MAKOTO ITO 転生記────(見境なく)ヤりたくねぇ (YADANAKA)
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多分続かない



特になし


夜。二人の男が絶えず吹き抜ける冷たいビル風を受けていた。片方によりその風を斬るように音もなく弾丸が発射された。その弾丸は寸分の狂いなく標的に命中する。狙撃した方の男はその光景を確認して、インカムで連絡を入れながら部下と帰る準備をし始めた。

 

「───ええ。目標は喉を貫かれて予定の地点に倒れてます。───分かりました。後処理の方はお願いします。───はい。また普段の生活に戻ります。───では、失礼します」

 

殺人を実行した男はそう言って電話を切る。細身で長身。小顔でイケメン。爽やかな顔で筋肉質の体。それでいてどこか見た事のある顔。

 

彼はサングラスをかけて愛用の銃をしまって歩き出す。その姿は一見すると歴戦の猛者だ。しかし、実際は日本の高校生だ。それも年齢詐称など一切無しの。

 

彼はこの世界に神によって送られた存在。そんな彼の名前は伊藤誠。そう、世界一のクズ男───との呼び声高いあの男───の特性を持っているのだ。

 

「俺も大分変わったなぁ……あっそうだ。1つパシられてくれない?」

 

「嫌ですけど。早く帰った方が“嫁”さん喜ぶのでは?」

 

「まぁまぁすぐそこのコンビニでいいからさ……お前の買ったパンじゃなきゃダメなんだよ☆」

 

「それ“嫁”さんに言ってやるべきでは?」

 

「いやそんなこと彼女には言えないよ」

 

そんなやり取りをしながら彼らはエレベーターから降りてビル地下の駐車場を歩く。迎えの車を待ちながら彼はここまでの事を思い返していた。

 

これは神の手違いで殺されて、その神によって運命を左右されて、この世界にやってきた男。【伊藤誠】の物語である。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

広く明るいだけの空間に2人がいた。1人は杖をつき、もう片方は横になっていた。その横になっていた方が瞼を開ける。

 

「おお、起きたかの。自分が誰かわかるか?」

 

「いんや。……て、誰だアンタ」

 

「おっと、名乗ってなかったの。儂はお主達の言う神様みたいなもんじゃ。手違いでお主を殺してしまったのでな、ここに魂を呼んだんじゃよ」

 

神と名乗る謎の存在に驚きながらも応対する青年と思しき存在。魂なら実態は無いものだと思っていたが、体がある事にも青年は驚いた。

 

「ん?ああ、魂と言っても少しやって貰わなくてはならんことがあっての。今は特別に実態があるんじゃよ」

 

なるほどと青年は納得しつつ当たりを見て、気になるものを見つけた。それは前世で見たダーツのセットの巨大版のように見えた。

 

「っていうか、俺死んだんですか?」

 

「そうじゃよ。いやほんとにすまなかったの。本当はお主の隣に住む者を消すはずじゃったが、謝って巻き込んでしまったのじゃ。改めて謝罪をさせてくれ」

 

神様に頭を下げさせる事に気まずさを感じた彼は、さっさと受けて気になる事を聞くことにした。それは俺はこれからどうなるのかということだ。

 

「あそこに立ってもらって、ダーツをしてもらう。5回投げてもらって刺さった部分の特典を付与するのが通例なんじゃよ」

 

神様がそういうとダーツセットが目の前に移動し、青年は不思議と立たされてダーツを構えていた。早くやれ、ということだろう。

 

青年が投げたダーツは真っ直ぐ飛んで行き、ど真ん中のやや上の金色の部分に突き刺さった。そこには「1番」という数字が書かれている。

 

「おお!お主持っておるのぉ。そこを刺したのはお主で1684人目じゃぞ。幸先良いのぉ。ほれ、どんどんやるのじゃ」

 

適当にやっていい所に行ったのは嬉しかったが、人数と神様の態度に喜んでいいものかと悩みながら青年は2投目を投げた。

 

「フムフム、269番じゃな。良いところに行くのぉ。お主もしかして狙撃の才能が有るんじゃないかの?」

 

青年は前世の夏休みにあった射的とかで1人寂しく無双したなとか、懐かしみつつ次のダーツを放った。そのダーツは真っ直ぐ飛んで行き4545と書かれたピンクっぽいところに命中した。

 

「ふむ?それはあってもなくても変わらん気がするのじゃが……まぁ、あって損にはなるまい」

 

神様の発言に若干嫌な予感がしながらも4投目を祈りながら放った。そのダーツは青年の願いが届いたかのように、綺麗な放物線を描きながら飛んで行き刺さった。

 

「ほっほぉ…!ここでまさかの69番とはのぉ。誰も想像できなかろうて。しかしそうなると、どうしたもんかの……」

 

どうやら神様の予想とはちがうところに行ったのか、神様があーでもないこーでもないと、唸りだした。青年としてはどこを狙えば良いか分からないので、狙いを定めずに適当に投げてるだけだが。

 

「とりあえずラスト投げますよ?」

 

そうして青年により最後のダーツが放たれた。攻めて当たりますようにと、特典なら良いものしか無いだろうと考えながら彼は投げた。そして事件は起きる。

 

「……ん?お主…一体どこに刺さったのか、言ってもらえんかの?」

 

「110番と0510番って書いてありますけど…?これが何か?」

 

「クックック……!いやいやいや!こ、こっちの話じゃ。気にするで無い。────ブッハッハッハ……!!」

 

刺さった場所が余程変だったのか、神様は腹を抱えて笑いだした。一体全体この番号はなんなのだろうか。小さいマスに上から110と0510と分けられて書かれたこの部分。ここから彼の運命が狂い出す。

 

「それで、まぁ、特典の発表をしていこうと思うんじゃが。1つ目の1番は【全身体能力 極】という、筋力や視力だけでなく、治癒力、頭の回転力等も世界トップクラスの能力になるものじゃ。もちろん努力は必要じゃがの。能力が伸びやすいということじゃな」

 

そう言いながら神様が青年の体に光る何かを入れた。詳しくは分からないが魂に能力を付け足しているのだな、と彼はすぐに理解出来た。

 

「で、2つ目が【イケメン 高】じゃ。これは誰が見てもイケメンと言われるような美少年になれるものじゃ。背格好も小顔で長身、細マッチョで手足が長い。要は男の理想みたいなもんじゃよ」

 

2つ目の特典は男なら誰もが羨む、と言っても過言ではない能力だと聞かされて、青年は嬉しくなったと同時に安心した。良かった特典って良いものばっかなんだな、と。

 

「3つ目は【恋愛運 極】将来の嫁さんが見つかりやすくなったり、可愛い子と付き合いやすくなる能力じゃな。【イケメン】があれば要らんとも思えるが、まぁ、あっても損にはなるまい。プラスにもなるじゃろうしの」

 

青年はこの人、じゃなくて神様は何を言ってるのかと思った。イケメンや美女になりたいと思うのは当然では無いか?と。イケメンだから美人さんと結ばれる訳でもないだろうと。

 

しかし、仮にイケメンが言って引かれる言葉で、ブサイクが言ったらカッコイイことってあるだろうか?いやあるまい。だからこそイケメンは必要でもあり、恋愛運は必要だと彼はそう結論付ける。

 

「なるほどのぉ。人間はそう考えるのか。いい勉強になったわい。そんで次が4つ目じゃが──【超ロングスナイプ 】というものじゃ。……これで君も狙撃の盟主じゃな!おめでとう!」

 

ん?何か雲行きが怪しくなってないか?と青年は訝しげに視線を向ける。ここまで日常生活で為になりそうな物を貰えていたが、ここに来てなんと物騒なものを渡したんだと彼は若干睨み始めた。

 

「もしかして狙った女の子のハートを必ずゲット出来る…とか?そういうやつですかね?」

 

「フッバカめ……そんなわけなかろう。これは本当の狙撃にしか関係ないぞ」

 

ムカついたがダメ元で聞いたし、薄々理解してたが納得は出来なかった青年だったが、プラスに考えて射的で活用できると思い直す事にした。切り替えは大事と2度ほど呟いて。

 

「それでのぉ…?問題というか、なんというか、運があるんだか、ないんだか分からんのじゃが……最後の特典はな?言いにくいんじゃが───【伊藤誠】という能力じゃ」

 

「───おい爺さん。もっかいゆっくり言ってくれ」

 

「気持ちは分かる。じゃが決まってしまったし今更変えられん」

 

「いやだから、もう1回言ってくれないか?」

 

「大人しくこの特典も受け取るのじゃ。ほれ、チコウヨレ」

 

「いやなんで最後カタコトなんだよ。OKOK。貰う前に聞かせてくれ、それはどんな能力なんだ?」

 

「自分勝手に色んな女とヤれて殺される能力じゃ」

 

「いらんわ!!!」

 

切り替えとかそういった次元の話ではない。そんな巫山戯た能力なんぞ要らん。と、全力で拒む青年。しかし、もう既に賽は投げられた。

 

「まぁそう言うな。運は良い時もあれば、悪い時もある。そう割り切るんじゃ」

 

「出来るわけねぇよ!!!」

 

「落ち着くのじゃ。案外悪くない能力じゃぞ?……多分」

 

多分と言っていたあたり不安しかないが、青年は聞くだけ聞くことにした。いざとなれば折角貰った特典使って、ダーツ投げて抵抗したると息巻いて。

 

「1つ、女にモテる」

 

「うん」

 

「1つ、家事が得意」

 

「うん」

 

「1つ、下半身の運動が上手い」

 

「…うん」

 

「1つ、自分勝手」

 

「……うん」

 

「1つ、面倒臭がり」

 

「…うん」

 

「1つ、色んな子とヤレる」

 

「…うん」

 

「1つ、修羅場量産機になれる」

 

「……うん」

 

「1つ、ストライゾーンが広くなる」

 

「………うん」

 

「1つ、優柔不断」

 

「…うん」

 

「1つ、刺されて死ぬ」

 

「いらんわ!!!!」

 

今度こそ本気で嫌だと青年は全力で叫んだ。が、時すでに遅し。神様は青年が叫んでる間に特典を付与した。

 

「うおい!!何勝手にしとんじゃこらぁ!!」

 

「慈悲としてご都合主義と可愛い幼馴染とか用意してやるから叫ぶな!」

 

「叫ぶわァ!これで全部マイナス値だろうが!ていうかそもそも誰があんなん書いたんだよ!」

 

「知らんわ!儂以外の誰かが勝手に書いたんじゃよ!」

 

「そこはちゃんと管理しとけよ!殺した上になんでこんな特典渡すんだよ!」

 

「まさに【泣きっ面に蜂】じゃな」

 

「ふざけんなぁ!!!!」

 

「アベシっ!!」

 

流石に我慢できなかった青年は全力で神様の顔面を殴り飛ばした。特典で強化されているとはいえ、素直に喰らうあたり責任を感じてそうだ。

 

「…………で?結局俺どうなってんだよ。スナイパーの能力とかも最初の特典とかで強化されたりすんの?」

 

「お、おお。そうじゃな。そこの説明をせねばの。まず── 1番+69番=狙撃面は世界一で、残りの能力が世界有数+269番=射撃無双の完璧超人+4545番=理不尽な存在+1100510番=ちょうどよくなる。 ──というわけじゃ」

 

「なるほどね。改めて聞くと最後のやつホントに要らねえな」

 

「そういうでない。てか、お主の口調が素になってる気がするが…?」

 

「もう今更だろ?で、可愛い幼馴染を用意してくれるって本当か?」

 

「そりゃもちろん。飛びっきりの美少女を用意しとくぞ。もちろんお主好みの栗毛色でポニーテール、身長が170〜165でEカップの女の子じゃな。随分と細かい上に理想が高いのぉ」

 

「うるせぇわ!!!てかなんで知ってんだよ!?!?神様かなんかかよ!!」

 

「そりゃ神様じゃし」

 

そうだった、そういやコイツ神様だった。と地面をバシバシと叩く青年。そんな青年を尻目で見ながら神様は説明を続ける。

 

「ただ将来お主と結ばれるかどうかは、儂含めて、誰にも分からんがの。ほら、倫理的なやつとか、男尊女卑だとかで騒がれるでな」

 

「…騒がれるのか?神様の間でも?」

 

「何かにつけて突っかかるやつというのは何処にでも存在するんじゃよ」

 

そう言って神様は立ち上がった。何するのかと青年が見ていると何やら光の穴を作った。何処か血の色だったり、闇が見える気もするが地獄では無さそうだ。

 

「ここから歩いていけばお主の新たな世界に辿り着ける。お主の能力……狙撃とかが大いに役立つ世界じゃから安心すると良い」

 

神様はそういうと姿が消えていった。ふと周りを見るとダーツセットも無くなっている。果てして夢だったのか、現実だったのか。青年は確かめる為にもその穴に入っていった。

 

「てかどこに行くんだ?これ……転生…なのか?」

 

 






まぁ適当なんかじで失礼するなり


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次から始まるかな?

ルパン三世と怪盗キッドはそれぞれ映画とかで接触が中心ですかね〜。

作者もまだ加筆修正しながら読み返し中です笑


目が覚めて辺りを見渡すと、青年の周りには幼児が寝転がっていた。それも数人ではなく40人くらいはいる。暗く静まり返っているが、外に目を向けるとまだまだ太陽の光が元気いっぱいに外を照らしていた。

 

(ここはどこだ?…俺は転生したん、だよな?一体なにご───!?)

 

青年が思考を巡らせていると突如背後からヒタヒタと誰かが忍び寄ってきた。その足音の方に目をやると、青年は抱き抱えられた。

 

と思ったらその者は青年に布団をかぶせた。そして子守歌を歌い始める。青年はとりあえず寝たフリをする事にした。ここまでの少ない情報で、彼はある事に気づいた。

 

俺の体が縮んでる!?と言うことに。青年に布団をかぶせた者は青年が寝たと思って離れていったが、その後彼は顔を動かして辺りを見回す。すると幼稚園感丸出しの飾り付けが見えた。

 

そう、青年は無事転生した。幼稚園の頃の新たな体に。彼は特典を早く使いたいなとか思いつつ、惰眠を貪る事にした。

 

それから物語はどんどん進んで行く。青年は同世代のもの達と共にスクスクと成長して、特に家が隣の神様が用意してくれた可愛い幼馴染と遊んだ。

 

日頃から外で遊びまくり、家でも走り回る青年(幼児体型)を見たこの世界での親は彼をサッカーのクラブチームに入れることにした。

 

青年は嫌な顔せず、それどころか嬉々としてサッカーを初めた。親はサッカーを気に入ったと思ったが、実際は特典を存分にとまではいかないが可能な範囲で使えるからだ。

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!』

 

『なっ!?なんなんだおメェは!?!?』

 

たまたま公園でやってた子供達に混ざってサッカーをした時に、参加してた1歳年下の彼に対して散々に行った正面からのスライディング。死神退治ではないが、バッティングしてしまった以上、今のうちに嫌がらせをしておく外道感。いずれ倍返しされるだろう。

 

その報復を恐れた青年は中学から野球を始める事にした。ある程度体の使い方が分かった彼は「類稀な身体能力 超高校級の選手現る!!」等という見出しで新聞にも掲載されるほどの成績を叩き出した。

 

高校1年目の春に両親を無くすが、それでも腐ること無く野球の練習をし、1年目ながらいきなり2塁のレギュラーを勝ち取った。チームも甲子園大会で上場の成績を残した。

 

2年目はさらに実力を付けて甲子園に出場し、プロのスカウトを何度も受けた。しかし、彼には悩みがあった。それは────中学時代に単を発する【伊藤誠】による性害(さいがい)だ。

 

 

入学初日に隣の席の女子に幼馴染との仲介役してあげよっか?と言われたり、朝学校に行くとバレンタインチョコの波に溺れたり、クラスメイトVS幼馴染VS先輩女子でバトってたり、いつの間にかファンクラブが出来てたり、中学時代にストーカーに刺されたり、幼馴染との初めての夜にアレで虜にしてしまったり、デートで自分勝手に行動してしまったり、面倒臭がったり、他の女子に気持ちが流れかけたり、すれ違った女性の心を何故か奪ってしまったり、枚挙に暇がないとはこのことだ。

 

他にもあるがそれはまたにしよう。そんなこんなで現在は伊藤誠にとって、2度目の高校生活最終年。今年からキャプテンとしてチームを引っ張る。

 

しかし、キャプテンマークを付ける時に事件が起きた。将来有望ということもあって、取材が来ていたのだが、キャプテンマークに関して質問をしてきたのだ。

 

『伊藤誠君!どうですか?キャプテンマークを身に付けてみて』

 

『…そっすね。──んーー…やっぱり今まで色んな尊敬する先輩方の腕に付けられてただけあって───』

 

【重い】と言うか?と皆が予測するなか、彼はこう言った。

 

『ボロボロで、汗臭くて、んーーまぁ軽い素材なんで気にしなくて済みそうですけどね。アハハ!ていうか、こんな大層なものあんま持ちたくないですし(笑)』

 

『え、えーーっと先輩方の軌跡が残っていると…言うことですね?』

 

『あーまぁそんな感じで?すかね。そんなところで、んじゃ』

 

そう言って彼は取材はもう終わりと勝手に決めて練習に戻ってった。なんともまあ自分勝手で、面倒臭がりなのだろうか。

 

その記事のコメント欄には『練習の邪魔はダメだろ!』とか、『答えが規格外さを物語ってるwww』、『冗談の中に敬意を表してんだな』と好印象だったのも【伊藤誠】効果だろうか。

 

この時は上手い具合に特典が効果を発揮した訳だが、いつまでも何度も上手くいくとは思えない。ということで伊藤誠はとある決断をする事にした。

 

この世界は死神がいたようにコナンの世界。下手したら自分が殺されてコナンが解決するということになりかねない。現に3回ストーカーに襲われて1度刺された。その上、彼はこの歳に高校2年。つまり原作開始の年だ。

 

折角本当の神様に2度目の人生を歩ませて貰っているのに、そんな早く死ぬつもりは無い。あの時神様はご都合主義があると言った。

 

そこで彼は自分の身を守るために、その力を利用させてもらおうでは無いかと考えた。上述したようにならないためには何が必要か。

 

それは自分の身を守る力と、【伊藤誠】を発動しないことだ。自己防衛が出来ればまず死なない。【伊藤誠】を発動させなければそもそも危険な目にも合わない。

 

彼は特典についてこう考える。【伊藤誠】が発動するのは学校生活をして、他の女子と話すからではないのだろうか?と。では、どうするべきか。答えは簡単。時間を減らせばいいのだ。

 

幸いなことに伊藤誠が通ってる高校の練習は量より質。だから他校よりかは時間がある。本来その時間は体の回復や筋肉の成長の為のものだが、特典のお陰で解決出来る。

 

それから彼はパルクールと狙撃の練習を開始した。朝幼馴染と一緒に登校する時に体に重りを付けて荷物を持ち、輪ゴムを腕にいつも5本つけ的っぽいのを撃った。休み時間に校舎をよじ登ったり、教師の顔を狙い撃っては怒られた。下校時も登校時と同じ事をした。深夜は誰にも気づかれないように静かに屋根を飛び回った。

 

そうして過ごすこと体感2年・実際1ヶ月。ループが始まった時に、ご都合主義宜しくとばかりに、公安委員会の職員が訪ねてきた。その職員の顔はどこからどー見ても暗○教室の烏間特務長官(先生)だった。

 

『ニュや!?なっなんなんですか…!?いきなりやって来るなんて。ハッ!?まさか私の秘蔵のグラビア雑誌コレクションを奪いに!?!?』

 

『……突然訪問したのは謝罪するが、君のコレクションに手を付ける気はない。今回は君に依頼をしに来た』

 

『もしかして超生物か!?タコみたいな奴なのか!?』

 

【伊藤誠は 暗○教室の 世界へ 逃げようとした!】

 

『いや…そんな報告は聞いていないが。我々は君に公安委員会の一員になるかどうかのスカウトをしに来たんだ。』

 

【しかし 出来なかった!】

 

伊藤誠はもしかしたら死神の世界から逃避行をする事が出来るのか!?と淡い期待をしたが不可能だったようだ。

 

それから彼は時間を見つけては訓練をした。自分に合う格闘術と狙撃銃、更には世界中の言語と教養etc……。

 

そうすること体感3年・実際2ヶ月。とうとう彼は公安委員会において、最重要機密部隊・【無双機動装甲射撃部隊】通称ムシャ(無射)への配属が決まった。

 

この部隊は日本中に14人しか存在せず、公安委員会が秘密裏に保有する世界最強の部隊だ。メンバー構成はリーダー1人、副リーダー2人。その他11名。

 

日夜、日本中・世界中を飛び回り社会的に消すべき人・物を消している。時には諜報員同士による戦争も行われる事があるが、それにも規模や重要性次第で参加する。

 

普段は高校生として、野球での期待のルーキーとして生活しているが、夜は任務を1ヶ月に約3件こなしている。

 

そうして回想する事数分。今日も一日お疲れ様と、部下に声をかけて車を降り歩いて家に帰った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいまー!」

 

伊藤誠が住んでいる家はなかなか大きな一軒家である。親を亡くすまではそう感じなかったが、いざ居なくなると寂しいもので最初は塞ぎかけた。

 

「おかえり〜!今日も一日お疲れ様!」

 

しかし、そんな彼を救ったのがこの幼馴染だ。名前は佐藤光(さとうひかる)。家が隣ということもあって、毎日のように一緒にいた彼が心配になった彼女は、必死になって彼を励ました。その時に一線を超えたのは、規定ルートだろうか。

 

伊藤誠としても気持ちが流れかけたりしない為に、彼女の存在は有難かった。もしいなかったら、今頃最低でも5人と関係を持っていたことだろう。因みに彼女は吹部に所属していて、トランペットと応援歌作りを得意としている。

 

そんな彼女だが、普段はとてもとっっっっても優しい。しかし、1度怒ると歯止めが効かなくなる。かつてグラビア雑誌とその他諸々が見つかった時も彼は地獄を見た。

 

『このグラビア雑誌とエ○本はなに?』

 

『いやぁ…これはなんと言いましょうか…嗜みと言いますか』

 

『…ふぅーん』

 

『あれ?怒ってない?』

 

『?怒ることじゃないもん。だって男の子だもんね。でも……』

 

『??』

 

『他にもあるなら───ワカッテルヨネ?』

 

『ハイッ!!』

 

 

そんなこんなで原作がゆーっくり進むのに合わせてこちらも進んでいる。将来プロ野球選手になったら、なんて借り染めの夢を語って。

 

一応報告しておくと、彼らが【する】時は伊藤誠が帰ってきた時に彼女がこう答える。『今日のご飯は自信作だよ〜!』と。

 

意訳すると『今日は私の身体をいっぱい食べてね?』である。気づかなかった時は、大変だったらしい。

 

なので伊藤誠と彼女が(大会開かずに)寝ていると彼にある連絡が入った。彼は気付かれることなくベッドから抜け出し、メッセージを確認してため息を吐いた。

 

「日本一のツインタワー……ね」

 

彼に与えられた任務とは一体なんなんのだろうか。




少しずつ出してきますねー!宜しく!


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彼は有名人のようです(良い意味で)

今日から劇場版に入り込みますよー!

頑張れ誠!

ツインタワーって時期設定何時なんだろ…春でいいや。


ここは公安委員会が所有する秘密の作戦会議所の1つ。まだ太陽が上がりきってない時間帯に伊藤誠はそこにやって来た。因みに彼女には走り込みをしてくると書き置きをしてきた。

 

彼の前にはいかにもヤバそうな怪物が1人いる。暗○教室の烏間特務長官(先生)に瓜二つの顔をした男。彼こそが無射の唯一無二のリーダーである。コードネームは鬼。元軍人で新人時代に教官を10人フルボッコした最強の肉弾戦車だ。握力はゴリラに匹敵するとかしないとか。

 

「今回の標的はこの4名だ。左から元国会議員の隼 法政(やぶさ ほせい)、現都議会議員の傀儡 莎鎌(かいら されん)、外交学者の國 無(くにづくり なしお)、最後に宝石商の金 頑強(キム カンキョー)。この者達の抹殺をする事が任務だ。面倒な事にこいつらは偽名でパーティーに参加するらしい。しかし、この写真の顔でパーティーの最中に取引をとあるグループとするとの情報が入った。逃す理由は無い。やり方は普段通り、何も決まりはない。だが、確実に誰にも気づかれないように消せ」

 

そしてその隣にいるのも伊藤誠の上司に当たる副リーダーだ。実力は戦闘に限定して言えば、伊藤誠の方が上だ。が、彼の本業はハッカーや力を使わない合気道の類。射撃や力比べなら伊藤誠に軍配が上がるが、実際に戦ったらおそらく勝てない。容姿と発言は朝比○ミクルみたいなイメージだ。

 

「それと〜変な組織が動いているとの情報が手に入りました〜。可能ならそいつらの情報も集めて欲しいんです〜。なんでもツインタワーのコンピュータ関連の人物が元その組織だそうで〜そいつを中心に手に入れる事をオススメします〜。ただ、そいつを仲間が消しに行く可能性が高いというわけで〜そいつらの行動も、注視しとくようにしてください〜以上です〜」

 

部隊のリーダーと副リーダーから与えられた任務はいつもと何ら変わりない暗殺の仕事と諜報の仕事。資料によるとこの4人はどうやらグルとなって資金の横領をしていたそうだ。その上情報を外国に売ったこともあったと言う。

 

名前こそ彼らは派手だが行動はそこまで活発では無い。目立てば色々と調べられる事を知っているからだろう。殺す側としても知名度が無い方が助かるが。

 

「パーティーに潜入するのか、(別の建物)外から狙撃するのかどちらで?それともそれ以外で?(てか、変な組織って十中八九黒ずくめの組織だろうなぁ──戦うのは面倒だな。利用するぐらいにしとこ)」

 

「それに関しても自由にやってくれ。拘束はしない。ただ長引かせることはしないでくれ」

 

それはそうだ。暗殺系統をする際に最もしてはならないのが、長い間同じ事をすることだ。散々言われた事をするはずがない。まず大事なのは秘匿性。失敗してもバレなければ良い。

 

「長引かせると、労働法を破ってしまうからな。今はホワイト企業or組織を目指す世の中だ。我々も守らなくてはならん」

 

彼は「いや、人殺しの部隊のリーダーがホワイトって。もう既に色々アウトだろ」等とは思っても口には出さなかった。リーダーの実力は今の伊藤誠の数倍。気分を害すと何されるのやら。

 

それから伊藤誠は任務開始の日まで少し時間があったので、その間に計画を決めて提出。必要な根回しや道具も普段より注意して用意した。普段よりも入念に下準備をしたのには理由がある。

 

この任務においてもっとも警戒すべきは標的関連ではない。死神とその他多数がやってくるからだ。そのせいで任務の場所のビルは大炎上するし、最後までビルに彼らがいるせいで、パーティー中どころか始まる前に消す必要すらあるかも知れない。

 

そのために彼はいかにも過剰戦力な自身の愛銃を始めとする、愛用の武具を全て用意して作戦を練った。幸いな事に標的も死神らも必ず逃げる事に必死になる。

 

だから注意の意識はこっちにはそうそう来ない。なので最悪の事態を想定しつつも、伊藤誠はある程度今回の任務には余裕を持って臨む事になる。唯一緊張するのは、情報を盗むことぐらいだろう。そんなわけで普段の生活の始まりである。

 

「なぁなぁ聞いてくれよ誠!俺昨日何があったと思う?」

 

「んー?彼女とデートって言ってなかったか?」

 

「そうなんだよ!そうだったんだよ!一体俺が昨日何してたか当ててみろ!」

 

そう言って彼が取り出したのは時間ごとに何をしてたのかを書いた紙。そこには荒々しい文字でこう書かれていた。

 

17:00 彼女と待ち合わせ

18:00 映画鑑賞

20:00 夜ご飯

21:00 (?)

23:00 帰宅

 

「この?の所で何があったと思う!?」

 

「普通に考えて彼女とヨロシクしたんじゃないのか?」

 

「そうだよなぁ!そうだよなぁ!ホントならそうなんだよなぁ!」

 

「違うのか?じゃあなんなんだよ?」

 

「待ち合わせの場所に来なかった彼女をもう一度待ってみたんだよ!!」

 

予想と180°どころか二、三周ぐらい超えてきた返答に、伊藤誠も近くで話を聞いていた者も言葉に詰まる。いくらなんでも悲しすぎる。今度誰かいい人を紹介してやろう。皆がそう強く思った瞬間だった。

 

「ねぇねぇ!誠君ってさ、なんか格言みたいな言葉ある?」

 

「格言?んー格言というか、好きな言葉ならあるけど…それで良い?」

 

「うん!(よっしゃ皆!メモの準備!!!)」

 

(ラジャー!!!)

 

「俺の好きな言葉はWhen you reach for the stars,you may not quite get one,but you won’t come up with handful of mud either.……日本語だと、星を掴もうとして手を伸ばしてもなかなか叶わないかもしれない。だが、星を掴もうと努力する限り、その手に泥(ゴミ)を掴むこともまたない。っていう言葉だよ。これを口に出したり、心の中で反芻すると冷静になれるんだ。ま、口癖みたいなもんだよ」

 

「………(英語のとかカッコいい!!!!)そ、そうなんだぁ〜!」

 

簡単に言えば努力すればなんとかなると言うこと。この世界に来て何度も死線を、修羅場を超えてきた。特典の効果もあって、努力すればするほど目に見えて能力を伸ばせた。だからこそ何か行動すれば、しないよりかはどんな時でも何かが起こる。それを上手く利用できるかどうかは自分次第。

 

どうせやられるなら、悪足掻きする。玉砕などしたくはないが、惨めに殺されるよりかは良い。ただそれだけである。

 

因みに英語を話した結果、意味は分かったものの誰もメモ出来なかったのはご愛嬌だ。

 

昼食中に伊藤誠とご飯を食べる者はその時々で変わる。勿論話す内容も変わる。今回はホラを誰が1番多く言えるかの戦いだ。

 

「映画館で上映中に煎餅食ってやったぜ」

 

「俺なんか夜中に窓全開で大声で家でカラオケしてやったぜ」

 

最初は田中が言って、その後に中村が続く。3番目が伊藤誠だ。彼が行う事は、時々人外の所業だと周りは思っており、冗談に聞こえない時もあったり、冗談だったりと言う時もある。それゆえに––––––––

 

「…俺は映画館で上映中にカラオケしてやったぞ」

 

「「「「!?!?」」」」

 

「冗談に決まってんだろ」

 

「「「「お前が言うとそう聞こえないんだよ!」」」」

 

授業が全部終わって放課後の時間。この学校では3年生が楽しむために春に修学旅行、夏前に文化祭を行うことになっている。参加はどちらも半強制で、部活の大会と被ったとしても、それが全国大会とかそれに準じるものでなければ、大会への参加は出来ない。

 

「修学旅行については私達が勉強する時間を取るために、2年生と先生方が全部決めてくれることになってます。そのため、私達が修学旅行の為に何かする事は各々の着替え等の準備以外はありません」

 

「その代わりに行き先は当日まで俺達は分からないと。行きたいところがあったら、それとなーく伝える事をオススメしとくぞ。因みに俺は電車に乗れれば後はどうでもいい」

 

学級委員の男女2人がそれぞれ修学旅行の説明をしている。男子としては海に行きてぇー!という者が大半らしい。一方の女子もそうらしく、今日男女全員で水着を物色しに行くんだとか。

 

そんな中伊藤誠は1人枕投げや覗きをする事を考えていた。その為に必要なのは泊まる旅館の正確な図面。決まってれば権限で直ぐに入手出来るが、決まってない(知らない)為にそれが出来ず理想のシチュエーションを考えていた。

 

これはただの男としての性(サガ)、もしくは運命(SA☆DA☆ME)だろう。可能な限り早く手に入れておこう。皆がワイワイ話してる間、彼はその事だけを考えていた。当然彼は物色をしに行く気はない。そもそも部活が有るし、計画日までに準備を完璧にする必要もあるからだ。

 

ツインタワーにてパーティーが行われる数日前。伊藤誠は件の元黒ずくめの組織の一員である、コンピュータープログラマーの原佳明(はら よしあき)の家に忍び込んでパソコンの情報をサクッと手に入れた。

 

方法は簡単。

①原佳明の居場所を確認する

②居ないタイミングを確認する

③周囲の防犯カメラを権限でイジる

④証拠を一切残さずにUSBメモリで入手

⑤誰にも気付かれることなく撤退して任務完了

 

これで組織の情報は手に入れた。後は標的の4人を抹殺するだけ。折角だし大火事の最中に殺してしまうことにしよう。決してパーティーに参加したい訳では無い。彼女と一緒に遊びたいだけである。

 

そう、いつも一生懸命に尽くしてくれる彼女に少しでも恩返しをしたいと伊藤誠は思ったのだ。最も火事が起こる以上連れいくのには迷った。しかし、高級な食べ物とか食べさせてあげたいし、ドレス姿見たいし、原作キャラにも少しは会いたいし、狙撃よりもコッチのが今回に限って楽なので、彼はそうすることにした。

 

因みに彼は今回殺される常盤美緒が野球好きな毛利小五郎の為に特別ゲストとして招待されることになってる。毛利のおっちゃん様々である。しっかり有効活用させて貰うので安心して頂きたい。

 

最も「伊藤誠が参加したい」と言えば喜んでとなったと言った方が正しいかもしれない。彼と関係を築く事はビジネスのチャンスでもある。それだけ彼の名前は良い意味で知れ渡っていた。

 

そしてついに2人がパーティー会場に到着した。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「あの〜初めまして。貴方があの名探偵の毛利小五郎さんで合ってますか?」

 

「ええ!!この私(わたくし)こそが【名探偵】の毛利小五郎ですが!何かようでしょうかな?」

 

「実は私伊藤誠と言いまして、毛利小五郎さんが今回のパーティーに参加していると聞きまして、挨拶に伺わさせて頂きました」

 

「んんん?伊藤誠…………?何処かで聞いたような……」

 

「え!?忘れたんですか毛利探偵!?次世代のスーパールーキーのレーザービームこと、【伊藤誠】さんですよ!」

 

「あっ!それ私も知ってる!凄い野球選手だって!」

 

「おっちゃんこの前特集見てたじゃんかよ」

 

「あ!?あーああ!そうだそうだ思い出したぞ!君が伊藤誠君か!」

 

「はい。今後よろしくお願いしますね。それと隣にいるのは僕の彼女の佐藤光です」

 

「佐藤光です!私からもよろしくお願いします!」

 

俺の名前は江戸川コナン。こう見えて中身は高校生だ。俺達はおっちゃんのお陰でこのパーティーに参加させて貰ってる。

 

この【伊藤誠】という男は高校野球で1年の頃からスタメンレギュラーとして、甲子園に今までで春夏合わせて5回出場してる。しかもどの試合でもヒットを2本は打ち、盗塁を必ず決めるという。未来の逸材としてプロ注目だとこの前書かれてたな。

 

確か彼女は幼馴染だとか書いてあったけど、それが彼女なんだろうな。美男美女かよ。ていうか、幼馴染の胸かなり大きいな。おっちゃんも一瞬そこに目がいってたし。

 

彼らも招待されて来たのだろうが、なぜ参加下のだろうか?殺人事件が起こったパーティーにこんな有名人が参加するとなれば、普通は見送るようにと学校の教師が言うと思うが…。

 

(まぁ、この人達が事件に巻き込まれる事はあっても、当事者になることはまず無いだろうな)

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

原作キャラと会った時に伊藤誠が思ったことはただ1つ。「死神のやつ俺の事覚えてないな」だけである。別に覚えられていても何の問題もこちらにはない訳だが、いずれ教える時が来るのだろうか?

 

軽く彼らと談笑していると余興のゲームが始まろうとしていた。既にすべき仕掛けは全て仕込み終わった。黒ずくめの連中のを利用して設置しただけだから、なんてこともなかった。警察がいても彼らが問い詰められる事は今回においては無い。だからこそ彼らは堂々と取引をしている。傍目には取引などには見えないが。

 

後は楽しむだけ。彼は原作の中の1人となり少し浮かれつつも、死神を一応警戒してパーティーを彼女と精一杯楽しむ事に集中した。火災が始まるまで、あと少し。

 




面倒臭がりの彼にしては頑張ったと思う。


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