胡蝶しのぶが攫われた!? 誘拐犯の男としのぶの関係は? そして助けたのは真逆の〇〇!? (英 詠歌)
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胡蝶しのぶが攫われた!? 誘拐犯の男としのぶの関係は? そして助けたのは真逆の〇〇!?
今回は私の妄想が多量に含まれています。
胡蝶しのぶ目線のお話です。
※pixiv・小説家になろうにも同じものを投稿しております※
「不審者?」
昼休み、一学年下の
「うん。最近、私達がいつも通る駅の前によくうろついているんだって。見た目は普通なんだけど帽子を目深にかぶってて、その上マスクもしてるから顔が見えないらしいの。それで時折そこを通る人に質問するんだって。『
想像の斜め上を行くような変な質問だなと思い、首を傾げる。
「
「え、アサギマダラって毒蝶なの? 毒蝶……、……何となくクラスメイトが
カナヲは手を顎にあてて少し考えてから、
「アサギマダラは毒を持ってる。でもしのぶ姉さんによると大体は白に黒い模様を持つから、
「……気味の悪い話ではあるけど、何だか
「姉さんもね」
昼休みはそんな会話をして終わった。
何気ない、不審者情報についての憶測の話をしただけだった。
しかしこの会話が後に、重大な鍵を握ってくる事を、私はまだ知らなかった。
✕ ✕ ✕
今日はフェンシング部も薬学部も休み。久しぶりの部活なしの日だから、ゆっくり勉強を復習しながら、最近ほとんど
最近は忙しかった為、ゆっくりする時間が取れて嬉しかった。やりたかったことを今日のうちに、なるべく片付けてしまおうと思う。そう考えると、自然に足が軽くなる。
──その時だった。
「……っ!?」
首の後ろに、強烈な痛みが走った。それとほぼ同時に、
『
自分が何者かに
✕ ✕ ✕
「……ん……?」
目が覚めたのは、部屋のような場所。カーテンは締め切られ、ドアも閉められている為薄暗いが、本棚にある何冊かの本と、写真立てのようなものは見つかった。──しかし、ここがどこか分からなかった。
「えっ……手錠……?
動こうとした時、金属音が響いた。そして自分の身体が動かないことに気がつく。
手首は背中側で手錠で拘束され、足首を拘束する足枷と繋がっていた。そしてそれはその部屋の壁の金具のようなものに繋がれており、完璧に身動きを封じられていた。
「お、やっと起きた。──久しいな、
ガチャっと扉が開き、聞き覚えのある声が私に向けられた。
私の前に立つのは、長身の男。
──しかし私は知ってる。この男の全てを。
私は彼の姿を認めると、恐怖の余り身体が硬直した。そしてしばらくすると、全身が震え、呼吸が浅くなり、鼓動が
「ハハッ、俺を見ただけでそんなに怖いのか? 何もしていないでらないか」
愉悦に顔を染める男と、恐怖で
「どうして……どうして
「どうして、とは
「……っ!」
私の脳内で、バラバラになっていたパズルのピースが繋がって一つの絵を作り上げるように、断片的な情報と疑問などから、私がここにいる理由が理解出来た。そしてこれから、何をされるかもきっと……。
「……
すると彼はパチンと指を鳴らし、ご名答、と笑う。
──その男は、
私が高等部からキメツ学園に編入する前まで住んでいた家の近くに住んでいた、私より四つ歳上の男で、……私に
「苦労したよ、お前を探すのには。いきなり『別れる』だなんて
笑顔で距離を詰め、顎をクイと持ち上げられる。
私は彼の、優しそうに見える笑顔と、知的さと、端正な顔立ちに騙された。
告白は私からだった。元々仲良しだった私は思い切ってバレンタインにチョコレートを作った。
それを彼は嬉しそうに受け取り、その日のうちに付き合う事が決まった。
──詩玲が変わったのはそれからだった。
いつもの笑顔が少なくなった。いつも掛けてくれていた優しい言葉が消えた。代わりに増えたのは、私を
家が近く親同士も仲良しだった為、彼の家に泊まる事もあった。両親も姉さんもカナヲも、私と詩玲がラブラブだと誤認していた為、止めなかった。
だがその中で行われていたのは、お家デートでも何でもなく、彼のストレスを発散する事だった。
彼は素手で
──だが彼は私を彼女だと思っていない。ストレス解消の為の
そんな彼は私が苦しむ
こんな日々が続いて、怪我をしない訳がない。その時からキメツ学園の教師をしていたカナエ姉さんに怪しまれ、私が全てを打ち明けた事で、即刻引っ越しが決まり、進学先はカナエ姉さんのツテや
やっと離れられたと思ったのに──。絶望の底に叩き付けられたその精神的ショックだけでもう泣きそうだ。
「ここは俺の家だ。そして同時にお前の家でもある。俺はお前が逃げてからも、一度たりともお前を忘れた事は無かった。ずっと俺はお前だけを求めた。だからお前も俺しか愛したらいけねぇんだよ!」
でも私は以前とは違う。彼の事を一定の間だけ忘れられた事だけでも、彼に
「私がいつ
すると詩玲は乾いた笑い声を上げて、「口が達者になったなぁ」と
「あの時の教育が足りなかったのか? だったら今からでも教育し直してあげるよ。お馬鹿さんの蝶々さんの為に、俺がたっぷり時間をかけて、
笑いながら彼の拳が頭上に上げられた。
──また殴られる……!
「嫌っ! 助けて!!」
誰も助ける人なんていない。まずこんな所に私の知ってる人がいるはずが無い。助けてくれる人は近くにいない。
──だが私の魂の叫びが届いたのだろうか、
いつまでもやって来ない痛みを不思議に思い、恐る恐る目を開けると、
そして振り上げられた拳。
驚愕して顔を上げたと同時に、男の声がした。
「やっと証拠を掴んだ。やっと貴様を逮捕出来る事が出来る。チェックメイトだ、柳川詩玲」
──聞いた事のある声。確か、テレビでよく見かけて……色々物議を
「
目の前には帽子を被り、黒背広に赤目の
そして詩玲の拳を止めているのは……確かボディーガードとよく勘違いされる秘書の……
「鬼舞辻議員に秘書の黒死牟さん……? どうしてここに……?」
「そこの柳川とかいう男は私に
鬼舞辻議員の指示に、何人かの警察が部屋に入って来て、詩玲を取り押さえた。黒死牟さんに拘束を解いてもらい、手錠を付けられ御用となった詩玲の背中を見ながら、
「……どうして、見ず知らずの私を助けに……?」
一番の疑問を投げかけた。すると鬼舞辻議員の横から、すっと姿を男女二人が姿を現す。そして男性の方は朗らかな声色で、
「鬼舞辻議員、今回は本当に助かりましたよ。私の大事な生徒を助けて下さって」
それに対し鬼舞辻議員は
「……
目の前の男女は、キメツ学園の理事長と校長の、産屋敷夫妻だった。
──噂に聞いた事がある。
悪徳政治家として暗躍する鬼舞辻議員と産屋敷理事長は対立しており、理事長の
そんなまさに「犬猿の仲」である二人がどうして……?
「
あまね校長は理路整然と経緯を述べる。そしてその言葉を引き継ぐように理事長は、
「確か柳川詩玲は鬼舞辻議員の
「今回だけは礼を
そう冷たく
「さあ、しのぶも家に帰ろう。カナエもカナヲも、心配しているよ」
✕ ✕ ✕
この事件は、産屋敷理事長と鬼舞辻議員という
その後の報告によると、柳川詩玲改め、柳川詩玲
過去の
皆さんも、身近な危険にはご用心。
呪術廻戦の長編小説の合間に短編を投稿しているのですが、まだ完結の目処は立っていませんね……どんどんアイデアが浮かんでくる……。
今回も楽しんで頂けたら幸いです。
では、またどこかでお会いしましょう。
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