夕刻の少年の夏色サンシャインデイズ (ゆるポメラ)
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第0話 熱く暑い夏
また息抜きに書いてみました。
Afterglow作品第2弾です。
楽しんでいただけると幸いです。
※Roselia編の『月の少年と夏に揺らめく水の国』を先に読むと、より楽しめると思います(多分)。
それではどうぞ。
とあるスタジオ併設型ライブハウスにて。
6人の少女……訂正。5人の少女と1人の少年がスタジオ内で練習をしていた。
「お~、今のはいい感じで合わせられたんじゃない~?」
「うんっ! 今まで合わせた中で一番よかった気がする!」
「REDもかなり仕上がってきたしな! ライブが待ち遠しいよ!」
「もう1回セトリの流れでやってみよ! 次はもっと上手くできそうだし!」
ライブが待ち遠しいと言う
「……あ、もうスタジオの時間終わりじゃない?」
「え、いつの間に!? も~! もうちょっと練習したかったのに~!」
「あたし達のこの熱く滾る想いはどこにぶつければいいんだ~」
「いっえーい!! チェストオォォォォォォオッ!!!!」
「「「「「……」」」」」
遠目から見たら、少女にも見えなくもない中性的な少年、
彼は成り行きで蘭達5人が組んだバンド『
通ってる高校は違うが、夏々と蘭達は幼馴染みなのである。
ちなみに夏々が通っている高校は
思わず目が点になってしまう5人。
「あれ? みんなどったの? あっ、スタジオの時間終わりみたいだね」
首を傾げながら5人に訊く夏々。そして先程の事が何事もなかったかのように時計を見て言った。
「ま、それは言えてるね。それで次の練習っていつだっけ?」
「次は……あ、結構先だね。この辺りスタジオの予約が取れなくって……」
蘭の疑問につぐみが答えた。
「夏休みだからね~。どのバンドも練習漬けなんじゃない~?」
「ボクもそう思うー」
モカの言葉を聞いた夏々もうんうんと頷いた。それを聞いたつぐみが次の予約は私とひまりちゃんが取ってるから安心してと付け足した。
「いつもありがと。それじゃ今日のところはこのくらいにしておこっか」
6人は片付けをして、帰り支度をするのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帰宅中の住宅地にて。
「あっつ~い! スタジオは、あんなに涼しかったのに~!」
ひまりが愚痴る。
スタジオでは涼しかったが、帰ろうと外に出てみればこの暑さである。
「アタシはこのくらい暑い方が夏! って感じがして好きだけどな!」
「その発言聞いたら、もっと暑くなってきた……」
巴の発言に考えたら余計に暑くなってきたと感じた蘭。
「あはは……アイス買っても、一時しのぎにしかならなかったね。夏々君みたいに私もシャーベットにすればよかったな……」
「?」
夏々を見ながら苦笑い気味に言うつぐみ。当人はオレンジシャーベットを口にくわえながら首を傾げてるが。
「早くシャワー浴びてさっぱりした~い」
「シャワーじゃ足りなくない? バケツとかで頭から水かけてほしい……」
「分かる……あっ、それだよ、それ!」
モカと蘭の言葉を聞いたひまりは何かを思いついた表情をする。
「えっ、本気でやる気? 止めた方がいいと思うけど……」
そういう事じゃなくって! と蘭に言うひまり。
「どうせ次の練習まで日にち空いてるならさ、みんなで海行こうよ、それかプール!」
「いいな、それ! ここ最近練習漬けだったし!」
「うんうん! 気分転換も大事だよね!」
ひまりの提案に賛成する巴とつぐみ。
「ま、偶にはいいか。あたしどっちかっていうとプールがいいかな」
「モカちゃんもプール派~。海は暑すぎて溶けちゃう~」
「ボクはどっちでもいいよー」
蘭とモカは行くならプール派のようで、夏々はどっちでもいいとの事。
「それじゃあプールに決定ね! なんだかもう楽しみになってきちゃったよ~!」
「この辺りで行くなら……やっぱりトコナッツパークかな?」
楽しみでうきうきしてるひまりに、この辺りでプールに行くならトコナッツパークかなと言った。
「だな! あこも、前に
「バイト先の店長がリサさんにチケットあげたんだんだよね~。楽しかったって言ってたよ~」
「そういえば、
巴とモカ、夏々がそれぞれ言う。
「……あ」
「蘭ちゃん、どうかした?」
「も、もしかして何か予定あった?」
何かを思い出した蘭を見て、つぐみとひまりが訊く。
「いや、そういうんじゃなくって。そういえばあたしトコナッツパークのチケット持ってるんだった」
「えっ!?」
「なんか父さんが門下生の人から貰ったんだって。一昨日貰ったの忘れてた」
驚くひまりにチケットを持ってた理由を5人に説明する蘭。
「も~! そんな大事な事忘れないでよ~!」
「けどナイス! 門下生の人に感謝だな!」
「蘭のパパにもね~。蘭パパ神様~感謝~」
「感謝感激ー、雨あられー。蘭ちゃんパパ崇めるー、敬うー」
ひまり、巴、モカ、夏々が言った。
「すっごい言いにくそう。特に夏々の謎っぽい歌……」
モカもだが、夏々は特に言いにくそうだなと蘭は思った。
「それじゃ、みんな後でグループチャットに空いてる日を送ってね! 特に蘭とモカ、忘れないでよ~?」
6人の中で特に忘れやすい蘭とモカに念押しするひまり。
「はいはい、分かってるって」
「も~、モカちゃんが忘れた事ある~?」
蘭はともかくモカはこう言ってるが……
「何回かあるよな……」
「あはは……あるね……」
巴とつぐみがそう返す。
「とにかくみんなでプールを楽しんじゃお~。お~!」
「モカちゃんー、なんかうやむやにしようとしてないー?」
「「「「……((((それは同感))))」」」」
夏々の一言にモカ以外の4人はうんうんと心の中で頷いたのであった。
読んでいただきありがとうございます。
更新は注意書きにも書いてありますが、速かったり遅かったりです。
次回もよろしくお願いします
本日はありがとうございました。
※主人公の簡単なプロフィールです。
容姿イメージ:『艦隊これくしょん』の睦月
誕生日:12月17日、いて座
身長:157cm
血液型:A型
一人称:ボク
※相関図(※は夏々が読んだ場合)
蘭……夏々。※蘭ちゃん
モカ……ナナ。※モカちゃん
巴……夏々。※トモちゃん
ひまり……夏々。※ひーちゃん
つぐみ……夏々君。※つぐちゃん
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第1話 いざ常夏の楽園へ!
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「わぁ……まだ開園したばっかりなのに、もうこんなに混んでるんだね」
「まあ、今日は30℃超えるってテレビでやってたからな。アタシらが来た時も、チケットカウンターに行列ができてたし」
トコナッツパークに訪れた6人。
つぐみと巴の言う通り、現に今もチケットカウンターではたくさんの行列ができている。
「ホント蘭のお父さんがチケットくれてよかったよね!」
「蘭パパ神様には頭が上がりませんな~」
「もうそれはいいって。けど、本当にすごい人だね」
ひまりとモカの言葉に蘭は気を抜いてたら、いつの間にかはぐれそうかもと言った。
「ひーちゃん、迷子になったらちゃんと迷子センターに行くんだよ~?」
「もう! 私を何だと思ってるわけ~!?」
ひまりに冗談なのか本気で言ってるのか分からない事を言うモカ。
「えーでも、ひーちゃんの場合、実際にありえそうなんだもん」
「もう夏々までそういう事言う!? ……って、夏々。水着はどうしたの?」
夏々にまで言われてしまう始末。
するとここでひまりを始め、夏々が水着を着ていない事に気づいた。
「? もしかして水着がいるの?」
「「「「「え!?」」」」」
首を傾げながら、5人に訊き返した夏々。
それを聞いた5人は思わず驚きの声を上げてしまう。
「いるのって……ここ、そういうテーマパークだよ?」
「そうだっけー? あ! だからみんな可愛い水着を着てるのか! 納得!」
ボクやっと納得したよーと笑うながら答える夏々。
「でも夏々君、ここのアトラクション水着がないと乗れないよ?」
「そうなのー? あ、パンフレットに水着はパーク内のショップで購入できるって書いてある。ボク買ってくるから、ちょっとだけ待っててー」
「い、行っちゃった……」
つぐみの言葉を聞いた夏々はそう言うと、パーク内にあるショップで水着を買って来るから待っててと言って行ってしまった。
「そういえば、あこが言ってたのを思い出したけど、ひまり達と海に行った時も夏々は水着を着てなかったって聞いたけどそうなのか?」
「うん。前も麦わら帽子を被ってただけだったし……」
巴の疑問にひまりが事情を知らない4人に説明する。
以前、海に行った時も夏々は水着を着ておらず、私服に麦わら帽子という格好だったという……
「それ以前にさ? 夏々が水着を着てたのを見たことあったっけ? あたしは記憶にないけど……」
「「「「……」」」」
蘭の言葉に他の4人は首を横に振る。
思い返してみれば、蘭の言う通り誰も夏々が水着を着てる姿を目撃した事がないのだ。
もしかして自分達は、夏々の初の水着姿を拝めるのではないか?と……幼馴染み5人は思った。
そんな時だった。
「おーい。みんなー、待たせてごめんー」
「「「「「っ!?」」」」」
戻って来た夏々を見た瞬間、5人は彼が選んだであろう水着を見て衝撃の余り、驚愕の表情になっていた。
「いやー、色んな種類の水着があったから、どれにするか迷っちゃった♪」
「……いやそれ、水着なの? 私服じゃなくて?」
「ふっふっふっー。これは水着兼夏服なんだよー♪ デザインと機能性の両方を選んでみたんだー♪」
蘭が夏々に言う。
その疑問に夏々は水着兼夏服だと答えた。
青い長袖の服に紺色の短パン、それに何の意味があるのか、白いニーソックスという動きやすそうな格好だった。
「いや~、ナナの水着姿エモいし、モカちゃん的には眼福ですな~」
「そう? ちなみに、この水着兼夏服の名前は『記憶喪失のムードメーカー』っていうんだって。それにしても最近の水着は凄いよねー」
とりあえず夏々も無事に水着を着用してきたので、ひまりの提案でみんなで写真を撮る事になったのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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第2話 トコナッツショッピング
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「うん、ウォータースライダーの優先パスは取れたね。みんなの分、私が預かってて平気?」
「もちろん~。つぐに持っててもらうのが一番安心だからね~」
「つぐちゃんー、お願いしますー♪」
ウォータースライダーの優先パスをつぐみに預かってもらう5人。その方が自分達としても安心なのだ。
「それじゃ時間になるまで、他のところ回ろうぜ! どこから行く? 流れるプールとかか?」
「あっ、それならその前に、ショッピングコーナー見て回ろうよ! 色々買った方が遊べそうだし!」
満場一致で6人は、ひまりの提案で、ショッピングコーナーに向かう事に。
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「ほほ~。水着にタオルに水鉄砲、ビーチボール……なんでも揃ってるんだね~」
「ホントだー。さっきは急いでたからよく見なかったけど、シュノーケルだけでも色んな種類が売ってるよー」
モカと夏々が興味深そうに言った。ちなみに今居る店は、夏々が水着を買った店である。
「おぉっ、この水鉄砲カッコいいな! 1.5リットルも入るらしいぞ!」
「あ~……巴そういうの好きだよね」
「しかも10メートル先まで飛ぶってさ! いやー、いいなこれ……」
「もしかして本当に買うつもりなの……?」
気になる水鉄砲を見つけ、欲しそうな表情をしてる巴を見て驚く蘭。
「ふふっ、あっちは水鉄砲見てるみたいだね。ひまりちゃんは、何か買いたいものとかあった?」
「実はちょっと探してるものがあるんだけど……」
つぐみの言葉に探してるものがあると言うひまり。
「あ、あった!」
「サングラス……? 確かに今日は日差しが強いもんね」
どうやらひまりが探してたものとはサングラスのようだ。
「それもあるんだけど、さっきすれ違ったカッコいい女の人が、頭に付けてたの!」
どう? 似合ってる? と言って試しにサングラスを付けるひまり。
「うん! すっごくカッコいいよ!」
「ふっ、つぐもひーちゃんも分かってないな~」
つぐみが感想を言うとモカが言った。まさか聞いてたのだろうか?
「も、モカ!? 今の聞いてたの!?」
「モチのロンよ~。ひーちゃん、カッコいいお姉さんに欠かせないアイテムがもう1個あるのを知らないみたいだね~」
「えっ、何々!?」
「ふっふっふ、それはデッキチェアに戻ってからのお楽しみ~」
それを聞いて気になったたひまりは期待して待ってるからね! とモカに言った。
「おっ、3人ともここにいたのか! ほら、見てくれよこれ! めちゃくちゃカッコいいだろ!?」
「お~、トモちん結局その水鉄砲買ったんだ」
ちょうど買い物を終えた巴と蘭が戻って来た。どうやら本当に水鉄砲を買ったみたいだ。
「あたしは止めたんだけど……」
「いやいや、せっかくのプールなんだから、やっぱこういうの買って楽しまないと損だろ! それになんてったってカッコいいしな!」
「あはは……同じカッコいいでもこんなに買うものが違うんだね……」
つぐみが苦笑いしながら言った。巴の妹のあこもカッコいいものが好きだが、姉妹揃って買うものが違うだなーと実感した。
「あっ、いたいた。みんなお待たせー♪ わっ、トモちゃんその水鉄砲カッコいいね!」
「だろー! こういうの買って楽しまないと損だろ?」
「それボクも分かるー♪」
両手に袋を持った夏々が戻って来た。巴が買った水鉄砲を見て、キラキラとした表情をしている。
「それでナナは何を買ったの~?」
「えっとねー? 面白い形をした水鉄砲と、ボクが愛読してる雑誌だよー。えっとねー……」
モカに訊かれたので、袋からゴソゴソと買った雑誌を探し、これ! と言って5人に笑顔で見せる夏々。
「「「「「……」」」」」
「あれ? みんなどうしたの?」
しかし5人はその表紙を目にした途端、5人の顔が徐々に赤くなっていた。
「な、ななな……夏々君!? そ、そそそ、そういう
意外にも先に口を開いたのは、つぐみだった。ただし顔は真っ赤だが。
「……ナナ~? いくらモカちゃんでも、こればかりは見逃せませんな~?」
「……ふーん、夏々って、こういうのがいいんだ……?」
「(あれ? みんなもしかして何か勘違いしてる?)」
ジト目のモカと蘭に詰め寄られる夏々。もしかして何か勘違いしてるのではないかと夏々は思った。巴とひまりも3人と同じ表情をしてるので。
「うーん、みんな勘違いしてるみたいだから説明するけど、ボクが買ったこの雑誌、
「「「「「えっ?」」」」」
間の抜けた声をする5人に、夏々はよく見てよと言って5人に雑誌を見せる。表紙は水着の女性で飾られているが、よく見ると『ワールドフラワーズ』という夏々が愛読してる雑誌名だった。
「偶々、最新号の限定版が置いてあったから買ったんだ♪ その表紙の女の人は有名なモデルさんで、しかもガーデニング界でも有名なんだー♪」
「「「「「…そ、そうなんだ……(((((なんか複雑……)))))」」」」」
自分達の勘違いという事は解ったが、なんだか複雑な気分になる5人なのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「どう!? ちゃんと撮れた!?」
「バッチリよ~。天才カメラマンのモカちゃんを舐めないでほしいな~」
「わーい! ありがと~! ホントだ! すっごく大人って感じ!」
撮った写真をひまりに見せるモカ。
「モカちゃんの言ってたアイテムって、このトコナッツドリンクの事だったんだね」
「それとこのデッキチェアだよ~。ほら、海外のセレブとかってよくサングラスかけて、こういう飲み物をデッキチェアで飲んでたりするでしょ~?」
「確かに! 映画とかでもそういうシーン見るよな!」
「そういえば、映画だけじゃなくて、5割のセレブの人は無意識にやってるらしいよ」
つぐみに説明するモカ。それを聞いて心当たりがあるのか、うんうんと頷く巴と夏々。
「そういうこと~。実は一回こういうのやってみたかったんだよね~」
「だからモカもあんなにノリノリでポーズキメてたんだ!」
「なかなかキマってたでしょ~?」
ま、つぐには負けるけどね~と付け足すモカ。
「えぇっ!? 私、そんなに目立つポーズだったかな……?」
「何か遠くを見つめてて、憂いのある感じで良かったよな!」
「あはは……カメラ目線するのが恥ずかしかっただけなんだけど……」
巴の言葉に苦笑いするつぐみ。すると夏々がこんな事を口にした。
「えー、そうだったのー? つぐちゃんの写真、ボク的には可愛いしアリだと思うけどなー?」
「え、えぇっ!? も、もしかして夏々君、撮ってたの!?」
頬を膨らませながら、スマホで撮った写真をつぐみに見せる夏々。しかし写ってたのは、先程のポーズではなく、何故か
「……あ。間違えた☆ こっちじゃなくて、こっちだった。モカちゃんほどじゃないけど、よく撮れてるでしょー♪ ドヤァ!」
「そ、そっちじゃなくて、さっきの恥ずかしいから消してー!?」
顔を真っ赤にして、あわあわしながら夏々に詰め寄るつぐみ。
「あ、あはは……巴の写真もスポーツ選手の写真集みたいな感じで、おしゃれに撮れたよね!」
「さすが写真好きなだけのことはありますな~」
「いや、アタシが好きなのは風景写真だから、関係ない気がするけど……」
モカの言葉にちょっとだけ解せない表情をする巴。
「それじゃ次は蘭ね! ほら、そこ座って座って!」
「え、あたしはいいよ。別にやってみたいわけでもないし」
案の定な蘭の反応に、ひまりはみんなでポーズきめて撮ってるんだから、蘭もやってよと言う。
「まあまあ、ひーちゃん。蘭は恥ずかしがり屋さんだから~」
「べ、別にそういうのじゃないし!」
モカの言葉が図星なのか、視線を夏々に向けて助け舟を求める蘭。
「まーまー、モカちゃん。じゃあ蘭ちゃん、ボクと一緒に撮ろうよ♪」
「!? ちょ、ちょっと夏々っ……そ、そういう意味じゃ……っ」
そう言うと夏々は、蘭を自分の元に抱き寄せる形で、写真を撮った。
「撮れた♪ 撮れた♪ 蘭ちゃん、後で写真送ってあげるね?」
「え、う、うん……(ちょ、ちょっとみんなの目がなんか怖いんだけど!? 特にモカとつぐみが……)」
「「「「……」」」」
顔を赤くし満更でもない表情をする蘭。それと同時に他の4人の視線が刺さった。特にモカとつぐみは表情こそよく分からないが、一瞬だけ目がギラリと赤く光ったような……気がした。
「ナナ~、モカちゃんとも撮ってほしいな~? できればさっき蘭にやってたみたいな感じで~」
「うん、いいよー♪」
「わ~い♡」
「あっ! モカ、抜け駆けズルい! 夏々、私も!」
「おい! そう言うひまりもズルいと思うぞ!」
「と、巴ちゃんもズルいと思うよ!」
「……(た、助かった?)」
夏々の対応を見て蘭は、ひとまず命拾いした気がしたのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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第3話 サーフィンチャレンジ!
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「ほほ~。見てみて~。結構波高いみたいだよ~」
「ホントだ♪ ボクも上手に乗れるかな?」
トコナッツパーク内にあるサーフィンエリアに来た6人。
「へえ、ボディーボードもやってるんだ。あたしはどっちにしようかな」
「ボディーボードも面白そうだよね。ふふっ、どっちにしようか迷ってきちゃった」
どうやらここではサーフィンだけではなく、ボディーボードも楽しめるようだ。確かにつぐみの言う通り、どっちで遊ぶか迷うのも無理はない。
「結構並んでるね。こっちも優先パス取っておけばよかったかも!」
「ま、でも見た感じあと30分もすれば、アタシ達の番がくるだろ!」
「あっ、それならさ! 待ち時間の間、みんなでしりとりしない!?」
自分達の番がくるまで、しりとりでもしないかと提案するひまり。
「出た~。ひーちゃん、こういう時いっつもしりとりしたがるよね~」
「ひーちゃん、よく飽きないよねー」
「いいじゃん~!」
モカと夏々の言葉に、こういう待ち時間もみんなで何かしてた方が楽しいでしょと言うひまり。
「だいたい最後うやむやになるか、ひまりが詰まって終わるんだよな」
「も~! それはみんなが『る』攻めとか『ぬ』攻めとかするからでしょ~!」
必死過ぎなひまりを見て、とりあえず6人は待ち時間の間、しりとりをするのだった……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あれ? ひまりちゃんも休憩?」
「うん、波の上でバランス取るのって、それだけで結構疲れるんだね」
つぐみが休憩しに行くと、ひまりと蘭も居たので声をかける。2人も自分と同じ休憩中のようだ。
「巴とモカと夏々は、まだやってるんだ。巴は分かるけど、モカと夏々はちょっと意外だったかも」
蘭がそう言った。巴はこういうの好きだし分かるが、モカと夏々に関しては意外だった。
「ひゃっほー!」
「わっ、あんなに高い波なのに乗りこなしてる! 流石巴ちゃんだなー」
「あっ、もしかしてダンス部だからかな? バランス感覚が良いのかも!」
巴はダンス部だし、バランス感覚も良いから、乗りこなしてるのではないかとひまりが言う。
「分かるような分からないような……モカの方は……」
例えがイマイチだなと思いながら、蘭はモカの方に目を向ける。
「おぉ~。これはなかなかの波ですな~」
「あ、凄い! モカちゃんも上手!」
「モカ、楽しそうだね。あたしも次はボディーボードにしてみようかな」
楽しんでるモカを見て、蘭も次はボディーボードをやってみようかなと思った。
「あ、見て! 次の波、すっごく高いよ! 本物の海みたい!」
「あれはさすがの巴ちゃんも……」
乗りこなすのは難しいのではないか?と思った3人だが……
「おっ、きたきたきた! ひゃっほ~! サーフィンって楽しいな~!」
「ふ、普通に乗りこなしてる……巴、本当に初心者なの……?」
なんと普通に乗りこなしていた。
「ほ、ほら! 巴はダンス部だから!」
「ひまりのそのダンス部への絶対的信頼は何なの……」
ダンス部への謎の絶対的信頼は何なのだろうかと蘭は正直思う。つぐみも苦笑いしてるが、多分、自分と同じ事を思ってそうだなと思った。
「わ、見て見て! モカもすっごいんだけど!」
「あっ、蘭達だ~。おーい」
こちらに手を振りながらボディーボードを乗りこなしてるモカが居た。
「何でモカも普通に乗りこなしてるの……?」
「ごめん、あれは私にもよくわかんない……」
蘭の疑問に自分でも分からないとひまりは言った。
「あ、でも蘭ちゃん、ひまりちゃん。確かにモカちゃんも凄いと思うんだけど……」
「「?」」
「その、夏々君が私達の中で一番凄いんじゃないかな……」
ほら、あそこと言うつぐみに蘭とひまりが目を向けると……
「小さい! 小さいよぉ!! 人口の波とはいえ、こんな小さな波じゃボクは満足できないよー! そぅれ!」
「すげー!! あの技ってエアリアルだよな!?」
「しかもあの子、ボディーボードでやってるよな!? どんだけ器用なんだよ!」
少し見た目が厳つそうなヤンキー2人が夏々の技を見て、尊敬するような声を上げていた。それにつられて他の客も歓声を上げている。
「あっ、蘭ちゃん達だ♪ おーい!」
「おい嘘だろ!? あの子、あそこに居る女の子達に手を振りながら、超難関の技、ノーズライディングをやってんぞ!?」
「パネェぞ! 絶対あの子タダモンじゃねぇぞ!?」
「「「……」」」
今のヤンキー2人の言葉から察するに、夏々はとんでもない事を現在進行形でやってるんだなと3人は理解したのだった。
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「いやー、楽しかったなサーフィン!」
「私も! 最後は少しだけボードの上にも立てたし!」
サーフィンを楽しんだ6人は、お昼休憩がてらフードコーナーで談笑していた。
「モカは最後までボディーボードだけだったけど、サーフィンはよかったの?」
「いや~、モカちゃんの才能はボディーボードでこそ輝くみたいだからね~」
「モカちゃん凄かったもんねー♪ お陰でモカちゃんが普段見せないような、可愛い写真もたくさん撮れたし♪」
「っ!?」
ほら。と言いながらモカ以外の4人にスマホを見せる夏々。そこに写っていたのは、
撮られた当人は顔を赤くし口をパクパクさせながら、夏々を見ているが。
「む~っ!!」
「おーっと、野生のモカちゃんがボクに襲いかかってきたんだよー♪」
「なんか久しぶりに見るね。モカのあの表情……」
「確かにな。実際モカの弱点は夏々だもんな……」
そして頬を膨らませ、ポカポカと夏々を叩くモカを見て、こんな表情をするモカを見るのは久しぶりだなと蘭と巴は呟いた。
「巴なんて、最終的に知らない人に、質問攻めにされてたよね……」
「いやー、初心者だって説明しても、全然信じてもらえなくって困ったよ!」
「まあ、あんなの見たら、誰も信じないでしょ。……っていうかあたしも若干疑ってるくらいだし」
「いやいや、本当だって!」
巴はそう答えると、ちょうど自分と夏々が注文した品のベルが鳴った。
「……っと! アタシの豚骨ラーメンもできたみたいだな! ちょっと取ってくるよ!」
「ボクも自分の取ってくるー♪」
巴と夏々は4人にそう言うと、頼んだ品を取りに行った。
「巴、プールでも豚骨ラーメン食べるんだ……まあ、モカもパン食べてるけど」
「こういうところで食べると、いつもと違った味わいがあるんだよ~。分かるかね、蘭くん?」
「ごめん、全然わかんない」
寧ろ、そういうの分かるの夏々くらいでは?と蘭は思った。
「よーし、ご飯食べたら次はどこ行こっか?」
「あっ、そろそろウォータースライダーの優先パスが使えるようになるみたいだよ!」
ひまりの言葉につぐみがウォータースライダーの優先パスが使えるようになると教えてくれた。
「おっ、待ってました! 今、速攻で食べちゃうから!」
「5分だけ待ってて! ボクも急いで食べちゃうから!」
「すぐに行かなきゃいけないわけじゃないし、急がなくっても大丈夫だよ。それと……夏々君? それ……何?」
「え? ラーメンだけど?」
ちょうどいいタイミングで巴と夏々が戻って来て、それぞれ食べ始める。そしてつぐみがそう訊くと夏々は首を傾げた。
「ていうか、ラーメンに見えないんだけど……」
「これ?
「実際に見ると、ボリューム感が凄いな! アタシも夏々と同じやつにすればよかったな……」
「ボクも正直、トモちゃんと同じ豚骨ラーメンで何かトッピング付けようか迷ったんだよねー……結局、煮干しラーメンに惹かれちゃったんだけど」
「「「「……」」」」
巴と夏々のやり取りを見てた4人は、夏々が頼んだ背脂煮干しラーメンを見たせいか、飲み物を買いに行くのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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第4話 結成! モカちゃんズ
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「いやー! 最後の急降下のところ、最高だったよな!」
「あっという間だったけど、すっごく楽しかったよね! もう1回、ううん! もう3回くらい乗りたいかも!」
「ひまり……乗っている時はあんなに絶叫して、『もうやだ~!』って言ってたのに……」
ウォータースライダーを楽しんだ一同は、それぞれ感想を言いながらパーク内を歩いていた。
「つぐは意外と静かだったよね~。もっと怖がるかと思ってたけど」
「つぐちゃん、お地蔵さんみたいに微動だにしてなかったし、瞬きもしてなかったよー?」
「あはは……怖すぎて声も出なかったんだ……あ、もちろん楽しかったけどね!」
モカと夏々の言葉に、苦笑いしながら答えるつぐみ。
「蘭も余裕そうだったけど、もしかして本当は怖かった?」
「ぜ、全然余裕だったけど?」
「とか言って、足に力入ってないの丸分かりだよ~?」
「いや、これは……とにかく違うから!」
蘭は必死に違うと言い張るが、彼女の事を知る5人から見れば、丸分かりな反応だった。
「でもこれで最初に回りたいって言ってたところ、全部回れたよね!」
「だね~。この後どうしよっか?」
そういえば夜になると、水上ステージがあるんだよね~とモカが言うと……
「あ、それがね、さっき調べたら今日はステージの定期点検でお休みなんだって」
「ありゃ。定期点検かー。それじゃしょうがないねー」
「えぇ~! リサ先輩から聞いて、楽しみにしてたのに~!」
「ひーちゃん、よしよし」
つぐみと夏々の言葉に、ひまりはがっくりと項垂れる。夏々がよしよしと頭をなでなでしながら慰める。
しかし水上ステージが定期点検で休みとなると、この後どうしたものかと6人が悩んでいると……
「あ、これはどう? この看板に書いてある……」
つぐみが何かを見つけ、5人に声をかける。そこには『トコナッツスプラッシュ』と看板に書かれていた。
「特設エリアでやってるイベントって、これの事だったんだね~」
「どんなイベントなんだろ?」
なんとなく気になったので、6人はパンフレットを取って詳細を見る事に。
「へ~、サバゲーの水鉄砲版って感じなんだね~」
「ふーん。パンフレットを見る限り、頭に付けたこれが破れたら即アウトって感じみたいだね。トモちゃんー、これ金魚すくいで使うやつだよね? なんて言うんだっけ?」
「ポイな!」
「そうそう! ポイ!」
しかも飛び入り参加もOKと書いてるので、一同はイベント会場に向かう事にした。
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「おぉ~、結構広い場所でやるんだね~」
「ステージは結構凝ってるな~。障害物もあるし、思ったより本格的な試合になってる!」
モカと巴の言う通り、イベントが行われる会場は思ってたより広く、ステージ自体にも障害物があって作りもかなり凝っていた。
「へー、ちょうどあっちで中学生くらいの子が戦ってる! 頑張れ~!」
「みんな、お待たせ! エントリーシート貰ってきたよ! ここにルールも書いてあるみたい」
今行われてる試合を見ていると、ちょうどエントリーシートを貰ってきてくれたつぐみが戻って来た。
「ありがと、つぐみ。へえ、やっぱりチーム戦なんだ」
「しかも6人1チームだってよ! これはもうアタシ達で出るしかないんじゃないか!?」
「さんせ~!」
蘭の言葉を聞いた巴は早速やる気満々である。ひまりもである。
「ふっふっふ~、スナイパーモカちゃんの実力を見せる時が来たようですな~」
「ショッピングコーナーで買った水鉄砲を試す時が来たんだよー♪」
モカも夏々も珍しくやる気だ。
「ふふっ、それじゃあさっそく参加手続きしてくるね!」
「お、受付にエリアの地図が貼ってある~。スナイパーは位置取りが重要だからね。あたしも一緒に行こーっと」
「ボクも行こーっと。障害物の位置確認も重要だからね♪」
「あっちで水鉄砲のレンタルしてるみたいだから、蘭ちゃん達は先に行ってて!」
とりあえず受付を済ますまで、6人は二手に分かれて別行動をする事に。
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「へー、小っちゃいのから大きいのまで色々貸し出してるんだね! あ、この小っちゃいの可愛くない? 女スパイが脚のところに隠してたりするよね」
こんな感じで、と自分で試してみるひまり。
「おいおい、そんなんじゃ相手のこと倒せないだろ? やっぱこういうデカいのでガツンと戦わないと!」
「あ、巴はやっぱりさっき買ったそれ使うんだ」
どうやら巴はショッピングコーナーで買った水鉄砲を使うみたいだ。
「まあな! やっぱ手に馴染んだやつを使いたいっていうか」
「いや、さっき買ったばっかりでしょ」
蘭がそう言うと、巴はこういうのは気持ちの問題なんだからと笑いながら返した。
「う~、どれにしようかな……? なんだか人生で一番真剣に水鉄砲を選んでる気がする~! 蘭はもう決まった?」
「あたしは……」
無難なやつにしようかなと蘭が答えようとした時だった。
「チーム『モカちゃんズ』の方いらっしゃいましたら、会場ゲートまでお越しください~!」
「「「……?」」」
イベントのスタッフがキョロキョロと見回しながら誰かを捜していた。しかも聞き置覚えのあるチーム名が。
「チーム『モカちゃんズ』の方~!」
「あれってアタシ達の事だよな? はーい! モカちゃんズ、ここに居まーす!」
「!? ちょ、ちょっと巴っ……そんな大声で……っ」
明らかに自分達の事だろうと思った巴は、大声でスタッフに返事をした。それを聞いた蘭はそんな大声で返事しなくてもと慌てる。
「も~! 何で変な名前でエントリーしちゃうの~!?」
ひまりの言葉に、全くもって同感だと思った蘭だった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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第5話 プールサイドの激闘
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「それではチーム『モカちゃんズ』優勝目指して頑張ろ~!」
「おー♪」
「「……」」
試合開始前。
モカと夏々の掛け声に対して、蘭とひまりは不服そうな表情。
「あれ~、2人ともどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないよ~! 何で私達のチーム名が『モカちゃんズ』なの~!」
「えー、ダメ~?」
「ダメっていうか、普通に恥ずかしいんだけど」
チーム名がダメな理由をひまりと蘭はモカに言った。
「つぐ~! 夏々~! ちゃんと止めてよ~!」
「あはは……ゴメンね……『ツグちゃんズ』か『モカちゃんズ』か、そ、その……夏々君が考案した『ナナヨメちゃんズ』のどっちかって言われて、つい……」
「ボク、真面目にチーム名を考えたのに、モカちゃんが却下するんだもん!」
「……」
申し訳なさそうな表情をしてるつぐみ、不貞腐れてる夏々。その言葉を聞いたモカは何故か視線を逸らしてる。しかも顔が赤い。
「「「……(((ある意味、夏々が考案したチーム名じゃなくて良かった)))」」」
よく見ると、つぐみも顔が赤い。
考え過ぎかもしれないが、夏々が考えたチーム名『ナナヨメちゃんズ』というのは、恐らく『お嫁さん』という単語を合わせてるのだろう……多分。
もし仮にそうだとしたら、『モカちゃんズ』以上に恥ずかしい事この上なかった。ちなみに夏々のお嫁さんになりたいのは、5人が共有している秘密なのだが。
「名前なんてなんでもいいって! とにかく優勝しようぜ!」
「そーそー。ひーちゃんはリーダーなんだから、しっかり頼むよ~?」
「えぇ! 私がリーダー!? モカちゃんズなのに!?」
チーム名だけに、まさかのリーダーが自分な事に驚くひまり。
「モカちゃんズのリーダーは、ひーちゃん以外考えられないからね~」
「そ、そういう事なら引き受けてもいいけど……」
そして蘭も今更言ってもしょうがないかと諦めた。
「そうそう! それじゃ、優勝目指して頑張ろうぜ!」
「「「「「おー!」」」」」
とりあえず優勝目指して頑張ろうと意気込む6人であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わーん、みんな助けて~! 3人追っかけてきてる!」
「こっちだ、ひまり! 早く! 食らえっ!」
ひまりを安全な場所に移動させ、追いかけてきた相手の1人に水鉄砲を撃つ巴。
「あっ、1人そっちに行ったよ! モカちゃん、お願いっ!」
「はいは~い、それーっ」
つぐみが1人そっちに行った事を知らせ、モカがスナイパーの如く水鉄砲を放つ。
「モカ、ナイス!」
「ふっ、モカちゃんの銃が火を吹いたぜ……」
ドヤ顔のモカ。それを聞いて、巴が水だけどなと言った。
「キャー、モカちゃんカッコいいー♪ 結婚しよー♪ あっ、敵さん見っけ! オウゥゥゥラァァァァ!!!」
「っ!?」
さり気なくモカに対して、とんでも発言をした夏々は最後の相手を見つけると、ショッピングコーナーで買った
「う~っ!! ナ、ナナのバカ~っ!! そういうのは、モカちゃんと二人きりの時に言ってよ~っ!!」
「「「「……」」」」
顔を真っ赤にして、両手をジタバタさせながら、夏々に向かって叫ぶモカ。そして彼女を抑える4人。目は笑ってないが。
「残りチームがあと3チームになりました! みなさん、頑張ってくださいね!」
ちょうどルールに書いてあった通り、残り3人チームになったというアナウンスが鳴った。
「いやー、結構いいチームだよね♪ トモちゃんとボクがメインで相手を倒して、モカちゃんがそのカバーして……」
「つぐみとあたしで他に敵がいないか探す。うん、バランスいいと思う。……さっきの夏々の発言は見逃せないけど」
ジト目で夏々を見ながら言う蘭。モカを除いた3人もうんうんと頷く。
「……あれ? 私の役割は?」
「ひーちゃんは……うーん、囮?」
「ひどーい! リーダーなのに司令塔じゃないなんて納得いかない~!」
リーダーなのに役割が囮な事に嘆くひまり。そんな彼女を見ながら夏々はいやいやと首を横に振りながらも口を開く。
「みんなの為に、敵を引き付けるひーちゃんは、リーダーの鏡なんだよー♪ 適材適所ってやつだよー♪」
「そ、そうかな……? それじゃあ、囮の本領発揮しちゃうよ~!」
「いいんだ、それで……」
それを聞いたひまりはやる気を出し、蘭は苦笑い。
「よーし、それじゃ残り2チームも、アタシ達のコンビネーションで……」
「巴、危ない!!」
「えっ……?」
残りのチームをやっつけるかと思った矢先、後ろから接近していた敵に気づかず、巴を庇ったひまりに水鉄砲が命中してしまった。
「ひ、ひまり……! アタシの事を庇って……!」
「そんな事いいの! 巴は無事!?」
「う、うん……! ひまりちゃんのお陰で……!」
「なら良かった……ほら、敵が来る前に早く逃げないと!」
ひまりが他の5人に早く逃げるように促す。
「で、でも……!」
「トモちん、早く逃げないと、ひーちゃんの犠牲が無駄になっちゃうよ」
「トモちゃん、とりあえず今は一時撤退が優先」
「……っ! ひまり、仇は絶対取るからな……!」
「うんっ! 後はよろしくね、みんな!」
5人は、ひまりの為にも必ず優勝しようと思うのだった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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第6話 夏はまだ終わらない
今回で最終回になります。
それではどうぞ。
「あ、また1チーム脱落したみたいだね~」
「あとは私達ともう1チームだけ……ひまりちゃんの為にも絶対優勝しようね!」
「あぁ! ひまりに助けてもらったこのポイ、無駄にはしないぞ!」
試合も大詰めになり、残りのチームは自分達と相手の1チームだけとなった。
「ひーちゃん……リーダーとして立派な最後だった……」
「けど、作戦はどうする? 敵チームも減ったし、ひまりも脱落したから、今までの作戦は通用しないと思うけど……」
「実況のスタッフさんが話してたけど、向こうはまだ6人全員無事みたいだね……」
蘭の言う通り、今までの作戦は通用しないという事になる。相手もバカじゃないという事だ。
「流石ここまで生き残ってきた強者だね~。こうなったら奇襲しかないんじゃない?」
「奇襲?」
モカが作戦を提案した。
その作戦というのが、誰か1人が囮になって、注意を集めてる間に残りのみんなで相手の不意を突いて倒すという。
「不意を突くか……、そうだよな……こっちが不利な状況だから、そういう作戦しかないかも」
巴がそういう作戦しかないかもと言う。
実際にこちらの人数は5人。相手の人数は6人という、僅差的に厳しいのは明白だった。
「となると、囮になる人が必要だけど……」
つぐみがそう言った時だった。
「それならボクが囮役……というか、
夏々が自分がやると4人に志願した。
いつもの明るく陽気な表情とは違い、真剣な表情で口調も淡々としていた。
「みんなは相手チームから逃げるフリをして、隙が出来たら相手を撃墜してもらうって形で。さて……少しだけ、本気で遊ぼうかな」
「「「「は、はい……」」」」
偶にこんな感じの雰囲気になる夏々に4人はただ頷くだけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「モカちゃん、トモちゃん、右手に回って! そっちに2人行った!」
「りょうか~い。スナイパーモカちゃんの銃が火を吹くよ~」
「よし! こっちはアタシ達に任せとけ!」
相手の内2人がモカと巴の方に向かったのを確認した夏々は直ぐ2人に指示を出す。
「わ! 向こうも一気に攻めてきたよ! 夏々君、気をつけて!」
「……へー。そう来たかー」
気づけば夏々は、相手チームの残り4人に囲まれてしまった。しかし当人は囲まれたのにも関わらず不敵に笑っていた。
「「「「もらった!」」」」
相手が夏々のポイを狙って、集中攻撃するかの如く水鉄砲を放った時……
「残念ー♪ それは
「「「「ええええっ!?」」」」
いつの間にか相手の背後に夏々がおり、相手が驚愕の声を上げて振り向いたと同時に夏々は水鉄砲で薙ぎ払い、相手4人の内2人のポイを破った。
「ふっふっふ……ボク達、モカちゃんズの力、思い知るがよーい♪」
未だに唖然としてる相手チームをドヤ顔で宣言する夏々だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いや~、今日は楽しかったですな~」
「ほんとだねー♪」
「うんうんっ! サバゲーも、すっごく燃えたよね!」
帰りの電車の中。
一同は、今日1日の感想をそれぞれ述べていた。
「蘭も最後の方は、ノリノリだったもんね~」
「モカ、うるさい。……でも勝てて良かった」
「ひまりちゃん、すっごく喜んでくれたもんね!」
「だからって感動して泣くとは思わなかったけど」
結果的に6人は無事に勝利。トコナッツスプラッシュで優勝したのだ。ちなみにひまり、真っ先に夏々に抱きついて、ヤキモチを妬いた蘭達によって引き剥がされたのだが。
「……あれ? 巴とひまり、なんか静かじゃない?」
「蘭ちゃん、しー。トモちゃんとひーちゃん、疲れて寝ちゃったみたい」
夏々の言う通り、巴とひまりはぐっすりだった。
「ホントだ。今日は一日中遊び通しだったもんね」
「でも、まだまだ遊び足りない気がするよね~。身体は疲れてるのに不思議~」
「……あ」
すると何かを思い出した蘭。どうかしたのかと思い、つぐみが訊く。
「いや、ちょっと歌詞思いついたから、メモしてただけ」
「へ~、見せてみせて~」
「ボクにも見せてみせてー」
「まだダメ。もうちょっと形になってからね」
それを聞いたモカと夏々は、ぶーぶーと言いながら頬を膨らませていた。
「ふふっ、蘭ちゃんってこうやって遊んだ後とか、結構曲とか歌詞が思いつく事多いよね」
「そういえば、井ノ島に行った時とかも蘭ちゃん、そんな感じだったよねー」
「そう? 自分ではそんなに意識してなかったけど……」
蘭はそう言うが夏々から見れば、蘭のそれはある意味、才能だなと思う。
「私はライブとか練習で曲を演奏する時、その曲を作った時の事とか思い出したりするよ」
「蘭の曲は、まさにあたし達の思い出のアルバムって事ですな~」
「何それ。全然上手くないんだけど」
「またまた~。嬉しい癖に~」
「はいはい」
モカの話を軽く流す蘭。しかし心なしか表情は嬉しそうだ。
「まだまだ夏休みも終わらないし、またみんなでどこか行きたいよね!」
「さんせ~。みんなでちゃんと予定空けとこうね~」
「はーい♪ 次はどこに行くー?」
早速と言わんばかりに次はどこに行くという話になる一同。
「さっき話にも出てたけど、井ノ島とか?」
「おっ、井ノ島いいな!」
「と、巴ちゃん! 起きてたの!?」
「絶対行こ! いつがいいかな!?」
「わっ、ひまりも起きてきた。2人共、疲れてたんじゃないの?」
いつの間にか巴とひまりが起きており、会話に参加していた。これには4人もびっくり。
「いやいや、こんな楽しそうな話聞いたら、飛び起きるって!」
「そうそう! 仲間外れにしないでよね~!」
なんとも2人らしい理由だった。
「あたしは『グランプリ・ド・パン』に行きたいな~。全国各地の有名ベーカリーが集う一大イベントなんだよ~」
「それならアタシはラーメン万博だな! 本場の超有名店が、新作ラーメンを限定で売るんだよ!」
「えー、それなら私は……」
次にみんなで遊びに行く場所を話してる3人を見て……
「あはは、みんなまだまだ元気みたいだね」
「ま、こういうのも悪くないよね」
「そうだね♪ 偶には……ね♪」
こういうのも悪くないなと思う夏々達なのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。
それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。
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