どけ!儂は金柱の両津勘吉だぞ! (ジャックマン)
しおりを挟む

両さん大正に行く!?の巻き

暴走だけの作品第2弾
鬼滅は最近読み始めたのですが、個人的には悲鳴嶋さんが好きですね
それと玄弥



古来より人々を食べてきた存在、空想ではなくしかと此処に存在している。

だが例外もまた居るのも事実。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ~………何処だ此処?」

 

青い警察官の制服と繋がり眉毛が特徴的な男こと両津勘吉は山の中で目を覚ました。

確か昨日は友人であるボルボ西郷、左近寺竜ノ助の3人でボッタクリバーの検挙を名目にしこたま飲んでた筈だった。

近くには2人の姿は無く、だがあの2人が自分を山中に捨てる筈がない。

そこで頭を過るのは3人とも飲み過ぎて酔った勢いで此処に来てしまい、2人は小便だか吐いたかは知らんがこの場から離れた。

 

「うぅむ、2人ともそれなりには強いが儂に比べれば下戸だしどっかで寝てるのか?」

 

そう決めつけ寝ようとするが今日は勤務日だったのを思い出して山を駆け降りる勘吉。

その途中、刀を持った男を見つけ言い訳に使えると思いその人物にタックルをした。

 

「おい貴様!令和の世の中で帯刀とは許せん!本官がとっちめてやる!」

 

「な、何だよいきなり!?

しかも何だこの派手派手なオッサンは!?」

 

身長は2m近く、白い髪を巻いて黒いノースリーブの服に背中に日本の出刃包丁……だろうか?

刀と言うにはお粗末な物だが明らかに刃の光り方からして本物。

そんな人物に対するは身長150ちょっとの生命体だ。

 

だがそんなのは関係無い、両津勘吉を語るには伝説が多すぎるからだ。

例えば自転車を漕いだら君達の限界速度は幾つだろうか?

この男はフェラーリに追い付き、更には動き出した飛行機にすら追い付く怪人。

力で言えば車すら持ち上げる。

デカくて強い程度では勝てるわけが無いのだ。

 

「銃刀法違反で逮捕だ!」

 

「何だよそれ!?」

 

「うるさい!!!」

 

ゲンコツ一撃、それにより目が回り手錠を掛けられてしまう大男。

そんな時別の男が現れた。

 

「む、鬼滅署の不死川じゃねえか

お前コスプレが趣味なのか?」

 

「なんだこのオッサン?」

 

白い袴に黒い服を着た友人に対してそう言うが、本人は不機嫌そうに睨んでくる。

 

「ところで弟分は元気か?アイツに金借りちゃったから今度返すって言っといてくれ」

 

「俺に弟はいねぇ!!!」  

 

「バカ言うな!

あのモヒカンで人相悪い癖に何故か近所の小学生とかに人気のアイツだぞ!」

 

「しつけえぞ!」

 

怒る男、それに対して不信感を抱く勘吉。

鬼滅署の不死川と言えば勘吉よりはましだが人相が悪く、でもご近所思いの暖かみの有る江戸っ子だ。

それに弟分の玄弥とは仲が非常に良く、2人で派出所に来ては楽しく話す。

なのに知らないと言っているのだ。

 

「お前、本当に不死川か?」

 

「たりめぇだろ!!!」

 

「うむぅ…顔は不死川なのに儂を知らないとは訳が解らんな」

 

「ごちゃごちゃうるせぇ、斬るぞオッサン」

 

その言葉に怒ったか、それとも何か別のを感じたのか不死川(仮)にアッパーカット。

キレイに顎に貰い体が宙に浮いた。

 

「不死川!お前には命がどれだけ大事か説いたはずだ!簡単に斬るとか言うな!」

 

「は?え?何だコイツ?」

 

「それに玄弥はお前を兄貴の様に慕ってるんだぞ!なのにその言い方は許さん!

その根性叩き直してやる!!!」

 

「は?は?え?メポォ!?!?!?」

 

「おい落ち着けオッサン!」

 

「えぇい五月蝿い!」 

 

白髪の男に力強いゲンコツ一撃、それにより気を失い力無く倒れるが勘吉はそれよりも不死川の態度に怒っていた。

そのまま巨木の裏で何かをするのだった。




両津勘吉
鬼殺隊の柱の1人
金柱としてお館様にスカウトされた男
呼吸無しで鬼殺隊員より早く動いたり奇想天外なアイデアを出したり高いコミュ力であの伊黒とさえ仲良くなったりと、ハチャメチャ力は健在

お館曰く「無惨の行動を知るや否やすぐにでも殴ろうと動くなんて、人一倍正義感が強いよ」と高評価ではあるが金への執着心は悩みの種
義勇とよく一緒に居る


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

山の鬼が妹!の巻

連載ないのか…なんて言われてしまったのでせめてこれでもと2話目の投稿です



奇想天外の生命体『両津勘吉』は不死川の紹介の元に鬼殺隊に入隊。

その後は金の使い方や酒の飲み方を除き人一倍強い正義感の元に鬼を斬ってきた。

いやただ斬るだけでない、鬼は各々に過去の悲しみが有り鬼になったのだがそれを取り除いているのだ。

 

ある鬼は産まれてから貧困にあえぎ、口減らしの為に山に捨てられたがそれを聞き「お前が弱いからそうなったんだろ!」と言ってゲンコツをかまし反論されるも「他所に行って生きる事が出来るのにしなかったのはお前の責任だろ!」と、言葉足らずながらに本人の甘えを指摘。

また、ある宗教に入り落ちぶれて鬼になった者には「儂はお前みたく何かにすがりたいとは思わん!」と一蹴。

 

鬼殺隊の殆どは鬼を憎み鬼を嫌い斬っているが、こうやって話を聞いて居るのは勘吉だけだ。

 

 

 

 

時は一月後、不死川を矯正(恐怖で支配)した勘吉は2人に誘われて産屋敷なる人物と面会した。

最初こそやる気は無かったのだが給料の良さと、蝶屋敷に住む子供とその生き方を知り怒りに震えて鬼を斬りその頂点である鬼無辻無惨を殴ると決めた。

 

まさに鬼より鬼の言葉が似合う。

ただ快楽の為に人を食う鬼には鉄拳制裁、生き方が解らず悩む鬼には相談に乗り新しい生き方を教えた。

 

ある日の事だ。

水柱である冨岡義勇と2人で鬼の討伐の為にとある山に来ていた。

 

「本当にこんなちんけな所に鬼が居るのか?」

 

「─────らしい」

 

「とてもそうとは思えんな」

 

水柱『冨岡義勇』は言葉が足りず嫌われているが、その本質を解っている勘吉は別に嫌ってはいない。

寧ろカッコいい声してんだからもっと喋れと発破をかける程だ。

着いた山では2人の人物が争っている。

 

片方は額に傷がある少年、もう片方は黒髪が美しい少女だ。

少年は薪で食べられるのを防いで居るが時間の問題、食べられるのは後何秒だろうかと言える状態だ。

 

「はっ!」

 

「っ!?!?!?」

 

義勇はすぐに鬼を消せる刀『日輪刀』を振り斬ろうとするが寸前のところで回避、その後に何故か少年は鬼の前に立ち庇うような態勢をとった。

 

「禰豆子は悪い鬼なんかじゃない!」

 

竈門兄妹

今まで平穏無事に穏やかに暮らしていたのに突然鬼の始祖である鬼無辻無惨に殺されたのだ。

唯一生き残ったのはたまたま違うところで泊まっていた長男の『竈門炭治郎』のみで、他は無惨に殺されていた。

だが、鬼として適正を持っていた妹の禰豆子だけは生きていた。

しかし鬼の本能である『人を食わねば死ぬ』に駆られ今、こうして兄を襲っているのだ。

 

「こんのバッカモーン!」

 

「勘吉さん!!!」

 

両津は見るや否や禰豆子を蹴り、すぐに炭治郎と引き離した。

これには義勇も炭治郎も目を丸くし、蹴られた禰豆子本人も何が起こったのか理解出来ていない。

 

「お前の兄ちゃんはお前の為に体張って守ってくれてるんだぞ!!!

何が有ったかは知らんが鬼は無惨のせいで産まれてるんだ!

アイツにムカついてぶん殴るんじゃなくてこんなにお前を想ってくれてる兄貴だか弟だか知らんがソイツを襲うな!」

 

「勘吉さん……」

 

鬼は斬るべし、そう思いながらも2人の関係性を上手く掴めなかった義勇は刀に手を当てたまま唖然としている。

すると苦しみだす禰豆子。

鬼の本能と人としての生き方で争っているのだ。

 

「負けるな禰豆子!!!

お前には兄ちゃんが付いてる!」

 

「そうだぞガキんちょ!

勝ったら儂の寿司を食わしてやるからな!」

 

鬼にはいつもこうだ。

元は人だったと知るやただ斬るだけじゃなくどうして鬼になったのか、其方を思い温情を掛けてしまうのだ。

それのせいで蛇柱には嫌われるも、何故かある日を境に仲良くなったり風柱とは完璧な上下関係が出来たりと訳が解らない。

 

苦しみながら立ち上がる禰豆子を見て勘吉は確信した。

悪い鬼じゃない、泣いた赤鬼の方の鬼だと。

すぐに駆け寄り立ち上がらせるや否や肩を揺らし激励の言葉を掛けた。

 

それを見て2人も負けじと言葉を掛け、その甲斐も有り禰豆子は鬼の本能を倒したのだった。

そして……

 

「ありがとうございます両津さん」

 

「なぁに気にするな、儂は儂のやりたい様にやってるだけだ

でよ、これからどうするんだ?」

 

「禰豆子を治せないか…治せるなら治せる人を探します」

 

編み籠に布を被せただけの物に妹を乗せ、愛おしそうに…でも寂しそうに語る炭治郎。

それを見て放って置けないのが勘吉だ。

 

「おい冨岡!」

 

「!?」

 

「確かお前ん所のじいさん手が空いてたよな?」

 

「鱗滝さんですか?」

 

「おう、2人の面倒見てもらえ

アイツならもしかしたら知ってるかも知れねえ」

 

「はい!」

 

珍しく声を出すや否や、すぐに鴉を呼び手紙を携える。

冨岡義勇にとって両津勘吉とはこれ程に憧れていて慕う存在だとすぐに察するや頭を下げる炭治郎。

 

「ありがとうございます!

この恩は絶対に返します!」

 

「気にするな、悪いのは無惨の野郎だしな」

 

笑っては居るが怒りの匂い。

炭治郎はどれ程勘吉が無惨に怒りを持っているか知ってしまうのだった。




冨岡義勇
両津の強さに憧れと尊敬を抱いている男
もし最終選別時に居てくれたら錆兎は死なずにこの人と喧嘩してたかもと思い少しセンチメンタルになったりしている
珍しい事に義勇から唯一名前を呼ばれ、金や博打にだらしない面を除けば兄になってほしかったと語るほど



もし希望があったらの次回予告

産屋敷の奴に呼ばれたんだが大寝坊、何とか間に合ったんだけどグチグチグチグチ部長か蝴蝶!
そこには縛られた竈門だったかコンロだったかソイツが縛られて隣には煉獄の親父
柱合会議?なんか初めて聞いたけどまぁいいか
次回『両さん柱合会議に行く!の巻』
絶体見てくれよな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両さんの偉業説明!の巻

面白いや次を望んでる方がいらっしゃいましたので期待に応えて3話目です

今回はよくある何をやったかの説明なので台詞は殆ど無いです


勘吉が鬼殺隊に入り幾年月、いつの間にか最高階級である『柱』にまで上り詰めた。

最初こそ呼吸の扱いに戸惑うも、面倒だからと自前の身体能力だけで鬼を討伐したりと人間と呼んで良いのか解らなくなる凄まじい活躍を見せてくれた。

 

しかも活躍はそれだけでは無い。

己の経験と予測から鬼殺隊の制服や装備に物申し、それを聞き入れたお館様こと産屋敷が実験的に取り入れ結果を出した。

野球やサッカーで使われるスパイクに鬼にとって毒である藤の花を塗り込んだり、火薬を竹筒に入れ藤の花を塗り込んだ簡易性の手榴弾を作ったりしたのだ。

 

強い鬼に対しては決定打にならぬも弱い鬼なら対処できるそれは死亡率の高い鬼殺隊員の生存率を格段に上げ、勘吉のアドバイスを元に二つの隊を追加した。

『食料隊』と『開発隊』だ。

 

前に水の呼吸の使い手と話した時に「鬼殺隊員なんて飯しか楽しみが無いですよ」とぼやいていたので、美味くて長期保存の効く缶詰めを開発。

それにより隊員のモチベーションは上がり、生きて食べる気持ちが強くなった。

 

開発隊は文字通り開発する隊なのだが、隊員の殆どが呼吸が使えなかったり鬼により孤児になってしまった子ばかり。

これには勘吉なりの粋な計らいがあるも、それを越え子供特有の柔軟な発想と突飛なアイデアで新たな装備が追加されていった。

一つの革命例を上げると蝶屋敷で世話になっている少女が「お弁当や水筒がホカホカだったり冷たかったら皆さん嬉しいですよね」なんて言い、勘吉を筆頭に技術者(ロリコン)が突貫作業。

それにより九十年近く先に作られる筈の魔法瓶技術を完成させたのだ。

 

まさにお館様ニッコリ案件なのだが、その分勘吉の問題もある。

ある時は蝶屋敷で使われていなさそうな物を売りその銭を自分の物に、ある時は恋柱と蟲柱を騙し際どい写真を撮り売り捌いたりと上げたらキリがない。

まぁ、それにより自分の事を嫌っていた蛇柱が懐いたりと悪いとも言いきれないので困る。

 

柱の皆(一人除く)からは結構親しまれており、水柱である冨岡義勇と不死川実弥からは「両さんの親友」「両さん大好き」「勘吉親衛隊」なんて言われる程だ。

 

特に実弥には勘吉の大恩人である南部さんの話を交え「弟が大事だからって突き放すな!お前の言葉もソイツの言葉も生きてる内しか聞けんのだぞ!」と言われ、時期が来たら確りと話し合うと覚悟を決めた。

 

他にも炎柱の家族問題を「奥さんが好きだから亡くして落ち込んで、それで家族に八つ当たりだと!

貴様!一番奥さんを侮辱してる事に何故気付かん!」と言って殴り合いになり、日が暮れた頃には二人はスッキリとした顔をしていた。

その後、炎柱の父が育手となり厳しくも温かく隊員を育てている。

 

こんな感じで勘吉は良い感じで馴染んでいるのだが、何故か蟲柱からの扱いとかに不満を持つのだった。




金の呼吸
金柱である両津勘吉の使う呼吸
五大呼吸の系譜のどれにも当てはまらず、始まりの呼吸の一つなのでは?と噂されている
産屋敷曰く「己の欲望を呼吸に乗せているだけだから流派、系譜が全く無いかな
あれは両さんだから使えるのであって皆は真似しないでね」との事

金の呼吸
壱ノ型『猪鹿蝶』
全力でフルスイングするだけ
弐ノ型『確変』
全力で頭突きするだけ
参ノ型『王手飛車取り』
本気のラリアット
肆ノ型『どん底でも何とかなる』
呼吸と生命力でどんな傷もすぐに治す
伍ノ型『下駄飛ばし』
元気玉と同じ威力の下駄を思いっきり飛ばす
陸ノ型『資格マン』
あらゆる経験を積んでるのでそれで新たな道を示す
漆ノ型『バンザーイ』
単行本では消されたあのエピソードの如く鬼を焼き払う
捌ノ型『真空真心握り』
最早技ではない、ただ寿司を握るだけ(絶品)
玖ノ型『葛飾署の両津だ』
解説不可能、奥義らしいが子供の喧嘩そのものだ

両津の日輪刀
チャンバラ用の剣みたく丸い棒状の物
刀どころか刃物ですら無いが本人はえらく気に入っている

両津の評価(柱編)
水柱
「強い信念、執念深さ、気っ風の良さ、柱として尊敬している
ただ賭博の為に金を借りるのはダメだと思う」
蛇柱
「人間とは思えない生命力だ
ところで次の甘露寺ぐっずはいつになる?」
霞柱
「やたらと構ってくる変な人
友達居ないの?」
岩柱
「金銭にはだらしないが人情を大事にしている
宵越しの銭は持たない男だな」
恋柱
「小さいのに全身で人を守る姿が素敵だわ」
蟲柱
「(無言で日輪刀を構える)」
炎柱
「父上の件、感謝している!
しかし父上と日の出まで飲みに行くのは感心せんな!」
風柱
「ウメエ飯屋見付けたから今度一緒に食いに行こうぜ!
金?俺が出すから気にするなよ」
音柱
「派手派手だな
やる事なす事全部派手派手だ、ところでこの間のチンチロの代金はいつ払うんだ?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両さん柱合会議に行く!の巻

この世界の獪岳は両さんと関わったお陰で良い意味で強くなりました
詳細は今度に……善逸との中は大きくは変わってませんが厳しさ九だけど一割は優しさを持ってます



皆さんの両さんなら~の言葉に確かにwと納得してしまいます
両さんって基本的にどんな扱いしてもキャラ崩壊しないから凄いですよね


柱合会議

それは柱の階級に位置する者全員が参加し行う行事

常識かも知れないが頂点の産屋敷が到着する前に既に待機して、姿を見るなり体制を取るのだ。

 

さて開幕早々、何故こんな説明をしてるのかと言うと問題が起きたからだ。

何故なら柱の一人が居ないのだ。

これに肝を冷やす柱達、だが産屋敷は優しい笑みで「もう少し待ってみよう」と伝えた。

その直後

 

「いかーん!!!」

 

「遅刻ですよ♪」

 

「いやぁすまんすまん、昨日煉獄の親父と飲んでて寝坊しちゃった」

 

「両さん!飲むなとは言わないが朝まで飲むのは感心しないぞ!」

 

「げぇ煉獄!?何で知ってるの!?」

 

「父上が朝帰りだったので千寿朗と訪ねたら答えてくれた!」

 

「そんなに飲むのか……そんな人間が居るなんて俺は信じない……」

 

「何だと!これでもバッカス両津なんて呼ばれて一回で風呂位飲み干すぞ!」

 

「凄い……流石勘吉さん」

 

「派手過ぎないか?」

 

両津の偉業を聞きながら微笑む産屋敷。

賢明な諸君等なら知っているであろう両津の偉業を。

人の上半身位ある巨大カツ丼を秒で食べた上に他でも大盛りチャレンジをした胃袋。

車を手で持ち上げるが他の金目の物の為に顎で持ち上げる筋力。

上げればキリがないから一旦止めるが、この男が大酒飲み程度ですむ存在ではない。

 

「両ちゃん……お酒に強いのに二日酔いにすらなってないなんて素敵だわ」

 

「無駄話はそれまでだ、お館様をお待たせしている」

 

「ありがとう行冥」

 

悲鳴嶋の声により落ち着きを取り戻すと話を始める産屋敷。

内容をかい摘まんで説明すると鬼を連れている炭治郎を鬼殺隊に入れる、ただもし妹が人を食べたら育手の鱗滝左近次、水柱冨岡義勇、金柱両津勘吉の三名が腹を切るとの事だ。

それに意義を唱えたのは不死川だ。

 

「冨岡の野郎は良いとして両さんまで腹を切るってのは納得出来ません!」

 

「実弥の言いたい事は解るよ、でもこの子は両さんが助けると言ったんだ」

 

「本当か両さん!?」

 

「うむ、確かに言ったな」

 

思い出すのは竈門兄妹との出会い。

確かに自分がそう言ったがまさか腹を切る事態になるとは思いもしなかった。

これは非常事態だ、どうするべきか考える。

そんな時だった、真っ先に動き出したのは不死川。

彼は禰豆子の入った木箱を持ち上げ屋敷の中に入ると中から無理矢理出し、目の前で腕を切った。

 

「お、おい不死川!」

 

「両さんには悪いが俺は鬼は斬るべきだと思ってる、望んでなったとか望まずしてなったなんて関係無い!

奴等は人を食う!だから斬る!」

 

「うぅむ、不死川の言う事は間違っては居ない!」

 

「煉獄まで!?」

 

「ほら食えよ鬼ぃ」

 

目の前で血が出ている腕を見せ付ける不死川。

禰豆子は先の戦闘で血を流しすぎ餓えている状態、更に付け加えると不死川の血は鬼にとっては極上のご馳走。

彼女は今、理性と本能で戦っている。

 

(いかん……いかんぞ、このままでは儂が腹を切る事になってしまう……)

 

「禰豆子!」

 

「っ!?」

 

「負けるな禰豆子!お前はそんな弱い子じゃないだろ!」

 

(儂のバカ野郎!そうだ儂はあの二人を助けるって決めたじゃねえか!

江戸っ子が一度決めたことを愚痴愚痴言ってるんじゃねえ!)

 

「そうだぞ禰豆子!

約束しただろ!お前に儂の握った旨い寿司を食わせてやるって!江戸っ子との約束を忘れるのは儂が許さんからな!」

 

二人の声援を聞くと力を振り絞り不死川の腕を「いらない」と言わんばかりに首を横に向けた。

それを見て微笑む産屋敷。

 

「これで彼女が人を食べない鬼だと証明出来たね」

 

それを聞き安堵の表情を浮かべる二人。

それに同調したのか、甘露寺と悲鳴嶋は何処か嬉しそうにしている。

 

「今回の議題はこれまでかな」

 

「お館様、僭越ながらこの場を借りて一つ裁判を行わせて下さい」

 

手を挙げて穏やかに言葉を放つのは胡蝶。

それを見た瞬間、両津の表情が「ゲッ!?」と驚いた物に変わった。

 

「構わないよ」

 

「それでは

三日程前の事です蝶屋敷の物が無くなっておりました

帳簿を着けているので照らし合わせた所、藤の花が二割程です」

 

「続けて」

 

「帳簿は毎日着けているので四日前に出入りをした人物を調べ、一人一人に訪ねて行きました

残りは出入りをした柱が三人を残すのみです

冨岡さん、貴方は犯人では有りませんか?」

 

蝴蝶の問いに無表情のまま淡々と答える冨岡。

その態度は普段はイラッとするが今回に限っては助かると思っている。

 

「……(重要物である以上、勝手に持ち出す何て事はし)無い」

 

「では次に、不死川さん?」

 

「ありえねぇだろ、使い道が無ぇ」

 

(不味い……非常に不味い……)

 

「では……」

 

「おっといかん、これから前田と新しい制服の打ち合わせが有ったんだ

それじゃバイビー!」

 

「調べは着いてるんですよこの両津の糞野郎!!!」

 

蝴蝶は懐から拳銃(回転式)を取り出して両津を射とうとするが素早く動く両津に当てられない。

だが流石柱か、全集中の呼吸を使い地の底まで追い詰める気迫に満ち高速で追い掛けては発砲と恐ろしい芸当を繰り広げる。

 

「くそぅ!!!もう藤の花なんてコリゴリだ!!!」

 

 




両津への呼び方(人間側)

悲鳴嶋
「両津さん」
理由、歳上なので

冨岡
「勘吉さん」
理由、恩人と同じくらい慕っているので

不死川
「両さん」
理由、仲が良いから

伊黒
「両津(普段)店主(甘露寺グッズ購入時)」
理由、特に無い

時透
「おっさん、おじさん」
理由、おっさんだから

煉獄
「両さん!」
理由、父を救い更に家も救ってくれて感謝しかないから親しみを込めて

甘露寺
「両ちゃん」
理由、何故かしっくり来たから

蝴蝶
「両津のバカ野郎、両津の糞野郎、両津の原始人(怒り時)呼ばない(普段)」
理由、言う必要は無いと思いますよ

炭治郎
「両津さん(最初)両さん(最近)」
理由、自分達を助けてくれたから

善逸
「眉毛の鬼!?金の亡者!?」
理由、そもそも叫んでるだけなので本当の呼び方が解らない

伊之助
「眉毛!眉毛じじい!」
理由、なんかしっくり来る




獪岳
「両さん、兄貴」
理由、自分を救ってくれて背中を押してくれた大恩人だから

前田
「悪魔、鬼、ちひろ、たづな」
理由、唯一と言っていい程に無茶振りを押し付けてくるから

村田
「両さん、金柱様」
理由、普通に流れで

産屋敷
「両さん」
理由、私だってたまにはこう言う呼び方をしてみたいだけだよ

宇随
「両さん(普段)兄さん(重要時)」
理由、普段は気を抜いてるけど大事な時は昔の気持ちが出ちゃうから

両津への呼び方(鬼側)

無惨
「鬼、悪魔、眉毛の怪物」
理由、まんま

上弦壱
「毛の男」
理由、まんま

上弦弐
「ゴリラ君」
理由、まんま

上弦参
「戦士、剣闘士」
理由、戦い方が特殊だから

上弦肆
「歩く絶望」
理由、まんま

上弦伍
「破壊者」
理由、まんま

上弦陸
「名人(兄)色男(妹)」
理由
兄、取り立て相手が泣きながら往来で土下座したのにそれすら無視して取り立てたから(黒い金だけど)
妹、兄に似ていて一度話した時に凄く暖かかったから




蝴蝶の銃について
海外から玄弥の為に仕入れたのだが、肌に合わないからと鬼を足止めするのは難しいからと返された物。
一応説明するなら、1873年には既に回転式のは出来ているので別におかしくはない(言い訳)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鬼殺隊の日常!の巻

シリアスよりもギャグの方が良いですよね両さんは
そわな訳で短編集をどうぞ!


かまぼこ隊と両さん!の巻

 

ある日の事だった、炭治郎が鬼殺隊に入りやっと一人前と認められた前後の時。

仲間である嘴平伊之助、我妻善逸と三人で蝶屋敷に来ていた時だ。

 

「ん?おぉ、炭治郎じゃねぇか」 

 

「あ、両さん♪」

 

「なんだこの眉毛じじい?」

 

「ぎゃーーー!?!?!?眉毛の怪物!毛むくじゃらの鬼!?!?!?」

 

「五月蝿い!」

 

両津を見るなり悪い噂ばかり聞いていたせいか叫んでしまう善逸、それにゲンコツ一つ。

呆れた笑いを浮かべる炭治郎だが、どうしてここに居るかを訪ねた。

こう言うのはなんだが、両津がたかが風邪ごときに負ける筈は無いと知っているからだ。

 

「あぁ、なんか定期的な健康診断だとよ

ついてないぞまったく、今日は大事な賭場が開くってのに」

 

「あはは……流石両さん」

 

「おい眉毛じじい!俺と勝負しろ!」

 

「誰がじじいだ!

お前だってヘンテコな猪被ってるじゃねえか!」

 

「なんだと!!!」

 

伊之助と早速睨み合う両津。

その後二人は道場に行き、手合わせをするのだが他の隊士(一部柱)が見に来てどちらが勝つかと賭けられるのだった。

ちなみに勝敗については両津の勝利なのだが、木刀を捨てて看板で殴ったりそれで倒れた所に今度は竹刀で連打ととてもお見せ出来る物ではない。

 

 

 

 

 

 

 

無惨危機一髪!の巻

 

ある日の事、金柱である両津は任務を渡され一人とある町に来ていた。

大正浪漫とは良く言った物だ、人々は賑わい町が日を追う毎に発展していっている。

 

「相変わらずスゲェな此処は、毎日が祭りだ」

 

ちなみに両津の隊服は警察官の制服のままなので非常に目立っている。

まぁ、そのお陰であまり人とぶつからないのだが流石に人酔いしたのか裏路地に避難した。

そんな時、白い帽子を被った男とぶつかってしまう。

 

「わ、悪い」

 

「いえ……お気になさらずに……」

 

黒のジャケットにスラックスと、時代的に見ればかなりハイカラな格好の男。

だが顔色が非常に悪く、一応警察官(未来では)の両津は放って置けずについ肩を掴んでしまった。

 

「お前かなり顔色が悪いぞ」

 

「っ!」

 

この男の名は鬼無辻無惨、鬼の総大将にして鬼殺隊が最も憎んでいる鬼。

そんな男の嫌いな言葉は自身を否定するもの。

 

「私は完全な存在だ!」 

 

「な!?」

 

腕を刃物に変えて振り抜いた。

直撃した手応え、間違いなく死んだと思っていた。そう死んだと思っていたのだ。

並みの人間……いや、鬼殺隊の柱ですら間違いなく死亡する無惨の一撃。

 

「いってぇ!!!

テメエ何しやがる!!!」

 

「なんだと!?!?!?」

 

「その腕、テメエが目的の鬼だな!」

 

ちなみに答えを言うと違う。

両津が討伐するべき鬼はこの近辺の道に潜み夜道を歩いている子供を食べる鬼だ。

 

焦る無惨、だがすぐに心を落ち着け連打を行う。

全て両津に当たる、これなら例え最強と呼ばれる岩柱『悲鳴嶋行冥』だろうが、かつては最強と呼ばれた鳴柱『桑島慈悟朗』だろうと間違いなく死ぬ。

ただ一つ無惨の誤算を言うなら、相手を人間だと思った事だ。

 

両津勘吉と言う男は一度死んだ。

その時の事を掻い摘んで説明すると、地獄に行ったが不当な扱いに怒り閻魔大王を倒して地獄の頂点に立ちあまつさえ神の住居に戦争を仕掛けたのだ。

肉体の時点で生命体から駆け離れている以上、無惨は人間を相手にしているではなく自分と同じ異常な生命体を相手にしていると認識すべきだった。

 

「バシバシバシバシ痛ぇんだよ!!!」

 

「おが!?!?!?」

 

両津の怒りのゲンコツが当たるとフラフラになってしまう無惨。

そのまま足を掴みジャイアントスイングからの投げ飛ばし、そして馬乗りになって殴り続けた。

 

(な、何なんだコイツは!?!?!?

鬼を知っているって事は鬼殺隊だろうが何なんだよ!!!)

 

「この野郎!この野郎!この野郎!」

 

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃいいい!!!)

 

無惨は恐怖した。

この世に死なない男が居たのかとだ、そのせいか何時もと違う対応をしてしまった。

 

「こ、黒死牟!!!」

 

「ふんっ!」

 

「おがっ!?」

 

何処からともなく現れる六目の男。

上弦の壱、つまり鬼の中でも無惨の次に強いと言われている最悪の鬼だ。

それが両津のこめかみに刀を振るのだが手応えがおかしい。

 

(斬れないだと!?)

 

「いってぇ……まぁいい、鬼が二匹って事は産屋敷からボーナスたんまりだ!」

 

(ボーナス?)

 

(ボーナス……確か賞与の外来語呼びでしたか)

 

(そんな事はどうでもいい!!!

コイツの体はどうなってるんだ!)

 

(っ!?とても人間の物とは思えません

骨格からして違います、鬼でも人間でもない第三の生命体……かと)

 

(ば、化け物めぇ!!!)

 

更に援護に来たのは二体の鬼、一人は服装がかなり際どい格闘家の様な存在。

もう一人は反対にゴテゴテとした宗教の教祖の様な輩だ。

 

「猗窩座!童磨!」

 

「これは流石に不味いですよね」

 

「癪だが同意見だ」

 

上弦の弐童磨

そして上弦の参猗窩座

鬼の中でも最高位に位置する四人が相手となると普通の隊士なら絶望してどう生き残るか考えるところ。

だがこの怪物は違った。

 

「うっひょー!更にボーナスが来やがったぜ!」

 

(ふざけるな!

鬼の始祖に上弦三人を倒して貴様は幾ら手に入るんだ!それを渡してやるから見逃してくれ!)

 

(不味いな……縁壱並み、いや耐久だけで言えばそれ以上の怪物を相手にするのは……)

 

(流石にこれは……ねぇ、どう切り抜けるべきかな?)

 

(凄まじい気迫、無駄の無い体、手合わせしたいぞ!)

 

猗窩座以外は完全に勝ち目が薄いと知りどう切り抜けるかの方に考え方が変わっている。

 

(こうなったら)

 

「鳴女!!!」

 

「っ!?」

 

「頼むよ琵琶の君!」

 

「早くしてくれ!」

 

ベンベン、と琵琶の音が聞こえた瞬間に四人の姿が消えた。

まさに両津にとっては最悪の展開だ。

 

「わ、儂のボーナスがぁ!!!」

 

金柱両津勘吉最大の失態ッッッ!

目の前でボーナスを逃すと言う絶望ッッッ!

その後、件の鬼と遭遇したが察して欲しい。

 

 

 

 

獪岳と両さん!の巻

 

我妻善逸には一人兄弟子が居た。

名前は獪岳、自分と修行していた時は常に嫌味ばかり吐いてきた少し苦手な男だ。

 

ある日の事、かまぼこ隊の三人が蝶屋敷を歩いていると目の前に一人の隊士が。

件の男こと獪岳だ。

思わず身構えてしまう善逸、遇えば常に嫌味ばかりの奴だからこうなるのも無理はない。

 

「よう善逸」

 

「ひ、久しぶり」

 

「最終選別受かったんだな」

 

「う、うん」

 

どうせ何時もみたく「カスが運が良かっただけだ」とか「今回は簡単すぎたか」なんて嫌味が来ると身構えた。

 

「怪我はしなかったか……」

 

「え?」

 

「何でもねぇ」

 

小さい声だったが耳の良い善逸は確りと聞こえていた。

自分を心配した?あり得ないだってあの獪岳だよと。

理解が追い付かず唖然と歩いていく背を見るしか出来なかった善逸。

 

「凄く優しい匂いがする……いい兄弟子だな善逸」

 

「なんかほわほわする感じだ」

 

「え?あ、うん……」

 

嫌味ばかりの彼がどうしてこうなったのか、それは両津が金柱になって日の浅い時まで遡る。

当時の獪岳は餓えた獣と例えられる程何かを求めていた。

そして自分より少し後に入った両津が先に柱になり怒りも有った。

 

(何であんな奴が!)

 

「いてっ!?」

 

「あ、悪……金柱様……」

 

怒り下を向き歩いていた獪岳は柱になったばかりの両津にぶつかってしまった。

面倒だと思いすぐに去ろうとするが肩を掴まれ、ニヤニヤとした表情の両津に誘拐されてしまった。

 

そのまま連れてこられたのは一つの居酒屋。

そこで酒とつまみを注文して「ガハハ」なんて笑い声を挙げている。

 

「か、金柱様?」

 

「いや~君は運が良い!

何せ儂がチンチロで不死川と宇随から巻き上げた直後に会うなんてな!」

 

何なんだコイツ?

獪岳の頭はそんな言葉で埋め尽くされた。

柱は代々真面目に鬼を斬る者ばかり、余程で無い限りは酒なんて口にしないのに

更に博打まで、柱を侮辱してる行為だ。

 

「自分はこれから任務が有りますので」

 

「まぁまぁ、そこら辺は嫁にバレたく無い宇随にやらせようぜ

それより来たぜ」

 

目の前に置かれたのは一升瓶が八本、普通に一晩で飲むには多すぎる量だ。

 

「でだ、お前の悩みはなんだ?」

 

「っ!?」

 

「儂はこれでも人を見てきたんだぞ、お前みたいにやさグレてる奴ってのは大体悩みが有るんだよ」

 

「何の事でしょうか」

 

「無いなら飲め」

 

アルハラと言われ兼ねない責めを始める両津。

悩みが無いと言う度、どんどんと注いでいった、そして三本目に入ったところでベロンベロンになった獪岳が暴走を始めた。

 

「俺はね!強いよ!雷の呼吸って難しいの!

うちの師匠くらいしか全部使えないからね!

なのにあのクズは一の型しか使えないのにずっと師匠に構ってもらってさ!

俺は一以外全部使えるんだからな!」

 

「そりゃ酷い、ほれもっともっと」

 

「かぁ!

俺だってスゲェとか強ぇって言われてえんだよ!

鬼ぶったぎって師匠の鳴柱継いで俺は此処に居るって言いてえんだよ!

なんで善逸ばっかりなんだよぉ!!!」

 

とても見せられない状況なのだが、今まで黙して居ることが美学と言わんばかりの生き方だったせいか下手に言えない。

酒の力を借りてやっとだ。

 

「お前はスゲェよ」

 

「何処が!」

 

「だって儂は思った事何でも言って問題ばかり、盗みや左遷なんて数え切れないぞ

黙って耐えるなんてスゲェ事出来るお前が凄くない訳無い!」

 

「兄貴ぃ……」

 

「よーし、んじゃそのじじいに今からお前が凄いって言わせようぜ!」

 

「どうやって?」

 

顔を真っ赤にしてフラフラな二人は突然走り出すと衣服を脱ぎ捨ててある人物の元に。

そして一言貰った「お前は儂の誇りじゃ」

難しい雷の呼吸をこんなにも使いこなし、鬼殺隊に入り立身出世を望んでいる。

こんなにも頼もしい男は居ない。

 

それからの事だ。

あの夜に弾けたからか、隠していた物を伝えられたからか彼の表情は今までと変わり「柱は隊士を支える者」と考え、その甲斐も有り別人の様に変わった。

 

今までは他の隊士からは「組みたくない」や「近寄りたくない」から、逆に「鳴柱を継ぐのは彼だ」や「支えてあげたい」なんて好意的な意見が増えてきた程だ。

 

 

 

 

 

後日、町を褌一丁で走っていた男が出たと瓦版に出たことは言うまでもない。

 

「両津の馬鹿野郎は何処ですか!!!」

 

「な、何でも青いバラを探すとかで海外に行ったそうだ」

 

車に銃火器を積んだ蝴蝶と、それに驚き戸惑う岩柱が見れたのはこの日だけとか。




鬼滅署の不死川
外見はまんま実弥だが性格は非常に友好的
弟分の玄弥と真面目に勤務しているが両津と組むと始末書ばかり書いているのが問題
寝ている寺井を交番の前に座らせ、戸塚両津と三人で拳銃を構えさせたり迫力が無いからと刺青っぽい模様を描いたりと二人の悪友と言える存在
交番の前を通るとある女子高生に少しドキッとしてから自己嫌悪に陥ったりと、感情豊かな男
好きな物は刀剣類とおはぎで、女性署員の顔を傷付けた相手を殴った両津を謹慎にしたと聞いたときは葛飾署に刀を持って殴り込みに行こうとした程過激


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津が救世主!?の巻

見てくださる方、感想を書いてくださる方、皆様に御礼を申し上げます


ある日の事、両津は定期検診を受けて面倒そうに病室で酒を飲んでいた。

それを見てアワアワとしている蝶屋敷の三人娘ことキヨ、スミ、ナホ。

それを無視する蝴蝶と、なんか説明するのが面倒な状況だ。

 

「健康状態は良好です、ではさようなら」

 

「全く面倒な行事だな」

 

本当に面倒だ、蝴蝶としてはこの男と顔を合わせるのさえ嫌なのにだからだ。

両津が部屋から出た後、慌てて駆け込んでくる一人の少女。

名前は神崎アオイ、訳有って此処で世話になっている。

 

「師範!」

 

「どうしましたか?」

 

「血、血血!!!」

 

「血?」

 

自分は血なんか出てない、それにアオイもだ。

そこで何かを悟る蝴蝶。

 

「それはおめでたいですね、今晩はお赤飯にしましょう♪」

 

「違います!」

 

顔を赤くして否定する。

まぁ、いきなりそんなの言われたらこうなるのも無理はない。

 

「両津さんの血です!」

 

「はい?」

 

「兎に角見てください!」

 

アオイに急かされて顕微鏡を覗く蝴蝶。

動きこそ奇妙では有るがただ強い抗体、そうとしか思えない物だ。

 

「これが?」

 

「次に鬼の血を入れますよ」

 

「?」

 

ますます意味が解らない。

人間の血に鬼の血を入れればどうなるかは素人だって知っている事だ。

鬼の持つ菌、仮名を無惨菌としよう。

それを入れれば瞬く間に無惨菌に侵食されて血は鬼の物になってしまう。

 

「こ、これは!?」

 

「えぇ、これさえ有れば」

 

無惨菌を注入した直後、両津抗体が無惨菌を食い付くして綺麗な血に戻したのだ。

こんなのは見たことも聞いたことも無い。

 

「でもどうしてこんなことを?」

 

「前に両津さんが爆発する鬼を討伐したと言ってたんです

その鬼は自分を爆発させて付近の人間に血を与えて鬼を増やしてたんですが、血をガブガブと飲んだ両津さん『だけ』が鬼にならなかったと聞いて前から探ってました

唾液、尿、毛、あらゆる観点で見てみましたが全部人間を超えてます!」

 

「それって!?」

 

「……鬼ではありません

いえ、鬼になれない程に強い『何か』を持ってます

ですがもしこの抗体を確立出来れば鬼にされた人を元に戻せます!」

 

驚きの連続、もしこの両津抗体を使いこなせば『鬼』と言う驚異を完全に排除出来る。

しかし持っているのは現状両津一人、こうなったら奥の手を使うしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後、両津は産屋敷邸に呼ばれていた。

この三日間……いやこの一ヶ月賭場に行くくらいしかしてないので呼ばれる理由は無いのだがと本人は思っている。

遅れて登場する産屋敷。

何時もの笑みと穏やかな声色、そして側にいる五人の子供。

 

「あ、両さん♪」

 

「お久しぶりです両津さん」

 

「ようちび共、ちゃんと飯食ってるか」

 

「はい」

 

「勿論です」

 

産屋敷には五人の子供が居るが皆が皆両津を気に入ってるのだ。

面倒見が良くこうして立場を無視して気さくに気軽に話しかけてくれるのが両津だけだと言うのも大きな理由だ。

 

「遅れてすまないね両さん」

 

「気にするなって

江戸っ子は短気でも弱ってる奴に鞭を打ちゃしねえよ」

 

「ありがとう」

 

かく言う産屋敷も両津の事をかなり気に入っている。

良くも悪くも格式の高い家柄故に人々は畏怖し讃える、だが両津だけ違うからか居心地が良いのだ。

 

「実は輸血用の血が足りなくて、こうして個人的に頼みたいんだ」

 

「儂の血ぃ?別に良いけどよ何でこんな風に呼んだんだ?」

 

「それはこの子達と会わせたいからかな」

 

優しく、しかし悟られぬ様に穏やかな物腰で頼む産屋敷。

事実を知ればかなりの被害(主に金銭)が出てしまうからか、かなり緊張している。

 

「あ~……でも儂の血って何か凄い奴が入ってるからダメじゃねえか?」

 

「っ!?」

 

知ってたのか!それが真っ先に思い浮かんだ感想だった。

リョーツGPX、未来を救うために両津の遠い子孫が態々取りに来る程の究極の抗体。

だがこれは両津の体内でしか生きられなく、また出来たとしても子供にウォッカを飲ますような危険な行為と例えられる程凄まじい。

 

「……知ってたんだね」

 

「ん?あぁリョーツGPXか

そりゃ未来から弟のガキが取りに来たくらいだしな」

 

「?」

 

「此方の話し此方の話し」

 

「両さん……人間だと子供に酒を飲ます危険な行為だとして、もし鬼にしたらどうかな?」

 

「え?ん~……解らん」

 

そんな時に解説したのは右に髪飾りを着けた女の子『産屋敷ひなき』だ。

 

「両津さんの抗体は確かに強力ですがそれは人間が使ったらの話しです。人間よりも強い体を持つ鬼に使えばその問題点は無いと思います」

 

「なるほど!」

 

「それに両津さんの抗体は鬼を人間に戻せるかも知れません」

 

「そうなれば産屋敷の使命だけでなく、今後鬼に怯える事もなくなります」

 

「お願いです両さん!

どうか血を分けてください!」

 

字だけ見たら混乱してくるが、上からひなき、にちか、輝利哉の順だ。

子供に頼られるのは嬉しいがこんなにスピーカーの如く言われては流石に頭が痛くなってくる。

 

「解った、解ったから少し落ち着け」

 

「良いのかい両さん!

助かるよ……もし成功したら確実に一歩前進するよ」

 

「構わねぇよ、儂の体は人一倍頑丈なんでな」

 

ドンと胸を叩き任せろと言わんばかりに満面の笑みを浮かべる両津。

その後、産屋敷五兄妹とままごとをしたり食事をしたりと楽しい一日を過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩、産屋敷は床に伏せて一人ある事を考えていた。

 

(両さんと私達が出会ったのは偶然では無いかも知れない

この宿命に終止符を打つために神が使わした……ふふ私らしくないな

無惨、君の命は私と可愛い子供達で終わらせる!)

 

強い覚悟と決意を持ち日を待つのだった。




浅草の人
本名は寺井角尾
両津から「人生送りバントしそうな顔だな」と評価される程に無難な事しかしなさそうな男
リョーツGPXにより人間に戻るもイビキがうるさい等の二次災害に会っている






ちなみに書いてませんがこの後、珠世様達と会って愈史郎に嫌味を吐かれまくったり浅草の人を見て「人生送りバントばかりしてそうな顔だな」なんて言ったりととんでもない事ばかりしてました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と無限列車!(前編)の巻

それでは原作ブレイクを!
最初は心を燃やす人です


本日、両津と炎柱である煉獄杏寿郎、我妻善逸、竈門炭治郎、嘴平伊之助の五人はとある駅に来ていた。

無限列車に鬼が居る、そう報告を受けて五人は来た……のだが乗り過ごしてしまった。

 

「よもや!両さん!遅刻厳禁と言ったはずだ!」

 

「すまんすまん、鋼鐵塚達と新しい武器の打ち合わせしてたらつい燃えちまって」

 

「むぅ……しかしこれでは被害が増えてしまうぞ」

 

「そこら辺は抜かり無いぞ、見ろ!」

 

そう言って自慢気に近くに有った大きな箱を開けると座席が四つのかなりクラシックな車。

これで無限列車に追い付こうと言うのだから頭がおかしい。

それにいくら資格を沢山持っている両津でも大正時代の免許は持っていないし、それに鬼殺隊士は基本的に隠以外はそう言った資格を持つ必要が無いので誰も運転出来ないのだ。

 

「でも両さん、これ誰が動かすんですか?流石に今から隠の人を呼んでも時間が」

 

「我妻、お前がやれ」

 

「何で!?」

 

「ほらお前の何とかの呼吸って速いだろ、だからなんとかなる!」

 

警察官らしからぬ発言だが、実際両津の周りは資格云々以前の問題ばかり起こすので気にならないのだろう。

後ろに杏寿郎、炭治郎、両津

助手席に伊之助が乗り、泣きながら運転席に座る善逸。

 

「うぅうううぅぅぅ……酷いよこの毛むくじゃらの鬼……無駄毛柱……」 

 

「さっさとしろ!」

 

両津にゲンコツされ泣く泣くハンドルを握る善逸。

次の瞬間、いきなり気配が変わるのだった。

 

「行くぜ煉獄の旦那達!振り落とされんなよ!」

 

「善逸!?」

 

「我妻少年!?」

 

「紋逸!?」

 

いきなり性格が変わるなりアクセル全開。

凄まじい勢いで駆け出した車。

しかもこの車は鬼殺隊用に両津と刀冶師の里の皆で改造に改造を重ねた代物だ。

両津の持つ未来の知識と鍛冶師達の練鉄技術により外見こそクラシックでは有るが中身は最高品とチグハグな作りだ。

 

時速は既に百キロを超え、なんと無限列車の最後尾が見えてきていた。

こんなにチグハグな車で事故を起こしていないのは善逸のレーサーとしての才能が高いからかもしれない。

 

「我妻の奴、まるで本田みたいだな」

 

「本田?あぁ両さんの言ってた後輩か

その男も我妻少年みたいなのか?」

 

「おう、ハンドルを握ると弱気な態度が消えてスゲエ運転するんだよ」

 

「なら普段から善逸にはんどるを握らせて戦わせますか?」

 

「いいなそれ!」

 

「ならよ紋逸の武器にあの丸いの付けるか?」

 

それを聞くと何かを思い出して吹き出してしまう両津。

 

「久留間署の泊みてえだ」

 

「両さんの交遊幅は広いな!」

 

「当たり前ぇよ、警視庁一顔の広い男が儂だからな」

 

「無駄話はそれまでだぜ両津の旦那!

とっととあのゴキブリ列車に乗り込んでくれ!」

 

両津はまっ金々の日輪刀(チャンバラ棒)を取り出すと全力で跳躍し、ドアに思いっきり叩き付けて破壊、中に侵入した。

それに続く杏寿郎と伊之助、それを見て「世界広しと言ってもこんな乗車するのは両さんだけだ」と呟くのだった。

 

「おら、炭治郎も早くしやがれ」

 

「解った」

 

乗り込んだのを確認すると更に加速して離れていく善逸。

 

「ちょ!?善逸!?」

 

「雷鳴号を置いたら合流するぜ!」

 

「あれ、両津ビッグバンなんだが」

 

「まぁいいじゃないか!それほど気に入ってるのだろう!」

 

鬼を探すため中の散策を始めるとすぐに異変に気付いた。

皆が寝ているのだ。

あまりにも不気味な光景だからか、異常に目立つ。

 

「むぅ、これはどう見るべきか」

 

「多分鬼の技だな」

 

「そうなのかマユ毛じじい?」

 

「うむ、鬼の術ってのは直接攻撃か間接攻撃かに解れていてなだいたい間接攻撃する奴ってのは自分のテリトリーを持ってる物だ」

 

「流石両さんだ!一年で百体討伐しただけはあるな!」

 

両津勘吉の凄い所の一つは、金が絡むと脳が異常に動き頭の回転が凄まじくなるのだ。

一説によれば東大に余裕で合格出来る程らしい。

そんな両津の才能を見切ったからか産屋敷は「鬼の強さや能力に応じて討伐賞与を与える」と言ったのだ。

その甲斐もあり鬼の能力の把握や特徴、癖や趣向などを大まかに纏める事に成功したのだ。

 

直接攻撃か間接攻撃かと言うのは攻撃の種類であり、かつて炭治郎が遭遇した毬を使う鬼や両津の遭遇した上弦の壱は直接攻撃。

炭治郎が遭遇した鼓の鬼は間接である。

 

恐らく今回の鬼は眠らせる事で乗客や探りに来た隊士を無力化し、何かしらの方法で殺害ないし補食していると睨んだのだ。

先に言うとその答えは正解だ。

 

「あれぇ、何で寝てないの?」

 

この鬼こそ無限列車事件の犯人である下弦の壱『魘夢』だ。

中性的な顔付きに中性的な体つき、そして首まで伸ばした髪のせいで性別の判別は難しいが声からして男だろう。

 

「やいやいやい鬼野郎!テメエはこの両津勘吉様が退治してやる!」

 

「こんな鬼殺隊士居たんだ~」

 

挑発的な態度に怒りを覚えチャンバラ棒を構える両津、それを見て両津の成績を知り唖然としていた伊之助と炭治郎も構えるのだが煉獄だけは構えなかった。

 

(おかしい、両さんの言葉を信じるならこの鬼が我々の潜入に気付かない筈がない

それに態々姿を晒す何て愚行はしないはず……まさか!?)

 

「おらぁ!金の呼吸何の型か忘れたが儂のフルスイング!」

 

「ダメだ両さん!コイツに攻撃しても無駄だ!」

 

「何?」

 

「っ!?」

 

「広範囲で使える血鬼術、領地内にも関わらず見せる姿、そして鬼殺隊士にすら気付かせずに消す術

コイツの本体は此処だ!

炎の呼吸弐ノ型『昇り炎天』!」

 

日輪刀を抜くなり屋根を切り付ける杏寿郎。

それを忌々しそうな顔で見てくる魘夢と、彼の考えが正解だと教えてくれる。

 

「どういう事だ?」

 

「つまり目の前に居る奴は奴であって奴ではない、本物はこの無限列車その物だ!」

 

「そ、そんなこと知って何になるのかな?」

 

「我々は人質を既にとられていた!」

 

「なにぃ!?」

 

乗客二百名、それが全て人質となると動くに動けない物だ。

悔しそうに歯噛みする両津達。

どうやってこの窮地を乗り切るのだろうか!




我妻善逸
両さん曰く「本田のご先祖なんじゃねえのか?」なんてリアルで驚く程の二重人格
原作の善逸と違う?両さんと関わって原型を保てるなんて水一門かお館様くらいですよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と無限列車!(中編)の巻

そろそろ締めに向かわないと…


四人の鬼殺隊士対一体の鬼。

人質さえ居なければ問題無いはずなのに今は動けない。

この中では頭の有る杏寿郎が何か策を考えるがどうしても一手届かないのだ。

 

両津の行動力は確かに凄いがそれはあくまでも個人としてで完結してしまう。

恐らくこの瞬間にも魘夢は何かをしている、歯痒い思いにより歯軋りしてしまう面々。

 

その直後、無限列車が大きく揺れた。

四人は魘夢が何かしたのかと思い体制をすぐに整えるも本人が途轍もなく動揺していた。

 

「な、何なんだあれは!?」

 

「今だぁ!」

 

両津が目の前の魘夢を殴り飛ばすと、これ幸いと杏寿郎が指示を飛ばした。

 

「乗客が無事なのを見たところ恐らく奴はあの分裂体を使って補食しているだろう!

列車の後ろ半分は俺が、前半分は両さんが見る!

二人は鬼の頸を発見、切断せよ!」

 

「はい!」

 

「おう!」

 

「仕方無い、儂も柱らしく天誅してやろうと思ったのに」

 

「なら任せてくれ兄貴!」

 

そう言って壊れたドアから侵入してきたのは一人の鬼殺隊士、その名は……

 

「か、獪岳!?」

 

「兄貴が彼奴を鍛えてくれたんだろ?」

 

獪岳の指差した先には車で親指を立てている善逸の姿。

その手には対鬼用に作られた爆弾が握られており、先の揺れはコイツの仕業だと思われる。

 

「両津の旦那!獪岳の兄貴!野郎にたらふく爆弾食わせてやってる隙に斬ってくれよ!」

 

「あの臆病で弱虫で逃げ腰な善逸が兄貴に関わったらこんなに勇敢になったんだ

兄弟子として礼を」

 

「気持ちは嬉しいが相手は下弦?画面?の鬼だぞ」

 

「見ててくれ兄貴」

 

あらゆる所から出てくる敵に対し、善逸と同じ呼吸音を響かせて日輪刀を抜いた。

その所作には気品と誇りを感じる、今までの彼とは違う『何か』を感じた。

 

「雷の呼吸弐ノ型『稲魂』」

 

素早く半円形に振り抜かれる刀。

その姿を見て杏寿郎は驚きを隠せなかった。

 

(あ、あれが『本当』の雷の呼吸!?

まさに稲妻が如し速さ、ギリギリ見えた程度だぞ!)

 

「凄ぇじゃねえか獪岳、これなら安心して行けるぜ」

 

「へへ、こんなになれたのは兄貴のお陰だ

それより善逸が時間を稼いでる内に頼むぜ」

 

沸いて出てくる鬼を稲妻の速さで切り裂き、エールを送る獪岳。

速さを持つ雷の呼吸の使い手が居るだけでこんなにも戦いやすくなるなんて。

炭治郎は礼を言いすぐに魘夢が居そうな場所を探すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで両さん、何処を探しますか?」

 

「大体この手の輩は一番前に居るのが鉄板なんだよ」

 

「そうなのかマユ毛じじい?」

 

「おう!」

 

走っている最中に出てくる鬼を殴り飛ばす両津と、柱が居るからか安心して話をする炭治郎。

本来は強い鬼のはずなのに……

 

「見えました!彼処が先頭です」

 

「よっしゃあ!」

 

粉砕して中に入るなり大量の鬼で早速歓迎してくれる。

だが、まぁ……良くも悪くも実力だけは凄い隊士三人(内一人は柱)相手では分が悪すぎる。

 

「儂はもぐらたたきが得意なんだよ!」

 

出てくるなり殴り飛ばされてしまい何の為に出しているのか解らなくなってくる魘夢。

 

(あぁそうかこれは夢なんだ、うんうん夢だ夢

こんなあり得ない鬼狩りなんて……なんて……無惨様の言ってた奴じゃないか!?)

 

思い出すのは無惨がたまに開くパワハラ会議。

内容は実りが全く無いただのストレス解消の為の物だが、ある日を境にそのパワハラが無くなりまるで労るかの様になったのだ。

 

時は数ヶ月前。

一部の鬼は嫌々ながらに会議に参加した。

そこには下弦の鬼だけでなく上弦の鬼まで居り、ある鬼は何故同時にと疑問を抱いた。

 

基本的に鬼の会議は上弦と下弦は別々に行い、無惨の呪いによる同士討ちを防いでいたのにだ。

 

「お前達、生きているな」

 

まさか無惨の第一声がこれかと下弦の鬼達は驚くも上弦の鬼は別に驚いては居ない。

そのまま平和に続く会議、あまりにも不気味な光景だが相手が無惨なので誰一人として理由を聞く事が出来なかった。

会議後、ある下弦の鬼が上弦の弐から聞いた話しを書いていこう。

 

無惨のパワハラ会議は両津に会った後も続いたのだが、何故かパワハラ会議をする度に両津に遭遇してしまい命からがらの逃亡を繰り返した。

そして件のパワハラ鎮静前日、またもや両津と遭遇してしまい最後の手段である爆発四散しての逃亡をしたのだが、驚くことに破片の七割を破壊してきたのだ。

これによりかつてのトラウマ、はじまりの呼吸の剣士を思い出し無惨の中では「パワハラ会議をする度に奴並の怪物と遭遇する」と言うジンクスが出来てしまったのだ。

 

その後の無惨はまさに別人と呼べる位に部下を労り安全第一に動く様になった。

もっとも、それにより違うトラウマを思い出した鬼も居たがそれは別の話し。

 

その後、件の鬼殺隊士の容姿を聞き今こうして遭遇していると理解した魘夢。

気付けば自ら頸を差し出していた。

 

「っ!?

水の呼吸俉ノ型『干天の慈雨』」

 

「あぁ……暖かい……」

 

炭治郎が何かを察し刀を振った。

干天の慈雨、それは水の呼吸……いや数ある呼吸の中で唯一鬼を苦しめずに安らかに斬る技。

鬼自ら頸を差し出して来た時だけに使う慈しみの技だ。

 

その直後、突然無限列車が脱線してしまい線路から投げ出されてしまった。

あわてて乗客を救い出したのも束の間、目の前にはぐしゃぐしゃになった線路が一つ。

 

「な、何じゃこりゃ!?」

 

「すまねえ両津の旦那、調子に乗りすぎて線路まで爆破しちまったぜ!」

 

笑いながら車で近付いてくる善逸にゲンコツを一つ、それによりハンドルから手を離した善逸は何時も通りの臆病に戻ってしまった。

 

「や、やっぱりコイツ本田のご先祖だろ」

 

「いやはや、竈門少年、我妻少年、嘴平少年、両さん、獪岳隊士、五人のお陰でこうして皆が五体満足で帰還出来ることを嬉しく思うぞ!」

 

「炎柱様……」

 

「煉獄さん」

 

「─────」

 

「煉獄」

 

「ぎょろぎょろ目玉」

 

感動して声が出ないと思っていた杏寿郎だが、皆が後ろを指差しているので振り向いてみた。

そこには寂しそうにポツンと立っている上弦の参。

手には『ずっと待ってました』のプラカードだ。

一応説明するなら、列車が線路から外れて善逸が来たと同時に参上したのだが善逸の濃さに負けてしまい気付かれなかったのだ。

 

「あ、すまない」

 

「……」

 

「ほら、今度酒奢ってやるからさ機嫌直してくれよ」

 

「酒より戦いたい……」

 

凄く微妙な空気になってしまい敵の前のはずなのに互いに気を遣い有ってしまう。

果たしてこれからどうなるのだろうか。




獪岳合流の訳
善逸が雷鳴号を置こうとしたところ、たまたま別任務からの帰りを発見
その後、あまりの姿の変わりように感動して二つ返事で参加したとさ




どうしよう、猗窩座さんをカッコよく登場させるかふざけるか悩んでこち亀ならふざけるだろでやったらこうなっちゃった…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と無限列車!(後編)の巻

石田さん言うと自分はエド・フェニックスですかね
なんか印象が強すぎて他のが書き消されてしまってw


「皆~大丈夫だった?」

 

「うむ!皆五体満足で無事だ!」

 

横転した無限列車の影から走ってくる善逸。

そして元気に返事をする杏寿郎、満足そうな笑みを浮かべる他の四人と戦闘後の穏やかな時間が流れていた。

だが、そんな平和も一瞬で消し飛ばす衝撃波。

 

「俺は上弦の参『猗窩座』、俺と戦え」

 

「……満足したか?」

 

「うん」

 

何があったかと言うと、流石に不憫に思ったのか皆で話し合った結果華麗に再登場させるに決まったのだ。

これに満足そうな表情の猗窩座と茶番に付き合わされて疲れた顔の両津。

 

「ところで戦士の男、名前は?」

 

「両津勘吉だ」

 

「そうかならば勘吉、鬼になれ

鬼になって研鑽を積み俺と戦い続けよう!」

 

突然の勧誘に驚く皆。

突然現れてポツンとボッチになってその上で何故か両津の勧誘なのだから仕方無い。

 

「断る!儂は儂のやりたい事だけやる!」

 

「そうか、ならその気にさせてやる!」

 

素早い踏み込みに鋭い拳の連打、一応武道は噛っている両津はその一撃一撃が素人では無いと見抜いた。

 

(元々は格闘家だったんだろうな、こんなに凄ぇのに無惨に鬼にされるなんてよ)

 

「反撃しないのか勘吉!!!」

 

「ギャーギャーうるせぇ!!!」

 

一撃をチャンバラ棒で防ぎ二撃目が来る僅かな合間に頭突きをした。

久し振りの肉体攻撃による痛み、猗窩座はそれを味わい更に笑みを深める。

 

「流石だな、鬼相手に肉弾戦を挑む猛者はお前くらいだ!」

 

「はぁ?」

 

「兄貴、鬼は頸を斬らなきゃ死なないから打撃は殆ど使われないんだ!」

 

「成る程、納得納得」

 

一人勝手に納得しながらも猗窩座の猛攻をしのぐ。

鬼だから強いんじゃない、元が強いからこうなったのだ。

 

「楽しませてくれ勘吉!

破壊殺・羅針!」

 

「ぬぉ!?」

 

足下に雪の結晶を模した謎の陣が現れると猗窩座の気配が変わった。

これで決めるつもりだ、そう思うと両津を除いた隊士が即座に動き出す。

 

「総員、乗客の保護を急げ!」

 

「おう!」

 

「解りました!」

 

両津は死なない、そう信じているからこそ二次災害による乗客の死を防ぐために動き出す面々。

こうなったら覚悟を決める、両津は大きく息を吸い「ぶふぅぅぅぅ」なんて情けない音を出してチャンバラ棒を構える。

 

「いい闘気だ勘吉!」

 

「うるさいぞお前!!!」

 

「破壊殺・滅式!」

 

「ぬおおおおおお!!!

儂の呼吸何とかの型ぁ!!!」

 

激しくぶつかる二つの影。

猗窩座の手応えは固い何かを殴ったと言う感触に襲われる。

おかしい、人の肉を貫く感覚ではない、だからか手元を見てしまった。

 

「ぐっふっふっふっ、お前よりも儂は悪知恵が有るんだよ!」

 

「な、何だと!?」

 

猗窩座の拳を止めていたのは先まで大きく振り上げていたチャンバラ棒だ。

 

両津が大きく振り上げていたのはフェイクで、ぶつかる瞬間に自身の急所に当てて猗窩座の一撃が来ると読み防いだのだ。

人間を超えた化け物の握力、そして人間では到底たどり着けない一撃を受けたチャンバラ棒は赤く燃えて、その輝きは太陽の如くなった。

 

「ぬおぉりゃぁ!!!」

 

「ぐっ!?」

 

今まで鬼殺隊士……いや、柱を何人も葬ってきた猗窩座だからこそ解る違和感が有った。

この一撃がおかしい。

 

「お前にはたっぷりと礼をしてやるぞ!!!」

 

「流石だ勘吉!

お前こそ鬼になって─────あがぁ!?!?!?」

 

突然苦しみだす猗窩座。

あまりの急な展開にさしもの両津さえも驚いて追撃を止めてしまった。

 

「お、おい?」

 

「まさか兄貴の血を?」

 

「儂の血?……あぁ!?リョーツGPXか!」

 

破壊殺・滅式の前の攻防、両津は防いだとは言えカスって血が出てしまっていた。

猗窩座はその血を意図せず飲んでしまい、今のように踠いているのだ。

まさかこんなことになるなんて、両津はあまりの変化につい考えてしまう。

 

「ぐ……あぁ!?きっ……あっ!?」

 

「むぅ、これなら儂の血って売れるかもな

ちょっと産屋敷に相談してみるか」

 

「両さん!今なら……」

 

「か、勘吉……この勝負は預けるぞ!!!」

 

喉を抑え苦しみながら嬉しそうに飛び去っていく猗窩座。

あまりの展開の早さに唖然とする面々と悔しそうな杏寿郎、そしてもしかしたら商売になるかもと思い真っ赤なチャンバラ棒を投げ捨てて自分の烏を呼び寄せる両津。

最早理解が出来ない状況だ。

 

「てな訳で、産屋敷に上弦の参は取り逃がしたけど対抗策が見つかったって伝えてくれ」

 

「オーワカッタ、カンキチハバカダッテツタエルゼ」

 

「このアホ烏!!!」

 

「アーバヨアホー!」

 

烏とさえ喧嘩する姿に苦笑いを浮かべるのだが、此処で問題が一つ。

善逸の雷鳴号に乗った赤く燃えたチャンバラ棒、そして近くには無限列車。

もう解るだろう。

それでは皆さんご一緒に。

 

「あ、あにぎぃ!?!?!?」

 

「ぬぎゃー!!!!!!!」

 

ドッカーン。

雷鳴号のガソリンに引火した炎は瞬く間に燃え、無限列車を激しく燃やして爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう両さん、これで無惨に対抗する術が出来たよ」

 

「流石両さんだ!これで鬼殺隊がまた一つ強くなったな!」

 

蝶屋敷のベッドに並ぶのは五人の男。

煉獄杏寿郎、我妻善逸、竈門炭治郎、嘴平伊之助、そして両津勘吉。

それの見舞い兼死刑執行人は産屋敷。

 

「くそぅ、結局儂の損かよ」

 

「そうそう、無限列車の修繕費は両さんの給金から引いておくね♪」

 

「もう列車なんてこりごりだ!!!」

 

「両さん、リンゴの皮が向けましたよ♪」

 




最後のセリフ
煉獄さんの可愛い弟こと千寿郎君です
ちなみに煉獄家の呼び方の違いを台本書きで書くと
杏寿郎「両さん!」
千寿郎「両さん♪」
槇寿郎「両さん」
こんな感じです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鬼殺隊の過ごし方!の巻

真面目(?)の後はふざけないと


炭治郎の一日!の巻

 

無限列車での怪我が治り、任務に復帰したかまぼこ隊の面々は予定が有るからと帰路の途中で分かれるのだった。

あの一件以来、善逸が驚くべき程に変化して嬉しそうな炭治郎。

 

今回は怪我は特にしていないが、爆発の一件を重く見ている産屋敷の計らいで当分の間は任務後は蝶屋敷で検査を受けるように言われている。

そして検査が終わると町に出て食材や細かい道具の調達へと向かった。

 

「ん?おぉ炭治郎じゃねえか」

 

「おぉ炭治郎君、元気にしてたか?爆発に巻き込まれたって聞いたから結構心配したぞ」

 

「両さん、槇寿郎さんおはようございます」

 

「おぅおはようさん

まぁ儂等はこれからお休みだがな」

 

また朝まで飲んでたのか、誰でも解るくらいに酒の臭いをプンプンと漂わせる二人に少し呆れるがいつも通りだからと細かくは突っ込まない。

 

「ところで炭治郎、お前も飲みに行くか?」

 

「それは良いな!柱二人で鍛えてやろう!」

 

「はは……」

 

煉獄槇寿郎は元炎柱であり、今では立派な育手として精力的に活動している。

その太刀筋、教え方から育手の中でもかなり人気であり現鬼殺隊の戦力向上に一役買っている。

ちなみに鬼殺隊の中で一番使い手の多い呼吸は炭治郎や義勇の使う水の呼吸でその次に多いのが炎となっている。

逆に少ないのは行冥が使う岩の呼吸と善逸の使う雷の呼吸だ。

 

少し話をするなら呼吸にはそれぞれ特長があり、炎と水は剣技を重く扱う後天的な物。

逆に雷と岩は身体能力を重く扱う先天的な物。

岩の呼吸は行冥の様に腕力と身長が有り初めて真価を、雷の呼吸は善逸の様な瞬発力が有り初めて真価を発揮する。

これが使い手が大きく分かれる理由だ。

 

金の呼吸?あれは両津だから使えるだけで一般鬼殺隊士が使えば全身が変になる事だって起こり得る。

てか起きた、ちなみになったのは行冥。

 

「すいません、これから用事が有るので今度ご一緒します」

 

「む、なら仕方無いか」

 

「よしなら景気付けにもう一件行こうか両さん!」

 

「おう!」

 

肩を組みガハハと笑いながら去っていく二人の背を見て、自分はああならないと固く誓う炭治郎。

町を歩き日々発展していく姿を目に焼き付ける。

守るべき人を見て鬼を斬る活力へと変える炭治郎なりの奮起の仕方だ。

 

「此処のパンケーキ、スッゴク美味しいの♪」

 

「そうか、楽しみだ」

 

(い、伊黒さんと甘露寺さん!?

これ両さんの言ってたでぇとって物じゃ…邪魔しちゃ悪いよね)

 

人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に墜ちろ、そう昔言われたのを思い出し声をかけるのを耐えた。

長男だから耐えられたがもし次男だったら声をかけていたと炭治郎は変な事を考えていた。

 

(この気配……鬼を連れた彼奴か……甘露寺との時間を邪魔しない為に気を利かせたのか……少し評価してやる)

 

気配を殺しその場からゆっくりと立ち去るが流石柱か、炭治郎の存在を即座に見抜いた。

まぁ、気を利かせたからか少し評価が上がったのは予想外ではあるが。

何気ない平和な過ごし方、これこそが炭治郎流の過ごし方だった。

 

 

 

 

両津式オークション!の巻

 

ある晴れた日の夜中、ほっかむりを被った男女がある屋敷に入っていった。

門には屈強な男が二人、見るからに怪しさが満点だ。

 

「合言葉は?」

 

「藤の花は散った」

 

「通れ」

 

黒髪の男性こと村田が謎の言葉を伝えると門の中に。

今日は月に数度開かれる金屋敷でのオークションで、出品者も購入者も皆鬼殺隊士だ。

 

このオークションは両津が違法で手に入れた物だけでなく、隊士が自ら売りたいと望んだものも売る会場。

鬼殺隊の給料は悪くは無いが下に行けばその分カツカツになりやすく、一部の隊士は自ら物を売るのだ。

 

道場らしき場所では所狭しと人が並び、黒のスーツに片眼鏡と怪しさしか無い両津が人前に出てきた。

 

「レディースエーンドジェントルマン!

今日は月に数回の両津式オークションの日だ!

金の蓄えは十分か?答えは聞かん!買いたきゃ買え!」

 

「「「「おぉぉぉ!!!」」」」

 

「最初の品はこいつだ!」

 

そう言って両津が取り出したのは何の変哲もない鬼殺隊の制服だ。

何なんだそれは?誰もがそう思った時、とある女性隊士が目敏く気づくのだった。

 

「その襟に着いた長い黒髪、ほんのり香るこれは……まさか!?」

 

「そう、冨岡義勇の着古した隊服だ!

先ずは五十円からだ!」

 

この時代の五十円は現代の貨幣価値にして約七万六千円だ。

おいそれと出せる金額では無いのにどんどんと価格が上がっていく義勇の制服。

最終的には先の女性隊士が百八円で購入したのだった。

 

「それじゃ次はこいつだ!」

 

そう言って取り出した瞬間、とある人物が手を挙げた。

伊黒小芭内、蛇柱であり甘露寺ガチ勢や彼氏面柱としてオークションで名を馳せている男だ。

 

「三百円」

 

「商品聞かないの?」

 

「手の動き、取り出し方、溜め方、全てから見て甘露寺関係だ

動きが小さいから小物だろうが甘露寺は小物をあまり着けない、つまり此処限定の商品だ」

 

「お、おぅ……甘露寺に無理言って作ってもらった缶詰だ」

 

限界オタクなんて呼ばれそうな程に目が血走っている小芭内。

甘露寺手作りの缶詰となるとたった三百円で良いのかなんて思うのだが、普通に考えて高すぎるだろ。

現代にして五十万近くをポンと出してるのだ、こう言えばどれだけおかしいか解るだろう。

 

「次は~」 

 

「二百円だ」

 

「説明させろ!」

 

「ふざけるな!甘露寺の物を大衆の目に晒させる位なら出す前に俺が買う!」

 

そう言いきった時、小芭内は違和感を覚えた。

伊黒小芭内は人を信じない柱、とは言え柱としての自覚や責務等立場に応じた考えや信念を持っている人物は信用する。

だからか義勇や炭治郎の様に鬼狩りとして、また柱としての覚悟や考えが薄い者を毛嫌いしてしまう。

それは両津も同じだ。

柱の癖に柱としての自覚が薄く、人を導く立場とは到底思えない行動。

 

そんな小芭内だが両津の『商売人』としての考えや行動は尊敬に値すると思っている。

オークションで甘露寺グッズを出せば必ず小芭内が高値で買う、それが確定している中で何故序盤から?

その答えが出た時、小芭内は激しい後悔に襲われるのだった。

 

オークションは淡々と進み、終盤に差し掛かった。

此処までで高く売れたのはやはり序盤に出した甘露寺グッズ。

そんな時に両津は嫌らしい笑みを浮かべて最後の商品説明を始めるのだった。

 

「儂の知り合いからの話なんだが、最近は人をモチーフにした物が人気なんだそうだ」

 

「っ!?」

 

やられた、まさかこの為だけに敢えて甘露寺グッズを前に持ってきたのか。

両津が取り出したのは柱全員分の時計だ。

小芭内の視線は両津の右から三番目、ピンクゴールドがメインで端は緑のハートやお菓子の模様があしらわれた懐中時計だ。

 

(流石だ…今回は俺の敗けだ…)

 

「先ずは富岡モデルだ!五十円から!」

 

美しい水色と波紋の様に揺らぐ模様。

秒針は鮭を、上のゼンマイは大根の形にしている辺りに遊び心を感じられる作りだ。

 

両津と言う男はこんな外見だが非常に手先が器用で、この懐中時計は全て手作り。

しかもそこら辺で買ったボロパーツを磨いて組み立てたので値段は二束三文。

それをこんなボッタクリ価格で販売するも、娯楽の少ない鬼殺隊士にとってはこれすらも極上の憩い。

まさに左扇子状態と言えよう。

 

結局小芭内は自身と甘露寺を模した懐中時計を購入、蛇柱はサバイバル生活を余儀無くされるのだった。




今回は短いですが此処まで
本当は雷兄弟が仲良くじいちゃんを訪ねて嬉しそうに泣く話とか、義勇が笑顔で狭霧山に帰って鱗滝さんが安心する話も入れたかったのですが、それを入れると更新が遅くなってしまうので生存報告がてらこれにて投稿させていただきます



次回予告
産屋敷の奴が隊士全員の帳簿を儂に預けるだと!?
しかも一日隊士達に捕まらなければここの金額を自由に書き換えて良いだと!?
これは絶対に負けられん!
次回、鬼殺隊賞与争奪戦!の巻
絶対に見てくれよな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鬼殺隊賞与争奪戦!の巻

毎度お馴染みのボーナス争奪戦です


「クソ!宇随の奴まるでボルボのご先祖じゃねぇか」

 

「逃がさねぇぜ両さん!」

 

有る晴れた日、両津は私服に着替えた宇随…いや宇随だけではない。

私服の鬼殺隊士全員と追い駆けっこをしていた。

元忍の宇随は縦横無尽に駆け回り三人の嫁と共に逃げ道を塞いで捕まえようとするのだが流石ゴキブリゴリラ両津、僅かな隙間や壁を破壊して違う方へと逃げていく。

 

どうしてこうなったのか、それは産屋敷の一言が始まりだった。

柱合会議で何時も通りの報告を終え早く帰り先日知り合った老人と飲もうとしていたところ、変な話が突然始まったのだ。

 

「最近、鬼の活動が大人しい

もしかしたら良くない事が起きる前兆かも知れないね

此処で現柱と元柱が隊士を鍛える柱合訓練をしてみたいんだけど良いかな?」

 

産屋敷の言う通り最近の鬼の活動は異常に大人しくなっており、鬼殺隊は一部を除いて地力の更なる底上げをするべきと考えたのだ。

一部の柱は難色を示すも、確かに慎寿郎が戻って来ただけで目に見えて変化しているので一概に却下出来ない。

 

全員が無言で納得すると産屋敷は微笑み、輝利哉にある帳簿を持ってこさせ両津に手渡した。

 

「なんだこれ?」

 

「皆の賞与の帳簿だよ

明日一日それを守り抜いたら両さんの好きな数字を書き込んでいいよ

その通りに皆に賞与を渡そう」

 

「な、なんだと!?」

 

ざわめく柱達。

両津に自由に書かせたらそれこそ産屋敷邸の崩壊だって有り得る。

それに両津と仲の悪い人物(胡蝶等)は一銭や一匁とか変な数字を書き込むかも知れない。

逆に蝶屋敷の子供達にとんでもない金額を書き込むかも知れない、つまりどう転んでもマイナスにしかならないのだ。

 

「それと時計を」

 

「む、何故だ?」

 

「流石に時間が解らないと両さんも苦しいでしょ、その為の物だよ」

 

産屋敷が手渡したのは高級な作りの懐中時計だ。

両津はこの時代なら盗聴器や発信器が無いからと無防備に受け取り、それを首にぶら下げた。

 

そして日付が変わると同時に始まる鬼殺隊賞与争奪戦。

最初はなんかサイコロステーキになりそうな男が襲って来たのだが背負い投げで一蹴、間髪入れずに前田や一部鍛冶士が普段の怨みを込めて襲って来るのだが流石柱か、相手にすらならなかった。

 

その事を知り、手合わせしたいと若い頃の闘争心が甦った鱗滝と桑島に一時間近く襲われたり、滅多に無い機会だからと慎寿郎が門弟達を連れて挑んできたのだ。

 

「流石両さんだ!」

 

「煉獄の親父、流石にやりすぎだろ!」

 

「両さん相手に手加減は無用!

これが炎の呼吸奥義、玖の型『煉獄』!」

 

両津相手だからか慎寿郎は容赦なく奥義を放ち、門弟達に進むべき道を示す。

かつては柱として生き、衰えたとは言え技量だけで言えば現柱よりも上の男。

本気の一撃が両津のチャンバラ棒と激しくぶつかると日輪の如く真っ赤に燃えた。

 

「こ、これは!?」

 

「前座だか銀座の奴との時も起きたまっかっか剣じゃねえか」

 

はじまりの剣士が持っていたと言われる赫刀。

そこで何かを悟ると剣を納めて笑い、何か吹っ切れた様に寝転がった。

 

「黒刀の鬼殺隊士は早死にする、この赫刀、そしてはじまりの呼吸

両さんのお陰で全部繋がった」

 

「?」

 

「これは御館様に早く報告しなくてはな!

ではこれにて失礼!」

 

帳簿を奪う、そんな役目すら忘れて駆け出した慎寿郎。

それを見て訳が解らないととんでもない顔をしてる両津と、追いかける門弟達。

まるで嵐の様な男だ。

 

「雷の呼吸壱の型『霹靂一閃』」

 

「ぬぉ!?」

 

「雷の呼吸伍の型『熱界雷』」

 

油断した瞬間善逸の超高速の居合いが来てそれをチャンバラ棒で防ぐのだが、その背後から獪岳の斬撃波。

見事なコンビネーションだ。

 

「悪ぃな両津の旦那!」

 

「我つ……オメエそれは反則だろ!」

 

「兄貴相手に反則は無ぇ!」

 

日輪刀の唾がハンドルみたいになってる善逸、つまりあのハイテンションモードだ。

炭治郎曰く、あの後何度かハイテンション善逸と仕事を共にしたが「普段の三割増しで強くなってます」と言う程だ。

 

そこで両津が思い出したのは後輩である本田速人。

元暴走族であり、今では白バイ隊の異常な経歴だけでも腹一杯なのに普段では巨漢に片手で飛ばされてしまう程弱いのだ。

だがバイクのハンドルを握ればその巨漢すらも捩じ伏せる。

 

(我妻の奴、まさか婿入りして本田って名字になるんじゃないか?)

 

「隙有りです両さん!

水の呼吸捌の型『滝壺』!」

 

「ぬぉ!?」

 

雷兄弟の攻撃を受けてよろめいた両津の頭に水の呼吸の中でも一撃の威力が高い型で追撃する炭治郎。

脳天に直撃、普通なら頭蓋骨は砕けて死に至る筈なのにたんこぶ一つと絶望的な結果だ。

 

「儂を殺す気か!」

 

「両さんなら大丈夫だから!」

 

「むー!!!」

 

炭治郎を両手で持ち上げたら今度は妹からの追撃と、両津一人の為に鬼殺隊士……いやそれだけじゃない元柱や鍛冶士等の関係者全員で襲ってくる。

 

「おい炭治郎!

お前は別にボーナスとかいらんだろ!」

 

「必要です!

何時も世話になってる蝶屋敷の皆にお礼がしたいんです!」

 

何て立派な回答だろうか。

それに比べて両津はどうだ、遊ぶ金欲しさ。

何かもうツッコむのも疲れる男だ。

 

「我妻は何でだ!」

 

「じいちゃんへの借金返済だ!」

 

「む……儂と同じだな」

 

ちなみに金額的には大したこと無いので、善逸の返済は既に終わってるが。

もっとも、滋悟郎自体は後々(鬼が居なくなった時)の為に確りと貯金しており時期が来たら全て渡すつもりだ。

 

「ぬぅ……」

 

「もらったぁ!」

 

「甘いぞ!」

 

背後から帳簿を奪いに来た宇随を踏みつけ飛び、屋根から屋根へと逃走していく両津。

一部の隊士は柱とは言え一対全員は酷いのではと思っていたが逆だ、両津相手に鬼殺隊と関係者全員だけで捕まえるのは酷いと変わった。

 

そして冒頭に戻るのだが両津は今度は家の隙間や屋根を通り縦横無尽に逃げ回る。

このままでは不味いと考える隊士が出てくる程にだ。

 

「くそぅ……こうなったら賭場を転々として逃げるか?」

 

木々の間や天井裏を移動しつつ今後の事を考えているとかすかに聞こえた金属が地面に触れる音。

両津勘吉の耳は人混みの中でも小銭が落ちる音が聞こえるほどおかしいのだ。

 

「うぉおおおおお!退け退け退けぇ!!

そこ小銭は儂のだ!」 

 

「水の呼吸拾壱の型『凪』」

 

「ぬぎゃぁ!?」

 

義勇の奥義とも言える型で動く両津を高速で斬るのだが流石怪物、服がボロボロになっただけだ。

それを見て目を輝かせてる義勇の姿には狂気を感じる。

 

「と、富岡ぁ!!!」

 

「流石勘吉さん、凪じゃこれが限界か」

 

「ぐぬぬぬ!」

 

「とったぁ!」

 

「げっ!?玄弥!?」

 

物陰からガトリングガンを装備したモヒカンの巨漢こと不死川玄弥が両津を狙い打つ。

名前で解る通り実弥の弟なのだが鬼殺隊としては異常な、呼吸を使えない隊士なのだ。

だから彼は火器を用いて鬼と戦うが、大正時代の火器では鬼を殺すのは不可能。

そこに現れたのが両津だ。

何を隠そう両津は銃の扱いがプロを超えて超人レベル、その男の指導と知識により火器のレベルを4つも5つも上げたとなれば下手な隊士よりも圧倒的に強くなってしまうモノだ。

 

「くそー!!!絶対にボーナスガッポリになってやるからな!」

 

(不味い!流石に両さん相手に『がとりんぐ』程度じゃ相手にならないか!

最後の手段だ!)

 

そう思い玄弥の取り出したのはパンツァーファスト、簡単に言えば使い捨ての対戦車ミサイルだ。

命中率は悪いしコストが掛かるからと現代ではあまり見向きもされないこれはこの時代と産屋敷の財力からすれば逆に煙幕として使えたりと戦術に組み込める美味しい存在なのだ。

 

「おりゃぁー!!!」

 

「て、テメエそれは反則だろ!!!」

 

射ち出された弾頭は両津目掛けて襲ってくるがすぐに逃げの体勢を取るが一歩遅く、足下で大爆発。

なのに少しの焦げだけな辺り、見えすぎている神の手を感じてしまう。

 

「嘘だろ…」

 

「勘吉さんに普通の攻撃は効果が薄い!

足止めに切り替えろ!」

 

「はい、水柱様!」

 

そう言い取り出したのは某ゲームに出てくるサブマシンガンを二丁。

当てる気は無く完全に陽動なのだが簡単に引っ掛かり義勇、玄弥、そして駆け付けた密璃の3人に囲まれてしまった。

だが両津とて無策ではない、いや両津勘吉とは金が掛かれば超人的な頭脳すら持てる怪物だ。

敢えて3人を合流させたのだ。

玄弥の射撃がやむなりいきなり密璃のスカートを捲り上げる、玄弥の様な初な男はすぐに目を背け視線をずらしてしまう。

そして義勇には鱗滝が来ていたことを伝え動揺させ、密璃には猫だましを。

 

子供の様な戦い方をするくせに全てが的確な弱点をついてくる嫌らしい男なのだが、良くも悪くも鬼殺隊ではそれを嫌悪する者が少ないのだ。

 

「覚悟!」

 

「悲鳴嶋!!!」

 

その場から駆け出した直後、両津の足下に人の頭はありそうな大きさの鉄球が叩き付けられた。

歪な形の多い日輪刀の中で最もおかしな姿のこれを扱うのは柱の中で最強を誇る『岩柱悲鳴嶋行冥』だ。

 

「南無阿弥陀仏!」

 

「ぬおおおおおおお!儂の呼吸なんちゃらの型ぁ!!!」

 

そう言って下駄を蹴り飛ばす。

それを腕で防ごうとした行冥はぶつかる寸前、咄嗟に回避へと切り替えた。

両津の下駄は最強クラスの威力を持っており、一部の鬼殺隊士の中では下駄を日輪刀にすれば?なんて言っている。

 

「見事だ……」

 

あまりの威力に寒気を感じ、鬼との戦闘以外で大怪我を負うわけにはいかないので此処で撤退を選んだ。

その後はダイジェスト形式になってしまうが勘弁してほしい。

 

先ずはしのぶだ。

彼女は蝶屋敷の三人娘を使い追い詰めるも、義勇の空気読まずの参戦により逃げられる結果に。

杏寿郎とは一対一で戦闘を行うも両津式ジャイアントスイングで投げ飛ばしKO。

そして不死川兄弟と竈門兄妹のタッグと戦うが何とか勝利。

そして運命の時

 

「ぬおおおおおおお!儂は勝ったぞ!!!」

 

産屋敷から渡された時計を見て零時になったのを確認すると猛ダッシュで産屋敷の元に。

それを満面の笑みで迎え入れる産屋敷。

 

「わっはっはっはっ、どうだ儂の底力は!」

 

「見事だよ両さん

そうだ、中を確認させてもらっても良いかな?」

 

「良いとも良いとも、勝者の武勇伝を存分に聞かせてやるぞ」

 

勝ったからか大笑いしながら帳簿を産屋敷に渡した時だった。

鳴り響く大きな時計の音。

それを聞き頭にハテナマークを浮かべる両津。

 

「今が零時、日付の変わりを示す音だよ♪

両さんの手元には帳簿は無いから私の勝ちだね♪」

 

「な、なんだとーーー!?!?!?」

 

最初に渡した懐中時計は怪しまれない程度に時間を進め、両津が来てからそれを然り気無く受け取る作戦だったのだ。

ガックリと項垂れる両津と笑顔の産屋敷。

 

「それで両さん、今回の修理費はこれくらいだよ♪」

 

死刑宣告と共に渡される被害額の書かれた書類。

 

「これじゃ儂の一人負けじゃねぇかーーー」

 

「両さんのボーナスは補填に当てるから殆ど残らないね」

 

「クソーーーー!もう争奪戦はコリゴリだー!」

 

チャンチャン




感想で予想された方が居た通り煉獄さんの刀が真っ赤に染まりました…父親の方ですが

鬼殺隊の実力
水柱富岡義勇
原作と違って錆兎の件が心の中で片付いたので原作ラストの柔らかい感じ
本当に嫌われてない皆の弟

風柱不死川実弥
不器用ながら弟とちょくちょく話す様になっているからか無茶苦茶な作戦はしてない
意外にもかまぼこ隊全員と義勇を気に掛けているお兄ちゃん

霞柱時透無一郎
大きな変化無し
両津とは「一郎おじさん」「ちびすけ」と気さくに話している

恋柱甘露寺蜜摛
此方も原作と大差ない
ただ、たまに両津にご飯を作っているので料理の腕は上がっている

音柱宇随天元
上弦の陸との戦いが無いので引退していない
両津、慎寿郎とよく博打していたり飲みに行っている

炎柱煉獄杏寿郎
上弦の参と戦って居ないので生存
父親が覚醒してるので実力はどんどん上がっている

蟲柱胡蝶しのぶ
物凄く実力が上がっている
両津への説教効果

蛇柱伊黒小芭内
甘露寺グッズのお陰で常に士気が最高なのでえげつない程強くなってる
人当たりがわりと良い感じで柔らかくなってる

岩柱悲鳴嶋行冥
両津に負けられないと鍛練をより詰んでいるので実力は少し上がっている
金の呼吸を真似して白髪の天パのオーラが出てきたとか何とか

竈門炭治郎
原作での大事なイベントがちょくちょく飛んでいるので実力は無限列車辺り
ただおかん力は高くなっている

我妻善逸
誰だコイツってレベルで強化されてる
漆の型会得済みで2人で捌の型を開発中

不死川玄弥
両津から現代の銃火器知識を教えて貰ったので里で絶賛制作中
本体の実力は原作と大差ないけど武器が超強化されているので鬼畜じみて強い



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新しい柱と悲しみ?の巻

お久しぶりです


ある日の事、鬼無辻無惨は荒れていた。

上弦の参と連絡が取れなくなったからだ。

それで何故?と思うかも知れないが上弦の鬼はここ数百年一人として変わらなかった猛者。

つまり、敗北したことが無い最強の存在だ。

 

しかも付け加えるなら肉弾戦では最強格となれば話は変わってくる。

 

「ま、まさかあの柱に…」

 

頭を抱える無惨。

金柱両津勘吉により自身の持つ最強の手駒一つが潰されたとなると頭を抱えるのも無理はない。

 

「くそっ!!!奴はどうすれば良いんだ!!!」

 

最悪の天敵に討たれたとなると今後の行動さえ変わってくる。

まさに絶望と呼ぶに相応しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り無限列車後。

上弦の参『猗窩座』はおぼつかない足取りで森を進んでいた。

両津の血を口にしてから体が異常に熱く、頭も回らずゾンビの様にただ歩くのが精一杯だった。

 

「くっ……流石だな勘吉……体が……恋雪さん……!?

だ、誰なんだ恋雪とは?俺は……狛治……?違う!俺は上弦の参猗窩座だ!」

 

突然割れるように痛む頭、そして聞こえてくる謎の声。

彼は頭を抱え何かを振り払うかの様に暴れだすがその目の前には猗窩座によく似た青年が立ち塞がる。

 

髪は黒く短く、武道家の様な出で立ちの青年は無言で構え猗窩座と対峙した。

素晴らしい気迫、彼ほどの達人となれば鬼にしたらさぞかし戦力となるだろう。

それに彼の事、勧誘するだろうと思われた矢先に青年の胸を貫いた。

 

「俺から出ていけ!」

 

『それは無理だ、俺はお前でお前は俺……なんだ』

 

「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!」

 

『もう止めろ!恋雪さんもこんなの望んでない!』

 

「ふざけるな貴様!俺は!」

 

『お前こそふざけるな!俺は!』

 

「上弦の参猗窩座だ!」『素流の狛治だ!』

 

二人が同時に叫ぶと拳をぶつけ激しく動き出した。

木から木へと移り高速に、尚且つ自身の領域は確保して相手を倒す為に。

猗窩座の一撃は木々を破壊し茂る森を消し、狛治の蹴りは草を刈り取り地肌を露にする。

 

幾日が過ぎただろうか、気付けば猗窩座は地に伏し狛治を見上げていた。

その表情は何処か満足そうに、だが何処か悲しそうな何か未練が残った様に。

 

「俺は……何処で間違えたんだ?」

 

『あの時……怒りに任せて殺した事

その後に無惨の手を取ったこと

でも一番の間違いは……恋雪さんを一人にしてしまった事だ!

立て!恋雪さんは居なくても彼女との思い出は!彼女との約束は覚えてるだろ!

なら生きて生きて生き抜いて!醜くても足掻いて罪を償え!』

 

笑顔で気を失う猗窩座。

どれくらいの時間がたっただろうか、気付けば日は登り鬼である自身を焼き殺す時間帯。

にも関わらず、肌は優しい温もりが包んでいた。

 

「……俺は……俺は人間だ!

ごめん恋雪さん……俺逃げてた、でももう逃げないよ

だからそっちに行くのもう少し待ってもらっていいかな?師匠には後で怒られるからさ」

 

もう上弦の参は居ない

此処に居るのは鬼を狩ると決めた守護者だけだ

彼はすぐに立ち上がると無限列車の事後処理をしていた隠の前に現れ、そして鬼殺隊に入れてくれと直談判。

その際に自身の素性を明かし、産屋敷へと伝わりひと悶着有ったがそれは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ!?お、お前は何者なんだよ!?」

 

少し時を経たせば鬼の前には雪の模様をあしらった羽織の柱が一人、鬼を狩っていた。

彼は刀を持たず、両津により開発されたメリケンと安全靴を装備して夜を狩る太陽。

 

「俺か?俺は鬼殺隊が柱の一人、『雪柱』の素山狛治だ!」




猗窩座さん、マジで過去が悲しすぎるし辛いからこうやって贖罪の機会がほしいからやらかした話でした
もう無理……猗窩座さん最初はバーサーカー糞野郎って思ってたのに技含めて全部に意味が有ったとか過去があれとか……推せる


雪柱素山狛治
日輪刀ではなくメリケンと安全靴で戦う男
誰よりも優しく常に周りに気を配る姿から鬼殺隊の中でもトップの人気を誇る柱
両津を崇拝しており、そのせいか雷一門と度々ぶつかっている。
別名『拳の鬼』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と特訓!の巻

皆様お待たせしました
期待してない方も期待していた方も楽しんでいただければ幸いです


今日、金柱の屋敷には沢山の鬼殺隊士が集まっていた。

別にオークションの日では無いので悪どい事では無いからご安心を。

少し時間を巻き戻し何故こうなったのかを端的に説明すると、鬼の活動が落ち着いたので全柱で鬼殺隊士達を鍛え、来るべき最終決戦に備えたのだ。

 

柱達は己の技や知識を伝授し、そして受け継がせ次の世代に鬼の恐怖を無くすために精力的に活動している。

そして此処金屋敷でもだ。

ただ両津の性格上多数の隊士は見れないのでかなり少数に絞られているが。

 

「それで伊之助は子供になんて付けるつもりなの?」

 

「俺が伊之助だから鬼をぶっ殺すって意味でコロ助なんて良いだろ!

俺は山の王だからな!!!」

 

「五月蝿いよ伊之助!

そう言う炭治郎はなんて付けるの?」

 

「う~ん……家って代々長男には炭って字を入れるから炭吉とかかな?」

 

「え~なんかありきたりじゃない?」

 

「そうかな?」

 

「折角西洋の文化も入ってきたんだし、改造とかさ速人とか伊歩とかさぁ囚われない発想しないの?」

 

「西洋文化も良いけどやっぱり俺のおじいちゃんやそのおじいちゃん達が大事にしてきた文化を大事にしたいかな」

 

今面倒を見て貰っているのは炭治郎、善逸、伊之助のかまぼこ隊の面々。

とは言えやってることはこうやって仲良く雑談やベーゴマ等の遊び、そして花札等の博打でありとても訓練とは思えない内容だ。

 

「待たせたな、飯が出来たぜ」

 

「それより俺と戦え眉毛ジジイ!!!」

 

「うっさい!!!さっさと食え!」

 

両津のゲンコツが炸裂、それによりフラフラになってしまう伊之助と両津から出された美しい数々の握り寿司。

それを見て少し戸惑う表情の二人。

 

「両さん……これは?」

 

「なにぃ!?寿司も知らんのか!?」

 

「えっ?寿司ってもっと大きくて魚の切り身が乗ってる奴じゃん」

 

炭治郎の言葉に驚愕し、善逸の言葉に頭にハテナを浮かべる両津。

ちなみに寿司が今の形になったのは第二次世界大戦の少し後で、それまではおにぎりに魚の切り身を乗せた程度の物だった。

それを風呂上がりに二~三個摘まんで寝るのが江戸っ子だったのだ。

そのせいで変な病気が流行ったが蕎麦により解決など、昭和を境に日本人の食事は大きく変動しているのだ。

 

閑話休題

 

ちなみに両津は有名寿司店で板前をしており、その時の名前が「浅草一郎」だ。

それもあり霞柱とは互いに「一郎おじさん」や「むい」等と親しく出来ている。

 

「うめぇ!!!」

 

「た、確かに……」

 

「あんな太い指からこんなのが出来るなんて」

 

「ワッハッハッハッ、凄いだろ!

沢山食えよお前ら」

 

両津勘吉と言う男にとって、この三人は何処か懐かしい気配を感じるからかつい構ってしまうのだ。

それに霞柱も、だからかいつも以上に気を遣ってしまい懐かれそして戦える。

なんやかんや上手く回っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「雪柱……」

 

「確か……雷の呼吸の」

 

「獪岳だ」

 

「そうだったな」

 

かまぼこ隊の訓練が終わり、新たに三人の隊士(一名柱)が金屋敷の門前で顔を合わせるととんでもない気配が周りを支配した。

雪柱『素山狛治』

次期鳴柱と名高い『桑島獪岳』

そして水柱と同期の『村田清一郎』

この瞬間、村田は後悔した。

そうこの二人は鬼殺隊内でも有名な程の険悪な仲であり、顔を合わせれば即喧嘩な二人なのだ。

 

理由としては二人共両津を慕っているがその方向性の違いとかなんとか。

 

「なんで柱が此処に居るんですか?柱は柱らしく屋敷でその他大勢を鍛えててくださいよぉ」

 

「柱とは言えまだまだ未熟でな、こうやって先輩である金柱の元に鍛えて貰いに来たのだ」

 

「弱い柱は駄目じゃん」

 

「それより弱い隊士が何を言うか」

 

「「……殺す!!!」」

 

村田の苦悩は続くのだった。




何となくで書いてみた平和な回です
次回から最終決戦へと向かうのでやっばり平和を書きたくて……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と戸塚と不死川との巻

おまたせしました
そして何故短編から連載に変わったかと言いますと、流石に短編としては長くなりすぎてしまったからです
ですので何名かには上弦陸とは絡まないと言いましたが……めっちゃ絡ませます
蛇よりも絡ませます、そして鬼の救済ルートを突っ走ります
いやぁ、実は救済ルート自体考えてたのですが出来た順番が『狛犬兄さん』『兄上』『陸兄妹』で兄上めっちゃ救済ルート浮かんでるのですよね
何時になるかは解りませんが亀の歩みで続きますのであまり期待せずにお待ちください


ある日の夜、両津は屋敷で大人しく眠りに着いていた。

理由としては友人達は皆任務で遠くに行っており、オークション等のイベントは胡蝶達の目が厳しいのでまだ開けないからだ。

 

だからか、普段は飲み歩いている時間なのに眠っているのだ。

そんな両津は懐かしい夢を見ている。

 

 

 

 

 

「あ、あぢぃ~」

 

「一々口にするな両津、此方まで暑くなるだろ」

 

「うるせぇ、暑いから暑いと言って何が悪い!」

 

亀有公園前派出所

そこで二人の男が軽い言い争いをしていた。

片方は両津で、もう片方は顔に傷が有りとてもではないが警察官には見えない男。

彼は戸塚金次と言い、この派出所に勤めている。

 

「おう両さんは居るか?」

 

「何だ不死川じゃねえか、どうしたんだ?」

 

「お、戸塚さんも居るのか

なら話は早い」

 

派出所に入ってきたのは白髪に全身傷だらけの男、制服からして警察官なのだが……人相の悪さと大量の傷のせいで休みの日は高確率で職務質問される警察官こと不死川だ。

彼は亀有駅前派出所勤務であり、たまに暇を見ては弟分の玄弥に仕事を押し付けて公園前派出所に遊びに来るのだ。

 

ちなみに今の不死川の持ち物は浮き輪やスイカと言ったとてもではないが勤務に無関係の物ばっかりだ。

 

「お、流石不死川じゃねえか」

 

「そのクーラーボックスは?」

 

「これはなぁ……男のガソリンだ!!!」

 

それを聞くとヨダレを垂らして喜ぶ戸塚と両津。

 

「よっ!日本一のイケメン警官!」

 

「流石だぜ実弥ちゃ~ん

後は足だな」

 

「それなら大丈夫ですよ戸塚さん、おい玄弥!」

 

「ま、待ってくださいよ先輩~」

 

不死川が呼ぶとパトカーを運転しながら呆れているモヒカンの巨漢。

彼は生川玄弥、不死川の弟分でありこうやって滅茶苦茶に付き合わされている哀れな後輩である。

 

「これで足は出来たな、後は見張りだが……」

 

「寺井が裏で寝てる、起こしてやらせるぞ」

 

そう言って二人はすぐに休憩室に向かうのだが、そこでは一人の太った男がイビキをかいて寝ていた。

 

「起きろ寺井、仕事だぞ!」

 

「くそダメだ、酒飲んで寝てやがる」

 

太った男こと寺井は飲酒しての就寝故に両津や戸塚の声では起きない。

そこで遅れてきた不死川は名案を閃いたかのように口を開いた。

 

「起きないなら寝たまま表で番でもさせませんか?」

 

「「それだ!」」

 

早速三人は寺井を運ぶと入り口の前に椅子を用意し、テープやヒモで体制を固定し目を開けさせた。

 

「うむ迫力が無いな、警棒でも持たせるか」

 

「それだけじゃ話しかけられた時にバレるだろ、拳銃も持たせるぞ」

 

「これだけじゃ堅気以外がホイホイ来ますからこれも必要ですね」

 

「ひ、酷い……同僚をオモチャにしてる」

 

完成した寺井は最早別人だった。

両津と戸塚により右手には警棒を持たされ肩に乗せ、左手には通行人に向けて拳銃を構えている。

そして髪は色付きのワックスにより金髪に染められ逆立たされ、手足にはマジックで刺青みたいなのを描かれている。

 

「じゃあ行くか!」

 

三人は玄弥が待っているパトカーに乗り込むなりクーラーボックスからビールを取り出し乾杯した。

 

「うめぇ!!!」

 

「夏はこれだよな!」

 

「オラァ退きやがれ!撃ち殺すぞ!」

 

三人は一気にビールを飲み干すと各々が好き勝手動き出した。

両津は二本目を開け戸塚はパトカーのサイレンを鳴らし不死川は窓から上半身を出すと空に向けて発砲して笑いながら車達を退かしている。

まさに地獄絵図その物だ。

 

「えぇい温い!もっと速くせんか!!!」

 

「ちょ!?両津さん!?」

 

酔っ払った両津が玄弥を退かし運転を変わるとアクセル全開、そして電柱に突っ込んでしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、両津のせいだからな」

 

「それを言うならビールを持ってきた不死川だろ」

 

「いやいや、下手くそな運転をした玄弥のせいっすよ」

 

「両津さんが運転を奪ったからですよ……」

 

「な、何で僕まで?」

 

五人は仲良く頭を丸め、派出所の前で正座をさせられるのだった。




今回は初期こち亀テイストの話しでした

個人的にはこの時のバカみたいなノリもかなり好きなのでこの話で興味を持った方は是非読んでみてください。
現代とはまったくノリが違うので軽い世代ギャップを感じられるのでオススメですよ♪



あまり期待されてなさそうな次回予告

宇随の奴め、三人を連れて遊郭に行くだと?
そんな面白そうな事に儂を誘わんなんて許さんぞ!こうなったら無理矢理にでも着いていってやる!
む?何だと行って良いのか産屋敷?しかも金まで出してくれるのか!?
よっ太っ腹、一生着いていくぜ旦那!
次回『両津と遊郭の巻』絶体見てくれよな




ちなみに初期案としては鬼滅組は皆警察官って考えてましたがそれだと原作の最後を無視しすぎるから悩みました
ちなみにこの案にしてたらかまぼこ隊と時透君は警察学校の生徒でそれ以外は鬼滅署の職員となっておりますwww


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と遊郭の巻

お待たせしました
さてさて、短編脱却したって事は派手派手に行きますよ!
譜面は完成してるのですから!


「まてぇ!!!借りた金を返さんかぁ!!!」

 

「ヒィ!?!?!?」

 

時は明治、華が咲き乱れるは遊郭街。

さて今両津が何をしているかと言うと、後ろにモヒカンの巨漢こと不死川玄弥を引き連れてある男を追い込んでいた。

何故こうなったのか、話は三日程前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?宇随の奴がまだ帰ってないだと?」

 

「はい、音柱様はまだお戻りになってません」

 

暇な日中、博打をしたいからと音柱である宇随天元を探すのだが全く見つからず仕方なく近くの隊士に訪ねた。

宇随は既婚者であり、また結構な愛妻家なので三日と家を開けたがらないタイプだ。

その男が長い間家を開けるのはおかしい、そう思った両津は産屋敷邸へと足を伸ばした。

 

「やぁ待っていたよ両さん」

 

「いきなり悪いな、それで」

 

豪華な屋敷の庭で子供達と優雅に花見をしている産屋敷。

もし本来の彼ならこんなことは出来ないのだが、胡蝶主導の元あの両津抗体を人間でも使えるレベルにしたのだ。

やり方的には非常に簡単で、両津の血液(の抗体)を清潔な部屋に入れて二~三日放置するだけなのだが。

それを打ち込んだ産屋敷はみるみるうちに元気になり、今ではこうして一家団欒を味わえる程に回復したのだ。

 

さて話を戻そう。

産屋敷は両津が言葉を続ける前に口に人差し指を当てて「解っているよ」と言った。

 

「天元は今、鬼が出ると言われている遊郭に潜入してるんだ」

 

「宇随一人でか?」

 

「いいや、炭治郎、伊之助、善逸、そして天元の伴侶三人でだよ」

 

「なに!?アイツ等もだと!?

ぐぬぬぬぬ、儂だって遊郭に行きたいってのに~」

 

「それを聞けて良かったよ、実はこの件はかなり厄介なんだ

そこで両さんと、後二人連れて潜入してほしいんだ」

 

それを聞き少し興味が湧く両津。

新鋭の三人にベテランくノ一、そして柱とこれだけ豪華な面子なのに更に自分と二人の隊士まで追加するからだ。

 

「何とかって階級の鬼か?」

 

「多分ね」

 

「なら納得だな」

 

両津は馬鹿では有るが最低限の線は引いている。

上弦や下弦の鬼が出るなら一般隊士だけでなく柱を投入する、更にこの人数となると上弦格の鬼が居ると考えたのだ。

 

「入っていいよ」

 

「はい…」

 

「はい!!!」

 

産屋敷に呼ばれて入ってきたのは二人の隊士。

一人は巨漢でモヒカンが特徴的な男こと不死川玄弥。

そしてもう一人は金髪に赤の混じった小柄な少年こと煉獄千寿郎だ。

 

「む、千寿郎がどうしてここに?」

 

 

煉獄千寿郎

彼は玄弥と同じで呼吸の適正が無く、また玄弥と違い体が強くは無いので鬼殺隊隊士では無い。

だからこその発言だ。

 

「実は新しい隊を作ったんだ

そこの隊長と副隊長を玄弥と千寿郎に任せているんだ」

 

「ほぅ、まぁそれは良いとして玄弥がどうして?」

 

「師範が潜入すると聞いたので立候補しました」

 

不死川玄弥、今の立ち位置は新設部隊隊長兼金柱の継子だ。

本来なら岩柱の継子なのだが、呼吸が使えない隊士が最強と呼ばれている岩柱の継子では問題が有るからと名義上金柱の継子扱いなのだ。

その甲斐もあり玄弥にやっかみ等は来ていない、と言うか金柱の継子と聞くなり心配されたりと立ち位置が少し変になったとか何とか。

そして顔は怖いけど女慣れしてない初な苦労人として妙に女性人気が出たらしい。

 

「両さんには私の伝手で取り立て屋を、玄弥はその弟子として両さんの側に

千寿郎はある遊郭の丁稚として動いてもらうね」

 

「取り立てか~……うむ、儂のネットワークですぐに情報を仕入れるから取りっぱぐれないな」

 

「師範?」

 

「此方の話だ」

 

「両さんの顔は広いのですぐに鬼が見つかりそうですね…」

 

「そうだね

それと滞在費等は此方が持つから安心して」

 

それを聞くと満面の笑みと、目を円マークにして喜ぶ両津。

この瞬間、産屋敷は「間違えたね」と苦笑いしたとか何とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

「「お館様!!!」」

 

両津が去った後、二人の人物が産屋敷邸へと来た。

 

「やぁ狛治、獪岳、待ってたよ」

 

一人は雪柱として鬼を滅ぼしている狛治、もう一人は次期鳴柱として訓練を積んでいる獪岳だ。

産屋敷は来るのを見越していたのかお茶を二人に差し出す。

 

「突然の訪問失礼いたしました

此度の遊郭潜入任務、この雪柱素山狛治を同行させて下さい」

 

「いえ、潜入には鳴柱である桑島獪岳を同行させて下さい!」

 

両津親衛隊と呼ばれる二人にとってこの遊郭潜入は非常に大きな問題なのだ。

とは言え今の鬼殺隊に柱をこれ以上送る余裕が無いのも事実、なので産屋敷はこう提案した。

 

「ではこれから一週間で多く鬼を斬った方に同行を頼もうかな」

 

その瞬間、二人の間には雪と雷が激しく舞った。

両津親衛隊であり犬猿の仲である二人を比べる、それだけで二人の闘志に火が着き鬼狩りをより加速させるのだった。

 




新設部隊
部隊名はまだ秘密だが、その戦力は並の隊士を越える程。
産屋敷家の財産を殆ど使い導入、その理由はこの代で無惨との因縁を終わらせるため。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

賭場と両津!の巻

あまり待たせたくないのでちゃっちゃか行きましょう


時は夜、遊郭街は一層灯りを強めて客引きに精を出す。

 

「師範、今日は七人が借金を払ってくれましたね」

 

「おうよ、儂がやればこんなもんだ」

 

「ガハハ」と豪快に笑いながら取り立てた借金を片手に街を歩く両津と玄弥。

そんな両津に迫る影が一つ。

 

「よっ色男」

 

「ん?おぉ蕨姫か」

 

声を掛けてきたのは絶世の美女と呼ぶに相応しい遊女。

ここ吉原遊郭の花魁である蕨姫だ。

かつてバイトとして取り立てをしていた時、たまたま両津と繋がり何故か色男と呼んでくるのだ。

ちなみに両津的にはどうせ皮肉だろと流しているが。

 

「仕事は良いのか?」

 

「今日は休み、色男と遊ぶからね」

 

「し……先輩……」

 

「ん?色男の後輩?」

 

ガチガチに緊張している玄弥と、両津の後輩と聞き少し興味を持つ蕨姫。

そして品定めする様にジロジロと眺める。

 

「悪くないね、綺麗な目をしてるよ」

 

「ヒッ!?」

 

「あんまりからかうなよ、玄弥は女慣れしてないんだ」

 

「ふぅん」

 

「こいつ持って先に帰っとけ、儂はちょっと遊んでくる」

 

「はい!!!」

 

両津なりの助け船に乗るなりすぐにその場を去る玄弥。

蕨姫は嬉しそうに街へと繰り出した。

 

「ここの団子が旨いって評判なんだよ」

 

「ほうほう、それで例の情報は?」

 

悪い顔をすると耳元で声を可能な限り小さくして話す蕨姫。

 

「深夜、裏通りでデカイ場が立つよ」

 

「グッフッフッフッ、儂のギャンブル熱を甘く見たな戸塚ぁ」

 

戸塚と言うのは両津の知り合いではなく、ここ遊郭賭場の胴元。

まぁ、つまりお偉いさんだ。

かつて両津が来た際に根こそぎ奪われてしまい、こうして両津から隠れながら賭場を開くのだがそこは蕨姫と何故か懐いてきてる取り立て仲間の情報網によりGの如く涌き出てくるのだ。

 

「じゃあね色男♪」

 

「おうじゃあな」

 

蕨姫と別れると近くの酒場で時間を潰し始める両津。

すると目の前に一人の男が座った。

 

「よぅ名人」

 

「妓夫太郎じゃねえか、景気はどうだ?」

 

「あ~……それなりだ」

 

先に話した取り立て仲間こと、妓夫太郎が両津に話しかけてきたのだ。

痩せ細った体に隈の深い顔と健康とは真逆なのだがかなり動けるのでこれが彼のベストコンディションなのだと思い深くは突っ込まない。

 

「深夜の賭場はガセだ

明日の昼、花紫屋で場が立つぜ」

 

「なんだと!?ぬぬぬぬ~許さんぞ戸塚めぇ、儂が根こそぎ奪ってやる!」

 

「それでこそ名人だな」

 

妓夫太郎と両津の出会いはかなり不思議で、両津がとある踏み倒し常習犯を血も涙も無く追い詰め全て取り立てた姿を見て、「名人」と呼び慕い出したのだ。

 

「よし情報の礼だ、儂が奢ってやる」

 

「へへ、流石名人羽振りが良いな」

 

そう言い、妓夫太郎と両津は共に世が明けるまで共に遊ぶのだった。




現状の戦力

上弦は参のみ消え変わりに鳴女が入った、下弦は一人死亡したのでそこそこの鬼を置いている
上弦の陸とは音信不通で上弦は現在『壱』『弐』『肆』『伍』のみ無惨は所在を把握している
下弦は全員所在を把握しているので、少し嫌な気配に怯えている

鬼殺隊
全員無事で五体満足、だが一部の事件が起きてなかったりしているので此処の隊士の能力は原作遊郭編より劣る(例、炭治郎がまだヒノカミ神楽をあまり扱えない、善逸の霹靂一閃が六連まで等)
ただ両津の未来知識のせいで一般隊士の武器に対鬼用の簡易武器が多数あるので底上げはされている





さて、今回の話は生存報告がてらなので此処まで。
いやぁ遊郭編面白かったですね。
里編はどんな感じで纏めるのか今からワクワクしてきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両津と夜中の巻

おまたせしました、よろしければ末のアンケートのご協力お願いします


あれから幾日がたった。

鬼の居場所は掴めず、また噂さえも半信半疑の出鱈目ばかりで本当に鬼が出てるのかと怪しくなる程に平和なのだ。

 

「む、むぅぅぅ……こうも平和だと本当に鬼が居るのか不安になってくるぞ」

 

「ですが師範、人が行方不明になってるのは事実です」

 

さる建物で玄弥と両津は集まり二人で会議をしていた。

件の鬼の手がかりが全く掴めず、このままでは結果を出せないのでかなり困っている。

 

いや、まぁフォローする訳では無いが蕨姫筆頭に遊郭の情報網を使っていると怪しげな人物が一人浮かんでくるのだ。

ただ確証が無いから動くに動けずどうしても二の足を踏んでしまう。

 

「ぬぬぬぅぅ……」

 

「こうなったら月一で来る件の男を当たりますか?」

 

「だが確証が……」

 

両津が二の足を踏んでいると玄弥から力強いビンタが飛んできた。

時代の違いか、両津は令和の警察官なので確証が無いと動けないと思っているが玄弥は違う。

だからだ。

 

「師範!

師範は悔しく無いのですか!俺達は鬼殺!あーだこーだ言う前に動くのが師範でしょ!」

 

「……ありがとうよ玄弥、目が覚めたぜ」

 

時代の違いとこれで良いのかなんて思っていたがもう容赦なんて無い、やるならやる徹底的に!

両津は笑うと件の客の部屋へと駆けつけた。

 

「御用改めだ!!!」

 

「動くと射つぞコラァ!!!」

 

件の男が来ている部屋の襖を蹴り飛ばし、新撰組みたく剣(チャンバラ棒)を突き立てる。

 

「あ、見つかっちゃったかぁ」

 

「舐めた奴め~」

 

男は隠す必要も無いのか遊女を食らいながら笑顔で振り向いてきた。

目には階級を示す刻印、しかも『上弦』『弐』と書いてある。

つまり、無惨ともう一人しか上がいない超が付く程の強者なのだ。

 

「し、師範……」

 

「いくぞ玄弥ぁ!!!」

 

「怖いなぁ、そんな短気じゃ嫌われるよゴリラ君♪」

 

チャンバラ棒を振り下ろすが余裕綽々と言った感じでふわりと飛び上がり回避する。

 

「ぬおおおお!!!」

 

「鬼殺隊『砲』隊長を舐めるなよ!!!」

 

「っ!?!?!?」

 

両津がチャンバラ棒を適当に振り回している間、回避している上弦の弐に狙いを定めて銃を構える玄弥。

呼吸が使えないなら呼吸に代わるものを作る、その理念から産み出された鬼殺隊『砲』

その実力はまさに黒船の来襲その物だ。

 

たった一発日輪刀の素材を使うだけで敵は恐怖し味方は立ち上がると言える。

これこそが両津の手柄の一つ。

もし砲が無かったら玄弥や千寿郎筆頭に殆どの人物は鬼に怯えるだけだった。

だが今は違う、彼等は鬼を狩る力になったのだ。

 

「柱と隊長かぁ…………しかも眉毛の柱と大きな隊長

無惨様に関わるなって言われた二人かぁ……逃げるしか無いかな?」

 

たとえ上弦の弐と言えど相手するには厳しいので逃げを選択するが、かまぼこ隊がいつの間にか人々を避難させて構えていた。

しかも音柱である宇随と花魁名目で侵入していた蕨姫もとい梅、妓夫太郎の二人もだ。

 

「ふ~ん、二人もそっちに着くんだ

拾ってあげたのに冷たいなぁ」

 

「悪いな童磨様、俺と梅は名人の方が好きなんでね」

 

「こんな色男逃すなんて話は無いよ」

 

鬼殺隊特別隊士『謝花兄妹』

元は鬼なのだが両津の血により人間に戻り、また産屋敷の人間性にやられて鬼殺隊に入った存在。

ちなみに狛治の入隊時にあーだこーだ言われなかったのはこの二人が居たからだ。

 

細かく説明すると、両津の入隊後に勝手にバイトで遊郭へ行きたまたま血を飲んだ梅と妓夫太郎は人間に戻った。

そしてその後に狛治が飲んだのだ。

 

端的に言えば前例があるからなんとかなったのだ。

ある意味両津は鬼よりも恐ろしい存在である。

 

「裏切りかぁ、困ったなぁ」

 

上弦の弐『童磨』は笑顔で扇子を構えると見下す様に微笑むのだった。

まるで獲物を前にした狩人の様に。




お久しぶりですジャックマンです
進めないとともう一つの作品で更新が遅れて申し訳ございません!!!
この作品を楽しみにしている方々に深々と感謝、そして謝罪を申し上げます!!!

そして、1000人もお気に入りしてくださり涙ながらに感謝いたします!!!
これからもよろしくお願い申し上げます!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。