か者は、お主じゃ!

 

「ラウラとオード坊は、リド坊達を。」

 

「ジャジャ!?」

 

「ペパ坊を捕まえて、お仕置きじゃああああぁっ!」

 

落とし穴を飛び越え…ぬおおっ!?

目の前に突然、黒い煙のようなモノが!?

何も見えぬ!?

 

「ダンジョン・リザードの黒息ダ!毒ニヤラレロ!」

 

小癪な真似を。

この程度の毒、わしに効果無しじゃ!

辺りを包む煙も、範囲は狭かろう。

抜けたら…。

 

「馬鹿メ、毒ハブラフダ。」

 

「なんじゃと!?」

 

視界が戻ると、詠唱しているゴブリン達がいた。

し、しもうた!

空中では身動きが!

 

「「「「「ガゴギャギャア(魔法を喰らえ)!」」」」」

 

「むおっ!?」

 

2発命中した。

痛いが、大したダメージではない。

自慢の体毛が焦げた程度じゃ。

 

「くっ、やられたのう。」

 

魔法の勢いに押され、落とし穴へ落とされた。

なんの!

体勢を立て直し、何事もなく底へ着地。

 

「ジャジャ、大丈夫か?」

 

「うむ、そっちも大丈夫そうじゃな。」

 

やはり、リド坊と人間は無事じゃった。

 

「行クゾ!」

 

複数の足音が遠ざかって行く。

逃がしてしまったか。

あそこまで見事な連携攻撃をするとは…。

ペパ坊とゴブリン達を、甘く見てたわい。

 

「くそ!追いかけるから、人間を頼む!」

 

「駄目じゃ!」

 

「痛っ!?」

 

リド坊の足を蹴った。

涙目で抗議してきたが、睨んで黙らす。

お前さんは、約束を破った。

故に、隠れ里へ帰還じゃ。

 

「大体ペパ坊を正気に戻す方法は、あるのか?言ってみるがいい。」

 

「うっ、それは…。」

 

「ないなら1度帰って、皆と相談すべきじゃろ?」

 

闇雲に追いかけても、同じ結果になる。

知恵を出し合った方が早いわい。

ペパ坊の状況を、確認出来ただけでも、良しとすべきじゃ。

 

「…分かった。」

 

渋々了承するリド坊。

さて、まずは落とし穴を登るとしようかのう。

この人間を地上へ返さんといかんし。

色々あって、老骨には堪えた。

今度は石竜(グロス)に行かせよう。

絶対じゃ!

 

 

 

 

 

2日後。

わしは後悔する。

あの時が、ペパ坊を助ける最初で最後の機会だったと…。

 

 

 

 

 



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※運命が変わった冒険者達の話その4「嘆きの花」

「死にたくない。」

 

ゴブリンに捕まって、何日経ったのか。

何度も犯され、何度も孕まされ、何度も産まされた。

地獄のような日々。

 

「死にたくない。」

 

同じように捕まった女冒険者達は多い。

全員が逆らえなく首輪を付けられ、苗床として扱われた。

薄暗いゴブリンの巣では、嗤い声と泣き声が止まらない。

 

「死にたくない。」

 

心が壊れる女冒険者が増えてきた。

右隣にいたアマゾネスは、絶対に助けが来ると励ましてくれた。

でも、今は濁った瞳で、殺してとしか言わなくなった。

左隣にいたパルゥムは、逃げるチャンスは必ずあると微笑んでくれた。

でも、今は涎を垂らしながら、虚ろな表情のままだ。

 

「死にたくない。」

 

私の心も壊れる寸前。

希望がなく、絶望しかない。

それでも生きたい。

家族のもとに帰りたい。

その想いだけが、私を支えていた。

 

「死にたくない。」

 

動かなくなった(死んだ?)女冒険者達が、小屋に運ばれて行く。

見た。

見てしまった。

見るんじゃなかった。

ゴブリンが皿を持って出てくる。

載せてあったのは、血の滴る肉。

あは、あはは、ナンノ肉ダロウ?

 

「死にたくない。」

 

首輪がなくても、逆らう気力はない。

ゴブリンに…ゴブリン様に、勝てると思った私が愚かだった。

冒険者になるんじゃなかった。

父さん、母さん、お兄ちゃん。

助けてーっ!

 

「死にたくない。」

 

沢山の女性が連れて来られた。

新たな被害者達。

苗床になる仲間。

あれ?冒険者じゃない?一般市民?

知っている顔もいた。

ギルド職員のミィシャさんだ。

どうして彼女が、ここに?

ま、まさか!

オラリオが攻められたの!?

陥落してしまったの!?

 

「死にたくない。」

 

ミィシャさんが、ゴブリン達に押し倒された。

服の破ける音、助けを求める悲鳴、肉のぶつかり合う音。

他の女性達も次々と…。

ごめんなさい。

助ける力は、私に無いの。

 

「死にたくない。」

 

ゴブリン達に引っ張られた。

どこかへ連れて行かれる?

や、やだ!

あの小屋にだけは!

 

ゴキャ、ルアガギャギ?(こいつ、まだ産めるぞ?)

 

ナグギャギ、グガガギャギャ。(数が増えて、食糧が足りない。)

 

グギャ。ルグギャゴギャギャドナ。(そうか。まあ苗床増えたしいいか。)

 

ギャギャゴ、グギャガガギャギャ。(あと何人か、淫蝕場に連れて行く。)

 

違った。

肉にするんじゃないみたい。

首輪を外され、違う首輪を付けられた。

んんっ!

胸が熱くなって疼いた。

今のは一体?

知らない大きな建物の中に入れられた。

そこで見たのは…。

 

「死にたくない。」

 

多くのゴブリンが、乳白色の液体を美味しそうに飲んでいた。

女冒険者達の胸を搾って。

な、なんなのコレ!?

頭に浮かんだのは、故郷で見た牛の搾乳。

似ている。

違う点が、あり過ぎるけど…。

1つ目は匂い。

建物の中は、酷く甘い匂いで満たされていた。

匂いのもとは…乳?

2つ目は、その乳。

出る量が異常だった。

人は、そんなに出るはずがないのに。

3つ目は、女冒険者達。

全員、気持ち良さそうな(快楽に染まった)顔をしていた。

搾られる度に、喘ぎ声を上げている。

 

「死にたくない。」

 

おそらくここは、ゴブリン達の飲食場。

ダンジョンの食糧庫(パントリー)と、同じ役割を果たしている。

やだなー。

苗床の次は、食糧にされちゃうのか。

肉にされるより、マシだけど…。

きっと、心は壊れる(堕ちる)

女冒険者達の顔を見て、そう思った。

 

「死にたくない。」

 

無意識に出るこの口癖も、ここで止まるかな?

ゴブリン達が、新たな食糧(わたし)に近寄ってきた…。

 

 

 

 

 

 




????
本来は、ダンジョンの探索中に、魔物との戦闘で死亡。
このパラレルワールドでは、ゴブリン達の苗床に。
そして、食糧へ堕ちる。


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ゴブリンの巣の崩壊まで、あと3歩

へえー、ここが地下祭壇か。

ウラノスが祈祷を捧げている神聖な場所。

来る事が出来るなんて、ラッキーだね。

巨大な神座しかないけど、全然構わない。

謎だった場所を、知る事に意味(楽しみ)がある。

 

「ウラノス!オラリオの惨状は、貴方の怠慢が招いた結果だ!」

 

あーもう!

周囲が煩くて、せっかくの気分高揚が台無しだ。

僕以外にも神々がいた。

理由は、昨晩起きた魔物(モンスター)の侵攻。

ウラノスの祈禱で、魔物の地上侵攻を防いでいた。

でも、魔物は地上に現れてしまった。

吃驚だね。

ソーマ達も送還されちゃったし。

 

「どれだけの子供達が死んだ事か!どう責任を取るつもりだ!」

 

さっきから喋っているのは、ディオニュソス。

なんていうかさ。

お前、ウラノス嫌いなの?

弁明くらい聞いてあげなよ。

まあ口数の少ない老神で、結構隠し事もあるみたいだけど。

 

「ちょっと黙ろうか。」

 

「…タルウィ。ウラノスを庇うつもりか?」

 

いやいや、庇うつもりなんて、毛頭ないよ。

ただ困るんだ。

余計な事をされるのが。

昔、神友(邪神)に聞いた事がある。

ウラノスは、ダンジョンの異変を察知出来るって。

その彼が地上に出るまで、何故魔物を見落とした?

眷属に調べてもらったけど、侵略してきた魔物は3種類。

ゴブリン、フロッグシューター、ダンジョン・リザード。

変異した報告のある魔物ばかりだ。

故に推測した。

変異した魔物には、祈祷が通じないではないか?

もしくは、祈祷を無効化する術があるのではないか?

そうだった場合、ウラノスを一方的に責めるは、如何なものかと思うよ。

逆に言えばだよ。

他の魔物に祈祷は、効果を発揮しているって事でしょ?

このまま続行してもらってよ。

 

「大体さ、ディオニュソスも調査で、結果出したの?」

 

ダンジョンの異変が起きてから、ギルドは調査を依頼した。

最初は、少数のファミリアだけ。

異変が上層全域に広がると、探索系の全ファミリアに依頼した。

調査結果?

どのファミリアも、何も掴んでない。

 

「そもそも、ウラノスは子供達を失ったばっかりだよ。」

 

恩恵を与えてないけど、自分のもとで働いていたギルド職員が大勢死んだ。

ついでに攫われた。

今のギルドは、はっきり言って壊滅に近い。

組織として機能を取り戻すのに、時間が必要。

そんな時に、責任取れはないでしょ?

ギルドの復興、被害を受けた子供達の支援、ダンジョンの再調査。

ほら、やる事がいっぱい。

全部終わってから、言い争いなよ。

 

「………そうだな。子供達が殺されて、少々気が立っていたようだ。」

 

「理解してもらえて助かる。」

 

「…ちっ。」

 

あれ?

舌打ちされた?

僕も嫌われている?

 

「ウラノス。貴方の隠し事は、必ず話してもらう。」

 

そう言って、ディオニュソスは帰って行った。

イシュタル様は珍しく、何も言わずに帰った。

あとで拠点(ホーム)に来いという合図(サイン)をして。

うわー、嫌な予感がするなー。

僕も帰るか。

 

「ねえ、タルウィ。」

 

呼び止めたのは、フレイヤ様。

今日も美しいですね。

では、失礼しま…あっ、駄目ですか。

 

「最近イシュタルと、よく会っているみたいね?」

 

「化粧品や装飾品を、大量に購入してくれる得意様なので。」

 

「ふーん、そうなの。」

 

怖っ!

魅了されるくらい素敵な笑顔なのに、冷汗が止まらない。

き、気づかれてないよね?

やばい品物の売買とか、フレイヤ・ファミリア潰す計画を手伝いしているとか。

イシュタル様に協力しているのは、金払いが良いからで。

貴女が負けるとは、これっぽちも思ってないよ。

本当に。

 

「やあ、タルウィ!一緒に酒でも飲まないかい?」

 

今度は、ヘルメスか。

ヘラヘラして戯けた態度ばかりする神物。

飄々ともしていて、考えを読ませない神物でもある。

苦手なんだよねー。

しかし、僕に近づいて来るのは…裏の仕事関係を探っているのかな?

証拠は残さない様にいているけど。

どこで疑われちゃったのやら。

しょうがない。

手を焼きそうだけど、誤魔化すか。

 

 

 

 

 

 




ウラノス「何か言う前に…皆帰ってしまった。」



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ゴブリンの巣の崩壊まで、あと2歩

どうして、こうなってしまったのか。

ギルド長になってしまった。

正確には、ギルド長代理。

1度は夢を見た。

組織のトップになりたいと。

だが、あくまでも夢であり、現実とは違う。

ぐうっ!

精神心労(ストレス)で胃が痛い。

ギルドの会議室に、各ファミリアの団長達が集まっている。

招集を頼んだのは、ロキ・ファミリアの勇者(フィン)

今後の重要な話をしたいそうだ。

ああ、思い知らされる。

私は場違いだと。

ギルドの豚…ロイマン様の偉大さを知った。

仕事が出来るだけでは、長は務まらない。

言い方は悪いが、図太い神経と傲慢不遜な精神が必要なのだ。

それは私に無いモノだ。

何故貴方は、死んでしまわれたのか。

貴方だけではない。

重役達も。

1人でも生き残っていたら…。

いや、止めよう。

たとえ嫌でも、ギルドの者として、仕事を全うしなければ!

 

「全員揃ったみたいだね。集まってくれて感謝する。」

 

勇者が招集した内容を話す。

それは、今回オラリオに侵攻した魔物ゴブリン達の討伐。

そして、攫われた女性達の救出だった。

それも、今日中に。

馬鹿な!?

ダンジョンに、ゴブリンは多くいるし、倒しても産まれる。

全ての討伐は不可能だ!

攫われた女性達を助けたいが、どこに居るか分からない。

闇雲に探しても、見つからないだろう。

今日中も難しい。

深夜から戦い続けて、冒険者達は疲労している。

このような状況下だ。

一睡もしていない者達も居るはず。

編成は、ファミリアの数が多い程、時間が掛かる。

被災者が多い中、物資の準備も出来るかどうか。

私と同じような質問を、各団長達がした。

 

「それについてだが…。」

 

なんと!

こ、これが、世界中に名の知られた冒険者(フィン)か。

答えは以下の通りだった。

討伐するのは、小鬼の強化種(ゴブリンキング)

多くの目撃情報から、こいつがゴブリン達を率いていた。

頭を潰せば、ゴブリン共は有象無象。

オラリオの侵攻は、一先ず止まる。

次に攫われた女性達だが…。

前々からヘルメス・ファミリアに、ある調査を依頼していたそうだ。

罠のない階層。

最初は3階層で、現在は6階層。

まったく罠がない。

勇者は、何かあると考えていた。

その調査結果は、ゴブリンの巣がある可能性大と。

更にダンジョンで、攫われた一般市民を助けた冒険者達がいる。

渡された資料を見ると、結構な数の一般市民が救われていた。

情報をまとめると、6階層より下で、攫われた一般市民の救出報告は無い。

他にも、6階層の疑わしい報告が、異様な程多い。

も、もしかしたら…。

攫われた一般市民は、全員女性だ。

ダンジョンで行方不明になった女性冒険者達も、居るのではないか?

ゴブリンの巣に。

物資については、用意してくれるファミリアを確保済み。

これは!?

討伐部隊の編成案まであるのか!?

 

「冒険者とギルドは…信頼を失い、誇りを砕かれた。」

 

勇者が呟く。

その通りだった。

ギルドの被害を知ってか、非難や批判は少ない。

だが、0ではないし、今後大きくなるだろう。

冒険者達は全力を尽くしたが、守れなかった命は少なくない。

火事場泥棒した犯罪者(冒険者)も、出てしまった。

 

「僕達は奪われた人々を救い、オラリオから不安を振り払う!」

 

慎重過ぎるのは、ただの臆病者。

時には大胆な行動に出るべきか。

各団長達も頷き、参加を宣言した。

頑張ろう。

疲れているが、今こそ進まなければならない。

ウラノス様にも伝えなければ。

 

「………。」

 

会議室の入り口近くには、王者(オッタル)が険しい顔で立っていた。

メイド服を着た状態で。

何故!?

聞きたいが聞けない。

話しかけるなオーラが見えた。

笑う?

冗談でもやってはいけない。

殺されるぞ!

各団長達も、チラチラ見ているが、何も言わない。

君子危うきに近寄らずだ。

気になるが、オラリオ最強の冒険者(レベル7)に、聞ける勇気のある者など居ない。

 

「オッタル。どうして、メイド服を着ているんだい?」

 

「「「「「勇者いた!」」」」」

 

思わず団長達と一緒に、叫んでしまった。

これが、ロキ・ファミリアの勇者か。

なんという剛の者!

 

「…不甲斐ない俺に、フレイヤ様からの罰だ。」

 

「なるほど。ところで…良い胃薬を持っているけど、いる?」

 

「1つもらおうか。」

 

彼らも精神心労が…。

どこもトップは大変というわけか。

途中で医療施設に行こう。

こうして私こと、レッガス・ゼルバートのギルド長代理の仕事が始まった。

胃薬と共に。

 

 

 

 

 




ディアンケヒト・ミアハ
「「最近、胃薬がよく売れるなー。」」



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ゴブリンの巣の崩壊まで、あと1歩

警告!

 

明確な奪還と討伐の意思を持つ冒険者達が、ダンジョンに進攻しました。

 

予測結果…目的場所は、6階層のゴブリンの巣です。

 

指示と対策を、推奨します。

 

………。

 

ダンジョンマスターが眠っている為、何も出来ませんでした。

 

冒険者達によって起きた結果を、記録・蓄積ログします。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル6)

冒険者B(パルゥム、女性、レベル3)

冒険者C(エルフ、女性、レベル3)

冒険者D(獣人、女性、レベル3)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、荒れている。

冒険者Aは、天井から忍び寄る(首吊り蚯蚓)に気がつかない。

冒険者Aは、頭から首元まで呑み込まれた!

冒険者Aは、そのまま天井まで引っ張られた!

冒険者Aは、激しく抵抗している。

冒険者Aは、キレた(・・・)

冒険者Aは、両腕を天井に突き刺した!

冒険者Aは、天井の中の(首吊り蚯蚓)を握り潰した!

冒険者Aは、解放されて地面に着地した。

冒険者Bは、困っていた(団長と別部隊で、ティオネさん不機嫌だなー)

冒険者Bは、冒険者Aが(首吊り蚯蚓)に捕まったのを見た(えっ?えええええっ!?)

冒険者Bは、冒険者Aを助けようとした(私の武器じゃ、天井まで届かない!)

冒険者Bは、冒険者Aの異変に気がついた(あっ、キレたかも)

冒険者Bは、動かなくなった首吊り蚯蚓に合掌した(相手が悪かったよ)

冒険者Cは、気合を入れた(各ファミリアの混合部隊か、不安だけど頑張ろう)

冒険者Cは、冒険者Aが(首吊り蚯蚓)に捕まったのを見た(怒蛇(ヨルムガンド)が喰われた!?)

冒険者Cは、冒険者Aを助けようとした(魔法は届くけど、彼女にもダメージが…)

冒険者Cは、冒険者Aの行動に驚愕した(両腕を天井の中に…自分で倒した!?)

冒険者Cは、第一級冒険者の実力を思い知った(唾液でベトベト以外、怪我無しって…)

冒険者Dは、緊張していた(ロキ・ファミリアと一緒だ、あわわ)

冒険者Dは、冒険者Aが(首吊り蚯蚓)に捕まったのを見た(今の何!?巨大蚯蚓?)

冒険者Dは、冒険者Aを助けようとした(天井の中の魔物に、どうやって攻撃すれば!?)

冒険者Dは、冒険者Aに行動に恐怖した(ひいいぃっ!天井の中から、ぐちゃって音が!?)

冒険者Dは、震えが止まらない(ま、魔物より怖いかも)

 

≪ログ報告その2≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル6)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル3)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、右足で電撃地雷を踏んだ(何か踏んで割れた?)

冒険者Aは、左足も電撃地雷を踏んだ(あばばばば、電撃!?)

冒険者Aは、感電したが麻痺しなかった(あービックリした!)

冒険者Aに、ダメージ・極小(髪と服が焦げたよ)

冒険者Bは、信じられずに叫んだ(あの電撃で、ちょっと焦げただけ!?)

冒険者Cは、遠い目をして呟いた(これがレベル3とレベル6の差か…)

冒険者Dは、引きつった顔で笑う(は、ははは、大切断(アマゾン)半端ねえー)

 

≪ログ報告その3≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(エルフ、女性、レベル6)

冒険者B(エルフ、女性、レベル3)

冒険者C(エルフ、女性、レベル4)

冒険者D(エルフ、女性、レベル3)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、突然地面を叩いた!

冒険者Aは、地面の中から断末魔を聞いた。

冒険者Aは、再び地面を叩いた!

冒険者Aは、地面の中から出る血飛沫を見た。

冒険者Aは、近くの岩を叩いた!

冒険者Aは、骨を粉々に砕く手応えを感じた。

冒険者Aが、杖を振り上げると…。

冒険者Aに、怯えたフロッグシューター達は一斉に逃げた。

冒険者Bは、冒険者Aの行動に混乱した(リヴェリア様、何を!?)

冒険者Bは、驚いて周囲を見回した(魔物が隠れていた!?)

冒険者Cは、己の過ちを深く反省した(ゴブリンを意識し過ぎた…)

冒険者Cは、仲間達にも注意を促した(敵はゴブリンだけじゃなく、ふぐ!?)

冒険者Cは、地面の中から奇襲された(フロッグシューターに一飲みされた)

冒険者Dは、目の前の出来事に悲鳴を上げた(きゃーっ!先輩が食べられた!)

冒険者Dは、大慌てで叫び救助に向かった(みんな!アリシアさんが!)

 

≪ログ報告その4≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(獣人、男性、レベル6)

冒険者B(エルフ、男性、レベル3)

冒険者C(パルゥム、男性、レベル3)

冒険者D(ヒューマン、男性、レベル3)

ルームに閉じ込められ、冷凍庫の罠が発動(石扉が床から迫り上がり、出入口を塞いだ)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、うろたえる冒険者達を怒鳴った(ガタガタ煩せぞ、雑魚共が!)

冒険者Aに、ダメージ・皆無

冒険者Aは、床の魔法陣を蹴った(魔法陣の破壊率27%)

冒険者Aは、魔法陣を本気で踏み潰した(魔法陣の破壊率100%!冷凍庫の罠が止まった)

冒険者Aは、開かない石扉を殴った(石扉の破壊率21%)

冒険者Aは、石扉を連続で殴った(石扉の破壊率48%…72%…100%!石扉は砕けた)

冒険者Aは、ルームを出て先に進む(行くぞ、グズグズするな)

冒険者Bは、酷く慌てている(閉じ込めれられた!?)

冒険者Bは、冷凍庫の罠に恐怖した(寒っ!?どんどん気温が下がっている!?)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Bは、冒険者Aの力に恐怖が吹き飛んだ(ええー、あっさりと解決した…。)

冒険者Cは、見た事のない罠に驚愕した(床から強力な魔力が…魔法陣!?)

冒険者Cに、ダメージ・小

冒険者Cは、冒険者Aの実力に驚嘆した(凄い…これが凶狼(ヴァナルガンド)!)

冒険者Dは、冒険者Aに苛立った(ちっ!強いからって、いい気になりやがって!)

冒険者Dは、ダメージ・小

冒険者Dは、冒険者Aの迫力に震えた(サーセン!生意気な口を叩きました!)

 

≪ログ報告その5≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル6)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者C(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者D(エルフ、女性、レベル3)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、魔物を蹴散らしながら進んでいる。

冒険者Aに、壁ドンが迫る!

冒険者Aは、壁ドンを受け止めた!

冒険者Aに、ダメージ・皆無

冒険者Aは、壁ドンを押し返した(壁に大きな亀裂が走り、壁ドンは破壊された)

冒険者Aに、床ドンが迫る!

冒険者Aは、床ドンを受け止めた!

冒険者Aに、ダメージ・皆無

冒険者Aは、床ドンに渾身の鉄拳!

冒険者Aは、床ドンを粉々に砕いた!

冒険者Aは、何事もなく進んでいく。

冒険者Bは、開いた口が塞がらない(嘘!?押し返した人なんて初めて見た…。)

冒険者Cは、腕を擦った(俺…壁ドンを受け止めた時、腕の骨が折れたぜ。)

冒険者Dは、冒険者Cを慰めた(ガレスさんが特別なのよ。)

 

≪ログ報告その6≫

冒険者達が、6階層に向かって進攻中。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル6)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者C(ヒューマン、女性、レベル4)

冒険者D(エルフ、男性、レベル3)

冒険者E(獣人、女性、レベル4)

進攻結果。

6階層に到着。

冒険者Aは、痴態砂人形(自分の裸体)に顔を赤くした!

冒険者Aは、痴態砂人形に攻撃(しかし、回避されて逃げられた)

冒険者Aは、付加魔法を使った(全力で攻撃した!)

冒険者Aは、痴態砂人形を斬り刻んだ(核を破壊されて、痴態砂人形は砂に戻った)

冒険者Aは、冒険者達の方を振り向けなかった(見られたかな…恥ずかしい…)

冒険者Bは、冒険者Aの痴態砂人形を…見れなかった(強引に首を別方向へ曲げられた)

冒険者Bに、ダメージ・小(ぐああっ!?)

冒険者Bは、地面をのたうち回っている!

冒険者Cは、冒険者Aの痴態砂人形を見た(綺麗…って、見ちゃ駄目!)

冒険者Cは、冒険者B(恋人)の首を別方向へ曲げた!

冒険者Cは、一安心した(彼に見せたくないし、剣姫も裸を見られたくないよね)

冒険者Dは、冒険者Aの痴態砂人形を…見なかった。

冒険者Dは、目を瞑っている(見たい、滅茶見たい、超見たい)

冒険者Dは、冒険者Bの絶叫を聞いた(でも、ああはなりたいくない)

冒険者Eは、冒険者Aの痴態砂人形を見た(あちゃー、これか)

冒険者Eは、破壊された痴態砂人形を見た(最低の罠だよねー)

冒険者Eは、うなじが赤い冒険者Aを見た(恥ずかしくて、こっち向けないかー)

 

≪ログ報告その7≫

冒険者達が、6階層を探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル4)

冒険者B(獣人、女性、レベル4)

冒険者C(パルゥム、女性、レベル3)

冒険者D(ドワーフ、男性、レベル3)

探索結果。

ゴブリンの巣を発見!

冒険者Aは、隠れてゴブリン達を見ている(周囲を警戒している?)

冒険者Aは、隠れてゴブリン達を見ている(壁を触って…扉みたいに開いた!?)

冒険者Aは、隠れてゴブリン達を見ている(間違いないっす!)

冒険者Aは、隠れてゴブリン達を見ている(あの奥が、ゴブリンのアジト!)

冒険者Aは、隠れてゴブリン達を見ている(アキ、団長達に報告を!)

冒険者Aは、仲間達に指示した。

冒険者Bは、頷き報告に行く(任せて、ラウル!)

冒険者Cは、頷き報告に行く(探索中の全部隊を呼んできます!)

冒険者Dは、頷き報告に行く(見張りは任せた!)

 

ゴブリンの巣が、冒険者達に発見されました。

 

冒険者達が、続々と集結します。

 

苗床に夢中のゴブリン達は、気がつきません。

 

防衛戦は、奇襲状態から始まります。



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崩壊するゴブリンの巣

【ニーテルパート】

ボク達は、薄暗く長い通路を突き進みます。

途中でゴブリンと遭遇しては、仲間を呼ばれる前に瞬殺しました。

ここはラウルさんが発見した、ゴブリンのアジトへ続く通路。

攫われたオラリオの一般市民達が居るはずです。

おそらく、行方不明になった女冒険者達も。

合流していない部隊は、いくつかありますが…。

この人数なら問題ないと、フィン団長が判断しました。

 

「通路を抜けるぞ。」

 

先頭を走っていた仲間の言葉に頷きます。

出た先は、広いルーム。

通路より明るいです。

一般市民達は…居た!

変な首輪を付けられ、一か所に集められていました。

 

「助けなきゃ…っ!?」

 

ルームの奥を見て、言葉を失いました。

ボクだけじゃなく、仲間達も。

裸の女性達が、ゴブリンに犯されていました。

ダンジョンに突入する前、偶然聞いてしまった会話を思い出します。

フィン団長と主神(ロキ)の会話。

ダンジョンに異変が起きてから、ゴブリンの数が増加。

強くなったゴブリン。

魔法やスキルを使うゴブリン。

ゴブリンに攫われた女冒険者達。

いくつもの情報を合わせ、予想したフィン団長の答え。

当たってしまいました。

ゴブリンは、捕まえた女性達を孕ませている。

 

「作戦通りに動け!」

 

フィン団長の大声で、我に返りました。

止まっている場合じゃありません。

女性達を救出する。

その為に、ここへ来ました!

 

ゴギャ!ゴガオオオギャ!(苗床共!冒険者共を殺せ!)

 

えっ?

1匹のゴブリンが何か叫ぶと、一般市民達も裸の女性達も、ボク達に襲い掛かってきます。

なんで!?

攻撃を躱し、受け止めます。

突然の出来事に、仲間達も混乱しました。

 

「くっ、まずいかも!」

 

ゴブリンも加わり、戦いは乱戦状態になります。

絶好の奇襲タイミングだったのに!

徐々に、ゴブリンの数が増えてきました。

 

「なんで襲うのよ!」

 

「違うの!身体が勝手に!」

 

仲間が怒鳴ります。

取り押さえらえれた一般市民は、泣きながら顔を横に振りました。

身体が勝手に?

どういう事?

 

「避けて!」

 

「止まれ!私の身体!」

 

「後ろ!後ろ!」

 

「わわっ!?」

 

裸の女性達(アマゾネス達)の攻撃を、間一髪で避けました。

この動き、冒険者です。

レベルは2ぐらい。

声をかけてもらわなかったら、ダメージを負っていました。

言葉と行動が真逆の彼女達。

一体何が?

 

ガニベギャラボ(苗床共、喋る)「首輪!」ゴ、ナバ!?(な、貴様!?)

 

さっきのゴブリンが、また叫びます。

だけど途中で、女性の1人も叫びました。

首輪?

粘土を握り潰したような奇妙な形の宝石が付いた首輪。

何かある?

フィン団長が一瞬考え、結論が出たのか、仲間達に伝えます。

 

「首輪だ!彼女達は首輪で操られている!」

 

まさか!?

人を操る呪具の類を、ゴブリンが持っている!?

信じられないけど…。

 

「ニーテル!押さえたぞ!」

 

「はい!」

 

やるしかありません!

仲間が羽交い絞めにしている女性から、首輪を外します。

すると、女性は大人しくなりました。

 

「あ、ありがとう!首輪を付けられたら、ゴブリンの命令に逆らえないの!」

 

ほ、本当だった!

ボク達を見た仲間達は、次々に首輪を外していきます。

やったー!

これで救出が可能になりました。

予定通り、救出部隊と討伐部隊に分かれて、行動を開始です。

 

「冒険者ガ攻メテ来タダト!?」

 

「やあ、君が小鬼の強化種(ゴブリンキング)だね。」

 

「クッ、コンナ化物マデ!」

 

「オラリオの為にも、冒険者達()の為にも、倒させてもらうよ!」

 

一回り大きなゴブリン…ゴブリンキングと、フィン団長の一騎打ちが始まりました。

心配なんてしません。

フィン団長は、勇者(ブレイバー)ですから。

 

「はああああああっ!」

 

「ガアアアアアアッ!」

 

武器()武器(短剣)のぶつかり合う音が、ルームに響きます。

あれが、強化種。

ゴブリンとは思えない気迫。

左右から襲いかかる短剣の二刀流。

動きが早く、腕力も強いです。

ボクが戦ったら、敗北は確実な相手。

そんな相手に、フィン団長は…。

 

「終わりだ。」

 

「オノレ…コンナトコロデ…俺ガ…グフッ!」

 

息を切らす事もなく、無傷で圧勝しました。

さすがです!

仲間達から歓声が上がり、ゴブリンは逃げ出しますが…。

 

「ふん!」

 

「「「「「ゴギャアアアアッ!?」」」」」

 

合流してなかった部隊の到着により、次々に倒されていきました。

特に、王者(オッタル)さんの活躍が、凄まじいです。

大剣の一振りで、多くのゴブリンを屠ります。

 

「遅かったか。」

 

「すまないね、オッタル。小鬼の強化種は倒したよ。」

 

「フィン…そうか。」

 

「大丈夫さ。誰が倒しても、そのメイド服は今日までだよ…多分。」

 

「…そう思うか?」

 

「ああ…きっとね。」

 

え、えーと。

会話の意味は分かりませんが…。

しょんぼりしている王者さんを、フィン団長が慰めています。

何があったのかは、聞かない方がいいですね。

 

「…兄貴…ゴメン…ヤット思い出シタ…。」

 

ゴブリンキング!?

まだ生きて!?

 

「ミンナ…ノ…所ニ、帰リタカッタ…。」

 

みんなのところ?

ゴブリンに向けたものじゃない…そんな気がします。

誰に?

ゴブリンキングの瞳から生気が失われ、身体は灰になりました。

残っているのは魔石だけ。

あっ!

粉々に砕けました。

 

「フィン団長の槍が掠っていた?」

 

うーん。

考えても分かりません。

ゴブリンキングの言葉を、あとで報告しておきましょう。

 

「こっちは片付いた!」

 

「そっちの援護に行って!」

 

「動けない人がいるわ!運ぶの手伝って!」

 

討伐は、もう間もなく終わりますね。

一般市民達や行方不明だった冒険者達を救えて、本当によかったです。

でも…。

 

「お腹の子と…一緒に殺して…。」

 

「あは…ははは…。」

 

「冒険者やめる…故郷に帰るんだ…。」

 

全てが終わったわけではありません。

心身に傷を負った彼女達を癒さないと。

それに、ダンジョン異変の原因は、分からないまま。

ボクの心から、不安は消えませんでした。

 

 

 

【苗床産ゴブリンパート】

俺はゴブリンだ。

父がゴブリンで、母が人間だ。

他の兄弟達と違って、何故か人間の様に話せた。

男は殺す。

この考えは兄弟達と変わらないが、俺は慎重を第一に考えている。

無理なら逃げるか隠れる。

生きていないと実行できないし。

俺には、3つの日課があった。

1つ、兄弟達と人間狩り。

1つ、鍛錬する。

1つ、母と話す。

人間狩りは、ゴブリン繁栄の為に必要不可欠。

ダンジョン産のゴブリンは弱い。

知能も低い。

経験は継承されても、ゴブリンの限界を超えれない。

まあ、苗床産のゴブリン(兄弟達)も似たようなモノだが…。

狩りは楽しい。

戦って強くなると、生きている事を実感する。

いつかは、ゴブリンキング様より強くなりたい。

鍛錬すると、兄弟達が馬鹿にするが、それは俺の台詞だ。

俺達の中には、母の力を受け継いだ者がいる。

その力は鍛錬しなければ、上手く使えない。

なのに兄弟達は、使えるだけで満足している。

宝の持ち腐れだ。

俺が母から受け継いだのは、気配遮断。

気配を完全に遮断して、相手に自分の存在を悟らせない。

最初は効果時間が短かった。

しかし、今では長くなって重宝している。

母と会話。

兄弟達は自分の母を、苗床としか思っていない。

俺は…分からない。

ただ、雑に扱いたくない気持ちはあった。

だから、毎日話しかけた。

無視されたり、睨まれたり、罵倒されたが、今は会話してくれる。

俺に名前まで付けてくれた。

『セリオン』と。

死んだペットの名前らしいが…。

ぽつぽつと、自分の事も教えてくれた。

母の名前は、シェイナ。

第二級冒険者で、レベル3らしい。

そういえば、俺は女を犯した事がない。

何故か、犯そうという気にならなかった。

兄弟達からは、不能者とか童貞野郎とか馬鹿にされた。

別にいいさ。

戦いこそが、俺にとって最高なのだから。

ある日の事だった。

ゴブリンキング様が、地上の侵攻を宣言した。

俺も行きたかったが、残念な事に巣の守りを命じられた。

 

「いやあああああっ!」

 

ガギャ、ギャダダギャガガ(ぐへへ、生きの良い苗床だ)!」

 

侵攻は成功したようだ。

人間の女性が次々と運ばれ、苗床にされた。

母は顔をしかめつつ、俺に言う。

隠れていなさいと。

意味が分からなかった。

聞いてみたら、攻められた冒険者達が、このまま何もしないはずがないと。

ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアが来たら、ゴブリンの巣は滅びると。

強い奴が来る。

戦ってみたいが、生存を最優先に考えよう。

母に別れを告げる。

冒険者達が来るなら、母は助けられて、ここから居なくなる。

多分、永遠の別れだ。

何も言わず、母は抱きしめてくれた。

新たな苗床達の確保で、祭り騒ぎのような中、俺は隠れる場所を作る。

そして、その時が来るのを待った。

 

「ゴブリン共を倒せええええええぇっ!」

 

冒険者達の声が聞こえた。

隠れて、冒険者達が去るのを待つ。

兄弟達を見捨てる?

見捨てるとも。

一応警告してやったが、巣は見つからないし、自分達は負けないと言い放った。

継承した経験を無駄にしている。

俺達が学んだように、冒険者達も学ぶ。

対策を練る。

何より、いつから力を過信した。

本来は俺達の方が弱いのだ。

戦いの音が聞こえ、兄弟達の悲鳴が聞こえた。

最後に、ゴブリンキング様の断末魔。

ああ、ゴブリンの巣は滅びた。

冒険者達が生き残りを探している。

1匹残らず殺すつもりだ。

正しい判断だ。

だが、俺は生き残ってやる。

気配遮断のスキルを使って、ひたすら隠れた。

うん?

様子を窺う為に開けた小さな穴から、1人の冒険者が見えた。

エルフの少女だ。

ドクン!と、俺の心臓が高鳴った。

初めての感覚だった。

欲しい!あのエルフの少女が欲しい!堪らなく欲しい!

体も心も、全てを奪いたい!

苗床に…いいや、俺の妻にしたい!

ぐっ、今は駄目だ。

見つかったら殺される。

荒れ狂う感情を必死に抑えた。

こんな気持ちが、俺の中にあったとは…。

もう1度だけ見る。

山吹色の髪をした美しいエルフの少女。

装備からして、魔導士か?

黒髪のエルフと会話していた。

 

「レフィーヤ、怪我はないか?」

 

「はい、大丈夫です!心配してくれて、ありがとうございます!」

 

「わ、私は別に…ごにょごにょ。」

 

「フィルヴィスさん?」

 

「何でもない!ほら、生き残りのゴブリン共を探すぞ!」

 

「はい!」

 

レフィーヤ。

それが、エルフの少女の名前か。

覚えた。

絶対に忘れない。

美しい姿も目に焼きつけた。

この欲望を止める事は、きっと死ぬまで無理だ。

俺は強くなる。

強くなって、彼女を俺の物にするぞ!

 

 

 

 

 

 




ゴブリンキングが死亡しました。

死者の徴兵(エインヘルヤル)が発動します。

ダンジョンマスターの魔力を無断使用し、灰で身体を構築します。

…成功しました。

魂から情報を抽出します。

…成功しました。

不必要な魂を処分し、灰の身体に情報を挿入します。

…成功しました。

灰者の軍勢に、1匹追加されました。


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ダンジョン異端記録その10(1/4)

【???パート】

誰か教えてくれ。

起きたら、いつもの部屋じゃなかった。

窓や扉が無いのは同じ。

でも天井と壁と床が、真っ白だった。

なんで!?

おまけに、ベッドで寝ていたはずが…白い椅子(ダイニングチェア)に座っている。

目の前には白い円形の卓(ダイニングテーブル)があり、向かい側に2人の人物が座っていた。

し、信じられない。

1人は、よく知っている眼帯をした美女。

知っていると言っても、小説の登場人物だが…。

魔神オティヌス。

外見だけ似ている偽者(オレ)とは違う。

態度というか、佇まいというか。

とにかく本物だと確信できた。

もう1人は50代前半くらいで、眼帯をしたイケメンおじさん。

オティヌスと会話しているけど、耳がおかしくなったか?

全然2人の声が聞こえない。

読唇術でも覚えていれば、分かったかもしれないが…。

しかし、何者だ。

イケメンおじさんは?

小説・漫画・アニメで、見た事がない。

あっ、俺に気がついたようだ。

話しかけてくるが、やっぱり声が聞こえない。

というか、喋ってみたら…声が出なかった。

出しているつもりなのだが、一切聞こえない。

困ったな。

うん?

オティヌスが、手を差し出してきた。

イケメンおじさんもだ。

握手しようって事か?

別にいいけど。

右手で、オティヌスと握手。

左手で、イケメンおじさんと握手。

ぎゃにゃああああぁっ!?

両手に痛みが走った。

熱い液体を流し込まれた感じだ。

 

「何するんだよ!」

 

えっ?

こ、声が出たぞ!?

 

「契約は成立だ。」

 

「最初の契約が終わってから、我らとの契約を果たしてくれ。」

 

いや、ちょっと待て。

オティヌスさん、契約って何!?

勝手に成立させないで!?

イケメンおじさんが言った最初の契約…アクマとの契約だよな。

 

「死なない様に、精々足掻け。」

 

「報酬の半分は前払いしておいた。異世界人よ、頑張るがいい。」

 

いやいや、ほんと待って。

2人の会話は聞こえてなかったから。

ちゅーか、俺に何も話してないよね?

最初から教えて。

報酬についても詳しく!

口を開いた瞬間、視界が大きく歪んだ。

なっ!?

この感じは…。

 

 

 

【アクマと会話パート・序盤】

やっぱりな。

目が覚めると、ベッドで寝ていた。

夢オチかよ!?

と思ったけど…両手に痛みが残っている。

夢じゃない?

むっ?

枕元に、ビー玉っぽいモノが落ちていた。

なんだこりゃ?

 

〝やっと起きましたカ〟

 

おはよう、アクマ。

2日眠るのは、俺のせいじゃないだろ?

 

〝いいエ、今回は2カ月も寝ていましたヨ〟

 

はあああああああぁっ!?

そんなに!?

どうしてだよ!?

 

〝こっちが知りたいでス!〟

 

小鬼の祭典(ゴブリンフェステバル)は、どうなった!?

 

〝成功しましたガ…冒険者達の反撃を受けテ、ゴブリンの巣が崩壊しましタ〟

 

マジで!?

侵攻したゴブリン達の全滅は、覚悟していたが…。

それ以上の損害だ。

ゴブリンキングは?

 

〝死亡しましタ〟

 

な、なんてこった。

ちょっとログフォルダで、詳しい結果を確認する。

どれどれ。

………なるほど。

苗床の大量確保も、一般市民達の殺戮も、確かに成功している。

問題があったとすれば、冒険者達の対応の速さだ。

次の日に、反撃されるとは。

 

勇者(ブレイバー)の提案でス〟

 

うわー、納得だ。

計算高さと大胆さにおいて、(フィン)を上回る者はいない。

6階層を目指していたって事は…。

ゴブリンの巣の場所を、特定していたわけか。

 

〝ゴブリンキングを倒したのモ、彼ですネ〟

 

現時点では主人公(ベル・クラネル)より、厄介な存在だな!

苗床は…。

 

〝全て奪還されましタ〟

 

だよねー。

ゴブリンの戦力増加。

絶望で貯まるデビルエネルギー。

両方とも失ったか。

 

〝残念ながラ〟

 

そういえば、何か大切な事を忘れているような…。

なんだっけ?

うーん。

………人造迷宮クノッソスだ!

や、や、やばい!

2ヵ月も経っている。

ロキ・ファミリアに見つかった!?

 

〝落ちついて下さイ、まだ見つかっていませン〟

 

見つかってない?

おかしい。

物語の流れだと、イシュタル・ファミリアの消滅まで。

いや、もっと進んでいるはずだ。

 

〝オラリオが復興中だった為、歴史に狂いが生じましタ〟

 

そうか。

小鬼の祭典が影響して…。

 

〝1週間前ニ、ヘスティアとアポロンの戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わりましタ〟

 

ロキ・ファミリアは?

 

〝メレン港デ、カーリー・ファミリアと交戦中でス〟

 

春姫の儀式に必要な殺生石は?

 

〝何者かに盗まれテ、儀式は行われていませン〟

 

本当に、歴史が狂い始めている。

原因は…まあ俺か。

 

〝ですネ!そうそウ、もう1つ違いが発生していまス〟

 

うへー。

まだあるのかよ。

 

〝アポロン・ファミリアが健在でス〟

 

なんだと?

戦争遊戯に負けたんだろ?

 

〝詳しい情報を送りまス〟

 

ぬおっ!?

頭に情報が入ってくるのは…やっぱ慣れないな。

んーと。

ここでも小鬼の祭典の影響か。

中堅ファミリアに消えて欲しくないから、ギルドが介入。

説得の末、アポロンの本拠地(ホーム)は、ヘスティアの物に。

ここは歴史通りだな。

あとは…。

ベル・クラネルにアポロンが近づいたら、罰金になると。

たとえ故意でなくても。

 

〝団員達ハ、かなり苦労しているようでス〟

 

新しい本拠地の為の資金。

何度言っても聞かないアポロンの罰金。

迷惑な主神を持つと、大変だな…。

 

〝アポロンがオラリオに健在な為、人材の流れも変化していますネ〟

 

ダフネとカサンドラか。

これが主人公(ベル・クラネル)にとって、吉と出るか凶と出るか。

 

〝しばらくハ、様子見ですネ〟

 

そうだな。

 

〝ところデ…2ヵ月も寝ていたのニ、心当たりはありますカ?〟

 

あると言えばある。

夢かと思ったけど、現実だったと思うし。

 

〝頭を打ちましたカ?〟

 

うおーいっ!

 

〝変な物を拾って食べましたカ?〟

 

さっきより酷い!?

 

〝冗談でス、話を進めて下さイ〟

 

まったく、こいつは…。

最後まで話を聞けよ。

不思議な体験をした。

あやふやところもあるが、2人の人物に会ったよ。

本物の魔神オティヌスと眼帯をしたイケメンおじさんに。

 

〝ッ!?〟

 

とりあえず、契約が成立したっぽい。

 

〝何の契約ですカ!〟

 

ア、アクマ?

 

〝詳しク!覚えている事を全部!早ク!〟

 

お、落ちつけ!

最初は全然聞こえなくて、どんな契約か分からないんだ。

分かっている事は、最初の契約が終わってから、次の契約が始まる。

 

〝終わってかラ?〟

 

ああ、そうだ。

 

〝なら問題ありませン〟

 

俺的には、大問題だけどな。

契約内容を知りたかった。

 

〝怒鳴るように聞いテ、申し訳ありませン〟

 

いいさ、気にしてないよ。

吃驚はしたけど。

 

〝契約が果たされた後なラ、貴方がどうなってもいいのデ〟

 

悪魔か、お前は!

…アクマだったわ。

 

〝くくク〟

 

なあ、ビー玉っぽいモノがあるんだけど。

何コレ?

 

〝デビルクリスタルですネ〟

 

また、ネーミングセンス最悪だな。

 

〝ほっといて下さイ〟

 

ぱっと見は、黒色のビー玉。

数は4つある。

デビルねぇ。

もしかして、デビルエネルギーが結晶化したモノ?

 

〝正解でス!よく分かりましたネ!100%になるト、クリスタルになりまス〟

 

ネーミングで、そうだと思ったよ。

100%で1個か。

つまり、デビルエネルギーが400%貯まっているわけだ。

400%?

凄い貯まっている!?

 

〝神を天界へ強制送還した成果でス〟

 

したのか!?

ログの確認を…うおっ…3柱も。

って、ソーマ!?

時期的にリリルカ・アーデは、ソーマ・ファミリアのはず。

主神を失えば、恩恵(フォルナ)は封印される。

どうなった?

 

〝ゴブリンに囲まれていましたガ、救出れさましタ〟

 

ちっ、無事か。

彼女が居なくなったら、ヘスティア・ファミリアは、大きな痛手を受けたのに。

運が良かったか。

歴史の流れが、それだけは許さなかったか。

 

〝ちなみに1柱の送還で、100%貯まりましタ〟

 

俺の予想通りか。

送還(殺害)は難しいけど、獲物としては最高だな。

3柱で300%。

残りの100%は、オラリオの一般市民達と冒険者達か。

 

〝沢山死ニ、大勢が絶望した結果でス〟

 

ゴブリンキング、苗床産ゴブリン、ゴブリンの巣。

多くを失ったゴブリン達だが…頑張ったな!

400%あれば、やりたい放題だ。

 

〝正確には今、461%貯まっていまス〟

 

OK!

早速、ダンジョンの支配階層を増や…んー。

 

〝何かありましたカ?〟

 

聞いてなかったが、俺とアクマの契約。

デビルエネルギーを貯める事だが、どれだけ貯めればいい?

丁度良い機会だ。

教えてくれ。

 

〝言っていませんでしたネ…デビルクリスタル10個でス〟

 

1000%か。

思っていたより少ない。

 

〝くくク、どのくらいと思っていましたカ?〟

 

デビルクリスタル100個ぐらい?

 

〝色々と使うのデ、10個でも困難ですヨ〟

 

確かに…。

小鬼の祭典の成果は、初の魔物侵攻が大きい。

次があっとして、成功すると限らないし。

対策を取られていると思う。

デビルエネルギーを貯めるのは、今まで通りになるか。

よし!

ダンジョンを、もっともっと強化するぞ!

 



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ダンジョン異端記録その10(2/4)

【アクマとの会話パート・中盤】

支配階層を増やす。

必要なデビルエネルギーは?

 

〝60%でス〟

 

やってくれ!

 

〝実行しまス………完了しましタ〟

 

よしよし。

どこまで支配できた?

 

〝18階層、安全階層(セーフティポイント)まで支配しましタ〟

 

また6階層も増えた!

しかも、人造迷宮クノッソスを手に入れるのに、王手(チェックメイト)だ。

だよな?

 

〝ですでス!デビルエネルギーを100%使えバ、支配可能となりまス〟

 

合計160%の消費は大きいが、それだけの価値はある。

ロキ・ファミリアが関わる前に奪い取るぞ!

 

〝分かりましタ…支配…変質化…改造…完了しましタ〟

 

やったー!

ところで、支配以外の言葉が聞こえたけど。

何をした?

 

〝人造迷宮と繋がっている複数の入り口ヲ、全て無くしましタ〟

 

えっ?

 

〝仕掛けられていた罠ハ、全て消滅させましタ〟

 

ええっ!?

 

〝中に居る者達ハ、神々や精霊の分身(デミ・スピリット)共々、閉じ込めましタ〟

 

えええっ!?

 

〝こちらかラ、新たな罠を配置可能でス〟

 

わ、わーお。

神1柱分のデビルエネルギー(100%)を使うと、そこまで出来るのか。

中に居る者達…闇派閥(イヴィルス)か。

俺のスキルの練習相手は、ゴブリンじゃなくて、こいつらにしようか?

 

〝罠ですガ、ダンジョンと人造迷宮でハ、種類が違いまス〟

 

マジで!?

確認しておくよ。

あと気になったが、地上とクノッソスを繋ぐ通路は?

 

〝いつでも作る事が可能ですヨ〟

 

なら問題なし!

神々は、タナトスとイケロスか?

他にもいる?

 

〝その2柱だけでス〟

 

そうか。

イシュタルやディオニュソスは居ないか。

残念だが、まあいいさ。

2柱でも十分だ。

 

〝各階層に配置できる罠の数が、4から5に増えましタ〟

 

いいね!

モンスターポイントは、今回6ポイントか。

うーん。

強化する魔物は…これとこれで。

これもいいな!

決まったぞ。

ゴブリン、ミノタウロス、アルミラージ、ゴライアスの4体だ!

 

〝今まで1番多いですネ〟

 

ふふふ。

決定ボタンを押して、強化完了だ!

あれ?

出来ない?

 

〝ゴライアスは普通の魔物と違うのデ、デビルエネルギーが30%必要でス〟

 

迷宮の孤王(モンスターレックス)と呼ばれる階層主だもんなー。

デビルエネルギーは大量にある。

今後集める為の先行投資と考えよう。

アクマ、頼む。

 

〝了解でス…エネルギー注入完了しましタ〟

 

改めて、決定ボタンを押す。

強化完了だ!

まずは、ゴブリンから見るか。

3段階目の強化。

覚えたのは、魔物交配。

女性型の魔物を苗床にするスキルだ。

冒険者と違って、母体から引き継ぐモノは1つだけ。

強さだ。

例えば、ハーピィを捕まえて孕ませる。

産まれたゴブリンは、ハーピィと同じ強さになる。

もっとも飛べないし、特殊能力も使えない。

あくまでも身体能力のみ。

 

〝なるほド、ゴブリンらしいスキルですネ〟

 

まあな。

弱点もある。

女性型の魔物を捕まえるのが難しい。

同じ魔物だから、罠に嵌めて捕まえる事が出来ない。

また、戦力増加まで時間が掛かる。

冒険者の苗床だと、孕んだ次の日に出産して、ゴブリンは1日で大人に成長。

魔物の苗床だと、孕んでから出産までに、1週間必要。

大人に成長するまで、更に1週間かかるらしい。

 

〝強い分、時間コストが増えた感じですネ〟

 

それと、今わかったが…。

魔物の強化は、3段階目で終了っぽい。

パソコンの画面に、これ以上の強化は出来ないと、表示されている。

 

〝成長の限界ですカ〟

 

かなり強くなったし、文句はないよ。

次は、ミノタウロス。

ファンタジーでは、有名な牛の魔物。

ダンまちでも、主人公(ベル・クラネル)と縁があったりする。

えーと、覚えたスキルは…。

身体高速回復、戦闘民族サイヤ人、爆裂魔法(口から気功破)

ううん?

 

〝有望ですネ!面白いスキルを2つも持っていまス〟

 

あー、ちょっと待ってくれ。

パソコンで、効果を確認する。

 

〝はイ〟

 

………。

 

〝………〟

 

………。

 

〝………もういいですカ?〟

 

OKだ。

俺の屍を越えてゆけ以来だな。

こんな奇想天外なスキルが発現したのは。

身体高速回復。

治癒能力を高めるスキルだ。

浅い傷なら数秒で完治。

深い傷すら数分で完治。

切断された手足とかは、さすがに回復しない。

これは、まともなスキルなんだよなー。

 

〝ですネー〟

 

攻防の優れた魔物に、回復力まで付いた。

レベル1~2の冒険者達にとって、脅威的な存在になるよ。

欠点としては、回復すればする程、飢えてしまう事。

食糧庫(パントリー)まで我慢できないと、魔物を食べる。

同族以外の魔物は、彼らにとって餌だ。

 

〝戦闘民族サイヤ人ハ?〟

 

説明しないと駄目?

 

〝駄目でス〟

 

ぐぬぬぬ!

戦闘民族サイヤ人のスキルは、3つ効果があったよ。

1つ目は斧を捨て、攻撃方法が格闘技になる。

2つ目は瀕死状態から回復すると、戦闘力(ステイタス)が大幅に上昇する。

その度に、体毛が少し黒くなるらしい。

3つ目は尻尾を、自由自在に扱える。

打撃攻撃する事も可能だ。

尻尾を強く握られると、力が抜けて動けない。

尻尾が千切れると、2度と生えない。

 

〝………サイヤ人ですネ〟

 

ダンまちで、発現するスキルじゃない!

ちゅーか!

スキル名が種族名って、なんだよ!?

 

〝最後の1つハ?〟

 

爆裂魔法(口から気功破)

ぶっちゃけると、口からエネルギー弾を放つ。

 

〝それは魔法ですカ?〟

 

どちくしょう!

魔法だよ!

何回も説明文を読んだけど、魔法って書いてあるんだよ!

1日に1発しか放てないそうだ。

ミノタウロスは本来、強制停止(リストレイト)を起こす咆哮(スキル)を持っているけど…。

どうやら、これに変わったみたいだ。

 

〝アルミラージの強化を見ましょうカ〟

 

そ、そうだな。

気を取りなおそう。

3番手は、アルミラージ。

二足歩行で歩く(ウサギ)だ。

額に角があり、割と大きい身長(パルゥム程ある)

見た目は超可愛い。

 

〝マスコットみたいですネ〟

 

確かに。

だが、見た目に騙される事なかれ!

小型の手斧(トマホーク)を自在に操り、投げて遠距離攻撃までする。

強化して得たスキルは…。

ううん?

 

〝………またですカ?〟

 

………まただね。

脱兎、ベルきゅんボイス、窃盗(スティール)の3つ。

おかしいな。

魔物の強化が、バグったかな!?

 

〝落ちついテ!深呼吸してかラ、教えて下さイ〟

 

わ、分かった。

スーハースーハー。

よし、言うぞ。

脱兎。

窃盗に成功した場合のみ発動。

逃げ足が速くなり、レベル4の冒険者でも追いつけない。

 

〝素晴らしい脚力でス〟

 

どこが!?

スキルの無駄使いだよ!

ベルきゅんボイス。

アルミラージの(オス)が、主人公(ベル・クラネル)の声で、人語を話すスキル。

何の意味が!?

 

〝謎ですネ〟

 

窃盗が、もっとも酷い。

スキルでなく、冒険者達から物を奪う魔法。

男冒険者なら、武器か魔法道具。

女冒険者なら、下着か服。

このすばのカズマかよ!?

 

〝泣いてもいいですヨ〟

 

しょうもない事で泣くか!

メチャクチャ落ちこんでいるけど…。

 

〝油断したところデ、最大級の嫌がらセ…という感じの魔物でしょうカ〟

 

嬉しくねぇー。

強化の取り消しは…無理か。

 

〝絶対とは言えませんガ、ドラクエの遊び人と同じでハ?〟

 

どういう事だ?

 

〝弱く役に立たない者でも、育てれば強くなるでス〟

 

ふむ。

そんなタイプのキャラは、稀にいるけど…。

モンスターポイントは貴重だ。

活躍したら、2段階目の強化を検討するよ。

っていうか、よくドラゴンクエストを知っていたな。

 

〝転生場所に良い世界を調べていたのデ、様々な世界を知ってますヨ〟

 

ひょっとして転生先が、ダンまち以外だった可能性も?

 

〝ありましタ!どっちにしてモ、ダンジョンマスターをしてもらいましたガ〟

 

やる事は変わらずか。

強化した魔物の最後は、ゴライアス。

お前のスキルは、大丈夫と信じているぞ!

デビルエネルギーも30%使ったし。

んーと。

孤王復活、破壊の腕、血毒。

おおっ、期待できるぞ!

 

〝良かったですネ〟

 

孤王復活。

1度倒されると、2週間は復活しないゴライアス。

しかし、このスキルによって、1週間で復活する。

これだよこれ!

こういうスキルを待っていた!

 

〝冒険者達にとってハ、悪夢のスキルですネ〟

 

破壊の腕。

左右に1本ずつ腕が生える。

へえー、4本腕になるのか!

攻撃力が増していいなー。

脱兎とは大違いだ。

 

〝引きずりますネ〟

 

血毒。

ゴライアスの血が毒となる。

毒を浴びた冒険者は、魔力を練り難くなる。

つまり、魔法を唱えられない。

または、暴走させる恐れがある。

来た来た来た!

階層主が持つに、相応しい極悪スキル!

 

〝耐異常アビリティで無効化ハ?〟

 

完全な無効化は、無理って書いてある。

アビリティのレベルが高ければ、効果が薄くなる感じかな。

ゴライアス、君の活躍を応援するよ!

 

〝ミノタウロスとアルミラージの2体ハ?〟

 

知るかあああああぁっ!

 

〝魔物の可能性を信じてあげましょウ〟

 

へいへい、分かったよ。

ダンジョンマスターだし、罠と組み合わせて、役立ってもらうさ。

それに、よくよく考えれば…。

ミノタウロスの身体高速回復と戦闘民族サイヤ人。

上手くいけば、強いミノタウロスが誕生する。

アルミラージは、冒険者達の装備を奪って、戦力の低下を狙う。

深い階層でやれば、地味にキツイはずだ。

 

〝おっト、忘れるところでしタ〟

 

ん?

どうした?

 

〝ゴブリンキング候補ト、フロッグシューターキング候補ガ、出現しましタ〟

 

一気に2体もか!?

候補の出現は、正直助かる。

キングは階層を移動するボスで、成長もする。

最高の戦力となるだろう。

必要なデビルエネルギーは20%だったよな?

 

〝そうでス!両方ともキングにしますカ?〟

 

勿論だ。

消費した合計は、230%か。

半分も使ってしまった。

だが、ゴライアス同様に先行投資。

契約を成し遂げ、俺が生きる為に!

 

〝………完了でス、パソコンで確認して下さイ〟

 

どんな感じになったかな?

楽しみ楽しみ。

おっ!

プロフィールと画像があr…ぬおおおっ!?

前のゴブリンキングと姿が違うぞ!?

 

〝別の種族に見えますネ〟

 

見た目は、緑肌のエルフの男性。

歳は20台前半ってところか。

短い黒髪に、真っ赤な瞳、尖った長耳。

装備は…。

黄金の王冠、黒い鎧、赤いマント、両手剣。

美形だし、騎士王といった感じだ。

 

〝誰モ、ゴブリンと気がつかないのでハ?〟

 

可能性は高いな。

プロフィールは…ふんふん。

苗床産のゴブリンの生き残りか!

 

〝端っこニ、童貞と書いてありますネ〟

 

そこは、スルーしてやれよ。

 

〝ゴブリンにしてハ、珍しいと思ったのデ〟

 

否定は出来ない。

苗床を…母体を大切にしていたと書いてあったし。

仲良くなって、名前(セリオン)まで付けてもらっている。

良いゴブリンか?

 

〝冒険者の殺害数は多いですヨ〟

 

悪いゴブリンだ。

スキルは妖精狂愛、目隠し鬼の隠れんぼ、エルフ耐性の3つ。

妖精狂愛は…。

魔石を喰らった時、能力値が飛躍的に成長する。

とある妖精(エルフ)を一途に想っている限り、効果は永続する。

 

〝誰かのスキルに似ていますネ〟

 

ベル・クラネルだな。

妖精って誰だよ?

プロフィールに…書いてあった!

千の妖精(サウザンド・エルフ)

レフィーヤ・ウィリディス!?

おいおい。

冒険者(ロキ・ファミリア)に、一目惚れするなよ。

 

〝前途多難な恋でス〟

 

確実に振られる恋だよ(必ず殺し合う仲だよ)

目隠し鬼の隠れんぼは…。

目を閉じている間、誰にも自分の存在を気づかれないスキル。

元々持っていた気配遮断のスキルが進化。

気配、音、匂い、触感、感知系のスキルなど、あらゆる認識を遮断する。

 

〝驚きましタ…やばいスキルでハ?〟

 

ああ、自分も見えない不利はあるけど。

使いようによっては、とんでもない脅威になるぞ。

 

〝意外な掘り出しものですネ、彼ハ〟

 

エルフ耐性は…。

エルフの物理・魔法攻撃に対して、強い耐性を持つスキル。

チートかよ。

レフィーヤの影響が、ここにも出たか。

 

〝エルフの天敵ガ、誕生しましたネ〟

 

まったくだ。

王に供物(魔石)を捧げるスキル。

異質能力(ヘタロジーニアス)もあるか。

前回のゴブリンキングより強いな。

レベル3の冒険者と1対1で戦っても、勝てるのでは?

 

〝エルフが相手なラ、レベル4でも勝てるト、予測しましタ〟

 

ゴブリン達が喜ぶぞ。

蛙大王(フロッグシューターキング)の方も確認しよう。

スキルは4つ。

巨大化・中、真・踊り食い、軟体移動、高貴なる食材(ハイ・エルフ)を我が胃袋へ。

 

〝こちらハ、異質能力(ヘタロジーニアス)は使えませン〟

 

何故だ?

 

〝そこまでの知能ガ、無いからでス〟

 

魔物だけど、蛙だしなー。

 

〝とはいエ、魔物も捕食するようになるのデ、自然と魔石を食べまス〟

 

持ってないとはいえ、キングはキングか。

巨大化・中。

コンビニと同じくらいの大きさになる。

デカっ!?

巨体過ぎて、ダンジョンを移動できなくない!?

 

〝広い場所でのみ、生息するのでハ?〟

 

かもな。

真・踊り喰い。

ルームの地面に隠れ、ルームに入った獲物を、全て丸呑みするスキル。

1人だけじゃなく、複数を丸呑みするのか。

とことん、リョナ専門の魔物だな。

 

〝巨大化・中ハ、この為だったようですネ〟

 

下手したら、一瞬で冒険者PTが全滅するな。

軟体移動。

蛸のように体を柔らかくして、細い通路も通れるスキル。

…やられた。

移動方法も持っていたのか。

スキルで。

 

〝蛙大王ヲ、少々侮っていましたネ〟

 

4つ目の高貴なる食材(ハイ・エルフ)を我が胃袋へ。

ハイ・エルフか。

ダンまちで登場するのは、1人しか知らないぞ。

 

〝リヴェリア・リヨス・アールヴですネ〟

 

スキル名からして、彼女を踊り食い(丸呑み)したいのか。

 

〝何か因縁でもあるのでしょうカ?〟

 

分からん。

とりあえず、効果の確認だ。

3km以内にいるハイ・エルフの位置を把握する。

うわー。

ストーカーも真っ青のスキルだな。

 

〝執着ぶりが分かりますネ〟

 

無理だとは思うが…。

奇跡でも起きて、九魔姫(ナイン・ヘル)を始末してくれたら、助かるよ。

 

〝頑張ってもらいましょウ〟

 

ゴブリンキングと苗床産ゴブリン達を失ったけど。

新たな戦力を得た!

冒険者達よ、覚悟しておくがいい。



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ダンジョン異端記録その10(3/4)

【アクマとの会話パート・終盤】

増えてる増えてる。

新しい罠が、5つもあるぞ。

 

〝人造迷宮の方モ、新しい罠が5つありまス〟

 

正確には、5つしかないけどな。

あと、共通の罠が1つ。

罠というより、移動手段か。

 

〝罠を配置する前ニ、18階層の設定をお勧めしまス〟

 

えっ?

設定できるのか!?

ダンジョンに、いくつか存在する安全階層(セーフティポイント)

18階層も、その1つだ。

迷宮の楽園(アンダーリゾート)とも呼ばれている。

どんな感じに設定できるんだ?

 

〝パソコンで確認ヲ〟

 

どれどれ。

地獄の楽園(ヘル・モード)と、天国の楽園(ヘブン・モード)

この2つから選ぶのか。

天国の楽園は…。

身体を治す温泉、悪夢(記憶)を消す泉、貴重な植物、地上へ帰還する魔法陣。

冒険者達にとって、癒しとなる環境に変化する。

地獄の楽園は…。

毒を持つ昆虫が増え、植物も湧き出る水も、全て毒を含むようになる。

冒険者達にとって、苦痛となる環境に変化する。

ふむ、極端な設定だな。

 

〝どちらにしますカ?設定しない選択もありですヨ〟

 

うーん。

安全階層まで、ダンジョンマスターの有利にするのは、良くないか。

アクマ、質問だ。

 

〝何でしょうカ?〟

 

身体を治す温泉の効果は?

 

〝どんあ怪我や病気も治しまス!失った部位の再生もしまス!神の奇跡のようニ〟

 

マジか!?

メチャクチャ凄いぞ、それ。

………使えるな。

宝箱以上かも。

よし!

設定は、天国の楽園にする。

 

〝デビルエネルギー50%必要でス〟

 

なっ!?

お前さ、決めてから言うなよ。

 

〝くくク、たっぷり悩んで下さイ〟

 

実行してくれ。

 

〝決断早ッ!?〟

 

驚いたけど、例え100%必要でも、即答したぞ。

天国の楽園には、それだけの価値がある。

 

〝了解でス…18階層の拡張も実行…完了しましタ〟

 

あとは、トラップポイントだな。

これも6ポイントある。

既存の罠を強化するか、もしくは進化させるか。

んー。

これを強化して…あれ?

ゴブリンの巣に、強化項目が出ている!?

 

〝2つもありますネ〟

 

ゴブリン監獄とゴブリン帝国だな。

原因は、多分だけど。

18階層まで支配したから。

 

〝可能性は高いでス!どちらにしますカ?〟

 

待ってくれ。

両方の説明を読んでみる。

…………………。

……………。

………。

 

〝20分経ちましタ…長いですネ〟

 

決めたぞ。

俺は、帝国にしようと思う。

 

〝よろしいのデ?帝国の方ガ、必要なポイントは多いですヨ〟

 

ああ、分かっている。

トラップポイントが3必要で、デビルエネルギーも50%必要だろ?

 

〝メリット・デメリットの方モ、読みましたカ?〟

 

勿論だ。

メリットは以下の通りだ。

小鬼王(ゴブリンキング)が、小鬼皇帝(ゴブリンエンペラー)に進化。

小鬼帝国(ゴブリンエンパイア)は、18階層に建国。

安全階層とは、分厚い石壁で遮られる。

ゴブリン帝国に出入りする隠し通路は、17階層と19階層に複数。

更に、オラリオの外(地上)まで続く隠し通路が1つ。

隠し通路の扉は、ゴブリンしか開けれず、2匹必要(扉の破壊は可能)。

ゴブリンの巣と同じく、苗床を捕らえておく場所。

デメリットは以下の通りだ。

ゴブリン達が、(ダンジョンマスター)の支配から離れる(独立する)

小鬼帝国は、小鬼皇帝が死ぬと崩壊する。

小鬼帝国が崩壊すると、ゴブリンの強化は全て解除される。

小鬼帝国が崩壊すると、ゴブリンの強化は2度と出来ない。

 

〝強力な分、こちらの関与は出来なくなリ、滅ぶと終わりですヨ?〟

 

構わない。

デビルエネルギーは、ちゃんと貯まるし。

アクマとの契約が終わった後。

この世界で俺が生きる為に、必要な生贄となってもらう。

 

〝何か考えがあるのなラ、反対はしませン〟

 

そういうわけで、実行する。

おっ、画面に文字が…。

帝国の完成は、2日後らしい。

完成と同時に小鬼王が、小鬼皇帝になる。

さてさて、どうなるか。

楽しみだな。

 

〝壁で遮らていますガ、18階層は3つのエリアになりますネ〟

 

迷宮の楽園、小鬼帝国、クノッソス。

冒険者達が知ったら、嘸かし驚くだろうな。

教える気はないけど。

 

〝オラリオとダンジョンでハ、揺れの弱い地震ガ、何度も起きまス〟

 

エリアを3つにする為か。

 

〝ですでス!大規模工事と同じでス〟

 

まあ、俺には関係ない。

自室は異空間にあるし。

各階層の罠の配置は、概ね完了した。

あっ…しまった。

クノッソスを忘れていた。

こっちも配置しないと。

あれ?

罠の1つが配置できない?

 

殺戮人形(ゴーレム)ですネ〟

 

原因は分かるか?

 

〝殺戮人形の素材を設定して下さイ〟

 

素材?

そんな項目は…あったよ。

見逃していたか。

魔法金属(ミスリル)超硬金属(アダマンタイト)最硬精製金属(オリハルコン)

贅沢な素材だな。

鉄とか鋼は…ないのか。

 

〝1体作るのに必要なデビルエネルギーハ、素材で変わりまス〟

 

(ミスリル)(アダマンタイト)12(オリハルコン)か。

壊れされて修理する時、必要なデビルエネルギーは…。

作る時の半分か。

結構痛いな。

 

〝どれも貴重で高い素材なのデ〟

 

確かに。

とありえず、超硬金属の殺戮人形を5体。

それから、最硬精製金属の殺戮人形を3体。

合計8体を作ってくれ。

 

〝製造しまス…成功しましタ…ランダム配置しまス…完了〟

 

うっ、眠くなってきた。

もう3時間経ったのか?

やらか…し…た…。

起きて…いる時間を…増やす…べ…き…だった。

学習しない…な…俺…ぐー。

 

〝おやすみなさイ〟

 

〝いやはヤ、眠り続けていた時は焦りましタ〟

 

〝あの2柱の干渉を受けるとハ…〟

 

〝とはいエ、契約後なら問題ありませン〟

 

〝使い終わった駒ヲ、自由に使えばいイ〟

 

〝そういえバ、魔物達の奇妙なスキル〟

 

〝他の世界の力が発現しタ…と、見るべきでしょうネ〟

 

〝私や駒の影響デ、世界と世界を遮る境界線ガ、緩んでいル?〟

 

〝契約が終われバ、繋がりは切レ、境界線も安定するでしょウ〟

 

〝さア!再び冒険者達ニ、死と絶望ヲ〟

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層から17階層に、罠を配置しました。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダⅠを開いて下さい。

 

※媚薬雨・強(興奮状態(エロエロ)にする)

媚薬雨・弱を、媚薬雨・強に強化します。

………成功。

見た目は桃色の雨。

配置された階層で、雨の降らない場所はない。

雨は容赦なく、冒険者達を濡らす。

媚薬は、肌から徐々に浸透。

最初はムラムラする程度。

しかし、濡れた範囲が広がる度に…。

もしくは、濡れた場所によって、効果は上昇します。

気化もしており、階層全域に漂っています。

呼吸だけでも超危険に。

耐異常のアビリティでも、無効化は不可。

ただし、熟練度が高い場合やレベルが高い場合は効き難い。

魔物に効果なし。

1度配置すると、解除にトラップポイントが1必要。

配置コスト:特殊

 

吸い取る縫いぐるみ(エクセリアイーター)

地面に落ちている縫いぐるみ。

外見は小さな熊で、とてもラブリー。

ギュッと抱きしめれば、魔石に変化する。

その際、微量の経験値(エクセリア)を失う。

1階層にしか配置できない。

配置すると階層から、魔物の姿が全て消え、出現しなくなる。

大量の縫いぐるみが、落ちているだけの階層に。

他の罠の配置は不可。

縫いぐるみの破壊は不可。

階層からの持ち出しは不可。

1度配置すると、解除にトラップポイントが1必要。

配置コスト:特殊

 

HO(ヒャッハー!汚物は消毒だ!)

天井・壁・床に隠された火炎放射器。

生物が近づくと放たれる。

射程距離は長く、火炎の熱は極悪。

場所によっては、酸欠を引き起こし窒息死させる。

1度火炎を放つと、30分のクールタイムが必要。

破壊された場合は、自動修復されて、24時間後に復活する。

魔物はHOの位置が見える。

配置コスト:2

 

※ゴブリンの旗

ゴブリン達の為に作られた勝利の旗。

ゴブリン神が作った神器とも云われている(真実は誰も知らない)。

旗の数は3つ。

2階層から17階層に、ランダムで配置される。

ゴブリンが旗を持って振ると…。

そのゴブリンを中心に、直径200mの魔法陣が発動。

魔法陣の中に冒険者が入れば、レベルが1ダウンする。

魔法陣から出れば、レベルは元に戻る。

魔法陣は、旗を振るのを止めると、即座に消滅する。

本当の脅威は、ここから。

振っている旗の数が増えると、効果も増える。

2本なら、レベルが2ダウン。

3本なら、レベルが3ダウン。

制約として、ゴブリンは1つの旗しか持てない。

旗を持つゴブリン達は、互いの距離が3m以内であること。

それ以上離れた場合、レベルダウンの効果は減少する。

旗は破壊されると、復活まで2週間必要。

復活後は、またランダムに配置される。

ゴブリン以外の者は、旗を持てない(破壊は可)。

魔法陣の効果は、冒険者だけでなく、ゴブリン以外の魔物にも有効。

配置コスト:特殊

 

※突き刺さる種

天井・壁・床に張り付いている植物の種。

茶色で、大きさは1cm程。

先端は鋭く尖っている。

冒険者が近づくと、物凄い勢いで突っ込んでくる。

服や肌を突き破って体内へ。

血を吸い、根を張り、3分で成長する。

薔薇に似た一輪の赤い花が咲く。

刺さった冒険者の精神力を、花から放出。

抜かなければ、精神枯渇(マインド・ゼロ)となり、気絶状態に。

抜く時は激痛が走る。

魔物には反応しない。

配置コスト:1

 

※魔死茸

見た目は、岩や地面に生えている普通の茸。

しかし、危険な胞子を常に飛ばしている。

抵抗に失敗すると…。

全ての者が敵に見える幻覚に陥る。

市販の解毒剤を飲ませれば、幻覚は消える(暴れている人間に、飲ませれるといいですね)

耐異常のアビリティでも、無効化は不可。

ただし、熟練度が高い場合やレベルが高い場合は、幻覚に掛かり難い。

幻覚状態のまま死ぬと、死体が魔死茸に乗っ取られる。

死体からは魔死茸が大量に生え、新たな犠牲者を求めて彷徨い歩く。

魔物に効果なし。

配置コスト:2

 

小鬼帝国(ゴブリンエンパイア)

詳しい説明は、建国後に表示されます。

 

※蜃気楼ゲート

ダンジョンのどこかに、ランダムで出現する扉。

扉の先は、人造迷宮クノッソスに繋がっている。

冒険者達が入ると、蜃気楼だったかの如く、忽然と存在は消える。

誰も入らなかった場合、24時間経過の後、別の場所へ移動する。

冒険者達が入った場合、冒険者達が脱出するか全滅するまで、扉は出現しない。

1階層に出現しないが、18階層には出現する。

人造迷宮クノッソスと共通の罠。

配置コスト:特殊

 

吸い取る縫いぐるみ(エクセリアイーター)を、1階層に配置しました。

1階層から魔物の出現及び、他の罠の配置が不可となります。

 

媚薬雨・強を、12階層に配置しました。

 

どこかに、蜃気楼ゲートが出現しました。

 

小鬼帝国(ゴブリンエンパイア)が、18階層に建国されます。

完成まで2日間。

18階層を、3つのエリアに分けます。

人造迷宮クノッソス、迷宮の楽園、小鬼帝国。

認知・行き来できないように、分厚い石壁で遮ります。

 

18階層の設定を、天国の楽園(ヘブン・モード)にします。

 

強化された魔物達の制限が、一部解除されます。

2階層から17階層まで、活動範囲が広がりました。

ゴブリンは、ダンジョンマスターから独立する為、制限は全て解除されます。

 

ゴブリンの旗の状況は、以下の通りです。

ゴブリン所持:0、破壊数:0、未発見:3 

 

1~18階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダⅠを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

1階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、女性、レベル1)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル1)

探索結果。

大量の魔石と引き換えに、経験値を消失した。

冒険者達は、大量の吸い取る縫いぐるみ(エクセリアイーター)を発見した!

冒険者達は、変化する方法に気がついた!

冒険者達は、大量に抱きしめている(昨日酒場の近くに、白い猫が2匹いたよね)

冒険者達は、大量に抱きしめている(そうだったな…あれ?何匹だっけ?)

冒険者達は、大量に抱きしめている(何ボケてるのよ?白い…犬だったかな?)

冒険者達は、大量に抱きしめている(違うだろ。えーと…何色だ?)

冒険者達は、大量に抱きしめている(確か…宿屋の近く?)

冒険者達は、大量に抱きしめている(今日の朝…見たか?)

冒険者達は、大量に抱きしめている(忘れちゃったね。)

冒険者達は、大量に抱きしめている(まあいいか!)

冒険者達は、大量に抱きしめている(だね、魔石が大量だよ♪)

 

≪ログ報告その2≫

13階層で、ミノタウロス3匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者B(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者C(エルフ、女性、レベル2)

戦闘結果。

ミノタウロス達の全滅。

冒険者Aは、ミノタウロスと戦っている(こいつら、いつもと違うぞ!?)

冒険者Aに、ダメージ・小

冒険者Aは、ミノタウロスの回復に驚いている(馬鹿な…傷があっという間に!?)

冒険者Aに、ダメージ・中

冒険者Aは、防御を捨てて渾身の一撃(一気に決めないと、やばい!)

冒険者Bは、ミノタウロスと戦っている(素手じゃと…斧はどうした!?)

冒険者Bに、ダメージ・小

冒険者Bは、ミノタウロスの格闘技に驚愕した(ぐあっ!斧の時より手強いぞ!?)

冒険者Bに、ダメージ・大

冒険者Bは、技を捨てて力任せに攻撃した(まさか、技で魔物に負けるとは!)

冒険者Cは、ミノタウロスと戦っている(以前より、好戦的過ぎない!?)

冒険者Cに、ダメージ・小

冒険者Cは、ミノタウロスの行動に仰天した(口を開いて何を?…魔力の気配!?)

冒険者Cに、ダメージ・中

冒険者Cは、消耗を考えず全力で魔法を放った(あれはさせたら、駄目な行動だわ!)

 

≪ログ報告その3≫

15階層で、アルミラージ7匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(エルフ、女性、レベル2)

冒険者C(エルフ、男性、レベル2)

冒険者D(パルゥム、女性、レベル2)

戦闘結果。

アルミラージ達の脱兎(逃走)

冒険者Aは、耳を疑って動けない(アルミラージが…しゃ、喋った!?)

冒険者Aは、魔法攻撃を受けた(なんだ!?何をされた!?)

冒険者Aは、武器を奪われた(とにかく倒…武器がないだと!?)

冒険者Aは、アルミラージに逃げられた(返せ!まだ借金があああああああぁっ!)

冒険者Bは、兎型の魔物に悶えている(兎が言葉を…可愛い)

冒険者Bは、魔法攻撃を受けた(駄目よ、私!あれは魔物!倒すべき存在!)

冒険者Bは、下着を奪われた(えっ?下半身が…開放的な気が…)

冒険者Bは、アルミラージに逃げられた(その手に持ってるの…私の下着!?)

冒険者Cは、危機感を感じて動けない(またダンジョンに異変が!?)

冒険者Cは、魔法攻撃を受けた(魔力の流れ…今のは魔法か!)

冒険者Cは、武器を奪われた(強制的に物を奪う効果…こいつら危険だ!)

冒険者Cは、アルミラージに逃げられた(早っ!?ぐぬぬっ、追いかけるのは不可能だ)

冒険者Dは、冷静に観察している(ゴブリン騒動が落ちついたら、次は兎か)

冒険者Dは、魔法攻撃を受けた(でも、どっかで聞いた声よね?)

冒険者Dは、魔法攻撃を受けた(スティールって、叫んでいる?)

冒険者Dは、魔法攻撃を受けた(身体が軽くなったような…)

冒険者Dは、魔法攻撃を受けた(急に肌寒くも…)

冒険者Dは、魔法攻撃を受けた(みんなが、あたしを見て…なっ!?)

冒険者Dは、全裸になった(下着は!?服は!?)

冒険者Dは、手で大事な所を隠した(ちょ、男2人!こっち見ないで!ぶっ殺すわよ!)

冒険者Dは、アルミラージに逃げられた(お、覚えておきなさいよおおおおおおおおおっ!)

 

≪ログ報告その4≫

5階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(獣人、男性、レベル3)

冒険者B(獣人、男性、レベル2)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル2)

探索結果。

HO(ヒャッハー!汚物は消毒だ!)により、PT半壊。

冒険者Aは、警戒しながら進んでいる。

冒険者Aは、T字路に近づく(正面の壁に隠されたHOに気がつかない)

冒険者Aに、火炎放射(回避に失敗!)

冒険者Aに、ダメージ・特大

冒険者Aは、火達磨になった(燃える装備により、炎の追加ダメージ!)

冒険者Aは、死亡した。

冒険者Bは、冒険者Aの後ろを歩いている。

冒険者Bに、火炎放射(回避に失敗!)

冒険者Bに、ダメージ・特大

冒険者Bは、黒焦げになった。

冒険者Bは、死亡した。

冒険者Cは、冒険者Bの後ろを歩いている。

冒険者Cに、火炎放射(回避に成功!)

冒険者Cは、恐怖で動けない(仲間達は燃やされている)

冒険者Cは、焼死体を見て吐いた。

冒険者Cは、叫びながら逃げた。

 

続けて、人造迷宮クノッソスのログを表示します。

ガガガッ…ピー…ガガ…エラー発生。

修復します。

しばらくのお待ちを。



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ダンジョン異端記録その10(4/4)

【クノッソスパート】

ガガ…ガッガガガ…ピーピー…修復が完了しました。

各階層の罠を配置しました。

罠を確認する際は、トラップフォルダⅡを開いて下さい。

 

※ペンデュラム

刃の付いた巨大な振り子。

通路等に配置されており、獲物が来るのを待っている。

タイミングよく通り抜けないと、身体を切断される。

最硬精製金属(オリハルコン)で作られており、破壊は難しい。

破壊されても殺戮人形によって、短時間で修理完了。

1度配置すると、解除にトラップポイントが1必要。

配置コスト:2

 

※洗脳椅子

拘束具の付いた椅子に固定され、頭に奇妙なヘルメットを付けられる。

自力脱出は不可能。

ダンジョンマスターの忠実な手駒になるべく、洗脳魔法を頭に流されてしまう。

レベルが高くても、精神力が強くても、徐々に洗脳されていく。

洗脳値が100になると、洗脳完了。

洗脳の解除は至難。

写真にペンキを塗って、元に戻せる?という感じである。

配置コスト:1

 

※回転ノコギリ

細く深い溝を見つけたら、御注意を。

侵入者が近づくと、円状のノコギリが高速回転して、襲いかかってくる。

天井・壁・床と、あらゆる場所に配置されている。

円状のノコギリは溝の中しか移動できない。

最硬精製金属(オリハルコン)で作られており、破壊は難しい。

破壊されても殺戮人形によって、短時間で修理完了。

1度配置すると、解除にトラップポイントが1必要。

配置コスト:1

 

殺戮人形(ゴーレム)

侵入者を殺戮する為に作られた人形。

殺戮人形の強さは、3パターン。

魔法金属(ミスリル)で作られた下級・殺戮人形。

超硬金属(アダマンタイト)で作られた中級・殺戮人形。

最硬精製金属(オリハルコン)で作られた上級・殺戮人形。

大破しない限り、自己修復機能で復活。

破壊された罠を修理する機能も搭載。

特定の人物と戦った場合、勝利しても殺さず、洗脳椅子へ連行する。

配置コスト:特殊

 

※落とし穴・針山

両開きになる床で、隠された落とし穴。

配置された場所によって、大きさは異なる。

落とし穴の中は、鋭い針が無数にあり、落ちた者は串刺しだ。

落ちた者が死ぬと床は閉じる。

破壊されても殺戮人形によって、短時間で修理完了。

配置コスト:2

 

※蜃気楼ゲート

クノッソスのどこかに、ランダムで出現する扉。

扉の先は、ダンジョンに繋がっている。

扉の中に入ると、蜃気楼だったかの如く、忽然と存在は消える。

クノッソスから脱出する唯一無二の手段。

ダンジョンと共通の罠。

配置コスト:特殊

 

クノッソスにて、起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダⅡを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

3階層で、中級・殺戮人形1体が闇派閥達と遭遇。

闇派閥A(獣人、男性、レベル2)

闇派閥B(ヒューマン、男性、レベル3)

戦闘結果。

闇派閥達の全滅。

闇派閥Aは、知らない存在に戸惑っている(バルカ様の作った物か?)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に踏み潰された!

闇派閥Aに、ダメージ・特大

闇派閥Aは、真っ赤な水たまりを作って死亡。

闇派閥Bは、中級・殺戮人形の強さに恐怖した(なんだ!?この巨体の化物は!?)

闇派閥Bは、中級・殺戮人形に攻撃(ダメージ・皆無)

闇派閥Bは、中級・殺戮人形に頭を掴まれた!

闇派閥Bに、ダメージ・即死級

闇派閥Bは、頭を砕かれて死亡。

 

≪ログ報告その2≫

8階層で、闇派閥達が出入口を探している。

闇派閥A(ヒューマン、女性、レベル2)

闇派閥B(ヒューマン、男性、レベル2)

闇派閥C(エルフ、女性、レベル2)

探索結果。

潰され切断され全滅。

闇派閥Aは、出口を探している(どうなっているのよ!外に繋がる出入口がないわ!)

闇派閥Aは、ペンデュラムと遭遇(何よ、これ!?)

闇派閥Aは、悩んでいる(通り抜けたいけど、失敗したら…)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の接近に気がついた(敵!?に、逃げないと!)

闇派閥Aは、通り抜けるのに失敗!

闇派閥Aに、ダメージ・即死級

闇派閥Aは、胴体を真っ二つに切断されて死亡。

闇派閥Bは、出口を探している(映像の魔法具が作動していない…何故だ)

闇派閥Bは、ペンデュラムと遭遇(俺達が仕掛けた罠も、別の罠になっている)

闇派閥Bは、苦悩している(ダンジョンの異変が…クノッソスにも?)

闇派閥Bは、中級・殺戮人形の接近に気がついた(魔物…じゃない!?)

闇派閥Bは、ペンデュラムの犠牲者(闇派閥A)を見た(ひいっ!真っ二つに…アレは通りたくない!)

闇派閥Bは、中級・殺戮人形に殴られた!

闇派閥Bに、ダメージ・即死級

闇派閥Bは、骨と内臓を潰されて死亡。

闇派閥Cは、出口を探している(まだ…死ねない)

闇派閥Cは、ペンデュラムと遭遇(役に立って…タナトス様に)

闇派閥Cは、ブツブツと呟いている(生まれ変わっても…またあの人と)

闇派閥Cは、中級・殺戮人形の接近に気がついた(それまで…生きる)

闇派閥Cは、仲間達を見捨て逃げた(情報を届ければ…認められる?)

闇派閥Cは、仲間達の断末魔を聞いた(早く…早く…離れる)

闇派閥Cは、中級・殺戮人形に掴まれた!

闇派閥Cに、ダメージ・特大

闇派閥Cは、胴体を握り潰された(こ、こんなところで…)

闇派閥Cは、ペンデュラムの方へ投げ捨てられた!

闇派閥Cに、ダメージ・即死級

闇派閥Cは、首を切断されて死亡。

 

≪ログ報告その3≫

10階層で、敗北した闇派閥が連行されている。

闇派閥A(ヒューマン、女性、レベル5)

連行結果。

洗脳椅子に…。

闇派閥Aは、大怪我をしている(くそっ、この人形め!)

闇派閥Aは、上級・殺戮人形に連行されている(手下共は、全員瞬殺された!)

闇派閥Aは、必死に打開策を考えている(助けは…期待できないか)

闇派閥Aは、上級・殺戮人形から逃げようと藻掻く(レベル5の私が赤子扱いかよ!)

闇派閥Aは、洗脳椅子に固定された(なんだいこりゃ!?)

闇派閥Aは、ポーションを強引に飲まされた(回復させて、どうするつもりだ?)

闇派閥Aは、奇妙なヘルメットを付けられた(やばい!嫌な予感が…外せえーっ!)

闇派閥Aに、洗脳魔法が流される(ぐああああああっ!)

闇派閥Aは、洗脳中である(洗脳値0→12)(フィンを殺すまでは…あああっ!?)

 

≪ログ報告その4≫

9階層で、闇派閥達が出入口を探している。

闇派閥A(ドワーフ、男性、レベル2)

闇派閥B(パルゥム、男性、レベル2)

闇派閥C(ヒューマン、男性、レベル2)

探索結果。

切り刻まれて全滅。

闇派閥Aは、迷宮に違和感を感じた(灯りが薄暗くなっている?)

闇派閥Aは、金属の回転する音を聞いた。

闇派閥Aに、ダメージ・大(回転ノコギリだ!右足を切られた!)

闇派閥Aは、転倒した。

闇派閥Aは、複数の回転音を聞いた。

闇派閥Aに、ダメージ・特大(回転ノコギリだ!両腕と左足を切られた!)

闇派閥Aは、出血多量で死亡。

闇派閥Bは、壁・床・天井の細長い溝に気がついた(何だこれは?至る所にあるぞ!)

闇派閥Bは、溝を覗いて見た。

闇派閥Bは、金属の回転する音を聞いた。

闇派閥Bに、ダメージ・即死級(回転ノコギリだ!顔を真っ二つに切られた!)

闇派閥Bは、脳漿をぶちまけて死亡。

闇派閥Cは、仲間達に声をかけた(なあ、早く戻ろうぜ)

闇派閥Cは、金属の回転する音を聞いた。

闇派閥Cは、壁から離れた!

闇派閥Cは、ダメージ・極小(回転ノコギリだ!肩を掠った!)

闇派閥Cは、床を転がる

闇派閥Cは、ダメージ・小(回転ノコギリだ!脇腹を少し切られた!)

闇派閥Cは、無数の回転音を聞いた。

闇派閥Cに、ダメージ・即死級(回転ノコギリだ!床と壁、更に天井からの全方位!)

闇派閥Cは、細切れ肉されて死亡。

 

現状報告。

殺戮人形達は、侵入者及び闇派閥達を、探索抹殺中(サーチ&デストロイ)

下級・殺戮人形の数:0体

中級・殺戮人形の数:5体

上級・殺戮人形の数:3体

 

洗脳椅子に固定されている者:1名

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

ふわー、よく寝た。

本物のオティヌスとイケメンおじさん。

今回は現れなかった。

あの時だけで、終わりか?

ベッドから起き上がり、パソコンの電源を入れる。

さてさて。

小鬼帝国(ゴブリンエンパイア)は、どうなったかな?

確認しないと。

………よし、ちゃんと建国できている。

小鬼王(ゴブリンキング)小鬼皇帝(ゴブリンエンペラー)へ進化可能だ。

あとで、アクマと一緒にやろう。

他には…あれ?

ゴブリンの巣・追加施設セット①が変化している。

解体小屋と淫蝕(飲食)場が融合して、苗床牧場に!?

新しく、苗床館っていう施設もある。

更に増やせるみたいだが、デビルエネルギーでは出来ない。

独立した影響か。

条件を満たす事で、増えるようだ。

頑張れ、ゴブリン達!

ダンジョンの方は…大きな変化は無しと。

HO(ヒャッハー!汚物は消毒だ!)が、結構強力だな。

魔物は、アルミラージが活躍していた。

予想通り、地味に。

窃盗した物は、どうするのか?

ちょっと気になった。

特に下着。

クノッソスの方は…エグイな。

容赦なく殺されている。

まあ仕方ないか。

俺の隠れ家にしたいから、情報源になりそうな者は、1人たりとも逃がさない。

勿論、神々と精霊の分身達も。

美味しそうな御馳走(デビルエネルギー)だし。

おっと、忘れていた。

闇派閥(イヴィルス)が全滅する前に、やる事があった。

いよいよ、自分の力とスキルの練習をする。

練習相手はゴブリン達でなく、闇派閥(彼ら)だ。

使い潰したところで、誰も困らない。

俺の役に立ってもらおう。

ふふふ。

パソコンの電源を落とs…うん?

知らないフォルダがあるぞ。

洗脳フォルダ。

クリックすると、1人洗脳中と表示された。

誰だ!?

ヴァレッタ・グレーデ。

殺帝(アラクニア)かよ!

えーと、ログは…。

あったあった。

上級・殺戮人形に負けて、洗脳椅子に連行されたのか。

レベル5だし、手駒として優秀なのは間違いない。

問題は、洗脳した後の状態だ。

人格はそのままで、命令に従うタイプ?

命令を聞くだけの、人形と化すタイプ?

彼女で実験だな。

洗脳が完了するまで、逃がさない様にしよう。



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※運命が変わった冒険者達の話その5「陽の花」

皆様、お久しぶりです。

初めての人は、こんにちわ!

冒険者…もとい聖典(BL本)の描き手、ゼーリエです。

私は今日も、精力的に制作活動をしています。

2か月前、ダンジョンから魔物達の侵攻がありました。

ギルドの尽力もあり、かなり復興は進みました。

しかし、心の傷は簡単に癒せません。

何かしたい。

人々の笑顔が取り戻せるように。

1人で考え、仲間達と考え、主神様と考え。

出た結論は…聖典(BL本)を1つでも多く描くこと!

この素晴らしい真実の愛で、元気になって欲しいのです!

ただ、問題も1つ。

今だに見つかると捕まってしまいます(無断使用した推し達に)

世間に認められるまで、引き続き暗躍するしかありません。

 

「ゼーリエ!メイド服が手に入ったよ!」

 

「本当ですか!」

 

「ええっ!推しが着ていたのと、まったく同じ物よ!」

 

「ひゃほーい!」

 

…コホン。

お見苦しいものを、お見せしました。

魔物討伐・救出作戦の際、推しが…王者(オッタル)が着ていたのです。

メイド服を!

私の所属するファミリアに、激震が走りました。

誰のメイドになったの!?と。

本人に聞くわけにも行かず…真相は謎のまま。

でも、作戦に参加した冒険者から、貴重の情報を入手しました。

王者(メイド)を労う勇者(御主人様)の姿を。

ああああああああああああああああああああああああああっ!

妄想が止まりません!

最高の萌えです!

団員達も鼻血と涎が止まらず、大変な有様でした。

心を落ちつかせる為、私は不眠不休で、聖典(BL本)を仕上げました。

タイトルは『僕の可愛いメイドは猪耳』。

上巻・中巻・下巻と、3部構成の大作です!

最高の聖典(BL本)に、主神様も褒めてくれました。

………まあ3日後に回収され、本人(オッタル)の手で破り捨てられましたけど。

私の産んだ我が子(描いたBL本)が!

挫けません。

続編の『猪耳メイドにお仕置きを~御主人様はドS~』を鋭意制作中です!

メイド服は、次の聖典の資料となります。

 

「出掛けるので、大切に保管して下さい」

 

「了解!」

 

大半の人々が寝静まった深夜。

黒いローブを身に纏い、仮面で顔を隠し、裏道を移動します。

向かう先は…聞いて驚かないで下さい。

資金援助してくれる方の所です。

なんと私達に、スポンサー様が付きました!

隠れ家も複数提供してくれます。

感謝の言葉しかありません。

見返りは、スポンサー様の望む聖典(BL本)を描くこと。

お安い御用です!

 

「周囲に…人は居ませんね。」

 

何事もなく、無事に到着しました。

ふうー。

スポンサー様の正体は、絶対の秘密。

細心の注意を払わないと。

 

「待ちかねたぞ。」

 

「遅くなって、申し訳ありません。」

 

目の前にいるのは…。

先週、戦争遊戯(ウォーゲーム)に敗北した男神。

アポロン様です。

以前の拠点は、女神ヘスティア様に奪われたので、新しい拠点を建設中とか。

ファミリアの方々は、必死に金策しているようです。

 

「ああ、本で我慢するしかないとは!」

 

想い人に会いたいアポロン様。

ちなみに想い人とは、ヘスティア・ファミリアの団長ベル・クラネルさん。

白髪に赤い瞳で、兎っぽい可愛い少年です。

敗北の条件の1つに、今後彼に近づかない事が含まれています。

破った場合は、高額な罰金です。

既に3回罰金となり、大きな痛手になっているとか。

御愁傷様です。

アポロン様でなく、ファミリアの方々が…。

もう近づかないで下さい!と、眷属達に懇願されて、聖典(BL本)に手を出したそうです。

 

「こちらが頼まれた『兎は太陽の甘い熱で、ドロドロに溶かされる』です。」

 

「ふぉおーーーーーーーっ!」

 

奇声を上げて歓喜するアポロン様。

頑張った甲斐があります。

 

「ゼ、ゼーリエさん、お菓子と紅茶です。ど、どうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

少しオドオドしながら、歓待(おもてなし)してくれたのは、カサンドラさん。

アポロン・ファミリアの治療師(ヒーラー)です。

アポロン様と私を繋ぐ、パイプ役(連絡要員)でもあります。

何より彼女は、大切な同志(・・)です。

 

「あの…また聖書(BLライトノベル)を…書きました。」

 

「拝見しますね。………ああっ、さすがです!」

 

文章だけで、ここまで真実の愛を表現するなんて!

カサンドラさんは、間違いなく天才です。

仲間達も絶賛していました。

 

「戻ったら、早速聖典(BL本)にしますね。」

 

「お、お願いします。」

 

私の描いた聖典(BL本)を読んで、彼女は才能を開花させました。

1度読み始めると、終わるまで止まらない仕上がり。

まさに、聖書(BLライトノベル)の未来を担う者。

感動した仲間達は挙って、挿絵を担当したいと言います。

駄目です、却下です、諦めて下さい。

描くのは私です!

 

「その、思ったのですが…アポロン様×小兎さん(ベル・クラネル)を、反対に…。」

 

「攻めと受けを、反対って事ですか?」

 

「は、はい…普段は可愛い兎さんだけど…ほ、本当は猛獣という設定に。」

 

「なっ!?」

 

制作中の続編に似ていますが、大きな違いがあります。

登場人物の性格(キャラの属性)です!

私は勇者(フィン)を、爽やか腹黒と思っています。

勝手なイメージですし、人によっては異なるでしょう。

ベル・クラネルさんが…草食動物ではなく、実は肉食動物。

良い!

凄く良いです!

 

「私が攻められるだと!?」

 

「「っ!?」」

 

アポロン様が、凄い形相で叫びました。

カサンドラさんと抱き合って震えます。

怒らせてしまった!?

攻めじゃないと駄目でしたか!?

 

「ベルきゅんに、メチャクチャにされる…素晴らしいぞ!」

 

あっ、OKのようでした。

愛するばかりで、愛されるのに飢えていたのかもしれません。

 

「ゼーリエ!」

 

「は、はい!」

 

「ベルきゅんに攻められる本を描いて欲しい!」

 

「カサンドラ!」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「よくぞ思いついてくれた!」

 

新しい聖典(BL本)の依頼を頼まれました。

お任せ下さい!

新しい萌えに、妄想が止まりません。

上機嫌のアポロン様と恐縮しているカサンドラさん。

2人に会釈して、急いで帰ります。

描きかけの聖典(BL本)が1冊、頼まれた聖典(BL本)が1冊、描きたい聖典(BL本)が1冊。

忙しくなりますが、ちっとも苦になりません。

喜びすら感じます。

全ては、下界に聖典(BL本)を広める為に!

 

 

 

 

 

 




【アポロン】
本来は、本拠地及び全財産没収。
オラリオから追放されてしまう。
しかし、小鬼の祭典の影響で、追放を免れた。
ベル・クラネルに近づくと罰金の為、BL本という禁書に手を出す。
ゼーリエ達のスポンサー。

【カサンドラ・イリオン】
本来は、アポロン・ファミリア解散後、ミアハ・ファミリアに改宗。
だが、アポロン・ファミリアが継続した為、改宗しなかった。
ゼーリエと出会い、腐女子にレベルアップ!
更に、BLライトノベルの才能を開花させた。
最近はBL関係で、アポロンに褒められまくっている。


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※運命が変わった冒険者達の話その6「夜の花」

更新が遅くなって、申し訳ありません。
残業地獄の中、右肩を痛めて…寝込んでいました(≧◇≦)
ふふふ。
11月11日には出張ですよ…がふっ(吐血)。







あー、暇だなー。

夜になるまで、歓楽街は静かだ。

客は来るけど、良い男が少ない。

出歩くのも、ちょっとまずい。

今は主神様(イシュタル様)の機嫌が、非常に悪い。

殺生石が盗まれて、大激怒。

怖い怖い。

うっかり出会って、とばっちりでも受けたら最悪だ。

大人しくしとこー。

盗んだ犯人か。

誰だろうね。

倉庫を警備していた戦闘娼婦達(バーベラ)は、全員殺された。

あたしより、強い仲間もいたのに。

 

「ねえ、コルネ。」

 

「どうしたの、キリシ?」

 

「…邪神様(タナトス様)から連絡あった?」

 

「…無いよ。出入口もね。」

 

「そっかー。」

 

主神様の機嫌が悪い、もう1つの理由。

邪神様と連絡が途絶えた。

打倒フレイヤ・ファミリアの為に、闇派閥(イヴィルス)と手を結んでいる。

これは極秘事項。

戦闘娼婦達でも、知っている者は極一部。

闇派閥は、なんと!

人造迷宮(クノッソス)を作り、そこを拠点(ホーム)にしていた。

悪い事をするのに最適だったけど、行けなくなった。

あったはずの出入口が、全て消えた。

あたし達は大混乱だよ。

討伐された情報は聞かないし、どうなったのやら。

困ったね。

カーリー・ファミリアだっけ?

関わる話があったけど、結局有耶無耶に。

 

「改築の件は聞いてる?」

 

「聞いてるよー。」

 

コルネの言った改築。

歓楽街で1番人気の娼婦。

春姫が居る店を、大きく改築するのだ。

本当に出世したなー。

初心だった春姫が、男を知ったら、ああなるとは…。

良い男達を手玉に取っちゃうし。

同じ女のあたし達も、あの色気にメロメロだよ。

おまけに、ステイタスを更新したら、みんな驚いた。

特殊能力(スキル)と魔法が発現したのだ。

どちらも反則(チート)で、情欲(エロス)に染まっていた。

ウチデノコヅチだけでも、凶悪なのに。

主神様も春姫を、生贄から外すかもしれない。

………。

ううん、外すね。

死なすのは勿体ない。

損失の方が、大きくなってしまった。

だからかもね。

積極的に戦闘娼婦達を、ダンジョンに行かせている。

経験を積ませて、ランクを上げる為に。

あたしも明後日になったら、行かないと…。

面倒だなー。

正当法で頑張っても、フレイヤ・ファミリアには…勝てないと思う。

 

「そうそう、明日帰って来るわよ。」

 

「えっ?誰が?」

 

「あんたねえ、ネイスン達よ!」

 

「ごめんごめん。帰って来るのか、嬉しいね。」

 

ネイスン、カネス、バリナ。

ダンジョンでゴブリン達に捕まり、苗床にされた仲間達。

救出後は、酷い状態だった。

冒険者としても、女性としても、もう駄目かと思った。

でも、タルウィ・ファミリアのおかげで、元気になった!

被害を受けた冒険者達の為に、治療施設を自費で建設。

肉体の治療だけでなく、精神の治療(カウンセリング)まで。

ギルドも被害者の関係者達も、みんな感謝していた。

勿論、あたしも!

神様(タルウィ様)は、善神だね!

 

「準備するわよ。」

 

「ダンジョン?復帰歓迎会?どっち?」

 

「両方!」

 

だよねー。

予定通りなら姉御達(アイシャ)が、今日帰って来る。

ダンジョンから。

 

「レナが、足引っ張ってないと良いけど。」

 

「大丈夫よ、サミラも傍に居るから。」

 

確かに。

なんやかんやで、面倒見が良いんだよね。

じゃあ、頑張って準備しますか!

 

 

 

 

 

 




【キリシ】
イシュタル・ファミリアのアマゾネス。
本来は、殺帝アラクニアの放った暗殺者の手によって死亡。
人造迷宮クノッソスが封鎖された為、人生が変わる。


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ダンジョン異端記録その11

【アクマと会話パート】

 

〝報告が1つありまス〟

 

どうした?

 

〝閉鎖空間にした人造迷宮ニ、侵入しようとした者がいまス〟

 

なっ!?

ロキ・ファミリアか!?

 

〝いエ、怪人(レヴィス)でス〟

 

怪人(クリーチャー)かよ!

人間と怪物の混合種であり、ダンまちの外伝(ソード・オラトリア)に登場する強敵。

狙いは…精霊の分身達(デミ・スピリット)

 

〝おそらク〟

 

放置しておくのは、危険かなー。

 

〝何故ですカ?デビルエネルギーを使ったのデ、侵入は非常に困難でス〟

 

それは心配してない。

俺が不安なのは…。

怪人達から、クノッソスの情報が洩れる事だ。

ロキ・ファミリアが知れば、動く可能性は高い。

 

〝なるほド、早急に手を打ちたいですネ〟

 

ああ。

ちなみに今、俺とレヴィスが戦ったら、どっちが勝つ?

 

〝怪人でス〟

 

やっぱりか。

時期的に、勇者(フィン)を一撃で倒す程、強くなっているはず。

王者(オッタル)並みの脅威だ。

放置できないが、対処もできないか。

 

〝いいエ、王者と違って対処できますヨ〟

 

えっ?

 

〝現状、勝てる確率は40%でス〟

 

意外と高いな。

 

〝スキルと魔法の練習しテ、戦闘経験を少し積めバ、90%まで上がると予測しましタ〟

 

マジか!?

戦闘経験が、少しで済むという事は…。

俺の特殊能力(スキル)と魔法は、相当強力なのか?

 

〝ですでス!前にも言いましたガ、レベル8の強さがありまス〟

 

そうだったな。

身体能力も確かめたいし、練習するか!

 

〝頑張っテ〟

 

おっと、その前に。

やる事が2つある。

1つ目は、起きている時間を伸ばす。

デビルエネルギーは、何%貯まっている?

 

〝80%でス〟

 

小鬼の祭典で貯まった分は、かなり使ったけど。

ダンジョンとクノッソス。

2つのおかげで、順調に貯まっている。

起きている時間を1時間…いや、もう2時間増やしたい。

 

〝54%必要でス〟

 

結構減るな。

2つ目は、小鬼王(ゴブリンキング)小鬼皇帝(ゴブリンエンペラー)にしたい。

進化するにも、デビルエネルギーが必要だろ?

 

〝その通リ!50%必要ですネ〟

 

げっ、足りない!?

優先すべきは…小鬼皇帝の方か。

帝国は完成しているし、ゴブリン達の頂点として、活躍して欲しい。

 

〝起きている時間ですガ、1時間なら24%で済みまス〟

 

小鬼皇帝と足して74%。

ギリギリいけるな。

それでやってくれ。

 

〝了解でス!…進化開始…完了まで2日必要でス〟

 

2日!?

キングみたいに、一瞬で進化じゃないのか。

 

〝より上の存在ですかラ!進化が終わるまデ、帝国にて強制睡眠になりまス〟

 

ふむふむ。

帝国の中なら安全だ。

ダンジョンで寝たら、目も当てられない。

俺の強制睡眠と同じだろ?

 

〝はイ!攻撃されてモ、絶対に起きませン〟

 

何もしないまま、死なれるのは困る。

ところで、練習内容だが…。

クノッソスにいる闇派閥相手(イヴィルス)で、いいか?

 

〝問題ないかト〟

 

話していたら、もう30分経ったな。

残り2時間半。

いや、1時間増えて、3時間半か。

急ごう!

………あっ。

どうやって、クノッソスに行けばいい?

 

〝ご安心ヲ、こうしまス〟

 

うおっ!?

部屋の壁に、古風な扉(アンティークドア)が現れた!?

見た目は木製だな。

触ってみると、冷たくて硬い。

鉄みたいな感触だ。

 

〝神々以外でハ、破壊不可能な扉でス〟

 

凄いな!?

 

〝さサ、どうぞ出発ヲ〟

 

ゴクリ。

転生してから初めて、部屋の外に出る。

ちょっと緊張してきた。

戦闘に関しては素人だから、指示を頼むぞ!

 

〝お任せヲ〟

 

安全支援(サポート)熱血指導(スパルタ)デ、立派な戦闘狂に育てまス〟

 

〝実りある戦闘経験を積みましょウ(人殺しを楽しみましょウ)

 

〝おヤ?前も同じ事を言ったなト?〟

 

〝くくク、機会を待って(狙って)いたのデ〟

 

 

 

 

【ダンジョンパート】

1階層から17階層の罠に、変更はありません。

各階層の罠を確認する際は、トラップフォルダⅠを開いて下さい。

 

1階層の吸い取る縫いぐるみ(エクセリアイーター)を継続しました。

引き続き、1階層から魔物の出現及び、他の罠の配置が不可です。

 

12階層の媚薬雨・強を継続します。

 

どこかに、蜃気楼ゲートが出現しました。

 

小鬼帝国(ゴブリンエンパイア)が、18階層に建国されました。

小鬼王(ゴブリンキング)小鬼皇帝(ゴブリンエンペラー)に進化します。

進化完了まで2日間。

 

18階層を、3つのエリアに分けました。

人造迷宮クノッソス、迷宮の楽園、小鬼帝国。

認知・行き来できないように、分厚い石壁で遮りました。

 

18階層の天国の楽園(ヘブン・モード)を継続します。

 

ゴブリンの旗の状況は、以下の通りです。

ゴブリン所持:0、破壊数:0、未発見:3 

 

1~18階層で起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダⅠを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

7階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ドワーフ、男性、レベル3)

冒険者B(ヒューマン、男性、レベル2)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル3)

冒険者D(エルフ、男性、レベル2)

探索結果。

冒険者達の全滅(胃袋の中へ御招待)

冒険者達は、ルームにある宝箱を発見した!

冒険者達は、ルームの中に入った(地面の中に潜む蛙大王(フロッグシューターキング)に気がつかない)

冒険者達は、宝箱を慎重に調べた(罠は一切無かった)

冒険者達は、宝箱の中身に歓喜した(金銀宝石が沢山入っていた)

冒険者達は、地面から奇襲攻撃された(1人残らず丸呑みされた)

冒険者達は、懸命に胃袋で暴れている(ギュウギュウ詰めで、上手く動けない)

冒険者達は、胃袋で暴れている(大量の胃酸により、全身が焼けように熱く、呼吸が出来ない)

冒険者達は、暴れている(1人また1人、動かなくなり…)

冒険者達は、静かになった。

救援は…来なかった。

冒険者達は、消化されました。

 

≪ログ報告その2≫

9階層で、冒険者が敗走中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル2)

敗走結果。

真っ赤な花を咲かせた。

冒険者Aは、地上に向かっている(怪物の宴(モンスター・パーティー)で、皆とはぐれちゃったよぉ)

冒険者Aは、背後の魔物達(ゴブリン)に気がついている(アイシャ達、心配してるかなー。)

冒険者Aは、移動速度を上げた(帰るの遅くなったら、イシュタル様に怒られるよね。)

冒険者Aは、正面の魔物達(ゴブリン)に気がついた(殺生石を盗まれて、毎日機嫌悪いし。)

冒険者Aは、挟み撃ちに遭う(もう面倒!まともに相手しないで逃げよう)

冒険者Aは、包囲を突破した(楽勝~!ゴブリン如きに、痛たたたっ!?)

冒険者Aに、突き刺さる種が命中した(天井と床から、何か飛んできた!?)

冒険者Aは、魔物達(ゴブリン)から逃げた(突き刺さっているけど、取るのは後回しだね!)

冒険者Aは、全力で走った(ちょっ!?あっちこっちから、ゴブリンが出てくるんだけど!?)

冒険者Aは、身体の異変に気がつく(傷口から植物の芽が生えてる!?)

冒険者Aは、急いで地上に向かう(や、やばいかも…どの傷口からも芽が出てる)

冒険者Aは、地面からの奇襲を回避した(危なっ!フロッグシューターだ!)

冒険者Aは、壁からの奇襲も回避した(わわっ、ダンジョン・リザードまで!)

冒険者Aは、更なる身体の異変に気がつく(植物が生長してるーっ!?)

冒険者Aは、植物を引っこ抜こうとした(ひぐうぅっ!?激痛が走って抜けない…)

冒険者Aは、植物を観察した(これって、身体の中に根っこが広がってる!?)

冒険者Aは、謎の植物に戦慄した(ち、血も吸われている気がする…)

冒険者Aは、迷って足を止めた(痛いの我慢して抜くか、オラリオに戻って診てもらうか)

冒険者Aは、間一髪で矢を避けた(またゴブリン!しかも、弓矢を使うなんて)

冒険者Aは、避けて避けて避けた(しつこい!別の道から逃げないと)

冒険者Aは、遠回りのルートを選んだ(うわー、花が咲いちゃった…真っ赤な薔薇?)

冒険者Aは、身体中の植物が開花した(あ、あれ?意識が…朦朧として…なんで…?)

冒険者Aは、足取りが遅くなっていく(頑張れ私!ほら、ゴブリンの弓攻撃も止まってるよ!)

冒険者Aは、数歩で足が止まってしまう(動いて…私の足…お願…い…よぉ…)

冒険者Aは、倒れてしまった(ああ…ゴブリン達が…来ちゃう…)

冒険者Aは、意識を失った(マインド・ゼロ)

ゴブリン達は、冒険者をダンジョン・リザードに乗せ、連行します。

邪魔者は…出現せず。

冒険者の身柄は、苗床として小鬼帝国へ。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その3≫

12階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(アマゾネス、女性、レベル3)

冒険者B(エルフ、女性、レベル3)

冒険者C(エルフ、男性、レベル3)

冒険者D(パルゥム、女性、レベル3)

12階層全域で、媚薬雨・強の罠が発動中。

探索結果。

冒険者達の理性は溶けた。

冒険者Aは、興奮状態・中(身体も服も、ずぶ濡れ状態(特殊装備…着とけばよかった)

冒険者Aは、興奮状態・大(仲間の男冒険者を見る目が危険(食べたい食べたい食べたい)

冒険者Aは、興奮状態・特大(ゴブリン達に見つかった)

冒険者Aは、理性が崩壊した(ゴブリン達に襲い掛かった(ゴブリン「「「ギャー!」」」)

冒険者Aは、ゴブリン達に取り押さえられた。

冒険者Bは、耐媚薬雨用の雨合羽(レインコート)を着ている。

冒険者Bは、興奮状態・中(特殊装備の効果を上回っている(馬鹿と違って装備しているのに)

冒険者Bは、興奮状態・大(特殊装備の効果を完全に上回っている(濡れてないのに、興奮が止まらない!)

冒険者Bは、興奮状態・特大(ゴブリン達に見つかった)

冒険者Bは、理性の限界だった(逃げようとしたが動けなかった(ひぅっ!服が身体に、擦れただけで…)

冒険者Bは、ゴブリン達に捕まった。

冒険者Cは、耐媚薬雨用の雨合羽(レインコート)を着ている。

冒険者Cは、興奮状態・中(媚薬雨・強の恐ろしさを理解した(そうか!液体が気化し、吸ったから…)

冒険者Cは、興奮状態・大(必ずギルドに報告すると決意した(知らなければ…大半がここで終わる!)

冒険者Cは、興奮状態・特大(フロッグシューター達に見つかった)

冒険者Cは、理性が崩壊した(抵抗できずに食べられた(食べられて気持チイイイイィッ!)

冒険者Cは、丸呑みされた。

冒険者Dは、耐媚薬雨用の雨合羽(レインコート)を着ている。

冒険者Dは、興奮状態・小(12階層の異変に気がついた(雨のエリアが広過ぎない?)

冒険者Dは、興奮状態・中(12階層の異常に気がついた(階層全てに降っているの!?)

冒険者Dは、興奮状態・大(ゴブリン達に見つかった)

冒険者Dは、理性を振り絞って走った(仲間達を助ける余裕はない(り、理性が溶ける前に!)

冒険者Dは、12階層から脱出した。

ゴブリン達は、女冒険者達をダンジョン・リザードに乗せ、連行します。

救援と邪魔者は…出現せず。

冒険者Cは、消化されました。

女冒険者達の身柄は、苗床として小鬼帝国へ。

勝ったゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されます。

 

≪ログ報告その4≫

3階層で、冒険者達がダンジョンを探索中。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル4)

冒険者B(ヒューマン、女性、レベル3)

冒険者C(ドワーフ、男性、レベル2)

冒険者D(獣人、男性、レベル2)

冒険者E(獣人、男性、レベル2)

魔死茸の群生地に、足を踏み入れてしまった。

探索結果。

冒険者達は半壊した。

冒険者Aは、魔死茸の胞子を吸ってしまった(抵抗に失敗!)

冒険者Aは、仲間達が魔物に見えた。

冒険者Aは、冒険者B(ゴブリン)に攻撃!

冒険者Aは、冒険者C(フロッグシューター)に攻撃!

冒険者Aは、冒険者D(アルミラージ)に攻撃!

冒険者Aは、冒険者E(アルミラージ)に攻撃!

冒険者Aは、仲間達を求めて彷徨い歩く。

冒険者Aは、姿が見えなくなった(その後、彼を見た者はいない)

冒険者Bは、魔死茸の胞子を吸ってしまった(抵抗に成功!)

冒険者Bは、冒険者Aを止めようとして斬られた!

冒険者Bに、ダメージ・特大

冒険者Bは、傷が酷くて動けない。

冒険者Bは、冒険者Eに担がれた。

冒険者Bは、気を失った。

冒険者Cは、魔死茸の胞子を吸ってしまった(抵抗に失敗!)

冒険者Cは、仲間達が敵に見えた。

冒険者Cは、冒険者A(ミノタウロス)に攻撃された!

冒険者Cに、ダメージ・大

冒険者Cは、立ち去った冒険者A(ミノタウロス)に安堵した。

冒険者Cは、生き残る為に戦う(手負いの仲間達(魔物達)を仕留めて)

冒険者Cは、冒険者D(アルミラージ)に馬乗りした。

冒険者Cは、冒険者D(アルミラージ)に攻撃!

冒険者Cは、冒険者D(アルミラージ)を倒した。

冒険者Cは、冒険者E(アルミラージ)に攻撃された!

冒険者Cに、ダメージ・特大

冒険者Cは、死亡した。

冒険者Cは、身体から魔死茸が生えた。

冒険者Cは、どんどん魔死茸が生えた。

冒険者Cは、魔死茸だらけになった!

冒険者Cは、立ち上がり歩き始めた(新たな犠牲者を作りに)

冒険者Dは、魔死茸の胞子を吸ってしまった(抵抗に成功!)

冒険者Dは、仲間達の異変に動揺した。

冒険者Dは、冒険者Aに攻撃された!

冒険者Dに、ダメージ・大

冒険者Dは、冒険者E(双子の弟)に無事か声をかけた。

冒険者Dに、冒険者Cは馬乗りした。

冒険者Dは、冒険者Cに滅多刺しされた!

冒険者Dに、ダメージ・特大

冒険者Dは、死亡した。

冒険者Eは、魔死茸の胞子を吸ってしまった(抵抗に成功!)

冒険者Eは、冒険者Aを止めようとして蹴られた。

冒険者Eに、ダメージ・中

冒険者Eは、冒険者D(双子の兄)が殺されるのを見た。

冒険者Eは、冒険者Cに攻撃!

冒険者Eは、冒険者Cを殺害した。

冒険者Eは、大怪我の冒険者Bを担いだ。

冒険者Eは、地上に向かって撤退した。

 

≪ログ報告その5≫

11階層で、ゴブリン10匹が冒険者達と遭遇。

冒険者A(ヒューマン、男性、レベル3)

冒険者B(エルフ、女性、レベル3)

冒険者C(アマゾネス、女性、レベル3)

冒険者D(パルゥム、女性、レベル3)

戦闘結果。

冒険者達の勝利。

冒険者Aは、足止めするゴブリン達を斬り捨てる!

冒険者Aは、冒険者Dの警告で罠を回避した(気をつけて!天井から炎が出てくる!)

冒険者Aに、ダメージ・極小

冒険者Bは、邪魔するゴブリン達を薙ぎ払う!

冒険者Bは、冒険者Dの注意に頷いて後方へ戻った(レベル3になったけど、無茶しないで!)

冒険者Bに、ダメージ・極小

冒険者Cは、旗を持っているゴブリンを倒した!

冒険者Cは、冒険者Dの言葉に従って叩き潰した(嫌な予感がする…旗は絶対に壊して!)

冒険者Cに、ダメージ・極小

冒険者Dは、冒険者A(ベックス)に罠を警告する。

冒険者Dは、ゴブリン達に睨まれた!

冒険者Dは、冒険者B(トーネラ)に前に出過ぎと注意する。

冒険者Dは、ゴブリン達に吠えられた!

冒険者Dは、冒険者C(ザーネ)に旗の破壊を指示する。

冒険者Dは、ゴブリン達に集中攻撃された!

冒険者Dは、冒険者Aに守られた!

冒険者Dに、ダメージ・皆無

冒険者Dは、冒険者Aに感謝した。

冒険者Dは、砕かれた旗を見て背筋が震えた(破壊したのに…嫌な予感が消えない)

死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。

 

ゴブリン達は学習・研究している。

HO(ヒャッハー!汚物は消毒だ!)は、今までにない(破壊力)だと学習。

・位置を確認し、冒険者達を誘導して、一掃すべし。

・取り外して武器として使えないか…研究中。

ミノタウロスとアルミラージは、共闘出来ないと判断。

・ミノタウロスとは敵対、出会ったら逃げるか殺すべし。

・アルミラージとは中立、出会っても不干渉であるべし。

・双方共に魔物騎乗は不可。

フロッグシューターは餌で使役できるが、蛙大王(フロッグシューターキング)は不可。

・食べられるから近づくな。

突き刺さる種は、冒険者達を弱らすのに使えると学習。

・位置を確認し、冒険者達を誘導すべし。

・刺さったら花が咲くまで、時間を稼ぐべし。

12階層は良き狩場と学習。

・全域で媚薬雨・強が降っており、冒険者達が勝手に弱体化。

・弱くなるまで観察すべし。

・フロッグシューターの行動が、活発になるので注意すべし(苗床が食べられる恐れあり)

魔死茸は注意すべし。

・大切な苗床が、駄目になる可能性大。

・幻覚に陥ると同士討ちするが、こちらも敵と認識している。

・場合によっては、魔死茸を駆除すべし。

罠感知を持つ冒険者は、率先して排除すべし。

・厄介だと再確認した。

・苗床でも殺すべし。

ゴブリンの旗の確保は慎重にすべし。

・迂闊に運ぶと破壊される(破壊された)

・運ぶ際は大勢必要であり、帝国まで運ぶルートを確保せよ。

・自分達の命より、旗の方が大切だと知れ。

小鬼皇帝が目覚めるまで自重すべし。

・冒険者達に、小鬼帝国へ続く道を発見されないように。

・小鬼皇帝が目覚めるまで、苗床に手を出さないように。

我らの命は全て(ゴブリン達は)、小鬼皇帝の為にあり。

 

ゴブリンの旗が1本。

冒険者達によって、破壊されました。

復活まで、あと14日。

 

 

 

 

 

【クノッソスパート】

各階層の罠を配置しました。

罠を確認する際は、トラップフォルダⅡを開いて下さい。

 

洗脳椅子の状態は以下の通り。

拘束されている者:1名。

女闇派閥:洗脳値12→44「私の意思を塗りつぶすなあああ、アアアァーッ!?」

 

クノッソスにて、起きた結果を記録・蓄積ログしました。

記録の一部を表示します。

残りの記録を見たい場合は、ログフォルダⅡを開いて下さい。

 

≪ログ報告その1≫

4階層で、中級・殺戮人形2体が闇派閥達と遭遇。

闇派閥A(ヒューマン、女性、レベル2)

闇派閥B(ヒューマン、男性、レベル2)

闇派閥C(エルフ、男性、レベル2)

戦闘結果。

闇派閥の全滅。

闇派閥Aは、中級・殺戮人形から必死に逃げている。

闇派閥Aは、躓いて転んだ。

闇派閥Aは、仲間達に助けてと叫んだ(仲間達に見捨てられた)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に殴られた!

闇派閥Aに、ダメージ・大(足を潰された)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に殴られた!

闇派閥Aに、ダメージ・特大(体を潰された)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に殴られた!

闇派閥Aに、ダメージ・即死級(頭を潰された)

闇派閥Aは、グチャグチャに潰れて死亡。

闇派閥Bは、中級・殺戮人形から必死に逃げている。

闇派閥Bは、転んだ闇派閥Aを見捨てた。

闇派閥Bは、落とし穴・針山に落ちた!

闇派閥Bに、ダメージ・即死級

闇派閥Bは、急所に極太針が刺さった!

闇派閥Bは、何度も痙攣して動かなくなった。

闇派閥Bは、串刺しで死亡。

闇派閥Cは、中級・殺戮人形から必死に逃げている。

闇派閥Cは、転んだ闇派閥Aを囮にした。

闇派閥Cは、落とし穴・針山に落ちた!

闇派閥Cに、ダメージ・特大

闇派閥Cは、身体中に針が刺さった!

闇派閥Cは、激痛で動けない。

闇派閥Cに、中級・殺戮人形が落ちてきた!

闇派閥Cに、ダメージ・即死級(針も闇派閥Cも飛び散った)

闇派閥Cは、散乱して死亡。

中級・殺戮人形は、落とし穴・針山の修理を始めた。

 

≪ログ報告その2≫

7階層で、闇派閥達が出入口を探している。

闇派閥A(ドワーフ、男性、レベル3)

闇派閥B(アマゾネス、女性、レベル2)

闇派閥C(アマゾネス、女性、レベル2)

探索結果。

肉の塊になって全滅。

闇派閥Aは、出口を探している(通路で、細長い溝を何度も見かけた)

闇派閥Aは、ペンデュラムと遭遇。

闇派閥Aは、タイミングを狙って移動する(その瞬間、金属の回転する音が…)

闇派閥Aに、ダメージ・大(床から回転ノコギリだ!右足を切断!)

闇派閥Aは、バランスを崩した(ペンデュラムの方へ転倒)

闇派閥Aに、ダメージ・即死級

闇派閥Aは、胴体が真っ二つになって死亡。

闇派閥Bは、出口を探している(天井・壁・床にある長細い溝を目撃)

闇派閥Bは、ペンデュラムと遭遇。

闇派閥Bは、闇派閥Aの死を無駄にしなかった。

闇派閥Bは、回転ノコギリを避けた!

闇派閥Bは、ペンデュラムを通り抜けた!

闇派閥Bは、歓喜する(その瞬間、金属の回転する音が…)

闇派閥Bに、ダメージ・大(ペンデュラムを抜けた先にも、回転ノコギリだ!)

闇派閥Bは、両足を切断され転倒(更に、金属の回転する音が…)

闇派閥Bに、ダメージ・即死級(床に連続して、回転ノコギリが!)

闇派閥Bは、首を切断されて死亡。

闇派閥Cは、出口を探している(通路を進むにつれ、長細い溝が増えていた)

闇派閥Cは、ペンデュラムと遭遇。

闇派閥Cは、闇派閥Aと闇派閥Bの死に様を見た。

闇派閥Cは、恐怖で通路を引き返した!

闇派閥Cは、金属の回転する音を聞いた(戻るのを待っていたように、回転ノコギリだ!)

闇派閥Cは、絶句絶望絶叫した(どこにも逃げ場なし)(天井・壁・床から、多数の回転ノコギリが!)

闇派閥Cに、ダメージ・即死級

闇派閥Cは、何度も切断されて死亡(五体バラバラ肉の塊)

 

≪ログ報告その3≫

4階層で、中級・殺戮人形2体が闇派閥達と遭遇。

闇派閥A(ヒューマン、男性、レベル5)

闇派閥B(獣人、男性、レベル3)

闇派閥C(獣人、男性、レベル3)

闇派閥D(ヒューマン、男性、レベル4)

戦闘結果。

闇派閥の勝利。

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に攻撃(くそったれ!ダンジョンの異変が、ここ(クノッソス)にもかよ!)

闇派閥Aは、凶悪な攻撃(ゴーレムパンチ)を回避(出口がねえ!仕掛けが発動しねえ!俺の魔法が効かねえ!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形に攻撃(バルカの野郎!仕掛けを弄ってないで手伝えよ!)

闇派閥Aは、凶悪な攻撃(ゴーレムボディプレス)を回避(俺に危険な仕事を、押し付けやがってーっ!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の片足を砕く(おっ!グランが、もう片足を潰した!よくやった!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の頭を砕いた(危ねえっ!?頭を失っても動くのかよ!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の両腕を破壊(やっと止まった!あと1体…ほんと面倒くせえな!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の注意を引く(お前ら!まずは足を狙って動きを止めろ!)

闇派閥Aは、凶悪な攻撃(ゴーレムビーム)を回避(何だ今の攻撃は!?ふざけんなよおおおおぉっ!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の片腕を砕く(ちっ!ベスカとザブラが…グラン!俺に合わせろ!)

闇派閥Aは、中級・殺戮人形の胴体を砕いた(はあはあ、終わったか…マジやってられねえー)

闇派閥Aは、地面に寝っ転がった。

闇派閥Bは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Bは、凶悪な攻撃(ゴーレムアッパー)を回避!

闇派閥Bは、1体目の撃破に歓声を上げた。

闇派閥Bは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Bは、凶悪な攻撃(ゴーレムチョップ)を回避失敗!

闇派閥Bに、ダメージ・即死級

闇派閥Bは、頭が潰れて死亡。

闇派閥Cは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Cは、凶悪な攻撃(ゴーレムキック)を回避!

闇派閥Cは、1体目の撃破に歓声を上げた。

闇派閥Cは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Cは、凶悪な攻撃(ゴーレムタックル)を回避失敗!

闇派閥Cに、ダメージ・即死級

闇派閥Cは、内臓が破裂して死亡。

闇派閥Dは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Dは、凶悪な攻撃(ゴーレムエルボー)を回避!

闇派閥Dは、中級・殺戮人形に攻撃!

闇派閥Dは、冒険者Aの援護をした(ゴーレムのもう片足を砕く)

闇派閥Dは、1体目の撃破に喜びのポーズ(サイドチェスト)

闇派閥Dは、凶悪な攻撃(ゴーレムジャブ)を回避!

闇派閥Dは、中級・殺戮人形の特殊攻撃(ゴーレムビーム)に驚愕!

闇派閥Dは、闇派閥Aと攻撃を合わせた(胴体の正面と背面を挟撃)

闇派閥Dは、2体目の撃破に喜びのポーズ(モストマスキュラー)

闇派閥Dは、超硬金属(アダマンタイト)をいくつか拾った。

 

≪ログ報告その4≫

1階層で、闇派閥達は見知らぬ痴女(オティヌス)と遭遇。

闇派閥A(エルフ、男性、レベル3)

闇派閥B(ドワーフ、男性、レベル3)

闇派閥C(獣人、男性、レベル3)

戦闘結果。

闇派閥の全滅。

闇派閥Aは、見知らぬ痴女に興奮した(練習相手を発見だな)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女の動きが見えなかった(うぐっ!壁に激突した…身体能力が凄過ぎ)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女を第一級冒険者と判断した(慣れないと自爆するな…ゆっくりやるか)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女に腕を掴まれた(まずは取り押さえる感じで…腕を捻る)

闇派閥Aに、ダメージ・特大(右腕が千切れた!)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女に恐怖した(アクマの言う通りだったな)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女に命乞いした(部屋で練習しなくてよかった)

闇派閥Aは、見知らぬ痴女に腹を殴られた(もっと軽く攻撃してみようか)

闇派閥Aに、ダメージ・即死級(胴体を貫通した!)

闇派閥Aは、人間じゃないと悟って死亡。

闇派閥Bは、見知らぬ痴女に何故か冷汗が…!

闇派閥Bは、闇派閥Aの死に足が震えた(お前達のレベルはいくつだ?)

闇派閥Bは、近寄る痴女に魔法を放った(無視かよって、魔法が遅くない?)

闇派閥Bは、至近距離で避けられ愕然とした(脅威を感じなかった…もう1回頼む)

闇派閥Bは、何度も何度も魔法を放った(やっぱり、受け止めても痛くない)

闇派閥Bは、平然としている痴女に呆然とした(弱いな…レベルは、1~2か?)

闇派閥Bは、レベル3だ!と叫んで攻撃(マジで?攻撃も遅いけど)

闇派閥Bは、全て避ける痴女に慄いた(ほら、全然当たらないし)

闇派閥Bは、頭を掴まれ持ち上げられた(不思議だ…戦闘に恐怖を感じない)

闇派閥Bに、ダメージ・即死級(頭を握り潰された!)

闇派閥Bは、痴女を真っ赤に染めて死亡。

闇派閥Cは、見知らぬ痴女の違和感に気がついた(凄まじい身体能力なのに動きが素人)

闇派閥Cは、生存本能に従い全力逃走(レベル3で、怪我の心配はなしと)

闇派閥Cは、平然と並走する痴女に絶望した(まるで子供と、駆けっこしている気分だ)

闇派閥Cは、足がもつれて派手に転んだ(人を殺しても…罪悪感を抱かない)

闇派閥Cは、這って痴女から離れる(付き合ってくれて、ありがとう)

闇派閥Cに、ダメージ・即死級(頭を踏み潰された!)

闇派閥Cは、痴女の糧となって死亡。

 

≪ログ報告その5≫

1階層で、闇派閥達は血塗れの痴女(オティヌス)と遭遇。

闇派閥A(ヒューマン、男性、レベル3)

闇派閥B(ヒューマン、男性、レベル3)

闇派閥C(ヒューマン、男性、レベル3)

闇派閥D(ヒューマン、男性、レベル4)

戦闘結果。

闇派閥の全滅。

闇派閥Aは、血塗れの痴女に足を止めた。

闇派閥Aは、詠唱する痴女に警戒した(初めて使う、俺だけの魔法)

闇派閥Aは、痴女から距離をとった(痴女の背後に、10個の魔法陣が現れた)

闇派閥Aは、武器を構えて様子を窺う(魔法名は『十触弩』か、やれ)

闇派閥Aに、ダメージ・即死級

闇派閥Aは、意識が途切れる前に見た(全ての魔法陣から…触手が飛び出した!)

闇派閥Aは、バラバラに切断されて死亡。

闇派閥Bは、血塗れの痴女を凝視した。

闇派閥Bは、詠唱する痴女から距離をとった(魔法陣は円形で、直径は20cm程)

闇派閥Bに、ダメージ・即死級

闇派閥Bは、意識が薄れる中で見た(触手の先端が…武器だった事に!)

闇派閥Bは、穴だらけにされて死亡。

闇派閥Cは、血塗れの痴女を悪魔だと感じた。

闇派閥Cは、詠唱する痴女から距離をとった(魔法陣は、黄金のように輝いている)

闇派閥Cに、ダメージ・即死級

闇派閥Cは、意識が消えゆく中で見た(武器は…形を自在に変化させていた!)

闇派閥Cは、あちこち潰されて死亡。

闇派閥Dは、血塗れの痴女に畏怖した。

闇派閥Dは、詠唱する痴女から距離をとった(魔法陣は、痴女の動きに合わせて動く)

闇派閥Dは、触手を運良く回避した!

闇派閥Dは、闇派閥Aの死を目撃(触手の先端が鎌となり、斬り刻まれた!)

闇派閥Dは、闇派閥Bの死を目撃(触手の先端が槍となり、滅多刺しされた!)

闇派閥Dは、闇派閥Cの死を目撃(触手の先端が槌となり、叩き潰された!)

闇派閥Dは、10本の触手から逃げた!

闇派閥Dは、戦慄した(触手は速く、どこまでも伸びた!)

闇派閥Dは、触手に拘束された!

闇派閥Dに、ダメージ・即死級

闇派閥Dは、視界が赤く染まった時に悟った(この痴女(バケモノ)が、ダンジョンの元凶では…)

闇派閥Dは、引き千切られて死亡。

 

現状報告。

殺戮人形達は、侵入者及び闇派閥達を、探索抹殺中(サーチ&デストロイ)

下級・殺戮人形の数:0体

中級・殺戮人形の数:5体(2体大破)

上級・殺戮人形の数:3体

 

洗脳椅子に固定されている者:1名

追加者なし。

 

 

 

 

 

【オティヌスパート】

クノッソスで練習した後、シャワーでさっぱりして、寝たわけだが…。

反省会をするか。

身体能力(レベル8)半端なかった(化物だったよ)

ここで練習したら、死んでいた。

アクマ曰く、部屋の強度は最硬精製金属(オリハルコン)以上。

そんな場所で激突したら?

壁に、赤い染みを作っていたよ。

今後も練習は、部屋の外(クノッソス)でしよう。

ただ、闇派閥で練習したけど。

正直微妙だったなー。

弱過ぎ。

攻撃は動きが遅くて、戦闘の素人でも、楽々回避できたし。

魔法も、素手で受け止めた。

痛みは全然なかった。

まあ油断禁物か。

レベル1つ違うだけで、強さが変わる世界。

戦闘経験や、強力な特殊能力(スキル)と魔法でも変わる。

次は魔物で練習すべきか?

勝手なイメージだけど、闇派閥は一部を除いて、冒険者達より弱いと思う。

大半は自爆するし。

アクマに頼んでおくか。

そういえば…。

魔法を1つ練習したよ。

魔法名は『十触弩』。

詠唱は短くて良いけど…なんで、触手!?

どこぞのエロゲーのボスか!?

本物が知ったら俺、殺されるぞ!?

………落ちつこう。

使えるものは仕方ない。

攻撃と拘束に優れた魔法だし、しっかり習得するのが先決。

あとは、アクマに対する不満か。

安全支援(サポート)は、どこに?

殺戮人形は襲ってこなかったけど、回転ノコギリは怖かったぞ!

当たったら俺でも斬れないか!?

眼帯のおかげで、配置場所は見えるが…。

止まってはくれない。

あれ?

練習場所として最悪じゃない?

………いやいや、考え方を変えよう。

罠の無い階層を作ればいいだけ。

うん、そうしよう!



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頑張るギルド職員達その1

※運命が変わった冒険者達の話その6「夜の花」を、一部修正しました(=゚ω゚)ノ

11月11日から出張なります。
25日までとなっており、更新は遅くなります。
申し訳ないです(≧◇≦)








【テリアパート】

ずっと後悔していた。

あの時。

逃げている時に、ミィシャと逸れていなければ…。

 

「はあー。」

 

私は大きな溜息を吐く。

エイナと一緒に、ミィシャの所へ来た。

ダンジョンからの魔物侵攻で、ゴブリンに攫われた彼女は…。

 

「はあーー。」

 

予感はしていた。

行方不明になった女性の冒険者達。

恩恵を与えた神々との繋がりで、生きている事は分かっていた。

ゴブリンに捕まった目撃情報も、多数あった。

何故、殺されなかったのか。

………勇者(ブレイバー)の報告を聞いて、ゾッとした。

ゴブリンの子を孕ませる為の苗床。

ダンジョンから産まれるゴブリンより、強いゴブリンが産まれる。

ギルドに届けられた、魔法を使うゴブリンの情報。

あのゴブリンは、女冒険者達から産まれたのだ。

ミィシャも、ゴブリンの毒牙に。

孕まなかったのは幸い…いいえ、幸いなんかじゃない。

身体を汚され、心に消えない傷を負った。

彼女だけじゃない。

女性の冒険者達や攫われた女性達も。

 

「はあーーー。」

 

救出されてからミィシャは、ずっと部屋に閉じこもっていた。

何度か会いに行ったけど、会うのを拒絶された。

理由は分からない。

でも、心配で堪らなかった。

だからエイナと協力して、強引に会った。

 

「ミィシャ。」

 

久しぶりの彼女は、眠れてないのか。

目の下のクマが酷かった。

声をかけても返事はなく、視線すら合わせてくれない。

元気を出して欲しくて、色々と言葉をかけたけど。

それが、ミィシャを刺激してしまった。

 

「ほっといて!私の苦しみは、エイナや先輩には、分からないよ!」

 

ああ、失敗した。

憎しみに歪んだ表情で叫ばれた。

もっと時間を置くべきだったかもしれない。

もっと彼女の気持ちを考慮べきだったかもしれない。

もっと…もっと…もっと…。

 

「どうして私だけ!あんな目に!」

 

酷い言い方をすれば、運が悪かった。

ミィシャだけじゃない。

攫われた同僚は他にもいるし、男性職員は大勢死んだ。

ゼクスより先に、ゴブリンが見つけていたら、私も同じ運命を辿っていた。

だけど、納得できない…よね。

 

「………2人が無事で嬉しかったの。良かったって、ほっとしたの。」

 

「ミ、ミィシャ。」

 

エイナが手を伸ばすけど、ミィシャは振り払った。

憎しみに歪んだ表情は消え、泣いていた。

 

「でも、恨んでしまう私がいるの。醜い私が叫ぶの!許せないって!」

 

ミィシャの慟哭は、涙と同じように止まらなかった。

 

「そんな自分が嫌い!大嫌い!もう…楽になりたいよ…。」

 

「ミィシャ!」

 

泣き崩れた彼女を、エイナが抱きしめた。

 

「ごめんね、ごめんね、ミィシャ。」

 

私も抱きしめて、3人で泣いた。

無力な自分が悔しい。

こんなに苦しんでいるのに。

何も出来ないなんて!

 

 

 

 

 

【ゼクスパート】

先輩は大丈夫かな。

ミィシャのお見舞いに、エイナと一緒に行った。

ずっと会う事を拒否されている。

今回は会えるといいけど。

 

「さて、仕事仕事!」

 

魔物の侵攻で、1番被害が大きかったギルド。

同僚を沢山失った。

もう会えない人達が多過ぎる。

思い出す度に、胸が締めつけられた。

………俺だけじゃないか。

 

「みんな、同じだ。」

 

悲しんでいる暇は無い。

少なくとも今は。

ギルドは人手不足で忙しい。

職員の募集をしているけど、どれだけ入ってくれるか。

不安だ。

 

「あっ、ハオルタさん!ご苦労様です!」

 

「よっ、見張りに来たぜ。」

 

「皆さんも、宜しくお願いします!」

 

冒険者のハオルタさん達に頭を下げる。

バベルの塔の1階中心部にある広間(ホール)

地上とダンジョンを繋ぐ場所だ。

ここは各ファミリアが、交代で見張る事に決まった。

今日の担当は、ガネーシャ・ファミリア。

凄く安心する。

ギルド職員達も、オラリオの人々も。

もう地上は、安全でなくなった。

強い守り手が求められる。

 

「そういえば、恩恵の話はどうなった?」

 

「えーと、無しになりました。ウラノス様は中立を守りたいって。」

 

「ありゃま、残念だったな。」

 

ギルド職員に恩恵を授けては?

そんな話が持ち上がった。

魔物に襲撃されても対処できる上、身を守れるから。

でも、ウラノス様は認めなかった。

批判はあったけど、なんとなく分かる気がする。

ギルドはあくまで、ダンジョンが生み出す富を管理する組織。

公平でなくては駄目だ。

ウラノス様が恩恵を与えれば、当然眷属となり、問題が発生してしまう。

ウラノス・ファミリアが、オラリオの富を支配していると。

今は良くても、中立は1度でも揺るげば、信頼が無くなる。

火種になりかねない。

それを危惧したのだと思う。

 

「ゼクス、こいつが仕掛けか?」

 

ハオルタさんの言葉に頷く。

恩恵の話は無くなったけど、何もしなかったわけじゃない。

広間(ホール)の大改造。

有事の際、出入口を完全に塞ぐ、大規模な仕掛け(巨大な蓋)を設置。

壁も強固に作り直された。

魔物を1匹たりとも、バベルの塔から出さない為に。

他にも、迎撃機能・緊急通信網・職員避難経路と、色々できている。

ギルド長代理のレッガス様は、金がー金がーっ!て、頭を抱えていたけど。

今月の給料…心配だな。

 

 

 

 

 

【レッガスパート】

胃が痛い。

胃薬を飲んで、投げ捨てたい書類に目を通す。

うん?

誰かが走って来る。

常日頃からギルド内では、走るな!と言っている。

怪我の恐れもあるし、大きな組織で働く者として、相応しい態度ではない。

エレガントでなくては。

とはいえ、今は注意している余裕がない。

多目にみるとも。

だから頼む。

厄介事を持ち込まないでくれ!

 

「レッガス様!また手紙が届いています。」

 

「………いつものか?」

 

「いつものです!」

 

ふっ、厄介事かああああああああっ!

職員の持って来た大量の手紙に、また胃が痛くなった。

胃薬を飲んだばかりなのに。

18階層、別名は迷宮の楽園(アンダー・リゾート)

そこへ行きたいという貴族や大商人達からの手紙だ。

自殺志願者共め!

ダンジョンは危険なのだぞ!

何故それが分からん!

異変が起きてからは、熟練の冒険者達ですら危うい。

これも全て、18階層で発見されたアレのせいか。

恐るべき効果を持った温泉。

どんな怪我や病気でも治してしまう。

ディアンケヒト・ファミリアの戦場の聖女(デア・セイント)も、吃驚の効果だ。

 

「ど、どうしましょうか?」

 

「置いといてくれ。」

 

「はい!」

 

見なかった事にして燃やしたい。

だが、今後の事を考えると無下に出来ない。

ギルドは人材不足もあるが、資金不足でもある。

魔物侵攻の傷跡は、多大な出費を余儀なくされた。

胃だけでなく、頭も痛い。

貴族や大商人達は大金を払うから、許可と斡旋を求めてきた。

ダンジョンに入る許可。

護衛としてファミリアの斡旋。

普段なら、お断りするが…。

問題が発生してしまった。

大金に目が眩んだ冒険者達(愚か者達)が、ダンジョンへ入った。

貴族を荷物の中へ隠して。

その結果は、貴族の死亡。

ふざけるなよおおおおおおおおぉっ!

 

「あの後、どれだけ大変だった事か!」

 

「レッガス様!?」

 

いかんいかん。

怒りのあまり、つい口にしてしまったか。

 

「すまない、何でもない。お茶を煎れてくれないか。熱いのを頼む。」

 

「すぐに!」

 

まあ許可は出してもいい。

何があってもギルドは一切責任を持ちません(死んでも自己責任だぞ!わかった、コラ!)

…という書類に、サインしてくれれば。

ただ斡旋が、非常に困る。

どのファミリアも、当たり前だが嫌がる。

18階層まで、恩恵のない者を護衛するのは至難。

自分の命を危険に晒す行為だ。

しかし、断り続ければ、また同じ問題が発生するだろう。

 

「レッガス様、お茶です!」

 

「ああ、ありがとう。」

 

はふー。

心身共に疲れた時は、熱いお茶が美味い。

現実逃避したいが、私はギルド長代理だ。

やるしかあるまい。

早急に、何か案を考えよう。

………ロイマン様。

貴方が生きていたら、どうしていただろうか?

 

 

 

 

 

【ルッツエパート】

苦情の報告と原因の対処を求めて、テアサナーレ氏がやってきた。

正直に言うと、知らんがな。

 

「うわー、エロっ。」

 

「ここで見ないで下さい!」

 

本を読んだら怒られた。

いやね、苦情内容を知る為にだよ。

悪気はないの。

BL本という男同士の絡みが、オラリオで広がっている。

正確には、広げようとしている団体がいた。

調査しているけど、尻尾を掴ませない。

かなり慎重に動いているみたいで。

百合本という女性同士の絡みも、同じくらい広がっている。

どちらも被害者(登場人物)は、有名な冒険者達。

 

「人気者は辛いね!」

 

あっ、ごめんなさい。

鈍器を振り上げないで。

でもさー。

うちらに言われても、対処は難しいのよ。

ロキ・ファミリアの凶狼(ローガ氏)と、フレイヤ・ファミリアの女神の戦車(フローメル氏)

一時この2人を中心に、犯人捜しをしたけど、捕まらなかった。

つまりね。

ギルドも、お手上げなのよ。

最近さー、色々と忙しいし。

 

「はいはい、受付の前で崩れ落ちないで。」

 

相手するの面倒なんで、もう帰ってくれません?

ぐえっ、マジすいません。

首絞めないで。

 

「真面目に、うちの意見を言うと…。」

 

この男と女の絡みが描いた本。

BL本と百合本を描いている団体と、別物だと思いますよ。

何度が回収された本を読んだけど、違う点が多々あるんで。

まあ一応、調査はしておきます。

当てにしないで下さいね。

場合によっては、ヘルメス・ファミリアに依頼します。

資料として、この本を渡しますので、御了承を。

えっ?駄目?

まあ登場人物が、テアサナーレ氏だもんね。

同じ女として、同情しますよ。

それにしても、ぷぷぷっ。

タイトルがうけるーw

『お医者様、胸が苦しいから診て欲しいの~淫乱聖女編~』って。

 

「………(怒)(ニコリ)

 

「ほわっ!?」

 

片手で顔面を掴まれた!?(これって、アイアンクロー!?)

笑ったの謝るから!

恩恵のないうちが、レベル2にされたら…。

いだだだたたたあああぁっ!

わ、割れるうーーーっ!

 

 

 

 

【ケビンパート】

昨日も今日も、ダンジョンの新たな異変報告が届く。

きっと明日もかな。

勇者(フィン)の活躍で、ゴブリンの強化種が倒された。

攫われていた女性達も救出された。

ダンジョンは以前とまで行かないけど、平穏を取り戻していた。

…はずだった。

それが、5日前から突如崩れた。

ゴブリンの強化種が、また産まれた!?

それとも別の原因が!?

 

「オラリオの平和は遠いなー。」

 

魔物の侵攻があった日。

妻のエリアスは無事で、最愛の我が子を産んだ。

可愛い女の子。

ニニアと僕が名付けた。

同僚(テリア)冒険者(ベル・クラネル)の助けがなかったら、会えなかった。

本当に感謝している。

助かった命で、家族を大切にする。

そして、ギルド職員として、冒険者達を支えよう!

 

「うん?ルッツエの悲鳴が聞こえたような…まあいいか。」

 

ギルド長代理(レッガス様)に渡す資料を、しっかりとまとめるぞ。

最初は、1階と12階層の異変。

抱きしめると、魔石になる熊のぬいぐるみ。

冒険者達にとって、危険のない楽な稼ぎだ。

記憶が、あやふやになるという報告がなければ…。

階層全体に降る桃色の雨。

その…エッチな気分(ムラムラ)が…止まらないらしい。

耐媚薬雨用の雨合羽も、効果が無かったとか。

前者は拾わないよう注意して、後者は新しい特殊装備と薬の開発を頼もう。

次は、ミノタウロスとアルミラージ。

斧を使わない代わりに、格闘術を使うようになった牛鬼。

信じられない回復力も備わったと、報告が届いている。

喋って盗んで逃げる一角兎。

何度見ても報告を疑ってしまう。

魔物が喋るはずがないし、魔法で下着や服を盗むって…。

有り得ないよ。

 

「えっ!?」

 

最後の報告書を見て驚いた。

イシュタル・ファミリアからだ。

怪物の宴(モンスター・パーティー)に遭遇の際、レナ・タリーが行方不明に。

彼女とは、何度か話した事がある。

アマゾネスの少女で、レベル2の冒険者。

無事だと良いのだけど、ゴブリンに捕まったら…。

 

「いや、大丈夫だ!」

 

悪い方向に考えるのは駄目だ。

捜索依頼か。

直ぐに手配しよう!

 

 

 

 

 

【シャーセリパート】

ギルド職員に採用されました!

家族には、危険だから止めろと言われましたが、反対を押し切りました。

魔物の侵攻。

あの晩の恐怖は、多分一生忘れません。

怖かったけど、生まれ故郷の為に、何か力になりたかった。

臆病な私には、冒険者は無理です。

だからこそ、ギルド職員に!

 

「新人、この手続きを頼む!」

 

「はーい!」

 

先輩に呼ばれ、渡された書類は…入院手続きですね。

タルウィ・ファミリアの治療施設へ。

凄いと思いました。

魔物に攫われた女性達を救いたい為に、自費で建設したそうです。

しかも、治療費は破格!

本来は化粧品をメインに扱う、生産系ファミリア。

それなのに、第二級冒険者(レベル3~4)の団員が多く、団長と副団長は第一級冒険者(レベル5)

上位ファミリアです!

魔物侵攻の時は、人々を助ける為に尽力。

復興中も、多大な支援をしていました。

人々からの人気は、ロキ・ファミリア並みです。

臆病じゃなかったら、タルウィ・ファミリアに入団していたかも。

確か金持ちの人を、18階層に連れて行く難しい依頼。

どのファミリアも断っていたけど…。

引き受けたのが、タルウィ・ファミリアです。

そういえば…。

会った事はないですが、先輩にあたるミィシャさん?

魔物に攫われた女性の1人で、治療施設に通い始めたとか。

 

「おーう、新人!こっちを手伝ってくれ!」

 

「は、はーい!」

 

ううっ、忙しいです。

でも、オラリオの為に頑張ります!

 



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