神に間違えて殺られた俺達が生き残る為に頑張って歴史を変えるようです? (soryu_tayhoone)
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第壱話 あれ?よくある転生って異世界じゃ?

今迄は読専でしたが自分も書いてみたくなって書いてみました




ーー小笠原諸島近海

 

その海域ではとある国が超大国に対して正に最後の決戦をしている最中であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!! 両舷より多数の魚雷艇が更に接近セリ数300以上!!」

 

「左舷及び前方より敵駆逐艦7隻と敵機計500接近! なお前方の敵機群には重爆100、左舷には40機程度の重爆を確認!また、前方に展開している敵駆逐艦は本艦の進路を妨害する動きを見せています!!」

 

「右舷飛行甲板鎮火しつつあり!されど後部飛行甲板は火の勢いが止まりません!」

 

「あぁっ!!? 『音風』轟沈っ!…これで残存艦艇は本艦の他、僅かな突撃艇と迎撃艇、そして航空機のみであります、、」

 

艦橋では様々な報告が飛び交っているがどれもこれもが凶報ばかりであり、艦橋では暗い雰囲気に包まれつつあった、、かと思われていたが彼等の目は微塵も諦めておらず寧ろ増々闘志に溢れていた。

 

「そうか、だが敵もかなり数を減らしている、それにもう間も無く奴らのど真ん中に着くし味方機も奮戦している、何としても持ち堪えろ」

 

「「了解っ!!!」」

 

 

(はぁ~、、如何やらここまでの様だ、だがまぁ、ここまでアメリカに大損害を与えたんだ、何とか講和まで持ち込んでくれよ皆?、、さて後は、と)

 

 

「皆、ここまで付いて来てくれて有難う、皆が奮戦したおかげで敵は殆どの戦力を失った、幾ら物量が有るとは言え、これ以上は向こうも世論が許さないだろう」

 

「あと少しだ、諸君、何が何でもこの作戦を成功させて講和に持ち込み、祖国を、、、未来を救うぞ」

 

「はっ!! 司令!我々も最後に司令と共に戦う事が出来て光栄であります!!」

 

「…そうか」

 

 

(ホント、この人たちの『覚悟』には敵わないな、、)

 

(思えば此処まで来るのに随分とかかったのに体感ではあっという間だったな、、まさか自分達がこの「激動」を体験し、関わる事になるとなぁ、、)

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「激動の時代」

 

 

 

 

これを聞いて真っ先に思い浮かべるのは恐らく昭和初期から中期でしょうか、、

 

然し、昭和以前の明治からが本当の「激動」とも言えるのでは? 

 

いやいや、明治よりもっと前の江戸後期からだと言う方も居るでしょうしそこは個人個人でありましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……まぁ、それはさておきましょう、、

 

ですがその中でも特に、「明治から昭和初期」という3つの元号を跨いだこの時代は正しく、間違い無く、一番の激動だった時と言えるのではないでしょうか。

 

江戸時代、鎖国をしていたとは言えどオランダ等と限定貿易をしていた日本は、外国から次々と入ってくる新しい技術に只々驚き、そしてその驚きは焦りや脅威へと変わっていきました。

例えば、こっちの使用している銃と言えば先込め式で尚且つ火縄の為に雨天時は濡れない様に気を付け無ければならない、対して彼等が見せた物は雨の心配もなければ引き金を引くだけで銃弾が発射される新型銃。

ともすれば当時の長距離を移動する方法と言えば籠、若しくは自分の足で歩く為に片道だけで数日、往復しようものなら最悪2週間以上はかかってしまいます。

然し、相手が持って来た物は模型ではありますが、蒸気機関車と言う大量の人や荷物を運び、それでいて長距離をたったの数時間にまで短縮出来る新しい運搬技術等々、、当時の日本には無い魅力的な物が沢山入って来ておりました。

 

だからこそ当時の日本は大いに警戒し、脅威と認識しました。

 

『もしこれ等と同等の力を持たねばこの国は諸外国の食い物にされてしまう』

 

『その為には変化を恐れてはいけない、何としても開国し、力を蓄えて彼等と対等にならねば』と

 

こうして第二代将軍秀忠の時代から実に200年以上もの長きに渡って続いていた江戸の鎖国体制は、この国の先を憂いた先人達の努力によって様々な混乱や困難が立ちはだかりつつも遂に終わりを迎え、元号を明治と改め、新たに発足した明治新政府と共に開国する事が出来ました。

 

そうして明治維新によって開国し、たったの30年足らずで列強と同等かそれ以上に力を蓄え列強入りした日本。

 

しかしそんな先人達の血の滲む様な努力を各国は虚仮威しと嘲笑い、或は脅威と認識し、或はただ調子に乗った出しゃ張りと。

 

そして何よりも「つい数十年前まで鎖国をしていた(それでも一応はオランダやアメリカ等とは貿易をしていたが)極東の島国、それも白人ですらない有色人種である者達が列強を名乗るとは片腹痛い」と蔑んだ。

 

そう、時代はヨーロッパの国々がアジア地域や中東、そしてアフリカ等の国々を征服して植民地とし、その支配地域から豊富な資源、そして奴隷として現地人を連行し、文字通り全てを搾取していた正しく『白人こそが全てにおいて頂点でありそれ以外の人種は人間に非ず、家畜と同等である』と言う『白人至上主義』こそが『正義』であり『当たり前である』として認識され跋扈していた時代であった。

 

その様な『白人至上主義』が当たり前の時代に有色人種の代表として少しずつ頭角を現してきた日本ではあるがその日本に様々な国難が襲ったのである。

 

日英戦争、日清戦争、、、そして日露戦争等に至るまで先人達は幾度も大国を相手に奮戦し、その勇猛果敢な精神力と類まれなる努力と勇気によってかの大国達を跳ね返す所か勝利までして見せたのである。

そしてとある出来事が世界中に報道された事によって各国はその認識を漸く改めたのである。

 

 

『大国ロシアが極東のサムライに敗北した』

 

 

この報道は、それまで『有色人種は我々白人にかなり劣っている為、奴らが我々に適う訳が無い』と高を括っていた各国にかなりの衝撃をもたらし、各国の列強達は事ここに至って漸く、日本の力が揺るぎない事実であり、真に本当だと認識したのである。

 

先人達の努力は遂に実を結び、そしてこれを切っ掛けに真の意味で漸く列強の仲間入りを果たす事が出来た日本ではあったがそれはスタートラインに過ぎなかった。

 

そんな各国で今一番の話題になっている日本が国際の場で提示・提案したのは、簡単に言えば「白人も有色人種も皆平等に」詰まりは植民地政策をやめて全植民地を独立させ、お互いが差別なく平等に接する、そして「女性の社会での地位向上」等と言った今では当たり前の事となっているものではあったが、当時から見ると非常に先進的過ぎるものでした。

 

だがその提案は、それまで植民地から甘い蜜を吸い上げ巨万の富を築きあげていた各国にとってはかなりの衝撃であり、これまでの白人優位が揺らぎかねない事であるので直ぐに猛反対をしましたが、日本は根気よく会議や交渉を続けました。

 

一方、今迄散々に列強各国によって虐げられていた当時の植民地の人達からすると、日本がもたらしたその提案は夢の様であり、一筋の希望であり、そして切実な願いであり想いでした。

 

そうして少しずつ、然し着実に各国から理解を貰っていった日本にまた国難が降りかかったのです。

 

それは、サラエボ事件などを切っ掛けに次々とあらゆる層の不平不満が暴発し遂には世界中を巻き込み、これまでの戦場を過去へと追いやった戦車や航空機等の新しい兵器や毒ガス等を使用する戦術と、全くの新しい概念が誕生しそれまでの戦い以上に悲惨になったあの大戦争

 

     「第一次世界大戦」

 

そしてその大戦の悲惨さから国際連盟を発足したにもかかわらず僅か19年で破られ、先の大戦以上に凄惨さを極めた通称WW2と呼ばれた大戦

 

   そう「第二次世界大戦」である。

 

そして、先の大戦において戦勝国側になる事ができた日本は更に力を蓄え、今次大戦ではずっと掲げていた「平等」を実現させる為に、日本は「枢軸国」と言う同盟を新たに組み、今迄の大国以上に国力を持った超大国と植民地支配を続けている列強から成る「連合国」に対してたった一国で立ち向かって行き、様々な紆余曲折がありつつも、最終的には全ての植民地は独立する事が出来、かつての支配国はその地域からの撤退を余儀なくされたのです。

一方で日本は初期からの勢いそのままに快進撃を続けるも、徐々にかの超大国の圧倒的物量に押され始め、更に戦争も後半になってくると、同盟国が連合国の圧倒的物量の前に徐々に押され始め、連合国に次々と降伏し、遂に最後の一国となった後も頑強に抵抗をするものの、その後は皆さんもご存知の通り、最終的には日本の無条件降伏受諾によりこの大戦は終結しました。

 

 

        

        そう、終結する筈でした

 

 

        その様になる筈でした  

 

 

  然し、「彼等」が居た事によって歴史が狂い始める

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーその出来事は何の前触れもなく唐突に起こった。

 

 

 

 

 

2021年8月某日

 

 

 

夏の暑さと強烈な太陽の日差しがアスファルトをジリジリと焼き付け、街路樹や近くの公園の木々で蝉達の奏でる大合唱を聞きながら、数人の男達が歩いていた。

 

 

 

 

 

「はぁ、何でこんな暑ぃ日に授業やねん、、しかも夏休みの間とかよぉ、、」

 

「まぁまぁ確かにそうだけど半日だったしええやん」

 

「それでも納得いかんZOY」

 

「禿同」

 

「左に同じく」

 

「でもこの後は霧野ん家に集まってゲームするんじゃろ?」

 

「そそ、 それに俺漸く実装された『隼鷹』買ったしさ、くぅ~!早く使いてえ~!」

 

「何ですとぉ!? 日本の軽空母では初実装になったやつもう買ったのか! いいなぁ、俺もバイトしよっかな、、」

 

「フッ、先輩達が就活でヒィヒィしてるのを尻目に俺達は趣味を貪る、、最高だぁ!」

 

「それそっくりそのまま来年の俺達でブーメラン乙」

 

「グハァッ!! 言わないでぇ、、」

 

「…そうだけどさぁ、、普通出校日って先生からチョロっと話あった後に途中経過の宿題見せるぐらいでその後は直ぐ解散じゃん? だから10時前にはもう終わってる筈なのに何をどう思ったら「ちょっとは教科書進めたいし昼までやろっか♪」てなる訳よ?」

 

「んー、でも殆どの生徒は同じ時間に帰ってたし元々予定してたんじゃ?」

 

「しかも何故か歴史だけというね」

 

「確かに俺達歴史は好きだが只管それなのは無いわな」

 

「まぁ、、全く進んでなかったのも事実だし、、」

 

「つーかたった1,2時間で江戸から冷戦の入口までとか余りにもはしょりすぎて寧ろ身に入らんのだが?」

 

「そこはほら、教科書って薄いし多少はね? まぁ、確かに色々はしょりすぎだったよな、、」

 

「ま、まぁいつまでも愚痴らないでさ、もう終わったで落ち着きいや」

 

「…はぁ、切り替えるか、、」

 

「…だな」

 

 

 

 

    …ブゥゥゥン

 

 

 

 

 

 

 

 

とその時、お互いに愚痴を言いながら帰路についていた彼等の後ろから大型トラックがふらつきながら猛スピードで迫って来ると、まるで誘導されているかのようにそのまま男達の方へ突っ込んでいった

 

 

 

 

<ブゥゥゥゥン!!

 

 

 

「ん?」

 

「…はい?」

 

  

     

 

 

      キキィーー!!

 

 

      ガシャーン!!

 

 

 

 

<うわー! トラックが突っ込んだぞー!

        おい学生が巻き込まれてるぞ!>         

<本当だ!早く救急車を呼ぶんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーー??

 

 

 

 

 

 

?「、、、、さい

 

「…うーん?」

 

?「、、ださい!

 

?「起きて下さい!!」

 

「はっ! …え?ここ何処?」

 

?「あっ!目が覚めましたか、よかった~」

 

「えー、、と貴方は?それに此処は一体?」

 

?「ってそうでした! 私は神で此処は天界ですよ!」

 

「え?神様?天界? 、、そう言えば俺達って確かトラックに、、うーん?よく思い出せんな、、」

 

「「うぅ、、」」

 

「! お、お前ら気付いたか?!」

 

「おう、、あれ?此処は?」

 

「何か天界らしいで」

 

「えぇ、、(この人頭おk?)」

 

「(いや、如何やら本当らしい)」

 

神「あの、、そんなに引かなくてもいいじゃないですか、、」

 

「あ、すみません、、それでどうして自分達は天界?とやらに? 確か学校から帰る途中だった筈ですが、、」

 

神「ええとですね、そのぉ、、非常に申し上げにくいんですが皆さんは暴走したトラックに巻き込まれて死んでしまったんです、、」

 

「「うっそん!?」」

 

「マジかよ、、」

 

「でも確かにトラックが俺達の方に来てたような、、」

 

神「で、ですね、、」

 

「? どうかしました?」

 

神「そのですね、、実は、、」

 

「「実は?(あ、()な予感)」」

 

神「間違えて皆さんを()ってしまいまして、、」

 

「「言い方ぁ!!」」

 

神「ひぃぃ!!すいませんすいません(わざ)とじゃないんですよぉ!!」

 

神「うっかり何ですぅ!!」

 

「余計たち悪いわ!!」

 

「全くだ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「ゲームどないすんねん!!」

 

「ほんまやで! 今迄の苦労(課金)どうしてくれるんや!! 折角新しい艦買ったのにまだ使ってないんやぞ!?」

 

「いやそれ今はちょっと、、」

 

神「でででですからおお詫びとしてですね!貴方方6人にはですね!転生をして頂こうと思いましてですね!……はい、、」

 

「え?そうなの?」

 

「何か言語狂ってね? 大丈夫? 流石にビビりすぎじゃ?」

 

「ん?てか転生てあれか? よくある異世界に転生して無双するぜ!ってやつか?」

 

「おぉ!! 俺TUEEEE!!! てやつか!」

 

「いいですねぇ(ニッコリ)」

 

「神は俺達を見放していなかったZE」

 

「いや俺達その神に殺されたんですが、、」

 

「っは! そうだった、、お艦、、」

 

神「そのような感じですね。大丈夫です!ちゃんとチートつけますから!」

 

「は? 間違えて殺したん(そっちのミスなんだ)だから当然だろぉ??」

 

「「確かに」」

 

「今迄の苦労(かね)返せ!!」

 

「「少しお前は黙ってて?」」

 

アッハイ

 

神「あのー、、もうそろそろ宜しいですか?」

 

「「何時でも!!」」

 

無双♪ 無双♪(ヒャッハー!チートだぁ!)

 

「「いや落ち着け」」

 

神「ではいきますね! あ、あと気を付けて下さいね?」

 

「ん?」

 

「気を付けて?」

 

 

 

 

 

 

と、何時の間にか現れていたロープを引っ張ると彼等の足元が突然開いた

 

 

         パカ

      /    \  

     

         

「「はい?」」            

 

        

神「ん?…あぁッ!!? 時代設定バラバラになってるぅ!??」

 

 

「「はぁ!!? 何してくれてんだこの駄神ぃぃぃ、、!!」」 

 

「てか時代って何だァァァァァ、、!?

 

 

 

 

 

     ヒュゥゥゥゥゥン、、  

 

 

 

 

そんな言葉を最後に彼等の視界は真っ白になった、、

 

 

 

 

 

 

神「…はぁ、またうっかりしてしまいました、、」

 

?「ホントになぁ?」

 

神「ひぃっ!? か、課長、、」ガタガタガタガタ

 

上司「全く、、お前の尻拭いしてるのいっつも俺なんだけど? んでもっていっつも"あの方〟に怒られるの俺だしもう嫌なんだけど?(ニッコリ)」

 

神「あ、ひ、あ、、」ガタガタガタガタガタガタ

 

上司「とりあえず反省文50枚と始末書10枚ね?(ニッコリ)」

 

神「あ、あ、、、はい、、」ガックシ

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ーー何処かの浜辺

 

 

 

 

「うーん、、眩しかった、、」

 

(所で此処は何処だ? 確かあの駄神は「時代」と言っていた、、とすると少なくとも地球なのは間違いない筈)

 

(これが中世とかだとマジ勘弁だが、、ん?)

 

「、、ーい、、ん、、い?」

 

(お、あれは、、着物?と言う事はここ日本か?! い、いや、まて日本なのは嬉しいが着物と言う事は戦国時代の可能性もある、、だが近代まで普段着だったからどんなに最近と見積もっても1940年~1955年辺りの可能性もあるしな、、だがどっちにしろこの学生服じゃ目立つよなぁ、、)

 

「、、お、、る、か、、?」

 

(はてさて、どうすればいいのか)

 

「おいあんた! 聞いてるかい! ボーっとして!」

 

「んぉ!!?」

 

「まーったく漸くかいね? こんな浜辺でずーっと突っ立ってたが一体どうしたんだい?」

 

「ああいえ! 気にしないで下さい、少し考えて事をしていたもので、、」

 

「そうかい? 所であんた誰だい?ここら辺じゃ見ない顔だねぇ?」

 

「あ、自分は霧野、霧野逸壹(きりの いつひと)と言います。 あのー、つかぬ事を聞きますが今って何年でしたっけ?チョットど忘れしちゃいまして、、あとここの場所も」

 

「ん?そら今は明治32年で此処は呉だよ? 、、まさかそれを考えていたのかい?」

 

「!! え、えぇまぁ、、どこだったかなー、と」

 

「いやぁ、心配をかけてしまって申し訳ないです。自分はもう大丈夫ですから」

 

「そうかね、所であんt、、霧野君は見た感じ学生さんにみえるがどうしてここに?」

 

「あ、はい。海軍に憧れて愛知の片田舎からやって来まして、、」

 

「ほぉ! 海軍さんにか!そりゃぁ良い!!ま、頑張りなさい!」

 

「えぇ、ではこれで失礼しますね」

 

「おう! 気を付けてなぁ!!」

 

 

(さて、、)

 

(此処が日本なのはよーっくわかった、、だがしかし、だがしかし、だ)

 

(あとちょっとで日露戦争始まるじゃん!! 何でこの時代やねんあの駄神ぃ!!えぇ!!?下手したら兵士になって戦地で死ぬんですけど!?何が詫びダァーーー!!!)

 

(あ、どの道これより前の方が死ぬ確率が高くなるだけか、、はぁ~、、)

 

 

 

 

そう心の中で叫ぶのであった

 

 

果たして彼は無事に仲間達と合流できるのだろうか

 

 

 

 



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第弐話  これからどうs、、ん?何かこの時代にしては艦がデカ過ぎない?

「さて、ああは言ったもののどうするか、、」

 

俺は先ほど話し合っていた人と別れると、此処に何時までも居る訳にはいかないので取り敢えずは海沿いを歩きながら頭の中で情報を整理していた

 

(さっきの人の話が本当なら今は明治32、、えーと西暦だと1899年だったか?)

 

(確か日露戦争の始まりが1904年からだったから、、5年後やんけ! アカン、、下手したら徴兵されるのが目に見えるぞ、、)

 

「だがある意味呉に飛ばされたのはラッキーか? よく考えたら今の俺は完全に不審者だしどうせなら今の内に海軍に入っとけば陸軍に比べてまだ少しは生き残る確率は高くなる、てか仮に何処かの店なりに運良く働く事が出来てもどのみち徴兵される際にバレるだろうし、、それにこの時代ならまだ戸籍云々はまだゆるい筈、、ゆるいよね? ん?これは?」

 

何と無くズボンのポケット付近を触っているとガサッと音がした為、ポケットに手を入れてみた所、自分のスマホと共に身に覚えのない紙が折り畳まれて入っていた。

 

「あ、そいやスマホ此処に入れてたんだったな、 んでこれは?」ガサ

 

 

 

 

『 霧野君へ

 神です、、また私のうっかりでこんな事になって申し訳ありません、、ですので更なるお詫びとして戸籍を用意しておきました。あ!勿論全員の分ですから安心して下さいね! 後、天界でお話したチートは2021年迄の知識を皆さんの頭に入れておいたのと、知識があっても自分で使いこなせないと意味が無いので皆さんの体には技術力を叩き込んでおきました! すごいでしょう!ではでは! 良き二度目の人生を楽しんで下さい。 神より 』

 

    

 

「……あの駄神め、、うん?下の方に小さい字で何かが?」

 

 

『 追記:あ!書き忘れてました!先ずは広島市の方に行ってみて下さい、そこにお友達がいますよ~ 』

 

 

「だから何でこういう大事な事は後から出すんだよ!!」

 

 

「、、はぁ 取り敢えず行き先は広島市の方に決定だな。良かった~場所がまだ近くて」

 

「あ、、てか広島市だけじゃ何処にいるかサッパリなんだが、、しっかし友達て誰のことだよ、、まぁ、海沿いに進むかぁ、、」

 

 

 

 

そうして只管に歩く(時々走ってみたり)こと暫し、、

 

 

 

(な、何とか広島市の町が見えるとこまで来たぞ、、まさかスマホで時間を確認したら丁度お昼の時間に飛ばされてたとは、、しかもご丁寧に日付まで変更されてたし、これによると今は9月だったのか、道理でちょっと涼しい訳だよ)

 

(てか今気付いたけどこのスマホ、電池は減ってねぇわ何故かアンテナたってるわで多分書き忘れだろうけどこれが一番すごいんじゃないのか?)

 

(まぁ、今日はもう暗くなってきたし此処らで野宿だな、野宿、、初めてだけど)

 

「確か熊とかに襲われない様にするためには木の上で寝るって旅好きの親戚が言ってたな、、木登りって幼稚園の時以降やってないなー、、」

 

「はぁ、、うし、がんばるぞー、おー、、」 ガシッ

 

「ヒ、ヒィ、、何とか、何とか登れたぞ、、」

 

「寝るか、、寝れるか、、いや、無理にでも寝なきゃ持たんな」

 

  Zzzz,,,

 

 

 

 

 

 

ーー翌日

 

 

 

<パッパラパー、、

 

 

 

遠くから聞こえるラッパの音で目が覚める

 

 

 

ガサガサ「うーん、、?」

 

「うわっ! アブね!」 ズルッ

 

「そうだった、木の上で寝てたんだった、、安全の為に上ったのに危うく真逆の事故を起こすとこだった、、」 ヒョイ

 

とんっ 「フー、、ん? ん?」

 

「昨日は時間が時間だったで歩くのに必死なのと余り目立たない様に海が見える範囲で時々山に入ってたから全然気付かなかったけど、、」

 

「あれ、、恐らく富士型っぽい戦艦が見えるのはいいが明らかに5隻は見えるんですが、、」

 

「と言うかよく見る写真と違うような、、あれ?人の大きさの割にデカすぎない? 富士型って確か全長は125mらへんだった筈だぞ」

 

「だが俺の観察眼(笑)(よく見る写真と比較すると)だと、、この時代の日本人の平均身長は、、えーっと、大体140~150㎝前後だったから、あの富士型っぽいのは人の大きさからして、、、うん、明らかに太平洋戦争時の重巡クラスですねぇ、、え?」

 

ま、目はいい方だからこれくらい余裕だぜ! だがどういう事だ??

 

「それによくよく見たら周囲にいる巡洋艦や水雷艇達も資料に載ってるのよりデカい気がするな、、一体どういう事だ?」

 

「、、此処で考えても仕方ない、先ずは広島市に入ってからだな」

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

 

そうして更に歩き、何とか昼前には広島市に入る事が出来たのである

 

 

 

「おぉ、、流石海軍の町だ、活気に溢れてるな、、」

 

 

「取り敢えず、、あの艦艇達が気になるし港の方に向かうかな、もしかしたらそこにいるかもだし、てか俺なら絶対に港に行くわ」

 

「だって戦艦だぜ? もう現代じゃ見れねぇもんだから先ずはそこでしょ、と言う訳で行くか」

 

「の前に腹ごしらえ、、あ、お金、、おいおいちゃんとこの時代のお金もあるのか、、はぁ~、本当にあの駄神はよぉ、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー港

 

 

ワイワイガヤガヤ

 

 

<揚げたての新鮮な魚だよー!  

   <どいたどいたー!荷車が通るよー!

         あらこのお野菜いいわねぇ>   

<お!お目が高いね奥さん!

 

           ガヤガヤ

 

 

「おー、流石港の傍の方は更に人やお店が多くて賑わってるなぁ」

 

「さて腹ごしらえも済んだわけですが、、」オソバオイチカター

 

「……うん、明らかにデカいね」

 

「んでもってあの戦艦は煙突の数と艦橋の形からしてやっぱり富士型で間違いないな、、」

 

「だがやっぱり知ってるのと違うな」

 

(さっきバレないように富士型をウィ○で調べたが)

 

(全長122.6m 全幅22.3m 武装は主砲として30.5㎝連装砲が2基、副砲はまず15.2㎝単装砲が片舷5基計10基、そして47mm単装砲が43口径と33口径合わせて片舷12基計24基とあった、、)

 

(だが目の前のこれ(富士型)は主砲の数は一緒だが副砲の数が倍以上はあるんですけど、、)

 

(それにやっぱり見間違いじゃないな、と言うか副砲の数を増やす為に船体を延ばした感じか?みた感じ)

 

(竣工時の写真と比べると明らかに艦中央部が膨らんでるよなこれ、、え?もしかしてこっちに来た瞬間に即改装したとか?)

 

(それは後にするか、そろそろ移動しないとこれ以上はずっと見てると怪しまr、、)

 

 

 

「貴様、此処で全く動かずに艦を眺めていたが何をしておるのか?」

 

「ッ!!?」

 

これ以上は怪しまれると思いその場から離れようとした時、後ろから声を掛けられた為、振り返ると2人の兵士が霧野に警戒しながら近づいてきた

 

 

(遅かったぁ!? やばいやばいやばい(汗))ツツー

 

「えーとですね、、そのぉ、近くで見るとその力強さに圧倒されて見入ってしまったというかですね、、」

 

「ほう?その言葉は嬉しいが、しかし貴様のその格好はこの辺りじゃ見ないものだが? 学生にも見えるが、、」

 

「あー、自分は愛知から来た学生して、、」

 

「む?そうなのか?だが愛知から何しに来たのだ?」

 

(どうする、、これ以上はジリ貧だ、、)

 

 

 

この時、早速ピンチになって焦っている彼に救いが訪れる

 

 

 

?「おぉ! 此処におったか逸壹君!」

 

(!? 誰だ?いやどっかで見たような、、?)

 

「ん? あっ!!? ち、中将殿!?ななな何故こちらに!??」

 

「ん? あぁ、彼、、逸壹君を探していてね。 彼は私の友人のご子息何だが海軍に憧れてて入りたいと言って遠路からこっちに引っ越してきてね、私が時々勉強何かを教えてあげてたんだよ」

 

「そ、そうだったのでありますか?」

 

「そうなのだ。 本当は今日も教える日だったのだが予定外の仕事が午後に急遽入ってしまってね」

 

「流石に直ぐに帰すのも悪いから午後からは軍艦の見学でもどうかと提案してね、だが君たちには変に誤解を与えてしまったようだね、、」

 

「い、いえ! その様な事は!」

 

「そうですよ、自分も動かずに一ヶ所にとどまっていたのが悪いですし、水兵さんたちはちゃんと仕事を全うしただけですから、、」

 

「そうかいそうかい! さて、そう言う訳だから君達はもう持ち場に戻りたまえ」

 

「「はっ! 失礼いたします!」」

 

「さて帰ろうかね?」

 

「あ、はい。 あの、、助けて頂き有難う御座います」

 

「何、別に構わんさね」

 

「はぁ、、? 所で何故自分を助けたんですか?」

 

「ん?まぁ、その服を知ってるからね」

 

「、、え?」

 

「そうだな、、あー、課金厨と言ったらわかるだろ?」

 

「!? ま、まさか、、松田か?!」

 

松田「正解~、 いや~漸く会えたよ~、、ホントに、、」

 

「あ、あぁ、、もしかして結構前に飛ばされたのかよ、、」

 

松田「そうだけど此処よりも家で話すよ、流石に外だとまずいだろ?」

 

「だな」

 

松田「んじゃ早くいこか。 大丈夫、今日は非番だし仲間もいるし」

 

「え?仲間?」

 

松田「それはお楽しみで」

 

「えぇ、、」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーまつだのおうち

 

 

 

 

 

 

 

「さて着いたな」

 

「おぉう、意外と立派な家だな」

 

「あ、これ?何か詫びらしいよ?」

 

「そうなん? ってとこは一応手紙は全員に出したのか」

 

「だな、あの神の事だで抜けてると思ったけどね」

 

「でもそれ聞いた感じ内容は違うっぽいね」

 

「え、まじ?」

 

「かもね。 まぁ、ここに何時までも突っ立ってないで上がるか」

 

「ちょっと待って何でお前が仕切ってんのよ、、」

 

 

<ガラガラ

<戻ってきたぜ~☆

 

?「ん?おぉ松ちゃんかえt、、え? もしかして、、もしかして隣にいるのは逸っちゃんか?」

 

「え?、、その呼び方、まさか高橋か!? どうしたんだまるで技術者みたいな格好して」

 

高橋「みたいな、出なく技術者になったのよ」

 

「、、まじで?」

 

「マジもマジやで」

 

「因みに富士型が港におったやろ?」

 

「ん?あぁ、最も知ってるのとは違ったが、、」

 

「あれ改装したの俺らの指示だから」

 

「そうなの!?」

 

「おう、これでも地位的には上だからね、それについてはまた追い追いね〜」

 

「そ、そうか、、それに言われてみれば確かに松田は中将って呼ばれてたような、、」

 

「そりゃあ日清戦争で頑張ったし、ていうか神の奴あろうことかその真っただ中に俺らをぶち込みやがってよ、しかもご丁寧にこの家まで用意しやがって、、」

 

「序に言うと俺らはこの家で目が覚めたのよ」

 

「そうだったのか、そこはちょっと羨ましいな、俺なんて呉の砂浜だったぜ?」

 

「それはまた、、まぁ何も見えない山の中よりかはマシじゃね?」

 

「だな、、 それで何で軍に?」

 

「あぁ、あの駄神手紙で戸籍作ったって言ってたろ?」

 

「んで俺らが飛ばされた時は丁度日清戦争の真っ只中だから最悪徴兵される可能性がある訳じゃん? そうなったら陸に行かされる可能性がかなり高くでしょ?」

 

「それで松田と相談して取り敢えず陸よりは海の方がましだと結論付けてな、される前に海軍に志願した訳よ」

 

「ただ誤算だったのは黄海海戦の前だったって事だな」

 

「あぁ、てっきりもう終わって後は訓練中に戦争が終わると思ってたからね」

 

「あれ?スマホ使えたけど、、ってそん時は気付かんわな、俺も偶然気付いた訳だしな、、」

 

「あぁ、それについては俺らも戦争終わってから偶々気付いたのよ、バレたら不味いと思ってこの家に隠してたんだけど終わってから何となく触ったらまだ電源満タンだったからそこでね、、まじであの神絶対に許さん」

 

「んでさっきの続き話すけど、そしたら出撃の命令が下ってよ2人でビビってたな」

 

「だな、何せ俺らが乗ってたのは小型の駆逐、、いやあれは水雷艇だったか?兎に角ワンパンされるようなもんに乗ってたからね~」

 

「ただ流れ的には知ってたから、死にたくない一心で滅茶苦茶意見言いまくったりしたからな」

 

「それが功を奏したのかこっちの動きが凄い洗練されたみたいで最終的に清海軍はまさかの全滅しちゃってね」

 

「その後もちょくちょく小規模ながらも海戦があったんだけどその時の海戦で目立ち過ぎたのか一気に砲術長まで昇進した後そこの小規模海戦でも活躍しちゃって、、」

 

「「気付いたらこうなってた」」

 

「えぇ、、最後、、」

 

「「しょうがねぇじゃんこっちは文字通り死にたくない思いで凄い必死だったのよ?」」

 

「一々細かい事は覚えてないよ?」

 

「あ、すまん、、」

 

「ま、もう過ぎたことだし気にすんな」

 

「んだんだ」

 

「まぁ、ともかく無事に会えて良かったよ 後は他の奴らだが、、」

 

「そればっかりはなぁ、霧野みたいにまた後の方に飛ばされてるかもしれんしな」

 

「だな、、あ、とりあえず俺も海軍に入ろうかと思ってるんだが何とかなる?」

 

「おぉ、其れぐらいならお安いご用だぜ」

 

「取り敢えず俺の親戚の子と言う感じで行くかな?」

 

「それでいいんでね? まぁ技術屋になった俺よりも松っちゃんの方が職権乱用してもバレにくいやろww」

 

「ちょw 言い方酷くないかw 確かにそうだろうけどさw」

 

「えぇ、、まぁとにかく助かったよ」

 

「よし、こうなった以上はみっちりと教えるからな!」

 

「おぅ 宜しく頼むぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして感動(?)の再会を果たすと共に海軍に入ると言う目的も何とか達成出来たのであった

 



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第参話 来いよ露助! こっちは更に強化した艦隊でフルボッコにしてやんよw

霧野が何とか海軍に入って4年が経った明治36年(1903年)11月

 

 

 

この4年間は義和団事件(明治33年(1900年))が起こったり、日英通商条約(明治35年(1902年))が締結されるなど概ね史実通りであった

 

然し、この義和団事件を切っ掛けにロシアとは徐々に剣吞な雰囲気が漂い始めていた

 

これに伴い、日本各地ではさらに造船所が増設され、次々と艦が建造、就役していった

 

又、陸軍の方も次々と軍に志願する者が増えたが、余りにも急に兵士の数が増えた為に武器などが不足するという事態に陥り、急遽新たな武器弾薬製造工場が日本中に建てられるといった全くの予想外にも会いながらも、その様な困難を乗り越え着実に国力を蓄え、来るロシアとの戦いに向けて備えていった

 

 

 

 

 

 

 

ーー松田邸

 

 

<ガラガラー

<たっだいも~☆

 

 

松田「おうお帰り~」

 

霧野「うぃ~さむさむ、今日は鰹とお芋が安かt、、あら?今日も高橋は仕事かいな」

 

松田「ん?あぁいや、今日は『漸く解放された~!』って帰って来たんだけどさ、何か彼奴の部下が訪ねてきてね、その後に仕事が入ったとかで泣きながら行っちゃった」

 

霧野「あらご愁傷様w」

 

松田「まぁそう言ったるなwあいつもあいつでかなり偉いしチート(特典)もあるとは言え元々技術的なもんは学校でも上位の成績だったんだぜ」

 

霧野「そうだったん?俺は機械科じゃなかったから知らなかったな」

 

 

因みに、余談ではあるが彼等は工業高校出身であり、霧野は建築科、松田が電気科、高橋が機械科である

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

松田「俺の部活の顧問が機械科の実習を担当しててさ、何かセンスが良かったみたいで組立とか溶接がとても上手いってのを何故か顧問が自慢してたし何より彼奴自身機械関連(主に軍事関連)の本とか凄い読みまくってたからな」マァミリオタダシナ

 

「それに高橋の奴『お上から海軍とは別予算で艦隊(直下軍)作ることにしたから君に設計とか丸投げね♡(要約)』的な事を言われてた(俺等につい愚痴った)じゃん? だからそれ関連で呼ばれたんだろうね」

 

霧野「そう言えばそうだったな、、てかなんでそうなったんだろね」

 

松田「何でも英国(イギリス)の艦隊で通常艦隊(ロイヤルネイヴィー)以外にも女王艦隊とか言う別枠の艦隊がおったみたいでね、「じゃあ自分達も作るか」ってなったらしい」

 

「んで序に最新技術もそこで試験的に導入しちゃおう的な感じで彼奴がスポットを浴びたというわけだな」

 

霧野「そんな裏があったのか、、しっかし何処からそんな予算が、、まぁ今だに戦艦や巡洋艦達に搭載してる機関がジェットエンジンって聞いても頭が追い付かんしな、、然も燃料が石炭だし、、」

 

 

 

 

〜〜

 

~~回想~~

 

 

 

霧野「ただいま、、漸く休みの日だ、、」ゲッソリ

 

高橋「おぉ、お帰r、、うぉ!?どうしたんだそんなにゲッソリとして、、」

 

霧野「いや、最近は沖に出て訓練なんだけどさ、もしかして戦艦だけでなく殆どの艦艇が改装済み? 何か明らかに旋回が曲線じゃなくて直角みたいな感じだったし、それに俺が乗ってた駆逐艦もそうだし戦艦の速さも頭おかしいレベルだったしで死にそうだったんですけど、、あと吐いていい?」

 

高橋「吐かないでね? まぁ確かに殆どの艦艇は機関も取り替えてあるし武装もかなり増やしたからね!」

 

高橋「旋回が直角なのは注排水装置のおかげさ! それと速度が速いのは搭載している機関がジェットエンジンだから速いのは当然さ! あ、後は船底をチョット設計し直したのと改装ついでに船体の拡張をしたぐらいだったかな?」

 

霧野「はぁ!!?」

 

高橋「ま、厳密にはジェットエンジンと言うか蒸気タービンみたいなもんだな」

 

「因みに日本語だと『蒸気圧縮加速機』っつってな?燃料である石炭を石炭完全燃焼炉で揮発ガスを生成、、まぁ要するに石炭を蒸発レベルまで加熱して気体(ガス)を発生させる」

 

「んでそれを高速蒸気圧にして送り込んでそこに酸素を投入すると爆風ジェットになるのさ、だからまぁ、ジェットエンジンと言うか蒸気タービンと言うか、、いや、ガスタービンエンジン的な感じ、、て、うん、特典もらっても元々の経験値とかないと分からんわな」

 

きりの「うんぼくわからない」

 

高橋「ただこれの大本はな、実は外国から輸入して使ってた発電機が壊れちまったんだがな、その輸入元の会社があっちの言い値で直してやるとかすげぇ上から言いやがってよ」

 

「腹立ったからじゃあこっちでやるわって断って俺が修理したんだけど、その時に色々と歯車とかタービンの羽根を増やして発電効率を上げてみたのよ、んでそれを応用した奴を艦艇の機関にしてみたら艦艇の速度が恐ろしく速くなっちゃってさ、もうあん時は笑うしかなかったねww それと注排水を組み合わせたお陰で駆逐艦所か戦艦までもが変態機動が可能になったからなww」

 

霧野「えぇ、、」

 

 

 

 

 

~~回想終了~~

 

~~

 

 

 

霧野「って事だったからなぁ、、取り敢えず彼奴のテンションがすごかったのは憶えてるのと、今忙しいのはこれで目を付けられたからだと思う。よって奴は有罪、ざまぁw」

 

松田「あぁ、、まぁ、うん、気持ちは分からんでもないが、、許してやれ、、」

 

「ただそれ関連で呼ばれたのは確かだろうね。 そんな事だからまぁ、恐らく艦艇達(直下軍の方)の改装の様子でも見に行ったんでね? それに今捕鯨船を戦艦に魔改造中と言ってたし」

 

霧野「え?捕鯨船を? 彼奴何してんだ、、てかそんな事出来るのか、、とは言えまぁ確かにロシアとは最近ギスギスしてるしな、このままだとやっぱり史実と一緒らへんで開戦になっちまうのか?」

 

松田「恐らく、、な、それでいま急ピッチであらゆる艦艇を改装したり更に造船所増やして建造しまくったりしてるし、陸軍さんの方も最近は上陸演習の回数が更に増えてるみたいよ」

 

霧野「まじかぁ、仮に開戦したとして、、そうだな、地理的に佐世保か新潟辺りの港に行かされるんだろうな、、」

 

松田「まぁ陸は兎も角海軍は魔改造しまくりだからな、と言うか本当は陸も何とかしたいけど海軍に入っているから下手にな、、ま、まぁ油断さえしなけりゃまず完全勝利は出来る、、筈」

 

霧野「筈て、、だが今の所は艦艇以外は大体史実とおんなじ感じで進んでるから先ずは旅順とかの封鎖になるのか?」

 

松田「だろうな、まぁそこは追々で今は取り敢えず飯食うか」

 

霧野「そうだね~ お腹すいた~」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

年が明けて明治37年(1904年)1月

 

 

 

ーー松田邸

 

 

松田「明けましておめでとう~」

 

霧野「あけおめ!ことよろ!」

 

高橋「明けましておめでとうございやーす」

 

 

 

 

「「「……」」」

 

 

 

 

霧野「はぁ、不味いですねぇ、、」

 

高橋「あぁ、とは言え史実通りなら(スマホ見ると)2月に開戦だったけどまだその雰囲気はなさそうなんだよな」

 

松田「そこに関して何だが、本来なら今の時期は小村寿太郎さんが外相の筈なんだけど、どうやら人事異動で貴族から誰かが外相になったらしくてね、名前は、、何だったかな、、あと高橋、これについてはお前と話し合ったやん」

 

「んでもって、その貴族の人の命令で何とか話し合いを重ねてるってチラッと聞いたぞ」

 

霧野「え?何それ初耳なんだけど」

 

高橋「あー、確かにその話は聞いてたわ、でもまぁ、霧野は訓練漬けだったからな、仕方ないさ」

 

霧野「そう言う高橋だってめっちゃ忙しかったじゃん、然も自らを追い込んでいくスタイルで」

 

高橋「うぐっ、、それは言わないお約束でしょ、、」

 

霧野 m9(^Д^)プギャー

 

高橋「」ムカァ

 

高橋「松田、今日からこいつだけ訓練にしよっか。 それもとびっきり厳しめのでね? なーに大丈夫、こいつだってもう立派な水兵だからヘーキヘーキ。 ね?」ニッコリ

 

霧野「げぇ?! はわわわ、、すすすすまん!!」ドゲザー

 

松田「はぁ、まぁ落ち着けよ、これも謝ってるし。な?」

 

高橋「……。 仕方ない、いいでしょう」

 

霧野「た、助かった、、」ホッ 

 

「よ、よし! 一先ずおせち食べよう!」

 

松田「いや露骨すぎるで、、」

 

高橋「でも腹減ったし食うか」

 

 

 

 

 

こうして彼等の元旦(貴重な休み)は終わってゆく、、

 

 

 

 

 

だが、彼等の「開戦間近だけど意外と交渉で終わって戦争回避できるかも?」と言う淡い希望は現実とはならなかった

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーー

 

同年8月

 

 

 

史実とは違い、何とか戦争を回避しようと粘り強く交渉を続けてきた日本であったがロシアは寧ろ日本を下に見ていた為、国境沿いに更に兵を増強、更に艦隊の数も増やしたのである

 

この事を知った日本はこれ以上の交渉継続はもはや無駄と判断し、史実から遅れて6ヶ月後の8月にロシアに対して遂に宣戦布告をした

 

そしてこの宣戦布告に対し、各国は日本の力があのロシアに何処まで通用するのか興味のある国、また一つの国が消えると嘆く国など、様々な反応を示した、がしかし、当時最強を誇っていたイギリスが同盟を組んでいる事、特に観戦武官をかなり派遣していると言う情報が入ってくると、もしやあの小さな島国には何か勝算があるのかと疑い、自分たちも観戦武官を派遣する事で、日本の力がどれだけあの大国に通じるのか見極めようとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

ーー佐世保

 

 

 

其処では大小様々な艦艇達が集結し兵士等が出撃を今か今かと待ち侘び、また彼等を見送る人々はあらんかぎりの声で兵士に激励を送っていた

 

そしてその内の一隻に彼等も乗り込んでいた

 

 

 

ーー巡洋艦風吹(ふぶき)艦上

 

 

 

霧野「遂に戦争が始まっちゃったか、、」

 

松田「あぁ、だが遅れた分更に訓練に費やす事が出来たんだ、まぁそれは向こうも同じだとは思うけどね」

 

霧野「出来れば油断しててくれるんなら、こっちは万々歳だけどねぇ」

 

松田「何、艦艇の数だってかなり増強したし、まだ向こう(ロシア艦隊)が出港したとの情報は聞いてないからまだ港に停泊中(恐らく史実と同じ)みたいだからね、ただ増強分がどれだけ影響を与えるかぐらいだね、、」

 

因みに高橋くんはお留守番(艦の改装とか色々)である

 

 

 

 

 

本来であれば(史実の通りなら)この時のロシア艦隊(旅順艦隊)の戦力は

 

 

戦艦7隻 装甲巡洋艦1隻 防護巡洋艦8隻 駆逐艦が18隻 そして砲艦等の補助艦艇が6隻程度とこれだけでもかなりの艦隊を有していたのである

 

 

然し、開戦が遅れた事で他の地域から艦隊を回す余裕が出来たことで更に増強され、結果的に

 

 

戦艦19隻 装甲巡洋艦11隻 防護巡洋艦17隻 駆逐艦が49隻、そして魚雷艇や砲艦などのその他補助艦艇が78隻と正しく大国の名に相応しい威容を誇った大艦隊であった

 

だが、その殆どの艦艇はイギリスが日本と同盟を組んでいる為にイギリスの植民地(海路途中の補給予定地)での休息や補給が困難となっており、旅順に到着した頃には既に疲弊しきっていた為、兵士等は直ぐの休息を求めており、士気はとても高いとは言い難かった

 

 

その一方で日本は、史実と同じ様に先ずは本土から大陸へと輸送をする際に脅威となるロシア太平洋艦隊を無力化する為、艦隊が旅順港に停泊中に奇襲を仕掛けて大損害を与え、後顧の憂いを絶った後に帝国海軍の支援の下で仁川を強襲し兵士等を上陸、橋頭堡を構築する腹積もりであった

 

 

 

 

なお、今回日本が派遣する艦隊の総戦力は以下の通りである

 

 

 

戦艦

 

敷島(しきしま)  朝日(あさひ)  初瀬(はつせ)  三笠(みかさ)  富士(ふじ)  八島(やしま)  白山(はくさん)  多襧(たね)  胆振(いぶり)  伯耆(ほうき)  真砂(まさご)  白神(しらかみ)  三峰(みうね)  高隈(たかくま)  高嶺(たかみね) 

計15隻                                    

 

 

装甲巡洋艦

 

出雲(いずも)  磐手(いわて)  八雲(やくも)  吾妻(あずま)  浅間(あさま)  常盤(ときわ)  春日(かすが)  日進(にっしん)  知多(ちた)  大洗(おおあらい)  風吹(ふぶき)  標津(しべつ)  (ひのと)  高見(たかみ)  那岐(なぎ)  黒姫(くろひめ)  八間(はっけん)  無双(むそう)  高薙(たかなぎ) 

計19隻

  

 

防護巡洋艦

 

浪速(なにわ)  高千穂(たかちほ)  千代田(ちよだ)  松島(まつしま)  厳島(いつくしま)  橋立(はしだて)  秋津洲(あきつしま)  和泉(いずみ)  須磨(すま)  明石(あかし)  吉野(よしの)  高砂(たかさご)  笠置(かさぎ)  千歳(ちとせ)  新高(にいたか)  対馬(つしま)  愛知(あいち)  男鹿(おが)  恵那(えな)  武尊(ほたか)  不動(ふどう)  大峰(おおみね)  高妻(たかつま)

計23隻

 

駆逐艦

 

(いかずち)  (いなずま)  (あけぼの)  (さざなみ)  (おぼろ)  東雲(しののめ)  叢雲(むらくも)  夕霧(ゆうぎり)  不知火(しらぬい)  陽炎(かげろう)  薄雲(うすぐも)  (あかつき)  (かすみ)  白雲(しらくも)  朝潮(あさしお)  春雨(はるさめ)  村雨(むらさめ)  速鳥(はやとり)  朝霧(あさぎり)  初露(はつつゆ)  弥弥雪(いややゆき)  (そばえ)  凍靄(いてもや)  沸潮(わきしお)  暁露(ぎょうろ)  (ひょう)  稲妻(いなずま)  霧雲(きりぐも)  五百重波(いおえなみ)  (あざみ)  渦潮(うずしお)  伊剣(いつるぎ)  蓑虫(みのむし)  (かじか)  青潮(あおしお)  太刀魚(たちうお)  公魚(わかさぎ)  凍風(いてかぜ)  朝凪(あさなぎ)  (おろし)  颶風(ぐふう)  雷霆(らいてい)  引潮(ひきしお)

計43隻

 

 

更に補助艦艇(通報艦や補給艦等)が81隻とこちらも史実以上に(チートによって)強化され、旅順に向かっていた

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

8月6日 21時30分頃 旅順沖50海里(92.6(キロ)

 

 

聯合艦隊は戦艦や巡洋艦等の主力艦隊と駆逐艦や水雷艇を中心とした水雷戦隊の2艦隊に分かれ、先に水雷戦隊を先行させ、雷撃による奇襲攻撃で敵艦隊を行動不能ないし撃沈、その後に主力艦隊が突入し混乱の最中にいるであろう敵艦隊と陸上砲台に砲撃を浴びせた後、旅順港の入口に機雷をばら撒いて封鎖して行動を制限するつもりであった

 

 

 

 

 

第一水雷戦隊

 

 

第一駆逐隊

 

旗艦 駆逐艦白雲(しらくも) 

 

 

「司令、間も無く我が方の雷撃射程圏内に入ります」

 

司令「うむ、他の4艦隊も付いて来ているな?」

 

「はっ 暗闇で見にくいですがしっかりと付いて来ているようであります」

 

司令「そうか、灯火管制をしているからどうなるかと思っていたが日頃の訓練の成果だな」

 

「えぇ、あれは冷や汗ものでした、、ん? 司令!前方に敵艦と思しき艦影を発見!数は3真っ直ぐ此方に向かってきます!!」

 

司令「何!? まさかバレたのか、、仕方ない、これより奇襲から強襲に移行する! 無線封鎖解除!各艦に通達、砲雷撃戦用意! それとこの事は後方の主力艦隊にも通達せよ!」

 

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

日本側が慌てて戦闘態勢を整えている一方で、警戒していたロシア側の駆逐艦3隻は暗闇のせいもあって日本海軍が近づいているのに全く気付いていなかった。その為突如として上がった水柱に驚き、艦隊が乱れてしまっていた。

 

 

ドォォォン!!

 

 

『NS!? Какие!?』

〔っ!? 何だ!?〕

 

『Бомбардировка! Откуда ты!』

〔砲撃だ! 何処から来た!〕

 

『Много дыма было подтверждено 8 км вперед! Я не умею считать!』

〔前方8キロに多数の発砲煙を確認! 数えきれません!〕

 

『Черт!  Спешите в бой! Немедленно оповестите флот порта! [Срочный запрос на спасение нападения японского флота] Спешите!』

〔畜生! 戦闘準備急げ! それと直ぐに港の艦隊に通達しろ! [ワレ日本艦隊ノ攻撃ヲ受ケツツアリ至急救援求ム] 急ぐんだ!〕

 

『Понял!』

〔了解!〕

 

 

 

こうしてロシア側は奇襲を受けつつも何とか態勢を立て直し、反撃をしようと試みたが日本側は今回の奇襲に対して実に49隻の駆逐艦や水雷艇群を投入し、一回の攻撃で全てを終わらせる算段であった。

 

その為、幾らロシア側が果敢に戦っても数の暴力には敵わず、その為大した損害も与える事が出来ないまま僅か7分で全艦轟沈してしまったのである。

 

だが、元々日本の動きを警戒していた旅順艦隊は何時でも動けるように(かま)の火を落としていなかった為、警戒していた艦からの緊急電を受け直ぐに出港準備を整えていたが、戦艦や巡洋艦は流石に準備にまだ時間がかかるため、砲艦や駆逐艦等の短時間で済んだ艦艇達と丁度警戒の為に出港しようとしていた5隻の巡洋艦が臨時で即応艦隊を作り、およそ64隻の迎撃艦隊が日本艦隊を迎え撃つべく急いで出撃していった。

 

一方日本艦隊は奇襲が失敗した以上は隠密行動は不要と判断し、ロシア艦隊が港から出る前に叩こうと急いでいたが、もしかしたら既に迎撃艦隊が出撃しているかもしれないと思い、警戒しつつ全速力で向かっていた

 

 

 

 

 

即応艦隊

 

旗艦 防護巡洋艦Паллада(パルラーダ)

 

艦上では艦長達が突然の奇襲をして来た日本に対して愚痴を零していた

 

 

 

艦長『Ночная атака...Отвратительный японский флот...!』

  〔夜襲とは... 忌々しい日本艦隊め...!〕

 

参謀長『Совсем、НаверноеЯ собирался к удивлению, покапришвартованных в гавани』

   〔全くです、恐らく港に停泊中に奇襲するつもりだったのでしょう〕

 

艦長『Не важно... Чем этоВы все меня преследуете?』

  〔まぁいい... それより皆付いて来てるか?〕

 

参謀長『Да 、Трудно понять но как-то』

   〔えぇ、分かりにくいですが何とか〕

 

艦長『Хорошо! Скажи им, чтобы они шли прямо к вражескому флоту!』

  〔良し! このまま敵艦隊へ直進するよう通達せよ!〕

 

参謀長等『『Понял!』』

    〔〔了解!〕〕

 

艦長『Но 、Нам бы хватило ихбедных кораблей!』

  〔まぁ、 奴らの貧弱艦では我等だけで十分だろうがな!〕

 

参謀長達『『Хахахаха! без сомнений!』』

    〔〔ハハハハハ! 違いありません!〕〕

 

 

 

 

とは言え、艦長達、いや艦隊の殆どの兵士等が愚痴を吐きつつも所詮は島国の弱小艦隊だと高を括っており、我々よりも艦や練度の質は低いだろうと何処か楽観的であった。

 

そしてその代償はとても高く付いたのである

 

 

 

 

 

先に艦隊を発見したのはこの日の為に夜間訓練を徹底的にした日本側であった

 

 

 

 

見張り員「右舷に敵艦隊多数を発見! 距離6(キロ)、数20、、30、、まだまだ増えてます!!」

 

司令「何っ! やはり既に出張っていたか、、仕方ない」

 

「よし! 先に雷撃をする! その後に注排水装置起動、半潜航行砲撃戦用意!」

 

兵士等「「了解!!」」

 

 

 

ここで司令が指示した「半潜航行砲撃戦」とは注排水装置によって艦の甲板付近まで潜航する事により、速度や距離の誤認などを狙ったものであり、もし被弾したとしても艦内に注水している為、水面に着弾するのと同じ様に爆発の威力が上に逃れるため、船体内部には殆どダメージが通らないのである。

更に速度も全艦艇の機関が蒸気圧縮加速機(ジェットエンジン)(国内外的には一応蒸気タービン)である事に加え、船底を設計し直した為、全速力で航行した際に海面の上を滑る様に航行する為に水の抵抗が極限まで減ったため、どんなに遅くても最大速力が70ノット以上も出るため潜航していても40~55ノットと言う高速を維持できるため、結果的に速度、艦隊の質共にロシア艦隊を大幅に上回っていたのである。

 

ロシアに勝ち目がないのは火を見るよりも明らかであった

 

そして日本艦隊から遅れること9分、遂にロシア側も日本艦隊を発見、攻撃を開始する

 

然し、その頃には既に日本側は雷撃を完了しており、半潜航行砲撃戦に移行、その為距離を見誤り全弾が遥か後方へと着弾していたのである。

 

そして中々砲撃が命中しないため、段々とロシア艦隊に焦りが見えてきた

 

『Почему так! Почему Не бей!』

〔何故だ! 何故当たらない!〕

 

『Не понимаю ! Расстояние должнобыть правильным... Что-то не так...』

〔分かりません!  距離は合ってる筈ですが... 何か違和感が...〕

 

『Что это зна... Ух ты!!』

〔どう言うk... うわっ!!〕

 

 

ズガァァァン!!

 

       ズガァァァン!!

 

 

 

 

圧倒的速度で常に優位な位置かつ潜航による被弾率低下を維持したまま攻撃する日本艦隊に対して、相討ち覚悟で突撃しようと近づいて漸く砲撃の当たらない正体に気付き、驚愕しながらもいざ反撃しようとしたロシア艦隊であったが、日本艦隊の最初に放った魚雷が次々と命中、そしてこれを切っ掛けにロシア艦隊の戦線が遂に崩壊し、我先にと逃亡する艦が増え始め、それを好機とみた日本艦隊は追撃戦に移行、此処まで来たら1隻たりとも逃す気はなかった。

 

結果的にロシア艦隊はこの海戦で64隻中59隻が沈没、残りの5隻の内1隻が何とか港まで逃げることに成功し、4隻は機関の故障などによりこれ以上の戦闘続行は不可能と判断、日本艦隊に降伏する事となったのである。

 

一方で日本側の損害は49隻中7隻が沈没、9隻が機関不調により戦線離脱するもまだ此方に分が有ると判断し、また今回戦った相手に戦艦等の主力が見当たらなかった為、少しでも敵の戦力を削り後続の主力艦隊の負担を減らすことと、序に置き土産として港に機雷を設置する為に戦線離脱する僚艦より燃料弾薬等を少し分けてもらった後にまだ港付近にいるであろう敵主力艦隊に向かって突き進んでいった。

 




グーグル翻訳始めて使ってみたけど上手く出来たか分かんないや

追記
スマホで確認したらロシア側の会話が一部変だけどそこはお許しを、、
PCだと良い感じなんだけどなぁ、、

10/3こちらもセリフのルビはやめました


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第肆話  旅順艦隊? あぁいい奴だったよ

今回は翻訳上手くいってるといいなぁ、どっちもプレビューで見ると問題ないんだよなぁ、、

これでダメだったら各国の言葉も日本語に直すかな、、

10/3やっぱりスマホ版だとおかしいのでセリフにルビ振るのやめました


ーーロシア主力艦隊(旅順艦隊)

 

 

迎撃艦隊の出撃から遅れること53分後、ようやく全ての艦の出撃準備が整い日本艦隊へ向かっていた主力艦隊であったが彼等もまた日本側の実力を下に見ていた為、先に出撃した彼らがもう日本艦隊を潰しただろう、我々は必要か?などと吞気に話し合っていた。

 

然し、続々と入ってくる不利を告げる緊急の通信に、最初は迎撃艦隊は油断をしていたからただ慌てていたに違いない、そう思っていたのだがその内容が何を言っているのか俄かに信じられないものであったのだ。

 

(いわ)く、「日本の駆逐艦は我等のどの艦よりも速く、それより小型の水雷艇ですら目測でも40ノット以上は出ている」

曰く、「船体の殆どが沈んでおり、弾が当たらない、当たってもそれ以上沈んでくれない」 

 

と言ったもので、彼らの頭は大丈夫かと心配するほど正直意味不明なものであった。

だいたい船体の殆どが沈んでいると言うことはもう虫の息ではないのか?それに当たっても沈まないとは一体どう言う意味だ、沈んでも沈まないと言うのは支離滅裂ではないか? それに40ノット以上などという超高速な艦など我ら、いや各国ですらその様な高性能艦を造るのなんて無理なのだから日本が造れるはずもなかろう、暗闇での戦闘だった為にそう見えただけでないのか? と兵士のみならず艦長達までもが先遣隊からの通信に若干の混乱をしていたのである。

 

だが、それから通信が途絶え、此方から呼びかけても全く反応を示さない為、まさか本当のことなのか?と疑うもどの道敵を倒す事には変わりないのでこのまま進むと判断し、日本艦隊のいるであろう方向に()()警戒しながら突き進んでいる途中で、日本艦隊から何とか逃げてきた駆逐艦と運良く合流する事に成功、だがその姿を見た者は皆言葉を失い、信じられない物を見たかの様な表情であった。

何故なら合流した駆逐艦は艦橋や前部煙突の一部が吹き飛び、船体も至る所が穴だらけで浮いてるのが奇跡の様な状態であり、更には甲板の至る所で死体が横たわっているという凄惨さを極めており、正しく必死の思いで命からがら逃げて来たと言う様相を呈していたからだ。

 

そして何とか生き残った駆逐艦の兵士の描いたスケッチ(夜間での戦闘だったので所々不鮮明ではあるが)や証言からも通信の内容に間違いがないと分かると艦隊に動揺が広がり始めた。

 

 

 

 

 

旗艦 戦艦Цесаревич(ツィサリェーヴィチュ)

 

駆逐艦と別れた後の艦内では誰も彼もが下を向き、重苦しい雰囲気が漂っており、中にはその場に座り込んでしまっている者までいた。

 

 

司令『Не когда ты расстроен!』

  〔ええい うろたえるな!〕

 

だがその空気を打ち破る様に突然司令が声を張り上げた

 

兵士等『『!!?』』ザワザワ...

 

司令『Безусловно、они сильные! Давайте признаем это』

  〔確かに奴らは強い! それは認めよう〕

 

  『Но можно ли позволять им делать то, что они хотят?』

  〔だがこのまま奴らに好き勝手にさせていいのか?〕

 

  『Вы принимаете потерю, ничего не делая?』

  〔何もせず負けを認めるのか?〕

 

  『Не так ли? Вы парни! Спросите всех! Кто мы!』

  〔違うだろう? 諸君! 諸君等に問う! 我々は何者だ!〕

 

  『Это личинка ползает по земле? 』 

  〔地を這う蛆虫か?〕

 

  『Или это просто жалкий и жалкий нищий?』

  〔それとも只々惨めで哀れな物乞いか?〕

 

  『а также Ты просто трус?』

  〔はたまたただの臆病者か?〕

 

  『Отказ! Отказ! Точно нет!』

  〔否! 否である! 断じて違う!〕

 

  『Мы - славный флот России!』

  〔我々は栄光あるロシア海軍である!〕

 

  『Гордый флот России!』

  〔誇り高きロシア海軍である!〕

 

  『Как долго ты смотришь вниз! Правильно, все!』

  〔何時まで俯いているのだ! そうだろう諸君!〕

 

  『Тогда слушай еще раз!』

  〔その上でもう一度問う!〕

 

  『Кто мы?』

  〔諸君等は何者だ?〕

 

司令官からの話を黙って聞いていた兵士たちには、先程まであった恐怖の色は消えつつあり、その眼には段々と闘志が宿っていた。

そして司令官に問われた彼らは、天まで届かんとする勢いで声高々に叫ぶ。

 

兵士等『『Мы гордый и самый сильный флот России‼』』

   〔〔我等は誇り高く最強のロシア海軍であります!!〕〕

 

   『『Все враги, которые противостоят нам!』』

   〔〔我等の前に立ちはだかる全ての敵は!〕〕

 

   『『Распростерся перед нашей властью одинаково!』』

   〔〔我等の力の前に等しくひれ伏すのであります!〕〕

 

そう叫んだ彼らに恐怖心は完全に消え去っており、変わりに闘志を溢れんばかりに漲らせていた。

 

司令『Хорошо Итак, что нам делать сейчас?』

  〔よろしい、ならば今為すべき事は何かね?〕

 

兵士等『『Мы наша сила Полностью поразить противника!!』』

   〔〔我らは我らの力で奴らを完膚なきまでに叩く事であります!!〕〕

 

司令『Тогда поехали! Солдат связи! Сообщите флот!』

  〔ならば行くぞ! 通信兵! 艦隊に通達!〕

 

  『[Нападите на всю армию! Я их не боюсь!] Этого достаточно!』

  〔[全軍突撃セヨ!奴ラナド恐ルルニ足ラズ!] これで十分である!〕

 

兵士等『『Ураааааааа!!!』』

   〔〔ウォォォォォォォ!!!〕〕

 

 

 

士気を持ち直した艦隊は咆哮を上げ、先遣隊の仇を討たんと日本艦隊へと突き進む。

これから起こる悲劇など露知らずに。

 

 

 

 

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ーーーーー

 

 

 

 

 

一方で敵主力艦隊に向かっていた水雷戦隊であるが、肝心のロシア艦隊が中々見つからずに焦っていた。

 

その為、戦隊を2~3艦隊に分け、更に危険を承知で間隔をあけて索敵半径を広げて敵艦隊を捜索しつつ旅順港へと向かっていた。

 

 

 

 

第三水雷戦隊

 

 

第二駆逐隊

 

旗艦 駆逐艦五百重波(いおえなみ)

 

 

 

艦長「敵艦はまだ見つからんかね?」

 

見張り員「申し訳ありません、、明かり一つ見えないであります、、」

 

艦長「うぅむ、参ったな、確かあと、、40分程度だったか?で旅順港に着くんだったよな? 参謀長」

 

参謀長「えぇ、このままの速度ですと40分程です」

 

艦長「そうか、第一戦隊や第二戦隊(向こう)の方からの通信も無いと言う事は彼方もまだ見つけてないか、、」

 

参謀長「艦長、ここまで(旅順港手前)来て会敵しないという事は恐らくですが既にすれ違ってしまった可能性がとても高いかと思われます。ですのでこれ以上の索敵は最低限にして港に直行、機雷を設置した後に反転し、索敵しつつ敵艦隊を見つけ次第背後から奇襲を仕掛けるべきかと。」

 

艦長「なるほど、それは一理あるな、、だが敢えて何隻かは逃がしてやろう」

 

参謀長「何故でありますか?」

 

艦長「何、たとえ機雷を設置しても直ぐに処理されてしまっては封鎖の意味がないだろう? 下手すりゃ更に警戒されて作戦が困難になる」

 

参謀長「確かに、、そうでありますね、、」

 

艦長「だろう? だから敢えて逃がすことで触雷させて港の入り口を奴らの艦で塞ごうってわけさね」

 

  「それに一度被雷すれば警戒して引きこもるかもしれんしな。そうなれば仁川の攻略隊を安心して援護出来る」

 

  「そうでなかったとして仮に再び挑むにしても先ずは港を塞いでいる艦を撤去せにゃならん、そうなった場合はもたついてる間にこっちが先手を打てるだろう。だからどっちにしろ大分時間は稼げると言う事だ」

 

参謀長「なるほど、、そこまでは考えておりませんでした、流石艦長です」

 

艦長「あっはっは! おだてたって何も出せんよ! まぁそう言う訳だから通信兵! この事を第一、第二戦隊に通達! あぁ、それと主力艦隊の方にも敵を発見出来なかった旨を通信してくれ!」

 

通信兵「了解であります!!」

 

 

 

 

その後少しして両方の戦隊から了承の返事があり、それぞれの戦隊は合流してそのまま港へと直行していった。

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーーー

 

 

 

 

 

ーー日本海軍聯合艦隊

 

 

 

旗艦 戦艦三笠(みかさ)

 

 

通信兵「失礼します! 長官! 先行していた水雷戦隊より入電!」

 

長官「うむ、向こうは何と?」

 

通信兵「ハッ! [ワレ敵艦隊発見デキズスレ違ッタ可能性大ナリ注意サレタシ マタ我ガ艦隊ハ港ニ機雷設置後反転シ敵艦隊背後ヨリ奇襲 貴艦隊ト挟撃セントス ナオ敢エテ何隻カハ逃ガサレタシ] 以上であります!」

 

この水雷戦隊からの通信に艦橋にいた者たちは困惑した表情で聞いていた。

 

艦長「ん? 敢えて逃がす? どういう事だ?」ソッチハワカル?

 

参謀達「さぁ、自分も分かりかねます、、」

 

   「何を考えてんだ?」ザワザワ

 

長官「....なるほど」ボソッ

 

艦長「長官は分かったので?」

 

長官「あぁ、水雷戦隊(彼ら)は機雷を港に設置してから来ると言ってただろう? 詰まり敢えて逃がす事で設置した機雷にわざと被雷させて港の入り口を封鎖しようって腹積もりなのだろう。しかしまぁ随分と無茶を言ってくれるねぇ」はっはっは!

 

参謀長「何と大胆な、、となるとなるべくデカいのになりますね。 戦艦や装甲巡洋艦辺りになりますか、、」

 

長官「そうだな、それ以外はなるべく撃沈しようかね、まぁ砲員からはかなり文句を言われそうだがね。 あぁ、参謀長(ボソッ

 

参謀長「? 何でしょうか?」ヒソヒソ

長官「今回は〈お客さん〉が乗ってるから()()()()()()は使わない様にとそれと無く周知しておいてくれないか?」ヒソヒソ

参謀長「分かりました、通信兵にもその様に言っておくよう伝えておきます」ヒソヒソ

 

長官「うむ、では頼んだよ」

 

参謀長「はい、では失礼します」

 

<すまんが少しいいかね?

<? 何でありますか?

<あぁ何、実はね、、

 

長官「(さて、気を引き締めねばな、、)」

 

  「全艦に通達! 間も無く我が艦隊は敵主力艦隊と会敵する、総員戦闘配置!機関最大船速!!」

 

兵士等「「了解!!」」

 

 

こうして聯合艦隊は最大船速(とは言いつつも各国の目を誤魔化す為、かなり速度を落としているが)で敵艦に向かっていた。

 

そして彼我の距離が8(キロ)となったところで偶然にもほぼ同時にお互いを視認、すぐさま砲撃準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーロシア艦隊

 

 

 

見張り員『Найден вражеский флот впереди!』

    〔前方に敵艦隊発見!〕

 

    『Расстояние 8 км、Пришел прямо⁈』

    〔距離8キロ、このまま突っ込んで来る?!〕

 

    『поститься! Слишком быстро!』

    〔速い! 速すぎる!〕

 

見張り員からの驚き混じりの報告に艦橋の者達も急いで確認すると、戦艦や巡洋艦たちが明らかに此方の戦艦よりも速く、駆逐艦達とほぼ同じ速度で航行していたのである。

 

司令『что!!? Что это за скорость...』

  〔何ぃ!!? 何だあの速度は...〕

 

兵士等『Глупый⁉』

   〔馬鹿な!?〕

 

   『Очевидно, 30 узлов было на выходе!』

   〔明らかに30ノットはあるぞ!〕

 

   『Невозможно...』

   〔ありえん...〕

 

司令『Ку、успойкойся!Скорее подойди с другой стороны』

  〔くっ、落ち着け! 寧ろ向こうから近づいてきたのだ!〕

 

  『Эсминец и др. Сначала Сначала атакуют торпеды!』

  〔駆逐艦は先行して雷撃せよ!〕

 

  『Основное орудие! Подготовка к артиллерии!』

  〔主砲! 砲撃用意!〕

 

  『Стреляйте с прицельной дистанции 700 метров!』

  〔必中距離700メートルで撃つ!〕

 

  『Также потушите торпедный катер,который сейчас установлен!』

  〔それと今の内に搭載してる魚雷艇も出せ!〕

 

兵士等『『понять!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

 

 

 

ロシア艦隊は日本艦隊の速度に驚きつつも司令官からの攻撃命令を聞き直ぐさま砲撃準備に移行、それと並行して戦艦や装甲巡洋艦等に搭載していた小型の魚雷艇を急いで降ろして出撃させた。

その一方で日本艦隊は観戦武官が乗っている手前、すべての手段は使わず、今回の海戦では搭載艇は使わずに主砲や副砲、機銃で対応する事とした。

 

そして今回の出撃ではロシア艦隊は戦艦19隻全艦が出撃、更には残っていた巡洋艦も先遣隊で出撃した5隻以外の全艦と此方も全力出撃、駆逐艦や水雷艇等が港の防衛部隊15隻を除く48隻、更に搭載艇も合わせると実に100隻以上という大艦隊であった。だが肝心の主力であるロシア側の戦艦はどんなに速くても19ノットが限界であり、巡洋艦もまた19~25ノット前後、更に駆逐艦や戦艦等の各艦に搭載している砲も最大射程がおおよそ500m〜1000mとこの時代ならば標準的な速度と射程であったが日本艦隊の速度と比べると明らかに不利であった、その為この海戦ではまず速度の速い駆逐艦や水雷艇らを護衛として残した8隻以外の40隻全艦を先行させて先に雷撃を敢行、日本艦隊が混乱している内に主力である戦艦らが多数の搭載艇と共に突撃して一気にけりをつけるつもりであった。

 

そしてそんなロシア側の思惑など無意味とばかりに日本側は梯形陣を保ったまま速度を30ノットから33ノットまで増速し、ロシア艦隊まで3キロを切った辺りで転舵しつつ梯形陣から素早く単縦陣に移行、そのまま側面を向けながら先に近づいてきた駆逐艦たちの射程外2.5キロ程から主砲や副砲群を雨霰の如く浴びせた。

 

その為ただでさえ日本艦隊の速度に軽いパニックになっていたのにそこへ更なる追い討ちをかけるように自分達の射程外から突如砲撃を喰らったロシア側は大混乱の極みに陥っており、当たるどころかまだ射程外であるのに主砲を撃ち初めていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

 

見張り員『Вражеский флот движется вправо!!』

    〔敵艦隊転舵しました!!〕

 

    『Глупы... Отличная мобильность...』

    〔馬鹿な... 何て機動性だ...〕

 

ロシア駆逐艦長『что⁉ Какое расстояние?』

       〔何だと!? 距離は?〕

 

見張り員『3 километров!』

    〔3キロです!〕

 

    『NS⁉ что⁉』

    〔っ!? なっ!?〕

 

    『Вражеский корабль выстрели!!』

    〔敵艦発砲!!〕

 

艦長『Глупый⁉ Дойдет ли он с такого расстояния⁉』

  〔馬鹿な!? あの距離から届くのか!?〕

 

参謀『Какое сейчас расстояние⁈』

  〔今何キロだ?!〕

 

見張り員『Это 2,5 километра!!』

    〔2.5キロです!!〕

 

艦長『что!!? Я даже не могу дотянуться до главного орудия...』

  〔何ぃ!!? 主砲ですら射程外だぞ...〕

 

  『Сколько километров составляет дальность торпедной атаки!』

  〔雷撃まで後何キロだ!〕

 

参謀『Дальность торпедной атаки - 1,6 км...』

  〔雷撃可能距離迄あと1.6キロです...〕

 

  『Но я не знаю, смогу ли я добраться до этого...』

  〔ですがその前に辿り着けるかどうか...〕

 

艦長『Ку! Первый удар в порядке!』

  〔くっ! 牽制で構わん!〕

 

  『Главный пистолет! огонь!!』

  〔主砲! 撃てぇ!!〕

 

参謀『да!! огонь!!』

  〔了解!! 撃てぇ!!〕

 

艦長『Хороший!』

  〔良し!〕

 

  『Распространение в пределах сейчас!』

  〔今の内に散開しろ!〕

 

兵士等『『да!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

聯合艦隊

 

 

総旗艦 戦艦三笠(みかさ)

 

 

 

 

見張り員「っ! 敵艦隊から駆逐艦群が離脱! 突っ込んで来る!」

 

長官「距離は?」

 

見張り員「6.3(キロ)!」

 

長官「分かった、3(キロ)を切ったら知らせ」

 

見張り員「了解!」

 

長官「全艦に通達、残り3(キロ)で取舵、その後距離2.5(キロ)になった所で撃て」

 

通信兵「了解!」

 

見張り員「残り5(キロ)!」

 

 

 

    「4.6(キロ)!」

 

 

 

    「4.1(キロ)!」

 

 

 

    「3.3(キロ)!」

 

 

 

 

そして遂にその時が訪れる。

 

 

見張り員「...敵との距離3(キロ)!!」

 

その言葉と同時に直ぐに長官が命令を出す。

 

長官「今!! 取舵一杯!!」

 

操舵手「了解! 取舵一杯!!」

 

 

 

そして命令と共にすぐ全艦が舵を切る。

通常、直ぐに舵を切っても曲がり始めるのに大型艦であるほど掛かってしまうが日本艦隊の場合は全艦の舵を大きくし、更に船底に沢山の注排水孔がある為、それを利用して素早くかつ旋回半径が小さく転舵する事が可能になっていたのである。具体的に言うと転舵する際に旋回方向に注水し、反対側に原動機(モーター)で強制排水する事で艦の傾きを抑えつつほぼ直角に近い機動旋回が可能となっているのだ。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

聯合艦隊

 

第二艦隊

 

 

旗艦 戦艦高嶺(たかみね)

 

 

 

通信兵「失礼します! 三笠(みかさ)より通信!」

 

   「[距離三(キロ)ニテ全艦取舵 彼我ノ距離二.五(キロ)地点ニテ全艦一斉射撃ヲ行ウ] 以上であります!」

 

艦長「分かった、下がってよろしい。」

 

通信兵「はっ!」

 

艦長「2.5(キロ)で砲撃とは、、普段では考えられないくらい近いですね、()()司令」

 

松田「だな、まぁ今回ばかりはお客さんの目があるしね、仕方ないさ」

 

  「(まぁ、俺としてはまさかのトーゴーターンが早く出てきた方が吃驚(ビックリ)なんですけどねー。あれ?あの有名なターンって舵どっちに切ってたっけ、、まぁいっか)」

 

  「(しっかしまー今回の夜戦でそれをやるとは、、)」

 

  「見張り員! 逐一距離を報告せよ!」

 

見張り員「了解!」

 

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

 

    「距離3(キロ)になりました!!」

 

松田「良し! 取舵一杯!!」

 

操舵手「取舵一杯!」

 

松田「おっとと、、相変わらずこの急制動は凄いな、、」

 

 

 

  「...舵戻せぇ!!」

 

 

操舵手「戻~せ~!」

 

松田「(さてさて、他の艦も付いて来てるな。よしよし)」

 

  「(霧野の奴大丈夫かね~、、っと)」

 

  「砲撃用意!!」

 

水兵「了解!」

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

第二艦隊所属

 

装甲巡洋艦 風吹(ふぶき)

 

 

 

艦長「取舵!!」

 

操舵手「取舵ぃ~!」

 

 

 

九番主砲

 

霧野「うわっとと、、相変わらず凄い機動性だな、、」

 

観測員「何だまだ慣れないのか?」

 

霧野「ははは、、やはり訓練してるとは言え、実戦だと大分感覚が違いますからね」

 

観測員「あー、今回が始めてk、、」

 

砲術長「おい!砲撃用意だ!」

 

観測員「了解! 良し装填急げ! 大丈夫、訓練通りにするだけだ! 落ち着けよ!」

 

霧野「っ!! 分かった!」

 

  「(と言ってもただ取っ手(レバー)やら(ボタン)やら操作するだけですけどね。然も砲搭の下で操作だから砲に被弾してもただ砲がやられるだけだし観測員も下で見てるしで実質甲板には見張り員以外殆どいないんだよな、、)」

 

  「(まさか此処まで魔改造してるとはな、、何かもう、引くわー、、)」

 

 

 

 

霧野の言う通り魔改造には砲も含まれており、主砲は全て自動砲となっている為、砲塔内には誰一人おらず、また全ての副砲も防盾(シールド)付きとなっており当然こちらも自動砲であり、主砲と副砲どちらも旋回基盤が艦中層部まであり、そこで砲旋回を操作するので被弾率の高い危険な砲塔内で操作する必要がないのである。更には測距も潜水艦の潜望鏡の様な物を応用した物である為、外に出て危険を冒さず、艦内から安全に観測出来るのである。

 

その為先ほどの発言からも分かるように仮に砲付近に被弾したとしても人的被害はほぼゼロと言っても過言ではないのだ。(もちろんこの様な機密事項はバレない様にちゃんと対策済みである)

 

 

 

 

霧野「...装填良し!!」

 

観測員「方位良し、距離良し!」

 

砲術長「...(って)ぇ!!」

 

霧野「了解!」カチ

 

 

ズドォォォン!!!

 

 

       ドォォォン!!

 

 

 

そして距離が2.5キロになった所で全艦が敵駆逐艦郡に対して一斉に砲撃を浴びせたのである。

 

当然自艦の射程にまだ入ってないロシア側はそれを只々ひたすらに耐えるしかなく、砲撃が命中した艦は次々と落後していき、運が悪い艦は魚雷に被弾して大爆発を引き起こして轟沈していったのである。その為なるべく被弾率を減らそうと各艦が不規則な動きで散開しながら日本艦隊へ突撃していった。

 

そして遂に砲雷撃の出来る距離まで来たときにはその数は僅かに11隻と言う壊滅状態といっても過言ではない状態になっており兵士の士気はガタ落ち、ロシア側の計画は破綻したと言えるだろう。

 

だが後ろからは彼らの主力艦隊が迫ってきており、更に前方には未だ無傷の日本艦隊に挟まれていると言う状況にもはや逃げることも出来ず、只々愚直に突撃をするしかロシアの駆逐艦達に生き残る道はなかった。そして指揮官の命令で生き残った艦は魚雷を発射した。

 

だが日本艦隊から攻撃を受けながらなので悠長に観測など当然する間も無く、急いで発射してしまった為に殆どがあらぬ方向へと行ってしまい全く意味のない攻撃となってしまったのである。

 

そして雷撃の為に艦の側面を日本艦隊に向けてしまった為、被弾し易くなってしまっていた。

当然日本艦隊がそこを逃す筈はなく、距離も近いこともあって機銃まで使い始めた事でより一層攻撃は激しくなっていき、遂にロシア戦艦部隊が到着する前に日本艦隊に有効打を与えることも出来ず全滅したのである。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

ーーロシア艦隊

 

 

 

 

日本艦隊より漸く4.7キロ程度まで近づいたロシア艦隊では静寂が支配していた。

 

当然であろう、何せ自分達の目の前で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で我が艦隊の駆逐艦たちを赤子の手をひねるかの如く一蹴したと言う俄かに信じられない事が起こったのだから。

 

そして今から彼らを相手するのは我らだ。

 

一体何隻が生き残れる? そもそも生き残れるのか? だがやらねばならない

 

そうだ! 我らは最強のロシア海軍である! 人間(白人)あんな奴ら(極東の猿)に負ける筈がないのだ!!

 

それにやられたのは装甲の薄い駆逐艦ばかりであるし飛距離を延ばす為に砲弾を軽く作ってるに違いないから戦艦の装甲を抜ける訳がない!!

 

そう自らを鼓舞させた艦隊は100隻近くの魚雷艇を前面に出し、圧倒的物量で日本艦隊に迫った。

 

だが、見張り員が背後から数隻の日本艦が迫ってきたのを確認し、再び動揺が走る。

 

何故なら迫ってきてる日本艦は見たところかなり小さい為()()()()()()だと思われるのだが速度が(ロシアにとって)余りにも速すぎたからだ。

 

 

 

 

だが猛スピード(と言ってもせいぜい40ノット程度である)でロシア艦隊に急接近してきたのは水雷艇ではなく8隻の伊剣(いつるぎ)()()()()()であった。

 

 

 

 

伊剣(いつるぎ)型高速駆逐艦

 

全長:十九.七間(約61メートル)

 

速力:百二十(ノット)

 

主な装備:投網

 

主砲:四寸(約12センチ)単装砲3基

 

同型艦:三十七隻(更にまだ建造中)

 

 

 

明治18年、渥美半島赤羽造船所で就航した本艦は、たまたま高橋(へんたい)の目に入り、先ずは機関と船体延長の改装工事を受けた。とは言え幾ら高橋(へんたい)でもジェットエンジンの小型化は技術的な問題でまだきつい所があり、どうしたものかと悩んだ時にたまたま車庫にいた機関車が高橋(へんたい)の目に入った。

 

この時(日露開戦前には)既に石炭を燃料にした蒸気タービン(ジェットエンジン)は出来ており、戦艦などには比較的早い段階で搭載されていた。

 

そして()()()()()()()()()()()である。

 

そこに気が付いた変態(高橋)は何をとち狂ったのか「あ、だったらこれ(機関車)機関(エンジン)にすりゃいーじゃん」と何故かそこにあった本来なら120トンの客車を引っ張るのが仕事であるそれ(機関車)を徹底的に魔改造し、その力を速力に利用したのだ。簡単に言うと蒸気機関車を縦にしてエンジンにしたのである。

 

そしてその速度を活かして先に艦隊より離脱しロシア艦隊に迫ってきていたのだ。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

水雷戦隊

 

 

第二駆逐隊所属臨時偵察隊

 

臨時戦隊長 駆逐艦 伊剣(いつるぎ)

 

 

 

見張り員「敵艦隊発見っ!! 距離11(キロ)!」

 

艦長「速度35まで落とせ! 総員戦闘準備!!」

 

  「さて、予定通り奴らの手前まで近づいたら直ぐに転舵するぞ」

 

  「投網用意!」

 

兵士等「「了解!!」」

 

 

 

艦長の命令で兵士等は直ぐに投網の準備に取り掛かる。というのもこの艦には砲があるがあくまで自衛用であり、主装備は投網であったからだ。

 

その使い方は至ってシンプルで敵の目の前で引き返して投網する、そして追いかけてきた敵艦のスクリューに引っ掛けて行動不能にするという相手からしたら堪ったものではないとんでもない嫌がらせ行為をするのである。

 

当然そんな事など知らないロシア艦隊は突如現れた伊剣達に対処すべくなけなしの駆逐艦8隻の内6隻が搭載艇15隻を伴って急いで伊剣達に向かっていき、残った2隻は戦艦らと共に目の前の日本艦隊へ突撃していった。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

駆逐艦伊剣(いつるぎ)

 

 

見張り員「敵艦隊より駆逐艦が離脱! 小型艇を伴って此方に向かって来ます!!」

 

艦長「何? まぁいいか、距離900(メートル)で転舵!」

 

  「距離知らせぇ!」

 

見張り員「現在1.7(キロ)!」

 

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

 

    「距離900(メートル)!!」

 

艦長「反転今!! 全艦投網セヨ!!」

 

兵士等「「了解!!」」

 

 

 

ロシアの駆逐艦との距離が900mになった所で全艦が急速反転、網を投下した。

 

一方でロシア側は伊剣達がこちらの数に堪らず逃げたと判断、然し放っておく訳にもいかないので追跡する。

 

だが追跡を始めて3分後、突如1隻の艦の動きが鈍くなりやがて動かなくなった。そしてそれは段々全体に広がっていき最初の1隻から9分後、全艦の動きが止まってしまい、完全なパニックに陥っていた。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

ロシア駆逐隊

 

 

『Что⁉』

〔何だ!?〕

 

『что случилось⁉』

〔何が起こってる!?〕

 

『Все корабли не двигаются⁈』

〔全艦動かないだと?!〕

 

『Что ты имеешь в виду!!』

〔どうなっている!!〕

 

『Двигайся!! двигайся!!』

〔動け!! 動けよ!!〕

 

『Что!!! Я бомбардировал!!』

〔あぁっ!!! 撃ってきた!!〕

 

 

と言った有様で未知の攻撃に恐れをなし、碌に反撃する間も無く次々と伊剣達の砲撃によって沈んでいった。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

ーーロシア戦艦部隊

 

 

こちらも先の駆逐隊と同じく惨劇が広がっていた。

 

日本主力艦隊との戦闘開始から2時間、100隻近い数を誇っていた艦隊は一方的な砲撃に晒された事で戦艦5隻、巡洋艦3隻、搭載艇7隻にまでその数が減っていた。そして背後にいた日本艦隊の迎撃も失敗したとの報が入ると遂に戦線が崩壊、逃亡し始めたのである。

 

そしてそれを見た日本艦隊は攻撃を止めて撃沈した艦の乗組員の救助を始め、後から伊剣達以外の水雷戦隊も合流して救助活動を続けた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

ーーロシア残存艦隊

 

 

日本艦隊との海戦から数時間後、何とか本拠地である旅順港まで後少しといった所で彼らは逃げ切れた事に安堵していた。だが港に近づくにつれてその表情は段々と絶望に染まっていった。

 

何故なら彼らの本拠地である旅順港が燃えていたからだ。

 

と言うのも港まできた日本の水雷戦隊であるが港の防衛艦が思ったよりも多かった為、先に港に奇襲を仕掛ける事にし、その殆どを沈めて機雷を設置、そのまま主力艦隊に向かっていったのだ。

 

通信設備がやられた事でこの奇襲を知る事が出来なかった残存艦隊は日本艦隊の徹底ぶりに恐怖しながらも見張りから周囲に日本艦隊は居ないと判断、一先ず消火作業等の為に港の入り口付近に近づいた時、水雷戦隊の設置した機雷に接触、次々と着底し港の入り口を封鎖してしまい、ここに旅順艦隊は完全に行動不能となってしまったのである。

 

 

そしてこの海戦から翌日、日本軍が遂に仁川に上陸しようとしていた。

 

 



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第伍話  そう言えばロシアも物量国家だったね... なお兵士や艦隊の質()

ただでさえ遅筆なのに10月から職場が異動になってから更に遅筆に...
ついでに11月は土曜日全滅したし...

まぁYouTubeとかで資料を漁りながらってのもあるからね

定時で帰りたい...


ロシア旅順艦隊との海戦から一夜明けた翌日、港の封鎖と艦隊の無力化の両方を達成し、後顧の憂いを絶つ事の出来た日本軍は六万八千人の仁川上陸部隊を乗せた輸送船団を伴う艦隊と合流した聯合艦隊とで仁川に向かった。

 

然し、仁川港にはロシア艦以外にも仏国(フランス)米国(アメリカ)、そして同盟国の英国(イギリス)などの軍艦や商船等の船舶が停泊していた。

 

その為彼らが戦闘に巻き込まれたり、誤射を防ぐ為に湾外へ避難するように通達し、また仁川に停泊していたロシア艦も数が僅か7隻と少なく、これ以上の戦闘によって双方に犠牲を出すのは最早無意味であるのでロシア艦隊にもその旨を通達し、ロシア側はこれを受諾。

 

そしてこれを受けた各国の船舶は避難を開始した。だが最後に出て来たロシア艦隊は突如として日本海軍へと発砲した為に仕方なく日本側も応戦、結果として仁川にいたロシアの艦隊は7隻全艦が沈没、日本海軍側も被弾によって若干の死者が出てしまったが、これによってロシア側の仁川にいた防衛戦力はほぼ壊滅したため日本軍は何ら抵抗を受ける事もなく上陸でき、そのまま橋頭堡を確保する事に成功し、仁川を陸海軍の補給基地として利用、その後も続々と部隊が上陸し総勢十三万人の陸軍が集結、更に海軍も艦隊の増派を決定し此方も戦力を大幅に強化したのである。

 

そして今回の両海戦によって極東方面のロシア海軍は直ぐに稼働出来る大型艦艇の殆どを失った(とは言うものの今だウラジオ艦隊などはまだ無傷であるが)為、一時的ではあるが事実上壊滅し、これによって日本海軍が制海権を握った為、陸軍は先ずはロシア軍が守っている遼東半島を奪取すべく海軍支援のもと次の目的地である南山や遼陽へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

所変わって鴨緑江では(およ)そ10万7千人のロシア陸軍が攻撃の準備を進めている最中であった。

 

彼らは海軍が日本相手に負けた挙句に港が完膚なき迄に叩かれ、封鎖されたことは既に連絡を受けていたが、夜襲であったため日本は戦力が此方よりも少ないから準備が整う前に奇襲したから負けたに違いないと思っていた。そして色々と手間や準備のかかる海軍と違い、陸軍(こちら)は直ぐに動けるし奴らより兵士の数も圧倒的である。そして何よりも『我が軍の兵士の方が日本の兵士よりも遥かに優秀だから奴らなど一瞬で蹴散らす事が出来る』と過信していた為、兵力を分散配置して包囲するような布陣で日本軍を待ち構えていた。

 

 

 

 

だが彼らの相手は陸軍だけでは無いと直ぐに知る事となる。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーー鴨緑江付近

 

 

 

ロシア軍が着々と迎撃態勢を整えている一方で日本軍は海軍が陸軍の支援として鴨緑江の入り口から侵入、海軍が艦砲射撃で後方の敵を砲撃、それと同時に陸軍も前方の敵を野砲等で砲撃、その隙に先に騎兵隊を渡河させ、騎兵隊による機動攻撃をしつつ撃ち漏らした敵兵を歩兵が最後に仕留める手筈であった。

 

 

そして今、鴨緑江には本来であれば此処に居る筈の無い、いや、来れる筈の無い八つの巨大な艦影達が陸軍を支援すべく更に奥深くへと突き進もうとしていた。

 

 

 

 

 

ーー日本海軍鴨緑江支援艦隊

 

 

 

旗艦 戦艦多襧(たね)

 

 

 

司令官「はてさて... まさか彼方さんも戦艦が来るとは微塵も思ってないだろうねぇ。 彼等には少し同情するよ。 なぁ参謀長」

 

参謀長「そうですねぇ。 今だに自分も航行可能だというのが信じられないですし...」

 

   「ですが何も八隻全て戦艦にしなくても良かったのでは?」

 

司令官「まぁまぁ、こういうのは如何に此方の損害を少なく、そして相手に大打撃を与えるかが大事だからね、あと威圧感も増すからね」

 

   「戦艦ならば野砲等では装甲を抜かれ無いが此方の砲撃は彼方さんには有効だろう? そうなれば脅威度的に恐らく我らを優先的に狙うだろうから渡河中は完全に無防備になってしまう陸さんを援護出来るだろうからね。 まぁ、後部主砲が使えんのが残念だが、、そこは副砲で補助するしかないね」

 

参謀長「なるほど... ですが戦艦だけ何てよく許可されましたね」

 

司令官「んー、何か勢いで行けた」

 

参謀長「えぇ...」

 

 

 

 

 

などと呑気に会話をしつつも警戒を怠る事無く着々と進んで行った。

 

そして日本海軍が鴨緑江に現れるのをロシア側の見張りをしていた歩哨が発見したと言う有り得ない報告が入ると、ロシア軍の指揮官や参謀達は「見張りは何を言ってんだ?」と思っていたがその後も相次いで同じ報告が入るので確認すると、本来ならばここに来れない筈の戦艦達が確かに遠くから黒煙を棚引かせながら堂々と単縦陣で迫ってきていたのである。それを見た彼等は面食らった様子で慌てて野砲や榴弾砲の準備を始め、射程に入り次第砲撃するつもりであった。だが、日本海軍はロシア軍の思惑とは裏腹にロシア軍の砲の射程よりも遥かに長い5(キロ)という(彼等からすれば)超長距離から順次砲撃をしたきたのだ。

 

何故この様な長距離砲撃が可能なのか? というのも日本軍はロケット推進を利用した砲弾を開発、採用した為、装薬の爆発力による推進力とロケット砲弾による更なる推進力によって射程が最大仰角以上まで延ばす事が出来たのだ。更に砲身内部にも施条(ライフリング)が施してあるのでそれによる砲弾安定化により長距離から目標を撃っても命中率が実に86%以上を可能にしていたので狙った場所にほぼ確実に当てる事が出来るのだ。その為この時代の軍艦の常識では有り得ない程の射程と命中精度を誇っていたのである。

 

そして日本海軍がここに来れた理由としては単純明快で注排水装置によって艦内にあったバラスト水の殆どを出して水面付近まで船底を近づけた事によって水深が浅い場所でも航行を可能にしただけである。

 

更に海軍の艦砲射撃に続くように今度は日本陸軍も当たり前の様に射程外から砲撃を開始し、ロシア軍は自軍の後方からは艦砲射撃が雨霰の如く降り注ぎ、そして前方からは川向こうの陸からの砲撃に挟まれ、目の前で敵軍が河を渡っていても最早まともに迎撃態勢を整える状態すら難しい程の状況であった、だが暫くして砲撃が下火になり漸く安堵したロシア軍であったがその頃にはその数は8万9千人にまで数を減らしていた、そこへ今度は何とか渡河に成功した日本の騎兵隊凡そ二万五千人が突撃喇叭と共に物凄い勢いで迫ってきたのである。それを目の当たりにしたロシア軍は慌てて一部の何とか生き残った僅かな砲と機関銃で反撃を試みるも焼け石に水といった状態であり、何ら有効打を与える前に両軍が激突、だが幾ら数で優っていても先の砲撃から立ち直る前に間髪入れずに騎兵隊の攻撃をくらいロシア軍はパニックに陥っていた。そこへ更に駄目押しとばかりに損害なく無事に渡り切った沢山の歩兵までもが雄叫びを上げながら各々が軍刀を振り上げ、また銃剣を付けた小銃でロシア軍に突撃をしてきたのだから堪ったものではない。

 

そしてこの日本軍の突撃を目の当たりにした時点でロシア軍の中に僅かに残っていた戦意も遂に完全喪失、彼らは武器を捨て降伏する者や我先に逃げる者と、その物量を活かすことも出来ずに完全に瓦解し、ロシア軍は10万を超す兵力を持っていながら約9割の兵力を失い、鴨緑江会戦は日本が勝利したのである。

 

そしてその勢いのまま彼等は南山や金州城を攻略している部隊を支援すべく南山方面へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーー南山

 

 

 

 

鴨緑江で日本軍が早期に勝利を収める事が出来た一方、南山の攻略部隊四万二千人はロシア側の防備が予想以上に固く苦戦を強いられていた。

 

というのも南山を守っていた南山守備隊2万8千人は塹壕や鉄条網を幾重にも張り巡らしており、そこへ大量の砲や機関銃を至る所に設置し、更には地雷までもを備えた近代的な要塞の様な陣地を構築していたからである。然も一部の砲や機関銃に至ってはトーチカや山の一部をくり抜いた場所に設置してあるのと、金州城方面や得利寺方面など、遼東半島全体を海軍が東奔西走の如く走り回って支援をしていたが派遣艦隊と増派した艦隊だけでは間に合わず、急いで本土から追加の艦隊を派遣していたので南山方面には駆逐艦や巡洋艦などの小口径砲(それでも陸からすれば大口径だが)が殆どだった為に幾ら命中精度が高い艦砲射撃でもこの数の多さと流石に山の中にある砲までは中々無力化(支援射撃)が難しかったのである。

 

だが間者(スパイ)によってロシア軍の陣地の大まかな構造は把握していた為、塹壕などに籠っている敵軍や機銃陣地は何とか無力化できたものの、山中にある砲陣地は流石に海軍の支援砲撃でもそう簡単に無力化は出来ず、かと言って幾ら内部構造を把握しているとは言え数に任せて突撃していたずらに兵を損耗させる訳にもいかず、日本軍はどう攻略しようかと攻めあぐねていた。然し攻撃開始から五日後、鴨緑江で勝利した部隊が合流し更に戦艦までもが支援砲撃に加わったことで益々攻撃は苛烈になり、流石に複数の戦艦砲を砲門付近に一気に喰らうと無傷とはいかず次々と無力化され、そこから兵士等がなだれ込み内部で激しい接近戦が繰り広げられた。そして数時間後、南山の頂上に日章旗が堂々と翻り、更に三日後には金州城も陥落するなど、日本軍の猛攻の前に半島の各地を守っていたロシア軍は次々と敗走、そしてロシア本国では相次ぐ敗走の報告に衝撃を受け、日本軍を本気で潰すべく遂にヨーロッパ方面を担当していた艦隊までもを対日本戦に投入する事を決定し、黒海(バルチック)艦隊に最精鋭である本国艦隊を加えて第二太平洋艦隊を編成、(およ)そ200隻、水雷艇等の小型艦艇も含めると実に470隻近くという今迄に無い程の超大艦隊をもって日本軍を叩き潰すべく急いで出撃したのである。そして陽動として太平洋方面に残っていたまだ無事であったウラジオストックに停泊していたウラジオ艦隊にも出撃を通達し、これを受けた艦隊は急いで出撃準備を始めたのである。

 

然し既に大勢は決しており、その報が届いてもロシア軍には真面な戦力は無く、一部で小規模な戦闘や撤退する為の遅滞戦術などはあったものの、最後まで頑強に抵抗していた奉天が遂に陥落、だがそれによって5ヶ月もの長い期間を稼ぐことに成功、然し最終的に殆どの地域から撤退し、年を(また)いで約7ヶ月近くにわたって行なわれた遼東半島を巡る一連の戦闘は何とか日本側の勝利によって幕を閉じ、ロシア軍の殆どは満州方面やウラジオ方面へと後退したのである。

 

だが彼等が時間を稼いでくれたお陰で第二太平洋艦隊は何とか4ヶ月でインド洋まで到達したが、喜望峰やスエズ運河方面からしか行けない為に艦隊は疲弊していたので先ずは(フランス)領のマダガスカル島で補給してから更に3ヶ月以上かけて日本海へと向かう予定であった。然しながらその動きは同盟国である英国(イギリス)経由で日本に情報が入っていたのである。だが海軍は陸軍支援で走り回っていた為に疲労が凄まじく、此方も一旦港で整備補給をし、その後はロシア艦隊撃滅の為に艦隊が来るまで猛訓練をしていた。

 

 

 

 

そして明治38年(1905年)6月ロシア太平洋艦隊が日本海に接近してるとの情報を受けると、いよいよ全ての決着を付ける為、聯合艦隊は出撃したのである。そしてこの出撃と同時に万が一撃ち漏らした敵も確実に仕留める為、ウラジオストックやナホトカにも攻撃部隊を送り、港施設の破壊や機雷を設置するために遊撃艦隊を編成、更に講和を有利にする為に駄目押しとばかりに樺太攻略部隊を編成し、各艦隊は其々の目的地へ出撃していった。

 

 

 

なお其々の艦隊戦力の数は以下の通りである。

 

 

 

聯合艦隊

 

戦艦

 

敷島(しきしま)  朝日(あさひ)  初瀬(はつせ)  三笠(みかさ)  富士(ふじ)  八島(やしま)  白山(はくさん)  多襧(たね)  胆振(いぶり)  伯耆(ほうき)  真砂(まさご)  白神(しらかみ)  三峰(みうね)  高隈(たかくま)  高嶺(たかみね)  石狩(いしかり)  景鶴(けいづる)  (てらし)  十勝(とかち)  飛龍(ひりゅう)  八幡(はちまん)  武尊(ほたか)  鳥海(ちょうかい)  有明(ありあけ)  白雲(はくうん)  瑞牆(みずがき)  黒金(くろがね)  尾高(おだか)  蓼科(たてしな)  八海(はっかい)  蔵王(ざおう)  赤城(あかぎ)  佐渡(さど)

計33隻

 

 

巡洋艦

 

出雲(いずも)  磐手(いわて)  八雲(やくも)  吾妻(あずま)  浅間(あさま)  常盤(ときわ)  春日(かすが)  日進(にっしん)  笠置(かさぎ)  千歳(ちとせ)  対馬(つしま)  音羽(おとわ)  名取(なとり)  高千穂(たかちほ)  明石(あかし)  厳島(いつくしま)  松島(まつしま)  橋立(はしだて)  須磨(すま)  和泉(いずみ)  千代田(ちよだ)  秋津洲(あきつしま)  筑紫(つくし)  高雄(たかお)  大峰(おおみね)  八溝(やみぞ)  七時雨(ななしぐれ)  大嶺(おおみね)  霊仙(りょうぜん)  知多(ちた)  大洗(おおあらい)  風吹(ふぶき)  標津(しべつ)  (ひのと)  高見(たかみ)  那岐(なぎ)  黒姫(くろひめ)  八間(はっけん)  無双(むそう)  高薙(たかなぎ)  四万十(しまんと)  高瀬(たかせ)  岩木(いわき)  矢田(やた)  斐伊(ひい)  那賀(なか)  天神(てんじん)  千代(せんだい)  那珂(なか)  仁淀(によど)  三嶺(みうね)  糸瀬(いとせ)  矢筈(やはず)

計53隻

 

 

そして駆逐艦や水雷艇等の補助艦艇233隻を合わせると実に319隻にも及ぶ大艦隊であった。

 

 

 

 

ウラジオ攻略部隊

 

戦艦

 

妙見(みょうけん)  姫神(ひめかみ)  横津(よこつ)  津黒(つぐろ)  黍殻(きびがら)

計5隻

 

 

巡洋艦

 

久慈(くじ)  雲出(くもず)  嘉瀬(かせ)  巴波(うずま)  乙津(おとづ)  加瀬(かせ)  藻琴(もこと)  俱留尊(くろそ)  手稲(ていね)  大鈴(おおすず)

計10隻

 

 

駆逐艦(機雷艇含む)

 

枝垂桜(しだれざくら)  秋時雨(あきしぐれ)  春麗(はるうらら)  音風(おとかぜ)  秋麗(あきうらら)  飛魚(とびうお)  飛雪(ひせつ)  神立(かんだち)  青嵐(あおあらし)  春嵐(はるあらし)  靄雲(あいうん)  八重雲(やえぐも)  第八十八号  第百十一号  第百五十八号  第三百七十五号  第三百七十九号  第六百三号

計18隻

 

         合計33隻

 

 

 

 

ナホトカ攻略部隊

 

巡洋艦

 

琴引(ことびき)  生藤(しょうとう)  氷上(ひかみ)  庄内(しょうない)

計4隻

 

 

駆逐艦

 

空木(うつぎ)  梔子(くちなし)  (しゃち)  梅雨月(つゆつき)  霧時雨(きりしぐれ)  蟋蟀(こおろぎ)  潮騒(しおさい)  鳴門(なると)  春宵(しゅんよう)  夏暁(なつあけ)

計10隻

 

 

潜水艦

 

(けい)六十型潜水艦

6隻

 

         合計20隻

 

 

 

 

樺太攻略部隊

 

戦艦(漁船改造戦艦のみ)

 

第五若葉丸(まかばまる)  三光丸(さんこうまる)  第九暁丸(あかつきまる)

計3隻

 

 

巡洋艦

 

御岳(おんたけ)  倉岳(くらたけ)  多良(たら)  百蔵(ももくら)  千ヶ峰(せんがみね)  大佐(おおさ)  羅漢(らかん)

計7隻

 

 

駆逐艦

(みお)  夕潮(ゆうしお)  八十瀬(やそせ)  月虹(げっこう)  春潮(しゅんちょう)  吠雲(はいうん)  狂濤(きょうとう)  雪嶺(せつれい)  頻波(しきなみ)  曙光(しょこう)  (こうぞ)  百日紅(さるすべり)  逆浪(げきろう)  上紺水(じょうこんすい)  波座(なぐら)

計15隻

 

         合計25隻

 

 

 

 

決戦の時は着実に近づいていた。




11/4
メモ書き消すの忘れてました。申し訳ない

一応後々に出す予定です


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第陸話  日露決戦前哨戦

おかしいな... 主人公達の出番が少なすぎる様な... まぁいっか、でも小説って難しいですね、書いてると改めてそう思います


ーーウラジオストック

 

 

 

バルチック艦隊が日本に接近している頃、ここウラジオストックやナホトカ軍港では本国よりバルチック艦隊が日本の主力艦隊を相手にしている隙に直接日本の首都である東京に奇襲攻撃をする様に命令が下った為、日本の帝都を攻撃すべく残っていた艦が出撃の準備を完了しつつあり、出港直前であった。

 

 

 

 

 

因みに以下の艦隊が帝都攻撃に参加する全戦力である(兵員輸送船等は除外)

 

 

日本本土奇襲部隊

 

巡洋艦

 

Россия(ロシア)  Громобой(グロモボーイ)  Рю́рикъ(リューリク)  Богатырь(ボガトィーリ)  Лена(レーナ)

計5隻

 

 

駆逐艦

 

Зима(ジマ)  Томари(トマリ)  Сафоново(サフォノヴォ)  Шуя(シューヤ)  Остров(オストロフ)  Оротука́н(オロトゥカーン)  Нарьян-Мар(ナリヤン・マル)  Мичуринск(ミチューリンスク)  Ливны(リーヴヌィ)  Лесозаводск(レソザヴォーツク)

計10隻

 

 

そして水雷艇19隻の合計34隻の艦艇が帝都攻撃の為に着々とその牙を研ぎつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

ウラジオストック艦隊

 

 

 

旗艦 装甲巡洋艦Россия(ロシア)

 

 

 

司令官『Я наконец могу дать отпор Японии』

   〔漸く日本に一泡吹かせられるな〕

 

艦長『Что ж, я ждал заказа из моей родной страны.』

  〔えぇ、本国からの命令を今か今と待ち侘びておりました〕

 

参謀長『Тем не менее, я надеюсь, что внезапная атака удастся с этим номером ...』

   〔とは言えこの数で奇襲が成功すればいいですが...〕

 

司令官『Нет, Говорят, что не только мы, но и Флот метрополии будут участвовать в атаке на материковую часть Японии после разгрома основного флота противника.』

   〔いや、我らだけでなく本国艦隊も奴らの主力艦隊を蹴散らした後に日本本土攻撃に参加するとのことだ〕

 

艦長『действительно,Тогда это нормально』

  〔なるほど、それならば大丈夫ですね〕

 

司令官『Верно? в любом случае, они собираются направить большую часть своих сил на Флот метрополии, так что сейчас он слишком мал.』

   〔だろう? なに、どうせ奴らは戦力の殆どを本国艦隊に向けてるだろうから今は手薄だろう〕

 

司令部『Там наш Владивостокский флот первым атакует их материк, а они скоро запаникуют и сдадутся.』

   〔そこへ我らウラジオ艦隊が先に奴らの本土へ奇襲を仕掛ける、そうすれば忽ちパニックに陥って直ぐに降伏するだろうさ〕

 

   『Думаю об этом? Если мы в одиночку атакуем их столицу и добьемся успеха до прибытия Флота метрополии, мы обязательно будем героями.』

   〔それに考えてみろ? 本国艦隊が来る前に我らだけで奴らの首都を攻撃して成功すれば英雄間違いなしだ〕

 

艦長『Ух ты! Герой, хорошо звучит ...』

  〔おぉ! 英雄ですか、いい響きですね...〕

 

見張り員1『(Герой ... Во всяком случае, мы тут не причем... )』

     〔(英雄ねぇ... どうせ俺達には何も出さん癖に...)〕

 

見張り員2『(это верно. Да уж? То есть...?)』

     〔(だよなぁ。 うん? あれは...?)〕

 

見張り員1『(Yeah? Черный дым? Была ли просьба о подкреплении?)』

     〔(ん? 黒煙? 増援要請何てあったか?)〕

 

見張り員2『(Не?Я не слышал? Зачем ты сейчас идешь сюда?)』

     〔(いや? 聞いてないぞ? それに今更来るか?)〕

 

見張り員1『(NS!? Это означает Враг⁉)』

     〔(っ!? て事は敵か!?)〕

 

見張り員2『(Эй, это правда⁉)』

     ((おいおいマジかよ!?))〔〕

 

見張り員1『(NS!)отчет!! На горизонте подтверждается множество черных дымов!! Кажется, вражеский флот!!』

     〔(くそっ!)報告!! 水平線上に黒煙を多数確認!! 敵艦隊と思われます!!〕

 

     『Расстояние 17 км! Более 20!!』

     〔距離17キロ! 数20以上!!〕

 

司令官『что⁈ Глупый ... Где они скрыли эту силу...』

   〔何ぃ?! 馬鹿な... 奴らは何処にそんな戦力を隠し持ってたんだ...〕

 

   『В любом случае, я потороплюсь и дам отпор! Большинство из них может покинуть порт?』

   〔と、とにかく急いで迎撃するぞ! 殆どは出港できるな?〕

 

艦長『Да, 80% парка укомплектовано』

  〔えぇ、艦隊の8割が完了しています〕

 

司令官『Хорошо, и попроси поддержки в ближайшем порту. Если все пойдет хорошо, вы можете осадить』

   〔宜しい、それと近場の港にも応援を頼んでくれ。 上手く行けば挟撃できるかもしれん〕

 

参謀長『я понимаю!』

   〔了解であります!〕

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

日本海軍ウラジオ攻略艦隊

 

 

 

 

 

 

旗艦 戦艦黍殻(きびがら)

 

 

 

見張り員「...ん? 報告!! 港より敵艦隊が出撃してきた模様! 数30!」

 

司令官「何? 思ったよりも初動が速い、、が動きが(まば)らな所を見るに余程慌てて来た様だな。」

 

艦長「その様ですね。 見張り員!彼我の距離は?」

 

見張り員「十五(キロ)です!!」

 

司令官「15か...各艦に通達せよ、五(キロ)時点で全艦左回頭、敵との距離が残り4キロ時点で単縦陣にて敵艦隊に一斉砲撃、敵艦隊を撃滅した後に港の軍施設も攻撃、その後機雷を設置し離脱する」

 

通信兵「了解!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが全艦艇の出撃準備があと少しで終わりそうだという時に見張り員が日本海軍のウラジオ攻略艦隊を発見し、艦隊は準備が中途半端ながらも迎撃すべく急いで出撃、まだ準備が完了してない艦艇もそれが終わり次第出撃すべく大慌てで準備を進めた。又、見たところ日本艦隊の数が少ない為、上手く行けば挟撃できるかもしれないと思った司令部は同じく奇襲攻撃の為に準備をしているであろう直ぐ近くに位置するナホトカ軍港にも応援を要請、数のごり押しで蹴散らそうと考えていた。

 

然しその要請は受け入れられなかったのである。

 

何故ならばナホトカにも日本海軍が奇襲を仕掛けており、此方はウラジオストック以上に大混乱に陥っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーナホトカ

 

 

 

 

ザッバァァン!

 

 

 

 

ロシア兵『Ух ты⁈ Другой корабль Подняться к морю!!』

    〔うわぁぁ?! また()()()()()()してくるぞぉ!!〕

 

ロシア兵『Это третий корабль... Я больше не понимаю...』

    〔これで3隻目... もう訳分かんねぇよ...〕

 

下士官『Не бойтесь! Пулемет или что-нибудь!! Все равно стреляйте!!』

   〔ひ、怯むな! 機銃でも何でもいい!! 兎に角撃ちまくれ!!〕

 

   『(Однако, как говорят солдаты, я не могу поверить, что объект передо мной находится на суше...)』

   〔(だ、だが兵士達(此奴ら)の言う通り俺だって目の前の此奴が陸にいることが信じられん、、)〕

 

   『(Почему вы вообще можете перемещаться по мелководью?)』

   〔(そもそも何故浅瀬を移動できるんだ?)〕

 

   『(субмарина на суше... это мечта?)』

   〔(まさか()()()が上陸するなんて、、これは夢なのか?)〕

 

 

 

 

 

 

この下士官が言った様に此処ナホトカでは巡洋艦や駆逐艦による砲撃を受けていた、此処までならただの通常攻撃であるのでそこまで混乱は起きなかった、が砲撃が止んだ為ロシア側は日本軍が上陸してくるつもりだと思い、海上に狙いを定めるも肝心の上陸艇が見当たらず何故砲撃を止めたのか分からなかった。

 

だが、よく見ると海面から煙突の様な物が立っており、それが段々と近づいてきたと思ったら突然海面が盛り上がり、何と潜水艦がいきなり浮上してそのままロシア軍に向かって突き進んで来たのである。それを見たロシア軍は面食らいながらもこのままではあの潜水艦は浅瀬に乗り上げて行動不能になるが何故その様な行動をとるのか分からず、しかし放っておく訳にも行かないので生き残った砲で攻撃をしようとしたとき、その潜水艦は案の定浅瀬に乗り上げてしまった、、のだがまるでそんな事は関係ないかのように()()()()()()()()()()()、あげく甲板にある砲や機関砲で攻撃をしながらそのまま砂浜まで辿り着き、艦首部分が開いたと思ったらそこから兵士達が雄叫びを上げながら上陸してきたのである。

 

当然ロシア軍側は潜水艦が、いや、そもそも艦が浅瀬を走行するという有り得ない光景に全ての思考が一瞬止まるも潜水艦からによる砲撃で漸く我に返り、慌てて反撃に移った、だが目の前の非現実的な光景に圧倒されたのか今一精細さに欠けており、冒頭の様になっていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

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日本海軍ナホトカ攻略艦隊

 

 

 

 

 

 

旗艦 巡洋艦氷上(ひかみ)

 

 

 

艦長「おーおー、敵さんはかなり混乱してるねぇ」

 

参謀長「そりゃあんなもの(軍艦)が浅瀬を航行すれば誰だって混乱しますよ、普通は其のまま海底の砂地に乗り上げて座礁してしまいますし、運良くそうならなかったとしても砂地で推進翼(スクリュー)が破損して結局は航行不能になってしまいますからね」

 

   「ですが話には聞いてましたがまさか()()が上陸用舟艇ではなくそのまま潜水艦を砂浜まで上陸させるとは... さしずめ潜水型揚陸艦と言った所でしょうか?」

 

 

 

 

そう、潜水艦が上陸してきたことも驚きだがその潜水艦の所属は何と陸軍だったのである

 

 

 

景60型潜水艦

 

全長:二十五.三間(約78.4メートル)

 

速力

潜航時:八(ノット)

海上走行時:十九(ノット)

陸上走行時:時速10キロ

 

主砲:三寸(約9センチ)艦首単装砲2門

更に艦橋の潜望上部に一寸(約30ミリ)機関砲2門装備

 

同型艦:九隻(現在も更に建造中)

 

 

 

別名陸軍型潜水艦とも呼ばれるこの潜水艦は陸軍海戦隊の為に造られ、正面から見ると横に大きくフロートが出ており、そして側面から見るとまるで旧日本海軍の特二式内火艇の様な見た目をしていた。そして潜水艦と言っても煙突ギリギリまでしか潜航出来ず、また魚雷も装備しておらず代わりに2門の主砲を備えているが、何と言っても最大の特徴は艦底の4ヶ所にゴム製のキャタピラが付いてる事であり、そのまま砂浜まで上陸した後に、艦首部分が開きそこから兵士が上陸する事ができることである(良く分からないと言う方は現在のNATO軍が運用している最新型揚陸艦を思い浮かべて頂ければ分かり易いかと、こちらはキャタピラの代わりにバラスト水をジェット水流にして浅瀬部分を移動して砂浜まで上陸しているが、艦底部のキャタピラ部分が置き換わっただけであり艦の運用方法としては大体一緒である)。これによって兵士等は沖合いにいる艦だけでなく潜水艦からも支援攻撃を受けながら敵地へ上陸でき、上陸戦での一番無防備な時をかなり安全に戦う事が出来るようになったのである。

 

 

 

 

 

 

巡洋艦氷上(ひかみ)

 

 

 

艦長「それもそうだが参謀長、奴らの艦船は見たところ輸送船が多くないか?」

 

参謀長「確かに、、前回の偵察時よりも増えてますね。 それに殆どは既に補給等を済ませて後は出撃命令を待つのみ、といった様に見えます」

 

艦長「という事はもしこの奇襲攻撃が後一日遅れていたら入れ違いで本土に上陸されていたかもしれんな。 いやぁ、新潟にも軍港やらを造っといて良かったねぇ」

 

参謀長「確かに... これは間一髪と言った所でしょうか...」

 

艦長「だな、然しあれだな、輸送船の数からして恐らく帝都に来るつもりだったのだろうがここから帝都に行くには最短で北海道水道を通るしかない、だがあそこはわが軍や陸さんの砲が多数あるから直ぐに補足されて蜂の巣にされると言うのに何故行けると思ったんだろうな。」

 

参謀長「ですね、まぁ、軍の中枢を潰せば手っ取り早く勝利宣言出来ますからこの場合は我が国の首都である東京一局狙い、と言うのは至極当然な考えでありますが... もしかしたら主力艦隊と共に来るつもりだったのでは?」

 

艦長「なるほど... それならばこの程度の戦力でも今はいいわけか... 」

 

  「だがもしそうだとしたら余りにも楽観的思考すぎるぞ、だいたい敵主力艦隊の接近が同盟国(英国)から来た時点で本土より離れた所で補足し、撃滅するのは防衛の観点から言ったら当然だしな」

 

参謀長「そもそも敵を態々日本海までご案内するほど戦争というものは緩くないですしね」

 

艦長「あぁ、詰まり奴らはそれほどまでに我らを取るに足らないと楽観視している何よりの証拠だな」

 

参謀長「それもあってあんなに統率が取れていないでしょうね... 何か一瞬でも同情したのが馬鹿らしくなってきました...」

 

 

 

などと吞気に話している時も戦闘は着実に此方に有利になりつつあり3時間後には遂にナホトカ軍港は日本軍によって陥落したのである。

 

 

 

そして更に2時間後にはウラジオ方面も陥落し、更には機雷まで設置されたことで此処にウラジオ・ナホトカの両軍港は完全に軍港としての機能を失い、その情報は日本に接近中のバルチック艦隊にも届いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーー東支那海(九州沖南方海域)

 

 

 

さてウラジオ方面で日本陸海軍による一方的な戦闘が起きてる一方で、ここ東支那海では特務艦隊所属の仮装巡洋艦信濃丸(しなのまる)が二隻の僚艦と共に日本近海に接近しつつあると言うロシア太平洋艦隊を発見すべく、警戒しながら荒れ狂う波の中で航行していた。

 

 

 

 

東支那海南方方面海域警戒艦隊

 

旗艦 通報艦信濃丸(しなのまる)

 

 

 

司令官「うーむ... もうすぐ沖縄方面まで来ちまうがロシア軍はまだ見つからんか、、奴らは本当に来ているのか?艦長」

 

艦長「えぇ、そのように聞いておりますが、、」

 

司令官「ふぅむ、、だg「左舷に多数の黒煙を確認!!」...何!? 距離は!!」

 

見張り員「距離21(キロ)!! 数更に増大中!! また敵艦隊は更に南に針路を取っている模様!!」

 

司令官「何? 南下しているだと...? 南下したと言う事は、、くそっ! 奴らの目的は直接本土を狙うつもりか?! 艦隊に緊急通信! [ワレ沖縄方面ニテ敵艦隊ト思シキ黒煙多数確認、数ハ三百以上ナリ 又敵艦隊ハ更ニ南下シツツアリコノママ直接本土ヲ目指シテイルモノト思ワレル] 急げ!!」

 

通信兵「了解!!」

 

司令官「良し! 取り敢えず距離10(キロ)まで接近、その後はそれを維持しつつ観測を続け逐一状況を報告、僚艦にもその旨を通達してくれ」

 

兵士等「「はっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

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ーー日本海軍聯合艦隊

 

 

 

 

 

信濃丸(しなのまる)がロシア艦隊を見つける少し前、各港より出撃して合流しつつあった聯合艦隊の旗艦三笠(みかさ)にある作戦室では、合流した各艦隊から其々の司令官や参謀達が集まり会議を重ねていたが作戦方針は中々決まらず紛糾していた。と言うのも同盟国からの情報により敵艦隊が南支那海方面から来るのは分かっていたが、その後の針路が分からず対馬海峡を通ってウラジオ方面の支援に行くのか、はたまた一気に本土へ攻めるに違いないと、議論は平行線を辿っていたのである。そしてこのまま一旦お開きになりかけたその時、遂に待ち望んだ吉報が聯合艦隊に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

旗艦 戦艦三笠(みかさ)

 

 

 

通信兵「会議中失礼します! 東支那海南方方面海域を警戒していた警戒艦隊旗艦信濃丸(しなのまる)より緊急入電! [ワレ沖縄方面ニテ敵艦隊ト思シキ黒煙多数確認、数ハ三百以上ナリ 又敵艦隊ハ更ニ南下シツツアリコノママ直接本土ヲ目指シテイルモノト思ワレル] 以上であります!!」

 

参謀1「何だと!? それは本当か!!」

 

参謀2「然も数が三百以上だと、、何て数だ、、」

 

第二艦隊司令官「まさか直接この国の中枢である帝都を攻撃つもりでしょうか? 奴らにとって我らは歯牙にもかける程ではないと思っているのでしょうか? 東郷司令」

 

東郷「そうと見て間違いなさそうだね、まぁ艦隊の数からしても我らは帝都攻撃前の前菜と言う考えなのだろう」

 

  「それに英国(イギリス)からの情報によるとわざわざ本国艦隊まで投入したらしいからね」

 

参謀長「本国艦隊ですか... 最精鋭をあてがうとは此度の戦は正しく一大決戦ですな」

 

東郷「あぁ、敵さんも漸く本腰を入れたという訳だな。然し我らを此処まで虚仮にしたのだから此方も少々本気を出してお灸を据えてやろうかね」

 

  「今回の海戦では全艦隊の速力を四十(ノット)で固定し、駆逐艦等は追撃時のみ六十(ノット)とし、敵艦隊を完膚なきまでに徹底的に叩き潰す」

 

第三艦隊司令官「なっ!? 長官!それは本気ですか!?」ザワザワ

 

第二艦隊司令官「で、ですが長官、本艦や一部の艦艇には各国の観戦武官が乗っておられるのですよ? それに四十(ノット)は旗艦三笠(みかさ)や殆どの戦艦の全速力の半分程度でありますが... せめて三十、いや二十五(ノット)程度ならばそこまで怪しまれないのでは?」ザワザワ

 

東郷「...皆の意見も最もである。だが敵は三百以上と言う大艦隊で来ているのだ、今回ばかりは各国の目を気にしている場合ではないのだ」

 

  「それにここで我らの実力を見せつける事でこれ以上舐められない様にすることもまた必要な事である」

 

参謀長達「...了解しました。 長官がそこまで仰るのであれば我らはそれに従うのみであります」

 

東郷「皆有難う」

 

参謀長「通信兵! 全艦に戦闘準備を通達! あぁ、それと大本営にこう打電せよ [敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ聯合艦隊ハ直チニ出動、コレヲ擊滅セントス。本日天氣晴朗ナレドモ浪髙シ] 以上だ」

 

通信兵「了解であります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして方針が決まった聯合艦隊は増速し、敵艦隊のいるであろう方に舵を取った。

 

 

 

 

 

 

 

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ーーロシアバルチック艦隊

 

 

 

 

 

さてバルチック艦隊の方では、日本本土に奇襲する筈だったウラジオ・ナホトカ両艦隊が上陸する予定だった兵員だけでなく、港湾施設までもが完膚なきまでに叩かれたと言う情報が入ってきたことで緊急の会議が行なわれていた。

 

 

 

旗艦 戦艦Князь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)

 

 

 

参謀『...Имея это чувство, мы воспользуемся этим численным преимуществом, чтобы сразу же нанести удар вражескому флоту и атаковать наш материк. Это нормально? Секретарь Рожественский?』

  〔...と言う感じで此方の数を活かして一気に敵艦隊を蹴散らし、我らだけで本土に攻撃を致します。 これでよろしいですか? ロジェストヴェンスキー長官?〕

 

ロジェストヴェンスキー『Да уж? О, пойдем с этим』

           〔ん? あぁ、それでいこう〕

 

参謀『? Что случилось?』

  〔? どうされました?〕

 

ロジェストヴェンスキー『Нет я просто немного подумал 』

           〔いや、少し考え事をしていただけだよ〕

 

           『(Благородное дитя, которое даже не знает поля битвы... Вы еще не смотрели информацию? Почему вы не понимаете, что большинство из нас бессмысленно для японской армии... Можно ли вместо материка добраться до Владивостока...)』

           〔(ったく、戦場も知らん貴族のボンボンめ... 今迄の情報をちゃんと見ているのか? 日本軍にはただ数に任せて行っても無意味だというのを何故分からん...こりゃ本土どころかウラジオストクまで辿り着けるかどうか...)〕

 

           『(Однако мне нужно сделать больше, чем принято решение...)』

           〔(だが、決まった以上はやらねばならん...)〕

 

           『Уведомить все корабли! Скоро наш флот вступит в бой с главным флотом врага! Будьте осторожны, победите их основательно и поднимите наш флаг в их столице!』

           〔全艦に通達! 間もなく我が艦隊は敵主力艦隊と交戦する! 決して油断せず奴らを徹底的に蹴散らし、奴らの首都に我らの旗を立てるぞ!〕

 

通信兵『Я понимаю!!』

   〔了解っ!!〕

 

 

 

 

 

次回 艦隊決戦!!(予定)




そもそも新型揚陸艦自体知らねぇっ!!って方は下の動画の2:23辺りから映っておりますのでそれをご参照くださいな
https://www.youtube.com/watch?v=lvCbLa31P-U

...そいやここに貼っ付けても大丈夫なんですかね? もし運営さんに何か言われたら自分のページに貼るかも?です。

12/13多分これで見れるかも


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第漆話 日露艦隊決戦

何か大分迷走してきた様な気がする、見切り発車はするべきじゃないんだなって思いました。
まぁ趣味みたいなものですしいっかー


ーー戦艦三笠(みかさ)

 

 

 

日本海軍が敵艦隊を発見し攻撃準備をする少し前、英国(イギリス)から派遣されてこの三笠(みかさ)に乗り込んでいた彼等は、はたして日本の攻撃が何処までロシア艦隊に通じるのか話し合っているところであった。

 

 

 

 

?『...Oh? The movement of the Japanese Navy is in a hurry?  Did you find the Russian fleet?』

 〔...ん? 日本軍の動きが慌ただしくなっている? という事は露助共の艦隊を見つけたのか?〕

 

?『seems that way. But Colonel Charlie, like this "Mikasa", it looks like all the ships are bigger than they were when they were built in England...』

 〔そうみたいですね。 ですがチャーリー大佐、この『ミカサ』もそうですが全ての艦が我が国で建造した時よりも大きくなっている様に見えますが...〕

 

チャーリー大佐『what? I thought it was just me, but... Do you think so too, Brian?』

       〔何? てっきり私だけだと思っていたが... やはり君もそう思うかねブライアン君〕

 

ブライアン『Yes, I happened to see the construction of "Mikasa" in England... Well, the construction was almost finished, but there were only 3 main guns and 6 secondary guns on the ship.』

     〔えぇ、自分は本国で『ミカサ』の艤装工事を偶々見る機会がありましたが... まぁ殆ど工事は終わっていましたが、艦上には主砲が3門、そして副砲も6門程度しかありませんでした。〕

 

     『This time, when I was dispatched to Japan, the size and armament had increased so much that I didn't notice until it was said that "Mikasa" was introduced.』

     〔それが今回、日本に派遣された時に案内されたのが『ミカサ』と言われるまでは気付かない程大きさも武装も増えていましたからね〕

 

チャーリー大佐『Perhaps that was the case, because the performance and size that the Japanese side taught me was clearly not true. It was hard to read the material because their words were so unique.. That "Ikken" should be 1m, right?』

       〔そうだったのか、まぁ確かに日本側から教えてもらった性能や大きさは明らかに本当では無さそうだったからな。てか彼等の言葉が独特すぎて資料を読むのも一苦労だったんだが、、 あれ『一間』は1mでいいんだよな?〕

 

ブライアン『I think it's okay』

     〔でいいと思いますよ〕

 

チャーリー大佐『Well... well, do you think they can beat the Russian fleet aside?』

       〔そうか... まぁそれはさておき彼等はロシア艦隊に勝てると思うかね?〕

 

ブライアン『How about... It seems that you are strengthening your armament considerably, so you can do a lot of damage, but the opponent is that Russian fleet, and it is the most elite unit with the addition of the home fleet, so it may be difficult to win.』

     〔どうでしょうね... かなり武装を強化してるみたいですからかなりの損害を与える事は出来るでしょうが相手はあのロシア艦隊、それも本国艦隊も加わった最精鋭部隊ですから勝つまでは難しいかと〕

 

チャーリー大佐『s it difficult, if this is Royal Navy... Oh? Apparently the meeting is over, Admiral Togo and everyone is back』

       〔難しいか、、 これが我が軍(ロイヤルネイヴィー)だと... うん?如何やら会議が終わったようだな、アドミラルトーゴー達が戻ってきたようだ〕

 

ブライアン『Looks like it. ...Yeah? A soldier is approaching, what happened?』

     〔そのようですね。...ん?兵士が近づいてきますが何かあったのでしょうか?〕

 

兵士「excuse me. Are you sure you have a little time?」

  〔失礼します。 お時間少々宜しいでしょうか?〕

 

チャーリー大佐『Yeah? Oh, I don't mind. What happened?』

       〔ん? あぁ、構わんよ。何かあったかね?〕

 

兵士「Yes, because I discovered the Russian fleet, my fleet will sortie from now on, so I have come to pick you up to the bridge.」

  〔はい、ロシア艦隊を発見した為、これより我が艦隊は出撃しますので艦橋に上がっていただきたくお迎えに来た次第であります〕

 

チャーリー大佐『Well, thank you very much. Brian, let's go』

       〔そうか、わざわざ済まないね。ではブライアン君、行くとするかね〕

 

ブライアン『Eh』

     〔えぇ〕

 

兵士「Follow me」

  〔こちらです〕

 

 

 

 

彼等は兵士の案内で東郷達がいる艦橋へと向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー三笠(みかさ)艦橋

 

 

 

一方艦橋の方では東郷達や見張り員達が全てを見逃さんと目を皿にしてロシア艦隊を探していた。

 

とそこへチャーリー大佐達が兵士に連れられて艦橋へとやって来た。

 

 

 

 

兵士「失礼します! チャーリー大佐とブライアン中尉をお連れしました。」

 

東郷「うん、ご苦労さん。持ち場に戻りたまえ」

 

兵士「はっ! それでは失礼いたします!!」

 

東郷「さて... む? Did both of you have something?」

            〔御二方どうされました?〕

 

チャーリー大佐『!? Ahh! Don't worry, it's nothing. Ahaha...』

       〔!? あぁいや! お気になさらず、何でもありませんよ。 アハハ...〕

 

       『(What's this speed⁈ It's obviously 30 from the height of the wave, no, it's higher than that⁈)』

       〔(な、何だこの速度は?! 波の高さからして明らかに30、いやそれ以上は出ているだと?!)〕

 

ブライアン中尉『(I can't believe it...! it's faster than any British ship...! Wasn't that speed in the night battle at that time a mistake...?!)』

       〔(あ、有り得ない...! まさか我が国のどの艦よりも速いなんて...! やはり前回の夜戦でのあの速度は気のせいではなかったのか...?!)〕

 

チャーリー大佐『Ah, hahaha, but that's the decisive battle with the Russian fleet. We all know that your country is strong enough, but no, I just feel more and more when I actually ride it like this.』

       〔イヤーハハハ しかしあれですな、いよいよロシア艦隊との決戦ですな。 我々としては貴国の力が十分に強いと言うのはよく知ってますがいやはや、実際にこうして乗っているとますますそう感じるばかりですな〕

 

       『By the way, the speed of "Mikasa" seems to be quite fast, but...』

       〔ところで、随分と『ミカサ』達の速度が速いように見えますが...〕

 

東郷「Well.. I can't tell you more about military secrets, but any ship can produce 30 knots.」

  〔そうですな、、軍機につき詳しくはお教え出来ませんがどの艦も30ノットは出せるという事は言えますな〕

 

チャーリー大佐『I see, is that so... (I don't care anymore..)』

       〔なるほど、そうですか... (もう、いいやー..)〕

 

 

如何やら自国で造った艦が自国以上の性能を持っている事に対して驚きすぎたのか、そのまま考えるのを止めた様子の大佐達。とは言え、この様な反応は何も大佐達だけでなく、各艦に乗り込んでいた各国の観戦武官全員が同じような驚き方をしていた。

 

その後しばらくして、遂に見張り員が遠くに黒煙を発見、艦隊は雌雄を決すべく更に増速した。

 

 

 

 

 

見張り員「...っ!! 前方23(キロ)に多数の黒煙を確認!! 数は300以上! 敵主力艦隊と思われます!!」

 

東郷「でかした! 戦闘用意!艦隊増速! 主砲砲撃準備! それと並行して魚雷艇及び突撃艇を出せ!」

 

兵士等「「了解!!」」

 

チャーリー大佐『(...Huh? Is it still accelerating?)』

       〔(...え? まだ速度上がるの?)〕

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーロシアバルチック艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦Князь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)

 

 

 

見張り員『Откройте для себя флот противника по левому борту!! Расстояние 21 км!! Количество составляет около 300! Вроде бы основной флот!!』

    〔左舷に敵艦隊を発見!! 距離21キロ!! 数は凡そ300! 主力艦隊と思われます!!〕

 

ロジェストヴェンスキー『Ты пришел! Готовьтесь к битве на всех кораблях! Прежде всего, поразитесь максимальной дальности! Готовьтесь стрелять из основного орудия! И пусть вылазит торпедный катер!』

           〔来たか! 全艦戦闘用意! 先ずは最大射程で奴らの度肝を抜いてやれ! 主砲撃ち方用意! それと魚雷艇も降ろせ!〕

 

兵士等『『Понял!』』

   〔〔了解!〕〕

 

見張り員『NS?! Скорость вражеского флота увеличилась! Судя по замерам, скорость явно превышала 30 узлов!!』

    〔っ?! て、敵艦隊増速しました! 目測でも明らかに30ノット以上出ています!!〕

 

ロジェストヴェンスキー『NS?! Тупой!? Такое... невозможно! Какое расстояние?』

           〔な?! 馬鹿な!? そんな事が... あ、有り得ない! 距離は!〕

 

見張り員『Сейчас 15 километров!』

    〔現在15キロです!〕

 

ロジェストヴェンスキー『15... Но для достижения эффективной дальности все равно нужно много времени, так что я тоже ускорю! Крупнейшее заведение!!』

           〔15か... だがどの道有効射程距離まではまだかかる、こちらも増速する! 機関最大船速!!〕

 

操舵手『Понял! Максимальная скорость корабля!』

   〔了解! 最大船速!〕

 

ロジェストヴェンスキー『Хорошо... Но я был удивлен такой скоростью』

           〔よし... 然しあの速度には驚いたな〕

 

参謀長『Что ж, чувствуется медленность после скорости японского флота... Тем не менее, я предполагаю, что я сильно подрезал броню, чтобы получить такую скорость.』

   〔えぇ、日本艦隊の速度の後では遅く感じますが... しかしあれだけ速くする為にかなり装甲を削ったんでしょうね〕

 

参謀『Я вижу, на первый взгляд он выглядит сильным, но это только внешний вид.』

  〔なるほど、一見強そうに見えますが見た目だけという事ですか〕

 

参謀長『верно. Ну, если вы знаете семена, вы можете видеть, насколько они бедны.』

   〔そう言う事だ。まぁタネさえ分かれば奴らが如何に貧弱かが良く分かる〕

 

参謀『Действительно, владивостокские ребята, которые им проиграли, - это клеймо в нашей стране. Ведь еще раз было доказано, что простолюдины бесполезны.』

  〔ですね、となると奴らに負けたウラジオストクの連中共は我が国の汚点ですな。所詮平民は役立たずだということが改めて証明されましたな〕

 

ロジェストヴェンスキー『...』

           〔...〕

           

           『(Хм... Вообще... Корабль не смог бы двигаться без упомянутых вами людей, а усталость солдат уже превысила предел. Однако, с другой стороны, поскольку они находятся близко к материку, на кораблях меньше усталость и меньше износ. Блин, победа или поражение уже решено еще до боя, но боль полководца в том, что он еще должен это сделать...)』

           〔(はぁ、全く... 貴様らが言った者たちがいなければ艦は動かせれんというのに、それに兵士等の疲労も既に限界を超えているのだ。しかし一方で奴らは本土から近い故に疲労も艦艇の損耗も少ない。くそっ、戦う前から既に勝敗は決まったな、だがそれでもやらねばならんのが指揮官の辛いところか...)〕

 

 

さて此方の方でも見張り員が日本海軍を発見し、攻撃準備をしていたが兵士等の動きは今一精細さに欠けていた。と言うのも、ただでさえ喜望峰を越えてからロシア海兵達は暑さと補給した水が悪く下痢とマラリアに悩まされて疲労がピークに達しており、そのおかげでインドでの補給の際に脱走者が大勢でたのである。しかしこの時、艦隊指揮官も自らの病状悪化で統制を執る事すら困難であり、薬自治療に専念するしかなかった為に多くの脱走兵を出す事を許してしまう自体となってしまったのだ。

 

その為当初は470隻いた大艦隊も、インドでの医療下船や逃亡によって稼働出来る艦艇が減ってしまい、その際に旗艦をБалтийский(バルチック)からКнязь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)に移す事になってしまったがそれでもまだまだ360隻近くの数を有していたので、疲労はありつつも戦意や士気自体はまだ完全崩壊していなかったので戦う前から戦線が崩壊するという最悪の事態だけは辛うじて免れていた。然し、南支那海までは順調に進んでいたが台湾付近まで来た時に台湾から出撃した日本の偵察艦隊に出くわし、軽い戦闘状態になってしまったのだ。その後何とか振り切ったものの、偵察艦隊から連絡を受けて警戒していた特務艦隊所属の部隊にも東支那海で遂に見付かってしまい、その為水兵の多くは聯合艦隊と会敵する前に緊張が殆ど解けず、余計に疲労を蓄積させてしまった為に戦う前から士気が更に大幅に落ちてしまっていたのだ。然し艦隊の首脳陣は士気は低下しているが艦や砲の性能が日本海軍よりも遥かに高いと思っていたのでそこまで気にはしていなかった。

 

と言うのも、当時のEU諸国の戦艦が搭載している砲の射程はどこも2000mにも満たない射程であり、海軍強国であったイギリスの戦艦ですら最大射程が1800mしかなかったのだ。一方でロシア艦隊(彼ら)の戦艦が搭載している砲の最大射程はEU諸国よりも遥かに長い3300mであり、それを戦艦の主砲身に使用しているので、海軍後進国(だと思っている)の日本艦隊に対して圧倒的に此方が有利だと思っていたのだ。

 

その為聯合艦隊を発見するもその速度に驚いていた彼らであったがその分かなり装甲が薄いだろう、それに主砲の射程まではまだお互いに届かない距離なのでそれが早まっただけと判断し、こちらも増速して射程距離に達し次第相手の有効射程外から一方的に射撃をするつもりであった。

 

しかし、彼我の距離が残り6キロとなった所で聯合艦隊が突如として彼らの目の前で一斉に左回頭を開始、それを見て疑問に思ったが向こうが腹を見せたそれを好機だと思った。しかしながらまだ最大射程にも届いていなかったので、はやる気持ちを抑えつつもロシア艦隊は日本艦隊がわざわざ此方に大きく腹を見せたと喜んでいた。

 

だがそれは直ぐにぬか喜びだと知る事になる。

 

 

 

 

 

 

 

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ーー日本海軍聯合艦隊

 

 

 

旗艦 戦艦三笠(みかさ)

 

 

 

見張り員「距離6(キロ)!」

 

東郷「取舵ィ!!」

 

操舵手「取舵ぃ~!」

 

東郷「主砲撃ち方用意、先ずは距離5.5(キロ)で試射を行ない様子を見る。 もし彼方さんが反撃してこなかった場合は5(キロ)で艦隊一斉斉射を行う」

 

兵士等「「了解!!」」

 

見張り員「...距離5.5(キロ)!」

 

東郷「(って)ぇ!!」

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

 

見張り員「......敵艦隊による反撃非ズ!!」

 

東郷「全艦に通達! 当初の予定通り距離が5(キロ)になったら一斉砲撃! 主砲、砲撃用意!」

 

通信兵「了解!!」

 

 

 

一方で聯合艦隊の方はバルチック艦隊との距離が残り6キロを切った所で、東郷は艦隊に取舵と砲撃の用意を指示した。

 

何故なら三笠を始めとする各艦隊の戦艦に搭載している主砲の最大射程はロシア艦の搭載している砲を更に上回る5600mであったからだ。

 

その為日本艦隊はロシア艦隊の有効射程外から余裕を持って全艦の回頭ができるのだ。

 

そして三笠達の砲の射程が長大な理由としては、前述した鴨緑江戦線で分かると思われるが日本軍が採用している砲弾が半滑空弾道弾、詰まりロケット推進砲弾であるからである。そして何故そこまで時間がかからずに開発が出来たのか?と言うのは、そもそも日本では夏祭りや花火大会など、何かしらのお祝い事やお祭りなどで花火をよく打ち上げているのでその技術を応用したに過ぎないのだ。要するに最低でも30kg以上はある花火を真っ直ぐに打ち上る事が出来る技術と推力が既にあった為、それをそのまま弾頭に使用、そして更に炸薬菅も長くすれば更に飛翔距離も伸ばすことが出来ると言う訳だ。故に日本軍は海戦や陸戦に於いて常に相手にとっては有り得ないほどの射程外から攻撃を浴びせる事が出来るという事である。

 

因みにだがこれもあって日本軍の砲弾は他国の軍が使用している砲弾と比べるとかなり長くなっていたが閑話休題(それはさておき)

 

だからこそ聯合艦隊は目の前で余裕綽々と敵前で一斉大回頭、所謂有名なT字戦法が使えたのだ。

 

そしてバルチック艦隊との距離が5500mとなった所で先ず三笠が主砲を放ち反撃が来ないのを確認すると、そのまま陣形を維持しつつ5000mまで接近、遂に聯合艦隊の戦艦に搭載している主砲が一斉に火を噴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーロシアバルチック艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦Князь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)

 

 

 

見張り員『!? Вражеский корабль стреляет!! Расстояние 5.5 км!』

    〔!? 敵艦発砲!! 距離5.5キロ!〕

 

参謀『что!? Почему с такого расстояния?!』

  〔なんだと!? 何故その距離から?!〕

 

参謀長『Успокойся, я все равно не могу до него дотянуться. Ну, они пытались расстроить нас, потому что даже мы были вне зоны досягаемости. не расстраивайтесь』

   〔落ち着け、どうせ届かないのだ。我が方でさえ射程外なのだからまぁ、動揺を誘ったのだろう。 狼狽えるな〕

 

ロジェストヴェンスキー『Нет, на всякий случай проведем упражнение на избегание. Правый борт!』

           〔いや、念の為回避運動をとろう。 面舵!〕

 

参謀長『Почему? четко...』

   〔何故です? 明らかに...〕

 

 

 

    ズドォォォン!!

 

 

 ズドォォォン!!

 

 

 

 

参謀長『??! Что?! Неее... это глупо...!? Долетит ли на таком расстоянии?!』

   〔??! な?! な... ば、馬鹿な...!? この距離でと、届くと言うのかぁ?!〕

 

ロジェストヴェンスキー『(Это... Вы были правы, приказав уклониться.. Но я этого не ожидал, в нас так или иначе будут стрелять! Нам придется рассредоточиться и использовать эсминцы, чтобы отвлечь их...!)』

           〔(これは... 回避を指示して正解だったな。 しかしこれは予想外だ、、 これでは一方的に撃たれるだけだ! とにかく散開しつつ駆逐艦で攪乱するしか...!)〕

 

           『Разрушители, рассредоточьтесь и идите вперед! Мы отвлечем их и воспользуемся разрывом, чтобы сократить расстояние!!』

           〔駆逐艦は散開しつつ先行! 奴らを攪乱させつつその隙をついて一気に距離を詰めるぞ!!〕

 

兵士等『『понять!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

 

 

 

 

バルチック艦隊は当初、聯合艦隊からの射程外からの攻撃にそこまで驚きはしなかった、と言うのもこの頃はお互いの飛距離を測定するのに試し打ちが多かったからである。然し聯合艦隊が彼等よりも遥かに遠い位置から射撃を開始し、そしてこちらに届いた事で艦橋では軽いパニックに陥っていた、だがロジェストヴェンスキーの指示によって何とか態勢を立て直し、日本艦隊を混乱させる為に駆逐艦を先行、そして日本側が駆逐艦の相手をしてる隙をついて戦艦や巡洋艦らの大口径砲を浴びせるつもりであった。

 

だが彼らは聯合艦隊の長射程砲にばかり気を取られており、聯合艦隊の艦艇は戦艦ですら自軍の駆逐艦よりも遥かに速力が速く、戦場では如何に速度が重要であるかというのを失念していた。

 

そしてその洗礼を先に受けたのは最初に突撃して来た駆逐艦群であった。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

ーー聯合艦隊第二艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦景鶴(けいづる)

 

 

 

見張り員「敵艦隊より駆逐艦群が離脱!」

 

参謀長「何? 数は?」

 

見張り員「凡そ二百隻程であります!」

 

松田「ふむ... (...え? 200? 多くない? どれどr... あ、うわぁ、、それでも敵本体にはまだ駆逐残ってますやん(ドン引き) 流石アメと並ぶ物量チート国家ですわ... あーでもこの距離でも撃たないって事は向こうは()()()()まだ射程外なのか、それで駆逐艦群(あれら)を弾除けか何かにして一気に距離を詰めるって所かな? 何て言うか、俺達が転生する前に書店やらウ○キやらで見たのより射程が大分短いし結構な無茶をしてるな。 ものによっちゃ確か8キロから砲撃戦とか書いてあったよなぁ、懐かしー)」

 

  「駆逐艦群との距離は?」

 

見張り員「現在5.3(キロ)!!」

 

松田「分かった。指示のあった5(キロ)までそのまま。決して早まって撃たないよう、再度注意するようにたのむ」

 

伝令兵「了解であります!」

 

松田「見張り員、5(キロ)になり次第すぐに知らせ」

 

見張り員「はっ!!」

 

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

 

    「敵との距離5(キロ)になりました!!」

 

松田「全砲門!(って)ぇ!!」

 

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

  ドドォォォン!!

 

 

 

見張り員「...命中! 命中弾多数認ム!!」

 

松田「よし、このまま射撃を続行せよ。 しっかしまー、あそこまで多いと外すほうが難しいんじゃないか?」

 

参謀長「ですねぇ。 これも日頃の訓練の賜物ですね。」

 

松田「だな」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーバルチック艦隊所属臨時駆逐戦隊

 

 

 

 

 

一方本体より離脱して敵艦隊に向かっていた駆逐戦隊は、聯合艦隊が射撃を開始した事で大混乱に陥っていた。

 

 

 

 

ーー臨時戦隊旗艦 駆逐艦Знаменск(ズナメンスク)

 

 

 

 

 

『Суздаль,Усинск тонет!』

〔スーズダリ、ウシンスク轟沈!〕

 

『Вторая пушка сломана! Много жертв!』

〔2番砲被弾! 死傷者多数!〕

 

『Рядом с торпедой вспыхнул пожар!!』

〔魚雷付近に火災発生!!〕

 

『60% флота затонуло!!』

〔艦隊の6割が轟沈!!〕

 

『Ого?! Еще три корабля подбили!! Скорость замедляется !! 』

〔あぁ?! 更に3隻被弾!! 速度が低下してます!!〕

 

 

 

ズズゥゥン...!

 

 

 

 

駆逐艦長『Ух ты!? Было ли попадание?! Отчет о повреждениях!』

    〔うぉ!? 被弾()られたか?! 被害報告!〕

 

機関兵『Это машинное отделение! Двигатель №2 был поврежден! Более того, даже главный двигатель №1 не может двигаться из-за пожара』

   〔こちら機関室! 2号主機に被弾! 更に1号主機でも火災発生で航行不能!〕

 

 

駆逐艦長『Что!? Это делает тебя легкой мишенью... Сделайте что-нибудь! Меня не волнует скорость. Мы должны заставить корабль двигаться!!』

    〔何ぃ!? これではいい的ではないか... 何とか復旧しろ! 微速でもいい! 兎に角艦を動かすんだ!!〕

 

機関兵『понять!!』

   〔了解!!〕

 

駆逐艦長『(Черт! Скорость слишком разная! С этим уже не отбиться...! Что делать...)』

    〔(くそっ! 速度があまりにも違いすぎる! これでは反撃もままならんではないか...! どうすればいいのか...)〕

 

 

 

 

と言った有様で聯合艦隊による射程外からの攻撃に、臨時駆逐戦隊では阿鼻叫喚となっていた。

 

だがそれでも彼等の後ろには主力艦隊がいる為に撤退をするという選択肢は無く、ならばせめて聯合艦隊に一矢報わんと、当初の士気低下が噓だったのかの如く恐れず全力で聯合艦隊に突き進んでいった。

 

然し彼我の速度差と射程故に一方的な砲弾の嵐が戦隊を打ち砕き、次々と艦が沈んでいったのである。

 

そして戦闘開始から2時間程が経過した頃には200隻を誇っていた駆逐艦達も21隻にまでその数を減らしており、実に9割以上の艦が聯合艦隊に辿り着く前に深海へと其の身を沈めるか大破、若しくは被弾時の浸水での大傾斜による戦闘不能になる事となってしまった。

 

然しながら此処まで生き残った21隻も、自艦の主砲の射程距離に入る前に聯合艦隊まで残り2800m付近で遂に最後の1隻が被弾、轟沈した事で200隻以上いた駆逐戦隊はその自慢の主砲を撃つ事はおろか魚雷さえ撃てずに壊滅してしまったのである。

 

一方で聯合艦隊の方は駆逐戦隊との戦闘に勝利すると、そのままの勢いでバルチック艦隊本体の方にもその牙を容赦なく向け、第二の蹂躙劇が始まった事でロシアが誇る皇帝自慢の本国精鋭艦隊は、遂に最後の時が近づこうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーロシアバルチック艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦Князь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)

 

 

 

見張り員『Наш эсминец уничтожен... NS!? Здесь вражеский флот изменил курс! Вражеский корабль выстрелил?!』

    〔わ、我が方の駆逐隊壊滅しました... っ!? 敵艦隊此方に針路変更! う、撃ってきたぁ?!〕

 

ロジェストヴェンスキー『Левый поворот!! Спешите избежать!』

           〔取舵ィ!! 回避急げ!〕

 

操舵手『Левый поворот!』

   〔取舵!〕

 

見張り員『Группа торпедных катеров приближается с флота противника!』

    〔敵艦隊より魚雷艇群接近!〕

 

ロジェストヴェンスキー『Куу...! Это тоже оставляет часть и ставит перед ними торпедный катер!』

           〔くっ...! 此方も一部を残して魚雷艇を奴らの前面に出すんだ!〕

 

兵士等『『понять!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

見張り員『...Хм? Что!? Это вражеский корабль приближается сзади на большой скорости! Количество кораблей 5! 50 узлов и более!』

    〔...ん? 何!? こ、後方より高速で近づく敵艦アリ! 数は5! 目測で50ノット以上!!〕

 

ロジェストヴェンスキー『Что!!? Разве это не ошибка!?』

           〔何だとぉ!!? 見間違いじゃないのか!?〕

 

参謀長『Что?! Что это за скорость!? О, не похожа ли та характерная корма на эсминец, который мы видели у берегов Тайваня?! Я никогда не думал, что это так быстро...』

   〔なっ?! 何だあの速度は!? ん? あ、あの特徴的な艦尾は台湾沖で接触した駆逐艦に似てませんか?! まさかあんなに速いとは思いませんでしたが...〕

 

ロジェストヴェンスキー『Ну наверняка... Вы зашли так далеко?! нехорошо! Распространяйте флот больше! Мы будем окружены!』

           〔た、確かに... まさか此処まで追ってきたのか?! い、いかん! 艦隊をもっと散開させるんだ! 包囲されるぞ!〕

 

           『Это нормально быть запугивающим! Стреляй из главного орудия!』

           〔牽制でいい! 主砲も撃ちまくれ!〕

 

兵士等『『понять!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

 

 

 

 

主力艦隊の方もまた、日本軍に対して反撃をしようと試みるも彼我の射程の差は如何ともし難く、その為艦隊は駆逐艦群を先行させて自らもかなり接近する事に成功はしていた。だが聯合艦隊は先行した駆逐艦と片をつけるやまたもその速度を活かして一定の距離を保ちながら射撃を続行した為に手も足も出せず、ひたすらに回避運動をするのが精一杯であった。そこに聯合艦隊から多数の魚雷艇が艦隊目掛けて突撃してきた事で大混乱に陥っていたのだが、それに拍車をかける様に更に後方から駆逐艦が迫って来たのだが、それらは残念ながら駆逐艦ではなく5隻の細兼(ささかね)型駆逐『艇』であり、聯合艦隊と共に包囲するかのように迫って来たのだ。

 

 

 

 

細兼(ささかね)型駆逐艇

 

全長:十九.七間(約61メートル)

 

全幅:二間(6.2メートル)

 

速力:八十九(ノット)

 

主砲:五寸(約15センチ)単装砲4基3門

 

同型艦:十隻(更にまだ建造中)

 

 

 

明治11年に就航した本艦は伊剣型と全長が同じだが、細兼(ささかね)型の方が機雷敷設装置が充実しており。そして何と言っても最大の特徴は後部甲板にデルタ翼が付いてる事と他の日本艦艇の艦底が平型なのに対して本艦の喫水線下はⅤ型(これはブイ型ではなく曲線で絞っている感じである)という事であろう。これによって直進性が大幅に上がった為、別名高速重視の先行必勝型とも呼ばれている艦である。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

高雄警備艦隊所属特別編成打撃艦隊

 

戦隊長 駆逐艇 篠兼(ささがね)

 

 

 

艦長「いやー、 既に空が黒煙に覆われてたからもう終わった後かと思ったけど間に合って良かったね~」

 

参謀長「そりゃ最大船速で行きゃ直ぐに着くのは当たり前じゃないですか...」

 

艦長「でも直前で落としたからいいじゃないのー。 それに沙良型を出さなかっただけましでしょ~?」

 

参謀「いやそうですけど... と言いますかそれこそ出したら一番駄目ですよ。然もアレ巡洋艇じゃないですか。」

 

艦長「まぁ、この艦よりちっこいけどね。 ...でも足は沙良型(あっち)の方が速いけど」

 

  「見張り員!敵艦隊との距離は?」

 

見張り員「7(キロ)です!!」

 

艦長「主砲の射程圏内まで後3(キロ)程か...」

 

  「良し! 責任は俺が取る、艦隊は散開しつつ増速!速力70まで上げて敵艦隊に肉薄する!」

 

参謀長「えぇ?! 突っ込むんですか?! それに速度も出し過ぎですよぉ!?」

 

艦長「? だからそうだって言ってるじゃない~。 ダイジョブダイジョブちょっと攪乱させるだけダヨ? それに肉薄といってもせいぜい1(キロ)程度だし砲撃戦も基本的に潜航しつつ砲撃するんだからまず当たらないし、狙いはあくまで周りの魚雷艇群さ~」 

 

  「...まぁその後敵主力にも突っ込むけど」ボソッ

 

参謀長「そうですけど! そうですけども! てか最後ぉ! ~~っ!! ...はぁ、詰まりは補助艦艇をさっさと排除して大物にありつきたいと?」

 

艦長「そゆこと~」

 

参謀「... (相変わらずの夫婦漫才だな)」ヒソヒソ

 

兵士等「「(ですねぇ)」」ほっこり

 

 

 

さて無事(?)に方針が決まったようで戦隊は一気に増速、バルチック艦隊へとその凶悪的な速度で向かっていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーロシアバルチック艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦Князь Суворов(クニャージ・スヴォーロフ)

 

 

 

 

『А?! Эсминец за вами еще быстрее!! Там 70 узлов!  О, я не могу поверить в это...』

〔あぁ?! 後方の駆逐艦さらに増速!! 70ノットはあります! あ、有り得ない...〕

 

『Есть повреждения 3-го промежуточного вооружения!』

〔こちら3番副砲被弾!〕

 

『Повреждение правого борта сзади! Вода проникает оттуда!』

〔右舷後部に被弾!そこから浸水が発生!〕

 

『С левого борта подходят семь торпедных катеров!』

〔左舷より7隻の魚雷艇が接近セリ!〕

 

『Крейсер Астраханская потоплен!』

〔巡洋艦アストラハン轟沈!〕

 

『Как мощны эти пули?! 』

〔何だあの砲弾の威力は?!〕

 

『Пять торпед приближаются с правого борта!』

〔右舷より魚雷5接近!〕

 

『Почему это так! Не может попасть в пулю?!』

〔何故だ! 弾が当たらない?!〕

 

参謀長『Ах... зачем... зачем столько...』

   〔あぁ... 何故だ... 何故こんなにも...〕

 

ロジェストヴェンスキー『(Сдался ли, наконец, начальник штаба...  Больше воевать было бессмысленно, даже если его презирали как некомпетентного, он не мог больше терять подчиненных.)』

           〔(遂に参謀長も折れたか... これ以上の戦闘は最早無意味、例え無能と蔑まれようとこれ以上部下を失う訳にはいかん)〕

 

           『... Солдаты связи, пожалуйста, свяжитесь с японской армией [Мы сдаемся, больше нет бесплодной борьбы друг с другом.]』

           〔...通信兵、日本軍に通信してくれ [ワレ降伏ス コレ以上ハ最早オ互イニ不毛デアル] と〕

 

通信兵『Понял... Мне жаль ...』

   〔了解... 無念であります...〕

 

ロジェストヴェンスキー『Молодцы, вы сражались храбро и хорошо. Гордитесь этим』

           〔良い、君たちは勇猛果敢によく戦った。 それを誇りに持て〕

 

 

 

 

 

主力艦隊が聯合艦隊と戦闘を初めてから3時間程が経ったが、篠兼(ささがね)達が縦横無尽に暴れ回った結果、その頃には既に殆どの戦力は最早残っておらず、旗艦に入る通信は艦隊の不利を伝える凶報ばかりであり、それは最早日本海軍には勝てないと知らしめるには十分すぎるものであった。

 

その為遂にロジェストヴェンスキー指揮官は降伏を決意し聯合艦隊に降伏を宣言、そして聯合艦隊がこれを受諾した事で遂に本海戦は日本側の圧勝によって幕を閉じた。

 

そしてこの海戦に参加した観戦武官によって日本海軍の実力が世界に知れ渡った事で各国は大いに驚き、特に日本海軍の保有している戦艦の実力が余りにも格上であり、各国自慢の戦艦達が一気に巡洋クラスへと下がる程の衝撃をもたらす事となってしまうある意味事件でもあった。

 

更にその一月後にはまだ辛うじて健在であったハバロフスク艦隊も、()()()()()()()()()()相手に壊滅状態に陥った事で極東地域での制海権を完全喪失。さらには本国の方でも大規模な革命が起こった事で、これ以上の戦争続行は困難になり翌年の明治39年(1906年)2月、実に3年近くに渡って繰り広げられた日露両国の戦いは両国の講話によって遂に幕を閉じた。

 

この衝撃的なニュースは世界中を駆け巡り、特に欧州各国の人達に大きな衝撃をもって迎え入れられた。

 

何故ならそれは今迄の『白人絶対不敗神話』が揺らぎかねない程の衝撃であったからだ。

 

そして植民地支配を受けている地域の人々からすればまだまだか細い糸ながらも自分達有色人種もやればできるのではと一筋の光が見えた瞬間でもあった。



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第捌話 各国の反応と新型戦艦と新型駆逐...え?これ駆逐艦? あ、さいですか...

殆ど会話回... なのに文才皆無ゆえ超薄味ですがそこはどうか許してクレメンス


明治39年(1906年) 3月

 

 

ーー呉

 

 

 

ロシアとの戦争が終結した翌月、ここ呉では道行く人々が皆手に持った旗を振り、帰ってきた兵士等はそれに笑顔で応えていた。そして周りの街頭やビル等には『祝』や『戦捷』の文字が書かれた垂幕があちらこちらに掛かっているなど、いつも以上に賑っていた。

 

いや、呉だけでなく日本中がこの様な状況となっており、お祭り騒ぎであった。

 

何故ならあの大国であるロシアに勝利、それも圧倒的な迄の勝利をしたのだから当然であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

松田「え~、本日はお日柄もよく...」

 

高橋「いや何ちょっと急に真面目感出してんの。 漸く休みそろったんだからもっと緩~く祝おうぜ。 こっちなんて何も言わへんかったら今も向こうで机に縛られてましたわ...」ポチポチ

 

 

松田の硬すぎる挨拶に対してスマホを弄りながら受け答えする高橋

 

 

松田「いやだってアイツまだ帰ってこねーし。 まぁパシらせたの俺等だが」

 

高橋「そら逸っちゃんが下やしな、使えるもんは使うさ~w」

 

松田「かなりストレスあったのね... これ以上は藪蛇だな... やめとこ」ボソッ

 

 

<ガラガラ~ ただいま~、遅くなってすまん~

 

 

高橋「...んお? 噂をすれば何とやらってか? 帰って来たね」

 

霧野「いや~ごめんね。 どこもかしこも人が一杯で随分とかかっちゃってね... まぁ兎に角買うものはちゃんと買えたからおkって事で許してちょ~ね~」

 

松田「いやまぁかまへんけどね。 だがまぁ確かに連日連夜ずっと騒いでるもんな、、何て言うか日清戦争の時もそうだったけどこうやって映像でしか見れなかったのがいざ現実として目の前にあると何とも不思議なんだよな~...」

 

高橋「うん、今だに慣れんわ~。 特に俺なんて仕事場に缶詰めだったから余計にね~」

 

松田「あ、仕事と言えば高橋さんや、先の海戦でウラジオやら樺太やらは聞いとったけどハバロフスクに何送ったんだ? 何やら一部上層部...どころかあっち方面を担当してた警備艦隊でもとんでもなくデカい奴見たって噂になっとったで?」

 

高橋「おん? 戦艦だけど? 因みに名前は三笠な」

 

霧野「え? いやいや高橋、三笠は東郷長官が乗ってて俺らと一緒にバルチック艦隊を相手にしてたんだぞ?」

 

高橋「あぁいや、そっちの、、所謂旧国名とか山岳名とかの方でなくて陛下のご子息である三笠宮殿下から頂いた名前なのよ、だもんで、確か所属が...皇室艦隊だったかな?」

 

松田「そうなのか? 然しよくもまぁ人名を許可されたな...」

 

高橋「んまぁ俺も詳しくは知らんが、と言うかこんな超機密なもんはまず漏らすわけないからな? 先ず真っ先に消されるし俺だってあくまで設計に携わってるから一部言われただけよ? 逸っちゃん等に話したのは付き合い長いから大丈夫って知ってるのと道連れね? で、話しを戻すと前にも話したと思うが、、ん?話してなかったかな?まぁいっか... んでその皇室艦隊、、もとい天皇直下軍とも言うが皇室艦隊(そっち)の方の戦艦の名前は山岳名とか以外にも歴代の天皇陛下の名前と上位神の名前を使うとか何とかって言ってた様な...気がする。 悪いがそれ以上は知らん」

 

  「序に言うとこの戦艦三笠(みかさ)が皇室艦第一号艦だったかな。 あと今年中にもう一隻駆逐艦も竣工する予定よ~」

 

霧野「まって、ちょっとまって何サラっと爆弾投下してんの?! 勘弁してくれ(肩ポン)...ん?」

 

松田「...大丈夫、死ぬときは一緒だよ(ニッコリ)」

 

霧野「ちょっ!? 松田サン?! アラ目が死んでらっしゃる!!?」

 

高橋「わ~い♪ みっち~づれ~♪ みっち~づれ~♪」

 

霧野「あぁ!!? 高橋まで壊れたぁ?!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

霧野「......落ち着いた?」

 

高橋「...ハイ、モウシワケアリマセンデシタ」ドゲザー

 

霧野「まぁ、高橋が一番大変なのはわかってるからいいけどね。例えばほら、ロケット砲弾とか言う奴だってよく花火から結び付いたしな」

 

高橋「...だってさ、特典くれるのはいいけどそれの基盤技術がまだ無いのに貰ってもよ、もどかしいと言うか何というか... てかその基礎の部分から作るのがもう大変でさ、だって幾ら知識云々があるっつってもゼロからだぜ? それで気分転換に見たらふと「あれ?これで行けるんでね?」って感じかな? ったくあの駄女神やっぱり最後まで抜けてやがるぜ... 今の所はこの時代ので何か応用するしかないね」

 

松田「それは思ったわ。 だでもうそっち系はお前に丸投げだもんな。てかぶっちゃけ両立よりもこんな感じで分業した方がよくね?」

 

霧野「右に同じく」

 

高橋「大体だな...」グチグチ

 

 

 

 

 

先の戦争でのお祝いムードから一転、自分達を間違って()った挙句此処に飛ばした女神(原因)の愚痴大会になり彼等はまた貴重な一日を潰してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

日本中がお祝いムードである一方、欧州各国は自国の観戦武官が持ち帰ってきた情報を基に日本の実力を分析し驚いていた。

 

その一部を見てみよう。

 

 

 

 

 

――United Kingdom(イギリス)

 

 

 

『...We have found that the Japanese battleships have larger calibre and longer range guns than not only our own but any other European country, and that their secondary guns are equal to the main guns of our European battleships.』

〔...でありまして、日本の保有している戦艦は我が国のみならずヨーロッパのどの国よりも大口径かつ超長射程砲であり、副砲が我々ヨーロッパ諸国の戦艦が搭載している主砲と同等であると分かりました〕

 

『I see... I didn't think that the Japanese had modified and built that many ships...』

〔なるほど... まさか日本がそこまで艦を改造、建造していたとは...〕

 

『Yes, and as for the speed, the cruisers and even the battleships were sure to be at least 30 knots, and as for the destroyers, they wanted to hide it, but some of them didn't keep to it... Well, we were doing 65, maybe more.』

〔はい、また速力につきましても巡洋艦はおろか戦艦ですら最低でも30ノットは確実であり、駆逐艦につきましては彼等は隠したかったようですが一部の艦がそれを守らなかった事で分かりましたが... その、目測で65、いやそれ以上は出ておりました〕

 

『What the hell is this!? Is it true?!』

〔なんだと!? それは本当かね?!〕ザワザワ

 

『It can't be... They're non-white, there must be some mistake!』

〔馬鹿な... 奴らは非白人だぞ? 何かの間違いだろう!〕ザワザワ

 

『We could compete with them only on range, but also on speed...!?  It could be a one-sided defeat for the Russian fleet...!』

〔射程だけならまだ対抗のしようもあったかもしれんが速度もだと...!? まさかロシア艦隊の一方的敗北は...!〕ザワザワ

 

『Yes, not a single ship could get close to the Japanese fleet, and at the mercy of their speed, they sank one after another, unable to fire back as they were continually shot out of range. Well, when I told a Russian soldier who was being treated in India that Japan had won, he said, 『Yeah! This is good news! We are freedom!』 They were delighted.』

〔えぇ、彼等は一隻も日本艦隊に近づく事が出来ずにその速度で翻弄され、射程外から撃たれ続けて碌に反撃も出来ず次々と沈んで行きました。 まぁ、日本が勝ったとインドで治療を受けていたロシア兵に話したら『やったー! これは朗報だ! 俺達は自由だ!』と歓喜していましたがね〕 

 

 

 

何故彼等が此処まで狂喜乱舞したのか?という理由はそもそも彼等自身が戦場からの逃亡兵という扱いだったからだ。その為もし治療が完了して元気になったとしても、バルチック艦隊が勝っていたら本国に連れ戻され、その後は確実に敵前逃亡の罪で死刑にされていただろうし親類一同にもその矛先が向けられていたであろう。詰まり日本がバルチック艦隊を破らなかったら彼等は敵前逃亡をしたとして永久戦犯扱いだったのである。

 

故に彼等は艦隊が日本海軍に敗北したと聞くや朗報と喚起し、以後祖国には戻らずそのままインドに定住する事となる。

 

そして後に、彼等生き残り組はインドの海軍創設に貢献し、子孫達もまた先祖同様に日本に対して感謝と敬意も持ち、インド独立戦争の際に戦術指揮の中心を担う事となる。

 

 

 

『Well... However, it is good news that the Russian fleet has been weakened, which has been a problem for many years. This will change everything you've ever known about naval warfare...!』

〔そうか... まぁとは言え長年の悩みの種であったロシア艦隊の弱体化は朗報だな。 これは今迄の海戦常識が覆るぞ...!〕

 

『Isn't it more important to update our main ships?』

〔いやそれよりも我が国の主力艦達を更新させるのが先決では?〕ガヤガヤ

 

『What are you talking about! We've got over 100 battleships alone! And where are we going to get the money for them? We have to spend money on destroyers, too!』

〔何言ってるんだ! 戦艦だけでも100隻以上はあるんだぞ!? それに何処から金を出すんだ!駆逐艦等にも予算を割かねばならないのだぞ!〕

 

『So how about this? First...』

〔ではこうするのはどうでしょう? まず...〕ガヤガヤ

 

 

 

観戦武官より報告を受けていた議会では日本の実力に疑問を持つ者や内容が荒唐無稽だと困惑しており、『会議は踊るされど進まず』といった有様を擁し中々会議が進まないほどの混乱ぶりであった。

 

だがこの会議の後に異例の速さで起工・竣工した新型戦艦は、それまでとは一新されたもの且つ日本の戦艦に影響された砲配置であり、世界を驚かせると共にその後のスタンダードとなっていく。

 

 

 

 

 

――Osmanlı imparatorluğu(オスマン帝国)

 

 

 

『...Bu nedenle, kruvazörlerin ve muhriplerin zenginleştirilmesi gerektiğini merak ediyorum.』

〔...以上の事から、巡洋艦や駆逐艦などを充実させるべきと愚考します〕

 

『anladım. Bu ülkenin coğrafyasında savaş gemisi sayısının az olması, küçük dönüşler yapabilen çok sayıda küçük geminin konuşlandırılması gerektiği doğrudur.』

〔なるほどな。 確かに我が国の地理的にも戦艦は少数とし、小回りの利く小型艦艇を多数配備すればいいと言う訳か〕

 

『Evet, özellikle Japonya'da, çok dalgalı denizlere rağmen muhripler bile zorlanmadan yol alıyor. Öyleyse neden bazı insanların Japonya'da yurtdışında eğitim görmesine ve gemi manevra tekniğini öğrenmesine izin vermiyorsunuz?』

〔はい、特に日本では荒れた海が多いにもかかわらず駆逐艦ですら何の苦も無く航行しております。なので何人か日本に留学させてその操艦技術を教えてもらってはいかがでしょうか?〕

 

『Kesinlikle bu daha iyi olabilir. Duyduğuma göre, Majesteleri uzun zaman önce Japonya tarafından bakılmış ve o zamanlar ona dalgalı denizde küçük bir tekneyle nasıl çalıştırılacağı öğretilmişti Beklenmedik bir şekilde sorunsuz geçebilir.』

〔確かにその方が良いかもしれんな。 それに聞くところによると陛下も昔日本には世話になったらしく、その時に小舟で荒れた海での操作の仕方を教わった事があるそうだし案外すんなりと通るかもしれんな〕

 

『Pekala, Majestelerine bu şekilde rapor vermek uygun mu?』

〔ですな、ではその様に陛下にご報告する形で良いな?〕

 

『『İtiraz yok』』

〔〔異議なし〕〕

 

『E hadi dağılalım』

〔うむ、では解散しようか〕

 

 

 

 

 

 

 

――United States America(アメリカ合衆国)

 

 

 

『I'll admit that Japan defeated Russia, but I don't believe this report. 「Speeds of more than 30 knots for the larger ships and even faster for the smaller ones, at least 60 knots at the slowest estimate」? And the 「range is certain to be 5 kilometers」 is impossible, it's too ridiculous a report.』

〔全く、日本がロシアを破ったのは事実として認めてやるがこの報告書は俄かに信じれんね。 「速度は大型艦で30ノット以上、小型艦はさらに速くどんなに遅く見積もっても60ノットは出ている」だと? それに「射程も5㎞は確実」とあるが有り得ん、余りにも馬鹿馬鹿しい報告だ〕

 

『You're right, Mr. President, and there's one more thing.』

〔仰る通りです大統領、それともう一つあるのですが〕

 

『Hmm? Is there anything more to it? As long as it's not in here, I don't think it's worth that much, right?』

〔ん? まだ何かあるのかね?ここに書いてない以上そこまで価値のないものだと思うがね?〕

 

『Well, the officer on board happened to overhear a conversation in which the word 「Kakunoho」 was mentioned quite frequently, and he thought it might be some kind of weapon...』

〔えぇ、乗り込んでいた士官が偶々聞いていた会話ですが「カクノホ」なる単語がそこそこの頻度で出てきたらしく何かしらの武器なのではと...〕

 

『Kakunoho? What's that?』

〔カクノホ? 何だそれは?〕

 

『I don't know... They didn't use it in the last naval battle, so I don't know the details, but I'm pretty sure it's their trump card.』

〔そこまでは... 先の海戦では使用しなかったとの事ですから詳しくはわかりかねますが、彼等にとってはそれが切り札なのは確実かと思われます〕

 

『Hmm... I don't know what it is, but they live in the Far East, so I guess it's not a big deal. However, there is nothing I can do about it, so please look into it.』

〔ふむ... それが何なのかは分からんが所詮は極東の未開に住んでいる者共だ、大したものではあるまい。 とは言え何も手を打たないというのも憚られるからそれとなく探っといてくれ〕

 

『I understand. Now, if you'll excuse me.』

〔分かりました、その様に。 では失礼します〕

 

『Oh.』

〔あぁ〕

 

ギィ... バタン

 

『...Now, there are some uncertainties, but if we can get Japan, we may be able to get a foothold on the continent. But the only thing that would stand in our way would be the British, who have a close relationship with Japan... Let's see what we can do.』

〔...さて、多少の不確定要素はあるが日本さえ手に入れば大陸(フロンティア)への足掛かりになるやもしれん。 だがそうなると邪魔なのは日本と親密関係にあるイギリスか... どうするかな〕

 

 

 

 

 

 

 

といった感じで困惑やそもそも信じていない等はあったが、それなりの影響を日本は世界に与えたようであった。

 

そして11月、何と約7ヶ月と言う速さでイギリスで最新型戦艦が竣工、新型戦艦の名前は「ドレッドノート」と公表しその性能に世界が驚愕した。

 

 

 

 

 

ドレッドノート級戦艦

 

全長:167.8m

 

全幅:29m

 

速力:26ノット

 

主砲:Mark X 30.5cm連装砲5基8門

 

迎撃砲:QF 12ポンド(7.6cm)単装速射砲27基(右舷13門 左舷14門)

 

魚雷:45cm水中魚雷発射管5門

 

同型艦:2隻

 

 

 

イギリスが発表したこのドレッドノート型戦艦の最大の特徴は、副砲、中間砲を全廃し連装主砲を中央線状に配置した事と小型艦艇迎撃の為の速射砲のみを搭載していたのである。

 

それまでのヨーロッパ諸国の戦艦は基本的に単装もしくは連装主砲や副砲の他に中間砲を搭載していたが、何故ドレッドノートが上記の様な艦形になったのかは先の日露海戦で活躍した三笠達日本戦艦が原因であった。そもそも戦艦三笠はイギリスで建造された艦であったのだが、建造時に一本だった煙突が2本に増え、単装3門だった主砲も比較的小さい艦体に比して大口径化した連装砲が2基4門となり、副砲も増加して側面全部に付いた挙句魚雷発射管まで付いており、殆どの日本戦艦はその様な装備を標準武装として搭載していたからだ。

 

更には速力ですら速くなっていたのでこのままでは海軍強国の名折れと速度を出す為に機関室を大きくした結果として、史実では全長が160.6m、全幅が25mだったのが若干大きくなり、速度も21ノットから26ノットとイギリス戦艦最速となったが、機関室を広くした代償として機関室と弾薬庫との隔壁が狭く被弾時の誘爆率がかなり高くなってしまったがそれでも脅威である事に変わりなく、世界中の列強が所有していた戦艦は一気に旧式の烙印を押されたのである。

 

そしてドレッドノートが竣工したのと同じ月に日本でもまた一隻の駆逐艦、いやそうと言うには余りにも大きすぎる程の巨大な艦が就工したのである。

 

 

 

「...よって本艦の名前を、駆逐艦「白鷺(しらさぎ)」と命名する!」

 

 

そう言った直後にくす玉が割れ、軍艦行進曲の演奏と共に白鷺(しらさぎ)と命名された艦がその船体を海へと滑らせた。

 

 

松田「えぇ、、(ドン引き)」

 

霧野「...ねぇ高橋さん?」

 

高橋「おん?」

 

霧野「あれぇ、ホントに駆逐艦ですかい? ぱっと見... と言うかそうじゃなくても明らかに戦艦ぐらいの大きさに見えるんですが」

 

松田「同じく」

 

高橋「いやだって前に話したやん、今年中にもう一隻皇室艦出すよーって。 んで霧野の言う通り大きさが戦艦並だからこいつの種別は戦艦級駆逐艦だぜ!」

 

霧野「なんだそのロマン溢れる響は、、」

 

 

 

 

 

戦艦級駆逐艦白鷺(しらさぎ)

 

全長:九十.四間(280m)

 

全幅:十二.三間(38m)

 

速力:百七十二(ノット)  巡行速力:百六十一(ノット)

 

主砲:十.二寸(30.6㎝)単装砲三基三門

 

副砲:十三.七寸(41.1㎝)弾頭式副砲百八十三門  一.三寸墳進砲(3.9㎝ロケット砲)多数

 

魚雷:二十二寸(66㎝)八門六連装式多目的音波式誘導酸素魚雷発射管四基三十二門

 

水雷機雷管:三百門

 

艦載機:二十一式爆雷艇及び試作零式艦上戦闘機 計二十三機

 

同型艦:二隻

 

 

 

明治39年に竣工・就航した本艦は今迄の艦と大きく違う所があった。それは情勢変化に対応するため多角艦上装甲を完備している点ともう一つ、巨体でありながら艦種が駆逐艦である所だろうか。

 

この多角艦上装甲とは、戦況に応じて副砲と魚雷を短期間で交換出来る様にしたものであり、後の大東亜戦争では、この余った副砲のブロックを空母に流用した事で短期間での空母増産が可能となり、戦線を支える存在となってくる。

 

そして大きさが戦艦並なのに何故艦種が駆逐艦なのかは白鷺(しらさぎ)の所属が天皇直下軍(皇室艦隊)だからである。

 

そもそも天皇直下軍とは、大本は陸海空の要塞機計画として計画され、日本軍の中でも貴族軍に属しており一般兵役が配属される通常の軍とは違うのである。 更に艦艇の仕様旗は、旭日旗だけでなく皇室旗もあるので決して沈められてはならない、と言う事で例え駆逐艦と言えども大きいのだ。

然しながらその予算が余りにも法外過ぎる為に通常の予算ではなく、別に予算を設けてそれを天皇直下軍とした訳である。

 

 

 

松田「...ん? な、なぁ高橋?」

 

高橋「うん?どったの?」

 

松田「いやさ、これ一応艦種としては駆逐艦何だろ? てことは此奴でこの大きさならもしかしてハバロフスクに送った三笠とやらはもっとデカいのか?」

 

高橋「え?うんそうだけど? あ、これ内緒で、、良し周りには誰もいないか、あんまり外ではこう言うのは無しで頼むわ。これ超が何個もつく機密だでさ」

 

松田「あ、すまん...」

 

霧野「これで駆逐艦かぁ、、へぇー(現実逃避中) ...あれ?駆逐艦とは、、?(哲学)」

 

 

 

因みに三笠(みかさ)の就役時の諸元性能は以下の通りである。

 

 

 

皇室艦三笠(みかさ)

 

全長:二百三.六間(631m)

 

甲板幅:十六.五間(51m)

喫水線上部:十二.三間(38m)

喫水線下部:七.五間(23m)

 

速力:百三(ノット)  外洋巡行速力:九十七(ノット)

 

主砲:二十.二寸(60.6㎝)三連装砲九基二十四門

 

副砲:十一寸(33㎝)十三寸(39㎝)砲多数

 

魚雷:二十八寸(84㎝)五連装多目的音波式誘導酸素魚雷発射管十二基三十門

 

爆雷:時限式酸素爆雷投射機多数

 

 

 

皇室艦隊最初の艦として建造された本艦の最大の特徴は、それまでに建造されたどの日本艦艇よりも遥かに巨大な船体であるにも拘らず細身であり、パッと見た感じの形状としては新型のズムウォルト級に近いような逆三角形の艦形で、然し洋上に浮かぶ姿は何処か荘厳な雰囲気を醸し出しながらもその武装の多さ故に荒々しい雰囲気も出しており、それは正しく海上に浮く要塞の如き様を擁していた点である。

 

そして艦体の側面には副砲が3段、まるで雛壇のようにびっしりと配置されていたのである。

更にこの副砲群はそれぞれ役割を分担しており、1段目が対艦用、2段目が遠距離用、そして3段目が対高速艦用として使用する事で、一々弾種を切り替える手間を省き戦闘効率を上げているのである。

 

更に主砲もお馴染みの推進式(ロケット)砲弾(半滑空弾道弾)であるので射程が長く、そこに大口径砲なのも相まって最短着弾距離が何と脅威の210㎞と言う恐ろしい程の射程を有していたのである。

 

 

 

高橋「まぁ、ぶっちゃけこんなにデカいなら空母にしたかったけどね~」

 

松田「そりゃ気持ちは分からんでもないが流石に時期尚早過ぎるからな...」

 

霧野「あ~、うん。 そうだよね... 問題はアレだね~...」

 

3人「「「やっぱアメリカがネックですわな」」」

 

霧野「うわシンクロとかキッモw」

 

高橋「でも結局はそこに辿り着くんだよな~」

 

松田「そらなんせ物量がリアルチート国家だからな。今から早速空母造った日にゃまず勝てんぜ」

 

霧野「確かに資源も豊富だもんね~ あっち。 それなのにうちらはね... あ、目から汗が、、」

 

高橋「あ、それならこの国もそうっぽいぞ?」

 

霧野・松田「「あれ?そうだっけ?」」

 

高橋「あぁ、なんか九州方面って鉄も出るし石炭金塊の生産高がすごいらしい。てかあっちは活火山が多いから金はそうだろうね。でもって更に活火山って事は硫黄が豊富だろ? だから鋼板から砲弾に火薬まで贅沢に作り放題でテンション上がりました」

 

霧野「うわ既に関わってたのかよ、、」

 

高橋「でなきゃ短期間に、かつ大量にロケット砲弾その他諸々なんか作れねぇですぜ。特にロケット砲弾って撃ち出す為の炸薬とは別に弾頭自体にも飛行の為の燃焼剤搭載してんだもん。 まぁ、安定化させるのに苦労したがそのお陰で回転しながら砲弾が飛ぶから狙いさえあってりゃ水平滑空でほぼ命中すると言う訳ですぜ旦那」

 

松田「それで長距離でもバカスカ当たってたのか...」

 

霧野「まぁどうせその内空母に改装でもするんじゃない?」

 

高橋「いやいや...」

 

松田「寧ろそこはこうした方が...」

 

霧野「所がどっこい...」

 

 

 

結局そのまま3人だけの雑談は暫く続いたが人気の多い所でずっと喋るのも不味いと漸く気付いたのか、会話を止め式典が終わり次第そそくさと自分達の家に戻って続きをしてますます議論は白熱し、翌日3人仲良く揃って目の下にクマを作っているのであった。

 




まぁ彼等はオタクですからね。 仕方ないね。


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第玖話 GWF

お、お久しぶりです?

えーとですね、3月の中頃から夜勤になっちゃいましてね

そこから執筆時間が中々取れなくて(テヘペロ

と言う訳で生存報告も兼ねて短いですが良ければどうぞ~




ーー横浜

 

 

 

ザワザワ

 

   まだかな?>

<んー、もうすぐじゃない?

 お! 薄っすらと黒煙が見えたぞ!>

 <あれがアメリカ艦隊ってやつか?

 

    ザワザワ

 

 

 

 

日本海軍接伴艦隊

 

戦艦村雲(むらくも)

 

 

 

松田「おーおー、漸くアメさんが来なすって。 ま、遠路はるばるご苦労さんってか?」

 

霧野「随分と軽い物言いですな松田さんよ」

 

松田「だって事実じゃん?」

 

霧野「そうだけどさぁ...」

 

松田「つっても流石に油断はしないさ。 霧野だってそうだろ?」

 

霧野「あたぼうよ。 ってかアメリカは特に要注意な国だからねぇ... 取り敢えず現実逃避はこれくらいにして本題に入るけど何かやけに戦艦多くない? 気のせいか?」

 

松田「いや、気のせいじゃないです。 マジかよ一気に造ったのか、、(困惑)。 あれで全体の一部なんだからもうさぁ、、今から大量生産(リアルチートの片鱗)やんなくても(見せなくても)いいからもっとゆっくりして下さいよぉ、、もう泣きたいわ」

 

霧野「...ゆっくりしていっt「あっそう言うのはいいです」」

 

霧野「(´・ω・`)」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

さてあれから2年が経った明治41年(1908年)9月のとある日、ここ横浜では多数の市民が港に集まり、そして沖にも多数の軍艦達が何かを待っていた。

 

と言うのも今日この日は、米国(アメリカ)から遠路遥々アメリカ海軍大西洋艦隊が日本に到着する予定日であったからだ。

 

そして今回の米艦隊の訪問目的はまぁ、早い話が自国の海軍力を世界、特に日露戦争にて勝利した日本に誇示する事であった。

 

 

 

 

 

 

 

遡る事1898年

 

アメリカとスペインとの間に勃発した戦争、所謂米西戦争に勝利をしたアメリカはその後フィリピン、グアム、そしてカリブ海のプエルトリコ等々を得る事に成功する。そして1903年にはパナマ運河の建設に取り掛かる等、海軍力の整備に躍起であった。

 

その後も更に勢いを増して1907年までに一気に大西洋側方面だけでも22隻もの戦艦を新造・配備し、自国の海軍力を世界に誇示するタイミングをうかがっていたのだ。

 

そして同年の議会で、時の大統領であるセオドア・ルーズベルト大統領は史実とは反対に自国海軍の代表として大西洋艦隊を世界一周の航海に派遣すると発表した。その後も航海の為の準備を着々と進め、遂に11月23日、ヴァージニア州の軍港の一つであるハンプトン・ローズに集結していた大西洋艦隊はルーズベルト大統領他大勢の人々に見送られながら出港したのである。

 

 

 

 

アメリカ大西洋艦隊

 

旗艦 戦艦Minnesota(ミネソタ)

 

 

 

通信兵『Excuse me. Commander Evans, all ships communicated that they were ready to leave the port!』

   〔失礼します。 エヴァンズ司令、全艦艇より出港準備完了と通信ありました!〕

 

エヴァンズ『Okay From now on, our fleet departs from Hampton Roads and heads for our first destination, Port of Spain! Raise all ship anchors!』

     〔分かった。これより我が艦隊はハンプトン・ローズより出港し最初の目的地であるポートオブスペインへと向かう! 全艦抜錨セヨ!〕

 

水兵『『Aye sir!』』

  〔〔了解っ!〕〕

 

 

 

 

かくしてアメリカ大西洋艦隊は、新造したばかりの新鋭戦艦であるコネチカット級戦艦の5番艦ミネソタを旗艦とする戦艦20隻、巡洋艦15隻、駆逐艦11隻、そして通報船や給炭船等の補助艦艇12隻からなる総勢58隻の艦隊による世界一周への航海が始まったのである。

 

 

 

 

今回の派遣されるアメリカ大西洋艦隊の内訳

 

 

 

戦艦

 

Iowa(アイオワ)  James Abram Garfield(ジェームズ・エイブラム・ガーフィールド)  Kearsarge(キアサージ)  Kentucky(ケンタッキー)  Adirondack(アディロンダック)   Illinois(イリノイ)  Wisconsin(ウィスコンシン)  Maine(メイン)  Ohio(オハイオ)   Notre Dame(ノートルダム)  Virginia(ヴァージニア)  Nebraska(ネブラスカ)  Georgia(ジョージア)  New Jersey(ニュージャージー)  Rhode Island(ロードアイランド)  Great Smoky(グレート・スモーキー)  Connecticut(コネチカット)  Louisiana(ルイジアナ)  Kansas(カンザス)  Minnesota(ミネソタ)(旗艦)

 

 

 

巡洋艦

 

Rochester(ロチェスター)  Pueblo(プエブロ)  Louisville(ルイビル)  Newark(ニューアーク)  San Francisco(サンフランシスコ)  Denver(デンヴァー)  Birmingham(バーミングハム)  Erie(エリー)  Dover(ドーヴァー)  Cheyenne(シャイアン)  Lincoln(リンカーン)  Savannah(サヴァンナ)  Portsmouth(ポーツマス)  Springfield(スプリングフィールド)  Cambridge(ケンブリッジ)

 

 

 

駆逐艦

 

Dale(デイル)  Stewart(スチュワート)  Paul Jones(ポール・ジョーンズ)  Lawrence(ローレンス)  Truxtun(トラクスタン)  Whipple(ホイップル)  Hull(ハル)  Hopkins(ホプキンス)  Jarvis(ジャーヴィス)  Norman Scott(ノーマン・スコット)   Bryan(ブライアント)

 

 

 

更に補助艦艇として通報船3隻、工作船1隻、給品船3隻、病院船1隻、給炭船4隻であった。

 

そして出港後直ぐに艦隊司令官であるエヴァンズ少将が体調不良による指揮困難に陥り、急遽サンフランシスコでスペリー少将に交代するというアクシデント等の紆余曲折はありつつも順調に航路を進んでいた大西洋艦隊は、翌年の1908年の9月に漸く日本の横浜へと到着したのだ。

 

そしてこれに対して日本側も戦艦11隻、巡洋艦13隻、駆逐艦17隻及び補助艦艇5隻の計46隻で迎え入れたのである。

 

 

 

 

日本海軍の内訳

 

 

 

戦艦

 

三笠(みかさ)  富士(ふじ)  朝日(あさひ)  相模(さがみ)  香取(かとり)  鹿島(かしま)  村雲(むらくも)  八代(やしろ)  旅順(りょじゅん)  雲海(うんかい)  台和(ていわ)

 

 

 

巡洋艦

 

 

筑波(つくば)  生駒(いこま)  宗谷(そうや)  音羽(おとわ)  新高(にいたか)  対馬(つしま)  雷光(らいこう)  一色(いっしょく)  雲龍(うんりゅう)  梅雨月(つゆつき)  白鷹(しらたか)  (つばくろ)  (ひうち)

 

 

 

駆逐艦

 

恵風(けいふう)  (いなずま)  五百重波(いおえなみ)  瑞風(みずかぜ)  瑞雲(ずいうん)  東雲(しののめ)  颯天(はやて)  慈雨(じう)  不知火(しらぬい)  海霧(じり)  真雪(さねゆき)  軽雷(けいらい)  疾雷(しつらい)  迅雷(じんらい)  翔風(しょうふう)  甲矢(はやて)  細小波(いさらなみ)

 

 

 

補助艦艇として通報船3隻、工作船2隻であった。

 

 

 

そして入港した横浜港で日本軍や市民から熱烈な歓迎を受けた艦隊は、その後の予定として10月の中旬頃まで滞在した後に横浜を出港し、次の目的地へ行く前に先ずは北九州の門司港にて補給を済ませた後に二手に別れて次の訪問先である中国とフィリピンへと向かう予定であった。

 

こうして歓迎を受けた大西洋艦隊は、日本に滞在中の間に将校は園遊会や晩餐会に招待されたり、また水兵らは日本の街中を観光したりと大いに日本を楽しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ大西洋艦隊

 

旗艦 戦艦Minnesota(ミネソタ)

 

 

 

スペリー『Yeah, I was wondering what would happen at one point, but first of all I thank God for coming to Japan, which is my number one destination. Also, the dinner at the dinner party was delicious.』

    〔いやー、一時はどうなるかと思ったが何とか一番の目的地であるジャパンまで来れた事に先ずは神に感謝だな。それに晩餐会での食事も中々に美味かったな〕

 

参謀長『That is right. I first tried tempura and tried it, but it was delicious.』

   〔そうでありますね。 自分はテンプラを始めて食べて見ましたがこれが中々に美味しかったですね〕

 

スペリー『Oh yeah, I tried a gray pasta called buckwheat. Well, this aside, Chief of Staff, what do you think of their battleships?』

    〔あぁあれか、俺はソバとか言うグレーなパスタ見たいなのに挑戦してみたぞ。 まぁこれは一先ず置いといて参謀長、奴らの戦艦を見てどう思うかね?〕

 

参謀長『Eh... The first thing you notice is the size, the "Fuji" moored there is an old-fashioned category among their mainstays. On the other hand, this Minnesota is state-of-the-art in the United States, measuring 456 feet. However, "Fuji" seems to be close to 656 feet by eye. Besides, not only battleships but also destroyers look as big as small cruisers in the United States.』

   〔えぇ... 先ず目に付くのは大きさでしょうか、あそこに停泊している『フジ』は彼らの主力の中では旧式の部類になります。一方でこのミネソタは我が合衆国の最新鋭であり、大きさが456フィート(約139m)です。しかし『フジ』は目測でも656フィート(約200m)近くはあるように見えます。 それに戦艦だけでなく駆逐艦の方も我が国の小型巡洋艦に迫る程の大きさに見えます〕

 

 

 

そう話す参謀長、いや、参謀長だけでなくスペリー司令官や水兵等も富士や三笠などの日本戦艦のその大きさに目を釘付けにしているのであった。

 

 

 

 

富士(ふじ)型戦艦

 

全長:六十四.五間(199.9メートル)

 

全幅:十三.三間(41メートル)

 

速力:七十五(ノット)

 

主砲:十.二寸(30.6センチ)連装砲2基4門

 

副砲:五.二寸(15.6センチ)単装砲18基9門  二寸(6センチ)単装砲30基15門

 

魚雷:十五寸(45センチ)魚雷発射管六門

 

同型艦:八隻

 

 

 

 

スペリー『That's true... The Information Department just told the president a false report. What is 「even if you beat Russia, it's not a big deal because it's a small island country.」』

    〔だよなぁ... ったく情報部め大統領にデタラメ言いやがったな、何が「ロシアに勝ったとしても所詮は小さな島国だから大したことは無い」だ〕

 

参謀長『Is that so?』

   〔その様な事があったので?〕

 

スペリー『yeah? Ah, this was what Maj. Gen. Evans said, and he said he was told by the president when he was appointed commander of the dispatched fleet this time... Well, it seems that the number of battleships is not large at first glance, so it would have been possible to achieve it just by showing off our power. However, this is the first thing that makes me think about the future...』

    〔ん? あぁこれはエヴァンス少将殿が言っていたことでな、今回の派遣艦隊の司令に任命された時に大統領から言われたそうでな... まぁそれでもぱっと見戦艦の数は多くなさそうだから我々の力を誇示するというのだけでも達成出来ただろうな。 だがこれが最初では先が思いやられるぞ...〕

 

 

 

 

彼等はそう話しながら再び艦橋から日本海軍の艦艇達をみて溜息を付いていた




あ、感想の方で「何かお船速い、、速くない?無理では?」との言葉を頂きましたのでこの場にて弁明をば、、

これについてですが、そもそもとして日本艦の場合は水を切って進んでいないからです。
「え?何言ってんの?」と思うかもしれませんが、これは3話の方でも少し書きましたが、日本艦艇の場合は水を切って進むのではなく速度が上がると艦首部分が浮き上がり海面の上を滑る様に進むのともう一つ、艦底部が平型だからです、底が欧米艦のように丸型だと上から水を押しのけるようにするのでその分艦は水中へ沈むので抵抗は増えます、然しこれが平型だと押しのけていないので水面下の面積分だけ浮力が上がります。これらによって水中・水面の接地面積が減り、結果として水の抵抗がほぼ無くなるので足が速いと言う訳です。

ただこれに関しては史実でもそうだった様で一番分かり易いのはウィキなどにある日本の駆逐艦の、、そうですね睦月型の卯月や白露型の海風などの公試写真をみれば分かりますが水を切って進んでいるのではなく艦首が浮き、艦底部の下方から波が出ております。(他にも巡洋艦も分かりにくいですがよく見ると艦首こそそこまで浮いてませんが波は下方から発生してます。青葉とか摩耶とか)
また艦の後方を見るとかなり沈んでいるので本当に最大速力が30~35ノットならば時速が約60キロほどなので数千トンの鋼鉄の塊である艦が浮く程ではないなと。
なので恐らく60〜70ノットは出てるだろうと。

ですのでそこからまぁ艦自体デカイしエンジンも巨大だろうからこんなものかなと。と言うかぶっちゃけこの辺りは自分の親戚が昔映画制作の為に全国各地を周って取材した時に当時の生き残り組から聞いた話しやらをほぼまんま書いた感じですかね。なので白鷺に関しては艦の大きさや巡行速力は史実ですが最大船速は「巡行がこれなら最大はこんなものかな?」って感じで書いた訳です(てか皇室艦隊自体資料が勅令によってほぼ処分されてるので見聞きしたものしか分からん。そもそもとしてこの辺は裏だからほぼ分からん、せいぜい一部の艦名と武装くらいしか分からんし総指揮をとってた方はもう崩御されてるから全ては闇の中なんですよね)。もちろんここまで速いとご指摘の通り空へ飛んで行ってしまいますので艦中腹の喫水線下はかなり大きく横に膨らんでます。

とまぁ、そんな感じでこの小説では大きさや速力などが分かってるものに関しては史実通り、あとはオリジナルでいこうと思っていますのでよろしくお願いしますm(_ _)m


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第拾話 一難去ってまた一難(日露の次にもうWW1とか、、え?) いや間隔短くないっすか、、

何故この世に夜勤があるのか、、





明治41年(1908年)10月下旬 広島市

 

 

 

オッスオラ霧野だぜ!今日から久々の休みを3日ぐらいもろたで松田と買い物を楽しんでいた所だお!

あ、そこ! 男2人とか哀しwとか言わない!!

 

 

 

霧野「大分寒くなって来たな~。 今日の夜は鱈とお野菜が安かったから鍋にでもするかな~っと」

 

松田「おっいいね~、なら序に味噌もぶち込んで味噌鍋にすっか? んでその後に米ぶっこんで魚と野菜の旨味たっぷりの雑炊にしようぜ。 ぜってぇ美味いって」

 

霧野「おk じゃあそれで... あ!味噌足りるかな... 一応味噌屋寄ってっていい?」

 

松田「おういいぞ」

 

 

アメリカ大西洋艦隊が日本を出港してから数日後のとある日、久しぶりの休日をもらった彼等はのんびりと街をぶらぶらしながら買い物を楽しんでいた。

 

 

 

松田「だがまぁ高橋は残念だったなw」

 

霧野「それなw しっかし何で急に呼ばれたんだ? ほんとは彼奴も今日は非番だったやん?」

 

松田「シラネ。 でもいつもの事だしな」

 

霧野「確かに、んでいっつも厄介事を頼まれて俺らに愚痴るのがもう定石だよな」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

霧野「ふぅ、漸く着いたわ、、 途中で駄菓子買いまくるんじゃなかった」

 

松田「全くだぜ、寧ろ本命の味噌より菓子類の方が多いってどういう事やねん」

 

霧野「まぁまぁ松田だって途中からノリノリだったジャマイカ、、ん? 鍵開いてる?てことは高橋帰ったんか?」

 

松田「あ、本当だ。おーい帰ったゾイ☆」ガラガラ~

 

<お、お帰り~、、

 

松田「...何か声死んでね?」

 

霧野「...何があったんだ?」

 

松田「さぁ...。 取り敢えず行くか」

 

霧野「だねぇ...」

 

 

 

襖<ビタン... ビタン...

 

 

 

霧野「ん? 何の音だ?」

 

松田「さ、さぁ? 取り敢えず開けてみるわ、、」

 

襖<スー... スー、パタン...

 

松田「...」フルフル

 

霧野「(ど、どしたん? 顔なんか横に振って)」

 

松田「(いやだって、、じゃあおたくが開けて確かめてくれ)」

 

霧野「(? お、おう、、)」

 

 

襖<スー...

 

 

霧野「...? ...!!? えっ、うわっ、キモ...」

 

高橋「ゼェ...ゼェ...。 ...ん? おうお帰り!!」

 

スー、パタン...

 

 

 

霧野が襖を開けて中の様子を見てみると、高橋が何やら新聞紙らしきもので作ったお手製の小さな祭壇?らしきものに五体投地をしていたのだ。

 

 

 

霧野「...え? え?」

 

松田「だろ?」

 

霧野「え?え?え?」

 

松田「おーい戻ってk...」

 

高橋「ちょっと何閉めてんのさぁ~!」スパァン!!

 

霧野・松田「「うわでたぁ?!」」

 

高橋「アッハッハ!! どうしたんだいそんな化け物か何か見たかのような顔しちゃってさぁ!!」

 

 

 

何故かテンションがバグってる高橋にドン引きしていた二人だったが、何時までも呆けていては埒が明かないので覚悟を決めて聞く事にした。

 

 

 

松田「(くっ...! 覚悟を決めるか...!?)」

 

霧野「(あぁ、頼んだ...!)」

 

松田「た、ただいま、、 それであー、まぁ... 何だ、高橋? どうしたんだ?」

 

高橋「え? 何が?」スン

 

霧野「急転直下にも程があるよぉ... それで? 落ち着いた?今度はどしたん?」

 

高橋「フゥー... うん落ち着いた、えーとね実はかくかくしかじかでね...」

 

霧野「四角いムーブ、と...」

 

 

 

要約すると

 

一、先の日露戦役の影響がすさまじく、戦争の終結直後から各国が大幅に軍拡改革を進めている。

 

二、その為、これに合わせて日本も対応強化政策による装備改良が広く行われる事となった。

 

三、そこで新たに建造する艦艇は、皇室艦のダウングレードを作るのでなく流用を推進し、予備として作られた砲と機関を次世代型に継承する。

 

 

という事になったのだがそれをまぁ何時もの如く丸投げされたという訳だ。

 

 

 

高橋「......って感じで取り敢えず現実逃避する為に一旦お家に帰ってますた。 因みに海軍はあくまでもザックリこんな感じってだけで陸も色々とやるってさ」

 

松田「そいつは何ともまぁ、うん、、」

 

高橋「アー、ドーシヨー、、。 まじで如何してくれようか...」

 

霧野「まぁ、流石に出来る人間が居らなさすぎるね、、 せめて後何人かおればなぁ、、」

 

高橋「あぁ、つーかまだこの時代に居(飛ばされて)ないのって彼奴等だけだろ? あの3人もちゃちゃっと来てくんねぇかな、そしたら楽になるのに。 もしかしてかなり後に来るのか?」

 

松田「だよなぁ、まぁ俺らの中じゃ強制的に陸が決定してるがなw」

 

霧野「ぶはw ...でも皇室艦を流用ねぇ。 硬くて速くて強いとか相手からしたら絶望もいいところやんけ、あとデカい。 俺なら即降伏するね。あ、そう言えばさ?」

 

松田「ん? どしたん?」

 

霧野「いや先の戦争でのロシア兵士の捕虜さ、艦の大きさの割には兵士多くなかった? あの時の海戦で偶々運良く無傷だった戦艦が降伏した時に俺が乗ってた艦が対応したんだけど明らかに1000人以上はいたのよねぇ、、」

 

松田「あぁ、それね。 何、単純な答えだゾ」

 

霧野「え? そうなん?」

 

松田「答えは学が無いから。これに尽きる、ほら史実の日露決戦でもロシア兵の捕虜に勉強を教えてただろ? んー、そうだな... 極端な言い方だが、簡単に言うなら向こうは10を教えても1しか出来無い、要は学校に行ってないから何かしたくても知識が無いから単純なことしか出来無い。だから一つの物事に対して割り当てる人が多いからその分人数が多いって訳よ。 んで逆にこっちは一隻に対してそこまで人数がいらないのは学校行って知識があるもんで1を教えたらそこから応用で10まで出来るからね。 後は砲とかの自動化とかもあるかな。 まぁこの辺は太平洋戦争時とかにアメリカ軍の兵士が日本の捕虜は末端でも掛算や暗算が出来てて驚いたってのや、それを聞いたマッカーサーが終戦後に日本の学力を調べてみたら99%もあって驚愕したとかは結構有名な話だし聞いたことあるだろ?」

 

高橋「後さぁ、艦の造りも向こうは文字通り弱かったんですが...。 鹵獲した向こうの駆逐艦やら戦艦やらみて涙が出まくったわ。 向こう戦艦ですら小さいし中スッカスカだし機関もゴミだったもん。 それこそ一旦バラして資材にしてそれで新しいの新造した方がいいくらい艦艇の性能がやばかったですわ...」

 

霧野「いや言い方ってもんがあるでしょうに、、」

 

 

 

二人の言い方は(と言うか主に松田ではあるが)かなりキツイ物言いではあるが実際に当時の主な欧州各国の識字率は

 

帝政ロシア:0.0001%

オランダ:5%

ヴェネツィア共和国:83%

アメリカ:3%

イギリス:4%

フランス:0.6%

イタリア:6.7%

 

といった感じであった。

 

この中でもフランスや、特にロシアの低い理由としては

 

まずフランスの場合は、中世の貴族の代わりに富豪貴族が独占してるのと、自国の発展を自分達でなく、アフリカやアジアから連れて来た奴隷を労働力として使っていたので彼等フランス人自身が働かなくても、また学校等で勉強しなくても裕福な暮らしをして食べていけたからだ。その為後に起こるww2でそのツケを大いに払う事となる。

 

そしてロシアの場合は、膨大な数の国民に対して余りにも学校が少なすぎるのと、ロシア全体の人数に対しての貴族の数が一割以下なので此処まで低いのだ。

 

因みにヴェネツィア共和国だけ突出して高い理由は、商人が集まって出来た国だからである。彼等は商人なので当然計算などが出来なければそもそもとして商売が成り立たない。なので必然的に識字率や学力は高いのである。

 

序にだが高橋が言っていた「艦艇の性能が低い」理由は至極単純で、欧米の場合は時間と費用を気にして造るからである。そこへ上記の学力等の低さも相まってただでさえ低い艦のパフォーマンスが更に低下すると言う事になってしまうのである。

 

因みに船体が小さい理由は、当時のスエズ運河等の幅が狭かったからである。というものスエズ運河建設計画自体は1690年代からだが、当時の世界の覇権はポルトガルであり、その頃は商用船が主体、詰まり商用船が軍艦も兼ねており、幅が狭く小回りが利くポルトガルのガレー船が最強最速であったのだ。その為覇者であるポルトガルが介入した事によって運河幅が狭く(大型船だと反転反撃が出来無い)なったのだ。然し近代化に伴って船体が少しずつ大型化していった時にとある問題が起こってしまったのである。それは幅を拡張したくてもスエズ運河が大人気過ぎて休む暇が無くなってしまったのだ。通常、幅を拡張するには往来を止めて水を抜くのだが、交通量が余りにも多過ぎて通行止めが不可能になってしまったのだ。その為欧米艦は戦艦ですら小さくせざるを得なかったのである。

 

 

詰まり

 

・コストが安く時間が少ない=その分一隻に対する資材が少ないがその分速く、かつ大量に就役出来る(ただし時間も少ないので急ぐ分溶接若しくはリベット打ちが甘く脆い)=単純構造で武装や装甲が少なくなる(当然機関も軽く出力の弱いものなので速度も出ないし単純構造で中もスカスカ)=結果として艦の性能が弱くなる。

 

・学力が無い=兵士練度低い(単純な事や一つのことしか出来ないので必然的に総員数が増える)=余分に食料などが増える=燃料弾薬等の積載量が足りない(その分の積載出来る筈だった弾薬が減るという事は、砲弾を飛ばす為の装薬が少ないので必然的に主砲の射程も減ってしまうし、大量の兵士とそれを支える為の食糧の大量積載・搭乗でただでさえ少ない燃料の消費が激しくなる)=航海期間が足りない(継戦能力の大幅低下)=故にあちこちに補給地(植民地)が必須。

 

となるのだ。

 

 

なおこれが日本の場合だと先ずは最大マイナスリスクを想定してから造るのでかなり頑丈なのである。

 

即ち想定は最大限の攻防であり上限は無い、何故なら相手は大量生産国であり物量に対抗するには如何すればいいか? それは限られた手段で手数を増やす事、質は二の次、我が国は人口も少ないので人的被害を最小限に、故に必然的に大型化・自動化は必須。そして自動化したという事は、その分人数が減り食糧も少なく済むので、その代わりに燃料弾薬を多く積載出来るので短期間で直ぐに補給しなくても良いので長期航海が可能に、また大型化する事で重装甲化及び武装の大量搭載、並びに艦内の緻密なまでの徹底した大量区画化によって浸水・火災等の二次被害の拡大化を大幅に低減させる事で他国に比べて継戦能力が大幅に上がるのだ。

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 

 

霧野「ま、まぁ理由は分かったけどさぁ... その、頑張って?」

 

高橋「うわぁぁぁん! こうなったらお前等もMI☆TI☆ZU☆RE☆DA!」

 

霧野「ゑ?」

 

松田「...ん? お前『等』?」

 

高橋「アハハァ⤴! どうせ後3日ぐらいは貰ってるんだろォ? ボク知ってるんダァ! さぁ!一緒にぃ!頑張ろっ(逝こう)かぁ!!」

 

霧野・松田「「うわぁぁ!!?」」

 

松田「に、逃げるぞ!」

 

霧野「ひぃぃ??!」

 

 

だがざんねん! まわりこまれてしまった!!

 

 

高橋「うふふ♡ もう逃げられないゾ♡」

 

二人「「ヤメロー! ヤメルンダー! シニタクナーイ!」」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

ーー2日後

 

 

高橋「......いやー、大分助かったヨォ! アリガトネー!」

 

二人「「」」チーン

 

松田「(...い、生きてるか?)」

 

霧野「(...何とかね。所で何で彼奴まだピンピンしてるの...?)」

 

高橋「さて、取り敢えずは次期新型艦と艦載機の図面を起こすのと、、 後は序にこの時代の基盤技術でのミサイルがどこまでいけるか試したいしそれを搭載したテスト艦でも造るかね」

 

松田「ふぃー、、 何とか復活...と。 じゃあどうせなら潜水艦か駆逐艦に搭載したら? それならぱっと見気付かれんでしょ、てかもういっその事伊400型でも今の内に造ったら? まだ空母は時期尚早だし航空機もまだそこまで公には出来んだろうしね」

 

霧野「...ん? それだと何か紺○になりそうじゃね? つーかいくら何でもミサイルだと駆逐や潜水艦とか無理くね? だったらまだロケットに誘導装置でもつければ? これなら魚雷の誘導装置の応用でいけるっしょ?」

 

高橋「よっしそれで行こう!! フゥー↑アッハハー! じゃあちょっくら職場に行ってくるネー!!」

 

霧野「あぁ、うん? 行ってら、、 え?今から?」

 

<ガラガラ~ ヒャッハー!

 

霧野「えぇ、、? もう訳分からん...」

 

松田「あーあ、貴重な休みがもう明日で終わりっすか...。 ちくせう、、もう今日は寝るぞ!」

 

霧野「あ、不貞寝した、、 まぁ俺も一度寝るか、、流石に疲れたわ、、」

 

結局この2日間散々に振り回した挙句、嵐のように去っていった高橋に愚痴を言いながら二人はその後泥の様に眠ったのであった。

 

だが二人は知らない。この時の話し合いの後に完成したテスト艦が、二度目の世界大戦が勃発した際に大いに活躍し、その結果としてとある国からは「恐怖の夜再来」や「我が国の悪夢」と呼ばれ、未来でもその名を受け継いだ艦が出た瞬間に「チョットその名前だけは勘弁して下さい」と言われる程のトラウマ艦となる事を。

 

 

 

 

そして時は流れ......

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

元号を明治から大正へと改めてから3年が経った大正3年(1914年)

 

 

 

ーーヨーロッパ某所

 

 

?『да? То је... ја имам среће』

 〔ん? あれは... こりゃ運が良いな〕

 

タッタッタ、、!

 

?『Умрети!! Инвадерс!!』

 〔くたばれぇ!! 侵略者共がぁ!!〕

 

 

タァンッ!!

        タァンッ!!

 

 

?『Gua!?』 ...ドサッ

 〔ぐぁっ!?〕

 

護衛兵『Koronás herceg?! Koronás herceg!!』

   〔で、殿下?! 殿下!!〕

 

 

 

日本から遠く離れた欧州のとある場所でその事件は起きた。

 

1914年6月28日、オーストリア=ハンガリー帝国の帝位継承者であるフランツ・フェルディナント大公とその妻であるゾフィー・ホテク公爵夫人が、当時の帝国領であったサラエヴォへ訪問し、その視察途中にテロリストの襲撃を受けて暗殺されるという衝撃的な大事件が起こってしまったのである。

 

後にサラエボ事件と呼ばれるこの事件であるが、その背景は各国各方面の思惑が交差したかなり複雑怪奇なものであったが、端的に言えば宗教が絡んだ所謂宗教戦争であったといえば分かり易いだろう。

 

 

 

 

 

~~

 

~~~~~~~

 

 

『宗教戦争』というもの自体は何世紀も前から幾度もあった事ではあるが、上記の出来事の発端となった大まかな原因としては、時は遡る事1853年のクリミア半島にて起こった、これもある意味宗教戦争であったと言えるとある戦争だろうか。

 

この地にてオスマン帝国(とフランス、イギリスを中心とした同盟軍)と、ロシアが戦った数ある露土戦争のうちの一つであるクリミア戦争が勃発、その戦争はその後もドナウ川周辺やカムチャツカ半島にまで及び、近代史上稀にみる大規模な戦争にまで発展したのだが、そもそもとしてロシアとオスマン帝国の直接の対立の発端となったのは、オスマン帝国が支配していたエルサレムをめぐる聖地管理問題であった。

 

と言うのもこの頃は、フランスのナポレオン3世が個人的な名声を得る為に国内のカトリック教徒のご機嫌取りに邁進し、その甲斐あって聖地管理権を獲得すると、これに対して同じキリスト教でも正教会を国教とするロシア皇帝のニコライ1世がかなり反発したのである。その後ロシアは正教会の教徒保護を口実にしてオスマン帝国全土に政治干渉したのだ。

 

そしてこの戦争に敗北したロシアでは後進性が露呈した事で抜本的な内政改革を余儀なくされてしまい、更には開戦前に両国関係を改善しようとしていたオーストリアも、外交に於いてその手腕を発揮できなかったとして急速に国際的地位を失ったり、また英仏の両艦隊によるバルト海侵攻にまで至ったりしたのであった。そしてこの戦争によってイギリスとフランスの国際的な発言力が強まり、その影響は遥か遠くの彼等が植民地支配をしていたアジア地域にまで波及したのであった。こうしてクリミア戦争は各方面に影響を及ぼし、特にヨーロッパ社会に比較的長期の安定をもたらしたウィーン体制が各国の利害関係の複雑化などから揺らぎ始め、そしてバルカン半島の一部や紅海の一部等の広大な領地に異なる文化や宗教を唱える民族を多数抱えるオスマン帝国のような多民族国家では、被支配民族を中心に各民族が其々の国民・国家の概念を持つようになり、其々に自治権の強化や独立を求めるようになっていった所謂ナショナリズムが台頭するようになったのである。

 

そのオスマン帝国の領土の中でもボスニアやヘルツェゴヴィナ等は、民族的にはスラヴ系であっても宗教的な支配層はムスリムであり、そして被支配層はキリスト教徒が多数であると同時に工業化がほとんど進んでおらず、また人口の大多数が封建領主に搾取される貧しい農民ばかりだったので、度々セルビアやモンテネグロ等の反オスマン運動の宣伝に使われていたのだ。

 

であるのでオスマン帝国は、近代化よりもまずはこの地方の安定化を優先させる為にキリスト教徒の被支配層にある程度の平等を宣言して税制の公正化を図る等の問題解決に奔走していたのであった。だがこの地域は何度も革命運動が起こっており、特に1848年からの一連の革命を機に起こした運動が失敗すると、ただでさえ農奴状態であった農民がさらに悲惨な状況に追い込まれる、という事を危惧したオスマン帝国は、不安定ではあるが再び支配権が確立された後にこの地域への農業改革を求める事としたのである。

 

...のだがこれに対して支配層であったムスリム貴族たちは大反対をしたので、オスマン帝国は1850年に軍を派遣して反対派をサラエボから追い出した事で一時的に秩序の回復に成功したのだが、これだけでは蜂起した農民の武装解除には至らず、その後も宗教の違い等々による溝は増々増えていくばかりであり、最早彼方此方に火種しか無くそれは近い内に爆発しそうになるのでは、と言われる程の余りにも不安定過ぎる状況であった。

 

だがそこから少し時が経った1873年、先のクリミア戦中に只管工業化に邁進し、ヨーロッパ社会に影響力を持つようになったドイツ帝国(又はプロイセン王国)の宰相であったオットー・フォン・ビスマルクは、ドイツとフランスとの間に起こった普仏戦争に勝利すると、敗れたフランスの対独復讐を封じるために、列強と複雑な同盟関係を築き上げてフランスを孤立化させる外交政策を取る事を決定したのだ。そしてこれによってドイツ帝国はオーストリア=ハンガリー帝国、そしてロシア帝国との3国で同盟を結ぶ事に成功したのである。然し同盟締結から4年後の1877年、ロシアがブルガリア、ルーマニア、セルビア、モンテネグロの4国を率いて東方正教会キリスト教徒連合を結成、再びオスマン帝国との間に戦争が勃発してしまったのである。

 

そして今回の戦争ではロシア主導のキリスト教連合軍が勝利し、オスマン帝国をコンスタンティノープルまで押し戻した結果、西ヨーロッパの国々が介入出来る様になったのだ。その為ロシアはオスマン帝国の領土であったコーカサス州が自国領であると主張し、更に序とばかりにブジャク地方も併合したのだ。そこへ追い打ちを掛ける様にルーマニア、セルビア等々の国々は、今回の戦争を機にオスマン帝国からの支配を脱却、独立を正式に宣言し、この頃からオスマン帝国は徐々に衰退していった結果、その後はオーストリア=ハンガリー帝国がその地域を支配下に置いた事でそれまで不安定ながらも何とか燻る程度で済んでいた宗教的な物を含んだ諸問題が爆発を起こすのも遂に秒読み段階にまでなってしまったのだ。

 

 

~~~~~~~

 

~~

 

 

 

 

とまぁ、背景をザックリ言えばイスラム教とキリスト教とがお互いにそれはもう宗教の違いによる恨みつらみを募らせたり、睨みを利かせたといったものであった為に起こるべくして起きてしまった事件であったのだ。そして今回の暗殺事件後にオーストリア=ハンガリー帝国は速やかにセルビア王国に対して戦争も辞さない旨を含んだ最後通牒を発したのである。これを知った各国の政府及び君主は、このままでは開戦してしまうと危機感を募らせ何とか尽力していたが、互いの戦争計画の連鎖的発動を止めるのは最早無理難題であり、欧州各国間に長年に渡って複雑に絡みあって構築した同盟網が一斉に発動した結果、各国が互いに宣戦布告、兵の動員を行った為、史実より10日程遅れてはいたものの1914年8月9日、遂にヨーロッパ中を巻き込んだ大規模な戦争にまで発展してしまい、後に『第一次世界大戦』と呼ばれる大戦争が始まってしまったのである。

 

そしてその影響は遥か遠くの日本をも巻き込んでいく事となる。。。

 

 

 

 

 

 

 

ーー大正3年(1914年)8月12日 東京

 

 

 

「号外! 号外~!!」

 

「欧州で大規模な戦争が始まったぁ!」

 

 

 

~~~~

 

 

~~

 

 

 

ーー8月27日

 

 

 

街頭ラジオ< 臨時ニュースを申し上げます。 臨時ニュースを申し上げます。 大本営より、重大な発表が正午よりあります。 繰り返します。 大本営より、重大な発表が正午よりあります。 各家庭のラヂオはこのまま電源を切らないで下さい......

 

 

 

 

 ザワザワ

 

何だ何だ?

   分からんが欧州の戦争の事じゃない?>  ザワザワ

 <もしかしてこの国も参加するとか?

   そんな馬鹿な、、ロシヤとの戦争からそんなに経ってないんだよ?

 

       ザワザワ

 

 

欧州で始まった戦争はここ日本でも衝撃的なニュースとして瞬く間に取り上げられ、もしかしてこの国も巻き込まれるのではと人々は不安に駆られていた

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

――広島

 

 

 

 

松田「『欧州ニテ勃発セリ大戦争ニ対シ今日正午ヨリ大本営カラ発表アリ』 ねぇ... ん、これについては正午に発表するのか」カサ

 

霧野「あれ? 松田も知らないの?」

 

松田「いや幾ら俺でも上の事はそんなに分からんゾ」

 

高橋「やっべそんなのすっかり忘れてたわ。 つーかサラエボ事件が起こった時点であ(察し)ってなったからな~。 そっから準備したってたかが数日程度で間に合う訳がねぇ」

 

松田「ま、だからこそ今すんごい急ピッチで準備してるですけどね。 お陰で俺等も忙しいったらありゃしねぇ、今日だってやばかったけど情報整理の為に何とか理由付けて皆の休みを同日に捩じ込んだからな」

 

霧野「なるほど、、これが俺たち転生者特有のガバ知識によるやらかしって奴ですか」 

 

松田「いや、と言うかどの道避けては通れん出来事何だよなぁ。 クソッ 国内ばかりに目を向けるんじゃなかったぜ... はぁ、やっぱり霧野の言った通りやらかしたのかもな」

 

霧野「あー、いや、そんな事は... お、もうそろそろ正午だしラジオ点けてみる?」

 

高橋「そうだな、いいぞい」

 

霧野「おk」アポチットナー

 

()

 

ラジオ< ~♪(君が代が流れる) ......只今正午になりました。正午より大本営から発表があります。

 

    『 ...帝國政府より獨逸國政府に對して最後通牒を発したものの解決には終に至らず、、

                        

 

                    ・

                    ・

                    ・

                    ・

                    ・

 

 

     ......詔書

 

     天佑(テンユウ)保有(ホユウ)萬世一系(バンセイイッケイ)皇祚(コウソ)()メル大日本國皇帝(ダイ二ホンコクコウテイ)忠實勇武(チュウジツユウブ)ナル汝有衆(ナンジユウシュウ)(シメ)

 

朕茲(チンココ)獨逸國(ドイツコク)(タイ)シテ(タタカイ)(セン)

 

(チン)陸海軍(リクカイグン)(ヨロシ)(チカラ)(キワ)メテ戰鬪(セントウ)(コト)(シタガ)フヘク

 

(チン)百僚有司(ヒャクリョウユウジ)(ヨロシ)職務(ショクム)率循(リツジュン)シテ軍國(グンコク)目的(モクテキ)(タッ)スルニ(ツト)ムヘシ(オオヨ)國際條規(コクサイジョウキ)範圍(ハンイ)(オイ)一切(イッサイ)手段(シュダン)(ツク)(カナラ)遺算(イサン)ナカラムコトヲ()セヨ

 

(チン)(フカ)現時歐洲戰亂(ゲンジオウシュウセンラン)殃禍(オウカ)(ウレ)ヒ (モッパ)局外中立(キョクガイチュウリツ)恪守(カクシュ)(モッ)東洋(トウヨウ)平和(ヘイワ)保持(ホジ)スルヲ(ネン)トセリ ()(トキ)(カタ)獨逸國(ドイツコク)行動(コウドウ)(ツイ)(チン)同盟國(ドウメイコク)タル大不列顚國(ダイブリテンコク)ヲシテ戰端(センタン)(ヒラ)クノ()ムナキニ(イタ)ラシメ ()租借地(ソシャクチ)タル膠州灣(コウシュウワン)(オイ)テモ亦日夜戰備(マタニチヤセンビ)(オサ)()艦艇荐(カンテイシキリ)東亞(トウア)海洋(カイヨウ)出沒(シュツボツ)シテ帝國及與國(テイコクオヨビコウコク)通商貿易爲(ツウショウボウエキタメ)威壓(イアツ)()極東(キョクトウ)平和(ヘイワ)(マサ)危殆(キタイ)(ヒン)セリ (コレ)(オイ)(チン)政府(セイフ)大不列顚國皇帝陛下(ダイブリテンコクコウテイヘイカ)政府(セイフ)トハ相互隔意(ソウゴカクイ)ナキ協議(キョウギ)()兩國政府(リョウコクセイフ)同盟協約(ドウメイキョウヤク)豫期(ヨキ)セル全般(ゼンパン)利益(リエキ)防護(ボウゴ)スルカ爲必要(タメヒツヨウ)ナル措置(ソチ)()ルニ一致(イッチ)シタリ

 

(チン)()目的(モクテキ)(タッ)セムトスルニ(アタ)尙努(ナオツト)メテ平和(ヘイワ)手段(シュダン)(ツク)サムコトヲ(ホッ)()(チン)政府(セイフ)ヲシテ誠意(セイイ)(モッ)獨逸帝國政府(ドイツテイコクセイフ)勸吿(カンコク)スル(トコロ)アラシメタリ (シカ)レトモ所定(ショテイ)期日(キジツ)(オヨ)フモ(チン)政府(セイフ)(ツイ)()應諾(オウダク)囘牒(ドウチョウ)()ルニ(イタ)ラス

 

朕皇祚(チンコウソ)()(イマ)()クナラス且今尙皇妣(カツイマナオコウヒ)(ソウ)()レリ(タガイ)平和(ヘイワ)眷々(ケンケン)タルヲ(モッ)テシテ()カモ(ツイ)(タタカイ)(セン)スルノ()ムヲ()サルニ(イタ)朕深(チンフカク)(コレ)(カン)トス

 

(チン)汝有衆(ナンジユウシュウ)忠實勇武(チュウジツユウブ)倚賴(イライ)(スミヤカ)平和(ヘイワ)克復(コクフク)(モッ)帝國(テイコク)光榮(コウエイ)宣揚(センヨウ)セムコトヲ()

 

大正三年八月二十七日  ...以上!』 ......次に、、(以下他のニュースが流れる)

 

 

 

霧野「...なるほどわからん」

 

松田「なら何で点けたし」

 

霧野「でもまぁ超ザックリとは分かったわ、要はイギリスと同盟してるからって事でそ?」

 

高橋「と言うか王室同士は仲いいから自然とそうなったんじゃね」

 

松田「さーてこれから忙しくなるぞー」

 

霧野「デスヨネー」

 

 

 

~~~~

 

 

~~

 

 

 

 

 

街頭ラジオ<......朕玆ニ獨逸國ニ對シテ戰ヲ宣ス、、

 

 

 

 

  ザワザワ

 

欧州の戦争にこの国も参加するんかいな、、!?

      露助の次は独逸って所とするって事?

   <だがその独逸の軍が我が国の近場にいるからなぁ、、

 

               ザワザワ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー長崎のとある陸軍基地

 

 

 

 

?「「...へ? ドイツに?」」

 

小隊長「ん? 何か言ったか?」

 

?「「いえ? 何も言っておりませんが、、」」

 

小隊長「? そうか、、空耳だったのか? すまんかったな。 あぁそうそう、先の訓示で知ってるだろうがこの国は既に戦時下になった。 恐らく地理的に我等が先に充てられるだろうから今の内にしっかと英気を養っておけよ? じゃ、もういいぞ」

 

?「「はっ!! 失礼します!」」

 

 

 

 「「......」」

 

 「「うそでしょ、、」」



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第拾壱話 セルビア戦線

1914年8月9日に始まった戦争であるが、戦争の為の物資調達等々の準備に多少の時間を要した結果、最初の戦闘の火蓋が切って落とされたのは8月19日のバルカン半島であった。

 

此処ではセルビア王国が攻め込んできたオーストリア=ハンガリー帝国軍(以下オーストリア軍)に対して決死の防衛戦を繰り広げており、戦闘開始から既に12日が経過していた。

 

 

 

 

 

ーー8月31日 バルカン半島 セルビア王国国境線付近にて

 

 

 

 

 

 

 

    ...ズドォォン

 

 

 

...ドドォォン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュルルルル......

 

 

 

 

 

セルビア軍兵士1『Долази!! То је бомбардовање!!』

        〔来るぞぉ!! 砲撃だぁ!!〕

 

 

 

 

ズドォォォォン!!

 

 

 

       ズドドォォォォン!!

 

 

 

セルビア軍兵士2『Гуа?!』

        〔ぐぁっ?!〕

 

セルビア軍兵士3『Да ли си добро! Буди чврст!』

        〔大丈夫か! しっかりしろ!〕

 

 

 

戦闘に先立ち、オーストリア軍は手始めとして砲撃や、時折航空機から小型爆弾を投下してセルビア軍の籠っている塹壕に攻撃を始めていた。

 

 

 

セルビア軍下士官『(Проклетство... Бараж је превише невероватан, А непријатељски војници су више него дупло наши...! ) Куу...! Не бој се! Контактирајте артиљерију! Ми такође узвратимо!!』

        〔(クソ、、雨霰の如く撃ちまくりやがって、それに敵兵士も我等の倍か...!) くっ...! 怯むなぁ! 砲陣地に連絡! こっちも撃ち返すんだ!!〕

 

セルビア軍兵士4『Да!!』タッタッタ...

        〔了解っ!!〕

 

セルビア軍下士官『Yeah? Бомбардовање је престало...?』

        〔ん? 砲撃が止んだ...?〕

 

 

 

ピィィィィィ

 

 

 

『『『Waaaaaaaaaa!!』』』

〔〔〔ワァァァァ!!〕〕〕

 

 

 

セルビア軍下士官『Шта!? Непријатељ је напао! Пешадија треба да се припреми за пуцање! Пожурите са припремом митраљеза! Зар наше бомбардовање још не долази!?』

        〔っ!? 敵が突っ込んでくるぞ! 歩兵は射撃用意!機関銃も準備急げ! 味方の砲撃はまだ来ないのか!?〕

 

 

カチャカチャ、、! カラカラカラ...ジャキン!

 

 

セルビア軍兵士5『...Сви чланови су спремни!!』

        〔...総員準備完了!!〕

 

セルビア軍兵士3『...Удаљеност од непријатеља 700м!』

        〔...敵が700mまで接近!〕

 

セルビア軍下士官『Још увек! Са преосталих 500м, пуцајте одједном!』

        〔まだだ! 残り500で一斉射撃セヨ!〕

 

セルビア軍兵士等『『Да!!』』

        〔〔了解っ!!〕〕

 

セルビア軍下士官『(Често клали наше људе... Ја ћу се овде осветити!)』

        〔(よくも我が国の国民を虐殺しやがって... その報い、ここで受けやがれ!)〕

 

        『......Приготовиться к стрельбе‼』

        〔......撃ち方用意!!〕

 

 

 

圧倒的な数で攻めてくるオーストリア軍に対して、彼等は誰一人として臆する事なく静かに闘志を燃やして待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーー翌日 オーストリア軍前線基地

 

 

 

 

 

オーストリア軍兵士1『Hmm... Ich bin überrascht, dass ich überlebt habe... Adolf?』

         〔はぁ...。 我ながら良く生き残れたな、、 なぁアドルフ?〕

 

オーストリア軍兵士2『Nun ...』

         〔ですね、、〕

 

 

 

そう愚痴を零す2人の兵士の目の前には多数の自軍兵士、そしてセルビア軍兵士の死体があった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー前日の午前6時頃 オーストリア軍最前線の塹壕

 

 

 

 

 

 

 

ズドォォン...

 

 

 

オーストリア軍兵士1『Die Artillerie tut ihr Möglichstes. Alles, was Sie sehen können, ist Rauch』

          〔砲兵隊は張り切ってるな~。 見える範囲全てが土煙しかないぜ〕

 

オーストリア軍兵士2『Nun, Bleibt noch was für uns übrig?』

          〔だなw 俺達の分も残しておいてくれよ~?〕

 

兵士等『『Hahahaha!』』

   〔〔ハハハハハ!〕〕

 

 

開戦から10日以上を経ているが、それでもオーストリア軍の兵士達はセルビア軍よりも数に勝っている為、この戦いに勝ったつもりでいた。それもそうであろう、何せ今回の戦争に於いて動員した兵士の数は、即応ではあるものの実に490万人でありセルビア軍の370万人よりも多かったからである。

さらに此処の前線に於いても防衛側であるセルビア軍は12万人程であり、それに対して彼等は27万人と約2倍の戦力で攻めてきたからだ。

 

 

オーストリア軍下士官『 Setzen Sie ein Bajonett auf! Angriff nach dem nächsten Bombardement!』

          〔お喋りはそこまでだ! 総員着剣! 次の砲撃の後突撃する!〕  

 

兵士等『『Was! Ja!!』』

   〔〔ッ! 了解!!〕〕

 

 

 

だがそこへ下士官が緩くなった雰囲気を引き締める。

 

その後数分もしないで最後の砲撃が終わった為、下士官はホイッスルを鳴らして攻撃命令を出した。

 

 

 

ピィィィィィ!!

 

 

 

オーストリア軍下士官『Aufladen!』

          〔突撃ィ!〕

 

兵士等『『Waaaaaaaaaa!!』』

   〔〔ワァァァァ!!〕〕

 

 

 

下士官の攻撃命令の下に塹壕より飛び出て、その圧倒的戦力でもってセルビア軍へと突撃を開始したオーストリア軍であったが、残り500m付近まで接近した所で、彼等はセルビア軍側からの一斉射撃を受け次々と倒れていった。

 

 

 

ダダダダダダ!

 

 

タァン!、、カチャ  タァン!

 

 

 

オーストリア軍兵士『Gua!?』

         〔グァ!?〕

 

セルビア軍兵士『Умрети!!』

       〔くたばれぇ!!〕 タァン!

 

オーストリア軍兵士『Ga?!..Ah..』

         〔ガッ?!、、アァ、、〕

 

セルビア軍兵士『Пуцај и пуцај!』

       〔撃て撃てぇ!〕 ダダダダ!

 

セルビア軍兵士『Вау! Иди кући брзо!』 ズドン!

       〔おらぁ! 尻尾撒いて帰れぇ!〕

 

 

 

ヒュルルルル......

 

 

 

 

オーストリア軍兵士『verdammt.. ja?』

         〔くそぉ、、 ん?〕

 

オーストリア軍兵士『Jawohl? Dieses Geräusch ist... Echt?!』

         〔え? この音は... マジか?!〕

 

 

 

 

ドゴォォォン!!

 

 

 

 

兵士等『『Guaa!?』』

   〔〔ぐああっ!?〕〕

 

オーストリア軍兵士『Was ist los?! Das Bombardement funktioniert nicht und sie schießen zurück und es geht ihnen gut!』

         〔どうなってる?! 砲撃が効いてない所か撃ち返してくるし彼奴等ピンピンしてるぞ!〕

 

下士官『Was..! Was für ein Sperrfeuer... Hey! Fordern Sie erneut eine Bombardierung an! Rezession! Zieh dich einmal zurück!』

   〔ぐぬぅ、、! 何て弾幕だ... おい!再度砲撃を要請しろ! 引けぇ! 一旦引くんだ!〕

 

 

 

オーストリア軍の予想に反してセルビア軍は劣勢を物ともせず、砲撃も交えて盛大に歓迎したのであった。その為オーストリア軍はその数を十全に活かす事も出来ずにその気迫に圧倒され、退却を余儀なくされたのである。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

ーーオーストリア軍砲陣地

 

 

 

前線から遠く離れた此処砲陣地では、前線部隊からの要請を受けて再び砲撃の準備をしていた。

 

 

 

 

通信兵『Ich wurde von den Frontstreitkräften kontaktiert, um erneut um Artillerieunterstützung zu bitten! Die Bombardierungskoordinaten sind...』

   〔前線より再度砲撃支援を求むと連絡アリ! 砲撃座標は...〕

 

砲兵隊長『......Verstanden! Vorbereitung zum Bombardement!』

    〔......了解! 砲撃用意!〕

 

砲兵1『Vorbereitung zum Bombardement! Laden der Granate!!』

   〔砲撃用意! 砲弾装填!!〕

 

砲兵2『Laden der Granate!! ...Nächste Runde geladen!』

  〔砲弾装填! ...装填ヨシ!〕

 

砲兵3『Alle Feldgeschütze sind bereit!』

  〔...各砲の準備完了しました!〕

 

砲兵隊長『Feuer!』

    〔撃てぇ!〕

 

 

 

 

ズドォォォォン!!

 

 

 

    ズドォォォォン!!

 

 

 

        ズドォォォォン!!

 

 

 

 

撃つ事暫し..

 

 

砲兵隊長『......Stoppen Sie das Bombardement! Unsere Infanterie wird erneut angreifen!』

    〔......撃ち方ヤメ! 是より我が軍の歩兵が再度突撃する!〕

 

砲兵等『『Ja!!』』

   〔〔了解!!〕〕

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

――最前線(セルビア軍側)

 

 

 

 

ヒュルルルル......

 

 

 

 

   ドゴォォォン!!

 

 

 

 

セルビア軍兵士等『『Гиаааа?!』』

        〔〔ぎゃあああ?!〕〕

 

下士官『Шта! Лоше је! Митраљески положај је уништен...! Ово ствара јаз у нападу...!』

   〔っ! 不味い! 機関銃陣地がやられた...! これでは攻撃に隙が出来てしまう...!〕

 

 

 

オーストリア軍からの砲撃は、今度は正確にセルビア軍の展開している場所に次々と着弾して行き、多くの陣地に被害が出た事で今迄の様な攻撃は事実上の不可能となってしまった。

 

その結果、再度突撃して来たオーストリア軍を受け止めきれず、徐々に押され始めていった。

 

 

 

『『『Waaaaaaaaaa!!』』』

〔〔〔ワァァァァ!!〕〕〕

 

 

 

 

兵士『Непријатељска војска поново почиње офанзиву!』

  〔敵軍再度攻勢を開始!!〕

 

兵士『Штета причињена претходним бомбардовањем је толика да се не може сузбити! Неки фронтови су већ разбијени!!』

  〔先程の砲撃による被害甚大で抑えきれません! 既に一部の前線が突破されました!!〕

 

 

 

次々と入る凶報に下士官は遂にある決断を下す。

 

 

 

下士官『До овде...! повлачење!』

   〔此処までか...! 撤退だ!〕

 

兵士『Повлачимо ли се?! али...』

  〔撤退ですか?! 然し...〕

 

下士官『Знаешь что? Если мы останемся здесь еще дольше, они придут с той стороны, откуда прорвались. И мы нанесли им большой ущерб, и они думают, что мы нанесли им большой ущерб, так что у них есть возможность воспользоваться этим. Так что это не место для нашей смерти.』

   〔いいか? これ以上此処に留まってると突破された所から回り込まれちまうぞ? それにかなりの損害を向こうにも与えたし奴らはその分此方の被害も相当だと思っているだろうから付け入る隙はそこにある。 故に此処は我等の死に場所ではない、分かったら撤退せよ〕

 

兵士等『『...Да!』』

   〔〔...了解!〕〕

 

兵士『Повлачење! Повлачење! Повлачење!』

  〔撤退! 撤退だぁ! 撤退しろぉ!〕

 

 

 

下士官はこれ以上の防衛は困難と分かると、撤退を決意し兵士等もそれに続いた。

 

今回の戦闘ではセルビア軍が撤退した為オーストリア軍の勝利ではあったが、司令部としては圧倒的な数で攻めたにも拘らずたかが最初の敵防衛線すら突破に10日以上を要し、尚且つこの12日間の戦闘で少なくない犠牲が出た事で、兵士等の身体的・精神的疲労が凄まじかった。結果、今日これ以上の進軍は実質不可能と判断した司令部は、「まぁ、敵も大損害を被ったのだ、暫くは今日迄の様な大反撃もあるまい、最低限の歩哨だけにして後は休ませるか」と考え此処で一旦休息をとる事にしたのであった。

 

だがそれは甘い考えであったと直ぐに思い知らされる事も知らずに...

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーー先の戦闘終結から約2時間後 オーストリア軍前線側の塹壕

 

 

 

オーストリア軍兵士1『ich bin heute müde... ja? Zeichnest du wieder irgendwelche Bilder?』

          〔もう今日は疲れたぜ、、 ん?何だまた絵をかいてるのか?〕

 

オーストリア軍兵士3『ja,Und ich zeichne gerne.』

          〔えぇ、絵を描くのが好きですし〕

 

オーストリア軍兵士2『Oh, wenn ich es mir recht überlege, warst du auf der Kunsthochschule?』

          〔あぁ、そう言えば美大に通ってるんだっけか?〕

 

オーストリア軍兵士3『ja,Nun, ich habe kein Geld, also melde ich mich bei der Armee an, um Schulgeld zu verdienen...』

          〔そうですよ。 まぁお金が無いので学費を稼ぐ為に軍に入ったんですがね、、〕

 

 

 

昼間の激戦から漸く解放された彼等は塹壕で雑談をしながら体を休めていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

オーストリア軍兵士1『......Also verlor ich meinen Job und meldete mich freiwillig zum Militär.』

          〔......んで仕事無くなっちまって軍に志願したのよ〕

 

オーストリア軍兵士2『Sie auch? Früher habe ich auf den Weizenfeldern gearbeitet, aber dann wurden Maschinen für die Aussaat und Ernte eingeführt, und ich wurde entlassen, weil sie nicht mehr Leute brauchten. Wir verloren also alle unsere Arbeit und konnten uns kein Essen leisten, also wurden wir Soldaten. Nun, die meisten Menschen, die zur Armee gehen, sind so.』

         〔そっちもか? こっちは麦畑の仕事をしてたんだが種蒔とか収穫とかに機械を導入しやがってな、もう大人数はいらんからってクビよ。 お陰でみーんな職失ってメシ食えんくなったもんで兵士になったのさ。 まぁ、軍に入った奴なんて大概こんなもんだよな〕

 

オーストリア軍兵士1『Richtig? Ich meine, sicher, die Maschinen sind praktisch, aber unsere... Hm? Wohin gehst du?』

          〔だよなぁ? ったく確かに機械は便利だが俺達の... ん?どこ行くんだ?〕

 

オーストリア軍兵士3『ach, geh ins Bad』

          〔あぁ、トイレに〕

 

オーストリア軍兵士1『Sorge tragen』

          〔おうそうか気を付けな~〕

 

オーストリア軍兵士2『Oh warte, ich gehe auch. Es sieht so aus, als würde jetzt etwas Großes herauskommen. Lassen Sie uns gemeinsam gehen. A()d()o()l()f()

          〔あぁ待ってくれ、俺も行くわ、今ならデカいのが出そうなんだw てことでツレションだ、()()()()

 

兵士3改めアドルフ『Äh... es ist okay』

         〔えぇ... まぁいいですけど〕

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

ーー塹壕後方のトイレにて

 

 

 

アドルフ『Huu... Herr Müller, sind Sie immer noch nicht fertig?』

    〔ふぅ... ミュラーさんまだですか?〕

 

兵士2改めミュラー『Woooo! Noch! Etwas später!』

         〔うぉぉぉぉ! まだだ! 後少しや!〕

 

アドルフ『Ist das so... Kann ich dann zuer...』

    〔そ、そうですか... なら先に戻っt...〕

 

 

ドォン! ...ワー!!

 

 

 

2人『『!?』』

 

ミュラー『Dieses Geräusch...! Bitte geh! Ich gehe bald hierher! Verdammt, wir sind noch unterwegs!』

    〔この音は...! 先に行け! こっちもすぐ行く! くっそまだ途中だってのに!〕

 

アドルフ『Ja!』

    〔わ、分かりました!〕ダッ!

 

 

 

如何やらアドルフ達が丁度トイレの為に後方に行った時に、セルビア軍が夜襲をかけてきたらしい。

 

その為アドルフは後方で休憩していた兵士等と共に前線へと急いで向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー前線

 

 

 

オーストリア軍下士官『Nachtangriff, du kleiner...! Lassen Sie sich nicht einschüchtern!』

          〔えぇい夜襲とは小癪な、、! 怯むなぁ!〕ズドン!!

 

セルビア軍兵士『Sterben! !』

       〔死ねぇ!!〕ザシュッ!

 

オーストリア軍兵士『Ga?!』

         〔グァ?!〕

 

オーストリア軍兵士『...da ist es! Erschieß es!』

         〔...そこだ! 撃ちまくれぇ!〕

 

 

 

ダダダダダダ!

 

 

 

セルビア軍兵士『Gya!』

       〔ギャァ!〕

 

セルビア軍兵士『Aga...』

       〔アガァ...〕

 

セルビア軍下士官『Вхоа? ! Здроби тај митраљез!』

        〔ぬおっ?! あそこの機銃を潰せ!〕

 

 

 

 

さてアドルフが急いで向かっている頃、奇襲攻撃を受けたオーストリア軍側の塹壕ではお互いが超接近戦の為に銃撃の他銃剣やスコップで切り付けたり、その場にあった石ころや飲みかけのビンを投げるか叩き付ける、果てに殴り合いに噛み付きと、もはや混沌と化していた。

 

 

 

ドカァァン!!

 

 

 

オーストリア軍兵士等『『Gyaaa!!』』

          〔〔ギャァァァ!!〕〕

 

オーストリア軍兵士『Gaa?! Heiß! Jemand soll es ausschalten!!』

         〔ガァァッ?! 熱い! 誰か消してくれぇぇ!!〕

 

オーストリア軍兵士『Hey, das Munitionsdepot wurde getroffen!』

         〔だ、弾薬庫に被弾したぞぉ!〕

 

 

 

だが昼間の疲労が抜けきってないのに加え、完全に油断していたオーストリア軍は真面に反撃が出来ておらず戦況は徐々にセルビア側へと傾いており、遂に逃走を始める兵士が出始めた。

 

 

 

オーストリア軍兵士『Boah?! Weglaufen!』

         〔ヒィィ?! に、逃げろぉ!〕

 

オーストリア軍兵士『Nie mehr!!』

         〔もうダメだぁ!!〕

 

下士官『Hey! Lauf nicht weg! Hey!! Verdammt, es ist komplett zusammengebrochen...! Alle zurückziehen! Beeil dich! Rückzug!!』

   〔なっ、おい!逃げるなぁ!! おい!! くそっ完全に崩壊したか...! 総員撤退ぃ! 急げぇ! 撤退だぁ!!〕

 

 

 

セルビア軍の夜襲によって始まった戦闘は、開始から僅か10分足らずで前線が突破され、その勢いで更に陣地の中段付近まで一気に攻め込まれた結果、オーストリア軍の士気は完全崩壊し兵士達は我先にと逃げて行った。

 

 

 

アドルフ『Haa, haa, nur ein bisschen mehr... ja?』

    〔はぁ、はぁ、もう少しで、、ん?〕

 

逃げてきた兵士『... Hm? Hey, du kannst da nicht rübergehen! Wir haben den Befehl erhalten, uns zurückzuziehen! Ihr müsst rennen! Wenn du nicht rennst, wirst du sterben!』

       〔...あ? おい、向こうはもうダメだ! 撤退命令がでた! 逃げろ! ぐずぐずしてると死ぬぞ!〕

 

 

 

アドルフ達がもうすぐ到着するという時に前線の兵士達が彼等の方へと逃げて来ると、既にこの戦いは負けて撤退に入ったと告げた。

 

 

 

アドルフ『Rückzug? Okay! Oh, wir müssen auch Herrn Müller informieren...!』

    〔撤退?! 分かった! あ、ミュラーさんにも知らせないと、、!〕

 

アドルフと共に来た兵士1『Zurückziehen!?』

            〔撤退だと!?〕

 

兵士2『Unglaublich?!』

   〔噓だろ?!〕

 

 

 

ヒュゥゥゥン...

 

 

 

 

    ズドォォン!!

 

 

 

兵士1『Gua?!』

   〔グァッ?!〕...ドサッ!

 

アドルフ達『『!?』』

     〔〔!?〕〕

 

兵士2『Ahaa?! Waaa!?』

   〔ヒィィッ?! うわぁぁぁ!?〕ダッ!

 

 

アドルフ『Ich muss rennen...!』

    〔に、逃げなきゃ...!〕

 

 

 

アドルフ達が兵士から告げられた言葉に動揺している時、そこへ更なる追い討ちを掛けるように彼等の近くに砲弾が着弾した事でそれらが事実であると分かると、彼等も急いで後方へと逃げていったのであった。

 

 

 

最終的にオーストリア軍は自国の国境沿いまで押し返され、更には撤退中の兵士達も殆どがセルビア軍の執拗なまでの追撃や途中にある川で溺れて溺死する者が相次ぐなど散々であり、この12日間の戦闘で23万人が戦死、約17000人が捕虜となったのであった。だがその一方でセルビア軍側も損害著しく最後の夜襲に全力でもって望んだ為、実に9万人近くが戦死し、更には少なくない数の野砲等にも損害が発生した事で、人員の補充や防衛線の再構築をせねばならなくなった。だがそれ以外にも侵攻を受けた際に多くの町や村が襲撃を受けたのでその復興や民間人の避難等にも人手を割かねばならず、その為何処も人員不足であり、実質的にこれ以上の同地域での防衛能力は既に皆無と言っても過言ではない状況であった。

 

然しこの様なセルビア側の決死の反撃はここだけでなく国境線沿いの地域全てで行われており、オーストリア側の出鼻を挫く事に成功するなどかなり善戦していた。

 

その為早期に決着がつくと予想していたオーストリア側の思惑は大きく外れて数ヶ月にも及び、対ロシアに準備していた部隊を対セルビア戦へと投入する事で同地域での戦線を維持するしかなく、ロシアとの間に起こっていた戦闘でも有利とは言い難くなってしまう程に序盤の戦闘で一気に弱体化してしまったのであった。

 

だが一方でセルビア側も最初の頃は大きく善戦していたが、全力で戦う事が出来たのはその最初だけで戦争も11月頃になると最早その力を使い果たしているのに等しく、それを悟らせ無い様に散発的に奇襲攻撃や航空機による攻撃を仕掛けるなど、辛うじて戦線を保っている状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーー少し時は遡り 10月6日 太平洋マリアナ諸島沖

 

 

 

欧州から遠く離れた太平洋でも戦争が起きていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズゥゥゥゥンンン...!!

 

 

 

 

ーードイツ東洋艦隊所属 マリアナ防衛艦隊

 

 

 

 

旗艦 戦艦Ançoise(アンソワーズ) Clémentaria(・クレメンタリア・) Mecklenburg(メクレンブルク)

 

 

 

見張り員『Was! Der Kreuzer wurde von einem Torpedo getroffen! Es wird langsamer!』

    〔ッ! 巡洋艦に被雷! 速力低下してます!〕

 

水兵1『Warum?! Warum schlagen die Torpedos so stark ein!』

  〔どうなってる?! 何故奴らの魚雷はこんなにも当たるんだ!〕

 

水兵2『Ich weiß es nicht! Wie auch immer, schieße einfach weiter auf sie und halte sie in Schach!』

  〔知るかよ! 今はとにかく撃ちまくって牽制しまくれ!〕

 

司令官『Scheiße...! Noch ein Schiff gesunken...! Hören Sie, der Angriff dient nur dazu, dem Feind den Weg zu versperren. Unsere Priorität ist es, uns aus dem Südpazifik zurückzuziehen und über Südamerika in unser Heimatland zurückzukehren.』

   〔くっ...! また1隻食われたか...! いいか、反撃は敵の進路妨害のみにせよ。先ずは南洋より撤退し、南米経由で何とか本国まで戻るのが最優先事項である〕

 

艦長『Aber, Commander, neben Australien und den Vereinigten Staaten ist auch die japanische Marine in diesem Gebiet vertreten. Ich weiß nicht, ob ich damit durchkomme...』

  〔ですが司令、この辺りにはオーストラリアやアメリカの他にあの日本海軍もおります。このまま逃げきれるかどうか...〕

 

 

見張り員『Die feindliche Flotte nähert sich uns!!』

    〔敵艦隊(日本海軍)がさらに接近してきます!!〕

 

司令官『was!? (Scheiße Ich weiß nicht, ob das alles vorbei ist... Aber so wie es aussieht, scheinen wir ihnen zahlenmäßig überlegen zu sein, also können wir ihnen hoffentlich schweren Schaden zufügen und uns zurückziehen...?)』

   〔何!? (クソッ 万事休すか... だが見たところ数では此方の方が多そうだから上手くいけば大損害を与えつつ撤退も出来るか...?)〕

 

 

 

 

 

 

ーー日本海軍南遣艦隊所属 マリアナ方面担当艦隊

 

 

旗艦 戦艦大嵐(おおあれ)

 

 

 

見張り員「敵艦隊捕捉! 距離七十二(キロ)! 数200隻以上!」

 

松田「漸くか...(って言うか数多くないか? もうこれ本体みたいなもんだろ、、まぁいっか) 分かった。 総員戦闘配置、それと無双(むそう)に水雷戦隊の旗艦として本体より離脱し先行せよと通達頼む」

 

水兵等「「了解っ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

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南遣艦隊所属 巡洋艦無双(むそう)

 

 

 

通信兵「報告! 旗艦大嵐(おおあれ)より総員戦闘配置、並びに我が艦を水雷戦隊の旗艦として先行せよとの通達!」

 

艦長「うむ。 総員戦闘配置! 機関最大船速! 速度差を活かし敵艦隊の鼻を押さえるぞ」

 

水兵1「総員戦闘配置ぃ!」

 

水兵2「各主砲装填急げぇ!!」

 

 

 

 

 

此処太平洋ではドイツ東洋艦隊が集結しつつ決死の逃避行をしていたが、出港して8日目にその一部であるマリアナ防衛艦隊約230隻が日本海軍に捕捉されてしまい、戦いを余儀なくされていた。

 

 

そして逃走中のドイツ艦隊を発見したマリアナ方面攻略艦隊108隻(うち輸送船20隻だが戦闘前に護衛艦10隻と共に既に退避済み)は旗艦の命令により戦闘準備を進め、巡洋艦無双(むそう)を戦隊長とした巡洋艦5隻、駆逐艦25隻からなる30隻の水雷戦隊は主力艦隊より離れ、60ノットを維持しながらドイツ東洋艦隊へと向かって行った。。。

 



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第拾弐話 1対ドイツマリアナ方面艦隊

ーー水雷戦隊旗艦 巡洋艦無双(むそう)

 

 

 

艦長「...現在の彼我の距離は?」

 

水兵「現在六十二(キロ)であります!」

 

参謀長「艦長、すでに射程圏内でありますがまだ攻撃はしないのでありますか?」

 

艦長「まだだ、残り二十五(キロ)時点で砲雷撃戦に移行する。それまで待て」

 

水兵等「「了解!」」

 

 

 

日本側が着々と攻撃準備を進めている一方で、日本海軍に捕捉されたドイツ艦隊は超高速で急激に迫ってくる無双(むそう)率いる水雷戦隊に驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーードイツマリアナ防衛艦隊所属 戦艦Konrad von Thüringen(コンラート・フォン・テューリンゲン)

 

 

 

見張り員『5 Schlachtschiffe und 25 Kreuzer verlassen die feindliche Flotte und kommen in diese Richtung! Wha?! Es ist zu schnell!? Ganz klar, es sind über 30, nein, über 40 Knoten!!』

    〔て、敵艦隊から()()5隻、()()()25隻離脱し此方に向かってきます! なっ?! は、速い!? 明らかに目測でも30、、いや40ノット以上あります!!〕

 

艦長『Was?! War das nicht ein Fehler! Kuu...! Wie groß ist der aktuelle Abstand zwischen ihm und sich selbst!』

  〔何だと?! 見間違いじゃないのか! くっ...! 現在の距離は!〕

 

見張り員『25km jetzt! ..Hm? Was? Die Hauptgeschütze des feindlichen Schlachtschiffs kreisen!』

    〔現在25キロ! 、、ん? は? て、敵戦艦の主砲が旋回してます!〕

 

艦長『Huh!? Wovon redest du! Sogar wir haben es noch nicht in Reichweite gefangen, weißt du? ...was zum Teufel denken sie sich?』

  〔はぁ!? 何を言ってるんだ! 我が方ですらまだ射程にとらえていないのだぞ? ...奴らは一体何を考えているんだ?〕

 

見張り員『!? Feindliches Flottenfeuer?!』

    〔!? 敵艦隊発砲?!〕

 

艦長『Was sagst du!?』

  〔何だと!?〕

 

 

 

ドイツ艦隊は当初はその速度に驚いていたが、暫くして日本艦隊の動向を見ていた見張り員から敵艦が発砲したとの報告を受け、艦長以下艦橋に居た者達が急いで確認すると、確かに敵の戦艦(実際は巡洋艦であるが)から黒煙が上がっていた。

 

 

 

艦長『blöd... in dieser entfernung? Ist das Hauptgeschütz des Schlachtschiffs größer als unseres...? Nein, das sollte nicht möglich sein...』

  〔馬鹿な、、 この距離で? まさかあの戦艦の主砲は我が方よりデカいのか...? いや、そんなことは有り得ない筈だ...〕

 

 

しかし無情にも水雷戦隊側から撃たれた砲弾は着実にドイツ艦隊に迫っていた

 

 

 

......ヒュゥゥゥゥゥン

 

 

 

ーー外縁にいた巡洋艦Hoxon(ホキソン・) Burgstein(ブルクシュタイン・) Nürnberg(ニュルンベルク)

 

 

 

艦長『ja? Was ist dieses Geräusch... Guoo!!? Ist das nicht gelogen?! Huh, der Schaden!』

  〔ん? この音は、、「ズガァァァンン!!」 ぐぉぉ!!? 噓だろ?! ひ、被害報告!〕

 

水兵『Es scheint, dass es im hinteren Teil aufgrund von Nahschussgeschossen zu einer leichten Überschwemmung gekommen ist!』

  〔至近弾により後部にて若干の浸水がでた模様!〕

 

艦長『Was?! Der erste Schuss ist ein Nahschuss!?』

  〔なっ?! 初弾で夾叉だと!?〕

 

見張り員『Was für eine riesige Wassersäule...』

    〔何てデカい水柱だ...〕

 

水兵『Ah, es ist offensichtlich größer als dieses Schlachtschiff, nicht wahr? dass...』

  〔あぁ、明らかにこっちの戦艦よりデカいんじゃないんか? あれ...〕

 

 

 

 

 

ーー旗艦Ançoise(アンソワーズ) Clémentaria(・クレメンタリア・) Mecklenburg(メクレンブルク)

 

 

 

見張り員『Der Kreuzer Nürnberg wurde getroffen, außerdem wurden Grünau, Osterholz-Sharmbeck... und viele andere Schiffe beschädigt!!』

    〔じゅ、巡洋艦Nürnberg(ニュルンベルク)被弾! 更にGrünau(グリューナウ)Osterholz Scharmbeck(オスターホルツ=シャルムベック)... ほ、他にも多数の艦が損害を受けた模様!!〕

 

司令官『Ich habe dies auch bestätigt... Ich hatte nicht erwartet, dass es den äußersten Teil der Flotte erreicht, nicht den, der der japanischen Flotte gegenübersteht, sondern den am weitesten entfernten ...』

   〔こっちでも確認した... まさか艦隊の一番外側、それも日本艦隊と面している方ではなく一番遠い方に届くとは...〕

 

 

 

然しドイツ艦隊に更なる攻撃の魔の手が静かに、だが着実に近づいていた...

 

 

 

 

ズガァァァァンン!!

 

 

 

    ズガァァァァンン!!

 

 

 

        ズガァァァァンン!!

 

 

 

 

見張り員『Was?! Die Kreuzer außerhalb der Flotte werden einer nach dem anderen torpediert!!』

    〔なっ?! 外縁にいる巡洋艦が次々と被雷しています!!〕

 

司令官『Was!? ...Sie wollen mir doch nicht sagen, dass Sie auf diese Entfernung einen Torpedo getroffen haben? Wie ist das möglich...? He! Können Sie das Periskop sehen!』

   〔何だと!? ...ま、まさかこの長距離から雷撃して、、当てたのか、、? そ、そんな馬鹿な事が有り得るのか...? おい!潜望鏡は見えるか!〕

 

見張り員『Nein, ich sehe keine... Im Gegenteil, ich habe kein Kielwasser gesehen und habe den Torpedo erst bemerkt, als er mich traf... Und da alle getroffenen Schiffe die einzigen waren, die der feindlichen Flotte gegenüberstanden, denke ich, dass es stimmt, dass sie von feindlichen Schiffen torpediert wurden...』

    〔いえ、見当たりません... それどころか航跡も見えず、当たるまで魚雷が来ている事に気付きませんでした... また被雷している艦は全て敵艦隊と面している方のみである事から敵艦からの雷撃であるのは事実かと...〕

 

 

 

無双(むそう)達が放った砲弾はドイツ艦隊の一番外側の先頭にいた巡洋艦、Hoxon(ホキソン・) Burgstein(ブルクシュタイン・) Nürnberg(ニュルンベルク)付近に着弾、それ以外にも多くのドイツ艦艇を巻き込みその内の何隻かが沈没し、その後の雷撃によって更に多くの巡洋艦が被雷し沈んでいった。それを目の当たりにしたドイツ艦隊は大きく動揺し、艦隊行動が乱れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

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ーー無双(むそう)

 

 

 

見張り員「先頭の敵艦に至近弾、及び命中弾多数認ム。 魚雷も命中多数!」

 

艦長「よし、先ずは出鼻を挫けたかな?」

 

参謀長「...のようですね。 ドイツ艦隊の行動が少しバラついているように見受けられます」

 

艦長「ふむ... 電探士、そっちでも確認出来るか?」

 

電探士「はっ! 装置は依然問題無く稼働、敵艦隊は現在艦隊間が大幅に開いておりかなり混乱している模様!」

 

艦長「それは重畳、さて...ならば一気にケリをつけるかな。 とは言え普通にやるのもつまらんし... 良し、我等だけで突っ込むかな」

 

艦橋一同「「「......ゑ?」」」

 

「あ、あの艦長? 今何と? 聞き間違えでなければこの艦だけで敵艦隊に突っ込むと聞こえましたが...」

 

「そ、そうですよ艦長! いくら何でも単艦で行くなど...!」

 

艦長「なぁに大丈夫だ、問題無い。 ...それに奴らが混乱している今が絶好の機会だ、そこへ我が艦だけで突っ込めば敵は味方への誤射を恐れて反撃も儘ならんから更に一気に有利になるだろう。 そう言う訳だから通信士、各艦に本艦が突撃するから艦隊陣形を解除し、敵艦隊を囲う様に動くように通達せよ。 それと後ろの旗艦殿にもその旨を含めて手出し無用と頼むよ」

 

参謀長「た、確かにそうでありますが...。 ...通信士、頼んだ。こうなった艦長は梃子でも動かんよ」

 

通信士「...りょ、了解であります」

 

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 戦艦大嵐(おおあれ)

 

 

 

通信士「......よって手出しは無用とのことであります、、」

 

松田「...そうか(えぇ、、? ま、まぁ自信ありそうだし... っていやいや普通に考えてアカンでしょ!! あ、でもこれ成功すればアレ1隻に手も足も出ないのにまだ俺らもいるって考えて、もしかしたら降伏してくれるかなぁ? うーん、流石にそれは無いか...? はぁ、ここまで来て今更ウジウジしてもしょうがない、ここは一つ掛けてみるかぁ...) ...分かった」

 

艦長「で、ですが司令、宜しいので?」

 

松田「あぁ、本当は我々も続くつもりだったが、ここは彼を信じようか。それに数では向こうに軍配が上がるがもしこの攻撃で彼方さんが数だけでは到底敵わんと降伏してくれるなら双方に要らぬ犠牲を払わずに済むかもしれん。 通信士、全艦隊にドイツ艦隊を逃がさん為包囲する様に通達セヨ」

 

通信士「はっ!」

 

 

 

無双(むそう)から命令を受けた水雷戦隊の各艦艇はドイツ艦隊を囲う様に行動を開始し、またそれと同時に旗艦大嵐(おおあれ)率いる本体もドイツ艦隊を逃さない様に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

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ーー旗艦Ançoise(アンソワーズ) Clémentaria(・クレメンタリア・) Mecklenburg(メクレンブルク)

 

 

 

見張り員『...Hmm? Die feindliche Flotte bewegt sich! Ein Schiff hat die Flotte verlassen und steuert auf uns zu! Gleichzeitig beginnt sich die feindliche Flotte auszudehnen!』

    〔...ん? て、敵艦隊に動きアリ! 1隻が離脱しこちらに向かってきます! またそれと同時に敵艦隊が間隔を拡げはじめています!〕

 

司令官『Was? Was meinen Sie?』

   〔何? どういう事だ?〕

 

参謀長『...aber es stimmt, dass ich nur mit diesem Schlachtschiff komme』

   〔...ですが確かにあの戦艦だけでこちらに来ておりますな、、〕

 

司令官『Ich weiß nicht, was sie vorhaben, aber man hat sie unterschätzt, und auch wenn sie ein wenig geschlagen wurden, glauben Sie nicht, dass sie mit nur einem Schlachtschiff gewinnen können? Das soll wohl ein Witz sein... Alle Schiffe bereit machen zum Feuern! Begrabt das blöde Schlachtschiff, sobald es in Reichweite ist!』

   〔奴らの意図が読めん、、が然し舐められたものだな、幾らかやられたとは言えまさかあの戦艦1隻如きで勝てると? ふざけやがって... 全艦砲撃用意! 射程に入り次第あの愚かな戦艦を葬ってやれぇ!!〕

 

 

 

日本艦隊の意味不明な行動に疑問を浮かべていたドイツ艦隊であるが、たった一隻でノコノコと突っこんで来るのなら寧ろ袋叩きに出来ると砲撃準備を始めたのであった。 然しその考えが余りにも楽観的過ぎだったと多くの水兵等が後悔するのだが時すでに遅し、賽はすでに投げられたのだ。

 

そして彼等は気付いていないが見張り員が戦艦と言ったのは実は巡洋艦であり、そして巡洋艦と言っていたのが駆逐艦なのだが、それは彼等の常識に当て嵌めたものであったので仕方の無い事であろう。

 

それ程までにその巡洋艦は大きかったのだから。

 

 

 

三笠級戦術試験艦  戦艦級巡洋艦無双(むそう)

 

全長:七十九.四間(246メートル)

 

全幅:十七.五間(54メートル)

 

速力:九十五(ノット)

 

主砲:二十八寸(84センチ)連装砲8基14門

 

副砲:十四寸(42センチ)連装砲1基2門

 

墳進弾(ミサイル)八尺(2.64メートル)連装式垂直発射機4基4門

 

対空砲:パルサ型三.五寸(10.5センチ)炸裂弾対空砲48基96門

 

魚雷:十四寸(42センチ)格納式単装多目的音波式誘導酸素魚雷水中発射管十二基

 

艦載機:桜花爆撃機4機もしくは二式戦闘機30機

 

同型艦:十八隻(現在も更に建造中)

 

 

 

無双は三笠級となっているが、位置付けとしては三笠の改良型戦艦であり日本海軍の種別としては巡洋艦の扱いであった。

その改良としてはまず石炭機関(蒸気タービン)はそのままに(その方がエンジンスペースが狭く済む為)舵を4段式に作り変えて小回りを出来る様に改修し、艦底部を鋭角の逆三角形のような形状にした事で高速性が飛躍的に向上したもので、また主砲の配置も異なっていて前部が3基、中央2基の主砲を並列配置、後部を3基となっており、魚雷も船体内部に格納して外観上は見えないようにし、更に3本の煙突も並列配置にする事で機関性能が低い様に見せる等、旧式艦と誤認させるような艦形であったのだ。

 

因みに戦術試験艦とは新型機関の試験、新型弾頭の試験、新型艦上機の試験、新型転車台の試験など様々な機械・武装の性能を確かめる為の実装実戦艦であり、その中でも特に主砲旋回の要である転車台の改良は急務であった。その為今回無双に積まれている転車台はそれぞれ異なっており、また艦載機の射出装置もワイヤー式や炸薬式、副砲も通常よりも大口径にしたものや、主砲も通常型の他にパルス型主砲などといったそれぞれ仕様の異なる主砲塔、更には当時としては超先進的である高・低周波電波探知機(レーダー)に至るまで、試験艦ならではの設置台が沢山搭載されていた、というのが大きな特徴である。

 

またパルサ型対空砲のパルサ型とは簡単に言えば二門一対式のことであり、フランス海軍のダンケルク級やリシュリュー級が搭載している主砲のように、2基の連装砲を1つの砲塔に納めた感じのものであったと言えば分かり易いだろうか。

 

 

 

 

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ーードイツマリアナ艦隊 外縁にいた巡洋艦Leutenberg(ロイテンベルク)

 

 

 

観測士『Der Winkel ist, äh, hier. Gut! Man kann es umdrehen!』

   〔角度は、、っと、ここか。 良し! 旋回良いぞ!〕

 

水兵『Ja! Beeilen Sie sich, beeilen Sie sich! Er wird gleich da sein!』

  〔了解! 急げ急げぇ! 奴はすぐそこまで来てるぞぉ!〕

 

旋回要員『Ja! Tun! Dreh es!』

    〔おう! いくぞぉ! 回せぇぇ!!〕

 

    『『Wooooo!!!』』

    〔〔うぉぉぉぉぉ!!!〕〕

 

 

 

ーー艦橋

 

 

 

艦長『...es ist schlecht, egal wie sehr ich darauf ziele, es ist zu schnell, um es einzuholen! Außerdem, warum stürmt er immer wieder herein, ohne seinen Kurs zu ändern? Bei diesem Tempo werden wir in die Flotte laufen.』

  〔...不味いな、いくら指向していたとはいえ奴が速すぎて旋回が追いつかん! それに何故奴は進路を変えずにこのまま突っ込んで来るのだ? このままだと艦隊に入り込んじまうぞ〕

 

参謀長『Ich weiß es nicht, aber wenn wir so in die Flottenformation eindringen, können wir uns nicht wehren.』

   〔分かりません、ですがもしこのまま陣形の内側に入られたら反撃も儘なりません〕

 

艦長『..Zielst du darauf ab!? Hey! Die Haupt- und Sekundärgeschütze sind immer noch außerhalb der Reichweite, aber feuern Sie sie ab! Und Sie können die Maschinengewehre auf dem Deck benutzen! Benachrichtige alle Schiffe in der Nähe! "Ah, sogar das Flaggschiff!』

  〔..ま、まさか奴の狙いはそれか!? おい!主砲も副砲もまだ射程外だが撃て! それと甲板の機銃も使って構わん! とにかく奴の進路を妨害して艦隊に近づけさせるな!! すぐ近くの艦にも知らせてくれ! あぁ、旗艦にもだ!〕

 

 

 

ーー同じく外縁側にいた戦艦Ernst Friedrich von(エルンスト・フリードリヒ・フォン) Sachsen-Coburg-Saalfeld(・ザクセン=コーブルク=ザールフェルト)

 

 

 

水兵『Hm? volle Kraft...... Flaggensignal zum Start des Großangriffs von Leutenberg!』

  〔ん? ゼ・ン・リ・ヨ・ク......。 Leutenberg(ロイテンベルク)より全力攻撃始めとの旗信号!〕

 

艦長『Was? Angriff ist gut, aber was meinst du mit voller Kraft...? Außerdem ist es immer noch außerhalb der Reichweite... Hast du wirklich geschossen?! ...Ich benutze sogar ein Maschinengewehr?』

  〔何? 攻撃は良いが全力って何言ってる...? それにまだ射程外だが、、ってホントに撃ちやがった?! ...おいおい機銃まで撃ってないか?〕

 

参謀長『Gewiss... Werden wir folgen?』

   〔確かに... 我等も続きますか?〕

 

艦長『Ja. Aber wir haben uns noch nicht ins Visier genommen... Wir haben keine Wahl, wir werden auch hier das Maschinengewehr benutzen. Fang an anzugreifen!!』

  〔あ、あぁ。 だがこっちもまだ旋回しきってないが... 仕方ない、こっちも機銃を使おう。 攻撃始めぇ!!〕

 

 

 

 

艦隊の一番外側にいた巡洋艦や戦艦たちは巡洋艦Leutenberg(ロイテンベルク)の攻撃を皮切りに次々と攻撃を開始していたが如何せん距離が離れすぎている為に決定打を与えれず、そして何よりも致命的だったのは狙いを定めようにも無双(むそう)の速度が速すぎて砲塔の旋回が追い付いていなかったのだ。

 

というのも当時の欧米各国の主砲や副砲等の旋回は全て電気キャブレーション式で行っていたからだ。

この電気キャブレーション式とはモーターの方向スイッチを押してから人力で旋回させるもので、要するに人海戦術によって手動で砲塔を回していたのである。

 

その為当時の旋回性能は、手動であるが故に90度旋回するのに大体135秒と2分強だったのだが、なぜ手動なのか?という理由としては単純明快で、自動旋回装置の構造がかなり複雑だったからである。

 

なので旋回までに至る動作は大まかに

 

 

 

   まず左右の取り回しと砲角度調整

         ↓

       装填幅の確保

         ↓

        弾頭隔離

         ↓

       射出反動回避

         ↓

        次転準備

         ↓

        装填準備

         ↓

       角度確認行動

         ↓

       旋回確認行動

 

 

 

となっており、これらの項目全てを人海戦術でやっていたのである。

 

因みにどれだけの人数だったのかというと、各国によって差異はあるが砲台旋回要員だけで一基につき大体18~38人、弾頭運搬も単装砲だったとしても80人は必要であった。そこへ更に砲弾装填要員等も含めるとかなりの大人数になってしまうのである。

 

もしこれが、旋回要員を38人で弾頭要員が80人とした場合、そして連装砲で前後8門だったとすると砲塔直下の人員だけで実に792人も必要になるのだからまさに人海戦術の極みの様である。

 

なおこれが日本の場合は最初から自動旋回であるでごく少人数で済むのだがその理由として、砲自体が自動砲なので旋回要員も1人程度、弾頭運搬も高射自動軌道による自動化によって砲塔まで自動で砲弾を運んでいるので、格納庫傍の(スイッチ)係2~3人で済むのだ。

 

そして何故日本だけは自動化に直ぐ出来たのか? それは日本も欧米と同じ様な仕様にした場合、先ず人口が少ないので同じ様な人海戦をやってしまうと即滅亡の道まっしぐらになってしまう。なので最初から主砲や副砲、果てに機銃まで自動化は念頭にあるのだ。

 

その為欧米と比べるとその能力は桁違いであり、また旋回もタービンモーター直結であるのでその旋回能力は初期型三笠で90度28秒と破格の速さであった。

 

日本艦隊に比べて能力が劣っていたドイツ艦隊に勝ち目はほぼ無いに等しかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巡洋艦無双(むそう)

 

 

 

見張り員「前方の敵艦発砲!」

 

艦長「怯むな、進路そのままだ」

 

操舵手「り、了解、進路そのまま」

 

 

 

ヒュゥゥゥゥ...

 

 

      ヒュゥゥゥゥ...

 

 

 

 

ズドドドドォォォォン!!

 

 

 

見張り員「敵弾は全て遥か前方に着弾!」

 

艦長「ふむ... 焦ってるな、かなり広範囲に着弾している。今の距離は?」

 

電探士「現在十七(キロ)であります!」

 

参謀長「...それに如何やら敵は機銃も使用している様子。 という事はあれが最大射程なのでしょう」

 

艦長「の様だね、大体... 3~5ってところかな? だがまだだ、総員、残り七(キロ)で砲撃、そのまま二(キロ)ぐらいまで接近した所で『アレ』を使う。 それまでは耐えよ」

 

航海士「ですがこれ以上は、、 万が一艦橋に被弾してしまっては戦闘に支障が...」

 

艦長「そんなのは今更でしょ? どの道突っ込むんだし勝機があるからこそ皆も付いて来てくれるんでしょうに高野航海士は心配性だね~、それでもあの日本海海戦を戦い抜いた勇士かね? それに此奴の名前は無双だ、総てを圧倒し、何者にも負けないのだ。 そんでもってこの艦には数的劣勢を覆す秘策として()()()があるしこれから使うじゃないか。 だからドイツ艦如きにやられる程柔では無い事は君達が一番よく知っているだろう?」

 

航海士「...そうでしたね、自分とした事が、、お恥ずかしい限りであります」

 

艦長「うんうん、後で何か奢ってもらおうかな?」

 

航海士「...えぇ!? その、、如何かご容赦を...」

 

艦長「え~? しょうがないなぁ、ならば貸しにしといてあげよう」

 

艦橋一同「「ハハハハハ!」」

 

 

 

一瞬艦内に不安が出かけたが艦長の機転により余裕が出来たようだ。

 

 

 

艦長「...さて、見張り員! 七(キロ)になったら直ぐに知らせよ」

 

見張り員「はっ!」

 

    「...現在十五(キロ)

 

 

 

    「..十一(キロ)

 

 

 

    「..九(キロ)

 

 

 

見張り員「......敵との距離七(キロ)になりましたぁ!!」

 

艦長「各砲、撃てぇ!! 続けて魚雷並びに対空砲水平射撃始めぇ!!」

 

 

 

ドイツ艦隊の必死の砲撃もどこ吹く風か、無双は距離が7キロになった時点で遂に攻撃を開始、そして艦長が言っていた数的劣勢を覆す秘策とは、魚雷の全方位発射と対空砲の水平射撃であったのだ。

 

まず魚雷は格納式、尚且つ喫水線下にあるので敵艦は被雷するまでその存在に気付かず、また対空砲も相手からすれば約10㎝と駆逐砲並であり、もしそれが艦橋に当たれば敵はその艦の頭脳を失うので即沈黙し、真面な反撃も出来なくなってしまうである。

 

 

 

一番~八番の各砲術長「「「撃てぇ!」」」

 

 

 

ズドォォォォォンン!!!

 

 

 

    ズドドドォォォンン!!!

 

 

 

魚雷担当の各水兵「...今! 魚雷発射ぁ!!」

 

 

 

パシュゥン! ...パシュゥン!

 

 

 

対空担当の各水兵「こっちも撃ちまくれぇ! 弾幕張って奴等に反撃を与える(いとま)をやるな!」

 

 

 

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

 

 

 

今迄沈黙していた主砲が、魚雷が、そして対空砲が、先程迄のドイツ艦隊からの砲撃に対しての倍返しとばかりにその牙を剝き襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーードイツマリアナ艦隊 旗艦Ançoise(アンソワーズ) Clémentaria(・クレメンタリア・) Mecklenburg(メクレンブルク)

 

 

 

見張り員『Feindliche Schiffe beginnen aus 7km Entfernung zu bombardieren! Aber keine Spur von Abbiegen! Es nähert sich uns immer noch schnell!』

    〔て、敵艦7キロで砲撃を開始! されど転舵する気配なし! 依然我が方に急速接近してきます!〕

 

司令官『Nuu...! Stimmt es, dass Reutenberg gesagt hat, dass ein feindliches Schiff in die Flotte krachen würde! Wir werden alles in unserer Macht stehende tun, um Sie aufzuhalten! Alle Flotten, Bombardierung einleiten! Beeilen Sie sich!』

   〔ぬぅ...! まさかLeutenberg(ロイテンベルク)からの言う通り本当にこのまま入り込む気か!? 何としても止めるぞ! 全艦隊に砲撃セヨと通達! 急げ!〕

 

 

 

ーー日本艦隊とは逆側の外縁にいた戦艦Elisabeth von(エリーザベト・フォン・) Regenstein-Blankenburg(レーゲンシュタイン=ブランケンブルク)

 

 

艦長『Hmm... Es ist noch außer Reichweite, hat uns also noch nicht erreicht. Dies ist eine Verschwendung von Munition.』

  〔ふぅむ、、 やはりまだ射程外故にまだ届いておらんな。 これでは無駄弾もいいところだぞ〕

 

水兵『Flaggschiff Mecklenburg hat den Befehl zum Angriff gegeben!』

  〔旗艦Mecklenburg(メクレンブルク)より攻撃命令であります!〕

 

艦長『Was? Wir sind immer noch nicht in Schussweite... Wenn das ein Befehl ist, haben wir keine andere Wahl, fangt an zu schießen!!』

  〔何? まだ砲撃範囲外だが... 命令ならば仕方ない、こちらも撃ち方始めぇ!!〕

 

 

 

 

ドイツ艦隊は砲撃に怯まず、それどころか撃ちながら突撃してくる無双(むそう)を止めようと、旗艦からの攻撃命令により次々と攻撃を開始した。

 

その結果、200隻近くの艦が一斉に砲撃をしている所に突っ込んで行った無双(むそう)は、遂に命中弾を受けてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

ガギィィィンンンッ!!!

 

 

 

ーー無双(むそう)

 

 

 

水兵1「右舷中央対空砲付近に被弾! されど戦闘に支障無し!」

 

水兵2「後部甲板にて被弾による火災発生! 現在消火班が向かっております!」

 

水兵3「5番主砲被弾! されど損傷なくそのまま戦闘継続可能との事!」

 

艦長「分かった、今何(キロ)だ?」

 

見張り員「げ、現在...「チュィィンッ!」 ひッ?! 、、現在二(キロ)です!」

 

艦長「よし! 消火はいい! 『アレ』を使うぞ! ()()()()!」

 

 

 

ガガ...! ゴウンゴウンゴウン...... ガコン!

 

 

次々と砲撃を受け、あちこちを被弾し、至る所から火災や煙が出ているその姿は、傍から見ると満身創痍の様相を呈していた、だが艦橋では次から次へと被弾等の凶報が入って来ても余裕を崩しておらず落ち着き払っていた。

 

最初に異変に気付いたのは無双(むそう)に一番近かった巡洋艦であった。

 

 

 

 

ーー巡洋艦Hohenzollern(ホーエンツォレルン)

 

 

 

水兵1『Dieses Schlachtschiff wird nicht untergehen, es ist sehr hartnäckig und schießt immer noch auf uns.』

   〔あの戦艦中々沈まんな、随分としぶとい奴だしまだ撃ってくるぜ〕

 

水兵2『Richtig. ...Hm? Hey, Was ist das für ein Stock, der aus dem Schlachtschiff kommt?』

   〔全くだ。 ...ん? おい、何かあの戦艦から何か棒が出てきてないか?〕

 

水兵1『Ja? ...Sie haben Recht, Es ist einfach eine Sache nach der anderen. Was ist hier los?』

   〔え? ...確かに、次々と出てきてるな。 何がどうなってるんだ?〕

 

 

 

ーー艦橋

 

 

 

艦長『(Was ist das? Dieses seltsame Unbehagen... Ich habe ein schlechtes Gefühl bei der Sache.) Ruder, dreh den Bug in seine Richtung

  〔(何だ?この妙な胸騒ぎは... 途轍もなく嫌な予感がする) 取舵、艦首を奴に向けろ〕

 

参謀『? Kapitän, was ist hier los?』

  〔? 艦長、どうしました?〕

 

艦長『Ja, ich kann es mir aus irgendeinem Grund nicht von der Seele reden. In solchen Momenten vertraue ich auf meinen Instinkt, denn er ist ekelhaft genau. Steuermann, Lenkung. Reduzieren Sie die exponierte Fläche so weit wie möglich.』

  〔あぁ、何故か胸騒ぎが収まらなくてな。 こういう時の勘は嫌になる程当たるから信頼してるんだ。 操舵手、取舵一杯だ。 なるべく被弾面積を減らせ〕

 

操舵手『Ja. Lenkung』

   〔りょ、了解。 取舵一杯〕

 

見張り員『Ja? ...Hm? Nach und nach tauchen stäbchenförmige Objekte aus dem feindlichen Schiff auf?』

    〔ん? ...は? て、敵艦から次々と、、棒状の物が現れてます?〕

 

参謀長『Was? ...Was zum Teufel ist das? ...Was?! Oh, das ist ein Gewehrlauf, der da herausragt!?』

   〔は? ...何だあれは? ...ッ?! あ、あれは、砲身が出ている!?〕

 

艦長『Gibt es so etwas?!』

  〔そ、そんなの有りかよ?!〕

 

 

 

この巡洋艦の艦長や兵士達が言っていた様に、無双(むそう)の甲板が開いて中から沢山の砲身が姿を現したのである。

 

そしてこれこそが無双(むそう)の艦長が言っていた劣勢を覆すもう一つの手段である『格納式副砲』である。

 

だが所詮はたかが副砲であろう?と侮る勿れ、単装ではあるのだがその口径は36寸(108センチ)と大口径で砲身も短砲身ではあるものの、射出機関を合わせると2.8間(8.68メートル)もあり、それが片側に18基、計36基も搭載されていたのだ。

 

とは言え、格納式である故に車軸が水平に近い状態なので、台座回転の限界で2キロ以上は照準が難しく、また水平下には撃てないがそれでも満身創痍と思って止めを刺そうと近づいて来た敵艦や、乱戦状態に於いては非常に脅威であった。

 

それが今、ドイツ艦隊へと牙を剝いて襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦Ançoise(アンソワーズ) Clémentaria(・クレメンタリア・) Mecklenburg(メクレンブルク)

 

 

 

ここ艦橋では次々と凶報が飛び込んで来ていた。

 

 

『Kreuzer "Karlsfeld", "Ettlingen", "Nikkenich", "Wehr" ...Viele andere Schiffe sind gesunken!』

〔巡洋艦Karlsfeld(カールスフェルト)Ettringen(エトリンゲン)Nickenich(ニッケニヒ)Wehr(ヴェーア)...他多数轟沈!〕

 

『Darüber hinaus wurden die Schlachtschiffe "Arenberg", "Schönstein" und "Leopold Clemens Karl von Lothringen" versenkt!』

〔更に戦艦Arenberg(ア―レンベルク)Schönstein(シェーンシュタイン)Leopold Clemens(レオポルト・クレメンス・ )Karl von Lothringen(カール・フォン・ロートリンゲン)も轟沈!〕

 

『Wir können das nicht mehr verhindern!!』

〔これ以上は防ぎきれません!!〕

 

『Der feindliche Angriff hat sich verstärkt, und viele unserer Kreuzer und Schlachtschiffe wurden versenkt! Du bist in die Formation eingetreten!』

〔て、敵艦の攻撃が更に激しくなり、我が方の巡洋艦や戦艦沈没多数! 艦隊陣形内に入られました!〕

 

司令官『Das ist lächerlich...! Was zum Teufel ist das? Das Kaliber ist offensichtlich größer als dieses...!』

   〔馬鹿な...! 何だあれは!? あ、明らかにコレよりも口径がデカいじゃないか...!〕

 

 

 

ドォォォォン!!

 

 

 

司令官達『...Was?!』

    〔...ッ?!〕

 

 

 

ガシャァァァァァン!!!

 

 

 

水兵1『Was?! Die Brücke wurde angegriffen!?』

   〔あ?! か、艦橋に被弾したぞ!?〕

 

水兵2『Oh, nein!? Was muss ich tun!?』

   〔そんな!? どうすればいい!?〕

 

水兵3『Noo!? Wir sind am Arsch!!』

   〔ひぃぃ!? もうダメだ!!〕

 

水兵4『Worüber redest du! Wenn du Zeit zum Weinen hast, feuere deine Maschinengewehre ab und füge ihm ein...』

   〔何言ってんだ! 泣く暇あるなら機銃を撃ちまくって少しでも奴に...「ズガァァン!!!!」〕

 

水兵等『Gyaa?!』

   〔ギャァッ?!〕

 

水兵『Guaa....』

   〔グァァ....〕

 

 

 

ただでさえ被弾しまくっているのにそれが何ともないように無双(むそう)は主砲や対空砲等から攻撃を継続し、それに手をこまねいている所へ更に隠し玉であった格納砲からの追い打ちに、ドイツ艦隊は今やパニック状態に陥っていたのであった。

 

その結果、艦隊は遂に陣形内への侵入を許してしまい、ドイツ艦隊は味方撃ちを避ける為に主砲や魚雷攻撃を断念したり、攻撃頻度を下げざるを得なかった。そこからはまさに無双(むそう)の独り舞台となっていた。

 

計8本のミサイルと8基の主砲が轟音を奏でれば、その猛々しき音色の数だけドイツ艦が沈み、例え運良くそれから逃れられたとしても、対空砲の水平弾幕射撃によって艦橋が蜂の巣にされ指揮困難に陥り、また甲板上にて機銃を操作していた多くの兵士達も同じく蜂の巣にされ物言わぬ肉片と化して完全沈黙した所を魚雷で止めを刺され、更に100cm越えの格納砲による至近砲撃をまともに喰らっては戦艦は元より巡洋艦は言わずもがな、一発轟沈であった。ただただそれを繰り返す。

 

戦闘開始から2時間半程が経過した時点で、200隻以上を誇ったドイツマリアナ艦隊はその多くの艦艇が沈没し、既に30隻程にまでその数を減らしていた。それを行ったのはたった一隻の艦、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。誰も敵わぬ、張り合えぬその姿はまさしく一騎当千、無双の如し。

 

もはやドイツ艦隊はまともに戦えておらず、旗艦がやられたことで士気は崩壊しており我先にと逃走を図る艦が出てきていた。だが逃げようにも周りは日本海軍が速度を活かして既に回り込んでいるので逃げる事叶わず、また強引に突破しようとしたドイツ艦もまた、序盤の戦闘宜しく射程外からの一方的な砲撃によって瞬く間に沈められた。

 

最終的にマリアナ方面を担当していたドイツ艦隊は旗艦 Mecklenburg(メクレンブルク)を含むその殆どが沈没、生き残ったのは何とか降伏できた僅か数隻の巡洋艦のみであった。

 

だがこの様な戦闘はここだけでなくカロリン諸島やマーシャル諸島方面でもドイツ東洋艦隊は敗走を重ねており、10月6日から約2週間程に渡って繰り広げられた戦闘の結果、これらの島々は日本の統治下に置かれる事となったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーー所変わって11月3日 青島軍港

 

 

 

ここ青島では日英両軍の兵士たちが戦闘後の後片付けをしている最中であり、この2人の兵士もその途中であった。

 

 

 

?「ふぅ、何と言うか、、助かった? 未だに実感が湧かないよな~。 上條?」

 

上條「だね、派遣されるのはまぁ分かってたけどまさかの後発組だったとはね~」

 

?「それでも死に掛けたけどね、、 正直言って何度ちびった事か、、」

 

上條「大丈夫、俺もだぜ姉川(ドヤァ)」

 

姉川「いやそれドヤ顔で言う事かよw」

 

上條「でなきゃやってらんないもん!」

 

姉川「分かりみが深いですわそれ」

 

作業をしていた兵士「おい!そこの二人ちょっと手伝ってくれ!」

 

姉川・上條「「応分かった~!」」

 

兵士「取り敢えずそこの、、」

 

2人「「......」」

 

上條「(で、皆は何処に?)」

 

姉川「(さぁ、手掛かり云々の前にそもそもとしてどっから手をつければいいんだ? まさか死んでないよね? それにもしまだ来ていなかったらそれこそ無理だよ?)」

 

上條「(分からんな、でもそこは生きてると信じるしかないし仮にまだなら尚更ここで死ぬ訳にはいかんよ。 だから俺達も絶対に生き残るぞ)」

 

姉川「(あぁ、でももう二度と前線に行きたくねぇな、、)」

 

上條「(確かに、、)」

 

 

 

如何やらあの女神のうっかりミスに巻き込まれた彼等だった様で漸く霧野達以外の彼等も無事に...無事に?転生出来た様だ。

 

果たして彼等は再会を果たす事ができるだろうか。




そう言えば戦艦テキサスが戦線復帰するらしいですね。
YouTubeに動画あったんで見ましたけどあれ、後付けが結構あったし艦尾も延長してたみたいですね。ってことは多分元々は巡洋艦だったのを戦中に増槽とか付けて排水量が増えたから戦艦に格上げしたんでしょうね。しかも日本海軍との戦闘中に体当たりされたっぽい戦闘痕がガッツリ2ヶ所も残ってたし。というか後付けしたお陰で生き残った感がありますね。


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第拾参話 インド洋って結構広いンゴね...

何とか今年中にもう1話投稿出来て良かったです...


1914年(大正3年)11月某日 インド洋のとある海域

 

 

 

 

ーー日本海軍印度洋派遣艦隊

 

 

第弐派遣艦隊旗艦 戦艦柁南(ダナン)

 

 

 

通信士「失礼します。 司令、()()()()()()より補給要請がきております」

 

艦橋「む? ということは(イギリス)艦隊がまた性懲りもなくオスマンに挑んだのか」ザワザワ

 

  「昨日と、、確か二日前にもありましたがまたか、、」

 

  「それに今日だってこれで3度目ですぞ」ザワザワ

 

松田「おいおいまたかよ... 毎度毎度これで何度目だ、勘弁してちょうだいな... んで?今度はどの辺りなんだ?」

 

通信士「はっ。 場所はここより......」

 

松田「...はぁ」

 

「司令、お気持ちは分かりますが、、」

 

松田「いや何、分かってはいるんだがね、すまんな。 ......はぁ。(駄目だ、マジで溜息しか出ねぇわ。 イギリスもちったぁ学習してくれよ... ってか同盟関係って王族間だけで民間は関係無かったのかよややこしいな。 お陰でかなり面倒なんですが? それに陸の支援だってあるっちゅうのに...) さて取り敢えず... 齋藤さんの所が近いようだな。通信兵、齋藤艦隊に通達せよ、これより貴艦隊はオスマン艦隊へ補給支援に向かわれたし。 と」

 

通信士「了解」

 

 

 

オスマンより入った補給要請に艦橋では「あぁ、またなのね、、」と辟易とした様子を出しながらも、入ったものは仕方ない、行くかぁ、と気怠げに行動を起こし始めた。

 

何故ここまでやる気が無いのかは、今回日本側が派遣した大まかな目的は石油資源獲得と植民地解放の為なので派遣した戦力の殆どが陸上戦力だったからである。

 

因みに今回派遣されたインド方面は、現在のバングラディッシュの海岸からガンジスまでの横断鉄道を建設しており、西海岸のインド最古の鉄道は1821年頃からタバコと香辛料運搬用にマハリ地方(現在のマハーラーシュトラ)からマドリード(現在のマドリ・デ・デウス・チャーチ辺り)まであったのだ。このマハリ地方はインド中央盆地でクミン等の栽培に適しており、また北部はタバコ平原だったのだ。

 

ただし、当時は鉄道と言っても機関車ではなく、全て人力牽引だったのだがこれは奴隷だったので仕方ない事ではあるが...

 

また今回は彼等を奴隷から解放する為に派遣をしたので、イギリスとはその時点で自動的に敵対関係になったが、元より通商条約の間柄だったのと、オスマン帝国とは逆に同盟関係だったので必然的に補給等々の支援はどの道しなければならないので、溜息をつきつつもここは仕方ないと割り切ってはいた。

 

閑話休題(まぁそれはさておき)

 

この様な経緯だったので海軍も大陸棚沿いのみに止めて外洋までは出るつもりは無かったのだが、ここ数日に渡って海域のそこかしこでイギリスがオスマンとドンパチを繰り広げていた為に仕方なく行動を起こしているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー遡る事数時間前、インド洋アラビア海方面にて

 

 

 

 

ーーイギリスインド洋艦隊(Birmingham(バーミンガム)艦隊)

 

総旗艦 戦艦Birmingham(バーミンガム)

 

 

 

司令官『Damn it... Haven't you found the damned pirates yet? They have been doing all sorts of things that have caused damage to our merchant vessels. Still no report?』

   〔チッ... くそったれの海賊共はまだ見つからんか? ったくウロチョロしやがって、お陰でこっちの商船の被害が収まらん。 まだ報告は無いんだな?〕

 

艦長『Sir, No reports of the discovery were raised in the earlier regular communication. Shall we continue with the search? Commander Birmingham.』

  〔えぇ、先程の定時連絡でも発見したとの報告は上がっておりません。 このまま索敵を続行致しますか? バーミンガム司令〕

 

バーミンガム司令官『Yeah, carry on. And can I order a cup of tea?』

         〔あぁ、続行だ。 それと紅茶を頼めるか?〕

 

水兵『Yes, sir.』

  〔畏まりました〕

 

 

 

ここではイギリス海軍が()()()()()()を捜索していた。と言うのもここの所インド洋での行動が以前にも増して活発化しており、イギリス船籍の商船等が襲われて撃沈される等の通商破壊被害が急激に増えてきたからである。

 

 

 

 

ここで疑問に思う人がきっと多いであろう、何故イギリス艦隊が捜索しているのがドイツではなくオスマン帝国なのか? と

 

その理由は余りにも複雑なので割愛するが、大まかな理由としてはイギリスによるイスラム圏への侵害から始まったもので、要するにキリスト教VSイスラム教、即ち宗教絡みの宗教戦争に近いものと言った方が分かり易いだろう。

 

その為イギリス海軍はオスマン海軍に対抗する為に戦艦1隻、巡洋艦3隻、駆逐艦366隻からなる総数370隻のインド洋担当艦隊を総動員し、艦隊の旗艦であるBirmingham(バーミンガム)を総旗艦として全力でインド洋の海域中を駆け回っていたのだ。

 

一応ドイツも派遣はしているものの主力は地中海までであり、インド洋への遠征では偵察止まりであったのだ。こちらもまた宗教が絡んで来るのでややこしいのだが... まぁ簡単に言えば、当時のドイツはアーリア至上主義だったのでバルカン半島を挟んでオスマン帝国と対立をしている延長線であった。なのでオスマンが崩壊するまでは敵対していた、と言う背景があったので態々遠くの敵の本拠地までそれ程派遣していないのだ。

 

因みにイギリスが植民地に派遣している艦隊の中でもこのインド洋艦隊が一番の数を誇る程の大艦隊であるのだが、その理由としては当時のイギリスにとってインド公益が最大利益を得る場所だったからで、ここから輸出される香辛料貿易を保護する為に護衛の為の艦艇が多いのだが、これはイギリスが欧州域の香辛料貿易を独占していたのでそれだけ敵も海賊も多く、インドを担当していた王室階級貴族のバーミンガム師団によって王室階級旗艦を要する艦隊が編成されていたのともう一つ、イギリスの領土、即ち植民地がとても広範囲だったからだ。

 

当時のイギリスの全領土はカナダ及び大西洋の北部とミンダナオ島北部からフィリピン南部域、さらにその先のソロモン東部、序にオーストラリアやニュージーランド、アフリカ大陸の一部分、そしてインド洋北部と西部、紅海西部であり、その中でも特にインド洋地域が一番領土が広かったので、インド洋艦隊がそのまま南極海域も担当する事になっていたのでかなりの大艦隊であったのだ。

 

 

 

その後暫くして...

 

 

 

ーーBirmingham(バーミンガム)艦隊所属 駆逐艦Bright(ブライト)

 

 

 

見張り員『...Hmm? Numerous ships to starboard! They're coming straight towards us! That flag is...... It's the Ottoman Navy! Fast!』

    〔...ん? 右舷に多数の艦船を確認! 真っ直ぐこちらに向かって来る! あの旗は...... オスマン海軍です!! は、速い!〕

 

Bright(ブライト)艦長『What the fuck! Hurry up and inform the flagship!』

     〔何だと!急いで旗艦に知らせろ!〕

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 戦艦Birmingham(バーミンガム)

 

 

 

通信手『Destroyer Bright reports that the enemy fleet is approaching our fleet at high speed!』

   〔駆逐艦Bright(ブライト)より敵艦隊が我が艦隊に高速接近中との報告!!〕

 

バーミンガム司令官『They're fast for galleys, as usual. Well, All right, all ships prepare to fire, lure them into striking distance, and today we're going to break their noses.』

         〔相変わらずガレー船にしては速い奴らだな、、 まぁいい、全艦砲撃用意、必中距離まで誘い込め、今日こそ奴らの鼻っ面をへし折ってやるぞ〕

 

艦長『Sir, we've had our way with you for so long now, and the price for this is going to be high.』

  〔えぇ、今迄散々に好き勝手してたんですからこのツケは高く付きますな〕

 

バーミンガム司令官『Totally.』

         〔全くだ〕

 

 

 

漸くオスマン海軍を発見したBirmingham(バーミンガム)艦隊103隻は、今迄の恨みを晴らすが如く意気揚々と敵艦隊へと向かっていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーオスマン海軍

 

 

 

巡行艦Eskişehir(エスキシェヒル)

 

 

 

見張り員『......! İleride çok fazla siyah duman olduğu doğrulandı! İngiliz filosu olduğunu düşünüyoruz!』

    〔......! 前方に多数の黒煙を確認! イギリス艦隊と思われます!!〕

 

艦長『İyi işti! Acele edin ve amiral gemisini bilgilendirin!』

  〔良ぉしでかしたぁ! 急いで旗艦殿に知らせるんだ!!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 戦艦El Haburah(アル・ハーブ―ラ)

 

 

 

見張り員『......Mhm? O duman, onu buldun! Rapor ver! Önümüzde giden Eskişehir, İngiliz filosunun keşfedildiğini bildiriyor!』

    〔......む?あの煙は、、発見したか! 報告! 先行していたEskişehir(エスキシェヒル)よりイギリス艦隊発見との報告であります!〕

 

司令官『Pekala, tüm gemiler savaşa hazırlansın! Maksimum gemi hızı!』

   〔分かった、全艦戦闘用意! 最大船速!〕

 

オール担当兵『Adamı duydunuz, çocuklar! Maksimum tekne hızı! Kürek çekebildiğin kadar çok çek!』

      〔聞いたなお前等! 最大船速だ!目一杯漕げぇ!!〕

 

      『『『Ou!!!』』』

      〔〔〔応っ!!!〕〕〕

 

 

 

一方で時は遡る事10分前、偶然にもBirmingham(バーミンガム)艦隊と近い場所にいたオスマン艦隊75隻の内、索敵の為に先行していた巡行艦Eskişehir(エスキシェヒル)Birmingham(バーミンガム)艦隊を発見した為、後続の本体に煙幕信号にて知らせたのであった。

 

そしてそれを見た本体も速度を上げてBirmingham(バーミンガム)艦隊へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

ーーBirmingham(バーミンガム)艦隊所属 駆逐艦Derby(ダービー)

 

 

 

水兵1『Hurry up! They're right on top of us!!』

  〔急げ急げぇ! 奴らは直ぐそこまで来てるぞぉ!!〕

 

水兵2『...Main guns loaded!』

  〔...各主砲装填完了!〕

 

水兵3『Machine gun ready!』

  〔機銃員配置良し!〕

 

水兵4『..Sails ready for deployment.』

  〔..帆の展開準備完了〕

 

水兵5『......All personnel are now in combat positions!』

  〔......総員戦闘配置完了であります!!〕

 

Derby(ダービー)艦長『Good. But not yet, not until we've attracted enough.』

     〔うむ。 だがまだだ、十分に引き付けてからだ〕

 

水兵等『『『Yes sir!!』』』

   〔〔〔了解っ!!〕〕〕

 

見張り員『The enemy fleet continues to charge towards us at high speed!』

    〔敵艦隊は依然高速のまま我が方に突撃を継続!〕

 

Derby(ダービー)艦長『What? Are they insane? And anyway, calm down, keep your sights straight, we've got more range. Wait until you reach the required distance』

     〔何だと? 奴等は正気か? と、とにかく落ち着け、照準そのまま、此方の方が射程はあるのだ。 必中距離までそのまま〕

 

 

 

戦闘の準備は着々と進められ、イギリスインド洋艦隊はオスマン海軍側のガレー船に有るまじき速度に驚きつつも、所詮は木造船と気にせず確実に当たる距離まで誘い込んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーBirmingham(バーミンガム)艦隊

 

 

旗艦 戦艦Birmingham(バーミンガム)

 

 

 

見張り員『Enemy fleet soon approaches the 1.5km mark. ......Less than two kilometres from the main fleet!』

    〔敵艦隊、間も無く1.5キロ地点に近づく。 ......本艦隊との距離が1.5キロを切りましたぁ!〕

 

バーミンガム司令官『Good! All fleet shelling!』

         〔良し! 全艦隊砲撃初めぇ!!〕

 

 

 

 

 

ドドォォォォォンン!!!

 

 

 

 

 

見張り員『...What?! Are you crazy!?』

    〔...なっ?! 馬鹿な!?〕

 

バーミンガム司令官『!!? You dodged it?!』

         〔ッ!!? よ、避けた、、だとぉ?!〕

 

参謀長『What's with that manoeuvrability!?』

   〔なんだあの機動性は!?〕

 

見張り員『The enemy fleet has started engaging our destroyers deployed in the vanguard!』

    〔て、敵艦隊、前衛に展開している我が方の駆逐艦と交戦を開始!〕

 

 

 

自分達の艦隊から放たれた砲撃を、ガレー船とは思えない程の機動性でいなしたオスマン海軍に動揺したのか、イギリス艦隊は次の砲撃に入る前に至近距離まで接近されてしまい、敵味方入り乱れての大混戦になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーBirmingham(バーミンガム)艦隊 外縁に展開していた駆逐艦Uley(ウリー)

 

 

 

Uley(ウリー)艦長『Fire!!』

    〔撃てぇ!!〕

 

 

ズドォン!!

 

 

水兵1『All bullets evaded!』

  〔ぜ、全弾回避されましたぁ!〕

 

水兵2『The enemy is too fast for my turning to keep up!』

  〔て、敵艦が速すぎて旋回が追いつきません!〕

 

Uley(ウリー)艦長『Shit! Don't be frightened! Load the next main gun! And... Oh?! What was the damage!』

    〔くそっ! 怯むな! 次弾装填急げ! それt、、「ガギィィン!!!」 ぐわ?! 何処に被弾した!〕

 

水兵3『Gun No. 2 is hit by a shell! The gun is distorted because it hit the barrel and cannot fire!』

  〔2番砲に被弾! 砲身に当たった為に歪んでしまい射撃不能!!〕

 

水兵4『Captain! We're getting away from the fleet! At this rate, the ship will be completely surrounded!!』

  〔か、艦長! 艦隊より離れつつあります! このままでは本艦は完全に囲まれてしまいます!!〕

 

Uley(ウリー)艦長『Don't panic! While firing machine guns to keep them in check, join up with nearby allies, then coordinate to counterattack!』

    〔狼狽えるな! 機銃を撃ちまくって牽制しつつ付近の味方まで合流、その後連携して反撃だ!〕

 

 

 

艦隊の外側にいた駆逐艦Uley(ウリー)はオスマン海軍からの猛攻に辛うじて耐えていたが、速度差に翻弄された後のカノン砲の一斉砲撃に晒されており、挙句混戦によって艦隊から離れてしまった為に撃沈されるのも時間の問題となっていた。だがそれでも最後まで諦めるという意思は艦長以下彼等の心には微塵も無く、勇猛果敢に戦っていた。

 

 

 

 

 

駆逐艦Morrisons(モリソンズ)

 

 

 

見張り員『Uley appears to be surrounded!』

    〔Uley(ウリー)が囲まれている模様!〕

 

Morrisons(モリソンズ)艦長『What? Fuck... Hey! Any allies in the vicinity?』

       〔何?! くそっ... おい! 付近の味方は?〕

 

見張り員『Looks like Mynach and Bray are there!』

    〔Mynach(マナハ)Bray(ブレー)が居ります!!〕

 

Morrisons(モリソンズ)艦長『Then get those two ships to help us! It's a crowded battle, and if we're isolated, we'll be a target for individual attacks! Save them at all costs and th..』

       〔ならその2隻にも協力を仰げ! ただでさえ混戦だってのにこれで孤立なんかしたら各個撃破のいい的だぞ! 何としても助けて反撃に、、「ドゴォォン!!!」〕

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 Birmingham(バーミンガム)

 

 

 

『Destroyers Clara and Rubery hit!』

〔駆逐艦Clara(クララ)Rubery(ルベリー)被弾!〕

 

『More enemy ships approaching Cannock and Morrisons! Morrisons roared down, sir...』

〔更にCannock(カノック)Morrisons(モリソンズ)にも敵艦接k「ドゴォォン!!!」 モ、Morrisons(モリソンズ)轟沈、、〕

 

『With the vanguard already breached, it's only a matter of time before they get here!』

〔既に前衛は突破されここに辿り着かれるのも時間の問題です!〕

 

バーミンガム司令官『Damn... Our glorious fleet is being tossed about? By a mere wooden ship? You've got to be kidding me...!』

         〔ぐぬぅ... 栄えある我が艦隊が翻弄されているというのか? たかが木造船如きに? ふざけやがって...!〕

 

見張り員『Enemy vessel approaching from starboard astern! seven!』

    〔右舷後方より敵艦本艦に接近! 数7!〕

 

バーミンガム司令官『What!? Hurry up with the intercept! Free fire main and secondary guns! Use the machine guns! And coordinate with nearby destroyers!』

         〔何!? 迎撃急げぇ!! 主砲・副砲自由射撃! 機銃も使え!! それと付近の駆逐艦とも連携して対処セヨ!〕

 

 

 

 

ーー駆逐艦Logie(ローギー)

 

 

 

見張り員『Enemy ships approaching!』

    〔敵艦接近!〕

 

Logie(ローギー)艦長『Shit! Hurry up with the main gun load! Hold them off with the machine guns until they're fully loaded! Protect the flagship at all costs!』

     〔くっ! 主砲装填急げ! 装填完了まで機銃で凌げ!! 何としても旗艦を守るんだ!!〕

 

機銃兵1『Fucking! Eat all the lead balls you can find!』

   〔オラオラ! ありったけの鉛玉を食らいやがれ!!〕

 

機銃兵2『What?! They're throwing something at us!』

   〔うわ?! 彼奴等何か投げてきたぞ!〕

 

 

パリィィン! バシャァン!

 

 

機銃兵3『Ga..aaaa!!? Ouch!! My eyes!!』

   〔グ、、アァァァ!!? 痛い!! 目がぁぁ!!〕

 

機銃兵2『Hey! Stay with me, man.. Gyaaa!?? Fingers..』

   〔おい! しっかり、、「バシャ!」 ギャァァァ!?? ゆ、指が、、〕

 

機銃兵4『Acid attack! Watch out!!』

   〔さ、酸攻撃だ! 気を付けろぉ!!〕

 

 

 

前衛を突破され、遂に旗艦がいる中央付近にまで侵入されたBirmingham(バーミンガム)艦隊は、最初の余裕は何処へ行ったのか誰の顔にも焦燥感が浮き出ており、必死の抵抗・決死の反撃を強いられていたのである。然しオスマン艦隊はBirmingham(バーミンガム)艦隊側の攻撃を嘲笑うかの様に急速旋回で回避すると、備え付けあったカノン砲や抗酸を瓶に詰めた物を一斉射して彼等に浴びせていたのであった。

 

油断していた。というのもあるだろうが、何よりも彼等にとって認めたくなかったのは、オスマン海軍側の機動性と速度がガレー船であるのにイギリス海軍よりも優れていた事であろう。

 

とは言えこれのタネは至極単純。イギリス海軍が運用している金属で出来た船体と、オスマン海軍が運用している木で出来た船体とでは、容積比重の関係、即ち金属よりも軽い木の方が速いからである。

 

オスマン海軍の主力であるガレー船は帆より人力オールの漕ぎ手で成り立ち、戦艦級は漕ぎ手だけで片側260人でその速度は軽く80ノットを出すことが出来るのである。また軽巡級の巡行艦も片側に大体60人程で、もし彼等がベテラン勢ならば全力で漕いだ場合、実に140ノットは出せれたのだ。

 

だがこれは容積比重以外にもインド洋という地域の特性を知り尽くしているのも大きいだろう。

 

まず、インド洋という地域は右回りに海流が流れていて最終的な到達地点がチャゴス諸島付近であるのと、地球の下方に位置している為に自転軸中央で最も風圧が加速する地域であり、そしてインド洋地域のオスマン海軍の拠点は今のオマーンであるので、潮の流れと気流の流れを最大限に利用しているのだ。

 

その為機動性に於いてもオールを一斉に逆押し(片側だけ全力漕ぎ)で急制動&180度ターンも可能なのであり、特に巡行艦は甲板には何もなく、直下にカノン砲があり、急旋回しながら両端撃ちが出来る程に小回りがきくが、その一方で彼等の相手をしているイギリス海軍側は、金属製の重たい船体と旋回主砲であり、またBirmingham(バーミンガム)艦隊の拠点は現在のインドの一番下辺りであったので結果的に潮の流れに逆らう形なので、どんなに積んでいるエンジンが強力でも、必然的に速度が落ちてしまい、結果として艦隊自体の速力や主砲旋回能力の限界によってオスマン海軍の主力であるガレー船の小回りと高速性の高い機動性に付いて行けず、カノン砲のタコ殴りによって次々と沈んでいったのである。

 

然し流石にたかが骨董品と言っても過言ではないカノン砲に負けるのは如何なものか? と思うだろう。

 

だが実はカノン砲に用いている鉄球は今でも効果抜群で、新円放物線なら威力は3乗倍、これが直球(ただの直撃)なら威力は5分の1なので重力比を考慮すると高く飛ばすほうが断然有利であり、また一点集中だと鋼板に亀裂が入って真っ二つになる程の威力があるので、これがもし砲身に当たれば歪むので射出不能になり実質敵艦を無力化出来るのだ。

 

それにタイタニック号を思い出してほしい。 イギリスが建造した豪華客船であるタイタニック号は、当時の建造技術の粋を用いて造られた為、船底の二重底や船体自体も16の区画によって区分されている事や一部の防水隔壁は船橋(ブリッジ)から遠隔操作によって即時に閉鎖出来る等、当時の最新の安全装置が組み込まれて不沈船と謳われる程であった。

 

まぁその後の出来事は有名なので割愛するが... とは言え沈没要因は諸説あるものの、要するに近代化したばかりである当時の金属船体はかなり脆く、当時はあのレベルの技術力なので、確立したばかりのリベットや精錬した鋼板を用いているので脆く、鉄球一発で「どっかーん」何てのもよくあったのだ。

 

因みにオスマンは亜種族の集まりで総併合部族は約8千程なので大砲系は色々あり、中世からあるカノン砲は腐る程あるのだ。

 

そして中世オスマンの最大繫栄期の総戦力は約4530万人、その内海軍も最盛期はガレー艦隊10万隻以上を有しており、最強海上白兵だったオスマン海軍は、中世以前から黒海や地中海ペルシャ湾など、全方位と戦争をしていて鍛えられており、それによって経験豊富な船乗りが多かったので当たらなければどうという事は無い、というのを地でいってた恐ろしい集団なのだ。

 

更に攻撃方法も砲撃以外に酸による攻撃法があり、この世界大戦後に使用禁止の項目に追加される程にオスマン海軍はこれに長けてたのだ。

 

この酸攻撃とは、金属を磨く抗酸を瓶に詰めて近距離斉射するもので、ほぼこれと鉄球だけでイギリス海軍が壊滅する、なんて事もある程に強かったのだ。

 

後に、イギリスはこの様な連鎖的敗北があって漸く、初めて設計製造材料に関する工学分野が発達してくるのだがそれはまだ先の話。

 

またその他の理由としてはお互いの栄養状態や健康状態もあるだろうか。

 

勿論戦力的にみればこの頃のオスマントルコ海軍も金属船は造れるが、金属精錬が未熟だったので木造のガレー船が主力であるので、金属船体を主体としているイギリス海軍の方が上だが、インド洋は広大故にスタミナ勝負は必至であり、イギリス本国から自軍を派遣してくるのと、直火構成(現地のイスラム教徒を採用)とでは栄養と健康状態が違いすぎるからである。

 

詰まりイギリス側は喜望峰を回ってから現地植民地の自軍拠点で補給・整備をした後で、多少なりとも疲労が溜まった状態での交戦だが、それに対して相手はすぐそばの現地軍であり、更に当時のオスマンはオマーンも領土だったのでそのままオマーンで補給出来る事が可能なので地力の方でもイギリスは劣っており、ガス欠前に結構ボコられていた、というのもよく起こっていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 Birmingham(バーミンガム)

 

 

 

『Fire near turret 3! Currently being extinguished!!』

〔3番砲塔付近にて火災発生! 現在消化中!!〕

 

『The port side center machine gun group is in a state of destruction!!』

〔左舷中央機銃群壊滅状態であります!!〕

 

『The number of ships remaining on our side is less than 40%!!』

〔味方残存艦艇は4割を切りました!!〕

 

『Three more enemy ships are approaching our ship!!!』

〔敵艦更に3隻が本艦に接近して来ます!!!〕

 

バーミンガム司令官『Fuck! Fuck!  Fuck these... fuck these people..!』

         〔くそっ! くそっ!! こんな、、こんな奴等如きに、、!!〕

 

伝令兵『Sir! There are cries from all quarters that we can't hold any more ammunition!』

   〔司令! 各所よりこれ以上は弾薬が持たないと悲鳴が上がっております!〕

 

通信兵『Report! Likewise, all ships are running out of ammunition!』

   〔報告します! 同じく各艦も弾薬が切れつつあり!〕

 

艦長『...Sir, we can no longer hold back the enemy offensive, let alone counterattack. Regrettably, I think we should retreat here while we still have ammunition.』

  〔...司令、これ以上は敵の攻勢を抑え込む所か反撃も儘ならなくなります、、 遺憾ながら、ここは弾薬がまだ有る内に撤退すべきと愚考致します〕

 

バーミンガム司令官『......Ok. Can it go any further now..! Communications officer, all fleet notified. Remaining naval vessels are to withdraw from the area immediately.』

         〔......分かった。 ...もはやこれ以上は無理か、、! 通信兵、全艦隊に通達、残存艦艇は速やかに本海域より撤退セヨ と。〕

 

通信兵『Yes sir!』

   〔了解!〕

 

バーミンガム司令官『...Fuck you all, we'll be back..』

         〔...くそったれ共が、我等は必ず戻ってくるぞ、、〕

 

 

 

会敵してから4時間程が経過していたが、イギリス側は終始攻勢に出れずそれどころか103隻を誇っていた艦隊は、戦闘によって72隻の駆逐艦が撃沈されてその数を31隻にまで減らしており士気はガタ落ち、その為バーミンガム司令官は遂に撤退を決断し、運良く生き残れた残存艦隊は我先にと逃げる様に戦闘海域から撤退したのであった。

 

一方でオスマン海軍側も少なくない損害を受けたのと、イギリス艦隊に手痛い損害を与えたので追撃へは移行せず、オスマン海軍47隻は余裕を持って現海域から退いたのであった。

 

 

 

 

~~

 

 

 

 

 

 

 

 

バーミンガム司令官『... Did you manage to escape. What is your current situation?』

         〔...何とか逃げれたか。 現在の状況は?〕

 

水兵1『Sir. Turrets 2 and 3 badly damaged. Turret 5 is damaged in the middle, and 1.4 is almost intact. Of the anti-aircraft guns, the machine gun in the port centre is almost completely disabled, Furthermore, personnel have been incapacitated by acid burns, It is hampering future battles.』

  〔はっ、 2番・3番砲塔大破。 5番砲塔中破、1、4番はほぼ無傷であります。 また対空砲の内、左舷中央の機銃は殆どが使用不能、更に人員も酸による火傷で戦闘不能多数、今後の戦闘に支障が出ております〕

 

参謀長『And, Commander, We have about 10% of the main guns left, so we have concentrated them on the less damaged guns 1 and 4. We have done the same with the secondary guns and machine guns, and all the extra men who can move are on guard duty. We are also running low on fuel and some of the ships are using the sails they have on board, so the fleet speed is currently at 11 knots.』

   〔それと司令、弾薬ですが主砲が残り1割程ですので損傷の少ない1番と4番に集約してあります、副砲や機銃も同じ様にし、動ける余剰人員は全て見張りとして警戒に当たらせております。 また燃料も心許なく、一部の艦は備え付けてある帆も使用している状況ですので艦隊速力は現在11ノットにて航行中です〕

 

バーミンガム司令官『Well, it hurts that we can only use two main guns. But they'll run out soon... And no fuel... If only we could make it to the harbour... Now we need to replenish our forces.』

         〔そうか、、主砲が2基しか使えんのは痛いな。 だがそれも直ぐに尽きちまうか... それに燃料も無いとは... 港まで持てばいいが... あとは戦力も補充せねばならんか〕

 

 

 

オスマン海軍から這う這うの体で(実際には追撃をしなかっただけであるが)逃げ切れた事に艦隊では安堵が広がっていたが、先の海戦で燃料を大幅に消費した為に速度をかなり抑えて... というかほぼ空に近いので各艦が其々に常備している帆を展開させて何とか航行している有様であった。

 

更には弾薬や人的にも消耗・損害著しく、もしまた会敵したらそれこそ自艦の防衛すら困難な程であった。

 

その為艦隊の警戒度は異様なまでに高かったがこれが功を奏したのか、漸く拠点近くのラッカディブ海辺りまで近づいてきた。

 

だがその様子を離れた位置から覗いている潜望鏡に気付く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーー??

 

 

 

?「...ん? お、あれは、、紅茶狂艦隊かな? む、白煙、、と少し黒煙も多い、それも数の割に多数... 損傷艦がいるのか。 てこたぁ、奴らオスマンにちょっかい掛けて返り討ちにあったか」

 

「いやあの艦長、、せめてイギリス艦隊と、、」

 

艦長「え~? だって事実じゃないか」

 

「確かにイギリス人はよく紅茶を嗜んでいますが、あれは指揮官が余裕を見せることで下の者を不安にさせない為だと聞いた事がありますが...」

 

艦長「そりゃ俺だってそれぐらいは聞いた事あるさ。 まぁ、そろそろ近場の艦隊に報告するか。 艦浮上させろ、 えーっとこの辺を警戒してるのは、、 あぁ、そうだ、松田中将の第弐派遣艦隊だったかな。 第弐艦隊に通達 [ワレ田辺拾壱、ラッカディブ海沖北西弐拾六粁ニテ英艦隊捕捉セリ、艦隊ハサエリ・パー環礁ヲ通過スルト思ワレル ナオ英艦隊ハ損傷艦多数也] 以上だ」

 

通信兵「了解であります」

 

操舵手「艦浮上、ヨーソロー」

 

艦長「しっかし態々浮上せにゃならんのはなぁ、、」

 

「それは仕方ないかと、、 陸さんの方では大分普及してるそうですが、我等の場合は全艦には行き渡っておりませんし水中では音の伝播率が著しく下がってしまいますので艦内からは如何しても無理でありますから」

 

艦長「そこだよなぁ、まぁその内潜航したままでも出来る様になるだろ」

 

通信兵「失礼します。 艦長、第弐艦隊への通信終わりました」

 

艦長「ん、ならば引き続き監視を続行、深度三十まで潜航セヨ」

 

発令所一同「「了解」」

 

 

 

インド洋ラッカディブ海沖で警戒中だった印度洋派遣艦隊所属の内、田辺艦隊所属の田辺型潜水艦、田辺拾壱潜水艦は、撤退中のBirmingham(バーミンガム)艦隊を偶然発見、第二艦隊へと報告したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー印度洋第弐派遣艦隊

 

旗艦 戦艦柁南(ダナン)

 

 

 

通信士「失礼します、ラッカディブ海を警戒中だった潜水艦田辺拾壱より入電。 [ワレ田辺拾壱、ラッカディブ海沖北西弐拾六粁ニテ英艦隊捕捉セリ、艦隊ハサエリ・パー環礁ヲ通過スルト思ワレル ナオ英艦隊ハ損傷艦多数也] 以上であります」

 

松田「ふむ... (あら? 確か田辺さんとこの艦隊って南支那海の担当だった様な、、? あ、ちゃうわ、それは鉢塚さんだったか) となると、この艦隊が先程要請のあったオスマン海軍が相手をしていた艦隊か?」

 

参謀長「恐らくはそうと見て間違いないかと。 手を出すので?」

 

松田「いや、捨て置け。 我々の目的はあくまで陸の支援と輸送艦の護衛が主であるのを忘れるな。 針路変更、この艦隊と距離をとる。 敵対関係にある我等が来たらいらぬ誤解を与えて不要な戦いに発展する可能性もあるしな」

 

「「了解っ!」」

 

 

 

警戒中だった潜水艦からの一報に艦橋では緊張が一瞬走るも、あくまでも陸の支援がメインであるのと、既に死に体も同然のイギリス艦隊に死体蹴りの如く追い打ちを掛けても余計に弾薬を消費するだけなのでこの艦隊から一旦離れる事にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

 

ーーBirmingham(バーミンガム)艦隊

 

 

 

通信士『Excuse me. Sir, we have intercepted a transmission that we believe to be from the Imperial Japanese Navy.』

   〔失礼します。 司令、日本海軍のものと思われる通信を傍受しました〕

 

バーミンガム司令官『What? You intercepted a transmission? What did they say?』

         〔何? 通信を傍受しただと? して内容は?〕

 

通信士『It was, but it was encrypted, so we didn't know what it was.』

   〔それが、、 暗号化されていた様で内容は分からず〕

 

バーミンガム司令官『Well... Hmm? Wait? So there's a Japanese ship in the vicinity!? Are there any naval vessels in the vicinity?』

         〔そうか... ん?まてよ? てことは付近に日本艦が居るのか!? 付近に艦艇は?〕

 

見張り員『No, not admissible.』

    〔いえ、認められません〕

 

 バーミンガム司令官『Well... So it's a transmission from a submarine? But that is still impossible, even for us... Then we've been exposed by a lot of black smoke from the damage. ...You're not here to finish him off, are you?! No, no, but if they wanted to, they'd have done it by now... Is it worth thinking about as long as we don't know what they're thinking. The fleet is not changing course, and it pisses me off that they're watching us, but to be honest, in our current state, we couldn't win a fight with the Imperial Japanese Navy right now.』

         〔ふむ... なら潜水艦からの通信か? だがそれは我等でもいまだ不可能なものだ... ならば損傷による大量の黒煙でバレたか。...まさか止めを刺しに来たのか?! い、いや、だがもし向こうがその気なら今頃は既にやられているか... 奴等の考えが分からん以上考えても仕方ないか。 艦隊は針路そのまま、見られているのは癪だが正直言って現状では日本海軍と今戦っても勝てん〕

 

通信士『Yes, sir.』

   〔了解であります〕

 

 

 

一方でBirmingham(バーミンガム)艦隊も日本の潜水艦から発せられた無線を傍受するも、通信の担当者が日本語を理解していなかったのでそれを暗号だと思い込んでいた為内容までは知られる事は無かったものの、どの道今の戦力では到底勝てる見込みが無いのと、見つかってる以上は既に攻撃されててもおかしくないが、それをしないという事に疑問を思いつつも無いなら無いでこれ以上考えても無駄と判断、そのまま進む事にした。

 

そしてその後もインド洋艦隊はオスマン艦隊と幾度となく海戦を繰り広げるも終ぞ優勢になる事は叶わず、また陸の方も徐々に日本軍に押されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー1915年(大正4年)3月

 

 

 

バングラデシュ ダッカ地方にて

 

 

 

イギリス軍指揮官『...We have no more ammunition rations and cannot fight any more battles. We accept your recommendation to surrender.』

        〔...我々は最早弾薬食糧なく、これ以上の戦闘は不可能。 あなた方の降伏勧告を受諾する〕

 

日本軍指揮官『Understood. We accept your surrender and will provide you with food aid as soon as possible afterwards.』

      「分かりました。 貴軍の降伏を受諾、その後速やかに食糧支援をします。 おい、直ぐに食糧をこっちにまわす様に言ってくれ。 それとありったけの医薬品もだ」

 

日本兵「了解であります!」タタッ!

 

イギリス軍指揮官『Thank you... I thank you for your concern... Now we won't have to starve anymore... Ah...』

        〔あ、有り難う... 貴殿の配慮に感謝します... これでもう飢えに苦しむ事も無くなる... うぅ...〕

 

 

 

1914年に始まったインド戦はマレー半島のチッタゴンが日本軍によって陥落してから始まり、そこを拠点に日本陸軍とイギリス軍が幾度となく戦闘を繰り返したが、イギリス軍は序盤のチッタゴン攻防戦では頑強に抵抗したものの、この時のインドはカースト下位の人達が一番多い事から一大勢力であったのでイギリス軍は彼等の相手も同時にしていたので徐々に押されていき遂に沿岸部から撤退、内陸部まで逃げた事で必然的に日本軍もそれを追う形になったが、ここからがイギリス軍にとっての悪夢の始まりだった。

 

これまでのイギリス軍はまずジャングル攻略戦をやったことが無かったのだがここでそれが仇となったのである。

 

何故なら今迄の相手は未開の地に住んでいる原住民だったので、鉄砲一つで即占領・支配が出来たからだ。

 

だがそこへ日本軍が攻めて来た事で状況が一変、血の滲む様な訓練を積んだ日本軍に対してまともな教育の無いイギリス軍はジャングルで彷徨う部隊が続出、対して日本軍は測量技術に長けており方角もバッチリ把握していたので偵察からの奇襲を繰り返し、それによって更に逃げ惑うも測量技師を育てていないイギリス軍は更に彷徨う悪循環、結果として蒸し暑いジャングル戦に慣れていないイギリス軍は、マラリアや麻疹などにも見舞われるなど泣きっ面に蜂状態であったのである。

 

そして翌年の1915年、自業自得によって補給を絶たれた事でイギリス軍は攻撃所かまともな反撃すら困難になっており、また食糧不足による飢餓や病も蔓延しているのも相まって何処の部隊も士気が低下していた。

 

そこへ止めを刺すが如くチッタゴンとダッカの境目付近を流れているメクナ川まで追い詰めた日本軍によるパンとコーヒーの香りを流すという悪魔の所業が至る所で行われて遂に士気が完全崩壊。イギリス軍側の指揮官はこれ以上は戦闘不可能、既に一部の部隊では餓死者や病死、逃亡兵が出ている事から降伏を決断し、日本軍の勝利となったのであった。

 

だがそれでもインド全土を解放出来たわけでもなく、イギリスの影響力が及ぶ地域は多々あるのでまだまだ戦闘状態が続いている状況であった。




調べても調べても最終的な戦争理由が宗教の違いと言う理由に辿り着いて草

因みにオスマン海軍の艦艇種類として
ガレー(戦艦 巡行艦(←軽巡洋艦のこと)) フリゲート(巡洋艦) ハリヤ―(駆逐艦) マッシブ(掃海艇)
があるらしく
またガレー船でもフリゲート級もあり、こっちは疎かだった対空支援だそうな


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第拾肆話

ウマ娘にハマりました。


ーー1915年(大正4年)4月中旬頃

 

インド東部国境沿い ダッタ川沿岸付近

 

 

イギリス兵1『Haa.. Haa.. If you've come this far, are you ready to go?』

     〔はぁ、はぁ、、 こ、此処まで来ればもう大丈夫か?〕

 

イギリス兵2『I think...』

     〔だと思うぞ...〕

 

イギリス兵3『Platoon commander, It's getting dark, shall we take a break here?』

     〔小隊長殿、もう暗くなってきましたし此処で一旦休息をとりますか?〕

 

小隊長『Ok, we've come a long way. They won't be able to get here soon enough. And once past here, the Matra River is next, and then there's nothing until Diamond Harbour, where we'll meet up with our units and regroup.』

   〔そうだな、随分遠く迄来たからな、流石に奴らも直ぐには来れまい。 それにここを過ぎれば次はマトラ川があった筈、その後はダイヤモンド・ハーバーまでは何も無いからそこで各部隊と合流して体勢を立て直すぞ〕

 

イギリス兵2『I hope the rest of your unit is okay...』

     〔他の部隊も無事だといいですが...〕

 

イギリス兵1『...Hmm? Talking to you from the other side? Hey, is that one of ours over there?』

     〔...ん? 向こうから話し声? お、おいあそこにいるのは味方じゃ?〕

 

イギリス兵4『Huh? ... It's true! Hey!! Over here!』

     〔え? ...本当だ! おぉーい!! こっちだ!〕

 

別の部隊『! You're safe! We are the survivors of the 41st Company. I'm Lieutenant Colonel Sandy, who took over this company. And you?』

    〔! 無事だったか! 我々は第41中隊の生き残りでこの中隊を引き継いだサンディー中佐だ。 そっちは?〕

 

小隊長『Sir, We're in Platoon 11 of the 36th Infantry Division, and I'm the platoon leader, Second Lieutenant Hamilton.』

   〔はっ、我等は36歩兵師団所属の11小隊で自分は小隊長のハミルトン少尉であります〕

 

 

 

 

ここでは日本軍の攻撃から逃げ延びたイギリス軍敗残兵が、国境を越えてインドまで撤退と言う名の逃走中であり、生き残った兵士達は運良く他の部隊と合流したりしながら基地のあるカルカッタ方面へと目指していた。

 

だが日本軍は先の戦いと同様に、攻勢の手を緩める気は更々無く既に偵察隊を多数放っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー日本陸軍 印度派遣軍第伍先遣隊所属 第弐拾漆偵察隊

 

 

 

日本兵1「...! いました。 十間(3 3m)程前方にイギリス軍が一、二、、九人。 如何やら休憩中の模様、、 ん? 更に他の部隊も合流している様です。 合計... 目算ですが五、六十人程、恐らくまだ増えるかと」

 

偵察隊隊長「ふむ、かなりいるな... 確か砲兵隊はまだ移動してる途中の筈だから... ここは海軍さんに任せるとしようか。 電信の方は、、 おい、電線はまだ時間が掛かるか?」

 

通信兵「えぇ」

 

偵察隊隊長「分かった。 ならば後方の本体に、沖に居る第肆艦隊に砲撃座標を通達する様に頼む」

 

伝令兵「了解」

 

偵察隊隊長「良し、んじゃ我々も巻き込まれる前にさっさと此処から離れるぞ」

 

 

 

そして合流する事の出来たイギリス軍側(彼等)にとっては運悪く、然し日本軍側にとっては運良く敵軍の一部を見つけ出すことに成功。

だがこの時日本軍側も最大火力を誇っている砲兵部隊がまだ移動途中であった為、陸軍は沖に支援艦隊として待機していた第四艦隊に攻撃を要請したのであった。

 

 

 

 

 

ーー日本海軍 印度派遣艦隊所属 第肆艦隊

 

旗艦 戦艦白雲(はくうん)

 

 

 

通信兵「失礼します、陸軍より砲撃要請 [陸軍印度派遣軍第伍先遣隊ヨリ第肆艦隊、貴艦隊ヨリ拾時方向参拾捌里伍間(1 2 6 8 0 . 5m)地点ニテ多数ノ英軍ヲ捕捉セリ、砲撃支援求ム]  以上であります」

 

司令官「分かった。 艦隊に砲撃用意を通達セヨ」

 

通信兵「了解であります!」

 

 

 

 

 

 

ーー駆逐艦桜雲(おううん)

 

 

 

霧野「ふんふふーん♪ いやー、松田のお陰(コネ)でサクッと艦長まで行っちゃった~♪ ......ま、まぁどの道戦場にはいるし自分だって死にたくねぇから必死で動いてたし、いつ自分の乗ってる艦も被弾するか毎度冷や汗かいてたし...。だがそれでもやっぱ持つべきものは最高のダチですよww さ、いい時間だしもうそろそろ寝る(仮眠)としm、、」

 

<コンコン

水兵「霧野()()、お休みの所失礼します」

 

霧野「ん? あぁ、問題ないよ。 如何した?」

 

水兵「はっ、 旗艦白雲(はくうん)より陸軍支援の為全艦隊に砲撃準備との通達であります」

 

霧野「分かった。 総員起こし戦闘配置、俺も直ぐ行く (おのれイギリス... これから寝ようとしていたのに邪魔しよって... チクショーメ―!!)」

 

 

~~

 

 

ーー艦橋

 

 

 

霧野「待たせたね、現在の状況は?」

 

参謀長「はっ、もう間も無く砲撃準備完了であります」

 

霧野「そうですか... 完了しても別命あるまで待機と再度頼みます」

 

伝令兵「了解っ!」

 

 

 

インド東部のコルカタ沖8キロ地点にて待機していた第四艦隊では、陸軍より支援を求められた為砲撃の準備をしていた。

 

 

 

ーー旗艦 戦艦白雲(はくうん)

 

 

 

通信兵「失礼します、全艦より砲撃準備完了との報告であります」

 

司令官「うむ、全艦に通達、砲撃開始!」

 

 

 

ズドォォォォォン!!!

 

 

 

そして準備が完了したことで司令官が砲撃を命令、それによって総数13隻からなる艦隊が一斉に砲撃を開始、そして無数の閃光が瞬き段々と闇夜に包まれつつある海面を一瞬だが少し照らす。

 

そして放たれた砲弾はイギリス軍が休息を取っている場所へ次々と吸い込まれていったのであった。

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

ーーイギリス軍夜営陣地

 

 

 

<ヒュルルルル......

 

 

兵士1『Well, thank God there was still medicine at 11 Platoon. We had some wounded over here, but we didn't have enough medicine...』

  〔いやぁ、11小隊の所にまだ薬があって助かったよ。 こっちは負傷者もいたが薬が足りなくてね...〕

 

兵士2『What's the problem, we're both in trouble. And, well, for a start, 41 Squadron was a lieutenant colonel with a high rank, and that's where the command... Hm? Do you hear something?』

  〔なに困った時はお互い様さ。 それにまぁ、取り敢えずは41中隊のとこが中佐で階級高かったし指揮としてはそこに... ん? 何か聞こえないか?〕

 

兵士1『Huh? Really? The only sounds are the insects... Hm? ...Surely, this wind noise, is it from the sea?』

  〔え?そうか? 虫の声ぐらいしか、、 ん? ...確かに、この風切り音は、、海からか?〕

 

 

 

 ドゴォォォォン!!

 

 

 

            ドゴォォォォン!!

 

 

 

    ドゴォォォォン!!

 

 

 

兵士等『Gaaa!?』

   〔グァァァ!?〕

 

兵士3『Bombardment?! That's ridiculous. Is this place known?! ...!!?』

  〔砲撃だと?! 馬鹿な、、 位置がばれているだと?! 「ヒュルルルル...」 ...!!?〕

 

兵士1『They're still coming!!』

  〔まだ来るぞ!!〕

 

兵士2『Ahaaa!!? Run!!』

  〔うわぁぁぁ!!? に、逃げろぉぉ!!〕

 

兵士3『Jesus!? what do we do!?』

  〔ヒィィッ!? どうすれば!?〕

 

兵士4『Don't get upset!』

  〔狼狽えるな!〕

 

兵士1『Sergeant Hill!?』

  〔ヒ、ヒル軍曹!?〕

 

兵士4改めヒル軍曹『Stay calm! First of all, get low at the shell marks anyway! We won't hit the same place!』

        〔落ち着け! 先ずはとにかく砲撃痕のとこで姿勢を低くしろ!! 同じ所には当たらん!〕

 

 

 

合流して280人程の戦力に迄回復していたイギリス軍は、まさか夜間に海上から攻撃を受けるとは思っておらず、第四艦隊からの砲撃に慌てふためいて蜘蛛の子を散らす様に散り散りに逃げていたが、砲撃による小規模な火が至る所で起きて周囲が少し明るくなってしまい、それによってギリギリまで近くに接近した陸軍の各偵察部隊からの正確な観測が可能になり、それによって第四艦隊の艦艇は極めて精密な射撃を行う事が出来た為、次々とその数を減らしていったのであった。

 

 

 

~~~~

 

 

観測士「....着弾確認。位置修正、拾時変わらず拾参点」

 

通信兵「拾時変わらず拾参点、要請する」

 

偵察部隊隊長「...大分散ったな、そろそろ頃合いか。 本部に打電、 [舞踏会ニ招待ス] と通信セヨ」

 

通信兵「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー日本海軍 第肆艦隊

 

旗艦 戦艦白雲(はくうん)

 

 

 

通信兵「失礼します。 陸軍より [舞踏会ニ招待ス] との通信であります」

 

司令官「分かった。 発光信号、全艦砲撃止め。 それと()()()()に [舞踏会ニ招待サレリ] と通達セヨ」

 

通信兵「はっ」

 

 

 

 

 

 

ーー巡洋艦万雷(ばんらい)

 

 

 

観測兵「主砲旋回、拾時方向仰角拾参点... 命中、次弾... 拾時参拾陸分同拾参点。射撃用意...」

 

装填担当兵「...装填完了!」

 

砲術長「良し、撃t.. 「砲撃待て! 艦隊旗艦より砲撃停止命令!!!」 応っ! 撃つな! 射撃待て!」

 

射撃担当兵「了解」

 

 

 

 

 

 

ーー駆逐艦桜雲(おううん)

 

 

 

見張り員「旗艦より発光信号!」

 

霧野「何? え~っと、、 [ホ・ウ・ゲ・キ・ヤ・メ...] か、各砲に通達、砲撃止め」

 

「「ハッ!!」」

 

 

 

 

 

第四艦隊が陸地に砲撃している一方で、その様子を沖より11キロ程離れた場所の海中から見ている者が居た。

 

 

 

ーー??

 

 

 

艦長「お~、派手にやってんねぇ~」

 

通信兵「失礼します、第肆艦隊より通信 [舞踏会ニ招待サレリ] 以上であります」

 

艦長「分かった。全艦浮上、()()()()()()()()。 ...さて、我等も派手に踊り狂おうではないか」

 

 

 

 

 

砲撃開始から27分程経過した頃、陸軍から砲撃停止の要請が出た為艦隊は攻撃を停止。その11分後、予め準備を整えていた各前線部隊が前進を開始し、更にそれと並行する形で付近に展開していた潜水艦隊が後方のイギリス軍基地にも攻撃を行う手筈となっていた為、通信を受けた第二潜水艦隊は直ぐさま浮上し、旗艦であるカツ―陸潜水艦含む6隻の潜水艦から合計15機の航空機が次々と発艦していき、闇夜に紛れてカルカッタにある基地へと接近しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーイギリス軍司令部夜営陣地

 

 

 

兵士1『...Hmm? Has the shelling stopped?』

  〔...ん? 砲撃が止んだか?〕

 

兵士2『Oh.. I thought I was going to die..』

  〔あ、あぁ、、 死ぬかと思ったぜ、、〕

 

兵士3『Where are the medics!! There are many wounded here! Anyone please help me here!!』

  〔衛生兵は何処だ!! こっちは負傷者が多い! 誰でもいい手伝ってくれ!!〕

 

サンディー中佐『Fuck.. Second Lieutenant, what is the remaining strength?』

       〔くそぉ、、 少尉、残存戦力は?〕

 

ハミルトン少尉『We are currently checking... Probably more than half of them have been lost...』

       〔現在確認中でありますが... 恐らく半数以上がやられたかと...〕

 

サンディー中佐『Oh, my God...』

       〔おのれぇ...〕

 

ヒル軍曹『Lieutenant Colonel, I am concerned about the damage, but first we must regain our position. If the shelling has stopped, I think the infantry will attack next.』

    〔中佐、損害も気になりますが先ずは態勢を立て直すべきです。 砲撃が止んだならば次は歩兵が攻めてくるでしょう〕

 

サンディー中佐『Ah,the sergeant is right. All personnel, regroup quickly! The shelling has stopped, they'll come at us soon! Fucking! We'll be able to meet up with the guys in the back in a little while, but... It's no use, we'll intercept them here. Messenger to the friendly troops in Calcutta, please.』

       〔む、軍曹の言う通りだな。 各員は急いで態勢を立て直せ! 砲撃が止んだんだ、奴等は直ぐに攻めてくるぞ! クソが! あと少しで後方の奴等と合流出来るんだが... 仕方ない、ここで迎え撃つぞ、伝令はカルカッタの味方まで頼む〕

 

伝令兵『Sir!!』

   〔はっ!!〕

 

サンディー中佐『I wish there were pigeons... If so, Calcutta's troops would have come sooner, I have to at least let you know what's going on...』

       〔鳩があれば良かったんだがな... そしたら早くカルカッタの部隊に来てもらえたんだが、せめて現状だけでも知らせねば...〕

 

 

 

日本軍の攻撃が止んだ事で兵士等の間では安堵が広がっていたが、司令部側はこれから日本軍の攻撃が来るだろうと警戒していたので各部隊では其々の隊長の命令を受けて混乱を抑えつつ直ぐに迎撃態勢を整えさせていた。

 

 

 

 

 

 

ーー即席塹壕

 

 

 

『hurry up!!』

〔急げ急げぇ!!〕

 

『Hey! I've got ammunition!』

〔おい! 弾持ってきたぞ!!〕

 

『......Machine gun ready!!』

〔......機銃配置完了!〕ガチャン!

 

『Be wary of that creek, We're going to position the guns so that they can link up with the positions over there!』

〔あの小川を警戒しろ、向こうの陣地と連携出来る様に銃を配置するんだ!〕

 

『E-11 Good preparation!』

〔Eー11区準備良し!〕

 

『This is A-9, any time!』

〔こちらAー9、何時でも!〕

 

『...Sergeant Exton! Each trench is ready!』

〔...エクストン軍曹! 各塹壕は準備完了であります!!〕

 

エクストン軍曹『Good, but stay alert! They may already be there!』

       〔良し、だが警戒を怠るな! 既に奴等は居るかもしれんぞ!〕

 

 

~~

 

 

ーー司令部塹壕

 

 

 

伝令兵1『District A is ready for interception!』

   〔A区迎撃準備良し!〕

 

伝令兵2『This is District D. Deployment is complete, but we're low on ammunition, please share some.』

   〔こちらD区、展開完了だが弾薬が心許ない、少し分けてほしい〕

 

ヒル軍曹『Well, even though it's instant... That's about 60% of the way through in about nine minutes, which means we should be ready to go in about five minutes.』

    〔ふむ、即席とは言え... 約9分で大体6割強程か、、 これならば後5分程で準備完了でしょうか〕

 

サンディー中佐『Ok, well, let's hope they don't show up before then.』

       〔そうか、それまでに奴等が来ないことを祈るよ〕

 

ハミルトン少尉『Right.』

       〔ですな〕

 

サンディー中佐『All hands, remain vigilant.』

       〔総員、警戒を怠るな〕

 

兵士等『『Yes, sir』』

   〔〔はっ〕〕

 

 

 

司令部の方では10分足らずで大凡の準備が出来つつあると報告を受けて何とか間に合いそうだと少し安堵していた。

 

だが塹壕とは言え即席なのでスコップで少し掘った場所に木の幹や少し大き目の石を壁にしたもの、所によっては砲撃で出来た穴に弾除けの壁を作っただけの簡素な陣地の様なモノであり、また今迄の戦闘から日本軍は侮れず、と言うか彼等自身も先の戦闘でボロ負けしてからの撤退途中であり、今もこちら側が不利である状況には変わりなかったので、この部隊の総指揮を執っているサンディー中佐の言葉に生き残った兵士等172名は、全員が必要以上に警戒をしていた。

 

そして先程の会話から更に5分程経過したところで再び日英両軍が会敵したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーイギリス軍側塹壕

 

 

 

<ガサ... ガサガサ...

 

兵士1『! They're here..! It's them..! May I shoot?』

  〔! 来た...! 奴らだ...! う、撃ちますか?〕

 

エクストン軍曹『Not yet, relax. We've got to draw them close enough. Don't panic.』

       〔まだだ、落ち着け。 十分に引き寄せるんだ。 慌てるな〕

 

兵士2『Come to...! They're coming....! Oh God, protect me...』

  〔来る...! や、奴らが来る...! か、神よ、我を、、我を守りたまえ...〕ガタガタガタッ...!!

 

兵士3『Relax. Relax.. Relax.. Relax.』

  〔お、落ち着け。 そうだ、落ち着け、、 落ち着け、、 落ち着くんだ〕

 

兵士4『Fuck... Why do I have to face things like this...』

  〔クソッ... 何でこんな目に...〕

 

 

 

 

 

 

 

ーー日本軍側

 

 

 

兵士1「(...随分と静かだな)」...カサ

 

兵士2「(おい、あまり音を立てるなよ、もうそろ近づいてる筈だ、、)」

 

兵士1「(あぁ、分かっt...)」

 

 

<Ahaaaa!? ガチャガチャ...!

<Hey?! Shit!!

 

 

ダダダダダダッ!!!

 

 

「「!!?」」

 

「なっ!?」

 

「グァッ?!」

 

「ぎゃぁぁ!!?」

 

下士官「う、撃てぇ! 反撃だ!!」ダァン! ダァン!

 

 

 

最初に攻撃をしたのは、先の敗走からそう時間も経たない内での戦闘による極度の緊張感か、はたまた恐怖心からか、味方の制止を振り切って機銃を撃ち始めたイギリス軍であり、日本軍側も警戒していたとは言え、この突然の攻撃に面食らうも即座に反撃に移行、壮絶な銃撃戦が展開された。

 

 

 

下士官「うーん...... かなり激しいな、存外向こうの士気があるのかこれ?」

 

兵士1「曹長! 敵軍の攻撃激しくこれ以上の前進は困難です!!」

 

 

タァン!

 

 

兵士2「グォッ?!」

 

兵士3「っ!? おいっ! 確りしろ! え、衛生兵! 負傷者を後方へ!!」

 

兵士2「あぁいや大丈夫だ! カスっただけだ、撃てる!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーイギリス軍塹壕

 

 

 

兵士1『Ahaaa!! Ahaaa!!』

  〔うわぁぁぁ!! うわぁぁぁ!!〕ダダダッ!! ダダダダダッ!!

 

兵士兵2『Nooo!!? Don't come.!!』

   〔あぁぁぁ!!? 来るなぁぁ!!〕ダァン! ダァン! ダァン!

 

エクストン軍曹『Hey!? You're shooting too much!! Calm down!! ...Fucking!!』

       〔おい!? 撃ちすぎだ!! 落ち着け!! ...クソッ!〕

 

 

 

戦闘の序盤からイギリス軍は日本軍に大量の弾を浴びせていたが、殆どの兵士達は各部隊長の指示を聞いておらず、我武者羅に撃っていた。

 

 

 

『Haa, Haa,, Oh,shit,, Hey! Does anyone have bullets!』

〔ハァ、ハァ、、 あ、弾が... おい!誰か弾あるか!〕

 

『No, there are few! Bring it from behind!!』

〔いやこっちも少ない! 後方から持って来てくれ!!〕

 

伝令兵『No, there's hardly any left in the back! This is the last!!』

   〔いや、後方にも殆ど残ってないぞ! こいつで最後だ!!〕

 

『That's...?! We're running out of bullets for the machine gun!!?』

〔そんな、、?! もう機銃の弾が無くなっちまうぞ!!?〕

 

エクストン軍曹『Calm down! I can't keep this place anymore! Take that and retreat! Anyone with plenty of ammunition should support us! Hurry!』

       〔落ち着け! もうここは持たん! お前はそいつ(機銃)を持って後退しろ! 弾に余裕がある奴は援護だ! 急げぇ!!〕

 

 

 

戦闘開始から終始日本軍を近づけさせまいとイギリス軍は残り少ない貴重な弾薬をかなりのペースで消耗してしまい、結果として彼方此方で戦線の維持が困難になってしまっていた。

 

その為各部隊の隊長達は戦闘継続しつつ後ろの司令部まで後退するように指示を出し、ここでイギリス軍は守勢に回る事となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 

 

ーー日本軍側

 

 

 

日本兵「英軍の攻撃が弱まってます!!」

 

下士官「よしっ! 今が好機だ! 出し惜しみするな! 撃てるもんは全部撃てぇ!! 総員突撃ぃぃ!!」

 

 

「「「ワァァァァ!!!」」」

 

 

イギリス兵『『Ahaaa!!?』』

     〔〔ヒィィィッ!!?〕〕

 

エクストン軍曹『Damn it...! Can't you hold back the enemy any longer, I can't do it anymore... We're going backwards too!! 』

       〔チィッ、、! これ以上は抑えきれん、潮時か... 俺達も後退だ!!〕

 

イギリス兵『Sir!!』

     〔り、了解!!〕

 

イギリス兵『Hurry up!』

     〔急げぇぇ!〕

 

日本兵「逃がすかオラァ!!」

 

イギリス兵『Aga?!』

     〔アガァッ?!〕ザシュッ!

 

 

 

一方で日本軍側ではイギリス軍の攻撃が弱まったと見るや、その好機を逃さずに即座に総攻撃を下し、攻勢に出た事で形勢が逆転、前線では両軍入り乱れての戦闘が展開された。

 

 

日本兵「くたばれぇ!!」ブンッ!!

 

エクストン軍曹『Wow?! Don't lick it!!』

       〔うぉ?! 舐めるなぁぁ!!〕パァン! パァン!

 

日本兵「ガッ?!」

 

日本兵「アグッ!!?」

 

エクストン軍曹『Haa,Haa,, All right, I have to hurry to the rear...!』

       〔はぁ、はぁ、、 良し、後方へ急がねば...!〕

 

日本兵「うぉぉぉぉっ!!!」ダッ!!

 

エクストン軍曹『!?』

       〔!?〕

 

日本兵「ヤァッ!!」ドスッ!

 

エクストン軍曹『~~!!? (Fucking.. Ending here..)』

       〔~~ッ!!? (クソが、、 ここまでとは、、)〕...ドサ

 

イギリス兵『Ahaaa!! Ahaaa!! Only my life!! Please, I will surrender, so only my life!!』

     〔あぁぁぁ!! あぁぁぁ!! 命だけは!! 頼む、降伏するから命だけは!!〕

 

イギリス兵『What are you saying! I'm going to fight back!!』

     〔何言ってる! 反撃するんだよ!!〕

 

イギリス兵『Ah.. I do not want die...!!』

     〔うぅ、、 死にたくない...!!〕ガタガタガタガタ!!

 

 

 

だが後方へと向かっている途中だった為に背を向けているも同然だったイギリス軍に、日本軍の怒涛の攻撃に耐えきれる筈もなく次々と倒れて行き、降伏する者や攻撃を続行する者が混在していて前線は完全に瓦解、戦場はかなりの混戦状態となっていた。

 

 

 

 

ーー司令部塹壕

 

 

 

伝令兵1『C-6 has fallen!! The enemy is closing in!!』

   〔Cー6陥落!! 敵が迫って来ます!!〕

 

伝令兵2『J-3 ammo!!』

   〔Jー3弾薬を!!〕

 

伝令兵3『It is impossible for each unit to endure anymore!! We are already retreating here based on the judgment of the site!』

   〔各部、もう持ち堪える事不可能!! 既に現場判断でこちらに撤退中!!〕

 

サンディー中佐『Fucking!! How much power did they bring here!?』

       〔クソッ!! 奴等は此処にどれだけの戦力を持って来てんだ!?〕

 

<ワァァァァ!!!

ヒル軍曹『Oh,shit, the sound is very close! Everyone prepare to attack!! Even if you make a mistake, don't accidentally shoot an ally who is retreating!!』

    〔不味い、音が大分近い! 各自攻撃用意!! 間違っても撤退中の味方を誤射するな!!〕

 

 

 

司令部の方では迫って来る日本軍に備えて何時でも攻撃出来る様に待ち構えていた。

 

然し...

 

 

 

 

ヒュルルルル......

 

 

 

 

サンディー中佐『what's?!』

       〔なっ?!〕

 

ハミルトン少尉『Are they insane!!? Their soldiers are coming right up to us?!』

       〔奴等正気か!!? 自分達の味方が我等の直ぐそこ迄来ているのにか?!〕

 

ヒル軍曹『No, wait!!  Now that I think about it, it shouldn't be strange to see the enemy's figure, but it still doesn't exist!』

    〔いえ、お待ちを!! よくよく考えればもう敵の姿が見えてもおかしくない筈です、ですがそれが今だにありません!〕

 

サンディー中佐『Were you planning on bombarding them beforehand!?』

〔てことは予め砲撃するつもりだったのか!?〕

 

 

 

ドゴォォォォン!!

 

 

 

兵士等『『『Gyaaaa!!!』』』

   〔〔〔ギャアァァァ!!!〕〕〕

 

 

 

サンディー中佐『Shit...! This accuracy with the first bullet...!』

       〔ぬぅぅ...! 初弾でこの精度か...!〕

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 

ーー日本軍砲陣地

 

 

 

通信士「...命中、敵軍は被害甚大と認む。 方位そのまま」

 

観測士「着弾確認、こちらでも効果認む。 方位そのまま... 仰角玖点、次弾装填」

 

砲兵隊長「次弾装填!!」

 

砲兵「......装填完了ォ!」

 

砲兵隊長「(って)ぇ!!」

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

     ドォォォン!!

 

 

 

砲兵隊長「やっとこさ着いたばかりだというのに全く人使いの荒いこって... とは言え(やっこ)さん等もしぶとかったがこれで終いだな」

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 

 

ーーイギリス軍司令部塹壕

 

 

 

ドゴォォォォン!!!

 

 

 

ハミルトン少尉『Guooo?!』

       〔グォォッ?!〕

 

イギリス兵『『Guaaa!!』』

     〔〔グワァァァッ!!〕〕

 

サンディー中佐『Damn it... yeah? Did the shelling stop?』

       〔おのれぇ、、 ん? 砲撃が止まったか?〕

 

 

 

<突撃ぃぃぃ!!

 

<ワァァァァ!!!

 

 

 

司令部『『!!!』』

 

 

ヒル軍曹『Hurry up to intercept!』

    〔げ、迎撃急げぇ!〕

 

サンディー中佐『Shoot! Don't let it come near you!!』

       〔撃てぇ! 寄せ付けるなぁ!!〕ダァン!

 

イギリス兵『Ahaaaa!!』

     〔あぁぁぁぁ!!〕ズドドドドドッ!!!

 

 

 

日本兵「グァッ!」

 

日本兵「くっ...! 危n、、ギャァ?!」

 

日本軍下士官「チュインッ! うぉ危ね?! ここが正念場だぁ気張れぇ!!」タァン! タァン!

 

 

 

前線を突破され、司令部まで攻め込まれたイギリス軍は後が無いので決死の覚悟で待ち構えていたが、それに対して日本軍はすぐには攻撃せずに態勢を整えたばかりの砲陣地に攻撃を要請、この砲陣地からの砲撃はイギリス軍側の陣地が戦闘によって所々で弾薬の誘爆等による火災が発生している事で後方からも視認し易くなっていた為、それによる極めて正確な観測砲撃によって最後の砦であった司令部は大混乱となり、そこへ満を持して日本軍も総攻撃を敢行、遂にこの戦闘にも終わりが見えてきた。

 

 

 

パァン!!

 

 

 

ハミルトン少尉『Ga?!』

       〔ガァッ?!〕...ドサ

 

サンディー中佐『Ensign!!?』

       〔少尉!!?〕

 

イギリス兵『Commander! any more... Gyaa!』

     〔司令! これ以上は... ギャッ!〕

 

イギリス兵『It looks like we're going to be surrounded, Lieutenant Colonel! Escape!!』

     〔包囲されそうです中佐! 脱出を!!〕

 

サンディー中佐『...No, we can't escape anymore... Surrender... There's no such thing as a white flag... Raise it with a piece of bandage. Throw away your weapons... There are no more bullets left.』

       〔...いや、もう逃げれんよ、、 降伏だ... 白旗は... あるわけないか、包帯の切れ端でも良いから上げておけ。 武器を捨てるんだ、、 それにこれ以上は弾も無い〕

 

イギリス兵『『...!!』』

     〔〔...!!〕〕

 

ヒル軍曹『...Understood. Everyone throw away their weapons! Our... our loss! Surrender!!』

    〔...分かりました。 皆武器を捨てるんだ! 俺達の、、 俺達の負けだ! 降伏する!!〕

 

イギリス兵『Surrender! Please, don't shoot me...!』

     〔こ、降伏だ! 頼む、撃たないでくれ...!〕

 

日本兵「......む? 攻撃止め! 攻撃止めぇ!!」

 

日本軍下士官「ん? 如何した?」

 

日本兵「はっ! 彼らが武器を捨て白い布切れを持って近づいて来ます!」

 

日本軍下士官「何? ...あ、マジだ、、じゃねぇ確かに、総員攻撃止め!」

 

サンディー中佐『...Hey, I'm Lieutenant Colonel Sandy in command of this unit. I surrender to your army. I want to meet your commander.』

       〔...おい、 私はこの部隊の指揮を執っているサンディー中佐だ。 貴軍に降伏する、貴軍の指揮官にお会いしたい〕

 

日本軍下士官「へ? あ、あぁ。 わた、、じゃない えー、I am Sergeant major Kamijo, commander of the 31st Platoon of the 5th Company of the Indian Expeditionary Force. Okay, I'll take you to our commander.」

                           〔自分は印度派遣軍第伍中隊所属、第31小隊隊長の()()曹長です。 分かりました、我々の指揮官へお連れします。〕

 

 

 

イギリス軍の指揮を執っていたサンディー中佐は、最早逃げる事も出来ないと悟ると遂に降伏を決断。元より敗残兵だった彼等にそこ迄士気がある筈もなく既に逃亡している兵士も続出していた為、その指示が出るや次々と降伏していき、またその前に行われた艦砲射撃及び今回の戦闘で散り散りに逃げた者たちは見つかり次第各個撃破されるか、中佐達のように降伏するかに分かれ、ここに戦闘は終結したのであった。

 

そしてその後彼らは日本軍から医療と食料の施しを受けた後に、輸送船にて本土の捕虜収容所へと移送されていった。

 

 

 

 

 

ーー日本軍の追撃戦から約1週間後 カルカッタ境界線検問所

 

 

 

伝令兵『Haa, Haa... Looked! Finally!』

   〔はぁ、はぁ...  見えた! 漸くだ!〕

 

検問所の兵士『stop! Who are you!』

      〔止まれ! 何者か!〕

 

伝令兵『Wait! I am Private Danian belonging to the 41st Company! I came to ask for help!』

   〔ま、待ってくれ! 自分は第41中隊所属のダニアン二等兵だ! 救援要請をしに来たんだ!〕

 

検問所の兵士『41st Company? If I'm not mistaken...is it Chittagong's defense force? There were survivors! ...But I'm sorry, I can't help you.』

      〔41中隊? 確か... チッタゴンの防衛隊か? 生き残りがいたのか! ...だがすまない、救援は出来ないんだ〕

 

ダニアン『What!? Why?!』

    〔そんな!? 何故?!〕

 

検問所の兵士『Ah, I think it was about one weeks ago? We were ambushed at night by Japanese aircraft, and they politely went all the way to the supply station. We're still rebuilding because of that.』

      〔あぁ、確か1週間程前だったかな? 夜間に日本軍機の奇襲にあってな、しかもご丁寧に補給所まで徹底しやがってな。 それのせいで今も立て直しの最中なんだ〕

 

ダニアン『Oh... Oh, my God... But normally a night attack would be impossible!? And there's no way it's a plane, what kind of magic did they use...』

    〔そんな... 何てことだ... だ、だが普通は夜間攻撃何て不可能だぞ!? ましてや飛行機だなんて有り得ない、奴等はどんなマジックを使ったんだ...〕

 

 

 

先の戦いから1週間近くかけてカルカッタの検問所まで漸く来た彼であったが、時すでに遅くここカルカッタも日本軍の爆撃を受けており、彼らは日本軍の徹底ぶりに只々戦々恐々とするしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

ーー日本 横須賀のとある屋敷

 

 

 

 

インドでイギリスと日本が一進一退の攻防が続いている頃、日本本土では高橋がその屋敷に住んでいる当主に呼ばれた為、急遽横須賀のこの屋敷まで赴いていた。

 

 

 

高橋「(やっべぇ、まじで見当もつかねぇんですが? これどゆこと? 確かここの当主って結構な地位にいた筈だが何でただのいち技術者にすぎん俺を態々家まで呼んだんだ? ...あ、このお茶美味しー)」ズゾゾ...

 

執事「失礼します。 高橋様、旦那様がもう間も無くいらっしゃいますのでもう少々お待ちください」

 

高橋「えぇ分かりました」

 

執事「それでは失礼致します」

 

<ギィィ パタン

 

高橋「うーん.. マージで分からんぞ」

  「しっかしここは横須賀港が一望できるいい立地だな... スマホ持ってくるべきだったぜ」

 

??「喜んでもらえたようで何よりですな」

 

高橋「うぉ!!? ビックリした、、 何時の間に、、」

 

 

 

高橋が驚いて振り向くと、立派な髭を蓄えたこの屋敷の主が執事と共に居た。

 

 

 

??「あぁ驚かせてしまって申し訳ない、とは言え気付かないほどに此処からの景色に見入って頂けるとは嬉しい限りですな。 おっと、名前がまだでしたな」

 「既にご存知でしょうが自分は河田(かわだ)と言います」

 

高橋「えぇ、よく存じております。 所で何故私は呼ばれたのでしょうか?」

 

河田「そうでしたね、本題にいきましょう... すまないが暫く席を外してくれないか?」

 

執事「畏まりました旦那様。 失礼致します」

 

河田「......さて、本題に入る前に先程聞きなれない言葉が聞こえた様な気がしましたが、、」

 

高橋「はて? 気のせいではないでしょうか? (やっべぇどうやって誤魔化そ、、)」

 

河田「確か、そう、、すまほ、でしたか。 それは()()ですかな?」ス..

 

高橋「なっ?! それは!!?」

 

 

 

河田と名乗った男性が懐から取り出したそれを見て高橋が驚くのも無理はない。何故なら彼が手に持っていた物は、本来ならばこの時代に無い筈のスマホ、スマートフォンがあったからだ。

 

 

 

高橋「(ば、馬鹿な!? 有り得んだろ??! 何故()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ?!)」

 

河田「そこ迄驚く程の事ですかな? 所でつかぬ事をお聞きしますがコレにどこか見覚えはありませんかな?」

 

高橋「...え? ...ん? そのスマホのカバー、少しボロいが言われて見れば...」

  「......」

  「......まさかナッちんか!? え?! 噓ぉ!!? 本物ですか!?」

 

河田「...ププッ、ハハッ!  アッハッハッハ!!! ヒィーwww 折角威厳だしてみたのにもう限界w 何故そこで最後敬語になるんだよw てか普通は名乗った時に気付きそうなものなんだがw」

 

高橋「( ゚д゚)ポカーン」

 

河田「フフフ... はぁ~笑った笑った、こんなに笑ったのは何時ぶりだか」

  「本当に、、 何時ぶりだろうなぁ...」

 

高橋「ナッちん、、 俺も人のこと言えんが苦労したんだな、、 所で何時からこの時代に居たん? それとこの屋敷は?」

 

河田「まぁまぁ落ち着きなさいや、積もる話があるのはお互い様だけど今日は一先ず会いたかっただけだからさ、そういうのは皆が集まった時にでもしましょうぜ」

 

高橋「え?皆? 俺ら以外、、 ナっちんは除外として、カミちゃん達ももう居るのか?」

 

河田「あぁそうだよ、ただww1(今回の戦争)が終わるまでは無理だろうからまだ暫くは集まれないかな。 っというか本当は終わったタイミングにしようと思ったけどその後も直ぐにヤバイじゃん? だから今の内に(きよ)ちゃんにだけでも会っておこうと思ってね」

 

高橋「なるなる、まぁそこは仕方無いね。 ならまたその時だな」

 

河田「だね、その時になったら皆の所に手紙を出すからさ。 それまでは待ってちょ」

 

高橋「おk把握。 ...っともうこんな時間か、んじゃもうそろそろお暇するね~」

 

河田「おう、気を付けてね~」

 

 

 

なおこの時、意外な形で他の仲間たちが既に来ている事が分かった高橋は、帰路についてる時の足取りはかなり軽やかだったとか...



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第拾伍話

遅ればせながら

明けましておめでとうございます、本年もよろしくお願いいたします。


時は流れて1917年

 

 

1914年のサラエボ事件を切っ掛けに欧州(ヨーロッパ)から始まり、瞬く間に世界中を巻き込む形で起きてしまった欧州大戦(第一次世界大戦)は既に3年が経過しており、各国では軍民問わず戦死者が鰻登りに拡大し何処の国でも兵士が不足しており、更にそれに伴う疲弊が蓄積し彼方此方で悲鳴が上がり政府の中にも厭戦気分が蔓延していた。

 

とは言え欧州(ヨーロッパ)の方は概ね史実通りに進んでいったが、アジア方面ではうっかり転生組がいた為に史実通りではなく、海岸沿いの地域は松田率いる第弐艦隊や霧野が所属している第肆艦隊が支援をし、また艦砲射撃の届かない陸地でも航空機を搭載した試作型潜水艦艦隊による夜間爆撃によってアジア各地で日本軍は怒涛の勢いでイギリスやフランス、そしてオランダ等の植民地となっている地域で戦闘を繰り広げて勝利を重ねていった。

 

そして印度洋にて支援をしていた第弐艦隊は、今度はその身を大西洋へと移してドイツ艦隊と戦闘を繰り広げていた。

 

何故なら戦争も末期に差し掛かったこの頃になると、インド洋を担当し精強を誇ったイギリス艦隊も度重なる戦闘によって今やその姿は見る影も無く大半の戦力を失っており、チャゴス諸島に半ば引きこもっている状態であったからだ。

 

そしてドイツはドイツでそのまま進出するのかと思いきや、補給の関係上マダガスカル島の辺りまでしか進出できず、更にドイツ側も兵士が不足していた事からお互いに決め手に欠けるという何とも言えない状態であったが、日本もドイツもインド洋で戦闘をせずに大西洋で戦っていた。

 

と言うのも、もし植民地に近い場所でドンパチをしてると植民地にされてる現地人から日本は敵だと勘違いされてしまう事がある為でドイツ側は上記の通り人手不足が原因であったからだ。 その為イギリスに代わってインド洋の制海権を握った日本海軍は不意の遭遇戦以外では戦わずそのまま喜望峰を越え大西洋まで進出、そこで戦闘を繰り広げていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー1917年(大正6年)12月16日 大西洋 フランス領西アフリカ(現セネガル)沖

 

 

ーードイツ海軍 大西洋艦隊第5潜水艦隊所属

 

潜水艦 U―73

 

 

 

U―73艦長『Wir haben unsere Beute gefunden, es ist die... Die japanische Marine? Ich hatte zwar Geschichten gehört, aber ich wusste nicht, dass sie tatsächlich an diesen Ort kommen würden. Aber egal, wer es ist, wir werden sie versenken. Periskop verkleinern, alle Mann auf Gefechtsstation, Vorbereitungen zum Legen von Minen beschleunigen.』

    〔獲物発見、あれは... 日本海軍か? 話には聞いていたが本当にこんな場所まで来るとはな。 まぁいい、誰が相手だろうと沈めるのみ。 潜望鏡降ろせ総員戦闘配置、機雷準備急げ〕

 

水兵1『Ja, Einsatz ist im Gange.』

  〔了解、配置急げ〕

 

 

 

ここではU―73が日本海軍を発見した為、日本側に気付かれない内に進路上に機雷を敷設するべく攻撃準備に入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

ー日本海軍印度洋派遣艦隊

 

 

第弐派遣艦隊所属 巡洋艦開聞(かいもん)

 

 

音探(ソナー)員「...ッ!!? 八時方向に感アリ!! 敵の潜水艦と思われます!!」

 

艦長「何?! か、艦隊に知らせ! 総員戦闘配置!!」

 

伝令「総員戦闘配置ィ!!」

 

艦長「さて... 見張り、潜望鏡は見えるか?」

 

見張り員「はっ、未だ発見出来ていません」

 

艦長「そうか、、 何とか迎撃が間に合ってくれ...!」

 

 

 

 

 

 

 

ーー旗艦 戦艦柁南(だなん)

 

 

通信士「開聞(かいもん)より八時方向に敵潜の感アリと報告!!」

 

松田「何だと?!(チィッ、また潜水艦とは、、 もう飽きたぜ、、) 全艦戦闘配置! 近場の駆逐艦に場所を知らせて攻撃にあたらせろ!! ...それと砲も何時でも撃てるように指向しておくんだ」

 

水兵等「「はっ!!!」」

 

 

 

 

 

 

ーー駆逐艦 黒南風(くろはえ)

 

 

艦長「総員戦闘配置、魚雷用意急げ!!」

 

魚雷担当兵「......攻撃準備ヨシ!! 何時でも撃てます!!」

 

艦長「うむ、(って)ぇ!!!」

 

 

 

  パシュッ!!

 

 

 

 

ドイツ潜水艦が攻撃準備を進めている一方、この艦隊の耳を担っていた巡洋艦開聞(かいもん)音探(ソナー)によってドイツの潜水艦を発見するや即座に戦闘態勢に移行しつつ艦隊に知らせた、そして艦隊は敵の潜水艦に最も近かった駆逐艦の黒南風(くろはえ)が独潜水艦へと必殺の牙(酸素魚雷)を放った。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

既に日本海軍による反撃があったとは露知らず、U―73の潜水艦は既に勝ったつもりで余裕綽々の態度を取っていた。

 

 

 

 

潜水艦 U―73

 

 

 

U―73艦長『Nun, ist es an der Zeit? Fahren Sie das Periskop hoch. ...Sie rechnen auch nicht damit, von unten angegriffen zu werden.』

    〔さて、そろそろか? 潜望鏡を上げろ。 ...奴等もまさか海中から攻撃されるとは思うまいて〕

 

副艦長『Das ist richtig.』

   〔ですな〕

 

U―73艦長『Und? Mal sehen, wo sind sie...? Hm? Warum sind sie so weit weg? Nein, nein, nein!? Warum sind die Gewehre auf uns gerichtet??! Sie wissen es!?』

    〔さて? どれどれ、奴等の場所は、、? は?何故あんなに離れている? いや、なっ!? 何故砲がこっちを向いている??! ば、バレていたというのか!?〕

 

副艦長『Ist das wahr, Kapitän!!?』

   〔そ、それは本当ですか艦長!!?〕

 

U―73艦長『Ah. Daran besteht kein Zweifel. Wenn sie uns sehen, können wir nicht entkommen, wir müssen kämpfen. Taucht schnell auf, macht das Maschinengewehr bereit und feuert, sobald ihr in Reichwe... Was!!?』

    〔あ、あぁ。 間違いない。 こうなったら奇襲はご破算だ、それに見つかってるなら逃げ切る事も出来ん、戦うしかない。 浮上急げ‼ 機関砲準備、射程に入り次d...「ズガァァン!!!」 ぬわっ!!?〕

 

水兵『Überschwemmung von hinten!』

  〔こ、後部より浸水発生!!〕

 

副艦長『Das ist unmöglich?! Wie konnten sie uns angreifen!!?』

   〔馬鹿な?! どうやって攻撃を!!?〕

 

U―73艦長『Das weiß ich nicht! (Sie meinen doch nicht etwa Torpedos? Aber wie haben sie uns angegriffen?) Auch dieser Ort ist überflutet...!! Das ist das Ende...』

    〔そんな事知るか!(まさか魚雷か!? だ、だが見えない我等にどうやって?)「バシャー―ッ!!」ここも浸水が...!! 此処までとは...〕

 

 

 

しかし日本海軍の放った魚雷は正確にU―73へと命中、そのまま艦尾から海の底へとその身を沈めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

ー日本海軍印度洋派遣艦隊

 

 

ーー旗艦 戦艦柁南(だなん)

 

 

 

見張り員「水柱を確認! 撃沈したものと認ム!」

 

艦橋「「おぉ...!!」」

 

  「これで一先ずは安心ですな」ザワザワ

 

  「えぇ、ですが油断は禁物であります」

 

松田「何とかなったか、良き良き... とは言え諸君、勝って兜の緒を締めよ だ。 艦隊は引き続き警戒を厳となせ。 奴等とてこのまま一隻だけでは終わらんだろう」

 

艦橋一同「「はっ!!」」

 

 

 

日本海軍の魚雷攻撃によってドイツの潜水艦、U―73は攻撃に移る前にその身を漁礁へと変えていったのであった。

そして何故日本海軍は潜水艦であるUボートに魚雷攻撃を仕掛け、そして命中させる事が出来たのか、それは日本艦に搭載している魚雷が全て音波式の誘導魚雷だからである。

この音波式誘導魚雷は音波の跳ね返りに音叉板を使い、相手の出す音に反応すると電流が流れて舵を変えて反射する方に向くのだ。これで自動追尾が可能となっているのでUボートの出すスクリュー音に反応してUボートに向かっていったのである。

 

もう一つの要因としては潜水艦技術が未熟だったのもあるだろう。何故なら当時の技術では水圧に耐えられるほどの船体技術がまだまだ未熟である為に潜水艦も潜望鏡深度までしか潜れなかったからで、日本以外の欧州各国は潜水艦何て物は戦場では全く役に立たないと思っていたからであり、当時潜水艦を戦前から開発していたのはドーヴァー海峡に沈んでいる財宝目的で開発したイギリスと海底の食材を採る目的で開発した日本ぐらいで、実際に第一次世界大戦末期の後期ドイツ製潜水艦は潜望鏡深度が限界で魚雷もなく、機銃若しくは機関砲による掃射以外では専ら偵察ぐらいの用途しか考えられていなかったのだ。

 

なので戦争の初期に使用していた初期型Uボートのうちは機銃と敷設機雷しか無く、また音波探知機(ソナー)も開発出来ておらず、それが無ければ当然ながら聴音士もいなかったので目視がメインでの運用だったからである。

 

戦争も末期になったこの頃で漸く魚雷搭載型の開発にも成功したが、ここでも兵士の不足が足枷となっており例え増産体制が整っていて潜水艦があったとしても、それを扱う人が居ない何て事が日常茶飯事になりつつあり、最早後期型の訓練すら儘ならないのが現状であった。

その為結局は生き残っている従来の機雷型が殆どの任務を請け負っており、また音探に関してはその後の同盟関係になった後の技術協力まで待たねばならない程であった。

 

その為先に音探を開発・装備している日本艦に先に発見されてほぼ一方的に狩られているのが現状であった。

 

 

 

 

 

 

 

松田「(しっかしまぁ、これで何隻目だ? 奴等艦隊の前に潜水艦を差し向けるとは... もうマジで勘弁してくんねぇかな...)」

 

 

 

松田率いる第弐艦隊の受難は続く......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーー

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

所変わって...

 

 

 

ーーギリシャ アテネ湾

 

 

 

 

 

 

 

??『Schließlich erreichten wir den Golf von Athen...』

  〔ようやくアテネ湾まで来れたか... 〕

 

??『Genau. Übrigens, Adolf, was wirst du jetzt tun? Ups, du bist jetzt Oberstleutnant und führst ein Bataillon an~. Er hat großes Glück.』

 〔だな。所でアドルフ、これからどうする? おっと今や大隊を率いている中佐殿だったな~。 全く運のいい奴だ〕

 

アドルフ『Machen Sie sich nicht über mich lustig. Sie sagen das, aber Sie, Herr Müller, leiten eine andere Einheit, genau wie Sie selbst... Aber vielleicht wird es ja zur Verteidigung des Heimatlandes eingesetzt?』

    〔からかわないで下さい。そう言うミュラーさんだって自分と同じく別の隊を率いているじゃないですか... とは言えそうですね、恐らくは祖国の防衛にでも回されるのでは?〕

 

ミュラー『Auch wenn es nur verwundete Soldaten gibt, so weit das Auge reicht?? ...Ich habe genug von der Wüste.』

    〔見渡す限り負傷兵しか居ないのにか? ...もう砂漠何て懲り懲りだわ〕

 

 

 

ここギリシャにある港の一つであるアテネ湾でも奥地にあるコリントス湾では、彼等の言う通り乗船している輸送船はもとより近くの病院だけでは収まらず、民家や道端にまで負傷兵が治療を受けているという悲惨な状況であったのだ。

と言うのも上層部である貴族連合軍は勢いに乗って中東にも戦線を拡大した所までは良かったのだが、砂漠での戦闘に慣れていなかった為に苦戦を強いられており各所で多くの戦死者を出し敗走している有様であった。

 

かく言う彼等も戦争の末期辺りにセルビア方面から中東へと転属されたのだが、悪運が強いのか少し離れた場所にあるトイレに行ってる時に所属部隊が襲撃されたり、そこからまた転属して別の部隊に配属されたと思いきやその部隊でも深夜の熱波で寝付けず近くの森へ涼みに行ってる間に所属していた部隊のテントが敵に攻撃を受け全焼したり、挙句の果てに敵からの攻撃によって補給を失い始めて散々な目に遭っていた中で運良くオスマントルコを経由してそこから何とかギリシャまで帰還する輸送船に乗る事が出来たのも束の間、此処でも安堵する暇も無くここでもイスラムからの追撃を受け、その時に同じく別の戦闘地域から敗走し、命からがら港まで逃げて来た別の連合組織の兵士達もいたのだが同じ欧州白人主義者という事で追撃して来た敵を何とか協力して退けて漸くギリシャまで撤退する事が出来たのだ。

 

だがこの結果として、彼等アーリア民族主義は多大な戦費と失った同胞の数だけ国力を維持できず、また支援の手を差し伸べたオーストリアも賠償収益乏しく、まだ兵器機械化の恩恵を持っていたドイツに政治経済を委ねなくてはならなくなったのであった。。。




去年の10月初旬頃に三笠を見に行く機会がありましたので見に行きましたが... 丁度補修工事をしている時だったみたいで一番下の展示区画は見れませんでした(泣)

でも実際に見てみると、如何やら本来は主砲塔が3基あったのと副砲の数が外見よりも多い事が分かりましたし中に入ると前艦橋と煙突の間付近の天井に不自然な四角い溶接後があったので形状的にもしかしたら三笠は空母に改装されてたっぽい?



【挿絵表示】


↑艦橋直下の主砲塔で前後に設置してあるモノより一回り程小さいので、恐らくはイギリスで建造された当時に向こうで搭載された主砲だが小さかったのでこっちに来てから取っ払って大きい今のモノを搭載したようです。また床を見ると当時の主砲塔を支えていたと思われる支柱の跡もありました。




【挿絵表示】


↑他の天井と違い何故か大きな鋼板を更に溶接しているので多分... 航空機用か何かの昇降機跡?




【挿絵表示】


↑ちょっと撮る時にブレてしまいましたが... 格納砲の跡で此方も壁に塞いだ跡があるが扉の様な形状で、床を見ると此方も旋回用と思われる跡が確認出来ます。




【挿絵表示】


↑確か後部甲板下の第二主砲の更に艦尾に近い所(だった筈(汗))の天井に第三主砲の跡っぽいモノが塞いでありました。


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