マシュのお兄ちゃん~ENTAKU最強~ (静かなるモアイ)
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ギャーさん円卓就職編
ギャーさん、就職する


更新頻度は低めです。と言うか、ブリテン編の発展話が長いので今年以内にマシュの登場が間に合うのか不明(笑)


円卓の騎士。それはアーサー王伝説に出てくる、アーサー王直属の配下である13人の騎士達だ。彼等は正に一騎当千の力を誇り、その力と影響力は当時最強の軍事力を誇っていた。

 

「君、名前はなんと言うのかね?私はランスロット」

「ギャラハッド。アンタの息子だよ、まるでダメな親父略してマダオ」

 

だが、なんの気紛れだろうか。いや世界の悪戯なのだろうか。円卓の騎士の末席、呪われた13席に座り…まるで神に決められたような約束された旅路を進み伝説の聖杯と聖槍ロンギヌスに認められたギャラハッドの魂に産まれる瞬間に異変が起きてしまったのだ。

 

「マダオ!?」

 

円卓の騎士の中でも最強と称される白き鎧を纏った男 ランスロットは驚いた。彼は偶然にも幼少期の自分と同じ名前を名乗る白髪の少年と出会った。その少年の顔立ちは整っており、世間ではイケメンに分類される程だ。前髪で右目を隠した十代半ば程の少年であり、未来が明るいと言えるだろう。だが、失礼にもこの少年はランスロットに自分の息子だと名乗り、更にはマダオという哀れな称号を着けたのだ。

 

「そう、まるでダメな親父。略してマダオね。だってさ、アンタは産まれたばかりの俺を直ぐに修道院に預けただろ?そう言うことだ」

 

少年の言葉を受けてランスロットは頭を抱える。確かにランスロットは随分前、とある女性に暗示をかけられて1人の子供を授かった。その子供が産まれ、暗示から解かれると女性の元を去り、子供にかつての自分の名前であるギャラハッドと名付けて修道院に預けたのだ。その子供が成長し、あろうことか自分の前にやって来たのだ。これは驚くしかない。

 

「それはそうですが…」

「と言うわけで就職先を紹介してくれ。養育放棄、諸々の慰謝料を請求すんぞ」

 

だが、このギャラハッド。唯のギャラハッドな訳がない。世の中には憑依転生と呼ばれる現象があり、死んだ筈の魂が別の誰かに生まれ変わるという事があるのだ。しかも、輪廻転生と異なり、記憶を保持してである。

このギャラハッドはそんな憑依転生を果たしてしまったのだ。彼の前世は少し頭のネジが色んな意味で外れた医学生であり、医療の他に独学と趣味で様々な事を学んでいた奇人変人の1人と言えるだろう。

 

「此方は異世界転生した挙げ句、いきなり無一文からのスタートなんだろ。人生ハードモード過ぎるわ。

畑も随分と荒れてるし、これじゃ醤油や味噌もないと見た。開拓しないといけないな、マダオ」

「もう、何とでも言ってくださいよ…取り敢えず、キャメロットにご案内しましょう。それから今後の事を考えなさい」

 

こうしてランスロットいやマダオの手でギャラハッドはキャメロットに連れていかれ、円卓の最後の席が埋まる事に成ったのだ。

 

 

 

それから暫くし…

 

「どうしてこうなっちまった」

 

1人の壮年の男がボヤいた。彼の名前はサー・ケイ。アーサー王の義兄であり、文官として王を支える円卓の騎士の1人だ。ギャラハッドが円卓の騎士の一員になり、早十数年。王都キャメロットは勿論、ブリテン全体は見事に変わってしまった。

 

「エクスタシィィィ!!フォォォーー!!」

「皆!!ランスロット様が人妻のおパンツを被ったぞ!!」

「ジェット・トレイン!!」

「ボールス!!」

 

荒れた土地は見事に耕され、ブリテンは世界有数の農業大国に成った。ギャラハッドが世界から集めてきた蕎麦、米、トマト、茄子、カカオ、珈琲、ブリテンには元から自生していない野菜は勿論、自生しているリンゴや馬鈴薯、ニンジンに小麦粉が実る豊かな農園が広がっている。

 

「ふっふふ!!どうですか?パーシヴァル、私の作ったフライドポテトとじゃが丸くんは?」

「見事です、ガウェイン。では盛り付けは私が!!」

 

農業だけではない。魚の養殖も盛んに行われ、国民全員に等しく食べ物が行き渡っている。お陰でブリテンでは飢え死にするような事は皆無であり、人々は皆が食事にありつける。

 

「ガレス!!魚焼いてくれ!!」

「モードレットちゃん。生け簀から適当に取って下さい」

 

食事は当然ながら豊かに成った。生活の質も当時とは比べ物に成らないほどに進化した。水道は完備され、下水道も上水道もきっちり分けられた。ローマを凌ぐ浴場施設もあり、トイレは水洗。人々は常に清潔であり、衛生状態も問題ない。

 

「トリスタン、お風呂に行きましょう」

「良いですね、ベディヴィエール。最近、ギャラハッドが建造したレジャー施設にしましょうか」

 

娯楽も大事だ。たかが風呂と嘗めてはいけない。巨大な滑り台がある誰もが楽しめる風呂も有れば、人々が楽しめる娯楽設備も充実しているのだ。

 

「皆!!トリ子よ!!」

「ガウェ子だ!」

「そしてセンターは勿論、僕!!妖精騎士ランスロットであるラウラちゃんだ!!」

 

劇場に足を運べば喜劇を見ることが可能であり、運が良ければ大人気アイドルグループ 妖精騎士のライブを見ることが出きるのだ。

 

そして戦争が減った。ギャラハッドは世界を巡り、外交として人々にサッカーやバスケット、ベースボール、競馬と言った様々なスポーツを伝えたのだ。その為か今ではブリテンでもオリンピックが開催される程であり、ブリテンの国家代表の皆様は大半が円卓の騎士である。

 

「おーい、ケイ先生。リンゴ品種改良したんだけど試食してくんね?」

 

これはたった1人の歯車が大きく変わり、大きなうねりと成ってブリテンの運命を激変させ、その数百年後も人理をノリと勢いで救ってしまうENTAKUの皆様の英雄譚である。




次回…ギャラハッド、ケイの元で学び…ケイのツッコミライフが幕をあげる。


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ケイ先生の胃痛は此処から始まった

ケイ先生…ツッコミライフが始まる。


サー・ケイがおっさんではなく、未だ30代半ばだった頃のお話。ギャラハッドが聖杯と最強聖遺物ロンギヌスを持ち帰る前からケイの胃痛ライフは始まったと言えるだろう。

ギャラハッドは円卓の騎士達が会議の際などに座る、円卓の席の1席…それも強大な呪いがかけられた13席に何事もなく座り、更には首都キャメロット近辺の川辺に流れ着いたとある選定の剣を抜いた事で、キャメロットに上京してから早々に最短ルートで円卓の騎士の1人に選ばれた。

 

ギャラハッドが引き抜いたこの選定の剣。実は聖剣の中でも神造兵器の1つに数えられる程の代物だったのだ。神造兵器とは読んで字の如く、神々や星が作り出した超ド級…いやオメガ級の超兵器であり、担い手を選ぶ代物である。この時代で有名な神造兵器を挙げるとすれば、キャメロットの城主でありブリテンの王であるアーサー王が担うエクスカリバー。ギャラハッドの父親が担う強度ならばエクスカリバーを凌ぐ聖剣アロンダイト。アーサ-王の甥であり、円卓の騎士の中枢を担うガウェインが担うエクスカリバー・ガラティーンである。

 

ギャラハッドが引き抜いたこの聖剣。実は円卓の騎士が結成される前にアーサー王に仕えていた騎士、ベイリンという男が担っていた物らしい。何でもベイリンが持っていたこの聖剣はアロンダイトのプロトタイプらしく、ベイリンが死去した後は行方不明と成っていたが…なんの因果かキャメロットに流れ着き、ギャラハッドが引き抜いてしまったのだ。

 

「この聖剣が神造兵器?そうは見えないけどな…どっちかと言ったら儀礼用じゃね」

 

紫の衣類に身を包み、腰にその聖剣を提げたギャラハッドは教室のような場所に居た。此処は唯の教室ではない。ランスロットの紹介、そして呪われた席に座った事と、選定の剣を引き抜いた事で円卓の騎士に加えられた騎士の一般常識皆無なギャラハッドに物事を教えるための教室なのである。そして、その教室の主人でありギャラハッドに物事を教える男こそ…

 

「王が円卓の騎士を結成する前、ぺリノアとの戦いで折れてしまったカリバーンも神造兵器だったが儀礼用のような見た目をしていたんだよ。あれも神造兵器らしいが、プロトタイプだな」

 

後に十数年に渡ってギャラハッドの手で胃痛に悩まされる事に成ってしまう中間管理職筆頭のケイである。この頃は未だ30代の為か若く青年と言えるだろう。

今は代名詞と言える聖剣エクスカリバーを使っているアーサー王であるが、昔はカリバーンと呼ばれる剣を使っていたのだ。このカリバーンであるが、アーサー王が王に選ばれる事に成った選定の剣であり…アーサー王はこの剣を引き抜いてブリテンの王と成ったのだ。しかし…ケイ曰くであるがアーサー王はそのカリバーンを今では円卓の顧問監督官であるぺリノア王との戦いで失ってしまった過去を持っている。

 

「王はぺリノア王との戦いでな、カリバーンを最大出力で使ってしまった。王の力にカリバーンの刀身自体が耐えられなくてな、折れてしまったんだよ」

 

と過去を思い返すケイ。今ではブリテンを無事に統一したアーサー王であるが、昔はそうではなかった。アーサー王はケイ、そして宮廷魔術師であるマーリンと共にブリテンを旅し、今では円卓に加わった者やベイリンのように今では配下を抜けた者達と共にブリテンを何とか統一したのだ。

 

「だから、お前もその剣にありったけの魔力を注ぎ込むな。王の二の舞に成るぞ」

 

ギャラハッドの抜いたこの聖剣がカリバーンと同じく、神造兵器のプロトタイプならば刀身が力に耐えられず砕け散る可能性が高い。そうなればギャラハッドは素手で戦うしか無いだろう、或いはナイフや盾で攻撃するしかない。

 

「わかったわかった。程々にしますよ、程々に」

「まったく」

 

ケイは知ってる。ケイは騎士であると同時にマーリンからそこそこ魔術を習っており、ある程度の魔術や魔力の使い方を習得している。手から火炎や温風を出したり、水の中で数日間活動できたり、自分の身体を大きくする事が出来るのだ。

そんなケイは先日、ギャラハッドが魔術の事を知りギャラハッドに魔術の基礎を教えた。元々、ギャラハッドの実母は高度な魔術…それも魔法に近い魔術を扱える魔女でもあり、その力でランスロットを惑わしてはギャラハッドを産んだのだ。母親が優れた魔女であり、ギャラハッドがお腹に居る時に何かをしたのだろうか?ギャラハッドの魔力はケイよりも遥かに高く宮廷魔術師マーリンやアーサー王に劣るとは言えとんでもない量を持っているのだ。その量はケイの約1000倍以上、規格外と言えるだろう。そんな規格外の魔力をプロトタイプの聖剣に注げ込めばどうなるか?間違いなく刀身は崩壊する。

 

「てか、俺が作ったジャムの反応はどうで?美味しいでしょ」

 

しかし…話を反らす為なのか、ギャラハッドは話題を変えた。

ジャム。それは現代日本人なら当たり前の加工食品であり、腐敗しやすい果物…リンゴ、バナナ、イチゴ等を砂糖や蜂蜜を加えて煮詰め、加工した食品だ。ペースト状で粘度が増しているが加工前と比べて保存が効く上に、ブリテンの主食とも言えるパン(この時代では白パンや全粉を用いた黒パン)に塗って食べれば美味しく食べられる。

 

ブリテンのパンは固く、味がなく、ギャラハッドはキャメロットに来て早々に不満だった。しかしキャメロットにはリンゴ、そして蜂が居たために蜂蜜は有った。故にギャラハッドは美味しくパンを食べるために蜂蜜とリンゴを用いてリンゴのジャムを開発。食事情の改革の一歩を進めたのだ。

 

「あれか?中々、美味だったぞ、マジでな。味気のないパンをガキの頃から食べてきたが本当に旨いな!!」

「あと、ケイ先生。痩せこけた土地を耕すために、海辺の町から貝…身をくり貫いた貝殻も取り寄せてくれません?貝殻を粉々に砕いて畑に撒いて混ぜれば、野菜に必要な栄養素を加えられるんだ」

 

ブリテンの土地は痩せこけた土地だ。作物も土地が痩せてるためか実りは薄く、肥料と呼べるのは堆肥位。そもそもブリテンに自生している野菜は人参に馬鈴薯と言った物が多く、多くの食物をランスロットの伝で輸入に頼っている程なのだ。

しかし…ギャラハッドがジャムを作ったように、順調にブリテンの食が向上すれば貿易予算を別の事に回すことも出来る。唯でさえ食料を輸入に頼っていて多くの予算を使っているが、それらを別の費用に回せれば国も発展していくだろう。

 

「ああ、任せておけ」

 

しかし、ケイは後に語る。同じく中間管理職であるアグラヴェインと共に、ギャラハッドの行った農業革命で胃を抑える事に成ることを。

 

 

「うっ旨い!!パンが…パンが此処まで変わるのですか!?味気の無いパンが!?私の今まではなんだったのだ!?」

 

金髪碧眼、歳はギャラハッドと同世代の騎士がそう言った。その人物は少女のように見えるが、一般的には男という事に成っている人物だ。その人物はアーサー王、だが彼は彼ではなく彼女である。そう、周囲には男として偽ってブリテンを統治しているのだ。そんなアーサー王…本名をアルトリアと言う少女の王は白いパンにリンゴジャムを着けて食べては、今まで感じたことがない旨さに…甘さに頬っぺたが落ちそうに成ってしまう。

 

「ああ…本当に美味しゅう。今までのパンは何だったのでしょうか?」

 

アルトリアと共にパンとジャムに舌鼓を鳴らし、喜ぶ女性が居た。彼女は美しいドレスを身に纏い歳は20代半ばと言った程だろう。彼女はグィネヴィア、アルトリアと同じ性別であるがアーサー王の妻であり王妃である。

 

「これを作ったのは誰だ!?いや、誰ですか!?」

「王よ。先日、円卓に加入したギャラハッドで御座います」

 

アルトリアの言葉に対し、答えたのは黒い髪で歳不相応に皺が刻まれた青年アグラヴェインである。アグラヴェインはアーサー王の甥であり、同時に円卓の1人に数えられているが文官として日頃からケイと共に財政関係で戦っているのだ。

 

だが、王は知らない。数日後、ハンバーガー、唐揚げ、ソーセージ等の代物を知り食の素晴らしさに目覚めてしまう事を。

 

「「ギャラハッドに今すぐ臨時報酬を!」」

「王に王妃!?いや、確かに美味しいですが」

 

唯でさえ予算に限りがある。アグラヴェインは頭を抱え、少し考える。確かに味気の無いパンを美味しく食べられるジャムとやらは画期的なアイデアだ。だが、だからと言って臨時報酬は上げては財政難な今では厳しいと言える。

 

「ならば…食文化の発展をギャラハッドに任せ、自由に使える予算を多めにギャラハッドに割り当てる。これでどうでしょう?一応、監督としてケイを着けます」

 

だが、アグラヴェインのこの提案がケイの胃をお先に地獄に送ることと成るのだった。

 

 

 

「おいおい…マジかよ」

 

数日後。キャメロットの中にある少し開けた荒れ地が有ったが、そこは僅か数日で整地された簡易的な農園に生まれ変わっていた。

養分が無く、痩せこけた土地に粉々に砕いた貝殻、少し遠方の火山灰を混ぜた特別製の肥料で養分を与え、畑には馬鈴薯、人参、小麦粉、菜の花が植えられている。そして畑の側には西洋蜜蜂が飼育された巣箱が数箱あり定期的に蜂蜜は収穫できる。更に少し離れた所にはギャラハッドが他所から持ってきた野生のリンゴの木々が植えられており、年に1度はリンゴを収穫できる。

 

「これをお前1人でやったのか!?たった数日で!?」

 

ケイは驚きながらギャラハッドに問う。ケイだって多忙だ、ギャラハッドに物事を教えるのは勿論のこと文官としての忙しい書類作業に書類での外交など忙しい日常を送っている。故に、ギャラハッドの農園開発を手伝う事が出来なかったのだ。

 

「アンタが魔力の使い方を教えてくれたお陰だよ。ケイ先生」

「いや、なんでそこで魔力が出てくるんだ?」

 

農園開発と魔力、なんの因果関係が有るのか分からない。しかし、ギャラハッドはそれを教えてくれた。

 

「魔力を放出する魔力放出を使ってな、飛んだんだよ。お陰で何十キロ先まで一瞬で行けたぜ」

「はっ!?」

 

魔力放出。それは魔力を身体から放出させ、攻撃等に転用させる技術だ。しかしケイはそれを知識として知ってるだけであり、魔力不足で大胆な放出は出来ない。まして、その魔力放出だけで空を飛ぶなんて事は考えられない。理由は単純、数秒飛んだだけで並みの術師は魔力切れで動けなくなってしまう為だ。だが、ギャラハッドの持つ規格外の魔力が有れば充分に可能だろう。

 

「お前…魔力放出だけで飛んだのか!?」

「意外と気持ちいぞ。アイアンマンみたいでな」

「アイアンマンって誰だよ!!」

 

しかし、農園を作るにしても水源は必要だろう。

 

「水はどうした?」

「魔術で水を探知、そして見付けて螺旋丸で穴を掘って魔術で引っ張って井戸にした」

 

確かに水を見付け引っ張る程度ならケイも魔術で出来る事だ。

 

「あと、今はルーン魔術を応用して刻印を刻んだ所を目印にして、瞬間移動でその目印まで転移したり物資を送る術も覚えようとしてるんだよな。卑劣様の飛雷神みたいに」

「卑劣様って誰だよ!!」

 

卑劣様という謎の人物の名前を聞いたが、その前にギャラハッドが言った事にケイは非常に興味深くなる。確かに魔術での転移や転送は可能だ。だが、それは非常に高度な技術であり神話の魔女や魔法使い位じゃないと出来ない。少なくともケイでは無理だ。何故なら物や自分を転移させる際に転移場所を指定させ座標を指定、それから転移させる為だ。

だが、ギャラハッドの考案した方法では座標を指定する必要が無い。ルーン魔術のように刻印を刻んだ場所を指定させ、それを目印として飛ぶためだ。もし、これが実用化出来れば物資の転送は勿論、戦争でも速やかに伝令を伝える事が出来る。

 

(コイツ…どんな発想力してるんだよ。確かにそれなら高度な座標指定の演算なんてしなくて良い。奇襲や不意討ちにも使える。戦争以外でも物資の速やかな輸送も出来る。それにルーンと同じく素早く刻印書けるなら、転移先も直ぐに増やせる)

 

しかし、ふとケイは気付いた。思えばショベルやスコップ、鍬や鋤は有るが本当にそれらだけで井戸を1人で掘ったのだろうか。

 

「お前…ショベルとスコップだけで井戸を掘ったのか?畑の仕事しながらか?」

「螺旋丸だよ。いやー、やっぱり螺旋丸や霊丸、黒閃は憧れるよな。やっぱり、魔力を覚えたら使わないと」

 

ラセンガン?レイガン?コクセン?聞いた事がない単語を延べていくギャラハッドの言葉に対しケイは首を傾げる。ケイはこれまで魔術や様々な事に対して深い知識を持つがそんな言葉は知らないし聞いたことも無いのだ。

 

「いやギガブレイク、サンダガもありだな」

「いや、まてまて俺はそんなの知らないぞ!?マーリンの野郎も知らない筈だ」

 

すると、ギャラハッドはニヤリと笑みを浮かべて左手の掌を上に向ける。すると莫大な魔力がギャラハッドの掌から放出され、その魔力が乱回転していき綺麗なハンドボール程の球体に成ってしまった。

 

「はっ!?」

 

視認出来る程の魔力を魔力放出で出し、それを更に乱回転させて掌に留め圧縮させる。これだけでどれだけ大変な事なのかは魔術師でもあるケイは非常に理解している。しかし、その大変な事をギャラハッドは一瞬でこなしてしまったのだ。

 

すると…ギャラハッドは近くにそこそこ大きな岩を見付ける。そしてその岩まで歩いていき、その魔力の塊を叩き付けた。

 

「これが螺旋丸だ!!」

 

するとその岩は一瞬で消し飛んだ。同じ大きさの魔力をぶつけるより遥かに威力があり、ケイは今後の事を思い…胃を抑えるのだった。

 

 




次回…プリティーボーマンが登場。

ケイの手で料理番を行っていた手の綺麗な少女は厨房で料理を作っていた。

ギャーさん「ソーセージは良いものだ!!」

豚の腸に豚の挽肉を詰め込むギャーさんに出会う。

王「うまし!!」
ケイ「ああ…アルトリアがどんどんグルメに成っていく」


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円卓の騎士達

円卓…全員登場。


ギャラハッド実験的農園inキャメロットが開拓されてから3日後。ケイは夜遅く、苦笑いを浮かべていた。

 

「おい、ギャラハッド。なんだこれは?」

 

こんな夜遅くケイが苦笑いを浮かべているのは訳がある。夜遅くとは言え、現代日本で言えば午後9時程であり、未来人からすれば全然遅くなく起きている人は多い時間帯だ。しかし、この時代には街灯は一切無く町の灯りも蝋燭やランタンと言った火を扱う物で灯しており、電気は一切使われていない。その為か、町民等の民間人は既に寝ているような時間なのだ。

 

「何って簡易的露天風呂だよ。ネギや香辛料の種を見付ける序に、ローマ帝国が残した名残を見付けてな。それを参考にお風呂を作ったんだ。やっぱり、お風呂は良いな…さっぱりするぜ」

 

ケイの視線の先には木材を組み合わせ、アーチ構造と呼ばれる円を描くように釘や鎹を使わずに木材を固定させる方法を用いた、酒樽を立てたような一人用の風呂が有ったのだ。その風呂はギャラハッドが試作した簡易的な露天風呂のようであり、火と面する部分は鉄製だが火傷しないように鉄製の上には木の板が敷かれている。言うならばほぼ木製の五ェ門風呂と言えるだろう。

 

「いる?作り方なら教えるけど」

 

確かに画期的なアイデアである。ブリテンは嘗てはローマの一部だった事もあり、入浴という文化は残っては残っている。キャメロット城にも浴場は有るのは有り、キャメロット市内にも民間浴場…俗に言う銭湯のような物は存在しているのはしている。しかし、時の流れは残酷なのだろうかローマ帝国がブリテンから去った後は風呂の文化は停滞…もしくは衰退しており、人々は毎日のようには風呂には入らない。風呂に入ると言っても、どうしても他の事に金を回してしまいガチなのだ。

 

「いや…今は良い(だが、確かに風呂に入ればサッパリするが生憎とな)」

 

ケイとしても風呂場の普及にはむしろ賛成だ。予算の事も有るが、風呂に入れば身体に着いた汚れも落ちるし、衛生状態も上がるだろう。だが、キャメロットは多くの国家予算を度重なる戦争や貿易に用いており、裕福ではない。

 

(風呂場も普及させたいのは分かるが、国民全員に満足行く食べ物も行き渡ってない。食べ物の方が最優先だ)

 

ブリテンの土地はギャラハッド実験的農園以外の農地は未だ痩せている。キャメロットの農地や周辺の農村等はギャラハッド(付き添いでケイ)が出向き、ギャラハッドのアドバイスで農地の栄養は上がり質も上昇している。しかし、未だ収穫は遠く、直ぐに提供できる蜂蜜位しか収穫量は上がっていないのだ。

 

魚や肉類もそうだ。野生の猪や鹿を仕留めて調理するのは兎も角、家畜である牛や羊に豚を飼育や繁殖させるにしても穀物を餌として使う事に成ってしまう。唯でさえ国民全員に満足な食事が与えられていないと言うのに、家畜の餌に回す。慢性的な食料不足から抜け出せず、輸入にどうしても頼ってしまうのだ。

 

「それより、先ずは食べ物の問題が最優先だろう」

「だけどよケイ先生。収穫まで待たないといけないぞ?長期的に考えたら、木々を荒れた山に植えて植林するかだな」

 

植林。確かにブリテンは荒れた土地だが、木々を荒れ山に植えれば長期的に見ていれば良いのかも知れない。猪や鹿等の動物達の生息環境になり、木の実や山菜も取れるだろう。いや、それだけではない。船や家に使われる木材も取れるように成るのだ。唯でさえ貴重な木材を取れると成ればかなりの儲けものと言えるだろう。

 

「木材も得れるしな」

「それだけじゃないぜ。森が養分を蓄え、その養分が川を下っていく。そうすれば川を伝って土地や海の養分も潤うって訳だ。魚も質の良いのが取れるけど、欠点を言えば時間が掛かりすぎる。直ぐに効果は出てこない」

 

木々の成長には何十年と時間が掛かる。そう直ぐには効果は出ないし、出てきてもその頃にはケイは老人になりギャラハッドもおっさんに成っているだろう。それでは直ぐに国民の乾きを潤せない。

 

「蕎麦、大根、後は調味料の原料になる大豆は欲しいな。栄養の事も考えれば敗血症を防ぐためにライム、緑黄色野菜も欲しい。今後の事を考えたら種で」

 

種で輸入はケイも思ってはなかった。理由は単純だ、ギャラハッドがやって来るまでブリテンの土地は荒れて痩せていた。満足に肥料もやっておらず麦や馬鈴薯と言った元から有る食物もそこまで豊富に育たなかった程だ。そんな痩せた土地では外国の作物は先ず育たず、種で輸入して植えても育たず意味がないと思っていたのだ。しかし、今は違う。ギャラハッドが肥料を撒き不足していた養分を土地に与えると言う方法を広め作物も以前とは比べ物に成らない程に立派に育っている。今なら、植えても効果は間違いなく有るだろう。

 

「種から輸入か。今ならありだな。ランスロットには俺から伝えておく」

 

ランスロットは出身故か、外国ともコネを持っている。今のブリテンの食事情は彼のコネでの輸入に頼っており、ランスロットが居なければ今の食料危機はそれほどに成ってしまうだろう。だが、種を輸入し、それから作物をブリテンで自己生産出来るようになれば何れはブリテンの食料自給率も上昇し、貿易に頼らなくてすむように成るのだ。

 

「ケイ先生。魔術で作物成長とか出来ね?」

「出来たらやってるわ!!てか、お前は魔術に関しては俺を越えてるだろ!!」

「俺、マリオじゃないから越えてないって。なあ、リアルマリオ」

「マリオって誰だよ!!俺の何処がマリオ!!」

「マリオは水中で活動でき、身長が伸び、手から炎を出せる伝説の配管工だよ。アンタじゃないか」

 

サー・ケイはリアルマリオ。マビノギオンの伝承では間違いなくマリオ。変態的にマリオである。

 

「まあ、良いか。明日は朝から円卓の騎士の会議が行われる。お前も初めて会う奴も居るから、遅れるなよ」

 

そして明日は円卓の騎士が集う大事な会議。円卓の騎士はブリテンの最高戦力であると同時にアーサー王の最側近。アーサー王を一席とし、アーサー王を含めて13人の騎士達で構成されているのだ。先日までは13番目の席には強靭な呪いがかけられており定員は実質12席であったが、ギャラハッドが13番目に座った事で定員は13人と成ったのである。

 

「今、何人だっけ?俺含めて13人?」

「未だ12人だ。七席が長いこと空席でな、円卓に座る為には前任者より強いことが条件なんだよ。まあ、お前より強い奴なんてそうそう現れないから、お前が実質最後の十三席だろうな」

 

序にケイは興味深い事も教えてくれた。円卓の騎士は各々決められた席が有るが、担当者が引退或いは死亡すれば当然の如く空席になる。そうなれば新たな人物が空席に座る事になるのだが、それには1つの条件があるのだ。それは前任者よりも強いことが絶対条件である。もし、前任者と同格…或いはそれより弱いが優秀な人物が座った場合はマーリンのかけた魔術で弾き飛ばされる仕組みに成っているのである。

 

「つまり、優秀でも前の人より弱かったら座れないって訳か」

「そう言うことだ」

 

前任者より強くなくては座る事が出来ない。つまり、円卓の騎士は代替わりする毎により強くなっていくと言う訳だ。因みにギャラハッドが座った十三席に呪いがかけられた訳だが、マーリンの気紛れである。理由はイエス・キリストの話に影響され…13番目=裏切り者=ユダという事で十三席は誰も座れないように呪いがかけられたとか。

 

「因みに…なんで十三席に呪いが?」

「マーリンの糞やろう曰く、イエス・キリストの物語にインスピレーション受けたらしい」

「あの碌でなし…立川の聖人のファンだったのか」

 

 

そして翌日。

 

何処か子犬を彷彿させる少女がキャメロット城の廊下を歩いていた。少女の歳は丁度ギャラハッドと同じぐらいだろう。だが、珍しい事ではない。キャメロット城には住み込みで働く騎士が多く居るし、王族や騎士達の世話や雑用を行う使用人も多く住み込みで働いているのだ。

 

「よいしょ…」

 

少女は朝早くから沢山の馬鈴薯や小麦粉が入った箱を1人で運ぶ。とても1人で一度に運べそうな量ではないが、彼女は普通に持てるのか1人でそれを城の厨房に運んでいく。彼女の仕事は厨房の下働き…言わば雑用係だ。

 

別に珍しい事ではない。大きな城にはそれを支える住み込みの人達が昔から住んでいるのだ。因みに円卓の騎士は豪邸を与えられた者も居ればキャメロット城に住んでいる者も居ており、妻子持ち(ケイとか)は豪邸に住んでいるのが多いのだ。

 

「私は何時、騎士に成れるのでしょうか?」

 

彼女の名前はガレス。ロット王とアーサー王の姉モルガンとの間に生まれた少女であり、兄に円卓の騎士であるガウェイン、アグラヴェイン、ガヘリスの3人が居る。兄は3人とも円卓の騎士であり、非常にサラブレッドと言える血筋なのだが…彼女は約1年間もの間…こうして厨房の雑用係として住み込みで働いているのだ。

と言うのもこれには訳がある。ガレスはキャメロットにやって来た当初は身分を隠してやって来たのだ。身分を明らかにしてしまえば、ガウェイン兄弟の妹として見られてしまい色眼鏡で判断されてしまう。そうなってしまえば、自分が強くなってもガウェインの妹だから強いのだと決め付けられてしまう。それが嫌だった為に彼女は身分を偽って騎士に成ろうとしたのだ。だが、それが悪かった。

 

『お前、手が綺麗だからアダ名ボーマンな。丁度、厨房の下働きが足りて無くてな。そこで働いてくれ』

 

しかしキャメロットに着くなり、ケイの口からボーマン(意味は手の綺麗な人)とセクハラなアダ名をつけられてしまい人手が足りてなかった厨房のスタッフに回されてしまったのだ。この御時世、男女差別がある世の中でありその煽りを受けてかガレスは本当の事が言い出せずそれから厨房の下働きとして働いているのである。

 

「ふー…あれ?ランスロット様!?」

 

なんとか厨房の入口まで食材が入った箱を運ぶ事が出来たガレス。しかし、厨房の入口には身体を隠しながら顔だけを厨房に覗かせて中を覗くランスロットが居たのだ。

円卓の騎士最強(後に変態+)であり、ガレスが最も憧れる騎士ランスロット。まさか自分の憧れる騎士がこんな所に油を売っているとは思わず、ガレスはランスロットに声をかける。

 

「おっ!君か。いつもすまないな…私達の為に食事を手配してくれてありがとう。感謝してるよ」

「いえいえ、当然の事ですよ」

 

憧れの騎士から感謝していると告げられ、ガレスは嬉しくて顔が赤くなってしまう。

 

「騎士に成りたいのだね?さっきの独り言、聞くつもりは無かったが耳に入ってしまったよ」

「あっ…」

 

どうやら先程ガレスが独り言で言ってしまった、騎士に成れるのでしょうか?というぼやき。ランスロットには聞こえてしまっていたようだ。だが、ランスロットはガレスを安心させるように笑みを浮かべた。

 

「応援してるよ。もし、君にその気があるのなら私から推薦してみよう」

 

騎士への推薦。またもないチャンスであり、まさか憧れのランスロットから声がかけられるとは思ってもいなかった。故か、ガレスは箱を地面に置いては直ぐ様頭を下げる。

 

「ありがとうございます!!」

「礼はいらない。君は素質がある。もしかしたら、ガウェインに匹敵する騎士に成るかもしれないね」

「本当ですか!?あっでも…」

 

円卓の騎士…それも最強と称されるランスロットが厨房の前に居るのか分からない。そもそも円卓の騎士はこの時間は未だ寝ているか、早朝から仕事や訓練を行っている筈だ。しかし、何故ランスロットが此所に居るのだろうか。

 

「ランスロット様はどうして此所に?」

 

ガレスは地面に置いた箱を持ち上げながらランスロットに問う。ランスロットは兎も角、ガレスの仕事は未々残っており、この食材は早く厨房の料理人に渡さないといけないのだ。

 

「ああ……実はね…息子が心配でね」

 

ランスロットの息子。ガレスもその人物の事は大変良く耳にする。キャメロットには就活でやって来たのは良いが、勢いで呪われた十三席に何事も無く座り呪いをはね除け円卓入り、更に選定の剣さえも何事もなく抜き、更にはジャムと呼ばれる甘味料さえも開発するというマルチな人物ギャラハッドの事を。

ギャラハッドは農業の知識だけでなく、医学の知識にも優れており、アオカビと呼ばれるカビからペニシリンと呼ばれる抗生物質の開発、更にペニシリンを身体に投与する為の注射器も開発。剣の腕前も古参であるサー・ケイを2秒で圧倒し、その力は円卓の武闘派に迫るとも言われている超期待のホープである。

 

ガレスも厨房を覗けば、厨房では白髪の少年が何かを調理していた。腰には神造兵器である選定の剣が提げられており間違いなくギャラハッドである。

 

「手際が良いな……」

 

「我々に伝授してもらいたい…」

 

「ポテトにはこんな使い方が…」

 

「豚の内臓は使えるのか、本当に捨てる部位が無いのですね」

 

気になったガレス。ギャラハッドの周囲には自分達の仕事をしながら、多くの料理人達がギャラハッドの調理をみては関心を寄せていたのだ。ガレスもギャラハッドが何をしているのか気になり、指定された場所に箱を置いてはギャラハッドの所に行き作業を覗き込む。しかし…

 

「ひっ!?」

 

ガレスは悲鳴を出してしまった。無理もないだろう、と言うか牛や豚を捌いて騎士達に提供している料理人でさえ少し引いているのだから、下働きだったガレスが驚くのも無理はない。何故なら、ギャラハッドは豚の内臓を洗ってはそれを下拵えしていたのだ。

 

「動物は内臓さえも美味しく頂ける。命を頂いて俺達は生きている訳だ、頂ける部位は出来るだけ頂かなければ動物に失礼だからな」

 

豚の内臓をしっかりと洗い、更に包丁で更に部位ごとに分けていく。

 

「この国の人の口に合うかな?ホルモンは旨いんだけどな」

 

ギャラハッドは豚の腸を切り分けていき、腸の中でも薄く長い部分の皮を他のとは別にしていく。

 

そして…そこに豚のミンチ肉を詰め込んでいった。

 

豚のミンチ肉を薄く伸ばした腸の皮に詰め込んでいく。一年ほど調理に関わってきたガレスだったが、余りの光景に唖然として言葉が出てこない。

 

「ホルモンはケイ先生と分けっこするか。それから王に試食してもらうか判断しよう。キクアブラはマダオにやるか、旨いが油がな…」

 

と独り言を言いながら何かを作っていく。いや、その腸の薄皮に詰め込まれた肉を良く見ると何やらハーブ等の香辛料も含まれている。

 

「豚肉は体温の都合上、牛や午と比べて寄生虫やボツリヌス菌のリスクが有る。ボツリヌス菌や寄生虫対策の為にも2分間は火に通さないといけない」

 

とギャラハッドは告げて、グツグツと沸騰した鍋にソレを入れたのだ。

 

「そっ…ソレは何ですか?」

 

此所でガレスがギャラハッドに声をかけた。豚の腸に詰め込まれた豚のミンチ肉、今まで見たことがない料理に関してギャラハッドは教えてくれた。

 

「ソーセージだ。いや、正確にはフランクフルトだな」

 

ソーセージ。ブリテンの新たな名物となり、ブリテンに内臓も立派に食べられる事を証明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

約2時間後。キャメロット城円卓の間。

 

今日は現在の円卓の騎士が集う円卓の会議の日であり、部屋の中央に置かれた円卓の席には数名の騎士達が集まっていた。

 

「ギャラハッドとケイ、ランスロットは未だですか」

 

第一席 アーサー王。

 

「王。まだ時間には余裕が有りますよ」

 

第二席 白髪の髪をした長身の青年、パーシヴァル。最近の料理のトレンドは肉と野菜を兎に角盛って盛って盛り付ける。

 

「ええ、それにしても今日は集合が早いですね」

 

第三席 サー・ケイ。現在、ギャラハッドと共に向かってる。

第四席 右腕が金属の義手と成っている青年ベディヴィエール。最近のトレンドはゲテモノ料理。

 

「美味しい軽食でも作ってきてくれてるのでしょう。彼の事は聞いてます。将来が楽しみですね…私も是非、マッシュを彼に施したい!!」

「「「やめろ、貴殿のマッシュは絶対負ける」」」

 

第五席 神造兵器エクスカリバー・ガラティーンの担い手である青年 ガウェイン。得意料理は大量の馬鈴薯とニンジンを擂り潰したナニカ。

 

「兄上、私とどっちが強いのでしょうね?そのギャラハッドは」

 

第六席 ガウェインの弟、ガヘリス。

 

第七席 現在空席。

 

「許せ、ケイ」

 

第八席 アグラヴェイン。ブリテンの発展の為とは言え、ケイにギャラハッドを押し付けた為か申し訳なさそうに頭を抱えている。

 

「今日は噂の十三席が来るのだったな。実に楽しみだ」

 

第九席 パロミデス。珍しく、黒い肌の持ち主である黒人であり円卓唯一にして史上初の黒人での円卓入りを果たした人物である。

 

「…………」

「トリスタン!?起きてますよね!?」

「ベディ。私はちゃんと起きてますよ」

 

第十席 トリスタン。円卓随一の弓の名手であり、音の矢を音速で飛ばす弓フェイルノートを自作し、それを操る者。糸目の為か、たまに寝てると本気で間違えられる。

 

第十一席 ランスロット。現在、ギャラハッドと共に向かっている模様。

 

「オレは初めて会う奴だな」

 

第十二席 モードレッド。恐らく、アルトリアと同じ身長だと思われるが、全身鎧に包まれており素顔は誰にも分からない。ギャラハッドの少し前に円卓入り。

 

そして円卓の側にも会議に参加する人物が3人居た。

 

「ふむ…キャメロットに来て初日で円卓に加わった者か」

 

何処と無くパーシヴァルに似た壮年の男。顧問監督官であるぺリノア。なお、自称ハーレム王。子供達は全員母親が違う。

 

「俺だって、早く円卓に座りてぇぇぇ!!」

 

十代後半程の青年。天然パーマな何処か慌てん坊な人物 次期円卓最有力候補ボールス。

 

「ボールス。貴方は何時見ても危なっかしい。それでは円卓の騎士には成れませんよ」

「ガウェイン卿!!それはないよ!!」

 

ガウェインから説教を受けるボールスであった。

 

「さてとそろそろかな?(あーれ?可笑しいな?予言で見たギャラハッドと雰囲気全然違うんだけど?あーれ、可笑しいな?マーリンさんの千里眼バグったのかな?)」

 

宮廷魔術師 マーリン。だが、心の中では物凄く冷や汗をかいているもよう。

 

 

 

 

 

扉の向こうではソーセージ、ポテトの加工食品、豚肉の加工食品、更には小麦粉と卵を用いた麺料理等々を乗せたサービスワゴンを押すギャラハッド。胃を抑えるケイ、頭を抑えるランスロットが居たのだった。

 

「ギャラハッド…本当にやるのですか?」

「当たり前だ、マダオ。ソーセージ、フライドポテト、コロッケ、じゃが丸くん、ハンバーグ、ベーコンの宣伝が終われば下着のプレゼンだ。この選択を後悔するんじゃねぇぇぞ!!」

 

今、ギャラハッド考案の下着を3人は履いている。未だ、この時代には存在していないメンズ下着である。その他にもギャラハッドは女性物下着、ジェンダー・フリー用女性下着、ジェンダー・フリー用男性下着(男性用ブラ)等のサンプルも用意している。

 

そして衣類の革命を起こすために、3人は円卓の間に入っていった。

 

「なんで、俺は褌なんだよ!!お前と同じボクサーパンツにしてくれ!!トランクスも有ったよな!?」

 

ケイの下着は褌であった。

 

「私なんて…ブリーフですよ。しかし、妙に高揚する。何故だ!?」

 

そしてランスロット、伝説のヒーロー不倫仮面への覚醒が徐々に迫る。

 

 




次回、円卓会議。

ガウェイン…コロッケを…フライドポテトを知る。

ボールス…女性用下着で興奮する!?

アルトリア様…舌が肥える。

ケイ先生…胃痛がマッハ!!



所で妖精騎士トリオと覚醒の不倫仮面、どっちが早く出るの(笑)


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オマケ 人理修復タイムテーブル ネタバレ有り

未々先の人理修復のタイムテーブル


2014年。人理が燃え尽き、人理を救う長い?戦いであるグランドオーダーが執行される。

 

「起きてください。先輩、吹っ飛ばしますよ」

「マシュ!?どうしたんだい…その姿は!?」

 

だが、最初のレイシフトが行われる際に事故が発生。いや、人為的に行われた為に事件性が疑われる。そんな中、レイシフトが出来た人物は僅か4人…何かを知ってそうな男(ぐだ男)、巻き込まれる形で参加した数合わせの少女(ぐだ子)、所長であるオルガマリー、そして盾のデミ・サーヴァントに覚醒した少女マシュ・キリエライトだけだった。

 

「グランド・セイバー、召喚に応じた。君が俺を呼んだマスターか?俺の名前はギャラハッド、まあ宜しく」

 

その時、数合わせの少女はチートに出会った。ギャラハッドのお陰で所長、ぐだ男、マシュと合流出来たぐだ子…しかし

 

「む?俺の気配!?という事は…君は俺の妹なのか!?」

「なんでですか!?」

 

マシュ・キリエライト。元のサーヴァントの都合上、ギャーさんから妹認定される。

 

 

そして次の特異点は百年戦争時代のフランス。サーヴァントも呼び、ギャラハッドのお陰で事故に遭ったマスター達の一命も無事に取り留めた。だが…

 

「エクスタシー!!フォォォオ!!」

「なに!?マダオ以外に、おパンティーを被る変態が!?」

「おおう、同士よ」

 

不倫仮面は新たなる変態仮面に出会う。

 

フランスを不倫仮面と変態仮面の力で救い、次はローマ。そこはネロ皇帝VS歴代の皇帝の戦いが行われた特異点だったが。

 

「マダオ、此所に人妻のおパンティーが有るぞ」

「こっこれは…ブーディカさんのおパンティー!!エクスタシー!!」

 

しかし、この親子が相手では悪すぎた。

 

次はオケアノス。世は大海賊時代であり、海賊が海を統べる時代。最高戦力とも言えるAチームも目覚めていき、順調だった。

 

「対界宝具って知ってる?」

 

しかし、秒で終わる。

 

次は霧に包まれたロンドン。

 

「ふっふふ…私はグランド・キャスター ソロモン」

 

黒幕登場!?しかし、これがラスボスの過ちだったのだった。

 

その次はアメリカ。だが…そこは正に神話大戦と言える場所だった。

 

「行くぞ!!おめぇぇぇらぁぁぁあ!!MVPにはTボーンステーキだ!」

「「「ぬぉぉぉぉおおお!!」」」

 

円卓+変態VS神話!!勃発!!

 

「それは…私のお稲荷さんだ」

「イヤァァァァァア!!」

 

不倫仮面の被害者が続出。

 

そして…次の特異点は最も難易度が高かった。究極終末都市エルサレム。聖地エルサレム、そこを謎の集団が占拠。謎の集団は吸血鬼やまさかの真祖!?いや、ギャラハッド曰く真祖よりヤバい奴だそうだ。

 

「てか、俺!?」

「来たか。この世界の俺よ」

 

エルサレム陣営と敵対するのはまさかのキャメロット!?そこには大人に成り、ブリテンの王に成った世界線のギャラハッドが!?

 

「モルガン!?」

「口を慎め。私はこのキャメロットの王妃だぞ」

「おパンティー貸してくれま「ギルティ!!」ホンゲー」

 

まさかのモルガン!?だが、話を聞く限りではこのモルガンは全く異なる世界線のモルガンとの事で、出産等の経験が無いそうだ。

 

味方もチート、敵もチート。チートとチートがぶつかり合う、チート大決戦。又の名をENTAKU対朱い月陣営+ピクト人。

 

そして最後は古代ウルク。

 

「はい!!変態!!変態!!アブノーマル!!ハイハイ!!変態!!変態!!フォーエバー!!」

 

おパンティーを被った変態がケイオスタイドでシンクロナイズドスイミングを華麗に披露し、古代の神様も大変ビックリ。

 

そして最終決戦が始まるが…

 

「それは…私のお稲荷さんだ」

 

いま、変態が人理を救う。

 

「いや、何でだよ!!」

 

ケイのツッコミで始まり、ケイのツッコミで終わる戦い。人理修復RTAの始まりであった。

 

ギャーさん+変態による人理修復RTA。ブリテン発展編が終わり次第、執筆。多分、冗談抜きでどんなに速くても秋…いや冬越えるかも。

 

ギャーさん「ぶっちゃけエルサレムが一番無理ゲーだった。次点で人理修復終ってからのクリスマス…いや、大人俺+モルガンママをどうやって停めろと!?」

 

なお、ラスボスより恐ろしいのは娘の為にプレゼントをサンタから強奪しようとする両親である。

 




2部どうなるの?

初っ端から円卓全員+変態+王様ギャラハッド+モルガンママが揃ったイージー・モードに成ります。過剰戦力!!


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食と、おパンティーを広めよう

ランスロット…第一の覚醒を遂げる。


「グッドモーニング!!そして初めましての人は初めまして。円卓が誇る技術革命家、ギャラハッドでーす!!」

「俺の胃は死んでいくけどな」

 

大きな挨拶を行い、美味しそうな匂いが漏れているサービスワゴンを押しながらギャラハッドは円卓の間に入った。勿論、ギャラハッドと共にケイとランスロットも入っていくがこの後に待っている下着のプレゼンでパンツ一丁に成ることが決まっており、ケイとランスロットは今後に起こるであろう出来事を思ってか憂鬱な表情だ。

 

パロミデス、ぺリノア、モードレッド、ガヘリス、ボールス等々のギャラハッドとは初対面の円卓の騎士は興味深そうにギャラハッドを見る。とは言え彼等はギャラハッドがキャメロットに来て早々に行った様々な事を知っており、ギャラハッドを観察する。

呪われた十三席の呪いをはね除け、円卓の騎士に数えられる。ガウェインでさえも引き抜けなかった選定の剣をその場の勢いとチャレンジ精神で抜いてしまう。食事を改革しようと主食だったパンに塗り、味を昇華させる加工食品ジャムを開発する。アオカビから画期的な薬品である抗生物質ペニシリンを開発、精製する。痩せた土地を作物がより良く育つ肥料の散き方や栄養の与えかたを考案し、ブリテンに広める。等々、上げればキリが無い程の人物だ。しかし、円卓の騎士は研究や学問が出来る程度では務まらない。文官であるケイでさえ、武闘派であるランスロットやガウェインには劣るとは言え一般騎士が相手なら無双出来る程の技量はある。それに円卓の騎士に相応しい技量は間違いなく有り、格上相手でも多少は時間稼ぎが出来る力をケイは持っている。しかし、そのケイが…円卓の古参で経験豊かであるケイがマトモに剣を習いだしたばかりのギャラハッドに負けたのである…しかも2秒で。

 

彗星の如く現れ、呪いを物ともせず選定の剣を引っこ抜き、医学と農業に文字通りの衝撃を与えた超新星ギャラハッド。

会議早々、騎士らしからぬ挨拶とサービスワゴンを押してくるという登場の仕方をした彼は何事も無いように十三番目の席に向かっていく。そして、ギャラハッドが十三番目の席に向かった事を確認し…ギャラハッドの保護者(ケイ)と実父(マダオことランスロット)は自分達の席に座ったのだ。

 

しかし、ギャラハッドは未だ座らない。あくまでも十三番目の席に移動しただけであり、椅子には座ろうとしない。

 

「新人、座らないのか?」

 

不思議に思ったモードレッドがギャラハッドに声をかける。モードレッドは十二席であり、ギャラハッドの左隣の席だ。因みにギャラハッドの右隣は我等がブリテンの王であるアーサー王である。

 

「ああ、試作品の料理が有るからな。それが終ってから座るさ。

む?なんだ、そのメチャクチャ格好いい鎧は!?アイアンマンか!?ガンダムか!?何処で買った!?」

 

ギャラハッドが未だ座らないのはアーサー王含め、円卓の騎士の皆に改めて試食してもらう食べ物の最後の仕上げ(ソースをかけたり、切り分けたり)を行う為だ。その仕上げなら厨房ではなくサービスワゴンでも出来るので、問題はない。

しかし、モードレッドの方を向いたギャラハッドは胡椒が入ったミル(胡椒をガリガリして粗挽きにする物)を持って固まっている。何故なら。モードレッドの着ている鎧が原因だ。モードレッドの鎧は他の騎士とは一風を異なり、中二心を擽る物だったのである。

 

「円卓に入る前に母親がくれた」

「凄いな。職人技術+魔術の達人だな…」

「分かるのか?」

「魔術をケイ先生から教えてもらってな、多少は心得がある」

 

と会話を行うモードレッドとギャラハッド。ギャラハッドは一先ず会話を切り、サービスワゴンで仕上げ作業を再開し出す。

 

「嘘つけぇぇぇーー!!お前、俺処か攻撃魔術ならマーリンすら越えてるだろうが!!

魔力放出で空を飛んで新大陸見付けるわ、魔力放出の形を変えるだけでエグい破壊力出すわ、シングルアクション(一言詠唱)で爆風や火炎に大地を凍らせるわ…マジでお前なんなの!?」

 

だが…モードレッドとギャラハッドの言葉に色々と言いたい事が有ったのか、ケイがツッコミながら叫んだ。

そう、ケイはこの数日間。ギャラハッドのお陰でツッコミと胃痛が限界を突破してしまったのである。

衣類にゴムが必要だとギャラハッドが言えば、ギャラハッドの魔力放出飛行で新大陸(ブラジル)に一緒に連れていかれ天然ゴムとその種をゲットする羽目になるわ。

螺旋丸は勿論のこと、サンダガとギャラハッドが叫べばギャラハッドの手から雷撃が放たれ大地を抉り、メラゾーマとギャラハッドが唱えれば爆炎が大地を焦がし、フレアとギャラハッドが唱えれば大爆発が起こる。しかも複雑な詠唱ではなく、ギャラハッドが一言唱えるだけのシングルアクション式な魔術である。

 

「それは本当ですか!?ケイ殿!!」

 

先輩の円卓の騎士ではモードレッドの次にギャラハッドに歳が近いガヘリスが机を叩きながら叫ぶ。それに吊られるように、円卓の騎士達に会議の参加者達が一斉にケイの方を向いた。

 

「ああ…マジだ。コイツは剣は当然として魔術の腕でも俺を越えてる。いや、部分的にはマーリンやモルガンよりも上を行く…いや既に行っていると俺は思う。

攻撃魔術は勿論のこと、ルーン魔術を応用してノーモーション及び詠唱無しの転移魔術を確立させやがった。事前に転移する場所にマーキングが必要だとは言え、消費魔力は少なく、物資や他人も飛ばせる。本当に出鱈目な野郎だ」

 

ルーン魔術。刻印を空や地面、或いは物等に描いて発動させるケルトや北欧で主流だった魔術の1つ。ルーンは刻印を描いたり刻んだりする必要が有るのだが詠唱は必要ない便利な物だ。

ギャラハッドはそのルーン魔術を応用し、新たな転移魔術を編み出してしまったのだ。その魔術は刻印を刻んだ所をマーキングとして目印にし、そのマーキングの所に自分や物を呼び出すと言った方法を用いた転移魔術である。ギャラハッドはこれを飛雷神と名付けており、事前にマーキングを施した投げナイフを使えば戦いでの回避や不意討ちにも使えるのである。なお、刻んだマーキングはギャラハッドが消さない限り消える事は無いのだと言う。

 

「いきなり原住民に矢で射たれまくったのは笑ったけどな」

「死ぬわ!!マジで死にかけたわ!!言葉は通じないわ、変な動物居るわ、マジであの新大陸ヤバすぎだろ!!ライオン大のカワウソまで居るし、危なすぎるわ!!」

 

新大陸(ブラジル)の思い出がフラッシュバックしてきたのか、ケイはギャラハッドにツッコミながら叫んでしまった。

ブラジルには未知の先住民族が沢山暮らしており、現代でも手付かずの領域が多い。その為か良くアマゾンでは新種の動物や植物が発見されるのであり、未々多くの未知の生物が生息していると言われている。因みに、ケイとギャラハッドが遭遇したライオン大のカワウソだが…残念な事に実在している。そのカワウソはオオカワウソ、最早カワウソではなくヒョウや虎と言いたげな猛獣だ。そのオオカワウソ、人間すらも襲い食べ物にしてしまう。現代のブラジルでもオオカワウソに襲われて殺されるというケースが多いのだ、恐るべしカワウソ。

 

「「「新大陸!?」」」

「ケイ、私は聞いてないぞ!!」

「あの新大陸は危険すぎる。騎士としての強さは通じない…川には人の肉を食らう危険な魚が居るし、化物みたいな大きさの動物も居る。もう…此の世の物とは思えなかった」

 

ケイ、ギャラハッドと共に行ったブラジルアマゾンツアーの事を思いだし…頭を抱える。そしてその口元からは胃痛の為か、血が滴れ落ちていた。

 

(許せ、ケイ!!これもブリテンの発展の為)

 

そしてアグラヴェインは心の中でケイに謝るのだった。一歩間違えれば、自分がギャラハッドの担当に成っていた可能性が充分に有り、アグラヴェインとケイは逆だったかも知れないのだ。

 

「ゴムと呼ばれる伸縮性のある新素材もこれから生産出来るように成ったので、許して下さいよ。ゴムはゴムの木と呼ばれる木の樹液から出来ますが、ゴムの木は未だ10本位しか持ち込んで無いので先ずは国内分が優先ですね。種でも持ち込んだので、種が発芽して成長すればローマや他国にゴムを輸出する事も出来ますよ」

「ゴムの利点は?」

「断熱性、断寒性に共に優れており家の素材に使えば良いですし、防水機能にも優れており様々ですね。衣類に使えば伸縮性を活かし紐の代わりに出来ますよ。まあ、他にも色々と使えますね」

 

アグラヴェインの問いに対してギャラハッドは、小麦粉と卵から作った麺…パスタにクリームソースをかけながらそう答えた。料理の仕上げが次々と終っていき、円卓の間には美味しそうな匂いが広がっていく。

 

「さてと、仕上げは終りと。王、お待ちかねの試食タイムです」

「待ってましたぁぁあ!!ギャラハッド!!」

 

料理の仕上げが終わった。待ちに待った試食タイムであり、アーサー王は嬉しそうに笑みを浮かべたのだった。普段の業務から周囲には自分を表には出さず、自分を殺して完璧な王として振る舞っていた彼女しか知らなかった円卓の皆様は驚いた。因みに円卓の皆様はギャラハッドは兎も角、義兄であるケイ以外はアーサー王の事を男と本気で思っている。

 

「王があんなに嬉しそうに…」

「王!?」

「先ずは1品目、ブリテンの野菜である馬鈴薯を簡単に加工した軽食 ポテトチップスでございます」

 

先ずは1品目。馬鈴薯を薄くカットし、油で上げて塩で味付けしたポテトチップスである。

 

「旨い!!簡単な筈なのにサクサクして旨い!!」

「感謝の極み」

「わっ私も!!」

「自分も!!」

 

ポテトチップスは大好評。アーサー王が喜ぶのも束の間、騎士達は一度食べれば我先へとポテトチップスを食べる。なお、このポテトチップスだがギャラハッドは厨房スタッフにも作り方を教えており、頼めば作ってくれる手筈に成っている。

 

「続いては揚げ物のコロッケでございます。此方も馬鈴薯を擂り潰し、形を整えて揚げた物です」

 

次に出てきたのは同じくブリテン名物である馬鈴薯を加工した物だ。ガウェインの得意料理であるマッシュ(馬鈴薯を擂り潰した何か)を形を整えて揚げた物であるが、香ばしい匂いが食欲をそそる。

 

「うっ旨し!!」

「旨い!!馬鈴薯にこんな使い方が!?」

「旨い!!旨すぎる!!む!?中は私の好きなマッシュと同じ!?揚げるだけで、こんなに変わるのか!?」

 

ガウェイン。自分のマッシュがコロッケに進化できる事を知り、大きなショックと同時に大きな天啓を得る。そうだ、これからはコロッケを作れば良いのだと。

 

だが…食べれてない人物が居た。それはギャラハッドの隣のモードレッドである。モードレッドは被っていた兜のお陰か、未だ食べれていなかった。

 

「…食いたい欲望には逆らえない!!」

 

モードレッドがそう告げた瞬間。モードレッドの兜がスライドしていき、ロボットの変形するように兜が収納されて素顔が明らかに成った。その素顔はアーサー王と瓜二つであり、髪型はポニーテールだった。

 

「いっただきます!!」

「「「王と同じ顔!?」」」

 

美味しそうにコロッケを頬張るモードレッド。だが…アーサー王と同じ顔だった為か、ぺリノアやパーシヴァルと言った古参の騎士達が驚く。だが…そこにフォローを入れる人物が居た。

 

「モードレッドは私の弟です。私達の母は王の姉であり、瓜二つの顔をしています。なので、母親に極端に似たのでしょう」

 

ガウェインだ。しかし、ガウェインはコロッケを食べまくったのか口元にはコロッケの衣が着きまくっている。

 

「とは言え、私も初めて顔を見ましたが」

「マジっすか」

「離れて育ったので」

 

未々紹介する料理は残っており、ギャラハッドが次に出したのはソーセージとクリームパスタである。

 

「豚の挽肉の腸詰め…ソーセージ。小麦粉と卵から作る麺 パスタです」

「「「うぉぉおおお!?」」」

 

パスタとソーセージも大好評。後は国の農地が潤い、畜産も発展すれば毎日のように肉が食べられるように成るだろう。

 

「よっこいしょっと」

 

食べ物の宣伝が終わり、漸くギャラハッドは自分の席に座った。呪われた十三席に座っても何ともない事から、周囲がザワザワと騒がしくなる。どうやら円卓の何人かはギャラハッドが本当に座れるのかどうか疑わしかったようだ。なにせ、イエス・キリストの物語に影響を受けたマーリンがかけた致死性の呪いだ。普通の騎士ならば間違いなく死ぬ。

 

「あっ、未だプレゼンしないとな。王様、実は新しい下着を考えたんですよ。勿論、ジェンダーフリーの物も作ってますよ」

「下着ですか?」

「ええ、ゴムを紐に加工して、それを使った物です。マダオ!!ケイ先生!!スタンディングオペレーション!!」

 

遂に来てしまった。ケイとマダオは憂鬱な表情を浮かべ、ギャラハッドの側に移動する。

 

「一応、事前にケイ先生とマダオには新作の下着を着て貰ってます。マダオ!!GTK!!キャストオフ!!」

「「ぬぉぉぉおおおお!?」」

「「「ランスロットとケイの衣類が消えて、下着一丁に成った!?」」」

 

ランスロットはゴム紐を使ったパンツ、ブリーフ。ケイはゴム紐を使わない新たな布地の下着、褌である。

 

「これが新作の下着です。一応、ピッチリしたボクサーパンツ、ゆったりしたトランクスパンツ…此方はどちらも男性物。モーさん、そっちから皆に回して」

「おっおう。結構肌触り良いな」

 

ギャラハッドは何枚か、男性用の他の下着も取り出して隣に居るモードレッドに渡しては順番順番に配って貰う。

 

「あと、この職場はジェンダーフリーなので。こう言うのを作りました。ジェンダーフリーの下着です。一応、女性用の下着もどうぞ」

「ほう、女性用は少し過激ですね」

(((なんで、王に女性用の下着を!?)))

 

アーサー王にはジェンダーフリーの下着(女性用)と女性用の下着を渡すギャラハッド。

 

「モーさんも一応渡しておこう。取り敢えずジェンダーフリーの下着を」

「おっおう」

 

ギャラハッドはモードレッドにもジェンダーフリーの下着(勿論、女性用)を渡した。

 

「ケイ先生の褌以外は腰紐にゴム紐を使ってます。もし良かったら使ってみて感想を」

「ええ、中々斬新な物ですね。一先ず、私達が使ってみて良ければ正式採用と行くか」

 

後日、ブリテンは何処よりも早く近代的な下着を採用した国として歴史に名を残す。

 

「俺、パン一になる必要無かったよな。む?ランスロット?」

「なんだろう…ブリーフ一丁だと気分が高揚する。それに、おパンティーか……」

「戻ってこい!!戻ってこい!!ランスロット!!」

 

ランスロット…第一の覚醒を遂げる。彼は円卓唯一のブリーフ派と成るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケイ先生。王様、やっぱり女の子だろ。なんか、皆気付いて無かったけど。普通に可愛いけど、誰も気付いてないふりか?」

「お前はやっぱり円卓の騎士(バカども)と違って直ぐに気付いたか。ああ、王は…アルトリアは女の子だよ。自力で直ぐに気付いたのはお前だけな」

 

ギャラハッド、アーサー王の秘密に気付く。




次回、ケイ先生はシスコンだ。

「なあ、ギャラハッド。お前なら良いや。妹の間違いを正して、幸せにしてくれ。お前なら許す」


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兄の思い

グランド碌でなし…遂に登場。


ゴム紐を用いた斬新な下着であるトランクス、ボクサー、ブリーフ、おパンティーが正式採用されて早、半年。瞬く間に、ゴム紐の下着はブリテンの国民に広まった。紐パンからゴム紐のおパンティーに変わり、人々の下着文化は大きく前進したのだった。そして、下着に続くように、ブリテンはギャラハッドのお陰様で食事関係の産業革命が連続的で起きていた。

 

「きゅぅぅ!!この味付きの水、キューっとしてしゅわしゅわして旨いぜ!!全部の水がこうだったら良いのによ!!蜂蜜とレモンの味も最高だ!!」

「ええ、同感です。レモンの酸味が水の味を際立て、炭酸…でしたか、このしゅわしゅわが火照った身体を潤してくれますからね」

 

ギャラハッドが新たに考案したのは炭酸水。現代の日本では健康志向な人や、カクテルの材料に用いたり、ジュースの素材に使うことがある炭酸が含まれた飲料水。水に溶けんでいる二酸化炭素がしゅわしゅわと口に新たな刺激を届け、これまでの飲料水では考えられなかった刺激と爽快感を飲む人に届ける。

モードレッドとガウェインがそうであるように、円卓の騎士は勿論のこと、ブリテン在住の人々は新たな飲み物に心を踊らせる。この炭酸水であるが、原理は簡単だ。二酸化炭素を水に溶け込ませれば良く、二酸化炭素の発生原理さえ理解していれば誰だって作れる。材料費だって水なので、井戸や山水の源泉を使えばタダで手に入るのだ。

なお、味が一切加えられていないソーダはソーダ。蜂蜜とレモンが加えられた味着きのソーダは蜂蜜レモンソーダとして提供されている。なお、ギャラハッドは世界で初めて炭酸水を製造した人間として歴史の教科書に掲載されている。

 

ギャラハッドが考案した炭酸水の作り方はこうだ。炭酸水は二酸化炭素…発泡ガスが溶け込んだ水であり、二酸化炭素を飲料水に溶け込ませれば良い。ブリテンは国土が貧しいとは言え、娯楽の為か酒は作っている。そのお酒は日本ではビールと呼ばれる麦等を発酵させて作るエールというお酒だ。エールは歴史が古く、古代エジプトでも呑まれており、作る際には二酸化炭素が発酵の段階で発生する。エールは制作段階で沢山の二酸化炭素が発生し、エールを作る樽の上に充満する。そこでギャラハッドはエールの発酵樽の水を入れるガラスケースを用意、するとガラスケースの中に入った水の中にエールの樽から漏れだした二酸化炭素が次々と溶け込んでは炭酸水に変化するのだ。

 

だが…ギャラハッドはエールにも目をつけ、これを蒸留して新たな酒を開発。しかもその新たな酒は賞味期限が度数が高いために存在せず、どんなに放置しても腐る事はない酒として国内外から注目を集め、炭酸水の作り方と共に他国に開発した蒸留酒を輸出してブリテンの財源は潤いを帯びている。当然、実質原価0の炭酸水は作り方を他国に広めてはいるが、その蒸留酒は作り方は広めず酒自体を輸出する事で長期的に資金を得ることに成功している。

 

「トリスタン。良いですね、このウィスキー。ウィスキー単体ではやや苦めで度数がキツいですが、ギャラハッドの開発した蜂蜜レモンソーダで割ると良い味わいです」

「ええ、ベディ。私としては牛乳で割るのが好みです。これは美味だ」

 

ギャラハッド実験農園でギャラハッドがノリと勢いで作ってしまった小屋に有るバー。此処では仕事を終え、少し一息着きたい円卓の騎士が軽食と程々のお酒を楽しむ為のお店である。なお、不定期開店の為に開くかどうかはギャラハッドの気分しだい。

 

ベディヴィエールとトリスタンが呑んでいるのは現代でも有名なお酒ウィスキー。ウィスキーは馬鈴薯や大麦等を発酵し、蒸留させて作るお酒である。エールは麦でも作られるので、余ったエールを蒸留させてウィスキーにする事も出来るのだ。御存じ、ウィスキーのアルコール度数は40%前後、度数が高く腐る事は無いので末長く保存できる。エールの度数が5%前後なので腐る事は有るが、余ればウィスキーに蒸留し直せば良いので問題はない。しかし、度数が高いのでそのままでは少々処かかなりキツい。その為か、ギャラハッドはちゃんと美味しく呑むために炭酸水やジュースと割る方法も考えている。

ベディヴィエールは蜂蜜レモンソーダでウィスキーを割り、トリスタンは牛乳(考案者 当然の如くギャラハッド)でウィスキーを割っては楽しそうに呑んでいるのだ。ギャラハッド、酒文化を物凄くフライングさせる。

 

「此方、菜の花のバターソテー。試作品のモッツァレラチーズです」

「「待ってました!!」」

 

半年も有ればブリテンの食事事情は改善する。今まで痩せこけた土地は改善し、多くの食べ物が今年は実った。馬鈴薯やニンジンは全国民に行き渡る程に豊作であり、油はマダオの伝輸入がメインだったオリーブ油や希少なラードから自国産に大きく変わった。菜の花の種から取れる菜種油、豚を鏖殺した時に背脂から抽出するラード等と大きく変わったのだ。勿論、菜種油の取れる量は未だ限度があり、オリーブ油の輸入には頼らざるを得ない部分は有るのだがそれでも輸入の量が減ったのは喜ばしい。

 

「チーズですか。しかし、私の知ってるチーズと違って生っぽいですね」

 

トリスタンがフォークでチーズ…モッツァレラを刺して持ち上げて疑問に思う。実はこの時代でもチーズは加工食品として有名であり、ローマ帝国では普通に食されている。だが…ローマで定番のチーズと違ってモッツァレラは滑らかで柔らかいのだ。

 

「柑橘類の果汁又はビネガーを加えて固める方法も有るが、これはレンネットを使って固めたんだ」

「「レンネット?」」

 

聞き慣れない単語にトリスタンとベディヴィエールは首を傾げる。しかし、食べたい衝動からモッツァレラを食べて旨そうに笑みを浮かべて酒を喉に流し込む。

 

「クリーミー!!」

「レンネットとは大昔から使われていた酵素だ。元々は牛や山羊の赤ちゃんの第四の胃…ギアラと呼ばれる所から取れる酵素でな、たんぱく質を固める役割がある」

 

レンネット。牛や山羊の赤ちゃんの第四の胃ことギアラから取れる酵素であり、これは牛乳等を固まらせる作用がある。チーズは偶然の産物で発見された食材であり、その歴史は大変古い。大昔、旅人が山羊の赤ちゃんのギアラを水筒に加工してその中にミルクを入れていたが、そのミルクが凝固したのが最初だと言われている。

 

「だが…俺は薬品研究の為に飼育していたカビの仲間、ケカビからレンネットを発見した。このケカビ由来のレンネットを増産し、増産したレンネットを粉末状に加工。そしてケカビ由来のレンネットを他国に輸出しているんだ。他国じゃ、レンネットは子牛や子山羊を殺さないと手に入れないし、一度の量が限られる。

我が国はケカビのお陰で、子牛達を犠牲にせずレンネットを増産出来る。お陰でバンバン作っても輸出しても問題はナッシング!!」

 

しかし、このレンネット。今ではケカビと呼ばれるカビの仲間から作り出す事が出来る。このお陰で子牛のように可愛い命が失われる事はなく、人々は美味しくモッツァレラチーズを食べているのだ。

なお、このケカビ由来のレンネットだが…ギャラハッドは薬品研究の段階で偶然に発見してしまい、本人の前世知識は全く関係ない。

 

後年、ギャラハッドはカビの研究者としても歴史に刻まれる事に成るのである。

 

「「おお!!それは凄い!!」」

 

なお、このケカビ由来のレンネット。作りまくっても問題は無いので、ブリテンは他国に輸出して更に財政を潤っている。

ブリテンは現在、ケカビレンネットとウィスキーを他国に輸出している。今まで輸入してばかりだったブリテンが漸く、輸出という行いが出来て財政に新たな光を見出だしたのだ。輸入は兎に角金がかかる。この時代に飛行機なんて物は存在せず、大きな輸送は船を使う。しかし、船と言えど何かが起きれば沈没してしまう。そうなってしまえば大事な積み荷も海の藻屑と成ってしまい、船の乗組員も死んでしまう。だが…このブリテンは違う。ギャラハッドの負担は増えるが、事前にギャラハッドがマーキングを輸入国に刻んで置けばギャラハッドがそこに転移。その後、輸入品を確認し、金銭等を輸入国に手渡して輸入品をブリテンに飛ばす。こうすれば事故無く安全に物資をブリテンに運べるのだ。勿論、ブリテンから輸出国へ輸出する際も同じである。

 

「カビとゴキブリはマジで凄いぞ。ペニシリンや他の抗生物質、薬品の研究がマジで捗る。お陰でブリテンは医療分野に於いてはローマを置き去りにした。マダオより凄いぞ」

 

ギャラハッドというイレギュラーが居る為なのだろうか、ブリテンは医療分野はローマを置き去りにし、世界で最も優れた医療大国に成ったのだ。

 

 

 

「さてと、そろそろ店仕舞いにするか。天然痘の特効薬も作らないとな…」

 

フライパンを洗い終え、来店した騎士達が使ったコップと食器も綺麗に洗うギャラハッド。このバーはギャラハッドが趣味でやっている場であり、料理の試作品等を提供する場だ。だが…医療の実験場所は別の所に有る。医療の実験場所までは飛雷神で飛べば一瞬だが、今日の洗い物は今日中にしなければ成らない。バーは気紛れ開店の為に次は何時暖簾を出すのかはギャラハッドでも予定を考えていないためだ。

 

「異世界にも天然痘が有るのは幼少期から知っていた。俺はどういう訳か感染しないし、酒にも酔えない。この事から俺の身体はあらゆる毒と呪いが効かない身体何だろうな」

 

洗い終えた食器を優しくフキンで水気を拭き取り、棚に仕舞うギャラハッド。

ギャラハッドは幼少期の頃から自分の身体が変だと薄々気付いていた。身体能力の人間離れした高さではない、もっと根本的な部分が違うと思っていたのだ。最初は異世界転生した際に与えられる特典かと思っていたが、違った。それは望んでいた訳では無かったからだ。

幼少の頃、ギャラハッドはランスロットの手で修道院に預けられていた。物心着いた頃から白髪だった彼だが、修道院のシスター曰く、やって来たばかりのギャラハッドはランスロットと同じ髪色だったそうだ。その上、修道院の周辺で人類を脅かした病…天然痘が猛威を振るった時はギャラハッドは感染した子供を前世の知識を生かして治療した。だが…その子供の飛沫がかかった事がある。本当なら間違いなく感染だが、ギャラハッドはどういう訳か感染しなかった。当時はたまたまと思ったが、マーリンが十三席に仕掛けた呪いを物ともしなかった事でギャラハッドの疑問は再燃する。そして2ヶ月前、完成したウィスキーをストレートで飲みギャラハッドの疑問は確信に変わる。ギャラハッドにアルコールの症状は一切現れず、ギャラハッドは自分の身体が呪いや毒に対して究極と言える耐性を持っていたのだ。

 

ゴキブリのように瞬時に毒素に対して抗体を作れるのか、はたまた毒素が効かないのか分からなかったが…呪いの席から考えて一切の毒が無効になると結論着ける事にしたギャラハッド。

 

「だとしたら俺の身体から天然痘のワクチンは作れない。牛や馬から馬痘ウィルスを採取し、人間に打ち込む方法でワクチンにするしかないな。天然痘ウイルスとサル痘ウイルスは人間に対して重症化させるが、牛痘ウイルスは人間が感染しても超軽傷で済んで抗体が出来る。

天然痘系列の抗体の型は同じ筈だ。それで行くしかないな」

 

天然痘はブリテンでも人々を苦しめている。ゴキブリとカビ類から治療薬の開発をギャラハッドは急いでいるが、時間が足りない。天然痘は何としてでもブリテンだけとは言え撲滅させなければ成らない。そうでなくては多くの人々が亡くなるし、多くの人が後遺症で悩まされる。世界中の人々が今日もこうしている間に天然痘で悩まされており、亡くなり、完治しても身体中にブツブツが残る等の被害を受けている。

 

「治療薬が先か?ワクチンが先か?ワクチンは馬痘か牛痘さえ見つかれば速攻で出来る。ブリテンやフランスを飛び回れば1日で見付かる。どうするべきだ…いや、それ以前に…」

 

ギャラハッドはそう告げ、自身の白く成った髪の毛を触り悲哀が混じったような表情で嘆く。

 

「俺の命の残り時間は後、何年だ?脳腫瘍の影響で白髪に成ったかと思っていたが、それは無いな。回復魔術で新鮮な脳を常に提供してるし」

 

人間は歳を取っていけばメラニン色素が上手く作れなくなる。

 

「気付いたようだね」

 

ふと、その声が聞こえてギャラハッドはバーのカウンター席を見る。そこには宮廷魔術師のマーリンが座っていたのだ。

 

「出たな、ろくでなし」

「はっはは、マーリンさんだよ。ろくでなしは酷くないかい?」

「皆、このルナティックな世界を全身全霊で生きているんだよ。お前以外はな」

 

ギャラハッドはマーリンという宮廷魔術師が嫌いだった。ケイに入れ知恵された訳ではなく、会った瞬間から何処か嫌悪感を抱いていた。

ブリテンはハッキリと言えば滅び行く国だった。アーサー王という王とギャラハッドの改革で国として回復しきってる状態で、なんとか保っている。だが…このマーリンという男は傍観者…まるでフィルター越しに物語を見ているような感じなのだ。

 

「王様はご飯を食べてるときに心から嬉しそうにしてる。ケイ先生は俺のやりすぎをツッコミ入れながら叱ってくれる。でもお前は違う…女の子だった1人の少女を王に仕立て上げて、滅び行く国を任せる癖に、なんの感情移入も懐いていない」

「ふーん、良く見てるね?君、本当に私が予言で見たギャラハッドじゃないね」

「ケイ先生が半年前に言ったとある事が気になってな。円卓全員を観察してた。案の定だったけどな」

 

下着プレゼンの後、ギャラハッドはアーサー王が女性である事をケイに確認した。実はギャラハッドは最初に見たときからアーサー王がアルトリアという女性だと気付いていており、この国がジェンダーフリーを推奨する男女差別の無い国だと思っていた。

しかし、それはギャラハッドの勘違いだった。アルトリアはケイやマーリン等の事情を知る一部の例外以外からは男性と思われており、完璧な王を演じてるに過ぎなかったのだ。女性として本来の自分を押し殺し、男の王を演じてきたアルトリア。それは一重にこの国を守りたい彼女の姿だった。

 

「他の円卓の騎士は全員、王様を女性だと思っていない。完全に男と判断し、完璧な王様だと額縁に飾ったような肖像画を見るように見てる。

ケイ先生が嘆く訳だよ。ケイ先生以外、誰だって本当の王様を見ようとしていない。アーサー王というフィルター越しに見てるんだ」

 

円卓の騎士はアーサー王を心から心酔しているだろう。だが…円卓に入って日が浅いギャラハッドと義兄であるケイ以外は心酔する余り、アーサー王をアーサー王個人ではなく理想の王というフィルター越しにしか見えていない。肝心のアルトリア個人を見れていないのだ。いや、見ようともしていないのかもしれない。

 

「あの人…いやあの娘が本当に感情を出して笑顔浮かべるの、俺の出した料理食べてくれる時だけだぞ?」

「じゃあ、君がアルトリアの代わりが務まれるかい?」

「今は無理だな。俺は政治の前に、天然痘を撲滅させないといけない。万全に動くのは後、軽く見積もっても半年長くて1年。内臓の機能が弱まるのはその後から徐々に来る。研究も出来て1年ちょっとだな」

 

そしてギャラハッドが余命を気にした時にマーリンが現れ、マーリンは気付いたようだねと告げていた。この事からギャラハッドの残りの時間が無いことは間違いないだろう。

ありとあらゆる呪いと毒に対する完璧な耐性。全てを凌駕しかねない剣の才能、桁外れな魔力の量と質。これらと引き換えに寿命が短く設定されていたと過程すれば?辻褄は合うだろう。

 

「それで充分だけどね、本来の君なら。アルトリアがブリテンの良き王に成ると同じ様に君にも役目はある。

君の役目は救世主の残した聖杯を見付け、それを使って穢れ無き純潔の肉体のまま神の元に召される。それが君の物語だ」

 

救世主…聖杯、この2つのキーワードからギャラハッドはとある人物と1つの宗教を思い浮かべる。キリスト教の教祖であり神の子であるイエス・キリスト、キリストの血を受け止めた盃…聖杯である。

 

「十三番目の席に仕掛けた呪いと言い、本当にキリスト教が好きなんだな」

「本当なら君は円卓の騎士に数えられて直ぐ、聖杯を見つける旅に出る。そして聖杯を見付け、純潔で穢れ無き肉体のまま此の世を去る願いを叶えて神の元に召される」

「はっ、なに?スタイリッシュ自殺するのが予言だって?とんだお伽噺だな。ジャンプの打ち切りじゃ有るまいし」

 

マーリンの言葉が正しければ聖杯はどんな願いでも叶うのだろう。だが、マーリンの予言でのギャラハッドが叶える願いは早い話自殺。何を思って自殺を願ったのか一切分からないが、ギャラハッド本人からすれば全く理解が出来なかった。

 

「まあ、君は好きにしたまえ。本来なら、君はもう聖杯探索を終えて天に召された頃だけどね。ともかく、マーリンさんはお暇するよ」

 

マーリンはそう告げてバーから出ていく。しかし、ギャラハッドは思った。

 

「聖杯使えば…俺の寿命問題、解決するんじゃね?」

 

ギャーさん。聖杯の探索を予定の1つに加える。

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ…月が今日は見えないな」

 

ケイは自宅の豪邸の屋根に登り、ギャラハッドから貰ったウィスキーをストレートで呑みながら星空を眺めていた。

 

ケイはギャラハッドにアルトリアの真実を話し、半年。ギャラハッドも円卓の騎士がアルトリアをどう見ていたのかを理解してくれた。誰もあの日からアルトリアの事を見てくれず、何もフィルター無しで見てくれたのはギャラハッドだけ。

 

あの日から…アルトリアが選定の剣を引き抜き、側で支え続けてきたケイ。いや、その前から兄としてアルトリアの側に居たケイ。くそったれ魔術師、父親、先代王、様々な人の思いや陰謀で本人の意識関係無しに王に選ばれた妹。ケイとしてはアーサー王としてではなく、アルトリアとして妹には幸せに成って貰いたかった。

 

「なあ…ギャラハッド。お前だけだったよ。俺以外でアルトリアの事を見てくれたのは。

アイツを叱って、そんで夜に成ったら隣で寝て朝日が昇るまで側に居てくれ。妹に王は向いてない、アイツには誰かと幸せに家庭を築いて…それでガキや夫に囲まれて楽しく過ごす方が良い。お前だから託せるんだ……此処で酒の力を借りて言ってもしょうがないな」

 

ケイは酒に強いが、ウィスキーの度数が高いのも有ってかその後直ぐに寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャラハッドさん!?」

 

「ギャラハッドさん!?」

 

「しっかりして下さい騎士様!!」

 

1週間後。天然痘のワクチン接種でブリテンを回っていたギャラハッドが倒れた。その事がケイの耳に入り、ケイは気が付けば馬を走らせていた。




次回…ギャーさん倒れる!?

「ワクチン接種は終っていない…次は……」
「ギャラハッド!?お前…左目見えてるか!?」

刻々と迫り来るタイムリミット。

「あの碌でなし魔術師は聖杯がどうたらこうたらって言ってたな」
「聖杯?キリスト教にはまったマーリンのやりそうな事だな。だとしたら、童貞しか聖杯は見れないな」

ギャーさん、旅立ちと覚醒の時が迫る。

漁夫王「聖杯をそんな目的で使うな!!」
ギャーさん「ドラゴンボール!!俺の寿命を伸ばしてくれぇぇえ!!」

漁夫王+???「えっ!?ロンギヌスを取り込んだ!?」

漁夫王+???「えっ!?ロンギヌスが真っ赤な槍!?てっ!?剣に変形した!?ふぁ!?」

ギャラハッド…運命を乗り越える!?

ギャラハッド「領域展開!!」
ケイ「アウト!!」

聖杯捜索編スタート!!


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ギャーさん聖杯珍道中
ギャラハッド。新たなる旅路


ギャーさん、命の危機!?


「おーい!ボール行ったよ!!」

「行くぞ!!てりゃあ!!」

 

ブリテンの喉かな農村。首都であるキャメロットから離れた場所に有る此処は後にロンドンと呼ばれる事になり、諸事情から未来ではキャメロットからブリテンの首都に変わる事になる未来の大都市である。

この農村だが、子供達が楽しそうに鞣した皮で出来た球体の玩具…ボールを蹴っては手を使わずに玉遊びを行っていた。子供達が遊んでいるボールはギャラハッドが開発し、周囲に広めた物だ。そこそこ厚みの有るゴムでボールを作り、空気を入れて膨らませる。そのゴムボールを鞣した皮でコーティングする事で産まれたこのボールは原初のサッカーボールとして後世に語られる事に成るのだった。ギャラハッドはボールの固さや重さが異なる3種類のボールも開発し、ブリテンに広めては専門の業者達が子供達の為に作ってくれている。1つは今、子供達が遊んでいるサッカーボール。もう1つはサッカーボールより少し大きく固めなバスケットボール。サッカーボールよりほんの少し柔らかめなバレーボール。小さくてかなり固い野球ボール(後の軟式野球ボール)。小さく弾んでは柔らかいテニスボール(後の軟式テニスボール)。等々だ。

 

ギャラハッドはこの世界に異世界転生し、子供達の遊びの少なさに嘆いた。球技なんて存在しないし、当たり前ながら文明の力であるゲーム機なんて無い。そこでギャラハッドは考えた。無いのならば作って広めてしまおうと。ギャラハッドはゴムを開発し、流れ作業で球技用のボールを開発。その後は前世の経験を活かして円卓や近所の子供達にサッカー等のスポーツを教え、子供達の遊びの幅を広げたのである。今ではサッカーやバスケットボールは子供達の娯楽であり、天気が良ければ子供達は皆で球技を楽しんでいる。

 

「もうブツブツの病気は怖くないもんね!」

 

1人の少女がボールを足で止めてそう言った。ブツブツの病気…それは毎日のように死者を、ヒドイ痘痕を残していく悪魔のような病である天然痘の事だ。だが、このブリテンではギャラハッドの懸命な活躍のお陰で根絶に向けて動いている。

 

天然痘は致死率30%を越える悪魔のような病であり、感染力も非常に高い。しかし、この天然痘…人間には猛威を振るうが、馬や牛等に感染するウマ痘ウイルスは人間に感染した場合は症状が出ないや1ヶ所だけ水膨れが起きる程度の超軽傷で済む上に型が同じ為か天然痘の抗体が出来るのだ。つまり、超弱毒(人間は)である牛痘やウマ痘に感染すれば天然痘にはかからなく成るのだ。これは人間が持つ抗体という特性であり、1度感染したウイルスや細菌…その近縁種に対して強くなるという事だ。

事前に弱くなったウイルス、或いは人間に対して弱毒なウイルスの近縁種を人間に打ち込んでは免疫を着けて、病気を予防する事は予防接種と呼ばれており、正史ではエドワード・ジェンナーが考案した。今、我々現代日本人が予防接種を受けて病気に備えられるのはジェンナーが予防接種とワクチンを考案し、天然痘と戦ってくれたお陰である。

 

「うん、あの騎士のお兄ちゃんは本当に凄いや!!」

 

ギャラハッドは医学で永久的に語り継がれるジェンナーの力を借り、天然痘のワクチンを1日で開発。ワクチンを開発してギャラハッドはブリテンを文字通りに飛び回り、キャメロットから遠い町から順番に予防接種でワクチンを打ち込んでは天然痘の根絶に動き出した。そのかいあってか、未来のロンドンでは既に予防接種が終わり子供達は今日も元気にサッカーをして遊んでいるのだ。

 

のだが、ギャラハッドが不眠不休で働いた為か、ワクチン接種を9割完了させた時だった。キャメロット近隣の町でワクチン接種を完了させたギャラハッドは次の現場に向かおうとした時、倒れてしまったそうだ。

 

「たっく…俺は何をしてるんだ」

 

ケイは愛馬に跨がり、護衛も連れずに馬を走らせていた。ギャラハッドが倒れたと連絡を聞けば、気が付けば馬に跨がって馬を走らせていた。自分らしくないと自分に言い聞かせるケイは自分で思っていた以上に、あの奇天烈でナニを仕出かすか分からない教え子の事を案じていたようだ。事実、ギャラハッドの実父であるランスロットより速く動く所を見ると相当入れ込んでいたようだ。最も、実父であるランスロットはガレスという新人騎士を見習いとして鍛えているそうで、未だギャラハッドが倒れた事が耳に入っていない可能性が高いが。

 

「俺らしく無いぞ…」

 

ギャラハッドが倒れたのはキャメロット近隣の町。半年前はキャメロット周辺とは言え、ブリテン自体が廃れた国だった為か寂しい町だった。だが、今はギャラハッドのお陰か農業の土地は肥えてきており、エールとウィスキーの製造などで町が普通に栄えていた。

 

町に到着し、ケイはギャラハッドが寝ている筈の町の診療所に駆け込んだ。ブリテン1である医者のギャラハッドが倒れた事も有ってか、そこの診療所には多くの町民が集まっていた。

 

「ちょっ!!退いてくれ」

「ケイ様!?」

 

ケイは町民の集まりを掻い潜り、病室に入る。病室に入ると、ベッドに寝転がり…上半身を起こしては窓から外を眺めるギャラハッドの姿が有ったのだ。

 

「ギャラハッド…もう、起きて大丈夫なのか?たっく、心配して損したぜ」

 

ケイはギャラハッドにそう問う。倒れたと聞いてヒヤヒヤしたが、窓から外を眺められる程には元気なようで少しは安心したケイ。だが、ギャラハッドがケイの方を見るとケイは唖然とし…言葉を詰まらせる。

 

「おっ………お前、左目どうした。右目と比べて輝いてないし、見えてるか?」

 

ギャラハッドの左目は光を喪い、輝きが消えていたのだ。そう、視力の著しい低下…或いは失明だ。

 

「白内障だよ、ケイ先生」

「白内障?なんじゃそりゃ」

 

白内障…それは目のレンズが濁り、視力が低下する病気である。だが、珍しい病気ではない。ありふれた病であり、老人ならばの話が着くが。

 

「マーリンの糞やろうの話と、自分なりの考えを纏めた結論だけどよ。俺の身体は普通の人の何十倍も老化が速いみたいだ。

外見はウェルナー症候群に近いのか、見た目では老化してないけどな。左目の進行が思ってたよりも速い、俺の命はあと1年有るか無いかと言った所だな」

 

ギャラハッドはケイに話す。勿論、マーリンが言っていた予言でのギャラハッド、それから考えうる短命の訳をだ。

 

「くっそ!!あのくそったれ魔術師…妹の人生を狂わせるだけじゃなく、俺から教え子を奪うのか!!」

「俺の老化とマーリンは関係ないと思うぞ?てか、何で俺がツッコミ!?」

 

だが、それでも未だ死ぬとは決まっていない。予言でのギャラハッドは聖杯を見付け、その願いにより自害した。ならば、その聖杯を寿命の尽きる前に見付け、聖杯の願で寿命を伸ばせば良いのだ。そうすれば、ギャラハッドは助かる。

 

「そういや、予言での俺は聖杯でスタイリッシュ自殺だよな?その聖杯を見付けて使えば、俺は助かると思う」

「確かにな。あのマーリンの事から考えると、聖杯はキリスト教関連だろう。だとすれば…童貞しか見付けられないな」

 

今、円卓で童貞なのはギャラハッド、パーシヴァル、ベディヴィエールの3人だけだ。因みにボールスは先日に女を買って脱童貞した(史実でも彼は童貞では有りません)。

 

「パーシヴァルとベディヴィエールには俺から話を通しておく」

 

すると、ケイは何かに気付く。それはギャラハッドのベッドの側に、何か黒い箱のような物が有ったのだ。

 

「ギャラハッド…それは?」

「カメラ。原理は人間の瞳と似ていてな。これでボタンを押せば…」

 

ギャラハッドはその箱を手に取り、構えてボタンを押す。すると、パジャっと音がして光がケイを一瞬照らした。

 

「原理は覚えてるから作ったんだよ。俺は専門家じゃないから…カラーじゃ出来なかったけどな」

 

そしてギャラハッドは医療道具が入った鞄を手に取り、その中から1枚の冊子を取り出してケイに手渡す。

 

「カメラで撮影した風景が此処に。天然痘のワクチンを他国に広めるために、経過観察として撮影した写真とプライベート。勿論、患者には許可は貰ってる」

 

ケイはその冊子を受け取り、冊子を開く。そこにはこれまで見たことがない程に精巧に画かれた絵画を越えたナニかが貼られていたのだ。そのナニかは絵画と言うより、瞳に写ったまんまと言える。色はなく、白黒だったが恐ろしい物だった。

 

「それが写真だよ」

「お前…マジで凄いな」

 

そのナニかは写真と呼ばれる物であり、ケイはペラリペラリとページを捲る。

 

ブリーフ一丁でポーズを決めるランスロット、騎士にようやく成れたガレスの笑顔、美味しそうに蜂蜜レモンソーダを飲むモードレッドとガウェイン、美味しそうにご飯を食べるアルトリア。円卓の何気ない1面が写っており、ケイは更にページを捲る。

 

「うっ!?」

 

だが、次のページには天然痘に感染し、ブツブツが身体中に出来て死を待つだけの状態の患者が写る。だが、ギャラハッドが懸命に治療し、その患者が徐々に良くなる過程が写真に納められており、最終的には完治していた。

 

更に次のページではギャラハッドが注射器で、子供達に天然痘のワクチンを射つ場面が移る。

 

そして次のページは未だ白紙だった。

 

「お前は絶対に聖杯を見付けろ。そんで、この冊子を写真とやらで埋め尽くせ」

 

ケイはギャラハッドに冊子を返し、ギャラハッドの頭を撫でて病室を出ていった。

 

「マーリン…お前は恐いんじゃないのか?ギャラハッドが。お前がわざわざアイツに言うってことは、お前はギャラハッドの未来が分からないだろう。お前のレールを外れ、ギャラハッドは誰も想像の出来ない男になる。

剣でも騎士道でもなく、アイツは今後の英雄として必要なスキルで英雄を越えた存在になるさ」

 

なお、先ほどギャラハッドが撮影したケイの写真。遠い未来で大英博物館に飾られる。




次回…ギャーさん旅に出る。

原作とは違う聖杯珍道中!?



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馬?俺の旅には必要ない!!

聖杯探索。本来、マーリンが予言した物語のレールではギャラハッド…ややこしいので予言ギャラハッドとしておこう。ランスロットと魔女エレインの息子である予言ギャラハッドが円卓の席に座り、その後直ぐに円卓の中央に万能の願望器であり聖遺物である聖杯が出現。聖杯は中から様々な食材を出現させ、円卓の騎士達に振る舞うと突如として姿を消してしまう。姿の消えた聖杯を探し出す為にアーサー王の名の元に、円卓の騎士は聖杯探索を行い、その中でも童貞……上手く言い換えれば穢れ無き身体をしたギャラハッドが聖杯を見付け、キリスト教信者として最も望まれたとも言って良い純潔のまま神の元に召される事を選んで聖杯探索は終わる。しかし、予言は予言。勿論、予言通りの道筋を歩む世界も有るだろうが、この世界では大きく異なる。

 

と言うのもギャラハッド達はキリスト教ではないし、パロミデスはイスラム教徒ではない。今の時代、キリスト教を信仰してるのはローマ帝国位であり、著書でパロミデスの信仰していたとされるイスラム教は出来たばっかりなのだから。

マーリンの予言が正しい世界では確かにギャラハッド達はキリスト教信者であり、パロミデスはイスラム教からキリスト教に鞍替えしたそうだ。だが、この世界では違う。出発は予言から半年以上遅れ、そしてボールスが脱童貞してしまった為に出発メンバーも変わったのだから。

 

「では王、王妃、ケイ卿、ランスロット卿、ガレスちゃん。行って参ります」

「ギャラハッドの事は私達にお任せください。彼と共に聖杯を見付け出し、彼を救って見せます」

 

白亜の壁が聳える首都キャメロットの城壁前。そこに鎧の上から旅用ローブを纏った青年2人が今正に旅立とうとしていた。長旅に備えてか、2人の側には鞍に旅道具が入った袋を提げられた2頭の馬も居る。

旅に出る青年2人はバーシヴァルとベディヴィエール。2人はギャラハッドと同じく童貞であり、ギャラハッドの命を救うために彼と共に聖杯探索の旅路に向かうのだ。聖杯探索は何が起こるのか分からない。もう、既にローマ帝国に確保されている可能性も有り、中東の何処かに埋葬或いは埋もれてる可能性だって有る。何が起こるか分からない旅路になり、ギャラハッドの寿命が尽きる前に聖杯を発見できる保証も無いのだ。

 

そしてそんな彼等を見送るのは数人の男女。ブリテンの王であるアルトリア、ギャラハッドの保護者であるケイ、ブリテンの王妃であるグィネヴィア、ギャラハッドの実父であるランスロット、そしてランスロットの弟子であるガレスである。

 

「頼むぞ…ベディヴィエール、パーシヴァル。ギャラハッドの旅路に同行出来るのは貴殿2人だけだ」

 

アルトリアが真剣な眼差しでそう告げる。

聖杯はキリスト教の物であり、マーリンの大好きな物。キリスト教関連の為に童貞で無ければ辿り着けず、童貞で無ければ成らない。ベディヴィエールとパーシヴァルの2人は常識人だし円卓の数少ない良心、実力も有りそして童貞!!ギャラハッドと共に聖杯を発見できる資格(童貞)を有しており、今回の探索メンバーに任命されたのだ。

 

「ボールスが童貞だったら、経験を積ませる為に行かせたのですが…」

「アイツ、半年前に女買って卒業したし」

 

史実ではボールスがギャラハッド、パーシヴァルと共に聖杯を発見した。しかし、この世界ではギャラハッドの出発が遅れた事も有ってか、ボールスは残念ながら我慢できずに女を買っては脱童貞。その結果、見事にボールスは今回の探索メンバーから外されてしまったのである。

 

「あれ?ギャラハッドは何処に?」

 

ふと、グィネヴィアがそう告げる。そう、今回の探索の主役はギャラハッドだ。ギャラハッドの寿命問題を解決するために、彼等は聖杯探索へと旅立つが肝心のギャラハッドが此処に居ない。

いや、それは少し違う。ギャラハッドはベディヴィエールとパーシヴァルが出発の挨拶をアーサー王達…見送り組に告げる寸前までは確かに此処に居た筈なのだ。なお、ここのグィネヴィア王妃はアーサー王が少女の為か、予言通りランスロットと不倫しておりグィネヴィアからすればギャラハッドは血の繋がりは無いが最愛の人の息子であり、思う所は多々ある。そこでグィネヴィアはギャラハッドの無事を祈り、嫁入り道具であった四次元空間に繋がる大楯をギャラハッドに授けたのだ。この大楯が聖杯探索の助けに成ることを祈ってだ。

この大楯、四次元に繋がる収納スペースが存在しており、聖杯等のレリックは勿論のこと、日常品も収納できる。グィネヴィアもアルトリアも、ギャラハッドならばこの大楯を使いこなせると思っているのだ。

 

「ギャラハッドはもう行ったぞ。アイツ、飛雷神で飛んで帰れるから、別れの挨拶無しで行ったからな。まあ、アイツらしいな」

 

ケイが空を指差して遥か彼方の空を見上げる。ケイに釣られて他の者も遥か彼方の空を見上げる。上空…それも遥か彼方に彗星のように光輝く青い点が見えており、その点はホウキ星のように青い光りを放出させながら恐ろしい速度で飛翔して遥か彼方に消えてった。

 

「「へ?」」

「アイツ、魔力放出最大出力で行ったな。もう、大陸に着いた頃じゃないか?」

 

ギャラハッド…一足先に大陸に到着する。

 

すると、彼等の目の前に音もなくギャラハッドが瞬時に現れた。ギャラハッドはパーシヴァルとベディヴィエールと違って鎧は纏っていない。実はギャラハッド、魔力放出の魔力操作と結界術を組み合わせ、魔力から鎧を具現化する方法を考案。更に衣類の何処かに雷を示すルーンが刻まれており、それを発生源として電磁メタマテリアルを利用した非対称性透過フィールドを形成する事でバリアーとしてるのだ。

様々な分野に知識を持つ元医大生に魔術とか神秘を覚えさせるとこうなってしまう。なお、ギャラハッドは腰に選定の剣を提げただけだが、ギャラハッドは魔術を応用し大楯を大楯の四次元空間に仕舞う手段を速攻で確立。これにより、瞬時に様々な武装を展開可能なのだ。

 

「飛ぶぞ。大陸にマーキング仕掛けて来た」

「「ギャラハッド!?」」

 

ギャラハッドはパーシヴァルとベディヴィエールに触れる。この状態で飛雷神を使えば、2人も一緒に飛ばされると言うことだ。パーシヴァルとベディヴィエールは瞬間転移の経験が無く、少し慌てる。

 

「王様。終わった後のディナー、お楽しみに」

 

ギャラハッドはそう告げて、2人と共に飛んでブリテンを後にした。馬は置き去りにされ、パーシヴァルとベディヴィエールの心の準備は無しに彼等はブリテンを後にしたのだった。

 

「2人とも…俺みたいに胃を決壊させるなよ!!」

 

麒麟児な教え子に振り回される良心2人を思い、ケイはサムズアップした。

 

 

一方のギャラハッド達が降り立った大陸。東ローマ帝国が統べるヨーロッパを2人の人物が歩いていた。1人は金髪の若い男であり、貴族が着るような立派な装束を身に惑い、腰には宝石で出来た短剣を提げている。

 

「デジャブが崩れるか…はは、ワシが産まれたこの世界は並行世界のワシが居る世界と比べて、愉快な事に成りそうじゃないか」

 

男がそう告げる。

 

「デジャブが崩れる?」

 

男と共に行動する少女がそう問いかける。少女は気味が悪い程にアルトリアに似ており、後ろ髪を2本に分けている。衣類は貴族の少女が旅をする時に纏うような服装をしており、手には剣ではなく何処かマーリンの杖に似た杖が握られている。

 

「そうだ、アルトリア。ワシは魔法で並行世界の事が分かってしまう。だから何が起きてもデジャブるしてしまう。だがな、この世界は違うようだな」

 

男は少女の事をアルトリアと呼んだ。

 

「お前さんを滅び行く並行世界から気紛れでこの世界に招いたのはワシだ。お前さんとは少し違うが、似たような奴がおるな。ソイツがデジャブるを崩してくれたキーマンか」

 

男は空を見上げる。空には青い彗星が飛んでおり、彗星に耳をすませると…

 

『ギャラハッド!!ストップ!!ストップ!!』

『速い!?速い!?速い!?取り敢えず、下ろしてぇぇぇえ!!』

 

男二人の絶叫が聞こえてきた。

 

「行くんですか?魔法使いさん」

 

アルトリアと呼ばれた少女は男を魔法使いと呼んだ。魔法とはどんな資材と時間を擲っても再現できない、現象の事だ。例えばギャラハッドが魔力放出で飛んでも、それは最終的には飛行機を使えば結果は再現できる。魔術を使って相手を倒しても爆弾を使えば再現できる。それらは魔法ではない。

魔法は有り得ざる事なのだ。時を越えたり、並行世界に行ったりと普通は出来ない事なのだ。だが、この男はそれが当たり前のように出来てしまう。故に魔法使いである。

 

「当たり前だろう。ワシの人生は並行世界で初めて魔法に至ったワシのお陰でデジャブの連続だ。だが、それも漸く終わる」

 

魔法使い キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグは青い彗星が飛んでいった方向に向けて歩き出した。

 

「いや、面倒だ。飛ぶぞ」

「魔法使いさん!?」

 

ゼルレッチは指を鳴らし、少女と共に消えた。

 

 

 

 

 

「ワシ、ゼルレッチ。大絶賛就活中の魔法使いで魔法使いの32歳。お前さんの旅に着いていって良い?因みに童貞。此方は知人の弟子だったアルトリアことアルちゃん」

「良いぞ。てか王様そっくりだな」

「お前さんの王様と同一存在だからの。龍じゃなくて妖精だけど」

 

後にパーシヴァルは語る。この冒険は色んな意味で忘れられない事に成ることを。ただ言えたのは、ケイ卿の気持ちが少しは分かった。

 

 




現在の一行。

ギャーさん、キャストリア、青年ゼルレッチ、パーさん、ベディさん。

一行が増え、彼等は素性を旅している医者兼学者として偽り、ローマ帝国に侵入する。

ギャーさん「テルマエは?ルシウスは?何処に!?」
ゼルレッチ「ハドリアヌスの時代は大昔で、今じゃキリスト教が国境でローマ正教は廃れたからの」

しかし、今のローマはテルマエ文化が廃れてしまっていた。風呂?十日に1度に充分!!

ギャー「おっ!テルマエの設計図!?……ニヤリ」

ギャーさん、一大プロジェクトとブリテンの水周り革命を思い付く!?

ギャー「上水道は竹で行い、下水道はローマンコンクリートとレンガを用いて…下水道から汚水が漏れないようにゴムも使ってと」
アグラヴェイン「誰が…此処までやれと言った!?」


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ローマと言えばテルマエ…えっ?衰退した!?

ギャラハッド…カルチャーショック


ギャラハッド達が旅に出てから早3日。一行は新たに魔法使いと名乗るゼルレッチ、そしてゼルレッチが連れていたアーサー王そっくりの魔術師の少女アルトリア・キャスターを加えて聖杯を探す旅を続けていた。

 

「あー…やっぱり、風呂は入るべきだな。ローマ市内に入ったら、テルマエの設計図とか誰かくれないかな?ブリテンにも火山は多いし、天然露天風呂や温室栽培とかやっちゃうぞ」

「ケイ…貴方の気持ちが段々と分かってきましたよ」

 

今、彼等が居るのはローマ帝国の中にある町ですらない草原の原っぱ。ローマ帝国も嘗ての栄華と比べると廃れたかも知れないが、それでも世界最大の国家。多くの属州や領土を抱えており、ギャラハッドが魔改造させたブリテン以上の文明を誇っている。

ブリテンは元々医療が専門分野だったギャラハッドのお陰で、世界で唯一天然痘の根絶(ブリテン限定)を成し遂げ、世界で唯一ワクチンの開発や抗生物質ペニシリンの製造開発が出来る国家だ。食文化も未来知識の有るギャラハッドのお陰で、咀嚼するだけだった料理も美味しく楽しめる物に変化しており、多くの人々が日々の食事を楽しんでいる。

 

「アルちゃん。お風呂入る?1番風呂譲るぞ」

 

テルマエはローマの生活の一部。今ではどうだか知らないが、ギャラハッドは前世で見た歴史バラエティー漫画のお陰かそう思っている。嘗て、ギャラハッドの前世で一世を風靡した風呂漫画テルマエ・ロマエ。テルマエ・ロマエは古代ローマ人であるルシウス・モデストゥスという建築家が現代日本と古代ローマを風呂で往き来し、ローマのお風呂を現代日本技術で進化させるお話だ。早い話、ギャラハッドと似たような事を行う漫画である。

 

風呂は良い。いや、風呂以外でもローマは優れた水洗都市とも言えるだろう。ローマンコンクリート、頑丈なレンガを用いた下水道や上水道というライフラインが完備された街並み。お陰で汚水を処理する場合も町を汚さず、非常に綺麗なのだ。そんな聖杯探索の序でにローマンコンクリート等の素材の作り方を修得し、ギャラハッドには壮大な計画があるのだ。

 

「お風呂ですか!?」

「大丈夫。女性用の水着のサンプルも持ってきたから、もし有れならこれを着てくれ。更衣室も有るぞ」

 

更衣室である簡易的な小屋、嘗てギャラハッドが製造し更に改良を加えた簡易的移動露天風呂、四次元ポケットに入ってるそれらを取り出したギャラハッドは1日の疲れを癒す為かお風呂の準備を行っていた。

 

「ケイ卿…貴方はこんなカルチャーショックな日々を毎日過ごしていたのですね」

「いや、マジで凄い。ですが、ギャラハッドのお陰で今の日常が有りますから」

 

お風呂の準備を行うギャラハッドを見ながら、ギャラハッドが四次元空間から出してくれた椅子に腰掛けパーシヴァルとベディヴィエールは唖然としている。彼等の視線の先にはギャラハッドが長旅の為に用意した水を煮沸消毒させる為の大鍋、ギャラハッドが製作した水の濾過装置が有ったのだ。

濾過装置や簡易的移動露天風呂は勿論のこと、食事は斬新な料理。保存食もギャラハッドが製作した缶詰という長期保存食、パスタを加工した即席麺等々、3日足らずで2人はケイが日頃から受けている日常の一片を体験してしまったのだ。

 

「凄いです!!魔術も何も使ってないのに…この濾過装置を通るだけで水が綺麗に成ってます!?いや、本当にどうなってるんですか!?」

 

アルトリア・キャスターことキャストリアが興奮しながらギャラハッドの製作した濾過装置を触りながらそう言った。

仕組みはこうだ。出来るだけ大きな入れ物を使い、1度に多くの水を濾過する為かギャラハッドは以前製作した露天風呂と同じ構造であるアーチ構造を用いて…エール樽程の大きさの樽を製作。その樽の下に蛇口を製作し、捻れば濾過された水が出るように設計。肝心の中身は1番下層が濾過された水が溜まる貯水槽、その上に二重の布→粉々に砕いた炭→砕いた炭→やや砕いた炭→大きな炭→大きな石(消毒済み)と重なっている。石から大きさがどんどん小さくなる炭を通ることで汚い水が濾過されて綺麗な水に成るのである。

 

「1人違うだけでデジャヴるが停まるし。しかし、時代先取りしすぎじゃろ」

「アルちゃん。濾過されても念のため煮沸消毒した方が良いぞ。飲めない事は無いけどな」

 

ギャラハッドはキャストリアの事をアルちゃんと呼んでいる。と言うのもこれには訳があるのだ。御存知、我等がアーサー王の本名はアルトリア。アルトリアと呼べば、我等が王様と被るためだ。それにキャストリアはアルトリアと違って、女性として生きており自分を殺していない。日本では女性に向けてちゃんと呼ぶのは多々あり、ならばアルちゃんと呼ぼうと決めたギャラハッドであった。

 

「しかし、レディ・アルトリアが本当に王と同一存在でしたら…我が王は女性という事ですよね」

「ええ、だが…それでも私の忠義が揺らぐ事は絶対に無いことですが」

 

アーサー王 アルトリア・ペンドラゴン、並行世界の魔術師 アルトリア・キャスターは同一存在の別人。同一存在では有るが、全くの別人というややこしい事だ。

と言うのも、アーサー王は先代王ウーサーとマーリンが作り出した龍の因子を持つ人間、言わばドラゴンと人間の混血とも言える。だが…ゼルレッチ曰くキャストリアは龍の因子を持っていない。キャストリアは龍ではなく、妖精の因子を持った人間なのだ。

しかし、同一存在であるのでどちらも各々の世界のアルトリアという事には変わりはない。なので、ベディヴィエールとパーシヴァルはキャストリアからアーサー王の本当の性別を知ってしまったのだ。アーサー王に仕えて長いが、漸く間接的にとは知ってしまったアーサー王の性別。だが…それでも2人の王への忠義は揺らぐ事は絶対に無い。

 

「えっ?アルちゃんのお陰でやっと気付いたの?

俺、速攻で気付いたけど。ちょっと鈍すぎじゃない先輩達」

「「速攻で気付いたの!?」」

 

なお、ギャラハッドがアーサー王の性別を速攻で見破った事も序でに知ってしまう。

 

「そうそう、ギャラハッドよ。今のローマ帝国はローマが首都ではないぞ」

「えっ?ローマじゃないの?」

 

ゼルレッチがギャラハッドに言う。ゼルレッチは未だ30代しか生きていない青年。しかし、魔法に至り、並行世界の自分から流れてくる並行世界とは言え未来の知識の為か物事全てに即視感が有ったのだ。その即視…デジャヴを無くすために魔法の力を得た彼は滅び行く並行世界からキャストリアを招いたりしたがデジャヴは無くならず、デジャヴが止まる理由と成ったギャラハッド達と共に行動している。

しかし、並行世界のゼルレッチのお陰か並行世界の知識が流れてくるのだ。お陰か時代を越えた一般常識と魔術関連の知識だけならこの中でもトップと言えるだろう。

 

「ローマ帝国はローマ正教からキリスト教に鞍替えしてな。今の首都はコンスタンティノープルだ」

 

ギャラハッドは様々な知識を持っている。だが…その中でも持っていない知識があるそれは歴史だ。

ギャラハッドは前世から趣味勉強(正確には知識拡大)な医学生だった。医学を学ぶ内に医療に関係有ると言うことで食文化を学び、食文化の為に農業を学び、農業の為には効率的に施設を良くするために建築関係も齧る。こうして枝分かれ式に知識を拡大した結果、ギャラハッドは知識人に成ってしまったのだ。だが…歴史や宗教は疎く、最低限(医療に関する歴史は学んだ)しかない。その為にこの時代でローマ帝国の首都が変わった事も知らなかったのだ。

 

「コンスタンティノープル?」

 

コンスタンティノープル。それが今のローマの首都であり、元の首都だったローマから遠方にある所だ。

何でも今のローマはキリスト教を信仰する国らしく、それまでローマで信仰されていたローマ正教は廃れてしまったらしい。キリスト教は一神教であり、神は唯一神だけ。多くの神々が居る多神教は御法度なのだろう。

 

「ああ、温泉目当てならがっかりするかも知れんぞ?」

 

翌日、ギャラハッドはその言葉の意味を知ってしまう。

 

 

 

 

ローマ市内。

 

「くさ!?えっ!?えっ!?なんの臭いかは言いたく無いけど、臭いな…」

「うっ…これはヒドイですな」

 

ローマ市内にやって来たギャラハッド達。とは言え、此処は度々ブリテンを侵略した大国ローマの元首都。武器を持って入るのは流石に敵対行為と思われるためか、ギャラハッド達は剣や槍等のあからさまに見て武器と判断できる物は大楯の四次元空間にしまってはナイフ等の携行しても怪しまれない武器だけを持っている。

 

「俺の夢見た…温泉大国ローマは何処へ…」

 

ギャラハッドは膝から崩れ落ちてしまった。

 

「贅沢は敵だからな」

 

「ああ、湯に入れば欲が沸く。身体が穢れてるしな」

 

「風呂に入らなくても信仰で心が綺麗ならば良いしな」

 

なんという事でしょう。嘗ての温泉大国の面影は何処へやら。彼等は温泉に入る事をよしとせず、風呂に入れば欲望が沸いて穢れると判断してか温泉に入らないようだ。無論、温泉に入って身体を綺麗にしなかったらデメリットは沢山ある。先ず、太りやすくなる。お風呂に入らなかったら発汗作用が低く毛穴も詰まり、汗と一緒に老廃物が出ない。その結果、老廃物が溜まって太りやすくなるのだ。他にもニキビが出来たり、痒みが出たりデメリットが沢山だ。

 

「それにしても下着が沢山干されてますね。流石に干しすぎではないでしょうか」

 

ベディヴィエールがローマの家屋を見回してそう言った。確かに干されている下着の数が余りにも多い気がするのだ。少し前までブリテンでも使われていた紐パンツがロープに通され、干されていた。いくらなんでも多い気がするのは気のせいではない。

 

「お前、下着変えた?」

 

「1日3回履き替えるのは当たり前だよな。俺は清潔だから8回履き替えるけど」

 

ギャラハッドは知らない事だが、この頃から中世ヨーロッパでのキリスト教では清潔さを保つ為に下着を何度も履き替えたりしているのだ。清潔さアピールの為に下着を何度も履き替える必要があり、彼等は沢山の下着を持っているのである。最低でも2日に1度はお風呂に入りたい…出来れば毎日お風呂に入りたいギャラハッドが卒倒しかけてしまうのも無理は無いだろう。

 

「はぁ~聞き込みはワシとパーシヴァルで行ってくる。お前さんはベディヴィエールとアルトリアと共に、どっかで休憩しておれ」

 

しかし、聖杯の情報は掴まなければ成らない。そこでギャラハッド程の専門知識は無いが、並行世界から情報を得てしまうデジャヴる現象を何度も経験しているゼルレッチ、そして最年長のパーシヴァルが情報収集に出向いてくれる事にしてくれた。

 

「ベディヴィエール。2人を頼む。私達は少し調べてくるから…あそこの大きな建物の前を集合としよう」

「ええ、お願いします。ゼルレッチ殿、パーシヴァル卿」

 

パーシヴァルが指定した大きな建物。それはギャラハッド達の現在地から歩いて数分程の所に有った。大きく、立派な建造物でありギリシャの建築デザインも取り入れた立派な物であったが、どういう訳か人は少ない。と言うかこの立派な建造物に現地のローマ人は寄り付かないと言った方が正しいだろう。

 

「なんで人居ないんだ?」

「不思議ですね」

 

ギャラハッドとキャストリアは建造物の前に腰掛け、ベディヴィエールは柱に凭れて各々のが購入した軽食を食べる。

ギャラハッドが買ったのは焼き鳥数本、キャストリアが購入したのは焼の串焼き、ベディヴィエールがカタツムリである。

 

「てかベディヴィエール。アンタ、それどうなの?」

「私でも流石にカタツムリは無理です…いや、本当に虫料理は無理です!!」

 

ベディヴィエールが選んだのはカタツムリ、そう雨が降れば元気に動く陸地で活動する貝であるカタツムリだ。このカタツムリ、ローマでは非常にポピュラーな食材であり、多くの人々に食べられていたのだ。ベディヴィエールは爪楊枝のような物でカタツムリの身を貝から取り出し、美味しそうに食べる。

 

「うん、美味!!オリーブ油がカタツムリの味を際立てますね。ギャラハッド、ブリテンにもカタツムリを!!」

「えっ、やだ。ローマの食用は安全だと思うけど、野生化のカタツムリは寄生虫やバイ菌が多いから」

「私も断固拒否です!!」

 

ベディヴィエール、カタツムリの養殖計画をギャラハッドに打診するが見事に断られてしまう。

 

「アンタら、随分と物好きだね。何処の属州から来たんだい?」

 

ふと、そんな声が後ろから聞こえてきた。何事かと思い、ギャラハッド達が後ろを振り向くとそこには1人のローマ人が立っていた。だが、他のローマ人と違ってそこまで臭わない。もしかしたら定期的に風呂に入っているのだろうか。

 

「まあ、良いだろ。魔法使わないと行けないような彼方からやって来たのさ」

(えっ?嘘じゃなくて本当!?)

「はは、兄ちゃん。面白いこと言えね!」

 

ギャラハッドは誤魔化す為に適当に言い訳…もとい表情にも出ないように前世を含めて、魔法を使わないと行けない所と言った。案の定、ローマ人は誤魔化せた。しかし、例外が1人いた。それはキャストリアだ。

キャストリアは人間であり、妖精としての性質も持つ。その為に彼女は妖精の力で言葉の嘘真を見抜く事が出来る。それ故か、ギャラハッドが言った事が事実だと分かってしまったのだ。

 

「此処はトライアヌスが皇帝になる際に、アポロドロス技師が設計した浴槽さ。俺は此処の管理をしてるけど、今じゃ誰もテルマエに入らない。良かったら、見学するかい?」

「喜んで!!」

 

ギャラハッド。念願のテルマエを見学する。

 

此処はなんと、嘗てのローマ皇帝 トライアヌスが健在だった頃に、アパロドロスが建造したテルマエだったのだ。

 

「設計図は有りますか?風呂文化は根絶やしにしてはいけない!!あと、ローマンコンクリートの作り方も!!」

「ああ!!テルマエを後世に伝えてくれ!!」

 

 

 

 

トライアヌスのテルマエにマーキングを施し、ギャラハッドは一行を連れて一時キャメロットに帰還する。

 

「王様。此方、宮廷魔術師候補のゼルレッチ、アルトリア・キャスターことアルちゃんです」

「そっそうですが」

 

ギャラハッドは戻るなり、アルトリアにゼルレッチとキャストリアを紹介。

 

「ケイ先生、アグラヴェイン。こんな物を考えたんだけど…どうよ!!」

 

そして次にギャラハッドはアグラヴェインとケイの元に向かい、ローマンコンクリートの作成図、そしてブリテン全土を目安とした上水道と下水道を完備させた水処理計画である。

耐久力、年間耐久性に優れたローマンコンクリートを下水道の水道管に使用。上水道はコストパフォーマンスも兼ねてローマンコンクリートの他に竹を使う事も書かれてはいる。

先ず、貯水庫から上水道を通る際は炭の濾過装置を通る仕組みにし、殺菌も完璧。念のため、健康に問題ない程度に貯水庫には塩素を投入し殺菌消毒。上水道を通り、ブリテン全土に新鮮な水が行き渡るように設計し、使われた水は汚水として下水道を通っていく。下水道は耐久性の高いローマンコンクリートで作り、下水道を通って汚水は汚水処理場に向かう。汚水処理場は微生物の働きで汚水を分解し、分解された汚水は養分を乗せて更に進み炭や石の入ったローマンコンクリート製の水道管を通って濾過されていき下流に放流される仕組みである。

 

「俺の持てる様々な知識を応用して設計した下水道と上水道の設計図。これをブリテンに五ヶ所作る予定で、此方がローマンコンクリートの作り方と海水から塩素の作り方の方法」

 

分厚い冊子に纏めた下水道と上水道、汚水処理場の設計図をケイに手渡す。ローマンコンクリートの作り方と塩素の作り方をアグラヴェインに手渡すギャラハッド。

 

その設計図は聡明なアグラヴェインが見ても完璧な物だった。

 

「だっ…誰が此処までやれと言った!?」

「アグラヴェイン…俺の気持ち分かった?」

「それじゃお願い。聖杯探索が終えたら俺も手伝うから!!」

 

ブリテン…完全にローマを越えるまでもう少し。




あっくんの胃痛も段々始まる(笑)

次回…ギャラハッドは今度は中東に飛ぶ。


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中東に飛ぶ

聖杯探索編…大体折り返し地点。


中東。そこは一神教の聖地エルサレムが存在する地方だ。ローマより更に下に、そして東に向かった所に存在しておりブリテンよりも乾燥した大地が広がっている。暑いと言ってもカラッとした暑さの為か湿気がなく新大陸(アマゾン)と比べると大分過ごしやすい印象を受ける。

この中東、御存知一神教でマーリンが大好きなキリスト教が産まれた所だ。中東で救世主イエス・キリストは産まれ、救世主はゴルゴダの坂を十字架を背負っては登り、最後には張り付けにされ磔刑で処刑された。その後、救世主が死んだ事を確かめる為に百人隊長ルキウス・ロンギヌスが槍で救世主を貫き、血が吹き出す。ルキウス・ロンギヌスはその血を浴び、白内障が治った。そして吹き出した血を受け止めた盃こそ聖杯だと言われている。

 

「見てください!!見たことが無いガラス瓶が落ちてますよ!!」

「これは外科手術に用いる道具でしょうか?」

 

そんな中東の大地。エルサレムから少し離れた場所にギャラハッド率いる聖杯探索御一行はやって来ていたが、そこで思わぬ発見をしたのである。それは嘗て、ハドリアヌス皇帝が統治していた時代の産物を発見したのだ。今はキリスト教信仰の影響か廃れてしまった高度な風呂文明の遺跡である。

そこからは見たことが無いガラス瓶や奇妙な道具が次々と見付かったのだ。ベディヴィエールが見付けたのはガラス瓶の中にビー玉が入っており、そのビー玉が瓶の蓋になる奇妙な物。パーシヴァルが見付けたのは金属製の道具であり、先端が丸く…その丸の中に針のような物が有ったのだ。大きさは片手で軽々と使うものであり、その近辺からは牛乳瓶らしき物も見付かっている。

 

「ベディヴィエール…世紀の大発見だな」

「ええ、パーシヴァル。思わぬ発見ですね」

 

こんな見たことが無い物を見てベディヴィエールとパーシヴァルは興奮し、キャストリアも目を輝かせる。しかし、並行世界からのデジャヴるで物の本質を知ったゼルレッチと知識人なギャラハッドは唖然としてしまう。

 

「おい、ギャラハッドや。これ牛乳瓶、そして牛乳瓶の蓋を取るすっぽんだよな?」

「これ、ラムネの瓶だよな?」

 

パーシヴァルが見付けたのは御存知、未来の日本ではお馴染みの牛乳瓶とその蓋を取るすっぽん。そしてベディヴィエールが見付けたのはラムネの瓶だ。

 

「なんでしょう?この革で出来た冠は?」

「アルちゃん…それ、シャンプーハット」

 

余りにも時代違いな物が多すぎる。その為か、ギャラハッドはとある仮説を思い付く。

 

「まさか…俺以外に異世界転生者が!?」

 

そして、その真相をギャラハッドは数百年後…カルデアと呼ばれる場所で知ることになる。

 

そんな時だった。シャンプーハット…革で出来た冠を手にしていたキャストリアが何かに気付く。それは今、ギャラハッド達が発掘しているハドリアヌス皇帝時代の地層より深い所に何かが埋まっているのだ。

 

「ギャラハッドさん。なにか、埋まってますよ」

「本当だ。これ、なんだ?」

 

その何かは全貌が見えないが、木製のようだ。気になったギャラハッド達はその何かを発掘し、出してみる。その何かは何処から見ても長方形で人が軽々と入る程の大きさをしている。そして戦場にも出たことがあるパーシヴァルやベディヴィエールは直ぐにそれが何なのか理解した。それは…

 

「「棺桶?」」

 

そう棺桶である。

 

「良し、私が開けよう。一応…死体が入ってるかも知れないし、ギャラハッドとアルトリアさんは下がってくれ」

 

そして…パーシヴァルがその棺桶を開ける。すると、中には褐色肌の若い女性が眠っており、その女性の手には白色の莫大な神秘を宿した槍が握られていたのだ。その力はアーサー王が持つエクスカリバーに匹敵し、最早人が扱っても良いのかと疑わしいものだった。

 

「女性?」

「おい、ちょっとまて。この人、呼吸してんぞ。生きてるぞ」

 

ゆっくりとその女性は瞳を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アグラヴェインは奮起した。ボールス含め、数名の騎士を引き連れてとある場所に向かっていた。そのとある場所とはランスロットの部屋であり、彼はランスロットを断罪するつもりである。

 

「王に背き、グィネヴィアと不倫したランスロットを赦すな!!2人を何としてでも捕らえよ!!」

 

この時代、如何なる理由が有ろうと主君の妻との不倫は赦されない。当然、主君の妻も同罪だ。アグラヴェインは不倫の証拠を掴み、ギャラハッドには悪いが此処でマダオとグィネヴィアを実行犯として捕らえるのだ。

彼等が今向かっているランスロットの自室ではランスロットとグィネヴィアがチョメチョメしている筈であり、その瞬間を捕らえる。そしてギャラハッドが帰ってくる前に罪状を言い渡すつもりなのだ。

 

「ランスロット覚悟!!」

 

部屋の前に辿り着いたアグラヴェイン。彼は部屋のドアノブを握るが、妙にドアノブが柔らかい。そしてドアノブが回らずほのかに温かい。

 

「それは……私のおいなりさんだ」

 

ランスロットの声が聞こえ、アグラヴェインは上を見る。何と言う事でしょう。アグラヴェインがドアノブだと思っていたのはランスロットのおいなりさんであり、目の前のランスロットはブリーフ一丁でアミアミタイツを履き、更にはブリーフを肩まで引っ張り上げてクロスさせていたのだ。そして極めつけはランスロットが正体を隠すためか、頭に被った物だ。それはグィネヴィアの使用済みおパンティーだったのだ。

 

「イヤァァァァア!!」

 

ランスロットのおいなりを触った為か、女性のように高い声を出してしまったアグラヴェイン。アグラヴェインはおいなりさんから手を離し、後ろに下がった。

 

「私は不倫仮面。人妻のおパンティーと世界の平和を愛する正義の味方だ。正義は私の味方ではないがね」

「なにがあったの!?ランスロット卿!!」

 

突っ込むボールスに反撃の隙を与えず秒殺し、ボールスの顔面を掴んでは自分の股間にぶつけトドメを差すランスロット…いや不倫仮面。

 

「成敗!!」

「イヤァァァァア!!」

「ボールス!!」

 

此処に…戦闘力だけならギャラハッドを上回りかねない最強の変態が降臨した。

 

「さあ、来なさい。君達に変態の力を教えよう」

 

どうしてこうなったのか?それは次回に語られる。




次回!!覚醒の不倫仮面!!

はい、もっぱら変態ギャグです(笑)


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HK(不倫仮面) アブノーマル・レボリューション

不倫仮面、降臨!!


ランスロットとグィネヴィアの禁断の恋。これはランスロット贔屓だったフランス文学で製作されたアーサー王伝説(序でにギャラハッド伝説)に良く記された話題だ。

アーサー王伝説は様々な国家で書籍と成っており、国によって少し内容が異なる場合が多い。例えばワーグナーが書籍とした物ではトリスタンがメインであるし、フランス文学では主にランスロットがメインだ。最も、どの国々でもアーサー王とギャラハッドは間違いなくメインキャラと成っているが、これはこの2人の功績(特にギャラハッド)によるものだろう。円卓の騎士はギャラハッドが製作したカメラでモノクロ写真が現代まで残ってはいるのでどんな身長か体型か顔立ちは誰もが知っている。世界文化遺産に登録されている()()()()()に行けば円卓の騎士の写真が飾られており、当時の画家の手で擬似的なカラー写真と成っており髪の毛の色や衣類の色まで分かっている。

 

特に円卓の騎士でも主役と言えるアーサー王やギャラハッドの事は誰もが顔も知ってるし、知らない方が恥と言える。フランス文学でのランスロットは小学校の課題で習う程のロマンスなのだが、現代社会において決して現代人まで伝わっていないランスロットの逸話が1つ存在する。後世に於いて、その真実が記されているのは厳重に保管されたギャラハッドの医療冊子兼日記の1頁だけである。

 

『俺の親父はおパンティーを被ると○○仮面になる。さてと、新しい抗生物質作るか』

 

と記されており、何故か○○の部分はギャラハッドの死後に手にした歴史上の偉人や、ギャラハッドの医学知識を参考にしようとした医師が読み漁ったのか読めなかった。ただ分かるのはランスロットはおパンティーを被っていたという1点である。

 

そして…それはこの時に始まった。

 

 

 

 

ランスロットの自室。そこでランスロットとグィネヴィアは正にチョメチョメな事をしようとしていた。いざ、ランスロットはブリーフ一丁になり、グィネヴィアはベッドに寝転んでランスロットを向かえる準備は万端と成っていた。しかし、そこで事態は動き出す。

 

「む?この音と声はアグラヴェイン!?」

 

いざ、チョメチョメをしようとすれば廊下からアグラヴェインと数名の騎士達が此方に向かっている音と話し声が聞こえてきたのだ。ぶっちゃけ騎士の鎧はガチャガチャと音がしてしょうがない。ギャラハッドやアーサー王のように魔力で鎧を編むことが出来る人物は極僅であり、ランスロットを含めた多くの騎士は重たい鎧を着込むのだ。この鎧、滅茶苦茶重いし、動くとガチャガチャと音がして隠密作戦には全く向かない。ランスロット達は超人だから問題は無いが、現代日本人がランスロット達の鎧を着ると着込むだけで充分な筋トレが出来る程なのだ。

 

「どうしましょう…ランスロット様。もしかしたら…私達、バレたのでは?」

「かも知れんな」

 

この時代。主君の妻と不倫関係に成っていたら間違いなく死罪であり、主君の妻も同罪だ。それにアグラヴェインは拷問のスペシャリストであり、アグラヴェインはブリテンの国益に成るなら力を貸してくれる男だが、同時に拷問のエキスパートである。もし、現場を取り押さえられたらランスロットは逃げる事が出来てもグィネヴィアは耐え難い拷問を受けて処刑される可能性が高い。

 

「ギャラハッドが居てくれたら…」

 

アグラヴェインにバレてた場合の事を想定し、恐怖故かグィネヴィアは震える。もし、この場にギャラハッドが居たら様々な提案をアグラヴェインに提供し、王妃や円卓の騎士(ランスロット)という立場を喪う事に成ってしまうが極刑を免れ仲を認めてくれる可能性だって無くはない。事実、アグラヴェインはアーサー王の次にギャラハッドを信頼しており、医療発展や様々な事を促す為にギャラハッドに資金提供を多めに行う程だ。これは他の騎士が相手ならばアグラヴェインはやってない事であり、アグラヴェインがギャラハッドを信頼している証拠でもある。

 

幸運としてはアーサー王本人は女性であり、グィネヴィアの幸せを奪ってしまったと思っており、グィネヴィアとランスロットが恋仲に成った事を良く思ってくれている。だがアーサー王とグィネヴィアは夫妻であり、ランスロットは間男…禁断の恋であり、もし他にバレてしまえば断罪は免れない。そうなればアーサー王でも2人を庇う事が出来ないのだ。

 

「アグラヴェイン…ギャラハッドが聖杯探索で居ない隙を突いたか」

 

足音と鎧を動かす音が段々と大きくなる。アグラヴェインが仲間と共にこの部屋にやって来るのは時間の問題と言えるだろう。

 

なんとか良い方法は無いのかと考えるランスロット。

 

「何かで素顔を隠し、アグラヴェイン達を失神させよう。それしかない」

「ランスロット様!?しかし…」

 

このままでは不味い。ギャラハッドの探索が何時終わるのかも分からない。それまでに何とか不倫の関係が他にバレずに遣り過ごすしかない。困ったランスロットは1つの決断に辿り着く。それは変装してなんとかするしかない。

ランスロットは変装の達人だ。これまで他人になりすまして大会に出た事だった多々ある。変装の為か、ランスロットは何気に近くに有った布を被る。しかし、それは…

 

「それ、私のおパンティーです!!」

 

グィネヴィアのおパンティーだった。だが、時既に遅し。ランスロットはそのおパンティーを確りと被ってしまったのだ。いざ、ランスロットは脱ごうとしたが…本能が拒否し、身体の奥底から何かがランスロットに巻き起こる。それは莫大なエネルギーだった。

 

「禁断の…エクスタシィィィィイーーフォァァォァオ!!」

 

ランスロットは昔から変態だ。未だパーシヴァルが10代だった頃のお話だが、ランスロットはグィネヴィアへの恋心とアーサー王への忠義の間で揺れてしまい、全裸に成って森の中を全力疾走した事がある。そんな変態的な過去を持つランスロットの中に眠る変態としての本能が、グィネヴィアのおパンティーを被った事で覚醒してしまったのだ。

 

本来、人間はどんなに強くても肉体が持つ30%程の力しか出すことは出来ない。全力を出しているつもりでも、30%しか使ってないのだ。だが、変態が覚醒したランスロットはおパンティーを被ってる間だけ、変態としての力が覚醒。その結果、肉体の100%を上回る力を発揮できるのだ。

 

眩い光を解き放ち、ランスロットは正義の味方だが正義は彼の味方をしない伝説の愛の戦士 不倫仮面に進化したのである。これが、後に人理を救う救世主に成ることを未だ誰も知らなかった。

 

 

「成敗!!」

「ボールスゥゥゥ!?」

 

不倫仮面に成ったランスロットは変態ドがパワーアップしてるが、強かった。そして変態だった。僅か5秒でボールスを倒し、自身の股間にボールスの顔面をぶつけると言ったトラウマを植え付ける一撃で意識を遠い世界に誘ったのだ。

 

「さあ…来なさい。私は逃げも隠れもしない」

 

腰をクネクネと動かし、あからさまに変態な不倫仮面。厳格な騎士のイメージを遥か遠くに消し飛ばし、不倫仮面は腰をクネクネと動かす。

 

「いくぞぉぉぉ!!」

「うぉぉぉお!!」

 

騎士達は不倫仮面に立ち向かう。有る者は剣で、有る者は槍で不倫仮面に襲い掛かるが、不倫仮面は変態的な動きでその全てを翻弄し、股間に相手の武器を挟んでは全てへし折ってしまった。

 

「「「バカな!?」」」

「秘技…アブノーマル・フラッシュ!!」

 

すると、今度は不倫仮面の股間が眩く光り、その光が物理エネルギーを持っているのか騎士達を吹き飛ばして倒したしまったのだ。いや、本当に訳が分からない。変態はおパンティーを被るだけで此処まで強くなる人種なのだろうか。

 

「………ランスロット…覚悟!!」

 

アグラヴェインはツッコミたい所山々だったが、生憎残念な事にアグラヴェインにはケイ程のツッコミセンスは存在しない。ケイ程のツッコミセンスが有れば、ツッコミまくっていたがそれが出来ない。だが、彼は鉄のアグラヴェインであり自分が今…何をするべきなのか理解はしている。今、やるべき事はランスロットを逮捕する事だ。アグラヴェインは剣を抜刀し、ランスロットに切りかかる。だが…

 

「ふん!!」

「おいなりガード!!」

 

ランスロットに向けて振り下ろした剣は、ランスロットが股間を突き出して股間で受け止められた。ガキンと砕ける音が響き、アグラヴェインの剣の刀身は粉々に砕けてしまった。

 

「ばっ…そんなバカな!?」

 

アグラヴェインの剣は不思議な力はない。だが…それでも一級品である事には変わりはない。肉と共に骨さえも断ち、手入れをしっかりと行えば刃零れさえもしない。そんな一級品だった。

だが…そんな一級品の業物が、変態の股間とブリーフに負けてしまったのだ。もう、アグラヴェインは理解が出来ずキリキリと胃が居たくなってきた。

 

「アグラヴェイン。折角だ、君には私の変態奥義でトドメを差してあげよう」

「変態奥義!?一体、何をするきなのだ!?」

 

アグラヴェインは恐怖で後ろにずり下がる。しかし、アグラヴェインの背後には窓があり、これ以上は下がる事は出来ない。左右に逃げても結果は同じだろう。多少、寿命が伸びるだけだ。

 

「変態奥義…地獄のジェット・トレイン!!」

「いっいゃぁぁぁぁあ!!!!」

 

変態奥義 地獄のジェット・トレイン。それは不倫仮面がジャンプし、逆ブリッジのような姿勢で相手に突撃する必殺技だ。このジェット・トレイン、丁度相手の顔面に不倫仮面の股間が直撃するように成っている。その為か、相手は物理ダメージと精神ダメージ、どちらも受けてしまうのだ。なんと恐ろしい、なんと恐ろしいのだ、不倫仮面!!

 

不倫仮面のジェット・トレインは勢いを衰えず、アグラヴェインと共に窓ガラスを突き破って地面に落下する。だが…それでも威力と運動エネルギーは衰えず、10メートル程を滑っては漸く停まった。

 

アグラヴェイン…不倫仮面に破れる!!そしてアグラヴェインとボールスはショックで寝込み、アグラヴェインの意識が回復した時にはギャラハッドとアーサー王の手で不倫問題が解決しており、アーサー王とグィネヴィアは円満離婚をした後だった。

 

 

 

 

 

一方その頃、ブリテン国の何処か。

 

先王ウーサー・ペンドラゴンには子供がもう1人居ることは御存知だろうか?その子供はアーサー王の姉であり、ガウェイン達の母親である。アーサー王が人と龍の混血ならば、彼女はキャストリアと同じく人と妖精との混血だ。魔術の腕前はマーリンに匹敵し、魔法に近い魔術さえも行使する事が可能な人物だ。彼女はモルガン。アーサー王そっくりな顔立ちをした魔女であり、妖精との混血故か老化はしない、寿命もどれ程永いのか分からない。

 

「我が妖精騎士、新しい我が子達よ。アーサー王の統治を終らせる為に、ギャラハッドを殺せ。ギャラハッドは寿命が近付いてきている為に今がチャンスだ。ギャラハッドを倒せば、ブリテンの革命は終わる。良いな?」

 

先ず、この世界には座と呼ばれる物が存在する。この座は星の記録とも言えるもので、偉人や英雄は英雄の座と呼ばれる所に登録されて何らかの方法で召喚する事が出来るのだ。

座は時間軸は関係無く、今から未来の英雄も登録されている。モルガンはそれを用いて、3体の妖精に円卓の騎士の情報を与えたのだ。情報を与えられた妖精は妖精としての人外の見た目から、人と同じ様に見た目に変化した。これは恐らく、与えられた騎士が人間だったからだろう。

 

「御意。命令と有らば」

 

ガウェインの物と似た鎧を纏い、恐らく鎧の胸囲からして物凄く爆乳であろう女性がそう言った。その女性の腰には、この世には一本しかない筈のガラティーンが提げられていた。彼女はガウェインの力を与えられた妖精、妖精としての名前をバーゲストと言うが…バーゲストは種族名であって名前ではない。モルガンからは妖精騎士ガウェインの名前を与えられている。なお、身長は190cmを超えており、色々とでかい。

 

「ええ、任せてお母様。あの男を八つ裂きにしてあげる」

 

赤い髪に貴婦人のようなドレスを纏った少女がそう言った。その少女は靴の裏に蹄鉄が付けられており、右手にはトリスタンが担う弓であるフェイルノートが握られている。彼女はトリスタンの力を与えられた妖精、妖精としての種族名をバーヴァン・シーと言う。本名は不明だが、モルガンからは妖精騎士トリスタンという名前を与えられている。

 

「分かった。命令を遂行する」

 

そう言ったのはSFめいた鎧を纏い、両手の手首に盾としても使えるように鞘に仕舞われた状態のアロンダイトを装備したロリっ子がそう言った。このロリっ子、白髪で素顔は仮面で分からない。しかし、背丈は低く…だいたい現代日本人で言えば小学生高学年から中学1年生位だろう。

只でさえ強力なアロンダイトを2本も装備した少女はランスロットの力を与えられた妖精騎士最強の存在。妖精としての種族は龍としての側面も持つ妖精メリュジーヌ。

 

「さあ…行きなさい」

 

モルガンに言われ、妖精騎士は行動を開始した。

 

 

 

 

 

一方のキャメロット。

 

「む?息子に危機が迫るな」

 

ブリーフの中に失神したアグラヴェインの顔面がめり込み、アグラヴェインを引き摺りながら月光に照らされる不倫仮面。不倫仮面は虫の報せか、息子 ギャラハッドに危機が迫ってきて居る事を理解する。

 

「息子よ…パパはいくぞぉぉぉ!!」

 

不倫仮面は何処かに向けて走り出し、その衝撃でアグラヴェインは地面に落ちて解放された。

 

不倫仮面、息子の所に向かう!!




次回、キャストリアが発掘し、パーシヴァルが見つけた女性の正体が明らかに!?

ギャーさん「ダ・ヴィンチコード!?」

そしてパーシヴァルはΩ級の武器をゲットし、一行は聖杯への手懸かりをゲット。


「悪いが、その聖杯は我ら真祖が頂く」

ヤバい危機が迫るが……ギャラハッド、覚醒。


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2つの聖杯

ダ・ヴィンチコード!!


キャストリアが見つけ、パーシヴァルが開けた棺桶。その棺桶はハドリアヌス帝の時代から少しした…恐らくは1世紀程の年代から出てきた物だった。材質としては木製であり保存状態が非常に良い。だが、問題は年代でも材質でもない。何故なら中に若い女性が入っており、しかもその女性は生きていたのだ。見た感じ、健康には問題がなく女性は何事もなかったように起き上がる。その手にはアーサー王が持つエクスカリバーに匹敵するΩ級武装と思われる槍が握られていたのだ。

 

「……うそーん」

「こんな事が有るんですね」

 

想像して欲しい。今からざっと数百年前の地層から棺桶が見付かり、その棺桶から若い女性がΩ級武装を持って出てくるのだ。これにはギャラハッド達は勿論、並行世界からのデジャブるを何度も経験しているゼルレッチも唖然としてしまう。

 

「私の封印を解くとなると、皆様はお父様の残した聖杯と聖槍を手にする資格が有るのですね。つまり、童貞及び処女と言うことですね」

 

女性はそう告げ、棺桶から出てくる。大事そうにΩ級武装と思われる槍を抱えてだ。だが、彼女は聞き捨てならない言葉を言った。それは今、正にギャラハッド達が探している聖杯の事である。

 

「聖杯を知ってるのか!?」

「ええ、私には分かります。何故なら私にはお父様の血が着いた物の場所が分かります。申し遅れました、私はサラ。ナザレのイエスとマグダラのマリアとの間に産まれた娘です。

此方は聖槍ロンギヌスと同一視される槍 聖槍カシウスです。ヨハネ兄さんから資格の有る者に手渡すようにと言われてますものです」

 

若い女性はサラと名乗った。いや、それだけではない。彼女はイエス・キリスト…ナザレのイエスとマグダラのマリアとの間に産まれた女性だと言ったのだ。伝承に曰く、イエス・キリストは穢れていない=童貞だと言われており娘は居ない。だが、彼女の事が本当ならイエス・キリストには娘が居る事に成るのだ。

 

(この世界…ダ・ヴィンチコードかい!!)

 

心の声でギャラハッドが叫んだ。

ダ・ヴィンチコード。それはギャラハッドが前世で歴史&ミステリーオタクだった山田くんに誘われて、見た映画の事である。このダ・ヴィンチコードはざっくり言うとイエス・キリストの聖杯を巡る物語だが、この聖杯だがイエスの性(子種)を受けた杯(子宮)という解釈であり、そのイエスの子を儲けたのがマグダラのマリアという事なのだ。つまり、この世界もダ・ヴィンチコードと同じくイエス・キリストとマグダラのマリアには子供がおり、その子供が目の前のサラと言うことだ。

しかし、ダ・ヴィンチコードの流れだと聖杯=マグダラのマリアの子宮となる。だが、サラは聖杯は別に有るとでも言いたげな事を言っていた。

 

「聖杯とロンギヌスは何処に?」

 

ベディヴィエールが問う。

 

「聖杯とロンギヌスは同じ場所に有ります。ただ、ロンギヌスは永い年月の影響と資格のない人間が1度使った影響なのか、強大な呪物と成っており触らない方が良いかと思います」

 

ベディヴィエールの問いに対してサラはそう言った。どうやらロンギヌスと聖杯は同じ場所に有るようだ。だが、ロンギヌスは永い年月と資格のない人間が使った影響なのか誰の手にも負えない程の呪物と成ってしまったようなのだ。

 

「もし…そのロンギヌスに触れると?」

「魂が汚染されて死ぬでしょう。触っても平気なのはありとあらゆる呪いに耐性を持つ人以外居ません。例え、真祖や朱い月でも蝕む呪いです」

 

なんという事でしょう。ロンギヌスは触る事も出来ない程の危険な代物に変わってしまったようだ。触れるだけで魂が汚染されてしまい、使うことは愚か握る事さえも出来ないだろう。もし、ロンギヌスが使える人間が居るとすればありとあらゆる呪いに耐性を持つ人以外は有り得ない。

 

「お前さん、使えるんじゃね」

「この身体に感謝する時が来たとはな。俺は様々な呪いと毒が効かないし、試してみる価値は有るな」

 

だが、ギャラハッドは可能性がある。ギャラハッドは全ての呪いと毒に対して耐性を持っており、可能性があるならばギャラハッドだけがロンギヌスを触ることが出来るだろう。

 

「サラさんでしたか。聖杯は何処に有りますか?我々には時間が少ないんです」

 

ベディヴィエールがそう問う。確かにギャラハッド達には時間が足りない。何時、ギャラハッドの寿命が尽きてしまうのか分からない為だ。ギャラハッドの時間は刻々と少なくなってきており、既に片目は白内障の影響か僅かな光しか見ることが出来なくなってきている。内臓の機能も何時弱くなるか分からないし、力も何時かは入らなくなってしまう。ギャラハッドは外見上は老化はしてないが、中身は既に老人程に老化が進んでいる。何時、その時が来ても可笑しくは無いのだ。

 

「あっちです!!彼方からお父様の匂いがします」

 

サラはとある方向を指差し、棺桶から立ち上がる。だが、彼女が本当にイエス・キリストの娘ならば500年以上は棺桶の中で眠っていた事になる。その為か、立ち上がった彼女は上手く立つ事が出来なかったのか、ぐらついてしまい危うく倒れそうに成ってしまう。

 

「大丈夫ですか?」

 

だが、此処には頼れる最年長パーシヴァルが居る。パーシヴァルは倒れそうになったサラを受け止め、彼女を支えた。そして、サラが持っていた槍を預り、一先ず地面にその槍を置いたのだ。だが、その一連の行動を確認したサラは驚く。それは彼女が男性慣れしていないという事ではなく、槍に有ったのだ。

 

「今…槍に触りましたよね」

「ええ。ですが、それが?」

「なんともないですか?」

「なんともないが?」

「その槍はカシウス。もう1つのロンギヌスであり、カシウスに認められた人以外は触ることが出来ない槍です」

 

なんという事でしょう。サラが持っていた槍はカシウス、もう1つのロンギヌスの槍と言えるものであり、その槍は槍に認められた人以外が触ろうとしても弾かれるように触れない特別な物だったのだ。

 

もう1つのロンギヌスであるカシウス。恐らく、その力はエクスカリバーに匹敵…或いはそれを上回る可能性が高いだろう。

 

「貴方が認められたなら、貴方がカシウスを使って下さい。戦えない私が持っていても、意味が無いですから」

 

そんなΩ級武装であるカシウス。そのカシウスを使って欲しいとサラから言われたパーシヴァル。確かにカシウスは認められた人物しか触ることが出来ないだろう、そしてそれが認めた人物は現状ではパーシヴァル1人。パーシヴァルは少し考えた末に、答えを出した。

 

「分かりました。私で宜しければ、その槍を使いましょう」

 

こうしてパーシヴァルはΩ級武装である聖槍カシウスをゲットしたのだった。

 

その後、サラを旅のメンバーに加えてギャラハッド達はサラが示した方角を進む。やがて歩き続けること暫くし、夜に成った頃だ。彼等は1つの大きな城に辿り着いた。だが、その城は嘗ての栄華はない。城は半分崩れており、城の周りには隕石でも堕ちたのかそこそこ大きなクレーターが有ったのだ。

 

「此処に聖杯が?」

 

その城の辺りには川が有り、その川では1人の老人が釣りを行っていた。老人の吊籠を見ていると、魚はそこそこしか入っておらず、老人は何処か寂しげな表情をしている。だが、老人は元より優れた戦士か騎士なのだろう。その衣類の下からは鍛えられた肉体を持っており、腰には1本の剣を提げている。

 

「ふう…釣れんの。これもあのベイリンという流れ者がロンギヌスを使い、嘆きの一撃の天罰で土地が変わった為だな」

 

老人は嘆くようにそう言った。この老人こそは漁夫王、イエス・キリストの遺産等の管理を行う人物であり、彼の御先祖は救世主の亡骸を保護した人物の末裔だ。彼が漁夫王と呼ばれる所以は城の近くの川で魚を釣り、その魚で生計を立てているためだ。

この漁夫王の城とその周辺は今は寂しい土地と、半分倒壊した城に変わってしまった。これには訳がある。嘗て、色々有ってキャメロットを追放されたベイリンという騎士が此処に流れ着いた。ベイリンはこの城に保管されていた聖遺物 聖槍ロンギヌスを忠告を聞かずに使ってしまった。その結果、ロンギヌスの呪いが暴発…嘆きの一撃が降り注ぎ、城は半壊しベイリンは生き埋めに成ってしまい、更には周辺の土地は寂しい物に成ってしまった。その上、聖槍ロンギヌスは完全な呪物に成ってしまい…武器としては使えない物に成ったのだ。

 

「おい、爺さんや。アンタ、此処の人か?」

 

ギャラハッドが漁夫王に話し掛ける。すると、漁夫王はギャラハッド達を見る。だが、ギャラハッド達を見た漁夫王は驚く。無理もない、と言うのも漁夫王の城は特別な手段を使うか…誘われた人しか入ることが出来ないのだから。ギャラハッド達が特別な手段を使ったのか、誘われたのか分からない。だが、漁夫王の所に客がやって来るのは久し振りだ。

 

「そうだ。私は漁夫王と呼ばれている。なに、釣り好きの老人だよ。折角だ、我が城に案内しよう。とは言え、見ての通り半分崩れてるがね」

 

久し振りの来客。その為か漁夫王はギャラハッド達を城に案内した。

 

「昔に色々有っての…寂しい有り様だ」

 

僅かに残った城の居住スペース。そこに案内されたギャラハッド達。居住スペースの壁には不自然に柄が短くなり赤い生き血を垂れ流し続ける槍、優勝カップのような金色の盃が飾られていた。

 

「この槍、どうなってるんだ?柄が不自然に短いな…なんで生き血が流れてる?どんな原理だ?」

 

その生き血を垂れ流し続ける槍が気になったのか、ギャラハッドはその槍を手に取り、興味深そうに眺める。

 

「何しとるか!!死にたいのか!!」

 

だが、その様子を見た漁夫王が叫んだ。

 

「どうしたの?」

「その槍はロンギヌスだ!!主を貫いた槍で、今は呪物と成っている!!………てか、なんでお前…平気なの!?」

 

そう、ギャラハッドが手にした槍はロンギヌス。日本でも最強の槍として語られるΩ級武装の槍である。だが、今ではベイリンが使った影響で呪物に成ってしまい、柄も短くなって槍としては使えない。

だが、ギャラハッドはそのロンギヌスをマジマジと見詰める。

 

「……ちょっと、試したい事がある」

 

と、ギャラハッドに何やら考えが有るようだが、その考えを実行する前に大きな衝撃が城を襲った。只でさえ半壊してボロボロの城だ。ガラガラと何かが崩れ去る音が響く。

 

「なっ何事ですか!?」

「レディ・アルトリア。恐らく襲撃でしょう」

 

その時だった、今…ギャラハッド達が居る部屋の壁が崩れ去り、数多の軍勢が襲ってきた。その軍勢は多国籍なのか、フランク王国やモンゴル、ローマ帝国と言った今では先進国と言える国々の兵士達で構成されていた。だが、1つ言えるのは肌の色に生気がなく牙が鋭く生えていた。

 

「ゾンビ!?」

「ゾンビではない。死徒だ!!」

 

ゼルレッチが叫ぶ。死徒と言うのは分からないが、どうやら相手は人間では無いようだ。

 

「数が多いですよ!!」

「仕方ない、アルトリア嬢とサラさんは下がってください。私とベディヴィエール、ギャラハッドで迎え撃ちます!!」

 

パーシヴァルがカシウスを構え、キャストリアとサラを後ろに下がらせる。

 

だが、それでも次々と死徒と呼ばれるゾンビのような軍勢が襲ってくる。その時、ギャラハッドは咄嗟に選定の剣を抜刀し、左手で構える。そして渾身の魔力を刀身に乗せて斬撃を放つ。

 

「よしなさい!!ギャラハッド!!」

 

放たれた斬撃は爆光となり、射線上の死徒を全て破壊した。だが、嘗てケイは言っていた。ギャラハッド自身の力に選定の剣の刀身が耐えられず、ギャラハッドが渾身の魔力を注ぎ込んで選定の剣を使えば刀身は砕け散ると。

ケイが言っていた忠告通り、選定の剣は砕け散り…ギャラハッドは柄だけとなった選定の剣を四次元空間に仕舞った。

 

「ほう、我が眷属を此処まで。面白い、だが聖杯は真祖である私が貰う」

 

死徒が消え、遠くまで見渡せるように成った視界。ギャラハッドの視線の先には貴族風の衣類を纏った黒い髪の男が立っていたのだ。

 

「ギャラハッド…奴は真祖。言うならば死徒の親玉で星の精霊のような存在だ」

「大丈夫…ちょっと妙案がある」

 

ギャラハッドはゼルレッチの言葉を受け、あろうことか自分の腹部にロンギヌスを突き刺した。だが、血は出ない。ギャラハッドは概念礼装としてロンギヌスを取り込んでいるのだ。

 

「ロンギヌスを取り込むだと!?」

 

漁夫王はギャラハッドの行動に驚き、叫ぶ。だが、ギャラハッドはロンギヌスを完全に取り込む。そして左手を上に上げたギャラハッドの左手に…瞬時に紅い十文字槍のような武装が展開されてギャラハッドはその槍を握る。

 

「有り得ん…ロンギヌスを概念礼装として取り込み…武器として実体化させた!?呪いで不可能な筈だぞ!!間違いなく、死ぬ!!」

 

漁夫王が叫ぶがギャラハッドは無視して、キャストリアの方を向いた。

 

「アルちゃん。お刺身って知ってる?」

「お刺身?」

「アイツを倒したら作ってやる」

 

ギャラハッドはそう告げ、外に飛び出す。すると、左手に持っているロンギヌスが瞬時に剣に変形し、真祖に斬りかかった。




次回!!ギャーさんVS真祖!!

果たして…妖精騎士と不倫仮面は間に合うか!?


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VS真祖……親子の再会

不倫仮面…再び


真祖。それは言わば星の精霊だ。元と言えば大昔、人類が文明を持ち出した頃に話は遡る。人類は御存知、自然の一部であり進化の過程で出現した。アフリカに起源を持ち、其処から世界全土に進出したと言われている。だが、人間は他の生き物とは違っていた。彼等は知恵を働かせ、自分達に都合が良いようにと自然を作り替えてきた。だからこそ、この星…地球は危険視したのだ。人間が自分達、地球さえも滅ぼしてしまうのではと。

 

それを危惧した地球は他の星…その中でも地球の衛星であった月にSOSを出した。実は地球には存在してなかったが、太陽系の他の惑星には究極の一…アルテミットワンと呼ばれるその星最強の存在が居る。その中で地球は月の究極の一、タイプ・ムーンこと朱い月のブリュンスタッドに助けを求める。人類を抑制する為に、地球のアルテミットワンのような存在が欲しいと。

 

その結果、朱い月は地球の提案に乗ることにした。だが、朱い月には地球側とは裏腹に朱い月で考えが有ったが、それは又の機会に語ろう。地球の提案に乗った朱い月は自分をベースに、地球の霊長の特性をもった存在を作り出した。それが真祖である。

だが朱い月は吸血種…早い話ドラキュラのような存在である。その結果、真祖も朱い月と同じくドラキュラのような吸血種に成ったのだ。しかも、朱い月と真祖に血を吸われた人間は死徒(吸血鬼)に成ってしまい…朱い月と真祖の僕になる。そして死徒に血を吸われた人も死徒に成るので、バイバイペースで死徒が増えていくのだ。まあ、血を吸われても吸血鬼に変質しないのは特異体質のギャラハッド位であろう。

 

「なんなんだ!?この化物は!?本当に人間なのか!?」

 

そして真祖は人間(普通)は絶対に勝てない霊長の存在。新幹線処かリニアモーターカーを上回る速度で走り抜け、腕力は一撃で大地を砕く程の力を誇る。その上、真祖は空想具現化(マーブルファンタズム)と呼ばれる力で無から物質を自在に作り出す事が出来るのだ。

 

「くっ!!空想具現化!!」

 

片腕を喪った真祖が空想具現化を用いて、ギャラハッドの周囲に無数の鎖を造り出す。鎖が生き物のように動き、瞬時にギャラハッドを拘束する。本来ならこのまま締め上げ、そのまま肉片に変える筈だが、音もなくギャラハッドは鎖に縛られている筈なのに消えて脱出する。

 

「ノーモーションの転移だと!?」

 

剣に変化したロンギヌスで斬られた影響か、片腕の再生が遅い。真祖はバラバラに肉片に成ったとしても再生する事が可能であり、寿命も人間と違ってテロメア(細胞分裂を行う度に磨り減る物。これがないと細胞分裂が出来ない)の限界が無いために寿命が永遠にある。

 

しかし、そんな真祖がギャラハッド1人の手で追い込まれていく。

 

真祖の目の前に転移したギャラハッドはロンギヌスを振るう。真祖も反応しようとするが、既にギャラハッドの実力は円卓の中でもトップクラス。そんな彼が全力で振るえる武器が手に入ったのだ。真祖が避けたと思えば、真祖の右腕の手首から先が吹き飛び、首が落ちる。真祖は手首から先を喪った右腕でなんとか首が胴体と離れないように抑えるが、ギャラハッドはロンギヌスを両手で構える。

 

「まっまて…速まるな!!」

 

真祖は命乞いのつもりなのか、叫ぶ。だが、真祖の思いとは裏腹にロンギヌスの刀身がバチバチと紅い魔力が溢れだし、ギャラハッドはそれを振り上げる。

 

「……俺さ。人を殺すのは嫌いだ。人間は宗教だ、人種が違う、国が違うからと殺し合う。領土が欲しい、食事が欲しい、水が欲しい、聖地が欲しい。争わなくて良い方法も有るのに殺すことを選ぶ。

だが、さっきのように人をゾンビにするような鬼舞辻無惨のようなお前は赦さん」

「止めろ…止めてくれ!!…だが、忘れるな。アルクェイド・ブリュンスタッドさえ完成すれば貴様なんぞ!!」

 

キブツジムザンって誰!?とパーシヴァルの声が聞こえてきた気がしたが、ギャラハッドはロンギヌスを真祖に振り下ろし、真祖を文字通り消し飛ばした。

 

ギャラハッドは人間同士の殺し合いが嫌いだった。元々、前世で医者志望だった事も有るが戦争は特に不利益で嫌いであった。戦争は確かに儲かるかも知れないし、技術も発展しやすい。だがそれで多くの罪のない人が犠牲に成るだろうか。この時代では国の統治の為に反乱分子を制圧したり、宗教が違うために戦争が起きたり多々ある。

それらは話し合いで止める事が出来る可能性が沢山有り、そこまでして自分の考えを他人に押し付け、異端だ異教徒だ肌が黒いからと戦争をするのだろうか。

 

「寿命が伸びたら、やるべき事が沢山あるな」

 

今まで通りの食品革命、医療革命、衛生管理、インフラ整備は勿論、やらなくてはならない事が沢山ある。教育機関の設置、自国の発展と平行して他国との話し合い。やらなくてはいけない事が次々と浮かんでくる。ギャラハッドは今後の予定を立てながら、皆の元に向かって歩いて戻っていった。

 

 

 

「これが聖杯です」

「優勝カップなんですけど」

 

ロンギヌスを解除し、サラから聖杯を受け取るギャラハッド。

 

当然、願う願いは決まっている。その願いを叶えなければギャラハッドは近いうちに肉体の寿命が来て死んでしまうのだから。

 

「よし、ドラゴンボールよ!!俺の寿命を伸ばしてくれ!!具体的には今のギフトそのまま、デメリットである短命を克服!!」

 

その時…聖杯から莫大な光が溢れだし、ギャラハッドは光に包まれた。聖杯が願いを叶え、ギャラハッドの寿命を伸ばしてくれてるのだ。だが、それを阻止しようとする人物が居た。それは漁夫王であった。

 

「ならん!!聖杯でそのような願いを叶えると!?聖杯で叶えるべき願いは、純潔のまま主の元に召されるであろうに決まってる!!」

 

キリスト教の観点からすれば最も望まれたのは純潔で穢れなき身体で神の元に召される事だ。つまり、童貞で死ぬこと。漁夫王はギャラハッドの願いを阻止するために、走り出そうとしたが何者かに止められる。それはパーシヴァルとサラであった。

 

「すまない。彼の邪魔はさせませんよ。ギャラハッドのお陰で沢山の薬ができ、多くの人が救われてます。彼はこの世界に必要な人間です」

「少なくともお父様は若者が亡くなる事を望んではいません」

 

ガシッとサラとパーシヴァルに捕まる漁夫王。サラはなんとか振りほどけたが、パーシヴァルからは逃げられず漁夫王は抵抗するがパーシヴァル相手では余りにも悪すぎる。

 

やがて…光が止むと、そこには白内障が治り寿命が伸びたギャラハッドが立っていた。

 

「どうやら、遅かったようですね」

 

ふと、空からそのような声が響く。何事かと思ったギャラハッド達は空を見上げる。そこには近未来感溢れる鎧を纏い、両手首に鞘に仕舞われたアロンダイトを装備した白髪の少女が浮かんでいたのだ。そう、妖精騎士ランスロットである。

妖精騎士ランスロットはどういう訳か、鎧の各所が少しボロボロに成っており、素顔を隠していたバイザーが取れている。その素顔は可憐であり何処から見てもロリコンホイホイな少女だった。

 

「む?美少女、ろりっこ、飛んでる、メカメカっぽい。はっ!?お前…まさかラウラ・ボーデヴィッヒちゃんか!?」

「いえ、人違いです」

 

ギャラハッドは妖精騎士ランスロットを見上げ、前世の思い出を思い出す。前世でアニメやゲームが大好きだった山本くんに無理やり勧められて見たアニメにIS〈インフィニット・ストラトス〉というロボット(正しくはパワードスーツ)×美少女のアニメが有った。知識豊かなギャーさんからすれば少しツッコミたい所があるアニメだったが、個人的には少し気に掛けていたロリッ子が居た。そのロリッ子はラウラという少女であり、今思えば妖精騎士ランスロットと似ているのだ。

 

「貴方に恨みはない。だが、僕は僕の任務を遂行する」

「僕だと!?お前…山本が好きだったシャルロット・デュノアなのか!?」

「誰だよ!!」

 

妖精騎士ランスロットは地面に降り、鞘から180度回転するようにアロンダイトの刀身を出した。アロンダイト二刀流…只でさえΩ級装備であるアロンダイトを2本も使うのだ、贅沢この上無い。

 

「……お前…エクシアだったのか?それともグリムゲルデか?分かる…分かるぞ、俺もロボットは好きだからな」

「あの変態が追い付いてくる前に…貴方を倒す!!僕1人じゃ勝てないかも知れないけど、ガウェインとトリスタンが時間を稼いでくれている間に!!」

 

妖精騎士ランスロットには負けられない理由があるのだ。彼女は妖精騎士トリスタン、妖精騎士ガウェインと共にスリーマンセルで行動していた。

しかし、3人でギャラハッドの所に向かっていた最中。おパンティーを被り、ブリーフを肩まで引っ張り上げてクロスさせた変態と遭遇したのだ。その変態は有り得ざる程に強く、昼補正で3倍程の強さを発揮できる妖精騎士ガウェイン以上の強さを誇り、妖精騎士を圧倒した。妖精騎士ガウェインと妖精騎士トリスタンは命懸けで変態の足止めを行い、機動力に優れる妖精騎士ランスロットが単独でギャラハッドの所にやって来たのだ。

 

「息子よ!!パパは助けに来たぞ!!」

 

そして、今度はランスロットの声が空から響く。するとギャラハッドと妖精騎士ランスロットの間に、おパンティーを被ったランスロットが現れた。そう、不倫仮面である。

 

「マダオ!?何があった!?なんでおパンティー被った!?」

「私は正義の変態、不倫仮面!!息子の危機に馳せ参じた!!」

 

不倫仮面は亀甲縛りされて死んだ目をした美少女と美女…妖精騎士トリスタンと妖精騎士ガウェインを担いでおり、不倫仮面は亀甲縛り状態の妖精騎士2人を地面に下ろした。

 

「後は君だけさ…お嬢さん。2人は私の変態奥義、おいなりWELCOMEの犠牲に成ったよ」

 

妖精騎士ガウェイン、妖精騎士トリスタン…不倫仮面に敗れる!!残ったのは自分だけ、妖精騎士ランスロットは涙目に成っていく。

自分に与えられた力と名前のオリジナルが、まさかのおパンティーを被った変態であり、その変態が圧倒的な力で自分達を攻撃してくる。妖精騎士ランスロットとしては、おパンティーを被った変態と同じ名前を与えられてもうショックしかない。

 

「うっうわぁぁぁぁあ!!今は知らず、無垢なる湖光(イノセント・アロンダイト)!!」

 

妖精騎士ランスロットは涙目になり、両手のアロンダイトに莫大な魔力を注ぎ込み、アロンダイトの真名を解放して不倫仮面に突撃する。

 

だが…

 

「おいなりガード!!」

 

不倫仮面はその一撃を股間で受け止め、妖精騎士ランスロットを弾き返してしまった。

 

「「「うそーん!!」」」

 

これにはギャラハッド達もビックリ。アロンダイト×2がブリーフに負けたのだ。

 

「宜しい…私が真のアロンダイトを見せてあげよう。アクシオン!!アロンダイト!!」

 

不倫仮面が叫び、不倫仮面は指を鳴らす。すると何処から鞘に仕舞われたアロンダイトが不倫仮面の手元に飛んできたのだ。

不倫仮面はアロンダイトを抜刀し、あろうことか股間に挟んで構えたのだ。そしてその状態で股間をフリフリと振りながら妖精騎士ランスロットに近付いてくる。

 

「うわぁぁぁぁあ!!」

 

涙を流し、がむしゃらに腕を動かしてアロンダイトを振るう妖精騎士ランスロットちゃん。だが…相手は現円卓最強の変態。不倫仮面は股間に挟んだアロンダイトで妖精騎士ランスロットを圧倒し、ランスロットちゃんの右腕に着いているアロンダイトを弾き飛ばした。

 

「私の勝ちだな」

 

勝ち誇る不倫仮面。しかし、その時…バチンと音がしてアロンダイトが不倫仮面の股間から弾け飛ぶ。どうやらアロンダイトは不倫仮面の変態には着いていけなかったようだ。

 

「アロンダイト!?マイフレンド!!」

 

不倫仮面が叫ぶが、ギャラハッドはアロンダイトを拾い上げる。するとアロンダイトの刀身に青白い光が灯る。どうやらアロンダイトは新しい主人にギャラハッドを選んだようだ。

 

「大丈夫?」

「怪我は?」

「お腹が空いてるなら、これを」

 

その隙にキャストリア、ベディヴィエール、パーシヴァルが妖精騎士ランスロットちゃんを保護。

 

「えっ!?あの娘は敵で、私は味方だよ!?」

「だまらっしゃい!!この変態が!!」

 

アロンダイトを左手に構えたギャラハッドは叫び、アロンダイトの刀身に全力の魔力を込める。プロトタイプである選定の剣と違い、アロンダイトはどんなに魔力を注ぎ込んでも壊れる事は絶対にない。

 

無垢なる湖光・過剰光刃(アロンダイト・オーバードライブ)!!」

「いきなり真名解放!?しかも、私のと違う!?」

 

アロンダイトの真名解放を行い、ギャラハッドはアッパースイングでアロンダイトを振り上げる。直ぐ様、不倫仮面はおいなりガードを行う。しかし、ギャラハッドのアロンダイトの真名解放は…全てを破壊する概念的破壊。おいなりガードを破壊し、不倫仮面は一撃で倒された。

 

「ぐぅぅぅわぁぁあ!!私のおいなりガードが突破された!?」

 

不倫仮面…初めて敗北する。

 

「ギャラハッド…この子達、どうします?」

「よし、アイドルにしよう」

 

そして妖精騎士、進路が確定する。




アロンダイト…ギャーさんの手元に渡る。

キャメロットに帰ったギャラハッド。ゼルレッチとキャストリアは宮廷魔術師になり、ギャラハッドの元で働く事に。キリスト教の教えから全キリスト教のお偉いさんに命を狙われる可能性が高いサラもキャメロット入り。

マダオの離婚調停、そして妖精騎士の就活が始まる!!

「王様とグィネヴィア王妃の弁護士に成りました、ギャラハッドです」
「私の弁護は!?」


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離婚調停大作戦!!

聖杯探索編、一先ず終わりです。


離婚。それは夫と妻が将来の為に婚姻関係を解消する事である。ギャラハッドが前世で生きていた現代日本では離婚は珍しくなかった。片方のどちらかが浮気したり、財産問題や様々な事を理由に離婚している夫婦がそこそこ沢山居た。

もしかすればブリテンでも離婚を経験した国民は居るのかも知れない。しかし、ブリテンには未だ紙やちゃんとした戸籍謄本と呼ばれる物はなく、そういうデータは不明と言えるだろう。なにせ、他国からキャメロットにやって来て速攻で円卓の騎士に数えられたギャラハッドという例も有るのだ。

 

そして今、ブリテンの歴史初。世界史の教科書にも載ってしまう出来事の1つ、アーサー王とグィネヴィア王妃の離婚調停が開始されようとしていたのだ。

 

 

 

 

 

ギャラハッドが聖杯探索から帰ってきて翌日。聖杯探索という偉業を成し遂げたギャラハッドはまた、ブリテンでの騒がしくも楽しい日常がやって来ていた。

聖杯探索を終えて聖杯を手にし、無事に寿命が伸びたギャラハッド。彼は新たなビジネスを展開しようとしていた。それは魚の養殖である。

 

「聖杯は便利だな。願いを叶えた後でもコップに成るし、好きに魚やパンも出せる。魚は生きた魚も出せるからな、この魚達を巧く繁殖させて養殖すればたんぱく源も確保できるし、食料事情も前進するぞ」

 

ギャラハッドの実験農場。そこで喪われた選定の剣の代わりに、新たな剣と成ったアロンダイトを腰に提げたギャラハッドが水槽を前にして考えていた。ギャラハッドの足元には金色の盃…聖杯が有り、ギャラハッドは聖杯を手に取る。既に願いを叶える力…願望器としての力はギャラハッドの寿命を伸ばした事で喪われてしまった聖杯。だが…それでも他の力は残っているのだ。

マーリンの予言では聖杯は食べ物を出すことが可能であり、この聖杯も同じ様な事が出来る。ギャラハッドが1通り試した限りでは、パンと魚介類を出すことが可能だ。中でも魚介類は生きたままで出すことが可能であり、ギャラハッドは聖杯を手にし、聖杯から何かを出して水槽に泳がせる。それは淡水魚であるニジマスだ。

 

バシャッバシャッと音を立てて泳ぐニジマス。ニジマスとしてはいきなり聖杯の力で産まれたので、何が起きたのかも理解していないだろう。だが…ギャラハッドは既にこの聖杯を用いた一大産業を既に計画している。

 

「淡水魚は出せるな。後は繁殖さえ出来たら、完璧なんだけどな」

 

それは養殖産業だ。養殖、人工的に生簀や池や壕で食用となる魚等を繁殖させる。魚を育て、それを食用として販売させて商売を行うのだ。ブリテンの魚介類は漁師が漁で得た海の幸や川の幸であり、運が悪ければ手に入らない場合がある。しかし養殖すれば常に安定した一定量の魚を常に食卓に提供することが出来るのだ。

穀物や野菜は潤ってきたブリテン。今ではギャラハッド達、聖杯探索御一行が海外から持ち込んだ様々なハーブに香辛料、大豆、胡椒、そして砂糖の原材料になる甜菜が栽培されている。甜菜の収穫は未々だが、何れはブリテンで甘味の調味料が増えれば多くのレシピの幅が広がるのだ。

 

だが、それ以前にギャラハッドにはやらなくては成らない事が有った。それは以前にケイとアグラヴェインに言った上下水道の事か?キャメロットに作る公衆浴場の事か?いや、違う。なんとしてでも今日中に案を纏めなければならない事が有るのだ。

 

「王様とグィネヴィア王妃の円満離婚大作戦ね…」

 

それはアーサー王とグィネヴィア王妃の円満離婚大作戦である。

御存知、我等がアーサー王は女の子。グィネヴィア王妃は美女であり、我等がマダオことランスロットと不倫関係にある。アーサー王は2人の仲を認めてはいるのだが、マダオとグィネヴィア王妃の不倫は最もバレてはいけない男 アグラヴェインとボールス(ついで)にバレてしまったのだ。

たとえ望まぬ結婚で同性同士だとは言え、王妃と円卓の騎士の不倫。これは一大事であり、もしバレたら王妃と間男は処刑物だ。

 

ギャラハッドは空を見上げ、飛雷神で瞬間転移して何処かに飛んだ。

 

 

 

「どうも王様とグィネヴィア王妃の弁護を担当する事になりましたギャラハッドです」

「私の弁護は!?」

 

ギャラハッドが飛んだ所はギャラハッドが不定期開店するバー。外から見ると扉には『準備中、また来てね』と看板がかけられている。外から見れば閉まってるように見えるが、店内には灯りが着いており、数名の人物がカウンター席に座りギャラハッドが厨房に立っていた。

 

カウンター席には村娘のような服装をして変装したアーサー王ことアルトリア。当事者であるグィネヴィア王妃、おパンティーを被っておらずマダオフォーム(トゥルーフォーム)のランスロット。そして事情を知るケイ、キャストリ、ベディヴィエール。別ルートでアーサー王の性別を知り、協力者に成ったガウェインとモードレッドである。当事者のマダオは兎も角、ブリテンの丞相(今で言えば総理大臣)でありアーサー王に何か有れば代理で王を務める事になるガウェインが味方ならば心強い。

 

彼等が集まったのは他でもない。アグラヴェインにバレてしまったマダオとグィネヴィア王妃の不倫問題を解決し、どれだけ円満にアーサー王とグィネヴィア王妃の離婚を成し遂げる事が出来るのかという事である。

 

「えー、それでは円満離婚大作戦の作戦会議を始めます。取り敢えず、飲み物居る人」

「「フルーツオレ!!」」

 

飲み物を聞かれ、真っ先に手を挙げた王様とキャストリア。やはり同一存在の別人であるのは間違いないだろう。

因みにこのフルーツオレ。作り方はシンプルだ、果物と牛乳を混ぜれば良いのである。先ず、低温殺菌した牛乳と様々な果物を用意。次にギャラハッドが自作したブンブンチョッパー式ミキサー…紐を引っ張ってその力で回転するミキサーの中に果物を入れて混ぜ合わせ、そこに牛乳を投下して混ぜ合わせる。そしたら完成である。

 

「お待たせしました、お嬢様方」

「「うぉぉおぉ!?」」

 

出来立てホヤホヤのフルーツオレを飲み干し、喉を潤すアルトリアとキャストリア。

 

「てか、なんでガウェインは王の秘密を知ったんだよ」

「実はですね、ケイ。ギャラハッドが試作してくれた風呂に一緒に入らないかとモードレッドをしつこく誘ったら、モードレッドの本当の性別が女性だったんですよ。其処からですね」

 

なんという事でしょう。ガウェインはモードレッドの素顔が明らかに成ってから、モードレッドと良く行動している。その際に、ギャラハッドが試作した家族風呂に共に入らないかとしつこく誘った結果…モードレッドの本来の性別を知り、其所から知ってしまったようだ。

 

「で?ギャラハッド…案は有るのか?アグラヴェインとボールスが悪夢に魘されて寝込んでる今しか無いぞ」

 

現在、不倫を突き止めたアグラヴェインとボールスは不倫仮面に成敗されたお陰か寝込んで悪夢に魘されている。この2人が悪夢に魘されてる間に、なんとか平和に離婚調停を行う必要があるのだ。

 

「案と言えば…マダオが自分で責任を取って去勢。だけど、ラウラちゃんのアロンダイト×2さえ防ぐシンボルなんて切れないからこれは却下だな」

 

案の1つにランスロットが責任を取り、自分で自分のタマタマとシンボルを切断するという方法も有った。所謂去勢である。

しかし、考えて欲しい。不倫仮面に変身したランスロットのおいなりさんは宝具の真名解放さえ耐え、刀剣を砕く程の頑丈さを誇る。そうなれば、去勢なんて先ず不可能。やろうとすればタマタマへの刺激からおパンティーを被ってないのに不倫仮面に変身する危険性すらも有るのだ。

 

「「きょっ去勢!?」」

 

タマタマの痛み…男しか分からない絶大な痛みを思い浮かべ、ケイとガウェインは自分のタマタマを押さえてしまった。ましてや、そのタマタマを自分で切るのだ。2人は想像しただけで冷や汗が止まらなくなってしまう。

 

「ロンギヌスでも無理かもな。だから却下」

「えっ!?ロンギヌス使うつもりだったの!?私死んじゃうよ!!」

「だまらっしゃい!!変態が!!」

 

ではどうするのか?マダオの去勢以外だと必須条件は必ず出てくる。

 

「去勢無しならば、グィネヴィア王妃は離婚の際の分配金は無しでブリテンでの全権限の剥奪、民間人と同じ身分になる。

マダオは円卓の騎士辞任は確定。その後、王様に慰謝料等を支払わないといけないな。これが先ず前提だと思う」

 

グィネヴィア王妃は離婚の際の分配金は無し。第三者から見ればグィネヴィア王妃はランスロットという間男と不倫関係に有った為に、離婚の際は分配金は無し。立場も民間人と同じ扱いとなる。むしろ、これでもかなり甘いと言える。何故なら他の国ならば弁論の余地無しに処刑であり、言い訳は出来ないのだから。

そしてランスロットは今の立場を全て辞任。つまり円卓の騎士を辞任し、権限を返上。その後は平社員として生きるしか無いだろう。

 

「でも、これでも怪しい。おパンティー被ればほぼ無敵になるマダオは兎も角、グィネヴィア王妃もブリテンの発展に貢献できる武器が有ればな…」

 

しかし、それでも皆の衆が納得するかは分からない。これまでブリテンに貢献し、幾度も武功を挙げてきたランスロットは兎も角…グィネヴィア王妃は何も功績と言える功績がない。グィネヴィアも何か、ブリテンの為の武器が有れば良いのだが…

 

「武器ですか?」

「特技でも何でも」

「あっ!!それなら、裁縫が得意なんですの!!私、もし子供が出来たら可愛いお洋服を着させたいって思ってたのですの!!」

 

というグィネヴィア王妃。どうやら彼女は裁縫が得意のようだ。

 

そして…それを聞いたギャラハッドはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「王妃…ちょっと手伝って欲しい事が。ええ、可愛いアイドルの衣装を作って欲しいのですが」

 

そしてケイは胃を抑え、ギャラハッドが良からぬ事を企んでいる事を察するのだった。

 

翌日。

 

「こんな感じで?」

「ありがとうございます!!これで、アイドルデビューの第一歩ですな」

 

ギャラハッドの目の前ではフリフリなアイドル衣装に身を包んだ、妖精騎士ランスロット、妖精騎士ガウェイン、妖精騎士トリスタンの3人が居たのだ。この3人、不倫仮面の手で酷い目に遭ったが、ギャラハッドが保護していたのだ。勿論、このアイドル衣装はグィネヴィア王妃が作ったものである。

 

「取り敢えず…名前として。妖精騎士ランスロット、名前が無いならラウラちゃんな」

「ラウラちゃん!?」

 

妖精騎士には名前がない。妖精としての名前は種族名だし、妖精騎士として与えられた名前は元に成った騎士達の名前だ。だから個人としての名前は無い。その為か、ギャラハッドは彼女達に個人名を着けることにしたのだ。

その結果…妖精騎士ランスロットはラウラちゃんと名前がつけられてしまった。

 

「そんで妖精騎士トリスタン。お前、スペシャルウィークね」

「なんでよ!?」

「蹄鉄履いてるし、ウマ娘だからだ。よし、アイドルウマ娘スペシャルウィーク!!頑張れよ!!嫌だったらトリ子だけど」

「どっちでも良いわよ」

 

そして妖精騎士トリスタン。名前がトリ子orスペシャルウィークに成ってしまう。

 

「私は?」

 

ボインと巨乳な胸を揺らす妖精騎士ガウェイン。すると、そこにガウェインがやって来た。

 

「おや、彼女が私の名前を与えられた妖精騎士ですか。アリだと思います!!」

 

ガウェインはサムズアップを行い、鼻から鮮血を吹き出した。ガウェインの視線は妖精騎士ガウェインの豊かな胸に注がれており、今の妖精騎士ガウェインは鎧姿ではなく胸がハッキリと分かるドレス姿。そんなハレンチな格好をすれば巨乳好きなガウェインの視線は妖精騎士ガウェインの胸に注がれてしまい、ガウェインは欲望の余り鼻血を吹き出してしまったのだ。

 

「やっぱり…女性は胸が大きい方が良いですね……」

 

ガウェイン。出血多量で倒れる。

 

何はともあれ、アイドルの衣装を作ってはデザインするという功績と仕事を得たグィネヴィア王妃。これで自分がブリテンの発展に使えると証明した彼女は、一先ずランスロットと共にギャラハッドの部下に内定。

アグラヴェインとボールスが悪夢に魘されてる間に、離婚調停は開始され無事にアーサー王とグィネヴィアは離婚。混乱が有るかと思ったが、ケイ、ベディヴィエール、パーシヴァルが王の性別を知っており、更にガウェインが根回しを行った事で円滑に終わった。

 

 

なお、ランスロットは円卓の騎士を辞任し権限を全て返上。ギャラハッドの配下という形には成ったが、ギャラハッドはとある物をアーサー王に提出した。

 

『私、ギャラハッドはランスロットがパンティーを被って変身する不倫仮面が引き起こす損害に対して一切の責任を負いません。これは不倫仮面…マダオの責任です』

 

不倫仮面の問題は不倫仮面の責任である。

 

 

 

 

 

「ううう…酷い悪夢を見てたような」

 

キャメロットの病室。そこでボールスは目を覚ました。そして、水分を補給しようと手を伸ばす。しかし、水瓶を掴もうとしたが不自然に柔らかい…そして生暖かい感触だった。不自然な触り心地であり、ボールスは視線を上げる。

 

「それは私のおいなりさんだ……」

「イヤァァァァァア!!」

 

不倫仮面。彼は何時現れるか分からない。彼は今日もブリテンを…世界の平和を守るためにおパンティーを被るのだ。




次回より、ブリテン大革命編その1スタート。

寿命が伸びたギャラハッドはやりたい放題、学校作ったり、養殖繁栄させたり、味噌作ったり醤油作ったり、やりたい放題!!

「馬のレース!?」
「一応、跨がる動物はなんでも良いぞ」
「ハリボテブリテン、やっぱり転倒!!」

ギャーさん、競馬を変える。なお、ハリボテはやっぱり曲がれない。

「君もキリスト教に入信しませんか?ヨーロッパは私達、キリシタンが護り…異教徒の好きにはさせてはいけません」
「私のおいなりさんだ」

世界的に力を持ち始め、権力が増大するキリスト教。そんなキリスト教上層部におパンティーを被ったヒーローが鉄槌を!?

「こっこれは悪魔の仕業だ!!」
「天然痘な」

ギャーさん。フランク王国も救っちゃう!?

「ギャラハッド卿!!あれが…蛮族です!!」
「真祖と吸血鬼ぃぃい!?」

円卓を苦しめた蛮族=真祖と死徒。

「親玉殺してくる」
「それ、ワシの役目…」

ギャーさん。真祖の親玉…月のアルテミットワンに喧嘩を売っちゃう!?

「やがて知る。人生ってのは生きてるだけで丸儲けでな、起きてるだけで楽しいんだよ」
「それもワシの役目!!」

ギャーさん。最後の真祖を引き取り、育てる!?

「飛びすぎた…ここは日本か」
「鬼か!?」

ギャーさん。日本に飛び、お米をゲッチュ!?

ギャーさん「嘗て古代ギリシャで行われていたオリンピック。それを今の時代に合わせ、スポーツの祭典として行いたい」

後に歴史に刻まれるブリテンオリンピックの準備が始まる。



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ギャーさんブリテン大革命編その1
聖杯探索編までのキャラ設定


今回はオマケです。


ギャラハッド(15歳→16歳)

当作品色んな意味で最強クラスの人物。彼を倒すならばインドのヤヴェー奴を呼んでくるしかない。実は前世が存在しており、前世は少し処かだいぶ頭のネジが外れてしまった医大生であった。

医療には食事も関係有る→食事には農業が密接に関わる→農業や医療の発展には科学も必要だ→衛生管理の為には上下水道等のインフラも整備しなければならない。と前世で思い、専門の医学の他に農業や科学と言った様々な分野を学んだ結果、とんでもない知識量を誇っている。しかし、彼は歴史はそこそこしか勉強しなかったのかこの世界が過去ではなく異世界だと本気で思っている模様。

ケイから魔術を習い、その魔術を現代知識でドラクエやFFの魔法、更にはNARUTOの忍術までも再現したヤバい奴。更には肉体に秘められたランスロット以上の剣才か、剣を習い出して2秒でケイを倒すほどのオーバースペックを持つ。本人は前世の知識を使い、騎士としての戦いではなくDr.STONEやJIN-仁-のような生活を日頃から行っている。

現在の肩書きは円卓の騎士、魔術使い、発明家、建築家、医者、料理研究家、バー店長、プロデューサー等々。なお、この世界での円卓関係者が地属性から人属性に変わったのは、ギャラハッドが写真とかを撮ったりしてた為である。

武器として選定の剣→アロンダイト、大楯、アルテマウェポンことロンギヌスを持っている。

 

 

ケイ(30代)

当作品のツッコミ役。彼が居ないとギャラハッドにツッコミを入れる人が1人も居ない。ギャラハッドの恩師であり、アーサー王の義兄で円卓の騎士。アーサー王が幼少期の頃から見守っており、常にアーサー王と問題児であるギャラハッドの身を案じている。

ギャラハッドが日頃から行う様々な革命、問題行動のトバっちりを受けて彼の胃は遂に胃潰瘍を患った。ギャラハッド印の胃薬を常に服用し、ポリポリと胃薬と大好きなお酒を毎日嗜んでいる。最近の晩酌はウィスキーの水割りを焼いたチーズをつまみにして食べている。

 

 

アルトリア・キャスター(16歳)

並行世界…滅び行く並行世界から宝石の魔法使いが連れてきたアーサー王の同一存在であり、完全な別人。アーサー王と異なり、ツインテールの髪型をしており髪の長さは背中に軽く届く程の長さをしている。チョコレートが大好きだが、この時代のブリテンには未だカカオは無く…プリンやアイスクリームで我慢している。

ギャラハッドの推薦でキャメロットの宮殿魔術師に成っており、ギャラハッドの元で働いている。なお、円卓の騎士からの人気は高いが…彼女にセクハラしようとすると…フル装備ギャラハッドが降臨するとかしないとか。

 

 

ランスロット(30代後半)

通称マダオ、ギャラハッドの父親。エレインという熟女のストーカーに付きまとわれているらしい。グィネヴィアとの不倫問題を解決する為に、円卓の騎士を辞任。今はギャラハッドの下で働いている。実は裏の顔が有るようで?

 

不倫仮面

女性のおパンティーを被り、ブリーフ一丁で肩までブリーフを引っ張り上げ、アミアミタイツを履いた謎の変態。その正体はおパンティーを被り、体内に宿る変態パワーを覚醒させたランスロットである。不倫仮面はおパンティーを被ることで、変態パワーでパワーアップし昼ガウェインのパワーアップを遥かに上回る力を与えるのだ。なお、ギャグ補正と強さが半端なく、この変態は停まらない…停められない。救いが有るとすれば、彼は正義の味方だと言うことだ。なお、サーヴァントとして呼ばれたらビーストorバーサーカー、アブノーマルらしい。

 

 

アーサー王(年齢秘密)

本名をアルトリア・ペンドラゴン。ブリテンの王であり、周りの皆様は大真面目に男性だと思っている少女。滅び行くブリテンを支える王だったが、ギャラハッドのお陰でブリテンは大繁栄。今は立派に正しい統制と治世をしながら、ギャラハッドの開発した美味しい食事を楽しんでいる。

 

 

妖精騎士ランスロット、妖精騎士トリスタン、妖精騎士ガウェイン。

ギャラハッド暗殺の為に送り込まれた妖精騎士。だが…不倫仮面の手で敗北し、現在はギャラハッドの元でアイドルデビューする為にレッスン中。

 

 

キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ(自称33歳)

世界に現在、2人しか存在しない魔法使い。並行世界を含めた時間軸を操る事が出来るが、その能力故か並行世界の自分から情報が流れ込み…見るもの全てに既視感(通称、デジャブる)を感じていた。だが…唯一無二のギャラハッドにデジャブるを壊す切っ掛けを見出だし、ギャラハッドの仲間に加わった。現在はキャメロットの宮殿魔術師…ならぬ宮殿魔法使いとして勤務。

 

 

不倫仮面被害者の皆様。

今後、続出する模様。ボールス以外に、あの人やあの人、宗教を侵略や大量虐殺の建前に使う人とかもみーんな成敗される。

 

 

 

 

 

 

以降、カルデア編のネタバレ。

 

転生者はギャーさんの他に●名確定してます。なお、1人はマスターです。

 

転生者ではなく、転生者の影響を受けて魔改造された人物もカルデア編から出てきます。例えばルイ17世(フォーリナー、ヒントはフロム・ソフトウェア)とか変態仮面(中身は勿論、アイツ)とか。

 

転生者ではないが、史実で活躍したがFGOに参戦できなかった英雄も出てくる(内定はゲクラン、鳥居強右衛門、ルキウス・ロンギヌス、チャーチル)。皆の好きな英雄は出てくるかな?




皆の好きな英雄はFGOに出てきましたか?個人的にはゲクランは出ると思ってた(笑)


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ギャーさん大革命、本格的に指導する

ギャーさん、新たなプロジェクトを執行する!?


ギャラハッドが聖杯探索を終えて3ヶ月後。ブリテンは大きな転換期を迎えていた。と言うのもその全てにギャラハッドが関わっている事は間違いなく、ギャラハッドのお陰でブリテンの大きな文明力は進歩し、ギャラハッドが関わったお陰かブリテンの悲劇が1つ回避されたと言っても良いだろう。

先ず、大きな人事移動が行われた。御存知、ランスロットとグィネヴィア王妃との不倫問題であったがギャラハッドのお陰か見事に解決。但し、その代償としてランスロットは円卓の騎士を辞任し、グィネヴィア王妃はアーサー王と離婚しては王妃から平民へと降格。今までの権限が無くなったが、それ以外の罪が無いと言えば最早、得しか無いだろう。円卓の騎士から只の騎士へ、王妃から平民に成った2人は晴れて結婚秒読みであり今はギャラハッドの元で働く事に成っている。

 

「ひっひ!?誰だお前は!?」

「私は不倫仮面…正義の味方さ。そしてそれは私のおいなりさんだ」

 

「グィネヴィアさん。其方はどうですか?」

「ええ、此方も終わりましたよ」

 

その結果、マダオことランスロットはギャラハッドの配下として忙しい日々を送りながらおパンティーを被っては正義の味方 不倫仮面に変身しては悪を裁く日々を送る。グィネヴィアはと言うと、ギャラハッドの元で産業発展に貢献しており、今ではギャラハッドが新たに開発した足踏みミシン…足で踏み、動かすタイプのミシンを使っては他の女性従業員と共にブリテンの衣類文化の発展に協力している。なお、貢献度はグィネヴィアが8割、不倫仮面が2割である。余談だが、グィネヴィアはギャラハッドの開発したミシンを使い、人類初アイドルの勝負服を作ったとして世界史で記されている…勿論、写真付きで。

 

では肝心の円卓の騎士はどうなったのか?確かにランスロットという実力、政治と共に円卓を支えてきた頼れるベテランが抜けた今、円卓の空席は二席と成っている。威厳を示すためにも権力的にも早く埋めたいところだが、それは難しい。と言うのも円卓はマーリンの魔術が掛けられており、前任者より強くなければ新たに座ることが出来ないのだ。その為か、前任者であった七席の者を超える者が中々現れない為に七席は長いこと空席なのである。更に円卓最強だったランスロットが抜けた事で、十一席も空席と成ってしまった。早く後進を育てたい所だが、そうもいかないのが現実である。

 

だが、嬉しい事も有るのもまた事実だ。ギャラハッドが聖杯探索から帰ってきてからブリテンは新たな人材を確保する事が出来、新たな若手が育ってきてるのも事実だ。

 

「貴殿達の参戦、心より感謝する。皆の者、既にギャラハッドから聞かされていると思うが新たに宮殿魔術師と成ったアルトリア・キャスター、宮殿魔法使いと成ったキシュア・ゼルレッチ殿だ」

 

円卓の間。円卓の騎士と+αな関係者が定期的に集い、会議を行う場所。そこは御存知、選ばれた存在しか集まれないが新たな人物が3人会議に参加するように成った。

先ず1人はギャラハッドと共に聖杯探索を終えて、キャメロットにやって来たアルトリア・キャスター。勿論、アーサー王と同一存在の別人の為かアーサー王と瓜二つな顔立ちをしているが、前々から会っていた騎士(ベディヴィエール、パーシヴァル、ケイ等々)は驚いていない。それにキャストリアも宮殿魔術師に成った為か服装が変わっている。より立場の有る人のような服装(俗に言う1再臨)に成っていた。この衣装、グィネヴィア作であり服の何処かにギャラハッドのルーンが刻まれており、ギャラハッドと同じく非対称性透過フィールドのバリアーを展開する事も出来る。なので、防御力はかなり高い。

 

「はい。宜しくお願いします」

「ゼルレッチだ。宜しく頼む」

 

そして魔法使いのゼルレッチ。マーリンやギャラハッドさえも上回る魔法を操る唯一無二の存在。言わば、人類側の超越者の1人に数えられる正真正銘の化物。そんな存在がやって来た為か、予言で物語を知るマーリンは自分の設計した物語が既に跡形もなく消し飛んだ為か唖然としている。

 

「うひょ!!可愛い女の子だ!!」

 

そして未だ円卓の席に座れないボールスはモードレッドと異なり、ジェンダーも見た目も可愛い女の子がやって来た為か大興奮。ボールスは女の子が大好きであった、日頃からぺリノアと共に行動してる為か性に関して興味津々。その為かガウェインに日頃から怒られているのだ。

 

「ボールス……彼女に手を出しては…行けんぞ……お陰で私は酷い目にあった…」

 

プルプルと震えるぺリノア。そう、ぺリノアは先日未明。キャストリアに手を出してしまったのだ。史実でも沢山の嫁が居ており、子供達の母親は全員別々のぺリノア。彼はキャストリアに声をかけ、ゴーtoベッドでチョメチョメをする為かキャストリアを誘った。だが…それが運の尽きだった。

 

『グッドイブニング、ハーレム王。今夜は月が綺麗ですね』

 

と右手に剣モードのアルテマウェポン ロンギヌスを持ち、左手にアロンダイトを持ったガチ装備ギャラハッドが降臨。ものの見事に瞬殺されたぺリノア。だが、悲劇は未だ終わらず、そこにおパンティーを被ったランスロットこと不倫仮面がやって来たのだ。

 

『美少女を強引に望まぬ関係を持とうとするとは…成敗!!』

『もう成敗されたんですけど!!』

 

そして不倫仮面の股間にwelcomeされ、ぺリノアは成敗されたのだ。

 

「良いか?絶対だぞ?お前のおっぱいに対する望みは立派だが、相手のSECOMを見て判断しろ」

「ぺリノアさん!?何があったの!?」

「ぺリノア、ボールス。未だ紹介したい者が居るんだが、良いだろうか?」

「「王よ、すいませんでした!!」」

 

そう、円卓の間には未だ紹介しないといけない人物が居るのだ。その人物はモードレッドと同じく、肉体は女性の騎士であり歳はギャラハッド達と同じ世代だと思われる。未だ、汎用品のような鎧を纏っているが立ち振舞いは立派な経験を積んだ騎士そのものだろう。

右手には何やら…機械仕掛け…いや、時代的にカラクリ仕掛けと言える槍を持っており、左手には盾を持っている。

 

「ガンランス?」

 

ギャラハッドが小さく、その槍を見てそう言った。そう、少女騎士が持つ槍はギャラハッドが前世でやったことがあるハンティングゲーム モンスターハンターに出てくる武器 ガンランスのような見た目をしていたのだ。事実、弾薬と思われる物を居れるための薬室が有るので間違いないだろう。

そしてギャラハッドはマーリンの方を見る。ギャラハッドと目が合ったマーリンはシメシメと言いたげに笑みを浮かべており、どうやらこのガンランスの製造にはマーリンが関わっているようだ。

 

少女騎士はガンランスを床に置き、兜を取っては右手に持つ。その素顔は嘗てギャラハッドが厨房で遭遇したボーマンことガレスであった。

 

「本日より、次期円卓候補として円卓会議に参加致しますガレスです」

 

ガレス。御存知、ガウェインの妹。つまり、これでガウェインの兄弟は全員が円卓の会議に参加する事に成るのだ。

 

「では新たな顔触れも揃った事だ。改めて会議を始めよう。だが、今日は会議よりもやらなければ成らないことがある。ギャラハッド」

「ええ、上下水道施設が漸く完成しましたので、今日はその始動ですね。既にキャメロット城の水回りも俺の設計で改装しましたので、トイレも全て水洗トイレに改造してます」

 

そう、今日はブリテンの上下水道の完全開通の記念日である。上下水道施設と汚水処理施設に関しては数ヶ月前、ギャラハッドがローマで覚えたローマンコンクリート等の建築技術を元に、ギャラハッドが設計した物がケイとアグラヴェインの元で建造が進められていた。そしてギャラハッドがブリテンに戻ってから急速ピッチで工事が進められ、漸く今日から完全始動と成ったのである。

完成した上下水道の仕組みはこうだ。上水道を通る水は貯水場から全都市に行き渡り、貯水場は全部で6つ建造しており、どれか1つが機能不全を起こしてもカバー出来るようにギャラハッドは設計。貯水場の水は海水から作られた塩素を適切に加えて殺菌し、濾過用の炭が入った主要水道管を通って各地に向かう。上水道はローマンコンクリートを用いた物、レンガで作られた物等が有るが序でに川岸と川岸を繋ぐ水道橋の中にも上水道は通っており、人々の交通網も序でに改善している。

上水道を通り、各地に行き渡った新鮮な水は使われ、生活排水や工業排水として排水溝を通り下水道を通っては汚水処理施設に向かう。なお、汚水や生活排水が通る下水道は丈夫なローマンコンクリートやゴムを用いた作りをしており、頑丈だ。汚水は汚水処理施設に到達すると微生物の働きで汚水は分解されていく。更に分解されながら長いくねくねとした下水道を通っていき、濾過されて綺麗に成った汚水は下流に流されて自然に還元される仕組みである。

 

このギャラハッドが設計したブリテンの上下水道。大半が未来まで残っており、世界遺産に登録されている。と言うか、その6割が現役で未来でも活躍している事を考えると恐ろしい物だ。序でにキャメロット城のトイレも全面改造。陶器製の洋式トイレに改造し、レバーを引けば水が流れると言った仕組みに改造。当然、ギャラハッドの設計である。

 

「それでは実際に使ってみましょうか」

 

ギャラハッドの言葉を受けて、円卓の間に居た者達は一斉に移動を開始する。彼等が向かったのはキャメロット城に住まう人々の食事を一斉に作る、厨房だ。

 

料理にも水は多く使う。スープを作る為や、最近では昆布出汁を取るためだったり、使い終わったフライパンや食器を洗うためと言ったりと沢山だ。今までは近くの井戸から必要な分だけ水を汲んでいた厨房スタッフだったが、これからはそんな労働とはおさらば。蛇口を捻るだけで水が流れ、排水溝を通っては排水が流れていくのだ。

 

そんな厨房にブリテンの国王であるアーサー王が直属の側近である円卓の騎士+αを引き連れてやって来た。その為か、厨房スタッフの他にも様々な使用人達がアーサー王達の行いを野次馬のように見つめる。

 

「皆、行くぞ」

 

アーサー王はそう告げ、いざ蛇口に触る。そして蛇口を捻ると、新鮮な水が蛇口から出てきたのだ。

 

「「「「おぉぉぉぉお!!」」」」

 

蛇口を捻るだけで新鮮な水が出る。水が出ると言うことは料理に、洗濯に、洗顔に兎に角色々使える。今、ブリテンの生活が1つ新たに変わったのだ。

 

 

 

 

 

ブリテンの上下水道が完全始動して3日後。

 

「さてと…次は何を作ろうかな」

「お前、次は何をやらかすんだ?」

 

ギャラハッド実験農場は更に規模が大きくなっていた。豊かな作物は勿論のこと、ギャラハッドがブリテンの鍛冶職人から鍛冶スキルの基礎を学び作った鍛冶作業場。

 

「パパ!!凄いよ!!見たこと無いお野菜が沢山!!」

「ねえ!!見て!!凄いでしょ!!」

 

と…実験農場を元気にはしゃぎ回る子供達が居た。実はこの子供達、実は彼の子供とご近所の子供である。

 

「君たち!!此処は遊ぶ場所では無いんですよ!!今日は見学で来ただけなんですからね」

 

子供達に注意するガウェイン。そう、この子供はガウェインの子供であるフローレンス、そしてフローレンスの友人でありキャメロット在住の農民の子ファーガスである。戦争がなく、町が発展すれば子供達も元気になる。それは良いことだが、同時に子供達の未来の発展の為の町作りも考えなければ成らないのだ。

因みにフローレンスとファーガスの両名。後にブリテンの丞相となるギャラハッドの元で働き、歴史に刻まれる騎士と成り、円卓の1人に数えられるのだ。

 

「学校を先に作るべきか…公園を先に作るべきか。テーマパーク染みたテルマエを作るべきか」

 

木材を加工して作った椅子とテーブルに座り、ギャラハッドは図面を見ながら考える。その図面はギャラハッドがローマで得た知識と現代社会知識を掛け合わせて設計したテルマエが描かれていた。

 

「子供達が元気なのは良いことだが、これじゃな」

 

ギャラハッドの側に立ち、ケイは頭をかきながらそう言う。ギャラハッドが生まれる前、ケイが子供の頃は自然が遊びだった。小さい頃はアーサー王と裸で湖に飛び込んだり、森でかくれんぼしたりと自然で遊んだのだ。

 

「あれ?ギャラハッドが設計したテルマエ。これ、単なる浴場だけじゃ無いよね?」

 

ギャラハッドの前に座り、ブリテンの新たな名物スイーツと成ったプリンを食べるキャストリアが図面を見て指差した。そう、この図面はテルマエの図面にしては他にも色々と書かれていたのだ。

 

「浴槽は男女別は確定。ハドリアヌスのように時間で分けるんじゃなくて、スペースは重なるが男女別に浴槽を分ける。こうすると時間に関係なく入れるからな。

ロビーは共通。ロビーは受付と休憩室も兼ねており、此処でプリンやフルーツオレの販売も行って男女共にリラックス。男女共通のスペースは他にも有って、劇やライブを楽しめる劇場も完備。妖精騎士のライブは此処で行うと考えて…」

「いや、もうテルマエって領域を超えてるぞ!?最早、レジャー施設じゃないか!!」

 

ギャラハッドが設計したテルマエは最早、テルマエという領域を超えて1レジャー施設と化していたのだ。ローマのテルマエをオマージュしているので、浴場内にサウナや運道場…ジムのような所は勿論ある。更にロビーでは男女共に寛げ、フルーツオレやプリンが楽しめ火照った体を程よく冷やしてくれる。更には劇場も完備されており、そこでは劇やライブが行われるのだ。勿論、妖精騎士のライブも此処で行われる。

 

「む?まてよ…ギャラハッド。さっき、学校て言ったよな、それは?」

 

学校。聞き慣れない単語にケイは興味を示し、ギャラハッドに問う。学校とは皆が御存知の教育機関だ。文字を学び、知識を学び、学問を学ぶ。このお陰か現代日本を始めとした未来の社会では多くの人々が必要最低限の知識を身に付けており、読み書きをすることが出きる。だが…残念な事にブリテンには学校がない。学校はなく、多くの人々は親から勉学を学び育っていくのだ。故に貧富の格差が産まれた家でほぼ決まると言っても過言ではない。事実、ケイとアーサー王も親から読み書きや一般教養を習ったのだ。

 

「国が行政として子供達に必要最低限以上の知識を教える教育機関。

この国ってさ、親が自分の子供に勉学を教えるホームスクールが一般的だ。だけど、それじゃ騎士や貴族の子供位しか高等教育処かマトモな教育を受けられない。それじゃ、いずれ国の発展が止まり貧富の差が縮まらない。だけど、学校が有れば貧しい家系の子供も…農民も町民も、職人の子も関係無く騎士の子供達と同じ様に学べるしチャンスを得る。誰もが読み書きが出来、誰もが計算が出きる。国民の質が上がり、誰にもチャンスがやって来る社会になる」

 

ぶっちゃけブリテンの識字率は低い。騎士や貴族の子供達は親から読み書きを習えるが、農民や町民の子供はそうはいかない。だが…学校が出来れば国から読み書きを習えることが出来るので、やがては誰もが文字を書けるように…読めるように成るのだ。いや、それだけではない今まで学べなかった事も学べ、国民の質も上がるのだ。

 

「お前…マジか!?いや、確かにそうだよな……俺達、どうして今までは気付かなかった!?」

 

確かに画期的だ。予算等の問題も有るが、それでも国民の識字率が上がれば言うことはない。ケイはギャラハッドの提案に唖然としてしまうが、子供達の未来を思う。

 

「それは凄い!!私も協力します!!これなら、皆が文字を読み書き出来ますよ!!」

 

当然、これにはキャストリアも賛成だ。だが…この中で一番賛成したのは間違いなく、この男だろう。

 

「その話、聞かせて頂きました。是非とも私にも御手伝いさせて頂きたい!!これでも子供を持つ父、子供やその友人達の為にも是非とも!!」

 

我が子フローレンス、フローレンスの友人であるファーガスを連れてきていたガウェインだ。

 

「学校とやらの施設の設計は出来ませんが、他の事なら力に成れます。ギャラハッド…貴方は半分趣味とは言え働きすぎです。是が非でも手伝います。勿論、弟や妹達も力を貸してくれる筈です」

「学校って本当!?」

「俺…生まれで騎士に成れないと思ってたけど、お兄さんの話を聞いて夢が広がるよ!!」

 

学校が出来れば努力次第で生まれの立場関係無しに騎士に成れる人物が増えてくる。教育が行き届けば治安も良くなるし、国の質も上がるだろう。

 

こうしてギャラハッド立案の…ブリテン学校製作プロジェクトが始まったのだった。




ギャーさん「超簡易的な学校なら速攻で作れるけどな。学校と言うか、読み書きを教える青空教室だけど」

サラ「はーい!皆さん、読み書きの時間ですよ」

次回!!青空教室!?フローレンスやファーガス以外にも、彼女達が学ぶ!?

ケイ「ギャラハッド…なに作ってるんだ?」
ギャーさん「試作品。鍛冶スキル覚えたしな」

そしてギャーさん。色々と作る!?

ギャーさん「全ては折れた選定の剣を有効利用する為に!!」


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ケイ「お前…マジでやりすぎじゃね?」

ギャーさん、文明革命を起こす。


学校。ブリテンには未だ無く、ブリテンは親が子供に読み書きや勉強を教えるホームスクールが定番であった。読み書きが出来る親の元で産まれれば親から読み書き等の勉学を習うことが出来る。しかし、親から勉学を教えてもらうと言う事は、親が読み書きが出来なければその子供も読み書きを習う機会が無く字が読めないし書けないのだ。だが…それはこれから解消される事になる。今までブリテンはその事に気付かなかったが、ギャラハッドの指摘により改善を決意。子供達に勉学や読み書きを教える学校の設立を決意したのだ。

 

「分かった。学校の設立は貴殿達に任せよう。勿論、私も賛成で出来うる事は協力する」

 

ブリテンの識字率が上がれば、その分国の発展にも繋がる。当然、アーサー王は否定するつもりは皆無であり協力を要請してくれた。

此処にギャラハッド、ケイ、キャストリア、丞相ガウェイン、丞相第一補佐官ガヘリス、丞相第二補佐官モードレッドによる学校創設の戦いが始まったのである。ケイとガウェインがギャラハッドの案を聞き、学校制度を作る。キャストリアは主にギャラハッドの補佐、ガヘリスとモードレッドはケイとガウェインの補佐を務める事になる。では言い出しっぺのギャラハッドは何をしてるのか?勿論、言い出しっぺであるが故に彼は学校の建造を担当し、草案の提出。ギャラハッドの出した草案を更に煮詰めて、ケイとガウェイン達が最終決定する流れだ。

 

『学年、カリキュラム…やる事は多々ある。だけど読み書きを子供達に教えるなら速攻で出来なくはない。青空教室って感じに成るんだがな』

 

学校を建てる場所は限られる。だが…読み書きを教える事や簡単な勉強を教える程度なら場所は特に考えなくて良い。子供達が20人前後未満なら尚更だ。必要なのは子供達の目に付きやすい大きな黒板、子供達が座って勉強できる椅子と机、子供達が勉強した証を刻む紙とペン位だろう。

 

だが…そんな物はブリテンは本来は直ぐには手に入らない。しかし、このブリテンには科学知識+医学知識+農業知識が恐ろしい程にあるあの男が居るのだ。問題は皆無である。

 

「おーい、ガウェイン、ケイ先生。持ってきたぞ」

 

ある日の昼下がり。ギャラハッドはキャメロットの空き地にそれを持ってきた。先ず、子供達が学べる為の机と椅子。これはギャラハッドとキャストリアが用意し、子供達が座ってもささくれ等が痛くないように丁寧にヤスリがけされた逸品である。

 

「机と椅子位、俺達や職人でも出来るぞ」

 

それぐらいならケイやガウェイン達でも出来なくはないし、町の職人だって出来る事だ。だが…次にギャラハッドが持ってきた物を見てケイは唖然としてしまう。

 

「なんだこりゃ?」

「これか?黒板って言うんだよ。そんでこれがチョーク、石灰で作った筆記用具だな」

 

ギャラハッドが持ってきたのは少し太めな白い筆記用具。ギャラハッド曰く、これはチョークと呼ばれる物で石灰で作られているそうだ。石灰と言えばギャラハッドがブリテンに来はじめて当初、彼が貝殻から作った肥料である。この石灰を固めて棒にしたものがチョークと呼ばれる代物だ。

そして黒板。2メートル程の大きな板のような物でギャラハッド曰く、鉄が原材料との事で磁石が引っ付くこと。黒板の縁は木製で出来ており、下は駒で押して動かすことが可能でその場で固定させる場合は駒のストッパーを下げれば良い仕組みと成っている。

 

「この黒板だが、チョークを使えば文字を書くことが出来るんだよ。消したい場合は布巾で拭けば良いしな」

 

ギャラハッドは黒板に適当に文字をチョークで描き、丸めた布巾でチョークで描いた文字を消す。

 

「黒板を鉄製にしたのには訳が有ってな。紙を磁石で止めることも出来るんだよ」

 

ギャラハッドはそう言うと磁石と紙…紙と言ってもケイやガウェインが知っているようなパピルス(この時代の紙)や羊皮の紙ではなく、もっと滑らかで柔らかい紙を取り出して磁石と黒板に挟むように黒板に貼ってしまった。

 

しかし、磁石なんて見たことがないガウェインとケイは目を開き磁石を見る。彼等からすれば磁石は黒板とやらにくっつく、石でしかない。そんな石が不思議な力で黒板にくっつくのだから驚くしかないのだ。

 

「石が黒板とやらにくっついた!?」

「どうなってんだ!?ギャラハッド…説明してくれ!!」

「紙じゃなくてそっち?まあ、磁石ってのは磁力を帯びた石の事で。自然界にも存在するし、科学の力で超強い電磁石も作ることが出来るぞ」

 

ギャラハッドはそう告げ、磁石の1つをケイが腰に提げてる剣に近付ける。神造兵器であるガラティーンやアロンダイトはくっつかないが、ケイの剣は鉄製であり磁石が反応する。その為か、鞘の装飾に磁石がくっついたのだ。

 

「うお!?」

「これが磁石」

「………なあ、お前…この磁石とやらでなんか、企んでないか?」

 

ケイの質問に対し、ギャラハッドはただニヤリと怪しげに笑みを浮かべるだけ。間違いない、ケイは確信する。このギャラハッドは間違いなく、ケイの想像を超えたナニかを企んでいると。

 

「そんで、この紙。まあ、木材から俺が自作した紙で、作り方はもう町の町人に伝えてる。この紙に勉強した事を書いて、家に持ち帰れば復習も出来る。

あと、読み書き出来ない子の為のすんごい物も開発してるから待っててくれ」

 

パピルスとは違った滑らかな紙。それに勉強した事を書けば、家に持ち帰れば勉強の復習も出来る。そうすれば子供達は勉強の楽しみを覚え、家に帰っても学校という斬新な所で学んだことを親に自慢げに話ながら復習するだろう。

 

「それは凄い!!それでギャラハッド…貴方は何を開発してるのですか?」

「ラテン語(この時代の主な言語)とフランス語(フランク王国やブリテンで使われてる言語)の言葉辞書。言葉辞書に対応した音声が録音された勉強ようレコード。それを使えばレコードから音声が出て、その音声を聞き辿って辞書を読めば言葉の文字も分かるしな。

片方だけ分かる人の為に、フランス語の教科書をラテン語で作ったし。逆にラテン語の教科書をフランス語でも作ったからな」

 

ブリテン在住の民間人はフランス語とラテン語…最低でもフランス語は分かる。だが、読み書きが出来るかと言えば別だ。そこでギャラハッドは考えた。辞書と辞書と連動してるレコード…音声が録音された物を使えば、レコードから再生された音声を聴きながら文字を見れば文字の意味が分かり、字が読めるように成ると言うことである。だが…当然の如く、音声を記録するというのは常識的には考えられない。その言葉を聞いて既にガウェインは唖然として思考を放棄してしまい、唯一…ギャラハッドの行動に耐性を持っていたケイは叫んでしまった。

 

「音声を記録するってどういうことぉぉぉおおお!!」

「銅と亜鉛の合金で作った円盤に音を溝として掘って記録するんだ。音を溝として掘った所に針を滑らせると、針が震えて溝として記録された音が出る仕組みだ。これを使えば、俺達の肉声も後世に伝わるぞ!!」

 

円卓の騎士関係者は写真で容姿は勿論のこと、ギャラハッド式レコードのお陰で肉声も明らかに成っており、召喚したら誰にも速攻でバレるサーヴァントランキング堂々のトップテンを総ナメする事になる。町を歩いても民間人にバレ、敵からも速攻でバレる。唯一知らないのは円卓以前に生きた時代の人達だけである。

 

『そして、それは私の発明!!』

 

何処からキャプテンアメリカンなライオンの発明家の叫びが未来から響いてきたが、気にしてはいけない。ギャーさんの知識が文明加速させてしまったのだ。

 

 

 

翌日。ガウェイン監督の元で、青空教室が定期的にキャメロットの広場で行われるように成った。

 

「はーい!!それでは皆さん。授業を初めて行きますね。今日はラテン語の授業を始めますよ。ブリテンやフランクではフランス語が定番と成ってきましたが、ローマやアフリカ諸国ではラテン語が多く使われてます。このブリテンも嘗て、ローマの一部だった名残かラテン語が未だ公用語として使われてますからね」

 

今回、教師役に成ってくれたのはイエス・キリストの娘であるサラ。サラは聖杯探索が終わった後、亡命に近い感じでキャメロットにやって来た。今はパーシヴァルと同棲しているとの事だが、生憎と仕事をしておらず暇で暇でしょうがなかったらしい。そこで彼女は教師役に立候補し、子供達に読み書きを教えてくれる事に成ったのだ。

 

「はい!!フローレンス君。ラテン語で挨拶は?」

「はい!サルウェ!!」

 

現在、青空教室に学びに来たのはガウェインの息子であるフローレンス、フローレンスの友人であるファーガス、他にも多くの子供達が男女関係無く来ており、中には子供もではない人物も混ざっていた。

 

「教師。すまないが、スペルはこれで合ってるだろうか?」

「はい、バゲ子さん。今、確認しますね」

 

妖精騎士ガウェイン。唯一、大人で参戦。

 

「スペちゃん。インク頂戴、無くなっちゃった」

「あげません!!」

 

妖精騎士トリスタンことスペシャルウィーク。読み書きが出来ないために参加。

 

「先生…これで良いですか?」

「ラウラちゃん。合ってますよ」

 

妖精騎士ランスロット。立派なアイドルに成るためと、見た目が子供だったので参戦。

 

青空教室では今日も子供達が勉学に励んでいた。因みに一番人気の科目はギャーさんの科学実験教室である。

 

 

 

 

 

一方のギャーさん。

 

ギャラハッドは火事場に籠り、糸状に加工した銅…銅線を何かに巻き付けている。その何かは細長い四角柱である鉄の塊であり、ギャラハッドが製鉄技術で作り出した物だ。それを全部で12本製作したギャラハッドはそれを抱えてニヤニヤと笑みを浮かべる。

 

「さてと…硫酸と鉛でバッテリーは作った。作る順番が逆に成ったが、まあ良いだろう」

 

ギャラハッドはその鉄を抱えて外に飛び出し、銅線が巻かれている鉄を真上に放り投げる。そしてその鉄目掛けて、左手を向ける。

 

「サンダガ!!」

 

ギャラハッドの左手から落雷さえも上回る雷撃が放たれ、雷撃は鉄に直撃する。だが、これがギャラハッドの狙いだった。銅線を巻き付け、銅線のぐるぐる巻き…コイルの中に入れた鉄は電気を受けると磁石に変化する。ギャラハッドは落ちてきた鉄をキャッチし、ニヤリニヤリと笑みを浮かべ出した。

 

「超強い磁石完成。さてと、水力発電を完成させるか。ペニシリンだけじゃ心細い…サルファ剤をそろそろ作るか」

 

今、ブリテンの文明が動き出す。




ケイがギャラハッドの様子を見に行くと…

ケイ「火じゃないのに明るいだと!?」
ギャラハッド「竹のフィラメントじゃやっぱり、寿命が短いか」

電気の明かり、不思議な道具。

ギャラハッド「わざわざインドまで行き、コレラ患者を救った記念に貰ったダマスカス鋼、カーボンナノチューブ!!そしてカレー!!
あっ、ケイ先生。それに触るなよ。指、飛ぶぞ。未だ全身麻酔薬無いから、大規模な手術出来ないぞ」

ギャーさんの様々な試作品も明らかに!?

ギャーさん「国家会談じゃ武器の持ち込みは多分、無理だしな。それを想定した護身用武具に鋼鉄製の鉄扇、アサシンブレード、鉄砲、火薬、木製のクロスボウ……あの真祖とやり合う為に機関銃とダイナマイトは欲しいが、流石に機関銃は無理か。いや、蒸気機関を使って戦車作るか?待てよ?この時代しかない、Oパーツな金属を使えばアークリアクターも夢ではない!!」
ダ・ヴィンチちゃん「君さ…未来知識有りとは言え、生前の私を超えてない?」


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ギャーさん試作品の数々!!

ギャーさん、試作品公開?なお、未だ一部の模様。


「今日はお客さんが来ないな。アルちゃん、賄いは何が良い?」

「チョコレートをお願いします!!」

「残念だけど、未だカカオを確保してないからチョコは作れないんだよな」

 

ある日のギャラハッドのバー。今日は珍しくお客さんが居なかった。店内には店長であるギャラハッド、そして賄い目当てで店員として働き出したキャストリアの2人だけである。だが、カウンターの壁側には多くの種類の酒瓶が飾られており、店の商品が増えている。と言うのもこれはギャラハッドがウィスキーを開発し、その後も空いた時間でギャラハッドが酒を研究しつつ、酒造職人も酒の研究を行った結果…ブリテンで製造できる酒が増えたことが主な理由と言えるだろう。

リンゴを原材料に作った発泡酒であるシードル。ブドウを原材料に発酵させたお酒ワイン。寒冷な季節に実が凍り、実に糖分を蓄えたブドウを原材料に使ったデザートワイン。ワインを蒸留させたワイン版のウィスキーのようなお酒であるブランデー。馬鈴薯を原料に蒸留し、その後に濾過して作るウィタエ(別名というかウオッカ)等々だ。これにより、ブリテンではカクテルブームが円卓の間で起きてるのである。

 

「カレーを作りたいが、スパイスは未だ揃ってないしな。ターメリック等のメジャーな物は栽培が終わっていない。クミンはブリテンの環境じゃ育たないから、どうしようか」

 

ふむふむと考えるギャラハッド。この時間は既に夜であり、外は暗闇に閉ざされている筈だ。しかし、外から見えるギャラハッド実験農園は灯りが灯されており、その灯りは炎の灯りではなく黄色の灯りが灯されていたのだ。

外が明るいのならば、店内も明るい。バーの店内は丸いガラスで出来た物体が3つほど天井からぶら下がっており、そのガラス球が灯りを灯していたのだ。だが、その1つの灯りが消えてしまう。

 

「あー、やっぱり竹のフィラメントじゃ直ぐダメになるか」

 

ギャラハッドはそう言い、灯りが消えたガラス球を取り、新しいのに付け替えた。このガラス球の名前は電球。遠い未来、エジソンという発明家が開発した電気で灯りを灯す人類の叡知だ。知識としては知ってても再現するのは難しいが、ブリテンに来て様々な事をやって来て技術スキルが斜め上に上がってきたギャラハッドに取っては作るのは朝飯前に成ってしまい…彼は作ってしまったのだ。

当然、電球が灯りを灯すには動力源である電気が必要。その為に発電機と電気を貯蔵する為のバッテリーが必要だ。だが、ギャラハッドはそれさえも作ってしまった。発電機は仕組みだけなら銅板と超強力磁石さえ有れば作ることが可能であり、バッテリーは硫酸と鉛板が有れば問題ない。作った電気をバッテリーに貯め、それを使って灯りを灯してるのだ。

 

電球を取り替え、バーの灯りが元に戻る。以前は火の灯りで照らしていたが、これにより火は料理だけに使えるように成ったのだ。

 

「魔術じゃないのに、此処まで灯りが!!ギャラハッド、1つ聞きたいけど。やっぱり、貴方は遠い未来からやって来た人なんですね!!」

 

突如としてキャストリアがそう言った。確かに彼女の言わんとしている事は物凄く理解できる。確かにギャラハッドの知識量は異常だ、ブリテンやローマ帝国、フランク王国やタタール人の文明力を遥かに上回っており、それどころか長く生きた魔女や老人達を遥かに凌駕する。

誰に習ったのか不明だが、現代では考えられない医療の心得を持ち…当時では広く普及していた水銀の治療法を一切否定し多くの人々に取り止めるように言ったこと、アルコールが幼い子供や赤ちゃんに有害であると言って妊婦や授乳期の母親に注意したり、兎に角色々だ。だが、それよりもキャストリアはハッキリと断言できる。彼女は半分は妖精であり、妖精の力で言葉の嘘信を判別できるのだ。嘗て、ギャラハッドはローマ人に対して「魔法を使わないと辿り着けない所から来た」と言っていた…それは事実だった。

 

「半分正解半分外れ。アルちゃんには言って良いか…俺は前世の記憶がある」

「前世?」

「前世の名前は桜坂悠。勉強…と言うより、知識を広げることが大好きな医者の卵で、死因は勉強のし過ぎで過労死」

 

嘘は言っていない。キャストリアは自分の力でそれが理解できる。

 

「歴史は全く勉強してないが、この世界とは異なる世界だな。俺の前世は魔法とか魔術なんて存在しない世界だったし、此処よりも遥かに文明が発展していた。それに、ブリテンという国はなかった筈だ」

 

嘘ではない。

 

「言うならば俺は死んで異世界転生してしまったと言えるな。まあ、過ぎた事だ。前世が有るなんて、珍しい事じゃない。俺は偶然に記憶を持って産まれた…ただそれだけさ」

「えっ?人間て……勉強するだけで此処まで出来るの!?」

「8歳から1日20時間勉強したら行けるな。まあ、知識増やすのは趣味だし楽しかったのも有るが」

 

その瞬間、キャストリアはずっこけた。確かに1日20時間勉強すれば医学の他にも農業、科学の知識は身に付くだろう。だが、それは普通の人には無理であり、一歩間違えたら過労死する。結果、前世でギャラハッドは過労死した事だし。

 

だが、コンコンとバーの扉が叩かれる。誰かと思ったギャラハッドとキャストリアであったが、直ぐにその誰かは判明した。扉が開かれ、鎧姿ではなく私服姿のケイが入ってきた。とは言え、ケイは護身の為か腰に剣を提げている。

 

「ふー、ギャラハッド。一先ず、ウィスキーの水割りとチーズの焼き物を……なんだ?灯りが…」

 

ケイは入店するなり、最近自分の中で流行っている水割りとチーズの焼いたものを注文してカウンター席に座る。しかし、ケイは最近は学校の創立等で忙しく中々バーに来ることは出来ず、変わった内装に驚いていた。灯りは全て電球に変わっており、火は見当たらない。

 

「どっどうなってんだ!?」

「電球。電気を使ってるんだよ。磁石と銅板を使って発電し、それで発電した電気を使って電球を灯してるんだ」

「マジかよ…こんなの…魔法みたいじゃないか………てか、電気ってこんな使い方が有ったのか!?」

「今日は遅いし、明日なら色々と試作品見せれるけど?」

 

試作品。どうやらギャラハッドはこの電球の他にも様々な物を作っていたようだ。それはそうだ、ケイだってそれは理解している。ギャラハッドがブリテンに来てから面倒を見てきたケイだったが、ギャラハッドはブリテンに来てから色々と作ってきた。

石灰を使って土地を変えたり、青カビを集めたと思えばペニシリンを作ったり、酒文化や医療に止まらずブリテンの食事さえも変えてしまった。

 

 

 

翌日。ケイは言われた通り、ギャラハッド実験農場にやって来た。

 

「よっ!ケイ先生!!やっと来たか」

「おっおう…これは…ゲルマン地方にある風車?」

「水車な」

 

ギャラハッド実験農園には今さらながら川が流れている。その川の所には水の力で回転する水車小屋が存在しており、その水車小屋からは様々な線が出ており、その線はバーや近くの木々、ギャラハッドの医療研究小屋や鍛治場に繋がっていた。

 

「なんか…変な線が出てるぞ?」

「昨晩、電球見ただろ?あの電球等を灯すエネルギーをこの水車で作ってるんだよ」

 

水車は水の流れで回る。この水車は中で歯車と伝導しており、中では歯車で水車と繋がったギャラハッド作の発電機と繋がっている。発電機は銅板と磁石を組み合わせた原始的な仕組みだが、それでも水車が産み出す力で休むこと無く発電し続けているのだ。更に電気は作れるが、そのままでは貯めることが出来ない。そこでギャラハッドは硫酸と鉛板で原始的だがバッテリーも製作。余った電気はそこに貯められると言う訳だ。

 

「てっ事だよ」

「お前……科学で神の力を再現しやがった!?」

「これをブリテンの様々な土地に作り、並列回路でブリテン全土に電気を送るつもり。磁石と銅板、後は川さえ有れば水力発電は出来るからな」

 

相変わらず教え子の規格外さに肝が冷えるケイ。しかし、よく見ると農場の作物が増えていたのだ。それに何だが、胡椒とは違うが香辛料のような独特な匂いがしてくる。

 

「あれ?」

「唐辛子、ターメリック等々。ちょっとインド…唐(当時の中国)にアサガオの種を取りに行く序でに寄って貰ってきた。

インドじゃコレラって風土病が有ってな。その対策と治療法を速攻で思い付いて、現地人に伝えて治療したら報酬で貰った。まあ、報酬のメインはこれだったけどな」

 

ギャラハッドは四次元空間から何かを取り出した。それは奇妙な鉱石と長いワイヤーのような物だった。

 

「インドの職人が教えてくれたダマスカス鉱の作り方、そしてカーボンナノチューブのレシピ。

カーボンナノチューブは鉄の20倍以上の引っ張り強度があり、しなやかだ。コイツで弓やボウガンを作ればエグい物が作れるぞ!!」

「カーボンナノチューブ?」

 

聞いたことがない言葉、と言うか明らかに時代錯誤な代物にケイは唖然とする。

そう、このカーボンナノチューブ。実は本来なら現代人が使っている代物なのだ。ではどうしてこれがインドと関係あるのか?と言うのも古代インドのダマスカス鉱は錆びず、朽ち果てず、頑強な素材だ。そのOパーツと化したダマスカス鉱からカーボンナノチューブの痕跡が発見されたのである。ダマスカス鉱の技術は18世紀頃に失伝されたとされており、それ以前に造られたダマスカス鉱の武器はOパーツと成っている。なお、インドのカーボンナノチューブの技術は何時失伝されたのかは分かっていない。それに痕跡であり、インドのカーボンナノチューブと現代のカーボンナノチューブが同一の物なのかは不明である。

 

「取り敢えず、凄い素材なんだな?」

「そう。これで作ったヤツも有るけど、後で紹介する。先ずはこれ迄の素材を使って俺が試作した物を紹介するぞ」

 

ギャラハッドはそう言い、四次元空間から様々な物を取り出していく。

 

「これは?」

「ボウガン…まあ、木で作った引き金を引いて射つ弓のような物。唐とかタタールじゃ弩なんて言われてるヤツ。まあ、俺が改良したけど」

 

ケイが手に取った物はボウガン…クロスボウとも弩とも言えるものだ。しかし、これはギャラハッドが試作及び改良を加えた物であり、銃身の後ろに有るレバーを引けば弦が張る仕組みと成っており、後は矢をセットして引き金を引けば発射だ。

 

「因みに射ったらこんな感じ」

 

ギャラハッドは適当な場所に的を置き、それをボウガンで穿つ。その引き金を引くと言うワンアクションで放たれた矢の弾速は速く、ブリテンの精鋭兵士が弓を引いて放つより遥かに威力と速度が速かったのだ。

 

「なっ!?」

「因みにこれ。カーボンナノチューブは使ってないし、殆ど木製だ。弦も汎用的な弓と同じ素材を使ってる。鉄を使えば、もっと威力が出るかな?バネも入れられるし」

「従来と同じ素材でこの威力なのか!?」

 

そう、クロスボウやボウガンは弓と同じ素材で作られた弓以上の破壊力を産み出す。

史実に曰く、ローマ教皇…史実でキリスト教の頂点に立ち大きな権力を持っていた人物はキリスト教徒に対してクロスボウの使用を禁じた程である。勿論、異教徒と異端者相手にはクロスボウを使ってよいのは内緒である。

 

「簡単な訓練でも使えるから、兵隊の武器に良いんじゃない?

これ、木製クロスボウの設計図。耐久を考えたら、フレームは鉄製が良いけど」

「おっおう……こりゃアグラヴェインは兎も角、多くの騎士達は反対すんぞ……」

「これでも妥協点なんですよ、未々エグい武器なら沢山作ったので」

「これで妥協点なのかよ!!」

 

そう、これで妥協点である。次にギャラハッドは細長く、なにやらクロスボウのように引き金のある武器を取り出した。しかし、クロスボウと違って弦は見当たらない。

 

「なにこれ?」

「銃」

「じゅう?」

 

次にギャラハッドが取り出したのは銃と呼ばれる物だ。使い方を説明する前に、ギャラハッドはクロスボウを実演したように的を再び置いた。

 

「使い方はこうだけどな」

 

ギャラハッドは銃の銃口に黒い粉…火薬を入れ、その次に鉛の玉を入れる。入れ終えると長い棒で奥まで押しやり、棒を銃口から取る。

次に引き金の近くにある受け皿のような所に火薬を少々入れるとギャラハッドは銃口を的に向けて構える。そしてクロスボウと同じ様に引き金を引いた。すると、カチッと音と共に引き金を引いた瞬間に何かが降りて受け皿の火薬を擦る。するとボシュっと音が響いて火薬に火が着き、バンと大きな音を立てて銃口から弾丸が解き放たれて的を穿つ。

 

「はっ!?」

「因みに…これでも旧式なんだよね」

「これ、旧式なの!?」

 

そう、ギャラハッドからすればこれでも旧式なのだ。と言うのも、これは一々銃口から火薬と弾丸を詰め込まないといけないので発射まで数十秒はかかる。つまり、一度射てば最短でも数十秒は動けないのだ。その欠点を解消するために、ギャラハッドは未来知識と学んだ工房技術を駆使して新しいの物を開発。

 

「で…これが新しいヤツ。前からじゃなくて上から弾丸を込める仕組みで。弾丸と火薬、雷管が一纏めに成った弾薬を使うライフルさ」

 

ギャラハッドが取り出したのは試作式ライフル。銃身の上部分に弾を入れるためのハッチがあり、そこを開けて弾丸を積める仕組みだ。弾薬は全部で5発。玉入れも直ぐに終わり、1度射つとレバーを引いて空に成った弾薬を排出するだけで次の弾が射てるようになるボルトアクションと呼ばれる方法を採用している。

 

「おっおう…」

「因みに威力は薄い鉄なら余裕で貫通する」

「アウトォォォオ!!非騎士道過ぎるわ!!」

「でも、吸血鬼軍団相手には心細いんだよな」

「お前…化物連中相手に使うつもりなのか!?」

 

ギャラハッドが時代を飛び越えて銃を作ってるのは真祖と戦うことを想定してである。ギャラハッドや不倫仮面のような超人なら真祖が相手でも戦える。だが、普通の騎士は真祖や吸血鬼が相手なら、一方的に殺されてしまう。そんな騎士でも真祖相手に時間稼ぎを行うために、ギャラハッドは開発してるのだ。

 

「ケイ先生。悪用されないように、銃の設計図は暗号化させてるから大丈夫。世界に広まったら、銃を使った世界戦争起きそうだし」

「おっそうだよな…」

 

ギャラハッドは危険だと判断した物の設計図は暗号化させている。他にも作るのが危ないと想定した物も含めており、これが原因でギャラハッドが製造した6割の物がOパーツ扱いされ、更にその中の一部が失伝するのは後の祭りであった。

 

「後は……普通に鍛治で作った物だけど。ケイ先生はさ、国家間の話し合いの時は武器を持たない場合や制限する場合は有るでしょ」

「ああ、確かにな。持ってても剣1本とかな。少なくとも槍などの長物は持てないし、武器を持ち込めない場合もある」

 

国家間の話し合いでは武器を持ち込めない場合が多々ある。それが敵国だとしてもだ。とは言え、古代ローマがヴァイキングの文化を吸収した時に、ヴァイキングの思想である剣は特別な武器であるとする考えがヨーロッパに根付き、剣は帯刀する場合はある。

 

「そこで…こんな便利な物を作った」

 

ギャラハッドはそう告げ、何かを取り出した。それは何処から見ても唐等で使われている小道具、扇子である。

 

「扇子じゃないか」

「これ、開けるけど…金属製なのよね」

「金属製!?」

「剣を受け止めたり、鈍器にしたり、相手の頸動脈と気道を抑えて失神させたり様々」

 

ギャラハッドはその扇子…鉄扇を開け、風を扇ぎながらそう言った。確かに、こんな見た目なら誰だって武器だとは気付かないだろう。

 

「後は…此処では紹介できないけど。爆弾?ニトログリセリンとか使ったヤツ。まあ、投石器の10倍以上の破壊力が有るな」

「どんな爆弾だ!!」

「その爆弾の名前はジャスタウェイって言う!!」

「どんな名前だよ!!」

 

ギャラハッド。序でにジャスタウェイと言う爆弾を作る。なお、原理はダイナマイトと同じであり、名前は勿論ジャスタウェイからである。

 

「流石にジャスタウェイのレシピは暗号化してるから」

「当たり前じゃ!!」

「それじゃ、お待ちかね。ダマスカス鉱とカーボンナノチューブで作った物の御披露目だ」

 

ギャラハッドが遥々、インドまで飛んで持ち帰ったダマスカス鉱とかいう技術。それはケイも気になってはいたが、遂にそれを知ることが出来た。

ギャラハッドが取り出したそれは柄がライフルのように成っており、引き金も着いている。だが、刀身は紛れもなく片刃の剣であり、刀身と柄の間には回転式シリンダー…俗に言うリボルバー機構と銃口が存在していたのだ。

 

「もう突っ込み処は沢山だが…」

 

他にもある。刀身は他の鉱石では見られない特徴があったのだ。木々の年輪のような模様が描かれており、それはそれは不思議であったのだ。

 

「この刀身の模様がダマスカス鉱の特徴。ガレスの槍にマーリンが銃の機構を採用してたから、俺も対抗してガンブレードを作ったわけ」

 

マーリンがガンランスを作ったならば、ギャラハッドは対抗してガンブレードを作ったのだ。しかし、このガンブレード…弱点がある。

 

「銃の機構着けた為か、普通の剣より重い。俺は全然、気にしない程度だけど」

「だろうな。それは分かる」

 

実は人間と言うのはどの時代でも中二心に溢れている。このガンブレード…世界を見渡せば使ってた人物が結構居たりする。

ネルソン提督は実際に使っており、使い心地は不明だがネルソン提督のガンブレードはピストルソードやソードピストルとして歴史に伝わってあり、日本軍もガンブレードを作ろうとした。しかし日本軍は10年かけてガンブレードを作ったのは良かったが、重く…銃も射ちにくいとの事で廃れてしまっている。

 

「因みに内部機構にカーボンナノチューブを使ってるから、頑強だし…性能は充分。実弾も6発まで連続セミオートで射てるしな」

「切れ味は?」

 

ケイが聞き、ギャラハッドは鍛治場から試し切り用の鉄棒を8本ほど持ってきて積み重ねる。それを束にし、重ねた物をガンブレードで容易く斬ってしまった。切れ味も本物だろう。

 

「うぉぉ!!凄いな…」

「因みに今はカーボンナノチューブを加工した刀身の剣を開発中。柄は選定の剣だな、再利用しないと気がすまないし」

 

なお、ギャラハッドは当然…ケイの命令でカーボンナノチューブとダマスカス鉱の設計図も暗号化。文化の発展を抑えることに成るが、電球も多くの騎士達の間で「雷の力を灯りにするなんて!!恐ろしい!!」と驚く声が多発。その結果、電球の設計図も暗号化が決定し…職人達は相伝で伝えていく事に成ったが、これも後々にうっかり失伝。

その結果、ギャラハッドの死後から暫くして電球はOパーツの仲間入り。エジソンという男が開発するまで、歴史の影に埋もれることになる。ギャラハッド、古代エジプト人が嘗て犯した電球(デンデラ)と同じ失伝過ちを犯すのだった。

 

『いや、電球にビビったケイ先生達の責任じゃんかよ。アンタ達がビビらなかったら、ブリテンは2014年で未来都市に成れたよな?』

『マジであの時は悪かった』

 

と南極のとある場所で会話するのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

「我々、真祖は人類から星を護るのが仕事だ。その為に造られた…」

「ああ、分かってる。アイツの仇も有ることだ…ブリタニアンを滅ぼすぞ。アイツ等はやりすぎた」

 

真祖、ギャラハッドがヤりすぎた為かブリテンを標的に決める。だが、これが見事な過ちでも有ったのだ。




次回…ギャラハッドが色々ヤりすぎて真祖がブリテンに攻め混む!?

ギャラハッド「領域展開!!円卓御厨子!!」
ケイ「アウトォォォオ!!叫ばずには居られない!!」
キャストリア「固有結界!?」

死の調理が始まる!?なお、御厨子は簡単に言えば厨房である。


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ギャラハッド…そこそこ本気を出す

ギャーさん、そこそこ本気を出す


ブリテン南西部の海岸線。そこは現在、パロミデス率いる防衛部隊が必死に防衛戦を展開しており、命辛々ブリテンを護っていた。

 

「何としてでも通すな!!必ずや、援軍は駆け付ける!!」

 

円卓の騎士は歴史に伝わっているように、全員がチートと言えるような実力を持っている。だが、正史(ギャラハッド昇天ルート)では蛮族やサクソン人に苦戦したとされていた。ではどうして蛮族相手に苦戦したのか?理由は単純、その蛮族が何処から見ても人間では無かったからだ。

 

「グルルル!!血を寄越せ!!」

「ヒャッハー!!パーリーだぜ!!」

 

それは真祖率いる死徒…吸血鬼の軍勢だったのだ。真祖は勿論のこと、吸血鬼の強さも人間を越えており人間では先ず勝てない。勝つことが出来るのは円卓の騎士のような一部の例外、そして神話の英雄位だろう。しかも、今回はその真祖が2人もやって来たのだ。

当然…パロミデスの部下も同じく吸血鬼には正攻法では勝てない。だから、彼等は相手が人外だと言うことで騎士の多くが使うことを躊躇ってしまうギャラハッド作の銃やクロスボウを用いて弾幕戦を展開しており、近付かせないようにしていた。

 

「射て!!」

「弾は気にするな!!無くなる前に応援は絶対に来る!!」

 

銃声が次々と響き、吸血鬼は次々と倒れていく。だが、それでも吸血鬼と真祖の軍勢は徐々に距離を詰めていく。このままでは時間の問題だ。パロミデスは互角に戦えるかも知れないが、配下の騎士は吸血鬼と真祖と真正面から戦えば間違いなく蹂躙されてしまう。

 

「アルテガ!!」

 

突如…戦場に爆光が降り注ぐ。突然の光でパロミデス達は瞳を閉じてしまい、腕で光を遮ってしまう。だが、光が止み…パロミデスが目を開けると。そこには跡形も無く消滅した吸血鬼の軍勢、身体がボロボロになり1から高速で再生する真祖2人。そして…自分達を護るように立ち右手に槍モードのロンギヌスを構えたギャラハッド、ギャラハッドの両隣に立つケイとキャストリアが居たのだ。

 

「ギャラハッド…ケイ殿…」

 

今となっては円卓最強と称されるように成ったギャラハッド。そんな彼が助っ人として来てくれた為か、パロミデスは安堵の為かほっとする。もう、自分達は大丈夫だと理解できたのだ。

 

「ケイ先生とアルちゃんはパロミデス達の治療。噛まれたヤツは居ないようだな…」

 

ギャラハッドはそう告げ、ゆっくりと真祖2人に近付いていく。

 

「うーん…でもギャラハッドの槍…なんか殺意マシマシな見た目に成ってないか?」

 

ふと、ケイはそう言った。ギャラハッドがロンギヌスを槍モードで使う際は、十字架が模された為か十文字槍と成っている。しかし、刀身が一回り大きくなっており、横文字の刀身も少し禍禍しい風貌に変わっている(イメージ、モルガン様第三形態の時の槍)。

 

「まさか…ギャラハッドの成長に合わせて、ロンギヌスが進化してるんじゃないよな?」

 

と声に出すケイ。その瞬間、ギャラハッドはロンギヌスを振るう。当然、真祖もバカではない。人間が反応できない程の速度でその場から消え、ギャラハッドの真後ろを取る。

 

「貰ったぞ!!のろまめ!!」

 

だが、突如としてその真祖の身体は4つに分解される。何が起きたのか分からなかったが、ロンギヌスの刀身から赤い新鮮な血が着いていた。

 

「きっ…貴様!!まさか!?」

 

呪いを打ち込まれ、身体が再生しながら激痛を全身に味わう真祖。

 

ギャラハッドは槍の特性を活かし、ロンギヌスを振るっては真後ろの真祖を四分割にしてしまったのだ。如何に真祖が優れた生命体とは言え、こう成っては全身の再生に時間がかかる。魔術で傷付けられた事とは話が違うのだ。

 

「この化物!!」

 

ロンギヌスで傷つけられたら終わり。その恐ろしさを痛感する真祖達。無事な方の真祖は逃げようとするが、ギャラハッドは左手の人差し指と中指を交差させるように印を結んだ。

 

「領域展開」

 

その瞬間…莫大な魔力が広がり、ギャラハッドは真祖2人、ケイとキャストリア、パロミデスの軍勢を異なる世界に誘った。

そこはギャラハッドの背後に白亜に聳えるキャメロットの城壁が聳える所だった。

 

「円卓御厨子!!」

 

固有結界。術者の心象風景を世界に侵食させる大魔術。魔法に最も近い物と言われており、人間や吸血鬼では使用しただけで大半の魔力を消費する切札。

だが、此処は術者の世界であり術者の方。消費魔力に応じたメリットは沢山有り、術者にはバフが永遠にかかった状態と言えるだろう。

 

「アウトォォォオ!!なんだか知らんが、叫ばずには居られない!!」

「固有結界!?ギャラハッド…貴方は」

 

だが、ギャラハッド。当然、この固有結界 円卓御厨子には元ネタがある。それはギャラハッドが生前、そこそこハマっていた漫画の必殺技だ。それを知ってか知らずか、ケイはツッコミを叫んでしまった。

 

「固有結界だと!?」

「因みに俺は領域…げふん、固有結界を1日に8回位使える魔力がある」

「「お前…本当に人間!?」」

 

固有結界は使えて1日1度が限度。しかし、ギャラハッドはそれを1日数回使えるのだ。

 

「それじゃあ…クッキングスタート!!」

 

ギャラハッドがそう告げる。その瞬間…数多の斬撃が真祖を襲う。三枚下ろし、微塵切り、全方位から切り刻まれる。いや、切断だけではない。火炎、冷却、兎に角料理で使うこと全ての現象が攻撃として真祖を襲う。

 

「「アガァァァァア!!」」

 

そして真祖は消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ゼルレッチ。真祖の親玉どこ?ちょっと、殺してくる」

「……まあ、お前さんなら大丈夫か。朱い月って奴だ」

 

そしてギャラハッド…真祖の親玉との戦いを決意する。




次回!!ギャーさん。生涯一度の本気を出す!!

朱い月VSギャーさん!!


そして…ギャーさん…パパになる!?


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ギャラハッド…そして伝説へ

ギャーさん、伝説になる。


現代(2014年)のイギリス王室が管理し、世界遺産と成っている()()()()()。そこに保管されている1枚のレコードがある。このレコードはギャラハッドが生前、未来有る子供達との交流で行ったインタビューが録音されている。ギャラハッドの死後から長い年月が経過しているが、それでも大事に大事に受け継がれていたのだろう。機械を使えば音声の再生は可能であり、その音声は現代のUSBメモリ等にコピーされて今日も学者が研究を行っている。何故なら…そのインタビューの中には有り得ざるギャラハッドの一言が入っており、解析の結果ではほぼ間違いなく嘘ではないと判定された為だ。

 

『俺はぶっちゃけ、他の騎士のように武功で自慢したくない。なにせ、形はどうあれ他人を殺してるわけだ。見方を変えれば立派な人殺しだ。皆も知っての通り、俺は医学で人を助けたり、国を科学や農業で発展させる功績の方が大事だと思う。

騎士なんて、平和なほど良い暇で、これからは頭を使ってどう国に発展するか、どう貢献するかとする職業に成るだろうな。あっ、これに関してはしょっちゅう言ってるか』

『ギャラハッド先生、それ100回目ですよ』

『そうだよ、お兄ちゃん!!』

『フローレンスにユウキ、俺はそんなに未だ言ってないぞ?せいぜい、86回だ』

『数えてるじゃ有りませんか』

『まあ、こんな俺でも唯一殺しで自慢できる功績は有る』

 

次の一言が大いに歴史研究家を悩ませているのだ。

 

『それは…月からやって来た宇宙人兼吸血鬼の親玉と巨大隕石を破壊した事だ。まあ…隕石の大きさは月ぐらいか?』

『うっそ~だー!!』

『さあ、まあ…噓か信かの判断はお前達に任せるさ』

 

この言葉…ギャラハッドが嘘を言ってなかったら、宇宙人は存在しており、ギャラハッドは月と同程度の物体を破壊できる手段を持っていると言うことである。

 

 

 

「きっ貴様!!アガャー!?眩しい!?」

 

ゼルレッチの力で何処かにやって来たギャラハッド…そして着いてきたおパンティーを被った変態なヒーローこと不倫仮面。2人がやって来たのは大きな城のようで、ヨーロッパなのは間違いないが、少なくともブリテン島では無いことは確かだ。

 

この城。明らかに真祖や吸血鬼の根城なのだろう。数え切れない程の吸血鬼が潜んでいたが、ギャラハッドの他に不倫仮面も居る。ブリテンが誇る最強二大戦力を投入するのだ。相手がどんなに多かろうと問題はない。1人はおパンティーを被り、ブリーフ一丁で…ブリーフには真祖が挟まった変態だが気にしてはいけない。

 

「おいなりクラッシュ!!」

「ぐえ…」

 

不倫仮面の成敗を喰らい、ブリーフに挟まった真祖は灰に成って消滅してしまった。いや、本当に何が原因で灰に成ってしまうのか分からない。多分、不倫仮面の変態奥義に肉体が耐えられずショック死してしまったのだろう。そう言う事にしよう。さもないと、我々の頭も変態の仲間に成ってしまう。

 

「虞美人!!お前は逃げろ!!あの化物2人から、お前は何としてでも生き延び…日本でかぐや姫として過ごすアルトルージュ姫を頼るのだ!!」

「先輩!!」

 

虞美人と呼ばれたツインテールでセクシィーな衣装を纏った真祖を逃がし、男の真祖がギャラハッドと不倫仮面に立ち向かっていく。既にここら辺一体の吸血鬼はギャラハッドが既に倒しており、後は秘密兵器が効かない真祖だけだろう。

 

「眩し!?」

「流石に真祖に紫外線照射装置は効かないか」

 

はーとギャラハッドは大きな溜め息を吐き出して大きなライトを仕舞った。このライトの名前は紫外線照射装置。今日の決戦までの準備期間、ギャラハッドがいつも通り開発と研究を行っていた最中…彼は思い出したのだ。ジョジョの奇妙な冒険という有名漫画に出てきた対吸血鬼用の秘密兵器であるこの存在を。

この紫外線照射装置は太陽光に含まれる紫外線を照射するライトであり、これを浴びれば吸血鬼は太陽光を浴びたも同然。これを使えば見事に労力を使わずスイッチ1つで吸血鬼を倒すことが出来るのだ。因みに動力源はマンガン電池×100。マンガン電池は酒とツマミを餌に、ベディヴィエールとトリスタンに手伝ってもらった。なお、この紫外線照射装置…現ブリテンの技術で作られたが、物凄いハイスペックだ。これには訳がある。数日前、ギャラハッドはキャストリアに言われたのだ。

 

『カーボンナノチューブをフィラメントや電線に使ったらどう?』

 

カーボンナノチューブは銅線以上の電気伝達を誇り、炭素なのでフィラメントにも出来る。実は現代日本ではカーボンナノチューブは配線や電線に使う試みが有り、最先端で使われている。

結果、こんなオーバースペックな紫外線照射が完成したのだ。紫外線照射装置のお陰か、ギャラハッドは吸血鬼の大半を戦わずに消し飛ばす。1人、メレムというショタ吸血鬼は不倫仮面のおいなり成敗を受けたのでゼルレッチの所に送った。

 

「眩しい!!」

 

だが…真祖は紫外線照射装置の光を受けても平気なのだろう。ただ、眩しいだけのようで目眩まししか出来なかった。

 

「何処だ!?何処に居る!?」

 

手を踠くように動かす真祖。すると、真祖は何かを掴んだ。それは何だか温かく、弾力が有って柔らかい。

 

「それは私のゴールデンボールだ」

 

そんな声が響いた。やがて、目がましに成ったのか真祖は目を開く。真祖の目の前には紫外線照射装置のライトをバックに受けて神々しく輝く、不倫仮面が仁王立ちしていた。勿論、真祖は不倫仮面のゴールデンボールをブリーフ越しとは言え思いっきり握ってしまっている。

 

「イヤァァァァア!!」

 

不倫仮面のおいなりを知ってか知らずか触ったという最悪の事をしてしまった真祖。手をぶんぶんと払い、女性のように甲高い声を出して叫んでしまった。だが…もう遅い。変態仮面は変態奥義を繰り出した。

 

「ジェット・トレイン!!」

「ぐぅぁぅわ!!」

 

ジェット・トレインを受けて、真祖は悲鳴を挙げながら不倫仮面の手で窓ガラスを突き破って外に飛び出て言った。最期の最期まで不倫仮面のおいなりを味わう事に成ってしまった真祖、最早同情心まで沸いてきたがギャラハッドは気にせず奥に進む。

 

 

 

吸血鬼が誰も居なくなった後。ギャラハッドは奥に進むと、何やら玉座がある広い間にやって来た。何気にキャメロットとボロボロだった漁夫王の城以外では初めてやって来た城故に、のんびりと見回したいが生憎とギャラハッドにはそんな余裕は無い。

 

「ほう…まさか…我が配下と真祖を全て倒すか」

 

玉座には虹色に輝く魔眼を輝かせる男が座っており、男は右手に大きな大剣を持っている。この大剣は紛れもなく、Ω級兵器の仲間でありその強さはエクスカリバーに匹敵するだろう。男の口からは牙が見えており、紛れもなく、吸血鬼の親玉である事が伺える。

 

「まあ…良い。こうして私に向かってきた、配下を全て倒すとなると素養は有るだろう。良かろう…貴様を殺して私の新たな配下にしてやろう!!」

 

その吸血鬼の親玉は朱い月のブリュンスタッド。月の究極の一であり、究極の一を持たない地球が進化し続ける人類を驚異に感じて地球に呼び出した最強の存在。真祖を造り出した存在であり、その強さは全ての真祖を遥かに凌駕する。

当然、ギャラハッドは朱い月の事を一方的に聞いて対策を練ってきた。なにせギャラハッドの味方には並行世界の情報をイヤ程知っているゼルレッチという頼れる魔法使いが居るのだから。ゼルレッチから朱い月の情報を聞き、相手を知ってきたギャラハッド。朱い月は並行世界のゼルレッチ達が何とか倒してきたが、その7割が相討ちに近い形で血を吸われてゼルレッチ達が吸血鬼に変えられてきた。

 

「武器を出し、構えよ。それぐらいは待ってやろう」

 

剣を構え、笑みを浮かべる朱い月。すると朱い月に答えるようにギャラハッドもロンギヌスを展開した。

 

「なあ、知ってるか?この槍、ロンギヌスって言うんだけど。持主は世界の覇者に成れるらしいぜ?」

「ほう…」

 

伝承に曰く。ロンギヌスを手にした物は全世界の覇者に成ることが出来ると言われている。そして…ギャラハッドはロンギヌスを構えるのではなく…突如としてロンギヌスが溶解してギャラハッドはそれを一気に飲み干した。

 

「これが最初で最後だろうな。いや、ゼルレッチの言葉を借りるなら生前最後と言うべきか?

対軍、対城、対界…ロンギヌスには様々な使い方がある。だけど、ロンギヌスで最も強い使い方は対界じゃない。自己強化の対人だ」

 

その瞬間…ギャラハッドの全身の毛穴から血が吹き出した。吹き出した血はギャラハッドの身体に纏わりついてきて、形をどんどん変えていく。やがてその形は姿を見せてきた。血は強化外骨格というべき鎧に変化し、ギャラハッドの全身を包み込む。そして、素顔を被っていたバイザーが真ん中から割れて横にスライドし、ギャラハッドの素顔が明らかに成った。

 

「それじゃ、始めようか…月の王様。ブリテン国在住、地球代表ギャラハッド16歳、彼女居ない歴=年齢+前世での23!!いざ、行くぜ!!」

 

血濡れの聖槍(ブラッディーロンギヌス)世界統べる覇王(オーバーロード)。ロンギヌスの力を全身に纏ったギャラハッドの最終戦闘形態。この形態はロンギヌスの力を全身に纏っている為に、拳や蹴りの一撃でロンギヌスの呪いを致死量で撃ち込む事が出来る。その上、防御力と身体能力が激上昇する。良いことばっかだが、デメリットはある。この状態になると、ロンギヌスを武器として使えないのだ。まあ、そりゃそうだ。

 

左手にアロンダイトを持ち、ギャラハッドは目にも停まらぬ速度で消えると…朱い月が気付いた時には朱い月の顔面をギャラハッドの右拳は射ぬいていた。バキバキと朱い月の骨が砕ける音が響き、一気に真祖でさえ致死量の呪いが朱い月の全身を駆け巡る。序にギャラハッドは朱い月の顔面にマーキングを仕掛ける。

 

「あっがぁぁぁ!!貴様…なんなんだ!?この激痛は!!」

 

これまで感じた事がない激痛。激痛故か意識が飛びそうになる朱い月であったが、痛み故か逆に意識がハッキリしてきており、眠りに着くことはない。

だが、流石は月の究極の一。直ぐに攻勢に打って出る。朱い月は空想具現化で数多の宝剣等々の武器を具現化させると、それを空間に固定して弾丸の如くギャラハッドに解き放つ。なお、この間…僅かほぼ0…一瞬の出来事だ。だが、ギャラハッドは覇王に成った影響か…後ろに後退しながら全て避ける。だが、空想具現化された宝剣の弾丸は次々と増えていき、その上…着弾と共に魔力が暴走して大爆発が連続して起きる。

 

宝剣の爆発は並みの爆発ではなく、言うならば伝説の武器の爆発だ。その爆発と着弾の運動エネルギーが集まり、普通ならば良くて即死と言えるだろう。そんな大規模攻撃の為か、城は次々と倒壊していく。もう、見る影もないと言えるだろう。

 

「ごふぅ!?…この呪いは私でも何とか出来んな」

 

宙に浮かび、崩壊した城を見下ろす朱い月。呪いに侵食されて行く彼だが、呪いは気にしない。何故なら…もうすぐ地球産で自分の新たな器候補が出来るのだ。呪いが限界を向かえる前に、その肉体に乗り移れば良い話なのだから。

 

「飛雷神斬り!!」

「なに!?…」

 

だが、ギャラハッドは既にマーキングを仕掛けている。飛雷神で朱い月の側に転移する瞬間に、アロンダイトで朱い月を切り裂く。その瞬間に再び消える。

 

「飛雷神パンチ!!」

「あま!?」

 

今度は飛雷神で現れると共に朱い月の背中を殴り、致死量を遥かに上回るロンギヌスの呪いを撃ち込む。

 

「飛雷神キッ「流石に見きったわ!!」危な!!」

 

三度々現れ、今度は蹴ろうと思ったが流石に読まれてしまい…防がれてしまったギャラハッド。ギャラハッドは地面に飛雷神で転移し、朱い月を見上げる。朱い月の顔はロンギヌスの呪いでどんどん青く成っていき、このまま持久戦に持ち込めばギャラハッドの勝ちは決まったも同然だ。しかし、それは朱い月も理解しているだろう。

 

「地球を我が物にするのは暫く後に成るな……ぐぅ…仕方あるまい」

 

朱い月はそう言うと…剣を振るって消える。逃げたのかとギャラハッドは思ったが、その考察は直ぐに消え去った。何故なら…上空を被う程の超巨大隕石が突如として現れたのだ。隕石は既に大気圏に突入しており、このままでは地球に激突する。いや、この隕石…何処から見ても大きさは月程は有り、運動エネルギーをざっとギャラハッドは計算するが…結果は間違いなく地球滅亡。

 

「オーマイガー」

 

まさかの地球滅亡の危機。ギャラハッドはアロンダイトを鞘に仕舞い、四次元空間から何かを取り出した。それはアーサー王の聖剣であるエクスカリバーだったのだ。

 

ゼルレッチ曰く、エクスカリバーは星の聖剣。この地球が外来生命体からの驚異で危機が迫れば、真の力を解放する。朱い月は地球外来生命体なので勿論、その力は解放される。もしもの為に、アーサー王がギャラハッドに貸したのだ。なに、アーサー王は他にもマルミドアワーズというヤヴァイ物が有るので問題ない。

 

「隕石位…押し返して破壊してやるわ!!アクシズ落としを押し返してやるぜ!!」

 

エクスカリバーを両手で握り、渾身の力で解き放つ。音さえも消し飛ばし…莫大な破壊の熱線がエクスカリバーから解き放たれ…その熱線にはロンギヌスの力も上乗せされ…その熱線は隕石を押し返し…大気圏を突き抜けると…更に突き進む。

 

「なっなに!?」

 

一方の宇宙。月を具現化させ、隕石として落とした朱い月であったが隕石を押し返され…その押し返された隕石が自分に当たり、地球から離されてしまう。その上…隕石に皹が入っていき…その皹からエクスカリバーの光とロンギヌスの呪いが吹き出していく。

 

「あがぁぁぁぁ!?こっこの私が!!」

 

そして…隕石は破壊され…朱い月は隕石を突破した熱線で焼き付くされてしまった。だが、朱い月は唯では死なない。真祖に意識を取り替える事が出来る。いざ、他の真祖に乗り移り復活しようとしたが……

 

「私は不倫仮面。此の世に悪が悪事を働き、おパンティーが有る限り私は何処でも現れる。変態奥義…おいなりインパクト!!」

「イヤァァァァア!!」

 

だが、突如として何処から現れたのか…不倫仮面に霊体としての顔面を掴まれ、不倫仮面のおいなりに顔面を激突され…朱い月は完全に消滅した。成敗!!

 

 

 

一方の地球。

 

覇王モードを解除し、生身に戻ったギャラハッドは帰ろうとした。だが、不思議な繭を見付ける。その繭は丁度、人間の幼子が入る程の大きさだ。

 

すると…繭が光輝き…繭から金髪で美しい髪をした紅い瞳の幼女が出てきたのだ。ギャラハッドは理解する。この少女は真祖であり、その素質は朱い月を上回る物であると。だが、ギャラハッドは優しく幼女に近付き…手を差し出す。

 

「特に行きたい所が無ければ、俺の所に来るか?」

 

ギャラハッドはゼルレッチから言われていた。もし、朱い月を倒した後に…幼い幼女の真祖が居たら自分の代わりに育てて欲しいと言われていたのだ。

この幼女の名前はアルクェイド・ブリュンスタッド。並行世界のゼルレッチ達が後見人として育てた真祖の少女だ。

 

「………」

 

産まれたばかりのアルクェイドは未だ喋れないのか、ギャラハッドの手を取る。そして…ギャラハッドは優しくアルクェイドを抱っこした。

 

「マダオどこ行った?まあ、勝手に帰ってくるか」

 

そしてギャラハッドはアルクェイドを連れて飛雷神でブリテンに帰った。

 

だが、ギャラハッドは知らない。未来で、この時…逃がした女の真祖…虞美人と再会することを。




次回…アルクェイド、ギャーさんの元でスクスク成長。

ママは誰になる!?あと…遂に学校とテルマエが完成し、ガウェイン…遂にネタキャラとなる。


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テルマエ完成!!

それは私のおいなりさんだ


ギャラハッドがアルクェイドを保護して育てる事を決意して3ヶ月後。季節は巡り、肌寒く成ってきた。かつてギャラハッドが前世で過ごした日本程では無いが、ブリテンも四季はある。それにブリテンは立地上、日本よりも寒冷であり冬が速くやってくる。未来のブリテンであるイギリスのテムズ川なんて、冬に裸で飛び込めばそれこそ自殺物の寒さをしている。それに、今は地球温暖化の影響が全く無い年代であり未来と比べると夏はそこまで暑くなく冬はもっと寒い。

 

ブリテンの山々の木々も紅葉してきており、ギャラハッド実験農園は実り豊かに様々な作物が実っていた。今が旬と成っている物や収穫時と成っている作物が沢山だ。その中でも特にギャラハッドが収穫を楽しみにしていた物がある。日本人の9割が大好きであり、嫌いな人は間違いなく居ない作物である穀物…そう米である。

 

「出来れば…日本のお米が良かったが、仕方がないか」

 

だが、それは現代日本で我々が毎日のように食べるお米…ジャポニカ米とは違った品種だ。そのお米はインディカ米…一般的にはタイ米とも呼ばれるものだ。これはギャラハッドがインドで様々な香辛料の種と共に持ち帰った物であり、今ではギャラハッド実験農園だけだが二毛作での栽培が行われている。

この臨床データを元に来年度からは小麦や大麦を栽培する農家でも同じく、二毛作を行える。二毛作とはとある期間は小麦や大麦を育て、小麦や大麦の収穫が終わると今度は同じ畑でお米を栽培する農業のやり方だ。そしてお米の収穫が終わり、畑が空くと再び小麦と大麦を育てると言ったループを行い…空き時間を効率良く行える。

 

だが、米が有れば料理の幅も広がる。ギャラハッドは鎌でインディカ米の稲を次々と収穫していった。勿論、その半数は食べるために使うが…ある程度は来年度の農業に使ったり、お米を新たに栽培する為に農家の皆さんにプレゼントである。

 

食用、来年度の栽培用、農家に配る用を樽や麻布に分けたギャラハッド。ギャラハッドは各々を四次元空間に仕舞うと自宅に向かう。

ギャラハッド実験農園にある普通に大きな一軒の平屋な豪邸。豪邸と言うよりは日本にある武家屋敷のような家が、ギャラハッドの家である。勿論、建造設計はギャラハッドでありギャラハッドの自作と言えるだろう。

 

「パパ!お帰りなさい!!」

 

ふと、そんな可愛らしい声がギャラハッドの耳に入る。すると、トタトタと走る足音が響いてギャラハッドの視界に長い金髪を靡かせた白い貴族風のドレスを纏った幼子が現れた。彼女は約3ヶ月前、ギャラハッドが朱い月を倒し(正真正銘のトドメはおパンティーを被った変態)た後に保護し、娘として引き取った最後の真祖アルクェイド・ブリュンスタッドである。

 

「ただいま。アルク」

「うん!ママやお婆ちゃんが居たから寂しくなかったよ、ラウラも居たし!!」

「それは良かった。お薬は飲んだか?」

 

真祖は吸血鬼の親玉である朱い月をモデルに造られた。故に、吸血衝動と呼ばれる血を欲する欲求がある。この欲求は徐々に強くなっていき、やがては我慢できなくなるらしい。アルクェイドは真祖が意図的にそうしたのか不明だが血への欲求がない。いや、ゼルレッチ曰くアルクェイドは元から持った血への欲求は低いが有るのは有るらしい。

ギャラハッドはゼルレッチからそれを聞き、アルクェイドの血液と…不倫仮面の変態奥義を受けてトラウマを負った現時点での最後の吸血鬼の生き残りであるメレム・ソロモンの血を調べ挙げ、メカニズムを解明。そしてそれを元に、ギャラハッドは吸血衝動を抑え低下させる薬品を開発。なお、その薬品の作り方はギャラハッドとゼルレッチ、アルクェイドのはは代わりを買って出てくれたキャストリアしか知らない。なお、ギャラハッドとゼルレッチはアルクェイドが成人したら作り方を教えるつもりである。魔法使いであるゼルレッチは兎も角して、ギャラハッドは何れ死ぬ。アルクェイドは寿命が無いために、何れは自分で薬品を作らないといけないのだ。

 

「うん、飲んだよ。苦かったけど…」

「よし、偉いぞ」

 

因みにギャラハッドの豪邸。他の騎士達と比べるとそこまで大きくない。ギャラハッド本人が料理も出来ると有ってか、使用人は無しであり住むのは自分の家族等…本当に数人。アーサー王やアグラヴェインから「いや、お前の功績からしたら小さすぎるぞ?」と言われたが…ギャラハッドは気にしない。広すぎるのは逆に管理が難しいのだ。

因みに住んでるのはギャラハッド、アルクェイド、キャストリア、妖精騎士ランスロット、そして息子が心配だからと押し掛けてきたマダオとグィネヴィア夫妻である。なお、グィネヴィアは現在…ランスロットの子供を妊娠しており、来年の頭に出産予定である。

 

「ギャラハッド!!いつに成ったら、チョコレートは出来るんですか!?」

「あっママ!!」

 

すると台所の方からキャストリアが顔を出した。

 

因みにこのギャラハッド豪邸。ギャラハッドの技術力で中世処か、現代社会顔負けのテクノロジーを持っている。原理さえ理解できれば作ることは可能だが、ギャラハッドは「タイムパラドックス?知らんな」と言いたげに文明魔改造。まあ、古代ギリシャの段階で蒸気機関の原理は考案されていたら別に問題はないだろう。

電力は風車と水車を用いた水力発電と風力発電、しかもギャラハッドがインドから持ち込んだ古代カーボンナノチューブを用いた技術を使うことで銅等を用いた技術よりも遥かに効率の良い発電能力を有しており、屋根には古代カーボンナノチューブ等を使って作った太陽光発電システムも備えている。炎は使わず完全オール電化、時代錯誤も当然と言いたげな設備だ。主に過ごす母屋、渡り廊下で母屋と繋がってる新設バーや診療所、そしてギャラハッドの医療研究室と地下ラボである。

 

「チョコレート?未だ原産地行ってないからな…今の研究が終わってからだな」

「それじゃあ、チョコは何処に!?」

「中南米や赤道直下か…飛べば直ぐだが。ブリテンの気候で育つか分からないから、温泉を用いた温室栽培を作ってからだな。バナナも欲しいが…温室栽培を完成させてからだな」

「そっそんな…」

 

がくりとキャストリアから力が抜ける。そう、キャストリアはチョコレートが大好きだ。しかしチョコレートの原材料にはカカオと呼ばれる南米や赤道直下等で栽培される果物が必要。カカオは原産地の特性から丈夫なゴムと異なり、ブリテンでは上手く実る可能性は低く、最低でも温室栽培が出来るように成ってからだろう。

 

「む?それじゃあ…ギャラハッドは今、何を研究して?」

「ダマスカス鋼とカーボンナノチューブの技術を貰う序に、インドの職人がくれた設計図。精巧な設計図とは言え、ヒントしか書かれていない所が有るからな……しかしヴィマナって実在したのか」

 

ヴィマナ…或いはヴィマーナ。古代インドの伝承に伝わる飛行要塞、或いは飛行機。思考と同じ速さで飛行することが可能とされており、動力源は水銀を材料の一つに加えたナニか。太陽光も動力源に出来るらしく、レーダーやレーザー、様々な設備が着いているらしい。当然、神話やフィクションの存在だと言われているが恐ろしい事に精巧な設計図が存在している。

 

「そのヴィマーナなんだが、もしかしたらカーボンナノチューブでコイルを作り…バナジウム等のダマスカス鋼に使う金属を核として水銀を加えたら…アークリアクターが出来るかもしれない。動力源は再現できるかも」

 

『お前、一体ブリテンの文明を何処まで発展させる気なの!?もう、古代文明や何千年後も真っ青じゃぁぁあ!!』

 

何処からケイの叫びのツッコミが聞こえてきた気がしたが、気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

 

「おー!!無事に出来たな」

 

翌日。ギャラハッドは白く聳える3階建ての建物にケイとガウェインと共にやって来ていた。彼等の目の前に有る建物はギャラハッドが設計した学校であり、ようやく完成したのだ。完成したばかりで、未だ椅子や机と言った機材の搬入は終わってないがそれはこれから行われるだろう。

 

「しかし、見事ですね。彼方の建物は?」

「体育館。屋根が有るからな雨でもスポーツ出来るし、体育館の中でバスケットやバレー等を楽しめるからな。流石に野球やサッカーは運動場でだけどな」

 

校舎の他にも作った物はある。それは体育館と運動場だ。体育館にはバスケットのリングやバレーボールのコート等を立てることが可能であり、子供達は雨でもスポーツを楽しむことが出来る。

運動場にはサッカーのコートや400メートルトラック、野球場からテニスコートまで応用することが可能であり子供達は日々、スポーツを楽しむことが出来るのだ。

 

「あと…今晩は出来立てのテルマエのオープン前の視察か。ケイ先生、忘れてないよな?」

「忘れるわけないだろ。だけど、俺達は男だろ?」

「大丈夫。女湯はアルちゃん、妖精騎士トリオ、アルクェイドがやってくれるから」

 

そして今日はギャラハッドが前から設計していたテルマエの完成披露宴だ。とは言え未だオープンしておらず、今日は完成披露という事でギャラハッド達で実際に入ってみて確かめるのである。

男湯にはギャラハッド、ケイ。女湯はキャストリア、妖精騎士トリオ、アルクェイドが確かめてくれる手筈である。

 

(ふふふ…遂にこの時が来ましたか…ではボールスと前々から企んでいた計画の発動ですね)

 

そしてガウェインは不敵に笑みを浮かべるのだった。

 

 

「凄い!!広いじゃない!!」

「おー!!」

 

その日の夜。キャメロットの新設テルマエにギャラハッドは共に入る視察メンバーと共にやって来ていた。ロビーはは広く、共有の休憩スペースにはソファーや竹ベンチ等が置かれており、人々が寛げるように成っている。休憩スペースにはギャラハッドが製造した冷蔵庫が置かれており、その中には瓶詰めされたフルーツオレ、イチゴ牛乳、蜂蜜レモンソーダ等が入れられて売られていた。この飲料が火照った身体を潤してくれるのだ。

 

「そんでこの奥に行ったら劇場があって。オープンした日が、お前達妖精騎士トリオのデビューだぞ?

お披露目曲であるメイクデビューはマスターしたか?」

「「「勿論ですプロデューサー!!」」」

「お前……いつの間にプロデューサーに成ったの!?」

 

ギャラハッド、遂に人類初のアイドルプロデューサーになる。勿論、担当アイドルは妖精騎士である。なお、センターは妖精騎士ランスロットことラウラちゃんで決まりであった。

 

「てか、ケイ先生。なんでストリジルなんて持ってんだよ」

「俺の世代はこれなんだよ」

 

ケイの手にはなにやら金属のヘラが握られていた。このヘラの名前はストリジル。古代ローマで主に使われていたお風呂の道具であり、ローマでは何百年と続けて使われている。ブリテンはかつてローマだった過去があり、その時にストリジルが入ってきたのだ。

ストリジルは垢擦りのような物であり、当時ではかけ湯や運動で汗を流した後に…身体にオリーブオイルと少量の砂をまぶしそれらをストリジルで刷り落とす事で垢を落としていた。ケイは今でもストリジルを使っており、家では石鹸を泡立て…その泡をストリジルで落として身体を綺麗にしているのだ。

 

「ストリジル?残念だが、時代遅れだ。今の時代はヘチマのアカスリだぜ!!」

 

ギャラハッドがそう告げ、ギャラハッドはアミアミの何かを取り出した。それはギャラハッドがインドから持ち帰り、栽培しているヘチマを加工したアカスリである。

いや、ギャラハッドだけではない。キャストリア、アルクェイド、妖精騎士トリオもそれを取り出した。じつはこのヘチマ…兎に角色々と使えるのだ。食用としては勿論、加工する事で化粧品やアカスリ、たわしまで加工できるのだ。これを使えばストリジルよりも垢がゴシゴシと取れ、ヘチマを栽培すれば半永久的に収穫が可能だ。

 

「ヘチマってアカスリになんの!?」

 

無知は罪なり。ケイのツッコミが響いた。

 

「居る?一個、5アス(約500円)な」

「金取るの!?」

 

因みにこのヘチマのアカスリ。ブリテンの特産品となり、好評発売される。

 

 

 

 

 

「ボールス…貴方は危なっかしい。もう少し慎重に動きなさい。ギャラハッドにバレたら、最新兵器の実験台にされますよ」

「ガウェイン卿!!そこにオッパイが有るんだよ!!スペシャルウィークの美乳、バゲ子の爆乳!!レディアルトリアのオッパイ!!ラウラちゃんのチッパいが俺を待ってるんだ!!」

 

暗闇に紛れ、全身を黒いタイツで変装した男二人がテルマエに近付いていく。この2人はガウェインとボールスである。

ガウェインは実はと言うと、妻子が居る身なのにスケベでオッパイ大好き。ボールスは最早、説明不要。2人はキャストリア達の入浴を覗き見し、己の欲望を満たすために動いたのだ。

 

だが既にブリテンはギャラハッドの手で近代化が進んでおり、特に首都キャメロットは街灯等が次々と出来ており、夜でも明るい。故にガウェインとボールスは自分達の姿が夜に紛れるように全身真っ黒のタイツを纏ったのだ。因みにこのタイツ、自称ハーレム王であるぺリノアの作品であり…ぺリノアは既に向かっている筈だ。

 

「「オッパイが私達(俺達)を待っている!!」」

 

いざ、女湯の花園へ。だが、突如としてムニュんと生暖かい物がガウェインの顔面に当たってしまう。

 

「それは私のおいなりさんだ」

 

その言葉を聞いて…ガウェインはゆっくりとナニかから顔を離して上を見る。すると自分達の前におパンティーを被った変態、不倫仮面が立っていたのだ。つまり、ガウェインは不倫仮面のおいなりさんが顔面に当たってしまったのだ。それに、不倫仮面の足元には死んだ目となったぺリノアが転がっている。どうやら既に成敗されたようだ。

 

「不倫仮面ランスロット!!女湯を覗き、女性達を視姦しようとした卑劣な2人を成敗する!!」

「イヤァァァア!!」

「でたぁぁあ!!」

 

まさかの不倫仮面の降臨!!いざ、ガウェインとボールスは逃げようとするが不倫仮面に回り込まれてしまった。

 

「成敗!!」

「こっこれは…真昼の私より強い!?グゥゥワワワ!!」

 

変態的な格闘技でガウェインは瞬殺されてしまい、亀甲縛りで身体を拘束されてしまう。そして、トドメに顔面においなりさんをぶつけられてしまってガウェインは倒された。

 

「後は君だけだ…」

「くっくるな!!」

 

逃げようとするボールス。しかし、ボールスの首に不倫仮面がロープをかける。そして不倫仮面は街灯とボールスの首をロープで繋げ、ロープの上に立った。

 

「ボールス…君には特別な奥義を見せよう」

「ひっ!!慈悲を!!」

 

不倫仮面はロープを股間で挟み…ゆっくりとボールスに近付いていく。このまま滑って行けば、ボールスの顔面においなりさんが当たるだろう。

 

「変態奥義…地獄のタイトロープ」

「イヤァァァア!!来ないで!!」

 

不倫仮面はゆっくりと滑っていき、ボールスの顔面に不倫仮面のおいなりさんが激突した。

 

「成敗…完了!!私は次の現場に急行する!!」

 

そして不倫仮面はSMロープをスパイダーアクションのように使い、何処かに消えてった。頑張れ不倫仮面!!この世に悪が居る限り、貴方の戦いは終らない!!おパンティーを被り悪と戦うんだ!!不倫仮面!!




次回!!ギャーさん……ヴィマーナを再現する!?

ギャーさん「設計図見たら……アークリアクターの仕組みが分かった」
ケイ「うそーーん!!」

因みにヴィマーナの設計図は実在します。


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ギャーさんオーバーテクノロジーを産み出す。

因みにヴィマーナの設計図は実在するそうです。古代インド、どんな国だよ(笑)


「フォー!!皆さん、本日も授業始めますよ!!ワオ!!」

「ダゴネット先生、滑ってます」

 

学校とテルマエが完成してから1週間後。遂に学校とテルマエがオープンした。様々な機材の搬入に1週間も掛かってしまったが、それでも子供達が元気に学べる為か将来が楽しみと言えるだろう。しかし、ブリテンには学校が無かった為か貴族御用達の家庭教師以外の教員が居ない。しかし、騎士に成るなら(特別ルートのギャラハッドは除く)一定以上の教養は必然であり、多くの騎士は勉学も優秀だ。それに今後、戦争が少なくなるのなら騎士の仕事は政治に関わる一部の者達以外は激減する。そこでギャラハッドは考えた、平時の騎士達が暇に成らないように暇な騎士達を選抜で試験を受けさせ…試験に受かり資格があると見なされた騎士達を学校の教員にする事にしたのだ。

学校の第1期生として入学したフローレンスとファーガスの担任はダゴネットというお笑いが大好きな騎士。円卓の騎士や円卓候補には遠く及ばないが、それでも優秀な能力を有した騎士である(物語によってはダゴネットは円卓の1人だとか)。

 

「おっ!!ダゴネットの奴、教鞭を取ってるな。羨ましいぜ」

「何を言いますか、ラモラック兄さん。ラモラック兄さんは体育の授業が有るから良いでは有りませんか。私は未だ、担任を持てないんですよ」

 

そして教員に成ったのはダゴネットだけではない。自称ハーレム王ぺリノアの子供であるラモラック、アグロヴァル、トーの3人である。勿論、この3人は母親が全員バラバラだ。当然、騎士以外でも教員は居る。それは我等が救世主イエス・キリストの娘であるサラである。

だが、キャメロットの学校の教員は足りている。しかし、ギャラハッドはブリテンの全ての町に学校を作る予定だ。しかし、それでは全然教員の数が足りない。そこでギャラハッドは考えた、足りないのならば教員を育てれば良いと。

 

「はーい。では此処を子供達に教えるためにはどうしますか?」

「人に物事を教えるのは難しいな…」

 

学校は未だ1期生や希望者位しか入学していない。故に空いている教室は多く、その空き部屋を用いて新たな教員を育てる事にしたのだ。こうすれば教員を目指したい学のある町民、1度落選したが教員資格を取りたい騎士達にもチャンスは有るのだ。

それに子供達が休みの時は識字教室も開かれ、読み書きが出来ない大人の皆様の為に勉強が行われる。これにより、ブリテンの識字率はどんどん高くなるのだ。

 

「だが…第2の人生を教師として生きるのも悪くないな」

 

そう言う男が居た。彼の名前はカラドック。優秀な騎士であったが、森を探索中に毒蛇に腕を噛まれてしまい…毒の後遺症で利き手では剣を振れなくなってしまったのだ。いや、厳密には振れるが戦えると言えば否と成ってしまうだろう。だが、そんな彼にも教師として活躍する転機がやって来たのだ。

ギャラハッドの改革は学校を作る他に、新たな職種をブリテンにもたらした。ブリテンのこれ迄の職種は大まかに分けて騎士、貴族、職人、商人、農民と言った感じだった。だが、ギャラハッドが革命を起こした事でそこに教員、アイドル、芸人、テルマエ職員スタッフ等々の職業が産まれたのである。テルマエには温泉管理だけではなく、劇場やスポーツジム等の機能も含まれておりそのスタッフも合わせると沢山の仕事が産まれたと言える。ブリテンの職業の幅も広がったと言えた。

 

 

テルマエ。

 

「はーい。お一人入館料は5アスに成ります。タオルや手拭いの貸し出しは料金がかかりますが…如何します?」

「お願いします!!」

 

ギャラハッドが作ったテルマエは大反響。と言うのもブリテンにはこんな新しい浴場は無く、キャメロットに元から有ったテルマエはローマ時代の名残で老朽化が酷かった。新しいテルマエに人々は通い、更には劇場も実質ただで見れるのだ。利用しないては無いだろうし、キャメロットの多くの家々には自宅用の風呂は無いのだから仕方がない。

 

「ふー……いい湯だぜ。しかし、このフルーツオレが旨い!!」

「火照った身体に染み込むぜ!!」

 

湯上がりの火照った身体にフルーツオレ等の冷たい飲料が身体を潤してくれる。

 

「皆!!来てくれてありがとう!!」

「「「「イェェェェイ!!マイアイドル!!」」」」

 

更に劇場では決まった時間に催し物が開かれ、中でも人気なのはアイドルグループ妖精騎士トリオのライブだろう。当然、アイドルのライブ以外にも行われており、お笑いライブ、歴史物を再現した劇などが開かれている。なお、劇の観衆は歴史に全くと言って良い程に興味を示さないギャラハッドの代わりに知識がそこそこ有るケイが厳選して選んでいる。

 

「もう少し浴場増えないかね?」

「だよな…混むしな…オレんちの近場に有れば良いんだけど」

 

しかし、キャメロットの大きさの割には動いているテルマエは2つ。1つはギャラハッドが作った劇場付きのテルマエ、そしてローマ時代の名残をギャラハッドがレストアした物だ。なので2つしか無く、テルマエの放棄された物をレストアしても5つ位しか増えないだろう。新しいテルマエの設計が急務であった。

 

 

一方のギャラハッドは何やら図面とにらめっこしていた。彼が見ている図面はインドの職人がくれた古代飛行要塞ヴィマーナの物であり、設計図が有るということはヴィマーナというオーバーテクノロジーは実在したのだろう。

設計図から分かるのは動力源の材料に取り敢えず水銀を使うこと。思考と同じ速度で飛び、考えるだけで飛行できる。レーダーは完備、レーザー兵器も有り、飛行機タイプと要塞タイプが存在する。要塞タイプのレーザーの破壊力は核兵器と同等である。その上、光学迷彩、ステルス機能と出鱈目な性能をしていたのだ。

 

「取り敢えず…レーダーやモニターの基礎は21世紀と変わらんな。これなら出来るが、問題は動力源か……」

 

ギャラハッドはヴィマーナの動力源を見ては、なんとか理解しようとする。だが、残念な事にギャラハッドはサンスクリット語は分からない。だから図面を見て科学知識で考察するしか出来ない。最も、21世紀の学者がヴィマーナの設計図を見た際に、ヴィマーナを再現できなかった事から21世紀に現存する素材が材料では無いのは確かだろう。だとすると、それ以前に使われていたOパーツ関連が材料だと言うことだ。

 

ギャラハッドの前世……21世紀の日本で再現できなかった物と言えばオリジナルのダマスカス鋼、そして古代インドのカーボンナノチューブだ。既にギャラハッドはこの2つを作ることが可能であり、ギャラハッドは考える。

 

「待てよ?」

 

ギャラハッドはカーボンナノチューブで電磁コイルを作り、ダマスカス鋼の原材料のとある鉄を核とし、それを水銀で覆い…それらをダマスカス鋼と強化ガラスで覆う事を思い付く。と言うか、ヴィマーナの設計図の図面が思いっきりそれだったのだ。

 

 

 

 

試行錯誤を試すこと1ヶ月後。

 

「ギャラハッド、居るか?」

 

ふと、ケイがギャラハッドの研究室に訪れる。そこには…

 

「おっ!ケイ先生どうした?」

 

青白く輝く…掌サイズの動力源を持ったギャラハッドが其処には居たのだ。

 

「ああ、フランク王国との件でな。てっ!?お前、なんだそりゃ!?」

「アークリアクター。古代インドでは太陽水晶と呼ばれていた動力源。水力発電ナン百個以上の発電能力があり、永遠に電力を産み出す永久機関だ」

 

ギャラハッドが手にしたのはアークリアクター。御存知、我々未来人なら誰もが知っている映画 アイアンマンの主人公 トニー・スタークことアイアンマンが開発した夢の動力源だ。

それをギャラハッドは再現したのだ。勿論、古代インドから伝わる古代カーボンナノチューブとダマスカス鋼の正しい配合レシピ、そして古代超兵器ヴィマーナの設計図が有ったからこそ出来たのだ。

 

「これ3つ作ったら、ブリテン全土が俺んちと同じくオール電化に成っても全動力を賄える程の力は有るぞ」

「お前、どんな物を発明したんだよ!!」

「古代インド人と比べたら、全然マシだっつうの!!古代インドなんか、4つで動く戦略兵器がうようよ飛んでいたんだからな」

 

そう、古代インドには超兵器ヴィマーナが沢山浮かんでいたのだ。どうしてアークリアクターを内蔵し、核兵器真っ青のヴィマーナが沢山有った古代インドが多くのロストテクノロジーを遺して滅んだのかは永遠の謎である。もしかしたら、ヴィマーナさえも凌駕する人間が居たのかも知れない。

 

「取り敢えず…これ使って金属製の戦艦設計して良い?勿論、空を飛ぶな!!」

「やめろ!!」

「大丈夫、ヴィマーナの一万分の一の性能だから。てか、今の俺じゃヴィマーナの完全再現は無理」

「オリジナルのヴィマーナってマジでどんな乗り物だよ!!」

 

オリジナルのヴィマーナは一機だけで、近代文明全てを滅ぼす強さを持っております。設計図通りなら。

 

ケイはアークリアクターの力を恐れ、暗号化をギャラハッドに指示。しかし、ギャラハッドは「カーボンナノチューブが無いと作れないって」と言って普通にアークリアクターを設計図に記録した。だが、未来の科学者が本気を出しても叡知を集めてもアークリアクターは巨大で動力源としては使えない…電気を産み出すオブジェとしてしか使えなかった。

 

しかし、1人だけ例外が誕生した。その科学者の名前はニコラ・テスラ。彼はガラクタだけで小型のアークリアクターを製作、更にギャラハッドの暗号を一部解読して本物のアークリアクターの製造にも成功。しかし、ニコラの死後はCIAの手でアメリカ政府がニコラの資料を押収したが使えるアークリアクターは作れなかったそうだ。




次回!!

ローマ教皇「かつてコンスタンティヌス一世は我々、教会に西ヨーロッパを譲渡した。ならばブリテン島も我々の物だ。統治は君達に任せよう、但し我々の指示に従い改宗しなさい」
ギャーさん「で?」

キリスト教の権限は上昇していき、史実通りタガが外れて暴走する!?

不倫仮面「私の出番だな………」

フランク王国で異端者認定された人が死刑宣告!?だが、教皇は町の誰が異端者なのか分からない。故に教皇はその町の人間を皆殺しする事を決意。

ローマ教皇「神は全て知りたもう。なに異端者では無ければ天国に行ける。町の者を全員、神の元に送れ!!」
不倫仮面「それは私のおいなりさんだ」

権力がどんどん肥大するキリスト教団(歴史通り)。今、正義の味方が罪無き人々を守るために立ち上がる。

次回!!皆大好きHK!!頑張れ、不倫仮面!!


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HK アブノーマル・サンクチュアリ

皆、大好き不倫仮面!!


寒い北風が息吹く白亜の城キャメロット城。城下町であり、首都でもある王都キャメロットに聳える城の頂上にはおパンティーを被った変態が町を見守っていた。そう、元円卓の騎士であり現在はギャラハッドの部下であるが日頃から世界の平和を守るために戦う正義の変態 不倫仮面ことランスロットだ。

 

雪が舞い、キャメロットは雪景色に染まっていく。街灯も街路樹にも雪がかかり、家々の屋根には雪が積もる。子供達は久々に見る雪を見てははしゃぎ、騎士の中でも精神年齢が幼い方のモードレッドがガウェインの子供達と共に雪合戦をしたりして楽しそうだ。

 

「今日も町は平和で何よりだ」

 

町が平和なのは良いことだ。不倫仮面は腕を組み、ブリーフとアミアミタイツという変質な服装とおパンティーで素顔を隠した変態な姿でそう言った。今さらながら、雪が降る真冬の気温でありながら、ほぼ裸の不倫仮面は寒くないのか?とは言ってはいけかい。不倫仮面は寒さよりも、暖かさよりも変態的な服装をした方が変態パワーでコンディションは常に最高に保たれるのだ。

 

「む?私の変態センサーが反応している。これはフランク王国か……此の世に新たな悪が悪事を働こうとしているな?ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

変態奥義!!アブノーマル・テレポート!!」

 

不倫仮面は変態だが正義の心を持った変態。そう、彼は正義の味方なのだ。もう1度言おう、彼は正義の変態なのだ。弱者を見捨てる事は出来ず、彼は正義を執行する。勿論、無償の愛でだ。

不倫仮面は此の世に住まう邪悪な存在が有る限り、彼は何処から時空を超えて現れる。彼には蜘蛛の力も、コウモリの力も、クリプトン星人のパワーも、光の巨人の力もない。ただ、愛する人のおパンティーさえ有れば良いのだ。そして不倫仮面は不思議な光に包まれて何処かに転移したのだった。

 

 

キリスト教。御存知、サラの父親であるイエス・キリストが創設した宗教だ。元に成った宗教はキリスト教と同じく一神教であり、同じ唯一神を信仰するユダヤ教だ。イエスは本当に慈悲深い人だったのだろう。だからこそ、キリスト教は世界で最も信仰された宗教になり、世界で最も大きな宗教組織と成った。

 

『汝の敵も愛せよ。無償の愛をもってね』

 

遠い未来…東京の立川でバカンスを過ごす事になる救世主はかつてこう言った。しかし、時の流れは残酷だ。何時しか人々はイエスの教えを政治に、侵略に、他人を異端者と決め付けて虐殺の手段に使いだしたのだ。これは歴史が証明しており、ローマ教皇はとある文章のお陰か西ヨーロッパの全ての国王よりも権力が有るのだ。

 

『初のキリスト教徒であるローマ皇帝コンスタンティヌス一世の名に於いてローマ教皇に託す。ローマが繁栄できたのはキリスト教のお陰だ、故に汝に西ヨーロッパを譲渡する』

 

この文が書かれた親書のお陰かキリスト教の現時点での頂点に君臨するローマ教皇は絶大な権力を持っている。当然だろう、かつての世界の頂点に君臨していたローマ皇帝から直々にローマの半分を貰ったのだから。

だが、これは後々に歴史の研究で明らかに成ったことだがこの文章が書かれた親書……実は偽書である。そう、偽書と言うことは偽物だ。これはキリスト教団の地位を上げるために、とある聖職者が捏造した物だ。しかし、その時代に本物か偽物か判断する手段も有るわけがなく、当時は本物と判断されてしまいローマ教皇の権力は激上昇。結果、キリスト教とローマ教皇の権力はヨーロッパで最高と成ったのだ。

 

「西ヨーロッパは我々、キリスト教団の物だ。今の統治は君達に任せよう、だが忘れるな。我々の方が立場は上だぞ」

 

とローマ教皇の権力は西ヨーロッパ(ブリテン以外)では絶大な物である。フランク王国を初めとした多くの国では、ローマ教皇の許可を貰いローマ教皇の手で戴冠式が行われる事になる。事実、正史のカール大帝もローマ教皇から許可を貰ってローマ教皇から戴冠してもらったのだ。

 

宗教や信仰は尊く大切な物だ。しかし、莫大な権力を宗教が有するとどうなるのか?政治利用され、やがてはタガが外れて暴走する。異端者や異教徒相手は人間扱いせず、虐殺や陵辱する。自分達に影響を与えると判断された信徒は異端者扱いし、皆殺しにする。事実、タガが外れた行き過ぎた信仰のお陰で多くの人が無実で殺された。イエスはマジで泣いて良い。

 

そしてその悲劇がこの時代でも起きていた。

 

「フランク王国のとある町の一派を異端認定する。全て殺せ。奴等は乱行を行い、人肉を喰らい、主の名前を犯した」

 

ローマ教皇の名の元にとある一派が異端認定された。当然、異端認定されれば死刑は確定。遺体は遺さず焼き殺されるのが定説であり、人間扱いはしない。

だが、これは完全に濡れ衣である。史実に於ても似たような異端事件が起きていた。史実ではキリスト教の1宗派だったカタリナ派と呼ばれる質素な派閥が有ったが、そのカタリナ派は人食等の濡れ衣を着せられ…皆殺しにされてカタリナ派の資料も大半が消された。

 

「しかし…教皇様。異端者と信徒の見分け方はどうすれば?」

 

だが考えてほしい。異端者と言えど、その大半は西洋人。全員が白人だ、外見の違いなど分かるわけがない。まあ、中にはブリテン人のように顔が平たい人も居るかも知れないが、その大半が典型的な白人だ。外見の違いで異端者か信徒かは分かるわけがない。

 

「神は全てをしりたもう。全て殺せ、神は全てを知っている。

信徒ならば天国に行き、異端ならば地獄に堕ちる。簡単だろ?全てを殺せ」

 

なので彼等は決断した。ならばその町の人間を全員殺してしまえば良いと。神様は全てを知っているし、神の判断に任せることにしたのだ。健全な信徒ならば天国に行くので問題はなく、異端者で有れば神の裁きで地獄に堕ちる。だから町の人間を全員殺して神の判断に任せることにしたのだ。

なお、カタリ派の事件の際に犠牲に成った人は20000人程。その中でもカタリ派は僅か500人ちょっと。つまり異端者を殺すために何万殺すことも問題はないのだ。仮に殺してしまっても信徒なら天国に行けると当時のお偉いさんは思ってたのだから。

 

 

そして異端者を殺すために、町の人間を全員皆殺しにする裁きが始まったのだ。

 

フランク王国のとある町。そこは正に虐殺が起きていた。

 

「全員殺せ!!神は全てをしりたもう!!」

「おぉぉお!!」

 

逃げ惑う人々。町の人々を殺すのはローマ教皇の部下である騎士達とフランク王国の騎士達だ。彼等はローマ教皇の命令に従い、信徒だろうが異端者だろうが関係無い。だって、神様が判断するのだから。

 

「助けて……神様」

 

怯える少女とその母親。だが、関係無い。

 

「汝達が異端者で無ければ天国に行ける。安心して神の判決に身を委ねよ!!」

 

信徒ならば天国に行けるから良い。その考えの元に、騎士はロングソードを振り下ろす。だが、そのロングソードは突如として粉々に砕かれた。

 

「なっなに!?」

「私のおいなりさんには無意味だな…」

 

少女と母親を庇うように現れたのはおパンティーを被った変態、そう不倫仮面だ。不倫仮面は兵士の顔面を掴み、自分の股間にぶつけて倒してしまった。

 

「成敗!!」

「ぐぅぅえぇぇ!?」

 

おいなりさんの一撃を受けて、その騎士は倒された。そして不倫仮面は悠々と…変態的な動きで歩きだした。

 

「ふむ…事態は察した。君達、何をしてるのかな?」

 

不倫仮面の目の前で行われる虐殺の数々。

 

「神の名の元に異端を殺してるのだ!!異端を殺して何が悪い!!」

「ふっ…笑わせる。覚えておけ……現在、正義は貴様達ではない。変態こそが正義なのだよ!!」

 

だが、罪の無い人々を勝手な理由で虐殺するのは神様が許してもこの変態が赦さない。いや、間違いなく天国に居ると思われる神様と救世主もぶちギレていると思われる。

そして、不倫仮面は地面を蹴って走り出す。彼が先ず、標的にしたのは盾を持って剣も持った騎士だ。

 

「はっ!!」

 

不倫仮面は飛び上がり、パンチを繰り出す。当然、その拳を防ぐために騎士は盾で防ごうとする。だが、不倫仮面の拳はその盾を粉々に砕いてしまった。

ギャラハッドのお陰で文明が魔改造されたブリテンは兎も角、この時代の騎士達の盾は重い。だが、それでもロングソードで叩きつけても損傷しない頑丈さを誇る。だが、その盾を不倫仮面は拳1つで破壊してしまった。

 

「くっ!?」

 

盾を破壊された騎士。直ぐに攻勢に打って出ようとしたが、不倫仮面は騎士の剣も弾き飛ばす。そして不倫仮面は脚で騎士を拘束し…挟み…股間を顔面にぶつけた。

 

「変態奥義…ハリケーンストーム!!」

「イッイヤァァア!!」

 

不倫仮面はそのまま逆立ちになり、腕を使って回転して巨大な竜巻を発生させる。当然、脚に挟まれた騎士は顔面に股間が着いたままであり、生暖かい感触が顔面に襲ったまま竜巻の中央に襲われている。

 

竜巻は雷撃さえも生み出し、最早天変地異。だが、その風はどういう訳か騎士達に襲われていた民間人には危害を与えず騎士達だけに被害を出し、騎士達を次々と吸引していき吹き飛ばしていく。竜巻が止めば…ブリーフに意識を飛ばした騎士を挟み…不倫仮面が立っていた。

 

「ふんふん!!」

 

腰をふりふりと振り、ブリーフに挟まった騎士を払いのけた不倫仮面。

 

「ふむ…敵の親玉は分かった。アブノーマル・テレポート!!」

 

 

 

 

ローマ教皇が住まう大きな宮殿。そこでローマ教皇は優雅な時を過ごしていたが、なにやら宮殿が騒がしい。この宮殿の警備は厳重であり、賊が侵入しても瞬時に取り押さえる事が可能だ。

 

「騒がしいの…」

 

その時だった。

 

「私は不倫仮面。正義の変態だ。残念だが、貴方の部下は全て成敗した」

 

おパンティーを被った変態、不倫仮面が現れたのだ。

 

不倫仮面は腰をクネクネと振りながら、ローマ教皇に近付いていく。ローマ教皇は絶大な権力を持つが、戦えない。故か、見たことがない変態が近付いてきた為か…恐怖に怯えるローマ教皇。

 

「なっなんだ!?お前は!?」

「正義の変態だ。宗教を……偉大な救世主の教えを利用した貴様を赦さん!!」

 

逃げようとするローマ教皇。しかし、背後は壁であり不倫仮面から逃げられない。

 

腰を振り子のように動かしながら近づく不倫仮面。

 

「変態奥義…ウォッシング・ブレイン!!」

「ひっ!?」

 

ローマ教皇の顔面スレスレにおいなりさんを振り子のように動かす不倫仮面。この奥義はスレスレにおいなりさんを動かすことで、相手の肉体よりも精神的に恐怖を与えるのだ。

 

「ほーれほれほれ」

「ひっ!?一思いにやってくれ!!」

 

スレスレで動かすこと3分。その時はやって来た。

 

「成敗!!」

 

不倫仮面は教皇の顔面においなりさんをぶつけた。これにて成敗である。

 

「忘れるな。()()()()()()()()()は此の世に悪とおパンティーが有る限り、正義の為に現れる時空を超えてな。

宗教を侵略や虐殺に使うなど赦されんのだよ」

 

不倫仮面はそう告げて、腰をクネクネと動かして去っていった。

 

事実、カール大帝の時代に新たな正義の変態…変態仮面が現れる。その変態仮面は変態奥義の他にデュランダルと呼ばれる聖剣を使っているそうだ。




次回!!ギャーさん、フランク王国に外交で向かう。しかし、そこには天然痘が大流行!?

フランク王国民「こっこれは悪魔の仕業だ!!祈るんだ!!」
ギャーさん「祈って治るわけ無いだろ。治してやるよ、但し…完治後に風呂入れよ。水有るんだから」


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フランク王国の危機!?悪魔?いえ、天然痘です

悪魔?いえ、天然痘です


ある日の事だった。ギャラハッドの豪邸、その中にあるバーに来客がやって来ていた。その来客とはブリテン国の最高責任者でもあるアーサー王、そしてギャラハッドの恩師であり日々ギャラハッドの発明と文化改革のお陰か胃潰瘍を日頃から発症している我等がケイ先生である。

 

「しかし、ブリテンもすっかりと雪景色に成ったな」

「冬だしな…雪車で雪山を疾走するのも良いかも」

「お前は相変わらず、遊びでもぶっ飛んだ物を使ってるな」

 

雪景色に染まったブリテン。ギャラハッド豪邸の庭はすっかりと雪景色に染まっており、庭にはアルクェイドとキャストリアが作った雪だるまが2つ程あった。なお、その1つは紛れもなくおパンティーを被ってることから間違いなく不倫仮面ことランスロットがモデルなのだろう。ギャラハッドがアルクェイドを引き取った為に、40代でお爺ちゃんと成ったマダオ。まあ、自身をモデルにした雪だるまを作って貰える辺り、孫には愛されているのだろう。

 

だが、ケイとアーサー王が此処にやって来たのは酒を楽しむ為ではない。実は結構処か、外交で大事な用でやって来たのだ。

今までフランク王国(後のフランス)との外交は我等がマダオことランスロットが担当して行っていた。しかし、マダオは不倫事件をお咎め無しにする代わりに円卓の騎士を辞任してはギャラハッドの部下に成った。なので、マダオから将来性を見越してギャラハッドにフランク王国との外交を今後は担って貰う為だ。そして、もう1つ用件がある。それは先日、ギャラハッドがアーサー王とケイに提案した催し物の事だ。

 

「しかし、ギャラハッド。先日に話したオリンピックとは?」

 

オリンピック。それは現代社会では4年に1度開催されるスポーツの祭典であり、現在は利益面での問題が肥大化してるが元と言えば政治や宗教関係なくアスリートが自分達の腕を切磋琢磨競い会うスポーツの祭典である。

 

「元々はローマよりも前の国、ギリシャで4年に1度行われていた競技の祭典です。

古代ギリシャじゃ、男限定ですっぽんぽん(全裸)で行われていたそうですが。それを近代に合わせ、男女平等にスポーツの腕を競い会う感じにしたいんですよね」

 

元と言えばオリンピックはギリシャの祭典だ。しかし古代ギリシャのオリンピックは女人禁制であり男子限定、それもすっぽんぽんで行われていたのだ。槍投げでもおいなりさんと棒をオープンし、走り幅跳びも全裸で行う。

そのオリンピックをギャラハッドは今の時代に合わせ、ブリテンで行おうと言うことだ。勿論、今のブリテンの情勢に合わせるために男女平等、ジェンダーフリーにスポーツの腕を競い会うのだ。だが、ギャラハッドの中ではオリンピックは各国で競い会う…そこで。

 

「各国からも参加者を募りたいんですよね。政治や宗教は絡みませんが、国同士で成績を競い合ったりと。まあ、その為には本格的な競技場を作りたいんですけどね、これがその設計図」

 

と…ギャラハッドは事前に設計図を書いてたのか引き出しから設計図を取り出してはケイに手渡す。その設計図にはギャラハッドが設計した野球場、サッカー場兼陸上競技場、バスケットコートやバレーボールの設備が入った体育館、テニスコート、そして馬等の動物に跨がってはレースを繰り広げる競馬場の設計図だ。

 

「…野球とかサッカーは分かるが、競馬場って馬に乗ってレースするのか?まあ、決闘の競技会と比べたら安全だけどな」

 

騎士には馬上決闘の競技会が存在する。それは両者が馬に股がい馬上槍で戦う競技だ。槍の先端は鋭くないが、それでも大怪我を負うことは有るし…過去にランスロットはパロミデスとの試合で愛馬を亡くした事がある。

それを聞いたギャラハッドは思った。ならば戦うのではなく、レース競技にしてしまえば良いと。

 

「良いんじゃね?俺は馬で出たいけど。てか、馬持ってないわ」

「貴方は飛んだ方が速いですもんね」

 

だがギャラハッドは馬を持っていない。ギャラハッドがレースに出るためには馬や乗れる動物を見つける必要があるだろう。

 

「ハンニバルとか象さんに乗ってるし、ほら…えーと誰だっけ?若手騎士で絶滅危惧種のヨーロッパライオン連れた人いるじゃん」

「ライオン…あ!ユーウェインですね」

 

ユーウェイン。絶滅危惧種のヨーロッパライオン(ギャーさんの知る未来では絶滅済み)を連れた騎士であり、若手で有りながらそこそこやる人物だ。

 

そしてギャラハッドが提案した競馬(馬以外も参加オーケー)は見事に歴史を変えてしまう。

 

『曲がれぇぇぇええ!!』

『曲がれぇぇえええ!!』

『ハリボテブリテンやっぱり転倒!!騎手のベディヴィエール卿と中の人が見事に転んだ!!てっ、中の人は貴方と貴女か!!』

 

ハリボテという概念が競馬に誕生してしまうのは内緒である。G3ハリボテ記念が世界の常識と成ってしまうのだった。

 

 

 

 

「おい?なんだ…こりゃあ」

 

数日後。ギャラハッドは外交デビューでフランク王国にやって来ていた。しかし、どういう訳かギャラハッドが降り立った港区には人の姿が殆ど見えない。それに人気が少なく、何やら腐敗臭を微かに感じる。

 

フランク王国は現在のローマ帝国と同じくキリスト教を信仰しており、ぶっちゃけ風呂には滅多に入らない。中には人生でお風呂は数回しか入らず、シラミ対策でスキンヘッドの髪型にして凄い鬘を被る人も居るぐらいだ(モーツァルトやバッハ)。しかし、この臭いはギャラハッドが嘗てローマで嗅いだ風呂に入っていない臭いではない…どちらかと言うと、生ゴミを腐敗させたような臭いがするのだ。

 

「うっ……こりゃあ…人でも亡くなったのか?」

 

何やら胸騒ぎを感じ、ギャラハッドは臭いの元に向かう。臭いの元に向かうと…そこには数多の麻布に包まれた物が積もられていた。大きさと形から推定し、中には人間の遺体が入っている可能性が高い。キリスト教の国では火葬は御法度であり、埋葬待ちの人間はこうして適当に積まれて埋葬の時を待っているのだ。だとすると、多くの人が亡くなっているのだろう。

 

「不潔過ぎてペストでも出たか?コレラは未だインド限定だしな」

 

ペスト。それはネズミ→ダニを介して人間に感染する恐怖の病だ。一般的には黒死病だと言われており、致死率は高い。感染すると黒い斑点が出るためか黒死病と呼ばれている。

 

ギャラハッドは罰当たりも承知で麻布に包まれた物を調べる。ギャラハッドの予想通り、中には遺体が入っており遺体には無数のブツブツが有ったのだ。間違いない、天然痘である。

 

「天然痘か。久し振りだな…流石は世界規模の感染症」

 

天然痘は遺体でも保菌状態であり、このままでは更に感染者が出てしまう。遺体を今すぐ火葬したいギャラハッドだったが、此処で火葬してしまえばフランク王国からなんて言われるかわからない。仕方なく、ギャラハッドは火葬ではなく天然痘が遺体からこれ以上広がらないようにルーン魔術でバレない程度に結界を張る。これで遺体から天然痘ウイルスは広がらない筈だ。

 

「さてと……ゼルレッチが言うにはこの時代の医療は水銀とか使ってるんだよな?とっとと停めに行くか」

 

ギャラハッドはそう言うと歩き出す。彼が向かった先は病院だ。

 

 

 

 

「すいません。ブリテン国から外交で来たギャラハッドですが」

 

しかし、病院は正に地獄だった。天然痘に罹った患者で溢れかえり、人々は治療してもどうする事も出来ず祈る事しかしていない。

 

「主よ……」

「神様!!助けて!!この悪魔から助けて!!」

 

神頼み。それしか彼等には遺されていないのだろう。だが、ギャラハッドは注目を集めるためかパンパンと手を叩く。すると、祈っていた看護師や医師はギャラハッドの方を向いたのだった。

 

「俺はギャラハッド。ブリテン国から外交でやって来たが、医師でもある。その病気は悪魔でも何でもない、天然痘と呼ばれるウイルス性の感染症だ。手遅れでない限り、俺なら治せる」

 

ギャラハッドはそう告げ、常に四次元空間に仕舞っている医療グッズを取り出した。この医療グッズだが、人工呼吸を行うためのポンプ、簡単な手術が出来る道具、点滴用の輸液(生理食塩水)等々が入ってるのだ。

 

「未だ頭痛と発熱程度で済んでる人にはこの注射を静脈に、痘痕が出来ている人はこの点滴を」

 

誰に頼まれた訳でもないのにギャラハッドは患者の治療を始めてしまった。

 

「彼等は…助かるんですか!?」

「天然痘には特効薬は存在しない。点滴を射ち、自己免疫を維持して治すのが近道だ。初期症状ならワクチンを射てば抗体が出来て、症状は悪化しない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴殿のお陰だ。ギャラハッド…悪魔を倒してくれて礼を言う」

「悪魔じゃなくて天然痘ね。あと、イスラエルとかと違って水資源は豊富だから風呂入ったらどうでしょうか?毛穴から悪い病原菌が入ることは有りませんよ。

入るとしたら回虫位ですかね?まあ、風呂じゃ病気に成りませんよ」

 

成り行きとは言え、フランク王国の1つの町を天然痘から救ってしまったギャラハッド。だが、キリスト教国家であるフランク王国の重鎮は冗談抜きで天然痘を悪魔だと思っているようだ。

 

「何か…褒美でも」

「それでしたら、オリンピックという催し物を考えてるのですが。その根回しを手伝っては貰えませんか?ローマやゲルマン諸国はキリスト教国家ですし、我々よりも其方の方が話は通しやすいと思いますが」

 

ギャラハッド…オリンピックの開催の為に根回しを行うのだった。




フランク王国の協力を得てオリンピック誘致の根回しを行うギャラハッド。

そんな中、競馬場が一先ず完成。しかし、ギャラハッドが馬以外も参加オーケーと言った為かカオスな競馬に!?

キャストリア「あれってキリン!?」

パロミデスはキリンを何処からか持ってきたり、ガウェインの馬はまさかの二足歩行!?

ギャーさん「取り敢えず、お前の名前はオグリインパクトな。芦毛だし」
ゼルレッチ「伝説の2頭の名前を混ぜおった!?てか、それはユニコーン!!」

ギャーさん、念願の馬をゲットする?

ベディヴィエール「行きますよ!!トリスタン、バゲ子さん!!」
トリスタン、妖精騎士ガウェイン「「曲がれん!!」」

そしてハリボテブリテンが目覚める。

不倫仮面「行きますよ、最強牝馬スーパーフェロモン」

不倫仮面は同じく変態な牝馬を連れた来た!?

ケイ「マトモな馬が1頭もいねぇぇぇえ!!」

次回!!ブリテンワールドカップ!!栄光を手にするのは誰だ!!


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ブリテンワールドカップ その1

ブリテンワールドカップ(笑)開始!!


2013年、イギリス。かつてブリテンと名乗っていたヨーロッパの大国。

その現在、第2の都市である旧首都キャメロット。多くの歴史的産物が残り、遥か昔からの上下水道が現役で活躍し…町の電力は数百年前からギャラハッドが稼働させたアークリアクターが電力を供給する神話の名残が存在する町。そんなブリテンにオレンジ色の髪をした少女が家族と共に訪れていた。

 

「お姉ちゃん!!こっち!!」

「ちょっと、待ちなさいよイリヤ」

 

彼女の名前は衛宮立香。一部の人達からは…ぐだ子とも影で呼ばれている少女だ。実の両親は今から9年前の大事故で亡くなり、現在は自分を引き取った国際結婚した衛宮切嗣という男に引き取られて不自由なく育った。そんな彼女は妹である衛宮イリヤスフィールことイリヤと共に、キャメロットを観光していた。立香は現在高校1年生、イリヤは小学3年生であり…キャメロットを2人で観光中であり両親は仲良くキャメロットでデート中。早い話、両親ペアと娘ペアに別れて行動していたのだ。

 

「お姉ちゃん!!お城!!お城見に行こう!!」

「キャメロット城はお父さん達と行こう。観光のメインだし、万能の救世主ギャラハッドの資料館は?」

「えー…ネットで見たけど、天然痘との戦いとかの記録が残ってて怖いよ…」

「仕方無い。のんびり探索しようか」

 

イギリスには様々な観光地が存在している。ストーンヘンジ、ビッグ・ベン、首都ロンドン、観光の大本山とも言えるキャメロットとその周辺。中でもキャメロットは町全体とその周辺一帯が世界遺産に登録されており、多くの歴史的産物が残っている。

世界遺産の中でも当時と変わらぬ姿を残し、()()()()()で幾度の戦火の砲撃を弾き返したとも言われる白亜の城キャメロット城。キャメロット城は現在、イギリス王室が管理してるがパリのベルサイユ宮殿と同じく一般開放されている。中には様々な歴史的な価値が有るものが展示されており、最盛期の円卓の騎士の写真が壁に飾られていたり、歴代円卓の騎士の写真も飾られている。なお、十三席は当然の如く、ギャラハッドの功績の為か永久欠番である。

 

「牧場に行きたい!!」

「牧場は後にしよう。彼処、ギャラハッドが絶滅寸前の動物を保護したらしく、沢山の動物が暮らしてるけど」

 

牧場…正式名称キャメロット動物保護区。かつてユーウェインがヨーロッパライオンを引き連れているのを見たギャラハッドが、絶滅寸前の動物を後の世に残さねば!!と思いギャラハッドが仲間達と共に設立した牧場。

此処ではギャラハッド達の活躍により、世界で唯一…野生化では絶滅したヨーロッパライオンが飼育されている。いや、ヨーロッパライオンだけではない。ドードー、ジャイアントモア等々…人間の行いで野生化では住めなくなった動物も飼育されているのだ。一時、飼育されているニホンカワウソを野生化では絶滅した日本に戻そうとしたが、色々有って辞めた事もある。なお、世界で唯一…ワイバーン(ギャラハッドが写真を撮りまくった結果、神秘無しに適合した進化したのか……炎を吐けない爬虫類化)が飼育されている。

 

「ドードー抱っこしたい!!」

「私だってカワウソ抱っこしたいけど…」

 

絶滅危惧種を抱っこできるのか?そもそも一般人はふれあって良いのか?ぐだ子は考えるが、時間はたっぷりある。

 

「あっそうだ!イリヤ、競馬場に行かない?そういや、今日はG3ハリボテ記念が有るんだって」

「ハリボテ記念?行く行く!!」

 

キャメロットにはローマンコンクリートを基礎に用いた競馬場、ブリテン競馬場が存在している。この競馬場、ギャラハッドが設計建造した物であり、一部近代化されたとは言え長い年月が経っても人々に熱いレースを見せてくれる。そして姉妹はブリテン競馬場に向かっていった。

 

『転倒!!転倒!!やっぱり転倒!!全員転倒!!ハリボテ転倒は世界共通!!そして毎年恒例だ!!』

 

「あーあ、やっぱり転ぶね」

「毎年恒例じゃからの。てか、今年はギャラハッドは現れんな」

「パパの自動召喚は条件があるからね。1つは私が軟派された時、2つが私に恋人が出来たとき…あと、何だっけ」

「アイツが親バカだと言うことは数百年前から知っとるわ」

 

観客席でゼルレッチとアルクェイドがそのまま成長したような10代後半の美少女が居るのは内緒である。

 

 

 

 

 

時はアーサー王の時代。中世…

 

「さてとゼルレッチ。俺は無敗の三冠ジョッキーに成るために馬を探しに来たが、良いのは居ないな」

「お前さん、なんか並行世界の魔術師や作家軍団からギャーギャー文句言われそうじゃのう」

 

ブリテンの森林。そこをジーパン生地のオーバーオールに身を包んだギャラハッドとゼルレッチが探索を行っていた。オーバーオール…それは伝説の配管工マリオブラザーズのメインコスチュームであり、ギャラハッドは緑を模したルイージカラー、ゼルレッチは黄色のワリオカラーを纏っている。因みに赤は此処に居ないリアルマリオことケイに既に手渡してきたのだ。

 

ギャラハッドとゼルレッチが此処にやって来たのには訳がある。それは先日に完成したばかりの競馬場、ブリテン競馬場の初レース ブリテンワールドカップ(距離1600m 種目マイル)に出場するためだ。しかし、ギャラハッド単独では出ることが出来ない。そこでギャラハッドは共に出場する愛馬を探しに、森にやって来たのだ……ゼルレッチを連れて。

 

「てか、何でワシ?」

「マダオは妹が産まれたばかりで忙しいし、アルちゃんも同じ。アルクェイドも同じだし、ケイ先生は他国との外交仕事で今は忙しい。結果、お前」

「まあ、ワシは別に構わんが」

 

マダオとグィネヴィアの間には待望の赤ちゃん…ギャラハッドの異母妹が産まれたのだ。グィネヴィアに似ており、髪質はマダオ似。その赤ちゃんを見たギャラハッドは前世で、アニメオタクの友達だった山本君に勧められて見たアニメ ソードアート・オンラインことSAOに出てくるユウキちゃんそっくりと思ったのだ。その結果、ギャラハッドの手で妹はユウキと名付けられたのである。現在、すくすく成長中。

マダオは兎も角、王族だったグィネヴィアは育児に不慣れ。その結果、キャストリアと妖精騎士ランスロットも育児に参戦し…アルクェイドも幼いながらも手伝ってか、何とか成っている。

 

「すまん、ゼルレッチ。オムツの時間だ」

「オムツ…お前さんが変えてるの!?」

 

しかしギャラハッド家は全員が育児未経験。アルクェイドの件で多少は心得があるが、全員が赤子の面倒など見たことがなく…医者でもあるギャラハッドが一番育児の上手な人物に成ってしまったのだ。

ギャラハッドは飛雷神で消え、僅か3分で帰ってきた。

 

「ただいま」

「オムツ変えるの早!!」

 

 

 

 

森林を歩くこと約30分。

 

「馬が居ないな…いっそのことワイバーンにするか?翼竜の生き残りだが、乗れたら問題ないだろ」

「いや、ワイバーンは翼竜じゃないんじゃが……」

 

パシッ、パシャっと森林に居る動物達(ワイバーン含む)を撮影するギャラハッド。なお、背中にはいつの間にか竹籠が背おられており、竹籠にはポルチーニやトリフ等のキノコが入れられていた。この男、馬を探す序でにキノコ狩りを楽しんでいた。

 

「ポルチーニご飯やキノコパスタが楽しみだな。トリュフ食った事無いが…旨いのか?」

「苦いぞ。アルクェイド姫とラウラは絶対苦手じゃな」

 

森を探索し続けること更に30分。ギャラハッドはようやく、念願の馬を見付けることに成功する。

 

「おっ!!良い馬居るじゃないか…サイみたいに角はえてるけどな」

「いや、あれはユニコーン……」

 

確かに馬を見つけることが出来たギャラハッド。しかし、その馬は不自然に1本の角が生えていたのだ。そう、唯の角ではない。この馬はユニコーン。言わば、幻獣種の類いなのである。だが、このギャーさんに幻獣なんて単語は理解される筈がないので…

 

「成る程。なんでそう成ったか不明だが、サイと同じく毛髪が変化して角に成ったんだな。と言うことは角はケラチン質で出来てるのか」

 

と…科学や医学からそう結論付けてしまったのだ。因みにギャラハッドの言っている事は事実であり、我々が良く知るサイと呼ばれる動物の角は髪の毛と同じものである。

 

「芦毛か。ふむふむ…」

 

ギャラハッドはユニコーンに近付いていく。ユニコーンは元々、純潔を司る生き物らしくDTなギャーさんが近付いても暴れる素振りを見せない。

 

「よし、お前にしよう。名前は…そうだな。オグリインパクトでどうだ?偉大な英雄とシンデレラの名前を着けたぞ?目指せ、無敗の三冠馬だな!!」

「アウト!!その名前は流石に不味いじゃろ!!どっから見てもオグリキャップとディープインパクトではないか!!」

 

ゼルレッチが叫ぶが、ギャラハッドの手でユニコーンの名前はオグリインパクトに決まったのだった。因みに後日、ギャラハッドの検査でユニコーンの角を調べた結果、サイの角と同じくケラチンだと判明。その為か、ギャラハッドは論文でこう記した。

 

『ユニコーンはサイと同じく、毛髪が角に変化した馬である』

 

と。

 

 

数日後。出来立てほやほやのブリテン競馬場。

 

その観客席であるスタンドには数多の観客が詰め寄せ、多くの人はその時を待っていた。なお、競馬はご存知の通り公営ギャンブルであり、ギャンブラーの皆様が大爆死してしまった掛け金はブリテンの発展等(公園作ったり、病院作ったり)に使われるのだ。勿論、ギャンブラーの皆様が勝てばお金が増えて戻ってくる。だが、当然…人気の高いペアに賭けても倍率の都合上、返ってくるのは極僅か。ギャンブラーの皆様は勝率が低くても大金を狙える人気が低いものに賭けるのも手である。

 

「遂に始まりますね…」

 

観客席の一角。そこにはギャラハッドがオグリインパクトと共に出場する為か、応援にやって来たキャストリア達の姿があった。

キャストリアはミックスオレの紙タンブラーを片手に、もう片手に箸を持ち、膝の上に紙皿に乗ったお好み焼きを置いてスタンバイしている。ブリテン競馬場では軽食も売られており、グルメも充実なのだ。

 

「楽しみね。ランスロット様とギャラハッド君は大丈夫かしら?」

 

夫と義息がレースに出るためか、心配そうに言うグィネヴィア。彼女の腕の中ではマダオと同じ髪色をした赤ちゃん…ユウキがぐっすりと眠っている。

 

「パパ!!ファイト!!」

 

一方のアルクェイドちゃん。焼き鳥片手に、パパと……序にお爺ちゃんの応援である。

 

「……あれ?スペちゃんとバーゲストは何処に?」

 

そしてリンゴソーダ片手に座る妖精騎士ランスロットことラウラちゃん。

 

「なんだろう…物凄く嫌な予感しかない」

 

そして我らがツッコミ係りケイ先生である。

 

 

『さあ!!いよいよ始まります、ブリテンワールドカップ!!記念すべき第一回のレースですが、果たしてどうなるのか!?実況は私…ガウェイン卿の弟ガヘリスがお送り致します』

 

突如として声が響く。これはギャラハッドが開発したマイクとスピーカーを通じて、スタンド全体に実況の声が響いているのだろう。今回の実況者はガヘリス、最近…妹2人と兄のお陰か影とキャラが薄くなってきたノッポ君である。

 

『では出場ペアをご覧ください』

 

ガヘリスがそう告げ、キャストリアを含めた観客達はパドックを見る。パドックではこれから走るサラブレッドと騎手が次々と入場しては歩いて入場してきた。

 

『先ずはゼッケン1番、1番人気。ギンシャリボーイ。仄かに香る寿司酢の香り。騎手はガウェイン卿。単勝オッズは4.03』

 

1番から順番に入場するようであり、先ずは栗毛の馬に跨がったガウェインが愛馬と共に入場してきた。

この馬はギンシャリボーイ。本名は別に存在するのだが、最近…ギャラハッドが開発した寿司を食べまくったお陰か、酢の香りが体臭と成ってしまった馬である。因みに主人であるガウェインの事をゴリラだと本気で思っているようだ。

 

「やっぱり、ガウェインが安定だよな」

 

そう言うケイの手にはギンシャリボーイの馬券が握られていた。しかも10セステルティウス(約一万円)。

 

「ケイさん、ギンシャリに賭けたんですか。私達は誰にも賭けてませんよ?」

「競馬は賭けてなんぼなんだよ。覚えておけ、キャストリア」

 

『続きましては2番。オグリインパクト。世にも珍しいユニコーンのサラブレッド。単勝オッズは5.04。騎手は我等が麒麟児、ギャラハッド卿』

 

続いて入場してきたのはオグリインパクトに跨がったギャラハッド。まさかの幻獣種(ギャラハッド曰く普通の馬)の登場に、ケイは思わずビールを吹き出しかけた。

 

「アイツ…どこで捕まえた!?」

 

『ブリテンでも炸裂するか?衝撃波、目標は無敗の三冠馬だそうです』

「パパ~!!頑張れ!!」

 

可愛いアルクェイドの声援が早くも響く。

 

『続いて3番。スーパーフェロモン、世にも珍しいホワイトリムジン種。単勝オッズは6.86。胴体が長く、伸びるリムジン種の為か2人乗りが可能です。騎手は謎のヒーロー不倫仮面、そしてブリーフ一丁にされたボールス』

 

続いて入場してきたのは胴体が長い白馬、そしてその白馬に跨がった我等が不倫仮面とボールス。この白馬は最強の牝馬であるスーパーフェロモン。世にも珍しいリムジン種という種類で、胴体を自由に伸ばすことが出来るそうだ。因みにボールスは涙目でブリーフ一丁にされてるが、観客は1ミリも可愛そうだと思わない。

 

「……一応、馬だよな?」

 

『続いて4番。ジラフ、パロミデス卿がアフリカ大陸から拾ってきた首の長いサラブレッド。単勝オッズは28.6。その首の一撃はライオンさえもワンパンです。騎手はパロミデス卿』

「確実にソイツは馬じゃねぇぇぇえ!!」

 

ケイの叫びが響く。そう、次に入場してきたのは間違いなく馬ではない。何処から見てもキリンである。そう、キリンだ。そのキリン…ジラフに跨がるのは円卓唯一の黒人パロミデス。恐らく、外交序に持ち帰ったのだろう。

 

『因みにパロミデス卿はご自宅に、鼻の長いサラブレッド、ストライプの入ったサラブレッドを育てているそうです。出場が楽しみですね』

「いや、確実に1頭は象だよな?間違いなく象だよな!?パロミデス!!お前、普通の馬飼ってるだろ!!」

 

そして…次に入場したのはウマ耳のカチューシャと付け尻尾を装備した妖精騎士トリスタンことスペシャルウィークだったのだ。

 

『5番。私のイチオシ、スペシャルウィーク。あの大人気アイドルがまさかの参戦。ブリテン1のウマ娘を目指して、頑張ってほしいですね。騎手は無し、単勝オッズは11.6』

 

まさかの1人だけ陸上競技、いや1人だけウマ娘状態となったスペシャルウィーク。恐らく、衣装はゼルレッチとギャラハッドが用意したのだろう。ウマ娘のスペシャルウィークが着る勝負服と成っていた。

 

「見ててね!お母ちゃん!!」

「お母ちゃんって誰のこと!?」

 

モルガン様です。

 

だが、最後にやって来たのはハリボテだった。そう、ダンボールのハリボテで出来た被り物であり、2人の人物がそれを被って馬に成りきり…ベディヴィエールが騎手として跨がっていたのだ。

 

『6番。ハリボテブリテン、ハリボテ種。騎手はベディヴィエール卿。

中は誰なのか?誰が作ったのか一切不明のサラブレッド。そもそもこれはウマなのか?巷では人気がかなり高いです。単勝オッズは128.6』

 

そのハリボテはハリボテブリテン。誰が作ったのか不明だが、取り敢えず中に入ってるのかすらも不明である。

 

「俺…ハリボテブリテンに今月のお小遣い全部を賭けた!!」

「俺もだ!!50セステルティウスをぶちこむぜ!!」

「50?ふっふふ、俺は100セステルティウスだ!!」

 

なんと言う事でしょう。このハリボテブリテンに賭ける人達が居たのであった。

 

だが、役者は揃った。全てのサラブレッドと騎手はスターティングゲートに向かい、ファンファーレが鳴り響く。

 

『さあ、ファンファーレ。今、スタート!!』

 

ゲートが開き、一斉に競走馬がスタート。先頭を行くのは一番人気、ギンシャリボーイ。ギンシャリボーイに続くようにスペシャルウィーク、スーパーフェロモン、ジラフ、オグリインパクト、そしてハリボテブリテンと続いている。

 

『オグリインパクトは未だ様子を見ている。彼の脚質を考えれば当然だ、そしてギンシャリボーイは未だ先頭…このまま大丈夫か!?』

 

そして…最初のカーブに差し掛かる。その時だった。

 

「曲がれぇぇぇえええ!!」

「まっがっれぇぇぇぇえええ!!」

「曲がれぇぇえええええーーーー!!」

 

ハリボテブリテンに賭けた人達が叫ぶ。だが、彼等の声援空しく…ダンボールが裂ける音が響き、ハリボテブリテンのボディーは裂けてハリボテブリテンは転倒してしまった。

 

『ハリボテ転倒!!やっぱりカーブは曲がれなかった!!ダンボールが裂ける音!!』

 

そしてハリボテブリテンの中の人が明らかになる。それはトリスタンと妖精騎士ガウェインことバゲ子さんであった。

 

だが、彼等に構ってはられずレースは進んでいく。

 

『さあ!!最終コーナーを曲がり、最後の直線!!ブリテン競馬場の直線は短いぞ?後ろの子達は大丈夫か?』

 

実況が叫ぶ。だが、レースは一気に動き出す。

 

スペシャルウィークが加速し、ギンシャリボーイに並ぶ。そして不倫仮面が突如として立ち上がり、SMの鞭を振るってはスーパーフェロモンに刺激を入れるが相変わらずボールスの目は死んでいる!!

 

「ふっ…甘いですよ…スペシャルウィークさん」

 

ガウェインが笑う。その時、ギンシャリボーイが立ち上がって二足歩行…それも金ちゃん走りで加速したのだ。これぞ、ギンシャリボーイの必殺技、寿司ウォーク!!二足歩行で体幹の筋肉をフル稼働させ、四足歩行よりも早く走ることが出来るのだ。

 

「いけぇぇぇえ!!ギンシャリボーイ!!」

 

ギンシャリの馬券を握り締め、ケイが大人げなく叫ぶ。だが、他のウマも負けてはいない。

 

「ぬん!!」

 

パロミデスはジラフに鞭を入れる。すると、ジラフは首を前に伸ばし、パロミデスはジラフの頭に乗っては距離を伸ばしたのだ。

 

「仕方がない!!スーパーフェロモン!!ピストンで飛ぶぞ!!」

「ヒヒィーン!!」

 

不倫仮面はしゃがみ、ニーグリップでしっかりと太股でスーパーフェロモンの胴体を挟む。すると…スーパーフェロモンが立ち上がり、ピストン運動のように胴体が伸縮を繰り返し、ペットボトルロケットのように飛んだのだ…上に。

 

『おーーと!!オグリインパクトが仕掛けた!!』

 

実況が叫ぶ。すると、ギャラハッドがオグリインパクトに指示を出し、オグリインパクトが溜めていた力を一気に爆発させる。そのままオグリインパクトは物凄い末脚でジラフを抜き去り、スペシャルウィークを抜き去り、ギンシャリボーイに並ぶ。

 

『さあ、炸裂するか衝撃波!!オグリインパクト!!ギンシャリボーイ!!オグリインパクト!!ギンシャリボーイ!!』

 

ラスト100m。本当に短い距離であるが、それでも何が起こるか分からない。そして勝ったのは…

 

『勝ったのはオグリインパクト!!無敗の三冠馬への第一歩だ!!』

 

僅かな差で勝ったのはギャラハッドの乗るオグリインパクト。2位はギンシャリボーイ、3位はスペシャルウィーク。む?不倫仮面とスーパーフェロモンは?

 

ゴール手前に不時着し、犬神家宜しくと突き刺さっていた。

 

「未だレースは終わってませんよ、トリスタン!!バゲ子さん!!」

「そうですね、ベディヴィエール!!次はドラム缶で行きましょう!!」

「だから言ったじゃないか、ダンボールだと破れるぞっと!!」

 

壊れたハリボテブリテンのパーツを引きずりながら、ベディヴィエールとトリスタンそしてバゲ子がスーパーフェロモンの隣を通過して無事にゴール。

 

最終順位

 

1位オグリインパクト。2位ギンシャリボーイ。3位スペシャルウィーク。4位ジラフ。5位ハリボテブリテン。6位スーパーフェロモン。

 

『君の愛馬がズキュンバキューンっと!!では皆さん、次のレースでお会いしましょう。うーウマだっち!!』

 

 

 

 

 

 

「なんか…俺の思ってた競馬と違う。あれ?俺が間違ってるの?」

 

オグリインパクトの背で、ウィニングランを行うギャラハッドはそう囁いた。

 

因みに第一回ブリテンワールドカップに参加した騎手とサラブレッドはレース後、集合写真を撮っている。その写真は2013年現在でもブリテン競馬場のロビーに飾られている。

 

なお、来年のブリテンワールドカップ。モードレッドがリーゼントのサラブレッドを引き連れて参戦する。




ギャーさん「……俺が間違ってたのか?えっ?」
ケイ先生「いや、お前は今回は間違ってないと思うぞ」



次回はギャーさん達ではなく、幕間。カルデア編以降から登場するメインキャラのお話。

???「ルイ・シャルルの狩を知るが良い」

ルイ17世魔改造のお話。彼がどうしてヤーナムに流れ着いたのか?そして最強の狩人に成ったのか?

そしてフランス特異点に降臨した狩人がゲクラン達と出会うまで。

1話に纏めますが、ルイ17世の模写は史実から悲惨さ100億です。もし、アレならヤーナム編まで下スクロールしてください。

ルイ・シャルル(ルイ17世)或いは狩人様。クラス フォーリナー(グランドに匹敵)。出典 史実+Bloodborne

マリー「私の息子がこんなに強いわけが……」
ルイ様「はい、モツ抜き!!」

………フランス、カルデア居る?


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幕間 かつてルイ十七世と呼ばれた狩人

ルイ・シャルルが可哀想!!と思いリメイク前では生存させる為に、ヤーナム送り。

ギャーさん含めたリメイク前から個性の強い奴等(ギャーさん、狩人様、筋肉バカ)は健在です。


我ら血によって人となり

 

人を超え

 

また人を失う。

 

知らぬ者よ

 

血を恐れたまえ。

 

血に酔いしれ、人を失ったならば知ると良い。これは弔いだ、弔いという狩だ。さあ、ルイ・シャルルの狩を知るが良い。

 

 

 

西暦1431年。そこは訳有って特異点と成り果て、人理が大きく歪んでいた。歴史では後に、ナポレオンによって偉人として認定された聖女ジャンヌ・ダルクが身代金を支払って貰えず、そのままイギリスの農民と成った翌年。フランス側ではジャンヌは処刑されたと見なしているが、未だこの頃のフランスは真実に気付いていない。

この頃の戦争という物は人は殆ど死なない。発展した製鉄技術により頑丈なプレートアーマー、鎖帷子と言った防具のお陰か刃物が鎧を通さないのだ。それにどちらかと言えば経済戦争という側面が強く、相手の騎士や大将を捕らえては相手国に身代金を要求するのが多いと言える。事実、1度の戦争で10人しか死ななかったのはザラに有ったのだ。

 

「………フランスか…さて、何時以来だろうか?」

 

その特異点の大地。そこに1人の男が降り立った。声からしては若い青年だろうが、素顔は分からない。なにせ、帽子と口元を覆うマスクで目元しか分からない。背丈は高い方だろうか?欧州人にしてはやや平均的と言える180cm程と言える恵まれた身長、体格は衣類の上からでは判別に困るが普通に鍛えられた中肉と言った所だろうか。

 

男は欧州の外れに存在する医療都市、ヤーナムと呼ばれる都市で活躍する狩人と呼ばれる存在だ。彼が着ているのもヤーナムの狩人衣装であり、多くの狩人がこの衣装を纏い獣を狩っては獣に殺され、或いは血によって人を失い狩人に介錯として狩られる。

ヤーナムは唯の町ではない。そこの血の医療は数多の病を治すことが出来るが、そのヤーナムには1つの風土病が存在しておりその風土病は血の医療でも治すことが出来ない。その風土病は獣の病、突如として人間が獣に変化し理性を失っては人を襲うのだ。血の病に感染するのは人だけではなく、カラスや豚などの動物もであり、感染した動物は大きくなり人さえも食い殺す。

 

「まあ…良い。俺は狩るだけだ」

 

男は狩人。元の身分がどうあれ、獣を殺すだけだ。今はサーヴァントとして特異点に降り立ったが、男の本体は未だ生きており()()()()辿()()()()()()()に未だ居座っている。

 

すると男の手に2つの武器が現れる。右手には慣れ親しんだ可変式の武器、ヤーナムの狩人達が用いたノコギリ鉈と呼ばれる武器だ。左手には散弾銃を握り締め、男は歩き出す。此処は特異点、もう普通のフランスではない。空を見上げれば炎を吐き出すワイバーンの群れが旋回しており、神代の名残を感じる。

 

「うわー!!ワイバーンはブリテン以外で絶滅した筈なのに、なんで飛んでるんだろう!!

あれれ?ローランどこ行ったんだろ?ブラダマンテのおパンティー握り締めてさ」

 

ふと、そんな賑やかそうな声が特異点の空に響いた。声の方を見ると、そこにはピンクの髪をした少女……いや違う。狩人は知っている。己の啓蒙と知識で知ってるが、そのピンクは男がだ。俗に言う男の娘と言える人物であり、レコードと写真が後世に残ってるためか殆どの人物は知っている。

その男の娘はアストルフォ。ブリテンを去ったマーリンが新たにプロデュースした王様、シャルルマーニュことカール大帝の部下であるシャルルマーニュ十二勇士が1人アストルフォである。ブリテン出身であり、老後(ウェルナー症候群の影響か外見上18歳)のギャラハッドの元でハチャメチャな義務教育ライフを送った事でも有名である。なお、世界初の国際的多重国籍アイドルである。

 

「そこの少年。お前も抑止で来た感じか?」

「おっーー第一村人発見!!ギャーさん先生ならこう言うんだろうな!!うんうん、最悪、アルクお姉ちゃん呼ぼうかなって思ってたけど人が居て良かったぞ!!僕の名前はアストルフォ!!

万能の英雄ギャラハッドの最後の教え子にして、最後にプロデュースしたアイドルさ!!BTN48のセンターをラウラちゃんと常に競ってたトップアイドル只今参上!!」

 

アストルフォは慣れているのか、アイドルのような名乗りを挙げた。そして狩人に近付いていく。

 

「うわー!!銃だ!!あっ、お兄さん。ダブルアクションのリボルバー使う?」

「いや、慣れ親しんだ物を使う」

「そっかー…それじゃあ、僕はこれを使うぞ!!」

 

するとアストルフォは何かを取り出した。それはギャラハッドがノリで完成させてしまったマグナム弾を発射可能な自動式拳銃 デザートイーグル(ブリテン仕様)である。それを右手に持ち、左手にはカーボンナノチューブとダマスカス鋼を組み合わせたギャラハッド作の蛇腹剣が握られた。

 

「所でお兄さん?お名前は?何だかさ…ギャーさんみたいに人間辞めてそうだし、アルクお姉ちゃんのように人外っぽいし」

 

アストルフォが言うと…狩人は帽子を取り、マスクを下にずらした。すると素顔が明らかになる。余程の経験をしたのだろうか、ストレスで頭髪は色素を完全に喪っている。だが、顔はかなりのイケメンだった。

 

「ルイ・シャルル。狩人だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警告。

 

此処から先は史実に少し忠実なので胸糞な模写が有ります。胸糞な展開で気分を害してしまうかも知れませんがご注意して下さい。もし、史実通りにルイ・シャルルという子供の悲劇を見たくないのなら更に下にスクロールして、ヤーナムの下りまで行ってください。

 

フランス革命。それは激動の時代に起きた革命であり、フランス王朝の王権神受の終りと言える時代の節目であった。

 

革命は成功し、当時の王であったルイ16世ことルイ・カペー。そしてぶっちゃけ夫であるルイ16世より知名度が絶大に高いマリー・アントワネットは捕らえられた。当然、王夫妻が捕らえられたのならば必然的に2人の子供も捕らえられる。その2人の次男だったのが、ルイ・シャルルだったのだ。

 

「やめてください!!お願いします!!」

「黙れ!!貴様に拒否権はないんだよ!!売女の息子が、クソデブ元国王の息子のクセによ!!」

 

革命は成功し、ルイ・カペーはギロチンにより処刑。その後、建前的にルイ・シャルルはルイ十七世と成ったがそれは形だけ。彼に自由はなく、無意味となった王政の為ではなくルイ・シャルルは良き市民に成るためにとある人物の元で教育を受けることに成ったのだ。いや、それは教育ではない。誰がどう見ても虐待だ、鬱憤晴らしの虐待だったのだ。

 

シャルルの教育を任されたのは靴屋の男性だったアントワーヌ・シモンという人物だった。しかし、シモンが行ったのは弁舌に話したくない程だった。

最初の内はシャルル達が信仰していたカトリックの不定、父ルイ16世やマリー・アントワネットを悪く言う事だった。しかし、それは更にエスカレートし唯のシモンのストレスの捌け口として暴力が始まった。

 

「痛い!!」

「あっ?俺達がお前達王族から受けたのはこんな物じゃないんだよ!!」

 

殴る蹴るは当たり前。シモンには妻が居たが妻は止めようともせずに見て見ぬふり。

 

「おらよ!!呑めよ!!全部呑まないと…お前をギロチンにかけて殺すぞ?」

「ううぅぅ!?」

 

酒なんて子供に呑ませるは行けないことだ。これは既にギャラハッドがヨーロッパ中の医者に言い聞かせていたが、シモンはそんな事は知らないのだろう。シャルルに無理やり酒を呑ませ、拒否すれば殴り、無理矢理呑ませる。それでも呑まないのなら口に酒瓶を突っ込ませ強引に呑ませる。そして、シャルルが苦しむ様子を見てシモンはいつも通りに笑うのだった。

 

「くっくく…面白い事を思い付いたぞ」

 

なにやら、面白い事を思い付いたのかシモンは笑う。そして、シモンは売春婦を沢山呼んでは……彼女達に幼いシャルルを強姦させた。

 

 

 

 

一方のイギリス。

 

首都ロンドン。

 

「アルクェイド様大変です!!」

 

国会議事堂に移された円卓の席。大半の人間が座ることを赦されない円卓、そこの1席にただ1人座ることが赦された十代後半程の美女に1人の人物が話し掛けた。

美女は成長したアルクェイド・ブリュンスタッド。別名、月の姫、2代目アルティメット・アース、最後の円卓とも称される人物である。

 

「どうしたの?そんなに急いで」

 

時はフランス革命後の動乱で外交も揺れている。イギリスとスペインもそれを理解しており、両国はフランスにスパイを送り込んでいた。

 

「私がパパのように飛雷神使えたら良かったんだけどな。それで?フランスの様子ってこと?」

「はい。探らせたスパイによりますと、ルイ十七世は監獄棟に収監されている模様。更にルイ十七世の教育を任された人物は売女にルイ十七世を犯させたようです」

「良く分かったね?」

 

シャルルが収監されているのはおおよそ検討が付いていたイギリス。ギャラハッドのお陰で色々とスーパー産業革命が起きたイギリスは兎も角、他の国ではギャラハッドが「面白そう」と輸出した写真やカメラ以外はそこまで出回っておらず史実通りの発展を遂げている。

 

「まあ、フランスは監視カメラや赤外線なんて無いしね」

「あの…アルクェイド様?その作り方知ってるの、ギャラハッド様と貴方様位では?」

「細かいことは気にしなーい!!フランスは今後も荒れるわよね。売春婦に犯されたって…事は…梅毒に成ってるかも知れないわね」

 

 

そしてまたフランス。

 

ルイ・シャルルは梅毒(記録では性病としか書かれていないが、死亡解剖で腫瘍が有ったとされるので可能性あり)に感染していた。しかし、誰も助けない、手を指し伸ばさない。独房も変わった…もっと酷くなった。窓は鉄格子で閉じられ、光は入らずトイレも無い。トイレが無いと言うことは垂れ流しだ。

 

「うぅぅ」

 

ルイ・シャルルの顔からは感情が消えていた。独房は誰も掃除してくれないし、誰も手を指し伸ばしてくれない。食事は1日2度与えられるがそれだけ。誰もシャルルを人間扱いする者は居なかった。

独房の床はシャルル自身の垂れ流すしか無かった糞尿でまみれており、シャルルの身体には虫が沸いている。布団も誰もが変えようとはせず、ダニやノミの温床と成っておりシャルルの皮膚には沢山の刺された後があったのだ。

 

誰も見て見ぬふり、をしている。食事を出される時でさえも。

 

「カペーの息子!!死ね死ねよ!!早くくたばっちまいな!!悪魔の子供め!!へっきたねえウンコ垂れ流しやがったよ、惨めだなハッハハハハ!!」

 

罵声を浴びさせられる。シャルルは病の影響か自分で歩く事が出来ず、日に日に弱っていった。もう、自分が王族だった事も忘れてしまったのだろう。誰も助けない。

 

 

実はルイ・シャルルを助けようとする声は国外からは有ったのだ。スペイン王室はスパイから得た情報を元に、ルイ・シャルルの引き取りを行おうとした。だが、スペインの国会はそれを認めなかった。その結果、他国からも見捨てられたルイ・シャルルは自分が誰なのかすっかり忘れてしまい、病に犯されながら人間として扱われる事はなく時間だけが過ぎていったのだ。

 

 

 

 

「アルクェイド様!?」

「ちょっと行ってくるわね」

「そこまで伝説のギャラハッド様に似なくても!!」

 

 

 

 

あの麒麟児に育てられた彼女は見捨てなかった。

 

 

 

 

「はい!!ストレッチャー通るわね!!ラウラ、診察室とレントゲンの準備!!」

「御意」

「肺に水が溜まってるな…リンパも澱んでます」

「バゲ子、採血の準備。競馬場からスペも呼び戻して」

「了解したお嬢」

 

だが、最強の大国イギリスことブリテンの力を持ってしても。

 

「無理……パパなら何とか出来たかも知れないけど、梅毒、敗血症、肝硬変!?未だ幼い子供じゃない!?」

 

梅毒、敗血症、肝硬変、調べれば調べるほど出てくる病の数々。これにはアルクェイドも御手上げだ。アルクェイドがルイ・シャルルの血を吸って吸血鬼に変えれば助かるが、アルクェイドはそれをしたくない。どうするか考えた時…

 

「姫……かつて月を滅ぼした青ざめた血の気配がするヤーナムの血の医療なら…救いは有るかも知れんぞ」

「ヤーナム?」

 

そしてルイ・シャルルはゼルレッチの力でヤーナムという医療都市に送られた。

 

 

 

 

 

 

以後、児童虐待のシーンは無くなります。

 

10年後、医療都市ヤーナム。

 

医療都市ヤーナム。御存知、あらゆる病を治す血の医療が存在している。血の医療とは正体不明の血を輸血する。それだけ。そう、それだけでどんな病も治ってしまうのだ(獣の病は除く)。

しかし、ヤーナムは獣の病という風土病が存在しており、それはざっくりと言えば外宇宙からやって来た存在(クトゥルフ)が原因である。ビルゲンワースという学舎のカレル君が外宇宙からやって来た存在の墓を暴いてしまい、その結果…ヤーナムに血の医療がもたらされると共に獣の病が蔓延したのである。

 

「おっと!!獣の病ですね、今晩わ忍者です!!」

 

青年に成長したシャルル。彼はヤーナムの狩人衣装を纏い、右手にノコギリ鉈、左手に散弾銃を持っては獣の病の羅漢者…獣に変質した存在を狩っていた。

 

ヤーナムに転移されたシャルルは血の医療を受けて無事に完治。しかし、その後…直ぐに獣に殺されてしまった。しかし、此処は外宇宙の影響を受けるヤーナム。シャルルは死なず、死んだことを夢オチにしてしまう狩人の夢に囚われた。

その狩人の夢とやらでシャルルは最古の狩人である助言者ゲールマン、ゲールマンが作った美女だが人形の人形ちゃんに育てられて無事に成長した。

 

ノコギリ鉈で獣の首を撥ね飛ばし、更に振った遠心力を用いて大鉈に変形して複数纏めて切り裂く。

 

「今なら完治率100%、もれなく死亡率100%も着いてくる!!ノコ鉈を処方しますね!!」

 

獣の病に感染して発祥すれば理性を失い獣へと変わる。そして聖職者や聖人な程に大きく巨大な獣に変質すると言われている。

 

「やーがし!!」

「おっと、そこの貴方。スラッグ弾を処方しますね!!」

 

スラッグ弾とは散弾銃から放たれる遠距離用の弾丸だ。この弾丸は散弾とは異なり、至近距離で広がらず、普通の弾丸のように扱える。引き金が引かれ、散弾銃の銃口から炎と共にスラッグ弾が放たれ、獣…狼男の腹部を貫く。

スラッグ弾を至近距離で受け、狼男が怯む。その隙をついてシャルルは右手で狼男の腹部を貫き、内臓を引っこ抜いた。む?ノコギリ鉈はどうしたって?狩人は血の意思という力を持ち、自分の中に武器を収納できるのだ。因みに血を入れただけで大抵の致命傷も治ってしまう程である。

 

「はい!!出血大サービス!!」

 

内臓を引っこ抜き、返り血を大量に浴びるシャルル。

 

「あー、フランスと比べてヤーナムは住みやすい町だな。マジで」

 

あんな地獄の幼少期を過ごしていれば、ヤーナムも住みやすい町となる。

 

 

それから暫くし、夢にも終わりが訪れる。

 

「シャルル…もう充分だろう。ヤーナムの夜が明ける。君は解放されるんだ。私の介錯に身を委ねたまえ」

 

有る時だった。夢に帰ると、最初の仕掛け武器 埋葬の刃…片刃の剣から変形して大鎌になる武器を構えたゲールマンが立っていたのだ。介錯に身を委ねよ、つまり一度死ねと言うことである。だが、ゲールマンの手で1度死ぬとシャルルは無事に解放されて記憶の片隅に有るような平和な日常に戻れる…という事だ。母と父…姉と仲良く過ごしたような日々に。

 

「…アンタはどうなる?アンタは解放されないだろ」

 

答えは否。シャルルは新たな仕掛け武器を身体から出した。その仕掛け武器は騎士が使うバスタードソードのようだが、シャルルの背に大剣の刀身を彷彿させる鞘が背おられている。

この仕掛け武器はルドウイークの聖剣。片手で扱うバスタードソードと、背中に背負った鞘からなる仕掛け武器だ。このバスタードソードを鞘に仕舞い、仕掛けを発動すると鞘が大剣としての刀身となり…バスタードソードと大剣を切り替えられる武器に成るのである。

 

「…シャルル。これ以上は聞くな…君を巻き込みたくないのだ」

 

ゲールマンが大鎌を振るう。だが、シャルルも負けてはいられない。両者は激突し、火花が散る。そして…勝ったのは…

 

「シャルル…君は私と同じく魔物に取り込まれるのか…いや、或いは君なら倒してしまうだろう」

 

ルイ・シャルルであった。空を見上げると、触手を出した未知の怪物が宙を浮かんでいる。恐らく、この怪物がヤーナムの元凶だろう。

 

「ゲールマン。アンタの耳が聞こえなくなる前に言いたい。

血の繋がりはアンタとはない。だけど、俺を強くしてくれて有り難う。暴力に怯えるだけだった俺を此処まで育ててくれて有り難う。アンタは正真正銘……俺のもう1人の親父だ…誰がなんと言おうともな」

 

聖剣を収納し、ゲールマンが落とした埋葬の刃を拾い上げるシャルル。そして埋葬の刃を大鎌に変形させ、左手に散弾銃を握った彼は怪物…外宇宙の神に立ち向かう。そして…その後ろ姿を見て、ゲールマンは満足そうに霧のように四散した。

 

 

そして埋葬の刃が外宇宙の神を両断する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時はフランス特異点。

 

 

アストルフォと行動する狩人 ルイ・シャルル。一先ず、特異点の情報を集めるのが先だろう。

 

「シャルルって何時の人?」

「だいたい…1800年前後だ。訳有って本体は生きてるがな」

「アルクお姉ちゃんみたいに真祖?へんな気配するしさ」

「正しくは上位者…元人間の外宇宙の神と思ってくれ」

 

アストルフォは親友ローランと共に抑止力で呼ばれたらしいが、ローランはアストルフォの女友達でライバルアイドル ブラダマンテのおパンティーを被ってしまい…変態仮面に変身して何処かに行ってしまったらしい。

 

「シャルルって強いね!さっきもワイバーンやゾンビの群れを1人で片付けたじゃん。

円卓の椅子座れるんじゃない?僕はあと40年早く産まれてたら座れてたな…ユウキちゃんとタメなら間違いなく座れたのに」

「養父(ゲールマン)がスパルタでな」

 

アストルフォはセイバー、シャルルはフォーリナー。乗り物なんて無く、歩いて移動するしかない。そんな時だった。

 

「そこの君とアストルフォ卿。君達は抑止で呼ばれたサーヴァントかね?」

 

ふと、声をかけられる。何事かと思い、後ろを振り向くとそこには……ブサメンだが鎧を纏い、腰にはロングソード、手にはランスを持った男が馬に股がっていたのだ。

 

「あっ!知ってる!!ゲクランだ!!」

「偉大な騎士に知って貰えるとは光栄だ。私はゲクラン、クラスはランサーだ」

 

彼の名前はゲクラン。ジャンヌ・ダルク以前にフランス百年戦争で活躍した英雄であり、ゲリラ戦を得意とする武闘派でありながら頭も切れる人物だ。

ジャンヌ・ダルクが有名に成ったのはナポレオンの功績が大きいが、それ以前と功績ならば間違いなくゲクランこそが百年戦争の英雄として挙げられるだろう。

 

「僕はアストルフォ!!クラスはセイバーさ!!」

「ルイ・シャルルだ。シャルルで良い。クラスはフォーリナーだ」

「シャルルだな?今、抑止力で召喚されたサーヴァントを集めている所でな…共に来てくれないか?」

 

 

 

こうしてゲクランに連れられて抑止力陣営の拠点にやって来たシャルルとアストルフォ。

 

「マリー・アントワネット王妃とアマデウスは私と同じく、仲間を探して出掛けてるが…今はこんだけの仲間が集まった」

「そうか(お母様も呼ばれたのか…少し複雑だ)」

 

そこに居たのは…

 

「私、シャルロット・コルデーです。お願いします」

 

ナイフを持った爆乳の少女…たわわなアサシンとも言えるような少女 シャルロット・コルデー。クラスはアサシン。

 

「ふふふ…あんちんさま!!何処ですの!!」

 

水色の髪をした嘘つき絶対殺すガールな平たい顔族 清姫。

 

「すまない…合流する前におパンティーを被った変態に倒されかけて本当にすまない」

「ローランの被害者いた!?」

 

角の方で三角座りをする上半身裸で背中にツヴァイハンダーの魔剣を背負った大男が居た。

 

「すまない。俺はジークフリート。壁役として自由に使ってくれ、すまない」

 

そんな彼は伝説の竜殺し ジークフリート。後のすまないさんである。

 

だが、シャルルは有ることに気付いた。

 

「マトモに戦闘経験有るの。俺、ゲクラン、アストルフォ、ジークフリート、行方不明のローラン位ではないのか?」

「「「「あっ…」」」」

 

戦闘要員たったの5人(現段階、しかも1人行方不明)。

シャルルはヤーナムでの狩人として、アストルフォはシャルルマーニュ12勇士として、ゲクランは百年戦争の英雄として、ジークフリートは竜殺し。しかし、他はどうだろうか?シャルルの母親であるマリー・アントワネットは王妃であり戦闘経験皆無、アマデウス…モーツァルトも同じだし此方は作曲家。シャルロット・コルデーも暗殺は生涯1度で他は普通の娘。清姫なんてお坊さんに惚れてストーキングし、嘘つきの怨みから竜に成った位は有るが13歳の女の子。

果たしてゲクラン率いる抑止力組はカルデアが来るまで、ゲリラ戦法で持ちこたえる事が出来るのか!?

 

 




次回……ギャーさん、アークリアクター内臓式戦艦建造!?

ギャーさん「名前…フッドEXは?生ゴミ対策でバイオ燃料でも動くぞ」
ケイ「もう、どうにでもなれ」

いざ、キャストリアの為にカカオ探しへ!?しかし…

ギャーさん、キャストリア「顔が…平たい!?」
ケイ「お前達も平たいだろうが」

日本…上陸!?


なお、次の幕間は不倫仮面の後継者である変態仮面の模様。


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いざ、カカオを目指して…えっ?ここジパング?

ジパングに上陸。


ギャラハッドのノリノリな文明開化は衰える勢いを知らない。彼はアーサー王から許可を貰い、ブリテンの景観整備も開始した。

ぶっちゃけ首都キャメロットを含めた多くの都市は路面が其処まで整備されていない。ぶっちゃけると道を平に整備しただけ、平にしただけだ。この時代からすれば大分整備されていると同意義であろうが、ぶっちゃけるとそこまだだ。気が付けば雑草が沢山生えてくるし、大雨が降ればぐちゃぐちゃに成るのだから。其所でギャラハッドは考えた。

 

「お洒落にレンガでも引いたら良くね?いや、石畳の町にしてやる!!」

 

この男、そう言って有言実行した。先ず、レンガを大量に製作すると…それを路面に引きまくったのだ。レンガは頑丈であり、水捌けも良い。レンガとレンガの間には少し隙間が空いており、大雨が降ればその隙間を通って雨水が用水路に流れる仕組みと成っているのだ。

こうしてギャラハッドの思い付きでキャメロットは石畳の景観が整った町へと変わったのだった。これは2014年の未来でも残っており、町全体が世界遺産に認定された為か未来では町の工事も一苦労である。

 

路面が整備されると次は何を行ったのか?それは交通網の整備である。一定階級以上の人々は馬を飼育しており、馬に乗れば遠方まで移動することが出来るだろう。だが、ブリテンの大半の国民は言わば平民だ。馬を買う金は勿論、飼育する資金だって無いのだから。そこでギャラハッドは考えた。

 

「馬は食費も掛かるからな。良し、食費の掛からない乗り物を考えるとするか。自転車はアリだな」

 

馬は金が掛かるなら、人力でペダルを漕ぎ…ギアとチェーンの回転でタイヤを回して進む自転車なら、総合的なお金は馬より掛からないとギャラハッドは自転車を開発した。

自転車の原理は単純明快。ペダルを漕ぐ→チェーンが回転する→チェーンがギアを回す→ギアがタイヤを回転させ自転車が進むと言う原理である。仕組みは単純明快、自転車はギャラハッドの手で試作一号の子供用と大人用(当然、アルクェイドとキャストリア用)が作られると…ギャラハッドの無茶振りに付き添われ、変態的技巧スキルを身に付けてきた町の職人の手で量産される事に成ったのである。

 

「わーい!!自転車楽しいな!!」

 

ブリテンの街並みを疾走する補助輪付きの子供用自転車に股がったアルクェイドが嬉しそうに自転車を漕いでは進む。

その付近では……大人2人が自転車を乗りこなそうとしていたが、悪戦苦闘していた。その大人2人とはトリスタンとベディヴィエールである。

 

「くっくそう!!ダメだ!!転ける!!」

「くっ!!なんの…これしき!!」

 

転けそうになるのを強靭な体幹で耐える2人。しかし、トリスタンとベディヴィエールはペダルを漕いでいない為か、上手く前に進めずハンドルをクネクネと動かしてはバランスを取っていた。

※この時の彼等は生前なので騎乗スキルは有りません。自力で乗るしか無いのです。

 

「ベディヴィエール卿、トリスタン卿。私は先に行くぞ」

「「バゲ子さん、待って!!」」

 

なお、妖精騎士関連以外ではベディヴィエールとトリスタンと共に良く行動する妖精騎士ガウェインことバゲ子さんは既に乗りこなしており、彼女はスイスイと円を描くように2人の周りを回っていた。

 

 

ブリテン、自転車ブームがやって来る。なお、これが後の名馬?ハリボテバンチョーの原型と成るのだった。

 

 

 

その3日後。

 

「あのバカは何を作ったんだ?」

 

ある日のこと。ブリテンで自転車ブームが巻き起こり、こぞって騎士も町民も職人も農民も皆が自転車に乗っては、盛大にこけたり乗りこなしている今日この頃。

ケイはどういう訳か、ギャラハッドに誘われて港の造船所にやって来ていた。造船所という事は船等をギャラハッドは作ったのだろう。まあ、今さら気にしてはいけない。

 

「船か…という事は木製だろうな」

 

この時代の船は基本的に木製だ。製鉄技術は日に日に進化してるが、普通の鉄では海水で錆びてしまう。ステンレスや古代ダマスカス鋼なら錆びないが、錆びてしまっては意味がないし普通の人は古代ダマスカス鋼なんて作れない。

※古代ダマスカス鋼で出来た柱が今もインドに有りますが、錆びてません。何百年と雨風に撃たれても。

 

そんな事をケイは思っていると……造船所から何かが海に出てきた。それは船体にダマスカス鋼(ギャラハッド製)をふんだんに用いた巨大な戦艦が出てきたのだ。

船体の側面を見ても、従来の船に有った筈のオール等は見当たらない。つまり、別の動力で動いていると言うことだ。

 

「ふぁぁぁあ!?」

 

余りの巨大な船にケイは叫ぶ。船体には見たことがない程の大きさの砲身を持つ大砲、数多の迎撃機銃等々、この時代では明らかにオーバー過ぎる兵器が装備されていたのだ。

 

「おーい!!ケイ先生、此方だぞ!!」

 

戦艦からギャラハッドの声が響く。ケイが声の方を見ると、戦艦の甲板にはギャラハッドがアルクェイドを抱っこして立っており、その隣にはキャストリアが立っていた。

 

「ギャラハッド!?この船はなんだ!?」

「ヴィマーナの設計図を元に作った戦艦フッドEX。変形機構を備えていてな、飛行形態に変形するとヴィマーナの飛行原理である反重力発生装置で飛べるぞ?」

 

なんと言う事でしょう。ギャラハッドはヴィマーナの設計図を粗方解析し終えており、遂に近代文明さえも置き去りにしてしまったのだ。勿論、動力はアークリアクターを複数であり、これでも本物のヴィマーナには遠く及ばない性能なんだとか。

 

「砲撃兵器の大砲は実はレールガン。電磁力の力で、物体を音速で飛ばす戦略兵器だ。城壁だって貫通するぜ」

「オーバーキルも良いところじゃ!!」

 

最早、オーバーキルも良いところである。なお、飛行形態は思いっきり…アベンジャーズのヘリキャリアをパクったのは内緒である。

 

「ケイ先生乗れよ。処女航海の始まりだ!!」

「おっおう……そうだな」

 

因みにこのフッドEX。2014年にもご健在であり、移動式博物館兼イギリスの最終兵器扱いと成るのは秘密である。

 

 

ケイも乗り込み、飛行形態に変形した上空を飛ぶフッド。

 

「ギャラハッド。今回の処女航海は何処までだ?航海と言いながら、思いっきり空を飛んでないか?」

「アルちゃんがチョコレート欲しいんだと。まあ、遅くなったら飛雷神で帰るさ」

 

今回、ギャラハッドがフッドを作ったのは理由がある。それは……

 

「チョコレート!!」

「ちょこれーと!!」

 

チョコレートなる物を食べたいキャストリアと、キャストリアからチョコレートの甘さを日々語られて興味を持ってしまったアルクェイドである。

 

「とゆこと」

「成る程な。お前、娘に弱すぎだろ」

「あっ、島見えた。彼処に降りるか」

 

ふと、何かの島を確認したギャラハッド。そこにチョコレートが有るかは分からないが、降りてみないと分からない。ギャラハッドはフッドを着水させた一行を連れて降りた。因みに、フッドは下船が終ってから四次元空間に仕舞ったので盗まれる心配はない。

 

 

 

「ここどこ?パパ、ママ」

「あれなら飛雷神で帰るさ」

「でも、過ごしやすい気候ですね…」

 

新たな新天地に降り立ったギャラハッド達。何が待ってるのか分からない未知の島であったが、探索を進める。

 

「貴様!!まさか、鬼か!?鬼は俺が全員倒した筈だろ!!鬼ヶ島の生き残りか!?」

 

ふと、そんな声が響いた。しかし、その言葉はキャストリアやアルクェイドにケイは全く知らない言語であり意味は理解できない。だが、ギャラハッドはその言葉を理解できた。

 

「日本語だと?いや、だとしたら此処は…」

 

その言語は日本語。転生前、ギャラハッドが頭のネジが外れたヤヴェー医大生だった頃に日頃から使っていた極東の島国固有の言語である。

 

「俺達は鬼ではない。ちょっと遠方から飛んできた外来の人だ」

「お前、言語分かるの!?」

 

前世の経験から日本語を話せるギャラハッド。ギャラハッドは返事をしながら声が聞こえた来た方向を見る。当然、ケイがツッコミを入れるが気にしてはいけない。

ギャラハッド達が声の方を振り向くと、そこには…日本特有の刀剣 刀を構えた…ブリテン(後の現代日本)ではイケメンとは言い難い人物がいたのだ。その人物は白い柴犬、猿、雉(ブリテンからしたら鮮やかな鳥)を連れている。

 

「武器を仕舞ってくれ平たい顔族の青年よ。俺はギャラハッド。此方は娘のアルクェイド。そんで此方はアルトリア。んで此方のおっさんはケイ。

俺達に敵意はない。だが、お前がもし…此方に危害を加えるなら俺も剣を抜くぞ」

 

ギャラハッドは自分達の名前を伝え、アロンダイトの柄に左手をかける。返答と向こうが攻撃を仕掛けてきたならば、抜刀する為だ。

 

「桃太郎…此処は納めようよ。あのお兄さん、桃太郎の五億倍強いって本能が叫んでるよ」

「犬が喋った!?」

 

なんと言う事でしょう。白いワンちゃんが喋ったのだ。

 

「俺も同感だ…桃太郎。あの白髪頭はヤバい…マジで強い奴だ」

「俺も思うよ…」

 

更に雉と猿も喋る喋る。犬、猿、雉に言われた為か青年は刀を鞘に納めた。

 

「お前達…分かったよ。俺は桃太郎。最近、ブツブツの呪いが都で流行っててな…疑っちまった。すまん」

「あっ、天然痘ですね。お薬処方します」

 

そして…出張ギャラハッド診療所が始まる。




次回!!ギャラハッド…都に到着し……

ぐっちゃん「アルクェイド・ブリュンスタッドがやベー奴に引き取られた!?」

後のヒナコ。物陰からギャラハッドを発見する。


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此処はジパング!!平たい顔族の国

かぐや姫=アイツ(笑)


日本。別名、世界最古の国と未来では伝えられる国だ。神代の頃から血の繋がりで神の末裔が皇族として生きており、世界で唯一の皇族が未来でも生きる国。

幾度も新しい国が産まれては滅んでは生まれを繰り返した中国やヨーロッパ、そしてアメリカ等の近代生まれの国家と比べて歴史は長い。なにせ、1つの国として長い年月を生きてるのだ。唯一、2014年まで現存した千年以上の歴史を持つ国家は名前をイギリスと変えたブリテンと日本だけだろう。

 

「姫様…疱瘡はどうなるんでしょう」

「さあ、でも私達には関係無いわ」

 

時は奈良時代。桃太郎が鬼退治したり、竹取物語でかぐや姫が貴族に無茶振りを言いまくっていた時代。奈良の平城京に都を起き、そこで天皇こと当時では御門と呼ばれていた皇族が政治を行っていた。

そんな都。長い屋敷の廊下を十二単を纏った未来でも通用する美少女…かぐや姫が新たに従者と成った真祖の生き残りこと虞美人を引き連れては歩いていた。

 

「だって真祖だもん」

 

かぐや姫は人間ではない。彼女は真祖と強大な力を持つ吸血鬼の混血として随分前、朱い月に造られた真祖だ。本当の名前はアルトルージュ・ブリュンスタッド。朱い月の後継者候補であり、捨てられた後は言い伝え通りに竹取りの翁に育てられた。

しかし、人間は欲に忠実すぎる。アルトルージュは当時の美人と言われた人々(おたふく)と比べてスマート。アルトルージュは美人だが、それは平成や令和での話し。しかしなぜか美貌でモテた。貴族達がこぞってアルトルージュを嫁にしようと競い(当時は側室アリなので言わば貴族はハーレム)、翁も権力と金を手に入れたからウハウハだった。

 

しかし、そんな時だった。かぐや姫ことアルトルージュの耳に事件が入る。真祖の生き残りである虞美人が自分を頼って日本にやって来た。何事かと思ったアルトルージュだったが、虞美人の口から持たされたのは真祖と吸血鬼の壊滅及び朱い月……月のアルテミット・ワンの完全消滅であった。

 

『姫様…あの男は……あの男は紛れもなく地球のアルテミット・ワンです!!あのギャラハッドという男は強すぎます!!

誰も彼もが、アイツとおパンティーを被った変態の手で潰されました!!』

 

他称地球のアルテミット・ワン ギャラハッドの力で真祖陣営壊滅の知らせ。更に最強の真祖アルクェイド・ブリュンスタッドの強奪であった。

序でにおパンティーを被った変態。コイツもヤバく、朱い月の肉体を破壊したのがギャラハッドだとすると魂を破壊したのはおパンティーを被った変態 不倫仮面である。

 

だが、流石に日本にはギャラハッドはやって来ない。虞美人は日本に来てからはかぐや姫ことアルトルージュの庇護の元、平和な日々を過ごしていた。そう、過ごしていた過去形だ。

新たな事件の発生である。それは天然痘こと疱瘡の大流行だ。天然痘は日本でも猛威を振るい、数多の人々を死に追いやった。政治の中枢だった藤原四兄弟も天然痘に感染したと言われており、正に日本は大ピンチ。幸いなことに英雄桃太郎と御門、そして真祖であるかぐや姫と虞美人が感染してないことは幸いだろう。

 

アルトルージュと虞美人が曲がり角を曲がる。すると、其所では…

 

「はい。天然痘ですね、お薬だしますね。大丈夫、良くなりますよ。解熱剤、天然痘のお薬を処方します」

 

白衣に身を纏い患者を診察するギャラハッド、ギャラハッドの手伝いをするナース服姿のキャストリア、同じくナース服を着た幼いアルクェイドだった。

ギャラハッドは天然痘の患者を次々と治療し、重症の患者には自らお向いては点滴で抗生剤を投与したりと…当時では最新過ぎる治療を次々と施していく。

 

「これ…本当に効くのか?」

「効果は実証済みですよ。解熱剤の方は痛み止めにも成りますので。ですが、出来れば空腹時は避けて下さいね。はい、次の方」

 

物凄く流暢な日本語を話し、ギャラハッドは次々と診察を続けていく。

 

「アルちゃん。此処の患者はもう終わり?」

「その筈だよ」

「重症患者への投薬は終ったから…天然痘以外にも色々と有るな。この時代のジパングには、どんな医療を行ってたんだよ……」

 

1通りの患者を診たのか、ギャラハッドは紙のカルテに色々と書いていく。

 

「マラリア熱も有るのか。マラリア原虫は人間と共に進化してるからな、マジな特効薬は造っても微々たる成果しか挙げられん」

 

ふと、其所でギャラハッドは誰かの視線に気付いて虞美人とアルトルージュの方を向いた。だが、ギャラハッドに気付かれる前に、虞美人は物陰に隠れてしまった。

 

「ヒナコ?」

 

因みにヒナコとは此処での虞美人の名前である。アルトルージュで言えばかぐや姫のような感じだ。

 

「姫様しっ!!タイプ・アースに気付かれる!!」

 

ギャラハッドに見付からないように必死に隠れる虞美人改めてヒナコさん。見付かったら、真祖の生き残りとして殺されてしまう。

 

(なんで…アルクェイド・ブリュンスタッドがタイプ・アースと共に行動してるの!?もしかして、タイプ・アースの娘に成ったの!?無理ゲー!!神よ、私を守りたまえ!!)

 

虞美人。神に祈る。

 

「そこの方、診察は無料ですよ?健康相談も無料でしてますよ」

「あら、そう?」

 

だが、虞美人の祈りは届かずアルトルージュはギャラハッドの健康相談を受けてしまう。

 

「アルク。そこの物陰に人が隠れてるから呼んできて」

「はーい」

 

虞美人…その場から大急ぎで逃走した。

 

 

 

「ヒナコ。貴方は受けなかったの?結構勉強に成ったわ。豚肉は火を通した方が良いんですって。

あと、豚や牛等は消化器官に食中毒の原因となる物が着いてるかも知れないから、内臓は火を通して食べなさいってね。

あと、川魚は生で食べてはいけないそうよ」

「はは…そうですか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてギャラハッドは桃太郎とその日の夜に話したが。

 

「お前…かぐや姫と会ったのか!?マジで!?」

「かぐや姫?ああ、真祖って吸血鬼だったけどな」

「吸血鬼なの!?かぐや姫!?」

 

ギャラハッドはかぐや姫が真祖である事を1発で見抜いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変態は世界共通。黄金の国ジパングよ…私は来たぞ。病で人々が苦しんでいるのに、お賽銭を盗もうとするなど…成敗!!」

 

そしておパンティーを被った変態 不倫仮面、日本に上陸。いざ、正義を執行する。

 




次回…天然痘の治療が終わり、ギャラハッドは改めて桃太郎と話す。

なにやら御門からの誘いでギャラハッドは呼ばれ、貴族とかぐや姫を奪い合う展開に!?

ギャーさん「いえ、結構です。俺はブリテン人ですから」
貴族「えっ!?かぐや姫、嫁に欲しくないの!?」


???「息子よ、変態は国境を超える。こんばんわ、変態です!!」

不倫仮面…降臨!!


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HK アブノーマル・ゴールドジパング

不倫仮面…降臨!!


「アルトリア。と言う訳で、ギャラハッドとキャストリア、アルクェイドの3人は日本を少し観光してからブリテンに戻るそうだ」

「ご苦労。しかし、兄上。ニッポンはどうでした?」

「…顔が平たい民族の楽園だった」

 

ケイは一先ずギャラハッドの飛雷神でお先にブリテンに帰国していた。ギャラハッドの飛雷神は自分以外に、物や他人も送ることが出来る。勿論、送り先には目印としてギャラハッドが仕込んだマーキングの目印が必要である。だが、ギャラハッドは有事に備えてキャメロットは勿論のこと、ブリテンの様々な所に飛雷神のマーキングを仕込んでおり何時でも何処でもブリテンの様々な所に転移することが可能なのだ。

ケイはギャラハッドの保護者である以前に文官だ。ケイ本人の仕事もあるので、日本に到着した翌日にギャラハッドの飛雷神で即刻帰国。

 

「彼処でも天然痘は流行してたみたいでな。ギャラハッドは日本の首都の天然痘患者を治してくるそうだ。まあ、この序でに日本とも交流を結べたら良いが、距離が遠すぎる。ギャラハッドの船は兎も角、普通の交易船では厳しすぎるな」

「そうですか。まあ、ギャラハッドがその国の特産品を持ち帰ってきてくれたら良いですね」

 

ワクワクと内心、ギャラハッドが日本の特産品を持ち帰ってはそれをホクホク顔で食べる自分の姿を想像するアーサー王であった。

 

 

 

一方のジパング。

 

首都 奈良こと都に隣接している和歌山の海辺。そこを1人の青年が鼻歌を歌いながら、釣竿を肩に担いでは歩いていた。彼は桃太郎とは異なり、腰に剣は提げていない。提げてるのは小さな籠であり、その籠の中にはアジを初めとした小さな魚が入っていた。この事から青年は漁師…或いは釣りでその日を食べる魚を釣り上げる釣り人なのだろう。

 

「今日も大量だ」

 

彼の名前は浦島太郎。後に悪ガキに虐められていた海亀を助け、海亀の導きで竜宮城に辿り着くことになる好青年である。なお、桃太郎や後の時代に現れる金太郎と比べるとそこまで強くない。強いて言うなら、心優しい位と海の中でも呼吸が出来る位だ。

 

そんな時だった。浦島太郎は竜宮城の前に、奇想天外な出会いをする事に成ってしまう。

 

「む?」

 

本日の漁を終えて、浦島太郎は帰ろうとした時だった。なんだか、海の気配が変だと。すると、海がざわつきだした。まるで何かに怯えてるようだと。

 

『覚えておけ…我々、変態は何処でも現れる。この世におパンティーと裁く悪が存在する限り!!』

 

次の瞬間…海が物理的に割れて、海底が露に成ってしまった。それは正に、神話に残るモーゼのように海が割れてしまったのだ。まるで海の底を渡り、新天地に向かえと言いたげにだ。

 

「海が割れちまったよ…」

 

有り得ざる現象を見てしまい、浦島太郎は唖然としてしまう。浦島太郎は割れた海を興味本心で見てしまう。すると、海が割れて明らかに成った海底を1人の男が…おパンティーを頭に被った変態が歩いて此方にやって来たのだ。

 

「わっ!?なんなんさ!?」

 

海は割れるは、海底をおパンティーを被った変態が歩いているはとツッコミ処は沢山だ。しかし、残念な事に浦島太郎にケイのようなツッコミの素質は皆無だった。やがて、おパンティーを被った変態は日本に上陸してしまう。そして、変態が上陸すると…割れた海は元に戻ってしまい何時も通りに戻った。

 

「そこの平たい顔族の青年よ……」

「えっ?あの…なに言ってるのかオイラはわからん」

 

しかし、変態が話す言語はフランス語。残念な事に浦島太郎達が日頃から使う日本語ではない。言葉は通じない。言語と言う壁がコミュニケーションを塞いでしまっているのだ。

 

「ふむ…フランス語が通じないか。ラテン語も同じだろう。

ならば…アブノーマルインストール!!変態は国境を文化を超えるのだ!!」

 

変態がフランス語でそう叫び、変態の被っていたおパンティーが黄金色に輝く。余りの眩しさに、浦島太郎は眼を瞑ってしまうが、光が止んで浦島太郎は眼を開けると…何事無く変態が立っていた。

 

「アブノーマルインストールはその国の変態パワーを解析し、その国の言語を習得することが出来る。ふむ…此処は日本と言うのか」

 

なんと言う事でしょう。目の前の変態は不思議な力で、この国の言語を覚えてしまったのだ。恐るべし変態、変態は国境を超える。優れた変態は世界共通と言うべきなのだろう。恐るべしアブノーマル。

 

「言葉が分かるのか?」

「私は不倫仮面。此の世に巣くう悪を倒すためにやって来た正義の味方だ」

 

流暢な日本語を話した変態。変態は自分の事を不倫仮面と名乗った。そう、この変態は我等がランスロットこと不倫仮面である。彼はこの日本から裁く為の悪の気配を感じ、遠路遙々ブリテンからやって来たのだ。

 

「金や権力に酔いしれ……少女をモノと勘違いする輩が居るようだ。そんな男達、そして悪事を働く輩は私が赦さん!!」

 

不倫仮面はそう叫び、地面を蹴っては逆ブリッジの姿勢のまま何処かに飛んで行ってしまった。不倫仮面が向かった先は、丁度…都の方であった。

 

 

 

奈良のとある神社。神社のお賽銭箱にはそこそこのお金が入っていた。つい先日、我等がギャラハッドが奈良県限定だが一先ず終息させた天然痘の被害。それを神頼みとして何とかしてもらおうと、多くの人々がお賽銭箱にお金を入れていった。しかし、世の中には常に居るのだ。どうしようもない悪党が。

 

「なあ、お賽銭がたんまりと入ってるよな?」

「ぐっへへ…真面目に働くのがバカらしいぜ」

 

彼等は野盗だ。なに、この御時世…戸籍が有るとは言え紙の記録だけだ。戸籍を偽る事もあるし、ろくでもない育ちをした子供はやがて略奪等を覚えて野盗に成ってしまう。そんな野盗の日常は決まっている。殺して奪うことだ。か弱い農民を殺したり、貴族の宝を強奪することだ。

特に、近年は天然痘が猛威を振るっていた為にパラダイスだった。貴族の館は警備が甘くなり、平民は資金をお賽銭箱に入れていく。たんまり貯まったお賽銭箱を強奪すれば、一気に大金が手に入るのだ。

 

いざ、お賽銭箱に手を伸ばす野盗2人。しかし、生暖かく柔らかくそして固い感触がだった。これは明らかにお賽銭箱の原料である木の感触ではない。

 

「それは…私のタマタマさんだ」

 

その声が聞こえ…野盗2人は顔を上に向ける。自分達の目の前にはおパンティーを被った変態…不倫仮面が堂々と立っており、野盗2人はブリーフ越しとは言え不倫仮面のおいなりさんを握っていたのだ。

 

「「イヤァァァア!!」」

 

変態のおいなりさん(隠語)を触ってしまい、野盗2人は女性のような甲高い悲鳴を叫んでは後ろに下がってしまう。

 

「多くの人々が幸せに成るためにお賽銭箱に入れたお金を奪おうとするなど、赦してはおけん!!成敗する!!」

 

だが慈悲はない。野盗は多くの人の祈りと願いを踏みにじった。今、正義の味方…不倫仮面の鉄槌が振り下ろされる。

 

「ふん!!はっ!!」

「「強い!?」」

 

不倫仮面は野盗2人を一方的に倒し、2人の頭を掴む。そして自分の股間に2人の顔面をぶつけてグリグリと当て付ける。

 

「成敗!!」

「「イヤァァァア!!イギィィィィイ!!」」

 

おいなりさんに顔面をグリグリとされた為か、野盗2人は意識を遠い世界に誘ってしまった。

 

倒れた野盗2人を離し、不倫仮面は空を見上げる。野盗は倒したが、まだ日本には彼が倒すべき悪が大勢居るのだ。不倫仮面に休んでいる時間はない、不倫仮面は腰をクネクネと振りながら次の現場に向かっていった。

 

 

 

 

都 平城京。

 

「此処にジパングの王様が居るわけか」

「王様じゃなくて、天皇様な?御門に呼ばれるなんて、どんな状況だよ!!」

 

桃太郎は嘆いた。桃太郎は確かに鬼を退治し、人々を救った英雄だ。彼は喋る最近ぽっちゃりとしてきた白柴犬 シロ、雉にしては筋肉質で走る速度は犬並みのルリオ、猿の柿助と共に鬼を討伐して日本に平和をもたらした。

しかし、それはそこそこ前の話であり、その報酬は既にもらっている。だが、ギャラハッドが都での天然痘を終息しだしてから再び桃太郎は呼ばれたのだ。天然痘を解決させたギャラハッド、キャストリア、アルクェイドの3人と共に。

 

「シロ、もふもふ!!」

「うげげ、アルクちゃんやめて。てか、この子鬼より強いんだけど…」

 

そして白いお供のワンちゃん。シロは我等が天使 アルクェイドちゃんの手で揉みくちゃにされていたのだった。

 

「今、平城京には近付きたく無かったんだけどな…」

「なんか、有ったのか?桃太郎」

「ああ、実はな…」

 

ギャラハッドの問いに答えるように桃太郎は教えてくれた。

現在、平城京はちょっとした皇族の4人の手で争奪戦が繰り広げられていると言われている。その争奪戦とは、かぐや姫争奪戦だ。

かぐや姫は当時の美的感覚(おたふく)とは異なり、平成や令和の世での美人と言える少女だ。しかし、その知的な振る舞いや美貌から多くの貴族の心を鷲掴み…その結果、皇族の血筋を受け継ぐ4人の貴族の手でかぐや姫争奪戦が行われたのだ。かぐや姫はまるで優勝トロフィーのように4人とかぐや姫の育ての親である翁から扱われ、翁も金と権力を手に入れてからは人が変わってしまったそうだ。

 

御門と翁が審判となり、始まったかぐや姫争奪戦。4人の貴族はかぐや姫へと豪華な宝を献上し、その宝は翁の手元に渡ってるそうだ。しかし、当時の貴族というのは平民出身の桃太郎と比べると世界が違うと言いたい程の権力と資金を持っており、莫大な富を翁に渡してるのだ。だが、決着は着かず…痺れを切らしたかぐや姫は4人の貴族にとある課題を与えた。

 

身や枝は勿論、根子までもが金銀財宝で出来た植物。蓬莱の珠の枝。

 

龍玉。

 

幻獣 火鼠の皮で造られた布。

 

燕の子安貝。なお、子安貝とは宝貝の事であり、この中では一番簡単だ。

 

お釈迦様が使っていた鉢。

 

この5つがかぐや姫ことアルトルージュが出した無茶振りだが、かぐや姫はこれをクリアした物と床を一緒にする(ようするに子作り)事が翁の決定で決まったのだ。

 

 

 

 

「貴公が異国からやって来た浪人か。感謝する…我が国の民を疫病の祟りから救ってくれた」

 

しかし、時間は流れてしまい。ギャラハッド御一行は御門…この時代の天皇と謁見してしまう。なお、この時代の御門は美形だが…顎が人より少し長かった。

 

「貴公。名を聞かしてくれまいか?」

「ギャラハッド。此処よりも遥か西に有ります、ブリテンという島国からやって来ました。此方はアルトリア・キャスター、私の部下であり宮廷魔術師でもあります。この幼子はアルクェイド、私の娘です」

 

胃がキリキリと痛む桃太郎を他所に、ギャラハッドと御門は何やら話を続ける。桃太郎にとって御門は本来ならば会えない程の人物…神にも等しいのだ。

 

「ほう!オリンピック?それは面白そうだ…」

「はい。良ければ見学だけでもいかがでしょうか?個人参加も受け付けてます」

 

この時、桃太郎は知らなかった。桃太郎、ジパング代表としてオリンピックに出場することを。

 

 

 

「くっ…異国の若造か…」

「新たな好敵手の登場か…」

「ふっ…だが、財力は我々の方が上だろう」

「ふふふ(なに、私は職人の手で蓬莱の珠の枝の偽物を造らせた。私の勝ちさ)」

 

とある広場に移動したギャラハッド御一行。そこは大きな庭を見渡せるように成っており、少し上がった壇上の所にはかぐや姫と老人…竹取りの翁が居たのだった。一方、彼等から離れた所には様々な金銀財宝を持ってきた4人の貴族が座っていた。

この貴族達は全員が歳は40代を越えており、当時の結婚観からすればギャラハッドと同年代の娘も居るだろうとは思われる。勿論、彼等はかぐや姫に求婚した4人の貴族である。

 

「ふむ…そこの君。君も姫を求めるのかな?」

 

かぐや姫の側に座る翁が告げる。

 

「いや、俺は娘居るし。観光が終わればブリテンに帰るし。未だ、後続の医者を育ててないのでパス」

「「「かぐや姫を嫁に欲しくないの!?」」」

 

ギャラハッドはかぐや姫を求めない。この事に、4人の貴族は驚く。そして、ギャラハッドは翁を見た。

 

「爺さん。悪いことは言わん。アンタ、内臓が弱ってるぞ。最低でも肝臓、胆嚢は確実だ。黄胆がでてやがる」

 

この黄胆という物が出ていればリンパは勿論、肝臓の機能が低下している状態を示してくれている。

 

「手遅れじゃなかったら、俺なら何とか出来るが…」

「ふん、戯れ言じゃろ。ワシは姫が皇族に嫁ぐまで元気でおるわい」

 

とギャラハッドの忠告を不定した翁。だが、翁の言葉を聞いてかぐや姫は表情を曇らした。

 

「しかし……宝はないのかの?」

「もってねーよ、爺さん。永久機関が欲しければ作るが、ブリテンと価値観が違うかも知れないしな。

宝物なんて、持ってても後を託した人が大事にしてくれなかったら埃を被りやがては壊れる。ちょっとまってろ…」

 

すると…ギャラハッドは庭に出ると、魔力放出を用いて音速で空を飛んだ。

 

「飛んだ!?」

「初めての人ってギャラハッドが飛ぶと驚きますもんね」

 

すると…5分後。

 

爆音と共にギャラハッドが帰還。しかし、その手には…

 

「グゥゥォォォオオ!!」

「おら、暴れるな!!このデカブツ!!」

 

立派な翼を持つ、二足歩行で暴れる青いドラゴンを捕獲していた。そのドラゴンは全長十数メートルは有り、ギャラハッドだから抑えられているが普通の人間ならば無理である。

 

「あー、例のお題にドラゴンが有ったけど…コイツでOK?」

「それより、宝を持ってこんか!!」

 

ギャラハッド。ドラゴンを捕獲するが、宝ではないので翁の一言でアウト。

 

「仕方ない。お前は家で飼うか。お前、バハムートね」

 

結果…そのドラゴンはバハムートと名付けられ、ギャラハッドのお宅で飼う結果に。

 

「バハちゃん。庭で大人しくしてろ、そうしないとメラゾーマ使うぞ」

 

ギャラハッドがそう言うと、バハムートは大人しくなり、庭に寝転がる。そしてギャラハッドは部屋に戻ってきた。

 

「ふふふ…私は言われた通りの宝を持ってきましたぞ!!」

「床の用意をせねばな!!」

 

しかし、とある貴族が既に宝を持ってきたのか…彼がかぐや姫とチョメチョメする権利をゲット。なお、この宝は偽物だとか。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

翁はウキウキだった。かぐや姫が貴族、それも皇族に嫁ぐのだから。これで自分の立場も安定である。

 

「ほう……貴公。父親として間違っているな」

 

だが、そこにおパンティーを被った変態…不倫仮面が現れる。

 

「誰だ!!」

「私は不倫仮面。2人の子供と1人の孫を持つ男だ。

話しは全て聞かせてもらったよ。父親として、一方的な価値観を子供に押し付けるでない。それは子供の為に成らんのだ!!」

 

不倫仮面はそう言い、構える。

 

「あの娘の気持ちを考えた事は?……ああ、無いだろう。私も嘗ては息子の幸せを赤子の時に奪った事があった。そんな私だからこそ、貴公のような間違った親は赦せんのだ!!

おいなりクラッシュ!」

「イヤァァァア!!」

 

先ずは1人を成敗した不倫仮面。

 

 

 

「私は不倫仮面。正義を執行する。数多の人を騙し、自分の娘と変わらぬ娘をフシダラな関係に持ち込もうとした貴様を赦さん!!スピニングファイヤー!!」

「イヤァァァア!!」

 

成敗!!完了!!

 

 

 

一方のかぐや姫。

 

「抜け出して良かったの?てか、フランス語分かるんですね」

「ええ。それにしても、このラーメンは美味しいわね」

 

屋敷を抜け出して、ギャラハッド御一行が泊まってる桃太郎の家でギャラハッドの作った夕飯を食べていた。




変態ヒーローは最低、あと3人出てきます(笑)

次回…日本を観光するギャーさん。


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ギャーさんの日本観光

月姫リメイクの多少のネタバレ解禁の2週間が経ったので言います。

現在のアルクェイドちゃんの外見イメージはエコアルクことロリアルク(リメイク)。

成人したアルクェイドは過去アルク(リメイク)です


「パパ!!見て、カワウソちゃん居る!!」

 

日本滞在最終日。ギャラハッドはキャストリア、アルクェイド、そして鬼退治の英雄こと桃太郎とそのお供達と共に日本観光を行っていた。日本には多くの自然が残っており、未開拓の所が多くのこっている。川の水も透き通っており、そのままで飲めそうだ。しかし、そんな川の水はいくら綺麗だとしてもそのまま飲んではいけない。川の水は生活排水を流してる場合もあり、場合によっては人のピーやピーも流れてる場合があるのだ。

 

そんな日本だがこの時代は奈良時代。ギャラハッドが前世で過ごしていた平成から令和の時代と異なり、未来では絶滅した動物も過ごしている。その1つが…

 

「くゅー!!」

 

このアルクェイドにだっこされたカワウソだろう。ニホンカワウソ、イタチを更に可愛くしたような哺乳類であり人懐っこい(ブラジル在住オオカワウソは除く。あれは最早、プレデター)のが特徴だ。未来では間違いなく絶滅したと言われており、度々生存説が挙げられて騒がれるが…その度に誤報だも告げられて悲しくなる動物だ。

 

「パパ!!もって帰って良い?」

「良いんじゃね?但し、最後まで面倒を見ることな」

 

アルクェイドちゃま。パパであるギャラハッドの言葉に頷き、ニホンカワウソを持ち帰る事を決意。勿論、最後まで面倒を見ることが条件だ。ペットは最後まで責任をもって世話をしましょう。途中で投げ出して逃がしてしまえば、アメリカザリガニやブラックバスのように日本を制圧してしまいかねないのだ。

 

 

 

 

「おい、桃太郎。なんだ…あのポニーは?」

「ポニーってもんは知らないけど、日本の馬だよ」

 

日本の馬は小さい。ギャラハッドが日頃から良く知る馬は大陸由来やブリテン島に住んでいる馬…後のサラブレッドであるが、日本に元から住んでいる馬は小さいのだ。

この馬は木曽馬。小さくてずんぐりしており、正にポニーと言いたげだ。サラブレッドと比べると走るのは遅そうであり、最高速度も短距離ならば成人男性に負けてしまいかねないだろう。

 

「俺達は日頃からアレに乗ってるのさ」

「お前達がオグリ、ギンシャリボーイとかを見たら腰抜かしそうだな」

 

なお、余談だが桃太郎は後にブリテンにやって来た時にオグリインパクトやギンシャリボーイを見て腰を抜かすのは余談である。

 

 

 

 

「大きな建物ですね」

「此処は東大寺。天皇陛下が御作りになられたお寺で、疱瘡を沈めるために大仏が祀られているのさ」

 

次にギャラハッド達がやって来たのは東大寺。後に世界遺産に登録される事になる歴史的なお寺であり、此処には未だ建造途中とは言えあの東大寺の大仏が有るのだ。勿論、危なくてギャラハッド達は大仏が作られている現場には立ち入ることが出来ない。入れるのは東大寺の一部だけなのだ。

 

「完成したら見に来たら良いさ。凄いぞ?」

 

ギャラハッドのような医療に関する未来知識を持った人が居なかったら、天然痘やペストのような致死率の大きい病は正に悪魔や悪い神様のように扱われたのだろう。だからこそ、人々は神々に助けを乞うためにこうして大仏等を祀っては神頼みしか無かったのだ。

 

 

 

 

「ふははは!!息子よ!!孫よ!!君達も日本観光かね?」

 

だが…その時だった。ギャラハッド達の耳に我らがアイツの声が響く。すると、ギャラハッド達の前におパンティーを被ったあの男が現れたのだ。

 

「不倫仮面…ただいま見参!!」

 

しかも見事に流暢な日本語を話してだ。不倫仮面ことランスロットは相変わらず、ほぼ全裸で履いてるのはアミアミタイツと肩まで引っ張り上げて交差させたブリーフだけ。頭にはお決まりのおパンティーを被っており、彼は腰をクネクネさせている。

 

「おいおい、なんなんだ!?あの変態は!?」

 

桃太郎はギャラハッドとキャストリアに問うが、2人は答えない。キャストリアは優しくアルクェイドの目を隠し、ギャラハッドは大楯の四次元空間から何かを取り出した。それは…

 

「マダオ。取りあえず、クタバレ!!」

「なにわ!?」

 

人間が担いで移動しながら撃つことが出来るように、ギャラハッドが開発した携行式大砲…ざっくり言うとバズーカである。このバズーカは後にヤーナムで採用されており、ルイ・シャルルは左手一本で軽々と持ち上げて使っている。

バズーカから放たれた砲撃は不倫仮面の腹部に直撃し、不倫仮面は大ダメージを受ける。しかし、不倫仮面はギャグ補正の塊。こんな砲撃ではダメージを与えることが出来ない。

 

「ぐふ…いきなりバズーカ放ちますか?息子よ…」

 

だが…おパンティーを被った変態ヒーローには1つ弱点が存在する。それは…

 

「おパンティーを没収する!!」

「ぐっ!?辞めなさい!!私からおパンティーを奪うつもりか!?」

 

被っているおパンティーが頭から離れ、本来の姿…トゥルーフォームに戻ってしまえば変身前のスペックに戻るのだ。ギャラハッドの手でおパンティーを奪われた不倫仮面はマダオ ランスロットに戻り、大幅に弱体化。その結果…

 

「やっやめ…ほんげーーー!!」

 

ギャラハッドの拳で倒されてしまったのでした。

 

マダオを飛雷神でブリテンに強制送還。こうして、ギャラハッドの日本観光は終わった。

 

今回の戦利品。ジャポニカ米(日本のお米)、ニホンカワウソ(アルクェイドのペット)、超龍バハムート(アルクェイドのペット)、粟やキビ等の穀物、梅やアケビに栗等の果物とその木。そして不倫仮面のおパンティー。

 

「王様。こちら、薩摩芋を用いたスイートポテトで御座います。更に此方は栗を用いたケーキ、モンブランで御座います」

「うまし!!ギャラハッド…おかわりを要求します!!」

 

我が王は美味しい料理のレパートリーが増えて、ご満悦であったとか。




次回!!ギャーさんには色々とやらねば成らないことが多すぎる!?

「医療の学校作ったり、各国の為の料理とか…色々有るな」

後任の医者を育てるための医学の学校作ったり、オリンピックの為のレシピ考案!?

ギャーさん「ゼルレッチ。キリシタンって肉行けたっけ?」
ゼルレッチ「イエス・キリストは肉食ってたぞ。だが、禁欲派は食わん物が多いな」
ギャーさん「えっ?じゃあガウェインみたいに動物性タンパク質は卵、タンパク質はプロテインと大豆から?」
ゼルレッチ「ベジタリアン…と言うよりビーガンに近いな。酒も飲まん。
イスラム圏内は豚肉は無理だな、彼等は鶏肉や牛肉は構わん。しかし、イスラム教はお祈りの時間があるからの…それも考慮せねばな」
ギャーさん「立川の聖人…ワイン飲んでたよな?」



因みにギャーさんは生き物が生きるためには、他の生き物の命を頂くと言う考えがあるので、ビーガンに説教されたら逆に説教をして…頂きますと御馳走様の意味を教えるのだとか。


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オリンピックに備えて

我等がギャラハッドのお陰で技術革命が次々と起こり続けているブリテン。特に首都キャメロットはインフラが完成し、トイレは全て水洗トイレとなり、電気が通って夜でも灯りが灯っている。学校も無事に完成し、今日も多くの子供達が通っては沢山の事を学んでいる。だが、ギャラハッドにはどうしても、どうしても、自分が死ぬ前に絶対にやらないといけない事が存在していた。

 

「えー、では此処までで何か質問はある人は居ないか?」

 

それは医者のスキルや知識を身に付ける為の医療学校を作る事だ。ギャラハッドはその母体となる医療学校を作り、キャメロットは勿論…様々な土地の医者を招いては医療の講義を行っているのだ。ブリテンの医者のスキルアップは急務であった。だが、この時代では「えっ?病気?血を抜いたら治るだろ?」「よし、水銀を飲もう!!」なんて事を言い出すような時代だ。まあ、ブリテンではギャラハッドが真っ先に医療革命を食事革命と共に起こした為に水銀を薬として服用する間違った知識は直ぐに薄れた。

 

だが、ギャラハッド1人が優れた医者であってもギャラハッドが死ねばブリテンの医学は再び停滞してしまう。ギャラハッドは自分がいつか死ぬことを見越して、ブリテンの医者のスキルアップ、医者の卵を医者にランクアップさせる医学学校の設立を急いだのだ。

 

「よし、質問はないな。それじゃあ、脱水症状に陥った場合の対処法を教えるぞ。先ず経口補水液の作り方だが、水1リットルに対して黒糖と食塩をこの比率でいれてくれ」

 

黒板に脱水症状に陥った場合の対処法、そして経口補水液の作り方を教えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「お腹を空かせた青年達とオッサン連中よ。待ちに待った試食タイムのお時間だ」

「「「イェェェェエイ!!」」」

「いや、お前達…喜び過ぎじゃね?」

 

オリンピックには食事も勿論…大事だ。美味しく、栄養の揃ったご飯を食べてこそ選手は力を発揮できる。だが、全ての国の食文化が共通しているという訳ではない。イスラム地域では豚肉は食べることが出来ず、菜食主義者は肉は食べないし人によっては牛乳さえも飲まない。それ以前に国の根付いた料理の文化によって、好みの味が大きく異なる場合があるのだ。例えば、一切辛い物を食べてなかった人が辛い物を食べれば嫌悪感を示すように、国や民族によって食べられる物とそうでない物が異なるしオリンピックは様々な国の人々が集まる。そこでギャラハッドは考えた、やってくる様々な国の皆様に喜んでもらう為にタダ飯に餓えたモルモット(円卓の皆様+オッサン連中)に様々な物を試食して貰うのだ。

 

但し、ギャラハッドが国際行事のオリンピックに向けて大真面目に考えたレシピの為に味は不味くない筈である。だが、国や宗教の文化の為か食べられる物が違うためか様々な物を作らなければ成らない。だが、円卓の皆様は美味しい物が食べられるぞと言えば快く参加してくれる。そこでギャラハッドは円卓の皆様にご協力をお願いしたのだ。

 

では、本日集まった暇人の皆様を紹介しよう。

 

ゲテモノ担当、旅先で美味しいと思ったのはローマで食べたカタツムリ料理。ベディヴィエール。昆虫食だろうが、ゲテモノだろうが何でもござれ。最近のマイブームは蜂の子。

 

野菜担当、最近ハマってるのは馬鈴薯に合う新たな調味料 マヨネーズとチーズ生成の際に序でに作られるプロテイン。筋肉野菜ゴリラの異名を誇るベジタリアン、ガウェイン。現在、ギャラハッドにプロテインの味のフレーバーを増やすのを依頼中。

 

女性に目がないぺリノア。なお、オリンピックでは各国から女性が集まるためか…カタツムリとか牡蠣とか精力の着くものを食べて英気を養っている最中。なお、キャストリアにナンパするのはもう諦めた。

 

メガ盛り担当パーシヴァル。本人も最近はギャラハッドを見習って料理をするが、若い子や子供達は沢山食べるべきだと思い、ついついメガ盛りに仕勝ちである。

 

「ギャラハッド。美味しい料理を待ってますよ」

 

オリンピックに備えた試作品。それは国外から集う選手や国賓の皆様に振る舞う料理の試作品であり、その美味しそうな料理を想像してはガウェインは微笑む。なに、自宅からマヨネーズとオリーブオイル、ドレッシングという三種の神器は持ってきた。楽しみで楽しみで仕方がないだろう。

 

「その事だけど。ブリテンと食生活が似てる国へ向けた試作品(マジで旨いヤツ)は王様とアルちゃん、アルクェイドに食べて貰った。なのでアンタ達に食べて貰うのは少し実験的な側面があるぞ。

禁欲的なキリスト教の人達は肉を食べないし、イスラムの人達は豚肉を食べないし、国々によって趣向や好きな味覚が異なるからな。ほら、昔のローマだって広すぎる故か属州によって料理とか異なるだろ?そう言うこと」

 

現代日本やブリテンでは主に我々が美味しいっと感じる料理が美味しい。だが、国が違えば料理や味覚の価値観が大きく異なるのだ。ある国では全く肉料理は食べないし、ある国では酸味が強い料理が人気だし、ある国では甘いものは未知の領域だったりと様々だ。

 

「成る程…ですが、その国々の方々の好みや食文化に合わせてると言う事ですね。つまり、我々の舌に合うかなんとも言えないと」

「そう言うこと」

 

なのでベディヴィエール達の好みに合うかどうか分からないのだ。まあ、ベディヴィエールは昆虫食全般は大丈夫であり、ガウェインは野菜関係なら問題なく頂けるだろう。

 

「そして、これがアンタ達に食べてもらう物だ」

 

ベディヴィエールに食べてもらう物。カイコのサナギの素揚げ、イナゴの佃煮、チョウザメのステーキ、キャビアのフランスパン添え、カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)。

 

「ふむ…栄養は有りそうですね。カイコは糸を紡ぐ他にも食用にも出来るのですか」

 

ガウェインに食べてもらう物。ライスペーパー(お米で作った薄い生地のような物)で野菜を巻いた生春巻、味噌スープのフォー(お米の麺で作った麺類)、大豆100%ハンバーグ、トルティーヤチップスとサルサソース。

 

「こっこれは…玉ねぎとトマト等を使った野菜のソース!?マヨネーズに継ぐ、新たな調味料の神器ですか!?」

「サルサソースですけど」

 

パーシヴァルに食べてもらう物。ニジマスのムニエル、生春巻(此方はエビの切り身等をしようした)、カレイの煮付け、クリスピーポーク(皮のある豚肉をグリルでこんがりと焼く)、ビーフストロガノフ、パエリア。

 

「生春巻って本来は蒸したエビとか入ってるのか」

「入ってますよ。ガウェインが食べる方はベジタリアン向けだけど」

 

そして…ぺリノアに食べてもらう物だが…何故かどれも精力に効くものばかりであった。焼牡蠣、牡蠣のフライ、ジェノベーゼパスタ、カボチャの煮付け、そして海蛇をウオッカに浸けた海蛇ウオッカであった。

 

「……なんか、精力回復関係ばっかだな」

「「「えっ、最近…経たないって言ったじゃん」」」

 

なお、生牡蠣は食中毒の恐れがあるために自然界の毒が一切効かないギャラハッドとアルクェイドちゃんが美味しく頂いたとか。

 

 

 

 

 

その頃、ブリテンの何処か。

 

アーサー王の姉であるモルガンは頭を抱えていた。モルガンはアルトリアを失脚させ自分がブリテンの女王と成るために色々と策を巡らしていた。自分からアーサー王の所に向かったガウェインとガヘリスにガレスは兎も角、アグラヴェインとモードレッドは元々アーサー王を失脚させる為の手駒だった。

しかし、アグラヴェインは王に忠誠を誓い離脱。モードレッドも結果的に王に忠誠を誓い、気が付けばガウェインの妹として第二補佐官として充実した日々を送りまくる始末。

 

そして気が付けば降臨した円卓の麒麟児 我らがギャラハッドのお陰で見事に全ての目論みは潰えてしまった。ギャラハッドが次々と文明革命を起こすために、痩せていた土地は充実し医療も進歩してブリテンは医療&農業大国と進化してしまい、ギャラハッドが広めたサッカーだか野球だとかのスポーツも広まり子供達も楽しく過ごす。

 

「まさか…ヤツがあれ程の男だとは」

 

ギャラハッドが広めたラーメンとやらをすすり、嘆くモルガン。あれだ、どうやってもギャラハッドに勝てる未来が見えない。まあ、ラーメンが美味しいから良しとしよう。

 

モチモチとしたコシのある縮れ麺がスープに絡み、モルガンの頬っぺたは落ちそうになる。

 

対ギャラハッドの為に送り込んだ妖精達に座に登録された円卓の騎士を宿した妖精騎士はギャラハッド……ではなくおパンティーを被ったランスロットの前に完全敗北。気が付けばギャラハッドの手でアイドルデビューしてるし、どうしてこうなった。

 

そんなモルガン様の家には、デフォルメされた妖精騎士の人形が飾られており、発売されたレコードは全て買っている。妖精騎士のファンクラブ会員No.1桁台にモルガン様は居るが気にしてはいけない。

 

「だが、私は必ずアルトリアを超えてやる。失脚は諦めた、無理だ」

 

しかし、モルガン様には最近ハマっている事がある。それは

 

「必ずや、テニスとバトミントン、卓球でお前達を倒してやるぞアルトリアにギャラハッド、そして円卓よ!!」

 

テニスとバトミントン、卓球であった。モルガン様はアーサー王失脚は諦めた。今の彼女の野望はオリンピック出場である。




ガウェイン…サルサソースを新たな神器に加える。後日、サルサソースはブリテンの小売店で販売され、ガウェインがモードレッドと共に箱買いしてるのが目撃される。

次回!!オリンピック代表選考会!!

「テニス代表は私ですよ!!」
「ただ、ひたすら鍛練を重ねた私の……モルガンスマッシュを受けてみろ!!」

「「「あれ?モルガンってこんなキャラだっけ?」」」

キャストリアVSモルガン様……テニス勝負!?


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テニスの王女様 序

テニヌには未だ成らないよ?


初代国際オリンピック実行委員長ギャラハッド主催による、ブリテン代表選考会。それに参加する為にモルガンはオークニーにある居城を旅立つ。

 

「外出するのは実に久し振りですね」

 

テニスラケット、バドミントンラケット、卓球ラケットが入ったラケットケース。そして数日分の着替えと練習着が入ったボストンバッグを担ぎ、モルガンは城を後にする。

選考会は未々時間がかかるが、オークニーはブリテンの北東にある島々。先ずはブリテン本土に向かわなくてはならない。その為には定期船に乗るか、魔術で飛んでブリテン本土に向かわなくてはならない。だが、此処で1つモルガンにとって想定外の事を言っておこう。

 

ブリテン国は常にギャラハッドの手で毎日変化し続けている。そう、ケイとアグラヴェインが胃潰瘍を発症する程に毎日…物凄い速度で変化し続けているのだ。

 

「国鉄?オークニー駅?数ヶ月前にはこんなの無かったぞ?」

 

モルガンはオリンピックの事をラジオで知った際、日々の時間を球技の鍛練に注ぎ込んできた。買い物等を夫や従者の人々に任せていたのでモルガン様は知らないことであったが、いつの間にか国鉄とやらが開通していたのだ。

 

国鉄。それは未来では常識の交通網として普及している鉄道の事である。鉄道と言うのは非常に便利な交通網だ。レールの上を蒸気機関や電力で動く列車が通行し、誰かが線路に飛び込んだり、想定以上にスピードを出さなかったら事故は先ず起きない。その上、軽いエネルギーで長距離を移動できるので物質の運搬が可能なのだ。

 

『運搬とかに馬車や荷台付きの自転車で荷物を運ぶのは時間がかかるな。良し、鉄道を開通させよう』

 

そして国鉄が出来たのはギャラハッドのお陰である。

しかも恐ろしい事にギャラハッドのムチャ振りに付き添われてきた優秀なブリテンの職人の皆様の技量は既に限界突破している。職人の皆様はギャラハッドの設計図を既に形にするだけのスキルを手に入れており、あっという間に線路と汽車と電車は完成したのだ。

 

汽車は蒸気機関で動く、言わばSLの事だ。既に蒸気機関の原理は古代ギリシャの時代に考案はされており、ギャラハッドは未来知識と組み合わせ…蒸気機関でタービンを回して発電しつつ、蒸気機関の力と電気で汽車を動かす今で言えばハイブリット汽車を発明。

 

電車は電気の力で動く列車の事だ。ギャラハッドは生ゴミ問題を解決する為に発明した、生ゴミをエネルギーにする生ゴミ発電を応用し…生ゴミで出来たガスをガソリンのように用いて発電して動くエンジンを開発。そのエンジンで動く生ゴミ電車も開発したのだ。

 

そして現在1つしか存在しないがアークリアクターで動く王室専用電車もあるとか。

 

 

鉄道の発明。それはブリテンに夜明けをもたらし、交通網と物量を加速させたと行っても過言ではないのだ。

 

「ギャラハッド…本当に恐ろしくて有能な子」

 

国鉄オークニー駅の前に立ち、モルガン様は唖然として苦笑いを浮かべてしまう。だが、定期船に乗らずに列車で移動できるのならば座ってるだけで選考会が行われるキャメロットに到着できるので楽チンと言えば楽チンである。

 

「しかし…どうやって汽車とやらに乗れば良いのだ?」

 

モルガン様はかれこれ数年間。オークニーから出たことはない。なので最近出来たばっかりの国鉄の乗り方は勿論、切符の買い方も分からない。モルガン様、人生初めての経験だったのだ。

 

駅の入り口と思われる所には制服を着た駅員が立っており、彼等が駅の構内に入る人達から切符を拝見している。そして切符を見せて許可を貰った人々は駅の構内に入っていく。どうやら、駅に入って列車に乗るためには切符を買う必要が有るようだ。

だが、此処で立ち止まってても仕方がない。モルガン様は勇気を振り絞り、駅員に話し掛ける事にしたのだ。

 

「そこの者。キャメロットに行きたいのだが、切符とやらは何処で買えば良いのですか?」

「キャメロットですか?そこに切符売り場が有りますので、そこで買ってください。キャメロットまでは距離が有りますので寝台列車を利用してもらう必要が有ります」

 

鉄道が完全に普及したばかりの日本でも、東京から大阪でも朝に出て夜に着くのは当たり前。東京から九州まででも次の日に到着することが常識だったのだ。

ブリテンの北東に位置するオークニーから、首都であるキャメロットは今から出発しても1日かかるのだ。だが、馬車では数日以上かかっていたオークニーからキャメロットまでの道のりが僅か1日に短縮されたのは非常に有難い。空いた時間を利用してキャメロットの練習場で、最後の調整を行うこともライバルとなる乙女や野郎達の情報収集も行う事が出来るのだから。

 

「ふむ…寝台列車ですか」

「はい。ですが、寝台列車は宿泊施設も兼ねてますので料金は高いです。通常運賃と宿泊料金として部屋ごとに異なる料金を頂く事になります」

 

だがキャメロットに向かうための寝台列車を利用するためには別料金が発生する。先ずオークニーからキャメロットまでの運賃…距離が距離の為か運賃だけでも結構取られそうである。更に寝台列車は宿泊する所も存在しており、その宿泊施設の利用料金も取られてしまうのだ。

 

「オークニーからキャメロットまでの運賃は13セステルティウス(1万3千円)。宿泊料金は部屋によって異なりますが、スイートルームで14セステルティウス(1万4千)、2人部屋は10セステルティウス(1万)、上等な1人部屋は7セステルティウス(7千円)、1人部屋は5セステルティウス(5千円)と成ります。

一番安い料金プランとしては雑魚寝の部屋があり、此方は運賃だけで利用できます。ですが、他の人が隣同士にいるような感じですね」

 

一番高いスイートルームは日本円に換算すれば1万4千円。二人部屋は1万円。上等な1人部屋は7千円、1人部屋は5千円。そして雑魚寝の車両には運賃だけでご利用できると言う料金プランである。

 

「宿泊する際の食事は部屋によって異なるのか?」

「いえ。食事はレストラン車両でとってもらいます。そこは車両自体がレストランやカフェバーと成っており、お好きな物をご注文できますよ。勿論、お弁当も販売してまして宿泊部屋や自由席で座って景色を眺めながら食べて頂くのも出来ます」

 

なお、宿泊プランと食事は一切関係ない。レストランやカフェバーと成っている車両で料理を注文して食べたり、お弁当を購入して自室や自由席の車両で景色を眺めながら食べることも出来るのである。

 

「ふむ。分かりました」

 

そしてモルガン様は切符を購入。勿論、お金は有るのでスイートルームを選び、モルガン様は寝台列車に乗ることにしたのである。

 

いざ、駅の構内に入り列車がやって来るホームにやって来たモルガン様。だが、彼女は危うくそこで腰を抜かしかけてしまったのだ。

 

「なっ…なんなのだ!?あの鉄の巨大な竜は!?あれが列車と言うものなのか!?」

 

汽車に乗るためのホーム。そこでは巨大で長い列車がモルガン様を出迎えた。竜や大蛇と思っても無理は無いだろう、なにせギャラハッドが提案するまでこのような代物は幻獣種でしか有り得なかったのだから。

 

ポッポ~ーー!!

 

汽車の汽笛がホームに鳴り響く。

 

「ただいまより、寝台列車 キャメロット方面行きの乗り込み手続きを始めます。お乗りのお客様はご乗車お願いします」

 

アナウンスが鳴り響き、モルガン様は汽車に乗り込んだのであった。

 

 

寝台列車のスイートルーム。そこはそこそこの広さをしており、ベッドやソファー、シャワールームにトイレも完備された部屋であった。客室では唯一、冷蔵庫も完備されており冷蔵庫の中には瓶ビールや瓶詰めされたジュースも入っていたのだ。

 

「此処がスイートルームか。しかし、移動するホテルと考えたら立派な物ですね」

 

ソファーに腰掛け、モルガン様はスイートルームの車窓から見える景色を眺める。未だハイブリット汽車は発車してないが、車窓からは少し離れた町に出掛けるだろう…子連れの家族が反対側のホームで列車を待ちながら何やら話をしていた。

 

「家族ですか…」

 

モルガンの息子と娘は今、王都キャメロットで円卓の騎士として活躍している。連絡は一切取ってないし、向こうも取りたいとは思わないだろう。

 

「む?」

 

モルガン様はある事に気付いた。それはスイートルームのテーブルに、今朝の朝刊が置かれていたのだ。どうやら、サービスとして置いてくれたのだろう。

オリンピックの代表選手と成ることを決意した日から鍛練を積み、ギャラハッドが考案したニュースを発信する新聞など読んだことがなく、興味本位でモルガン様は新聞を手に取る。

 

『ギャラハッド卿の愛馬オグリインパクト、念願の無敗の三冠馬に!!ライバルだったテイエムドトウ(騎手 ゼルレッチ様)を打ち破り、世代最強を証明する!!』

 

『モードレッド卿、特徴的な鬣(リーゼント)が特徴の愛馬 ハリボテバンチョーで、重賞初勝利!!G3ウーサーステークスの次は、念願のブリテンワールドカップか!?』

 

『ガウェイン卿のギンシャリボーイ。スタートで痛恨の出遅れ!!120億の馬券が紙クズに変わる!!

ギンシャリの馬券を買ったケイは『ギンシャリ…立ち上がるのが速すぎるんだよ!!』とコメントを残しており、開幕早々寿司ウォークを繰り出してスタミナが無くなったのが敗因かと思われる』

 

モルガン様は馬券は買わないが、競馬の欄もしっかりと見る。何故なら妖精騎士の情報が載っている可能性が有るためだ。

 

「ほう、ガウェイン。120億事件か」

 

息子の失態を鼻で笑い、モルガンはページを捲る。

 

そうしてると、再び汽笛が鳴り響き…寝台列車はブリテンに向けて発車した。

 

 

 

「優雅で良いものですね。汽車の旅は」

 

優雅にギャラハッドがブリテンに新たに持ち込んだ珈琲とやらを呑みながら、モルガン様は車窓から景色を見て優雅な一時を過ごす。だが、モルガン様はブラックコーヒーのスッキリとした味わいと苦味が苦手だったのかミルクと砂糖をたっぷりいれてもらってカフェオレにしてもらって呑んでいる。

 

 

「此方…本日のおまかせディナーです」

「おおう!!」

 

食堂車ことレストラン車両では食事も取ることができ、モルガンはそこで優雅におまかせディナーを注文。出てきたのはライス、トンテキ、サラダ、ニジマスのムニエル、コーンポタージュと言った有り様であった。

 

「うまい!!」

「国鉄のメニューは食堂車もお弁当も含めまして、全てギャラハッド卿が考案してくれております」

 

モルガン様…食堂車のご飯に御満悦。

 

「夜の景色も絶景だな…」

 

スイートルームに戻り、購入したアイスクリームを食べながら車窓を眺める。車窓からは夜の自然、そして満天の星空が眺める。満天の夜景、そして美味しいアイスクリームを食べる…なんて幸せな列車の旅だろうか。

 

 

 

選考会当日。

 

キャメロット運動球技公園テニスコート前。

 

「ケイ先生エントリーしないのか?」

「しねーよ。おっさん嘗めんなよ。俺はお前達みたいに若くないんだよ、水泳自由形の代表だけで充分だわ」

「いや、アグラヴェインが先生をサッカー代表と野球代表にエントリーしてたけど」

「アグラヴェイン!!お前、球技嫌だからって俺に投げるな!!」

 

そこではギャラハッドとケイが受付を行っていた。彼等が受付しているのはテニスブリテン国代表選手を選ぶ選考会の受付であり、男女含めて多くの選手が既に立候補しているのだ。

男女混合ダブルス、男女混合シングル、男女別シングルの受付を行っている。その中でギャラハッドはキャストリアとペアを組んで男女混合ダブルスにエントリーしており、円卓の皆様も多くが自由に好き勝手にエントリーしてるのだ。

 

「ギャラハッド。今、円卓で何人がエントリーしてんの?」

「男女混合ダブルスは俺とアルちゃんペア、ベディヴィエールとバゲ子ペア、ガウェインとモードレッドペア。

男女混合シングルはモードレッドとボールス、ぺリノア、アルちゃん。

男女別シングルは俺とケイ先生、アグラヴェインを除いたほぼ全員」

「円卓…暇人ばっかだろ」

 

オリンピックで目立ちたいのか、円卓の皆様は好き勝手にエントリーしている。しかし、アグラヴェインは団体競技である野球とサッカーにはエントリーしてないとか。

 

「あとマーリンも何かに出たいって言ってたから()()()()にエントリーさせた」

「…ギャラハッド…その種目って?」

「アイアンマンレース。だって、誰もやりたがらないし」

「……聞かなきゃ良かった。まあ、マーリンざまぁ」

 

話ながら受付を行うケイとギャラハッド。その時だった…

 

ゾワリ…ととんでもないオーラをギャラハッドは感じる。オーラを感じ、オーラの方を見ればテニスラケットを右手に持った美女がゆっくりと此方に向かって歩いてきたのだ。

 

その美女はアルトリアを大人の美女にし、ポニーテールにしてそこそこ巨乳にしたような美女…そうモルガンであった。

モルガンはピンクのポロシャツ、黒いショートスカートという勝負服を纏い、受付を行っているギャラハッドとケイの前にやって来た。

 

「私はモルガン。代表選考会にエントリーがしたい。全てのテニスの種目が希望だ」

「モルガンさんですね。だけどダブルスは相方が要るんだよな」

 

そう、ダブルスに出るためには相方が必要だ。その為か、ふむ…と考え込むモルガン様。

 

(なんでモルガン此処にいんの!?てか、代表に立候補してるの!?)

 

一方のケイは冷や汗をかきながら唖然としている。

 

「じゃあ、コイツ」

 

モルガンはケイを指差した。つまり、ケイ先生はモルガン様からダブルスの相方に指名されてはしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこうなるのぉぁぉおお!!」

 

コートに響くアラフォーの階段を突き進むケイ先生の叫びが響く。ケイ先生の手にはラケットが握られており、準備万端であった。

 

「ふん!!」

 

そんなケイ先生の後ろではモルガン様が華麗なサーブを放ち、サーブは高速回転がかかってるのかスライダーな変化球を起こし、見事に相手のコートに突き刺さる。

 

モルガン様の代表を目指す戦いは始まったばかりだ。

 

 




次回!!テニスの王女様

モルガン様の戦いが過激を増していく!!

なお、ギャラハッドの鉄道制作記録はテニスの王女様が終ってから。


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幕間 笑ってはいけない、ブリテン観光2016 その1

活動報告で出した宣言通り、笑ってはいけないです。ガキ使ロスですわ


時系列。衛宮立香が呼び出した最強のサーヴァント グランド・セイバーorタイプアースことギャラハッド、そしてギャーさんと愉快な仲間達の手で魔術王(自称)が起こした人理焼失がRTAのような速度で解決されてから少したった頃。

 

イギリスと東京都立川が諸事情で人理焼失の影響を受けなかった為か、イギリスと立川限定で神秘がバレバレと成ってしまった。もっとも、魔術協会が騒ぐ前にギャーさんとゼルレッチが時計塔を黙らせたのは言うまでもない。

 

「あの……ねえ、ギャラハッド。本当にやるの?てか、私の話は聞いてないか」

 

衛宮立香ことぐだ子は苦笑いを浮かべていた。彼女の視線の先では彼女が最初に呼び出した最強のサーヴァント ギャラハッドが笑みを浮かべながらイギリスのテレビ局と話をしていたのだ。

 

「それじゃ、当日はそのような流れで」

「分かりました!!ギャラハッド陛下!!」

 

笑ってはいけない。仕掛人ギャラハッドの手で完全始動。

 

「マスター。ちょっと、俺は出かけるぞ」

「何処に行くの!?」

「今回のターゲットを捕獲してくる」

 

ギャラハッドはそう告げ、飛雷神で消えた。

 

 

 

 

収録当日。

 

イギリスの首都ロンドン。そのロンドンの駅前の広場には私服姿の男女が5人集まっていた。いや違う。この5人は好きで集まったのではない。ギャラハッドの手でノリと勢いで今回の笑ってはいけないメンバーに選出されてしまい、数日前にギャラハッドの手で確保されてしまい、半分はイヤイヤで強制参加させられる事に成ったのだ。

 

「絶対、ろくでもない事だな。間違いない」

 

そして、その中にはギャラハッドの実質的な父親(物事や教育という事から見れば)とも言える我らがグレートティーチャー ケイも混じっていた。

人理焼失という危機をギャラハッド含むチート軍団の手でRTA的な速度で7つの特異点を踏破し、人理を復活させた彼等は各々好き勝手……人様の迷惑にかけない程度に過ごしている。ケイだってその1人であり、ケイは人理修復を成し遂げた後はカルデアや旧首都キャメロットを拠点にして過ごしていたのだ。なお、ギャラハッドは冬木、キャメロット含むイギリス全土、立川、様々な場所に出現する……まあ、彼は生前に仕込んだ自動召喚システムのお陰かこっそり歴史に介入した事が有るためか世界各地で目撃情報があるとか。ギャラハッドだから仕方がない。

 

「笑ってはいけない……か」

 

遠い目をして白髪の男がそう言った。彼の名前は衛宮士郎。英霊としての名前はエミヤであり、クラスはアーチャー。此処とは異なる並行世界の出身であり、ゼルレッチ曰く「基本的にデジャブるの起きた世界線に居った奴」との事である。

なお、この世界では彼は産まれない。この世界の彼は一般ピーポーとして過ごしているので、この世界で英霊エミヤは誕生しないのだ。

しかし、アーチャーは近代…それも現代社会の英霊。なので笑ってはいけないがどんな代物なのかを知っているし、大晦日はマスターの実家でガキ使を見たことがある。なお、アーチャーのマスターはギャーさんのマスターの妹であり…そう言う事だ。

 

「尻を叩かれるのは確定か。タイキックと方正ビンタは嫌だな」

 

遠い目をして正義の味方はそう言った。なお、エミヤは人理修復を終えた後は衛宮一家の家政婦兼正義のヒーローとして冬木で過ごしてるとか。

 

「ギャラくれるって聞いたから来たけどよ。どんな企画だ?」

 

青い髪の全身青タイツの青年がそう言った。彼の名前はクー・フーリン。御存知、アイルランドに伝わる最強の英雄の一角だ。だが、この世界ではどういう訳か異なる。何故ならこの世界のクー・フーリンは別名…茂フーリンorリーダーと呼ばれており、YARIOと呼ばれるアイドルユニットを引き連れた農夫なのだ。

アイルランド最強の英雄と呼ばれる方のクー・フーリンはゼルレッチ曰く「デジャブるの世界」の英霊…つまり9割の世界線の存在だ。この笑ってはいけないに参加したクー・フーリンはそのアイルランド最強の英雄の方であり、茂フーリンと区別する為かランサーと呼ばれている。なお、茂フーリンの方の息子 コンラはグランド・ランサーでありギャラハッドからは筋肉バカと呼ばれてるとか。

ランサーは人理修復を終えた後は、立川の松田ハウツで暮らしている。家賃3万ワンルーム風呂無しのバイト暮らしである。

 

「終わったわ…あのタイプアースに捕まるなんて終わったわ」

 

死んだ目に成ったのはメガネ属性を得た虞美人。なお、現代では芥ヒナコという偽名を使っており、ぐだ子からはぐっちゃん先輩、ギャーさんからはヒナコor真祖(笑)と呼ばれている。現在はカルデアと立川の松田ハウツに暮らしてるとか。

 

「終わった。死ぬときはデッケェーおっぱいに包まれて、優しい香りで死にたかったな」

 

ヒナコと同じく、死んだ目に成ってるのは円卓のド助平ナイト ボールス君。女湯を覗こうとし、不倫仮面の制裁を何度も受けるのは勿論。アルクェイドが高校生程に成長して巨乳に成った後も覗きを行おうとして…フル装備ギャラハッドとキャストリア二人掛りで半殺しにされた事も多々あるおっぱいナイトである。

なお、ボールスは知らないが今回の方正枠である。ビンタ、確定だ。なお、ボールスは未婚で生涯を終えたとか(ベディヴィエールとパーシヴァルは結婚しました。2人の奥さんは本編で明らかに)。

 

この5人は広場の中央に立てられた日本語で「此処で待て」と書かれた看板の前で待っている。季節は冬であり、もう少し寒くて天気が悪ければ雪が降ってきそうな寒さであった。

 

「しかし、進行役は誰かね?」

「ああ、僕だ」

 

ロンドン駅の方から進行役と思われる人物がやって来た。その人物はカルデアに協力した人物ならば誰だって知ってる。彼はロマニ・アーキマン。カルデアの医療部門のトップであり、カルデアのマスター達をサポートし続けた男だ。

 

「おっ、ドクター」

「全員揃ってるね。それじゃあ、ルールを説明するよ」

 

ロマニはケイ先生率いる愉快な5人組に笑ってはいけないのルールを説明してくれた。

 

1 原則的に笑ってはいけない。もし笑うと、暇をもて余していた百の顔のハサンの皆さんがお仕置き棒でお尻をフルスイングで叩いてくる。

 

2 開始はロンドン駅でスタンバイしてる王族専用列車(開発者ギャラハッド)に乗車した瞬間にスタート。終了時刻は明日の午前10時のチェックアウトまで。

 

「まあ、ざっくり言えば一泊二日…笑いの刺客から耐えて笑わなかったら良いだけさ。笑うと……こうなるよ」

 

もし…笑ってしまうと…

 

「まっ待ちなさい!!私が何をしたと言うのだ!!」

 

何かに怯えるぺリノア。そして…

 

「るんるんるーん!!お仕置き!!お仕置き!!お仕置きだー!!」

 

怖いぐらいの笑顔を浮かべたアルクェイド(肉体年齢18歳)がお仕置き棒を素振りしながら現れた。長い髪を揺らしながら、アルクェイド……世界最強のロイヤルファミリーはぺリノアに近付く。

 

「せーの…ぶいにゃのだ!!」

「うんギャァァァア!!」

 

アルクェイドのフルスイングなお仕置き棒の一撃を受けて、ぺリノアは一撃で倒れた。

 

「まあ、ケイおじちゃん達はハサン達だから安心してね?100分の3の確率で、パパ、筋肉バカ、ルイが叩きに来るかもしれないよ」

「安心出来るか!!グランド・セイバー、グランド・ランサー、グランド・フォーリナーの尻叩きを受けたら脱腸するわ!!」

 

そしてケイ先生達は覚悟を決め、ロマニの案内の元で王族専用列車に乗り込んだ。

 

 

 

「よし…手筈通りだな。ふふふ、道中も笑いの刺客は襲ってくるぞ」

 

国会議事堂から再びキャメロット城に移された円卓の椅子。その13席にギャラハッドは座り、パソコンを操作して笑いの刺客の皆様に指示を出すのだった。




ベディヴィエールとパーシヴァルの奥さんって誰と誰なの?本編には既に出てますよ、2人ともね。

そしてケイ先生達は何回、尻を叩かれるのか!?

なお、タイキックはナレースワン大王(ムエタイの開祖)に蹴ってもらいます(愉悦)



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幕間 笑ってはいけない、ブリテン観光2016 その2

遂にキャメロットに到着(笑)


王族専用列車。御存知、ロイヤルエクスプレスとも呼ばれるブリテン時代から続く王族専用の電車だ。

 

動力源は大昔にギャラハッドが作ったアークリアクターを動力源としており、無限にエネルギーを産み出しては運行する。とは言え、王族専用の電車なのでよっぽどの事は無い限りは運行しないのだが、今回はイギリス政府もノリノリなのか現存するロイヤルファミリー最高齢+最強のアルクェイドがノリノリで貸し出してくれた。

 

「まさか、現世に呼び出されてからロイヤルエクスプレスに乗ることに成るとはな」

 

「電車の旅も悪くないな。しかし、ビールは無いのか」

 

「これ…アーサー王の時代から有ったんでしょ!?あのタイプアース、やっぱりやベーわ」

 

「俺、何気に乗るの初めてだ」

 

そんなロイヤルエクスプレスに乗り込み、一列に座った参加者の皆様は告げる。因みに上からエミヤ、ランサー、ヒナコ、ボールスである。

 

「俺は生前に何度か乗ったけどな」

 

ガタンゴトンと揺られ、ケイは昔を思い出しながらそう言った。当たり前だがケイは生前から我らがギャーさんに振り回されてきた。繁栄した国で正しい治世と統制を行った妹、息子同然の問題児であるギャーさんと関わり続けてきた胃痛持ちはギャーさんが計画した今後の展開を思い、早々に胃を抑え出す。

 

ピンポンパンポーン!!突如として車両アナウンスが流れ出す。

 

『本日はイギリス王室御用達のロイヤルエクスプレスに御乗車して頂、まことにありがとうございます。等列車はロンドン発、終点キャメロット行きで御座います。道中、2つの駅に寄りますのでお楽しみ下さい』

 

どうやら、ロイヤルエクスプレスは2つの駅に途中停車するようであり、笑いの刺客が襲ってくるとすればその駅に寄った時であろう。

 

「電車の中は安全そうだな」

「油断するなランサー。此処は既にギャラハッドの領域だ、彼奴が何を仕掛けてるか分からんぞ」

 

ガキ使を見たことが無いのか、安全だと過信するランサー。そしてガキ使を生前含めて何度も見ていたエミヤは何が起こるのか分からず、心構えを決める。

 

『では本日のお客様をご紹介します。先ずはエントリーNo.1!!イギリスの伝説的君主 アーサー王の義兄であられるケイさんです』

「おっ、俺達の紹介か?」

『生前から競馬にはまり、ギンシャリボーイ、シンボリルドルフ、ディープインパクト、ロイヤルインパクト等の有力馬しか賭けないチキンさんなんですよね~だから、エリザベス女王杯を見事に外して300万が消えるんですよ』

「おい、ちょっとまてぇぇぇ!!なんでそれを知ってるんだ!!」

 

すると次の瞬間…ケイ達の正面、向い側の座席の後ろの車窓が通電してモニターに変化。そしてモニターに馬券を握り締め、ムンクの叫びと成ったケイの隠し撮り写真が写し出されたのだ。

 

「俺、あの時…写真撮られていたのか!?」

「ブッフフ…」

 

なお、笑ってしまった虞美人ことヒナコ。すると…

 

『デデーン。ヒナコ、アウト』

 

何処から麻婆豆腐が大好きな愉悦神父の声が響く。どうやら笑ってしまうと、愉悦神父のジャッジが入り愉悦神父の手で宣言されてしまうようだ。そして、笑ってしまったヒナコにお仕置きを行うためか…隣の車両からお仕置き棒を持ったハサンが入ってきた。

 

「ぐえっ!?」

 

ズゴン…凄い打撃音がインパクト共に響いた。お仕置き棒はゴムとスポンジ製であり、今…立川でちょっとしたブームと成ってしまったスポーツチャンバラで使われている物と非常に似ている。だが、柔らかいゴムとスポンジで出来ているとは言え、痛いものは痛いのだ。

 

「普通に痛いわよ」

「まあ、スポーツチャンバラでも防具とか着てるしな。当然だ」

 

尻を痛がるヒナコ、そして冷静に告げたエミヤ。

 

『えー、続きましてエミヤさんですね。エミヤさんは此処とは異なる並行世界の英霊ですね。お料理が得意との事で、今は冬木でマスターのイリヤちゃんのお宅で、家政婦さんとして過ごしているとの事です』

「私か」

 

次はエミヤの説明が行われた。

 

『しかし!!その正体はだっさい私服で街中で買い物を楽しみ、夢の国ではタンクトップにサングラスと言ったコスチュームで徘徊し…イリヤちゃんから荷物を持って!!と頼まれれば、イリヤちゃんのリュックを背負い…夢の国を満喫する見かけ倒しmuscle不審者です!!』

 

車掌がそう告げた瞬間…向い側の窓が通電し、2枚の画像が浮かび上がった。1つは長袖の服(無印ステイナイトの士郎の服装)で冬木のデパートで買い物を行うエミヤの写真。もう1つは、ミッキーマウスの絵柄が書かれたタンクトップを着込み、サングラスとマスクを装備し…背中には可愛らしい小学生物のリュックを背負い、リュックは少し開いていて…そこからは可愛らしいダッフィーの人形が顔を覗かせていた。

 

muscle(筋力D)…ださい私服で夢の国を満喫する!!

 

「何処で撮ったのだ!!」

「ブフッフ!!」

「これは酷い!!」

「もっと他の服有ったでしょ!!」

 

『デデーン。全員アウト』

 

勿論、笑ってしまえばお尻をハサンの皆様に叩かれてしまう。お尻を叩かれてしまい、このメンバーの中ではもっとも耐久力の低いエミヤは痛そうにお尻をさする。

 

だが、エミヤのこれは序曲でしかなかった。

 

『この時ですね。エミヤさんは「やめてくれ!!」マスターのイリヤちゃん、イリヤちゃんのお姉さんの立香さん、立香さんのお友達である秋葉さん、秋葉さんの使用人である琥珀さんと翡翠さん、立香さんや秋葉さんのサーヴァントであるギャラハッド先生、筋肉バカ、蘭丸くん、沖田さん、アルトリア・キャスターさん、そして私とディズニーランドに行ったのですが』

「止めるんだ!!晒さないでくれ!!」

 

エミヤは懇願する。だが、残念な事に…モニターの画像が切り替わり、そこにはエミヤと共にディズニーランドを楽しんでいるギャラハッド達の写真が写し出されたのだ。

エミヤは当日、ギャラハッド達と共にディズニーランドに訪れていた。エミヤが共にディズニーランドに行ったメンバーは自分のマスターであるイリヤや立香共々、数合わせ+金銭絡みでカルデアに召集されて人理修復の為に立ち向かった少女達だ。もっとも、その1人は10年以上前にロア(アルクェイドとは会っていない)の転生体に選ばれ…自動召喚されたギャラハッドに助けられてゼルレッチの指令でカルデアに潜伏していた不死身の少女も混じってるが。

 

「こうしてみると、エミヤの私服のダサさが際立つな」

「ノォォォオオ!!」

 

全員笑ってしまいましたが…お楽しみ下さい。

 

エミヤが当日…自分だけファッションのレベルが低すぎるのを思い出したのか…項垂れた。

エミヤは御存知、タンクトップとマスクにサングラス。

イリヤちゃんは水色のシャツと青色のドレスを合わせたコーデ。

ぐだここと立香は黒いショートスカート、白いTシャツに赤のパーカー。

ギャーさんは黒いコート、赤いチノパン、コートの中は青色のARTSシャツ(立川とイギリスで好評発売中。又の名をコマンドカードTシャツ)。ARTSシャツのお陰か、ダサく見えるがスタイルが良いためか着こなしている。

キャストリアは青色のパーカー、白いシャツ、水色のスカート。

 

そして人理修復RTA編のネタバレと成るが、立香がカルデアで出会った友人達もファッションが良かった。

 

貧乳(平たい胸族)で黒いロングストレートの少女 遠野秋葉。彼女は元々、財閥一家の出なのだが…月姫世界線(ゼルレッチが吸血鬼となり、人理否定)とは異なりfate世界線(人理肯定)の影響なのか…人外との混血である彼女の実家は大破産!!その結果、借金返済の為にカルデアの数合わせのマスターとして参加したのだ。彼女はサーヴァントとして筋肉バカ、森蘭丸(男の娘。なお、この世界出身)を使役している。

 

筋肉バカ。この世界のコンラであり、茂フーリンがスカサハに逆レイプされて誕生したギャーさんレベルのバグキャラ。クラスはグランド・ランサー。ケイ先生不在時のツッコミ係り。

 

森蘭丸。通称、蘭丸きゅん。男の娘であり眼帯ボーイ。なお、この世界の織田信長は小栗旬に似ている男性であり、ギャーさん達からサブローと呼ばれてるとか。クラスはセイバー。

 

琥珀さんと翡翠ちゃん。秋葉の使用人。秋葉に着いてきて人理修復に参加。なお、翡翠ちゃんはサポートメンバーでありマスターではない。琥珀さんは色々と素でヤヴァイヒトである。なお、キャストリアと顔が似ている。

 

沖田さん。琥珀さんが呼び出したサーヴァント。クラスはセイバーであり、どういう訳かアーサー王とキャストリアと同じ顔をしている。なお、病弱である。

 

そして10年以上前に自動召喚されたギャラハッドが救った訳ありの不死身少女 エレイシア。なお、カルデア潜入時は一時的にシエルというコードネームを名乗ってた為か、ぐだ子からはシエル先輩と呼ばれている。なお、戦闘力は並みのサーヴァントなら一方的に粉砕できる。

 

美男美女の軍団に囲まれて、ただ1人だけタンクトップにマスクとサングラス。しかもマスターから頼まれたとは言え、長身マッチョ(筋力D)が女の子物でダッフィーが顔を出したリュックを背負う。違和感、バリバリだ。

 

『デデーン。全員、アウト!!』

「アーチャー…あの服装はないわ」

「黙れランサー!!私が持っていたファッションで、夢の国に行けそうなのが有れしか無かったのだ!!」

 

アーチャー、BBCの手でファッションセンスの無さを指摘される。そして全員、お尻を叩かれた。

 

『えー間も無く停車します。間も無く停車します』

 

すると、ロイヤルエクスプレスは停車駅に到着したのか停止した。

 

「恥ずかしい暴露は俺とエミヤだけか」

「いや、それは分からんな。しかし、次は誰が来るんだ?」

 

停車駅に停車し、扉が開くロイヤルエクスプレス。すると、駅のホームから日本の学ランを纏った白髪の人物がやって来た。

彼はカドック。カルデアの元最強チーム(ギャーさんのお陰で元最強)であり、最強のマスター8人で結成されたクリプターと呼ばれるAチームの1人であった。

 

「学校に行きたくないよ…受験が恐いしよ」

 

溜め息を吐き出したカドック。どうやら彼はネタの為か、不登校の少年を演じるようだ。

 

「川島。どうして学校に来ないんだ?」

 

すると、今度はジャージ姿に身を包んだ最強の先生 ケイローンがやって来たのだ。

 

「先生。俺、受験が恐いんだよ。俺だけボーダーギリギリだし、受かる自信がないんだよ」

 

カドック演じる川島くんは受験に不安を抱えており、不登校に成ってしまったのだ。

 

「川島…受験が恐いのは皆一緒だ。お前だけじゃない。キリシュタリアも、皆が不安を抱えてるんだ。勿論、先生だってそうだ!!」

 

ケイローン先生はカドックを励ますようにそう言った。

 

「クラスの皆はお前と一緒に高校も通いたいんだ。そして皆はお前がもう一度学校に来てくれるのを待ってるんだ。だから、学校に来ないか?」

「皆が…俺を?」

 

カドックの言葉にケイローンは頷く。すると、カドックは嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「先生…俺、目が覚めたよ。俺、学校に」

 

学校に行くよ。そう言おうとしたカドック。だが、言葉を遮るようにケイローン先生のビンタがカドックを襲う。

 

「ひでぶ!?」

「ぶふ…」

 

※笑ってしまいましたが…お楽しみください。

 

「先生、俺、学校に」

 

もう一度言おうとしたが、再びケイローン先生のビンタで言葉を遮られてしまう。

 

「先生、だから学校に行き」

 

再びケイローン先生のビンタが炸裂。

 

「先生…俺…目が覚めたんだ。だから今日からちゃんと学校にい「甘えるな!!川島!!」ひでぶ!!」

 

そして…強烈なビンタが炸裂し、カドックは倒れてしまった。

 

倒れたカドックの胸ぐらを掴み、ケイローン先生は凄い剣幕で告げる。

 

「手を差しのべてくれるのが仲間だろう!!川島!!ちょっとこい!!」

 

ケイローン先生はそう告げて、カドックを引き摺りながらロイヤルエクスプレスの外に出ていった。

 

「川島!!学校にいくぞぉぉぉ!!」

 

『デデーン!!全員アウト』

 

全員がお尻を叩かれ、ロイヤルエクスプレスは再び発車した。

 

「全く、マスター達も仕掛人とはな」

 

未だ始まって1時間も経っていない。なのに何度かお尻を叩かれてしまい、エミヤは今後の事を思ってか溜め息を吐き出してしまう。

 

すると、なにやら撮影スタッフ達が隣の車両から現れ、ケイ達の前になにやらスタンドマイクをセットしたのだ。

 

「なんだ?漫才でも始まるのか?」

 

『まもなく停車駅に停車します。間も無く停車駅に到着します』

 

そして流れる停車の案内。どうやら、次の駅で現れる刺客と関係が有るのかも知れない。

 

『目指すは…M-1優勝。エルサレムとインドが産んだミリオンスター。立川のお笑い芸人…パンチとロン毛!!』

 

その音声が流れた瞬間、ロイヤルエクスプレスは停車し、扉が開く。それと共に2人の人物がやって来た。

 

1人はパンチパーマ…ではなく螺髪と呼ばれる髪型をしており、大仏と何処か似た細身の男性。Tシャツにはシッダールタと書かれている。

 

もう1人はジョニー・デップに似た細身の男性。Tシャツにはヨシュアと書かれている。

 

この2人は立川でバカンスをしており、居るだけで立川の人理焼失を防いでしまった救世主のサーヴァント。悟りし者 仏陀、神の子 イエス・キリストである。なお、ヒナコとランサーより先に松田ハウツに暮らしていた先輩でもある。

 

「なんで2人が出てくるんだよ!!」

『デデーン!!ランサー、アウト』

 

そしてランサーはお尻を叩かれてしまった。

 

「イエス。今年のM-1は本気で優勝を目指そう!!」

「そうだね、仏陀。だけど、私達…予選にも未だ出れて無いんだよね。テレビもBBCと立川TVしか出れてないしね」

「それはそうと、どーもどーも!!パンチとロン毛のパンチの方でーす!!」

「私はロン毛の方でーす!!」

 

そんなイエスと仏陀はパンチとロン毛というお笑いコンビを結成しており、人理焼失事件前から地元立川のラジオに出演したりと、浅いながらも芸歴を積み重ねて来たのである。

 

「でもね、仏陀。私ね、M-1を目指すのも良いけど…他の事も目指したいんだ」

「R-1とかあるもんね」

「この前、アルクェイドちゃん、G1で欧州+日本でのクラシック無敗完全制覇してたけどね」

「ロイヤルインパクト強かったね。それはそうと、イエス…何を目指すんだい?音楽ネタ?それとも…」

「バラエティーに呼ばれやすくする為に、体当たりネタをやってみたいんだよ」

 

イエスはそう言うと、何かを取り出した。それは虫籠で、その虫籠の中にはクワガタが入っていたのだ。

 

「クワガタは昔からの鉄板だよ」

「だけどイエス。それをやると、ウリエルさんがクワガタを根絶やしにしちゃうよ。ちょうど、そこに体を張ってくれそうなお兄さんが居るよ」

 

仏陀はボールスを指差してそう言った。そんな仏陀に指差されたボールスは困惑するような顔をするが、事は進んでいく。

 

「お兄さん…ちょっと見本を見せてくれないかな?」

「えっ?俺!?」

 

そしてイエスは虫籠からクワガタを取り出して、ゆっくりとボールスの鼻に近付ける。するとクワガタは牙を開き、ボールスの鼻を思いっきり挟んだのだ。

 

「イデデェェェェ!!マッママァァァア!!」

「何がママじゃあ!!」

 

ボールス。余りの痛さに、ママァァァアと叫びながら泣き叫ぶ。

 

『ケイ、エミヤ、ランサー、ヒナコ、アウト』

 

「ママは余りにも卑怯やぞ、このおっぱい魔神!!」

 

そしてボールスは鼻の激痛。他のメンバーはお尻を叩かれてしまった。

 

「なるほど、リアクションはそうやってするんだね!!でも、仏陀…私達にはやっぱり無理そうだね」

「そうだね、イエス。それより、今日は旅行を楽しもう!!」

「そうだね」

 

そしてパンチとロン毛はロイヤルエクスプレスを後にした。

 

そして…ロイヤルエクスプレスは終点キャメロットに到着する。これが、真の地獄の始まりだとは知らずにだ。

 

 

 

 

 

「こちら、ギャラハッド。ターゲットがキャメロットに到着した。引き出しネタの準備とタイキックは出来ているな?」

 

「ふんふんふん!!ふっ、脚も温まっている」

 

ホテルの裏側。其処ではムエタイの開祖(ナレースワン大王)がタイキックの素振りを行っていた。




次回…引き出しネタ。なお、蝶野枠はアチャクレスです


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幕間 笑ってはいけない、ブリテン観光 2016 その3

引き出しネタ


午前9時。ようやく、ケイ達…笑ってはいけないの参加者5人はロマニの案内で宿泊するホテルにやって来た。宿泊するホテルは外国の要人やセレブも利用する高級ホテルであり、そのイベントルームを宿泊部屋としてスタジオ改装した部屋を使うことに成ったのである。

 

「良くできてるな」

「まあ、キャメロットは世界文化遺産に町ごと登録されている。だからイベントルームをスタジオのように改装して、特別な宿泊部屋にしたんだろうな」

 

御存知、キャメロットは町全てが世界文化遺産に登録されている。家やマンションを建てるにしても、国の許可を取らないといけないし、学校やホテルの改装も国の許可が必要なのだ。

其処でギャラハッド率いるスタッフは考えた。パーティーイベント等で使う大きめなイベントルーム。そのイベントルームの中でも小さめな所をBBCと立川テレビの協力の元で、スタジオ設置の要領で宿泊部屋に改装。その結果、人数分の机と椅子、そして半分は寛げる畳の和室の寛ぎスペースと成ったのだ。嬉しい事に和室の寛ぎスペースにはコタツもある。寒いブリテンにはピッタリと言えるだろう。

 

「一先ず…荷物置こうぜ」

「そうね」

 

ランサーの提案で、先ずは荷物を部屋の片隅に置いたケイ達。一先ず…ケイ達はロマニから2時間の休息を告げられており、2時間後は食事前の運動が待っているのだとか。

 

「おい、あの机…俺達の名札が置かれてないか?」

 

ふと、荷物を置き終えたケイが何かに気が付いた。それは人数分の並べられた机にはケイ達の名札が置かれており、どうやら座席指定されていたようだ。それに、机には『絶対に2時間の休憩中に机の引出しを開けるように。ギャーさんより』と置き手紙が置かれていたのだ。

 

「…つまり、開けろと言うことかね?」

「だな。一先ず…座るか」

 

そう、ギャラハッドの指示で座席指定されており、更に休憩中の2時間の時間内に全ての引出しを開けて確かめないといけないのだ。

 

そしてケイ達は一斉に思う…

 

「「「「ぜってぇぇぇ、この引出しの中に仕掛けがある!!」」」」

 

と。そう、この2時間の休憩は唯の休憩ではない。休息なんて名ばかりの、仕掛けを用いたお笑いタイムなのだ。そして、その笑いのネタの大半はこの引出しの中に隠されており、引出しを引けば笑いの地獄が始まるのである。

 

ちなみに席順は奥からランサー、ヒナコ、ボールス、エミヤ、ケイと成っている。

 

一先ず…指定された席に座るケイ達。だが、試練は此処からである。先ず、誰から引出しを開けるのかだ。

 

「ランサーから行けよ。奥から順番にな」

「おう…開けるぞ」

 

ケイの提案により、ランサー→ヒナコ→ボールス→エミヤ→ケイと開けていく。

 

そしてランサーが引出しを開けると、そこには袋に包まれたハンバーガーが入っていた。

 

「ハンバーガー?」

「触った感じどうよ?」

「ハンバーガーだな」

 

ランサーは包み紙を剥がし、ハンバーガーの匂いを嗅ぐ。匂いだって普通のハンバーガーであり、至って普通のハンバーガーだ。

 

「味は…どうかね?」

 

エミヤに言われ、ランサーはハンバーガーを食べる。至って普通のハンバーガーであり、美味しいのかランサーは笑みを浮かべる。

 

「うん!!うめぇな。マクドのハンバーガーと変わらねぇよ。肉も多分牛肉だな」

 

ハンバーガーを食べ終えたランサーは包み紙をくしゃくしゃに丸め、ゴミ箱に投げ捨てる。投げられた包み紙は見事な放物線を描いてゴミ箱に入った。

 

「ランサー…それだけかね?」

「いや、DVDも入ってるな。それも2枚」

 

ランサーの引き出しには他にDVDが2枚入っており、ランサーはそのDVDを机の上に出した。ちょうど、部屋にはDVDレコーダーがあり…テレビでそのDVDを観ることが出来るようだ。

 

「今、観るか?」

「後にしろ。先ずは引出しが先だ」

 

DVDは後回しにして、先ずは引出しを片付けることにした御一行。

 

「私ね」

 

ヒナコはそう言って引出しを開ける。すると、引出しの中にはボタンが入っていたのだ。

 

「ボタン?」

 

そのボタンは赤色のボタンであり、ヒナコは試しにボタンを押してみる。

 

『デデーン。ヒナコ…アウト』

「笑って無いわよ!!」

 

なんと言う事でしょう。ヒナコの机の中に有ったボタンを押すと、笑ってないのに笑った扱いにされてお仕置きされてしまうようだ。

 

「はーい。見事にお前は100分の3に当選しました」

「出やがった!!タイプアース!!」

 

すると、部屋にお仕置き棒を持ったギャラハッドが飛雷神で瞬間移動してきたのだ。

 

「ちょっと、おっぱい魔神!!お前もボタンを押せよ!!」

「何でだよ!!」

 

ゆっくりとヒナコにギャラハッドが近付くなか、ヒナコはボールスの手を掴み、ボールスの手でボタンを押す。

 

『デデーン。ボールス、アウト』

 

なんと言う事でしょう。ボタンを押した人物が問答無用にアウトに成る仕組みであり、ボールスは唖然とする。

 

「ふぁ!?」

 

「ふんふん!!」

「ぎっ!!」

「ほんげ!?」

 

ハサンの皆様より強烈なギャラハッドの振るうお仕置き棒のフルスイング。それを受けて、ヒナコとボールスはお尻を押さえてしまい、痛そうな表情をする。

 

そして、ギャラハッドは飛雷神で消えた。

 

「もう、これは封印よ、封印!!」

 

ヒナコは引出しの奥深くにボタンを封印した。

 

「次は俺だな」

 

ボールスは引出しを開ける。そこには1枚の写真のパネルが入っていた。しかし、パネルは裏側に成っており、何が写っているのかは分からない。そして、ボールスは閃いた。

 

(これ、上手く使えば俺以外…笑わせられるんじゃね?)

 

このパネルの表面にはきっと、笑いを誘う何かが描かれているのだろう。そこでボールスは閃いた。このパネルの表面を皆に見せ、自分は裏面だけを見る…そうすれば自分は笑わず、他の者を笑わせてお仕置きさせる事が出来るのだ。

 

「皆…これを観てくれよ!!」

 

ボールスは嬉しそうにパネルの表面を全員に見せる。

 

「?何がしたいのよ、ボールス」

 

「いや、その子は誰かね?」

 

「少なくとも俺達の知り合いじゃないな」

 

「ボールス。お前の知り合いか?」

 

だが、ケイ達の反応は思ってたのと違う。

 

「なんだよ、笑いの仕掛けの筈だろ?」

「少なくとも俺達をターゲットにした物じゃないな。ボールス、お前をターゲットにしたんじゃないのか?」

 

取りあえず、パネルの表側を確認するボールス。その瞬間、ボールスはパネルを机に叩き付けて機嫌が悪そうに嘆いた。

 

「もぉぉお!!こんなのありかよ!!くぅぅそぉぉぉ!!」

 

パネルの表面には日本人の可愛らしい女性が写っており、ボールスは思うところが有りすぎるのか髪をグシャグシャして少し慌てていた。

 

「いや、どうしたの?」

「違う!!違うんす!!あ゛ぁぁぁあ!!」

 

パネルに写った女性を見てからボールスは明らかに様子が可笑しい。

 

『あー、テステス。こちら館内放送のシエルです。皆さん、ロイヤルエクスプレス以来ですね』

 

と、そこでロイヤルエクスプレスでの車掌をやってくれていた人物の声が聞こえる。エミヤは分かっていたが、その人物はカルデア潜入時のコードネームはシエル、本名エレイシアであった。

 

「エレイシア。この子とボールスって関係あるのか?」

 

なお、エレイシアの事を本名で呼ぶのはギャラハッド等のイギリスorブリテンのロイヤル関係者。シエルと呼ぶのはカルデアでシエルと関わった人物達である。

 

『はい!!ケイ大先生。私達は人理焼失が始まってから、残った立川やイギリスの人々を元気付ける為にロケを行ったり、番組に出てたり、人々と交流してたじゃないですか』

 

シエルの言葉を受けてケイ達は思い出す。人理焼失中、残ったのは東京都立川、そしてイギリスだけだった。そんな中で、呼び出されたサーヴァントや人々と関われたマスターの皆様は立川やイギリスの民間人の不安を取り除くために、彼等と積極的に交流を持った。

 

「ああ、特異点を解決しても次の特異点を特定し、レイシフトするまで時間が空くしな。俺もBBCでのインタビューを受けたり、ボランティア活動してたしな」

「私は炊き出しで料理を振る舞ってたよ。イギリスは兎も角、日本は食品の大半を輸入に頼っている。立川だけでは食料に限りがあるし、物流も停まるからね」

 

勿論、ケイやエミヤも積極的に人理焼失を免れた民間人と交流を持っていた。

 

『実はですね。このパネルの女の子は……ボールスがロケで訪れたパンケーキ屋さんの店員さんなんです。

ボールスは店員さんから強引に連絡先を交換してもらい、積極的に連絡を取ろうとしてたんです』

 

シエルから告げられた事実を受けて、ケイ達は白けた視線をボールスに向ける。

 

「違うんですよ!!」

「エレイシア。詳細」

『はい。店員さんからクレームを受けた私はイギリス王室専属工作員として、調べました。ボールスさんはしつこく、何度も何度もメールを送ってましたね。これはもう、愉悦麻婆豆腐ですね。デデーン、ボールス…愉悦麻婆!!』

 

その瞬間…

 

部屋に1人の神父が現れた。その神父は冬木の聖杯戦争で召喚された()()()()()()()(ネタバレなので未だ言えない)から啓示?を受けて、悪に苦しみを与えて愉悦を楽しむ愉悦ヒーローと成った賞金稼ぎ兼激辛料理店 中華料理泰山の店長を務める中年 言峰綺礼神父…通称愉悦神父である。

 

愉悦神父の手の上には真っ赤な麻婆豆腐が皿に盛られており、あれを1口でも食べれば間違いなく激辛で喉が焼かれる。それを本能で察したボールスは逃げ出そうとしたが、あっと言う間に愉悦神父に捕まえられ…口を強引に開けられてしまう。

 

「違うんですよ!!俺じゃない!!ファァァア!!」

 

ボールスは涙めに成って逃げ出そうとするが、逃げられない。そんなボールスの様子を見たケイ達は笑ってしまい…お尻を叩かれてしまった。

 

「デデーン。ケイ、エミヤ、ヒナコ、ランサー、アウト」

 

ここに愉悦神父が居るためか、彼はスピーカーを使わず直接ジャッジを告げた。

 

「いて」

「げっ」

「ひぐ!!」

「げぇ!?」

 

「さてと…懺悔の時は来たぞ?」

「ヒッヒィィイ!!」

 

そして愉悦神父はボールスの口に麻婆豆腐を流し込み、ボールスの叫びが部屋に響いたのだった。

 

「次は私かね」

 

次はお待ちかねのエミヤ。エミヤが引出しを開けると、そこには1枚の地図が入っていた。

 

「これは…宝の地図か!?」

 

宝の地図と手紙が入っていた。手紙にはこう書かれている。

 

「なになに?キャメロットは世界遺産であり長い歴史がある町。なので多くの宝物が埋まっており、それはこのホテルも例外ではない」

 

と書かれていたのだ。

 

「今…行くべきか?」

「そうだな、全員で行くか。俺の引出しを調べてからな」

 

ケイの引き出しを調べてから、エミヤの引き出しに入っていた宝の地図を頼りに宝さがしを決行。地図を見てみると、部屋から出て直ぐに宝が有るようだ。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

ケイは引き出しを開ける。引き出しには1枚のプレートが入っていたのだ。ケイはそのプレートを引き出しから取り出して、部屋の中央に置いた。

 

「またもや、プレートか」

「ああ、裏返すぞ」

 

ケイは息を呑み、プレートを裏返す。そのプレートの表側は………

 

「これアカン!!」

 

「悪意しかないだろ!!」

 

『デデーン。全員、アウト』

 

それは巨乳グラビアアイドルの顔をアグラヴェインの顔にすり替えた、アイコラ画像であった。

 

そして、お尻を叩かれた御一行。だが、彼等はお尻の痛みに耐えて、エミヤの引き出しに入っていた宝の地図を頼りに宝探しに出掛ける。

 

「此方だな」

 

地図が示すには部屋を出て右に曲がり、そのまま進むと不自然な男子トイレが有ったのだ。

 

「男子トイレ?」

 

その男子トイレは不自然そのままであり、言うならばセットのハリボテだ。第一、世界文化遺産に登録されたキャメロットのホテルでトイレの増設はそうそう出来ず、これは恐らくだがセットのトイレだろう。

 

「ぬゅゅぉぉおお」

 

すると、トイレからなにやら声が聞こえる。

 

「えっ?なになに?」

 

何が起きてるのか分からず、エミヤは代表して扉を開ける。そこには…

 

和式の懐かしき大便器が存在しており、そこから次々と宝石が出てきたのだ。ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド等々、様々な宝石が次々と出てくる。

 

「えっ?これ、本物?」

「本物のようだな…」

 

エミヤはダイヤモンドを手に取り、魔術で調べる。どうやらこの沢山の宝石は全て本物のようだ。

 

すると、ガタガタと大便器が揺れて外れ、横にずれる。そして、1人の人物が出てきた。

 

「ふー、やっと出れたよ」

 

その人物はパラケルスス。ホーエンハイムとも呼ばれ、史実にも魔術の歴史にも伝わる錬金術師である。

 

『デデーン!!全員アウト』

 

まさかの人物が大便器から出てきた為か、全員笑ってしまい…お仕置きを受けてしまう。

 

「ところで、パラケルスス。なにをしていたのかね?」

「ふふふ…錬金術でちょっとね。この宝石…綺麗だろ?なにせ、私が錬金術で下水道のウンコを宝石に変換したからね」

「きったな!!」

 

なんと言う事でしょう。この宝石は全て、パラケルススがウンコを錬金術で宝石に変換した代物だったのだ。確かにウンコは有機物であり、炭素を含む。ダイヤモンドも炭素なので、ウンコから頑張れば作れるが…まさかウンコから出来ているとは思ってもいない。

 

「ふふふ、この世はウンコ!!ほら、私達のお腹にもウンコ!!食べた物は全部ウンコになり、カルデアの食べ物精製装置オムシスもウンコ等を利用する!!この世はウンコなのだよ!!ハッははは!!」

 

パラケルススはそう告げ、宝石(元ウンコ)を次々とエミヤ達に投げてくる。

 

「アイツ…あんなキャラだっけ?」

 

そんな事をボヤキながら、エミヤ達は部屋に戻った。

 

 

 

「未だDVDが未だだったな」

 

そう、未だDVDが2本残っている。

 

ランサーはDVDをセットして、再生ボタンを押した。

 

 

 

カルデア。此処は人理を守る最後の砦。正式名称は人理継続保証機関フィニス・カルデア。

此処では常に多くの人々が働いており、一応だが48人のマスターが登録されている。本来ならサーヴァントの召喚はクリプターことAチームの8名しか出来なかったが、なんやかんやあって全マスターに許可される事に成った。

 

そんなカルデア。現在では数合わせのマスター衛宮立香が偶然にも召喚した最強のサーヴァント グランド・セイバーと愉快な仲間達の手で無事に任務達成。しかし、人理が救われても彼等にはやることがあるのだ。

 

『やあ、いらっしゃい』

 

しかし全てのサーヴァントが戦いに向いているのかと言えば、そうではない。彼、バルトロメオ・スカッピ……ダンディーなお髭が特徴の料理人もその1人だ。

 

『人理修復中は食材の調達も大変だったよ。魚とパン類はギャラハッドが聖杯から出してくれて助かる。しかしね、野菜や肉類はどうもね。

レイシフト先で回収する、無事だったイギリスからもらい受ける。まあ、今ではギャラハッドとニコラ社長、そしてダ・ヴィンチ殿が作ったオムシスのお陰か有機物の限界リサイクルが出来るね』

 

バルトロメオは我々のインタビューでそう語ってくれる。

 

『英雄の皆様はお肉を良く所望するよ。確かに力は出るからね。まあ、ガウェインのようなベジタリアンはプロテインやチーズで動物性たんぱく質を取ってるよ。

オムシスの原理かい?それは知らない方が良いんじゃないのかな?』

 

カルデアの食料は貴重なのだろう。故に有機物から食べ物をリサイクルするオムシスと呼ばれる物がニコラ・テスラ率いるチームの元で発明された。カルデアだけではなく、日本から孤立した立川でも食事のリサイクルは必須だったのだから。

 

そこで我々はオムシスの原理を知る彼に話を聞いた。それはパラケルスス…彼はオムシスに近いことを魔術と錬金術で出来るそうだ。

 

『このハンバーガー…パラケルススさんが作ったんですよね』

「俺が食べたハンバーガー!?」

 

記者の手にはランサーが食べたハンバーガーが握られていたのだ。

 

『はい!!ウンコを錬金術でお肉とパンに変えて作りましたよ!!この世はウンコですから!!』

 

そしてDVDの映像はそこで途切れた。

 

「ランサー……そのなんだ」

「ハッハハハ」

「うわ、言葉が出ない!!」

 

『デデーン。エミヤ、ケイ、ヒナコ、ボールス、アウト』

 

笑ってしまったランサー以外のメンバーは尻を叩かれてしまう。そしてウンコから出来たハンバーガーを食べてしまったランサーは吐こうとするが、残念ながら消化されてしまい出てこない。

 

「チクショォォーー!!」

「ぶふ」

 

『デデーン、エミヤ…アウト』

 

そんなランサーの悲劇を見てエミヤは再び笑ってしまい、エミヤは尻を叩かれてしまう。

 

だが、未だDVDは残っている。ケイはウンコハンバーガーを食べてしまったランサーに代わり、新たなDVDを入れて再生ボタンを押した。

 

 

 

ナレースワン大王。タイの大英雄であり、銃、槍、剣、そして代名詞であるムエタイを用いるライダーのサーヴァント。

ローマの特異点からカルデアに合流し、その武術の強さでカルデアを支えた武術の達人。そんなナレースワンには現代でこう伝わっている…ムエタイの開祖であると。

 

『はーい!!皆!!蘭丸だよ~、元気にしてた?』

 

軍服姿の男の娘 森蘭丸。蘭丸は籤引きが入った箱をごそごそと手を突っ込んで探っており、蘭丸は箱から1つの籤を引き抜いた。そこにはランサーの名前が記されていたのだ。

 

『ランサー!!タイキック!!まあ、この中…全部ランサーなんだけどね!!』

 

 

「はっ?」

 

『デデーン!!ランサー、タイキック!!』

 

愉悦神父からの宣言。すると、扉が開き…褐色肌の戦士 ナレースワンが入ってきたのだ。

 

「ナレースワン!?」

「ムエタイは私が作った」

 

デデーン!!開祖様直々のタイキック!!

 

「ふん!!ハッ!!」

「ぬぎゅゅゅゅあ!!」

 

開祖様のタイキック!!効果は抜群だ、ランサーは倒れた。

 

 

 

 

 

そして長かった休憩時間も終わり、午前11時。

 

ケイ達はジャージに着替えさせられ、ロマニの案内でキャメロット競馬場のターフに集まっていた。

 

「今からのイベント終わるまでは笑って良いよ」

「「「マジっすか!?」」」

「但し、この2時間は特別ルールが存在する」

 

ロマニは指を立てて説明する。

 

1、今からやるのは絶対に捕まってはいけない鬼ごっこ。このイベントが終わるまで笑って良し。

 

2、鬼に捕まると鬼の胸に書かれたお仕置きを受けてしまう。

 

3、御一行はその間…囚われた人質救出の為の鍵を探し出すこと。鍵はキャメロット競馬場の何処かに存在するが偽物も存在する。

 

4、偽物の鍵で人質を助けようとすると人質が罰ゲームを受けてしまう。

 

「「「「人質?」」」」

「あれね」

 

ロマニはとある方向を指差す。そこには透明のガラスケースのような檻に囚われた男 ぐだ男こと藤丸太郎が入っていた。

 

藤丸太郎。Aチームのメンバーでありデミ・サーヴァント マシュ・キリエライトのマスター(仮)であり、立香と共に数合わせのマスター。なお、たまに「原作と違う」と小さな声で囁くとか。

 

「じゃあ、皆で頑張って藤丸君を助けてね?よーいスタート!!」

 

絶対に捕まってはいけない鬼ごっこがスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハリセンは持ったか?」

「「「おう!!」」」

 

グランドハリセンと胸に書かれたギャラハッドが、同じくグランドハリセンと書かれた他のグランドサーヴァントの皆様(アチャクレス除く)と共に待機していた。

 

グランド・セイバー ギャラハッド

 

グランド・ランサー コンラ

 

グランド・ライダー ノア

 

グランド・キャスター マーリン(お姉さん)

 

グランド・アサシン アサシンお爺ちゃん

 

グランド・フォーリナー ルイ・シャルル

 

グランド・バーサーカー トール

 

スタンバイ、完了




次回!!エミヤ達はぐだ男を救えるのか!?

なお、江頭ポジションは勿論、アイツ!!


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幕間 笑ってはいけない、ブリテン観光2016 その4

地獄の鬼ごっこが始まる!!


笑っては良いが絶対に捕まってはいけない鬼ごっこが開幕。

 

いざ、ケイと愉快な仲間達は藤丸太郎ことぐだ男を救出する為に、ブリテンで最初に作られた競馬場 キャメロット競馬場を探索する事と成ったのだ。しかし、このキャメロット競馬場…ケイ達をお仕置きする為の鬼が既に解き放たれており、ケイ達は警戒しながら進まなくてはいけない。

 

「おい、エミヤ。鬼ってどんなのだ?」

「私がガキ使で見た限り、ハリセン、スリッパ、ジーパン等で叩かれるのが多いな」

 

キャメロット競馬場は大きい。世界最強のマイル決定戦と言えるブリテンワールドカップ、最強のハリボテを決めるハリボテ記念、イギリスの年大一番とも言える最後のG1 アーサー記念(距離2500)が行われる競馬場だ。そんな大きな競馬場の何処かにある宝箱から正解の鍵を見つけ出し、藤丸を救出する。それがケイ達に与えられた任務だ。しかし、鬼に見付かればナニをされるか分からない。

 

「ヒナコは関係ないと思うが、バネ仕掛けのマシーンで彼処を叩かれるチンコマシーンなんて物もあるな」

「俺のバカ教え子の事だ。多分、スプリングの強度は10倍に成ってるだろうな」

 

ダートコースを歩き、ガードレールぽい物をくぐり、芝のコースに入るケイ達。そんな時だった。

 

「鬼が来たわよ!!」

 

ぐっちゃんことヒナコが叫んだ。ケイ達の視線3ハロン先から鬼が猛スピードで走ってくるではないか。鬼の手にはスリッパが握られており、鬼はケイ達目掛けて走ってくる。

 

「総員、散開!!」

 

ケイは指揮官としての経験から速やかに指示を出し、エミヤ、ランサー、ヒナコ、ボールスは瞬時にバラける。だが、悲しい事にこの世には幸運Eという言葉があるのだ。好運E…それは幸運のステータスが極端に低いサーヴァントの事を差しており、この中ではエミヤとランサーがそれに該当する。

 

「なっ!?私が狙いなのか!?」

 

スリッパ鬼が目を付けたのはエミヤだった。エミヤに狙いを定め、スリッパ鬼はぐんぐんと加速する。

 

「まっまて…早まるな!!」

 

悲しい事にエミヤは魔力で身体能力の強化が出来るが現代人。サーヴァントとなり強化されてるが、ケイ(円卓)、ヒナコ(真祖(笑))、ランサー(ケルトの大英雄で半神)と比べたら肉体スペックは低いのである。

 

そしてエミヤはスリッパ鬼に捕まり、スリッパ鬼は物凄い勢いでスリッパをエミヤの頭上に振り下ろす。

 

「いったぁぁぁ!?」

 

スパコーン!!と綺麗な音が響き、エミヤは頭を抑える。そしてスリッパ鬼は何処かに走り去っていった。

 

「これはアカン…スリッパでこれだったら、死んでしまう」

 

エミヤは頭を抑え、その場から動こうとした。しかし、彼の視線の先では…ランサーの背後にジーパンを持ったジーパン鬼が立っていたのだ。

 

「ランサー!!後ろだ!!」

「へっ?」

 

ランサーは何事かと思い、後ろを振り向く。だが、残念な事にランサーはジーパン鬼に肩を捕まれてしまい…捕まった。

 

「ぬぉぉぉ!?尻が!?」

 

ランサー。お仕置ハサン部隊のお仕置棒で蓄積した尻のダメージに、更にジーパンで叩かれてしまい大きなダメージを受ける。

 

「パドックにはないか?」

 

ケイは馴れた感じにパドックに向かい、宝箱を探す。コースに宝箱は隠せないとすれば観客席か、パドック、或いは放送席位だとケイは思った為だ。

 

だが、そんなケイに背後から影が迫る。それは…

 

「なに!?」

 

長いゴムを持った鬼だ。その鬼の胸にはゴムパッチンと書かれており、間違いなくバラエティー番組等でみるゴムパッチンの事だろう。

 

ゴムパッチン鬼はケイにゴムを咥えさせ、物凄く走る。その結果、ゴムは限界まで伸びきり…その状態でゴムパッチン鬼は手を離す。その結果、ゴムは一気に縮み…その勢いでケイの顔面に直撃した。

 

「ほんご!?」

 

ケイは顔面を抑え、次に自分の前歯を触る。

 

「歯は折れてないな」

 

もし、歯が折れたらギャラハッドの手で治療される。歯医者は独特なドリルの音があり、ケイはぶっちゃけ歯医者に通いたくない。ドリルで前歯を生前に削られた過去があるためか、歯医者は苦手なのだ。

 

パドックを見ると、なにやら宝箱が落ちている。その宝箱にケイは近付き、開ける。すると、中にはカードキーらしき物が入っていたのだ。

 

「おっ!!これだな」

 

ケイはカードキーをポケットにしまい、パドックを後にしてターフに戻る。早く、藤丸を助けてこの鬼ごっこを終わりにしたい。そうしないと精神年齢アラフォーのケイにはキツいのだ。

 

 

一方のヒナコ。

 

「無いわね…競馬場なんて初めて来たから何処に何が有るのか分からないわよ」

 

迷子に成っていた。そんなヒナコだったが、曲がり角を曲がった瞬間…ペットボトルを持った鬼が立っていた。鬼の胸には茂茶と書かれていた。

茂茶…茂フーリンが趣味の一環で手作りしたお茶の事で、ビワ等を使った茂茶はかなりの好評だ。しかし、茂フーリンの茂茶の中には外れとしか言えない激不味の茂茶も存在している。それは蜂の巣で作った茂茶である。

 

「うっぅわ!?」

 

ヒナコは逃げようとしたが、茂茶鬼に捕まってしまい…茂茶鬼が注いだ茂茶を飲まされる。

 

「まずゅゅ!?にがぁぁぁ!?」

 

ヒナコ…味覚に絶大なダメージを受ける。

 

 

 

道に迷ったなら引き返せば良い。ヒナコはそう思い、引き返してターフに戻る。すると、藤丸が囚われた檻の前に、仲間であるケイ、ランサー、アーチャーの3人が立っていたのだ。

 

「おっ、ヒナコ。生きてたか」

「生きてるわよ。てか、ボールスは?」

「ボールスは多分隠れたな。アイツも競馬場に足を運んでたし、ロッカーの中に隠れてるかもな」

 

ボールス…3人を見捨てて隠れている模様。だが、ケイはポケットからカードキーを取り出した。

 

「あら、カードキー」

「運が良かったらこれで終わりだ」

 

ケイはカードキーを牢屋に備え付けられた機械に通す。しかし、ハズレだったのか扉は開かない。つまり、藤丸にお仕置が執行である。

 

「わりー、ハズレたわ」

 

デデーン!!藤丸…お仕置執行!!

 

すると、藤丸の牢獄に…

 

「「オホホホホ!!」」

 

女郎蜘蛛のコスプレをしたメディアとカーミラのコンビが現れた。メディアの手には長い筒が握られており、カーミラの手には大量のニンニクが握られている。

 

「オホホホホ!!さてと、行くわよ!!ニンニク罰ゲーム!!」

 

カーミラがそう叫び、カーミラはメディアの口の中に大量のニンニクをぶちこみ…メディアはそのニンニクを良く噛んで咀嚼する。

 

「まさか…」

 

エミヤが呟いた瞬間、メディアは自分の口と藤丸の鼻を長い筒で繋げ…思いっきり息を吐き出した。その瞬間、ニンニク臭MAXな吐息が藤丸の鼻にダイレクトに伝わったのだ。

 

「うぼぼぼ!?くっせぇぇぇぇえ!!」

 

藤丸…余りの臭さにむせ返る。一方のケイ、エミヤ、ランサー、ヒナコは大爆笑。バラエティーでは人の不幸は美味しいのだ。

 

「お前達、今の内に笑っておけ」

「酷いよ!!」

「立香の嬢ちゃんなら助けたが、ボウズ!!気合いで耐えてくれや」

 

そしてケイ達は新たなカードキーを探し、序でにボールスの捜索のために藤丸が囚われた牢屋から去っていった。

 

 

一方のボールス…

 

「此処に隠れてたら大丈夫だ」

 

ボールスは隠れていた。このおっぱい魔神が隠れているのは騎手の控え室のロッカーの中。此処に居れば、鬼は自分を見つけることは絶対に無い。まさか、ロッカーの中を覗くなんて思いもしないだろう。

 

だが、そんなボールスの思いとは裏腹にボールスが隠れているロッカーの扉が開けられ…

 

「うっうわぁぁぁあ!!」

 

鬼が襲いかかってきた。その鬼には鉄球罪人の文字が書かれている。

 

 

 

 

「ボールスのヤツ…何処に」

 

ケイ達はボールスを探していた。観客スタンドを歩いていると、ボールスは目の前からやって来た。ボールスは右足に枷を填められており、その枷には鎖が繋がっていて鎖の先には身の丈程の大きなボールが繋がっておりボヨンボヨンと鈴の音が中から響いてる。

 

「ケイ…皆~」

「お前ら、撤退だ!!ボールスの側に居たら、鬼が近寄ってくるぞ!!」

 

だが、今のボールスは大きなボールと共に目立つ目立つ。お蔭様で鬼に見つけて下さいと言わんばかりだ。なので、ケイ達はボールスの側から急いで逃げた。

 

「待ってくれよ!!これ、動き辛いんだ」

 

ケイ達が去ってから数秒後。ボールスはスリッパの鬼に頭を叩かれる。

 

 

『ピンポンパンポーン。ただいまから、グランドサーヴァントの皆様を突入させます。繰り返します…唯今からグランドサーヴァントの皆様を突入させます』

 

突如として競馬場に響く音声。まかさと思い、ケイ達はターフを見る。そこには……

 

「おーい。ケイ先生、お尻生きてる?」

 

我らが円卓の麒麟児!!グランド・セイバー ギャラハッド!!

 

「さてと、ビーレジェンドの為に頑張りますか」

 

ランサーに何処か似た筋肉質の青年 筋肉バカ及びグランド・ランサー コンラ!!

 

「おーと?笑いの病ですね、取りあえずハリセンを処方します。今ならもれなく、ヤーナム式医療(物理)がタダで受けれるぞ?」

 

フランス産まれヤーナム育ち。元フランス王家、現上位者。ルイ17世こと狩人様及びルイ・シャルル!!なお、クラスはグランド・フォーリナー。

 

「おやおや?お姉さんは運動苦手だけど、頑張ろうかな?」

 

美人なお姉さんとして産まれたマーリンことマーリンお姉さん。なお、ギャーさんはマーリン(男)とマーリンお姉さんならお姉さん派…当然である。なお、マーリンお姉さんはマーリン野郎と違ってキリシタンではない。グランド・キャスター。

 

「お馬さんをモフモフしたかったが」

 

白髪なお兄さん。艦長とギャーさんから呼ばれてる青年。旧約聖書の大洪水の際に、方舟にのって居た男 グランド・ライダー ノア。趣味は動物モフモフ、動物園巡り。

 

「尻をだせぇぇい」

 

骸骨のようなお面を被った筋肉質大男な老人。ハサンを殺すハサン…暗殺者の頂点 グランド・アサシンことキングハサン。ギャーさんからはアサシンお爺ちゃんと呼ばれてる。

 

「………やれやれ。たまには茶番に付き合うか」

 

赤い長身マッチョの青年。北欧の主神オーディンと巨人(意味的には超人)との間に産まれた破壊神トール。今回はムジョルニアではなく、ハリセンを持参。グランド・バーサーカー。

 

「アチャクレス以外全員揃ったぁぁぁあ!!」

 

突如として現れたギャーさん率いるグランドの皆様。彼等はハリセンを持っており、ケイ先生のツッコミが久々に響く。

 

「お前達…逃げろ!!此処は俺がボールスを生け贄に捧げて何とかする!!」

「ダメだケイ!!お前でも無理だ!!「ハリセンを処方しますね」ほんげぇぇーー!!」

 

グランド・フォーリナーが繰り出したハリセンの一撃で、ランサーは倒される。

 

「ランサーがヤられた!?」

「「この人でなし!!」」

 

そして……グランドがハリセンをもってケイ達に襲い掛かる!!




次回…鬼ごっこ終わり。そして…

ボールス、マイフレンド


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幕間 笑ってはいけないブリテン観光2016 その5

ボールス…マイフレンド


突如として現れたハリセンを持ったグランドサーヴァントの皆様。

 

その1人、グランド・フォーリナーの一撃で我らが好運E ランサーが倒されてしまった。まあ、仕方がない…ギャグ時空に於いてランサーが死んだ!!この人でなし!!は定番と言えるのだから。

 

「ケイ先生。俺達は10分しか競馬場に居ないから安心してくれ」

「安心できるか!!10分でも、お前達…全員ぶっ壊れだろうが!!」

 

しかし、グランドの皆様は各々予定が有るのだろう。その為か10分前後しか競馬場に居れないようだ。だが、逃げなければケイ達はギャーさん率いるグランドサーヴァントの手でハリセンの一撃を受けてしまう。外宇宙の神の手に落ちていたヤーナムを解放したグランド・フォーリナーの一撃でランサーは倒された…当然、他のグランドの皆様も強力だと言えるだろう。

 

ギャラハッドは説明不要。筋肉バカであるコンラは茂フーリンとスカサハ師匠の息子であり、茂フーリンの料理で育ち…スカサハを上回る武術を持っており…素早さはギャーさん以上。トールだって伝承では北欧神話最強の神(正しくは半神)。グランド軍団でこの3人とルイ・シャルルは物理でも大変手強い、獲物がハリセンだとしてもそれは変わらない。

いや、彼等の他にもグランド・アサシンであるキングハサンも強大だ。セイバーのサーヴァント…それもガウェインと互角以上に戦う技量を持つこの超人老人のハリセン裁きも危険すぎる。

 

「どうするケイ…」

「どうするのよ…」

 

ランサーが倒れ、どうするべきかの判断をケイに委ねるエミヤとヒナコ。

ケイはそんな2人の言葉を受けて、生前からギャラハッドのツッコミ対応で鍛え上げた頭をフル回転させて正解を探る。ギャラハッド、コンラ、シャルル、トールに捕まればバッドエンド(笑)が待っている。キングハサンのハリセンなんて即死かもしれない。

 

「逃げるぞ…それしかない。叩かれて大丈夫そうなのは…」

 

万が一の事を考えるケイ。

迫り来るギャーさん達を見れば、2人…脚が遅いのが見えた。それはグランド・キャスターであるマーリンお姉さん、グランド・ライダーであるノア艦長の2人だ。

 

「女マーリンとノアのハリセン以外は何としてでも回避だ!!

逃げるんだょぉぉおお!!」

 

ケイは叫び、ヒナコとエミヤを引き連れて大急ぎで逃げ出す。全てはギャーさん率いるチート軍団のハリセン裁きから何としてでも逃げ出すためだ。

 

ヒナコ、エミヤはケイに付いていき…彼等は普段は職員と騎手、そして厩務員や調教師と言った限られた人しか入れない部屋のある通路を走る。この区域なら前後からしか鬼は襲ってこない。

 

「おい、嘘だろ」

 

だが瞬時にケイとヒナコ、エミヤの顔は真っ青に染まる。何故なら通路の先では……

 

「フッハハハ!!悪いな、ケイ!!俺の代わりに、グランド軍団のハリセンを喰らってくれや!!」

 

何と言う事でしょう。ボールスは足枷ボールで通路を塞ぎ、ケイ達を先に進めないようにしているのだ。この足枷ボールで通路を塞げば、ケイ達は後ろから迫るギャラハッド達から逃げることが出来ず…フルボッコのハリセンを受けてしまう。

 

「おい、ボールス!!てめぇぇ!!」

「そこまで心底腐っているのか、貴様!!」

「退きなさいよ!!この変態!!」

 

壁となっている足枷ボールをバンバンと叩き、ボールスに道を譲るように叫ぶケイ達。彼等は犠牲に成ったランサーの為にも逃げ延びなければ成らないのだ。だが、彼等の背後からギャラハッド達が迫ってきており…ケイ達は正に絶望だ。

 

後ろを振り向けば迫り来るギャラハッド達。前はボールスの足枷ボールで塞がれた。もう、ハリセンでしばかれる未来しか見えないケイ達であった。

 

「もう…お仕舞いだ!!」

 

どうしようもない状況…そんな時、ケイ達の頭にパチパチと軽い衝撃がぶつかる。何事かと思い、ケイ達は後ろを振り向くと…そこにはマーリンお姉さんだけが立っていたのだ。

 

「あれ?」

「マーリン?」

「ギャラハッド達は何処に?」

 

ギャラハッド達ではなくマーリンお姉さん1人。どうしてだろうかと、ケイ達は疑問に思っていると…ずるずると足枷ボールが下がっていき…通路が広がる。

 

「離してくれよギャラハッド!?なんで俺、なんで俺なの!?」

 

足枷ボールが広間に出ていき、ケイ達はボールスを見る。そこでは…

 

「わっしょい!!わっしょい!!わっしょい!!」

「ヒィィィーー!!下ろしてくれよ!!股間がいてぇぇよ!!」

 

足枷ボールを外され、三角木馬の御輿に乗せられたボールス。そんなボールスが乗った御輿を担ぎ…ターフに出ていくギャラハッド、コンラ、トール、キングハサンの4人であった。

 

「おう!?おう!?こっこかんが!?股間が割ける!!」

 

ボールスの頭には大きなたんこぶが4つほど出来ており、間違いなくギャラハッド達のハリセン攻撃を受けたようだ。

 

そのままボールスを三角木馬御輿で担いだギャラハッド達はターフに出て、ダートコースに向かう。ダートコースでは整地車両に乗ったノア艦長がスタンバイしていたのだ。

 

「よし、下ろすぞ。筋肉バカ、そっち持て」

「おう」

 

整地車両の前で御輿から下ろされたボールス。ボールスは逃げ出すことが出来ず、整地車両のボンネットに縛り付けられる。

 

「それじゃあ…行こうか」

「ヤメローー!!」

 

ノアはアクセルを踏み込んで急発進!!ボンネットに縛られたボールスの悲鳴が轟、ノア艦長は整地車両で片輪走行や急旋回、ドリフト1回転からの急発進等のドライビングテクニックを見せ付ける。そして、ダートコースを3周してボールスは解放された。

 

「おっと、時間か。総員、撤収!!」

 

そしてギャラハッド達は競馬場を後にして行った。

 

「行ったか…」

 

ギャラハッド率いるグランド軍団が去っていき、ケイは疲れはてたように溜め息を吐き出した。

 

「おーい!!皆!!」

 

すると、復活したのか我らが好運Eのランサーが何かを持ってケイ達の所に走ってくる。そんなランサーの手にはカードキーが握られていた。

 

「ランサー!!」

「見ろよアーチャー、カードキーだ。俺が倒れてる間に、側に落ちていたんだよ」

 

ランサーはグランド・フォーリナーのハリセンの一撃を受けて失神していたが、倒れてる間に何者かがランサーの側にカードキーを置いていったようだ。

 

「ああ、これで坊主を助けるぞ!!」

 

経緯はどうあれ、カードキーを手に入れた。これで藤丸を助けられるか分からないが、助けることが出来る可能性が有るのだ。

 

 

 

ブブー!!

 

「あれ、違ったか」

 

ボールスを回収し、カードキーを牢屋の機械に通したが偽物の鍵だったようだ。牢屋の中で膝丸が半泣きに成ってきているが、救う術は未だ無い。

 

「もう…ニンニクは嫌だ」

 

先ほどのカーミラ&メディアのおば……げふん、げふん、お姉さんコンビのニンニク攻撃を受けてちょっとメンタルにダメージを受けている。そんな中での再びの不正解、再びニンニク攻撃が襲ってくるのかとおもうと不安でしょうがないのだ。

 

だが…現れたのは…

 

「イェェェーーー!!」

 

黒髭と胸に書かれたお仕置鬼に扮したオタク。エドワード・ティーチ。世界で有名な海賊の1人であり、現在では立川のマンションでゲーム実況等でお金を稼ぐ、最も現代に適合した海賊であった。

 

「やっほー!!俺様の時間がやって来たぜ!!」

「なんで、お前がいんの!?」

 

ティーチは藤丸を押し倒し、その唇を……

 

「ディープキスだぜぇぇ!!」

「ぅぅぅう!?」

 

ブチューと藤丸のファーストキスを奪ったのだ。

 

「おっと、バイトの時間だ!!あーばよ!!」

 

ティーチはそう言って立ち上がり、牢屋の扉を開けて金ちゃん走りで走り去っていった。

 

だが、牢屋が開いたのはありがたい。これで藤丸を助け出せる。

 

「おーい、出るぞ藤丸」

「ぅぅぅ…初めてはマシュって決めてたのに…」

「いや、お前…マシュと未だデキてないだろ」

 

藤丸救出任務…無事に完了!!ボールスの股間と藤丸の心にダメージを与えて、完了するのだった。

 

 

 

競馬場を後にして、ホテルへの帰路についたケイ達。そんな時だった。彼等の視線の先から、宇宙人…それも一般的に宇宙人だと伝わっているグレイのコスプレをした人物が此方に向かって走ってきたのだ。

 

「なんだ?宇宙人か?」

 

その宇宙人はボールスの前で停止し、指を突き出してきた。ボールスは首を傾げながら指を差し出す。ボールスの指先と宇宙人の指が触れた瞬間、宇宙人の指先が光った。

 

「ボールス…マイフレンド」

「おっ、良かったな友達認定されたぞ」

「なんで俺なの?」

 

ボールス。宇宙人からフレンド扱いされる。

 

「意外と愛嬌のある見た目ね」

 

そんなボールスと宇宙人の様子を見たヒナコはボールスに習い、指先を突き出す。だが、宇宙人はボールス以外に触れられるのが嫌なのか、ヒナコにビシビシとビンタを喰らわして何処かに走っていった。

 

「なっなによ!!あの宇宙人!!」

「ボールスには懐いていたようだがね…」

 

走り去っていく宇宙人。そんな宇宙人は曲がり角を曲がり、消えていった。

 

あの宇宙人がなんだったのか分からない御一行であったが、気にせず帰路に進む。そんな時であった。

 

「失礼…我々、キャメロットの警察の者ですが怪しい者を見ませんでしたが?」

 

警察官に扮したベディヴィエールとパーシヴァルが現れたのだ。

 

「怪しい者?」

「ええ、コイツです。火星から飛来してきたテロリストなのですが」

 

パーシヴァルはそう告げ、1枚の写真をケイ達に見せる。そこには…UFOから出てきたさっき遭遇したばかりの宇宙人が写っていた。

 

「ぶふ!?」

 

『デデーン。ヒナコ、ボールス、アウト』

 

ヒナコとボールスはお尻を叩かれるが、ベディヴィエールは告げる。

 

「ともかく…皆さん。最近は物騒ですのでお気をつけて。

行きますよ、パーシヴァル」

「ええ、ヘラクレス隊長からの指令ですからね。行きますよ」

 

2人はそう言って走り去っていった。

 

 

 

 

午後1時。

 

昼食も食べて極力笑わずに部屋で過ごしていたケイ達。だが、突如として部屋の扉が開かれて婦警の服装をしたモードレッドが入ってきた。

 

「も、モードレッド!?」

「動くな。警察だ。すまないが貴殿方の中に、テロリストをキャメロットに招いた内通者が居ることが分かった。疑惑が晴れたら直ぐに解放する。取りあえず、付いてきてくれ」

 

婦警と成ったモードレッドの案内でケイ達は連行される。向かった場所はホテルの近くにある、キャメロットの警察署であった。

 

「警察署?」

「着いてこい。ヘラクレス隊長が及びだ」

 

モードレッドに連れられ、ケイ達がやって来た所は警察署内の広めの空間だ。そこにはケイ達が座るためのパイプ椅子が横一列で並べられており、ケイ達はそこに座らされる。

 

「ヘラクレス隊長!!被疑者を連れてきました!!」

 

モードレッドはそう告げ、一歩下がる。その瞬間…

 

「ガッデム!!」

 

筋骨隆々のmuscleボディーを誇り、最強の不死身。拳1つで地球を破壊できる最強のグランドのサーヴァント。カルデアが誇る最強戦士であり、地球と外宇宙…2つの奇跡が合わさった伝説の戦士。

 

グランド・アーチャー ヘラクレス隊長ことアチャクレス(原典仕様)である。

 

「ケイ、芥さん、エミヤ君、ランサー、そしてボールス。君達を被疑者という事にしてすまないな。だが、事態が事態故に楽しい旅行を一先ず中断してしまい、そこは謝罪しよう」

 

アチャクレスは謝罪から入り、モードレッドからマイクを受けとる。

 

「だが、それには此方の事情も有るのだ。何故なら、君達の誰かが宇宙からの侵略者をキャメロットに手引きし、入国させた内通者が居るからだ。ベディヴィエール、パーシヴァル…捕えたテロリストを連れてこい」

 

そう、これには事情がある。何故なら宇宙からの侵略者がキャメロットに侵入し、なおかつその宇宙人はケイ達5人の誰かと内通していた為だ。

 

「「隊長!!連れてきました!!」」

 

すると、ベディヴィエールとパーシヴァルが檻に入れたあの宇宙人を連れてきたのだ。

 

「ご苦労。この宇宙人だが、心を許した物と触れ合えば宇宙人の指先が光る。そこで、君達でこの宇宙人の指先を順番にさわって欲しい。

順番はケイ、ヒナコ、エミヤ、ランサー、最後にボールスだ。もし、内通者ならば私が直々に制裁のビンタをしましょう」

 

宇宙人は心が通じ有った人と触れ合えば指先が光るそうだ。なので、順番に触っていき…指先が光った者が内通者と言うことである。そして内通者にはアチャクレスからの直々の制裁ビンタ執行である。

 

「ケイ…」

「おっおう」

 

アチャクレスから言われ、ケイは宇宙人の指先に触る。だが、光らない。

 

「芥さん」

「はい」

 

ヒナコも触るが変化無し。

 

「エミヤ君」

「ああ」

 

エミヤも触るが変化無し。

 

「ランサー」

「おう」

 

ランサーも触るが変化無し。

 

「最後にボールス」

「嫌です」

 

ボールスは分かる。ボールスは前、あの時に宇宙人と触れ合った時に指先が光った。つまり、間違いなく自分が内通者だと言われてしまう。

 

「何故触らない?そうしないと君の容疑は晴れない。ケイ達は証明した。君が内通者の可能性が有る限り、君は此処で容疑が晴れるまで拘束するぞ」

 

ぎろりとアチャクレスに睨まれ、ボールスは嫌々でも宇宙人の指先を触る。その結果…

 

「ボールス…マイフレンド!!」

 

宇宙人の指先が光った。ビンタ、決定である。

 

「お前じゃないか」

 

『デデーン!!ケイ、ヒナコ、エミヤ、ランサー、アウト』

 

ケイ達はお尻をしばかれ、そしてボールスは

 

「お前はちょっとこい!!」

 

アチャクレスに胸ぐらを捕まれ、強引に立たされる。

 

「なんで宇宙人の内通者と成った?答えろ!!」

「僕は内通者じゃありません!!コイツに嵌められたんですよ!!」

 

ボールスは宇宙人を指差す。しかし…

 

「ボールス…マイフレンド」

「お前は黙ってろよ!!お前のせいで俺はビンタなんだよ!!」

 

マイフレンド認定されてしまっている。

 

「おーい、諦めよボールス。もう無理だわ」

「そーよ、そーよ」

 

「嫌だ!!」

 

逃げ出そうとするボールス。しかし、アチャクレスの握力からは逃げられない。アチャクレスはマイクをベディヴィエールに渡し…軽々とボールスの首を絞める。

 

「君…いい加減にしたらどうかね?」

「俺じゃないんだよ!!どうせならオッパイの大きな人にビンタされたかったよ!!」

 

ジタバタと暴れるボールス。だが、アチャクレスの前には無意味である。

 

「歯食い縛れ…さもなくば散るぞ」

「嫌だぁぁぁ!!ぶゅべぼぉぉぉぉお!!」

 

そんなボールスにアチャクレスのビンタが炸裂し、ボールスは3回転ほど回転し、ドサッと倒れる。そんなボールスは変顔を決め…頬を腫らしてケイ達をギロリと睨んでいた。

 

『デデーン!!ケイ、ヒナコ、エミヤ、ランサー、アウト』

 

「ガッデム!!」

 

そしてアチャクレスは制裁ビンタを終えて、去っていった。

 

 

 

午後6時。日も暗くなり、夜に成った頃。

 

疲れはてたケイ達は無言となり、ボーとしていた。

 

「ダウンタウンは凄いな」

「全くだ」

 

疲れはてたケイ達。だが、未だイベントは終わっていない。突如としてテレビが着いたのだ。

 

『やあ、諸君。私だ、不倫仮面だ』

 

テレビにランスロットこと不倫仮面が映る。そんな不倫仮面の隣には拘束された若い女性 カルデアの所長 オルガマリーが囚われていた。

 

「此処で来るのか!?変態ども!!」

『オルガマリーは我々が預かった。それとだ』

 

不倫仮面が指を鳴らすと、部屋に侵入者が現れる。それは…

 

「変態仮面ローラン!!変態奥義!!秘技!!亀甲縛り!!」

 

第2の変態 変態仮面ことローランであった。変態仮面はロープを用いて、瞬時にヒナコ、ボールス、ランサー、エミヤを拘束する。

 

「なっ!?」

 

「こっこれは!?」

 

「なんじゃこりゃ!?」

 

「アブノーマル・フラッシュ!!」

 

変態仮面の股間が眩い輝きを放ち、変態仮面、ヒナコ、エミヤ、ランサー、ボールスは部屋から消えた。

 

「なにー!?」

 

するとテレビの画面に拘束されたヒナコ、エミヤ、ランサー、ボールスが移る。勿論、彼女達を拘束した変態仮面も映る。いや、それだけではない。新たにおパンティーを被った人物が2人映ったのだ。不倫仮面と変態仮面、そして本編のカルデア編で明らかになる新たな仮面2人。合計4人の変態達がオルガマリー達を誘拐したのだ。

 

「変態戦士…全員揃った!?」

『ケイ。彼女達は我々、変態レンジャーが確保した。還して欲しければ、キャメロット城まで来るが良い!!』

 

不倫仮面はそう告げ、通信を切ったのか…テレビの映像は途切れた。

 

誘拐されたオルガマリー所長。拐われたヒナコ、エミヤ、ランサー、そしてボールス。彼等を助けるためにはキャメロット城に行かないといけない。

 

そんな時だった。

 

「ケイ先生!!大変だ!!」

「ケイ!!大変ですよ!!」

 

部屋の扉が開かれ、ギャラハッド…そして褌姿のガウェインが入ってきた。

 

「ギャラハッド!?いや、お前の脚本通りだろ?」

「マダオ達が出川ポジを嫌がって、寸前に逃走した」

「あれ、お前の脚本じゃなかったの!?」

 

なんという事でしょう。ランスロット達は出川チームVSケンコバチームの身体を張った芸を寸前に嫌がり、逃走したのである。

ガウェインが褌姿だとすると、スタート寸前だったのだろう。

 

「今からマダオ達を捕えに行くぞ!!ケイ先生、手伝ってくれ。まあ、面白そうだから撮影は続けるけど」

「おっおう…」

 

ギャラハッド&ケイによる、オルガマリー達救出任務が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、来なさい。息子とケイよ。父親が格の違いを教えましょう」

 

不倫仮面による夜の笑ってはいけないが始まるのだった。




次回…オルガマリー救出大作戦!!果たして、ギャラハッドは番組の主導権を変態どもから取り返せるのか!?



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幕間 笑ってはいけないブリテン観光 6

笑ってはいけない……ようやく終了(笑)


キャメロット城。御存知世界遺産の中枢であり、円卓の拠点だった場所。

 

「さてと、ケイ先生。覚悟は良いか?」

「覚悟も良いも何もないだろ。取りあえず、ランスロット達からオルガマリー達を助けないとな」

 

午前7時。そんなキャメロット城にギャラハッド、ケイは訪れていた。ギャラハッドの目的は番組を乗っ取った変態軍団に鉄槌を下すために、ケイの目的は囚われた仲間とオルガマリー所長を救出するためだ。しかし、此処は世界遺産であるキャメロット…宝具の使用は御法度であり、殺傷性能の高い武器も使えない。

 

「所でギャラハッド…なんでハリセン持ってるんだ?」

「変態どもに生身で戦う愚かな真似はしないさ」

「お前、あの変態軍団をどう思ってるの!?兵器扱いしてないか!?」

 

武器は使えない。ならば、競馬場の鬼ごっこで使ったハリセンを武器の代わりに使うしかないのだ。

 

だが、普段はライトアップされている夜のキャメロット城。しかし今は不倫仮面率いる変態レンジャーの手で占領されているのか電気は必要最小限しか着いていない。ならばランタンや懐中電灯を用意して照らしながら進まないとダメだろう。

 

「ケイ先生。一応懐中電灯」

「魔術は使わないのか?」

 

ケイはギャラハッドから手渡された懐中電灯を受け取りながらそう言った。別にギャラハッドは魔術で明かりを照らす事も出来る。それはケイも同じであり、別に懐中電灯は必要ではない。

 

「えっ?懐中電灯は忍刀のように構えれば鈍器になるから」

「オーバーキルするき!?」

 

そう、懐中電灯は小指の方向に明かりが来るように持てば鈍器にも使える。その上、上から明かりが照らすためか広範囲を照らせるし…相手の視覚を光でショックを与えることが出来るのだ。警備員や軍人もこれを使っている。

 

ギャラハッドは右手に懐中電灯、左手にハリセンを装備。ケイは左手に懐中電灯を装備。準備は完了だ。

 

「行くぜ、ケイ先生」

「おう、行くぞ」

 

そしてギャラハッドとケイによる師弟コンビの夜間任務が始まったのだった。

 

 

 

正門を堂々と開け、ギャラハッドとケイは城の中にはいる。

 

『フハハハ!!遂に来たか、息子よ!!』

 

中に入ると…キャメロット城と番組を乗っ取った変態の声が響く。どうやら不倫仮面は何処かでスピーカーで声を届けているのだろう。

 

「おい、ギャラハッド…」

「マダオの場所は気にすんな。先ずは人質救出が先だからな」

 

明かりは手に持った懐中電灯だけ。そんな僅かな明かりを便りにギャラハッドとケイはキャメロットの中を進む。そんな時だった。

 

ブシュューー!!と大きな音と共に白い煙が吹き出したのだ。

 

「うぉぉお!?なんだこりゃ!?」

「CO2ガスだよ、ケイ先生。バラエティーじゃあるあるだ」

 

そう、この白い煙はCO2ガスだ。バラエティー番組ではあるあるであり、冷えたCO2を噴出することで白い煙のように見えるのだ。なお、このCO2ガスはドライアイスほど冷たいので直撃を受ければ眉毛や髭が白くなってしまう。

 

「で…どうするんだ?」

「アークリアクターを設置してる地下室は入れない。彼処に入れる権限を持つのは俺、王様、ゼルレッチ、アルクェイドだけだからな」

 

ギャラハッドはキャメロットの全てをだいたい把握している。キャメロットの水道設備、電気設備の改良工事を行ったのはギャラハッドだ。アーサー王の時代からの近代化工事を全て担当してきており、大体…何処に何があるのかはギャラハッドは把握している。

 

「可能性が有るのは…死角となってる中庭。マダオの元部屋、グィネヴィア母さんの部屋、食堂、或いは…離れだな」

 

工事してた経験か、ギャラハッドの脳内にはキャメロット城の図式が全て叩き込まれている。何処になんの配線が有るのかも把握している…と言うか工事したのだから当然だ。

 

「じゃあ、離れに向かうのがベストだな」

「ああ、だけど…此処から離れに向かうには1階の通路を通らないと」

 

離れに行くためには1回の通路を通り、外庭に出て向かう必要がある。だが、その道中にどんな危険が有るのか分からない。ギャラハッドとケイだけなら兎も角、撮影スタッフも居るのだから…そこまで大事な事は出来ない。

 

「よし、行こう。流石のマダオ達も撮影スタッフには危害を加えないと思う」

「ああ、そうだな」

 

しかし、行かなければオルガマリー達は救えない。ギャラハッドとケイは……撮影スタッフに危害がこない事を祈りながら、ギャラハッドとケイ+撮影スタッフは1階廊下へと足を進めた。

 

 

 

1回廊下。

 

歴代円卓の写真や歴代国王(代理含む)の写真等が飾られた区間をギャラハッドとケイは歩く。

 

「しかし…写真写りは良いな」

 

実質の初代国王(2014年に女王と判明)のアルトリア・ペンドラゴン。

 

子供の居なかったアルトリア。そんな彼女の次の国王と成ったのはガウェイン。アルトリアに何かが有れば丞相であるガウェインが国王代理を務めるためだ。

 

ガウェインの次はガウェインの息子のフローレンス……ではなく、まさかのギャラハッド。まあ、ギャラハッド本人は「俺が王?血筋的に無理だろ、だから代理で」とは言っていたが。

 

ギャラハッド(本人は否定)の次に国王と成ったのはアルクェイド。アルクェイド女王の統治がうん百続き、まあその間にリチャード獅子心王等の連王がアルクェイドの下に誕生はしたが…今ではアルクェイドは一歩引き、御存知のロイヤルファミリーがイギリスを統治してる。

 

「アルトリア、ガウェイン、そんでお前。俺が生きてたのはギリギリ此処までだな」

「良く言うよ、80まで生きたくせに」

「うるせえな、お前だって俺が死ぬときに小さくお父さんなんていってんじゃねーよ。お前の親父はランスロットだろ」

「端から見たら、アンタの方が父親らしいことしてるけどな、ケイ先生」

 

なんかしんみりする事を言っているケイとギャラハッド。ケイは80歳の時に老衰しており、その際に国王と成ったギャラハッド(本人の中では丞相)はケイの死に目の際に「お父さん…ありがとう」と小さく言ってたのだ。

 

「なんでアンタ知ってるんだよ」

「耳は未だ元気だったんだよ。スタッフも覚えとけ。人間って、老衰のギリギリまで耳は元気だぜ?」

 

そう、医学にこんな言葉がある。生物が老衰するギリギリまで聴覚は健在であり、言葉を認識できるのだ。

 

「この時…俺、嬉しくて泣いたわ」

 

飾られた歴史的展示物である歴代王の写真。四代目国王であるアルクェイドの写真の前でギャラハッドとケイはとまり、ギャラハッドは当時を思い出す。

 

「俺はお前が王に成った時もだよ」

「えっ?俺は丞相と国王代理だろ?」

「そう思ってるのはお前だけ」

 

ゆっくりと時間を忘れて展示物を眺めるギャラハッドとケイ。そんな時であった。アルクェイドの隣に本来はない写真が飾られていたのだ。

 

五代目国王ジュウシマツ・ジュウショク。

何処から見ても鳥のジュウシマツ。そのジュウシマツの正面写真を歴代王の写真に加工して展示されていたのだ。

 

「ジュウシマツ・ジュウショク!?」

「プッハハ!!」

 

まさかのジュウシマツ・ジュウショク。当然、笑ってしまったケイとギャラハッド。笑ってしまった為か…

 

『デデーン。ケイ、ギャラハッド…アウト』

「ふぁ!?なんで俺も!?」

 

ギャラハッドとケイ。お尻を叩かれる。だが、ギャラハッドは服の裏地に描いたルーン魔術による、非対称性電磁メタマテリアル防御フィールドのお陰かダメージはない。

 

「ケイ先生。行こうぜ」

「お前…マジでその魔術チートだわ」

 

先に進む2人。

壁には歴代円卓の集合写真、ガウェインの戴冠式の写真、ギャラハッドの戴冠式、アルクェイドの戴冠式の写真が飾られている。だが、歴代円卓の集合写真は世代を重ねることに少なくなっていく。当然だが、円卓の椅子は前任者より強いことが条件であり…前任者より強くなくては椅子に弾かれる。その為か、前任者より強い人材はやがて現れなくなり少なくなり…やがてはアルクェイド1人だけと成ったのだ。

 

ガウェインの後に座った者は居ない。ランスロットは…不倫仮面と成ったので座れたのは居ない。ギャラハッドは円卓最強なので当然だ。

 

その時だった……

 

「グゥオオオオ!!」

 

何かの雄叫びが聞こえる。何事かと思い、ギャラハッドとケイが後ろを振り向くと…そこには

 

「「アロサウルスが来た!?」」

 

そこそこ大きな肉食恐竜 アロサウルスがギャラハッドとケイ目掛けて襲ってきたのだ。このアロサウルスは実はアロサウルスではない。日本出身のバーサーカーのサーヴァント 鬼女紅葉である。まあ、生前は人だったが…本気を出さない限りはアロサウルスの姿と成っている。なお、彼女のマスターであるカリンちゃんは新宿在住のギャルJCである。

 

「そこまでだ!!ギャラハッドよ!!変態レンジャーが1人、ぺドフィリアマスク!!只今、見参!!」

 

更に前方からはおパンティーを被った変態が1人、ぺドフィリアマスクが現れた。因みにぺドフィリアとは13歳未満の子供の事を指しており、歴史が趣味の方は彼の正体が分かったのでは?

 

「ギャラハッド…どうする!?」

「仕方無い…突破する!!」

 

後ろのアロサウルス、前のぺドフィリアマスク。逃げ場はない…突破するしかない。

 

ギャラハッドとケイは走りだし、ぺドフィリアマスクに立ち向かう。

 

「来るが良い!!」

 

ぺドフィリアマスクは腰を振りながら迎え撃つ。だが、ギャラハッドはぺドフィリアマスクの首を掴み、渾身の握力で握り締める。

 

「いだだだだ!?痛いんですけど!?」

「お前を囮にする!!」

 

ギャラハッドひそう告げ、ぺドフィリアマスクを鬼女紅葉に向かって投げた。

 

「熟女はムリー!!」

 

ぺドフィリアマスクは紅葉に向かってそう叫ぶ。その瞬間…

 

「ガブリ」

「ほんげー!!」

 

鬼女紅葉のアギトに捕えられ、ぶんぶん振り回された。

 

「ケイ先生!!」

「お前…ひでーな」

 

だが、前は空いた。ギャラハッドとケイは1階廊下を無事に突破した。

 

 

外庭…

 

「此処は…特に何もないか」

 

外庭には様々な植物が植えられており、植物園のように成っている。桜、枝垂れ桜、桃、リンゴ、楓…そしてメタセコイヤ等が植えられている。

 

「普段はライトアップされて綺麗なんだけどな」

 

外庭…地面の下にある配線の都合上、変態軍団が手出しを出来なかった模様。

 

そして離れに到着し、離れの扉を開けると。

 

「むーむー!!」

 

「助けなさいよ!!」

 

「やっと来たか」

 

「おせーよ」

 

オルガマリー所長。ヒナコ。エミヤ。ランサー。そしてボールス。彼等が亀甲縛りで拘束されていたのだ。

 

「なんでお前達、亀甲縛りなんだよ」

 

ギャラハッドは四次元空間から短剣を取り出して、オルガマリー達を縛るロープを切って彼女達を解放する。

 

「そらよ、行くぞ」

「やっと自由よ…」

「亀甲縛りって胸がキツいのよ…」

 

なんとか解放された人質。しかし……

 

『警告!!サー・ケイとギャラハッドが人質を救出!!これより迎撃せよ』

「不味い!!逃げるぞ!!」

 

だが、人質を救出した事が不倫仮面にバレる。ギャラハッド達は大急ぎで離れから出て、全速力で逃げる。

 

「逃がさんぞ!!息子よ!!エクスタシィィーー!!」

 

「覚えておけ…変態こそが正義なのだよ!!」

 

だが、背後から不倫仮面と変態仮面が迫ってくる。

 

「逃げるんだよぉぉお!!」

 

キャメロット城で宝具や攻撃魔術は使えない。だからギャラハッド達は全速力で逃げる。

 

外庭を抜け…

 

「ボールス!!」

 

ボールスが不倫仮面に捕まったが、気にしてはいけない。

 

廊下を抜けて…

 

門を抜けてそれでも走り抜ける。

 

「そこまでだよ…息子達よ」

 

だが、ギャラハッド達は不倫仮面と変態仮面に追い詰められる。

 

「どうする?」

「ここじゃ宝具は使えないだろ」

「不味いわよ…」

 

しかし、ギャラハッドは笑みを浮かべていた。

 

「此処はギャラハッド資料館。早い話、俺の円卓時代の家だ」

 

だが、彼等は知らぬまにギャラハッド資料館…ギャラハッドの土地にたどり着いていたのだ。

 

「自分の土地では使って良いよな?」

 

ギャラハッドはそう告げ、アロンダイトを取り出す。

 

「まっ待ちなさい!!息子よ!!」

「それに、此処は昔…俺とアルちゃんが経営してた孤児院だった名残か、地面の下には数多の飛雷神のマーキングが仕込んである」

 

そしてアロンダイトの刀身が青く輝く。

 

無垢なる湖光・過剰光刃(アロンダイト・オーバードライブ)!!」

「「ほんげぇぇぇ!!」」

 

そして不倫仮面と変態仮面はぶっとばされ…夜が開けるのだった。

 

 

 

 

 

午前10時。

 

仮眠を取ったケイ達はギャラハッドと別れ、宿のロビーにやって来ていた。

 

「どうも、女将のアルトリア・キャスターです」

「女中のラウラです」

「女中のスペシャルウィークよ」

「女中のバゲ子だ」

 

女将役キャストリア、女中は妖精騎士トリオであった。

 

「女将達はお前かよ!!」

 

ケイ達の笑ってはいけないは無事に終わった。




活動報告にも載せましたが、円卓時代のネタが多すぎてカルデア編がまだまだ辿り着けそうにないので…同時進行で書きます。

章は分けますが…書いたばっかの奴は最低数時間は一番下の最新話の所に起きますが、時間が経てば該当する章の所に移動させます。

なので、ヒロインアンケートは勝手ながら終了させてもらいます。つまり、正妻戦争勃発!!正妻は…アルちゃんになりそうだが、第2夫人の争いで大惨事正妻戦争に成るかも(笑)


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人理修復に挑むギャーさん
最強のサーヴァントと最弱の少女の出会い


カルデア編の第一話


2014年。フィニス・カルデア。

 

此処は時計塔のロードの1つの家系 アニムスフィア家が設立した施設であり、此処は国連保証機関であり、国連から直々に認められた数少ない機関である。

フィニス・カルデアは通称カルデアと呼ばれており、場所は公に明らかにされていない。だが、建前とは言え何処の国にも属さない組織である為か場所は大体と限られる。分かることと言えばカルデアの外は常に吹雪いており、標高がそこそこ高い山の頂上に作られている。まあ、とは言え…世界最高峰のエベレストでは無いことは確かだ。だって、余りにも目立つのだから。

 

ここの役目はただ1つ。未来に於ける人類史の存続を観測し、それが途切れる事が有れば修正すること。人類の歴史を途絶え指すことなく永久的に保証させる。ざっくりと言えば、此処はそんな所だ。

 

「最後のマスターがやっと来たのね」

「ええ、所長。まあ、マスター適性とレイシフト適性が100%なだけの数合わせの少女、そしてその少女の血の繋がらない妹ですけどな。ですが、数合わせの足手まといを含めてようやく48人集まりましたね。弾除け程度には成るでしょう」

 

そんなカルデアを束ねるのはオルガマリー・アニムスフィア。まだ年若く、世間的に言えば20代前半程の若い女性だ。とは言え、彼女は自分の意思で此処の所長に成ったのではない。オルガマリーは数年前、前任者の所長…父親の急死を受けて心の準備が出来る前に家督とカルデアの所長を受け継いだのである。

 

そんなオルガマリーは部下から手渡された資料を見る。その資料には数合わせを含めた様々なマスターの情報が載っている。

カルデアが人理の焼失を察知したのは半年前。その半年前から出来るだけ戦力は欲しいと思い、過去の英霊をサーヴァントとして使役できるマスター候補…そしてマスター候補でありながら特異点に介入できるレイシフト適性の高い人材を急ピッチで集めていた。だが、急ピッチで集めた為か…半年前から召集しだした人材は10人全員が数合わせ。まあ、居ないよりマシと言いたげな数合わせの存在だ。オルガマリーは彼女達には最初から期待はしていない。

 

「取りあえず、顔と名前は覚えておきましょう」

 

オルガマリーは資料を捲る。

 

「数合わせの1人は遠野秋葉、2人目と3人目が遠野秋葉の付き添いで来た琥珀と翡翠姉妹。

4人目は藤丸太郎…あの遅刻やろうね。

5人目は宇津見エリセ。6人目は渡辺カリン。どっちも14歳の中学生。

7人目は岸波白野さん。

8人目はシエル。経歴不明、まあ雑用には成るかしら。

9人目は衛宮イリヤスフィール10歳。あの魔術師殺しとアインツベルンのホムンクルスの混血…彼女は期待ね。あと数年早く産まれていればね。

そして10人目はイリヤスフィールの血の繋がらない姉である衛宮立香。レイシフト適性とマスター適性は驚異の100%」

 

そして資料を確認終えたオルガマリーは資料を机に起き、彼女は立ち上がる。役者は揃った、あと半年という急ピッチの時間で集めた数合わせの10人+じっくりと集めた38人合計48名のマスターは集まった。いざ、役者は揃った。

 

「さあ、人理を救う戦いを…グランド・オーダーを始めるわよ!!」

 

その3時間後。レイシフトを行う為の中央管制室は仕掛けられていた爆弾により大損害を受ける。レイシフトを行う為のポッド…コフィンに入っていたマスタ-達45名は大爆発に巻き込まれた。当然、それは中央管制室に居たオルガマリーも当然である。

 

 

 

 

 

「なっ…なんなの?これ……」

 

拉致に近い形でカルデアにやって来た48番目のマスター 衛宮立香は唖然とした。

 

カルデアにやって来て早々、半日。録な説明も受けさせてもらえず、彼女は疲れはてた身体を引き摺って中央管制室に居たのだ。

 

立香は妹であるイリヤと共にカルデアに拉致され、録な説明もされていない。まあ、来たのがギリギリだったから仕方がない。だが、彼女は1人ではなかった。妹のイリヤは勿論のこと、同じく数合わせのマスターとしてやって来ていた秋葉や琥珀に翡翠、白野と言った同い年の友達も直ぐに出来た。それに、カルデアに来て右も左も分からない自分達に手を差し出してくれた青い髪の先輩 シエルに優しくしてもらい、此処でもやっていけると思っていた。

 

『妹と自分。どっちが出る?』

 

しかし、カルデアに連れてこられて直ぐに任務を言い渡された。立香はお姉ちゃんであり、イリヤは未だ10歳。小学生である妹を差し出すことは出来ず、立香は自分から任務に参加することを決意した。

 

『…はぁ、仕方無いわ。貴方は私と共にそこに立ちなさい。今日は見学よ、マスターがどのような者なのか自分の目で良く見なさい』

 

裏側歴3時間の立香。戦闘も魔術も出来るわけがない。それはオルガマリーも分かっており、オルガマリーは立香には自分の隣で見学を、イリヤには自室での待機を命じた。オルガマリーだって、無茶振りだとは少しは思っていたのだ。

 

『まあ、立香。貴方は大丈夫よ。直ぐに家に帰れるわ。私は借金のお陰で帰れないけど』

 

『立香さん!!琥珀さんに任せておきて下さいよ!!』

 

『立香様。自分の身を守ることを優先して下さい』

 

新しい友達である秋葉、琥珀、翡翠は立香を励ますようにコフィンに入っていった。

 

『立香さん。安心して下さいね?貴方とイリヤちゃんは、先輩である私が絶対に守りきります。そうでないと、私の先生と上司から何を言われるか』

 

シエルは立香の頭を撫でて、お守りを立香に手渡してコフィンに入っていった。

 

「秋葉!!琥珀さん!!翡翠!!シエル先輩!!ねえ、返事をしてよ!!ねぇ!!お願いだから!!お願いだから!!私とイリヤを孤独にしないで!!お願いだから!!お願いだから返事をしてよ!!」

 

だが、返事は来ない。当然だ。突如として管制室…というか立香の隣に立っていたオルガマリーの真下から爆発が発生。立香はシエルが手渡してくれたお守りがバリアを発生させ、身を守ってくれた。しかし、オルガマリーは魔術刻印が有った頭部を残して肉体が爆散。コフィンに入っていたシエルを含むマスター達も爆発に巻き込まれた筈だ。事実、エリート集団Aチームの1人 マシュ・キリエライトという片目が髪で隠れた巨乳少女もコフィンから自力で出ており、倒れている。

 

「こんな…こんな事って……」

 

拉致され、更に爆破テロに巻き込まれる。もう情報量が多くて頭を抱えてしまう。

 

「マシュ!!大丈夫か!!」

 

そんな時だった。新たな声が管制室に響く。立香は誰なのかと思い、顔を見上げて声の方を見る。そこにはサボタージュして、今回のファーストミッションに参加してなかった数合わせの1人 藤丸太郎こと藤丸がマシュを介抱して居たのだ。

 

「先輩…」

「マシュ!!しっかり、今助けるから!!」

 

マシュは頭から血を流しており、藤丸はそんなマシュを助けようとマシュをコフィンから引っ張りだしていた。

 

「立香さん、生きてますよね?ちょっと待ってくださいね」

「シエル先輩!!」

 

そんな時だった。シエルの声が下から聞こえてきた。マシュ以外のコフィンは既に下にセットされた状態であり、当然ながらシエル達はコフィンの中なので下に居る筈なのだ。

 

「よっこいしょっと!!」

 

そして爆音と共にシエルが入ってるコフィンの上が吹き飛び、なんと無傷のシエルが軽々とジャンプして上がってきたのだ。

だが、そんなシエルの右手には大きな重火器…パイルバンカーが握られており、シエルはその一撃でコフィンを破壊して脱出したようだ。というか、そのパイルバンカーは何処に仕舞っていたのだろうか?少なくともコフィンに入るときは手ぶらだった筈だ。

 

「シエル先輩!?」

「私、不死身なので。それより、やっぱり潜んでたか…テロリス野郎」

 

シエルは軽い足取りで立香の所に向かうと、なにやら魔方陣を展開してそこにパイルバンカーを仕舞う。どうやら彼女は魔術を用いて、このパイルバンカーを持ち運んでいたようだ。

 

「先輩…無事ですよね?」

「ええ、私は勿論…秋葉さん達も皆無事ですよ。ただ、瞬間的に頑強な防御が間に合ったのは秋葉さん、琥珀さんと翡翠さん、白野さん、後は中学生の2人…位ですかね。他の人は簡易的な防御しか施せなかったので大怪我から重傷っと言った感じですね。少なくとも守れたんで死んでませんよ」

 

シエルは優しそうにそう言った。爆発はしたが、オルガマリー以外の爆発に巻き込まれた人は全員生きている。それは良かった。

 

「ただ、オルガマリーは守れませんでした」

「そっそうだよね。所長さん……」

 

だが、オルガマリーは死んだ。それは覆せない事実であり、頭部だけで生きていける人間は有り得ない。

 

「立香さん。私はね、本当は数合わせのマスターじゃ無いんですよ。

カルデアを不審に思ったイギリス王室から派遣された工作員なんですよ。カルデアの監視を行っていたスパイです。ただ、今回の爆発は無関係ですけどね」

 

シエルはそう告げた。そう、彼女はお金や拉致等でやって来た数合わせのマスターではない。

 

「シエルという名前も本名では有りません。カルデアに入り込む為に名乗った偽名です。

立香さん、絶対に此処を動かないで。今のカルデアはこの爆発を始め、誰が敵なのか分からない。取り敢えず、私はイリヤちゃんの安全を確保してきます」

 

シエルはそう告げ、防火シャッターが降りて逃げ出せなくなった管制室の出口に向かう。そして防火シャッターを強引に腕力で抉じ開けて、イリヤの所に向かった。

 

「行っちゃった……あの、シエル先輩って本当に人間?」

 

唖然とする立香。そんな時だった……

 

『これよりレイシフトを開始します。繰り返す、これよりレイシフトを開始します。人理は焼失しました。これより2004年の冬木…特異点Xにレイシフトします』

 

管制室の上に輝く地球儀。たしか、名前はカルデアスだったか?そんな事を思う立香。カルデアスは真っ赤に染まり、レイシフトを告げる機械的な音声が辺りに響く。

 

「えっ?2004年って…私がお父さんとお母さんの子供に成った10年前!?」

 

『マスターNo.8 マシュ・キリエライト。マスターNo.43 藤丸太郎。マスターNo.48衛宮立香をマスターとして再登録。これより、レイシフトを開始する』

 

管制室は眩い光に包まれ、立香そして御互いに手を繋ぐ藤丸とマシュはレイシフトに巻き込まれた。

 

 

 

 

 

「えっ…此処って」

 

立香は気が付けば瓦礫の山の上に立っていた。彼女が立っているのは何処から見ても瓦礫の山であり、周囲の建物は崩壊してるのか、炎に包まれてた、或いは倒壊してるのかのどちらかだった。まあ、数少ないとは言え健在な建物も有ったのだがそれらは運が良い方だと言えるだろう。

 

「もしかして…冬木?」

 

燃え盛り崩壊した町だとは言え…立香の産まれ育った町。面影は残っており、立香は此処が変わり果てた冬木である事は分かった…いや分かってしまった。

 

少し歩けば新聞が落ちていた。新聞の日時を確認して見れば2004年と書かれており、此処はどうやら2004年の冬木のようである。

 

「えーと…マシュさん?藤丸くん?居ないか…」

 

立香は共に最後まで管制室に居た筈のマシュと藤丸に呼び掛けるが、返事は帰ってこない。仮に一緒に転移してたとしても同じ場所に落ちたとは限らないようだ。

 

「でも…どうして誰も居ないんだろ?」

 

歩いても歩いても誰も遭遇しない。不審に思っていた立香であったが、直ぐに此処が異常地帯である事に気付いた。

 

「骸骨が…骸骨が武器を持って動いてる!!」

 

そんな彼女の視線の先には蠢く骸骨のエネミー スケルトンが蠢いていたのだ。スケルトンは各々、槍や剣、弓矢を持っている。それに、剣や槍を持つスケルトンの獲物は血に濡れており…間違いなくそれで人を殺している。

 

「ギィギィ!!」

「グィー!!」

 

だが、大声を出してしまった為なのだろうか…スケルトンは立香に気付き、各々の武器を振り上げて襲い掛かってきたのだ。

 

「あっ…」

 

立香は死を覚悟する。

 

10年前の2004年。気が付けば冬木の病院の上で目が覚め、今までの記憶を失っていた彼女。死にかけの自分の手術を執刀した医者の友人だという衛宮切嗣、切嗣の妻で臨月の女性アイリスフィールに引き取られて衛宮立香と成った。だが、自分を助けて手術を執刀した医者は誰なのかは分からなかった。ただ、手術痕の傷痕が一切無く、とんでもない名医である事は間違いない。

 

そして妹のイリヤが産まれた。切嗣が言うにはイリヤはお腹に居る時に手術を受ける胎児手術を受けたそうで、その時の執刀医は立香の手術を担当した医師と同じだそうだ。

 

切嗣、アイリスフィールという2人の育ての親から愛情を注がれて育ち、妹のイリヤと共に大きくなった。

 

10年前からの走馬灯が脳裏に流れていた時だった。

 

「あつ!?」

 

突如として立香の右手の甲が一瞬熱がこもり、赤い楯を彷彿させる三角の刻印…令呪が刻まれる。その時だった…

 

「ギィギィ!?」

 

「グィヤァァ!?」

 

眩い魔力の閃光が解き放たれ、立香の前に1人の人物が降臨した。その人物は18歳程であり、白髪の騎士だった。軽装の鎧を着込み…紫のマントがはためく。そして騎士は立香の方を向いた。

 

「あっ…」

 

立香はそれが誰なのか知っている。いや、その人物を知らない者は世界中には先ず居ない。世界的知名度を誇り、イギリスを天然痘や食料危機から救い、様々な伝説が今でも語り継がれる万能の救世主。

 

「問おう…君が俺を呼んだマスターだな?」

 

伝説の聖剣アロンダイト、オメガウェポン ロンギヌスの担い手。

 

「マスター?」

「ああ、そうだ。一応、自己紹介しておくか。俺はギャラハッド。クラスはグランド・セイバーだ」

 

イギリスが誇る伝説の救世主 ギャラハッドである。

 

「グー!!」

「だまらっしゃい!!骸骨風情が!!今、大事な話してるんだよ、そらサンダガ!!」

 

迫り来るスケルトンの群れを手から放つ雷撃で全て消し飛ばすギャラハッド。

 

「で?どうしたいんだ」

「助けて」

「OKだマスター。む?この気配は……俺!?いや、どうなってる!?俺は同時召喚されない筈だぞ!!」

 

 

 

 

一方、藤丸とマシュはと言うと。

 

「マシュ…その姿は!?」

「はい、デミ・サーヴァントに成りました!!」

 

マシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントとして覚醒。その彼女の手にはギャラハッドが持つ大楯と同じものが握られていた。

 

ギャラハッドの脳内に存在しない記憶が流れるまで、残り3分。

 

 




次回…ギャラハッドの脳内に流れ出した、存在しない記憶。

ギャラハッド「お兄ちゃんと…呼んでくれ」
マシュ「兄を名乗る不審者が居ます!!」



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兄を名乗る不審者

所長…生きとったんかわれぇぇ!!


「マシュ…デミ・サーヴァントって一体?」

 

デミ・サーヴァントと呼ばれる存在に変質したマシュ。そんなマシュの圧倒的と言うべき力で、周囲のエネミーは粉々に砕け散った。藤丸は立香と違って3ヶ月程早くカルデアに来ていたので、魔術やサーヴァントと呼ばれる存在には詳しい。だが、彼はデミ・サーヴァントと呼ばれる物に関しては初めて聞いたのだ。

 

「デミ・サーヴァントはざっくりと言えば、サーヴァントと融合した人間です。人間でありながらサーヴァントの力を行使できます」

 

マシュは武装である大楯を消して、藤丸の隣に腰掛けながらそう言った。そう、デミ・サーヴァントとはサーヴァント…英霊と融合した人間であり、そのサーヴァントの力を使うことが出来る人材なのだ。しかし、本来は不可能であり、それが出来たのは此処に居るマシュただ1人である。

 

「私の力のベースと成った英霊はこの姿、楯からしてあのギャラハッドだと思います。ですが、どうして今、それが成功したのかは分かりません」

 

デミ・サーヴァントを作り出す研究はオルガマリーの父親の時代から盛んに行われていた。と言うかサーヴァントも人であり、完全に言うことを聞くかどうかは別なのだ。何故なら令呪と呼ばれる物がその証明と言えるだろう。

令呪は聖杯戦争の御三家である間桐の長が開発した使い捨ての刻印。令呪は基本的にサーヴァントへの絶対的な命令権利やバフによるパワーアップが行えるのだ。だが、同時にサーヴァントがマスターへ反逆した際の安全装置だとも言えるだろう。

 

「そうか、俺には分からない話だな」

「はい。ですが、カルデアが私のベースにギャラハッドを選んだ理由は大体想像できます」

「強いから?」

「いえ、先輩は御存知ではないと思いますが……ギャラハッドは令呪を無効化する可能性が非常に高いのです。そんなギャラハッドの力を使うために、デミ・サーヴァントの研究は始められたのだと思います」

 

御存知、ギャラハッドは魔術の知識も豊富だ。そんなギャラハッドだから令呪という安全装置を無力化してしまう事は魔術師も思っており、今まで行われた冬木の聖杯戦争、そしてたまに世界各地で行われる亜種聖杯戦争ではギャラハッドの召喚はタブーとされているのだ。強いが一瞬で真名が明らかになり、安全装置の令呪が意味を為さない。

 

デミ・サーヴァントの技術はそんなギャラハッドの力を魔術師連中が使うために、研究が進められていた存在なのだ。そして、その事がイギリス政府にこっそりと漏れてしまい…シエルが派遣されたのは言うまでもない。

だが、考えて欲しい。我らがギャーさんの力を手に入れた魔術師の軍勢。もし、それが実現したら世界その物が一気に変わってしまう。言わば、とんでもない研究でもあったのだ。

 

「ですが私はギャラハッドの魔術は使えません。デミ・サーヴァントとして使えるようになったのはシールダーとしての力だけです。

なので、ロンギヌスやアロンダイトと言ったギャラハッドの代名詞と言うべき宝具も受け継ぐ事が出来ませんでした」

 

だが、ギャラハッドというイレギュラーにも程がある存在を人間と融合させるには無理が有ったのだろう。成功者とも言えるマシュ・キリエライトでさえ、受け継げたのは楯としての側面だけ。

四次元空間と繋がってる大楯しか持っておらず、代名詞と言えるアロンダイトやロンギヌスは受け継ぐ事は出来なかったのだ。

 

「そうか(あれ!?ギャラハッドってロンギヌスはともかく、アロンダイトは持ってないだろ!!)」

 

なにやら藤丸が心の中でぼやいてるが気にしてはいけない。

 

「一応…大楯の四次元空間も確認したのですが…」

 

マシュは大楯の四次元空間の入り口に手を入れて色々と探る。だが、出てきたのは医療グッズ、ガンブレード、ボルトアクション式ライフル、フライパン、お玉、まな板、等々しか出てこない。

 

「こういうのしか有りませんでした」

「なんでフライパン?」

 

藤丸はマシュの大楯から出てきた物を見て首を傾げるが、マシュはそれらを大楯に仕舞っていく。

 

「それより、先輩。状況ですが…レイシフト出来たのは私達だけみたいです」

「そう…みたいだな」

 

周囲のエネミーは片付けた。一先ず、状況を整理する藤丸とマシュ。

 

レイシフト出来たのは恐らくは自分達だけ。その証拠に自分達の周囲には誰も居ない。だとすれば…

 

「コフィンに入ってなかった俺達がレイシフトできた?」

「そうだと思います。数合わせのシエルさんに関しては気になることが多々有りますが…私達の他にレイシフトしてるとすれば、コフィンの外に居た衛宮立香さん、所長位ですか」

 

コフィンに入っていた者はレイシフト出来ていない。だとすればコフィンの外に出ていたマシュ、藤丸、所長、立香がその対象だろう。シエル?彼女はコフィンを脱出して管制室を出ていったので例外だ。

 

「そうだな、急ごう!!マシュ!!もしかしたら生きてる人が居るかも知れない!!」

「はい!!ですが…私と先輩ですら、直ぐにエネミーに襲われました。凄腕の魔術師である所長は兎も角、民間人の立香さんは…考えたく有りませんが…」

 

マシュはAチームとして訓練を受けてきた。それ故に過酷な現場の事も多少は知っており、厳しさも知っている。藤丸はデミ・サーヴァントと成ったマシュが居たから何とかなったが、他の人はどうだろうか?オルガマリーは凄腕の魔術師だから何とかなるかもしれない。だが、民間人である衛宮立香はどうだ?エネミーに襲われれば抵抗する術がなく、間違いなく殺されてしまう。

 

「そうか…そうだよな」

「はい。ですが、状況をカルデアに伝えましょう。通信が繋がればの話ですが」

 

レイシフトに成功したのは成功したが、管制室は爆発に巻き込まれてる。カルデアがどうなってるのか、2人は心配なのだ。マシュはカルデアと交信しようとする…すると

 

『ふぁ!?やっと繋がった!!藤丸君、マシュ!!えっ!?マシュ!!なんでそんなギャラハッドの鎧をハレンチなビキニアーマーにしたような服装をしてるんだい!?』

『ドクター、立香さんが居ないんですけど』

『一先ず、生存者発見ですね』

『お姉ちゃんは!?お姉ちゃんは何処なの!?』

『立香さんにはお守りを渡してるので無事だと思いますが…まさか生身でレイシフトするなんて…うかつでした』

 

ホログラム状の立体映像では有るが、カルデアの医師であるロマニ・アーキマン、無傷だった為に普通のやり方でコフィンから出てきた秋葉、翡翠、琥珀、白野、コフィンから自力で脱出したシエル、シエルに保護されたイリヤ、そして中学生のカリンとエリセが映し出された。

 

『君たちお腹空いてない?麻婆食べる?』

 

なお、白野はこの極限状態でも麻婆豆腐を作り…食べていた。恐るべし、この女子高生。

 

『『いや、結構です!!』』

 

あんまり、秋葉達と絡んでなかった為か、ギャルっぽいJCのカリンと黒髪の将来巨乳だと思われるJCのエリセは麻婆を断っていた。

 

「ドクター。私と先輩…藤丸太郎はレイシフトに成功しました。それと、私の霊基を見てください。私はデミ・サーヴァントに成っています」

『うん…ソダネ…後ろのイギリス王室御抱えの人が怖いからソダネとしかいえないね』

 

ロマニの後ろでは「コイツら…マジで人体実験繰り返していたんだな…」と殺意の籠った視線を送るシエルが立っており、シエルは大剣を手に持っていた。

 

『責任者を…ギャラハッド先生がタタール族のモリンホール(馬の骨や毛で作る楽器)や文化のインスピレーションを受けて作った、第七聖典の大剣で錆びにしてやろうか』

『まって!!まって!!シエルさん!!僕とオルガマリー所長は人体実験に無関係だし、反対してたからまって!!』

『パイルバンカーと大剣、アサルトライフル、好きな方を選んでください。死後に第七聖典になって、ギャラハッド先生を支え続けたオグリインパクトも許してくれますよね』

『それ、サーヴァントも死んじゃう奴!!』

 

ロマニは必死で弁明し、シエルは大剣を収納した。

 

『まあ、マシュがデミ・サーヴァントに成ったのは置いといて…これ、イギリス王室がシエルの他にも送り込んでこないよね?ギャラハッドを侮辱したのと捉えられないよね?アルクェイド・ブリュンスタッド女王と第二魔法の魔法使い、妖精騎士が乗り込んで来ないよね?

恨むよ…前所長……』

 

そんなロマニは頭をおさえて大きな溜め息を吐き出した。

 

『あっ、こっちの被害だったね。ご覧の通りコフィンに入ってたマスター達はレイシフトに失敗したよ。まあ、此処に出てきてるマスター達はシエルさんがバリアーを張ってくれた為か無傷だし、コフィンにまだ入ってるマスター達もシエルさんのお陰か命に別状はない。

ただ…僕以上の上官は全員死亡。オルガマリー所長も…』

 

だが、ロマニは今後の展開は兎も角してカルデアの今の状況をマシュと藤丸に伝える。

コフィンに入っていたマスター達はシエルが守りきれた無傷の秋葉、琥珀、翡翠、白野、カリン、エリセを除きまだコフィンの中に囚われている。だがシエルが爆発寸前に簡易的なバリアーを張れた為か…命に別状は無いそうだ。だが、戦線復帰は未々先に成るとの見込みのようである。

 

「そうですか…分かりました」

『ありがとう。まってくれ、これはサーヴァントの反応だ!!速いなんて物じゃない!!それも…この霊器反応は…まさか!?』

 

ロマニがそう告げた瞬間…藤丸とマシュの側に何かが降り立った。それは立香を片手で担ぎ、魔力放出の飛行で此処に飛んできたギャラハッドであった。

 

『うそ!?ギャラハッド!?本物!?マジで!?』

 

『本物のギャラハッド!?』

 

『写真通りの顔だ!!』

 

『お姉ちゃん!!良かったよ~』

 

マシュ達の側に降り立ったギャラハッドは優しく立香を下ろすと、ホログラム状のロマニ達を見る。すると、シエルに気付き…

 

「エレイシア。なんで此処に居るんだ?」

『仕事ですよ先生。ゼルレッチさんとアルクェイドにカルデアがちょっと怪しいから調べて来いって言われたんですよ』

「『『エレイシア!?』』」

 

エレイシアという名前でシエルを呼んだギャラハッド。と言うのもこれには訳がある。何故なら、シエルの本名は…

 

「お前、本名言ってなかったのか?」

『はは…申し訳ないです』

 

エレイシアという名前だったのだから。

 

だが、ギャラハッドはロマニの顔を見て首を傾げだした。

 

「あの…ギャラハッド?どうかしたの?」

「ソロモン?お前、もしかしてソロモンか?グラ友忘年会で連続欠席連絡を送り続けてきたソロモンじゃないか。肌の色変えて整形したのか?マイケル・ジャクソンに憧れたのか?」

『イエ、ヒトチガイデス』

 

 

 

 

 

「初めましてギャラハッドさんですよね?私はマシュ・キリエライト。此方は藤丸先輩です」

「藤丸太郎だ(あれ!?原作と明らかに違う流れに!?)」

 

だが、立香が生きていてグランド・セイバーを召喚できたのは有難い。マスター同士の連携も取れるし、なにより御互いのサーヴァントとしての連携も取れる。戦術の幅が広がると言えるだろう。

 

「うっうん…衛宮立香です」

「ギャラハッドだ宜しくな」

 

だが、その時…ギャラハッドの脳内に存在しない記憶が流れ出す。

 

 

 

 

 

 

「兄さん!!今日のご飯は何ですか?」

「今日か?喜べ、お前の好きなミートパイだぞ!!」

 

自分の力を持つ少女 マシュ・キリエライトと兄妹として過ごした存在しない記憶。

 

 

 

「クリスマスには七面鳥のターキー、大晦日には昔ながらの味噌焼きでのすき焼き、元旦はコタツに温もりながら雑煮か」

「へ?」

「お兄ちゃんって呼んでくれて良いぞ」

「兄を名乗る不審者が居ます!!」

「ツッコミはケイ先生と筋肉バカで間に合っている!!」

 

ギャラハッド…マシュから不審者扱いされるのであった。

 

だが、その時だった。

 

「ギャァァァ!!なんなのよ!!このエネミー!!こっち来ないでよ!!」

「この声は?知り合いか?」

 

なにやら若い女性の悲鳴が響いた。しかし、ギャラハッドは声の主が分からず、立香やマシュに問う。

 

「この悲鳴は…所長です!!生きてたんですね!!」

 

マシュはこの声を知っている。間違いない、カルデアの所長オルガマリーだ。オルガマリーは生きている、間違いない、今なら未だ間に合うのだ。

 

「ギャラハッドさん!!あの声は私達の所長です!!助けて下さい!!」

「OK、あとお兄ちゃんと呼んでくれ」

「私は一人っ子です!!」

 

だが、見捨てる訳にはいかない。ギャラハッド達は悲鳴の方に向かうと、そこには…

 

「ひっ!!来ないでよ!!こっちに来ないでよ!!助けてよ!!レフ!!助けてよ!!」

 

スケルトンの大軍から逃げていたオルガマリー所長が居たのだった。

 

だが、考えて欲しい。オルガマリー所長は爆破事件で魔術刻印が有った頭部を残して肉体が消滅しており、生きてはいない筈。彼女の亡骸はロマニもシエルも真横に居た立香も確認しているから事実だ。と言うことは、オルガマリーは魂だけでレイシフトしたと言うことである。

 

『『「所長!!生きとったんかわれぇぇ!?」』』

 

そんなオルガマリーの元気に逃げ回る姿を見た立香、シエル、ロマニは大声で叫んでしまった。

 

その後、オルガマリーはギャラハッドの手で無事に救出されたのだった。




次回!!オルガマリーを仲間に加えたギャーさん達。そしてシャドウ・サーヴァントを近代兵器でフルボッコ!!

そしてツッコミ係ことケイ先生が合流する。


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ツッコミ役…冬木に立つ

ケイ先生…合流!!


英霊の座。

 

「ふぃー。今日も競馬中継を見ながら飲むウィスキーは旨いぜ」

 

ギャラハッドの保護者であり、ある意味育ての父親でもあるケイ(享年80)は最盛期の姿でソファーに座りながら大好きな競馬中継を見ていた。

 

「しかし、ギャラハッドの奴と連絡が取れないな。この前電話した時はグラレンジャーの仕事が入ったとか言ってたけどな。てか、グラレンジャーってなんだ?」

 

チビチビとウィスキーの水割りを呑みながらレースを見守るケイ。だが、テレビの画面にはアルクェイド・ブリュンスタッド…ケイのある意味孫娘が跨がる競争牝馬 フェアリーレイ(馬主イギリス王室…というかアルクェイド)がアーサー記念を制覇した。当然、ケイはフェアリーレイの馬券も買っており…本来は喜ぶべきだが悔しそうな表情をする。何故なら、ケイは3連単で買っており2着と3着を外した為だ。

 

「くっそ!!彼処で3番が指しきれば!!」

 

ケイ先生、競馬で300000円を損失する。まあ、これは生前から良くあることだった。なお、ギャラハッドの生前時代は単勝しかなく、3連単は無かった。その為か、ケイはガウェインとギンシャリボーイの120億円事件位しか外していない。

 

そんな時だった。ピンポーンとケイの座に訪問者が現れる。

 

「どちら様だ?」

 

ケイは玄関に向かい、訪問者をお出迎えする。まあ、ケイの座に遊びに来るのは大体決まっている。円卓の騎士やその関係者、そして後世を生きた自分達の事を知る人々の挨拶位である。

今回もガウェインやトリスタン辺りが遊びに来たのだと思った。だが、玄関の先に居たのは…

 

「私はオーディン。半分人間、半分神のグランド・ルーラーだ。

今はグランドの者達を束ね、有事の際はグランド・サーヴァントの戦隊チーム グラレンジャーの司令官 マスターオブシルバーとして活動している」

 

自分の事をオーディンと名乗る隻眼の壮年を迎えた男が立っていた。男は1本の槍を持っており、肩には白いカラスと黒いカラスが停まっている。

 

「グラレンジャー?」

「グラブル-ことギャラハッドから聞いてないのかな?君は良く、ギャラハッドの現世視察に付き添って日本中央競馬の馬券を買ってるから聞いてると思ったんだが。

今回のアーサー記念の3連単は残念だったね。私は馬連だったから当たったよ」

 

オーディンと名乗った男は自慢するようにスマホを見せる。そこにはイギリス競馬のオンライン決済で買った馬券が見事に的中していたのだ。

 

「なぬ!?」

「話を戻そう。ケイ…キャスターとセイバーのクラスを持つ男よ。グラレンジャーの切り込み隊長 ギャラハッドが特異点に突入した。

君には私が推薦したファーマーのサーヴァントと共に特異点に向かい、ギャラハッドと合流してくれ。その後はファーマーと共にギャラハッドと行動を共にするカルデアの人々を支えたまえ」

 

オーディンと名乗った男はそう告げ、ケイの前から去っていく。すると、オーディンの前に脚が8本ある馬が突如として現れたのだ。

 

「いや、なんで?」

「ああ、そうだね。2つ伝えることがある。

1つ、訳あってイギリスと日本東京都立川、そしてカルデア以外の人理は焼失した。1年以内に7つの特異点を解決しなければ3つの生存圏以外の人類は消滅する。だが、1年以内に解決出来れば何事もなく復活する。

2つ。カルデアの数合わせのマスターである少女達、Aチームの半数、カルデアが召喚したキャスター、その他のマスターの7割は信用して構わない。だがカルデアの全ては信用するな、信頼するな」

 

オーディンがそう告げると、ケイの足元に魔方陣が展開される。

 

「既にグラレンジャーに所属しているグランド・サーヴァントは既に出撃要請を出している。

グラブラック…キングハサン、グラパープル…ルイ17世は特異点に到着しており、先ほどグラブル-ことギャラハッドも冬木の特異点に到着した。世界を頼むぞ…私もいずれ向かう」

 

そしてケイは冬木の特異点に飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

一方の冬木の特異点。

 

「そいそい!!」

 

ギャラハッドは戦っていた。だが、アロンダイトは抜かず、騎士にあるまじき武器を使って敵を倒していく。その武器の名前はアサルトライフル。射程距離数百メートルを誇り、高い連射性能と高威力を兼ね揃えた銃器である。勿論、ギャラハッド自作。

 

ギャラハッドはそれを構え、次々と相手を撃ち殺していく。アロンダイトやロンギヌスでぶったぎっても良いのだが、生憎と楽に敵を倒せればそれはそれで良い。

 

「ばっバカな!?どうして…そんな武器で!?」

 

1人の女がそう言った。オルガマリー曰く、その女はサーヴァントでは有るのだが黒い靄に包まれておりシャドウサーヴァントと呼ばれる劣化物らしい。だが、シャドウサーヴァントという劣化した存在とは言えサーヴァント。過去を生きた人知を越えた英霊であり、本来ならば通常兵器は効かない。だが、ギャラハッドが持ったアサルトライフルはシャドウサーヴァントの女に通じ、手足を吹き飛ばして頭を吹き飛ばした。

 

「俺の触れた物は全て俺の疑似宝具となり、俺が作った物も宝具となる!!」

 

だが、ギャラハッドはその人生の軌跡が産み出したスキルがある。それは触れた物をギャラハッドの疑似宝具となり、相手の宝具さえも触れればランクはそのまま借りパク出来るのだ。宝具でない物はCランク以上の疑似宝具となり、それはギャラハッドが自作したものも同じである。因みに、これはスキルなのでマシュにも有るのだとか。

 

「マシュ。お前も使え!!」

「私…銃なんて使ったことないんですけど!!」

 

ギャラハッドはマシュにも銃の使用を勧めるが、マシュは使ってくれない。ならば、自分で戦うしかない。

 

「次はおまえだ!!」

 

そしてギャラハッドは次のターゲットに、アサシンのシャドウサーヴァントに狙いを定める。まあ、シルエットからしてハサンの1人だろう。

 

「ひでぶ!?」

 

宝具と成った弾丸を避けきれず、シャドウハサンは蜂の巣に成ったのだった。

 

「ふっ、抜くまでもない」

 

ギャラハッドはそう告げて、アサルトライフルを四次元空間に仕舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ、開幕早々fpsやってんな!!アロンダイト使えよ!!お前、セイバーだろ!!」

「ケイさん。アンタも大変やね、あの子がギャラハッド君やな?コンラのグラ友って聞いてたけど…」

 

ケイ先生。オーディンから推薦されたファーマーのサーヴァント クー・フーリンと共に冬木に到着し、ギャラハッド御一行を見付ける。

 

(知らないサーヴァント!?だけど、キャスターのクー・フーリンも居る!!やっぱり原作通りだ!!)

 

立香、オルガマリーと共にギャラハッドとマシュの背後に隠れてた藤丸は心の中でそう言った。なお…

 

「あっ!所長さん、マシュ!!ギャラハッドの先生だったケイも来たよ!!」

「オルガマリーで良いわよ。今度はケイ!?早くも、あの円卓が2人も!?」

「あれがギャラハッドさんの先生ですよね!?写真通りです!!」

 

立香、オルガマリー、マシュは見事に打ち解けていた。

 

 

 

 

 

 

 

だが、ケイは知らない。

 

グラレンジャーの司令官 オーディンの監視を掻い潜り、あの変態もやって来ていた事を。




レフどうなるの?多分、二次創作トップクラスに悲惨な事に(笑)


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役者は揃った。いざ、ゆかん!!

オルガマリー…生存フラグ。


「知ってると思うが、ケイだ。ギャラハッドの保護者をしていた。宜しくな、ガキンちょども」

「僕、クー・フーリンです。気軽にシゲちゃん、リーダーって呼んでね。クラスはファーマーです」

 

シャドウサーヴァント2体を近代兵器を用いたギャラハッドの手で無事に倒すことが出来たカルデア御一行。そんなカルデア御一行に新たな仲間が2人合流した。それは生前からギャラハッドの保護者兼ツッコミ係りをしていた、お酒と競馬が趣味のケイ先生。そしてケイ先生がグランド・ルーラーことマスターオブシルバーことオーディンから推薦で同行したファーマーのサーヴァント、クー・フーリンである。

 

「偉大なケルトの大英雄も来たんなら、余裕ですよね!!所長!!」

 

本来の歴史ならクー・フーリンはケルト神話最強の大英雄として伝わっている。いやケルト処の話ではない。その強さはケルト式ヘラクレスと言える程の強さを誇り、城をぶんまわすわ、ゲイ・ボルクの投擲で城壁を何枚も貫通して相手をぶっ壊すわ、滅茶苦茶脚早いわ、魔術の腕前もキャスタークラス真っ青だわ、心臓壊れても暴れまわるわとやりたい放題。アーサー王真っ青な強さである。

 

そんなクー・フーリンが仲間に成ったためか、藤丸は物凄く嬉しそうだ。しかし、皆さん…このクー・フーリンの言葉を思い出して欲しい。このクー・フーリン、クラスはランサーでもキャスターでもなくファーマーと名乗ったのだ。ファーマー……つまり農家のサーヴァントという事である。

 

「えっ?ケルト神話最強の大英雄ってコンラじゃ」

「確かにクー・フーリンは農業や建築関係の英雄よね?奥さんはスカサハだけど」

「あっコンラなら私も知ってる」

 

ひそひそと話をするマシュ、オルガマリー、立香の3人。そう、この世界ではクー・フーリンは武力の英雄ではない。農業や建築で人々の暮らしを支えた英雄なのだ。

クー・フーリンは自分から周囲の人にシゲちゃんorリーダーと呼べと言っており、本名は城島セタンタ茂。クー・フーリンという名前は、クランという人物の犬を可愛がり、そのワンちゃんの犬小屋を新しく作ったのが由来である。けしてクランの番犬ではないのだ。

 

「あー…それはオーディンさんから聞いたけど、並行世界の僕やな。少なくとも僕やないで?だって僕は物騒なことは嫌いやし、僕はアイドルやからな」

「アイドル?」

「実は僕、前世があるんよ。前世はアイドルグループのリーダーをしていて、YARIOってアイドルグループを率いてたんよ」

「「「なんだってぇぇーー!!」」」

 

クー・フーリン…いや茂フーリンの言葉を受けて、立香、マシュ、オルガマリーは驚いた。そりゃそうだ。普通ならば前世はあると思うかも知れない。しかし、記憶を持って転生するなんて誰が思うだろうか?

 

(おっ!俺と同類だ!!しかもYARIOのリーダー!?マジで!?筋肉バカのお父さん…あの伝説的グループのリーダーの生まれ変わりだったのか!?)

 

同じく前世持ちのギャラハッド。言葉には出さないが、茂フーリンの前世が、誰もが知っている大人気農業建築アイドルグループのリーダーだったとは驚きだ。

 

「そうだった。ギャラハッド…俺から色々と聞きたいんだが。俺とリーダーがこの特異点に飛ばされる前、グランド・ルーラーのオーディンから聞かれたんだが…」

 

休憩と情報共有を兼ねてか、ケイはオーディンから言われた()()()()()()()()()()()()選んでギャラハッドは勿論のことカルデアからやって来た立香、オルガマリー、マシュ、そして藤丸に伝えていく。

 

「お前はオーディンからの指示で、グランド・セイバーとしてこの特異点にやって来たんだよな?だとしたら、お前はこの特異点についてオーディンから聞いてないか?」

「確かに…俺はグランド・セイバーとして抑止力でやって来た。だが、なんの縁か…死にたくないって願ったマスターに呼ばれたのか、マスターと契約した状態に成ったな」

 

そう、ギャラハッドは立香の願いに叶える形で冬木に現れたのではない。本来ならオーディンからの指令で、冬木の特異点の解決…及び原因調査で派遣されたのだ。だが、結果的にギャラハッドはどういう訳か呼び出された瞬間に立香と契約している状態と成っており、グランドでありながら普通のサーヴァントと同じく契約している状態と成ったのだ。

 

「この特異点は特異点に成る前から俺は訳あって関わっている。

何故なら、10年前の冬木で起きた聖杯戦争。俺は裏ルートで召喚されたグランド・キャスターとそのマスターが聖杯戦争に介入し、7組が7組+もう1つのキャスターの合計8組の聖杯戦争となった戦争で…グランド・キャスターを停めるためにオーディンの助力でセイバー枠として参戦した聖杯戦争でも有るからな」

 

なんという事でしょう。ギャラハッドは見事に暴露してくれたが、この冬木で10年前に起きた聖杯戦争…なんとギャラハッドはセイバーの枠で参戦していたのだ。しかも、裏ルートで参戦した8組目のグランド・キャスターペアを停めるために割り込んだのでグランド・セイバーとして参戦している可能性が高い。

 

「「「なんだって!?」」」

「当時のマスターは身重の妻とお腹の我が子を何としてでも、聖杯戦争の呪縛から助けたかった。だが、妻の実家がそれを赦さない。まあ、Win-Winとして俺がセイバーとして当時のマスターに召喚された訳だ」

 

「俺はグランド・キャスターペアを停めるため。当時のマスターは妻子を救いたい。見事に利害が一致した俺達は、マスターの奥さんの実家を半殺しにし、マスターの奥さんのお腹の赤ちゃんを胎児手術で治療し、アルクェイドに奥さんを預けて冬木に飛んだ。

だが、冬木で待っていたのは俺VS他の陣営+グランド・キャスターペアだった」

 

しかし、冬木で待ってたのはギャラハッドVS他の陣営+グランド・キャスターペアという絶望の布陣。そりゃ、あのギャラハッドが出てくると分かれば全陣営は手を組んでギャラハッドを潰すだろう。

 

「まあ、俺は他の連中を返り討ちにした。だけど、聖杯戦争での聖杯はサーヴァントが6人倒れれば願望器として完成する。

その瞬間…グランド・キャスターのマスターは大金、グランド・キャスターは何かを願ったんだろうな。だが、グランド・キャスターのマスターがその時に世界の破滅に関する事を願わなかった為か…俺の活動限界が来てしまってな。俺は普通のキャスターが巻き込んだ少女の手術をしてから座に帰った。まあ、特異点と成っている事はあの後に…誰かが歴史介入したんだろうな。シャドウサーヴァントは俺が10年前闘った奴等とは別だ」

 

だが、10年前の聖杯戦争。ギャラハッドVS全陣営の勝負は結果論だけで言えば全陣営の勝利となった。何故なら、全陣営のグランド・キャスターは生き残り…他のメンバーはギャラハッドの手で倒されて願望器が完成。ギャラハッドは生き残ってたが、グランド・キャスターペアが願いを叶えた為に結果的にはギャラハッドの敗けである。

 

「そのグランド・キャスターとマスターの名前って分かるかしら?」

 

オルガマリーが興味本位で聞く。すると、ギャラハッドはあっさりと教えてくれた。

 

「マリスビリー・アニムスフィア。グランド・キャスターの真名はソロモン」

「お父様!?お父様が10年前の聖杯戦争に参加してたの!?それに、ソロモンですって!?」

 

ギャラハッドが告げたグランド・キャスターの真名とマスターの名前。10年前のグランド・キャスターのマスターはマリスビリー・アニムスフィア、それはオルガマリーの父親だったのだ。

 

「その時は特に世界の異変は無かったが、特異点と成ってることは誰かが横槍をいれたら変質する程に不安定だったんだろうな」

「成る程。それと、もう1つだ。オーディンが言ってたが、カルデアと東京都立川、後はイギリス以外の人理が焼失したそうだが…聞いてるか?」

「それも聞いた。イギリスが無事なのは俺とゼルレッチが防御術式をキャメロット城を軸に仕掛けてたのと、アルクが居たからだろうな。立川は分からないが…その調査にグラレッドが向かってる」

 

ギャラハッドはそう告げると、1人で立ち上がる。

 

「ちょっとカルデアの指揮官、ソロモンのそっくりさんと話したいからちょっと離れるわ。立香、マシュとオルガマリーはケイ先生達とスキンシップしてくれ」

 

ギャラハッドはそう告げ、歩いて30メートルほど離れる。そして…

 

「ソロモン、聞こえるか?」

『あのね、僕はソロモンじゃないよ』

 

カルデアに通信をかける。

 

「エレイシア。ゼルレッチに連絡は繋がるか?」

『はい。繋がりますよ』

「ゼルレッチに言って、立川で調査してるトールをカルデアに呼んでくれ。それと、あのオルガマリーちゃん……肉体は死んでるだろ?」

 

ギャラハッドの言葉を受けて通信に出ていたロマニ達は頷いた。事実だ、オルガマリーは魔術刻印が有った頭部を残して爆発で跡形もなく消し飛んでいる。

そりゃあ、大声で生きとったんかわれぇぇ!!なんて言われれば当然だ。

 

「身体の一部は残ってるか?」

『それなら問題ないよ。でも…』

「トールのムジョルニアなら問題はない。トールにオルガマリーが帰るための肉体を治してもらえ。それなら所長は助かるぞ」

 

このレイシフトが終えてカルデアに帰還しても、オルガマリーには帰るための肉体がない。なのでこの特異点を解決してもオルガマリーはカルデアに帰ることが出来ず、死んでしまうのだ。

だが、戻るための肉体が有れば話しは別だ。オルガマリーは前と同じ様に日常に帰る事が出来るのである。

 

「という訳で頼んだ。今すぐに」

『なんのようだ。グラブル-』

 

と…新たなホログラム状の人物がギャラハッドの前に現れた。その人物は赤い髪を女性のように伸ばしたmuscleな青年。だいたい、muscleレベルは勇次郎ほどは有るだろう。

 

「おっ、速いなグラレッド」

 

グラレンジャーの1人、グランド・バーサーカー トールである。

 

「取りあえず…生首の遺体を元に戻してやってくれ。魂は此方に来てるから、肉体さえ有れば無事に復活する筈だ」

『ああ、容易い事だな』

 

そしてグラレッドことトールはカルデアの職員の案内で、生首の所に向かっていった。

 

オルガマリー…生存決定!!

 

 

 

 

 

 

 

「何が…あった…ランスロット!!」

「ふっ、並行世界の王よ。覚えておけ…変態こそが正義なのだよ!!

息子よ、パパが助太刀に行くぞ!!」

 

その後、女性の甲高い悲鳴が木霊した。

 




次回…冬木の特異点 解決!!



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冬木終了

冬木…終わり!!


「まあ、異変があるとすれば大聖杯だな。ゼルレッチと自動召喚された俺が見届け、冬木の御三家(笑)が設置した大規模魔術装置がある。

誰かが何かを施すとすればそこ位しか思い付かないな」

 

冬木の大聖杯。かつて冬木の御三家である遠坂、間桐、アインツベルンが第3魔法or願いを叶えたいという目的で設置した大規模魔術装置。その設置をかつて自動召喚されたギャラハッドとイギリスからやって来たゼルレッチは見届けた過去を持っているのだ。

 

「あの時はすんなり設置出来たみたいだが。しくじれば俺とゼルレッチで大聖杯を破壊する予定だったが、こうして再び脚を踏み入れるなんてな」

 

冬木にあるお寺が山頂付近にある山。その山の隠れた洞窟を進み、大聖杯へと向かうギャラハッド御一行。だが、奥に行くと、そこには……

 

「でやがりましたな!!このマダオ!!」

「ランスロット!!お前、どうやってやって来た!!」

 

おパンティーを被った変態。不倫仮面が立っていた。勿論、不倫仮面の服装は頭に被ったおパンティー、肩まで引っ張りあげてクロスさせたブリーフ、そしてアミアミタイツとスニーカーというほぼ裸と言える変態ちっくな服装である。

 

「やあ、遅かったじゃないか息子よ。既にパパは聖杯を確保したから、ここでの事件は解決したよ」

 

だが、そんなブリーフには色が黒く変色してるが我らが初代国王アルトリア・ペンドラゴンがめり込んでおり…間違いなくこの黒いアルトリアは不倫仮面の変態奥義を受けて仕舞ったのだろう。実に残念で可哀想であるが。

 

「変態だぁあ!!変態が居るよ!!」

「イヤァァァア!!変態だ!!」

 

そんな変態を見てしまい、立香とオルガマリーは悲鳴に近い声を叫んでしまう。

 

「おや?初めましての人も居るようだね。私の名前はランスロット。元円卓の騎士であり、今は正義の変態 不倫仮面として世界の平和を守るヒーローだ。

私はスキル 単独顕現でやってきてね。該当するクラスはバーサーカー、ビースト、アブノーマルの3つだ。此度はアブノーマルとしてやって来たよ」

 

腕を組み、どや顔を見せる不倫仮面ランスロット。すると、黒いアルトリアは光の粒子に成って消滅してしまった。どうやら、変態には勝てなかったようだ。仕方があるまい。だって、変態だもの。

 

「あの…本当にランスロット何だよな?」

 

ランスロットがおパンティーを被っていたのは有名だ。なにせ、キャメロット競馬場の展示ブースにはスーパーフェロモンに乗馬した不倫仮面の写真が残されている。余談だが、展示ブースには他にもギャラハッドが当時使っていた鞭、騎手ブーツ等々が展示されている。最近の物ではアルクェイドがエクススカーレット(馬主イギリス王室、騎手アルクェイド)で有馬記念を制覇した時の写真や勝負服も展示されているとか。

 

だが、藤丸はランスロットがおパンティーを被っていた事を知らないそうだ。

 

「ふふ、私は何を隠そう本当にランスロットだよ。正義の味方故に正体を晒したくないのだがね」

 

不倫仮面はそう告げ、被ったおパンティーを取って素顔を見せる。確かに顔は写真で世界的に有名と成っているランスロットの顔 その物であった。

 

「うわ、本物だ」

「しかし…おパンティーを被ると高揚する」

 

だが、おパンティーを被りたいのだろう。マダオとしての素顔を見せたランスロットは再びおパンティーを被り、変態としての不倫仮面に再度変身してしまった。ぶっちゃけ被らなくても良いのに。

 

「む?」

 

だが、不倫仮面はマシュを見る。すると、不倫仮面もといマダオことランスロットも何かを感じ取ったのだろう。不倫仮面は腰をフリフリと振りながらマシュに近付いていき、マシュに右手を差し出してこう告げた。

 

「パパと呼んでも良いんだよ?」

「うわーー!!変態です!!変態です!!兄を名乗る不審者の次は、パパと自称する変態が現れました!!今日はさんざんですよ!!」

 

しかし、考えてほしい。兄と名乗る不審者ギャラハッドの次は、パパと名乗るおパンティーを被った変態が目の前に現れた。もう、カルデアで起きた爆破テロ云々より、頭の回転が追い付かない事態が告ぎ次々と冬木で起きていたのだからしょうがない。

兄を名乗る不審者はまだマシだろう。普通に戦闘面は勿論、それ以外でも医療や食事でもかなり頼りになる。だが、おパンティーを被った変態…お前はダメだ。

 

「なにやってんじゃ、このマダオ!!純粋なマシュが穢れるだろうが!!」

「ホンゲェェー!!」

 

だが、そんなマダオに怒りの鉄槌が下される。ギャラハッドは四次元空間から携帯式大砲(バズーカー)を取り出し、不倫仮面の腹部に向かって砲撃する。放たれた砲撃は不倫仮面の腹部に直撃し…不倫仮面は後ろに少し吹き飛び倒れてしまった。

 

「ランスロットに砲撃を放った!?お前、サーヴァントに成ってもランスロットに容赦ないな!!」

「息子だからこそ、変態には容赦はしない!!」

 

ギャラハッドはバズーカーを四次元空間に仕舞い、ランスロットに近付く。そして不倫仮面が黒い王様から確保した聖杯を確保し、それを四次元空間に仕舞った。

 

「ミッションコンプリート」

 

不倫仮面を足蹴にし、無事にミッションコンプリート。

 

 

 

だが……

 

「まさか、我らが王以外でグランドが出てくるとはな。オーディンめ、やはり存在を消しておくべきだったか」

 

カツカツとブーツの音が響く。すると、ちょっと独特な帽子を被った緑色のスーツ姿の男が現れた。

 

「レフ!!生きていたのね!!」

 

オルガマリーはその人物を見て、レフと呼んだ。だとすればカルデアの幹部であるレフ教授と呼ばれる人物であろう。

そんなレフを見たオルガマリーはレフに向かって駆け出そうとする。だが、我らがケイ先生はそんなオルガマリーの首根っこを掴み、制止させた。

 

「ちょっと放してよ!!」

「辞めとけ。アイツは気配からして人間じゃない」

 

そう、サーヴァント達は気付けたがレフと呼ばれた人物は人間ではないのだ。

 

「えっ?」

 

だが、そんな事を信じられないオルガマリーは唖然とする。何故なら彼女はこれまでもレフに助けられ、なんとかカルデアを運営できていた。そんな恩人とも言えるレフがまさかの人間ではないと言われれば無理もないだろう。

 

その証拠に…

 

「痛覚がない?いや違うな」

 

ギャラハッドは目にも見えない程の速度で四次元空間から()()()()()が刻まれた投げナイフを投擲し、その投げナイフはレフの急所に全て命中する。額、喉仏、水下、金的…それら全てに投げナイフが突き刺さった。だが、レフは表情を変えない。

 

「あっ…アイツ終わった」

 

なお、ギャラハッドの投げナイフに刻まれたルーン刻印の意味を知るケイはレフが終わった事を察する。

 

「フハハハ!!なんだ?この攻撃は?舐めてるのか?グランドの名前も我が王以外は墜ちた物だな」

 

しかし、レフには一切のダメージはない。当然だ。ギャラハッドの目的は投げナイフでダメージを与えることではない。これはあくまで目印なのだ。

 

だが、その刹那。レフの右腕は血渋きを上げて根元から吹き飛ぶ。

 

「はっ?」

 

何が起きたのか理解できなかったレフ。と言うのも、レフは瞬きを一切行っていない。サーヴァントの動きにも対応出きる力をレフは持っており、相手が瞬間移動しない限りでもない限り防御は可能だった。

 

それにレフの視界からギャラハッドが居ない。レフは瞬きを行っていないので、普通の高速移動なら反応は出来る。だが、何時消えたのかが分からない。ギャラハッドが消えた瞬間にレフの右腕が消えたのだ。

 

「がぁぁぁあ!!右腕が再生しない!?何故だ!?何故だ!?これは呪いか!?只の呪いじゃない!?うぐぅぅぅぅぎゃぁぁぁあ!!魂が…我々の魂が汚染される!?破壊される!?ギャァァァ!!」

 

それもその筈だ。ギャラハッドが投げた投げナイフには飛雷神の刻印が刻まれており、ギャラハッドの本命は投げナイフを投擲し、飛雷神を用いた不意討ちの為の目印だ。

 

レフの右斜め後ろにはアルテマウェポン ロンギヌスを剣に変化させたギャラハッドが立っており、ギャラハッドはロンギヌスでレフの片腕を消し飛ばすと同時に真祖でも耐えられない致死量の呪いを撃ち込んだのだ。

 

「はぁぐぅはぐぅ!?他の魔神との繋がりを切らなければ…切らなければ…ゲーティアが全滅する!?うぐぅぅぅ!?」

 

レフはなんとか逃げ出そうとするが、ギャラハッドはそれを許さない。ギャラハッドはロンギヌスを槍に変化させ、レフの左足も切断する。それと同時に再度致死量の呪いが撃ち込まれた。

 

「ゲーティア?ああ、オーディンのおっちゃんが飲み会で言ってたソロモンの術式の1つだっけ?あれだろ、悪魔のモデルだろ」

 

槍モードのロンギヌスをレフの背中に突き刺し、グリグリと回転させながら呪いを更にぶちこむギャラハッド。

 

「うーん。元々生物じゃないから効き目が弱いな」

「UGGぅぅぅギャァァァ!!」

「いや、めちゃくちゃきいてんぞ!!」

 

目から、鼻から様々な穴から血を吹き出すレフ。呪いは物凄く効いているようだが、ギャラハッドからすれば効き目は薄いらしい。どうやらレフがちゃんとした生物なら既に呪いで魂ごと消滅してるだろう。

 

「おい…最後に1つ。今なら一思いにに殺してやるがどうする?」

「あ゛あ゛あぁあ!!」

「聞いてないか…マダオ。頼んだ」

 

ギャラハッドはレフからロンギヌスを抜き、下がる。そんなレフが最後に見たのは…

 

「私のおいなりさんだ」

 

マダオのブリーフであり…

 

「成敗!!」

 

不倫仮面の股間が顔面にぶつかり、レフは消滅した。

 

 

冬木の特異点 一先ず完了。

 

だったのだが…カルデアに戻った瞬間……

 

「なんで私裸なのよ!!」

「あっ、服着せるの忘れてた」

 

グラレッド トールの手でオルガマリーの肉体は無事に復活したが、トールはオルガマリーの肉体に服を着せることを忘れてた為か、オルガマリーは全裸でカルデアに帰還する。

 

「あと、肉体を治す序でにお前に生来的に仕掛けられていた調整と呪いを解除したぞ」

「へ?調整と呪い?」

 

そしてオルガマリー…念願のレイシフト適正とマスター適正を得るのだった。

 

 

冬木で加入したカルデアのサーヴァント

 

衛宮立香の契約サーヴァント ギャラハッド(グランド・セイバー)

 

マスター兼デミ・サーヴァント マシュ(シールダー)

 

フリーサーヴァント ケイ先生(セイバー)と茂フーリン(ファーマー)、そしてランスロットこと不倫仮面(アブノーマルorビースト)

 

マスター募集中 トール(グランド・バーサーカー)

 

 




次回!!秋葉達、サーヴァントを呼び出す!!あと、グランドの皆様は章が進む度に仲間に成ります。序でにイギリスと立川とカルデアが繋がる!?

冬木 ギャラハッド、トール。

フランス ルイ・シャルル(狩人様に成ったルイ17世)

ローマ 筋肉バカ

オケアノス ノア艦長

イギリス マーリンお姉さん

アメリカ アチャクレス

エルサレム キングハサン

ウルク…無し(リメイクと一緒)

エンディング ソロモン&オーディン



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揃うカルデア

召還ターイム


「此処は…立川駅!?どうなってるんだ!?」

 

冬木でのレイシフトを終えたカルデア。無事にレイシフトしてしまったマスター3人、所長オルガマリー、冬木で仲間と成ったサーヴァントがカルデアに帰還してから数日後。

 

人類を救済するために7つの特異点を解決しなければ成らないカルデア陣営であったが、今は次の特異点の座標を探るための準備で真っ最中。そんなカルデアは暇な職員と忙しい職員で分かれており、忙しい職員は特異点探しや立川やイギリスという残った生存圏とのやり取り、暇な職員はオルガマリーからの指示でカルデアの外の調査を行っていた。

 

そんな中、暇な職員であるムニエルという眼鏡をかけた男はカルデアの外に出た。その瞬間、彼の目に映ったのはカルデアの外の景色である雪景色……ではなく今は利用客が居らず無人と成ってしまったJR立川駅であった。

 

「どうして立川に?」

 

疑問に思うムニエル。彼はカルデアと外に通じてる扉を開けた筈だが、どういう訳か立川駅に来てしまったのだ。戻ろうと後ろを振り向くと、ドラえもんのどこでもドアのように扉だけでカルデアの出入口が出現していたのだ。まさかと思い、ムニエルはその出入口を開けると…中は

 

「カルデアに繋がってる!?」

 

そうカルデアに繋がっている。と言うのもこれには訳がある。カルデアは勿論、他の生存圏である立川とイギリスも生存圏の外に出てしまえば人理焼失の影響を受けて消滅してしまう。なので、ゼルレッチが間違って外に出た人が消滅しないように各生存圏を魔法で繋げたのだ。流石は宮廷魔法使い ゼルレッチである。

 

 

一方のイギリス。イギリス、旧首都キャメロット。

 

キャメロットにある大きな病院。そこの手術室ではシエルの活躍で一命は取り留めたが、大怪我を負ったマシュの同僚であるAチームのマスター含めた大勢の人の手術が行われていた。

 

そんな手術が行われてる手術室の扉が開き、3人の人物が出てきた。その人物は…

 

「ラウラ。後の患者は居るか?」

「彼で最後です、プロデューサー」

「プロデューサー。このベリルって患者、イギリスで指名手配されてる殺人鬼だって。しかも庇い用のない下衆!!」

「警察に突き出してやれ。裏側に関わるとは言え、国際組織…反省皆無で足を引っ張る奴は優秀とは言えいらん」

 

ギャラハッド、そして今でも大人気アイドルであり女王陛下アルクェイド・ブリュンスタッド直属の護衛である妖精騎士ランスロットことラウラ、そして妖精騎士トリスタンことスペシャルウィークである。

3人はカルデアで大怪我を負ったマスターの外科手術を行っており、負傷してた40名程の手術をギャラハッドが行っていたのだ。だが、イギリスで指名手配されていたベリルに関しては警察送りである。

 

正史において2部6章の敵マスター、ベリル・ガット。ギャラハッドの手で魔術が使えないように厳重な封印術を施され、リタイア。後日、死刑執行。

 

「プロデューサー?」

「オーディンのおっちゃんからカルデアの全てを信用するなとは聞かされてたが、このベリル死刑囚等の事だろうな。後はマリスビリーが色々と策を施してる可能性も有るしな」

 

カルデアのマスターはイギリス政府に引き渡されたベリル死刑囚を除き、後は48名。この48名の力を合わせて、2016年を迎えるまでに人理を修復させなければ成らないのだ。残り期限は1年とほんの少し。カルデアの戦いは始まったばかりである。

 

 

 

一方のカルデア。

 

そこではオルガマリーの手で数合わせのマスター、マシュ、ケイ、トール、そして退院したばかりだと思われる眼帯をかけた少女とまだ無理は出来ないのか車椅子に乗った青年とオカマが会議を行っていた。

 

「まあ、取りあえず健在なマスターは貴方達を含めたこんだけね」

 

では新たに集まった人物は誰なのか?それはつい先日、ギャラハッドが治療を施して無事に回復した皆様である。

 

先ずは眼帯を着けた立香達と同年代の少女。彼女はオフェリア・ファロムソローネ。北欧出身の魔術師であり、眼帯を着けている訳は強力な魔眼があるので眼帯で封印しているのだ。Aチームのメンバーであり、本来は未だ車椅子が必要なのだが…トールが「妹達に似てる」という気紛れで健康体に戻した少女である。

 

そして車椅子に乗った青年はキリシュタリア・ヴォーダイム。Aチームのリーダーであり、前所長こと怪しい人マリスビリー・アニムスフィアの一番弟子である。だが、彼は過去に色々とあり…魔術が使えない民間人への偏見が一切ない出来る人物である。なお、無理して出てきた為か未だ車椅子。

 

オカマはスカンジナビア・ペペロンチーノ。勿論、偽名である。元は傭兵として世界を渡り歩いていた本名不明の魔術師であり、カルデアにスカウトされた凄い人物。彼も偏見などは一切ない。

 

「まあ、ベリルはイギリス政府に引き渡す事に成ったけど。会議を始めるわ」

 

Aチームのマスター ベリル死刑囚はもう居ないが、会議が始まった。

 

「カルデアは元々補給が困難な場所に有るので、半年以上の備蓄は存在するわ。但し、死刑執行される手筈のベリルを除いたマスター達が健在であり…大怪我を負っていた職員もギャラハッドの手で治療された。だけど、今後の方針よ方針」

 

カルデアは元々の場所が補給が困難な場所に存在している。実はと言うと、その場所は国際条約的に完全中立地帯に存在してるのだが、場所事態は一部の人達しか知らされていない。

 

「まあ、元々指名手配されていたベリルに関しては我々でも庇う事は出来ないからな。人理焼失の影響で、焼失を免れたイギリスと立川だけだが神秘の秘匿が無意味な事に成ったのだからな」

 

キリシュタリアの言うとおり、イギリスと立川限定だが神秘の秘匿が無意味と成った。早い話、ギャラハッド存命時の時代と同じ考えと成ったのだ。まあ、人理焼失でお隣や近隣の国が一時的に消えてしまったのだから無理はない。

 

「物資に関してはイギリスが支援してくれるわ、それは孤立した東京都立川もだけど。で、食料の提供はしてくれるのよね?」

 

カルデアの備蓄は限られている。それは日本国が焼失し、残された立川も同じである。直ぐに食糧難がやって来ることは間違いないし、それはカルデアも立川も理解はしている。

だが、イギリスは経済的排他水域も含めて健在だ。故に食料の自活は可能であるし、全然問題はない。そこでイギリスは立川とカルデアに食料等の支援を行うことと成ったのだ。

 

「はい。アルクェイド・ブリュンスタッド女王陛下も同意してくれてますよ」

 

とカルデアにスパイとして潜入していたシエル。彼女は神秘の秘匿がバレた事もあってか、今ではイギリスとカルデアのパイプ係りに任命された。

生身でサーヴァントと互角以上に渡り合う戦闘力、ギャラハッドが生前にオグリインパクトの亡骸から作った複合兵装 第七聖典の現物を武器として使用する身体能力、並みの魔術師の5000倍近い魔力を誇る。そして不死身と言える四肢処か内蔵組織さえも再生するプラナリア真っ青の再生能力。

事実、彼女は人間でありながら…ケイとカルデアが前から召喚してたキャスターのサーヴァント相手に模擬戦で勝っている。つまり、時代が時代なら円卓の席に座れると言うことだ。

 

「それは良かったわ」

「オルガマリー、どうするの?」

「ええ、一先ず…希望するならマスター全員にサーヴァントの召喚権利を与えるわ。戦力は多いことに越した事はないから」

 

 

 

「先ずは貴方達から召還して頂戴。いざって成ったら助けるわ」

「まあ、もしもの場合は私も居ますので」

「……」

 

カルデアにある魔方陣が描かれた召喚ルーム。此処ではサーヴァントを召喚する事が可能であり、過去含めて此処では2体のサーヴァントが召喚されている。

1体目は10年前に聖杯戦争の為に裏口で呼び出されたグランド・キャスター ソロモン。2体目はカルデアでアイテムショップを経営するモナリザそっくりの美女 レオナルドダ・ヴィンチである。ダ・ヴィンチは健在だが、ソロモンは聖杯戦争後どうなったのかは誰にも分からない。

 

そんな中、新たに秋葉、白野、琥珀、カリン、エリセ、イリヤ、そしてぐだ男こと藤丸がサーヴァントを召喚する。

 

「オフェリアは良いの?」

「一先ず…トールが私のサーヴァント代わりに成ってくれるので」

 

しかし、オフェリアは未だ召喚しない。と言うのも彼女は妹に似てる…という理由でトールがサーヴァント代わりに成ってくれたのだ。Aチームとグランド・バーサーカー、これは強い組み合わせだ。

 

「レディーファーストで女の子から行こうか」

「「「よし!!」」」

 

先ずはレディーファースト。既にギャラハッドを召喚した立香、トールと仮契約したオフェリアは兎も角、先ずは女の子達から召喚する事と成った。

 

 

秋葉の場合。

 

「やっほー!!僕は森蘭丸でござる!!宜しくね!!」

 

眼帯を掛けた軍服スカート姿の男の娘が現れた。背中には長い刀…斬馬刀を背負っており、腰には銃の機巧が取り付けられた打刀を提げている。

 

真名を森蘭丸といい、間違いなくあの織田信長の配下だろう。

 

「君…本当に蘭丸?顔は写真で見たのと同じだけど…本当に男の子?」

 

この世界ではギャーさん達の時代は勿論、その後の時代の英霊は基本的に写真が残っている。写真嫌いで有名な西郷隆盛以外の英霊は写真で姿が伝わってるのだ。

 

「失礼です!!僕は男の娘でありまする!!」

「本当に?ちょっと確認するわ。琥珀!!」

「はい!!任されました!!」

 

3分後。蘭丸を連れて別室に確認してきた琥珀さんと蘭丸が戻ってきたが…

 

「秋葉様…蘭丸くん。ぞうさんが有ったので男の子です」

「嘘でしょ!?」

 

男の娘 蘭丸。秋葉さんのサーヴァントとなる。因みにクラスはセイバー。

 

 

琥珀さんの場合。

 

「行きますよ!!それぇぇ!!」

 

琥珀さんが呼び出したのは…アーサー王と全く同じ顔の、白髪の少女であった。

 

「サーヴァント セイバー。沖田さん!!ただいま召喚に応じましたよ!!」

 

新撰組一番隊隊長 沖田総司(女の子)。なお、好きな食べ物は医者から進められた豚の冷やしゃぶサラダとデザート。

 

「琥珀さん大勝利!!」

 

琥珀さん。中々の運を持っている模様。

 

 

イリヤの場合。

 

「知らない人がきた!?」

「なんでさ…」

 

並行世界の住人。ある意味、立香とイリヤの兄弟。アーチャーのサーヴァント 衛宮士郎ことエミヤ、此処に降臨。

 

「私の真名はエミヤシロウ…まあ、並行世界のサーヴァントだが」

「「えっ!?親戚!?」」

 

これには立香とイリヤもビックリ。

 

 

カリンの場合。

 

「グゥゥオオ」

「なんか、恐竜きた!?えっ、名前は…あー、取りあえずモミって呼ぶね」

 

スキルでアロサウルスに変化したサーヴァント 鬼女紅葉。ただ、カリンはだいたい言葉が分かるのかモミっと渾名で呼ぶ模様。因みにクラスはバーサーカー。

 

 

エリセの場合。

 

「なんか、金髪巨乳のお姉さんが来た!?」

 

エリセが呼び出したのは金髪巨乳でドイツ帝国の軍服を纏った美女。なのだが、腰にはドイツの戦艦 ビスマルクを彷彿させる武装が装備されていたのだ。艦これやアズレンじゃあるまいし…

 

「えっ!?誰?いや、本当に」

「ビスマルク級戦艦ネームシップ ビスマルクだ。アヴェンジャーとして召還された。宜しく頼む」

 

なんと言うと事でしょう。金髪巨乳美女はあの戦艦ビスマルクが英霊の座に登録されたサーヴァントとの事だ。英霊の座に登録された事で、擬人化されたのだろう。

 

「驚いた。無機物も英霊に昇華されるんだな」

 

これにはAチームのリーダー キリシュタリアも驚きである。

 

「あと、エンタープライズ、フッド、大和、瑞鶴、ベルファスト、ボイジャー達も座に登録されてるぞ」

「無機物サヴァ多いなおい!!」

 

これにはケイ先生も驚き。

 

 

白野の場合。

 

「サーヴァント、エルキドゥ。召喚に応じたよ」

「エルキドゥ?」

「大昔さの人だよ。そうだな…分かりやすく言えばギル…ギルガメッシュと同じ年代だよ」

 

白野…グランドではないが、グランドに匹敵するチートサーヴァント エルキドゥを召喚する。なお、クラスはランサー。

 

 

 

そして待ちに待った藤丸の版であったが。

 

「ヒヒーン!!問おう!!貴方が私のマスターか!!」

 

赤いUMAことケンタウロスだと思われるナマモノがやって来た。

 

「私は赤兎馬…ひ~ひーん!!ではなく呂布でございます!!マスター!!貴方の旅路を邪魔するのは、この赤兎馬キックで倒しますので御安心してください!!この呂布が着いておりますぞ!!」

 

呂布と名乗る赤兎馬であった。

 

 

 

 

 

一方のバッキンガム宮殿。そこではアルクェイドが公務で書類仕事をしてたのだが…

 

「イギリスの危機だ!!ギャラハッドとゼルレッチが仕込んでいた自動召還が適応されたぞ!!」

 

「ええ、王!!行きますよ!!ですが、その前にマヨネーズとドレッシング、サルサソースとプロテインの確保です」

 

「ああ、ポロロン。遂に来ましたか」

 

「では私は妻のバゲ子さんの所に顔を出してきますね」

 

アーサー王ことアルトリア、2代目国王ガウェイン、モードレッド、トリスタン、ベディヴィエール、実況者ガヘリス、プリティーボーマン ガレス、胃痛持ち2号アグラヴェイン、此処に自動召還。

 

正史曰く。イギリスに危機が迫ればアーサー王は復活するらしい。それを聞いたギャラハッドとゼルレッチはイギリスにどうしようもない事が起きれば円卓の騎士を召喚する術式を組み込んでいたのだ。

 

「行くぞ!!」

「「「「おう!!」」」」

 

いざ、アルトリア達はアルクェイドの仕事場を出ていこうとしたが…

 

「皆、お金ないでしょ?今の通貨はボンドとユーロだよ」

 

4代目国王こと女王に成長したアルクェイドに停められる。

 

大人に成ったアルクェイドは背丈も伸びて、金髪長髪…そして巨乳でスタイル抜群の外見年齢18歳の女性に成長していたのだ。

なお、近世に入ってからは円卓の代理として設立した連王の末裔であるロイヤルファミリーに任せ、政治からは一歩引いている。

 

「アルクェイド…お金ください」

「「「姫!!お金ください!!あっ、今は女王陛下でしたね!!」」」

 

数時間後。アルトリアの本当の性別が世間に明らかにされるのだった。

 

 

 

追加戦力。

 

イギリス国。アルトリア、ガウェイン、モードレッド、ガレス、トリスタン、ベディヴィエール、アグラヴェイン、実況者ガヘリス。

 

カルデア。森蘭丸、沖田さん、アロサウルス、ビスマルク、エルキドゥ、そして赤兎馬!!




次回!!ギャーさんとケイ先生。立香、マシュと共に立川へ!!

立川にはセイヴァーが2人居た。


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立川のセイヴァー

立川の聖人コンビ!!


藤丸太郎は嘆いていた。

 

「なんでさ…」

 

なんで自分だけ、こんなUMAをサーヴァントとして呼び出したのだろうか?本当に疑問である。彼だって可愛い女の子やイケメンを呼びたかった。しかし、出てきたのはウマだ、UMAだ、泣きそうになる。

 

「グゥオオ」

「おっしゃー!!私の勝ち!!」

「マスター強いよ!!」

「流石ですね、秋葉様!!次は負けませんよ!!」

 

数合わせのマスター達はシエル以外、サーヴァントを既に呼び出した。まあ、それは藤丸も同じであるのだが、他の皆はマトモなサーヴァントであり…美男美女ばっかりだ。実に羨ましい。

 

「次は私が勝つ!!」

「オフェリア…ドンキーよりガノンドロフを使え」

 

そんな女の子連中の中にはオフェリアとトールも混ざっていた。女の子同士、直ぐに仲良くなれたのである。

 

秋葉は森蘭丸、琥珀は沖田総司、翡翠は未だ呼び出していない、イリヤはエミヤ、エリセはビスマルク、カリンは鬼女紅葉、白野はチートの1人エルキドゥ、そして立香はグランド・セイバー ギャラハッド。スキルでアロサウルスと成っている鬼女紅葉も元の姿は美女であり、その姿を1度だけ立香達に見せている。そんな数合わせの女の子連中とサーヴァントは既に友好的な関係を築けており、あろうことか大人気ゲーム スマッシュブラザーズで遊んでいる。

 

ではAチームはどうなのだろうか?オフェリアはグランド・バーサーカー トールと仮契約。中も非常に良好であり、問題はない。キリシュタリアとペペロンチーノも既にサーヴァントを呼び出しており、そのサーヴァントは

 

「アンタ、カルナの養父と親しかったYARIOのリーダーってマジか!?」

 

ペペロンチーノことペペさんが呼び出したサーヴァントはインドの大英雄 アシュヴァッターマン。インドが誇る大英雄の1人であり、インド版桃太郎ことカルナの大親友である。

 

と…此処までがエミヤの世界と我々の世界の共通点。

この世界ではカルナの養父はYARIOのADの生まれ変わりであり、AD足立アディラタであった。鉄腕カタッシュで培ったサポート力の結果、インドの文明は加速。カルナも呪いにかけられる事はなく、アルジュナとも仲が良好。たまに試合で宇宙規模の大バトルを繰り広げる事もあるそうだが。

 

そんなADアディラタの元で建築技術をカルナ、アルジュナと共にゲットしたアシュヴァッターマン。そんな彼はカルデアでYARIOのリーダー、茂フーリンと出会ったのだ。

 

「えっ?君、ADの知り合いなん!?」

 

なお、アシュヴァッターマンの武器は何処から見てもパンジャンドラムやローゲリウスの車輪だが、気にしてはいけない。

 

なお、サーヴァントを召喚する為のガチャ石(金平糖)は茂フーリンが栽培して日々増えているのだとか。

 

 

「他のマスターや職員の復帰の目処も立ってきたよ」

「それは良かった」

 

モナリザそっくりの美女…カルデアが2番目に召喚したサーヴァント ダ・ヴィンチと共にロマニ、キリシュタリアは歩いていた。そんな3人の背後には1人の人物が居たのだ。その人物はサーヴァントであり、筋肉質の偉丈夫だが臀部からは馬の尻尾が生えている。

 

彼の名前はケイローン。アーチャーのサーヴァントであり、キリシュタリアが初めて呼び出したサーヴァントだ。キリシュタリアは金平糖がたまり次第、あと2回召喚する予定との事だ。

 

「ドクター、ダ・ヴィンチ女史。Dチームの子達だが、本当に数合わせなのか?生身でサーヴァントを倒すシエルはまあ、潜入捜査官だったから例外としても他の子の素質が異常すぎるぞ。

立香のレイシフトの適性はカルデア1。他の子達は鍛えればBチーム処か我々Aチームにも迫る」

 

キリシュタリアとケイローンは立香達の魔術の教師や戦闘教官を買って出てくれた。そしていざ、鍛え出してキリシュタリアは理解したのだ。数合わせの子達は全員、ぶっ壊れも良いところの素質を持っているのだ。

 

「本当にたまたまだったんだけどね」

「まあ、1つの運命かな?」

「成る程。だが、BチームとCチームの魔術師と魔術使いの傭兵が聖杯を横取りしたり、クーデターは起こす可能性も有るからな」

「そうだね。大博打打ちな魔術師は本当にやりそうだ」

「魔術使いはボーナスを多めに出せば大丈夫だろう。金で雇われた連中だ。それに、最悪の場合は私とシエル、ペペで対処する」

 

キリシュタリアやオフェリアのように魔術が使えない一般人に対して偏見がない裏側の人は本当にごく稀だ。

大半の魔術師は一般人を見下しており、神秘の秘匿や家柄、手柄の為なら平気で殺す。キリシュタリアだって、実父に殺されかけた過去を持っており、魔術師の総本山である時計塔は簡単に言えばホグワーツと派閥争いが激しいヤクザとマフィアを足して割った感じなのだから。

 

 

 

 

一方の立川。

 

家賃3万というお手頃なお値段の松田ハウツという賃貸物件がある。その松田ハウツの一角に、立川が人理焼失から免れた理由が住んでいるのだ。

 

「イエス。テレビでやるのはローカル番組だけだね」

「仕方ないよ仏陀。なんか、人理焼失しちゃったみたいだし」

 

その一室に住んでいるのはイエス・キリストと仏陀。御存知、世界的に有名な2つの宗教 キリスト教と仏教の開祖様である。御二人は近年、バカンスと称してセイヴァー…救世主の特権とも言える単独降臨というスキルを用いて東京都立川でバカンスを行っていたのだ。

 

最初は生前や地元との文化の違いで戸惑う事も多かったが、日々充実している。たまにイエスの娘サラとその夫パーシヴァル、孫のローエングリンも遊びにくるし、プライベートも充実だ。

 

「仏陀!!どうしよう、北海道が焼失してるからポテチがコンビニから消えちゃうよ!!」

「イエス。イギリスのポテチなら近々、並ぶと思うよ?」

 

テレビを見れば人理焼失のニュースばかり、唯一残った立川とイギリス、カルデアに関する報道ばかりだ。いや、他にもある。それはカルデアが召喚した一部のサーヴァントや自動召還されたサーヴァントが人々を元気付ける為に現れたりとしたりするので、そのニュースだ。

 

アーサー王が女の子でアルトリアって名前だったり、ガウェインが安定のマヨラー兼サルサラーだったり、その場で握手会が行われたり。

 

立川には森蘭丸、沖田総司、鬼女紅葉…アロサウルス、ビスマルク、エルキドゥ、トールがやって来たり、だがエルキドゥはそこで自分の知名度の低さを知った。

 

「イエス、買い物に行こうか」

「そうだね」

 

生活には物資が必要。イエスと仏陀は食品を買うために外出しようとする。部屋を出ると、そこには……

 

「グッドモーニング、神様コンビ。グラレンジャーのグラブルー ギャラハッドです。御同行お願いします」

「お前な…神様相手にその態度は無いだろ?パーシヴァルの義父だぞ」

 

スーツ姿のギャラハッド、マシュと仮契約したケイ。そして立香とマシュが立っていた。

 

「仏陀!!ギャラハッドだよ、ギャラハッド!!世界的に有名人来ちゃったよ!!」

「イエス、名前の知名度なら君の方が有名だよ」

「近くのファミレスで話をしましょうか」

 

立川在住のセイヴァー2人。ギャラハッド達と共にファミレスに向かう。

 

 




次回!!ファミレスに向かったギャラハッド。イエスと仏陀とも打ち解けた時、カルデアから通信が!?

オルガマリー「次の特異点が見つかったわ!!フランスよ!!」
ギャーさん「フランスか…グラパープルことルイさんが派遣されてたな。俺、ルイさん会えたことないけど」

グランド・フォーリナー。死んでない為か、グラ友忘年会に参加したくても出来ない人物、遂に姿を見せる。



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フランス特異点 プロローグ

フランスのプロローグ


特異点。西暦1431年。年代としてはジャンヌ・ダルクが大天使ミカエルからの啓示を受けて、軍を率いて百年戦争を戦った少し後の時代。

 

ジャンヌ・ダルクはフランス軍を率いて、ジル元帥と共にオルレアンを奪還したのは有名な話だ。あと、ジャンヌ・ダルクが普通に巨乳でめちゃくちゃ可愛い子だったのは更に有名な話である。

しかし、この時代からヨーロッパ等のキリスト教圏内では魔女狩りと呼ばれる理不尽な処刑が存在していた。ジャンヌはイギリスに囚われ、フランスから身代金を支払って貰えずイギリスに囚われたまま。そしてジャンヌの事を良く思って無かった当時のフランス国王 シャルル七世はジャンヌの身代金を払わず、ジャンヌはフランスに帰ってこない。その後、フランス国王より権力の高かったローマ教皇(おパンティーを被った変態に何度も倒されかけた)の手でジャンヌは破門認定。ついぞ、ジャンヌは故郷に帰ることは2度と無かった。

 

「あー農業楽しいです!!いいニンジンとセロリが実りましたね。明日はレコーディングですし、今日はカスレ(野菜たっぷり、鶏肉たっぷりのグラタン)ですね!!」

 

そんなジャンヌがイギリスで農民となり、歌手デビューしていた事をフランスが知るのは当分先である。

 

だが、ジャンヌ・ダルク=農民歌手である事を知らないフランス。特異点と成り果てたそこでは…

 

「ジャンヌ・ダルク!?死んだはずでは!?」

 

鎧や衣類は黒く染まり、髪も色素を喪ったジャンヌらしき少女がシャルル七世を抹殺した。

 

「ええ、地獄から甦ったのよ。フランスを滅ぼすためにね。ああ、イギリスのアルクェイド・ブリュンスタッド?助けに来ないわよ。だって、此処は特異点なんだから」

 

シャルル七世の遺体を紅蓮の炎で骨すら遺さず燃やし尽くした黒い聖女。彼女はジャンヌ・オルタ。ジャンヌの別側面であり、言わば復讐者に成り果てたジャンヌの可能性だ。

 

「さあ、始めるわよ」

 

フランスへの復讐を開始する。

 

「我が聖女!!ジャンヌ!!先行させたサーヴァントが狩人を名乗る男、あのアストルフォ、おパンティーを被った変態に倒されましたぞ!!」

 

ギョロ目の怪人だと疑われても可笑しくない風貌の男がそう告げた。その男はジル・ド・レェ…フランスの元帥だが堕落してしまう運命の男だ。そんなジルだが、この時代のジルとは少し違う。何故なら、この時代のジルはまだ綺麗だし堕落していない。この黒い聖女に付き従うジルは死後、キャスターのサーヴァントと成ったジルであり…自分の目的の為にレフと愉快な仲間達に協力してるのである。

 

「ちっ、使えないわね。まあ、良いわ。此方には聖杯が有るでしょ?無限にサーヴァントを呼べば良いわ。徹底的に潰しなさい」

 

ジャンヌオルタがそう告げた瞬間…ジャンヌオルタとジルの背後の壁が砕け、1人の男が入ってきた。

その男はヤーナムに伝わる狩人衣装を纏い、右手にノコギリ鉈、左手に散弾銃を持っている。その素顔はマスクを外しており、超がつく程のイケメンだった。

 

「ルイ・シャルルの狩りを知るが良い」

 

その5秒後。ジャンヌオルタとジルは呼び出したサーヴァントを盾に、全速力で逃げ出した。

 

「誰なのよ!!あの狩人!!強すぎるわ!!」

「ジャンヌ…逃げるのです!!」

 

なお、ルイ・シャルルの写真は虐げられていた頃の写真と幼少期の幸せな頃の写真しかないとか。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺はマルゲリータ。あとドリンクバー」

「私はドリンクバーだけで、あっごめんなさいフライドポテト盛り合わせ」

「私はドリンクバーだけで大丈夫です。皆さんのを分けて頂きます」

「宗教上の理由で肉類が食べられないのですが…」

「ジーザスブレンド…ドリンクバーをください」

 

 

一方のギャラハッド。立川のセイヴァーと共にサイゼに入る。




次回はサイゼからのミーティング。

ペペさん「藤丸君。所で、原作って何かしら?」
藤丸君「ぎぐ!?」

ペペさん、気付く。


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いざ、フランスへ

フランスへ…出発!!


「マシュって、こんな所来たことないの!?」

「無いですよ。物心着いた頃からカルデアに居たので」

 

此処はファミレス、立川にあるサイゼリア。イエスと仏陀がたまに利用するお店であり、始業当初は高級店だったが今となってはお手頃なお値段の為か学生や主婦を含めた多くの人々に人気のファミレスと成っている。

と言うのも、サイゼリアは安い。フライドポテトとドリンクバーを頼めば数時間は気合いで粘れる程に安いのだ。その為か、学校や部活終わりの学生も利用しており、イタリアンな料理もお手頃な値段で食べられる。中でもミラノ風ドリアは普通に美味しく、良い意味で値段詐欺な料理と言えるだろう。

 

だが、そんな便利なファミレス。なんとマシュは利用した事が無かったのだ。と言うのも訳がある。何故ならマシュは産まれてから殆どをカルデアで過ごしてきており、物心が着いた頃にはカルデアに居ていて今日までカルデアの外に出たことが無かったのだ。そんなマシュと今まで関わってきた人は本当に極僅か。Aチームの同僚であるオフェリアやペペロンチーノ、ロマニ、ダ・ヴィンチ位であったのだ。

 

「そうなんだ」

「はい。ペペさんやドクター、後はカドック先輩が外の話をしてくれたり、ゲーム機等を貸してはくれましたが実際に出るのは初めてです」

 

窓から外を眺めるマシュ。そんなマシュの視線の先には立川の道路を進む自動車や、人理焼失して他町の職場に通えず日々休み扱いされたサラリーマンが道を歩き、そんなサラリーマンとすれ違うように立川の職場に通うキャリアウーマンが歩いていく。

 

「そっか…マシュちゃんは一緒だね。私と仏陀もこの町に来るまでは、現代の町並みを知らなかったからね。来た当初なんて、そこの川で洗濯した位だよ?」

 

今、ファミレスのファミリー席に座ってるのは立香、マシュ、ケイ、そしてイエス・キリストの4人だ。ギャラハッドと仏陀はマシュ達のドリンクバーの飲み物を汲みに言っており、この場にはいない。

 

「なんだろう…無性に嫌な予感が」

 

そんなケイは嫌な予感が的中しそうなのか、軽く胃を抑えていた。と言うのも、ギャラハッドが皆のドリンクバーを仏陀と共に選びに行く際に…ケイの方を向いて物凄く悪戯な笑みを浮かべていたのだ。ギャラハッドを育てたケイは長年の付き合いで理解している。間違いなく、ギャラハッドはケイに対してナニかをすると。

 

そうしてると、各員のドリンクバーを汲みに行っていたギャラハッドと悟った人 仏陀が席に戻ってきた。

 

「お待たせ。イエスがジーザスブレンド、立香ちゃんはコーラね」

 

仏陀はイエスには若草色のドリンク、立香にはコーラを手渡した。

因みにジーザスブレンドとはイエス考案のノンアルコールドリンクであり、カルピス6、メロンソーダ3、レモネード1の割合で合体させたドリンクである。

 

「マシュはオレンジジュース。そんでケイ先生はブラックホールドリンクだな」

「ありがとうございます、ギャラハッドさん」

「お兄ちゃんと呼んでくれ」

 

そしてギャラハッドはマシュには定番のオレンジジュース、自分のにファンタグレープ、そしてケイには何やら黒い炭酸飲料を手渡した。だが、その炭酸飲料は黒いとは言っても明らかにコーラではない。カルピスが含まれてるのか、濁っている。

 

「おい…ちょっとまて…なんだこりゃ!?」

「ケイ先生…覚えておけ。他人にオススメで、なんてお願いすればネタ的ドリンクが出てくるとな!!」

 

ケイは確かにギャラハッドにオススメとは言った。だが、オススメとはギャラハッドにドリンクの選択を任せるという事だ。つまり、この勉強は出きるが時に悪巫山戯を起こしてケイ先生の胃を決壊させる事に定評のあるギャラハッドは、案の定…ドリンクで実験的な物を行ったのだ。

 

「コーラ、カルピス、ファンタオレンジを混ぜ合わせた俺特性のドリンクだ!!悪巫山戯で作ったから、味は保証しないぞ?

ドリンクバーで1回でいいから、悪巫山戯したかったんだよな~」

「やるな!!このバカ弟子!!お残ししたら店員に怒られるの俺なんだよ!!」

 

だが、そんなブラックホールドリンクを受け取ったケイは一気に飲み干した。どうやら、不味くなかったようだ。いや、もしかしたら不味かった為に一気に飲み干したのだろう。

 

「次はコーラとカルピスだけにしてくれ」

 

案外好評のようだった。

 

ギャラハッドと仏陀も席に座り、ピザやポテトをつまみながら救世主と目覚めた者を交えて会話を行う。

 

「所で、なんでイエス・キリストと仏陀がこんな町に?まあ、そのお陰で立川は日本で唯一人理焼失を免れたぽいっけど」

「バカンスで来たんだよ」

 

イエス・キリストと仏陀はバカンスで日本の立川にやって来たのだ。東京都の中では比較的に過ごしやすい立川市、そんな立川でバカンスを行ってた二人であったがまさかの人理焼失に遭遇。だが、お二人が居たためか…立川は日本で唯一、人理焼失から免れる事と成ったのだ。

 

「そうそう、それとマシュちゃん。なんか、調整とかで寿命減ってたみたいだから治しておいたよ」

「「えっ?寿命!?」」

 

なお、マシュは実験などで寿命が短くなっていたようなのでイエス様の手で寿命が人並みに戻された模様。

 

(マシュといい、オルガマリーの調整といい、マリスビリーは怪しいな)

 

マリスビリー前所長。マシュとオルガマリーに施していた調整云々の事でギャラハッドから怪しい人物に更に認定される。

 

そんな時、オルガマリーから立香にメールが届く。

 

『新たな特異点が見付かったから戻ってきなさい』

 

 

 

 

 

一方のカルデア。

 

「ねえ、藤丸君。原作って何かしら?貴方、心の中で原作と違いすぎると思いすぎてないかしら」

 

廊下でペペロンチーノは藤丸太郎くんに話しかけていた。実はと言うとペペロンチーノさん、他人の心を読むことが出来る特殊能力がある。勿論、全ての思考を読むことは出来ないが、他人が何かの隠し事をしていること位は分かるのだ。

 

「うっ、べっ別になんでもないですよ」

「そう。でも1つだけ言えることはあるわね。貴方、前世の記憶を持ってるんじゃない?たまにそう言う人居るのよ。仏教の教えで輪廻転生は普通に有ることだし、カドックだって前世の記憶が有るって言ってたしね。別に恥ずかしい事じゃないわよ?探せば前世の知識がある人って普通に居るのよ」

 

ペペロンチーノはインドや仏教の知識が物凄くある。それはカルデアで一番の専門家と言ってもいい程にあるのだ。故に前世の知識がたまたま残ってた転生者を見ても「あら、凄いじゃない!!」と思ってしまう程度である。だって仏教の教えでは輪廻転生は悟らない限り続くものであり、当たり前なのだから。

 

「私に来世は無いから、貴方達が羨ましいわ。まあ、話したくないなら話さなくて良いわよ?でも、もうちょっと皆と仲良くしたらどうかしら?貴方、マシュちゃん以外と距離を置きすぎよ」

 

ペペロンチーノはそう言って藤丸の前から去っていった。

 

 

藤丸太郎は転生者である。そして他の転生者達と違って唯一、この世界が創作物のゲームアプリ(Fate/Grand Order)だと理解している。

それも原作主人公である藤丸立香(男)に転生した彼は内心、ウハウハだった。レイシフトの適性はカルデア2位(立香に抜かされたが、元は1位)であり、コフィン無しでレイシフトできる素質オバケ。原作では巨乳後輩属性のマシュ、原作でも美女と美少女揃いの女の子と仲良くできると思い、ウハウハだった。だが、蓋を開けてみればどうだろうか?

 

『なんで、お前が居るんだよ』

 

女の子として産まれた原作主人公、立香が居た。いや、それだけではない。

 

原作(Fate/Grand Order)平行世界(月姫リメイク)の住人である筈のシエル、秋葉、琥珀と言った素質バグキャラと言える人外集団の存在。

 

そして立香が招いた原作と原典より遥かに化物と化したギャラハッドの存在。他のマスターの存命、Aチームの復帰と言った原作にはない要素が沢山。

 

マシュだって本来なら下半身が消し飛び、デミ・サーヴァントとして藤丸と契約する。それが原作でのお決まり。だが、此処ではシエルが瞬時に展開した簡易防壁のお陰か五体満足で魔力を自活出来る。その為か、藤丸と契約する必要が全くない。

 

こんなカルデアで藤丸くんは人生を謳歌出来るのか?それは誰にも分からない。

 

 

 

 

2時間後。

 

カルデアのミーティングルーム。

 

そこにはカルデアの現在、所長のオルガマリー、参謀と成ったロマニ、モザリナ…げふんげふん、ダ・ヴィンチ、作戦行動が許可されたマスターとサーヴァントが全員集っていた。

 

Aチームマスター キリシュタリア、ペペロンチーノ、オフェリア、マシュ。

 

Dチームマスター シエル、秋葉、琥珀、エリセ、カリン、イリヤ、藤丸、白野、立香。

 

サーヴァント ギャラハッド、ケイ、エミヤ、ケイローン、アシュヴァッターマン、トール、アロサウルス、ビスマルク、森蘭丸、エルキドゥ、そして赤兎馬。

 

なお、翡翠ちゃんはサーヴァントを召喚しておらず、今後は裏方メンバーとしてサポートしてくれるそうだ。料理以外。

 

「ギャラハッド。所でランスロットはどうしたのかな?」

「マシュ、あと子供組(イリヤ、カリン、エリセ)の教育に悪いからおパンティーを没収して折檻した」

 

あとランスロットだがおパンティーを被り、ほぼ全裸の変態がカルデアを探索してると子供達の教育に悪いのでおパンティーを没収して折檻したとの事である。

 

「全員揃ったわね。それではミーティングを始めるわ。新たに見付かった特異点は1431年のフランスよ」

 

カルデアが挑む最初の特異点はフランス。年代は1431年という事も有ってか、フランス百年戦争だろう。

 

「此処に出現した聖杯を回収し、特異点を解決するのが僕達の仕事だ。だけど、特異点と成っており…何が起こるのかは分からない。くれぐれも慎重に行動してくれ」

 

だが、今から向かうのは特異点のフランス。冬木の特異点でさえ、スケルトンなどが襲い掛かってきたのだ。史実のフランスと比べて随分と変化している可能性が高いだろう。

 

「本来のレイシフトならAチームが先行し、召喚サークル等を設置して拠点の確立。その後はBチームからDチームと順番にレイシフトを行い、特異点を修復する手筈だけど、今は動ける人数が限られてるのよね」

 

レフが仕掛けた爆破テロ。それがもし無ければ、サーヴァントの召喚が唯一許可されたAチームが先行し、拠点の確立を行う。拠点が出来てからBチーム、Cチーム、Dチームと順番にレイシフトを行い特異点を修復する手筈だった。だが、今は全てのマスターは揃っておらず動かす人員にも限りがある。それに……

 

「それはそうとトール。貴方のお父さんであるオーディンが既に特異点に人員を派遣してたのよね?」

 

オルガマリーがトールに問う。そう、オーディン…グランド・ルーラーことマスターオブシルバーこと、オーディンは既に特異点に人員…グラレンジャーのメンバーを派遣してるのだ。

冬木にはギャラハッド、立川の調査にはトールを派遣している。

 

「そうだ。フランスにはグラパープルが既に派遣されている」

「グラパープル?真名は分かるかい?」

 

ダ・ヴィンチの問いに答えたのはトールではなく

 

「ルイ17世、又の名をルイ・シャルル。宇宙に関わる存在、来訪者のクラス フォーリナーのグランドだ。まあ、本人は本体が人類の辿り着けない夢の中で生きていて、未だ座には到達してないけど」

 

ギャラハッドだった。

グラパープルの真名はルイ・シャルル。御存知、人類史上余りにも悲惨な最期を向かえた王子として有名である(胸糞なので、検索注意)。

史上でも胸糞、この世界でもヤーナムで狩人となり…外宇宙の神を討伐した事は知られていない。その為か、この世界でも一般知識ではルイ・シャルルは人々の悪意に殺された哀れな子供だと言われている。遺された写真や肖像画も酷すぎる背景が見えているのだから。

 

「はいい!?ルイ・シャルル!?ルイ・シャルルって、あのマリー・アントワネットとルイ16世の子供だよね?

いやいや、彼は武闘派としての逸話はない筈だ。仮に英霊の座に登録されてもアヴェンジャーじゃないのか?」

 

ロマニが驚きながらそう言った。そりゃそうだ、それが一般的に伝わった話だ。古都ヤーナムで狩人として過ごしたルイ・シャルルの話など伝わっておらず、それが普通の反応だ。

 

「そりゃそうだ。伝わっていたら外宇宙の存在、クトゥルフ神話が実在するのが明らかになる。

ルイ・シャルルは病死寸前の時、アルクとゼルレッチが保護。命を救うためにゼルレッチがヤーナムに送った。その後、狩人となり…ルイ・シャルルは青年と成長して外宇宙の神々 上位者と呼ばれる存在を抹殺して自身も上位者と成り果てた。ヤーナムに夜明けをもたらし、地球を外宇宙からの神々からの驚異から救ってな。

俺もヤーナムの悪夢から解放されたゲールマンという老人がアルクに話した事でしか知らないけど」

 

だが、真実は異なる。シャルルは誰にも見放された後、アルクェイドが救出。だが、アルクェイドでは手の施しようがなかったシャルルは一か八かゼルレッチの手でヤーナムに送られた。

その後、ゲールマンに育てられたルイ・シャルルはヤーナムに夜明けをもたらし、外宇宙の神を討伐に成功。そんなシャルルの逸話は悪夢から解放されたゲールマンが、アルクェイドに話した記録でしか遺されていない。

 

「因みにルイ・シャルルの本体が地球に降臨すれば、彼だけで地球を滅ぼすことが出来る…いや、銀河系が危ないな。

分身体…現在進行形でフランスの特異点を攻略してるシャルルだけでも、俺位は強いな」

 

そんな狩人と成ったシャルルの事を知らされ、カルデア陣営は唖然とするのだった。

 

 

 

 

「取りあえず…私、シエル、子供組が拠点の設立。立香、オフェリア、マシュがグランド・フォリナーと合流。

白野、秋葉、琥珀、オルガマリーは私達が拠点を設立した後にレイシフトして合流。

藤丸とペペは有事に備えて待機。それで行こうか」

 

だが、方針は決まった。

キリシュタリア、シエル、子供組は拠点の設立と召喚サークルの設置。グランドを引き連れた立香、オフェリア、そしてギャラハッドの突っ込み要員(ケイ)と仮契約したマシュの3人+サーヴァントがグランド・フォリナーとの合流。拠点設立次第、白野、秋葉、琥珀、そしてオルガマリー所長がレイシフトして合流。という手筈に落ち着いた。

 

だが、納得の出来ない人物が1人居た。

 

「えっ?なんで俺とペペロンチーノさんは待機なんですか!?」

 

藤丸君であった。

 

「時計塔の連中が何をするのか分からない。だから、私達は時計塔が何かを仕出かした時の保険なのよ、藤丸くん」

 

そんな藤丸を宥めるようにペペロンチーノは告げた。

 

「立香ちゃんにも説明したとおり、時計塔はホグワーツとヤクザやマフィアをごちゃ混ぜにした所よ。私やキリシュタリア達と違って、一般人への偏見は沢山で見下してる。

人体実験や殺しなんて、バレなきゃ平気でやるわ。そんな連中は根源に至るためならなんでもする。聖杯なんてものを回収したカルデアを襲撃し、その聖杯を強奪してナニかを行う可能性もあるの。その問題を解決するまで、誰かは残らないとね」

 

との事だ。時計塔との問題が有る限り、誰かとそのサーヴァント達は残らないといけないのだ。

 

 

 

そしてレイシフトは始まったのだが……

 

「来たか、カルデアの者よ」

 

そこで立香達を待っていたのは

 

夥しい量のワイバーンの死骸、破壊されたゾンビの肉片、それらを山のように積んだ亡骸の山。そんな亡骸の山の前に立つ、反り血で狩人衣装を真っ赤に染めたイケメンが立っていた。

 

その狩人の右手には歯が真っ赤に染まったノコギリ鉈を持っており、左手にはゼロ距離射撃を行ったのか?真っ赤に染まった散弾銃が握られている。

 

狩人はノコギリ鉈を軽く振るい、着いた血と肉片をふるい落とす。

 

「俺がルイ・シャルルだ。フランスじゃルイって男は多い。シャルルと呼んでくれ、或いはグラパープルだ」

 

狩人はノコギリ鉈を血の意思に変換して収納し、右手を差し出してギャラハッドに握手を求める。

 

「アンタがルイさんだな?オーディンのおっちゃんから話は聞いてる」

「貴公がアストルフォの言っていたギャラハッドか、宜しく頼む。なに、カルデアとイギリスに灯を設置すれば、好きに現代に降りられる。これからはグラ友忘年会に参加できるさ」

 

狩人、ようやくカルデアと合流する。なお、此処まで狩人はゾンビ500体、ワイバーン3000、ドラゴン100、敵側サーヴァント10を既に狩っているとか。

 

 

一方のキリシュタリア。

 

「此処をキャンプ地とする!!」

 

キリシュタリア…某ソロキャンプバイクYouTuberの影響か、ノリノリで召喚サークルを設置する。

 

「キリシュタリアさんって、アニメとかYouTubeとか見てるんですね」

「見てるとも。イリヤ、君の年頃ならプリキュアとか見てるんじゃないかな?私は今季のプリファイは全て録画して見てるよ」

「本当に!?」

 

キリシュタリア…速攻で子供達と仲良くなる。

 

 

 

 

 

 

一方のジャンヌオルタ。

 

「カーミラは瞬殺された、マルタも瞬殺された、どんなサーヴァントなら勝てるのよ!!」

 

ジャンヌオルタは悩んでいた。どんなサーヴァントを呼べば勝てるのだろうか?

フランスに怨みや有利なサーヴァントを最初は呼んでいた。ゲクランとも因縁のある黒騎士等も呼んだが、狩人の手で瞬殺。様々なサーヴァントを呼んだが狩人に瞬殺。サーヴァントを呼べば抑止力で新たな野良サーヴァントが呼び出される。まあ、その殆どが強力なサーヴァントが呼ばれない為か、まだマシだ。

ゲクランは強い、ジークフリートも強い、実質的に円卓とも言えるアストルフォも強い、おパンティーを被った変態も強い、狩人は強すぎる。だが、抑止力で呼ばれたサーヴァントで戦えるのはこんだけ。後のサーヴァントはジャンヌオルタより遥かに弱く、問題はない。

 

清姫は竜に変身できるが隠れ巨乳な13歳、弱い。シャルロット・コルデーも暗殺は一度きりな巨乳美少女、行動力は高いが弱い。マリー・アントワネットも最盛期(一番輝いてた頃なので外見年齢十代前半)、されど戦闘経験は無しなので戦闘向けではない。モーツァルトは音楽家なので戦えない。ルイ16世は筋肉muscleでパワーは高いが、実戦経験に乏しい…当たらなければ問題はない。エリザベート・バートリーは龍の因子が有るが、パワーはヘラクレス並みと例えられたルイ16世未満…まあ、非力なサーヴァントの中では戦える部類だろう。

 

「仕方がない!!適当に呼ぶわよ!!数撃ちゃ当たる!!

そうだわ!!呼び出したサーヴァントにバーサーカーの素質を付加させたら良いんだわ!!パワーアップにもなるし!!」

 

フランス特異点解決18時間前の出来事であった。

 

 

 

 

「大変だ!!ランスロットが何処にも居ない!!」

「あの…洗濯し終えた所長さんのパンティーも無いです」

 

カルデアでロマニと翡翠が少し慌てる。何故ならランスロットが消え、同時に所長のおパンティーが1つ消えていたのだ。




此処でのルイ16世は最近の研究で明らかに成った、超人muscleで行きます。

次回!!フランスでの抑止サヴァの皆様との合流。

なお、マリーの家族ですが…嫁いだテレーズ、脊椎カリエスを患ったジョゼフ以外の子供は全員…強いです(ギャーさんが医療革命起こした為)果たして、末っ子のベアトリスはどうなってる!?
ヒント…真実は無く、全ては許されることはない

アマデウス「これ、カツラなんだよ」←史実通り
ルイ16世「私もカツラだ」←史実通り
ギャーさん「風呂はいれ。反り血でまみれのルイさんは服ごとシャワー浴びろ」

野郎どもmuscle自慢大会!?女性陣はサービスショット!?

エミヤ「おっと、心はガラスだぞ?」←筋力Dの見せ筋


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現地勢力との合流

フランス組…無事に合流


全身を反り血で真っ赤に染めた狩人、ルイ・シャルル。そんなルイ・シャルルは歩く度に狩人衣装からボタボタと反り血がしたり落ちて、道に赤い点々を作っていく。彼はヤーナムに居た頃から獣を殺し、血に酔った狩人を殺した時に反り血を浴び…更にその反り血を新たな反り血で洗ってきた。今更ながら、反り血を武器に着いたものを除いて振り落とすつもりは無いのだろう。

 

「血って物凄く臭うんだね…私、ゲーム含めてあんなに真っ赤に染まった人を始めてみたよ」

「私もね。時計塔にも血に濡れた人はたまに居るけど、此処まで濡れた人は居ないわ」

 

ゲームで反り血を浴びるというのを理解している立香、そして血に濡れる可能性がある時計塔でのホグワーツマフィアライフを経験してきたオフェリアさえもシャルル程に血に濡れた人物はサブカルチャー含めて見たことがない。いや見てたらそれこそ発狂ものだろう。

 

「所でルイさんや。ここの戦力は誰が居る?」

「俺の他にアストルフォ、お母様、お父様、ゲクラン、清姫、シャルロット・コルデー、エリザベート、ジークフリート、モーツァルト等だな。一応、別行動としてローランが居る。

敵がサーヴァントを呼ぶとその分此方も抑止で呼ばれるためか…増えてるかも知れないがな」

 

シャルル曰く約10人程の味方のサーヴァントが居るそうだ。敵がサーヴァント等を多く呼び出せば、抑止でこちら側のサーヴァントも野良サーヴァントとして呼び出される。但し、サーヴァントの数的には向こうの方が多く…形成を逆転するためにはこちら側は一人も倒される事無く、相手戦力を削るしか無いだろう。

 

「俺だけで相手のサーヴァントは10人狩った。サーヴァントの数としては此方の方が多いが、向こう側はドラゴンやワイバーンを使役できる。数としては向こうの方が有利と言えるだろう」

「しかし、アンタが強いとは言っても良く形勢逆転出来たな?」

「ゲクランが指揮を取ってくれてな。単騎である程度戦える俺とアストルフォが陽動、他はゲリラ戦を展開してカルデアが来るまで時間稼ぎをしていた」

「いや、絶対陽動とか言いながら単騎で突破して敵陣を壊滅寸前まで追い込んだよな?」

 

シャルルの言葉に対してツッコミを入れるケイ。

そう、シャルルとアストルフォは敵を包囲する為の陽動役をゲクランから指示されていた。だが、アストルフォはともかく…シャルルは余りにも強すぎて陽動のつもりが敵を粉砕。そのまま敵陣に突っ込み、敵を半壊させてしまっていたのだ。

 

「……どうも仲間と戦うのは不慣れでな。マンツーマンやスリーマンセルはともかく、数人は……」

 

狩人様…仲間数人と連携して戦うことに不慣れであった模様。

 

草原を歩くこと暫くして、少し寂れた農村にギャラハッド達は辿り着いた。そこはシャルルと共に人理を守るために戦っている抑止で呼ばれたサーヴァント達の拠点と成っているところである。

 

「おーい!!シャルルだ!!うわー、血で真っ赤!!

む?ギャーさん先生だ!!うおー!!これはもう勝ったも同然だぞ!!」

 

そんな拠点で彼等を出迎えたのはピンクの髪色をした男の娘アストルフォ。ギャラハッド生前最後の教え子として語り継がれる、伝説のアイドル騎士である。時代が時代なら間違いなく円卓に座れていたヤヴェーヤツでもある。

 

「おっ、アストルフォ。元気だったか?」

「元気だよ!!そうだ、皆を紹介しないと。おーい!!」

 

アストルフォはそう告げ、屋内に向けて叫ぶ。すると、屋内から数人程の人々が出てきたのだ。

 

「凄いですよ!!皆さん、写真が実際に残されてる人達ばかりですね!!」

 

出てきたのは全員、写真が現代まで残されているサーヴァントの皆様であった。

 

頑強な鎧に身を包んだ屈強でブサメンな男性はゲクラン。御存知、地元のワルガキから誰もが認める偉大なる騎士と昇華した百年戦争の偉大なる英雄。クラスはランサー。

 

十代前半ほどのツインテールの髪型をした若い少女はマリー・アントワネット。御存知、シャルルの母親でフランス革命時代の悲劇の王妃。とは言え、サーヴァントは基本的に最盛期の姿で呼び出されるためか、嫁いだばかりの頃の姿で呼び出されたのだろう。クラスはライダー。

 

音楽家の服装をして、指揮棒を持った若者は世界的知名度で有名なアマデウス・モーツァルト。だが、史実曰く…賭け事が好きで散財であり、物凄く下ネタ(うんこ、お尻)が大好きな変人としても有名である。作詩作曲、俺の尻をなめろは余りにも有名。

 

ムキムキmuscleであり貴族風の衣類を纏った超人の男性。彼はマリー・アントワネットの夫でシャルルの父親、時のフランスの国王ルイ16世である。フランス革命後、無能な王のレッテルを貼られていたが…最近の研究では先代の王達(特にルイ14世)が戦争経費等で枯渇気味にしたフランスの金銭でやりくいを行い…民を最後の最期まで思っていた賢人である。なお、史実でも超絶マッチョ(マジです)。

 

緑色の髪をした着物姿の十代前半の少女。年頃…それも着物を着てるためか、着痩せしてるが年頃にしては巨乳の少女。彼女は清姫、出身は日本でバーサーカーだとか。因みに嘘つき絶対殺すガール。

 

巨乳でナイフを持った十代後半の少女。彼女はシャルロット・コルデー。マリー・アントワネットと同じ時代を生きた少女であり、下級貴族の娘である。だが、行動力は優れてたのか、フランス革命後の指導者の1人を暗殺に成功している……ナイフで。勿論、アサシン。

 

なんか龍の尻尾と翼、あと角が生えている十代前半のドラゴンガール。そんな彼女はエリザベート・バートリ。アイアン・メイデンで有名なカーミラ夫人の若き頃であり、夢はアイドルだとか。クラスはランサー。

 

「すまない。ファヴニールは俺が倒す予定だったのに、本当にすまない。数少ない、戦士としてそれも最優のクラスセイバーで呼ばれたのに活躍出来なくて本当にすまない」

 

と言ったのは時代ゆえに写真で残されていないが、偉大な龍殺しの大英雄ジークフリートである。因みにファヴニールを倒すために抑止力で呼ばれたが、肝心のファヴニールはシャルルが狩ったので出番がなかった。故にすまない、本当にすまない。

 

「あと、ローランが居るんだけど。おパンティー被って、どっかに行ったんだよね。あの変態仮面」

「マダオの2号が居たのか、てかマダオ以外で変態戦士が増えるとか世も末だな」

 

なんと言う事でしょう。ランスロットの他におパンティーを被ってパワーアップする戦士が居たのだ。これはこれで、大問題である。

 

 

 

「私…馬車に乗るの初めて!!」

「私もです!」

「時計塔の貴族の中には未だ現役で馬車を使う家系が有ったわね」

 

その後、新たな拠点となる召喚サークルの場所に向かい、キリシュタリア達と合流するためかギャラハッド達は移動を開始した。とは言え、徒歩での移動はかなりの時間がかかる。その為か、脚がないマシュ達はマリーが出した宝具である馬車の荷台に乗り、移動である。

 

「ええ、良いものでしょ?」

 

ガラスで出来た馬が牽引する馬車。荷台の部分でも数人が乗ることが可能であり、荷台にはマシュ、オフェリア、立香、トール、ケイ、清姫、シャルロットが乗っている。運転席にはマリー、ルイ16世が乗っており、シャルルは荷台の屋根の上に登っている。

 

「シャルル。貴方も降りてきなさい」

「ここの方が獲物を見付けやすい」

 

と、屋根に登ってるのはそう言う事だからである。

 

なお、ゲクランは座から持ってきた馬、すまないさんは現地調達した馬。

 

あとギャラハッドとアストルフォはと言うと…

 

「わーい!!バイクなんて、生前以来だな!!」

「事故るなよ、アストルフォ」

 

ギャーさんが四次元空間から出したアークリアクターで起動する特別製バイクに跨がって、馬車に並走していた。ギャラハッドの物はVmaxをモデルにしてるが、アストルフォのは小型オートマバイク PCXをモデルにしている。

耐久性もバッチリだが、ギャラハッドのは更に魔力放出を応用した結界術で外部装甲を装備してキュイラッシェVmaxへと魔改造を施している。なお、アストルフォのPCXもギャラハッドのキュイラッシェVmaxもいざっと言う時は隠し武器が内蔵されているとか。

 

「ケイ先生も乗るか?」

「遠慮しとく」

「流石は跨がって5秒で立ちごけし、自転車にも補助輪が必要の男。言うことが違う」

「だまらっしゃい!!」

 

ケイ先生の立ちごけは…生前ブリテン編で明らかに成るだろう。

 

 

 

 

「あっ!ギャラハッド先生!!やっと来ましたか」

「この人がエレイシアちゃん?ふふーん!!やっと出来たぞ!!僕の妹弟子!!」

 

キリシュタリアと子供組が設置した召喚サークル。そこには後で合流してきた秋葉やオルガマリー達が集まっていた。

 

召喚サークルは唯の拠点ではない。物資をカルデアから転送するための大事な攻略の要でもあるのだ。これが無ければカルデアからの支援は通信しか行えず、サーヴァントも追加で召喚は出来ないし、食料や水も現地調達するしかないのだ。

水は濾過や消毒する必要がある場合がある。と言うのも戦場での井戸は死体が投げ込まれていたり、うんこが投げ込まれて細菌の温床と成ってる場合があるのだ。その汚染された井戸の水を飲めば…真っ先に食中毒である。それに綺麗な水を毎日飲んでいる立香達が、過去の浄水処理されていない水を飲めば腹を降すことは間違いなし。その為にも、食料や水の支援が行える召喚サークルは生命線なのだ。

 

「お姉ちゃん!!」

「夕飯はカレーで良いかね?」

 

召喚サークルで食材を調達したのだろう。エミヤとキリシュタリアは律儀に割烹着を纏い、琥珀と3人でカレーを作り始めていた。

 

「琥珀の料理の腕前は安心して。そこら辺の料亭より美味しいわよ」

 

と、誇らしげに言う秋葉。そんな琥珀とエミヤが居れば、カルデアのご飯は安心であろう。

 

「デカイね……」

「デカイな。Fは絶対にあるな、いやIだ、Iは有るぞ!!」

 

そして蘭丸とキリシュタリアはシャルロットの胸をチラ見し、ひそひそとそんな会話を行うのだった。

 

なにはともあれ、カルデアから派遣された人員は全員…現地の勢力と無事に合流出来たのであった。




お風呂回は次回に持ち越し。

そしてモーツァルトの真の髪型(スキンヘッド)が明らかに!?まあ、当時の音楽家では普通のことでした。


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活動報告追加英霊速報、その1

キャラ付けのイメージが固まりました。


皆さん。活動報告で募集したサーヴァントの皆様を覚えていますか?今回はその1部のサーヴァント達のキャラが纏まったので此処に記します。

 

 

 

舩坂弘。クラス バーサーカー(知性バリバリあるタイプ)。

第二次世界大戦に実在した、正真正銘最強の日本人。普通なら死ぬ、或いは再起不可能な傷を負っても次の日や数日後には何事もなく復活する超人。身体能力の常人を遥かに越えており、リアルキャプテンアメリカな人である。日本に帰ると、真っ先に自分のお墓を引っこ抜き、その後は本屋を開業。なお、その本屋は現在も渋谷に存在している大盛堂書店である。自分で著書も書いている。

ゴールデンカムイの杉元佐一のモデルの1人に成った一人であり、容姿のイメージはもろ杉元さん。武器は軍刀、三八式歩兵銃(銃剣付き)、手榴弾。

なお、サーヴァントで召喚されるとオートリジェネが常に発動してるとか。そしてギャグとツッコミ、両方出来る貴重な人。マスターはCチーム(数合わせ寄りの魔術が使える人)に所属するアイヌの少女。

 

 

桃太郎。クラス セイバー

ギャーさん生前編にも出てきた桃太郎くん。桃から産まれた桃太郎であり、白柴?のシロ、猿の柿助、雉のルリオと共に鬼ヶ島の鬼を退治して人々を救った英雄。召喚されると3匹のお供も着いてくる。なお、マスターは…ローマで明らかに!!

 

ルーデル閣下。クラス、当たり前だがライダー。

本名ハンス=ウルリッヒ・ルーデル。第二次世界のドイツが誇る世界最強の爆撃機の使い手。別名、爆撃王の称号を持っており、彼があと数人居たら絶対にドイツは第二次世界を勝っていた…それぐらい強すぎるエースパイロット。

戦後はアメリカでA10と呼ばれる名機の開発に協力。しかも、A10は最近まで現役で使われていた事を考えると恐ろしい。

加入時期はローマ。なお、乗った戦闘機全てが宝具になるチート仕様。そして、ギャーさんは発明も出来る…リメイク前ではダ・ヴィンチちゃんはモビルスーツさえも開発した……混ぜるな危険リターンズである。

 

竹中半兵衛。クラス キャスター。

TSで小柄な女の子に成りました(笑)許せ…史実でも細身で女性と間違えた説が有るから。病弱なのか髪の色素がなく白髪。ローマで加入…とは言え野良サーヴァントとして現地合流の予定。

 

 

黒田官兵衛。クラス ライダー…の予定。

8割型キャラ付けが終わったもよう。もう少し、調べさせて下さい。有能すぎて秀吉が本気で恐れた部下でもあるとか。ただ、登場は確定。

 

本多平八郎忠勝。クラス ランサーに決まってるだろ!!

チート。本当にマジでチート。戦国無双とは正にこの事な強さを現実でもしてたとか…生涯戦闘で無傷ってなに?

 

 

 

 

そんな彼等の活躍を一先ずご覧ください。

 

「あっ?子供達は子供達で自分が出来ることをやってくれてるのに、なに偉そうな事をほざいてんだ!!

テメェ…それでも大人か!!指を咥えて眺めてるだけのヤツが偉そうに指図をするんじゃねぇ!!」

 

不死身の軍曹。ローマの元老院からネロちゃま、子供組のマスターを守り、元老院にぶちギレる。

 

「手は俺が汚す。マスター達は…大人に成っても戦時中の俺のようには成るなよ」

 

そして…ローマにはお風呂がある、サウナがある!?珍味が沢山!?

 

サウナ、裸の男、そしてラッコ鍋。裸の軍曹、ケイ、ルーデル閣下、ケイローン、そしてエミヤ。何かが始まる!!

 

「ルーデルさんや。これ、乗ってくんね?」

「パーフェクトだ、ギャラハッド君」

 

混ぜるな危険…超兵器に乗った爆裂王が大空から襲い掛かる!!

 

「良い尻をしてる」

「イヤァァァア!!」

 

ローマで桃太郎の悲鳴が!?どうなるの!!

 

歴史キャラは活動報告で募集しております。キャラ付けのイメージが固まり次第…順次出して行きますよ。無機物キャラも募集しております。




キャライメージが固まり次第。他の募集サーヴァントも出していきます。

予告 ローマでラッコ鍋(笑)


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フランス人、風呂入れ

ギャーさん「作者……何ヵ月待たせた?」
作者「何ヵ月だろうかな?ハハハ……」
ギャーさん「マダオ!!おパンティー被って良いぞ!!」
不倫仮面「私のおいなりさ「イヤァァァア!!」逃がさんよ」

本当に待たせました


花の都パリ。歴史や地理にあんまり詳しくない人でも名前だけは聞いたことがあるだろう。フレンチ料理やお洒落なワイン、凱旋門を含めた歴史的建造物が多く残されている観光スポットであり、昔からヨーロッパの人々に愛された街だ。

マリー・アントワネットとルイ16世夫妻が王位を継ぐ前から、優雅で豪華絢爛な庭園は勿論のこと人々の営みが行われていた景色。だが、歴史は残念ながら見掛けだけであり、豪華絢爛ではないのだ!!豪華かも知れないが、歴史に詳しい人々や学者達は口を揃えてこう言うだろう。

 

『当時のフランスは不潔である』

 

と間違いなく、口を揃えて言うことは間違いない。なぜ、不潔なのかと言うと……豪華なヴェルサイユの庭園で野糞は毎日のように行われており、当時のヴェルサイユ宮殿には王族だけではなく住み込みの使用人や貴族達も大勢が暮らしており、少なくとも5000人程が暮らしていたと言われている。そんな5000人の半数がヴェルサイユ宮殿のそこらへんで野糞を行い、立ちションも行うのだから臭くて臭くてしょうがない!!掃除する使用人や庭師も泣くしかないだろう。

そんなウンコパラダイスがなんと、パリの町中で行われていたのだ。町中は野糞はそこまでだったが、尿を貯めた桶を窓の外から「ガンディルー!!」と叫びながら内容物を捨ててたか。その為に、大人気漫画 ヴェルサイユのバラで見たような優雅なパリはぶっちゃけ無かったと言えるだろう。

 

そして極めつけはお風呂にあんまり入らないという所だろう。中世のフランス……アストルフォきゅんも老後にブリテンに帰国してからフランスは再び入浴の習慣が無くなってしまった、ある意味史実の修正力?が働いたのだろう。いや、もしかしたら民族的な物かもしれない。それはマリー・アントワネットの時代でも健在であり、フランスの王族でも月1に身体を濡れたタオルで拭くぐらいの不潔だったのだ。

 

「お風呂は必要かな?」

「僕もあんまり入らないね」

 

と、ルイ16世とアマデウスのお言葉である。ルイ16世の親族には余りにも風呂嫌いで、一生に2度しかお風呂に入らなかった猛者も居る程なのだ。その為に、当時のブリテン以外のヨーロッパ諸国ではシラミやダニ、皮膚病の温床と成っており、シラミ対策の為に髪の毛は剃ってカツラを被る貴族や王族も少なくない。事実、ルイ16世とアマデウスもカツラなのだ(史実です)

 

「「「きったな!!」」」

 

その事を知ってか、ギャラハッド、アストルフォ、ケイ、シエルはずり下がる。ブリテンはギャラハッドのお陰か、古代ローマや日本と同じく温泉大国と成ってるのでお風呂は毎日入るので、そんな事とは無縁なのだ。

 

「おいおい、流石に女性は入るよな?入るって言ってくれよ!!」

 

ケイがそう言うが、残念ながらマリーとシャルロットは視線を反らしてしまう。なんという事でしょう……女性でも毎日入るという訳ではないのだ。

 

「やはり、フランスにもテルマエを大量製作するべきだった……」

 

ボソッとギャーさんが呟く。確かに、大量にテルマエもとい銭湯を作ればフランスのパリも花の都もといウンコの都ではなく、花の都(マジ、フローラルと石鹸の香り)に成っていたのかも知れない。

 

「いや、そうなってみろ……お前の事だから面白おかしな風呂も量産するだろ!?温泉ウォータースライダーのテルマエ、温泉街のような観光地テルマエ、ドクターフィッシュのテルマエとかな!!」

「勿論のろんに決まってるでしょ?ただの風呂なら毎日来てくれないし、子供は飽きちゃうからな!!」

「やっぱりな!!」

 

ケイのツッコミが響くが、ここにフランス出身サーヴァント+特異点に来てから満足にお風呂に入れていないサーヴァント達(特に日本人の清姫)はお風呂決行である!!

 

「俺は関係無いな。アルクェイド女王陛下の手で地獄から連れ出され、お風呂の大切さを教えてもらった。ヤーナムでも出来る限り入ってたし」

「いや、ルイさんは服のまま入れよ?反り血でずぶ濡れだから」

 

そして狩人様ことグランド・フォーリナ―ことルイ・シャルル、服のまま強制お風呂……いや洗濯が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

一方のカルデア。

 

カルデアはフランス特異点に向かったマスター達とサーヴァントのサポートは勿論の事だが、人理焼却から免れたイギリスや日本東京都立川との情報のやり取りなど、やることが沢山あった。

 

「妙に時計塔が大人しいわね?少し可笑しいわ」

 

待機したマスターであるペペロンチーノはモニター越しで、特異点に旅立ったマスター達やサーヴァントを見守りながらエナジードリンクを飲み、考えていた。

あの利権や裏切り、根元に到達するためなら自己以外は利用して切り捨てるような魔術師の集合体とも言える時計塔が何もしてこないとは不自然だと思考する。あの時計塔の事だ、適当な言い掛かりを付けてカルデアを乗っ取りするものだと思っていたのだ。裏で用意周到に準備をしてるのだろうか?いや、それにしても遅すぎる。時計塔が仕掛けてくるならば、間違いなく此方側の最高戦力であるギャラハッドが居ない今に仕掛けるしかない。

 

「イギリス政府から通信です!!」

 

1人のオペレーターが告げる。どうやらイギリス政府からの通信であり、ペペロンチーノや藤丸くん、そしてロマニはモニターを見る。

 

『ごめんごめん!!遅くなっちゃった!!』

 

モニターには白色の戦闘装束のドレスを纏い、背中に聖剣 真世界を背負ったアルクェイドが映る。アルクェイドの後ろでは完全武装した妖精騎士ランスロットことラウラちゃんが控えている。

 

『女王さまとラウラちゃんだ!!サインちょうだい!!』

 

なお、現代でも妖精騎士トリオは大人気アイドルであり、ロンドンの子供達からラウラちゃんはサインをせまがれている。

 

『今はアイドルじゃなくて公務なんです!!後でサインと写真サービスするから……』

『えー!!じゃあ、女王さま!!』

『後でね?良かったらロイヤルインパクトとも撮る?直ぐそこに連れてきてるんだ!!』

「「「12000000000以上の三冠馬連れ回してんぞ!!この真祖女王!!」」」

 

『娘が失礼しました。代わりにわたしが』

 

すると、ファンサービスしているアルクェイドとラウラちゃんの代わりに、1人のツインテールの美女が現れた。外見年齢は十代後半程だろうか?そしてブロンドでアーサー王や沖田さんと瓜二つの顔立ち……

 

「貴方は?まさか……」

 

『私はアルトリア・キャスター。イギリス三代目国王ギャラハッドの()()にして、現国王の母です』

 

この時代のキャストリア、半分妖精なのでバリバリ生きていてご健在であった。つまり、上皇后である。

 

『時計塔がカルデアにちょっかいをかけようとしたので、私達で鎮圧しました。死者は出てませんので安心して下さい』

 

時計塔……鎮圧完了!!

 

(まあ、最終防衛システム…………封印されたギャラハッドのオリジナルボディーにギャラハッドのグランド霊器が入って完全体で蘇生は無かったので、そこまで事態は重くないようですね)

 

最終防衛システムはいつ出るのやら?出たらそれこそ、本当に敵さん終了のお知らせである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーサーカーを所望かな?ふふふ、おパンティーの加護と共に私は現れた!!」

「私もワープした!!久しいな……不倫仮面」

「おう、変態仮面。この時代は生前のぺドフィリアマスクが居るのだったな!」

 

「イヤァァァア!!」

 

ジャンヌ・オルタはその場から全速力で逃げ出した。




次回!!朝が開けて、ギャーさん……本気で特異点を落としにかかる!!

ギャーさん「皆が寝てる間に、ドローンで敵の拠点調べたから。今から潰す。ポチっとな!!」
キャスジル「この……チートがぁあ!!」


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ギャーさん、ハイテク戦法を使う

フランス終了!!


文明の力は素晴らしい。特に賢い将軍や軍師、反英霊とは言え狡猾でずる賢い盗賊や海賊も現代に呼び出されればその素晴らしさを知るだろう。

遠くに離れた仲間とも通話が出来るトランシーバー、通信機、Bluetoothイヤホン、携帯電話、スマホ。これらは戦闘に関しても非常に役立つ。これらが存在しない時代では離れた場所で行動していた仲間に指示を与えるにしても、伝令兵を派遣しなければ成らず、どうしても時間がかかる。伝令兵を用意→伝令兵に伝言を伝える→伝令兵が場所に向かう→伝令兵が伝える。非常に手間がかかるが、無線が登場してからはその手間が無くなり、非常に楽に成った。

 

他にも離れた場所を無人で偵察できる、偵察ドローン。偵察ドローンが撮影した場所をタイムラグほぼ無しで映し出す事が出来るモニター等々、他にも便利な代物は有るのだ。言えば言うほどキリがない程に出てくるだろう。そんな代物を使ってか……

 

「敵の位置はだいたい確認。規模も把握。ワイバーン、ゾンビが主な下っ端のようだな。さてと……どうやって潰そうか」

 

アークリアクターを内蔵した自作のノートパソコン(此方で作った)のコンソールを叩き、操作してギャラハッドは作戦を練る。とは言え、ギャラハッドはぶっちゃけ生前は作戦という作戦はあんまり考えた事がない。と言うのも、ギャラハッドはワンマン軍隊であり個で戦闘が完結してしまう一騎当千。故に部下に指示を出すより、自分で敵地に乗り込んで制圧した方が遥かに早いのだ。

 

ノートパソコンと有線で繋がった沢山の小型モニター。その小型モニターにはギャラハッドが作成した無人小型偵察機を、エミヤの投影魔術で超量産した代物が撮影した映像が映し出されている。

 

「ふむ……ブリテンの技術は凄いのだな。特に、この無線機だったか?これが私の時代に有ればな、どれだけ戦いが楽だったか。伝令も必要ない、その上……リアルタイムで状況の把握も出来る」

 

ゲクランはフランス百年戦争の英雄であり、部下達を率いて祖国の為に戦った。故に現代社会がギャーさんが大幅ワープ進化させた古代ブリテンの超技術に驚きながらも有用性の素晴らしさに気付く。

 

「それに無人偵察機か。偵察は危険が伴う。少ない人員で戦地や敵陣の様子を探らねば成らないからな……技術の進歩は凄いのだな」

「技術なんて使ってなんぼよ。ケイ先生達は発展していくブリテンにドン引きしてたけど」

 

ギャラハッドはそう告げ、珈琲を飲む。この珈琲は召喚サークルを通してカルデアから送られたインスタントであり、どの時代でも休憩中は嗜好品を嗜みながらストレスフリーにしたいものだ。

今の時刻は深夜2時。サーヴァントは睡眠の必要は無いが、抑止力で呼ばれたサーヴァント達はマスター不在の為かマスター達と寝ており、カルデアのバックアップを受けているケイやトール、そしてマスターと契約状態のギャーさんやエミヤ等も起きて夜番をしている。

 

「脳みそを働かせるためには糖分、ブドウ糖も大事だしな」

 

なお、ブラック珈琲ではなくお砂糖も入っている。

 

「む?」

「どうした?ギャラハッド」

 

ふと、ケイがギャーさんのノートパソコンを覗き込む。その画面には…………

 

『ギャァァァ!!助けて!!助けてぇぇえ!!助けて!!パンティーを被った変態2人に追いかけられてるの!!もう誰でも良いから助けてよ!!お願いだから助けて!!何でもするから!!なんでもするから!!』

 

涙を流しながら、白髪の巨乳の美少女 ジャンヌ・オルタが全速力で逃げていた。そんなジャンヌ・オルタこと邪ンヌの背後からは腰を変態のようにクネクネさせて爆走する2人の変態が居たのだ。1人は行方不明?と成っており、カルデアの独房から脱走した不倫仮面もといマダオもといランスロットである。そしてもう1人は不倫仮面と同じく、頭におパンティーを被った変態であるが、此方は股に聖剣デュランダルを挟んでいたのだ。

 

「マダオと同じ変態が増えとるぅぅぅ!!」

「ランスロット!!お前、折檻されていたんじゃ無かったのかよ!!」

 

ギャーさん、マダオと同じくおパンティーを被って強くなる戦士の存在を知る。そしてツッコミ職人のケイ先生は怒号のツッコミをあげる。その為か、寝ていた一部のマスター達とサーヴァントが起きてしまう。起きてしまったマスターは立香とオルガマリー、起きたサーヴァントはアストルフォであった。

 

「ギャラハッドにケイさん、どうしたの?」

「どうしたのよ?てっ!!まだ深夜2時じゃない!!……ちょっと…………嘘でしょ?」

 

起きてしまったオルガマリーと立香はギャラハッドとケイが見ているモニターを見てしまう。だが、オルガマリーは映像として映されている、涙目で全速力で逃げる邪ンヌを追いかける2人の変態を見る。すると、不倫仮面が被っているおパンティーに見覚えが有るのか、オルガマリーがふるふると身体が震えて怒りがこみ上げてきて涙目に成っていく。

 

「それ、私のおパンティーよ!!なんで、被ってるのよ!!」

「「なにぃぃぃい!!」」

「ついにストライクゾーンが広くなりすぎだろ!!ランスロット!!未成年のパンティーを被りやがったぞ!!お前、ただでさえ変態なのに人妻だけに収まらなくなったのか!?」

 

なんという事でしょう。マダオはオルガマリーのおパンティーを被り、不倫仮面に変身したのだ!!だが、オルガマリーは実のところ未成年であり、なんと処女である。その為に不倫仮面に変身できても大幅なパワーアップは出来ず、なんとか邪ンヌちゃんはまだ逃げ続けていた。

 

「あっ!ローランだ。こんな所に居たんだ!!あれ?パンティーが少し汚れてる?だから少し弱体化したのかな?」

 

アストルフォきゅんも画面を覗き込む。なんでももう1人の変態はアストルフォのマブダチであるローランその人。ローランは美女or美少女のおパンティーを被ることで変態仮面に変身できるのだ。だが、おパンティーが少し汚れてきたのか、変態仮面も少し弱体化してきており……そのお陰か邪ンヌちゃんは逃げ続けている。

 

「可哀想だが、あのサーヴァントはマダオともう1人の変態に任せよう」

「良いの?」

「マダオはギャグ補正で絶対に死なないから」

「お前、相変わらずランスロットには塩対応だな……」

 

ジャンヌ・オルタは変態二人に任せて、ギャラハッド達は他の敵を蹂躙し、更に敵の総大将を粉砕して聖杯を確保する事を決めたのだった。

 

 

 

 

 

翌朝。

 

「さてと……始めようか」

 

ニヤリとギャラハッドは笑みを浮かべる。ギャラハッドは戦略を考えることは生前も含めてほぼ無かったのだが、今回はゲクランというフランスの英雄も居る。ゲクラン等の優秀な人々が作戦を考えてくれるので、ギャラハッドは思う存分……その規格外の力を発揮するだけだ。

 

ミサイルの雨がオルレアン城……黒幕の拠点に降り注ぎ、オルレアン城が悲鳴をあげる。城壁が崩れ、城の前に配備されていたゾンビやワイバーンの多くが粉砕されたのだ。

 

「円卓最強、ギャラハッド……いざ参る!!」

 

左手にアロンダイトを持ち、右手に座から武装として持ってきた第七聖典のライフルを持ち、ギャラハッドは単独でオルレアン城を正面突破しようとする。

シエルの過去の発言でお気付きの方も居ると思うが、この世界の第七聖典はギャラハッドがモンゴル民族の文化にインスピレーションを受け、愛馬オグリインパクトの亡骸から製造したマルチウェポンであり……現存するオリジナルはシエルに受け継がれた。ライフル、片刃の蛇腹大剣、片刃の長剣、魔力爆発パイルバンカー、槍、強化パワードスーツ、等々のオプションがあり、合体させることで片刃のガンブレード+ブレードライフル、ガンランス、蛇腹式スラアク、そして全部乗せの対城粉砕巨大弓に変形することも出来るのだ。

 

「この……化物がぁあ!!なんとしてでも防ぐのです!!ジャンヌを助けるためにも、シャドウサーヴァントに霊器を落としてでもサーヴァントを沢山呼んだのですから!!」

 

オルレアン城の奥から黒幕の声が響き、続々と数多のゾンビとワイバーンが出てきた。更には黒い影となり霊器を落とされたが操り人形にされたシャドウサーヴァントも沢山出てきた。これには流石に一騎当千のサーヴァントでも厳しいが、ギャラハッドならば問題はない。

 

(悪いな、俺は陽動なんでな……思う存分……注目を集めるぞ)

 

ギャラハッドは陽動だった。ギャラハッドが単独で正面突破を装い、大暴れして注目を集める。その間にギャラハッドとカルデアのダ・ヴィンチちゃんが作成したステルス迷彩で、裏から攻めこんだゲクランやケイ率いる別動隊が黒幕を粉砕する流れなのだ。

 

「ギャー!!」

 

「ヒデブ!!」

 

「バケモノ!!」

 

アロンダイトで斬られ、第七聖典ライフルで撃ち抜かれ、次々とゾンビとワイバーンにシャドウサーヴァントは次々と数を急速に減らしていく。

その上、ギャラハッドから距離を離せば第七聖典ライフルに気を付ければ良いだけと思うかもしれない。だが、それは悪手だったのだ。ギャラハッドは自身の領域展開……ゲフンゲフン!!固有結界の術式である調理を応用し、不可視の斬撃が遠隔で発動して遠くのゾンビ達も両断されたり燃やされたりしていく。

 

不可視の斬撃、アロンダイト、第七聖典ライフル。この3つに気を付けながらギャラハッドと戦うなんて無理ゲーだ。それにギャラハッドはルーン魔術も併用しており、ルーンが着弾した場所には飛雷神のマーキングが刻まれており……ギャラハッドは飛雷神を多用して連続的に転移するために何処に現れるか分からない。

 

「さて、行くか」

 

全ての敵を粉砕し……圧倒的な強者の風格でギャラハッドは正面堂々とオルレアン城に乗り込んだ。

 

 

 

「ギャラハッドのお陰か、簡単に乗り込めたな」

 

ケイは立香達マスター達、ゲクラン等の現地合流のサーヴァント、そして最高戦力 狩人 ルイ・シャルルと共に裏口からオルレアン城に侵入。黒幕……ジル・ドレェを捜索していた。玉座に辿り着くと……

 

「私はぺドフィリアマスク。この時代に生きる変態戦士だ!!今は亡き聖女とロリショタの為にも、貴様を成敗!!」

「イヤァァァア!!」

 

黒幕……キャスターのサーヴァントであるジルはこの時代のジル・ドレェことおパンティーを被った変態 ぺドフィリアマスクの手で粉砕されて座に帰された。ジルの足元には聖杯が転がり、これを拾えば任務は完了である。

 

「第3の変態が現れやがったぁぁあ!?」

 

ケイの悲鳴が響き、ぺドフィリアマスクは立香達を見る。

 

「む?13歳以下の子供達が居るね?君たち、私におパンティーを分けてくれないかな?」

「変態がいるよぁぉお!!」

 

ぺドフィリアとは13歳以下の子供を対象とした性的な物だ。そして此処にはまだ10歳で立香の妹であるイリヤがいる!!身の危険を感じたイリヤは叫び、イリヤを守るためにエミヤが前に出てきた。

 

「なっなんなのかね!?君達は!?おパンティーを被った変態がどうして3人も居るのかね!?」

「「「そこ!?」」」

「ふふふ……安心したまえ……正義の味方に成りたかった男よ。私はヒーローさ……ただぺドなおパンティーとパンツがないと戦えないがね」

 

その瞬間……

 

「ほんげー!!」

 

突如としてぺドフィリアマスクに砲撃が着弾。ぺドフィリアマスクは吹き飛ばされ、おパンティーが顔から取れてジル・ドレェ(トゥルーフォーム)に戻ってしまう。

 

「ヤりましたが。良いですよね?」

 

なお、砲撃したのは第七聖典をグレネードランチャーに変形させたシエルであった。

 

「シエル先輩!!その……あの人サーヴァントじゃないんだよね!!」

「立香さん。御安心して下さい。変態はあの程度じゃ死にません。ランスロットなんて、宇宙空間でも生存できますから」

「「もう、人間じゃねぇぇえー!!」」

 

「おパンティーを被るだけで強くなるのか……」

「キリシュタリアさんはやめて下さい!!あの変態達だけです!!」

 

そしておパンティーを被るだけで、サーヴァント真っ青に強くなれる可能性を知り、おパンティーを被ることを本気で考えるキリシュタリア。そしてそれを本気で止めるマシュであった。

 

 

無事に聖杯を確保して、いざ帰ろうとした時だった。

 

「助けてよ!!なんでも……なんでもするから!!」

「「フハハハハ!!変態からは逃げられんよ!!」」

 

変態仮面+不倫仮面から逃げる邪ンヌちゃんを確認。

 

「本当になんでもするの?」

「しますから!!」

 

言質を取り、ギャーさんは邪ンヌを保護した。なお、その結果……

 

「じゃあ、普段はメイド。そしてタレントとしてデビューさせるから頑張れよ?本物のジャンヌ・ダルクも歌手だったしな」

「へ?」

 

邪ンヌはカルデアのメイド、そしてイギリスでタレントデビューし……歌手活動からお笑いそしてグラビア撮影の日々が待っているのだった。なお、水着写真のお陰か、多くの子供達の性癖が歪みかけたのは内緒である。




次回からローマまでのインターバル期間。次々と仲間が増えるよ?



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フランス後 増えてきた人員

どんどん人が増えてくる!!


カルデアのマスターは全員含めて47名(ベリル?知らんな)新たにマスター適正を得た所長を含めて48名のメンバーがサーヴァントを召喚する事が出来る。本来ならAチームだけがマスターとしてサーヴァントを召喚する予定であったが、今はオルガマリーによる方針変換により全マスター達にサーヴァントの召喚が許可されている。だが、カルデアのメンバーは前所長で裏で色々とキナ臭い事をしていたマリスビリーが選んだAチームことクリプターは兎も角して、他のメンバーはお金で釣られてやって来た賞金稼ぎだったり、お金で釣られてやって来た魔術適正のある方々だったり、訳あってお金が必要な魔術師の方々だったりと様々だ。

 

「サーヴァントは呼ぶか?」

「いや、様子見だ。触媒無しで呼び出すのは運ゲーだろ?相性の悪いヤツが出てきたらどうする?安全装置の令呪が無ければ裏切られる場合が有るからな」

「そうだよな。俺も暫く様子見だ」

 

だが、サーヴァントを呼び出すのは個人の自由と言うことに成っている。確かにサーヴァントは圧倒的な実力を誇る切札であり、いるかいないかで言えばいた方が人理修復も物凄くやりやすくなるだよう。

だが、サーヴァントは1つ欠点がある。サーヴァントは元とは言えば大半がかつて生きていた人間だ。勿論、エリセが召喚したビスマルクのように無機物が擬人化して英霊の座に登録されたケースもある。だが、どちらにせよサーヴァントは元人間or擬人化して人間に成った無機物であり、感情がある、心がある、思いがある。いくら使い魔とは言え悪く扱えば反逆されたりするだろう。それに、サーヴァントを呼び出した悪人が、そのサーヴァントに殺されたというケースも過去の亜種聖杯戦争で有ったのだ。故に、サーヴァントの召喚は慎重に行わないと行けないだろう。故に、元気に成ったB~Cチームのマスターの皆さんはサーヴァントを召喚しようか迷う者も多くいるのだ。

 

「博打も良いところだしな」

「ああ。しかし、良いよな?ほら、数合わせのDチームの女の子。あれだろ?ギャラハッドを呼び出したんだってよ」

「運全部使いきったのかもな。でもよ、仮にギャラハッドを俺達が呼び出せても……制御出来るか?アイツ、令呪効かないだろ?」

「間違いない。呼べても俺達はギャラハッドなんて絶対に呼びたくない……間違いなく俺達の制御を離れて、俺達の手に負えなくなる」

 

仲良く信頼関係が結べればサーヴァントは素晴らしい相棒に成る事が出来る。しかし、信頼関係を作れなかったら令呪という安全装置という繋がりが無ければ関係が破綻してしまう危ない関係でもある。

カルデアとしては1人何人でもサーヴァントを呼び出して良い、という事にしてるが上記のBチーム所属の魔術使いの傭兵のようにサーヴァントを呼び出さない予定のマスターも居るのも事実。果たして、カルデアはどれ程のサーヴァントが集うのだろうか?

 

「サーヴァントが集まるのは良いことだが。その全部が戦闘に適した訳じゃないからな」

 

ギャラハッドは1人でカルデアの廊下を歩いていた。フランスの特異点が無事に解決し、全てのマスターが復活(ベリル?彼は死刑に成ったよ)して元気に活動を再開したころだが、ギャラハッドは暇だった。

自身のマスターである立香は妹のイリヤ、そしてカルデアで友人と成った秋葉、翡翠、琥珀、白野、そして新たな後輩?と成ったマシュ、エリセ、カリンと共にキャメロット観光をしている。護衛としてエミヤ、エルキドゥいるし……問題はないだろう。

余談だが、エミヤとエルキドゥは知名度皆無を脱却するために……先日にYouTubeを始めた。

 

人類の歴史は長く、その分……多くのサーヴァントが数えきれない程に存在する。ギャラハッド(ぶっちゃけなんでも出来る)、円卓の騎士のように戦闘に特化した武闘派のサーヴァントだったり。ダ・ヴィンチちゃんのように物作りに特化したサーヴァントだったり。モーツァルトのように音楽家のサーヴァントは戦闘には適さないが、味方のサポートが得意だったり様々だ。

 

「おっ!お前さん、サーヴァントか?……まさか、伝説のギャラハッドか!?」

 

ふと、ギャラハッドは声をかけられる。何事かと思い、声の方を見ると……カルデアの廊下で『大盛堂書店 カルデア支店』という即席の本屋の屋台を準備していた屈強な日本人の男性だった。歳は20代~30代程だろう。旧日本軍の軍服を纏い、顔には傷跡が有ったのだ。そこ、キンカムの杉元さんそっくりとか言わない。

 

「ああ、そうだ。俺は伝説なんて思ってないけどな。む?大盛堂書店?」

 

ギャラハッドはふと、考え込む。大盛堂書店、その書店は日本にある書店であり、第二次世界大戦でリアルターミネーターのようなビックリ超人が戦後に創業した大手の本屋さんだ。ギャラハッドも前世では良く利用しており、様々な専門書や参考書をお取り寄せて購入した記憶がある。

 

「あんた、もしかして船坂弘?」

「俺を知ってるのか!?伝説の騎士様に知って貰えると光栄だな!!お前の書籍も入荷した所だ、どうだ?子供向けの絵本からフランス文学者が書いたラブロマンス物も有るぞ」

 

彼は船坂弘。日本史上最強の分隊長であり、不死身の軍人。あまりの強さと、どんなに致命傷を受けてもピンピンして復活し、あろうことか死亡判定受けても生命力で復活し……米軍の基地を破壊工作でボロボロにした超人でもある。アメリカではグンソーフグタと恐れられているヤヴェー人なのだ。

なお、戦後は日本の未来を見据えて本屋を経営。後に大聖堂書店として多くの方々が本をとる場所と成ったのだ。リアルチート。因みにクラスはバーサーカーであり、理性は残るタイプとの事だ。

 

「マスターはBチームの少女でな。俺は自由時間はこうやって、本屋をしてるんだ。本が欲しかったら言ってくれ、取り寄せるからな?」

「ああ、頼むよ。月間サイエンスは取り寄せできる?」

 

その後、ギャーさんは月間サイエンスを取り寄せてもらい、その場から去っていった。

 

 

 

「はじめましてアームストロングです。クラスはライダーですよ」

「宇宙服熱くないの?宜しく」

 

「アントナム・カーレムだ。クラスは一応はキャスターだが、私は戦えない。ここでフレンチを作るだけさ」

「そうか。宜しく、やっぱり食事は大切だからな」

 

道中で宇宙服を着たライダーのサーヴァント 初めて月面に降り立った宇宙飛行士 アームストロングと出会ったり、食堂ではフランス料理の父であるアントナム・カーレムと出会ったりした。

 

 

ふと、ギャラハッドはサーヴァントを召喚する召喚ルームに辿り着いた。

 

「ちっくしょー!!」

 

そこでは白髪の少年が何度も召喚を実行していたが、残念ながらサーヴァントを引けずに頭を抱えていた。

皆さんもFGOのアプリをした人達なら経験は有るだろう。サーヴァントを(出来れば可愛い美少女orイケメン)召喚したいが、残念な事に麻婆豆腐や龍脈等の礼装ばっかり出てくることが。作者だって、なんど優雅垂れに憤怒した事だろうか?召喚ルームでサーヴァントを呼ぶことは確かに出来るが、運が悪かったらサーヴァントではなく概念礼装が出てくることがある。本来の聖杯戦争なら聖杯の力も借りるので、サーヴァントが簡単に出てくれるが、カルデアは本来の聖杯戦争ではないのでポンポンとサーヴァントは出てきてくれず、運が悪かったら概念礼装が出てくる事が多いのだ。

 

「麻婆豆腐とへんな人形ばっかりだな」

「うお!?後ろから話しかけるなよ……」

 

その少年をギャラハッドは知っている。彼はカドック。Aチームのマスターであり、マシュが言うには民間人に近く、良くマシュに外の世界の事を話したり……ロマニ・アーキマンと共にゲームしてた人物だ。

 

「カドックだったな。もう動けるのか?」

「ああ、元気バッチリだ!!歴史に語られる万能の救世主と、アイドルに手術をされたしな」

「そうか、邪魔したな」

 

ギャラハッドはそう告げ、その場を去ろうとする。だが……

 

「お前……もしかして桜坂か?桜坂悠なのか?東京大学医学部2年生だった」

 

カドックがギャラハッドに向けてそう告げたのだ。桜坂悠はギャラハッドの前世の名前であり、ギャラハッドは目を開いてカドックを見る。

 

「人違いじゃないのか?」

「俺は昔から歴史と農業が好きだった。お前に農業の知識を教えたのは俺だよ?幼稚園から一緒だったお前の事を、生まれ変わっても直ぐに分かったさ。お前は歴史だけは大の苦手だったもんな……ギャラハッドの逸話を読んで、読んで……レコードに記された音声でまさかと思ったんだよ」

 

幼稚園から一緒?俺に農業の知識を教えた?

 

「お前……まさか……スマブラで使うのはヨッシーか?」

「そうだよ」

「マリカーで使うのはドンキーか?」

「そういうお前はキノピオを使ってたけどな」

「カドック……いや斉藤なのか?」

「そうだよ、マイフレンド!」

 

なんと言う事でしょう。カドックも転生者だったのだ。因みに2人揃って此処が元々はアプリが原作の世界とは知らない。

 

 

 

30分後。

 

「さてと、俺のマスターなら虫歯は0にしないとな…………しねぇぇぇ!!雑菌がぁぁあ!!」

「まって!!私のシグルドなんか、変なんだけど!!」

 

オフェリアは新たにセイバーのサーヴァント。その強さならアーサー王に匹敵する半神 オーディンの孫であり、ブリュンヒルデの夫……伝説の龍殺し シグルドを召喚できた。だが、そのシグルド……どこか変だ。

召喚した瞬間に「虫歯はないか?」「よし、調べよう。俺は前世は歯医者だったからな」「前世では勉強ばっかりして過労死した医者志望の弟にも歯は大事にしろと言い付けてきた」「歯石は取るぞ、そう全部だ!!」と言いながらオフェリアを医務室に連れ込んで……小さな虫歯の治療から歯石取りが始まったのだった。

 

「この気配……弟よ、お前も転生してたのか!?」

「弟!?シグルドに弟!?えっ!?」

 

オフェリアの歯は綺麗にツヤツヤにホワイトに成ったのだった。




因みに立香の他のサーヴァントはある程度決まってます。全員、オリ鯖です。

セイバー(グランド) ギャーさん。
アーチャー(無機物?) 交響曲第5番。
アサシン(史上には出てこなくて創作らしい) 真田十勇士筆頭の忍。
ライダー(無機物) 最強空母。
キャスター 半兵衛ちゃん。
バーサーカー 島津

ランサーどうしよう(笑)中華か幸村か迷う……


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衛宮立香と補習?

立香ちゃん、ケイ先生からサーヴァントについて教わる。


サーヴァントには様々な種類が居る。基本的にはギャラハッドのように実在した人間が英霊の座に登録されて、サーヴァントとなるタイプも有るのだが。だが、呼び出される場合は基本的な7つのクラス セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、バーサーカー、アサシンの側面に分けられて召喚される。言うならばクラスの枠に当てはめられた英雄のコピーに近い存在であり、英雄個人の強さとサーヴァントとしての強さは基本的には一致しない。なお、ギャラハッドは生前に色々とヤりすぎた(アンサイクロペディアに嘘を言わせなかった)影響なのか……どのクラス(セイバー、シールダー、アーチャー、キャスター、ランサー、セイヴァー)で召喚されてもスキルのお陰か全部実質混ぜ混んだヤヴェーヤツになるのでクラスは関係無い。

 

因みにサーヴァントとなるのは死んだ史実の実在した英雄だけなのか?いや、そう言うわけではない。確かに円卓の騎士など、実在した人物が座に登録されるケースが多数だろう。信仰や知名度など、様々な条件が揃えば人間以外の生物、架空の人物や概念、無機物などもサーヴァントとして召喚することが出来るのだ。

人間以外の生物では例えるなら……藤丸くんが呼び出した呂布を自称する赤兎馬だったり、征服王イスカンダルの愛馬ブケファラスなどがそうだろう。架空の人物と概念なら病気とかもサーヴァントとして登録されており、過去の亜種聖杯戦争では呼ばれた(ストレンジフェイクで出てきた)。無機物とサーヴァントに成れるし、そうなれば概念も良くある話だろう。この作品ではビスマルクだったり、原作ではボイジャーだったりと無機物が擬人化されてサーヴァントと成っているのだから。

 

「架空の人物もサーヴァントに成れるんだ!」

「おう。俺もオルガマリー所長から聞いたが、間違いないそうだ」

 

立香は魔術の知識が皆無。だが、立香は最強戦力であるギャラハッドを召喚してしまい、あろうことかグランドのまま契約してしまった。契約したサーヴァントがグランドのまま使役できてしまったのは前所長以来であり、立香はギャラハッドを戦わせて確実に人理を修復させるためにも、魔術や様々な基礎知識を教えてもらっていた。我らがグレートティーチャーケイからである。

此処はカルデア……ではなく、イギリス王立キャメロット大学(創設者ギャラハッド、現学長キシュア・ゼルレッチ)の空き教室で勉強中なのだ。教壇にはケイが立ち、立香は席に座り、立香の後ろではギャラハッドが右手でJUMPを読みながら、左手で医学雑誌を読んでいる。

 

「へー、バチスタ手術はもうあんまりしないんだな。確かにバチスタ手術は心臓移植をせずに拡張型心筋症を治せるが、心不全のリスクもある。

ふむふむ……培養した心臓の筋肉で作った心筋シートか。コイツは良いな」

 

「先生!!ギャラハッドが難しい本とJUMPを同時に読んでます!!バチスタとか、心筋シートとか訳の分からない単語を言ってます!!」

「気にするな……コイツは昔から俺達の斜め上を行ってるからな」

 

そんなギャラハッドに対してケイは溜め息を吐き出した。

 

「まあ……ぶっちゃけグランドサーヴァントと親しい俺や、そこのグランドセイバーでもサーヴァントがどれ程居るのか分からないからな。

なにせ、未来の存在もサーヴァントになる。架空の人物もサーヴァントになるから、立香に分かりやすい例ならマリオやヨッシーもサーヴァントになるって事だ」

 

架空の人物もサーヴァントとなる。日本や海外で読まれている書籍や文庫の主人公やラスボスも、サーヴァントとなる可能性も有ると言うことだ。例を挙げるなら垢から産まれた力太郎もそうだろう。

 

「えっ……じゃあダンブルドア校長やヴォルデモートもサーヴァントに成るってこと!?」

「可能性としては充分あるな。なにせ、戦艦や宇宙探査機が擬人化してサーヴァントに成るぐらいだ、有り得るだろう」

「それじゃあ、擬人化のサーヴァントはやっぱり女の子ばっかなの?ほら、日本のソシャゲの擬人化って殆んど女の子じゃん!!」

「立香は質問ばっかだな……それは「関係無いと思う。ビスマルクが女に成ったのはもっと本格的な理由がある」どうした急に!?」

 

ギャラハッドは医学雑誌を読み終えたのか、ギャラハッドが立香の疑問に答えるように話し出した。

 

「船は昔から女性扱いされてきた。それは戦艦、空母と言った戦争で多用されてきた艦船でも変わらない。そういう事例もあって、ビスマルクを含めた艦船擬人化サーヴァントは女性と成るんだろうな。

ボイジャーは男の子の姿らしいしな。これは地球との有効通信距離が途切れる間際、ボイジャーに情が湧いたオペレーターが『お願い、坊や。こっちを向いて』と指令を出した……息子扱いした為に男の子の擬人化と成ったんだろうな」

 

船は昔から女性扱いされる。何故なら船は錆び防止の為に沢山のペンキ(化粧)が必要だし、夜は男(乗組員)が集まってどんちゃん騒ぎ。そういう事もあってか、船は女性名詞で呼ばれて彼女扱いされるのだ。

ギャラハッドが興味本位でゼルレッチから聞いたが、ボイジャー……土星探査機も擬人化サーヴァントとして座に登録されている。ボイジャーは男の子の姿との事で、これはボイジャーのオペレーターが『坊や』と呼ぶ時が有ったからかも知れない。

 

「まあ、伝染病は時として悪魔としても言われる。ペスト、エボラ、マラリア辺りはサーヴァントに成ってるかもな」

 

病気は時として恐れられる。その病気を恐れる人々の感情や思いが、病気を英霊の座に祭り上げているのかもしれない。あれ?擬人化サーヴァント……実はめちゃくちゃ多い!?

 

 

 

 

 

一方のローマ

 

「フハハハハ!!人々よ……俺様は人間と共に進化してきたのだ!!根滅出来るとは思うなよ?天然痘はギャラハッドの手で粉砕された……エイズはセックスとかしないと広まらないし最近は薬が進化してやがる!!だが、俺は違う!!停められると思うなよ?マラリアは不滅なのだぁあ!!さあ、いけ蚊達よ……人々から血をすいまくるのだ!!」

 

あからさまな蚊人間のサーヴァントがマラリアと自称し、ローマの特異点に君臨していた。




次回!!サーヴァントが増えたので、親睦会!?

ギャーさん「お前は……桃太郎!!それに、出たな真祖!!」
ひなこ「でたぁぁあ!!タイプアースが出やがった!!」
桃太郎「おう。俺がまさか、かぐや姫のお供のサーヴァントになるなんてな」

再びの桃太郎!!

因みにマラリアくんは個室に追い込んで、ギャーさんやマダオの手で宝具と成った蚊取線香やおすだけベーブを使えば無力化できます(笑)


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親睦会からのローマプロローグ

ネタ鯖(歴史)は所々で出します


「おっ!お前は誰かと思えば必死に逃げた真祖じゃないか!まさか、今まで生きてたとはな」

 

虞美人改めて芥ヒナコはカルデアのAチームに所属するマスターであり、真祖(笑)である。ギャーさん(あとマダオ)の手で朱い月派閥が粉砕された後は命辛々日本に亡命し、かぐや姫ことアルトルージュ・ブリュンスタッドの付き人になり、名前を虞美人からヒナコに変えて長いと時を生き延びた。

ギャーさんが死んでから芥ヒナコは円卓のヤヴェーヤツに狙われる事はないと安心しきり……かぐや姫と共に長い時を生き延びてきた。そんな彼女であったが、京都府で前所長から真祖(笑)であることがバレてしまい……前所長から『魔術協会とイギリス王室には黙っておくよ。ただし手伝え』と脅されてしまい、強引にAチームのマスターに成ったのだ。

 

「なんで此処に居るのよ!!タイプアース!!ギャラハッドォォオオオ!!」

 

芥ヒナコは絶句した。Aチーム強制参加のカルデア主宰 サーヴァントの親睦会が行われる会場でギャラハッドと遭遇してしまったのだ。ヒナコはギャラハッドに隠れ、こそこそと過ごそうと思ってたがギャラハッドからは逃げられなかった。

だが、ヒナコにとっての悲劇は数日前から行われていた。実はと言うとヒナコがカルデアに加入したのは1つの希望にすがってなのだ。ヒナコがアルトルージュの庇護下に入る前、ヒナコは中国に居たのだ。ギャーさんが産まれるずっと前の事だ。ヒナコは当時、虞美人となのり中国の偉大な武将 項羽の元で暮らしていた。項羽を愛していた虞美人はサーヴァントとして項羽を召喚して再会しようとしていたのだが……出てきたサーヴァントは項羽ではなく……

 

「おっ!!ギャラハッドじゃんかよ!!」

 

ギャラハッドと生前に遭遇した桃太郎だったのだ。桃太郎は桃太郎自身が召喚される前に、3匹のお供 犬のシロ、キジのルリオ、猿のカキスケが呼ばれてなかったらそのお供を同時召喚出来るスキルを持っており……桃太郎はルリオとカキスケを同時召喚していたのだ。因みに桃太郎はセイバーである。

 

「桃太郎か。シロはどうした?」

「実はな……」

 

 

 

「なんでさ…」

「お姉さん。元気だして!!」

 

オルガマリーは所長室で項垂れていた。オルガマリーはトールの手で肉体を修復される時に、前所長に施されていた調整を無効にしてもらいサーヴァントを呼べるようになった。オルガマリーは金平糖を3つ握り締め、サーヴァントを召喚した。だが、オルガマリーは自身の運が無かったのか……それとも有ったのか不明であるが、触媒無しで呼び出したサーヴァントは犬だった。

 

「僕さ。強いよ!!かぐや姫ちゃんに誉められたぐらいにさ!!」

 

桃太郎のお供であるシロであった。可愛いワンちゃんで絶対にマスターを裏切らない少しメタボなワンちゃん。古来より、白い動物は神の遣いと呼ばれており、実はシロのスペックは見た目とは裏腹に高いのだ。

 

 

 

一方のローマ特異点。

 

時代的には暴君ネロがまだ市民から愛されており、母親を毒殺して直ぐの年代。この特異点はネロ率いるローマ帝国と、この特異点の黒幕がサーヴァントを呼び出しまくって歴代の皇帝と共に設立した神聖ローマ連合との戦争が勃発していたのだ。

神聖ローマ連合はほぼ歴代のローマ皇帝が、今のローマを滅ぼすために進軍を続けている。構成員の殆んどがサーヴァントやゴブリンやウェアウルフ等の亜人で構成されている。だが、黒幕側が沢山サーヴァントを呼び出し続けた為か……抑止力で大勢の野良サーヴァントも呼び出されたのも事実。そのお陰か……

 

『はー!?なんで俺、特異点に入れないの!?へ?特異点の黒幕がサーヴァントを呼び出し過ぎて、抑止力の許容オーバー!?ふざけんなよ!!俺だけはみご!?』

 

グラレンジャーに所属するグランド・ランサーことグラグリーンのケルト最強英雄 コンラがグランド権限を使っても特異点に入れなかったのだ。入るとすれば……カルデアに呼ばれて行くしかない。この事はオーディンに伝えたので、ギャラハッドに伝わるのも時間の問題だ。

 

ではローマではどうなのか?

 

「しかし、お前達凄いの!!まさに一騎当千の将だな!!」

 

ローマ皇帝の少女 ネロことネロちゃまはローマ帝国側に助太刀してくれた多くのサーヴァント達に感謝した。突如として現れたローマ連合のお陰でローマ帝国は滅亡の危機に貧したが、助太刀してくれた野良サーヴァントの皆さんを将軍や宮廷魔術師そして芸術家や職人として迎え入れ、なんとかローマ帝国は戦えている。

 

「オオ……アッセイ!!」

 

「よしてよネロ。私達は自分の出来ることをしてるだけだからさ」

 

その中にはスパルタクス、そしてネロの知人ブーディカも含まれている。どちらもサーヴァントであり、現在は将軍としてその腕を振るってるのだ。

 

「まさか……足軽だった私が将軍になるなんてな」

 

神として称えられた不可能を可能にして徳川を救った足軽、鳥居強右衛門。クラスはランサーであり、生前はその健脚を用いて窮地に追い込まれた徳川を救うために駆け抜けた伝説の足軽だ。

 

「このローマが終われば未来のローマも終わってしまうからの」

 

ダンディな髭が生えた壮年の人物。彼はハドリアヌス、ネロより後のローマ皇帝であるが、その優れた統治能力から五賢帝の1人に数えられる。本来ならローマ連合側だが、ローマ連合を裏切ってローマ帝国に着いたのだ。因みにホモォ疑惑がある(史実です)

なお、ハドリアヌスは息子のケイオニウス、お抱えの浴槽技師 ルシウス・モデストゥスと共にローマ帝国に参戦している。クラスはライダー。

 

「まあ、ネロの嬢ちゃんや。俺様は褒美はそこまでいらねぇよ」

 

と言うのは茶髪で迷彩柄の忍者装束に身を包んだ青年。武器はブーメランとしても使かう事が出来る双剣……いや大きな手裏剣が2つ。掌に隠して暗器として使う手裏剣、投擲武器として棒手裏剣、破壊工作やトラップ設置の為のクナイ等の多彩な武器を持つ甲賀流の忍者。戦国時代のヒーロー 真田幸村に使えた真田十勇士が筆頭 猿飛佐助である。クラスは当然の如くアサシン。

 

「ゴホゴホ……策はもう考えてます」

 

激しく咳き込む白髪で中学生程の美少女。彼女は竹中半兵衛。生前は豊臣に使えていた軍師であり、肺の病気で若くして亡くなった天才軍師である。その才は諸葛孔明に匹敵するとも言われていた。クラスはキャスター。

 

「フハハハハ!!さあ、ネロよ!!次は誰を爆撃すれば良いのだ?教えておくれ!!」

 

そして近代最強クラスのライダー。ハンス=ウルリッヒ・ルーデル。通称 ルーデル閣下である。ドイツが誇る空の魔王様だ。

 

と……此処までがマトモなローマ帝国に所属するサーヴァントだ。

 

「私が開発したパンジャンドラムに任せておけ!!」

 

エントリーNo.1!!イギリスが誇る伝説の兵器(笑)パンジャンドラムの開発者であるネヴィル・シュートである。クラスはライダー、宝具はもちろんパンジャンドラム……お察し!!

 

「よし、これより私が軍指揮をとろう!!」

 

人として部下からは勿論のこと、政治家としても大変人気が高い元軍人の国会議員 アンブローズ・バーンサイド。政治家としては優れたお方だが、過去にはアメリカ南北戦争の指揮官をしていたが……南北戦争で1~2を争うやらかし人物である!!事実、軍人の指揮官は向いてないと言われたとか。

 

「大丈夫か?これ……」

 

敵は此方の倍以上のサーヴァントを呼び続けている。頑張れ佐助!!負けるな佐助!!もうすぐカルデアがやってくるさ!!




バーンサイド将軍のやらかしって?クレーターの戦いで検索!!

次回!!ギャーさんによる、筋肉バカ(コンラ)のマスター面接!?果たして、誰が選ばれるの!?からのローマにレイシフト……

因みにジャックチャーチルはアーチャーで召喚予定です。


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ようこそローマ!!ハジケろギャーさん達!!

正しくはハジケの準備です。


ある日のこと

 

『大変じゃぁぁあー!!』

 

カルデアの自室でポケモンをしていたマシュは困惑した。今日は休みであり、我が家とも言えるカルデアの自室でカドックとロマニから勧められたポケモンの最新作をプレイしていたマシュであった。だが、突如として自室にホログラム状の隻眼の男が現れたのだ。しかし、この男は物凄く焦っており、手には何故かプロテインと金色に輝く金平糖が握られていたのだから。

 

「なんか、怪しげなおじさんがプロテインと金色の金平糖をもって現れたんですけど!?」

『む!?君はギャラハッド……ではないのか!?バカな、はっ!?まさかデミ・サーヴァントだと言うのか!?ソロモンのマスターは昔から人体実験を繰り返していたが……』

「私はマシュ・キリエライトです。シールダーのデミ・サーヴァントです!」

『そうか、マシュか。私はオーディン。グランド・サーヴァントのスーパー戦隊 グラレンジャーの隊長でマスターオブシルバーだ』

「なんですか!?マスターオブシルバーって!!」

『ギャラハッドが何処に居るか分かるかね?』

 

このホログラムはオーディンであり、オーディンは裏技を使ってホログラムとしてカルデアに介入したようなのだ。なんでもギャラハッドに用があると言うことで、その手には何故か金色の金平糖(ガチャ石)とプロテインが握られている。

 

「ギャラハッドさんならカルデアとイギリスを行ったり来たりしてます。カルデアは今は自室不足で……多くのサーヴァントの皆さんも契約したマスターの部屋で過ごしたりしてますよ」

 

何人かのマスターはサーヴァントを最低1体は召喚している。だが、カルデアだけでは部屋と言う物が限られてくる。マスター一人一人に自室が割り当てられているが、イリヤと立香は同じ部屋を共同で使ってるが……空き部屋はエミヤが申し訳そうに使っている。ベリル(笑)の自室が空いたが、誰も使いたがらず……多くのサーヴァントは霊体化が嫌ならばマスター達の自室に居候しているのだ。

しかし、今のカルデアはサーヴァントの召喚制限がない!!その為か、今後も次々と空き部屋は無くなってくるし……なんならゲクランやシャルルのように特異点で協力したサーヴァントもそのままカルデアに居座るパターンもある。イギリス王室(アルクェイド)と立川市が協力してくれてるが、今はサーヴァント達の住み処の事も考えなければならないだろう。全部のサーヴァントが霊体化を好んでしてくれるとは限らないのだから。

 

「呼んだか、マスターオブシルバー」

 

するとギャラハッドが音もなく現れる。

 

「どっから現れたんですか!?ギャラハッドさん!!」

「お兄ちゃんと呼んでくれ」

「鍵、私は閉めてましたよ!?」

「お兄ちゃんだからだ。そして飛雷神だ」

 

ギャラハッドが飛雷神による転移が出来るのは、魔術師等の裏側の人々ならほぼ全員がしっている。マシュはギャラハッドをシールダーとしての側面だけを切り抜いて作られたデミ・サーヴァントだ。その為に、ギャラハッドは飛雷神を使えば問答無用にマシュの所に飛ぶことが出来るのだ。

 

「で?どうしたの?おやっさん」

『実はな……次の特異点がローマと分かったんでな。お前さんの相方、グランド・ランサーでグラグリーンのコンラを派遣しようとしたのだが……』

「えっ!?コンラ!?あの……ケルト神話最強のコンラをですか!?ケルト神話処か、すべての歴史を見ても最強の槍使いですよね!?」

 

ゼルレッチ曰くのデジャヴるな世界線でのコンラは最強の小学生だった。クー・フーリンの息子であり、クー・フーリンさえも凌駕する素質を持ちながらゲッシュの為かクー・フーリンと戦い……親であるクー・フーリンに認知される前に致命傷を負い、亡くなった若すぎる戦士だ。

 

ではこの世界のコンラについて説明しよう。この世界のコンラはクー・フーリンとスカサハの間に産まれた子供であり、ケルト神話最強の英雄。スカサハの教育方針からゲッシュを立てておらず、スカサハと原作クー・フーリンを遥かに凌駕するオーバースペックの肉体で爆誕。腕力と純粋な速さはギャラハッドさえも凌駕し、ルーン文字を描いた石ころを投げるだけで敵の軍隊が吹き飛ぶ。空気の壁を蹴って空を跳ぶのは朝飯前……馬?走ったほうが速いからいらない。宝剣クルージンという刀(刀に作り替えたのは茂フーリン)、ドゥバッハと呼ばれる黒い槍、そして神滅宝具 ゲイ・ボルグ×2(一本は鎧展開用)を持つ。だが、パワーが強すぎてギャーさんからは「ゲイ・ボルグ以外、手加減じゃね?拳で殴った方が強くね?」と言われるしまつ。

 

好きな食べ物 プロテイン、ラーメン、肉。趣味 筋トレと農業であり……スカサハが残した日記によると「息子は筋トレし過ぎてアレだから拘束具のリストバンド作った。しげちゃんは重たくて持てないものをな!!」とのこと。

 

神さえ倒し。バロールさえも粉砕し、クロウクルワッハもボコボコにし、クロウクルワッハの転生体であるドラゴンは半殺しにしてペットにした程である。城を持ち上げてぶんぶんと振り回すわ……やりたい放題の筋肉バカである。ツッコミセンスはケイに匹敵だ。

 

『そのコンラだが……特異点に入れなかったのだ!!グランド権限使ってもだ!!』

「なにぃぃい!!いや、それはないだろ」

『マジなのだ。ローマの特異点の黒幕がサーヴァントを呼びすぎてな……抑止力のキャパオーバーと成ってしまい、グランド権限で入れなくなったのだ!!』

「そんなに呼んだらネタ鯖ばっかじゃね?」

『うむ。ネタ鯖だけで10体は呼ばれてるな。半分逝ったけど』

 

そこでだ……とオーディンは告げて金色の金平糖とプロテインをギャラハッドに手渡す。

 

『これでコンラをグランドとして、召喚しろ。グラグリーンのマスター選びは君に任せるぞ、グラブルー!!』

 

その金色の金平糖はグランド・サーヴァントをグランドのまま召喚できる夢の代物であり、これを使ってカルデアの力でコンラを呼べと言うことだ。しかし、コンラの魔力燃費は非常に良いが、召喚時の負担はギャーさんに匹敵する。ギャーさんは裏技を使ってマスターにかかる負担を限りなく0にしてるが、筋肉バカはそうは出来ない。

 

「難題だな」

 

ギャラハッドは考える。その結果……面接と成ったのだ。

 

「取り敢えず、サーヴァントを駒としてしか思ってない大半のBチームとCチームのお前らは却下!!」

「「「何故だ!!」」」

「いや、アイツ……令呪防げるし。多分、アイツは普通の魔術師はキライだからな。一瞬で殺されるぞ?だから却下」

 

だが……グランド・ランサーをサーヴァントに出来るためか、多くの志願者が現れた。そして大半のBチームとCチームは却下された。

 

「えーと、エルザ・西条さん。それとも西条エルザさん?どっち?」

「どっちも。二重国籍です」

「まじ?スゲーな」

 

だが、Cチームでも信頼できる人は何人か居た。その1人はエルザ・西条という戦場カメラマンであり、魔術師……いや根源は目指さないから魔術使いなのだろう。若い女性で童顔の為か大学生に思われるが……その実は20代後半のシングルマザーである。カルデアに参加したのは病気で医療大国イギリスの病院で入院中の幼い息子の医療費を稼ぐためである。

 

「人間性はOKなんだが……悪いが、貴女じゃ筋肉バカは任せられない」

「それはどうして?」

「貴女が耐えられない。筋肉バカは裏技を使って魔力を自活出来る俺と違って、召喚時は魔力を必要とする。カルデアのサポートあっても耐えられないからだ」

 

しかし、エルザさんのスペック的に断念である。なお、エルザさんは数時間後……金平糖で普通に召喚し世界最強のグランド・アーチャー(グランド権限はエルザの負担を考えて座に置いてきた)アーラシュさんを呼ぶのは内緒である。

 

「あっ、一人居たわ」

 

その結果……

 

 

 

 

翌日。

 

立香は秋葉、ギャーさんと共にローマにレイシフトした。ローマの特異点はオーディンが提供した情報だとローマ帝国と神聖ローマ連合の戦争が勃発しており、カルデアは情報収集の為に立香&秋葉ペア、マシュ&ペペロンペアを先行として派遣。その後、ローマ帝国と協力関係が結べ次第に他のメンバーも派遣となったのだ。

 

「しかし、此処がローマか!!こっそりとローマンコンクリートを貰いにきた時以来だな!!」

 

立香&秋葉が連れてきたサーヴァントはギャーさん、秋葉のサーヴァントである蘭丸きゅん、そして秋葉が新たに召喚したグランド・ランサー コンラである。

茂フーリン譲りの青い髪色、スカサハ譲りの瞳を持ち……原典クー・フーリン譲りのmuscleボディ(パパ黒ぐらい)を誇る最強のランサー。スカサハママから貰ったピチピチタイツの上からフェルグスの大叔父から拵えてもらった具足を纏ったケルト最強の筋肉バカである。

 

「ねえ、マスター。もうこの人とギャラハッドだけで良い気がします!!」

「いや居なさい」

「そうよ、蘭丸きゅんが居なくなったら……このぶっ壊れ達のお陰で私達の胃が死んじゃうから!!」

「ひでーなおい!!俺はまだ何もしてないだろ!!てか、ギャラハッド……お前もなにか言ってくれよ」

 

「フハハハハ!!やっとだ!!やっとだ!!俺の生前はキリスト教の間違った布教で衛生観念がネジ曲がり、不潔のローマと成ってたが……本当の温泉大国ローマにやってきたぞ!!沢山のテルマエやお風呂が俺を待っている!!待ってろよ!!テルマエ!!」

「この天才、テンションが天元突破してやがる!!」

 

ギャーさん。念願の温泉大国ローマに行けるためか、テンションがバク上がりと成るのだった。なお、本来のツッコミ担当のケイはマシュ&ペペロンと共に行動しており、今は胃を休ませている。

 

だが、突如としてテンションMAXと成っていたギャーさんは直ぐに真顔に戻る。何故なら……前方から巨大な何かが転がって来た為だ。それはどういう訳か巨大となったイギリスの珍兵器 パンジャンドラムであった!!

 

「目の前からパンジャンが転がってきたぁぁあ!?でかすぎだろぉぉおお!!」

 

筋肉バカ。本日2度目のツッコミであった。

 

 

 

 

 

 

「ネビル将軍!!パンジャンドラムの一つが見当違いな場所に転がって……もう1つはこっちに戻ってきた!!」

「のぉぉおお!!バカな!?私のパンジャンは完璧なはずなのに!!やはりパワーが足りなかったのか(史実通り(笑))」

 

このパンジャンドラムを放ったのはローマ帝国所属のネビル・シュート(ライダー 作家でもある)が作ったパンジャンドラムの巨大版である。勿論、へんな方向に転がったり転倒したりしてる。

 

因みにネビル・シュートがバーサーカーで呼ばれると、パンジャンと合体してるとか。




次回からギャーさん、ハジケマス。

動物鯖ではヴォイテク(熊)、松風、バイアリーターク(軍馬でもあった)は考えてます。

ギャーさん「貴様ら!!それで歯を磨いたつもりか!!」

ギャーさん「豚のおっぱいの牛乳煮込み!?修正してやる!!」

ローマの食生活はヤヴァイよ(笑)


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ここがローマ!?お前ら、歯を磨け!!

AC6は良いぞ……


「ふぅー、危なかったぜ」

 

突然やって来た巨大なパンジャンドラム。だが、ギャーさん達はパンジャンドラムに引かれる事はなく、再び方向転換して何処かに転がっては勝手に転倒して大爆発を引き起こしたパンジャンドラムを上から見下ろしていた。では、どうやってギャーさん達はパンジャンドラムを上から見下ろしているのだろうか?

確かにギャーさんことギャラハッドは唯でさえ莫大な魔力を、生前に編み出した裏技を用いて無限に近い魔力を自活出来る。まさにGNドライブから作られる永久的なエネルギーのように魔力を使えるのだ。そんな莫大な魔力を使えば、空を飛ぶことは朝飯前だし…生前なんてイギリスからブラジルまで飛んでいって、その日に帰ってきた程だ。だが、今回はギャーさんはあんまり魔力は使っていない。何故なら……

 

「お前……どっからAC持ってきた!?AC!?アーマード・コア!?戦略ロボット兵器持ってくんじゃねぇぇよ!!」

 

それはギャーさんがポケモンやモンハン等の有名ゲーム以外で唯一、超絶やりこんだゲーム。高い難易度と自由度の高いアセンブルで大人気のロボットゲーム…アーマード・コアシリーズに出てくるロボット、ACだったのだ!!

 

「ダ・ヴィンチに頼んでアーマード・コア6仕様のACに仕立ててある!!動力源は俺が提供したアークリアクター×4だ!!」

 

しかもまだこの時代では発売されていないアーマード・コア6に出てくる中量二脚のモデル。PVで鮮烈な登場を見せた「レイヴンさん」が乗っていたパイルバンカーを左手に構えたACである。

 

「まてまて!!まだまだ突っ込み処はあるぞ!!なんで…なんで操縦桿がそれなんだよ!!おかしいだろぉおお!!」

 

コンラの突っ込みが響くのも無理はない。何故ならギャーさんがACを動かしている操縦桿は操縦桿ではなく、プレステ5のコントローラであったのだ!!

因みに本来ならACは1人乗りであり、ギャーさんは操縦席に座っている。蘭丸きゅんは零体化しててスペースを確保しているが、零体化がめんどくさい筋肉バカコンラとマスターである秋葉と立香は操縦席のシートの裏でぎゅうぎゅうになっており、押しくらまんじゅうのように成っていた。

 

「こっちの方が成れてるんだよ。因みにACなら本気で生前に作ろうかと思ってた」

「思うな思うな!!ソーラーカー作ってた親父より文明加速するなよ!!西暦数世紀で巨大ロボットなんて…作るヤツがいるかぁぁあ!!」

「ここにいる!!」

 

コンラに突っ込みに対してどや顔で告げたギャーさん。因みにACは普通の操縦桿も用意されており、ギャーさんはコントローラのホームボタンを押すと、操縦席の前方が変形してちゃんとした操縦桿が現れた。因みに騎乗スキルのお陰か、どっちで運転しても問題はない…気分の問題なのだ。

 

「しかし……本当にローマとローマが戦ってるな。どっちがこの時代のローマだ?」

 

モニターを見てギャラハッドがそう告げる。ACのモニターにはACのメインカメラがとらえた外の風景が映っており、そこではローマとローマが戦っていたのだ。両者とも、ローマに伝わりそうな武装をして戦っているのだが、微妙に色が異なっており…更にどちらもサーヴァントが軍勢を率いて戦っている。

 

「筋肉バカ、マスター、秋葉。このサーヴァント達…見覚えはないか?」

 

ギャーさんはぶっちゃけ歴史に詳しくない。歴史に詳しかったら生前に異世界転生したではなく、過去の世界に生まれ落ちたと言う筈だからだ。

ACにはスパコン真っ青の情報処理能力があり、ACは映像として見たサーヴァント(ギャーさん以降の時代で、写真が残された方々)を判別できるのだ。

 

片方のローマにはバーンサイドというサーヴァントと、謎かアフロヘアーに成ってズタボロと成っているネビル・シュートというサーヴァントが倒れている。

 

もう片方は???というサーヴァントが率いているが、ギャーさんはその???を見た瞬間…顔をしかめた。???のサーヴァントは赤い髪をしており、端正な顔立ちで騎士のような出で立ちをしており……魔剣を振るっては敵方のローマ兵士を次々と吹き飛ばしていく。その剣の腕前は円卓の騎士を凌駕する程であり、円卓でも???と戦うことが出来るのは3倍補正のガウェインや不倫仮面、そしてギャラハッド位だろう。

 

「げっ!?ルキウス!?お前…呼ばれとったんかわれぇ!?」

「「ルキウス!?」」

 

その???はルキウス・ヒベリウス。クラレントとの兄弟剣である魔剣の担い手であり、ギャーさんの時代のローマ皇帝。ギャーさんのオリンピックの誘いを蹴り、あろうこたかブリテンに宣戦布告。その後、マジギレモードのギャーさん単騎により、ローマに撤退。

更に数年後。アルクェイドが十代半ば程に成長した頃……再度ローマからブリテンに対して宣戦布告。再びぶちギレたギャーさんは完成したばかりの第七聖典を使用し、第七聖典のパワードスーツ…魔道甲冑(史実と違って個人で姿が変わる)でネクストAC顔負けの立体起動でライフルとアロンダイトそしてトッツキを駆使して…ルキウスをフルボッコにしたのだ。なお、ルキウスはその後においなりさんを受けたとか。

 

「よし、あの戦争屋でお風呂に入らない不潔野郎にはミサイルの雨をお見舞いしてやる」

 

生前の事を思いだし、ギャラハッドは安全装置を解除する。するとACの肩部武装の安全装置が解除され、音声をオープン回線で外に響かせながら引き金を引いた。

 

「グーモニング!!ここで会ったが100年目!!ルキウス・ヒベリウスくーん!お風呂に入らない君にはマルミサの雨をプレゼントしよーう!!」

 

そして声が届いたのか、ローマ兵士を蹂躙していたルキウスはACの方を見る。すると、ACに乗っている人物が誰なのか直ぐに分かったのか、ルキウスはギョッと驚いた顔をするのだった。

 

『うげ!?貴様…ギャラハッドだと!?宮廷魔術師レフの言う通り、本当にきたな!!』

 

迫り来るミサイルの雨。だが、ルキウスは並のサーヴァントではない。あの円卓に匹敵する強さを誇っており、デジャヴるの世界ではガウェインさえも倒している。マルミサの雨をかいぐぐり、やり過ごすが…

 

「悪いな。ACにはビームライフル カラサワも有るんだよ」

 

右手に持ったビームライフル カラサワが解き放たれ…ルキウスはビームが爆発した着弾で吹き飛んでしまった。

 

『ホンゲーー!!』

 

無慈悲に戦闘不能になるルキウス。だが、ローマ兵士達がルキウスを連れて撤退する。逃げられてしまったが、別に問題ではない。何故ならルキウスがローマ帝国側の可能性も有るためだ。その場合は……後で平謝りしよう。

 

『ルキウス皇帝がやられた!!』

『くそ!!ローマ帝国め!!』

『われらが神聖ローマ連合が誇る歴代皇帝の一人を…こんなふざけたからくりで』

 

おっと失礼。どうやらルキウスはローマ連合…つまり黒幕勢力だったようだ。それが分かれば後ははやい……問答無用に潰すだけだ。

 

「アサルトアーマーで跡形もなく消し飛ばしてやる」

 

アサルトブーストからのアサルトアーマーという必殺コンボを使うために、ギャラハッドはペダルを踏み込んでACを加速させようとするが……

 

「ダメ~!!人間相手にこんな兵器はダメだと思います!!てか、それ正義の味方としてどうなの!?」

 

コンプラ的に、人道的に生身の人間相手にACはどうなのかと意見を唱えた立香がギャーさんの腕を掴み、ACの操縦桿を動かせないようにする。

 

「良いかマスター?それは使いようなんだ。綺麗事で世界が救えるわけない……ちっ!!ルキウス達が見えないところまで逃げやがった!!」

 

ルキウス見失う。ルキウス皇帝の寿命が伸びたのだった。

 

 

 

その後。ACを降りて、ルキウス皇帝率いる軍勢と戦っていたバーンサイド将軍、ネビルと合流したギャラハッド達。

 

「ギャラハッド…本物なのか!?」

「本物だ。ところで…貴方達はローマ帝国で有ってる?」

 

ギャラハッドの言葉に対してバーンサイドはうなずき、アフロヘアーから元に戻ったネビルがサムズアップする。しかし、その瞬間だった。

立香と秋葉が何故顔をしかめ、軍用犬以上の嗅覚を誇るコンラが鼻を抑えたのだ。何事かと思ったギャーさんであったが、それは直ぐに判明した。何故なら、ローマ帝国の兵士達の口からすんごい臭いがしてきたのだ。なんだが、小便の臭いから…内臓を擂り潰したような臭いだ。

 

「……あの……おじさん達……歯を磨いてるよね?」

 

恐る恐る蘭丸が告げると、直ぐに分かった。

 

「うむ!!磨いてるぞ!!属州民から買った尿や動物の脳髄でな!!」

「アウトォォオ!!尿で歯を磨いても、成分的にホワイティングしか出来ないわ!!」

 

ギャーさん…ローマでも革命実行決定。

 

 

 

「うむ!!余が皇帝ネロなのだ!!」

「ネロさんですね!!宜しくお願いします!!」

 

一方の我らが天使のマシュ。出陣していた皇帝ネロと出会う。




AC6でバルテウスに10回負けました(笑)いっそのこと、ガチタンで行くか

次回!!ギャーさん…ローマに入る!!温泉の都がそこにあった!!

秋葉「混浴しかないの!?」
立香「知らないおじさんとも入らなきゃならないの!?」
秋葉「娼婦の人が多いわね」
立香「カタツムリたべるの!?」

ギャーさん「この食文化…修正してやる!!だが、ヤマネの唐揚げと焼き鳥は旨い。あれ?ヤマネって確か可愛い小動物……」


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ローマはローマ!!ローマである!!

ローマ(挨拶)!!


バーンサイド将軍とネビルの案内により、ローマの都に到着したギャーさん達。この時代のローマは皇帝ネロが母親を暗殺したが、まだ人々から愛されていた時代である。

皇帝ネロは後に暴君と呼ばれるように成るが、この時代では名君である。事実、最近の研究ではネロは言い伝えで…ローマの大火災の時は燃え盛るローマを見下ろしながら弦楽器を弾いていたと有ったが…今では懸命に救助活動を指揮したと言われている。だが、後の時代で暴君と成ったのは事実であり……この時代のローマは一部の水道管やワインの入れ物等に鉛等を使ってたので鉛中毒などで暴君に成ったのではとも言われている。

 

「やっとローマに帰ったぞ!!」

 

「テルマエだ!!やっとお風呂に入れる!!」

 

この時代のローマはギャーさんの時代と異なり、禁欲的?ではない。その為に肉体が汚れても心が信仰で綺麗ならお風呂に入らなくても大丈夫という物は存在せず、多くの人々はお風呂が大好きなのだ。ローマ市内には多くのテルマエが存在しており、様々な人々が色んな時間から温泉を楽しんでいる。因みにこの時代では混浴であり、男達よ喜ぶが良い!!お風呂に入れば巨乳美女の裸体が拝めるぞ!!

 

「美人ばっかりだね」

「本当ね……てっ!?胸でか!?」

 

ローマ市内の人々は顔面偏差値が非常に高く、その上で巨乳でナイスバディな人々が多い。唯でさえ最年少のイリヤに負けそうな程の貧乳をした秋葉が血涙を流しそうに成っているが、気にしては行けない。秋葉よ、貧乳はステータスなのだ……特にこの時代ではな!!

 

「美味しそうな匂いがするね?なんの匂いかな?」

 

ローマ市内には多くの露店が存在しており、時間を気にせず人々は買い食いを楽しんでいる。立香が周りを見回せば、焼き鳥らしき食べ物、なにかの唐揚げのような揚げ物、豚の串焼きといった現代社会でも売られていそうな代物も売られている。だが、よく見てみれば他にはカタツムリやなにかの煮込み物やスープと言った現代日本では食べられていない料理も売られていたのだ。

 

「俺の見たかったローマが此処に!!俺の時代と違ってお風呂が充実した本当のローマが此処に有るんだ!!

ルキウスが支配していたお風呂嫌いのローマなんて無かったんだ!!」

 

ギャーさん、前から望んでいたお風呂大国ローマに入れた為か、ほろりと嬉し涙を流す。そうだ、自分達の時代であるルキウスのローマ帝国の不潔帝国なんて存在しなかったんだ…これが本当のローマなのだ。このローマを楽しむために、垢擦りと混浴対策で水着(カドックから教えてもらった)、そして再現したストリジルも持ってきた。温泉を楽しむ準備はバッチリである!!

 

「先ずはお口の衛生概念から変えてやる。お口は健康に非常に大切だからな……お口の健康が悪くなれば口臭の原因だけではなく、免疫力の低下も招いてしまう。

歯周病は深刻な影響を及ぼしかねない。歯が抜けてしまえばご飯も良く食べられず、栄養失調を招くのだ!!」

 

元医大生のギャーさんが叫ぶのも無理はない。お口は特に健康に大切であり、お口の健康が守られるだけで防げる不幸せがたくさん有るのだから。

 

 

 

「あっ!!立香先輩、秋葉さん。それにギャラハッドさん、無事でしたか?」

「お兄ちゃんと呼んでくれ」

「「お前、いつからマシュのお兄ちゃんになったの!?」」

 

その後、ローマ帝国所属のサーヴァントであるバーンサイド将軍とネビルに連れられたギャラハッド達は皇帝ネロが待つ玉座の間に連れられた。

そこではレイシフトして直後に、皇帝ネロ率いるローマ軍VSカリギュラ率いるローマ連合軍との戦場に居合わせたマシュとケイ先生達が既に揃っており、彼等は一足先に皇帝ネロと謁見していたのだ。

 

「む?王様?そっくりだな。失礼、貴殿が皇帝ネロ陛下であられますか?

私はギャラハッド。カルデアに所属する者です」

 

しかし、ネロは王様ことアルトリア瓜二つの顔立ちでしており…アルトリアと違って巨乳でだいたいDカップ程はあるだろう。

 

「そうか、お主がギャラハッドだの?話はケイとマシュから聞いておるぞ!!」

「認知していただき有りがたいです」

((ギャーさんがへりくだってる!!))

 

普段と異なり、これから共に戦う国家元首と話すためかへりくだっている。もっともネロと馴れたら間違いなく普段通りと成るのだろう。だって、ギャーさんだし。

 

「うむ!!ではそなた達をローマ帝国の将軍として迎えよう!!」

「「将軍!?」」

 

ここにギャーさん将軍、マシュ将軍、立香将軍、秋葉将軍、コンラ将軍、ペペロン将軍、アシュヴァッターマン将軍、そしてケイ将軍が誕生したのだった。

 

「今、ローマ連合……かつてのローマ皇帝や未来のローマ皇帝と戦っている最中での」

「分かりました。ではローマ連合にミサイル雨をふらしましょう……今から」

「「やめろぉぉぉお!!オーバーキルにも程があるだろぉおお!!」」

 

ローマでも安定のハジケを行うギャーさん。果たして、ケイ先生とコンラは突っ込みをなんど響かせるのだろうか!?

 

「ところでネロ陛下。炭歯磨き粉という物が有るのですが?どうでしょうか」

 

その後、ネロ陛下…いやネロちゃまの歯はツルツルピカピカと成るのだった。

 




次回は猿飛佐助くんによる宮殿ご案内

立香「猿飛佐助って有名だよね!!銅像もあるし……あれ?でも猿飛佐助って写真残ってないよね?真田幸村は写真残ってるし…やっぱり忍者だから隠密なのかな?」
秋葉「服部半蔵は写真残ってるわ。槍の名手なんですって」

ギャーさん(真田十勇士って創作じゃなかった?)

果たして猿飛佐助の正体って!?


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ギャーさん「ローマにはゲイヴンが居る」

ARMORED CORE6が楽しすぎて全くスマホを弄らなかったよ(3週クリア済み)

軽2脚にショットガン×3とブレード、軽タンク、そして火力主義のガチタンでだいたい勝てる(笑)


ローマは昔から温泉大国として有名だ。ローマ市内は勿論のこと、他の都市部でも多くの温泉ことテルマエが存在しており、現在では地中海に沈んでしまったバイアエの一部では多くのテルマエの跡が存在していると言われている。

ギャーさんの生前から追いかけてきてくれた皆さんはご存知かも知れないが、ギャーさん生前時代のローマはネロちゃまの時代と異なり首都がコンスタンティノープルに遷都してしまい、残念ながらお風呂大好き文化は消えてしまった。これは宗教価値や文化的な物も有るのだろう、ネロちゃまの時代ではローマ神話が主な信仰元であったが、ギャーさんの時代のローマではキリスト教が主な信仰とされていたのだから。

 

話がそれた。この時代のローマはギャーさんが追い求めていたお風呂文化が根付いたままであり、人々がテルマエに日頃から入っており、外では美味しそうな匂いが充満している。

だが、立香や秋葉などの現代人、そしてマシュのようにカルデアの外にあんまり出たことがない乙女は知らなかったのだ。この時代のローマは結構なド助平であった事を。

 

「ねえ、そこのお兄さん。1回どう?私のお口のテクニックはローマ1と言われているのよ?」

「いや、結構です」

 

この時代のローマは娼婦さんが非常に多い。昔、ローマで奥さんが旦那さん以外との合体(意味深)を防ぐために、娼婦以外の女性は夫以外の男性との合体(18禁)を禁止したのだ。だが、ローマの女性はしたたかであり……ほぼ全員が娼婦と成ったのだ。そのお陰か、その法律は実質無効と成ったのだ。

 

「うほ!!良い男!!」

「さあ、やらないか?」

 

あと男同士の恋愛も現代日本と比べて比較的にオープンだった。かの有名な皇帝ハドリアヌスも同性愛者としての側面があり、付き人であり男娼のアンティノーがナイル川で溺死した際は非常に落ち込んでしまい……ローマ市内の沢山のアンティノーの彫刻を置きまくったとして有名なのだ。

 

そんなローマ…そして拠点となるローマの宮殿を猿飛佐助からギャーさんは受けていた。因みに佐助から案内を受けているギャーさん達だが、今…此処にはペペロンチーノとアシュヴァッダーマンは居ない。2人はローマ帝国からの協力を結べた事を受けて、カルデアから多くのマスター達を招くためにネロちゃまと話し合いを行っているためだ。

 

「此処がテルマエ。日本で言えば風呂なんだが、時代が時代の為か混浴と成ってる。

今は此方側に協力してくれたローマ皇帝、ハドリアヌスの要望も有ってか一部の時間だけは男女別に成ってるぞ」

「それはありがたいな。ボールスのような助平野郎が、女子にイタズラをするかもしれないしな」

 

ローマ市内のテルマエはこの時間帯では混浴だ。テルマエは温泉というだけではなく、市民の憩いの場でもあり、情報交換や男女の出会いの場でもあったのだ。ハドリアヌスの時代では男女別と成ってしまったがそれでも人々の憩いの場で有ることは変わらない。お風呂終わりはハチミツ味の水やワインで火照りを冷まして、語り合う人々も居たとこだ。

 

「ねえ、秋葉……あの猿飛佐助だよ?凄いね!!伝説の忍者よ忍者!!」

「立香、興奮しすぎ。そうね、確かに忍者なら猿飛佐助は有名よね。知名度なら服部半蔵も高いけど」

 

だが、案内を受けながら秋葉と立香は日本人としてかローマ帝国側のサーヴァントである猿飛佐助に対して、ひそひそと会話を行う。

猿飛佐助は日本人で忍者はだれ?と問われた際に、真っ先に名前がでてくる人物の1人だ。忍者としては他に服部半蔵等も挙げられるが戦国時代のヒーローとして名高い人気を誇る真田幸村に仕えた猿飛佐助は根強い人気を誇る。その為か、多くの人々は名前だけでも猿飛佐助の事を知っているだろう。銅像も建てられた程なのだから。

 

「でも…猿飛佐助は写真は勿論のこと、肖像画は残されて無いですよね?」

 

だが、マシュが首を傾げながらそう言った。そう、猿飛佐助は肖像画や写真が一切残されていない。

ギャーさんが文化革命で写真とカメラをうん百年はやく発明したお陰か、それ以降の時代の人々は写真が残されている。写真嫌いで有名だった西郷隆盛は残されてないが、他の英雄と呼ぶに相応しい人々は写真や肖像画が残されている。同じく忍者としては勿論、槍の名手として有名な服部半蔵は肖像画や写真は残されているが…猿飛佐助は肖像画や写真は一切無いのだから。

 

「忍者だからじゃない?ほら、人間のって隠密だからさ。うーん、ジェームズ・ボンドやトム・クルーズみたいに?」

「あのね、立香。トム・クルーズはスパイじゃないのよ…トム・クルーズが役で演じたミッションインポッシブルの主人公がそうってだけよ」

 

立香の例えに呆れたように告げる秋葉、そしてそれに対して笑みを浮かべるマシュ。そんな微笑ましい光景を見て保護者であるケイは笑みを浮かべるが、ギャーさんは見逃さなかった。立香や秋葉の言葉を聞いた瞬間…猿飛佐助は複雑そうな顔をした。

 

何故なら……猿飛佐助は実在の人物ではない、人々の伝承が人の形をなしてサーヴァントと成った「地」属性のサーヴァントの為だ。地属性は主に言い伝えや伝承等の登場人物がサーヴァントと成った者であり、例えるなら清姫や桃太郎に浦島太郎等の言い伝えに伝わるような人物が当てはまる。中には伝承や言い伝えには出てくるが、実在していない人物も当てはまり…猿飛佐助は地属性の内、実在していない人物として当てはまるのだ。

 

そうこうしている内に一通りの案内は終わり、ギャーさん達は玉座に戻ってきた。そこではローマ帝国と無事に協定が結べた事もあり、遅れてレイシフトしてきたオルガマリー所長や他のマスター達もやって来たのだ。

 

「ご苦労様。これから忙しくなるわよ」

 

全てのマスター達が現場復帰した現在、レイシフトは一部のネタ特異点(俗に言うイベントシリーズ)以外は大規模な人数を投入して行われる事となる。

 

 

 

 

「良い尻をしているな」

 

だが、新たにレイシフトしてきたマスター+サーヴァントの皆様のお尻を見て、ハドリアヌス帝は顎髭を触るのだった。

 

(ゲイヴンが居る!?マジか!?)

(いや、ゲイヴンじゃなくてハドリアヌスだからね?彫刻と同じ顔だからね!?)

 

なお、ギャーさんはハドリアヌスを鍛えぬかれたフロム脳で瞬時にゲイヴン認定し、それに対してケイはギャーさんに心でツッコミを居れるのだった。なお、そのハドリアヌスにケイ先生のお尻がノックオンされていることは誰も知らない。




次回!!集まったマスター達。Bチームの腕利きの方々やキリシュタリアやヒナコはガリアに向かったり、ペペロンチーノやCチームの方々は召喚サークルの設置に向かったり。

ギャーさん「ここに……対空ミサイルを設置、あっちには高出力レールガンを設置して遠距離から敵軍ぶっころ」
筋肉バカ「マジ……ちゃぶ台返し!!」

ローマ連合兵士「てっ…天変地異だ!!ミサイルの雨や大地の津波が襲ってきた!!」

ギャーさんと筋肉バカは遊撃で大暴れ!!

藤丸くん「うぉぉおお!!ガチャ引くぞ!!」

なお、藤丸くんはガチャを引きまくり……

立香「私もサーヴァントをもう1体呼んだほうが良いのかな?」

サーヴァントを複数持つキリシュタリア、秋葉を見てぐだ子は考える。サーヴァントをもう1人呼ぶべきでは?と

???「交響曲第5番 運命です」

だが、そのサーヴァントを見るとオルガマリーは絶句した?

ペペロン「立香ちゃん、運命ちゃん、そしてマシュ。ペペロン先生の特別レッスン…受けてみない?」

立香が立派なマスターと成るためのレッスンが始まる!!


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ギャーさん、ローマでも相変わらず世紀末

ギャーさん、ローマでも容赦無し!!


「逃げろぉぉお!!」

 

「ひっ……ひっ!!ちくしょぉぉぉめぇぇ!!」

 

「終わりじゃ……此の世の終わりじゃ!」

 

逃げ惑うローマ連合の兵士の皆さん。ローマ連合の兵士は歴代のローマ帝国の皇帝達に魅力され、ローマ帝国側からローマ連合に寝返った兵士達+宮廷魔術師でもあるレフが何処から調達してきたゴブリンやワーウルフ等の亜人にゾンビ兵で構成されている。

そんなローマ連合の兵士の皆さんは人間、ゾンビ、ゴブリンやワーウルフ関係なしに地獄を経験して命辛々必死に、生き延びるために全速力で逃げ出そうとしていた。集団での白兵戦なら問題はないのだが、このような理不尽は戦闘は想定していない……化物のような歴代の英雄達が復活したと言えるサーヴァントとの戦闘は心していた。だが、こんな事は思ってもいなかった。

 

「ヨホホ!?死んでしまいます!!あっ私……既にゾンビだから死んでるんでした!ほんげぇぇー!!」

 

「爆発する筒の雨が降ってきた!!もうお仕舞いだ!!」

 

爆破する筒とはミサイルの事である。ミサイルの事が知識としてない、彼らはミサイルの事をそう表現しても可笑しくはないだろう。次々と降り注ぐミサイルの雨にどうする事も出来ず、なすすべもなく爆発と共に散っていく。

 

瞬く間に爆発に巻き込まれ、大勢のローマ連合の兵士達は跡形もなく消えていく。可哀想だが、特異点を一刻も早く解決するために必要な事なのだ。哀れだとは思うが仕方がない……なにせカルデアには時間が全然足りておらず、1年以内に全ての特異点を解決しなければならない。

故にカルデアは心を鬼にした。地球の人類を救うために、使う術は全て使って特異点を解決する事をしたのだ……たとえ、それがどんなに理不尽で

 

「やりすぎじゃ!!このアホォォォォオ!!」

「戦いにそんな事は言ってられないんだよ、ケイ先生」

 

ツッコミ担当であるサー・ケイの胃袋を生前と同じく、破滅させる事になってもだ。

現在、ケイ先生の手でツッコミをいれられた我等が麒麟児 円卓最強の問題児でグランド・セイバーのギャラハッドことギャーさんは、効率的にローマ連合を粉砕するために理不尽な戦法で次々とローマ連合をボコボコにしている。

 

「起動要塞としてアームズフォート アンサラーも用意するか……コジマはさすがに不味いから別の代替え案を用意してだな。

マザーウィルの弱点を無くして建造しても良いな……うん、予算が大変だ。それなら計画通りホワイトグリントを」

「誰か、俺の教え子を停めてくれぇぇぇ!!ミサイルの雨でも敵が可哀想なのに、明らかにオーバーキルな代物やろうとしてんぞぉぉお!!」

 

現在、ローマ市に攻めようとしたローマ連合の軍勢はギャーさん考案のミサイル防衛システムのお陰で跡形もなく消し去り、ローマ連合の都市部にはギャーさんが考案したトマホークミサイルが降り注ぎ絶大なダメージを与えている。

最短で特異点を解決するために、オルガマリー所長からゴーサインも出ている。因みに予算はマリスビリー前所長がこっそりと遺していたへそくりをふんだんに使っている。む?オルガマリーに遺産として渡るんじゃないかって?本人から許可は貰っている。だから、効率的に特異点を解決するためにギャーさんとダ・ヴィンチちゃんが主に使っているのだ。

 

するとギャーさんの携帯端末……スマホを改良した物が鳴り響き、ギャーさんは通話に出る。

 

「どうしたのルーデル閣下?」

『ギャラハッドくん!!遠隔操縦は画期的で、B-2ステルスは良いものだ!!だが、操縦している感じはしないな……』

「おけ、じゃあ次はVF25アーマードを使ってくれ。あれは……良いぞ!!」

『期待しておくよ、少年!!』

 

どうやら通話の相手は第二次世界大戦最強の爆撃王と呼ばれしルーデル閣下その人。どうやらギャーさんはルーデル閣下に爆撃機や戦闘機を提供して、ローマ連合をフルボッコにしていたようだ。

ギャーさんは通話を切り、端末をしまう。

 

「よし、これで相手の拠点は6割制圧完了と」

「敵が可哀想だから、少しは手加減してあげろぉぉお!せめてミサイルだけか爆撃だけか、アーマード・コアだけにしてやれ!」

 

ローマ連合の拠点は現在、キリシュタリア達が奪還に向かったガリアを含めて残り4割。ローマ連合の本拠地もトマホークミサイルにより大打撃を与えているので、制圧まで時間の問題となった。

 

 

 

 

『こちらキリシュタリア。ガリアに到着した』

 

『こちらペペロンチーノよ。召喚サークルを設置したわ。ギャラハッドが提供してくれた呪符の効果で、そっちに繋げたサークルから支援物資が出るようにしたわよ』

 

ローマ宮殿の中。そこではカルデアの司令官であるオルガマリーが画面越しに、其々の部隊を率いているキリシュタリアとペペロンチーノに指示を出していた。

キリシュタリアはBチームのメンバーとそのサーヴァント、そして真祖(笑)である芥ヒナコとそのサーヴァントである桃太郎+柿助+ルリオを連れて、ネロちゃま皇帝からの依頼でガリア奪還への助太刀に向かった。通信からして無事にガリアに到着し、ガリアに滞在していた将軍であるサーヴァントと共に奪還作戦を行うのだろう。

ペペロンチーノはカルデアからの支援物資を届けさせる為に、召喚サークルの設置をCチームのメンバー+そのサーヴァント達と行ったのだ。しかもギャラハッドが事前にペペロンチーノに手渡していた飛雷神の呪符の効果で、ローマの宮殿に設置したサークルと繋げる事で……拠点である此処から物質を受け取れるようにしたのだ。

 

「ご苦労2人とも。ペペロンチーノ、迎えを寄越そうかしら?」

『大丈夫よ。ギャラハッドも何かと忙しいと思うし……確かに彼の飛雷神による転移は便利だけどね』

「分かったわ。キリシュタリア、何かが有れば直ぐに連絡して来てください」

『分かった。そちらも気を付けてくれ、本陣は任せたぞ』

 

オルガマリーは通信を切った。確かにオルガマリーは魔術師として優秀であるが、実戦経験としては少なく……戦いはペペロンチーノやキリシュタリアそしてギャーさんなどのぶっ壊れなサーヴァントの皆様に任せた方が懸命だ。

現在、本陣である拠点に滞在してるのはDチームのメンバーとサーヴァント、拠点守護を任された他のAチームのメンバーとそのサーヴァントやB+Cチームの方々だ。ギャーさんやコンラ、トールというぶっ壊れは遊撃として各々勝手に動いてローマ連合をフルボッコにしてるし良いだろう。

 

「さてと……他のメンバーの様子でも見ようかしら?」

 

オルガマリーはそう告げ、指令室として割り当てられた部屋を後にする。

今のローマ宮殿はレフがカルデア対策で呼び出した数多のサーヴァント達への抑止力として、呼び出されたサーヴァントやカルデアが召喚したサーヴァントと言った皆様が闊歩する魔境と成り果てていた。だが、全てのサーヴァントが戦いに特化してると言えばそうではない。発明家や音楽家のサーヴァントは支援がメインだし、政治家として名を馳せたサーヴァントもどちらかと言えば支援タイプだろう。

 

「くそぉぉお!!なんでレアサーヴァントが来てくれないんだよ!!」

 

その道中、転生者唯一の原作知識(ほぼ宛にならない)をもつ藤丸太郎ことぐだ男が叫んでいるが、オルガマリーは無視して通りすぎた。

ぐだ男はペペロンチーノが召喚サークルを設置してくれたことにより、サークル越しでサーヴァントを呼べるように成ったのだが……残念ながら呼び出されたのは黒鍵や麻婆豆腐、しんじくん人形等々ばっかりだ。サーヴァントも呼ばれているが……

 

「おお……ジャンヌ……」

 

呼ばれたのはジルドレ(キャスター)だった。変態(パンツを被ったぺドフィリア)の方の変態でなくて良かったかも知れないだろう。

 

数多の金平糖を使い果たし、ぐだ男のガチャは爆死に終わった。

 

 

 

「ねえ、秋葉。私もサーヴァントを複数呼ぼうかな?」

 

一方のぐだ子こと藤丸立香ちゃん。立香は秋葉に相談を行っていた。それは自分も複数のサーヴァントを呼んだら良いのか?という事だ。

カルデアは1つでも戦力がほしい。人理を救済するために、出来るだけ大勢の戦力が欲しいところだ。

 

「でも必ず味方になるかと言えばそうじゃないんでしょ。もしかすれば極悪人や殺人鬼も呼ばれるかも知れないのよ」

 

だが、秋葉はあんまりオススメ出来なかった。確かにサーヴァントを呼ぶことが出来れば此方の戦力は増えるし、カルデアはギャーさんが技術提供したお陰か電力エネルギーを魔力供給に使うことが出きる。これによりカルデアのマスター達は召喚時を除いて、多少は魔力消費を軽減出来るのだ。

とは言えサーヴァントの大半は歴史に名前を遺した存在が呼び出される。ギャーさんのようなウルトラレアを引き当てた事は最高の幸運だろう……しかし、ギャーさんとは真逆の英雄が呼び出される場合もある。英雄と呼ばれているが……本質は狂人であり快楽殺人者の場合もあるし、なんなら極悪人やギャングに殺人鬼も呼ばれる場合がある。そんなサーヴァントは言うことを聞くのだろうか?聖杯で願いが叶えられないと知れば手を貸してくれるのだろうか?恐らくは貸さないだろうし、なんなら此方を殺しにくる場合もあるし……殺さない程度にボコボコにされて嬲りものにされる場合もあるのだ。

 

「そうだよね……私達に手を貸してくれるって訳じゃないもんもんね」

「でもギャラハッドが居るときにしたら?彼が居たら、大丈夫でしょ」

 

だが、秋葉は立香の気持ちを思ってくれて肯定してくれた。此方にはギャラハッドやコンラが居るし、いざと成れば呼び出された極悪人を速やかにクーリングオフ出来る。

立香は笑みを浮かべて頷き、新しいサーヴァントの召喚を決意した。

 

 

 

 

「筋肉バカ。誰が呼ばれるにかける?」

「触媒無しじゃ、誰が来るか分かんねーよ」

 

30分後。我等がギャーさん、筋肉バカであるコンラ、ツッコミ柱ケイ先生、デミ・サーヴァントのマシュ、秋葉にオルガマリー所長が見守るなかで立香は新しいサーヴァントを召喚することにしたのだ。

もし、極悪ギャングや快楽殺人者が呼び出されて立香を殺そうとすれば、速やかにギャーさんと筋肉バカの手でクーリングオフ決行である。

 

「よし、このせ「立香。金平糖を投げろ、それで召喚できる」いや金平糖じゃないわよ!!」

 

珍しく?オルガマリー所長のツッコミが響き、立香が金平糖を魔方陣に投げ入れる。カルデア式の召喚はこの金平糖を使えば、魔術師の魔力消費を軽減出来るのは非常に有難い(限度あり)。

その瞬間、莫大な魔力が魔方陣から吹き上がり……魔力の奔流は虹色に変化した。何が出るのか分からず、ギャラハッド達は軽く身構える。魔力の奔流が止むと、白髪で立香より少し年下位だと思われる少女が現れた。間違いない、サーヴァントだ。

 

「ねえ、歴史の教科書とかにあんな子載ってたっけ?」

「いえ、私も分かりません」

 

なお、この世界ではギャーさんがブリテン時代にカメラを作ってしまったお陰か、ブリテン以降の時代では英雄の皆様や偉人達の多くは写真に遺されている(写真嫌いで有名な西郷どんは除く)ので、調べれば直ぐに出てくる。しかし、召喚された少女は秋葉もマシュも資料や教科書で見たことがなかったのだ。

 

少女は紅い真っ赤なドレスを着ており、バラのアクセサリーを頭部に着けている。

 

「えーと……君は?」

「交響曲第5番 運命です」

 

交響曲第5番 運命。確かに少女はそう名乗った。そう言えば一輪のバラの花言葉は運命の人だった筈だ。運命と名乗った少女は金色の片刃の長剣を具現化させた。

 

「貴方が私のマエストロですね?」

「マエストロって私のこと?」

 

(しかし、いくら有名とは言え戦歴が乏しい曲が英霊に成るのか?ボイジャーや戦艦と違って無機物でもないぞ?形がないぞ)

 

だが、ギャーさんは1人考える。そもそも音楽は仮に座に行ってもサーヴァントとして人の形を取れるのだろうか?確かに運命という曲はぶっちゃけベートーベンより有名だし、誰もが一度は聞いたことがある。

 

「コゼット?」

 

だが、オルガマリーはその運命を見てコゼットと呼んでしまった。知人に似ていたのだろうか?

 

『ギャラハッド。聞こえるか?』

 

その時だった。ギャラハッドの脳裏に魔法を応用してかゼルレッチが話しかけてきた。端末を使わず、これで話してきたと言うことは余程の緊急事態なのだろう。

 

「どうした?ゼルレッチ」

『怪しいと思ってな……マリスビリーの封鎖された工房を調査していた。その結果を言おう……マリスビリーは人体実験を繰り返しておる。しかも、聖杯を使う前からな』

 

そしてギャーさんの端末がピロリンとなり、ゼルレッチからメッセージが届く。そのメッセージを見たギャーさんであったが、それはゼルレッチが家宅捜査で押収した……マリスビリーの実験結果だった。

デミ・サーヴァント計画。本来ならサーヴァントには成れない神霊、音楽、現象、天使、魔神、そして最強の人間兵器ギャラハッドの力を宿した人間を産み出す恐ろしい人体実験。中には行き場のない子供を保護と見せかけて誘い、人体実験を行っても居たのだ。

被害者のリストを見ると、大勢の犠牲者が居ており……遺体も保管されていた。そのリストの中には運命に良く似たコゼットという少女も居た……まあ、コゼットは金髪であったが。

 

『そのリストにあるコゼットって嬢ちゃんの遺体がホルマリン漬けされた保管庫から突如として消えたのだが……』

「あー、コゼットって子かは知らんが多分目の前にいる。しかもクラシック音楽のサーヴァントとしてな。後で報告する」

 

ギャーさんはそう告げ、脳内通信を解除した。




次回は最新兵器でローマ連合をフルボッコにする裏で……

ギャーさん「マスターが俺以外のサーヴァントを呼んだから、戦い方を覚えて貰う」

ギャーさん&帰ってきたペペロンチーノによる立香ちゃんとマシュは講義を受ける。

運命たん「ドカーンと1発したらお腹が空きました」
立香ちゃん「ぜは……ぜは……魔力無いんですけど」
ギャーさん「俺は裏技で自活出来るからな」


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ペペロン先生によるスペシャル授業!!

立香が新たなサーヴァント 交響曲第5番 運命を召喚してから数時間後。ギャーさんが繰り出したミサイルの雨でローマ連合の兵士や将軍の皆様が吹き飛び、奇跡的にミサイルの雨を潜り抜けたエリートな兵士達がコンラによる遠距離投石(原典クー・フーリンも好んで使う。相手は死ぬ)によって狙撃されたりしてフルボッコにされてる頃。

 

「なんか疲れた……」

 

ぐったりと立香は疲れはてていた。無理もない、立香は民間人で魔術師の素質があるとは言え……マスター適正とレイシフト適正がイレギュラーなだけの高校生。自身の魔力と金平糖の力でサーヴァントを呼び出せば疲れはてていたしまい、一時的にぐったりとしてしまう。

 

「まあ、でも良くやったわ。そして運が良かったわね」

 

そんな立香はぐったりとした状態であるが、ローマ帝国からカルデア側へと割り当てられた自由スペースでソファーで寝転がるように寛いでいる。ぶっちゃけ、歩くのもしんどく……少し休憩したらご飯程度は食べられそうだ。

立香の側では同じくDチームの秋葉、秋葉のサーヴァントである森蘭丸にグランドランサーのコンラ、そして立香が新たに召喚したサーヴァントである運命のことをコゼットと呼んだオルガマリーである。

 

「お代わりを要求します」

 

運命は良く食べる良く食べる。立香からの魔力供給が足りなかったのか、はたまたマシュと同じく完全な肉体がある為なのか良く食べている。

運命が食べているのはギャーさんが「腹減ってたら食べろ」と言って作ってくれたパンケーキであるが、本来ならこれは立香を含めて皆で食べるつもりで焼いたのだが……その半分以上を運命は食べてしまったのだ。

 

「どんだけ食べるのよコゼット……」

 

はぁと溜め息を吐き出すオルガマリーであったが、その顔は何処と無く嬉しそうだ。

一応、運命に関してはギャラハッドの手で調べられた。そもそもいくら有名であり、世界的に知名度を誇るクラシック音楽がサーヴァントに成れるのだろうか?戦艦やボイジャーという無機物サーヴァントと違って、そもそも無機物ですらない。

ギャラハッドの診断の結果、運命はマリスビリーにデミ・サーヴァントの実験台にされたが実験で死亡した少女の亡骸に宿ることで誕生した奇妙なサーヴァントであった。

 

「オルガマリーさん。そのコゼットって?」

 

ふと、立香が誰もが気になっている事を代わりに聞いてくれた。オルガマリーは運命の事をコゼットと呼んでいる。それにゼルレッチとギャラハッドの話が終わった後、ギャラハッドからゼルレッチが家宅捜索したマリスビリーの工房の資料を見せて貰ったが、その瞬間にオルガマリーは全身の力が抜けて崩れ落ちるように座ってしまった。まあ、尊敬していた父親がマシュ以外にもデミ・サーヴァントの人体実験を繰り返しており、あろうことかその全てが実験で死んでいたのだから仕方がない。

 

「昔ね……私のお父様……前所長は慈善事業として孤児院を経営してたの。コゼットはその孤児院で出会ったの。私が小さい頃ね……そこでコゼットと出会ったの。他にも友達が出来たわ……だけど、魔法使いゼルレッチが調べてくれた資料で知ったの……その実態を」

 

オルガマリーは拳を強く握り締めた。無理もない、父親が慈善事業でやっていたと思っていた孤児院は……実験台集めの為に拠り所のない子供を集める場所だったのだから。

魔術師は平気と人体実験も行う。それは身内でも変わらず、根元にたどり着く為なら親も子も全てを利用する。そんな魔術師であるマリスビリーに利用された孤児院の子供達……そんな子供達の中でもオルガマリーと友人に成ったのが、コゼット……運命の素体と成った少女だった。

マリスビリーはコゼットを含めた多くの子供達で実験を行った。実態のない音楽のデミ・サーヴァントを作ろうとした、神霊のデミ・サーヴァントを作ろうとした、天使や魔神のデミ・サーヴァントを作ろうとした、しかしその全ては失敗した。そしてデミ・サーヴァントに成れるようにと産まれる前から調整を施したマシュを産み出してギャラハッドの素体として調整を施した。

 

「確かに彼女は交響曲第5番運命のサーヴァントとして蘇生した。だが、コゼット本人の自我は無いぞ……脳死した肉体にサーヴァントの自我が合わさった感じだからな」

 

すると、そこに飛雷神でギャラハッドが飛んできた。

彼の言う通り、コゼット本人の自我は既にない。運命の身体の中の自我は脳死してホルマリン漬けに保存されていたコゼットの身体に宿った、交響曲第5番運命の自我なのだから。

 

「ギャラハッド……そんな言い方」

「だが、人間の心はそんな簡単に消えはしない。過去の症例から、臓器移植した結果……ドナーの記憶が見えたり、更には好物までドナーと同じものに変わったという話が多々ある。だから、諦めなかったらコゼットとしての記憶が戻るかも知れないぞ」

 

そう、ギャラハッドの言う通りである。事実、人間の記憶や感情は脳以外にも宿るのではないかと言われている。何故なら交通事故や病気で亡くなり、他者に臓器を提供したドナーの記憶が出てきたり……同じものを好きになったりとするケースが何度も報告されているのだ。

 

「なのになんでマシュには俺の趣味が1つも受け継がれないんだ?」

「お前みたいなヤツがもう1人増えたら、この世が終わるわ!!」

 

コンラのツッコミが響いた。もし、マシュもギャーさんのようなハジケリストに変貌してしまえば……ギャーさんが2人に増えるのでこの世が終る。

 

「冗談だ」

「「「現実になって欲しくない冗談堂々の1位だわ!!」」」

「まあ、それより……問題は運命……いやマシュもギャラハッドなんて呼ばれてないし、オルガマリーの為にもコゼットと呼ぶか。コゼットはカルデアで召喚された他のサーヴァントと違う……死んだらお仕舞いだ」

 

ギャーさんが真面目に告げる。とは言っても、これはギャーさんがロマニやダ・ヴィンチちゃんに聞いたことではあるのだが。

特異点修復が始まってからカルデアが召喚したサーヴァントはカルデアのデータベースに登録される。登録されたサーヴァントは仮に倒されて座に帰っても、データベースを用いて呼び出せるらしい……そんなバカな。

しかし、ギャーさんやコンラのようなグランドサーヴァントには対応しておらず、赤兎馬や沖田さんが対象とのこと。だが、運命=コゼットは出自が実験台の遺体に交響曲第5番運命が憑依して爆誕したサーヴァントであり、残念な事に死ぬ=肉体が破壊されれば2度と呼ばれることは出来ない。

 

「なので……俺が側に居なくても自衛出来るように、コゼットとマシュは俺が鍛えま~す。

そしてマスターである立香への指導は彼が立候補してくれた」

 

ギャーさんが指パッチンすると、扉が開き……1人のオカマが現れた。

 

「立香ちゃん!!私にお・ま・か・せよ!!」

 

Aチームにサバイバル技術を伝授した頼れるオカマ、優しき暗殺者ペペロンチーノ先生である!!

 

「今日は遅いから明日、実地訓練開始。なに、少なくともガウェイン相手に防戦出来る程には鍛えるから安心してくれ」

「円卓トップクラス相手に防戦出来たら、時代の覇者に成れるわ!!」

 

コンラがツッコミを響かせるが、ギャーさんは飛雷神で消えた。

 

翌日。

 

ローマ市内から少し離れた原っぱ。そこにギャーさん+ペペロンによる特別レッスンを受けることと成ったマシュ、コゼット、立香、そして立香達が心配で着いてきたケイ先生(ツッコミ)とオルガマリーはやって来た。

 

「今から楽しい実地訓練の始まりだ」

 

ガシャコン!ギャーさんは四次元空間から第七聖典を取り出しては、変形させて右手に持つ。どうして第七聖典なのかと言うと、立香に見て貰ったが……どうも交響曲第5番運命はアーチャーのサーヴァントという事らしく……剣がロングレンジライフルに変形するとのこと。ならば同じような事が出来る第七聖典を選んだのだ。

ギャーさんは第七聖典の内、片刃の長剣とライフルを組み合わせてブレードライフルを選択したようだ。

 

「先ず、マシュ。冬木以外で実戦経験は?」

「ありませんよ……てか、殆どの敵はギャラハッドさんが吹き飛ばしていたじゃ有りませんか!!冬木で合流してからも、もちろんフランスでも!!」

「そうだっけ、あとお兄ちゃんだ」

 

原作……ギャーさんが爆誕せず、スタイリッシュ自害を選んだギャラハッドが産まれてマーリンの予言通りに進んだ世界では、マシュは最後のマスターと共に人理を修復させる。その世界軸ではマシュは豊富な戦闘経験を得るのだが、残念な?ことに此処ではギャーさんと愉快な仲間達……現地合流のサーヴァントが主に戦ったので残念ながら戦闘経験は浅い。

 

「マシュは楯以外も使えるようになれ。ポリシーに反する、命を奪う事が嫌なら文字通り楯を万全に扱えるようになって……仲間を護れ。戦いは基本的にはチームを組んで行う、一騎当千の英雄は沢山いるが、万能じゃない。

俺だってツッコミが居ないと満足にボケれないしな」

「その通りだが……最後のは余計だろ。てか、誰がツッコミだ!?」

 

ギャーさんは文字通り万能過ぎる。魔術、魔術の応用、遠距離、中距離、近接、防御と隙がない。

だが、他の英雄はどうだろうか?沖田さんは剣の達人であるが遠距離は出来ない。我等が家政婦のエミヤさんは様々な宝具を投影できるが、やはり一点特化の英傑には劣る。カルデアで立香と名かが良い人達だけで様々な個性があるのだ。

 

「そしてサーヴァント達が持つそれぞれのハーモニーを束ねて、コンビネーションを産み出してあげるのがカルデアのマスターよ。

彼らの力を万全に引き出し、掛け合わせて何倍の力を引き出させる必要があるのよ」

 

とギャーさんの説明に続いてペペロンチーノも言う。カルデアのマスターは普通の聖杯戦争とは異なり、サーヴァントの連携などが非常に大事だ。故にサーヴァント同士の連携を産み出して……その力を掛け合わせて何倍にも引き上げることも必要される。

 

「おっと、良いところにキメラが居るな。よし、見ておけ」

 

ギャーさんはそう告げキメラに向けて歩いていく。そして第七聖典ブレードライフルをブレードモードで構えると、地面を蹴って走り出した。

 

「ぐるる!?」

 

当然、臨戦態勢になるキメラ。

 

「先ず。相手を見極めろ…此方の攻撃が防がれる場合もある。先ず、攻撃が通りやすいところを攻撃だ」

 

襲いかかるキメラ。だが、ギャーさんはキメラの攻撃を見切り……キメラの左足を根本の間接を狙って両断する。左足を失ったキメラはバランスを崩して勢い余って転がってしまう。

 

「ぐる!?」

 

そしてキメラが気が付いた時、キメラの眼前には第七聖典ブレードライフルをライフルモードで構えるギャーさんが立っていたのだ。カチ、ズギャァンと音が聞こえた瞬間……キメラは動かぬ骸と成り果てた。

 

「見てたか?よし……やってみろ」

 

ギャーさんはそう告げ、飛雷神で立香の隣にワープした。

 

「まあ、サーヴァントだから必然的に戦い方は本能としてあると思うし……オルガマリーが言うにはマシュは楯は使えてるしな。

よし……2人の連携であのキメラを倒してみろ」

 

「そして立香ちゃん、運命ちゃんとマシュちゃんのハーモニーを感じて2人の力を引き出すのよ」

 

「行くよ……2人とも」

 

ギャラハッドという絶対的最強が居るとは言え、場合によってはその最強に頼れない時も必ずある。立香は自分達が強くなるために、マシュとコゼットと共にキメラに立ち向かう。

 

そして……

 

「じゃあ、最後は俺とのぶつかり稽古だ。お兄ちゃんが胸を貸してやろう」

 

最後は裏ボス(ギャラハッド)とのぶつかり稽古であった。

 

「でたぁぁあ!!お前が大人に成ってから頻繁に起きて、ブリテンの新人騎士が誰もが通る地獄ぅぅう!!」

 

ケイの叫びが響き、マシュとコゼットが空を舞う。序でにケイも空を舞った。

 

 

 

 

『此方……キリシュタリア……本部聞こえるか?謎のサーヴァントの攻撃を受けている……直接攻撃じゃないが、仲間が次々と高熱で倒れていく。私も高熱で動けない……最初は風邪かと思った……だが違う……サーヴァントも同様の症状を発してるし…………なにより蚊が異常に多いんだ』

 

ガリアに居るキリシュタリアからのSOSが届いた。




次回!!ギャーさん、ガリアに向かう。そこではキリシュタリア達が高熱で戦闘不能に!?

ギャーさん「マラリアか。次の特異点から全員予防接種だな」

曲がサーヴァントになるなら、風刺画とかで擬人化?された事がある病気はサーヴァントに当然ながらなる。


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ギャーさん「マラリアは恐ろしい病気は根絶は無理」

マラリアってやべーよ


マシュと運命たんがいっぱしに戦えるように、ギャーさんブートキャンプを受けた終った翌日。

 

早朝からギャラハッドは、カルデアから取り寄せた代物を用いて様々な代物を作り出していた。

と言うのも、これには訳がある。ギャーさんは医学や様々な文明発展の知識は有っても、残念ながら歴史の知識はない。だからこそ、ギャーさんはすっかり忘れていたのだ。この時代なら猛威を振るっており、なんなら人類が気合いと根性を振り絞っても根絶がほぼ無理な三大感染症の1つが大暴れしていたことを。

 

「そういやマラリア居たわな」

 

マラリア。誰もが聞いたことは有るだろう、今も大勢の人々の命を奪っている感染症の1つだ。マラリアは蚊に刺される事で感染する感染症であるが、厳密には蚊を媒介とするマラリア原虫が人間の体内に侵入→肝臓でマラリア原虫が爆発的に増加→肝細胞を突き破り血中に出現→赤血球を破壊して人間に大ダメージを与える病である。症状は40度近い高熱、意識障害、腹部症状(下痢、嘔吐とか)が一般的である。

そんなマラリアであるが、特徴として日々進化する事である。マラリア原虫は当初、人間以外に感染する原虫であったが……ある日を境に人間にも感染するようになり、更にはマラリアワクチンにも抗体を持つなど日々進化しており、蚊が全滅することへの影響から根絶もほぼ不可能なのだ。

因みに蚊は……特に雄の蚊は植物の受粉にも役立っており、蚊が全滅してマラリアも滅べば……ギャーさんの正妻であるアルトリア・キャスターことアルちゃんの大好きなチョコレートも滅ぶことになるのだ。

 

「サーヴァントにも効くなら……マラリアがサーヴァントに成ったのか?」

「有り得るだろ。少なくとも運命ちゃんより有り得るわ」

 

ギャーさんの側では他のマスター達が身体を休めてる事もあり、ギャーさんの前世からのマイフレンドであり歴史&農業オタクのカドックが教えてくれた。

 

「古来より、病気は恐れられてきた。お前のようなイレギュラーは別だったが……日本や海外ではペストやコレラ、そしてマラリアは擬人化されて風刺画にも書かれた程だからな。天然痘なんて疱瘡神として祭られた程だぞ」

 

そう、古来から病気は恐れられてきた……それ故か、風刺画などで擬人化されたり、天然痘のように祟り神として扱われたり様々だったのだ。

擬人化のイメージが有るなら、充分にサーヴァントに昇華される条件はあるだろう。なんなら天然痘なんて神性持ちとして召喚される場合がある。交響曲第5番運命が座に登録された程だ、世界規模で損害を与える病気なら充分に有り得るだろう。

 

「てか、何作ってるの……めっちゃ見覚えあるんだけど」

「俺が作った物、得物として触れた物は疑似宝具となる。それを用いて、対マラリア用防御兵器だ」

 

マラリアの対策は早い話、抵抗力を上げる、そして蚊に噛まれない事だ。蚊に噛まれなかったら感染することは絶対に無い。そう考えると天然痘やペストと比べると良心的だ。

 

「どこでもベープ持ち運び用、どこでもベープ据え置き用、そして日本が産み出した防虫鉄板 蚊取線香だ」

 

ならば蚊に刺されなければ良い。故にギャーさんは宝具化させたどこでもベープ持ち運び用、どこでもベープ据え置き用、そして蚊取線香を大量生産していたのだ。

 

「さあ……始めよう。マラリアのサーヴァントよ。人間の底力を見せてやる」

 

ニヤリとギャーさんが笑みを浮かべた。マラリア終了のお知らせである。

 

 

2時間後。

 

「装備の確認だ!!全員、腰にどこでもベープは装備したか!?」

 

ガリアに居るキリシュタリア達の救援に向かうために、オルガマリーの命令を受けてギャラハッド達が出発する。キリシュタリアが40度の高熱で発したSOSでは、キリシュタリアを含めたガリアに派遣されたマスター達の大半がマラリアと思わしき症状で行動不能、更にはサーヴァントまでマラリアに感染……それも病弱スキルのない屈強なサーヴァントまでもだ。

一応、現段階では真祖(笑)であるヒナコ、桃の加護であらゆる病気が効かない桃太郎、そしてブーディカというサーヴァントが現段階では無事との事だ。

 

「持ちました!」

 

「持ちました」

 

「持ったよ!!」

 

マラリアを保有する蚊に刺されればマラリアに感染して、大ダメージを受けて最悪は死んでしまう。それを防ぐためにギャーさんが作ったどこでもベープを装備したメンバーでガリアに向かうのだ。

どこでもベープを装備したガリア派遣メンバーはギャラハッド、ツッコミのケイ、便利屋のエミヤ、エミヤのマスターであるイリヤちゃん、マシュ、そしてギャーさんと魔力パスで繋がっている為に現段階ではあらゆる毒と呪いに対して抗体を持つ立香ちゃんと運命たんことコゼットである。

 

「選抜メンバーは確かに君が選んだが、なぜ……私なのかね?君ならガリア最短クリアを兼ねて、コンラを選出するかと思ったのだが」

「エミヤを選んだのはマラリアにやられた人達の免疫力をあげるために美味しい飯を作ってほしいのと、俺の出鱈目アイテムにカルチャーショックを受けないから。

筋肉バカを置いていく訳は戦力の分散もあるな。筋肉バカが居たら、余程のイレギュラーが来ても限り安全だ」

「理由は有るようだね。分かった……マラリアで弱った人達の胃袋は私に任せたまえ」

 

「で?ギャラハッド、俺は?」

「ツッコミ」

「だと思ったわ!!」

 

エミヤはマラリアで弱った人々の栄養を助けること、そしてギャーさんの秘密アイテムを見てもカルチャーショックを受けないことと近代兵器の有用性を知ってること。そして多少は戦力になること。

勿論、ケイ先生はツッコミ係だ。ケイを超えるツッコミ係など、此の世に存在しない。

 

「はい、プロデューサー。所で私達はマラリアにかからないので、ベープは要らないのでは?」

「良い質問だコゼットちゃん」

 

運命たんことコゼットが挙手をして質問した。確かにコゼットの言う通り、ギャーさんと立香、コゼットにマシュはマラリアにはかからない。

ギャーさんはその特異体質で全ての毒と病に呪いは意味をなさない。マシュはギャーさんのデミ・サーヴァントなので、その体質を受け継いでいる。立香とコゼットに関してはギャーさんと魔力パスで繋がれており……ギャーさん←立香→コゼットのような魔力パスなのだが、これをギャーさんは魔術師としての側面を用いてギャーさん⇔立香→コゼットと魔力パスを改良。その結果、ギャーさんの加護が立香とその他のサーヴァントにも適合されて、立香とコゼットは呪いとかが効かなくなった。あと、ギャーさん経由でアークリアクターから発電された魔力供給を一度の容量有りとは言え受けられるので魔力切れの心配もない。だが、バカスカ撃つと、エネルギー供給が間に合わなくなり自分達の魔力を使わねば成らないのでコゼットと立香が魔力切れになる。

 

「これはマラリアのキャリアーと成った蚊を1匹でも殺すため、他の人の感染リスクを下げるためだ。

そして俺達がマラリア原虫のキャリアーと成らないためだ。マラリア原虫のキャリアーと成ってから蚊に刺されると、その蚊が新たなマラリア媒介となってマラリアを拡散させる。それを防ぐためもある。OK?」

「おーけーです」

 

いざ役者は揃った。今から行こうとした時だった。

 

「ネロ皇帝からだ。俺様達もついていくぞ」

「ゴホゴホ……今のガリアは指揮系統も機能してません。軍師は必要です」

 

ネロ皇帝から助っ人の派遣だ。それは抑止力で召喚されたサーヴァントであり、現在はローマ帝国の将軍と軍師と成っていた猿飛佐助と竹中半兵衛(女の子)であった。

 

「はい。じゃあどこでもベープを装備しな!!装備しだい……ACで行くぞ!!」

「飛雷神でも良いから普通に行かせてぇぇえ!!」

 

今度こそ役者は揃った。そしてケイ先生のツッコミが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のガリア。

 

「今だ!!ガリアのローマ帝国は我々の軍師であるマラリアの手で戦力の大半が使い物にならない!!今が好機である!!」

 

ローマ連合はローマ帝国のガリア部隊が、マラリアで弱っている事を良いことに進軍していた。ガリアにいるローマ連合を率いるのは、かつてのローマの英雄であるカエサルである。カエサルは太っちょのメタボリックな姿で召喚されたが、流石はカエサル……カリスマをもってローマ連合の兵士を率いて進軍する。

 

だが……カエサルは知らない。

 

「ブーディカさんのパンティーに誘われて、不倫仮面!!ただいま見参!!」

 

我等が変態 不倫仮面。カルデアの独房を再び脱獄し、ランスロットこと不倫仮面降臨!!




不倫仮面……再び!!

カエサル「失礼だな……純愛だよ」
不倫仮面「ならば、此方は文化とパンティーだ!!不倫は文化なのだよ!!」

ギャーさん「↑こうなってたら良かったんだがな、察してくれ」


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