魔法科高校の狂犬 (Rain one)
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登場人物と設定と用語集


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犬塚公爵家

 

犬塚孝一(15)

本作の主人公です。

6月5日生まれ。身長178cm。容姿と髪型は少年陰陽師の安倍昌浩とNARUTOのうずまきナルトを足して2で割った感じです。(ナルト同様に両頬に三本ずつの猫髭があります。)

 

 

犬塚公爵家の長男そして嫡男として生まれた。父が持つ爵位の一つである侯爵を儀礼称号として名乗って居る。台湾事変の活躍で中学一年生の時に弟の夏と共に七武海に加入すると同時に一夫多妻の権利を得ている。入学試験での総合順位は3位で実技は3位で筆記では2位の頭の良さと魔法の腕前を誇る。クラスは1年B組。

 

 

性格は実力、現実、合理主義で信念が強く一度決めた事は周りがどう言おうと絶対に貫く強さ持ち自分の家族と見做した者、対しては愛情深い。

 

 

一方、かなりのマッドサイエンティストなのだが自分の研究結果を私利私欲の為に使うのでは無く何食わぬ顔で周囲に提供して居るなど扱っている研究テーマや技術がぶっ飛んで居るだけの変人でその点を除けば倫理的にも常識的にもまともな存在である上に彼の行った研究や開発した技術は国や多くの企業から喉から出る程、欲しがるって居るため孝一は特許を取得しているのでそれらに提供して年間の特許料だけでも高級外車を何台も買えるくらいの収入がある。

 

 

主な能力と魔法。

 

現代魔法と古式魔法の両方が使用出来る他、武術の達人でその中でも剣術と体術そして棒術は最も得意としている。

 

 

小宇宙(コスモ)とチャクラも使用出来て小宇宙はセブンセンシズとエイトセンシズそしてナインセンシズまで覚醒していて常時覚醒して居る。

 

 

固有魔法「ダイナマイト」

 

十師族の一条家が使用する爆裂は液体を気化させて爆破させるのに対してこの魔法は対象となった人物の体や物体に対してサイオンを流し込んで蓄積させてそのサイオンを火薬にして爆発させる魔法。

 

 

※現代魔法は聖闘士星矢の黄金聖闘士のほぼ全ての技と青銅聖闘士のフェニックス一輝の鳳凰幻魔拳と母である真夜が使用する「流星群」と古式魔法はNARUTOに出て来る術と血継限界を使用。そして孝一は尾獣を収めた人柱力であり全ての尾獣に尾獣化する事が可能。

 

 

口寄せの術も使用できて口寄せ動物は妙木山のガマ一家。

 

 

仙人モードと六道仙人モードも使用可能。

 

 

悪魔の実の能力者でもある。(この世界では悪魔の実を食べてもカナヅチにならない上に複数食べても大丈夫です。)

 

 

覇気使いで武装色、見聞色、覇王色全ての覇気を使いこなせるだけの実力をゆうしている。

 

 

ジャグラス・ジャグラーの魔人体になる事も可能。

 

 

ウルトラマン全てにも変身可能。(ウルトラマンの出番は殆どありません。)

 

 

刀一覧

星斬丸

最上大業物12工の一つでその切れ味は名前の通り小惑星一つを一刀両断したと言う伝説が由来である。

 

 

閻魔

大業物21工の一つでかなりのじゃじゃ馬でまともに扱えるのは世界でも彼だけである。

 

 

秋水

大業物21工の一つで恐竜が踏んでも1mmも曲がらない強度で刀身が黒い為、珍しい黒刀の一本である。

 

 

天羽々斬

大業物21工の一つで切れ味が天を真っ二つしたと言う伝説が名前の由来なった程。

 

 

二代鬼鉄

大業物21工の一つで腰に差した者には必ず死をもたらすと言われる妖刀だが孝一はその呪いを抑えて自分の刀にしている。

 

 

和道一文字

大業物21工の一つで上記の五本とは違いこれといった特徴は無いが切れ味は名刀に名に恥じぬ切れ味を誇る。

 

 

悪魔の実の能力

 

 

超人系

グラグラの実

 

自然系

メラメラの実

 

マグマグの実

 

ヒエヒエの実

 

ピカピカの実

 

ゴロゴロの実

 

ヤミヤミの実

 

 

犬塚紅音(16)

6月5日生まれ。犬塚公爵家の次男で孝一とは三つ子で容姿と性格はまんまディバインゲートのアカネです。

 

 

身長は172cmでクラスは1年C組である。

 

甲装型のCADを使用して古式魔法である精霊魔法の一つである炎の精霊イフリート憑依させて炎を使用した古式魔法を得意として居る。

 

固有魔法「陽炎」

サイオンによって作り出した炎の球を相手に投げ飛ばして爆発させる魔法。因みにこの魔法は掴んだまま相手に近づいて零距離から爆発させる事も可能。

 

口寄せの術も使用でき口寄せ動物は霊精林の蜥蜴のカゲを口寄せする。

 

動物は系の悪魔の実の能力者

 

悪魔の実の能力

 

動物系(幻獣種)

ヘビヘビの実、モデルサラマンダー

 

 

犬塚夏(16)

6月5日生まれ。犬塚公爵家の三男で孝一とは三つ子で容姿と性格はフェアリーテイルのナツです。クラスは1年D組。

 

身長は175cm

 

使用は古式魔法の滅竜魔法で紅音同様に炎を使用出来て兄の孝一と紅音と共に悪魔の実の能力者。

 

兄の孝一共に台湾事変の際の一件で七武海に加入して居る。

 

固有魔法、「ドラゴンブレス」

自身のサイオンを口に集中させて口から炎のブレスを放つ魔法。

 

口寄せの術は大蛇のアオダを口寄せする。

 

悪魔の実の能力

動物系(幻獣種)

ヘビヘビの実モデルドラゴン(竜)

 

 

犬塚咲(16)

4月9日生まれ。犬塚公爵家の長女にして第一子でもあり孝一達の姉でもある。少し赤いメッシュが混じった黒髪の腰までの長髪。魔法大学附属第一高校二年生。(一科生)

 

性格は温厚で弟達を優しく見守って居て彼らが暴走しそうなったらストッパーとしての役目もある。

 

身長は159cm。クラスは2年C組

 

使用する古式魔法は医療忍術(医療魔法とは根本から違う)口寄せの術も使用でき口寄せ動物はナメクジのカツユ。

 

剣術も得意で孝一には劣るがかなりの剣術の腕前を誇る。

 

固有魔法「無侍氷牙」

 

口にサイオンを集めて氷のブレスを放つ魔法。

 

 

悪魔の実の能力

 

動物系

 

イヌイヌの実モデル大口真神(オオクチノマカミ)

ニホンオオカミを神格化した神。

 

雪走

良業物の一つで孝一がかつて使用していた刀だが孝一本人が使用しなくなったので孝一から譲られた。

 

犬塚信乃(12)

7月29日生まれ。犬塚公爵家の四男で犬塚姉弟の末っ子でもある。

 

身長154cm。容姿と性格は八犬伝東方八犬異聞の犬塚信乃です。

 

普段は姉の咲には非常に懐いて居るが兄達には少し反抗的な態度で居るが実は兄達よりもありとあらゆる部分で劣って居るのが原因。

 

古式魔法を使用するが練習が足りていない為に威力はそれ程高くない。

 

姉の咲と兄の孝一同様に剣術を得意として居る。

 

固有魔法「霧雨」

サイオンで水をカッター状にして放つ魔法。

 

村雨

良業物の一つではある。人を斬れば刀身に帯びた水気が血を洗い流すと言う特徴を持つ名刀である。

 

犬塚総一(46)

犬塚公爵家の32代目当主。日本皇国陸軍大将で陸軍参謀部本部長でもある陸軍のトップ。軍人としても犬塚公爵家の当主としても厳格だがかなりの愛妻家で子供達を大事に思っているので犬塚姉弟から非常に慕われて居る。

 

侯爵と伯爵を爵位として保持して居る。

 

犬塚真夜(46)

犬塚姉弟の母でもあり極東の魔女と言う異名で恐れられて居る。肝っ玉が座って居る上に姉弟達からは少なからず恐れられて居るが母親としては姉弟達の幸せを願っており一方、母の居ないリーナやエリカそして亜夜子を実の娘の様に可愛がっており彼女達からも実の母の様に慕われて居る。

 

犬塚正一(65)

犬塚公爵家の前当主で犬塚総一の父親で犬塚姉弟の祖父でもある。現役時代は空軍大将をして居たが現在は隠居して内閣で大蔵大臣をして居る。

 

安倍晴子(67)

犬塚公爵家の現当主総一の母親でもあり犬塚正一の妻でもある。性格は勝ち気で男勝りなので孫の姉弟達から非常に恐れられて居る。

 

犬塚公爵家の関係者

五十里啓(16)

孝一達の姉、咲の許嫁である。一科生。2年C組。

身長174cm。

それ以外は原作通り。

 

アンジェリーナ・クドウ・シルーズ(15)

孝一の恋人の一人で幼馴染でも有り原作とは違い日本国籍で軍人では無い。

 

身長は163cm。

 

それ以外は原作通り。1年B組

 

千葉エリカ(15)

孝一の恋人の一人で孝一とはお互いに剣士という事もある。渡辺摩利と異母姉との仲は原作とは違い仲が良いそれ以外は原作通り。

 

身長162cm

 

1年E組。二科生。

 

一色愛梨(16)

孝一の恋人の一人で第三高校に通って居る。一色家の令嬢で「エクレール」の異名で知られて居る。実は孝一と出会った当初は孝一を馬鹿にして居たが孝一の実力を知って以来孝一に猛アタックした結果、孝一の恋人になった。一色家は愛梨の兄が当主になる予定。

 

千代田花音(16)

孝一の恋人の一人で第一高校の二年生で一科生でもある。

それ以外は原作通り。

 

羽澄奏(16)

孝一の恋人の一人で羽澄伯爵家の令嬢でもあり。治癒魔法を得意にして居る。

犬塚公爵家と羽澄伯爵家は家ぐるみの付き合いがある。

 

明智英美(15)

孝一の恋人の一人で孝一達とは幼馴染でもある。それ以外は原作通り。

 

里美スバル(15)

孝一の恋人の一人であり犬塚公爵家の分家の一つである里美伯爵家の娘でもある。それ以外は原作通り。

 

 

黒羽亜夜子(14)

孝一の恋人の一人で孝一達、犬塚姉弟とは再従兄弟でもあり四葉家の分家の一つ黒羽家の長女でもある。魔法大学附属第一高校に進学予定。

 

 

それ以外は原作通り。

 

 

黒羽文弥(14)

亜夜子の双子の弟で達也と孝一達の事を慕って居る。姉の亜夜子同様に第一高校に進学予定でそれ以外は原作通り。

 

 

四葉家

四葉達也(15)

四葉家の次期当主筆頭でありもう一人の主人公でもある。

 

通常の魔法が使用でき感情もあるが感情起伏が低いが冷静沈着。一科生。それ以外は原作通り。入試試験の総合順位は2位。基本的には暴走しやすい孝一達、三つ子のストッパーの役目を持って居る。

 

ヒロインは七草真由美と七草香澄と七草泉美です。

 

クラスは1年B組。

 

固有魔法『ハデス』

対象の精神(意識・感情・記憶)のいづれかをの領域内に干渉し分解する。彼だけにしか扱えない。

 

 

『術式解散』こちらではハデスが姿を変えたもの。

 

『精霊の眼』原作では分解と再生の副産物だがこちらではハデスの副産物。

 

『冥王星(プルート)』戦力級魔法

 

 

 

四葉深雪(15)

達也の年子の妹で次期当主候補の一人。

 

殆どが原作通りだが達也の恋路に関しては認めて居る。

 

クラスは1年A組。

 

四葉深夜(46)

四葉家の現当主で真夜の双子の姉で総一の義姉であり孝一達、犬塚姉弟の伯母でもある。それ以外は原作通り。

 

葉山忠教

四葉家の執事筆頭で四葉家の重鎮の一人で四葉家内の家政全てを取り仕切り四葉家のプライベートを含めた全ての用向きを果たす真の執事は彼だけである。

 

桜井穂波(33)

四葉家のガーディアンで現在は四葉深夜のガーディアンを勤めて居る。

 

桜井水波(14)

四葉家のメイド兼ガーディアンで穂波の遺伝上の姪に辺り達也と深雪のガーディアンを務める。孝一の弟の紅音とは恋仲である。

 

皇国七武海

 

リムル=テンペスト(肉体年齢2?精神年齢39?)

ジュラ・テンペスト大公国の大公であり七武海の一人で魔法教育をジュラ・テンペストに取り入れたいと言う考えの元に魔法大学付属第一高校に入学した。

 

彼は竜魔粘性星身体(アルティメットスライム)で自身のスキルの捕食者と擬態で取り込んだ者達のスキルを解析、鑑定そしてその姿になる事が出来る為に人間の姿になる事が可能。因みに大公と言う爵位は彼のために創設された爵位で有る。

 

 

ジュラキュール・ミホーク(41)

皇国七武海の一人で世界最強の剣士で孝一とはライバル関係で常にどちらが剣士として世界最強なのかを争っており顔を合わせれば高確率で争いを始まってしまう。

 

 

ボア・ハンコック(29)

皇国七武海の一人で蛇女帝の異名で有名だがかなりの男嫌いでアマゾンリリーの女王を務めている。

 

メロメロの実の能力者でもあり覇気使いでもある。

 

 

イビルアイ(200以上?)

皇国七武海の一人で国崩しの異名で有名で世界でも数少ない魔法詠唱者の一人で吸血鬼でもある。

 

 

アインズ・ウール・ゴウン(?)

皇国七武海の一人でオーバーロードの異名で有名でイビルアイと共に世界でも数少ない魔法詠唱者の一人でアンデッドのエルダリッチでもある。

 

 

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設定と用語

 

犬塚公爵家

 

皇国きっての名門貴族で軍の将官や内閣総理大臣を始めとした国務大臣を輩出して来た名門一族として有名で政治的にも経済的にも十師族でも無視出来ない程の影響力を有している。

そしてこの国の私有地の25%の土地を所有する大地主でもあり土地の賃貸やアパートやマンションとビルなどの不動産経営をはじめ金融、保険、運輸、建築、畜産、農業などの企業を経営するロスチャイルド家と並ぶ世界でも有名な実業家一族でも犬塚財閥でも有名。

同時に犬塚公爵家は文化にも精通しており文化人としても知られている。

 

複数の爵位を保有している。

 

主な爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵を保有している。

 

犬塚公爵家の総資産は110兆6796億円で土地と事業経営による収入は78兆3560億円である。

 

 

魔法協会

全ての魔法師を管理する組織。ただ全ての魔法師を管理して居るのでその分、強大な権限を有している側面もあるので貴族や政府や警察そして軍の一部からは少なからず嫌われて居る。

 

十師族

魔法師の頂点に立つ存在で師族会議で二十八家の中から選ばれる。そして他の数字付きの会議で魔法協会の

 

魔法師

 

原作の劣等生とは設定が変わらない。

 

魔法詠唱者(マジックキャスター)

 

オーバーロードに出て来る魔法使いで設定はオーバーロードと変わらない。

 

 

貴族

憲法では法の下の平等が明記されて居るため基本的に国民とは平等だが様々な面では特権を保持して居る。その地位と相続などで優遇されて居る。

 

貴族には世襲貴族と一代貴族の二つ存在して居る世襲貴族は1945年以前に貴族になった者は世襲貴族でそれ以降に貴族になった者は一代貴族として扱われる。

 

世襲貴族は様々な面で特権を保持して居る。

 

 

一代貴族は一代に限ってその爵位と同等の地位と特権を保持する事を許されて居る。

 

 

一夫多妻

この世界の日本では認められた制度。しかしこの制度は政府から一夫多妻の権利を受けた者のみが利用できる制度:

 

 

日本皇国憲法

日本国憲法と大日本帝国憲法を足して割る2して幾つかの条文を追加した憲法。

 

 

日本皇国

本作の舞台の日本で現実に近いが少子化は無く世界中に領土を保持する国家であり連邦制民主主義の立憲君主制国家である。

 



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入学編
プロローグ&入学編STORY1


この作品は前作、雷帝の英雄譚のリメイクです。


前作の反省点を生かして書きますのでなるべくは原作通りに進めようと考えて居ます。


後、今回の話はプロローグと入学編を兼ねて居ます。


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1945年昭和20年皇紀2605年2月7日

 

 

この年、大日本帝国とアメリカ合衆国で行われていた太平洋戦争と呼ばれた戦争が両国の講和条約で(日本側の事実上の敗北)終結したのだ。

 

 

講和条約の内容としては以下の通りである。

 

 

日本側は1910年以降に取得した領土を独立又はアメリカならびに他国に割譲する事と民主化する事と中国大陸及びアジアからの撤兵が講和条約の条件である。

 

 

アメリカ側の条件は排日移民法の廃止そして日本に間接的に民主化の指導そして第二次世界大戦後に経済的、軍事的な支援をするそして満州国の独立を認める事が講和条約の条件である。

 

 

その後1945年3月1日に講和条約が正式に結ばれて日本は講和条約に締結に伴い。朝鮮半島の北部をソ連に南部をアメリカに割譲して委任統治領の太平洋諸島をアメリカの信託統治領に移譲したのだ。

 

 

そして日本は大日本帝国憲法を大幅に改正した天皇と国民が共同の主権者として地方に政府の権限の幾つかを割譲した連邦制と軍部の暴走の反省から議会の権限を強くして議院内閣制を明記して文民統制も明記さらに帝国議会の名称を皇国連邦議会の名称にして下院にあたる衆議院の優越を認めるが貴族院と華族制度は残して衆議院の暴走を阻止と知恵伊豆としての役割を持たせると同時に貴族院の選出方法が華族と勅選そして多額納税以外では地方から国民の直接選挙で選出される事になった。そして憲法も日本皇国憲法として連邦制民主主義の立憲君主制として憲法が1945年5月3日に公布そして一年後の1946年の5月3日に正式に発布されたのだ。

 

 

そして日本は連邦制の導入に伴い都道府県と台湾総督府を廃止して州に移行にしたのだ。

 

 

内訳としては北海道州、東北州、関東州、甲信越州、北陸州、東海州、関西州、中国州、四国州、九州、沖縄州、台湾州になったのだ。しかしその後1949年に中国大陸から中国共産党との争いに負けた蒋介石率いる中国国民党が亡命して来たのだ。その後彼らは日本皇国の台湾州の住民は殆どが日本皇国からの分離独立を望んでいないので蒋介石は日本皇国連邦政府に台湾にさらなる自治権として台湾自治共和国をする様に提案して政府も住民の意思を尊重するとして住民投票を行なった結果、台湾自治共和国移行を賛成が78%となった為に政府もそれを承認して台湾自治共和国として設立して外交と安全保障そして国に関わる権限以外は台湾自治共和国に移譲されたのだ。

 

 

さらに軍制も陸海に加えて陸軍航空隊と海軍空母打撃群所属の一部が統合、独立して空軍として発足してさらに海軍陸戦隊が独立して海兵隊として独立したのだ。陸海軍省が統合されて国防省が設立されたのだ。国防省傘下として皇国軍情報局と内閣総理大臣直属として皇国中央情報局が設立されたのだ。ちなみに核兵器を落とされて居ないので五大国のアメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中国以外で唯一の日本皇国は核兵器を保有をNTP条約によって認められたのだ。

 

 

そして日本では国内で魔法と思われる物が1920年代からで始めたのと世界でも同様の事が起きたが世界では彼等が差別と迫害を受けたが日本は彼等の保護及び亡命を認めたのだ。それを知った世界はヨーロッパではマルタ、アイスランド、アイルランドがアフリカではマダタスカルとモルティブが太平洋諸島の国々がカリブ海のキューバ、ハイチ、ドミニカが住民投票の結果、日本の自治共和国として編入されたのだ。

 

 

話は逸れるがアメリカとソ連に統治された朝鮮半島がそれぞれ北部と南部で北部が社会主義の朝鮮民主主義人民共和国、通称北朝鮮として独立して南部が資本主義の大韓民国、通称韓国として独立するがそれぞれが独立の経緯が経緯なだけに特に韓国の方は反日感情が異常なレベルで高い為か日本に対して挑発行為を行っており韓国が領土問題で北朝鮮は拉致問題と核武装、そして中国とも領土問題で対立して居るので日本の仮想敵国になっている。

 

 

それから時が経ち2008年に韓国が竹島に武力侵攻を行なったが結果的には日本皇国側が防衛に成功して韓国側の敗北で賠償金を支払う様に条約を結ばされてしまい世界からは侵略国家と看做されて信用が無くなったのだ。

 

 

その2年後の2010年に由古丹国と秋津国と山城国と沿海国と瑞穂国と龍獣王国と水魚島と精妖島と魔夢幻島に加えてジュラ・テンペスト連邦国とミリム領が島となって日本皇国の太平洋側を中心に出現してジュラ・テンペストとミリム領以外とは戦争になり日本側が勝利そしてそれら全てが日本皇国のジュラ・テンペストとミリム領と龍獣王国と水魚島と精妖島と魔夢幻島以外は州として編入してジュラ・テンペストは大公国としてミリム領は公国として残りは皇王国として日本皇国に編入したのだ。

 

ここだけの話だがリムルとミリムそしてテンペストに居たラミリスとディーノ以外の魔王も偶然にもジュラ・テンペスト連邦国に居たのでテンペストの転移に巻き込まれて残りの魔王達も基本的には用向きが無い場合はテンペストに居る。閑話休題。

 

更にそこから時が経ち2年後。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

2012年平成22年皇紀2672年4月5日

 

 

日本皇国関東州八王子市

 

 

日本皇国国立魔法大学第一高校

 

 

この日この学校に六人の男女が入学する為にやって来ていたのだ。黒髪の三本の猫髭と額に布を巻いた少年が口を開いたのだ。

 

 

「しかしこの国も変わってんな。」

 

 

「仕方ね〜よ兄貴。」

 

 

「そうだそうだ。」

 

 

「やれやれね。孝一は。」

 

 

「仕方ないよ。昔からこうだから。」

 

 

「確かにそうだね。」

 

 

「ふん。」

 

 

 

犬塚孝一は学校の校門で愚痴を漏らしながら口を開くと弟の赤髪で癖っ毛で紅音と桃色の紅音同様癖っ毛の夏がツッコミを入れて孝一の恋人の金髪のリーナとオレンジ色に近い赤毛のエリカと栗色で腰までの長髪の奏が三者三様の反応をするが本人は気にせずにスルーしたのだ。すると孝一が彼等に言ったのだ。

 

 

「お前ら少しこの場を離れるが良いか?」

 

 

「別に良いけど、どうしたんだ兄貴?」

 

 

「ああちょっとな。」

 

 

「そうだあたしもちょっと離れるから。」

 

 

紅音が聞くと孝一は話をはぐらかしてその場を離れると何処かに向かったのだ。エリカもそう言って何処かに向かったのだ。そして校内のある人が全く居ない場所にやって来たのだ。すると何か青白い魔法陣が出現したのだ。そしてそこから青みかがった銀髪で長身の中性的な人物が現れたのだ。孝一はその人物に話しかけたのだ

 

 

「リムル大公殿下、ご入学おめでとうございます。校内では私が護衛につきますので。」

 

 

「リムルで良いぞ。それに俺は此処では俺の本来の姿を隠して入学して居るからな。それにその呼び方は辞めてくれないか?」

 

 

「分かったリムル。さすがに俺もこっちの方が良いからな。」

 

 

「そうだな。じゃあ彼等の元に行くか?」

 

 

「ああそうだな。」

 

 

彼の名前はリムル=テンペスト。ジュラ・テンペスト大公国の大公で竜魔粘性星神体(アルティメットスライム)であり彼の居た世界では八星魔王の一人でもあった存在であるが彼の正体は元人間の日本人で転生者らしくその為即座に高度の自治権を引き換えに日本皇国に編入されたのだ。

 

 

そして本人の強い希望により国立魔法大学付属第一高校に入学したのだ。そして実は彼にはもう一つ肩書きがあり皇国七武海の一人であり聖魔混世皇(カオスクリエイター)である彼はこの第一高校に入学したのだ。その為、皇国連邦政府の要請でスライムの姿にならない事を条件を出したのでリムルは気にせずに了承したのだ。因みにリムルはスライムのため無性だが本人の話し方や前世が男性だった為に本人と政府と学校の協議により男性として学校に通う事になる。

閑話休題

 

 

「あ、兄貴!どこ行ってたんだよ!ってそいつ誰?」

 

 

「ああ、こいつはリムル・テンペスト。ちょっと訳あって彼の護衛に就くことになった。くれぐれも彼の正体を言うなよ?」

 

 

「リムル・テンペスト?てかリムルってまさか!?」

 

 

「そのまさかだ。俺と夏と同じで皇国七武海の一人で聖魔混世皇にしてジュラ・テンペスト大公国の大公であるリムル=テンペストだ。だから絶対にコイツの本来の姿を言うなよ?」

 

 

「分かったよ兄貴」

 

 

孝一とリムルが彼等の元に行くが紅音と夏以外は誰も居なかったが孝一は気にせず居ると紅音が孝一に話しかけてそしてリムルの存在に気づき尋ねるとリムルの正体を紅音に言うが口外しない様に伝えて紅音が了承するとリーナと奏が戻って来たが二人の女子生徒が居たのだ。

 

 

一人は赤髪の小柄の少女ともう一人はリムル同様中性的だがリムルとは違い女子生徒の制服を着て眼鏡を着用した少女なのだ。

 

 

「英美とスバルか?」

 

 

「君も相変わらずだね?」

 

 

「久しぶり〜孝一君!ニッパ!」

 

 

「ふん。いつもの事だ。」

 

 

「そうだね。そう言えば彼は何者なのかね?」

 

 

「俺はリムル・テンペストだ。宜しくな。」

 

 

「僕は里美スバルだよ。宜しくね。」

 

 

「私は明智英美だよ!フルネームはアメリア=英美=明智=英美、エイミィで良いよ!宜しくね?」

 

 

彼女達の名前は明智英美と里美スバルでスバルは里美伯爵家の長女で犬塚公爵家の分家の出身の人物で孝一と紅音と夏は犬塚公爵家の出身で孝一達とスバルは本家と分家の人間と言う関係であるが孝一とスバルは恋人関係でもある。

 

 

英美は母方がイングランドの名門一族ゴールディ家の血を引く日英のクォーターが英美で英美の父と孝一の父が幼馴染でその関係で孝一と英美は幼馴染で孝一の恋人との一人である。

 

 

「そろそろ行こうか?」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

 

そして彼等は入学式が行われる体育館に向かったのだがその道中で騒がしいのでそれを見るためにそこに行くと二人の男女が何か言い争いをしていたのだ。

 

 

「どうしてですか!何故、お兄様が首席では無いのですか!?」

 

 

「仕方が無いだろ?この学校の入試試験の実技試験は俺とは少し相性が悪かったんだ。文句を言うな深雪。」

 

 

「ですがお兄様。私は納得出来ません!それに本来であれば入試試験のトップのお兄様が新入生総代になる筈ではありませんか!」

 

 

「お前がどうやって試験結果を手に入れたかは置いといてさっきも言ったが俺よりお前の方が魔法力は上だから我慢するんだ。それにお前が総代を辞退しても俺が総代になる訳もないんだ。それにお前の印象が悪くなるんだ。良いな深雪?」

 

 

「それに可愛い妹の晴れ姿を駄目兄貴に見せてくれないか?」

 

 

「分かりました。お兄様。それとお兄様!お兄様は駄目兄貴じゃないですから!それでは行ってきます。」

 

 

「ああ、頑張って来い。」

 

 

「うん?」

 

言い合いをして居たのはどうやら兄妹だった様だがどうやら入試の一件で少し不満があったらしいが兄の方が妹を何とか宥めて妹を見送ったのだ。すると兄の方が孝一達に気付いて孝一に話しかけて来たのだ。彼の名前は四葉達也で十師族の四葉家の次期当主筆頭で先程の妹の四葉深雪どある。

 

 

「お前達に何をして居るんだ?」

 

 

「何して居るって言われてもよ達也。お前のシスコンと深雪のブラコンは相変わらずだな。」

 

 

「それに関してはノーコメントだ。それとその銀髪の奴は誰だ?」

 

 

「ああ、こいつは。」

 

 

「俺はリムル=テンペストだ宜しくな。」

 

 

「俺は四葉達也だ。宜しく。」

 

 

「入学式に遅れるよ?」

 

孝一と達也が話をして居ると達也がリムルの存在に気づき孝一に尋ねると孝一がリムルに目を向けるとリムルが自己紹介をして達也も自己紹介をしたのだ。孝一達が話をして居ると後ろから女性の声で話しかけられたのだ。

 

 

「真由美さん。」

 

 

「あら達也君じゃない!入学おめでとう!どう?制服似合ってるかな?」

 

 

「ええ、2年前の入学式に見せてもらって以来久しぶりです。」

 

 

達也と真由美が話をして居ると孝一が口を開いてそれに気付いた二人が孝一と会話し始めたのだ。

 

 

「あーお取込み中悪いがお二人さん。俺達の事を忘れちゃ居ないか?」

 

 

「ああ、すまない。」

 

 

「孝一君じゃない。久しぶりね?いつ以来かしら?」

 

 

「正月の三ヶ日以来ですから三ヶ月ぶりですよ。」

 

 

「そうね!えっとそちらの銀髪の子は誰なのかな?」

 

 

「ああ、彼はリムル=テンペスト。俺の親友ですよ。」

 

 

「どうも始めまして俺はリムル=テンペストです。宜しくお願いします。」

 

 

「私は七草真由美です。ななくさと書いて、さえぐさって読むんですよ。」

 

 

「あ、はい。」

 

 

孝一と真由美が会話をして居ると真由美がリムルの存在に気づき孝一に尋ねると孝一がリムルの事を紹介してリムルと真由美はお互い自己紹介をしたのだ。

 

 

「会長〜〜。そろそろ時間で、お話し中でしたか?」

 

 

「大丈夫よ、あーちゃん。達也君、孝一君。リムル君。この娘は2年生で生徒会書記長の中条あずさ、通称あーちゃんよ。」

 

 

「会長、あーちゃんはやめてください!」

 

 

あずさの抗議を真由美は無視して話を続ける。

 

 

「はいはい、で、この人は司ば・・・じゃなくて。」

 

 

「はい。」

 

 

「ああ。」

 

 

真由美からバトンタッチされた二人は自己紹介をする事にしたのだ。そして達也が話を始めたのだ。

 

 

「はじめまして、中条先輩。」

 

 

先輩と呼ばれて嬉しそうな顔をするあずさ。

 

 

(なるほど、これはあーちゃんだな。)

 

 

達也と孝一は頭を振り、脱線しかけた話を戻す事にしたのだ。

 

 

「自分の名前は四葉達也と言います。」

 

 

「俺の名前は犬塚孝一です。で、この銀髪の奴は」

 

 

「俺はリムル=テンペストです。」

 

 

「えっ!四葉って、十師族の四葉家ですか!?」

 

 

驚くあずさに真由美がたたみかける。

 

 

「そうよ。それと私の婚約者でもあるのよ^_^」

 

 

「ええええええええええええ!」

 

 

あずさの反応に三人はそれぞれがそれぞれの考えたのだ。達也が

 

 

(確かにその反応は仕方ないな。)

 

 

孝一が

 

 

(こいつの正体じゃ仕方ないよな。)

 

 

リムルが

 

 

(まさか此処ではこれが当たり前なのか?)

 

 

「じゃあ私は生徒会の件があるから此処でお暇させて貰うね?」

 

 

三人がそんな考えをして居ると真由美があずさを引きずりながらその場を立ち去ったのだ。そして残された孝一達は話し始めたのだ。

 

 

「で、どうする達也?」

 

 

「何故、俺に話を振るんだ孝一?」

 

 

「お前ら二人は仲が良いんだな?」

 

 

「リムル、お前の目は節穴か?」

 

 

「ははは、冗談だよ冗談。さて会場に行こうか?」

 

 

「ああ。」

 

 

「そうだな。」

 

 

リムルの発言に孝一が反応するとリムルが冗談だと言い会場に向かう様にいったので孝一と達也は賛成して会場に向かったのだ。そしてその道中である男子生徒に話しかけられたのだ。

 

 

「すんません。会場はどっちでしたけ?」

 

 

「向こうだ。どうせ行き先は同じなんだから案内する。それと同じ一年生同士だ敬語はじゃなくて構わない。」

 

 

「そうなのか?いや、堂々としてるからてっきり先輩かと思ったぜ。」

 

 

(そんなに偉そうだったか?)

 

 

達也がそう思って居るとリムルが小声で孝一に話しかけたのだ。

 

 

「俺達そんな偉そうに、してないぞ。」

 

 

「周囲から見れば俺達はそう言う風に見えてるのかもしれんな。」

 

 

二人がそう会話をして居る達也が二人に話しかけたのだ。

 

 

「お前たちはそこで話をして居るんだ?」

 

 

「いや、こっちの話だ。気にするな。それと入学式に遅れるぞ?」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

三人がそう言うと話しかけて来た男子生徒が固まって居たので孝一が話しかけたのだ。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「どうしたんだ?」

 

 

「ここに来るまでに一科生の奴らからウィードって呼ばれたから一科生がみんな見下してるかと思ったんだ。」

 

 

「一科生もニ科生も同じ人間だろ?」

 

 

「そもそもそう言う馬鹿みたいに思考して居る奴の頭と言い分は無視した方が良いぞ?」

 

 

「ああ、そうだぞ?」

 

 

彼の発言に達也達がそれぞれ自身の意見を言う。ちなみに上から達也、孝一、リムルの順番である。

 

 

「ああ、そうだ名乗ってなかったな。俺は西条レオンハルトだ。親父はハーフでお袋がクォーターで外見は純日本だが名前は洋風で得意な術式は収縮系の硬化魔法だ。レオで良いぜ?」

 

 

「俺は四葉達也だ。達也で良いぞ。」

 

 

「俺は犬塚孝一だ。孝一で良いぞ。」

 

 

「俺はリムル=テンペストだ。俺はどっちでも良いぞ。」

 

 

「ああ、四葉ってあの四葉か!?それに犬塚とテンペストってどっかで聞き覚えがあるんだけどよ?」

 

レオが驚くと達也と孝一がリムルがその反応に答えたのだ。

 

 

「どの四葉かは知らんが十師族の四葉家だぞ?」

 

 

「俺に関しては気の所為だと思うぞ?」

 

 

「犬塚公爵家って知ってるだろ?それ俺の実家。」

 

 

「入学早々に十師族がダチになったは驚きだぜ。それお前まさか犬塚公爵閣下と何か関係があるのか?」

 

 

レオが嬉しそうに言うと孝一に聞くと孝一がレオの質問に答えたのだ。

 

 

「ああ、犬塚公爵家の現当主は俺の親父で俺は犬塚公爵家の嫡男、要するに長男で犬塚公爵家の次期当主でもあるんだよ。」

 

 

「そうなのか!?まじでスッゲー名門貴族が目の前に居るから全然貴族らしく無いから言われるまで気付かなかったぜ。」

 

 

「ああ、よく言われるよ。でも俺はあんまり犬塚公爵家の嫡男としてじゃなくて俺個人として見て欲しいから犬塚公爵家の人間だって言わないんだよ。」

 

 

「ああ、そうか分かったぜ孝一!」

 

 

「さてお前たちそろそろ時間が近いぞ?会場に行くぞ?」

 

 

「おう!」

 

 

「そうだな。」

 

 

「まあ、行くか。」

 

 

孝一と達也とレオが会話をして居るとリムルが時間が近づいて居ると伝えると三人がそれに同意して入学式が行われる講堂に向かったのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

学校によっては入学式前にクラス分けを発表して居る所もあるがこの学校は国立と言うこともあってかそう言った事を廃止して生徒手帳の代わりにIDカードを交付時に判明する仕組みになって居る。従って、クラス別に自然に分かれると言う事はない。だが、新入生の分布には明らかに規則性があったのだ。

 

 

前半分が一科生ーー『ブルーム』

 

 

後半分がニ科生ーー『ウィード』

 

 

(最も差別意識が強いのは差別を受けて居る者である、か・・。)

 

 

(やれやれだな。だからこう言うシステムは合理的じゃないし人のやる気を奪うことじゃ無いのか?)

 

 

(これ、テンペストに導入出来るシステムじゃ無いな。)

 

 

孝一達、三人がそんな事を考えながらも後ろの三分の一辺りの中央に近い場所空き席を適当に見繕って座りレオも三人の隣に座ったのだ。孝一達の行動に当然周りの生徒達は驚いて居たのだ。

 

 

「一科の制服はそんなに珍しいのか?」

 

 

「ふむ、此処は此処で少し居心地が悪いな。」

 

 

「そりゃそうだろな。」

 

 

「イヤイヤ、そういう事じゃねえと思うぜお前ら?」

 

 

白々しいセリフを言う孝一達にレオがツッコむ。呆れる親友をほっといて式が始まるのを待っていると隣から声が掛けられたのだ。

 

 

「あのお隣よろしいでしょうか?」

 

 

「どうぞ。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

と頭を下げて腰をかけるメガネをかけた少女ともう一人、孝一にとって見覚えのある赤毛の少女が座ったのだ。しかし、孝一は少し考え事をして居たのだ。

 

 

「あの、私は柴田美月って言います。よろしくお願いします。」

 

 

予想に反した自己紹介。気弱そうな外見。人を外見で判断するのは危険なようだな。

 

 

「俺は四葉達也です。こちらこそよろしくな。」

 

 

「俺は犬塚孝一だ。よろしくな。」

 

 

「俺はリムル=テンペストだ。よろしくな。」

 

 

「四葉!!あの十師族の!それに犬塚ってあの犬塚公爵家の関係者なのですぁ?」

 

 

達也と孝一が自己紹介したら美月が目を見開き驚いたのだが達也と孝一が後何回このやり取りをするんだっと考えるが答えたのだ。

 

 

「ああ、その四葉だ。」

 

 

「犬塚公爵家の現当主は俺の親父で俺はその嫡男、要するに犬塚公爵家の次期当主って事。」

 

 

「へえ、私は千葉エリカよ。エリカで良いわよ。」

 

 

「千葉って。もしかしてあの百家の千葉家か?」

 

 

「うん、まあ・・・一応ね。それにしても相変わらずね孝一は。」

 

 

「俺は俺だ。」

 

 

(千葉家にエリカと言う名の、しかも同じ年の人間居るとは聞いて居ないが。)

 

 

達也は四葉家の次期当主として魔法師関係の事は逐一調べて居た特に数字付きの事に関してはチェックをして居た。考えて居たら反対から声がしたのだ。

 

 

「痛ッ、、、寝てたは。」

 

 

姿勢が崩れて後ろの背もたれに頭をぶつけたレオ。いったい、いつの間に夢の世界に旅立って居たのか孝一達は内心ツッコミを入れたのだ。

 

 

「ん?なあ、コイツ等、誰?」

 

 

「うわっ、いきなりコイツ呼ばわり?しかも指差し?失礼なヤツ、失礼なヤツ!失礼なヤツ!モテない男はこれだから。」

 

 

「なっ!?失礼なのはテメーだろうがよ。少しくらいツラが良いからって、調子にこいてんじゃねーぞ。」

 

 

「あらっ、ルックスは大事なのよ?だらしなさとワイルドを取り違えて居るむさ男には分からないかもしれないけど♫それにな〜に?場違いなスラングはひんしゅくを買うわよ?」

 

 

「なっ、なっ、なっ。」

 

 

「・・・エリカちゃん、もう止めて。少し言い過ぎよ。」

 

 

「エリカ、お前の言いたい事は分かるが少し落ち着け。」

 

 

「レオも、止めとけ。今のはお互い様だぞ。口じゃ構わないと思うぞ。」

 

 

達也と孝一と美月が止めに入る。

 

 

「美月と孝一が言うんだったら。」

 

 

「分かったぜ。」

 

 

二人の喧嘩を仲裁したので二人はすぐに剣を鞘に収めたのだ。そして司会がやって来て入学式が始まったのだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

深雪の答辞は予想した通り見事なものだったのだ。この程度のことで妹は躓くなどと、達也は考えて居たのだ。孝一は少し答辞の内容に引っかかったはスルーしたのだ。

 

 

「皆等しく。」とか「一丸となって。」とか「魔法以外にも。」とか「総合的に」とか、結構際どいフレーズが多々盛り込まれて居たがそれらを上手く建前でくるみ棘を一切感じさせなかったのだ。

 

 

当の本人である深雪は堂々としていばがら初々しく慎ましく、本人の並外れた可憐な美貌と相乗して新入生、上級生の区別なく男達のハートを鷲掴みにしたのだ。その為、深雪の身辺は明日からさぞかし賑やかなだろう。それはいつもの事だと達也が考えて居た。

 

 

「達也君と孝一とリムルは何組?」

 

 

「俺はB組だ。」

 

 

「俺もB組だ。」

 

 

「俺もだ。」

 

 

「せっかくなのにやっぱり一科とニ科は同じクラスになれないのね。」

 

 

「まあ、仕方ねぇことだろ?」

 

 

上からエリカ、達也、孝一、リムル、美月、レオの順番である。

 

 

「一日中、行動が制限される訳では無いから休憩時間に行動すれば良いだけだ。」

 

 

「そうね。」

 

 

「だな。」

 

 

「こ・う・い・ち!」

 

 

達也とエリカとレオが会話をして居ると後ろから聞き覚えのある声が孝一に近づいて来たので孝一が振り向いたのだ。そこにはリーナが居たのだ。

 

 

「ちょっと孝一!今までどこに行って居たのよ!」

 

 

「ちょっと、リーナ落ち着いて。」

 

 

「孝一の放浪癖は昔からだからね。」

 

 

「ははは。そうだね。」

 

 

「むー少しはこっちの身にもなってよ〜孝一君。」

 

 

「仕方ねだろ。兄貴はこうなんだからよ。」

 

 

「そうだな。」

 

 

上から、リーナ、深雪、奏、スバル、英美、紅音、夏である。そして彼等はそれぞれのクラスを確認し合うとお互い自己紹介をしたのだ。因みにレオ、エリカ、美月はE組だ。そうして居ると生徒会長の真由美がやって来て話をして居たら一人の男子生徒が自分達に睨みつけたのだが孝一はそのままスルーしたのだ。

 

 

「じゃ、帰るか。」

 

 

「だな。」

 

 

「おうよ。」

 

孝一達、三つ子とリーナ達はそのまま帰宅したのだ。すると孝一はエリカ達にある事を提案したのだ。

 

 

「なあ、お前達。今日、俺ん家に泊まってくか?」

 

 

「え!良いの?」

 

 

「いきなりだね。」

 

 

「ワオ!」

 

 

「ああ、お袋がな。入学祝いも兼ねて会いたいって言ってたからな。」

 

 

「そうなんだね。」

 

 

孝一達はそのまま会話をしながら歩き続けて駅に着いて孝一達が住んでいる東京特別市の駅で降りてそこから孝一達が住んでいる家に向かい大きな屋敷の前にある大きな門に着いたのだ。すると門が開いたので孝一達は敷地内に入り屋敷の扉を開けると屋敷の中に入ると使用人達が集まって居てある事を言ったのだ。

 

 

「お帰りなさいませ、若様方。」

 

 

「ああ、ありがとう。みんな。」

 

 

孝一がそう言うと一人の執事と思しき老人がやって来て孝一達にある事を言ったのだ。

 

 

「若様。すぐに奥様の所にお向かい下さい。」

 

 

「分かったよ、爺。」

 

 

爺と呼ばれた執事は頭を下げてすぐに立ち去ると孝一達はすぐに彼等の母親の部屋に向かったのだ。そして孝一達は母親の部屋の前に着くと孝一が部屋のドアをノックしたのだ。すると中から声がしたのだ。

 

 

「入って良いわよ。」

 

 

「お前達、少し下がってる。」

 

 

入室を促されると孝一は少し下がる様に一緒に居た者達に言うと一人で部屋に入ると同時に魔法が飛んで来たので孝一は即座に魔法を発動してそれを防いだのだ。

 

 

「お袋、俺か達也じゃなきゃ死んでるぞ?」

 

 

「あら、そうかしら?」

 

 

孝一はそう言うと二十代くらいの女性がそう返して魔法の発動を収めると紅音達がは入って来たのだ。

 

 

「相変わらずだな。兄貴とお袋は。」

 

 

「お久しぶりです、真夜様。」

 

 

「そんなに気を使わなくて良いのよ、みなさん。」

 

 

紅音がそう言うとエリカが代表して言うと真夜と呼ばれた女性が答える。彼女の名前は犬塚真夜、旧姓四葉真夜であり孝一、紅音、夏の三つ子の母でもある。するとドアがノックされると同時にドアが開くとそこに三人の男女は入って来たのだ。

 

 

「あら孝一と紅音に夏じゃない。あらエリカちゃん、英美ちゃん、スバルちゃん久しぶりね?第一高校入試おめでとう!」

 

 

「お久しぶりです!咲さん!」

 

 

「お久しぶりです。」

 

 

「お久しぶりです!」

 

 

「あの。」

 

 

咲と呼ばれた少女がそう答えると上からエリカ、スバル、英美が順番に答えるとすると後ろの方から声がしたのだ。よく見ると黒髪の二人の男女が居たのだ。それを確認した孝一が男の方に近づいて頭を撫で回したのだ。因みに咲は犬塚姉弟の長子で第一高校の二年生である。

 

 

「ちょっ、孝一兄さん、止めて下さい!」

 

 

「良いじゃねーか、なあ、文弥?」

 

 

孝一に文弥と呼ばれた少年が顔を赤くすると孝一の後ろから衝撃を受けたのだが孝一は気にせず後ろを見るとそこには長髪の黒髪の少女が居たのだ。それを確認しやした孝一が彼女に話しかけたのだ。

 

 

「何してるんだ、亜夜子?」

 

 

「お久しぶりです、孝一さん。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

亜夜子と呼ばれた少女も文弥同様に顔を赤くしながらも反応する。二人は黒羽亜夜子と黒羽文弥で双子の姉弟である。二人は孝一達、犬塚姉弟とは再従兄弟であり四葉家の分家の一つ黒羽家の人間であり亜夜子は孝一の恋人の一人でもある。

 

 

「孝一さん(兄さん)、紅音さん(兄さん)、夏さん(兄さん)、第一高校ご入学おめでとうございます。」

 

 

「「「ああ((おう))。」」」

 

 

亜夜子と文弥が孝一達が第一高校に入学した事を祝う言葉を述べたので孝一達が反応したのだ。そして孝一達と会話をしだしたのだ。

 

 

「本当は2〜30分後に来る予定でしたけど文弥がどうしてもって言って聞かなかったんですよ。」

 

 

「姉さんだって嬉しそうにしてたじゃないか!先に達也兄さん達の所に行ってからこっちに来たんだからさ!」

 

 

「お前達は相変わらずだな。」

 

 

「そう言う兄貴だって人の事言えn「どが」痛て!」

 

 

「黙ってろ。 」

 

 

亜夜子と文弥がそう言う会話をして居ると孝一は呆れながら言うと紅音が言いかけると孝一が紅音の脇腹に肘鉄を食らわせたのだ。そして孝一が口を開いたのだ。

 

 

「そう言うばお前達も来年、魔法科高校の入試試験を受けるんだろ?どこを試験を受けるだ?」

 

 

「ああ、それなんですが深夜様に話をしたら深夜様が第一高校に入試する様に言われたんです。」

 

 

「そうなのか?ま、話は此処までにするか。あ、そうだ。文弥、一緒に風呂入るか?」

 

 

「え!良いんですか?」

 

 

「ああ。」

 

 

孝一の質問に亜夜子が頷くと孝一はそれをYESと言う意味で捉えた孝一は話を途中で切り上げたのだ。そして孝一が文弥を風呂に誘うと文弥は嬉しそうに孝一について行ったのだ。孝一と文弥は風呂場の脱衣所に居て服を脱いで居たのだ。すると文弥は黙りながら孝一をじっと見つめて居たのだ。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「どうした、文弥。」

 

 

「孝一兄さん、羨ましいです。」

 

 

「いきなりどうしたんだ、お前。」

 

 

文弥の発言に孝一が少し困った表情で返すと文弥が答えたのだ。

 

 

「達也兄さんと言い孝一兄さんと言い何でそんなに筋肉がついてるですか?」

 

 

「そりゃあいつも俺もそれだけ鍛えてるて証拠だ。」

 

 

文弥の答えに孝一はそう返すが孝一は文弥の言葉の真意に気付いて居たのだ。何故なら文弥は同年代の男子より身長が小さい上に筋肉が余りついてない上やや中性的な顔と言う容姿をして居るので文弥はそれをコンプレックスにして気にして居たのだ。だから孝一は本人の気にして居る事の為にそこはあえて触れなかったのだ。そして孝一と文弥はシャワーを浴びてから風呂に入ったのだ。

一方その頃、咲と亜夜子は咲の部屋で仲良く談笑して居たのだ。

 

 

「文弥君は相変わらず、その事を気にしてるのね?」

 

 

「ええ、そうですね。文弥は気にしていますから孝一さんに相談して居るとは思いますね。」

 

 

「あ〜、孝一なら相談しやすいしね。あの子は昔から達也君と孝一の事を憧れてるし慕ってるからね?」

 

 

二人はそう会話をしてし居ると咲の部屋のペットドアから二匹の白と黒の猫が入って来て咲と亜夜子の膝上に飛び乗って丸まったのだ。

 

 

「あらヴァイスとシュバルツじゃない。」

 

 

「うふふ、この二匹相変わらず可愛いですね。咲姉様?」

 

 

「そうでしょ?孝一は結構、猫好きだし猫にも懐かれてるからね?」

 

 

「そうですね?」

 

 

「ああ、此処に居たのか。ヴァイスとシュバルツ。」

 

 

二人がそう会話して居ると風呂から出て来た孝一が咲の部屋に入って来てヴァイスとシュバルを見てそう言ったのだ。

 

 

「孝一、ヴァイスとシュバルツを探してたの?」

 

 

「ああいつもなら俺の部屋に居るから居なかったから探してて姉貴の部屋に来たら居たんだよ。」

 

 

「そうね。」

 

 

「じゃ、俺は部屋に戻るよ。」

 

 

「あ!孝一さん待って下さい。」

 

 

「う?どうしt「ちゅ。」亜夜子お前な。」

 

 

「うふふ孝一さんたまには良いじゃないですか?」

 

 

「ま、そうだな。」

 

 

孝一は足にくっついて来たヴァイスとシュバルツを確認して戻ろうとすると亜夜子がキスをしたので孝一は亜夜子の頭を撫でてから戻ったのだ。そして孝一は自分の部屋に戻り机と椅子に座ってある書物を読んでいたのだ。因みに文弥は孝一と嬉しそうに話をして居たが疲れたので孝一は自分のベットに寝かせたのだ。閑話休題。

 

 

「世界の理を超えし者、現れし時、世に動乱が起き世界は変わるであろうか。」

 

 

孝一はそう言いながら自分の部屋の窓に立って外を見ると一瞬だが姿を変わったのだ。

 

 



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入学編STORY2

第二話です。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


2012年4月6日AM5:24

 

日本皇国東京特別市市内某所

 

犬塚公爵家邸

 

孝一は朝早くから屋敷の敷地内のある場所に立って居た。すると孝一は右手の親指を噛み破ると印を結ぶと地面に右手をつけたのだ。

 

 

「口寄せの術!」

 

 

孝一がそう言うと、孝一の周囲に煙が出て来て、彼を包み込んだのだ。すると煙が晴れると、そこには二匹のカエルが、居たのだ。

 

 

「やれやれじゃの。俺らを呼び出すとはな。」

 

 

「やっほー!」

 

 

「すまんな。ガマ吉、ガマ達。俺の練習に付き合ってくれ。ガマ達、俺の練習に付き合ってくれたら菓子を食わせてやるからよ。な?」

 

 

「俺、やるー!」

 

 

「仕方ないな。俺も付き合ってやるよ。」

 

 

孝一は口寄せの術を発動して自身が契約して居る動物である妙木山のガマ一家のガマ吉とガマ達を口寄せして孝一は自分の練習に付き合って欲しいと頼むと二匹が了承して孝一とガマ吉とガマ達は練習を始めたのだ。

 

 

「じゃあ、ガマ達。お前の水遁が出来る様に練習だ。」

 

 

「分かったよ!俺、頑張るよ!」

 

 

孝一がそう言うとガマ達がそう反応して練習を始めたのだ。ガマ達が水遁の練習を開始したのだ。しかしガマ達は何度も水遁を発動しようとしても失敗してしまい上手くいかず居たガマ達は落ち込むが孝一がガマ達を励ましたのだ。

 

 

「ガマ達、そう落ち込むな。俺も昔は出来ずに居たが努力して此処まで出来る様になったんだ。」

 

 

「分かったよ!俺も頑張るよ!水遁の術!」

 

 

孝一の励ましでガマ達は元気に練習を再開して水遁の術を発動するが再び失敗してしまったのだが孝一が時計を見ると時間がすでに6時半になって居たので孝一が二匹に練習を終わりを告げたのだ。

 

 

「ガマ吉、ガマ達、練習は此処までだ。」

 

 

「「分かった(よ)。」」

 

ガマ吉達は妙木山に帰って居たのだ。そして孝一は自分の部屋に戻って第一高校の制服に着替えてそして額に布を巻いてリビングに向かったのだ。そこには姉の咲と弟の紅音や夏と信乃そして亜夜子と文弥とリーナに父の総一と母の真夜が居たのだ。

 

 

「孝一。席に座って、朝ご飯を食べなさい。」

 

 

「ああ、分かった。」

 

 

孝一は母の真夜に朝食を取る様に言われてすぐに椅子に座って朝食を取ると信乃が話しかけたのだ。

 

 

「なあ兄ちゃん。何で第一高校に、入学したんだ?それだったら幼年士官学校に行けば良かったんじゃないのか?」

 

 

「信乃、お前は理解しなくて良いんだ。俺には俺なりの考えがあって第一高校に入学したんだ。そろそろ時間だな。」

 

 

孝一と信乃が会話をして居ると孝一が学校に登校する時間が近づいたので孝一は姉の咲と弟の紅音と夏そしてリーナと共にに学校に向かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本皇国関東州八王子市某所

 

AM8:01

 

孝一達は、国立魔法大学付属第一高校の近くで達也と深雪と合流したのだ。孝一達と達也達で会話をしたのだ。

 

 

「孝一。母上がお前達と会って話がしたいと、言って居たが大丈夫か?」

 

 

「構わねえよ。そうしないと、うちの婆さんにボコボコにされるからな。」

 

 

「うふふ。孝一さんは、お婆さまの事が怖いんですね。」

 

 

「怖いのは、俺だけじゃねえよ!家族全員、婆さんが怖いんだよ!」

 

 

「七武海一、怖い物知らずのお前でも怖い物があるんだな。」

 

 

達也が母である深夜が会いたがっていると、伝えると孝一が了承して愚痴を漏らすと、深雪が笑いながらそう言うと孝一は祖母が恐怖の象徴の如く言うと達也が呆れながら、意外そうな顔で見ていたのだ。因みに孝一達の父方の祖母である安倍晴子は男勝りかつ、力が強いので犬塚公爵家のヒエラルキーの頂点に立っている上に犬塚公爵家の者達にとっては恐怖の象徴でもあるのだ。閑話休題。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

孝一達は学校に着いたのでそれぞれのクラスに向かう事になり深雪はA組に孝一と達也とリーナと英美そしてリムルはB組に、紅音と奏はC組に、夏とスバルがD組に、向かったのだ。孝一達は、1年B組の教室に入り自分達の席を確認して座ったのだ。教室の中では雑然とした雰囲気だが多くの生徒は昨日のうちに顔を合わせていたのだ。すると近くに居た英美が、話しかけて来たのだ。

 

 

「ねえねえ孝一君。少し緊張するね?」

 

 

「ああそうだな。エイミィ。」

 

 

「少し良いか?」

 

 

「ああ良いぞ。」

 

そう会話していると達也とリーナそしてリムルが会話に入って来たのだがもう一人の達也より少し低い男子生徒が居たのだ。孝一は気付いて達也に聞いたのだ。

 

 

「達也、誰だそいつ。」

 

 

「こいつは十三束鋼だ。」

 

 

「僕は十三束鋼だよ。よろしく。」

 

 

「俺は犬塚孝一だよろしくな。孝一で良いぞ。」

 

 

「私は明智英美、フルネームはアメリア=英美=明智=ゴールディだよ!通称、エイミィで良いよ!」

 

 

「よろしく孝一、明智さん。」

 

 

「むう。エイミィって呼んで欲しいな。」

 

 

「それは聞き捨てならんなエイミィ。」

 

 

「あ!ごめん。」

 

 

孝一達はお互いに自己紹介すると孝一と英美と鋼が握手するが英美が少し不貞腐れた表情でニックネームで呼んで欲しそうな発言をするが孝一が英美の発言を聞いて立ち上がると英美がすぐに謝る。

 

 

「それにしてもあの四葉家の次期当主と古式魔法の名門の犬塚公爵家の嫡男と同級生で同じクラスになるなんて驚きだよ。」

 

 

「そうかい。」

 

 

「お前も色々な意味で、有名だからな。」

 

 

「あ?それど言う事だ?」

 

 

「そのままの意味だ。」

 

 

彼等がそう会話しているとクラスの生徒達の視線が孝一達に集中していたのだ。しかし本人達はその事を一切、気にしては居なかったのだ。するとエイミィが口を開いたのだ。

 

 

「ねえねえ。三人とも周囲の視線、大丈夫?」

 

 

「う?視線だと?」

 

 

英美に言われて孝一達はようやくクラスに居た生徒達が自分達を見ていた事に気付きリムルが口を開いたのだ。

 

 

「通りですごい見られてわけだな。」

 

 

「むしろ俺たちは色々な意味で目立つからな。」

 

 

「確かに百家の十三束家の人間に十師族の四葉家の次期当主に九島家の関係者に犬塚公爵家の嫡男がこうも集まればそれだけ目立つし全員、視線を集めちゃうからね。」

 

 

「まあ仕方ないな。みんな大丈夫だぞ?俺達に気を使わなくて良いから。」

 

 

リムルがそう言うと孝一が続いて言うとリーナが孝一に付属して言うと孝一がそう言うとクラスの全員が孝一達の周りに集まって話を始めたのだ。孝一と達也とリムルは自分達のスクールライフが一瞬にして崩れ去ったのを感じ取ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「孝一達はどうする?」

 

 

この後すぐに教室に担任と思われる男性の教師が入って来たので孝一とリムルと達也と鋼は男女の生徒達からの質問攻めから解放されたのだ。その後、教師の案内で軽く学校内を見て周り自由時間になったので鋼が誘って来た形である。

 

 

「俺は此処で資料を眺めていたかったが行きたい所があれば付き合うぞ。」

 

 

「俺は実験棟に向かうつもりだったが達也に同意見だ。」

 

 

「俺も孝一と達也に同意見だ。」

 

 

「私も同意見よ。」

 

 

「私も!」

 

 

上から達也、孝一、リムル、リーナ、エイミィの順番で答えると鋼がこう返したのだ。

 

 

「本当?じゃあ工房に行かない?」

 

 

「闘技場じゃないのか?」

 

 

「うんそこは後で行く予定だよ。」

 

 

鋼の答えに達也がそう聞いたのは鋼が近接格闘が得意としている事を孝一と達也はそれを知っていたのだ。鋼はサイオンが体から離れないという体質の関係で遠隔魔法が苦手としているがそのかわりに彼は近接格闘では無類の強さを発揮すると聞いていたのだ。それ故に彼はレンジ・ゼロと呼ばれて居る所以でもある。閑話休題。

 

 

「じゃあ。行くか。孝一達はどうする?」

 

 

「ま、俺も行くか。リーナ、エイミィ、リムルお前達はどうする?」

 

 

「俺は構わないぞ。」

 

 

「私達は構わないは。」

 

 

達也が鋼にそう返すと孝一達に目を向けて尋ねると孝一が了承するとリムル達にも確認するとリムルはOKを出すとリーナと英美は目を合わせてリーナが答えたのだ。するとクラスの女子達が立ち上がったのだ。

 

 

「あの四葉君、十三束君に犬塚君とテンペスト君とシルーズさんに明智さん私達も一緒に良いですか?」

 

 

「あ!私達も!」

 

 

いつの間にかゾロゾロと群がって居たので孝一と達也は少し心の中で嘆いたのだ。

 

 

(後で深雪と真由美さんにあの二人にも知られたらもっと面倒な事になるぞ。)

 

 

(あ〜面倒だな。変に対応するとお袋や婆さんに怒鳴られるし姉貴や此処に居ないエリカや奏とスバルと愛梨に亜夜子に雷を落とされるからな。仕方ないな対応するか。)

 

 

「構わないよ。」

 

 

「俺も構わないぞ。」

 

 

「やった!」

 

 

そうハシャグ女子達とクラスの男子達の方はどこか諦めの空気が流れて居たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

孝一達は工学実習室は小規模な工房といった趣の建物だった。それを見た孝一と達也と英美は小さくボヤいたのだ。

 

 

「工房と言うよりも実験棟だなこれは…」

 

 

「うちの陶芸の工房より小さな。」

 

 

「すごいね。」

 

 

「さすが魔法科高校ね。設備が充実してるね。」

 

 

「そうですね。」

 

 

後ろから聞き覚えのある声がしたので孝一と達也は後ろを見るとそこにはエリカと美月に後ろからレオが現れたのだ。孝一と達也が三人に近づいて話しかけたのだ。

 

 

「よ!エリカ。」

 

 

「三人とも見学か?」

 

 

「あ!孝一に達也君。」

 

 

「こんにちは達也さんに孝一さん。」

 

 

「よう孝一に達也、お前らも見学か?」

 

 

「ああ昼まで時間が出来たんでな。孝一は少しだけ乗り気じゃ無かったがな。」

 

 

「悪かったな。俺だって暇な時間を別のことで時間を潰したかったんでな。」

 

 

孝一達が楽しそうに会話をして居ると後ろから声をかけられたのだ。

 

 

「達也と孝一、その人達は?」

 

 

「ああ、右から紹介すると千葉エリカ、柴田美月、西条レオンハルトだ。」

 

 

「三人とも彼は俺達と同じB組の生徒の十三束鋼だ。」

 

 

達也が鋼を紹介するとお互いによろしくと言い自己紹介をしたのだ。三人と鋼の様子を見て居るとどうやら仲良くなれたようだ。そして三人の様子を見ていた他のB組のクラスメイト達がエリカ達とフレンドリーに会話をし始めたのを見て孝一と達也はB組の生徒はエリート意識はかなり低いか元々皆無に等しく二科生対しては敵意が無いことが分かる。その点に関しては孝一と達也は驚きであったが。

 

 

「これは予想外だな。」

 

 

「ああそうだな。達也と同様、俺は一科生の奴らの殆どがエリート意識があると思ったんだがな。」

 

 

「それに関して他のみんなは思う所があったと思うけどB組事態がそう言うエリート意識が低い人達が集まって居るだと思うよ?」

 

 

「ま、そうだな。」

 

 

達也がそうぼやくと孝一がその言葉に同意する発言をすると鋼が孝一達の発言に補足する形で言うと孝一が納得した様に言ったのだ。一科生と二科生の時間はかかるが溝は埋まるのではと達也と孝一は考えて居たのだ。そして孝一達は昼休みが近づいたので引き上げる事にしてレオ達に「昼、食堂で合流しよう。」と伝えて教室に戻ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

孝一と達也とリムルそしてリーナと英美と鋼の六人は食堂で昼食を取って居たがそこに紅音と夏に奏とスバルも合流して彼らも鋼と自己紹介をしてから席に座り食事を取り始めて深雪がやって来た際に事態が起きたのだ。

 

 

「君達、今からそこは四葉さんと僕達で食事を取るから退いてくれるかな?」

 

 

 

「「「「はあ?」」」」

 

 

一人の男子生徒の発言に何人が引っかかるが孝一だけは気にせずにそのまま食事をとって居たのだ。深雪が達也に近づいたのだ。

 

 

「お兄様…。」

 

 

「深雪、お前は何も悪く無いぞ。一厘一毛、お前が謝る必要は無い。」

 

 

「はい、しかし止めますか?」

 

 

「その必要は無い逆効果だ。」

 

 

「…そうですね。それにしてもエリカはともかく美月があんな性格だなんて。」

 

 

「同感だ。孝一、お前は珍しく何も言わないんだな。」

 

 

達也と深雪がそう会話をして居ると達也が孝一を見ながら孝一に話しかけたのだ。因みにエリカとレオと夏そして美月が彼等と対峙して居る。閑話休題。すると孝一はそれに気付いて食事を止めて会話に参加をしたのだ。

 

 

「達也、俺だってあいつらの発言と態度には良い加減に腹が立って居るし今すぐにあいつらをボコボコにしたいくらいなんだぞ?」

 

 

「たしかにお前が噛み付かなかった事が珍しいからな。」

 

 

「兄貴はこう言うのがあるとすぐに手を出すからな。」

 

 

「確かに君は昔からそうやって頭に来たら喧嘩をし出してたからね。」

 

 

「孝一君、少しは考えて行動してよ?」

 

 

「そうよ孝一。」

 

 

「お前、一体何をしたんだ?」

 

 

「む。」

 

 

孝一はそう言うが上から達也、紅音、スバル、英美、リーナに言われてリムルにツッコミを入れられて居たのだ。彼等はとにかく口論してヒートアップし始めると孝一が右手にフォーク持った状態で立ち上がると一人のA組の男子生徒に向けてフォークを投げてその男子生徒の喉を掴みながら彼等に対してある事を言ったのだ。

 

 

「おい、A組のお前ら少し黙れ。飯が不味くなる。お前らの言っている事は立場の強い人間が弱い人間を見下して良いって事だがはっきり言うがお前らの言っている事は間違っている。」

 

 

「間違ってなんか居ない!」

 

 

「間違ってるさ。強い人間が弱い人間を守るのが正しく見下す事が間違って居るんだ。だったら今すぐ俺達の目の前から失せろ。」

 

 

「っく。覚えてろよ!」

 

 

孝一がそう言うと首から手を離して彼等にすぐに何処に行く様に言うとその男子生徒とA組の生徒達が何処かに立ち去ったのだ。

 

 

「皆すまない。」

 

 

「お兄様、すみません。そもそもこれは私は不始末です。ごめんなさい。」

 

 

「いいよいいよ。そんなに気にして無いから。」

 

 

「そうだぜ。結構、スカッとしたぜ。」

 

 

「あの態度は僕も少し頭に来たから別に良いよ?」

 

 

「確かに十三束君の言う通りだね。僕も少し言い返そうと思ったけど孝一がやらかしてくれたおかげで落ち着いたよ。」

 

 

「「あ〜兄貴はね。」」

 

 

「ッチ。どうせなら喉に向かって投げれば良かったは。」

 

 

((((さすが七武海。相変わらず怖いもの知らず。)))

 

 

深雪が達也や他のメンバーに謝るが周囲が気にして居ないと言うが孝一がかなり物騒な発言をすると達也、紅音、夏、リムルが内心、孝一が七武海である事を認識したのだ。しかしこの時、彼等は知らなかったのだ。放課後にまたトラブルに巻き込まれる事を。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

孝一と達也と鋼とリムルと英美とリーナに紅音と夏、奏にスバルが第一高校の正門前で待って居たのだ。すると深雪が正門の所にやって来たのだ。後ろに多くのA組の生徒達がついて来て居たのだが。そしてA組の生徒達が再び文句を言い始めてエリカとレオと美月の三人と言い争いを始めると今までおとなしいと思って居た美月がある発言をしたのだ。

 

 

「いい加減に諦めたらどうなんですか?深雪さんはお兄さんと一緒に帰ると言ってんです。他人が口を挟む権利はありませんよね?」

 

 

「それに深雪さんは貴方達の事を邪魔者扱いしてないじゃないですか!一緒に帰りたいなら一緒に帰りたいと言えば良いだけの話では無いんですか!?第一、貴方達に深雪さんとお兄さんを引き裂く権利があるんですか?」

 

 

「引き裂くって、、、美月は何か勘違いをしているんでしょうか?」

 

 

「何故、お前が焦るんだ?」

 

 

「え?私は焦ってなど居ませんよ?」

 

 

「そして何故、疑問系なんだ?」

 

 

美月の発言に深雪が恥ずかしがり達也がそれを見てツッコミを入れるが森崎というA組の生徒がこう言い放ったのだ。

 

 

「良いかい、君達?此処は第一高校は完全なる実力主義。そして君達二科生は試験によって僕ら一科生よりも実力が劣るとされた。それはつまり君達の存在自体が僕らより劣るということに他ならない。身の程を弁えたらどうだい?」

 

 

「俺達は四葉さんと二科生には理解出来ないレベルの話がしたいんだ!」

 

 

「そうよ!少し時間を貸していただくだけなんだから二科生は大人しくすっこんでなさい!」

 

 

内容の是非はともかくとしてどうやら他の一科生達も森崎の話す内容に異論は無いようだ。自分達の優位性をまったく疑っていないらしく、このままの勢いで押し通す作戦のようだ。

 

 

「ハッ!そう言うのは自治活動中にやれよ!ちゃんと時間取ってあるだろ!」

 

 

「『時間を貸していただく。」ですって?そう言うのはあらかじめ本人の同意を得てからやるもんでしょうが!一科生の皆さんは一般的な社会のルールも知らないのかしら?」

 

 

「そもそも本人と話をしたい、一緒に帰りたいって言うなら授業中か帰る際に聞いて同意を得るべきじゃないのか?それを本人の意思を無視してやるぼはどうかと思うぞ?」

 

 

レオが彼等の主張を威勢良く笑い飛ばしてエリカも皮肉をたっぷり込めた言葉で返してリムルが一科生を軽蔑しながらも一科生の発言と行いを非難したのだ。すると森崎が激昂してある事を言い放ったのだ。

 

 

「うるさい!ウィードごときが僕達ブルームに口出しをするな!」

 

 

「同じ新入生じゃないですか!ブルームが今の時点で一体どれだけ優れているというんですか!」

 

 

「・・・どれだけ優れて居るか知りたいなら教えてやるよ!」

 

 

「ハッ、面白え是非とも教えてもらおうじゃねぇか!」

 

 

「だったら教えてやるよ!」

 

 

森崎の言葉に美月が非難するが森崎が激昂してレオが更に火に油を注ぐ発言すると森崎が更に激昂してしまい達也がさすがにまずいと思い止めようと思った同時にある三つの影が魔法を発動しようとした森崎の動きを止めたのだ。

 

 

「森崎、お前そろそろいい加減にしろ。お前を止めるのは良いが兄貴を止めるのが大変になる。」

 

 

「お前は人を馬鹿にするは辞めるんだ。俺も孝一を止めるのが大変になる。」

 

 

「森崎よう。そろそろ俺も我慢の限界なんだよ。今此処でお前を殺したい気分なんだが何とか抑えてるんだよ。俺の言いたい事が分かるか?」

 

 

孝一、夏、リムルが森崎の動きを止めると同時に夏が森崎を後ろから首を掴んで孝一とリムルが森崎に刀を突き付けて上から順番に夏、リムル、孝一で話して森崎に自分達の今の考えて居る事を伝えて止めたのだ。

 

 

そして孝一が森崎を蹴り飛ばして彼に向かって刀を振り下ろそうとした瞬間に森崎の背後に居た女子生徒が腕輪形状の汎用型のCADへ指を走らせてCADに組み込まれたシステムが作動して起動式の展開が始まる。しかしその起動式が魔法式に変わる前に飛んできたサイオンの弾丸によって霧散したのだ。

 

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は校則違反である以前に犯罪行為ですよ!」

 

 

そこに居た新入生達は声をした方に顔を向けると上級生と思われる二人の女子生徒が居たが達也と孝一はその二人を知って居たのだ。

 

 

「ッチ、マジかよ。」

 

 

「間に合ったか。」

 

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ。1ーA組と1ーE組そして1ーB組の生徒だね。事情を聞きたいからな。ついて来てくれるか。」

 

 

レオやエリカや美月そして鋼そして深雪のクラスメイト達も硬直して動けずに居たが達也が口を開いたのだ。

 

 

「お久しぶりです。摩利さん。悪ふざけがすぎました。」

 

 

「おや達也君、久しぶりじゃないか。」

 

 

「お久しぶりです。」

 

 

「義姉上。これに関しては俺は無罪ですよ。」

 

 

「孝一君か。君は相変わらず、すぐに喧嘩を起こすな。」

 

 

達也は以前、真由美の紹介で知り合いお互い武道の心得が有るので意気投合したのだ。孝一は元々、エリカと付き合って居て彼女の異母兄の一人である修次と摩利が恋仲なのでお互いの紹介で知り合いだったのだ。

 

 

「それで悪ふざけとは?」

 

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから後学のために見せてもらおうとしたらコイツらが攻撃されたと勘違いして動いたんですよ。」

 

 

「ではあちらの女子が攻撃魔法を起動したのはどうしてだ?」

 

 

「驚いたんでしょうね。条件反射でも魔法を発動できるのは流石、一科生ですね。」

 

 

「君の友人は魔法によって攻撃されそうになっていたわけだがそれでも悪ふざけだと主張するのか?」

 

 

「はい。攻撃とは言っても彼女は編成しようとして居たのは目眩しの閃光魔法ですから。それも失明したり視力障害を起こしたりする程のレベルではありません。」

 

 

もう良いでしょう?と目で訴える達也にそれを見た摩利は笑みを浮かべると生徒会長の真由美が助け舟を出したのだ。

 

 

「摩利も、もう良いでしょ?達也君は本当にただの見学だったんですね?生徒同士で教え合うの事が禁止されている訳ではありません。魔法の行使には起動するだけでも細かな制限があります。この事は一学期に内に授業で教わる内容です。魔法の発動には伴う自習活動はそこまで控えた方が良いです。」

 

 

「会長がこう仰せられている事でもあるし今回は不問にします。以後このような事が無い様に。」

 

 

何とかその場は収まったかと思い孝一がその場を去ろうとして居ると真由美が孝一と達也と深雪に話しかけたのだ。

 

 

「そうだ、達也君、深雪さん、孝一君。少しお話が有るので明日のお昼に生徒会室に来て下さい。」

 

 

「ええ、構いませんよ。」

 

 

「私も大丈夫です。」

 

 

「俺も構いませんよ。」

 

 

そう言い残して真由美は摩利共に去って行ったのだ。

 

 




今日は此処までです。

後、近い内に登場人物と設定集を完成次第投稿します。

また次回お楽しみにでは閉店ガラ〜ガラ〜。


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入学編STORY3

前回の続きです。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


真由美と摩利は校門前での騒動が収まり一緒に会話をしながら歩いていたのだ。

 

 

「にしても、達也君はともかく孝一君は凄かったな。」

 

 

「そうね。でも彼は七武海に加盟してるし貴族でもあるから人としても貴族としても見過ごせなかったんだと思うよ?」

 

 

「あ〜たしかに。彼の性格上あり得るな。だが達也君と孝一君は風紀委員会に欲しいな。あの二人は何が何でもうちに欲しいからな。」

 

 

「そうね。あの二人は風紀委員会に所属してもらった方が良いわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、校門前では孝一達がまだ居たのだ。因みに森崎達A組の殆どの生徒達は孝一に睨みと殺意を向けられたので脱兎の如く散り散りになって逃げ帰って行ったのだ。

 

 

「あの。庇ってくれてありがとうございました。大事にならなかったのはお兄さんのおかげです。」

 

 

「どういたしまして。あとお兄さんじゃやめてくれ。同じ一年生なんだから。」

 

 

「分かりました。じゃあどうお呼びすれば良いのですか?」

 

 

「とりあえず。達也で良いよ。」

 

 

「分かりました。それじゃ、その…」

 

 

「なんでしょうか?」

 

 

「駅までご一緒にどうでしょうか?」

 

 

拒む理由も拒める理由も無かったので達也は孝一の方に目を向けると達也の視線に気づいた孝一が答えたのだ。

 

 

「俺は構わね〜よ。どっちにしても俺は他人の意思を無理に変える事はしたく無いからな。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

達也に一緒に帰って良いかと尋ねた女子生徒が勢いよく頭を下げたのだ。孝一達は駅の近くにあったテイクアウト式のお店で食べ物を買って自己紹介を済ませたのだ。

 

 

「にしても孝一さんと夏さんにリムルさんのさっきの動き凄かったですね。目にも止まらない速さであそこまで動けるなんて。」

 

 

「確かに人間離れした動きだった。」

 

 

彼等はテイクアウトした食べ物を食べながら会話をして居ると二人の少女は口を開いたのだ。彼女達の名前は光井ほのかと北山雫で上からほのか、雫の順番で喋ったのだ。するとリムルが答えたのだ。

 

 

「ああ、あれか。俺はあんな奴を見るとお仕置きしたくなる性分でね。だが、この二人は例外でこいつらは地雷を踏み抜いた瞬間に地雷を踏んだ奴ら本能的に攻撃を仕掛けるクセがあるからな。」

 

 

「仕方ないだろ。少しでも敵意や殺気を感じる遂、体が反応して攻撃しちまうだよ。」

 

 

「兄貴の場合は血の気が多いし俺と兄貴は七武海だからな。それに兄貴はその凶暴性と頭のイカれ具合に掛ければ七武海の右に出る者は居ないし実力も七武海の中でも一二を争う程の実力を誇るからな。」

 

 

リムルが答えて達也が孝一の方を見ながら言うと孝一は条件反射だと言い放つと夏が補足で孝一の事を説明するとほのか、雫、美月、レオ、鋼が驚いたのだ。

 

 

「「「「「は(((はい)))!?」」」」」

 

 

「まあその反応が普通よね。」

 

 

「確かに。これの見た目がだしね。」

 

 

「普段の振る舞いが原因ね。」

 

 

雫達の反応にリーナ、エリカそして奏がそれなりの反応を示したのだ。そして達也が気になって居たことを孝一に聞いたのだ。

 

 

「そう言えば孝一、少し気になっては居た事がある。リムル=テンペストのことだ。お前と夏ならリムル=テンペストの事を知っているはずだ。」

 

 

「あ〜その事か。それに関しては俺は答える事が出来ないな。」

 

 

「俺も兄貴と同じく答えれないな。」

 

 

「俺はリムル次第で答えるがそれ以上は言えん。」

 

 

「お前達がそう言うなら俺もこれ以上、聞くのは止めておくよ。」

 

 

達也の質問に孝一と夏は答えをはぐらかして答えなかったのだが孝一はリムルの意思次第で答えると言うと達也が孝一達の返答にそれ以上の事は追求をしなかったのだ。

 

 

「じゃあそろそろ帰るとするか。」

 

 

「まあ確かにそうするか。」

 

 

達也がそう言うと孝一はそう返答してその場で解散してそれぞれの家に帰っていったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

孝一達、三つ子とリーナは犬塚公爵邸に着き四人が屋敷に入るとそこには孝一達に祖母である安倍晴子が立って居たのだ。

 

 

「げ!婆さん!」

 

 

「孝一、あなた今日学校で問題を起こしたらしいはね。」

 

 

「俺は何もしてねえよ。そもそもの話、他の一科生が悪いんだよ!」

 

 

「それは本当かしら?」

 

 

「「「本当です。(よ)」」」

 

 

「本当みたいね。孝一、今回に関しては許しますが次同じことをしたら容赦なしに怒りますからね?貴方達もですよ?」

 

 

「「「「はい。」」」」

 

 

晴子の問いに孝一はそう答えると晴子が紅音と夏とリーナの方を見ると三人が孝一の発言を頷きながら肯定したのだ。そして晴子はそれを確認すると孝一に次は無いと告げると孝一達は返事をしたのだ。すると晴子が孝一にある事を言ったのだ。

 

 

「孝一すぐに部屋に向かいなさい。貴方にお客さんが来てるから。」

 

 

「分かったよ。」

 

 

晴子から伝言を伝えられて孝一はすぐに自室に向かったのだ。

 

 

「誰だ。俺に客ってのは。」

 

 

孝一はそう言いながらも自分の部屋に向かい扉のドアノブに手を掛けて扉を開けて部屋に入るとそこには見覚えのあるショートの紫に近い黒髪の少女と腰のあたりまでの長髪の金髪の少女が居たのだ。それを確認した孝一は二人に話しかけたのだ。

 

 

「何をしてるんだ愛梨、花音。」

 

 

「仕方ないじゃない。孝一、今日貴方学校の校門であんなに派手に騒動がおこしたんだからね。」

 

 

「え!そうなの?」

 

 

「あれは不可抗力だ。そもそもその件に関しては俺から起こした訳ではないだぞ?」

 

 

 

孝一は彼女達を名前で呼んだ黒髪の少女が花音で金髪の少女が愛梨である。そして孝一と花音の会話を聞いた愛梨が驚いたのだ。それもそうだが孝一は性格上、喧嘩を売られたら買う性格でもある為でもあるのだ。すると花音と愛梨は孝一の腕に抱きついたのだ。花音は第一高校の二年生の一科生で愛梨は第三高校の専科(一高における一科生)の生徒である。閑話休題。

 

 

「孝一、お願いだからあまり無茶しないでよ?」

 

 

「そうよ、貴方は昔から無茶をするから。」

 

 

「やれやれ、お前らな。」

 

 

孝一は彼女の行動に呆れながらも受け入れるとベットに移動して愛梨にある事を尋ねたのだ。

 

 

「そう言えば愛梨、どうしてここに居るんだ?今日は学校の筈だが。」

 

 

「ええ、学校が終わってすぐに家に帰って新幹線に乗って来たのよ。」

 

 

「愛梨、お前な。ま、しょうがないな。」

 

 

「もう!孝一、あたしもお願い!」

 

 

愛梨の発言を聞いた孝一は少し飽きれるが愛梨の頭を撫でながら抱き寄せると花音が孝一に体をくっつけると孝一は花音も抱き寄せたのだ。そして孝一は二人にある事を提案したのだ。

 

 

「なあ二人とも今日は一緒に寝るか?」

 

 

「え?良いの?」

 

 

「やったー!」

 

 

孝一の提案を聞いた二人は少し嬉しそうにしてパジャマに着替えて三人はすぐに翌日に備えて寝たのだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

翌日、愛梨は第三高校に登校する為に朝早く無事公爵邸を立ったのだ。孝一は愛梨を見送るとすぐに第一高校の制服に着替えて紅音と夏とリーナそして花音と一緒に第一高校に登校したのだ。

 

 

孝一とリーナはB組の教室に入ったのだ。既に達也とリムルと鋼と英美が登校して居たのだ。すると鋼が孝一達に話しかけて会話するとその中で少し遅めの新入生が来ると言う会話をして居ると担任の教師が入って来て遅めの同級生が入学して来たと告げると教師はその人物達に教室に入るように言ったのだ。入るように促された人物達が教室に入って来ると孝一とリムルはその姿を見て驚いたのだ。

 

 

そうその二人はリムルと同じ八星魔王であるミリムとディーノであったのだ。孝一とリムルは念話で二人と会話すると二人はどうやらリムルがこの第一高校に入学したと聞いて暇だからついで自分達もリムルと同様の理由を使って入学したのだ。さすがの孝一とリムルは念話で二人が第一高校に入学した理由に内心、呆れながらも仕方無しに孝一はリムルの護衛に加えてミリムとディーノの護衛をする事にしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その後、孝一達は午前の授業を受けてから昼休みになったので孝一は達也と一緒に生徒会室に向かったのだ。生徒会室の前で深雪と合流して生徒会室のインターホンを押したのだ。するとインターホンのスピーカーから明るい歓迎の辞があり中に入るように言われて生徒会室に入室したのだ。

 

 

「いらっしゃい。遠慮しないで入って。」

 

 

中に入ると正面に笑顔を浮かべなら真由美が座って居たのだ。達也が少し心の中でぼやいて居たのだ。

 

 

(何がそんなに楽しいのだろうか?)

 

 

達也はそう考えていると真由美は手招きをしている。手を揃え、目を伏せ、深雪が礼儀作法のお手本のようなお辞儀を見せたのだ。

 

 

「ご丁寧にどうも。」

 

 

深雪のこの丁寧な姿勢に慣れている真由美は慣れている。しかし他の生徒会役員はそうはいかず、すっかり雰囲気に呑まれて同席している摩利もポーカーフェイスを崩しかけて居たのだ。

 

 

 

「どうぞお掛けになって。お話は、お食事をしながらにしましょう。お肉と魚と精進、どれか良いかな?」

 

 

達也と深雪は精進を選び孝一は魚料理を選んだのだ。そして孝一達は席に座ると真由美が口を開いたのだ。

 

 

 

「入学式でも紹介したけど念の為もう一度紹介しておくわね。私の隣に居るのが会計の市原鈴音、通称リンちゃん」

 

 

「私をそう呼ぶのは会長だけです。」

 

 

真由美がそう紹介するとリンちゃんこと市原鈴音がそう言うと真由美が続けたのだ。ちなみ此処での話だが達也は真由美の紹介で鈴音とは知り合いでそれ聞いた孝一と深雪は驚いたのだ。閑話休題。

 

 

「それから書記の中条あずさ、あーちゃんよ。」

 

 

「会長、、、お願いです。下級生の前であーちゃんは辞めて下さい!わたしにも立場というものがあります。」

 

 

彼女は真由美よりも小柄で童顔なので本人はそのつもりが無くても上目遣いの潤んだ瞳は拗ねて今にも泣き出しそうな子供に見える。真由美が続ける。

 

 

「もう一人、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが今期の生徒会役員です。」

 

 

「私は違うがな。」

 

 

「そうね。摩利は違うけど。あ、準備が出来たみたいね。」

 

 

 

料理がトレーに乗って出て来たのだ。が合計が六つ。一つ足りないと思ったら摩利がおもむろに弁当を取り出したのだ。それを見た達也が摩利に尋ねたのだ。

 

 

「そのお弁当は渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」

 

 

「そうだ、、、意外か?」

 

 

「いえ、少しもその手を見れば普段から料理をされているのが分かりますから。」

 

 

「私たちも明日からお弁当にしましょうか。」

 

 

「深雪の弁当はとても魅力的だが食べる場所がな。」

 

 

「そう言えばそうですね。まず場所を探さなければ。」

 

 

「まるで恋人同士の会話ですね。」

 

 

表情を一切変えず爆弾発言を繰り出した鈴音。それを聞いていた孝一がツッコミを入れたのだ。

 

 

「これには既に婚約者が居るのは分かってる事でしょう。」

 

 

「おいおい、ここには中条が居るんだぞ。」

 

 

「大丈夫よ摩利!もうあーちゃんには教えてあるから。」

 

 

「相変わらず行動が早いな君は。」

 

 

「教えたのが真由美さんですがね。」

 

 

「又旅、出て来て良いぞ。」

 

 

達也達がそう会話している横で孝一はある事を言ったのだ。それを聞いて居た彼等は孝一に視線を集中させる。すると煙が上がって出て来たのは蒼い霊焔に包まれ呪印のような水墨画に近い紋様で二つの尻尾をもったオッドアイの猫が現れたのだ。

 

 

「孝一君。この猫は?」

 

 

「ああ、こいつは二尾の又旅。尾獣の一体ですよ。」

 

 

 

孝一は尾獣の説明を生徒会のメンバーと達也と深雪にしたのだ。そして孝一達は食事をすると孝一は又旅に魚を与えて又旅は魚を食べ始めたのだ。孝一達は食事を楽しく過ごしたのだ。すると頃合いを見て真由美が切り出したのだ。

 

 

「そろそろ本題に入りましょうか。」

 

 

「そうですね。」

 

 

「それは深雪を生徒会に勧誘したいと言う話ですね?」

 

 

達也の問いは質問というより確認であった。因みに孝一は又旅を抱き抱えて又旅を撫でながら話を聞いていた。

 

 

「その通りよ、達也君。・・・深雪さん。貴方が生徒会に入って下さる事を希望します。」

 

 

深雪は何故か思い詰めた瞳をしていた。孝一はそれに気付いたが深雪が何を言いたいか察しがついたので何も言わずに聞く事にしたのだ。

 

 

「真由美さんは兄の入試の成績をご存知ですか?」

 

 

「ーーー!」

 

 

「ええ、もちろん知っているわよ。」

 

 

「ならば兄も一緒という訳には参りませんか?」

 

 

「フフッ、最初はね私もそう考えたの。」

 

 

「な!」

 

 

「マジかよ。」

 

まさか深雪がその様な事を考えて居たとは驚いた孝一は少なからずやはりか、と思い達也はそれを聞いて驚いて居たのだ。更に真由美の発言に達也が驚き孝一は呆れて居たのだが深雪は少し嬉しそうな顔をして居た。

 

 

「でもね?生徒会だけで新入生の主席と次席を独占するのはバランスが悪いのよ。」

 

 

「バランス?」

 

 

「どう言う事ですか?」

 

 

達也と孝一の疑問に摩利が答えたのだ。

 

 

「今年から風紀委員会でも一年生から優秀な生徒を確保するようにしたんだ。」

 

 

「・・・まさか。」

 

 

「要するに俺と達也は。」

 

 

「そう、達也君には次期風紀委員長として入ってもらい孝一君には達也君の補佐をしてもらいたいんだ。」

 

 

摩利は孝一と達也を無視して標的を深雪に変えたのだ。

 

 

「この学校では、各委員会の委員長も一部を除いては会長に任命権がある。そして私が務める風紀委員長がその例外の一つだ。」

 

 

「摩利はある意味で私の同格の権限を持って居るんです。」

 

 

「つまり、順当に行けば・・・君と達也君は同等の立場になるのだよ。」

 

 

摩利の言葉に深雪が反応したのだ。

 

 

「お兄様、私と一緒に良い学校にしましょう。」

 

 

深雪を使った巧みな説得に達也は折れるしかなかったがそれまで黙って居た孝一が口を開いたのだ。

 

 

「あの俺はどうして風紀委員会に入るんですか?」

 

 

「ああ、それか。」

 

 

孝一の問いに摩利が答えたのだ。

 

 

「それは君なら達也君の補佐に向いて居るし、そして何より七武海に名を連ねる君なら違反をする者達に対して抑止力となって貰う。まあ君は基本的には風紀委員員としてはどちらかと言えばお飾りに近いな。それと君は部活連枠で入ってもらう。」

 

 

「要するに俺は風紀委員会の番犬として風紀委員会に入って欲しいと?」

 

 

「ああ、そうだ。」

 

 

「仕方無いですね。」

 

 

摩利の説明に孝一は納得したのだ。

 

 

「ええと、それでは、深雪さんには書記として、達也君と孝一君には風紀委員として加わっていただくと言うことでよろしいですか?」

 

 

「はい、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いします。」

 

 

ため息をつきたい衝動を抑え婚約者の顔を見れば満面の笑みを浮かべて居る。

 

 

(まったく、敵わないな)

 

 

(仕方があるまいやるしか無い。)

 

 

孝一と達也はそう思いながら達也は真由美にどう仕返しをするかを考えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

達也は鋼に風紀委員会に入る事に伝えると鋼は自分の事の様に喜んでいたのだが一方、孝一は夏とリムルとミリムとディーノに風紀委員会に達也同様に伝えたのだ。

 

 

「面白いそうなのだ!私も入るのだ!」

 

 

「嫌、辞めてくれ。八星魔王のお前が入ったら入ったで大問題だ。」

 

 

「あー俺は面倒くさいから良いや。」

 

 

「ええー私も入りたかのだ。」

 

 

「ミリム、仕方無いだろこればかりだろ?」

 

 

「まあ兄貴が風紀委員に入ると何かしらの問題しか起きない方がおかしいからな。」

 

 

「ふん。好きに言っていろ。」

 

 

孝一はリムル達がそう会話をしていたのだ。ただ周囲は美形揃いの彼等に視線を集めるが彼等は七武海と八星魔王に名を連ねる存在でもあるためかどこ吹く風で本人達は一切、気にしていなかったのだ。因みにミリムとディーノもリムル同様に自身の正体を隠して第一高校に入学したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後

 

 

 

 

孝一と達也と深雪は再び生徒会室にやって来ていたのだ。中に入ると達也とほぼ同じくらいの身長の男子生徒が迎えたのだ。

 

 

「失礼します。」

 

 

「副会長の服部刑部です。四葉深雪さん、生徒会へようこそ。」

 

 

そのまま孝一と達也を完全に無視して席に戻ると背中越しにムッとした気配が伝わって来たが、一瞬で消える。何とか自制してくれたのだ。

 

 

「よっ、来たな。」

 

 

「いらっしゃい、深雪さん、達也君もご苦労様。早速だけど、あーちゃん、お願い。」

 

 

 

「・・・ハイ。」

 

 

こちらも既に諦めの境地なのだろう。一瞬哀しそうな目を伏せ、ぎこちない笑顔で頷くとあずさは深雪を端末へと誘導したのだ。

 

 

「じゃああたしらも移動しようか。」

 

 

「はあ。」

 

 

「どちらに?」

 

 

「風紀委員会本部にだよ。色々、見てもらいながらの方が分かりやすいだろうからね。この真下の部屋だ。とはいっても、中で繋がって居るんだど。」

 

 

「構造的に大丈夫ですか?」

 

 

「変わった造りですね。」

 

 

「私もそう思ったよ。」

 

 

そう言いながら、席を立つ。が、腰を浮かせたところで静止が入ったのだ。

 

 

「渡辺先輩、待ってください。」

 

 

「何だ、服部刑部少丞範蔵副会長。」

 

 

「フルネームで呼ばないで下さい。」

 

 

「じゃあ服部範蔵副会長。」

 

 

「服部刑部です!」

 

 

「それは名前じゃなくて官職だろお前の家の。」

 

 

と服部刑部と渡辺摩利によるコントのような会話が続くと真由美が間に入ったのだ。

 

 

「まあまあ摩利もはんぞーくんにも色々ろ譲れないものがあるんでしょう。」

 

 

「そこの一年生を風紀委員に任命するのは反対です。」

 

 

「何故だ?」

 

 

「風紀委員は学校の風紀を正す目的があります。たとえ今年の次席そして3位であろうと、内面に問題があれば務まるとは思えません。」

 

「その問題とは?」

 

 

「入学したての一年生が同じ十師族とは言えいきなり会長を下の名前を呼ぶのはありえません。」

 

 

「いや、ありえませんって。・・・別にいいだろそれぐらい。」

 

 

「これだけはありません。聞けば昨日、さっそく他の新入生と問題を起こしたとか。」

 

 

「それは。」

 

 

「とにかく、私は副会長として四葉達也と犬塚孝一の風紀委員就任に反対します。」

 

 

「待って、はんぞーくん。昨日の事は達也君と孝一君は悪いわけじゃn「ヒュン」え?」

 

 

真由美が言いかけると孝一が服部に対してクナイを投げると服部はすぐにそれを交わすと達也が次の攻撃に移行しようとした孝一を止めて服部にある事を告げたのだ。

 

 

「服部副会長、あまり孝一を怒らせないで下さい。こいつは七武海にその名を連ねる存在です。あまりこいつを甘く見て居ると痛い目に遭いますよ。それにそれだけ文句があるなら俺達と模擬戦をしませんか?」

 

 

「なに?」

 

 

「別に風紀委員になりたいわけではありませんが、十師族・四葉家の次期当主をある自分が、このような不甲斐ない思いを抱かせているようでは駄目だと思いましてそれに孝一の怒りを収めなきゃいけないといけませんから。」

 

 

「俺も模擬戦をやらせていただきますよ。俺も犬塚公爵家の嫡男として黙って居るわけにはいけませんからね。それに俺は侯爵卿としてそして公爵家の名を汚すわけにいけませんからね。」

 

 

「思い上がるなよ一年。・・・・いいだろう、上級生として少し指導してやる。」

 

 

服部は自分が負けることがありえないといった様子だ。

 

 

「では、生徒会長の権限により、この模擬戦を、正式な試合と認めます。」

 

 

「時間はこれより三十分後。場所は第三演習室、試合は非公開とし三人ともCADの使用を認める。」

 

 

真由美と摩利が厳かと形容して構わないと声で宣言するとあずさが慌しく端末を叩き始める。その間に孝一は自身が投げたクナイを回収したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「それで、自身はあるのか?」

 

 

息遣いが聞こえる距離で囁き声の問いかけ。

 

 

「服部は当校の五本指に入る使い手だ。どちらかと言えば集団戦向きで個人戦は得意ではいえないが、それでも一対一では勝てるヤツはほとんどいない。」

 

 

「義姉上。俺は七武海ですよ?それに俺はあの鷹の目とは世界最強の剣士の座を常に争っていますから、そんじゃそこら奴に負けては七武海の名折れですしそれにそれじゃ鷹の目とは最強の座を争えませんからね。」

 

 

「そうですよ、心配はいりませんよ。俺達の実力は摩利さんも知っているでしょう。」

 

 

「そうだったな。」

 

 

「じゃあ達也、先に俺がやって良いか?」

 

 

「ああ構いぞ。」

 

 

「お待たせしました。」

 

 

服部に準備が整ったので孝一は前に出たのだ。それを見た服部は口を開いたのだ。

 

 

「CADはどうした?」

 

 

「そんな物、俺には必要無いですよ。」

 

 

「どう言うことだ?」

 

 

「いずれ分かりますよ。」

 

 

「ふん。勝手に言っていろ。」

 

 

孝一と服部がそれぞれで定位置に着くが服部は孝一が一年生で二年生である自分に勝てないと考えていたのだがこの時、服部は孝一の事を舐めていたのだ。何せ孝一はあの天下の七武海の一人でその実力はその気になれば国の一個や二個を滅ぼす事すら出来る連中の集まりのためまた孝一もその実力は七武海の中でも一二を争う程の実力者なのである。そして摩利も二人が定位置に着いたのを確認すると口を開いたのだ。

 

 

「直接攻撃、間接攻撃を問わずに相手を死に至らしめる術式の禁止。回復不能な障害を与える術式も禁止。相手の肉体を直接損傷する術式も禁止。但し、捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可する。武器の使用は禁止。但し、素手による攻撃は許可する。蹴り技を使いければ靴を脱ぐ事。勝敗は一方が負けを認めるか審判が続行不可能と判断した場合に決する。双方、開始線まで下がり合図があるまでCADの起動しないことだ。このルールに従わない場合は、その時点で負けだ。あたしが力づくでも止めさせるから覚悟しておけ。以上だ。」

 

 

説明が終わり、静寂が完全なる支配権を確立したその瞬間。

 

 

「始め!」

 

 

火蓋が切って落とされたのだ。服部はスピード重視した単純な起動式は即座に展開を完了したのだが孝一は瞬身の術を使い第三演習室内の何ヵ所かにマーキングを一瞬で付けると服部の後ろに着くと服部本人が驚いたのだ。

 

 

「いつの間に!?」

 

 

「そんなの関係ありませんよ。」

 

 

「ええい。」

 

 

服部が魔法の起動式を構築すると孝一が飛雷神の術を発動して再び服部の背後に着くと服部の首に一撃を入れたのだ。すると摩利が宣言する。

 

 

「勝者、犬塚孝一!」

 

 

そして服部が起き上がり真由美と一緒に近づいて孝一にある事を聞いたのだ。

 

 

「孝一君。さっきは何をしたのかな?かなり一瞬で動いてたけど?」

 

 

「ええ説明しますよ。俺が発動したのは瞬身の術と飛雷神の術ですよ。」

 

 

「瞬身の術と飛雷神の術?犬塚君、何ですかその術は?」

 

 

孝一が術の名前を言うと鈴音が聞いたのだ。すると孝一が答えたのだ。

 

 

「瞬身の術は自身の体内にあるチャクラを使用して高速移動する古式魔法で飛雷神の術はあらかじめマーキングをしておいた場所に物体や人物を瞬間移動させる古式魔法ですよ。」

 

 

「そんな古式魔法があるなんて。」

 

 

「そりゃそうですよ。この術は俺達、犬塚公爵家のみ継承されて来ましたからね。全ての術が他の古式の大家や魔法師の家系にも漏らす事は厳禁になって居るので一部では古式の四葉家なんて呼ばれてるらしいですからね。まあ他の古式の家も同様ですが公爵家の場合はその傾向が他の家より強いですよ。」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「達也、お前さんも知ってだだろ?」

 

 

孝一が術の事を説明するとあずさが驚いたように言うと孝一はその後、犬塚公爵家に伝わる古式魔法自体が下手したら国そのものを揺るがしかねないからと説明も付け加えてから達也にバットンタッチしたのだ。達也と服部が開始線まで下がると摩利から孝一の時と同様の説明をされると摩利が右腕を上げると同時に静寂が支配した瞬間に火蓋が切って落とされたのだ。

 

 

「始め。」

 

服部は孝一の時同様にスピードを重視した単純な起動式で起動して魔法の発動態勢に入るが服部は危うく悲鳴を上げそうになったのだ。理由は簡単だ達也が服部の視界を覆い尽くす程のすごい速度で迫ったのだ。しかし服部は慌てて魔法の座標を修正して魔法を放とうとするが魔法は不発に終わったのだ。起動式の処理に失敗したのではない達也の姿を消したのだ。

 

 

「後ろです。」

 

 

「!!」

 

 

「言ったでしょ。CADは必要無いと。」

 

 

「馬鹿な!今の動きは一体!?」

 

 

「正真正銘、肉体的なものですよ。」

 

 

服部は驚愕したのだ。魔法を使わずに魔法を使った同室の動きをするなど。

 

 

「服部先輩、なぜ俺がCADが不要と言ったか分かりますか?」

 

 

「!!?」

 

 

「余裕だと思っている者ほど、攻撃が単調になり読みやすいからですよ。」

 

 

服部は頭に冷水をかけられたようだった。つまり、自分の攻撃は全て読まれていたのだ。

 

 

「聞くところによると、あなたはニ科生の事を見下しているそうですね。」

 

 

「!!、・・・それは。」

 

 

「俺や孝一が風紀委員会に相応しくないのであれば、生徒の模範となるべき生徒会で差別を主張するあなたも相応しくないんじゃなくありませんか?」

 

 

「っぐ・・・。」

 

 

「それに、今のように魔法を使わず移動しなくても自己加速を使い座標をズラせば簡単にあなたの魔法を無効化できますよ、たとえニ科生でも。まあ自分を対象にした、単純な魔法限定ですが。」

 

 

「それは・・・。」

 

 

「実戦では『次』はありません。さっき後ろをとった時点であなたは死んでいました。」

 

 

「・・・黙れ!!」

 

 

服部がCADを操作する。

 

 

「これで終わりです。」

 

 

達也が一瞬で服部の後ろに回り込み基礎単一の振動系統の魔法を覆った腕で掌底を打ち込んだのだ。結果、服部の身体が崩れさる。

 

 

「勝者、四葉達也。」

 

 

この瞬間、服部は高校に入学して初めての模擬戦での敗北は、二人でしかも年下の一年生だったのだ。

 




本日はここまでです。


次回もお楽しみに〜。


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入学編STORY4

続きです。



https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


2012年4月上旬夕方

 

日本皇国関東州八王子市市内某所

 

 

「くっ、・・・うう・・。」

 

 

「はんぞーくん、大丈夫ですか?」

 

 

「!!ハ、ハイ、大丈夫です!」

 

 

回復した服部は立ち上がって孝一と達也の前に来たのだ。

 

 

「犬塚、四葉、・・・さっきは失礼な事を言って申し訳なかった。うぬぼれていたのは俺の方だった。」

 

 

「いえ、俺の方も生意気な事を言ってお許しください。」

 

 

「服部先輩、こちらこそ失礼な事を言った事は撤回します。申し訳ありません。」

 

 

服部が孝一と達也に謝罪すると二人も服部に失礼ない事を言った事を謝罪したのだ。真由美が孝一達の所にやって来たのだ。

 

 

「では、ハンゾー君も達也君と孝一君の風紀委員会入りに賛成でいいですね?」

 

 

「はい。・・・あの会長?」

 

 

「何?」

 

 

「その・・・四葉とは親しい仲なのですか?」

 

 

ずっと気になっていたのだろう。服部はずっと胸の内に抱えて居た事を聞いたのだ。

 

 

「そう言えばハンゾー君には言って無かったはな。四葉達也君は私の許嫁なの♫あっ、この事は皆には内緒ね?」

 

 

「・・・」

 

 

「服部君?」

 

 

二年生でそれなりに親しい仲のあずさが声をかけるも反応が無かったのだ。

 

 

「・・・」

 

 

「完全に気を失ってますね。」

 

 

「服部君!」

 

 

「仕方無いな。口寄せの術!」

 

 

「やれやれ、なんじゃ孝一!いきなりワシを呼び出しおって!」

 

 

孝一は呟きながらも右手の親指を少し噛むと印を結んで右手を床につけると術名を叫ぶと同時に煙が上がるとそこから蝦蟇のガマ吉が現れたのだ。

 

 

「悪い、ガマ吉。ちょっとこの人を運びたいんだ。手を貸してくれ。」

 

 

「その為にワシを呼んだのか?」

 

 

「ああ。」

 

 

「分かったは。全くお前と来たら。」

 

 

「まあまあガマ吉。後でお前の好きな奴を買ってくわせてやるぁよ。」

 

 

「そうかい。」

 

 

孝一とガマ吉はそう会話をしながら気を失った服部を保健室に運んだのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「さて、色々と想定外のイベントが起こったが当初の予定通り委員会本部に行こうか。」

 

 

部屋の奥。普通なら非常階段が設置されている場所に風紀委員会本部への直通階段があったのだ。

 

 

「少し散らかっているが、まあ適当に掛けてくれ。」

 

 

少し、なのだろうか。確かに足の踏み場が無いとか、椅子が荷物でふさっがているとか、そこまで散らかってはいない。

 

 

「・・・委員長、これ、片付けていいですか?」

 

 

「義姉上。流石に俺も達也に同意見ですよ。これは。」

 

 

「なに・・・?」

 

 

「流石にこれは片付け無いと不味いですよ。これが俺の実家だったらうちの祖母さんにボコボコにされてますよ。」

 

 

「魔工師志望としてはCADがこんな風に乱暴に放置されて居る状態は、耐えがたいものがあるんですよ。サスペンド状態でほったらかしになっている端末もあるようですし。」

 

 

「そ、そうか、すまない。全く二人は相変わらずだな。所で前から気になっていたんだが孝一君はともかく達也君は魔工師志望なんだ?」

 

 

あれだけの対人戦闘スキルがあるのに?と聞きたいのだろう。達也の腕前を知っている者なら当然の疑問だろう。達也の『正体』を知って居る者なら当然の進路だと思う。

 

 

「最近、四葉でもCADを取り扱うプロジェクトを考えているんです。俺は、そのプロジェクトの一員として参加したいと思っているので。それに深雪と真由美さんに香澄と泉美のCADを俺が調整しているのは知っていますよね。」

 

 

「そうだったな、君は技術者としては超一流だったな。」

 

 

「謙遜するな、身内とはいえ、十師族の令嬢を四人も受け持っているんだから十分、大した者だよ君は。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

雑談をしながら手を休めない達也と二人の会話をBGMしながら黙々と片付けをする孝一に摩利が話しかける。

 

 

「そう言えば孝一君は軍学校に入るのだろ?」

 

 

「ええ、犬塚公爵家では嫡男は代々、軍学校に入学する事がある意味不文律が存在してますからね。俺の父は陸軍士官学校に祖父は空軍士官学校に入学してから卒業後に父は陸軍大学校に祖父は空軍大学校に入学後に卒業して軍の将官にまで昇進してますからね。」

 

 

「そうか。」

 

 

孝一は摩利に聞かれた事を答えると摩利も納得した感じで話をある事に言ったのだ。

 

 

「そう言えば、孝一君、達也君。」

 

 

「何でしょう。」

 

 

「何ですか?義姉上。」

 

 

「昨日、君達に因縁を吹っかけた森崎だが・・・教職員推薦枠でうちに入ることになっている。」

 

 

「えっ?」

 

 

「ぶっ!」

 

 

達也は状態をチェックして居たCADが手から離れて机の上に落としそうになるので何とか持ち直し孝一はいきなりの事で驚き固まったのだ。

 

 

「昨日、騒ぎを起こしたんで推薦を取り下げることも出来るし実際、取り下げるつもりだったんだは昨日の一件は君達も無関係ではないからね。」

 

 

「当事者ですよ。」

 

 

「達也と同じくですよ。それにあいつ。次、顔見たらどうするか考えなきゃな。」

 

 

「そう、自称当事者の君達をスカウトしているのに、彼を断るのは難しだろ?」

 

 

「三人を入れないと言うことには出来ないのですか?」

 

 

「俺も達也の意見に同意ですよ。あれの顔を見た瞬間に俺が何をするか想像出来るでしょ?」

 

 

「嫌なのか?」

 

 

いきなりストレートな質問を向けられて孝一と達也は再び手を止めたのだ。孝一は持っていた段ボールを達也は手に持つCADをケースにしまい、二人は顔を上げる。そして達也が口を開いたのだ。

 

 

「・・・正直なところ、面倒だと思っていますよ。」

 

 

「フン・・・それで?」

 

 

「面倒ですが・・・今更、引き下がれないとも思っていますよ。」

 

 

「まあ俺はあのバカ崎が、しでかさなければ、それで良いんで。もし何かしでかしたらしたで、制裁を下すつもりで居るので。それで良いでしたら、やりますよ。」

 

 

「ウム、よろしく頼むよ。孝一君は少し冷静に考えてから行動を移してくれよ?彼も悪気あってやった訳では無いんだからな?」

 

 

「だとしても七武海の一角である俺に喧嘩を売る奴は容赦しませんよ。」

 

 

「ははは。本当にそれだけは勘弁してくれよ、孝一君?」

 

 

孝一達、三人がそう会話をして居ると威勢のいい掛け声が部屋に響くと同時に二人の男子生徒が入って来たのだ。

 

 

「ハヨースッ。」

 

 

「オハヨーございまス!」

 

 

「おっ、姐さん、いらしてたんですかい。」

 

ねじり鉢巻が似合いそうな短髪の男が、「姐さん」と呼んだのだ、その相手はと言うと二人は察しがついたのだ。

 

 

(摩利さんの事か。)

 

 

(義姉上の事だろうな。)

 

 

「委員長、本日の巡回、終了しました!逮捕者ありません!」

 

 

もう一人の方は、比較的普通の外見と、比較的普通の言葉使いだがとにかくやたら、威勢がいい。

 

 

「ところで姐さん、そいつらは?新入りですかい?」

 

 

スパァン!

 

 

「ってぇ!」

 

 

「姐さんって言うな!何度言ったら分かるんだ!鋼太郎、お前の頭は飾りか!」

 

 

「そんなポンポン叩けねでくださいよ、あ・・・いえ、委員長。」

 

 

「こいつらはお前の言うとおり新入りだ。一人は生徒会枠で一人は部活連枠でうちに入ることになった。」

 

 

「へぇ・・・一年坊主か。」

 

 

「お前達、そんな単純な了見だと足元をすくわれるぞ?ここだけの話だが、さっき服部がこの二人に足元をすくわれたばかりだ。」

 

 

「・・・そいつらが、あの服部に勝ったってことですかい。」

 

 

「ああ正式な試合でな。」

 

 

「何と!?入学以来負け知らずの服部が、新入生に敗れたと!?」

 

 

「大きな声を出すな、沢木。ここだけの話だと言っただろう。」

 

 

まじまじと見られて居心地悪いことこの上なかったが先輩に手を上げるわけにもいかないのでここは我慢する以外に選択肢はなかった。

 

 

「そいつは心強ぇ。」

 

 

「逸材ですね、委員長。」

 

 

拍子抜けするほど簡単に、二人は見る目を変えた。

 

 

「はじめまして、この度、生徒会推薦枠で風紀委員会に入る事になりました四葉達也です。」

 

 

「はじめまして、俺は部活連枠で風紀委員会に入る事になりました犬塚孝一です。」

 

 

達也は身分を明かしたが二人の反応は薄く孝一の方に関しては完全に孝一が犬塚公爵家の人間である事に気づいてないようだ。

 

 

「こいつらは、名前なんて関係無くきちんと実力が評価できるヤツらばかりふぁ。ここは君達にとっても居心地の悪くない場所だと思うよ。」

 

 

「3ーCの辰巳鋼太郎だ。よろしくな、四葉、犬塚。腕の立つヤツは大歓迎だ。」

 

 

「2ーDの沢木碧だ。君達を歓迎するよ、四葉君、犬塚君。」

 

 

挨拶を返し、沢木の手を握り返す。沢木の手が、何故か、達也の手から離れない。

 

 

「自分のことは、沢木と苗字で呼んでくれ。」

 

 

ギリギリと軋みを上げそうな握力に、場違いな関心をを覚えた。この学校は魔法だけではなく、他の面でも優秀な生徒が集まっているようだ。

 

 

「くれぐれも、名前で呼ばないでくれ給えよ。」

 

 

そうやらこれは、警告のつもりらしい。別にこんな回りくどいことをしなくても、上級生を名前で呼ぶような習慣はないのだが。

 

 

「心得ました。」

 

 

「承知しました。」

 

 

そう言いながら達也の右手を細かく捻って、握られた手を解く。沢木本人よりも、鋼太郎の方が驚いた顔をして居たのだ。

 

 

「ほう、大したもんじゃねえか。沢木の握力は百キロ近くってによ。」

 

 

「魔法師の体力じゃありませんね。」

 

 

「君が言うか?」

 

 

「お前にだけには、言われたくないと思うぞ。」

 

 

自分の事を棚にあげて、達也が軽口を叩き、孝一と摩利が突っ込み孝一はそれを放置しながら作業を続ける。どうやら孝一と達也は少なくとも三人とは、上手くやっていけそうな気がした。そんな中で風紀委員会室のドアが開いて二人の男女の生徒が入って来たのだ。

 

 

「渡辺先輩、辰巳先輩に沢木君こんにちは。」

 

 

「御三方が揃うのは珍しいですね。」

 

 

「五十里に犬塚さんか。」

 

 

「そうそう、私のことは咲と呼んで下さい。」

 

 

風紀委員会に入って来たのが孝一の姉の犬塚咲と咲の許嫁のである五十里啓である。孝一は気づいていながらも作業を続けて居ると咲がそれに気付いて孝一に話しかけたのだ。

 

 

「あら、孝一。珍しいじゃないあなたが此処に居るなんて。」

 

 

「そんなに珍しいか姉貴?俺は風紀委員会に入る事になったからな。」

 

 

「そうだよ孝一、君は考えなしに動くからね。あまり暴走しない様にね?」

 

 

「言い返せない事を言うなよ啓兄?ま、分かったよ。」

 

 

孝一は咲に話しかけられて作業を一旦、止めて咲と会話をして居ると啓が孝一を諌めるような発言をすると孝一は啓の諫言を聞いてあまり暴走しないと約束する。三人の会話を見て居ると沢木が会話に入って来たのだ。

 

 

「三人は知り合いなのかい?」

 

 

「ああ、知り合いと言うよりも私と孝一は姉弟なのよ。それと犬塚はこの学校の一年に後、二人居るから名前で呼んでくれるかしら?」

 

 

「後、二人?その二人は。」

 

 

「俺の三つ子の弟ですよ。」

 

 

「三つ子!?」

 

 

「ええ、俺は世にも珍しい三つ子でしかも更に珍しい三卵生ですよ。」

 

 

沢木が気になった事を質問すると咲が答えると咲の言葉に引っかかったのか辰巳が尋ねると孝一が辰巳の質問に答えたのだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

翌日、九校戦と呼ばれるこの対抗戦に優秀な成績を収めたクラブにはクラブの予算からそこに所属する生徒個人の評価に至るまで様々な便宜が与えられている。有力な新入部員の獲得競争は、各部の勢力図に直接影響をもたら重要課題であり学校もそれを公認、いや、むしろ後押しして居る感もある。かくして、この時期、各クラブの新入部員獲得合戦は、熾烈を極めるのだ。

 

 

「・・・という訳で、この時期は各部間のトラブルが多発するんだよ。」

 

 

場所は生徒会室。孝一は又旅を愛でながら、達也は深雪が作った弁当をじっくり味わいながら、孝一と達也は摩利の説明に耳を傾けていたのだ。

 

 

「勧誘が激しくて授業に支障を来たすこともあるの。それで新入生勧誘活動には一定の期間、具体的には今日から一週間という制限を設けてるの。」

 

 

「この期間は各部が一斉にテントを出すからな。ちょっとしたどころのお祭り騒ぎだな。密かに出回ってる入試成績リストの上位者、競技実績のある新入生は各部で取り合いになる。無論、表向きはルールはあるし、違反したクラブには部員連帯責任の罰則もあるが、陰では殴り合いや魔法の撃ち合いになる事も残念ながら珍しくない。」

 

 

「CADの携行は禁止されているのでは?」

 

 

「新入生向けのデモンストレーション用に許可が出るんだよ。一応審査はあるんだが、事実上フリーパスでね。その所為で余計にこの時期は、学校は無法地帯化してしまう。」

 

 

「学校側としても、九校戦の成績を上げてもらいたいから。新入生の入部率を高める為か、多少のルール破りは黙認状態なの。」

 

 

「そういう事情でね、風紀委員会は今日から一週間、フル回転だ。いや、欠員の補充が間に合って良かった。即戦力として期待しているぞ。」

 

 

孝一と達也はこうも真正面から切り捨てられるとは思っていなかったので流石じ二人は文句も言いようが無かったのだ。

 

 

「・・・ハァ、分かりました。放課後は巡回ですね。」

 

 

「了解しました。義姉上。後、俺は少し遅れますのでよろしいですか?」

 

 

「授業が終わり次第、本部に来てくれ。分かったぞ、孝一。」

 

 

「「了解です。」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

午後の授業が終わり孝一が校舎から少し離れた森林の場所に夏のリムルとミリムとディーノの四人とやって来て居たのだ。すると頭に角が一本だけ生えた青い髪の青年と幼い小学5、6年生位の男子が現れたのだ。

 

 

「リムル様、ソウエイここに。」

 

 

「我が君、モスこちらに。」

 

 

「嫌、お前達が話があると聞いてな。で、話ってのはなんだ?」

 

 

「はい。近頃、全国の魔法大学及び付属高校の近辺にて大学及び付属高校の生徒が襲われると言う案件が起きております。どうかお気をつけくださいリムル様。」

 

 

「そうか分かった。それに関しては何か知っているか孝一?」

 

 

「恐らくはブランシュだろうな。」

 

 

「ブランシュ?なんだそれは。」

 

 

「まあ一言で言うなら反魔法主義団体だ。まあ我が国ではブランシュは憲法の条項に違反するって理由で非合法組織として扱われて居るんだ。」

 

 

孝一がそう説明するとミリムが体を乗り出してこう言ったのだ。

 

 

「じゃあ、私が潰しても問題ないのだな!」

 

 

「ミリム殿、そうは簡単にいかないですよ。どうもブランシュの背後には大中華民主主義人民共和国がついて居ますからね。政府としても大元であるそことはなるべく対立を避けたいだよ。」

 

 

「む〜。」

 

 

「じゃあ、俺はそろそろ風紀委員会本部に向かうは。この後の見回りが終わったら久しぶりに知り合いの何でも屋を学校近くに呼び出してアイツらに依頼を入れるか。」

 

 

ミリムの発言に孝一がそう説明してミリムは少し不満そうな顔をするが孝一は風紀委員会本部に向かったのだ。それを見たリムルは口を開いたのだ。

 

 

「ソウエイ、モス、万が一の事がある学校周辺の見回りと調査を頼む。それとモス、ディアブロとテスタロッサとカレラとウルティマと一緒に協力をして調査するんだ。」

 

 

「は!リムル様。」

 

 

「分かりました。我が君。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

孝一はリムル達と別れてすぐに達也と合流すると同時に聞き覚えのある声がして自分達を呼び止めたのだ。

 

 

「あれ、孝一に達也君、クラブはどうするの?」

 

 

「エリカ、、、珍しいな、一人か。」

 

 

「エリカ、お前な。まあ良い、話があるなら手短に頼み。」

 

 

「珍しいかな?自分で思うにあんまり、待ち合わせとかして動くタイプじゃないんだけどね。・・・ねえ、孝一に達也くん、クラブ決めてないんだったら、一緒に回らない?」

 

 

 

本人に言うムキになって否定されるだろうが断ってしまうには少し、寂しそうな表情をしている。

 

 

「エリカ、俺は風紀委員会の仕事があるが大丈夫だお前と一緒に回るとするか。」

 

 

「俺も、風紀委員会でこき使われことになってな。あちこちブラブラするのは結果的に同じだろうけど見回りで巡回をしなきゃならない。それでもよければ、一緒に回るが?」

 

 

「うーん・・・ま、いっか。」

 

 

孝一は隣で悩むエリカの顔を見て居るとエリカは達也の誘いに勿体ぶった仕草で考え込み不本意だけど、とジェスチャーつきで答えたのだ。ただ、その笑みが、自らの演技を裏切っている事にエリカ本人は勿論のことだが孝一と達也はそれを見抜いていたのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「何故お前達がここに居るんだ!」

 

 

それが再会して早々で開口一番での言葉だったので孝一が攻撃を仕掛けようとすると達也が孝一の前に割って入って口を開いたのだ。

 

 

「お前、それはいくらなんでも非常識だろう。お前は、それ程こいつに殺せたいのか?」

 

 

「なにぃ!」

 

 

「うるさいぞ、新入り。」

 

 

すると摩利が一喝されたので森崎駿は慌てて口をつぐみ、さらに、直立姿勢で固まったのだ。

 

 

「この集まりは風紀委員会の業務会議だ。ならばこの場に、風紀委員以外の者はいないのが道理。その程度のことは弁えたまえ。」

 

 

「申し訳ありません。」

 

 

「ッフン。」

 

 

かわいそうに、森崎の顔は緊張と恐怖感にひきつっていた。そして孝一は鼻で森崎を笑ったのだ。

 

 

「まあいい、座れ。全員、揃ったな?そのまま聞いてくれ。」

 

 

それから、摩利は孝一と達也と森崎の紹介を交えながら話を進めたのだ。

 

 

「では早速行動に移ってくれ。レコーダーを忘れるなよ。犬塚、四葉、森崎の三名については私から説明する。他の者は解散!」

 

 

全員が一斉に立ち上がり、踵を揃えて、握りこんだ右手で左胸を叩いたのだ。

 

 

「まずはこれを渡しておこう。」

 

 

摩利は孝一と達也と森崎に薄型のレコーダーを手渡したのだ。

 

 

「胸ポケットに入れておけ。ちょうど、レンズ部分が外に出る大きさになっている。スイッチは右側側のボタンだ。」

 

 

三人はそう言われて胸ポケットにしまったのだ。

 

 

「風紀委員はCADの学校携行を認められている。使用についても、一々誰かの指示を仰ぐ必要は無い。だが、不正使用が判明した場合は、委員会除名の上に一般生徒より厳重な罰をが課せられる。一昨年もそれで退学になったヤツがいるからな。甘く考えないことだ。」

 

 

「質問があります。」

 

 

摩利がそう説明すると達也が手を挙げて尋ねたのだ。摩利が答えたのだ。

 

 

「許可する。」

 

 

「CADは委員会の備品を使用してもよろしいでしょうか?」

 

 

「・・・構わないが、理由は?」

 

 

「旧式のモデルではありますが、プロ仕様の高級品ですよ、あれは。」

 

 

「・・・そうなのか?」

 

 

「ええ・・・知らなかったんですか?」

 

 

達也はジトっとした視線を摩利に向けるが孝一は自分の魔法の性質上CADが必要無いのでCADの知識は必要最小限しか無かったので達也の発言はすごいのかどうかも分からなかったのだ。

 

 

「うっ・・・コホン。そういうことなら好きに使ってくれ。どうせ今まで埃をかぶっていた代物だ。」

 

 

「では・・・この二機をお借りします。」

 

 

「二機・・・?本当に面白いな君は。」

 

 

昨日密かに、自分用に調整データを複写しておいた二機のCADを左右の腕に装着した達也を見て、摩利はニヤリと笑いを浮かべる。

 

 

しかし、森崎は達也の行動に皮肉げに唇を歪めていたが孝一がそれを見逃さなかったのだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「おい。お前ら。」

 

 

「何だよ。」

 

 

孝一はそのまま立ち去ろうと思い歩き出そうとしたら森崎が敵意を剥き出しにした呼びかけに達也が横柄に答えると孝一も仕方なく立ち止まったのだ。

 

 

「はったりが得意なようだな。会長や委員長に取り入ったのもはったりを利かせたのか?」

 

 

「羨ましいのか?」

 

 

「なっ・・・!」

 

 

この程度の切り返しで逆上するなら最初から嫌味なぞ口にするなと孝一、達也の二人は思う。

 

 

「・・・だが、今回はやり過ぎだったな。複数のCADを同時に使うなんてできるわけがない。両手にCADを装着すればサイオン波の干渉で、両方のCADが使えなくなるのがオチだ。この程度のことも知らずに格好を付けようとしたんだろう?どうせ大した魔法は使えないんだ。恥をかかなくてすまないように、こそこそ立ち回るんだな。」

 

 

「腕があっても頭は無いようだな。」

 

 

「なんだと。」

 

 

「漏れ出るサイオン波をコントロール出来れば複数デバイスをの同時操作は可能になる。・・・知らなかったのか?」

 

 

「そ、それぐらい事は分かっている。それを実戦でいきなり使おうとしている事に問題はあるんだ!!」

 

 

「アドバイスのつもりか?余裕だな、森崎。」

 

 

「ハッ!一昨日は不意を突かれたが、次はもう油断しない。お前ら(B組)と僕たち(A組)の格の違いを見せてやる。」

 

 

森崎の発言を聞いて孝一と達也が口を開いたのだ。

 

 

「バカか貴様?」

 

 

「めでたい奴だなお前。」

 

 

「なに・・・・!?」

 

 

孝一が先に口を開いて森崎をバカにして達也に至っては完全に呆れていたのだが森崎はそれを聞いて一瞬だが顔をゆがむのを二人は気づかなかった。達也がある事を言ってそれに孝一が続いたのだ。

 

 

「森崎家は確かボディガード派遣の警備会社を営んでいたな。お前も手伝っているんじゃないか?」

 

 

「ん?確か、ウチの祖母さんが実家の財閥の警備関係で森崎家の警備会社と警備員派遣を契約したって話を聞いたな。」

 

 

「なぜその事を知っている!?」

 

 

「四葉家の情報収集能力を舐めるなよ?お前が一人息子で家業を継ぐ事を誇りに思っているが内心では門下に入った魔法師の方が実力が上である事に焦っていることも知っているぞ。」

 

 

「!!、それは・・・。」

 

 

「森崎家は速さ重視で血統を見ても、規模や干渉力は平凡だからな。」

 

 

「黙れ!」

 

 

達也と孝一は構わずに続ける。

 

 

「お前、俺たち七武海を舐めていないか?七武海に名前に連ねた者は全員がお前より数百倍の強さを誇って居るんだ。無論、俺もその七武海の一人だからなお前なんぞ、その気になればここで叩きのめす事が出来るぞ?」

 

 

「それなりの実戦経験があるにも関わらずお前が今だ成長しないのは・・・実際に命のやり取りを行う戦闘をした事が無いからな。」

 

 

森崎は孝一と達也の言葉に反論する事が出来ないでいる。

 

 

「俺も達也も、昔からそう言う殺し合いをして来た身だ。特に、戦場では自分が殺すか殺されるかだらな、お前はそれを少し学べ。それに俺は命懸けの修行をして来た。死ぬ気でやらなきゃ強くなれなかったからな。七武海を舐めんじゃねーよ、森崎?」

 

 

「孝一もそうだがおれは幼い頃から命懸けの戦闘を繰り返して来た。それが俺たちとお前、十師族及び七武海と百家支流の違いだ。経験も無いまま、ぬるま湯に浸かって育ったお前に何を言われようが何も感じない。・・・森崎、十師族を舐めるなよ!!」

 

 

「!!」

 

 

孝一と達也が放つこれまでに感じた事のない森崎はその場にへたり込んでしまう。

 

 

(殺される!!)

 

 

森崎はそう思ったのだ。しかし、孝一と達也は殺気を収めて森崎の事は興味は無いと言わんばかりに森崎をその場に放置してパトロールに向かったのだ。

 

 

森崎は、腰を抜けて今だ立ち上がる事が出来ないでいた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

孝一と達也はある場所までに歩いて居るとそこにはリーナとスバルと真由美の三人がそこに居たのだ。

 

 

「ちょっと、孝一!あんた何、校内で殺意剥き出しにしてんのよ!」

 

 

「孝一、後でお祖母さんに怒られるの分かっててやっての?」

 

 

「ああ、すまねえ。リーナ、スバル。けど、俺よりもあいつが悪いんだからよ。仕方ないだろ?」

 

 

孝一はリーナとスバルの二人にキスをすると二人もどこかに立ち去ったのだ。達也の方も真由美と会話して居たのだ。

 

 

「もう荒っぽいわね。殺気がこっちまで伝わって来たわよ!!」

 

 

「真由美さん見ていたんですか?まあ、これでもうちょっかいは出してこないでしょ。」

 

 

「まったく、心配かけないでね達也君?」

 

 

「すいません。」

 

 

「分かればよろしい♪じゃ、お仕事頑張ってね。チュ。」

 

 

達也の頬に軽くキスをして真由美は去って行った。

 

 

「まったく・・・ここは学校ですよ。」

 

 

「お前が言うか?」

 

 

「お前にだけには言われたくない。」

 

 

「じゃ、俺は行かせて貰うぜ?」

 

 

「一緒に来てもらうぞ孝一。」

 

 

「何でだ達也!」

 

 

「お前は何をしでかすか分からんからな。」

 

 

達也がそう呟くと孝一がツッコミを入れてると達也が言い返すと孝一がその場を離れる様にどこかに立ち去ろうとしたら達也に捕まってそのまま何処かに孝一は連れて行かれたのだ。




本日はここまでです。


次回も楽しみにして下さい。


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入学編STORY5

先月は遅れてすみません。

内容で少し時間が掛かりました。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


「エリカ。」

 

 

「よ!エリカ。」

 

 

孝一と達也はエリカとの約束の時間から十分程だは歩いて居たのだ。意外と早く追いついたな、とエリカは思ったのだ。

 

 

「孝一、達也くん、遅いわよ。」

 

 

「あ〜悪りいな、エリカ。」

 

 

「・・・悪かった。」

 

 

「達也くんは、ともかく孝一が謝るなんて、珍しいはね。」

 

 

「俺がそんなに、謝らないと、思ってんのか?」

 

 

「孝一は、昔からそう言い所があるから、誤解されるんだぞ?それに俺達は色々あって遅れたんだ、仕方が無いがエリカが待ち合わせ場所に、いなかったことは別問題だろ?」

 

 

「あぅ・・・ごめん。」

 

 

孝一と達也がエリカに気付いて話しかけて会話をすると変な表現だが大真面目な顔で微笑みかけられて、エリカは一矢も射返すことが出来なかった。

 

 

「・・・孝一は仕方ないけど達也くんってさ〜やっぱり、性格悪いって言われない?」

 

 

「言われてみればエリカの言う通りだな。お前とは付き合いがたまに性格が悪い所が感じる所があるんだが?」

 

 

エリカの発言に孝一が賛同する。すると達也が反応したのだ。

 

 

「心外だな。性格に文句を、つけられたことはない。人が悪いと言われたことならあるが。」

 

 

「同じじゃん!てか、そっちの方が酷いよ!」

 

 

荒く息遣いをつくエリカに達也が気にしたのだ。

 

 

「随分、疲れているようだが大丈夫か?」

 

 

「・・・達也君。絶対、性格が悪いって言われた事あるでしょ?」

 

 

「実はそうなんだ。」

 

 

「今までの流れ全否定なの!?」

 

 

「エリカこいつにそう言う類いのツッコミは意味がないぞ?」

 

 

エリカががっくりと膝をつくと孝一がエリカに達也に関してツッコミを入れたのだ。そして孝一達3人はそのまま第二体育館、通称闘技場に移動したのだ。そこで剣道部のデモンストレーションを見学することにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

第二体育館で剣道部のレギュラー同士で模擬試合が行われたが一人の二年生の女子部員が二回り以上の大きい男子生徒相手に互角に渡り合って居た。力では無く、華麗な技で受け流している。観衆は彼女の技に目を奪われて居たが、彼女が殺陣のように鮮やかな一本を決めて一礼をするのと同時に不満に、隣から孝一とエリカが鼻を鳴らす音がして孝一が口を開いたのだ。

 

 

 

「っフン、くだらん。」

 

 

「そうね。」

 

 

「お気に召さないようだな、二人とも。」

 

 

「・・・だって、つまらないじゃない。手の内がわかっている格下相手に、見栄えを意識した立ち回りで予定通りの一本なんて。試合じゃなくて殺陣だよこれじゃ。」

 

 

「実戦じゃ到底、生き残れる可能性が限りなくゼロに近い。俺だったらすぐに決着をつけれるぞ。」

 

 

「まあ、確かにエリカの言う通りだがあくまで宣伝のための演武だ。それに孝一お前の言いたい事は分からんでもない。だが真剣勝負なんて物を他人においそれと見せられるものじゃないだろ?」

 

 

「そうだね・・・武術の真剣勝負は、要するに殺し合いだからね。」

 

 

「それもそうだが俺にして見れば鷹の目と殺りあってる方がまだ良い方だが?」

 

 

そんな話を三人でして居ると何やら争っている声が聞こえて来たので、視線を向けると男女の剣士が対峙して居たのだ。女の方は、さっきまで試合をして居た女子生徒だ。セミロングの黒髪が印象的な、なかなかの美少女だ。あの技にこのルックス、勧誘にはうってつけだろう。

 

 

「全く、孝一はともかくだけど達也君はああいうのが好みなの?」

 

 

「俺の好みじゃないし、そもそも俺には真由美さん達が居るから無理だぞ?」

 

 

「俺は俺だぞエリカ?それに俺はああ言うのは嫌いだぞ?」

 

 

エリカがそう言うと達也が反応して自分の好みじゃないと言うと孝一がエリカの発言にフォローする。しかし下の方ではなぜか言い争いが始めて居たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原君!どうしてそれまでそれまで待てないの!?」

 

 

 

「心外だな、壬生。あんな未熟者相手じゃ、新入生に剣道部随一の実力が披露出来ないだろうから協力してやろうって言ってんだぜ?」

 

 

それからも二人は口論を続けるので孝一は何が起こる事を察知したのでこの争いを見届ける事にしたのだ。ある事を見て達也が思ったのだ。孝一が口を開いたのだ。

 

 

(切っ先を向け合っておいて、今更口論もなかろうに・・・。)

 

 

「おいおい、マジかよ。」

 

 

達也がそう思ったが当事者同士が疑問に答えるのは好都合だった。そして孝一はよろしくない状況に少しだけだが冷や汗を流して居た。

 

ーー当人たちにその気はなかったのだろうか。

 

 

「面白いことになってきたね♪さっきの茶番より、ずっと面白そうな対戦だわ、こりゃ。」

 

 

「エリカ、あいつらの事知ってんのか?」

 

 

「あの二人を知って居るのか?」

 

 

「達也くんはともかく孝一はもう少しくらい他の剣士のことを調べたりした方が良いわよ?」

 

 

「俺は剣士として鷹の目と世界に名だたる剣士との決着つける以外には興味が無いんでね。」

 

 

孝一と達也の問い掛けに即、応じたところを見ると独り言ではなかったらしい。孝一はエリカの発言に孝一はそう言い切ったのだ。

 

 

「女子の方は試合を見たことをあるのを、今、思い出した。壬生紗耶香。一昨年の中等部剣道大会女子部の会全国二位よ。当時は美少女剣士とか剣術小町とか随分、騒がれたは。」

 

 

「ほう。」

 

 

「男の方は桐原武明。こっちは一昨年の関東剣術大会中等部のチャンピオンよ。正真正銘の一位よ。」

 

 

「っふん、くだらん。この程度の腕前では俺の相手にもならんな。」

 

 

「それぞれの競技の実力者か・・・・。」

 

 

この学校でこそ二科生は落ちこぼれだが全人口比で見ればエリートなのだ。しかし孝一はどうやらかなり自分の剣の腕前を自身があるらしい。

 

 

「おっと、そろそろ始まるみたいよ。」

 

 

張り詰めた糸が限界に近づいているのは達也はもちろんだが孝一も感じ取れたのだ。

 

 

「心配するなよ、壬生。剣道部のデモだ、魔法は使わないでおいてやるよ。」

 

 

「剣技だけであたしに敵うと思っているの?魔法に頼り切りの剣術部の桐原君がただの剣技のみに磨きをかける剣道部の、このあたしに。」

 

 

「大きく出たな、壬生。だったら見せてやるよ。身体能力の限界を超えた次元で競い合う、剣術の剣技をな!」

 

 

それが、開始の合図となった。いきなりむき出しの頭目に目掛けて、竹刀を振り下ろす桐原。

 

竹刀と竹刀が激しく打ち鳴らされる。悲鳴は、二拍ほど遅れて生じた。見物人には、何が起こっているのか分からなかった。

 

 

ーーーー少数の、例外を除いては。

 

 

「・・・女子の剣道ってレベルが高かったんだな。あれが二位なら、一位はどれだけ凄いんだ?」

 

 

「おいおい、マジかよ俺の見当違いか?あんだけの腕前かよ。」

 

 

二人の剣捌きに、とりわけ紗耶香の技に感嘆の吐息を達也が漏らしそして孝一が二人の剣の腕前に驚きと自分の見当違いに隠せずには流石に隠し切れなかったのだ。

 

 

「・・・違う・・・。あたしの見た壬生紗耶香とは、まるで、別人。たった二年でこんなに腕を上げるなんて・・・。」

 

 

どこか好戦的な気配を放ちながらエリカが嘆く。孝一も達也もエリカもどちらかが有利かは、目に見えて分かっていた。

 

 

「おおぉぉぉぉ!」

 

 

この立ち合いで初めて、雄叫びを上げて桐原が突進した。両者、真っ向から竹刀を打ち下ろしたのだ。

 

 

「相打ちか?」

 

 

「違うな、ありゃ。」

 

 

「いや、互角じゃない。」

 

 

桐原の竹刀は紗耶香の左上腕を捉え、紗耶香の竹刀は桐原の右肩に食い込んでいる。

 

 

「くっ!」

 

 

「・・・途中で願いを変えようとした分、打ち負けたな。」

 

 

「達也の言う通りだな。しかしありゃ非常になりきれなかったな。」

 

 

「そうか、だから剣勢が鈍ったのね。完全に相打ちのタイミングだったのに・・・。結局、非常になれなかったのね。」

 

 

勝負あった、と見たのは孝一と達也たちだけではない。剣道部の面々は安堵の表情を浮かべている。

 

 

「・・・真剣なら致命傷よ。あたしの方は骨に届いていない。素直に負けを認めなさい。」

 

 

「は、ははは。」

 

 

そう宣言する紗耶香。突如、桐原が虚な笑い声を漏らした。

 

 

「真剣なら?俺の身体は、斬れていないぜ?壬生、お前、真剣勝負が望みか?だったら、お望み通り、『真剣』で相手をしてやるよ!」

 

 

桐原が、竹刀から離れた右手で、左手首の上を押さえた。見物人の間から悲鳴が上がった。ガラスを引っ掻いたような不快な騒音に耳を防ぐ観衆。一足跳びで間合いを詰め、左手一本で竹刀を振り下ろす桐原。だが、紗耶香は、その一撃を受けようとせず、大きく後方に跳び退った。かすめただけだ。それなのに、紗耶香の胴に、細い痕が走っている。

 

 

追撃をかける桐原。しかし、その眼前に、達也が割り込んだのだ。しかし桐原は追撃を辞めなかった。そして達也が飛び込む直前、腕組みをするように、左右にはめたCADへ一瞬で左右に指を走らせたのだ。それを見た孝一がこう叫んだのだ。

 

 

「磯撫!」

 

 

すると右目が潰れた人間によく似た顔に鋭く尖った角が生えた甲羅に海老に似た三本の尻尾を持った亀が出現して桐原の竹刀による攻撃を甲羅で防いだのだ。今度は、見物人の中に口を押さえる者が続出した。

 

 

乗り物酔いに似た症状が、急激に連鎖する。その代わり、不快な高周波音が消えていた。肉を打つ竹の音、は、鳴らなかった。生じた音は、板張りの床を鳴らす落下音。音と揺れから解放されたのだ。

 

 

何を起こっているのか確認する余裕をようやく取り戻した見物人たちが見たもの。それは投げ飛ばされた桐原の左手首を掴み肩口を膝で押さえ込んで居る達也と巨大な亀とその隣に孝一の姿だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ーー以上が剣道部乱入事件の顛末です。」

 

 

孝一と達也の前には三人の男女が居たのだ。向かって右に生徒会長、七草真由美で中央に、ある意味で孝一と達也の上司である風紀委員長の渡辺摩利であるそして左の男子生徒がおそらく、部活連会頭、十文字克人だろう。達也が十文字家の総領を見たのは、以外にもこの時が初めてだ。

 

 

身長は185cm前後。見上げるような大男、という訳ではない。だが分厚い胸板と広い肩幅、制服越しでも分かる、くっきりと隆起した筋肉。そういう肉体的な特徴だけでなく、人間を構成する諸要素を凝縮するだけ凝縮したような存在感の密度が、桁外れに濃厚な人物だ。

 

 

(巌の様な人だな・・・。)

 

 

(やれやれ俺が一番、苦手な人間だな、こりゃ。)

 

 

達也と孝一が十文字を見ながらそう考えていると十文字が口を開いて孝一と達也に尋ねると達也が答えたのだ。

 

 

「それで、取り押さえた桐原はどうした?」

 

 

「桐原先輩は鎖骨にひびが入っていたので、保健委員に引き渡しました。とはいえ、魔法ですぐに治療可能な程度の損傷でしたが、自分が取り押さえた際、非を認めておられたので、拘束の必要ないと判断しました。」

 

 

「ふむ・・・いいだろう。追訴は、摘発した者の判断に委ねられているのだからな。聞いての通りだ、十文字。風紀委員としては、今回の事件を懲罰委員会に追訴するつのりはない。」

 

 

「寛大な決定に感謝する。殺傷性の高い魔法をあんな場で使ったのだ。怪我人が出ずとも、本来なら停学処分もやむ得ないところ。それは本人も分かっているだろう。今回のことを教訓とするよう、よく言い聞かせておく。」

 

 

「頼んだぞ。」

 

 

「でも、剣道部はそれでいいの?」

 

 

「挑発に乗って喧嘩を買った時点で同罪だ。文句をつけられる筋合いがじゃない。」

 

 

それもそっかと、どこか他人事のように納得した様子の真由美。

 

 

「達也君それに孝一君、お疲れ様。初日から活躍するなんて流石ね♪」

 

 

婚約者の活躍ぶりに酔いしれているだけだったようで真由美は嬉しそうにするとそんな真由美を摩利が一瞥するが本人は知らんフリを決め込んでいる。その為、摩利が達也にどうにかしろと視線で訴えるが初日の森崎達との口論で自分を使って遊んでいた仕返しとばかりに達也も手は出さないでいる。

 

 

真由美と摩利の睨み合い?が終わるのを待って孝一と達也は退出の許可を得て、二人が部屋を後にしたのだ。その後ろ姿を十文字が静かに見ていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

入学式の日とは別のカフェで、六人は今日一日のことを話し合っていたのだ。因みに孝一、達也、深雪、エリカ、美月、レオ以外のメンバーはすでに家に帰っていたのだ。

 

 

「それ、お兄様の仕業よ。お兄様、キャスト・ジャミングをお使いになったでしょう?」

 

 

「ほう。」

 

 

「キャスト・ジャミング?」

 

 

「タネを明かせば、そうだな。」

 

 

「でもあれって、特殊な石が要るんじゃなっかたっけ?アンティ・・・アンティ何とか。」

 

 

「アンティナイトよ、エリカちゃん。」

 

 

「それそれ!」

 

 

「俺は持っていないよ。」

 

 

「えっ?でも、キャスト・ジャミングを使ったって・・・。」

 

 

「あー・・・。この話はオフレコで頼みたんだけど。」

 

 

達也が身を乗り出して小声を話しだす。みんなも同じように身を乗り出して耳を傾ける。

 

 

「正確には、キャスト・ジャミングじゃないんだ。俺の使ったのは、キャスト・ジャミングの理論を応用した特定魔法のジャミングなんだよ。」

 

 

「・・・それって、新しい魔法を理論的に編み出したってことじゃないの?」

 

 

関心、驚愕、賞賛というよりも呆れたようなニュアンスがエリカの声には含まれていた。しかし、孝一だけはマイペースにコーヒーを飲んでいたのだ。

 

 

「二つのCADを同時に使おうとするとサイオン波が干渉してほとんどの場合で魔法が発動しないことは知っているよね?」

 

 

「それでだ、二つのCADを同時に使用する際に発生するサイオンの干渉をキャスト・ジャミングと同じようにエリアへ発信する。一方のCADで妨害する魔法の起動式を展開しもう一方のCADでそれとは逆方向の起動式を展開しておけば各々のCADで展開した二種類の魔法と同種類の魔法発動をある程度妨害出来るんだ。

高周波ブレードのような常駐型の魔法でも魔法式の効果を永続的に維持することは出来ない。いつか必ず起動式を起動式を展開し直さなければならない。今回はちょうどそのタイミングを掴まえることが出来たという訳だ。」

 

 

達也の説明に孝一以外の皆が関心を持って聞いていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その後、会話はお開きとなり孝一達はその場で解散すると孝一だけはある雑居ビルの前にやって来ていたのだ。そして雑居ビルの壁にカレコレ屋と書かれた看板が掲げられておりその下にある階段に孝一は上がって行ったのだ。そしてそこである部屋のドアの前に立つと孝一がドアを開けたのだ。そして孝一が喋りながら部屋に入ったのだ。

 

 

「おい、お前ら仕事の依頼だ!」

 

 

「いきなり、やって来た上にドアを蹴破るなよ!後でオーナーに俺が怒られるだろうが!」

 

 

「本当にいきなりですね。」

 

 

「確かに、そうだな。」

 

 

孝一が部屋に入るとそこには赤のメッシュが入った黒髪の少年と二本の角が生えた水色の髪の少女と尻尾と頭に狼の耳がある白髪の少年が居たのだ。因みに彼等を紹介すると黒髪の少年がカゲチヨ、水色の髪の少女がヒサメ、白色の少年がシディで訳あってリムル等八星魔王同様に彼等が別の世界から来てしまい孝一が裏で色々と手を回して彼等がこの国で過ごせるようにしたのだ。

 

 

「仕方ない無いだろ?お前らの戸籍やら住所やらを用意してやったのは誰だと思う?」

 

 

「何も、言い返せねーな。」

 

 

「仕方ないでしょう、カゲ。」

 

 

「そうだぞ、カゲチヨ。」

 

 

「仕事の話だお前達にはある組織の調査を、して欲しいんだ。」

 

 

「ある組織って、なんですか?」

 

 

「ブランシュという組織だ。ただあくまで調査で情報を集めるだけで、良いからな。良いな?」

 

 

「でも、そっちで調べれば良いだろ?」

 

 

孝一がカレコレ屋に仕事の依頼をするとヒサメが尋ねると孝一がブランシュの調査と情報を集めるだけで良いと言うとカゲチヨが孝一で調べれば良いと言うと孝一が言ったのだ。

 

 

「それに関しては無理だ。俺は七武海だからな下手にブランシュを調べれば色々と厄介なんだよ、分かったな?そのかわりに報酬は弾むからな。」

 

 

「分かったよ。」

 

 

「分かった。」

 

 

「分かった。」

 

孝一がそう言うとカゲチヨ達は納得して依頼を受ける事にしたのだ。その後、孝一は家に帰ったのだが祖母の晴子と母の真夜と姉の咲に説教される事になったのは別のお話である。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

一週間が過ぎたのだ。

 

 

 

 

新入部員勧誘週間は、孝一と達也は嵐の日々だった。その期間中に孝一は英美が少しやらかしをしたのを聞いて英美の所に行きそこで英美に少しお説教をしたのだ。風紀委員の中で、一番忙しかったのはこの二人であろう。

 

 

生徒会にオフはあっても非番は無い。そもそも交代制ではないのだがら深雪は今日も生徒会室でお仕事だ。孝一と達也は深雪と生徒会室に向かう途中、見覚えがある女生徒に声かけられたのだ。

 

 

「犬塚君、四葉君。」

 

 

孝一と達也と深雪は同時に振り返ったのだ。

 

 

「こんにちは。一応、はじめまして、って言った方がいいかな?」

 

 

「そうですね、はじめまして。四葉達也です。壬生先輩、ですよね。」

 

 

「はじめまして、犬塚孝一です。よろしくお願いします。」

 

 

「2ーE組、壬生紗耶香です。この前はありがとう。この前はありがとう。助けてもらったのに、お礼も言わないでごめんなさい。あの時のお礼も含めて、お話したいことがあるんだけど・・・今から少し、付き合って貰えないかな?」

 

 

「今は無理です。」

 

 

「俺も無理です。この後、実家の用事があるので。」

 

 

あっさりと拒否された紗耶香は、ムッと来るよりむしろ呆気にとられているようだった。

 

 

「十五分後ならば。」

 

 

「えっと、それじゃあ、カフェで待ってるから。」

 

 

詮索の暇もなく代替案を事務的な口調で提示されてすっかり調子を狂わされながらも、紗耶香は達也だけは約束を取り付けることを成功したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日、生徒会室での昼食風景も、最初の頃とはーーと言ってもまだ二週間も経ってもいないのだがーー様変わりして居た。ダイニングサーバーの出番がめっきり無くなったのである。摩利、深雪に続いて真由美もお弁当を作ってくるようになったからだ。

 

 

「本当は達也君に毎日、作ってあげたいんだけど・・・。」

 

 

「いいえ、お義姉さまにご足労はさせません!」

 

 

と、早くも嫁・小姑の密かな争いが起こっていた。そんなメンバーでお昼を取っている最中。

 

 

「そう言えば達也君。」

 

 

「何でしょうか、委員長。」

 

 

「昨日、二年の壬生を、カフェで言葉責めにしたというのは本当かい?」

 

 

「っぶ!」

 

 

「・・・先輩も年頃の淑女なんですから、『言葉責め』などという、はしたない言葉は使わない方がいいかと思いますが。」

 

 

「ハハハ、ありがとう。あたしのことを淑女扱いしてくれるのは、達也くんくらいのものだよ。」

 

 

「そうなんですか?自分の恋人をレディとして扱わないなんて・・・。先輩の彼氏は余り紳士的な方ではないようですね。」

 

 

「そんなことは!シュウは・・・。」

 

 

そこまで言いかけて、摩利は「しまった。」という顔で口をつぐんだ。

 

 

「・・・・・・・。」

 

 

「・・・何故、何も言わない?」

 

 

「・・・何かコメントをした方が良いですか?」

 

 

真由美と深雪は背を向けて、肩を震わせていた。そして孝一は咽せたのか咳き込んでいた。

 

 

「・・・・それで、剣道部の壬生を言葉責めにしたのは本当かい?」

 

 

「・・・・そんな事実はありませんよ。」

 

 

「おや、そうかい?壬生が顔を真っ赤にして恥じらっているところを目撃したものが居るんだが?」

 

 

「どういうことからしら、達也君?」

 

 

「いえ、あの・・・真由美さん?話を・・・。」

 

 

真由美は有無をいわせないプレッシャーを感じなんとか打開策を考えようとしていると不意に隣の席から冷気が漂って来たのは達也は感じた。

 

 

「お兄様・・・?一体、何をされていらっしゃたのかしら?」

 

 

気の所為では無かった。物理的に、かつ局所的に、室温が低下している。

 

 

「ま、魔法?」

 

 

あずさの呟きには怯えが混じっていた。

 

 

「あら、久しぶりに見たはね、深雪ちゃんのあれ。」

 

 

「人事のように言わないでください真由美さん・・・。」

 

 

「エイドスに対する干渉力がよっぽど強いんだな。」

 

 

真由美の呟きに、達也は苦笑いを浮かべた。切り捨てられた「超能力」の残り香でも、「現実」を変え得る程のエイドス干渉力。

 

 

「落ち着け、深雪。ちゃんと説明するから。まず、魔法を抑えろ。」

 

 

「申し訳ありません。」

 

 

兄の言葉に、深雪は恥ずかしげに目を伏せ、ゆっくり息を整える。室温の低下が止まっていくのを感じた。孝一の方もどうやら落ち着いたようだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(魔法の暴走は、未熟な証であると共に、卓越した才能の証でもある。)

 

 

実の所、この事こそが、達也が四葉家の次期当主となった理由でもあった。魔法戦闘において、達也は四葉の中でも幼い頃から抜きん出た才能を発揮していたが総合的な魔法力は深雪の方が上だ。因みに孝一も一時期だが、一部の分家から次期当主の候補になったが、孝一本人が七武海である事を辞退したのだ。

 

 

四葉家は他家とは違い長子または長男が家督を継ぐことが基本だが四葉家は例外で一族の若い世代の中から魔法力が一番、優秀な者が家督を継ぐ事になる。因みに日本では、男子優先長子相続制を取っているので基本的に男子が、優先的に家督を相続する事になっている。閑話休題。

 

 

しかし、深雪は今だに上手く魔法をコントロールが出来ずにいる。それに対し、孝一と達也は深雪以上に扱いの難しい固有魔法を中学生の時点でほぼ完全に自らの支配下に置いていた上に、孝一の方は犬塚公爵家に伝わる全ての古式魔法や血継限界と仙術と六道仙術に加えて人柱力として、尾獣全てを完全にコントロールしていたのだ。先程も言った通りに孝一は辞退しているのでこれにより達也が次期当主入りに決まったのだ。

 

 

「どうも、風紀委員会の活動は、生徒の反感を買っている面があるようですね。しかし、点数稼ぎに強引に摘発、等が本当にあるんですか?」

 

 

「そりゃ本当か、達也?」

 

 

「それは壬生の勘違いだ。思い込み、なのかもしれないが。風紀委員会は全くの名誉職で、メリットはほとんど無い。」

 

 

「・・・だけど、校内では高い権力を持っているのも、また、事実。特に学校の現体制に不満を持っている生徒から見れば学内秩序維持の実働部隊である風紀委員会は、権力の笠に着た走狗に見られることもあるの。正確には、そういう風に印象を操作して居るグループがいるんだけどね。」

 

 

真由美の回答には、達也も驚かずにはいられなかったようだ。達也が真由美に聞いたのだ。

 

 

「正体は分かっているんですか?」

 

 

「えっ?ううん、噂の出所なんて、そう簡単に特定できるものじゃないから・・・。」

 

 

「・・・張本人を突き止められば、止めさせることできるもんじゃないな。」

 

 

「俺は訊いているのは、特定の個人の正体ではなく、グループの正体なんですが、・・・例えば、『ブランシュ』のような組織とか?」

 

 

 

「やっぱり知ってたか・・・流石、達也君ね。」

 

 

 

するとそれまで黙っていた孝一が口を開いたのだ。それに続いて真由美が口を開くのだったのだ。

 

 

「相変わらず、耳が早いな、お前は。」

 

 

「いつから気づいていた?」

 

 

「新歓週間の時に何度か『トリコロール』のリストバンドを付けた奴を見かけました。」

 

 

「確かにブランシュに関してはどうにかしたいとは思っていたんだがな。」

 

 

すると孝一がその事である事を言ったのだ。

 

 

「その件に関しては俺の方で調査を進めてますよ。」

 

 

「え!?そうなの?」

 

 

「ええ、知り合いの何でも屋に依頼してブランシュの事を調べてもらっていますので。」

 

 

「それ本当?」

 

 

それから、ブランシュの事について少しだけだが話し合い生徒会室を後にしたのだ

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「すごい達也、学年でダントツの一位だよ!僕も頑張らなきゃ!」

 

 

「あらら、相変わらずだな、お前は。なあ、リムル。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

「俺はエリアを支配する領域魔法よりも直接対象物に魔法を作用させたり、一点に集中するタイプの魔法が得意だからな。」

 

 

 

今回のテストに関しては達也の得意分野だったのでこのテストに関しては深雪を抜いて一位になったのだ。因み深雪は二位で孝一は三位、リムルが四位でミリムが七位、ディーノが八位でリーナは五位で英美は六位である。

 

 

この部屋は実技を見学できるように壁に強化ガラスをはめて上から見下ろせるようになっていた。先にテストを済ませたA組をこちらを見ている。その中に深雪の姿を見つけると嬉しそうにこちらに手を振ってきた。達也が振り返すと隣にいた光井ほのかと北山雫も手を振っているのが見えた。

 

 

だが、先日の一件以来、達也に激しく対抗心を燃やして居る森崎は心穏やかではなかった。孝一と達也は内心こう思ったのだ。

 

 

(やれやれ、あれだけ威圧したのに、まだ懲りないのか?)

 

 

(あいつ、俺達に殺されそうになってもよくも、まあ、あれだけ対抗心を持とうとしてるな、俺達、七武海に喧嘩を売ったらどうなるか知らないのか?)

 

 

 

孝一と達也は森崎に対して睨みをきかせると森崎はどこかに行ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『全校生徒の皆さん!』

 

 

「何だ何だ一体こりゃ!」

 

 

「チョッと落ち着きなさいただでさえアンタは暑苦しいだから。」

 

 

「・・・落ち着いた方が良いのはエリカちゃんも同じだと思うけど?」

 

 

授業が終わった直後の放課後の冒頭。ハウリング寸前の大音声が、スピーカーから飛び出した。

 

 

『私達は学内差別撤廃同盟『スリー・ハープズ』です。私達は生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します。』

 

 

「クックっ・・・。」

 

 

「フン。やれやれだ。」

 

 

「孝一、達也?」

 

 

「お前らどうしたんだ。」

 

 

「面白そうなのだ!」

 

 

「ZZZ〜。スピー。」

 

 

達也の笑みと孝一の呆れた表情を見て鋼リムルは困惑していた。そしてミリムは嬉しそうにしていたのだ。

 

 

「・・・何がそんなに可笑しかったんだ?それに孝一はなんでそんなに呆れて居るんだ?」

 

 

「これで笑わずにいられるか?お前はよく平気だな鋼。」

 

 

「こいつらの発想と考え事態は問題ない。だがやってる事自体が最低行為だぞ。」

 

 

「・・・『スリー・ハープズ』・・・平均という発想自体が区別を認めているんだがな。」

 

 

「平均?どう言う事?」

 

 

「????」

 

 

「どう言う事なのだ?」

 

 

「ZZZ〜。スピー。」

 

 

「three halves、つまり1.5・・・。要するに、『1』科と『2』科を平均して1.5って事、差別撤廃とか言っておきながら、一科とニ科の区別を存続させる事を前提にとした命名じゃないか。」

 

 

達也の説明にようやく意味を理解した鋼とリムルとミリムは呆れたのだ。すると孝一は達也は呼び出されたのだ。因みにディーノが横で堂々と寝て居る。

 

 

「おっと、お呼びが掛かったか。行くぞ、孝一。」

 

 

「ああ、分かってる。」

 

 

「あ、うん、気をつけて。」

 

 

そう言うとリムルとミリムは鋼は孝一と達也を見送ったのだ。

 

 

 

 

 




今回はここまでです。


次回はなるべく早く投稿します。


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入学編STORY6

今回で入学編が終了です。


かなり内容が長くなって居ますがご了承下さい。

書き終えたら、2万文字近くになって居たので驚きました。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


2012年4月21日夕刻

 

孝一と達也はようやく放送室についたのだ。すると生徒会役員、風紀委員が集まったところで摩利が切り出した。

 

 

「全員、揃ったな。状況を説明する。犯人はマスターキーを盗み扉を封鎖している。中に立てこもっていてこちらからは開けられない。」

 

 

「明らかな犯罪行為ですね。」

 

 

「おいおい、そいつらは正気か?いくら七武海の俺でもそこまでの事はしないぞ。」

 

 

「その通りです。だから私たちも、これ以上、彼らを暴発させないよう慎重に対応すべきでしょう。」

 

 

「いや、多少は強引でも短時間の解決を目指すべきだ。」

 

 

達也は彼らの行い憤りを感じ、そして孝一は完全に呆れてる横で鈴音と摩利の間で方針の対立があり、完全に膠着状態に成りつつあったが、すると孝一が口を開いた。

 

 

「それでしたら、俺が対応しましょうか?」

 

 

「それは辞めておけ、孝一。お前が動けば碌なことにならんかな。十文字会頭、何か案があるみたいですね。」

 

 

達也が孝一を静止すると達也が十文字の方に目を向けると、それまで黙って居た十文字が口を開いたのだ。

 

 

「俺は彼らの要求する交渉に応じても良いと思っている。」

 

 

「このまま待機すべきだと言うのですか?」

 

 

「それについては決断しかねる。ただ、不法行為を放置してはおけんが、性急な解決を要する程ではない。」

 

 

十文字の言葉を聞いた達也がある提案をしたのだ。

 

 

「では、ここは俺と孝一が対応しますが、良いですね?」

 

 

「ああ、構わん。それで早期解決に向かうなら、俺は四葉と犬塚に一任する。」

 

 

達也はそれを聞いて孝一にある事を言ったのだ。

 

 

「孝一、今回は多少は手荒でも構わんが、首や手足を切り落としたりするのは厳禁だぞ?お前はやり過ぎる所があるからな?突入するぞ。合図を出しますので準備をお願いします。」

 

 

「へいへい、分かったよ。じゃあ、扉をぶち壊して良いな?弁償費用くらいは俺のポケットマネーから出すからよ!」

 

 

「ああ、頼むぞ孝一。今です。」

 

 

達也が合図を出すと同時に孝一が腰に差していた黒刀の秋水を抜いて扉を一刀両断したのだ。そして孝一が扉を一刀両断して扉を壊したのだ。中に居た人物達はいきなりの事で驚いたので動けずに居たら同時に風紀委員は突入したのて中に居た違反者達を取り押さえたのだ。

 

 

「お前たちの言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、要求を聞き入れることとお前たちの執った手段を認めることは別問題だ。」

 

 

十文字の言葉に紗耶香を含め、問題を起こした生徒たちは顔を青くする。そして達也が彼らに向かってこう言ったのだ。

 

 

「今回は俺が孝一の暴走を抑えたから、良かったですが次、似たような事が起きたらこいつは貴方たちを殺しかねないんでね。」

 

 

達也の言葉を聞いた問題を起こした生徒たちは更に顔を青くしてそれ以外の者たちも孝一と言う存在がどれだけヤバい存在かと認識したのだ。すると真由美がある事を言ったのだ。

 

 

「それはそうなんだけど、彼らを放してあげてもらえないかしら?」

 

 

「だが、真由美・・・。」

 

 

「ごめんね、摩利。言いたいことは分かってるいるつもりよ。でも、学校側は今回の件を、生徒会に委ねるそうよ。」

 

 

「何!?」

 

 

「壬生さん。私たち生徒会は貴方達、有志同盟の主張をこれから聞こうと思うだけど、ついて来る気はある?それと孝一君の方もそれで良いかしら?」

 

 

「私達は逃げる気はありません。」

 

 

「ええ、俺もそれで構いませんよ。まあ、政府がどう言うか次第ですが。」

 

 

「じゃあ、決まりね。それじゃみんな、、お先に失礼するは。」

 

 

 

真由美が全員に向けて、一声かけてその場を去ると達也もその場を離れると孝一はそれを確認すると秋水を納刀してその場を去ることにするとタイミングが良いのかリムルは現れたのだ。

 

 

「孝一、ソウエイとモスから、思念伝達があったからすぐに来てくれ。」

 

 

「ああ、分かった。」

 

 

孝一がそう答えるとリムルの後ろについて行き校内にある人気の無い場所にやって来ると、そこにはミリムとディーノが居たのだ。孝一とリムルが到着するとソウエイが現れたのだ。

 

 

「リムル様。ご報告です。」

 

 

「ソウエイ、頼むぞ。」

 

 

「はい。この所、ブランシュの動きが活発化しており近いうちに何か事を起こす可能性があります。お気をつけ下さい。そして、現在はモスが情報収集をしております。俺も情報収集を続けます。」

 

 

「分かったよ、ソウエイ。」

 

 

リムルがそう言うとソウエイが一瞬でどこに行ったのだ。そして孝一が口を開いたのだ。

 

 

「そうだ、時期は未定だが近々、生徒会と有志同盟との話し合いが行われる事になったからな。お前たちも気をつけろよな。」

 

 

 

「ああ、分かったよ。って、うは!」

 

 

「そうなのだ!リムルよ!」

 

 

「あー、面倒くさいなー。」

 

 

「ミリム!いきなり叩くなよ!」

 

 

孝一がそう言うとリムルが答えてミリムがリムルの背中を思いっきり叩いたのだ。ディーノは面倒くさそうに言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

翌日、達也が真由美のところに行き話を聞くと生徒会と有志同盟の話し合いの結果、公開討論会が開かれることになった。日時は立てこもりから二日後、つまり明日だ。有志同盟はそれを承諾して、生徒会から参加するのは真由美の一人ということになったのだ。すると達也が口を開いたのだ。

 

 

 

「・・・大丈夫ですか?」

 

 

「あら、心配?」

 

 

「あたりまえですよ。真由美さんは大切なんですから。」

 

 

達也がそう言う事を平気な顔で言うと真由美が顔を赤くすると、するとそこに孝一とリーナと奏が通り掛かったのだ。

 

 

 

「相変わらずだな、達也、お前は。」

 

 

「お前にだけは言われたく無いな、孝一。」

 

 

そう言い合いをしていたので奏が間に割って入ったので言い合いを強制終了したのでそれぞれの教室に向かったのだ。今、二科生の棟では同盟の活動も一気に活性化している。そして孝一と達也が二人で見回りをしていたら見知った顔を見つけた。

 

 

 

「美月。」

 

 

「何してるんだ、美月?」

 

 

「あっ、孝一さんに達也さん!」

 

 

美月はホッとした表情を浮かべている。顔を察するに、どうやら結構な時間、捕まっていたようだ。達也は美月を勧誘している男に見覚えがあった。新歓週間の時、魔法で攻撃して、逃げていった生徒だ。孝一と達也は上級生の間に割り込み、話しかける。

 

 

「先輩、長時間の拘束は迷惑行為になるのでお控え下さい。」

 

 

「まだ続けるなら風紀委員会まで、一緒に来ていただきますが。」

 

 

「じゃあ、柴田さん、何時でもいいから気が変わったら声をかけてくれる?」

 

 

二人に阻まれた上級生はそう言い残して、去っていた。すると美月が口を開いたのだ。

 

 

「三年生の司甲先輩、剣道部の主将さんだそうで。」

 

 

「その先輩が美月に何の用だったんだ?」

 

 

「『霊子放射光過敏症』で悩む生徒のサークルに入らないかって・・・何度もお断りしたんですけど・・・。」

 

 

 

「それは、また・・・。」

 

 

「ああ、言う男は女に嫌われるからな。気をつけなきゃな。」

 

 

サークルはあくまで口実だろう。同盟の仲間に引き込みのが本当の目的であるのが大いに予想出来る。孝一は司の行動を見て自身の戒めとしたのだ。

 

 

(あの男、只者じゃないな。しかし、何者なんだ?)

 

 

 

孝一は学校が終わると、そのままカレコレ屋と近くの喫茶店で落ち合ったのだ。そして孝一が尋ねるとヒサメが答えたのだ。

 

 

 

「それで調査結果はどうだ?」

 

 

「ええ、どうもブランシュに関しては明日に第一高校に対して何をするみたいです。」

 

 

「それは本当か?」

 

 

「ああ、確かな話だ。」

 

 

「ですが、何をするかまでは分かりません。」

 

 

「ああ、そうだ。司甲と言う男も気になったので、調べさせて貰った。」

 

 

「仕事が早いな、ありがとう。奴の素性を教えてくれ。」

 

 

孝一はシディの言葉を聞いてすぐに司甲の素性を言う様に言ったのだ。

 

 

「司甲、旧姓鴨野甲。だがそれ以上は情報が出てこなかった。」

 

 

「嫌、旧姓を聞いて思い出した。奴の旧姓は鴨野家は陰陽師の大家、『賀茂家』の棒系だ。話じゃ奴の近親者には魔法師の因子の発現は見られない、いわゆる『普通の』家だ。あいつの目は一種の先祖かえりだ。」

 

 

「あいつとは、知ってんのか?」

 

 

「ああ、俺の実家は犬塚公爵家は賀茂家と同じ陰陽師の大家、『安倍家』の分家でな。犬塚公爵家の初代当主は安倍晴明の孫でな、だからその関係で嫌でも話を聞かされていたからな。それと、司とブランシュの関係は解るか?」

 

 

「はい、司甲の母親の再婚相手の連れ子、つまり、義理の兄がブランシュの関東支部のリーダーを勤めています。」

 

 

ヒサメの報告を聞いて孝一は驚いたが流石に呆れ返り、そして警戒をする事にしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

公開討論会、当日

 

 

講堂には、全校生徒の約半数の生徒が集まっていた。一科生と二科生がほぼ半々と言った感じである。同盟側はの席に壬生紗耶香の姿を無い。同盟メンバーと判明している生徒が十名前後、その中には放送室占拠メンバーがいない。

 

 

討論会が始まり、同盟側は、クラブの予算やあらゆる面で二科生は一科生よりも劣る扱いを受けていると主張したが、具体的な事例や数字での真由美の反論に言い返すことが出来なかった。途中からは完全に真由美の演説会になっていた。そして、真由美の生徒会長として最後の意気込みを聞き会場は大きな拍手に包まれたのだ。だが、その直後、強い衝撃とともに、爆発音が響いたのだ。実技棟の方では煙が上がっている。混乱に紛れて同盟メンバーが動き出したのだ。

 

 

「各自、マークしているメンバーを拘束しろ!」

 

 

摩利がそう叫ぶ、孝一と達也を始めとした風紀委員は同盟メンバーをすべて拘束したのだ。

 

 

「いけない!みんな窓から離れて!」

 

 

真由美が何かに気づき、注意を促した。すると、窓が破られ、中にガス弾が放り込まれ、床に落ちると同時に煙を出し始めた。

 

 

「煙を吸い込まないように!」

 

 

服部が、収束系の魔法で煙を拡がらないように収束し、移動系の魔法で煙ごとガス弾を外へ隔離する。流石だと、孝一と達也が服部に対して称賛を込めた視線をおくっていると、それに気付いた服部は、照れ隠しにすぐに視線を反らした。それを見た真由美はクスッと笑いを漏らしたのだ。出入り口からは新たに侵入者が入って来たが摩利が魔法を発動すると侵入者はもがき苦しみ、膝をついた。『MIDフィールド』、ガスマスク内部の狭い空間を窒素で満たし呼吸困難に陥らせた。侵入者を拘束し、安全を確保する。

 

 

「みなさん、もう大丈夫です!どうか落ち着いて下さい!」

 

 

真由美がそう言うと、生徒たちは落ち着きを取り戻したのだ。

 

 

「委員長、先程の爆発があったと思われる実験棟の様子を見てきます。」

 

 

「達也、俺も行くぜ。俺も最初は介入する気は、無かったが仕方ないな。俺も介入させて貰うぜ。」

 

 

「お兄様、孝一さん、私もお供します。」

 

 

「気をつけろよ、三人とも。」

 

 

達也は摩利に断りを入れて、同行すると言うと孝一と深雪を伴って、実験棟に向かったのだ。実験棟は激しく燃えていた。その向かっている途中、前方では知った顔が侵入者と交戦していた。

 

 

「レオ!」

 

 

「おい、脳筋!」

 

 

「達也、孝一!」

 

 

「ここは私が----。」

 

 

「しゃあねえな。アイスタイムカプセル!」

 

 

孝一と深雪がそう言うと深雪は携帯端末型のCADを操作し、魔法を発動して孝一は悪魔の実の能力の一つであるヒエヒエの実の能力を発動してそれを受けた何人かの侵入者たちは吹き飛ばされたり凍らされたのだ。

 

 

「こりゃ、何の騒ぎだ!?」

 

 

「テロリストが学校に侵入した。」

 

 

「物騒だな、おい。」

 

 

「レオ!CADとってきたわよ!・・・ってなんだ、もう片がついちゃたのね。これは孝一か達也くんの仕業?それとも深雪?」

 

 

「俺と・・・。」

 

 

「私よ。この程度の相手をお兄様にさせるわけにはいけないもの。」

 

 

「ハイハイ・・・それで、こいつらは打っ飛ばしてもいいのね?」

 

 

「生徒でなければ手加減無用だ。エリカ、他の侵入者は?」

 

 

「反対側は先生たちがもう、ほとんど制圧したは。」

 

 

「手間取ってたオレが言うのもなんだが、こいつら、魔法師としては三流だな。三体一で魔法を練れないんだからよ。」

 

 

レオは何でもないことのように言うが、そもそも三人を同時に相手取ること自体、容易ではない。思った以上にやれるようだ。

 

 

「エリカ、事務室の方は無事なのかしら?」

 

 

深雪の問い掛けにエリカが頷くとそこにリーナがやって来たのだ。そして孝一にキスをしたのだ。

 

 

「コウイチ、心配した!」

 

 

「リーナ、場所を考えてくれ。」

 

 

「え〜良いじゃない。」

 

 

孝一がそう言うと、リーナが不満そうな顔をするがエリカが口を開いたのだ。

 

 

「あっちの方が対応は早かったみたい。あたしが到着した時には、先生たちが侵入者を縛り上げていたよ。」

 

 

エリカの言葉に、孝一と達也は引っ掛かりを覚えた。事務室には多くの貴重品が保管されているから、襲撃の対象となるのは分かる。だが、実技棟には型遅れCADが置かれているだけだ。他に、破壊活動によって学校の運営に支障を来す場所といえば、すぐには再調達できない重要な装置や資料や文献が置けれている・・・達也が何かに気付いたのだ。

 

 

「・・・実験棟と図書館か!となると、これからどううするか、だな。」

 

 

二手に分かれるか、このまま図書館に向かうか、実験棟に向かうか。

 

 

「あいつらの狙いは図書館だ。」

 

 

決断は情報の形でもたらされたのだ。

 

 

「リムルか。お前さんの所か?」

 

 

そこに現れたのはリムルとミリムとディーノが居たのだ。孝一がそう言うとリムルが答えたのだ。

 

 

「ああ、そうだ。向こうの主力は、既に館内に入っている。壬生紗耶香と言う先輩もそこに居る。」

 

 

「テンペスト、後、説明をしてくれるな?」

 

 

「却下と言いたいところだが・・・そうはいかないな、仕方が無い。その代わりだが壬生紗耶香と言う先輩を助けて、やってくれ。」

 

 

「分かった。」

 

 

「いくぞ、孝一、深雪。」

 

 

「ああ、分かったぜ。」

 

 

「はい。」

 

 

「おい、達也、孝一!」

 

 

「余計な情けで怪我をするのは、自分だけじゃない。」

 

 

「達也の言うとおりだ。俺と達也は情けを捨てれるが、お前は捨てれないからな。」

 

 

この発言にはレオが優しさを捨て切れない事を知っているからこその発言であり、孝一と達也はレオにはそう言ったのだ。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

図書館前は、既に乱戦状態だった。それを目にした途端にレオとリムルとミリムにディーノが突撃したのだ。

 

 

 

「装甲(パンツァー)」

 

 

「ッフン。」

 

 

「面倒くさいけど。」

 

 

「操糸妖縛陣。行け!ここは俺たちに任せろ!」

 

 

レオが雄叫びを上げて、飛び込む。

 

 

「音声認識とはまたレアな物を。」

 

 

「お兄様、今、展開と構成を同時に進行していませんでしたか?それにあの糸は?」

 

 

「ああ、逐次展開の技術だ。」

 

 

「いずれ分かるぜ。」

 

 

魔法の効果は一定時間で消える。だが、発動中に次の起動式を展開しておくことで効果は継続されるというのが逐次展開の技術である。達也と深雪はリムルの糸を見て気になったが孝一が直ぐに分かると言ったのだ。

 

 

そう話を四人がしている中、レオとリムルの背後からテロリストのナイフが襲う。だが、そのナイフはレオとリムルの身体を貫くことはなく、砕けたのだ。

 

 

「なるほど、CADだけじゃなく制服にも硬化魔法をかけているのか。まるで、全身がプレートアーマで覆われて居るのか。それにテンペストの、あの腕は何だ?」

 

 

得意魔法と言い切ったのは伊達じゃなかった。肉体の力のみで突き出しているはずの拳は、移動術式や加速術式を使っていると謙遜のない破壊力を生み出している。

 

 

「レオ、先に行くぞ!」

 

 

「リムル、ミリム、ディーノ、ここは頼むぞ!」

 

 

「おうよ、引き受けた!」

 

 

「分かった!」

 

 

「分かったのだ!」

 

 

「ああ、頑張ってねー。」

 

 

孝一と達也はこの場をレオとリムルにミリムそしてディーノに任せ、館内に進んで行ったのだ。図書館内は、静まりかえっていた。奥にどのくらいの敵がいるのかここからでは分からない。孝一は血継限界の一つである『白眼』を発動して達也は目を閉じて『精霊の眼』を発動して、『存在』を探った。『気配』ではなく『存在』を探したのだ。

 

 

世界そのもの情報次元体『イデア』。そのイデアに内包される個別情報体『エイドス』を知覚し見分ける。そして孝一は人間が本来持っているチャクラを見たのだ。この世界では犬塚公爵家以外の人間はチャクラを使えないがごく僅かだがチャクラがあるので白眼を使えば探知する事が出来るのだ。

 

 

「階段上り口に二人、階段を上がり切ったところに二人、三階、閲覧室に四人だな・・・・。」

 

 

「そうだな。」

 

 

「孝一はさすがだけど、すごいね。達也くんがいれば、待ち伏せの意味が無くなちゃうね。」

 

 

「特別閲覧室で何をしているのでしょうか?」

 

 

「魔法大学が所蔵する機密文献を盗み出そうとして居るんだろう。特別閲覧室からなら非公開文献にもアクセスができるからな。」

 

 

「じゃあ、特別閲覧室に急がなきゃ。待ち伏せの相手は私に任せて。」

 

 

そう言い、エリカが飛び出した。待ち伏せしていたはずの敵が、奇襲を受ける。CADが仕込まれた収縮警棒を相手に打ち込み瞬間的にサイオンを注入し、魔法式を発動させてCADの強度をあげている。エリカは一瞬で二人を打ち倒した。味方が倒れたことで、待ち伏せている敵が、ようやくエリカに気づいた。一人が駆け降りてくる背後でもう一人が起動式を展開している。だが、起動式は達也に壊されて、孝一と深雪が同時に足下を凍らせるとバランスを崩して敵は階段を転げ落ちていった。その一方で、脇差と表現する方がふさわしい本真の刃で、エリカに斬りかかる、もう一人の伏兵。その顔に孝一と達也は見覚えがあった。剣道部のデモストレーションで、紗耶香の相手をして居た生徒だ。手首には、青と赤のリストバンドが見える。どうやら剣道部は真っ先に汚染されていたようだ。

 

 

「ちっ、孝一、達也くん、ここはあたしに任せて先に行って!」

 

 

瞬間的に圧力を上げ、直後、力を反らし、いなした相手との上下の位置を入れ換え、エリカは先に急ぐよう、促した。

 

 

「分かった。」

 

 

「エリカ、気をつけろよ!お前の兄貴達に俺が怒られるからな!」

 

 

達也が力強く床を蹴り、深雪が軽やかに床を蹴っって、孝一がクナイを幾つかを投擲して壁にクナイが刺さったのだ。達也の身体は壁を跳ね、深雪は身体は宙を巻い、孝一は飛雷神の術を発動して移動したのだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

紗耶香は目の前で行われている作業を、複雑な心境で見詰めていた。特別閲覧室から機密文献にアクセスできる校内唯一の端末に、ハッキングを仕掛けてる同士たちブランシュのメンバー。紗耶香はただ、二科生の差別をなくすことを、望んでいた。半年以上前に司の仲介である人物に引き合わされた。それが、ブランシュの東日本支部のリーダーの司一だった。

 

 

司一には第一高校の魔法研究の重要文献を盗み出してほしいと言われた。研究成果を世に広めることで差別撤廃につながるのだと紗耶香は思った。自分を何をしているのだと、これが自分のしたかったことなのかと。そんな思考の渦に飲み込まれていた。

 

 

「よし、開いた。」

 

 

慌ただしく準備される記録用メモリー。彼等の顔に、確かに「欲」が過よったような気がして、紗耶香は目を背けた。扉の方へ。だから、気づいたのは、一番、早かった。

 

 

「ドアが!」

 

 

彼女の悲鳴に、メンバーが一斉に振り向く。その視線の先で、ドアが細かく切り刻まれたのだ。

 

 

「バカな!」

 

 

驚愕したブランシュのメンバーを他所に、手もとの記録メモリーは砕け散った。続いて、ハッキング用の携帯端末が、バラバラになったのだ。

 

 

「お前たちの企みも、これまでだな。」

 

 

「やれやれだな、ま、概ね、産業スパイだろうな。」

 

 

「四葉くん、犬塚くん・・・。」

 

 

呟いた紗耶香の隣で右腕を上げる動き。降伏のサインではなく、実弾銃を向ける男。だが、実弾は発射されず、凍傷により男の手は、紫色に膨れ上がっていた。

 

 

「愚かな真似はお止めなさい。わたし、がお兄様に向けられた害意を見逃すなどとは思わないことです。」

 

 

「壬生先輩、これが現実です。」

 

 

「えっ・・・?」

 

 

達也がそう言うと孝一が口を開いたのだ。

 

 

「誰もが、等しく、優遇される平等な世界など有りないんですよ。本当は、もう、分かっているんでしょう?貴女は利用されただけですよ。実際にこの国には貴族がいますよね。」

 

 

孝一がそう言うと焦点の合っていなかった目が、焦点を結んだのだ。

 

 

「差別を無くそうとしたのが、間違いだったていうの!?

 平等を目指したのが、間違いだったていうの!?

 差別は、確かに、あるじゃない!

 あたしの錯覚じゃないわ。

 あたしは確かに、蔑まれた。

 嘲りの視線を浴びせられた。

 馬鹿にする声を聞いたわ!

 それを無くそうとしたのが、間違いだったというの!?

 貴方たちだって、同じでしょ!?

 四葉くんはそこにいる出来の良い妹と、いつも比べられていたはずよ!

 それに犬塚くんだってその才能の所為で弟たちと比べて優秀すぎたじゃないの!?」

 

 

紗耶香の叫びは、確かに、心からの嘆きだった。

 

 

「わたしは、お兄様を蔑んだりしません。」

 

 

「俺もそうだ。俺にとって、アイツらは大事な弟だ。それに俺たちは一人で三人。三人で一人だ。俺たちは謂わば一蓮托生であり、俺たち三人はお互いの短所をお互いの長所で補い合ってるんだ。だから俺にとって、アイツらは無くちゃならない存在なんでね。」

 

 

その見ただけで相手を凍りつかせるような視線と、あきらかに相手を今にも殺しそうとする殺意を込めた視線に紗耶香が怯む。

 

 

「壬生、指輪を使え!」

 

 

今の今まで、無様にも、十六歳の少女の背中に隠れていた男。その男が突如、叫んだのだ。小さい発火音と、白い煙。同時に広がる、耳障りな不可聴の騒音。それはサイオンのノイズ。魔法の発動を阻害する、キャスト・ジャミングの波動だった。

 

 

三つの足音が煙の中から聞こえた。孝一と達也がそれぞれ一度、手を突き出したのだ。煙の中から掌底打ちとグーパンチが出て来たのだ。二人の目は閉じられていた。鋭い、肉を打つ音が二度、床を叩く音が二度、鳴った。

 

「深雪、止せ。」

 

 

「達也の言う通りだぜ。」

 

 

二人が、そう言う指示を出したのは、その合間だった。深雪が編纂していた魔法式は、すぐに別のものに変わった。風が渦を巻き、白い煙を吸い込んで行く。ピンポン球の大きさまで圧縮された煙は空中に出現したドライアイスに閉じ込められて床に落ちる。視界が回復した部屋に、三人の男が横たわっていた。

 

 

「お兄様、孝一さん、壬生先輩を拘束せずとも良かったのですか?」

 

 

「不十分な視界の中では思わぬ番狂わせがあり得る。お前がリスクを冒さなくても、壬生先輩はエリカが確保してくれるさ。」

 

 

「達也の言うとおりだ。エリカが居るから俺たちが手を出さなくても良いと思うぞ。」

 

 

「エリカがそこまで熱心になる理由が無いと思いますが・・・。」

 

 

「そうか?相手が壬生先輩だから、エリカなら大喜びやりそうだけどな。」

 

 

「孝一が、そこまで言うなら大丈夫だろうな。」

 

 

孝一としても七武海として、達也は四葉としても、戦いはまず避けるべきであり、次に、勝利すべきものだ。特に達也は相手が誰であろうと、それは同じである。だが、仕合う相手に拘る者もいることを、知識として知っていたのだが孝一の場合は関係がないのだ。

 

 

「そうですか。エリカならば大丈夫でしょう。」

 

 

彼女の事はエリカに任せ深雪はテロリストにして窃盗犯を拘束する兄と孝一を手伝う。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「セーンパイ♫はじめまして〜。」

 

 

一人の女子生徒がーー紗耶香を「先輩」と呼ぶからには一年生だろうーーが両手を後ろにくんで、ニコニコと微笑みながら彼女の前に立ちはだかったからだ。

 

 

「・・・誰?」

 

 

「1-E組の千葉エリカです。念の為に確認させて頂きますが、一昨年の全国中学女子剣道大会準優勝の壬生紗耶香先輩ですよね?」

 

 

「・・・それがどうしたの?」

 

 

「いえいえ、どうもしませんよ?ただ確認したかっただけですyい。」

 

 

(この娘、隙が無いは。)

 

 

彼女のスレンダーな身体は、廊下を塞ぐには程遠いがすり抜けて通る「隙間」が見当たらない。

 

 

「・・・急いでるの。通してもらえないかしら?」

 

 

背後から、追いかけてくる気配はない。だが彼ならば、気配を隠して近づくことなど朝飯前かもしれない。

 

 

「一体どちらに?」

 

 

「貴方には関係ないでしょう。」

 

 

「答えるつもりは無い・・・という事ですね。」

 

 

「そうよ。」

 

 

「交渉決裂ですね♫」

 

 

紗耶香はゆっくりと、悟られないように重心を落とした。身体の力を足に集め、一気に、跳躍。転がる様にして拾い上げたのはスタンバトン。すかさず、道を塞ぐ女子生徒に向ける。

 

 

「そんなに慌てなくても、得物を手に取る間くらい待ってあげるのに・・・。」

 

 

「そこをどきなさい!痛い目を見るはよ!」

 

 

「これで正当防衛成立かな?まっ、そんな言い訳をするつもりも無いけど。」

 

 

エリカは興が醒めた様な声で呟くと、背中に隠していた手を前に出した。

 

 

「じゃあ、やりましょうか、先輩。」

 

 

始まりは唐突だった。動いた、と見えた瞬間、エリカの警棒が紗耶香の首筋に咄嗟に手を撥ね上がる。身体に刷り込まれた、反射的な防御によって、辛うじて、その攻撃を防ぎ止めた、と思った次の瞬間、相手は紗耶香の背後に回り込んでいた。振り向きざま、勘だけでバトンを縦に立てる。弾き飛ばされそうな衝撃を、手の内に締めて持ちこたえ、鍔迫り合いに持ち込もうとしたが、その瞬間には、相手の身体は間合いの外だった。

 

 

「自己加速術式・・・?」

 

 

紗耶香が嘆くが、エリカは応えない。

 

 

「・・・渡辺先輩と同じ?」

 

 

だが、次の紗耶香がこぼした言葉にエリカの足が止まる。ほんの一瞬だけだが、確かに出来た間。再び、動き出したエリカの足が止まる。耳障りなサイオンのノイズが、エリカを襲う。顔をしかめているエリカに紗耶香が攻める。

面、面、小手、胴・・・怒涛の攻撃が続く。

しかし、紗耶香の方が呼吸が乱れて居た。だが、エリカは余裕の笑みを浮かべていた。エリカが反撃に出る。紗耶香は受けるだけで精一杯だった。そして、バトンが折られてしまう。

 

 

「まだ、武器はあるわ。拾いなさい。その脇差を使って貴女の全力を見せなさい。貴女を縛る、あの人の幻影を、あたしが打ち砕いてあげる。」

 

 

紗耶香は指にはめていた指輪を放り投げた。

 

 

「こんなものには、頼らない。あたしは自分の力でその技を打ち破る。あたしには分かる。貴女の技は渡辺先輩と同門のものだわ。」

 

 

「あたしの技はあの人のものとは一味違うわよ。」

 

 

互いに一言、言葉を交わす。それきり、沈黙が場を支配する。緊迫した空気は漂う。緊迫が最高潮に達した時、エリカの姿が消えた。刹那の、交差。金属音が響く。紗耶香の手から脇差が落ちる。その直後、紗耶香は右腕を押さえて、膝をついた。

 

 

「ゴメン、先輩。骨が折れてるかもしれない。」

 

 

「ヒビが入ってるわね。いいわ、手加減できなかったってことでしょう。」

 

 

「うん・・・先輩は誇っていいよ。千葉の娘に本気を出させたんだから。」

 

 

「そう・・・貴女あの千葉家の人だったの。」

 

 

「実はそうなんだ。ちなみに、渡辺摩利はうちの門下生。あの人は目録で、あたしが印可。剣術の腕だけならあたしの方が上だから。」

 

 

その言葉に紗耶香は、小さく微笑んだ。儚くも、屈託もない笑顔だった。

 

 

「ねえ、悪いけど担架を呼んでもらえないかしら?なんだか気が遠くなってね・・・。」

 

 

そのまま紗耶香は、がっくりと倒れこむ。エリカはその身体を、丁寧に抱き起こした。

 

 

「大丈夫だよ、先輩。優しい後輩が、先輩を運んでくれるから。」

 

 

その後、エリカと合流した孝一と達也は紗耶香を静かに抱き上げて、図書館を後にしたのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

保健室に着いて、紗耶香はすぐに目を覚ましたのだ。そこで、自分を追い詰めたのが摩利であると明かすが摩利は紗耶香の腕を高く評価していた事を告げると紗耶香も自分の勘違いだったと分かって、その場で耐え切れなくなり涙を流した。

 

 

ようやく落ち着きを取り戻した紗耶香の口から「同盟」の背後組織に「ブランシュ」である事が語られる。

 

 

「予想どおりですね、お兄様。」

 

 

「全く、あいつらも、とんでもない事をしてくれたな。」

 

 

「本命、過ぎて面白みがないけどな。」

 

 

「現実はそんなものですよ、委員長。さて、問題は。」

 

 

脱線しかけた軌道を、それこそ面白みのない処世訓で元に戻す。

 

 

「達也くん、まさか彼等と一戦交えるつもりなの?」

 

 

「一戦交えるのではなく、叩き潰すんですよ。」

 

 

達也がそう言うと摩利が言ったのだ。

 

 

「な・・・危険だ!学生の分を超えている!」

 

 

「私も反対よ。警察に任せるべきだは。」

 

 

「それは壬生先輩を強盗未遂で家裁送りにするんですか?」

 

 

「それは。」

 

 

すると、それまで黙っていた孝一が口を開いたのだ。

 

「達也、俺はお前に賛成するぜ。関わちまった以上は俺としても介入するしかないからな。それに警察に任せると色々と面倒な事になりそうですし、連邦議会から何、言われるか分からんからな。」

 

 

「確かに好ましくないが・・・だが、犬塚、四葉、相手はテロリストだ。登校の生徒に命を懸けろとは言えん。」

 

 

「当然です。最初から風紀委員会や部活連の力を借りるつもりはありません。」

 

 

「同感だな。七武海の俺がいるとはいえ、俺達だけでブランシュに喧嘩を売るにしてもですよ。」

 

 

十文字の問いに孝一と達也がそう答えると十文字が更に訪ねる。

 

 

「二人だけで行く気か?」

 

 

「そうしたいのは山々ですが。」

 

 

「ああ、そうだな。二人だけじゃ、心許ないからな。」

 

 

二人が他のメンバーを見るとそのメンバーが口を開いたのだ。

 

 

「お兄様、孝一さん、お供します。」

 

 

「あたしも行くは。」

 

 

「俺も行くぜ。」

 

 

深雪が言うと、エリカとレオが続いたのだ。

 

 

「犬塚くん、四葉くん、あたしのためだったらやめて!あたしは平気よ!罰を受ける事をしたんだから。」

 

 

「それは関係ないんですよ。もうこれは明らかに七武海としても見過ごす事が出来なくなっています。それとこれは彼の国が我が国に対してテロ行為したも同然ですからね。」

 

 

「俺も同じですよ。壬生先輩のためだけではありません。十師族として何より自分の生活空間を汚されたも同然ですから。」

 

 

すると真由美とリーナがそれぞれ孝一と達也に近寄る。

 

 

「達也くん。どうせ止めても行くんでしょ?」

 

 

「孝一、あんまり無茶しないでね?エリカ、孝一が暴走しそうになったら止めてね?」

 

 

「分かったは。」

 

 

孝一と達也は彼女達の行動に内心喜んでいた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「それで、お兄様、孝一さん。どうやって『ブランシュ』の拠点を突き止めれば良いのでしょうか?」

 

 

「それなら知っている人物に聞けば良いだろ、だろ孝一?」

 

 

「ああ、分かったよ達也。リムル!」

 

 

孝一がそう言うと扉が開いたのだ。そこから紅音と夏とリムルとミリムそしてディーノが入ってきたのだ。

 

 

「バレてた?」

 

 

「バレバレだ、リムル。『ブランシュ』の拠点に関してだが分かるか?」

 

 

「ああ、大丈夫だ。彼奴らに調べさせたからな。それにあれに調べさせたからな。」

 

 

「Dか?」

 

 

「ああ。」

 

 

孝一とリムルがそう会話しているが、周りは余り会話について来れていなかった。孝一が特殊な端末を取り出してスクリーンに映し出して全員に見せたのだ。するとレオとエリカが口を開いたのだ。

 

 

「・・・目と鼻の先じゃねえか。」

 

 

「・・・舐められたものね。」

 

 

「車の方が良いだろう。」

 

 

「車は俺が用意しよう。」

 

 

「えっ?十文字くんも、行くの?」

 

 

「部活連会頭として第一高校の生徒としてではない。これは、十師族に名を連ねる十文字家の者としての務めだ。」

 

 

「分かったは。みんな、気をつけてね。」

 

 

真由美がそう言うと窓の方からドカン!と言う大きな音がしたのだ。全員がそこに目を向けると小さな妖精が窓にぶつかっていたのだ。孝一と夏そしてリムル、ミリム、ディーノはそれを知っていた。孝一が窓を開けて、その妖精を手に乗したのだ。真由美が尋ねると、その妖精が喋り始めたのだ。

 

 

「えっと、孝一くん。その妖精は何なの?」

 

 

「フッフッフ。聞いて驚け!私は八星魔王、オクダグラムの一人であり最古の魔王の一人、迷宮女王のラミリス様!ワ〜ハッハッハ!」

 

 

「「「「はあ?」」」」

 

 

それを聞いた孝一と夏とリムル、ミリム、ディーノ以外のメンバーが驚いて固まっていたが孝一が動いたのだ。

 

 

「何しに来たんだ、チビリス?」

 

 

「誰が、チビリスよ!ラミリスよラ・ミ・リ・ス!」

 

 

「あー冗談だよラミリス。それで要件は?」

 

 

「要件?暇だから来ただけだけど?」

 

 

「リムル。こいつ、ヤッテ良いか?」

 

 

「それは辞めておけ。」

 

 

孝一とリムルがそう会話していると達也が二人に聞いたのだ。

 

 

「そう言えば、孝一。リムル達の秘密を教えると言っていたが。」

 

 

「それは俺から言うよ。俺とミリムにディーノはラミリスと同じ八星魔王の一人で俺は孝一と同じ七武海なんだよ。」

 

 

「「「「えーーーーーー!」」」」」

 

 

リムルが自分達の正体を明かして、孝一と夏は、その際に色々とリムル達は説明したのだ。そして孝一と達也はオフローダーに乗ろうとしたら桐原が居たのだ。どうやら本人の強い希望で同行する事になったのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

空が茜色に染まったところ、一台の大型オフローダーが廃工場の門を突き破ったのだ。

 

 

「レオ、ご苦労さん。」

 

 

「・・・なんの。」

 

 

「見栄張らないの。」

 

 

「やれやれだな、達也とレオは。」

 

 

時速百キロ超えで、悪路を走行する大型車を衝突するタイミングで、車体全体を硬化するというハイレベルな魔法を要求されたレオは、かなり疲労していた。そして達也がレオを褒めていて孝一は横で呆れていた。

 

 

「四葉、お前が指示を出せ。お前の作戦だからな。」

 

 

「レオ、お前はここで退路の確保。エリカはレオのアシストと、逃げ出す奴の始末だ。」

 

 

「・・・捕まえなくていいの?」

 

 

「余計なリスクを負う必要は無い。安全確実に、始末しろ。十文字会頭は桐原先輩と左手を迂回して裏口に回って下さい。俺と深雪と孝一は、このまま踏み込みます。」

 

 

「分かった。」

 

 

「まあいいさ。逃げ出すネズミは残らず切り捨ててやるぜ。」

 

 

「達也、気をつけてな。」

 

 

「深雪、無茶しちゃダメよ。」

 

 

「分かったぜ、達也。七武海の俺を舐めるなよ?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ようこそ、はじめまして、四葉達也くん、犬塚孝一くん!そしてそちらのお姫様は、四葉くんの妹さんの深雪くんかな?」

 

 

「お前がブランシュのリーダーか?」

 

 

「へ〜、犯罪組織とは言え、そこのトップに名前を知られて居るとは光栄だ。」

 

 

メガネを掛けた謎の男が叫ぶと達也が質問して居ると横で孝一が光栄そうな顔で言って居ると達也が呆れた目で孝一を見ていた。

 

 

「おお、これは失敬。仰せの通り、僕がブランシュのリーダー、司一(つかさ・はじめ)だ。」

 

 

「そうか。」

 

 

「知ってたぜ。ま、七武海だから以前から噂を聞いてたぜ。」

 

 

一言頷いて、達也がショルダーホルスターから、銀色のCADを取り出して、孝一は大業21工の一つである『天羽々斬』を抜刀したのだ。すると達也がある言ったのだ。孝一が続いたのだ。

 

 

「一応、投降の警告をしておく。全員、武器を捨てて両手を頭の後ろに組め。」

 

 

「達也の言う通りだぜ。お前達の命の為だ。」

 

 

「ハハハハハ、君達のその自信の源は何だい?魔法が絶対的な力だと思っているなら、大きな勘違いだよ。」

 

 

司一が右手をあげた。左右に並ぶ、総勢二十人を超えるブランシュのメンバーが、一斉に銃器を構えた。

 

 

「犬塚孝一くん、四葉達也くん、我々の仲間になりたまえ。四葉くん、君のアンティナイトを必要としないキャスト・ジャミングは非常に興味深い技術だ。そして犬塚くん、君が召喚したと言う巨大な亀を使役する力も興味深いんだよ。君達が我々の仲間になると約束するなら深雪さんは無事に帰してあげようじゃないか。」

 

 

「やはり、それが狙いか。壬生先輩を使ってキャスト・ジャミングが狙いだな。」

 

 

「ああ、同感だぜ達也。だがな司一、お前じゃ、尾獣を使いこなす事は、不可能だ。尾獣は神獣であり、自然神でもある。敬意を払えば、我らに力を貸すが敬意を払わずに接すると厄災となる。」

 

 

「ふむ、頭の良い子供は好ましいね。だが、そこまで分かっていてノコノコやって来るとは所詮、子供だな。」

 

 

「だったら、どうする?」

 

 

「ッフン。」

 

 

「こうするのさ・・・・・・犬塚孝一、四葉達也、我に従え!」

 

 

その仕草は、学者というより手品師のようだった。外連味たっぷりに伊達メガネを投げ捨て、前髪をかき上げて正面から目を合わせる。その両目が、妖しい光を放った。孝一は顔を暗くなり達也の顔をから表情が抜け、身体から力が抜ける。

 

 

「ハハハハハ、君達は、我々の仲間だ!では、四葉くん手始めにここまで共に歩んで来た君の妹を、その手で始末してもらおう!妹さんも最愛の兄上の手に掛かるなら、本望だろ!それと犬塚くんは街で暴れてもらおう。」

 

 

命令することに慣れた口調。己が権威を疑わぬ表情。だが

 

 

「・・・・・猿芝居は、いい加減によせ。見ている方が恥ずかしい。」

 

 

「やれやれだな、悪いな九喇嘛。奴の術から守って貰って。たしかに、そうだな達也。よっぽど、殺されたいみたいだしな。」

 

 

 

その顔は、冷ややかな達也と殺意剥き出しの孝一の侮言に、その場にいた者達は瞬時に凍りついた。すると達也が喋り出したのだ。

 

 

「意識干渉型系統外魔法、邪眼(イビル・アイ)。と、称してはいるが、その正体は催眠効果を持つパターンの光信号を人の知覚速度の限界を超えた感覚で明滅させ大袈裟な機会を使わずに済む為、相手の意表をつくことが出来るというメリットはあるが、所詮、それだけのものに過ぎない。確か昔どこかの魔法研究所が熱心に開発していた手品だったな。」

 

 

魔法ではなく、言葉で、達也は敵を凍りつかせたのだ。

 

 

「壬生先輩の記憶も、これですり替えたのか?」

 

 

「お兄様、では?」

 

 

「達也の言う通りなら、そのトリックなら、ヤバいな。」

 

 

「壬生先輩の記憶違いは、不自然なほど激しいものだった。聞き間違いをした直後から動揺しているから、あんな思い込みに捉われるもあるだろう。だが普通は、時間の経過と共に、冷静になっていくものだ。」

 

 

「・・・・・この下種ども。」

 

 

深雪の端正な唇から迸った、怒気。その熱が、凍りを解かしたのか。

 

 

「・・・・・・・貴様、何故・・・・。」

 

 

「つまらんヤツだな。メガネを外す右手に注意を引きつけ、CADを操作する左手から目を逸らす、そんな小細工が俺や孝一に通用するものか。起動式が見えていれば、対処が出来る。お前のちゃちな魔法など、起動式を部分的に抹消するだけで十分だった。肝心の催眠パターンに関する記述が抜け落ちては邪眼も単なる光信号に過ぎない。」

 

 

「バカな・・・・・そんな真似が・・・・・貴様、一体。」

 

 

「ところで、二人称は君、じゃなかったのか?大物ぶっていた、化けの皮が剥がれているぞ。」

 

 

「達也の言う通りだぜ。本性が丸出しだぞ。これじゃ、ただの三流だぜ?」

 

 

この時、司一は初めて気がついた。目の前の少年達は、最初から、自分のことを同じ人間と見ていない事に。

 

 

「う、撃て、撃てぇ!」

 

 

生物としての原初的な恐怖に駆られて、司一は射殺を命じた。だがーーー弾丸は、一発も発射されなかった。

 

 

「なっ、・・・。」

 

 

「何だこれは!?何が起こったんだ!?」

 

 

パニックが、フロアを満たした。突如、自分たちの持つ拳銃、サブマシンガン、アサルトライフル、このすべての引き金が、本体と『分離』したのである。

 

 

これが、達也の得意としている。

『収束』『発散』『吸収』『放出』の複合魔法。

 

『分離魔法』

 

達也が本来、持っている固有魔法『ハデス』が姿を変えた形でもある。

 

 

因みに孝一が持って居る固有魔法『ダイナマイト』と小宇宙を用いた、魔法の一つである『ギャラクシアン・エクスプロージョン』と掛け合わせた複合魔法『ギンガ・ダイナマイト』は最大威力で発動しようものなら半径10キロ圏内は焼土とかす程である。

 

 

閑話休題

 

 

パニックの中、それを鎮めようとせずに、司一が、逃げ出した。彼の背後を、仲間を、一顧だにしなかった。

 

 

「お兄様、孝一さん、追って下さい。ここは私が。」

 

 

「分かったよ、深雪。」

 

 

「頼むぜ。」

 

 

孝一と達也は奥の通路へ向けて、歩き出す。メンバーの二人が、ナイフを手に、孝一と達也の背中へ襲い掛かる。

 

 

・・・襲い掛かろうと、した。

 

 

「愚か者。」

 

 

「ほどほどにな。この連中に、お前の手を汚す価値はない。」

 

 

「はい、お兄様。」

 

 

少女の立つ小さな園内、そこだけが、屋外と同じ季節だった。白い霧が、渦が巻き流れる。霧は、冷気で出来ていた。

 

 

少女が右手を上げた。その姿は、死者に裁きをもたらす、氷の女王の現界だった。

 

 

「お前たちは、運が悪い。お兄様と孝一さんに、手出しをしよう等とさえ、しなければ、せめて安らかに眠れたものを。」

 

 

冷気が、徐々に、這い上がってくる。男達の顔が、恐怖と、絶望に染まる。

 

 

「私はお兄様や孝一ほど、慈悲深く無い。」

 

 

冷気は既に、首の下までを、覆い固めていた。

 

 

「祈るが良い。せめて、手足が腐り落ちずに済むように。」

 

 

 

振動減速系広域魔法「ニブルヘイム」。

 

 

声なき断末魔の絶叫が、霧の中に満ちた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

待ち伏せはなかった。戦力を分散させない程度の頭はあったようだ、と達也は思った。孝一は達也とは別行動を取ったのだ。理由は万が一の事あるかと孝一は達也と後で合流する事になっている。

 

 

達也は壁越しに、CADの引き金を引いた。物理的な障壁は、魔法の障碍にならない。達也の『分離魔法』が発動し拳銃やサブマシンガンの引き金を切り離す。最奥の部屋に足を踏み入れた達也は達也に、銃弾ではなく、不可聴の騒音が浴びせられる。

 

 

「ひゃはははははは。どうだい、魔法師?本物の、キャストジャミンは?」

 

 

狂ったように笑う男の手には、真鍮色の輝きを持つアンティナイトのブレスレット。残り十人の男たちの指にも、同じ色の指輪がはまっている。

 

 

「パトロンは、大中民か?」

 

 

動揺が伝わって来た。心底、つまらないと思った。

 

 

「やれ!魔法を使えない魔法師など、ただのガキだ!」

 

 

「ふん!その油断が、命取りなる事をあの世で後悔する事だな。」

 

孝一が達也と合流すると、刀を左手に持った状態で凄まじい勢いで司一に向かって突進して居た。それは、かつて新撰組三番隊の隊長である斎藤一が得意とされた左片手一本突きを強化したもので、それの名は『牙突』である。そしてその牙突が凄まじい勢いで司一の右肩に直撃すると同時に達也が右手を上げて、CADの引き金を引く。

 

 

「うがぁぁぁ、あぁ!」

 

 

「ヒイィ!」

 

 

次々と引き金を引く達也と刀で男たちに峰打ちを決める孝一。男たちは、肩から、足から、次々と血を噴き出したり意識を奪われて倒れる。達也が使用した魔法は配置した物体を強制的に押し退ける魔法のため、人体であっても強制的に切り裂く魔法なのだ。

 

 

「何故だ!?何故、キャストジャミングの中で魔法が使える!?」

 

 

キャスト・ジャミングは、他者の魔法発動を阻害するサイオンのノイズを作り出す一種の無系統魔法である。アンティナイトによって作り出されるノイズの構造が魔法式の作用を妨げる。しかし孝一と達也には、そんもの関係無いのだ。達也は次々と引き金を引き孝一は刀を振るうのだ。

 

 

孝一が刀である『天羽々斬』を構えて達也がCADを構えたその時に男が背にした、壁が切れた。振動系魔法、高周波ブレードの刀身だ。

 

 

「ひいぃ!」

 

 

男がそれまで立っていた場所に桐原武明が立って居た。

 

 

「よぉ。コイツらをヤッタのは、お前達か?」

 

 

他に答えなどあるはずが無い。孝一と達也が肯定する前に桐原が何度も頷いた。

 

 

「やるじゃねえか、四葉兄、それに犬塚。・・・それで、こいつは?」

 

 

「それが、ブランシュのリーダー、司一です。」

 

 

「こいつが・・・?」

 

 

桐原の問いに達也が答えると変化は一瞬で。達也はおろか、そう言うことは慣れている筈の孝一ですら、たじろくほどの怒気が、桐原の全身から放射された。

 

 

「こいつか!壬生を誑かしやがったのは!」

 

 

「ひいぃぃぃ!」

 

 

最後の力を振り絞ったのか、サイオンのノイズが浴びせられる。本来であれば、桐原の高周波ブレードは、効果を失わなければならなかった。それほどの強度で、キャスト・ジャミングは発動していた。だが。

 

 

「テメェの所為で、壬生がぁぁ。」

 

 

「ぎゃあああ!ひいぃぃ!」

 

 

「待ちやがr「そこまでですよ、桐原先輩?奴なら俺の手の者が追い掛ける手筈になってるので大丈夫ですよ。」

 

 

「本当か?」

 

 

「ええ、本当ですよ。」

 

 

桐原に右腕を肘から下を切り落とされた、司一はその場から何処かに逃げ出した桐原が追い掛けるが孝一が止めに入り追っては既に出してある事を告げると同時に桐原が開けた穴から十文字が現れたのだ。

 

 

「お前ら、やり過ぎだ。」

 

 

彼がそう言うと達也はCADを仕舞うと、孝一と桐原は刀を鞘に納めたのだ。

 

 

 

 

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事件の後始末は、孝一と十文字が引き受けてくれた。犬塚公爵家は元々、政府や議会そして軍に対してかなりの絶大な影響力があり警察と言えども無視できない影響力があり、一方の十文字家は警察に広い人脈を持って居る。その犬塚公爵家の嫡男と十文字家の総領が関わる事件に普通の警察が関与は出来るはずがない。

 

 

紗耶香はその後入院する事になった。右腕の亀裂骨折は入院するほどの怪我ではなかったがブランシュのリーダーが光波振動系魔法・邪眼の使い手である事が判明したのでマインドコントロールの影響が残って居ないかどうか様子を見ることになったのだ。入院中、達也は一度お見舞いに行き、孝一は色々あって行けなかったのだ。エリカに関しては頻繁に足を運んでおり、すっかり仲が良くなったらしい。

 

 

その後、達也が4月の終わりに達也が誕生日を迎えたので仲の良い者同士でお祝いしたのだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

日は経ち紗耶香が退院する日。孝一は達也に無理矢理、連れて来られて居た。因みに深雪も一緒にいた。そこには桐原が居て彼等は何やかんやあって話をしてどうやら達也の恩人と紗耶香の父が知り合いだったらしい事を知る。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

日本皇国某所5月某日

 

 

そこに、ブランシュのアジトから、逃げて居た司一が部下の一人と一緒に居た。

 

 

「クソ、クソ、クソ、クソ!後、もう少しだったのに!」

 

 

「司様、こうなった以上はもう一度再起を図るしか無いです。」

 

 

「クっククク。愚かな事ですね。」

 

 

すると何処から、ともなく一人の黒髪の執事風の服装をした黒髪の男が現れたのだ。いきなりの事で驚いた二人は男に聞いたのだ。

 

 

「何者だ!」

 

 

「これから死んで行く者に名乗る名前はありませんよ。しかし、知らないまま死ぬのもご無念でしょうから、名乗りましょうか。私は八星魔王が一人であるリムル=テンペスト様の配下、聖魔十二守護王が一人、悪魔王のディアブロと申します。」

 

 

「あらあら、丁寧に自己紹介してすぐにあの世で知るんですから、良いじゃないですか、ディアブロ?私(わたくし)はテスタロッサと言います。」

 

 

「そうだぜ、我が君の命令で私達はコイツを探してたんだからな。」

 

 

「そうだよ、僕たちの、手をよくも煩わせただからね。普通に死ぬのはダメだよね?」

 

 

すると司一と部下の周りを囲むように現れたのは白髪の丁寧な口調のテスタロッサと軍服を着た金髪女子高生ぽっいカレラそして幼い紫色の髪をした僕娘のウルティマである。

 

 

「リーダー、ここは私が囮になりまs「グシャ!」どさ!」

 

 

「ヒイィ!」

 

 

部下が司一を逃そうと囮になると言い掛けた際に突如、何かに斬られたかの如く倒れたのだ。そこに現れたのは、刀を持った犬塚孝一だったのだ。

 

 

「リムルに頼んでおいて、追ってを差し向けておいて、良かったぜ。」

 

 

「犬塚孝一!何故、貴様が此処に居るんだ!」

 

 

「それは、お前には関係無い。お前には、どのみち死んで貰うからな?」

 

 

「この、こんな所で死んでたまるか!」

 

 

司一は、此処で自分が殺される事を、理解して自分が開発した魔光線を孝一に向けて放つが、孝一はその魔光線を刀で防ぐと少し笑みを浮かべた直後に爆発すると孝一は胸に三日月状の傷のある魔人になって居た。そして魔人になった孝一は司一に刀で斬り裂いたのだ。

 

 

「策士、策に溺れるとはこの事だ司一。これで、お前も終わりだ!」

 

 

「グアア!お・・の・・・れ。」

 

 

司一が孝一に刀で、とどめと言わんばかりに腹を突き刺さると司一は息絶えたのだ。その後、孝一とディアブロ達は色々と話してからその場を後にしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 




次からは九校戦又はオリジナル回のどちらかをやろうと思います。

かなり急ぎ足でやっちゃいました。

活動報告の方に質問とリクエストが出来るやつがあるのでそちらからリクエストや質問が可能です。


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九校戦編
九校戦編story1


新年明けましておめでとう御座います。

今回から九校戦編です

新年一発目です。

活動報告にてこの作品の質問とリクエストがあります。

質問とリクエストは活動報告のコメント欄か作者にDMをお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815






国立魔法大学附属魔法科高校は、現在、全国に九校、存在する。九つで十分ではなのではない。九校の運営で精一杯なのである。現状を打開するには数に限りある魔法科高校生たちを最大限、鍛え上げ、魔法師という人的資源を充実させていくしかない。そのため政府は、魔法科高校九校を競走させ、生徒の向上心を煽る政策をとっている。その舞台が『九校戦』。正式名称、全国魔法科高校親善魔法競技大会。毎年、全国からよりすぐりの魔法科高校生たちが集い、その若きプライドを懸けて栄光と挫折の物語を繰り広げる。魔法関係者のみならず、多くの観客を集める魔法科高校生たちの晴れ舞台。今年も、もうすぐ・・・その幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年7月中旬

 

 

先日、一学期定期試験が行われた。魔法科高校の定期試験は、魔法理論の記述テストと実技テストにより行われる。そして、学内ネットで成績優秀者が発表される。

 

 

総合成績優秀者

一位1ーA 四葉深雪 二位 1ーB 四葉達也 三位 1ーB 犬塚孝一

 

実技試験成績優秀者

一位1ーA 四葉深雪 二位 1ーB 四葉達也 三位 1ーB 犬塚孝一

 

記述試験成績優秀者

一位1ーB 四葉達也 二位1ーB 犬塚孝一 三位 1ーA 四葉深雪

 

 

 

第一高校では、定期試験が終わり、定期試験の結果が発表された為、校内の雰囲気は九校戦、一色になっていた。そんな中、孝一と達也そしてリムルは現在、生徒会室に呼び出されている。

 

 

部屋の中には、深雪以外の生徒会メンバー、風紀委員長、部活連会頭・幹部と仰々しいメンバーがそろっていた。

 

 

「というわけで、よろしくね、達也くん♫」

 

 

「・・・何が、というわけなんですか?」

 

 

達也がため息を吐きそうになるも何とかこらえて言葉を返す。言われた事の意味が分からなかった訳ではない。ただ、その提案に納得が出来なかっただけだ。そして、孝一とリムルは何故、自分達が達也と共に呼ばれたのかは、皆目見当が多少は着いていた。因みにリムルとミリムそしてディーノは何処からかは、分からないが何故か三人が、八星魔王である事が漏れてしまい結果、孝一とリムルが政府と協議した結果、魔王である事を公表して第一高校に、そのまま在籍する事になった。

 

 

「お願い!どうしても技術スタッフが見つからないの!だから達也君には、選手兼、エンジニアとしてチームに入りして欲しいのよ!」

 

 

「・・・過去に一年生がエンジニアとして加わった例はないのでは?」

 

 

「何でも最初は初めてよ!!」

 

 

「前例は覆すために、あるんだ!!」

 

 

真由美と摩利から過激な反論を返ってくる。

 

 

「・・・せめて選手かエンジニア、どちらかで一つにしていただけませんか?いくらなんでも他選手のCADを調整しながら自分も試合に出るとなれば精神的にも体力的にも、クルものがあるんですが・・・。」

 

 

「それは、そんなんだけど・・・。達也君を選手として出さないのは勿体無いし・・・。」

 

 

達也からの予想通りの反論を受けて答えに窮する真由美。すると、真由美の横から声がかかる。

 

 

「では会長、四葉君には本戦に出てもらいましょう。」

 

 

「えっ!?」

 

 

「ほえ?」

 

 

鈴音の突然の提案に驚く達也と、何語か分からない声を発する真由美。

 

 

「四葉君には、大会一日目に予選から決勝まで行う本戦スピード・シューティングに単一エントリーしてもらう。残った時間で技術スタッフとして動いてもらう。四葉君の腕なら本戦でも問題ないでしょう。」

 

 

「ナイスよリンちゃん!!それよ!!」

 

 

 

達也が反論しようと思い口を開こうとしたら、それまで黙っていた、孝一とリムルが会話に入ってきた。

 

 

「あの、委員長?俺とリムルは何故、生徒会室に呼ばれたのですか?」

 

 

「ええ、俺達は、いきなり呼び出されたので理由を知りたいのですが。」

 

 

「それはだな。お前達にも、九校戦に出場してもらうと思ってな。」

 

 

「委員長、はい、そうですか、分かりました。と返すと思いましたか?達也はそれで良いかもですが、俺やリムルが九校戦に出場するのは他校に対して不公平だと思います。」

 

 

達也はともかく、孝一が真由美や摩利に自分達が出る事に反論して、隣で、それを聞いていたリムルも頷いていた。そして、孝一が続けたのだ。

 

 

「そもそも論ですが、ただでさえ、十師族の直系が五人も居る上に、百家とその支流を含めれば、かなりの人数になりますし、それ以外にも実力のある魔法師が居ます。それだけなら、まだしも挙げ句の果てには七武海が三人、八星魔王が三人も居るんですよ!最早、他校からすれば戦力差があり過ぎまにも程がありますよ!」

 

 

「そうですよ。俺や孝一は、明らかに他の本校の生徒から反発がある可能性があります。」

 

 

孝一やリムルがそう言うと、生徒会の面々や摩利そして、部活連の幹部達も孝一やリムルの言っている事に反論が出来なかった。すると、それまで黙っていた、十文字が口が開いたのだ。

 

 

「犬塚、四葉それにテンペスト。チームリーダーである七草が、お前達の技量を認めた上で判断した以上、お前達にはチームの一員として、その役目を果たす義務がある。」

 

 

かなり強引ではあるが、十文字に此処まで言われては達也は、おろか孝一やリムルには、もうどうしようもなかった。その後、孝一は新人戦のアイス・ピラーズ・ブレイクでリムルは新人戦のバトル・ボードに出場が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「それで、結局のところ引き受けちゃったの?」

 

 

「引き受けたというより、押し切られたという感じだな・・・。」

 

 

「全くだぜ?達也はともかく、俺やリムルが出場する時点で、おかしいだろ!」

 

 

「それもそうだな。達也はともかくだが、孝一も出場するのはどうかと思うぞ。」

 

 

 

翌日の昼休み、いつものメンバーで食事を取っていると話題にあがるのは、やはり九校戦の事で孝一達がどんな競技に出るのか聞いてみた所、今の会話になったのだ。そして達也が口を開いたのだ。

 

 

「昨日の、あれから大変だった。今まで一年生がエンジニアに選ばれた事例はないし、本戦に出るなんて事も、そうそうある事じゃないからな。放課後に呼び出されて、実際にCADの調整をメンバーの前でやらされた後に今度は、スピード・シューティング本戦に出場予定だった三人の先輩たちと実際に対戦させられたよ。」

 

 

「でも、勝ったんでしょ?三戦全部?」

 

 

「ああ、流石に、部活で鍛えているだけあって、中々手強かったけどな。」

 

 

「・・・なんていうか、優秀って言うより規格外って感じだよね、達也君って。」

 

 

「エリカちゃん、達也さんに失礼よ?」

 

 

「ハイハイ、・・・ところで深雪は?」

 

 

いつもなら、ここで妹からの、お兄様自慢の言葉が降ってくる所だが今この場には深雪の姿はない。

 

 

「深雪なら九校戦の準備で、今も生徒会室だ。」

 

 

「深雪さんは、ご自分も出場なさるのに大変ですね。」

 

 

「まあ、深雪なら新人戦も楽勝って気がするけど。」

 

 

エリカの問いに達也が答えると美月が言うとエリカが言うと、それまで黙っていた雫が口を開いたのだ。

 

 

「油断はできない、今年、三高に一条の御曹司が入学したから。」

 

 

「一条って、あの一条か!?」

 

 

「そう言えば、愛梨が教えてくれたな。」

 

 

雫の発言に全員の意識が、この場にいない、一条の御曹司へと向かった。そして孝一が、さりげなく愛梨が、そんな事を教えてくれたとポロッと言っている。

 

 

「孝一か達也君のどっちかは何か知らないの?その御曹司のこと。」

 

 

「何回か十二師族関係のパーティーで会った事がある。今の十師族の後継者の中でも一条将輝は、攻撃力だけなら最強の魔法師だと言われている。」

 

 

「マジかよ、そんなにすごい奴なのかよ。」

 

 

達也の説明にレオが驚愕の表情を浮かべる。その場にいた全員、大なり小なり驚いている中で一人だけ笑いを堪えている者がいる。

 

 

「十三束君、どうしたの?」

 

 

「いや、ゴメン。おかしくて、つい・・・。」

 

 

尚も「ククッ。」と笑っている鋼。ようやく笑いが収まると皆に理由を説明する。

 

 

「いや、だってさ、まるで他人事みたいに達也が話すもんだから。」

 

 

「どういう事?」

 

 

まだ話の意図が見えないエリカが聞き返す。

 

 

「攻撃力の面で最強って言われてるのは一条将輝だけじゃなくて、達也も同じだよ。ナンバーズの間では、どちらが強いのか、よく話題にあがるくふぁいだよ。」

 

 

 

今度は別の意味で驚く、身近にそんなすごい奴がいたのかと孝一や夏に紅音、リムル、ミリム、ディーノそしてリーナ、エリカ、英美、スバル、奏以外のメンバーが達也が十師族の直系なのだと改めて認識したのだ。

 

 

「そんなに大した者じゃないんだがな、俺は・・・。」

 

 

「沖縄防衛戦の『冥王』が何言ってるんだが・・・。」

 

 

「メイオウ、って?」

 

 

二人の会話の内容がよく分からなかった雫から疑問が上がる。

 

 

「達也に付けられた二つ名さ。達也が沖縄で戦ったときに、その圧倒的な破壊力を視た味方が付けたらしい。」

 

 

「味方がつけたんだ・・・。」

 

 

「冥王・・・、冥府の王、なんか達也のイメージにピッタリだな。」

 

 

「確かに!なんかラスボスって感じで!」

 

 

「そう言えば・・・君達ことも聞きたいんだけど?」

 

 

彼等がそう会話をして居ると、孝一と夏にリムルにミリムそしてディーノに話が向いたのだ。

 

 

「まあな、俺や夏は七武海だし、リムルも七武海で八星魔王だし、ミリムもディーノも、リムルと同じ八星魔王だからな。」

 

 

「確かに、お前や夏は七武海だし、俺は七武海であり、ミリムとディーノと同じで八星魔王であるからな。」

 

 

孝一がそう言うと、孝一の隣に座っていたリムルが答えると、ほのかが二人に尋ねたのだ。

 

 

「気になったんですけど、他の七武海や八星魔王の人達ってどんな人なんですか?」

 

 

「ああ、メンバーは俺と夏とリムルに加えてアインズ・ウール・ゴウンとイビル・アイとボア・ハンコックそしてジュラキュール・ミホークが七武海のメンバーだ。」

 

 

「八星魔王は俺とミリムとディーノにギィ・クリムゾン、ルミナス・バレンタイン、レオン・クロムエル、ダグリュードにラミリスだよ。」

 

 

孝一とリムルが、そう答えて七武海と八星魔王のメンバーを教えると勝手に孝一や達也にリムル達の事の話で盛り上がる友人達を見て孝一と達也はため息を吐きそうになりながらも、昼休みを過ごしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「オラァ、どきやがれ!」

 

 

今、B組とE組は体育の授業中。競技はレッグボール。フットサルから派生したスポーツだ。他の一科のクラスとは違い、B組の生徒は男女ともに友好的であるためE組の生徒も何の気兼ねなく純粋に授業を楽しんでいた。

 

 

「吉田!!」

 

 

レオが壁に向かってボールを蹴る。壁に跳ね返った先にいた人物はそのままダイレクトでボールを蹴り込んだ。

 

 

「よっしゃぁぁ、ナイス吉田!!」

 

 

吉田と言われた生徒が放ったシュートがゴールネットを揺らす。これでスコアは5対5のイーブン、振り出しに戻った。

 

 

「彼、中々やるね、達也。」

 

 

「ああ、読むが良いし、見かけより体が動く。」

 

 

達也の横に並んだ鋼が、素直な賞賛する。

 

 

(吉田幹比古。古式魔法の名門、吉田家の直系。かつて『神童』と称されその魔法力は次期当主である、兄をも凌ぐと言われていたはず・・・内の二科にいたとは。)

 

 

「達也!!」

 

 

思考の深みにハマろうとしていた所で達也は迫ってくるボールの気配に反応して回し蹴りの要領でボールをゴールに向かって蹴り込んだ。因みに孝一とリムルは授業をサボろうとしたディーノを探しに行き孝一はディーノを制裁する気満々でリムルと一緒に行ったのだ。

 

 

 

 

 

 

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「お疲れ、良い試合だったよ。」

 

 

「こちらこそ、楽しかった。」

 

 

試合が終わった後、一人で休憩をとっていた吉田に鋼が声をかける。

 

 

「ナイスプレー。」

 

 

「やるじゃねぇか、吉田、意外だったぜ。」

 

 

達也とレオもそれに続く形で彼に声をかける。

 

 

「そっちもね。・・・それと僕の事は幹比古と呼んでくれ。名字で呼ばれるのはあまり好きじゃないんだ・・・。」

 

 

「分かった、僕の事も鋼で良いよ。」

 

 

「了解だ、幹比古。俺の事はレオって呼んでくれ。」

 

 

「俺も幹比古と呼ばせてもらって良いか?もちろん俺の事は達也で良い。」

 

 

「OK、みんなよろしく。実を言うと三人ともう一人には話をしてみたいと思ってたんだ。」

 

 

一年前の事故のせいで、自分はあの頃の『神童』と呼ばれていた力を失ってしまった。だからこそ、今まで以上に体の鍛錬や勉学に力を入れてきた。しかし、体にポッカリ空いてしまったような感覚は一向に消えてくれない。そんな時に彼等の存在を知った。

 

 

一人は、十師族の直系であるにも関わらず、人を見下すような事はせず本質を見抜き、正しく人を評価する。そして決して差別を許さない者。

 

 

もう一人は百家最強と言われる家系に生まれるも、体質のせいで思うように魔法が使えず、他者からも身内からも『異端』と蔑まれて育ちながら、そんな境遇に負けず、自分を高めようと努力し近接戦闘でなら、他家に一目置かれる存在になった者。

 

 

そして最後の一人は魔王でありながら自分の知り合いと同じ七武海の一員でもある人物で相手の実力を把握してから、その人物を評価する者。

 

 

一方、自分と同じ二科生でありながら先日、第一高校内で起こった騒動に参加し、十分な戦果を挙げたクラスメイト。

 

 

後者、三人もそうだが、孝一と達也は新歓期間で、ほとんど魔法を使わず並み居る実力者たちをねじ伏せたという。どうすれば、彼らのような強さが手に入るのか、幹比古は知りたかった。

 

 

「奇遇だな、俺もだ。」

 

 

その返しに、幹比古は意外感をもった顔を浮かべる。

 

 

「ペーパーテストで、学年4位の秀才を気にかける事が、そんなに意外か?」

 

 

「あ、いやっ・・・一科の人はペーパーテストの点数なんて気にしてないと思ってたから・・・。」

 

 

「今回のテストで合計400点以上を出せたのは、たったの5人。その中に二科であることに甘んじず、自分を高めようとする者がいるとなれば他の二科生の心の支えになるはずだ。少なくとも、差別を良しとしていない。会長や委員長は、嬉しく思っているよ。もちろん俺も。」

 

 

達也の裏のない賛辞を受けて胸が高まる幹比古。力を失って以来、ここまで純粋に褒められた事はなかった。しかも、それが日本の魔法師社会の頂点に君臨する者からの言葉だ嬉しくないはずがない。

 

 

「そう言ってもらえると頑張って甲斐があったよ、ありがとう。」

 

 

力を失った事を知られたくなくて、他者との関わりを避けていたが今、幹比古は、人に認めてもらう事への喜びを噛みしめていた。すると彼等の近くでドッサと大きな音がすると四人は音が鳴った方に顔を向けるとメッシュが入った銀髪の青年、ディーノとディーノが倒れて居るその近くで凄まじい殺気とディーノを射殺せんばかりの視線を出している孝一と孝一を止めようとしているリムルが居たのだ。

 

 

「何をして居るんだ、お前たち?」

 

 

それを見た達也が孝一とリムルに尋ねたのだ。達也の問いに孝一が答えたのだ。

 

 

「ああ、ちょっとコイツに、お仕置きをしてたんだよ。」

 

 

「痛ってーーーーー!!助けろよ、リムル!!」

 

 

「ディーノの此れに関しては、お前が悪いからな俺はどうする事も出来ないな。」

 

 

孝一がディーノにアイアンクローを仕掛けるとディーノがリムルに助けを求めるがリムルが完全に拒否をする。その後、エリカとミリムの襲来により、少し気まずい空気になりかけたが孝一たちのフォローで、ひとまず平和に終わった。因みに孝一は幹比古とは千葉流剣術道場関係で知り合いである。

 

 

 

 

 

 

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孝一が自宅で過ごして居ると政府からの秘匿通信があったのだ。それは香港系の犯罪シンジケート『無頭龍』の下部構成員に不穏な動きがあるため九校戦中は気をつけろとの事であり最悪の場合は『無頭龍』を潰すように、と言う物だった。

 

 

「やれやれ、政府の連中も、面倒事を俺に押し付けやがって。」

 

 

「それは、仕方ないだろ兄貴。」

 

 

「確かにそうだな夏、最悪の事態が起きてからじゃ堪ったもんじゃないからな。」

 

 

「でも何で、大陸系の犯罪シンジケートが九校戦の会場周辺で怪しい動きをしてんだ。」

 

 

「まあ、俺の予想だが、大方、賭事関係だろうな。」

 

 

「そうなのか、兄貴?」

 

 

「あくまで俺の予想だがな。ま、俺たちが警戒していればどうて事は無いとおもうぞ。」

 

 

孝一と夏がそう会話してその場で自分達が警戒をしていれば問題ないと判断したのだ。

 

 

 

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日本皇国 首都東京特別市市内某所

 

2012年7月下旬日曜日午前9:54

 

 

孝一は日本皇国の首都の東京特別市の玄関口である、東京駅の入り口に居たのだ。理由は簡単だ。金沢から恋人の一人である一色愛梨が来る事になっていたのだ。すると近くから聞き覚えのある声が聞こえたのだ。

 

 

「いい加減して頂戴!私は貴方たちに用は無いのよ!」

 

 

「良いじゃねえか、ちょっとぐらい。俺たちとそこのカフェでお茶しようよ?ね?」

 

 

「そうだぜ?俺たちと一緒に飲もうぜ?」

 

 

「そうそう。」

 

 

孝一は声のしたの方に顔を向けるとそこには見覚えのある、長髪で金髪の少女、一色愛梨が三人のチンピラに絡まれていたのだ。それを見た孝一は愛梨を助ける為に近づいたのだ。

 

 

「おい、お前ら、人の女に何、手を出してるんだ?」

 

 

「孝一!」

 

 

「何だテメェー!俺達に喧嘩を売ってんのか!?」

 

 

「ヤッタロウじゃねーか!」

 

 

「かかって来いよ!」

 

 

「下がってろ愛梨。」

 

 

「え、ええ。」

 

 

孝一が愛梨とチンピラとの間に入ると、孝一にナンパを邪魔されたチンピラたちが頭に血がのぼってしまい、孝一に喧嘩を売ると孝一は仕方なくチンピラと戦う事にする。

 

 

「死ね!」

 

 

「遅ぇーよ、バカ。」

 

 

「この野郎!」

 

 

「コイツ!」

 

 

「動きが丸分かりだぞ、バカやろう。」

 

 

「この、覚えてやがれ!」

 

 

「一昨日、来やがれ!」

 

 

孝一がチンピラたちの攻撃を躱してチンピラたちに反撃するとチンピラは捨て台詞を言い放って何処かに逃げて行ったのだ。

 

 

「孝一、ありがとう。」

 

 

「別に構わねーよ。俺も大事な恋人に手を出す奴は容赦しないからな。それに愛梨は可愛いからな。誰にも渡したくないんだよ。分かるな?」

 

 

「ちょ、孝一!恥ずかしい事を言わないでよ!」

 

 

「ははは、冗談だよ。」

 

 

二人がそう会話をしていると駅の構内から二人に近づいて来て話しかけて来たのだ。

 

 

「愛梨、大丈夫かしら?」

 

 

「うむ、騒ぎが聞こえたからな。だが大丈夫そうじゃな。」

 

 

「ええ、大丈夫よ栞、沓子。」

 

 

ショートヘアの少女の栞と小柄で黒髪の長髪で古風な話し方の少女の沓子だ。二人は孝一に気付いたのだ。

 

 

「愛梨、彼は誰かしら?」

 

 

「うむ、そうじゃな。」

 

 

「あ、そうね。孝一、自己紹介できるかしら?」

 

 

「そうだな。俺は犬塚孝一だよろしくな。」

 

 

「私は十七夜栞よ、よろしく。」

 

 

「わしは四十九院沓子じゃ、よろしくなのじゃ。」

 

 

四人は近くのカフェに入り会話する事になり四人はそこ一時間ほど、会話をして四人がお互いが九校戦の出場する選手である事を知りFLTから飛行魔法が発表されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後、発足式という名のお披露目は孝一とリムルはともかく達也の選手権、エンジニアという発表により、多少どよめいたが、つつがなく終わった。

 

 

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放課後は九校戦の準備で慌ただしくなる。孝一とリムルは自分達は出場する試合の練習をして達也はエンジニアとしてCADの調整や各選手の作戦立案を担当し、練習を手伝っていた。因みリーナは新人戦クラウドボール、英美は新人戦スピードシューティングと新人戦アイスピラーズブレイク、スバルは新人戦クラウドボールと新人戦ミラージバッドに参加する事になったのだ。

 

 

(それにしても、幹比古にあんな一面があったとは・・・。孝一は知っていたのか?)

 

 

(やれやれ、あいつ、俺の知らない所で何があったんだ。)

 

 

孝一と達也は先ほど起こった、チョットしたトラブルを思い出して考えていたのだ。

 

 

(焦る気持ちも分かるが、あそこまで見栄がなくなるとわな・・・。)

 

 

(あいつの事だからな、聞いても無駄だろうからな。ゼッテーこんな事を考えたら姉貴に怒られるな。)

 

 

魔法の練習を美月に覗かれた事で取り乱し、危うく怪我させてしまう所だった。

 

 

(まあ、これはばかりは本人問題だからな。)

 

 

(今度、時間が出来たらエリカに聞いてみるか。)

 

 

孝一は時間に都合がついたらエリカに聞く事にして、達也が自分の中でそう解決し、深雪達が練習している場所へ向かった。

 

 

 

 

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今日は、九校戦へ出発する日である。会場へは学校で用意したバスで向かうのだが今、現在達也と真由美が遅れて居る。理由は七草家の用事で達也が真由美を迎えに行って居たのだ。

 

 

「達也君は真由美の迎えを優先して七草邸に向かったからな。」

 

 

「仕方ないですよ。会長も家の用事が、出来てしまったからですね。それに達也が、迎えに行くの当然ですよ。」

 

 

孝一は摩利と一緒にバスの外で会話をしながら待機していた。すると孝一は暇になったのかオーブニカを吹き始めたのだ。孝一は帽子を被って茶色の革ジャンに黒のTシャツにジーパンで着用していた。

※ウルトラマンオーブの主人公、クレナイ・ガイがテレビ本編の服装をイメージして下さい。

 

 

「〜〜♫〜〜♫〜〜♫」

 

 

「良い音色だな、そのハーモニカは。」

 

 

「ええ、正しい心や清らなか心を持った者には、良い効果を発揮しますが、逆に悪き心と負の心を持った者には悪き効果を発揮しますよ。」

 

 

「そうか。」

 

 

二人がそう会話して居ると達也と真由美がギリギリの時間で到着したのだ。すると達也が口を開いたのだ。

 

 

「遅れて、すみません。」

 

 

「ごめんな〜さ〜い。」

 

 

「仕方ないだろ?それに旦那様のお陰で間に合ったんだろ?」

 

 

「もう、摩利ったら、そんな、旦那だなんて・・・。」

 

 

ようやく全員が揃ったので四人もバスに乗っていよいよ会場に向けてバスが動き始めた。

 

 

 

****************************

 

 

「達也、調子はどうだい?」

 

 

「問題ない、それより例の魔法はどうだった?」

 

 

達也の横に座っている、鋼からの定番のように質問に答える。

 

 

「うん、最初は中々上手くコントロール出来なかったけど、今なら完璧に使いこなせるよ。」

 

 

「それは良かった、お前の特性を活かした、オリジナルだからな。」

 

 

「起動式を考えたのは達也じゃないか、でも、これで僕も十分に戦える。」

 

 

「ああ、頑張れ。」

 

 

鋼は今回の新人戦、クラウドボールにエントリーしている。達也は基本、新人戦女子のエンジニアの担当なっているが本人と孝一とリムルらの要望もあり、男子に関しては孝一とリムル、鋼の三人は達也が担当して居る。

 

 

因みに真由美のクラウド・ボールも達也が担当だ。一方、孝一とリムルはバスの一番の後ろの席で会話をして居た。

 

 

「やれやれだな、リムル。」

 

 

「何がだ、孝一?」

 

 

「俺達は、七武海でもあるし、お前は七武海でもあり、八星魔王でもある。それだけでも、やべえのに九校戦に、なし崩しとは言え出るだからよ。」

 

 

「それは、仕方ないと思うぞ。そもそも、俺達は他の奴らより力があって、強いんだからな。」

 

 

因みに、達也と鋼は孝一とリムルと一緒にバスの一番、後ろの席で座っている。

 

 

「何を話しているの、孝一?」

 

 

「なになに、何の話〜。」

 

 

「コウイチ達は何を話してるの?」

 

 

「他の学校にはどんな、選手がいるのかなって話。」

 

 

話しかけてきたのは同じB組にして孝一の恋人であるリーナとエイミィだ。リーナは新人戦女子クラウド・ボールに英美は、新人戦スピード・シューティングとアイス・プラーズ・ブレイクの二種目に出場する。

 

 

エイミィが話しかけたのをキッカケに、今まで我慢して居たのか深雪やほのかにスバル、他の女子たちも四人の会話に加わって居たのだ。そんな中、後ろの方で固まっている一年生男子達。その中に、心穏やかではない者がいたのだ。

 

 

(どうしてアイツらばかり・・・。)

 

 

やり場のない怒りを燃え上がらせる森崎。彼は、今回の新人戦のメンバーとして選ばれたとき舞い上がる気持ちを抑えられないでいた。ただ単に嬉しかったわけではない。自分の成績なら選ばれるのは確実だと思って居た。

 

 

現に彼は、新人戦スピードシューティングとモノリスコードの二種目に選ばれている。彼は嬉しかったのは、新人戦の顔合わせの際に孝一とリムルは居たがあの、忌々しいペテン師の姿が無かったからな。

 

 

特にモノリス・コードは、九校戦の花形競技であり、各校のエースが集う。そこに自分が選ばれて、達也の姿が無い。他の競技にさえも。しかし、現実は非常だった、いや、自分の認識が甘かった。九校戦のメンバーが全員集った発足式。奴は二年・三年生の候補選手を差し置いて本戦に出場。さらに、一年生で初のエンジニア入りを決めた。

 

 

いいしれない敗北感に打ちのめされた。そして、新人戦のメンバーに選ばれた程度で満足して居た自分が許せなかった。

 

 

(新人戦・・・必ず結果を残してやる。アイツらの存在が霞むくらい・・・。)

 

 

少々ズレたことを考えながら孝一とリムルと達也を睨みつける森崎だが三人は気づいて居たがあえて気づかないフリをしたのだ。

 

 

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森崎以外にも今の状況が面白くないと思っている者が居た。それは孝一の姉にして、この学校のもう一組いる、許嫁カップル。その片割れである犬塚公爵家の長女、犬塚咲である。彼女も本戦アイス・ピラーズ・ブレイクを千代田花音と一緒に参加する事になっている。

 

 

彼女は幼馴染で許嫁の百家の五十里啓と一緒のバスに乗れなかった事に不満を漏らしていたので摩利と花音が咲をなだめていたのだ。真由美も、達也が横に座ってくれなかった事に、拗ねていた。達也が真由美や深雪の隣に座らなかったのは一人の選手と感情的に強く結びついて他の選手にエンジニアとしてベストを尽くせなくなるのを防ぐためだ。孝一は花音を除く恋人達と仲良くバスの席に座って居た。

 

 

・・・無駄な足掻きかもしれないが。真由美は隣の鈴音に散々ボヤいた後、スヤスヤと眠ってしまった。そんな時、事故が起こった。最初に気付いたのは外の景色を見ていた花音だった。

 

 

「危ない!」

 

 

花音の声に全員が外に向けた。対向車線を逆さまの状態で、火花を散らしながら大型車が突っ込んでくる。バスは急ブレーキをかけ止める。しかし、大型車は勢いを失わずドンドン迫ってくる。悲鳴が上がる中、この事態に対処しようと動くものが数人。

 

 

「吹っ飛べ!」

 

 

「消えろ!」

 

 

「止まって!」

 

 

「っ!」

 

 

(まずい!)

 

 

(おいおい、マジかよ!ここで魔法を止めさせねーとヤバい事になるぞ!)

 

 

無秩序に事象改変が、同一の対象物に働きかけた結果、キャスト・ジャミングと類似した空間が生まれ、魔法の発動を妨げた。

 

 

「バカ、やめろ!」

 

 

孝一と達也と摩利はすぐに気が付き、魔法のキャンセルを促す。

 

 

「十文字!」

 

摩利はこの状況に対処できる可能性を持つ魔法師の名を呼ぶ。しかし、彼の顔は滅多に見せない焦りの表情を浮かべている。摩利が絶望に捉われそうになったその時。

 

 

「落ち着きなさい!!!」

 

 

いつの間にか目を覚ましたのか、真由美が声を張り上げる。

 

 

「十文字君は防壁の準備、深雪ちゃんは火を!!」

 

 

それぞれに指示を出す真由美。しかし、火の消化はサイオンの嵐により、未だ難しい状態だ。

 

 

「孝一君、リムル君、達也君!!!」

 

 

真由美は深雪の準備が完了したのを見て、最後に孝一と達也に指示を出す。孝一は右手の親指の皮膚を少し噛み切ると印を結び達也がCADを構える。達也のサイオンが一瞬、活性化したように見えた次の瞬間、車の周りを渦巻いていたサイオンの嵐が、かき消されて、孝一がバスの窓に右手を突き出すと術式が展開すると孝一が叫んだのだ。そしてリムルは自身の影の中に居る配下に行く様に命じたのだ。

 

 

「口寄せの術!」

 

 

「ランガ!!」

 

 

孝一が口寄せの術を発動すると孝一が契約して居る妙木山の蝦蟇一家の一体、ガマ吉が出現するとガマ吉がジャンプして車の後ろに回り、リムルの影の中にいたランガ出現する。それを待っていた深雪とガマ吉が車の火を消化そして、十文字の防壁の魔法とランガが十文字の防壁の魔法を支えによって車は止まった。

 

 

***********************************

 

 

「みんな、大丈夫?」

 

 

真由美のさっきとは違う落ち着いた声に全員が我に返る。

 

 

「もう大丈夫よ。十文字君、いつもながら見事な手際ね。深雪さんも素晴らしい魔法だったは。」

 

 

克人は無言で頷き、深雪は真由美に褒められ少し照れている。真由美は達也の婚約者だが、達也が数少ない、心を許した女性でもある深雪の中で、真由美は憧れのお姉さんなのだ。ちなみに、真由美が深雪を呼ぶ時は気を許している者以外のまえでは“深雪ちゃん”から“深雪さん”になるのだ。

 

 

「ありがとうございます、会長。でも、魔法を発動する時間を稼げたのは市原が、バスに減速魔法を掛けてくれたおかげです。」

 

 

深雪が一礼し、鈴音が軽く手を上げて答える。

 

 

「真由美、さっきの達也君の魔法はなんだ?いや、そもそもあれは魔法だったのか・・・。それとテンペストが叫んだ途端に犬のような動物は出て来たが。」

 

 

場を引っ掻きました花音に軽く説教をした後、摩利が疑問を口にする。どうやら、他のメンバーも気になっていたらしい。皆が真由美に注目する。当の孝一と達也とリムルはバスを降りて、ドライバーの生存確認をしていた。貴族と十師族の次期当主で七武海と魔王がそんな事を率先してやる事に、周りは驚いようだが。

 

 

「ええ、あれは歴とした無系統魔法であり、対抗魔法でもある固有名『術式解体(グラム・デモリッション)』。」

 

 

「グラム・デモリッション。」

 

 

「圧縮したサイオンの固まりをイデアを経由せずに対象物へ直接ぶつけてそこに付け加えられた起動式と魔法式の情報体を吹き飛ばしてしまう。情報強化も領域干渉もキャスト・ジャミングにも影響されない物理的な作用がないから、どんな障害物でも防ぐことはできないは、射程距離が短い以外に特に弱点らしい弱点がない。実現されているモノの中では、最強の対抗魔法と言われているわ。孝一君とリムル君に関しては多分、本人に聞けば良いと思うわよ?」

 

 

真由美が説明し終えた所で孝一達がバスに戻って来て達也が真由美にある事を言ったのだ。因みに孝一とリムルはガマ吉とランガを連れてバスに入って来たがガマ吉とランガは体を小さくした状態でだ。

 

 

「会長、いつでも出発できます。」

 

 

「了解。では再び会場に向けて出発!」

 

 

真由美の声を聴いて運転手がバスを発進させる。席に戻った三人は、同級生だけではなく先輩たちからも質問責めにあったのは言うまでもないことである。

 




今回はここまでです。

では、次回お楽しみに。


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九校戦編story2

一ヶ月ぶりの投稿です。

活動報告にて質問とリクエストに関する活動報告を乗せてます。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815




達也と深雪と真由美はバスから、降りて会話をしていたのだ。

 

 

「では、あれは事故ではなかったと・・・。」

 

 

「ああ、小規模な魔法が三回ほど行使されていた。」

 

 

「そんな・・・。」

 

 

先程の事故の原因を探っていた達也からの報告を聞いている深雪と真由美は自爆攻撃だったと伝えると、深雪は眉をひそめた。三人の近くで、孝一がリーナとスバルと英美と花音に達也と同じ報告をしていた。

 

 

「孝一、あれは事故じゃ無いって事?」

 

 

「ああ、そうだ。小規模な魔法が三回だがな。」

 

 

「孝一君、それって本当?」

 

 

「それにしても卑怯だね。」

 

 

「にしてもそんな事までして何がしたかったんだろう。」

 

 

達也達3人と孝一達は5人と近くに立っていたリムルと合流してホテルの中に入ったのだ。見知った顔が、手を振っている。

 

 

「一週間ぶり、元気にしてた?」

 

 

すでに夏休みに入っているのでエリカとは、達也と深雪と真由美はえらく久しぶりに会った気がする。一方、孝一達は直々会っていたので、そこまでは無かったのだ。よく見れば美月もいる。思いがけない友人の登場に深雪達は落ち着いたようだ。

 

 

真由美は幹部達とミーティングがあるからと自分に喝を入れる。安心した達也はエンジニアのメンバーとの打ち合わせに向かい孝一とリムルは七武海と八星魔王がホテルに来ている事を知り彼等の元に向かったのだ。

 

 

「待って!そこから先は君達は入る事は出来ない!」

 

 

孝一とリムルが歩いていると、一人の軍人が二人に話しかけたのだ。孝一とリムルは顔を見合わせると、二人は懐からある物を取り出したのだ。孝一が喋ったのだ。

 

 

「お前さん、これを見て同じ事を言えるのか?」

 

 

二人が見せたのは、懐中時計なのだが、その懐中時計に描かれて居た模様を見た軍人は驚いたのだ。

 

 

「これは失礼しました。七武海の方でしたか、お通り下さい。」

 

 

軍人は、そう言うと孝一とリムルを通したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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会場のホテル内にある一室の前に孝一とリムルがやって来ていたのだ。すると孝一が部屋のドアを開けて、喋ったのだ。

 

 

「おい!お前ら来てやったぞ!」

 

 

「おいおい、入って来て、いきなりその言い草は無いだろ?」

 

 

孝一の発言に赤髪の男性が反応したのだ。

 

 

「そうか、ギィ?そもそも、お前達が八星魔王がワルプルギス以外で全員、揃う事自体が珍しいからな。」

 

 

「まあ、それは否定はしないが俺達だって、集まる時は集まるぞ?」

 

 

「そうか?」

 

 

孝一とギィがそう言った会話をしていると一人の帽子をかぶり自分の背丈と同じくらいの剣を背負った男が口を開いたのだ。

 

 

「相変わらずだな、狂犬。お前の性格は変わらんな。」

 

 

「やんのか、鷹の目!」

 

 

孝一が、鷹の目と呼んだ男の名前は鷹の目、ジュラキュール・ミホークで孝一とは常に世界最強の剣士の座を争うライバル関係、かつ何故だか、孝一とミホークは顔を合わせる度に、口喧嘩もしくは斬り合いを始めてしまう。殆どの場合は後者の斬り合いである場合である。二人が喧嘩をおっ始めようとすると夏が止めに入ったのだ。

 

 

「兄貴!鷹の目!ここで喧嘩すんのは辞めてくれよ!止めに、入る俺の身にもなってくれ!それに祖母さんに怒られるからしな、今日の九校戦の懇親会だから、ここで喧嘩すんのは辞めてくれよ。」

 

 

「ッチ、分かったよ、夏。鷹の目、テメーとは、いつか決着をつけてやるよ!」

 

 

「ッフン、良いだろう狂犬。貴様とは決着をつけてやるよ。」

 

 

二人が、そう言うやりとりを、していると銀髪の女性が口を開いたのだ。

 

 

「お主達は、いつもこうなのか?」

 

 

「そうだ。常に顔を合わせる度にこうだからな。」

 

 

銀髪の女性の名前は、ルミナス・バレンタインでルミナスの問いに答えたのがフードを被った骸骨の姿をした者が答えたのだ、骸骨の名前はアインズ・ウール・ゴウンである。彼等は色々会話をしてから孝一とリムルは部屋を後にしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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九校戦は毎年、開始の前々日に懇親会という名目のパーティーが行われるが孝一とリムル達以外のメンバーは、既に会場に入っていたので、孝一とリムルが懇親会のある会場の前に向かうと、タイミング悪く鷹の目、ジュラキュール・ミホークが居たのだ。

 

 

「鷹の目、何でテメーが此処に居るんだ 」

 

 

「ッフン。貴様も此処で何をしてるんだ?」

 

 

「おい、お前ら。此処で喧嘩すんのは辞めろよ?」

 

 

「「邪魔するな!」」

 

 

二人が喧嘩を始めようとしたので、リムルが間に入るが二人が圧をかけて、リムルに言ったのだ。そして孝一は最上大業物12工『星斬丸』を抜いて、ミホークが最上大業物12工『夜』を抜いたのだった。一方、懇親会の会場に達也達は会場入りしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ひえぇぇ、すごい人。」

 

 

「エンジニアを含めれば、ザッと400人はいるからな。」

 

 

「この中で競い合うんですよね・・・なんか緊張して来た。」

 

 

「・・・ほのか、私たちの出番は、まだまだ先だよ。」

 

 

「雫の言う通りだよ、僕たちの出番はまだだからね、ほのか?」

 

 

「スバルの言う通りだよ、私達はまだまだ、だからね?」

 

 

「でも、気持ちは分かるよ。全員、各校から選ばれた強者だからね。」

 

 

上から、エイミィ、達也、ほのか、雫、スバル、リーナ、鋼である。達也と鋼は一年女子に囲まれるように立って居た。

 

 

「お客様方、お飲物はいかがですか?」

 

 

「エリカ!?久しぶり、どうしたの、こんな所で。」

 

 

「久しぶり、ほのか。ここに泊めてもらう代わりに、お手伝いしてるのよ。」

 

 

「そうだったんだ。」

 

 

エリカの登場に日頃、仲良くして居るB組の生徒や友好的な者は話しかけている。仕事中なので、すぐに行ってしまったが、皆の緊張は大分、解れたようだ。そんな時、何気なく横を見ると深雪とリーナに話しかけようとしている、三高に女生徒が目に入った。

 

 

「お久しぶりね、深雪、リーナ。」

 

 

「ええ、そうね、愛梨。」

 

 

「そうね、愛梨。貴方も相変わらずね。」

 

 

「貴方は相変わらずね、リーナ。」

 

 

師補十八家・一色家の令嬢、一色愛梨。通称『エクレール・アイリ』。リーブル・エペというフェンシングに似た、魔法競技において中学時代から数々の大会で優勝し、移動魔法を使った剣さばきの鋭さから『エクレール』と称されるようなった。※前回、彼女を紹介できませんでした。すみません。

 

 

お互いが話をしていると愛梨の後ろに控えて居た二人の女性を紹介する。十七夜栞、四十九院沓子、どちらも名家の者である。深雪も傍らに居た、ほのかと雫を紹介する。愛梨は、エレメンツの末裔であるほのかと大企業の社長令嬢の雫に興味を持ったのだ。深雪とリーナと愛梨は自分達の出場する試合を話たのだ。

 

 

「私は新人戦クラウド・ボールと本戦ミラージ・バッドに出場するの。」

 

 

「私は新人戦アイス・ピラーズ・ブレイクに出場するは。」

 

 

「私は新人戦クラウド・ボールに出場するの。」

 

 

彼女達は、そう会話をしているが、実際は会場についた時点で、どの選手がどの競技に出るかは知られている。すると愛梨がリーナにある事を、言ったのだ。

 

 

「ねえ、リーナ。そろそろ私に第一夫人の座を譲ってくれないかしら?それと、孝一は何処かしら?」

 

 

「それは、出来ないは。第三夫人の地位で満足しなさい。孝一なら別の場所に居るは教えれないけど?」

 

 

「二人とも、そこまでにしたら?」

 

二人が、そうやって言い争いを始めると深雪が仲裁に入ったのだ。そして彼女達は自分達の高校の一角に戻って行ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

***********************************************************************

 

 

 

深雪とリーナと愛梨が対峙して居る時、真由美と摩利は三高の生徒会長と話をして居た。第三高校の生徒会長、水のエレメンツの末裔、水尾佐保。水のエレメンツは、水流移動系の魔法を得意とする家系だ。今回の九校戦もバトル・ボードとミラージ・バッドの水場が用意される二種目にエントリーしている。

 

 

「いや、うちの一年が申し訳ない。」

 

 

「気にしないで、水尾さん。毎年多かれ少なかれ起こることよ。」

 

 

「そう言ってもらえると助かります。」

 

 

すっかり腰が引けてしまっている会長をよそに三高一年の集まる一角では、チョットした騒ぎになっていた。

 

 

「あの娘達、超可愛いな。一色さんと話してる娘達。」

 

 

「止めとけ、お前じゃ相手にされなぇよ。」

 

 

「分かってるよ、でも一条なら可能性があるかもしれないだろ?」

 

 

その一条はというと、深雪を見て動きを止めたのだ。

 

 

「珍しいね、将輝が女の子に興味を持つなんて。」

 

 

「そうじゃないよ、ジョージ。」

 

 

苦笑い気味に否定する将輝を吉祥寺真紅郎は面白そうに見ていた。しかし、将輝が急に真剣な顔になり、ある方向に視線を固定するのを見て、吉祥寺も真剣な顔つきになる。そして二人は、その視線の方向に向かったのだ。

 

 

 

 

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「久しぶりだな、達也。」

 

 

「ああ、そうだな。将輝。」

 

 

「達也、一条のプリンスと知り合いなの?」

 

 

二人の会話で、二人の関係性が気になった鋼が尋ねて達也が答える。

 

 

「ああ、そうだ。一度だけだが会った事が、あるからな。」

 

 

「まあな。」

 

 

「相変わらずだね。四葉の『冥王』と初めましてかな十三束の『レンジ・ゼロ』に会えるなんて光栄だよ。」

 

 

「僕の方もだよ。『カーディナル・ジョージ』に会えるなんて光栄だよ。」

 

 

達也達、四人が話をして居ると将輝が、達也にある事を尋ねたのだ。

 

 

「そう言えば、孝一はどうした?」

 

 

「ああ、アイツは少し別の用事で、遅くなる。」

 

 

「そうなのか?」

 

 

二人が、そう会話して居る。何故かと言うと、愛梨とリーナが常に第一夫人の座を争っており、孝一が居ないと収まらないからである。四人は、そこで会話をして居たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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来賓の挨拶が始まった。達也も、入れ替わり立ち替わりに現れる魔法界の名士を見て居た。達也が最も注目したのは約二十年前まで世界最強の魔法師の一人と目され十師族という序列を確立した人物であり、かつての母達の師でもあり、孝一の恋人の一人であるリーナの大伯父にあたる人物でもある。

 

 

十師族・九島家先代当主、九島烈。

 

 

最強の名を保持したまま第一線を退き、以来、ほとんど人前に出てくることのない、この老人は、何故かこの九校戦にだけは毎年、顔を出すことで知られている。

 

 

直に見たことは無い。映像で知っているだけだ。歴史上の人物を直接目にするに等しい興奮を自分の中に見出していた。司会者がその名を告げた。息を呑んで、達也は思わず、その息を吐き出すのを忘れてしまう。眩しさ和らげたライトの下に現れたのはパーティドレスを纏い髪を金色に染めた、若い女性だった。

 

 

ざわめきが広がった。衝撃を受けたのは、達也だけではなかった。もしや、何らかのトラブルがあり、彼女が名代として派遣された。

 

 

(ーーいや、違う。)

 

 

彼女の背後に、一人の老人が立っていた。

 

 

(ーー精神干渉魔法。)

 

 

目立つものを用意して、人の注意を逸らすという「改変」は改変と呼ぶまでもない繊細なもの。何もしなくても自然に発生する「現象」。

 

ただそれを、全員に、一斉に引き起こす為の、大規模ではあるけれども微弱で、些細な、それ故に気付くことの困難な魔法だ。

 

 

(これが、かつて最強、いや『最高』にして『最巧』と謳われた『トリック・スター』九島烈の魔法か・・・。)

 

 

達也の凝視に気がついたのか、女性の背後の老人が、ニヤリと笑った。それは、悪戯を成功させた少年のような笑顔。達也は目立たぬように目礼を返す。老人の目は、上機嫌そうに笑って居た。ライトが老人を照らし、大きなどよめきが起こる。ほとんどの者には、九島老人が突如、空中から現れたように見えたことだろう。

 

 

「まずは、悪ふざけに付き合わせたことを謝罪する。今の一寸した余興だ。魔法というより手品の類だ。だが、手品のタネに気付いた者は、私の見たところ五人だけだ。つまり。」

 

 

皆が興味津々の態で耳を傾けていた。

 

 

「もし私が君たちを鏖殺を目論むテロリストで来賓に紛れて毒ガスなり爆弾なりを仕掛けたとしても、それを阻むべく行動を起こすことが出来たのは五人だけだ、ということだ。」

 

 

会場が、今までと別種の静寂に覆われて居た。

 

 

「魔法を学ぶ若人諸君。魔法とは手段であって、それ自体が目的ではない。私が今用いた魔法は、規模こそ大きいものの、強度は極めて低い。魔法力の面から見れば、低ランクの魔法でしかない。だが、君たちはその弱い魔法に惑わされ私がこの場に現れると分かっていたのにも関わらず、私を認識できなかった。魔法を磨くことは大切だ。魔法力を向上させる為の努力は、決して怠ってはならない。しかし、それだけでは不十分だということを肝に銘じて欲しい。使い方を誤った大魔法は使い方を工夫をした小魔法に劣るのだ。魔法を学ぶ若人諸君。私は諸君の工夫を楽しみしている。と言いたい所だが、真夜、いい加減、出て来たらどうだ?それに外が少し騒がしいようだが。」

 

 

九島烈が、そう言うと孝一達の母親である、犬塚真夜が現れたのだ。会場に居たほとんどの者は驚いたのだ。そして、隣には夫であり孝一達の父親であり犬塚公爵家32代目当主の犬塚総一も居たのだ。会場に居た者は四葉家の当主の妹と名門貴族の当主の二人がいる事に驚愕して居た。

 

 

「お久しぶりです、そりゃそうですよ先生。せっかく、子供たちの晴れ舞台を見にくるのは当然ですよ?」

 

 

真夜の子供発言にその場にいた、ほとんどの者は驚くと同時に咲とリーナが真夜の隣に立ったのだ。すると、烈が口を開いたのだ。

 

 

「久しぶりだね、リーナ。」

 

 

「お久しぶりです、大伯父さま。」

 

 

リーナに話しかける烈にリーナは挨拶をすると烈が尋ねたのだ。

 

 

「そう言えば彼は何処に居るのかね?」

 

 

「ホテルに入ったところまでは見てますが、そこから先は見てないので分かりませんが外の騒がしいのは多分、孝一が原因だと思います。」

 

 

烈が、そう聞くと咲が答えると会場の外の方からキン、キンと何かの金属が、ぶつかる音がしたのだ。すると総一が咲にある事を言ったのだ。

 

 

「咲、外を見て来なさい。」

 

 

「分かったは、お父さん。」

 

 

咲は言われた通りに、外を確認するために、会場の扉まで行き扉を開けると、リムルと騒ぎを、聞きつけた夏が居たのだ。すると孝一とジュラキュール・ミホークは鍔迫り合いをして居たのだ。そして咲の気配に気づいた夏が咲に話しかけたのだ。

 

 

「あ、姉貴!」

 

 

「あら、夏。どうしたの?また?」

 

 

「ああ、まただよ。兄貴と鷹の目が斬り合いを始めやがったんだよ。」

 

 

二人が、そう会話して居ると、すると真夜が話に入って来たのだ。

 

 

「貴方も来ていたの夏?あら、またなの?咲、扉を開けなさい。」

 

 

「分かったは。夏、リムル君、扉を開けるよ?」

 

 

「良いぞ、姉貴。」

 

 

「良いですよ。」

 

 

二人が了承すると、咲が扉を開けると、孝一とミホークは扉が開いたのも気付かず、斬り合いを続けており、二人が鍔迫り合いから、お互いの距離を取るとミホークが懇親会の会場内に入る。

 

 

会場に居た者は驚き、騒然とする。ミホークの姿を見た達也、深雪、真由美、リーナ、エリカ、愛梨、花音、英美、スバル、啓は察しって心の中で「またか。」と思ったのだ。そしてミホークが会場内に入ったのを視認した孝一が刀を左手に持ち帰ると、深く腰を落とし、星斬丸の切っ先をミホークに向けると孝一が『牙突』をミホークに向かって放ったのだ。

 

 

それを見たミホークが構えると、孝一が凄まじい勢いで、ミホークに『牙突』で突進すると、それに気付いた真夜が魔法を発動したのだ。

 

 

それは真夜の固有魔法『流星群』である。会場が暗く夜の如く包まれたのだ。孝一は気付くと、すぐに『牙突』を辞めると魔法を発動すると、それは『流星群』で『流星群』を『流星群』で相殺したのだ。

 

 

「何すんだ!」

 

 

「それは、コッチのセリフよ、孝一?貴方も何してるのかしら?」

 

 

孝一が真夜に噛み付くと、真夜が尋ねると、孝一とミホークが同じタイミングで同じ事を言ったのだ。

 

 

「「挨拶!それ以外に無い!」」

 

 

「兄貴!それは挨拶じゃなくって、ただの斬り合いだ!だから斬り合いをするのは辞めてくれ!」

 

 

二人がそう言うと、夏がツッコミを入れた上で、斬り合いをするのを辞めるように言うと、孝一がこう言ったのだ。

 

 

「知らん!そんなの俺には、関係は無い!」

 

 

「だからってよ兄貴、俺が怒られるんだからよ!」

 

 

「そんな物、俺には関係無い。」

 

 

孝一の発言に夏が食ってかかるが、二人が言い争いをして居ると、真夜が二人の近づいたのだ。

 

 

「孝一、貴方は何をしてるのかしら?」

 

 

「つーか、なんで、いるn、痛い、痛てえーーーーー。」

 

 

真夜が孝一に近づくと、真夜が孝一の頬を、つねると孝一が痛がって居ると、会場に居たほとんどの者たちは、その光景を見て驚き固まって居たのだ。すると、烈が爆弾発言をする。

 

 

「相変わらずだな、お前たち親子は。」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

「先生、仕方ないじゃないですか。この子はいつも奇想天外な行動を起こすんですから。」

 

 

「ッフン。」

 

 

孝一は相変わらずの態度だが、その場に居た者たちは何が何だが分からずに、混乱して居ると、十文字が代表して真夜に質問したのだ。

 

 

「真夜殿。犬塚達とは、どの様な関係なのですか?」

 

 

「ええ、この子達は私の実子、何ですよ。」

 

 

それを聞いた瞬間、会場に居た者達は特に第一高校の生徒たちは孝一達、犬塚姉弟の正体を知ると驚愕して、更に総一発言をして、烈が追加で爆弾発言を投下する。

 

 

「真夜、仕方がないだろ?孝一は昔から、こうなんだからな。」

 

 

「そうかしら?総一さん?」

 

 

「ハハハハハ。相変わらずだな、お前たち夫婦は。」

 

 

「「「「「「え?えぇぇーーーーーーーーーー!」」」」」」

 

 

その場に居た者は固まり、真由美は笑い堪えるのに必死で、達也はため息をついて、深雪は冷静に見て居るが、孝一達と付き合いの長いもの達はやれやれと見ていて、それまで黙って居た孝一が食ってかかる。

 

 

「って、親父、お袋、ご隠居殿。それは秘密なはずだろ?何でバラすんだ!」

 

 

「あら、何時も自由奔放に動き回ってる、あなたには、少し大人しくして貰った方が良いかなと思って?」

 

 

「だからってよ!」

 

 

「兄貴は何時もそうだからな〜〜。言われても仕方ないと思うぞ?クレイジーサイコキラー!」

 

 

「ブッチ。夏!もう一回、言ってみろ!」

 

 

「すんません!それを纏うのは辞めてくれ!」

 

 

「分かれば良い。」

 

 

孝一の言葉に真夜が、そう言うと夏が余談みたいな事を言うと、赤い尾獣チャクラを纏った孝一が睨みつけ居て言うと夏が謝罪をして、孝一がすぐに静かになる。すると烈がリムルの方を見たのだ。そして烈が口を開き尋ねたのだ。

 

 

「そこ銀髪の君は、見た事が無いが知り合いかね?」

 

 

「あ?あ〜コイツはリムル=テンペストだ。」

 

 

「俺は、リムル=テンペストです。よろしくお願いします。」

 

 

「ハハハハハ。孝一、私に隠し事は無駄だぞ?」

 

 

「ッチ、耳に入るの早すぎだろが。」

 

 

「え?まさかバレてんか!?」

 

 

「ご隠居殿、ここで話すのは辞めてくれ!俺が政府に怒られる!」

 

 

「そうか、分かった。」

 

 

 

そう会話をして居ると時間が経って、そのまま懇親会はお開きになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******************************************************************

 

 

 

 

その日の夜、10時。

 

深雪とリーナはエイミィ達に誘われて温泉に来ていた。ほのかの悲鳴が聞こえたり、自分達に向けられた視線に戸惑っていたが、ほのかの「冷水浴する破目になるわよ!」と言う一言でやっと落ち着いて入浴できた。女の子が恋愛話が好きなのは、今の時代も変わっていない。ここでも話題はやはり、そういう類の話だ。

 

 

周囲が深雪と一条将輝との関係を聞かれたりしたのだ。そんな時にその場に居た者たちが、リーナとエイミィとスバルに対して孝一に関する事を尋ねたのだ。

 

 

「リーナ、エイミィ、スバル。そう言えば、孝一さんの事だけどいいかな?」

 

 

「何かな、ほのか?」

 

 

「何、ほのか!」

 

 

「何だい?」

 

 

「孝一さんって、昔からあんな風なのかな〜って思って。」

 

 

「「「う〜ん。」」」

 

 

リーナとエイミィとスバルは、ほのかの質問に三人が考えたのである。そして、それぞれがそれぞれの答えを述べる。

 

 

「孝一にあれに関しては、昔からって言うよりも、3年前から鷹の目のミホークと、どっちが世界最強の剣士の座を争ってからね?エイミィとスバルはどう思うかな?」

 

 

「うーん。私は孝一君は、あの人と関わらなければ、大丈夫かなって、思うよ?」

 

 

「僕もエイミィと一緒だと思うよ?」

 

 

「え、そうなの!?」

 

 

ほのかが、そう反応したのだが、温泉から上がったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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「ほのかの胸大きかったな〜。」

 

 

「お風呂で散々触ったじゃない。もうお終い!」

 

 

「もう夜なんだから、あまり騒いではダメだよ。」

 

 

彼女達はすぐに自分達の部屋に戻っていたのだ。戻ろうとした際に愛梨がこう言ったのだ。

 

 

「どちらにしろ、お遊び気分で来てる人たちに負けるわけにはいかないわ!!優勝は私たち第三高校が貰います!!」

 

 

愛梨が、そう宣言すると栞と沓子も頷き、三人は部屋に戻っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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同時刻、同ホテルロビー

 

 

 

 

 

 

孝一とリムルが、ホテルのロビーに居ると、そこには烈も居たのだ。

 

 

「ハハハハハ!そうか、お前と同じ七武海で魔王にしてジュラ・テンペスト大公国の大公だったとはな。」

 

 

「ご隠居殿、声がデケーよ。これは内密に頼むぜ?そもそも第一高校でも、それで大騒ぎになったんだぞ?」

 

 

「ああ、そうですよ?それで政府に俺たちが、怒られたんですからね?」

 

 

烈が笑いながら話をして居ると孝一とリムルがそう、突っ込んだのだ。因みにリムルは、本来の姿であるスライムの姿である。

 

 

「分かった、分かった。しかし、そのような姿で魔王とは、イメージとは違うな。では夜も遅いから、もう部屋に戻りなさい。」

 

 

「分かったよ、ご隠居殿。」

 

 

「分かりました、閣下。」

 

 

三人は、どうやら会話をして居たのだ。孝一とリムルは烈に、リムルの事を秘密にする様に頼むとリムルを見ながら、魔王のイメージとは違う事を述べると列が二人に部屋に戻る様に言ったのだ。二人は返事をして、部屋に戻って行ったのだ。

 

 

孝一とリムルが部屋に戻った後、達也から不審者が施設内に侵入して、達也と幹比古で制圧した言う報告を受けたのだ。孝一とリムルは警戒を強めたのだ。

 

 

 



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九校戦編story3

久しぶりの投稿です。

ようやく完成しました。

下の方に質問とリクエストの活動報告のリンクが貼ってありますのでそちらから質問とリクエストをお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272401&uid=318815


懇親会の翌日。

 

 

九校戦は、何事もなかったように開催されたのだ。昨晩の一件を知る者は、当事者と、その当事者から一件を伝えられた者達以外にはほとんどいない。選手は皆、一流の魔法力を持つとはいえ、まだ高校生だ。

 

 

全く未遂で終わったことでもある為不安を与えるのは好ましくない、との判断が下された結果だった。そして、この後すぐ、九校戦最初の競技が行われる。そう、スピード・シューティングである。

 

 

 

スピード・シューティングのルールは

 

 

空中に設定された、一辺、十五メートルの立方体を、ポイント有効エリアとして予選までは、制限時間が5分以内に標的を破壊した数を競う、スコア型。本戦からは、紅白の標的が百個ずつ用意され、自分の破壊した数を競う、対戦型となる。

 

 

尚、モノリスを除く全競技に共通のルールがとして九校の内、三つの学校は二人のまでしかエントリーできない。数合わせのため、昨年の成績が悪い順に三つの学校が足切りに遭う。

 

 

本戦スピード・シューティングは、九校戦全体の最初の競技である為に、どの学校もこの種目で良い成績を出して勢いに乗りたいと考える。そして、このスピードシューティング第一試技。つまり九校戦最初の試合の選手は、達也と決まった。

 

 

「イキナリかよ!!まあ、達也なら緊張とかしないだろけど。」

 

 

「心配いらないわよ。他の候補者、全員に勝ってるんだから。」

 

 

レオとエリカの会話を聞いて、他の者も同じ事を思って居る。此処には深雪、リーナ、雫、ほのか、鋼、英美、スバル、奏、レオ、エリカ、美月、幹比古、紅音が居る。もちろん全員が達也の応援だ。

 

 

ただ、この会場の応援席は異常なまでの人の多さだ。スピード・シューティングの会場は、男女同じ場所に隣同士にある。つまり、同じ会場で男子の試技も女子の試技も見る事が出来る。だが、明らかに客の視線は、こちらの、男子の方に向いて居る。

 

 

「今まで秘密にされていた十師族・四葉家の後継者の実力の程を、見に来たって所だろうね。」

 

 

鋼からの説明に納得顔の面々。

 

 

「見たら度肝を抜かれる事間違いなしね。」

 

 

「だろうね。」

 

 

因みに孝一、夏、リムル、ディーノ、ミリムは別の場所で応援していたのだ。この五人が、何処に居るかと言うとスピード・シューティングの会場の応援席の屋根に居るのだ。当の彼らは、そこで会話をしていたのだ。

 

 

「相変わらずだな〜あいつは、な、兄貴?」

 

 

「知らん、俺に話を振るな、夏。リムル、ミリム、ディーノ、達也の強さをよーく見てけよ?」

 

 

「そうだな?」

 

 

「面白そうなのだ!」

 

 

「え〜俺も?面倒くさいよ〜。」

 

 

夏が、そう言うと孝一が適当にあしらうと、リムルが、そう答えてミリムは面白そうだと答えるとディーノは面倒くさいと言ったのだ。孝一達がそこで会話をしていた所で第一高校のロゴの入ったユニフォームを着て小銃形態デバイスを持った達也が現れる。

 

 

「・・・ねぇ、深雪。達也君て、本当に私達と同い年?」

 

 

「失礼よエリカ!お兄様は歴とした16歳よ!」

 

 

「あ、ああ、ごめん。なんていうか、貫禄が・・・。」

 

 

「確かに、堂々としていらっしゃいますね。」

 

 

エリカの言葉を美月が拾い共感する。

 

 

「おっ、始まるぜ?」

 

 

巨大なスクリーンにBE QUEITの文字が浮かび会場が静まる。達也が透明のゴーグルをかけデバイスを構える。カウントが始まり、緊張感が漂う中、その瞬間を待つ。そしてカウントがゼロになりクレーが発射された。

 

 

次の瞬間、ポイント有効エリア全体が黒く塗りつぶされる。そして、クレーが、その黒く塗りつぶされた空間に入った瞬間、クレーの動きが鈍くなり、暗闇から突如発生した稲妻によって

 

 

ーー破壊されたのだ。

 

 

「なに、今の!」

 

 

「すごい・・・」

 

 

次々と打ち出されるクレーが、夜の闇に吸い込まれように有効エリアに突入し、光り輝く稲妻に破壊されていく。その、圧倒的な破壊力に会場が一気に湧いた。

 

 

「あれはまさか・・・『ヘルヘイム』・・・」

 

 

摩利が驚愕の表情で達也の魔法の名を口にする。

 

 

「正解です。領域型分離魔法『ヘルヘイム』。達也君はあまり領域魔法を使いませんが一点に集中する魔法が得意なだけであって、使えないわけではありません。スピード・シューティングのような有効エリアが、予め決まっている物なら十分に実戦で使えるレベルの威力が出せます。」

 

 

 

 

 

 

『ヘルヘイム』

一定領域内を真空、無重力の空間に分離し空間内で発生した真空偏極により、存在する荷電が作り出す電場によって電荷を持つ粒子、反粒子を強制的に分極し、電磁波を発生させる領域魔法。

 

 

 

「校内の試技をした時は、対戦形式でしたから、使用しなかったと言っていましたね。」

 

 

「あの魔法は、確かA級魔法師にしか起動式を公開していないはずだが・・・。」

 

 

「まあ、そこは流石、十師族と言ったところでしょう。」

 

 

鈴音の説明に、ヤレヤレと首をすくめる摩利だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一方、会場の屋根の上で、試合を見ていた孝一達が会話をしていたのだ。

 

 

「ったくよ。達也の野郎、後で覚えてやがれよ?」

 

 

「兄貴、流石にそれはやめてくれよ?」

 

 

「そうだぞ?お前を止める俺達の身にもなってくれるか?」

 

 

「zzzzz。」

 

 

「面白そうなのだ!」

 

 

孝一が文句を言って居ると、夏とリムルが孝一を諌めていると隣でディーノが思いっきり寝ており、ミリムは面白そうだと言いながら楽しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*********************************************************************

 

 

「・・・綺麗。////」

 

 

「・・・素敵。////」

 

 

「達也様・・・。////」

 

 

達也の作り出した、暗闇の空間に光る稲妻。その幻想的な光景とデバイスを構える達也の勇ましい姿に会場の女性たちの目は釘付けになったのだ。

 

 

「一瞬でファンを増やしちゃったわね。他の学校の生徒も見惚れちゃってるんだけど。」

 

 

「でも、そうなる気持ちも分かるかも。」

 

 

「確かに、一年生でこんな魔法を使えるなんて。」

 

 

エリカは半分呆れたような表情だが、ほのかと幹比古は観客と似た感想を持って居た。

 

 

「お兄様がこの魔法を選んだ理由は二つ。一つは有効エリア全体をカバー出来るから。二つ目は、この強力な魔法を見せる事で後に続く選手にプレッシャーをかける事よ。」

 

 

「・・・そんな事まで考えてたんだ。」

 

 

「まあ、でなきゃ達也が、あんな目立ちまくる魔法、使うわけがないわな。」

 

 

深雪の説明に関心を持った雫と納得の表情を浮かべるレオ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

(残り5秒。)

 

 

心の中でカウントダウンを始める。打ち漏らしは無い。完全な仕上がりだ。残り2秒になったところで最後のクレーが発射される。達也は最後のクレーを今日一番の、さながら花火のように放電で、打ち砕いた。

 

 

 

「「「「「わあああああ!」」」」」

 

 

その圧倒的な光景に会場が湧く。今年の九校戦は、観客の興奮を高める。九校戦は最高のオープニングで幕を開けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************************************

 

 

会場の屋根上には相変わらず孝一達が居たのだが、背後から四人の人影が現れたのだ。そして孝一とリムルがその人物達に話しかけたのだ。

 

 

「何しに来たアインズ、イビルアイ。」

 

 

「何のようだ、ギィ、ルミナス。用件を言ってくれるか?」

 

 

フードを被った骸骨姿のアインズと金髪で仮面を被った少女のイビルアイ、赤髪のギィと銀髪で金銀妖目(ヘテロクロミア)のルミナスが居たのだ。イビルアイが口を開けたのだ。

 

 

「私達が来て悪いか?」

 

 

「そうだぞ?お前達が此処に居るのを確認したからな、此処に来ただけだが?」

 

 

イビルアイに続いてアインズがそう言うと、ギィとルミナスが会話に入って来たのだ。

 

 

「おいおい、そんなに俺達が来て問題でもあるのか?」

 

 

「そうじゃぞ?妾達が来てくらいでは問題にならんはずじゃろ?」

 

 

「まあ問題ねえはねえけどよ?特にイビルアイ以外のアインズ、ギィ、ルミナスのお前らだ!」

 

 

ギィとルミナスの反応を見て孝一が、そう言うとギィが反応する。

 

 

「どう言う意味だ?」

 

 

「そのままの意味だ。アインズは見た目が骸骨だし、ギィ、お前の場合はオーラーが原因だ!ルミナスの場合もギィと同じだ!」

 

 

「そうか?妾達は出していたつもりは無いんじゃが?」

 

 

「俺達は気づいて居るが会場に居る奴らも、ほとんどだが、おそらくだが気付いてると思うぞ?」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「分かったぜ。気をつけるぜ?」

 

 

「頼むぞ?」

 

 

そう言いながら孝一達は会場の屋根から降りたのだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

孝一と夏とリムルとミリムとディーノは会場脇で達也と真由美が居るのを見つけたのだ。五人は二人の元に移動したのだ。すると二人が会話をしていたのだ。

 

 

「随分とモテるのね〜、た・つ・や・く・ん★」

 

 

「・・・。」

 

 

試技を終えて達也が控え室に戻ろうとすると会場脇で観戦していた真由美が『笑顔』で出迎えてくれた。、、、、負のオーラをまとって、、、。

 

 

(・・・恐ろしい。)

 

 

達也は珍しく、本気で恐怖に体を支配されていた。真由美の笑顔から放たれたる、何とも言い難いプレッシャーがかつて無いほどに、達也の恐怖を引き立て、体を硬直させる。

 

「この後の選手たちへの牽制っていうのは分かってるけど・・・ちょ〜っと、目立ちすぎじゃないかな?おかげで、あんなに女の子がウットリした目であなたの事を、見てるわよ?」

 

 

尚も笑顔で詰め寄ってくる真由美。こういう時の対処は決まっている。

 

 

「すいません。」

 

 

そう、謝るしかない。下手な言いわけをして話を話がコジれると一週間は口を聴いてもらえないからだ。

 

 

「・・・まあ、今回は多めに見てあげるわ。」

 

 

明日は真由美のクラウド・ボールの試合を担当しなければならない。そんな時に、つまならい事で喧嘩をしていれば、気まずいどころの騒ぎではない。そんな思いも相まって謝罪だったのだが真由美は案外すんなりと許してくれた。

 

 

「旦那様のカッコイイ所を見れて私も嬉しいもの♫」

 

 

今度はいつもの笑顔ですり寄ってくる真由美。それなら、最初から怒らないでほしいのだが。また話をぶり返す事は避けたいので、達也は大人しく抱き枕に甘んじていた。

 

 

 

 

********************************************************************

 

 

真由美が満足したので試合の準備に向かう。そして達也が孝一達が居る場所に顔を向けて口を開いたのだ。

 

 

「お前達は、いつまでそこで見て居るつもりなんだ?」

 

 

「仕方ないだろ達也?お前が、そんな事してたんだかろよ?」

 

 

「確かに孝一の言う通りだな。」

 

 

「俺はリムルと同じく。」

 

 

「俺も、兄貴と同じ意見だ。」

 

 

「私は面白そうだったのだ!」

 

 

「お前らは相変わらずね。」

 

 

孝一達は口々に言うと達也がため息をつきながら、そう言ったのだ。

 

 

「しゃーねだろ。俺達は何時もこうなんだから?」

 

 

「まあそこはツッコムのをやめておこう。」

 

 

 

 

***************‘*****************************************************

 

 

 

 

「お義姉様の試技が始まるわね。」

 

 

「女子の方も、真打登場だね。渡辺先輩は第三レースだから、十分に間に合うし。」

 

 

深雪の言葉に反応してほのかが答える。ほのかは、新人戦の方で『波乗り』に出場するので優勝候補の摩利の試合は、ぜひ見ておきたかった。

 

 

「予選では達也さんのみたいに大破壊力を以って標的を一気に破壊すると言う戦術も可能だけど準々決勝以降は精密な照準がようきゅうされる。」

 

 

「普通なら、予選と決勝トーナメントで使用魔法を変えるところだけれど・・・・。」

 

 

「七草会長は予選も決勝も同じ戦い方をする事で有名ね。」

 

 

深雪が言いかけた台詞を、背後に座ったエリカが横取りする。

 

 

「・・・始まる。」

 

 

雫の声に反応して全員が会場の一点に視線をむける。大型スクリーンに BE QUIET の文字が表示され会場全体が静まり緊張が漂う。

 

開始のシグナルが点った。軽快な射出音と共に、クレーが空中を翔け抜ける。

 

 

「速い・・・!」

 

 

真由美は首を傾げず、真っ直ぐに立ってCADを構えている。その立ち姿は、銃をよりも寧ろ、弓の構えに似ていた。クレーが次々と、不規則な間隔で打ち出される。射質数は5分間に百個。平均すれば三秒に一個。

 

 

真由美はその全ての標的を、一個の取りこぼしもなく、個々に打ち砕いて行く。五分の試技時間は、あっという間に終了した。

 

 

「・・・パーフェクト。」

 

 

ゴーグルとヘッドセットを外し、客席の拍手に笑顔で答える真由美。

 

 

「ドライアイスの亜音速弾、ですね。」

 

 

「ええ、お義姉様が得意とされている、実体弾での狙撃は相変わらず精度ですね。相変わらず。」

 

 

美月の質問に深雪が答えると観客席で応援していた深雪の視線に気づいた真由美が、深雪に向かって手を振り深雪も、少し照れくさそうにしながら、真由美に手を振り返した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

予選を通過が確定となった達也と真由美は二人揃って、摩利の応援に来ていた。孝一と夏、リムル、ミリム、ディーノは別の場所で試技を見て居たのだ。

 

 

九校戦のバトル・ボートは全長三キロの人工水路を三周するコース。予選を一レース四人で六レース、準決勝を一レース三人で二レース、三位決定戦を四人で、決勝レースを一対一で競う。平均所要時間は十五分。

 

 

「摩利さんなら大丈夫ですよ。」

 

 

「三年連続だからね、昨年も優勝してるし。」

 

 

昨年、優勝したからといって今年も優勝するとは限らないが少なくても、予選をとりこぼす事はないだろう。

 

 

「始まりますね。」

 

 

開始のシグナルが鳴り一斉にスタートする。しかし、ここで他校の生徒が自身が起こした大波に足を取られ周りの選手も巻き込んでいくが、摩利はものともせずに進む。

 

 

「硬化魔法の応用と移動魔法のマルチキャストですか。」

 

 

「正解。摩利は複数の魔法科をマルチ・キャストする技術に長けているからね。」

 

 

「相変わらずだな。」

 

後ろから孝一と夏、リムル、ミリム、ディーノが姿を現して観客席にやって来たのだ。

 

 

「お前達も珍しいな余りこう言う事に興味がなさそうだから。」

 

 

「達也、俺や夏は必要以上に見たくないだけだぞ?」

 

 

「孝一の言う通りで俺やミリム、ディーノは立場上、仕方ない事だろ?」

 

 

「まあ、それは置いておこう。」

 

 

摩利が実際に魔法を使っている所を見た事がない達也やリムル、ミリム、ディーノ、夏に真由美が説明したのだ。

 

 

「面白い使い方だな、、、。確かに硬化魔法の対象は、単一構造物のパーツである必要はない。うん、これなら。」

 

 

「達也くん?」

 

 

「おい、達也。いつものが出てるぞ。」

 

 

天才技術者の性か、物思い耽りかけた達也を、真由美の声が引き戻したのだ。摩利の姿は、スタンド影に入って見えなくなってしまっている。達也は「何でもない。」とお茶を濁し大型ディスプレイに視線を戻す。そして、このレースは摩利の独走で決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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孝一とリムルは一高の本部テントの前に居ると、孝一の恋人の一人である愛梨がやって来たのだ。因みに夏、ミリム、ディーノはスピード・シューティングの試技が行われる会場に居る。

 

 

「孝一、少し良いかしら?」

 

 

「なんだ、愛梨?」

 

 

「少し気になったんけど、其方の彼は誰かしら?」

 

 

愛梨が孝一と話をし始めると愛梨がリムルの方に目を向けて、孝一に尋ねたのだ。

 

 

「ああ。おい自己紹介するんだ。」

 

 

「ああ、一高一年、俺はリムル・テンペストだ。」

 

 

「テンペスト?そんな家、聞いた事が無いは。」

 

 

「愛梨。リムルは俺と同じ七武海で八人いる魔王である八星魔王の一人だ。」

 

 

「七武海で魔王!?彼が!?」

 

 

愛梨がリムルの名前を聞いて考え事をするが孝一がリムルの正体を伝えると愛梨が驚きの表情でリムルを見る。

 

 

「良く言われるよ。見た目がこんなんだしな。」

 

 

「そりゃ、そんな女みたいな顔をしてたら誤解されるし信じられないだろうな。」

 

 

リムルがそう答えると孝一が適当に返答する。

 

 

「そろそろ、スピード・シューティングの会場に向かうか。」

 

 

「そうだな。」

 

 

「愛梨、また後で。」

 

 

「ええ、分かったは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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準々決勝は女子の第一試合に真由美、第三試合が達也になった。

 

 

「満席だね、すごい人気。」

 

 

「さすが、お義姉様!」

 

 

驚いているほのかに対し、これが当然と言わんばかりに喜んでいる深雪。因みに孝一とリムルは席が無かったので会場の屋根から試合を見ていた。

 

 

「ここからは対戦形式になるんだよね?」

 

 

「うん、七草先輩は赤色だね。」

 

 

エリカの質問に鋼が答えるとある事に気がつく。

 

 

「あれ、幹比古は?」

 

 

「気分が悪くなったんだって。部屋で休んでるって言ってた。」

 

 

鋼の質問に答えた後、だらしない、とエリカが表情で付け加えた。

 

 

「熱気に当てられたみたいですよ。私もメガネを掛けていなかったらダウンしてかもです。」

 

 

美月が幹比古をフォローする。なる程、感覚が敏感すぎるとそう言う事もあるか、と鋼は思う。

 

 

しばらくして、真由美のシューティングレンジに姿を見せた瞬間、嵐のような歓声がスタンドを揺るがした。そして、競技開始のシグナルが点灯を始める。

 

 

空中を円盤が乱舞する。赤く塗られたクレーは、有効エリアに飛び込んで来た瞬間、ほぼ同時に撃ち砕かれていく。

 

 

「すごい、、、。」

 

 

後ろから聞こえてきた感嘆の声に、皆、心の中で納得した。

 

 

 

 

 

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真由美と対戦している選手は、移動魔法でクレー同士をぶつけてポイントを取る対戦形式では、オーソドックスな戦法だ。そして、練習よりも落ち着いて魔法を使えていた。

 

 

(あちらさんの、すばやい狙撃のおかげで自殺点の心配が無いしお互いの魔法が干渉する心配もないから自分のクレーに集中できる。それにどんなに命中精度がよくても、直線的な弾道に弱点がある。)

 

 

クレーの射出点から、赤と白のクレーが放たれる。二つのクレーは、そのまま平行に並んで飛翔する。選手側から見て、赤が白のクレーの陰に隠れている。

 

 

(これ!!こちらのクレーが射線をふさいでいるうちは絶対に撃てなーー)

 

 

パリン

 

 

「なっ!!」

 

 

死角であるはずのクレーが破壊され、魔法の操作が一瞬だが遅れる。遅れた分、クレーが外に行ってしまい、有効エリア外に出てしまった。

 

 

「下だ、下から撃ったぞ!」

 

 

「いったいどうやって!」

 

 

客席からのザワついた声も真由美には届かない。100%集中した状態で、残りのクレーを全て破壊する。

 

 

 

 

 

 

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「七草先輩じの『魔弾の射手』・・・去年より更に早くなってる。」

 

 

 

『魔弾の射手』

ドライアイスの弾丸を打ち出す魔法『ドライ・ブリザード』の射出点をコントロールする魔法。相手の領域干渉の外から狙撃する事が出来る。

 

 

「お義姉様が得意とする、Aランク魔法。やはり、高校生レベルでは勝負になりませんでしたね。」

 

 

深雪のつぶやいた言葉に、反応する者はいなかったが皆、深雪と同じことを思っていた。

 

 

 

 

 

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「お疲れ様です。」

 

 

「全然、疲れてないわよ。まだ、2試合あるんだから。」

 

 

「それもそうですね。

 

 

準々決勝が終わってすぐに達也の下に来た真由美は達也に膝枕してされながら、頭を撫でてもらってご機嫌だった。

 

 

「次は達也君の番ね、どうやって戦うの?」

 

 

「始まってからのお楽しみです。」

 

 

ぶー、と拗ねた様に顔をそむけながらも、達也の膝から離れようとしない。達也は競技開始まで真由美の綺麗な髪を撫でていた。

 

 

 

******************************

 

 

「あっ、達也君が出て来た。」

 

 

達也の登場に歓声が上がる。意外な事に、女性からだけでなく、男性からの歓声も混じってる。

 

 

「予選で見せた『ヘルヘイム』は滅多に見られるものじゃないからね。魔法を理解してる者なら興味を持つのは当たり前か、、、。」

 

 

「次は、どんな戦法で来るか楽しみって人もいるだろうね。」

 

 

鋼がシミジミとつぶやいた言葉に体調が戻って皆と合流した幹比古が相槌をうつ。今回、達也が狙うのは真由美と同じ赤のクレー。達也が壇上に立ち、一呼吸おいた所で競技開始のシグナルが点滅する。

 

 

シグナルが青く輝き、最初のクレーが発射される。発射されたのは、赤のクレーが二つ、白のクレーが三つ。

 

 

達也が魔法を発動する、選んだ魔法は『ツイスト・スフィア』

 

 

『ツイスト・スフィア』

 

収縮・加速の系統魔法。空気を圧縮し、螺旋状の球体を作りその球体を中心に、その空気の弾丸を飛ばす魔法。ただし、球体の位置は発動したばしょからは動かせない。

 

 

達也は『ツイスト・スフィア』を有効エリアの中央に配置し有効エリアに進入して来た相手選手のクレーを空気の弾丸で自殺点にならないよう、有効エリアの外に弾き出し自分のクレーを打ち砕いた。

 

 

「バ、バカな!?一つの魔法で違う威力の空気弾を出すなんて!!」

 

 

「ありえない!!」

 

 

客席からザワザワとした声が漏れる。そして、その疑問はエリカやレオ達にも当てはまった。

 

 

「深雪、あれはいったい、何!?」

 

 

「どうして、違う威力の空気弾を出せるんですか?」

 

 

エリカと幹比古も興奮していて、すごい剣幕で深雪に詰め寄る。達也はこの間も、相手選手のクレーを有効エリアの外に追い出し自分のクレーを一つ残らず破壊している。

 

 

「落ち着いて二人とも、ちゃんと説明するから。」

 

 

自分たちが興奮しすぎていたのを自覚したのか二人とも少し顔を赤くして大人しくなる。しかし、説明を求める姿勢は変わってない。

 

 

「お兄様は『ツイスト・スフィア』を放つ瞬間にあらかじめ、二つの変数を入力する事によって強い空気弾と、弱い空気弾を使い分けているの。」

 

 

「変数を二つ?」

 

 

「ええ、多数変化は、お兄様が得意とされている分野ですから、、、残念ながらこの分野は学校の成績に関わらないけれど、もし多数変化が成績に反映されれば、私よりお兄様の方が成績が上でしょう。」

 

 

皆が驚いる中、達也は最後のクレーを破壊し自分はパーフェクト、相手を0ポイントに抑え、完全勝利をもぎ取った。

 

 

 

 

 

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一日目の競技、スピード・シューティングは、大方の予想通り女子部門で真由美が圧勝、男子部門も達也が相手に1ポイントも取らせずに完全優勝を果たした。

 

 

 

「会長、おめでとうございます。」

 

 

「ありがとう。摩利も無事、準々決勝進出ね。」

 

 

「まずは予定通りだな。」

 

 

真由美の部屋に女子生徒会役員(プラス風紀委員長)が集まっていた。まだ、一日目が終わったばかりであり、真由美は明日も競技がある。今はジュースで簡単な祝杯を挙げている所だった。

 

 

「少しヒヤッとしたが、服部も何とか勝ち残りか。」

 

 

「CADの調整が合ってなかったみたいです。試合が終わってからずっと、木下先輩と二人で再調整してましたけど、、、。」

 

 

服部がギリギリの予選通過だったので明日の調整次第では準々決勝以降に影響が出ると考えていた。

 

 

「幸い、木下君は明日オフですから、納得いくまで調整してみるしかないですね。」

 

 

「そうね、明日は私も頑張らないと。」

 

 

「頼むぞ、優勝候補筆頭何だから。」

 

 

「そうですね、会長が優勝するのを見越してポイントの計算しているので、ここでつまずかれると後々で支障が出ますから。」

 

 

「もう!プレッシャーかけないでよ!!」

 

 

ハハハと笑いがおこり、真由美の事を考え、その日はお開きになった。

 

 

 

 

 

 

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一方、孝一はホテルの屋上で富士山を見つめながらある事を言ったのだ。

 

 

「もう時期だ。オロチの卵を封印をする時が来る。」

 

 

 

孝一がそう言うと一瞬だが魔人態に姿が変わる。



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