BLEACH - 死神代行 (桂ヒナギク)
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Episode 1

 少女の名は、一宮(いちみや) (ひかり)空座(からくら)第一高校の一年生だ。

「はー、だりー」

 一限の授業を終え、光は机に伏した。

「光、まだ一限終えたばかりじゃない」

 そういうのは、後ろの席に座っている、近藤(こんどう) 紗雪(さゆき)という女子だ。

 光と紗雪は中学からの親友であった。

 その時、校庭から爆音が聞こえてきた。

 砂地にクレーターが出来上がっている。

 クラスの全員が校庭を見やる。

「なにあれ? クレーター? 隕石かしら」

「あん?」

 光が校庭を見る。

 クレーターの真上に、胸部に穴の開いた仮面の怪物が立っていた。

 他のものには見えていないようで、それが霊であることはすぐに理解できた。

 怪物、もとい(ホロウ)は照準を光に定めると、真っ直ぐ飛びかかった。

 窓ガラスが割れ、虚が教室に飛び込んでくる。

「うお!?」

 間一髪で(かわ)す光。

 攻撃を当てそびれた虚は、床を滑りながら机や椅子を薙ぎ倒した。

 クラスメイトの男女が位置のズレた机や椅子を見る。

「なんだよ今の!?」

 光は虚を見る。

 虚は光を狙っている。

(私を狙ってる?)

 光は教室を飛び出した。

 虚が光を追う。

「くっ……追いつかれてたまるもんですか!」

 廊下を勢いよく駆け抜ける光。

 その時、刀を持った死覇装(しはくしょう)という黒い袴姿の赤毛の女の子が現れ、虚を一刀両断する。

「ぐおおおお!」

 虚は悲鳴を上げながら消滅する。

「やっつけたの!?」

 刀を(さや)に収め、振り返る赤毛の少女。

「あなた、アレが見えてたの?」

「君は?」

阿散井(あばらい) 苺花(いちか)尸魂界(ソウル・ソサエティ)から来た死神よ」

「死神? 私を連れに来たの?」

「いや、助けに来たのよ」

「え?」

「あなたみたいに霊力が高いと虚に狙われやすいからね」

「虚って、さっきの仮面の?」

「うん」

「別に助けてなんてお願いしてないわ」

 苺花は眉間に青筋を立てる。

「せっかく助けてあげたのになによその言い草! もういい! 二度と助けないから!」

 苺花はそう言って姿を消した。

 光は教室に戻った。

「光、どうしたの? 急に飛び出したりなんかして」

「別に」

 光は席に着いた。

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後。

 光は一人で帰路に就いていた。

 その時、異様な気配を背後から感じた。

 後ろを確認すると、先ほどのような姿をした虚が一体、光を尾行していた。

 光は立ち止まり、振り返った。

「あんた、私に何か用?」

「この俺の姿が見えるたァ、極上の賜物(たまもの)よォ!」

 虚が鋭利な爪で光を引き裂いた。

「ぐっ!」

 光の体から血飛沫(ちしぶき)があがる。

「なんだ? 大人しく食われてくれるのか?」

「いんや、あんたをどうやって始末するか考えてたのよ」

「なんだとォ!?」

 虚はいきり立って光に襲いかかった。

 光は攻撃を躱し、腰にぶら下げている死神代行戦闘許可証を掴む。

 電信柱のてっぺんから、その様子を見下ろしている苺花。

「へえ。そういうことだったんだ。納得」

 



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