スカルフェイスは顔が怖い (サイリウム(夕宙リウム))
しおりを挟む

スカルフェイスは顔が怖い

 

日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。

 

東京都府中市に所在し、2000人以上の生徒が日夜、トゥインクルシリーズで活躍するために鍛錬を積む場でごぜえます。

 

今回はその学園に所属する一人のウマ娘の話をさしていただきましょう。

 

 

 

 

名はスカルフェイス。

 

高等部に所属するウマ娘でございますが、実はいろいろな噂話がございまして、

 

 

 

やれ、絶対に犯罪に手を染めている。

 

やれ、暴走族のトップである。

 

やれ、URAを裏から操っている。

 

やれ、ゴルシが唯一いたずらを仕掛けない。

 

 

 

などと今簡単に上げたものでもひどい言われよう。しかもこれはほんの序の口であるからおもしろいところ。

 

 

 

 

実は彼女自体、根の優しい一般的ウマ娘であり、虫すら殺したことのないか弱い乙女ではあるのですが……

 

 

 

 

 

まぁなんでこのような根も葉もないような噂話があがってしまったかといいますと

 

 

とんでもなく顔が怖いのです。

 

あのすべてのウマ娘を幸せにしたいと公言する冷静沈着な生徒会長、シンボリルドルフが初対面で

 

「え、こわ……」

 

と、こぼしてしまうほど凶悪な顔つきであり、あのライスシャワーは彼女の顔を見たとたんに号泣しながら裸足で逃げてしまうほど怖いのです。

 

 

しかもとんでもなく口下手で全くというほど喋ることがない、所謂コミュ障であり、身長が高く、ガタイも無駄にいいので顔の怖さを助長してしまっている。性格だけは非常にいい子であり、川でおぼれている子猫を自身の服が汚れるなどを考えずに、すぐに飛び込んで救出するほどなのだが、顔とその他もろもろのせいで台無し何でございますね。

 

かくいうわたくしも初対面の時は驚きまして、ちょいいとばかし勘違いしてしまったのは良い思い出です。

 

 

 

 

 

ま、そんな顔の怖さだけで盛大に損をしているそんな彼女にでも好きなものが存在しまして。

 

ウマ娘。

 

彼女は自身以外の可愛らしいウマ娘たちが大好きだったんですね。

 

 

先ほどであげたシンボリルドルフとの初対面の時も脳内で

 

(は!? カッコ良すぎるんだが??? なにこの凛々しいお目目にきりっとした口先! 惚れてまやろ! いや惚れたんですけど、どう責任取っていただけるので??? というかこのカッコイイ会長のお口からオヤジギャグが出てくるとか考えられないんだけど! ギャップで尊死しそうなんだけど! あぁ、もうどうしたらいいの!!! ッ! 駄目よスカルフェイス! いくら会長が尊いからといってお顔を崩したら! きりっとしてちゃんと受け答えしないと!)

 

 

「よろしくお願いいたします。」(こみでる尊みを抑えるために顔が引きつってる。)

 

 

「え、こわ……」

 

 

 

 

と、なっていたという寸法。

 

 

ま、そんなスカルフェイスの話をしていこうと思っておりますので、お付き合いいただければ、と。

 

 

おっと、申し遅れました。わたくし今回の語り手を務めさせていただきます、彼女の大親友のアグネスデジタルと申します。以後、よしなに。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゴルシも怖いものは怖い

 

 

さてさて皆様、今回も語らせていただきます。

 

とっても顔が怖いウマ娘の話。

 

 

怖すぎて虫も殺せないような乙女が個性の魔境と言われるトレセン学園でいかに頭角を現していったのか、語らせていただきましょう。え、お前も個性の塊だろうが? 何のことでしょう?

 

 

 

と、いうわけで今回は彼女の逸話の一つ、ゴールドシップとの関係性を語らしていただきます。

 

 

 

 

 

ゴールドシップ、このウマ娘。なんとイタズラが大好き。西へ行ってトーセンジョーダンにドロップキック。東にいてはメジロの御令嬢にからし入りたい焼きをたらふくプレゼント。彼女のいく先にはたくさんの喜劇と後からやってくる”とっつあん”ことエアグルーヴのストレスからくる胃痛が絶えないというなんともすごいウマ娘でございますが、やっぱり彼女にも苦手なものがございます。

 

 

彼女、イタズラは仕掛けるけど、本気で怒るようなイタズラはしなかったり、後始末はきっちりしていたりとそこのところしっかりしているのですが、彼女にもいたずらを仕掛けられない相手がございました。

 

 

そう、スカルフェイスでございます。

 

 

 

本人からことの本末を聞いた時は驚いたものです。だってその時彼女はあのシンボリルドルフ会長に対してイタズラを仕掛けていたもんですから、会長は良くて彼女は駄目なのかと驚いたもんです。

あ、ちなみにその時は会長が丹精込めて作成していたダジャレ帳に彼女の厳選した洒落を思いつく限りかき込んだそうです。数日生徒会室から会長の笑い声が途切れることはありませんでした。

 

 

ま、そんなことは置いといてスカルフェイスのことです。

 

 

なんでイタズラを仕掛けないんですか、と聞いたところ。

 

 

「……マジで言ってる? いやアイツ怖いじゃん。いたずらしたとして、報復でロケランぶっ放してきそうで怖い。さすがにゴルシちゃんでも無理です。」

 

 

と、一言。

 

 

いや、ロケランってコマンドーかよ。と思ってしまいましたがわたくし懇切説明。彼女いい子だから親交を深めるためにでも軽いイタズラでもいいから仕掛けてあげてくれませんか、と。

 

 

この時私、何といいますか彼女の交友関係を危惧しておりまして、このまま私ぐらいと接点なかったらどうする、と思っていましたから真剣でございました。まぁわたくしの趣味が入っていなかったというと嘘になりますが。だって今まで顔のせいで嫌われていた、怖がられていた子がみんなと仲良くなっていくのって尊みが深いじゃん。見たいじゃん。デジたんのポリシーに反しちゃうけどこのままだと起きるものも起きないので頑張りました。

 

 

 

あいつ顔が怖いだけですごく損してるんですよ。しかも口下手だからさらに。

どうかあいつのためにもやってくれませんか、と

友達私ぐらいしかいなくて色々苦労してるんです、あいつ。

 

 

その説得のおかげか……

 

 

「ん~、ホントにそうなのか? いやホントにそうなら悪いことしてたみたいなんだけど……、まぁものは試しに軽いのやってみようかな?」

 

 

 

とうまくいきました。

 

 

イタズラの内容は軽め?と言ってましたがわたくし的には重め。まぁゴルシちゃん的には軽めだったんでしょう。よくあるドアを開けた瞬間にものが落ちてくるタイプの物でした。

 

落ちてくるものはバケツ一杯のお水。ここでニンジン、とかにしておけばよかったんですが、デジたんちょっとずぶ濡れのスカルちゃん気になちゃって止められませんでした。だってスケスケ、ねぇ?

 

 

手順としてはわたくしがスカルフェイスを空き教室に呼びまして、ゴールドシップと私が教室内で待機、そこにスカルフェイスがやってきてドアを開けた瞬間にバケツがひっくり返る。そして水浸しになった後に二人でイタズラ大成功、のプラカードをもって登場! という手はずでした。

 

 

計画は良かったんです、計画は。

 

 

 

 

スカルフェイス、わたくしから新しいお友達候補発見! というお話を受けてもう狂気乱舞。いつものこわ~いお顔が3割増しで怖くなるような素晴らしく口角が引きつった笑顔と鼻歌を共にスキップで呼ばれた場所に向かいます。

 

いつもは他のウマ娘の皆さん、すれ違う時に顔をそむける、我関せずの態度を取るのが普通ですがその時ばかりはすれ違うすべての方が顔を壁の方に向けて一切彼女が視界に入らないように、嵐が過ぎ去るのを蹲って待つ幼子のように壁に向かって直立していたそうです。

 

実際に見たわけではありませんが多くのウマ娘にとっての恐怖の対象が引きつった笑みを浮かべ、鼻歌を歌いながらスキップで近づいてきたら仕方ないのかもしれませんがちょいとばかしヒドイなとおもってしまう次第。

 

 

 

 

ま、そんなルンルンで空き教室に向かってきた彼女はうれしさのあまり思いっきりドアを開けてしまうのです。

 

 

まぁその思い切りの良さが今回ばかりはよろしくなく、勢いよくトラップが作動し思っていたよりも激しく彼女にバケツの水がぶちまけられます。

 

 

私とゴルシさん、多分同じこと思ってたんじゃないでしょうか?

 

 「「あ、ヤベ」」と。

 

 

 

 

彼女、すぐには何が起きたのか解りませんでしたが私とゴールドシップさんを見て物事を把握。

 

自分のためにイタズラを仕掛けてくれたんだと歓喜。まぁこの子顔のせいでろくな交友関係がなかったせいでこのようなイタズラされることが初めてですごくうれしかったみたいです。

 

 

まぁそのせいで、先ほどよりも口角をあげて、怖さ5割増しのいい笑顔で笑い出しちゃったんです。

 

 

 

「ふふ、ふふふふ、ふふふふふふふ」

 

 

 

 

 

まぁあの時ばかりはこのデジたんも恐怖を覚えました。

びしょ濡れで、元も髪が長めだったため幽鬼のようになっており、口は怖いぐらいに三日月形。それにそんな不気味な笑い方されたら、ねぇ?

 

 

ゴルシさんもうお顔を真っ青にしてブルブル震えだし、

 

 

「ご、ごめんなさい~!」

 

 

と、叫びながら逃げていっちゃいました。

 

 

スカルフェイスちゃんはせっかく新しいお友達出来ると思っていたのにしょんぼり。

 

 

ま、これがこの話の顛末でございました。

 

 

 

 

 

ちなみにそのあとゴルシさんはマックイーンさんのお部屋に逃げ込み、彼女の布団の中で二、三日ブルブル震えていたそうです。マックイーンさんが

 

 

「なんというか、母性、というのでしょうか? いや孫? なんだか、かわいがりたくて仕方ありません。」

 

 

と、いうのを聞きデジたんのデジたんがスプラッシュしてしまったのはご愛敬。

 

 

 

 

 

皆様もイタズラにはお気をつけくださいませ。

 

 

あ、ちゃんとゴルシさんは元に戻りましたよ。ただ、誤解はさらに深まってしまいましたが。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

会長だって怖いのだ・1

皆さま、お久しぶりでございます。今回も語り手を務めさせていただきます、アグネスデジタルと申します。まぁわたくしの話し方がいつもと違うってのはこういった場、ということでご容赦いただければ幸いでございます。

 

だから、そこ。ギャップだとかで笑わない。

 

 

 

 

 

 

……おほん。では今回も顔が怖すぎるウマ娘こと、スカルフェイスのお話。最後まで聞いてくだされば、これ幸いでございます。

 

さて、今回させていただくのはここで初めてお話させていただいた時に少しだけ話した、彼女と我らが会長シンボリルドルフとの邂逅。初対面の時のことについてお話させていただきます。

 

 

 

時は遡りまして、結構前。そう彼女ことスカルフェイスがトレセン学園に編入してきたときのお話となりまする。彼女、このデジたんなどとは違い、編入生でございまして、高校に上がったときにこちらにやってきた生徒となります。まぁそのせいで彼女の友人の少なさを助長している分もございますが。

 

 

まぁそんなわけでやってきましたスカルフェイス。なんと前評判からもマイナスに振り切っておりました。彼女、中央に入れる、それも編入なので結構実力はありまして、地元の地方トレセンの方では負けなしだったそうです。

 

その負けなしの彼女がなんでわざわざ中央にやってきたかというと、強い相手と戦いたい。……とかではなくて、単に地元に居づらくなり、中央に行ける実力があったから逃げて来た、というのが正しいのです。

 

先日、彼女の帰郷に付き合わせていただきましたが、なんとまぁすごいものでして。町を歩けば地元のトレセン学園生と思われる制服を着た方に

 

 

「姉御! お疲れ様です!」

 

「いつ帰ってきたんすか姉御! 中央はどうでした!」

 

「姉御! 溜まってたぶんのシャバ代です! お納めくだせぇ!」

 

 

とまぁ彼女の舎弟だらけでございました。うん。

 

彼女の話によると、何でも持ち前の顔の怖さと口下手が幸いして、知らないうちにそういったアウトローな方々の統領になってしまい、多分現在進行形で拡大していっている。

 

気が付いたら周りヤクザみたいな人ばかりで、そんな人たちが自分のこと担ぎ始めているのが非常に怖くなり、逃げるように中央に編入手続きを進めていたそうです。

 

 

はっきり言って、ヤバいですよね。あ、あとデジたんは中央の舎弟第一号として扱われました。それを弁明しようとスカルちゃんが頑張ったところ、何故か中央の幹部だと勘違いされて彼女の組織が中央まで拡大しているとまで勘違いされました。彼女の舎弟の方々にはスカルフェイスが府中で一代組織を作り上げ、その頂点にいると考えているそうです。

 

 

 

ま、そんな前評判と共に中央に移籍したスカルフェイス。彼女自体なにもしていないので経歴は真っ白で転入はうまくいきましたが、噂がヤバい。当然受け入れる学園側も警戒度MAXです。

 

当時流れていた噂としては暴走族の総長、地方トレセンを裏から操るヤバい奴、経歴詐称、実は人を何人か闇に葬った、などなど。

 

そんななか立ち上がったのは我らが会長シンボリルドルフ。このトレセン学園を荒らされるわけにはいかない彼女。すべてのウマ娘を幸せにするべく、まずは我が学園の安寧を守るべく動き出した彼女はまず最初に面と向かってお話をしようとしたそうです。

 

編入初日に生徒会室に来てもらい、本当にスカルフェイスのうわさが真実なのか、それとも経歴通り真っ白なのか話し合って確かめようとしたんですね。

 

 

 

まぁそんなこんなでスカルフェイスちゃん、トレセン学園にやってくる日になりました。

 

このスカルフェイスちゃん、ウキウキです。なんと言っても新天地。今までの自分と決別し、新たなお友達を作って楽しいスクールライフをを送るんだという希望を胸に、自然と口角が上がります、引きつります。

 

 

迎えるべきは我らがシンボリルドルフ会長。本来なら理事長秘書のたづなさんが対応なさるんですが、今日に限ってお留守。かといって他の方は噂のせいで怖がってやりたがらないので会長が担当なさることになりました。

 

あの時、非常に凛々しいお顔をしておりまして、

 

 

『私がこの学園を守るんだ!』

 

 

みたいな意思がありありと見えておりまして、デジたんそこら辺の木に隠れながら真っ赤なエナジーがあふれ出るのを食い止めておりました。

 

 

そして迫る時間。やってくるスカルフェイス!

 

彼女、そういうのはしっかりしてるので時間通り定刻! しっかりとやってまいりました!

 

 

ですが問題は顔! 口裂け女かというほどにひん曲がったしまったお口! 希望に満ち溢れたせいでらんらんと光るお目目! 新天地のせいでちょっとばかしテンションが上がってるせいで笑い声が口から洩れている! もはや怪異!

 

 

ゆっくりと近づいてくる怪物。この時デジたん何も知らなかったので隠れながら震えておりました。まったく知らない感じたことのないプレッシャー! 歓喜の大きさのせいで逆に恐怖につながる威圧感! デジたんは震えます……、が、ここで希望を思い出します!

 

そうだ、私たちには会長がいるじゃないか! 会長なら何とかしてくれる! 会長ならカッコよく撃退してくれる!

 

だってあのオグリキャップに対して

 

 

『中央を舐めるなよ。』

 

 

とまで言った会長だぞ! 今回も……、と思いながら会長が仁王立ちしている方に顔を向けます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル

 

 

 

 

足が、小鹿のように震えていらっしゃる。

 

 

 

 

 

 

 

 

デジたん思いました。

 

 

 

 

 

あ、終わったな、と。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

「それで…………、挨拶…………、実家………、だめ?」

 

 

「え~っと、初めての友達だし、家族に紹介したいからこの休みを活用して一緒に実家に来て欲しいってことでいいの?」

 

 

 

 コクコク!

 

 

 

「いや、別にいいんだけどホントに大丈夫? 確かあんまり帰りたい場所じゃないんでしょ。」

 

 

 

 家族に紹介したい欲VS地元のヤンキー怖いVSダークライ

 

 

 

 ………

 

 

勝者、家族に紹介したい欲!

 

 

 

 

 コク!

 

 

 

「オゥ、またなんか葛藤してましたね。んじゃ、行きましょうか。」

 

(まぁデジたん普通にスカルちゃんのお家気になりますし、噂の真相がどうなのかも気になるから前から行ってみたかったんだよね。デジたんの好みは少ないだろうけど友人の頼みですしお寿司、一肌くらいぬぎまさぁ! ……にしても相変わらず口下手というか単語だけというか。)

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

結果。

 

 

 

「姉御! お疲れ様です!」

 

「いつ帰ってきたんすか姉御! 中央はどうでした!」

 

「姉御! 溜まってたぶんのシャバ代です! お納めくだせぇ!」

 

 

 

 

デジたんたち数十人のウマ娘ヤンキーの方々に囲まれておりまする。あ、でもこれもなんか新感覚でいいかも……、は! いけないいけない。隣でマイフレンドが助けを求めているのだ! こんなところで終われない!

 

 

 

「それで、姉御! その隣のちっせい奴は誰ですか!」

 

「あっちでの新しい舎弟ですか!」

 

「オイこら! 俺らの方が先輩なんだからなぁ!」

 

 

 

 

あ、舎弟認定されとる。

 

 

 

 

「違う…………!!!! デジタルは…………友達。」

 

 

 

 

ヤンキー怖いのにその恐怖を振り払って誤解を解こうとした。私のために頑張ってくれた。

 

 

あ、ごめん。もう無理、尊い(浄化)

 

 

 

 

「友、達。」

 

「い、いままで姉貴がダチ判定なさった奴なんかいねぇ!」

 

「と、いうことは……」

 

 

 

 

 

「「「「「「も、申し訳ございませんでしたーーーー!!!!!」」」」」」

 

 

 

そこにいたアウトローな方々が全員土下座なさっている。ごめんちょっと尊みを何とか消化してるから待って。

 

 

 

「あ、姉貴のダチとは露知らず、舎弟扱いしてしまい!」

 

「この失態、なんとお詫びすればいいか!」

 

「私、今から指詰めます!」

 

 

 

 

 

その後、デジたんが真っ赤なものがあふれ出るのを何とか耐えている間。勘違いは進んだがスカルちゃんが何とかしてくれた。感謝である。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

会長だって怖いのだ・2

 

さて、話は戻りまして我らがシンボリルドルフ会長の場面でございます。

 

そう、会長。足がプルプルでございまする。

 

 

もう生まれたての小鹿のよう! でもでも、お顔だけはしっかり、きっぱり、くっきりと。

トレセンに向かってゆっくりと歩を進めるスカルフェイスを見つめております。

 

 

ここで元凶スカルフェイスちゃん。やっとこさ校門の前で仁王立ちをしていらっしゃる会長を視界に入れます。

 

さっきまでウキウキだった彼女。

 

会長を視界に入れたことでとあることを思い出します。

 

 

彼女をトレセンに招き入れたのは実は理事長秘書のたづなさん。最終的な許可は理事長のちみっこでござぇますが、話を持ってきたのは彼女でございます。そのたづなさん、実は初めてやってくる彼女にあることを教えておりました。

 

 

『ごめんなさい、スカルフェイスさん。本当は私が学園を案内する予定だったんですけど緊急の会議が入ってしまってあなたが来る頃に迎えに行けなさそうなんです。一応代役にシンボリルドルフさんを立てておきましたので、仲良くしてくださいね。今は生徒会長なんかやってますけどかわいい子ですし、仲良くできると思いますよ。あ、ルナちゃん、彼女の愛称なんですがそう呼んであげると喜ぶかもしれませんね。』

 

 

そう、たづなさん。教えちゃってるんです。この話をするために色々と取材なんかを行っているのですが、たづなさん悪気一切なくてこれ話してるんですよね……。今となっては会長のルナちゃん呼びは一定の市民権を得てはいますがスカルちゃんがやってきたときは話は別。会長の認めた、彼女の参謀といえるトレーナーさんにしか話したことのなかった呼び名無そうで。

 

……いまさらですけどなんでたづなさん知ってるんでしょ?

 

まぁ彼女所謂戦後の賭け事が行われていた時代で先頭を走っていたなんていう噂もございますし、反社的なものに対する寛容さとか、異様な情報取集能力とか疑問の残ることが多いですが、突っ込みすぎるとデジたん明日の朝日を迎えることが出来なくなてしまうのでお口チャック。

 

 

ま、そんなわけでスカルちゃん思うんです、『あ、たづなさんが言っていたシンボルルドルフさんだ! あ、でも生徒会長さんだよね……、丁寧に話した方がいいのかな。でもたづなさんルナちゃん呼びしてあげると喜ぶって言ってたし、そう呼んだ方がいいのかなぁ……、あ! 笑顔笑顔!』

 

 

てな感じで口裂け女フォームを維持しながら一歩、また一歩と前進を始めるわけでございます。

 

しかもこの子、根がいいのでお待たせするわけにはいかないと速度上げる、まぁ駆け足になるんですね。

 

 

会長としては恐怖倍増でございます。ちょっとづつちょっとづつ近づいている恐怖が速度を上げてきたわけですから、足の震えもその分酷くなります。ちなみにデジたんはこの辺りで会長がだめだと理解してしまい、意識をバイバイしてしまっているのでここからはご本人方に聞いた話を元にお話ししますね。

 

 

スカルちゃん、ついに会長の目の前にたどり着きました。ウマ娘にしてはかなり大きめの身長190オーバーの巨体、それが見下ろすような形でシンボリルドルフを見るわけです。

 

第一声、

 

『これからお世話になります、スカルフェイスです。』

 

 

スカルちゃん、ちゃんと挨拶できてエライ! でも笑顔が大事って思っているので口裂け度が上がっているぞ! あと緊張しているせいか声が固まっててさらに怖いぞ!

 

 

会長、これを聞きまして考えます。

 

『お世話になる』の意味を。

 

 

スカルフェイスにとっては普通の挨拶、でもでも会長にとっては看過できません。

 

 

お世話になるとは一体全体どういうことなのか、噂通りのやべー奴で、夜露死苦的なお世話になるののか!

 

でもでも会長、ここで話を大きくするわけにはいきません、まだ勘違いの可能性もございます!

 

ここはできるだけ穏便に、また間違いだった時にリカバリーできるような感じで返答しなければ!

 

 

会長の脳みそフル回転、ここで思い至った回答は………!

 

 

 

『あぁ、こちらこそよろしく。』

 

 

うん、無難! そして会長おてて伸ばして握手の構え!

 

こっちはことを大きくしてもらっては困る! おとなしくしてほしい! 後できたらなかよくしようねの握手!

 

 

 

スカルちゃん大歓喜! ここが所謂友情の握手というものではないかと勘違い!

 

嬉しくなってもっとニコニコ! おてて差し出して握手を受け入れます!

 

ここでスカルちゃん……、いらんことを考えちゃいました。

 

 

相手側がこっちの嬉しいことをしてくれたんだ、こっちもお返ししてあげないといけないね、との好意!

 

 

 

『えぇ、よろしくお願いしますね、”ルナ”ちゃん。』

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、会長に電流が走ります。

 

なんでその名前を知っている、です。このルナちゃん。会長の幼名でございまして、彼女の親しい人ぐらいしか知らない秘密の呼び名でした、当時。

 

つまるところルナ、という呼び名を目の前の彼女が知っているわけなんてありえるはずがないんです。

 

スカルフェイスが”ルナ”なんて名前、知ってていいはずがないんです。

 

 

 

 

 

 

会長、ここで思い当ってしまいます。

 

 

……もしや、私の親しい人に何か拷問的なことをしてその名前を知ったのではないか!

わざわざその名前を使ったということは、『逆らったらどうなるか、解ってるよね、”ルナちゃん”?』ではないか!? 私が何かスカルフェイスにとって不利なことをしでかしてしまった場合、私の幼名を知っている家族、もしくは会長のトレーナーに何らかの被害が及ぶのではないか!

 

 

会長、考えちゃいました。

 

 

 

 

でも、ここで関係のない人たちに危害を加えないでくれ、なんて叫んでしまえば彼女の気分が悪くなってしまうことは確実、だって彼女は『お世話になる』としか言っていない。

 

 

『あぁ、こちらこそ。よろしくお願いする。』

 

 

会長としてはそう返すしか方法はないのでした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁもちろん完全な勘違いですしお寿司。会長のご家族には何もございませんし、会長のトレーナーはピンピンしております。スカルフェイスちゃんはたづなさんに教えてもらったことを実行しただけなので……

 

ま、誰が悪いとかない悲しい勘違いでしたね、うん。

 

 

でもまぁこの勘違いは色々と後に引く事件になっていくのですが……、ま、それはその時にお話しいたしましょう。

 

 

 

最後までご清聴ありがとうございました。

話し手は、私、アグネスデジタルが務めさせていただきました。

 

次回も足を運んでくださればこれに勝る幸福はございません。

 

では、またの機会に、ということでこの場を示させていただきまする。

 

ではでは~

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。