月下の雫 <英雄 カイリース・デイビット> (もみじん)
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プロローグ

お久しぶりです!

この度新シリーズです。
毎週1話の6話編成の予定でお届けします。

今までと違い「〇〇の道導」と言ったタイトルではないですが、しっかりと同じ物語であり同じ世界で起きている話です。

では宜しくお願いします。


遥か彼方、霧がかかる海に一隻の船がある。

 

その船は行き先も決めずわからずにただひたすらとこの広い海を悠々と進んでいる。

 

と、そんな感じで表表面から見るとそれはもう不気味なゴーストシップみたいな感じな船なんだけども、いざ船内に入ってみるとそれはもう豪華客船って感じだな。

 

まぁ、せっかくだからおれがこの船を案内してやるよ!

 

まずはこの客船を仕切る腕利きの船長!

その名もネイビー・スミス!

 

見かけによらず凄く無口で殆どブリッジから出てこない様な人で第一印象は引きこもりって感じだ。

 

ネイビースミス「────ァ」

 

ん? 今何か言ったか?

まぁいいや、お次は俺の目に止まったこの船の乗客を紹介していくよ。

 

確かみんなさっきデッキに居たはず、、

 

お、居た居た!

 

おーい! そこの女の子ー!

 

お母さんと一緒なの?

 

ん? いや待って! そのフォーク投げようとしないで!?

 

子供?「子供扱いしないでよ!」

 

分かった! 分かった! もうどこか行きますよ!

 

いやー、怖かった。

本当最近の子は何がなんだか分からないなー。

 

まぁ切り替えて次はあそこの子いってみよーか!

 

そこの美人さーん!

今暇────?

 

って、ちょっと! 無視しないでよ!

 

全く、、でもまぁクールでかっこいいね!

 

マダム「あら? これはインタビューか何かなのかしら? 」

 

おー! 宇須伊さん!

 

今ちょうどあなたに会いに行こうと思ってたんだよ────!

 

そうそう! インタビューみたいな奴ね!

ただ宇須伊さんとは大分会話してるし今更話すこともないよね!

 

それじゃまたね!

この先のクルーズも楽しんでこーぜ!

 

・・・ふぅ、やっぱり最上層のマダムはオーラが全然違うなー! 欲しいものもなんでも手に入るんだろうな────。

 

まぁ、いいか次行ってみよう!

 

お次はキッチン!

 

さっきお子さんが頬張っていた食事もここで作られてるんだ?

そして作ってるのがあれ!

 

マスターキャット!

 

一応生き物で人間だと思うけど俺自身確信を持てなかったからあえて此処では「あれ」と呼ばせてもらう!

 

マスターキャット「いくら────?」

 

・・・次行こう!

 

と思ったけども今のところ見せられるのはこの辺かな────。

 

あッ! 忘れてた!

 

俺がこの船の最下層に潜った時に見つけたものがあるんだった!

 

あ────。 

でもこれは無課金ユーザには見せられないなぁ・・・

 

そうだ! VIP限定で特別に見るのを許可しよう!

 

てなわけでここから先はVIP限定になるから無課金ユーザは閲覧禁止ね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もういない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし! もうVIPだけだな?

 

最初に言っておくとこれからみんなにお見せする事は憶測でしかないから俄かに信じない事!

 

それじゃあスタートしよう。

 

今から行くのは船の最下層にある謎の扉だ。

 

ただの扉がなんだってって話だろうけどもこれが下向きに付いてるんだよ。

 

まだわかんない?

 

だから! 最下層の下に続く何かがあるって事!

 

最下層なんだぜ? 海は海底まであるけど船にその下はないんだよ!

 

全く! これだから金に溺れた奴らは、、、

 

ほらもう話してるうちに着いちゃった。

 

はい、これがその扉ね────。

 

今から入りまーす。

 

よっと、、ん? なんか空間だ────。

 

「ズドン」

 

しかも結構広い。

 

「ズドン」

 

道があるぞ? 行ってみよう。

 

「ズドン」

 

大分進んだな、、? 何か奥にあるぞ?

 

「ズドン」

 

こ、これは────。

 

「ズドン」

 

おっと、誰か来たようだな────。

 

・・・俺は引き返す!

 

みんなはここに踏み込まない方が良いかもな!

 

それじゃ! またどこかで会ったら宜しく!

 




ここまで読んでいただいてありがとうございました!

今作の主人公はまだ出て来ていませんが、水兵です!

水兵の理由はジョジョリオンというかこの話自体がジョジョリオン読みながら思いついた感じなのでこれはもうジョジョ9部説濃厚です。

というのは言い過ぎですがなんかミステリアスな環境にいる主人公にロマン感じました!

以上です!

学校、仕事、共に頑張っていこう!

あと待望?の第一話は来週の日曜日投稿予定です!
宜しくお願いします!

byブラックウィドウ見ました!と話す人すら居ずただひたすらにパンフレットを眺めているもみじん


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第1話 ようこそ夢の世界へ! カリビアン•ロット•クルーズ•ノア号へのご案内

こんばんは!

なんとか予定通りに投稿できました。

今回から月下の雫スタートです。

対戦宜しくお願いします。


 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・控室

 

Time:7月18日 11:04

 

「この船には皆様の望むもの全てがございます。

 全てのあらゆるものを揃える事ができるショッピングモールや海上に居ることを忘れてしまうほどの臨場感を与える映画館。

 そして皆様の旅をより豊かにし、感動を与えるレストラン。」

 

乗客が素敵なクルージングを楽しんでいる中、特にやる事もなくただだらけているだけの水兵達は今いる控室の端にあるテレビで流れているこの船、通称カリビアン・ロット・クルーズ・ノア号ことノア号のプロモーションビデオをボーっと眺めていた。

 

「幻想が解けないひと時を。

 シルヴァーカンパニーがお送り致します。」

 

水兵A「そもそも幻想にかかってないんだよなぁ。」

 

水兵B「まぁ、そういう細かい事言うなよ、

嫌われるぞ?」

 

水兵A「はっ、別に嫌われる相手なんていないんだよなぁ。」

 

水兵B「お前はまたそうやって、、」

 

上官「おい、お前たち。

 今すぐブリッジに集まれ、船長がお呼びだ。」

 

水兵A&B「じょ、、上官!? 了解致しました!」

 

暇を持て余している水兵達は、控室でぼーっとだらしなく中身のない会話をしていると突然と上官がやってきたので慌ただしくしながら乱れた身だしなみを整えて、椅子に座りながら足を机に乗せているまだ眠り続けるもう1人の水兵を叩き起こす。

 

水兵A「おい! カイリース! 船長がお呼びみたいだ、久々に仕事かもしれないぞ!」

 

カイリース「・・・船長が俺たちを? 一体どんな状況なんだ?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・ブリッジ

 

Time:7月18日 11:10

 

カイリースを起こした水兵達は、急ぎ足でブリッジへと向かうと約4、5ヶ月振りに顔を見せた船長が立っていた。

 

船長「仕事中にすまないね、実はこの客船で問題が発生した────。」

 

水兵B「問題ですか。」

 

上官「あぁ、実はついさっきの事だ。

 346号室の乗客が行方知らずとなってしまってな。

 お前達にはその調査をお願いしたい。」

 

水兵A「行方不明って事ですか?

 たしかにこの船は大きいし、広いですよ?

 だけども人が居なくなって誰にも分からなくなる程のものじゃありません。」

 

水兵B「そうですよ、第一調査なんて、俺たちは探偵じゃありませんよ? ただ暇を持て余しているだけの一般水兵になにがわかるってんです?」

 

カイリース「俺を『俺たち』の中に入れるな。

 上官、正直こいつらの意見もあながち間違ってはいません。

 船が大きいにしろ迷子だなんて、ありえません。

 海にでも落ちたんじゃあないんですか?」

 

上官「それはない。

 海に落下すれば小さいが波紋が起きる。

 であればソナーマンが気が付く筈だ、しかし今回の件はソナーマンも反応なしだ。」

 

水兵A「ソナーマンって?」

 

水兵B「たしか海中の音を聞いて船の位置とか特定できるような耳が良い人達だよ、正直豪華客船に乗せてるには勿体ないような人材だと思うけどね。」

 

上官「こちらから提示できる情報は以上だ、

全てを丸投げしてしまってすまないと思うが後は宜しく頼む。」

 

上官はそう言い残すと、自身の後方のドアを開き、お酒とタバコの臭いがする部屋へと入っていく。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・346号室

 

Time:7月18日 11:21

 

ブリッジを後にした水兵達はまず行方不明者の客室に訪れ、素性を調べることにした。

 

水兵A「なんだよ、この部屋。

 人がいた形跡もないな。」

 

水兵B「風呂場も特に濡れてなかったし、

少なくとも昨日の夜は風呂入ってないな。」

 

水兵A「なんだよ、その推理。

 いや、推理といっていいものかも分からないな。」

 

カイリース「そうでもないぞ、少なくとも一日風呂に入らずに過ごすやつが客室をこんなに綺麗に使えるとは到底思えない。

 このクルーズが始まってから大体半年程経っているが、その半年を仮に客室を使わずに過ごしていたと仮定するとそもそも水兵の俺たちの目に止まらないのも不自然だ。」

 

水兵A「というと?」

 

カイリース「最初から居ないか、少なくともさっき居なくなった訳じゃないと言うわけだ。

 あのクソ上官の事だ、乗客のチェックもろくにしていなかったんだろう。」

 

水兵B「最初から居ないって、、まじかよ。

 それじゃあこの部屋は一体。」

 

カイリース「最初から居ないというのはあくまで可能性の話だ、勘違いするな。

 ひとまずそこを明確にする必要があるな、

お前達はこの部屋の乗客の情報を調べてきてくれ、顔写真でもあるといいんだがな。」

 

水兵A「ん、了解。

 カイリース、お前はどうする?」

 

カイリース「・・・俺は少し両隣の部屋に尋ねてみる。」

 

水兵A「そうか、それじゃあ何か分かったら知らせてくれよ────。」

 

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AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・347号室前

 

Time:7月18日 11:27

 

他の水兵達と別れたカイリースは346号室の隣の部屋である347号室に訪れ、ドアをノックする。

 

カイリース「誰かいらっしゃいませんか?」

 

???「何か用? 水兵さん。」

 

カイリース「・・・なぜ水兵とわかった?」

 

???「まぁまぁ、それはいいから。

 それで、、何か用? 『隣』の事?」

 

カイリース「・・・もう入るぞ。」

 

???「あ、待っ」

 

カイリース「・・・なんだ、子供か。

 まぁいい、それより服を着てく────」

 

「ドスッ」

 

カイリースは347号室の客室の主の静止を無視し、強引に部屋に入るとそこには子供の女の子が居り、何故か下着姿であった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・347号室

 

Time:7月18日 11:28

 

カイリース「まぁたしかに殴られる理由にはなってるな。

 すまん。」

 

子供?「まさか強引に部屋に入ってくるとは普通思わないでしょ!? はぁ、、もっと紳士なイメージだったのに・・・最悪。」

 

カイリース「この話はもう終わりだ。

 それで、、色々見透かされている様だが、

あんた何者だ? ただの乗客とは言うなよ。」

 

子供?「はぁ────。

 私はただの乗客よ、本当にそれ以外の何者でもないの。」

 

カイリース「悪い、質問がややこしかったな。

 あんたは普段何してる人なんだ? 探偵かなにかか?」

 

子供?「探偵? そんなかっこいい事してないわよ。

 普段は────そうね。

 働いてる、人の持つ役割を正しい形で導くために。」

 

カイリース「真面目に話す気がないならもういい、分かった分かった。

それじゃあ『隣』の件で知ってる事全て話してくれ。」

 

子供?「はぁ、『隣』の事で分かることは私もあまりないの。

 ただ彼、おかしな人なのよね。

 なんか知人に雰囲気が似ててうざいし。」

 

カイリース「彼? 行方不明者は男なのか。

 というよりやっぱり見た事があるのか。

 最後に見たのはいつだ?」

 

子供?「ついさっきデッキで話したけど────?」

 

カイリース「・・・なに?」

 




読んで頂きありがとうございました。

読み返すと相変わらずテンポ早いなと思ってしまって中身がない様に感じてます。

次回は7/25の夜中投稿予定です!
宜しくお願いします。

次回予告

やばい!豪華客船で乗客が行方不明になっちゃったよ!
船長に命令されて嫌々調査を始めたんだけどそしたら急にラッキースケベのアレが起こっちゃうし俺ってそんなラブコメ主人公だったっけ?
ってえ??行方不明者をさっきデッキで見たって!?
そんなの行方不明者じゃなくてただの天然の老ぼれじいさんなんじゃないの?! ってもう自分で何言ってるかもわからないよ!

次回! 第2話 乗船チケットを回収致します。

本当にこの先どうなっちゃうの?


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第2話 乗船チケットを回収致します。

こんばんは、少しオーバーしましたが約1週間後ということでセーフ!

第二話です。

宜しくお願いします!


AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・控室

 

Time:7月18日 11:31

 

カイリースは行方不明者である客人が寝泊まりしていたであろう346号室に訪れたが、部屋に気配は無かった。

そこで346号室の隣に位置する347号室に尋ねる事となったのだが、そこに居た客人はその行方不明者と先程デッキで会話したばかりだと言う。

 

カイリース「なんだって?」

 

子供?「だから、隣の人ならさっきデッキで会ったって────」

 

カイリース「・・・まじかよ、、わかった。

 それならデッキに案内してくれないか?」

 

子供?「え? なんで? もしかして私が嘘ついてるかもって思ってるの?」

 

カイリース「それとはまた別のことだよ。

 いいからデッキまで案内してくれないか。」

 

子供?「まぁ、いいけど。。」

 

カイリース「よし、それならすぐ行こう。

 俺はカイリース、名前は?」

 

子供?「カイリースね、自己紹介なんてタイミングとっくに過ぎてる気がするけども、

私の名前ね、え────ノエル。」

 

カイリース「?わかった、宜しくノエル。」

 

ノエル「はい、どうぞ宜しく。」

 

********************

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・デッキ

 

Time:7月18日 11:38

 

ノエルと名乗った人物と共にデッキへと向かったカイリース。

そしてデッキへと辿り着いたのだが、すでに行方不明者は姿を消していた。

 

カイリース「ノエル、、隣人は居たか?」

 

ノエル「いや、残念ながら隣人は見当たらないわね。

 何考えてるかよく分からないヤツだから────。」

 

カイリース「・・・そうか。」

 

ノエル「あ、宇須伊さんだ。」

 

カイリース「誰?」

 

ノエル「隣人と仲が良かった人、かな? もしかしたら何か知ってるかもしれない。」

 

カイリース「そうなのか、それじゃあその宇須伊さんって人に聞いてきてくれないか。

 君の隣人がどこに行ったか知らないかって。」

 

ノエル「え? なんで私なの? あなたが聞いてきてよ。 

 私あの人苦手なんだから。」

 

カイリース「俺は日本人が苦手だ。

 君が日本人苦手じゃ無かったら頼むから頑張ってくれよ。」

 

ノエル「え? 日本人が苦手なの? へ────。」

 

カイリース「何だよ、別に構わないだろ?

 嫌な事が沢山あったんだよ。」

 

ノエル「そうなんだ────。

 それなら私が代わりに聞いてくるね。」

 

カイリース「あぁ、頼んだ。」

 

********************

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・デッキ

 

Time:7月18日 11:40

 

ノエルは隣人と仲が良かった宇須伊をデッキで見かける。

そしてカイリースと話し合った末、ノエルは宇須伊が居るテーブルへと足を運んだ。

 

宇須伊幸子「あら? 冬ちゃんじゃないの。

 どうかしたのかしら?」

 

ノエル「宇須伊さん、どうも。

 あと前から言ってますけどその名前はここでは言わないで頂けますか?」

 

宇須伊幸子「そうだったわね、ごめんなさい。」

 

ノエル「早速で申し訳ないんですけども、

あの人、、ジゲンって何処に行ったか知りませんか? さっきここに居たと思うんですけども。」

 

宇須伊幸子「ジゲンさん? あぁ確かにさっきまでいらっしゃってましたね。

 それで少しだけお話ししたら少し急いだ様子であちらの方へ向かって行ってしまいましたよ?」

 

ノエル「あっち?」

 

宇須伊幸子「えぇ、あちらの方へ。

 奥に何があるかは分かりませんが、恐らく機関室があるのではないでしょうか?」

 

ノエル「そうですか、分かりました。

 ありがとうございます。」

 

宇須伊幸子「いえいえ、とんでもない。

 お気をつけて────。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

カイリース「・・・なにか分かったか?」

 

ノエル「あの通路の奥って何があるの?」

 

カイリース「あっちの奥は機関室だな、それでなにか分かったか?」

 

ノエル「そう、私の隣人はあっちに行ったらしいわ。」

 

カイリース「そうなのか、機関室に乗客は入れないはずだが、、それに乗組員のカードキーが無ければ入り口のドアも開ける事が出来ないんだ。」

 

ノエル「そうなのね、まぁとりあえず行ってみましょう?」

 

カイリース「やけに積極的に手伝ってくれる様になったな────。

 何かあるのか?」

 

ノエル「ちょっと、詮索しないで貰える?

 別に怪しい事考えてる訳じゃないし、ただ私も少し気になってきただけよ。」

 

カイリース「気になってきた? 何だてっきり全て分かってるのかと思ってたよ。」

 

ノエル「そんな訳ないでしょ? 何処でそう思ったのよ。」

 

カイリース「俺が347号室に入る前、要するに俺と会う前だ、半年くらい同じ船にいた訳だから確信はないが少なくとも俺は君を今日初めて知ったんだ、それなのに君は俺が水兵であると見破り、そして隣の部屋の件で用があったことも分かっていた様に感じた。」

 

ノエル「そんなの偶々よ、水兵である事なんて貴方の格好を見れば分かるし、私の部屋に入る前に隣の部屋で何かしていたのも物音で少し分かってた。

 それだけ────。」

 

カイリース「物音だと? それは嘘だな。

 客室同士の壁はプライベートを尊重して分厚く構築されている。

 物音程度が隣の部屋に聞こえる訳はないんだ。」

 

ノエル「嘘だなんて、、勝手に決めつけないでよ!」

 

カイリース「それともう一つ。

 冬と言っていたな、何故偽名を名乗ってるんだ?」

 

ノエル「ちょっと! 盗み聞きしてたの!?

 最低なんですけど!」

 

カイリース「話を逸らすな、お前────、

何者だ────。」

 

ノエル「────!」

 

カイリース「待て!」

 

********************

 

AGE 2022 〜地球・太平洋〜

 

Place: ノア号・機関室

 

Time:7月18日 11:53

 

突然その場から駆け出し、機関室の方へと向かったノエル。

それを追うカイリースだったが、機関室の前へと辿り着くと何故かノエルがうつ伏せになって倒れていた光景を目の当たりにする。

 

カイリース「おい、ノエル────。

 どうしたんだ。」

 

ノエル「ん────、此処は、何処?

 貴方誰?」

 

カイリース「────。

 俺はカイリース、水兵だ。

 どこまで記憶があるんだ?」

 

ノエル「記憶って、、訳が分からない。

 貴方なんなの!?

 もう詳しく整理できないからちょっと身体触るわね────。」

 

カイリース「なんだ────?この光は────」

 

ノエル「ん!? え、あ────、はいはい、え!? 嘘!? それでこういう事!?」

 

カイリース「何やってるんだ?」

 

ノエル「あぁごめんなさい、カイリース。

 此処に至るまでの過程を調べてたの。」

 

カイリース「あの光、君も心意を使えるんだな────。」

 

ノエル「あ────、それはまだだったのね、そう私も心意を使える。

 私は心意統制機関カルマの日本支部所属、如月冬よ、まぁノエルって呼んでも良いわよ、間違いでもないから────。」

 

カイリース「カルマ────。」

 

ノエル「私が覚えてるのは昨日の夜にテレビでタイタニックの映画がやってて、すごく縁起悪いなって感じたタイミングまでね。

 そこから先は思い出せない────。

ただ一つ言えるのはこの船────、敵が居るわね、もしかしたら私も昨日時点でその敵に関して情報を何か掴んでたのかも。

 今は何も思い出せないけど、恐らく記憶も操作されてるわね────。」

 

カイリース「敵? 敵って何だよ。

 それに記憶を操作ってそんな事出来る奴がいるのか────。」

 

ノエル「貴方も心意使えるんでしょ? それならどんな事ができるのか分かるはずよ、

 あと貴方がどの役割かは分からないけど、

これからはあまり無茶な真似はしないでよ?」

 

???「その通りよ────。」

 

カイリース「誰だ!?」

 

???「貴方は英雄────。

 何も成し遂げず死んでいくのは許されないのよ。」

 

ノエル「英雄!? ちょっと待って!!」

 

???「日本支部のお子様は黙ってなさい?

 彼を導くのは私たちの役目よ?」

 

ノエル「彼を導くって、、貴女もしかして────。」

 

???「私はアメリカ支部のサラ・ウォーカー。

 この船の調査とカイリース────。

 貴方の護衛の為にこの船に乗船したの。」

 

カイリース「俺の護衛だと? 一体何から守ってくれるんだ?」

 

ノエル「それが敵よ────。」

 

サラ「・・・えぇ、別のベースからやってきた幻想使い────。

 いずれきたる戦争の最大戦力である英雄の器を狙って殺しに来るわ────。」

 




読んで頂きありがとうございました!

小説やラノベと呼べるような形式では全くありませんが、物語として読んでいって頂けると幸いです。

次回から描くのが少し楽しみな展開になって行く予定です。
(面白いとは言ってない。。)

そういえば最近やっとゲーム開発用のPCを購入できました!
少しずつゲーム開発も始めていきたいと思います。
それとSNSも始めてみようかな何て思ってます。

暑さが続いてますが体調管理等一緒に気をつけていきましょう!
学校、仕事、アルバイトファイト!

以上です、また来週!

by 明日8時から仕事って早くない?feat.精神年齢14歳さん


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第3話 下船する場合は足元にお気をつけ下さい。

こんばんはー、もみじんです。

今回第3話になります。

少し地の文多めです。(普段よりは)

それでは対戦よろしくお願いします。

以上


 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・機関室

 

Time:7月18日 11:58

 

 

突如その場から走り出したノエルを追い、機関室へとやってきたカイリースだったが、突如背後から現れたサラと名乗る人物により、

自身の命が何者かによって脅かされている事実を知る。

 

カイリース「幻想使い・・・そいつらがこの船に?」

 

サラ「今もこの船に居るかはわからないわ、奴らはその場に居なくとも幻想を扱える。」

 

カイリース「――――つまり、遠隔でも簡単に殺される可能性は十分にあるってことか?」

 

サラ「まぁ、そういうことね。

 だから私が来たの――――。」

 

カイリース「あんたなら幻想の攻撃から俺を守り切れると?」

 

サラ「えぇ、幻想は洗練された心意でしか対抗できないわ、あなたの心意じゃまだ幻想は弾けないのよ。」

 

カイリース「俺の心意がまだ洗練されてないって?」

 

サラ「そうよ、だってあなたこの船の本当の姿が見えてないんでしょ?

 彼女はそのことに気が付いているみたいだから日本支部所属ってのは間違いではなさそうね。」

 

ノエル「え?! 私??! ま、まぁそうね。

 見えてるわよ?」

 

カイリース「本当の姿って、、なにを言ってるんだ? 本当も何もこの船は豪華客船そのものじゃないか。」

 

サラ「はぁ、、もういいわ、とにかく行きましょう。」

 

カイリース「ちょっと待ってくれよ! どこに行くんだ?」

 

サラ「この船の船長に会いに行くわよ――――。」

 

 

*****************************************************

 

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・ブリッジ前

 

Time:7月18日 12:06

 

 

理由もいわずに船長がいるであろうブリッジへと向かうサラ。

しかしカイリースはその行動の意味がわからずに戸惑っていた。

 

カイリース「サラ! ちょっと待ってくれよ! ブリッジにいっても船長には会えないぞ?」

 

サラ「あら、もう名前で呼んでくれるなんて嬉しいわ―――。」

 

カイリース「話を逸らすな、船長に何をしようとしてるんだ。」

 

サラ「私たちから見たらこの船こそ幻想の塊そのものよ、そんなのこの船の頭が一番怪しいに決まってるじゃないの。」

 

カイリース「確かに船長とは全然顔も合わせないし、素性もなにも知らないけどこの半年間俺はなにもされなかったんだぞ?

 それだけでも十分疑う理由はなくなるはずだ、違うか?」

 

サラ「その考えは甘すぎるわ、それじゃあ聞くわよ? この半年間でなにか不思議なこのは起こったりしたかしら?

 少なくとも私が知る限りじゃそんなことは今日までなにも起こらなかったわ、それを逆に考えてみなさい。

 もし仮にあなたを殺す準備が整ってその行動を起こした結果が今日の出来事だとしたらこれからあなた死ぬことになるわよ?」

 

カイリース「・・・」

 

サラ「わかったらさっさと着いてきなさい。私から離れて過ぎてると危ないわよ――――。」

 

カイリース(こいつはなんなんだよ・・・)

 

サラ「あら? 扉が空いたままね。」

 

カイリース(いつもは閉まってるのに、、何故だ。)

 

サラ「入るわよ――――。」

 

カイリース「おい、勝手に入るのは――――」

 

船長「誰だ――――」

 

カイリース「船長、、すみません、乗客が勝手に、、、」

 

サラ「これは――――!!」

 

ブリッジの中へと入ったカイリース一行は中にいた船長と対面する。

しかしその直後、カイリースの隣にいたサラはなにか異変に気が付いたのか船長めがけて急に走り出す――――。

 

カイリース「やめろ――――! サラ!!!」

 

サラはカイリースの静止を無視し、振り向いた船長の首元を狙い勢いよく手元にひそめていた小型ナイフを振り落とし、そして振り切った。

 

ノエル「う、噓でしょ――――。」

 

カイリース「・・・・・・」

 

船長の首は吹き飛び、あたりは血に染まる・・・と思えたのだがカイリース一行はそのありえない光景に驚きを隠すことができなくなってしまう。

 

カイリース「空だ――――。」

 

カイリースのたとえはその場の光景に的を得ていた。

なぜなら吹き飛ぶはずの船長の首はまるで空気が抜けた風船のように床へと落ちていったのだ。

 

サラ「遅かったか!」

 

ノエル「え?! こ、これってどういう事?!!」

 

船長「カイリース――――!!!」

 

次の瞬間、今目の前で空となったはずの男の声がブリッジ内に響き渡る。

 

カイリース「船長――――!?! どういうことだ?! これはなんだんだよ!!」

 

サラ「・・・船長は白だったって事ね。」

 

カイリース一行がまるで普段の落ち着いた様子とは別に騒がしくもがくように叫ぶ船長を目で確認する。

すると船長は下半身がすべて床に沈みこんでいるような状態になっており、まるで船に食べられている様であった。

 

そしてその沈みの速さは勢いを増し、船長の胴体へと到達する。

 

カイリース「船長! 俺の手を掴んでください!!」

 

船長「・・・俺は気にするな! お前もここから逃げるんだ――――!」

 

カイリース「でも、待ってください船長!!!」

 

船長「カイリース、あの女の事は信じるな――――。」

 

カイリース「船長――――?」

 

船長はカイリースへと何かを伝えると頭部まで沈み込んで行き、その場から消えていった。

 

ノエル「?」

 

カイリース「船長、、そんな――――」

 

サラ「外がなにか騒がしいわ! 行くわよ!!」

 

*****************************************************

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・デッキ

 

Time:7月18日 12:12

 

ブリッジ内で船長が船に沈み込んでいく様子を目撃したカイリース一行、しかしその悲しみに浸る余裕すらなくすように外が騒がしくなっていき、様子をうかがいに行く事に。

 

宇須伊幸子「いやぁ――――――――!!」

 

ノエル「宇須伊さん――――――――!!」

 

デッキに着くと宇須伊も含めた大勢が先ほどの船長のように船に沈み混んでいっており、デッキは悲鳴で包み込まれていた。

 

カイリース「なんだよ、これ―――――」

 

ノエル「宇須伊さん! 私の手を掴んでください―――――!」

 

宇須伊幸子「冬ちゃん! 助けて―――――!」

 

カイリース「ノエル! あきらめろ! お前まで引きずり込まれるぞ!」

 

ノエル「でも―――――、、!?カイリース、危ない!!」

 

カイリース「な、俺もかよ!!」

 

ノエル「カイリース―――――!!」

 

カイリースも船へと沈みこんでゆこうとした瞬間、カイリースは後ろからの強い衝撃によってなんとかその危機を脱す事ができ、

そして強い衝撃の正体を知るべく後ろを振り向く。

 

カイリース「サラ!?」

 

サラ「やっぱりこの船に来てよかった―――――。」

 

するとカイリースが沈み込んでいっていた場所に変わるように今度はサラが船に沈み込んで行っていた。

 

カイリース「おまえ、何やってんだよ! 最初から守るとかいってたけど!! お前は俺に返す恩もないはずだぞ!?」

 

サラ「確かにあなたと私にそんな関係はないわ―――――」

 

カイリース「だったら・・・」

 

サラ「それなら・・・今から始めればいい。

 その関係を、まずはあなたが私に恩を返しなさい―――――!」

 

するとサラはまだ沈み切っていない右手を掲げ、何かのものをカイリースへと投げ渡す。

 

カイリース「こ、これは・・・」

 

サラ「うまく使いなさい・・・」

 

サラはそういうと船へと沈んでいった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ついにサラも船の中へと沈んでしまい、次々と犠牲が出てしまうカイリース一行。

サラを飲み込んでなおそれをやめない船に対して、カイリースはサラから最後に受け取ったペンダントを片手にデッキ中を駆け回っていた。

 

ノエル「カイリース! 宇須伊さんが!!」

 

カイリース「駄目だ! 一旦あきらめるんだ!」

 

ノエル「そんな・・・」

 

宇須伊幸子「助けてぇ―――――」

 

ノエル「宇須伊まで・・・」

 

宇須伊を飲み込むとついにデッキの床は命を吹き込まれたようにうねうねと動き出し一つ一つがカイリースたちを襲いだす。

 

ノエル「なによ、、あれ・・・」

 

カイリース「来るぞ―――――!」

 

うねうねと動く床は途端に先端が鋭く尖り、カイリースを貫く勢いで突撃してくる。

 

カイリース「心意解放―――――」

 

次の瞬間、鋭く尖る床はカイリースを貫いたかに思えたが、それは空気を貫いた。

そしてカイリースはなぜか先ほどまでいた場所とは反対へと移動していた。

 

ノエル「嘘?! 瞬間移動!??」

 

カイリース「まぁ、簡単に言うなら位置変えだな―――――」

 

ノエル(すごい、さすが英雄の器だわ―――――)

 

カイリース「こんなこともできるぞ―――――!」

 

カイリースは床に手を置くと、次の瞬間反対にいたノエルがカイリースの隣へと現れる。

 

ノエル「嘘! 他人にも使えるの?! それ!」

 

カイリース「まぁ、条件はいろいろあるけどね―――――」

 

ノエル「さっき使えばよかったじゃない!!」

 

カイリース「だからいろいろ条件があるんだ! それにそんな頻繁に使えたら必殺技じゃないだろ?!

 すぐに床が襲ってくるぞ、早くどこかへいこう!」

 

*****************************************************

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・控室

 

Time:7月18日 12:24

 

デッキで床に襲われたカイリース一行は控室へと逃げ込む事になった。

 

カイリース「はぁ、はぁ、ここまで来れればひとまず大丈夫だろう。」

 

ノエル「はぁ、疲れた、、それで・・・これからどうするの?」

 

カイリース「・・・サラと船長を探しにいこう。

 あとついでにあの日本人も―――――。」

 

ノエル「え!? みんな生きてるの?」

 

カイリース「あぁ、おそらくだけどね。

 これ、さっきサラから受け取ったんだけど、今までずっと一点を指して点滅してるんだ。」

 

ノエル「それって、もしかして・・・」

 

カイリース「たぶん発信機だろうな、なぜかは知らないがこのペンダント、円状でコンパスみたいな役割をしてくれるらしいな。」

 

ノエル「ドラゴンレーダーってことね、それなら早速サラやみんなを探しに行きましょう!」

 

カイリース「そうしたいのは山々なんだがな、一つ問題がある。」

 

ノエル「なによ―――――」

 

カイリース「このマップを読み解けないんだ、このサラの居る座標はこの船のどこにもありはしない。」

 

ノエル「それって、つまり船には居ないってこと!? 」

 

カイリース「いや、俺の知る限り船にはいるはずなんだ、船のどこかには居るがそこは船じゃないんだ。」

 

ノエル「それどういうこと?」

 

カイリース「下なんだ―――――」

 

ノエル「え?」

 

カイリース「位置でいったらこれは船のどこかなんだ、ただこれが示しているのはこの船の下の座標なんだ。」

 

ノエル「つまり?」

 

カイリース「船底より下、つまり海底だ―――――」

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!

ノエルが「え?」とかしか言ってませんが多分この物語ではずっとそんな感じです。

それといままで実は皆さんを楽しませたいとおもって書いていなかったことに気が付きました。

次回作以降はその辺も踏まえてそろそろ成果が出るような作品をつくりたいと思います。

今作はこんな感じで好きなようなこと書きまくりますのでよろしくお願いします。

やっと8月ですが暑さもまだまだ続きます。

体調管理気を付けて頑張っていきましょう!

ではまた来週!

by9月のシャンチーが楽しみすぎて夜も眠れない社会人さん


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第4話 VIPルームをご予約で?

こんにちは?こんばんわ?

第4話です!

よろしくお願いします!


AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・機関室

 

Time:7月18日 12:30

 

サラの居場所がわかったカイリースとノエルは、ペンダント式のレーダーを便りに先ほどいた機関室へとやって来ていた。

 

カイリース「ここは、、機関室か―――――。」

 

ノエル「そうみたいね、でもここから海底にって、どこから行くのよ。」

 

ノエルは二人しかいない機関室内でもう一人の人物にそう質問してみる。

しかしカイリースはあたりをキョロキョロと見渡しながらその質問をスルーする。

 

ノエル「ちょっと、無視しないでよね。」

 

カイリース「ちょっと、待った。

 何も喋らないでくれ、音を出すな―――――。」

 

カイリースはいつにもなく真面目な眼差しでノエルを見ながらそう答える。

 

ノエル「ツ―――――」

 

ノエルもその普段見せない眼差しに少し驚いた様子であった、それはそれで意味は理解したのかそれ以降何も音を発さずに機関室内を探索を始めた。

そして無音である機関室に居座り続けて少し時間がたった時、なにかの違和感をカイリースが感じ取った。

 

カイリース「風が吹き抜ける音だ―――――。」

 

ノエル「風?」

 

カイリース「シッ!」

 

カイリースの独り言に反応したノエルだったが、途端人差し指を口元に当てられジェスチャーで静寂を要求された。

 

カイリース「こっちだ―――――。」

 

ノエルもカイリースの言う風の音に気が付いたのか無言で頷き、音の聞こえる場所へと足を運ぶ。

 

カイリース「こんなところに扉があるぞ。」

 

ノエル「・・・」

 

カイリース「ノエル?」

 

ノエル「え? あぁ、もう喋っていいのね。」

 

カイリース「あ、すまん、さっきはつい集中してて―――――」

 

ノエルは意地悪にカイリースにそう言い返す。

 

ノエル「まぁ、いいけど。。

 それで、、これが扉ね、この先に何があるの?」

 

カイリース「わからない、俺もこの先になにがあるかわからないんだ。

 機関室にはよく来ていたんだがな、こんな扉初めてだ―――――」

 

ノエル「え?! そうなの!? だったら余計怪しいわね。」

 

カイリース「あぁ、入ろうー。」

 

ノエル「えぇ―――――」

 

カイリースは謎の扉のドアを開け、現れた薄暗い道を奥へと進んでいき、ノエルもそれを後から追うのであった。

その最中、後ろから近づいてくる足音にはまだ気づかずにいた―――――。

 

*****************************************************

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・地下迷宮・入口

 

Time:7月18日 12:34

 

機関室内で謎の扉を見つけたカイリース一行はその扉を開けその奥へと進んでいく。

 

カイリース「下がっていってるな。」

 

ノエル「そうね、このまま下り坂ならサラさんの居る位置もあながち間違っていないわ。」

 

ノエルの言うようにサラの居場所を示す場所へになら確かに進んでいるのは確かであった。

しかしカイリースは今のこの状況に違和感を感じずには居られなかった。

 

カイリース「水を差すようで悪いんだが、もうここは海の中であるべき高さだぞ?

 一体どうなっているんだ。」

 

ノエル「もういいでしょ、だってもう床があんなにぐねってるし、海の中にいるし、

 もうわかってるはずよ、今起きている出来事は普通じゃないわ―――――」

 

カイリースはそのことについてもわかっているはずだった、そもそも心意なんていうものが使えるようなってから普通ではなかったのだから。

 

カイリース「あぁ、大丈夫だ、少し取り乱した。」

 

ノエル「シャキンとしてよね、なにかあっても私は戦えないんだか―――――」

 

突然空気が変わった。

 

カイリースは先ほどまで話していたノエルの方を見るとすでに姿はなかった。

 

カイリース「なに―――――!? どこだ―――――! ノエル!!」

 

カイリースは一瞬のことでなにが起こったのかわからない。

そして咄嗟に出た言葉はずっと奥へと続く暗い道へ吸い込まれてしまった。

 

カイリース「クソ! やっぱりなにか変だ! 一旦戻るか?!」

 

精神的に追い込まれていったカイリースから最初に出た選択肢は一旦この場から逃げることであった。

しかしその選択肢はすぐに消える。

 

カイリース「いや、駄目だ! ノエルがまだ中に居る可能性があるんだ、置いてはいけない!」

 

そしてカイリースはまだ見ぬ存在へと向かい自身の気を保つ為に叫ぶ。

 

カイリース「どこの誰なんだよ! 不意打ちじゃなく堂々と目の前に来てみろ!」

 

するとカイリースの背後から突然物音が聞こえる。

 

カイリース「誰だ―――――!」

 

カイリースが物音に振り向くとそれは見知った人物であった。

 

水兵A「ビックリした、、あんま叫ぶなよ、、」

 

水兵B「そうだぜ? まったく声が響くわ響くわ。」

 

カイリース「お前たち! 無事だったのか!?」

 

水兵A「まぁな、それよりここはどこだよ―――――」

 

カイリース「俺にもわからない、ただおそらくだがこの奥に船に沈んでいった人たちがいるはずだ―――――」

 

水兵B「そうなのか! だったら俺たちも協力するぜ!」

 

カイリース「本当か? それは嬉しいんだが、それなら悪いがこの先なにが起こっても自己責任だぞ―――――」

 

水兵A「おう、了解だ、それじゃあ行こうか!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・地下迷宮

 

Time:7月18日 12:45

 

他の水兵と合流したカイリースは他の2人と互いに背中を合わせながら、永遠と続くような迷宮の奥へと突き進んでいた。

 

カイリース「みんな絶対に油断するなよ―――――。」

 

ズドン

 

水兵A「おう、わかってるって。」

 

ズドン

 

水兵B「・・・」

 

ズドン

 

カイリース「どうかしたのか?」

 

ズドン

 

水兵B「なんかさ、足音みたいなの聞こえないか?」

 

ズドン

 

水兵A「俺たちが歩いてるんだ、そりゃあ聞こえるだろ?」

 

ズドン

 

水兵B「いや、俺たちの足音じゃなくてな、えっとなんだろうなこれ、あぁーあれだ、力士のシコフミみたいな感じの音だよ。」

 

ズドドン

 

水兵A「なんだよシコフミって、お前日本好きだよな―――――」

 

ズドドドン

 

水兵B「近づいてきてるんだよ! でかい音がよ!!!」

 

・・・・・

 

カイリース「こいつか―――――」

 

とてつもなく大きな音が収まるとカイリース一行の前にはまるで魚人のような容姿をした巨大な怪物が現れた。

 

???「ギャガガガガギギギャ―――――」

 

水兵B「VIP客の人かな?」




読んでいただきありがとうございました!

怪物は今思えばアボミネ・・・だなーと思いました。
(絶対わかる人いない)

あと光の女狐さんが全然でないです。。。

シャンチー楽しみ!

以上!


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第5話 現在乗船はお断りさせて頂いております。

こんばんわ! 第5話です!

よろしくお願いします。


AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・地下迷宮

 

Time:7月18日 12:50

 

???「ギャガガガガギギギャ―――――」

 

目の前には鱗を体中に身にまとった怪物が一つ。

相対するはノア号の水兵達。

怪物が現れた瞬間、その一瞬で、この暗く薄暗いどこまでも続く地下迷宮の奥までへとびっしりと沈黙が覆いつくした。

そしてその数秒後か、はたまた数十秒後かそれは定かではないがその沈黙は次の一斉で解き放たれる。

 

カイリース「お前らァ! 逃げるんだ!!」

 

カイリースは怪物が身にまとう鱗、とは別に感じ取ったいびつな親近感と不気味さがその一声を活気だたせた。

 

水兵A&水兵B「ッ―――!!」

 

後方に立ち尽くしていた水兵たちもカイリースの怒涛の一声に未曾有の出来事が今、目の前で起きていることを感じとったのか気が付いた時には怪物に背を向け、全力疾走で駆けていく。

 

以降、残された二つの存在。

それらの目線は互いに合わないものの、はたから見て彼らは次の瞬間には双方一斉に動き出すであることまでは予測できた。

 

そしてその時は来た。

 

先に足を踏み出したのは水兵帽をかぶった青年である。

 

彼は怪物が動き出す前に仕留める気なのか、勢いよく足を踏み込むと自身の拳をおもいっきり振りかぶる。

そしてぶ厚そうな何重にもかさなった怪物の鱗めがけて拳を叩き込む。

 

その衝撃は床には蔓延るかすかな埃でさえも、宙へと浮かせる程である。

 

すれば怪物の図体でさえも、宙に浮くのか。

 

それは間違いである、怪物への腹部へとそれほどの衝撃を与えた結果は『埃が宙を舞ったかな?』といったかすかな変化としかこの場では感じられていなかった。

 

否、怪物はその衝撃には一切微動だにせず、元ある図体、鱗で受け入れた。

 

カイリース「悲しいな、コンクリートは砕けるんだが、」

 

そして次の瞬間、怪物は動く。

 

怪物は剛腕な左腕をピクリと動かす。

 

カイリースは自身が突き出している右手の拳で少し死角であったのだろう、おそらくだがピクリと動かした左腕は次の瞬間、彼を左から叩いた。

 

叩いた、という表現はすこし曖昧であるが、はたから見ればそれは『肩についている埃をふき取る』程度の死んだ勢い、またその程度の軽いアクションであった。

 

しかしその行動に対しての結果はあまりにも見合っていなかった。

 

その意外な結果はというとまずカイリースはこの場から消え去った。いや消しとんだの言い方のほうが正しいだろう。

 

とにかくカイリースはこのあたりをコンクリートで覆っている狭い廊下から消えたのだ。とてつもなく大きな衝撃とともに―――。

 

双方を横から挟むコンクリートの左側には巨大な大穴ができており、その後、何重にもかさなっている壁をも突き破っている。

 

そして突き破っていった壁の奥の奥、水兵帽の彼は勢いが減速したのか突き破れずにいたその壁に打ち付けられ、うつぶせになり床に這いつくばっていたがその左手前にドアを見つける。

 

しかし「今」はそんなドアどうでもいいことであった。

 

カイリース「・・・クソ、なんであんなのがこの世界にいるんだよ。。」

 

そのカイリースの発言は御もっともである。

 

なぜならあの怪物は『この』世界の生物ではないのだから―――。

 

それを理解しているが故、カイリースは立ち上がる。

 

その行動は決してあの怪物に仕返しをしてやろうといった魂胆でないことは次の瞬間に明白となった。

 

彼はまるで花のトンネルかのようにきれいな形で突き破られた何重にもなる壁の奥にいる「アレ」には目も向けず、今いる廊下の通路を左へと走り出す。

 

理由は単純であった。

 

力勝負では勝てないと、そう判断した。

 

であればそう、自身の勝ち筋へと「アレ」を誘導するのみである。

 

カイリースは走る―――。

 

辛うじて先ほどの攻撃は致命傷にはならなかった為、その救われた命を無駄にしないと誓う。

 

しかし彼のその誓いは次の瞬間、願望へと変わる。

 

自身から見た左後ろ、要はさきほど怪物がいた場所あたりからである。

 

まるで板チョコを割るような感覚で何かが近づいてくる。

 

カイリース「あぁ、もう、、最悪だ―――。」

 

カイリースはこれから起こることを想像した―――。

 

そしてその事前準備こそ、彼の生死を分けた。

 

予想通り、というべきか壁を板チョコのように軽くたたき割ってくる何かは大きな破壊音とともに、彼の後ろ後方へと怪物は現れる。

 

怪物「ギャガガガガギギギャアァァァァァ―――――」

 

カイリース「あ―――!! もう、まったく!!」

 

驚くことはなかったものの、怪物の怒涛の気迫には毎度の如く身構えるカイリースは自身を追うように怪物はちょうど5メートル後方に現れる。

 

それは道の概念を叩き壊しながら突き進んで来る。

 

少しずつ距離が縮まる。

 

4メートル、、3メートル、、残り2メートル。

 

残り1メートル、そこでカイリースは後方を意識する。

 

しかし後方を振り向く余裕はない。

 

そうすれば再び自身の体はどこかへ消し飛んでしまうだろうと予測していたからである。

 

なのでカイリースは右手の手のひらに力を込める。

 

これは決して物理的に力んでいるわけではない。

 

怪物を背に疾走する中、その手のひらには羅針盤のような図面が浮かび上がる。

 

カイリース「ざっと、100メートル、、、ってところだな!!」

 

100メートル。

 

これはカイリースが先ほど吹き飛ばされて地面に這いつくばっていた場所、要はここからこの疾走のスタート地点までの距離に相当する。

 

そして次の瞬間一言、そうたった一言だけカイリースはつぶやく。

 

カイリース「反転―――――。」

 

そのあとは何が起こったのか、まず怪物は後方1メートルあたりから姿を消す。

 

そして後方100メートルへと距離を開け、怪物は再び出現する。

 

それだけではない、一番不可解なのは100メートル先にいる怪物を眺めるカイリースから見て右側に花のトンネルのようにきれいに突き破られた壁があるということである。

 

これは決して瞬間移動という類のものではない。

 

これは疾走を始めたスタート地点にカイリースが仕掛けた「軸」を中心に、空間を回転させた結果なのである。

 

その証拠に前方の床一面には移動式ドアのように横にだんだんと層を築き、溝が作られていた。

 

この溝こそが空間を回転させた証拠なのであった―――――。

 

怪物と距離を離したカイリースはスタート地点の左手にあったドアのドアノブへと手をかける。

 

カイリース「さて、この部屋はなんなんだ? やつが来るまでに調べるか。」

 

ドアを開ける。

 

部屋に入るとそこは古びた船室のようでサビれたベットと椅子が置かれているだけだった。

 

カイリース「外れか、ちょっとだけ出口を期待したんだがな、、ん? なにかベットの下で光ってるな。」

 

腰を屈め、ベットの下を覗く。

 

すると見えたのは薄暗い部屋をも明るく照らす「月」の形をした何かであった。

 

カイリース「これは―――――、、ん、よっと。」

 

手を伸ばし、それを手に取るとそれは勾玉のようであった。

 

カイリース「なんだよ、これ。」

 

少し、ほんの少しだけその勾玉を眺めていると部屋の外から大きな物音が聞こえてくる。

 

そしてそれはだんだんと近づいてくるようだった。

 

カイリース「あぁ、もう時間か!!」

 

再び怪物との追いかけっこだと息をのみ、勾玉を自身の胸元にあるポケットへと入れると部屋を出る。

 

そして想定通り、右手側に見えるのは向かってくる怪物。

 

そして―――――。

 

サラ「なんなのよ――――! こいつ!!」

 

カイリース「サラ!?」




読んでいただきありがとうございました。

なんか今回は書いてて楽しかったです。

次回最終回!

以上


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最終話 さようなら夢の世界! 幻想繋船号ノアは一時停泊致します。

こんばんは!

最終話です、よろしくお願いします!


AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・地下迷宮

 

Time:7月18日 13:12

 

ここは地下迷宮。

 

どこまでへと続いているかと思わせる広い海を航海する客船の中のほんの一つの「アトラクション」に過ぎない。

 

普段は誰も決して近づきはしない(そもそも気が付かない)物静かなアトラクションは久々に訪れた客人「達」を歓迎する。

 

サラ「一体なんなのよ! あのバケモノみたいなの!!」

 

カイリース「なんだッ! サラの知り合いじゃなかったか!?」

 

サラ「ふざけないで! どう推測したらあんなのと「知り合い」の体になるの?!!」

 

これでもまだたったの数時間の付き合いでしかない二人は、まるで仲の良いおしどり夫婦のようなやり取りを行いつつも、後方から追いかけてくるバケモノから全力疾走で逃げ回っていた。

 

カイリース「あぁ、クソ!」

 

怪物の一歩は大きい。

 

カイリースの身長は平均的に見ても高いほうである。

 

それであっても悠々と見上げるレベルの背丈を有した「それ」は着々と目の前を走る二人を欲するように追いかける。

 

スポーツである短距離走などで活躍する名の上がる選手たちは誰しも構わずに背丈が高い選手が多い。

 

考える必要もないが、おそらくはその高い背丈からくる足の長さだろう。

 

タイヤの半径が10センチメートルの車と半径100メートルの車が同じ速度で発車した場合、先にあるゴールテープを破るのはタイヤの半径が100メートルの車であるように。

 

この「世界」は単純だ。

 

より大きいものが勝つ。

 

ただし、その思考は「外観」だけとは限らない。

 

そう、「心意」の大きさではすでにカイリースはあの怪物をも軽く凌駕していた。

 

カイリース「ここだ!!」

 

ここまで来たら一切の躊躇はしない。

 

カイリースは走りながらも「軸」を壁の側面へと設置。

 

カイリース「歪め!!」

 

その一声を合図とし、先ほど設置した壁の「軸」は起動する――――。

 

サラ「え?」

 

「軸」は半径3メートル、幅は廊下目一杯、空間をハムスターの回し車のように回転させる。

 

その遠心力につられてカイリースとサラは上に段々と上昇――――。

 

怪物もその回転に飲み込まれる。

 

互いに軸を中心に視点が一瞬交差する。

 

そして怪物も上へと昇る遠心力に引きずり込まれるタイミングで、、、

 

カイリース「解除!!」

 

一声を上げる。

 

結果、下へと落ちる遠心力にかかっていたカイリース達は床に衝突。

 

怪物はというと計られたものなのか、上へ向かう遠心力との境目、ゴルフのスイングでボールが前方に飛ぶのと同じように地下迷宮の遥か奥へと吹き飛ばされてゆく。

 

サラ「嘘!? 助かったの?」

 

カイリース「まだ油断できない、またすぐに追ってくるぞ。

 さっきと同じ手が通じるとは思えない。」

 

サラ「わかってはいたけど、流石ね――――。」

 

カイリース「今のうちに距離を離そう。」

 

サラ「出口はわかるの?」

 

カイリース「出口? ノエルがまだだもっと奥に行くんだよ。」

 

サラ「えぇ!? あの子もいないの!?」

 

カイリース「あぁ、出口ではぐれた。

 どこに居るかはわからないが少なくともこの空間にはいるはずだ。」

 

サラはなぜか迷ったような顔をしている。

 

そして一呼吸おいて、、

 

サラ「悪いけど、それは危険だわ。」

 

すると予想外の言葉が飛び出てくる。

 

しかし改めて考えるとそれは当たり前なのかもしれない。

 

彼女たちの付き合いはそれこそほんの数時間。

 

もはや知り合いと呼べる仲なのかも定かではない。

 

そんなものの為に命などかけられるかと言わんばかりにサラは問い詰める。

 

サラ「あなたこそ、あの子とあって数時間でしょ? 一体何のために?」

 

当たり前のことだった。

 

昔誰かが言った。

 

自身の命はどんな状況であれ天秤には賭けられないものだと。

 

しかしカイリースの価値観はそれを不要とした――――。

 

カイリース「他人だからこそ、賭ける価値があるだろうに。。」

 

サラ「え?」

 

カイリース「他人こそ無限大の可能性だ、そこには定められた偏見は存在しない。

 他人以外は俺の中ですでに仕切りで分けられているんだ。

 悪党、変人、優しい奴、強い奴。。」

 

彼は人が変わったようにべらべらと語りだす。

 

カイリース「俺は自身の窮屈な心を広げるために他人を選別する選定者なんだ、

 だからもしノエルが俺があってきた今までで一番賢い存在であるなら、、と思ったらその可能性を信じてそれに賭けるしかないだろう。」

 

サラ「――――、あっそ。

 もうわかったから、、それじゃあ行きましょう。」

 

カイリース「えぇ? あれ? 引かれると思ったんだがな。」

 

サラ「あなたの素性も、性格も、すべて把握してるにきまってるじゃない。

 ただ、、唐突にキャラに入ったから「今なの??」と思っただけよ。

 なにボーとしているのよ、さっさと行くわよ。」

 

 

怪物を遠く彼方へと吹き飛ばしてから数分が立った。

 

追われていない安心感なのか二人の足取りは少し緩くなっていた。

 

カイリース「やっぱり手がかりもなしに探すのはまずいな、時間が無い。」

 

そんなことをつぶやいていると、サラが得意げに首を突っ込んでくる。

 

サラ「ペンダント渡したでしょ? 今見てみなさい。」

 

カイリースは首をかしげながらも渋々ペンダントをポケットから取り出す。

 

するとサラの居場所を告げていた点滅は、隣にいるサラではなくまた別の場所を示していた。

 

カイリース「?!どういうことだ? サラの場所を示していたと思ったんだが筋違いだったか?」

 

サラ「そのまさかよ、それ、そんなのじゃないわよ。

 ここの船に乗る前にクソ野郎から盗んできたのよ、やっぱり使えるわねそれ。」

 

カイリース「? クソ野郎って?」

 

サラ「まぁ、それはどうでもいいでしょう、それは。

 とにかく、それは人の目的を記しているのよ、今あの子を探そうとしているからあの子の場所が記されている。」

 

カイリース「すごいな、魔法みたいだ。」

 

サラ「心意なんて魔法みたいなものよ。」

 

カイリース「これも心意なのか?!」

 

サラ「えぇ、私はそう聞いてるけど、どういう経緯で作られたかは知らないわ。」

 

カイリース「そうなのか、まだまだ浅いな――――。」

 

カイリースが関心していると激し目な物音が聞こえてくる。

 

カイリース「もう来たか、サラ、ペンダントをもってノエルを見つけて外に出るんだ。」

 

サラ「あなたはどうするの?」

 

カイリース「時間稼ぎってところかな。」

 

サラ「そう、それじゃあ信じるわ。 幸運を――――。」

 

カイリース「ずいぶん軽いな――――。

 まぁ、いいか。」

 

物音は段々と近づいてくる。

 

カイリース「よし、来い!」

 

カイリースが構えると突然胸ポケットにしまったはずの勾玉が輝きだす。

 

カイリース「なんだ!? こんな時に!!!」

 

怪物「――――――――――――――――――――――――。

 サン、、、シ、、、ュノジ、、ンギ、、、。」

 

 

カイリース「!?!」

 

怪物は喋ったのか「三食の主食」と言っている。

 

カイリース「なんだ?! 三食の主食って!!」

 

怪物「ジン、、ギ、ジンギ、ジンギ、ジジジジ、、、ンンン、ギギギギギギギ・・・」

 

カイリース「?」

 

怪物は何かを悟ったのかおびえるような声を上げ、去っていく。

 

カイリース「なんだったんだ、いまのは――――。」

 

 

 

カイリースと別れたサラはペンダントを元に地下迷宮を走っている。

 

サラ「もう全く、本当に面倒。

 一体どこまで奥に行ってるのよ、あの子。。」

 

点滅が示す場所へと近づこうとしているのだが一行に近づかない。

 

すると突然、、

 

サラ「え?! ちょっと待ちなさいよ! どこに行くの!!!」

 

ノエルを示している点滅はだんだんとその勢いをなくし、薄くなっていく。

 

そしてペンダントの点滅は亡くなった。

 

 

 

怪物を追い返してからまた数分立った。

 

その後、怪物の気配は一切感じ取れなくなってしまい、地下迷宮にふさわしい不気味さが今になって漂ってくる。

 

ここが船の中であることも忘れてしまう。

 

カイリース「深いな、一体どこまで続いているんだ、この地下迷宮は。

 船の敷地外にはとっくに出ているし、早くサラと合流しないとな。

 ペンダントを渡したのは間違いだったか?」

 

そうペンダントをサラへ渡したことを悔やんでいると、歩いている廊下の奥に明かりを見つける。

 

カイリース「なんだ? あの光は、、出口とは真逆に進んでいると思ったんだが。」

 

方向感覚が優れているのか、それは間違いではなかった。

 

出口以外での明かり、そこで少なくとも対象が人工物であることを認識する。

 

息を呑む。

 

カイリース「・・・」

 

明かりを発するものからざっと4~5メートル程度。

 

それが何かを理解するには十分な距離である。

 

カイリース「これは?」

 

それが何かわからない、いいや正確には見たことはある、それに知った名前で言っても間違っていないだろう。

 

ただそれが知った名前であるのかがわからない。

 

カイリース「羽?」

 

明かりを発する正体は「羽」ただし誰しもが想像する「羽」ではないことは明らかだった。

 

カイリース「なんだ、あの歪な形は――――。」

 

その「羽」はモノ珍しい蝶がもつもののように鮮やかであり、そして巨大だ。

 

一人の人間のサイズにも匹敵しうる。

 

カイリース「なんだよ、人に付いてたってのかよ、この羽は。」

 

そう言いながら「羽」に少し近づく。

 

カイリース「!?」

 

胸ポケットにある勾玉が「羽」に共鳴するように突然と輝きだす。

 

そして磁石同士が反発するように身体が後方へ吹き飛ばされる。

 

カイリース「なんだ?! 急に!!」

 

すると「羽」と勾玉は互いに輝きを失う。

 

カイリース「なんだったんだ、今の。。」

 

 

 

この一見大したことのないように思える出来事。

 

起こった理由は「外部との接触」

 

これは単に「船の外側」というわけではない。

 

規模は大きく、この世界の「外側」と「内側」の衝突。

 

これがもたらすものとは、、、

 

世界の「バグ」である。

 

その影響範囲は計り知れず、すべてをも巻き込んでいく。

 

しかしこの船だけは「例外」であった。

 

ただし、この船を覆っていたものが誤作動を起こしたためか、地下迷宮は一時的な崩壊を迎えようとしていた。

 

 

 

カイリース「! 入り口付近に設置していた『軸』がずれ始めているな!

 急いで戻らないと。。」

 

カイリースはすでに設置していた『軸』を起動し、入口付近まで移動する。

 

すると目の前を横切る廊下から足音が聞こえる。

 

サラ「カイリース!」

 

カイリース「サラか! ノエルはどうした!?」

 

サラ「この船にはもういないわ! 途中ペンダントの反応が途絶えたの。」

 

カイリース「途中・・・、もしかしたらさっきので何かが起こったのか。。。」

 

サラ「早く上に戻るわよ! ここはもう居てはいけない気がするわ。」

 

カイリース「あぁ、」

 

機関室へと続く暗闇の廊下を駆け足で進んでいく。

 

サラ「あの怪物はここまでは来れないわよね。」

 

カイリース「そうだな、というかもう地下にはいないだろうな。」

 

サラ「それって、どういうこと?」

 

カイリース「そのままの意味だ、この勾玉・・・。

 実は怪物に効き目があったらしくてな、どこかに逃げていったよ。」

 

サラ「なにその『殺虫剤が効きました』みたいな言い方、、、

 そんな軽そうな奴ではなかった気がするのだけれど。」

 

カイリース「もういいだろう、それよりノエルが消えたってことは他の乗客もその可能性がある。

 俺と君がその例外なのはいまは置いておくとして船はいったん近くの島に止めよう。

 乗客は消えるわ、船長も居なくなるわでもうこれはもう俺たちではどうしようもできない。」

 

機関室へと戻り、デッキへと向かう。

 

カイリース「これは―――――、、」

 

この船は豪華客船だ。

 

少なくともこの船に乗船した時もそうだったし、半年間この船に居てもそれは間違っていなかった。

 

しかし、

 

目に映ったのは幽霊船の様に荒れ果てたデッキであった。

 

カイリース「どういうことだ! いつの間にか違う船にいるぞ!!」

 

サラ「あぁ、今気が付いたのね。 

 なるほど。」

 

カイリース「どういうことだ?」

 

サラ「おそらくだけど、地下で起こったなにかでこの船を覆っていた違和感が消えているわ。

 それのおかげで今あなたはちゃんと現実を見れている。

 『幻想』が途切れたんだわ、きっと。」

 

カイリース「『幻想』って、敵のことか。

 こんな幻覚を見せることができるのか、そいつらは。

 乗客もいない、居た形跡もないみたいだ、まさかノエルも幻覚だったのか!?」

 

サラ「いえ、彼女にはこの景色が見えていたはずよ?

 つまり幻覚ではなくちゃんと実在していたわよ。」

 

カイリース「そうか、もうなにが現実だったのかもわからないな。」

 

そんな風に落ちこんでいると急に胸ポケットの勾玉が再び輝きだす。

 

カイリース「またか、今度はなんだ?」

 

???「カイリース! きーえー?」

 

すると勾玉から少しだけ聞きなれた声が聞こえてくる。

 

カイリース「ノエル?!」

 

ノエル「よかった! 聞こえてるのね!!」

 

カイリース「今どこにいるんだ!?」

 

ノエル「それがね、実はもう船には居ないの。

 私が今いるのは・・・」

 

カイリース「・・・」

 

ノエル「東京にあるファンタジーランドの中にいるみたいなのよね。」

 

カイリース&サラ「トウキョウ????」

 

 

夜なのかあたりは暗闇に包まれているその中でひときわ光を放つメリーゴーランド。

 

園内には大勢の人々が居るがなぜか不安げな声が絶えない。

 

中には大声で泣くものや騒ぎ立てて自身の恐怖心をかき消そうとしているものもいた。

 

落合迅「まったく、どうなってるんだよ。

 急に心意結界が張られるし、こじ開けようにも相性が悪いのか全く破れそうにないな。」

 

鹿野紅葉「あんたの心意に相性なんてあるのね。

 てっきり無属性みたいなものかと思ったけど。」

 

落合迅「お、無属性ってなんかいいね! 特別感があるっていうかさ。

 なんかこう悪の組織のナンバー2とかのタイプだよな。」

 

鹿野紅葉「ナンバー2がいいの? やっぱり変わってるわね。」

 

『更生陰謀論』、だれかがなにかの為にそれを変える。

 

東京全域は今、不可解の渦の中心にあった。

 

 

そして場面は変わりノア号。

 

すでにだれもいないはずのブリッジ内。

 

???「はぁー疲れた、疲れた。」

 

男だ。

 

かなりガタイがいい。

 

???「先に「アレ」をとられていたか。

 しかし二人ともまだ船に居るとは、とうぶん地下には入らないだろうから少し観察しておこう。」




ここまで読んでいただいてありがとうございました。

これにてこの話は完結でございます。

この船の謎自体は解決できたかなと。

いろいろと膨らませた伏線というかそういうのはまた別のお話、または続編の月下の雫で解決できたらなと思います。

久々に連載形式でやりましたけどやっぱり気持ち的にやりずらかったですね。

期日を明確につけていたわけではないですけどもやっぱりそういうのは意識してしまいます。

次回からはまた一本一本短編ぐらいの量で出していけたらなと思います。

ちなみに次回は初めて連載させていただいた「嘘の道導」のリメイク版を出す予定です。
もちろん短編で。

出してまだ数か月ですが、もうリメイクという。

某型月作品とはペースが違いますね!!!

ということで8/26からは月姫プレイします。

なので次回は一か月後!!!

それではさようなら。

また来月!


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