楠第三高等学校野球部 (親子丼(前:ゾーンタイガー))
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舞台設定 キャラクター紹介

・楠第三高等学校

 

埼玉にある、櫂が通っている高校。野球部の強さは、地方では1位2位を争うが、甲子園でなかなか勝利を上げることが難しい中堅校。偏差値は若干高く、一般入試で入学するのは若干難しい。勉学以外にも、スポーツにも力を入れており、一般入試以外にもスポーツ推薦で入学する生徒も半数いるようだ。

男子は学ラン、女子はセーラー服を着用させている。

 

 

・聖モナカラ学院

 

埼玉にある、佐野の通っている高校。弁護士や医者、教授などの高級取りの子供たちが集まる高校で、偏差値も極めて高く、学校の設備も充実している。野球部の強さは、佐野が入るまでは無名の弱小だったのだが、佐野の入部により、一気に強豪まで登り詰める。

制服は男女ともにブレザーで、ベージュやブラウンを基調とした落ち着いたデザインが特徴。

 

 

 

 

 

 

櫂 太一(かい たいち)

 

・プロフィール

学年:3年生

誕生日:8月15日

身長:177cm

体重:69kg

趣味:野球

好きな食べ物:カツサンド

苦手なこと:勉強

 

見た目

小麦色の肌に、3mmの坊主頭、茶色の瞳が特徴。制服を着てても、常に野球部の帽子を着用している。

 

概要

楠第三高等学校の野球部のキャプテン。楠第三高等学校へは、スポーツ推薦で入学している。ポジションはキャッチャーを務めており、長打力と強肩が売りの選手である。だが、一塁にランナーがいるとゲッツーを産んでしまうのが、たまにキズである。捕手としての能力は、投手の持ち味や内野手の守備範囲を考慮したリードをしている。

相当な野球バカで、制服や私服にも野球部の帽子を着用していて、出掛け先の荷物も常にボールとキャッチャーミット、バットを持参している。授業中も常に、ノートの真ん中に配球パターンを記述している。

性格は明るく前向きな性格で、考えるよりも先に行動するのが彼のモットーである。普段は誰にでも人懐っこいのだが、やる気のないやつや威張ってる奴を見ると、腹を立て説教する面もある。

好きな食べ物はカツサンドで、休日の練習や、試合の時には、毎回カツサンドを持参している。

捕手としての頭のキレはいいが、肝心の学力は学年の中では常に低く、居残り常習犯である。そのため、試験後の練習参加率は極めて低い。(キャプテンがこんなんでいいのか。)

父親は元野球選手で、広島西洋カーブスの捕手を務めていた。その影響で野球を始め、休日には父親に野球を教わっている。その父親は今、カーブスの野手コーチを務めている。

 

セリフ

「俺、櫂太一。よろしくな!」

「俺の趣味、野球一筋だ!」

「さぁ、思い切り俺のミットに投げて来い!俺が全力で捕ってやる!」

「あのな...多少漢字が読めないところで、死ぬわけがないだろう。」

「カツサンドは悪魔的ダァ!!」

 

・ポジション:捕手

・利き腕:右投右打

 

・弾道 3 (2)

・ミート B (5)

・パワー A (6)

・走力 C (4)

・肩力 B (5)

・守備力 C (4)

・捕球 B (5)

・合計:31

 

・特殊能力

パワーヒッター キャッチャー○ ムード○ 併殺

・合計:4

 

・総合合計:37

 

 

 

佐野 駿人(さの はやと)

 

・プロフィール

学年:3年生

誕生日:12月6日

身長:175cm

体重:62kg

趣味:読書、熱帯魚の飼育

好きな食べ物:鴨のコンフィ

苦手なこと:節足動物、昆虫

 

見た目:茶色のウルフカットの髪型。黒い瞳が特徴。一見細身だが、体はかなり割れている。

 

概要

櫂太一のライバルポジションにあたる。聖モナカラ学院の野球部員で、ポジションはピッチャーを務めている。細身の見た目に合わず、高校生ながら156kmのストレートを投げる速球派投手で、カーブやフォークで緩急をつけて、ストレートを速く見せている。打撃も太一に劣らず、長打力に更けている。

性格は表面上才能を信じている自信過剰で、見下されないように、常に人を見下すような態度をとっている。しかし裏面は、相応な努力家で、表面上の自分を崩さないためにも、人のいないところで練習や勉強に明け暮れている。なので、努力を見られてしまうと見下されてしまう可能性を感じて、日々努力と余裕の葛藤に悩んでいる。

中学に太一のチームに勝ったものの、太一にホームランを打たれ、その悔しさをバネに強豪校へ入るために練習に明け暮れていた。だが父親は関税士で、勉学優先の方針だったため、強豪校の推薦を全てキャンセルし、聖モナカラ学院に強制入学させられた。学力に関しては、常にトップ3に入る頭の良さを誇っている。

 

セリフ

「僕は佐野駿人、よろしく頼むよ。」

「あれぇ、君は誰だったかなぁ?」

「僕にかかれば156なんてチョロいモンだよ。」

「櫂...お前だけには撃たせないぞ...」

「父上、お許しください。」

 

 

ポジション:投手

・利き腕:左投左打

・適正:先 抑(4)

・球速:156km(8)

・制球:D(3)

・体力:B(5)

・変化球

カーブ2 (3)

フォーク2(3)

 

合計:26

 

特殊能力

ノビ◎ 奪三振 緩急 四球 軽い球

 

合計:4

 

投手総合合計:30

 

・弾道 3 (2)

・ミート C (4)

・パワー A(6)

・走力 D(3)

・肩力 A (5)

・守備力 E(3)

・捕球 E (3)

・合計:26

 

・特殊能力

広角打法

 

・合計:2

 

・野手総合合計:28

 

・総合合計:58

 

 

 

棚橋 道博(たなはし みちひろ)

 

・プロフィール

誕生日:5月25日

身長:172cm

体重:68kg

趣味:指導という名の体罰

好きな食べ物:日本酒、スルメ

苦手なこと:優しさを見せる事。

 

見た目:シワだらけの顔で、鋭い目つきをしている。髪型はスポーツ刈り。

 

概要

楠第三高等学校の教員であり、野球部の顧問でもある。生きる時代を間違えたかと言わんばかりの、スパルタ教育をしており、野球部員を雑兵扱いしている。1000本ノックやら、30分完走などの毎日厳しい練習を組んでおり、それらをこなせないと生きる価値なしと喝を入れたりする。そして試合で勝ったとしても、気を引き締めるためと言い、一切喜びの顔を見せず、自校と他校の罵倒は欠かさない。例え他校の生徒が目の前にいようと。しかし、ほかのスパルタ教員とは違い、見た目や髪型の強要、服装の指摘はしない。何故なら、全員坊主にしてしまうと、生徒の見分けがつかなくなるから。

そんな顧問だが、実は生徒想いで、本当に尽きてしまったものには、優しい言葉を投げ入れる優しさや寛容も持ち合わせている。

 

セリフ

「楠野球部の顧問、棚橋道博だ。」

「さぁて、楽しい、楽しい、1000本ノックの時間だよ?」

「こんな雑魚如きに勝って喜ぶとか、たるんどるぞ!」

「あー、坊主にはしなくていいぞ。俺は物覚えが悪いから、見分けがつかなくてな。」

「人にはいずれ、燃え尽きる時がある...その時は素直に身を引くことだ...」

 

 

 

 

涼風 音羽(すずかぜ おとは)

 

・プロフィール

学年:3年生

誕生日:9月28日

身長:157cm

体重:42kg

趣味:生花、お琴

好きな食べ物:桜餅

苦手なこと:寒いところ

 

見た目:黒髪のロングヘアのおろし髪が特徴。瞳の色は焦げ茶色。制服の着こなしは、春と夏は、膝下のハイソックスを着用し、秋と冬はタイツを着用している。冬になると冷え込むので、クリーム色のカーディガンを着込んでいる。

 

概要

楠第三高等学校の女生徒。お淑やかで穏やかな性格と、黒髪の艶やかさから、楠のマドンナとして、男子生徒の人気が高い。成績も常に学年で5位以内をキープしており、勉学にも精通している。両親は名家で裕福な生活を送れているが、両親はそこまで厳しくなく、割と自由を効かしてくれる。お淑やかな性格の要因の一つかもしれない。

櫂太一とは幼馴染で、登下校や昼休みは一緒に過ごしている。幼稚園の頃からずっと一緒で、楠高校よりもずっといい高校に入れたけど、太一と一緒に過ごしたいという理由で、一般入試で入学をする。

部活は帰宅部だが、マネージャーじみた行動をしており、差し入れにスポーツドリンクや手作りクッキーを野球部に持ってきている。料理が得意で、たまに太一にカツサンド振舞っている。

 

セリフ

「初めまして、涼風音羽と申します。」

「太一くん、カツサンドを作ってみたの。」

「差し入れのスポーツドリンク持ってきました。」

「太一くん。野球もいいけど、勉強もしっかりしないとダメだよ。」

「ぅぅぅ...さむい...」



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本編
進め、楠ナイン!


ミーンミンミーン ミーンミンミーン

 

夏の県大会、3回戦。8回の表1アウト三塁、楠第三高等学校野球は聖モナカラ学院相手に3-0とリードしていた。そんなチャンスで、3番打者が打席に入るのであった。

 

「よーし、ここで犠牲フライを打てばまたリードが広がるぞ!」

 

楠の3番打者は三塁ランナーを返すため、犠牲フライを狙っていた。その時、聖モナカラの監督は、タイムをかける。

 

(へっ、流石にリードされちゃ、タイムかけるのも無理はねぇな。)

 

タイムをかけた監督を見て、楠ナインは気を緩んでしまう。それもそのはず。聖モナカラ学院は、偏差値は高いものの、野球の強さに関しては、目にも見られない弱小校だったのだ。それに対し、楠第三高等学校は常に県大会でベスト4入りする中堅校なので、余裕になるのも無理がなかったのだ。

 

タイムが終わり、試合に戻る。その時、楠の3番打者は疑問に思ってしまう。何故なら、4番を前に敬遠をしていたからだ。

 

審判のフォアボールの叫びで、櫂太一が打席に入る。太一は2年生ながら、先輩を差し置いて、4番キャッチャーを任されている。太一は長打力と強肩が売りのキャッチャーで、ここで長打が決まれば2点は入るという、絶好のチャンスでしかも、今日の試合の3点のうち、2点は太一の打点であった。

 

「ここで、ピッチャー交代!千賀に代わって、佐野!」

 

『聖モナカラ学院、選手の交代をお知らせ致します。ピッチャー千賀くんに代わって、佐野くん。』

 

「おい、佐野って太一と同じ学年だよな。」

 

「そうらしいな。打たれて泥沼化になんなきゃいいけどな。」

 

楠ナインは、太一と同じ学年だと知り、また余裕をかましていた。しかし、佐野の投球練習を見て、言葉を失う楠ナインだった。それもそのはず、佐野こと佐野駿人は、2年生ながら球速156kmの速球を放っていた。しかも左で投げていたので、ナインが言葉を失うのも無理がなかった。

 

「おい、速すぎるだろ...」

 

「太一、バットを短く持ってミートしていけ!」

 

「はい...」

 

速球を目の当たりにした楠ナインは、太一に助言する。しかし、太一はその助言が耳に入らないほど、深く何かを思い出そうとしていた。

 

(櫂...中学の借りは返してやる...)

 

佐野はインコース高めに、直球を入れる。考え事をしていた太一は、胸元に速球が入り、よろけてしまう。その時、何かを思い出したようだ。

 

(佐野...!確か中学時代にホームランを放った選手だ!)

 

 

 

 

 

 

2年前

 

『4番、キャッチャー。櫂くん。』

 

中学時代の太一は、打席に入る。太一のチームは佐野のチームに2-0と押されていた。

 

(ここで点を決めて、勝利の狼煙をあげてやる...)

 

太一はホームラン狙いで、バットを長く持ち構える。中学時代の佐野は渾身のストレートを放つ。すると、太一の配球の読みが当たったのか...

 

カーン!!

 

佐野の放ったストレートは、太一の一振りでスタンドに入る。太一のホームランで、太一のチームは1点返すのであった。しかし、太一のチームメイトは、太一に続くことはできず、2-1で太一のチームは負けてしまったのだ。

 

「クソッ!この僕がホームランを打たれるなんて...」

 

佐野は勝利の嬉しさより、太一にホームランを打たれたことの悔しさが勝っているのだった。

 

 

 

 

 

 

2球目、佐野はまた強気にストレートを投げる。配球の読み当てた太一は、強気に長打を狙いにいく。

 

ポロッ...

 

「しまった...」

 

配球を読み当てたのにも関わらず、佐野のストレートのノビが中学の頃より格段に上がっていたため、なかなか飛ばなかった。セカンドゴロの併殺打に終わり、8回の表が終了する。

 

「すみません、先輩方...チャンスを無駄にして...」

 

「なっ...何...気にするな...ここ守れば俺らは勝てるさ...」

 

佐野の速球に動揺した楠ナイン。8回の裏、聖モナカラ学院は6番打者から始まるのであった。

 

(ここを抑えれば、俺らは勝てるぞ...)

 

佐野の速球に動揺した楠の投手は、ペースが乱れてまい、四球を許してしまう。それが7番打者にも同じ事が起きるのだった。

 

(なんかおかしいぞ...よし、喝を入れるためにインコースを攻めるか。)

 

動揺した心を殺すため、楠高校の投手は、8番打者のインコースを思い切り攻めるも、それが裏目に出てしまい、死球を与えてしまった。

 

『9番、ピッチャー。佐野くん。』

 

佐野の姿を見て、動揺した投手は、緊張で手が震えてしまう。手汗で球が上手く握れてない様子だ。

 

(先輩...)

 

中学時代、佐野の打撃を目の当たりした太一は、1点取られるのを承知の上で敬遠を要求する。佐野も太一同様、長打力に自信があったのだ。楠の投手は敬遠策に応じるも、手汗でコントールが効かず、ど真ん中にボールを放ってしまう。

 

カーン!!

 

(櫂...こんな試合じゃ、恨みが晴れないぞ'...)

 

楠の投手の失投を逃さなかった佐野は、長打を狙う。佐野の放った打球はスタンドに入り、3-4と逆転してしまうのだった。

 

「すまん、太一...佐野という投手に動揺してしまって...」

 

「先輩!俺に謝るなんて水臭いですよ!まずはこの回を終わらせましょう!」

 

太一の言葉で、調子を取り戻した楠投手。打たせて取るピッチングで、8回裏を終わらせる。しかし、佐野の速球に対応できず、9回の表は三者凡退で終わり、楠第三高等学校の夏は終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

「あんなお坊ちゃまの集まりの軟弱高校に負けるとは何事だ!!お前らたるんでおるぞ!!特に櫂、お前の併殺打がなけりゃ、この試合は勝てたんだぞ!!」

 

試合が終わり、3-4という結果に、棚橋監督は呆れている。試合に負けた原因を、太一に押し付けている。

 

「はい!私の併殺がなければ、この試合は勝てていました!!」

 

「よし、蟹より小さい脳みそのお前でも理解できたようだな!!罰として、学校までランニングで帰れ!!」

 

「はい!ありがたき幸せです!!」

 

太一は負けたことに責任を感じ、反省をする。棚橋監督は太一に罰として、球場から高校までランニングで走ることを命じ、太一は快くランニングで帰宅することを引き受ける。

 

(やっぱ、監督は相変わらずだよな...)

 

(太一が気の毒だぜ...)

 

楠ナインの先輩方は、夏が終わった悲しさより、監督の支配に解放される安心感が勝っていた。どうやら楠ナインの先輩方は、安心してバスに乗れたようだった。



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新キャプテン、櫂太一!

「県大会決勝、聖モナカラ学院4-0で甲子園進出か...」

 

太一は、『聖モナカラ学院、初甲子園出場!』という見出しの記事を見ている。聖モナカラ学院は、県大会3回戦で、楠第三高等学校を敗った学校である。

 

「太一くん、モナカラ学院にやられたのが相当悔しかったんだね...」

 

「あぁ...まさか中学最後の野球で敗れた投手に2度もやられたからな...」

 

聖モナカラ学院にやられた太一を気遣っていたのは、太一の同級生の涼風音羽。彼女は太一と幼馴染で、幼稚園の頃からの付きあいである。

 

「それより、カツサンド作ったから食べる?」

 

「おぉ!?いいのか!?食べるぞ!」

 

音羽はランチボックスを開ける。その中には、大量のカツサンドが入っている。太一はカツサンドが大好物なので、喜んでカツサンドを頬張る。

 

「慌てて食べなくても、カツサンドは逃げないよ。」

 

といいつつ、美味しそうに食べてる太一を見て、微笑んでる音羽であった。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、練習終わったら図書室に向かうからな。」

 

「うん、わかったよ。」

 

太一は音羽と約束し、練習へ向かう。今日は練習前にミーティングを開く予定を立てていた。

 

「みんな、集まったか。我々3年生は今日をもって引退をする。それに伴い、新キャプテンの発表をする。」

 

引退する3年生達は、在籍している部員達の前に立っている。前の部長がミーティングの進行役を務めていて、前の部長の口から新キャプテンを告げようとしている。その様子に周りは少しざわついている。

 

「では、新キャプテンの発表をする!新キャプテンは、櫂太一!櫂太一!」

 

「お、俺ですか!?」

 

前の部長の口から太一の言葉が出た時、太一は驚きの表情を隠せずにいる。しかし、周りの部員達は太一が部長に指名されたことに関しては納得している様子だ。

 

「お前は俺ら先輩を上手くまとめあげたからな。今度は同級生や後輩を引っ張ってやってくれ。」

 

「は...はい!誠心誠意込めて務めてまいります!!」

 

前の部長に期待された太一は、3年生の期待に応えるかのような眼差しをしている。3年生のミーティング終了後、棚橋監督が現れる。

 

「さて、茶番は終わったようだな。まずはランニングだ!太一は俺からの部長昇進祝いの20周!他のものは5周走る用に!!」

 

「「はい!!わかりました!!」」

 

棚橋監督は太一に昇進祝いと称して、他の部員の4倍の量を走るように指示をする。それに対し、太一や部員達は大声で返事をする。

 

 

 

 

 

 

その頃図書室にて、音羽は女友達と勉強をしている。

 

「どうしたの、音羽?」

 

「棚橋先生、少し生徒に優しくなってもいいと思うんですが...」

 

図書室の窓から野球部の練習を見ていた音羽は、女友達に心配される。音羽はどうやら棚橋監督の行きすぎた指導に問題視しているようだ。

 

「あー、棚橋ねー。あいつ野球になると熱が入りすぎて困るのよ。ウチの周りでスパルタ指導のせいで8人もやめたのよ。」

 

「太一くん、体壊さなきゃいいんですが...」

 

女生徒は、棚橋監督の噂を流している。それを聞いた音羽は、太一の身体を心配するのである。

 

 

 

 

 

 

「音羽が図書室の窓から覗いてる...」

 

カーン!!

 

太一はグラウンドから、図書室の窓を見ていた。よそ見をしていた太一に、棚橋監督の強い打球が飛んできて、顔面に当たる。

 

「新部長がよそ見とは何事だ!!窓の向こうに可愛い女の子がいたのか?俺の練習中によそ見をした罰として、お前だけ2000球増やす!!」

 

「はい!!すみませんでした!!」

 

棚橋監督はよそ見をしていた太一にキレ、ノックの球数の1000球の所を2000球に増やす。太一はよそ見していた事をを監督に謝り、ノックを再開する。

 

「あ゛ー、死ぬ...マージで監督俺らのこと殺す気かよ...声出し過ぎて喉痛てぇ...」

 

「.....なんであんな昭和脳についていけるんだ....」

 

棚橋監督の陰口を叩いていたのは、太一の同学年の青崎海尊と覇堂道成。彼らは一般入試組ながら、棚橋監督のシゴキのおかげで実力をつけた選手たちである。

 

「青崎、覇堂!神聖な練習に俺の陰口を言うのはいい度胸だな。罰として、ウサギ飛びでグラウンドを3周してこい!!」

 

「「は...はい!!!」」

 

(あーあ...喉痛てぇよ...)

 

(あいついつか通報して、クビにしてやるかな...)

 

青崎と覇堂は、監督の思いを胸にしまい込み、ウサギ飛び3周を開始する。

 

 

 

 

 

 

「今日の練習はここまで!!今日は後味が悪いから、明日はそんな事は2度と起こすんじゃねぇぞ!!」

 

「気を付け!ありがとうございました!!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

今日の練習が終わり、部員達の練習態度の悪さに棚橋監督はキレていた。太一の激励で今日の活動を締めるのであった。

 

「あー、腹減った...太一、これから焼肉食いにいかねぇか?」

 

「悪りぃ、道成。今日は予定があるからまた今度な!」

 

更衣室にて、覇堂は太一を焼肉に誘うも、太一は音羽と下校する約束をしているので、誘いを断る。

 

 

 

 

 

 

「お疲れ、太一くん。」

 

「お疲れ、音羽。」

 

太一と音羽は合流し、校門を抜けていく。

 

「太一くん...くれぐれも身体には気を付けてね...」

 

「お...俺はあんな監督にやられる程やわじゃないぞ!!」

 

その言葉を聞いて安心したのか、音羽は太一の腕を掴んで、微笑むのであった。その様子に太一は少し照れている様子だ。




キャラクターまだまだ募集しています。募集ページはこちらからです。

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楠野球部のバッティング

「あれ?今日も先客がいるのか。」

 

太一は放課後すぐ練習に向かうが、そこには茶色のショートカットに若干太目の眉、大きく尖った目が特徴的のどことなく数世紀前の武士のような印象を感じさせる青年がいる。

 

「お前も野球をしてないと落ち着かない人間だな。」

 

「すまない、今から素振りの時間なんだ。こればっかりは欠かせないんでな。」

 

「さて、俺もするか。」

 

数世紀前の武士のような印象を感じさせる青年は、直内嘉胤(じかうちかいん)といい、彼も一般入試組で入部してきた野球部員である。

 

「今日も俺より先に来れた雑兵共は太一と直内だけか。よし、お前らはバッティングに期待ができるから、フォームチェックをする。」

 

「「はい!!」」

 

グラウンドに棚橋監督が現れる。バッティングに期待できると判断された2人は、棚橋監督ご指導のもと、バッティングのフォームチェックが行われるのである。

 

 

 

 

 

 

「さて、練習を始める。太一、直内、如月はバッティング練習に打ち込ませる。覇道、お前はバッティングピッチャーを頼む。」

 

「んじゃ、やってやりますか。」

 

太一と直内、覇道と如月はバッティング練習に向かう。後の部員たちは、棚橋監督の千本ノックを受けるのであった。

 

最初に打席に入ったのは如月詩歌という女の子だった。彼女は白髪のショートに青い目が特徴の小柄な少女だが、バッティング面では棚橋監督に期待されている。

 

「行くぞ。」

 

「フフっ♪︎...倒す。」

 

覇道は鋭いストレートを投げるも、如月は球筋を捉えて鋭いライナーで返す。

 

「覇道のストレートを、鋭い打球で返すなんて...お前は暇があれば素振りしてるんだな...」

 

覇道のストレートをしっかり捉えた如月は、小柄な体型から想像できない鋭い打球を放つ。その様子を見た太一は感心している。その一方で直内は、タイミングを合わせるために覇道のストレートを見ながら素振りをしている。

 

「面白い...俺の必殺技(ジャイロボール)を解禁する...」

 

「今から...飛ばす。」

 

覇道はワインドアップからジャイロ回転をかけたストレートを放つ。そのジャイロボールを見極めた如月はバットを長く持ち、グラウンドの外まで引っ張り、飛ばしていく。

 

「すげぇパワーだ...」

 

覇道は如月の小柄な体型から想像できない長打力に驚いている。バッティング練習を終えた如月は水分補給...ではなく、餅補給をしている。

 

 

 

 

 

 

「次は直内!」

 

直内は打席に入り、フォームチェックをする。フォームチェックを終えた直内の前に、覇道はジャイロボールを放つも、直内はストレートに強く、ジャイロボールを次々と鋭い打球で返していく。

 

「ふっ、これならどうだ...」

 

バッティングピッチャーと言えど、投手のプライドを刺激してしまい、覇道はインハイギリギリのコースにジャイロボールを放つ。しかし、それが彼の命取りになる...

 

カーン!!

 

「なんせ俺はインコースが得意なもんでな。インコースの打球を捌く技術の取得に苦労はしたぜ...」

 

直内はインコース捌きが得意な巧打者で、一般入試組でありながらも棚橋監督のスパルタ教育と日々の自主練のおかげでインコース捌きが得意になる。太一曰く、入部当初は、先輩の真ん中直球もすら打てなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

「櫂か、こりゃ嫌なバッターが来たもんだな...」

 

「へへっ!お前のジャイロボール、簡単に返してやるもんね!」

 

太一が打席に入り、覇道は少し緊張している様子。それもそのはず、夏の甲子園で先輩を差し置いて四番打者として指名されたからだ。

 

「さて、俺の必殺技(ジャイロボール)を解禁する...」

 

「さあ来い!」

 

ポロッ...

 

覇道のフェイクにまんまと引っかかる太一。その打球は内野線を越えておらず、一塁にランナーがいたら、併殺打になる可能性がある打球だった。

 

「ん?一言もジャイロボールとは言ってないぞ?」

 

覇道は太一に、カーブを放っていた様子。覇道は改めてジャイロボールを放つ。

 

「よし来た!」

 

太一は覇道のジャイロボールを、左中間、右中間に長打で打ち分ける練習をする。左中間の打球は飛距離はあるものの、右中間の打球は左中間と比べると飛距離が出ずにいる。

 

「まだダメか...」

 

太一は右中間にも強い打球を捌く練習をしているが、まだまだ苦戦中の様子。

 

 

 

 

 

「さて、明日から夏休みに入る。夏休み中は朝からやるから、気を引き締めていけ!」

 

「「はい!!ありがとうございました!!」」

 

今日の練習も終わり、部員たちは帰宅の準備をする。甲子園も間近になり、楠に勝利した佐野という投手が気になった直内は、太一に話しかける。

 

「なぁ、佐野ってどんな投手だったんだ?」

 

と聞く直内に、太一は答える。

 

「佐野は速球派投手で、多分うちの地区で一番速い速球を放つ選手だな。」

 

「俺みたいな感じのやつか。どうやって打ち崩すんだ...」

 

「あぁ、あいつは確かにいい速球を投げる。だが、あいつの球は軽いから当たると結構飛ぶんだよ。」

 

太一は直内に佐野対策を話す。それを聞いた直内は太一を誘い、バッティングセンターへ向かうのであった。




楠野球部員まだまだ募集しています。特に、一塁手、遊撃手、外野手は積極的に募集しております!

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