色んな魔王が集まる魔王オールスターに呼ばれたが、エロ同人出身魔王の私は肩身が狭い (名護十字郎)
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まおう・くえすと! 〜私以外の魔王は負けイベントとか用意されてない〜
なお魔王の中ではまとも寄りの模様
私アリスフィリアは世界に君臨する魔王です。
世界の全ての魔物を従え、人類の自由と平穏を脅かす恐怖の存在(人類側の評価)(一部の人間は私を崇めてる)、それがこの私。
尊大なドラゴンも、高貴な血族であるヴァンパイアも、人々を堕落させるのを悦びとする妖狐も、おっぱいの大きいサキュバスも、冷んやりした触感で何故か身体を火照らせるスライムもみな魔王アリスフィリアには膝を付きます。立てた膝でおっぱいを強調するサキュバスたちはムカつく。
今日もまた私の指揮のもと、恐ろしき我が魔王軍が人々の暮らす村や街を襲撃しては女を魔物に変え、男は少しだけその場でつまみ食いしてから持ち帰る。
この強大な私を打ち倒すべく今までも何人もの勇者が生まれては立ち向かってきたけれど、みな私に辿り着く前に魔王軍の魔物たちの性奴隷にされたりダーリンにされたりお兄ちゃんにされました。
今日もまた私の支配する世界のどこかでは魔物の嗤い声と男たちの若干気持ち良さそうな悲鳴が響き渡っているのでしょう。
そして人々から最も恐れられる私こと魔王アリスフィリアは今、
「あ、アリスフィリアと言います……。
元の世界では魔王軍とか率いて街という街から男をお持ち帰りしたりしてました……。
本日はよろしくお願いします……」
借りてきた魔王真っ只中です。
全ての魔物の頂点に立つはずの私がこんなプライドとか何もなさそうな話し方なのにも理由があるんです。
いつもの予算おねだり男おねだり不満吐露大会、もとい魔王軍作戦会議に疲れ果ててベッド(よがらせる相手はいない)にダイブしたところ、突如としてベッドの上に開いた次元の穴に落とされました。
その穴の先は先ほどまで使っていたような、しかしもっと威厳ある会議室となっており、状況についていく間もなく会議が始まってしまったのです。
その会議の名前は「魔王たちの集い」。
この私アリスフィリアは、あの世界の代表としてこの場に招かれたのでしょう。
もちろん今の挨拶壮大な独り言というわけでもなく、今この場には私含め何人もの魔王がいます。
勿論全員自らの世界で暴虐の限りを尽くしている、人々から恐れられる魔王たち。
そんな恐ろしい場に私は放り込まれてしまったらしいです。
その中で参加者の顔合わせということで、何故かトップバッターにされた私から挨拶が始まったのでした。
「ワガハイは大魔王カルゴ様だ。
ワガハイも魔王アリスフィリアと同じく、いやそれ以上のカルゴ軍団を率いておるぞ!
この会議で得た作戦で今度こそトニオをギャフンを言わせてやるのだ!ガハハハハ!」
と自信満々に私に続くのは大きなトゲトゲの殻をつけた大きなカタツムリみたいな魔王カルゴ。
カタツムリの軟体部分は案外融通が効くようで、今生み出したばかりの両腕から大きな力こぶを作ってアピールしています。
そして目的は世界征服とかではなくトニオさんなる個人みたい。
よくそんな目的に大軍団が動くものです。
私の『ハチミツたっぷりスイーツ特産村占領作戦』なんて誰も賛同してくれなかったのに。
よっぽどの恐怖政治なのか、よっぽど慕われてるかのどちらかなのでしょう。
「俺はメタモライザーローカスト、秘密結社キキンガーと怪魔人を率いる怪魔王アバドンとも呼ばれている。様々な並行世界で戦ってきたが、このような場は初めてだ」
そう続くのは全身を鎧?みたいなので包んだバッタ型の怪人、声からして男の人みたい。
特に目を引くのは首にあるボロボロのマフラーと腰のやたら動きにくそうな大きなベルト。
その二つを除けばバッタ型という見た目そのままなのだけど、私の知るバッタ型モンスター娘との外見レベルとは違いがありすぎて困ります。
遠くから人間の男向かってジャンプして飛びつき数十人単位のハーレムを作るバッタ娘ちゃんと目の前の怪人は、同じバッタ型とはとても思えません。
なんかハーレム作るどころか孤高の存在みたいな感じだし。
「私はドリテン帝国空軍Ju攻撃団第87部隊に所属するエルケーニッヒ大佐である。呼ばれた以上は参加させてもらうが、この馬鹿げた会議は早々に終わらねばならん。私は一刻も早く偉大なる閣下と帝国と民のために、クラスヌイ連邦どもに爆撃を叩き込まなければならんのだ」
そう早口で捲し立てるのは黒を基調とした気品ある軍服に身を包む人だ。
そう、人だ。
私のような魔力も感じなければ、アバドンさんのような強そうな見た目でもない。
彼の言ってることは半分も理解できなかったけど、大きな国の兵隊さん?らしいので魔王ではないようだ。
でもここに呼ばれてるってことは何かしら凄い人なのかな、そうは見えないけどなぁ。
「わたし麻央・トライハート!魔法管理局で悪い魔法使いと戦ってるの!よろしくね!」
そう元気よく手をあげて挨拶するのは、まだ小さな女の子。
この子もぱっと見人間にしか見えない。
これくらいの見た目の淫魔は私の世界では幼魔と呼ばれて、よくお兄ちゃんを量産している。
麻央ちゃんもまた、お兄ちゃん生成能力の高い素質を持っているのは間違いなさそう。
……だけど、この子もここに呼ばれるってことは魔王なのかなぁ?勿論私の世界にいる幼魔みたいな存在ではないだろうし、その魔法管理局、ってところのリーダーってわけでもなさそうだし……。
「諸君、今から自己紹介をすりゅ!俺はジュエル星人の魔王である!
我々ジュエル星人は地球の500年先の技術を持ち各地で人類に攻撃を仕掛けている最中である!
現在はバイオ廃液を入手するために工場を建設するための土地を確保するため解体業者への潜入作戦を決行中である!」
今度はまた分かりやすい怪人物が若干噛みながら名乗り出ました。
概ね大柄で痩せた大男といった体躯に、額にある大きな輝石と滑り台の先端を尖らせたような変な鼻が特徴的。
……わざわざ廃液なんて手に入れてどうするんだろう、というか人類の500年先の技術力で代替品作れないのかな。
「俺の名前はセネトゥム。そうだな……俺はゲームの魔王、ってところかな。
ゲームを極めてここに呼ばれたのは少々心外だが……まぁ、いい集いにしようぜ」
飄々とした声で声を上げるのは、まだ少年と呼べそうな歳の男。
絶えず絶やさない笑みの裏にはまさに闇が垣間見えて、全く底が知れません。
首から提げた黄金に光るペンダントが放つ眩い輝きはまさに王そのもの。
一見して脆弱な少年と言えそうな体躯とは裏腹に、この場の誰にも見劣りしないようなオーラ?があるようにすら感じました。
でもその髪型はちょっとどうかと思う。
「アタシはタチオカ。タチオカ魔王よ〜よろしくねん。
……社交辞令はここまでにしてさっさと帰っていいかしら?アタシ今忙しいの。
地球の男児ってカワイイのよねぇ〜みんな良いオシリしてるの。だから今美ケツ男児狩りの真っ最中だったのよ!?
……ま、有意義な場になることを期待してるわ」
うわなんか凄い濃い奴がいる……。
オネエ語で話す全身レオタードを着込んだ非常にガタイの良い大男、タチオカなる魔王はそんな感じの見た目。
ワキはツルツルに剃ってあるのにすね毛は荒々しく立ってて、ヒゲは首から下さえ見なければ非常に厳しく魅力的に生え揃っている。おまけに顔は真っ白頬と口紅は真っ赤の厚化粧。
アバドン魔王が可愛く見えるほどに「怪人」をやってる変質者、それ以上の言葉がちょっと出てこないレベルです。
「魔王の皆に置いてはご足労感謝する。わしが皆を呼んだ大魔王プロデスである。
太古に封じられし別世界とつながる魔法の復元が叶い、この様な場を設ける事ができた。
互いの野心のため、交流を深めていこうではないか」
そして最後に大魔王ことプロデスが名乗る。
最も呼び出された直後に全員名前は聞いているのであくまでも形式的なものです。
そのプロデス大魔王はまさにザ・魔王と言うべき見た目で、巨大な角を模った兜、漆黒のローブ、魔物の頭蓋のペンダントを見に纏う老齢の魔人、といったところ。
この中で一番…というか唯一魔王やってると思う。
「ひとつ質問良いだろうか、大魔王プロデス。
……何故こいつが、麻央・トライハートがいる」
と、会議の流れを遮るように怪魔王アバドンさんが鋭い視線を他の参加者に向ける。
その語気には凄い怒りと苛立ちが感じられるもので、とても初対面の相手に向けるものではありません。
その眼光の先は……。
「この前の超サマー大戦のことまだ怒ってるのローカスト!?
あれはローカストが全戦隊と全魔法少女の抹殺とか言い出すから悪いんでしょ!?」
「……だからあれは復活した先代キキンガー首領の洗脳装置のせいだと何度も言っているだろう。
そもそもあの戦闘は貴様以外の全ての魔法少女が力を貴様一人に集結した結果だ、そのまま俺と貴様の勝敗に繋がるものではない……!」
「劇場のみんなも応援してくれてたもん!そんなことも分からないからいつもわたしに負けるんでしょローカスト!
それにローカストも新ライザーの力吸収してたじゃん!」
麻央ちゃんでした。
どうやらこの二人は前々から知り合いだったみたいで、お互いに遠慮なしの口喧嘩は止まりません。
……と、いうか。
「……あの、ちょっとごめんなさい二人とも」
「魔王……アリスフィリアだったか。なんだ?」
「なに?」
「その……麻央ちゃんが、倒したの?
アバドンさんを……」
そう、さっきの会話からすると麻央ちゃんは少なくともアバドンさんには一度勝ってることになる。
人は見た目で判断してはいけない、とはよく言うけど……どうみても小さい女の子にしか見えない麻央ちゃんが、凄い強そうなアバドンさんを倒せるとは思えなかったのです。
「良いことを教えてやろう、魔王アリスフィリア。
こいつの異名は『魔法管理局のマゼンタの魔王』だ」
「マゼンタじゃない!ピンク!」
「……つまりピンクの魔王?」
「なに!?アリスフィリアお姉ちゃんまでローカストの味方するの!?」
私の些細なツッコミのせいで麻央ちゃんは大分ご機嫌斜めになってしまった。
頬を可愛らしく膨らませて上目遣いでこっちを睨み出す。
どこからどう見ても普通の女の子だし、こんな反応されてもアバドンさんを倒せるとは思えないんだけど……。
なんてほっこりしていると。
「ローカストの方に行くなら……こうしちゃうからね!
……会議室の半分が消滅していました。
「……へ?」
まず撃たれた直後は認識すらできなかった。
一瞬のうちに超大規模な攻撃魔法が放たれ、壮絶な光の本流が会議室、今いる建物(多分魔王城)の壁という壁、それだけでは飽き足らず、魔王城への侵入を阻むように聳える高山もまとめて蒸発させたということを理解するまでに5秒。
それを麻央ちゃんが撃ったという可能性に至るまで10秒。
麻央ちゃんがいつの間にか手にしていた大型の杖から膨大な残留魔力を感じ取り、確信に至るまでさらに15秒が必要でした。
今の大魔法を撃てるような魔法使い、私の魔王軍にも一人もいません。
というか私も撃てない。
そもそも私の世界での強さというのは如何に相手を魅了して骨抜きにするかなので、こういう直接的な攻撃魔法は廃れて久しい。
その分だけカルチャーギャップはすごい、私たぶん『村を出て最初にスライムと遭遇して戦ってみたら全身愛撫されたときの無知シチュ駆け出し勇者くん』みたいな表情してる。
誰だこんな戦略級砲撃ブチかます怪物相手に幼魔みたいだとかお兄ちゃん製造機候補とか言ったの。
私でした。
「わ、わーすごい威力だなぁ……びっくりしちゃったなー……。
ねっ皆さん!皆さんもそうですねっ!」
そう適当に相槌を打ちながら他の魔王に同意を求める。
圧倒的な世界観の違いに打ちのめされた私にとって、今一番ほしいのは同意だった。
しかし……。
「フン、和が祖国の列車砲には及ばんな」
「これぐらい、あのゲームの中じゃ日常茶飯事だぜ」
「……チッ、あのね麻央ちゃん、そういうのは外でやってくれるかしら?
全く、すぐヒステリー起こしやがって。だーからオンナって嫌いなのよアタシは」
誰も全然怯んでなかった。
軍人のエルケーニッヒさんもセネトゥムさんもこの程度見慣れてると言わんばかりで、タチオカさんは嫌悪感を出す余裕すらある。
あの超火力で脅しにもならないってこの場のレベル高すぎない!?
「あれ、意外と皆さん冷静!?
あと魔王タチオカさんは麻央ちゃんにこれ以上油注がないでくださいお願い!」
「……はー、あのね魔王アリスフィリア。
アタシは『タチオカ魔王』なの。『魔王タチオカ』じゃないのよ」
「えっでもどっちも同じじゃ」
「『タチオカ魔王』よ。
……三度目はねぇぞガキ」
「ひっ、ひいいいいぃぃぃぃっ!?
ごごごご、ごめんなさいいいっ!」
私こと魔王アリスフィリア、超速の謝罪。
プライドも何もあったものじゃないとか言われるかもしれないが、怖いものは怖いから仕方ない。
どう考えてもただの不審者みたいな見た目した人がマジトーンで怒るというのは、非常に怖いものだった。
同時に、自慢の爆乳を活かそうとしたサキュバスが最終的にニットセーターを着込むようになった理由が今になってようやくわかる。
あれも目の前の魔王タチオ「タチオカ魔王。これが最後よ」……タチオカ魔王と同じでギャップを狙ってたんだなぁ。
それにしてもタチオカ魔王は何故か私の淫魔の魅惑の効き目が一切ない。
アバドンさんですら少し優しげに話してくれたのに。
やたら私のこと冷たい目で見てくるし……なんで?
さらに私の災難は止まらない。
「む~。アリスフィリアお姉ちゃん聞いてる?
お姉ちゃんはローカストの言うことなんて聞かないよね?」
と、何故かこっちに杖を突きつけながら笑顔で聞いてくる麻央ちゃん。
発端となったアバドンさんには悪いが、麻央ちゃんがこの魔王の集いに呼ばれたのはもう物凄く妥当な事だと思う。
さっきの超火力とか笑顔で凶器を突きつけるところとか、正直私より真央してる。
立場とか統率者とかそんな些細なことは置いといて、魔王と呼ばれるに相応しい圧倒的な「凄み」を持ってるのがこのチート魔法少女だ。
(……あれ?でも……)
さてここで問題。
私アリスフィリアは麻央ちゃんにどう答えるべきでしょうか!?
答え①「そうだね、麻央ちゃんはここには合わないね」
予想される展開「アリスフィリアお姉ちゃんまでローカストと同じこと言うの!?バカー!スカーレイジブレイザー!」
答え②「そうだね、麻央ちゃんはここにぴったりの子だね」
予想される展開「私は悪者じゃなくてやっつける側だもん!お姉ちゃんのバカー!スカーレイジブレイザー!」
答え③「そんな事より麻央ちゃん可愛いね!お友達になろう?」
予想される展開「話を逸らさないで!スカーレイジブレイザー!」
答え④「あっそうだ他の皆さんどう思いますか!?」
予想される展開「お姉ちゃん今は私とお話ししてるんでしょ!?スカーレイジブレイザー!」
……詰んだ。
麻央ちゃんが一般的なサキュバスのような敗北イベントなんて用意しているわけがなく、負けたらそのまま消し炭なのは日を見るより明らか。
どうする……考えろ私……この場を生き残るには……。
そうだ、これなら!
「ごべんなざいいいいいい!麻央ちゃんゆるじでええええ!」
謝罪。
ちっちゃな麻央ちゃんの足に縋り付き、フリフリのスカートで鼻水を拭くような勢いで顔を埋めて命乞いを連発する。
さっきはプライドがどうこうとか言ったけど、よく考えれば淫魔なんて自分が不利になったら降参したフリして誘惑するようなのばっかりなのだから、これは極めて淫魔的な伝統ある作戦だと言わざるを得ない。
フッ、どう麻央ちゃん!これで正義の味方の貴方は攻撃しにくく……。
「おっ、お姉……ちゃん……。それ、やめ……て……。
なんか、変な気分……」
「えっ」
なんか麻央ちゃん息も絶え絶えなんだけど……。
えっ、誰が麻央ちゃんにこんな攻撃を仕掛けたの!?
私すぐ側にいたのに麻央ちゃんだけを的確に狙い撃つ精密狙撃できるなんてとんでもない技量の持ち主……。
「ま、麻央ちゃん!急にどうしたの!?
顔赤いよ!?お腹とか痛くない?
耳もこんな真っ赤になって……え、えっと、ふーふーして冷まさなきゃ!」
そう麻央ちゃんの耳元で囁いて息を吹きかけながらお腹を撫でる。
くっ、誰がこんなことを!
「おっ、お姉……ちゃ、それ、だめ……っ。
んっ、〜〜っっっっ!!」
「……あっ」
私、そういえば淫魔の魔王だった。
アリスフィリア:モンスター娘逆レものRPG世界の魔王。
色々と緩い世界の魔王なので本人もゆるい。緩めのブラがいつまで経ってもキツくならないのが最近の悩み。
無知シチュショタ勇者が好みだが未だ魔王城に辿り着いたものはいない。
最近の趣味は無知ショタと保母サキュバスのおねショタプレイ鑑賞だが、やってることがタチオカ魔王と一緒だと言われると怒る。
カルゴ:ヒゲの配管工的なスーパースターのトニオと毎日のように戦ってる大魔王。
何気に主催者プロデスを除けば大魔王はこいつだけ。
何度負けても諦めない精神と部下の人望は最高クラス。
あと直接戦闘だけではなく様々なスポーツやパーティゲームでも戦いを挑む多趣味な奴。
メタモライザーローカスト:秘密結社キキンガーを率いるバッタの怪魔人。
強化形態のアバドンフォームを持ち、怪魔人たちを率いているので怪魔王アバドンとも呼ばれている。
夏休みになる度に映画に登場し、その際何度も麻央・トライハートら魔法少女一味とも戦ってるため最早顔馴染み。
今回は呼ばれなかったが、戦隊たちとも関係が長い。
エルケーニッヒ:「帝国」「空軍」「爆撃」「魔王」
ご存知あの空の魔王をモチーフにした人。
あくまでも架空戦記世界の人物であり現実世界やその国家とは無縁。
技術レベルも違うため、列車砲も実用兵器レベルにまで発展している。
今日もまた牛乳を飲んでは空に行く。
麻央・トライハート:金髪ハーフの魔法少女。
勿論元ネタは例の管理局の白い魔王。
ただ今作ではオリジナル的要素としてニチアサ系魔法少女とし、メタモライザーローカストとは映画で共演済みということにした。
SRBことスカーレイジブレイザーの火力で全てを薙ぎ払う。
ジュエルの魔王:元ネタは低クオリティ科学変身ヒーローアニメに登場する宇宙人を統べる魔王。額に埋め込まれた宝珠が特徴。
回りくどい作戦を計画しては悉く鬼畜主人公に叩き潰されることで有名。
最近元ネタの本名が発覚したらしい。
魔王セネトゥム:元ネタは某ホビーアニメ主人公。の東映版。
カードゲーム、ボードゲーム、パズルなどあらゆるゲームを修めたゲームマスター。
東映版なのでちょっとニヒル気味。
相変わらず文章での表現が困難な爆発ヘアー。
タチオカ魔王:元ネタはスーパー5歳児の映画特有のやたら強いオカマボスキャラ。
あくまでも「タチオカ」「魔王」であり、「魔王」「タチオカ」と言うと怒る。
タチオカ魔王を4・3ではなく2・3・2で区切って発音すると分かるだらう。
男児のお尻が大好きなホモで、逆に女は嫌い。
ドロワーズ光線でお気に入り以外の人間をかぼパン人間に変えてしまうが、これは「汚いケツこっちに見せんな」という意味がある。
最近の趣味は美ケツ男児狩りだが、やってることがアリスフィリアと一緒だと言われると怒る。
大魔王プロデス:元ネタは勇者ロトと戦った偉大な大魔王。
唯一まともな魔王で、今回魔王を一か所に集めた元凶。
数多の魔物を見てきたからか寛大な方で、麻央のスカーレイジブレイザーで居城を破壊されても特に咎める様子はない。
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麻央の魔法使いテスト!
普通のちっちゃい女の子だと思っていた子に戦略級大魔法を見せ付けられて。
殺されると思い込んで。
命乞いを決行したところ淫魔の力的なアレで思いっきり麻央ちゃんからエナジードレインしちゃいました。アリスフィリアです。
「ま、麻央ちゃーん……だ、大丈夫……?」
そう言って脚をガクガクさせて、恐らく下着もちょっと濡らしてるであろう麻央ちゃんの肩を支える。
周りの魔王の皆さんが冷ややかな目を向けてるけど、それ以上に『どの口が言うか』と私を責め立てるのは、他でもない私自身の脳内です。
「わ、わぁー麻央ちゃん魔力たっくさんあるんだね……」
私に冷や汗をかかせ続けるのは周囲の目でも良心の呵責でもなく、麻央ちゃんから流れ込んでくる魔力。
私たち淫魔は他者から力を奪っていく種族、だからついさっきの行為で麻央ちゃんから奪い取った(不本意)魔力が私に流れ込んでくるんだけど……多すぎる。
(ヤバいヤバいヤバいヤバい、パンクしちゃうこれ!)
さっきやったような囁き声で他人から吸い取れる魔力なんて本来高が知れてて、それこそ普通の魔法使い相手なら下級魔法一発分取れるかどうかのはずなんだけど……。
今流れ込んでくる魔力は量が多すぎてほんの僅か一端でも私を内側から弾けさせるに十分すぎるほど。
もうどうしようもない、背に腹は変えられないので麻央ちゃんに返すことにする。
本当は直接口同士でやるのが一番良いんだけど周囲の目がそろそろキツくなりそうだから……おでこ。
麻央ちゃんの身体がビクンビクン跳ねてるのは見なかったことにして、ようやく吸い取った魔力の9割を返還し、ようやく私の危機は去った。
ところでこれ、本来は「エナジードレイン」っていう攻撃を仕掛けたのは私のはずなんだけど何で死に掛けてるのは私なんだろう……?
「……フケツよ」
「おいおい、モラルとマナーは守ろうぜ?」
「貴様が私の部下なら懲罰房送りにしているところだ」
「お姉ちゃん、さいてー……」
そして次に私に迫りくるのはどんな氷魔法よりも冷たい視線の矢。
どう足掻いてもド正論。10:0で私が悪い。
それが分かりきっているから物凄く……辛いです……。
と、冷たい冷たい会議場への救世主は、意外なところからやってきた。
「でっ、伝令ーっ!プロデス様!勇者の一行が我が城目指して進軍中です!」
会議場に慌しく一体の魔物が駆け込んでくる。その顔には焦燥の汗。
その声に先ほどまでの非難モードの雰囲気は一気に払拭され、場に緊張感が走った。
つい今まで魔王のひとりひとりを品定めするように眺めていた大魔王プロデスから一気に愉悦の表情が消えたところからも、彼らと敵対する勇者がどれだけの強敵なのか窺い知れる。
「写せ、周囲の魔物は」
「はっ!遠視水晶はこちらに。魔物たちは瞬く間に隊長を失い、混乱の内に一方的に撃破されております!」
「下げさせよ。無駄な犠牲にしかならん」
「御意!」
配下の魔物が持ってきた水晶に写される光景はまさに蹂躙。
勇者一行四人組は時に剣で、時に魔法で容赦なく魔物達を蹴散らしていく。
大斧を振り回しながら突っ込んだ大柄な巨人が斧を振るう前に卓越した剣技で切断され、逃げ惑う魔獣の背には魔法の雷が次々と突き刺さる。
私の世界にいる、
その勇者たちの進行を見て、私たち召喚魔王の中で最初に声を上げたのは……
「ねぇ大魔王さま、わたしあの人のところ行っちゃダメ?」
なんと麻央ちゃんだった。
今の蹂躙劇を見ても全く慄いていないところか、むしろ目の奥が明確な強い意思が燃えているのが分かる。
少なくとも先ほどのエナジードレインの疲弊など全く残っていないようだった。
「構わぬ。だが留意せよ」
その言葉を聞いた麻央ちゃんは返事もすることなく杖で大きく円を描くと、そこから開いた空間の穴に消えていった。
さっきの超強力なスカーレイジブレイザー、無尽蔵の魔力、そして転送魔法に飛び込むときに一瞬見えた覚悟を決めたような顔……私は、麻央ちゃんが何故ここに呼ばれたか、何故魔王と呼ばれていたかについて考えてなかったのかもしれなかった。
勇者の一員、魔法使いイオナは肩を降ろし、杖を下げた。
目指す魔王城まであと僅か、長く旅を共にした仲間たちにも自分にも、まだまだ消耗らしい消耗はない。
心優しい豪傑カイン。口うるさいが誰より仲間思いの僧侶のホミィ。
そして私たち三人を率いる、勇者ギデイン。
素晴らしい仲間と共に歩んだ長い旅はもう終わりを迎えようとしている。
必ずや魔王を倒し人の世に平穏を。
そう改めて心に誓ったときだった。
「こんにちは、魔法使いのお姉ちゃん」
ほんの一瞬、それすらの猶予すらあったか分からない間に自分たちの目の前に小さな少女が現れたのだ。
(……なんでこんな場所に女の子が?)
きっとそれは私たち四人全員が思ったことだろう。
魔物が蔓延るこの地に、小さな女の子がいるのは危険すぎる。
私と同じことを考えたであろうカインが大剣を下ろすと、少女に近づいた。
「嬢ちゃん、ここは危ないから逃げたほうが……」
「静かにしてて」
女の子はそう言うと手にしていた杖を軽く振る。
素振りというほどでもなく、それこと小さな子が木の棒を振り回して遊ぶような軽い一振り。
だが、
「ぐっ、ぐおおおおっ!?」
「ぎゃあああっ!?」
「ぬわーーーーっっ!!」
その一振りで私の仲間三人は……まるで私たちが先ほど倒した魔物達のように……軽く吹き飛ばされ、魔界の地を転がる。
それだけではなく、彼らが小さな結界に封じ込められたことが魔力の流れで分かった。
封印術。軽いものとはいえ一国を引き換えに行うような大魔法を、この子は相手を見ることすらなく行ったのだ。
「自己紹介するね!わたし、麻央・トライハート!お姉ちゃんのお名前も聞かせて?」
最低でも魔王軍の幹部クラスかそれ以上、もしかしたらその主にも並ぶ。
目の前の少女の魔力は、私には到底把握することすらできないだろう。
仲間を半ば人質に取られているようなこの状況、相手の意図が分からない以上、私は彼女の声に応じるしかなかった。
「……イオナ。そう、私こそが王国随一の大魔法使い、イオナ=エクリズン様よ!」
無理にでも啖呵を切り、自分を奮い立たせる。
目の前の女の子……マオが自分より遥かに強い魔法使いなのは認めざるを得ないが、だからと言って負けられない。
勇者の一員という誇りのためにも。そしてエクリズン家の名誉の為にも……!
私の誇りを掛けた名乗りに対してマオは笑いながらこう告げる。
「ねぇ、イオナお姉ちゃんはどうして魔法使いになったの?」
その問いかけは、生まれて始めて向けられた言葉かもしれなかった。
没落した一族なれど代々魔法使いの家、そこに生まれた私が魔法使いを志すのには何の疑問もなかった。
魔王を倒し人々を救いたいという思いは今の時代を生きる人間には誰しもあるものだし、何より……。
「決まってるわ。平和のため、そして何より……一族再興のためよ」
そう、没落したエクリズン家を再び興すため。
私は生まれてこの方、杖を握ることに迷いはない。
だが……。
「それだけ?」
マオは冷たくそう言い放つ。
彼女の杖を握る手に若干の力が入るのが分かった。
そして、先ほどまでの児戯のようなやり方ではなく、杖の先を明確にこちらに向けてくる。
「魔法っていうのはね?全能の力なの」
そこから感じられるのは強い敵意と怒り。
そして……決意。
小さな子供の体躯など関係ない。魔法を極め、そして恐らくは絶望した魔法使いが今目の前にいた。
「魔法にできないことなんてない。文字通り世界を自由に作りかえられる。だから……」
そして杖に魔力が篭っていくのが分かった。
それこそ王国とその周辺一体を丸ごと更地にできて尚使いきれないような膨大な量が。
その絶大な力は、きっと私が一生をかけて魔力を練っても半分も生み出せないだろう。
この子の魔法は人の域を遥かに超えている。
言うなれば……。
「だから、魔法は気軽に扱ってはいけないの。『神様になる』……それくらいの決意と覚悟が要るの。貴方にはその覚悟はある?」
……ない。
防げない。
かわせない。
届かない。
適わない。
そして……こんな化け物に、神に挑む覚悟なんて、ない。
「魔法管理局局長麻央・トライハートの名においてイオナ=エクリズンに宣告する。……これで頭を冷やして、もう一度考え直して」
魔物に蹂躙される人々を見て。住まいや家族を失う人たちの涙を見て。
それでも同じことが言えるのかと言いたい、言ってやりたい。
確かに私たちにとって魔法とはただ戦う力、それ以上の価値はない。
だけどその魔法でどれだけの人を救えたか、この傲慢ともいえる態度をとるマオに見せ付けてやりたい。
だが無意味だろう、きっとどれだけの惨劇を見てもこの子は考えを変えない。
私に向けられた杖には、それだけの覚悟が感じられた。
きっと本当に人類より魔法のほうが大事なのか、
今は彼女に突きつける言葉を持たない。だけどいつかは必ず届かせてやろう。
そう誓った私は、最後にこの言葉を投げかける。
「この…・・・魔王!」
「……スカー・レイジ・ブレイザー」
そして、私の視界と意識は、真紅の中に溶けていった。
「……異世界早々職務に励むとは、ご苦労なことだ」
麻央ちゃんの一方的な勇者蹂躙劇を遠視水晶から見ていたアバドンさんがそう呟いた。
勇者、戦士、僧侶の三人は敵とすら看做さず適当に縛り上げ、魔法使いの女だけは徹底的に全力の一撃を叩き込む。
水晶からは会話までは聞き取れなかったけど、麻央ちゃんがあの魔女に強く執着していたのは間違いない。
「あの……アバドンさん、麻央ちゃんはなんで、あんな戦い方を?」
「あいつの名乗りを覚えているか?」
私の問いに、怪魔王アバドンさんは静かにこう答える。
この人と麻央ちゃんの付き合いは長いらしく、彼にだけは麻央ちゃんの歪な戦いの意味が分かるのだろう。
「えっと、まほーかんりきょくで……」
「魔法管理局で悪い魔法使いと戦う、だ。……あいつの世界には溢れている。私欲のために魔法の力を振りかざす連中がな」
「つまり、あの勇者一味だった魔法使いが『良い魔法使い』か『悪い魔法使い』か見極めに行ったってトコね。……それにしても傲慢ね、魔法の神サマにでもなるつもりかしら?」
「あぁ、アイツはそのつもりだろう」
「ハッ……どの世界でも、ガキの考えることは同じね」
アバドンさんの問いに対し、タチオカ魔王はどこか呆れ気味に笑う。
この変態の言うことに同調するのは嫌だけど、正直なところ私も同じ意見。
『悪者』を一人でやっつける、世界中の悲劇を食い止め、被害を最小限にする。
そんな幼児の空想のような、見方によれば極めて自分勝手な絵空事に『挑む』だけの実力は、
誰もが仕方ないと目をそらす、理不尽に抗おうと思えてしまう力が。
「へぇ……神に、ね」
魔王セネトゥムはそう呟くと、クククと小さく笑い出した。
とは言っても笑う相手は他の誰でもなく、自分に向いた自嘲のようだったが。
この人も魔法か、神様かに何か強い拘りがあるのかもしれない。
……あれ?魔法と言えば私も使うけど確か……。
『もー魔王様!魔法でベッドの中に着替え運ばないの!』
『えーだってベッドの外寒いんだもん』
『もう魔王様!こんなにお部屋散らかして!いつも言ってるでしょう!』
『ご、ごめんなさい……このか弱いアリスフィリアを、どうか許して……(魅了魔法)』
『うっ……見過ごすのはこ、今回だけですからね!』
『はい……アリスフィリアはいい子になります……(ちょっろ)』
……私の私生活を麻央ちゃんに知られたら本当に死ぬな?
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