仮面ライダーシクル (星龜少将)
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第1話


 

ここは、世界のどこかにあるビビッ島―。

 

現在、ビビッ島は

暗黒軍団

という武装勢力との戦争の真っ只中であった…。

 

 

ビビッ島には

英雄

と呼ばれる、超人的な能力を持った女性達がいた。

 

彼女達を中心に、暗黒軍団との戦闘が繰り広げられていた―。

 

 

陸軍英雄のシクルは、戦うためでなく、物資を送り届けるために、戦場をバイクで駆け抜け、東奔西走する戦場ライダーだ。

 

今日も、いつもと変わらない一日のはずだった…。

 

 

この日、シクルは、陸軍の新兵器開発研究所で開発された

試作型戦闘スーツ

を陸軍基地に運んでいた。

その途中、上空で爆発音がした―。

 

「あっ…。」

 

シクルが空を見上げたら、大きな飛行機が黒い煙を吹いて、墜落していくところだった。

主翼には、暗黒軍団のマークが描かれていた。

 

どうやら、味方の対空砲で撃墜されたようだ。

 

そのまま、海岸の方に向かって落ちていく…。

 

後を追うシクル―。

 

 

やがて、輸送機は海岸に墜落した。

 

「せ…生存者の救出を…!!」

 

シクルは生存者を救出するために、バイクから降りて、輸送機の墜落現場に走った―。

 

 

「熱ぅ…。」

 

炎上している輸送機の炎の熱さに、顔をしかめるシクル…。

 

輸送機の墜落現場は、炎上する輸送機と、輸送機の破片が散乱していた…。

 

「うっ…。」

 

あるモノ

を見て、思わず顔を背けるシクル…。

 

見たくないものを見てしまった…。

 

燃えている物…

 

それは、あきらかに…。

 

 

その時、ちょっと離れた場所に落ちている輸送機の破片が動いた―。

 

生存者か―!?

 

「大丈夫ですか!?」

と、そこに向かうシクル。

 

だが!!

 

破片の下から出てきたのは…

 

クモのような姿をした怪物だった―!!

 

きゃああああっ!!

と悲鳴をあげ、その場にへたり込むシクル…。

 

「フシュウ…。」

と、クモのような姿をした怪物は、シクルの悲鳴を聞き、シクルの方に向く…。

 

そして、右腕を振り上げる―。

 

クモの怪物が、何をしようとしているのか…

 

…だいたい、わかった。

 

ひぃぃぃぃっ!!

 

背負っていた小銃を撃つシクル。

しかし!!

クモの怪物の体に命中した場所に火花が散っただけで、まったくのノーダメージだった…。

 

そんな…!?

 

銃弾が効かないことに恐怖するシクル…。

 

自分自身ではかなわないと悟ったシクルは、応援を呼ぼうと、バイクに戻ろうと、走り出した。

 

しかし!!

 

クモの怪物は、口から糸を吐いた。

 

放たれた糸が、シクルの足に巻きついた―!!

 

倒れるシクル。

 

「だ…誰か…

誰か助けてぇぇぇっ!!」

 

大声で助けを呼ぶシクル…。

 

動けないシクルにとどめをさそうと、クモの怪物は右腕を振り上げた。

 

いやあああ…!!

 

死の恐怖に、絶叫するシクル…。

 

 

その時!!

 

 

突然、クモの怪人の体が爆発した!!

 

仰向けに倒れる、クモの怪人…。

 

 

何が起きたのか…?

 

 

「大丈夫か、シクル!!」

 

声がした方を見れば、バズーカを持った少女―

陸軍英雄のランチと―

 

「シクルさん、大丈夫ですか!?」

 

同じく、陸軍英雄のアリアがいた。

 

先程の、クモの怪人の爆発は、ランチが撃ったバズーカが命中したからだろう。

 

小銃は効かなくても、さすがにバズーカは効いたようだ。

 

シクルのもとに駆け寄る、ランチとアリア。

 

「アイツ、何だ?」

と、訊くランチ。

 

「わかりません…。

暗黒軍団の輸送機に積まれていたみたいです…。」

と、シクルが答える。

 

「人間…

じゃないですよね…?」

と、シクルの足に巻き付いている糸をナイフで切りながら、アリアが訊く。

 

「いや…助かりました…☆」

と、礼を述べるシクル。

 

だが!!

 

「フシュウ…ッ!!」

 

クモの怪物が立ち上がった…!!

 

「ウソだろ!?

オレのバズーカが直撃したのに…!?」

と、驚くランチ。

 

「ち…ちくしょう…!!

バケモノが!!」

と、再びバズーカを撃つランチ。

 

バズーカの直撃をくらったクモの怪物は、再び倒れた。

 

「逃げましょう!!

なんか…

死んでなさそうだし…!!」

と言うシクルに

 

「どうも、そうっぽいな…。」

と同意するランチ。

 

逃げ出す3人だったが…

 

「キャッ!!」

 

立ち上がったクモの怪物が吐いた糸が、アリアの足に巻き付き、アリアが転倒した。

 

ちくしょう!!

と、バズーカを撃つランチ。

 

バズーカが命中して、クモの怪物が倒れている隙をついて、アリアを救出するランチ。

 

だが!!

 

立ち上がったクモの怪物が吐いた糸が、ランチの体に巻き付いた…!!

 

し…しまった!!

 

バズーカを撃てなくなったランチ。

 

こ…来ないでぇ!!

と、アリアは持っているアサルトライフルを撃つが、命中しても、火花が散るだけでダメージは無い…。

 

(あのままじゃ、アリアさんもランチさんも、殺されてしまう…!!

でも、どうすれば…

ん?)

と、自分のバイクを見るシクル…。

 

そういえば、自分は

試作型戦闘スーツ

を運んでいるのだった。

 

シクルは、バイクに向かった。

 

そして、荷台の箱を開けた―。

 

だが、箱の中には…

 

「何ですか…これ?」

 

赤い歯車と水色の歯車が付いた、銀色の長方形をした物体があった…。

 

手に取ってみたが、それほど重くはない…。

 

その物体を、しげしげと見ていたら…

 

うわぁーッ!!

助けて〜っ!!

と、ランチとアリアの悲鳴が―!!

 

 

それは、無意識の行動だった―。

 

シクルは…

 

クモの怪物に向って走りながら…

 

手に持つ物体を…

 

下腹部に当てた…。

 

物体の左側面からベルトが伸び…

 

腰を一周して、ベルトの先端が、物体の右側面に接続された。

 

そして―

 

シクルの腰に巻かれたベルトのバックルの、赤い歯車と水色の歯車が光りを放ちながら回転し…

 

シクルの体も光り輝き…

 

光が消えると…

 

シクルの姿は…

 

黒とオレンジ色の、異形の姿に変わっていた―!!

 

【挿絵表示】

 

 

「やあっ!!」

と、クモの怪物に飛び蹴りをくらわせる、シクル変身体―。

 

そして、ランチとアリアの体に巻き付いている糸を引きちぎるシクル変身体。

 

「お前…シクルか!?」

「その姿は、一体…?」

と、驚くランチとアリア…。

 

「どうやら、これが、我が軍が開発した、試作型の戦闘スーツのようです…。」

と、驚いているランチとアリアに、試作型戦闘スーツを装着した事を手短に教えるシクル―。

 

「フシュウ…ッ!!」

と、声がしたので、シクル変身体が振り返ると、クモの怪物が立ち上がっていた。

 

クモの怪物は、シクル変身体に右ストレートを放つが、シクル変身体はクモの怪物の右ストレートを軽くかわすと、カウンターの左ストレートを叩き込む!!

 

「フシュウ…ッ!?」

と、たじろぐクモの怪物。

 

フシュウッ!!

と、再び、クモの怪人はシクル変身体に殴りかかるが、シクル変身体は簡単にかわし、今度は右フックと左ストレートを叩き込む…!!

 

フシュウ…ッ!!

と、殴り飛ばされるクモの怪物…。

 

フシュウッ!!

と、立ち上がったクモの怪物は、口から糸を吐く。

 

糸はシクル変身体の左腕にからみついたが、シクル変身体はかまわずにクモの怪物に向かって走り、右ストレートを叩き込む。

 

フシュウッ!?

と、シクル変身体の右ストレートをくらい、数メートル先にまで殴り飛ばされるクモの怪物…。

 

「フ…シュウッ!?

と、クモの怪物は立ち上がろうとしたが、突然、体が爆発し、仰向けに倒れる。

 

何事かと思って、シクル変身体が左を向けば―

 

バズーカをかまえたランチが、シクル変身体にサムズアップしていた―!!

 

フゥシュゥゥゥッ!!

と、逆上したクモの怪物が立ち上がり、シクル変身体に向かって走る―!!

 

「い…一体、どうすれば…?」

 

悩むシクル…。

 

殴っても蹴っても、ダメージはあたえてはいるが、致命傷にはいたっていない…。

 

確実に、相手を倒す方法―

 

必殺技とか、ないのか―!?

 

 

シクル変身体は、何気なく、ベルトのバックルの赤い歯車に触れた。

 

すると…

 

Attack Charge

という電子音声が鳴り、歯車が回りだした。

 

「な…何ですか、今の…!?」

 

もう一度、ベルトのバックルの赤い歯車に触れた。

 

すると、今度は

Smash Change

という電子音声が鳴った。

 

「な…なんか…

力がみなぎってきます…☆

 

かまえをとる、シクル変身体―!!

 

フシュゥゥゥッ!!

と、クモの怪物は右ストレートを放つが…

 

シクル変身体は、クモの怪物の右ストレートをしゃがんでかわし…

 

逆に、シクル変身体の右ストレートが、クモの怪人の体のド真ん中にヒットした―!!

 

フシュゥゥゥ…ッ!?

 

シクル変身体の右ストレートをくらって、全身から火花を散らしながら、数十メートル先にまで殴り飛ばされるクモの怪人…。

 

「フ…フシュウ…」

と、クモの怪物は、よろよろと立ち上がるが…

 

「フシュゥゥゥ…ッ!!」

 

悲鳴とも、雄叫びともつかぬ声をあげ…

 

クモの怪物は、爆発した―。

 

 

「か…勝ったんですね…?」

と、力が抜けたように、その場に座り込む、シクル変身体…。

 

「シクル…さん…?」

「お前…本当にシクルなのか?」

と、アリアとランチが、ちょっと離れた場所から見ている…。

 

「あ…ちょっと、待っててください…。

すぐ、元に戻りますから…

…って、これ…

どうやったら、元に戻れるんだろう…?」

と、ベルトをいじる、シクル変身体…。

 

「あっ…★」

と、ベルトをはずした途端、シクル変身体の体が光り輝き…

 

光が消えると…

 

「なんだ…

ベルトをはずせばいいのか…★」

 

シクルの姿に戻った…。

 

 

「本当に、シクルさんだったんですね…☆」

と、安心して笑顔になるアリア。

 

「シクル。

それは何なんだ?

さっき、試作型の戦闘スーツとか言っていたが…?」

と、ランチが訊く。

 

「はい…。

これを、研究所から陸軍基地に運ぶ途中だったんです…。」

と答えるシクル。

 

「研究所って…。

じゃ、それ

軍事機密

なんじゃないのか…!?」

と訊くランチに

 

「まぁ…そういうことに…。」

と答えるシクル。

 

「マズイぞ…。

軍事機密を勝手に使ったなんて…

ヘタすりゃ、銃殺刑だぞ…!?」

 

そんな…!?

 

ランチの言葉を聞いて、青ざめるシクル…。

 

「でも…!!

シクルさんがいなかったら、私達は…!?」

 

「わかっている、アリア。

そのためにも、私達がシクルの正当性を証言しないとな…。」

と、アリアをなだめるランチ。

 

しかし

「ただし、シクルが軍事機密を勝手に使ったのは事実なんだ。

さすがに、マジに銃殺刑はないだろうけど…

しかし、何らかの処分は下されるはずだ…。

そこは、覚悟しとけよ。」

と、ランチはシクルに釘をさす。

 

「わかりました。」

と、頭を下げるシクル。

 

「じゃ、基地に帰ろう。」

と、ランチとアリアが、ジープに乗る。

 

シクルも、ベルトをバイクの荷台の箱にしまい、バイクに乗る。

 

そして、ランチとアリアの乗ったジープを先頭に、基地に向かうのであった―。

 

 

シクル達が去ったあと…

 

墜落した暗黒軍団の輸送機の積荷から…

 

紫色のスライムのような生命体

が多数出てきて…

 

ある物は海に…

 

ある物は山に入っていった…。

 

 

そして…

 

山に入ったスライムの1体が…

 

トラに食べられたが…

 

スライムを食べたトラは…

 

もがき苦しんだあと…

 

異形の姿へと変貌していった…!!

 



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