今更始めるポケモンBW (雨上がり)
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再構成前(凍結)
最初のポケモン


ダイパリメイクが出るっぽいからBWやることにした(錯乱)


「ハーイ!

 ポケットモンスターの世界へようこそ!

 私の名前はアララギといいます。

 みんなからはポケモン博士と呼ばれているわ」

 

 

 アララギと名乗った女性はそう言うと紅白のボールを放る。

 ネズミのようなうさぎのような不思議な生物が光と共に現れる。

 

 

「そう!この世界にはポケットモンスター縮めて『ポケモン』と呼ばれる不思議な生き物が至るところにいるの!

 

 不思議な力を秘めているポケモンは姿かたちも暮らしている場所も様々。

 

 そんなポケモンたちと私達人間は仲良く暮らしているの!

 

 一緒にいることでお互いに満たされたり力を合わせ助け合い大変な仕事をこなしたり!

 

 なかでも人気なのはポケモン同士を戦わせて絆を深めることね。

 

 で、私はポケモンたちを研究してるってわけ」

 

 

 

「さあ、起きてレイン。あなたの冒険が始まるわよ…………」

 

 

 


 

 

 

「…………んっん……ふぁ?」

 

 

 懐かしい夢を見た気がする。

 アララギ博士を初めて見たキャラ作成画面の夢。

 久しぶりに「ホワイト」のカセットを見つけたから起動して結局すぐ寝ちゃったんだっけ。

 

 

「くぁぁぁ…………んえ?」

 

 

 俺の部屋じゃない。

 でも知ってる部屋だ。

 三人称視点で何度もみた主人公の部屋。

 

 

「レイン?起きた?みんなもう来てるわよ、早く着替えなさい」

「はーいママ」

 

 

 すっと言葉が出た。

 知らないけど知ってる。主人公(わたし)のママだ。

 レイン?それって俺のプレイヤーネームじゃ…………。

 

 

「ってなんじゃこりゃー!!!」

 

 

 レインと名付けた女の子。

 自分の分身としてゲームに生み出した存在。

 ちょっと時間にルーズでポケモンが好きな女の子として俺が妄想したキャラクター。

 

 

「レインになったのか?……んが⁉」

 

 

 イタイイタイイタイイタイ!

 

 頭の中に記憶が流れ込んでいく。

 レインとして過ごした10年近くの記憶が流れ込んで激しい頭痛を生み出した。

 

 

「私はレイン私は、レイン。うんしっくり来る」

 

 

 意思が統合したのかもう俺はレインなんだなって思う。

 

 

「忘れないうちにホワイトで起きるイベント書き出しとこっと」

 

 

 机から紙とペンを取り出す。

 ホワイトはかなりやり込んでたから頭に入ってるはず。

 

 

「えっと最初は…………あれ?思い出せない?」

 

 

 何が起きるのか全然思い出せない。

 思い出そうとしても思考に霞がかかったように思い出せない。

 …………まあ俺の中では記憶だけど(レイン)としては未来だから知らないほうがいい……のか?

 とりあえず今日がなんの日なのか記憶をたどる。

 

 

「あっそうだ!今日はアララギ博士にポケモンをもらえる日なんだった!チェレンもベルももう来てるって言ってたよね。こうしちゃいられない早く着替えなきゃ」

 

 

 パジャマを脱いでノースリーブショートパンツのお気に入りの服に着替える。

 きっちりとした性格のチェレンに怒られてしまう。

 

 

「ベルは……マイペースだし多分大丈夫よね」

 

「レイン」

 

「あ、チェレンごめんまたせた」

 

 

 着替え終わって下に呼びかけたらチェレンが上がってきた。

 メガネがトレードマークの優等生。時間とかキッチリしてる。

 私とベルは時間に結構ルーズなんだよね。

 

 

「いやいつものことだから別に。それよりもアララギ博士に聞いたんだけどポケモンをもらえるんだって?」

 

「うん多分あれだよね」

 

 

 部屋の机においてあるプレゼントボックスを見る。

 あんなものは昨日までなかったし。

 

 

「あれ?ベルは?」

 

「…………また」

 

 

 てっきりベルもいるのかと思ったけど居ないのか。

 

 

「あのう……ごめんね。また遅くなっちゃった……」

 

「あ、ベル!大丈夫!私もさっき起きたところだし」

 

「レイン……そこは誇るところじゃない。ねえベル。あとレインも君たちがマイペースなのは10年も前から知っているけど今日はアララギ博士からポケモンがもらえるんだよ?」

 

「はーいごめんなさい。レイン、チェレン」

 

「ごめんねチェレン」

 

「で?ポケモンはどれなの?レインの家に届いたんだし選ぶのはレインからだよね」

 

「え?いいの?」

 

 

 2人に本当にいいのって訪ねても「もちろん」と返される。

 

 

「そのプレゼントボックスの中でポケモンが僕たちを待っている」

 

「チェレンカッコつけてる?」

 

「……別にいいだろこんなときぐらい」

 

 

 ごめんって。

 柄になくかっこいいことを言うチェレンをからかう。

 まあチェレンもベルも早くポケモンに会いたいんだろう。

 私も会いたい。

 

 

『この手紙と一緒に3匹のポケモンを届けます。

 君と君の友達とで仲良く選んでね

 それではよろしく!

 アララギ』

 

 

「ありがとうございますアララギ博士。それではオープン!」

 

 

 プレゼントボックスの中には3つのモンスターボール。

 くさタイプのポケモン「ツタージャ」

 ほのおタイプのポケモン「ポカブ」

 みずタイプのポケモン「ミジュマル」

 

 イッシュ御三家の3匹。

 私は1つのモンスターボールを箱からそっと取り出す。

 

 

「これから一緒に頑張ろうね!ツタージャ!」

 

 

 私が選んだのはツタージャ。

 ゲームでも最初に選んだのはツタージャだった気がする。

 

 

「じゃ!あたしこのポケモン!チェレンはこのコね!」

 

「どうして君が僕のポケモンを決めるのさ……?まあ最初からポカブが欲しかったけど」

 

 

 私がツタージャ、ベルがミジュマル、チェレンがポカブを選んだ。

 

 

「みんな自分のポケモンを選んだよね……ということで。ねえねえ!ポケモン勝負しようよ!」

 

 

 ポケモン勝負か……。

 私の部屋なんだよなー。



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初めてのポケモンバトル

 ポケモン勝負をしようと言うベルにチェレンが諌める。

 

 

「……あのねベル、まだ弱いポケモンとはいえ家の中でポケモン勝負はダメだよ。ましてやレインの部屋なんだし」

 

 

 そうだよ。私の部屋を荒らす気か?

 

 

「だいじょーぶだって。まだこのコたち弱いんでしょ?だったら戦わせて育ててあげないと」

 

「確かに一理あるけどさ……」

 

「うーん……」

 

 

 チェレンと顔を見合わせお互いため息をつく。

 ベルは変なところで頑固だからなぁ……仕方ない。

 

 

「というわけでレイン!ポケモン勝負はじめようよ!」

 

 

 初めてなのはお互い一緒。

 

 

「仕方ない……やるからには勝つよ!よろしく、ツタージャ!」

 

「頼んだよ!ミジュマル!」

 

 

 私のポケモン。くさへびポケモンのツタージャ。

 対するベルはラッコポケモンのミジュマル。

 

 

「先手はもらうよ!ツタージャ!『たいあたり』!」

 

 

 私の指示どおりにツタージャは素早い動きでミジュマルにたいあたりをする。

 まあ覚えてる技今の所たいあたりとにらみつけるくらいなんだけどね。

 ノーマルタイプの技だから今はそんなに相性とか考える必要もないし何より技の駆け引きがない。

 

 

「やったなー!ミジュマル!反撃いっちゃえ!」

 

「ツタージャ!避けて『にらみつける』!」

 

 

 ミジュマルよりもスピードが早いツタージャは器用にミジュマルのたいあたりを躱してにらみつける。

 にらみつけるって防御を下げる技だけど目がキリッとした感じになるくらい。かわいい。

 

 

「ツタージャ『たいあたり』!」

 

 

 何回目かのたいあたりがヒットしてミジュマルは倒れる。

 

 

「あー負けちゃった……でもどっちのポケモンも頑張ってたよね!」

 

「ありがとうツタージャ」

 

 

 初勝利を収めたツタージャの頭を撫でる。

 勝ったのが嬉しいのか手に擦りついてくる。かわいい。

 

 

「レイン……あなたすっごいトレーナーになれるんじゃない?あたしそんな気がする」

 

「いやーうれしいーね」

 

「…………………………ベル、レイン、周りを見れば?」

 

「「え?」」

 

 

 チェレンに言われたとおり2人揃って周りを見渡す。

 

 

「「うわあ!な、なにこれ⁉」」

 

 

 部屋がぐちゃぐちゃになってた。あちこちに足跡が残ってるし植木鉢とかも倒れちゃってる。

 結構バトルに集中しちゃってたのか……。

 

 

「ポケモンってすごーい!こんなに小さいのに!」

 

「本当にすごいや……」

 

「……あ、レインごめんね」

 

「気にしないで……私も共犯だし」

 

 

 後でしっかり片付けるし。

 

 

「……全くしょうがないな君たちは」

 

「面目ないです」

 

「ほら!傷ついたポケモンの回復をしてあげるよ」

 

 

 チェレンはかばんからキズぐすりを出すと私とベルのポケモンに使ってくれた。

 ほんとに真面目で準備がいいというか……。

 

 

「ありがとチェレン」

 

「ありがとー」

 

「……全く」

 

「ねえねえ!チェレンもポケモン勝負してみたら?詳しいからあたしみたいにしっちゃかめっちゃかにすることなく上手に戦えるでしょ!」

 

「しっちゃかめっちゃかにしたのはベルだけじゃないんだけど……もちろん。僕の知識があればこれ以上部屋を汚すわけないし」

 

「聞こえてるぞーチェレン」

 

「事実だ。何より君たちだけでポケモン勝負を楽しむのはフェアじゃないよね。……というわけで相手をしてもらうよレイン」

 

「え?私?」

 

 

 連戦ですか?……そうですか。

 やってやりますよー!

 

 

「さあ、僕たちの初めてのポケモン勝負。僕が君の強さを引き出すからね、ポカブ!」

 

「連戦だけど負けないよ!ツタージャ!」

 

 

 チェレンが繰り出したのはポカブ。

 タイプがほのおタイプで相性的には不利だけどまあ覚えてる技たいあたりだから結局関係ないね。

 

 

「ポカブ!『しっぽをふる』」

 

「『たいあたり』!」

 

「躱すんだ!」

 

「そのまま追いかけて!」

 

 

 知識だけでどうこうなるかななんて思ったけど油断できない。

 だってチェレンだし。私たちのなかで一番頭いいから絶対なんかしてくる。

 

 

「こうしてるとやっとボケモントレーナーになったんだって思うよ」

 

「楽しいね!チェレン」

 

「ああ、ポカブ!『たいあたり』!」

 

「あぁ!大丈夫⁉ツタージャ!」

 

 

 たいあたりがクリーンヒットし壁際までツタージャが飛ばされる。

 いいのが入って少しふらついてる。

 

 

「まだ行ける?ツタージャ」

 

 

 ツタージャの目からは意思は消えていない。

 よし……なら!

 

 

「レイン。これで止めだ!『たいあたり』!」

 

「負けないでツタージャ!『たいあたり』!」

 

 

 たいあたりのぶつかり合い。

 最後に立っていたのは……ツタージャだった。

 

 

「やった!勝った!頑張ったねツタージャ!」

 

 

 ツタージャを抱き上げる。

 おっと痛いだろうから丁寧に。

 

 

「初めての勝負で思わぬ不覚を取ったけれどこの感動……ようやくトレーナーになれたんだ」

 

「チェレンったら小さいときからトレーナになるって言ってたもんねー?」

 

「チェレンも強かったよ。危うく負けちゃうところだった」

 

「……じゃなくて部屋のこと君のママに謝らないといけないね」

 

「あっあたしもー!」

 

 

 ママに謝らないと……ママ怒らせると怖いんだよね。

 レインの記憶から引っ張り出す。ママは怒らせちゃダメゼッタイ。

 優しいんだけどね。

 

 

「待ってよふたりとも!」




レインの手持ちポケモン

ツタージャ


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旅立ちの前に

主人公の部屋にWii置いてあるのが懐かしさを感じさせる。
え?もう10年くらい経ってるの?ふぁー


 

「騒がしくして本当にすみませんでした」

 

 

 1階に降りると既にチェレンがママに謝ってた。

 ベルは一歩後ろでシュンとしてる。

 私も同罪だからスッとベルの横で小さくなる。

 

 

「あ、あのう……お片付け……」

 

「後でなんとかするから……」

 

「片付け?」

 

 

 首をかしげるママ。かわいい。

 うちのママもう30過ぎだけどなんか異様に若々しいんだよね。

 背も低いから制服着せたら高校生に見えると思う。

 

 

「いいのいいの!後であたしがやっておくから!」

 

「ごめん……ありがとうママ」

 

「すみましぇん……」

 

 

 ママありがとう。

 でもちょっとは私も片付けするからね?

 べ、別に見られちゃまずいものがあるわけでもないんだけどさ。

 

 

「あ、でもレイン。あなたには後でお話があるから」

 

「すいませんでした!」

 

「レイン⁉」

 

 

 キレイな土下座だったと思う。無駄のない精錬された動きにベルもチェレンもビビってた。

 前世で培った土下座スキルをなめるなよ!

 これで逃げ切ってやる!

 

 

「でもお話はあるからね?」

 

 

 逃げられなかった。

 多分ママは私の思考が読める。年齢のこと考えたあたりからちょっと目をそらしてたんだけどなぁ……。

 

 

「それよりアララギ博士に会わなくていいの?」

 

「はい!では失礼しますね」

 

「じゃあアララギ博士にお礼を言いに行かないと」

 

「ポケモン研究所の前で待ってるよ」

 

「あたしは一度家に戻るね!」

 

「「お邪魔しましたー!」」

 

 

 逃げたな!薄情者!

 

 

「レイン」

 

「ひゃい!」

 

「ポケモン勝負ってものすごーく賑やかなのね!下までポケモンの鳴き声とか聞こえてきたわよ!」

 

「ほんとごめん」

 

「いいのよ」

 

「え?」

 

 

 怒らない……だと⁉

 ママは天使だったかもしれない。

 

 

「思い出しちゃうなー初めてのポケモン勝負!」

 

 

 ママは天使でありトレーナーだったぽい。

 私聞いてないですけど?

 いや知識としては知ってたけど。

 

 

「そうだ!勝負したポケモンを休ませてあげないと!」

 

「あ、ありがとママ」

 

 

 チェレンと戦った後は回復してなかったからね。

 私キズぐすりとか持ってないし……。

 

 

「あと出かけるならライブキャスターを忘れないでね」

 

「はーい」

 

 

 ライブキャスター。

 通話ができる時計みたいなやつ。

 ほらそこ!劣化版○ップルウォッチとか言わない!

 ……私のアップ○ウォッチ……じゃなくてライブキャスターはピンク色。

 しっかり左腕に巻く。

 

 

「あなたも博士にお礼を言うんでしょ?じゃあ行ってらっしゃい!」

 

「行っています!ママ」

 

 


 

 

「んんー!はぁー!」

 

 

 家を出て大きく深呼吸。

 十数年過ごした小さな町、カノコタウン。正直言って私とチェレンとベルの家とポケモン研究所しかない辺境なんだけれども。

 まあそれは置いておいて早速ポケモン研究所に直行する。

 寄り道するところないしすぐ着く。

 

 

「チェレン!おまたせ」

 

「……レイン。申し訳ないけれどベルの家まで行ってくれる?」

 

「ベルの家?……ああ大体わかったかもしれない」

 

「きっとまたいつものようにのんびりしてるだろうから」

 

「本当にマイペースだよね」

 

「君が言えたことじゃないけどね」

 

「むう……。ちょっと行ってくるね」

 

 

 チェレンって本当に口が強いね。

 言葉の刃が刺さったよ。

 

 

「ベルー?まだー?」

 

 

 ベルの家のドアが空いてたのでお邪魔しま~す。

 

 

「だめだめだめーっ!」

 

「あたしだって……ポケモンもらった立派なトレーナーなんだもん!冒険だって出来るんだから!」

 

 

 うわーベルパパ荒れてんねー。

 ベルパパはベルのことが大好きな親バカですっごい心配性。

 

 

「あっ……大丈夫だよ」

 

「ベル……」

 

 

 ベルはかぶってる大きな帽子をギュッとかぶり直す。

 ベルがいつもやってる気合居入れの合図だった。

 

 

「……大丈夫!先行ってるね!」

 

「あ、ちょっと⁉」

 

 

 私の静止を振り切ってベルは行ってしまった。

 

 

「なんてことだ……うちの娘がポケモンと旅に出るだって⁉あんなに世間知らずなのに!」

 

「もう……パパったらベルのこと心配しすぎなんだから」

 

 

 力なく崩れたベルパパを支えるベルママ。

 

 

「子供は誰だってポケモンと一緒に旅をして大人になるんですから。レインちゃん、ベルのことよろしくね」

 

「あ、はい!わかりました!」

 

 

 まあベルはなんだかんだマイペースだけどしっかりしてるし大丈夫!

 ベルの家を出て再び研究所の前に行く。

 

 

「さ、博士に会いに行こう」

 

「「おー!」」

 

 

 チェレンを先頭に研究所に入る。

 

 

「ハーイ!待っていたわよヤングガールにヤングボーイ!」

 

 

 アララギ博士だー!

 イッシュ地方の博士といったらやっぱりアララギ博士だよねー!

 

 

「改めて自己紹介するね」

 

 

 え、いや……アララギ博士ですよね?

 

 

「私の名前は……「……アララギ博士?名前は知っていますよ?」」

 

 

 チェレン、ナイスツッコミ。

 割と小さいときからここには遊びに来たりしてたからね。

 

 

「もう!チェレンったらちょっとクールじゃない?」

 

「そうだよチェレン。形式美っていうのがあるじゃない」

 

「もーチェレンったらー」

 

「え?僕が悪いの?」

 

 

 そうだよ。なんとなくアララギ博士に便乗したらベルも乗ってくれた。

 

 

「では改めて……私の名前はアララギ!」

 

 

 アララギってなんか名前間違えられそうな名前だよね。

 噛みましたって。

 

 

「レイン!変なこと考えないで……んん、ポケモンという種族がいつ誕生したのか……その起源を調べています」

 

 

 ポケモンの起源……なんでこの人こんな辺境で研究所してるんだろう。

 

 

「あ、すごーい!もうポケモン勝負をしたのね!それでかな?ポケモンたちも君たちを信頼し始めた……そんな感じ!」

 

「す、すごい!ボールを見ただけでそこまでわかるなんて……」

 

「研究者としての勘よ」

 

 

 博士ってすげー!

 

 

「さて君たちにポケモンをあげた理由だけど……「ポケモン図鑑ですよね」もう!チェレン!」

 

「ポケモン図鑑……?」

 

「ポケモンの情報を書き込むやつだよベル」

 

「すごいわ!チェレンにレイン。ポケモンのことをよく勉強してるわね!一応ちゃんと説明を入れると君たちが出会ったポケモンを自動的に記録していくハイテクな道具なの!だからね、レインたちにはいろんなところに出かけこのイッシュ地方すべてのポケモンに出会ってほしいのッ!」

 

 

 イッシュ地方すべてのポケモン……。

 

 

「ではお聞きしまーす。レイン!チェレン!ベル!ポケモン図鑑を完成させるべく冒険の旅に出かけるよね!」

 

「はい!」「はあーい……じゃなくてはい!」

 

「ありがとうございます。お陰で念願のポケモントレーナーになれました」

 

 

「ありがとみんな。最高の返事よね」

 

 

 そう言うと私達にポケモン図鑑を渡した。チェレンは赤で私とベルのはピンク色のポケモン図鑑だ。

 

 

「では次のステップね!ポケモンと出会う方法を教えるから1番道路に来てね!」

 

 

 アララギ博士はすぐに研究所を出てってしまった。

 

 

「あっあたしたち博士に頼まれたから冒険してもいいんだよね?自分のやりたいことを探してもいいんだよね?」

 

「ああ、図鑑を完成させながら好きなように旅をすればいい」

 

「私も……ツタージャと一緒に旅が出来るんだ……」

 

「博士が待ってる早く行こう」

 

「はーい」

 

「ねえねえレイン待ってよお!」

 

 

「あ、いたいた!」

 

「あれ?ママ?」

 

 

 研究所を出るとママが居た。

 どうしたんだろう。

 

 

「で?博士の話はどうだった?」

 

「えっとね……」

 

 

 チェレンとベルと一緒にポケモン図鑑をもらったことを伝える。

 

 

「ポケモン図鑑の完成をお願いされたんだ⁉すごーい!……なーんてね」

 

「ママ?」

 

「実は、ママその話は既に知っているんだけどね」

 

「な、なんだってー!」

 

「レインふざけない」

 

 

 ネタに走ったら怒られてしまった。むう……。

 

 

「あなた達このタウンマップを持っていきなさいな。チェレンとベルもね!」

 

「大切に使います」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「あとレインの部屋はあたしが片付けておくからベルたちは気にしなくていいのよ。ね?レイン」

 

「あ、はい」

 

 

 圧掛けられた。まあ悪気ないし、パソコンとか無事だったし。

 

 

「あなた達のパパやママにはあたしから伝えておくからポケモンだけじゃなくてイッシュ地方のすてきなところいっぱい見つけて素敵な大人になるのよ!」

 

「「「はい!」」」

 

「じゃ、いってらっしゃい!」

 

「いってくるね!ママ!」

 

 

 ママは手を降って送り出してくれた。

 

 

「それじゃあ1番道路に行こうか」

 

「そうだね博士が待ってる」

 



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最初の一歩と初ゲット

 

「レイン!こっちだよ!」

 

 

 カノコタウンの北側、1番道路に続く入り口。

 

 

「ベルが旅を始めるなら最初の一歩はみんな一緒がいいって」

 

 

 私もチェレンもベルもカノコタウンから外に出たことがないわけではない。

 でもやっぱり最初の一歩ってすごい大事な気がする。

 

 

「レインもほらっ!みんなで一緒に1番道路に踏み出そうよ!」

 

「うん!」

 

 

 二人の間に並んで……

 

 

「じゃあ行くよ」

 

「「「せーの!!」」」

 

 

 揃って1番道路に踏み出した。

 なんだろう。ものすごく楽しい気分。

 心臓の音が耳に響く。

 

 

「ああ!なんだろう、ドキドキワクワクしちゃうね!」

 

「わかるよベル!もうね!テンションがヤバい!」

 

「そうだね。さ、博士が待ってる」

 

 

 チェレンの言葉にはっとして高鳴る鼓動を抑えながら博士のもとに向かう。

 

 

「アララギ博士お待たせしました」

 

「うん!それでは説明を始めますね!」

 

 

 アララギ博士の説明を簡単にまとめると

 ポケモンと出会うことでポケモン図鑑のページが自動的に埋まっていく。

 ポケモンを捕まえると更に詳しい情報が手に入る。

 要するに出会うだけじゃなくて捕まえることも意識しないと。

 

 

「ということで私が実際にポケモンを捕まえて見せます」

 

 

 そういうとアララギ博士は草むらに歩いていくと飛び出してきたミネズミとバトルを始めた。

 

 

「すごい……」

 

「アララギ博士ってポケモンバトル出来たんだ……」

 

 

 博士の繰り出したチラーミィはあっという間にミネズミの体力を削りとる。

 

 

「こうやってバトルをして相手の体力を削る。そしたらこれ!モンスターボールを投げる!」

 

 

 アララギ博士が投げたモンスターボールはキレイな放物線を描きミネズミに当たる。

 ミネズミは赤い光に包まれモンスターボールに吸い込まれる。

 星のエフェクトが舞い、ミネズミはモンスターボールに収まった。

 

 

「今の見てくれた?」

 

「博士すごーい!」

 

「ポケモンの体力を減らして少し弱らせると捕まえられるんですよね」

 

「チェレン正解!ポケモンの技によって眠らせたり麻痺にさせたりするのも有効な手段よ!」

 

「私達のポケモンはまだ覚えてない技だね」

 

 

 やってたなー。「みねうち」でHP1にしてからの「さいみんじゅつ」。

 ゲームの中だからこういうものだって思ってたけどこうして目の当たりにすると確かに有効なんだなって思う。

 実際に体力の減ったポケモンは動きが鈍くなってるし。

 

 

「次はあなた達の番。モンスターボールを幾つか渡すから挑戦してみてね!では私はこの先のカラクサタウンで待ってるわ!」

 

 

 私達にモンスタボールを5個ずつ渡すとどんどん先に行ってしまった。

 

 

「じゃあ僕らもいこうか」

 

「さんせー!」

 

「隣町まで行かないとモンスターボールも買えないし」

 

 

 カノコタウンってなんで成り立ってんだろうって思う今日此頃。

 お店くらいあってもいい気がするけどな……。

 

 

「あ!いいこと思いついた」

 

 

 いざ行こうとするとベルが声をあげた。

 

 

「さ、さっさと行こうか博士が待ってる」

 

「そだね」

 

「ちゃんと聞いてよ!何なのよもう⁉」

 

 

 若干涙目になるベル。ごめんって……。

 

 

「どれだけポケモンを捕まえたかみんなで競争しようよ?」

 

「競争?」

 

「そう!アララギ博士からもらったポケモンも含めてたくさんポケモンを連れてる人が勝ちね!」

 

 

 ゲット競争か。

 今私の手持ちはツタージャだけだからモンスターボール5個全部にポケモンが捕まえられたら連れていける最大数の6匹になるわけだ。

 

 

「なるほどね。そういうことなら面白いな」

 

「図鑑も埋まるし一石二鳥……ベルにしてはやるぅ!」

 

「ベルにしてはって何さー!」

 

「ごめんって。じゃあカラクサタウンに着くまでね」

 

「あたしとミジュマルのコンビが一番なんだから!」

 

 

 よし!行こうか!

 

 

 


 

 

 

 さってと!

 ベルにもチェレンにも負けないようにやっていこう。

 

 

「ポケモンちゃーん出っておいでー」

 

 

 小さい頃から1人で草むらに入っちゃダメと言われてきた。

 まあ戦えるポケモン居ないのに野生のポケモンに襲われたら為す術もないからね。

 

 

「あっミネズミみっけ!お願い!ツタージャ!」

 

 

 早速ゲット候補の登場だ。

 ミネズミの進化系のミルホッグはいあいぎり、かいりき、フラッシュとなにかとあったら便利な技を覚える冒険のサポート役みたいなポケモンなのだ。

 

 

「ツタージャ『たいあたり』」

 

 

 大地を強く蹴って走り出すツタージャ。

 ミネズミはツタージャよりもレベルが低いのか、たいあたりを正面から喰らい一撃で大分弱った。

 

 

「チャンス!モンスターボール!それ!」

 

 

 弱って膝をついたミネズミにモンスターボールを投げる。

 私の手から放たれたモンスターボールは緩やかなカーブを描き

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「え?あれ?」

 

 

 私ことレインはノーコンだった。

 あれこれ致命的なヤツ……。

 

 

「あ!ちょっと⁉」

 

 

 モンスターボールがどっかに行ってしまったので仕方なくもう一つ取り出そうとバッグに目を向けた瞬間、チャンスだと思ったのかミネズミは草むらの中に逃げていってしまった。

 

 

「あぁ……失敗した」

 

 

 こういうのはベルの役目なんじゃないかな……なんてベルに失礼なことを考えながら頭を抱える。

 そういえばそうだった。

 前世でも球技は大の苦手だったしレインとしても物を投げて狙った通りにいった試しがない。

 

 

「ツタージャごめんね……私が不甲斐なくて。……慰めてくれるの?優しいねキミは」

 

 

 ツタージャは襟元からつるを伸ばし頭をなでてくれる。

 ポケモンに慰められる少女の図。情けないなぁ……。

 

 

「よし!切り替えて行こう!ツタージャもよろしくね!」

 

 

 気合充分!再チャレンジだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメでごめんね……」

 

 

 駄目だった。

 ゲームでポケモンを倒すと戦闘が終わるけどここでは体力ゼロ判定の一歩手前で多分生存本能的なアレが発動してなんか一瞬で目の前から逃げる。

 正直ゲットチャンスではあるんだけれども高速で逃げるポケモンに当てられる程の腕はなかった。

 

 

「モンスターボールも残り一個か……今度こそ!」

 

 

 草むらに入りポケモンを探す。

 

 

「あ!居た。ヨーテリー!私にゲットされなさい!ツタージャよろしく「つるのムチ」!!」

 

 

 何回か戦ってツタージャは「つるのムチ」を覚えた。

 私の頭をなでてくれたつるのムチを高速で飛ばしヨーテリーを翻弄する。

 

 

「あ!思いついた!ツタージャ「つるのムチ」でヨーテリーを捕まえて!」

 

 

 私の指示の通りツタージャのつるでヨーテリーは締め上げられる。

 

 

「ごめんなさいねヨーテリー。私がノーコンなのが悪いの……」

 

 

 縛られたヨーテリーに近づきモンスターボールを押し当てる。

 投げなくていいからノーコン関係ないね!

 

 ヨーテリーが入ったモンスターボールは小さく揺れると星のエフェクトが舞った。

 

 

「やったー!ヨーテリーゲット!」

 

 

 ヨーテリーをゲットしたことで図鑑に通知が入る。

 

 

「図鑑No.012 こいぬポケモン ヨーテリー うん!ちゃんと登録されてる」

 

 

 本当に図鑑に登録されるんだ。どういう仕組なんだろう。

 一応ミネズミも発見した扱いだから内容は埋まってないけどページが出来てる。

 

 

「ボールもなくなっちゃったしカラクサタウンに行くとしますか」

 

 

 一番道路を進むともう既にチェレンとベルが居た。

 

 

「あ、レインも来たね!じゃあ勝負しよう!」

 

「おー」

 

「じゃあレインからね!」

 

「私はツタージャとヨーテリーの2匹だけ……モンスターボール投げるの難しいね」

 

 

 もう手持ちのモンスターボールがないことを伝えると笑われた。むう。

 

 

「そういうベルたちはどうなのさ」

 

「僕もベルも2匹だよ」

 

「あたしたちみんなおそろいだね」

 

 

 どうやら2人も1匹だけ捕まえたらしい。

 

 

「意外だなー。チェレンの一人勝ちかなって思ったけど」

 

「僕も考えなしにボールを投げてるわけじゃないさ」

 

「あたしはこのコって思ったコを捕まえたんだー」

 

「それじゃあカラクサタウンに行こうか」

 

「そうだね」「おっけー」

 

 

 いざカラクサタウンにってところでライブキャスターが鳴る。

 こうなんか「いざっ」てときに出端くじかれること多くない?

 

 

「アララギ博士からだよ」

 

『ハーイみんなどう?今カラクサタウンのポケモンセンターにいるの案内してあげるからみんなもおいで』

 

「ポケモンセンターですね。わかりました」

 

『オッケイ!それじゃあーねー』

 

 

 ライブキャスターの通信が切れた。

 

 

「だってさ。先に行ってるよ」

 

「あっちょっとチェレン置いてかないでよ!」

 

「待ってー」




うちのレインちゃんはノーコン。
トレーナーにとっては致命的な欠陥だったりする。多分。

レインの手持ち

ツタージャ
ヨーテリー


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ポケモンセンターの案内

 

 カラクサタウン。

 この町は小さいながらも高低差があり高台からは2番道路を挟んでサンヨウシティが見える。

 カラクサタウンには度々訪れてのんびり景色を眺めたりしてた。

 あの高台からの景色は結構好きなんだよね。

 

 

「おっとポケモンセンターに行くんだった!」

 

 

 もうベルとチェレンは先に行ってる。

 2人とも友達を置いていくってどうよ。

 

 

「レイン遅いよー」

 

「レイン!来たわね!これからトレーナーにとって大事な施設を紹介するわ」

 

 

 町の中でも目立つ赤い屋根の建物。ポケモンセンター。

 その前でベルとアララギ博士が待っていた。

 

 

「あれ?チェレンは?」

 

「もう先に中に行っちゃった」

 

「団体行動が出来ないんだね」

 

 

 まあチェレンだしポケモンセンターのことは頭に入ってるのかな?

 

 

「レインも何度か来たことあるわよね?」

 

「はい。一応」

 

 

 ママの付添いで何度か来たことはある。

 といってもポケモンセンター内部にあるショップにだけど。

 

 

「ここではポケモンの回復が出来るのよ!レインもやってみて」

 

 

 中央のカウンターに居るピンク髪の女性、ジョーイさんに話しかける。

 

 

「お疲れ様です。ポケモンセンターです。あなたのポケモンを休ませてあげますか?」

 

「お願いします」

 

「はい。わかりました。タブンネ、お願い」

 

 

 ジョーイさんの隣に控えていたポケモン、タブンネがモンスターボールが6個収まる穴の空いたトレイを持ってくる。

 ツタージャとヨーテリーのボールを置く。

 

 

「それではお預かりします」

 

「レイン、ベル、あの後ろの方に機械があるの見える?」

 

「はい」

 

 

 カウンターの更に奥に大きな機械がある。

 ゲームでも出てきたボール置いて「テンテンテレレン♪」って効果音の鳴るアレね。

 

 

「アレでポケモンを回復させることが出来るのよ。「いやしのはどう」っていう技があってね?それを参考にして作られたんだけど……難しい話はいいわね。ともかくあれで回復できるのよ」

 

 

 アレってそういう仕組だったんだ……。

 

 

「お待たせしました。あなたのポケモンは元気になりました。またのご利用をお待ちしております!」

 

 

「ポケモン元気になったわね!次はポケモンセンターのパソコンについて!これはね…………」

 

 

 

 それからしばらくアララギ博士に連れられてポケモンセンターをまわった。

 

 ポケモンの管理が出来るパソコンに、ボールが買えるフレンドリィショップ、バトルが出来るバトルエリア。

 更にホテルと同じ宿泊施設。

 アニポケでポケモンセンターに泊まる描写あったけど本当だったんだ。

 

 やっぱりゲームとは違ったところが幾つもある。

 

 

「これで一通り教えたわね。それじゃあ私はカノコタウンに帰ります」

 

「「ありがとうございました」」

 

「あっと、忘れるところだった。最後に1つ。サンヨウシティについたら発明家のマコモに会いに行きなさい。知り合いなの」

 

「発明家のマコモさん?」

 

「そう。とっても面白い研究をしてるのよ」

 

「楽しみにしときます!」

 

 

 アララギ博士はカノコタウンに引き返していった。

 ……あの人フットワーク軽すぎない?気の所為?

 

 

「ベルはこの後どうする?」

 

「ちょっとお買い物しようかなって。レインは?」

 

「私はちょっとこの時間からサンヨウシティ目指すのは無理があるからもう宿の部屋取りに行くよ」

 

 

 もう結構日が傾いている。流石にくらい中歩くのは危険だ。

 ましてや今の私は女の子。襲ってくるのがポケモンだけとは限らない。

 すっごい物騒だけど。

 

 

「そっか。あたしもここに泊まろっと」

 

「じゃあ先行ってるね」

 

「また明日ねー」

 

 

カフェエリアで軽食を買って取った宿の部屋に入る。

ポケモンセンターの宿はビジネスホテルみたいで狭いけどしっかりと休めるようになっている。

 

 

「ふぁ……思ったより疲れてるみたいね……」

 

 

 シャワーを浴び身体を解しベッドにより掛かる。

 身体が少し重く感じる。冒険初日で張り切りすぎたみたい。

 

 

「寝よっか……」

 

 

 服装もラフなパジャマに着替えているからあとは寝るだけだ。

 

 

「明日もよろしくね。ツタージャ、ヨーテリー」

 

 

 モンスターボールに軽くキスを落として私は眠りについた。





次回BWで人気(多分)なあの人の登場。
イッタイダレナンダ−。


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プラズマ団と謎のN

タイトルがすべて物語っている。


 

「……朝かな」

 

 

 なんか目が覚めた。

 AM10:00である。大寝坊だ馬鹿者。

 

 ツタージャとヨーテリーに謝りながらポケモンフーズ(オレン味)を与えながら私はパンを食べる。

 それにしてもなんだか外が騒がしい気がする。

 サクッとパンを食べ終え鍵を返して外に出る。

 

 

「ていうかもうお昼前なんだよなぁ……」

 

「ほんとだよ」

 

「うわっと、チェレンいたの?てっきりもうサンヨウシティに行ったのかと」

 

 

 ポケモンセンターから出るとチェレンがぬるっと入り込んできた。

 

 

「止む終えない事情があってね。ほらアレ」

 

 

 チェレンが指す方はカラクサタウンの広場。

 なんかやってる。

 

 

「何アレ」

 

「なんか演説するんだってさ。昨日から準備してたらしくて2番道路の道も封鎖されてた」

 

「なんとまあ」

 

「レインも聞きに行く?」

 

「まあちょっと気になるかな」

 

 

 灰色の頭巾かぶった人が横並び1列で整列してる。

 騎士団の隊服にも見えなくはない。けどなんかダサい。

 左右には青い稲妻のような絵柄の描かれた旗が立ててある。

 ダサい灰色頭巾の真ん中からおじさんが出てきた。

 

 

『ワタクシの名はゲーチス。プラズマ団のゲーチスです』

 

「プラズマ団?」

 

 

 どっかで聞いたことあるような、ないような?

 ともかくおじさんもといプラズマ団のゲーチスさんの話を聞こう。

 

 

『今日皆さんにお話するのはポケモンの解放についてです』

 

「えっ?」「何?」

 

『我々人間はポケモンと共に暮らしてきました。「お互いを求め合い必要としあうパートナー」そう思っておられる方が多いでしょう』

 

 

 私はどうだろう。

 まだツタージャとヨーテリーが仲間になったのは昨日だし旅立ってまだ隣町までっていう初めてのおつかいレベルだし冒険をしたって言えないけれども。

 私はツタージャとヨーテリーに信頼されてるんだろうか。もちろんだけど私はツタージャもヨーテリーも割と無条件で信頼してる。

 何かあったら私だって身体を張るし私がピンチだったら頼らせてもらうとも思ってる。

 一応朝もスキンシップとして頭をなでてあげたりはした。

 私は信用に値するんだろうか……やめたやめ!こんな思考は置いとこう。

 信頼されてなくてもされるように努力すれば無問題(モーマンタイ)

 

 

『ですが、本当にそうなのでしょうか?我々人間がそう思い込んでるだけ……そんなふうに考えたことはありませんか?』

 

 

 言えない。絶賛今考えてたなんて言えない。

 

 

『トレーナーはポケモンに好き勝手命令している、仕事のパートナーとしてもこき使っている。そんなことはないと誰がはっきりと言い切れるでしょうか』

 

 

 その言葉にあたりがざわめく。

 確かに今の社会でポケモンが居ないところなんてない。

 あらゆるところで人とポケモンが協力して生活している。

 

 でも……それは違うんじゃないかな。

 私だってはっきりとゲーチスさんの言葉を否定出来るわけではない。

 でもちゃんと信頼関係で結ばれているパートナーがちゃんといるはずだ。

 私だってまだまだ未熟だけどちょっとは信頼関係が……出来てたらいいなー。

 

 

『いいですか、皆さん。ポケモンは人間と異なり未知の可能性を秘めた生き物なのです。我々が学ぶべきところを数多く持つ存在なのです。そんなポケモンたちに対しワタクシたち人間がすべきことは何でしょうか』

 

 

 再びざわめきが広がる。

 その中から「解放?」という声にゲーチスさんは反応する。

 

 

『そうです!ポケモンを解放することです!!そうしてこそ人間とポケモンは初めて対等になれるのです』

 

 

 怖い。

 純粋にそう思った。

 ゲーチスさんの目に狂気が宿っていた。

 

 

『皆さんポケモンと正しく付き合うためにどうすべきかよく考えてください。というところでワタクシ、ゲーチスの話を終わらせていただきます。ご清聴、感謝いたします』

 

 

 ゲーチスさんと灰色頭巾……じゃなくてプラズマ団は旗を片付けて撤収してしまい、困惑した人たちが取り残されたのだった。

 

 

「……レイン?ねえレイン?」

 

「……あ、チェレン」

 

 

 私はその場を離れられなかった。

 

 

「どうしたのさ、レイン」

 

「いやなんでもないよ」

 

 

 狂気に当てられていた……のかな?

 チェレンはなんともないみたいだし……。

 

 

「キミのポケモン。今話してたよね」

 

 

 突然横から話しかけられた。

 振り向くと白黒の帽子をかぶった緑の長髪を束ねた男の人が居た。

 ポケモンが話していた?私の?ツタージャたちは今モンスターボールの中だけど……。

 

 

「…………随分と早口なんだな」

 

「なんで喧嘩腰⁉……ポケモンが話していたってどういうことですか?」

 

「おかしなことを言うね」

 

 

 だからチェレン煽らないで!

 どうしたのさ⁉

 

 

「ああ、話しているよ。……そうか君たちにも聞こえないのか。かわいそうに」

 

「かわいそうだって?」

 

「ボクの名前はN。Nと呼んで構わない」

 

「……僕はチェレン。こっちはレイン」

 

「あ、えっと……どうも」

 

 

 なんかNと私の間にチェレンが立ってる。

 あと私にも名乗らせろ。

 

 

「私たちポケモン図鑑を完成させるために旅に出たんです」

 

「もっとも僕はチャンピオンを目指しているんだけどね」

 

「ポケモン図鑑ね……そのために幾多のポケモンをモンスターボールに閉じ込めるんだ」

 

「ッ⁉」

 

 

 心をキュッと掴まれた気がした。

 さっきの演説から少し調子がおかしい。

 

 

「ボクもトレーナーだがいつも疑問で仕方ない。ポケモンはそれでシアワセなのかって」

 

「ポケモンのシアワセ……」

 

「そうだね。レインだったか」

 

「はい……そうですけど」

 

「キミのポケモンの声をもっと聴かせて貰おう!ゆけっ!チョロネコ!」

 

 

 そういうとNはいきなりチョロネコを繰り出した。

 

 

「おい!いきなり何するんだ」

 

「いいチェレン!私も全然訳解んないけど、これってバトルってことだよねッと」

 

 

 少し距離を取りツタージャを出した。

 

 

「キミのポケモンの声を聴かせてくれ!」

 

「全然わかんないけどわかった!ツタージャ!「つるのムチ」!」

 

 

 ツタージャのつるのムチはあっさりとかわされる。

 

 

「「ひっかく」だ」

 

「ツタージャ右よ!」

 

 

 お互いに牽制しあう。

 

 

「「つるのムチ」を振り回して!」

 

「!チョロネコ「ひっかく」で応戦だ」

 

 

 振り回して遠心力が加わったつるのムチはチョロネコをふっとばす。

 

 

「キミのポケモンは……そんなことを言うポケモンがいるのか……⁉」

 

「……え?」

 

 

 Nは飛ばされたチョロネコが戦えそうにないのを見るとあっさり引き下がった。

 

 

「モンスターボールに閉じ込められているかぎり……ポケモンは完全な存在になれない」

 

 

 ポケモンが完全な存在になる……いったいどういうことなんだろう。

 

 

「ボクはポケモンというトモダチのため世界を変えなければならない」

 

 

 そういうとNは踵を返して去って行った。

 

 

「……おかしなヤツ」

 

「チェレンさっきから変だよ?」

 

 

 チェレンってこんな初対面に毒吐くような子だったっけ?

 私とベルはしょっちゅうだけど。

 

 

「だけど気にしなくていいと思うよ。トレーナーとポケモンは助け合っている!」

 

「そう……だよね」

 

「じゃあ僕は先に行く。次の街……サンヨウシティのジムリーダーと早く戦いたいんだ」

 

 

 そういえばあったなー。サンヨウシティにはジムが。

 イッシュのジムバッチ8つでチャンピオンロードを通れる。

 私もジムに挑戦しないと。

 

 

「……ねえツタージャ。あなたはどんなことをお話してるの?私に何を伝えたいの?」

 

 

 Nの言葉が私の中に響き続けていた。




レインの心を掻き乱してくれ。
BWってこういうところ考えさせるの多いからね。

ゲームでは主人公しゃべれないからその分レインちゃんに悩んでもらいます。

文字にするとNっていきなりバトル挑んでくるんだよなぁ。


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サンヨウシティでベルと

 

 バッと両手を大きく広げる。

 

 

「祝!サンヨウシティ到着!」

 

 

 あれから2番道路を抜けてサンヨウシティについた。

 2番道路の出来事は割愛。

 何を思ったのかモンスターボール一個も買わずに来ちゃったからポケモンも増えては居ない。

 バトルも何度か挑まれた。全勝したけど。

 

 

「しばらくはここに滞在かな?ジム戦もしたいけどもうちょっと鍛えたいし」

 

 

 ということで早速サンヨウシティのポケモンセンターの宿の部屋を取る。

 

 

「時間経つのあっという間だな……」

 

 

 カラクサタウンを出たときは夕方くらいに着けばいいかなって思ってたけど気づいたらもう外は暗かった。

 チェレンにもベルにも会えなかった。

 ヤバい置いてかれてる。

 

 

「明日はトレーニングしよっか。頑張ろうね。ツタージャ、ヨーテリー」

 

 

 ポケモンフーズを食べる2匹の頭を優しくなでてあげた。

 私のことをあなた達はどう思ってるのかな?

 

 私ことレインは非常に謎の多い存在だ。

 私はレインが、この世界がゲーム、創作物であることを知っている。

 それと同時にレインとしてこの世界で生きている。

 知ってるけど知らなくて、それ故に困惑もあるし新鮮さもある。

 

 

「私って一体何だんだろう……」

 

 

 今思えば謎でしかない。私がレインになる前、今はもうどんな人生だったかなんて全然覚えてない、思い出せないけれど少なくとも死んだって思うようなことはなかったはずだ。

 かと言って死んでなければ俺が私としてここにいることもおかしいしで、なんだかもう一杯一杯だったりする。

 

 

「ラノベみたいに神様が出てきてくれたらわかりやすかったんだけどね」

 

 

 暗い表情の私にツタージャとヨーテリーがすり寄ってくる。

 大丈夫だよって伝えた。

 

 今日はツタージャたちをモンスターボールに入れずに一緒に寝た。

 

 やっぱりNの言葉がどこかにちらついていた。

 

 

 


 

 

 

 本日も快晴なり。

 悩み事は一回忘れよう。

 

 

「ということで切り替えて行きましょー!」

 

「あ!レイン居たー!探したんだよ!」

 

 

 2番道路の方からベルがかけてくる。転びそうだからゆっくりおいで。

 

 

「ベル?てっきり先に行ったのかと」

 

「ねえねえバトルしよう!」

 

「また唐突に……いいけどさ」

 

 

 なんだろう私って唐突にポケモン勝負を挑まれること多くない?

 2番道路でも目が合ったからーなんて難癖つけられて……まあ礼儀正しい人も居たけど。

 

 

「行って!ヨーテリー!」

 

「ツタージャお願い!」

 

 

 ベルが出したのはヨーテリー。

 ベルもヨーテリー捕まえてたんだ。

 

 

「あたしだって気合入っちゃうんだからね!ヨーテリー「たいあたり」!」

 

「ツタージャ!ギリギリまで引き寄せて「まきつく」!」

 

 

 新しくツタージャが覚えた技まきつくでヨーテリーの行動を制限する。

 

 しなるツルの拘束は強固だ。

 

 

「ヨーテリー⁉大丈夫⁉」

 

「「つるのムチ」!」

 

「ヨーテリー!躱して!」

 

 

 ベルの指示に従ってヨーテリーは回避行動を取る。

 が、まきつくで継続ダメージを受けているため動きが鈍り戦闘不能になった。

 

 

「次はこのコなんだから!ミジュマル!」

 

「ミジュマルは私のツタージャとは相性悪いって知らない?「つるのムチ」!」

 

「やってみなきゃわかんないよ!「みずでっぽう」!」

 

 

 ミジュマルが放ったみずでっぽうをつるのムチが引き裂く。

 

 

「そんな⁉」

 

「やっちゃえツタージャ!」

 

「避けてミジュマル!」

 

「「まきつく」!」

 

 

 たいあたりで接近させミジュマルにつるが巻き付いていく。

 

 

「巻き付いたらすぐに離れられないよね!「みずでっぽう」!」

 

「あっ!しまった!ツタージャ!」

 

 

 至近距離から放たれたみずでっぽうで軽いツタージャの身体は飛ばされまきつくも解除されてしまった。

 

 

「ツタージャ⁉……!まだ戦うの……?」

 

 

 流石に相性が悪くても至近距離で喰らいかなりダメージを追ってしまった。

 不味いと思ってヨーテリーに入れ替えようとボールを取り出そうとしたらつるのムチで私の腕を抑えられた。

 自分はまだ戦えるぞって言うように。

 

 

「……うん。OKわかった!ツタージャを信じるよ!「つるのムチ」!」

 

「ミジュマル!「みずでっぽう」」

 

「左に飛んで躱して!「つるのムチ」!」

 

 

 3回の弱点攻撃によってミジュマルは倒れた。

 

 

「あーん……勝てなかった。お疲れ様。ミジュマル」

 

「ツタージャ!すごい!」

 

 

 激闘を終えたツタージャを抱き上げる。

 

 

「レイン強いね!」

 

「ベルのミジュマルも強かったよ。ツタージャのほうが相性いいのにここまでやられるなんて思わなかった」

 

「次はあたしが勝つんだからね!」

 

「私だって負けないもん!」

 




イベントが無い限り省略することを覚えた。

サンヨウシティに着きました。
多分次回はポケモンスクールとレベル上げですかね。

技が少ないし最初の方って全然強くないからバトルの描写ムズすぎ。


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すれ違いとバトル

「ジムリーダーですか?今居ないんですよ。トレーナースクールですかね。悪いけど挑戦するなら探してきてほしいんすよね」

 

「え、そんなー!」

 

 

 チェレンより先にジム行ったれと思ってサンヨウジムに行ったらジムリーダーが不在だった。

 トレーナースクールか……あんまり行きたくないな。

 勉強苦手だし……。

 

 

「あら?あなたトレーナーさん?」

 

「えっと……はい」

 

 

 サンヨウジムの前でうろついてたらお姉さんに話しかけられた。

 そんなに不審者してないはずだから大丈夫だと思うけど……。

 

 

「夢の跡地って知ってる?」

 

「夢の跡地?聞いたことあるくらいですね」

 

 

 お姉さんによると夢の跡地は工場の跡地でそこで鍛えてるトレーナーもいるということ。

 

 

「あなたも行ってみるといいわ。なにか発見があるかもよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 さて、トレーナースクールに行くか、夢の跡地に行くか……。

 

 

「ジムリーダーがいないってことはチェレンもジム戦出来てないわけで?多分ここに来て私と同じ状況に陥るはず……よし!」

 

 

 ジムリーダーのことはチェレンに任せて夢の跡地に行こう!

 作戦名「人任せ」である。

 

 

 

 

「ここが夢の跡地……」

 

 

 もはや原型をとどめていない廃墟。よくここが工場だって判別できたなレベルの廃墟。

 天井は崩れ去り壁にも穴が空いている。

 

 

「けど確かにトレーナーいっぱいいる。さっきのお姉さんの言ってた通り」

 

 

 夢の跡地にいたトレーナーたちにバトルを申し込みツタージャとヨーテリーを鍛える。

 ヨーテリーは新しい技まで覚えた。

 

 

「ねえねえあなた!」

 

「はい?バトルの申込みですか?」

 

「違う違う。最初にもらったポケモンはなあに?」

 

 

 後ろから声をかけてきた女の人はバトルを申し込むわけでもなくそんな質問をしてきた。

 最初にもらったポケモン?

 

 

「ツタージャですけど……」

 

「ツタージャなのね!じゃあこのコはピッタリよ!あなたに託すわ!」

 

「え、ちょっと⁉」

 

 

 女の人は私に1つのモンスターボールを押し付ける。

 

 

「あなたのツタージャが苦手なほのおタイプのポケモンに有利なタイプのポケモンだもん!じゃあね!」

 

「待って!って足速い⁉」

 

 

 アララギ博士並みの速さで去っていき、見失ってしまった。

 え、これどうしよう。

 手元には1つのモンスターボール。

 とりあえず出してみようか?

 

 

「あ、ヒヤップ」

 

 

 モンスターボールにはヒヤップが入っていた。

 確かにみずタイプならほのおタイプに有効だけど。

 

 

「あの人何者?」

 

 

 このヒヤップもらっていいのかな?交換したわけじゃないから罪悪感のほうが強いけど押し付けられたならいいよね?

 

 

「ヒヤップ。私と旅に出てくれますか?」

 

 

 しゃがんで手を差し出す。

 しっかりと握ってくれた。

 

 

「これからよろしくね!ヒヤップ!」

 

 

 それじゃあヒヤップも強くしていきますか!

 みずタイプだからチェレンにもメタ張れるし頑張ろう!

 

 こうしてレインに強力な仲間が加わった。

 

 

 


 

 

 

「あれ?」

 

 

 まだジム前にジムリーダー不在を伝えた人がいる。

 ってことはトレーナースクールか……。

 

 仕方ない。行こう。

 

 

「ここがトレーナースクールか」

 

 

 前世の学校味を感じる……。

 さてジムリーダーはどこに。

 

 

「レイン」

 

 

 ジムリーダーよりも先にチェレンを見つけた。というか見つけられた。

 

 

「チェレンもジムリーダーを探しに?」

 

「ジムリーダー?ああ、それならさっきジムに戻ってったけど……」

 

 

 なんとまあ、どうやら入れ違いになったようだ。

 先程までタイプ相性について話していたらしい。

 

 

「僕はトレーナーとして新しい知識を学びにね。早速だけどレイン。勝負のときどれだけ道具が重要か試したいんだ」

 

「いいよ。私もとっておきのコが仲間になったんだから」

 

「じゃあ道具の効果がどれほどか……あるいは道具なしでどれだけ戦えるか試すか」

 

「試せるもんならね!」

 

「室内でのバトルだ。荒らさないようにするよ。ポカブ!」

 

「早速お披露目!ヒヤップ!お願い!」

 

 

 チェレンのポカブに対して私はヒヤップ。

 タイプ相性的に有利だ。

 

 

「ヒヤップ……そうか僕のポカブ対策か」

 

「そうだよ。ツタージャじゃ荷が重いからね!ヒヤップ「ひっかく」!」

 

「タイプ相性が良くても当たらなきゃ意味がない!「たいあたり」!」

 

「ヒヤップ「みずでっぽう」!」

 

「不味い!避けろポカブ!」

 

 

 ひっかくとたいあたりの衝突。すぐにヒヤップに指示を出しポカブに隙き与えさせない。

 

 

「「みずでっぽう」!」

 

 

 流石は効果抜群技。

 ポカブが一気に戦闘不能になった。

 

 

「みずタイプには警戒してたんだけどね。まあいい、ゆけ!チョロネコ!」

 

「ヒヤップ戻って!お願いヨーテリー!」

 

 

 ヒヤップをボールに戻しヨーテリーを出す。

 

 

「ヨーテリー「かみつく」」

 

「チョロネコ「ひっかく」だ!」

 

 

 ヨーテリーの口元に形成されたエネルギーの牙がチョロネコを襲う。

 しかしそれはひっかくにより打ち消される。

 

 

「「にらみつける」!」

 

「「ひっかく」!」

 

 

 生憎とチョロネコに対する弱点技はないから相手の防御を下げて一気に決めよう。

 チェレンが道具使うって言ってたからポカブのときみたいに一気に倒さないと。

 

 

「ヨーテリー「にらみつける」!」

 

「防御をさげているのか!なら攻撃される前に倒すまで!「ひっかく」!」

 

 

 まだ!もう少し引き寄せるのよ……まだ……まだ…………今!

 

 

「「かみつく」!」

 

「なに⁉」

 

 

 防御が下げられたチョロネコはカウンター気味に放たれたかみつくでKOとなった。

 

 

「勝利!」

 

「やはり道具を使いこなすのは大事だね……タイミングを見計らってたら負けるなんて」

 

「私も道具使うタイミングとか考えてみようかな」

 

「そうだ……レインこの木の実をあげるよ。ポケモンに木の実をもたせると自分で判断して食べてくれる」

 

 

 渡されたのはオレンのみ。

 体力が減ったときに食べるとわずかに回復する。

 持たせておけば確かに便利かも。

 

 

「まあ人が作った道具は使えないんだけどね」

 

「キズぐすりとか使えないもんね……」

 

「僕はもう少し勉強してからジムに挑むよ。今のでまだ足りないって思ったからね」

 

「私はもう準備して挑もうかな」

 

「じゃあお互い頑張ろう」

 

「そうだね」

 

 

 ちょっとフレンドリィショップで買い物したらジム戦よ!

 チェレンに別れを告げて意気込んだ。




良し次ジム戦だ。


レインの手持ち

ツタージャ
ヨーテリー
ヒヤップ


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サンヨウジム戦!タイプ相性!

 

「キズぐすりよし!ポケモンの回復よし!気力良し!ツタージャ、ヨーテリー、ヒヤップ!頑張ろうね!」

 

 

 ポケモンセンターの前でポケモンを出してワイワイしてる集団があった。

 私達だった。

 みんな気合十分。進化はしてないけど多分強くなったと思う。

 

 

「おや?ジムに挑戦ですか?」

 

「はい!」

 

 

 緑髪のウエイターの格好をしたお兄さんがジムの前に居た。

 

 

「僕はジムリーダーのデントです。キミが最初に選んだポケモンはなんですか?」

 

「ツタージャです」

 

「ツタージャですか……なるほどほのおタイプが苦手なんですね。きちんと対策しておいたほうがいいと思いますよ」

 

「バッチリです!」

 

「気合十分のようですね。それでは中で待っていますね」

 

 

 よし!初めてのジム戦だ!

 

 

「どうも!自分はポケモンジムに挑戦するトレーナーをガイドするガイドーといいます」

 

「あ、ジムの前に居た……」

 

 

 ジムリーダーを探していたおじさんもといガイドーさん。

 あ、おいしい水ありがとうございます。

 

 

「このジムのコンセプトはタイプ相性!カーテンに書かれたポケモンのタイプに対して有利なタイプのスイッチを踏めば道がひらけますよ。それでは頑張ってください」

 

 

 タイプ相性は頭にしっかり入ってるから余裕だよね!

 ジムの挑戦がない日はレストランを経営しているらしくジムトレーナーもウエイターやウエイトレスの格好をしている。

 

 

「ほのおタイプにはみずタイプ!みずにはくさ!くさにはほのお!」

 

 

 時折ジムトレーナーとバトルをし、ジムリーダーのデントさんが待つ最奥を目指す。

 ジムトレーナーも今までのトレーナーと一味違う。

 

 

「ヨーテリーキズぐすりだよ。キズぐすりも結構買ったと思ったんだけどな」

 

 

 5個用意したキズぐすりも残り2本だ。

 

 

「ようこそこちらサンヨウシティポケモンジムです」

 

 

 3枚のカーテンを抜けた先にデントさんがいた。

 いや、デントさん1人だと思ったら後ろに人がいる。

 

 

「オレはほのおタイプのポケモンで暴れる、ポッド!」

 

「みずタイプを使いこなすコーンです。以後お見知りおきを」

 

「そして僕はですね。くさタイプのポケモンが好きなデントと申します」

 

 

 赤、青、緑。初代ポケモンか?

 ジムリーダーが3人?

 

 

「あのですね……僕たちが何故3人いるかといいますと」

 

「もう!オレが説明するッ!」

 

 

 デントさんが説明しようとするとポッドさんが割り込んだ。

 

 

「オレたち3人はッ!相手が最初に選んだポケモンのタイプに合わせて誰が戦うか決めるんだッ!」

 

「そうなんだよね。そしてあなたが最初に選んだパートナーはくさタイプなんだよね」

 

「ということはつまり……」

 

 

 3人の中から1人が前に出てくる。

 燃えるような赤髪。

 

 

「ほのおタイプで燃やしまくるオレ、ポッドが相手するぜ!」

 

「ポッドさん!バトルお願いします!」

 

 

 ほのおタイプを使うポッドさん……どこまで戦えるか。

 

 

「兄弟で1番強いオレ様と遊ぼうぜ!!」

 

 

 え⁉兄弟だったの⁉

 

 

「まずは小手試しだッ!ヨーテリー!」

 

「ツタージャ!お願い!」

 

 

 ポッドさんのヨーテリーは鋭い目つきだ……。

 威圧感がすごい。

 

 

「ツタージャ!「つるのムチ」!」

 

「「かみつく」!」

 

 

 つるはかみつくのエネルギーに相殺される。

 

 

「そんな攻撃効かねぇよッ!」

 

「「まきつく」で捕まえちゃえ!」

 

 

 つるを伸ばして捕まえにいく。

 

 

「ヨーテリー!「かみつく」で振り払え!」

 

「負けないでツタージャ!「つるのムチ」」

 

 

 力強い攻撃によってツタージャが飛ばされた。

 

 

「ツタージャ!一回戻って!ヨーテリー頼むよ!」

 

 

 分が悪いと思いヨーテリーと交換する。

 

 

「どんなやつだろうとぶっ倒すッ!」

 

「ヨーテリー!「たいあたり」!」

 

「「かみつく」!」

 

「強い……ヨーテリー!「しっぽをふる」そして「かみつく」!」

 

「「ふるいたてる」「かみつく」!」

 

 

 防御を下げさせた状態のかみつくと攻撃が上がった状態のかみつくがぶつかりあった。

 

 

「ヨーテリー⁉」

 

「チッ……戻れ」

 

「お疲れ様ヨーテリー」

 

 

 お互いのヨーテリーは戦闘不能になった。

 私のポケモンはダメージを負ったツタージャとヒヤップ。

 ポッドさんのポケモンは残り一匹で確実にほのおタイプ。

 ヨーテリーの強さから言って相当強いはず。

 

 

「ツタージャ!お願い!」

 

「おいおい!くさタイプのやつでいいのかよ!ゆけッバオップ!」

 

 

 やっぱりほのおタイプ。ツタージャには厳しいか?

 

 

「ツタージャ!「たいあたり」!」

 

「「ふるいたてる」!」

 

 

 攻撃と特攻がみるみる上がっていく。

 不味いな……ヒヤップにつないだとして戦えるか……。

 

 

「「たいあたり」!」

 

「「やきつくす」!」

 

 

 バオップから放たれたほのおがツタージャに直撃する。

 

 

「い、一撃で……⁉」

 

「タイプ相性は馬鹿にできねーんだぜ!」

 

 

 急いでツタージャのもとに駆け寄りボールの中で休ませる。

 

 

「頑張ってヒヤップ!」

 

「みずタイプか……まあいい」

 

「ヒヤップ「みずでっぽう」!」

 

「「やきつくす」!」

 

 

 効果今一つのはずなのにヒヤップがダメージを負っている。

 

 

「攻撃される前にやる!「みずでっぽう」!」

 

「「やきつくす」!」

 

「もっと!ヒヤップ!いっけー!」

 

 

 やきつくすのほのおもかき消したヒヤップの渾身の一撃でバオップを倒した。

 

 

「バオップ戦闘不能。よって勝者、挑戦者レイン!」

 

「勝った……?やったー!!」

 

「オマエ、すげえやつだな!オレのバオップには及ばなかったがツタージャもよく育ってた」

 

「ありがとうございます!」

 

「ポケモンリーグの決まりだ。このバッチを持ってけ」

 

 

 3つのひし形が組み合わさったバッチをもらった。

 

 

「そいつはトライバッチ。ここのジムを突破した証だ」

 

「あとこれももらってってください」

 

「これって……」

 

「わざマシン83「ふるいたてる」です。何度でも使えるからポケモンに覚えさせるのもいいと思いますよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 わざマシンをバッグにします。

 ヨーテリーに今度覚えさせるのもいいかも。

 

 

「僕たちはイッシュでも駆け出しのジムリーダーです。もっと頑張らないと。レインさんも頑張ってください」

 

 

 デントさんたちにお礼を言ってサンヨウジムを後にする。

 まずはポケモンセンターにいって休まないと。

 

 

「ねえ!あなたレインでしょ」

 

「え?」

 

 

 白衣の女性には掛けられた。

 え?誰⁉




トライバッチゲット!
いやー熱い戦いだった。
因みにバトルはだいたいこんな感じでした。

ツタージャとヨーテリーがLv12
ヒヤップがLv10だったので接戦だった。

白衣の女性はイッタイダレナンダローナ。
レインお前アララギ博士の言ってたこと忘れたのか


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マコモと夢とプラズマ団

 

 前略。白衣の女性に話しかけられた。

 

 

「え、誰ですか?」

 

「アタシはマコモ!」

 

 

 マコモ?最近どこかで聞いたような気が……?どこでだっけ?

 

 

「アララギ博士に頼まれたてアナタに渡したいものがあるんだ。ちょっとついてきて」

 

 

 アララギ博士の知り合いの人なのか。

 それはそれとして渡したいものってなんだろう。

 近くの建物に入っていく。

 

 

「アナタたちイッシュ地方のすべてのポケモンと出会うんだって?」

 

 

 マコモさんの部屋がマンションの2階にあるらしい。

 

 

「改めて自己紹介するね。アタシはマコモ。ご覧の通りの研究家。因みに研究してるのはトレーナーについて」

 

「私はレインっていいます。えっと……マコモさんは博士とはどういったご関係で?」

 

「アララギ博士とは大学時代からの友達でね。アナタたちの手伝いを頼まれたんだ」

 

 

 アララギ博士にあったら今度感謝を伝えなくては。

 

 

「ということでバックアップ!これをどうぞ!」

 

「わざマシン?」

 

「ちょっと違うのよね。それはひでんマシン。01「いあいぎり」が入ってるの」

 

 

 ひでんマシンはわざマシンの上位互換でゲームだとフィールドで使える技が登録されている。

 いあいぎりは細い木を斬る事ができる。

 

 

「あ、お願いが一つだけあって。聞いてくれる?」

 

「しばらくここに滞在する予定だったので大丈夫ですよ」

 

 

 サンヨウジムは攻略したけどもうしばらく周辺でレベル上げしてから次の街へ行こうと思う。

 

 

「それなら良かった。サンヨウシティのはずれに夢の跡地ってあるじゃない?行ったことある?」

 

「はい。ジムに挑む前にそこで少し鍛えました」

 

「そこにいるポケモン、ムンナのだす「ゆめのけむり」が欲しいんだ。それがあればアタシの研究が大幅に進むの!」

 

 

 ムンナは確かエスパータイプのポケモンだった気がする。

 実際戦っては居ないけど夢の跡地で何度か見た。

 

 

「今日は遅いから明日でいいから!「ゆめのけむり」お願いね!」

 

 

 マコモさんの研究室(?)から出ると確かに日が沈んでいて今から夢の跡地は荷が重い。

 

 

「あなた達のお疲れ様もまだ済ませてないしね」

 

 

 今日はジム戦に勝利したんだ。ちょっぴり豪華な夕食をみんなで食べたい。

 ツタージャたちを回復させてから宿の部屋に戻る。

 

 

「お疲れ様。ツタージャ、ヨーテリー、ヒヤップ」

 

 

 みんなを1人ずつ撫で回す。可愛いな。

 いつもよりワンランク上のポケモンフーズを買って与える。

 

 

「美味しい?それなら良かった」

 

 

 


 

 

 

「さ、今日は夢の跡地だね」

 

 

 レベル上げ兼ゆめのけむり探し。

 

 

「レイーン!」

 

 

 夢の跡地に入ろうとするとベルが走ってきた。

 

 

「レインも不思議なポケモン探すの?」

 

「不思議なポケモン?ああ、ムンナのことね。マコモさんに頼まれてるし」

 

「それにしても夢を見せるってどんな仕組みなんだろう」

 

「全然わかんないね」

 

「チェレンならわかるかなー」

 

 

 せっかくなので2人で夢の跡地を探索する。

 

 

「ねえねえ!」

 

「ベルも聞こえた?」

 

「うん!」

 

 

 夢の跡地の廃墟、壁の向こう側から物音がする。

 トレーナーかなと思ったけど何やら違う気もする。

 もっと草むらをかき分けるような……。

 

 

「行ってみようよ」

 

「うん!」

 

 

 目の前でふわふわしてるピンク色のポケモン。

 

 

「ベル!ムンナいた!」

 

 

 壁の向こうにいたのはムンナだった。

 少し浮いてるから草むらをかき分ける音しか聞こえなかったのか。

 トレーナーなら足音がなるもんね。

 

 

「あっ待ってぇ!」

 

 

 ムンナが行ってしまうから追いかける。

 

 

「ムンナ見っけ!」

 

「ほらほら!ゆめのけむりを出せ!」

 

 

「あなた達!何してるの⁉」

 

 

 ムンナを追いかけた先に灰色頭巾が2人いてムンナを蹴っていた。

 

 

「灰色頭巾!やめなさい!」

 

「ムンナが可哀想だよ!」

 

「灰色頭巾ではない!我々はプラズマ団は愚かな人々からポケモンを解放するため日夜戦っているのだ!」

 

「何をしているのか?ムンナやムシャーナというポケモン……ゆめのけむりという不思議なガスを出していろんな夢を見せるそうじゃない。それを使い人々がポケモンを手放したくなる……そんな夢を見せて人の心を操るのよ」

 

「ゆめのけむりを出せ!」

 

 

 プラズマ団はムンナを蹴る。

 

 

「ひどい!あなた達もトレーナー何でしょ?」

 

「そうよ!私達もポケモントレーナー!あなた達とは違う目的で戦うの」

 

「オレたちの勝利は勝負に勝ち力ずくでポケモンを奪うこと!」

 

 

 なんなんだコイツらは……。

 ポケモンを解放する?あのとき私が揺らいだのはこんな奴らのためだったの?

 

 

「ベル、私がやる」

 

「お前たちのポケモン。私達が救い出してやる!」

 

「お前らみたいな奴にポケモンを渡してやるもんかッ!」

 

 

 プラズマ団の下っ端はミネズミを私はヨーテリーを出した。

 

 

「ミネズミ!「かみつく」」

 

「ヨーテリー、バックステップで回避。そこッ!「かみつく」!」

 

 

 ミネズミの攻撃を躱してヨーテリーの技だけ確実に当てる。

 ヨーテリーも調子がいい。

 

 

「レインっすごい!」

 

「ッ⁉こんなはずでは!」

 

 

 ミネズミはあっけなく戦闘不能になる。

 

 

「子供だと侮って油断したか。まあいい次は私だ!」

 

 

 もう1人のプラズマ団はチョロネコを繰り出す。

 

 

「ヨーテリー!まだまだ行けるよね!「たいあたり」!」

 

「「ひっかく」!」

 

「捕らえろ!「かみつく」!」

 

 

 ヨーテリーがチョロネコにかみつきそのまま振り回す。

 

 

「「たいあたり」ではじき飛ばせ!」

 

「まさか2人して負けるとはな!だがゆめのけむりは入手せねばならない!」

 

「やめろ!」

「やめたげてよぉ!」

 

 

『お前たち何を遊んでいるのだ?』

 

 

「え⁉」

 

 

 カラクサタウンで演説をしていた男、ゲーチスがどこからともなく現れた。

 

 

『我々プラズマ団は愚かな人間とポケモンを切り離すのだぞ!』

 

「ゲーチス様が2人⁉」

 

 

 どうなってるの⁉

 

 左右に分かれるように現れたゲーチスたちは一瞬で姿を消しプラズマ団の下っ端の前に現れる。

 

 

『その役目果たせないというのなら……』

 

「こ、これは……仲間を集めるとき演説で人を騙して操ろうとするときのゲーチス様じゃないわ!」

 

「あぁ……作戦に失敗したときそして処罰をくだされるときのゲーチス様……」

 

 

 なんかすごいこと言ってるけど⁉

 プラズマ団はやっぱりやばい組織だな⁉

 

 

「とにかくここは謝って許してもらいましょう!」

 

「あ、待て!」

 

 

 こちらの声も届かずプラズマ団は行ってしまった。

 

 

「レインみて!」

 

「あれって……ムシャーナ?」

 

 

 プラズマ団が立ち去ると物陰からムンナの進化系のムシャーナが現れた。

 

 

「もしかしてさっきのって……」

 

「ムシャーナが見せた夢?」

 

「レイン!待ちきれなくて来ちゃった!」

 

「マコモさん⁉」

 

 

 入り口のほうからマコモさんがやってくる。

 

 

「何かあった?」

 

 

 私達の様子をみて察したのか事情を聞いてくる。

 ベルがこれまでの経緯を説明してくれた。

 

 

「なるほどね。ムシャーナは多分ムンナの親ね。夢を現実にする能力でムンナを助けたのね」

 

「マコモさんこれ」

 

 

 ムンナがいたところを指差す。

 そこにはピンク色のモヤが漂っていた。

 

 

「これってゆめのけむり⁉これがあればアタシの研究が完成するわ!アナタたち後でアタシの家に来てねー!」

 

「あの人もアララギ博士と同じタイプの人だ」

 

「だね……」

 

「レインはマコモさんの家に行ってみたら?あたしはここであのポケモンを探すんだから!」

 

 

 じゃあ私はマコモさんのところに行こうかな。



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チェレンとのバトル(2回目)と不穏な予感

 

「なんですか?これ」

 

 

 マコモさんの研究室に行くと謎の機械の前に案内された。

 そして私は手渡された器具を見る。

 

 

「感謝の気持ちとしてC-GEARを使えるようにしてあげるね」

 

 

 マコモさんはそう言うとライブキャスターにコードをつないで何やら操作を始める。

 

 

「無線とか通信に関係するデバイスよ」

 

 

 これって通信交換とかゲーム要素だよね、多分。

 通信機能を拡張するものに置き換わってるのか。

 

 

「さて、次はゆめのけむりを使った研究について説明するけどもうちょっとだけ付き合ってね」

 

「それがそこにある機械なんですね」

 

 

 視線の先、ベッドとよくわからない機械が融合した何かが存在感を放っている。

 

 

「そう!これはゆめのけむりの力を使って眠っているポケモンの記憶を取り出せるようになったの!」

 

「は?」

 

 

 なんかとんでもないこと言ってない?

 マ○リックスみたいな事にならない?もしくはSA○とか。

 

 

「そこからトレーナーのレポートを集められるの!」

 

 

「更に更に!眠ったポケモンの夢がイッシュ地方のどこかで現実になるの!」

 

「わぁー」

 

 

 ポケモンってこういうファンタジーなものだったっけ?

 いやポケモンの存在自体がファンタジーか。

 

 その後もC-GEARの素晴らしさについて熱く語られたけど結局全然わからなかった。

 レポートをパソコンで送ればいいって言っていたから今度やってみよう。

 

 

「明日にはシッポウシティに向けて出発しようかな」

 

 

 サンヨウシティとシッポウシティを繋ぐ3番道路。

 多分今回は少し距離があるから野宿かもしれない。

 一応バッグには謎技術で圧縮されたテントと寝袋が入ってる。

 

 

「食べ物も買っとかないと……」

 

 

 ポケモンセンター内のショップを回り、とりあえず3日分の食料を用意する。

 まあまあ重くなっちゃったけどなんでこのバッグの見た目変わらないんですかね……。

 

 

 

 


 

 

 

 

 ということでサンヨウシティを抜けてシッポウシティを目指そう!

 情報によると次のシッポウシティには博物館兼ポケモンジムがあるらしい。

 で、そこのジムリーダーがノーマルタイプ使いらしい。

 

 手持ちには格闘技使うポケモンはいないけどしっかり鍛えてから挑もうと思う。

 それではサンヨウシティに別れを告げて、

 

 

「さて!行きましょうか!」

 

「レインストップ!」

 

 

 踏み出した足は空中で停止した。

 片足上げたままくるっとターン。

 チェレンがやってきた。

 2日会わなかっただけでもなんか久しぶり感ある。

 

 

「トライバッチを持つもの同士、どちらが強いか確かめるよ」

 

「チェレンもジム突破したのね。おめでとう!でも私は負けないわ!」

 

 

 私はヒヤップを、チェレンはポカブを出す。

 

 

「僕の相手はコーンさんだったからね、ヒヤップとの戦闘はもうなれたさ!」

 

 

 チェレンが選んだポケモンはポカブのほのおタイプ。

 したがってサンヨウジムの相手はみずタイプ使いのコーンさん。

 それを突破したと言うなら私のヒヤップでも分が悪い?

 

 

「ヒヤップ「みずでっぽう」」

 

「ポカブ「ひのこ」」

 

 

 ポカブの放ったひのこがみずでっぽうに当たったことで辺りが真っ白になる。

 

 

「水蒸気の煙⁉」

 

「ポカブ!「ひのこ」」

 

 

 視界が悪くてどうなっているのか分からない。

 どうするか……

 

 

「ヒヤップ!地面に向けて「みずでっぽう」!」

 

「何を⁉」

 

 

 水圧でヒヤップの身体が持ち上がり煙を抜ける。

 狙い通り!

 

 

「「みずでっぽう」!」

 

「まさか……そんな戦いをするとは。ポカブ戻れ。チョロネコ!」

 

 

 上からのみずでっぽうに為す術もなくポカブは倒れた。

 

 

「コーンさんとのときはこれでいけたんだけどね」

 

「私はコーンさんじゃないからね」

 

 

コーンさんがどんな戦い方をするのか知らないけど私は私のやり方で勝ちに行く!

 

 

「まあレインはレインだしね。僕の知識があればポケモンの力を引き出せる!チョロネコ!「ひっかく」だ!」

 

「「いあいぎり」で応戦して!」

 

 

 マコモさんにもらったひでんマシンを使ってヒヤップにいあいぎりを覚えさせていた。

 因みにヨーテリーにふるいたてるを覚えさせた。

 ひっかくよりも威力の高いいあいぎりでチョロネコを圧倒する。

 

 

「ヒヤップ!そのまま攻撃の手を緩めないで一気に決めるよ!「みだれひっかき」!」

 

 

 ヒヤップの連続攻撃の前にチョロネコは手も足も出ず勢いのまま勝利した。

 

 

「チョロネコ⁉何故……バッチの数は変わらないのに⁉」

 

「バッチだけじゃないでしょ?トレーナーの強さはさ」

 

「……戦い方の違いか」

 

 

 今回も私の勝ち。しかもヒヤップだけでチェレンのポケモン2体を相手できるとは。

 ヒヤップ強い……。タイプ相性もあるけど。

 

 

「僕もまだまだだな……僕はこのままシッポウシティを目指すよ。レインは?」

 

「私は……

 

「どけ!どけーッ!」

 

 きゃあ⁉」

 

 

 サンヨウシティの方から駆けてきた人に突き飛ばされる。

 恥ずかしい声が出ちゃった……。

 なんだよ「きゃあ⁉」って……。

 

 

「痛った……」

 

「レインッ!大丈夫⁉なんだよ今の……?」

 

 

チェレンが手を差し伸べてくれる。

うん。イケメンかよ。

その手を取り立ち上がる。

 

 

「待てーッ!」

 

「?ベル?どうして走ってるの?」

 

 

 さっきの奴らが来た方から小さい女の子を連れながらベルも走ってくる。

 その顔はいつになく必死な顔だ。

 

 

「ねえ!今の連中どっちに向かった?」

 

 

 息を切らしながらもそう聞いてきたベルに何か良くない予感がした。




最近の思考回路。

タブンネが出るようになったからレベル上げしたい。
でもストーリー的にまだ進化させたくない。
けどレベル的には進化させないとジム戦もキツくなる……(最初に戻る)




ついさっきの思考
よし。進化させっか。


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タッグバトル

やばいので短め。


 

「さっきの連中どっちに向かった⁉」

 

「あっちだけど……」

 

「ありがと!」

 

「待ってよベル!どうして走ってるのさ?」

 

 

 すぐさま走り出そうとするベルを2人で止める。

 

 

「ああもう!なんて速い逃げ足なの!!」

 

「……おねえちゃん……あたしのポケモン?」

 

「大丈夫!大丈夫だから泣かないで!!」

 

 

 ベルの後を着けていた女の子が涙目でベルにすがる。

 それに「あたしのポケモン」……ってまさか⁉

 

 

「あのねベル、だからどうして走ってたんだ?」

 

「聞いてよ!」

 

「まさかだけどベル……その子のポケモンさっきの奴らに……」

 

「そう!この子のポケモン取られちゃったのよ!」

 

「それを早くいいなよ!」

 

「チェレン!私たちでポケモンを取り戻すよ!」

 

 

 ポケモンを奪うだなんて……さっきの連中まさかプラズマ団?

 

 

「ベル!きみはその女の子のそばにいてよ。僕たちでなんとかする」

 

「おねーさんに任せといて、すぐに取り返してくるから!ベル!頼んだよ!」

 

「うん!」

 

 

 私は女の子の頭を優しくなで安心させベルに託した。

 

 チェレンの後に続き追いかける。チェレンのほうが足速いから置いていかれないように。

 

 

「レインあいつらここに入っていったよ」

 

 

 洞窟入り口についた。

 中は暗くて見えないがチェレンの言う通りにここに逃げたのだろう。

 

 

「行きましょ」

 

 

 チェレンのあとに続く。

 やっぱりいた。

 灰色頭巾ことプラズマ団が。

 

 

「女の子から奪ったポケモンを返しなさい!」

 

「あんな子供にポケモンは使いこなせない。それではポケモンが可哀想だろ?」

 

「レイン……こいつら話が通じない。面倒な連中だね」

 

「お前らのポケモンも同じ、我々プラズマ団に差し出せ……というか奪ってやるよ!」

 

「ツタージャお願い!」

 

「レイン!そっちは任せるよ!」

 

 

 相手がバラバラに襲ってきたからこっちも二手に分かれる。

 

 

「ツタージャ「つるのムチ」!」

 

「ミネズミ!「たいあたり」」

 

 

 ツタージャも怒っているのかいつもより技のキレが良い。

 

 

「「つるのムチ」で薙ぎ払え!」

 

「ぐぅ⁉何故だ!何故正しき我らが負ける⁉」

 

「あんたらが正しくないからに決まってるからでしょ!」

 

「流石レイン。あっという間だね」

 

「そう言うチェレンもね」

 

 

 お互いに勝利したらしい。

 私のほうがちょっとだけ早かったけど。

 

 

「さああの子から奪ったポケモンを返しなさい」

 

 

「返す必要はないぜ!」

 

 

 洞窟の更に奥から大声が響く。

 

 

「大変だよな。理解されないばかりか邪魔されるなんて」

 

「相手は2人我々も2人……こちらの結束力を見せつけ我々が正しいことを教えてやるよ」

 

 

 奥から2人のプラズマ団がやってくる。

 

 

「まだいたとはね……それにしてもポケモン泥棒が開き直りか」

 

「チェレン。私たちだって長い付き合いでしょ?コンビネーションでは負けない」

 

「まさか初タッグがこんな形で実るなんてね!ポカブ!」

 

「思い知らせてやるんだから!ツタージャ頼んだよ!」

 

 

 相手はミネズミ2体。

 本来なら一体ずつ分けて戦うけどタッグバトル。サポートしあう。

 

 

「ポカブ!「ひのこ」!」

 

「ツタージャ!「つるのムチ」!」

 

「「ミネズミ「かみつく」!」」

 

「チェレン合わせて!「つるのムチ」!」

 

 

ミネズミ2体を中心に囲うようにつるのムチで誘導していく。

 

 

「そういうことか!「ひのこ」を連射だ!」

 

 

つるによって逃げ場を失ったミネズミたちにひのこが当たっていく。

 

 

「僕たちのタッグを相手にするには弱かったみたいだね」

 

「ポケモンを返しなさい」

 

「クッ……オレたちはポケモンを開放するため愚かな人間どもからポケモンを奪っていくのだ!」

 

「本当に面倒な連中だ。どんな理由があろうと人のポケモンを盗っていい訳ないよね?」

 

「お前たちのようなポケモントレーナーがポケモンを苦しめているのだ」

 

「どうしてポケモンを苦しめていることになるのか全く理解できないね!」

 

「……今回はここで引く。だがいつか自分の愚かさに気づくんだな」

 

 

 プラズマ団は女の子のポケモンを置いて逃げていった。

 

 

「ポケモンの能力を引き出すトレーナーがいる。トレーナーを信じてそれに応えるポケモンがいる。これでどうしてポケモンが可哀想なのか」

 

「やっぱり変だよね」

 

「さてポケモンを返しに行こうか」

 

「そうだね」

 

 

 私たちは洞窟を後にした。




何がやばいというと3DSがやばい。

3DSの寿命が来てしまいました。
電池の膨張という形で。過充電だったぽい。
ちょっと爆発とか怖いんで3DSを封印します。

毎日1話を心がけてたけどちょっと休みをいただきます。
具体的には新たなDSを手に入れるまで。

因みに作者のDSは紛失、3DSは寿命。
任天堂では3DS本体の修理はもうやっていないとのこと。

中古で新しく買います。
結構長く使ってたからショック。

今3DSを分解してパソコンでもゲーム出来るようにならないか画策してる。
まあ技術も知識もないから当分無理だけど。
有識者の方、技術とか知識あったら教えて下さい。

追記
なんやかんやありまして。
リチウム電池を購入することにしました。
開けてみたら思ったより被害が小さかったからセーフでした。
電池が届き次第再開できそうです。
具体的には8月中には再開出来るかと。


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初めての

お久しぶりですね。
DSの電池交換したので復活しました。
唐突ですけどオリキャラ出します。


「レイン!本当にありがとうね!」

 

「お姉ちゃんありがとう!」

 

「どういたしまして。その子と仲良くするんだよ?」

 

「うん!」

 

 

 プラズマ団から女の子のポケモンを取り返した。

 チェレンったらポケモンを返したらすぐに「じゃあ、僕は先に行くから」なんて行っちゃった。

 恥ずかしかったのかな?

 

 

「レイン!あなたと友達で本当に良かった!あ、私この子家まで送ってくるね!」

 

「バイバーイ!!」

 

「またね」

 

 

 さてと……シッポウシティまではあと2、3日ってところかな。

 私も戦力増強したいし頑張りますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜少女特訓中〜

 

 

 

 

 

 

 

「ツタージャ!『つるのムチ』!」

 

 

 あれから私はチェレンと行った洞窟、通称「地下水脈の穴」で鍛えていた。

 今も岩のような見た目のポケモン、ダンゴロと戦っていた。

 ちなみにあいも変わらずノーコンなので足の遅いダンゴロにすらボールはかすらなかった。

 つるのムチでの拘束はあくまで最終手段として残しておきたい。

 

 

「ツタージャやったね!いい感じだよ♪」

 

 

 進化まではまだ至ってないけど徐々に技の威力が上がっている。

 ツタージャもやる気十分だ。

 

 

「さてと……」

 

「お前トレーナーだろ?」

 

「⁉誰?」

 

 

 後ろから声をかけられた。

 薄暗い洞窟からこちらに歩いてくる。

 

 

「俺はカイト。カイトさんと親しみを込めて呼んでくれていいぜ」

 

 

 茶色のジャケットを羽織った男。チェレンよりちょっと背が高そう。

 カイトと名乗った男はギラついた笑みを浮かべてる。

 

 

「私に何か御用ですか?」

 

「いやー人探しをしてたんだが面倒くさくなってな。やめたから暇になったんだ」

 

 

 いや、人探しはそう簡単に諦めちゃ駄目だろ……。

 カイトという男は割といい加減な性格らしい。

 

 

「暇だったからこの辺で適当にバトってたらお前が居たわけ」

 

「はあ、そうなんですか」

 

「お前トレーナーだろ?ちょっとバトルしてくれよ」

 

「別にいいですけど……」

 

 

 私がそう答えるとカイトさんはその笑みを深めた。

 ギラついた目が私を射抜き、ちょっとだけ怖かった。

 

 

「まあこんなところで鍛えてるってことはお前まだまだ駆け出しだろ?ハンデやるよ」

 

「むぅ……駆け出しなのは事実ですけどムッと来た」

 

 

 言ってくれる。駆け出しでもやれるってところ見せてあげるんだから!

 ワザとかわからないがいちいち苛つくような言葉で挑発してくる。

 この上から目線が嫌だ。実際年上だろうけども。

 

 

「ならお互い1匹ずつで勝負しましょう」

 

「俺は別に1対お前の手持ち全部でも構わねえんだが」

 

「私の意地です。あと私の名前はレイン!お前って名前じゃねーです」

 

「そっか。じゃあレイン一戦やろうぜ」

 

 

 お互いに離れる。

 

 

「お願いツタージャ!」

 

「行け。ギガイアス」

 

 

 カイトさんが繰り出したのはギガイアス。

 ダンゴロの最終進化のいわタイプ。

 対する私はお馴染みツタージャ。実はついさっきまでヨーテリーとヒヤップのレベル上げ作戦をやってたから休ませてあげないといけないのだ。

 

 

「先行は譲ってやるよ」

 

「ツタージャ!相手は強敵だけどタイプ相性はいいから!『つるのムチ』」

 

 

 くさタイプの技であるつるのムチはいわタイプには効果が抜群。タイプ相性を付けば苦戦はしても戦えるはず!

 ヒット・アンド・アウェイ方式で削る作戦を考えた。

 

 

「ギガイアス受け止めろ」

 

「なっ……」

 

 

 そんな私の作戦は一瞬で潰えた。

 まだツタージャのレベルが低いとはいえタイプ相性が悪いつるのムチを食らってもギガイアスは無傷でそこに居た。

 

 

「そんな……」

 

「ふん……大したことねえな」

 

「ま、まだだよ!ツタージャ!連続して『つるのムチ』!」

 

 

 ギガイアスの防御が高すぎて攻撃が全然入ってない。

 今もバシバシとムチをしならせて迫るが効果は薄い。

 

 

「まあダメージ入らないとはいえ殴られっぱなしは癪だしな。ギガイアス『いわなだれ』」

 

「ツタージャ!『つるのムチ』で壁際まで飛んで!」

 

 

 ツタージャが居た場所に大きな岩が幾つも降り注ぐ。

 ツタージャの動きが一瞬でも遅かったら生き埋めになっていたかもしれなかった。

 

 

「ほー、指示に対する反応速度は一流レベルだな。信頼されてんな」

 

「それはどうも!」

 

 

 攻撃力が足りない……なら!

 

 

「ツタージャ『せいちょう』」

 

 

 せいちょうは攻撃と特攻を高める。

 ギガイアスは動きが遅いしカイトさんもあんまり攻撃の指示ださないから隙きをついてバフを積む。

 

 

「ふむ……判断能力もなかなか……まあ、足りないけどな。『ストーンエッジ』」

 

「ッ⁉ツタージャ躱して!」

 

「遅えよ」

 

 

 ギガイアスが大きく地面を踏みしめると青いエネルギーを纏った尖った岩が連続して飛び出しツタージャに迫る。

 回避行動を取るもツタージャは間に合わず為す術なく弾き飛ばされる。

 

 

「ツタージャ⁉」

 

 

 壁まで飛ばされたツタージャに駆け寄る。

 レベル差がありすぎる。たった一撃でツタージャはかなりのダメージを負ってしまった。

 

 

「ッ⁉ツタージャ無理しないで!」

 

 

 傷つきながらもツタージャは立ち上がった。

()()()()()()()()()()

 

 

「ほぉーあれを耐えるか。まあいい。トドメだ」

 

 

 ……駄目だ。次に攻撃を食らったらツタージャが持たない

 

 

「『ロックブラスト』」

 

「ッ!駄目ッ!」

 

 

 気づいたら体が勝手に動いていた。

 ツタージャを抱きかかえギュッと目を瞑る。

 

 

「!あの馬鹿ッ!ギガイアス止めろ!」

 

 

 カイトさんが叫ぶが遅かった。

 ギガイアスから放たれた岩は真っ直ぐとこちらに飛んできたのだろう。

 

 一瞬体が浮いたような気がして私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっちまった。

 正直そう思った。

 

 

「正直俺は思ったさ。ロックブラストやる必要あったか?ってな」

 

 

 カイトは思考する。

 あのとき何が起きたのか。

 

 

「まさか抱えられた状態から蔓で迎撃するとはな。大したやつだぜ」

 

 

 カイトはそう言うと倒れて戦闘不能になったツタージャのもとに歩いていった。

 ツタージャは洞窟の地面に力なく横たわっている。

 ストーンエッジでかなり体力を消費していたのでロックブラストの余波でダウンしていた。

 

 

「すげえよ。お前。主人を守りきりやがった」

 

 

 ツタージャの傍らでは蔓の繭に包まれ意識を失っていたレインがいた。

 カイトが軽く見ても怪我はなさそうだ。

 

 

「ん、ああ俺だ俺。……あ?今どこかだって?知らん。どっかの洞窟」

 

 

 カイトのライブキャスターに連絡が入り一先ずレインをそのまま横たわらせて通話をつなげた。

 俺俺で通じてる辺り親しい相手らしい。

 

 

「あいつが気になってた奴とバトルしたぜ。……俺が負けるわけないだろ。まあ将来性はあるがな。それでも俺には勝てんだろうが。計画の邪魔にはなんねーよ」

 

 

 そのまま幾つか言葉を交わし通話を切るとジャケットから回復の薬を取り出しレインの手元に置いた。

 

 

「じゃあなレイン。今度あったらまたバトルしようぜ」

 

 

 カイトはレインを放置して洞窟から出ていった。




というわけで新キャラのカイトさんです。
ゲーム同時進行なんですけどゲーム内で負けたくなかったのでここでレインさんには敗北をあげようかなと。
初めての敗北です。多分そうだよね?

次回はレインのその後と手持ちの増加ですかね。
もう1匹捕まえてあるので登場させることができればなんて。


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敗北のあとに

新ポケ出せんかった。ごめん。


 

『■■!今度ポケモンの最新作でるってよ!』

 

 

 声が聞こえる。

 

 

『リメイクらしいんだけどさ。お前も買うだろ?』

 

 

 声は俺に問いかける。

 もちろんだ。いくつになってもポケモンが好きだ。

 

 

『お前最初のポケモン何にする?ってお前は決まってるか。お前くさタイプ好きだもんな』

 

 

 そうだったな。確かに俺はくさタイプが好きだ。

 俺が■■■としてホワイトをやったときも。■■■としてXをやったときも。αサファイアをやったときも。ハートゴールドのときもプラチナをやったときも。

 多分これからもくさタイプを選ぶのだろう。

 

 

『通信対戦しようぜ。レギュレーションはいつものな』

 

 

 今日は俺が勝たせてもらうぜ。

 

 

『はっ!俺に勝てるかよ!』

 

 

 お前前々回俺が勝っただろ。

 

 

『なー■■通信交換してくんね?図鑑埋まらん』

 

 

 あーバージョン違うしな。今度持ってくる。

 

 

『……なあ■■。俺通信交換しようぜって言っただろ……なんで、なんで死んじまうんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……」

 

 

 懐かしい夢を見た。

 私がまだ俺だった時の夢。

 

 

「ここは……」

 

 

 そうだ私は確かカイトさんに負けて……。

 

 

「ッ!ツタージャ!」

 

 

 ツタージャがいない。

 手元のモンスターボールも空っぽで軽く見える範囲には姿が見えない。

 

 

「ツタージャ!どこ、どこに行ったの?」

 

 

 そう遠くには行っていないはず。

 すぐに気持ちを切り替えツタージャを探しに行く。

 

 

「ヨーテリー!ツタージャを探すの手伝って!」

 

 

 ヨーテリーの嗅覚を使いツタージャを探す。

 匂いを嗅ぎ分けたのかヨーテリーは吠え走り出した。

 

 

「そっちにいるのね!」

 

 

 ヨーテリーの後を追い走る。

 凸凹した地面に足を取られそうになるけどなんとかヨーテリーに追いすがる。

 

 

「!この音って」

 

 

 走っていくとポケモン同士のバトルによる爆発音が聞こえた。

 

 

「ツタージャ!」

 

 

 ツタージャは見つかった。

 ダンゴロにモグリューにコロモリ、たくさんのポケモンに囲まれていた。

 

 

「ヨーテリー!援護を……ってツタージャ⁉」

 

 

 囲まれピンチだったツタージャに援護をと思いヨーテリーを向かわせようとするとツタージャが蔓で牽制してきた。

 一人でやると言わんばかりに。

 

 

「…………」

 

 

 思わず息を呑んだ。

 ツタージャの目を、覚悟の決まった淀みない澄んだ目を見せられ私の意思も定まった。

 私にもわかる。

 悔しかったのだ。カイトさんに負けて。ギガイアスに為す術なく負けて。

 この世界はゲームじゃない。セーブもロードもない一回きりの真剣勝負。

 だったら負けたくはない。

 

 

「ヨーテリー……ごめん戻って。ツタージャ私はあなたを信じる」

 

 

 だから私のことも信じてほしい!

 一歩踏み出しツタージャに並ぶ。

 するとツタージャに変化が起こる。

 青く光だし徐々に姿が変わっていく。

 

 

「これって……」

 

 

 ツタージャはジャノビーに進化した。

 体が大きくなりより逞しくなった。

 

 

「ツタージャ……いやジャノビー!行くよ!」

 

 

 ジャノビーはそれに答えるように声を上げる。

 

 

「数は多いけど冷静にいくよ!『つるのムチ』でダンゴロたちを薙ぎ払え!」

 

 

 威力の上がったつるのムチがダンゴロたちを弾き飛ばす。

 相手もやられたままではない。

 コロモリたちが羽を羽ばたかせる。

 何匹か同時にかぜおこしを放ち小さな風の渦ができる。

 

 

「今なら出来るはず!ジャノビー!」

 

 

 ジャノビーが風に包まれるとその風がだんだん緑に変わっていく。

 風はだんだん葉のようなエネルギーで満ちていく。

 

 

「『グラスミキサー』!」

 

 

 渦を巻くエネルギーを全体を巻き込むように放つ。

 

 

「凄い……凄いよ!ジャノビー!」

 

 

 あっという間にポケモンたちを追い払ってしまった。

 

 

「ありがとうジャノビー。私ももっと頑張るから。これからもよろしくおねがいね」

 

 

 ジャノビーは任せろと胸を張っていた。

 その姿がなんだか可笑しくジャノビーと一緒になって笑った。

 

 これからもよろしくね。みんな。




ジャノビーが進化したよ!やったね!
新ポケは今度こそ次回。


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到着!シッポウシティ

今回は短め。
忙しくてゲームもあんまり進めなかった。残念。


 

「ついたー!」

 

 

 なんやかんやあったけれども3番道路を抜けてシッポウシティに到着した。

 アメリカのマンハッタンをモチーフとしたポケモンBW。

 その中でシッポウシティはボーラムヒルをモデルとした街で倉庫を再利用した民家が立ち並んでいる。

 横浜の赤レンガ倉庫とかも好きだったからシッポウシティの雰囲気はかなり落ち着く。好き。

 

 

「レイン、ついてきなよ。その様子だと来たばっかりだろ?」

 

「2日ぶりかな?チェレン」

 

「まあ旅立前はそこまで離れたことなかったからね。家も近いし」

 

 

 チェレンに案内され街を歩いていく。

 この景色いいわー。

 

 

「この道を真っ直ぐ行けばポケモンセンターがあるよ」

 

「ありがとねチェレン」

 

「ああ。これくらいはね。後これをあげるよ」

 

「カゴのみ?なんで?」

 

 

 ポケモンの眠気を覚ます木の実をくれた。

 

 

「最近多く手に入ってね。ベルにも一応渡したんだ」

 

「ベルももうこの街に来てるのね」

 

 

 私が最後か。ちょっとゆっくりし過ぎたかな?

 

 

「ついでにアドバイス。シッポウシティのジムリーダーはノーマルタイプの使い手。かくとうタイプのポケモンがいるとかなり有利かもね」

 

「ノーマルタイプのジムリーダーね……ありがとうチェレン」

 

「それじゃあ僕は先に行くよ」

 

 

 アドバイスとカゴのみをくれたチェレンは行ってしまった。

 

 

「かくとうタイプのポケモンか……」

 

 

 昨日手に入れたポケモンはかくとうタイプじゃないんだよね……。

 むしろ対かくとうみたいな感じだけど……まあなるようになるか。

 

 

「モンスターボール買わなきゃ……」

 

 

 因みにそのポケモンを捕まえるのにモンスターボールを4個消費した。

 ……そろそろ真面目に投球練習するべきかもしれない。

 

 

「ジムに挑むのはまだ早いかな?」

 

 

 ジャノビーが入っているモンスターボールを撫でながら思考する。

 今の私の手持ちは4匹。

 かくとうタイプはなし。かくとうタイプの技持ちもなし。

 

 

「ヤグルマの森でちょっとレベル上げしてから行こうかな」

 

 

 ジムに向けての思考を終えてシッポウシティを散策することにした。

 

 

「?この音って……」

 

 

 テラス付きの喫茶店でアコーディオンを弾いている男がいた。

 メロディーがこの街の雰囲気にぴったりで思わず耳を傾ける。

 

 

「カフェソーコ……ちょっと寄っていこうかな」

 

 

 倉庫を改良して作られたカフェソーコ。

 

 

「わぁ……すっごいオシャレ」

 

「田舎のちょっとオシャレなカフェソーコへようこそ!」

 

 

 折角なのでメニューに書いてあったおすすめ料理のフルーツサンドを注文する。

 

 

「今日は水曜日なのでサイコソーダのサービスです!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 サイコソーダの炭酸とフルーツの甘さを堪能し気分良くヤグルマの森を目指すことにした。




結局新メンバーが登場しない。
ヒントはアンチかくとうタイプ


レインの手持ち

ジャノビー
ヨーテリー
ヒヤップ
????


次回バトルあるから今度こそ出せる。多分。きっと


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未来を見たい

 

「今日も遅くまで頑張ったかな」

 

 

 カフェソーコで一休みした後ヤグルマの森の入口付近、試しの岩周りで鍛えていた。

 因みにヤグルマの森の奥には行けなかった。

 灰色頭巾ことプラズマ団たちが陣取っていて面倒を避けた。

 

 

「ドッコラー欲しかったな……」

 

 

 私の目的はかくとうタイプの技の習得もしくはかくとうタイプのポケモンだった。

 ヤグルマの森入口には角材を武器にするポケモンのドッコラーや柔道着を着ているようなポケモンのナゲキとかくとうタイプのポケモンが生息するのだ。

 それに試しの岩はかくとうタイプのポケモンの攻撃力でないと砕けない言われていて手持ちにかくとうタイプのポケモンがいない私では挑戦できなかった。

 

 

「いたた……」

 

 

 まだ少し痛むおでこを擦る。

 私のおでこは色々あって少し赤く腫れていた。

 

 

 

 数時間前

 

 

 

「ヒヤップ!『ねっとう』!」

 

 

 ヒヤップの新技ねっとうでドッコラーを追い詰める。

 この短時間でヨーテリーはハーデリアに進化したしヒヤップも技を覚えた。

 後はかくとうタイプのポケモンもしくは技を手に入れるのみ。

 

 

「『いあいぎり』!」

 

 

 ひでんマシンを使って覚えさせたいあいぎりもヒヤップと相性が良かったっぽい。

 ねっとうやみずでっぽうで遠距離攻撃、いあいぎりで近距離攻撃。割と万能になった?

 

 

「お願いします!モンスターボール!」

 

 

 当たるかどうか運次第の投球チャレンジ。

 モンスターボールは真っ直ぐドッコラーに向かって飛んでいく。

 

 

「やった!ちゃんと投げれた!」

 

 

 まぐれかもしれないけどそれはよし。

 

 

「お願いって、え?ちょっ⁉あぅ!」

 

 

 放たれたモンスターボールは綺麗にドッコラーのもとへ。

 ただコースが甘かった。

 ドッコラーは持った角材をバットのように扱いピッチャー返しをしてきた。

 

 帰ってきたモンスターボールは私のおでこど真ん中。

 結構痛い。

 痛がっているうちにドッコラーは逃げるし散々だった。

 

 

「はぁ……」

 

 

 一応ヤグルマの森の入り口にいたナースの人に応急手当はしてもらったけど。

 なんであんなところにいたんだろうか。

 

 

 今日の宿に向かおうとシッポウシティの名所である博物館の入り口から見覚えのある人物が出てくる。

 いつぞやの謎の人物Nだ。

 

 

「Nどうしてここに?」

 

「ボクは……ダレにも見えないものが見たいんだ」

 

 

 誰にも見えないものが見たい?謎掛け?

 

 

「ボールの中のポケモンたちの理想、トレーナーという在り方の真実、そしてポケモンが完全となった未来……」

 

「…………」

 

 

 Nは不思議な雰囲気を纏いながら話しかけてくる。

 油断していると飲まれてしまうような間隔に陥る。

 

 

「レイン……君もみたいだろう?」

 

 

 私は……どうなんだろう。

 Nの言葉は前のときも今も私の心を揺らす。

 

 

「……ちょっとだけ気になる……けど」

 

「そうかい。ではボクとボクのトモダチで未来を見ることが出来るか君で確かめさせてもらうよ」

 

「ッ⁉」

 

 

 そう言うとNはマメパトを繰り出した。

 前もこんな感じで急にバトル仕掛けてきたな!

 だったら私は!

 

 

「行けっコロモリ!」

 

「前にはいなかったポケモンだね」

 

 

 地下水脈の穴で手に入れた新しいポケモン、コロモリ。

 ひこう・エスパータイプでかくとうタイプキラーな子。

 なんか捕まえて1日くらいしか経ってないのにめちゃくちゃ好感度が高い。

 

 

「コロモリ!『ハートスタンプ』」

 

 

 ハート型のプレスがマメパトに当たる。

 かなり強烈な一撃だったのかマメパトが怯んだ。

 

 

「畳みかけるよ!『かぜおこし』」

 

「『でんこうせっか』」

 

 

 コロモリが起こした小さな竜巻にマメパトが突っ込んでいく。

 ハートスタンプのダメージが効いたのかかぜおこしの風を突破できずにマメパトは倒れた。

 

 

「ゆけオタマロ」

 

「コロモリ一旦戻って!ジャノビー!」

 

 

 コロモリを手持ちに戻してジャノビーを出した。

 みずタイプのオタマロには有利だ。

 

 

「進化したのか……」

 

「ジャノビーは強いんだから!」

 

 

 ジャノビーもやる気があるようだ。

 

 

「オタマロ『さわぐ』」

 

 

 オタマロが騒ぎ出し思わず耳に手を当ててしまった。

 煩すぎる。

 

 

「うぅ……ジャノビー!『グラスミキサー』!」

 

「『バブルこうせん』」

 

 

 全体的にこちらのほうが威力が高いのか葉の竜巻が泡を割り、オタマロを弾き飛ばす。

 

 

「ふうん……次で最後だ。ドッコラー」

 

「うぇ……」

 

 

 思わずおでこをさすってしまったのは仕方ない。

 ちょっとだけ苦手意識ができちゃったのは内緒。

 

 

「『グラスミキサー』!」

 

「『いわおとし』」

 

 

 岩と葉っぱのぶつかり合い。

 文字にすると違和感しか無いけど。

 

 

「『つるのムチ』」

 

「『けたぐり』」

 

 

 ジャノビーはドッコラーの蹴りを躱し攻撃を当てていく。

 進化してから技の精度がぐんぐん上がる。

 

 

「倒したよN」

 

「まだ未来は見えない……未確定」

 

「未来を見れる人なんていないでしょ」

 

 

 ……言ってから思ったけどサイキッカーとかエスパータイプのポケモンは見てそうだな……なんて。

 

 

「今のボクとボクのトモダチとではすべてのポケモンを救い出せない……」

 

「どうしてそこまで執着するの……」

 

「世界を変えるための数式は解けない……ボクには力が必要だ、誰もが納得する力……」

 

 

 私の問にも答えずNは背を向けあるき出す。

 

 

「……必要な力はわかっている……英雄と共にこのイッシュ地方を建国した伝説のポケモンレシラム!」

 

「レシラム……」

 

 

 最近薄れ掛けてる前世の記憶を辿る。

 確かブラックのパッケージに描かれていた白いドラゴンがそんな名前だった気がする。

 やばい。BWの知識が殆どなくなってきた。

 

 

「ボクは英雄になりキミとトモダチになる!」

 

「英雄……」

 

 

 Nが去っていく姿を眺めることしかできなかった。




ということでN戦でした。

レインの手持ち
ジャノビー
ハーデリア
ヒヤップ
コロモリ<New

新ポケはコロモリでした。

レインの原作(ホワイト)知識は殆ど残ってません。
兆候は割りと前の方からあったりなかったり。
シッポウシティのジムリーダーの得意タイプを覚えてなかったりN戦のことを忘れていたりね。

次回はジム戦前辺りまでかなタブンネ。ワカラナイケド。


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博物館

モチベーションが死んでた。


 

 Nと戦ってから3日ほど経った。

 結局あの後真っ直ぐ宿に帰りすぐ眠りについた。

 

 

「ふなぁぁ……」

 

 

 現在カフェソーコのテラスでふにゃってる。

 この3日間何をしていたかというとこうしてふにゃってたりドッコラーに向けて投球練習したり(全て跳ね返された)コロモリを撫で回したりしてた。

 コロモリは何故か最初から好感度が高いから撫で回してたらなつき進化の条件達成できたらいいなくらいの気持ちでやってた。

 

 

「やる気がぁ……」

 

 

 モチベーションが死んでる。

 体がだるくって仕方がない。あとボール投げすぎて肩が痛い。

 

 

「あと一日……後一日だけだから……」

 

 

 逃げ口上が絶好調。

 なんだか今なら大逃げができそうな気がする。やらないけど。

 

 

「……」

 

 

 本当はこんなことしてる場合じゃないことはわかってる。

 

 

「よしっ!」

 

 

 切り替えていこう!

 3日も休んだしそろそろ頑張らないと!

 

 

「とは言ったもののどうしようか」

 

 

 もうこのまま勢いでジム戦行っちゃう?

 準備なしに?

 

 

「……キズぐすりだけ一応買ってから行こう」

 

 

 準備はやっぱり大事だよね。

 

 ということでレッツゴー!

 

 

 


 

 

 

 

「ということでやってきました博物館」

 

 

 博物館に入ると入り口からいきなり巨大な骨が展示されている。

 

 

「うーむ……この骨格いつ見ても惚れ惚れしますな」

 

 

 白衣の変な人もいた。骨に向かって興奮してる人って関わったら駄目なやつじゃ……あ、目があった。

 

 

「どうもわたくし副館長のキダチです」

 

「副館長だった⁉」

 

 

 人は見かけによらない。

 

 

「せっかくいらしたのです館内を案内しましょう」

 

「え、ジム戦に来たんですけど……」

 

「こちらへどうぞ」

 

「え、ちょっま」

 

 

 引っ張られる形で巨大な骨格標本の前に連れられる。

 

 

「こちらの骨格……ドラゴンタイプのポケモンですね」

 

 

 そう言われれば確かにどことなくカイリューっぽい骨格をしてる。

 

 

「おそらく世界各地を飛び回っているうちに何らかの事故にあってそのままカセキになったようです」

 

「理由ふわっとしすぎじゃないですか?」

 

 

 私の感想は無視され今度は岩の前に連れられてきた。

 

 

「この石は凄いですよ!隕石なんですよ!何かしらの宇宙エネルギーが秘められています」

 

 

 直径30cm程度の隕石。こんなものが宇宙から落ちてきたらクレーターでこの辺り一帯が更地になってそうだなー。

 というかポケモン世界の隕石ってそこまで珍しいのかな?

 進化の月の石とか試しの岩で取れるっていう星のかけらとか彗星のかけらとか結構見つかってますよね?

 

 

「この石は?」

 

 

 隕石の近くに置かれていた真っ黒な石を指し聞いてみる。

 綺麗な丸い形で不思議な感じがする。

 

 

「ああこちらはただの古い石です」

 

「紹介が雑に⁉」

 

「砂漠付近で見つかったのですが古いこと以外には全く価値がなさそうなものでして……」

 

「価値ないものを飾っているんだ……」

 

「ええ、ただとても綺麗ですので展示しております」

 

 

 それでいいのか博物館。

 経営が不安になってきたけど……。

 そして大体20分ほど博物館内を連れ回されて階段を登り2階に。

 

 

「この先がポケモンジムになっております」

 

「この先が……」

 

「一番奥で強くて優しいジムリーダーが待っています。因みにジムリーダーのアロエはわたくしの奥さんなのです」

 

 

 あ、結婚してたんだ。

 

 

「それではお気をつけて」

 

 

 取り敢えずキダチさんにお礼を言って奥に進む。

 

 さあ2つ目のジムに挑戦だ。




明日多分シッポウシティジム戦
ここからアニポケに則って手持ち制限課せます。
アロエさんは2匹使うのでこちらも2匹です。
2匹相手に4匹で挑むのはなんか違うと思ったので。


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ジム戦VSアロエ

 

「博物館のその奥で挑戦者を待つポケモンジム……なんだか雰囲気あるっすよね。これを差し上げるっす」

 

「あ、おいしい水……ありがとうございます」

 

「このジムはですね、ノーマルタイプのポケモンを使うトレーナーばかりです。……ここだけの話ノーマルタイプってかくとうタイプが苦手なんすよ」

 

 

 知ってます。

 

 

「近くじゃヤグルマの森辺りにかくとうタイプのポケモンが出現したりするんすよ」

 

 

 知ってます。ボールの投げたら打ち返されました。

 タイプ相性の悪いポケモンが街の近くで生息してるって悲しいよね。

 愛想笑いしかでませんけど。

 

 そのままジムの説明が始まる。

 どうやらこの奥は図書室のようになっていて本に書かれた問題を解けば先に進めるらしい。

 

 

「最初の本は『はじめましてポケモンちゃん』です。本の場所がわからないときはみんなに聞くといいっすよ」

 

 

 最初の本を見つけた私はアロエさんの問題メモの通りに進みジムを攻略していった。

 本の問題もなぞなぞだったりポケモンについてだったり。

 たまに目的の本を読んでいたジムトレーナーとバトルしたり。

 

 

「最後の問題もこれでクリアっと」

 

 

 最後の問題の答えの本棚。そこに居たジムトレーナーを倒し最後の本を手にとった。

 

 

「もうすぐジムリーダーに会えるわ。頑張ってね」

 

 

 本の下にスイッチが有りカチッと音がなった。

 

 

「ふぁっ⁉」

 

 

 本棚がずれて下り階段が現れた。

 テンションが上がる。

 秘密基地っぽい仕掛けがこう元男としての琴線に触れたというかなんというか。

 

 上がりきったテンションを抑えつつ階段を下ると書斎のような部屋がありジムリーダーであるアロエさんがいた。

 

 

「いらっしゃい!シッポウ博物館の館長にしてジムリーダー。それがこのあたしアロエだよ」

 

「ポケモントレーナーのレインです」

 

「さあてレイン。前置きは無しさ愛情込めて育てたポケモンでどんな戦い方をするのか研究させてもらうわよ!」

 

 

 サンヨウジムに続いて2つ目のジム。

 バッチを1つ手に入れたからここからのジム戦は公式戦、手持ちの数を揃えて戦う。

 今回はお互い手持ちは2匹ずつ。

 

 

「これよりジムリーダーアロエと挑戦者レインによるジム戦を開始します。手持ちはお互いに2匹。交代は自由。どちらかのポケモンが2匹とも戦闘不能になったところで終了とします」

 

 

 もう私の中でおいしい水をくれる人認定のガイドーさんが審判をやっている。

 ガイドーと言うのは敬称みたいなものらしくサンヨウジムのガイドーさんと同期だって言っていた。

 まあポケモンセンターのジョーイさんと同じ扱いでいいだろう。

 

 

「さあ行くよ!ハーデリア!」

 

「頑張ろう!ヒヤップ!」

 

 

 実はこのヒヤップには秘策がある。

 ラッキーが生み出した産物だけどね。

 

 

「先制はいただきます!『ねっとう』!」

 

 

 高温の水がハーデリアに向かって放たれる。

 低確率でやけど状態にする技で運が良ければやけどにしてハーデリアの攻撃を下げることが出来る。

 

 

「甘いよ!『とっしん』」

 

「なっ⁉ねっとうを突き抜くなんて!」

 

 

 ハーデリアはねっとうを正面から突破した。

 ダメージ覚悟の一撃でヒヤップに大ダメージを与える。

 もちろんハーデリアもねっとうととっしんの反動でダメージを受けているみたいだけど。

 

 

「ハーデリア『とっしん』」

 

「迎え撃つよ『いわくだき』」

 

 

 ヤグルマの森にいたバトルガールにもらったわざマシンでいわくだきを覚えさせた。

 なんか間違えて2枚手に入れたらしくバトルに勝った報酬と言われ貰えた。

 

 

「へえやるねかくとうタイプの技か」

 

「私だって負けるつもり無いですから!『いわくだき』!」

 

 

 アッパーの容量で放たれた一撃がハーデリアを打ち上げた。

 

 

「ハーデリア戦闘不能!」

 

「残り1匹だったとしても勝利の道を探すのがあたしなのさ!ミルホッグ!」

 

 

 アロエさんの残りの1匹ミネズミの進化系のミルホッグ。

 ヒヤップもダメージ食らっているけど今回は継続。

 

 

「ヒヤップ『いわくだき』」

 

「遅い『かたきうち』」

 

 

 ミルホッグの姿が一瞬で消えた。

 

 

「⁉ヒヤップ後ろ!」

 

 

 とんでもない速さでヒヤップの背後を取ったミルホッグがヒヤップをふっとばす。

 私の声が届いても対応できなかった。

 

 

「ヒヤップ戦闘不能!」

 

「かたきうち。さっきハーデリアが負けてたから威力が上がってるの。仲間の敵ってね」

 

「ヒヤップ……お疲れ様。行くよジャノビー!」

 

 

 ヒヤップの攻撃は当たってないからミルホッグはノーダメ。

 ほぼ条件は互角。

 

 

「これで1対1だ」

 

「勝つことを諦めない!」

 

「いい目をしてる!ミルホッグ『かみくだく』」

 

「ジャノビー『グラスミキサー』」

 

 

 技のぶつかり合い。

 絡め手に力技。

 お互いにダメージを追いつつ一進一退の攻防が続く。

 

 

「ジャノビー『やどりぎのタネ』」

 

「ミルホッグ『さいみんじゅつ』」

 

 

 ジャノビーは眠気とミルホッグはやどりぎのたねによる吸収攻撃と。

 それぞれが継続ダメージも背負う。

 

 

「ジャノビー!これで決めるよ『グラスミキサー』

 

「正念場だよ!『かみくだく』」

 

 

 最後まで立っていたのはジャノビーだった。

 

 

「ミルホッグ戦闘不能!よって勝者挑戦者レイン!」

 

「大したものだよ」

 

「か、勝った……」

 

 

 張っていた糸が緩みへなへなと座り込む。

 

 

「ギリギリだった……」

 

 

 ジャノビーも満身創痍といった形だ。

 ありがとう、お疲れ様と言ってボールに戻し休ませる。

 

 

「いい戦いっぷりだった。ほら」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 手を引かれ立ち上がる。

 

 

「このベーシックバッチを受け取るのに相応しいポケモントレーナーだよ。レイン」

 

 

 2つ目のジムバッチであるベーシックバッチ。

 長方形のシンプルなバッチがケースに収められた。

 

 

「これからも頑張って」

 

「ありがとうございます」

 

 

 ベーシックバッチのほかにかたきうちの技マシンも貰った。

 

 

「大変!大変だよ!」

 

 

 階段を転びそうな勢いで副館長のキダチさんが降りてきた。

 

 

「どうしたんだい⁉」

 

「プラズマ団という連中が骨をいただく!って」

 

「プラズマ団⁉」

 

「何だって⁉どういうことだい⁉」

 

 

 ジム戦が終わったと思えば事件に巻き込まれた。

 あの灰色頭巾めどうしてくれようか。




次は明日か明後日に出します。


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盗まれる骨

 

「レイン!アンタもおいで!」

 

「はい!」

 

 

 アロエさんについていきジムエリアから博物館まで走っていくと奴らがいた。

 いつ見てもクソダサいデザインの灰色頭巾。プラズマ団だ。

 

 

「アンタたち!巫山戯るのはよしとくれ!!」

 

「来たかジムリーダー。我々プラズマ団はポケモンを自由にするため博物館にあるドラゴンの骨をいただく」

 

「我々が本気であることを教えるため敢えてお前の前で奪おう」

 

 

 コイツら骨を盗むのか⁉

 骨を盗むのがどうポケモンを救うのに繋がるのか一切わからないけど阻止しなきゃ!

 

 

「させない!」

 

「レイン!下がれ!」

 

「煙幕!」

 

「っ⁉」

 

 

 私はなんとか阻止しようと前に出たがアロエさんの声によって止まる。

 そこに煙幕が投げ込まれ視界が真っ白に染まった。

 

 

「ケホッ……ゴホッ……」

 

 

 一番前にいたからか思いっきり煙幕を吸ってしまった。

 

 

「レイン大丈夫かい⁉」

 

「はい……ケホ……なんとか」

 

 

 煙幕が晴れるとドラゴンの頭の骨がなくなってプラズマ団もいなくなっていた。

 

 

「なんてこったい……」

 

「追いかけましょう!アロエさん!」

 

 

 プラズマ団を追いかけるため博物館の外に出る。

 もう既に近くにいないのか見渡しても姿は見えない。

 

 

「やあ、アロエねえさん。何かいいカセキは見つかったかい?」

 

「アンタまた創作に行き詰まったのかい?」

 

 

 赤いマフラーを巻いたくせっ毛の青年がいた。

 

 

「レイン!こいつはこう見えてもヒウンジムのジムリーダーでアーティっていうんだよ」

 

「あ、どうもレインって言います」

 

「よろしく……まあちょっと気分転換?でふらっと」

 

 

 ジムリーダーって結構自由っていうかマイペースっていうか。

 なんか勝手にジムリーダーがジムにずっといるイメージだったからかそう思う。

 

 

「でさ、なんとなく大変そうだけどひょっとしてなんかありまして?」

 

「あのドラゴンの骨が奪われちゃって!」

 

 

 私がアーティさんに説明してると声を掛けられた。

 

 

「ねえねえレインみんな集まってどうしたの?」

 

「ベル!」

 

「……レインなにか問題でも?」

 

「チェレンも⁉ちょうどよかった!実はね……」

 

 

 ベルとチェレンにも説明する。

 事情を聞いた2人もドラゴンの骨を取り返すのを手伝ってくれるようだ。

 

 

「チェレンにベルだね?ちょうどいい。それなら手分けするよ。あたしゃこっちね」

 

 

 アロエさんは博物館から見て東側。

 

 

「チェレンとベルはそのまま博物館に残って何かあったら知らせてくれ」

 

「わかりました!」

 

「任せてください」

 

「で、アーティとレインはヤグルマの森を探しておくれよ」

 

「はい!」

 

「いい?アーティ、アンタが案内してやんな」

 

 

 そう言うやいなやアロエさんは走って東側を探しに行った。

 

 

「さてさて……きみ……レインさんだっけ?」

 

「はい。レインです」

 

「じゃあ行こうか泥棒退治とやらにさ」

 

「レイン。事情は取り敢えず聞いたから。博物館を守ればいいんだね?気をつけるんだよ」

 

「うん!チェレン、ベル、そっちは頼んだよ!」

 

 

 走ってアーティさんを追いかける。

 

 

「この先がヤグルマの森だ。確かにここに逃げられるのは厄介かもね」

 

 

 ヤグルマの森はマップで確認しても結構広い。

 森だし隠れられるところも多そう。

 

 

「ヤグルマの森を抜けるには2通りあるんだ。真っ直ぐ行く道と森の中を抜ける道。ボクはこのまま真っ直ぐ進みあいつらを追いかけるよ。いなかったとしても逃げられないように出口を塞ぐさ」

 

「となると私はこっちの道……」

 

「そう。こっちのルートでプラズマ団がいないか探して欲しい。トレーナーも多いけれど基本一本道だから迷うことはないよ……きっと」

 

 

 取ってつけたようにきっとをつけないでください。怖いです。

 

 

「かなり不安ですけど頑張ります!」

 

「うんうん。さあてアロエねえさんのためにも張り切ってやりましょうか」

 

 

 私はアーティさんと二手に分かれてヤグルマの森を捜索することになった。

 





あ、やべ……進化させちゃった。
仕方ない
次の戦闘シーンで進化させよう。
レベル上げミス……


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ドラゴンの骨奪還作戦

 

「コロモリはプラズマ団を上から探して!」

 

 

 薄暗い森の中、視界が悪いのでコロモリに空から探してもらう。

 

 

「いた!」

 

「しつこい子供め!追いかけられないようにここで痛めつけてやる!!」

 

 

 どうやらこの道が当たりだったみたい。

 が、プラズマ団の団員は1人。

 

 

「ということはこの先に骨を持ったやつが逃げたのね」

 

「何故俺が骨を持ってないとわかった⁉」

 

「あ、持ってないんだ」

 

「しまった!」

 

 

 カマをかけたら簡単に引っかかった。

 

 

「だとしてもここを通してなるものか!」

 

「邪魔しないで!コロモリ!『エアカッター』!」

 

 

 プラズマ団が繰り出したポケモンをコロモリが起こした風の刃で蹴散らしていく。

 サクッと倒せたのでプラズマ団の下っ端を避けて奥にどんどん進んでいく。

 

 

 

 

 

「これで3人……この人も骨持ってない」

 

 

 あれから森の中を駆け抜け計3人のプラズマ団と戦った。

 他にも野生のポケモンやトレーナーに挑まれたけどくさタイプやむしタイプのポケモンが多かったからコロモリのエアカッターで対応した。

 でも草の中から飛び出してくるのだけはやめてくださいポケモンレンジャーの方々。心臓に悪いんです。

 まあそれもコロモリが戦ってくれたけど。

 そういえば私の手持ちってくさタイプへの切り札がコロモリだけになるのか。ジャノビーもヒヤップもくさタイプにはそこまで有利じゃないし。

 

 

「っとこうしちゃいられない。アーティさんが出口を塞いでるって言っても逃げられちゃうかもしれないし」

 

 

 戦闘続きで結構時間も使っちゃってる。

 逃げられてなければいいけど。

 

 

「っと見つけた!」

 

「追手だと?」

 

 

 腐った木で出来た天然のトンネルを抜けた先にプラズマ団の下っ端がいた。

 今度こそ骨を持っていますように。

 

 

「まさか仲間が倒されたのか?こんな子供に?」

 

「3人共倒したんだよ!」

 

「仕方ない!俺が相手だ!」

 

「コロモリ!お願い!」

 

 

 

「くそ……ここまでか!」

 

「盗んだ骨はどこ!」

 

「ぬ、盗んだ骨は返す……」

 

 

 良かった。こいつが持ってた。

 ……にしてもこの骨大きいな。バックが四次元なんちゃらみたいな仕様で助かった。

 

 

「これで我らの……そして王様の望みが叶わなくなるのか……」

 

「王様?」

 

 

 プラズマ団の王様の望み?

 ポケモンの開放とは違うのか?

 

 

「大丈夫ですか?王様に忠誠を誓った大切な仲間よ」

 

「だ、誰⁉」

 

「七賢人様!」

 

 

 やってきたのは1人の老人。七賢人アスラと呼ばれていた。

 

 

「折角手に入れた骨をみすみす奪われるとは無念です。ドラゴンの骨ですが……今回は諦めましょう」

 

 

 私の頬をつうっと汗が伝う。

 私はこの老人の放つプレッシャーに押されかけていた。

 

 

「調査の結果我々プラズマ団が探し求める伝説のポケモンと無関係でしたから。……ですが」

 

 

 そこでアスラは言葉を区切る。

 そして私の方へ顔を向けた。

 

 

「我々への妨害は見逃せません。2度と邪魔だて出来ないよう痛い目にあってもらいましょう」

 

 

 この目は本気の目だ。

 下っ端のような軽い脅しじゃない。

 あのときと同じだ。カラクサタウンの演説のときと。

 本気で言っている人の目だ。

 思わず後ずさる。コロモリも警戒するように私のそばに寄ってきた。

 

 

「ああ、良かった!」

 

「アーティさん⁉」

 

 

 緊迫していた空気を破るようにアーティさんがやってきた。

 

 

「虫ポケモンが騒ぐから来たらなんだか偉そうな人いるし。さっきボクが倒した仲間を助けに来たの?」

 

 

 どうやらアーティさんはアーティさんで下っ端を倒していたらしい。

 確かに博物館で見たときより下っ端が少ないななんて思ったけどアーティさんの方にいたのか。

 

 

「レイン!アーティ!他の連中は何も持ってなくてさ……で?なんだい?こいつが親玉かい?」

 

 

 アロエさんもやってきた。

 

 

「わたしはプラズマ団七賢人の1人です。同じ七賢人のゲーチスは言葉を使いポケモンを解き放たせる!残りの七賢人は仲間に命じて実力でポケモンを奪い取らせる!」

 

「そんな……」

 

「だがこれはちと分が悪いですな……虫ポケモン使いのアーティにノーマルポケモン使いのアロエ……敵を知り己を知れば百戦にして危うからず……ここは素直に引きましょう。ですが我々はポケモンを解放するためトレーナーからポケモンを奪う!ジムリーダーといえどこれ以上の妨害は許しませんよ。いずれ決着をつけるでしょう。ではその時をお楽しみに……」

 

 

 そこまで言い切るとアスラは一瞬で姿を消した。

 

 

「追いかけなきゃ!」

 

「待ちなレイン。どうするアーティ追いかけるかい?」

 

「いやあ……盗まれた骨は取り返したしあんまり追い詰めると何をしでかすかわかんないです。じゃあアロエねえさん、ボク戻りますから。それじゃあさ、ヒウンシティのポケモンジムでキミの挑戦を待っているよ。楽しみ楽しみ」

 

 

 そう言うと手をひらひら振ってヒウンシティの方へアーティさんは歩いていった。

 

 

「レイン!アンタの持ってるそれが必死になって取り返してくれたドラゴンの骨なんだね」

 

「あ、はい。これ……」

 

 

 持っていた骨をアロエさんに返却する。

 

 

「レイン本当にありがとうよ。アンタにように優しいトレーナーなら一緒にいるポケモンも幸せだよ」

 

「ありがとうございます。コロモリもありがとうね」

 

 

 コロモリをぎゅっとする。

 

 

「おや?」

 

「あれ⁉」

 

 

 抱き寄せたコロモリが青く発光する。

 これってまさか……。

 

 

「へえ……おめでとうレイン。コロモリを進化させるなんてね」

 

「ココロモリ……」

 

 

 今日は頑張ってくれたもんね。

 

 

「それじゃあ博物館に骨を戻さないとね」

 

「はい。私も今日はシッポウシティで一泊していきます」

 

 

 アロエさんについていく形でシッポウシティに戻った。

 プラズマ団によるドラゴンの骨強奪事件は解決したのであった。



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ゆっくりしたかったからスカイアローブリッジを歩いて渡ろうと思う

息抜き回。
最近忙しくなってきてゲームできなくなってて悲し。

そういえば前にレインはホワイトのイベントを忘れ始めてるって書いた気がしたけど思っきし1話で記憶消えてた。修正はめんどくさいからしないけど。
霞がかった感じだからふとした拍子にぼんやり思い出すってことにしよう。


 

 プラズマ団によるドラゴンの骨強奪事件の翌日。

 

 

「いや昨日の内容が濃すぎる!」

 

 

 ジム戦やってその日に事件……イベントが渋滞してるよ!

 ゲームになるくらいだからゆく先々でなにか起きることはわかってたけどさ、わかってたけどさ!

 

 

「ちかれた」

 

 

 ということで今日は気分を変えるようにのんびりと歩くことにした。

 ヤグルマの森を。

 

 昨日はプラズマ団を追っかけてばっかりであんまりゆっくり出来なかったし。

 

 

「この辺ってやっぱりくさタイプとか多いなー」

 

 

 今は図鑑完成とチャンピオンリーグを目指してるからいろんなタイプが揃うようにしてるけどいつかタイプ統一とかも挑戦したいな。

 

 

「そのためにはこのノーコンをどうにかしないといけないんだけどさッ!」

 

 

 草むらから現れたフシデにモンスターボールを投げるが当たらなかった。

 そもそも当たらないから図鑑も全然埋まってないんだよね。

 見つけた数はそれなりでも捕まえた数がね……。

 

 

 そんなことを考えながらどんどん進んでいく。

 おやつとして買ったモモンのみを食べながら。

 

 ゲームではポケモンの毒状態を消してくれるモモンのみ。

 この世界では果物が全部ゲームの木の実と置き換わっているから人も食べる。

 モモンのみはモチーフの通り桃の味がして美味しい。食感もいいしお気に入りになっていた。

 そういえば木の実ってポフィンとか作れるけどイッシュ地方にはあんまり広がってない。一応シンオウのお土産屋とかに売ってたりするけど大体ヒウンシティかフキヨセシティにしか置いて無いらしい。

 どっちも港に空港と交通の便がいいからかな?わかんないけど。

 

 

「あ、ヤグルマの森はここまでか」

 

 

 目の前にはヤグルマの森の終わりを示すゲートとイッシュの名物5大橋の1つスカイアローブリッジが見える。

 そして今は遠くて見えないけどその橋の先にイッシュ地方最大都市のヒウンシティがあるのだろう。

 

 

「のんびり行こうかなー」

 

 

 日はまだ高くこのまま橋を渡ればいい感じの時間にヒウンシティに着きそう。

 

 

 

 

 というわけでスカイアローブリッジ。

 

 

「早まったか?」

 

 

 そう思うほどの長い橋。

 二重構造になっていて下にはトラックや車が橋下を走っている。

 

 

「うわー先は長いな……」

 

 

 折角なので今後の予定を考えながら歩いていく。

 

 

「ヒウンシティについたらまずポケモンセンターの宿にチェックインして……」

 

 

 今更ながらここでこの世界の宿システムについて説明しよう。

 ポケモンセンターでまずジョーイさんに声を掛ける。

 このときポケモンの回復の他に宿の受付が出来る。

 ゲームでは小さく纏められていたけどポケモンセンターは意外と広く、バトルフィールドも完備している。

 宿に関しては場所によってまちまちだけど基本的に20人ほど泊まれるようになっており大都会のヒウンシティに関しては別館として宿泊施設も用意されている。

 因みにポケモンセンターに止まれなかった場合はその街の宿泊施設の紹介をしてもらえるのでアフターケアも万全。

 その他は大体前世のホテルとかと同じで日数ごとに料金を払えばいい仕組み。

 

 

「あ」

 

 

 そういえばレベルで忘れていた事があった。

 

 

「ママに連絡入れてない……」

 

 

 スカイアローブリッジを越えたら中々カノコタウンに戻れなくなる。例外はあるけど。

 というかそもそもママに連絡入れてなかった。

 

 

「ヒウンシティについたら連絡入れよう」

 

 

 ママには取り敢えず近況報告をしようと思った。プラズマ団のことは伏せて。

 余計な心配はさせたくないし。

 いやでも連絡入れてない時点で心配してるだろうなぁ……。

 あんまり思い出に実感がないとはいえ私のママだし……。

 

 

 ここまで思考してスカイアローブリッジも後半分。というかまだ半分。

 ジム戦以降お馴染みとなった飲料水、おいしい水で水分補給しながら歩を進める。

 前世でもこんな感じで色んな所を歩いた。DS持って。ポケウォーカーとか懐かしい。ハートゴールドのときやってたんだよね。その時はチコリータだったかな?

 何故かホワイトの記憶が空白になってるけどまあ問題は無い。

 ポケモンの知識はそれなりに残ってるしタウンマップで調べれば色々街の情報は出るし。

 

 でもやっぱり今はこれだけ言っておきたい。

 

 

「スカイアローブリッジ長すぎない⁉自転車イベントまだー⁉」

 

 

 自転車が欲しい。切実に。




渡りきれんかった。
スカイアローブリッジって実際どのくらいの長さなんだろう。
少なくとも歩きで渡るものじゃないと思う。
個人的にポケモンに出てくる橋が好きなのでまたこういうのやると思う。
イッシュ地方ではビレッジブリッジが一番好き。


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ヒウンシティにてちょっと

 

 ヒウンシティ。

 なんだか今までの街が小さく見えるほど広く、とても発展した街。

 

 

「凄い……」

 

 

 何階建てなんだろう。見上げたら首が痛くなりそう。

 ここはモードストリートにあるバトルカンパニー。

 読んで字のごとく、仕事=ポケモンバトルという方程式が成り立つこの世界ならではのヤベー会社である。

 社員全員がポケモントレーナーでもあり見学自由で階を上がっていくとポケモンバトルを挑まれるヤベー会社である。

 ヒウンジムの前にどの程度戦えるのか挑戦しに来たのだ。

 

 

「で、今ちょっと後悔してきたところなんだよね……」

 

 

 現在10連戦目。3人目辺りから人が集まってきてなし崩し的に連戦となった。

 休み無しはキツイでござる。

 

 

「むおお!なんとたくましいトレーナーじゃ!!」

 

 

 このやたら強い清掃員のおじさんがこの会社のトップらしい。

 清掃員に扮していろんなトレーナーと戦うのが趣味らしい。

 

 バトルを終えて一度ポケモンセンターへ。

 

 

 今日は一通り観光をメインにする。

 正直に言うと10連戦でちょっと疲れた。

 ヒウンシティといえばヒウンシティ限定スイーツ!

 モードストリートのアトリエヒウンの向かい側ピンクのストライプのお店。

 

 

「売り切れ……だと⁉」

 

 

 ヒウンアイスは売り切れでした。

 まあ午前中から並んでたわけじゃないしバトルカンパニーとか行ってたし……。

 はぁ…………。

 ジム戦終わったときのご褒美に取っておこう。うん前向きに考えよう。

 

 この後めちゃくちゃヤケ食いした。

 ヒウンシティの料理は美味しかったです。

 

 その後はゲームフリークの職場見学にセントラルエリアでのダンス鑑賞といろいろ楽しみホテルに戻った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「今日はジム戦!頼んだよ」

 

 

 今回のジム戦は3対3。

 もう既に使うポケモンは決めてある。

 

 

 ということでやってきましたヒウンジム。虫の羽みたいな模様の壁がなんかキラキラしてる。

 

 

「やあレイン」

 

「チェレン!」

 

 

 ジムの中からチェレンが出てきた。

 ってことは……。

 

 

「そうさ。たった今アーティさんに挑んだところさ」

 

「どうだった?」

 

「さすがジムリーダーだね。ジムバッジを入手するのにちょっと手こずったけれど……僕にかかればむしタイプも問題無しだね」

 

 

 まあチェレンの相棒はポカブだしタイプ的には有利だもんね。

 

 

「このままイッシュ地方のジムリーダー全員に勝利しそしてポケモンリーグに向かいチャンピオンを超える!」

 

「チェレンここ大通り」

 

「そうすれば誰もが僕を強いトレーナーと認めてくれる……」

 

「あれー?無視?」

 

「まあレインなら大丈夫だろう。僕はもっと強くなる。それじゃ」

 

 

 なんかチェレン大丈夫かな?なんか変だった気がしたけど……ジム戦終わりでテンションがハイになってるのかもしれない。

 

 

「うぉあ⁉」

 

「きゃっ⁉」

 

 

 意気揚々とジムに入ろうとすると勢いよく飛び出してきた人に突き飛ばされる。

 流行ってるのかな?人が入ろうとしたときに押し出されるやつ。

 

 

「アーティさん?」

 

「おや君は……ヤグルマの森のときの……」

 

「レインです」

 

「レインさん!ひょっとしてジムチャレンジ?」

 

「はい」

 

「あぁ……申し訳ないけどちょいと待ってくれるかな?」

 

 

 何やら焦ったような感じのアーティさん。

 ははーん?さては火属せ……じゃなくて事件だな?

 

 

「連絡があってさ!プラズマ団が出たらしいんだ!」

 

「やっぱりじゃないですか!やだー!」

 

「君も来てくれるかい?プライムピアって波止場に行くから!」

 

「はい!」

 

 

 アーティさんを追ってプライムピアを目指した。

 ほんとに迷惑なんですけど!

 



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プラズマ団とアジトと野望

そういえばレベルで今更なことなんですが評価バーに色ついててびっくりしました。
こんな作品でも読んでもらって評価していただけるなんてありがたき。
これからもこんな感じでスローペースだったりしますがよろしくおねがいします。


 

 アーティさんについていった先、プライムピア。

 

 

「ベル⁉」

 

「レイン!」

 

 

 プライムピアにベルと見知らぬ少女がいた。

 

 

「プラズマ団……この子のポケモンを奪ったって」

 

「そんな⁉」

 

「……レイン、どうしよう……あたしのムンナプラズマ団に盗られちゃったぁ……」

 

 

 どうやらベルのポケモンが奪われたらしい。

 目に涙を浮かべてカバンをギュッと握りしめている。

 悔しいのだろう。プラズマ団……。

 

 

「で、えっとその子は?」

 

「あたしね、おねーちゃんの悲鳴を聞いて必死に追いかけたんだよ。でもこの街大きいし人ばかりで見失っちゃったの」

 

「アイリス、君は出来ることをしたんだから」

 

 

 アイリスという少女はベルのポケモンを取り返すためにプラズマ団を追いかけてくれたらしい。

 多分私よりも小さいのに凄い子だ。

 

 

「でも駄目だもん!人のポケモン盗っちゃ駄目なんだよ!」

 

「アイリスちゃん……」

 

「うん!だからボク達が必ずポケモンを取り返す。ね、レインさん」

 

「もちろんですよ」

 

「レイン……」

 

「とはいえこのヒウンシティで人探しポケモン探しだなんてまさに雲をつかむ話」

 

 

 そこまで遠くには行ってないとしてもヒウンシティは広い。隠れられたら見つけるのは至難だ。

 

 

「手分けして探しますか?」

 

「いやそれだと1人になったところを狙われたら大変だ」

 

「じゃあどうすれば……」

 

「なんでジムリーダーがいるの⁉折角上手くいったからもう1匹奪おうとしたのに……」

 

「プラズマ団の……」

 

 

 ベルのポケモン奪いに戻ってきたのか。

 でも今だけは丁度いい!

 

 

「アーティさん!」

 

「わかってる!」

 

「う……って逃げなきゃだわ!!」

 

 

 捕まえようとしたら逃げられてしまう。

 逃げ足だけは早んだから!

 

 

「レインさん!行くよ!」

 

「はい!」

 

「アイリス!君はその子のそばに居て!」

 

 

 ベルをアイリスにまかせてアーティさんと共にプラズマ団の下っ端を追う。

 

 

「あっちだ!」

 

「あれ?こっちってジムの方角……?」

 

 

 プラズマ団が逃げた先はジムのあるストリート。

 

 

「間違いなくここだね」

 

 

 とあるビルの前にプラズマ団がいた。普通にいた。

 

 

「いない!いない!この中に仲間とか七賢人様はいない!」

 

「隠すの下手すぎでしょ。全部いるって言ってるもんじゃない」

 

 

 鎌掛けるまでもなくあっさりボロを出すプラズマ団。

 何だこいつ。

 

 

「嘘だと思うならオレと勝負してみるか?」

 

 

 私には1人、アーティさんには2人掛かりでプラズマ団が襲ってくる。

 

 

「レインさんそっちは任せたよ!」

 

「はい!」

 

 

 ハーデリアを出してプラズマ団の下っ端と戦う。

 

 

「んだよ!人のポケモン奪ったくらいでマジかよ!」

 

「人のポケモン奪う方が信じられないよ!ハーデリア『かみくだく』」

 

 

 ハーデリアの攻撃がプラズマ団の下っ端のメグロコに当たり戦闘不能に追い込む。

 

 

「マズイ……」

 

「と、取り敢えず七賢人様に報告しないと!」

 

「あ、待て!」

 

「レイーン!」

 

 

 建物入ろうとしたら止められる現象発動。

 アーティさんから場所を教えてもらったベルとアイリスがやってきた。

 

 

「ここにプラズマ団がいる。もしかしたら奪われたポケモンもいるかも知れない」

 

 

 4人でビルに入る。

 そこには七賢人が2人とゲーチスがいた。

 

 

「これはこれはジムリーダーのアーティさん」

 

「プラズマ団って人が持っているものが欲しくなると盗っちゃう人たち?」

 

 

 人のポケモン然り、ドラゴンの骨然り。盗人集団と言われてもおかしくはない。

 

 七賢人の1人スムラが口を開く。

 

 

「ポケモンジムの眼前に隠れ家を用意するのも面白いと思いましたが意外に早くバレましたな」

 

 

 もはや隠す気ないじゃん。七賢人って『賢い』って付いてるのに頭イカれてるのね」

 

 

「…………」

 

 

 思ったことが口に出てたっぽい。空気が凍りついた。

 やったね!レインちゃんはこおりタイプの技を習得したよ!

 

 

「……まあ、ワタクシたちの素晴らしきアジトは別にありますからね」

 

 

 そう言うとゲーチスはイッシュ地方の伝説、白きドラゴンのの話をし始める。

 

 

「争いを止めるべく『真実』を追究した英雄のもとに現れ知識を授け刃向かう存在には牙をむいた白いドラゴンポケモン。英雄とポケモンのその姿その力がみんなの心を1つにしてイッシュを造りあげたのです。今一度!英雄とポケモンをこのイッシュに蘇らせ人心を掌握すれば!いともたやすくワタクシの……いやプラズマ団の望む世界に出来るのです!」

 

「…………」

 

「このヒウンにはたくさんの人がいるよ。それぞれの考え方、ライフスタイルもほんとバラバラ。正直何言ってるかわからないこともあるんだよねぇ」

 

 

 アーティさんは言葉を重ねる。

 ゲーチスの言葉に反論するように。

 

 

「だけどみんなに共通点があってね。ポケモンを大事にしているよ。初めて出会う人もポケモンを通じて会話する。勝負をしたり交換をしたりね」

 

 

 そこまで聞いて私の口からも言葉が出てくる。

 

 

「私も……私もアーティさんと同じ考えです。カラクサタウンでの演説は私も聞いてました。そこからずっと考えてきました。ポケモンとの付き合い方」

 

 

 口を開けばどんどん言葉が出てくる。

 

 

「私はポケモンが好きです。いつまでも変わらずに。これが私の答え」

 

 

 私はポケモンと真剣に、好きだから大好きだから向き合いたい。

 

 

「そうさ。あの演説からこうやって考える人が増えた。もちろんボクもさ。見つめ直すきっかけをありがとう。感謝してる。そして誓ったね。もっともっとポケモンと真剣に向き合おうってね!」

 

 

 アーティさんの決意の声が響く。

 するとゲーチスは声をあげて笑いだした。

 

 

「フハハハ!掴みどころのないようで存外切れ者でしたか……ワタクシは頭のいい人間が大好きでしてね。王のため世界各国から知識人を集め七賢人を名乗っているのです。よろしい!ここはアナタとそこの娘の意見に免じ引き上げましょう」

 

 

 ゲーチスはそこの娘の部分で私の方をちらりと見た。

 内心、心臓バクバクしてるけどなんとか抑え込む。

 するとゲーチスの目はベルの方に動く。

 

 

「そこの娘……ポケモンは返してやろう」

 

 

 プラズマ団からベルのムンナが解放される。

 ムンナはベルを見つけるとすぐに寄っていった。

 ベルはお礼を言いかけるがアイリスに止められてた。

 まあベルって優しいし素直な娘だから……。

 ムンナはどこも怪我なく無事のようだ。

 

 

「これは麗しいポケモンと人の友情!ですがワタクシはポケモンを愚かな人間から自由にするためイッシュの伝説を再現しますよ……!ではごきげんよう」

 

「⁉」

 

 

 室内の明かりが消え真っ暗になる。

 明るくなった頃にはプラズマ団の姿はどこにもなかった。

 

 

「また逃しちゃいましたね……」

 

「いや今回はこれが最適解さ。奪われたポケモンになにかあったら大変だしね」

 

 

 この後ベルはヒウンシティを見て回るらしくアイリスがボディーガードを続けるみたい。

 ベルはアイリスに押されて行ってしまった。

 アーティさんと私はベルが焦ってるのをみて苦笑してたが。

 

 

「じゃあレインさん。ボクはジムで待ってるよ」

 

「準備してきたんですけど……すぐ向かいますね」

 

 

 アーティさんはそのままジムへ。

 残された私は一応ポケモンセンターに向かい改めてジム戦の準備をすることにした。



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ジム戦 VSアーティ

 

「ここがヒウンジム……」

 

 

 ポケモンの体力も全回復、きずぐすりの貯蔵も十分。

 万全の状態で入ったヒウンジムの内装はまた一風変わった場所だった。

 

 

「なにこれ……蜂蜜?」

 

 

 入ってすぐテカテカと光る黄色い壁。ほんのり甘い香りがする。

 おいしい水の人ことガイドーさんによるとジムのテーマが壁を突き抜けることらしい。

 芸術家でもあるアーティさん。ジムの内装も風変わりといったところかな?

 

 

「むしタイプのジムだからなんか蜘蛛の巣みたいなのだと思ってたんだけどな」

 

 

 ハートゴールドでのヒワダタウンやXでのハクダンシティみたいに。

 ヒワダタウンはあみだくじでハクダンシティは迷路だったかな?どちらもゲーム内では始まりの方のジムだったからあんまり覚えてないけど。

 イッシュ地方を周り尽くしたら他の地方も行ってみたい。

 

 

「ここを突き抜けるのね……」

 

 

 蜜の壁。

 突き抜けろと言われても躊躇しかないんだが。

 

 軽く壁に触れてみる。

 弾力があって力強く行かなきゃ弾かれそう。

 

 

「あ、意外とベタつかないんだ……」

 

 

 手に蜜がつかないことにほっとする。

 髪を後ろで束ねているとはいえベタつくのは勘弁してほしかった。

 流石に蜂蜜まみれの状態でジム戦なんて出来ない。恥ずかしいし。気になっちゃいそうだし。

 

 蜂の巣のような六角形の空間を練り歩き壁を突破し、途中現れるピエロたちとポケモンバトルをする。

 ただ、壁の柵を取り除くスイッチのダミーを踏んだときに下からバッと飛び出すのはやめて欲しい。心臓に悪い。

 あと壁を抜けた瞬間にダミーのスイッチがあるのもずるい。

 

 

「慣れないなぁ……」

 

 

 ポケモンレンジャーのときにも喰らったとはいえ意識外から出てくるのは本当に無理。

 心の準備が出来てないんだもん。

 何度もドッキリを喰らって驚いている人と同じ感覚だ。

 今後も急に出てこられると心臓がキュッとなるだろう。

 ……いつか心臓発作で死ぬんじゃ無いだろうか。

 

 

「こっわ」

 

 

 唐突に脳裏に浮かんだ明確な死のイメージを払拭するように頭を振る。

 割りとありそうなのが怖い。

 

 

「思ったより時間がかかったかな?」

 

 

 蜜の壁を抜けるのに時間を使った。

 結構力入れてないと弾かれるから抜けるでけで一苦労。

 

 

「来たね!レインさん!ボクの虫ポケモンが君と戦いたいって騒いでさ。早速だけど勝負だね!」

 

 

 そう言うやいなやアーティさんはホイーガを繰り出した。

 ヤグルマの森で見かけたポケモン、フシデの進化系。

 対する私はハーデリアを繰り出す。

 今回のジム戦は3VS3。

 

 

「ハーデリア『かみくだく』」

 

 

 先手必勝とばかりに攻撃を仕掛ける。

 

 

「遅いかな『ころがる』」

 

 

 かみくだくが当たる前にホイーガは回転しだし、かみくだくを正面からハーデリアごと弾き飛ばす。

 

 

「ハーデリア⁉体制を立て直して!」

 

「させないよ!『ころがる』で連撃だ!」

 

 

 高速で回転しながら連撃を加えるホイーガにハーデリアは手も足も出ない。

 体制を立て直す暇すら与えてくれない。

 

 

「ハーデリア!タイミングを狙って!正面に来たら『とっしん』!」

 

 

 無理な体制からだけれど勝利を目指してとっさに思いついた策をだす。

 

 

「読み通りさ!『ポイズンテール』」

 

「なっ⁉」

 

 

 タイミングは完璧でホイーガにとっしんが決まると思ってた。

 が、そこはジムリーダー、アーティさんのほうが一枚上手だった。

 さながら野球のバッターのように突っ込んだハーデリアはポイズンテールで打ち返された。

 

 

「ハーデリア戦闘不能!」

 

 

 審判のガイドーさんの声が響く。

 

 

「ハーデリア……よく頑張ったね。お疲れ様」

 

 

 まだ最初の1匹目とはいえこれはキツイ。

 

 

「お願い!ヒヤップ!」

 

 

 速いホイーガに対抗するため、テクニックタイプのヒヤップを出す。

 

 

「『ねっとう』!」

 

「『ころがる』」

 

 

 ねっとうをくぐり抜けホイーガはヒヤップに迫る。

 

 

「想定の範囲内!『いあいぎり』!」

 

 

 やったことはさっきのホイーガと同じこと。

 ねっとうで減速されたホイーガにいあいぎりを当てたのだ。

 

 

「反撃開始!『いあいぎり』!」

 

「くぅうやるね!」

 

 

 怒涛の畳み掛けにホイーガは倒れる。

 

 

「やった!」

 

「まだまだ1匹さ!イシズマイ!」

 

 

 出てきたのはイシズマイ。むしタイプでもありいわタイプ。

 判断ミスってなかった!さっきココロモリを出していたら相性つかれて負けてた。

 

 

「イシズマイ『いわおとし』」

 

「躱して『ねっとう』」

 

 

 ねっとうが便利すぎる。

 低確率でやけど状態にするし何より今回は相性がいい。

 水は岩に抜群だからね。

 

 

「やっぱり相性的に不利かな?」

 

「そうですね。ヒヤップも結構消耗させちゃいましたど」

 

 

 技のぶつかりでイシズマイもヒヤップも瀕死に近かった。

 ねっとうを喰らっても的確にれんぞくぎりを当ててくるイシズマイにヒヤップも追い詰められてた。

 

 

「『いあいぎり』」

 

「『れんぞくぎり』」

 

 

 再度技がぶつかり辺り砂煙が舞う。

 

 

「ヒヤップ、イシズマイ共に戦闘不能!」

 

「相討ち……」

 

「じゃあお互いに最後のポケモンだね」

 

「はい!」

 

 

 ココロモリとハハコモリ。

 なんか名前が似てるポケモンがフィールドに揃う。

 今回はジャノビーがジムバトルの手持ちから外れてる。

 理由としては単純にタイプ相性。

 というか思ったんだけどBWシリーズってツタージャに不利な気がするんだよね。

 タウンマップの情報によるとサンヨウジムを除くとノーマル、むし、でんき、じめん、ひこう、こおり、ドラゴンのタイプのジムがある。

 で、くさタイプであるツタージャの進化系統が有利なのはじめんタイプのみ。しかも弱点はむし、ひこう、こおりの3つ。

 因みにポカブだと弱点はじめんとひこうだけで有利はむしこおりの2つ。ミジュマルだと弱点がでんきのみで有利はじめんのみ。

 こう考えると弱点3つを相手取らなきゃいけないなんて御三家でツタージャが不憫だと思う。

 

 まあ今回の場合むしタイプのジムだけどジャノビー使わないから関係ないんだけどね!

 

 

「ココロモリ!『エアカッター』」

 

「ハハコモリ『はっぱカッター』」

 

 

 お互いにエネルギーの刃が飛び交う。

 はっぱカッターの威力が高いのかタイプ相性で不利なはずのエアカッターと互角に渡り合えていた。

 正直ココロモリのひこうタイプの技はエアカッターだけ。

 でもエアカッターは今のように封殺される。

 それにココロモリの得意技のハートスタンプは近づかないと行けないからまだ実力を隠しているであろうハハコモリに接近するのは危険。

 

 

「チッ……一か八かの賭けだけど……」

 

「?」

 

 

 2分の1の確立で有利になる技。

 確立は五分五分だからあんまり使いたくはなかったけど!

 

 

「ココロモリ!『メロメロ』」

 

 

 私のココロモリの性別はメス。

 ハハコモリがオスなら行動を制限できる。

 ゲームと違って性別が見た目でしか判断できないから結構悩んだ。

 ピカチュウみたいに性別で姿に違いがあったりしたらわかりやすいんだけど。

 

 

「動きが鈍った!ってことは……」

 

「まさかメロメロを使われるなんてね。ハハコモリはオスだよ」

 

 

 ココロモリに見とれて動きがかなり鈍くなったハハコモリにエアカッターを次々と当てていく。

 攻撃当たってダメージ喰らってるのにメロメロ解除されないのって……メロメロ強すぎない?

 なんか攻撃されても目がハートなハハコモリがいたたまれなくなったのでエアカッターの集中攻撃でとどめを刺す。

 

 

「ハハコモリ戦闘不能!よって勝者!挑戦者レイン!」

 

「あぁ……負けちゃったよ。それにしても君すっごく強いんだね」

 

「ありがとうございます」

 

「これ、ジムバッチね。ボクにかった証さ」

 

 

 虫の羽を模した黄緑色のバッチ、ビートルバッチをもらった。

 

 

「次に向かうのはライモンシティかな?ジムリーダーの彼女も強いよ。頑張ってね」

 

 

 アーティさんに別れを告げジムから出ようとする。

 ……え?これ来た道を戻るんですか?

 あ、そう。こっちに出口無いんですか……。

 

 また壁を突き抜いてかないと行けないみたい。

 うーん締まらない!




次はライモンシティか……。
初プレイでボコボコにされた経験があるから苦手意識が若干。
因みに2でも負けた。
どんな感じに負けたかはジム戦の頃に書くとしましょう。


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新規作成
始まりの始まり


お久しぶりです。

そしてごめんなさい。
全話修正します。というか作り直します。再構成です。
変につけた設定が首を絞めました。
修正前のは一応残しときます。

修正前との違い
レインはいます。カノコタウン生まれではない。
原作(ゲーム)主人公枠としてトウヤ君がいます。
トウヤ君の性格設定は勝手に作ってます。もはやオリキャラとして扱ってください。
トウヤ君の出現により手持ちが御三家じゃなくなります。
後は読んで理解してください。


「ハーイ!

 ポケットモンスターの世界へようこそ!

 私の名前はアララギといいます。

 みんなからはポケモン博士と呼ばれているわ」

 

 

 アララギと名乗った女性はそう言うと紅白のボールを放る。

 ネズミのようなうさぎのような不思議な生物が光と共に現れる。

 

 

「そう!この世界にはポケットモンスター縮めて『ポケモン』と呼ばれる不思議な生き物が至るところにいるの!

 

 不思議な力を秘めているポケモンは姿かたちも暮らしている場所も様々。

 

 そんなポケモンたちと私達人間は仲良く暮らしているの!

 

 一緒にいることでお互いに満たされたり力を合わせ助け合い大変な仕事をこなしたり!

 

 なかでも人気なのはポケモン同士を戦わせて絆を深めることね。

 

 で、私はポケモンたちを研究してるってわけ」

 

 

 

「さあ、起きてレイン。あなたの冒険が始まるわよ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懐かしい夢をみた気がする。

 何かのゲーム画面だったような気がする。

 で映ってる人物は……アララギ博士。

 私の住んでる町の隣町に住んでるアララギ博士。

 

 

「まあいっか」

 

 

 なんかいつもの夢と違った気がするけど夢なんて忘れてサクッと自己紹介!

 私はカラクサタウンのレイン!3人の幼馴染がいる普通の女の子!

 前世でBWを何周かした元ゲーマー!らしい!

 

 なんでらしいって断言できないのか簡単に解説すると何やらこの世界がポケモンBWっていうゲームらしくて夢でこのゲームをしてる男の人がいる。多分この人が私の前世の人なんじゃないかなーって勝手に思ってる。プレイヤーネームがレインだし。

 

 その世界ではなんか私の3人の幼馴染が大冒険するらしい。

 幼馴染の名前はトウヤ、チェレン、ベル。カノコタウンの3人組。

 チェレンとベルはゲームの中に出てきたけどトウヤのところが私になってた。よくわからん。

 

 

「レイン?起きた?今日はアララギ博士の所に行く日でしょ?」

 

「あ、そうだった!」

 

 

 こちら私のマッマことお母さん。

 めっちゃ美人。

 そんでもって今日は幼馴染たちが旅に出るらしくそれに合わせて私も旅に出ることにしたのだ。

 そのため幼馴染たちと合流するためアララギ博士の研究所に行くことにしてたのだ。

 サクッと着替えてバッグを背負う。

 

 

「おいでチラーミィ!」

 

 

 部屋の隅に声をかけるとチラーミィが駆け寄ってくる。

 お母さんがくれたたまごから孵化した子で私と一緒に育った相棒。

 この子が私の最初のポケモン。

 綺麗好きでよく私の部屋の隅の埃を掃除しようとしてる。かわいい。

 

 

「準備できた?」

 

「うん!」

 

 

 カラクサタウンからカノコタウンに行くには1番道路を通らなくてはならない。

 ポケモンを持ってない子供は基本的に草むらに入ってはいけないと言いつけられている。

 野生のポケモンが飛び出してくるから。危険じゃない子もいるんだけど安全面を考慮してね?

 そんなわけで私がカノコタウンに行くにはお母さんと一緒に行かなくてはならない。

 お母さんも昔はポケモントレーナーでそれなりに強いし。

 それにしても旅立ちの最初が保護者同伴って私くらいなんじゃ……。

 

 

「ライブキャスターも持ったのね?」

 

「持ってるよ」

 

 

 お母さんに左手に巻いたライブキャスターを見せる。

 同時に4人まで通話が繋げる時計みたいなやつ。

 夢に出てきた〇ップルウォッチとかいうのの劣化版のような気もするけど気にしない。

 多分あれ凄い高性能だと思うんだよね。

 私のはレディースデザインのピンク色。

 

 1番道路はカノコタウンへの1本道。

 草むらが所々あるけど今回は野生のポケモンに遭遇しなかった。

 お母さんのポケモン1匹しか知らないから見てみたいんだけどね。

 

 

「おーいチェレーン、トーヤー!」

 

 

 カノコタウンについて早速アララギ博士の研究所に向かうとチェレンとトウヤがいた。

 メガネがトレンドマークの優等生がチェレンでモンスターボール柄の帽子を被っているのがトウヤ。

 

 

「レイン。君も来たんだね。レインのお母さんもお久しぶりです」

 

「チェレン君にトウヤ君も久しぶりね」

 

「お久しぶりです」

 

 

 この2人はやっぱり礼儀正しいなー。

 チェレンは言うまでもなく優等生だけどトウヤも隠れ優等生。

 

 

「あれ?ベルは?」

 

「まだ来てないんだ。きっとまたいつものようにのんびりしてるだろうから」

 

「あーうんベルはマイペースだもんね」

 

「君が言えたことじゃないけどね」

 

「あう……」

 

 

 私もどちらかというとベル寄り。

 チェレンの口撃がスパスパ刺さる。

 チェレンに口で勝てたことないんだよね……。

 

 

「じゃあトウヤちょっと行ってみようか」

 

「そうだね」

 

 

 トウヤと一緒にベルの家に向かう。

 お母さんはトウヤのお母さんにお話しがあるって別れた。

 まあ昔からの友達らしいしなんかあるのかも。

 

 

「おーいベル?遅いぞー」

 

「トウヤ、ベルの家ドア空いてるよ?」

 

「ほんとだ。中にいるか見てみようぜ」

 

「そうだね。お邪魔しまーす」

 

 

「だめだめだめーっ!」

 

 

「あたしだって……ポケモンもらった立派なトレーナーなんだもん!冒険だって出来るんだから!」

 

 

 あーうん。ベルのお父さん荒れてるねー。

 ベルのお父さんってベルのこと大好きですっごい心配性だから。

 

 

「ベル、やっほ」

 

「あっ……レイン、トウヤ……大丈夫だよ」

 

 

 ベルは被っている大きな帽子をギュッとかぶり直す。

 ベルがいつもやってる気合居入れのポーズ。

 

 

「ん、大丈夫!先行ってるね!」

 

「え、あ、ちょっと!?ベル!」

 

 

 トウヤの静止も聞かずにベルは行ってしまった。

 

 

「なんてことだ……うちの娘がポケモンと旅に出るだって⁉あんなに世間知らずなのに!」

 

「もう……パパったらベルのこと心配しすぎなんだから」  

 

 

 力なく崩れたベルのお父さんを支えるベルのお母さん。

 

 

「子供は誰だってポケモンと一緒に旅をして大人になるんですから。レインちゃんとトウヤ君、ベルのことよろしくね」

 

「はい」「わかりました」

 

 

 まあベルはなんだかんだマイペースだけどしっかりしてるし大丈夫!

 

 

「じゃあチェレンの所戻ろうトウヤ」

 

「そうだね。ベルが戻ったのに俺たちが戻ってないと怒りそうだし

 

「あーうん想像できる」

 

 

 ベルの家を出て再び研究所の前に行く。

 チェレンは怒ってなかった。ふぅ。

 

 

「さ、博士に会いに行こう」

 

 

 チェレンを先頭に研究所に入る。

 研究所ではあの人が待っていた。




次回投稿は12月5日22:00(予定)


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旅立ちの前に

「ハーイ!待っていたわよヤングガールにヤングボーイ!」

 

 

 イッシュ地方を代表するといっても過言ではない我らがアララギ博士。

 

 

「改め自己紹介するね」

 

 

 え、いや……アララギ博士ですよね?

 隣を見るとトウヤも私と同じ気持ちなのかポケーっとしてる。

 

 

「私の名前は……「……アララギ博士?名前は知っていますよ?」」

 

 

 チェレンナイスツッコミ。

 住んでるところが違う私はともかく皆は同じ町に住んでるし何度か遊びに来てるもんね。

 

 

「もう!チェレンったらちょっとクールじゃない?」

 

「そうだよチェレン。形式美っていうのがあるじゃない」

 

「もーチェレンったらー」

 

「え?僕が悪いの?」

 

「そうらしいな」

 

 

 そうだよ。なんとなくアララギ博士に便乗したらベルも乗ってくれた。

 冗談だってわかってるから苦笑してるし。

 

 

「では改めて……私の名前はアララギ!」

 

 

 今言うことじゃないけどアララギってなんか名前間違えられそうな名前だよね。

 失礼、噛みましたって。

 

 

「レイン!変なこと考えないで……んん、ポケモンという種族がいつ誕生したのか……その起源を調べています」

 

 

 何故ばれたし。

 ポケモンの起源……なんでこの人こんな辺境で研究所してるんだろう。

 カノコタウンもカラクサタウンもイッシュ地方では田舎のほうだよ?

 

 

「あ、すごーい!もうポケモン勝負をしたのね!それでかな?ポケモンたちも君たちを信頼し始めた……そんな感じ!」

 

「え!?もう皆ポケモン貰ったの?」

 

「うん」

 

「えーどんなポケモンなの?」

 

「後で見せてあげるよ」

 

 

 私はチラーミィがいるからいいけど皆もポケモン貰ったんだ。

 なんか仲間外れ感あるけどまあ気にしないでおこう。

 どんなのだろう。後でバトルするときぼこぼこにしてやろう。……根に持ってるわけじゃないよ?

 

 

「さて君たちにポケモンをあげた理由だけど……「ポケモン図鑑ですよね」もう!チェレン!」

 

「ポケモン図鑑……?」

 

「ポケモンの情報を書き込むやつだよベル」

 

「すごいわ!チェレンにレイン。ポケモンのことをよく勉強してるわね!一応ちゃんと説明を入れると君たちが出会ったポケモンを自動的に記録していくハイテクな道具なの!だからね、君たちにはいろんなところに出かけこのイッシュ地方すべてのポケモンに出会ってほしいのッ!」

 

 

 イッシュ地方全てのポケモン……何匹いるのかわかんないけど壮大だね。

 

 

「ではお聞きしまーす。トウヤ!チェレン!ベル!レイン!ポケモン図鑑を完成させるべく冒険の旅に出かけるよね!」

 

「「はい!」」「はあーい……じゃなくてはい!」

 

「ありがとうございます。お陰で念願のポケモントレーナーになれました」

 

「ありがとみんな。最高の返事よね」

 

 

 そう言うと私達にポケモン図鑑を渡した。トウヤとチェレンは赤で私とベルのはピンク色のポケモン図鑑だ。

 スライド式でかっこいい。

 

 

「では次のステップね!ポケモンと出会う方法を教えるから1番道路に来てね!」

 

 

 アララギ博士はすぐに研究所を出てってしまった。

 

 

「あっあたしたち博士に頼まれたから冒険してもいいんだよね?自分のやりたいことを探してもいいんだよね?」

 

「ああ、図鑑を完成させながら好きなように旅をすればいい」

 

「私も……チラーミィと一緒に冒険できるんだ……」

 

「皆、博士の所に行こう!」

 

「おー!」

 

 

 気合十分に研究所を出た。

 

 

「あれ?ママ」

 

「トウヤのお母さんじゃん」

 

 

 研究所を出るとトウヤのお母さんがいた。

 家のお母さんどこ行った?一緒にいると思ったけど。

 

 

「で?博士の話はどうだった?」

 

「えっと……」

 

 

 トウヤが代表してポケモン図鑑をもらったことを伝える。

 

 

「ポケモン図鑑の完成をお願いされたんだ⁉すごーい!……なーんてね」

 

「ママ?」

 

「実は、ママその話は既に知っているんだけどね」

 

 

 どうやらもう既に話が通ってたらしい。まあそうでもないと旅の許可もらえないもんね。

 

 

「あなた達このタウンマップを持っていきなさいな。チェレンとベルにレインもね!」

 

「大切に使います」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

 

 手帳型のタウンマップを貰う。

 皆お揃いだ。

 

 

「あとトウヤの部屋はあたしが片付けておくからベルたちは気にしなくていいのよ。ねトウヤ?」

 

「あ、はい」

 

「え、トウヤなにしたのさ」

 

 

 圧かけられてる。

 

 

「あのねちょっとポケモンバトルをね……」

 

 

 ベル曰くトウヤの部屋でポケモン貰ってそのままバトルして部屋が散らかったらしい。

 うわー。大変そう。外でやらなかったのが運の尽き。トウヤに合掌しておく。

 小さくてもポケモンって凄い力を持ってるもんね。

 

 

「あなた達のパパやママにはあたしから伝えておくからポケモンだけじゃなくてイッシュ地方のすてきなところいっぱい見つけて素敵な大人になるのよ!」

 

 

「「「「はい!」」」」

 

「じゃ、いってらっしゃい」

 

 

 トウヤのお母さんは手を振って送り出してくれた。

 家のお母さんのことが気になるけど多分大丈夫だよね?

 

 

「それじゃあ1番道路に行こうか」

 

「そうだね。博士が待ってる」

 

「あ、ちょっと置いてかないでよね?」

 

 




毎週日曜日の22:00に確定で更新することにしました。
気まぐれでそれ以外にも出します。

それとやっぱり前の奴消そうと思いまして再構成版が追い付いたら消します。
ヒウンジムクリアまで残しておきます。


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最初の1歩

 

「レイン!こっちだよ!」

 

 

 

 置いてかないで(切実)。

 向かうはカノコタウンの北側、1番道路に続く入口。

 

 

 

「ベルが旅を始めるなら最初の一歩はみんな一緒がいいって」

 

「だったら置いてかないでよ」

 

 

 

 私一歩どころかもう1番道路は踏破したんだけど余計なことは言わないでおく。

 トウヤもチェレンもベルもカノコタウンから外に出たことがないわけではない。

 まあ”旅立ち”の一歩って大事だよね。

 

 

「トウヤもレインもほら並んで!みんなで一緒に1番道路に踏み出そうよ!」

 

「うん!」

 

 

 四人で1列に並ぶ。

 

 

「じゃあ行くよ」

 

 

「「「「せーの!!」」」」

 

 

 揃って1番道路に踏み出した。

 

 なんだろう。ものすごく楽しい気分。

 心臓の音が耳に響く。みんなと一緒だからかな?

 

 

「ああ!なんだろう、ドキドキワクワクしちゃうね!」

 

「わかるよベル!もうね!テンションがヤバい!」

 

「レイン、語彙力」

 

「そうだね。さ、博士が待ってる」

 

 

 トウヤ五月蠅いよ!君の語彙力も大体同じくらいでしょ!

 思っても口にはしない。レインちゃんはいい子なので。

 取り敢えずチェレンの言ってた通り博士の所に行かなくては。

 

 

「アララギ博士お待たせしました」

 

「うん!それでは説明を始めますね」

 

 

 アララギ博士の説明を簡単にまとめると

 ポケモンと出会うことでポケモン図鑑のページが自動的に埋まっていく。

 ポケモンを捕まえると更に詳しい情報が手に入る。

 要するに出会うだけじゃなくて捕まえることも意識しないと。

 

 

「ということで私が実際にポケモンを捕まえて見せます」

 

 

 そういうとアララギ博士は草むらに歩いていくと飛び出してきたミネズミとバトルを始めた。

 1番道路はトレーナーの間でも初心者向けと言われている道路で海を渡らなければそこまで強いポケモンは生息していない。

 

 

「あ、チラーミィ」

 

「レインと同じポケモンなんだね」

 

 

 博士の繰り出したチラーミィはあっという間にミネズミの体力を削りとる。

 凄い。私もチラーミィと同じことが出来るようになれるだろうか。

 

 

「こうやってバトルをして相手の体力を削る。そしたらこれ!モンスターボールを投げる!」

 

 

 アララギ博士が投げたモンスターボールはキレイな放物線を描きミネズミに当たる。

 ミネズミは赤い光に包まれモンスターボールに吸い込まれる。

 星のエフェクトが舞い、ミネズミはモンスターボールに収まった。

 

 

「今の見てくれた?」

 

「博士すごーい!」

 

「ポケモンの体力を減らして少し弱らせると捕まえられるんですよね」

 

「チェレン正解!ポケモンの技によって眠らせたり麻痺にさせたりするのも有効な手段よ!」

 

「私達のポケモンはまだ覚えてない技だね」

 

 

 チラーミィも覚えられるのかな?

 

 

「次はあなた達の番。モンスターボールを幾つか渡すから挑戦してみてね!では私はこの先のカラクサタウンで待ってるわ!」

 

 

 私達にモンスタボールを5個ずつ渡すとどんどん先に行ってしまった。

 

 

「じゃあ僕らもいこうか」

 

「さんせー!」

 

「隣町まで行かないとモンスターボールも買えないし」

 

「特にレインは大変そうだよな」

 

「……否定できないのが悲しい」

 

 

 貰ったモンスターボールを弄びつつ軽口を言い合う。

 目的地はカラクサタウン。

 私にとっては帰宅みたいなもの。

 

 

「あ!いいこと思いついた」

 

 

 いざ行こうとするとベルが声をあげた。

 

 

「さ、さっさと行こうか博士が待ってる」

 

「そだね」

 

「ちゃんと聞いてよ!何なのよもう⁉」

 

 

 チェレンもトウヤもベルを無視して進もうとする。

 

「どれだけポケモンを捕まえたかみんなで競争しようよ?」

 

「競争?」

 

「そう!アララギ博士からもらったポケモンも含めてたくさんポケモンを連れてる人が勝ちね!レインもチラーミィを含めての数!」

 

 

 ゲット競争か。

 今私の手持ちはチラーミィだけだからモンスターボール5個全部にポケモンが捕まえられたら連れていける最大数の6匹になるわけだ。それはみんなも同じ。

 

 

「なるほどね。そういうことなら面白いな」

 

「図鑑も埋まるし一石二鳥……ベルにしてはやるぅ!」

 

「ベルにしてはって何さー!」

 

「じゃあカラクサタウンに着くまでだな」

 

「あたしとミジュマルのコンビが一番なんだから!」

 

 

 あ、ベルのポケモンミジュマルなんだ。

 そういえばまだちゃんとみんなのポケモン見せてもらってないような……。

 後で見せてもらえばいっか。

 

 

 取り敢えず勝負開始!

 正直とあることに関して難があるから勝機薄いけど最下位脱退目指して頑張るよ!

 

 

 

 


 

 

 

 さってと!

 ベルにもチェレンにも負けないようにやっていこう。

 特にトウヤ。お前には負けん。

 

 

「ポケモンちゃーん出っておいでー」

 

 

 小さい頃から1人で草むらに入っちゃダメと言われてきた。

 まあ戦えるポケモン居ないのに野生のポケモンに襲われたら為す術もないからね。

 

 

「あっミネズミ見っけ!初陣だよチラーミィ!」

 

 

 飛び出してきたのはミネズミ。

 イッシュ地方ではよく見かける有名なポケモン。

 

 

「チラーミィ『はたく』」

 

 

 チラーミィは私の指示に従って

 その尻尾でミネズミを弾き飛ばす。

 

 思ったよりダメージが大きいのかミネズミは大分弱った。

 

 

「チャンス!モンスターボール!それ!」

 

 

 弱って膝をついたミネズミにモンスターボールを投げる。

 初ゲットチャンスだ!

 

 私の手から放たれたモンスターボールは緩やかなカーブを描き()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「え?あれ?」

 

 

 私が危惧していた致命的な欠点。

 ノーコン。

 投擲適正距離1m以内。

 2mで当たるか当たらないか。

 5mも離れると見当違いのほうに飛んで行ってしまう。

 小さい頃のキャッチボールで発覚したことだった。

 あれから数年成長なし。

 

 

「あ!ちょっと!?」

 

 

 気を取り直して再挑戦しようと思いバッグに目を向けた瞬間チャンスだと思ったのかミネズミは草むらの中に逃げてしまった。

 

 

「あぁ……失敗した」

 

 

 こういうのはベルの役目なんじゃないかな……なんてベルに失礼なことを考えながら頭を抱える。

 私にドジっ子属性は求めてない。

 チラーミィの柔らかなしっぽの感触が頬に触れる。

 チラーミィに慰められるときはいつもこんな感じ。

 ふかふかで気持ちいいんだよね。

 

 

「うん気を取り直してもう一回いこう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメでごめんね……」

 

 

 

 駄目だった。

 弱らせて近づこうとすると生存本能的なあれで逃げられてしまう。

 逃げるポケモンにボールが当たるなら苦労はしてない。

 

 

「残り1個……」

 

 

 手元に残るのはたった1つのモンスターボール。

 これが最後。

 あ、ヨーテリーだ!

 

 

「チラーミィ!『おうふくビンタ』!」

 

 

 気付けばおうふくビンタを覚えてた。

 素早い動きで翻弄しつつヨーテリーの体力を削っていく。

 

 

「ラストチャンス!それ!」

 

 

 投げたボールは真っ直ぐヨーテリー……ではなくチラーミィのほうへ。

 

 

「そうだ!チラーミィ『はたく』……あ」

 

 

 ダメもとでチラーミィに指示をだす。

 意図が伝わったのかモンスターボールを的確にヨーテリーに向かってはじいてくれた。

 

 

「お願い!」

 

 

 チラーミィによる即興ピンボールゲット方式。

 今考えた。チラーミィのしっぽの器用さによる技能だ。

 

 ヨーテリーが入ったモンスターボールは小さく揺れると星のエフェクトが舞った。

 

 

「やったー!ヨーテリーゲット!」

 

 

 ヨーテリーをゲットしたことで図鑑に通知が入る。

 

 

「図鑑No.012 こいぬポケモン ヨーテリー うん!ちゃんと登録されてる」

 

 

 本当に図鑑に登録されるんだ。どういう仕組なんだろう。

 一応ミネズミも発見した扱いだから内容は埋まってないけどページが出来てる。

 いつかちゃんと捕まえたいね。

 

 

 さて、ボールもなくなったしカラクサタウンに向かいますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった?

 

 

 チェレンと向かい合いながら思う。

 

 

「レインにはまだお披露目してなかったからね。僕たちのコンビを君のチラーミィで試させてもらうよ」

 

 

 VSチェレン。

 

 

 え、まって準備出来てな……




うちのレインちゃんはノーコン。


レインの手持ち

チラーミィ
ヨーテリー


ベルが自分のポケモン言っちゃったから自動的にチェレンとトウヤのポケモンがわかる仕組み。


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初バトルは唐突に

今回は短め


 

 時間は少し戻る。

 

 

 一番道路を進むともう既にチェレンとベルが居た。

 私に少し遅れてトウヤも来た。

 

 

「あ、レインも来たね!じゃあ勝負しよう!」

 

「おー」

 

「じゃあレインからね!」

 

「私が捕まえたのはヨーテリーの1匹だけ……モンスターボール投げるの難しいね」

 

「レインはボール投げるの下手だもんな」

 

 

 もう手持ちのモンスターボールがないことを伝えると笑われた。むう。

 

 

「そういうベルたちはどうなのさ」

 

「僕もベルも2匹だよ」

 

「俺も2匹」

 

 

 どうやら3人も1匹だけ捕まえたらしい。

 

 

「意外だなー。チェレンの一人勝ちかなって思ったけど」

 

「僕も考えなしにボールを投げてるわけじゃないさ」

 

「あたしはこのコって思ったコを捕まえたんだー」

 

「それじゃあカラクサタウンに行こうか」

 

「いやちょっと待った」

 

 

 カラクサタウンに向かおうとするとチェレンが止める。

 

 

「どうしたのチェレン」

 

「ポケモンバトルをしよう。レイン」

 

「え?」

 

 

 チェレンと向き合う。

 え?誰も止めないの?

 トウヤ、君先越されたみたいな顔しないで。

 

 

「レインにはまだお披露目してなかったからね。僕たちのコンビを君のチラーミィで試させてもらうよ」

 

「もう!仕方ない!チラーミィ!やるよ!」

 

 

 唐突に始まった私の初バトル。

 私のチラーミィに対してチェレンが繰り出したのはポカブ。

 なるほどチェレンの最初のポケモンはポカブか。

 

 

「ポカブ『ひのこ』」

 

 

 ポカブから火の玉が打ち出される。

 

 

「それくらいなら躱せる!チラーミィ!」

 

 

「もう一度『ひのこ』だ!」

 

 

 

 ひのこをチラーミィはひらひらと躱していく。

 素早い動きにポカブが翻弄されていく。

 

 

「チラーミィ『くすぐる』」

 

 

 チラーミィの必殺技。

『くすぐる』

 

 チラーミィのしっぽでくすぐる攻撃。

 直接ダメージを与える技じゃないけど下手したら呼吸困難で死に至る可能性を秘めた文字通りの必殺技。

 身をもって知ってるから怖さがよくわかる。

 ……本気で死を覚悟したからね。あの時は。

 

 

「ポカブ!?」

 

「やっぱりアレ凶悪だよね……」

 

 

 想定通りくすぐるで悶絶するポカブ。

 辛いよね。わかる。

 楽にしてあげよう。

 

 

「『おうふくビンタ』」

 

 

 笑い転げて動けないポカブにしっぽによる5連撃が決まる。

 衝撃で目を回しポカブは戦闘不能になった。

 

 

「……まさかこれほどとはね」

 

「まあチラーミィのくすぐりは強いからね」

 

「そういう技じゃないはずなんだけどな」

 

 

 そういうとチェレンはポカブをボールに戻す。

 

 

「せめて一矢報いたいよね」

 

「まだまだ!負けないよ!」

 

 

 チェレンがもう一つのモンスターボールを投げようとしたときみんなのライブキャスターが鳴った。

 

 

「アララギ博士からだ」

 

『ハーイみんなどう?今カラクサタウンのポケモンセンターにいるの案内してあげるからみんなもおいで』

 

「ポケモンセンターですね。わかりました」

 

『オッケイ!それじゃあーねー』

 

 

 ライブキャスターの通信が切れた。

 

 

「だってさ。博士を待たせるわけにはいかない。決着はまた今度」

 

「まあ私が勝ってたからいいけど」

 

「レイン今度は俺ともバトルしよう」

 

「その前に僕との決着だろう。それより先行ってるよ」

 

「あっちょっとチェレン置いてかないでよ!」

 

「待ってー」

 

 

 4人で走ってカラクサタウンに向かった。




初バトルなのに決着をつけないスタイル。


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