ありふれない名も無き英雄は世界最強(本編一応完結) (紅しげる)
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始まりがあれば終わりもある

主人公の最初の物語↓
https://syosetu.org/novel/244564/

主人公の2つ目の物語↓
https://syosetu.org/novel/258431/

上の2つを読んでからこっちを読んでください。いきなり読んでも意味わからないと思うので。上の2つを読むとだいたい主人公についてわかると思います
※上の2つを読まずにこっちを読んで、あれこれ言われても無視します。


これはある夜の話。戦場を生き抜いた男の目の前に光り輝く何かが降りてきた、光は次第に人の形になり腕には一人の赤ん坊がいた

 

その女性は言った。

 

「この子を育ててください」

 

それだけだった、男は赤ん坊を受け取り言った。わかったっと…その言葉を聞くと女性は光になり、消えていった。その男の名は紅蓮 黎斗。家族は居らず、家には奇跡の駆逐艦「雪風」の写真が1枚飾られていた。黎斗は赤ん坊を育てたことがない。そして、黎斗はこの赤ん坊の首に首飾りがあることに気づいた。神から渡された子を育てようと決めたが、何をすればいいのかわからなかった。知り合いにこの前産まれた赤ん坊がいるの思い出し、すぐに連絡を入れた。

 

『もしもし?』

 

1コールで出てくれた。そこから俺は起きた出来事を全て話し、赤ん坊の育て方について色々教えてもらった。

 

「ありがとう」

 

『いや、それよりも君は良く落ち着いてるね。夢だと思ってるのか?』

 

「いや、考えるのを諦めたんだよ。なんで自分なんかに渡したのかは……会えたら聞けばいい」

 

『そうか、それじゃお互い頑張ろうか。それじゃ』

 

その言葉が聞こえ電話を切った。

 

「独身で1児の親か…この子の名前はどうしようかな」

 

黎斗は考えた。この子の名前を、そこで思いついたのが

 

「よし、紅蓮零にしよう。これからよろしくな、零」

 

この時、誰も気づいていなかった。首飾りが光ったことに………

 

そして、あれから3年の年月が経った

_________________________

僕の名前は紅蓮零。物心ついたときからこの首飾りをつけていた。お父さんから命のことや、戦争のこと、戦場や武器などを教えてもらった。今日、ある荷物が届いた。それをお父さんは軽々しく持ち上げた。僕には持ち上げられないとわかり、言った

 

「お父さん!僕、強くなりたい!」

 

お父さんは自分が使っている重たそうなものなどを持ってきた。だが、どれも無理だった。

 

「そう言えば、近くに道場があったっけな。剣道だったかな、どうだ?零。剣道、やってみるか?」

 

僕はけんどう?と言うのを知らなかった。だから気になりやろうと思った。

 

「よし!それじゃぁ道場に行こうか!」

 

お父さんが外に行く準備を始めた。僕は何も準備せず、首飾りだけを持って行った。

 

「お父さん、あれなに?」

 

僕は気になったものを見つけ、お父さんに聞いてみる。

 

「あれは…っ!!!危ない!!!」

 

急にお父さんが叫んだ。僕はお父さんに押され、転んだ。その直後。何かが何かにぶつかった音がした。振り返ると

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それを見て、意識を失った

_________________________

僕は知らない場所に立っていた。だけど、知らないはずなのに知っている感じをした。()()()()()()()()()()。何かは僕の方を向き、喋った。だけど、何も聞こえなかった…

_________________________

僕は目を覚ました。夢を見ていた感じだけど、何も覚えていなかった。ここはどこだろう

 

「知らない部屋だ…」

 

そう思っていると、部屋のドアが開き、知らない人が立っていた。

 

「はじめまして、零くん。南雲愁だ。君のお父さん……紅蓮黎斗の親友。友達だ」

 

「お父さんの?…っ!!あの後、お父さんはどうなったんですか?」

 

「……残念だけど…」

 

その言葉を聞き、僕は涙を流した。自分を育ててくれた人がこの世を去ってしまったからだ。

 

「そうですか…お父さんは死んでしまったんですか…」

 

愁さんは驚いた

 

「なんで子供にそれを教えるんだろうね、君は…。零くん、君のお父さんが最後に君を俺に育ててくれと頼んだ。君は俺の家に来るかい?」

 

お父さんが…

 

「行きます」



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剣道、始めます

僕は南雲家で住むことになった

 

「はじめまして、私の名前は南雲菫、こっちはハジメって言うの。よろしくね?」

 

「は、はじめまして。ハジメです」

 

「僕の名前は紅蓮零…よろしくね」

 

挨拶を交わし、自分の部屋に行った。前の家に飾っていた写真と愛枕を置いた。

 

「この写真…なんで飾ってたんだろ……」

 

後ろにいた愁さんが教えてくれた

 

「それはアイツの祖父が乗っていた船だからだ」

 

それから下に降りてご飯を食べた。この家に来てからの最初のご飯。賑やかで楽しい。そう思った。

_________________________

あれから一年の年月がたち、僕は自分がしたいことを思い出し言った

 

「愁さん、僕。剣道を習いたいです」

 

「それまたどうして、」

 

その問に僕はお父さんに言ったのと同じことを言った

 

「強くなりたいからです。強くなって、自分の大切な人ができた時、守れる男になりたいからです」

 

「そうか…確か、アイツは神の子って言ってたっけ…物覚えいいし、いいだろう。近くにちょうど道場があるし」

 

それから僕は外に出る用意をした

_________________________

あの子は、どうして親が目の前に死んだのにあんなに元気なのか、わからなかった。だが、アイツに色々教わったのだろう。現実のことや、命の大切さなどを。あと、あの首飾りがあの子の支えになっているって言ってたな。

 

「さぁ、道場に着いたよ」

_________________________

「さぁ、道場に着いたよ」

 

道場に着いたらしい。門の前に一人の女の子がいた

 

「あのぉ…入門希望の方でしょうか…」

 

「にゅうもん?」

 

僕は知らない単語を聞き、首を傾げる

 

「そう、この子が剣道を習いたいと言い始めてね。君は?」

 

「自己紹介がまだでしたね、私は八重樫雫と言います。ここの道場の師範の孫です。よろしくおねがいします」

 

「僕の名前は紅蓮零だよ。よろしくね」

 

それから八重樫さんの案内を受け一室に来た。

 

「おじい様、入門希望の子供を連れてきました」

 

「うむ、雫。下がりなさい」

 

「はい、おじい様」

 

そこに座っていたのは一人の老人だった。だが、かなり強い。ん?少し気になったことがあったので後に聞くことにした。八重樫さんは部屋から出た。

 

「よく来たね。儂の名前は八重樫鷲三。入門希望だったかな?」

 

「はい」

 

そこから真剣な顔になり、僕に聞いてきた

 

「君は何をしにここに来た?何を学びに来た?それだけ教えてくれ」

 

僕は聞かれて答えた。答えになっているのかわからないけど言った

 

「ここに来た理由は、強くなりたいからです。何を学びに来たかは。大切な人を守る方法を学びに来ました。まだ、大切な人はいないけど…」

 

「なるほどのぅ……うむ。ようこそ八重樫流へ、歓迎しよう」

 

「ありがとうございます。あ、一ついいですか?」

 

僕は気になったことを聞くことにした

 

「なんだね?」

 

「鷲三さんはここに何時間いたんですか?」

 

「む?3時間じゃが、それがどうし「何故、ホコリを被っていないのですか?」……なに?」

 

「数時間もいれば少しはホコリが何処かにつくはずです。ですが、どこにもついていません。ずっといたと言うのは嘘なのではないですか?」

 

実際、鷲三さんがいた場所にはホコリが落ちていた。鷲三さんがいれば少しはホコリがない場所が生まれるはず。なのに、鷲三さんがいた場所にはホコリがない場所がない。

 

「あと、上の天井に誰かいますよね?盗み聞きですか?」

 

その瞬間、天井で物音がした

 

「……君は凄い子だ…」

 

その後、僕達は帰った。鷲三さんは「あの子はヤバい」見たいな顔をしていた



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最悪だ

ヤバい、不定期ってこと忘れてた。まぁいいかな


あれから2年、僕は7歳になった。ある日、八重樫さんと公園の入口付近で出会い、話をしていた。

 

「そうなんだね。いつも思うんだけど、その首飾り…物凄く綺麗だね、どこで買ったの?」

 

「わからない、親から聞いたときは生まれたときからずっと首飾りを持ってたんだって。食べようともせずね」

 

「そうなんだね」

 

八重樫さんの後ろから何かが来ていた。あれは………トラック?!!!ガードレール壊しながらこっちに来ていた。

 

「八重樫さん!!!」

 

「え?」

 

僕は八重樫さんを公園のほうに思いっきり押した。トラックは物凄い音を立てながらこっちに来ていた。避けようと思ったが時間がなかったため、僕はトラックに跳ねられた。トラックのスピードは下がっていたが、7歳の子供は普通に死ぬスピードだ。僕は意識が落ちる前にトラックを見た。あの感じ……運転手は死んでる?!それに、車のタイヤが一つだけない。そりゃぁ制御できないよ……。そこで意識が落ちた

_________________________

私、八重樫雫は公園で紅蓮くんに出合い、話をしていた。突如私の後ろから物凄い音が鳴り始めた。後ろを振り返るとトラックがこっちに来ていたのだ。トラックの後ろと前の左側のタイヤがなかった。そして、私は紅蓮くんに公園のほうに押された。紅蓮くんの方を振り返ると一人の男の子が宙を舞っていた。紅蓮くんだ。

_________________________

僕は知らない場所に来ていた。だけど、知っている感じがした。そこに一人の女性が立っていた。女性は僕の方を向き、口を開いた。

 

大丈夫、私達が着いてる。死なせはしない

 

何を言っているのか僕には聞き取れなかった。女性が腕を前に上げた瞬間、僕は…何かに引っ張られる感覚を受けた。最後にこんな言葉が聞こえた

 

「首飾りこそが羅針盤。首飾りが道を示してくれる」

_________________________

僕は目を覚ました。横には僕の手を握っている菫さんと愁さん、ハジメくんに八重樫さん達がいた。

 

「こ…こは?…」

 

僕の声を聞き、皆は顔を上げた。南雲一家は嬉しそうに泣き、八重樫一家は安心していた。特に八重樫雫が

 

「零、大丈夫か?記憶はあるか?」

 

「うん、記憶は…ある」

 

そこに医師が入ってきた

 

「これは奇跡としか言いようがない。この首飾りこそが。この子の心臓なのかも知れない」

 

そこでも誰も気づいていなかった。首飾りが光っていることに。

 

「零くん、ありがとう。雫を守ってくれて」

 

「鷲三さん、僕…………いや、俺はこんな時があるかも知れないから強くなりたいんです」

 

「あぁ…あぁ!儂がお前を強くする。だが、厳しい道のりだぞ?」

 

「そんなもんはわかってる。俺は決めたからな」

 

俺は物凄く頑張った、頑張った結果。気配を探れるようになった。あと、俺と雫は名前を呼び合うようになった

_________________________

現在、俺達は小学三年生。ハジメは俺の指導の元、目を閉じて気配を感じて攻撃を避ける特訓をしている。この付近では俺が1番上らしい。髪を切ることをあんまりしていない為、物凄く髪が長い。菫さんにポニーテールにされた。そして、去年から数名がここに通い始めた。俺は現在、1室で木刀を鞘に収め、構えて瞑想をしている。何故かわからないが、このポーズが1番落ち着く。そこへ、雫がやってきた。

 

「零、連れてきたよ。みんな、こっちが言っていた紅蓮零だよ」

 

自己紹介を始めたようだ。俺は返事をしないが聞くだけ聞く。元気がいい女子が来た

 

「髪長くて綺麗だね!あ、私の名前は白崎香織!よろしくね!」

 

「おう、お前が雫が言ってたのか。俺は坂上龍太郎だ!これからよろしくな!」

 

俺はもう一つ、怒りの気配を感じた。そいつはドカドカとデカい音を立てながらこっちに来た

 

「おい!お前、雫とどういう関係だ?!お前、雫から離れろ!()()()()()()()()()気か?!おい、なんとか言え!!」

 

その言葉に俺は耳をかさず、頭に蝶が乗ったのを感じていた。ほんの少しの変化を感じれる事ができるようになった。

 

「ちょっと、光輝!それどう言うこと?!あのトラックは零のせいだって言うの?!」

 

「実際そうだろう!コイツが雫と居たから起きたんだ!!雫、コイツなんかといてはいけない!俺と一緒にいるんだ!!」

 

何か揉め事をしているが無視………したかったのだが、あのトラック事件が俺のせい?ちょっと聞き捨てならないな。だが、そろそろあの時間だ。こんなヤツに時間を使ってる暇はない。今日は、父さんの命日だからだ。俺は瞑想をやめて雫のほうに向かった

 

「雫、そろそろ時間だから俺は行く。この前の約束はこっちで決めてもいいか?」

 

「あ、そっか。そろそろ時間だね。うん、約束はそっちで決めていいよ」

 

俺はうるさい奴の横を通り、帰ろうとしたが…

 

「おい待て!逃げるのか?!話はおわってないぞ!」

 

肩を掴まれた。

 

「なにかな?俺は勝負のことも何もしていない。それに俺は雫との話は終わっている」

 

「ふざけるな!俺との話がまだ終わっていない!!お前、雫から離れろ!!!お前のようなやつを雫のそばにはおけない!!雫、危険だから彼に近づいちゃいけない!」

 

「………そう言えば、君はあのトラック事件を俺のせいにしたな?」

 

「実際にそうだろ!!!」

 

俺は殺気を少し高めに出して聞いた

 

「お前は、()()()()()()()()()?()()()()()()()()()()調()()()()()()()?」

 

「え…?」

 

「え、じゃねぇよ。あの現場で調査して俺のせいにしたのか?って聞いているんだ。もし、あの場にいなかったのなら言わせてもらおうか」

 

俺はもう少し殺気を出した。周りでは、アリの大群はいっせいに巣に帰り、鳥たちは羽ばたこうにも怖くて動けない状態でいた。飛んでいた鳥は落ちてしまっていた

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



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まぁ、いいやつだったよ。今日あったばかりだけど

お気に入りの数が増えてる。まだ4話しかないのに。


俺がこの男が言った言葉に怒りを覚えていた

 

「雫!こんな危ないやつと友達なのか?!今すぐコイツとの関係をやめるんだ!!」

 

「ちょっと光輝!失礼じゃない?!初対面でそんな事を言うのは!」

 

「そうだよ光輝君!!初めての相手にそんな事を言っちゃいけないよ!!!」

 

「そうだぜ光輝!!流石に駄目だろ!!」

 

「なっ?!!なんで皆、こんなやつを庇おうとするんだ!!」

 

話し合いを始めたようだ。もう時間がない。愁さんが迎えに来る時間だ

 

「なぁ、アイツっていつもあんな感じなのか?」

 

「ううん、いつもはもっと冷静だよ。でも今日はなんか変。」

 

「一応、アイツの名前を聞いていいかな?」

 

「うん。彼の名前はあm「っ!!危ない!!」え?」

 

白崎香織だったか?がコイツの名前を言おうとしたとき、この男は竹刀で俺を叩こうとしていた。俺はいち早く気づき、木刀で竹刀を折った

 

「たくっ、アブねぇな…コイツらに当たりそうだっただろうが!!」

 

周りにいた全員が驚いていた。この男が持っていた竹刀が折れているからだ。

 

「ねぇ光輝。彼に何をしようとしたの?」

 

雫から静かな怒りを感じれた。俺は二人に怪我はないか聞き、男の方を向いた

 

「お前、雫の友人関係を壊して何がしたいんだ?」

 

その問に彼は意味わからん事を言い始めた

 

「お前が雫と友達?そんなの()()()()()()!!雫がお前なんかと友達になるはずがない!!」

 

雫や香織、龍太郎。そして周りに隠れている大人たちが驚いていた

 

「雫の関係はお前が決めることではない。雫が決めることだ、何故お前に認めてもらわなければならない?」

 

その言葉を聞いていなかったかのように男は言った

 

「決闘だ!!!!」

 

「誰と決闘をするんだ?」

 

彼は顔を真っ赤になり、怒鳴った

 

「お前とに決まっているだろ!!!そして誓え!!俺が勝ったら()()()()()()()()

 

「ちょっと!!どうして決闘に私の名前が出てくるわけ?!」

 

「大丈夫だ、俺は負けない!俺がお前を守る!!」

 

「「「「「は?」」」」」

 

その場にいた全員が聞いた。俺が守る、その言葉を

 

「あの場にいなかったお前が雫を守れるわけないだろ!!それに俺にメリットがない。俺が勝ったらどうなるんだ?」

 

そう、この戦い。俺にメリットがないのだ。彼にしかメリットがない。これでは決闘をする意味がない

 

「何度も言わせるな!!俺はお前なんかに負けない!!!お前にメリットがなくて当然だ!!」

 

「そうか、だがな。生憎、俺は決闘をしない」

 

「逃げるのか?!戦うのが怖くなったか?!!」

 

意味わからん。コイツは何を言っているんだ?

 

「俺にはこの後、お前なんかと決闘するほど暇ではない」

 

その言葉の後に言った彼の言葉に俺の中の何かが切れた。

 

()()()()()よりも俺と戦え!!」

 

は?

 

そんなことだと?

 

「ちょっと光輝!何も知らないのにそんなこと言っちゃ駄目でしょ!!」

 

「なんで止めるんだ雫?!はっ、もしかしてコイツに脅されているのか?!!おい、お前!!今すぐ雫を開放しろ!!!!」

 

お前は、親の墓参りをそんなことですませるのか

 

「は…?なにを言って…」

 

「零くん、喧嘩は剣道で勝負をつけよう。ここは道場だしね。」

 

俺はコイツを無性に殺したい。そう思っていた。だが琥一さんが来た。琥一さんの通り俺は決闘をすることにした。武具を着け、瞑想を始めた

 

「光輝くんはやらないのかい?」

 

琥一さんの言葉に彼は急いで武具を着け……ずに言ってきた。

 

「琥一さん、俺を馬鹿にしてるですか?あんなヤツに負けませんよ」

 

「ほう。君は初対面の相手に余裕だね」

 

「おい!お前!!もう一度言う!!ここで誓え!俺が勝ったら雫に近づくな!!」

 

俺は彼が誓え誓えうるさいのでこちらも言った

 

「あぁ、誓おう。俺が負けたら()()()()雫に近づかない」

 

彼は少しだけニヤけたように感じた

 

「え?!ちょっと!!」

 

「だが、お前が負けた場合、この道場を出ていってもらう」

 

俺にメリットがない以上やらない。だから、こちらも条件を出した

 

「それはお前が決めていいことではない!!!」

 

「それだとお前もそうだろ?雫の友人関係をお前が決めていいことではない」

 

「いや、その条件で決闘じゃ」

 

そこに鷲三さんが来ていた。鷲三さんは一部始終見ていたらしい。決闘の条件を認めてくれた。

 

「零くんが負けたら雫と別れる。光輝くんが負けたらこの道場から出ていってもらう。流石に長引かせるのは行けない。一度きりの勝負じゃ。竹刀が体に当たれば終了。両者、それでいいな?」

 

「「はい」」

 

俺達はその条件で決闘を始めた。

 

「それでは………始め!!!」

 

最初に出てきたのは彼だった。彼は構えも何もなしでこちらに来て竹刀を振り下ろした………いや、これはどちらかと言う暴力に近いだろう。ただ力任せに竹刀を振り回していた。俺は当たることもなくすれ違うように避け、体に当てた。

 

「終了!!勝者、紅蓮零!!」

 

俺は武具を外し、入口付近に愁さんの気配を感じた。後ろから物凄い憎しみや怒りを感じたが無視した。

 

「約束は約束じゃ、天之河光輝を破門にする!!!」

 

その言葉を聞き、俺は愁さんの方に向かった。その後、父さんの墓参り?をして帰った。



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新しい友達

アイツ………結局名前何なんだ?まぁいいか。俺は今、ハジメと一緒にゲームソフト3つ、漫画を十冊買いに来ていた。え?量が多いって?そこは気にするな!

 

「えっと…あ、あのお店だよ」

 

「へぇ〜、ここなんだな」

 

俺達は店に来たのだが、お店の前に一人の男の子がいた

 

「クソッ!なんで開かねぇんだよ!壊れてんじゃねぇのか?!開け、開けって!!!」

 

俺達はソイツに話しかけた。

 

「おいお前、何やってんだ?ドアの故障で開かないのか?」

 

「え…?」

 

「「え…?」」

 

俺が近づくとドアは開いた。そいつは俺らの方に来て言った。

 

「なぁ!お前、俺の姿が見えるのか?!見えてるんだよな?!」

 

「だぁーっ!ルッセぇなぁ、近所迷惑だろうが!!」

 

「いや、零のほうがデカいよ。えっと、はじめまして。僕の名前は南雲ハジメ、こっちは紅蓮零。よろしくね。君は?」

 

おいハジメ、俺は一人で自己紹介できるから言わなくていいぞ

 

「あぁ、俺の名前は遠藤浩介だ!よろしくな!」

 

「君は何を買いに来たの?よかったら一緒に行かない?」

 

「お、マジで?ありがとう!ドアが開かなくて困ってたんだよ」

 

俺達は店に入り、目当ての物を探していた。3人別れて探していると、ハジメが熱中しているときの反応を感知し、向かった。ハジメの隣に人の気配があったから、ソイツと意気投合でもしたのだろうか。ハジメに友達ができたことを愁さんと菫さんに伝えることにした。

 

「浩介…コイツァ…ヤベェぞ……」

 

「あぁ…これはヤバい……」

 

俺達は目の前にある物に興奮していた。

 

「「なんでこんな所に……最新型の掃除機が売ってるんだ……?ここゲーム屋のはずなんだが」」

 

そんな感じでいると、ハジメが知らない男を連れてきた。さっき話してたヤツだろう。

 

「あれ?二人とも何してるの?」

 

「「見ろよハジメ、昨日発売されたばっかの最新型の掃除機が売ってるぞ。あと、後ろのヤツは誰だ?」」

 

「あ、えっとね。さっき偶然出会ったんだ」

 

「そうか、俺は紅蓮零だ。零って呼んでくれ、よろしくな」

 

「俺は遠藤浩介だ。影が薄いから後ろから驚かすかもよ」

 

浩介、お前そんなこと、するんか…

 

「あ、あぁ。俺は清水幸利って言うんだ。さっきハジメと買おうとしていたゲームが同じでな。話すと楽しくてな」

 

コイツはオタクなのか?オタクなら、ハジメと仲良くなっても普通か。コイツァ、親御さんに連絡だ!!!

 

「なぁ、明日。一緒に遊ぼうぜ!」

 

浩介が言った。仲良くなる良い機会なのだが、

 

「悪ぃ、俺は明日用事あるからパスで頼む」

 

「あ、そっか。明日だったっけ。僕は遊べるよ。清水くんは?」

 

「幸利でいい。俺も明日は暇だ」

 

明日の集合場所と時間帯を決めて、俺たちは買う物を買い、途中で別れた。

 

「愁さん、菫さん。ハジメが今日、俺以外の友達を作りましたよ〜」

 

それを聞き、二人は喜んだ。ハジメが少し照れくさそうにしていたが気にしない。菫さんが俺以外の友達を作ったら、俺ら二人にスマホを買うって言ってたっけ。小3にスマホはまだ早いと思ったのだが、二人の仕事がこれから忙しくなるため、家にいる時間も少なくなるからだそうだ。

_________________________

翌日の話、俺はあるスーパーにいた。雫にプレゼントを渡そうと思ってな。だが屋上へ一人の少女が上がっていくのが見えた。俺はあとを追いかけた。なぜだかわからないがこのままだと駄目だと思ったからだ。

 

「ここからなら……」

 

最悪の予感が的中した。少女は飛び降りようとしていた。俺は慌てて止めに入った。

 

「おい!お前、死ぬ気か?!アブねぇだろうが!!」

 

俺は彼女の手を引っ張り、止めた。彼女は痩せ細っていた。と言うか、上りたくても上れない身長だった。

 

「離して…私を早く…解放させて…この…私の居場所がない……世界から…」

 

「何があったかは知らねぇが。お前の居場所はこれから作ればいいだろ?今日と明日だけ生きて、それでも死にたいなら死にやがれ、」

 

本来なら俺が止めていいはずないなが、何故か止めたくなった。

 

「わかった……でも私…家がない…住む場所もない…」

 

ウッソだろお前、だからそんな痩せ細ってるのか。

 

「だったら俺の家にこい。保護者には俺が何とか説得させる。そう言えば、お前の名前は?」

 

「……中村恵理」

 

「俺は紅蓮零だ。零って呼んでくれ」

 

と言うわけで、公衆電話で愁さんと菫さんに電話をかけた。

 

『もしもし?どちら様ですか?』

 

「零だけど、」

 

『零か?どうしたんだい?』

 

「自殺、阻止、少女、家なし、迎え。Are you ok?」

 

それを聞き、愁さんが電話を切り、車で迎えに来てくれた。菫さんもいることにはツッコまない。家に着くと、菫さんが恵理を連れて風呂に入りに行った

 

「そう言えば、零は何をしに行ってたのかな?」

 

「これを買いにな、」

 

俺はノートと鉛筆を見せた。ちょうど無くなりかけていたから買っていた。数分後、ハジメが帰ってきてた。その後、菫さんと恵理が風呂から上がった。

 

「ハジメ、紹介する。この子は今日と明日だけいる予定の中村 恵理だ」

 

「はじめまして、南雲ハジメです。」

 

恵理は菫さん以外の全員を少し警戒していた。男だけ?男になにか、トラウマがあるのか?

 

「恵理ちゃん、大丈夫。みんな怖くないから」

 

菫さんの言葉を聞き、俺たちの方に歩み寄ってきた。

 

「あ、中村さんはマンガとか読む?」

 

ハジメの問に恵理は少し首を傾げていた。マンガを知らないのだろう。

 

「恵理、ハジメが持ってくる本は面白いのが多いから。楽しみにしな」




えぇ〜っとですね。アンケートなんですが。一つだけ項目を忘れてたのでもう一度します。本当に申し訳ございませんでした。


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ペット飼いたい……

お気に入り数よりもアンケートの回答数のほうが多い謎


恵理はハジメが持ってきた少女漫画を読み、少し楽しそうだ。俺はハジメとゲームをしていた。やはり、楽しい時間はすぐに消えてしまう。

 

「ご飯できたよぉ〜」

 

菫さんが飯を作ってくれたらしい。俺はゲームを早急に終わらせ、食卓についた。

 

「零って、あのゲーム得意だね」

 

「ん〜、俺はどういう系が好きなんだろうな」

 

菫さんが恵理がいる部屋に向かい、恵理を連れてきた。片手に漫画を持っているが気にしない。

 

「そう言えば、ハジメは浩介と幸利と何して遊んだんだ?」

 

「カードゲームだよ、全員3勝3敗した」

 

綺麗に揃ったな。菫さんが恵理に話しかけていた。

 

「恵理ちゃん、楽しいでしょ?」

 

恵理は頷き、俺の方に来た。漫画を置いて俺の隣に座って食べ始めた。南雲一家がこっちを見ていたが気にしない。

 

「恵理ちゃんは零くんのこと好き?」

 

恵理は首を傾げてこっちを見てきた。いや、こっちを見られても困るんだが、誰か助けて。そこでハジメが言った。

 

「零は先に風呂に入ってて、昨日買った防水のゲームをやろうよ」

 

「愁さんが許し「ハジメ、流石に風呂は駄目だ」らしいぞ」

 

ハジメはえぇ〜(´・ω・`)見たいな顔をしていたが気にしない。恵理と俺は飯を食い終わり、ソファーでテレビを見ていた。

 

「愁さん、俺専用のパソコンが欲しい」

 

「ゲーミングだね、次のテストで百点を取ればいいよ」

 

ん??俺、テスト百点なんだが?

 

「ハジメも零に勉強を教えてもらって百点を取れば買ってやるぞ」

 

するとハジメの目がキラ~ンと光、俺は部屋に入れられた。漫画やゲーム機を机の上から退かし、勉強を始めた。ハジメは俺のせいで覚えるのが得意になり、数十分で百点取れるくらいの知識を得た。次のテスト百点確定演出出た。

_________________________

テストの日になり、俺たちは無事に解答欄が全て埋まった。テスト返却が楽しみだ。

 

「ハジメ、お前はなんのゲームを買うんだ?」

 

「僕は………何を買おうかな。零は?」

 

「俺は色々だ。ペット飼いたい………愁さんに頼むか」

 

「なに飼いたいの?」

 

ペット飼いたくない?癒やしを飼いたいわけ。

 

「俺は狐とオウムと鷲と蛇飼いたい」

 

「狐って飼えるの?鳥と蛇を一緒に買うのはどうかと思うよ。この前、図鑑でオウムを見たけど、飼えるの?途中で投げ出さない?」

 

俺がペットの世話を投げ出すわけ無いだろ。

 

「安心しろ、1から育てるから」

 

俺達はそんな話をしながら帰った

_________________________

俺達は家に帰り、愁さんに頼んだ。

 

「零の貯金残高は?」

 

「お父さんの遺産があるけど?」

 

「待った、アイツって確か……大手企業に働いてなかったか?確か年収が1億行きそうだとか行かないだとか…………」

 

いや、どんだけ給料高いんだよ。家と車買えるぞ。え?なんで遺産が俺にかって?そりゃぁオメェ。二次創作だから現実と色々違っても……いいよ···‥ね?

 

「そろそろ家を変えたかったし、いいだろう。家探しだ」

 

俺は愁さんが家を探している間、恵理を自室に呼んだ。

 

「……なに…?」

 

少し警戒気味だが関係ない。

 

「2日過ごしてどうだった?まだ死にたいと思ってるか?」

 

恵理は少し悩み、首を横に振り言った。

 

「生きたい…死にたくない」

 

「生きてりゃ幸せになれる(多分)から、生きようぜ?」

 

恵理は頷き、菫さんのところに行った。

 

「みんな、新しい家が近くにあったから、こんど見に行くぞ」

 

そう言えば、雫が近くに新しい大きい家ができたって言ってたっけ。

 

「そう言えば、恵理は養子として迎えるんだよな?愁さん」

 

「そのつもりだが?」

 

「紅蓮と南雲。どっちの名前になるんだ?」

 

「それは恵理に決めてもらおう」

 

俺は恵理を呼び、南雲と紅蓮。どっちの名前がいいか聞いた。

 

「紅蓮がいい…」

 

「その場合は俺の妹になるぞ?いいのか?ハジメのほうが楽しいぞ?」

 

恵理は首を横に振った。

_________________________

あれから数週間、新しい家を見に来ていた。恵理は俺の妹になり、浩介と幸利に言ったら「お前が妹の面倒見れるのか?」とか言われたのでゲームでやり返した。



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引っ越しと転校

浩介と幸利に色々言われた後、家を見ていた。実のところ、浩介たちと距離があるだけではなく、学校も違うのだ。恵理は雫や浩介たちと同じ学校らしく、ちょうどよかった。

 

「転校だってよハジメ」

 

「そうだね。零はこの学校に友達はいないの?」

 

「逆にいると思うのか?いないぞ」

 

俺達はそれぞれの部屋の片付けをしていた。

 

「愁さんは父さんと知り合いだったんだよな?この写真について知ってるか?」

 

俺は片付けていると一枚の写真を見つけた。部屋に飾っている雪風の裏から出てきた写真だ

 

「ん?あぁ…これはアイツの祖父さんだ。この船の乗組員だったらしい」

 

「そうか…」

 

「あ、お前ら二人とも百点を取ってたな。約束通りパソコンを買ってやるが、新しい家についてからな?ペットを飼うのも」

 

はよ飼いたい。そう言えば、雫がいるってことは……アイツもいるのか?いやだなぁ……

 

「零、片付け終わったら道場に引越しをするって言っとけよ?」

 

「あぁ、わかってる。愁さん、新しい家に地下があるのマジ?」

 

「そうだが…何に使うんだ?」

 

「実験にだ」

 

俺は部屋を片付けた後、道場に行った、鷲三さんと琥一さんと霧乃さんと雫に引っ越しと転校する学校の名前を言った。

 

「私達と同じ学校だね」

 

その後、俺達は新しい家の新しい部屋に荷物を置き、寝た。明日は学校だ…

_________________________

俺達は新しい学校に来ていた。自己紹介?名前だけでいいだろ。

 

「紅蓮零だ。よろしくな」

 

ハジメと同じくクラス、浩介と幸利と雫と同じクラスだった。恵理は別クラスらしい。最近お兄ちゃん呼びをしてくるが……まぁ、深い意味はないだろう。香織や龍太郎はここのクラスではないことを雫から聞いた。

_________________________

〈恵理視点〉

私は中村恵理…いや、紅蓮恵理。今は南雲家に住んでいる。私が住み始めるから家を変えるらしい。そのため学校も変わってしまった。今は新しい学校に来ている。お兄ちゃんとは別のクラスだった。

 

「紅蓮さんは…あ、ちょうど天之河くんの隣が空いてますね。そこに座ってください」

 

先生に指示され指定された席に座った。隣の席の子が喋りかけてきた。満面の笑みをしながらこちらを見ていて少し怖かった。

 

「俺の名前は天之河光輝って言うんだ。これからよろしくね。恵理ちゃんって呼んでいいかな?」

 

急に名前でしかもちゃん付けされた。適当に挨拶を交わし、私は席をバレないように少しだけ離した。お兄ちゃんや、ハジメくん、愁さん以外の男の人が怖い……お兄ちゃん助けて……。そう思いながらも授業を受け、休み時間になった。

 

「恵理ちゃん、この学校を案内しようか?」

 

突然なことに少し驚き、私はその誘いを断りお兄さんのところへ行った

_________________________

あれから授業を受けチャイムがなった。少し経つとドアが思いっきり開き、恵理が来た。

 

「お兄ちゃん助けて!!!」

 

何があったし……。そう思っていると聞きたくない声が聞こえた。

 

「恵理ちゃん!なんで逃げるんだ?俺は学校内がわからない君のために学校内を案内するって言ってるんだよ?」

 

ストーカーか?コイツ、新しい家族である恵理にも手をだそうってか?

 

「だから!私はお兄ちゃんとハジメくんと一緒に回るって言ってるの!!」

 

「迎えに来ない君の兄よりも俺が案内するよ!」

 

雫〜、浩介〜、幸利〜!助けてくれぇ〜。

 

「ハジメ……ちょっとアイツ殺ってくるわ…」

 

「やめて?!!浩介!幸利!こっち来て零を止めるの手伝って!!!」

 

そんな感じで騒いでると、恵理が俺の腹に突撃してきた。そうじゃん、この学校って他クラスに入っていいんじゃん。

 

「恵理、ドアを開けて言わずに、入ってきてくれ………あと、腹に攻撃するのやめてくれ……」

 

そこに雫がやってきた。

 

「大丈夫?」

 

「おう、腹以外の場所は大丈夫だ」

 

「「「「「それは大丈夫じゃない」」」」」

 

そんな事をしていると、ドアから香織と龍太郎が来た。

 

「凄い音したけど、大丈夫?!」

 

「なにが…って、紅蓮じゃねぇか!久しぶりだな!」

 

「あ、本当だ!紅蓮くんじゃん!!久しぶりだね!」

 

「この状況でよく挨拶できるな」

 

するとあの男がこちらに来そうになったが、そこでチャイムがなった。

_________________________

雫達に再会したことを喜び、帰ろうとしたが………校内で涙を流しながら走っていく雫を見つけた。

 

「……ハジメ、恵理、悪いが緊急事態だ。先に帰ってろ」



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イジメ

俺は帰ろうとしていたが、泣きながら走っている雫を見つけた。ハジメと恵理には先に帰ってもらい。雫を探した。

 

「クソッタレが、知り合いと再会でハッピー・エンドが流れそうだったのに………何があったんだよ…雫」

 

教室などを探したがいなかった。だけど、校舎裏から少しだけ悲しい気配を感じたので俺は急いでそこに行った。そこにいたのは泣いている雫だった………

 

「お前…いったい何があったんだ…?雫…」

 

「れ、零…?どうしたの…?こんなところで…」

 

雫は涙を急いで拭き、こちらに喋りかけた。

 

「それはこっちのセリフだ。なんでこんなところにいるんだ?何があったんだ?理由によってはしたヤツを消す

 

「え…?い、今……なんて言ったの…?」

 

「ん?どうした?俺は何も言ってないぞ?」

 

「え…?で、でも…今なにか言って……」

 

俺は何も言ってないんだが……と言うか、今……()()()()()()()()()()?

 

「それで、何があったんだ?話し相手になるぞ?」

 

俺は雫の隣に座り、話を聞いた。イジメだった。

 

やっぱり、イジメだったか。やってるヤツを殺すか

 

「何処で苛められたんだ?」

 

「え、えっと……ここ…だけど…」

 

「そうか。とりあえず、お前はそのイジメを師範と琥一さん、霧乃さんに言っとけ、俺は…………少しだけやることがあるから」

 

雫を先に帰し、俺は校長室に殴りk……話しに行った。

_________________________

俺はやるべきことをやり、道場に来ていた。門前にあの……名前なんだっけ、後で雫に聞くか…、あの男がいた。師範達が俺に気づき、手招きをした。

 

「やるべき事はやったの?」

 

「おう。バッチリ、ばいsy……話し合いですんだよ」

 

俺はUSBメモリを見せた。

 

「えっと、それは?」

 

「証拠。愁さんにパソコン持ってきてもらうから、少し待ってろ」

 

俺は愁さんに電話をしてパソコンを持ってきてもらうように言った。数分後に車で愁さんと呼んでないはずの菫さん、ハジメ、恵理が来た。

 

「零のパソコンを持ってきたよ」

 

「助かります」

 

パソコンを持って道場に入った。あの男が一瞬だけ睨みつけてきたが無視だ。恵理達も着いてきた。あの男は恵理を見て一瞬だけ驚きまた俺の方を睨みつけた。

 

「零くん、雫から話は聞いてるよ。雫がいじめられてたのは本当なんだよね?」

 

「はい。このUSBメモリに動画入ってますんで、見ますか?雫はこっちで話すことがあるから」

 

俺はパソコンを開き、USBの動画のファイルを見せた。見せてる間、雫を呼んだ。

 

「え、えっと……どうしたの…?」

 

「俺を信じられないかも知れないが、もっと頼ってくれ。理由によっては相手が死ぬがな

 

「話したら……また彼女達に……」

 

恐怖に支配されてるのか?そこに愁さんが動画を見終わったことを言ってくれた。戻ると師範達の顔が怒っており、雫は自分に対して怒っていると思ったのか怯えてる気配がした。

 

大丈夫、雫の事じゃないから。師範達が怒ってる相手は動画で映ってる彼女たちだけですか?」

 

師範たちは顔を横に振り、言った。イジメをした女子たちと、気づいてやれなかった自分達に怒っていたのだ。何故かこの部屋以外の場所からも殺意と殺気を感じた。

_________________________

次の日、校長と担任に直談判をした。校長の弱みを握ったため、校長は俺よりも下になった。職員室の中にいた先生全員にUSBメモリの動画を見せた。イジメをしている奴らの住所などがわかり、今度話し合いが起きることに。それに俺が入ってるのなんで?

_________________________

今日は、本来なら幸利と浩介とハジメと遊ぶ予定だったが、学校から呼び出しを食らっていた。フザケルナァ!!教室に入るとあの男とその周りに集まるいじめの犯人の女子たちとその保護者達、雫と先生がいた。

 

「最後に何か言い残すことは?」

 

違うぞ先生、それは殺すときの言葉だ。そんな感じのツッコミをするとあの男は言った。

 

「先生!()()()()()()()()()()()()()()()()!!!勘違いです!!」

 

そうだそうだ!とか言っているが、先生達は虐められてる映像を見ているため、聞き入れなかった。イジメをしている女子Aの親がこう言った。

 

「イジメなんて、何処にそんな証拠があるんですか!」

 

その言葉を聞き、先生が何かを言おうとしたが、俺が先に言った。

 

「お前らって馬鹿だよな」

 

「ちょっと頭いいだけで私達を馬鹿にしないで!!」

 

俺は()()()U()S()B()を取り出し、見せた。

 

「ちゃんと周りを見てないから、電柱に監視カメラあることに気づかなかったのかな?」

 

女子Aが驚き、焦って口を滑らせた。

 

「え…?でも、ちゃんと周りを見て監視カメラなんかなかったわ!それは嘘よ!!」

 

「お、嘘に気づいたか」

 

「ほらやっぱり!あの場所に電柱なんてなかったわ!先生!わかりましたよね?嘘をついているのはあっちです!」

 

「……でもな、ありがとうな。自分から言ってくれて」

 

「え…?」

 

あれ?気づいてない?自分から言ってるのに、気づいてない?先生は俺から偽物のUSBを取ろうとした瞬間。女子Bの保護者がUSBを奪い、窓の外に投げた。

 

「あぁー、せっかく買った()()()()U()S()B()がー」

 

「え…?空っぽ?」

 

俺は本物のUSBを取り出し、パソコンに着けた。パソコンに出された映像は壁に背中を付けて怯えてる雫と、周りにバケツとかを持っているイジメをしている女子達。この映像を見て、保護者達の顔が青ざめた。今回は女子達とあの男が悪いことになり、終わった。

 

「なぁ、雫。アイツの名前って結局なに?」

 

「え…?あ、言ってなかったね。天之河光輝だよ」

 

「巷で言うキラキラネームか?」

 

「それにしても、どうやって学校のカメラの映像なんか入手したの?」

 

「ん〜、まぁ。話し合いかな?」

 

そう、話し合い(弱みを握った)だ。




一応校長の弱みは学校の費用でゲームに課金をしたことです。あ、証拠もちゃんと主人公が持っています


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ペット飼います

完全にタイトルと内容が違った


あれから雫は髪を伸ばし女子らしくなった。今日は忘れかけていたペットを愁さんと雫、恵理、ハジメと一緒に来ていた。

 

「鷲なんか売ってるのかな……零はどうして鷲を飼いたいの?」

 

「なんでだろうなぁ、わかんねぇけど。飼いたい」

 

「ねぇねぇお兄ちゃん。こんなのあったよ」

 

恵理が持ってきたのはハクトウワシの卵が売ってると書いてるチラシだった。

 

「よくやったぞ、恵理。流石俺の妹だ」

 

恵理を撫でながらそういった。ハクトウワシの卵売ってるとか、やばいだろ

 

「愁さん、このペットショップへ」

 

愁さんの車にハクトウワシの卵を購入しに行った。俺は、チラシの裏を見てなかったため、気づかなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()も売っていた。

 

「愁さん、ここです」

 

ペットショップの看板にハクトウワシの卵売ってますって書いていた。俺はすぐに入り、ハクトウワシの卵を見つけた。そしてその隣にめっちゃ綺麗なピンク色の狐がいた。

 

「零は目当てを見つけたか?」

 

「見つけたが、狐も欲しいって前に言ったよな?」

 

「あぁ、言ってた。ここに売っているのか?」

 

俺は指を指し、愁さんに言った。

 

「あれだ」

 

愁さんはケースの中の狐を見て驚いていた。

 

「こんな仔、初めて見たぞ。これを飼いたいのか?ハクトウワシの卵は持ってるし」

 

「そう、その狐が欲しい」

 

愁さんは考えずに言った。

 

「いいぞ、蛇も飼うんだよな?このペットショップにいるのか?」

 

恵理たちも蛇を探したが、あんまりいなかった。理由は簡単だ。卵の状態と生まれたばかりの動物しかいないからだ。

 

「お兄ちゃん、これって蛇の卵?」

 

「ん?それは………トカゲだな。ソイツじゃない」

 

ハジメは愁さんと色々探していた。探していると後ろから服を引っ張られた。

 

「零、蛇の卵ってこれじゃない?」

 

雫が蛇の卵を見つけてくれたぽい。俺は見に行くと蛇と書いているが種類がわからなかった。

 

「愁さん、俺は飼いたいの見つけました!」

 

「そうか、ハジメ。本当にいいんだな?」

 

「うん、僕にはまだ無理だと思う」

 

ハジメはペット飼わないらしい。愁さんに言って買った。

 

「そう言えば、恵理と零の関係ってなに?」

 

「あ、雫には言ってなかったな。恵理は俺の血は繋がってない妹だ」

 

その後、雫を先に家に送り、俺達は帰った。菫さんに狐の赤ちゃんを見せるとすぐにスマホを取り出し、一瞬で写真を撮った。

 

「名前は何にするの?」

 

「ん〜……ミツネとか?」

 

最初って警戒されるもんじゃないの?ミツネは普通に近寄ってくる。

_________________________

ハクトウワシと蛇が卵から孵った。ハクトウワシの名前はシンラと言う名前にした。蛇の名前は紅い目をしていた為、シンク

_________________________

あれから四年、俺達は中学生になった。シンラとミツネ、シンクは大人の姿になった。中学校は俺とハジメ、雫、浩介、幸利、香織が一緒のクラスで恵理と龍太郎、天之河が一緒のクラスだ。最近恵理が帰ってからすぐに俺とミツネに抱きつくことが多い気がする。

_________________________

中学3年生の二学期の終わり頃。ハジメの帰りが遅く、俺は心配になり探した。探しているとハジメの気配を感じ、その場所に急いだ。そこには何かを言っている不良と泣いている子供、焦っているお婆さん。不良に蹴られているハジメ…………ん?!ハジメ?!!

 

「俺の親友に…何してんだ…テメェら…!!」

 

俺は近くに監視カメラを発見し、警察に連絡を入れて不良達に言った。

 

「あぁ?何だテメェ、俺達が誰だか分かってんのか?!」

 

「テメェらみたいなヤツが誰だろうと、どうなろうとどうだって良い、俺がどうなろうとどうだって良い……だがな、親友がイジメられると無償に苛つくんだよ」

 

不良たちはハジメを蹴るのをやめ、俺を殴ろうとしたが、パトカーのサイレンが聞こえ始め、逃げていった。だが、パトカーに見つかり、捕まった。

 

「君!大丈夫?!」

 

警察はハジメを保護し、怪我の確認をした。一人の警察がこっちに来て俺に聞いてきた。

 

「君が通報した子か?」

 

「えぇはい、俺が通報しました。あ、あそこに監視カメラがあるから一部始終映ってると思いますよ。被害届を出したいんですが、」

 

「わかった。一応名前を聞いてもいいかな?」

 

名前って聞く必要あるのか?

 

「俺の名前ですか?」

 

「あぁ」

 

「俺の名前は紅蓮零です」

 

「紅蓮、紅蓮……紅蓮?君!紅蓮零か?!」

 

え、なんで知ってんの??怖いんだが…

 

「はい、紅蓮零ですが…なんで知っているんですか?」

 

「敬語はやめてくれ、君の親。黎斗さんの……後輩だ。僕が将来の夢を叶えられたのは黎斗先輩がいたからなんだよ」

 

え?この人って父さんの後輩?初めて聞いたんだが。つか、あの人スゲェな。人の夢を叶える手伝いをしてるなんて。監視カメラの映像を見て、不良達は逮捕されたらしい。暴行だとか、なんとかで。詳しい話は知らない。



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誰じゃ?俺じゃ!

あれから数年たち、俺達は中3になった。父さんの後輩さんと仲良くなった。シンラが勝手に部屋に出て学校まで着いてくるようになったが、ちゃんと言うことを聞いてくれる。今日は師範に話をしに道場に来ていた。

 

「師範、話があるんですが」

 

「ふむ、何じゃ?」

 

「俺に忍者修業を教えて下さい」

 

師範は驚きつつも聞いてくる。

 

「それはなんでじゃ?」

 

「もっと強くなりたいからです」

 

俺は真剣な顔で言った。師範はそれを聞き、忍者修行をやらせてくれるようになった。剣道の合間に。

_________________________

あれから一ヶ月くらい修行した。手裏剣の投げ方と持ち方を知り、忍び歩きなどを覚えた。あと、気配の消し方を覚えたが、浩介にはバレた。ヤバいなアイツ。その後、浩介が忍者の修行をやりたいと言ってきたため、師範に言った。すると、師範ですら気づかなかった。そして、気配の消し方がわかるなら出し方もわかるのでは?と浩介は思ったのか、出し方を聞くとちゃんと教えてくれた。浩介は新しく気配の出し方を覚えた。

_________________________

最近、シンラが気配を消す方法を知り、いつの間にか俺の肩に乗っていることが多くなった。浩介ですら気付けないらしい。今はハジメと恵理と雫でゲーム中だ。

 

「あ、ハジメ。そっちに行ったぞ」

 

「了解。あ、恵理さんの方に行った」

 

「わかったよ。あ、雫さんの方に行ったよ」

 

「わかったわ。零の方に行ったよ」

 

「了解っと、これで終わりだな」

 

ゲームを終わらせ、時間を見た。

 

「あ、そろそろ帰らないと」

 

「わかった。それじゃぁまた明日学校でな」

 

雫が帰り、俺達は飯を食い、風呂に入った。風呂に入っていると恵理が俺の枕を取ろうとしていた。

 

「コラァ〜恵理〜、俺の枕を取ろうとするんじゃない」

 

「え?!なんでわかったの?!!」

 

「忘れんな〜、俺には気配感知があるんだぞ〜」

 

その後、風呂から出ると恵理が俺の枕を持っていた。恵理から枕を取り返したあと、部屋に戻った。部屋ではミツネが尻尾を振っており、口にはブラシを咥えていた。

 

「準備がよろしいことで、」

 

ミツネの毛は物凄く綺麗でいい匂いがする。何故か石鹸などで洗うと色が変わるんだよなぁ。

_________________________

今日、雫と遊びに行く約束をしたのだけれど、愁さんと菫さんが青春だねぇ〜的なことを言っており、浩介と幸利はお前ならやれるとか言ってきた。たかが男女二人がゲーセンいくだけだぞ?そんな感じで集合時間に来た。

 

「あ、零!」

 

そう呼ばれ、振り向くと雫がいた。周りに浩介と幸利の気配を感じた。アイツら、着いてきてるな。

 

「もしかして、待った?」

 

「いや、俺も今来たところ」

 

うん。ガチで今来たところ。こう言うのって1時間前に来てるものって浩介が言ってた気がするが関係ない。

 

「それじゃぁ行こうぜ。雫、金の貯蔵は十分か?」

 

「え…?」

 

俺はゲーセンに入り、すぐにユーホーキャッチャーに行った。目当ての物があるからだ。

 

「これって…人形?」

 

「おう。恵理に一つだけな。雫も欲しいか?」

 

そう言いながらも俺は恵理の分を十回で取った。雫は欲しそうな顔をしているがいらないと行った。

 

「自分に正直になれ、欲しいなら欲しいって言え。いいな?」

 

雫は頷き、恥ずかしながらも欲しいと言った。

 

「可愛いかよ。で、どれだ?」

 

無意識に可愛いと言ってしまい。雫は顔を真っ赤にする。浩介達はゲームやり始めてる、着いてきたのか遊びに来たのかわっかんねぇ。雫の分の景品を取り雫に渡した

 

「んじゃ、次は買い物だな。雫は欲しい物あるか?」

 

「えっと……今のところないかな。零はあるの?」

 

「俺はヘッドホンだ。無線のな」

 

俺は電化製品が売ってる場所に行って探したが、なかった為ゲーム系を売っている場所に行った。

 

「ここに売ってなかったらネットだな」

 

「ねぇねぇ零。あれのヘッドホンはどう?」

 

雫が見つけたヘッドホンは無線で通話可能、ゲームなどで使えるマイク付き、しかも高音質。

 

「これ買うか。値段は…1万か」

 

「人形を取ってくれたお礼もあるし、私が買おうよ?」

 

「いや俺が……って、財布取り出すの速い。払う気満々じゃねぇか」

 

雫は財布を取り出しており、完全に払う気だ

 

「払うよ?」

 

「じゃぁお言葉に甘えようかね」

 

雫が払うと言い、雫がお金を払った。

 

「これは完全に宝物行きだな。大切に使うよ」

 

そして今日のお出かけは終了した。俺は本気で気配を消して浩介と幸利の後ろに周った。

 

「で?君らはなんで俺達は見ていたのかな?」

 

「誰じゃ?!!!!」

 

「俺じゃ!」

 

「「零だ!!」」

 

その後、話し合いをした。二人が涙目だった気がするが気のせいだね!··········だよね?



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高校に入ったらめちゃウザいやつに出会った

俺達は中学を卒業し、高校生になった。勿論全員受かったし、同じクラス。何故か恵理も同じクラス。入学初日でなんか話しかけられた。

 

「やぁやぁ!君が紅蓮くん?」

 

「誰だ?なんか、めっちゃ懐かしく感じるんだが」

 

「え?そうなの?あ、私の名前は紅夢 愛優美だよ!懐かしく感じる理由はわからないけど、君の親。紅蓮黎斗の妹、紅夢来奈の娘よ!!血は繋がってないけど!!」

 

あの人に妹いるんか、初めて知ったぞ。つかお前も血が繋がってないのかよ

 

「で?その紅夢さんが俺になんのようですか?」

 

「取り敢えず、メール交換しようよ。従兄妹だし」

 

「俺とあんた、どっちが上なんだ?」

 

ふと思ってしまった。だって、同年代でも生まれた日が違うだろ?

 

「え?君と同じ12月4日だよ?」

 

ウッソだろお前。

 

「従兄弟なんだし、仲良くしようよ!!ほら、握手!」

 

「えぇ〜…」

 

なんか、握手を要求されたんだが。まぁ、一応しとこうかな。困ったときに助けてくれそうだ。

 

「あぁ、よろし「君、名前は何?俺は天之河光輝。よろしく」くできないなぁ」

 

握手しようとしたらこの男が来た。ねぇ、君見えなかったの?今、話してる途中だぞ??馬鹿なの?死ぬの?

 

「あ、天之河くんって言うんだね!よろしくね!でもね、零と挨拶してる途中だから、また後でね!それじゃぁ改めてよろしくね!零!」

 

「零?零なんて名前の子はこのクラスにいないよ?それに、挨拶をしないようなヤツよりも俺といたほうがいいよ」

 

スイマセーン。その零って言うのは俺なんだけどぉ〜?見えてないのかなぁ〜?目が悪いのかなぁ〜?視力大丈夫そ?何も見えてないんじゃない?

 

「あ、零。と、友達の作り方ってどうするの…?」

 

「ハジメ、取り敢えず幸利と浩介と一緒に次回作のゲームの考察しとけ」

 

「え?でもそれは第8回次回作品考察会で終わったんじゃないの?」

 

「甘い、チョコレートよりも甘いぞ。新情報…公開されたぜ?」

 

それを聞くとハジメはすぐに浩介たちの場所に行き、考察している。俺は紅夢さんにメールを送り、雫のところに行った。

 

「ふ〜ん……あの娘がこの世界で守ろうとしている娘かぁ。うん、確かに似てるね。さて、救出は再来年かな?」

 

紅夢さんがなにか言った気がするが気にせず雫のところに行った。

_________________________

俺は家に帰りにすぐに愁さんに聞いた。

 

「愁さん、父さんに妹いたって、マジっすか?」

 

「ん?あぁ〜、確かにいたね。今は結婚しているって聞いてけど、それがどうしたんだい?」




あ、天之河は主人公の名前をまだ知りません。


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平和?な日常

高校3年生になった俺達は遊ぶ約束をしていた。俺の部屋が集合場所なのはいつもの事。だけどな、だけどな?俺の部屋が集合場所なのはわかるが、雫が俺の枕に抱き着いてるのなんで?

 

「あの〜、雫さん。俺の枕、返してください」

 

「この枕物凄くいいじゃない。どこで買ったの?」

 

「……今度、一緒に買いに行くか?」

 

雫とそんな話をしていると、幸利と浩介、ハジメの3人が考察会をし始め、恵理がミツネと戯れていた。シンクは自力でドアを開けて脱走しています………ん??知能高すぎない?シンラは俺の肩に乗り、俺の髪を整えている。知能高すぎない??

 

「シンラ、飯の時間だから恵理に餌貰ってこい」

 

そう言うとシンラは飛んで行き、ドアを開けて恵理のところに餌を求めて行った。

 

「シンラとかって私とか浩介とか幸利を噛まないけど、どうして?」

 

「シンラとシンクは卵のときから一緒だから。ミツネは一緒に世話をすることが多かったからじゃないか?」

 

「そうなんだね」

_________________________

紅夢さんと話してると一部から嫉妬の気配がする。なんと言うか………紅夢さんとは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「零、今日は言ってた枕を買いに行きたいんだけど。一緒に行かない?」

 

「お、いいぞ」

 

今日は雫の枕を買いに店に来ていた。

 

「ねぇ、零。何処にあるの?」

 

そう言いながらも、雫の目は人形に行っていた

 

「人形の一つ二つぐらい買ってやるぞ?」

 

「…⁈!い、いえ。枕を探しましょ?」

 

「なんか、デートみたいだな。恋人じゃないけども」

 

その言葉に雫が顔を真赤にした。そこに、知り合いが一人来た

 

「あれ?!零じゃん!八重樫さんとデート?」

 

「違う、付き合ってない」

 

「ふ〜ん、そうなんだね。でもやっぱり、あの人が作った魂だから一緒に居たいよね

 

「ん?何かを言ったか?」

 

「ううん。何でもない、それじゃぁデートを愉しんでね!」

 

「だからデートじゃないっての。なぁ?雫」

 

「……デート」

 

「雫?」

 

「フェッ?!!な、なに?どうしたの?」

 

「枕の場所に行くぞ?」

 

「あ…う、うん」

 

なんか残念そうな感情出してるけど。どうした?俺達はそのまま枕が売ってる場所に行き、目当ての物を買った。

 

「よし。ん?あ、あそこに遊園地あったんだな。雫、一緒に行かないか?」

 

「そろそろ時間だから、行けたとしても観覧車だけだから、それだけ乗って帰りましょ?」

 

「あぁそうだな」

 

きょ、今日こそ零にこの想いを!!

 

何かを言った気がするがこれは触れてはいけない気がする。俺達は観覧車に乗り、街の景色を楽しんでいた。雫が小さくて聞こえなかったけど「今日こそ!」って言ってる。何かあるのか?そう思っていると、てっぺん?に着いた。そこで雫が立ち上がりこっちに来た。

 

「ね、ねぇ。零」

 

「ん?どうした?」

 

「零は好きな人とかっている?」

 

そんな突然な質問に驚きつつも答えた。

 

「まだ、いないかな」

 

「そっか」

 

雫は俺の前に立ち、言った

 

「零、私ね。あなたの事が好きなの。だから、私とつ、付き合ってください!」

 

俺は言われた言葉の意味がわかるまで、数秒かかった。雫が俺のこと好き?友達としてじゃなくて?

 

「今の俺はお前のことが好きかわからない。それでもいいんだったら…」

 

「ほ、本当?」

 

「あぁ、それでもいいんだったら俺はお前の恋人になる」

 

そう言うと雫は泣き出した………泣き出した?!!!

 

「ちょ、雫!どうした?!」

 

雫は泣き止み、抱き着いてきた。はぁ、俺に恋人かぁ。父さん、俺に彼女ができたよぉ。俺達は観覧車から降りて、遊園地を出た。電車に乗り、帰っているとまた同じ人物に出会った。

 

「あれ?デートの帰り?」

 

「そうだよ。帰りだよ」

 

「ふ〜ん。この感じはなれたんだね。君たちの幸せが末永く続くように祈るよ。これであの人も少しは気が楽になりそうだ

 

電車を降り、雫を道場に帰してから俺は家に帰った。

 

「愁さん、菫さん、皆。俺、彼女できた」

 

その言葉に皆が祝ってくれた。その後、雫とのメールでまだ家族以外には話さないことになった。



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異世界(トータス)へ
平和な日常が消えた日


今日は変な夢を見た。

 

『悪ぃな、お前ら。約束破るわ』

 

誰かが言った。何処か、くらい洞窟の中で大きな敵に立ち向かう。誰かが言った。

 

『俺達の敵は殺す!!』

 

誰かが言った。

 

『俺の嫁に何しやがる!!』

 

誰かが言った。知らないのに知ってる感じがする

 

『あら、久しぶりね。しげる

 

そこで夢が終わった

_________________________

 

「なんだ?今のは………夢…なのか…?」

 

そこで部屋のドアが開き恵理が入ってきた。

 

「ほら、お兄ちゃん。学校に行くよ。ハジメくんも待ってるから!早く!」

 

「お、おう。わかった」

 

俺は急いで学校へ行く準備をして外に出た。いつも着けている首飾りを着けて、学校へ急いだ。

_________________________

学校に着いて教室の入り口で小悪党四人組と遭遇した。

 

「よう!キモオタ二人!どうせエロゲで徹夜したんだろ?」

 

「うわぁ〜、エロゲで徹夜とかキッモ!」

 

俺はスマホを取り出し、今のを録音して見せ、ついでにある写真も見せた。

 

「今の録音したから、えっと#エロゲを買ってるヤツにキモい言われたっと。これ、ネットに上げるけどいいよな?答えは聞いてない」

 

小悪党組は顔を青ざめ離れていった。

 

「よう、お前ら。アイツらまた適当なこと言いやがって。あと、零。その録音と写真俺達にもくれ、アイツらの弱みを握れる」

 

幸利と浩介がやってきた。

 

「おう、いいぞ!」

 

「おはよう、南雲くん!今日もギリギリだね!もっと早く来ようよ!」

 

そこにこの学校で四大女神と言われる香織がやってきた。因みに、残りの3人は雫、恵理、紅夢さんだ。

 

「アハハ、おはよう白崎さん。確かにそうだね」

 

「悪いんだがな、香織。今回は俺が寝坊したんだ」

 

「え?!そうなの?!零くんが寝坊って大丈夫?」

 

話していると雫が来た。紅夢さんもいる。

 

「おはよう、零。寝坊したって香織が言ってたけど、大丈夫?」

 

「あぁ、おはよう。大丈夫だ」

 

「おはよう、零!君が寝坊なんて、私の事でも考えてたのかな?

 

「おはよう、紅夢さん。いや、お前のことは一度も考えてないし、ちょっとしたことがあって寝坊したんだ」

 

「もう!私のことは愛優美でいいよ!さん付けもしなくていいから!」

 

愛優美は俺にしか聞こえないほど小さな声で聞いてきた。そこに、嫌ってる存在が来た。

 

「全く、香織達はまた彼らの世話をしているのかい?本当に優しいな」

 

「よう、ハジメ、零」

 

「アハハ、おはよう天之河くん。今日は零がちょっと寝坊しちゃってね」

 

そう、天之河だ。うっざいなぁ。アイツ、早死するぞ?

 

「わかってるなら、もっと気をつけるべきだ。って、聞いているのか?紅蓮」

 

俺は現在雫が買ってくれたヘッドホンで曲を聞いているのだ。天之河は雫に俺の名前でも聞いたのか知らないが、お前以外で呼び始めていた

 

「おい!俺を無視するな!!!」

 

そんな声は届かず、チャイムがなった。

_________________________

昼休みになり、寝ていたハジメが起き上がった。俺?俺はヘッドホンを着けて鞄から弁当を取り出し、ハジメに渡した。

 

「おい、ハジメ。飯の時間だ」

 

「あ、ありがとう。零」

 

そこに香織と雫、恵理、愛優美。そして幸利と浩介が来た。

 

「あれ?教室にいるなんて珍しいね!一緒に食べない?」

 

「零、一緒に食べましょ?」

 

「お兄ちゃん、私がお兄ちゃんの分作ったから、感想聞かせて?」

 

「零は人気だね!私も一緒に食べていいかな?」

 

「「おう、ハジメ、零。新しい情報あったぞ」」

 

そんな感じで集まっていたら。あのキラキラネームが来た。

 

「香織、雫、恵里ちゃん、愛優美。南雲はまだ寝たりないみたいだし、紅蓮は話を聞かないからこっちへおいで。そんな奴らが皆のご飯を食べるなんて…俺が許さないよ?」

 

「「え?なんで光輝くんの許しが必要なの?」」

 

「そうよ、これは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ほら、零無視して食べましょ?」

 

その瞬間、天之河を中心に魔法陣のようなものが教室全体に広がり、窓の開いてるところからシンラとミツネが入ってきた。

 

「なっ?!!お前らどうして!!!」

 

見回りに来ていた愛子先生が叫んだ

 

「みんな!外に出て!!!!」

 

だが、愛子先生が入ってきた瞬間、光に全員が包まれ、そして光が消えた教室には()()()()()()()()()()()()()()()()()()

_________________________

???視点

 

『ん?ほう、これは…この力はなんだ?!!吾は神ぞ?!吾以上の者があの場にいたと言うのか?!ん?しかし、これは………そう言えば、()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!()()()()()()()!()!()

 

『だったか?……まさか……な』

 

その者は少しだけ恐怖を感じていた。



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異世界へ

俺たちが目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。ミツネとシンラが窓の隙間から入り込んできたところまでは覚えているが、それ以降はわからない。ミツネとシンラが何かに警戒をしている。その方向から一人の老人?が出てき、俺たちの方にやってきた。周りに奴らは気づいていないようだ。

 

「そこで止まれ、ここは何処だ?お前は何者だ?なんの為に我々をここに呼んだ?説明しろ」

 

その老人は俺を見て喋った。

 

「ようこそ。勇者様と御一行様。ここはトータス、貴方様達がいた世界とは別の世界でございます」

 

声は聞き取れる、異世界って言うのを疑いたかったが、スマホが使えない。異世界であってるだろう

 

「お前は何者だ?何故俺たちをここに呼んだ?」

 

「はい。私の名前はイシュタル・ランゴバルド。あなた方を呼んだのは創世神エヒト様です。我々人類は魔人族との戦いで滅亡しようとしております。エヒト様は我々人類の救世主となる者、貴方様達の中の誰かが勇者様がいるとの事で、魔人族を滅ぼし、我々人類を救ってもらう為に呼ばれました。」

 

要するに魔人族が強すぎワロタで人類マジやべぇって、絶滅不可避じゃん!だったら異世界から勇者呼んで、マジパネェー魔人族を全滅してもらおう!!ってことだろ?

 

「巫山戯ないでください!!この子達に戦争に参加しろって言うんですか?!駄目です!絶対に先生がさせません!!えぇ、させません!!!私達を返してください!!」

 

愛子先生が頑張ってるが、イシュタルの言葉により全員が絶望に落ちる

 

「残念ながら現状、貴方達は帰れません。呼んだのは我々ではないので」

 

「そ、そんな!!」

 

殆どが膝から崩れた。

 

「嘘だろ?今年の夏休みにハワイ行く予定だったのに!!」

「ザッケンナコラー!帰せ!帰せ!!」

「すいませんトイレ何処ですか?」

「マジパネェ」

「ウソダドンドコドーン!!!」

 

ん?おい、今一人だけ変なやついたぞ!!

 

「あぁ〜……イシュタルさん。一ついいかな?」

 

「はい、何でございましょうか使徒様」

 

「あのぉ〜、俺達の世界にエヒト神と言う神は確かいなかったんですよ」

 

俺の言葉にイシュタルは驚いていた。

 

「なんと、それは誠ですか?」

 

「えぇ、異世界だから何でしょうが。ここの教会のルールなどをわかってない為、もしかしたら違反してしまう恐れがあるんですよ。その場合、大目に見てもらえないでしょうか」

 

「ふむ、そうですな。異世界人ゆえ、こちらの掟などがわからないでしょうから大目に見ます」

 

「ありがとうございます」

 

そこで、キラキラネームが意味わからんことを言い始めた。

 

「皆!!ここでイシュタルさんに何を言っても駄目だ!彼にだって不可能なことはある!イシュタルさん、俺たちには力があるんですよね?なんだか、ここに来てから力が湧いてきてる感じがします」

 

幸利、どうするよ。このキラキラネームが厨二病発症したぞ。

 

「えぇ、貴方様方は神に選ばれし者。我々の世界では数倍、もしくは数十倍も高いでしょう」

 

「うん。だったら大丈夫だ!俺は戦う!!」

 

「へ、お前ならやると思ったぜ。勿論、俺はついて行くぜ?」

 

「龍太郎…!」

 

「あ、私は()()参加しないから、期待しないでね」

 

「えっと、雫ちゃんが()()参加しないなら、私も…!」

 

「僕も()()参加しない」

 

「「「俺たち3人も()()参加しない」」」

 

「私はお兄ちゃんが参加しないならしない」

 

「零が参加しないなら、私も」

 

俺達は()()参加しない。なぜって?どんな力があるかわからないからだ。あと、異世界で勝手に起こってる戦争で死にたくないからだ。

 

「なっ?!!どうしたんだ!雫!香織!恵里ちゃん!愛優美!おい、紅蓮!!彼女達に何をした!!!」

 

「なんでもかんでも零のせいにしないで!!これは、私達の意思!!あなたに文句言われたくないわ!!」

 

あの優しい愛優美が反抗しただと?!

 

「あ、イシュタルさん。コイツらの話はほって置いてください」

 

「わかりました。では皆様方、こちらへ。今から王宮に行きます」



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異世界で再会しました

俺は今日寝てません!!


「彼の者へと至る道、信仰とともに開かれん――"天道"」

 

俺たちは現在、保護してくれる王国へ行こうとしている途中だった。

 

「おい!紅蓮!!何故、この世界の人達のために戦わない!!雫達に何を吹き込んだ!!」

 

「ん〜っとそうだなぁ。シンラの呼び方ぐらいかな」

 

うん。本当のことだし。

 

「嘘を付くんじゃない!!」

 

は〜い。キラキラネームは無視でいいよね?答えは聞いてない。そのまま王国の1室に来た。扉の前でメイドがイシュタルに言った。

 

「それではイシュタル様。勇者様御一行をお連れしますが、イシュタル様は招待されていないため、入れません」

 

「なっ?!!しかし、私には勇者様を守る使命が!!」

 

「申し訳ございませんが、お帰り願います」

 

イシュタルは帰っていった。メイドが一瞬俺のことを見たあと、部屋の扉を開けた。中には長い机と人数分の椅子。そして、一番奥に王様がいた。…………ん?少し待とうか?うん…………あの王様、完全にこっちの世界の住民だ。気配がここの奴らと違う。それに、何処かで………あ!あの髪の毛の癖!完全に父さんと一緒だ!

 

「はじめまして、王様。俺は「誰が喋っていいと言った?吾は許可してないぞ?」っ?!!」

 

俺は膝を付き、姿勢を低くして言った。

 

「申し訳ございません。こちらの者が勝手なことをしてしまいました」

 

「ほう、少しは礼儀を知っているようだな。先程のヤツを許そう。して、主がこの団体の指導者か?先程のやつではないのか?」

 

は?あのキラキラネームが俺たちのリーダー?ふざけんな、あんなのがリーダーだったら魔物相手に秒で死んじまう。

 

「いえいえ、我々の指導者はこの畑山愛子です。愛子先生、挨拶を」

 

「え?あ、はい!畑山愛子です!よろしくおねがいします!」

 

「うむ、それでは宴会と行こうじゃないか」

 

王様が指パッチンをすると、ドアからメイド………ん?こいつら全員、本職は違うぞ。まぁいいかな。メイドが料理を運んできた。

 

「っと、食事の前に。何か言いたいことがある者はおるか?」

 

俺は手を上げて言った。思ってることを

 

「なんであんたがここにいるんだよ。父さん」

 

その場にいた全員が驚いていた。愛優美さんだけが驚いていなかった。王様は少し驚き、言った。

 

「いつから気づいていた?」

 

「ほう、数年ぶりの息子に挨拶はなしなんだな?」

 

「ま、待て!紅蓮!!この人と知り合いなのか?!」

 

「おい、今は俺と話している途中だ。首を突っ込むな」

 

キラキラネームは少し下がった

 

「んじゃ。改めて。やぁ、父さん。数年ぶりだね」

 

「あぁ、久しぶりだな。零、大きくなったな」

 

あれから何年経ってると思ってるんだ!!

 

「いつも通りの接し方でいいよ」

 

「いやほら。公の場だし、ね?」

 

確かにそうだな。

 

「それで、南雲は何処にいるんだ?」

 

「え?あ、はい!僕が南雲です!」

 

「敬語はいらないよ。君が愁の子供か、零が世話になった」

 

「いえいえ!零に迷惑をかけてばっかで」

 

うん。感動の再会だ。

 

「あ、父さん。俺に妹できたから。あと従兄妹と出会ったから」

 

「え?!妹できたってマジ?!従兄妹ってことは……愛優美か、大きくなったな。話はまた今度だ。宴会を始めようじゃないか!あ、零。お前とハジメは俺の権限で不自由なく過ごせるようにするから」

 

「え?!マジで?ありがとう!!」

 

「なに、これが今までできなかった分だ」

 

そんな感じで俺は父さんと再会した。異世界で王様になってるってことは。父さんに娘か、息子がいるってこと?!!ふざけるなぁ!!その後、それぞれ部屋を渡され、今日は寝た。



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ステータスって面白いね!

翌日、王国騎士団長メルド・ロギンスがクラスメートを全員集めた。

 

「俺は王国の騎士団で騎士団長のメルド・ロギンスだ!!これから一緒に戦うかもしれないんだ!他人行儀はやめろ!これからは普通に話せ!」

 

「んじゃ、メルドって呼ぶぞ?」

 

「おう!よろしくな!んじゃ、皆に配ったこれについて説明するぞ!コイツはステータスプレートと呼ばれるアーティファクトだ」

 

「アーティファクト?」

 

キラキラネームは聞き慣れない単語に首を傾げた。

 

「おいおい、幸利。アーティファクトって人が作ったアイテムだよな?」

 

「あぁ、アーティファクトの一部は増産可能のもあるかもな」

 

「そうだ。これは神代の時代に作られたものだ!増産可能で一般人でも持っている。この使い方は一緒に渡した針で指に傷を付け、血をアーティファクトに着けるんだ」

 

そう言われ、血を着けたらステータスプレートに何かが表示された。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:紅蓮 零

年齢:17

性別:男

レベル:1

天職:召喚師/英雄割れ

 

筋力:1000

体力:1000

耐性:1000

敏捷:1000

魔力:1000

魔耐:1000

 

技能:言語理解・召喚・使役・全魔法適正・気配感知・魔力操作・魔法感知・神代魔法・隠蔽・英雄割れ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

意外とヤバかった。と、取り敢えず隠蔽!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:紅蓮 零

年齢:17

性別:男

レベル:1

天職:召喚師/英雄割れ

 

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

 

技能:言語理解・召喚・使役・英雄割れ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

よし!

 

「いいか?説明するぞ!まず、このレベルだが訓練をすれば上がる!!次に転職があるだろ?この転職は自分にあった性質の職業だ!」

 

へぇ〜、俺って召喚師なんだ。もっとこう、忍者とかかと思ってた。

 

「次に各ステータス!!これは平均で10だ!!いやぁ〜、しかしお前たちはオレたちの数十倍なんだろう?羨ましいなぁ!!」

 

すいません。隠蔽したら10なんですが。そう思っているとハジメがプレートを見て固まっていた。

 

「おう、ハジメ。お前はどんな感じだったんだ?」

 

「あ、零。僕はこれだよ。零は?」

 

俺はステータスプレートを渡されてみた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:南雲ハジメ

年齢:17

性別:男

レベル:1

天職:錬成師

 

筋力:10

体力: 10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

 

技能:錬成・言語理解

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お、俺とステータス似てるな!」

 

「え?てことは零もオール10?」

 

「おう」

 

すまんハジメ。隠蔽したんだよ

 

「最後に技能だな。これはその天職に欠かせない物が書いている。あ、今後の訓練に必要だから見せてくれ!!」

 

俺はハジメを慰めていると愛優美が来た。

 

「ねぇ零、君のステータスはどうだった?私はこうだったよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:紅夢 愛優美

年齢:17

性別:女

レベル:1

天職:魔法使い/英雄割れ

 

筋力:10

体力: 10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

 

技能:言語理解・全魔法適正・ワープゲート魔法・全魔法耐性・英雄割れ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ん?お前にも何かわからない文字化けがあるんだな」

 

「うん。何の割れなのかな」

 

そこにメルドが来た

 

「あとはお前たちだけだぞ」

 

「あ、メルド。実は気になったことがあってな?この文字化けって何かわかるか?」

 

「ん?文字化けか、それは無理だな。レベルを上げて開放するしかない。で、3人の天職は?……あぁ〜、錬成師かぁ。んで、二人は召喚師と魔法使いか」

 

「メルドさん、錬成師ってそんなに珍しいんですか?」

 

「いや、そこまで珍しくない。十人に一人いるかいないかだ」

 

それを聞くと小悪党組がやってきた。

 

「おいおい、南雲。錬成師って非戦闘員だろ?どうやって戦うんだ?」

 

「おいおい、君。錬成師が何故戦わなければならないんだ?錬成ってことは前衛じゃなくて後衛で働く仕事だ」

 

「お前のステータス見せろよ」

 

それを見た小悪党は腹を抑えて笑い始めた。そこに愛子先生がやってきて止めようとした。

 

「ブハッハッハッハッハ!見ろよ!コイツらのオール10だぞ!!」

 

「平均が10だからわんちゃん赤ん坊よりも弱いかもな!!」

 

「コラァー!仲間を笑っちゃいけません!!南雲くん!大丈夫です!私も非戦闘員?ってやつですから!」

 

愛子先生はステータスを取り出して見せてきた。うん、あんたは社会科の先生をやめて田舎で農業してくれ。

 

「そっかそっか」

 

俺は無意識に銃を召喚して小悪党に向けた。

 

「そんなに死にたいなら戦争に参加せずとも俺が殺してやるのに」

 

俺は小悪党の足が当たらないところに発砲して威嚇した。その時、誰も気づいていなかったが、首飾りが光、零は白目をしていた

 

「「ヒィッ?!!」」

 

「おい紅蓮!!檜山達はお前らのことを考えて言ってくれたんだぞ!!それに仲間に銃を向けるな!!!それをこっちに渡せ!!」

 

「……」

 

「おい!聞いているのか!!」

 

「零…?」

 

俺は雫の呼ばれた声で意識を取り戻した。同時に銃は消えていた。俺は魔力を使いすぎたのか、倒れた。

 

「あぁ〜……意識が薄れてくぅ〜…何があったんだ?」

 

そこでメルドが解散させた。俺はハジメ、幸利、浩介に部屋に連れて行ってもらい。何があったか聞いた。



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戦争に勝たなくても帰れるじゃん

翌日、父さんによってハジメ専用の製錬部屋?が作られ、ハジメに一流の錬成師の先輩に育てられることになった。今日は訓練があったのでハジメ含め全員が集合した。

 

「よし!今日は魔法を撃つ訓練だ!!」

 

と言うわけで、魔法の訓練が始まったんだが、俺とハジメは属性魔法が使えないため、無理なので傍観者することになった。メルドがこっちに来て、首飾りを見た。

 

「お前、紅蓮だったか?」

 

「あぁ、そうだが。俺には属性魔法がないから訓練できないぞ」

 

「いや、それよりもだ。お前の首飾りを何処で手に入れたんだ?」

 

メルドが俺に聞いてきたため、全員がこっちに来た。

 

「これは俺が物心ついたときから持っていた物だ」

 

「これがどうかしたんですか?」

 

小悪党の檜山がメルドに聞くと、メルドは言った。

 

「この首飾りに使われている鉱石はこっちの世界の鉱石でな、グランツ鉱石と呼ばれている。見た目だけは美しく特に何の効力もないが、主にプロポーズに選ばれる宝石だ」

 

その後、俺は召喚魔法をすることになったのだが。その前に愛優美が言った。

 

「ねぇねぇ、メルドさん。私のこの魔法を使ってみていい?」

 

「いいぞ。その後に零の召喚をする」

 

そして、愛優美が詠唱を始め、手をかざすとブラックホールのような物が生まれた。

 

「よし、できた!それじゃぁ、思ったとおりなら、零の部屋のはず!!」

 

「俺の部屋だったら俺の枕持ってこい」

 

「おい!紅蓮!!愛優美はお前の枕を持ってくるために魔法を使ったわけじゃ「わかった!!」………愛優美は優しいな」

 

そして、愛優美は俺が()()()()()()()()()()()()()()()

 

「はい!君が住んでる南雲家から持ってきたよ!!」

 

「お前、地球に帰っただろ」

 

「え?そうだけど?」

 

「取り敢えず、枕くれ」

 

それに反応したのか、愛子先生が言った。

 

「ま、待ってください!!愛優美さんなら私達を地球に帰せませんか?!」

 

「一応、あっちに行けるけど?」

 

それに反応してクラスメート全員が帰れるとか言ってるよ。だが、愛優美は彼らが想像していた答えとは違う答えを言った

 

「え?嫌だよ。どうして自ら戦争に参加した人を戦争に勝ってないのに帰さなくちゃいけないの?」

 

「待ってくれ!!愛優美、俺に免じて俺達を帰してくれないか?」

 

おいおい、戦争に皆を巻き込んだ奴が何を言ってるんだ?

 

「え?皆を戦争に誘った本人を帰すわけないじゃん」

 

その後、なんやかんやでその話が終わり、次は俺の魔法の話になった。

 

「我が求める者 召喚!」

 

こんな感じでいいかな?魔法陣から青いキューブが出現し、人の形に変わっていった。そこには女の子がいた

 

「雪風さまなのだぁー!!」

 

「「「……は?」」」

 

雪風?船の?

 

「やぁ。俺の名前は天之河「お前は雪風さまにふさわしくないのだー」…ぐっ……」

 

雪風と名乗る女の子はキラキラネームをほっとき、俺の方に来た。

 

「えっと、もしかして。お前の主って……俺?」

 

「そうなのだ!召喚したのはあんただから、指揮官はあんたなのだ!」

 

マジっすか。えぇ……見ろ、我が恋人の雫がこっちを見てるよ。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!紅蓮が君の主?紅蓮!!彼女に何をした!」

 

「いや、出会ってすぐに何もできるわけねぇだろ。馬鹿なんじゃねぇの?」

 

その後、何度も雪風を解放しろとか意味わからんことを言っていたキラキラネームを無視して俺の部屋に行った。



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喧嘩

俺はハジメに銃の設計図と武器の設計図を渡して作ってもらった。その後、父さんから専属メイドを渡された……………え?!専属メイド?!!!

 

「はじめまして紅蓮様。私の名前は霧崎美月です」

 

「え?日本人?!」

 

「いえ、記憶を失っているところに国王陛下が名前をつけてくれました」

 

父さん、異世界で日本語の名前は周りから浮くよ。その後、部屋で召喚魔法を使った。未知の金属と設計図が出てきた。

 

「なにコレ」

 

俺は、この金属を使って設計図の物を作ることになった。

_________________________

愛優美視点

 

私は今、いつも見てくる誰かを探していた。だって、()()()()()()()()()()()の邪魔をするかも知れないから。そう思いながら探していると、一人のシスターが目の前に、現れた。多分、コイツだ。

 

「貴方ですか、最近私を追いかけてる者は」

 

「多分ね、それがどうしたの?」

 

シスターの姿が変わり、武器を持った戦士のような姿に変わった。

 

「姿が変わったところで、あなたに勝ち目はないわ」

 

無言で攻撃をしてくるが、意外と遅かった。

 

「君は………いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

私は()()()姿()に戻ってシスターに攻撃をした。まぁ、零達は知らないからいいかな。

 

「……貴方は何者ですか?この禍々しい気配はいったい……あなたは本当に人間ですか?」

 

私が人間?

 

「さぁね。どうかな、あなたには関係ない」

 

私はシスターを上回る速さで顔を掴み上げた。

 

「クッ!!強い!」

 

「お前は今から()()()()()()()()()()()()()()()()

 

私はこのシスターの記憶、知能、知識、全てを変えた。これであの子が死ぬ確率が大幅に減る。次の召喚に()()()()()()()を召喚させて、そのまま………

_________________________

零視点

 

俺は未知の金属で設計図に書いていた《3式機龍》と言うメカを作り、設計図に書いていたもう一つのTeX装備?って言うのを作った。ハジメが銃を作ったらしく、俺はそれを受け取りに行こうとしていた。そこに小悪党組がハジメをイジメているところに出会った。ん?上にシンラがいる。あれ?俺のスマホ持ってる。なんで?しかもビデオを取ってるし。

 

「おいお前ら、ハジメに何をしてやがる」

 

「あ?お、もう一人の無能じゃねぇか。お前も俺達が鍛えてやるよ」

 

は?俺、お前らよりも上ですが?よし、わざと負けたフリをするか!

 

「は?お前らに鍛えてもらうぐらいだったら、寝たほうがマシだ」

 

そう言うと、小悪党組が俺に攻撃をしてきた。いや、あんまり痛くない。

 

「訓練してやったんだ。おい、無能。お前の首飾りを渡せ」

 

「は?嫌だよ。お前なんかに渡すかよ」

 

「テメェ!!!」

 

小悪党の檜山は俺に向かって魔法を撃ってきた。

 

「あれ?指揮官、なにしてるのだ?」

 

雪風がちょうどそこを通りかかった。あれ?偶然見つけた感じなのに、なんで武器構えてるの?

 

「何をやってるの?!」

 

そこに雫と香織達がやってきた。俺とハジメはボロボロでシンラが上空で動画を取っていた。

 

「南雲くん!零くん!大丈夫?!」

 

「俺は無事だけど、ハジメを回復させてやってくれ」

 

「何があったの…?」

 

「そこの四人組がハジメを半殺しにしてたのを止めようとしたら俺も半殺しにされて、俺の大切な首飾りを無理矢理奪おうとしてきた。あ、嘘だと思うんだったら上に俺のスマホで勝手に動画を撮ってるシンラに聞いてみ?」

 

シンラが持っていた俺のスマホの中には小悪党組がハジメをイジメていた動画が映っていた。音声付きで

 

「なっ?!違う!俺達は南雲をイジメていない!!」

 

そんな感じで揉め事をしていると俺の後ろから声がした。

 

「へぇ〜、私の従兄妹をイジメていたんだね。最低だね、もうこれからはもう近寄らないでね?話しかけないでね?」

 

愛優美が後ろにいた。バカ恐怖なんだが

 

「いや、俺は紅蓮もイジメてなんか……」

 

愛優美は録音機?を取り出し、流した

 

()()()()()()()()()()()()()

 

あ、俺の名前だけ入ってない。

 

「「「「南雲君と零をイジメるなんて最低。もう近づかないで」」」」

 

四大女神全員に言われ、小悪党組は膝から崩れ落ちた。ハッピーエンド……にはならず、キラキラネームがやってきた。

 

「だが南雲にも紅蓮にも非があると俺は思うぞ」

 

「「「「は?」」」」

 

キラキラネームは何を言っているんだ?あと、雪風は主砲を小悪党組に向けるのやめて。俺の合図で撃てるように準備しないで。ソイツらはまだ殺さない

 

「檜山達はいつも訓練をサボっている南雲と紅蓮の為に訓練をしてやったんだ。それをイジメと言うのは間違っている!それに、訓練をサボっている二人が悪い。俺なら暇な時間も訓練に当てるね」

 

俺はキラキラネームの襟首を掴んで言った。

 

「俺とハジメはお前らみたいに技能は多くねぇんだよ!!誰でもお前と同じぐらい技能を持ってると思うな!!それになぁ、鍛えて何になる?相性が悪い相手が来たらどうする?それになぁ!ハジメは一つしか技能はない。だったら、その一つしかない技能を鍛えて何が悪い!!?言ってみろ!一つしかない技能を鍛えて何が悪い!!!?」

 

「俺はサボっているのを悪いと言ってるだけで「ハジメがサボっている!!?何を見て言ってんだ?!言ってみろ、ハジメが実際にサボってるところを見たのか?!」い、いや。南雲がサボってるのは実際そうだろ?!」

 

「もう一度言うから、その腐った耳かっぽじって聞きやがれ!!!ハジメがいつサボった?!!言ってみろ!!!」

 

あぁ〜、喉が死ぬ。

 

「お前と話してるだけ時間が無駄だ。ハジメ、お前の工房に行こうぜ」

 

「指揮官、疲れてるのだ。この雪風様が水を持ってきてやったのだ!」

 

雪風が持ってきた水がめっちゃ美味く感じた。



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なんすか、これ

今日はハジメの工房に来ていた。

 

「欲しい物が多すぎるから、召喚魔法をやるんだが。出たら嬉しいって言うのあるか?」

 

「「「ある!!」」」

 

雫、恵里、愛優美が揃えていった。この世界に石鹸はあるはず。3人の欲しいものはいったい……

 

「んじゃぁまず、三人が欲しい物の為に魔法を使うぞ。一応聞くけどなに?」

 

「「え?!……やっぱり言わなきゃだめ…?……」」

 

「私はこの世界の本で見た。アザンチウム鉱石と緑光石シュタル鉱石って言うのが欲しい!!」

 

「「愛優ちゃん、私達が欲しいのはね…」」

 

やっぱり、男には言えない物らしい。取り敢えず、その鉱石は何だ?

 

「零、アザンチウムと緑光石とシュタル鉱石について教えようか?」

 

「頼む。簡潔に教えてくれ」

 

「アザンチウム鉱石はこの世界最強の硬い鉱石。緑光石は魔力吸収して、一気に放つ。シュタル鉱石は魔力を込めると硬度が高まる」

 

「なるほど、それで刀作ろうぜ」

 

「え?!刀?!!」

 

それに真っ先に反応したのは雫だった。恵里は愛優美とまだ話をしている。

 

「一応、聞きたいんだが。欲しいのって?」

 

「「………」」

 

「よしわかった。なんか紙ないか?」

 

ハジメに紙を貰い、召喚魔法を書き込んで恵里と雫を渡した。その後、俺とハジメの男性組は部屋を出た。部屋が光りに包まれ、召喚が終わった。部屋に入っていい許可が出たので、入った。

 

「ねぇねぇ、今度は私が頼んだ物を召喚してよ!」

 

と言うわけで、召喚することになった。

 

「召喚!!」

 

光によって、物が出てきた………あれ?一つだけ人形なんだが?!!残りは鉱石と………ん?なんだコレ、2つのボトルのような物と、よくわからんのが4つあった。2つだけ同じ物だ、もう2つは形は似てるが、色が違う。ボトルのような物も色だけ違った。なんだコレ?そう思っていると召喚で出てきた女性が()()()()()()()()()()()()()から俺に言った。

 

「はじめまして、主様。私の名前はノイントです。これからよろしくおねがいします」

 

「「「「え、あ。よろしくおねがいします」」」」

 

何々?!!取り敢えず、この人誰?!!

 

「えっと、君の主も俺?」

 

「これからはノイントとお呼びください。はい、貴方様が私の主です。敬語もいりませんので」

 

「わかった。だけど、ノイントを連れ歩くのは周りの目線が……」

 

「そこは大丈夫です。主様にはこれをお渡しします。これで物や使役している物をこの中に収納できます」

 

ノイントは俺に六角形の四角いボール?を渡してきた。

 

「これをどうするんだ?」

 

ノイントに説明を求めるとノイントはボールを俺の手に置いて言った。

 

「そのボールのボタンを押がしなら私に近づけてください」

 

そう言われ、ボールのボタンを押してノイントに近づけるとノイントは青い光りに包まれて消えた。ボタンにはノイントの顔が書かれていた。

 

「これ、どうやって出すの?」

 

「ボタンを押せば出るんじゃない?」

 

雫に言われ、ボタンを押すとノイントが出てきた。

 

「「「「え、めっちゃ便利」」」」

 

その後、ボトルとかについてノイントに説明を受けた。

 

「こちらの赤いのは特殊でして、使えるのは愛優美様だけです。名前はドラゴンマグマフルボトルで、こちらの機械はクローズマグマナックルです。ボトルを振ってからこちらの機械にはめ込んで使います。こちらの青いボトルらも同じ使用方法ですが名前は違います。ボトルの名前がノースブリザードボトルで、こちらの機械がグリスブリザードナックルです。こちらのレバーが着いたものがビルドドライバーです。こちらにボトルを入れたナックルをはめると変身ができます。が、こちらのブリザードナックルで変身すると、体力を大幅に減るため最悪の場合は死にます」

 

え?!死ぬの?!!その後、ボールの中に入れて部屋に戻った。一つのボールになんでも無限に入るらしいので霧崎も収納してみた。雪風は呼べばいつでも来るらしいので収納しなかった。そしたら驚き、自ら収納されることを望んだ。ツンデレ言うやつか?

_________________________

愛優美視点

 

あの子の名前ってノイントなんだね。あの時、聞けばよかった。鉱石は普通に欲しかったからちょうどよかった。これでグリスブリザードナックルとクローズマグマナックルが零と私の手に来た。あとは、()()()()()()を待つだけかな。でも、最近良く光るから、もうすぐのはずなんだけどなぁ。まだかな。早くあの子を救出させてあの人が待つ世界に帰りたい。



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大変な一日

今日は父さんに呼ばれて国王の部屋にいる。あ、勿論シンラとミツネを連れて。

 

「父さん、こんなところに住んでるのか。昔と大違いだな。キラキラ過ぎて俺は寝れねぇぞ」

 

「まぁ、こっちで生まれ育ったからな」

 

気づけば父さんが後ろに立っていた。

 

「で?要件は?」

 

「あぁ、紹介しよう。こっちでの娘と息子だ」

 

父さんの後ろには姫さんと王子がいた。

 

「はじめまして()()()。私の名前はリリアーナ・S・B・ハイリヒです。こちらは弟のランデル・S・B・ハイリヒです。ランデル、挨拶をしなさい」

 

「は、はい。ランデル・S・B・ハイリヒです」

 

「で、俺を置いて異世界に転生したら王様になって姫と王子ができたわけか。何か言いたいことは?」

 

「あ、あぁ。一応、紹介をしようとな?血は繋がってないわけだけど、俺の子供としてね?」

 

なるほどな、びっくりしたぜ。リリアーナと婚約しろとか言われるのかと思った。

 

「あ、そう言えば。転生ってどっちの?神様転生?輪廻転生?」

 

「神様転生。あ、誰も知らないことだからな?」

 

「神様って、この世界のか?」

 

「いや、全く違う。なんと言うか……こことは違う異世界の神様だ」

 

マジか。

 

「えっと、一応お兄様のお名前を聞きたいんですが……」

 

「ん?あー…こっちでは違和感があるから…零とでも呼んでくれ。リリアーナ」

 

「あ、はい!あとリリィでいいです」

 

その後、戦闘訓練があるため訓練所に行った。途中、ハジメを無理矢理部屋から連れ出した。訓練所に行くと、全員がこちらを見ていた。すると、キラキラネームがこちらに来ていった。俺は録音してコイツが何を言うのか待った。

 

「南雲、ようやくわかってくれたか。非戦闘職だからってサボるのは駄目だ!!」

 

「わかった。南雲は()()()()のみんなにも言って来てくれ。この録音機も持って」

 

「なっ?!!なんで非戦闘職の人を連れて来るんだ?!南雲!連れてこなくていい、戦闘訓練に参加するんだ!!」

 

ハジメはキラキラネームの言葉を聞かずに愛子先生のところに行った。

 

「紅蓮!!何故ほかの非戦闘職の人を連れてくるように言った!非戦闘職の皆は仕事をしているに決まっているだろ?!!」

 

「おう。お前、皆に聞いてみろ。自分がハジメになんて言ったか。なぁ、雫。聞いてたよな?」

 

「えぇ、()()()()の南雲くんに戦えと言ったわ」

 

「なっ?!南雲は非戦闘職じゃないだろ?!」

 

はぁ?!錬成師は戦闘職だと思ってるのか?!

 

「じゃぁ、他の錬成師がいる場所に行けよ。そこで彼らが見てから南雲が戦闘職か見極めればいい」

 

だが、キラキラネームは()()()()()()()()()()()()()()()()()と言った。南雲がやってきて、愛子先生を連れてきた。俺は連れてきた理由を話した。愛子先生はキラキラネームに言ったが、愛子先生の話を聞かなかった。俺はもうウザすぎたため無視をした。

 

「ハジメ、魔力が尽きるまで錬成しろ。的も頼む」

 

「わ、わかった!」

 

ハジメは地形を動かして的などを作った。

 

「おい!何をしてるんだ!」

 

キラキラネームは何かを言ったが気にしない。俺は銃を取り出して的に撃った。

 

パァン!!

 

訓練に響いた。反動が大きすぎるから駄目だな。弾数も少ない。

 

「おい!紅蓮!皆は必死に頑張っているんだ!!お前だけ借りたもので楽しようとするんじゃない!!」

 

「その言葉そっくりそのまま返してやるよ。だったらお前ら全員も武器と鎧を捨てろよ」

 

「何でそんなことをしなくてはならない?!それとこれは関係ないだろ!」

 

「あるに決まってるだろ。馬鹿じゃねぇの?」

 

だって、そうじゃない?

 

「お前らが素手で戦ってるわけじゃないだろ?お前らは武器と鎧を貰った。その武器は日本では使えない武器ばかりだ。それを何処で手に入れたんだ?自分で作ったか?作ってないだろ?元々のを使ってるだけだ。それに的に攻撃しているのはお前らじゃない。その武器でダメージを与えている。お前らだって楽してるじゃないか」

 

そう言いつつも、俺は機龍を出した。まぁ、出したというよりかは変身に近いな。ほら、ナノメタルでできてるメカゴジラだから、俺は自分の体内にナノメタルを仕込んでるわけ。それでメカゴジラになってる。人と同じくらいの大きさだ。

 

「お、おい!紅蓮!それは何なんだ!」

 

「3式多目的戦闘システム。邪魔をするな、集中しているんだ。邪魔をしたら撃っちまうかもしれねぇ」

 

俺は0式レールガンで的を攻撃した。

 

「うん。正常だ。暴走もなしかな」

 

「おい!――」

 

俺はキラキラネームに武器を向けた。

 

「おい!紅蓮!」

 

「なんだ?話しかけるなと言っただろ?」

 

「何故それを皆に渡さない!!一人だけ楽をしようとするな!!」

 

「?何故お前らに渡さなくちゃいけない?これは()()()()()()()。何も手伝いもしてない奴らに渡す意味がない」

 

取り敢えず、愛優美が言っていた鉱石で改良するがな。

 

「なっ?!!俺達は仲間だ!!仲間に渡してもいいだろ?!!」

 

「嫌だよ。誰が自ら戦争の兵器を作るかよ」

 

そう言い、俺は愛優美が言っていた鉱石で作った刀に持ち替えた。

 

「それに、これは俺の1種の鎧だ。お前らのような仲間を傷つける奴らに渡すかよ」

 

「俺達は仲間を傷つけていない!!」

 

「おいおい。小悪党組の言葉を忘れたのか?たく、お前は物忘れが激しい事で。ハジメ、さっきの銃をお前の工房に置いておくから改良を頼む。俺は少し父さんのところに行くから」

 

誰も知らないことを一つ。この銃はD()N()A()()()()()()()()使()()()()。トリガーも弾けない。それに安全ピンすら抜けない。盗まれて撃とうとした場合は本体の温度が急上昇し、溶けて無くなる。そして俺のもとに帰ってくる。

_________________________

次の日、案の定。銃は盗まれた。訓練所に行くと、小悪党の檜山が銃を全員に見せびらかしていた。

 

「なぁなぁ!あの的に撃ってみてくれよ!その後、俺にも貸してくれ!」

 

作って貰った感を出していた。

 

「なぁ、そろそろ()()()を返せよ」

 

その言葉に全員が反応し、俺の方を向いた。

 

「おい!どういう事だよ檜山!南雲に作って貰ったんじゃないのか?!!」

 

「い、いや!俺は……」

 

「撃ちたいなら撃てよ。俺のやつじゃないって証明しろよ」

 

檜山は青ざめながら的に銃を向けて撃った………いや、撃とうとしたが撃てなかった。

 

「は?!なんで、どうして!!この!アチィ!!何なんだ?!!」

 

銃は真赤に染め上がり、ドロドロと溶け落ちた。その後、蒸発して消え、俺の手元に返ってきた。

 

「檜山……お前、盗んだのか?!」

 

全員が檜山に問い詰め、その騒ぎを聞きつけてキラキラネームがやってきた。

 

「皆、どうしたんだ?なんで檜山を責めているんだ?!」

 

「檜山が紅蓮の銃を盗んだんだよ!!作ってもらったって、嘘を言って!!」

 

「檜山が盗んだ?それは何かの間違いじゃないのか?紅蓮が檜山に渡したのかも知れないだろ?」

 

「それはないね」

 

そこでハジメが言った。キラキラネームはハジメに近づき、聞いてくるが

 

「どうして違うって言えるんだ?」

 

「まず、あの後本当に僕の工房には銃があった。その後、浩介と幸利が僕の工房に来て、その後工房を出た。その時にはまだ工房にあった。そして翌日の朝にも工房にあった、だけど零の部屋に行った帰りには無かった。零はまだその時寝ていたから違うね」

 

この事から、檜山は盗みを働いたため、悪さをするとその重さの分首が閉まる首輪を嵌められた。取るには俺の同意が必要らしい。キラキラネームはその後も銃の制作を要求したが、断り続けた。明日は街に行くらしい、近くの迷宮に潜って実戦を練習をするらしい。ハジメは一日中図書館におり、モンスターについて調べた。俺は召喚魔法を使って召喚した。そこには1冊の本があり、すべての魔法、そして()()()()()()()()()()()()()()()()。魔法や、技。生物、全て書かれていた。売っている物も。所謂攻略本だ!!!!



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月下の誓い

愛優美視点

 

今日は近くの迷宮に行くために待ちに来ていた。私は買いたい物はないから、計画の邪魔になる存在がいないか調査をしていた。首飾りの光る回数が増えてる。直に覚醒するかな?記憶を取り戻してあの子を助けてね?

 

_________________________

宿に荷物を置き、俺達は今日一日自由行動となった。俺は暇なので、何をしようか迷っていた。キラキラネームは雫、恵里、愛優美、香織に声をかけていた

 

「やぁ、雫、香織、恵里ちゃん、愛優美。一緒に回らないかい?」

 

「「「あ、私達はもう回る相手を決めているので」」」

 

「ごめんね、私は南雲くんを探しているから」

 

ふむふむ、雫は俺か龍太郎あたりとして、愛優美と恵里は誰だ?恵里は鈴かも知れない。

 

「「「あ、零(お兄ちゃん)。一緒に回らない?」」」

 

「3人とも俺かよ。ちょっと待ってな?」

 

俺は現在作った刀……名前は月花にしようかな。月花を腰につけていた。召喚した攻略本改め、七星魔法書を腰に下げた。この本の名前は目次に書いていた。

 

「3人とも待つんだ。彼はまだ着替え終わってない。着替え終わるまで俺と回らないか?」

 

「「「お断りします」」」

 

俺は着替え終わり、街に出た。後ろを振り返るとキラキラネームが俺の事を睨みつけていた。だが、無視だ無視。

 

「取り敢えず、何処に行きたい?この世界にゲーセンがないから、服を選ぶか。食べ歩きか、それだけだぞ」

 

「じゃぁ、服を選びを手伝ってよ。流石に女の子3人だと危ないから」

 

「いいけど……この近くに服屋あるか?」

 

そう思いつつ、周りを探すと1店だけあった。まぁ、なんとも豪華そうな服が多いなぁ。

 

「いらっしゃいませ~、っと?ハーレムが来ましたねぇ」

 

「いや、俺の彼女は一人だ。この二人は妹と従兄妹だ」

 

「それじゃぁ、3人ともこっちへ追いで。服を選んであげるから」

 

服選びが始まって数分後、試着室から雫が出てきた。

 

「彼氏くん、彼女の服はどう?可愛いでしょ?」

 

「……買った、いくらだ?」

 

「二千ルタよ」

 

「五千ルタだ。釣りは取っとけ」

 

その後、恵里と愛優美も着替えてきた。勿論買った。店を出るときに、「ヤバい、あの子金持ちだわ。1万ルタで釣りは取っとけ………ヤバすぎるわ…」なんて、聞こえたが無視した。その後、飯を食い、宿に帰った。時間も時間だったため、寝ることにしたのだが

 

「零?ちょっといい?」

 

客人が来たようだ。俺はドアを開け、客人を招き入れた。

 

「どうしたんだ雫、恵里。こんな夜中にしかもそんな格好で。変なおっさんに襲われるぞ?」

 

現在、雫と恵里の服装は寝間着だった。可愛い

 

「え?あ!……///」

 

「私はいつもどおりだから」

 

「それで、どうしたんだ?伝え忘れか?」

 

そう聞くと、雫と恵里は真剣な顔で言った。

 

「「約束してくれない?」」

 

「なんの?」

 

「迷宮探索から必ず帰ってくるって」

 

「生きて帰ってきて」

 

迷宮探索から?

 

「それまたどうして?」

 

「実はね…さっき夢を見たの」

 

なるほど。だから寝間着なんだな。納得、だがどんな夢なのかだけ気になる。

 

「暗い場所に私だけがいて目の前には零がいたの。だけど、どんどん離れていって声をかけても振り返らなかったの。最後は……」

 

「最後は?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

目がいっぱい?恐怖だな。

 

「恵里は?」

 

「私も同じ夢」

 

俺は二人を抱き寄せて言った。

 

「夢は所詮夢だ。正夢かもしれないが、迷宮で危ないときは守ってくれ。俺の事を」

 

同時に別の部屋で香織とハジメが話をしていた。

 

「さ、部屋まで俺が連れてくから。二人の格好だと、酔っぱらいに襲われても不思議じゃないからな」

 

二人の部屋まで行き、部屋に入るのを見てから自室に帰って寝た。

_________________________

愛優美視点

 

今日もやはり誰も気づいていなかった。零の首飾りが光っていることに。さぁ、計画は最終段階まで来た。これでこの子の記憶も戻り、あの子と再会できる。待っててね、

 

()()()()()()()()



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迷宮探索

翌日、俺達はオルクス大迷宮だっけ?に来ていた。周りには屋台とか色々あった。ムッ?!もうすぐで昨日召喚したガムが終わってしまう!後で補充しとくかな

 

「おい紅蓮!お前、何を食べている?!」

 

俺は風船ガムを膨らませながら言った。

 

「ガムだけど何か?あ、お前らにはやらんぞ。俺、信用してないし」

 

「なっ?!俺達は仲間だ!」

 

「仲間だからって信用してると思うなよ?前回も檜山が俺の銃を奪ったからな、もう信用できるのは雫達だけだ」

 

何かキラキラネームがその後も言ってきたが無視。俺達は迷宮の入り口付近まで来ていた。

 

「おい紅蓮!何故、今それを食べている!!」

 

「はぁ??お前、本当に地球出身か?飯を食わねば戦はできぬ。知らないのか?」

 

そんなキラキラネームを無視して俺達は迷宮に入っていった。俺は七星魔法書って名前のある意味攻略本を見ながら勧めていた。

 

「おいメルド、この先に魔物がいるぞ」

 

「この階層だと……ラットマンか。よし!全員止まれ!!まず、光輝達が前に出ろ!」

 

岩陰から兎のような魔物が出てきた

 

「あれが魔物?零、何か情報はないの?」

 

「あぁ、アイツの名前はラットマン……だっけか?素早いぞ」

 

難なく魔物を倒し、次の階層に行った。階層ごとに違う魔物がいるのは面白いな。

 

「よし!次は零!愛優美!お前らだ」

 

「よし。行くか」

 

「そうだね。さぁ、この武器!試さしてもらうよ!」

 

俺達はそれぞれのナックルに紅い炎と冷気を纏わせ、魔物を殴った。魔物は半分燃え、半分凍った。

 

「これが…この武器の力!!」

 

「ヤバいね…単体でこの威力、変身すればもっとヤバいんじゃ……」

 

そんな感じで話しているとキラキラネームがこっちに来た。俺は護衛としてノイントを出した。愛優美は結界を張り、俺は召喚魔法を使った。

 

「何か出てこないかな〜、」

 

そう思いながら、召喚魔法を使うと一人の少女が出てきた。

 

「「え、あなた誰?」」

 

俺と愛優美の声が重なった。目の前の少女はこちらをキョトンと見ていた。

 

「え、えっと。君のお名前は…?」

 

「私…?……私の名前はイリス、イリス・ゼーナ」

 

「イリスちゃんは何処から来たの?」

 

「ん?…ん!わかんない!」

 

俺達はメルドにステータスプレートを貰い、イリスに渡した。

 

「なに…?食べ物…?」

 

ステータスプレートの説明をした。

 

「こう?」

 

イリスはステータスを表示させた

 

_________________________

名前:イリス・ゼーナ

年齢:???(女性の歳を聞きたいの?)

性別:女性

天職:邪神

レベル:1

 

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

 

技能:全魔法適正・学習・吸収・首飾の加護・言語理解

_________________________

技能が凄かった。視線を感じ、俺はハジメを呼ぶために結界を解いた。だが、招待状を送ってないヤツが来た。

 

「おい紅蓮!その子をどうする気だ!」

 

「どうするも何も、俺の護衛に着かせるだけだけど?」

 

「この子はまだ子供なんだぞ!」

 

「うるさい。それに、お前にとやかく言われる筋合いはないし、お前にはそれを言う権利がない」

 

「なに?!」

 

「イリスはなんで俺の召喚に応じたんだ?」

 

「ん!私はこの世界に閉じ込められた知り合いを連れて帰るために、この世界に来た!マスターが知り合いを助けられる力があるから!召喚に応じた!これは私の意思」

 

そこにキラキラネームが口を挟んできた。

 

「だったら、紅蓮よりも強い俺のほうがいいんじゃない?」

 

「あなたじゃ一生無理、首飾りに選ばれし者だけ」

 

「だったら俺がその首飾りに選ばれるように強くなればいい。紅蓮と別れて俺のところにおいで?」

 

ロリコン、そう思ってしまった。

 

「その首飾りって言うのは何処にあるんだい?」

 

「ん!お前が首飾りに選ばれることはない。首飾りの選ばれる条件は血筋!」

 

そんな感じで話していると愛優美が

 

「イリスちゃんは、零と天之河くん。どっちについて行く?」

 

「勿論紅蓮じゃなくて俺だよな」

 

「どっちでもいいから、イリスが選びたい方を選べ」

 

イリスはそれを聞くと俺の方に来た。

 

「ん!断然マスター!」

 

「マスターはやめて、零って呼んで」

 

「零…?零お兄ちゃん!」

 

もうなんでもいいです。

 

「あの、どちら様知らないですが。私の意志を勝手に決めないでください」

 

その後もキラキラネームは俺になにか言ってきたが無視。そのまま下の階層に行くと魔物がいない部屋に着いた。だけど

 

「ムッ?おいメルド、魔物の姿がないぞ?擬態か?」

 

「お、よくわかったな。お〜い!気をつけろ!擬態しているぞ!」

 

その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやら擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。アイツの能力をイリスが吸収するとかなり強くなるな

 

「ロックマウントだ!二本の腕に注意しろ!豪腕だぞ!」

 

最初は雫達のようだ。その中に俺達が入ってるのなんで?まぁいっか。最初は優勢だったがロックマウントが息を大きく吸った。

 

「…?……⁉お前らぁ!!耳塞げぇぇぇ!!!」

 

俺は何をするのかわかった。この本にはロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”について書かれていた。それの魔法だとわかり、俺は全員に叫んで言ったが、間に合わなかった。俺と愛優美以外の全員が魔法の影響で動けなくなった。

 

「行くぞ!」

 

「わかった!」

 

俺達はロックマウントが投げてくる岩を避け、左右からマグマナックルとブリザードナックルで攻撃をして倒した。だが、ロックマウントは一匹だけではなかった。違うところから現れ、近くにあった岩を持ち上げて後衛の方に投げた。投げた岩は一回転し、姿が変わった。投げられた岩はロックマウントだった。メルド団長によって投げられたロックマウントは倒された。俺はもう一体のロックマウントの左足を凍らせ、イリスを呼んだ

 

「イリス!!」

 

「御意!」

 

イリスは手首から槍の様な触手を出し、ロックマウントに指した。エネルギーがイリスに吸収されている。その後、イリスは触手からレーザーの様な物を出してロックマウントを斬った。

 

「貴様ぁ……良くも香織達を…許さない!!」

 

なんか、キラキラネームが言ってるが無視。

 

「イリス、良くやった。初陣にしては凄いな」

 

「ありがとう!」

 

「万翔羽ばたき…天へと至れ…“天翔閃”」

 

「あ、馬鹿者!!!」

 

キラキラネームは俺の下にあるロックマウントの死体に向けて魔法を放った。

 

「は?!ちょ、ノイント!!」

 

ノイントを召喚し、魔法を分解する銀色の翼で防いでもらった。イリスが魔法に触手を当てて、吸収していたが気にしない。

 

「助かった、ありがとう。ノイント」

 

「いえ、ヤツの始末はどうしますか?」

 

「いや、まだ殺すな」

 

そこで、キラキラネームは俺をほっといて、みんなの方に振り返り、笑顔で言った。だが、一部の人はキラキラネームの攻撃の先に俺がいたことを知っていたためキラキラネームを少し睨んだ。

 

「みんな、大丈夫だ!俺が倒しただから安心し「この馬鹿者が!!」っ!!」

 

メルドはキラキラネームを殴り、俺の方に指を指していった。

 

「気持ちはわかるが、仲間が攻撃の先にいたんだぞ!!ちゃんと見てからやらんか!それにこんな狭い所で使う技じゃないだろ!!崩れたらどうする気だ!!」

 

キラキラネームは攻撃の先に誰もいなかったと言った。だが、俺の方を見て俺に言った。

 

「紅蓮!何故そんな所にいるんだ!俺が攻撃をしている前に出たら危ないだろ!!」

 

はぁ?俺、お前よりも先に出てロックマウント倒したんだが。そう思っているとメルドが言った

 

「お前よりも先に零が魔物を倒したんだぞ!!お前は魔物を倒したのに見ずに攻撃をしたんだ!わかっているのか?!」

 

そこでキラキラネームが崩した壁からキラキラ光る物があった。

 

「メルド、あれって……」

 

「あぁ、あれが前に言ったグランツ鉱石だ」

 

「素敵…」

 

そんな香織の一言を小悪党が聞き逃すわけなかった。

 

「だったら俺達で回収しようぜ!」

 

「あ、コラ待て!!」

 

小悪党はメルドの忠告を無視して壁を登り、グランツ鉱石のところまで言った。そして、グランツ鉱石触れた瞬間。俺達の足元に魔法陣が展開され、ワープした。

 

「これって俺達がこの世界に来た時のと同じ!」

 

そして、気が付けば一本の橋があるところに来ていた。

 

「お前達!直ぐに立ち上がってあの階段のところまで急げ!!」

 

俺達の後ろと前に魔法陣が展開され、数多のガイコツが出てきた。そして、一体だけ巨大な魔物が出てきた。

 

「まさか……ベヒモスなのか…?」

_________________________

愛優美視点

 

やった!ここだ!!この下だ!!!この下にあの子が!!どうにかして、行かなければ



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WARNING

小悪党が罠を発動させたせいで、俺達はかなり下の階層まで飛ばされた。気づけば一本の橋の上にいた。前後に魔法陣が展開され、大量のガイコツが召喚された。前方にはもう一つガイコツとは違う巨大な魔物が召喚された。

 

「アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル!全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう!?俺達も……」

 

「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ!ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ!さっさと行け!私はお前達を死なせるわけにはいかない!」

 

ここって65階層なんだな。初めて知った。

 

《ボトルキーン!カチカチカチカチカチーン!!》

 

俺はメルド達の前に氷壁を張った。

 

「念のためだ。雫、クラスメートのところに行くぞ。パニックで動けるやつが少ない」

 

「わかったわ。光輝、みんなの所に戻るわよ」

 

キラキラネームは雫の言葉を聞くが、メルドの方を向いた

 

「駄目だ!メルドさん達を置いて行くなんて…駄目だ!!」

 

「くっ……こんな時にわがままを!!」

 

キラキラネームはメルドの言うことすら聞かない。

 

「氷壁が壊れたら私は変身するから」

 

「ぶっつけ本番ってか?」

 

愛優美はマグマナックルを持って言った。今まで一度も変身したことがなかったが、大丈夫だろうか。

 

「零!!」

 

俺を呼ぶ声がし、振り返るとハジメがいた。ハジメにはクラスメート共を動かして欲しかったんだが………

 

「ハジメ?!クラスメートはどうした!!まさか、動かないとかじゃねぇだろうな」

 

「ごめん、僕じゃ誰も聞いてくれない」

 

「チッおいキラキラネーム」

 

「俺の名前は「どうだっていい」っ?!!」

 

俺は殺気を込めて言った。これでクラスメートのところに行って欲しいんだがな。

 

「今すぐにクラスメートところに戻れ。じゃないと……アイツら全員、死ぬぞ。いいのか?」

 

それを聞きキラキラネームはクラスメートの方に振り返った。メルドの方に振り返るとキラキラネームは言った。

 

「メルドさん、先に行ってます」

 

香織達は走って戻っていった。

 

「雫、今回ばかりは無事では帰れん」

 

「それでも約束は守ってね」

 

「あぁ……」

 

雫はクラスメートの方に走って行った。

 

「青春してるねぇ〜……でもいいの?もしかしたら、もう()()()()かも知れないんだよ?」

 

「会えるさ。いや、会う!必ずな」

 

『ボトルバーン!クローズマグマ!』

 

『Are you ready?』

 

愛優美はボトルをナックルに入れ、ビルドドライバーだっけ?にはめ込んだ。そしてレバーを回した。すると、ナックルに形状が似た坩堝型のマグマライドビルダーが背後に出現。

 

「変身!!」

 

中で煮え滾る大量のヴァリアブルマグマを愛優美に頭上からぶちまけ、足元からヤマタノオロチのように八頭の龍が伸び上がり、冷めて全身に固着したマグマを後ろから押し割ることで変身が完了した。

 

『極熱筋肉!』

『クローズマグマ!』

『アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』

 

「力がみなぎる… !魂が燃える… !俺のマグマがほとばしる!」

 

愛優美が何故か男口調になってるが気にしない。息を大きく吸って愛優美は言った

 

「もう誰にも止められねぇぇぇ!!」

 

同時にメルド達が張っていた結界は壊れた。

 

「メルド達はクラスメートのところに行ってくれ!!」

 

俺は戦いの邪魔にならないようにメリット達を下げた。そこからは愛優美とベヒモスの戦いが始まった。それだけならまだ良かった。

 

「なっ?!!あれは召喚魔法の魔法陣?!!しかもかなりデカい!!!」

 

橋の上に召喚魔法の魔法陣は展開された。かなりデカい。そう思っていると恐竜……ティラノサウルスに酷似した、首元まで裂けた巨大な口と無数の棘に覆われた顎の緑色の生物が振ってきた。

 

「ゴガァァァアアア!!!!」




さぁ、最後に降ってきたのは何でしょうか!!一応、モンスターハンターのモンスターです!


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奈落へ

愛優美視点

 

どうして?どうして()()がいるの?!この世界にモンスターはいないはず!!でも……そうだ!そういう事か!!だったら全て説明がつく!!あれがここにいる理由が!!

_________________________

零視点

 

「イビルジョー…!!」

 

愛優美はあの魔物を見て言った。アレについて知っている?そう思っているとイビルジョーと呼ばれる魔物はベヒモスに猛突進し、口を大きく開き床ごと抉るようにしてベヒモスに喰らいついた。ベヒモスからバキバキっと骨が砕けるような音がした。ベヒモスの体からは大量の血?が出ており、イビルジョーはベヒモスを飲み込んだ。

 

「おいおい…何なんだよアイツは…」

 

「ゴガァァァアアア!!!」

 

イビルジョーが叫んだと同時に、体が赤黒く光った。口から赤黒い霧のような物を出していた。イビルジョーは俺の方を睨み、俺を喰らおうとしてきた。

 

「あっぶな!」

 

俺は紙一重で回避した。

 

こっちは全て弱体化。あっちは強化か……最悪だね。私達が戦わないと街まで行っちゃいそうだ」

 

俺はそれを聞き、もし父さんがいる城にまで行ったらと考えると戦わなくてはならないと思った。

 

「なぁ…コレ使えばアイツに勝てるのか?」

 

「正直言って無理に等しい。私と合わせたら致命傷を負わせれるかも知れないけど………まさか!!使う気?!それを使うと最悪の場合死ぬのよ?!雫に会えなくなるかも知れないんだよ?!」

 

俺は少し考え、地面に頭を思いっきりぶつけた。血が流れ出てくる感じがする。だけどそんなことどうでもいい。

 

「悪ぃな雫、みんな。約束…破るわ。愛優美、コイツを止めるの手伝ってくれるか?」

 

「しょうがないなぁ。弟に頼みをされるなんて、初めてだなぁ

 

「アイツらは……俺が守る!!!」

 

そう叫び、グリスブリザードナックルをビルドドライバーにはめた

 

『ボトルキーン!グリスブリザード!』

 

冷気が一面に漂い俺の足を膝上まで凍結させる。

 

『Are you ready?』 

 

「できてるよ…!」

 

ナックルに似た「アイスライドビルダー」が出現、大量の液体窒素のような液体をぶちまけ、俺を氷塊状態に。

 

『激凍心火!グリスブリザード!』

 

後ろから氷塊をアイスライドビルダーが押し割り、変身が完了する。

 

『ガキガキガキガキガッキーン!』

 

「心火を燃やして…ブッ潰す……!!」

 

俺は叫んだ

 

「死闘!渾身!全霊!これが最期の…祭りだぁぁぁ―――ッ!!」

 

俺はイビルジョーに向かって走った。その横を愛優美が走り、俺達の手元にはクローズマグマナックルとグリスブリザードナックルがあった。

_________________________

ハジメ視点

 

「アイツらは……俺が守る!!!」

 

そう零の声が聞こえた。僕はトライムソルジャーを錬成で止めていた。零の声が聞こえ、その方向を見ると零が変身をしていた。あれに着けてるのって……!!

 

「八重樫さん!!零が!!」

 

「え?!」

 

八重樫さん以外の皆も見始めた。

 

「これが紅蓮達?こんな技能、彼らにはなかったはずだ」

 

天之河くんが零達を見て言った。僕はそれに答えた。

 

「当たり前だよ。あれは技能じゃない。あれはアーティファクトだよ」

 

「なっ?!!なんで俺達にも貸さないんだ?!仲間だぞ!!」

 

わかってない。天之河くんはあれが何なのかわかってないから言えるんだ。

 

「じゃぁ聞くけど。天之河くんは皆の為に死ぬ覚悟はある?」

 

そんな僕の問に彼は言った。予想していたけど

 

「俺は死なない!それに、今は関係ないだろ?!」

 

「天之河くん。零は()()()()()()()()()()()()ってことなんだよ。あの姿は()()()()()があるんだ。零は死ぬかも知れないのにあの姿で戦ってるんだよ。僕達を守る為に」

 

零が叫んでたアイツらって言うのは、僕、八重樫さん、白崎さん、恵里、幸利、浩介、零のお父さんの事だろう。それ以外の人はいない。

 

「紅蓮が()()の為に戦ってくれてるのか?」

 

やっぱり勘違いをしている。クラスメート全員の事じゃないのに。

_________________________

イビルジョーは俺達に向かってブレスを出す、が俺達はそれを転回で交わしてそれぞれのナックルに冷気と炎を纏わせ、イビルジョーの足を狙って攻撃をした。

 

「ゴガァァァアアア!!!」

 

イビルジョーは尻尾を振り回し、俺達をふっ飛ばした。だが、橋の上にいるため、イビルジョーの足元に急接近した。

 

「ボルケニック……!!」

「グレイシャル…!!」

「「アタック!!!」」

 

俺は殴り、愛優美は蹴った。攻撃が効いたのか、イビルジョーは少しよろめいた。

 

「やっぱり致命傷を負わせるだけ!」

 

「だったら!!!」

 

俺はレバーを2回回し、飛んだ。足が凍るような感覚がした。だが構わずイビルジョーに向かってキックをした。イビルジョーは口を開け、俺を食おうとしていた。ちょうど進行方向に口が開かれ、俺はイビルジョーの中に入った。中でキックが当たり、そこが凍り始めた。俺は力を上げた。するとどんどん凍っていきイビルジョーは中から凍りついて死んだ。その後、イビルジョーの尻尾当たりから俺が出てきた。凍りついたため、壊れやすくなっていた。

 

「ハァ…ハァ…」

 

「大丈夫?」

 

「あぁ。だが見ろ。生きたぜ」

 

そこにハジメ達が来た。だが、喜びも束の間。橋が崩れ始めていた。俺達は少し歩けば安全だった。

 

「零!愛優美さん!大丈夫?!」

 

ハジメが手伝いに来てくれた。

 

「あぁ助かる」

 

そして、安全な場所に来て変身を解除した瞬間、疲れがどっと来た。俺は膝をついたが、まだなんとかなる。

 

「大丈夫?!」

 

「あぁ、雫。約束通り生きて帰ったぜ」

 

そんな時だった。俺達に向かって火球が放たれた。俺は雫を押して巻き込まれないようにした。俺達の足元に火球が着弾し、爆発した。ハジメ、俺、愛優美が落ちた。

 

「「「いやぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」」」

 

雫達の声が聞こえた。そして、俺は壁にぶつかり、意識を失った。

_________________________

愛優美視点

 

今度会えたら()にお礼を言わないと。この子を()()()()()()()()()に案内してくれて。だけど、このままだとお陀仏になっちゃう。

 

「ほら、首飾りの中で聞いてるんでしょ?今から言うことをよく聞きなさい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。さぁ、私を体に戻して本当の姿に戻りなさい。吾ここに望む。魂の融合、体の融合。記憶を取り戻し、彼女に会いに行きなさい」

 

私は零のビルドドライバーに本来この世界にないクローズビルド缶をはめて変身した

_________________________

雫視点

 

零が落ちた。なんで?どうして?あの火球は何処から?私は香織と恵里ちゃんの所に行った瞬間。私達の足場が崩れた。私達は暗いそこに落ちていった。だけど、南雲くんが落ちていくのが見える距離だった。そして、地面が見えたとき()()()()()()に助けられた。南雲くんも一緒に。そこで意識が消えた。最後に助けてくれた誰かは倒れたのが見えた




俺の世界ではグリスブリザード=死のフォームという設定になってます


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正体

ハジメ視点

 

「……あ…れ?ここ…は?」

 

僕は奈落に落ちたところまでしか覚えておらず、赤と青のこの人が誰なのか、零と愛優美さんは何処に行ったのか。そして、八重樫さんや白崎さん、恵里がどうしてここで倒れているのか。わからなかった。

 

「と、取り敢えず3人を起こして、この人が誰なのか聞いて…それから、それから…」

 

考え事をしていると、うるさかったのか。白崎さんと八重樫さんが起きた。

 

「あれ?ここは…?」

 

「えっと………確か、私達がいた所が崩れて落ちて、赤と青の人?が私達を助けてくれて、それで……」

 

「取り敢えず、話は後で。壁に空間を作るからそこに入ってて、僕は少しだけ周りを見てくるから」

 

そう言い残し、壁に穴を開けて皆を入れた。赤と青の人は何故かわからないけど、安全な場所に置いといたほうがいいと思い、八重樫さん達と同じ部屋に置いた。

 

「えっと、ここが僕達が落ちてきたところで……」

 

そんな時、白い毛玉のような物がピョンピョン跳ねていた、見た目は兎だ。僕は近くにあった岩に隠れ、息を潜めた。様子を見ていると、兎がピクッと反応した。

 

(ヤバい、バレた?バレてないよね?)

 

「グルゥア!!」

 

僕が見つかったわけではなく、近くにあった岩から2つの尻尾を持つ白い狼が飛び出してきた。狼が兎を食べる瞬間だろう。これが弱肉強食の世界。そう思っていると

 

「キュウ!!」

 

そんな可愛らしい声がしたと思ったら、兎は飛び上がり、空中で一回転し、狼に向かって足を狼に当てた。すると狼は凄いスピードで壁にぶつかった。

 

ゴギャ!!

 

そんな音がした。ウサギは狼の死体の頭に足を乗せ

 

「キュキュウ!!」

 

勝利の雄叫びのような事をしていた。僕ははヤバいと思い逃げようとした。だがしかし、

 

カラン

 

僕は足元を見ていなかったため、近くにあった小石に気づかず、小石を蹴ってしまった。その音を聞き逃すわけがなく、ウサギは僕のほうを見た。僕と目が完全にあった。そして、ウサギは足に力を溜め始めた。

 

(ヤバい!!さっきのが来る!!)

 

僕は全力疾走で逃げた。少しすると、僕が場所にウサギの蹴りでできた小さなクレーターがあった。僕は今ので腰が抜けて、立ち上がれなくなっていた。

 

(ヤバい!!死ぬ!)

 

そう思い目を閉じた。しかし、何秒経っても痛みが来なかった。目を開けるとウサギが何かに怯えているかのようだった。

 

(体が震えてる?何かに怯えている?)

 

ウサギを怯えさせていた正体は右側の通路からやってきた。2メートル程もある巨大な魔物だ。30センチはある長く鋭い爪を持っていた。姿は熊に等しい。

 

(ヤバい!逃げないと!!)

 

僕はその爪熊から逃げるように来た道を帰った。蹴りウサギも違う道に逃げようとしたが、それは叶わなかった。熊は身体に合わぬスピードでウサギに接近していた。ウサギは熊の攻撃を交わした。だけど、ウサギが地面に着地すると体がズルっと落ち、噴水のように血が出ていた。

 

(ウサギの次は僕だ。逃げないと!!)

 

熊が爪をこっちに向けた時、ゴウッと言う風の音が聞こえた。すると、体に衝撃が加わり、転んだ。

 

(風?!もしかして、風で相手に攻撃を?!!)

 

僕は熊の方を見た。すると何かを咥えていた。しかし、()()には見覚えがあった。

 

(あれ?あれって)

 

僕は恐る恐る左腕を見た。正確には()()()()()()()()だ。そう、熊は僕の左腕を咥えていた。

 

「あ、あ、あ、あがぁぁぁああああああーーー!!!」

 

熊は少しずつ僕の方によってきていた。

 

「錬成!錬成!!錬成!!!錬せい!錬せい!!錬せい!!!」

 

僕は後ろに下がりながら錬成で壁を作った。だけど、熊は難なく壁を壊し近づいてきた。

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

僕は後ろを振り返らずに走った。走り続け、僕は白崎さん達がいる場所まで戻った。入った瞬間、僕は錬成で壁を閉じて倒れた。

 

「え?!南雲くん?!!大丈夫?!」

 

白崎さんがこっちに来たところで意識を失った。

_________________________

愛優美視点

 

本来であれば、私はあの子の体の中で過ごしていたはずだった。だけど、何かの手違いで私はあの子達とは別の場所にいた。

 

(まぁ、あの子の復活に必要な物は置いていったし、あの子達と合流して、正体を明かして、また体の中に戻って、あの人の場所に行って、その後にこの世界を乗取ってあの人を巻き込んだ神を消して、ハジメ達を元の世界に帰さないとね!)

 

そう思いながら歩いているとウサギのような何かが狼を倒すところを目撃した。

 

(この世界のウサギがおかしいのか、それともこの奈落の魔物がおかしいのか………ん?あれってハジメじゃん)

 

向こうの岩陰にハジメが隠れていた。狼が倒され、ウサギはハジメの方を向き追いかけていた。

 

(何あれ、大砲じゃん)

 

そこに、熊が現れた。

 

(何あの熊。絶対に強い)

 

そう思っているとハジメが逃げ出した。

 

(あ、追ったらみんなの場所に行けるかも!!)

 

しかし、道中にハジメに攻撃を始めた

 

(よし、アイツ殺す。ハジメの腕なくなったのバレるとあの子にまた殺されちゃうかも。それだけは勘弁!!!)

 

と思った矢先、熊がハジメの左腕を食った。

 

(はい。終わったー!私の人生終わったー!魂消されちゃうー!!)

 

ハジメが入った穴の先に香織達がいたように見えた。そして、赤と青の人が倒れていた。

 

(完全にあそこじゃん!!よし、熊倒す!!)



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告白

ハジメ視点

 

気づけば天井にあった結晶から垂れていた液体が口の中に入っていた。体を見ると、怪我が治っていた。左腕ではないままだけど

 

(どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして?どうして僕がこんな目に遭わなくちゃならないの?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?)

 

僕は考えた。どうして僕がこんな目に遭わなくちゃならないのか。考えていたとき、横から声をかけられた。

 

「ハジメくん。大丈夫…?その……腕」

 

恵里だった。

 

「大丈夫だよ。それよりも、まだあの熊はいるのかな?と言うか、あれからどのくらい時間が経ったの?」

 

「わからないの。食料も何もないの」

 

「そっか、零達は何処に行ったのかな……探しに行かないと…」

 

僕は立ち上がり、今度は違う道に穴を開けようとしたが、体が思うように動かず。倒れてしまった。

 

「南雲くん!大丈夫?!」

 

「やっぱりまだ傷が治ってないんじゃ!!」

 

「うん。それよりも。この結晶の名前って何なのかな」

 

僕の前に謎の穴が出てきた。でも、この穴……何処かで

 

「え…?なに…これ…?」

 

「これって…愛優美さんの…」

 

その穴から爪熊に殺されたウサギの死骸が出てきた。

 

「「「「え…?」」」」

 

僕達にとって、これしか食料がなかった。でも、どうしてこれが出てきたのかわからなかった。

 

「僕はこれを食べるよ」

 

「南雲くんが食べるなら…私も食べる!!」

 

「「私達は香織が食べるなら私達も食べないとね」」

 

そして、肉を食べた。

 

「うぇ、不味い」

 

「「「うん。不味い、生だからかな?」」」

 

その時だった

 

「ぁ?あがあ!あぁがぁぁぁぁぁあっぁぁぁあああぁぁ!!!!」

 

「「南雲くん?!!えぁ?がぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

「うぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

僕達の体に凄い痛みが来た。女の子が出しちゃいけないような声が聞こえた。

 

((((そうだ。僕の……いや、俺達(私達)の邪魔をする奴は全員殺す!!クラスメートでも!!絶対に殺す!!!))))

 

そこで、意識が消えた

_________________________

愛優美視点

 

私は熊に食われる前に食料としてハジメ達に渡した。

 

「さてさて、魔物の肉を食べたら私も行こうかな」

 

そして、中から叫び声が聞こた。

 

「これを乗り越えられたら、君らは私に勝てるほどの力がつくかもね」

 

しばらくして、叫び声が消えた。近くに熊が来た。

 

「さぁ、君はここで舞台を降りてもらうからね?」

 

私は振り向き、熊を睨みつけた。すると熊の体に大きな穴ができていた。

 

「ありゃりゃ、この力を使いこなせるのはまだ先かな?さて、起きたときに入ろうかな」

 

どれだけ時間がかかるかわからないけどね!

_________________________

ハジメ視点

 

俺達は意識を失っていたようだ。俺達は結晶から落ちてる液体を飲んでいたようだ。

 

「いてて…」

 

俺達は白い髪になったようだ。

 

「あぁ〜、そうじゃん。魔物の肉って食べちゃいけないんだっけ?クソ、失敗したな。俺の髪が白くなっちまった」

 

寝ていた八重樫と白崎が起き上がった。

 

「皆の髪の色が変わってる!」

 

「南雲くんがめっちゃ似合ってるね。あと、南雲くん一人称変えた?」

 

少し雑談をした。恵里が起きて髪が変わっていたから驚いていたどれくらい経ったのかわからないけど、今の時間が幸せに感じた。白崎がいるからだろうか。

 

「そうだ。香織、今は私達しかいなんだし。言っちゃえば?」

 

そんな八重樫の言葉に白崎は少し顔を赤らめて困った。

 

「じゃぁ、私達はこっち向いているから、香織。ファイトよ!」

 

「え?え?雫ちゃん?!!」

 

何なんだろう。八重樫達は本当に違う方向を向いていた。俺達は向かい合わせで座っていた。

 

「あ、あのね。南雲くん」

 

「あ?なんだ?」

 

白崎は少し目を瞑って言った。

 

「私は、貴方が好き!優しくて、真面目な貴方が好き!だから、私の!「ちょっと待った」え?」

 

「ここは普通。男が言うもんだろ?ここから先は俺に言わしてくれ」

 

白崎は頷いた。

 

「俺はお前が好きだ。だから、俺と付き合ってくれ」

 

「はい!」

 

白崎は俺の告白に応えてくれた。そのままハッピーエンドで終わるはずだった。だが、俺の隣りにあった壁が壊された

 

「いやぁ〜、君らが付き合うことになるのはわかってたけど、まさかここで告白だったとは………おっと。やぁ、5日ぶりだね四人とも」

 

ケムリで見えないが誰かがいることがわかった。その声に少し懐かしさを感じた。煙が晴れ、姿が見えた。そこには黒い姿の人形の何かがいた。

 

「お前何者だ。俺達とどういう関係だ?!」

 

俺は地上で作った銃でソイツを撃った。しかし

 

「危ないじゃん。急に撃たないでよ!」

 

ソイツがいた場所に赤い靄が少し残っていた。後ろから声がして振り返るとソイツは俺の後ろにいた。周りに青い靄が出ていた。だが、赤い靄と青い靄はすぐに消えた。

 

「って、そうじゃん。この姿で会うのは初めてだね」

 

そして、今度は紫の靄が現れた。数秒経つと靄が消え中から行方不明になっていた紅夢 愛優美が現れた。

 

「っつ?!!!」

 

俺は偽物だと思い、撃った。

 

「だから、危ないじゃん」

 

一瞬、当たったように見えたが。言葉で表すことは難しいが()()()()()()感じがした。

 

「本物だって言えることはあるか…?」

 

「ん〜と。そうだねぇ………あ。大迷宮に行く前日の夜に零の部屋に雫ちゃんが行ったこととか?」

 

「?!」

 

「他にも、香織ちゃんがハジメの部屋に行ったこととか?」

 

「「?!!」」

 

「恵里が零と一緒にお風呂に入ろうとしたこととか?」

 

「?!」

 

「恵里?」

 

「わかった!!わかったから!お前は本物だ!」

 

危ない危ない。

 

「あ、零に会える場所あるけど。行く?」

 

その言葉に恵里と雫が大声で言った

 

「行く!!!」

 

「わかった。じゃぁちょっと体借りるね」

 

そう言い、愛優美は赤と青の人に手を当てて中に入った。新たに愛優美が仲間になった



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クラスメートSide

ハジメ達が奈落に落ちた時まで遡る。

_________________________

クラスメート達は落ちていった仲間を見ていた。ある者は泣き、ある者は絶望し、ある者は決意を固めた。そして、ある者は()()()()

 

「香織ぃぃぃぃぃ!!!雫ぅぅぅぅぅぅ!!!!恵里ぃぃぃぃぃ!!!」

 

奈落の下を見て勇者、天之河は叫んだ。そして、それを聞き二人の男が驚いた。遠藤浩介と清水幸利だ。

 

(何故、零達の名前がないんだ?)

 

「天之河、皆疲れている。零達の安否確認を後日に回したほうがいい」

 

「なんだと?!!お前は香織達を見捨てる気か?!!駄目だ!そんな事は俺が許さない!!!そんなことよりも香織を最優先で探すんだ!!」

 

「そうだ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

天之河の反論に檜山も賛成する。二人の言葉に殆どの人が耳と二人の頭を疑った。

 

(零達なんかよりも?)

 

「お前ら、今なんて言った?零達なんかって言ったか?」

 

「あぁ!そうだよ!!それが何なんだよ!そんな事どうでもいいだろ!!」

 

檜山は幸利の言葉に反論した。浩介はスマホで録画をし始めた。何故かはわからなかったけど、そうすべきだと思った。

 

「俺達は零と愛優美がいなかったら死んでたんだぞ?!!最強のパーティーを壊滅まで追い込んだ魔物ベヒモスを食ったあの魔物を誰が倒した?零達だよな?!アイツらは俺達のために戦ってくれたんだ!なのに“そんなこと”はないだろ」

 

幸利の言葉は迷宮中に響いた。

 

「おい!天之河!お前、勇者だろ?!なんで勇者のお前が後ろにいたんだよ!元々見捨てるつもりだったのか?!!」

 

「ちが!おれはそんなこと!!」

 

言い切れないようだ。幸利は勇者パーティーを抜けると言い、迷宮を出ていった。録画を済ませた浩介も後を追うように迷宮の出口へ進んだ。

 

「俺は…見捨てるつもりじゃ…」

 

天之河が膝をついてるにも関わらず、メルドの声によって迷宮を出ることになった。その後、メルドの報告でベヒモスよりも上の魔物が現れた事、香織達の安否不明が王国中に流れた。だが、南雲とは誰だ?紅蓮とは誰だ?など、()()()()をどうでもよく思ってる人が何人もいた。それは勿論国王の耳にも届いた。

 

「南雲とは誰のことだ?」

「知らんのか?訓練をサボる無能のことだ」

「そんな奴がいたのか?まぁ、ベヒモスよりも上の存在が知れた。死んで良かったな」

 

そんな話と笑い声が聞こえた。

 

「さっきから!「今、南雲ハジメと紅蓮零を笑ったのは誰だ?」?!」

 

クラスメートよりも早く王が言った。当然だろう。血は繋がってないとは言え、家族だったのだから。そして、子供を育ててくれた友の子だからだ。大切な存在だったからだ

 

「今後、その話で笑った者は死刑と処す」

 

その王様の言葉に多くの人が反対した。話で笑っただけで死刑はおかしいと。王は言った。

 

「勝手にこの世界に連れてきて死んで良かったではないだろう。彼らを大切に思う人は少なからずいる」

 

王様の隣でリリアーナ姫が涙を流していた。零の事を本当の兄のように接していたからだ。愛子先生は零達が死んでしまったかも知れないと言う話を聞き、3日間寝込んだ。幸利は園部に愛ちゃん護衛隊に入隊?した。



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再会

あれから、どのくらい経ったのだろうか。暗闇の中で私達は進んでいた。50階層は進んだと思う。

 

「ん?おい、なにかあるぞ」

 

私はそれを見て急いでその場所に行った。ハジメ達の声なんか聞こえないように。

 

「最悪…」

 

「おい!って、なんだコレ」

 

そこにあったのは空から何かが降りてきた絵だった。私はその何かを知っている。いや、知っていた。あった事もない筈なのに。壁画の横に文字が書いていた。

 

「何だこの文字は、言語理解でもわからないぞ」

 

当たり前だ。だって、この文字は遥か昔に()()()文明の文字だ。だが、その横にこの世界にはないはずの地球の言葉、日本語で何かが記されていた。

 

「えっと、《遥か遠い星から英雄が来たとき、この世界は終焉へと導かれる。星を喰らいし者を連れてくる。伏して拝め、黄金の終焉を。大いなる2つの力が出会いし時、その輝きの中で真の姿を表さん》なんだコレ、遠い星……地球のことか?そこから英雄……勇者の天之河のことか?」

 

「「「「それは絶対にな……いや、ありえるかも」」」」

 

英雄って、これ私達のことなんじゃ。その後、また五十階層降りた。そこに扉があった。

 

「パンドラの箱かな?」

 

「あれ?閉まってる?」

 

「こじ開けるか?」

 

「ねぇ、また何か書いてるよ!」

 

この扉は知らない。けど、()()()はこの迷宮の何処かにいるはず。

 

「えぇ〜っと、この先立ち入り禁止。永遠の命が欲しかったら神に祈れ、この先には永遠の命はない」

 

「「「「「永遠の命?」」」」」

 

え、待って。永遠の命って何?私知らないよ?!蓬莱山の薬がこの先にあるのかな?エーリンに怒られない?大丈夫かな?実験台されない?いや、されないか。あの子がいるから。

 

「取り敢えず、開けようぜ?」

 

そう言い、ハジメは扉に手を当て、錬成で道を切り開こうとした。だが、

 

バチィイ!!

 

ハジメが手を置いたところから赤い放電が走り、ハジメの手から煙が出た。

 

「っつ!!なんだ?一体」

 

オォォォォォォォォォオオオオオオ!!!

 

後ろからそんな雄叫びが聞こえた。

 

「なっ?!!!さっき何処にもいなかったろ!!!」

 

コイツは……一つ目のサイクロプスかな?それが2体いた

 

「違う!!擬態していたんだ!!!」

 

近くにあった石像が消えていた。

 

「チッ」

 

ドパン!ドパン!

 

ハジメは銃でサイクロプスの目を狙って撃った。しかし、サイクロプスは横に避け、銃弾をかわした。

 

「鬱陶しい!!!」

 

私はこれ以上の時間は取りたくないため、ベルトのレバーを回した。と言うか、二人じゃなくてもビーザワンに変身できるだね。

 

「ラブアンドピースフィニッシュ!!!」

 

サイクロプスの目を狙ってライダーキックをした。サイクロプスは動けずにいた。もう一体のサイクロプスは驚き、すきを見せた。

 

「後ろががら空きだぞ!!」

 

ドパン!

 

ハジメの銃によってサイクロプスは倒された。

 

「これで邪魔はなくなったか?」

 

「よし、じゃぁ開けよっか!」

 

そして、私達はサイクロプスを倒した後に扉を開けた。暗くて見えなかったが。声が聞こえた。

 

「あら?意外と遅かったわね」



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再会の吸血鬼と金色の吸血鬼

私は聞きたかった。あの子の細胞が少しあるとはいえ、この声を聞きたかった。そして、兄として、あの子の血の繋がった兄弟としてあの子を彼女に会わせたかった。私はあの子の細胞が入ってるからか、その声に涙した。

 

「おい、愛優美。零に会える場所って何処なんだ?嘘をついたのか?」

 

「えぇ、会わせると言った。だから、会わせる為にここに来たのよ」

 

「零?零って、()()()のこと?」

 

彼女の言葉にハジメ達は「誰だ?」と言っていた。

 

「まぁ、その話は後でね。それよりも…白髪の男、奥にいる子を助けてくれないかしら?」

 

「俺達にメリットがない」

 

ハジメ答えを言うと出口の方へ向かった。彼女はハジメの応えに少し笑った

 

「やっぱり、()()()()()からなのかしらね」

 

「………」

 

ハジメは少し止まり、振り返った。

 

「………その話、詳しく聞かせろ」

 

「えぇ、あの子はある国の王族だったの。凄い力を持ってたわ。皆の為にあの子は頑張った。でもね、ある日家臣の皆がね、偽神にこの子の体を差し出そうとしたの。それだけじゃなく、あの子の家族が《強大な力》を持っているから封印すると言い出してね、ここに封印したの」

 

「お前は何なんだ?」

 

「私?私は……そうね、別世界の吸血鬼よ。この子の凄い力を私も持ってるわ。今は、あの子を守りながら、ある人を探しているわ」

 

「そのある人って?」

 

香織の質問に彼女は少し微笑みながら言った。

 

「私の……彼氏であり、別世界の創造神、創造主よ……異世界と言っても、この世界も含まれているけどね」

 

その答えにハジメ達は驚いた。そして、

 

「わかった。封印されてるヤツを助ければいいんだな?」

 

「えぇ、お願いできるかしら」

 

「任せろ」

 

そして、奥に進み金色の髪を持つ吸血鬼がいた。

 

「……だれ…?」

 

ハジメは無言でその封印の何かに手を当て、錬成で無理矢理解こうとした

 

「っつ?!!これは……魔力を全部持っていきそうだな…いいぜぇ!!好きなだけ持ってけぇ!!」

 

そして、数秒、数十秒と経ち、封印していた何かが消えた。そして、()()()()がいた。

 

「ん。ありがとう」

 

ハジメは無言で外方を向き、来ていた服を1つだけ渡した。

 

「……エッチ」

 

「ハジメくん?」

 

香織の声にハジメは少し恐怖を感じた。少女は服を着てハジメに近づいた。

 

「あぁ〜、取り敢えず。自己紹介と行こうじゃないか」

 

「そうだね。私は八重樫 雫。よろしくね」

 

最初は雫からだった。

 

「俺は南雲ハジメだ」

 

「私は()()()()()()()()の白崎香織だよ。よろしくね」

 

香織の説明に少し何かを感じたが気にしない

 

「私は紅夢 愛優美だよ」

 

「私は恵里」

 

「……名前はハジメが決めて」

 

「名前ないのか?」

「忘れちゃったの?」

 

そのハジメと香織の質問に少女は答えた。

 

「前の名前、もういらない…」

 

「ん〜……じゃぁ、ユエとかどうだ?俺達がいた世界の言葉で月を意味する言葉なんだ」

 

少女はユエと言う名前を気に入ったのか、なんども小声で言っていた。

 

「あ、そう言えば貴方の名前はなに?」

 

雫はあの人に名前を聞いた。あの人は目を赤く光らせ、後ろにある羽で少し高く飛んで言った。

 

「私の名前はフミア・スカーレットまたの名を紅蓮 真紅よ」



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正体

自己紹介を終えた後、ユエがハジメに近づき、それを香織が止めていた。香織達の揉め合い?の中、雫が最初に口を開いた。

 

「そう言えば、『意外と遅かった』って言ってたけど、どういうこと?」

 

「その話は後で。それよりも貴方達は会いたい人がいるんじゃないの?」

 

フミアの一言でユエ以外の全員が止まった。

 

「まさか、コイツがアイツの場所を知ってるとかか?」

 

「ねぇ、もう一度聞くわよ。その人の名前は紅蓮零なのね?」

 

フミアの質問にユエ以外の全員が頷いた。

 

「そう、だったら簡単ね」

 

「簡単?」

 

フミアは立ち上がり、赤と青の人?の方に向かった。そして、フミアは自身の膝に青と赤の頭を乗せ、ベルト?に手を当てた。

 

「あら、()()()()()()()()()()()()()だと思ってたわ」

 

そして、赤と青の間から紫色の光が溢れ出し、赤と青の鎧?が消えた。そして、少し髪が長いがそこには零がいた。

 

「ほら、起きなさい。()()()()にこの世界に来たのでしょう」

 

「フミアさん?私達は貴方を助けるんじゃなくて―――」

 

香織が言い終わる前に、フミアが零にキスをした。その後、首飾りを取った。小声で何かを言ったあと、首飾りは刀に変わった。その後、刀を零の胸に突き刺した

 

「「「「「……え?!!!」」」」」

 

刺さった場所が光、刀が零の体に吸い込まれていった。

 

「ハッ!ちょ、フミアさん!!零は私の!!」

 

「えぇ、今は貴方の彼氏よ。でもね、それ以前に私達の恋人でもあるの」

 

「え…?」

 

雫は驚いていた。フミアは何も知らない雫に言った。

 

「零……しげるはね、転生者なの。それも別世界からの。まぁ、そこはしげるから聞いてね」

 

ハジメは転生と言う言葉に反応した。その後、零はアクビをして、起き上がった。

 

「んー!……長く寝てた気がする、って。ここ何処だ?」

 

零が困惑気味の中、フミアは零に言った。

 

「あら、主役は遅れてやってくるってヤツかしら?久しぶりね」

 

零は恐る恐る声のする方へ振り向き、泣いた。ハジメも誰も見たことない。零の涙を……

 

「ほら、あの子達に説明しなさい」

 

「ん?あ、ハジメ。雫、皆……」

 

雫達は零に抱きついた。

 

「だれ…?」

 

「ん?お前は……ハジメの仲間か?」

 

「あ、あぁ。コイツはユエだ。んじゃ、お前の話を聞かしてくれ」

 

「ん〜、まずどっから話そうかなぁ。あ、愛優美。お前も手伝え」

 

その後、零改めしげるは全てを話した。自分が何なのか、フミアは何なのか。そして、この世界が何なのか。

 

「つまり?」

 

「この世界で神を名乗ってるやつを倒すか、俺に頼べば地球に帰れる。」

 

「お前はどうするんだ?」

 

「俺か?俺は創造神として、龍神として、フミアの彼氏として、ここの神を消す。」

 

「消した後はどうするんだ?」

 

雫が少し反応した。

 

「俺は、自分の帰る場所に帰る。雫はどうしたい?って、言いたいんだが。俺はいつでもお前らに会えるから、聞く必要ねぇか。」

 

そこで、誰かのお腹が鳴った

 

「お腹すいた」

 

愛優美だった。

 

「お前なぁ、まぁいいか。飯にしようぜ」

 

「零、ここには飯がない」

 

零は少し微笑んで言った

 

「忘れたか?俺の天職は召喚師……あ、そう言えばなんだが、俺のステータスってどうなってんだ?」

 

ステータスプレートを出して言った。零は神。もっと凄い事になってそうだからだ。

 

=========================

名前:紅蓮零

年齢:不明

性別:男

レベル:∞

天職:創造神 召喚神 龍神 光の巨人

筋力:∞

体力:∞

耐性:∞

敏捷:∞

魔力:∞

魔耐:∞

技能:多すぎてわからん

=========================

 

「「「「「え?」」」」」

 

「「「あれ?意外と少ない」」」

 

フミア、愛優美、しげる以外の全員が驚き、3人は少ないと言っていた。



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女性に年齢を聞くのは間違ってる

ハジメ達が驚き、零達は少ないと言った。ハジメ達は零の方を見た。

 

「え?これで何が少ないんだ?」

 

「あ?んなもん、天職に決まってんだろ」

 

そのまま、話をした。天職が少ないと思う理由を。その後、飯を食った。零が召喚した牛肉を焼いて食べていた。そこでハジメがユエに聞いた。

 

「ユエはいつからここにいるんだ?」

 

「ん!300年以上前」

 

「と言うことは、少なくともユエは300歳は超えてるってことか?」

 

ハジメの言葉にユエは少し目を細くした。

 

「ハジメ、マナー違反」

 

「ハジメくん…?」

 

香織の声が少し怖く感じた。零はハジメに続くように言った。

 

「つうことはだ。フミア、800歳越えたか?」

 

「えぇ、もうとっくに2000も越えたわよ。でも貴方は何時プロポーズをしてくれるのかしら」

 

そんな会話をしていると雫が言った。

 

「そうよ。フミアさんが恋人で、私も恋人って浮気じゃないの?!」

 

全員が零の方を見た。だが、零は表情を変えずに言った。

 

「あ?俺が元いた世界だと一夫多妻婚は普通だぞ?それに、無理だってんだったら。俺が法律を変えればいいからな」

 

「お前にそんな権利ないだろ?」

 

ハジメの質問を返す時、魔法陣を展開して三色団子を出して食べた。

 

「おいおい、忘れんな。俺は創造神であり、龍神。願いの一つや2つ3つぐらい叶えることなんぞ容易い」

 

三色団子の一つを恵里とフミアに渡しながら言った。

 

「ねぇ、一夫多妻婚ってことは他にも恋人いるの?」

 

「えぇ。しげるには後、十人以上はいるわよ」

 

「そうなんですね。フミアさんが正妻なんですか?」

 

「敬語はいらないわ。正妻は私じゃないわ。しげるには世界の消滅や自分の死よりも大切な存在がいるわ。世界を敵に回してでも守ろうとしてる人がね」

 

世界を敵に回してでも守ろうとしてる人がいることに全員が驚いていた。全てを知ってる愛優美は寝ている

 

「ねぇ、首飾りが刀に変わったけどあれはなんで?」

 

香織が零の首飾りを指さしながら言った

 

「ん?これか、これは……そうだな。俺の相棒、愛刀の仮の姿だ。コイツ1体いれば地球は人が住めなくなる。世界を壊すことだってできる」

 

ハジメ達は驚いた。身近にあった首飾りにそんな力があると思わなかったのだろう。零達は食事を終え外に出た。すると天井にサソリのような魔物が現れた。

 

「な、なぁ。その刀で1回戦ってくれるか?」

 

「あ?いいぞ。だが、お前らの目で見えるかわからないがな」

 

零が言った事の意味がわからなかった。零は首飾りを取り、刀に変えた。

 

「キシャァァァアアァァ!!!」

 

サソリモドキは零に襲いかかった。だが、零はサソリモドキが攻撃した場所にいなかった。

 

「遅い」

 

2本の尻尾がいつの間にか落ちていた。

 

「キシャァァァ!!!」

 

サソリモドキは怒ってハサミで攻撃しようとしたが、ハサミは斬られた……と言うよりも消えた。その後、足の下にある地面が削られて体制を崩した。その後、頭が燃えて消えた。

 

「倒したぞ」

 

零の言葉が聞こえていないのか、ハジメ達は全く動かなかった。

 

「少し衰えたかしら。前ならあんなの秒もかからなかったでしょう?」

 

「まぁまぁ、十五年以上も刀に触らなかったからじゃない?」

 

その後、ハジメ専用の銃を作った。



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花の魔物

あれから数階層降りた。俺達は走っていた、ハジメはユエを背負った状態で走っていた。現在二百近くの魔物に追われていた。そして何故かここらの魔物の頭に花のような物が咲いていた。

 

「流行りか…?」

 

「零、あの花全部切って」

 

零はフミアに言われ構えた。そして、抜刀して一瞬で全てを切った。すると、魔物は全員落ちた花を見た。零達を無視して、花を何度も踏みつけていた

 

「「「は…?」」」

 

「寄生系か?」

「なんと言うか、無理矢理って感じかな?」

 

踏み続けて零達に気づいた途端、逃げ出した。

 

「あ、そうだ。零、三月を見てないかしら?あの子がいたらここら一帯を片付けられるけど……」

「あぁ………王国かも…」

「えぇぇ…嘘でしょ貴方……」

 

フミアと零が何かを言っている間、恵里と雫が少し顔を膨らましていた気がするが気にしない。

 

「ねぇ、召喚魔法で呼べないの?」

「「それだ…!!」」

 

「吾が求めるは忠誠ありし者……召喚!!!」

 

迷宮のド真ん中で魔法陣を展開した。魔法陣から桜が出て舞い、中心に集また。

 

「お久しぶりでございます、お嬢様。そして、旦那様………次にこのような時があればもっと早くに読んでくださいね?旦那様…?」

 

桜が舞い落ち、中心に三月がいた。零に向かって色々言っていた。

 

「久しぶりね。三月、またよろしくね?」

「はい!お嬢様!…あと、旦那様」

 

その後、三月を連れて道を進んだ。少しすると大きな広場に出た。そこには無数の緑色の粒子の塊が飛んでいた。そして、俺達の方に飛んできた。

 

「お前ら大丈夫か?」

「一応大丈夫よ」

「私も大丈夫だよ」

「私も大丈夫だよ。お兄ちゃん達は?」

 

「俺も大丈夫だ」

「私も」

「私も無事でございます」

 

「ユエは?」

 

しかし、ユエから何も返ってこなかった。

 

「ユエ…?」

 

ハジメがユエの方に振り返った。そして、返ってきたのは

 

「…にげて……ハジメ…みんな…!」

 

ユエの魔法がハジメに向けられて放たれた。ハジメは避けたがハジメの後ろにあった岩壁が綺麗両断された。

 

「さっきの緑のやつか…?」

「フミアとかには感染してねぇよな…?」

「感染したって言ったら?」

「主犯をこの世から消滅させる」

 

そんな話をしているとユエの後ろに花の魔物が現れた。

 

「「ビオランテかな?」」

 

そんな話をしていると、ユエを救出しようとしていた

 

「ハジメ…ワタシはいいから…撃って!!」

「え?マジで?助かるわ」

 

ドパン!!!

 

銃声が鳴り響き、花の魔物は倒されていた。だが、見れば皆がハジメを冷たい目で見ていた。



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血の味

ハジメが撃ってから数十分が過ぎた。ハジメを冷たい目で見る香織と雫。その横でユエを慰めるフミア。その後ろで召喚をして自分らの衣服を呼び寄せてる零と愛優美。

 

「あ、あの〜……ユエさん?血、飲みますか……?」

「いらない。零の血を飲む」

 

「え?駄目よ。しげるの血を飲んだらどんな吸血鬼でも死んじゃうわよ」

「「「え…?」」」

 

零の血を飲んだら死ぬとフミアから言われ、全員が零を見た。

 

「……どうして?取られたくないから?」

「違うわよ。あのね、しげるの種族“英雄”はね、色々おかしいの。DNAや細胞が一つずつ違うの」

 

フミアは零に近づきながら言った。そして、

 

カプッチューチュー

 

「だから、その血を飲んだら吸血鬼は死んじゃうの。不老不死でもね」

 

「「「いや、飲みながら言われても説得力ない」」」

 

そう、フミアは零の首元から血を吸いながら説明をしていた。

 

「あら?じゃぁ、実際に吸血鬼が飲んだときの映像見る?」

 

渡されたスマホの1つの動画を見た。そこには1人の吸血鬼が零の首筋に噛み付いていた。すると、顔の部分から燃えていった。すると、灰すら残らずに消えた。

 

「怖い…」

「「え…?だったらどうしてフミアだけ飲めるの??」」

 

「……零の血を飲み過ぎで耐性がついたからかしら…?」

 

「「えぇぇ……」」

 

「最初は凄く辛かったけど、徐々に慣れたわ」

「じゃぁ香織の血を飲ませて…!」

「フェェ?!私の血?!」

「答えは聞いてない…!」

 

ユエは香織の断りなしに血を吸った。その後、雫の血も飲んだ。

 

「ん!香織の血は濃厚、雫の血は甘い味」

「俺のは飲ませんぞ?愛優美のもな」

 

「「え?なんで愛優美さんのも?」」

 

「コイツと俺は兄弟だぞ?種族が同じだからな………飲んでみるか?俺の力で耐性は付けられるけど」

「飲む…!」

 

ユエは即答した。零はユエに種族“英雄”の血を飲めるようにした。

 

「カプッチューチュー」

 

零の血を飲んだ瞬間、ユエは目をキラキラさせた。その後、愛優美の血を飲んだ。こっちもこっちで目をキラキラさせた。

 

「零の味は絶品でしょ?」

「……!!」コクコク

 

「零達の血を飲むと、新しい力が手に入る…!それだけじゃない、あの神水よりも美味しい!!」

「新しい力?技能か?」

 

「魔法分解、状態異常分解、魔血、血を操る者を手に入れた!」

 

零達の血を飲んだユエが新しい技能を手に入れて喜んでいた。

 

「魔血と血を操る者ってなんだ?」

「あ、それは私の力の1つね」

 

不明な技能をフミアは知っており、ハジメ達に説明を始めた。

 

「どんな技能なんなんだ?」

「まず、魔血は血を魔力として消費して魔法を放つわ。それに魔法として認識されないから、魔法分解が効かないわ」

「「「スゲェ技能だけど、もう1つは?」」」

 

「もう1つの血を操る者は皮膚から血を出して、斬撃として飛ばしたり、血で武器を作ったりできるわ。あと、血流を止めたり、逆流させたりできるし、血を復元させて貧血を治すことだってできるわよ」

「「「こっちはこっちでヤバかった…?」」」

 

どちらの技能もヤバかった。それだけがわかる。敵を簡単に殺せる技能だからだ。



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迷宮最奥のガーディアン

あれから、寝ていた恵里を起こして、ユエがご機嫌になってから最奥を目指した。

 

「完全にここがボス部屋だろ」

 

1つのデカい扉があり、それ以外何もなかった。

 

「んじゃ、扉開けて行くぞ」

「待った。零達3人は今回戦わないでくれ」

「なんでだ?俺達がいれば簡単だろ?」

 

「それだと俺達が弱くなっちまうだろ。だから、3人は見ててくれ」

 

「「しゃーないなぁー」」

「お手並み拝見と行こうじゃない、零の恋人さん?」

「あれ?フミアは俺が取られるのが怖いのか?」

「そんなわけ無いでしょ?正妻に会わせられるかと、あの世界に行けるか見極めるのよ」

 

「あぁ〜なるほどね」

 

その後、ハジメ達が扉を開けて中に入っていった。

_________________________

数十分後、ハジメが扉を開けて手招きをした。終わったらしい。

 

「んじゃ、俺らも入りますか〜」

 

そして、部屋に入った。

 

「「え、せま」」

「「「「「え、狭い?」」」」」

「あの部屋広さがおかしいだけよ。これは広いのよ」

 

零達の言葉にハジメ達が疑問に思い、フミアが答えた。

 

「これで狭いって、お前ら昔はどんな場所にいたんだよ…」

 

「「え?星1つが俺らの家だったんだけど?」」

「えぇぇ……」

 

その後、部屋がいくつもあり風呂があった。最初はハジメが入るらしい。俺は、気になった魔法陣の上に立った。

 

『はじめまして―――』

 

長々と話されても困る。そう思っていると

 

『君には今からこの生物と戦ってもらう』

 

そう言われ、零の後ろに5つの魔法陣が展開された。

 

『モンスライブ!』

『ゴルザ!ガンQ!メルバ!レイキュバス!超コッヴ!』

『超・合・体!!』

 

声と共に5つの魔法陣が一箇所に集まった。そこからファイブキングが現れた。

 

「ギャガァァァ!!」

 

ファイブキングは出合い頭にレイキュバスのハサミで攻撃してきた。

 

「クッ!!」

 

零の顔に当たりかけたが、無傷。

 

「ゼスティウム光線!!」

 

だが、ガンQに吸い込まれた。

 

「チッ、やっぱり1人はムズいな。ゼットは良くこいつに勝てたな。すげぇぜ」

 

零はゼットの凄さを改めながら、ハイパーゼットンイマーゴにモンスライブした。

 

「これだったらどうだ…!!」

 

零はハイパーゼットンイマーゴになって、死角から暗黒火球を放った。だが、このファイブキングはおかしい。すぐにガンQを火球が飛ぶ方に向けて吸い込んだ。

 

「嘘だろ……何だこのファイブキング。強すぎんだろ。こんなの本気で数人居ないと勝てねぇぞ…あ、そうだ。分身すればいいんだ。なんで気づかなかったんだろ」

 

零は自分の分身体を2体作り、それぞれ違うウルトラマンに変身した。

 

「んじゃぁ、行こうぜ」

「「おう!」」

 

零達はファイブキングを追い込んだが、無理だった。

 

「ガハッ…」

「なんだと…?」

「強すぎる…!!」

 

そんな時だった。ファイブキングの上空にスキマが開いた。そのスキマから誰かが出てきた。その誰かはファイブキングを一刀両断した。零は驚きすぎて分身体を体の中に戻した。

 

「嘘だろ…」

 

そこには紫髪のポニーテールの女性がいた。



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最愛との再会

魔法陣から出てきたファイブキング(マジヤバイ)との戦闘中、ファイブキングの頭上からスキマ……多分、紫のスキマが開いた。そこから一人のある人物が出てきてファイブキングを倒した。

 

「貴方はこれがないと力を発揮できないでしょ?」

 

その人物とは

 

「…よっちゃん「よっちゃんって呼ばないでください!!」……依姫…」

 

零が世界を壊してでも守ると誓った最愛の人、綿月依姫だ。

 

「はぁ…どうしてこれを忘れるんですか」

「アハハ…まさか、家に置いてたとは…」

 

抱き着いてキスをした。この時間が続けばいいと願ったが、そこに気配を感じたのかフミアがやってきた。雫を連れて

 

「あら、お邪魔だったかしら?ふふ、正妻との再会はやっぱり嬉しいのかしら」

「え?え?誰?正妻って、あの人が?」

 

フミアはいつも通りだが、雫はこんがらがっていた。

 

「そりゃぁ嬉しいぞ。大好きな人と再会って言うのはな」

「そう。じゃぁ雫にもその大好きな人の事を教えてあげるわよね?」

「当たり前だろ?雫、こっちは依姫。俺の初恋で何よりも大切な人だ」

 

「お初にお目にかかります。私の名は綿月依姫。しげるの正妻です」

「え、あ、はい。はじめまして、私の名前は八重樫雫です」

 

「なぁ、なんで前と違う喋り方なんだ?前のほうが俺はいいんだが。接しやすいし」

「え?そう?だったら戻すね。あ、これ。マガタノ刀」

 

依姫は喋り方を戻してある刀を零に渡した。

 

「おぉぉ!!我が愛刀!やっぱ、コイツがいないと俺って感じしないもんなぁ」

「あ、そろそろ()()()()()()が風呂から出てくるんじゃない?」

 

「お、マジか………ん??ハジメ達?風呂に入ってるのはハジメだけだろ??」

「まぁまぁ。それは置いといて、私の紹介もしてよ?マガタノの紹介も」

「わかってる」

 

そんな感じで零と依姫が話をしていると横から声がした。

 

「ねぇ、三月。ここにコーヒーはあるかしら?少し近くで物凄く甘い匂いを出してる人達がいるから、苦い物が飲みたいの」

「かしこまりました。少々お待ちを…」

 

「おい。その甘い匂いを出してるのって俺達のことか?」

「依姫と出会うといつも甘い香りを出してるわよ」

 

その後、零達はホームに来た。先に行っていた雫が香織とユエを正座させていた。恵里は退屈しないようにと零から貰った漫画を読んでいた。ハジメは零達が来たことに気づき、助けを求めていた。

 

「はぁ…俺が風呂に入る前に何があったか聞こうじゃないか。我が友、南雲ハジメよ」

「その喋り方、あんまり似合わないわよ?」

「え?マジで?じゃぁ普通に戻すか……で?何があった?」

 

「あ、あぁ。実はな―――」

 

 

 

 

次回に続く――



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ハジメSide

これは、零が依姫と出会う少し前まで遡る。

 

「何日ぶりの風呂だろうなぁ…」

 

カッポーンと言う音がなりそうな感じの中。ハジメは久々の風呂を楽しんでいた。

 

「あぁぁ……この後どうすっかなぁ…まず、地上に出て、それから……」

「お背中流しましょうか?」

「頼む……………ん??」

 

そこでハジメは何処から聞こえた声なのか辺りを見渡した。しかし、声の主が何処にもいなかった。少し経つと入口付近から影が現れた。しかも2つ。

 

「え、えっと………何しに来たのかな?香織、ユエ」

「え?だから、背中流すよ?」

「ん!」

 

香織達はそう言いながらハジメの左右にきた。

 

「背中流すとはいったい…?」

「まぁまぁ、それは置いといて。私達は決めたの」

 

「決めたって何を?」

「ん!私達がハジメのお嫁になればいい…!」

「どうしてそうなった?」

 

ユエが言ったことの理解ができなかった。

 

「ほら、零くんは雫が彼女だけど妻いるらしいから、そういう事」

「なるほど。あれ?俺は風呂のドアの鍵は閉めたはずなんだが……」

 

ハジメはドアの鍵を閉めていた。だが、香織達が入ってきた。

 

「あ、そこはフミアさんに頼んで開けてもあった。雫ちゃんには止められたけどね」

「マジかよ……出た時に雫に怒られないか?」

「多分、大丈夫」

「フミアが恋する妹をほっとけないって言ってた」

 

妹、多分ユエのことだろう。血は繋がってないがな

 

「じゃぁユエがフミアの妹ならその夫(仮)の零は俺の兄?」

「多分…大丈夫!!」

 

何処からくる自身なのか。ハジメは聞かなかった。その後、ハジメは香織に背中を流してもらい風呂を満喫した。

 

ドカーンと言う音と共に振動が来た

 

「あれ?零は何をしてるんだっけ?」

「「魔法陣の調査…のはず」」

 

零が戦っていることを三人はまだ知らない。ハジメは必要以上に風呂に入った。少しのぼせたが、神水を飲んで体調を元に戻した。

 

「零が好きなだけ使えって言ってたが、大丈夫か?」

「大丈夫なんじゃない?だって零くんは創造神らしいし。神水なんか簡単に作れるんじゃない?」

 

そんな話をながら服を着替え、出ると鬼の形相をした雫がこちらを向いていた。香織とユエはヤバいと思い、ハジメの後ろに隠れた。後に聞けば雫の後ろに禍々しい龍が見えたそうだ。

 

そして、現代に戻り

 

「―――こうなったわけだ」

「禍々しい龍は俺のことだな…」

 

そして、零は風呂に入ろうとした。だが、愛優美に止められた

 

「んじゃ、俺は風呂に入るから」

「残念、ここはウルトラマン入浴禁止です。先に私が入るから」

「あ、そうですかってなるかバカヤロー、お前も(闇の)ウルトラマンになれるだろうが。だからお前も入浴禁止だ」

「……確かに」



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クラスメートSide

「アハハハ!!今回はクラスメートの視点だよ!偽善者君は何をしてたのかな?かな??キャハハハ!楽しみだね!それ「喋り方だけじゃなくて頭もイッたか?」違うさ。我が弟よ」
「ふ〜ん。あっそ」
「それじゃぁ天之河くん達はどうなったか見てみよう」
「香織が偽善者を天之河と呼んだ!?」
「俺が裏切った〜か、俺の敵は取った〜とか言ってんだろ?無視しようぜ?依姫に偽善者の声を聞かしたくないからイヤホン着けてみろよ」
「「「は〜い」」」
「流石我が弟だ」


これはハジメ達がヒュドラを倒した辺りまで戻る。浩介達はあの忌々しい橋がある階層、65階層まで来ていた。橋に来た瞬間。また魔法陣が展開された。魔法陣からはベヒモスが一匹だけ現れた。それ以外は何も出てこなかった。あの顎に無数の棘がある恐竜のような生物も出てこなかった。

 

「嘘だろ…アイツは南雲達が倒した奴に食われたはずじゃ…」

「魔物が蘇る!それはまだ解明されていない!やはりここはまだ危険だ!撤退するぞ!!」

 

メルドの判断により撤退することになったが、

 

「待ってください!メルドさん、俺達はあの時よりも強くなりました!あんなヤツ倒せます!!」

 

偽善者の言葉により撤退はなしになった。前衛のメンバーが偽善者を戦闘に前に出た。偽善者達はベヒモスの周りを囲い偽善者があの長い詠唱を唱えた。

 

「トライムソルジャーが出てこないって不自然じゃないか?罠のときはここに出てきたのに」

 

その浩介の言葉にメルドは気づいた。

 

「お前達!!今すぐに撤退しろ!!早くしろ!!」

 

だが、メルドの声は偽善者が唱えてる声に掻き消された。

 

「ヤバいぞ!!あれは罠だ!!!」

 

ちょうどその時、偽善者の詠唱が終わった。

 

「“神威”!!」

 

それはベヒモスを倒した。が、橋は完全に修復されたわけではなかった。橋の崩壊が始まった。偽善者の攻撃が崩壊へと繋がったのだろう。クラスメートは急いで逃げた。ベヒモスの死体は崩壊に巻き込まれて奈落に落ちていった。

 

「危なかった…」

「……」

「天之河?」

 

偽善者は奈落をじっと見ていた。そして、誰もが予想していなかった言葉を口にした。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それは二人だけが死んで恵里達は生きているような言い方だ。何も証拠がないのに二人だけを死んだ扱いをした。

 

「何が安らかに眠れだ…」

「遠藤…?」

 

浩介は我慢の限界だった。二人だけが死んだと王様にも言った。王様は涙を流し、寝込んだそうだ。

 

「天之河!何を証拠に零達が死んだと言えるんだ!何を証拠に恵里達が生きてると言えるんだ!言ってみろよ!」

 

「っ!!?どうしたんだ遠藤!お前も見ただろ?あの高さだ、南雲達はもう「だったら恵里達はどうなんだよ!!同じ高さから落ちたんだぞ?!!」それは…!」

「浩介、落ち着け。過去は変えられない。今日はここまでにしよう。王国に帰るぞ」

 

浩介は最後、偽善者を睨んでいた。その後、王国に帰るとランデルがやってきた。

 

「帰ってきたか!それでどうだ?香織は見つかったかのか?」

 

コイツもコイツで、香織にしか目がないのか…そう誰もが思った。

 

「いえ、まだです。」

「そうか…お前達はあの場にいながら何故助けなかったんだ!!」

 

ランデルの言葉に皆黙る。だが、浩介だけが口を開いた。

 

「あの場にいなかった部外者は引っ込んでろ」

 

今の浩介は怒っている。

 

「お前!誰に向かって「でも浩介さんの言うとおりだと思いますよ?ランデル」あ。」

「あの場にいなかった私達が偉そうに言うのは間違ってます。それに皆さんは疲れているのです」

 

ランデルはリリィが来たため逃げた。

 

「ランデルが申し訳ございません。浩介さん、お兄様は見つかりましたか?」

「まだ見つかってない」

「そうですか」

 

そこに偽善者が口を挟んできた。

 

「リリィ、紅蓮は君の兄じゃないだろ?兄というのは間違っている!それに紅蓮達はもう「でしたらお兄様の遺骨を持ってきてください。死んだというのなら」え…?」

 

リリィの言葉に偽善者は驚いた。予想していなかったのだろう。

 

「お父様はお兄様の親だったのです。遺骨を持って来てください」



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残念ウサギ

「そんじゃ、地上に出ようぜ」

 

零達は魔法陣に乗って転送した。だが、転送先は

 

「出口ねぇぞ…」

「ん!こう言うのは隠す」

 

ユエが隠し通路を引き当てた。そして先に進むと扉があった。扉の先は

 

「脱出成功ぅぅぅ!!」

「お天道様だぁ!!!」

「ん!何百年振りの外!!」

「えぇ、外の空気は美味しいわね」

「落ちてからどんくらいの月日が経ったんだ?」

 

そんな事を考えながら俺達は行き先を考えた。

 

「取り敢えず、あっち側に行こうぜ」

「だが、どうやって?この人数だと移動が大変だぞ?」

「フハハハ!!俺は創造神だぞ?……さて何で移動しようかね」

「「「考えてないの?!!」」」

 

俺はナノメタルで作った二人乗りのホバーバイク。ハジメは大人数用の車を作った。

 

「じゃぁ零と依姫さんがそっちのホバーバイク、俺達が車でいいな?」

 

ハジメの案に全員が賛成した。

 

「んじゃ、俺達は先行するから」

 

そして、先に進んでいると

 

「あれ?しげる、彼処にウサ耳の子が……」

 

依姫が指す方向を見ればスゴい土煙を上げながら走ってるウサ耳がいた。

 

「普通はあそこまで煙が出るか?」

 

そう思っているとドガン!!と言う音と共に2つの頭を持つティラノモドキが煙の中から出てきた。その後、ウサ耳は零の方にやってきた。

 

「た"す"け"て"く"ださ"ぁ"〜い"!お"ね"がい"し"ま"ぁ"〜す"!」

「おいおい、嘘だろ?依姫、どうする?助けるか?」

「困ってるみたいだし、助けてあげましょ?」

「わかった。おい!ウサ耳!!横に飛べ!!!」

「へ?」

 

零はハジメ達の車をスキマで早めに寄せてハジメにロケランを渡した。ハジメはロケランを持つとティラノモドキに向かって撃った。ティラノモドキは爆発した

 

「し、死んでます…ダイヘドアが一発で…」

「チッ。面倒事を俺に押し付けやがって」

「先程は助けて頂きありがとうございました!私は兎人族ハウリアの一人、シアといいますです!取り敢えず私の仲間も助けてください!」

 

「嫌だよ。先急いでるから」

「そうだな。面倒だし」

「ええぇぇ!!!?断りました!!?よく私のような美少女を、そうポンポンと……もしや殿方同士の恋愛にご興味が……だから先も私の誘惑をあっさりと拒否したんですね!そうでッあふんッ!?」

「「誰がホモだ」」

「俺はもう妻がいる。お前の体なんぞ興味ない」

「同じく恋人がもういるんだ。興味ない」

「ですが、そこの二人の胸なんか壁じゃないですか!私のほうがありますよ!!」

「「胸が壁…?」」

 

フミアとユエの心に深く刻み込まれた。二人は車から降りてシアの方に行き、手を上に上げて……

 

「「フンッ!!!」」

 

バシンッ!!そんな高い音が鳴り響いた。二人はシアの胸を思いっきり叩いたのだ。その後、二人は零とハジメの方に振り返り聞いた。

 

「しげるは」「ハジメは」

「「胸がある方がいい??」」

「俺は胸とか関係ないから。俺の事を好きでいてくれる。そんな人がいい」

「同じく胸なんて関係ない。胸がデカいから何なんだって話だ」

 

「そっか。じゃぁユエ、後のことは任せて」「ん!」

 

フミアは前髪で顔を隠して全員に聞こえるように言った。

 

「貴方、シアだったかしら?」

「ハイですぅ!」

「血を止めてみない?まぁ、答えは聞いてないけどね」

「え…?」

 

フミアはシアの血を止めた。半分殺すつもりで。だが、フミアはしげるが胸の大きさなど興味ないとわかって機嫌がいいため、血を1分程度止めるだけにした



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ギャースギャース

「ねぇ、私って怖い?」「怖くない。可愛いぞ?」
「ロリコン」「零はロリコンだった?」
「おいハジメ。ユエと恋人になったお前もロリコンに入るぞ?」
「いやいや、ユエは見た目はロリだけど歳がね?」
「おいおい、それだとフミアなんて800歳越えてるぞ?」

この後、この二人はユエとフミアにポカポカ叩かれました。

「痛くなかったがな!!可愛い攻撃だっtグェバ(((((殴」

零はフミアに思いっきり殴られた


「お"ね"か"い"し"ま"す"!!!!!か"そ"く"を"た"す"け"てく"だ"さ"い"!!!」

 

「よしよし、落ち着け、餅つけ」

 

「60人いた家族ももう40人もいないんです、、、」

「「大家族だなぁおい」」

 

零達はホバーバイクと車で走りながら話していた。

 

「なぁ、家族がいる場所はこの先か?」

「ハイですぅ!この先ですぅ!!」

 

近づくと黄色い光線?熱戦?が見えた。同時に鳴き声が聞こえた。

 

『ギャァァァス!ギャァァス!!!』

 

「「ギャース?」」

 

「この声、ギャオスハイパーよ!!」

「え?ギャオスハイパー!!?マジで?!!ちょ、依姫バイク頼んでいい?」

「え?え、えぇ」

俺はバイクを走らせながら上に飛び、ガメラに変身した。飛びながらだったのか飛行状態だった。

 

(ギャオスハイパーがなんでこの世界にいるんだよ!つか、ウサ耳の家族全員終わってね?)

 

飛行してウサ耳の家族がいる場所についた。周りの壁には何かで斬ったかのような切れ目があったり、鎧を着た兵士が倒れていた。全て体に切られた後があった。

 

『ギャァァス!!ギャァァァス!!!』

 

一匹だけギャオスが零に向かって飛んできていた。

 

(ウッソだろ?!!)

 

その後ろには数多のギャオスと数多のカマキリに似たデカい魔物が戦っていた。零は飛行をやめ、突撃してくるギャオスハイパーに向かってエルボークローで攻撃した。切れ味抜群なのかギャオスが顔から真っ二つに切れた。

 

カラン

 

そんな音が鳴り響いた。下を見るとウサ耳の家族らしきウサ耳が一匹岩の影にいた。

 

(あの奥にウサ耳の家族がいるのか?)

 

手を伸ばそうとした時だった、横から超音波メスが零(ガメラ)の右腕を切り落とした。カマキリとの戦いが終わったらしい、カマキリは原形がわからないほどグチャグチャに食われていた。

 

(だぁァァァ!!!!うぜぇぇぇぇ!!!)

 

零はガメラでは難しいと判断し、ギドラへと変身した。ギドラは翼を大きく広げ、自分自身を包むように翼を閉めた。

 

『ギャァァァス!!ギャァァァアアス!!!』

 

ギャオスは何度も超音波メスでギドラに攻撃するが、全てギドラに吸収され、体の前にエネルギーを溜め始めた

 

「ギャースギャースうるせぇぇぇ!!!」

 

零の言葉と共に溜めたエネルギーをエレキ・ハイ・プラズマに変換してギャオス達に向かって撃った。ギャオス達は溶けて消えていった。元の姿に戻りウサ耳の家族らしきウサギの場所に行った。

 

「なぁ、お前らシアの家族か?」

 

その名を聞き、全員が零を見た。そのうちの一人が零に向かって言った。

 

「シアは!娘は無事ですか?!!」

「無事かって言われると無事だ。フミアを怒らせたから一回マジで死にかけたけども

「今、なんと?」

「ん?いや、こっちの話だ。外は安全だ。もうすぐ俺の仲間がくる」

 

そして、数分後ハジメ達が来た。シアとその愉快?な家族は泣いて喜んだ。愛優美はギャオスの死体を調べていた。恵理は一匹だけ再起不能に近いギャオスを見つけた。

 

「繁殖されたらマジでめんどいからコイツ殺すか」

「お兄ちゃん待って!!」

 

零は恵理に止められた。

 

「どうした?」

「この魔物を私の天職で使役したいからあまりグチャグチャにしないで殺して?」

 

零は恵理に言われた通りに殆ど無傷の状態に治してから魂だけを抜き取った。恵理の天職によりギャオスは恵理の忠実な部下になった。恵理は腕を上げていたっぽく、使役したギャオスの大きさを変えれるようになった。鳥と同じくらいの大きさになり恵理の肩で羽を休めることが多くなった



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帝国潰したくなった

あれから、シアは家族と出会い、恵理がギャオスを使役して、カマキリの鎌で零は愛刀を強化した。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!!」

「娘だけではなく家族も助けていただき、感謝します!」

 

「んじゃ、上に上がるか」

「「「え…?」」」

 

「上には帝国軍の兵士が……」

「「え?ギャオスから逃れられるわけ無いだろ!」」

「それに、貴方達の身柄は愛優美が預かってるから」

 

零と愛優美は半分笑いながら崖から脱出した。そこには

 

「おい、見ろよ。兎人族が出てきたぞ!」

「マジか!上司に言われて仕方なく待っていたが、無事に出てくるとは……」

「お、隊長が狙ってたヤツいますよ」

 

なんか、知らん服装をした人がいた。

 

「ん?おい、お前ら誰だ。兎人族じゃないようだが…奴隷商人か?噂を聞きつけて飛んできたか?それはそれは、商売魂がよろしいことで。おい、兎人族を全員ここに置いていけ。兎人族は俺達のモノだ。」

「隊長!!めっちゃ美人居ますよ!!」

「おっマジだ。ついでだ。その()()()()()()()()()()()そしたら『ザシュッ』………は…?」

 

零は左手首からイリスの触手を伸ばし、喋ってる隊長以外の兵士の首を飛ばした。

 

「お、おい!!何をした!!」

「あ?………自分の嫁をテメェら見たいなクズがいる場所に置くわけねぇだろ?貴様らの様なやつに見せるのも嫌なんだよまぁ、死ぬ前に我が妻を付して拝むがいい。スカートの中見たら消すぞ?

 

スカートの中を覗こうとしていたため、記憶だけではなく魂ごと消滅させた。

 

「やっぱ、危ないから俺の側を離れるな」

「「めっちゃ危ない人しかいない」」

 

零はこの日以降、ハジメなどの親友など以外の全ての者を警戒した。

 

「よ〜しよしよし、怖かったなぁ〜。後で帝国にギャオスハイパーを送りつけるか

「ハジメ、見ときなさい。これが妻が関わった時のしげるよ」

「帝国大丈夫か?」

「「大丈夫じゃない。帝国があった場所は更地になるか、大きな穴ができる。と言うか、そのまま世界壊しそう」」

 

「えぇぇ……依姫とフミアは俺の事何だと思ってるんだよ」

「夫兼破壊神兼創造神」

「命の恩人兼恋人兼破壊神兼創造神」

「破壊神と創造神何かよ!!」

「じゃぁ、昔から愛優美にとっては?」

「手のかかる弟かな。あと、殺し合った仲で、対だね」

「「「「「え?!!弟なの?!!しかも、姉と弟で殺し合った?!!!」」」」」

「あ、言い忘れてたけど、私は性別変えれるから。本来は男だよ」

 

『男なのに女湯に入ったの?!!!』

「いや、性別は女だから犯罪じゃないよ」



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ウサ耳集団と森を進みます

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帝国を潰すと依姫に約束したが却下された。今はシアの家族………ウサ耳が生えたおっさん達といる。普通に恐怖だろ。

 

「あ。ハジメさん!危ない!」

 

一人のウサ耳がハジメに言った。

 

「どうした?!」

「足元にアリさんが。踏みそうでした。危ない、危ない」

「お花さん。こんにちは」

 

「ハジメ……………」

「気のせいだ。先に進むぞ」

 

森を進んでいると

 

「貴様ら何者だ!!種族、族名を名乗れ!」

「ムッ?!白髪の兎人族!!報告にあった裏切り種族か!!よくも今まで我々を騙してくれたな!!今度は人間までも連れてきよって!!もういい!ここで全員「この森を消されたいか?」は?」

 

「貴様ら家畜にようはない。どけ、邪魔だ。貴様らの一匹が邪魔をするのならばこの森は地図から消されるだろうな。で、まだ邪魔をするか?」

 

零は殺意を込めて言った。強すぎたのか、他の奴らが動かなくなった。

 

「……零、一回お前は依姫さんとフミアと一緒に森の外にいてくれ。後は俺達がする」

_________________________

「追い出されました」

「ま、まぁまぁ。ね?落ち着いて今までの話をしましょう?」

 

フミアの提案に俺らは乗った。

 

「まず、私からね。異世界に来てすぐに抜け出せなくなったの。そこで、反逆者達に出会ったわ」

「反逆者?」

 

国で一回だけ聞かされた反逆者と言う単語

 

「えぇ、偽神に反逆した者達よ。でも、もう彼らはいないわ。あれから何千年も経ってるもの。次はしげるね」

 

「俺は、転送してからある人の家で過ごしてた。だが、その人は事故で死んじまった。まぁ、こっちの世界で王様やってたんだがな」

「子供を放っといて?」

「んで、ハジメと出会い、雫と香織とも出会った。あと、脳筋とキラキラネームがいたな」

 

二人は知らない単語に首を傾げた。

 

「あぁ、まぁ。自分は主人公だとか思ってる。誤った正義だ。ご都合解釈をしてるし、自分は間違ってないと思ってる」

「「え、その人はしげるの事嫌ってるんでしょ?私達に手を出したって言うんじゃない?」」

「実際に手は出しただろ?夫婦なんだから」

「ちょっと待って、その夫婦って私も入ってる?」

 

少し食い気味だ。

 

「入ってるぞ?」

「私、いつ結婚したの?!」

「脱出した時だ。まぁ、俺の中だけだがな。お前がそうしたいならいいけど」

 

フミアの喜びは森の中にいるハジメ達にまで聞こえたらしい

 

「その話は置いといて。アイツが俺達を引き離そうとするなら、色々やってやる。いや、ギャラクトロン軍団で痛めつけるか?」

 

零はキラキラネームの話になり、どうしようか考えた。ギャラクトロンと戦わせるか、デアボリックと戦わせるか。

 

「話が脱線したわね。それで、この世界に召喚されたの?」

「そうそう。って……あ!!」

「「どうしたの?!」」

 

「召喚した奴ら、最近出してない」

「呼んであげたら?」

「そ、そうだな。召喚!!」

 

すると、魔法陣から雪風が出てきた。しかも泣いていた。

 

「指揮官に忘れられてたぁ"ぁ"ぁ"〜…」

「えっと……雪風、ごめん」

 

思いっきり泣かれました



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おい、ウサギを紹介しろ

零達は恵里に呼ばれ、森の中に入った。少し歩くとハジメ達が見えた。そこまでは良かった。

 

「ああ、どうか罪深いわたしを許したまえ〜…」

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「争いは嫌だ!争いは嫌だ!争いは嫌だ!争いは嫌だ!」

 

あるウサ耳は殺した魔物の死体を天高く持ち上げ、許しを請いた。あるウサ耳はなんども死体の前で謝り続け、あるウサ耳は「争いは嫌だ!」を連呼した。

 

「………」

 

見ろ、ハジメなんか無言だぞ。

 

「これは…」

「何故かレイセン達を思い出すんだけど…」

「え?依姫さん達の世界にもウサ耳っているの?」

「ねぇ、あの兎人族は何をしてるの……?」

 

フミアが指したウサ耳は両手を大きく広げ、空に向かって何かを言っている。

 

「伏して拝むがいい…黄金の終焉を……」

 

その言葉を聞き、零達は困惑していた。

 

「なぁ、あのウサ耳…ギドラ呼ぼうとしてない?」

「き、気のせいよ」

「あ、見て。他の兎人族もやり始めた」

 

フミアが指を指す方では

 

「伏して拝め。我々は新しい種族へと進化する」

「伏して拝め。我々のボス、南雲ハジメ様がお出でになられた」

「死ぬ前に見よ。我らの女神。依姫様を……!!」

 

零が言いそうな言葉を言っている兎人族がいた

 

「ねぇ、一人だけしげる混ざってない?」

「いやいや、んな馬鹿な」

「でも、普通の人は依姫の事を女神なんか呼ばないよ?しげるくらいじゃない?」

「(´・ω・`)」

「お兄ちゃん……」

 

そんな感じで兎人族の様子を見ているとハジメが俺達に気づいたのか、手を振っている。

 

「よう、見に来てたなら声かけてくれよ」

「ハジメ、雫達が見当たらないが……」

「あぁ〜、雫達ならあっちでシアとバトってるぞ」

 

なんで?理由を聞けばシアが俺達に着いていくと言い始め、それを阻止しようとしているらしい。

 

「それで、ずーっと気になってたんだが……お前の頭の上にいる……雪風だっけか?…なんでお前の頭にずっと乗ってるんだ?」

「いや、ほら……俺ってコイツの事忘れてたじゃん?それで久々に呼び出したらこうなった」

「その…大事にしてやれよ…?」

 

零は頭にいる雪風を撫でて、降ろそうとした。

 

「……」

 

なんど引っ張っても取れない。

 

「嘘だろ、この俺が負けた……?」

「あ、これはあれね。しげるの弱点その3。大切な人に対して力は出ない。大切な人には攻撃できない……ね」

「え?!お兄ちゃんってそんな弱点があったの?!」

 

妹すら知らない弱点をフミアにバラされた。

 

「その3って事はお兄ちゃんには他にも弱点があるの?!」

 

他の弱点はバラされなかった。零は少し安心した。その時、ハジメの方から声が聞こえた。

 

「駄目!!」

「ど、どうした?」

 

ハジメは少年に訪ねた。すると、少年は手を退けて綺麗な花を見つけた。

 

「もうちょっとでこの()()()()を踏んじゃう所だった。こんなに綺麗なのに踏んじゃったら可哀想だから」

「お、お花さん…?」

「うん!お花さん!」

 

他の兎人族は微笑ましそうに少年を見ていた。

 

「なぁ、お前等が時々見せる謎の行動はそのお花さんとやらを避けるためか……?」

 

ハジメはキレてる。声でわかる。前髪で隠れて表情は見えないが笑ってはいない。

 

「ハハハ、そんなわけないじゃないですか」

「だよな。すまん、俺の勘ちが「お花さんだけではなく、虫達にも気を遣っています。突然出てくるので焦って踏んじゃいそうになるんです」いじゃなさそうだ。そうか」

 

ハジメは少年を持ち上げ、大人達の所に連れて行き、元の場所に戻った。ハジメは右足を少し上げて、思いっきり花を踏んだ。ご丁寧に踏んだ後にグリグリと踏み躙る。足を退けると花があった場所には花びらが落ちていた。

 

「お花さぁぁぁぁーん!!!」

 

少年の叫びは樹海に木霊する

 

「そうか、そうか。そうですか。えぇ、わかりましたよ。俺が甘かった。貴様らは死ぬやもしれぬ場所でもそのお花さんや虫達に気を遣うんだな。わかったわかった」

「は、ハジメ殿…?」

 

ハジメは零に向かって手を出す。

 

「零、お前の妻を借りても「それは親友でも許可できぬ。ただ、依姫が訓練させた兎と俺が知っている兎を何匹かだけ貸してやる」助かる。妻は駄目なんだな」

「当たり前だろ?」

 

零は何もないところに手をかざした。すると、何かが裂けた。その先には目がいっぱいある謎の空間があった。零は依姫を連れてその空間に入った。入って数分後、色々な兎?を連れてきた。殆ど人と似てる子が数人と耳が大きい人二人分の大きさの兎?だ

 

「えっと、紹介してもらえるか?」

「おう。まず、コイツ」

 

零は1番近くにいたウサ耳がついた少女の頭を撫でながら説明をした。

 

「コイツの名前はラフィー、今俺の頭にいる雪風と同じ世界の住人だ。だが、産まれた場所は違う」

「これは本物じゃないから…あまり見ないで……」

「それはウサギじゃなくね?」

 

零はまた隣の少年の頭に手を置きながら言った。

 

「次にコイツ。コイツもラフィーと雪風と同じ世界だ。雪風と同じ場所だ。名前は綾波」

「このウサ耳はラフィーに貰ったです」

「うん。ウサギじゃないな」

 

零は綾波の隣の少女の頭を撫でながら言った。

 

「コイツはジャベリン。ラフィー達と同じ世界だが産まれた場所が違う」

「えへへ〜、指揮官。くすぐったいです〜。あ、このウサ耳はラフィーちゃんに貰いました」

「おい。ウサギを紹介しろ」

 

「次にコイツ。名前はニーミ、またまたラフィー達と同じ世界だが生まれた場所が違う。しっかり者だ」

「指揮官、ラフィーから貰ったウサ耳をいつまで着ければいいんですか?」

「おい。だからウサギを紹介しろ。ウサ耳じゃなくて」

「でも見ろ。このウサ耳はちゃんと動くんだぜ?」

 

零は次にデカいウサギを紹介した。

 

「左から《白兎獣ウルクスス》《大雪主ウルクスス》だ。コイツらは兎と熊のハイブリッドだと思ったらいい」

「ソイツらは論外だ。元いた場所に返しとけ」

 

今度はウサ耳がある数名を紹介した。

 

「コイツはレイセン。我が妻の依姫の部下だ。月に住んでる兎だ。依姫の訓練をサボらずにやってるちゃんとしたヤツだ」

「は、はじめまして!!」

「お〜、今まで1番兎人族に似てるじゃねぇか」

 

「んで、その隣のコイツは鈴仙・優曇華院・イナバだ。コイツも兎だ」

「あの〜、依姫様に呼ばれてきたんですが…」

「コイツも兎だな。って、あれ?依姫さんは?」

 

「……最後だ。フミア、シャッターを押し忘れるなよ?」

 

零が最後に出したのはウサ耳を着けた依姫だった。

 

「あぁ〜、癒やしだ〜」

 

零は手を合わせて「癒やしだ〜」と言い始めた。

 

「オッケー、写真撮ったから依姫は着替えていいよ」

「なぁ、零はあれをやるためだけに色んなウサギを連れてきたのか?」

「んなわけねぇだろ?レイセンと鈴仙はちゃんと手伝ってもらう為に連れてきたから。フミア、今すぐ文屋の所に行くぞ!」

「えぇ!!」

 

「やめなさい!!!!」

「「はい!やめます!!」」

 

零達は依姫の一言によってやめた。



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ユエが…負けた……?

あれから数日、ハジメは鈴仙とレイセンの手伝いの下でうさ耳族………兎人族の特訓した。零は特訓の成果を見ようとハジメの下に来た。そこには兎人族はいなかった。だが、ウサ耳を着けた筋肉マッチョ?がいた

 

「………おい、ウサ耳族はどうした?」

 

零はハジメに聞こうとハジメの方に振り向くとハジメは頭を抱えていた。

 

「ソイツらが…兎人族だ……」

「……………は?」

 

零はハジメに言われ、ウサ耳筋肉の方に振り向いた。

 

「おぉ!零殿!!見てください、この筋肉!!今の我々は他の種族にも勝てそうな感じがします!!」

 

「……それで、成果は?」

「目標は一匹と言ったんだが、数十匹を倒した」

「弱くても群れれば強いだな……」

 

話しかけてきたウサ耳筋肉の後ろには武器の手入れをしてるヤツが数人いた。

 

「ハジメ……俺ちょっと癒やしを貰いに行ってくる……」

「頼む、俺一人だと精神が……」

「はぁ……シアに見せたら大変だろうな…」

_________________________

その頃、シアはユエとバトっていた。

 

ズガンッ!ドギャッ!バキッバキッバキッ!ドグシャッ!バァンッ!

 

「でりゃぁぁぁ!!!」

「………“緋槍”!!」

 

シアはバックステップで避けた。だが、ユエ攻撃をやめない。

 

「ッ!!“城炎”」

 

飛突如発生した城壁の名を冠した炎の壁に阻まれ、唯の一発とて目標に届く事は叶わなかった。

 

「貰いましたぁ!!」

「ッ!!?」

 

ユエが気づいたときにはすでに後ろに影があった。ユエは散弾を放つが、シアは避け手に持った大槌でユエに攻撃をした。

 

「ッ!!」

 

ユエは避けたが反応が遅れたため、シアの攻撃がほっぺたをかすった。

 

「私が…負けた…?」

「え?あ!!ユエさんの頬っぺ!キズです!キズ!私の攻撃当たってます!やりましたぁ!私の勝ちですぅ!」

 

すると、観戦をしていた雫と香織が近づいてきた。

 

「ユエに攻撃を当てたわね」

「おめでとう!」

 

「ユエさん、雫さん、香織さん。私、勝ちました」

「………ん」「えぇ、勝ったわね」「うん」

「約束しましたよね?」

「…………ん」「えぇ、約束したわ」「そうだね」

「もし、十日以内に一度でも勝てたら……ハジメさん達の旅に連れて行ってくれるって。そうですよね?」

「………………ん」「そうね」「確かに約束したね」

「少なくとも、ハジメさんに頼むとき味方してくれるんですよね?」

「…………………今日のごはん何だっけ?」「「ユエ…」」

「ちょっとぉ!何いきなり誤魔化してるんですか!しかも、誤魔化し方が微妙ですよ!ユエさん、ハジメさんの血さえあればいいじゃないですか!何、ごはん気にしているんですか!ちゃんと味方して下さいよぉ!ユエさん達が味方なら、九割方OK貰えるんですからぁ!」

 

シアはユエ達が頼めば行けると考えていた。

 

「……はぁ。わかった。約束は守る……」

「ホントですか!?やっぱり、や~めたぁとかなしですよぉ!ちゃんと援護して下さいよ!」

「……………………ん」

「何だか、その異様に長い間が気になりますが……ホント、お願いしますよ?」

「……しつこい」

 

 



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シアの告白

零達が兎人族の処理をどうするか考えていると、ユエ達が森の奥からやってきた。ユエはめっちゃ落ち込んでいた。

 

「よっ!で、どうだった?」

「魔法適性はハジメや香織達と同じ。でも、近距離攻撃有能」

 

「雫、香織。ユエはどうしてあんな落ち込んでるんだ?」

「それはもうすぐでわかるわ」

「アハハ〜、驚かないでね」

「?」

 

シアはハジメに近づいて言った。

 

「ハ、ハジメしゃん!!」

(噛んだ)(噛んだね)(噛んだわね)(…無念)

 

「私はハジメさん達の旅に連れて行ってください!!!」

「断る」

「「「即答?!!」」」

「早いねぇ〜」

 

ハジメはシアのお願いを断った

 

「ひ、酷いですぅ!!私のような美人をほっとくなんて!!やっぱり、ぺったんこの方が好きなんですか?!!それとも同性の方が好きなんですか?!」

「「うるせぇぞ!誰がホモだ!」そうだ!ハジメはホモじゃねぇ!!」

「ぺったんこ…?」

(どうなっても知らん)

 

ハジメは頭を抑えながらシアに聞いた。

 

「はぁ……なんで来たいんだよ」

「そ、それは!傍に居たいからです!!しゅきだからです!!」

「は??」

「おっ。香織、ハジメがお前に断り無しで彼女作ろうとしてるぞ」

「流石に違うでしょ!香織に変な事言わない!」

「大丈夫、ハジメ君なら断ってくれる………くれるよね……?」

 

告白をしたシア。嘘を伝えた零。それを止める雫。完全に不安になってる香織。

 

「はぁ?!!何処で好きになる要素があった?!!何処でフラグ建築を俺はしたんだ?!!」

「だから、連れて行ってください!!!」

「無理だ」

 

シアはユエ達の方に振り向いて言った。

 

「そうなると思ってましたよ!!!ユエ先生、雫先生、香織先生!!!お願いします!!」

「……」

「私はハジメ君じゃなくて零の彼女なんだけど……」

「約束は約束だよ!!!」

 

ハジメは豆鉄砲でも食らったかのようになっていた。

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ハジメ、連れて行こう」

「おい。今の長い間はなんだ?あと、めっちゃ嫌そうじゃねぇか」

「ハジメ君。連れて行ってあげようよ」

「そうね。零はなにかある?」

「俺は依姫が良ければいい(`・ω・´)ゞ」

 

零はそう言った後、恵里や依姫がいる場所に向かった。みんなの帰りを待っていた依姫と、雪風達と遊んでいる恵里、何かを読んでいるフミアが居た

 

「あ、おかえりなさい。どうだった?」

「ハジメはシアを仲間に加えた」

「何その言い方」



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新しい仲間

シアが新しく旅の仲間になり、賑やかになった。零は雪風を頭にひっつけたまま、鈴仙達を幻想郷に帰し終わったところだった。

 

「ふぅ〜、終わった〜」

 

椅子に座り、寝ようとしていると、服を少し引っ張られた。

 

「指揮官、指揮官。私達も帰るの?」

 

ラフィーが服を引っ張ったようだ。ラフィーの後ろにはジャベリン、綾波、ニーミがいた

 

「ん〜……どうする?帰るか?」

「……こっち初めて来るから。まだ帰りたくない」

 

まだ帰りたくないラフィー。

 

「雪風だけ置いていくのは嫌なのです」

 

雪風と一緒にいたい綾波。

 

「えぇ〜?!二人共、指揮官に迷惑だよ〜!でも、こっちの世界にまだいたいから、私も残りたい!」

 

ジャベリンも残りたいようだ。

 

「三人が残るなら私も残ります。三人が指揮官に迷惑をかけないか心配なので」

 

ニーミは3人が何かやらかさないか心配で残るらしい

 

「それじゃぁお前らも来るんだな?危険だぞ?」

「大丈夫です!」

「鬼神の力見せてやるのです!」

「大丈夫、」

「私達四人なら大丈夫です」

「この幸運の雪風様がいるから安心なのだ!!!」

 

雪風が頭に乗ったまま言ってきた。

 

「なぁ、いつまでも頭の上に乗っとくんだ?」

「綾波達がいるのだ。そろそろ離れるのだ。だから、しゃがんで」

 

頭をペチペチと叩かれた。零はしゃがんだ。すると雪風は降りて、綾波達の下にいった。

 

「こっちの方が賑やかだな。」

 

ハジメがやってきた。

 

「ようハジメ、さっきぶりだな。現在新しい旅の仲間が四人増えた。そして、俺の寝床が今日から戦場になる」

「お、おう。なんで戦場になるんだ?」

「今からアイツらが言う事をよく聞け」

 

ハジメは雪風達の方に振り向いた。

 

「今日も、前みたいに指揮官の部屋に遊びに行きましょう!!」

「ん、やるなら枕投げ!」

「そう言えば、まだ決着ついてない!」

「フッフッフ!この雪風様が勝つのだ!!」

「はぁ、なんで指揮官と会うといつもこうなるの?」

 

「もうすぐで、時間になる!指揮官の部屋に向かうのだ!」

「「「おぉー!」」」

「ちょ、待ちなさーい!!!」

 

ラフィー達は俺の寝床に向かい、それを止めようとニーミが追いかけた。

 

「はぁ、今日も寝れないのか」

「マジで戦場(枕投げの会場)だな。まぁ、頑張れ。というか、枕は何処から?」

「俺が出す」

「まぁ、頑張れよ…?」

 

その日の夜。ハジメ、ユエ、シア、愛優美、雫、香織、恵里が枕投げの戦いに参加(乱入)した。零は結局寝れなかった。フミアと依姫は静かに寝ていた。が、フミアはあまりのうるささに起きた。その後、全員に説教した。3時間も正座させられた。零も加えられた。

 

「なんで俺もなんだよー!!」



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変わってしまったハウリア(ウサミミ)

シアとラフィー達が新しく旅の仲間に入った事を祝った。だが、シアの言葉でその場の全員が固まった。

 

「あ、ハジメさん。お父様達は何処なんですか?話したいことがあるんですけど」

「「「「ッ⁉」」」」

 

ハジメは少し目線をそらした

 

「……え、えっとだなぁ。何を話すんだ?」

「え?旅に出るって、一応言わないといけないので」

「「「………」」」

「え、どうしたんですか?なんで皆さん黙ってるんですか?」

 

みんな、目線をそらしていた。だが、そこでやって来てしまった。

 

「ボス。お題の魔物をきっちり持ってきやしたぜぇ」

「ボ、ボス?と、父様??え、え、え?」

 

シアはハジメの事をボスと呼んでいる自身の父を見て困惑していた。

 

「ハジメ…なんか、前よりもヤバくなってないか?」

「これは…想定外」

「ラビットバーサーカー集団ね」

 

フミアがラビットバーサーカー集団って言ってたが気にせずにいた。そして、シアは言った

 

「……………誰?」

――――――――――――――――――――――

「ちょ、ハジメさん!?何があったんですか?!何をしたんですか?!あの優しい父様はもういないんですか!?なんですか、あの変わり果てた姿は!!?」

「………訓練の成果としか言えない」

 

ハジメの訓練の成果としか言えない。

 

「いやいや、何をどうすればこんな有様になるんですかっ⁉完全に別人じゃないですかっ!ちょっと、目を逸らさないで下さい!こっち見て!」

「……別に、大して変わってないだろ?なぁ?」

「おう。何も変わってない」

「貴方達の目は節穴ですかっ!見て下さい。彼なんて、さっきからナイフを見つめたままウットリしているじゃないですか!「あれはハジメが教えて1から作った思い出の品なんだろ」あっ、今、ナイフに〝ジュリア〟って呼びかけた!ナイフに名前つけて愛でてますよっ!「俺の愛刀にも名前あるぞ?」普通に怖いですぅ~。というか、零さん!話の途中で口を挟まないでください!!」

 

シアは変わってしまった家族を見て、泣いていた。

 

「というか、零の刀って名前があるんだな」

「自分で作ったの?」

 

雫の質問に零は

 

「……これは、俺の相棒の魂が宿っているんだよ「ねぇ、マガちゃんを勝手に死んだ扱いするのやめてあげて?」……」

 

説明をしていると、フミアが少し怒った顔で言ってきた。

 

「え?マガちゃんって?」

「えぇ、この刀の名前はマガタノ刀。聞いた話では、魔王獣と呼ばれる生物の頂点にいる存在が()()()()()()の刀に宿ったのよ。だから、死んでないわ」

 

そんなフミアの説明を聞いていると、またシアが叫んだ

 

「うわぁ〜ん!!もう優しい父様達は死んでしまったんです〜」



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マガちゃんは暴食!!

シアは泣きまくり。

「うわぁ〜ん!!もう、みんなは帰ってこない〜!!」

 

零は「マガちゃん」を殺した扱いをしてフミアに説教中。

「はい。本当に申し訳ございませんでした」

 

お題の魔物を狩りすぎてこの森の絶滅危惧種にまで追いやったハウリアを説教するハジメ一行。

『いや、ですが!一匹では物足りないと思い!!』「言い訳をするんじゃない!!」

 

それを見て、玉兎達への扱いをもっと優しく(今でも結構優しい)する事を決めた依姫。

「レイセン達にはもっと優しくするべき。あんな感じにはしたくない」

 

植物を観察するニーミ。

「なるほど。これがこの世界の…」

 

玩具の銃で遊ぶ雪風、ジャベリン、ラフィー、綾波。

「ッ!流石、雪風!!」「命が惜しくないなら、かかってくるのだ!!!全員でかかってきてもいいのだぞ?」

「綾波ちゃん!ここはみんなで!!!」

 

現在カオス中ーーーー

 

ハウリアの説教が終わったハジメが零とフミアに聞いた

 

「なぁ。そのマガちゃん?って言うのはどんなやつなんだ?」

「ん?あぁ〜………そうだな〜。簡単に説明すると、世界を変えてもおかしくない存在だ「実際、この刀に入った子が世界を壊しちゃったからね」あと、食費が凄い」

「ペットかよ。食費って、何を食うんだ?」

 

ハジメの質問に零は少し目を逸らし、少し考えて言った。

 

「惑星だ」

「「「は…?(え…?)」」」

 

それを知っているフミア、依姫、愛優美、ニーミと現在まだ遊んでいる綾波達は何も言わず。ハジメ達地球組とユエとシアが驚いていた。ちなみにハウリアは何処かに行った。

 

「え、食費なんてものじゃねぇだろ」

「惑星食べるの?!」

「どれだけ大きいのよ!!」

 

「う〜ん……銀河4つと、天の川を丸呑みできる大きさまでなれるぞ」

「「「「え、大きすぎない?!!」」」」

「ここまで大きくしたの俺だがな!!」

 

あまりのデカさにみんな驚いた。それを知らないニーミ達と愛優美も驚いていた。

 

「え、じゃぁ何?私はそんなデカいのに喧嘩売ったわけ?」

 

「銀河を食べるって………今までそんなの何処で育てたわけ?!」

「あ、俺が作った世界で飼ってた」

 

「惑星は?」

「俺って創造神じゃん?だから、自分で作った」

 

「その惑星に生物は?」

「もちろんいない」

 

零はマガタノが入った刀を見せた。

 

「お前、これ何で作ったんだよ。こんな鉱石知らねぇぞ」

「刀の刃なんて、毎日研いでるの?」

「いや、錆びたらコイツが自分で取る。鞘の中に何故か砥石が入ってて、鞘から抜くときに当たって研ぐんだよ」

 

何故か一度でも擦れば岩も斬れる程上がる

 

「これ、力を込めると硬くなったりするの?」

「大☆正☆解」

 

香織に何故かバレたから零は説明を始めた。

 

「まず、コイツは何でもいい。魔力でも、妖力でも霊力でも何でもいいから刀に流すと。まず刀身が硬くなる。力を込めれば込めるほど。そして、刀身が固くなるとは別で、切れ味が良くなる。ヤバいほどに」

 

ヤバいと言う言葉に反応してハジメは聞いた。

 

「斬撃とか真空波を飛ばして星を真っ二つにするほど」

 

それを聞いて殆どが固まった。雪風達も遊びながらしっかりと話を聞いていたようで固まった




マガちゃん(通称マガタノ)
しげるの刀に成ったマガタノオロチ。
活発な女の子だけど、食が惑星。
好物は天の川銀河!
体を自由自在に変えれるから、男になったり、女の子になったり、大人になったりもできる。一部だけ変えれることもできるから、一生太らない!!そもそも天の川銀河を食べてもお腹いっぱいにならないから太らない!!!
あと、最初らへんで出てきた首飾りの正体でもある。主想いのいい子


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……流石ハジメ、人には出来ないことを平然とやってのける

そんな感じでいると一匹のウサミミが来た

 

「ボス!手ぶらで失礼します!報告と上申したいことがあります!発言の許可を!」

「お、おう?何だ?」

「あれが…ウサミミ……?恐い…ハッ!こ、怖くないのだ!うん、怖くないのだ…」

「よしよし。怖かったら素直に言えよ?」

 

少年の歴戦の軍人もかくやという雰囲気に、今更ながら、シアの言う通り少しやり過ぎたかもしれないと若干どもるハジメ。めっちゃ怯えている雪風。少年はお構いなしに報告を続ける。

 

「はっ!魔物を追跡中、完全武装した熊人族の集団を発見しました。場所は、大樹へのルート。おそらく我々に対する待ち伏せかと愚考します!」

「あ~、やっぱ来たか。即行で来るかと思ったが……なるほど、どうせなら目的を目の前にして叩き潰そうって腹か。」

「その作戦いいな。俺も帝国にギャオスハイパーを送ってくる」

「やめとけ。……で?」

「はっ!宜しければ、奴らの相手は我らハウリアにお任せ願えませんでしょうか!」

「う~ん。カムはどうだ? こいつはこう言ってるけど?」

 

 話を振られたカムは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると願ってもないと言わんばかりに頷いた。

 

「お任せ頂けるのなら是非。我らの力、奴らに何処まで通じるか……試してみたく思います。な~に、そうそう無様は見せやしませんよ」

 

 族長の言葉に周囲のハウリア族が、全員同じように好戦的な表情を浮かべる。自分の武器の名前を呼んで愛でる奴が心なし増えたような気もする。シアの表情は絶望に染まっていく。

 

「……出来るんだな?」

「肯定であります!」

 

 最後の確認をするハジメに元気よく返事をしたのは少年だ。ハジメは、一度、瞑目し深呼吸すると、カッと目を見開いた。

 

「聞け!ハウリア族諸君!勇猛果敢な戦士諸君!「戦士なのか…?」今日を以て、お前達は糞蛆虫を卒業する!「お前、そんな事を言ってたのか」お前達はもう淘汰されるだけの無価値な存在ではない!力を以て理不尽を粉砕し、知恵を以て敵意を捩じ伏せる!最高の戦士だ!私怨に駆られ状況判断も出来ない“ピッー”な熊共にそれを教えてやれ!「おい!ピー音は不味いだろ!!!」奴らはもはや唯の踏み台に過ぎん!唯の“ピッー”野郎どもだ!奴らの屍山血河を築き、その上に証を立ててやれ!生誕の証だ!ハウリア族が生まれ変わった事をこの樹海の全てに証明してやれ!」

「「「「「「「「「「Sir、yes、sir!!」」」」」」」」」」

「答えろ!諸君!最強最高の戦士諸君!お前達の望みはなんだ!」

「「「「「「「「「「殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」」」」」」」

「お前達の特技は何だ!」

「「「「「「「「「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」」」」」」」」」

「敵はどうする!」

「「「「「「「「「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」」」」」」」」」

「そうだ!殺せ!お前達にはそれが出来る!自らの手で生存の権利を獲得しろ!」

「「「「「「「「「「Aye、aye、Sir!!」」」」」」」」」

「いい気迫だ!ハウリア族諸君!俺からの命令は唯一つ! サーチ&デストロイ!行け!!」

「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」」」」」」」」」

「ちょっと待てぇぇ!!!」

 

ハウリア達が盛り上がってる中。零はそれを止めた

 

「おい。急に何だよ」

「貴様らは馬鹿か?!生態系を壊してどうする!?食物連鎖を壊してどうする!?ここは神として見過ごせない!」

「やっぱり、神様やってるなぁ〜。ここはちゃんとしっかりと注意しないとね」

 

愛優美は零が神として正しい事をやろうとしてると勘違いした

 

「生態系を壊せば貴様らも絶滅するだけだぞ!!」

「しかし!我々は目的を!」

「黙れ!」

 

零の神言によって全員黙った。

 

「なんで貴様ら生物はいつもいつも…!!そう愚かな事しかしないんだ!!」

「……零」

「最も俺を頼れ!!!貴様ら、そんな装備で大丈夫なのか?!あぁ?!」

「……止めるんじゃねぇのかよ」

 

全員コケた。これは夜中にやっていたため。零ですら恐れる事が起きた

 

「貴方達!!今何時だと思ってるのよ!!!」

 

フミアがうるさすぎて来た。

 

「フミアの姉御!安心してお眠りください!脅威は我々が!!」

「黙りなさい!やるなら朝!!いいわね!?」

「「「「「「「(`・ω・´)ゞ」」」」」」」

「次にハジメ!!」

「お、おう」

 

返事をすると頭にグングニルが刺さった。殺傷力は無いが、人を気絶させるほどはある

 

「この元凶は香織の所で反省しなさい!!最後にしげる!!!」

「おう。なんでも受けてやるぜ。覚悟はできてる」

「あら。そうなのね。じゃぁちょっと依姫に頼んでくるわね?」

「え…?」

 

零は依姫のビンタをくらい。放心状態で普段は誰も来ない場所に置き去りにされた。朝日が登ったときに目に光がない状態で見つかった。依姫は何をやったのか覚えていなかったが、フミアに教えられて零の側に一日中いたそうだ。次の日には元通りになったが、前よりも依姫とフミアに弱くなった。



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最悪な事態

「ハジメ、みんなで行くの?」

「いや、零達は残ってくれ」

 

「「え…?なんで…?」」

 

ハジメの言葉に零と愛優美は首を180度回転させてハジメを見た。

 

「お前ら、こえぇよ。理由はお前らが来たらこの森が消えるだろうが」

「ふざけんな!!ここの森で済むと思ってんのか?!もっと被害でるわ!」

「だったら尚更だ!!!いいか?俺と香織、ユエ、雫、恵里、兎人族で行く。他はここで留守番だ」

 

そう言いハジメ達は森の奥に進んで行った。残った零達はハジメ達がいない間に情報を集めていた。

 

「えっと、このセルヴァムだっけ?何匹いるの?」

「知らん。だが、情報収集にはもってこいだ。何かわかったか?」

 

零の周りに小さいワイバーンの様な生物が飛んでいた。

 

「ふむふむ、清水が行方不明。先生が農業に手を加え始めた。ん?え、イリスとノイントが勇者パーティーに連れて行かれてる?!!」

「清水ってだれ?指揮官の知り合い?」

「俺の親友だ…」

 

清水を知らない雪風が零に聞く。フミアは驚いていた。本来いるはずのないイリスがいることに

 

「イリスを連れて行ってる?!!嘘でしょ?!どうしてこの世界にいるのよ!!?」

「アイツは俺の召喚に応じた。理由はお前を助ける為だ」

 

フミアはイリスがいる理由を聞くと、少し涙目になった。

 

「イリスとノイントを助けに行くのはまだ少し先だな」

「そうね、早く行きたいけど貴方達は死んだ扱いだもんね」

 

二人の会話が終わった時に一匹のセルヴァムが帰ってきた。セルヴァムが得た情報収集の中身を確認すると、零達の顔が変わった。

 

「…次元の切れ目だと…?」

「空にヒビ…?」

「ヒビから黒い爪の様な触手…?」

「骨の二匹の龍…?」

「セルヴァムが捉えた謎の声…」

 

零はセルヴァムが見つけた謎の声を一個ずつ流した

 

ゼェェトォォォン

 

絶望させるような鳴き声

 

GUGOOOOOOOOOOO

 

聞いたことのない。いくつもの生物を食ったかのような声

 

GYAAAAAAA

 

全てを壊せそうな声

 

ギィィィィィィィン

 

零と依姫が一番知っている声

 

ギャハハハハ

 

笑っているかの様な声

 

その声を聞き、零達は驚いていた。

 

「な、なんでコイツらがいるんだ?!!」

「アイツらは確かにあの日死んだはず!!」

 

愛優美は零と依姫の顔を見た。

 

「二人はこの声を聞いたことあるの?」

「あぁ、ある。だって、この声の怪獣は一度依姫を取り込んで…俺の前に来たことがある……!!!」

 

愛優美はそれを聞き、頭を抱える。

 

「この先、この怪獣達と戦うことになるかも知れねぇ」

「大丈夫、もう昔の私じゃない」

「………ハジメ達が帰ってきたら話す。いいな?」

 

反対する者はいなかっため、ハジメ達が帰ってきた時に話す事になった。




怪獣の鳴き声を字で表すのってやっぱりムズいね。
あ、上からウルトラ怪獣、モンハン、モンハン、ウルトラ怪獣、ウルトラ怪獣です。
4番目の怪獣の鳴き声がわかりにくいかも


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相手の情報を

あれから数時間がたち、ハジメ達が帰ってきた。零達はセルヴァムが集めた情報をハジメ達に話した。

 

「じゃぁそのお前らの因縁の相手がこの世界にいるって事でいいな?」

「…あぁ」

 

愛優美はハジメ達に迷宮で起こったベヒモスを喰らった魔物について話した

 

「あの日、私達が変身して倒した魔物……いや、モンスターについて話すわ。あれはこの世界ではない、別の次元の生物よ。名前はイビルジョー」

「なんでそんなヤツが出たんだ?」

「わからない。だけど、あのイビルジョーからは怪獣を超えた怪獣。超獣と同じ感じがしたの」

「「「「「「超獣…?」」」」」」

 

ハジメ達6人は聞きなれない言葉に首を傾げる。愛優美は零達の顔を見ながら、超獣について話した。

 

「超獣はね、異次元人ヤプールが改造した怪獣。怪獣を超えた存在でね、怪獣と地球上の生物を融合させた超獣もいるの」

「それって…」

「怪獣兵器……いや、生物兵器だな」

 

6人全員が少し顔を変えた。零は静かに呟いた

 

「どんな生き物も攻撃をされれば痛みと恐怖を覚えるが、超獣にそんなものは無い」

 

それを聞き、6人は黙る。愛優美は超獣のリストを見せた。その中に依姫を取り込んだUキラーザウルスもあった。

 

「これが…?」

「もしかしたらこれから何処かで戦うかも知れない」

「流石にユエでも勝てねぇな」

「こんなのが出たらそっちにまかせていい?」

「「任せろ。怨念ごと消してやる」」

 

恵里がセルヴァムが持ってきた声の一つを聞いてきた。だが、二人共その声の主は知らない。

 

「なに…?この笑ったような声…」

「無気味ね…」

「清水君の行方も気になるし」

 

そこで、話を終わらせた。

 

「流石にあのまま超獣の話をすると1名大変な事をしそうだから」

 

フミアは零の事を見ながら言った。ハジメは話を変えようと、これからの目的地を決めた。

 

「ライセン大峡谷に行く」

「ライセン…?ライセン?!ライセン大迷宮に行く気?!」

 

その名前を聞くと、フミアが驚いた顔で聞き直した。

 

「なにかあるのか?」

「貴方達全員、煽り耐性を付けなさい!今すぐに!!!!」

「「「「なんで煽り耐性?」」」」

 

どうやって煽り耐性を着けるか迷っていると。そこへ、遊んでいた雪風達が来た。

 

「あれ?皆さんどうしたんですか?」

「にらめっこです?」

「ラフィーも〜…」

 

何故かラフィーが加わろうとした。ニーミなら何かわかるかと思い、煽り耐性を着ける方法を聞いた。

 

「とにかく耐えるしか…あ、煽り性能高い人に煽って貰うのはどうですか?」

「煽り性能高いヤツって誰かいたか?」

「と言うか、なんで煽り耐性高めなくちゃ行けないんだ?」

 

煽り性能高い知り合いを探していると、ハジメがフミアに質問した。

 

「ライセン大峡谷にあるライセン大迷宮の主、ミレディ・ライセンは煽りが多いわ」

「煽りが多いって…」

「気をつけなさい、特にしげる。そのまま地形を抉り取りそうだから」

「俺は煽り耐性ある方だろ?」

 

その後、愛優美の煽りに少しキレた



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ブルックの町へ

「それで、ライセン大峡谷に行くとして、今日は野営するの?それともこのまま、近場の村か町に行くの?」

「出来れば、食料とか調味料関係を揃えたいし、今後のためにも素材を換金しておきたいから町がいいな。前に見た地図通りなら、この方角に町があったと思うんだが…」

 

ハジメは双眼鏡を作り、周りを見た。零はセルヴァムなどを出して探し、美月は少し遠くまで行って探した。探していると、スゴイ大切な事を思い出した。

 

「なぁ、シアって何扱い?」

「「「え…?」」」

「奴隷扱いだろ。首輪着けるか」

 

ハジメはシアに首輪を着け、町の捜索を再開した。

 

「いやいや!ちょっとまってください!!それだとラフィーちゃんはどうなるんですか?!同じくウサ耳ですよ?!」

 

シアは自分だけ首輪は嫌なのか、ラフィーを巻き込もうと企んだが

 

「ん。ラフィーのウサ耳は本物じゃない…町に入る時に…取ればいい…」

「それじゃぁ綾波ちゃんは?!」

「これはケモミミじゃないだろ」

 

ラフィーが無理でも他なら!と、他のヤツまで巻き込もうとするが無理だった。

 

「うぅ〜。私だけ首輪を着けるのは嫌ですぅ〜…」

 

泣き始めた。首輪を着けなくていいようにするのは耳を切り落とすしかなかった。

 

「そんなに自分だけ首輪は嫌か?」

「ハイですぅ!」

 

「どうする?」

「知り合いに首輪?を着けてるヤツいるっちゃいるけども…ソイツ呼ぶか?」

「そうするか?」

 

零とハジメは小声でヒソヒソ話していた。話し合いの結果、零の知り合いを連れてくることになった。

 

「よし。シアは一人だけ首輪なのが嫌なんだな?」

「そうですぅ!」

「だったら、俺の知り合いを連れてきてやるよ」

 

そういい、零は魔法を出そうとした。だが、

 

「誰を呼ぶか…」

 

そう、誰を呼ぶか迷っていた。首輪を着けた知り合いは少ないが、誰を呼べばいいのか迷っていた。零はラフィー達と話していた。

 

「誰呼ぶ?」

「首輪を着けたKAN-SENって…」

「ロイヤルメイド隊だけ…」

「その中でも有名な方って…」

「ベルファストさん?」

「ベルファストにするか」

「召喚よりも会いに行ったほうがいいかも知れませんね仕事中かも知れませんし」

 

話し合いの結果。ベルファストとベルちゃんを連れてくることになった。ベルファストと美月の二人メイドならこの先も安心だろう。

 

「取り敢えず、首輪着けてる知り合いを連れてくるから。その間に探しといてくれ」

 

そう言い、零は目がいっぱいのスキマに入った。

 

「なぁ、まいど思うんだがあの目なんなんだ?」

「しげるの……恋人の能力よ」

 

______________________

スキマでKAN-SENの場所に行った零は、すぐにベルファストを探した。道中でホーネットを発見してベルファストの居場所を聞いた。

 

「ん?ベルファストの場所?」

「そうだ。知っているか?」

「たぶん、エンプラ姉と一緒にいるだろうから、3階の部屋だね」

「助かる」

 

ホーネットから貰った有力な情報をもとに、部屋に行った。運良くベルファストとベルちゃん、エンタープライズが部屋から出てきていた。

 

「あ、おーい!」

「ん?指揮官じゃないか。久しぶりだな」

「あぁ、久しぶりだな。今日はお前らに頼みたい事があって来たんだ」

「頼みたい事ですか?」

「どうしたのですか?」

 

零は3人に事情を説明した。

 

「承知しました。それでは行きましょう」

「あぁ、私も手伝おう」

「あ、時間は気にするな。俺が時間軸を少しズラすから」

 

そして、零はベルファスト、ベルちゃん、エンタープライズの3人を連れてハジメ達の下に行った

______________________

スキマから零が3人の女性を連れて出てきた。同時に美月が帰ってきた。

 

「ほら、首輪を着けた知り合いを旅の仲間に加えた。これでいいだろ?」

「ハイですぅ!」

 

ベルファスト達はラフィー達の所に行った。

 

「美月、町はあったか?」

「はい、ハジメ様の言うとおりこの方角に町があります」

「よし、それじゃぁ行くぞ!!」



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ブルックの町 前編

あれから数時間がたち、町の門まで来た

 

「止まってくれ。ステータスプレートの提示とこの街に来た目的を言ってくれ」

「目的は食料の補給だ」

 

零はステータスプレートを見せながら言った。ハジメ達もステータスプレートを見せ、依姫達は持ってないから出さなかった。ステータスプレートを見た兵が驚いていた。

 

「あぁ、実はさっき魔物に襲われてしまって、ステータスプレートが壊れたんだ。出さなかった皆はなくしてしまってな」

「ステータスプレートの壊れようがスゴイな。それで…」

 

兵はベルファストとシアを見た

 

「この兎人族は……わかるだろ?こっちのメイドは俺のメイドだ」

「なるほど。魔物に襲われるとは災難だったな。ゆっくりして行ってくれ」

 

そう言われ、町に入った。ハジメは最後に兵と何かを話していた。

 

「よし。ギルドはこの先にあるらしい」

 

ハジメは何故かご機嫌だ。しかし、シアはめっちゃプルプル震えていた。

 

「どうしたんだ?せっかくの町なのに、そんな手から岩が足に落ちて痛みを耐えるレッドキングみたいな顔して」

「誰がレッドキングですかっ!と言うかレッドキングってなんですかっ?!」

 

零の例えにツッコミを入れるが、シアは涙目でハジメを見た。だが、ハジメはそれを無視してギルドに向かった。

 

「ここがギルドか…」

 

零達はギルドに入り、カウンターを探した。

 

「両手どころか、いっぱい花を持っているのにまだ足りないのかい?残念だったね、ギルドの受付人が全員美女じゃないんだよ」

「……女の勘ってヤツか?」

「女の勘を舐めちゃいけないよ?」

「肝に銘じとこう」

 

話を終えて本題に入った

 

「さて、じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

「ああ、素材の買取をお願いしたい」

「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

「ん?買取にステータスプレートの提示が必要なのか?」

 

零達の反応に何かを感じ、聞いてきた

 

「あんたら冒険者じゃなかったのかい?確かに、買取にステータスプレートは不要だけどね、冒険者と確認できれば一割増で売れるんだよ」

「そうだったのか」

 

零達は諦めようとしていたが、フミアが来た。

 

「私が一応冒険者だけど、駄目からしら?」

 

そう言い、ステータスプレートを見せた。

 

「こりゃ驚いた。まさか、不死身と不老不死の技能を持つフミアと一緒だなんて…」

「お前、冒険者やってたのかよ!?」

「どれだけスゴいんだ?」

「知らないのかい?不死身のフミアって言う二つ名がある、金ランクの冒険者さ」

 

金ランク。それは冒険者ランクの最高ランクだ。

 

「あんたらも登録するかい?」

「あぁ、する」

 

零達全員が登録し、魔物の素材を売ろうとした。

 

「あんたら、本当にとんでもないね……樹海の魔物だね」

 

ここまでなら良かった。だが、

「これもお願い」

 

そう言い、フミアがギャオスハイパー、カマキラスの素材を出した。

 

「こ、これは!あんたら全員で倒したのかい?!」

「えぇ、そうよ。これで金ランクまで行けたはずよ」

 

そして、フミアが出した素材によって、俺達は最高ランクになった。その後、地図を貰って宿を探していた

 

「登録一日目で最高ランクってドユコトだよ」

「その方が色々と楽でしょ?」

「と言うか、いつから冒険者なんだよ」

「…覚えてないわ」

 

そんな話をしていると、宿に着いた。

 

「いらっしゃいませー、ようこそマサカの宿へ!本日はお泊りですか?それともお食事だけですか?」

「宿泊だ。このガイドブック見て来たんだが、記載されている通りでいいか?」

 

ハジメが見せた地図を見て合点がいったように頷く女の子。

 

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、書いてある通りですよ。何泊のご予定ですか?」

「あ?あの人キャサリンって名前なんか?!」

 

女の子がテキパキと宿泊手続きを進めようとするが、ハジメは何処か遠い目をしている。女の子の呼び掛けにハッと意識を取り戻した。

 

「あ、ああ、済まない。一泊でいい。食事付きで、あと風呂も頼む」

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

女の子が時間帯表を見せる。なるべくゆっくり入りたいので、男女で分けるとして二時間は確保したい。その旨を伝えると「えっ、二時間も!?」と驚かれたが、日本人たるハジメ達としては譲れないところだ。

 

「お部屋は……部屋は多く空いていますけど」

「四人部屋を3つ、三人部屋を2つで」

「わかりました」

 

零はハジメの相談無しで決めて皆のところに行った。

 

「部屋の割当だが、

俺、依姫、フミア、雫

ラフィー、綾波、ジャベリン、ニーミ

美月、恵里、シア、愛優美

ベルファスト、エンタープライズ、ベルちゃん

ハジメ、香織、ユエ。これでいいな?」

 

それに全員が賛成した。



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ブルックの町 後編

あの後、暇な時間ができた為、キャサリンにオススメのお店を教えてもらい、全員で行った。キャサリンがオススメするぐらいだからいい所だろう、そう思った。だが、

 

「あら~ん、いらっしゃい♡可愛い子達ねぇん。来てくれて、おねぇさん嬉しいぃわぁ~、た~ぷりサービスしちゃうわよぉ~ん♡」

 

化け物がいた。身長二メートル以上、全身に筋肉という天然の鎧を纏い、劇画かと思うほど濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。動く度に全身の筋肉がピクピクと動きミシミシと音を立て、両手を頬の隣で組み、くねくねと動いている。

 

「あらあらぁ~ん?どうしちゃったの?可愛い子がそんな顔してちゃだめよぉ~ん。ほら、笑って笑って?」

「あぁ、すまない。皆は町を歩いたりするのが初めてで、驚いているんだ」

「そうなのぉん?それでぇ?今日は、どんな商品をお求めかしらぁ~ん?」

「私や彼女らに似合う服ってあるかしら」

 

固まっている零達を見たエンタープライズとフミアが店の人と話をしてくれた。

 

「さすが。できる姉達だな」

 

それから数分。お店の人達が似合う服を選んでくれた。いいヤツは買った。

 

「いや〜、店員の人優しかったねぇ〜」

「この世界に和服があることに驚きなんだけど」

 

店を出て話していると一人の男が来た。

 

「ユエちゃん、シアちゃん、香織ちゃん、雫ちゃん、恵里ちゃん、愛優美ちゃん、フミアちゃん、美月ちゃん、依姫ちゃん、エンタープライズちゃん、ベルちゃん、ベルファストちゃん、ラフィーちゃん、ジャベリンちゃん、綾波ちゃん、ニーミちゃんで名前あってるかな?」

「え、そうですけど?」

 

シアの返答を聞くとその男は、後ろを振り返り他の男連中に頷くと覚悟を決めた目でシアを見つめた。他の男連中も前に進み出て、皆の前に出る。

 

『ユエちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『シアちゃん!!俺の奴隷になってくれ!!』

『香織ちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『雫ちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『恵里ちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『愛優美ちゃん!!!俺の嫁になってくれ!!』

『フミアちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『美月ちゃん!!俺のメイドになってくれ!!』

『依姫ちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『エンタープライズちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『ベルファストちゃん!!俺のメイドになってくれ!!』

『ベルちゃん!!俺のメイドになってくれ!!』

『ラフィーちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『ジャベリンちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『綾波ちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

『ニーミちゃん!!俺の嫁になってくれ!!』

 

大人数がいっせいに告白した。

 

「依姫、リボン少し解けてるぞ」

「え?あ、ありがとう」

「それじゃぁギルドに行こうぜ」

「金ランクの力を「ちょっと待ってくれ!!!返事は?!!」全員断るに決まってるでしょ?」

「クッ!こうなったら力ずくで!!」

 

男が足をあげようとした瞬間、男の髪の毛が切れた。

 

『え…?』

 

見ればドス黒いオーラを放った零がいた。

 

「人の妻を奪おうとした君等、」

 

その後。その男達…特に依姫、フミア、雫、KAN-SENを嫁にしようとしたヤツ。美月、ベルファスト、ベルちゃんを自分のメイドにしようとしたヤツを見た者はいなかったと言う

 

「ケッ、今度。俺の仲間を、特に依姫を力付くで嫁にしようとしてみろ。ころすからな?



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ライセンの大迷宮?

死屍累々、そんな言葉がピッタリ当てはまる。そんな場所がライセン大峡谷。目の前には未練を残して現世に残された霊が沢山いた。

 

「この霊の量ヤバすぎるだろ」

「あ?そんなにヤバイのか?」

 

霊を見れる零はその場にいた霊の量の多さに驚いていた。

 

「偽神を潰した後にでも送るか」

「それで、ライセン大迷宮って何処にあるだ?」

「何処だったかしらね」

 

フミアも覚えてないらしい。ここは魔法が使えない場所だからハジメ達では探せなかった。

 

「フミアはここに来たの何回目なの?」

「…これで3回目よ」

「ミレディと面識はあるのか?」

 

フミアは歩きながら昔の事を話した。

______________________

当時、まだ505歳だったフミアはこの世界の魔法について調べていた。その時にライセン大峡谷に来た。そこで魔法が使えないとされているライセン大峡谷に自ら飛び降りる少女を発見した。ミレディ・ライセンだった。暫くして、少女は1人の女性だった物を持って上がってきた。男に何かを言われていたが彼女は言った

 

「やれるものならやってみなさいよ」

 

兵士が彼女に向けて魔法を放った。フミアはウルトラブレスレットをウルトラディフェンダーにして彼女の目の前に投げ魔法を防いだ。

 

「たった一人の少女に集団リンチねぇ…最低ね」

「貴様……吸血鬼か。そこを退け、じゃないと貴様も死ぬぞ」

 

フミアはグングニルとウルトラランス持ち、目の前の敵に言った。

 

「消えなさい」

______________________

「って事があったの。護身用にウルトラブレスレットを持っていって正解だったわ」

「なるほど。だからあの時、家にウルトラブレスレットがなかったわけか」

 

聞き覚えのないウルトラブレスレットについてハジメは零に聞いた。

 

「ウルトラブレスレットってなんだよ」

「俺が変身するウルトラマンってあるだろ?あれの武器だ」

 

フミアの話を聞き終えて、また大迷宮を探そうとした時、雫が聞いた。

 

「あと一回はどうしたの?」

 

雫の質問にフミアは歩みを止めて言った。

 

「……偽神との戦いに敗れた時よ。アイツは私の体を乗っ取ろうとした。でも、しげるの作った指輪のおかげでそれは防げてたわ。でも、この世界から出ようとしたけど出れなくなっていたわ」

「……その後、私と会った?」

「そういう事。それじゃぁ行くわよ」

 

そう言い、フミアはまた歩きだした。

 

「行くって何処に?」

「ミレディの所。ライセン大迷宮に」

 

フミアの後を歩きついて行ったが、夜になってしまった。ハジメはここでキャンプをするといいテントを張った。

 

「今日は寝て、また明日やろうぜ」

 

そう言い、ハジメは寝ようとした。その時だった

 

「ハジメさぁん!!皆さぁん!!大変ですぅ!!大変ですぅ!!!」

 

花を摘みに行ったシアが急いで帰ってきた。

 

「どうした?シア」

「、うるさい」

「どうかしたの?!」

「魔物?」

「お兄ちゃん…眠い」

 

「敵か?!」

「主の障害を取り除くのもメイドの務めです。行きますよ、ベルちゃん」

「は、はい!」

「ラフィーは寝てない…」

「ラフィーちゃん、起きて起きて!」

「もうちょっとゲームしたかった…です」

「ゲームは後で、ほら」

「うわぁ?!!びっくりしたー」

 

「どうかしたの?」

「ライセン大迷宮を見つけたのね」

「「「「え!?」」」」

 

全員、シアについて行った。零は少し考え後をしていた。

 

(天界に()()()()()()()()()()()がない…?だが、フミアは全員死んだと……まさか、まだこの世界で生きている?……この先の迷宮にいるのか?)



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ライセン大迷宮

なんか、前の話が2個出てた。
こんなの前もやった気がする


あれからシア達の所に行くと壁に何かが書かれていた。

 

“おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪”

 

「ミレディ・ライセンの…?」

「ドキ…?」

「ワク…?」

「大迷宮??」

 

胡散臭い感じだった。だが、フミアは確信していた。ここがライセン大迷宮と言う事に

 

「これで合ってるわ。こうじゃないとミレディって感じがしないわ」

「マジかよ、」

「入口は何処?」

「おいシア、あんまりうg「ひやぁぁぁぁ?!!!」シア!?」

 

ハジメがあんまり動くなと言う前にシアが消えていた。シアが立っていた場所のあたりを探った。

 

「おい。これ回転扉だぞ」

「忍者かよ」

「忍者ではないでしょ」

 

ドアを押し、入った瞬間。矢が飛んできた。

 

「ッ?!!ゼットンシールド!!」

 

とっさにゼットンシールドを展開し、防御した。

 

「ふぅ、ってあれ?シアは?」

 

零がドアを押そうとすると外から声が聞こえた。

 

「零はもう少し待っててくれぇ!!」

 

 

ハジメに待っているように言われ、暫く暇になった。マガタノ刀を出してメンテナンスをした。

 

「こうやって触るのも数年ぶりか、偽神と戦う時に()()()()()させるかもしれないが許してくれよな」

 

そしてドアが回り全員が入ってきた。だがシアが泣いていた。

 

「ハジメ…シアが泣いている事には何も言わないが、イジメんなよ?」

「誰がそんな事するか!!?」

 

全員が入り終わると、真ん中に石版が置いてあり、何か書かれていた。

“ビビった?ねぇ、ビビっちゃった?チビってたりして、ニヤニヤ”

“それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ”

 

「フゥン!!!」

 

シアはハジメが作った金槌で何度も叩いた。だが、時間が経てば元に戻っていた。

 

「シア、行くぞ。そんな石ころ一つにそこまで時間を使いたくない」

「あ。魔法が使えないって事は

ユエの魔法効かない?」

 

香織が気づいた事にユエは驚き、フミアを見た。

 

「なんで私を見るのよ。魔血があるでしょ?それなら何処でも使えるからここでも使えるわよ」

 

フミアの説明を聞き、ユエは少し笑顔になった。自分が足を引っ張らなくて嬉しいんだろう。

 

「だが、香織達の魔法は使えないぞKAN-SENと俺らは違うけども」

「そう言えば、ラフィーちゃん達の砲弾とかってどうなってんだ?無限なのか?」

「無限じゃなかったか?」

 

KAN-SENの砲弾がどれだけあるのかは零ですら知らない事だった。ラフィー達は楽しげに先に進んでいった。それの後を追い、数々の罠を掻い潜り坂道の所まで来た。

 

「おい、絶対に油断するなよ?『カチッ』…こうなるからな」

 

ハジメがボタンを踏んでしまい、上から何かが転がってきていた。金属の大玉だった。一部を除く全員が逃げようとしたが、ハジメは大玉の方に歩き始めた

 

「…いつも逃げるのは性に合わねぇ」

 

そう言い、ハジメは転がってくる大玉を壊した。

 

「シャァァララァァ!!!」

 

ハジメは完全にやったぜって言う顔をしていた。だが、後ろにもう一つも大玉が転がっていた。

 

「ハジメ、しゃがめ!!!新月斬波!!!」

 

零は斬撃を飛ばし大玉を切った。そして、落ち着いたかのようにため息をついた。だが、また大玉が転がってきていた。

 

「しげる退いて!!!祇園様の力!!!」

 

依姫は零の上をジャンプで飛び越え祇園の力で岩の周りに刃を出現させた。岩大玉は壊れたが、また先から来ていた。

 

「正妻ちゃん、しゃがんで!!!ブリザードナックル!!!」

 

依姫の斜め上にワープゲートを作り、愛優美が飛び出してきた。愛優美はブリザードナックルで大玉を凍らせた。

 

「フフーン!!!どうよ!!」

 

ゴロゴロ

 

愛優美は皆の方に振り向き、ブリザードナックルを戻した。

 

ゴロゴロ

 

「ん?なんか音が聞こえねぇか?」

 

零は何処からか音が聞こえていた。

 

「まさか…!!!」

 

そして、零の予感が当たった。ブリザードナックルで凍らせた大玉を盛大に壊してウラガンキンが登場した。

 

「ウッソだろ?!!!」

 

全員が逃げようとしたが、フミアはグングニルをウラガンキンに投げて突き刺した。すると、ウラガンキンは倒れ、絶命した。

 

「どう言うことだ…?」

 

突如ウラガンキンの死体は消え、奥からまた大玉が転がってきていた。その後、零達は全速力で逃げた。



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さぁさぁ、ボス戦だ

あれから大玉から逃げて溶岩の様な液体を避けた。

 

「あっぶねぇなぁ…」

「おい。あそこに扉あるぞ」

 

ハジメが一つの扉を発見した。

 

「あそこに移るぞ!」

 

風を反対側の壁に撃ち、全員をドアの方に移動させた。ハジメの体がドアに当たって部屋に入った。

 

「なんだこの部屋…」

 

鎧を着た何かがズラっと並んでいた。しばらくすると、鎧がいっせいに剣を抜いた。

 

「ざっけやがって!!」

「潰すか」

「ん。邪魔」

「総員、戦闘態勢!!」

 

零の合図にラフィー達が武器を構えた。

 

「指揮官!私ブリザードとマグマどっち使えばいいですかぁ?!!」

「知るかぁ!!テメェは変身して戦っとけ!!」

 

零は愛優美をほっといて、刀を構えた。愛優美はマグマナックルでクローズマグマに変身した。騎士は襲ってきたが、マグマナックルで攻撃されて吹き飛んだ。

 

「どうする?この先道ないよ?」

 

愛優美が吹き飛ばした騎士はどんどん立ち上がった。

 

「自己再生かよ」

 

ラフィー達の弾が騎士の鎧に穴を開けた。だが、鎧が自己再生によって鎧の穴が塞がった。刀で切っても繋がった。

 

「金山彦命!!!……?!分解できない?!!」

 

依姫は鎧を分解しようとしたが分解できなかった。

 

「壁をぶち破るか…」

 

今まで使わなかった秘策、迷宮の壁を壊す事をしようとした。

 

「壁をぶち破るからこっち来い!!マガ一閃!!!」

 

全員が来た事を確認して刀で壁を壊した。

 

「何処だここ!?」

 

さっき壊した壁が元に戻った。すると、目の前に一つの石版が出てきた。

 

“ねぇ、今、どんな気持ち?”

“苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?”

“ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ”

“あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します”

“いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです”

“嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!”

“ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です”

“ひょっとして作っちゃった?苦労しちゃった?残念!プギャァーww”

 

その石版に書かれている文字を読むとハジメが変なボタンを取り出した。

 

「おい、それなんだ?」

「あ?あぁ、今までの場所に爆弾を仕掛けたんだよ。その起爆スイッチだ」

 

ハジメは笑顔でスイッチを押した。すると、色んな方向から爆発音が聞こえ始めた。

 

「よし、行こうぜ」

 

ハジメは笑顔で言ったが、心は笑っていなかった。

______________________

あれから一週間ずっと大迷宮の中にいた。

 

「最悪ね、どの未来も全部バラバラ。選ぶどころか一つのルートを見つけるのも困難ね…」

「フミアの未来視が使えないとなると、シアの未来視も使えない。己の勘を頼るしかないのか……」

「こっちの世界の金属は操れないのかな…」

 

依姫は金山彦命で金属を操れなかったのが相当ショックだったのか、少し悲しげな顔をしていた。

 

「よしよし。こっちの神がここでも使えるとは限らないから、な?」

「一人でも迷子になると大捜索が始まりそうね」

「夫婦で寄り添っているのはいいが、ここが大迷宮って事を忘れないでくれよ?」

 

夫婦で寄り添っているとハジメが来た。

 

「そろそろ出発でもするか?」

「あぁ、そろそろ出発する」

ハジメはシアを起こして出発の準備をする。零はずっと警戒していたエンタープライズと一緒に仲良く寝ているラフィー達を起こした。

 

「…ファ〜、まだ眠い…」

「ほら、ラフィーちゃん!出発だよ!」

 

それから、また迷宮の中を探した。

______________________

あれから探索をしてまた騎士のところまで行った。

 

「しげる、この先に入ったらすぐに一番奥の壁を壊して」

「わかった」

 

そして、中に入った瞬間時を止めて一番奥の壁を壊して、皆を壊した先の部屋に移動させた。

 

「ッツ?!!……お前の能力か?びっくりしたな」

「だけど、進めたね」

「ここが親玉の部屋か?」

「「…ッツ?!!!!皆避けなさい(避けて)!!!!」」

 

フミアとシアが叫んだ瞬間上から何かが降ってきた。

 

「なんだこれ…」

「ゴーレム……?」

 

降ってきたのは50メートルを越えたか越えないかくらいのゴーレムだった。



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目には目を歯には歯を、ゴーレムにはギャラクトロンを

デッカイゴーレムが降ってきた。零達はすぐに戦闘態勢に入った。

 

「デカいな…」

 

ハジメがそう言い、エンタープライズが矢を引き、ラフィー達が主砲をゴーレムに向け、零、雫、依姫が刀を抜き、愛優美がマグマナックルとブリザードナックルを持ち、ユエは小さい魔法を作り、シアが金槌を持ち、香織が結界を張った。フミアは戦闘態勢を取らずにゴーレムを見ていた。すると、ゴーレムはハジメ達の斜め上を行った。

 

「やっほ〜!皆のアイドル!!ミレディたんだよ〜!!」

「「「「「は??」」」」」

「こらこら〜!人が挨拶したんだから、挨拶返してよ〜!?」

「悪かったな。だが、ミレディ・ライセンは人間のはずだろ?まして、自我を持つゴーレム何て聞いたことないんだが……まぁ、驚いてやったんだから許せ。そして、お前が何者か説明しろ。簡潔にな」

「え?なに君。この状況でめっちゃ偉そうじゃん…ん?え?!フミちゃんだ!!!久しぶり!!!」

 

あのクールなフミアが驚いて固まっていた。

 

「ゴーレムになって生存していたとは……予想外だったわ…」

「あれ?でもあの日、時が来るまで自分を封印するって言ってなかった?!なんでいるの?!!」

 

ミレディがフミアから聞いてない事を言った。

 

「自分を封印する?フミア、何の話だ?」

「あら?言ってなかったかしら、封印したけど、ユエを封印する為に封印を解かれたのよ」

「まぁその話はあとで聞くとして。おいミレディ、説明しろ」

「嫌ですー!年上に向かってそんな偉そうな口して、フミちゃんコイツなんなの!!?敬語使わせて!!」

 

ミレディは零の偉そうな態度が気に入らないのか、説明しようとしない。しかもフミアに敬語を使わせるように言っている。

 

「え?嫌よ、しげるが敬語を使うと寒気がするわ。あと、しげるに関して言うならば。あの偽神を簡単に消せるわよ」

「え?!!何者?!!」

「簡単に言えば、昔に言った私の恋人よ」

「テメェのその鎧を消してやろうか?」

 

零は右手にブラックホール、左手に異空間の穴を持った。異空間の穴から金色のワームのような生物が出てきていた。ミレディはそれに恐怖し、フミアの恋人と知って驚いた。

 

「ほらミレディ、説明してちょうだい」

「はぁ〜い。確かに私は人間。鎧を来た騎士達は全部神代魔法で解決!!!」

「それで?お前の神代魔法はなんだ?」

「それはねぇ〜」

 

ミレディは少し間を置いて言った。

 

「教えてあぁ〜げない!」

「殺す…!」「ぶっ潰す…!」

 

零は右手のブラックホールを異空間の穴に変え、左手の異空間の穴と一緒に自身の周りを浮かした。すると、金色のワームのような生物がミレディに向かって行った。

ガキィン!!っと言う音が聞こえた。

 

「アザンチウムか…」

「まさかギドラの歯でも傷がつかないとは…」

 

零は異空間の穴を閉じ、首飾りを刀に変えて構えた。

 

「行くぞ…!」

「待ちなさい!」

 

零が行こうとすると、フミアから静止の声が聞こえた。止まると、目の前にゴーレムが落ちてきた。

 

「ミレディは他の何かに任せて私達はゴーレムを片付けるわよ!!」

「そうするか」

 

零は亜空間からギャラクトロンを呼び出した。

 

「ギャラクトロン!!そのゴーレムを戦闘不能までやれ!」

『キュォォォォン!』



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巨大ゴーレム討伐完了

『キュォォォォン!!!』

「何何何?!!!」

 

ミレディは見たことないギャラクトロンと言う存在に圧倒されていた。

 

「ギャラクトロンなんか何処から持ってきたのよ」

「ギルバリスのところから呼び出した」

 

『キュォォォォン!!』

「ギャァァァ!!!何コイツゥゥゥ!!!」

 

ギャラクトロンは容赦なしにミレディを攻撃した。零達は騎士を倒した。

 

「切りがねぇなぁ。どうする?」

「やっぱ、ミレディを潰すしか…」

 

ハジメは騎士を倒しつつミレディを見た。

 

『キュォォォォン!!』

「ちょ、何コイツ?!!!硬すぎない?!!」

 

ギャラクトロンにボコボコにされていた。そして、ギャラクトロンの攻撃でミレディが倒れた。同時に騎士も動かなくなった。

 

「ギャラクトロン強すぎん?取り敢えず、ギルバリスに返しとくか」

 

零はギャラクトロンを亜空間の穴に入れて、ミレディに近づいた。

 

「おい、ミレディ。降参するか、このまま続行するか。どっちにする?」

 

零の問にミレディは答えず、黙っていた。

 

「やりましたか?!」

「ちょ、馬鹿!!それはフラグ!!!」

 

ミレディは右手を動かして零を掴もうとした。だが

 

ガキィン!!

 

ミレディの腕が吹き飛んだ。

 

「これは続行って事でいいな?」

「フ、フフッ。私の体が何で出来ているのか聞いてなかったの!?最も硬いアザンチウムだよ?!」

「知った事か」

 

零は刀をゴーレムの心臓に向けて突き刺した。

 

「な、なんで!!アザンチウムが…!!」

「さぁ、最後だ」

 

だが、ミレディは左手で壁を壊し最後の悪足掻きをした。

 

「なんのつもりだ?」

「まだ試練は終わってないって事だよ!!!」

『ギャオォォン!!』『GUUUUU!!!』

 

壊した壁から古代怪獣ゴモラとウラガンキンが出てきた。

 

「おいミレディ。あのデッカイのを何処で見つけた」

「ラ、ライセン大峡谷で落ちてた人形が突然大きくなって」

「……ハジメ達はあっちのちっこいのを頼めるか…?」

「お前はどうするんだ?」

「あっちのデカいのを止める…!!」

 

零は赤と黒の何かを取り出した。

 

「なんでこの世界にスパークドールズがあるのかは知らないが」

 

零は左手に短剣の用な物『ギンガスパーク』を持っていた。右手にはウルトラマンギンガのスパークドールズを持っていた。

 

「スパークドールズが突然巨大化か…よし。考えるのは後だ」

 

零はゴモラに向かって走り、ギンガスパークをギンガのスパークドールズの足裏に刺して変身をした。

 

「ショウラァ!!」

 

ゴモラは急に出てきたウルトラマンに驚いていた。それはハジメ達も同じだった。

 

「おい、あの巨人について説明しろ」

 

ハジメは愛優美に零が光の巨人に変身した事について説明を求めていた。

 

「あれが私達種族が持つ能力、どんな物にも変身する能力よ。あれは光の巨人、ウルトラマン」

「……」

「零が光の巨人に、私は闇の巨人に変身できるわ」

______________________

ゴモラは戦うと言うことをせず、何かを伝えようとしていた。

 

「何をやりたいんだ…?」

 

零には何を言いたいのかわからずにいた。

 

「怪獣の言葉は怪獣に聞け、よし」

 

変身を解除し、ウラガンキンと戦っている愛優美を呼び寄せた。

 

「ちょっと!!!呼ぶなら言ってくれない?!あと、なんの用なの?」

「このゴモラが言いたい事を翻訳してくれ」

「しょうがないわね」

 

愛優美はゴモラと会話を始めたのか、何かを言い始めた。会話が終わったのか愛優美は黙っていた。

 

「このゴモラ、こっちの世界に迷い込んだらしいわ」

「マジか、で?取り敢えず光の国にでも救助頼むか?」

「貴方が亜空間に入って連れていきなさいよ」

 

そうして、ゴモラを亜空間を通して光の国に送った。ハジメ達はの方を見るとフミアがウラガンキンに刺したグングニルを取っていた。

 

「あれ?ハジメ達は?」

「あっちだね」

 

ミレディの上に乗り、コアを完全に破壊していた。零達はハジメ達の下にいった。

 

「お〜い。こっちは終わったぞぉ〜」

「終わったか。こっちも終わったぞ。このゴーレムは完全に死んだ」



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新しい仲間!!その名も…!!!

ハジメがミレディゴーレムのコアを破壊してこの迷宮を攻略した。今はハジメとフミアがミレディがまだ何かをしてくると言い続けていた。

 

「――いいや、絶対にまだ何かある!!」

「ミレディの事よ。最後の最後で神代魔法を渡さない、なんてあり得るわ」

 

歩き続けて一つのドアを見つけた。全員警戒しながらドアを開けた。

 

「やっほー!皆のアイドル!!ミレディたんだよー♪」

「…スピア・ザ……」

「…ロスト・オブ・ザ……」

「…デスシウム……」

 

フミアと零は1枚のカードを取り出し、愛優美は赤黒い電気の用なエネルギーを腕に集めた

 

「わぁぁぁー!!!ちょ、ちょっと!!!やめて!それ以上はやめて!!これが壊れたら渡す物も渡せないからぁ!!」

「それで?出すもん出しやがれ」

 

ハジメはミレディの額に銃口を向けた。

 

「おい、ミレディ。さっさと攻略の証を渡せ。それから、お前が持っている便利そうなアーティファクト類と感応石みたいな珍しい鉱物類も全部よこせ。神代魔法はそこの魔法陣に乗ればわかる」

「……君、セリフが完全に強盗と同じだからね? 自覚ある?」

 

ミレディはハジメに全て奪われ、落ち込んでいた。

 

「あ、そうだ。君ら「クソ野郎共を殺せっていう願いなら聞かねぇぞ」…」

「殺すじゃ物足りねぇ。魂の消滅までしねぇとなぁ」

 

零は一瞬断ったかのように見えたが、殺すよりももっとヤバい事をしようとしていた。

 

「た、魂の消滅って君いったいなんなの?」

「ん?……そうだ、ここで龍神って言ってもいいが。偽神を処刑する為に来た死神かな?」

 

この時、ハジメ達には零の後ろに全てを無にしそうな存在が見えていたそうだ。零はミレディと同じ目線までしゃがんで言った。

 

「なぁ、お前も俺達の旅に着いてくるか?」

「え?!いや、駄目だよ。ここで他の冒険者の攻略を待たないとだし。何よりも()()()()()()()()()()()。」

「おい、誰がアイツとお前を戦わせるって言った?」

「え?」

 

ミレディは予想外の事に驚いていた。

 

「旅に着いてこないかってだけだ。それに変わりなら用意してやる」

 

零はデカい魔方陣を召喚し、ギャラクトロンを呼び寄せた。

 

「コイツに任せればいい。まぁ、クリアできるヤツなんか少ないがな」

「そ、そうなんだ」

 

ミレディは考えた。このまま死なずにここで暮らすのか、それとも零達に着いていくか。

 

「うん、いいよ。このキュートでクールなミレディたんが旅について行ってあげる!」

「それじゃぁ決まりだな」

「あ、ちょっと待ってて」

 

ミレディはドアの方に入っていった。それから数分後、ドアからさっきのミニゴーレムとは違う、少女が出てきた。

 

「おまたせー!」

「それが人の姿か」

「そうそう。それじゃぁ迷宮から出るよ〜!」

 

ミレディは謎の縄を引っ張った。すると、何処からか大量の水が出てきた。

 

「オイコラミレディ!先に言えぇ!」

「ごめぇぇん!!」

 

零達は勿論、KAN-SEN達も水の流れに逆らうことができずにいた。零は依姫を抱き寄せて依姫の頭を守った。ところどころカーブなどがあり、何回か体を打ち付けた。そのまま進み、水の流れが緩やかになった事と上に光がある事を確認して光の方に泳いだ。

 

「プハッ!ゲホッゲホッ、依姫大丈夫か?」

「ゲホッゲホッ、なんとか…」

 

そして、ハジメ達も浮上してきた。だが、一人シアだけが浮上して来なかった。

 

「何処かで逸れた…?」

「え?!あの水路には息継ぎできる場所なんてないよ?!!」

 

そうして、考えているとシアが浮上してきた。

 

「「「シアァァァァ?!!!」」」

「ユエ!今すぐに人工呼吸を!!」

「じん…何?」

 

ハジメはユエに人工呼吸を頼むがユエの頭には?がついていた。

 

「香織!蘇生を!!」

「大丈夫、死んでないよ!」

 

香織に蘇生を頼むが死んでいないらしい。

 

「フミア!心臓マッサージ!!」

「この胸が邪魔でできないわよ」

 

フミアはシアの胸がデカくて心臓マッサージできないらしい。

 

「ハジメ、人工呼吸!」

「よっしゃ任せ……え?」

 

ハジメは乗りと勢いで返事をした。全員の視線がハジメに行く。

 

「だぁぁ!!もうしゃーねぇな!!」

 

それからハジメが人口呼吸をしてシアは目覚めた。だが、シアはハジメに抱き着き、キスをした。

 

「ねぇ、これ零ならできたんじゃないの?」

「あぁ、確かに行けるぞ」

 

雫と零の言葉でシア以外の全員が固まった。



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覗き魔登場

あれからずぶ濡れで帰るのは危険な為、服を乾かしてから宿に帰った。宿に着く頃にはもう夜になっていた。

 

「ハジメ、先に風呂に入っとけ」

「んじゃ、先に入らせてもらうぜ」

 

ハジメが風呂に入ってから少したった時に香織とユエとシアが入口から覗くように見ていた。

 

「流石にハジメも疲れてるだろ………GO」

 

零は香織達にGOサインを出した。香織達はすぐに入っていった。中からハジメの起こった声が聞こえたが気にしなかった。部屋の前で雫がいた。

 

「あ、香織を見なかった?」

「香織?香織ならユエとシアと一緒にハジメと混浴風呂してるぞ」

「え?でも、見に行くだけって………あ、もしかして合図出しちゃった?」

 

零が手でグッっとした。

 

「グッじゃないわよ!!!」

 

雫に怒られ、依姫とフミアにも怒られた。部屋を出るとラフィーとニーミがいた。

 

「ん…指揮官……来て」

 

ラフィーに引っ張られてラフィー達の部屋に連れてこられた。

 

「部屋に…入って…!」

 

部屋に入ると、綾波達がゲームをしていた。

 

「オイコラァ、お前らそろそろ寝ろ」

「これ終わったら…寝るのです!」

「はぁ……」

「実はずっとこんな感じでして…」

 

ニーミによると、部屋に帰ってきてからずっとゲームをしているようだ。

 

「指揮官からも何か言ってもらえないですか?」

「あぁ、綾波。流石にそろそろ終わろうぜ?」

「むぅ。もう少しだったのです。でも、指揮官に怒られるのでやめるのです」

 

綾波はゲームを終了した。零は部屋を出た。部屋の前に何故か怒っていたハジメがいた。

 

「オイコラ。香織達が風呂に突撃したんだが、知ってるか?」

「あぁ、お前ら恋人同士なんだしいいだろ?減るもんじゃねぇし」

「やっぱテメェか…!!!」

 

ハジメにめちゃくちゃ怒られた。その後、風呂に入った。

 

「あぁ〜、風呂なんていつぶりだ?」

「さぁ?いつぶりかしらね。私が一緒に入るのは初めてだけどね」

「そうだなぁ………ん?」

 

零は声のする方を見た。そこには依姫とフミアと雫がいた。

 

「フフッ、貴方の驚く顔を見るなんて初めてね♪」

「お背中流すわね♪」

「う、うぅぅ」

「依姫とフミアが入ってくるのはわかるけども、雫が入ってくるのは驚きだな」

 

依姫とフミアはタオルで身を隠して、入ってきた。雫はタオルで身を隠して顔を赤らめながら入った。

 

「それで?なんで俺の横に入ってくるんだ?」

「まぁ、いいじゃない。夫婦なんだし」

「そういう問題じゃねぇ気がするんだが…」

 

依姫と雫は何故か零の隣にきた。フミアは目の前にいる。

 

「あ、そうそう。香織から聞いたんだけど、ここって覗き魔が出るらしいの」

「へぇ〜」

 

零は空中に一本だけ刀を召喚して、後ろの方に飛ばした。「ヒィッ」と言う声が聞こえた。

 

「やっぱか。まぁいいや。気絶してるだろうしゆっくり風呂入るか」

「そうね」

「はぁ…今日も月が綺麗だな」

「えぇ、そうね」

「帰ったら家の掃除だな」

 

その後、風呂から出てパジャマに着替えて部屋に戻ろうとしていると雪風達が風呂の方に向かって走って行った。その後ろをエンタープライズとベルファストとベルちゃんがついて行っていた。



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さぁ、旅に出ようか

翌日、零達はギルドに来ていた。

 

「おいキャサリン、あそこの宿に追加して欲しい言葉があるんだが」

「なんだい?」

「「覗き魔出没だ」」

「……街の連中が迷惑かけたね。それで?今日はどうしたんだい?」

「あぁ、俺達そろそろこの街から出ようと思ってな」

「そうかい、寂しくなるね」

「そうかよ」

「で?何処に行くんだい?」

「中立商業都市フューレンだ」

 

零達は次の大迷宮グリューエン大火山に行こうとしている。その為、大陸の西に向かわなければならないのだが、その途中に中立商業都市フューレンがあるので、大陸一の商業都市に一度は寄ってみようという話になったのである。

 

「そうかい、フェーレンに行くのかい。ちょうどいいのがあるよ。商隊の護衛依頼だね。ちょうど空きが後一人分あるよ……どうだい? 受けるかい?」

「連れもいいか?」

「あぁ。それじゃぁ決まりって事でいいね?」

 

この街での最後の依頼。それは商隊の護衛だ。その依頼を受ける事に全員賛成した。

 

「それじゃぁ、明日の朝に正門に行ってちょうだい」

「あぁ、それじゃぁな」

「おっと、ちょいと待ちな。あんた達、色々厄介なもの抱えてそうだからね。町の連中が迷惑かけた詫びのようなものだよ。他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。少しは役に立つかもしれないからね」

「……ありがとうな」

 

そして、俺達はギルドを出て街を歩いて観光をした。

______________________

翌日の早朝、そんな愉快なブルックの町民達を思い出にしながら、正面門にやって来た零達を迎えたのは商隊のまとめ役と他の護衛依頼を受けた冒険者達だった。どうやら零達が最後のようで、まとめ役らしき人物と十四人の冒険者が、やって来たハジメ達を見て一斉にざわついた。

 

「お、おい、まさか残りの護衛って不死身のフミアなのか!?」

「マジかよ!嬉しさと恐怖が一緒に襲ってくるんですけど!」

「見ろよ、俺の手。さっきから震えが止まらないんだぜ?」

「いや、それはお前がアル中だからだろ?」

 

依姫達の登場に喜びを顕にする者、股間を両手で隠し涙目になる者、手の震えを零達のせいにして仲間にツッコミを入れられる者など様々な反応だ。ハジメが、嫌そうな表情をしながら近寄ると、商隊のまとめ役らしき人物が声をかけた。

 

「君達が最後の護衛かね?」

「ああ、これが依頼書だ」

 

周りの冒険者を威嚇する零に変わってハジメが、懐から依頼書を取り出して見せる。それを確認して、まとめ役の男は納得したように頷き、自己紹介を始めた。

 

「私の名はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている。不死身のフミア以外の君達のランクは未だ青だそうだが、キャサリンさんからは大変優秀な冒険者と聞いている。道中の護衛は期待させてもらうよ」

「期待に応じれるかは知らんが、できる限りの事はさせてもらう」

「それは頼もしいな……ところで、この二人の兎人族……売るつもりはないかね?それなりの値段を付けさせてもらうが」

「おいおい、そのもう一人ってのはコイツか?」

 

零はラフィーの頭を撫でながら言った。

 

「あぁ、そうだよ。どうだね?売る気はないかね?」

「そっかぁ。売る気はねぇよ」

 

零と依姫、雫は刀で威嚇をし、エンタープライズは弓を引いた。

 

「い、今売れば通常の何倍もの値段を付けるよ?」

「もう一度言うぞ。売る気はねぇ。諦めろ」

「グッ、わかりました。もう間も無く出発です。護衛の詳細は、そちらのリーダーとお願いします」

 

零達は刀をしまい、エンタープライズは弓を直した。

 

「すげぇ……女一人のために、あそこまで言うか……痺れるぜ!」

「流石、デストロイヤーと言ったところか。自分の女に手を出すやつには容赦しない……ふっ、漢だぜ」

「いいわねぇ~、私も一度くらい言われてみたいわ」

「いや、お前、男だろ?誰が、そんなことッあ、すまん、謝るからっやめっアッーー!!」

 

そんな感じで出発した。



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旅路

初日。夜も遅くなり、腹が空いたため食事を取った。シアの提案で冒険者にも分ける事になった。

 

「カッーー、うめぇ!ホント、美味いわぁ~、流石シアちゃん!もう、亜人とか関係ないから俺の嫁にならない?」

「ガツッガツッ、ゴクンッ、ぷはっ、てめぇ、何抜け駆けしてやがる!シアちゃんは俺の嫁!」

「はっ、お前みたいな小汚いブ男が何言ってんだ?身の程を弁えろ。ところでシアちゃん、町についたら一緒に食事でもどう?もちろん、俺のおごりで」

「な、なら、俺はラフィーちゃんだ!ラフィーちゃん、俺と食事に!」

「ベルちゃんのスプーン……ハァハァ」

 

誰も零から物凄い殺気と殺意のオーラに気づいていなかった。オーラは次第に龍の形になっていった。

 

「で?腹の中のもん、ぶちまけたいヤツは誰だ?」

「「「「「調子に乗ってすんませんっしたー」」」」」

 

ハジメが謝らせた事により、零のオーラが少し減った。

 

「おい貴様ら、依姫は俺の嫁だ。まず俺を通してから言いやがれ」

「「「「「はいっ!!!」」」」」

「もぉ!ほら、あ〜ん」

 

何故かフミアにスプーンを近づけられた。ハジメはニヤニヤしていた。だが、シアとユエにスプーンを近づけられていた

 

2日目

今日は雫と香織が料理を作った。だが、作ってる最中に招かれざる客が来た。

 

「敵襲です!数は百以上!森の中から来ます!」

「くそっ、百以上だと?最近、襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか?ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」

「俺らが殲滅するぞ?」

「このままでは商隊を無傷で守るのは難しい……えっと、出来るのか?このあたりに出現する魔物はそれほど強いわけではないが、数が……」

「数なんて問題ない。すぐ終わらせる。依姫がな」

「えぇ、いいわよ」

 

依姫は刀を地面に刺し、詠唱を始めた。

 

「彼の者、全ての祖となりて、古の地に舞い戻らん。失われし魔龍と共に、神降ろしの巫女と出会わん。数多の世界を超えて、再び出会わん。天すら呑み込む黄金の光となりて、偽りの神を滅ぼさん。『ロスト・ドラゴン』!!」

 

詠唱を終えたと同時に巨大な龍の口が空から出てきた。

 

ゴォガァアアア!!!

 

地面をえぐるかのように敵に食らいついた。

 

「今の魔法と詠唱……なるほどね、流石ね♪」

「私としげるの出合いを詠ってみたわ♪」

「おいおいおいおいおい、何なのあれ?何なんですか、あれっ!」

「へ、変な生き物が……空に、空に……あっ、夢か」

「へへ、俺、町についたら結婚するんだ」

「動揺してるのは分かったから落ち着け。お前には恋人どころか女友達すらいないだろうが」

「魔法だって生きてるんだ!変な生き物になってもおかしくない!だから俺もおかしくない!」

「いや、魔法に生死は関係ないからな?明らかに異常事態だからな?」

「なにぃ!?てめぇ、依姫ちゃんが異常だとでもいうのか!?アァン!?」

「黙れテメェら!いいか、依姫は女神、これで全ての説明がつく!」

「「「「「なるほど!!」」」」」

 

冒険者達は見たことも聞いたこともない物に困惑したが、零の「依姫は女神」と言う説明で冒険者達は納得した。



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すっごい事を忘れていた

それは馬車でノッているときの事だった。

 

「なぁ、地獄と天国って存在するのか?」

「あ?するぞ?…………あ!!!」

 

零は何かを思い出したのか、突然立ち上がった。

 

「ど、どうした?」

「あの帝国の奴らの魂を送ってない!!!」

「「「「はぁ?!!!」」」」

 

なんと、殺した帝国の兵士の魂を送ってないとの事だった。

 

「うわぁ〜、やっちまったなぁ。今からでも送るか」

「ねぇ、その紙はなに?」

「あ?あぁ〜これはソイツの死因を書く紙だ」

 

零は書いた紙を見せた。紙には「人の嫁を奪おうとした」と書かれていた。見せたあとにその紙をスキマに入れた。

 

「ねぇ、お兄ちゃん」

 

紙をスキマに入れて椅子に座ると、恵理が袖を引っ張ってきた。

 

「ん?どうした?」

「ミツネ達とはいつ会えるの?確か、変な四角い何かに入れてからずっと見てない気がするんだけど」

「あ、確かにそうだな」

「あ、その事なんだけど。一ついいかな?」

「あ?なんだ?」

 

正面に座っていた愛優美はスキマを開き、中に手を突っ込んだ。

 

「そのミツネなんだけど」

「あ?ミツネがどうした?」

「あの世界の動物……うんん。そもそも動物じゃないの」

「は?どういう事だ?」

「ねぇ、もしかしてだけど、家にタマミツネがいなかったのと関係あるの?」

 

依姫の質問に愛優美は少しだけビクッとした。

 

「おい……まさか……」

「そ、そう。家にいたミツネを赤ちゃんにまで戻して貴方達に飼ってもらったの……」

「………」

 

途中から無言で聞き始めた零に愛優美は恐怖を覚え始めていた。零は愛優美の腕をスキマから抜き、優しく掴んだ。

 

「え、あ…………ゴメン」

 

謝られたと同時に腕を切り落とした。

 

「おい、血が飛び散るだろ」

「安心しろ。俺達の血は空気に触れた瞬間に消滅するから」

 

愛優美は痛がらず、また腕を生やした。

 

「うぅー……ごめんって!」

「はぁ、過ぎた事はもう戻せねぇしな」

 

零は何も無いところに腕を伸ばし、召喚魔法を出した。

 

『キュゥン!』

「あ、ミツネ!」

「恵理、まだ離れとけ」

 

零はミツネを召喚し、そこから一度元の姿に戻した。元の姿に戻してから今度は体だけを小さくした。

 

「わぁぁ!!」

「可愛いわね」

「うん!この首の双頭の龍のマフラーなんて、可愛いね!」

「おっと、忘れるところだった」

 

零はスキマからミツネと同じ双頭の龍のマフラーを出した。

 

「お揃いでも狙ってんのか?」

「んなわけあるか。このマフラーはミツネの双子の兄が作ったマフラーだ」

「おい、そんなもんを忘れるんじゃねぇ」

「ミツネかっこいい〜!」

 

恵理は今のミツネを気に入り、抱きしめていた。それから、馬車で進んでフューレンが見えるところまで来た。

 

「さて、俺達の仕事は終わりだな」

「お二人共、本当にその兎人族を売る気はないんですね?」

「「ねぇっつたら、ねぇんだよ」」

「いいんですか?まだここだからいい物の、街に入ればもっと狙われますよ?」

「知るか、んな奴ら。ぶっ飛ばせばいい」

「そうだ。俺達の実力を舐めるな」

「大切な仲間をそう安々と渡さないわよ」

 

そして、零達は商隊と別れた



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フリューレン

商隊と別れ、案内人らしき人物を発見して案内を頼んだ。

 

「ペット入浴可」

「……お風呂があればいい、但し混浴、貸切が必須」

「えっと、大きなベッドがいいです」

「最大でも5人同じ部屋に」

「部屋に台所欲しいです」

 

少し考えたあとに要望を伝え始め始めた。それから、他の区について話を聞いていると、ハジメ達は不意に強い視線を感じた。特に、女性陣に対しては、今までで一番不躾で、ねっとりとした粘着質な視線が向けられている。零はその視線が大切な人に向いてるからなのか、刀に手をやろうとしていた。視線など既に気にしない女性陣だが、あまりに気持ち悪い視線に僅かに眉を顰める。

 

「おっと、話し中にすまない」

 

そう言い、零は召喚魔法でシンラを召喚して餌をやり始めた。ミツネの分は恵理に渡した。ハジメがチラリと先程まで零が向いていたその視線を辿ると……ブタがいた。体重が軽く百キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪。身なりだけは良いようで、遠目にもわかるいい服を着ている。そのブタ男が女性陣を欲望に濁った瞳で凝視していた。

 

「あぁ、そうだ。宿が決まったらでも良かったんだが、この辺りで一番有名な服屋ってあるか?」

「え、えぇ。ありますよ」

 

零が話している間。ブタ男は、零達のテーブルのすぐ傍までやって来ると、ニヤついた目で女性陣をジロジロと見やり、シアとベルファストの首輪を見て不快そうに目を細めた。そして、今まで一度も目を向けなかった零とハジメに、さも今気がついたような素振りを見せると、これまた随分と傲慢な態度で一方的な要求をした。

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、百万ルタやる。この兎とそ、そのメイド3人を、わ、渡せ。それと他の女はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

「……」

「おい、見知らぬブタに渡す餌なんかねぇんだよ。さっさと家畜小屋に帰りやがれ」

 

零は殺気と殺意を込めた言霊を出した。

 

「ヒィッ!!レ、レガニド!そのクソガキを殺せ!わ、私を殺そうとしたのだ!嬲り殺せぇ!」

「おいおい、坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

「やれぇ!い、いいからやれぇ!お、女は、傷つけるな!私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

「い、いくらでもやる!さっさとやれぇ!」

 

ブタ男は冒険者らしき人物を呼んだ。冒険者は殺すのを否定したが、結局世の中金になった。

 

「おう、坊主共。わりぃな。俺の金のためにちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、嬢ちゃん達の方は……諦めてくれ」

「は?」

 

「お、おい、レガニドって“黒”のレガニドか?」

「“暴風”のレガニド⁉何で、あんなヤツの護衛なんて……」

「金払じゃないか?“金好き”のレガニドだろ?」

 

「へぇ〜、お前黒なんか?」

「へ、今更後悔しても無駄だぜ?」

 

零は少しニヤつき、刀を鞘から抜いた。

 

「へぇ〜?黒のレガニドとやら、相手が誰かちゃんとわかってから物を言えよ?」

「しげる、ここは私達がやるわ。そろそろ腕が鈍っちゃいそうなの」

()()()、流石にアイツを一人で殺すなよ?」

「当たり前でしょ?吸血鬼ハンターを滅ぼしたこの力、見せてあげるわね♪」

 

二人の会話を聞いた周りの人はまたザワ付き始めた。

 

「お、おい!フミアって“金”のフミアじゃないか?!」

「“不死”のフミア!?おいおい、幻の冒険者じゃねぇか!!」

「幻想じゃないか?“幻想”のフミアだろ?」

 

周りの声にレガニドは少し下がった。

 

「お、おいおい。流石に冗談だろ……?」

「冗談だったら良かったわね♪」

 

フミアは空中にグングニルをいくつも作り、一斉にレガニドに向けて飛ばした。少し血が飛び散ってきたが零は結界を張ったおかげでこっちには血が飛んでこなかった。

 

「ひぃ!く、来るなぁ!わ、私を誰だと思っている!プーム・ミンだぞ!ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

「へぇ?自分の地位で脅すんだね、だったらこっちもさせてもらうね♪」

「シンラ、この紙をエリヒド王に」

「何を送ったんだ?」

「ん?あぁ〜、『ミン男爵家が俺とハジメを殺そうとして、しかも嫁と彼女を奪おうとしてきたから、頼む』って送った。」

 

エリヒド王に手紙を出した零はブタ男を射殺しようとした。だが

 

「申し訳ありませんが、その手にある物を降ろしてあちらで事情聴取にご協力願います」

「ふむ、どうせ遠くない未来。コイツらは死ぬしいいか。」

「で、ではあちらで事情聴取を「だが断る」」

「そうは言ってもな、このブタが俺の嫁と連れを奪おうとして、それを断ったら逆上して襲ってきたから返り討ちにしただけだ。それ以上、説明する事がない。そこの案内人とか、その辺の男連中も証人になるぞ。特に、近くのテーブルにいた奴等は随分と聞き耳を立てていたようだしな?」

 

ビクッと驚いていた奴らがいたが全員無視。そんな感じでいるとメガネをかけたヤツが来た。



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依頼

メガネをかけた男の名前はドットらしい。

 

「話は大体聞かせてもらいました。証人も大勢いる事ですし嘘はないのでしょうね。やり過ぎな気もしますが……まぁ、死んでいませんし許容範囲としましょう。取り敢えず、彼らが目を覚まし一応の話を聞くまでは、フューレンに滞在はしてもらうとして、身元証明と連絡先を伺っておきたいのですが……それまで拒否されたりはしないでしょうね?」

「あ?アイツ死んでないのか?」

「当たり前でしょ?流石に犯罪者にはなりたくないわ」

「んで、身分証明と………連絡先だったな」

「まだ滞在先が決まってないんでね………そっちの案内人にでも聞いてくれ。彼女の薦める宿に泊まるだろうからな」

 

ハジメは案内人を指さした。すると、少しビクッとして驚いていた。

 

「わかりました」

 

案内人は何故か怯えていた。零達は関係なしに話を進めていく。

 

「あ、そうだ。知り合いのギルド職員にこれを渡せと言われてな」

 

零はキャサリンから貰った手紙をそのドットに渡した。

 

「知り合いのギルド職員からですか………拝見します」

 

ドットは手紙を読み、驚いたかのような顔をして、近くにいた職員に言った。

 

「い、今すぐに支部長に!!!『お客が来た』と!!」

 

慌てた様子でギルド職員は中に入っていった。

 

「キャサリンって何者だ…?」

 

少し引き気味のハジメは香織とユエと顔を合わせて何かを喋っていた。

______________________

零達が応接室に案内されてから、きっかり十分後、遂に、扉がノックされた。ハジメの返事から一拍置いて扉が開かれる。そこから現れたのは、金髪をオールバックにした鋭い目付きの三十代後半くらいの男性と先ほどのドットだった。

 

「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。レイ君、ハジメ君、カオリ君、シズク君、マユミ君、エリ君、ミツキ君、ユエ君、シア君、ミレディ君、フミア君、ヨリヒメ君、エンタープライズ君、ユキカゼ君、ニーミ君、ラフィー君、アヤナミ君、ジャベリン君、ベルファスト君、ベル君……でいいかな?」

「あぁ、構わないが。名前を全員分言うのは疲れるだろ?」

「名前は、手紙に?」

 

ハジメはイルワが持っていた手紙を指しながら言った。

 

「その通りだ。先生からの手紙に書いてあったよ。随分と目をかけられている……というより注目されているようだね。将来有望、ただしトラブル体質なので、出来れば目をかけてやって欲しいという旨の内容だったよ」

「トラブル体質……ね。確かにブルックじゃあトラブル続きだったな。まぁ、それはいい。肝心の身分証明の方はどうなんだ?それで問題ないのか?」

「ああ、先生が問題のある人物ではないと書いているからね。あの人の人を見る目は確かだ。わざわざ手紙を持たせるほどだし、この手紙を以て君達の身分証明とさせてもらうよ」

 

イルワとハジメが話している間、愛優美は少し笑っていた。

 

「一番トラブルにあってるのはしげるだけどね、プククッ」

「あれは全部テメェが仕込んだことだろうが」

 

ソファーでは零と愛優美のちょっとした喧嘩が始まった。

 

「なんのことだか、私にはわかんないなぁ〜♪」

「あ?だったら全部ここで言うか?」

「言えるなら言ってみなよ」

「光の国ゲネガーグ強奪。ギルバリス復活。ヤプール復活。ハイパーゼットンギガント復活。ハイパーゼットンのマガ化。ギドラ全滅事件。地球破壊。ベリアル復活。街の消滅。ティガ、ダイナ、ガイア石化」

「い、意外と覚えてる物なんだね」

「まだまだあるぞ?」

「おい、お前ら話聞いてんのか?」

 

今まで愛優美が起こした事を全て言おうとしたら、ハジメに止められた。

 

「「あぁ、聞いてたさ」」

「それじゃぁ今何を話しているのか言ってみろよ」

「ブタ男の処刑の話」

「香織と雫が雪風達を着せ替え人形みたいにしてる話」

「雫?香織?」

「どれでもねぇよ!ちゃんと話を聞け!!たく、イルワ。もう一回頼む」

「あぁ、君達に頼む依頼内容だが、そこに書いてある通り、行方不明者の捜索だ。北の山脈地帯の調査依頼を受けた冒険者一行が予定を過ぎても戻ってこなかったため、冒険者の一人の実家が捜索願を出した、というものだ」

 

零達はちゃんと話を聞いている。捜索依頼、普通の討伐依頼のようには行かない。

 

「報酬は弾ませてもらうよ。依頼書の金額はもちろんだが、私からも色をつけよう。ギルドランクの昇格もする。君達の実力なら一気に“黒”にしてもいい」

「いや、金は最低限でいいし、ランクもどうでもいいから……」

「なら、今後、ギルド関連で揉め事が起きたときは私が直接、君達の後ろ盾になるというのはどうかな?フューレンのギルド支部長の後ろ盾だ、ギルド内でも相当の影響力はあると自負しているよ?君達は揉め事とは仲が良さそうだからね。悪くない報酬ではないかな?」

「大盤振る舞いだね」

「友人の息子相手にしては入れ込み過ぎじゃないか」

「受ける、つっても。条件がある」

「なんだね?」

「まず、ユエ達全員分のステータスプレートだ。あとは…………ハジメが決めてくれ」

「わかった」

「さて、雫と香織。詳しく話を聞かせてもらおうか?」

 

零は残りの条件をハジメの要望にして、雫と香織がラフィー達を着せ替え人形にした事を聞こうとした。だが

 

「あ、依姫さんの写真もあるよ。見たいなら、怒らないでね?」

 

買収された



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謎の再会

広大な平原のど真ん中に、北へ向けて真っ直ぐに伸びる街道がある。街道と言っても、何度も踏みしめられることで自然と雑草が禿げて道となっただけのものだ。そんな、整備されていない道を有り得ない速度で爆走する影がある。黒塗りで浮いている車体と、黒塗りの四輪の車体で凸凹の道を苦もせず突き進む何かがあった。

 

「そう言えば、この近くで清水が行方をくらましたんだっけか」

「この辺りって言ってもどっかの宿だろ?つか、そのバイク本当どうなってんだよ。浮いてんじゃねぇか」

「あ、そうそう。イルワに聞いたんだがな、これから行く町は湖畔の町で水源が豊かなんだと。そのせいか町の近郊は大陸一の稲作地帯なんだとよ」

「「「まさかの稲作?!」」」

「おう、つまり米だ米。俺達の故郷、日本の主食だ。こっち来てから一度も食べてないからな。同じものかどうかは分からないが、早く行って食べてみてぇな」

「ん、私も食べたい……町の名前は?」

「湖畔の町ウルだ」

 

今は飯の話で盛り上がっていた。ハジメ達は喜び、ユエ達は興味を持ち、雪風達は首を傾げていた。

 

「ねぇ、幻想郷に稲作ってあったっけ?」

「…………どうだっけ、今は紫に全て任せてるからいつか聞いてみるか」

「ねぇ、零が言う幻想郷ってどんな場所なの?」

「あ、確かに聞いたことないかも」

「お兄ちゃんが住んでた場所……」

 

雫の質問に香織達も興味を持ち始めた。

 

「言うとしたら、妖怪やら、神やらの忘れられた存在の楽園だ」

「そうなんだね…あ!あれが湖畔の町ウルじゃない?」

 

香織は見えてきた街を呼び指して言った。

 

「んじゃ、こっからは歩いて行くか?」

 

零の提案によりそこからは歩く事になった。

______________________

ある山奥の暗い洞窟にて

 

これで全て揃う……キエテ カレカレータ

 

そんな奇妙な声が響いた

______________________

街に入ってからすぐに飯に行くことになり、米を食える店に入った。

 

「え?!嘘でしょ?!この世界の吸血鬼は日光に当たっても、心臓に釘を刺されても死なないの?!」

「ん。人よりも少し長生きなだけで殆ど変わらない」

「マジか、俺達の世界のとは全く違うな。なぁ、“香織”、“雫”、“恵理”、“零”、“愛優美”」

「うん、“ハジメ君”が言った通り、私達の世界ではフミアさんが言ったので死んじゃうの」

「ん、そっちの吸血鬼…意外と強い?」

 

フミアはこっちの世界とこの世界の吸血鬼の違いを聞いて驚いていた。

 

「そう言えば、“恵理”って“雫”が作った“カレー”好きだよな」

「うん!大好き!!」

 

そんな感じで話していると横のカーテン?が突然動き、中からひとが出てきた。

 

「南雲君!白崎さん!八重樫さん!!皆さん!!!」

「「「「「ん?………………………………あ、先生(愛ちゃん)」」」」」

「上海?」

 

ハジメ達が先生と言ったが、零は聞き間違いで上海と言った。すると、急にスキマが開かれ、中から人形が出てきた。人形は中に浮いていた。しかも喋った。

 

「シャンハーイ!」

「「「「え?」」」」

 

人形はスキマから出てきた手に掴まれ、スキマの中に連れて行かれた。



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静かなる怒り

カーテンが突然開かれ、一人の少女?が顔を出して言ってきた。それを知っているのかハジメ達は何かを言ったが、零は聞き間違いで上海と言った。すると、スキマから人形が出てきてシャンハーイ!と言い、誰かに連れて行かれた。

 

「おい、さっきの人形なんだ?」

「可愛かったね」

「ハッ!南雲君、皆さん……やっぱり南雲君達なんですね?生きて……本当に生きて…」

「いえ、人違いです。では」

「へ?」

 

少女、愛ちゃんはハジメに人違いと言われ、思わず間抜けな声を上げた。

 

「ちょっと待って下さい!南雲君達ですよね?先生のこと先生と呼びましたよね?なぜ、人違いだなんて」

「いえ、聞き間違いです。彼と一緒で“上海”って言ったんです」

「誰ですか?!ちゃんと先生って言いましたよね?!どうして誤魔化すんですか?それにその格好……何があったんですか?こんなところで何をしているんですか?何故、直ぐに皆のところへ戻らなかったんですか?皆さん!答えなさい!先生は誤魔化されませんよ!」

 

ハジメは少し、面倒くさそうに席に座った。

 

「ハジメ君、誤魔化すのはもう無理だと思うよ」

「…だな………はぁ、久しぶりだな、先生」

「へ?あ、やっぱり南雲君達なんですか?」

 

ハジメ達が軽い挨拶を交わした。シアが何故か香織の服を引っ張った。

 

「ええと、香織さん。いいんですか?お知り合いですよね? 多分ですけど……元の世界の……」

「別に関係ないよ。流石にいきなり現れた時は驚いたけど、それだけ。元々晩飯食いに来たんだし、早く注文したいなぁ〜。本当に楽しみなの。知ってる?ここカレー……じゃわからないね。ニルシッシルっていうスパイシーな飯があってね。想像した通りの味ならハジメ君が好きな味なんだけど……」

「……なら、私もそれにする。ハジメの好きな味知りたい」

「あっ、そういうところでさり気ないアピールを……流石ユエさん。というわけで私もそれにします。店員さぁ~ん、注文お願いしまぁ~す」

「全員、このニルシッシルでいいか?」

「いや、私にはこれがある」

 

エンタープライズは懐からカ○リーメイトのような物を取り出した。

 

「まさかの?エンタープライズ、流石にそれはやめろ。ベルファスト、今すぐ没収してくれ。エンタープライズ、ちゃんと食事は取れ」

「わかった。指揮官達と同じのを頼む」

 

エンタープライズが出した物はベルファストに没収された。

 

「皆さん、まだ話は終わっていませんよ。なに、物凄く自然に注文しているんですか。大体、こちらの女性達はどちら様ですか?」

「まず、お前誰だよ」

「え?」

 

零は記憶を遡るけど、記憶から消されたかのように一部の情報がなかった。

 

「そう言えば、そんな事あったか。零、コレは畑山愛子。お前と俺らの先生だ」

「なるほど?」

「それはそうと先生。依頼のせいで一日以上ノンストップでここまで来たんだ。腹減ってるんだから、飯くらいじっくり食わせてくれ。それと、こいつらは…」

 

ハジメはチラリと、ユエの方を見た。何かを察したユエ達はちょっとした自己紹介をした。

 

「香織です」

「……ユエ」

「シアです」

「ハジメ君の女です」「ハジメの女」「ハジメさんの女ですぅ!」

「お、女?え、じゃぁこちらの方々は?」

 

愛子は依姫達を指した。

 

「依姫です。しげる………零の妻です」

「フミアよ。零の………妻よ」

「雫、零の女」

「恵理だよ!お兄ちゃんの妹!」

「三月です。旦那様……零様とフミア様の専属メイドでございます」

 

愛子は何がどういう状況なのかわかっていなかった。愛子はゲームをやっている綾波達を見つけた。

 

「じゃぁこちらの方々は?」

「ん…指揮官のKAN−SEN」

「俺の………部下に当たるのか?」

「ぶ、部下?」

 

ハジメはシアと何か言い合いをしていた。

 

「おい、ユエはともかく、シア。お前は違うだろう?」

「そんな、酷いですよハジメさん。私のファーストキスを奪っておいて!」

「いや、何時まで引っ張るんだよ。あれはきゅ「南雲君?」……何だ、先生?」

「女の子のファーストキスを奪った挙句、ふ、二股なんて!直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!もしそうなら……許しません!ええ、先生は絶対許しませんよ!お説教です!そこに直りなさい、南雲君!!紅蓮君!!」

「なんで俺も?」

 

ハジメの説教に何故か零も追加されていた。

 

「いくつか質問をするので南雲君と紅蓮君。答えてください」

「おう」「なんだ?」

「橋から落ちた後、どうしたのか?」

「超頑張った」「そっから記憶ない」

「なぜ南雲君が白髪で、紅蓮君の青髪なのか」

「超頑張った結果」「正確には水色」

「その目はどうしたのか」

「超超頑張った結果」「わからん」

「なぜ、直ぐに戻らなかったのか」

「戻る理由がない」「妻と再会したから」

 

愛子は顔を膨らませながら怒った。すると、騎士のようなヤツが話しかけてきた。

 

「おい、お前ら!愛子が質問しているのだぞ!真面目に答えろ!」

「食事中だぞ?行儀よくしろよ」

「ふん、行儀だと?その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな。しかも二匹も。せめてその醜い耳を切り落としたらどうだ?少しは人間らしくなるだろう」

「あ?テメェ、そのもう一匹はコイツの事じゃねぇだろうな?」

 

零は少しキレ気味だが、優しくラフィーの頭を撫でた。

 

「ふん、見てわかるだろ。ソイツだ」

「テメェら、人間と兎人族の見分けすらつけねぇのか?」

「なんだと?!!」

 

ラフィーはうさ耳を外して、ニルシッシルを食べ始めた。

 

「ふん、紛らわしい。それに、そこの女が持っている物も、()()()()()。しかも貴様の首にかけている物、()()()()()で作ったゴミじゃ『バァン!』…は…?」

 

大切な物をゴミ扱いを受けた零は静かに怒り、そして騎士達の剣が爆発した。

 

「……」

「き、貴様!!何だその目は!!薄汚い獣風『ダマレ』…?!!」

 

零は騎士の顔を左手で掴み、持ち上げた。右手には首飾りの刀が持たれていた。

 

「ちょっと、切るならその汚い男の血が料理に入っちゃうわ、ここでするのはやめてちょうだい」

「安心しろ。切るかどうかはコイツの言葉次第だ」

「な、何をする?!!」

「安心しろ。体力が……そうだな、1億無いと即死だ。痛みすら感じない。だが」

 

零は首を締める力を更に上げた。

 

「貴様は俺の、大切な物な家族の遺産をゴミ扱い。しかも、家族であるミツネをゴミ扱いした。楽に死ねると思うな?そこの騎士共も連帯責任で同じ呪いをかけてやる。そうだなぁ………子も、結婚相手もできない呪いと大切な存在に嫌われる呪いでもかけるか」

「グッ」

 

零は騎士を離して、出口の方に向かった。その時、誰にも見せなかったがマフラーを哀しげに見ていた。



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怒った理由

零を追うように依姫も出ていった。零達が出てからハジメ達は少し静かになっていた。

 

「南雲君でいいでしょうか?先程は、隊長が失礼しました。何分、我々は愛子さんの護衛を務めておりますから、愛子さんに関することになると少々神経が過敏になってしまうのです。どうか、お許し願いたい」

「それは俺じゃなくてアイツに言う言葉だろ」

「そ、それは…その……」

「で?なんだ?」

「はい、彼が持っていたあのアーティファクト……でしょうか。寡聞にして存じないのですが、相当強力な物とお見受けします。剣より早く強力にもかかわらず、魔法による付与もない。一体、何処で手に入れたのでしょう?」

「あれか、あれは「ハジメは知らないわ。それに、探しても無駄よ。何処に行っても手に入らないわよ」」

 

騎士とハジメの会話にフミアが口を挟んだ。騎士は少しピクッと動いた。

 

「それはどう言う事ですか?」

「っ!!そうだ!南雲、なんでアイツが刀を持ってるんだよ!」

 

愛子の近くにいた男子生徒、玉井が叫んだ。玉井の叫びにチェイスが反応する。

 

「刀?玉井はあのアーティファクトを知ってるんですか?」

「ああ、そりゃあ、知ってるよ。だって、俺達の世界の武器だからな」

「ほぅ、つまり、この世界に元々あったアーティファクトではないと……とすると、異世界人によって作成されたもの……作成者は当然「不明よ」」

 

騎士は作成者を聞こうとしたがフミアに遮られた。

 

「それはしげるしか知らないわ」

「でしたら、彼に作成法を「寝言は寝てから言ってもらえないかな?」…」

 

今まで黙っていた愛優美が突然口を開いた。少しキレている事をその場の全員はわかっていた。

 

「あの子が怒った理由。わかってないの?」

「存じております、我々の隊長が失礼な事をしました」

「そう。だったら私が言いたいこと、わかるわよね?」

「ですが、あのアーティファクトがあれば戦力が大幅に上がります。ですので、作成法を「私も知らない。貴方達は一生無理よ。特にしげるの刀を手に入れるなんてね」ですが」

 

しつこい騎士は怒るとこを見せない愛優美を怒らせた。愛優美は騎士の胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

いい加減にしろよ?

「「「「っ?!」」」」

 

一緒に旅をしてきたハジメ達ですら、愛優美の怒りに怖気立った。

 

私ですら知らないあの子の秘密を貴様らが知れるわけ無いだろ?あの子は信じた人にしか教えない。だからと言って、先生達に頼るのはオススメしないぞ?何故なら、先生も信用されてないからな。知りたかったら自分で聞け。まぁ、貴様らの首が飛ぶのが先だろうがな

「……そういうわけだ。じゃぁな」

 

ハジメ達は会計を済ませて出ていった。あの刀が何なのか。まだ、誰も知らない。

______________________

薄暗い洞窟の中にいた何者かがウルの街を見ていた。その後ろには50メートルを超える人形ロボットがあった。

 

「まさか()()()()を蘇らしてくれるとは……キエテ カレカレータ」



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捜索依頼をする前に、

翌日、零達はウルの街の門に来ていた。

 

「それで?なんであんたらがここにいるんだ?」

 

門の前に愛子達がいた。

 

「行方不明捜索ですよね?でしたら私達もお手伝いします!人が多いほうがいいでしょうし」

「どうする?」

「いらん。戦力もこれから出すヤツらのほうがつえぇし、上空からハジメとエンプラと恵理のギャオスで探せばいいし」

「ま、まぁ。良いんじゃない?少しでもあったほうがいいし」

 

雫の意見が採用され、愛子達も着いていくことになった。

 

「それで?今から出すヤツらってのはなんだ?」

 

 

「………ここじゃ狭い。町の外でやるぞ。移動は…………ハジメ、車を2台頼んだ」

 

ハジメが作った車に全員乗り、山の方まで進んだ。山の中まで入ると、零が車を停止させた。香織に結界魔法をしてもらい、零は何かをし始めた。

 

「えっと、南雲君。紅蓮君は何をしているんですか?」

「さぁな、俺にもわからねぇ。フミア達は何か知ってるか?」

「………」

「フミア?」

「………来る」

 

フミアが言った瞬間、零は手のひらを前に出した。その時、何かが物凄いスピードで零にぶつかりにいった。

 

「紅蓮君!!」

「何が来たんだ?」

 

煙が晴れ、零がいた場所にはちょっとしたクレーターができていた。真ん中には何かと戦っている零がいた。

 

「再会の挨拶か?」

「これが挨拶だったら俺らやべぇーぞ?っと…これ以上戦うとここが壊れちまうな。そろそろやめるか?」

「そうだなっ!!」

 

零は男を蹴ってハジメ達の方に飛ばした。

 

「つっ!!やっぱいてぇな……ん?あれ?なんで依姫がここにいる「よっと」グハッ?!!」

 

零は男に飛び蹴りをした。男はふっ飛ばされて木にぶつかった。

 

「んじゃ改めて、久々だな」

「おう!」

「「「「はっや!?」」」」

 

いつの間にか帰ってきていた男にハジメ達は少し驚いていた。

 

「そんで?急にぶつかってきた理由と飛んでくる時、地味にD4と同じ感じがしたんだが、その理由は?」

「あぁ〜、その理由な。っと、その2つの理由が来たぞ」

 

男が言った瞬間、ワープゲートの様な物が出てきて、中から何かが飛び出した。

 

「あれ?確かこの辺りに飛ばしたはず……」

「お〜い!こっちだこっち!!!」

「あ、いた!」

 

その何かはもう二人、何かを連れてきた。

 

「よっと。もぉ、ちゃんと飛ばした場所に居てよ!」

「はぁ?!お前が飛ばした場所にしげるいたんだよ!!危うく殴り合ってたぞ!!」

 

零とフミアは何故か「うわ〜、なっつかしいな」と言っていた。

 

「おい、この人らは誰だ?説明しろ」

「どう説明する?具体的に?簡潔的に?つっても、一人まだ知らないんだが」

「簡潔的にでいい」

 

零は現れた男達と何かを話していた。少し経つと話を終えたのかハジメ達のほうに振り向いた。

 

「んじゃ、説明するぞ。右から鬼、ペット、魔法使い、知らん。」

「俺らの説明雑くない?」

「別に後で自分から説明するだろ。それはそうと、なんでお前が幻想郷に帰ってんだよ!」

「まぁまぁ、落ち着いて、自己紹介してからにしましょ?」

 

男達はそこら辺の岩に座って説明を始めた。

 

「あぁ、俺は耀、鬼紅 耀だ。そこの嫁大好きな神の式神だ。んで、隣のコイツは」

「森羅だよ!耀と同じくしげるの式神?部下?どっち?」

「知るか!!んで?この翼が生えたヤツは?」

「んにゅ?私?私は霊烏路空だよ」

「この子については私が説明するわ」

 

そこでフミアが説明を始めた。

 

「神奈子と諏訪子が持ってきた八咫烏の力を取り込んだ子よ」

「は??なんて??八咫烏??」

「えぇ、八咫烏よ。この子は核融合の力を手に入れたわ」

「まぁ、その後ヤバいんだがな…」

「なんだよ」

 

耀は少し申し訳無さそうに言った。

 

「管理してた……D4をコイツが取り込んだんだ」

 

耀の衝撃の報告を聞き、零は耀達の胸ぐらを掴んで説明を求めた。

 

「そんで?ずっと本を読んでいるコイツは誰だ?」

 

ハジメ達は零達をほっといて、最後の説明を求めた。

 

「パチェ、自己紹介をして」

「…やっとなの?私はパチュリー、パチュリー・ノーレッジよ。この世界に助っ人として呼ばれたわ」

「取り敢えず、よろしく」

 

挨拶を交わしている横で零と耀、森羅が何か言い合いをしていた。口喧嘩のはずなのに、至るとこが爆発していた。状況の理解が追いつけていない愛子達は車の中で寝始めた



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捜索開始?

召喚?をしてから、何もわからずに固まっている愛子達を無視して、話し合いが始まった。

 

「酒好きと仲間思いが合流したおかげで、例え超獣でも少しは戦えるな」

「は?超獣いんの?マジで?」

「多分だがな。んでだハジメ。偵察機を飛ばしてくれ。エンタープライズも」

 

ハジメとエンタープライズは偵察機を飛ばして、車に乗った。

 

「なぁあそこで固まってる奴らはほっとくのか?」

「ん?あ………恵理と雫は先生達を連れてきてくれ」

「は〜い」

「完全に忘れてたでしょ?」

 

雫を横目に、車の中に入った。中ではハジメと香織とユエのイチャイチャを見せられた。

 

「お熱いねぇ〜。だがハジメ、これから探しに行くからそろそろやめとけ」

「人の事言えねぇぞ?」

「この中で一番恋人といるのお前だぞ?」

「そう言えば、夜月は迷惑かけてるか!」

「親に似たんだか、誰かに似たんだか。夜見と毎日のようにイチャついてるぞ」

 

先生達が乗ったのを確認すると、零は車を走らせた。

 

「ハジメ、エンタープライズ。何か見つけたか?」

「あぁ、残骸があったぞ」

「こっちも見つけた。戦闘があったのかわからないが、かなり大きいクレーターができてる」

「ハジメ達は残骸の方に行ってくれ。俺達はクレーターを見る。なにかわかったらそっちに戻る」

「わかった」

 

クレーターを気になった零は、ハジメ達と別れてクレーターを見に行った。車から降りて数分。エンタープライズが見つけたクレーターの場所についた。

 

「ここで……何があったんだ…?」

 

零達が見たクレーターは想像の何倍も大きかった。例えるならばD4の実験があったのかと思うほどのデカさだった。

 

「ねぇ、ここだけ空間が歪んでない?」

 

フミアに言われ、何かを感じた零はすぐにハジメの方に行こうとした。

 

「なぁ、これにD4って書いてるぞ?」

 

耀が見つけた破片にはD4と書かれた物だった。

 

「急いでハジメ達のところに行くぞ」

 

零はスキマを開いてハジメ達のところに行った。

 

「ハジメ、緊急事態だ」

「…どうした?」

「最悪な物が魔人族側に行ったかもしれない」

「この前話していた超獣か?」

「いや、それよりもヤバい。異次元壊滅兵器だ」

 

そんな事を話していると外から聞き覚えのない鳴き声がした。

 

グゥルルル…!

 

謎の鳴き声がしたため、零達は滝壺から出た。そこで待っていたのは黒い龍だった。

 

キュゥワァアアア!!

 

「「避けろ!!」」

 

零とハジメが叫び、みんな避けたが先生は小石に躓いて転けた。

 

「わわわぁ!!」

 

龍はそれを見逃さない。先生に向かって龍はスピードを上げて迫った。

 

「チッ!」

 

零は先生に近づいて耀達のほうに飛ばした。そして、先生の身代わりになった零は龍に咥えられた。

 

「…んにゃろ!!」

 

『モンスライブ!ギドラ!!』

 

零はギドラ(モンスター0)に変身して、応戦した。

 

「「「カルゥララ!!」」」

「キュゥワァアア!!!」

 

二匹は咆哮と同時に戦いを始めた。

 

「なぁ、これ俺達はなにをすればいいんだ?」

「さぁ?取り敢えず、降ってくる岩とかを壊せばいいんじゃないの?」

 

上空で戦っている二匹を見ながら、耀と森羅はハジメ達のところに被害が及ばないように危ない物を片っ端から壊していった。

______________________

耀達がやっている間。零と龍はずっと戦い続けていた。

 

「「「カルゥラララ!!!」」」

「グゥルルル!」

 

龍がブレスを出すと、零は自由に動く首を使って、ブレスを避け、隙だらけの龍に引力光線を放ち、龍がバランスを崩した。

 

「キュゥワァアア!!」

 

落ちそうな龍に向かって、急降下した。両足で龍を掴み、全体重をかけて落下を早めた。「ドカーン」と言う爆発音のような物が鳴り響いた。落下地点の煙が晴れ、見えたのは倒れている龍とその上に零だった。



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魔物だけだったら良かったかな

「おい、俺らを呼んだ意味なくなったぞ」

 

零は耀に胸ぐらを掴まれていた。

 

「あぁ〜、えーっと、その……悪ぃ」

「ふっざけんな!」

「いや、でもお前らだったら瞬殺だろ?」

 

零に言われ、耀は少し考えた。

 

「確かにな」

「間違って核使っちゃいそう」

「んにゅ?」

「人工太陽作ればすぐに終わるわ」

 

核やら人工太陽など物騒な名前を聞いたハジメ達は若干引いていた。

 

「でもよ、これだと俺らがどれだけ強いかわからなくないか?」

 

そう言いながら、耀は竜の顔を蹴った。その時だった

 

『あぁぁぁ?!!いたいのじゃぁぁぁぁ!!!』

「「「あ?」」」

「今の声だれ?」

「俺達じゃねぇぞ?」

「つか、耀だっけか? が竜を蹴ったときじゃなかったか?」

「マジで?」

 

耀はまた竜の顔を蹴った

 

『あぎゃぁぁぁあああ!!!!!顎が、顎がぁぁぁあああ!!!』

 

女性のような声が聞こえた。

 

「おい、しげる。あの竜を殺したんじゃねぇのか?」

「は?誰も殺したなんか言ってねぇぞ?骨の十本は折ったが」

「お前ら、やべぇーことしてるのわかってるか?見ろ、香織達がお前らを凄い目で見てるぞ」

 

見慣れた依姫達意外の雫達は引いていた。

 

「これで引いてたらお前らコイツ(しげる)に着いていけねぇぞ?」

「おいおい、これ以上ってどんなんだよ」

 

耀達は少し考えて言った。ハジメ達の予想の斜め上を行った。

 

「都市壊滅?」

「いや、生物の消滅じゃないの?」

「いや、星雲消滅でしょ」

「時空の消滅でしょ」

「「「それだ(ね)」」」

「「「えぇぇぇ……」」」

『え、えっと〜……』

 

そんな話をしていたが、竜の声によって中断された。

 

「あなた……まさか、竜人族なの?」

『む? いかにも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ。偉いんじゃぞ?凄いんじゃぞ?「「知るかっ」」あああぁぁほっぺが!ほっぺがぁぁぁ!!!』

「ちょっと貴方達!!愛子達のところに行ってなさい!!」

 

零と耀は喋ってる竜のほっぺた辺りを蹴った。

 

「滅んだはずの竜人族が何故こんなところで、一介の冒険者なんぞ襲っていたのか……俺も気になるな。本来なら、このまま二人によって見るも無残な姿になるところだが、話を聞く間くらいは猶予してやるんだ。さぁ、きりきり吐け」

『う、うむ。妾は、操られておったのじゃ。お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主、あの男にそこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ』

 

竜の話によると睡眠状態に入った竜の前に一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れた。その男は、眠る黒竜に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を蝕んでいった。当然、そんな事をされれば起きて反撃するのが普通だ。だが、ここで竜人族の悪癖が出る。例の諺の元にもなったように、竜化して睡眠状態に入った竜人族は、まず起きないのだ。それこそ尻を蹴り飛ばされでもしない限り。それでも、竜人族は精神力においても強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしない。

 

『恐ろしい男じゃった。闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろうな。そんな男に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった』

「なるほどね。私、その犯人わかってきたかも」

 

愛優美は竜を操った男が誰なのかわかったと言い始めた。愛優美だけではなく、零や耀もわかり始めていた。

 

「そうだ。お前らが向かった先で何か見つかったのか?」

「あぁ、大きすぎる。最悪な物がな」

「ねぇ、その男は他に何か言ってたの?」

『む?……他には……きえてかれかれーたとか言っていたのじゃ』

「「「「確定だな(ね)」」」」

「取り敢えず、竜から人の姿になってくれない?」

「皆さんなんの話をしているんですか?」

 

何も知らない愛子先生達を横目に零はハジメに監視用のドローンを出して貰った。もし、その男が竜を操ってウィルを殺す理由が何かを見たからだとしたら……

 

「おい、ハジメ。何か見えるか?」

「あ、あぁ。これは千や二千どころじゃないぞ。下手したら一桁二桁増えてるぞ」

「どれどれ?」

 

零はハジメの偵察機にアクセスして、映像を見た。

 

「えぇ〜っと…怪獣が15匹、超獣が……バキシムとバラバ、あとはエースキラーか?」

「超獣…!やっぱり魔人族側にいるのね……」

「…っ!!ハジメ!あの丘辺りを拡大してくれ!!」

 

拡大された丘の映像には人型のロボットと黒いローブの何かがいた。

 

「い、急いで街の皆に知らせないと…!!」

 

ウィルはハジメ達を置いて街の方へ走って行った。

 

「……一応、宇宙警備隊に知らせるか」

 

“ヤプール死すとも超獣死なず”

 

その言葉を思い出しながら零達はウィルの後を追った



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ウルの防衛戦

ハジメ達は車でウルの街まで走っていた。零と耀はその隣を走っていた。

 

「ハジメ、取り敢えず俺らを車の中に入れてくれないか?」

「は?お前らが乗ったらこの車が動かなくなるだろ」

「しげる、諦めて走ろうぜ?」

「元はと言えばお前のせいだろうが!」

 

零達は車に乗れないが、車と同じかそれ以上のスピードで走っていた。

 

「しげると耀なら楽勝でしょ?」

「ねぇ、前から思ったんだけど。零にはどれだけ名前があるの?」

「全部言う?私全部覚えてるよ」

「それは俺も気になるな。愛優美、どんな名前があるんだ?」

 

外で走ってる二人を横目に車の中で零が持ってる名前を話していた。

 

「まず、みんな知ってる紅蓮 零。それから依姫達が呼ぶしげる。そして私しか知らないエタニティ・オミナス。それから最近新しく考えられてる禍魂しげる。あとは「待て待て待て待て!!!なんでその名前を知ってんだよ!!俺はまだ誰にも言ったことねぇぞ!」あれ?もしかしてまだだったの?ごめんごめん」

「いつか絶対に殺す…!」

「あ、街が見えてきたよ」

 

愛優美は零の怒りを買ったが適当に謝った。そんな事をしている間にウルの街まで来た。

 

「おい、ウィル。勝手にどっか行くんじゃねぇ」

「え…ハジメ殿。この街を見捨てる気ですか?!」

「アイツら相手にこの街を無傷で守り抜くなんて無理だぞ。見捨てる判断が一番だろうな」

「そ、そんな…!!!」

 

ウィルは絶望したのか膝を付いて泣いた。

 

「あぁ〜、たく。ウィル、泣いてる暇があったら直ぐに逃げる準備をしろ。泣いてどうにかなる問題じゃない。見捨て「待ってください!」………先生」

「南雲君。君なら……君達なら魔物の大群をどうにかできますか?いえ……できますよね?」

「あぁ、魔物の大群は行けるかもな」

「でしたら…!」

 

先生はハジメに頼ろうとした。だが

 

「怪獣相手は違う。魔物を倒すのとは何もかもが違う。魔物を倒せても怪獣は無理だ」

「でも、紅蓮君があのドラゴンになればいけますよね?」

「愛ちゃん、流石に零でもあの量は…」

「どうなんですか?紅蓮君はあの量の魔物を殲滅できるんじゃないんですか?皆さん。どうか力を貸してもらえませんか?このままでは、この美しい町が壊されるだけでなく、多くの人々の命が失われることになります」

「はぁ………どうする?」

「めんどくせぇ。だが、まぁそろそろコイツの飯の足しになるだろ」

 

零は刀を鞘から抜き出して言った。

 

「久々に暴れるか。ハジメ、俺はいいぜ?」

「零が行くなら私達も行きましょうか」

「ハジメ君、一応壁を作った方がいいんじゃない?」

「そうだな」

「愛子先生は住民の避難誘導をお願いしてもいいですか?」

 

「それじゃぁ、何百年ぶりかの超獣との戦いをするか」

______________________

ハジメが壁を作り、戦闘準備万端の状態だ。

 

「えぇ〜っと、しげるがウルトラマンに変身するとして、私は………闇の巨人の誰かに変身でもしようかな」

「紅蓮君、準備はどうですか?何か、必要なものはありますか?」

「大丈夫だ。さっき援軍を呼んだ」

「え、援軍ですか?」

「おい、貴様。愛子が…自分の恩師が声をかけているというのに何だその態度は。本来なら、貴様の持つアーティファクト類の事や、大群を撃退する方法についても詳細を聞かねばならんところを見逃してやっているのは、愛子が頼み込んできたからだぞ?少しは……」

「何もできない雑魚は黙ってろ」

「デビッドさん。少し静かにしていてもらえますか?」「うっ……承知した……」

 

デビッドは先生に注意され、渋々仲間の騎士の所に行った。

 

「ふむ、よいかな。妾もご主……ゴホンッ!お主に話が……というより頼みがあるのじゃが、聞いてもらえるかの?」

「?…………………………………………………………名前なんだっけ」

「え?!!……ゴ、ゴホンッ!妾の名はティオじゃ。えっとじゃな、お主は、この戦いが終わったらウィル坊を送り届けて、また旅に出るのじゃろ?」

「当たり前だろ?それで?」

「うむ、頼みというのはそれでな……妾も同行させてほしいのじゃ」

「それは後々みんなで決めるから、今はここで大人しく待ってろ」

 

ティオも渋々、先生達の所に行った。

 

「魔物達が来たよ」

「そんな顔するなよ、先生。たかだか数万増えたくらい何の問題もない。予定通り、万一に備えて戦える者は壁際で待機させてくれ。まぁ、出番はないと思うけどな」

「んじゃハジメ。そろそろマジでアイツらが攻撃しそうだからよろしく」

「……マジでやるのか。はぁ、」

 

ハジメは壁の上に立ち、零と愛優美は壁の外に出て準備をしていた。

 

「聞け!ウルの町の勇敢なる者達よ!私達の勝利は既に確定している!我らの傍に愛子様がいる限り、敗北はありえない!愛子様こそ!我ら人類の味方にして“豊穣”と“勝利”をもたらす、天が遣わした現人神である! 私は、愛子様の剣にして盾、彼女の皆を守りたいという思いに応えやって来た!見よ!これが、愛子様により教え導かれた者の力である!」

 

怪獣の熱線が壁にぶつかりそうになった。

 

『ウルトライブ!』『モンスライブ!』

『ウルトラマンギンガ!』『ダークルギエル!』

 

零はギンガに、愛優美はルギエルに変身して怪獣の熱線を防いだ。

 

『あっぶねぇな!!』

『凄いタイミングで攻撃してきたね。やられたらやり返す。行くよっ!』

『あぁ!』

 

『ギンガクロスシュート!!』『ダークルギエルシュート!!』

 

二人の光線は見える範囲の魔物を一掃した。街の者達は愛子様と連呼していた。先生はハジメ達に聞こうとしたが、胴上げされた。ハジメ達は逃げるかのようにバイクに乗って魔物を殲滅に向かった。

 

『んじゃ、俺達は怪獣を相手に行くか』

『いいね、それじゃぁ時間切れになる前にできるだけ倒そうか!』

 

トライデントのような物を持って怪獣に向かった。

______________________

壁の上で立っていたパチェとお空。お空はミツネを抱えていた。

 

「体が弱い私に色々押し付けないでほしいわね。さて、お空。貴方の力がいるんだけど、手を貸して貰えないかしら」

「んにゅ?」

「人工太陽を作るだけでいいわ。お願いできるかしら」

「は〜い!」

 

お空は太陽のような物を作った。パチェは人工太陽のような物の周りに魔法陣が展開された



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ウルの防衛戦(2)

パチェは人工太陽を使い、何かをし始めていた。パチェは人工太陽を使って大きな魔法陣を作った。

 

「さぁ、これでウルトラの星につながるはずよ」

 

しかし、何も起こらなかった。魔法陣は途中で消えてしまった

 

「どうして?もしかして、魔力が足りない?これじゃぁ異次元の穴を作れないわ。どうしましょうか………」

 

パチェは本のページをめくって、何かを調べ始めた。

 

「駄目ね、やっぱり魔力が足りてなかったみたいだわ。何か、足りない魔力を補う方法を……」

「え、えっと先程から何をしていらっしゃるんですか…?」

 

パチェが足りない魔力を補う方法を探していると、先生がやってきた。

 

「……しげる達に言われたでしょ?街の中で待ってなさいって」

「え、いや、でも……」

「いいから、貴方達は街の中で静かに待ってなさい」

 

その時だった。零と愛優美が変身解除されて壁に向かって飛んできた。いや、吹き飛んできた。壁に当たるか当たらないかぐらいの場所で止まった。

 

「……一番やっかいな超獣が現れたわね」

 

零達が来た方向には殺し屋超獣バラバがいた。他の超獣は見当たらないため、零達が倒したんだろう。

 

「気をつけなさい、あのバラバは強化されているわ」

「やっぱり超獣も強化されているのね」

「えぇ、ベムスターの吸引能力が追加されたバラバよ。並の技や魔法じゃ全て吸い込まれてしまうわ」

 

そう、この強化されたバラバはベムスターの吸引能力でギンガとルギエルの光線技を全て吸収したのだ。

 

「それだと、ますますこの魔法陣を完成させなきゃ駄目ね。ハジメ達に撤退命令出してくれないかしら。ティオ……だったかしら、少し魔力を貰うわよ?」

「ふぇ? 」

 

パチェはハジメ達を撤退させて、魔法陣を再展開した。

 

「さぁ、できることならこれで終わってほしいわね」

「愛ちゃんはこっちに来て私の結界魔法の中で待ってね」

「え?あ、はい」

 

香織の結界の中に全員入った事を確認したパチェは魔法陣の最終段階まで上げていた。

 

「異次元の穴を広げるわよ!!!」

 

魔法陣は異次元の穴に変わった。異次元の穴はどんどん広がっていった。

 

「な、南雲君。彼女はいったい何を……?」

「知ってたら教えてる…」

 

異次元の穴が広がらなくなった。

 

「来たか…」

 

零が言った瞬間、異次元の穴からバラバに向かって何かが物凄いスピードで飛んでいった。

 

『デュオァ!』

 

青い体、アイスラッガーのようなのが頭に3つ付いている、胸には「Z」と書かれている光の巨人。

 

「来たか、ウルトラマンゼット。ナツカワ・ハルキ」



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ウルの防衛戦(3)

バラバに向かって物凄いスピードで来た光の巨人。その名は

 

「来たか、ウルトラマンゼット。ナツカワ・ハルキ」

「デュオァ!」

 

ゼットは後ろにいる零達に気づいた。

 

『えぇ!?しげるさん?!!』

「よぉゼット。久々じゃねぇか。早速で悪いんだが、そこのバラバ頼めるか?」

『え、ちょ、話についていけないんですけど。取り敢えずゼットさん。あの怪獣を倒しましょう!』

『あぁ!行きましょう!ハルキ!!』

 

ゼットはバラバに飛び蹴りをした。だが、バラバは怯むこともせずにゼットを攻撃を始めた。

 

「………もう数人来るわよ」

「は?だったら今のうちに魔物を倒さねぇとな。ハジメと愛優美達は時間を稼いでくれ」

「………わかった。香織と雫、恵理はそのまま先生達を頼む」

「「えぇ、わかったわ」」

「はーい!」

「エンタープライズ達はゼット達の援護を頼む」

 

ハジメ達は魔物を倒し、雫は先生の方に来た魔物を倒した。エンタープライズ達はゼット達の援護をした。

 

「さぁ、本来ならやるべきじゃないだろうが……パチェ、フミア。ちょっと手伝え」

「えぇ、いいわよ。手伝ってあげる」

「…いいわよ」

 

零は刀を地面に突き刺した。フミアとパチェは零に魔力を注いだ。

 

「さぁ、来い。風の魔王獣 マガバッサー!!土の魔王獣 マガグランドキング!!」

 

零の前で突然竜巻が現れ、そして零の前の地面が割れ、竜巻の中から風の魔王獣 マガバッサー、地面からは土の魔王獣 マガグランドキングが現れた。

 

『グエエェェェェ!!』

『ギェェェェ!!』

「マガバッサーよ!魔物を一掃しろ!!マガグランドキングよ!ゼットと共にバラバを倒せ!」

 

マガバッサーはマガ衝撃波で魔物を吹き飛ばし、マガグランドキングは胸部の発光体からマガ穿孔をバラバに向かって発射させた。バラバは突然の攻撃だったからか、少し驚いたような感じがした。

 

「…召喚は成功したな。」

「本当に召喚できたわね」

「…これで大丈夫ね。バラバを倒し次第、黒いローブのところに行くわよ」

 

ゼット達はバラバをかなり追い込んでいた。

 

『ゼスティウム光線!』

 

ゼットはゼスティウム光線でバラバを倒し、変身を解除して零達の前まで来た。

 

「お久しぶりッス!」

「あぁ、久しぶりだな。悪いんだがまだ戦いは終わってねぇんだ」

「……それじゃぁ行くぞ」

 

ハジメ達は先生を連れて黒いローブのところに行った。ハルキは何も教えられてないが零達についていった。しばらくして、黒いローブと人形ロボットの下に来た。

 

『来たな、先生…!』

「し…みず…君…?」

 

黒いローブは顔を見せた。黒いローブの正体は清水だった。

 

「どうして…?どうしてこんな事を…?」

「違う。あれは清水じゃない」

「え?」

 

はっきりとはわからなかったが、清水の左目の色が違った。

 

『お前には感謝してるぞ…!私のゲームの駒として十分に働いてくれた…!!』

「何を言って…」

『おかげで馬鹿な魔人族にこの素晴らしい兵器を作らせることができた…!!』

「…やっぱり、セレブロか」

『ん?その後ろにいるのは…私のゲームを壊した駒のウルトラマンじゃないか…!』

「セレブロ…!!」

 

清水改め、セレブロは数枚のメダルを後ろのロボットに向かって投げた。

 

「ハジメ、先生達を連れて今すぐに街の方に向かって走れ。ハルキ、俺の力の一部を渡す。これでもう一度変身できる。愛優美も手伝え。アイツをここで倒すぞ!」

 

人形ロボット。ウルトロイドゼロにセレブロは乗った。

 

「異次元の穴は…まだ開いているか!行くぞ!」

『ご唱和ください。われの名を!ウルトラマンゼット!!』

「ウルトラマンゼェェット!!」

『ウルトラマンエックスとユナイトします』

 

ゼットはデルタライズクローに、零はウルトラマンエックスベムスターアーマーに、愛優美はエックスダークネスに変身した。

 

『デュオァ!!』

『イィィィィサーッ!!』

『イィィィィィサァ!!』



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ウルの防衛戦(終)

ウルトロイドゼロは形を変え、デストルドスになった。

 

『キュロロロロロ!!』

 

デストルドスは挨拶代わりと言わんばかりに腹の辺りにエネルギーを溜め始めた。

 

「街ごと吹き飛ばす気?!」

「ゼット!俺の後ろに隠れろ!」

 

零はマガグランドキングとマガバッサー、そしてベムスターアーマーの盾で防ごうとしていた。

 

「ベムスターアーマー…!」

 

愛優美もダークネスベムスターアーマーを装備して、零の前に立った。

 

『キュロロロロ!!』

 

デストルドスはデストルドD4レイを放った。

 

「うっ…!?」

 

愛優美のシールドアーマーにヒビが入り始めた。そして、次の瞬間、シールドアーマーが破壊され、エックスダークネスも消えた。零を守ろうとマガバッサーとマガグランドキングも前に出るがあっという間に消えた。

 

「ぐっ…防げるか?!」

 

ギリギリだったがシールドアーマーでデストルドD4レイを吸収した。

 

「ベムスタースパウト!!」

 

吸収したデストルドD4レイを撃ち返えそうとした。だが

 

『零…!』

「……?!!」

 

セレブロは清水の声を使って零の攻撃を止めた。零が攻撃を止めた瞬間にデストルドリーパーで零を壁際に飛ばし、追い討ちをかけるかのようにデストルドブレスを零に浴びせた。零は変身解除された。

 

『しげるさん!』

『っ…?!ハルキ…!!』

 

デストルドスはデストルドD4レイの再装填を始めていた。その時だった。

 

『先に行くなっていつも言ってんだろ!!』

 

ずっと開いていた異次元の穴から二つのアイスラッガー……いや、ゼロスラッガーがデストルドスに向かって飛んできた。

 

『キュロロロロ?!!』

 

デストルドスはデストルドD4レイを止め、異次元の穴を見た。ゼロスラッガーが異次元の穴の中に入ると同時にウルトラマンゼロがウルトラゼロキックで出てきた。その先はデストルドスだった。

 

『キュロロロロ?!!』

『師匠!!』

『セェア…!』

「ゼロ…!お前、おせぇーぞ!」

『主役は遅れてくる。そう言ったろ?』

「主役だったらもうちっとはよ来い!」

 

デストルドスはゼロの登場に驚くも、デストルドD4レイを発射しようとしていた。

 

「ゼロ!アイツの中に俺の友達がいるんだ!!友達の救出を手伝ってくれ!!」

『なに?!ゼット!行くぞ!!』

『ハイッス!』

 

「で?どうやってアイツを救出するんだ?」

「それには考えがあるよ」

「「……お前生きてたんだな」」

「勝手に殺さないで?!」

 

零達は愛優美が死んだと思っていた。しかし、普通にピンピンしていた。

 

「それで?その方法はなんだ?」

「ゼロとゼットに操縦室を剥き出しにさせて、零が操縦室に乗り込んで、セレブロを倒す」

「そんな簡単に行くかよ」

「取り敢えず、やろうぜ。ゼロ!ゼット!アイツの腹の辺りに技をぶつけてくれ!!」

 

ゼロとゼットはエメリウム光線とデルタクロスショットで腹に穴を開けた。

 

「セレブロと分離させ次第にこっちに転送するからよろしく!」

「は?っておい!」

 

ハジメを無視して零は操縦室に乗り込んだ。セレブロは待っていたかのように立っていた。

 

『私に攻撃できないだろ?どうやって私を倒すんだ?』

「あぁ、お前に攻撃は出来ない。だがな、肉体の分離はできるんだよ」

 

零は清水を刀で縦に斬った。すると、セレブロらしき生物が出てきた。

 

「清水…!!」

 

倒れそうになった清水を支え、ハジメ達の方に送った。

 

『キュロロロロ!!』

「さて、セレブロは何処に行った?」

 

零は辺りを見渡したがセレブロは消えていた。

 

「チッ、そろそろ出るか」

 

零はハジメ達の下に戻った。デストルドスは修復を始めていた。

 

「ゼロ!ゼット!!」

『おう!決めるぞ、ゼット!!』

『っはい!!』

『ワイドゼロショット!!』『ゼスティウム光線!!』

 

デストルドスは修復するよりも前に光線によって爆発した。セレブロもデストルドス共々死んだ。



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魔人族襲来
新しい仲間


清水…いや、幸利をデストルドスから救い出した。あれから幸利は目を覚まさない。

 

「おい、どう言うことだ?なんでコイツは目を覚まさないんだ?」

「ちょっと待て、考えてるから」

 

零は何故幸利が起きないのか考えた。理由がわからない。

 

「ねぇ、幸利くんはただ寝てるだけとかじゃないの?」

 

雫の発言に零とハジメは「んなアホな」という顔をした。零達は幸利に近づいた。

 

(寝てる?)

(いやいや、零。幸利はそんなやつじゃねぇだろ?)

 

二人は違うと思っていた。しかし、よく聞くと

 

「…Zzz」

 

零とハジメは幸利の腹を蹴った。

 

「「テメェ起きやがれぇ!!」」

「グフッ?!」

「し、清水くん!!?」

 

幸利は威力が高すぎて天に召されそうになった。幸利から魂が抜けそうになっていたら、零が無理矢理魂を掴んで体に戻した。

 

「勝手に死ぬんじゃねぇ」

「はっ!………知らない天井だ。だ、誰だお前!」

 

寝惚けた幸利を起こしたら真っ先にハジメの服装を見て聞いた。すると、ハジメは後ろを振り向いた

 

「いや、後ろじゃねぇよ!お前だよ!!」

「あ、このいかにも厨二病っぽいやつはハジメな」

「れ、零?!え、あれがハジメ!?嘘だろ?!」

 

幸利はハジメに殴られた。そして、ずっと待機していたハルキ達の説明をしようとした。

 

『ナイストゥーミーチュー』

「「「「…あぁー……」」」」

 

ゼットの挨拶に零とハルキ、ゼロ、愛優美以外の全員が無言でゼットを見た。

 

「真顔…?」

「いや、笑顔かも…」

「わかんねぇ…」

『…これ伝わってる?』

「伝わってるから安心しろ。それで?俺達が異次元の穴を開ける前から準備してたみたいだが」

 

ゼットの挨拶を無視して、何故ゼロ達があんなにも早く駆けつけれたのか聞いた。

 

『あぁ、実はこの次元でベリアルやトレギア、ヤプールに似た反応をキャッチしたんだ』

「なるほどね。これでここに居ないはずモンスターや怪獣に超獣、セレブロが現れたのかわかったわ」

 

愛優美はゼロの話を聞いて、超獣が出た理由がわかったと言った。

 

「あのエヒトとか言う神が私達を呼び寄せたように、何者かが彼らを呼び寄せたんじゃないの?ゼロ、貴方のように自由に別時空に行ける能力を持った誰かか、パチェやエヒトのように魔法で呼び寄せたか」

「取り敢えず、こっちは俺達が探しておく」

『わかった。何かあったら教えてくれ』

 

そして、ゼロとゼットとハルキは元の時空に帰った。

 

「それで?幸利、お前はいつからセレブロに寄生されたんだ?」

「あれは今から36万「「そのネタいいからさっさと話せ」」ゲイボルグ!!……ちょうど俺が行方不明になった時だ」

「なるほどな、それでセレブロに寄生されてなにかわかったか?」

「曖昧なんだが……魔人族と「「危ない!!」」え?」

 

フミアとシアが先生と幸利に手を伸ばした。そして、何かが先生と幸利の背中に刺さった。

 

「アイツ、やりやがった!」

「…魔人族がいる場所にウーラーとグリーザとマガタノオロチでも送ってやろうかな」

「んな事言ってる場合か!シア、フミア!無事か?!」

「私達はいいわ、でも二人が大変よ」

「パチェ、耀と一緒にあの魔人族を捕まえてくれ」

 

二人の体に毒が回っていた。

 

「ハジメ!二人に神水を!」

「クソ駄目だ。全体が痙攣を始め上手く飲み込めてねぇ」

 

ハジメは最終手段をとった。残りの神水を自分の口に含むと、何の躊躇いもなく先生に口付けして直接流し込んだ。それを見ていたユエ達は驚いていた。幸利の回復をしていた香織はそんな事知らない

 

「先生よりも軽傷かも、あんまり毒が回ってないみたい」

「解毒できそうか?」

「うん。でもちょっと時間がかかる」

「ちょっと待て」

 

香織が治そうとしたらハジメがそれを止めた。

 

「幸利、お前に聞きたいことがある」

 

次の言葉に全員が転けた。

 

「お前は……零の彼女が沢山いるの羨ましいか?」

 

みんながズッコケた。幸利はゆっくりだけど首を横に振った。

 

「なるほどな、香織。回復」

「う、うん」

 

幸利は回復して、すぐにハジメに零がどれくらい彼女いるのか聞いていた。



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ナイストゥーミーチュー

あれから、車に乗ってフューレンに戻った。行きは長い帰りは魔法陣で一瞬だった。

 

「よ〜し。ウィルを支部長に渡して俺達は遊びにでも行くか」

「おい待て、俺だけか?!」

「ん?この旅のリーダーはだいたいお前だろ?」

「頑張れリーダー」

「ハジメくん行ってらっしゃい」

「大丈夫、私とユエがちゃんとついていってあげるから!」

「なぁリーダー。酒飲もうぜ?」

「「「未成年だから無理だよ!!」」」

 

だが、今まで何故か会話に参加せずにずっと遊んでいたSEN−KANが会話に加わった。

 

「指揮官がリーダーじゃないのか?」

「ん。指揮官、遊ぶ?」

「指揮官、ゲームしたいです」

「遊ぶのだー!」

 

ハジメが零の肩に手を置いて「乙」と言いそうな顔をした。

 

「おい。俺ら全員のカード作るから俺達も行かなくちゃ駄目だろ?」

「「「あ」」」

 

そして、全員ハジメについて行くことになった。そして、ウィルを支部長に渡して、報酬の全員分のカードを貰って、零達は街の観光に行った。今はフミアと依姫とデート中だ。

 

「それじゃぁ、行こうぜ」

「「いつでもできる気がするんだけど」」

「で?何処に行く?取り敢えず服屋行くか」

「「似合う服を全部買うとかしないでよ?」」

「流石にしねぇよ」

 

そう言った。零はそう言って入っていった。零に続くように依姫達も入っていった。そして、数分経って、店から出たら零の手に買い物袋が沢山あった。

 

「「全部買わないって言ったよね?」」

「はい。すみませんでした」

「まぁ、今始まったことじゃないからね。ほら、次行こ?」

(…女神)

 

そして、道にそって歩いていると下から何かを感じた。小さい気配を感じた

 

「なぁ、この下って何があるんだ?」

「下に生命反応が2つあるわ」

「行くか」

「あの家と家の間で穴を開けて下に行きましょう」

 

零達は路地裏に入って、すぐに地面穴を開けて気配を感じた方向に走っていった。

 

「しげる!あそこに子供が!」

 

近づいてよく見ると人間の子供ではなかった。

 

「ツノ…?」

「それに3人…」

 

3人の子供が倒れていた。3人は三つ子なのか、姿が似てる。だけど、

 

「これ、ゴモラじゃね?」

「「え?」」

「取り敢えず、宿に連れて帰って聞くか」

 

零達はゴモラ? を連れて帰ろうとした。

 

「ん…」

「…あ…れ…?」

「ここ…は…?」

 

3人のゴモラ?が目を覚ました。3人は零達を見て、目を丸くした。

 

「ナイストゥーミーチュー」

「「え、それ流行ってるの?」」

 

零が言った言葉にフミアと依姫はツッコミを入れた



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ナニコレ

あれから3匹のゴモラを宿に連れて帰り、依姫達が汚れている体を洗うために風呂に入った。風呂から上がるまで間、綾波達とゲームをした。

 

「綾波、そっちに行ったぞ」

「了解です…2時の方向、目標を確認」

「了解、そっちに向かう。ジャベリンも来れるか?」

「了解です!雪風ちゃん。綾波ちゃんのところへ!」

「わかってるのだ!待っているのだぞ!この雪風様が向かっているのだ」

 

零と綾波、ジャベリン、雪風は通信ゲームをやっており、ラフィーは零の膝の上で爆睡、ベルファストとエンタープライズ、ベルちゃんは何かの書類を片付けていた。

 

「指揮官、このD4の残骸についてだが――」

「ん?あぁ、それはM78星雲のウルトラマンヒカリに送っといてくれ」

「了解した」

 

そんな感じでいると依姫達が風呂から出てきた。

 

「この娘たちは本当にゴモラなの?」

「多分そうだろう。お前らの名前は?」

 

零は近づいて聞いた。

 

「…サイバーゴモラ」

「…メカゴモラ」

「…ゴモラ!」

「ゴモラであってるな。全員ゴモラだと、どう呼ぶか……」

 

「私はサイバー、この娘はメカ、この娘はゴモラ。名前をわけています」

「お前らは姉妹なのか?」

「はい。私が3番目、メカが二番目、ゴモラが1番目で三つ子です」

「なんでこの世界にいるのかわかるか?」

 

それにゴモラは首を横に振った

 

「わからないの。とつぜん目の前が真白になって気づいたらあそこにいたの」

「そうか、これから先どうするんだ?」

「お兄ちゃん達についていく!」

「お兄ちゃんはやめてくれ」

 

次に発した言葉に零だけではなく、ゲーム中の綾波達も驚いた。

 

「…パパ」

「悪い、もう一度言ってくれ」

「パパ」

「ゴモラが言うなら、パパ」

「そうですね。これからよろしくおねがいしますパパ」

「……スゥー、それはお前ら怪獣の中でしげるって意味「そんなわけないでしょ。受け入れなさい」フミア……俺がパパならお前ら二人のどっちかがママになるぞ?」

 

依姫とフミアの体は固まった。

 

「ゴモラ達、どっちのママがいい?」

「「「両方ママ!」」」

 

ゴモラ達はそう言って依姫とフミアに抱き着いた。

 

「あれ?雫達は?」

「知らないの?香織達と一緒に遊びに行ったわよ」

「そうか」

 

そう言って綾波達とのゲームを再会しようとしたときだった。部屋の扉が開かれて耀が入ってきた。

 

「ハジメと幸利がある組織を壊滅させたいらしい」

「へぇ〜、なるほど。俺も行こうじゃないか」

 

そして、耀の後をついていくと、ハジメと幸利が少しキレ気味だった。

 

「お前らどうした?」

「「フリートホーフとか言う組織に大切な物を奪われた。潰すの手伝え」」

「オケオケ、お前らがそこまで…………何を奪われた?」

「「保護した子供」」

「………殺るか」



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ハジメ達がパパと呼ばれた日

出かけていた雫達にフリートホーフの場所を探してもらい、零達はどうやって潰すか考えていた

 

「取り敢えず、どうする?フリートホーフをどう潰す?」

「その前に、お前神様だろ?人殺しなんてしてもいいのかよ」

「何言ったんだ。普通は駄目だぞ?ただ、ちゃんとした理由ならOKだ」

「え、零って神なのか?」

 

そんな幸利を横目に、どうするか考えた。

 

「そう言えば、お前らが保護した子供の名前を教えろ」

「俺が保護したのはミュウって子供だ。幸利は?」

「俺が保護した子供の名前はミャミャだ」

((ミャミャ?))

 

そんな感じでいると、雫達から連絡があり、フリートホーフの場所とミュウって子供とミャミャって子供が一緒に売られようとしていることがわかった。

 

「ハジメ達は先に言ってくれ。俺は潰すために色々と準備するから」

「その右手に持っているメダルはなんだ?」

「お前らが避難したら言ってくれ」

「おい!」

「行くぞ幸利」

 

そう言って、ハジメ達は行った。零は右手に持っているこのザイゴーグメダルを見た。

 

「あ、KAM−SENに何も言ってねぇ」

 

そう思い、スマホを取り出してエンプラ達に綾波達の事を頼み、ハジメ達の連絡を待った。

 

『捕まってた子供達はみんな無事よ』

『ハジメくん達に合流地点にいるって言っておいて!』

(俺に言うんじゃなくてハジメに言えよ!)

 

そう思っていると、ハジメから連絡があった。

 

『俺も幸利もミュウ達も避難完了した』

「了解。さぁ〜って、出てこいザイゴーグ!フリートホーフを壊せ!」

『ギャハハハ!』

 

ザイゴーグは地面から出てきた。

 

「そこだけ壊せ」

『ギャハハハ!』

 

ザイゴーグは背中から棘のような物を3つ生やし、地面に撃った。すると、そこからツルギデマーガ、ゴーグアントラー、ゴーグファイアーゴルザが出てきた。

 

『ギャハハハ!!!』

『ギャカカヵヵヵ!』

『キュゥゥ!!』

『ギャファァァ!!』

「やりすぎじゃね?」

 

1分もたたず、瓦礫の山が出来ていた。

 

「戻れ、ザイゴーグ!」

『ギャハハハ!?』

 

零が言うと、ザイゴーグはメダルに戻り、ツルギデマーガ達が消えた。

 

「絶対にやりすぎだろ」

 

そう思い、ハジメ達を連れてイルワのところに行った。

______________________

「倒壊した建物22棟、半壊した建物44棟、消滅した建物5棟、死亡が確認されたフリートホーフの構成員279名、再起不能0名、重傷0名、行方不明者0名……で?何か言い訳はあるかい?」

「カッとなったから殺った。反省も後悔もない」

「はぁ~~~~~~~~~。まさかと思うけど……メアシュタットの水槽やら壁やらを破壊してリーマンが空を飛んで逃げたという話……関係ないよね?」

「……ミュウ、これも美味いぞ?食ってみろ」

「あ~ん」

「ミャミャ、これも美味いぞ?」

「あ〜ん」

 

ミュウとミャミャは同じ海人族で、幼馴染みらしい。

 

「まぁ、やりすぎ感は否めないけど、私達も裏組織に関しては手を焼いていたからね。今回の件は正直助かったといえば助かったとも言える。彼等は明確な証拠を残さず、表向きはまっとうな商売をしているし、仮に違法な現場を検挙してもトカゲの尻尾切りでね、はっきりいって彼等の根絶なんて夢物語というのが現状だった。ただ、これで裏世界の均衡が大きく崩れたからね。はぁ、保安局と連携して冒険者も色々大変になりそうだよ」

「まぁ、元々、その辺りはフューレンの行政が何とかするところだろ。今回は、たまたま身内にまで手を出されそうだったから、反撃したまでだ」

「唯の反撃で、フューレンにおける裏世界三大組織の一つを半日で殲滅かい?ホント、洒落にならないね」

 

半日じゃなくて数秒な。そうツッコもうとしたがやめた。

 

「それで、ミュウくん達だがこちらで預かって、正規の手続きでエリセンに送還するか、君達に預けて依頼という形で送還してもらうかの二つの方法がある。君達はどっちがいいかな?」

「ハジメさん。私、絶対にこの子達を守ってみせます。だから、一緒に…!お願いします!」

 

シアはハジメに向かって頭を下げた。

 

「零、ハジメ。俺も絶対にコイツを守る。だから頼む!」

「「お兄ちゃん……一緒…め?」」

 

ハジメはミュウに、零はミャミャに上目遣いをされた。

 

「まぁ、最初からそうするつもりで助けたからな。ここまで情を抱かせておいて、はいさよならなんて真似は流石にしねぇよ」

「ハジメさん!」

「…そうだな」

「お兄ちゃん!」

 

すると、ハジメと幸利は零と同じことをしていた。

 

「ただな、ミュウ。そのお兄ちゃんってのは止めてくれないか?普通にハジメでいい。何というかむず痒いんだよ、その呼び方」

「そうだな、ミャミャも。お兄ちゃんってのは止めてくれないか?普通にユキトシでいい。何というかむず痒いんだよ、その呼び方」

 

すると、二人は少し考えた。

 

「「……パパ」」

「………………な、何だって?悪い、ミュウ。よく聞こえなかったんだ。もう一度頼む」

「ミャミャもももう一度頼む」

「「パパ」」

「……そ、それはあれか? 海人族の言葉で“お兄ちゃん”とか“ハジメ”という意味か?」「それか“ユキトシ”という意味か?」

「「ううん。パパはパパなの」」

「「うん、ちょっと待とうか」」

「諦めろ」

 

すると、ハジメとユキトシが零を睨みつけた。

 

「「お前はパパって呼ばれないからいいよなぁ!!」」

「いや、四人にパパ呼びされてますが?」

「「は?なに、お前はもう子持ちなわけ?」」

「あ、そうか。お前妻いるもんな」

「子供いてもおかしくないか」

 

すると、香織がミュウに近づいていった。

 

「ハジメくんがパパなら私がママになるの?」

「ママはもういるの!お姉ちゃんはお姉ちゃんなの!」

 

ミュウに言われ、香織は膝から崩れ落ちた。

 

「あ、言い忘れたが血が繋がった子供は一人だけな?」

「え、じゃぁ残りの三人は?」

「保護したらお前らと同じパパ呼びよ」

「「同じかよ」」

「あの三人はエンプラ達と一緒に…………まった、アイツら今もゲームしてるんじゃね?」



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最悪な事態

現在、天之河達は85層まで来ていた。

 

「待ってろ香織達。俺が必ず助ける!きっとハジメ達がいなくなって悲しくなってるに違いない!」

(まただ。また天之河が言ってるよ)

 

あれからずっと香織達女子は生きていて、ハジメ達は死んだと思い込んでいる。そんな事を思いながら進んでいると、奥側から声がした。

 

「あれ?みんな?!助けに来てくれたの?!」

「「「え?!」」」

「恵理ちゃん!」

 

そう、恵理がいた。天之河はすぐに恵理に寄った。

 

「香織達はどうしたんだ?!無事なのか?!」

「うん!みんな無事だよ!この先で待ってるから!」

「エリリン!!」

 

天之河を無視して鈴が恵理に近づいた。

 

「エリリン!無事だったんだね!」

「うん!ごめんね、心配させちゃって」

 

ここで浩介は違和感に気づいた。恵理は零のことが大好き。いわゆるブラコンだ。もし零が死んでいたとしたら何故ここまで元気なのか。

 

「なぁ恵理。お前の兄はどうした?」

()()()()も無事だよ!」

 

お兄さん?恵理は零の事を『お兄ちゃん』と呼ぶ。

 

「恵理!香織達の場所に案内してくれ!!」

「うん!いいよ!!あ、でもその前に!」

 

恵理は鈴に近づいて手を差し伸べた。

 

「寂しかったからこれぐらいいいよね?」

「うん!」

 

ここまでならガールズラブに見えてもいいだろう。だが、次の瞬間に全員が驚いた。

 

「それじゃァね?ブロンズ像になってくださいね

「「「え?」」」

 

恵理が抱きついた鈴が石に変えられた。

 

「「「は?」」」

「鈴!」

「恵理ちゃん!これはどういうことだ!なんでこんな事を!!」

 

恵理を見れば笑いながら暗い奥に消えていった。

 

「鈴!」

 

鈴は冷たい石になっていた。天之河はこんなことをした恵理を倒す…ではなく、理由を聞くとか言い始めた。あれは鈴ではない。まったくの別人だ。

 

「天之河、あの恵理は倒すべきだ」

「そうだ!鈴をこんな姿にした恵理を……許すわけには行かない!」

「待ってくれ!!もしかしたら紅蓮達が生きていて、命令されたかも知れない!!まず、話を聞こう!!」

 

そこで恵理を倒す派(天之河以外の全員)と倒さない派(天之河一人)で口論が開始された。

 

「お前ら、あれは恵理じゃない」

「遠藤、何を言っているんだ?あれはどう見ても恵理だったじゃないか!」

「いいや、違う。数年しかいなかったお前らはわからないだろうが、恵理はブラコンだ。しかも零の事をお兄ちゃん以外で呼ぶことなんてない。この時点でもう違う」

「呼び方を変えただけだろ?!」

「いいや、アイツと出会ってから今までずっとあいつがお兄ちゃん以外の呼び方をしたところを見ていない」

 

ここで、ずっと口論が繰り広げられ、結局奥に行くことになった。



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番外編「クリスマス」

ネタバレ注意


今日はクリスマスだ。今はハジメ達と一緒にいる

 

「おい、 クリスマスケーキを作るって言ったのは何処のどいつだ?」

 

幻想郷の奴らでクリスマスケーキを作ることになったんだが、調理班がフランドール、諏訪子、マガタノ、愛優美とか言う暗黒物質(ダークマター)製造組だった。

案の定、ケーキは真黒、しかも皿が溶けていた。

 

「ダークマターじゃねぇか!つかなんで皿が溶けてるんだよ!!?」

「まぁ、今回は失敗しちゃった」

「ごめんなさい…!」

「主ぃ!食べて食べてぇ!」

「ほら、お姉ちゃん(元男)があ~んしてあげるよ?」

「殺す気か?!あと、誰がされるか!気色悪ぃ!!ふざけるのは存在だけにしろ!!」

 

キッチンが綺麗なのおかしい。

 

「それで?ハジメの方はどうだ?」

「おいおい、香織達(俺の嫁達)だぞ?」

「調理班をコイツらにしたの誰だ?」

「はいはい!私だよ!頼れる姉でしょ?」

「「どこがだ!!」」

 

どうやら愛優美が調理班を組んだらしい。最悪だ

 

「この勝負、俺達の勝ちだな」

「そもそも勝負してねぇだろ。『みんなでクリスマスパーティー』だろ、今回の目的は!」

「そうだったな。それで、幸利と浩介は?」

綾波達(イツメン)とス〇ブラ中だ」

「はぁ?!」

 

そう、零達幸利達は綾波達とス〇ブラ大会中だ。

 

「このダークマターを食わせてやろうぜ」

「やめろ。幸利達が死ぬ」

 

そんな感じで話していると、部屋から幸利と浩介が出てきた。

 

「あれ?お前らケーキできたのか?」

「おう。できたぞ」

「ほら、食ってみろよ。今なら愛優美があ~んしてくれるってぞ」

「「嫌だよ。気色悪ぃ」」

「なんでぇ?!」

「「「「そりゃそうだろ!誰が男にして欲しいんんだよ!!」」」」

「私、女の子だよ?!!」

「今は、だろ」

 

そんな感じで揉めていると、キッチンから三月と咲夜とベルファストが出てきた。

 

「先程は妹様が申し訳ございませんでした」

「旦那様、ケーキが出来上がりました」

「「流石メイド組だな」」

「「「いやいやいや!!!待て待て待て!!え、待とうぜ!!!?」」」

 

なぜハジメ達がここまで待てと言っているのか。それはケーキ自体にあった。ケーキの見た目がウエディングケーキだった。

 

「「「今日は誰かの結婚式だったっけ?!」」」

「いや、違うぞ」

「皆様、お気に召しませんでしたか?」

「旦那様、私達が作ったケーキは駄目でしたか?」

「ご主人様、あ~んしましょうか?」

「「「え、お前のところのメイドってこんなこともできるのか?!!」」」

「ハジメくん!あ~んしてあげようか?」

「ん!ハジメ、私もあ~んできるよ!」

 

そんな感じでクリスマスパーティーが始まった。

 

「耀おじちゃん、これってなに?」

「ん?飲んだら爆発する酒」ゴクゥン!

『あ!!』

 

自分から説明をした爆発する酒を飲んだ耀が爆発した。

 

「耀が死んだ?!」

「このひとでなし!!」

「いや、こいつがこれで死ぬわけねぇだろ」

 

その後、ハジメ、幸利、浩介がゴモラ達のパイ投げと言うダークマター投げの流れ弾をくらった。



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再会

零達はずっと外を見ていた。

 

「「「…………」」」

 

物凄く長い時間、外を無言で眺めていた。何があったか、それは外にいる一匹のうさぎがバイクを手懐けていたからだ。

 

「ヒャッハーですぅ!」

「「「……」」」

 

三人が魔改造した文字通りジャジャ馬のバイクを乗りこなしていた。

 

「俺、あのバイクにペダニウム合金使ったんだけど…」

「俺、あのバイクにガトリングガンつけたんだけど…」

「俺、あのバイクにジェエット噴射つけたんだけど…」

「物騒な物ばっかつけないで?!」

「バカルテット」

「「「お前にだけは言われたくない!!」」」

「フッ、残念だったわね。私は国語、社会、理科、英語のテスト満点なのよ」

「「「数学は?」」」

「………」

「「「おい!」」」

 

愛優美はテストの点数でマウントとってくるが、数学だけは壊滅的だった。【1+1=2】 これすらわからないほど数学は無理だ。零達は平均よりも上だ。

 

「……旦那様がテストを受ける意味あるのですか?」

 

久々に喋った三月。実は喋ってなかったが裏で色々とやっていた。ご飯の準備、布団などの片付けなどなど。全て三月がやっていた。

 

「三月、この世には触れちゃいけない事が沢山あるの。それに、誰にでも秘密はあるのよ?」

「そうですね…。旦那様、失礼しました」

「ねぇねぇハジメくん。これから何処に行くの?」

「ん?ホルアドだ」

「それどこだっけ」

「「「オルクス大迷宮の近くの町だ!/だよ!」」」

「しらんがな」

 

一部の記憶がない零はオルクス大迷宮について聞いた。

 

「よし、檜山は排除でキラキラネームは……」

「「やめろやめろ」」

 

そんな感じでホルアドの町まで行った。

______________________

 

「「懐かしいなぁ…」」

「懐かしいね」

「ふむ。ハジメ殿、やり直したいとは思わんのか? 元々の仲間がおったのじゃろ?ハジメ殿の境遇はある程度聞いてはいるが…皆が皆、ハジメ殿を傷つけたわけではあるまい?仲の良かったものもいるのではないか?」

「例え、やり直したとしても……同じ道を進むだろうな。だって、香織やユエに出会えたからな」

 

シアとティオは発狂をし始めた。町に行く度に、美女、美少女に囲まれている零達には羨望と嫉妬の目が突き刺さるのだが、この時ばかりは何故か同情的な視線が多かったと感じたのは、きっと気のせいではないだろう。いや、気のせいであってほしい。

______________________

零達は、周囲の人々の視線を無視しながら、ようやく冒険者ギルドのホルアド支部に到着した。ハジメはミュウを、幸利はミャミャを、零はゴモラ、依姫はサイバー、三月がメカを肩車したまま、零はギルドの扉を開ける。他の町のギルドと違って、ホルアド支部の扉は金属製だった。重苦しい音が響き、それが人が入ってきた合図になっているようだ。

零達がギルドに足を踏み入れた瞬間、冒険者達の視線が一斉に零達を捉えた。その眼光のあまりの鋭さに、肩車されているミュウ達が「ひぅ!」と悲鳴を上げ、ヒシ! とそれぞれの頭にしがみついた。冒険者達は、美女&美少女に囲まれた挙句、幼女を肩車して現れた零に、色んな意味を込めて殺気を叩きつけ始める。ますます、震える子供を肩から降ろし片腕抱っこに切り替えた。ミュウ達は、胸元に顔をうずめ外界のあれこれを完全シャットアウトした。

 

「おい。今こっち睨んだやつ」

「「「「「「「?!」」」」」」」

「……笑えよ」

「「「「え?」」」」

「聞こえなかったか?笑えと言ったんだ。にっこりとな。怖くないアピールだ。ついでに手も振れ。お前らのせいで家の子が怯えちまったんだ。トラウマになったらどうする気だ?ア"ァ"?責任とれよ」

 

冒険者達はニッコリと笑った。

 

「ゴモラ、もう大丈夫だぞ」

「……?」

 

ゴモラはゆっくりと振り向き、冒険者達を見た。冒険者達はにっこり笑顔で手を降った。

 

「ヒィゥ!」

「どぉいうことだ貴様らぁ!!!」

「「「「「無茶言うなぁ?!あ、ちょ、まっ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」」」

 

零が睨みつけると冒険者達は次々に倒れていった。愛優美はその冒険者達を突いて、意識がないことを確認し、同情の視線を浴びせた。

 

「ねぇねぇ、うちの弟怒ったら怖いんだけど…」

「うん、零くんの後ろに8つの首の龍が見えたの私だけ?」

「え?香織にはそう見えたの?私にはいつものしげるしか見えなかったよ?」

 

そんな事を言われている間、ハジメと幸利はカウンターの人に話しかけていた。

 

「支部長はいるか? フューレンのギルド支部長から手紙を預かっているんだが……本人に直接渡せと言われているんだ」

「は、はい。お預かりします。え、えっと、フューレン支部のギルド支部長様からの依頼……ですか?」

 

冒険者カードを見せるとカウンターの人は驚愕の目をしていた。

 

「き、“金”ランク!?」

 

叫ぶとギルドの中にいた冒険者達も全員零達を見た。

 

「も、申し訳ありません!本当に、申し訳ありません!」

「あ~、いや。別にいいから。取り敢えず、支部長に取り次ぎしてくれるか?」

「は、はい!少々お待ちください!」

 

やがて、と言っても五分も経たないうち、ギルドの奥からズダダダッ!と何者かが猛ダッシュしてくる音が聞こえだした。何事だと、零達が音の方を注目していると、カウンター横の通路から全身黒装束の少年がズザザザザザーと床を滑りながら猛烈な勢いで飛び出てきて、誰かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡し始めた。

零達は、その人物に見覚えがあり、こんなところで再会するとは思わなかったので思わず目を丸くして呟いた。

 

「……浩介?」

「え、浩介か?」

「浩介なのか?」

「え?遠藤くん?」

「ちょっと、浩介くん大丈夫?!」

「どうしたの?またお兄ちゃんにボコボコにされたの?」

「どうしたの!?はっ!恋人いないのか!乙」

 

みんなが心配するなか、愛優美だけ煽りはじめた



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再会2

前回のあらすじ、彼女いない乙
「え、違くない?」
んじゃ、こっちか?『しげるん子離れできない件』
「それも違うだろ」
じゃぁこっちか?『愛優美、死す。父の遺産』
「勝手に殺さないでくれる?!!あと、あの人の遺産なんて。しげるの年収と同じよ?」
「待て待て、俺の年収??なしだけど?」
「だから、父の遺産なんてないの」

「上で話してる3人は置いといて、前回のあらすじは浩介くんと再会して、愛優美がディスろうとしたんだよね」
「でも、実際そうじゃない?」


再会直後にディスろうとした愛優美は置いといて。

 

「久しぶりだな。浩介」

「ハジメか?!零達の声もする……何処にいるんだ?!!」

「ここにいるだろ」

「幸利?!!てことは、お前らがハジメと零?!!変わりすぎだろ!!」

「香織達もいるからな。忘れんなよ」

「白崎さん達も?!!!っつ?!恵理!お前は本物だよな?」

「どういうこと?」

「急に飛び出してきた理由、恵理にそんな事を聞いた理由を聞こうじゃないか」

 

浩介にここにいる理由を聞いた。

 

「実は……オルクス大迷宮に魔人族が現れたんだ…」

「「「「?!!」」」」

 

零達は目を丸くした。

 

「…鈴は?鈴は無事なの?!」

「……さっき本物か聞いた理由は恵理に似たヤツが出てきたんだ」

「「「「は?/え?」」」」

「ソイツが鈴に触れた瞬間……鈴が石化したんだ」

え?

 

浩介の話を聞くと、恵理から今までにないほどの怒りを感じた。

 

「まさか、偽物は魔神族側にいるとか、言わないよな?」

「お前が思っている通りだ…。頼む!!!助けてくれ!!」

「メルド団長はどうした?」

 

幸利がメルドについて聞くと、浩介は顔を下げていった。

 

「殺された……殺されたんだよ!!」

「ねぇ、そこにイリスはいるの?」

「……? あ、あぁ…イリスさんもいる」

「……しげる。無理とか言わないでしょうね?私はイリスを助けに行くわ」

 

フミアは微かに殺意が芽生えていた。

 

「お兄ちゃん。私も行きたい……ううん、行く。鈴を……親友を石に変えたやつを許さない…!!」

 

恵理の手には少しだけ血がついていた。それほど強くしていたのだろう。

 

「ハジメ、悪いが……ここで別行動になるかもしれない」

「何を言ってんだ、香織達も行く気満々。行くぞ」

「ほ、本当か?!!」

「あぁ、だが忘れるな。俺達は鈴とイリスの救出が最優先だ」

「あぁ!別にそれでもいい!!」

「おい、支部長。あんたから依頼を出してくれ。それを俺達が受ける。報酬はいらん」

「……まさか見つかるとは。わかった、依頼を出しておこう」

 

隠れていた支部長にそう言って、ギルドを出ようとした。

 

「あ、零……いや、しげる。ちょっと来て」

 

愛優美に止められた。

 

「ねぇ、いつになったら元の姿に戻るの?気づいてるんでしょ?元々()()()6()()()1()()()()()()()()()を」

「………知らねぇよ。今はイリスの救出だ」

「そっかぁ〜、じゃぁ私……いや、()も少しだけ本気を出そうかな」

「勝手にしろ」

 

そう言って零はギルドを出た。

 

(6つで1つの存在……俺とマガタノ……残りは()()()()のことか……?なら、あと一人は………)



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迷宮で再会、妹の激怒

「オラッ!浩介、はよ道案内しろ!」

「痛いからやめろ!迷宮までの道ぐらい覚えてるだろ?!」

「そんなことはいい」

 

零達は迷宮まで、浩介に案内を頼んだ。

 

「これ、私が迷宮までゲート作ったほうが楽じゃない?」

「「「「「それだ!!」」」」」

「馬鹿なのかしら」

 

浩介の案内をやめ、愛優美のゲートで迷宮の20階層まで飛んだ。

 

「ここからどうやって行くつもりだ?」

「よし任せろ。耀!」

「おうよ!さぁ、行こうぜ!!」

【ウルトランス:EXレッドキング】

「なまってねぇだろうな」

「当たり前だろ?」

 

そう言って、零と耀は地面を殴った。すると、地面が崩れて零と耀はどんどん下に行った。

 

「おいおい、俺と会ってない間に怠けちまったんじゃねぇか?」

「なら、この後戦うか?」

「いいな。賛成だ!」

 

そんな感じで二人が話していると、上から誰かが落ちてきた。

 

「ちょっとお二人さん。戦うのはいいけど、どこで戦うわけ?この世界じゃ戦ったら駄目だよ?」

「当たり前だ!と言うか、なんでお前がいるなよ!」

「君等が勢いよく掘るから、ハジメ達がついていけてないの。ジャベリンがアンカーを刺してゆっくりと降りてきてるから。ついたら私がゲートを作ってみんなを連れてくるの」

 

そう言いながら愛優美がゆっくりと飛びながら降りてきた。その後も掘り続け、80階層にきた。

 

「お、ここは80階層か。愛優美、ゲート」

「了解!」

 

そうして、ゲートが出来上がるのを待っていると、作った穴から声が聞こえた。

 

「キャァァァァァァ!!!」

 

上を見るとジャベリンが落ちてきた。零は上手くキャッチをした。キャッチの仕方がお姫様抱っこだったのは、気にしない。ただ、その上からアンカーが落ちてきて、耀に当たった。

 

「し、指揮官?!すみません!」

「いや、そこはいいんだけど。耀大丈夫か」

「当たり前だろ」

 

そう言いつつも、少し涙目になっていた。

 

「あわわわわ!すみません!!」

「「いや、大丈夫。次気をつけたらいいよ」」

 

そう言っていると、ハジメ達がゲートを通ってきた。ちなみにジャベリンはニーミに怒られていた。

 

「それで、この下にいるんだっけか?」

「正確には85階層に」

「あ、そうだ。幸利と浩介にこれやるよ」

 

零は作ったけど、ずっと使わなかったTeX装備を二人に上げた。

 

「さぁ、行くぞ」

「やってくれハジメ」

 

ハジメは巨大なアンカーを作り、地面を壊した。そして、恵理が最初に降りた。続いてみんなも降りていった。

______________________

恵理は降りてすぐに、石化した鈴の場所を探した。

 

「恵理ちゃん!!」

 

キラキラネームの事を無視して、恵理は鈴の顔を触った。

 

「鈴……今、助けるからね」

 

そう言って、恵理は魔人族の方に振り返っていった。

 

「親友を…鈴をこんな姿にしたの誰?」

 

魔人族は何も言わずに恵理に魔法攻撃をした。だが、恵理の次に降りた何かによって防がれた。

 

【ベムスターアーマー:アクティブ】

「おい、俺の妹に何しようとしてんだ。テメェ」

 

そこには、ベムスターアーマーをつけて魔法を吸収した零がいた



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番外編の正月

ネタバレ注意+何故かすぐに投稿しちゃったので、再度投稿します。
申し訳ございませんでした


ハジメ達を、連れて幻想郷に来ていた。

 

「お、見えてきたぞ」

 

現在、博麗神社に来ていた。

 

「階段長すぎだろ…………ミュウ、大丈夫か?」

「ミャミャも、足疲れてないか?」

「大丈夫なの!」

「うん!」

「ゴモラ達も大丈夫か?」

「うん!大丈夫だよ!伊達に怪獣やってないから!」

「えっと、博麗神社?」

 

そう言って、鳥居を潜ると、一人の巫女と二人の魔法使いと咲夜がいた。

 

「取り敢えず、賽銭だけ投げてもう2個の神社行くぞ。ほら金は俺がやるから」

 

そう言い、金を全員に渡して賽銭箱に入れた。

 

「神様が参拝って………」

「そこは気にするな。ほら、行くぞ」

 

そうして、階段を下ると後ろから「うわぁぁぁぁぁ!!一万円札が……40枚?!!ヒャッホォォォイ!!!」と言う奇声が聞こえた。

 

「よし、次は守矢神社だ」

 

スキマを開いて、守矢神社にいった。

 

「さて、早速賽銭箱に―――」

「おい待てよ。なんでその目がいっぱいのヤツを今まで使わなかった?」

「ミャミャも」

「ミュウも」

「「さっきの階段で疲れてるんだぞ?」」

 

幸利、ハジメ、浩介に迫られた。

 

「おうおう。落ち着け。安心しろ。この次の神社が宴会会場だから」

「あ?宴会?なんの?」

「正月だからな」

 

そう言いながら、また一万円札を全員に渡した。全員が賽銭箱に入れたのを確認すると、最後の神社に向かった。

 

「永桜神社?」

「なんでここだけ桜が…?」

「あ!ミツネだ!!」

 

恵理は神社でくつろいでいるミツネを見つけて駆け寄った。

 

「なんでミツネが?」

「それはな………ここは俺の神社だからだ」

「「「えぇぇ?!あ、そうか神様か」」」

 

そう言われながら、またまた一万円札を全員に渡した。

 

「つか、お前らはなんてお願いしてるんだ?」

 

そう聞くと(ここだけ名前をつけます)

 

ハジメ「あ?あんな異世界転送はもうありませんように、」

幸利「ゲームでUR当たりますように、」

浩介「自動ドアに引っかかりますように、」

愛優美「弟に愛されたい、」

雫「剣道を上手くなれますように、」

香織「ハジメくんと幸せな家庭が築けますように、」

恵理「お兄ちゃんと鈴とずーっといられますように、」

鈴「恵理とずーっといられますように、」

依姫「この幸せがずっと続きますように、」

三月「お嬢様に幸せな日々が来ますように、」

フミア「吸血鬼ハンターがこの世からいなくなりますように、」

耀「酒をずーっと飲めますように、」

イリス「フミアとずっといられますように、」

神羅「妻とずっといられますように、」

ユエ「ん…ハジメとずっといられますように、」

ティオ「今がずっと続きますように、」

シア「ウサミミが増えますように、」

ミュウ「パパとママとずっと過ごせますように、」

ミャミャ「パパとずっと過ごせますように、」

ゴモラ「パパ達とずっと過ごせますように、」

サイバー「お父さん達とずっと過ごせますように、」

メカ「父さん母さん達とずっと過ごせますように、」

夜月「父さんと母さんと、妻とずっと過ごせますように、」

ベル「ロイヤルメイドとしてご主人様の役立てますように、」

ベルちゃん「えっと…ロイヤルメイドとして頑張れますように、」

雪風「指揮官達とずっといられますように、」

綾波「指揮官にゲームで勝ちたいです、」

ラフィー「ん…指揮官と一緒に……いたい、」

ジャベリン「指揮官やラフィーちゃん達と仲良く過ごせますように、」

ニーミ「ラフィー達がちゃんと勉強できますように、」

エンプラ「この世界から争いが消えますように、」

 

全員の願いは違うが、数名がガチの願いを言っていた。

 

「そうか、んじゃそろそろ宴会あるし………見てみるか?」

「おう。一回だけな」

「あ、子供は依姫の後ろにいろ」

 

そう言い、神社の中に入ると襖をずらすと、いきなり酒樽が飛んできた。それを耀はキャッチして、飲み始めた。

 

「……あっぶねぇな」

「お、これはスピリタスか」

 

耀は酒樽を飲み干した。

 

「あれぇ?よぉう?」

「おうおう。灯、急に樽を投げるのやめろ。危ないだろ」

 

「普通にアブねぇな。あっちでユエ達といるから」

「んじゃ、俺はこっちの奴らといるからな」

 

そう言って正月の宴会が始まった




※おまけ
「そう言うお前の願いは?」
「ん?俺の願いは…………依姫やフミア、雫が幸せな生活を送ってくれればそれでいい」


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もう一人の恵理

魔人族の方を見れば、指揮官と思わしき魔人族、それと魔物が数十匹、そして………恵理に似た人物。

零はこの恵理を知っている。見た目は恵理だが、全くの別人……いや、そもそも人ではない。

 

「おい、そのブサイクな顔で俺の妹になりすますんじゃねぇ」

「…………流石と言うべきかな」

 

偽物の体が光、形が変わっていく。しばらくして、光が収まり、姿が見え始める。その姿は―――

 

「やっぱりか……………石化といい、本物そっくりの人物といい………そんなことができるのはお前だけだよな。なぁ?()()()()()()()()()()()よぉ〜?」

シュハッハッハ!…流石、イロアスの生き残りだなぁ〜

 

イロアス?知らない名前に少し困惑していると、愛優美が零の横に立って言った。

 

「ちょっと待ちなさい。いや、待て……何故貴様が()()()()を知っている?」

シュハッハッハ、もう一人イロアスの生き残りがいたのか…

「質問に答えろ。何故お前のような存在が知っている?」

忘れたとは言わせんぞ。俺は()()()()()()()()に何度も計画の邪魔をされた!!

 

そう言い、スーパーヒッポリト星人は鼻からヒッポリト・ファイヤーボムを何度も放った。

 

闇の一族だというのに、あの忌々しいウルトラマン共と同じことをしやがって!!

「闇の一族?何の話か知らんが……攻撃してきたから、もう穏便にはすまさんぞ。愛優美」

「えぇ、わかっている」

 

そう言うと愛優美は久々の登場マグマナックルとビルドドライバーを持った。

 

『ボトルバーン!クローズマグマ!アー・ユー・レディ!?』

「変身!」

『極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』

「力がみなぎる… !魂が燃える… !私のマグマがほとばしる!」

 

そうして、愛優美はスーパーヒッポリト星人に突進しに行った。愛優美が行くと、俺はハジメのほうに行った。

 

「ハジメ、後ろのアイツらはどうだ?」

「知るか。メルドはシアが見ている」

「そうか」

「お兄ちゃん、鈴を元に戻せない?」

 

恵理は少しだけ涙を流していた。

 

「安心しろ、今すぐにでも元に戻せれる」

「じゃぁ―――」

「悪いんだが、コイツがここにいる時点で今すぐにはできない」

「え?/は?」

 

そうして、零は手の平を敵がいる方向に向けた。すると、物凄い勢いで何かが飛んできた。それは人の形をしているが、色んな怪獣が混ざった存在。しかも、

 

「よう、()()。そんな姿になっても香織のことが好きなのか?」

うルせぇ!お前ガぉ前らさぇぃなければ!

 

その怪獣から檜山の声が聞こえた。いや、檜山だった存在の声だな。

 

「さて、それよりもだ………………………………そのお前の穢らわしいところにつけてるその怪獣……何処で見つけた?

 

零は檜山が股につけていた一匹の怪獣の破片を見て激怒した。

 

フン!そんなもん、誰がぉしえるか!テメェはさっさと、その刀を渡せ!!その()()()()()()()()()()を!

 

檜山はマガタノが狙いだった。だが、何よりもソレをつけていることが不愉快だった。

 

「コイツを渡す気はないし、ソレを………()()()()()()()()を何処で手に入れたの言わないのなら………死んでもらう」

死ぬのはぉまぇだぁぁ!



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Bのメダル

檜山………いや、この際改名して実験獣ヒヤマにしよう。コイツがつけているエレキングの尻尾………ただのエレキングではない。黒かった模様が稲妻の模様で、青かった。

 

「おい!愛優美!Bメダル(ベリアルメダル)よこせ!」

 

スーパーヒッポリト星人と戦っている愛優美に向かってそう言った。

 

「えぇ?!うぅ〜ん、わかった!受け取って!!」

 

愛優美はスーパーヒッポリト星人を投げ飛ばして、零の方向に何かのメダルを投げた。それを難なくキャッチして、何処からかわからないけど、ゼットライザーを取り出した。

 

《シゲル・アクセスグランテッド》

「ゴモラ、こっちへおいで」

「?」

 

ゴモラを一度メダルにしてゼットライザーにはめた。服のポケットから、もう一つのメダルをはめ、最後に愛優美から貰ったメダルを入れた。

 

「ゴモラ、レッドキング、ベリアル」

 

そう言いながらスロットをスライドさせてメダルを読み込ませた。

 

《ゴモラ・レッドキング・ベリアル》

「……これでエンドマークだなーんつってな

 

トリガーを押すと、メダルが零の体に入り、形が変わる。

 

《スカルゴモラ》

『キュァァァァァ!!!』

な、なんだよ!その姿!き、きぃてねぇぞ!!

『そりゃぁ、誰にも言ってないからな!』

 

ヒヤマに向かって突進しながらスカル振動波を周囲に撒き散らすように放った。周りへの被害が少なく、魔物が振動波で吹き飛ぶだけだった。

 

ぅ、ぅわぁぁぁぁぁぁぁ?!こ、こっちに来るんじゃねぇぇ!!

 

そんな事を言うが、零のほうがヒヤマよりも早かった。

_____________________

ところ変わって、ハジメよりも後ろにいるキラキラネーム達。

 

「彼らはいったいなんなんだ…?」

 

キラキラネームはそう言った。それに答えるかのように浩介が近づいた。

 

「あれは零達……奈落に落ちた零達だ」

「「「「は?」」」」

「はは、普通驚くよな」

 

香織達が無事だった。それが本当に嬉しかった。だが、零達が生き残っていたのがおかしかった。いや、認めたくなかった。なぜ生きているのか、それは雫達に助けられた。そう思っていた。

______________________

ヒヤマとの真っ向勝負は俺が勝っていた。だが、

 

こ、これをくらぇぇ!!

 

汚らわしい場所につけられたエレキングの尻尾で攻撃をしてきた。

 

ハハハ!!避ければ谷口の石像が壊れて、死ぬぞ!

『……だと思った』

 

ゼットライザーのゴモラとレッドキングのメダルを外し、別のメダルをつけて先ほどと同様、スロットをスライドさせて読み込ませた。

 

《エレキング・エースキラー・ベリアル》

「電気には電気だ」

《サンダーキラー》

『キィィィィ!!』

 

三日月型カッターでヒヤマの尻尾を切ったあと、鈴のブロンズ像の前に立った。

 

『もし、コイツが俺の弱点になるってのなら……』

は?なにして―――

『壊すだけだ!!』

 

左腕のエースキラーの鉤爪を使ってブロンズ像を壊した。

______________________

キラキラネーム達は何もできずにいた。

 

『もし、コイツが俺の弱点になるってのなら』

 

零は右手で鈴の石像を掴んだ。

 

「お、おい。アイツ、何しようとしてるんだ…?」

 

左腕の鉤爪を上に上げた。

 

「おいおいおい…!」

「待て!やめろ!」

「紅蓮くん!やめて!」

『壊すだけだ』

 

キラキラネーム達は驚愕した。鈴の石像を零が粉々に壊したからだ。破片が周りに飛び散った。

______________________

クラスメートの前でブロンズ像を壊す。これは零の作戦であった。

 

は?はぁ?はぁぁ?!ぉ、ぉまぇ!何したんだ!

『壊した。それだけだ』

 

ヒヤマは驚きすぎて、口以外動いていなかった。

 

な、何してくれてんだ!ぉれのけぃかくを!!

 

ヒヤマは零に向かってまたエレキングの尻尾で攻撃しようとする。だが

 

『もうそれ使うな』

《ゼットン・キングジョー・ベリアル》

『これでジ・エンドだ』

《ペダニウムゼットン》

 

ペダニウムゼットンにチェンジしてからテレポートでヒヤマの前に行った。

 

ヒ、ヒィィィ!!?

 

ヒヤマは倒れた。そんなのお構いなしに零はエレキングの尻尾を体から引き千切った。

 

ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"?!!!

 

尻尾とついでに、ヒヤマの汚らわしい物が一緒についてきた。

 

『チッ汚ねぇな』

ぉ、ぉれのぉぉ!!!

『さて、どう始末するか……やっぱり、俺らと言えばこれだよな』

 

そう言って、人間態に戻った。戻ってすぐにヒヤマを蹴った。

 

「まぁいいか。喜べ、もう苦しまずにすむぞ」

 

零は今度はもっと禍々しいゼットライザーを取り出した。

 

シゲル・アクセスグランテッド

「マガタノ、メダルになれ」

 

零がそう言うと腰につけていた刀が光始め、メダルに変わった。

 

「マガオロチ、アークベリアル、ベリアル」

マガオロチ・アークベリアル・ベリアル

「さぁ……終焉ノ刻だ

禍々アークベリアル

 

今度はかなり禍々しい姿に変わった。

______________________

鈴の石像が壊されてからキラキラネーム達は動かずにいた。だが、零の言葉によって正気に戻る。

 

「まぁいいか。喜べ、もう苦しまずにすむぞ」

 

その言葉に殆どの人が勘違いをした。「ヒヤマをもとに戻してくれる」そう思った。だが、現実はそう甘くはなかった。

______________________

足でヒヤマを押さえつけ、口に光線を溜めた。

 

「さぁ、もう死んでいいぞ。マガマガアーク「ま、待て!紅蓮!!」………」

 

キラキラネームが止めた。さっきまで何もしなかったキラキラネームが止めてきた。

 

「ヒヤマをもとに戻してくれ!俺達は仲間だ!お前に人殺しをしてほしくない!頼む!」

 

それを無視して零はマガマガアークデスシウムをヒヤマに向けようとしたそんな時だった。

 

「二人共よけて!」

 

雫が声を荒らげていった。零と愛優美目の前の敵をほっといて、変身を解除して後ろに飛んで雫達の前に降りた。すると、さっきまでいた場所に煙が降り注いだ。

 

「やっぱ魔人族が邪魔してくるか」

「ねぇ、あの煙…固まってない?」

 

愛優美に言われてみると、降り注いだ煙が固まっていた。

 

「なにしてんだいヒヤマ」

ヒッ、すみません

「まぁいい。お前達!やっちゃいな!」

 

魔人族が言うと、魔物達がこっちに突進してくる。

 

「ハジメ、頼んだ」

「わかった」

 

零とハジメはバトンタッチをするように交替した



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鈴の復活

ハジメと交替したあと、ラフィー達を戦闘準備にした。零の後ろではラフィー達が主砲を構えていた。

 

「綾波、魚雷は駄目だ。ここは海じゃないから使えない」

「わかった…です」

 

ラフィー達の後ろにはエンプラが弓を引いていた。

 

「ハジメ達が取りこぼした魔物が目標だ」

 

そうしていると、シアがこっちに来た。

 

「レイさん!」

「ん?どうした?」

「あの騎士さんの回復は香織さんの魔法で治りました!」

「そうか。だったら、雫達と一緒にラフィー達の攻撃を抜けたヤツらの始末を頼む」

「了解ですぅ!でも、ハジメさんが取りこぼすことあるんですか?」

「ない。まぁ、もしもの場合だ」

 

ハジメが魔物を取りこぼすことなんてそうそうない。

 

「指揮官、ヒヤマが―――」

 

魔物は来なくてもヒヤマは来るようだ。

 

「ヒヤマは撃つな。俺が仕留める」

 

すると後ろから声がした。

 

「紅蓮、檜山を殺すって言うなら………俺はお前を止める!」

 

キラキラネームだ。剣を構えてこっちに来た。ニーミが主砲を向けようとした。

 

「やめろニーミ撃つな」

「ですが…」

「人間を撃つのはやめろ。魔物を狙ってくれ」

 

そう言ってニーミ達を魔物の方に向け、俺もキラキラネームを無視して前に出ようとした。すると、キラキラネームがまた声をかけてきた。

 

「おい!無視するな!」

 

零とキラキラネームの間に誰かが入り、キラキラネームに向かって刀を向けた。これをするのは依姫か雫のどちらかだ

 

「し、雫?剣を向けるのやめてくれ!」

「そうね。じゃぁ零の邪魔もしないでくれる?あ、零私がここ止めとくから行っていいよ」

「助かる」

「なっ?!雫!紅蓮はヒヤマを殺そうとしているんだぞ?!」

「黙って!」

 

雫はまた声を荒げてキラキラネームに言った。それを聞かずに零はヒヤマの前に立った。

 

「あ、零!私も用事があるからヒヤマを殺すのは魔人族とスーパーヒッポリト星人を倒したあとにしてくれない?」

「はぁ、仕方ない。先に鈴の石化を戻すか」

ま、待て!?

「無理」

 

零はヒヤマをブロンズ像に変えた。

 

「お兄ちゃん!鈴は?!」

「安心しろ。ブロンズ像は壊したが、死んでいない」

「本当?!」

 

そう言って鈴の石像があった場所にマガタノを刺した。

 

「さて、飛び散ったブロンズ像の破片よ。元の場所へ戻れ」

 

刀が光、ブロンズ像が元に戻った。

 

「こっからどうするんだっけ…」

「はぁ、ちょっと退いて」

 

零が少し考えているとフミアが零の前に立った。

 

「こう言うのは時を戻すのよ。マガタノを貸しなさい」

 

刀を持って、鈴のブロンズ像を切った。すると、ブロンズ像が光輝き、中から鈴が出てきた。

 

「す「鈴!」」

キラキラネームよりも先に恵理が鈴に抱き着いた。

 

「エ…リリン?」

「そうだよ!恵理だよ!本物だよ!」

 

鈴と恵理が抱き合った。

 

「恵理、鈴を香織のところに連れて行け。ブロンズ像から解けたばっかりだ。まだ麻痺してるかもしれないからな」

「うん!わかった!鈴、行くよ!」

「え?ちょ待って、わかんない。紅蓮くん?南雲くん?シズシズ?カオリン?エリリン、みんななにか変わってない?」

「話はあとで!話したいことはいっぱいあるけど、鈴は先に回復!」



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怪獣同士の戦い

ヒヤマをブロンズ像に変え、鈴を元に戻している間、ハジメが魔物を全部倒して魔人族にとどめを刺そうとしていた。

 

「さて、悪いがお前の遺言なんぞ聞く気は無い。それより―――」

「………………舐められたもんだね。もう勝った気でいるのかい?」

 

自信ありげに話す魔人族。すると、魔人族の後ろの空間に亀裂が入る。

 

「……これは!」

「確かにあの方から享け賜った魔物は打ち止めさ…………けどね、私は手札を全て切ったと言った覚えは無いよ…………!」

 

空間が割れた。割れた先から2体の怪獣が現れた。1体は口の中に大きな目があり、両肩に首がある。もう1体は体が緑色で牙が真っ赤だ。

 

「……超獣か?」

「へぇ…その名前を知ってるのかい…だが、超獣だけじゃなくて魔獣もいるけどね………本当にこいつらを使う事になるとは思わなかったけど………悪いけど諦めるんだね。こいつらは一応私が預かった奴らだけど…、私の制止なんか聞きやしないよ………!」

「チッ………やっぱりか!」

 

ハジメは舌打ちすると銃を引いて踵を返した。

 

「おや? 戦わないのかい?」

 

魔人族の女がニヤリと笑ってそう問いかける。

 

「ああ。そいつらには勝てん」

「へぇ……そういうのはわかってるのかい」

 

そう言って、ハジメは零達の方に帰ろうとした。すると

 

「おい南雲!戦わない内から諦めるのか!?」

 

キラキラネームがそう言った。

 

「勝てない奴に勝てないといって何が悪い」

 

ハジメは平然とそう返す。

 

「だが、戦わなければ皆がやられるんだぞ!?」

 

ハジメはそれを聞くと溜息を吐く。

 

「俺は勝てないとは言ったが、諦めたとは言ってない」

「なんだって…?」

「自分で勝てないのなら、勝てる奴に任せれば良いだけの話だ」

 

ハジメはそのまま歩いて来て、

 

「そう言う訳だ。後は任せた」

 

零と愛優美とすれ違うと同時にそう言った。

 

「任されろ」

「任せて!」

「ふっ………こいつらの恐ろしさを分って無いと見える」

 

魔人族の女がそう笑うが、

 

「少なくとも、貴方よりは分かってるつもりだよ。ね?」

「あぁ、行くぞ」

 

零はゼットライザーを、愛優美はダークスパークを持った。

 

『シゲル・アクセスグランテッド』

「マガオロチ、アークベリアル、ベリアル」

マガオロチ・アークベリアル・ベリアル

「さぁ……終焉ノ刻だ」

禍々アークベリアル

『ギュアアァァァァハハハ!!』

 

零はマガマガアークベリアルへ

 

《モンスライブ:レッドキング》

『キュアアアァァァ!!!』

 

愛優美はレッドキングに変身した。

 

『愛優美は緑色のヤツを!俺は目の怪獣を!!』

『わかった!』

 

何もわからないキラキラネームは声を上げた。

 

「な、なんなんだ……紅蓮と愛優美はどこへ?!」

「あの黄色のが愛優美でもう片方が零だ。つか、零のに関してはさっき変わってたろ。見えてねぇのか?」

 

キラキラネームの疑問にハジメはそういった。

そうして、それぞれ相手にする怪獣とぶつかる。ぶつかった衝撃で迷宮が揺れたが、そんなの気にしない。尻尾を使い、怪獣の足を引っ掛けた。

 

『キュロロロロ?!』

 

バランスを崩したところに追い打ちをかけようとしたが、そこで魔人族が話しかけてきた。

 

「いいのかい?ソイツは元々あんたらと同じ()()()()()んだよ?」

 

人間だった。つまり、誰かがモンスライブしているということ。それを聞いたキラキラネームが零に命令をし始めた。

 

「紅蓮!やめるんだ!()を殺してはいけない!!」

「ほら、()()()()()が言っているよ?」

 

その二人の話を無視して、零はマガマガアークデスシウムを怪獣に撃った。

 

「?!…まさかホントに殺すとは思わなかった……」

 

後ろでキラキラネームが膝をつける音がした。だが、そんなの気にしない。

その頃、愛優美はレッドキングで緑色の超獣……ドラゴリーを難なく倒していた。それぞれの怪獣を倒して、変身を解除した。

 

「チッ………だったら、コイツはどうだい!!」

 

そう言って、魔人族がある怪獣を出した。それは…

 

「ガイガンとは……まためんどくさいの持っているなぁ〜魔人族」

「コイツはさっきの奴らなんか、比じゃないほど強い!」

 

それを聞くと、零は愛優美の方に振り向いた。

 

「これは…仕方ねぇよな?」

「ふふふ、そうだね」

 

何やら楽しそうな声で話していた。

 

「な、何を…話しているんだ?戦わないと皆がやられるんだぞ!そんなときに、何を笑って!!」

 

キラキラネームはそう怒鳴りつけてきた。そんなキラキラネームに二人は

 

「「黙れ」」

 

その一言だけ言って前を向いた。

 

「さて、久々に本気を出しても耐えられる相手が来たんじゃねぇか?」

「ふふふ、耐えれるのかな?()()()()()を」

 

零は愛優美をメダルに変えた。

 

『ニューノヴァ・アクセスグランテッド』

「ニューノヴァ?誰だそいつ」

 

そう思いながらも零は自分の体の中に手を入れてメダルを取った。ゼットライザーに零、愛優美、マガタノの順番でメダルをはめた

 

『シゲル・マユミ・マガタノオロチ』

「これが、絶望へのプレリュードだ」

『ニューノヴァ』

 

そう言うと、零の体がグチャグチャと音を立てながら変わっていった。肩から、龍の首のような物が突き出て、足が太くなり、靴から爪が出てきた。背中から尻尾のようなものが3つ、それぞれの尻尾まで続く背ビレのような突起物、胸にはウルトラマンのカラータイマーのような、違うようなものが出てきた。そして、腕は翼に変わった。

 

クァァァァァン!!

 

その鳴き声は世界を超え、時空を超え、次元を超え、色んな世界に響き渡った



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最凶で最強の怪獣

『ニューノヴァ・アクセスグランテッド』

 

『シゲル・マユミ・マガタノオロチ』

「これが、絶望へのプレリュードだ」

『ニューノヴァ』

 

クァァァァァン!!

 

______________________

『アハハハ!!懐かしい、実に懐かしい!!』

『もう一度この姿になれるとは思わなかったぜ!!』

『言っても、これは仮の姿だけどね!』

 

3つの声が迷宮内に響き渡る。一人は愛優美、一人は零、もう一人はマガタノ。

 

「な、なんなんだい!その姿…!!まるで、アイツが話していた怪獣じゃないか!」

 

魔人族はこの姿を知っているかのような口ぶりだった。

 

『へぇ〜?この姿を知ってる人ねぇ〜』

『そりゃぁ、アイツしかいねぇなぁ?』

『あの時殺したのに、まだ生きてるんだね』

「ガイガン!!あんなヤツ、やっちゃいな!本来の姿じゃないならあんたでも戦えるはずだ!!」

『ギュィィィィン!』

 

魔人族に指示されてガイガンは怪獣の方に行く。だが、

 

『この姿でまだ同じだと思えるお前らすごいな』

『キャハハハ!絶望を植え付けやるよ♪』

『あぁ〜あ、そんな女に命令されたばっかりに―――』

 

そう言いかけたときだった。ガイガンの頭が上半身から外れて地面に落ちた。

 

『―――まだ生きたかもしれないのになぁ〜』

「は?」

 

魔人族は呆気に取られていた。

 

「そ、そんなはずない!だって、アイツがこれなら勝てるって…!どんな奴も倒せるって……」

『アハハハ!君の切り札もう消えちゃったね♪それでどうするの?逃げちゃう?やっぱ逃げちゃう?』

「くっ!」

 

魔人族は走って逃げようとした。だが、恐怖でうまく走れず、途中でコケた

 

『あぁ〜あ、やっぱ逃げちゃうかぁ〜、もしかして、私が怖い?怖いよねぇ?切り札があんなにすぐに倒されるとは思わなかったもんねぇ?』

「……ぁ………」

『そっかぁ〜、もう喋れないかぁ〜』

「…ま…待て……!…ぁっ…ま………待って……くだ…さい…………」

『んんんん???』

「…ころ……さなぃ……でくだ……さい…」

『あぁ〜、そういうことね。大丈夫!私は()()()()()♪』

 

そう言うと、魔人族は顔を上げた。許される、殺されない。そう思っただろう。だが現実はそう甘くはない

 

『痛みなんて感じないように殺してあげるよ♪』

「……ぇ……?」

 

それを言ったあとに魔人族は魂が抜けたかのように倒れた。

 

『ごちそうさま♪クソマズかったよ♪』

『あぁ〜あ、やっぱアイツしか本気で戦えるヤツいねぇのかぁ〜』

『っと、ちゃんと最後(死体)まで食わないとだね』

 

そう言って、魔人族の死体は地面ごと食われた。

 

『うぇ……やっぱりマジィな』

『やっぱ魔人族だからかな』

『アハハハ!君らなんで固まってるの?』

 

後ろを見ればキラキラネーム達が静かにこっちを見ていた。ハジメ達はと言うと、地上でミュウ達を守ってるパチェとミレディに通信を入れていた。

 

「おい紅蓮!なぜ彼女殺した!」

 

声を荒げて言うが届いていないようで、一本の首がずーっとヒヤマのブロンズ像を見ていた。

 

『アレの処分どうしようかな』

『ここで完全に別れたいから、殺そうか』

『キャハハハ!我ながらいい案だね♪』

 

そう言って口を開き、食べようとしていた。

 

「ま、待て!」

 

キラキラネームがそう叫んだ。今度は聞こえたらしく、一本の首がキラキラネームの方を向いた。

 

『なに?食事中なんだけど?』

「もう人殺しは良くない!やめるんだ!!」

『へ?……プッ……キャハハハハハハハハハ!!!』

 

高笑いが響く。キラキラネームもクラスメートも目を丸くする。

 

『人殺し?え、人?まさかだと思うが、お前はコイツの事を人間だって思ってるのか???』

「当たり前だ!ヒヤマは檜山だ!!」

 

そう言うと、また笑い始めた。

 

「な、なにがおかしい!!」

『……いいか?コイツはお前が言う檜山ではない。怪獣だ。実験獣ヒヤマだ』

「違う!檜山だ!」

『話にならん』

 

そう言うと、ブロンズ像からヒヤマに戻した。それを見るとキラキラネームは

 

「そうだ!わかってく『いっただっきま〜す♪』れ……は?」

やめろォ!なにしやがる!はなせ!

 

一本の首がヒヤマを掴んだ。

 

『あ!ズルい!それ私もほしい!』

 

そう言ってもう一本の首がヒヤマ下半身を掴み、取り合いが始まった。

 

ぁぁぁぁぁぁぁ!!やめろ!千切れる!千切れぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

取り合っていると、胴体が上下真っ二つになり、内臓らしき物が落ちる。

 

『『あぁ〜あ、せっかくの物がぁ〜』』

 

突然、キュイン!キュイン!と謎の音が響き渡る。

 

『『『ん?』』

 

その音が消えると、怪獣は光始め、二人の人間に戻った。

 

「う、……うぇ!」

 

戻ってすぐに零が吐いた。

 

「…ひ…久々過ぎて…う…うぇ」

 

零の次に愛優美も吐き、二人は同時にこういった「「酔った」」っと―――



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カオス

「ひ、久々過ぎて……」
「まさか、私らが酔うなんてねの」
君ら大丈b「「もう無理」」え、ちょ?!」

「あ、あぁ〜……上で作者が二人のキラキラを頭から被ってる……」
「うっ、式神の俺たちも吐きそうだ。ハジメ、あと頼む」
「いいが、作者に向かって吐くな「すまん無理」よ……」
あぁぁぁぁ!!!!


「取り敢えず、本編スタート。…………これの後始末誰がやるんだ?」


怪獣から戻った二人はすぐに吐いた。幸い、誰も近くにいなかった。フミアと耀が何処からかビニール袋を持って二人に渡した。

 

「ま、まさか私まで……」

「ひ、久々過ぎて感覚忘れた……」

 

二人は壁の近くでずっと吐いていた。心配した依姫とフミアが背中をさすっていた。そんな色々問題が起こってる二人の後ろでは百合(ガールズラブではありません)が始まろうとしていた。恵理と鈴が抱き着いたり泣いたり、笑ったり、ビンタしたり。

 

「おかえり!エリリン!」

「うん!鈴、ただいま!」

 

ハジメは零達と恵理達を交互に見て頭を抑えていた。鈴は恵理だけではなく、香織と雫にも抱き着いたり色々した。

 

「ハ、ハジメくん…鈴が前よりも生き生きしてる気がするの……なんでかな?」

天之河(ストレス)が原因だろ」

 

それを言われてそっか〜!っと香織は言った。これで一つの問題は解決。しかし、もう2つ大きな問題があった。

 

「なぁ香織。バカとアホ(零と愛優美)の状態異常は治せないか?」

「う〜ん……フミアさんが言っていた依姫さんが触れば何もかも治る能力がきいていないみたいだから、難しいと思う」

 

ハジメはそんな能力あったのかと驚き同時に、どんだけヤバいんだよと呆れていた。

 

「あれ?そう言えば、シズシズはわかるとしてなんで香織が南雲くんの事をハジメくんって呼んでるの?あと、紅蓮くん達の背中をさすってる二人とか、後ろの人達はだれ?」

 

ハジメ達がそうしていると、零達が吐き終わり、ビニール袋を何処かに仕舞った。その後、ハジメ達のほうに歩いてきた。

 

「スッキリしたか?」

「おう!久々に使うと駄目だな」

「ちなみに、何年前から使ってないんだ?」

 

ハジメにそう言われ、零は少し考えた。

 

「あれは確か36万……いや、1億3000万年前だったかな?」

「違うわ、18億年前よ」

 

フミアにそう指摘された零が(´・ω・`)の顔で「なんで覚えてるん?」と言っていた。そこへ、どうでもいい男が会話に入った。

 

「おい「悪いんだけど君は会話にお呼びじゃないから喋らないで」ぐっ……」

 

キラキラネームは何かを言おうとしたが森羅にそう言われて黙った。そして、鈴に依姫達の事を話した。鈴は体の中におっさんを飼っていると雫と香織に言われたため、名前だけ教えた。

 

「それで?南雲くんの彼女とお嫁さんは手を上げて?」

 

鈴が急にそう言った。すると香織とユエ、そしてシアも手を上げていた。ハジメはシアは違うと言おうとしたが、香織とユエにシアも彼女と言われ、何も言えない状況になった。

 

「そっかぁ〜、それじゃぁ紅蓮くんの彼女とお嫁さんは手を上げて?」

 

今度は零の彼女を知りたくなったのか、そう言った。依姫とフミア、雫はもちろん手を上げた。

 

「上にもいるからねここだけじゃ無理だぞ」

 

ハジメが言ったあと、愛優美はなにかに気づき、手を上げて自分も零の彼女ですアピールをした。それを見た零は回し蹴りで愛優美を蹴り飛ばした。それを見た恵理やラフィー達も手を上げ始めた。それを見た零は愛優美をボコボコ殴っていた。

 

「エリリンって、ブラコン?」

 

鈴の一言でその場にいた殆どの人が吹いた。恵理は「普通じゃないの?」と言いたげな顔で周りを見ていた。

 

「やはり、君は最低だな」

 

そんな聞きたくもない男の声(キラキラネーム)が聞こえた



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めちゃどうでもいい男

作者はこれより先をまだ読んでいないため、こっちの更新が遅くなります。


めちゃどうでもいい男が喋った。零は何言ってるのかわからないような顔をした。

 

「君だよ紅蓮」

「あ、俺ね………言わせてもらうが俺よりもコイツ(愛優美)のほうが酷いからな?」

 

そう言うと、キラキラネームは声を荒らげて言った。

 

「君という男は最低だ!狙っていた雫だけではなく、他の女性にまで手を出し、挙句の果てには妹の恵里ちゃんや従兄妹の愛優美にすら手を出し、後ろにいる小さい子供にまで………最低だ!!!」

 

この男は何やら勘違いをしていた。まず、愛優美は零の最大の敵であり、兄弟だ。それに女ではなく男のため手を出すはずがない。恵里は義理の兄妹だが、本当の妹のように接しているため、手を出さない。ラフィー達も大切な部下だからパワハラもセクハラもしない。依姫達は元々妻のためこの世界に来てからってわけではない。それにこの世界は日本の法律が効かない上、元々零の世界………幻想郷では一夫多妻は許されている。

 

「いや、愛優美のほうが俺よりも大罪だからな?」

 

そう言うと、キラキラネームは叫んだ

 

「そうやって他人に罪を被せ、人生を狂わせた!!あのときだって()()()()()()()()()()()()のに、あんな偽造した動画を使って狂わせた!!」

 

それに雫が少しキラキラネームを睨みつけた。

 

「くだらない。みんな行こ」

「えぇユエの言うとおり。浩介、イリスは何処にいるの?」

「あ、あぁ!こっちだ」

 

ユエはそう言うと香織と一緒にハジメを引っ張って出口の方に歩きはじめた。フミアは浩介にイリスがいる場所を聞いていた。

 

「時間の無駄ですね。さて、早く帰りましょうか」

「ニーミちゃん!上の屋台でなにか食べようよ!」

「あまり疲れてはいませんがそれもいいですね」

「帰ったらゲーム…です!」

「ラフィーは…寝る…」

「ラフィーも綾波も…ジャベリンが言っている店で食事を取ってからですよ」

「指揮官がご飯のあと…すぐ寝ると牛になるって……言ってた!」

 

ラフィー達はこのあとどうするか、話し合っていた。

 

「それじゃぁ俺らも行こうぜ」

 

そう言って、帰ろうとしたときだった。

 

「待て!まだ話は終わっていない!それに君達はいったい何なんだい?助けてくれたことには感謝しているが…あの男は危険だ!そんな男に着いているハジメも、あそこにいる男達も危険だ!!」

 

そう言って、ユエ達を止め、ラフィー達も止めた。

 

「君達はあいつに騙されている!アイツから離れて俺と一緒に来るんだ!!」

 

キラキラネームが手をのばすとラフィー達は零の後ろに隠れた。すると、今度は香織達が反論し始めた。

 

「なんでハジメくんから離れなくちゃいけないの?」

「どうして零から離れないといけないのよ」

「何を言っているんだ?!紅蓮は人殺しなんだぞ!?魔人族だけじゃなく、檜山も殺したんだぞ!?そんな奴の傍に香織達がを置いておけるわけないだろう!?」

「…………………しげるが…零が人を殺す所なら、もう何度も見てるわ」

 

そこで依姫が話に加わった。

 

「……………な、なら何故まだ紅蓮の傍に居るんだ………!?はっ!そうか!脅されているんだな!?」

「勝手なこと言わないでくれない?私達は自分の意志で零の傍にいるの。ほら、行こ?」

「あぁそうだな」

「待て!まだ話は終わっていない!南雲や紅蓮の本音を聞かないと()()として認められない。それに君らも、助けてくれた事には感謝するけど、初対面の相手にくだらないなんて……失礼だろ?一体何がくだらないって言うんだ?」

「……」

 

依姫達は言葉を交わす価値も無いと判断したのか顔を背けるだけで何も言わない。だが、

 

「別にお前に()()として認められたいなんて思ってねえよ」

 

ついつい零が口走ってしまう。

 

「何だと!?」

 

キラキラネームが零を睨む。

 

「俺は元より、ハジメ達がここに来たことだって浩介にせがまれたが……クラスメイトがピンチだから助けに来たとかじゃない。あくまで()()()()()()()()()()()()()と言ったのと()()()()()()()()()()()()と言ったからここに来ただけだ。………ハッキリ言えば、俺達はイリスと鈴が居なきゃお前らを助けに来る気は無かったって事だ」

「な、何だって………!?()()の俺達を見捨てるつもりだったのか!?」

「………だから誰が()()だ?」

 

零達は理解しようとしない天之河に呆れてくる

 

「無駄な時間を取ったわね。さ、行きましょ?」

 

雫は零の腕を取ると同時に歩き出した。

 

「待つんだ!雫も恵理も君達も、紅蓮に関係を強要されてるだけなんだろう?なら俺達と来ると良い!もう紅蓮に好き勝手な真似はさせない!」

「……………いい加減にしてくれないかしら…………?アンタの自分勝手な思い込みを否定するのももう疲れたからこれだけは言っておくわ。私もフミアも雫達も、自分自身の意志でしげるを好きなった…………しげるを愛したの。強要なんて一切されてないわ」

「くっ………ここまで言っても認めないなんて………お前は一体どれだけ卑劣な事を………!」

「「「…………………………」」」

「天之河。どちらが正しいかなんて問答するつもりは無いが、少しだけ指摘させてもらう」

 

零達が呆れて口を開かなかったらハジメがキラキラネームの前に立ってそう口を開いた。

 

「指摘だって?俺が、間違っているとでも言う気か?俺は、人として当たり前の事を言っているだけだ」

「お前は、零があの女と檜山を殺したから怒っているんじゃない。人の死を見るのが嫌だっただけだ。()()事に恐怖し、逃げた事で仲間を危機に陥れた自分の不甲斐なさを隠すために、()()()()()()()()()()というもっともらしい理由で零を責め、覆い隠すことも含めてな」

「ち、違う!勝手なこと言うな!紅蓮が、無抵抗の人を殺したのは事実だろうが!」

「生き残るために敵を殺す………それの何が悪い?」

「なにっ!?人殺しだぞ!悪いに決まってる!」

「それは()()()()()()であり、()()()()()ではない。()()()()()()。これは俺達が奈落で生き残るために培った価値観だ。お前達に押し付けるつもりは無い。だからお前も、零にお前の正義を押し付けるな。それでも気に食わないと言って零や俺達の前に立ちはだかるのなら………誰であろうと殺す」

 

ハジメの圧にキラキラネームは少し押された

 

「勘違いするなよ?俺達は、戻って来たわけじゃないし、まして、お前等の仲間でもない。零が言った通り恵理達が鈴を助けたいと言ったから助けに来ただけ。ここを出たらお別れだ。俺達には俺達の道がある」

 

黙っているキラキラネームに向かって追い打ちをかけるかのようにユエが言った。

 

「……戦ったのはハジメ達。恐怖に負けて逃げ出した負け犬にとやかくいう資格はない」

「なっ、俺は逃げてなんて……」

 

ユエが冷たい口調でキラキラネームを非難する。その時だった。

 

ヒッポリト・ファイヤーボム!!

 

生き残っていたスーパーヒッポリト星人が攻撃を仕掛けてきた。だが、

 

「スペルカード発動。スピア・ザ・グングニル!!」

 

フミアのグングニルがヒッポリト・ファイヤーボムを打ち消し、スーパーヒッポリト星人の胴体を貫いた。スーパーヒッポリト星人は倒れて爆散した。

 

「邪魔が入ったわね。さぁ、帰るわよ」

 

そう言って、零の腕を引っ張って出口の方へ行った。それに続くかのようにみんな出口の方へ行った。



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番外編の迷宮で零達が戦っている間地上組は

あ、ちなみに密かに作っていたヤツ↓
https://syosetu.org/novel/277438/


零達が入っていった間、ミュウや、ミレディ達は何をしていたのか………

 

「何千年も外に出てなかったから知らなかったけど、こんなに色んな物が売ってるなんて!」

「ハムッ♪」

「屋台の物全部買えるほどお金あるから、心配せずに楽しんでってくれ!全部、(しげる/零)のお金だけども」

「それ大丈夫なの?」

 

神羅のお金ではなく、零のお金だと知ると、あまり買わなくなった。

 

「ここの下にオーくんの……」

「……やっぱり会いたい?」

「それはもちろん。……だけど、もう会えないから」

 

そんなミレディの目には少しだけ涙が溜まっていた。

 

「………いや、会えるよ」

「え?」

「主の事だから、会わせてくれる。あの人は約束は絶対に守る男だから……すべてを捨ててでもね」

「でも、会うとしたらアイツを倒したあと……かな、今は合わせる顔がないから」

 

そう言って、ミレディはミュウ達のところへ行った。

 

「合わせる顔がない………か、主は()()()に合わせる顔はあるのかな」

 

神羅は誰にも聞こえないような小声でそう言った。

 

「ねぇねぇ!ミレディお姉ちゃんは、パパのガールフレンド?」

 

突然ミュウがそんなことを言い始めた。

 

「違うよ〜?」

「じゃぁパパのガールフレンド?」

 

今度はミャミャがそう言った。この二人はどこでガールフレンドなんて言葉を覚えたのだろうか。

 

「「それじゃぁレイおじちゃんのガールフレンド?」」

「ま、まぁ〜……そうなるかな?」

「主よ…地上でも主の恋人が増えていきます」

 

そんな事をしていると、ティオがパンを買って帰ってきた。

 

「ティオお姉ちゃん、何食べてるの〜?」

「ムゥ〜?パンと言う食べ物じゃ、ミュウもミャミャも食べてみるかの?」

「「食べる〜!」」

 

ティオは買ってきたパンを少し千切ってミュウとミャミャに渡した。

 

「ティオが変態じゃなくてよかった……もし、変態だったらD4で消し炭にしてかもしれない……」

「D4って、零達が何か騒いでいたヤツ?」

「そう。そのD4だ」

「ふぅ〜ん、どんな物なの?」

 

ミレディにそう言われ、1から説明するか迷った神羅はこう言った。

 

「偽神を一発で消すほど」

「え、ナニソレ最高じゃん」

 

実際そうだろう。ウルトロイドゼロのD4は無理だったかも知れないが、デストルドスのD4では偽神に勝てるだろう。

 

「あと、主様なら神代魔法を手に入れずとも倒せるんだけどねぇ〜」

「そうなの?!じゃぁなんで倒さないの?!」

「……多分、神代魔法って言うのを全部集めたいんだと思う」

「ふぅ〜ん」

 

神羅は嘘は一つも教えてない。嘘は言っていないが、少しだけ隠している。その隠し事を言うのは別の話



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番外編のバレンタインデー

ネタバレ注意


地球に帰ってから最初のバレンタインデー。

 

「「帰っていいか?」」

 

零とハジメは目の前にある物体Xを見て頭を抱えていた。

 

「「どうせ、愛優美達(料理作れない組)だろ」」

「「「なぜわかった?!」」」

「これがチョコだと思いたくない」

「物を吸い込みそうだ」

 

物を吸い込みそうと言うか、実際物を吸い込んでいた。

 

「これは即処分、メイド三人組にチョコ作りは任せよう」

「お前らはもう作るな」

 

見れば諏訪子がプクーっと頬を膨らませ、愛優美とマガタノが少し涙目になっていた。

 

「あぁ〜…神奈子達に怒られそうだ…諏訪子は早苗達に教えてもらおうなぁ〜早苗達がいても無理だったらそれはもうイリュージョンだ

「「私達は?!」」

「愛優美は作るな、マガタノは依姫達に教えてもらおうなぁ……マジで愛優美、貴様は作るな触るな座って待ってろ

「なんで?!確かに前に食材に触れたら腐ったことあるけども!」

「「「「あるの?!!」」」」

 

そう言えばまだみんなには見せてなかったな。

 

「え、じゃぁどうやって物体X作ったわけ?」

「あぁ、諏訪子とマガタノが切ってるんだよ。コイツが触ったら食材が使い物にならなくて、バイト先で怒られてたんだよ」

「そうか……あ、ユエ達もチョコできたっぽいぞ」

 

ハジメがそう言うと、ユエ達が部屋に入ってきた。

 

「ハジメ!できた、できた!」

「ハジメさん見てください!チョコですよ!」

「ハジメくんハジメくん!すごいでしょ!」

「「「って、何その机の上の物体Xは!」」」

「「料理できない組のチョコだ」」

 

ユエが箸で触ろうとすると、箸が物体Xに吸い込まれた。

 

「「「これ本当にチョコ?!」」」

「はぁ………なぁーんで二千歳越えてるお前ら3人がまだ300歳超えてないユエ達に負けてるんだ?」

「「「うぐっ……」」」

 

ユエ達のチョコと愛優美達のチョコは形すら違った。

 

「で、でもまだ私は6億歳だもん!」

「「「「6億越えてるのに料理無理なの?!」」」」

 

愛優美は6億歳越えているのに料理は作れない。マガタノはそもそも料理を知らなかった。諏訪子はイリュージョンだ。

 

「お、依姫達もできたみた…い……だ……」

 

後ろを振り返ると、フミアがグングニルのようなチョコを持っていた。依姫は綺麗なハート型、雫もハート型だけど、少しだけ形が違った。

 

「「それ食えるのか?」」

「食べるなんてもったいない!これはしげるに向かって投げるチョコよ!?」

「チョコを投げるな!?」

「依姫と雫のチョコは普通のか……安心した…」

 

やはりこの二人が作るものは安心する。



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宣戦布告?どうでもいい

えぇ〜はい、本来はこのシリーズが全てだったんですが、何故か他の方を集中してしまいました。
少し文章が変わってるかと思いますがご了承ください。



零達が外に出ると二人の子供が来た。

 

「「パパ〜!おかえりなのー!」」

「ミュウ!」「ミャミャ!」

 

ステテテテー!と可愛らしい足音を立てながら、ハジメと幸利へと一直線に駆け寄ってきたミュウとミャミャは、そのままの勢いでハジメ達へと飛びつく。ハジメ達が受け損なうなど夢にも思っていないようだ。

 

「二人共、迎えに来てくれたのか?ティオとか神羅は?」

「うん!お姉ちゃんがもうすぐ帰ってくるだろうって、」

「お兄ちゃんはさっき鳥さんを捕まえてた人達にお話があるって言ってた!」

 

零と耀はそこであることを思い出した。

 

「「そうだ神羅は元烏天狗だ」」

「「お前らばっかじゃねぇの?そりゃ怒るわ!」」

 

そう話していると神羅とティオが数人を担ぎながら帰ってきた。

 

「あ、主お帰り。これどうすればいい?」

「はぁ…ちゃんと計画してから殺れ。取り敢えずマガタノの餌だ。餌代浮いて助かるわー」

 

零は神羅達が持っていた人を切ってマガタノの餌にした。そのまま歩いて宿へ行っていると、謎の集団と鉢合わせする。

 

「おいおい、どこ行こうってんだ?俺らの仲間、ボロ雑巾みたいにしておいて、詫びの一つもないってのか?アァ?」

「アァ?お前らの仲間なんざ知らん」

「そこの女と男の仲間だな?ガキィ、わかってんだろ? 死にたくなかったら、女置いてさっさと消えろ!なぁ~に、きっちりわび入れてもらったら返してやるよ!」

「まぁ、そん時には、既に『ザシュッ!』あ?」

 

雫が目の前の男の首を切り飛ばした。それに続くように零が刀を一振りして大勢の首を切り落とした。

 

「おいおい、俺らの分も残してくれよ」

「あぁ、少しは分けてくれてもいいだろ?」

「悪ぃ、普通に忘れてた」

「「ふざけんなお前!」」

 

ハジメと幸利が銃を構え、零はマガタノを鞘から抜いた。

 

「また、容赦なくやったのぉ~。流石、主様じゃ。女の敵とはいえ、少々同情の念が湧いたぞ?」

「いつになく怒ってましたね~。やっぱり、フミアさんが原因ですか?」

「それもあるけど、仲間のことでも怒ってるわ。特にハジメはシアのことを思ってたわ」

「えっ!?私達のために怒ってくれたんですか?えへへ、ハジメさんったら……有難うございますぅ~」

「シアはすぐ調子乗る」

 

そうやって話している前では、ハジメと幸利が零を撃ち、零がそれを全て切り落としているバトルが繰り広げられていた。

 

「しげるは部下のことも、私達のことも、仲間のことをちゃんと思ってる」

「それはそうと、依姫は零……ニューノヴァが言っていたアイツって誰のことかわかるかしら」

 

フミアは迷宮でニューノヴァが言っていたことで気になっていた。

 

『へぇ〜?この姿を知ってる人ねぇ〜』

『そりゃぁ、アイツしかいねぇなぁ?』

『あの時殺したのに、まだ生きてるんだね』

 

アイツとは誰なのか、殺したとはどういうことなのか誰にもわからない。

二人が話している間に3人の戦いが終わり、宿を探しを再開し始めた。宿を探している間、恵里は鈴とフミアはイリスと再会を喜んでいた。

 

「それでそれで、雫や香織はどうして二人を好きになったのぉ?」

「「それは知ってるでしょ!」」

 

そうやって楽しく話していると、キラキラネームが急に声を荒らげて言い始めた。

 

「ま、待て!待ってくれ!意味がわからない。香織が南雲を好き?雫が紅蓮を好き?えっ?どういう事なんだ?なんで、いきなりそんな話しになる?南雲、紅蓮!お前ら、いったい香織や雫に何をしたんだ!」

「「……何でやねん」」

「「ばっかじゃないの?」」

 

どうやら光輝は、香織がハジメに、雫が紅蓮に惚れているという現実を認めないらしい。いきなりではなく、単に光輝が気がついていなかっただけなのだが、光輝の目には、香織と雫が奇行に走り、その原因はハジメにあるという風に見えたようだ。

余りにもキラキラネームの行動がバカすぎて愛優美とフミアがツッコミを入れてしまうほどだった。

 

「光輝。南雲君や零が何かするわけないでしょ?冷静に考えなさい。あんたは気がついてなかったみたいだけど、香織は、もうずっと前から彼を想っているのよ。それこそ、日本にいるときからね。どうして香織が、あんなに頻繁に話しかけていたと思うのよ。あと、私はここに来る前から付き合ってるのよ」

「雫……何を言っているんだ……あれは、香織が優しいから、南雲が一人でいるのを可哀想に思ってしてたことだろ?協調性もやる気もない、オタクな南雲を香織が好きになるわけないじゃないか。それに、雫はただ遊びに付き合っていただけだろう?」

 

そんな話をしている後では零がラフィー達に屋台の食べ物を買っていた。

 

「嘘だろ?だって、おかしいじゃないか。香織も雫も、ずっと俺の傍にいたし……これからも同じだろ?香織と雫は、俺の幼馴染で……だから……俺と一緒にいるのが当然だ。そうだろ、香織、雫」

「えっと……光輝くん。確かに私達は幼馴染だけど……だからってずっと一緒にいるわけじゃないよ? それこそ、当然だと思うのだけど……」

「そうよ、光輝。私達は、別にあんたのものじゃないんだから、何をどうしようと決めるのは私達自身よ。いい加減にしなさい」

 

3人の話を聞きながら零とハジメは自分の財布の残りのお金を見ていた。

 

「香織、雫。行ってはダメだ。これは、二人のために言っているんだ。見てくれ、アイツらを。女の子を何人も侍らして、あんな小さな子まで……しかも兎人族の女の子とあのメイドには奴隷の首輪まで付けさせられている。黒髪の女性もさっき紅蓮の事を『主様』って呼んでいた。きっと、そう呼ぶように強制されたんだ。アイツらは、女性をコレクションか何かと勘違いしている。最低だ。人だって簡単に殺せるし、強力な武器を持っているのに、仲間である俺達に協力しようともしない。二人共、アイツらに付いて行っても不幸になるだけだ。だから、ここに残った方がいい。いや、残るんだ。例え恨まれても、君達のために俺は君達を止めるぞ。絶対に行かせはしない!」

 

キラキラネームの言っていることに少し呆れてきているみんなは「またか」となっていた。

 

「君達もだ。これ以上、その男達の元にいるべきじゃない。俺と一緒に行こう!君達ほどの実力なら歓迎するよ。共に、人々を救うんだ。シア、だったかな?安心してくれ。俺と共に来てくれるなら直ぐに奴隷から解放する。ティオも、もう主様なんて呼ばなくていいんだ」

 

キラキラネームにそう言われてシア達はハジメの後ろに隠れた。シアはドサクサに紛れてハジメの匂いを嗅いでいた。

 

「そこにいる君達も、その男についていくのはやめるんだ。俺と一緒に行こう!ベルファストだったかな?安心してくれ。俺と共に来てくれるなら直ぐに奴隷から解放する。ラフィーに綾波にジャベリンにニーミに雪風達も、もうソイツのことを指揮官と呼ばなくていいんだ」

 

キラキラネームは指揮官という名前の意味を知っているのだろうか。それにベルファストの首輪は何故着けられているのか零も知らない。

キラキラネームにそう言われたラフィー達は地味に主砲をキラキラネームに向けていた。ベルファストとベルちゃんはなにもないかのように三月の後ろに立っていた。

ラフィー達の様子に、手を差し出したまま笑顔が引き攣る光輝。視線を合わせてもらえないどころか、気持ち悪そうに零達の影にそそくさと退避する姿に、若干のショックを受ける。

そして、そのショックは怒りへと転化され行動で示された。無謀にも零達を睨みながら聖剣を引き抜いたのだ。光輝は、もう止まらないと言わんばかりに聖剣を地面に突き立てるとハジメと零に向けてビシッと指を差し宣言した。

 

「南雲ハジメ!紅蓮零!俺と決闘しろ!武器を捨てて素手で勝負だ!俺が勝ったら、二度と香織と雫には近寄らないでもらう!そして、そこの彼女達も全員解放してもらう!」

「……イタタタ、やべぇよ。勇者が予想以上にイタイ。何かもう見てられないんだけど」

「ハジメ大丈夫か?胃薬いるか?」

「何をごちゃごちゃ言っている!怖気づいたか!」

 

キラキラネームは馬鹿なのだろうか。解放したところで、ラフィー達が零達のところに行くことを考えないのだろうか。

 

「ん?あ、ハジメちょっと耳貸せ」

 

零はキラキラネームの条件に穴があることに気づいた。キラキラネームが出した条件は武器の使用禁止。だが、それはあくまでも武器の使用が禁止なだけで、技能は禁止されていない。

 

「……そんじゃ、あとは頼んだハジメ」

「オイコラ待て。何自分だけ帰ろうとしてんだ?」

「ハハハ、何を言っているんだいハジメ。俺は早く宿に行ってうちの娘達を風呂に入れないといけないんだよ」

「それはメイドにやらせとけ」

 

そうやって話していると怖気ついたと考えたキラキラネームは、より一層、力強く踏み込んだ。あと数歩で拳が届くという段階でも、二人は会話を続けて特に反応もしない。キラキラネームは、二人が反応しきれていないのだと思い、勝利を確信した。しかし

 

ズボッ

 

キラキラネームが消えた。のではなく、二人の罠に完全に引っかかったのだ。ハジメが落とし穴を作り、零が触手を地下から通して跳んだキラキラネームの足に絡ませて引きずり込んだ。

 

「んじゃ、行きますか〜」

 

零はキラキラネームを無視して宿へと行った。ラフィーは部屋に帰ってすぐにベッドへダイブ、綾波はすぐにゲームの世界へダイブ、ジャベリンは二人の荷物を片付けて、ニーミはすぐに本を読み始めていたのはまた別の話。



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番外編のフミアの日記1

ある日、シア、香織、雫、ティオ、ミュウ、ミャミャ、愛優美、ミレディ、ゴモラ、メカ、サイバーがお風呂に入ろうとしたときのことだ。

 

「あれ?フミアとユエと依姫さんは?」

「「「「え…そういえば……」」」」

 

依姫は先に風呂に入っており、今は部屋で少しくつろいでいる。

 

「「は!ユエはハジメのところに?!」」

「「じゃぁフミアは零のところに?!!」」

 

そう言って雫、香織、シア、ミレディが脱衣場から服を着ずに出ていこうとした。

 

「待つのじゃ!」

 

ティオが三人を止めた。三人は振り返ってティオを見た。

 

「コレを見るのじゃ!」

 

ティオが手に取ったのはフミアの日記帳だった。何故日記だけあるのかは不明だが、ティオはそれを4人に見せた。

 

「他人の日記を見るなんて…」

「そんなの駄目よ…!」

「えぇ、そうです…でも」

「日記帳ねぇ……」

「これでは気になってしまう……だから!「「「読もう!」」」」

 

______________________

 

○月○日

 

今日、しげるが助けに来てくれた。でも、何故か新しい恋人と一緒にいた。

 

○月✕日

 

迷宮から脱出できた。しげるなら刀を振れば迷宮なんてすぐに消せるのに、何故やらないのだろうか。

 

○月△日

 

変なウサギと出会った。依姫のところのウサギは愛着があったが、出会って早々に人の胸を壁だとか言うウサギはマガタノの餌になればいい。

 

✕月○日

 

謎のゴーレム現る。さて、しげるは宇宙の藻屑にするのか、マガタノの餌にするのか……はたまた改造して対ギャラクトロン兵器にするのだろうか。そう言えばマガタノは最近金属を食べるのにハマっているそうだ。

 

______________________

 

「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

 

ミレディは物凄く震えていた。

 

「だ、大丈夫!零はそんなことしないよ!」

「つ、続き読むわよ」

 

______________________

 

✕月✕日

 

今日はウルの街に行くそうだ。お米を食べるのは何百年ぶりかしら。

お店に入るとしげるの先生と思われる人物に出会した。

 

✕月△日

 

山に人探し。耀と神羅登場。もうエヒトぶちのめせるんじゃないの?片腕で百万の神を倒せる耀と、百万の神と同時に戦える神羅がいるからエヒトをボコボコにできる気がするわね。ねぇ、クレーターの中心にD4の残骸あるなんて聞いてないわ。

人探し中に黒竜が襲撃してきた。馬鹿じゃないの、龍神に勝てるわけないでしょ。久々にギドラを見たわ。

 

△月○日

 

私達がいたオルクス大迷宮で勇者が魔人族とバトってるらしいから魔人族討伐に行った。

まさかヒッポリト星人が出てくるとは思わなかった。

 

 

 

さて、みんなこれ見てるだろうか後ろ見てみなさい

 

______________________

 

「「「「「…………え?」」」」」

 

雫達が後ろに振り向くとロンギヌスとグングニルを持ったフミアがいた。

 

「人の日記を見た悪い子は誰かしら?」

 

フミアの後ろではユエがタオルを巻いて自分の日記を持っていた。

 

「さぁ、悪い子にはお仕置きよ…………グングニルとロンギヌス、どっちがいいかしら」

「「「「「……………許してください」」」」」

 

その日、6人の叫び声が聞こえたそうだ。その叫びを聞いてハジメと零が心配で見に来てまた叫ばれて攻撃を受けたのは別の話。



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再会の兄弟
おい、誰が仮面ライダーの力を手に入れろとか言った?


次の日、グリューエン大砂漠に行くために街を出ようとしていた。

 

「今の幸利じゃ危険かもなぁ…」

「だよなぁ…」

 

幸利を置いていくのも一つの手だが、ミャミャだけ連れて行くというのは無理だった。

 

「よし、幸利。一回この中に入って力を着けてこい」

「お、おう。わかった」

 

零は謎の空間を作り上げて幸利を入れた。

 

「なんだこの部屋…」

「言っちまえばウルトラマンゼロが作ってた精神と○の部屋だ」

「大丈夫なのかそれ」

 

そうして、幸利は精神と○の部屋で修行をすることになった。零曰く、この中だと死ぬ可能性があるとのことだった。

 

「この中でどんな力が着くんだ?」

「………わからん。虫の力を手に入れるかもしれないし、キラキラネームと同じ力かもしれない。

なんならミジンコの力かもしれない」

「最悪じゃねぇか」

 

そうして零とハジメが話していると、久々のご登場のパチェが来た。

 

「ねぇ…次の行き先グリューエン大砂漠って砂漠でしょ?」

「名前のとおりな」

「…私、熱いの苦手で魔法の構築に3日かかるかもしれないから……帰るわね」

 

そう言ってパチェが何処で覚えたのかスキマを開いて帰っていった。

 

「……帰っちまったけど大丈夫か?」

「あぁ…熱いのはパチェにとっては地獄だからな………あ、お土産持って帰らせるの忘れてた。帰ったら渡すか……」

 

 

パチェが帰ってすぐにハジメは大変なことを思い出した。

 

「おい、遠藤は連れて行くのか?」

「は?行くわけねぇだろ。アイツは勇者パーティーのスパイとして残らせた」

「なるほどな、影薄いしスパイにも暗殺者にももってこいか………あ、そういえば昨日浩介が男子風呂と女子風呂間違えて入りそうになったのを鈴が発見したらしい」

「マジか、初めてじゃね?浩介が見つかるのは」

 

浩介は寝惚けて女子風呂の方に行き、鈴に見つかってラリアットされたそうだ。ちなみに、鈴も寝惚けて男子風呂の方に行き、恵里に止められている。

 

「あ、そういえば……愁さん達が何してるか気になるよな?」

「あ、確かに父さん達何やってんだろ」

「一緒に見ようぜ」

 

零は一つのスマホを取り出してハジメに見せる。スマホには自分の部屋が映っており、菫さんがハジメのベッドの下に置いていた本を見つけていた。

 

「あ、ヤッベ隠すの忘れてた……」

「おいおい……あれなんの本だ?」

「……………」

 

見つかった本を見てハジメの顔がどんどん青くなっていっていた。どうやら見つかりたくなかった本らしい

 

「「………………よし、見なかったことにするか」」

 

俺はスマホの電源を切ってポケットではなく異空間にポイ捨てした。

 

 

「さて、いつ帰ってくるのだろうか………」

 

零とハジメは幸利が入った物を見ていた。すると、突然輝き始めて何かが飛び出してきた。

 

「イテッ!」

「「幸利!」」

 

出てきたのは幸利だった。幸利の体を見れば少しボロボロになっていた。

 

「か、帰ってきたのか……」

 

帰ってこれて安心したのか地べたに寝っ転がった。

 

「それで?どんな力を手に入れたわけ?」

「あ、あぁ!聞いてくれ!俺は()()()()()()()()()になったんだぜ!」

「「は?」」

「見てろよ?」

 

幸利は目を瞑って何かを溜め始めた。

 

「ハッ…!」

 

すると腰にジクウドライバーが着いた。

 

「おいおい……」

 

幸利は何処からかわからないが、ライドウォッチを取り出して回した。

 

【ジオウ】

「まだまだこれからじゃねぇぞ!」

 

そう言ってライドウォッチをベルトに嵌めようとした。だがそこで零が幸利の頭を叩いて止めた。

 

「お前、何仮面ライダーの力を受け継いでるんだよ!あと、こんな狭いところで変身するな!」

 

零が叩くとベルトとライドウォッチが消えた。

正直危なかった。変身して部屋が吹き飛ぶかと思った。



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砂漠といえばのモンスター

街を出発してからハジメの車でグリューエン大砂漠へ来た。しかしここで事件、クーラーのない車の中は地獄の熱さだった。

 

「ハジメ〜クーラーはぁ〜?」

「ねぇよ…そんなもん……」

 

ハジメと会話をしている零は汗だくだった。他のみんなも溶けそうだった。ちなみにパチェはグリューエン大砂漠に行くと知ると紅魔館へと帰っていった。

 

「「「「あつ〜い……」」」」

 

ラフィーも寝れないほどだった。

 

「つか、これ車進んでいるか?」

「…いや、なんか沈んでいるような」

 

そう、ハジメが言っている通りこの車は沈んでいっていた。タイヤが砂を掘って前に進んでいなかった。

 

「ちょ、どうすんだよ!」

「知らねぇよ!」

 

どうすればいいか考えているとシアが何かを見つけて声を荒らげて言った。

 

「ちょ、ハジメさん!レイさん!そんなこと言ってる場合じゃないですよ!何かがこっちに来ます!」

「「は?」」

 

零とハジメはシアが指を指す方向を見た。すると確かに何かがこっちに来ていた。だが、砂煙で体が見えなかった。

 

「なんだあれ……」

「おいおい…どんどんこっちに来てるぞ!」

 

次の瞬間、その何かが車にぶつかった。

 

ギィアアアァァァァァン!!

 

耳が壊れそうな声。何処かで聞いたことある声だった。

 

「お前らッ!大丈夫か!?」

「ひぅ!ハ、ハジメさん!ドアが、ドアが物凄く凹んでますですぅ!」

「はぁぁ?!」

 

振り返ってみればシアのとなりのドアがすごい凹み方をしていた。

 

「なんなんだ?」

「ひぅ!また来ます!」

 

シアが言うとまた来た。

 

「やろぉ!」

 

ハジメはガトリング砲を向かってくるなにかに撃ったが、効果はなかった。

 

「おいハジメ!アイツ、()()()()にいるぞ!」

「なんだと?!そんな魔物、聞いたことねぇぞ!」

「ふむ……サンドワームでもあそこまで小さくない………とすればなんじゃ?」

 

ティオが言っているサンドワームとやらは無効の丘にいるドデカイワームだろう。

 

「なぁ、ハジメ。あっちに何か重い物を落とせるか?」

「あ?なんでだ?」

「もしかしたら、振動を感知して向かってきてるかもしれない……」

 

零がそう言うとハジメが直径5メートルぐらいのボールを落とした。

 

『…?!ギィアアアァァァァァン!!!

 

向かってきていた何かがボールの方へと行った。

 

「おいおい…マジでか?」

ギィアアアァァァァァン!!!

 

何かがボールを地面から突き上げて出てきた。二本の角、トリケラトプスのような顔、そして翼、二本足、アンキロのような尻尾。

 

「「「やっぱり…………ディアブロス!!!」」」

『ギィアアアァァァァァン!!!』

 

高い咆哮を上げて、こっちに気づいて振り向いた。

 

「ディアブロス?聞いたことねぇな…なんなんだソイツは?」

「二本の悪魔と言われているとんでもないモンスターよ。あの硬い体は銃の弾丸も通さないわ!あなたがいま準備してるロケランも聞かないでしょうね」

「嘘だろ………レールガンはどうだッ!」

 

ハジメが車に取り付けていたレールガンをディアブロスに向けて撃った。

 

ギィアアアァァァァァン!!

 

なんと、ディアブロスは二本の角でレールガンを跳ね返した。

 

「「「はぁぁ?!」」」

 

俺らは絶体絶命と思ったときだった。一つの触手がレールガンを掻き消した。

 

「触手……イリス!!」

 

フミアが車の窓から飛び出して空を見た。

 

「…久々に登場できたと思ったらディアブロスとの戦い………」

「イリス、ディアブロスをなんとかできるか?」

「零お兄ちゃん………わかった」

 

イリスは触手を束にして、何かを溜め始めた。

 

「ハジメ、俺嫌な予感するから後ろ下がってくれ」

「同感だ」

「……下がるか」

 

車をバックさせるとイリスがなんの合図もなしにアブソリュートゼロを撃った。

 

「待て!それをどこで覚えた?!」

「お兄ちゃんの記憶から…」

「イリス・ゼーナ…恐ろしい子…!」

 

アブソリュートゼロに当たったディアブロスは凍って動かなくなった。

 

「助かった、ありがとうイリス」

「うん…フミア、私帰ってもいい?そろそろ帰らないとそれぞれの代表の神達の会議に邪神代表として行くんだけど…間に合わない…」

「あ、うん。帰っていいよ。龍神()は欠席って言っといて」

「…わかってる」

 

そう言ってイリスは帰っていった。全員の視線を感じた零は振り返ると物凄い目で見られていた。

 

「お前、神々の会議ぐらい行ったらどうだ?」

「いや、エヒトを倒さなくちゃ行けなくてだなぁぁ…………ん?愛優美もしれっとそっち側に行ってるけど、お前も転生させている神の代表だからな?」

「私は別に良くない?!同僚いるし、龍神と違って独りじゃないの!」

「「「「つまり、龍神は一人と」」」」

「ボッチじゃねぇぞ?ボッチとか言ったら毎夜毎夜、ゴキになって潰される夢を見せるぞコノヤロー」

 

それを言うと香織達がビクッとしていた。さすがの零でも流石にそんなことはしない。



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砂漠の中でトラブル

ディアブロスを倒してイリスが幻想郷に帰って、俺らは車で行くのは危険と判断し、()()()()()()ディアブロスと仲良く(恵里の魔法で操り人形)なり、乗せてもらうことになった。

 

「いやぁ〜…いいねぇ、モンスターに乗るというのは……」

 

恵里以外の全員がディアブロスに乗った。ちなみに、恵里だけミツネに乗っていた。なぜタマミツネが砂漠に入れるのかはわからないが、恵里は楽しいようだ。

 

「……全然車より速いな」

「…これからは車以外の乗り物も考えるか……何かいいのないか?」

 

ハジメにそう言われて零は少し考えた。

 

「あ、いいのあるじゃねぇか。ほら、ここに」

「「「「「「…?」」」」」」

 

零は隣りに座っているラフィーの頭を撫でた。

 

「「「「「………あ、船か!」」」」」

 

みんなはそう言って綾波達を見た。

 

「「「「…………私達改造さられる?!」」」」

 

綾波達はそう言って零達を見てきた。零は海だけではなく、砂漠でも戦えるように改造する案を出そうとしていたが、なにか言われそうだったため、諦めることにした。

 

「ハジメくん!あれ!」

 

香織が何かを見つけてディアブロスを止めた。

 

「……白い人?」

「そもそも人間なのか?」

 

ハジメ達はディアブロスに乗ってその白い人のところへと行った。香織はディアブロスから降りてすぐに白い人の容体を見た。

 

「これは…!」

「…何かわかったか?」

 

香織はハジメに何かを伝えた。ハジメは頷いて零の方へとふり返ってプレートを見せた。

 

「なぁ、これちょっと調べてくれるか?」

 

ハジメが見せたプレートには誰もが驚く物があった。

 

「こ、これは…!インフ○エンザ?!!」

 

ボケをした愛優美は零に殴られた。

 

「馬鹿が、どう見たって《体内の水分に異常あり》って書いてるだろ。待てハジメ、これ俺じゃなくて白い人を起こして聞けば良くないか?」

「いや、零が起こせば?その人が女性だったら王子様のキスみたいな感じで!」

 

零はハジメにプレートを返して、愛優美をもう一発殴ろうとした。

 

「あ、ハジメくん!錬成でドームを作って!日差しが強いよ!日焼け止めも塗りたい!」

「はぁ…わがままな女神様だなぁ〜」

「アハハハ……でもハジメくん、この人にもドームを作ってあげてね。さ、男性陣は白い人を見てて!みんな、日焼け止め塗ろう!」

 

そうして零達男性陣は白い人を見て、女性陣が日焼け止めを塗りに行った。

零達は暇だったので、ミツネと一緒に遊んでいた。

 

「ぅ…ぅぅ……」

「ん?」

「あ、起きたか?」

 

白い人は何かを言った。だが、俺らには小さすぎて聞こえなかった。するとハジメが白い人の腹を踏んでいつぞやのハウリアのときみたいにご丁寧に踏んだ後に踏みにじった。

 

「ちょ、ハジメくん?!」

 

ちょうど来た香織によってハジメは止められた。やはり、彼氏は彼女に勝てない。

 

「ぅ……ぅぅ……こ…ここは…?」

「大丈夫ですか?名前わかりますか?」

 

白い人は起き上がって香織の手を握った。するとハジメに銃を突き付けられて外に放り出された。



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アンカジ公国

「まず、助けてくれた事に礼を言う。本当にありがとう。あのまま死んでいたらと思うと……アンカジまで終わってしまうところだった。私の名は、ビィズ・フォウワード・ゼンゲン。アンカジ公国の領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲン公の息子だ」

 

助けた人物は領主の息子らしい。

 

「先に言っておくが、領主だからとかで俺の彼女を奪おうとか言うなよ?もし言ってみろ、その勇気に免じて宇宙の果までぶっ飛ばしてやるから。それか特別にうちの娘(マガタノ)の錆にしてやるから」

 

零はマガタノを優しく撫でながらそう言った。急にそんなことを言った零を依姫が後から手刀で静めた。

 

「あ、話は続けてもらって構いませんので。ちょっと最近寝不足みたいで〜」

 

依姫と雫は零を引っ張って何処かへ連れて行った。

 

「あ、アイツは放って置いて、話の続きをどうぞ」

「あ、はい」

 

連れて行かれた零の心配は誰一人していない。

ビィズ曰く、四日前、アンカジにおいて原因不明の高熱を発し倒れる人が続出した。それは本当に突然のことで、初日だけでも医療院は飽和状態となり、公共施設を全開放して医療関係者も総出で治療と原因究明に当たったが、香織と同じく進行を遅らせることは何とか出来ても完治させる事は出来なかった。

そうこうしているうちにも、次々と患者は増えていく。にもかかわらず、医療関係者の中にも倒れるものが現れ始めた。進行を遅らせるための魔法の使い手も圧倒的に数が足りず、なんの手立ても打てずに混乱する中で、遂に、処置を受けられなかった人々の中から死者が出始めた。発症してから僅か二日で死亡するという事実に絶望が立ち込める。

 

「コ○ナウイルス?」

「ちげーよ、つか愛優美さんよ〜、そのコ○ナウイルスってなに?」

 

突然愛優美が謎のウイルスの名前を出して、困惑顔する幸利。いつもは零がツッコミ(物理)をするが、今はいないため愛優美に耐えれるツッコミ役が一人もいない。

 

「てそんな中、一人の薬師が、ひょんなことから飲み水に【液体鑑定】をかけた。その結果、その水には魔力の暴走を促す毒素が含まれていることがわかり、直ちに調査チームが組まれ、最悪の事態を想定しながらアンカジのオアシスが調べられたんだ………案の定、オアシスそのものが汚染されていた」

 

砂漠のオアシスはどの世界でも大切な生命線だ。それが感染しているのなら、絶滅待ったなしだろう。

 

「ただ、全く方法がないというわけではなく。一つ、患者達を救える方法が存在している。《静因石》と呼ばれる鉱石を必要とする方法。この《静因石》は、魔力の活性を鎮める効果を持っている特殊な鉱石で、砂漠のずっと北方にある岩石地帯か《グリューエン大火山》で少量採取できる貴重な鉱石だ」

 

それを弾にすればかなり強いのではと考えたハジメは話を聞かずに頭の中でその鉱石をどうやって採取するか考えていた。

 

「しかし、北方の岩石地帯は遠すぎて往復に少なくとも一ヶ月以上はかかってしまう。それにアンカジの冒険者、特に《グリューエン大火山》の迷宮に入って《静因石》を採取し戻ってこられる程の者は既に病に倒れてしまって…生半可な冒険者では、《グリューエン大火山》を包み込む砂嵐すら突破できない。それに、仮にそれだけの実力者がいても、どちらにしろ安全な水のストックが圧倒的に足りない以上、王国への救援要請は必要だ」

 

事態はかなり深刻のようだ。

 

「父上や母上、妹も既に感染していて、アンカジにストックしてあった静因石を服用することで何とか持ち直したが、衰弱も激しく、とても王国や近隣の町まで行くことなど出来そうもなかった。だから、私が救援を呼ぶため、一日前に護衛隊と共にアンカジを出発したのだ。その時、症状は出ていなかったが……感染していたのだろうな。おそらく、発症までには個人差があるのだろう。家族が倒れ、国が混乱し、救援は一刻を争うという状況に……動揺していたようだ。万全を期して静因石を服用しておくべきだった。今、こうしている間にも、アンカジの民は命を落としていっているというのに……情けない!」

 

その話が終わったのと同時に零が帰ってきた。

 

「君達に…いや、貴殿達にアンカジ公国領主代理として正式に依頼したい!どうか、私に力を貸して欲しい!!」

 

そう言って深く、頭を下げた。領主代理が、そう簡単に頭を下げるべきでないことはビィズ自身が一番分かっているのだろうが、そんなことを言っている場合じゃなかったのだろう。

 

「パパー、助けてあげないのー?」

 

ミュウはハジメの膝の上から顔を見上げてそう言った。ミュウはハジメなら、何だって出来ると無条件に信じているようだ。

ミュウに続くように零もハジメに耳打ちをした。

 

「すまんがハジメ、このままだと公国が亡ぶ。そうなれば魔人族にとって有利になってしまう」

「……そうだな……もともと、《グリューエン大火山》には行く予定であったし、その際、ミュウはアンカジに預けていこうと考えていたからなぁ。だから、大迷宮攻略ついでに《静因石》を確保しよう。だが、アンカジに行くなら少し待ってろ。そろそろディアブロスの腐敗が始まる。車を改良して快適にするから………零の面白エピソードでも聞いてろ」

 

マジかよと言いたげな顔をした零の昔話にミュウやミャミャ達が興味津々だった。

 

「面白エピソードなんてねぇぞ?強いて言うなら…………愛優美がチョ○ボール作ろうとしてブラックホールを作ったぐらいだな」

「ちょ!それは言わないって言ったじゃん!」

「いつかはバレるだろ」

 

みんなが愛優美を凄い目で見ていた。流石に愛優美でもそこまではないだろうと言う目と、どうすればそうなるのかわかっていない目をしていた。



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誰もお前がいるとか知らない

えぇ〜っとですねぇ、前回の話の最後の《アレ》について話すんですけど〜、無意識にあそこに○をつけてました。マジですみません。マジで申し訳ない。


ハジメが車にクーラーを設置し、タイヤを少し変えて砂漠でも走れるようにした。

 

「皆さんが《金》クラスなら、このまま大火山から《静因石》を採取してきてもらいたいのだが、水の確保のために王都へ行く必要もある。この移動型のアーティファクトは、ハジメ殿以外にも扱えるのだろうか?」

「まぁ、香織とミュウとミャミャとゴモラ、サイバー、メカ、ラフィー達KAM−SENと愛優美以外は扱えるが…」

 

零がそう言うと愛優美が凄い目で零を睨みつけた。

 

「…わざわざ王都まで行く必要はない。水の確保はどうにか出来るだろうから、一先ずアンカジに向かいたいんだが?」

「どうにか出来る?それはどういうことだ?」

 

数十万人分の水を確保できるという言葉に、訝しむビィズ。愛優美は「ろ過装置作れば?」と心の中で思っていた。

 

「……使徒様や皆殿にも、活気に満ちた我が国をお見せしたかった。すまないが、今は、時間がない。都の案内は全てが解決した後にでも私自らさせていただこう。一先ずは、父上のもとへ。あの宮殿だ」

 

それからアンカジに入っていき、宮殿の方へと急いだ。宮殿にはビィズの顔パスで中に入った。

 

「父上!」

「ビィズ!お前、どうしっ……いや、待て、それは何だ!?」

 

ビィズの父が驚いている間、愛優美は「やっぱりろ過装置じゃ駄目なの?」と誰にも聞こえないほど小さい声で言った。

 

「なるほどな……香織はシアを連れて医療院と患者が収容されている施設へ。魔晶石も持っていけ。俺達は、水の確保だ。領主、最低でも二百メートル四方の開けた場所はあるか?」

「む?うむ、農業地帯に行けばいくらでもあるが……」

「なら、香織とシア以外は、そっちだな。シアは、魔晶石がたまったらユエとフミアに持って来てやってくれ……………おい、愛優美が触ったら魔晶石壊れるとかないよな?」

 

ハジメは零に愛優美のことについて聞いた。正直、零も愛優美のことを全て把握しているわけではない。

 

「「………流石にそれはないわ」」

 

そう信じたい。

 

______________________

現在、領主のランズィと護衛や付き人多数、そしてハジメ、幸利、零、雫、依姫、ユエ、ティオ、ミュウなどの香織とシア以外の全員はアンカジ北部にある農業地帯の一角に来ていた。二百メートル四方どころかその三倍はありそうな平地が広がっている。普段は、とある作物を育てている場所らしいのだが、時期的なものから今は休耕地になっているそうだ。

 

「これ、愛子先生なら育てれるんじゃね?」

「それな。あの人ならできるだろ」

「時期が違う植物を育てれればそれはもう人間なのか?」

 

未だ、半信半疑のランズィは、この非常時に謀ったと分かれば即座に死刑にしてやると言わんばかりの眼光でハジメ達を睨んでいた。逆に零はだったら神諸共この世界をマガタノの餌場にしてやるよ。もちろん、最初に食われるのはお前なと言わんばかりの眼光で睨み返していた。

藁をも掴む思いで水という生命線の確保を任せたが、常識的に考えて不可能な話なので、ランズィの眼差しも仕方のないものだ。

 

「“壊劫”」

 

ユエ達が働いている間、零と愛優美は少し話をしていた。

 

「ねぇ、水を駄目にしているのって………《マガジャッパ》じゃないよね?」

「ハハハ……何いってんだよ。マガジャッパは水を駄目にするだけで魔力がどうちゃらとかの問題は無理だろ。」

 

それに、マガジャッパが原因なら、水の臭いが普通なのがおかしい。

 

「それに、もし魔王獣なら………火山にマガパンドンとかいる可能性出てきたな……」

「バードンかもね……ゾフィーさんでも呼ぶ?」

「ラドンかもな…………火山ごと体内放射で吹き飛ばしてやろうかな」

 

そんな話をしているとハジメ達の仕事が終わったそうだ。仕事といえば、零の溜まりに溜まっているであろう仕事はどうするのだろうか。



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オアシスの謎1

零達はオアシスへに行って、原因を探った。オアシスは、キラキラと光を反射して美しく輝いており、とても毒素を含んでいるようには見えなかった。

 

「普通の人なら毒素があるとかわかんねぇよな……」

「そうだな……ん?」

「…ハジメ?」

 

ハジメが、眉をしかめてオアシスの一点を凝視する。ハジメの様子が変わったに気づいたユエが首を傾げる。

 

 

「いや、何か、今、魔眼石に反応があったような……領主。調査チームってのはどの程度調べたんだ?」

「…確か、資料ではオアシスとそこから流れる川、各所井戸の水質調査と地下水脈の調査を行ったようだ。水質は息子から聞いての通り、地下水脈は特に異常は見つからなかった。もっとも、調べられたのは、このオアシスから数十メートルが限度だが。オアシスの底まではまだ手が回っていない」

 

オアシスの底はまだ未探索、ハジメはオアシスの底に何かがあることに気づいたのだろう。

 

「オアシスの底には、何かアーティファクトでも沈めてあるのか?」

「?…いや。オアシスの警備と管理に、とあるアーティファクトが使われているが、それは地上に設置してある……結界系のアーティファクトでな、オアシス全体を汚染されるなどありえん事だ。事実、今までオアシスが汚染されたことなど一度もなかったのだ」

 

ランズィのいうアーティファクトとは“真意の裁断”といい、このアンカジを守っている光のドームのことだ。

 

「……へぇ。じゃあ、あれは何なんだろうな」

「…ハジメが見つけた物が原因を知っているとか?」

 

ハジメは口元を歪めて笑った。ハジメの魔眼石には、魔力を発する“何か”がオアシスの中央付近の底に確かに見えていたのだ。

 

「水の中か……」

 

ハジメはオアシスのすぐ近くまで来ると《宝物庫》から五百ミリリットルのペットボトルのような形の金属塊を取り出し直接魔力を注ぎ込んだ

 

「ハシメ、今何を手にした?」

「………」

 

ハジメはその“何か”をオアシスの中へと入れた。入れてすぐに零を引っ張ってオアシスから離れさせた。

 

ドゴォォォ!!

 

凄まじい爆発音と共にオアシスの中央で巨大な水柱が噴き上がった。

 

「ちっ、意外にすばしっこい……いや、防御力が高いのか?どちらにせよ、めんどうだな……」

 

ハジメはそう言いながら、今度は十個くらい同じものを取り出しポイポイとオアシスに投げ込んでいく。

 

「おい零!お前の部下の力をちょっと借りるぞ!」

「…別にいいが、魚雷ぐらいKAM−SENがいっぱい持ってるからお前が作らなくてもいいぞ」

 

ラフィー達KAM−SENはオアシスに魚雷をどんどんと投入していった。

 

「ふむ………ラフィーと雪風はもうちょっと高くから入れてみろ」

「ん…わかった」

「わかったのだ!」

 

零はKAM−SEN達に指示を出しながらオアシスの周りを見た。

 

「おいおいおい!ハジメ殿、零殿!一体何をやったんだ!あぁ!桟橋が吹き飛んだぞ!魚達の肉片がぁ!オアシスが赤く染まっていくぅ!」

「ちっ、まだ捕まらねぇか。零、あと五十個追加で……」

「了解……みんな、いけるか?」

 

オアシスの景観が徐々に悲惨な感じで変わっていく様にランズィが悲鳴を上げるが、ハジメと零はお構いなしに不穏なことを呟いて、進み出ようとする。

すると風を切り裂く勢いで無数の水が触手となって零達に襲いかかった。とっさに、ハジメはドンナーで迎撃し水の触手を弾き飛ばす。零はマガ火球で蒸発させ、フミアとユエは氷結させて、ティオは炎で即座に蒸発させて防ぐ。



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オアシスの謎2

正直な話、めっちゃ眠くて話が中途半端な場所で終った


急な攻撃に何事かと、オアシスの方を見たランズィ達の目に、驚愕の光景が飛び込んできた。ハジメとKAM−SEN達の度重なる爆撃に怒りをあらわにするように水面が突如盛り上がった。

 

「んだこれ……」

『キイイィィィ!!』

 

オアシスから赤いエビのような怪獣、エビラが出てきた。

 

「エビラ!今晩の夕食だ!!」

「え、愛優美あれ食えるわけ?」

「油でカラッとあげて塩とお醤油をつけて食べると…これまた美味いんだ〜」

 

愛優美の説明に零達は天ぷらかよとツッコミ入れそうになった。

 

「まぁ、何でもいいさ。こいつがオアシスが汚染された原因だろ?」

「…?エビラにそんな力なんてないよ?」

「「「「「………は?」」」」」

 

ハジメはエビラがオアシスを汚染させた原因だと思っていたが、愛優美に言われて全員が驚く。

 

「じゃぁさっきの水の触手みたいなのは?」

「あれもエビラの攻撃じゃない………」

「つまり、オアシスを汚染させたり、触手で攻撃したのは別の魔物ってことか?」

 

話をしているとエビラがオアシスの中へと戻っていった。エビラは攻撃をせずにすぐに帰った。

 

「あぁー!せっかくのご飯がァァ!!」

 

愛優美がオアシスに手を伸ばして絶望していた。それを横目にハジメと零は汚染の原因を探すことにした。

 

「ちなみにハジメ、お前が見つけた何かはエビラだったのか?」

「まったく別の物だ…」

「じゃぁさっきのエビラはなに?」

「「わからん」」

 

エビラの目的がなんなのかもわからない。ハジメはもう一度魚雷を作って投下した。

 

「またエビラでも出てくるんじゃね?」

「そんときは捕獲して飯にでもすればいいだろ」

 

そうやって話しているとまた何かがオアシスから出てきた。今度は体長十メートル、無数の触手をウネウネとくねらせ、赤く輝く魔石を持つスライムだった。

 

「「コイツが犯人だろ!」」

「毒素を出す固有魔法でも持っているんだろう……しげるとハジメはさっきから何やってんだ?」

「見てわかるだろ。マガ光球で攻撃してんだよ」

 

会話している間も、まるで怒り心頭といった感じで触手攻撃をしてくる。ハジメも、会話しながらドンナー・シュラークで迎撃しつつ、核と思しき赤い魔石を狙い撃つが、魔石はまるで意思を持っているかのように縦横無尽に体内を動き回り、中々狙いをつけさせない。

 

「「心臓部分を自由自在に動かせるってか?!ふざけんなこらー!!」」

 

零とハジメがまた撃とうとすると、後ろからシアとフミアに叩かれた。

 

「無闇矢鱈に撃ったってしょうがないでしょ!」

「ハジメさんも、ちゃんと作戦立ててくださいですぅ!」

「ん…アイツめんどくさい」

「………水ならお空の核とかで蒸発させれない?」

 

神羅に言われて全員がお空の存在を思い出した。

 

「んにゅ?」

「お空、緊急ミッションだ。これ終わったらさとりのところに帰っても、エヒト(ヤツ)を人工太陽に突き落としても構わない」

「んにゅ?ヤッタ〜…スペルカード発動【地獄の人工太陽】」

「ん?スペルカード?なんぞやそれは」

「しげるには帰ったら紫と言う通称覗き魔から説明あると思うぞ」

「アイツなにやったんだよ……」

 

お空は小さい人工太陽を作り上げた。

 

「いっけー幸利!お前の新しい力を見せてみろ!!」

「ぜってぇ忘れてただろ!」

【ジオウ】

 

幸利の後ろに大きな時計のような物が現れた。それは10時10分を指した。

 

「変身!」

【ライダータイム!仮面ライダージオウ!】

 

後ろの時計にライダーという文字が現れ、直後、幸利の周りを無数の金属製腕時計のバンドの輪が回転しジオウに姿に、そして背後の「ライダー」の文字が文字盤からジオウの顔にセットされることで変身。

 

『祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!その名も仮面ライダージオウ!まさに生誕の瞬間である!』

「なんか…行ける気がする!!」

「「「「ちょっと待てぇ!今の声誰だ?!」」」」

 

幸利が変身すると何処からかかわからない謎の人物の声が聞こえた。

 

「変身早々だが……」

【タイムブレーク】

 

幸利はベルトを1回回した。すると、スライムの周りにキックという文字が出現した。

 

「愛優美!ワープゲートをスライムの後ろに!!」

「了解!」

 

愛優美がスライムの後ろに人工太陽へのワープゲートを開くと、幸利がライダーキックをスライムにした。

 

「うっわ……ライダーキックって間近で見ると迫力あるんだな……」

「お前らが持ってるグリスブリザードとクローズマグマもあんな感じで派手だがな」

 

幸利のライダーキックはスライムを吹き飛ばしワープゲートの中へと入れた。

 

「これで一件落着「そんなわけないでしょー!」グハッ!」

 

零は雫と依姫に叩かれた。何故叩かれたのかわからない零は涙目(嘘)で依姫達を見た。

 

「あの人工太陽どうするの?!」

「「「「「あ…!」」」」」

「大丈夫大丈夫。そこんとこは考えてあるから…マガタノの餌にすれば解決だ」

 

話している間にスライムは蒸発したようだ。零はマガタノを出現させて人工太陽を食わせた。ハジメ達はマガタノでスライム倒せば良くないか?と言ったが、マガタノはスライム系をあまり好まないようで、スライムを食べると喉を詰まらせてしまって大変だそうだ。



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グリューエン大火山へ

アンカジを存亡の危機に陥れた元凶が、あっさり撃退されたことに喜ぶランズィ達。元凶が目の前で消えて、慌ててランズィの部下の一人が水質の鑑定を行った。

 

「…どうだ?」

「………いえ、汚染されたままです」

 

元凶が消えても汚染された水は残ったままだった。

 

「まぁ、そう気を落とすな。元凶がいなくなった以上、これ以上汚染が進むことはない」

 

愛優美は零に近づいて小声で言った。

 

「マガジャッパじゃなくてよかったね」

「……あぁ、そうだな」

 

ランズィは顎に手を置いた。

 

「……しかし、あのバチュラムらしき魔物は一体なんだったのか…それにあの赤い魔物も……新種の魔物が地下水脈から流れ込みでもしたのだろうか?」

 

考えているランズィにハジメは近づいて話しかける。

 

「おそらくだが……魔人族の仕業じゃないか?」

「魔人族だと?ハジメ殿、貴殿がそう言うからには思い当たる事があるのだな?」

 

ハジメは頷いて零達の方を見た。

 

「……確かに、エビラはゴジラの世界の怪獣…魔人族が操っていたガイガンもゴジラの世界の怪獣……魔人族側に《何か》があるんだろうな……」

「お兄ちゃん、その《何か》ってなに?」

 

恵里にそう言われて零が言った。

 

「前にもあったろ?イビルジョー(この世界にいないはずの生物)がいたりとか、ギャオスハイパーがいたりだとか……」

 

ただやはりまだ誰がなんのために連れてくるのかがわからなかった。

 

「……ハジメ殿、ユエ殿、ティオ殿、零殿、恵里殿、雫殿、耀殿、神羅、依姫殿、フミア殿、三月殿、皆殿……アンカジ公国領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、国を代表して礼を言う。この国は貴殿等に救われた」

 

そう言うと、ランズィを含め彼等の部下達も深々と頭を下げた。領主たる者が、そう簡単に頭を下げるべきではないのだが、零達が《神の使徒》の一人であるか否かに関わらず、きっと、ランズィは頭を下げただろう。

 

「あ、これの報酬はさっきのエビラね!」

 

そう言って愛優美がオアシスの中へと飛び込んでいった。

 

「この恩は末代まで覚えていよう……だが、アンカジには未だ苦しんでいる患者達が大勢いる……それも、頼めるかね?」

「もともと、《グリューエン大火山》に用があって来たんだ。そっちも問題ない。ただ、どれくらい採取する必要があるんだ?」

 

ランズィに必要な量を聞いて、俺らはアンカジに帰った。必要な量は普通の冒険者では無理なほどだ。

アンカジに帰ってきてすぐにミュウ達子供がトテトテという足音を立てながら零達のところへ来た。

 

「「「パパ〜おかえりなの〜!」」」

「「お父さん、お母さんおかえり!」」

 

子供達の後ろから香織も来ていた。

 

「香織、これから《グリューエン大火山》に挑む。どれくらい持ちそうだ?」

「ハジメくん……私は、ここに残って患者さん達の治療をするね。静因石をお願い。貴重な鉱物らしいけど……大量に必要だからハジメくん達じゃなきゃだめなの」

「それだけ集めようってんなら、どちらにしろ深部まで行かなきゃならないだろ。浅い場所でちんたら探しても仕方ないしな。ちょっと急ぎで攻略する必要があるってだけの話だ。序でなんだから謝んな。俺が自分で決めたことだ。……それに、ミュウ達を人がバッタバッタと倒れて逝く場所に置いて行くわけにも行かないだろ?」

「ふふ……そうだね、頼りにしてる。ミュウちゃん達は私がしっかり見てるから」

 

それを言うとゴモラがぴょんぴょんと飛び跳ねた。

 

「ゴモラも!ゴモラも行く!」

「う〜ん………連れていけるのはもうちょっと大人になってからかなぁ…?」

 

そういうとゴモラはわかってくれたのか、飛び跳ねるのをやめた。

 

「私も頑張るから……無事に帰ってきてね。待ってるから……」

「あぁ……」

 

香織とハジメが二人だけの世界に入ろうとしていた。

 

「しげるって子離れできるかな……」

「子離れできなくても、それはそれでいいじゃない…」

「私はお兄ちゃん離れは絶対しない!!」

「「恵里のそれは恋じゃない?」」

 

そこからKAM−SEN達も残ることになった。火山は熱いため、標準が定まらないらしい。

 

「指揮官、指揮官…いってらっしゃいのキス…?」

「…は?」

 

急にラフィーがそんなことを言い始めた。それを聞いて、香織がハジメにキスを求めたのは言うまでもない。

 

「……旦那様、フミア様。私もここに残らせて貰えないでしょうか…今、医療院は人手不足です。少しでも残っていた方がよろしいかと…」

「そうね……三月、ここに残ってゴモラ達をお願い。誘拐しようとしたヤツは片っ端から潰しなさい」

「わかりました!」

 

フミアと三月がそう話している横で零はラフィー達にキスをせがまれた。それを見たフミアが少し笑って言った。

 

「いってらっしゃいのキスぐらい、いいんじゃない?ほら、背を低くして……」

 

フミアが零の頭に手を置いて、ラフィー達が届くぐらいまで下げさせ、ラフィー達がほっぺにキスをした。フミアは誰にもバレないように零を撫でていた。雫とティオが羨ましそうに見ていたが、何故か諦めたような顔をしていた。



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ラピ○タは本当にあったんだ!!

この《グリューエン大火山》は、七大迷宮の一つとして周知されているが、《オルクス大迷宮》のように、冒険者が頻繁に訪れるということはない。それは、内部の危険性と厄介さ、そして《オルクス大迷宮》の魔物のように魔石回収のうまみが少ないから……というのもあるが、一番の理由は、まず入口にたどり着ける者が少ないからである。その理由が俺らの前にあった。

 

「「……ラピ○タだ」」

「「「「……あの中モンスター0(ギドラ)いない?大丈夫?」」」」

 

かの天空の城や偽の王を包み込む巨大積乱雲のように、巨大な渦巻く砂嵐に包まれているのだ。その規模は、《グリューエン大火山》をすっぽりと覆って完全に姿を隠すほどだった。ハジメと幸利は指を指して竜の巣だと叫び、零と愛優美と耀と神羅はそれぞれの技を出そうとしていた。

 

「一応聞くんだけど、四人は何をやろうとしているの?」

「え?スパイラル熱線だけど?」

「え?一兆度火球だけど?」

「え?プラズマフィストだけど?」

「?アブソリュートゼロだけど?」

 

零は口の中が青白く光らせながら、愛優美は胸に無数の火球を出しながら、耀は右手を炎で包みながら、神羅は左手を冷気で包みながらそう言い、依姫とフミア達に頭を叩かれた。特に零は三人よりも多く叩かれた。

 

「どうやって入るよ」

「車で突撃するしか………」

「だが窓が割れるという可能性も……」

「窓はなんとかできるけど……」

 

零、ハジメ、幸利、耀が話していると、神羅が零の肩を叩いて言った。

 

「ねぇ…あれ生物じゃない?」

「「「「は?」」」」

 

そう言われて神羅が指を指した方向を見た。すると、確かに何かが嵐の中を飛んでいた。

 

「鳥?」

「………にしてはデカすぎないか?」

「なんだあれ……ラフィー、双眼鏡とか持ってない?……あれ?ラフィー?」

「零…ラフィーちゃん達は街でお留守番だよ……」

 

雫がそう言って、零の肩に手を置いた。零は愛優美の方を見て、双眼鏡を持ってないか聞いた。

 

「愛優美、双眼鏡「私の視力は世界イチィィィ!ちなみにー!あの飛んでいるのは………は??」おうおう……どうした?」

 

愛優美の素の「は??」に零は少し困惑する。無理もない。あらゆる場面でも素を出さない愛優美が急に素になったからだ。

 

「ほら零、双眼鏡」

「あ、助かる」

 

愛優美が固まっている間にハジメが双眼鏡を作ってくれた。そして零は何が見えるのかなと双眼鏡を覗いた。その先にいたのは、鋼のようなボディ、大きな翼、黒光りする体。

 

「…………黒光りするG?」

「ヒィッ!!」

 

そう言うと、雫が少し震えた。それを見て零は雫を抱きしめて頭を撫でた。

 

「違う………あれは古龍………………クシャルダオラ

 

愛優美がやっと声を出したと思うと、古龍という名を出した。




俺がモ○ハンフロンティアで遊んでいるとき、よく弓を使ってラオシャンロン討伐してました。ダブクロで倒せなかったクシャルダオラを登場させます。


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熱い奴ら

「なんでそんなやつがいるわけ?」

「知らないわよ!」

「「クシャルダオラってなんだ?」」

 

フミアと愛優美がハジメと清水に説明し、零とハジメはクシャルダオラを討伐するか、無視するかで話し合っていたが、

 

「で、どうする?」

「「「「無視1択」」」」

 

零達は上空にいたクシャルダオラを無視して砂嵐に入ろうとした。

 

「ユエ、頼む」

「ん…」

「フミアとティオも頼む」

「私魔法あんま使わないんだけど?」

「わかったのじゃ」

「「「【風刃】」」」

 

フミア達の魔法で砂嵐の中に入った。火山の入口が頂上のため、そこまで車で行った。

火山の中に入ってすぐに熱風が来た。全員が額から汗を流していた。面白いのが地獄と旧地獄のほうが熱いためか、そこにたまに行っている零と耀は平気な顔をしていた。

 

「あっつい……なんで耀と零は平気なわけ?」

旧地獄(住んでる場所)のほうが熱いんだよ」

「地獄のほうが熱いんだよ」

「「これが神の領域か…」」

 

ハジメと幸利が地面に手をついていた。

 

「「あっつ!!?」」

「馬鹿野郎!ここ火山だぞ!!」

 

ハジメと幸利はユエに冷やしてもらっていた。

 

「確かにね……砂漠の日照りによる暑さとはまた違う暑さ……タイムリミットに関係なく、早く攻略しましょう」

「ふむ、妾はむしろ適温なのじゃが……熱さに身悶えることが出来んとは……もったいないのじゃ」

「それな…溶岩風呂って旧地獄の温泉街にあったっけな

「流石、竜だな…いや、温泉街に溶岩風呂はねぇよ……なかったよな?

 

《グリューエン大火山》の内部は、《オルクス大迷宮》や《ライセン大迷宮》以上にとんでもない場所だった。

 

「おいおい……なんだここ」

 

マグマが宙を流れている。フェアベルゲンのように空中に水路を作って水を流しているのではなく、マグマが宙に浮いて、そのまま川のような流れを作っているのだ。空中をうねりながら真っ赤に赤熱化したマグマが流れて、まるで龍が飛んでいるようだ。

 

「ん?おい、あれなんだ?」

 

ハジメが見つけたのは人工的に削られた壁だ。その壁の一部から薄い桃色の小さな鉱石があった。零達は

 

「お?静因石……だよな?これ」

「うむ、間違いないぞ、主よ。ただ…」

「……小さい」

 

周りに同じような鉱石が落ちているがそれも小さいものばかりだ。

 

「ほかの場所も小石サイズばっかりですね……」

「見える範囲にあるもの全て小さいね」

 

そうしてミレディが拾おうとした瞬間。何かがマグマの中から襲ってきた。

 

「なにっ?!」

「あれは………ゴルザとブラキディオス?!」

「ジョ〇ョじゃねぇか!」

 

今にもオラオラと言いそうなブラキディオスとゴルザが出てきた。ゴルザはすぐにエネルギーを溜め始めた。

 

「ミレディ下れ!」

「わ、わかった!」

 

ブラキディオスはミレディがいた場所に向かって拳を叩きつける。そこに緑色の謎の液体がついた。ゴルザは超音波光線を薙ぎ払うように使ったせいか、ブラキディオスに当たって喧嘩が始まった。

 

「ハジメ!その緑色の液体にさわるな!!爆発するぞ!!」

「なんだと?バクハツスルゾー!いてっ!」

「こんな時まで遊ばないでください!!」

 

ゴルザとブラキディオスの戦いは激しさを増し、ゴルザがマグマの中にブラキディオスを引きずり込んで行った。

 

「あっぶねぇな!!」

「アイツらがまた暴れだしたらここ崩壊するぞ」

 

崩壊する可能性が出てきたため、急いで探すことになった。



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クラスメートSide(2)

零達が勇者パーティーを救って勇者が穴に引きずり込まれたあとの話。

お城に帰ってきたあと、宴会があった。

 

「リリィ!」

 

宴会でリリィを見つけると鈴が走って抱きついた。

 

「おかえりなさい!」

「ただいま!あ、聞いて聞いて!生きてた、零くん達みんな生きてたよ!」

「ホントですか?!!よかった……」

 

リリィは涙を流した。生きていたから。

 

「それでお兄様は…?」

 

リリィは周りをキョロキョロと見渡して零達を探した。この場にいないとわかり、少し落ち込んだ。

 

「零くん達はまだ帰ってこれないんだって、やらなくちゃいけないことがあるからって…」

「そうですか…」

「大丈夫!もし、私達にピンチが訪れたときは零くん達が来てくれる!絶対来てくれる!」

 

鈴は手をいっぱい広げてそう言った。まるで子供のように。

そこに愛子先生が来た。みんなが帰ってきたのを知って、かなり元気だった。

 

「あれ?紅蓮君達は?」

 

愛子先生は零達も帰ってきてると思ってたのだろう。

 

「そういえば天之河さんは?」

「あそこにいるよ」

 

鈴が指した方にはゲンド〇ポーズをしてめちゃくちゃ落ち込んでいる天之河がいた。

 

「カオリンがハジメくんのことが好きで、シズシズが零くんのことが好きで」

「そうなんですか……」

「これが失恋ですね!」

「リリィ、それ笑顔で言うことじゃないよ」

 

天之河は絶望していた。香織がハジメのことを好きだったということ、雫が零のことを好きだったということ、彼女達が零とハジメを好きだったこと、天之河が間違っていたということ、目の前で檜山が殺された(食われた)こと。

 

「でも、カオリンがハジメくんのことを、シズシズが零くんのことを好きだったのは地球の頃からだから、ただ天之河くんが知らなかっただけだけどね」

「そうなんですか……そういえば、どうして鈴がお兄様達を名前呼びに…?」

「あ………聞かないで」

 

鈴は話を変えようと、愛子先生がハジメとキスをした話をしようとしたが、それよりも先に園部が零に一目惚れしたんじゃないか説が浩介に出されて、暴れまわり始めた。

 

「わわわ!!園部さん?!」

「遠藤くん何言ってんの?!」

「あぁ〜!料理が〜!」

 

宴会が大変なことになっている間、天之河は変わらずゲンド〇ポーズのまま、何も言わずにじっとしていた。

 

「エリリンみんな帰ってきてぇぇ!」

 

鈴のそんな叫びが空高くまで響いた。

ちなみにその時恵里はミツネに餌をやり、零とハジメは幸利が仮面ライダーの力を手に入れていた。



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時にはマグマを下るのも大切

道なりに進んでいたが、途中で道が消えた。目の前にはマグマが流れていた。

 

「ハジメ、幸利。面白いこと思いついたんだがよ」

「どうした?」

 

そう、零は思ってしまった。

 

「これから先、怪獣や神と戦う上で暑さとかに慣れないといけねぇと思うんだ」

「おいおい」

「お前…まさか」

 

幸利とハジメは嫌な予感がしていた。これから先、怪獣や神や神の使徒と戦うことになるだろう。なら、熱や寒さ、急激な温度変化などに対応できないと駄目な気がする。

 

「安心しろ溶けないようにしてやるから。さぁ、逝って来い」

「クソッタレェェ!!!」

「変身ッ!」

 

幸利がジオウに変身して逃げようとしたが、零から出てきた触手が体に巻き付いて、マグマに突き落とされた。ハジメは逃げるのを諦めて自分から落ちた。

 

「ティオ、お前はこれがいいんだろ?ほら、入ってこい」

「うーむ…主様も一緒に入ろうぞ?」

「だが断る。ほら、入れ。あと竜化してハジメ達を拾ってくれ」

 

後ろからユエやフミア達から変な視線を感じた。零はティオに乗ろうとした。だが、後ろから誰かに肩を掴まれた。

 

「お前だけ逃げようってか?」

「なに言ってんだよ。マグマはもう慣れてんだよ。入る必要はないだろ?」

「ほら、お前の妻が見てるぞ。男を見せろッな!」

「テメェフザケンナァァァ!!」

 

零は耀に押されてマグマに落ちた。最後にグッジョブをしながらマグマに落ちていった。

 

「さ、ティオの背中に乗ろうじゃないか」

「お、お前…主を落とすなんて……」

「まぁまぁ、俺らの主がこんなのでくたばるわけ―――」

 

その時だった。マグマの中から一本の触手が耀の足に絡まった。

 

「………神羅?」

「グッドラック。逝って来い」

「馬鹿じゃねぇの?!」

「大丈夫、後で酒ぐらい持ってくるから」

「そういう問題じゃねぇよ?!テメェ、後で無理矢理焼き鳥食わしてやらァァァ!!!」

あ"ぁ"ぁ"ぁ"?

 

耀が引きずり込まれると、神羅が右手に大砲を着けて耀を排除しようと追いかけた。

 

「「「男って駄目ね」」」

「ティオ!羽を下げてくれない?私達が乗れないから」

『うむ!了解じゃ!』

 

ティオの背中には所々服が溶け、火傷をしているハジメと幸利が寝転がっていた。

 

「あれ?零達は?」

「「知るかッ!!」」

 

ちなみに、3人はマグマの中で喧嘩をしていた。

 

「あんやろう!急にマグマの中に落としやがって!ティオが助けなかったら死んでたぞ!!」

「変身してなかったら死んでたぞ!!」

「ん…無事だった」

 

そんな時だった。マグマから何かが出てきた。出てきた何かがティオの背中に落ちた。

 

「ガハッ…ウグッ……」

「クッ…」

 

神羅と耀が落ちてきた。その後、零がマグマの中から出てきた。

 

「ハァ…ハァ………お前らが俺に勝とうなんざ、早いっつーのッ!!」

「第2ラウンドだ!!」

 

耀と神羅は少し怪我をしているが、零は何処も怪我をしていなかった。

 

『主様〜、皆殿〜……我の上で喧嘩はしないでもらいたいのじゃが……』

「ハジメ、あそこマグマ途切れてる」

「は?」

 

ハジメが前を見ると、ユエが言っている通り途中でマグマが途切れていた。

 

「ティオ、まさか落ちる感じか?」

『う、うむ。このままでは落ちてしまうのじゃ!』

「みんな!ティオかハジメか俺に掴まれ!!」

 

そう言うとみんなが色々な所に掴まり、ハジメ、幸利、耀、神羅が()()()()()に捕まった。ちなみに零はティオの頭に乗った。

 

『待ってほしいのじゃ!待ってほしいのじゃ!!鱗、誰かが我の鱗を掴んでいるのじゃァァァ!!?』

「ティオ!!飛べ!飛べ!!」

『待つのじゃ!こんな狭い場所では飛べないのじゃ!羽が傷つくのじゃ!!』

「ミレディ!重力魔法!!」

「待ってました!!」

 

ミレディの重力魔法で浮遊落下しながら落ちていった。

 

「それで、鱗持ってるのはどこの誰だ?」

「ハジメ」

「幸利」

「耀」

「神羅」

「わかった。お前らな、後で覚えとけ」

 

そのまま降りていると、またマグマの川に出た。ミレディの重力魔法を解いた瞬間、天井からコウモリが出てきた。

 

「チッ!来たか!」

「ハジメ!撃て!」

 

出てきたコウモリは少ない。ハジメのエイムなら全て撃ち落とせるだろう。

 

「あれ、フミアにとっていいのか?」

「同胞じゃないし、何よりもマグマのコウモリよ?無差別に人の血を吸うコウモリは排除すべきよ。吸血鬼にとってのご飯がなくなるわ」

 

そんな話をしていると、ハジメがコウモリを一層し終わっていた。零達を睨んでいた。

 

「おい、お前らがイチャついている間にこっちは終わらせたぞ」

「助かったんだが、ハジメよ。あれを見てみろ」

「あ?」

 

その先には光があった。

 

「ティオ、そのまま真っすぐだ」

『了解じゃ!』

 

そのまま光の方に進むと、また急降下した。激流を下ってきた勢いのまま猛烈な勢いで洞窟の外へと放り出された。

 

「ユエ!」

「ん…」

「ティオ!」

『な、なんとか…!』

 

ユエの魔法でティオの体勢を整えていると、マグマが途切れて陸があった。全員が降りるとティオが人間に戻った。

 

「うむ……主様よ、褒美が欲しいのじゃ」

「よしよし、よくやった。」

 

少し頭を撫でると、ティオはご機嫌になった。

 

「あれが解放者の住処?」

 

ドーム型の空間の真ん中にマグマの池と小島があった。

 

「そんじゃ、行こうじゃないか」

「階層の深さ的にも、住処と考えるのが妥当だろうな……だが、そうなると……」

「最後のガーディアンがいるはず……じゃな?主様よ」

「あぁ、だが……見た感じいないようだが……」

「行ってみたらわかるんじゃない?」

 

そう思い小島の方に行くと、マグマの池から蛇のような魔物が出てきた。

 

ドパァン!

 

ハジメはすぐに脳天を撃ち抜いた。だが、それはただマグマを撒き散らしただけだった。

 

「まさか…あのスライムみたいに魔石を自由に動かすことができるタイプか?」

「チッ、めんどくせぇ」

「待ってください!あそこの壁を見てください!」

 

シアが指を指した方を見ると、一つの壁があった。その壁に鉱石が沢山埋まっていた。綺麗に並べられていた。

 

「それが何か関係あるのか?」

 

そう言って耀がハジメが倒しそこねた蛇を倒した。すると、鉱石の一つが光った。

 

「つまり、あの鉱石の数倒せばいいわけか……」

 

ハジメがそう言うと巨大なマグマ蛇がどんどん出てきた。

 

「百体はいるぞ…」

「やってやろうじゃねぇか……」

 

それぞれの武器を構えた。

 

【ジオウ・アーマータイム】

【ボトルバーン】

「「変身!」」

「変幻自在!神秘の光!」

【ティガ・ダイナ・ガイア】

「ゼェェェェット!!」

『デュゥアァァ!!』

 

そこからは無双が始まろうとしていた。それと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――同時に■■■との再会が近い



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対英雄魔法の使い手

マグマ蛇を倒し、残りは零が掴んでいる2体だけとなった。

 

「これで最後だ」

 

そう言って2体の蛇を倒そうとしたときだった。

 

「しげる!避けてッ!!」

 

フミアが叫んだ。今まで零と言っていたフミアがしげると叫んだ。出会ってこの方一度も聞いたことのないフミアの叫び声が聞こえた瞬間、零に向かって竜の息吹のような何かが放たれた。

 

「「「「「?!」」」」」

「「「「「しげる(零・主)?!!」」」」」

 

凄絶な熱量と衝撃が零を破壊の嵐の中へと呑み込んだ。それを見た愛優美は驚いていた。零が飲み込まれたことではなく、()()()()()に驚いていた。

 

「ッ!上か!!」

 

ハジメがそう叫んだ。全員の視線が零がいた場所から上に向けられた。上にはいつの間にか、おびただしい数の竜とそれらの竜とは比べ物にならないくらいの巨体を誇る純白の竜が飛んでおり、その白竜の背に魔人族の男がいた。

見上げると共に周りの竜達のブレスが放たれた。依姫とフミアが結界を張ってブレスは防がれた。だが、零の安否がわからない。

 

「まさか、私の竜達のブレスを直撃させても殺しきれんとはな……おまけに報告にあった強力な未知の武器……看過できない実力だ。()()()()()()()()()、ここで待ち伏せていて正解だった。お前達は危険過ぎる。特に、ブレスを直撃させても死ななかったその男に……貴様等、一体何者だ?いくつの神代魔法を修得している?」

 

そう言われてハジメが零を呑み込んだ嵐を見た。すると、嵐が消えて零の姿が見えた。そこには服が溶け、体も少し溶けて右目を抑えてマガタノを魔人族に向けている零の姿があった。

その零の姿に誰もが驚愕した。今まで怪我をすることはあったが、ここまでダメージを受けた零を見るのは誰もが初めてだ。それこそ、依姫やフミアですら見たことない零の姿だ。

 

「あっぶねぇな……」

「死ななかったが…致命傷まではいったか……」

 

そう言うと魔人族の白竜がまたブレスを放った。次にあのブレスを喰らえば、零は死んでしまう。

 

「はっ……対英雄(アンチイロアス)魔法なんかあるのかよ……どうせ、()()に貰ったんだろ

 

ブレスが零に当たろうとしたときだった。零の目の前に空間が開いて、目がいっぱいの何かが見えた。

 

「なにっ?!」

 

その何か………スキマから愛優美が変えたノイントが零の前に舞い降りて、銀色の翼でブレスを消した。

 

「「「「「ノイント?!!」」」」」

なぜノイントが…?!

 

ブレスを消されると周りの竜がブレスを放った。流石のノイントでも、この数は無理だ。すると、ノイントが出てきたスキマから金髪の女性が出てきた。それと同時にスキマが閉じた。まるで、この事態を予知していたかのような登場だった。

 

「「「「「紫!!」」」」」

 

紫は扇子を開き、目の前のブレスに向けた。すると、扇子から赤と青の弾幕が撒き散らされた。弾幕はイルミネーションのように綺麗だった。

弾幕がブレスに当たると爆発してブレスをかき消した。

 

「また新しいイレギュラーか……!」

 

依姫とフミアは結界を解いてすぐに零のところへ行った。零に神水を飲ませた。だが、零の体は戻るどころか、火傷すら治らなかった。

 

「どうして…?」

対英雄(アンチイロアス)魔法のせいだよ!」

 

愛優美はそう言った。

 

「自己再生するしかねぇのか…」

 

零がそう言うと、自己再生能力で体が元に戻っていった。

 

「ほぉ……気が変わった。貴様らは私の名を骨身に刻め。私の名はフリード・バグアー。異教徒共に神罰を下す忠実なる神の使徒である」

「神の使徒……ね。大仰だな。神代魔法を手に入れて、そう名乗ることが許されたってか?魔物を使役する魔法じゃねぇよな?……極光を放てるような魔物が、うじゃうじゃいて堪るかってんだ。おそらく、魔物を作る類の魔法か?強力無比な軍隊を作れるなら、そりゃあ神の使徒くらい名乗れるだろうよ」

「その通りだ。神代の力を手に入れた私に、《アルヴ様》は直接語りかけて下さった。《我が使徒》と。故に、私は、己の全てを賭けて主の望みを叶える。その障碍と成りうる貴様等の存在を、私は全力で否定する」

 

ここでエヒトとは違う神の名が出てきた。紫はスキマを開いてハジメ達を零がいる場所に移動させた。

 

「大丈夫ですか?」

「あぁ…だが、お前ずっと俺らのことを見ていただろ。なんでもっと早く来なかったんだ…それに、愛子先生のときに出てきたあの人形はなんだ?」

「あれはー………気にしないでください」

 

零達は構えて魔人族を睨んだ。

 

「話は終わったか?私の連れている魔物が竜だけだと思っているのか?この守りはそう簡単には抜けん。さぁ、見せてやろう。私が手にしたもう一つの力を。神代の力を!」

 

フリードは詠唱を始めた。ミレディはここになんの魔法があるのか知っているが、話すほど余裕がなかった。重力魔法でフリードの集中を途切れさせようとした。

 

「【ギンガクロスシュート】!【ビクトリウムシュート】!【ザナディウム光線】!【オリジウム光線】!【レッキングバースト】!【ルービウム光線】!【ストリウムブラスター】!【ゼスティウム光線】!」

 

零はウルトラマンの光線を放ち、竜を一掃するが、何処からともなく竜が現れ、フリードを守るように飛ぶ。

 

「クソッ!切りがないぞ!」

「―――【界穿】」

 

フリードが詠唱を終えると同時にフリードと白竜の姿が消えた。

 

「ッ!後ろです!零さん!」

 

シアがそう言うと零の後ろにフリードが現れた。白竜の口には白い光が集まっていた。

 

「させない!」

 

紫が白竜の口の前とフリードの前にスキマを開いた。

 

「なにッ?!」

 

白竜のブレスはスキマを通ってフリードの目の前に来た。俺はそれと同時に後ろに飛んでフリードから距離を取った。

 

「《師匠》、あの魔人族と白竜どうします?」

「……目には目を歯には歯を、白竜には………黒竜(ティオ)だ!!

「承知!」

 

ティオは竜化して、白竜の目の前に出た。俺はティオに乗ってフリードの前へと出た。

 

「黒竜だと?!」

『紛い物の分際で随分と調子に乗るのぉ!もう、ご主人様は傷つけさせん!!』

「くっ、まさか、このような場所で竜人族の生き残りに会うとは……仕方あるまい。未だ危険を伴うが、この魔法で空間ごと「させるか!あの魔法について……テメェには聞かないといけないことが沢山ありそうだッ!!」邪魔をしおって!!」

 

白竜は突然の黒竜に驚いて少し崩れるが、すぐに立て直す。

 

「貴様らは忘れているんじゃなかろうな?」

「なんだと…?」

「ここには古龍(クシャルダオラ)がいることをッ!!」

フリードがそう言うと、光の中からクシャルダオラが入ってきた。本来、クシャルダオラは火山のような暑い場所にはいないはずなのにいた理由。どうやら魔人族はモンスターも操れるらしい。

 

「ティオはクシャルダオラを相手にしろ!」

『じゃが……』

「これは命令だ!フリードは俺に任せてクシャルダオラを相手にしろ!」

『承知!』

「だが、零じゃ白竜の攻撃を食らったら!」

「安心しろ!あれぐらいで死にはしない!!」

 

ハジメは零の言葉を信じて、目の前の竜の相手をする。

 

「……恐るべき戦闘力だ。侍らしている女共も尋常ではないな。絶滅したと思われていた竜人族に、無詠唱無陣の魔法の使い手、未来予知らしき力を持つ吸血鬼、同じく未来予知らしき力と人外の膂力をもつ兎人族、人間とは思えないほどのイレギュラー……よもや、神代の力を使って、なお、ここまで追い詰められるとは……最初の一撃を当てられていなければ、蹴散らされていたのは私の方か………」

「いい機会だから教えてあげる」

 

フミアは目の前の竜をグングニルで倒してフリードに向かっていった。

 

「私の能力は未来予知なんか安いものじゃないわ………妹と少し似てるけど……未来を操る力よ!!」

「未来を選ぶ力……」

「それと……その男(しげる)を相手に余所見は厳禁よ」

 

フミアがそう言うと同時に、白竜が真っ二つに切られた。切られたのは白竜だが、フリードの体にも幾つか切られたあとがあった。

 

「私の白竜が?!」

「侮るなかれ…手負いとはいえ、龍神ということに変わりはない」

「……この手は使いたくはなかったのだがな……貴様等ほどの強敵を殺せるなら必要な対価だったと割り切ろう」

「なにを言ってる?」

 

すると、火山全体に激震が走り、凄まじい轟音と共にマグマの海が荒れ狂い始めた。

 

「何をした?」

 

ハジメが、明らかにこの異常事態を引き起こしたフリードに聞いた。フリードは、中央の島の直上にある天井に移動しながら、その質問に応える。

 

「要石を破壊しただけだ」

「要石……だと?」

「そうだ。このマグマを見て、おかしいとは思わなかったか?《グリューエン大火山》は明らかに活火山だ。にもかかわらず、今まで一度も噴火したという記録がない。それはつまり、地下のマグマ溜まりの噴出をコントロールしている要因があるということ」

「……まさかっ!?」

「そうだ。マグマ溜まりを鎮めている巨大な要石を破壊させた。間も無く、この大迷宮は破壊される。神代魔法を同胞にも授けられないのは痛恨だが……貴様等をここで仕留められるなら惜しくない対価だ。大迷宮もろとも果てるがいい。そして―――」

 

フリードが何かを言おうとしたときだった。中央のマグマの池から、一体の怪獣が現れた。

 

『ギャハハハハ!!』

 

多数の剣山状の背びれが生えた細身の体躯、三対の複眼に加えてその後ろにも点々と並ぶ無数の目を備えた頭部、そして棍棒のような形状になっている右腕。

 

「閻魔獣ザイゴーグ、要石によって、マグマ溜まりに眠っていた最凶の怪獣だ」

『ギャハハハハ!!』

 

ザイゴーグが暴れると、マグマの水位がどんどん上がっていった。フリードは竜に乗って先に逃げた。

 

「ティオ!これを街に届けろ!」

『何故じゃ?!主、我だけは最後を共に過ごすに値しないというのか?我に切り捨てろと、そういうのか?でも、我はその命令を聞かないのじゃ!主と、みなと最後をともに過ごす!!』

「ティオ、そうじゃない。時間がないから一度しか言わない、よく聞け。俺は、何も諦めていない。神代魔法は手に入れるし、いつかあの野郎は倒す、そしてアイツらと約束した《静因石》を届けるという約束も守る。だが、一人じゃ無理。だからお前の力を貸して欲しい。お前じゃなきゃ、全てを突破して期限内にアンカジに戻ることは不可能だ。頼むぞ、ティオ。ザイゴーグや追手は俺達が止める」

『…………わかったのじゃ、主も皆殿も!どうか、ご無事で!!』

 

そう言ってティオは俺達よりも先に火山を脱出した。

 

「紫、ハジメ達を結界で守ってやってくれ。今から俺はザイゴーグを倒す」

「わかりました…師匠。どうか、ご無事で…」

 

そう言い、紫はハジメ達のところへと向かった。

 

「ザイゴーグ……さっさと映姫(閻魔)のところに帰りやがれ!!」

 

まもなく《グリューエン大火山》が噴火する。観測されている中で初めての噴火だ。



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零+魔王獣VSザイゴーグ+閻魔分身獣

噴火直後、零はザイゴーグとクシャルダオラと戦っていた。クシャルダオラは簡単に倒せたが、ザイゴーグはあの時のイビルジョーと同じで、強化されており、通常のザイゴーグとは違う攻撃ばかりをした。

 

『ギャハハハハ!!』

 

ザイゴーグの背中から4つの棘が生えて、それを地面に撃った。そこからゴーグアントラー、ゴーグファイヤーゴルザ、2体のツルギデマーガが現れた。

 

「そうだった、コイツ閻魔分身獣を生み出せるんだった……!」

 

1体5という普通の人なら死んでいるだろう。だが、零にはそれが効かない。

 

「だったら、こっちも召喚するだけだ!」

 

そう言って、マガタノを地面に刺した。すると、4つのエレメントを纏ったマガクリスタルが出現した。それぞれのエレメントがマガバッサー、マガグランドキング、マガジャッパ、マガパンドンに変わった。

 

「さぁ、第2ラウンドだ!」

『ギャハハハハ!!』

 

マガバッサーVSゴーグアントラー

マガグランドキングVSゴーグファイヤーゴルザ

マガパンドンVSツルギデマーガ

マガジャッパVSツルギデマーガ

零VSザイゴーグ

 

零は強化ザイゴーグ相手にマガタノ一つで戦おうとしたが右手にマガタノ、左手にベータスパークソード持った。ベータスパークソードを持ったことにより、ベータスパークアーマーが装着された。

 

『ギャハハハハ!?』

『ギュアアアアァン!』

『クシャァァ!!』

『『ギュアアァァン!』』

 

『デュアァ!!』

『キュアアァン!』

『グエエェェ!!』

『ギュアァン!』

『ギュアアアァン!』

 

お互いに咆哮を上げると、正面から打つかり合うように体当たりをした。

 

『ギャハハハハ!』

 

ザイゴーグは【ブラディフラッディング】を零に向けて撃つがベータスパークソードで防がれ、逆にマガタノで右手のゴーグレグジスを叩き斬られた。

 

『ギャハハハハ?!』

 

ザイゴーグが斬られた場所を抑えていると、マガバッサーと戦っていたゴーグアントラーが()()()()()

 

『キュアアアァン?!』

『ギャハハハハ?!』

 

上を見上げるとマガバッサーがゴーグアントラーの片方の顎を持っていた。どうやら、顎を折ったらしい。

 

『ギュアアァン!!』

 

マガバッサーは雄叫びと共にゴーグアントラーの折った顎を見せしめのように捨てた。

 

『クシャァァ?!!』

 

今度はゴーグファイヤーゴルザが吹っ飛んできてゴーグアントラーの上に乗っかった。追い撃ちのようにツルギデマーガが2体ともゴーグファイヤーゴルザの上に投げ捨てられ、ゴーグファイヤーゴルザが下敷きになった。

 

「なんか可愛そう……」

 

零はそう思ったが、ベータスパークソードを弓に変えた。

 

『グエエェェ!!』

【マガ穿孔】

 

マガグランドキングのマガ穿孔によってゴーグアントラー、ゴーグファイヤーゴルザ、2体のツルギデマーガが倒された。

 

「さっさと地に帰りやがれ!!【ベータスパークアロー】!!」

 

零の撃ったベータスパークアローはザイゴーグの胸を貫いた。ザイゴーグは倒れて爆発して消えた。消えたのを確認して、零は魔王獣達をマガタノの中へと帰した。

ザイゴーグが消えると、マグマが引いていき、真っ黒な建物が現れ、その建物の扉の前でハジメ達が零を待っていた。



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綺麗な海が汚れた

建物の扉の前にティオや街に残った者以外+紫とノイントがいることを確認した。確認して建物の扉を開けようとしたときだった。ミレディが零の服を引っ張って止めた。

 

「ちょちょ!待って!」

「どうした?」

「なんで?なんで神の使徒のノイントがここにいるの?!しかも、みんな普通に接しているけど!」

「「「「「「え、神の使徒?」」」」」」

 

ミレディから言われた衝撃の事実に俺零達はノイントを見た。

 

「……ノイントという名前を呼ぶのをやめてもらえませんか?わたしの名前はヴァルキリーです」

「ヴァルキリー……神の使徒ってのは本当か?」

「事実……いえ、元です。今は零様の使徒です」

 

零は神だから神の使徒であることに変わりはない。

 

 

「かくかくしかじか」

「なるほどってわかるかーッ!!」

 

愛優美がミレディに説明して、扉を開いた。扉の先には、複雑にして精緻な魔法陣があった。神代魔法の魔法陣。零達は互いに頷き合い、その中へ踏み込んだ。《オルクス大迷宮》の時と同じように、記憶が勝手に溢れ出し迷宮攻略の軌跡が脳内を駆け巡る。そして、マグマ蛇を全て討伐したところで攻略を認められ、直接脳内に神代魔法が刻み込まれていった。

 

「……これは、空間操作の魔法か」

「……瞬間移動のタネ」

「ああ、あのいきなり背後に現れたやつですね」

「これは絶対に鈴に渡したくない」

「「「同感」」」

 

小さなおっさんを飼っている鈴にもたせたら、入浴中や睡眠中に襲ってきそうだ。流石にしないと思いたい零とハジメと幸利。逆に三人は浩介に渡せば最強の暗殺者になるのでは?と考えていた。

零達が空間魔法を修得し、魔法陣の輝きが収まっていくと同時に、カコンと音を立てて壁の一部が開き、更に正面の壁に輝く文字が浮き出始めた。

 

《人の未来が 自由な意思のもとにあらんことを 切に願う。ナイズ・グリューエン》

 

「「「シンプル」」」

 

魔法陣の周りには何もなかった。《グリューエン大火山》の創設者の住処にしては、かなり殺風景な部屋だ。オルクスの住処のような生活感がまるでない。本当に、ただ魔法陣があるだけの場所だ。

 

「……身辺整理でもしたみたい」

「ナイズさんは、魔法以外、何も残さなかったみたいですね」

「そういえば………オスカーの手記に、ナイズってやつも出てたな。すごく寡黙なやつだったみたいだ」

「ねぇねぇ!オーくんの手記に私いた?なんて書かれてた!?」

「「「「「「「書かれてなかったぞ」」」」」」」

「ウソッ?!」

 

事実、ミレディは迷宮以外のことは書かれていなかった。

 

「……さて、魔法も証も手に入れた。次は、脱出なわけだが」

「……どうするの?」

「何か、言ってるんですか?空間魔法があるじゃないですか」

「馬鹿、練習もなしにやったらマグマの中に転送、なんてあり得るんだぞ」

 

そこで愛優美は一つの提案を出した。

 

「紫使えば?」

「「「「それだ」」」」

「酷くないですか?」

「とりあえず、この先だけ何故か穴がある。そこまで移動させてくれ」

 

そして紫のスキマで移動しようとした。だが、マグマの先に行くようにしたのが間違いだった。なぜなら、そのマグマの先は思いっきり海だからだ。

 

転送してすぐに零がエンタープライズを街から召喚した。すると、エンタープライズの母艦が海中から飛び出てきた。綺麗に着地できなかったシアが「アシクビヲクジキマシタ」と叫んで悶絶していた。

 

「かわいそうに…」

「………指揮官、ここは?」

「大海原だ。さぁ、異世界転移から始まる大海賊生活を始めようか…」

「「待て待て、目的変わってるぞ」」

 

茶番をしていると、耀がどこから取り出したかわからない程大きな酒を飲み始めた。

 

「しげる、お前もどうだ?」

「フザケンナ、何処で飲もうとしているんだ!!」

 

そうだそうだっと恵里や雫も言うが、零は言動と行動が全く違った。耀の隣に座り、スキマからスルメイカを取り出すと、耀に少し分けてコップを出した。

 

「グエッ?!!」

「「何飲もうとしてんだ!!」」

「「飲んじゃ駄目!!」」

 

四人から腹に4発の拳が飛んできた。

 

「一応俺神だし、年齢的に飲んでも問題ない……逆に遅すぎるってほどなんだけどなぁ……」

「おっま!約束しただろう!親父と、俺ら二人で初めては飲むって!!」

 

そして依姫に酒を没収されて、渋々釣りを始めようとしたときだった。直後、潜水艇を囲むようにして、先が三股になっている槍、トライデントのような物を突き出した複数の人が音を立てて海の中から一斉に現れた。その誰もが、ミュウやミャミャと一緒のエメラルドグリーンの髪と扇状のヒレのような耳を付けていた。彼らの目はいずれも、警戒心に溢れ剣呑に細められている。そのうちの一人、ハジメの正面に位置する海人族の男が槍を突き出しながらハジメに問い掛けた。

 

「お前達は何者だ?なぜ、ここにいる?その乗っているものは何だ?」

「あ、あの、落ち着いて下さい。私達はですね「黙れ!兎如きが勝手に口を開くな!」はぅ…」

 

ハジメはその海人族に怒りを覚え、シアを優しく抱き締めた。

 

「………さて、俺としては海人族とは極力争いたくないんだ。だから、ここは落ち着いて話し合いといかないか?流石に、本気で仲間に手を出されたら黙っている訳にはいかないし……どうする?」

 

そう言うと海人族は一斉に槍を構えた。

 

「そうやって、あの子達も攫ったのか?また、我らの子達を攫いに来たのか!」

「もう魔法を使う隙など与えんぞ!海は我らの領域。無事に帰れると思うな!」

「手足を切り落としてでも、あの子の居場所を吐かせてやる!」

「安心しろ。王国に引き渡すまで生かしてやる。状態は保障しないがな…!」

 

零やハジメ達は海人族を気絶させようと思っていたが、話は変わった。

 

「なぁ、その子達の名前ってミュウとミャミャか?」

「やっぱり知っていたか!」

「吐け!吐かないのなら、この乗り物ごと沈めるぞ!!」

「え、マジ?()()()いいの?助かるわ」

「「「は?」」」

 

耀が急にそう言い、零と神羅は女性陣を反対側に誘導して、耳栓を全員につけさせた。すると、耀の口からキラキラ輝く物が海に向けて放たれた。

 

「た、退避ィィィィィィィ!!」

「「「「うわぁぁぁぁぁ?!!!」」」」

((((………可愛そう))))

 

そう、耀が戻した(吐いた)のだ。キラキラと言う音と共に、海に落ちていった。海に落ちる寸前でブラックホールに送ったから、海に一切被害がないが、海人族は街の方へと逃げていった

 

「すまん、やったわ」

「ばっか、それ《灯》がお前の酒癖直すために渡したのじゃねぇか」

「俺らって普通に酔わないはずなんだけどなぁ……」

 

女性陣に大丈夫なことを言いに行き、船を出航させて街に向けて航海した。ちなみに耀のあれは酒ではなく、食った魚が生焼けで吐いただけだ。



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親方ぁ!空から娘が、うちの娘がぁ!!

今日からこっちの話を少し長く、そしてこっちを優先します。他作品が好きな方はお待ち頂けると幸いです。
あ、アンケートで人気投票みたいなのやってて、愛優美とフミアがね、自分のオリキャラの中でめっちゃ好きになってきました。ちなみに俺の最推しは依姫です。


なんとか生き残っていた海人族に街への案内をしてもらった。桟橋が見えたところで止まり、そこからは船から飛び降りて街へ入っていった。すると、多くの海人族が零達に向けてトライデントを向けていた。

 

「さぁ!吐け!汚物ではなく、あの子達の居場所を吐け!!」

 

ハジメはゆっくりと説明した。ミュウのこと、ミャミャのこと。だが、海人族はにわかに信じられないと、再びトライデントを向けようとしたときだった。何かの影が零達の上を通ったのだ。零達には何が通ったのかわかっており、海人族は敵襲と勘違いをして、周りを警戒し始めた。

 

「「来たか…」」

 

ハジメと幸利がそう言うと、上空からなにかの声が聞こえた。全員が上を見るが、太陽光によって何も見えない。だが、ハジメ達にはわかっていた。

 

「「パパァァァ!」」

 

 

しばらくして、空に何かが出てきた。それは次第に大きくなり、海人族は落ちてきたそれを見て驚いていた。

 

「「パパァァァ!!」」

「ミュウ!」「ミャミャ!」

 

パラシュートも何も着けず、というわけではなく、三月が二人を抱えて落ちてきたのだ。流石はフミア専属のメイドと言いたいが、後ろの香織は何もつけていなかった。ラフィー達は竜化のティオと一緒に降りてきていた。三月は着地してすぐにミュウとミャミャを放した。ハジメはミュウを、幸利はミャミャを優しく抱き上げた。

 

「ぐすっ、パパ、ごめんなしゃい……」

「もうあんな危ない事しないって約束できるか?」

「うん、しゅる…!」

「よし、ならいい。ほら、来な」

「パパァー!」

「ミャミャも、同じことはしないって約束できるか?」

「しゅる…!」

「なら、おいで」

「パパァー!」

 

そして零の娘達はというと、ティオの背中から飛び降りて零に一直線に向かってきた。向かってきたのはいいが、少し厄介な状態で来た。

 

「パパァァァァ!!」

「よしよし、落ち着け。だから、超振動波をしながら来るんじゃない!」

 

ゴモラの角に赤いエネルギーが溜まっていき、どんどん真赤になっていった。ゴモラを受け止めた瞬間、右肩に超振動波が放たれて、右腕が吹き飛びそうになった。

 

「ぐすっパパァ…!」

「よしよし、ゴモラ。もう超振動波をしながら抱き着こうとしないって約束できるか?」

「うん!」

「なら、おいで」

「パパァ!」

 

そう言って泣き出すと、また超振動波を溜め始めた。そのゴモラの後ろから、メカとサイバーも駆け寄ってきた。ゴモラと違って超振動波などは溜めておらず、そのままゴモラの横に突っ込んできて、抱き着いてきた。

 

「よしよし、いい子にしてたか?」

「「「うん!」」」

 

そうしていると、ハジメはミュウをユエに渡して、手を大きく広げて香織を抱きしめる準備をした。

 

「きゃぁぁぁ!ハジメくん、受け止めてぇぇぇ!!」

「やれやれ…来い!」

 

そうして、香織を見事キャッチして、抱き締めた。ティオ達はそんなことせずに、ちゃんと降りてきた。ただ、地面に着いた瞬間、零に向かって一斉に走り出した。

 

「よしよし、お前らも無事だな」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

「主、少しよいか?」

 

ティオは零に近づいて行った。

 

「どうしんむっ?!」

「よかった…よかったのじゃ…」

 

零を胸に押し付けて泣き始めた。それを横目にフミアは自身の胸に手を当てた。依姫は大丈夫と言いたげな感じでフミアの肩に手を置いた。そうして、フミアは自身のステータスプレートを取り出し、海人族に渡した。

 

「「「不死身のフミア、だとぉ?!」」」

「しかも、フューレン支部長の指名依頼!?」

「そういうわけだから、早くこの子達を親のところに連れていきたいの。邪魔しないわよね?」

「「「「もちろんであります!こちらでごございます!!」」」」

 

そう言って道を開けてもらい、ミュウ達の母親のところに行くことになった。ミュウとミャミャはハジメと幸利に抱き上げられて家に向かった。しばらく歩くと、2件の家があった。少し離れているが、ご近所さんんらしい。そして、よく耳をすますと、誰かの声が聞こえた。

 

「レミア、ユミナ!落ち着くんだ!その足じゃ無理だ!」

「そうだよ、レミアちゃん、ユミナちゃん。ミュウちゃん達ならちゃんと連れてくるから!」

「いやよ!ミュウ達が帰ってきたのでしょう!?なら、私が行かないと!迎えに行ってあげないと!」

「そうよ!ミャミャ達が帰ってきてるんでしょ?だったら、私が行かないと!!他の誰でもない、私達が!」

 

するとミュウとミャミャがハジメ達から降りて、ステステーっと走っていった。迷うことなく、一直線に。

 

「「ママぁ!!」」

「ミュウ!」「ミャミャ!!」

 

ちょうど、二人の親らしき人物が家から出てきた。ミュウとミャミャは自分の母親を見つけて、その母親の体に思いっきり抱きついた。

 

「なぁ、小さくてよく聞こえなかったが…」

「あぁ、足を怪我してるって…」

「やっぱ帝国か?そうなのか?潰すか」

「「賛成」」

「こら、三バカ!何も帝国だと決まったわけじゃないでしょ!」

 

そうしていると、ミュウとミャミャが走って帰ってきた。今度は涙目で。

 

「パパぁ!ママ達を助けて!ママ達の足が痛いの!」」

「お願いなの!パパぁ!」

 

そう言われてハジメと幸利は走って家に入り、二人の親の足を見た。

 

「これ、アキレス腱切られてないか?」

「こっちは毒が回ってやがる。くそ、帝国兵!」

「「パパ、ママが……」」

 

ミュウの親は毒で足の一部分が変色しており、動かすのも無理だった。ミャミャの親はアキレス腱のところが完全に切られていた。なんなら骨も見えていた。ミュウとミャミャが泣きそうにハジメ達の服を引っ張っていた。

 

「大丈夫だ、ミュウ……ちゃんと治る。だから、泣きそうな顔するな」

「はいなの……」

「ミャミャも、泣き止め」

「はいなの…」

「「香織…」」

 

香織は二人の足を見て、ミュウの親の足を見て首を横に振った。香織ですら治せないようだ。

 

「ママ、治らないの…?」

「ミュウ…大丈夫だ。まだ可能性を持ったヤツがいる」

 

そう言ってハジメは零の方を見た。零は治療は専門外のため、望みは薄い。

 

「これは……!!」

 

零よりも愛優美のほうが驚いていた。

 

「何か、知ってるか?」

「これ、()()()の猛毒だよ!!」

「「「「紫毒姫?」」」」

「治せるか?」

「零、グリージョキュアチャージだよ。あれなら、紫毒姫の猛毒も解毒できる!」

 

そう言われて零はグリージョキュアチャージをミュウの親にした。すると、毒が見る見る消えて行った。

 

「凄い…」

 

そしてミャミャの親はというと、時間をかけてゆっくり回復させれば後遺症も残らず完治できるとのことだ。零とハジメと幸利は外に待っている海人族に話を聞きに行った。

 

「なぁ、あの二人は誰にやられたんだ?」

「人間…それも帝国の奴らだ」

 

それを聞いて、三人は互いを見て頷き、言った。

 

「「「帝国潰してくるわ」」」

「「やめなさいッ!」」

 

雫と香織の手刀が3人に炸裂した。だが、雫や依姫達も帝国を潰すことには賛成していた。

 

「で、どうする?」

「うちの軍勢をぶつけるか?アイツらなら、帝国の1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ…………1日で沈めれるぞ?」

「いやいや、もっと時間をかけてゆっくりと壊そうぜ?」

「だな、ちなみにそれは何体まで出せる?」

「一億三千九百八十万だ」

「他には?」

「俺が怪獣に変身して、帝国事地図上から消す」

「「決定。もうそれで行こう」」

 

と、零達が怖いことを言っているのを聞いて、シア達は緊急女子会?を始めた。

 

「あれ、マジですか?」

「う〜ん……どちらかというと、この世界ごと消し去りそうだけど……」

「怒らせた帝国が悪い」

「「「「「ですね」」」」」

 

そして、その日はミュウとミャミャの提案により、ハジメはミュウの親…レミアとミュウと、幸利はミャミャの親であるユミナと一緒に寝ることになった。ちなみに、零はいつも通り依姫とフミアと雫と一緒に寝た。



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俺らハブられました。

ゴモラ達をレミア達に託して、零達はミレディの案内の下、《メルジーネ海底遺跡》探していた。ミレディに言われた場所で泊まり、月が出るのを待っていた。その間、甲板の上でバレーを始めたラフィー達、その流れ弾がたまに零に当たって、零の頭にたんこぶができていた。

 

「それでだ、帝国を潰す日を決めようじゃないか」

「いや、待て。一度王国に帰ろう。そこで親父に頼んで、帝国に戦争を吹っかけよう」

 

そんな感じで会議をしている零に後ろから誰かが抱き着いてきた。恵里だ。

 

「お兄ちゃんも!ハジメも幸利も、遊ぼうよ!」

 

そう言われて、零達はそれぞれ遊び始めた。ミレディは眼帯をつけて、海賊がつけるキャプテンハット?のようなものを着けて、戦闘機の前に立っていた。

 

「なに自分船長ですみたいなことやってんだ?」

「これでも昔は解放者のリーダーだったんだよ?船長にだってなれなきゃ、戦友の下に行けないよ…」

 

そう言っていると、香織がハジメに別のキャプテンハットを被せられ、幸利達にめっちゃ笑われていた。そして、夕暮れ時になったときだった。

 

「ほら、お前ら先にシャワー浴びてこい」

 

女性陣を先に行かせて零達は海面を見ていた。

 

「なぁ、どう思うよ」

「月が現れし時、大迷宮も現れる。だっけ?」

「つまり、月が関係していることに間違いはないだろう。だが、今は……」

「あぁ、今は……」

「「「この景色を堪能したい」」」

 

海に落ちていく太陽を眺めながら、零達はスルメイカとみたらし団子を手に取って食べていた。そして、月が出てきたことを確認する。すると、ハジメはペンダントを月にかざしてみた。ちょうどランタンの部分から月が顔を覗かせている。しばらく眺めていたが、特に変化はない。やはりわけ分からんと、ハジメは溜息を吐きながらミレディに追及しようとしたときだった。ペンダントに変化が現れた。

 

「わぁ、ランタンに光が溜まっていきますぅ。綺麗ですねぇ」

「ホント…不思議…穴が空いているのに……」

 

そう言って全員で見つめている。やがて、ランタンに光を溜めきったペンダントは全体に光を帯びると、その直後、ランタンから一直線に光を放ち、海面のとある場所を指し示した。

 

「……なかなか粋な演出。ミレディとは大違い」

「全くだ。すんごいファンタジーっぽくて、俺、ちょっと感動してるわ」

「んなッ?!私のところも結構いい演出だったでしょ?!」

 

ミレディを全員がスルーをした。ミレディは泣きながら零に抱き着いた。それを見た零はミレディを初めてカワイイと思った。ペンダントのランタンが何時まで光を放出しているのか分からなかったので、ハジメが急遽潜水艇を作り出し、導きに従って潜水艇を航行させた。ペンダントの光は、潜水艇のフロントガラスならぬフロントガラス?越しに海底の一点を示している。その場所は、海底の岩壁地帯だった。無数の歪な岩壁が山脈のように連なっている。昼間にも探索した場所で、その時には何もなかったが、潜水艇が近寄りペンダントの光が海底の岩石の一点に当たると、物凄い音を響かせて地震のような震動が発生し始めた。

 

「地震とは少し違うようだ…」

 

その音と震動は、岩壁が動き出したことが原因だ。岩壁の一部が真っ二つに裂け、扉のように左右に開き出したのである。その奥には冥界に誘うかのような暗い道が続いていた。

 

「なるほど……道理でいくら探しても見つからないわけだ。運良く見つかるかもなんてアホなこと考えるんじゃなかった…」

「それな」

「……暇だったし、楽しかった」

「そうだよ。異世界で海底遊覧なんて、貴重な体験だと思うよ?」

「楽しめたのならそれで良かった」

 

ハジメは潜水艇を操作して海底の割れ目へと侵入してしようとしたときだった。

 

「「「「痛っ?!」」」」

「「「「?!」」」」

 

何故か零達が()()()()()()()で頭をぶつけた。どうやら、見えない壁があるらしい。ちなみに零、フミア、依姫、ミツネ、愛優美、紫、三月、耀、神羅、ミレディKAM−SEN達だけがぶつかった。

 

「なんで?!」

「……あ!」

 

ミレディは何かを思い出したかのように、手を叩いた。

 

「多分、零達は迷宮に入らなくても再生の力を使えるからで…ラフィーちゃん達はわからないけど、私は昔色々あったから……だと思う」

 

そう言われて零と愛優美は膝から崩れ落ちて、叫んだ。

 

「「ちくしょぉぉぉぉ!!!」」

「「うるせぇ!!」」

 

ハジメと幸利の鉄拳が零の脳天に直撃した。

 

「なぜ俺?!」

 

そうして、零達は街に戻ってハジメ達の帰りを待つことにした。解せぬと零と耀と神羅は釣りを始め、耀に《他の二人》はどうしていると尋ねた。

 

「聞くか?種族がまた変わって、一人称も口調も変わって、迷いの竹林にすみ始めたヤツと、人里で長を始めたヤツの話聞くか?」

「何があったし」

 

そこからは雑談を始めた。何度かラフィー達のバレーボールが3人の頭に当たったのは言うまでもない。



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うちのメイド凄すぎる

ハジメ達が帰ってくるまで零達は街で時間を潰していた。耀と神羅は将棋をして、零は借りている家の厨房に入っていった三月に昼飯をどうするか聞こうと厨房へと行った。

 

「三月、昼飯なんだが……」

 

零が厨房に入って最初に見たものは机の上に並べられている寿司と紅茶を飲んでいるフミアだった。

 

「あぁ……」

 

なぜ異世界に寿司があるのか呆れていると、三月が零に気づいて近づいてきた。

 

「旦那様?」

「あぁ…寿司を作ったのか」

「お気に召しませんでしたか?」

「いや、凄すぎて……」

 

ワインを飲み終えたフミアが少し笑って零を見た。

 

「やっぱり、うちのメイド有能よね…この紅茶だって、三月が作ったものよ…」

「……」

「お褒めに預かり光栄です」

 

そう言って三月がフライパンを煽り、料理を再開させた。零はフミアに手招きされて隣の席に座った。

 

「さて、シェフ。今日のお昼ごはんが?」

「旦那様には異世界の具材を使った炒飯、お嬢様には異世界の具材で作ったパフェでございます」

「「やっぱうちのメイド凄すぎる」」

 

そう言って三月が作った炒飯を食べていると、耀達が帰ってきた。

 

「で、どうだった?」

「500勝500敗の引き分けだって、なにいいもん食ってんだよ」

「異世界の炒飯?ちなみにお肉は?」

「牛肉です。これはこちらの世界にないので、幻想郷に一度帰って持ってきました。レミリア様達がいつもどおり喧嘩をしていたので、あちらはあまり変わっていないようです」

「「「「やっぱ三月って有能だな。つか、また喧嘩してるのなあの二人」」」」

 

四人は呆れて目の前に置かれたご飯を食べた。いい匂いにつられてなのか、ラフィー達もやってきた。砂まみれのまま帰ってきたので、零が先に風呂に入らせた。

 

「有能メイドを持つと、楽よね」

「あぁ、家事を任せれるし、頼りになる。しかも、育児も手伝ってくれる」

「気配り上手」

「完璧美人」

「ちなみに婚約とか、奪おうとしてきた輩が現れたら?」

「「潰す」」

「ぶちのめす」

「未来永劫子孫が残らない未来に変えるわ」

 

三月を褒めている四人に愛優美が言った一言で場の空気が空間が歪んだかのように変わった。ハジメ達がこの場にいたのなら、震えていたかもしれない。

そんなときだった。海のほうから物凄い音が聞こえた。

 

ザバァアアアアアア!!!

 

まるで水が押し寄せてくるかのような音だった。零達は急いで外に出た。すると物凄く大きな津波が押し寄せてきた。

 

「「「「「「「ぜってぇーハジメ達だろ」」」」」」」

 

そして零はみんなを船に乗せて、船を出してハジメ達の方へと向かった。

 

『ハジメ、大丈夫か?!』

『いいところに!3分間だけ時間を稼げるか?!』

 

ハジメがそう言ったときだった。どこからかわからないが渋いおっさんみたいな声が聞こえた。

 

『よぉ、ハー坊。何やら大変なことになってるようじゃねぇか』

『?!その声は…リーさん?!!』

『誰?!』

 

なんとハジメの知り合いの魚が群れを連れてやってきた。



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群れ+エビラ2体+ゴジラ

魚の群れの中に見覚えのある2つの何かがいた。巨大なエビ、エビラだった。

 

『『キュィィィィイイ!!』』

 

エビラは津波の中心にいたクリオネ?に体当たりをし始めた。それに続くようにリーさんが連れてきた魚の群れも体当たりを始める。

 

「俺も行くか!親友のためだ!!」

 

零はゴジラに変身してクリオネに向かって放射熱線を放った。

 

『リーさん、なんでここに?!』

『フッ近くを通ってたらデカい、覚えのある魔力があってな、近づいて見りゃ悪食と戦っているハー坊達がいるじゃねぇか。友を助けねぇのは男の恥だ。3分間だろ?時間を稼いでやるよ!』

『あぁ、ありがとう!リーさん!!』

『俺には?』

 

零はクリオネの触手を掴んで触手に向かって熱線を放った。エビラは他の触手を相手にしていたが、片方食われて腕のハサミが落ちていた。

 

「ゴジラよりもデカいなんて、お前怪獣だな?!どこ出身だ!!」

「ふざけるほど余裕なんだな」

『リーさん!爆発するぞ!!』

 

船に上がったハジメが何かをクリオネと零に向かって投げた。

 

『ハジメさん???』

 

零がそう言うとハジメが投げた物がクリオネの口?の中に入った。零はヤバいと思い、すぐに変身を解除してバリア、壁、結界を張った。張ったのと同時にクリオネが大爆発を起こした。

 

「殺ったか…」

『スゲェ威力だな。まぁ、悪食殺ろうってんなら仕方ないか。何にしろ、見事だったぜ』

 

ハジメとリーさんが話している間、零は海に潜ってエビラの体を探した。だが、何もなかったため、断念して船に上がった。上がった先ではハジメとリーさんが何かやたらと通じ合っていた。目を合わせて何か感じ取っていた。

 

「ハジメくん……異世界で出来た友達がリーマンさんなの?あんなに誰かと意気投合してる姿なんて零くんと清水くんと遠藤くん以外でも見たことないよ!」

「前もあんな感じでしたよ。ガールズトークならぬボーイズトークってやつですかね?まぁ、相手はおっさんですが……」

「渋いじゃねぇか」

「かっこいいねぇ」

「「「「あれかっこいいの?男ってわからないわ〜」」」」

 

耀と神羅がリーさんを見て何か懐かしさを感じていた。

 

『嬢ちゃん、ライバルは多そうだが頑張れよ。じゃぁな、ハー坊、嬢ちゃん、それにハー坊の仲間も。子供が出来たら、いつかうちの子と遊ばせてくれよ。カミさんも紹介するぜ?』

『あぁ、必ず!』

 

そう言ってハジメが手を振ってリーさんを見送った。しばらくの沈黙の後、全員が叫んだ。

 

「「「「「って、結婚してたのかよぉーーー!!?」」」」」

 

零達のツッコミはしばらく消えることはなかった。



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子離れのときが来てしまった。

「パパぁー!ママぁー!朝ぁー!起きてぇー!」

 

そんな声とともにゴモラが部屋の中に入っていき、ベッドで寝ている零の腹の上にダイブする。

 

「グハッ?!」

「起きるのー!あーさーだーよー!」

 

ゴモラは起きない零を何度か叩いた。隣に寝ている依姫の体を揺さぶり、起こす。

 

「ママも!朝起きるの!」

 

零と依姫はゴモラに起こされて朝食を食べに下の階へと行く。

 

「あら、夫婦揃って寝坊かしら。それとも夫と夜中に一対一の勝負でもしてたのかしら?」

「「うぐっ…」もしかして煩かった?」

「そんなことはないわよ。ほら、三月が作ってくれた朝食よ。覚めないうちに食べなさい」

 

そう言ってフミアが皿を置いて家を出た。

 

「そういえば、今日はみんな海で遊ぶんだっけ?日焼け止め大丈夫か?」

「大丈夫、三月も持ってるから」

 

そして零と依姫は朝食を食べたあと、海の方へと行った。零はハジメ達男子二人組が釣りをしていたので、そこに混ざることにした。ちなみに耀達は迷宮に入れるか試している。

 

「いい加減出発しないとな……はぁ、ミュウに何て言うべきか……泣かれるかな。泣かれるよな……はぁ、憂鬱だ」

「絶対ミャミャが泣くよなぁ…はぁ、憂鬱だ」

「ゴモラ達どうしようかな…置いてけぼりはなぁ…泣かれるよな…」

「「「………恨むぞ先生」」」

 

零達はそう言いながら糸を垂らす。零達が釣りをしている間、依姫達は日焼け止めを塗って水着に着替えていた。

 

「「「「「遊ぶの!」」」」」

 

ゴモラ達は思いっきり海に飛び込んだ。ゴモラ達は海に飛び込んで大丈夫なのかと思ったが、意外と泳ぐのが上手かった。サイバー達もミュウ達と泳げている。

 

「ラフィーも泳ぐ…」

「綾波も」

「私も!」

「3人とも!ちゃんと泳ぐ前に準備運「泳ぐのだぁ〜!」ちょっと!」

「まぁ、いいじゃないか。元気いっぱいで」

「ですが、準備運動は欠かせません。エンタープライズ様も、準備運動はしっかりしてくださいね?」

 

ベルファストの圧にエンタープライズは黙ってしまった。

 

「さ、私達も遊びましょうか!」

「雫ちゃんその水着どこで貰ったの?!」

「この水着は零に貰ったわ。そういう香織はハジメくんに貰ったの?」

「うん!」

「この水着お兄ちゃんに見せてくる!」

「…私はハジメに」

「あ、ユエさんずるいですぅ!」

 

海に入ろうと降りようとしていたシアがユエの方に振り向こうとした瞬間だった。海からミュウがシアに飛びつき、水着を奪って行った。水着を掲げて叫んだ。

 

「とったどーなのー!」

「ミュウちゃん?!」

 

ミュウはシアの水着を持ったままハジメのところへと走った。ハジメの膝の上に座り、奪ったシアの水着をハジメの頭の上に乗せた。

 

「とったどーなのー!」

「「親が親なら子も子か…」」

「おい待てそれはどういうことだ。場合によってはお前らぶっ飛ばすぞ」

 

そう言っていると依姫達も来た。水着を取られたシアはベルファストと三月に体を隠してもらっていた。

 

「ミュウちゃん!?なぜ、こんな事を……はっ!?まさか……ハジメさんに頼まれて?もうっ!ハジメさんたら、私の水着が気になるなら、そう言ってくれれば……いくらでも!」

「……ハジメ、私のもあげる」

「私もハジメくんが欲しいなら!あ、でもここで脱ぐのは恥ずかしいから…あとで部屋でね?」

「あらあら、じゃあ、私も……上と下どちらがいいですか?それとも両方?」

 

そんな話になり、ハジメの頭にハジメの嫁ズの水着が乗せられる。

 

「しげるはいる?」

「そんな事しなくていいから。つかラフィー達にそんなことさせたら俺が映姫に怒られる」

「まぁ、しげるはそんなことするタイプじゃないし、させるようなタイプじゃないわよね」

 

そんな零の膝の上に恵里が乗ってきた。

 

「お兄ちゃんこれ見て!海でこんなの見つけた!」

 

そう言って恵里が綺麗な貝殻を見つけていた。

 

「これ鈴へのお土産にするの!お兄ちゃん、これを髪飾りにできる?」

「あぁ、少し待ってろ」

 

そうして楽しく遊んでいるといつの間にか夜になっていた。夕食前にハジメと幸利はミュウとミャミャに別れを告げた。それを聞いたミュウは、着ている服の裾を両手で握り締め、懸命に泣くのを堪えていた。

 

「……もう、会えないの?」

「「……」」

「「……パパは、ずっとミュウ(ミャミャ)のパパでいてくれる?」」

「「……ミュウ(ミャミャ)がそれを望むのなら」」

「なら…いってらっしゃいするの!それで今度は、ミュウ達がパパを迎えに行くの!」

「迎えに…?…ミュウ。俺達は、凄く遠いところに行くつもりなんだ。だから……」

「でも、パパが行けるなら、ミュウ達も行けるの。だって……ミュウはパパの娘だから!」

「ミャミャはパパの娘だから!」

 

ハジメと幸利はミュウとミャミャを抱き締めた。

 

「全部終わらせたら。必ず、ミュウのところに戻ってくる。みんな連れてミュウに会いに来る」

「あぁ、必ずミャミャのところに戻ってくる!」

「「……ホント?」」

「ああ、本当だ。俺がミュウに嘘吐いたことあったか?」

 

ハジメの言葉に、ふるふると首を振るミュウ。ハジメは、そんなミュウの髪を優しく撫でる。

 

「戻ってきたら、今度は、ミュウ達も連れて行ってやる。それで、俺達の故郷、生まれたところを見せてやるよ。きっと、びっくりするぞ。俺の故郷はびっくり箱みたいな場所だからな」

「パパの生まれたところ?みたいの!」

「楽しみか?」

「すっごく!」

 

ハジメと幸利が別れを告げている中、零は少し離れたところでゴモラ達と一緒にいた。

 

「ゴモラ、メカ、サイバー。この先に旅は危険だ。お前らは連れていけない。ごめん」

「ここでお留守番?」

「あぁ、ここで留守番だ。それとミュウ達に危険が迫ったとき、助けてやってくれ」

「お父さんはまた会える?」

「あぁ、必ず。それとだ……これを」

 

零はゴモラに笛を渡した。

 

「それは俺が()()()から貰ったお守りに近い物だ。もし、お前達が怪獣に戻っても勝てないような相手が出たときにその笛を吹け。必ず、正義のヒーローが助けに来てくれる。」

「わかった!ゴモラはお姉ちゃんだから、ミュウもミャミャも、メカもサイバーも!この街を守る!」

「いい子だ。それじゃ……またな」

 

そう言って零はゴモラ達と別れて依姫達のところへと行った。ハジメ達もミュウ達と別れたようで、ハジメは香織とユエに泣きついて、幸利は明後日の方向を見て涙を流していた。

零がハジメが出したバイクに乗ろうとしたときだった。愛優美が零を待っていたようで話しかけてきた。

 

「最後、ゴモラ達に渡したアレ…あの時の……」

「…見てたのか。あぁ、そうだ。あの時の笛だ。あの日、2()()()()()()()だ。ちゃんと元に戻してずっと持ってた物だ」

「ちなみに正義のヒーローっていうのは?」

「…………さぁな、俺にもわからない」

 

零はそう言うと車に乗った。それに続くように愛優美が乗り、扉を閉めた。



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閑話。恵里の帰還??

お城の中で鈴達が訓練場ででいると、一人の兵士が急いだ様子でやってきた。

 

「団長!」

「お、おぉ?どうした?」

「使徒様方が戻られました!」

 

今、城には鈴だけではなく、愛子先生もいる。零達以外の全員ここにいて、誰も外に出ていない。そして数名の兵士とともに()()()()()()()()

 

「「「恵里?!」」」

「恵里!!」

 

みんながすぐに恵里の周りを囲った。

 

「みんな、ただいま!」

 

笑顔で応えた恵里にみんな、少し安心しているのか、騒ぎ始めた。

 

「恵里!どうしたの?零くん達は?」

「実はね、お兄ちゃん達の旅が危険になっていくからって私は鈴のいる国に帰ってろって言われちゃって…」

「なんだって?紅蓮のやつ、妹を一人で帰すなんて!」

「あれ?じゃぁミツネちゃんは?」

「ミツネは私よりもお兄ちゃんのほうが好きみたいでね、お兄ちゃんについて行っちゃったんだ…」

 

みんな、偽物と一緒だと思っていたが、あの時のヒッポリト星人のなりすましと違い、本物と同じ気配、魔力、そして何よりもステータスプレートという身分証明書に《紅蓮恵里》と書かれていたため、本人として認めるしかなかった。

 

「鈴ね、鈴ね!恵里達がいない間、頑張ったよ!」

「流石私の親友!」

「えへへ…あ、私もいっぱい強くなったよ!」

「そうなんだね!」

 

しかし、ここで鈴の中に疑問が生まれてしまった。

 

「零くん達は一緒に来なかったの?」

「うん、旅が忙しいのと、私も強くなったから大丈夫だろうって…」

 

鈴と恵里が話していると天之河が恵里に話しかけた。零達の旅から抜けたのなら、勇者パーティーに入らないかという誘いだった。

 

「うん、入るよ!鈴に強くなった私を見せたいし、強くなった鈴を見てみたいもん!」

「そうだよな」

「メルド団長!また、これからもよろしくおねがいします!」

「あぁ、俺はお前達の教育を任されえいるからな」

 

そして鈴は恵里の部屋の場所へと案内した。案の定、恵里は部屋の場所がわからなくなっていた。数カ月間、いなかったため、場所を忘れていた。

 

「恵里の部屋はここだよ」

「鈴ありがとうね」

「えへへ、鈴ね。恵里が帰ってくるの楽しみにしてたんだ」

「私も、鈴と再会するのずっと楽しみだったよ!お兄ちゃん達、ずっとイチャイチャしてて私に構ってくれないんだもん!」

「零くん彼女めっちゃ多かったね!そう言うけど、恵里も密かに狙ってるんでしょ?」

「それは秘密!」

「そっか…それじゃぁ恵里、また後でね!続きは夕食のときに!」

「うん、またね!」

 

鈴が訓練場の方へと戻ると、恵里?は()()()()()

______________________

同時刻、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



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オアシスの浄化

ミュウやミャミャ、ゴモラ達と離れてからパパ2人衆は愛娘と離れてしまって、落ち込んでいた。二人に変わって運転する零はハジメ達と違い、ゴモラ達にまた会えるとわかっているため、すぐに立ち直れた。

 

「あ、見えてきたぞ。アンカジだ」

 

そして現在、アンカジの入場門が見え始めたところなのだが、何やら前回来た時と違って随分と行列が出来ていた。大きな荷馬車が数多く並んでいた。

 

「凄い列ね…」

「随分と大規模な隊商だな……」

「……ん、時間かかりそう」

「多分、物資を運び込んでいるんじゃないかな?」

 

そして一人の兵士が走って俺らの方に来た。零達は全員降りて、車を宝物庫にしまった。

 

「ああ、やはり使徒様方でしたか。戻って来られたのですね」

 

兵士は、香織の姿を見ると胸をなで下ろした。ビィズを連れてきた時か、零達が《グリューエン大火山》に《静因石》を取りに行く時に車を見たことがあったのだろう。

 

「実は、オアシスを浄化できるかもしれない術を手に入れたので試しに来ました。領主様に話を通しておきたいのですが……」

「オアシスを!?それは本当ですか!?」

「はい。あくまで可能性が高いというだけですが…」

「いえ、流石は使徒様方です………と、こんなところで失礼しました。既に領主様には伝令を送りました。入れ違いになってもいけませんから、待合室にご案内します。使徒様方の来訪が伝われば、領主様も直ぐにやって来られるでしょう」

 

そして兵士に連れられて待合室に向かった。ハジメと幸利が部屋の隅で小さく丸くなっていた。

 

「……香織、あれはいつ直るんだ?」

「さ、さぁ…私にはわからないかな…」

 

そして待合室にやって来て十五分くらいたった時だ。領主が息せき切ってやって来た。それだけ、領主達にとって零達の存在は重要なのだろう。

 

「久しい……というほどでもないか。………無事なようで何よりだ、レイ殿、ハジメ殿、ユキトシ殿………レイ殿、二人は大丈夫なのだろうか……」

「すぐ直るだろう。無視していい」

「そうか……しかし、ティオ殿に〝静因石〟を託して戻って来なかった時は本当に心配したぞ。貴殿らは、既に我が公国の救世主なのだからな。礼の一つもしておらんのに勝手に死なれては困る」

「一介の冒険者に何言ってんだ。でもまぁ、この通り普通に生きてるぞ。それより領主、どうやら救援も無事に受けられているようだな」

「ああ。備蓄した食料と、ユエ殿達が作ってくれた貯水池のおかげで十分に時間を稼げた。王国から援助の他、商人達のおかげで何とか民を飢えさせずに済んでいる」

 

話が終わると香織が恐る恐る領主にオアシスについて聞いた

 

「領主様。オアシスの浄化は……」

「使徒殿…いや、香織殿。オアシスは相変わらずだ。新鮮な地下水のおかげで、少しずつ自然浄化は出来ているようだが…………中々進まん。このペースだと完全に浄化されるまで少なくとも半年、土壌に染み込んだ分の浄化も考えると一年は掛かると計算されている。それ以上かもしれないが…」

 

そこで香織がオアシスの浄化できると言った途端、机を壊す勢いで立ち上がった。領主はすぐにオアシスの浄化を香織に頼む。そしてオアシスに向かって行くと、前来たときよりも少し色が鮮やかになったオアシスがあった。

 

「確かに進行は遅いな…」

「えぇ、だけど香織なら行けるはずよ。香織、お願い」

 

香織が再生魔法を発動させるとオアシス全体が輝きだし、光の粒子が湧き上がって天へと登っていく。まるでこの世の邪が浄化され天へと召されていくような神秘的で心に迫る光景だった。

我を取り戻した領主は、部下に水質の調査をさせた。部下の男性が慌てて検知の魔法を使いオアシスを調べる。それを見守るランズィ達に、検知を終えた男は信じられないといった表情でゆっくりと振り返り、領主に結果を報告した。

 

「……戻っています」

「…………もう一度言ってくれ」

 

領主は聞き間違いかと再確認をした。部下の男性は今度は領主だけではなく、全員に聞こえるように言った。

 

「オアシスに異常なし!元のオアシスです!完全に浄化されています!」

 

部下の男性が言うと、零達以外の見守っていた全員が歓声の声を上げて喜んだ。中には荷物や書類などを投げ捨てる者までいた。

 

「ゼンゲン公……こちらへ。彼等は危険だ」

 

その一言で周りの人達の歓声の声が止まった。



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異端者認定

「…フォルビン司教、これは一体何事か。彼等が危険? 二度に渡り、我が公国を救った英雄だぞ?彼等への無礼は、アンカジの領主として見逃せん」

 

初老の男は、馬鹿にするように領主の言葉を鼻で笑った。

 

「ふん、英雄?言葉を慎みたまえ。彼等は既に異端者認定を受けている。不用意な言葉は、貴公自身の首を絞めることになりますぞ」

「異端者認定だと?私は何も聞いていない。何かの間違いではないのか?」

 

零達に対する《異端者認定》という言葉に、誰もが息を呑んだ。領主とて、聖教教会の信者だ。その意味の重さは重々承知している。それ故に、何かの間違いと信じられない思いで司教に返した。

 

「当然でしょうな。今朝方、届いたばかりの知らせだ。このタイミングで異端者の方からやって来るとは……クク、何とも絶妙なタイミングだと思わんかね? きっと、神が私に告げておられるのだ。神敵を滅ぼせとな……これで私も中央に……」

 

最後、声が小さく聞こえなかったが、零達が異端者認定を受けたことは本当と理解し、領主が思わず背後の零達を振り返る。しかし、当の零達は特に焦りもせずに、話を聞いていた。

 

「さぁ、私はこれから神敵を討伐せねばならん。相当凶悪な男だという話だが、果たして神殿騎士百人を相手に、どこまで抗えるものか見ものですな…………さぁさぁ、ゼンゲン公よ、そこを退くのだ。………よもや我ら教会と事を構える気ではないだろう?」

 

百人という言葉に零は反応し、笑いを堪らえようとしたが、無理だったみたいで笑い声が全員に聞かれた。

 

「何がそんなに可笑しい…」

「いや、()()()()で俺達を殺せると思ってるのか?」

 

零は魔法陣とは少し違う物を後ろに展開した。その大きさはハジメ達が戦ったヒドラよりも大きい魔法陣だった。その魔法陣から白いゴーレムのような物が落ちてきた。ギャラクトロンは直立状態で落ちてきた。もちろん動いていない。落ちてきたときの衝撃で全員がふらついた。

 

「うわ、お前毎回そんな登場の仕方なのか?」

「これって……」

「あぁ、ギャラクトロンだ。さぁ………フォルビンだっけか?そっちが百人なら、こっちはコイツ一体で戦ってやるよ。それとも百人だから百体にしてもいいぞ?」

「ふん、そんなゴーレム如き、神殿騎士の相手にもならんわ!」

「そっか…」

 

零はギャラクトロンを起動させようとした。だが領主に待ったをかけられ、零はギャラクトロンの起動をやめた。

 

「フォルビン司教、私はここを退かない。退くことを断る」

「……今、何といった?」

 

全く予想外の言葉に、司教の表情が面白いほど間抜け顔になる。そんな司教の様子に、内心、聖教教会の決定に逆らうなど有り得ないことなのだから当然だろうなと苦笑いしながら、領主は揺るがぬ決意で言葉を繰り返した。

 

「断ると言った。彼等は救国の英雄。例え、聖教教会であろうと彼等に仇なすことは私が許さん」

「なっ?!き、貴様!正気か!教会に逆らう事がどういうことかわからんわけではないだろう!異端者の烙印を押されたいのか!?」

 

領主の言葉に、驚愕の余り言葉を詰まらせながら怒声をあげる。周囲の神殿騎士達も困惑したように顔を見合わせている。

 

「フォルビン司教。中央は、彼等の偉業を知らないのではないか?彼らは、この猛毒に襲われ滅亡の危機に瀕した公国を救ったのだぞ?報告によれば、勇者一行も、ウルの町も彼に救われているというではないか……そんな相手に異端者認定?その決定の方が正気とは思えんよ。故に、ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、この異端者認定に異議とアンカジを救ったという新たな事実を加味しての再考を申し立てる」

「黙れ黙れ!!これは決定事項だ!これは神のご意志だ!逆らうことは許されん!公よ、これ以上その異端者を庇うのであれば、貴様も…いやアンカジそのものを異端認定することになるぞ!それでもよいのか?!」

 

いつの間にか復活して傍までやって来ていたハジメが、意外そうな表情で問いかける。

 

「……………おい、いいのか?王国と教会の両方と事を構えることになるぞ。領主として、その判断はどうなんだ?」

 

領主は、ハジメの言葉には答えずに部下達に視線を向けた。零達も誘われるように視線を向けると、その視線に気がついた部下達は一瞬目を瞑った後、覚悟を決めたように決然とした表情を見せた。瞳はギラリと輝いている。

 

「いいのだな?公よ、貴様はここで終わることになるぞ。いや、貴様だけではない。貴様の部下も、それに与する者も全員終わる。神罰を受け尽く滅びるのだ」

「このアンカジに自らを救ってくれた英雄を売るような恥知らずはいない。神罰?私が信仰する神は、そんな恥知らずをこそ裁くお方だと思っていたのだが?司教殿の信仰する神とは異なるのかね?」

 

領主の言葉に、怒りを通り越してしまったのか無表情になった司教は、片手を上げて神殿騎士達に攻撃の合図を送ろうとした。司教が攻撃の合図が送ろうとしたのを見て、対立すべく零はギャラクトロンを起動させようとした。

その時だった。何かが飛来し、一人の神殿騎士のヘルメットに音を立ててぶつかった。足元を見れば、そこにあるのは小石だった。神殿騎士には何のダメージもないが、首を捻る。しかし、そんな疑問も束の間、石は次々と飛来し、神殿騎士達の甲冑に音を立ててぶつかっていった。

 

「なんだ?」

 

見ればアンカジの住人が石を投げつけていた。彼等は、神殿騎士が、街の住人を治療してくれた《神の使徒》たる香織や、特効薬である《静因石》を大迷宮に挑んでまで採ってきてくれた零達を取り囲み、それを敬愛する領主が庇っている姿を見て、敵意もあらわに少しでも庇う領主達の力になろうと投石を始めた。

 

「やめよ!アンカジの民よ!」

 

司教がそう言うが投石をやめない。やめない民に司教は零達は異端者認定を受けていると言った。それを聞いたアンカジの人々は投石をやめた。そこへ、今度は領主の言葉が威厳と共に放たれる。

 

「我が愛すべき公国民達よ。聞け!彼等は、たった今、我らのオアシスを浄化してくれた!我らのオアシスが彼等の尽力で戻ってきたのだ!そして、汚染された土地も!作物も!全て浄化してくれるという!彼等は、我らのアンカジを取り戻してくれたのだ!この場で多くは語れん。故に、己の心で判断せよ!救国の英雄を、このまま殺させるか、守るか………私は、守ることにした!」

 

領主がそう言うとアンカジの民はお互いの顔を見合わせて頷き、投石を再開始させた。

 

「ふざけるな!俺達の恩人を殺らせるかよ!」

「教会は何もしてくれなかったじゃない!なのに、助けてくれた使徒様を害そうなんて正気じゃない!」

「何が異端者だ!お前らの方がよほど異端者だろうが!」

「香織様を守れ!」

「領主様に続け!」

「おい、誰かビィズ会長を呼べ!《香織様にご奉仕し隊》を出してもらうんだ!」

 

《香織様にご奉仕し隊》という謎の団体名を聞いたハジメが香織の方を向いた。すると香織はいつの間にそんなものが作られたのかと驚いていた。

そして司教達は悪役が逃げるときに言いそうなセリフを吐いて逃げていった。零はちゃんとギャラクトロンを何処かに戻した。

そしてその夜、零達はパレードに誘われたが、ハジメが余り目立ちたくないらしいとのことで、パレードを断ってアンカジを出発した。



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意外な再会

アンケートの票が同じのあってどれ選ぼうか迷ってる。


事件は車の中で起きた。いつもどおりハジメが運転してその隣に香織、後ろに零、零の隣に依姫、その後ろにユエ達がいるという感じだった。

 

「なぁ、零はマガタノっていう専用武器あるけど、愛優美にはないのか?」

「え?あるよ!ほら、この鎧!使ったことないけど!」

 

そう言って愛優美がどこからか、TeX装備を取り出した。今まで使ったこともない。王国で作ってそのまま放置していた物だ。

 

「「あぁ、懐かしい…あの頃は檜山がまだ人間だったっけ……」」

「まさか、魔人族に寝返るなんてね」

「うん。最低だよね。ハジメくんのこと虐めるし、私に変な視線を送ってくるし、正直気持ち悪かったもん」

 

香織がそう言っていると、ハジメが何かを見つけた。

 

「なぁ、あれなにかに襲われてね?」

「「「?」」」

 

ハジメに言われて零が窓から体を出して双眼鏡を覗いた。

 

「相手は賊みたいだな。変な格好した男が約四十人に対して隊商の護衛は十五人か?

「…ん、あの結界は中々」

「あんな結界越しに魔法を撃たれたら、賊もたまったもんじゃないだろう」

「あの商隊全体を覆うような結界、異世界組でもなけりゃ、そう長くは持たないだろう。多少時間は掛かるが、待っていれば勝手に解けるの待ってるんだろう」

「三月、スナイパーライフルある?」

「私はナイフが主武器ですので持っておりません」

「召喚するか」

 

零はスナイパーライフルを召喚して、また窓から体を出してスコープを覗いた。

 

「ん?」

 

零はなにかに気づいたのか、スコープを覗きながら、ハジメの顔を叩いた。

 

「なんだよ!運転の「んなことどうでもいいから、あの商隊のところ行け!」お、おう」

 

そしてハジメはアクセルを思いっきり踏んだ。

 

「ハジメくん?!」

「………悪党を見つけたらアクセルを踏め……教習所で習うことだろ?」

「習わないよ!勝手に交通ルールを歪めないで!ほら、ユエ達がそうなのかって頷いてるよ!」

「ラフィー達も、ハジメが言ってることは間違ってるから覚えなくていいぞ」

 

そのままハジメはまっすぐ賊に向かって発進させた。

 

「ハジメくん、帰ったらまず教習所行こうね?」

「……」

 

ハジメはそのまま賊を引いていき、止まった頃には賊の殆どが転がっていた。

 

「賊の殲滅は完了した」

「ハジメくん教習所卒業するまで運転は零くんね」

 

そして零が降りて残党狩りを始めた。車から降りた零に賊は標的を変えた。

 

「テメェ!良くも俺のなか「「邪魔」」?!」

 

耀と神羅も残党狩りに参加し始めた。零は耀と神羅に残党狩りを任せて、結界の方に釘付けの賊を殺していった。

 

「テメッ?!」

「やっちまッ?!」

「クソッタッ?!」

 

残党を殺しきると、結界が解かれた。

 

「お兄様!」

 

商隊からフードを被った恵里と同じぐらいの背の子が零のことをそう呼びながら抱き着いた。




あ、章の名前の再会の兄弟ってこれじゃないっすよ?これだと再会の兄妹じゃないっすか


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ブラコン妹二人組+シスコン?兄

賊を潰したあと、商隊の荷台からフードを被った恵里ぐらいの子が出てきた。

 

「お兄様!!」

「リリィ!やっぱりリリィなんだな!」

 

リリィは零の胸に飛び込んできた。それを受け止めた零は泣きそうになっているリリィを優しく抱きしめた。

 

「「リリィ?!」」

「香織!雫!まさか、こんなところでお兄様達に会えるとは思いませんでした。……僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですね」

「リリィ、それはどういうことだ?」

「おい、何話してんだ?」

 

ハジメが話に入ってきた。リリィはハジメの接近に気づけず、少し涙目になって零に再び抱きついた!

 

「南雲さん…ですね? お久しぶりです。鈴達からお兄様達の生存は聞いていました。本当によかっ「っていうか、誰だお前?」へっ?」

 

リリィの目が点になっていた。そこから数秒後にリリィの目から涙が零れ始めた。

 

「オイコラハジメ 。俺のリリィ()を泣かせるとは、いい度胸してんじゃねぇか?」

「へっ?」

「ハ、ハジメ君!王女!王女様!ハイリヒ王国の王女リリアーナ!話したことあるでしょ?!」

「…………………………………………………………………ああ」

「ぐすっ、忘れられるって結構心に来るものなのですね」

「リリィ!泣かないで!ハジメくんはちょっと《アレ》なの!ハジメくんが《アレ》なだけで、リリィを忘れる人なんて《普通》はいないから!だから、ね?泣かないで?!零くんがヤバそうなオーラ出し始めてるからぁー!」

「何か俺、さりげなく罵倒されてないか?」

「気のせいだ」

 

そして恵里が車から降りてリリィに抱き着いたときだった。

 

「恵里……やっぱり、()()()()()()()()()()()()()だったのですね……」

「「「「「は??」」」」」

「帰ってきた私ってどういうこと?私はずっとお兄ちゃん達と一緒に…」

 

そんな雰囲気の零達のもとへ、見覚えのある人物が寄ってくる。

 

「お久しぶりですな、息災……どころか随分とご活躍のようで」

「確か、モットーで良かったよな?」

「ええ、覚えていて下さって嬉しい限りです。ユンケル商会のモットーです。危ないところを助けて頂くのは、これで二度目ですな。貴方方とは何かと縁がある」

 

ハジメとモットーが挨拶を交わす。零がモットーとの関係を話すと、リリィがまた涙目になり始めたリリィは零の服を掴もながらまた泣き始めた。

 

「お兄様ぁ、お兄様ぁ、一回会っただけの人は覚えているのに…私は…王女なのに…」

「ハジメ、今度リリィ泣かしたら一発殴るからな?」

「ア、ハイ」

 

そして、ホルアドを経由してフューレンに行き、ミュウ達の送還の報告をイルワにしてから、《ハルツィナ樹海》に向かう予定だったので、その事をモットーに話すと、ホルアドまでの護衛を頼み込んできた。

 

「申し訳ありません。商人様。彼等の時間は、私が頂きたいのです。ホルアドまでの同乗を許して頂いたにもかかわらず身勝手とは分かっているのですが……」

「おや、もうホルアドまで行かなくても宜しいので?」

「はい、ここまでで結構です。もちろん、ホルアドまでの料金を支払わせて頂きます」

 

どうやらリリィは、モットーの隊商に便乗してホルアドまで行く予定だったらしい。だけど、途中でハジメ達に会えたことでその必要がなくなったようだ。リリィの目的に何かを感じたハジメだったが、文句を言おうにも零の「お前、これ以上リリィ泣かしたら銀河の果の果のブラックホールまでぶっ飛ばすぞゴラァ!」という無言の脅しをしているので、取り敢えず黙っていることにした。

 

「そうですか……いえ、お役に立てたなら何より。お金は結構ですよ」

「えっ?いえ、そういうわけには…!」

 

金を受け取ることを断固拒否するモットーに、リリィは困惑する。隊商では、寝床や料理まで全面的に世話になっていたらしい。後払いでいくら請求されるのだろうと、少し不安に思っていたくらいらしい。

 

「二度と、こういう事をなさるとは思いませんが、一応忠告を。普通は乗合馬車、同乗の料金は先払いです。それを出発前に請求されないというのは、相手は何か良からぬ事を企んでいる、もしくは、お金を受け取れない相手という事です。今回は後者ですな」

「それは…まさか……?!」

「どのような事情かは存じませんが、貴女様ともあろうお方が、お一人で忍ばなければならない程の重大事なのでしょう。そんな緊急時に、役の一つにも立てないなら、今後は商人どころか、胸を張ってこの国の人間を名乗れません」

 

モットーは最初からリリィの正体に気がついていたらしい。

 

「いい商隊だ。俺らの物を売らないか?とか言ってくること以外は、な。リリィ、商売で一番大切なものは何だと思う?」

「え…商品…ですか?」

「あぁ、まぁ、商品も大事だが、何よりも大事なのは《信頼》」

「信頼…ですか?」

 

突然の零の問題に困惑するリリィだったが、徐々にそれの意味がわかっていったようだ。

 

「貴方方は真に信頼に値する商会です。ハイリヒ王国王女リリアーナは、貴方方の厚意と献身を決して忘れません。ありがとう…」

「勿体無いお言葉です」

 

そしてモットーが去ろうとしたときだった。零はモットーに小包を渡した。

 

「これは…?」

「俺からの…リリィの兄としての礼だと思ってくれ。中身は街についてから開けてくれ」

「…わかりました」

 

そしてモットーが去り、リリィを車に乗せ、零が運転している中でリリィの話を聞くとになった。

 

「で、リリィ。あのバカ親父が子供を一人で行かせるような大事なのか?」

「はい………単刀直入に言います」

 

次のリリィの言葉は誰も予想していなかったことで、しかも零、ハジメ、幸利の怒りに触れるようなことだった。

 

 

 

 

 

 

 

愛子さんが攫われました




ちなみに、リリィには零の発言がこう聞こえてます。

「オイコラハジメ 。俺のリリィ()を泣かせるとは、いい度胸してんじゃねぇか?」
「へっ?!」


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兄は妹のために

リリィと再会して、モットーが去っていき、リリィを車に乗せて走らせようとしたときだった。リリィになぜここにいるのかと訪ねた。

 

 

「愛子さんが拐われました」

「「「は??」」」

 

零の手にマガタノオロチとダークザギの怪獣カプセルとジードライザー、ハジメの手には自作の高火力武器と零作のアブソリュートゼロモドキ、幸利の手にはグランドジオウとアギトのウォッチを持っていた。

 

「拐われる前から、みんなが少し変だったんです」

「少し変?」

 

リリィによると、王国の国王と異世界組、そしてメルド団長以外の人々がある日を境に、エヒトへの信仰心が増したらしい。

 

「みんなが…怖くて…それに、帰ってきた恵里は少し可怪しかったんです」

「可怪しい?なにが?」

「はっきりとは見えませんでしたが、目の色が緑色になってました。光輝さんたちは気づいていないようで…それだけじゃなくて」

「それ以外にも?」

 

リリィによると、その恵里は光輝達への対応が少し可怪しいらしい。光輝にだけ優しく、他のみんなには少し嫌っているような感じだった。

 

「天之河にだけ優しいってのは?」

「はい、《光輝くん》と呼んだり、自身の部屋に招く数が多くなった「なにそれ?!あんなヤツとわたしの部屋でなにしてるの?!王都に帰ったら、全部新品にしなくちゃ…」大丈夫ですよ!そういうと思って、帰ってきたときは新しい部屋に案内する予定です」

「ありがとう!」

「話を戻します。帰ってきた恵里は恵里の天職…降霊術師とは思えない【超獣召喚】というものを使い、王国の地下にその超獣?を溜めて何か企んでいるんです。《この超獣さえ完成すれば、かつてのU()()()()()()()()()()()を遥かに超える最凶の超獣の完成だ》って言ってて…その恵里がやろうとしていることを見ようとした愛子さんが銀髪のシスターのような方に気絶させられ、神山の方へ連れ去られていきました」

 

それを聞いた全員は銀髪でノイント…ヴァルキリーを見た。

 

「確かに私は銀髪ですが……」

「リリィ、コイツに似ているか?」

「はい、似てます」

 

そう言われるとヴァルキリーは少しだけ黙り、何かを思い出したのか、急に立ち上がろうとした。

 

「思い出しました。私が生まれた場所では私や他の使徒が製造されています」

「ヴァルキリーと同じのが何体もいるってことか?」

「はい。ですから、そのうちの一人かと思います…」

「なるほどな…それで俺達を探しに来たと」

「はい、お兄様達にしか頼めないとお父様が私だけを王国の外に出してくれて…それであの商隊の方々と共にホルアドへ行こうとしてました」

「親父はなんか言ってたか?」

「お父様は私が教会に染まらない限り、お兄様がきっと助けに来てくれると」

「そうか」

 

零は運転を車運転未経験の耀に運転を任せてハジメ達と話し合いを始めようとしていた。

 

「……どうする?俺的には偽の恵里をぶっ潰して、超獣を全滅させたいんだが…」

「あぁ、愛子先生を助けるにも教会が邪魔だ」

「零核弾頭何個出せる?」

「無限」

「それでだ、俺が愛子先生救出に行く。零は偽の恵里と超獣、幸利は教会を頼めるか?」

「あぁ、いいぞ」

「超獣潰しは任せろ。ギャラクトロンとその他諸々でぶっ潰「あ、あのぉ〜」ん?どうした、シア?」

 

シアが困惑した顔で依姫を見ながら言ってきた。

 

「その、Uキラーザウルスという名前が出てから依姫さんの顔が少し険しいというか…」

 

そう言われて見てみると、確かに何処かそんな感じがした。

 

「零さん、Uキラーザウルス・ネオってなんなんですか?」

「…………Uキラーザウルス・ネオはかつて、ウルトラ兄弟と呼ばれるウルトラマンの中でもかなり上の存在に倒された超獣だ。ヤツは自身の額のクリスタルに人質の人間を閉じ込め、ウルトラマン達に降伏を迫った」

「……依姫も家族か誰かを人質に取られたことが?」

「いいや、あの時は依姫が人質にされた。それで俺達は下手に攻撃できずに一方的に攻撃されるばかりだ」

「……もしかしたら、光輝か鈴辺りを人質として取って、私達に攻撃をさせないようにしてくるかもしれない」

「その上、以前までのUキラーザウルス・ネオとは違う。ゼロ呼び戻してニュージェネ連れて来させるべきか……」

「ですが、師匠…Uキラーザウルス・ネオはUキラーザウルスが怨念を集めて生まれた姿のはず……」

「忘れるな。超獣を作れるのはだいたい、ヤプールだ。ヤプール自身が怨念の塊……怨念なんてすぐに集まる」

 

そして零達が超獣と偽恵里の討伐、ハジメが愛子救出、幸利が教会を潰すことになった。



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王都侵攻

「紫、スキマは繋げそうか?」

「はい……ですが、教会には何か協力な結界が張られており、繋げるのに時間がかかります」

「わかった。とりあえず、ハジメは先生の救出行ってくれ」

「あぁ、わかった。先生を助けたらどうする?」

「あ……ハジメ頼んだ」

 

ハジメを送ってすぐに幸利に運転を変わってもらい、零はリリィを抱き上げて城に向かって飛んだ。親父の部屋に窓から入ると、一人の女性が親父の心臓を貫いていた。

 

「お父様ぁぁぁぁ!!」

「親父!!!」

 

二人の悲鳴のような叫びを聞いた女性は零のほうを見て、笑った。

 

「お父様!お父様ぁ!!…お兄様!お父様が…!!!」

「紫…リリィと親父を永遠亭に連れ行け」

『わかりました』

 

リリィの足元にスキマが開かれ、リリィと国王が幻想郷に行った。零は刀を鞘から抜いて目の前の女性を睨んだ。

 

「お前…人間か?」

 

女性は零の質問に答えようとせず、窓から逃げていった。女性が逃げた途端、結界が破壊された。

 

『ギュエェェェエ!!』

 

結界が破壊されると、超獣の一角超獣バキシムが現れた。しかも、女性が逃げたほうに現れた。

 

「さっきの女はバキシムだったのか…!クソッ!!」

 

零はゼットライザーを起動して、マン、エース、タロウのメダルをスロットにはめて、ゼットライザーに読み込ませた。

 

「超獣相手ならこっちがいいだろ…!」

 

零は窓を破って外に出た。落ちながらトリガーを押して変身した。

 

『バキシムってことはやっぱり偽物の恵里はヤプールか…?』

『ギュエェェェエ!!』

 

バキシムは嘴からミサイルを発射した。しかも、零ではなく結界に向かって発射された物で、全てのミサイルが結界に当たり、また一枚結界が壊された。

 

『クソッ!』

 

零はバキシムを抑えるのではなく、倒すのを優先して戦うがバキシムは零のことを無視して結界の破壊を優先した。

 

『【ベータクレセントスラッシュ】!!』

 

バーチカルギロチンのような斬撃がバキシムを襲う。だが、バキシムは()()()()()()避けた。

 

『なっ?!いなくな『ギュエェェェエ!!』?!』

 

バキシムが空間を割って零の後ろから現れた。不意打ちの攻撃に零は避けることも、防御することもできず、倒れた。それを見たバキシムは追い打ちと言わんばかりに火炎放射を零に向かって放つ。

 

『コイツッ!!』

 

零は変身を解除して機龍を呼び出して搭乗した。バキシムと機龍のミサイルの撃ち合いが始まった。零はミサイルを撃ちながらメーサ砲をバキシムの足に撃ち、バキシムの態勢を崩した。

 

『これを喰らえ!【アブソリュートゼロ】!!』

 

零は全力のアブソリュートゼロを撃ってバキシムを凍らせて倒した。だが、全力のアブソリュートゼロを撃ったせいで機龍の一部も凍って機能停止した。

 

「機龍…よくやった」

 

機龍を四次元空間に戻して、偽物を探した。探していると、騎士団に囲まれている天之河と偽物の恵里を見つけた。

 

「見つけた」

 

零はマガタノを構えて偽物の恵里に向かって切りかかった。突然の零の襲撃に天之河達は対応できず、天之河達と一緒にいた恵里は零によって真っ二つに切られた。

その時の零はまだ気づいていなかった。零を後ろから見ている存在がいることを―――



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Uキラーザウルス・ギガント登場

零が恵里を切ったとき、天之河達は信じられない顔をしていた。

 

「紅蓮…妹を殺すなんて………見損なったぞ!!」

「ようがなくなったからって、殺すなんて…最低!!」

 

周りの奴らは次々と零に罵倒を浴びせた。零はそれに聞く耳を持たず、切った偽物の恵里を見ていた。

 

「お前らこそ、こんなヤツが恵里に見えたのか?お前らの目は節穴か?」

「何を言っているんだ?どう見たって恵里じゃないか!!」

「馬鹿が。どう見たって()()()()()じゃないだろ」

 

切られた恵里には()()()()()()()。そのうえ、零が離れると、体が元通りになった。

 

「チッ、やりそこねたか……」

「お、おい!どういうことだ?なぜ切られた恵里が元通りになっているんだ?!」

 

元通りになった恵里はヤプールに姿を変えた。驚いている天之河達と違い、周りの騎士達は無反応だった。

 

フハハハハハ!!今更気づいたところでもう遅い!!バキシム達よ!コイツらを殺せ!!

 

ヤプールがそういうと、騎士達は零達に剣を向けた。どうやら周りの騎士は全てヤプールの超獣だったようだ。その中にメルド団長もいた

 

国王を殺しに行ったバキシムは死んだが……ここにいる全ての騎士は我が超獣に変えたのだ!かなり時間がかかったが、ここにいる人間どもが馬鹿で助かったな!

 

つまり、ここにいる数百の騎士が全て超獣と言うことになる。零でも流石に数百の超獣を一人で相手にするのは無理だ。

 

「クソッ!雫達は魔人族のほうに行ってるし…ハジメと幸利は先生を助けに行っているし……ここは俺一人でやらないとか…!」

「雫達も来ているのか?!」

「何か勘違いをしていないだろうな。俺達は先生を助けに来たのと、超獣を倒しに来たんだぞ。そこをちゃんとわかってろよ?」

話は終わったか?バキシム達よ!!元の姿になり、結界を破壊せよ!!

 

ヤプールがそういった途端、騎士団が消え、空が割れた。王都の上空は割れた空で埋め尽くされた。そこからバキシム、ドラゴリー、バラバ、ベクロンなどが降ってきた。

 

フハハハハハ!!ウルトラマンといえど、一人であの数を相手にするのは不可能!!さぁ、起きろUキラーザウルス!!そこのちっこい女()を人質にしろ!!

 

ヤプールがそういうと城の壁から一本の触手が鈴を掴みあげた。

 

「きゃああああああああ?!!!」

「「「「鈴!!」」」」

 

触手はヤプールと鈴を連れて城の中に入っていった。触手が入っていくと、今度は物凄く大きい揺れが零達を襲った。その揺れの正体は城を壊しながら地上に現れた。

 

『ギュイイイイィィゼェットォォン』

 

地下のどこにそんな巨体を隠していたのかと思ってしまうほどのデカさ、しかも従来のUキラーザウルス・ネオの数倍のデカさと、20本はありそうな触手、下半身が今までと違い、ハイパーゼットン・ギガントに似ている姿だった。

 

『どうだ!!これがウルトラマンと貴様を殺すために作り上げたUキラーザウルス・ネオとバット星人に作らせたハイパーゼットン・ギガントを融合合体させたUキラーザウルス・ギガントだぁぁ!!!』

 

Uキラーザウルス・ギガントの登場により、城は完全に崩壊した。

 

「クソッ……ウルトラマンを達を呼ぶか?いや、今呼んでも間に合うかどうか…」

「おい紅蓮。あの宇宙人はお前を倒すためって言っていたぞ。まさか、お前がこれを引き起こしたわけじゃないだろうな!!()()()()()()()()鈴はアイツに人質として取られた…檜山が死んだのも、お前のせいじゃないか!!」

 

そう言ってくる天之河を横目に零は唇を噛み締めた。

 

『フハハハハハ!!!こんなときに仲間は割れか?それに諦めろ、《ヤツ》によってウルトラマン共はこの世界に来れな『デュゥアァ!!』なんだと?!!』

 

割れた空の間がZの文字のように切れ、そこからウルトラマンゼットが来た。

 

『ふん、俺様にかかればあんなもん簡単に切れるわ!』

『おのれ!《ヤツ》め、我に嘘を教えやがったな!!』

『ゼットだけだと思うなッ!!』

 

Zの文字から、今度はギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、ブル、グリージョ、タイガ、タイタス、フーマ、そしてゼロが来た。

 

『嫌な予感をしてギンガ達を連れてきてみたら何だこの地獄絵図は……』

『ウルトラマン共がァァ!!滅べ、滅べぇぇ!!!』

『ギュイイイイィィゼェットォォン!!!!』

 

Uキラーザウルス・ギガントはミサイル、火球、【ザウルス・スティンガー】、【テリブルフラッシャー】をギンガ達に向かって撃った。

 

『【ゼロツイン「ゼロ待って!!ヤツは俺のクラスメートを人質として体内に取り込んでいるんだ!!」はぁ?!!』

『なんて卑怯な…!!』

『ウルトラマンを倒すためなら手段を選ばない。それがヤプールです!!』

 

Uキラーザウルスはその会話をしている一瞬のすきをついて、触手でゼロ達に攻撃をした。飛んで避けようとしたが、足を掴まれて地面に叩きつけられた。

 

「みんな!!」

『クソッ……!みんな!親父達が来るまで耐えるぞ!!』

「え、ウルトラ兄弟来るの?それ早く言ってくれよ」

『今言ったからいいだろう!!零も怪獣か何かに変身して手伝え!!』

「あぁ、わかってる!!愛優美!!」

 

魔人族と戦っている愛優美を無理矢理メダルに変え、愛優美のメダルと自身のメダルとマガタノのメダルをゼットライザーのスロットに入れた。

 

『シゲル・マユミ・マガタノオロチ』

「行くぞッ!!」

『ニューノヴァ』

 

零はニューノヴァになってUキラーザウルスと対峙しようとした。だが、超獣達がUキラーザウルスを守るように零達の前に立った。

 

『1体でも厄介な超獣がこんなに………』

『俺が突破口を開く!みんなでUキラーザウルス・ギガントを食い止めてくれ!!』

 

そんなときだった。ハジメ達が行っているはずの山から物凄い音と衝撃波が来た。Uキラーザウルス・ギガントは全く動じなかった。山のほうを見ると、山がきのこ雲を作っていた。



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フミアによる当たり前の無双

零達がUキラーザウルス・ギガントと戦う前、フミア達はハジメ、幸利と別れて魔人族、魔物、モンスター達が迫ってきている戦場に来ていた。ティオは竜に変わり、上空から敵の軍勢を見ていた。

 

「ティオ、しげるにあんなことをしたヤツは見つけた?」

「ティオ、あのイキってる魔人族見つけた?」

「ティオ、あの魔人族は見つかった?」

「ティオ、零に対英雄魔法使ったクソ野郎は見つかった?」

「ティオ様、旦那様にあのような行為を行なった不届き者はどちらに?」

『むぅ…今のところそれらしき姿はないのじゃ、でも絶対に来ているはず『ティオ!こっちこれるか?!』ムッ?ハジメ殿、どうしたんじゃ?』

『ノイント連れてこっち来い!もう一体のノイントが来やがった!先生連れて戦うのは無理だ!今、幸利が変身してなんとか食い止めているが、防戦一方だ!』

『了解したのじゃ!』

 

ハジメに呼ばれ、ティオとノイントが前線から離脱した。フミアは二人が離脱してすぐに空いっぱいの魔法陣を展開した。

 

「あのイキった魔人族がいるのなら、これぐらいはしないとね」

 

魔法陣から魔力で作られた槍が魔人族達に向かって撃たれた。第一波の槍は雨のように次々と降っていき、魔人族も魔物もこっちに来る前に倒されていった。

 

「さぁ、ここからはしげるに借りてる物を使うわよ」

「えぇ、相手側にモンスターがいるなら、こっちもモンスターよ」

 

フミアは魔法陣を少し変えた。すると、槍による空襲は収まったが、今度は4つの魔法陣からそれぞれ火、雷、風、氷を纏った球体が降ってきた。

 

『『『『GYUOOOOOO!!!』』』』

 

火の玉からテオ・テスカトル、雷の玉からナルハタタヒメ、風の玉からクシャルダオラ、氷の玉からイヴェルカーナが出てきた。

 

「まさか、しげるが古龍を持っていたなんてね」

「さ、行って!モンスター達を倒して!!」

 

フミアがそう言うと、4匹はモンスターを倒しに行った。依姫やラフィー達も別れて戦うことになった。その時だった。城のほうの空間が割れ、一匹のバキシムが現れた。だが、ウルトラマンゼットが現れてバキシムと対峙し始めた。

 

「しげるがいるなら安心ね…」

 

城のほうは零が止めるから大丈夫だろうと振り返ると、一人の魔人族がいた。

 

「そのヘラヘラと笑った顔、虫酸が走る。四肢を引きちぎって、貴様の男の前に引きずって行ってやろう!!」

 

目の前の魔人族は他の魔人族と違って、個人的な恨みあるように思えた。

 

「……どこかで会った?そんな眼を向けられる覚えはないのよね」

「赤髪の魔人族の女を覚えているだろう?」

 

フミアは魔人族と言われ、今まで出会ってきた、神代のころの魔人族も思い出してみたが、目の前の男は何を言いたいのかわからなかった。

 

「ッ!!貴様等が…《オルクス大迷宮》で殺した女だぁ!!!」

 

そう言われてカトレアを思い浮かべた。

 

「………あ、しげ……ニューノヴァに魂ごと食われた魔人族ね………ということは、貴方がカトレアの恋人のミハエル?」

「ミハイルだッ!!!()()()()が俺の婚約者を殺した挙げ句、名前を間違えやがって!!絶対に許さん!!よくも、カトレアを……優しく聡明で、いつも国を思っていたアイツを…「知らないわよ」なんだと?!!!」

 

フミアが言ったことに激怒した。自身の婚約者を殺したことがどうでもいいと言われて激怒した。フミアは溜息をして、ミハイルに言った。

 

「そんなに死んでほしくないなら()()()()()でしょ。少なくとも、しげるなら別世界や家に避難させるわ。死なないって確信してるか…いつでも助けに行ける場所にいるから…一緒に戦ってるのよ。貴方達みたいに遠く離れた場所に一人で行かせたりしないわ。今回はちょっとしたトラブルのせいでこうなっちゃったけど

「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!お前らはカトレアの仇だ!苦痛に狂うまでいたぶってから殺してやる!!」

 

そんなミハイルを見て、フミアは鼻で笑った。

 

「やれるものならやってみなさいよ。あの人を怒らせたあとに後悔しても遅いわよ?」

「フンッ!そんな脅し、我々にはきかん!」

 

フミアは魔力で作られたロンギヌスの槍を持ち、近接戦を持ち込んだ。魔人族は防ぐこともできず、体を真っ二つにされる。

 

「接近戦をするな!空は我々の領域だ!遠距離から攻撃しろ!!」

 

魔人族はそれぞれの魔物に乗り、空を飛んだ。

 

「あら、さっきの上空の魔法を見てなかったのかしら?それに、私は吸血鬼よ?…それにしても、今宵は満月みたいね…さぁ、()()()()()()の本領発揮といこうかしら」

「何をゴチャゴチャと言っている!!」

 

フミアは背中から今まで魔法で隠していた体よりも少し大きい羽を広げた。吸血鬼の羽なのか疑うほど、綺麗な7色の羽だった。

 

「なっ?!」

「フフ…さぁ、上をご覧なさい。魔法陣はまだ健在よ?」

「「「?!」」」

 

魔人族達が上を見たときには、もうすでにいくつもの槍が天から魔人族に向けて発射されていた。

 

「クッ!結界を張「あら、じゃぁ結界の魔力を少しいじらせてもらうわね?」なんだと?!」

 

魔人族が張った結界が少し形を変え、外からの攻撃を防ぐ結界ではなく、中からの攻撃を防ぐ結界に変えられた。

 

「結界の外にいる者たちよ!ヤツを使え!!」

 

ミハイルがそういうと、数人の魔人族が一匹の鳥を連れてきた。その鳥はフミアを見つけるとすぐに、針のような何かを撃ってきた。フミアはそれを避けることも、防ぐこともしなかった。

 

「やったぞ!」

「あんな大魔法だ。魔力を使い果たしたに違いない!」

「あら…いつ、誰が私の()()()()()()()と言ったのかしら?」

「「は?」」

 

フミアが防ごうとしなかった理由。それは、防ぐ必要がなかったからだ。そして、フミアが使った魔法は一種の召喚魔法だ。

 

「…これぐらい自分でなんとかしてよ…まぁ、会議も終わったところだし、別にいいけど……」

 

あのとき、神々の会議で抜けたイリスがフミアの前に舞い降りた。謎の鳥が撃った針も、正確にはフミアに当たったが、イリスに()()()()に変えられていた。

 

「さぁ、行くわよ」

「わかってる。邪神(イリス)の力を見せてあげる」

 

イリスは邪神イリスに変身し、フミアは再びロンギヌスの槍を構えた。

 

「化け物どもめ!」

「えぇ、私達は()()()()()()わね。だけど、人間にとっては貴方達も化け物よ?」

「何だとッ!!」

 

イリスはミハイルを煽るように言った。

 

「喋るほど余裕なのね。()()()()()()そうやって死んだわ」

「ッ!!!貴様ァァァァ!!!」

「怒りに任せるだけの攻撃…隙だらけよ?」

 

怒りに身を任せ、イリスに殴りかかろうとしたミハイルは、ロンギヌスの槍を背中から刺された。貫かれた体には穴が開いており、助かるほどの傷ではなかった。

 

「さ、イリス。しげるのところに行っておいてくれる?」

「どんな未来を見たの?」

「ウルトラマン達が()()()()()()()()()()()()()よ。なんとしてでも変えないと、ウルトラマン達が()()()



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依姫と雫の無双

フミア達と離れたあと、依姫と雫は一緒に行動をしていた。魔物と魔人族を倒しながらフリードを探していた。

 

「こうして戦争の真ん中にいると、あの日のことを思い出すわね」

「あの日って?」

「大昔…聖徳太子も産まれていない、まだ神々が地上にいた時代にしげると一緒に戦ったことがあるわ…」

「その話、今度聞いてみたい」

「いいわよ。ただし、目の前の男を倒したあとにでもね」

 

そう言って依姫は目の前に降りてきた魔人族、フリードを見た。

 

「まさか生きているとは…甘く見すぎていたな」

「あれでもあの人は私の世界の神々の頂点に君臨してるのよ?」

「惜しいな……剣士であるお前では、いくら剣技を持っていたとしても、この状況を切り抜けるのは無謀というものだろう。どうだ、私と共に来ないか?お前ほどの女なら悪いようにはしない」

「あら、しげるに負けた貴方が私達に勝てると?一応、昔は二人でいくつもの戦争に参加してきているのだけれども」

「魔人族側につくぐらいなら、自分で命を断つわよ」

「そうか。実に惜しい存在だ」

 

フリードがそう言って、白竜の上から二人を見下ろす。フリードが魔法を発動しようとしたときだった。フリードの白竜に向かって何かが飛んできた。

 

「ッ?!!」

「二人を勧誘するなら、二人よりも強い私にしなさいよ!!」

 

愛優美だった。右手にアーマードダークネスのダークネストライデントを持っていた。

 

「貴様は…ヤプールが言っていたもう一人の英雄(イロアス)だったな」

 

フリードが愛優美に向かって対英雄魔法を使おうとしたときだった。依姫と雫の斬撃が白竜に当たった。

 

「私達がいることも」

「お忘れなく」

「クッ!!」

 

そんなときだった。依姫達の後ろから物凄い音が聞こえた。見れば、城が崩壊し、中からUキラーザウルス・ギガントが出現した。

 

「おぉ……あれがUキラーザウルス・ギガントかッ!!」

「Uキラーザウルス・ギガントッ?!!」

 

そこにウルトラマン達が駆けつけ、戦いが始まった。

 

「へ?」

「「?!」」

 

愛優美のまぬけそうな声が聞こえ、振り返ると、愛優美の体が光、メダルとなって城の方へと飛んでいった。

 

「「………」まぁ、いいわ。対英雄魔法(その魔法)をどこで手に入れたのか、貴方を倒してから聞くとするわ」

「やれるものならやってみろ」

「雫、少しの間だけフリードの気を反らせる?」

「えぇ、いけるわよ」

 

そう言って雫はフリードが乗っている白竜の背中に飛び乗り、フリードに切りかかった。

 

「……一気にッ!!!」

 

依姫は竜達の間を駆け巡るように飛んだ。竜達は何をしているのかわからずにいた。だが、依姫が刀を鞘にしまった瞬間、竜達の体がバラバラになって落ちていった。

 

「私の竜達がッ?!」

「余所見をしないッ!!」

 

フリードが見せた一瞬のすきに雫はフリードを切った。その一瞬が命取りだった。フリードは白竜から落ちた。

 

「グッ……」

「フリード様!!」

「ここは我々が!!お下がりください!!」

「お前たち……すまぬ!!」

 

そう言ってフリードは去っていった。依姫と雫はそれを追わず、城の方を見ていた。なぜなら、ウルトラマン達が首を持ち上げられ、カラータイマーが真赤になっていたからだ。

 

「良くもフリーッ?!」

「ここは通さッ?!」

 

残っている魔人族を倒しているとフミアと合流した。

 

「イリスが今向かっているわ。それでもウルトラ兄弟が来るまで持ちこたえれるかどうか…」

「私達は魔人族、魔物、モンスターの相手をしましょう。超獣は私達では到底勝てない。勝てたとしても一匹や二匹だけ、あの数を相手にするのは無理よ」

 

三人は零達の無事を祈ることしかできなかった。



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Uキラーザウルス・ギガントのもう一つの姿

イリスがニューノヴァ達と合流して戦ったが、一方的な物だった。鈴が囚われ、下手に攻撃ないのにUキラーザウルス・ギガントはどんどんと攻撃をしてくる。城は面影もなくなるほど崩れた。超獣はだいたい倒した。そのときにはギンガビクトリー、エックス(ベータスパークアーマー)、オーブトリニティ、ジード(ウルティメイトファイナル)、グルーブ、タイガ(トライストリウム)、ゼット(デルタライズクロー)、ゼロビヨンドのカラータイマーが鳴り響いていた。鈴を人質にされているため攻撃も何もできなかった。

 

『どうして攻撃が通じないの?!』

『やはり、ゼットンのような強大な怪獣を取り入れているからか?』

『だけど、ここまで強いなんて……』

 

そこへゼット達が開いていた時空の裂け目から、ウルトラ兄弟が来た。ゾフィー、マン、セブン、ジャック、エース、タロウ、メビウス達が光の柱と共に降りてきた。

 

『みんな!無事か?!』

『『『タロウ…!』』』

『今、光のエネルギーを分け与える!!』

 

そしてゾフィー達はゼロ達に光のエネルギーを分け与えた。点滅していたカラータイマーが青色に変わった。

 

『来たな!ウルトラ兄弟!!』

 

ヤプールはウルトラ兄弟が来ると、最初にメビウスを狙って【ザウルススティンガー】を撃つ。メビウスはメビュームブレードで【ザウルススティンガー】を落とす。

 

『かつて、貴様らに負けたUキラーザウルス・ネオを強化したUキラーザウルス・ギガントが貴様らを葬ってくれるわ!!』

『ヤプール!お前が何度蘇ろうと!必ず、我々が倒す!!』

『この世界に真の平和が訪れる…その日まで!我々は決して負けない!!』

 

だが、鈴を救出しないと攻撃できない。捨て身の突撃も無理に等しいだろう。

 

『俺達が触手を止める。その隙にクラスメートを助けろ!』

『だが、それだとお前らが!!』

『いいから行け!俺達でUキラーザウルス・ギガントを止める!【クワトロスラッガー】!!』

 

ゼロの4つのゼロスラッガーがUキラーザウルスの触手を弾く。ギンガビクトリー達もそれぞれの技でUキラーザウルス・ギガントを攻撃する。

 

『貴様らが何人集まろうと、結果は同じだッ!!』

 

Uキラーザウルスがゼロ達を攻撃する。その間に零はイリスと一緒にUキラーザウルス・ギガントの後ろ側に周った。

 

『イリスちゃん!行くよ!』

『わかった』

『イリス、鈴を救出したらすぐに離れるぞ』

『うん』

 

ニューノヴァはUキラーザウルスの頭の上に乗っかった。

 

『なにッ?!いつのまに?!』

 

額のクリスタルに手を伸ばし、Uキラーザウルスの中に入る。中は異次元空間と同じ色々な色が混ざったような、グチャグチャな世界が広がっていた。

 

『鈴はッ?!』

『見つけた!』

 

赤いクリスタルの中に鈴がいた。眠っている。どこか、マガクリスタルにも似ている気がする!

 

『ぶち壊す!!』

『ヤプールは?!』

『いない…?』

 

ヤプールはいなかった。いないことを確認し、鈴が入っているクリスタルを破壊した。

 

『『『鈴ッ!!』』』

 

倒れそうになった鈴を支えた。鈴を抱えてすぐにUキラーザウルスの中から脱出した。外に出ると、Uキラーザウルス・ギガントの体がボロボロになり、崩れ落ちた。

 

『終わっ『これで勝ったつもりか?』ヤプール?!!』

『お前達が倒したUキラーザウルス・ギガント……言わば幼体にすぎない。我と合体して、初めて姿を表す。Uキラーザウルス・ネアだ!!』

 

ボロボロに崩れ落ちたUキラーザウルス・ギガントの体の中から、ハイパーゼットン・イマーゴのようなUキラーザウルスが現れた。大きさはウルトラマンと同じだが、触手はその数倍ぐらいの長さだ。

顔はUキラーザウルスのままだが、体は黄金の鎧のようにも見え、胸にゼットンのような丸い模様があり、背中から触手が伸びていた。

 

『これで貴様らをッ?!』

 

ヤプールは何かを感じたのか、突然空を飛び、時空の穴を通って逃げていった。突然のヤプールの行動に驚愕のあまり、ウルトラマン達は固まっていた。

 

『待てヤプール!!』

 

ウルトラ兄弟はそれを追うように時空の穴に入っていった。ギンガ達も行き、ゼロだけが残った。

 

『零……ニューノヴァ、俺はヤプールを追いかける。もし、またヤプールがここに来たら、いつでも呼んでくれ』

 

そう言ってゼロが時空の穴に入るのと同時に、時空の穴が閉じた。ヤプールが何故逃げたのか、誰もわからなかった。ニューノヴァは地面に降りて、鈴を降ろした。

 

『イリス、鈴は?』

「大丈夫。異常はない」

『これで終わ「まだ終わりじゃないぞ?」あがぁっ?!!』

 

突然、後ろから消えが聞こえたと思うと、ニューノヴァの体を誰かの手が貫いていた。その貫いてきた手には()()()()()()()があった。ニューノヴァの体から、愛優美のメダルだけを正確に取られた。

イリスや下にいた天之河達もその場にいた全員が驚愕していた。イリスはニューノヴァの手から落ちそうになった鈴を抱えて、ニューノヴァから離れた。

ニューノヴァの後ろには()()()()()()()()()()男がいた。




はい、えぇ〜Uキラーザウルス・ネオではなくネアです。誤字じゃないです。ネアです。
設定としては、Uキラーザウルス・ギガントがハイパーゼットン・ギガントとして、そのハイパーゼットン・イマーゴ版?みたいなものです。


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再会の兄弟

体を貫かれ、愛優美のメダルを奪われたニューノヴァは零の姿に戻った。体から手を抜かれるのと同時に、愛優美のメダルも愛優美の姿に戻った。戻るのと同時に、愛優美は男に首を掴まれた。

 

「あぐぅッ!?」

「「愛優美ッ!!」」

 

下にいる天之河達はその男を睨みつける。零は振り返ってその男を見て、目が丸くなっていた。

 

「なんで…お前が……」

「紛い物と過ごす日々は楽しかったか?なぁ?」

「は?紛い物?でも、お前は…愛優美になって……蘇ったんじゃ……」

 

すると、男は愛優美にエネルギーを流し込み、無理矢理メダルに変えた。そして()()()()()()()()()()()()()()

 

「お前!!よくも、愛優美をッ!!……神意よ!!全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ!神の息吹よ!!全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ!!この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!【神威】!!!」

 

天之河の最大の【神威】が男に向かって振り降ろされる。だが、男は避けることも防ぐこともしなかった。【神威】が男に触れそうになると、【神威】が消された。ノイントの魔力分解とは少し違った。

 

「弱い、話にもならん。俺が用があるのはお前だ」

「……」

 

男は零の目の前に行くと、割れた愛優美の片方のメダルを零の体の中に入れた。零の体の中に入れると、男も自身の体に愛優美のメダルを入れた。

 

「これで()()()だ。良かったな、これでお前も俺も……()()()()で元に戻れた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そこは感謝しているぞ?」

「待てよ…!どういうことだ?元に戻ったって…愛優美はどうなるんだ?!」

「あ?……お前、まだあの紛い物に執着しているのか?」

「愛優美が紛い物って、どういうことだ!!」

「……お前、忘れたのか?」

 

男の目は悲しいような顔をしていた。

 

「忘れているのなら教えてやる。愛優美は()()()()()に死んでいるんだよ」

「は?それ、どういう……」

「………わからないのなら、残りの大迷宮に行け。そうすれば失われた記憶も思い出すんじゃないか?まぁ、思い出したら、この世界の神がいる場所に来い。最後の戦いをしよう。それまで待ってるぜ?」

 

そう言うと、男は黒い霧を出して消えた。

 

「「愛優美ィィィィ!!!」」

 

零と天之河の悲鳴が夜空に響いた。それを聞いた依姫達が零と合流したとき、天之河が零の胸ぐらを掴み上げていた。天之河を必死に止めようとする坂上、鈴、園部が叫んでいた。零の頬には涙が流れていた。

 

「光輝くん?なにを…しているの?」

「コイツがッ!コイツがいたせいでッ!!愛優美がッ!!愛優美がぁぁッ!!」

 

天之河の目は怒りでいっぱいだった。



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後日談? 上

愛優美のメダルを入れられたとき、零は愛優美のことを少し思い出した。そして、天之河は零の胸ぐらを掴み上げられた。香織が聞くと、零のせいで愛優美が死んだと叫んだ。零は天之河の手を掴み上げて言った。その目には天之河と違う怒りの目をしていた。

 

テメェがお前みたいな………貴様如きがアイツのなにを知っているっていうんだ!!

「「「「?!!」」」

 

今度は逆に、零が天之河の胸ぐらを掴み上げた。

 

「貴様如きの人間がッ!!アイツのなにを知ってるっていうんだ!!」

「なんだとッ!?」

「アイツがどういった存在なのかも知らないお前がッ!!」

 

零はマガタノを構えようとしたが、依姫と雫に止められた。

 

「二人とも、そこを退いてくれ。ソイツにはちゃんと言っておいたほうが「ちょっとまって!」園部か…なんのようだ?」

「今のままじゃ、また二人は喧嘩する。それに王国がこのままじゃ……」

 

そう言って周りを見渡す。そこには瓦礫しか残っていなかった。

 

「後日、また話そうよ。一度、それぞれの情報を整理しといたほうがいいだろうし」

「……そうだな。親父が心配だ。ハジメ、俺と依姫と紫は一度向こうに行って親父を見てくる」

「あぁ、こっちは任せろ」

 

零は紫のスキマを通って幻想郷の永遠亭に来た。永遠亭の前にはいつものようにてゐが吊るされていた。

 

「……変わってないみたいだな」

「変わってないほうがいいですよ」

「永琳に会うから敬語になるんだな」

 

永遠亭に入ると、鈴仙………ではなく、永琳がいた。

 

「お久し振りです。八意様」

「えぇ、久しぶり依姫……紫から聞いてるわ。大変だったみたいね」

「親父はどんな感じだ?」

「大丈夫、今は眠っているけど命に別条はないわ」

 

永琳に案内されて病室に入ると、国王が寝ていた。その横でリリィが心配そうに国王を見ていた。

 

「永琳に任せたら大丈夫だ。数日経ったら目が覚めるだろう。それまでここにいてくれるか?王国は俺らがなんとかしておく」

「お兄様…はい…お願いします……」

「永琳、紫、リリィと親父を頼む。依姫、行こう」

 

零はそう言ってトータスに帰った。帰るとトータスでは数日経っていたようで、城が少しだけ元通りになっていた。

 

「……愛優美から感じた懐かしい気持ち……俺が無くした記憶を見れるのなら……わかるのかな」

「自分で思い出せないの?」

「わからない…」

「あ、お〜い!二人とも帰ってきてたのね!」

 

雫が零達を迎えに来た。後ろにはハジメ達もいた。どうやら、ランデル殿下は生きているようだ。ハジメは香織に近寄るランデルを睨みつけていた。



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後日談? 中

蓮「前回までのあらすじ!」
零「愛優美!消滅?!天之河!激怒!俺!激怒!」
リク「つか、マジでなんだあの男は」
ユズ「Uキラーザウルス・ネア……ノア呼ぼ、ノアならいけるかもしれない」
蓮「ウルトラマン達が追っていったのも気になるしなぁ〜」
リク「それよりも、ヒロイン多くない?俺らよりも多いよ?」
零「言っても、俺の中の特別は両手で数えれるほどだがな」
蓮「知ってるか?数え方によっては、両手で50までは数えれるんだぞ」
ユズ「本編スタート」
リク「俺らの共通点、全員《ら行》じゃね?」
三人「あ…確かに」


あれから数日、国王が復帰した。ハジメは国の結界の修理を手伝い、香織は治療院で負傷者の治療をしていた。零はマガタノを右手に、自身の分身体のような存在のメダルを持っていた。

 

「……これで、何がわかるんだ?」

 

零はメダルとマガタノを自身の体の中へと入れた。すると、肉体は変わらなかったが、知らない記憶が頭の中に入ってきた。

 

「ぐっ……これが…俺が失った記憶なのか?」

 

だが、途中でわからなくなった。零は気分転換に耀達のところへといった。耀達は真昼だというのに、酒を飲んでいた。

 

「よっ、記憶は戻りそうか?」

「駄目だ。アイツらのメダルも入れたが、何も変わらない」

「アイツらって……お前の細胞でできた体に魂を入れたって言う…」

「まぁ、あの男が言った『残りの大迷宮に行け』っていうのに従うしかないんじゃない?もしかしたら、どこかの大迷宮で記憶に関することがわかるかもしれないしね」

「あぁ、そうだな………そういえば、俺らが戦っている間、お前ら何してたんだ?」

 

零がそう聞くと、耀がコップを叩くように置いた。

 

「そう、聞いてくれよ!おれんとこオストガロアとかっでてきてさぁ!アイツイカっぽいから食えるかなって思って食ったらめちゃくちゃ不味くてよ!」

「「古龍を食うな…」そういう神羅は?」

「僕のところはね、リーパーキング?とリーパークイーン?とかいうのが来たよ」

「なんだソイツら。ちなみに超獣は?」

「「お前らの戦闘の流れ弾で散っていった」」

 

あの時【ロイヤルメガマスター】などがUキラーザウルス・ギガントの間通り抜けて戦場の当たったりしていた。

 

「そういえば、その男ってなんなのかわかったのか?」

「………忘れもしない。俺の―――」

 

その言葉に二人は驚き、何も言わなくなった。そんな零達のところに、三月が来た。

 

「旦那様、お嬢様がお呼びです」

「……わかった。すぐに行く」

 

零がいなくなったあと、耀と神羅は明後日の方を見ていた。

フミアは零が来ると、すぐに零に抱き着いた。突然なことに零は驚いたが、優しく抱きしめた。

 

「……オルクスでニューノヴァになったの…覚えてる?」

「…あぁ」

「……あのとき、ニューノヴァは『アイツしかいねぇなぁ?』『あの時殺したのに、まだ生きてるんだね』って言ってたのよ…」

「そう…なのか……」

「それに…あのとき、ウルトラマン達が負けるか勝つかの未来しか見てなかったの…だから……」

 

フミアは零の胸元で涙を流した。

 

「ごめんなさい…もっと早くに言っておけば……未来が変わったかもしれないのに」

 

零はフミアをそっと撫でて言った。

 

「アイツ相手だと…仕方ねぇよ…それに過去は変えれなくても………未来は変えれる。だったら、未来を変えよう。このまま行く悲しい結末を変えようじゃんか」

「そう…ね………ごめんなさい、こんな姿見せちゃって」

「お前が泣くところなんて、初めて見たかもな」

「あまり人前では泣かないようにしているのよ。ほら、依姫はお城の一番上のところにいるわよ」

 

そう言われて、零は城の一番上のところに行った。そこには依姫が一人、静かに座っていた。依姫は少し泣いていた。

 

「どうした?」

「ごめんなさい…あの男が出てきたから…また、貴方が私の前から居なくなってしまいそうで…それが怖くて…」

「……そうだな…だいたい、アイツが出てくると俺がいなくなってたな……」

「お願い…もう、私の前からいなくならないで…」

 

依姫も零の胸元で泣いた。それを遠くから覗かれていることも、戦いの時が迫ってきていることも、このときは誰一人として、気づいていなかった。




三人「嫁さん泣かすとかサイテー」
零「ふざけんな!お前らッ!」
蓮「つか、その男だとか、アイツだとかが何なのかわからんのだが」
ユズ「【ロイヤルメガマスター】を誤射するとか、ジード大丈夫か?」
リク「ホント、恋人多いな」
零「嫁は二人だ。次回ッ!《後日談? 下…いや、世界の真実》!おたのしみに〜」


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後日談? 下…いや、世界の真実

零「前回までのあらすじ!」
蓮「あらすじなんてねぇよ!」
リク「作者?が『今年は別れの春だったな…』って言いながら明後日の方を見てたけど、何があったんだ?」
零「年上の恋人と別れたんだとよ」
ユズ「そういえば、最近作者?が《また》新しく物語を作るらしいよ」
三人「まず、こっちを終わらせろよ」
零「本編スタート」


あれから数日、王国はかなり復旧した。そんなある日、零は国王に呼び出されていた。

 

「どうした?」

「いや…こうして親子二人だけで話すのも懐かしいな……あれから15年ぐらいか?大きくなったじゃないか」

「そりゃ15年も経ったんだ。大きくだってなるさ」

「そうだ。そっちの法律とかは何も変わってないか?」

「あぁ、何も変わってない」

 

零がそういうと、国王は椅子から降りて、零の肩に手を置いた。

 

「リリィを貰ってくれないか?リリィもお前だと嬉しい「薬の副作用か?」ぐべらっ?!」

 

零は国王を殴って気絶させた。

 

「あとで永琳に問いただすか。なんだ?親父はとうとう馬鹿になったのか?バキシムに貫かれたとき、馬鹿になったのか?リリィ(義妹)と結婚?は?それだと恵里もってなるぞ?それに、もう一人義妹いるし?義妹と結婚するってなったら、そうなる可能性もあるし?家の部屋足りないし?食事代が…………あ、食事代は関係ないんだったわ」

「お、おい…急に殴るなよ……びっくりしただろ…!」

「いや、親父が馬鹿なこと言い始めたんだろう。義妹と結婚できるわけ無いだろう?」

「いや、血が繋がってないから大丈夫だぞ?リリィと繋がってても、お前とつながってないからな?」

「……………え、そうなの?ドユコト?」

「……昔、夜道を歩いているとな、一人の女性が舞い降りたんだ。その人に赤ん坊のお前を渡されてな……」

「ちなみに、その人どんな見た目だった?」

「紫色の髪の女性だ」

 

零は知り合いにいるかどうか、思い出そうとしたが、諦めた。

 

「それで?リリィと婚約しろと?」

「いや、婚約ではない結婚だ」

「マジでお前少し黙れ」

「でもね?帝国にリリィを嫁がせるの嫌なんだよ。そうするぐらいなら、お前にリリィを嫁がせたほうがいいなと思ってな」

「リリィはいいとか言ったの「言いましたよ?」………リリィ?お前マジで言ってるわけ?」

「はい。恵里さんもいますよ?」

 

リリィがそういうと、恵里がリリィの後ろから出てきた。

 

「リリィとお兄ちゃんが結婚するの?義妹でいいのなら、私も結婚できるの?」

「病み上がりで馬鹿になってんだ。気にするな」

「ねぇ、バカって言った?俺、この国の王なんだけど?」

「だったらこっちは創造主だけど?」

「お兄様…リリィじゃ駄目ですか?」

「お兄ちゃん…私じゃ駄目?」

 

二人のうるうるに、上目遣いで零はどうしようか迷った。

 

「ほら、お前兄だろ?妹のお願いぐらい聞いてやれよ」

「あのなぁ?恋人のまま止まってるヤツが「ちょっと、その話についてなんだけど」……フミアどっから入ってきたんだ?」

 

気づけばフミアが零の膝の上に座っていた。

 

「どこって、普通に入って座ってたわよ?」

「それで、話って?」

「えぇ、全員分の婚姻届の準備はできてるわよ。もちろん、リリィと恵里、雫の分もね。あぁ、もちろんもう出せば終わりよ」

「え、早くない?俺何もしてないよ?つか証人は?」

「酔ってるときに貴方が書いてたわよ。証人は私」

 

国王は零の肩に手を置くと、謎のグッジョブをした。

 

「リリィを…頼んだぞ。まだ子供だから、やるなよ?」

「おい親父。最後に言い残すことはあるか?」

「それよりも、ハジメが呼んでたわよ」

「わかった。フミア、恵里、リリィも行くか?」

「はい!」

 

零はフミア、リリィ、恵里を連れてハジメ達がいる場所へと向かった。

 

「それで、恵里とリリィと一緒に来た理由は?」

「うちの幼き吸血姫が俺の婚姻届けにリリィと恵里、他の恋人……あ、ティオ以外な?…の、名前を書きやがってな。届を出せば終わりらしい」

「……え、お前リリィと恵里と結婚するの?」

「親父も良いよとか言い始めたし、義妹とならいいらしいし…リリィも恵里も満更じゃないし…」

「依姫は良いよって言ってたわよ」

「依姫が良いって言ったのなら、俺も認めよう」

「ここの愛妻家は全員嫁への反論権がないのかしら」

「「「ないです」」」

 

フミアにそう言われ、零だけではなく、耀と神羅も返事をした。

 

「零はともかく、神羅と耀も結婚しているのか?」

「あぁ、してるぜ。娘が一人な、ちなみにそこの愛妻家の主のしげるの子供と結婚したぞ。ちなみに、孫娘が産まれた」

「え、産まれたの女の子なのか?」

「言ってなかったか?」

「結婚したまでしか聞いてない」

「ちなみに、僕の娘は主の子供にあげる気はないよ」

「「いや、あの二人はラブラブで他の異性に全く興味なかったぞ」」

 

三人が話をしていると、園部がハジメに何かを聞き始めた。聞き終えたハジメが零のところに来た。

 

「零、どうする?この世界の真実を教えるか?」

「もういいだろ。Uキラーザウルス・ネアとかいう意味わからないの出てきたし、もう言ってもいいだろう」

 

ハジメは溜息をついて、天之河達に世界の真実を教えた。すると、天之河は絶望し、怒った。

 

「なんだよそれ…俺達は、神様の掌の上で踊っていただけだっていうのか?なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ!オルクスで再会したときとか!言ってくれても良かったんじゃないのか?!なんとか言えよ!」

「言って…どうするんだ?」

「なんだと?」

「それを言って、どうするんだって聞いてんだ」

「そんなの、その神を倒して!この世界を救うに決まってるだろ!」

 

耀は溜息をついて天之河を押した。

 

「お前、神を甘く見過ぎじゃないか?どれだけ強いか、わかってねぇのに」

「そんなの……やってみないとわから「無理だな。弱すぎる」なっ?!」

「……そういえば、お前も昔俺に喧嘩売ってきてボコボコにされたな」

「お前にな!」

「だけど、紅蓮がいるじゃないか!紅蓮は()()()()()()()()()()()じゃないか!あのデカい魔物だって、お前なら倒せたんじゃないのか?!」

 

そう言われて、零は天之河の胸ぐらを掴み上げた。

 

「これだけの力があるならって言ったか?」

「あぁ、そうだ!」

「………違う。()()()()()()()()()()から、Uキラーザウルス・ネアも倒せず、アイツから愛優美を守れなかったんだろ!!!」

「……それについて聞きたいんだが、そのアイツってのはなんなんだ?」

「俺の………()

 

零がそういうと、ハジメ達は何も言わずにいた。だが、天之河だけが違った。零の胸ぐらを掴んだ。

 

「お前!お前の兄なら、話し合いで解決できたんじゃないのか?!なんで止めなかったんだ?!」

「…アイツは《能力を無効化する程度の能力》を持ってるんだ」

「………それ、()()って言っていいのか?」

「それ言ったら俺と依姫と耀のなんて、《能力を作り出す程度の能力》と《神霊を降ろす程度の能力》と《血液を操る程度の能力》だぞ」

「ちなみに止血、出血、血液の逆流、血液を止めることができるぞ」

「なるほどな…」

「でも、これから一緒に神と戦うのなら…」

 

天之河がそういうと、ハジメは天之河の肩を数回叩いた。

 

「おいおい、勇者。俺らは神と戦う気なんてねぇぞ?あるとするなら、零の兄だ」

「俺達がいつ、神と戦うなんて言った?俺達の目的は俺の記憶を取り戻すことと、俺の兄を倒して愛優美を奪い返すことだ」

「なっ、まさか、この世界の人達がどうなってもいいっていうのか!?神をどうにかしないと、これからも人々が弄ばれるんだぞ!?放っておけるのか!?」

「顔も知らない誰かのために振える力なんてねぇよ…」

「なんで……なんでだよっ!お前達は、俺より強いじゃないか!()()()()()()()()()()()()()()()()()だろ!力があるなら、正しいことのために使うべきじゃないか!」

 

零達は天之河睨みつけた。

 

「俺の話を聞いてなかったのか?これだけの力しかないから、アイツに勝てなかったんだ」

「天之河…そんなだからお前は肝心なところで地面に這いつくばることになるんだよ……力があるから何かを守るんじゃない。何かを守るから力を求めて使うんだ。お前はその意志ってのが薄弱すぎるんだよ」

「それで、零達はどこへ向かうんだ?神代魔法を求めているなら大迷宮を目指すんだろ?西から帰って来たなら樹海か?」

「ああ、そのつもりだ………って、親父いつの前に来たんだ?」

「ついさっきだ。だが、そうなると帝国を通るのか?」

「あぁ…………リリィ、そんな期待の目をされても連れていけないぞ?」

「え?!なんでですか?!」

 

零はリリィと同じぐらいまでしゃがみ、リリィの肩に手を置いて言った

 

「リリィ、帝国はヤバい奴らがいるんだ。そんなところにお前を連れていけない。ラフィー達も………って、思ったが……お前ら何やってんの?」

 

ラフィー達は零が言うとわかっていたのか、依姫と雫に抱き着いて絶対行きますアピールをしていた。エンタープライズとベルファスト、ニーミだけがそんなアピールをしていなかった。

 

「だったら、俺達もついて行くぞ。この世界の事をどうでもいいなんていう奴にリリィとラフィーちゃん達任せられない。道中の護衛は俺達がする。それに、南雲達が何もしないなら、俺がこの世界を救う!そのためには力が必要だ!神代魔法の力が!お前に付いていけば神代魔法が手に入るんだろ?」

「だったら俺らからも言わしてもらう。お前みたいな()()にリリィとラフィー達を任せたくない」

「それに場所くらい教えてやるから勝手に行け。ついて来るとか迷惑極まりない」

「正直言って邪魔」

 

零、ハジメ、幸利にそう言われて鈴がしょんぼりした。すると、恵里が何を思ったのか、零の服を引っ張っていった。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃんのハーレムに鈴を入れようよ!」

「は?恵里、お前も寝不足何じゃないか?馬鹿なことを言うのは天之河だけにしてくれ」

「お願い!鈴達だけだと、鈴が死んじゃうよ!だからお願い!」

「………仕方ない。今回は恵里に免じて……リリィ、お前も来る気か?」

「はい!」

「はぁ……………仕方ない。誰にもやらないつもりだったが……リリィにだけ特別だ。これをお前にやる。もしものときはそれを使え」

 

零はリリィに一つの指輪を渡した。

 

「お兄様?!それはまだ…早いんじゃ……」

「何を勘違いしてるのか知らないが、その指輪は……まぁ、俺を呼ぶためのものだと思え。本当はただの飾りとして家に飾るつもりだったんだが

 

そして、零達はリリィ、天之河(勇者(笑))、鈴、坂上を連れて、樹海に行くことになった。




二人「待って、その場合は俺達も義妹いるんだけど」
零「頑張れ」
蓮「つか、なんで指輪なんて紛らわしいものにしたんだ?」
零「え?いや、指輪のほうが体につけやすいからな」
ユズ「そうなのか?」
零「次回!新章!《ウサギは最弱ではない》お楽しみに〜」
リク「ちなみに、今回は4126文字だぜ」


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優しい夢を現実に
ウサギは最弱ではない


零「久々のこっちだ」
蓮「前回は勇者達が仲間に加わったんだっけ?」
零「違う。勝手についてきただけだ」
リク「仲間として見てないの?」
零「当たり前だ」
ユズ「まぁ……勇者(笑)だからな」
蓮「そこで納得するのどうかと思うぞ?」
リク「まぁ、納得するのわかる」
零「本編スタート」


零はハジメが作った飛行艇《フェルニル》の中で依姫と一緒の部屋にいた。

 

「……しげるは愛優美のことをどう思ってるんですか?」

 

依姫の敬語。これは真剣な話だ。零にとって愛優美という人物がなんなのか、聞きたいらしい。

 

「わからない。俺にとってアイツという存在がなんなのか、ヤツが言ってた愛優美はもう死んでるって言葉の意味も…わからない」

「そうですか…貴方でも悩むことと言うのはあるんですね」

「お前だって知ってるだろ。俺だって完璧じゃない」

 

守れなかった人だっている。勝てなかった相手だっている。

 

「依姫は俺が俺じゃなくなっても、俺のことを好きでいてくれるか?」

「愚問ですね」

「……そうだな」

 

そこへハジメが来た。零は夫婦水入らずで話しているところに来たハジメを一瞬だけ睨む。ハジメは一言、ブリッジに来いと言って出ていった。

 

「依姫、行こう」

「えぇ、行きましょう」

 

ブリッジに入ってすぐにハジメが飛空艇の進路を変えた。部屋から雫達が何事かとやってきた。

 

「おい、どうして急に変えたんだ?」

「あ、光輝くん。うん、どうも帝国兵に追われている人がいるみたいなの」

「まずいじゃないか!すぐに助けに行かないと!」

「えっと…それがね…」

 

香織は何か言いたくないような感じだった。ハジメは光輝には答えず、目を細めて水晶ディスプレイを見ていた。零も近づいてディスプレイを見ると、吹き出しそうになった。零は見間違いかと思ったのか、瞼を数回開閉した。

 

「おい、南雲!紅蓮!まさか、彼女達も見捨てるつもりじゃないだろうな!?お前達が助けないなら俺が行く!早く降ろしてくれ!」

「ハジメ、これって俺の見間違いか?」

「奇遇だな。俺もそう思ってたところだ。シア、こいつらって…」

「へ?……あれっ?この二人って……」

 

どうやら見間違いじゃないとわかると、手で顔を抑えた。

 

「三人共、何をそんなにのんびりしているんだ!シアさんは同じ種族だろ!何とも思わないのか!?」

「すいません、ちょっとうるさいんで黙っててもらえます?……ハジメさん、レイさん、間違いないです。ラナさんとミナさんです」

「あぁぁ………マジか、こんなとこでアイツと再会するのか」

「やっぱりか……俺らの訓練についてきてたから俺も覚えちまったんだよな……こいつらの動き、表情……ほぉ」

 

何も知らない天之河は飛び降りる気満々で窓を開けようとしていた。

 

「まぁ、待て。天之河。大丈夫だ」

「そうだ。アイツらなら大丈夫だ」

「なっ、何を言っているんだ!か弱い女性が今にも襲われそうなんだぞ!」

「「か弱い?馬鹿言え、アイツらは……《ハウリア》だぞ?」」

 

ディスプレイを見ていた零とハジメは天之河を無視して、窓を開けた。ハジメは加勢しようと狙いを定めて一発だけ撃った。

 

「いや、本来特殊なのは私だけですからね?私みたいなのがそう何人もいるわけないじゃないですか。彼等は訓練の産物ですよ……ハジメさんと零さんが作った地獄というのも生温い、魔改造ともいうべき訓練によって、あんなのが産まれたんです」

「「「「「……」」」」」

 

みんなは零とハジメを見た。それに気づかない零とハジメはハイタッチをしていた。

 

「シア、進路変更。今すぐ着陸してアイツらを回収する」

「はいですぅ!」

「良かったな。同族との再会だ」

「あれはもうハウリアじゃないです。《暴れ狂う兎人族》ですぅ」

 

飛空艇を着陸させて、ハジメが降りると数人のハウリアがハジメに敬礼した。

 

「お久しぶりです、ボス!零殿!再びお会いできる日を心待ちにしておりました!まさか、このようなものに乗って登場するとは改めて感服致しました!それと先程のご助力、感謝致しますっ!」

「よぉ、久しぶりだな。まぁ、さっきのは気にするな。お前等なら、多少のダメージを食らう程度でどうにでもできただろうしな」

「久しぶりだな。中々腕上がったんじゃないか?」

 

シアが近づくとシアにも敬礼した。

 

「えっと、みんな、久しぶりです!元気そうでなによりですぅ!ところで、父様達はどこですか?パル君達だけですか?あと、なんでこんなところで、帝国兵なんて相手に…?」

「落ち着いてくだせぇ、シアの姉御。一度に聞かれても答えられませんぜ?取り敢えず、今、ここにいるのは俺達六人だけです。色々、事情があるんで、詳しい話は落ち着ける場所に行ってからにしやしょう。……それと、パル君ではなく《必滅のバルトフェルド》です。お間違いのないようお願いしやすぜ?」

「え、今そこをツッコミます?っていうかまだそんな名前を……ラナさん達も注意して下さいよぉ」

 

シアがラナ達にそう言うと、ラナ達は自身の二つ名を名乗った。

 

「ちなみに、ボスは《紅き閃光の輪舞曲》と《白き爪牙の狂飆(きょうひょう)》ならどちらがいいですか?」

「……は?」

「ボスの二つ名です。一族会議で丸十日の激論の末、どうにかこの二つまでしぼり込みました。しかし、結局、どちらがいいか決着がつかず、一族の間で戦争を行っても引き分ける始末でして……こうなったらボスに再会したときに決めてもらおうということになりました。ちなみに俺は《紅き閃光の輪舞曲》派です」

「待て、なぜ最初から二つ名を持つことが前提になってる?」

「ボス、私は断然《白き爪牙の狂飆》です」

「いや、話を聞けよ!俺は…!」

「何を言っているの《疾影のラナインフェリナ》。ボスにはどう考えても《紅き閃光の輪舞曲》が似合っているじゃない!」

「おい、こら、いい加減に…!」

「そうだ!紅い魔力とスパークを纏い、空中を自在に跳び回りながら様々な武器を使いこなす様は、まさに《紅き閃光の輪舞曲》!これ一択だろ」

「よせ!!それ以上恥ずかしい解説は――」

「おいおい、《這斬のヨルガンダル》。それを言ったら、あのトレードマークの白髪をなびかせて、百獣の王のように吠え、全てを斬り裂くような爪は、《白き爪牙の狂飆》以外に表現のしようがないって、どうしてわからない?」

「……ハハハ」

 

ハジメは苦笑して、地面に絵を書いていた。

 

「何を言っているのみんな!」

「か、香織…!」

 

ハジメは香織に助けを求めようと香織に抱き着こうとした。

 

「ハジメくんは《純白の死神》一択だよ!ね、ユエ!シア!」

「…ん。同感」

「え、それ私も入ってるんですか」

「…ハハハ……ハハハハハ……………」

 

ハジメは完全に撃沈した。最後に止めを指したのは香織達だが、香織達は気づいていない。

 

「ちなみに零殿は《八禍の蒼神》と《紅蓮の禍神》……どっちは「《八禍の蒼神》一択だろ」そうですよね!!」

「「「「え、待ってなんでそんな簡単に受け入れれるわけ?」」」」

 

簡単に受け入れた零に依姫達以外が驚いていた。

 

「いや、だって…あ、お前ら知らないのか…いいか?俺がいる幻想郷では二つ名なんて、ほとんどのヤツが持ってるんだぞ?例えば……そうだな、フミアの妹二人なんて《幼き赤い月》と《狂い麗しき破壊者》なんて二つ名あるんだぞ?それに耀と神羅なんて《血を操る鬼神》と《神風を司る八咫烏》だぞ?他にも《不死鳥》とか《時を操るメイド》とかいっぱいあるぞ?」

「ちなみに依姫に二つ名とかあるのか?」

「………あんまり言いたくないのだけれど」

「いや、実際そうだから……諦めろ。ちなみに依姫は《神霊を降ろす神巫女》だ」

 

すると、誰かが吹いた。

 

「ふふっ…ちょ…やめて」

 

鈴だった。ちなみにハジメの二つ名の時から笑いをこらえていた。

 

「………谷口、お前の身長あと10センチ縮めてやる。その後、―――して―――して―――して―――してやる」

「へ?!」

「安心しろ。死にはしない」

 

ハジメが何を言ったのか、鈴しか知らない。ただ、鈴が物凄く怖がっていたことだけがわかる。




零「ハジメは何を言ったんだ?」
蓮「拘束してカロリー高い物を食わして体重増やして全世界に公開してやる。じゃないか?」
リク「こっわ」
ユズ「香織に止められるんじゃないか?」
零「えぇ〜次回!《ハジメのデレ期!》鈴が何を言われたのかは、気になる方がいれば言います」


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ハジメのデレ期!

零「前回のあらすじ!ハウリアと再会。以上!」
ユズ「異常の間違いだろう。他にも色々あっただろ」
蓮「まぁ、一言で言えば確かにそれで終わりだが…」
リク「それでも短くしすぎ」
零「だったらお前らがやれよ」
3人「いや、ここのあらすじ担当ではないので遠慮します」


ハジメによって自由になった亜人族達が飛空艇の中を探索していた。しかも、その中に長老の孫娘がいた。しかもなぜかハジメに惚れたのか、ハジメのことをチラチラ見ていた。その間、零とハジメはパル達に何があったのか、樹海で何があったのか聞いていた。

パル達によると魔人族と帝国が樹海に攻めてきたらしい。魔人族は神代魔法、帝国は亜人族を奴隷にして扱き使いたいのだろう。

 

「やっぱ帝国潰そうか」

「賛成。コイツ(飛空艇)に爆撃機能つけるか」

「だな。でも、爆弾そんなにあるのか?」

「「なに言ってんだ清水。俺らは錬成師と神だぞ?」爆弾の百、二百ぐらい造作もないわ」

「そうだったな。お前らそうだったな」

 

そしてパル達曰く、フェアベルゲンの亜人族達が迎え撃とうと全戦力で立ち向かったらしい。だが、魔人族の魔物が強すぎて返り討ちにあったらしい。魔物の殆どが昆虫で森に特化していたからだ。

 

「ほぉ…返り討ちにあったか…しかも現地の住民ですら勝てないほどの魔物」

「ちなみにソイツらの見た目って覚えてる?」

「はい。6つの足があり、背中に紫色の結晶のようなものがあり、糸を吐き出していました。他には羽があり、頭部に槍のような黄色い突起がある緑色の魔物もいました。スピードも早く、我々でも一匹倒すのがやっとでした」

 

パルが魔物の特徴を言うと、紫がドアを開けて入ってきた。

 

「師匠、パルが言っている特徴の魔物なんですが…」

「なにか知っているのか?」

「まず、この画像を見てください」

 

紫はスキマを使って映像にようなものを出した。そこにはパルが言ったような魔物の写真があった。

 

「間違いありません。この魔物です」

「紫はコイツが何なのか知っているのか?」

「はい、この魔物…魔物ではないんです。ミツネと同じ世界の()()()()()です」

「「「!!?」」」

「なるほど…そりゃパル達が勝てなくても当然だ」

「ボス。期待に応えれず申し訳ございません!!」

「「「「申し訳ございません!!」」」」

「いや、お前らが謝ることじゃねぇ。仕方ねぇよ」

 

パル達の話に戻り、流石にフェアベルゲンの人々だけでは無理とわかり、ハウリアに助けを求めたらしい。ハウリア族は戦い、帝国兵を追い返し、魔人族の魔物も死闘の末倒し、魔人族を追い払ったらしい。

 

「「「ホントよく勝てたな。モンスターを一匹倒すのすら難しいのに」レールガン跳ね返したり」戦車すら壊すロケランでも無傷だったモンスターに…」

「「「え、待ってくださいよボス。そんなにヤバい奴らだったんですか!?」」」

 

そこに戦車やロケランというのを知らないリリィが零とハジメと清水に戦車がなにか聞いた。

 

「お兄様、センシャとかロケランってなんですか?」

「あぁ、リリィは知らな「リリィは知らなくてもいい物だ」」

 

天之河がリリィに何かを言う前に零がいった。すると、リリィが少し涙目になった。

 

「リリィだけ…仲間外れにするんですか…?」

「うぐっ…だ、だがリリィ!あれらはこの世界に無くていい、なんなら魔物一匹すら倒せない物なんだ。なぁ、ハジメ、清水」

「戦車の砲弾をこっちの代物にすれば魔物にも対抗できるかもしれないが…あれ複雑なんだよ」

「そもそもこの世界みたいな地面が凸凹の場所じゃ…使えねぇぞ」

「そうなんですか…」

 

零達がそう言うと、リリィが落ち込んで顔を下げた。それを見た零の心に何かが刺さったような音がしたが、零以外は聞こえていなかった。

 

「は、話を戻そうか。それでなんであの亜人族達が奴隷として運ばれていたんだ?」

 

パル達曰く、帝国兵がハウリア達に追い払われてから亜人族を攫っていたらしい。それに気づいたときには数十人も攫われていた。一人の帝国兵を捉えて、尋問したところ。帝国もモンスターの襲撃にあっており、そこで死んだ亜人族(奴隷)を補充しに来たらしい。

カム達は急いでハウリア以外の兎人族の集落にいった。だが、集落には生き残っている者がいなかった。ハウリア以外の殆どの兎人族の集落には焼かれた家々と、年を取った兎人族の骸だけが残っていたらしい。カム達は同族を攫っていった帝国兵らしき郵送馬車を追いかけて

消息を断った。

 

「「「よし、もう帝国潰す。遺言とかもう聞かねぇわ」」」

「今すぐギャラクトロン落としに行くわ」

「飛空艇に爆撃機能つけるわ」

「クロノス、エボル、ディケイドってヤツ出すわ」

「ボス、我々を帝国に連れて行ってください。族長達が心配です。あと、攫われた同胞も…」

「わぁってる。俺らも少し帝国に用事があったからな」

「用事…ですか?」

「さっきから、話の途中で言っているだろう?帝国を潰すんだよ。……あ、あと捕まってた奴らは送り届けてやる」

「ありがとうございます!」

 

パルとリリィと天之河達を降ろして樹海に向かった。向かってる途中でシアが兎人族を助ける理由をハジメに聞いた。

 

「ハジメさん、どうして兎人族を助けるんですか?」

「ん?…あぁ〜。パル達が話しているとき、お前の顔が泣きそうになっていたからな…」

 

ハジメはそう言いながらシアの頭を撫でた。突然なことに驚いたシアのウサミミが立った。

 

「ふぇっ!!?」

「シア、お前が笑っていないと俺らの空気も、気持ちも暗くなっちまう。俺はお前の笑った顔が好きなんだよ。だから、お前にはずっと笑ってほしいんだ。俺にとって大切なんだよ。お前も…」

「ハジメさん…」

 

ハジメがデレた。それを見た零と清水は驚きすぎて尻もちをついた。

 

「は、ハジメがデレたぞ…」

「あ、あぁ…あのツン95%、デレ5%のハジメがデレたぞ…なんだこの破壊力は…」

「くっ…強すぎる…!近づけない…!」

「おい、お前ら。それどういうことだこの野郎」

 

零と清水はデレたハジメを写真に撮っていた。あまり見せないデレにハジメの正妻の香織も少し驚いていた。




ユズ「ちなみにモンスターって言うのは?」
零「あぁ、ネルスキュラとアルセルタスだ。気になった人は調べろ」
リク「ロケランねぇ…」
蓮「ロケランって使ったことあるのか?」
零「ないな。次回!《久々の樹海》!お楽しみに!」


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久々の樹海

零「今回はネタがないので前書きなしだ」
3人「うっそ〜ん…」


零達は奴隷として輸送されていた亜人達を樹海に返すために飛空艇で樹海に向かっていた。亜人達が何かをイジらないか冷や汗をかいているハジメを横目に、零と清水は綾波達とゲームをしていた。

 

「……なぁ、お前ら手伝ってくれてもいいんじゃねぇのか?」

「悪い。今部下達とゲーム中」

「右に同じく零の部下とゲーム中」

 

零達がゲームをしている間、ハジメだけ真面目にやっていた。この場にいない依姫達は各々の部屋でやりたいことをやっていた。

 

「……仕方ねぇなぁ…ハジメ、代わってやるよ。その代わり綾波達のゲーム相手を頼んだ」

「お、久々のゲームだな。任せろ。お前の部下でも容赦しねぇぞ」

「ハジメ………アイツは鬼神だってことを忘れるなよ」

 

そう言って零がハジメの肩を叩いた。零の手は手汗が凄かった。それに気づいたハジメが少し苦笑をしていた。そんなハジメと代わって零が飛空艇を運転し始めた。

 

「操縦者は話すことねぇからなぁ…暇だ…」

 

零は独り言を呟きながら樹海を目指していた。途中、ハジメの泣き叫ぶ声が数回響いた。ちなみに、うちの綾波は暇なとき殆どゲームをしていて、チーターと真っ向勝負で勝てるほどのゲーマーにまで上がった。そんな綾波に成す術なく全敗のハジメと清水は膝を付いて敗北を認めていた。

 

「ハハハ…お前ら全敗しているのか?」

「今度は指揮官…です」

「綾波、悪いんだけど俺が離れたら飛空艇が墜ちちまう」

「むぅ…仕方ない…です」

 

零は香織にハジメを慰めて貰おうと操縦室に呼んだ。清水はハジメほど落ち込んでいなかった。

 

「ハジメくん、大丈夫?」

「ハハハ…大丈夫だ。改めて零の部下が異常ってことを実感した」

「おい。それはつまり、三月も異常………いや、アイツは異常か」

 

零がそう言うと、空間が斬り裂かれて三月が出てきた。三月の両手にはナイフが持たれていた。

 

「旦那様、私が異常だと仰るんですか?私は極普通のメイドです」

「三月、普通のメイドは空間を斬り裂かないんだよ」

「ですが旦那様、現メイド長は時間を止めれますよ?」

「三月、時間よりも空間を歪ませるほうがヤバいんだよ」

「そうなのですか?」

 

三月は空間を斬り裂ける。現メイド長(咲夜)は時を止めれる。三月は時間が止まった空間(世界)を斬り裂けるかもしれない。

 

「旦那様、そろそろ樹海ですよ」

「ん?あぁ、わかってる」

 

零は艦内放送で全員を集めて着陸した。最初に出迎えてくれたのはあのときの虎だった。

 

「お前は…!!って、後ろにいるのはアルテナ様か?!ご無事でしたか!?」

「あ、はい。ハジメ様達とハウリアの皆様が助けてくれました」

「なんと…すぐに門をお開けします」

 

虎がそう言って門を開けて、アルテナ達だけではなく零達も入れた。門を潜るとアルフレリックが待っていた。アルフレリックは泣きながらアルテナを抱き締めた。

 

「お祖父さま…!!」

「アルテナ…アルテナなのだな…!よく、無事で…」

 

アルフレリックが零達がいることに気づき、涙を拭って零達の前に立った。

 

「…とんだ再会だな。南雲ハジメ、紅蓮零。まさか、孫娘や攫われた皆を連れてきてくれるとは…」

「まだ全員じゃない。安心するのはまだ早い」

「そうだな…」

 

アルフレリックと話していると、シアが口元を抑えてフェアベルゲンの光景を見ていた。他のみんなも、フェアベルゲンを見てどう思ったかはわからないが、怒っていることだけわかる。

 

「ひどい…」

「街がボロボロ…」

「これも帝国兵が?」

「いや…帝国兵だけではなく、魔人族にもだ」

 

帝国の仕業だとわかったため、零達は飛空艇を爆撃できるように改良し始めた。零達に代わって、フミアが仕切ることになった。

 

「この場にいるハウリアは何人いるの?そのうち、戦えるって子は何人?」

「はっ!ここにいる者は130名!そのうち、実戦可能は122名!残り8名は新入りです!」

「わかったわ。実戦可能な子を全員呼んで来て。飛空艇の修理が完了しだい、途中で降ろした連れを回収して帝国に乗り込むわ」

「「「はっ!!」」」

 

ハジメ達が改良に集中している間、ハウリア達は装備を整えて整列していた。ハジメ達が改良を終えて振り返ると、ハウリア全員が整列して待っていた。それを見て少し引いていたのは言うまでもない。そしてハウリアと依姫達を乗せて、飛空艇は離陸した。




零「前書きがないのと同じで後書きもない。」
3人「はぁ………」
零「次回!……のタイトルは未定!」


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誰も知らない場所で暗躍する者?

零「なんだこのタイトル」
ユズ「暗躍する正義?誰のことだ?天之河か?」
蓮「天之河は正義ではなくないか?」
リク「それだと…後は誰だ?」


俺は目の前の物を見ながら弟のことを考える。ついさっき出来上がった物だった。出来上がった物を持って外に出ようとした。

 

ん?俺が誰か?なぜ前と書き方が違うのか?弟は誰か?出来上がった物はなにか?ここはどこか…だって?おいおい、質問攻めは困るな。まず、ここは俺しか知らない世界だ。誰だって入ることができない。例え、エヒトやウルトラマンゼロ、ウルトラマンゼットでもな。

 

俺は出来上がった物を持って()()()()に向かった。《氷結洞窟》の最深部、神代魔法がある場所に無理矢理入り込んだ。

 

「やはり試練を超えなければ普通は入れないのか」

 

俺はそう言いながら魔法陣の近くに出来上がった物を設置した。弟が計画通り、樹海の大迷宮を攻略して、ここに来ることを願う。

 

「確か…樹海に己の理想に打ち勝たなければいけないんだっけか?……乗り越えれるか?思い出せない記憶が理想となるか、思い出せない記憶と今の記憶を合わせて理想の世界になるのか、はたまた別のなにかか……どちらにせよ、弟が愛優美のことを思い出すのは確実だろうな。そこからここに来て、ここをクリアしたらいい」

 

俺はそう言いながら氷結洞窟を出ようとした。だが、出ようとしたところで何かに引き止められたような感じがして振り返った。だが、そこには誰もいない。

 

「まさか…な……」

 

考えるのをやめて、またあの部屋に帰った。パネルのようなものを触りながら弟や弟の仲間達、そしてエヒトや帝国、ハイリヒ王国の監視を再開した。

 

「ふぅ〜ん…帝国は少しやりすぎているな」

 

俺は一つのカプセルを手に取った。そのカプセルには《マザーレギオン》と書かれていた。マザーレギオンのカプセルを装置に入れて、改造を始めた。今までもこうして弟の覚醒を手伝っていた。時には弟の行く手を阻んだ。例えばオルクスでのベヒモス戦だ。

あの強化されたイビルジョーは俺が出した物だ。

次にギャオス、()()は別の魔物だったが、ギャオスに変えた。理由としては、迫力がなかったからだ。

他にも、わざわざ別世界の地球にある《ストレイジ》と呼ばれる場所に捕まっていた《セレブロ》も俺が解放させた。そしてヤツに《ウルトロイドゼロ》も渡してやった。

オルクスでの魔人族襲来、ヒッポリト星人に恵里のフリをさせた。だが、ヤツは弟と再会したときに俺達の種族名を言った。そして檜山という男をあんな姿にしたのも俺だ。今までの超獣だって俺だ。

そして、火山…名前なんだっけ……火山にザイゴーグがいたのも、ゴルザ達がいたのも俺だ。そもそもこの世界に怪獣を連れ込んだのは俺だからな。

次にヤプール。アイツは別世界から勝手にやってきて、計画を始めた。そしてバット星人を連れてきてUキラーザウルスを強化したのもアイツが勝手にやったことだ。だが、そのおかげで俺は力を取り戻した。感謝はしている。しかし、あのヤプールはいったいどこに…?まぁいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………再会の日は近い。今度こそ、叶えられなかった俺達兄弟の悲願を…成し遂げよう。俺達兄弟二人で!必ず!!




零「話すこと何もないから、次回予告〜……次回!《帝国侵入作戦!ロイヤルメイドの実力!》」


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帝国侵入作戦!ロイヤルメイドの実力!

3人「ロイヤルメイドってなに?」
零「ロイヤルメイドはアズレンを見ればわかる」
蓮「つか、最近前書き雑じゃね?」
リク「確かに雑だよな」
ユズ「ま、いいんじゃないか?」
零「よくねぇよ」
蓮「無駄話はやめて本編スタートさせようか」
零「そうだな。てことで本編スタート」


飛空艇を改造し終えた零達はリリィと勇者パーティー(荷物)を回収して、帝国に向かった。ステルス機能搭載のため、帝国にバレることはない。

ハジメが零達を司令室に集めて作戦の再確認を始めた。

 

「作戦はカム達の回収、亜人族の回収、そして帝国の破滅が目的だ」

「ちょ、ちょっと待て!」

 

そこで天之河が口を挟んできた。それに少し苛ついたハジは天之河を睨んだ。

 

「なんだよ。天之河」

「なんだよじゃない!帝国の破滅ってどういうことだ!」

「そのまんま。帝国を滅ぼすんだよ」

「帝国に住んでいる人達はどうするんだ!まさか、助けずに見殺しにするのか!?」

「当たり前だ。亜人…兎人族()を奴隷として扱うヤツは絶対だ」

 

零は天之河にそう言って睨みつけた。その後も天之河は帝国を滅ぼす事に反対してきたが、ハジメと零はそれを無視し続けた。

 

「零、情報取集はベルファストさんと三月に任せていいんだよな?」

「あぁ、俺達が地上で情報を集めている間、三月とベルファストには城の中に潜入して情報収集をしてほしい。二人とも頼めるか?」

「お任せください」

「ご主人様、少し帰らせて貰えませんか?私と三月さんだけでは手が足らないことがあるかもしれません」

「あぁー確かに……とりあえず、潜入調査ができる奴らを頼む。紫、送ってやれ」

 

零がそう言うと、紫がスキマを開き、ベルファストと一緒にスキマの中へと入っていった。

 

「おい!ベルファストさんと三月さんはメイドだろ?メイドに潜入調査をさせるなら、俺がやる!メイドに潜入調査をさせるべきじゃない!」

 

天之河はそう言うが、同じ意見の者は少なかった。パル達はベルファストと三月の実力を知っているため、天之河が何を言っているのかわからない顔をしていた。

 

「天之河。見た目、姿形だけで決めつけるな。ベルファストは確かにメイドだ。だが、()()()メイドじゃない」

「なにを言って…」

 

天之河が最後まで言い切る前に、帝国が見えてきた。帝国の真上に定着したのと同時に、紫とベルファストが数人の《ロイヤルメイド》を連れて帰ってきた。

 

「それじゃ、作戦開始!」

 

ハジメがそう言うと、ベルファスト達が飛空艇から飛び降りて、城の中へと入っていった。それと同時に、俺達は入口の方から帝国に入っていった。リリィの身分を隠すことで帝国の中に入れる。パル達は念の為、飛空艇に残ってもらうことになった。

帝国の中に入って最初に見えたのは、奴隷として働いている亜人、暴力を振るわれている人間達だった。

 

「おい、お前ら「黙れ」ぐべっ」

 

帝国に入ってすぐに殴りかかろうとしてきた男に向かって横蹴りをした。その後も、何人もが零達に喧嘩を売り、ことごとくやられた。

 

「ぐべらっ」

 

今も武装して依姫達を見てニヤけた男を零がラリアットで地面に叩き付けた。

 

「うぅ…話には聞いていましたが……帝国はやっぱり嫌なところですぅ」

「うん、私も肌に合わないかな……召喚された場所が帝国じゃなくて良かったよね」

「ここだったら、勇者でも奴隷と同じ扱いにされそうね」

「軍事国家じゃからなぁ。軍備が充実しているどころか、国民でさえも軍備を持ち、その多くが戦闘狂なんじゃ。この程度の雰囲気は当たり前と言えば当たり前じゃろうな」

 

シアはそう言いながら、周りの亜人族達を見た。シアの彼らを見る目は今にも泣きそうな目をしていた。

 

「シア、見るな」

「でも…」

「アイツらが苦しむのももう少しで終わる」

 

ハジメはそう言いながら、街の地図を見た。

 

「どこに行くのー?」

 

鈴がハジメの地図を見ながら聞いてきた。

 

「冒険者ギルドだ。《不死身のフミア》の名を使えばある程度の情報は手に入るだろう」

「ハジメ、その名で呼ぶのやめてもらえないかしら」

「ア、ハイ」

「皆さんはシアさんのご家族の方が捕まっているって思ってるんですか?」

 

リリィがそう聞いてきたため、零は地図を見ながら答えた。

 

「捕まっているなら取り返せばいいだけだ。いざとなれば、帝国を消し飛ばしてでも取り戻す」

「あぁ、帝国が消えれば奴隷もなくなるだろう。安心しろ、シア。カム達が捕まっているのなら、取り戻すだけだ」

「ん……任せて、シア」

「レイさん、ハジメさん、ユエさん……」

「いやいやいや、消し飛ばしちゃ駄目じゃない?!あれ、みんな笑ってない?え、嘘だよね?鈴、怖いよ?」

「鈴ちゃん、帝国はもう……」

「零に目を着けられたから、生き残る道は…」

「諦めてる!?もう既に諦めちゃったの、カオリンにシズシズ!?」

 

そして、地図通りに行くと冒険者ギルドがあった。中に入ってすぐにバーカウンターを見つけた耀が座り、勝手にお酒を注文し始めていた。

 

「いいのか、あれ」

「ん?別に、アイツが飲みたいなら飲めばいいさ。ただ、俺らにも飲ませようとしなければの話だがな」

 

零と幸利の話を聞かずに、ハジメは受付嬢に亜人に付いて聞いた。すると、受付嬢は耀が座っている方を指差した。あのマスターに聞けということだろう。

 

「プハァー!マスター、もういっぱい貰えるか?今度はこの店の中で一番悪く、質の悪いので……っと、こっちのヤツにも同じのを」

「おい待て。お前なに勝手に俺の分注文してんだよ」

「いいだろ。久々に二人で飲もうぜ」

 

零が耀の隣を座ると、耀と飲むことになった。出された酒はアルコール臭が凄く、雫達が鼻を摘んでいた。ラフィー達には紫が境界やらを弄って、アルコール臭が届かないようにした。

 

「お、これぐらいが一番いいんだよなぁ………ぷはぁー!やっぱ酒は最高だわ!嫁の次に!」

「はぁ…お前ってどの酒でも酔わねぇのなんでなんだろうな…」

「知らねぇよ。鬼だからかもな」

「…………お前達、さっき亜人がどうとかって言っていたよな?」

 

ハジメが聞く前に、マスターから話しかけてきた。

 

「なにか情報はあるのか?教えてくれ。もちろん、相応の対価は払う」

「対価なんて…酒を美味そうに飲んでくれただけでいい………それでお前達が聞きたいのは兎人族のことか?」

 

マスター曰く、数日前に帝国兵が奴隷を調達して帰ってきたそうだ。その時、兎人族でありながら兵を蹴散らして、逃亡を図った亜人の集団がいた。しかし、流石に武装をしていたとはいえ、十数人の亜人が百人以上の兵に都内で完全包囲されてしまっては逃げ切ることは出来ず、全員捕まり城に連行されたそうだ。

 

「なるほどな…」

「あ、マスター。またここに来ていいか?」

「……実はな、ハイリヒ王国のある街に転勤が決まってな。だから、帝国に帰ってくることがなくなるかもしれねぇんだわ。まぁ、また俺の酒が飲みてぇなら、ハイリヒ王国にでも来な」

「そうか…わかった。ちなみに、ハイリヒ王国にいつ向かうんだ?」

「今日の夜だ。酒とかはここに置いていくから、あまり荷物が多くないから、すぐに出発できるんだ」

「そっか。また、どこかで会ったらいい酒を飲ませてくれよ」

 

耀がそう言って金を零に払わせてギルドを出ていった。それに続くように零達も出ていき、宿を探してそこで三月達の帰りを待つのだった。お風呂から出て、ベッドにダイブしようとした零と依姫とフミアの部屋に三月達が空間を斬って現れた。

 

「旦那様、皆様が求めている情報を見つけました」

 

三月が得た情報をみんなで共有した。

 

「あ、そうだ。天之河達に少し頼みー…………いや、やめておこう。駄目だ、失敗する未来しか見えない」

「お、おい!何をさせようとしたんだよ。教えてくれ」

「あぁ、いいぜ。お前らには―――」

 

零が言った天之河達への頼み事、それを聞いたのは天之河、坂上、鈴、雫、恵里、香織だけだった。ハジメ達は首を傾げて零に聞くが、零はハジメ達には教えなかった。



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七人の仮面ライダー!?

今回から後書きだけ書くことにしました。オリジナル設定、オリジナル技、オリジナルの物の説明や次回予告等だけ後書きに書くことになりました。説明等は零、蓮、ユズ、リクが引き続き行います


帝国兵達が騒いでいる帝都の夜。突如、亜人達が寝泊りしている地区にある帝国兵の詰所が吹き飛んだ。

吹き飛んだのと同時に、空からオレンジのようなものと、バッタのような物が降ってきた。

 

《オーソライズ》

《サイクロン!》《ジョーカー!》

《オレンジ!ロックオン!》

《ジオウ》

《3、2、1!》

《シャバドゥビタッチヘンシン!》

「「「「「「「変身!!」」」」」」」

 

その掛け声とともに、煙が晴れた。そして、帝国兵達の前に6人の仮面ライダーが現れた。

 

「んじゃ、俺は先帰るから〜」

 

そう言って一人の男が目がいっぱいの空間へと入っていった。

 

「な、何者だ、貴様等!帝国に盾突いて…ただで済むと思っているのか!!!」

「しかも、しかも……なんだそのふざけた仮面は!そんなふざけた仮面なんか付けやがって!帝国兵を馬鹿にしてんのか!」

『え?いや、馬鹿にしてるわけじゃ……』

「どう見ても馬鹿にしているだろう!特に……果物のような鎧を着たお前!!」

『…私?』

「あぁ、そうだ!果物のような物をつけやがって、果物大好きアピールか!この変質者め!!」

『…そんなアピールしていないわ』

『ちょっと、帝国兵のおっさんの癖にシズ…ガイムを馬鹿にしないで!!エリ……私達ダブルは本気で怒っちゃうよ!』

『そうだよ!ガイムを馬鹿にしない!私達ダブルは本気で怒っちゃう!』

『そうだね、ダブル!これ以上…ガイムを馬鹿にしたらこのウィザードも許さないよ!』

『そうだ!これ以上しず…ガイムを馬鹿にしたら、俺…ゼロワンが許さねぇぞ!』

『……あー、取り敢えず、フォーゼも許さねぇぞー』

『なんか、グダグダな気がする…あと、ガイムを馬鹿にしたから、もう帝国に未来はないと思え!』

 

帝国兵はふざけた仮面をつけた者達と交戦を始めた。当初は帝国兵が有利だと誰もが思ったが、見た目によらずのパワーとスピードで帝国兵はどんどん倒されていった。

 

「ちくしょう!仮面のくせに強すぎる…!」

「ぐはっ…果物のはこんなに強いのか…果物トラウマになっちまう……」

「つか、あの黄緑の戦い方…どこかで……」

「くそ、お前等……一体何が目的なんだ!!」

 

一人の帝国兵がそう言った。

 

『亜人奴隷達の待遇改善を要求する!』

「……はぁ?」

『お前達の亜人族に対する言動は目に余る!むやみに傷つけるのは止め『なにお前が仕切ってんだ馬鹿野郎』いたっ!何をするんだ!』

『現場での指揮官は俺だ。あと、お前らのそれを貸しているのも俺だぞ?今すぐ強制変身解除でもいいんだぞ』

『ぐっ……』

『喧嘩するなら私が言うわ』

 

仮面をつけた一人が紙のような物を取り出して読み上げた。

 

『えぇー……哀れな帝国兵よ、聞きなさい。私達の行動は独断によるもの。亜人奴隷に今回の件で八つ当たりするのは止めよ。もし、そんなことをしたら…』

「「「そ、そんなことをしたら…?」」」

 

他の仮面達も中身を知らないらしく、紙を見るように後ろから覗き込んでいた。

 

『………我らが神全てを食らう8つの顔を持つ龍とその子達を呼び覚まし、この国を襲うでしょう』

 

そう言って、仮面達はなにかに包まれて消えていった。時を同じく、城の内部に捕まった亜人族が行方不明になっていた。




零「わかる人はわかると思うけど…雫がガイム、恵里と鈴がダブル、香織がウィザード、天之河がゼロワン、坂上がフォーゼ、幸利がジオウだ」
蓮「作者曰く、最初は坂上がクローズかバルカン、恵里と鈴がゼロワンとゼロツー、天之河がセイバーだったらしいけど、なんで変えたんだ?」
零「あーそれな…まず、クローズはなんかやっちゃいけない気がして、あとバルカンは変身の音声忘れた。恵里達をゼロワンとゼロツーから変えたのは、ダブルのほうが合ってるきがしたからだ。あと、天之河がセイバーだと、聖剣を2つ持つことになるから、やめた」
リク「ちなみに全てを食らう8つの顔を持つ龍とその子達って言うのは?」
ユズ「どうせ怪獣だろう」
零「次回………のタイトル未定なんだよなぁ…」


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登場!マガタノ!

雫達が飛空艇に帰ってきたのと同時に、ハジメ達も帰ってきた。清水はすぐに雫達からベルトと変身アイテムを取った。零は会議室で待っていた。

 

「それで、俺達がやっている間に終わったのか?やりたいことって言うのは…」

「あぁ、終わったぞ」

「紅蓮はなにをやっていたんだ?」

 

ハジメの問には答えたが、天之河の問にだけ答えなかった。それに少し苛立ちを感じてた天之河を横目に、《マガタノ》を鞘から抜いて、空間を軽く斬って、裂け目に手を入れた。

 

「なにをしているの?」

「ん?…いや、ちょっとな」

 

零がしていることに理解できない全員が首を傾げた。

 

「…多分この辺りなんだけど…違ったか?」

「………なぁ…本当になにをしてるんだ?」

「マジでちょっとしたことなんだ『ピィア?!』お、見つけた」

 

依姫、フミア、紫、三月、耀、神羅裂け目から聞こえた声で零が何をしているのかわかったようで手を叩いた。

 

「もしかして…マガタノを連れてこようとしているの?」

「あぁ、最近お腹すいたお腹すいたって直接脳内に言ってくるからな…」

 

零はそう言いながら裂け目から女の子のような物を引っ張り出した。

 

『いったーい!』

 

出てきてすぐに少女が泣き始めた。それを見た天之河が零に何かを言おうとしたが、坂上に止められていた。

 

『……って、主!何するの!私女の子だよ?!扱い酷くない?!』

「……最近お前が俺の脳内でお腹すいたお腹すいたを連呼するから、久々に飯を食わしてやろうと連れてきたんだが…どうやらその必要は『ご飯?!ご飯どこ?!今日のご飯は何?!モンスター?ハンター?ウルトラマン?怪獣?人間?妖怪?仮面ライダー?怪人?………それともそこのキラキラ?そこのキラキラは嫌!魂も肉体も不味そう!』…マジか」

 

ハジメ達にはマガタノが何を言っているのか聞こえないようで、零とマガタノの会話を理解できていなかった。

 

「…おい、コイツはなんて言っているんだ?」

「……天之河をエサと勘違いしているな」

「?!」

「もう人間と認識していない」

「?!」

「その上、味見もしていないのに不味い…つまり、未来で良いことがないと言っていい…」

「?!」

「「「「ブフゥッ!!」」」」

 

零と依姫と天之河と三月とリリィ以外の全員が吹いた。

 

「マガタノ、ハジメ達にも聞こえるように人間の言葉で頼む。あと、自己紹介をしろ」

「はーい!」

 

マガタノの元気な声が会議室に響いた。

 

「ピチピチの18億3400万歳……略して18歳の女の子のマガタノだよみんなのことは主の刀から見てたから知ってるよ!キラキラくんは……《阿保之河蒸気》だよね!さっきはごめんね!」

「「「「ブフゥッ!!」」」」

「……ハハハ」

「?」

 

マガタノはみんながなぜ笑っているのかわからないようで、零を見て首を傾げた。それを見た零がマガタノを優しく撫でた。

 

「んん…お、お兄様…少しいいですか?」

「ん?どうかしたのかリリィ」

 

みんなが床を叩いたり、転がりながら笑ったりしているときにリリィだけが笑いを堪えて零のところへと来た。

 

「帝国を消すという話なんです「え、ご飯ってもしかして国なの?!やったぁー!!」あ、え、その…」

「マガタノ、ちょっと三月のところでご飯を食べてこい」

「はーい!」

 

マガタノは元気よく三月のところに走っていった。

 

「それで、帝国を消す話がどうしたんだ?」

「えっと…一度、陛下と対話という形で亜人の件を任せて貰えませんか?」

「…まぁ、別にいいけど…多分、無理だと思うぞ?」

「はい。でも、一度だけお願いします」

「……危なかったり、お前、もしくは《樹海》に手を出すような動きがあったら、すぐに帝国を消すように動くぞ」

「……わかりました」

 

帝国を滅ぼすのが無くなりそうだと知ると、マガタノが残念がっていた。




零「マガタノは18億3400万歳…略して18歳と言っているが、正確には18億3498万6290歳。匂いや見た目だけで性格や血液型、性癖、年齢、知能までもわかるらしい。しかも、魂などで学歴、彼女歴、今までの全てのテスト等の点数、今まで見た夢、未来、将来、黒歴史などがわかるって前言っていたな」
ユズ「待ってそれ怖い。黒歴史とかわかるの!?」
零「あぁ…あと、俺が覚えていることなどはだいたい覚えている。ただ、俺がどうでもいいと思ったものや、マガタノがどうでもいいって思ったことは忘れる。今回の天之河の名前を間違ったこととかな。あとは、だいたい俺のことを見て成長しているらしいから、俺と同じことをよくするんだよな」
リク「好き嫌いはあるのか?」
零「一部例外を除いて、美味い不味い関係なしに食べる。しかも、好き嫌いしない。てか、ほとんど嫌いな物がない」
蓮「その例外と言うのは?」
零「お先真っ暗、もうすぐ死ぬ、宇宙の穴、とかかな」
蓮「それで次回は?」
零「予告なし」


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別に帝国の1つ2つぐらい変わらないだろ?

リリィと天之河達と一緒に帝国陛下に話をすることになり、今城の中を歩いている。リリィの護衛を誰がやるかで揉めたが、リリィが零を選んだため、零がリリィの隣にいる。ちなみに門はリリィの顔パスでも通れなかった。

 

「こちらに王女と勇者ご一行が来ていると聞いたが……貴方達ですね」

「あ、はい。王女リリィと俺が勇者です」

「確認しました。自分は第三連隊隊長のグリッド・ハーフ。既に王女様と勇者様ご一行が来られたことは陛下の耳にも入っており、お部屋でお待ちです。部下に案内させましょう………ところで勇者殿…その兎人族はいったい?それは奴隷の首輪ではないでしょう?奴隷ではないのですか?」

「あ、いや、彼女は……」

 

天之河が言う前にグリッドがシアを見た。それに気づいたシアがグリッドがなんなのか思い出した。

 

「よぉ、ウサギの嬢ちゃん。ちょーっと聞きてぇんだけど……俺の部下はどうしたんだ?」

 

自分のことを言われているのかと勘違いしたラフィーが首を傾げた。

 

「おかしいなー?俺の部下は誰一人戻って来ないのに、何でお前は生きて、こんな場所にいるんだ?えぇ?」

 

そう言われてハジメ達がシアの顔を見た。シアは恐怖で今にも泣きそうな顔をしていた。

 

「シア…もしかして、コイツが?」

「ぅあぁ…」

 

フミアが聞いたが、シアは言葉が出てないように喋らない。

 

「申し訳ありません、勇者殿。この兎人族は二ヶ月ほど前に行方不明になった部下達について何か知っているようでして、引渡し願えませんか?兎人族の女が必要なら、他を用意させますんで、ここは一つ「……お前あの帝国兵の上司か」あ?」

 

口を挟んだのはハジメでも天之河でもなく、零だった。零はグリッドの胸ぐらを掴み上げた。

 

「テメェは部下の飼育すらできないのか?テメェらは人様の嫁を奪えなんて教わってんのか?あぁ?雑魚帝国兵」

「んだとっ…!」

「やるってか?別にお前一人のせいで帝国を地図から消すっていうのもさぁいいんだぞ?こっちはそんな無駄話をしに来たんじゃねぇんだよ。さっさと案内しろ。それとも、あの帝国兵どもに会いたいっていうのなら別にいいぞ?」

 

零がそう言うと、グリッドが嫌な顔をしながら部下に何かを命じた。グリッドに案内されて零達は一つの部屋に入る。

 

「お兄様!今日は交渉をしに来たんですよ?!戦争をしに来たんじゃないんです!」

「いや、でも依姫達を奪おうとしてきたのは本当だし、なんなら最初はギャオスハイパーを送り込むつもりだったし…帝国の1つ2つぐらい、変わらないだろう?」

「変わります!お兄様は私に何かあったときに動いてください!」

「……わかった」

 

そこから、また別の部屋に案内された。そこには帝国陛下がいた。

 

「お前が南雲ハジメと紅蓮零か?」

 

突然名前を言われた理由がわからなかった。

 

「ん?お前らのことはハイリヒ王の手紙でもう知っているんでな」

「えぇ、俺が「あっそ。親父から手紙来てるなら別に名乗らなくていいよな」あのなぁ…」

 

ハジメが言い切る前に零がそう言った。ハジメは態度を変えない零に呆れて何も言えなかった。

 

「それで?今日はどんな用事で来た?」

「帝国での亜人奴隷の開放です」

 

リリィがそう言うとガルハドがリリィを睨みつけた。その瞳が怖かったのか、リリィが少しだけ零の後ろに行く。すると、零の視線がガルハドに行く。零とシンクロするように、マガタノの獲物を見つけた獅子の目もガルハドに向く。

 

「亜人奴隷の開放…だと?」

「はい。亜人達も一種の生物。娯楽のために命を奪い、奴隷として働かせるのは「帝国の機能が大幅に低下させたいのか?」い、いえ…そういうわけでは…」

「帝国の機能を低下させたあとに戦争を吹っかける……とか考えてるわけじゃねぇだろうな?」

「はい。そのようなことは一切ありませ「だったら」…?」

 

リリィが言い切る前にガルハドが口を挟んだ。リリィを見るガルハドの目は他国の王女を見る目とは少し変わっていた。

 

「帝国に戦争を吹っかけないと言うのであれば、俺の息子と婚約「するわけねぇだろうバーカ」…なんだと?」

「お兄様…!」

 

リリィの頭に手を乗せながら、零が腕から触手を出して陛下を拘束した。

 

「陛下ッ!!」

「動くな。ちょっとでも動いてみろ。陛下がパクリと食われるぞ」

「………零、カム達から帝国全ての亜人の回収が終わったぞ」

「お前ら…まさか俺が開放しないのを見越して…!!」

「当たり前だ。こっちには未来を見ることができる嫁がいるんだよ」

「待って、零達はいつから計画してたの?」

「「「昨日の夜から」」」

______________________

遡ることマガタノの自己紹介のあと、それぞれの部屋で明日に備えていたときだ。零とハジメはフミアとシアを部屋に呼んで未来を見てもらった。

 

「………駄目ね。ガルハドが亜人を開放する未来が一つもないわ」

「同じくです」

「わかった。カム達に帝国全ての亜人奴隷を帝国から出してもらって、マガタノが帝国を食うっでいいよな?」

「あぁ…だが、リリィには手を出されそうになったらってなっているからな」

「そこは安心して。ガルハドはリリィを自分の息子の婚約者としてなら亜人を開放するって言っている未来しかないわ」

______________________

 

「―――そんな感じでお前がリリィを自分の息子の婚約者にしようとしているのはもうわかってたんだよ。マガタノも、よく我慢したな。偉いなぁ」

 

そう言って零がマガタノを優しく撫でた。

 

「主!もう殺ってもいいよね?!」

「あぁ、別にいいぞ。あ、陛下には特等席で見せてやるよ。帝国が滅ぶ姿を…」

「俺達は巻き込まれないように飛空艇に行くぞ。カムも待ってる」

 

ハジメがそう言うと紫がスキマを開いた。天之河が何か言おうとしていたが、紫に連れていかれた。

そして、マガタノと零とガルハドが帝国の上空に移ると、風、土、火、水、闇、光の球体を落した。その球体が弾けて、マガバッサー、マガグランドキング、マガパンドン、マガジャッパ、マガゼットン、マガタノゾーアが現れた。そして、最後にマガタノからマガオロチが産まれるように落ちた。魔王獣達が出現したため、帝国に嵐、地割れ、陥没、火災などが起きた。

 

「やめろ!民間人は何も関係ねぇだろう!」

「馬鹿なことを言うな。その民間人も亜人を奴隷として扱っていた」

「主!私も行ってくる!」

 

そう言って、マガタノが城の真上でマガタノオロチへと変わった。城が一気に崩れ落ち、中からマガタノオロチがその全貌を露わにする。そして、ガルハドを口の中から伸ばした舌のような触手で掴み、口の奥へと連れて行った。

 

「久々の食事……ねぇ…」

 

その後、全ての門を魔王獣達が岩や家の瓦礫で塞いで消えた。すると、マガタノオロチがどんどん巨大になり、帝国を地面ごと食らった。帝国があった場所にはクレーターが生まれていた。そして、帝国を食べたマガタノオロチは再び零の刀の中へと消えていった。




零「マガゼットンとマガタノゾーアは何も引き起こさなかったんだよ」
ユズ「え、なんで?」
零「理由としては、他の地域に迷惑がかかるからだ」
ユズ「そして今回も次回予告は?」
零「なしだ」


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お腹を空かせたマガタノに近づくな

帝国を食らったマガタノは零の刀の中に戻って来てすぐに、刀の外へと出た。急に出てきたマガタノに少し驚いたが、それよりもマガタノが不機嫌になっていることに驚いた。

 

「ど、どうした?」

「……かった…」

「は?」

 

零が聞き返すと、マガタノが零の服を掴んだ。

 

「少なかった!国っていうほどだから、数千万とかいると思ったら、数百万もいなかった!こんなの米粒一つだよ!おーなーかー空いたー!おーなーかー空いムグッ!!」

 

零は右手の人差し指をマガタノの口の中に突っ込んだ。すると、マガタノが零の手を食べ始めた。手首まで口の中に入れて食べ始めた。零は食べられるのと同時に手を再生させた。

 

「こう見ると、子供に飯を上げているみたいだな」

「私はンムッ子供ムグッじゃなハムッいよ!ムグッ」

「食べるか喋るかどっちかにしてくれ」

「ハムッ…ムグムグ」

「食べるのかよ」

 

マガタノが食べ終わるのを待つと、日が暮れそうなので、飛空艇にスキマを開いて移動することになった。飛空艇に行くと、ラフィー達はいなかったけど、ハジメ達がいた。そして、零はハジメ達が驚き、依姫達が頭を抱えていることに疑問を持った。スキマから出てきた零ではなく、零の右手首を食べているマガタノに驚いていた。

 

「お、おい…大丈夫なのか?」

「ハムッ…ムグムグ」

「あぁ、大丈夫だ」

「ハムッ…ムグムグ」

「右手食べられて…痛くないのか?」

「ハムッ…ムグムグ」

「まぁ、今に始まったわけじゃねぇし」

 

零とハジメが話している途中もマガタノは遠慮なく零の手を食べた。あまりもグロいため、一部女子が依姫達に連れられて別の部屋に移動した。

 

「そ、それで…なんでお前は食われてるわけ?」

「マガタノがお腹を空かせたから…だけど?」

「帝国を食ったのにか?」

「マガタノにとってあれは米粒一つと一緒らしい。もちろん、人間含めてだ」

「「なっ?!」」

 

天之河と坂上だけ驚いた。ハジメと幸利も心の中では驚いているが、どこか納得していた。

 

「それで、帝国陛下は死んだのか?」

「……そう言えば、そこんとこそうなんだ?」

 

零がまだ食べ続けているマガタノにそう聞いた。すると、マガタノは少し首を傾げて、何かを思い出したような顔をした。

 

「ハムムグムグム、ホムホム、ムグッ」

「「「何を言っているのかさっぱりわからん」」」

「……あぁ、なるほどな。一応捕虜にしているけど、溶けてるかはわからないわけな」

「「溶けるってなに!?」」

 

マガタノはそう言ったあとに、零の手を食べながら寝始めた。

 

「……寝ていると可愛いんだが…」

 

天之河がそう言ってマガタノに近づこうとしたら、触手で弾かれた。そんな天之河を見て、ハジメ達は鼻で笑った。

 

「腹を空かせたマガタノには近づくな」

 

零はそう言って、マガタノを連れて部屋を出た。零達が部屋を出たあと、ハジメ達の笑い声が聞こえた。




零「天之河はマガタノに何をしようとしたのかは知らないけど、うちの子に近づくんじゃないよ!ちなみに、次回の予告もなしだ」


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陛下は一人で頑張るってよ

飛空艇で飛行していると《フェアベルゲン》が見えてきた。《フェアベルゲン》の上空で定着して、ハジメ達を先頭に、亜人元奴隷達が降りて行った。零達もその後を追って降りた。降りてすぐに、亜人達は抱き合って泣いていた。

 

「南雲ハジメ、紅蓮零よ。族長として皆を連れてきてくれたことに感謝する。ありがとう」

「ん?あぁ、アルフレリックか。いや、別に感謝されるようなことじゃねぇよ。俺達は元々カム達の救出が目的だったからな」

「っと、そうだ。アルフレリック、他の族長共を呼んでくれ。お前らに会いたいと言っている者がいるんだよ。カム達もな」

 

カム達は誰なのかわからなかったが、ハジメだけわかっていた。ハジメは族長達を円に並ばせて、中心に人一人ぐらいが入れそうな檻を作った。

 

「マガタノ、吐き出せるか?」

「大丈夫!月までの大きさなら出せるよ!あと、女の子に吐き出せるか?は駄目だよ主!私だって、ちゃんとした女の子なんだよ!」

「「女の子は自身の主の手を食わないぞ」」

 

零とハジメが聞こえないようにツッコミを入れると、

マガタノが自身の口の中に触手を入れて、檻の中に何かを吐き出した。それは血や色々な物が付いて少し臭う帝国陛下だった。

 

「ゲハッ…くっせぇ…!!」

「「「「貴様は!!!?」」」」

「あ?………ここは樹海か!?」

 

アルフレリック達は武器を取り、帝国陛下に向けた。

 

「……で、正直ガルハドは「不味かった!主、ソイツ捨ててよ!」はぁ…わかった」

「おい!帝国はどうなった?!市民は!?」

「ぜーんぶマガタノが食った」

「貴様ぁよくも!」

 

そう言って帝国陛下が檻を出ようと暴れた。だが、零はそれを鎮めるように檻を蹴って黙らせた。

 

「おい。テメェ…まず謝罪はどうした?」

「なんだと?」

 

とぼける帝国陛下に零の思想を感じたかのようにマガタノがガルハドの首を触手で締めた。

 

「リリィを奪おうとしたこと、兎人族達に危害を加えたこと、フェアベルゲンに危害を加えたこと、亜人を奴隷にしたこと。ほら、《ごめんなさい》は?」

「うぐっ…だ、誰が…ぞんな「あ?」ぐっ……」

 

マガタノが触手に熱を込め始めた。触手は1℃、また1℃と温度を上がっていった。そして、やっと零達に謝罪をし、亜人に手を出さないと宣言した。すると、触手から解放された帝国陛下の首には亜人奴隷の首輪のような火傷痕があった。

 

「………んじゃ、ガルハド」

「あ?んだ「()()()()()()()()()()()」………は?」

 

零がそう言うと、帝国陛下の下にスキマが開かれて、帝国陛下がその中に落ちていった。それに少し怒りを感じた族長達が零に問いただそうとしたが、アルフレリックに止められた。そして、零達がフェアベルゲンを出ようとしたらアルフレリックに止められた。

 

「待ってくれ、南雲ハジメ、紅蓮零。報いだけでもさせてくれないか?」

「何もいらねぇから、あんたらは平和に暮らしてろ」

「そう言うな。これだけの恩があって、何もしなければ我々亜人族はとんだ恥知らずになってしまう。せめて、今夜の寝床や料理くらいだけでもいいからさせてくれ。みんなが帰ってきた()()もあるんだ。だから、頼む」

「はぁ…わか「宴会って言ったか…?」耀?」

「あ…やっべ…」

「うわー……」

 

何かを知っている零達は少し引いていた。それを見たハジメ達は何もわからず、耀を見た。

 

「…酒はあるのか?」

「あぁ、もちろんだ」

 

アルフレリックがそう言うと、耀が両手を上げて叫んだ。

 

「久々の宴会だぁぁぁ!!今晩は飲むぞ!しげる、神羅、飲むぞ!!」

「最悪…」

「僕、耀と飲みたくないよ!」

 

そう言って、依姫とフミアと雫の手を引っ張る零と神羅が逃げ出そうとしたが、いつの間にか先回りしていた耀に捕まり、フェアベルゲンに連れ戻された。

 

「ヤメロー!ハナセー!ハナセー!!HA☆NA☆SE!!」

「イヤだー!ゆっくりと飲みたいよー!!」

「さぁー今晩は飲むぞー!灯達も呼ぶ「「それは本当にやめろ!!」」冗談だっつーの」

 

それを目の辺りにしたハジメ達は恐る恐るフェアベルゲンの中へと戻った。

______________________

その頃、帝国陛下は《帝国跡地》のクレーターの中心にいた。

 

「………んだよ……これ…」

 

周りを見渡しても、家一つどころか、草木一つもない。

 

「ふざけんな紅蓮零ィィィ!!!」




零「耀に《宴会》という言葉は禁句だ」
蓮「なにがあったのか聞こうじゃないか」
零「まず、博麗神社の破壊、紅魔館の半壊、守谷神社の半壊、迷いの竹林の半壊、止めようとした妹紅と輝夜ノックダウン、耀と同族の灯達、鬼が全員倒れ、妖怪の山が崩れたんだよ」
二人「「幻想郷のことあんまり知らないんだけど…輝夜と妹紅って誰?」」
零「うちの二人は結構仲良くて、二人とも不老不死だ」
リク「そもそも幻想郷ってなに?」
零「カクカクシカジカ」
リク「なるほどなるほど…………宴会って怖いね」
零「次回!《宴会怖いby鈴》」


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宴会怖いby鈴

ラフィー達は宴会には行かず、飛空艇に乗り、ハジメ達は《フェアベルゲン》に戻った。ハジメ達が戻ると、《フェアベルゲン》は地獄と化していた。耀達の周りには酔い潰れて顔が真っ赤になっている亜人が大勢いた。耀達のところだけアルコール臭が凄かった。

 

「……おい、()()は大丈夫なのか?」

「いつものことよ。気にするだけ無駄」

「そ、そうか…アルフレリック、俺らには普通の飲み物を頼む」

「わかった」

 

そしてハジメ達が零達と離れた場所で飲もうとした。依姫達は零が酔うとどうなるか知っているため、ハジメ達のほうではなく、零達のほうに行った。

 

「「やっぱり酔ってる…」」

「えっと…零が酔うとどうなるの?」

「しげるが酔うと「あれ?依姫とフミアじゃんか!」あ、待って!」

 

零が腕から触手を伸ばして、依姫とフミアを捕まえて、引っ張って自身の膝の上に座らせて、抱き締めた。

 

「お前は嫁がいるからいいなぁー、俺も灯達を呼んでいいかー?」

「灯達が来たら《フェアベルゲン》が半壊するだろうが!」

「ハハハ!たしかにな!」

 

零は二人を抱き締めながら、耀との会話を続けた。

 

「……しげるが酔うと、子供のように物凄く甘えてくるのよ」

「この前なんて、酔った勢いで耀と勝負をして、負けて私達に泣きついて来たわ。特に依姫に」

「へ、へぇ〜…そうなんですか」

 

雫が少し寂しそうな顔をした。それを見た耀は何かを思いついたのか、酒を飲みながら言った。

 

「おいおい、雫が寂しそうな顔をしているぞ?何もしてやらねぇのか?」

「ふぇ?!!」

「んぁ?雫もおいでー」

 

そう言って、依姫とフミアの間から触手を伸ばして雫を捕まえて、依姫とフミアと一緒に抱き締めた。

 

「幸いなのは手足を拘束されてないことね…」

「あのときはご飯も食べれなかったもんね…」

「ぇいや、え、零…」

 

耀はその光景を見て笑っていた。そして、恵里と鈴とリリィが3人で歩いているのを見て、何を考えたのか、恵里達を呼んだ。

 

「耀さん、どうし…うわ……お兄ちゃん、お酒臭いよ……」

「お兄様…流石に飲みすぎなんじゃ…」

「レイレイ、ちょっと飲「あれ?恵里達、どうした?一緒に飲みに来たのか?」え、鈴は違うよ!!?」

「甘酒だけど、飲む?」

「あ、私飲むー!」

 

そう言って恵里が零の横に座った。それに続くようにリリィ達も座り、神羅から甘酒を貰って飲み始めた。依姫達にも甘酒を渡したあとみんなで飲んでいた。

 

「あ、そうだ。しげる、久々に一騎打ちで殴り合おうぜ。武器はなしだ」

「お、いいね!依姫達はそこで待っててくれ。結界は張っとくからな。神羅!審判頼む!」

「………シンだけに?」

「「「「え、なに言っているの?」」」」

「「アハハハ!神羅、お前酔い過ぎて頭回ってねぇぞ!!」」

 

そう言いながら、零は耀に《ボディーブロー》をした。その後、零が耀を上空に蹴り、それを追うように飛んだ。

 

「と、止めなくていいんですか?」

「幻想郷ではこれが普通よ」

「というか、宴会自体がこんなもんよ」

「鈴は宴会が怖いよ……」

 

その後も殴り合っていた零達だが、《フェアベルゲン》を壊しそうなので、審判の神羅の判断で中止になった。

______________________

翌日、零は飛空艇の自身の部屋のベッドで寝ていた。起き上がってすぐに、何があったのか思い出そうとしたが思い出せなかった。

 

「……耀と殴り合って………そっから……」

「…んん……」

 

そんな声がしたので、布団をゆっくりと、捲ると、昨日一緒に飲んでいた依姫達がいた。その瞬間、零の脳が凍った。何をしたのか思い出せなかった。どこまで飲んだのか、いつ戻ってきたのかもわからなかった。

 

「………あれ、もしかして……俺やっちまったか?」

 

依姫とフミアが一緒に寝ているのはわかるが、恵里、鈴、雫、リリィがいることだけがわからなかった。

 

「……マガタノ、昨日何があった?」

「えっとね、主が酔い潰れて、依姫達が飛空艇の中まで運んで…主をベッドで寝かせて、雫達がそれぞれの部屋に戻ろうとしたら、主が触手でみんなをベッドの中に引きずり込んで、みんなを離さないまま寝ちゃったって感じかな、そのままみんなで寝ちゃって、何事もなく朝になって主が起きたって感じかな」

「………依姫達に説明頼む。俺は水飲んで落ち着いてくる」

「はーい!」

 

そして、部屋を出て水を飲みに行った。そこで二日酔いの神羅と会い、酔っているときの話をした。




零「次回は《偽物を見分けろ!》」


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偽物を見分けろ!

宴会が終わったあと、零達は樹海に来ていた。ちょうど、周期だったため、シアを先頭に大迷宮の入り口に来ていた。

 

「4つの証…《神山》以外でいいか?」

 

ハジメが証を一つずつ嵌めていった。すると、樹木が光り始めて謎の模様が現れた。

 

「…ん。再生の力?」

 

そう言ってユエが樹木にふれると、樹木が光り輝いた。

 

「凄い…葉が」

 

枯れていた樹木が緑を取り戻し、葉が生えた。その樹木は幻想郷にあっても不思議じゃないほどだった。そして、樹木が2つにわかれて洞ができた。零達は迷うことなく、洞の中へと入っていった。それについていくように天之河達も入っていった。

 

「行き止まりか…?おい南雲、ここからどう「うわっ、なんだこりゃ!」龍太郎?」

 

坂上が驚いて、みんなが足元を見ると魔法陣が出てきていた。

 

「なになに!なんなのっ!」

「騒ぐな、移動するだけだ」

 

鈴が驚いて、びっくりしているとハジメがそう言った。そして、ハジメが言い終わった瞬間、魔法陣が光りだした。気づけば木々の生い茂る樹海だった。

 

「みんな、無事か?」

 

天之河がそう言うけど、答える人はいなかった。

 

「南雲、紅蓮…ここからどうするんだ?」

「………とりあえず、探すぞ」

 

天之河と坂上、()()()()耀()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が零とハジメと神羅の雰囲気が変わっていた。そして、零達が少し歩くと、零と依姫が刀を、ハジメは銃、神羅は己の羽根を()()()()耀()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ハジメさん、レイさん、シンラさん、どうしたんですか?」

 

シアがそう言うと、零は刀でマガタノ、依姫はフミアを斬りつけ、ハジメはユエと坂上を撃ち、神羅は耀の眉間を羽根で貫いた。

 

「南雲!紅蓮!依姫さん!耀さん!一体、なんのつもりだ!!」

「「「黙ってろ」」」

 

天之河がそう怒鳴るが、零達の絶対零度の目が天之河を見た。

 

「主、何を―――」

「神羅、なんの―――」

「依姫、何を―――」

「「許可なくしゃべるな、偽物。紛い物の分際でユエ(マガタノ、フミア、耀)の声を真似するな。次にその声で俺達の名を呼んでみろ。手足の端から削り落とすぞ」」

 

フミア達が零達を見た。すると零とハジメがそう言いながらもう一度撃った。そして、零は自分の愛刀である《マガタノ刀》を折り、投げ捨てた。

 

「お前達は何者だ?本物はどこにいる?」

「「「「…………」」」」

 

ハジメはそう言うが、偽物は答えなかった。ハジメは舌打ちをして四人をもう一度撃った。

 

「紅蓮、偽物ってどういうことだ?」

「まぁ、見ればだいたいわかるが、フミアからは必ずと言っていいほど俺の血を飲んでいるから俺の血の匂いがするはずなのにコイツはしない。その上、フミアは切られた程度じゃすぐに回復するのにコイツは回復しなかった。マガタノは大迷宮に入る前は唇に俺の血がついてたが、コイツにはない。耀の持っている瓢箪は大切な物だ。だから、飛空艇に置いていく。その代わり、別の瓢箪をつける。その瓢箪にはもちろん酒が入っている。だが、この耀が持っていた瓢箪には酒が入っていなかった。その上、アイツからは《神力》を感じない。坂上はお前の声に反応しなかった。ユエはハジメに聞け」

 

そう言って零とハジメが天之河達を置いて先に進んでいった。零とハジメは大迷宮の攻略を放って、大切な人を探し始めようとしていた。




新しく《ありふれた》の二次創作を書きました。よければ見てください↓
https://syosetu.org/novel/290318/


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怪獣大戦争?

大迷宮の内部。そこでは今、大変なことが起こっていた。

 

「オラァ!こんな森、消し去ってくれるわ!!」

「消し炭にしてくれるわ!!」

 

零とハジメが森の中を歩くたびに木々が崩れていった。魔物も見つけ次第、弾幕の嵐で消し炭になっていた。

 

「うっ…なんであのハジメは普通に立ててるのよ!」

「しげるの神力って少しでも人が立てないほど強力なんだけど…」

「ハジメくんも神に等しい存在になってきてるとか?」

「ラフィーちゃん達は何もないんだね…」

 

零達が暴れていると、後ろから二匹の魔物が二人に向かって飛んできた。

 

「魔物ッ!!」

 

天之河が二匹を切ろうとした。それを見た零とハジメが回し蹴りで天之河を何処かへと吹き飛ばした。

 

「えぇぇ?!ちょ、指揮官?!」

「ちょっと、零、ハジメくん!?なんで蹴ったの?!いくらなんでも滅茶苦茶よ!?光輝はただ魔物を倒そうとしただけじゃない!」

「そうだよ!光輝くん大丈夫かな。直ぐに探しに行かないと…」

 

香織が探しに行く前に、天之河が戻ってきた。戻ってきてすぐに零とハジメを睨んだ。

 

「紅蓮、南雲…今のはどういうことだ?さっきとは逆じゃないか。なぜ、魔物を守るんだ?」

「「は?魔物?なに言ってんだ?」」

 

零達がそう言うと依姫、紫、神羅が頷いた。それに気づいたシアとティオも二匹の魔物を見た。

 

「…ユエだよな?」

『グギャ!』

「「……フミア」」

『キュキュ!』

「「「……は?」」」

 

ハジメはゴブリンのことをユエ、零はコウモリのことをフミアと言った。零と依姫はコウモリを優しく抱き締めた。

 

『グギャ!』

「なるほど、転移されたときに姿形を変えられたのか…」

『キュキュ!』

「あぁ、俺の神力を感じて追ってきたのか」

『キュキュ!キュキュ!』

「え、能力も使えないの?」

『グギャ!』

「ん?あぁ、他にも耀、マガタノ、坂上がいないんだよ」

「あ、二人とも、念話にしてくれるか?他のみんなが聞こえないんだよ」

『……ん。これで聞こえる?』

『はぁ…なんで私はコウモリなのよ』

「とりあえず、再生魔法を試してみるか。香織、頼んだ」

「うん!」

 

香織が再生魔法を二人にかけた。だが、何も変わらなかった。

 

「あれ?」

「零、何か神力でなんとかできねぇか?」

「無理だ。俺の力の半分であるマガタノも同じ状態だろうからな」

「チッ…先に進むしかねぇか」

______________________

零達の前で小さな蛇がサソリのような魔物を食べていた。

 

「ハジメさん、レイさん、あれなら私でもわかります。マガタノさんですね」

「あぁ、そうだろうな」

『マガタノ以外にあんなのいたら恐怖よ』

『……ん。マガタノは姿変わっても何も変わらない』

「マガタノッ!!」

 

零がそう言うと、蛇は零に飛び付いた。

 

「マガタノ!無事だったか?」

『シャー!シャー!』

「だな、やっぱマガタノはそうだよな!」

「…なんて言ってるんだ?」

「ん?あぁ、お腹空いたって言ってるんだよ。マガタノ、念話で言ってくれ」

『主ー!主ー!!お腹空いた!お腹空いた!!』

「元の姿に戻ったらな」

 

マガタノが零の首を中心に蜷局を巻いた。

______________________

 

「あれ、何してるんですかね」

「ん?あぁ、あれは自力で酒を作ろうとしてるんだな」

「つまり、耀だな。誰か酒持ってる?」

「「「持ってるわけないだろ!!」」」

「だよなー…おーい!耀!!ここ脱出できたら酒飲めるぞー!」

『なぁにぃ?!!』

「うわ、アイツ念話使わずに喋りやがった」

「見た目がオーガだからかな」

 

オーガの見た目をした耀は本当に鬼って感じがした。

______________________

 

『うぉぉらぁ!!』

 

耀とは違う姿のオーガが魔物を殴り潰す。それに続くように天之河が他の魔物を斬る。

 

『主!なにか来るよ!』

 

マガタノがそう言った瞬間、森の奥から二匹の異なった虫の魔物が現れた。その魔物は飛空艇でパル達が戦ったモンスターに似ていた。

 

『アルセルタスとゲネルセルタス!!』

 

アルセルタスはラドンに負けなさそうなスピードで森の中を駆け巡り、ゲネルセルタスは遅いけど、木々を薙ぎ倒していた。

 

「―――【神威】!!」

 

長い詠唱を終え、天之河が【神威】でゲネルセルタスを真っ二つにしようとした。だけど、ゲネルセルタスが逆に【神威】を打ち消した。

 

「そんな…」

 

天之河が絶望していると、耀が天之河を踏み台にして、ゲネルセルタスに殴りかかった。だけど、横からアルセルタスに突撃され、吹き飛ばされた。

エンタープライズの戦闘機や攻撃機、爆撃機がゲネルセルタスを攻撃し、アルセルタスに壊されていっていた。ラフィー達が攻撃をしていた。

 

「怪獣じゃん」

「おい!そんなこと言ってないで、さっさと攻撃しろ!!」

「―――【ホノイカズチノカミ】!!」

「【千斬】【回斬】!!」

「【風雷爪】!!」

 

零は即興で作った刀でアルセルタスを真っ二つにした。

 

「「すごっ!」」

「こちとら音速超える怪獣と戦ってんだ!こんなの止まって見えるぜ」

『キシャァァ!!』

 

アルセルタスを倒されて怒ったゲネルセルタスは零に向かって突進をした。一歩足を踏み出したら、地面が爆発した。ハジメが置いた地雷を踏んだ。最後、依姫がゲネルセルタスの腹を突き刺して倒した。

 

「あー…これじゃぁ剥ぎ取りできても素材が駄目だな」

「「剥ぎ取りしてどうする気?!」」

「売るんだよ。多分、G急だから高値で売れるぞ」

 

零がそう言うと、ゲネルセルタスを中心に転移魔法が出てきた。転移魔法が出てすぐに魔法が光った。




零「次回!《幻想郷じゃなくて理想の世界?》」


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幻想郷じゃなくて理想の世界

朝の目覚ましが聞こえる。だけど、零は無視をして寝ようとしていた。

 

『コラー!起きなさーい!!』

 

何処か懐かしい声が聞こえた。その声が聞こえると、体が勝手に動いて、ベッドから降りた。

 

『起きないと零の性癖を奈美に暴露するよ』

「はい、起きた!それだけはするな!!」

『アハハハ、おはよう零』

「クソッ…おはよう愛優美。お前って別人格のくせに体の所有権を簡単に奪えるのズルくね?」

『そんなのいいから、さっさと顔を洗ってきて!』

「お前は俺の母か」

 

愛優美に言われ洗面所で顔を洗った。

 

「あれ、お前が起きてるとか珍しいな」

 

後ろから零の兄である零斗が話しかけてきた。顔つきは似ているが、目の色や髪の毛が少し違った。

 

『おはようお兄ちゃん!』

「おはよう兄貴」

「二人共おはよう。俺は先に学校行ってるから、後で来いよ」

『はーい!ほら、朝ごはん食べて行くよ!』

「へいへい、わーってますよ」

 

リビングの机の上にはパンなどが置かれていた。零はそれを食べてすぐに学校に行く準備をした。

 

『あ、マガちゃんのご飯置いてない!』

「あ、本当だ。マガタノ、家に帰ったらすぐに用意するから、今はネズミ一匹で我慢してくれ」

 

そう言ってネズミをマガタノの飼育ケースに入れた。その後、家を出て隣の家の合鍵を開けて中へと入った。

 

「奈美!起きてるか?」

「なぁーにぃー?」

 

パジャマを着たまま降りてきたのは奈美だった。奈美は身分を隠しているけど、天皇の曾孫娘で、たまにその身分を利用しようと近づく男があとを絶たない。

 

「奈美、もうすぐ学校だぞ?」

「えぇ〜、やだー。あんた一応私の専属執事だから学校に休むって連絡入れてー」

『今日は零斗の授業があるよ!怒られたら大変だよ!』

「え、やばっ!そうじゃん!しげる、ワープホール開いて?!」

「そんなのできるわけ無いだろう!!」

「もぉ!車出して!」

『免許ないよ』

「嘘でしょ?!免許取ってよ!」

 

奈美はそう言いながらすぐに着替えてきた。

 

「よし!行くわよ!」

「へいへい」

『レッツゴー!』

 

奈美を連れられて急いで学校へと向かった。教室に入ってすぐにハジメ達が騒いでいた。

 

「あ、零、愛優美、奈美さん!おはよう!」

「おはようハジメ」

『おはよー!』

「おはよう、ハジメくん」

 

ハジメの後ろからユエ達が顔を覗かせた。ユエとシアは外国人で、かなりの人気がある。

 

『ピーンポーンパーンポーン。えぇ〜紅蓮零くん、今すぐに校長室に来てください。ピーンポーンパーンポーン』

 

零を呼び指す放送が学校中に流された。いつものことなので、零は何も言わずに校長室へと向かった。

 

「失礼しやーっす」

「ちょっと!ちゃんと失礼しますって言ってから入りなさい!あと、返事を待つ!!」

「で、朝っぱらからなんですか()()()

「私達だけなんだから紫でいいわ。それは置いといて…ねぇ、私にまず言うことあ「おはよう紫以上。んじゃ、教室戻るわ」嘘でしょ?!」

 

そう言ってすぐに校長室を出て、教室へと向かった。

 

「おはよう零!愛優美!」

「おはようしげる、愛優美」

「おはよう雫、依姫」

『二人共おはよー!』

 

雫と依姫が部活を終わったところなのか、竹刀を持っていた。あだ名の『しげる』と呼んでくる依姫のトレードマークのリボンがうさ耳のように立っていた。

 

「あれ、フミアは?」

「フミア会長なら生徒会の仕事をしてるんじゃない?」

『寝坊してたりして「してないわよ!」…あ、フミアおはよう!』

「おはよう。愛優美は後で生徒会室に来なさい」

『嘘でしょ?!』

「まぁ、頑張「なに言ってるのよ。しげるもよ」うっそだろ」

『私は、零の体の中にしか入れれないんだよ?』

 

このカリスマ溢れる身長が小さな会長はその可愛さとカリスマ性で会長へと成り上がった。

 

「おっすしげる!」

「ちょ、耀!零さんに失礼だろ!おはようございます零さん」

「おはよう零さん。今日も人気っすね!」

「零さん、おはようございます」

「おう、おはよう」

 

最初につっかかってきた男は耀、次に神羅、礼堂、桐生。四人共、ヤンキーとしていた頃に零に敗北してから零の手下のような存在になっていた。

チャイムがなり、フミアよりも小さな愛子先生が教室に入ってきた。

______________________

夜、風呂に入り、髪を乾かさずにベッドにダイブした。今まで使っていたベッドのはずなのに、何処か懐かしさを感じていた。

 

「しげる、いる?」

「んー?」

 

ドアをノックする音が聞こえ、ドアが開かれて奈美が入ってきた。手にはタオルがあった。

 

「もぉ、また髪を乾かさずに…風邪引くわよ?」

『零言うこと聞いてくれないから奈美お願ーい』

「わかってるわ」

 

後ろに座り、タオルで濡れた髪を拭いてくれた。

 

「はい、できた」

「ありがとう」

「……こうしていると昔を思い出すわ。懐かしいわね」

 

奈美が背中にもたれかかりながらそう言った。零も同じことを思っていた。

 

「貴方が刀を持ちながら橋の下にいたときはびっくりしたのを覚えてるわ。あれからもう6年も経ったのね……」

「あぁ…そうだな。もう6年か」

『早いよねー』

 

部屋に飾ってあるケースの中の刀を見ながらそう言った。すると、ケースの中の刀が光始めてケースが割れた。

 

「……そういえば、あの時…なんで俺は()()()()()()()()()()()()()

「しげる触ったら危ないわ。後で新しいケースを「いらない」しげる?」

『駄目だよ!危ないよ!』

 

零は奈美の忠告を無視して刀を手に取り、鞘から抜いた。すると、零の頭の中に色々な記憶が入っていく。

 

「あぁ…そうか、ここは俺の理想の世界か。さっさと出ねぇとな」

「待って、しげる!ここにいて!ここに入ればみんな幸せだよ!」

『奈美の言うとおり!行かないで!』

「………俺には()()()()()()がある。奈美も愛優美も…それが終わったら会おう。今度はお前らじゃなくて本物とだけどな…」

 

そう言うと、世界が割れた。

 

「……合格だよ。君は理想よりも現実を取るんだね。しかも、君の記憶ではなく()()()()()()()()()()()でもね。君は一部記憶がないみたいだから()()()理想の世界を作らせてもらったよ。でも、まさか誰かとかじゃなくて()()()()に思い出させられるなんてね…」

 

知らない声が聞こえてそう言ったあと、消えていった。

 

「記憶じゃなくて魂から作られた世界…か。俺が失った記憶の中に愛優美についてもあるのか…」

______________________

零は頭に冷たい何かを感じて目が覚めた。

 

「っ!!」

 

周りはドーム状になっており、灯りなどは一切ない。そこでハジメが1つの琥珀を見ているのが見えた。

 

「ハジメ…」

「ん?あぁ、零か…お前も目が覚めたか」

「………やっぱハジメと言えば白髪に眼帯に義手だよな」

「オイコラ、それどういうことだ!」

「ハハハ、悪かったよ」

「………なぁ、お前はどんな世界だった?」

「俺か?俺は……地球だったな。もちろん、お前もいたし…依姫達もいたし、懐かしい人もいたし……俺の兄もいたし………………愛優美もいたし」

「そうか……、正直思ったことは?」

「依姫とフミアの学生服姿がマジでヤバかったのと、紫が校長やってて、教室ついてすぐに校長室に呼び出された」

「マジかよ」

 

二人が話していると、ユエの琥珀と依姫の琥珀が割れた。

 

「依姫、大丈夫か?」

「えぇ…なんとか………しげるは本物のしげる?」

「ユエ、大丈夫か?」

「………ハジメ?ハジメは本物?」

 

本物とわかると、二人は少し笑った。

 

「そっちの世界の私ってどんな感じ?」

「学生服来て剣道部に雫と一緒に入ってたぞ。そっちは?」

「龍神なのに月の都の最高司令官をやってたわ。妖怪に対する物もなかったわ」

「隊長か…面白そうだな」

 

依姫と話していると、次々と琥珀が割れていった。

 

「フミアの世界で俺はどんなのだった?」

「私の?……しげるが吸血鬼の王になってたわ。そっちの世界での私は?」

「生徒会長やってたぞ」

「へぇ…生徒会長なのね。少し面白そ「うぉらぁぁ!灯はそんな女じゃねぇぇぇ!!1から出直せテメェ!!」」

 

フミアの隣の琥珀で眠っていた耀が琥珀を壊して出てきた。

 

「灯はなぁ!俺が一人で飲んでも許す女じゃねぇ!みんなを呼んで一緒に飲むんだよ!それにしげるはあそこまで優しくねぇよ!しかも、自ら酒に誘ったりしねぇ!!そこんとこ間違えんじゃねぇ!」

「どこに切れてんの…」

 

神羅も出てきていた。耀は神羅を抱きしめた。

 

「お前が鶏唐にされたときはマジで焦ったぞ」

「「ちょっと待って、それどういうこと?!」」

 

次にマガタノ、雫、恵里、ティオ、イリス、ラフィー達、ノイント、ミレディが出てきた。それぞれ零か、身近の人が違うとかで目が覚めたようだ。

 

「主は生物がいる星を食べさせようとしないよ!!」

「確かにな」

「お兄ちゃんはシスコンじゃないもん!」

「確かにな」

「零はあんなに頭良くないわ!」

「おい雫、それどういうことだ」

「主はもっと愛妻家じゃ!」

「そうだけども」

 

マガタノ達が目を覚ましてすぐに色々と言われた。そして1つの琥珀が割れた。

 

「雫に手を出したら零に殺されるよ!!」

 

そう言いながら鈴が出てきた。雫は顔を真っ赤になっていた。その後、天之河だけ出てこない為、少しの間時間を置くことになった。

______________________

数時間後、天之河達が出てくる様子はなかった。

 

「で、どうするよ」

「ノイント、分解」

「はい」

 

琥珀が分解されて中から天之河と坂上が出てきた。全員が出てくると、休む暇もなしに魔法陣が展開された。しかもまた転移魔法だった。




零「奈美、桐生、礼堂のことを知りたい方は東方創凶録と呼ばれる今リメイク版を非公開で書かれている俺の最初の物語が書かれたのがあるのでそっちの過去編を読んでください。そうすればだいたいわかりますんで。次回、《快楽》」


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快楽

転移が終わり、零の他にもハジメ達全員がいた。魔力探知で調べると全員本物だった。

 

「…ん。ハジメは本物?」

「あぁ、ここにいる全員本物だ」

「マガタノ、一回刀に戻ってくれ」

「はーい!」

 

マガタノが元気よくそう言うと、刀へと変わった。そして、零が刀を一振りすると、マガタノが出てきた。

 

「んじゃ、先に進むか」

「さっきもモンスターいたから慎重に進まないとね…」

「ハジメ、ドローンを飛ばしてくれ」

「あぁ」

 

ハジメがドローンを飛ばし、零達はその後をついていった。しばらく歩いていると、何かが落ちてきた。

 

「…ん。雨?」

「あ、ホントだ。ポツポツと降ってきたね」

「は?雨?」

 

零は少し違和感を感じていた。ここは大迷宮の中、つまり雨が降ることがない。それなのに降ってきた。

 

「フミア…」

「ユエ…」

「「了解」」

 

フミアとユエが結界を張った瞬間、雨とは違う白色の液体が落ちてきた。

 

「スライムか…」

「うわっ!地面からも出てきたよ!」

「それだけじゃねぇ!草木からも出てきてるぞ!」

 

どうやらスライムは降ってくる前から潜んでいたらしい。

 

「うおっ!なんだコイツ、付くんじゃねぇ!!」

「ちょ、バカ!周りに飛び散るだろ!」

「ちょっと!髪についちゃったんだけど!」

「お、おう?すまねぇ」

 

龍太郎のせいで周りに飛び散り、依姫達についた。

 

「依姫、大丈夫っ!?」

「えぇ、大丈夫…どうしたの?」

「あぁ、ちょっと待ってろ。ジッとしててくれ」

 

零はポケットからハンカチを取って、依姫についたスライムを取った。

 

「フミア、雫、恵里もこっちに来てくれ」

「え、師匠私は?!」

「紫達も来い」

 

零はハンカチでフミア達についたスライムを取った。ハジメもユエ達についたスライムを取った。マガタノはと振り返って見ると、何かを食べていた。

 

「マガタノ、スライムはどんな味だ?」

「うーんとね………牛乳と一緒かな」

「なるほど…とりあえず依姫達は何も変化ないよな?」

「えぇ、なにも…」

「わかった………マガタノ、【マガ火球】を連続で撃て、この森を燃やす勢いでスライムを倒せ。ノイントは結界の中のスライムを()()分解しろ」

「はーい!」

 

マガタノがそう言うと、結界の上空に小さい太陽のような物が出現した。そして、その太陽から火球が何発も周りに飛ばされた。

 

「おい、そんくらいでいいぞ。今から巨樹の根までの通路を作る」

「わかった。マガタノ、もうそろそろいいぞ」

「はーい!」

 

そして、マガタノが座り、休息を取った。俺も座って休もうとしたときだった。雫が零の膝の上に座り始めた。いつも通り甘えていると思っていたが、何か違った。

 

「…ハァハァ……零…ハァハァ…なにか変……零がほしい」

「は?」

 

周りを見ると、依姫とフミアと紫以外の女性陣全員が雫と同じようになっていた。

 

「耀達は無事だとして、幸利と天之河と坂上は……無事だな」

「おい、どうなってんだ」

「ハジメ、今のお前の状態結構ハーレムだぞ」

 

背中にユエ、前に香織、右手にシアという感じでハジメは捕まっていた。

 

「………こう考えるとお前の嫁って結構多いよな」

「…………そうだな。ちなみに依姫達は通常なんだよな?なんでだ?」

「どうやら、このスライムには強力な媚薬効果があるようね…」

「お前らが無事な理由ってなに?」

「この程度の快楽、しげるがくれる愛という快楽のほうが上よ」

「そうか………ちなみにマガタノは?」

「あそこよ」

 

振り返ると、マガタノが犬のように顔を零の背中に擦りつけていた。

 

「雫、恵里、大丈夫か?辛くなったらいつでも言ってくれ。ラフィー達も大丈夫か?」

「耐えれなくはない」

「なんとか…」

「大丈夫なのだ!」

「だ、大丈夫…です」

「少しキツイですね」

「お恥ずかしい姿を…」

「…あれ?ラフィーは?」

 

返事がないラフィーを見ると、寝ていた。

 

「大丈夫みたいだな」

「零、準備ができた。行くぞ」

「あぁ、みんな行くぞ」

 

そして結界を解除して進んだ。ラフィーが起きないため、零がおんぶする形で運ぶことになった。



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黒く輝くヤツ

あれから、みんなが元に戻った。ラフィーはただ寝ていただけのようだ。そしてスライム達が落ちてこず、無事に大樹にまで来れた。そして、今回も大樹の根に洞ができており、その中に入った。そして、中に入ってすぐに魔法陣が起動された。

転移した先も洞だった。だが、今までとは少しだけ違った。

 

「偽物は…無しだな」

「偽物がいないのなら、さっさと行くぞ」

 

出口のような場所から、光が差し込んでいた。零達はその光の先に向かうと、一本の巨大な枝が通路のようにあった。

 

「これって…」

「大樹の根か枝?」

「…ん。つまり、ここは大樹の下?」

「もうすぐってことか?」

 

この枝がなんなのか、話し合おうとしたときだった。シアが何かを感じたのか、暗くて真っ暗な枝の下を見た。

 

「ハジメさん、レイさん、この下から何か聞こえるんですが…」

 

そう言われて、零とハジメは下を覗いた。瞬間、ハジメは後ろの壁まで跳び、零は依姫とフミアを守ろうと抱き寄せた。二人の行動を見て、マガタノが覗き込んだ。

 

 

「あ!主、主!ご飯の敵がいる!」

「「「ご飯の敵?」」」

「…ん。ハジメ、何を見たの?」

「………あ、悪魔だ」

「「「「は?悪魔?」」」」

「ねぇ、しげる、悪魔って?」

「………あれは七百……あぁ…俺が前に執事やってたって話しただろ?」

「「「え、執事?!」」」

「その時のお嬢様…()()()鹿()がお菓子の袋をその辺に捨ててたらな、あの下にいるのと同じ生物がいたんだよ」

 

零がそう言うと、依姫達女性陣が顔を青ざめた。マガタノは餌を見る目で《ヤツ》がいる下を見ていた。

 

「そう、黒光りするヤツ(G)だ」

「「「「「………?!!!」」」」」

「急ぐぞ。急いで向こう側に行くんだ」

 

そして、零達は急いで枝を走っていた。だが、途中からヤツの羽ばたくような音が聞こえ始めた

 

「……ハジメ、もう無理だ。禁断の兵器を使う」

 

そう言い、零がスキマから()()()()()を取り出した。

 

「お、お前…それはまさか…!!」

「そう、オキシジェンデストロイヤーとD4だ!」

「なんちゅうもん持ってきてんだ?!!」

「許せ、ハジメ。これが最後だ!」

「何が最後だよ!!」

 

そう言っていると、大量の羽ばたく音が聞こえ始めた。フミア、ユエ、鈴が結界を張った。ヤツらはその結界に張り付き、ヤツの裏側が見える。

 

「ッ?!!……きゅぅぅ…」

 

大量のヤツを見てしまい、鈴が倒れた。零は倒れた鈴を支えた。

 

「くっ…戻ってこい鈴!……駄目だ。恵里、鈴を頼む。ちょっくら結界の外に行ってくるわ」

「どうする気なの!?」

「なに、簡単なことだ」

「待て、零!あれを見ろ!」

 

ハジメが指差した咆哮でヤツらが魔法陣を描くように並んでいた。そして、その魔法が発動され、三メートルぐらいのヤツが現れた。そして、その三メートルのヤツと共に、また魔法陣を組み始めた。

 

「ヤバいヤバい!喰らえ、マガタノ!」

「はーい!」

「くっ…なんて数だ」

「諦めるなハジメ!【マガ火球】【マガ窮陰】!」

 

そして、零達が攻撃しているときだった。全員の足元に巨大な魔法陣が展開された。魔法が発動され、光が俺達を包み込んだ。

そして光が収まり、依姫の無事を確認しようとしたときだった。依姫を見た瞬間、愛おしさなどは一切なく………憎悪だけがあった。



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感情の反転?

依姫達を見た瞬間、憎悪しかわかなかった。

 

「なぜだかお前が憎い」

「何故か貴方を見ると不愉快です」

 

それを見た耀と神羅は真っ青になった。

 

「や、やべぇぞ…アイツらの感情が反転してやがる」

「ヤバいヤバい…!あの二人が前に夫婦喧嘩したとき、どんなことあったか覚えてる?」

「当たり前だ…!空が暗くなり、怪獣達は目覚め、嵐が吹き、地盤沈下が大量に起き、木々は燃え、水は腐り、世界が終わりそうになった…」

「あ?なんでお前らは反転してないんだ?」

「「さぁ?」今はそんなことよりも、二人を元に戻すか、あのGを倒さないと!二人共、喧嘩しないでヤツらを倒して!」

「「コイツと一緒に戦いたくない」です」

 

そう言いつつも、ヤツを倒していった。ハジメ達のほうも、反転しながら戦えていた。

 

「それでさぁ、なんで俺らはなにもないんだ?」

「さぁ?」

「もしかして、気づいてないだけで反転してるとか?」

「う〜ん…変わってないと思うよ?」

「………だな、変わってねぇわ。まぁ、こいつらを先にぶっ潰すか」

「そうだ、どっちが多く倒せるか、久々に勝負しない?」

「いいな!負けた方の奢りで《八目鰻》に行くぞ!もちろん、しげるやアイツら入れての5人でな!!」

「負けないよ!」

 

そう言い、神羅が羽を飛ばしてヤツの胴体を貫いていった。耀も衝撃波と拳でヤツを潰していった。

 

「チッ…お前となんかと一緒に戦いたくねぇが…今は仕方なねぇか…」

「それはこちらのセリフです」

 

そう言いながらも二人の連携プレイは凄まじく、どんどんヤツが切り刻まれていく。

 

「厨二野郎はどうなってんだ?」

 

ハジメ達の方へと振り返ると、驚きの光景が広がっていた。

ハジメとユエと香織とシアが三メートルのGをボールにして、遊んでいた。

 

「なに遊んでんだ?」

「さぁ?…でも、あれを見てると()()()とみんなでビーチバレーしたのを思い出すわね」

「あぁ、あんときは楽しかったなぁ、()()達と……ん?」

「え?」

 

気づけば、二人は先ほどとは違い、お互いの名を呼んでいた。

 

「元に戻った?」

「なら、やることは一つね」

「あぁ…」

 

二人は背中を合わせて、刀を構えて、お互いの目を見た。

 

「「コイツらを叩きき「お、お前ら戻ったのか」…え?」」

 

声がした方を見れば、耀と何故か落ち込んでいる神羅がいた。どうやら、耀との勝負に負けたらしい。

 

「……そういえば、二人は何もなかったよね。どうしてなの?」

「俺らもわからねぇんだよ」

「ちなみに、そこで落ち込んでいる神羅はどうした?」

「ふっふっふ…聞け、しげるよ。帰ったら《八目鰻》で飲むぞ!アイツらも連れて、そして神羅が奢ってくれるぞ!!」

「マジか!よし、ならさっさとエヒトをぶっ飛ばすぞ!!」

 

零は《ビルドドライバー》と《ブリザードナックル》などを出した。

 

『ボトルキーン!グリスブリザード!Are you ready?』

「変身!!」

『激凍心火!グリスブリザード!ガキガキガキガキガッキーン!』

「心火を燃やして…叩き潰す!!」

 

零は《グリスブリザード》に変身してすぐに残りのGを凍らせた。それと同時に、ハジメ達がボスを倒した。

 

「終わったな」

「それにしても、まさかこの世界にもいるなんて…お菓子のポイ捨てができない」

「おい恵里、お前それやめろって言ったよな?」

「うぐっ…」

 

零が恵里を怒ろうとしたら、何故か全員が回復した。そして、巨大な枝のようなものが出てきた。その枝が階段のようになっていた。その枝を登っていくと、案の定、洞があり、その中に魔法陣もあり、そこの上に乗ると、魔法が発動されて俺達は何処かへと移動することになった。



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昇華魔法

光が収まり、零達の目の前に広がっていたのは農園と呼べるような場所だった。一箇所、外が見える場所があり、ティオとマガタノがそこから外を見た。

 

「主様よ、ここはどうやら大樹の遥か上空のようじゃ」

「は?」

「主、雲が見えるよ!」

 

そう言われて零達が外を見ると、マガタノの言うとおり、いつもよりも雲が近く感じた。それだけではなく、零達が下を見れば迷宮の入口の大樹が小さく見えた。

 

「どうやら、二人が言ってる通り、ここは大樹の上空のようだな」

「待てよ。俺らがここを通ったときは何もなかったはずだろ?」

「…ん。隠蔽魔法?」

「もしくは…空間をズラシてるとか?」

 

零達が話している間、ハジメは何かを見て安心したかのように溜息を吐いた。

 

「やっぱり、ここがゴールだな」

 

ハジメの一言に天之河達が我に返った。

 

「やっとなんだな…」

「長かったぜ…」

 

そしてハジメが石板がある小島へと行った。零達も続くように小島に行くと、石板と周りの水が光始めた。そして、色々なところからホタルが出てきた。

 

「ひぅっ?!」

 

鈴が驚き、恵里の後ろへと隠れた。そして、光が収まり、神代魔法を手に入れた。そして、ハジメが手に入れた魔法が何か言おうとしたときだった。石板に絡み付いていた枝が別れ始めた。

 

「「「?!!」」」

 

何事かと身構えているとその枝が女性の形へと変わっていった。

 

『まず、おめでとうと言わせてもらうわね。よく、数々の大迷宮と私の……このリューティリス・ハルツィナの用意した試練を乗り越えたわね。貴方方に最大限の敬意を表し、ひどく辛い試練を仕掛けたことを深くお詫び致します』

「ホントだよ!」

 

ミレディが一人で怒っていた。

 

『でも、これもまた必要なことなの。他の大迷宮を乗り越えて来た貴方方ならば、神々と我々の解放者の関係、過去の悲劇。そして現代で起きている何か…全て把握しているはずよね?それ故に…揺るがぬ絆と揺らぎ得る心というものを知って欲しかったの。きっと…ここまでたどり着いた貴方方なら、心の強さも、逆に、弱さも理解したと思う。それが……この先の未来で貴方方の力になることを願っているわ』

 

横を見ると、ハジメだけがリューティリスの話を聞かず、周りを見渡していた。

 

『貴方方がどのような目的の為に私の魔法……【昇華魔法】を得ようとしたのかは分からない。どのように使うかは貴方方の自由。でも、どうか力に溺れることだけはなく、そうなりそうな時は絆にすがりなさい』

 

ハジメがとうとう、話を聞くのをやめて、迷宮の証を探し始めた。

 

『【昇華魔法】は文字通り全ての《力》を昇華させる』

「!!?」

 

【昇華魔法】の説明に零とマガタノが驚いていた。

 

『それは神代魔法なども例外じゃない。【生成魔法】【重力魔法】【魂魄魔法】【変成魔法】【空間魔法】【再生魔法】…これらは理の根幹に作用する強大な力。その全てが一段進化し、更に組み合わさることで神代魔法を超える魔法に至る。神の御業とも言うべき魔法……【概念魔法】に』

「ちなみに零はその概念魔法っての使えるの?」

「世界を変えたり、死者を蘇らせたり、願いを叶えたりならできるぞ?」

 

そして【概念魔法】について説明を受けた。だが、ハジメは聞かずに攻略の証を探し続けた。

 

『名を《導越の羅針盤》……込められた概念は《望んだ場所を指し示す》…よ。これはどこでも、何でも、望めばその場所へと導いてくれる。それが隠されたものでもあっても、あるいは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね』

「「「!?」」」

 

リューティリスがそう言うと、石板の一部が動き、中から懐中時計のようなものがあった。どうやら、それが攻略の証のようだった。

 

「な、なぁ、南雲、紅蓮。さっきの話…その【概念魔法】とやらが使えるようになれば……」

「あぁ、帰れるだろうな。転移先はこの羅針盤が教えてくれるだろう」

「そうか…」

「………」

 

零はなぜか懐中時計を見つめていた。それに気づいた雫が零に聞いた。

 

「どうしたの?」

「…その懐中時計なら………アイツがいる場所だって、()()()()()()()()もわかるのかなってな…」

「わかってどうするんだ?」

「迎えに行くんだよ。紫だけじゃない、俺もマガタノも世界や空間なら飛び越えられる」

「それより……天之河達はやけに自信なさげだな……お前ら、無理だったな?」

「「「うっ…」」」

「はぁ…取り敢えず《フェアベルゲン》に戻るぞ。流石に、この迷宮は精神に来る」

「……しげる、あとで話があるの」

「あぁ、わかった」

 

そして零達は《フェアベルゲン》に戻り、休息を取ることにした。



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羅針盤だけが道標ではない

あれから《フェアベルゲン》に帰ってきて他の全員が寝始めたころ、零と依姫の二人だけ起きていた。

 

「しげる…あの懐中時計が愛優美の場所を示せると思うの?」

「いや、ぶっちゃけ思ってない。多分、アイツがいる空間にいると思う。アイツの能力があの懐中時計に効くかわからないが……俺の能力ですら無効化させるからな、あの懐中時計も通用しないと思っている」

「なら、どうしてあんなこと言ったの?」

「もしかしたらって思ってな…」

「そっか…そういえば、愛優美を助けて、エヒトを倒したあとはどうするの?地球に戻るの?それとも、幻想郷に戻るの?」

 

依姫にそう言われて零は考えた。自分自身の居場所は何処なのか。依姫達がいる幻想郷か、ハジメ達がいる地球か。

 

「今はまだ、わかんねぇよ。まぁ、依姫達がいる方を選ぶとは思うがな…心配なのか?」

「えぇ…しげるが地球に行き、帰らなくなってしまいそうで…」

 

そう言う依姫の頭を優しく撫でると、優しく抱き締めた。

 

「大丈夫、俺はお前のところへと必ず戻る」

「そう…ね…今までもそうだったわね」

「あぁ………もちろん、フミア、お前のところにもな」

 

零がそう言い、廊下の方を見た。廊下からコウモリのような羽が少し飛び出ていた。そして顔を真っ赤にしたフミアが零達を見た。

 

「わかってるわよ…貴方が私達のところに帰ってくることなんて…私達も一緒なんだから」

「そうか……………ちなみに、紫はどうした?」

「紫なら、飲み会に行って、『ししょ〜♡』って言いながら酔い潰れてベッドに寝かせてきたわ。ホント、しげるって愛されてるわね」

「お前らもそのうちの一人だろ?」

「「そうだけども!」」

 

その後、零達は一気に疲れが出てきて、同じ部屋で寝た。夜中、何度か三月が見回りの先生のように部屋を見に来ていた。

______________________

翌日、外の騒がしい音が聞こえて零達は起きた。聞こえたのはハジメとシアの声と誰かの声だった。

 

「なにかやらかしたのか?」

 

そう思いながら、外に出た。すると、シアが亜人族の女性を吊るしていた。それを見守るハジメと、泣き叫んでいる女性。

 

「ハジメ、なにやってんだ?」

「ん?あぁ…なんか、コイツが俺に色目を使ったとかでシアが激怒して、香織とユエは恵里達のところへと行ったぞ」

「なにやってんだよ…つか、コイツって姫じゃね?」

「ふぅ〜ん…」

「あ、テメェ、リリィに手を出そうとか考えてねぇだろうな?」

「いや、そういえばティオも姫だったなぁ〜って」

「…え、ティオって姫なの?」

 

衝撃の事実に零は愕然とする。そしてシアに虐められる姫を見ていると、天之河達が真剣な顔で来た。

 

「南雲、紅蓮。今度の迷宮も俺達を連れて行ってくれ」

「「は?」」

 

聞けば鈴は恵里と一緒にいたいから、天之河と坂上は鈴が心配なのと、クラスメート達を早く帰したいかららしい。

 

「別にいいが…」

「いいのかよ!?」

「あぁ、だが、俺達の邪魔をするな。ただそれだけだ」

「ありがとう!」

「ね、鈴。お兄ちゃんに言ったら簡単だったでしょ?」

「うん!エリリンの言う通りだね!」

 

また鈴達が仲間になった。そして、零達の次の行き先は《氷雪洞窟》になり、飛空艇に乗って出発することになった。



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優しい夢の記憶
雪原


羅針盤を頼りに《氷雪洞窟》を探した。雪原の上を飛空艇で探していた。下を見ればガムート、ベリオロス、ティガレックスなどのモンスターがいた。

 

「降りるの怖いよ…」

「大丈夫だよ!鈴は私とお兄ちゃんが守るから!」

「うん、そうだよね!」

「「あれ、俺達は?」」

 

天之河と坂上を横目にハジメは羅針盤に集中した。

 

「ん?ここで行き止まり?羅針盤はまだ先を示してるのに…」

「降りてみるか?」

「そうだな。おい、零!降りるぞ!」

「ん?あぁ、わかった」

 

そして零達全員は飛空艇から降りて歩くことにした。久々の雪に舞い上がっているマガタノと初めて見る雪に舞い上がっているシアが滑って谷に落ちた。

 

「シアシア〜!!」

「「まぁ、アイツらなら無事だろ」」

「俺達も下に降りるか」

「「「え"?!」」」

 

そして零達は天之河達を落としたあと、降りていった。下に降りると、天之河達が転がっており、それを見て笑っている幸利がいた。

 

「あ…ちょっと待て。ラフィー達は飛空艇で待っててくれ」

「あ…確かに、樹海と同じようなのがあるかもしれないからな」

「指揮官、それは大丈夫だと思う」

「そ、そうか?なら、進むか」

 

そして進んでいるとマガタノの熱で温まっているシアがいた。

 

「温かいですぅ…」

 

マガタノの熱が周りの氷を溶かしていた。それに気づかないシアは寝そうになっている。ハジメはそんなシアの頭を撫でていた。

 

「おい、シア。ここで寝るなよ?」

「…あれ、ハジメが寝させようとしていないか?」

「違うだろ。ほら、ハジメがシアにキスした」

 

幸利の言う通り、ハジメがシアにキスをしていた。どうやら、出発する前に、ハジメとシアの間に何かあったようだ。

 

「マガタノ、こっちおいで」

「はーい!」

 

マガタノは零に飛びついた。

 

「こう見たら二人って親子みたいだよな」

「しげるには本当の子供いるんだけど…」

 

マガタノとシアと再会して、先へと進んでいった。横の氷の壁の中に死体のようなものがあった。だが、不自然なことが一つあった。

 

「なんか変だな」

「あぁ、なんかわざと埋ったって感じだよな」

「こんな感じで凍るのか?」

「いや、何かがおかしい。マガタノ、喰らえ」

 

零がそう言うけど、マガタノは凍った死体を食べようとしなかった。

 

「どうしたんだ?」

「主、これ…生理的に嫌」

「は?どういうこと?」

「なにか、食べても消化できない気がして…」

「なら、ハジメ。撃ち抜いといて」

「いや、マガタノが無理なら撃ち抜いても無駄だと思うが…」

 

そう言いながらもハジメが撃った。撃ち抜かれた死体は動かない。そして、俺達はそのまま進んだ。進んでいると、白いゴリラのような魔物が現れた。

 

「UMAだ!」

「南雲、紅蓮。今回は俺達にやらせてくれ」

「はぁ…わかった」

「いいのかよ」

「まぁ、死にはしないだろ」

 

そして天之河と坂上と鈴が魔物と戦い始めた。天之河達が攻撃をし、鈴が結界を張る。

 

「ど、どうして攻撃してこないんだ?」

 

なぜか魔物は天之河達を攻撃しようとしなかった。

 

「まぁ、気にせず倒せばいい」

「お、おう!」

 

そう言うと、天之河と坂上が魔物を倒した。

 

「ね、ねぇ零…後ろから何か嫌な気配がするよ…」

 

ミレディがそう言うと、後ろからなにかの足音が聞こえた。振り返ると、氷で閉ざされていた死体がこっちに来ていた。まるでゾンビのようになっていた。

 

「あれは完全にゾンビだな」

「ヤバいぞ!コイツらに魔石がない。」

「は?魔石がない?なら、何で動いているっていうんだ…」

「いや、魔力を帯びている。つまり、何処かに操っている者がいるはずだ」

 

そう言い羅針盤を見た。

 

「遠隔だな。お前ら、行くぞ!そこのゾンビは無視しとけ!!」

 

そう言い、ハジメが走り出した。零達もハジメに付いていった。ラフィー達はゾンビを撃ち、零達を追った。走っていると、氷壁の中に魔人族の死体も増えていった。

 

「邪魔よ!」

 

フミアが地面に手をつけ、氷壁を作り、ゾンビの進行を防いだ。その後、走っているとドーム状の部屋に着いた。

 

「流石にここならわかるぞ!」

「あぁ、場所はわかるぞ!」

 

ハジメがドンナーで魔石を撃ち抜こうとした。だが、魔石は氷壁の中でも俊敏に動き、ドンナーの弾丸も避けていた。

 

「チッ」

「待てハジメ!なんか様子がおかしいぞ!」

 

魔石があった場所が出てきた。そして、姿形が変わっていき、亀のような魔物が誕生した。



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謎の声

魔石があった壁から亀のような氷の魔物が出てきた。

 

「紅蓮、南雲。ここは俺達にやらせてくれ」

 

天之河がそう言い、聖剣を構えた。零とハジメは天之河達に亀を任せて、様子を見た。

天之河と坂上の攻撃は一部弾かれ、鈴の結界は耐えるのにやっとと言ったところだった。

 

「零、幸利、耀、神羅、この迷宮…どう思う?」

「まだ、迷宮の試練はないような気がする」

「俺も同じだ。ここは試練でもなんでもないような気がする」

「この亀は迷宮の門番役だろうな」

「うん。迷宮の魔物はここまで()()()()もんね」

 

あまりにも長続きしそうな気がした耀が亀を倒そうとしたが、零に止められた

 

「これで止めだ!―――【神威】!!」

 

聖剣から放たれる光の斬撃が氷の亀を襲う。光の刃が消えたあと、天之河達は亀がいた場所をみた。そこには、壊れかけの氷の亀がいた。魔石はギリギリ破壊できなかった。

 

「そ、そんな…くっ、だったらもう一度!!お、俺が倒すんだ…!!」

 

そう言い、天之河が聖剣を握り直し、もう一度【神威】を使おうとした。だが、それよりも先に坂上が氷の亀の魔石を破壊した。それにより、氷の亀が崩れ落ちた。

亀が崩れ落ちたのと同時に、亀が出てきた壁に通路ができていた。

 

「ここからが本番って感じだな」

「あぁ、ここからだな」

 

そして、零達は通路の奥へと進んだ。進むと、迷路のような物があった。魔物などがいない普通の迷路だった。

 

「ラビリスタだな」

「あぁ、ここは普通に行くぞ」

 

普通に迷路を歩いていると、魔物が何度か襲ってきた。だが、障害になるような物ではなかった。そして羅針盤を下に、迷路を攻略していった。

 

『貴方が居る限り、彼女らに災いが降りかかるわよ?』

「ん?」

「零、どうした?」

 

零が女性のような声が聞こえ、不思議に思っていると、天之河も何かを探すように辺りを見渡した。

 

「おいおい、二人してどうしたんだ?」

「いや…何かの声がしてな」

「ぐ、紅蓮もか?」

 

どうやら、零と天之河に同じ現象が起きているようだ。

 

「他に何か聞こえた奴はいるか?シアは聞こえたか?」

「いえ、全く…でも、レイさんも聞こえてるのなら、本当だと思います」

「まぁ、まだ気にしなくていいか」

 

そして、また歩き始めようとしたときだった。

 

『彼女ら、私と同じ事になっちゃうよ?』

「また声が…」

「あぁ、俺もだ!今度ははっきり聞こえた!『このままでいいのか?』って言ってたのが聞こえたぞ!」

「俺達は何もきこえなかったぞ?」

「誰だ!どこにいる!?姿を見せたらどうだ!!」

「二人が聞いたのは一緒の言葉なの?」

「いや、俺が聞いたのは『彼女ら、私と同じ事になっちゃうよ?』だ」

 

二人の異常な現象に警戒をしながら!迷路を歩いていく。すると、零と天之河が起こった現象がハジメ達にも起こった。それぞれ違う言葉で、どこか聞いたことのある声だった。

 

「あぁ、わかったぞ。この声の主」

「……いや、ハジメ。この声が俺達自身の声…とは限らねぇみたいだ」

「どういうことだ?」

「お前らの声は聞き覚えがあり、自身と同じ性別の声だろう?だが、俺は男なのに女性の声がしたんだ」

「…謎が増えるばかりだな。ちなみに、聞き覚えがあるんだよな?」

「あぁ、懐かしい声だ。だが、思い出せねぇんだ。誰なのか…」

「しげる…」

 

そして、歩いていると、迷路のゴールのような門がある場所についた。門を開けると、その先は光で見えなくなっていた。

 

「マガタノ、刀に戻ってくれ。分断とかだったら面倒だ」

「はーい!」

 

そして、マガタノを刀に戻して、零達は光の奥へと進んでいった。眩しい光に目を瞑ってしまいそうだった。



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自分の声

気がつくと、氷に閉ざされた部屋にいた。周りには誰もおらず、零とマガタノだけがいた。

 

「にしても、あの声はいったい…あ、そういえば…最近、鏡で自分を見てなかったな」

 

そう言いながら、氷の壁の前に立った。氷の壁は鏡のように零達を写す。そして、鞘から刀を抜いた。

 

「やっぱ、これを見ると落ち着くな…」

 

零は刀を構えたあと、()()()()()()()()()()()()()()()。すると、()()()()()()()()()()()()。それを見て、零はすぐに後ろへ跳んだ。

 

『壁の中の主が避けた!』

「いや、コイツは俺じゃない」

 

そう言うと、壁の中の零が壁から出てきた。腰には零と同じく《マガタノ刀》があった。

 

『流石俺だな。俺に気づくとは…』

「もう一人の俺ねぇ…」

『なんだ?俺とお前は違うって言いたいのか?』

「当たり前だろう?俺は俺、お前はお前だ」

『ふぅ〜ん、まぁ、殺り合おうじゃねぇか。俺は俺に勝てるかな?』

 

そう言いながらもう一人の零が《マガタノ刀》を抜いた。次の瞬間、部屋の中心で火花が散った。

 

『強い、やっぱ強いねぇ…だが、()()()が災いを呼ぶ。今のお前に彼女ら(依姫達)を守れるのか?』

「…なにが言いたい?」

()()()()()()()()()()()()()。そう思ってないか?』

「……マガタノ、俺は目の前の俺と本気で殺り合わないといけないようだ」

 

そう言うと、マガタノが出てきた。すると、もう一人の零の中からマガタノに似た女の子が出てきた。

 

『さぁ、見せてみろ。お前がずっと()()()()()()を…!()()()()()()()()()()()()()姿()を!!』

「お望み通り見せてやるよ』

 

そう言うと、零はマガタノを吸収した。すると、人とは懸け離れた姿へと変わった。そして、もう一人の零も同じように吸収し、姿を変えた。

 

『『さぁ、殺り合おうじゃねぇか!!』』

 

二人の声が反響し、部屋自体を揺るがす。そして、二人はぶつかった。その衝撃波で部屋の一箇所にヒビが入った。

 

『お前は怖いんだろう?依姫達に《その姿》を見られることが…そのせいで、お前は兄に勝てない。その姿を見られれば拒絶される。そう思っているからな!』

『……』

 

もう一人の零が喋り続けた。零は喋らずに攻撃を続けた。そして、零達の口にエネルギーが溜め、一気に放ち、熱線の撃ち合いになった。ぶつかり合う熱線が何度か弾けて、周りに飛び散った。そして、零がもう一人の零に急接近して、体当たりをした。

 

『ぐっ…俺が押されている?!』

 

そのまま、ヒビが入った壁にぶつかった。すると、壁が割れて隣の部屋へと入っていった。そこにはもう一人の自分と戦っている依姫がいた。

 

『っ!とうとう見られたな!その姿を!!しかも、お前の最愛の人にな!!』

 

もう一人の零が零を殴ろうと、右手に青黒いエネルギーを纏わせた。だが、その腕は零に片手で止められていた。

 

『それがどうしたッ!!』

『ッ?!』

 

一瞬、零が押されたが、すぐに押し返した。

 

『っ!?乗り越えたのか…!?これは、お前が一番恐れていたことの筈だろ!!?』

『…確かに俺はお前が言うようにこの姿を見られるのを恐れた。拒絶されるかもと恐れた』

『なら、なぜ…なぜだ!なぜ、乗り越えれるんだ!!』

『そんなの、それ以上に!これが俺のもう一つの姿だと…もう一つの俺だと知ってほしかったからだ!!』

『っ!!?』

 

零の熱線がもう一人の零に当たり、もう一人の零が壁にぶつかった。

 

『なぜ…だ……』

『この姿を隠してたら、守りたいものも守れなくなるからな』

 

そして、零はもう一人の零の顔を潰した。すると、もう一人の零が青白い光になって消えた。元の姿に戻り、振り返ると、依姫がもう一人の依姫を倒してこっちに来ていた。

 

「そっちも終わったみたいだな」

「えぇ…ねぇ、さっき言ってた拒絶されるってどういうこと?」

「え、えっとな…」

「教えて、どうして拒絶されるって思ったの?」

「…実はさ、この姿って……何度も世界を壊そうとしたヤツと同じなんだよ。だから、この姿を見られたらみんなにッ!?」

 

零が最後まで言い切る前に依姫に抱き締められた。

 

「依姫…?」

「例え、姿形が似てても、しげるはしげる。それ以上でも、それ以下でもないよ」

「……ありがとうな」

 

そして、一部の壁が溶け始めて通路ができた。零の部屋にも通路ができていた。

 

「それじゃ、また後でな。俺は俺の部屋の通路を行くから」

「えぇ、またね」

 

そう言い、零達は各々の部屋の通路へと進んでいった。



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耀VS耀

零達が試練をクリアしている時、耀は目の前の自身と戦っていた。激戦だったのか、部屋のあちこちにクレーターがあった。

 

『お前はしげるが憎くないのか?』

「は?なんでそんな話になるんだ?」

『お前は最強だった!神羅よりも上だった!鬼の中でも、妖怪の中でも一番上位だった!なのに、アイツによってお前の無敗が終わった。お前が目指した物がもう少しで叶うはずだったのに、アイツに邪魔をッ?!』

 

もう一人の耀が喋っている最中に耀は妖力を纏った鉄拳を振りかぶった。

 

「確かに俺は鬼の中で上位だったかもしれない、妖怪の中でも上位だったかもしれない」

『なら!「ならなぜ、俺が負けたか」ッ!?』

 

一歩、また一歩と踏み出すたびに、耀の妖気は上がっていった。

 

「アイツが神だったから?違う」

『ぐっ!』

「アイツには特殊な力があったから?違う」

『っ!』

「なら、なぜか。それはな…()()()()()()()()からだッ!!」

『あがっ!!?』

 

もう一人の耀は壁に叩き付けられた。耀はそれでもお構いなしに右手に妖力を纏わせて、殴りかかった。

 

「あの時の俺は戦うことだけを考え、他の全てを捨てていた」

『それでいいじゃねぇか!「だから負けるんだよ」なんだと?!』

「現に、俺は灯と言うなの嫁も、灯との間に産まれた娘も、孫もいる。大切な存在ができてから、俺は強くなった。今ではしげるともやり合えるほどだ」

『灯達がいるのと強くなるのと、なんの関係がッ!!?』

 

耀はもう一人の耀を殴り、膝蹴りを入れた。

 

「人の嫁を勝手に呼ぶな。灯達を守りたい。だからこそ、強くなれたんだ。わかるか?いや、わかれよ?もう一人の俺ならな」

『…俺は完全なお前じゃねぇ』

「なら、一生無理な話だな」

 

耀を蹴って距離を取ったもう一人の耀は妖気とはまた少し違う物を纏い始めた。耀も妖気を纏い、拳を構える。

 

『なら、本当に強くなるのか、見せてみろ』

「拳で殺り合おうってか?いいぜ…どっちかが死ぬまでだ!!」

 

二人は地面を蹴って跳び、部屋の中央で拳と拳がぶつかり合い、ソニックブームが起きる。耀は足を後ろに下げ、懐から一つの酒瓶を出した。

 

『戦闘中に飲酒か?随分と舐められた物だな!!』

「あぁ、飲酒だ。だがな、ただの酒だと思うなよ?」

『なに?』

 

耀は瓶を開けて、ラッパ飲みをして、呑み干した。もう一人の耀はその行動の意味がわからずにいた。

 

『ただ酔いが回ってお前が不利になるだけじゃないのか?』

「………あぁ、やっぱ完全に俺ってわけじゃねぇんだな」

『わけのわからんことをッ!!』

 

もう一人の耀が壁を蹴って、殴りかかった。もう一人の耀の拳が耀に届きそうになったときだった。耀は跳んできたもう一人の耀にカウンターのラリアットをした。

 

『何故だッ!?まさか、乗り越えたというのか?!』

「乗り越えた?いいや、俺は何も乗り越えてねぇよ」

 

そう言いながら、耀はもう一人の耀を持ち上げて投げ飛ばした。もう一人の耀は空中で体制を立て直して、宙を蹴って殴りかかった。

 

「昔の俺のまんまだな。ワンパターンの攻撃しかできないのか?」

 

そう言い、もう一人の耀に向かって回し蹴りをした。

 

『なんだ、何を乗り越えたんだ…!!』

「お前がただ弱くなっただけだろ」

 

耀はもう一人の耀を横蹴りで壁まで飛ばした。もう一人の耀は耀が乗り越えたと勘違いしているが、実際は耀は何も乗り越えておらず、ただの酒の酔いで予測不可能な動きをしているだけだった。

 

『こんなこと…あっていいはずがないッ!!』

 

そう言い、もう一人の耀はもう一度、耀に殴りかかった。学習しないもう一人の自分に呆れた耀は溜息を付き、右手に自身の体内の殆どの妖力を拳に纏わせ、向かってくるもう一人の耀の顔を狙った。

 

『うぉぉおお!!』

「俺の真似するなら、もっと磨いてから出直してこい!!」

 

そう言い、もう一人の耀の顔を殴った。すると、もう一人の耀は光の粒子になって消えていった。完全に消えると、部屋の壁に通路が現れ、そこへと向かおうとした。

だが、足を止めてもう一人の耀がいた場所を見つめた。

 

「確かに最初はしげるのことが憎かった。だが、アイツらといる内に、しげるが強い理由を知り、大切な存在と出会って、いつの間にかしげるへの憎さがなくなっていた。つまり、お前が言ってたことは、とっくの昔に乗り越えてたってことだ」

 

そう言い、今度こそ耀は通路の奥へとも向かった。そして、通路の先ではしげるが雫の刀を真剣白刃取りで捉え、依姫が少し笑っていた。俺の隣には神羅がいた。神羅もクリアしていたようだ。



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神羅VS神羅

時を同じく零達が試練をクリアした時、神羅はもう一人の神羅と戦っていた。耀の部屋とは違い、壁や床、天井にまで各々の羽根が突き刺さっていた。

 

『貴方は主や耀が憎くないの?』

「憎くなんかないよ」

『どうして?(貴方)は妖怪の山では一番だった。でも、しげるや耀が出てきてからは変わってしまった』

「それが普通だよ。君はいつまでも同じ物を使い続けるの?壊れ、動かなくなっても使い続ける?違うでしょ?替えるでしょ?それと同じ。いつまでも勝者であり続けるのは難しいんだよ」

 

神羅は話しながらもすぐに生えてくる羽根を弾幕のように撃つ。もう一人の神羅はそれを避けながらも対抗すべく撃つ。

 

『でも、主達がいなかったら変わらなかった。そうでしょ?』

「全然違う。例え、二人がいなかったとしても、いつかは超える者が現れる。それが普通なんだよ。現に主も強かった。だけど、主の兄という主を超える存在が出てきた。これで主は最強じゃなくなってしまった」

『それが僕らになんの関係があるって言うのさ』

「わからないの?つまり、上には上がいるってこと。君は言ったよね?主と耀が憎くないかって…そもそもね、そんなたった一度二度負けた程度で憎むほど僕の心は弱くない」

 

そう言い、神羅は自身の翼の羽根を全て出し、もう一人の神羅に向かって撃った。それに対抗するようにもう一人の神羅も同じように羽根を飛ばしてきた。

 

『ッ!?』

 

羽根がなくなると、飛べなくなり、地面に落ちるしかなかったため、もう一人の神羅は地面に落ちた。それは神羅も同じだけど、神羅は慣れており、綺麗に着地した。

 

『自分の有利な空間を捨てるなんて…!』

「それはお互い様。だけどね、僕はこれを何度も使ったことがあるわけだからね。これの弱点も何もかもわかってるわけ」

 

そう言い、神羅は懐から一本の羽根を取り出した。隠し持っていた羽根にもう一人の神羅は驚いていた。

 

『隠し武器!?』

「僕の真似をするなら、ちゃんと羽根を隠さないとね」

 

そして、羽根が消えた翼に隠し持っていた羽根を着けた。すると、羽根がつけられたことで、羽根の修復スピードが上がり、数秒で最初と同じ数にへとなった。

 

『ま、待って!貴方が主達をッ!?』

 

もう一人の神羅の話を聞かずに、神羅が羽根を鋭い剣に変えて、斬りかかった。

 

『な、なにをするの?!』

「人の上司と同僚を呼び捨てにして()()()

『!?』

 

今までの雰囲気と違う神羅にもう一人の神羅は驚いた。ある特定の事をすれば怒って出てくる神羅の二重人格のような存在。神羅本人は怒れば口調が変わることをわかっているが、本人でもあまりわかってないらしい。

 

「まぁ、僕の嫁の名前を出さなかっただけでも凄いよ。それじゃぁ、もういいよ」

『まっ?!』

 

神羅は躊躇なくもう一人の神羅を羽根で切り裂いた。すると、もう一人の神羅が光の粒子になって消えていった。もう一人の神羅が消えると、壁に通路ができていた。通路の奥へと行く前に、もう一人の神羅がいた場所を見た。

 

「僕の嫁の名前を出してたら、これだけじゃすまなかっただろうから、良かったね」

 

そう言い、神羅は通路の奥へと進んでいった。通路の先ではしげるが雫の刀を真剣白刃取りで捉え、依姫が少し笑っていた。僕の隣には耀がいた。耀もクリアしていたようだ。



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悪魔の勇者

耀達が来る前、零は部屋にできた通路を通った。その先には、折れた刀となぜか負けそうになっていた雫がいた。もう一人の雫が刀を雫に向かって振り下ろそうとしていたため、零で止めた。その後、依姫の通路の先も同じだったようで、雫の部屋に来た。

そして、折れた刀の変わりにマガタノを渡すと、マガタノが雫の色々なことを暴露し始めた結果、もう一人の雫は秒殺、マガタノを零に投げ、折れた刀を持って、零に斬りかかり、今の現状にいたる。

 

「ま、待て雫!あれは俺が命令したわけじゃ「それでもよ!零が聞いたことに変わりないじゃない!!」大丈夫!俺とお前の秘密にするから!」

「もう依姫さんに聞かれたわよ!!」

 

耀と神羅は零と雫を横目に、依姫の近くに寄り、何があったのか聞いた。それを聞いた耀と神羅はため息を吐いていた。

 

「フフ…雫、そろそろやめてあげて。しげるに八つ当たりしても駄目よ。マガタノに言わないと」

「うっ…そうですけど…零に秘密にしてたこととかバレちゃったし…」

 

零はマガタノを出して、すぐに土下座をした。だが、マガタノは土下座せず、首を傾げていた。

 

「ねぇねぇ主、()()()()()()ってことを言うのは駄目なことなの?」

「「!?」」

 

マガタノが雫の何を言ったのか知らなかった耀と神羅は驚き、手に持っていた酒を落とし掛け、依姫は固まり、雫はまた赤面した。

 

「マガタノ、今度映姫のところで勉強しような…?」

 

そう言い、マガタノを撫でたときだった。雫の部屋の一角が爆発した。煙の中からハジメとジオウである幸利が何度か転がりながら、出てきた。

 

「この部屋は…」

「零!いいところに!!ちょっとこの馬鹿を止めるのを手伝ってくれ!!」

「は?」

 

ハジメと幸利が飛んできた方向から何かの足音が聞こえた。足音はどんどん大きくなり、煙の中から赤黒いオーラを纏った天之河が出てきた。

 

「おい、何があったっていうんだ?」

 

零がハジメ達に聞こうとしたときだった。天之河が真っ黒な聖剣を手に取った。

 

「チッ…詳しい事を話せるほど暇はねぇようだな」

「あぁ、あの馬鹿を止めるぞ!」

「めんどくせぇ…マガタノ!」

「はい!」

「依姫達は離れてろ!」

 

マガタノを刀の中に戻すのと同時に、天之河が今までよりも早い動きで聖剣を振ってきた。零はマガタノで防ぎ、防ぐのと同時に天之河に向かって【マガ光球】を撃った。だが、天之河はそれを片手で防いだ。

 

「なっ?!」

 

そして、後ろからハジメと幸利が攻撃するが、天之河はそれも難なく防いだ。そして、聖剣で零達を薙ぎ払った。それを零達は防いだが、天之河に横蹴りをされて、吹き飛ばされる。零達はそれぞれの武器を地面に刺して壁にぶつかる前に止まった。

 

「で、なにがあったわけ?」

「あぁ、堕ちたようだ。俺達が諸悪ってことでなッ!」

「マジかよ…」

 

幸利は《ジカンギレード》で聖剣を防ぐ。防ぐのも限界のようで、腕が震えていた。

そして天之河が堕ちたのを聞くと、雫は天之河に向かって言った。

 

「光輝!ダメ!もう一人の自分に負けちゃダメ!正気に戻って!」

 

だが、それは天之河に届かなかったようで、攻撃する手を止めない。だが、雫が何度も言うと、攻撃する手を止めた。

 

「…大丈夫。雫のことは必ず助け出してみせる」

「え?なにを言っているの?」

「紅蓮や南雲に洗脳されてたんだろ?大丈夫、紅蓮と南雲を倒せば解けるはずだ。紅蓮、南雲、清水、元クラスメイトのお前らだとしても、俺の大切な幼馴染の雫を傷付けてただで済むと思うな?お前達を倒して、香織や恵里、他の女の子達にかけられた洗脳も全て解いてみせる!そして…彼女達と共に俺はこの世界を救う!覚悟しろよ。これ以上お前らの好き勝手にはさせない!雫も、香織も、()()()、ユエも、()()()()、みんな解放してもらう!!」

 

そう言うと、聖剣から黒い光の刃が出てきて、零達に向かってきた。だが、零達に振れる前に壊された。

 

「私や依姫達が洗脳されている?ふふ…ふざけた事を言うのね。それが勇者って言う物なの?」

 

その声が聞こえると、ハジメ達が来た方から無数の魔力でできた槍が天之河に向けて撃たれた。天之河はそれを聖剣で叩き落とすが、いくつかの槍は防げず、当たった。そして、煙の向こうから、フミアと三月がやってきた。フミアの手には赤色の神力で作られた薙刀、三月の両手には禍々しい色の刀と虹色の刀があった。

 

「今度、何も知らないのに適当な事を言ったら、雫や香織の幼馴染とか、人とかで手加減なしにして、倒すわよ?三月は雫達の護衛をお願い」

「わかりました。フミア様」

 

そして、フミアが零の隣に着くと、天之河はフミアに言った。

 

「フミア、君も紅蓮達に操られてるんだね。大丈夫、好きでもない人と無理矢理結婚させられないうちに必ず助けるからね」

「……しげる、もうコイツ殺っちゃってもいい?今の私なら、邪神イリスを召喚できる気がするの」

「やめろ」

 

そんな会話をしていると、天之河は零に聖剣を向けて言った。

 

「本当の邪神は紅蓮なんだ!みんなを洗脳して、この世界を滅ぼす気なんだ。俺は勇者だ。()()()()()を倒して、みんなを救う!!【天羽々きッ?!!」

 

突然、天之河が横に吹き飛ばされ、壁が壊れる。その先ではなぜかユエとシアが香織に正座させられていた。突然吹き飛んできた天之河に驚き、正座をやめたユエとシアは香織の前に立って防御の構えをしていた。

そして、零達の後ろから、物凄い憎悪を感じた。振り向いて見ると、その憎悪は依姫やフミア、耀達から出ていた。

 

「依姫、フミア?耀、神羅、三月、雫?」

「え、なんかお前のところの人達やばくなってない?」

「「人の旦那を…!」」

「「俺達の主人を…!」」

「私のご主人を、お嬢様の旦那様を、邪神呼ばわりですか。いい度胸ですね。お嬢様、先程のご命令を却下させてもらいます。あの勇者を始末する許しを貰いたいです」

「流石に幼馴染でも許せないわ!」

 

ハジメと幸利は5人の殺る気に圧されて、少し後ずさる。横にいる零を見ると、マガタノを握りしめる手が強くなっているだけではなく、マガタノ自体に天之河の聖剣や三月の刀よりも禍々しいオーラを放っていた。

 

「ハジメくん!なにがあったッ?!」

「…ん。凄い殺意…」

「あわわわ…みなさんいったいどうしたんですか?!」

 

零達を見た香織達がハジメと幸利に近づく。ハジメは3人に簡単な状況説明をした。すると、3人は冷たい目で天之河が飛んでいった方を見た。

 

「あ、それは許せないね」

「…ん。もうあの勇者いなくても大丈夫じゃない?」

「ですね。私、レイさんがここまで怒ってる姿なんて見たことないですよ」

「それほどのことだったんだなッ?!」

 

幸利が《ジカンギレード》を構えると、聖剣の斬撃が飛んできた。そして、幸利の剣に当たる寸前、斬撃が粒子化して消えた。

 

「《ありとあらゆるものを破壊する程度の能力》…」

「は?」

「零?」

 

そして、天之河が壁を蹴って跳び、音速を超える速度で零に斬りかかった。

 

「《時間を操る程度の能力》」

 

そういった瞬間、天之河がまた横に吹き飛び、いつの間にか零が天之河がいた場所の横にいた。

 

「うぐっ…今までのは本気じゃなかったっていうのか?だが、俺はお前がどれだけ強くても、絶対に勝「貴方が勝つことなんて一生来ないわ」くっ!!?」

 

立とうとした天之河を串刺しにするように依姫が刀を振るった。それを聖剣で防がれると、後ろに飛んで距離を取った。依姫と交代するように、零が天之河に斬りかかった。案の定、天之河は聖剣で防ぐ。そのすきを見た耀が横から天之河を殴り飛ばし、その終着点に神羅が自身の羽を撃った。

 

「卑怯だぞ。正々堂々と一対一で戦え」

「………いいだろう。正々堂々、一対一で戦ってやる。依姫達は下がってろ」

 

零がそう言うと、依姫達はハジメがいるところまで下がった。ハジメと幸利は恐る恐る依姫達に聞いた。

 

「な、なぁ、さっきのって零の本気なのか?」

「全然、今までよりかは出しているけど、全然本気じゃない」

「え、レイさんの本気ってどんな感じなんですか?」

「…しげるの能力は《能力を作る能力》って前に話したわね?その能力で作ったしげるの最初能力があるの。それを使ったときがしげるが本気を出したときよ」

「その能力って?」

「私でも知らないの。そう言う能力を作ったとしか聞いてないの」

 

依姫達が話している間、零は天之河の首を掴み上げていた。首を潰すほどの力で首を掴んでおり、天之河は苦しんでいた。

 

「ぐっ…まだだ(限界突破)!!」

 

限界突破した天之河は零の腕を無理矢理振り解き、聖剣で斬りかかった。だが、聖剣で零の体は斬れなかった。その理由は零がもう一人の零と戦ったときのあの姿へとなっていたからだ。

 

「見ろ!これが《邪神しげる》の姿だ!!みんな、コイツに騙されているんだ!南雲ハジメ!清水幸利!!邪神の後はお前達をッ?!!」

 

天之河の話を遮るように零は左手で天之河の顔を鷲掴みしたあと、床に叩きつけた。そして、右手の拳にエネルギーを溜めた。

 

「この悪魔ッ!邪神がッ!!勇者である俺に倒されるべき『黙れよ。お前はもう勇者でも何でもない。()()()()()()()()()()だ。お前こそ悪魔じゃないか?』なんだとッ!!?」

 

零がそう言うと、天之河の力が少し上がった。だが、零の力には及ばず、地面に減り込んでいた。

 

「俺は悪魔なんかじゃない!勇者だ!それはお前が決めることじゃないッ!!」

『そうか。なら、()()()()言ってやる。天之河光輝、お前は勇者ではなく、悪魔だ。はぁ…雫や香織は大変だな。こんな幼馴染を持つとは…』

「お前のようなヤツが、わかったような口を利くな!雫と香織のことを本当にわかっているのは俺だ!二人のことを誰よりも大切にしているのも俺だ!!俺こそが二人と共にあるべきなんだ!!!お前や南雲なんかじゃない!絶対に、お前達みたいな奴なんかじゃない!」

 

零はそんな天之河を横目に、雫達を見た。雫と香織は天之河の発言に鳥肌が立ち、雫は依姫とフミア、香織はハジメの後ろに逃げるように隠れた。

 

「お前さえ、お前らさえ居なければ!俺は香織と雫と一緒だったんだ!!お前らがいなかったら、みんなと一緒にこの世界を救えたんだ!!」

『そうか…なら、俺がいなかったら()()()()()()()()()()()()って話をしようか?』

「そんな嘘、信じるわけ無いだろう!!」

『信じないのなら、それでいい』

 

そう言い、零は天之河を顔を掴み、その掴んだ顔で壁を壊す勢いで何度も叩きつけた。そして、壁が壊れるのと同時に、天之河が意識を失い、天之河の中にあった力が消えた。

零も姿を戻して、ハジメ達のところへと戻った。

 

「零、さっきの姿は?」

「…まぁ、この迷宮が終わったときにでも教える」

「そうか…香織、天之河の回復は後にして先に全員と合流するぞ」

「はーい!」

 

そして、開いていた通路の奥へと進んだ。天之河は耀がいやいや足を掴んで引き摺りながら、奥へと進んでいった。その先で恵里達と合流し、その部屋の奥にできた通路を進んだ。次の部屋には坂上がいたので、耀は合流してすぐに坂上へ天之河を渡した。そして、合流した全員で、また新しい通路の奥へと進んでいった。



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最後の神代魔法と謎の装置?

通路の先には今までなかった水と氷の神殿のような物があった。その神殿の中は《オルクス大迷宮》のように住居があった。

 

「それで、神代魔法は…」

「……」

「ん?あ、おい零!」

 

零が何も言わずに一階の正面通路の奥へと進んでいった。ハジメは羅針盤で《神代魔法》の位置を調べると、零が向かっている先にあった。ハジメ達は急いで零のあとを追いかけた。

 

「零?」

「聞こえてんのか零!」

「ッ!?ど、どうした?」

「どうしたはこっちのセリフだ!突然、奥に進み始めてたぞ。しかも、神代魔法と同じ方に向かうし…」

「しげる…この先に何かあるの?」

「い、いや…なんか、懐かしい気配を感じて…」

「…とりあえず、扉を開けるぞ」

 

そしてハジメが扉を開けた。その先には魔法陣と()()()()が置いてあった。ミレディは《謎の機械》に駆けろうとした。すると、零がミレディを捕まえた。

 

「先に神代魔法を手に入れよう。あの謎の機械はその後に調べよう。下手に触って何かが発動したら大変だ」

「ん〜…それもそうだね!」

 

そして、魔法陣の上に立つと魔法陣が光り、神代魔法を手に入れた。最後の魔法《変形魔法》だった。

 

「ぐっ…ぐぅぅぅ!!!?」

「ぅぅぅぅ!!!?」

「ハジメ?!ユエ?!」

「おい、しっかりしろ!」

「え?!どうしちゃったの二人共!」

 

しばらくして苦しんでいたハジメとユエが倒れた。

 

「…香織達はハジメ達を安全な場所に連れて行ってくれ。俺はこの機械がなんなのか調べる」

「なら、私とフミア、紫と雫も残るわ。二人共いい?」

「私は大丈夫よ」

「えぇ、私も大丈夫。何かあったら私の能力で逃げればいいわ」

「私も大丈夫です」

 

そして香織達がハジメを連れて別の部屋に行った時だった。謎の機械が動き始めて、ファンタジーなこの異世界には合わないタッチパネルが出てきた。タッチパネルには手の形をした物が出てきた。零は躊躇なく、それに触れた。

 

「え?え?!」

 

すると、マガタノが自動的に零の中へと入っていき、零もあの姿へと変わっていた。

 

『な、なんだよこれ…あぐっ?!』

「「しげる!?」」

「師匠!」

「零!」

「あが、あがぁああああ!!?」

 

ハジメ達とは比べないほど苦しみ始め、依姫達が零に触れようとした。すると、零が倒れて動かなくなった。零が動かなくなると、謎の機械が崩れ始めた。そして、依姫達は零を部屋の外に連れて行き、安全な場所まで連れて行った。

 

______________________

〜???〜

謎の機械が崩れるのと同時に、ある者が動いていた。

 

「はぁ…やっとそこまで辿り着いたのか。まぁいい…フリードにはレギオンを渡してある。そこで《全盛期》の力を取り戻せるだろう」

 

そこに白銀の翼をした者達が来た。

 

「我が主からの伝言です。お前はもう用済みだ。だそうです」

「なるほど、俺は始末されるわけか」

「抵抗を確認できません。それでは実行に移ります」

 

そして、男はその者達に串刺しにされた。

 

「始末完了。これより帰還します」

 

その者達が去ると、男の体が修復された。

 

「さて、俺は殺されたことになっているだろうから、集中してエヒト共の監視ができるな」

 

男がそう言って映像のようなものを見始めた。その映像には牢屋のような場所にいる零達のクラスメートと子供達ともう一人、この世界にいないはずの女性がいた。その人物こそ、エヒトや男が手を出してはいけない存在だった。その人物は―――



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紅き夢の記憶

零達が倒れ、一つの部屋に連れて行かれてから、数十分が経過した。

 

「ん…ん?」

「…ん……」

 

零よりも早くハジメとユエが目を覚ました。目を覚ました二人は零が眠っていることを知らずにキスをし始めた。

 

「ハジメさん、レイさん、ユエさん、どうかしまッ!?」

「「あ……ん?零…?」」

 

物音がしたから見に来たシアに言われて、二人は零が同じ部屋にいることを初めて知った。シアはウサミミを立てて、威嚇し始めた。そこに香織達も来て、修羅場が生まれた。

 

「ハジメくん、ユエ?何してるのかな?かな?」

「ユエ、ハジメ、流石にしげるが寝てる部屋でしないで…」

「あと、香織も入れてあげなさい」

「お兄ちゃんは起きないんだ…」

「それで、ハジメくん達はどうして倒れたの?」

 

ハジメとユエは倒れた原因を言った。ハジメ達は全ての神代魔法を使えるため、尋常じゃない情報量に脳がついてこれず、意識を失ったようだ。

 

「それで、零はなんで倒れてんだ?」

「わからないの…あの機械に触れた瞬間、倒れちゃって…」

「そうか…それじゃぁ、俺らちょっと気になることがあるから、神代魔法があった部屋に行ってくる」

「わかりました!」

「あ、そうだ。シアと香織は天之河とかが入ってこないように見張っててくれ」

 

そう言い、ハジメとユエは神代魔法があった部屋に向かっていった。それから、いつ零が起きてもいいように依姫達と一緒にいることとなった。

 

「そういえばなんですけど、零くんが言っていた《俺がいなかったらお前らが生きていなかった》ってどういうことですか?」

「あぁ、それはね…愛優美が関係しているの」

「え、紅夢が?」

「そう、愛優美がまだ…敵としてしげるの前に現れたときの話……愛優美はその時しげるが守っていた人が目的だったの…どんな目的かは知らないけど…」

「そうなんですか…」

「それでね、まだ未熟で…マガタノもあまり使えない状態で戦ったの…その結果、一つの街が壊滅したらしいわ…」

「「「「壊滅?!!」」」」

「愛優美ってそんなに強かったの?」

「えぇ…愛優美はあのとき、地球を壊せた…しげるが止めなかったら地球はないと同じ…だから、そういったんだと思うわ」

「そうだったんだ…」

 

依姫達がいる部屋の扉が開かれ、天之河が入ってきた。どうやら、正気に戻っているようで、寝ている零を見ても聖剣を取る素振りをしなかった。

 

「ここにいたのか……」

「光輝…目が覚めたのね、体調はどう?」

「あ、あぁ…大丈夫だ…紅蓮はなんで寝ているんだ?」

「零は疲れたみたいで寝ているのよ」

 

雫がそう言った時だった。神代魔法があった部屋から魔力の波動のような物が発生した。

 

「「ハジメくん!!」」

 

香織とシアは一目散に神代魔法の部屋へと向かった。それに続くようにティオ達が向かった。

 

「あれ、依姫さん達は行かないんですか?」

「私達はしげるが起きるのを待つわ。ジャベリン達も向かっていいのよ?」

「いえいえ!指揮官を守るのも私達の役目ですから!」

 

そう言うと、鈴達は香織達を追って神代魔法の部屋へと向かった。依姫達は零の目覚めを待ちながら、雫達の帰りを待った。その際、懐かしい話などをしていると、零の体が動いた。

 

「しげる?」

 

目を開けない零を心配して、顔を覗いた。すると、神力の波動が出て、零が目を開けて起き上がった。だが、それは零ではなく、零の体から出てきている幻影のような物だった。

 

「零、みんな!!」

 

ハジメ達が神力を感じて帰ってきた。ハジメの手には鍵のような物があった。

 

「零…なのか?」

「違う…しげるとは何か違う」

「目の色とかが違う…かな?」

 

よく見ると目の色が2つ共赤色になっていた。赤色の零は周囲を見渡して、依姫達を見た。

 

『はじめまして…でいいかな?私は愛優美、これからよろしくね』

 

発した言葉に全員が目を丸くして驚いた。声は愛優美と一致し、名前も愛優美だったからだ。

 

「な、なにを言っているんだ…?はじめまして?俺達はクラスメートだろ…?」

 

天之河がそう言うと、愛優美は首を傾げた。でも、しばらくして何かに納得したのか、零を見た。

 

『そう…やっぱり()()したのね…』

「失敗だと?どういうことだ?」

『……わかったわ。話しましょう…私とお兄さん…そして《この子》の話…』

「この子?それってしげるのこと?」

 

依姫がそう言うと、愛優美は目を見開いて驚き、微笑んだ。

 

『そう…この子にはもう立派な名前があるのね…もう貴方は《名も無き英雄》ではなくなったのね……しげる……いい名前じゃない………それじゃぁ、話すわね…………私の正体から話すわ』

「愛優美の正体…?」

『えぇ…私の正体よ。それはね、この子…しげるのもう一つの人格……といったところかしらね』

「どういうことですか?」

 

愛優美が言っていることの理解ができないシアがそう言った。

 

『まず…しげるとお兄さんの種族…英雄(イロアス)について話すわ。英雄は地球と同じような文明があったわ。殆ど同じね…そこにはこの世界にないような色んなアニメ、漫画、小説、映画があったの』

「ほぉ…例えばどんなのだ?」

『そうね、例えるならば…仮面ライダー、ウルトラマン、ゴジラ、ガメラなどよ』

「それじゃ…俺が使っている仮面ライダーの力とかは…」

『本物よ』

「えっと…他に何かないんですか?」

『そうね…あ、大事なことを言ってなかったね…英雄は闇の種族なの。闇の種族って言うのはね、破壊と殺戮を繰り返す種族なの』

「でも、零は殺戮なんてしてないわよ?」

『うん、それはね…零が光と闇が混じった種族だからなの。だから、ウルトラマンや仮面ライダーの力も使えて、怪獣達の力も使えるの。でも、光よりも闇のほうが強大だった…その理由が私とマガタノ。私とマガタノが闇の力を持ってたから、光のほうが弱く見えたの』

「マガタノもいたの?」

『うん。マガタノはしげるの半身……しげる自身って言ってもいいかな?』

「それで、《失敗》ってのは?あと、《名も無き英雄》ってのは?」

『そのことなんだけど…まず、《名も無き英雄》について話すわね。《名も無き英雄》はそのまま、名前のない英雄のこと……しげるわね、光と闇の存在…闇でも光でもどちらでもない、中央の位置に存在するから、名前が無かった…私達英雄にとって、名前は凄く大事な物なの。人でいう恋人、命、親友、幼馴染、お金、3大欲求とか…それ以上に大事な物なの』

 

愛優美がそう言うと、天之河の顔が少し青くなった。

 

『名前はね、一人前の証拠なの…あ、名前はだいたい親がつけてくれるの』

「お前は誰につけてもらったんだ?」

『しげるにだよ?いい名前でしょ?まぁ、しげるがつけた時点でいい名前だけどね!それでね、私は名前をつけて貰ってすぐに死んじゃったの…』

「は?死んだ?」

『うん、死んじゃったの。原因はわからないんだけどね…それで、しげるとお兄さんは私に肉体をつけて蘇らせようとしたの…あんまり使えないマガタノの力も使ってね…………その結果、失敗。そして英雄の惑星は壊滅、しげるとお兄さんは肉体、魂、精神に別れて色んな世界へと散らばってしまった…』

「その一つが地球に落ちて、しげるが生まれた。だから、生まれたときの記憶がなかったってこと?」

『うん、でも、私は蘇ったの…それで、しげるとお兄さんのパーツを集めてしげるを探したの…でも、自分が何者かわからなくなって…ようやく見つけたしげるは知らない女の子達と一緒にいて………その…』

「嫉妬して攻撃した…そういうわけか?」

『うぐっ………』

「それで、主はどうして倒れたの?」

『あ、それはね!お兄さんが集めたパーツを取り込んで、元の姿に戻ろうとしているの』

「愛優美はどうするんだ?」

『私?もちろん、しげるの別人格として、もう一度いるよ!』

 

そう言い、愛優美は可愛いポーズを取った。だが、見た目が零なため、あまり可愛くなかった。

 

『他に聞きたいこととかない?』

「記憶ってどこまであるんですか?」

『う〜ん…あ、私が死んだときの記憶までだけど…赤ん坊のしげるを優しそうな人に渡した記憶ならあるよ!』

「へぇ〜……あ、零くんの別人格になるって言ってたけど、戦えるの?」

『もちろん!!』

「はいはーい!愛優美は好きな人とかいるの?」

『しげるに決まってるじゃん!一回だけ好きって言ったことあるもん!』

「結果は?」

『《いや、お前俺の別人格だろ?つまり、俺は俺が好きになったってことだろ?ナルシストみたいで嫌だな》って言われちゃって……』

「そうなんだね…」

「「「「「いや、合ってるだろ」」」」」

「ハジメくん達は黙って!」

『あ、そろそろしげるが目を覚ますみたいだから、体の中に戻るね!』

 

そう言うと、愛優美の幻影は零の体の中に戻ると、零が目を覚ました。覚ましてすぐに無くなった記憶があることに気づき、記憶の内容を知ると、涙を流した。その後、突然話しかけてきた愛優美を殴ろうとして、依姫達に止められた。



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紅き夢と口喧嘩

零「作者からの伝言。『来週の月曜日から投稿する順番を変えます。
毎週月曜日《これがありふれてたらよかったのに》
毎週火曜日《ありふれない人間?は世界最恐》
毎週水曜日《ありふれない名も無き英雄は世界最強》
毎週木曜日《大切な人を守れる人間へ》
毎週金曜日は何かを投稿するかもしれません。休んでるかも
毎週土曜日《黄色いタコよりも早いスピードを出す人?がE組卒業してありふれた異世界へ》
毎週日曜日《異世界は怪獣とヒーローとともに》

時間はいつもどおり不明で、何話ずつ投稿するかわかりませんが1話は投稿する予定です。無理だったら活動報告で言います。』だそうだ」


零とハジメは困っていた。

 

『いーやーだ!いーやーだ!私のなの!クローズマグマは私のなの!だからそのマグマナックルとボトルとビルドドライバーを返して!』

 

愛優美が駄々を捏ねていた。なぜなら、本来の零に戻ったため、今までなぜか使えなかったクローズマグマが使えてしまう。しかも、幸利も全平成ライダーの力が使えるため、クローズマグマの力も使える。それが嫌な愛優美は幻影となって零達の前に出て、子供のように駄々を捏ね始めた。

 

「そんなこと言ってると、ここに置いていくぞ……あれ?」

 

《ハルツィナ樹海》にまでワープホールを繋ごうとしたが、何故か繋がらなかった。

 

『バカめ!私からそんな遠い距離まで離れれることなんて「マガタノ、バロッサ星人()の星に連れて行ってやるから愛優美を連れてこい」え?「はーい!」うそ?!』

 

愛優美は幻影の状態でマガタノに首筋を掴まれ、引きずられるように零の前へと連れて行かれた。愛優美は泣きそうな目で零を見た。

 

『ひっぐ…ぐすん…』

「………安心しろ、俺もグリスブリザードを幸利に奪われたから」

「おい!」

『アハハハ!奪われてやんの!「お前がそれ言うな!!」痛い!?殴られた?!「殴った」…殴った……殴ったな!パパにも殴られたことないの「知らねぇよ!」また打った?!』

「ほら、さっさと俺の中に戻れ。さもないと、大昔にお前にやられた仕返しとして、《ハルツィナ樹海》の迷宮に打ち込むぞ」

「「「「「ヒィっ!!!?」」」」」

 

女性の依姫達はもちろん、男性であるハジメ達も同じくちょっと悲鳴を上げた。

 

『フッフッフ…何が来ても私は大丈夫!なぜなら、私は現最強のしげるの別人格だから!!マガタノ、もちろん手伝って「あれは生理的に嫌!」うそ…マガタノが前よりも好き嫌いが激しくなった…?』

 

愛優美はマガタノに否定されたことよりも、マガタノが嫌がったことに驚いた。

 

『そんな…昔はタランチュラも増殖するGも平気な顔で食べてたのに…!?』

「…………」

 

零はそんなことを言っている愛優美を見ていると、後ろからハジメと幸利が肩を掴んできた。

 

「おいおい、龍神さんよ〜」

「マガタノは奴らを食えたんだって?」

「まぁ、昔の話だがな」

「なんで食わなくなったのか聞こうじゃないか」

 

ハジメがそう言うと、零は部屋の端っこまでハジメと幸利を連れて行き、しゃがんで小声で話した。

 

「食わなくなった理由なんだが…昔、マガタノは一度だけGを食ったことあったんだ。だが、その次の日、マガタノの口の中から大量のGが溢れ出てきてな…それでマガタノはGを食わなくなったんだ」

「「待って想像したら吐き気出てきた」」

 

そしてハジメと幸利は別の部屋に向かって行った。その後、零は愛優美の頭を叩いた。

 

「俺とマガタノなしで一人で行け!」

『やだやだやだ!!私、一人でなんて絶対に嫌だ!』

「…………はぁ…」

『ねぇ、そのため息なに?理由によってはここがしげるの墓場になるけど……色んな意味で』

「いや、これが俺の別人格だとはな…って思ったら…悲しくなってきた」

スゥー………ねぇ、依姫、フミア、雫、昔のしげるの話…………聞きたくない?』

「おい」

 

愛優美はそう言うと零の静止を聞かずに依姫達のところへと向かった。零は止めようとしたが、帰ってきたハジメ達に捕まってしまった。

 

『しげるはねー!昔、女性が怖かったんだよー!!』

 

愛優美は部屋全体響くほどの声で言い始めた。それを聞いた全員が零の方に振り向いた。

 

「………それ言ったら、お前は未だに夜中一人で寝れないだろ?」

『ッ!!そ、そそそそそんなことないしー…………………一人で寝ることなんて余裕だし

「ちなみにこいつ、昔の話になるけど、頑張って具現化して、俺のベッドに入ってきたとき、俺が水飲みに行った数十秒後に泣きながら俺のところ来たからな」

『それ言ったら?しげるも私以外の女性と話したことなかったじゃん!』

「しげる、さっきも言ってたけど、女性が怖かったの?」

「あぁ、あのときは本当に怖かった…名前のないヤツは人権なしみたいなのあったからな………女を怒らせたときの恐怖ってそのとき知ったんだよな…」

 

そう言い、零は明後日の方を向いた。ちなみに、愛優美はまだクローズマグマのことを言っており、零に強制的に体の中に戻された。だが、普通に出てくる。

 

「はぁぁぁ……なんでも一つだけ言うことを聞いてやるから、それで我慢しろ」

『え?いいの?やったー!』

 

そう言うと、愛優美は大人しくなった。



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ファンタジーな脱出

愛優美が駄々を捏ねてから数分後、ハジメのクリスタルキーの実験として、まず、《ハルツィナ樹海》に行くことになった。

 

「あ、あの…師匠…私のことについては…」

「………黙っていたほうがいいな。なんか後々に色々と言われそうだ」

「えっと…わかりました」

 

そしてハジメのクリスタルキーが起動したようで、空間に波紋が現れた。そこから波紋が広がっていき、人一人が通れるぐらいの大きさになると、ゲートの向こう側の景色が見えた。

 

「え、最近の兎ってここまで戦闘狂なの…?」

 

零達は聞き覚えのない声に首を傾げるが、その声の主が誰なのか気づくと、すぐにゲートの向こう側へと向かった。だが、零とハジメと幸利はゲートを通るとき、マガタノを見た。そして、ゲートを通ってからその声の主の名前を叫んだ。

 

「浩介!浩介か!?」

「あ、零、ハジメ、幸利!」

 

周りにいたカム達は首を傾げて、零達が名を呼んだ者を探した。だが、見当たらず、一度零達の視線の先を見た。

 

「零、ハジメ、幸利!聞いてくれ!!」

「…あれ、俺達って無視されてる?」

「光輝、悲しいこと言うな…」

 

そんな天之河達を横目に浩介は零達の前まで来た。そこでようやくカム達は浩介を視認できたようで、急に現れた浩介に驚き、武器を構えていた。

 

「で、どうしたんだ?」

「聞いてくれ!先生達が攫われ「あ、ストップ」な、なんだよ…」

「お前、3回回って吠えろ」

「「「「え…?」」」」

 

突然幸利がそう言った。雫達は目を見開いて驚き、幸利を見た。零達は何か納得したような顔をして、幸利達を見た。

 

「な、なんでそんなこと…」

「なに言ってんだよ。お前は俺の下僕だろ?なら、さっさとやれよ」

「わ、わかった…」

 

そう言うと、浩介は幸利に言われたことをやり始めた。零は浩介が2回回ったところで止めて、浩介の頭を持って地面に叩きつけた。

 

「ザラブ星人か」

「「「?!」」」

「まさか、俺達の親友に化けるとはな」

「あぁ、しかも影が薄いところまで再現しやがって…()()()()()()()()()()()()()()()()()気づかなかったぞ」

「ほえ?」

 

すると、零が掴んでいた浩介が変形して、ザラブ星人へと姿を変えた。

 

『な、なぜだ…!』

「アホか。本物だったら自ら姿を現さねぇよ」

『ぐっ…こ、殺さ「あ、無理」がぁあああ?!!』

 

ザラブ星人が命乞いをした瞬間、マガタノがザラブ星人を足先から食べ始めた。

 

「………わざわざ浩介になって来る理由なんてあるのか…?」

「わからない…あ、そう言えば《氷雪洞窟》の近く魔王城とかなかったっけ?」

「あぁ、あるな。あれがどうしたんだ?」

「いや…エヒトとアイツをぶっ飛ばす前に、フリードを殴り飛ばさねぇか?」

「…ん。魔人領は《氷雪洞窟》が一番近かったはず…」

「なら、《氷雪洞窟》から出るか」

 

そして、クリスタルキーのゲートを通って《氷雪洞窟》へと戻った。戻ってきてすぐにシアがハジメに《氷雪洞窟》の攻略の証を渡した。

 

「もうすぐ…もうすぐだよな」

「しげる、どうしたの?」

「ん?いや、ちょっとな…」

『しげる…この世界での「「しゃぁああああ!!」」え、え、なに?!』

 

愛優美が零に何かを言おうとした瞬間、ハジメと幸利声が聞こえた。振り返ると、ハジメの前に氷でできた竜がいた。

 

「なんだあれ…」

「あ、零!この竜に乗って迷宮から出るんだって」

「そ、そうか」

 

そして零達は氷の竜に乗って、迷宮から脱出した。竜は天井の氷が溶けてできた通路を飛び、地上を出て、雲を突き抜けた。雲の上を通って目的地まで飛んだ。

 

「なぁ…ミレディ、なんで解放者の女性ってあんな脱出方法なんだ?」

「うぐ…な、なんでだろうね〜」

「目を背けるな」

 

そして、目的地についたのか、竜は高度を下げ始めた。どうやら、境界の先には行けないらしい。

 

「私が境界を弄りましょうか?」

「やめとけ。ハジメ達はこれで楽しんでるっぽいからな」

 

氷の竜は地上に降りて、零達を降ろすと、何処かへと飛んでいった。そして、視界を遮るほどの吹雪を物ともせず、零達は境界へと向かった。

 

「全員、警戒態勢」

「標的が自ら出てきてくれたっぽいな」

 

零達が言うと、全員各々の武器を構える。そして、吹雪の先へと進んだ。

 

「やはりここに出るか…迷宮の攻略はできたか?人間」

『ギュアアアァァァン!!!』

 

そこにはフリードとおびただしい数の竜とノイント、そして通常よりも巨大なマザーレギオンがいた。



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人質

零は通常の倍の巨体を持つマザーレギオンに少し驚きながら、フリードを見た。

 

「今は貴様等と殺し合いをするつもりはない。地に這わせ、許しを乞わせたいのは山々だがな…」

「なら、何をしに来たんだ?駄々を捏ねるしか能無しの神に絶望して、自殺しに来たのかと思ったんだがな?」

「まぁ、今は殺し合いしなくても、後々やるんだろうがな」

「めっちゃどうでもいいんだけど、あの後ろの怪獣なに?」

「後で説明だけはする。今はそこの能無し神の配下の馬鹿魔人をぶっ飛ばすことだけ考えろ」

 

そう言うと、幸利は《ジクウドライバー》を手に取った。

 

「挑発には乗らん。全ては我が主が私にお与え下さった命。私はただそれを遂行するのみ」

「それで?」

「寛容なる我が主は、貴様等の言動に目を瞑り、居城へと招いて下さっている。我等はその迎えだ。あの御方に拝謁できるなど有り得ない幸運。感動に打ち震えるが「「「断る」」」…なに?」

 

零達はフリードを睨みつけながら声を合わせて言った。

 

「そもそも、礼儀がなってねぇよ。招待したいのなら、後ろのノイントもレギオンも連れてくるな。攻撃する気満々じゃねぇか、テメェふざけんなよ」

「神だか、髪だか、紙だか知らんが、招待なんてどうだっていい。俺達が探してるのはエヒトだ」

「エヒト以外の神に用はねぇよ」

「…アルヴ様は確かに神《エヒト》様の眷属であらせられるが…同時に我等魔人族の王、魔王様でもあるのだ。神界よりこの穢れた地上へ降りられ、長きに渡り、偉大なる目的のため我等魔人族を導いて下さっていたのだよ」

 

零達三人はフリードの話がどうでもいいのか、マザーレギオンとノイントの対策を密かに考えていた。

 

「つか、なんか《穢れている地上》ってところ、なんか昔の月の都に似てるな」

「言わないで、あの時は、その、色々あったから…ね?」

「まぁ、そうだな。とりあえず、邪魔なコイツらを殺るか。ハジメ、幸利、みんな」

 

そう言うと、幸利がジオウに変身した。ハジメが愛銃をフリード達に向け、攻撃態勢が整った。その時だった。零達の前に鏡のようなものが現れた。

それは空間魔法の一つのようで、遠く離れた場所の光景を見せれる魔法のようだった。

鏡に映し出された光景はどこかの城の玉座ようだが、ハイリヒ王国の玉座ではなかった。今のこの世界に城はハイリヒ王国以外では唯一つ。魔人族の魔王城だった。

鏡にノイズが走り、景色が変わった。変わったあとの景色には檻のようなものが見えた。

 

「…チッめんどくせぇ」

「「リリィ!!」」

「浩介、みんな!!」

 

檻の中には愛子先生や浩介、異世界組だけではなく、リリィ達もいた。ハジメはすぐに《羅針盤》で浩介達の場所を探った。

 

「…本物みたいだな」

「ほう、少年。お前が持つそのアーティファッ!!?」

 

フリードが《羅針盤》のことでハジメに話しかけようとした瞬間、フリードの後ろにいたノイントの半数以上が塵とかして、消えた。

 

「話は終わりだ。ハジメ、幸利、殺るぞ」

『あれ?私は?』

「威勢のいいことだ…半分消されたとはいえ、これだけの使徒様を前にして正気とは思えんがな……なら、ここでもう一枚のカードを切らせてもらおう」

「「「あ?」」」

 

鏡の景色がまた変わった。愛子先生達の檻の横に、まだ幾つかの檻があったようだ。そのうちの一つは数人ようで、他の檻は()()()()()()()()()()()()だった。その檻の中にいる人物が映し出された瞬間、世界から、音、光が消えた。通常の倍もあったマザーレギオンが体を真っ二つにされ、塵となり、ノイント達は羽と浮力を失い、地面に落ちた。それはフリードも同じだった。

 

「ッ!?き、貴様…!あの魚モドキ共や怪獣モドキ共、()()()()がどうなってもいいのか!」

 

フリードが言っている魚モドキは当然、レミアやユミナ達だ。そして怪獣モドキ共はゴモラ、メカ、サイバーだけではなかった。巨大な檻の中に何がいるか、それは《石化したティガ》だった。では、人間の女とは誰なのか。

 

「「「誰?」」」

『え、待って…あの人って…』

 

雫達は誰なのか知らないが、零達は知っていた。

 

「玖珂…奈美…!?」

「…ん。依姫、あれって誰なの?」

「……《氷雪洞窟》で愛優美や私が話した事、覚えてる?」

「愛優美さんが地球を壊せたって話?」

「…そこで愛優美が狙って、しげるが守っていた人物…しげるという名前をつけたのがあの檻の中にいる女性…玖珂奈美よ。でも、なんでトータスに…?」

「……幻想郷に奈美がいない…ってことは、もしかして奈美が地球に行っていた…?」

「地球にいたところを連れて来られたのか…」

 

零達は鏡から視線を外し、フリードを見た。フリードは魔王城に連れてくる口実を作ったつもりだったが、怒らせてはいけない三人を怒らせてしまった。

 

「いいだろう。招待に応じてやる」

「ふ、ふん…最初からそう言っていれば良い物を…さぁ、我が主の元へ案内しよう…粗相をしなければ、あの()()()()()()と今一度触れ合えることもあるだろう。あんな()()()()()()のなにがッ!!?」

 

自身の子に対してそう言ったフリードに3人の目が向けられる。すると、フリードは生きてる心地がしなかったようで、少し後退り、尻もちをついた。

 

「そうだった。少年、転移の前に武装を解いて「断る」…なんだと?」

「聞こえないのか?断ると言ったんだ」

「己の立場を理解できていないのか?貴様等に拒否権などない。黙って従わねば、あの醜い母娘が「何を勘違いしている?」な、なんだと?」

「ミュウ達を人質に取れば、俺達が言うことを聞くと思っているのか?逆だ逆。お前らがやったことは…神々の一人の逆鱗に触れる行為をしたんだ…お前も魔人族も…この世界で生き残る保証はもうなくなった」

 

ハジメがそう言うと、フリードの横に使徒の一人が降りてきた。

 

「フリード、不毛なことは止めなさい。あの御方は、このような些事を気にしません。あと、我等が控えている限り、万が一はありません。イレギュラーへの拘束は我等の存在そのもので足ります」

「半数以上一瞬で消えたくせに、何を言っているのやら」

「私の名は《アハト》と申します。イレギュラー、あなたとノイントとの戦闘データは既に解析済みです。二度も、我等に勝てるなどとは思わないことです。それと、裏切り者のもう一人のノイントは頼りにしないほうが良いかと」

 

アハトはそう言うが、零達の魔力などが入り混じった波動で飛べなくなっていた使徒になにができるのだろうか。そして、フリードが転移魔法を発動した。



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偽りか真か、どちらもか

零達はフリードによって玉座らしき物の前に連れてこられた。そこにはミュウ達がいた。零達が来ると、檻の扉が開かれてミュウ達がハジメ達に向かって走ってきた。ハジメ達はそれを優しく抱きしめた。

ハジメ達がミュウを抱き締めている間、零がミュウ達といた一人の少女、玖珂奈美と見つめ合っていた。

 

「久しぶりね…しげる」

「なんで…お前がここに…?」

「それは私が聞きたいわよ!突然現れた変な魔法陣に連れてこられたの!」

 

どうやら零達が連れてこられた召喚魔法によって来たようだった。零は奈美を優しく抱きしめた。

 

「し、しげる…?色んな人が見てるところではちょっと…」

『しげるは心配してるんだよ?貴方が無事だったことがどれほど嬉しいのか…』

 

石化したティガを回収した愛優美が零の後ろから顔を覗かせた。

 

「えっと…愛優美なの?私が知ってる愛優美はもっとこう…残酷で…男にも女にもなれて、生命体を見たら手当り次第殺すって感じなんだけど…」

『なにそれ!全然違うんだけど!?そもそもそれは「いつの時代も、いいものだ。家族の絆というものはな……私にも経験があるから分かるよ。まぁ、私の場合、姪と叔父という関係だったけれどね」ッ!?誰!?』

 

零達が再会に喜んでいると、玉座にオーロラカーテンが出現して、そこから金髪の老人らしき人物が現れた。

 

「うそ…どうして…」

「ユエ…?」

 

現れた金髪を見て、ユエが後退りした。ハジメはユエの行動に驚き、金髪を見た。

 

「やぁ、アレーティア………久しぶりだね、相変わらず、君は小さく可愛らしい」

「そんな…叔父…さま…?」

 

ユエと金髪の会話に付いてこれなかったハジメ達はお互いの顔を一度見た。

 

「「「は?………はぁぁぁぁ?!!!」」」

 

ハジメ達の驚愕の声は重なり合い、余計に煩くなった。だが、その中で零達は静かに金髪を見た。すると、金髪が何かの魔法を発動したようで、周りの使徒やフリード達が動かなくなり、地面に伏せた。

 

「なにをした?」

「「盗聴と監視を誤魔化すための結界だよ。外の使徒達には私が用意した別の声と光景を見せている。これで気軽に話せるね」

「…なんのつもりだ?」

「紅蓮零君、南雲ハジメ君…といったね。君達の警戒心はもっとも。だから、回りくどいのは無しにして、単刀直入に言う。私はガーランド魔王国の現魔王にして、元吸血鬼の国アヴァタール王国の宰相……ディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタール……神に反逆する者だ」

 

零やハジメ達は何かに気付いたのか、黙り、天之河達は驚いた顔をしていた。

 

「うそ…そんなはずない!叔父様は私のように先祖返りじゃない!叔父様の振りをするな!!」

「混乱してッ?!!」

 

金髪が喋ろうとしたときだった。2発の弾丸が金髪の顔の横を通った。その弾丸はハジメと幸利によるものだった。

 

「本当にお前がユエの叔父さんだって言うのなら、何故ユエを閉じ込めた?フリードはお前のことをアルヴと言っていた。アルヴとはなんだ?」

「何故、エヒトの遊戯を手伝う?何故、直接会いに来ない?」

「そもそもユエは自身の力で何百年も生きている。だが、お前はもう300年は超えているはず。なんで生きているんだ?つか、人質を開放しろ。話はそれからだ」

 

零がそう言うと、金髪はリリィ達の檻を消して開放した。

 

「最近の若い子は質問を一気にするんだね」

「ハジメ達はそうでも、俺達はお前よりも若くねぇよ。こちとら億超えてんだよ」

「そうだね―――」

 

そこから金髪、アルヴは一つ一つ、全てを説明した。零達が質問したこと以外の全ても。

 

「人質はそうだね…こうでもしないと会うことすらしてもらえない。そう思ってね。それに、いざというときのために彼等を保護するという目的でもあった。怪我に関しては許して欲しい。迎えに行ったのが使徒だったことと、彼女達がいるから癒して上げることが出来なくてね。一応、死なせないようにと命じてはいたんだが…これからアレーティア共々、仲間になるかもしれないのだしね」

「…仲間?」

「アレーティア。どうか信じて欲しい。私は、今も昔も、君を愛している。再び見まみえるこの日をどれだけ待ち侘びたか。この三百年、君を忘れた日はなかったよ。アレーティア、一緒に行こう。共に神を―――」

 

ハジメがアルヴが言い終わる前にまた撃った。それも頭に撃ったのだ。天之河達はハジメを責めるが、ハジメはそれを無視してアルヴに言った。

 

「ドカスが挽き肉にするぞ」

「いや、ミンチのほうが…」

「あ、マガタノに食わせるならステーキにしろよ」

 

空気を読まない零と幸利二人組がハジメに続くように言った。零達も天之河に責められる。すると、零達は本気の目をしてハジメの隣に立った。

 

「さっきからずっとアレーティア、アレーティア、アレーティアうるせぇんだよ。アレーティア連呼してんじゃねぇよ。コイツはユエだ。テメェがいう《私の可愛いアレーティア》でも、テメェの《ユエ》でもねぇ。《俺のユエ》だ!そこんところ間違えんじゃねぇよ」

「「嫉妬ダダ漏れじゃねぇか!!」」

「…ん。ハジメ…嫉妬嬉しい…」

 

ハジメとユエが抱きしめ合うと、零は《マガタノ刀》を、幸利は《ジクウドライバー》をアルヴに向けた。

 

「テメェ、さっき《家族の絆は素晴らしい》とか言ったよな?ふざけんなよ?()()()()()()()()()()()()()()()が《家族の絆》を語るんじゃねぇ!」

「本当に家族なら、娘の恋人の仲間を人質に取ったりしねぇ、娘を牢獄にだっていれねぇ!《家族の絆》を語るんだったら、まず子供を持ってから言いやがれ!!」

 

零と幸利がそう言うと、玉座の方から拍手が聞こえた。

 

「いやぁ、ハハハ…多少の不自然さがあっても、恋人の父親も同然の相手には、少しは鈍ると思っていたのだが…まさか、そんな理由でいきなり攻撃するとは……読めんな…いつの時代も人間の心とやらも…絆もな…」

「お前はアルヴとやらで良いんだな?」

「あぁ、だが…肉体は別だがな?フンッ!!」

 

アルヴが手の平を前に出して、何かの呪文を唱えると、手の平から何らかの黒い煙のような物が天之河を包み込んだ。

 

「え?あがぁ?!あああぁぁあああ!!!?」

「「「「天之河?!」」」」

「「「光輝!!」」」

 

霧が天之河の体の中に入ると、天之河の目が赤色に変わり、突然零達を襲い始めた。

 

「くっ…洗脳?!」

『洗脳だけじゃない、何かが中に入ってる!!』

 

すると、天之河の体から霧のような物が現れ、天之河の手元に集まった。すると、そこには《オーブリング》に似た《オーブリング・ネオ》が握られていた。

 

「まさか…!」

 

天之河は《オーブリング・ネオ》を使い、《ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ》に変身した。

 

「幸利、ハジメ!」

「あぁ、こっちは任せろ!」

「そのデカブツをさっさと倒せ!!」

「わかった!愛優美、行けるか?!」

『バッチリだよ!今の私達ならなんにでもなれそう!』

 

零は愛優美が起こした光の竜巻に飲まれて、《ウルトラマンギンガ》へと、愛優美は闇の竜巻に飲まれて《ダークルギエル》へと変身した。

 

この時の零達は誰も知らなかった。これが罠だと言うこと、エヒトの目的がなんなのかも。



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破壊者襲来

零と愛優美がオーブダークと戦っている中、ハジメ達はフリード達と戦っていた。

 

「幸利、ジオウで戦えるか?」

「あぁ、任せろ!」

 

そう言うと、ハジメは幸利から離れ、《神の使徒》に銃弾を浴びせる。だが、何体かは避け、幸利に襲いかかろうとした。だが、変身の余波で吹き飛ばされた。

 

『行くぜ!』

 

幸利は《神の使徒》に斬り掛かった。その後ろでは、零達が戦っていた。

 

「フリードが言っていた変身者か…」

 

アルヴは一つのライドウォッチを起動して、自身につけた。すると、黒い煙に包まれ、アルヴの姿が変わった。

 

『あれは…!!』

 

魔王、その言葉通りの姿、《アナザーディケイド》へと姿を変えた。アルヴは幾つかのライドウォッチを起動し、使徒に向けて放った。

 

『まさか…アナザーライダー?!』

 

使徒は次々に《アナザーライダー》へと姿を変えた。クウガからビルドまでの全ての《アナザーライダー》が現れた。

 

「おい、幸利!どうするんだ?!」

『1体ずつ倒すしか…だが、俺にまだそんなことできるほど強くない…!だが、やる!!』

 

幸利は《グランドジオウ》に変身し、全てのライダーの像に触れて、仮面ライダー達を召喚した。

 

『行くぞ!』

 

幸利が《アナザーライダー》に向かっていくのを見て、ハジメは残りの《神の使徒》と戦っている耀や依姫、ユエ達の方へと向かった。

______________________

ハジメや幸利達が戦っている後ろで零達は天之河が変身したオーブダークと戦っていた。愛優美は途中からベリアルに変わり、戦った。だが、オーブダークは零が変身したギンガと愛優美が変身したベリアルの首を掴み、持ち上げていた。

 

『つ、強い…!』

『ま、愛優美!俺の体に戻れ!!コイツをぶっ飛ばすぞ!』

『うん!』

 

マガタノと愛優美を吸収し、零は《ニューノヴァ》に変身した。

 

『返せ…雫を返せ!香織を返せぇぇ!!

 

オーブダークがそう言うと、オーブダークの体から赤黒い雷が放出された。赤黒い雷は敵味方関係なしに襲い、《神の使徒》の半数以上が倒された。

 

『うおぉぉぉぉぉ!!』

 

オーブダークの《オーブダークカリバー》を片手で受け止め、町の外へ向かって投げた。

 

『クソォ!!』

『『『なっ?!』』』

 

オーブダークはニューノヴァの体に触れた。その瞬間、ニューノヴァが吹き飛ばされた。オーブダークが触れた場所は焼け焦げていた。

 

『バッサー!』

『グエエェェ!!』

 

ニューノヴァの体からマガバッサーが幻影として現れ、オーブダークの周りを飛び、竜巻を作った。

 

『俺は勇者だ。勇者がこんなところで負けたりしない!!』

 

そう言うと、竜巻を割るように聖剣の黒い闇の刃が現れ、マガバッサーの幻影と竜巻を真っ二つに切り裂いた。

 

『ッ?!どこだ、何処へ消えた!!紅蓮!!出てこ『『ゼットォォン』』ッ?!』

 

後ろに移動したニューノヴァがマガゼットンとゼットンの幻影を出していた。オーブダークは二体のゼットンの【一兆度火球】と【マガ光球】を後ろからモロにくらった。

 

『邪魔をするなぁぁ!!!』

 

オーブダークの【ダークオリジウム光線】で二体のゼットンは倒された。ゼットンを倒しても、【ダークオリジウム光線】を止めず、そのままニューノヴァに当てた。

 

『『『うぐっ…!!』』』

 

ニューノヴァは消え、零達はハジメ達が戦っているところまで吹き飛ばされた。

 

「零!」

「くそ…アイツ、かなり強いぞ!!」

「あぁ、見てたらだいたいわかる。あのアルヴとか言うのを倒せれば『だめぇぇぇぇ!」愛優美?!」

「愛優美?!!」

 

愛優美が突然、零の体から離れ、実体化してユエを突き飛ばした。

 

「なにを「ああああぁぁぁぁ?!!!」ッ?!!」

 

ユエがさっきまで立っていた場所に光の柱のような物が現れ、愛優美が飲み込まれた。

______________________

〜???〜

あのどぐされ野郎!!!ヤツの目的はユエではなく、愛優美だったのか!?まさか…愛優美の力が狙い…いや、だったら俺に乗り移れば……そうか、愛優美の能力か!!!



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また失う恐怖

愛優美の悲鳴が響いた。だけど、悲鳴が響いたのはほんの数秒だけだった。まだ叫んでいるのかも知れない。だけど、それは光の柱のせいでわからなくなっていた。

 

「愛優美!」

 

零は光の柱に近づいた。光の柱の中にいるはずの愛優美は見えず、中がどうなっているのかわからなくなっていた。

 

「これは…!!」

 

零は光の柱から神力に似た力を感じ取った。零は右手に同じく神力を纏わせ、光の柱に打つけた。すると、不思議なことに簡単に光の柱が壊れた。光の柱が壊れ、愛優美が見えた。

 

「愛優美…!」

 

愛優美は力無く零の方に倒れた。零は手を伸ばし、愛優美を受け止めた。温かい温もりを感じて、安心したのか愛優美は零の胸元に顔を隠した。

 

「愛優美、あのバカ勇者を「フフフ」ァガッ!?」

「「「「しげる!!!」」」」

「「「「零!!」」」」

 

零の背中から愛優美の手が突き出ていた。愛優美の手が零の体を貫いたのだ。

 

「愛優美…?」

 

ユエは自身を庇った愛優美の変化に驚いていた。愛優美はそんなユエを見て、少しばかり驚いていた。零の体から手を引き抜いた。手を引き抜かれたことで、零の体から血が噴水のように溢れ出し、零は力無く座り込んで動かなくなった。だが、愛優美は気にせずに近くにあった鏡のような物の前に向かった。そして、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「嬉しい誤算だな…まさか、ヤツの妹のほうが手に入るとはな…まぁ、これでヤツも、ヤツの弟も死んだ」

 

そう言い、しゃがんだまま動かない零を見た。

 

「エヒトの名において命ずる。《止まれ》」

「「「「?!!!」」」」

 

愛優美の口から出てきたその名にハジメ達は驚愕した。ハジメ達の最終目標である《エヒト》。それが目の前にいる。

 

『テメェ!良くも零を、愛優美を!!』

 

幸利は相手をエヒトに変え、攻撃をしようとした。すると、愛優美が禍々しい姿へと変わった。その姿は零が《氷雪洞窟》でなった姿に似てたが、少しだけ違った。

 

『ハハハ!これが、この者の力か!』

 

エヒトが指パッチンをした。すると、エヒトから《シーゴラス》《イカルス星人》《ハンザキラン》《キングクラブ》《ベムスター》《バラバ》《レッドキング》の幻影のような物が現れ、そして混ざり合い、人間サイズの《タイラント》となって出現した。

 

『ギュアアアアアァァァァン!!』

『行け、イレギュラー共を根絶やしにしろ』

 

タイラントはエヒトの言うことを聞き、幸利に向かっていった。幸利は《ジカンギレード》で受け止めるが、耐えれず、折れてしまった。そして、幸利は武器がなくなり、無防備になった。

 

『クソがッ!』

 

そして、タイラントが自身の鎌を振り上げ、幸利に振り下ろそうとした。その時だった。エヒトの禍々しかった姿が、元の愛優美に戻っていた。

 

「時間制限…いや、まさか…!!」

 

エヒトの動きが止まったとき、微弱ながら、愛優美の力が感じれた。ハジメ達は愛優美が無事な事に安堵するが、すぐに絶望に変わった。

 

「図に乗るなよ…器如きが…!!エヒトの名において命ずッ!?」

 

エヒトがまた、さっきと同じように【神言】を出そうとしたときだった。エヒトの右腕が肩から切り落とされた。

 

「な、なんだとッ?!エヒトルジュエの名において命ずる!《平伏せ》」

 

エヒトは何に攻撃されたのかわからず、《ハジメ達全員に向かって》そう言った。だが、次は左腕が消し飛んだ。

 

「なんだ、何に攻撃されている?!」

 

エヒトはわからず、周りを見渡した。だが、ハジメ達イレギュラーは全員、床に倒れている。エヒトはすぐに両腕を生やした。

 

「タイラント、すぐに我に攻撃する者を探し出せ!」

 

そう言うと、タイラントはエヒトの方へと振り返った。すると、タイラントは一歩、また一歩と後ろに下がっていった。

 

「どうした、なぜ殺さん?見つけるだけであろう!!」

 

そう言うが、タイラントは()()に恐れるだけで、言うことを聞かなくなった。

 

「くそ………アルヴヘイト。我は一度、【神域】へ戻る。やはり、器はすぐには扱えないようだ。少し調整が必要だ。アルヴヘイト、この場は任せる」

「はっ!我が主」

「フリード、勇者、共に来るがいい。お前達の望み、我が叶えてやろ」

 

そして、エヒトが光の門の向こう側に行くと、フリードだけではなく天之河もその門の向こう側へと向かおうとしていた。

 

「「光輝!」」

「「光輝くん!」」

 

雫達がそう言うが、天之河は見向きもせずに門の向こう側へと行ってしまった。そして、門が閉じ、完全に消えた。

 

この時はまだ誰も気づいていなかった。零の付近の霊力、魔力、神力などがなくなっていることに。



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護られる側?

零「作者から伝言だ。『今日、2022年9月13日から色々変えます。
毎週月曜日『これがありふれてたらよかったのに』or『光の巨人(仮)』or何かを投稿
毎週火曜日『ありふれない人間?は世界最恐』or『やっぱりメカ最高(仮)』or何かを投稿
毎週水曜日『ありふれない名も無き英雄は世界最強』or『ヒーローよりのヴィランのほうが好き』or何かを投稿
毎週木曜日『大切な人を守れる人間へ』or『怪獣の力でヒーローに』or何かを投稿
毎週金曜日『光と闇はありふれる』or『感情が壊れてもヒーローはなれるだろ?』or何かを投稿
毎週土曜日『黄色いタコよりも早いスピードを出す人?がE組卒業してありふれた異世界へ』or何かを投稿
毎週日曜日『異世界は怪獣とヒーローとともに』or何かを投稿

時間はいつもどおり不明で、何話ずつ投稿するかわかりませんが1話は投稿したいです。もし、何も投稿されなかったら休んでるか、忘れている。もしくは非公開の《何か》を投稿していると思います』だそうだ」


零は愛優美をエヒトに奪われ、体を貫かれてから全く動かなくなった。ハジメ達は零を助けたいが、目の前のアルヴ、アナザーディケイドとアナザーライダー達に苦戦していた。

 

「くっ…」

「がはっ…」

 

ハジメ達は壊滅状態に陥っていた。アナザーライダーに対抗できる幸利もアナザーディケイドの光弾で変身解除された。

 

『ふん、所詮は人間。神である我に勝てるはずがない』

 

アルヴは倒れているハジメ達を見ながらそう言った。

 

『さて、ではトドメを…』

 

アルヴがアナザーライダー達に指示を出そうとしたときだった。突然、熱波がアルヴやアナザーライダー達を襲った。アルヴは突然起こった目の前の惨状を理解できなかった。アナザーライダー達は体が溶けるように崩れ落ちた。

 

『な、何が…起こって…』

 

アルヴは恐れた。主であるエヒトと敵対するかのような恐怖に身が包まれた。

 

「げほっ…な、なんだ…?」

 

熱波はハジメ達に当たることはなく、アルヴ達だけを襲っていたようで、ハジメ達は無事だった。だが、ハジメ達もこの惨状に目を疑っていた。自身らが苦戦していたアナザーライダー達が一瞬で消えたからだ。

 

『まだこれだけの力が残っていたか?!なら、さっさと始末を―――』

 

そう言い、アルヴが右手の平を前に出した瞬間、右手が手首から切り離された。アルヴはそれに気づくのに数秒はかかっていた。

 

『な、なぜだ?!なぜ?!…まさかっ!!』

 

アルヴは未だに座り込んでいる零を見た。そこでハジメ達はようやく気づいた。零の周辺だけ魔力などが消えていることに。そして、アルヴが零に触れようとしたときだった。零の体から熱波が発生した。

 

『やはり…だが、コイツは我が主に…!』

 

熱波を浴びたアルヴの手や服は溶け始めていた。

 

「ど、どういう…こと?」

「今のをしげるが…?」

 

依姫やフミアも目を見開いて驚いていた。すると、レミア達と一緒にいるはずの奈美が依姫達のところに来た。

 

「奈美…?!」

「「「「?!」」」」

 

奈美は何も言わず、アルヴがトドメを刺そうとしている零の近くへと向かった。

 

『ほぉ…まだ戦える仲間がいたか…小娘一人で我に勝てるとでも?』

「そ、そうだ…!お前はアイツらのところにいろ!!」

 

ハジメがそう言うが、奈美は何も言わずに零だけを見た。

 

「そうね、私だけでは絶対に勝てないわ」

『わかっているではないか…どうだ?我の下に来ぬか?』

 

アルヴは奈美に手を差し伸ばした。だが、奈美はアルヴの手を取らずに、ただ零を見るだけだった。

 

『どうした?』

「……悪いんだけど、()()()()()に手を出そうとしている輩と手を組みたくないわ」

『ほぉ…では、ここで死ぬが「死ぬのは貴方よ」…なんだと?』

「私の出番…って言うべきなのかしら?」

 

奈美がそう言い、前髪をかきあげた。すると、アルヴの左腕が中を舞った。

 

『は?』

「「「え?!」」」

「「「うそ…?!」」」

 

護られる側だと思っていた奈美がハジメ達が苦戦したアルヴの体に傷を作った。

 

「あらあら、いつから私が護られる側だと思っていたの?」

『だ、だが貴様は今の今まで隠れていたではないか!』

「何を言っているの?隠れることは普通でしょ?それに別に隠れてたばっかじゃないのよ?しげるに神力送ってたんだから」

 

ずっと座り込んでいた零は立ち上がっていた。零はすぐに周りを見た。

 

『な、なんだと…?お前は確かに我が主に…!』

「…愛優美はどこだ?」

『ふ、ふん…あの小娘は我が主によってあああああぁぁぁぁぁぁ?!!!!

 

アルヴの右腕が宙を舞、そして足首から先が消えた。

 

「最近のアナザーライダーはここまでしても変身解除にならないのか」

『ま、待て!いや、待ってくださ「無理に決まってんだろう」ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?

 

アルヴの悲鳴は魔王城全土に響き渡った。

 

『あ、あの女のところに連れて行く!助ける手助けをする!だから、命だけは「知らん。【禍球】」あぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ

 

禍々しい色をした球体がアルヴに当たった。すると、アルヴがその球体へと吸い込まれていった。この瞬間、この世界の神の一柱が消えた。

______________________

〜???〜

全盛期とまではいかないが、かなり力を取り戻しているな。やはり愛優美がいないとな………っと、そろそろ準備だけでもするかな―――



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※サブタイトル思いつかなかった

零はアルヴを殺したあと、空を見上げていた。愛優美を飲み込んだ光の柱も上から降りてきた。

 

「………さて、エヒトぶっ飛ばすための作戦立てるか」

「「「「は?」」」」

 

突然、ハジメ達の方へと振り返った零が突然そんなことを言った。ハジメ達はそれに驚き、呆然としていた。

 

「お前…愛優美を奪われたのになんとも思わないのか?」

「今更だろ。何度も奪われたんだからな………さ、国に戻ろうぜ。そこで人形共への対策とかを考えるぞ」

「あ、あぁ…そうだな」

 

ハジメは改めて零という、しげるという存在の凄さを知った。依姫とフミア、紫達はそんな零を心配し、雫達はクラスメイト達の安否確認をしていた。

 

「しげる、体は大丈夫か?」

「当たり前だろう。数々の修羅場を駆け抜けたんだぞ」

「まぁ…そうだな…」

「それよりも、スキマを開いて王国に帰ったほうがいいんじゃないですか?ほら、クラスメイトさん達が安心できるようにここじゃなくてさ」

「まぁ…そうだな。紫」

 

紫が目が沢山ついているゲートのようなもの、スキマを広げた。クラスメイト達はそれに少し驚いていたが、しげるの仲間の物だと知ると、何故か安心していた。

クラスメイト達はスキマを通って城に戻ってこれたことに安堵したのか、何人かが地面にへたり込んだ。

 

「あ、ハジメ、あの地球に帰れるかもって言うあのアーティファクトは?!」

 

坂上がそういった。それに反応した何人かがハジメを見た。ハジメは何か嫌そうな顔をしていた。

 

「あぁ、無事だ。場所を示す羅針盤もな」

 

それを聞き、何人かが歓声をあげた。何人もが帰れると喜んでいた。

 

「で、でもさ…紅夢さんと天之河は?」

 

その中でたった一人、園部優花が言った。それを聞き、全員が静かに黙って下を向いた。それを見た零は何を思ったのか、たった一言だけ呟いた。

 

「後は俺達がやるからお前ら帰れ。ハジメ、紫に羅針盤を。紫、スキマを開け」

 

そう言い、ハジメは溜息を付きながら紫に羅針盤を渡した。紫は苦笑をして、羅針盤で地球の座標を確認してスキマを開いた。

それに戸惑うクラスメイト達は各々の顔を見合わせていた。

 

「帰りたいヤツは帰れ、生きたいヤツは帰れ。これから先はいつ死んでもおかしく無い戦争だ。それが嫌なヤツはこの先を通って帰れ。ただし、死ぬ勇気があるなら残れ。どっちを選ぼうが誰も何も言わない」

 

クラスメイト達は誰もスキマを通ろうとしなかった。

 

「……ハジメ、コイツらのことは頼んだ」

「お前は何するんだ?」

「後のお楽しみってヤツだ」

 

そう言い、零はスキマを開いて何処かへと向かった。依姫達は行先を知らないらしく、心配そうな顔をしていた。



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ハロウィン限定の番外編!!!

ネタバレあります。それでも言い方はどうぞ


今日はハロウィンの日というやつだ。俺は一番年上で、子供達にお菓子を渡さないといけない。だが、俺は思う。

 

「ハジメ、幸利、浩介、その厨二全開の戦闘服を着てどうした?」

「「「うぐぅ!!」」」

 

何故か3人が全員同じ、しかもトータスでのハジメの戦闘服を着ていた。ハジメのあの時と全く同じ姿だ。

 

「「「と、トリック・オア・トリート……」」」

「は?」

「トリック・オア・トリート!菓子だ菓子!」

「菓子を渡せぇ!」

「じゃねぇとイタズラをすむぐぉが?!!」

「「こ、浩介ぇ!!?」」

 

零は浩介の口の中に愛優美が作った《失敗作》と言うタイトルのお菓子を打ち込んだ。すると、浩介が苦しそうに藻掻き、やがて動かなくなる。

 

「おいおいおい…待てよ。な?落ち着け、ほら、お前の子供達にお菓子を配ってむぐぁ!!?」

 

《オーロラカーテン》で逃げようとした幸利にも、浩介と同じように愛優美作の《また失敗しちゃった☆》と言うタイトルの菓子を打ち込んだ。

 

「……零、悪かった。どうだ?ここは穏便に済ませないか?俺にも渡さなくちゃいけない相手がいる」

「………そうだな。お前も愛妻家だったな」

「あぁ、そうだ。さ、一緒にミュウ達に菓子を配ろうぜ」

 

零はハジメにそう言われたため、愛優美作の《なんか周りの物を吸い込むお菓子☆》を仕舞い、ちゃんとしたお菓子を持ってミュウ達のところへと向かった。

 

「よぉ!お前ら、盛り上がってるか?」

 

そう言い、リビングを開けると、依姫達がパーティーをしていた。幻想郷の住民だけではなく、雫達も楽しく参加している。

 

「あ、おーい!」

 

そこへ、こたるがやってきた。こたるは零の肉片に魂を宿らせて、蘇らせた人物だ。秘封倶楽部の仲間で、メリーと蓮子とも仲がいい。そしてレミリアの恋人で、紅魔館に住んでいる。能力は《ナイフを操る程度の能力》だ。

 

「おい、聞いて驚け…イルが紅魔館を爆発させたぞ!!」

「は?!」

 

イルとはこたる同様、零の肉片に魂を宿らせ、蘇った人物だ。今はこたると共に紅魔館に住んでいる。フランの恋人であり、秘封倶楽部の仲間でもある。能力は《自身の分身を増やす程度の能力》だ。そんなイルが紅魔館を爆発させたことに驚きだった。

 

「バカのように見えて、結構頭のいいアイツがなにやらかしたんだ?」

「あぁ、実はな。フランと鬼ごっこ中に図書館に入ったんだ。そこで運悪くパチェとユエが魔法の実験をしててな、その魔法陣を爆発させたんだ」

「なるほどなるほど?」

「そしたら紅魔館が大爆発、全員無事だが、紅魔館が跡形もなく消し飛んだんだ!てことで、俺達全員をお前の家で過ごさせてくれ」

「それはいいが……そのバカはどこにいる?」

「今は紅魔館の修復作業中だ。まぁ、仕方ねぇよなぁ」

 

そう言うと、こたるが走ってレミリアのところへと戻っていった。

そして零は全員が聞こえる位置にまで行き、こう叫んだ。

 

「さ、お前ら!お菓子は欲しいか!!」

 

すると、ハウリア族並の歓声が上がった。

 

「なら、やることは一つだよなぁ!!」

 

ミュウを肩車し、ハジメがそう言った。すると、ハジメがマイクをミュウに持たせた。

 

「トリック・オア・トリートなのぉ!!!」

 

一年の終わりがまた近づいている。零にとっては普通だが、ハジメ達にとっては長い物だった。



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助っ人が助っ人じゃない

零はスキマに入ったあと、幻想郷にある紅魔館に着ていた。理由は2つ、ここにいる二人の仲間とパチェの魔導書が必要だからだ。

 

「珍しいお客ね」

 

紅魔館の現主、フミアの妹のレミリア・スカーレットがいた。

 

「あの二人はどこ行った?」

「あら、実質貴方なんだから場所ぐらいわかるでしょ?」

「いや、知らねぇよ…」

「そう、お姉様は元気?」

「元気だぞ。まぁ、妹みたいなのが出来てるけど…」

「は?お姉様の妹は私とフランだけ、勝手に名乗ることは許さないわ…!!」

「んなこたどうでもいいからあの二人連れてこい!あとパチェの魔導書!!」

「いいわよ。ちょっとそこで待ちなさい」

 

そういい、レミリアが館の奥へと進んでいった。

 

「相変わらず上から目線だな…最初にあったときはフミアの後ろで隠れてたのに……」

 

溜息を付きながら、そんなことを言っていると、レミリアと二人の男性が帰ってきた。

 

「ほら、これでしょ」

「ありがとさん」

 

パチェの魔導書をレミリアから貰った。

 

「うん、お前久しぶりの言葉も言えねぇの?」

「あぁ〜…そうだな。おひさ」

「おひさ〜じゃねぇよ!!」

 

片方の男はイル、俺の肉片に魂宿らせて蘇らせた仲間。実質血の繋がった兄弟。そして秘封倶楽部の部員だ。能力は《ありとあらゆる武器を操る程度の能力》

 

「ざつ?!それで、なんのよう?」

 

もう片方の男はこたる。イルと同じく肉片に魂宿らせた秘封倶楽部の部員。能力は《相手の能力、力をコピーする程度の能力》

 

「いや、お前らちょっと神殺しを手伝って」

「おっけ任せろ」

「で、どの神様?」

 

「あぁ〜…その前に、TeXスーツ増やしたいから今から地霊殿に向かうぞ」

 

そう言うと、二人の顔が険しくなる。

 

「アイツの力を借りるのか…」

「あぁ」

「マジで言っているのか?考え直せ!」

「いや、これしかない…」

「いや待てよ!イル、逆に考えるんだ。コイツ(チーター)がアイツに頼るほどの敵…ヤバいぞ…!!」

「は!そうか、俺らよりもちびっ子だから忘れれてたけど、アイツって《バット星人》に脅されてたとはいえ…一人で《ハイパーゼットン・ギガント》を強化し、《ギガント》からありとあらゆる《ゼットン》を出せるようにした男…」

 

イルの言う通り、地霊殿にいるある男は家族同様の人達を《バット星人》に人質にされ、《ハイパーゼットン・ギガント》を強化させた。当時は小学生ぐらだった。

 

「その天才にお前はいったい何を求めるんだ…?」

「とりあえず、敵の神が使う《神言》対策の何かかな…」

「敵も神様なんだろ?なら、お前でやれば…」

「いや、俺をそんな万能だと思うなよ?」

「そんなことよりも、あんたたちさっさと地霊殿に行きなさいよ…」

「「「あ…そうっすね」」」

 

レミリアにそう言われたため、俺達は地霊殿へとスキマで向かった。

______________________

 

「で?君ら3人はなにしに来たの?」

「「「TeXスーツ増やしに来ましたぁ!!」」」

「で、僕に言うことは?」

「「「ごめんなさい!!」」」

 

俺達は来てそうそう椅子に座っている少年に謝っていた。理由は宴会や宴、集まりなどに呼ばなかったからだ。

 

「だが、俺は仕方無くないか?!」

「うん、しげるのことは聞いてる」

 

この少年の名前は《おっか》だ。ある地球で《バット星人》に捕まり、一人であの巨体の《ハイパーゼットン・ギガント》を強化させた。当時小学生だ。今は地霊殿でお空の見張り、そしてこいしの恋人をやりながら、秘封倶楽部に入っている。そして能力は《ありとあらゆる物を増やし、減らし、繋げ、切り離し、知る程度の能力》だ。物を増やしたり減らしたりでき、物同士を繋げ、物を切り離すことができる。それだけではなく、触れた物や見た物の解明ができる。チート能力だ。

そして零は理由などを説明した。

 

「そうなんだ…TeXスーツって……あれだよね?任せて。十分あれば十万個は増やせれる」

「「「え、うそーん……」」」

 

嘘だと思いたいが、この少年ならやり遂げれる。

 

「それで…その【神言】ってのを防ぎたいんだよね?」

「あ、あぁ…できるか?」

「うぅ〜ん…一回かからないとわかんないかなぁ」

「しげるがやれば?」

「やってみるか。―――の名において命ずる。《止まれ》」

 

すると、おっかの体が止まった。どうやら、零でも《神言》は使えるようだ。

 

「わかった…ふふふ……これは、これは凄くいい!!!」

「お、おう…そうか……なら、まぁ…最低千あ「わかった千万だね!ちょっとまってて」れば……」

「聞く耳持ってねぇ…」

「ヤバい、逃げるぞ。このままだとモルモットにされるぞ…!!」

「お前らスキマの中に入れ!!トータスに急いで向かうぞ!!」

「「あぁ!!」」

 

零が開いたスキマにこたるとイルが飛び込んだ。そしてそれに続いて零も飛び込み、トータスへと向かった。

 

「うげ!?」

「ぎゃふ!?」

「ちょわぁ!?」

「零?!」

 

スキマから飛び出てきた零達を見て、ハジメ達が心配して近づいてくる。

 

「おい零!何があった!!」

「ぐふっ…何も…なかった…」

「遊んでねぇでさっさと起き上がれ!!」

 

耀の一撃が零の頭に落とされた。



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※なんか寿司食べたくなったby作者

零は幻想郷から帰ってきたあと、ハジメに何をしていたのか話した。

 

「は?」

「いやだから、エヒトの《神言》対策に知り合いの力を借りたんだよ」

「《神言》対策ってどんなのだよ…」

「さぁ?そこは俺もまだ見てないから知らない。まぁ、すぐに出来ると思ダベラァ?!」

 

零の後頭部に何かが刺さった。ハジメは痛みで膝をついている零の頭を見た。そこには1つの箱があった。箱には零宛の文字が書かれていた。

 

「えっと、なにな…に…………おい零、これなんて書いてあるんだ?」

「いてて…あ?あぁ〜…この字はウルトラマンのところのだな。えっと…《試作品が出来た。そこら辺の人間で試せ》…か」

「おい待てなんで俺を見てるんだよ?!」

「いや、ハジメ…ちょっと実験台(犠牲)になってくれ」

「おいおい嘘だろぉ?!!」

「三月、ハジメを捕獲」

 

そう言うと、目にも止まらぬ速さで三月がハジメの後ろに回り、ハジメの腕を縛って拘束する。

 

「やめろォ!死にたくない!」

「いや、死にはしねぇよ。死んでも俺がなんとかする」

 

箱を開けて中身を確認する。箱の中身は耳栓のような物とその説明書だ。

 

「えっと…耳栓をするだけって書いてあるぞ」

「ほ、本当か?!よし、なら来い!!」

 

そしてハジメに耳栓をして、《神言》を使い、ハジメに膝をつくように言う。だが、ハジメは膝を着かない。

 

「すげぇ…効いてない!!」

「おぉぉ…!!流石!俺達の天才科学者ああああ?!!」

「旦那様!」

「零?!」

 

突然、零の頭上にスキマが開かれ、大量のTeX装備が落ちてきた。零はその大量のTeX装備の下敷きになり、手をハジメ達に伸ばしていた。すると、スキマから一枚の紙が落ちてきて、零の手のひらの上で止まる。

 

「《無意識で作りすぎたけど、いいよね?》っと書かれています」

「無意識でこんなに作るんじゃねぇ!!」

「ちなみにですが、彼は決戦前日に大量のTeX恐竜なるものを送ってくるそうです」

「なんだそれ?!」

「何と言われましても……あ、ちょうど試作品として《TeXユタラプトル》がいます」

 

そう言い、三月が止まっているTeXユタラプトルに乗り、ハジメの前まで行く。

 

「こ、こんなのを大量に送ってくるのか…?」

「そのようですね。《アストロデルフィス》、《アストロセタス》、《TeXティラノサウルス》《TeXユタラプトル》だけを送るとのことです」

「三月、ちょっとその人のところへ連れて行ってくれ。弟子にしてもらう!!」

 

そこへたまたま依姫とフミアが通りかかった。

 

「お?どうしたんだお前ら」

「ねぇ…なんでしげるの上にこんなに鎧があるの?」

「あ…」

「……私は覚えておりましたよ。ハジメ様が《TeXユタラプトル》に一目惚れしてて言い出せませんでした」

「嘘付けお前も忘れてただろうが!!「いいからしげるを掘り出すの手伝いなさい!!」ア、ハイ」

 

零は依姫とフミアによってTeX装備の山から掘り出された。ハジメと三月はフミアにこっ酷く叱られた。

 

「つかハジメ、お前アイツに弟子入りしようとか言ってたよな?」

「あぁ、こんな素晴らしい物を作るかただ…俺なんかよりも遥かに凄いに決まっている!!」

「ちょっと待った」

 

いつからいたのか、こたるとイルがハジメを囲うように立っていた。

 

「確かに1からゼットンを作り上げたおっかは凄い。だが、試作品を試すだけで惑星1つ消し飛んだからな?何なら俺は体消し飛んだからな?!」

「俺も太陽光で服を燃やされたからな…」

「ま、マジか……」

「あぁ、だからやめとけ。絶対にだ!!」

「う〜ん…だったら、お前らが住んでるところで俺に似合いそうなところ何処だよ」

「何幻想郷に来るみたいなこと言ってんだよ……そうだなぁ…一つだけあるな」

 

零がそう言うと、ハジメの目がキラリと光った。

 

「河童のところか」

「は?河童?!」

「河童だ」

「河童いるのかよ…」

「あぁ、いるぜ。これがその河童の写真だ」

 

イルがその河童の写真を見せる。

 

「は?これが河童なのか?」

 

その写真には妖怪のようなのではなく、美少女が写っていた。

 

「河童だ」

「河童だな」

「河童だね」

「そ、そうなのか…」

「まぁ、ここに行くかどうかとかは…この戦いが終わってからな」

「そうだな。で、このTeX装備どうするわけ?」

「とりあえず、この世界の弱い兵士と…兎人族だな」

「マジか兎人族にこれを……」

 

試しに兎人族達にTeX装備を渡し、ベヒモスと戦わせた。その結果、数秒でベヒモスが倒された。この戦いが終わったあと、TeX装備は兎人族の手が届かないところに置こうと決めた零達であった。



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番外編クリスマスだからと言ってなにかやるわけではない。

ネタバレ注意?


今日の幻想郷は朝から雪が降っていた。神社の近くで雪掻きをしている零と愛優美がいた。

 

「雪つめたーい!」

「冷たくない雪はもう雪じゃないんだよ…ほら、ハジメ達のところに行くぞ」

「やった!ミュウちゃんに会える!」

「いつも会って「おっさきー!」あ、待ちやがれテメェ!…ってもういねぇし…はぁ…」

 

愛優美は片付けもせずにスキマを開いてハジメ達のいる外の世界へと向かった。零は呆れながら空を見上げた。

 

「雪といえば…幽々子が異変を起こしたとき、博麗の巫女はこたつで温もってたんだっけ?…まぁいいかな…俺も片付けて行くか」

 

道具を小屋にしまい、スキマを開いてハジメの家にある俺の部屋へと向かう。俺の机の上に謎の手紙があった。見ればミュウやミャミャ、ゴモラ達からの手紙だった。

 

「えっとなになに…《サンタさんへ》……なるほど、サンタへの手紙…ほしいものが書かれてるのか。ゴモラ達のだけでも「見ちゃ駄目でしょ」…奈美…いったいいつからそこに?」

「手紙を見つけたあたりよ。それにしても…サンタさん…ね………」

 

奈美はミュウのサンタへの手紙をジッと見つめていた。

 

「私、サンタからのプレゼントなんて…貰ったことないわ」

「そりゃ…なんかやっちゃったんじゃないの?」

「ううん、欲しい物は何でも買ってもらってたわ。だから無かったのよ。当時、欲しかった物が」

「そういえばそうだった…」

 

奈美の親は奈美に甘かった。奈美が何か欲しいと言えば権力や財力で何でもかんでも買っていた。ちなみに俺を拾ったときも親は何も聞かずに二つ返事だった。

 

「ちなみにだけど、今でも私は女子高校生だからサンタからプレゼントって「貰えないぞ」…よね。あ、そういえばサンタって本当にいるの?」

「いるか、いないかと言うといるぞ。まぁ、忙しい時期だから紫とかが代理でやってるけどな」

 

そう言い、ミュウ達の手紙をスキマの中へと入れる。行き先はもちろんサンタのところだ。

 

「さ、もうパーティーやってんじゃないのか?行こうぜ」

 

そう言い、部屋の扉を開けてリビングへと向かった。

地球に帰ってきてすぐにハジメと俺は前の家よりも大きな家を建て、そこで父さんと愁さん達と一緒に暮らしている。

階段を降りてリビングに向かうと大きなツリーが立っていた。

 

「おぉ零!ちょっと手伝ってくれ!!」

「来て早々に呼び出しかよ!なんだよ父さん!」

「いやな?お前の嫁さんや子供達が着替えている間に部屋の飾り付けとかを終わらせようと思ってな、ハジメくんには飾りの制作を任せているんだ。それをいい感じに部屋に飾ってくれ!」

「別にいいが…」

「いや〜零が手伝ってくれるなんてありがたいよな!黎斗!」

「ったりめぇよ!」

「コイツら……ハジメ!飾りどれだ!」

「これとこれだな」

 

俺は飾りを手に取って、飾る場所にスキマを通して作業をする。

 

「人手が足りないな、アイツらも呼ぶか」

 

そう言い、こたるやイル、おっか、耀、神羅、そして零の兄である零斗をスキマで無理矢理連れてきた。人手が増え、触手も活用して行き、あっという間に終わらせた。

 

「クリスマスパーティー…はぁ…」

「どうしたんだ?お前が溜息をつくとか」

「いや…愛優美の野郎がダークマター作ったときがあったりな…」

「マジかそんなことが……」

「お前も大変だな…」

 

そこへ零の頭上の空間が歪みだした。渦の中からプレゼントボックスがいくつか落ちてきた。

 

「…っと、届いたか。あの人は早いな」

「まさか…それってサンタからのプレゼント…か…?!ガチの?!」

「あぁ、ガチだ」

「マジモンの?!」

「マジモンだ。ミュウ達の手紙を渡しておいた」

「え、サンタって…親じゃないの?父さん達ノリノリで準備してたけど…」

「これを渡させればいいだろ。おーい!父さん、愁さん!ちょっとこっち来てくれ!」

 

俺がそう言うと、二人は作業をやめてこっちに来てくれた。

 

「このプレゼントをあんたらがサンタになって渡してくれ。いいな?」

「別にいいけど…お前達じゃなくていいのか?」

「あぁ、俺達は子が喜ぶのを見て和むだけだから」

「だな………にしても女子の着替えっておそ「ハジメ危ない!」ぐはっ?!」

 

ハジメが余計な事を言ったせいか、スキマが突然開かれてハジメの額に折り紙の手裏剣が刺さっていた。

 

「あ、あぶねぇ…」

「それ刺さってないのか?」

「流石ハジメ!額に刺さった程度じゃ全く動じない!!」

「それどこから飛んできた?!」

「スキマってことは紫だろ?」

「奈美かもよ?」

「ユエ達絶対怒ってるぞ…………ハジメ、死ぬんじゃねぇぞ…じゃあな」

「ふっ…逃がすわけねぇだろ!!零、テメェも道連れだ!!」

「やめろぉー!離せぇぇ!離してくれええ!!」

 

零がハジメの拘束を振り解こうと暴れておると、依姫やユエ達が着替えているはずの部屋の扉が少し開き、そこから鎖が飛び出してきて、零達全員の体をひとりでに縛り上げた。

 

「あれ、この鎖って…?」

「あ、ヤバい!スキ「はい終了」あ…」

 

ゆっくりと部屋の扉が開く。真暗な部屋の中に1つ、光り輝く目があった。その目を見た瞬間、零達は冬とは思えないほどの冷や汗をかいていた。

 

「悪かったわね。私達の着替えが遅くて」

 

笑顔だが全然笑っていない奈美が依姫達を連れて出てきた。全員が全員サンタコスと言うわけではなく、愛優美だけトナカイだった。

 

「い、いえ…遅くなんて…」

「お、おい奈美!能力解いてくれ!」

「こたる達はいいけど、二人は無理よ」

「「そんなぁー…」」

 

本当に零とハジメ以外の鎖が解け、自由になる。

 

「俺達が何をしたって言うんだぁ!」

「………依姫」

「ほ、本当にこれを読み上げるの…?」

「えぇ、お願い」

 

依姫が紙のような物を広げて、一瞬だけ顔を赤くし、紙で顔を隠す。

 

「え、えっと…まず、しげる。神様の集会にたまに惚気話をすると諏訪子様から聞いています「諏訪子!言わないって言ったじゃん!!」そして「言わないなんて言ってないよ!言わないかもって言っただけ!!」…しげる、話はあとにして聞いて。んん、耀達との飲み会に参加し、その後家に帰ってきてすぐに私達の首にき、キスをする。服では隠せないからあんまりしないで////」

「惚気じゃない?」

「その時の記憶はあるのか?」

「全然あるけど。ていうか、それはお前ら嫌がってなかったじゃん」

「つ、次!香織、読んで!」

「次は香織……ってことはハジメか。お前なにやらかした」

「なにしたっけな…」

「ハジメくん、毎晩毎晩幻想郷の旧地獄で遊んでます!ハジメくん、不満があるのなら私が受けるよ!?」

 

思い当たる何かがあるのか、ハジメは窓から見える夜空を見上げながら苦笑していた。

 

「よって、二人にはクリスマスのプレゼントはなし!」

「………あれ、零お前歳いくつよ」

「15億は超えてるぞ」

「コイツはプレゼント貰う側じゃなくて元々上げる側だろ」

「そういえばミュウ達は?」

「愁さん達のところに行ったわよ。サンタだ〜って。ほんと子供ってかわいいわね…」

 

奈美がミュウ達を見て、和み、零達はいつ鎖が解けるか待っていた。

 

「「パパ!!」」

「あれ、パパは…?」

「そういえば清水がいない…」

「あぁ、清水はカメラのバッテリー切れたとかで電気屋まで買いに行ったぞ」

「なんで作ってやら「戻ってきたぞおおお!!!」」

「パパァ!!」

 

清水が空間を割ってリビングに飛び込んできた。

 

「パパァ!見て見て!プレゼント貰ったの!!」

「あああ!!!うちの子がかわいいいい!!!」

「アイツ限界化してない?」

「お前が人のこと言えると思ってるのか?」

「まだ普通だろう?」

「なら、お前が今抱いているのはなんだ?」

「依姫だけど、依姫こっち向いて!」

 

スマホを掲げて依姫とのツーショットを撮る。

 

「よしおっけ」

「しげる動かないでね、鹿の角をつけるから」

「ゴモラ達を背中に乗せればいいのかな?」

「ふふふ、夜月も喜ぶといいわね」

「そうだな…」

 

そこへ部屋中にクラッカーの破裂音が聞こえた。目を向けると、ハジメの母こと菫さんがいた。

 

「さ、みんな!クリスマスパーティー始めるよ!!」

 

三月が作ったであろう巨大なケーキが運ばれてきた。子供達は目をキラキラさせていた。パーティーが始まると、スキマを開いて知り合い全員を連れてきて、わいわい騒いだ。

 

「しげる。この後飲むの?」

「誘われたらな」

「そう…飲み過ぎには注意してよ?そのまま寝ちゃったら、クリスマスプレゼント渡せないから」

「あぁ、気をつけるよ」

「おーい!しげる達もケーキ食え!美味いぞ!!」

「当たり前だろ!三月が作ったんだからな!!……さて、行くか」

「ええぇ、行きましょうか」

 

ハジメ達のところへと向かい、三月が作ったケーキをみんなで食べ、気が着くともう日付が超えそうになっていた。周りのみんなはもう寝ており、依姫と俺だけが起きていた。

 

「メリークリスマス、しげる」

「メリークリスマス、依姫」

「今日はそんなに飲まなかったのね。安心したわ。これ、渡せないんじゃないかって思っちゃって」

「お前の為ならいつだって起きるよ」

「そっか…そうよね……はい、これクリスマスプレゼント」

 

そう言い依姫が小さめの箱を手渡しで渡してきた。

 

「これって…」

 

中に入っていたのはちょっとしたマフラーだった。

 

「これって…」

「寒いだろうなって思って……あ、それ手作りなの」

「嬉しいい…ありがとうな」

「あ、そうだ。どう、この衣装…似合ってる?」

「あぁ、似合ってるぞ。可愛くて好き」

「よかった…あ、みんなもう寝ちゃったし、私達だけベッドで寝てもいいよね…?」

「いいだろうな。さ、行こうぜ」

 

今年ももう終わりを告げようとしている。だが、今年が終わってもすぐに次の年が始まる。来年もいつもと同じような日々が続くことを願い、零達は眠りについた。

 

ちなみにこれと同時刻、トータスでは少し大変なことが起きていた。

______________________

〜ある二人〜

 

「「……………」」

「呼ばれなかったね…リリィ」

「呼ばれませんでしたね、ミレディさん。一応、私達も愛人なはずなんですけどね…」

「「…………はぁ…零さん達…私達のこと忘れてないかな…」」

 

呼ばれなかった二人は紅茶を飲んで一日を過ごしたのであった。



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作戦会議に出張出来たんだガハルド…

作者はふと思った。もし、檜山が女体化して、オリ主もしくはハジメのヒロイン枠に入ったらどうなるのかと……


エヒトの予告の前日となった今日、零達は作戦会議していた。

 

「全員集まったな?そこの貧乏になったガハルドも通常だな」

「おい待て南雲ハジメ!俺のどこが普通なのか答えてもらおうか?!」

「……………よし、無視でいいな」

「おいコラ!!」

 

ハジメはガハルドを無視して他の出席者の確認し始めた。

 

「おい紅蓮零!お前のせいで俺の国は1からだ!!どうしてくれるんだ!!」

「どうもこうも……元々あれはお前のせいだろう。お前が手を出さなければこっちも何もしなかったよ」

「チッ…………おい、あの女…結構いいじゃねぇか、俺に紹介し「あ?」………おう、俺はまたやっちまったか…」

 

奈美に手を出そうとしたガハルドの首に刀を突き付ける。

 

「あの女はお前にとって………どんな女なんだ…?」

「俺の大切な人だ。貴様のようなゴミが近づかないか心配だ

「俺に合いそうな女はお前の知り合いにいないか?」

「いても紹介するわけ無いだろう」

 

確認し終えたハジメが零のところにやってくる。見渡せば懐かしい顔ぶれの人がいる。

 

「お、ホルアドのギルドのおばちゃんじゃん。懐かしいな」

「最初あった時から何かやらかすんじゃないかと思ってたけど…まさか偽物神様と戦うことになってるとはね…」

「再会の挨拶は後だ。零、例の兵器はどんな感じだ?」

「コウモリ共に手伝わせて、帝国が()()()()せいで足りない分の勢力は増やしてある。だがまぁ………流石の俺でもこの追加は予想してなかったというか…」

 

目の前にある数隻の《ナースデッセイ号》と大量の《キングジョー・ストレイジカスタム》、大量の《TeX恐竜》に零は少し頬を歪ませる。これはつい先程おっかが送り込んできた兵器の数々だ。

 

「馬鹿だろこれ」

「ちなみにそれを増やしたバカはこいしと戯れているとか」

「さとりは止めたらしいぞ。だから、これはアイツが勝手にやったってことだ」

「ぬわあああー!!で、あれだろ?!このキングジョーと《ナースデッセイ号》は全て廃棄だろ?!ヒカリ、これ光の国に保管すればいいだろう!!」

「おい!そのゴーレム捨てるなら俺に「今度は地に還りたいのか?」…「少しは学習しろ」…」

 

零が殺意を込めて言うとガハルドは黙ってしまった。

 

「ガハルドに渡すぐらいだったら捨てるのは当たり前だな」

「それにしても…愛子さん、私達はこの作戦会議に必要なのでしょうか…」

「わかりません…なぐ…ハジメくんや零くんの考えがあるのだと思いますが…」

「お兄様、私達はどういった役目を…」

「豊穣の女神こと愛子先生は言わなくていいだろ?リリィも一国の王女だ。みんなの士気を上げてくれ」

「はい!!」

 

元気よく返事をするリリィの頭を撫でて奈美を見る。

 

「はぁ…私も出るわ。と言っても、ここで戦うしかないだろうけど」

「それでもいい。頼めるか?」

 

真剣な眼差しで奈美を見る。奈美はそれに答えるように言った。

 

「貴方の主に任せなさい。貴方達が返ってくるまで守り切ってみせるわ」

「ありがとうな…」

「別にいいわ。それよりも、後ろで跳ねてる子達はどうする気?」

 

振り返るとラフィーがぴょんぴょん跳ねていた。シアも真似るように跳ねてハジメが溜息を吐いていた。

 

「ラフィー達はリリィや愛子先生の護衛…頼めるか?」

「…ん、任せて…ラフィー、頑張る」

「奈美に護衛は…いるか?」

「いるわよ。ハジメ、貴方知らないだろうけど私はこれでも歷とした女の子よ。永遠の17歳だけど」

「あれ、それって「それは言うなハジメ!死ぬぞ!!」お、おう…」

「しげる、それどういうこと…?私は年齢のことなんて気にしないわよ?でも、何が死ぬのかしら?こっちで話しましょうね、久しぶりに」

「…………ハジメ、後は頼んだ」

「あ、あぁ…」

 

零は奈美に捕まって会議室から離れて帰ってこなかった。残りの全てをハジメに投げ出したので、零は作戦の殆どを知らないのであった。



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いざ!決戦の時!!の前

目を覚ますと、目の前に竜化したティオの顔があった。

 

『おぉ…主、起きたか』

「なにしてんのお前」

『ん?増援、里の者達を呼んで帰ってきたところじゃ』

 

零はティオの頭を撫でながら体を起き上がらせる。奈美に話と言う名の説教中に寝てしまったようだ。

 

「増援は有り難いんだけど…その殺気立ててるのはなんだ?」

『ん?これリスタス、主をそんな目で見るのはやめろ』

()()!貴方はこの人間に操られているのです!目を覚ましてください!』

「なるほど…こっち(天之河)系か…」

 

天之河の代わりとなる竜に零は溜息を吐いた。

 

「あれ待って、今この竜なんて言った?」

 

偶然通りかかったハジメがそう聞き返した。すると竜は苛ついた声でこう言った。

 

『なんだ人間。まさかお前が()()を操ったのか?!』

「「………」」

 

開いた口が塞がらず、ハジメは手に持っていたマグカップを落とした。

カップが割れる乾いた音が城内に響き渡り、騒ぎを聞きつけた依姫達が集まってきた。

 

『主?どうしたのじゃ?』

『姫様!やはりこんな奴らと一緒「「はああああ?!!」」』

 

耀達が零達に変わって驚きの声を上げた。今まで一緒にいたティオがまさかの姫様だったという事実に続くように雫達も驚き叫ぶ。

 

「うそ、ティオがお姫様?」

「私は薄々気付いておりました」

「数々のご無礼お許しください」

「…ん。ティオも私と同じお姫様」

「わあああああ…!お兄様はもう一国の王様ですね!」

「やめてくれリリィ、ただでさえ幻想郷や世界の管理で忙しいのにそこに国の管理なんて……いや、大丈夫か」

「「「これからはティオ姫様と呼ばせてもらいます!!」」」

 

それからみんなティオ()()と呼び始めて、恥ずかしいのか、ティオ()()は部屋の端っこで小さくなっていた。

 

「やめてたもう…やめてたもう…」

「ティオ、なんで隠してたんだ?」

 

零がそう聞くと、ティオは泣きながら少しずつ話してくれた。

 

「ぐす…身分を証せば、主達が離れていく気がして…中々話出せんかったんじゃ…」

「そうだったのか…」

「でももう大丈夫じゃ!妾は主の忠実な部下!!例え身分がどうなろうが、それは変わらぬ!そう気付いたのじゃ」

『姫様!?まさか、里にはもう戻らない気ですか?!』

「いや戻るぞ?」

 

ティオの返答にリスタスはズッこける。その後ろに何処かティオの竜化した姿に似ている竜が現れた。

 

『孫娘が主と呼ぶ人間よ。お前は何者だ?』

「来てそうそう名乗らずにそれが先かよ。俺が何者か…う〜ん…か「ただの私の従者よ」…そうだ。従者だ」

 

奈美が口を挟んで来た。奈美が言ったことは事実なので否定しない。

 

『貴方は?』

「しげるの主、ただそれだけよ」

 

とか言ってるが、この人地球では結構地位が高く、政府に口出し出来るほどだ。

 

「え、アイツってただの主?」

「んな馬鹿なこと…」

「いやいやいや、魔王の腕切り飛ばしておいて何言ってんの…」

「しげる、外野がうるさいから始末して…とは言わないわ。ちょっと黙らしなさい」

「…ハジメ、みんな…すまん。ちょっと黙っててくれ」

 

零は手を出さずにハジメ達に黙るよう言った。すると、流石に自身らでは叶わなかった魔王であるアルヴを手も足も出さずに瀕死に追いやった奈美を怒らせまいと静まった。

 

「お初にお目にかかります。玖珂奈美ともうします。従者であるしげるに代わって、しげるが何者なのかを教えましょう。三月、しげるの耳を塞いでいて」

「はい。奈美様」

『はっ、ただの人間の執事だろう?なぜ従者ではなくお前が答えるんだよ』

 

リスタスの言葉を無視して奈美は淡々と話して行く。奈美が知っている零の情報、フミアや零から聞いた情報。そして零が知らないであろう情報を。

それを聞き、ティオの祖父であるアドゥルは頭を奈美に下げた。

 

『そうか…我の同族のご無礼、お許しください』

『なっ…族長?!』

『妾からも…主、申し訳ありません』

「ティオ…お前が謝ることじゃない。アドゥル…だっけ?あんたも謝る必要ないだろう。そもそも俺の仲間なんて、リスタスよりも酷い奴がいるからな、そいつに比べたら全然だ」

「ありがたい」

 

そして時間が過ぎ、決戦の時が来る。

空は血のように真っ赤に染まり、《神山》の頂上の空間が割れる。そこから雨のような物が降り注いでいく。

 

「おいおい…あれ全部魔物かよ?!」

「違う!魔物だけじゃない!!」

 

降り注ぐ魔物の中にチラチラと超獣や怪獣、モンスターまでもが見える。

 

「さぁ、始めようぜ。これが最後の戦いだ!!」

 

零の掛け声で騎士やハウリア達が《TeX装備》を装着する。クラスメイト達は《キングジョー》や《ナースデッセイ号》、《アストロセタス》、《アストロデルフィス》に搭乗する。



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切られる火蓋

血のように真っ赤に染まった空。その空を割るように巨大な亀裂が入る。そこから雨のように降り注ぐ魔物や超獣。エヒトは本格的にこの世界を壊そうとしていた。

 

「【ペダニウム粒子砲】!【ナースキャノン】!!発射!!」

 

イレギュラーがいなければ成功していただろう。数隻の《ナースデッセイ号》と数十を超える《キングジョーストレイジカスタム》による一斉砲撃により、魔物は愚か、超獣達は一瞬にして倒されていく。

だが、亀裂から降り注がれる魔物の流れは止まることを知らず、容赦なく追加の超獣達がやってくる。

新たに、《神山》から何かが溢れ出てくる。使徒だ。空を覆い尽くさんと大量の使徒が攻めてきた。

 

「ハジメ!」

「わかってらぁ!!」

 

すると、《神山》が爆発した。ハジメが仕掛けた大量の爆弾が起動し、爆炎が使徒達を包み込む。

あらかた使徒が片付いたため、ティオは竜化し、零達を乗せる。

 

「さ、行くぞ!!」

 

ハジメは劣化版のクリスタルキー、零はベリアロクを持ち、使徒達が出てきた《神山》のゲートへと向かう。

それをさせんと使徒達が行く手を阻む。だが、下から何かが撃たれ、使徒達は落ちていく。ハウリア族に持たせた《TeKライフル》による射撃だった。

 

「見えたぞ!あれだ!!」

 

《神山》のちょうど教会があった辺りにゲートが開かれていた。ティオから降りて、そのゲートへと向かう。

 

「やっぱり…俺達は通れない仕様か…」

「なら、無理矢理抉じ開けてやる!!」

 

クリスタルキーをゲートに突き刺す。クリスタルキーに亀裂が入っていく。それと同時にゲートにも少しずつ亀裂が入る。

劣化版クリスタルキーは砕け散る。代わりにゲートの亀裂が大きくなる。そこにすかさずベリアロクを突き刺す。

 

「ベリアロク!テメェ力貸せ!!」

『ハッ!面白そうなことしてるじゃねぇか!!』

 

ベリアロクの刃が紫色に輝き、ゲートがガラスのように割れた。割れた先はいろんな色が混ざったような空間が広がっていた。

 

「行くぞ。愛優美とあの馬鹿を取り戻して、エヒトの野郎をぶちのめす!!」

 

そう言いハジメが先頭でゲートの先へと進む。

______________________

ゲートの先は街が広がっていた。人っ子一人いない、廃墟とかした街だった。

 

「…自分で滅ぼした街をコレクションとして集めているのか?」

「趣味悪いな…」

 

各々の感想を言いながらエヒトや勇者を探して歩く。何もいないのが逆に恐怖で、恵里や鈴が抱き合っていた。

 

「…………ようやく来たか」

 

曲がり角を曲がった先に勇者がいた。剣を地面に突き刺し、零達を待っていた。

 

「「光輝…」」

「「光輝くん…」」

 

勇者は立ち上がって剣を引き抜く。

 

「雫達を返してもらうぞ…紅蓮、南雲!!雫、みんな…待っててくれ!俺はすぐにみんなの洗脳を解く!」

「おいアレ前にも見たぞ」

「あぁ、しかも最近だな」

「……零、ハジメくん、先に行って。ここは私達が」

「そうだぜ。光輝は俺達に任せろ!!」

「行くよ鈴!」

「うん、エリリン!必ず取り戻そう!!」

 

雫達は光輝と向き合い、武器を抜く。

 

「そういうことだ。ハジメ、しげる。さっさと行け」

「幸利…」

 

幸利は変身し、坂上の隣に行く。

 

「ハジメ、行くぞ」

「あぁ、信じてるぜ。お前ら!!」

 

零達はその場をすぐに離れ、エヒトを探す。

______________________

零達がいなくなったあと、勇者は雫達に剣を向けず、話しかけていた。

 

「みんな…洗脳されててわからないかもだけど…降伏してくれないか?みんなを傷つけたくない…」

「どうでもいいことを話すほど余裕らしいわ。みんな、行くわよ!!」

「………洗脳が深くまで行っているのか…なら、俺も仲間を増やしてみんなを助けるよ」

 

勇者がそう言うと、勇者の影から何かが現れる。それは奈美達が倒したはずのアナザーディケイドだった。

 

「アナザー…ディケイド…」

『……ただのアナザーディケイドだと思うなよ』

 

アナザーディケイドはオーロラカーテンを出す。何かが来ると身構えたが、何も来ない。

 

『ウジュイカ…レエガミヨ』

 

謎の呪文を唱えた。すると、オーロラカーテンの向こう側から青白い炎のようなものが集まる。

そこにはあの日、何処かへ向かって消えたはずの《Uキラーザウルス・ネア》がいた。

 

「Uキラーザウルス・ネア…!!?」

「なんで…!」

「おいおいおい、こんなのと戦えるのかよ!!」

 

すると勇者がもう一度だけと雫達に降伏するように言う。だが、雫達は断固拒否した。

 

「そっか…レイバトスさん、頼みます」

『…………やれ』

『ギュアアアアアアンン!!!!』

 

Uキラーザウルス・ネアは高々く咆哮を上げ、幸利を触手で掴み上げ、家の方へと投げ飛ばす。まず最初に幸利から狙うようだ。アナザーディケイドもUキラーザウルス・ネアを追いかける。

 

「雫、みんな…痛いかも知れないが我慢してくれ…【神威】」

「っ無詠唱?!!避けて!!」

 

勇者が飛ばした光の刃は黒くなっていた。雫達は間一髪で左右に避ける。

 

「ここ、神域は俺にずっと魔力が供給されるんだ…これはエヒト様がみんなを守るためにとくれた。だから、今の俺は紅蓮達よりも遥かに強いんだ。わかってくれたか?」

「零達よりも強い…?」

「あぁ、そうだ。だからすぐに洗脳を解くよ」

 

勇者は何処か嬉しそうに話す。零とハジメを倒して、地球に帰る。

 

「自惚れるんじゃないわよ。ハジメくんはともかく、零の本気を見たことないくせに、零よりも強い?なに言ってるのよ。私達ですら本気を見たことないのよ?今の零のほうが光輝よりも何千倍も強いわよ」

「そうだ。雫の言う通りだぜ光輝。耀さんと手を合わせてわかった。あの人は今の光輝よりも強い。その人と互角以上に戦えるアイツはもっと高いんだ」

「ハジメくんでさえ、零くんの本気を知らない。それに奈美さん達が言ってたしね。零くんが本気を出す時は、何かが終わる時って」

「うん。天之河さんがどれだけ本気を出そうとお兄ちゃんが本気を出すことなんてないと思うよ」

「スズもそう思う!!まず見たことないもん!!」

 

そう言うが、勇者には彼女らの言葉が届かなかった。勇者は雫達を何処か哀れるような目で見ていた。

 

「…………光輝、さっきの言葉、そっくりそのまま返すわ。どれだけ痛くても、我慢しなさいよ」

 

雫は刀を持ち、勇者に切りかかった。すかさず鈴が雫にバフを、恵里が勇者にデバフを着ける。

 

ここでまた戦いの火蓋が切られた。勇者はまだ知らなかった。彼女らが彼らをどれだけ信じていたか、彼の兄がこの空間のどこにいるか、なにをしているのか。



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偽物か本物か

雫達と離された幸利はUキラーザウルス・ネアが何故ここにいるのか考えた。逃げた先でウルトラマン達に倒された。十分あり得る話だった。

 

『かはっ!!』

『Uキラーザウルス・ネア…やはり馬鹿にできぬほどだな…』

 

《ライドウォッチ》を駆使しながら戦うも、Uキラーザウルス・ネアの前では無力だった。

 

『だったら…!!』

 

《グランドジオウライドウォッチ》を使用し、グランドジオウとなる。すぐに体中《ライダーズレコード》を起動し、各ライダーを召喚する。

 

『無駄だ!!』

『ギュアアアアアアンン!!』

 

だが、Uキラーザウルス・ネアはその長い触手を鞭のように振るい、ライダー達を叩き落とす。落とされたライダー達は光となって消えていく。

 

『それズルいだろう!!!』

『卑怯もラッキョもあるか!』

『誰もラッキョなんて言ってねぇよ!!』

 

Uキラーザウルス・ネアの肩部から発射されたミサイルが俺に容赦なく向かってくる。

 

『実験で死んだと聞いていたが…このUキラーザウルス・ネア、中々使えるではないか…』

『っ!!コイツはあのときのUキラーザウルス・ネアじゃないのか…?!!』

『当たり前だ。ヤツは俺の生ける範囲外にいるゆえ回収できぬ。それにアイツが死んでもわからん!!』

 

どうでもいいことを話していると、Uキラーザウルス・ネアの接近に気付けなかった幸利が不意打ちを食らう。

反撃しようとするが、すでにUキラーザウルス・ネアは目の前から消えていた。

 

『どこに…『ギュアアアアアアンン!!』ぐわぁっ?!』

 

Uキラーザウルス・ネアの触手が幸利の首を掴む。そのまま地面に叩きつけられる。

 

『くそ…俺にもっと力があればっ!!』

『フンッ!!』

『ぐはっ!!?』

 

アナザーディケイドが禍々しい剣のような物で幸利に斬り掛かる。

 

『偽物が!!』

 

アナザーディケイドは何度も何度も幸利を殴り、斬りつけ、叩きつけた。

 

『所詮、貴様は偽りのジオウ。本物ではない。ゆえに、我に勝つことなど不可能!その偽りの力と共にここで消え去れ!!』

 

そう言いアナザーディケイド、いやレイバトスは【レイバトスシュート】を撃とうとエネルギーを貯めた。

 

『【レイバトスシュッ?!何者だ!!』

 

発砲音が複数回なる。レイバトスはすぐにエネルギーをバリアに変えて防ぐ。倒れそうな体を持ち上げて、誰が撃ったのか見た。そこにはピンク色ではなく、マゼンタカラーの戦士がいた。

 

『通りすがりの()()()()()()()()()だ。覚えておけ。変身!』

『ッ!!行け!Uキラーザウルス・ネア!!』

『ギュアアアアアアンン!!』

 

Uキラーザウルス・ネアが触手の先から赤色の光弾を幾つも発射する。だが、ディケイドは光弾を全て躱し、アナザーディケイドを殴り飛ばす。

 

『おいジオウ!コイツの言うとおり、お前は偽物かもしれない。だが、少なくともこの世界ではお前が本物だろう!!』

『ギュアアアアアアンン!!』

 

Uキラーザウルス・ネアは瞬間移動を駆使してディケイドと戦う。ディケイドも《クロックアップ》を使用して戦う。

幸利の目の前で起こっているのは本物の仮面ライダーと怪獣との戦い。それに目を奪われてアナザーディケイドのことを忘れる。

 

『余所見をするな!!』

『っ!!』

 

アナザーディケイドに言われて正気に戻り、前転をしてアナザーディケイドの攻撃を避ける。

 

『偽物!本物が来たところで、我に勝てると思うな!!』

『違う!俺は偽物なんかじゃない!!本物の仮面ライダーだ!ライダーが例え空想の存在だろうと、今、この世界で戦ってる俺は本物だ!!』

 

幸利の体が黄金に輝き、立っている場所にオーマジオウの顔のような物が浮かび上がる。《ジクウドライバー》が形を変えて《オーマジオウドライバー》に変わる。

 

『変身!!』

 

地面が抉れ、溶岩のような物が抉れた地面に流れ込み、オーマジオウの顔が幸利を中心に渦となる。幸利の体が黄金に光り輝く。

 

『そんな…まさか!!?ありえぬ、ありえぬ!!』

 

幸利から輝きが消える。すると、ジオウではなく最高最善の魔王、オーマジオウへと変身していた。

 

『例え、どれだけ否定されようが…俺は本物として!人間を守る!!』

『………ここからは自分で戦えるな?』

 

そう言うと、ディケイドは靄のように霞んで消えた。

 

『消えた?!』

『ッ?!どこだ、どこにッ?!!』

 

するとアナザーディケイドが突然苦しみ始めた。

 

「はい、ざんねーん。ディケイドの力は返してもらうぞ」

『なっ?!き、貴様は!!』

『零の兄!!?』

 

零の兄はアナザーディケイド、レイバトスからディケイドの力を奪う。それをオーロラカーテンの中へと投げ入れる。

 

「ほら、奪われたディケイドの力だ。返すぞ」

 

投げ込まれると、オーロラカーテンは消えていく。

 

『貴様!!エヒト様を裏切るか?!!それに何故生きている!!』

「そもそも仲間になった覚えないし、俺の目的はこの世界に来た弟と妹………しげると愛優美、あとマガタノの覚醒だ。お前らなんてどうだっていい。生きてる理由に関してはお前らに言うつもりはない。というかお前もう死ね」

 

零の兄はレイバトスに触れた。すると、レイバトスの体がボロボロと崩れていく。

 

「《ギガバトルナイザー》は回収させてもらうぜ」

『お、おい!』

「あ?あぁ〜…アイツの仲間の…」

『お、お前!何が目的なんだ!!』

「それはさっき言った。あと、Uキラーザウルスのことを忘れるなよ?ちゃんと倒せよな」

『まッ?!くそ、邪魔だお前!!』

 

Uキラーザウルス・ネアのミサイルを全て念力で止めて爆発させる。

______________________

〜零の兄〜

「あ、バカ弟のこと聞き忘れてた。アイツ何処行ったんだ?世話のかかる弟だな〜…」



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VS光輝

幸利がレイバトスと戦っているころ、雫達は勇者と戦っていた。戦況は劣勢とも優勢とも言えない状態だった。勇者は傷を瞬時に回復し、魔力も回復していく。

 

「うおらあああ!!」

「ッ!はあ!!」

 

坂上が殴りかかるが、勇者はそれを躱す。坂上の拳は地面に亀裂を入れるほど強力だった。

 

「驚いた…龍太郎、何処でそんな力を…?」

「へっ耀さんだ!耀さんの力をこのガントレットは保っている!!南雲達には少し申し訳ないが、コイツを代償にお前を取り戻す!!」

「二人ばかり話してるんじゃないわよ!!」

 

雫が勇者の背中を狙って斬り込む。だが、勇者はすぐに聖剣で防ぐ。坂上も変わっているならばと雫も警戒するが、雫は何一つ変わっていなかった。

 

「雫は…何も変わってないんだな」

「えぇ、貴方と違ってね!!」

 

刀を振るう。左、右と交互に斬る。次第に雫のスピード、そして斬り込む力量が増していく。それに気づいた勇者は一度距離を取ろうとする。だが、足が動かない。見れば光と闇の鎖が両足を捉えていた。

 

「香織、恵里…」

「今だよ雫ちゃん!!」

「ええ!!はああ!!」

 

刀の刃が虹色に輝く。肩から切られた。はずだが、鎧は斬られておらず、ダメージも無かった。

 

「雫…この期に及んで手加減をッ?!!」

 

雫は動いていないのに、何度も斬られる。何が起こっているのか勇者にはわからなかった。

 

「なにが…」

「この刀の力…とだけ言っておきましょうか」

 

勇者は刀を見て初めて気付く。雫の刀が前まで使っていたものとは違うことだ。形こそ似ているが、色合いや長さ、何もかもが違っていた。

 

「零がくれたこの刀…今の貴方にはピッタリなのよ。何故かわかる?」

「なにを…」

「わからないでしょうね、だって零曰く、この刀は光が強ければ強くなる闇の魂が込められてるらしいわ。だからね、貴方がどれだけ強くなろうとこの刀は貴方を超える。闇っていうのはそう言う物なのよ」

「だからアイツ側に付くのか?幼馴染よりも?結局俺が弱いからなんだろう?」

「ええ、そうよ」

「ッ!!」

 

雫は勇者を睨み付ける。その目は何処か零に似ている。

 

「貴方は弱い。心がね。幼馴染を取られたぐらいで嫉妬し、恨み、裏切るほどに」

「違う。俺は裏切ってなんか「だったら戦いで証明しなさいよ!!」ッ!!」

「裏切ってないなら戦って証明しなさい!弱くないなら戦って勝ちなさい!!貴方はそれをしようとしない!人が死ぬのが、傷付くのを見たくないからって何でもかんでも適当な理由をつけて……戦うのが怖いんでしょう?人が死ぬのが怖いんでしょう?!この弱虫!!」

「ッ!取り消せよ!俺は怖くも弱虫でもない!!幼馴染を傷付けたくないのは本当だ!!」

「だったら戦いなさい!!」

「ッ!!……大怪我しても、後悔してももう遅いぞ!!」

 

雫がそう言うと勇者は聖剣を強く持ち、エネルギーを貯める。眩しいほどに光が強く、大きい。長く巨大な刃を振りかぶり、勇者は雫に向かって振るう。

 

「はぁ…はぁ…どうッ?!!」

 

雫は立っていた。見たところ、怪我もしていないし、躱した感じもしない。

 

「何が大怪我しても、よ。結局、幼馴染を攻撃したくないだけじゃない」

 

雫の横の地面が抉れていた。勇者は無意識に反らしていた。

 

「ち、ちが…俺は…!」

「なにを怖がるわけ?この世界に転移してから人が死ぬことなんて誰でもわかるでしょ。それを考えなかった。ハジメくんや零のことを現実を見ていないなんて前に言ってたわよね?その言葉、そっくりそのまま返すわ。夢見ているのは誰でもない、貴方よ光輝」

「違う!俺は夢なんか見てない!みんなのほうが「このッ!!」ッ!?」

 

雫が勇者の胸倉を掴んで押し倒す形で動きを封じる。

 

「雫ちゃん!!?」

「雫!!」

「光輝、あんた本当にいい加減にしなさいよッ!!」

 

雫は勇者の頬を叩く。何度も叩く。周りが止めようとしているが、気にせずに叩く。

 

「しず、まっ」

「待たないわッ!このッ!これは零に迷惑かけた分ッ!みんなを戦争に巻き込んだ分ッ!ベヒモスと戦おうとして余計な犠牲を出した分ッ!零やハジメくんに武器を向けた分ッ!」

「雫ちゃん、待って!そのくらいじゃないと光輝くん死んじゃう!!」

「そうだよ雫!それに、勇者死んじゃったらお兄ちゃんに迷惑かかるよ?!」

 

恵里に言われて雫は手を止めた。だが、一足遅く、勇者の顔はパンパンに膨れ上がっていた。

香織は勇者の治療を始めた。

 

「なんで…香織…」

「光輝くん死んじゃったらハジメくん達に呆れられちゃうから。言ってなかったけど、ハジメくん達の作戦では愛優美ちゃんの救出、それと光輝くんを取り返すことだからね」

「ッ!!?………アイツらはこんな俺に救いの手を指し伸ばしてくれるのか…」

「勘違いしちゃ駄目だからね?多分、二人は光輝くんのことを何か利用したいんだと思うよ」

「それでもいい、俺に償いが出来るのなら……」

「こっちは終わったわよ。幸利くん…大丈夫かしら」

______________________

勇者の回収が出来ているころ、幸利はUキラーザウルス・ネアと戦っていた。

 

『鬼ごっこは終わりだ!《クロックアップ》!!』

 

触手を全部切り落とし、攻撃手段が失ったUキラーザウルス・ネアに向かって【逢魔時王必殺撃】で止めを刺す。Uキラーザウルス・ネアは貫かれた部分から爆発していく。

 

『終わったか………………あれ、そう言えばここどこ?みんな〜?雫さ〜ん?香織〜?鈴、恵里、坂上!!!?誰か返事してくれ〜!!!」

 

幸利は戦いに集中していて気付いていなかったが、雫達からかなり離れていた。絶賛迷子である。



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強者か勝者か、なんの余裕か

幾つかの空間を超えたあたりで周りの景色た変わる。先程までの町とは違い、今度は教会の中のような空間になる。

 

「愛優美の位置は…この3つ向こう側の空間か」

「もうすぐってところか」

「あぁ、だが、その前に目の前の神父モドキをぶちのめそうじゃねぇか」

「あれが神父にするの?」

 

神父の服を着たフリードが白竜に乗って悠々に飛んでいた。

 

「これが強者の余裕か…」

「いや、勝者の余裕じゃね?」

「いやいや、バカの余裕だろ」

「どうでもよくない?」

「四人ともちょっと黙って!というか、しげるとハジメは先に行かなくていいわけ?!」

「「え、行っていいの?」」

「別にいいわよ!あんなの、私達で十分よ!!」

 

フミアはグングニールを持つ。依姫達も各々の武器を持つ。

 

「耀、神羅、お前らはどうする?」

「一人でも多いほうがいいだろ?神羅は残って俺は行くぜ!」

「待って僕そんなの聞いてない!いいけどもさ!」

「いいんじゃんか。よし、行くぞ!」

 

零達はこの場を依姫達に託し、愛優美の下へと急いだ。先に進むとき、神羅が物凄い形相で耀を見ていた。

______________________

〜依姫〜

しげるとハジメ達が愛優美の下へと向かった後、私達はフリードに武器を向けた。私は神刀、フミアはグングニール、シアはドリュッケン、ティオは扇子のような物を持った。

 

「耀のヤツ、帰ってきたら今までのこと灯に報告してやる…!そして、あの角に生卵投げてやる…!」

「それをやりたいなら、さっさとコイツを倒さないとね」

「ん。あんな白竜一瞬で倒せる」

「え、フリードのこと無視ですか?まぁ、私も無視しますけども」

「似合ってると思ってるのかしら、それだったら鏡を見ることをオススメするわ。全く似合ってないもの」

 

すると、フミアに似合わないと言われて怒ったのか、フリードがようやく口を開いた。

 

「やはり惜しい。お前達のその技術、亡くすのは惜しすぎる」

「なに言ってるか本当にわからないわ。私達が死ぬ?亡くすのは惜しい?逆よ逆、やっぱりしげるの言うとおりバカの余裕みたいね」

 

そう言い、フミアがグングニールを白竜に向けて投げる。しかし、白竜は素早く避ける。その速さは残像を残すほどの速かった。

 

「へぇ、あのときの白竜よりも強いみたいですね」

「そうみたいね。なら、私達も行くわよ」

 

ティオが黒竜へと【竜化】し、フリードの白竜と真正面から打つかりあった。

 

「仕方ない、その技術はもう諦めよう。我が神の下、貴様らイレギュラーを排除する」

 

フリードが両手を掲げ、魔力を集める。複数の属性の魔法を融合させた。

 

「私には時間がないのだ。これで終わらせてくれる!!」

「最初から最強の技出すとか、ちゃんと作戦建てれないタイプね…」

「ん。フミア、合わせて」

 

ユエが火と水の魔法を組み合わせ、フミアが風と雷の魔法を組み合わせ、魔弾としてフリードに向けて放つ。

 

「?!」

 

しかし、フリードは片手でその魔弾を受け止め、吸収し、構築中の魔法に無理矢理組み込む。

 

「死体は消し飛ばないでくれよると嬉しい。貴様らの愛人に焼けた身を見せてやるためにッ!!」

 

そう言い、フリードが魔球を私達に向けて投げ落とす。私達を包み込むほどの巨大な魔球。

 

「【石凝姥命】」

 

八咫の鏡を石凝姥命様が掲げる。すると、魔球が八咫の鏡に反射され、フリードに向かっていく。スピードを変えず、真っ直ぐフリードに向かう。

 

「なんだとぉ?!」

 

フリードの声が聞こえた瞬間、魔球に飲み込まれた。

 

「「「「……………え、一瞬で消えたんだけど」」」」

「本物の神の力はこんなものじゃないわよ」

「怖い…」

「で、どうするわけ?暇になっちゃったわよ」

「僕なにもしてない…」

「なら、ティオさんの戦いを見ま「まだ戦いは終わってなどいない!!」しぶといですねめんどくさい」

 

フリードは服がボロボロになり、血を流しながら、立っていた。これでも戦おうとするフリードは本当に頭が良くないのかと疑ってしまうほどだった。

______________________

〜零の兄〜

あ、なんかこっちから神力感じる。どうせエヒトのだろ。無視だ無視。さ、あのバカ弟を探さねばな。

 

「で、まだわからないわけ?お前それでもボガールかよ。強大なエネルギーなんだからわかるだろ」

『ポギャアアア…』

「なに、強大過ぎて場所分からない?強大ってわかるんだったら場所わかるだろ。さっさと道案内しろよ。じゃないとUキラーザウルス・ネアが逃げた世界に送り込むぞ」

『ポギャアアア?!』

「まぁ、出会いがしらで食われるだろうがな」

 

そう言うと、ボガールは焦った様子で周りを見渡し、神力を感じたほうへと進んでいく。

 

あ、それもしかしてバカ弟のだったの?



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奈美の暇潰し

〜奈美〜

暇ね。物凄く暇ね。しげるに言われて王宮でリリィ達と待ってるけど、何もすることなくて暇ね。

 

多分、しげる達はエヒトと戦っているのでしょうけど、地上は暇過ぎて私達は紅茶を飲んでいた。

 

「リリィ、上に立つ者はいついかなる時も冷静でなければならないわ」

「えっと、奈美様はどうしてそんな余裕なんですか…?」

「どうしてって、別にしげるがいるから心配ようがないでしょ。というか暇ね」

「暇って…」

「リリィ、愛子には少し外に行くって言っておいて」

「え?外は今、危ないですよ?」

「大丈夫よ。たかだかちょっと煩い天使達にお仕置きをするだけよ」

「え、それって?!駄目ですよ!お兄様にもここで待つように言われてるんですよ?!」

「大丈夫よ。しげるは私に逆らえないから」

 

ティーカップをテーブルの上に置き、お城の外へと行く。途中、エンタープライズやベルファスト達がいたけど、適当な理由だけ言って逃げたわ。

 

「ちょっと、ゼットンはまだしも、どうしてこの世界にペダニウムゼットンがいるのよ。というか、あのキングジョーはどうしてバレてないのよ。目の前にいるでしょう」

 

ペダニウムゼットンの目の前にいるキングジョーは何故か攻撃されてないのに、ペダニウムゼットンは一方的に攻撃されているという謎の光景。

 

「あれは……遠藤浩介が搭乗しているのね…だからってバレてないのはおかしいでしょ」

 

遠藤浩介が操縦するキングジョーの肩に飛び移り、ペダニウムゼットンの目の前までやってくる。キングジョーの火力ではペダニウムゼットンの厚い装甲を貫くことが出来ない。

 

「遠藤浩介、そのままジッとしていなさい。私が止めを刺すわ」

『え、あ、はい』

 

指を振るうとペダニウムゼットンの腕が爆発し、宙へと飛ぶ。

 

「次に足よ」

 

そう言うとペダニウムゼットンの足が消し飛ぶ。突然足が消えたことによって体勢を保つことが出来ずに倒れる。

 

『ピポポポポ!ゼットン!!』

 

私を見つけたようで、ペダニウムゼットンが【ペダニウム・メテオ】を撃とうとエネルギーを溜める。

 

『こ、これ危なくないですか?!』

「大丈夫よ。そもそも撃てないのだから」

 

エネルギーを溜め終わり、ペダニウムゼットンが【ペダニウム・メテオ】を撃った。その瞬間、【ペダニウム・メテオ】はペダニウムゼットンの目の前で爆発。しかもこちらには爆風が来ない。

 

『な、なにしたんですか?!』

「ただ相手の体に細工をしただけよ」

『だけって……ええぇぇ…』

「それよりも、《神山》ってあの山で合ってるわよね?」

『あ、はい。って、なんで貴方がここにいるんですか?!』

「今じゃないでしょ。まぁ、どうでもいいけど。答えは後日しげるにでも聞いておきなさい。私が話してたらの話だけどね」

 

そう言い、キングジョーから離れて《神山》のゲート近くへと向かった。ゲート付近には天使が空を覆うほどの数が待っていた。

 

「あらあら、初めまして天使の方々?」

「貴方は人間ですね。神の意志に従い、ここで粛清されなさい」

「断るわ。私の神はエヒトではないのよ。それに()()()()()()()()()()()()を貴方達は襲えるのかしら?」

 

指を鳴らすと天使達は一斉に私へと向かってきた。これが罠だとも知らずに。

一人の天使が剣を振り下ろし、私を斬ろうとした瞬間、世界が揺らぎ、私がいたところには別の天使がいた。

 

「「「「「?!!」」」」」

「ボサッとしている暇があるってことかしら?」

 

次に指を鳴らすと私の背後に無数の魔法陣が展開される。その魔法陣は全て異なった文字が描かれている。

 

「穿て神槍【グングニール】」

 

魔法陣からレミリアやフミアが使うグングニールが放たれ、天使達を貫いていく。

 

「貴様、先程の発言は嘘だったのか!」

「あら、なんのことかしら。確かに私は武器を持たないとは言ったわ。だけど、私は反撃しないとも、攻撃しないとも言ってないわよ?」

「ッ?!」

「絡み取り、そのまま地面に叩きつけて」

 

そう言うと、地面から鎖が生き残った天使達を捉え、地面へと叩き付ける。それでも動こうとする天使達。最後に全てのエネルギーを吸収する杭が体を穿き、動かなくなった。

 

「なによ、ここも案外暇ね」

 

私はゲートの前まで行き、ゲートに触れる。

 

「一方通行…向こう側からしか通れない仕組みなのね…なら、その効果を反転させればいいわね」

 

ゲートに触れながら能力を発動させる。すると、ゲートが光り輝き、通れるようになった。

 

「神様ごっこは十分かしら?エヒト、今すぐにそっちに行って地獄という物を味合わせてあげるわ」

 

そして私はゲートへと飛び込んだ。あとにしげるになんて言われるかなんて、今の私にはなによりも簡単にわかることだわ。



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神々?の戦い

《神威》の最奥、そこには一人の女性が零達を待っていた。彼の名はエヒトルジュエ。その身の名は愛優美。本来もういない、もしくは零の体内で永遠を過ごすはずだった存在。その肉体を我が物としたエヒトルジュエは零達を待っていた。

 

「ふぅ…どうだイレギュラー。我が領域の最奥へようこそ」

 

零はエヒトルジュエに愛刀マガタノを、ハジメはドンナーシュラークの銃口を向けた。

 

「美しきかろ?イレギュラー、お前の愛人がここまで変わったのだ」

「率直な感想いいかな?」

「ほぉ、何かな?言いたまえ」

「」

「……………」

 

零の言葉にエヒトルジュエは黙る。

 

「おしゃべりはここまでにしよう。新たなる我が器に何処まで耐えれるのか見ものだな」

「新たな器?ふざけるなよ、愛優美はお前の器なんかじゃないっ!」

「いいや、器だ。その証拠を見せてやろうっ!!」

 

エヒトルジュエの周りに幾千物の光球が現れる。

 

「さぁ、特とご覧あれっ!?」

 

光球は全て零に吸い込まれる。幾千もあった光球が消えたことにエヒトルジュエは少しだけ驚くがすぐに余裕ぶった顔に戻り、再び光球を出現させる。

 

「このメンツで来て良かったな」

「当たり前だろ。こっちにだって神様が付いているんだぞ」

「勝利の女神ではないけどな」

 

そんな会話が出来るほどに余裕な零達は等々攻撃を仕掛ける。ハジメのマシンガンクロスビット達がエヒトルジュエを囲み、エヒトルジュエ向けて一斉掃射する。

 

「我にそんな小細工が通用するとでも思っているのか?」

 

エヒトルジュエが指を振るおうとした瞬間、エヒトルジュエの腕があらぬ方へと曲がる。耀が踵落としで折り曲げたのだ。

 

「しげるの名において命ずる。()()()()

 

マガタノが姿を変え、8つの首を持つ怪獣へと姿を変える。元になった姿は《オルクス大迷宮》のヒュドラだろう。マガタノは零の命令に従い、エヒトルジュエに食らいつく。

 

「力が?!なるほど、流石はイレギュラーだ。最愛の女の体でも容赦なしか」

「すぐに再生するんだ。痛みなんてねぇだろ」

「流石に知られているか。ではそろそろこちらからも行かせてもらおうか!!」

 

まだ残っていた光球が零やハジメ、耀を狙って飛んでくる。ハジメは避けながら光球を撃ち落とし、耀は光球を掴んで一つずつ握り潰していく。零に至っては体を貫かれても微動だにせず、エヒトルジュエに向かって拳を振るう。

 

「無駄だ。この障壁がある限り、我に攻撃は当たらん」

「そうかよっ!ならばベリアロク、お前ならコイツの障壁を破ることは可能だよな!!」

『当たり前だ!!』

 

ベリアロクをエヒトルジュエに突き刺す。だが、やはりというか障壁が邪魔をする。

 

「そういえばイレギュラー、アルヴヘイトはどうした?ヤツも我が使徒とはいえど神の一柱、そう簡単に死ぬはずが」

「あ?ああぁぁ〜……」

「ある女にボコボコにされてたが、あれで本当に神かよって思ったよ」

「なに…?あの場にいた女の中でそのような物は居なかったはず……」

「どうでもいいし、喋り過ぎだ」

 

光球を撃ち落としたハジメが巨大な杭をエヒトルジュエに突き付け、耀が杭をその剛腕で殴る。

 

「イレギュラー、お前の女の最後聞きたくないか?」

「………なに?」

 

【デスシウムスラッシュ】で障壁に叩き込んだあと、零は動きを止めてしまった。

 

「体の主導権を奪われ、魂だけとなったのによく抗っていたよ。だが、抗えば抗うほど魂には激痛が走っていただろうに……我には見えていた。必死に歯を食いしばって耐えている姿がな。それもやがて耐え切れなくなり、悲鳴を上げた。そして、まぁ、なんだったかな?最後の言葉は…………《お兄ちゃん…たすけて…》だったか?ふふふ」

「……」

「そう言って()()()()()()()()()。分かるか?お前達が望んでいた希望はありもしなかったのだよ!!ふはっふはははあがっ?!!」

 

言い終わったのと同時に、エヒトルジュエ、愛優美の体を背中から一つの腕が貫く。その手の中には何かの核のような物がしっかりと掴まれていた。

 

「あぁ、助けてやるよ。いつだってな…」

 

光が当たって見える黒いようで青い髪、海のように綺麗な青い目が光る。その男はそこには立っていた。

 

 

 

 

 

 

()()()()なんだ。返してもらうぞ。エヒトルジュエ」

「きざまはあああ!!!」

 

零の兄がそこに立っていた。

______________________

〜奈美〜

神威には来たけど、道わからないわね…どうしようかしら

 

『ポギャアアアア…』

 

岩浦から聞こえる謎の声に少しびっくりした。だけど、私は恐れずに少しだけ顔を出してその正体を見る。

 

「わかるぅ…わかるよ……お前も迷子なんだなぁ…実は俺も何だ…」

『ポギャアアア…ピギャアアア!』

「なんだって?!使われるだけ使われて捨てられたのか?!可哀想に、俺が側にいてやるよ…」

『ポギャアアアア………』

 

清水とマンタ?みたいな生物が一緒に泣きながら清水が持っていたであろう飴を食べていた。

 

『ポギャアアアア!!』

「え?!お前、ボガールって名前なのか?いい名前だな。え、でもそれって種族名なのか?うぅんなら、俺が考えてやるよ!!」

 

そうよ!ボガール、ボガールよ!!思い出したわボガールね!!どうしてボガールと仲良くなってるのよ!?まぁ、いいわ。さっさと地上に送っちゃいましょうか。

 

指を振るって即座に魔法を構築。二人?を地上へと送り返す。

 

「さ、このままみんなをお繰り返しましょうか。私のせいで一方通行で帰れなくなっちゃったし」

 

そう言って私は次の場所へと向かった。



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ありふれない名も無き英雄は世界最強

「俺達の妹なんだ。返してもらうぞ。エヒトルジュエ」

 

エヒトルジュエの背後に現れた零の兄。彼は愛優美の身体に宿ったエヒトルジュエではなく、愛優美の精神核だけを抜き取った。

 

「我を身体から出すのに失敗したようだな」

「計算通りだ。妹だけを抜き取り、その身体にエヒトルジュエ、お前を結び付けた」

「なっ…?!」

「何か勘違いしていないか?愛優美は元々そこの弟の中にいたもう一つの精神。弟が造った身体に入っていただけで、精神体さえ無事なら身体なんて捨てたって構わないからな」

 

そう言い、エヒトルジュエを蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたエヒトルジュエは零達の頭上を通りながら床へと叩き付けられる。彼は零の隣へと降り、零に何かを渡す。

 

「ほら愛優美の精神核だ、もう失くすなよ。お前どんくさいし」

「余計なお世話だ。あんなの俺達でも倒せるっての」

「生意気な弟だな」

 

零は精神核を自身の体内に戻す。

 

「っと、ヤツが起きる前に人間と鬼はさっさと帰ったほうがいいぞ?」

「は?いやいや、俺はアイツを殺すんだよ」

「悪いがそうも言ってられない。愛優美の精神核は切り離せたが、ヤツは愛優美の身体を使っている。しかもその身体は言ってしまえば弟の……今の名前はなんだっけ?」

「しげるだ」

「そう、しげるの半身。つまりアイツはしげると同様の力を持っている」

 

曰くエヒトルジュエは零の能力の一部を持っているとのこと。

 

「うわ、それはめんどくせぇ…なら俺達は潔く帰ったほうがいいな」

「そうするか。他の奴らも心配だ」

「他にも仲間がいるのか?なら急いでっ!」

 

彼が最後まで言い切る前にエヒトルジュエが彼に向って槍を投げる。

 

「我を身体に結び付けれてたぐらいで勝ったつもりか?聞けばそこの他世界の神の能力を使える身体、ならばその力を存分に扱ってやろうぞ!!」

 

そう言い、エヒトルジュエが両手を広げる。すると幾つもの巨大な隕石が零達目掛けて落ちてくる。だが彼は人差し指を前に出し、申し訳無さそうにエヒトルジュエに言った。

 

「あ、お前に説明した能力だが一つ訂正な。英雄(イロアス)能力は同じ英雄(イロアス)なら無効化出来るんだよ。まぁ、何度も練習が必要だがな」

 

そう言うと隕石が消滅した。エヒトルジュエはその光景に驚きを隠せなかったようで、眉毛が小刻みに動いていた。

 

「さぁ、別世界の神を倒しに行こうじゃねぇか!」

「ふっ…ショータイムと行くぜ!」

「………なにそれ遅れてきたのに決め台詞?」

「そうだよっと!」

 

エヒトルジュエは黒い靄のような物に包まれ、ダークザギへと姿を変える。

 

「ダークザギ…と言っても能力は本物の6万分の1…」

「え、アイツそんなに弱いの?」

「6万分の1と言えどダークザギは強いぞ」

 

そう言われながらもハジメはドンナーで一発撃つ。エヒトルジュエは手を前に出して弾を念力で止める。

 

「だがそれでも無意味だ」

 

彼がただ指パッチンをするだけでエヒトルジュエの念力が消え、ハジメがエヒトルジュエに弾撃ち込む。

 

「ぐっ…何故だ。これもまた神の力のはず…!貴様の資料にはそう書かれていたはずだ!!」

 

そう言い彼を指差す。彼は少し考え、何かを思い出したかのように手を叩いた。

 

「最後まで読まなかったな?ダークザギは神を模して作られた物、神に近しい力を得たが、神自身には届かない」

「謀ったな?!」

「そんな科学だけで神の力を再現出来ると思ってんじゃねぇよ」

 

彼はナイフのような物を幾つも造り、エヒトルジュエに向って放つ。

 

「焦っているのか?エヒトルジュエ、死んだと思っていた俺が生きており、精神となって身体を超え、他の身体を奪える力を手に入れたのにその身体から出られない…」

「なにをした?」

「聞いていなかったのか?お前とその身体を結び付けたんだよ。どうだ?痛みを受けても再生し続けるその身体…本来完全な英雄は傷を受けても即座に再生したのだが、お前のはじっくりゆっくりなようだな」

「再生し続ける身体………そうか、絶えず攻撃をすればいつかは追い付けなくなる…!」

「お前考えてることエグいぞ、ハジメ」

 

ハジメが言うには再生にだって限界がある。攻撃し続けて再生出来なくなったら叩く。もしくは攻撃をし続ける。傷は消えど痛みは消えぬ。いつかは痛み激痛を食らうだろうとのことだった。

 

「なら、話は終わりだな」

「あぁ、人間は援護、鬼は俺達と共に攻撃だ。おい、とびっきり早いのでやれよ」

「わかってら!《ティガ(スカイタイプ)》、《ダイナ(ミラクル)》、《マックス》、《ゼロ(ルナミラクル)》、《ギンガ》、《オーブ(ハリケーンスラッシュ、エメリウムスラッガー)》、《ロッソ(ウィンドウ)》、《ブル(ウィンドウ)》、《フーマ》!!」

「お、ならこっちも!《カブト》」

 

零が速さ重視のウルトラマン達の能力を目覚めさせる。彼は仮面ライダーカブトの一部能力を目覚めさせる。先手と言わんばかりに零が圧倒的スピードでエヒトルジュエの前へと向い、《マガタノ刀》で斬りつける。

 

「見えっ?!」

 

傷口から血が溢れ出る。お構いなしにと彼は【クロックアップ】してエヒトルジュエの背へと瞬時に移動し、頭部めがけて蹴り上げる。

 

「なっ?!後からだと?くっ、イレギュラー共が!!」

 

そして後ろを向いたのと同時にハジメが1つのマガジン全てをエヒトルジュエに撃ち込む。気にもしないエヒトルジュエに小さな小型ナイフを投げた。

 

「最後は俺だ!!」

 

耀が足を引っ掛け、エヒトルジュエが倒れたところでエネルギーの半分を右手に纏わせて振るう。

動かなくなったエヒトルジュエを見て、耀は零達の方へと向かおうとした。

 

ぎぃいいいいいい!!イレギュラー共がぁ!!

 

愛優美の身体が消えると《神威》が荒れだし、何処からともなくエヒトルジュエの声が聞こえる。

 

「やっかいだな」

「ハジメ達はみんなを回収しながら帰って「その必要はないわ!!」え?」

 

零がハジメ達に帰るように指示を出そうとしたら突然この空間にその声が響き渡った。全員の視線がその声の主に向く。

 

「もうみんなをお城に転送したわ」

 

そこには久我奈美が堂々と立っていた。

 

「スゥーッ…あれ、アイツがなんでここにいるわけ…?一応守られる市民側だよな?」

「え、そうだよなしげる」

「あ、あぁ…そうなんだけど…あれ?」

「しかも聞き間違いじゃなかったらアイツ、みんなを城に返したって…」

 

三人は困惑し、頭の整理を優先した。

 

「お前は……愛優美の記憶にあったな。しげるの主か」

「凶魔人ゼット…」

「あぁ、それは愛優美が勝手に名乗っただけさ。それにアイツは恐魔人ゼットが好きだったからな。まぁ、漢字は一文字違いの紛い物だ」

「それじゃぁ貴方とははじめまして?」

「そうだな。はじめまして、しげるの兄だ。名前はない」

「ふ〜ん…なら……しげるは零ってもう一つの名前があるから、貴方の名前は零斗ね。よろしく」

「あぁ、よろしく頼む」

「そんな簡単に名前付けてもいいのかよ」

 

彼、いや零斗は奈美にお辞儀する。そして無視をされ続けているエヒトルジュエの怒りは爆発した。

 

『うがあああああああ!!!!』

 

《神威》だけではなく、この世界の空間自体が乱れ始めた。

 

「まずい、このままだと神威もトータスも消滅するぞ」

「ええ?!なんとか出来ないのか?!」

「マガタノは…くっもう余力はなし」

「打つ手無「まだある」本当か?!」

 

打つ手無しと思われたが、零斗はまだあるとそう言った。

 

「この世界と融合しているエヒトルジュエを切り離す。もしくは神威とトータスを切り離し、神威だけを消す。簡単だ」

「簡単って何する気だ…」

「ふっ…これを使う」

 

そう言い、赤と青の石を取り出す。

 

「これを使うためにもお前らは先に脱出しろ。俺は後から行く。愛優美を目覚めさ「わかった。奈美転送!」…俺まだ喋ってる途中だぞ」

 

零斗の話を遮って零達は早々に帰った。

 

「さぁ、エヒトルジュエ!!お前に今から土産物をやろう!!」

 

そう言い、赤い石と青い石を合わせて、神威天井に向って投げる。

 

______________________

〜しげる〜

奈美の転送で城に戻ってきた俺達はスイーツなどを並べてお茶を飲んでいるフミア達の目の前だった。

 

「早かったわね。三月、しげる達に飲み物」

「はい。フミア様」

 

先に帰ってたのは知ってたが、まさかリリィや香織達を巻き込んでティータイムかよ…

 

「巻き込んだなんて言い方は止して。私達はリリィに誘われたのよ」

「そうか」

「それで愛優美を取り戻せたの?」

「あぁ、俺の兄のおかげでな…」

「お兄様のお兄様…?お父様からは一度も…」

 

確かに俺の兄ではあるが父さんの子じゃない。俺もだけど

 

「そのお義兄さんは…」

「あぁ、エヒトルジュエもとい神威とトータスを切り離すとか言ってたな」

「待ってエヒトルジュエ消えるってことはここに新しい神様必要じゃん。ヤバい、今回の神々の会議荒れるぞ」

「もうすでに荒れているみたいですよ」

 

紫がそう言う。俺は恐る恐る紫の顔を見る。

 

「映姫から直伝です。幽々子と共にお怒りですよ。どうする気ですか」

「は、はは……バックレるのは?」

「依姫に一瞬で捕まりますよ」

「だな………残業か…」

 

俺が残業確定と嘆いているとハジメが耀に何かを聞いていた。

 

「零がやれば良くないか?」

「あぁ〜…コイツ幻想郷でも神様やっててさ、その世界のエネルギーバランス、資源、生命、死者管理やらを全てやらないといけないんだよ。一応幻想郷には他の神様もいるが、彼女らの殆どは外の世界では忘れられた存在だからな」

「忘れられるとどうなるんだ?」

「神様って人や生き物から崇められて力を増す。もし、誰からも忘れられたら力を失って消滅…だっけ?」

「それもあるが殆どは消える前に天界に戻ったり、幻想郷に入ったりだな」

 

そこへとエヒトルジュエを始末したのか、零斗が帰ってきた。俺が落ち込んでいることに心配していたが、訳を知るとため息をつかれた。

 

「にしてもお前、嫁さん多いな」

「罪な男だよな」

「いや、出来ればもっと増やしてほしい」

「は?なんで?」

「コイツは光と闇が混じった奇跡のような存在だ。出来れば子孫は増やしてほしい。あと子供というのを育ててみたい」

「ふざけんなテメェ!!」

 

俺は近くにあったナイフを零斗の頭部に向かって投げる。

 

「まだまだだな。お前は俺に勝てない」

「はっ!言ってろ!テメェが俺に勝てるのなんて2万年早いっての!!」

「ほぉ、ならやるか?」

「おう、やってやるよこの『うるさああああい!!』っ?!」

 

頭の中で直接大声を出す大馬鹿が現れた。

 

「おま、愛優美!」

『身体借りるね!?』

 

身体の主導権を奪い、キレッキレのポーズを決める。

愛優美が主導権を握ると、髪の毛が異常な成長スピードを見せ、俺達が知っている愛優美と同じ髪になる。

 

「真赤な夢の世界にポツンとひとり、愛おしく優しく美しい愛優美!ここに復活!!」

 

俺達の妹が目覚めたのだ。これで他世界での神との戦いは幕を閉じた。

 

「あ、俺達どうやって帰ればいいの?」

「任せろそこはちゃんと考えてある。紫「今帰ったら藍や映姫達に」……よ、よし…お前らあんまり外の世界見てないだろ?一ヶ月くらいでいいかな、トータスで生活だ!!」

「「「「えええええ?!!」」」」

 

俺の身勝手な提案で一ヶ月間、トータスでの生活を余儀なくされた。一ヶ月後なら俺の力も溜まっているだろうからな。




すみませんがエピローグはまた次回にしたいです…ほんとにすみません


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エピローグ

〜零(しげる)〜

1ヶ月、トータスではあっという間だった。戦力として増やした兵器は全て破棄した。この世界ではもう要らない物だからだ。

 

「一ヶ月過ごしてどうだった?」

 

城の屋根で夕陽を見ている兄である零斗に俺はそう聞いた。零斗は少し振り向いて、また夕陽を眺めた。

 

「悪いものではない。それとお前の担任、なんかお前の主保護者面談とか言って話してたぞ」

「担任じゃねぇよ。あとでなに話したのか聞いておくか」

「ふっ……愛されてるな」

「あの先生は俺のじゃなくてハジメのだがな」

 

俺も隣に座り、夕陽を眺める。下では愛優美とマガタノがリリィを連れ回し、フミアと奈美がその後を追いかけていた。

 

「しっかし、なんでしげるって名前なんだ?」

「さぁ?俺もよく知らん。ただ奈美が決めたんだよ」

「ふぅ〜ん。それで帰るのか、地球に」

「あぁ、今晩にでもな」

「大丈夫なのか?帰ったら仕事があるんじゃないのか?」

「頑張るさ。頑張らないと貯金がな」

「どうした、金欠なのか?少しなら貸してやるぞ」

「いや、そういうことじゃなくてな……」

 

首を傾げる兄に俺は言う。

 

「小遣いがな…マガタノの食費にゴッソリと持っていかれちまって」

「そうか……あ?おい待て。お前の刀の名前ってオロチじゃなかったか?」

「あぁ、そうだな。オロチだ」

「ならなんでマガタノって名前なんだよ」

「アイツがそう名乗ったんだよ。なんか俺が弱体化したから〜とか言ってたかな」

「なら、元に戻ったならアイツの名前は」

「オロチになるな。本人は気付いていないだろうが」

 

すると兄は頭を抑えて何故か溜息を吐いた。

 

「俺はアイツらに説明してくるわ」

 

そう言い、兄は屋根から降りて愛優美達の下へと向かった。

 

「はぁ…別れってわけじゃないのになんだか寂しくなるな」

 

この世界に来た理由はフミアの救出だった。それが始まりだった。

 

「フミアがこの世界で捕らわれてなかったらここに来ることなんてなかったんだな。ある意味感謝しねぇとな」

「なによそれ、愛人が捕まったのに感謝するってどういうことよ」

 

いつの間にか後ろにいたフミアが首に噛み付き、体内から血を吸い上げる。

 

「流石にそれはしげるが悪い」

「まぁ、愛人が増えたことでみんなの負担が解消されるから別にいいのかもね」

 

依姫と奈美も来ていたようで、3人が挟めるようにと俺の隣と後ろに座る。

 

「そうだ。ずっと考えてたのだけれど、奈美の能力ってなによ。アルヴを倒したときとか、転送とか、フリードを倒したときとか」

「あ、それ私も気になってた。どういう能力なの?」

「私の能力?そうね、どう説明しましょうか」

「どうって…そのまま答えればいいじゃない」

「そうね、一々考えてても仕方ないわ。簡単に説明すると、私の能力は《ありとあらゆる物を司る程度の能力》よ」

 

奈美がそう答えたけど、二人は全くわかってなかった。

 

「空間や時間、気体、液体、個体、そして力の源、沢山の物を司る。アルヴの時は気体を使って腕を切り落としたわ。転送は空間を。フリードの時はもう圧縮して神威に置いてきたわ」

「凄いわね…その能力はしげるが?」

「いや、これはコイツが元々持ってた物だ。あの時は能力を十分に扱えず、物体を呼び寄せるぐらいだったな。あとはもう身体の何処かを変「あ、ちょっと!それは言わないでしょ普通!」ちょ、待った!痛い痛い!ごめ、すみません!!」

 

何度も叩いてくる奈美は顔を赤くしていた。

 

「今のはしげるが悪わ」

「うん、流石にそれは駄目」

「悪かったよ…………そろそろ時間かな、みんなを広場に集めてくれ。地球に帰るぞ」

 

依姫達にみんなを集めてもらうのをお願いし、俺は父さんの部屋へと向かった。

 

「父さん、そろそろ地球に帰るが、あんたはどうする?」

「そんなの帰るに決まってんじゃん!!」

「なら広場に来てくれ」

 

俺と父さんが広場に向かうとすでに殆ど揃っていた。ただいないのは遠藤だけだった。

 

「遠藤一人VS俺達全員の隠れんぼでもやっているのか?」

「ここにいるわ!!」

 

普通にいた。全然男のグループのところにいた。

 

「よし、なら全員揃っているな?ならば帰るぞ地球に!」

 

そう言うと全員が歓喜な声を上げる。紫はスキマを開いた。

俺はスキマに身体を通して向こう側に向かう。一応羅針盤使いながら開いたため、俺達の世界に繋がっているはずだ。

 

「繋がった?」

「「「「え?」」」」

「ん?」

 

スキマの先は少し大変な場所だった。時期など関係なく桜が咲いている場所、幻想郷内にある俺の家の中だった。だが、目の前にいる人物達が少しあれだった。

 

「あ、待ってごめ「きゃあああああ!!!」グエェ?!」

 

その内の一人に殴り飛ばされ、スキマを通ってハジメ達の前まで戻ってくる。

 

「ど、どうした?」

「ゆ、ゆか…」

「ゆか?床?」

「紫お前ええ!!」

 

紫から羅針盤を強引に取り、行き先を頭の中に浮かべて、スキマを開く。その先はちゃんと地球、しかも俺達がいた教室だった。

 

「よし、お前ら帰ってきたぞ」

 

スキマを最大まで開き、全員を連れてくる。

 

「それじゃ、私達は幻想郷に先に戻ってるわね」

「あ、お前らを紹介したいから後で呼ぶかもだから準備しててくれ」

「リリィも彼女らと一緒にな」

「はい!」

 

そして俺、ハジメ、恵里、父さんは南雲家へと向かった。

 

「別に父さんは幻想郷に行ってても良かったんだぞ、俺の女に手を出したら許さんが」

「そんな事するわけ無いだろ?!」

 

そうしてハジメが家の鍵を開けて中に入る。俺達も中に入るとドアの先には愁さん達が立っていた。

 

「た、ただい「こんのバカ息子!今までどこに行っていたの!」あ、ごめん」

「零と恵里もだ!お前達は………」

 

そう言い、愁さんが俺の後ろにいる人物を見た。

 

「お前、黎斗か…?なんで…」

「あ、あぁ…久し振りだな。なんか死んで異世界で王様やってたんだ…」

「そう…なのか」

「積もる話もあるだろうし、テーブル片付けてゆっくりと話しましょうか」

 

菫さんの提案でテーブルの上にある物を片付けて異世界でのことを話した。

 

「そうだったのか…そんなことが…」

「まぁ、そんな話は置いといて、愁さん、菫さん!聞いてください!!お兄ちゃんがヤバいんです!!」

 

そう恵里が言った。愁さん達は首を傾げて俺を見た。

 

「まぁ、ここからは俺の話だよな…」

「え、え、なにかあるのか?」

「見た感じ何処もヤバそうじゃ…」

 

俺は自分の正体や今までのことを離した。愛人と正妻がいること、孫がいること、その他の色んな事を。

 

「え、孫って言った?零の孫ってことは俺達の曾孫に位置する子?」

「まぁ、そういうことだな」

「それに愛人に正妻?え、しかも神様で世界の想像者?」

「その愛人はめっちゃ沢山いるんだって」

「「え、チーレム?」」

「ちなみに僕も入ってるよ」

「「え…?」」

「まぁ、そうなるよな」

 

暫くして頭の整理が出来たようで、その愛人達を紹介しろとのことだった。

 

「え、いいけどマジで多いよ?」

「あぁ、それでもいい」

「俺が知っている限りでは40人だな」

「「え?」」

 

突然耳慣れない声に二人は周りを見渡した。俺の兄である零斗が座ってお茶を飲んでいた。

 

「はじめまして、零の実の兄である紅蓮零斗です」

「あ、はじめまして…」

「お前いつからいたんだよ」

「結構前からだな。それと愁さん、菫さん、コイツの愛人は本当に多いので、ここではなんですしコイツの家に向かってはどうでしょうか、彼女らもあちらで待機しています」

 

スキマを開き、我が家の前へと繋げる。

 

「さ、二人共通ってくれ」

 

二人は恐る恐るスキマを通り、幻想郷へと向かう。

 

「凄い…なにここ…」

「日本…なのか…?」

「正確には日本じゃないですよ」

 

二人は目の前に広がっている世界に感動していた。

 

「ここが幻想郷か…あのバカデカい桜は?」

「言ってしまえば俺の能力の源的な?あの上にあるんだよ、俺の家って」

「スゲェな…」

 

俺が木に近付くと、花びらが集まって階段が出来る。花びらとは思えないほどしっかりとしている階段に愁さん達は驚いていた。階段を登ったあと、巨大な桜の木の上に一見の神社があった。

 

「あれが俺の家だ」

 

扉を開けると、みんながいた。

 

「紹介するよ。この部屋にいるのは俺の愛人達だ」

「香織達は?」

「アイツらは別の部屋で待ってるぞ」

「わかった。父さん、母さん、先に俺の嫁達を紹介するよ」

 

小さな妖精を呼び出し、ハジメを案内させ、俺は父さんに愛人達を紹介に一日かかったのは言うまでもないだろう。




数年間読み続けてくれた皆様ありがとうございます。ありふれない名も無き英雄は世界最強は一応本編完結?です。
そして活動報告にある通り、殆どの小説を完全非公開にしました。これはしませんが、他のも読んでいた方々には申し訳なく思います


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アフターってやつ?
オリ主やオリキャラの設定


名前:しげる 別名:紅蓮零

年齢:不明

能力:能力を作り出す程度の能力

能力説明:書いて字の如く能力を作る。与えることも出来る。

説明:今作の主人公。一応創造神だが破壊神でもあり、龍神でもある。

地球とはまた別の星で暮らしていたが、訳あって体や魂がバラバラになり、その一部が地球に落下、そこで玖珂奈美と出会った。しげるという名を授けられ、奈美の護衛役として雇わられた。その後、しげるの体を集めていた愛優美と遭遇、愛優美は奈美に嫉妬し襲かかり、それを止めようとしたしげると相打ちになった。そこからしげるは龍神となり、世界の創造主となり、新たな道を進んでいった。

兄である零斗曰くしげるには恋人などが40人近くいるとのことだった。本人は決して意図して増やしていたわけではない。ちなみに零斗からはもっと恋人増やせなど言われている。

妻:綿月依姫

兄:零斗

妹:愛優美、蒼

弟?:こたる、イル

 

 

 

名前:紅蓮零斗

年齢:不明

能力:ありとあらゆる物を無効化する程度の能力

能力説明:まず他者の能力の影響を受けない。能力事態を解除しない限りは受けないため、例えばフランの破壊の能力や咲夜の時間を操る能力の影響が受けない。

説明:一応しげると愛優美と出身地は一緒で唯一血の繋がった兄弟。零斗もしげる同様に肉体や精神がバラバラに弾け飛び、宇宙全体(もしかしたら別世界まで散らばっていた可能性もある)を飛び回り、欠片の回収をし、しげる達を探しているところでエヒトと出会う。当初の目的は愛優美の完全復活、その次にしげるの完全復活だったが、愛優美の復活に完全なしげるの体が必要だったため、しげるの復活に少しばかり手を貸す。

弟:しげる

妹:愛優美

 

 

 

名前:紅夢愛優美 別名:凶魔人ゼット

年齢:永遠の16か17歳

能力:しげるが作った能力を勝手に乱用

説明:しげるの別人格。しげるに名を与えられたのと同時に突然死。零斗としげるがバラバラになるのと同時に人格だけ復活。そこから二人の欠片を集めながら宇宙を旅をした。初めて降りた地球でしげると再会。しかし近くにいた奈美や蓮子、メリーに嫉妬(奈美に一番嫉妬)し、襲撃した。それを止めようとしたしげると相打ちになり、集めた欠片がまた宇宙に飛び散り、数年後に蘇ってまた欠片集めをしていたらしい。

兄:零斗、しげる

 

 

 

名前:玖珂奈美

年齢:永遠の16歳(ガチ)

能力:ありとあらゆる物を司る程度の能力

能力説明:空間や時間、気体、液体、個体、ありとあらゆる力の源、万物を司る

説明:しげるの名付け親で、しげるが初めて出会った人間。蓮子やメリー、こたるとイルと同級生で、しげるが愛優美と相打ちになったあと、車に轢かれ入院。しかし、体は生きているのだが魂だけが白玉楼に、そこで神となったしげると再会した。ハジメ達がいる地球では極一般の女子高生として振る舞っているが、しげるに対して無条件で命令を出せる数少ない人物で、ちゃんとした主従関係がある。そしてしげるといると落ち着くとのことで結婚した。

夫:しげる

 

 

 

名前:桐生 誠也 別名:こたる

年齢:永遠の16

能力:能力をコピーする程度の能力

能力説明:もうマジで書いて字の如く

説明:イルとメリーと蓮子同級生で幼馴染。奈美としげるとは高校で出会った。奈美が目を覚まさなくなってから数日後にイルと共に何者かに殺害され、魂の状態でしげると再会。その後、しげるの体の一部を使って新しい体を作ってもらい、生活している。

恋人:レミリア

兄?:しげる

 

 

 

名前:綾瀬 海斗 別名:イル

年齢:永遠の16

能力:武器を作り出す程度の能力

能力説明:もうマジで書いて字の如く

説明:こたるとメリーと蓮子の同級生で幼馴染。奈美としげるとは高校でで出会った。奈美が目を覚まさなくなってから数日後にこたると共に何者かに殺害され、魂の状態でしげると再会。その後、しげるの体の一部を使って体を作ってもらい、生活している。

恋人:フラン

兄?:しげる

 

 

 

名前:フミア・スカーレット 別名:紅蓮真紅

年齢:不明

能力:未来を作り変える程度の能力

能力説明:未来を変える能力。それで負ける未来を勝つ未来に変えたりする。ただ、本人曰く未来変えるには代償が必要らしい。それは変える未来の大きさによって代償の大きさも変わる。

説明:レミリアやフランの実の姉。紅魔館はレミリアに譲り、フミア自身は自由に生活している。吸血鬼としての弱点は全て克服しており、日中関係なく外にであるている。流水も大丈夫だが、基本紅茶かしげる、もしくは依姫や三月、咲夜、美鈴の血しか飲まない。

そしてフミア専属のメイド、三月がいる。三月は咲夜には劣るが仕事はスムーズにこなす。

妹:レミリア、フラン

 

 

 

名前:霧崎三月 別名:霧崎美月

年齢:不明

能力:森羅万象を切り裂く程度の能力

能力説明:空間や時間を切り裂くことが出来るらしい

説明:霧崎三月はフミアに名付けて貰った名前で霧崎美月はしげるの現在の父である黎斗が着けた名前。記憶喪失というのは嘘で、その方が国や世界に溶け込めるからとのことだった。

ちなみにロイヤルメイド隊のシェフィールドに色々教わっているとのことだ。

 

 

 

名前:鬼紅耀

年齢:不明

能力:血を操る程度の能力

能力説明:血を使って傷口を塞いだり、溢れ出る血を斬撃として飛ばすことが出来る。もちろん、他者の血も操れる。血を止めることもできる

説明:種族的には鬼だが、鬼神に近しい存在。太古の時代にしげると出会い、そこから長い旅をしていたせいで神力を浴び過ぎたせいで神に近しい何かに変わった。元々神羅とあと二人と共に大妖怪の四天王として悪さではないが、強い人間や妖怪を探しているところに太古の地球を見て回っていたしげるを発見し襲撃、秒でコテンパンにされて旅の仲間として加わった。そこから仲良くなり、今では手加減しているとはいえしげると互角に戦える力を手に入れた。

嫁:灯、勇義、萃香

 

 

名前:神羅

年齢:不明

能力:エネルギーを操る程度の能力

能力説明:大まかなエネルギーを操る能力らしい

説明:元々は鴉天狗。だが、いつの間にか鳥の大妖怪になっていた。見た目は鴉というより鷹や鷲に近い。こちらも太古の時代にしげると出会い、そこから長い旅をしていたせいで神力を浴び過ぎたせいで神に近しい何かに変わった。元々耀とあと二人と共に大妖怪の四天王として悪さではないが、強い人間や妖怪を探しているところに太古の地球を見て回っていたしげるを発見し襲撃、秒でコテンパンにされて旅の仲間として加わった。

そして愛優美によって鷲に変えられて、記憶を失ったしげるの護衛役としてペットショップに売られてしげる達に飼われることになった。その後、トータスで愛優美によって戻された。

嫁:奄美

 

 

※ここからはちょっとした設定

 

名前:タマミツネ 別名:ミツネ

年齢:不明

説明:実はしげるがモンハンの世界に行った時に出会った元は双子のタマミツネ希少種。通常のミツネよりも青いから希少種であろう。あかちゃんの頃から世話してもらっており、しげるやその仲間には信頼をおいている。そして愛優美によって記憶を残したままあかちゃんに変えられてペットショップ(愛優美によってショップ自体買われている)に売られ、それを何も知らないしげる達が購入。そして現在のミツネに至る。ちなみにミツネはメスである。

 

 

 

名前:蒼

説明:しげるの妹だが愛優美と違って血は繋がっていない。愛優美は蒼を妹と認めていないらしい。その正体は()()()()()()()()()()()()だ。零斗曰く火力は銀レウス以上ミラ系未満とのことらしい。しげるによって人間に変えられたが、自分の意識でモンスターの姿に戻れるらしい。

兄:しげる

姉:愛優美




蒼を覚えてる人は凄いと思う。うん


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零の日常(上)

〜零〜

帰りたい…帰りたい…

 

「しげるさん、次にトータスでの偽神による被害の…」

「なぁ、これホントに俺なの?転生を管理する神、生命を管理する神、魂を管理する神とかいるじゃん」

 

俺は目の前の神にそういう。

 

「はい。ですからこれは報告書です」

「そこに置いてて、まだ他にもやるべきことがあるから」

「わかりました」

 

そう言って神が部屋を出ると俺はスキマを開いて母港へと向かう。こっちはこっちで色々あり、まず学校の見回りをしないといけない。

 

「見回りって大変だな…」

「これは見回り…ですか?」

「見回りじゃないと思うけど…」

「指揮官も忙しいみたいだからね」

「ラフィーも忙しい…」

 

現在、調理室でチョコを食べていた。もちろん、普通に買って冷やしていたチョコだ。

 

「みんなも食べる?」

「え!いいんですか!?」

「いいよ、頭使った後は甘いものがないとね」

「美味しい、こんな甘いものが売ってたなんて…流石です」

 

とニーミが言うが、これはコンコードがくれる何処で買ってきたのか全然知らない。

 

「お前ら勉強ちゃんとやってるか?」

「ちゃんとやってるです!」

「ラフィーも…ちゃんとしてる…」

「ラフィーちゃんはいっぱい寝てなかった?」

「むぅ…ラフィーそんなに寝てない…」

「ぐっすりと目を瞑ってたわよ」

 

ラフィーそんなに寝てたのか意外だな。授業中は起きてると思っていたけど。

 

「あ、勉強といえば指揮官、今日は学校じゃないんですか?」

「ん?何を言ってるんだ。今日はまだ日曜日「月曜日ですよ」………」

 

俺は自分の下にスキマを開いて学校へと繋げる。教室では愛ちゃんが点呼を取っている途中だった。

 

「紅蓮くん!十分遅刻ですよ!というか紅夢さんと玖珂さんが来ててどうして遅れるんですか?!それに鞄は持ってきてないんですか?!どうやって授業受ける気ですか?!」

「いつも通りだろ?だからセー「そんなわけないでしょ!」?!」

 

スパァーンと頭を叩かれた。振り返ると奈美が凄い形相で立っていた。

 

「………紫、鞄」

「はい!」

 

紫が鞄を持ってきてくれる。全くと奈美の呆れてる声が聞こえる。それからは普通に授業を受けて、昼休みへと進む。

 

「それで今日はどうして遅れたの?」

「仕事終わりにチョコ食べてた」

「仕事ならそう言いなさいよ。遊んでたのかと思ったじゃない」

「はい…」

 

ワイワイガヤガヤと各々昼飯を食べ始める。そこにハジメ達もやってきた。

 

「また始末書を書いていたのか?」

「いや、報告書を読まされ、説教を食らってた。映姫には悪いことしてしまったな…」

「そうか………それで何だが、また今度お前のところの…綾波とロングアイランドを貸してくれるか?」

「無理、嫌だ。綾波もロングアイランドも大切な仲間だ」

「お前は俺をなんだと思ってるんだ。ただ試作ゲームの動作確認だ」

「動作確認なら愁さん達でも…それにユエ達でもいいだろ。それにここの誰かでも…………ん?」

 

俺はそこで違和感を感じ、すぐにそれがわかった。

 

「なんでお前ら全員ここで食ってるわけ?」

 

クラスメイト全員が同じ教室で食べていた。後輩がいるであろう奴も。

 

「………また異世界転移しないか怖いのか?そこは安心しろ。この世界に結界張ったから、もし通れたらそれは生物事態だな」

 

ここで簡単に説明しよう。あの後、嫁全員を紹介して一見落着に思えたが、異世界行ったなんてどう説明するんだって話になり、零斗が悪役を演じることに。そして俺達は学校へ復帰。ハジメは義手と義眼を永琳と河童に作ってもらい、なに不自由ない生活を送っている。

 

「い、いえいえいえいえいえいえ!!そんなことないですよ」

「明らかに動揺してそうだが…」

「そんなことねぇぞ?」

 

ハジメが言うなら本当だろう…

 

「それよりも、お前のそれナニ?」

「弁当」

「違う。そこじゃない」

 

ハジメは何を言っているんだ?

 

俺の手元には弁当と飲み物とさっきのチョコレートがあるだけだ。

 

「しげる?そのチョコレートを何処で買ってきたの?」

「俺も良くわからん。コンコードが持ってきてくれるから、今度明石にでも聞いてみようか」

「というか学校にお菓子を持ってこないでください!没収です!後で食べに行ってもいいですか?!」

「先生?」

 

するとチョコレートの下にスキマが開かれ、q俺のチョコが没収された。

 

「んな無慈悲な…」

「当たり前でしょ?学校にいらないものは全部没収よ」

「待ってください。ダイヤと財布だけは残してください。今日帰りにエンタープライズ達と夜景を見に「没収」嘘だああああ!!?………いや財布別にいいだろ?!返せ!?」

 

そう言うが奈美は聞こえてないフリをして、昼食の弁当を食べ始めた。

 

「なんか惨めに見えてきた」

「クラス最強が負けた…」

「あぁ、なんかこっちが日常って思えちまうよ…」

「日常といえばトータスの方はどうなってるんだ?みんな元気にしてるか?」

 

ハジメがそう聞いてくるので俺はワープゲートをトータスに繋げた。

 

「元気に業務作業だ」

「お前、神様やりながら王子様だからな」

「違う。父さんが王様になったってだけだ」

「あれ?それだとリリィが嫁ぐの?それとも零?」

 

突然雫がそんな事を言ってくるので、俺はリリィに聞いてみる。

 

「リリィはどっちがいい?」

「どっちでもいいですから、お兄様手伝ってください!!」

「………だってよ「貴方聞きに来るほど暇なのかしら」…フミアはそっちにいたのか」

 

突然フミアがゲートに顔を出す。

 

「ちなみにどのくらい残ってるんだ?」

「そうね、亜人族…いえ獣人族との開講、各都市の治安維持、帝国の復旧…咲夜に三月、ベルファスト、シェフィールド、ウォースパイト達も手伝ってくれてるけどまだまだ掛かりそう」

 

帝国という名前を聞き、ハジメ達はあっと声を洩らす。するとフミアと奈美がジトッとした目で見てきた。

 

「帝国はしげるが壊滅させたせいね」

「手伝ってくれるわよね?」

「はい…俺の日程調整してくれる専属メイドが欲しいよ」

「嫁がいるだろ」

「違う。そうじゃない…そういう意味じゃない…」

 

今日はこのあとトータスで復旧作業、その後エンタープライズ達と夜景を見に行き、映姫の呼び出し、母港での作業。

 

「自分が三人…増やせばいいか」

 

トータスと母港の作業は分身にさせ、俺は普通に授業を受けた。

 

「受けて一件落着かと思ったんだがな…」

 

映姫の説教まで色々終わりそうにない…



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異変?

これはある日の出来事、いつも通り仕事を終えて家に帰った。

 

「ただいまぁ…」

 

疲れてもう倒れそうという体を無理矢理起こして寝室でもう寝ようと歩く。すると俺が通り過ぎようとしたリビングの扉が開き奈美が出てきた。

 

「あ、しげるいったい何処行ってたのよ!」

「何処って…トータスのあと処理をしてたよ」

「ふ〜ん…あのさ、今度みんなで海行かない?」

「えぇ…あ、どうせアレだろ。ハジメのところのミュウと幸利のミャミャが海行きたいって言い始めたから俺を移動手段にする気だな?」

 

そういうと奥からハジメと幸利がやってきた。

 

「大正解だ」

「俺達はまだ車の免許持ってないんでな。娘達がご所望だ。なんとかしろ」

「なんで俺なんだよ…他にも紫とかいるだろ」

「紫は異変解決に行ったわよ?今の博麗の巫女と一緒に」

「また勝手にアイツは…!冷蔵庫にあるアイツの饅頭の中身辛子にしてやる…」

「やめなさい」

 

ハジメから海に行く日にちを言われ、帰ろうとした。だがその時だった。

 

「伏せろっ!」

「「「っ?!」」」

 

咄嗟に結界を構築し、窓から入ってきたその何かからの攻撃を防ぐ。

 

「良い度胸してんじゃねぇかお前っ!()()()()()が土足で無断で人の家に入ってくるとはな」

「……っ!!」

 

不意打ちを防がれた事に巫女は驚き、一度距離を取ろうと下る。

 

「強襲とはおもしれぇ!」

「あぁ、やるならやってやるぞ!」

 

とハジメもドンナーを取り出して巫女に標準を合わせようとする。

 

()()()()()()

「「っ?!」」

「っ?!!」

 

奈美のそのたった一言で俺達は髪の毛一本も動かせなくなる。初めて味わうその感覚に巫女は冷や汗を書いていた。エヒトのとはまた違う感覚でハジメと幸利も少し戸惑っていた。

 

「だが奈美、コイツは突然襲ってきたぞ」

「そうね。でもどうやらこの娘の勘違いみたいよ」

「は?」

 

奈美の視線を追うと紫が顔を真青にして卵を吐き出せそうなぐらいに口を開けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「「本当に申し訳ございませんでした…」」

 

二人の土下座を見ながらお茶を飲む。

 

「なぁ異変ってなんだ?」

「幻想郷では色んな奴らが問題を起こすんだよ。例えば……あ、ほら前に太陽が出なくてずっと夜だったって話。あれとかだな」

「そんな話してたな」

 

襖が開かれて奈美が戻ってくる。一緒に依姫やフミアもいた。

 

「依姫とフミアは何処に行ってたんだ?」

「外の世界で夏祭りよ」

「ゴモラ達と行ってました」

 

そう言われ俺達三人はちゃぶ台に頭を打ち付けた。

 

「誘われてない…」

「ミュウの浴衣見たかった…!」

「写真、写真は?!」

「ありますよ」

「「「マジですか依姫様!!」」」

 

 

様付けで呼ばれることに抵抗があるのか、少し顔を赤くしてカメラを譲ってくれた。

 

「お小遣い上げたのに…」

「射的で欲しい物取ったのに…」

「仕事休んだのに…」

 

そんな俺達を横目にフミア達は紫の話を来ていた。

 

「それで、どうして家を襲ったわけ?」

「今回の異変、内容が内容だったので師匠に近しい人物なんじゃないかってわたしが言ったから…」

「そもそもあれよね、今回の異変って今年の夏の気温が例年よりも高いってだけよね?それとしげるがどういう…」

 

ん?気温が高い?

 

「そうそう、氷なんてすぐに溶けちゃって、お水も殆ど温くなっちゃってこの前寺子屋に行ったらみんなチルノの近くに居たわ」

 

あぁ〜…確かに今年暑くなったよな。俺の部屋もずっとエアコン着けてるよ。

 

「それでここだけ涼しいじゃない?だからここの主が幻想郷中から冬を奪ったのよ!」

 

巫女がそういうとハジメと幸利が光とんでもない形相で俺を睨んだ。

 

「お前四季盗むのは駄目だろ!」

「冬はミャミャ達がサンタを待ってるんだぞ!それでも親か!」

「知らねーよ!まず冬の前に秋があるわバカ共!」

「「確かに…!!?」」

 

だがここまで暑いと異常だと思うのは確かだ。俺が疑われる理由は知らないが。

 

「でもだとしたらいったい誰が盗んだって言うのよ」

「いや、これただただ暑いだけだろ。外の世界もこんなもんだぞ」

「俺はお前らと違ってこの暑さを有効活用するぜ」

 

突然そんな事を言い始めた幸利にみんなが首を傾ける。

 

「この暑い日差しを使って俺はBBQをするぜ!!燃料いらずに肉が焼ける!!」

「天才か?!」

 

そんな事を話しているとズカズカと足音を鳴らしながら誰かが扉を開けた。それは幽々子だった。

 

「幻想郷が暑い理由を見つけたわ!!」

「「「え、マジ?!!」」」

 

幽々子は霊に持たせている食べ物の中からチョコバナナを取って食べる。

 

コイツも夏祭り行ってたのかよ。お店大丈夫か?

 

「てか暑いならみんなで海行かね?」

「異変解決してからな」



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