仮面ライダーウォーズ (ルマ)
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第一話 最後の日常

どうもはじめまして、初作品です!駄文ではありますが、温かい目で見守っていってください…。



学級委員長「気を付け!礼!」

 

学校の終わりのチャイムと同時に、学級委員の掛け声が教室内に響き渡る。

全員があいさつした後、椅子が一斉に机の下にしまわれる音が響き渡り、ある者は友人と帰り、 またある者は教室外で待機していた友人と話ながら帰る。

そんな中で僕は独り、家に向かいながら携帯を使う。

携帯を開いてすぐに、そのいつも見ているネット記事の通知が届いた。

【新たなライダーの出現か?】

 

「また出たんだ…仮面ライダー。」

 

ひとまず家に帰るまで携帯の電源を切り、僕は家に向かった。

 

~自宅~

 

自宅についた僕は速足で自室へと向かい、携帯を再度起動した。

早速ニュース記事をタップし、内容を確認する。

 

 この日本には、仮面ライダーというシリーズ作品がある。1971年から始まったこの作品は、世代を超え、多くの人々に愛されるヒーロー達。しかしあくまでもこれはテレビ番組であり、人が創っている。だから時には内容が批判されたりする事もあった。でもキャストを始めとした製作者達はその批判を受け止め、より良い作品を作ろうと努力して、結果的に今では不動の人気を得たのだ。そんな仮面ライダー達をモチーフにある日一つのゲームが配信された。それが、

 

『仮面ライダーウォーズ』

 

自らがオリジナルの仮面ライダーを創造でき、既存のライダーでも遊べ、さらに既存のライダーにアレンジを加え、オリジナルのデザインにもする事が出来る…それまでのゲームには無かった全く新しい斬新なシステムが仮面ライダーが好きな者は勿論、それまで興味が無かった者も虜にするこのゲームは仮面ライダーの人気を決定的とした。

 さあ、そろそろ自己紹介をしなくては…僕の名前はアル。あ、これはプレイヤーネームだよ。仮面ライダーウォーズでの。本名は黒宮 或刻(くろみや あると)っていうんだ。珍しい名前の読み方でしょ?個人的には仮面ライダーデュランダルの使用する聖剣、時刻剣界路と同じ漢字が入ってるからすごく気に入っているんだ。 

 さて、今度は今この日本で多くの人々を騒がせているある噂について、話していこう。

時はさかのぼり5年前、仮面ライダーがかなりの人気を得始めているとき、一つの写真がネットにアップされた。それは腰にベルトがついたスーツを着た人物が異形の怪物と戦っている写真だった。当初は新ライダーのネタバレ画像だと思われたそれは、あまりにもリアリティがあり、まるで本当の戦いを思わせるようなもので、しばらくしてからその写真とは全く異なる新ライダーが発表されたことから、もしかしたら仮面ライダーが本当にいるのではないか、と日本中をわかせた。

その後も次々と仮面ライダーらしき人物の情報は集まっていき、今では合計六人ほどいるとされている。

 

さて、一通りのことを説明したところで、僕はネット記事の内容を確認してみることにした。写真は薄暗く、はっきりとしたことはわからないが、おそらくスーツの形からエグゼイドのようなタイプではないかと思われる。スーツにあまりアーマーなどを付けていないのは、エグゼイドタイプではよくあることだからだ。あとわかりそうなのは、やはりこれまでに見つかったライダーすべてに言えることだが、薄暗い路地裏などで戦闘をしていることがわかる。

 

「結局今日もいい写真は無しかぁ」

 

確認を終えてすぐに記事をスライドさせて画面外に排除し、仮面ライダーウォーズを起動させる。

ログインボーナスのライダー石をもらい、クエスト画面を表示、イベントクエストを見てみる。確か今日はイベント更新日だったはずだ。

 

「お、今回はカード使用系ライダー集中強化週間か。ありがたいよ運営さん…!」

 

僕の作った仮面ライダー、それはカードを使用することで様々な力を使える、ディケイドやジオウのようなタイプだ。ただもちろん、これはゲーム…バランス崩壊なんてことにはならないように定期的に調整が入る。よって、ガタキリバコンボカードの分身も一桁台にまで制限されているし、ムテキゲーマーカードのダメージ無効、オーマジオウに至っては未だにどうしようか運営でも迷っているみたく、実装すらされていない。

そんな中設定をちゃんと守りながらもうまく調整し、カードやキャラにうまく落としてくる運営には頭が上がらない。

こういう運営の原作への愛がわかるところが、このゲームが人気ランキング上位に常時入っている所以だと僕は思う。

 

「さぁ、ひとっ走り振り切るぜ…!」

 

ライダーの設定をし、難易度EXTRAを選択。今日もまた、イベント周回を開始した。

 

 

時がstart up...3,2,1、time out...

 

 

ゲームを始めてしばらくたったと思い、一応時間を見てみると、気付けば午後6時半となっていた。

今日の晩御飯を作らないとと思い出し、携帯を閉じ、キッチンへ向かう。

 

「今日は…とんこつラーメンwith紅ショウガにすっか」

 

その場で決めたと同時に冷蔵庫などをあさり、食材を準備、簡単に作り上げる。

 

「いただきます」

 

冷めないようにとはやめにすすり、明日は休みだしどうしようかなとか思いながら、今日も僕は仮面ライダーを見て一日を終えるのだった…

 

 

この時の僕はまだ知らなかった、この後運命が動き出すことに。




読んでいただき、ありがとうございました!
今回は基本、世界観の説明などが目立ってしまいましたね…。
次回はいよいよ、ライダーといったらこれ…変身だと思います!w
気長にお待ちください!


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第二話 かけ合わせろ クロスアップ!

どうもこんにちは!第二話お待たせしました…!
遂に変身、そして主人公が変身するライダーの名前も明らかとなります!
ぜひ最後までお付き合いください!


 今日は土曜日、日本では特に仮面ライダーが盛り上がっているけれど、特撮ヒーローは仮面ライダーだけとは限らない。この土曜日は、数ある特撮ヒーロー番組の一つが放送される日だ。もちろんこの番組も僕はファンなのでしっかりとリアタイで見ることにする。

時は流れて午前9時半、ちょうど見終わったテレビを消して、見ながら食べていた朝食を片付けに、お皿を持ち、キッチンへ向かう。蛇口から水を出して、食器を洗いながら僕は今日の予定を頭で組み立てる

 

「最初の予定はすでに見終えたからよし、んで昨日から始まった新イベを回しながら時間つぶして、午後からは「私と遊園地にいく」そうそう遊園地遊園地…ん?」

 

何やら隣から声がしたと思い、いったん食器洗いをやめて声がした方向に顔を向ける.

そこには、僕が通っている高校の女子制服を着た一人の女の子がいた。

 

標華「もぉ、前に約束したでしょ?今度遊園地行こって」

 

「須道さんか…なんだ驚かせないでくださいよ」

 

この人は須道 標華さん、僕がこの町に来てから何かと僕のことを気にしてくれる唯一の友達だ。

僕より一つ下の学年、いわゆる後輩ではあるものの、一緒にいた年月の事もあり、向こうは僕に普通に話しかけてくる。一方僕のほうはというと…

 

標華「何回も言ったよ?敬語じゃなくていいって」

 

「指摘してくれるのはうれしいですけど…すいません」

 

標華「しょうがないな、まぁいいや、それよりさっき言った遊園地の約束!忘れてないよね?」

 

「も、もちろんですよ。は…はは」

 

直前まで忘れていたなんて言えない、そう思ってひとまず顔を笑顔にはしておくが自分でもわかるくらいの愛想笑いだ、須道さんにも自分が忘れていたなんてわかってしまっているだろう。

それでも須道さんは僕に顔を見て、やれやれと呆れた様に首を振るだけで終わってくれたのだった。

しばらくして食器洗いが終わり、須道さんにお茶を出してから僕は気になることを聞いた。

 

「遊園地の事ですが、午前からでなくていいんですか?その方がより多くの時間を遊園地に費やせると思いますけど…」

 

標華「この格好見てわかんない?部活だよ!吹奏楽部。しばらくしたら私たちの部活コンクールなんだよね~」

 

あ~つかれる~なんて言いながら僕の淹れたお茶を一気飲みする。

 

標華「ってやば、そろそろ時間だ。んじゃ或刻また後で!それと次にお茶淹れるときはもっとぬるくしてよ!」

 

足早に僕の家を離れてながら次のお茶への要望を出していく彼女の姿は、まるで怪人がやられたときに放つ捨て台詞のようだった。

…そんなにあれ熱かったかな?気になる僕はその自分が入れたお茶を飲んでみたが…

 

「熱っ…」

 

次はやかんの火を早めに止めることにしよう。

 

閑話休題

 

標華side

或刻の家を出た後、私は足早に高校へと向かい、部室の席に座ると同時に楽器を取り出し音の調整を始める。

彼は周りからは静かな奴だって思われているけれど、私は知っているんだ。仮面ライダーの話になると彼はまるで子供のようにたくさんお話を聞かせてくれることを。

現在まで放送されている仮面ライダー作品は…えっと確か33作品だったっけ?もう少しあったような気もするが大体そのぐらいだろう。おそらく全部の作品を見ていると思う。

仮面ライダーについての豊富な知識があれば、間違いなくこの仮面ライダー大人気社会において友達に困らないのだが…

 

先生「よぉしみんな!今日も始めていくぞ!頑張っていこう!!」

 

生徒たち「「はい!!」」

 

気が付くとみんなが集まっていたようだ。ひとまずこの部活を終わらせて午後に備えるとしよう。

 

???side

ここは町の路地裏、一人の人間が或刻たちが通う高校に向けて歩いていた。その手に持つウォッチを握りしめながら…

 

???「あそこなら、もっと悲鳴が聞けるかもしれねぇ…ハハッ、楽しみで気が狂いそうだぜなぁ、一号?」

 

いびつな仮面ライダー一号の顔デザインが書かれた、アナザー一号ライドウォッチを持ちその人間はひとつ、またひとつと高校へ足を進めていった。

 

標華side

コンクール間近ではあるけれど、うちの高校の吹奏楽は楽しく演奏することをモットーにしていることもあるからか、適度な緊張にとどまっている。

私たちは個人練習へと練習メニューを変え、それぞれのパートで練習を始めていた。

 

標華「いったん休憩~、さすがに疲れたよ」

 

トランペットを口から外し、大きくため息をつく。ふと気づくと窓が開いていた、楽譜が飛んでしまわないよう急いで窓の鍵を閉めようとしたとき、

 

標華「だれ?あれ…」

 

校門前に不気味な格好をした人が立っていたのが見えた。

一人の生徒が私のことを不思議に思い、こちらに近づいてきた。

 

みく「標華ちゃん?どうかしたの…って!あれ一号のコスプレかな!?」

 

標華「一合?ご飯頼むときのあの一合?」

 

みく「なわけないじゃん!?仮面ライダー一号だよ!しかも放映初期の旧一号verの色だ!すごいなぁ、でもなんでスーツがあんなにいびつなんだろ。」

 

よくわからないが、あのスーツはいびつらしい。或刻とはいわゆる平成ライダーを見ていたから昭和はからっきしわからない。

後で或刻にもこの話をしようと思い、写真を撮って彼に送る。

そんな話をしていると、私たちの存在に気付いたのか、一号?はこちらを向き、そして…

 

一号?「発射ァァァ!!!!」

 

その声とともに、口から光線らしきものを私たちに向けて発射した…。

 

或刻side

  「よし、無事周回完了っと。さてそろそろ出かけるかな」

僕は軽くまとめた荷物を手に、玄関へ向かい、靴を履き始める。ちょうど履き終わった直後、一件のメールが届いた。

メールの内容は一つの写真だった。どうやら仮面ライダー旧一号のコスプレ写真のようだが、なかなかにいびつな形をしている。いや、いびつというより生々しいといったほうが正解だろうか。

まるでSICシリーズとアナザーライダーシリーズがかけ合わさったような、そんな形のスーツだ。というかなんでそんな写真を須道さんが?確か今は学校のはず…。

その時、

 

ドゴォォォォォンッ!!!!

 

と地面はおろか、空気が振動するほどの爆発音が町中に響き渡った。

慌ててドアを飛び出し、周囲を確認すると、学校のほうから火が出ていることが確認できる。

 

「いったい何がどうなっているんだ…?」

 

まるでアギトのアンノウン察知の時みたいな直感に突き動かされ、僕は急いで再度家に向かい、そのあとに高校のほうへ向かった。

 

標華side

人生の幸運をすべて使ったような気がした。全身が反射的にみくちゃんを隣に押し倒しあの光線を避けたのだろう。みくちゃんは気絶しているようだ。

足元を見ると、足のすぐそばに焼き焦げた跡が見える、本当に危なかった。

 

標華「ってそうだ、あいつは!?」

 

焼き焦げた壁の先からやつを探すが、一向に見当たらない。

あたりを見渡して数秒した後、下の階から数々の悲鳴が聞こえ始める。どうやらあの一号もどきは律儀にも玄関から入っていったようだ。

 

標華「早く逃げないと」

 

急いで逃げようと、みくちゃんの腕を肩に回し、教室からの脱出を試みる。しかし…

 

一号?「なんだまだ生きてたのかぁ…いい悲鳴を聞かせろよぉ?」

 

標華「やっばっ」

 

やつに見つかってしまった、さらに嫌なことに下からの悲鳴が聞こえないのに気付く。そこから最悪な結末を想像してしまう。

 

標華「…あッ」

 

本能が警告を放つ、こいつはやばい。早く逃げないと私が死ぬ。

でも足が動かない、なんなら恐怖で座り込んでしまった。みくちゃんも助けないと。下のみんなは本当に死んじゃったのか…?

考えがまとまらない、でもあいつは一歩一歩確実にこっちに進んでくる。

 

標華「或刻…ごめん」

 

考えに考え出された結果出た言葉がそれだった。

 

一号?「オラァ!!」

 

やつの大きく変異した鉤爪が私を屠ろうと迫ってくる。私は怖くて目を閉じてしまった。

 

「おりゃあああああああ!!!!!」

 

一号?「ぬおっ!?」

 

標華「…え?」

 

完全にあきらめていた、死んでしまうものだと思っていた。でも

 

「あっぶな…危機一髪だったんですけど」

 

私が目を開けたときにいたのは、あの一号もどきじゃなくて…

 

一号?「誰だてめぇ!?」

 

「ただの、仮面ライダーファンだ。覚えなくていいけどね、ただの、化け物ヤロウ。」

 

或刻だった。

 

時間はさかのぼり、或刻side

なんとか高校には着いたが、かなりの惨状だ。多くの生徒がけがをしている。昇降口から入ると同時に、いやな血の匂いが鼻をつく。

  

「なんだよこれ…!?僕は一体どうすれば…」

 

頭の中で思考する、そして自分が持っているリュックの中身と現状を整理し、最適解としての一つの答えを見つけ出した。

 

先生「そこの君!何をやっているんだ!!早く逃げなさい!!」

 

ちょうど思考がまとまったところに先生らしき人がこっちに来た。確か吹奏楽部の先生だったはずだ。

 

「あのすいません、須道さんはどこですか?」

 

先生「は!?えっと確か二階で練習をしていたはずだが。」

 

「わかりました。それとこれ、使ってください。」

 

そういって自分の持つリュックそのものを渡す。先生は中に入っていたものを見て驚愕した。

 

先生「いったいなぜこれほどの医療器具を!?」

 

「嫌な予感はしてたので。ここは任せます。僕は二階に行って取り残されている人がいないか探してくるので。」

 

待て!という先生の制止を無視し、急いで二階へと駆け上がる。

階段を駆け上がってすぐに左右を確認した、すると右側に今にもあの化け物に襲われそうになっている須道さんの姿があった。

…恐怖がなかったといえばうそになる。でもそれ以上に、いびつとはいえあの姿で、僕にとっての英雄の姿で人を襲っているのが…

 

「おりゃあああああああ!!!!!」

 

許せなかった。

運動が得意な僕は、尊敬する英雄たちが使うあの跳び蹴りで、化け物の顔面を攻撃、後退させる。

 

一号?「誰だてめぇ!?」

 

「ただの、仮面ライダーファンだ。覚えなくていいけどね、ただの、化け物ヤロウ。」

 

標華「或刻…!?」

 

須道さんのほうを確認する、そういえばもう一人女の子が須道さんのそばで倒れている。どうやら気絶をしているようだ。状況が状況だが、けががないだけまだマシだろう。

二人の安全を確認したところであの化け物のほうを見る。見た目は確かに仮面ライダー一号だ。でもその強化皮膚はただれ落ち、左手には巨大なかぎ爪、複眼は片方が真っ黒になっている。

 

一号?「んだよ邪魔すんなよてめぇ、せっかく仮面ライダーの力を存分に使えるってのによお?」

 

「仮面ライダーの力を…だと?ふざけんな!確かに仮面ライダーは悪から生まれた存在だ!でもな!仮面ライダーはその力を、愛と、正義、勇気、夢、希望を人々に届けるために使っていた!それを私利私欲のために使う時点で、お前は仮面ライダーじゃない!!」

 

あの化け物の言ったことに腹が立ち、怒りのままに言葉を発する。だけど、この現実はどうしようもない。実際あいつがとんでもない力を持っているのは覆しようのない事実。

 

一号?「知ったことかクソガキ!女ともども消えやがれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

化け物がそういった瞬間、クラッシャー部分が光り輝き、破壊光線のようなものをこちらに放つ。

それでもここを動くわけにはいかない、僕の後ろには、助けを待つ人がいるのだ。あきらめたくない、今度は絶対助ける。助けるんだ。

携帯を握りしめ、こう願う…変身したいと。

その時だった。携帯の画面が光り、そこから見たことある変身ドライバーが構築される。

 

「これは…やるしかない!」

 

ドライバーを装着、ドライバーの真ん中に同時に出現したICカードを装填、左側にあるベルトのカード入れから急いで二枚取り出し、ドライバー左右にセット、最後にドライバー上部にあるスイッチを押す。

 

「変身!!」

 

ライダーシステムライジング!!クロスアップ!!ファーストホッパー!!

 

僕の周りに二人の仮面ライダーが現れ、その二人は変身音が終了するとともに僕に合わさり、僕を仮面ライダーへと変身させる…。

 

化け物はこう思っただろう。この破壊光線を受けて生きている奴はいないと。しかし…そこにいたのは、片手で破壊光線を受け止める、いや、風の力で相殺している一人の戦士がいた。

 

一号?「な、なんだてめぇ!?」

 

「仮面ライダー…クロスライジング、ファーストホッパー。僕がお前を止める、仮面ライダーの名のもとに!!」

 

赤い複眼を光らせ、僕の初陣がいよいよ始まった…。




はい、遂に変身しましたねぇ…では少し小話を。
仮面ライダークロスライジングについてです。
はい、名前の通りこのライダーの着想はガンバライジングと、ウルトラマンオーブのフュージョンアップでした。フュージョンアップには複数の派生形態がありますよね。そうです、まだまだクロスライジングには様々なフォームがあります!
今回のファーストホッパーは仮面ライダー一号、そして仮面ライダーゼロワン ライジングホッパーのカードを使って変身しました!そして、まだ仮面ライダーウォーズには複数のライダーが登場します!おたのしみに!次回はいつになるのか、そして
…戦闘シーンうまく書けるか不安ですはい。


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第三話 初戦闘

あけましておめでとうございます!
今年もマイペース投稿にはなりますが宜しくお願いします!
ではでは年明け一発目、第三話どうぞ!



一号?「はぁ?仮面ライダーだぁ!?ふっざけんなてめぇみたいなのは聞いてねえぞ!」

 

一号もどきはそんなことを言いながら頭を抱える。

 

「何の話だ」

 

一号?「てめぇには話さねぇよ!ラァ!」

 

かなりキレながら一号もどきは鉤爪で攻撃を仕掛けてきた。後ろには標華さんと女子生徒がいるため避けて攻撃に対応することができない。今最優先でしなければならないのはこの二人を少しでも安心させ、逃がすこと。周囲を見渡し、状況を把握…この方法しかない!

 

「とうっ!!」

 

一号?「うがぁ!?」

 

鉤爪を左手で受け止め、腹部に右アッパーを繰り出し天井へ打ち上げる。

バンッ!!!!その反動で天井が破壊され、がれきが落ちてくるが僕はベルト上部にあるスイッチを一回押して、右脚に意識を集中する。

 

パワーアップ!ファーストホッパー!!

 

風の力が右脚に纏わり、がれきに向けて薙ぎ払うように蹴る。

 

標華「きゃっ」

 

しまった。がれきを屋上へ打ち上げるためとはいえ少し風の力が強かっただろうか?標華さんのほうを気にする。

 

「すいません!大丈夫でしたか?」

 

標華「あ、大丈夫なんだけど…」

 

標華さんは少し困惑しながらもこっちを向いて聞いた。

 

標華「君は、或刻なの?」

 

その問いに対して僕は、彼女に目線に合わせるようにしゃがんで答える。

 

「はい、仮面ライダーが大好きで一番親しい人にも敬語でしか話せない黒宮 或刻ですよ。…僕がやつを屋上で足止めします。その隙にその人を連れて逃げてください。できますね?」

 

標華「うん!」

 

僕は立ち上がる

 

標華「或刻!」

 

「?」

 

標華「生きて帰ってきてよ。」

 

その言葉に僕は一言告げる。

 

「当然!」

 

もとより決心はついていたが、今の言葉で覚悟ができた。上を見上げる。

自身が空けた穴に向かって、僕は覚悟を持って飛び上がった。

 

ー屋上ー

 

空中で一回転をして、屋上に着陸した。目の前ではあの一号もどきが腹部を抑えながら立ち上がり、僕を薄紫色の複眼で睨みつける。

一号もどき、いや、ジオウの怪人『アナザーライダー』っぽいのでアナザー一号と呼ぼう。

 

アナザー一号「ギャァァァァァァァァァ!!!!!」

 

クラッシャー部分を大きく開け、吠えながらこちらに突っ込んでくる。その速度は恐らくだけど変身していなかったら分からなかった気がする。

それを体を斜めにして受け流し、ジャンプしてから蹴り飛ばす。

ドンッ!!と屋上にあるフェンスがアナザー一号を受け止め、大きく凹んだ。

 

(こいつが一体どうやってアナザー一号の力を手に入れたのかがわかるまでは、下手に倒すわけにはいかないんだけど…)

 

僕の場合はスマホから突然出てきただけだが、こいつも同じような感じなのだろうか?

 

アナザー一号「よくも俺の楽しみを邪魔してくれたなぁ…許さねぇ!!」

 

「楽しみだと?こんなにも無関係の人たち巻き込んでおいてふざけるなっ!!」

 

アナザー一号の顔面めがけて僕はストレートパンチを繰り出した。

よろけたと同時にベルト上部のスイッチを2回押す。

 

テクニカルアップ! ファーストホッパー!!

 

「でやあっ!!」

 

両脚に風の力が纏われ、何度もキックをかます。一度蹴るたびに大きな火花が散る。

こいつが一体どうやってアナザー一号の力を手に入れたのかは分からない。しかしこれ以上、被害を増やすわけにはいかない!

 

「…倒すしかないか」

 

今できる最善の行動だと信じ、僕はアナザー一号を吹き飛ばし、ベルト上部のスイッチを3回押す。

 

ライダーパワーコンプリート! ファーストホッパー!!

 

腰をどっしりと構えて、目標を見据える。

 

「お前を…止める!!ライダージャンプ!!!」

 

ジャンプをすると首に巻き付いているメカニカルマフラーが靡く。右足に風と電気の力がバチバチと纏っていく。

 

アナザー一号「ちっくしょおおおお!!!!」

 

「ライジングライダァァァァ…キィィィィッッック!!!!」

 

僕の必殺キックはアナザー一号を捕らえ、キックから屋上へ着陸したと同時に爆発した…。

 

閑話休題

 

ベルト中央からカードを取り出しスイッチを2回押した。それと同時に変身が解ける。やっぱりだ。このベルトは…

 

「ってしまった、あいつは!?」

 

爆風から1人の人間が、少し体に火傷をしながら出てくる。

その男はフェンスにもたれかかり、僕を睨みながら倒れた。念のため脈を確認したがどうやらまだ脈はあるようだ。よかった…。

近くを見渡してみる…男のそばに壊れたデバイスが落ちていた。火花を散らしながら地面に転がっている。あの形は…

 

「ライドウォッチ!?」

 

素早く周辺の破片を集め、絵柄を確認する。そこには、旧一号の顔が描かれていた。

一体なんでこのライドウォッチが?それにこいつが言っていた『テメェみたいなのは聞いてねぇぞ!』という言葉。

これは誰かから仮面ライダーがいるかもしれないという情報を聞いたということ。つまり敵は…

 

「…タイムジャッカーなのか?」

 

その思考に至った瞬間に、緊張の糸が切れたのか、視界がぐらつき僕は倒れてしまった。

 

???side

男は、ドローンからの映像を見ていた。その映像にはクロスライジングがアナザー一号を倒したところを写している。

倒した瞬間で映像を切る。そして椅子から立ち上がり、窓を見る。その横には、1人の男の司書がいた。その手には分厚いバックを持っている

 

司書「あの子が新しい仮面ライダーかい?」

 

男「どうやらそうみたいだな…仮面ライダーウォーズの運営状況はどうだ?」

 

司書「開発部からの報告だと、毎度毎度新しいイベントを用意するのは大変だけど楽しいとの事だよ」

 

男「おいおい…小学生の作文じゃないんだから。」

 

男がそんなツッコミをすると、司書は手に持っていたバックを置き中から資料を男のテーブルに並べる。

そこには、仮面ライダーウォーズのレビューや要望がまとめられていた。

 

男「相変わらず、仕事ができるようだな。で、やっぱりあったのか?例の要望は」

 

男がそう聞くと、司書は「ああ」と相槌を打ち、その例の要望が書かれた紙を見やすいように一番上にする。そこに書かれた要望はこう書かれていた。

【ディケイドと、ジオウシリーズのライダーを是非出してください!プレイヤーライダー名 仮面ライダークロスライジング】

男はその紙を見ながら、先ほどのドローンの映像に映し出されたクロスライジングを見る。

 

男「ようやく見つけたな。」

 

司書「ああ、やっと見つけたね。」

 

2人は少し安堵のため息をついて、同時に求めていた存在の名前を口にする

 

【…特異点】

 

ー屋上ー

???[2]side

 

「おーい、大丈夫か?」

 

俺はその戦いが終わった後、この高校の生徒だと思われる方へ声をかける。やっぱ気絶してたわ。

ひとまず制服に入っていたメモとペンを使い、一号もどきに変身していた男の顔面に

 

『この男が犯人です捕まえてください』

 

とだけ書いておいて、放置しておいた。

 

「よっし、初戦闘お疲れ様だな。って或刻かよ!?」

 

なんて独り言を呟きながら或刻を担ぎ、屋上のドアから下へ向かっていった。




というわけで初戦闘でした!いかがでしたでしょうか?かなり簡素な感じにはなってしまいましたが、少しづつ、楽しく気ままに書いていきますので、もしよければ温かい目で見ていただけると嬉しいです!


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第四話 闘鬼 ーヴァルクルスー

新ライダー登場です!って鬼!?ライダーで鬼!?清めの音を使うのか、はたまたそれ以外か…


ー病院ー

 

「…ん?」

 

僕は気付いたら病院にいた。窓からの朝日が非常に眩しい。周囲を見回すと、1人用の個室の病室と言う事がわかった。

 

「痛っ…」

 

体を動かそうとしたら、ものすごい激痛で動こうにも動けない…あれからどのくらい時間が経ったのだろうか?あのアナザー一号を撃破した後、ライドウォッチを見つけたところまでは覚えているんだが、そこから意識を失っていたみたいだ。

 

(敵が仮にタイムジャッカーだとして、ジオウでは王を両立させてオーマジオウが王となるのを阻止する事だったけれど、あーいや、仮面ライダーの歴史を消そうとしたりするやつとかもいたっけ。)

 

「一体誰が黒幕なんだ…わかんないぃぃ」

 

自分でも情けないとわかるくらいの独り言を呟いたと同時に、がららと扉が開かれて、そこから見覚えのある女子高生とガタイのいい男子校生が入ってくる。

 

標華「あ!起きたんだ!大丈夫?痛いところない?」

 

女子高生、須道 標華さんはこちらを視認したとばかりに走って近づいてきた。

 

「全身が痛いです…割と動くのが困難ですハイ」

 

そう素直に答えると、標華さんは安堵したようにため息をつき、

 

標華「よかった〜…無事そうで何よりだよ!!」

 

どこが…?なんて思ったけど口には出さない。

 

「ところで、その人は?」

 

さっきからずっとガタイの良い男の人がコチラを見ながらにこやかにしていたので、標華さんに聞いてみる

 

壊占「俺か!一応クラスメイトなんだがなぁ…破道 壊占(はどうかいじ)だ!よろしくな!」

 

破道 壊占と名乗る人物は大きな口を開けて僕に名前を名乗る。

 

標華「破道先輩がキミを助けてくれたんだって。」

 

標華さんが補足を付け足してくれる。そう言うことならば、やらなければいけない事があるだろう。自分の体にそう言い聞かし、全身の痛みを我慢しつつ、ベッドから体を起こす。

 

「あなたのおかげで助かりました。ありがとうございます」

 

壊占「気にすんな、それよりお前もしかして…」

 

壊占さんは僕の方へ詰め寄ってきた。なんだろうか?

…まさか仮面ライダーだとバレた!?できればあまり人にバレたくはない、後で面倒になることは分かりきっているからだ。それに基本よっぽどのことがない限りはヒーローは正体を明かさないものだし。

 

標華「?」

 

標華さんの方に目線を向けるが、彼女も頭にはてなマークを浮かべているみたいだ

 

壊占「…この後輩のこと好きか?」

 

「……ハァ!?」

 

何言ってんだこの人!?あまりに突拍子もないことを言ったのでつい声を荒げてしまう

 

標華「ひゃあ!?なになになんて言ったんですか先輩!?」

 

よかった、標華さんには聞こえなかったようだ…。僕たちの困惑を知らないかのように壊占さんは言葉を続ける。

 

壊占「だってよ、今まで一度もクラスで話してるところ見たことのないやつの病室前に行ったら、うちの制服着た女子がガチ泣きしそうになりながらウロウロしてるわ、話聞いたら一個下の学年だったわでよ?これはもう…後輩好きとしか」

 

「違います!標華さんは僕がこの街に来た時からの付き合いであってそれ以上の感情はありません!」

 

全力で標華さんに聞こえないように、小声で否定する。

…そういえばいつぶりだろうか?おじいちゃんと標華さん以外の人とちゃんと話したのは…。もちろん、授業を通してのグループワークをする際に意見を言ったりするのはしたが、それ以外は全く人と関わりを持とうとしなかったんだ。

だって…

 

壊占「まあいいや、ひとまずお前が生きてんだったら上出来だ。ちゃんと怪我治せよ!」

 

僕が物思いに耽っていると、壊占さんは椅子から立ち上がり病室を出ていった。

 

標華「あの先輩すごかったねぇ…ちなみに何聞かれたの?」

 

「絶対に答えません!寝ます!」

 

標華「えぇ?気になるんだけど〜」

 

結局この攻防は数分間に渡り繰り広げられた…。

 

 

壊占side

 

「あいつ、意外と喋るんだな。」

 

病室から出た後、俺はひとまず近くの喫茶店についた。あれから2日、学校は現在閉鎖され臨時休校になっている。

表向きには爆弾魔の愉快犯が学校を襲撃したことになっているが、すでにネット上ではあの一号もどきの画像が出回り、あの事件の裏には怪人が現れていたとバレている。

 

「やっぱネットってのは怖いねぇ…こりゃいつか、仮面ライダーの正体もバレるんじゃないか?」

 

頼んでいたホットコーヒーが来たので、俺はスマホを見るのをやめて窓の外を見ながらカップを口に持っていく

やっぱり昼頃のカフェはいいな…気分が晴れる。さて、臨時休校とはいえ出ていた課題をやらないわけにはいかない。

早速タブレットをだし、レポートを書き出す……と思っていたが、そうはいかなくなったようだ。

一通のメールが、俺のタブレットに届く。

 

『2日前の戦闘で破壊されたと思われる、敵の痕跡を集めてほしい。』

 

「仕事の依頼か」

 

呟くように言った後、コーヒーを一気飲みして俺は支度を終わらせ店を出た。

 

 

ー学校ー

 

やはりというかなんというか、野次馬やら警察がそこかしこにいた。警察はまぁいいんだが、野次馬…特にこの周辺のマスコミに取材でもされたら非常に面倒だ…

 

「仕方ねぇ、裏口から行くか」

 

学校の裏口から侵入することを決意し、行動に移す。

裏口に行くまでに現在の学校を観察することにした。いまだに一号もどきと或刻が戦った後が硝煙という形で残っている。

 

「これは…過去一ひでぇな」

 

過去に一度も、このレベルの戦闘はなかった。と言うのも、基本裏路地などでしか戦闘は起きなかったのだ。その理由は敵の正体にある。

現状、俺たちが掴んでいる敵の正体は、ライドウォッチなるものを高額な取引で売り捌き、超人的な力を与えている、それは裏社会で取引されているとのこと。そう、たったこれだけだ。そのため、取引場所も人目の届かない場所で行われることが多く、俺たち行動班も取引現場に襲撃して取り押さえる事が多かったため、必然的に街などで戦闘を繰り広げたことは一度もなかった。

 

「これ以上、被害は出させねぇぞ…この調査で絶対に尻尾を掴んでやる。」

 

裏口についたため、俺は意を決し学校の中に入っていく……。

 

ー2階ー

 

1階から上がり2階まできた、この学校は計4階なのであと2階ほど登らなければならない。

 

「?」

 

その時だった、廊下の先に誰かいるのが見えた。現場を見てる警察官かと思ったが、服装がかなりラフなところからすぐに違うと判断できた。

黒いローブに頬には髑髏のマークが特徴的な人物だ。あいつは…

 

「痕跡を消しにきたか?バイヤー」

 

バイヤー「おやおや、あなたですか。全く面倒な方ですね」

 

こいつはコードネーム『バイヤー』、ライドウォッチを売り捌く売人の1人だ。

かなりの極悪人で、証拠を残さないためとはいえ、俺たちが取引先へと突入すると同時に購入者を殺害してから逃走するようなやつだ。

 

「ちょうどいい、今度こそテメェをムショ送りにしてやる。」

 

そういって俺はスマホの仮面ライダーウォーズを起動させ、画面を3回タップした。その時、画面から腕輪型の変身アイテム【音叉腕 絶炎】が出てきて右腕に装着し、腕輪部分の太鼓の面を1度叩いて

 

「オラァ!!」

 

拳面を思いっきり地面に叩きつけた。その反動で地面が揺れ、俺の周りに火柱がどんどん立ち上がり、竜巻のように周囲を纏っていく…!

 

「闘鬼、ヴァルクルス!!」

 

エレキギターの変身音とともに、俺は仮面ライダーヴァルクルスへと変身を遂げる

 

「俺の熱い魂、轟かすぜ!!」

 

俺が変身したと同時に、

 

バイヤー「相変わらず暑苦しい…これだからバカは困るんですよ」

 

手を扇子のようにして煽ってきながら、左手には一つのライドウォッチを取り出してボタンを押す。

 

『ライオトルーパー!!』

 

の音声とともに黒いゲートが出てきて、3体のライオトルーパーが出てくる。

 

バイヤー「まあいいです、さっさと破壊されたライドウォッチ回収しないとなので私はこれで」

 

「待ちやがれ!チィ!」

 

バイヤーが去った後さっそく一体のライオトルーパーが剣を振りかざした、俺はそれを避けアッパーカットでカウンターを繰り出す。そのまま徹底的に殴りまくる。数秒ではあったがかなりの数殴ったので、すっかり動かなくなった。

そのまま太鼓の面を2回叩き、両手の掌に力を込め始める。当然こうしている間にも二体のライオトルーパーは迫ってきた。

精神を集中し解放するべきタイミングを見極める。

 

(今ッ!!)

 

両手を突き出すと、ちょうど相手二体の顔面だった。

 

「爆炎掌甲波!!」

 

技名を言うと手を伝って波動が流れ相手を内部から爆破させた。

ドガアアアアアアンと大きな音が響き渡る。

 

「待ちやがれバイヤー!!」

 

急いで俺は屋上へ向かった。

 

ー屋上ー

 

ドアを開け、バイヤーの姿を探す。

 

バイヤー「おやおや、きたんですね。破損したライドウォッチはご覧のとおり預からせていただきました」

 

バイヤーは小さいアタッシュケースの中に壊れたライドウォッチを見せる。

それを見た俺は、足に力を入れ奪い取ろうと一目散に走り出した。

 

バイヤー「じゃあまた〜」

 

というと、バイヤーは空中に浮き始め、屋上からどこかへ行ってしまう。

 

「うげぇ!?」

 

急に浮き始めたので俺は力を抑えきれずフェンスに直撃してしまった。

スマホで、状況をまとめて報告し、応援を要請した。

 

「あの野郎、相変わらず人間離れした動きしやがって!一体なんなんだよ…」

 

変身解除した俺は、このむしゃくしゃした思いをフェンスにぶつけ、応援を待つことにしたのだった。




波動の音を使ってましたね!さて、なぜバイヤーは空中に浮くなんて人間離れした動きをできたのか…?
そして壊占が所属している組織とは?
或刻は何分ぐらいでようやく寝ることができたのか?(これは流石にどうでもいいw)
では次回もお楽しみに!
不定期更新ですが、じっくりのんびり楽しんでくださると嬉しいです!


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第五話 モータリティ start the mission

そういえば今或刻君、標華ちゃん以外には正体ばれてないって勘違いしてるんですよね。…これはライダーでは珍しいパターンなのではないでしょうか?隠してるつもりがばれてるって。
それでは改めて、今回は近年のライダーからは当たり前の存在、敵ライダーの登場です!


ー沿岸部 工場地帯ー

 

時間は23時過ぎ、都市部の光は人が眠る時間のため暗くなるが、この沿岸部工場地帯は休まずトラックや工場のライトによって、光り輝いている。

その中で、1人の男がバイクを駆り、大型倉庫の前に止まる。工場地帯から少し離れた位置にあるその倉庫は、今はもう使われていないため本当であれば既に取り壊されているはずだった。しかしとあるグループがその倉庫を占拠。誰も使わないこともあり未だに取り壊されずにいた。男はバイクからおり、ヘルメットを外してシャッターを一瞬見る。

 

男「ちっ…毎度思うが面倒だな。」

 

ため息をつくとそのまま力をこめてシャッターを上へ押しあげながら中へ入っていった。

ー倉庫内ー

 

男は多少のイラつきを覚えながらも倉庫内を進んでいく。数分歩いていくと、目の前に本を読みながら鼻歌を歌っている人間がいた。

 

男「よお大将」

 

大将と呼ばれたその男は、座っている椅子をぐるりと一周させてから大将と呼んだ男の方へ向き直る。

 

大将「お前かぁ…遠路はるばるご苦労だな。極血」

 

極血「呼んだの大将だろうが。んで、何の用だ?」

 

極血がそう聞くと、大将は側近に指示を出す。すると側近は極血の元へ近づいて一つのアタッシュケースを手渡してきた。

 

大将「上層部からお前宛にお届けモノだ。何でも、あのゲームに選ばれたらしいな?」

 

極血は少し考える仕草をしながら、話す。

 

極血「あ〜、そういや当たったな。いやしかしよ、あんたから勧められたあの『オルタネイトヒストリーヴィランズ』ってやつホントおもれぇな?」

 

大将「だろ?しっかしまぁお前が選ばれちまうって思わなかったわ…いくらゲームでもあの条件は人としちゃあクリアできねぇよwやっぱ俺、心優しいし?」

 

大将は口を大きく開け笑う。極血もそれに釣られるように少し口元に笑みを浮かべる。すると極血は大将の背後にあるシャッターに目をつけ、

 

極血「本当に優しいやつってのは、少なくともその後ろのシャッターにあるものは作り上げねぇよ。」

 

そのシャッターからは微かに鉄の匂いがしていた…。

 

ー時間は遡り、或刻の自宅ー

 

退院した僕は、学校から出された課題をやっていた。

いまだに学校は修復段階、でも先生たちは僕達の単位取得の為にオンラインでの会議を実施…その結果が課題をこなすことでの単位取得になったそうだ。パソコンで答えを入力しながら僕の時間は過ぎていく

 

気がつけば時刻は夕方だった。今日の晩御飯を準備していないことに気づく。

 

「しまった…今から買い出し行くのもなぁ…」

 

気分は憂鬱だが仕方がない。気持ちを切り替え、出かける準備をし始めた時だった。

ピンポーンと、部屋のチャイムが鳴った。

 

「?はい!今行きます〜」

 

早足で玄関へ行き、チェーンを外して扉を開けた。

 

壊占「よお或刻!退院祝いに来たぜ!」

 

「…」

 

ばたんっと大きな音をたて、僕は扉を閉めた。

 

またチャイムがなる。僕は扉を開けた。

 

壊占「何で閉めんだよ!?」

 

標華「そうだよ!せっかく先輩も来てくれたのに!」

 

やっぱり壊占さんがいた。壊占さんの体格で一切気が付かなかったが声を聞くに標華さんもいたようだ。

 

「僕はあなたのようなタイプが非常に苦手でして…」

 

壊占「なっ!?いいじゃねぇか同じクラスメートなんだしよぉ〜一緒に飯食おうぜ!」

 

標華「或刻!そろそろ私以外にもお友達増やさないとね!んじゃ失礼しまーす!」

 

2人は僕の話を一切聞かずに部屋に入ってくる。

 

「ちょっ!?待ってくださいって!?」

 

リビングに着くと、既に2人は買ってきたと思われる食材や標華さんに至っては僕の部屋にある大きな鍋を取り出し、既に準備をしていた。

 

「準備良すぎませんか?ってか鍋って…今夏ですよ?まぁ少し秋になりかけてますけどそれでも秋ですよ?」

 

壊占「何言ってんだ!鍋ってのはどんな季節でも食べられて栄養満点どんな食材も不思議と美味しくなる万能な料理だろ?」

 

食材を机におきながら壊占さんは言う。

 

「まぁ確かに一理ありますよ?じゃあ一つ聞きますけど…」

 

一拍呼吸をおいて、僕は言った…

 

「その明らかにこの場に不必要なでっかい長方形の中身が粉しか入ってない容器は何です?」

 

壊占「何って…プロテインだけど?」

 

標華「はぁ!?」

 

ダイニングで準備をしていた標華さんが、こちらを向いて驚いている。

当然だ、僕だって想定していなかった。まさかこの世にプロテインで鍋をする輩がいるなんて。

このような姿を見てしまい、僕はこう思ってしまった…。

 

(ひょっとしてこの人、筋肉バカ?)

 

今回はひとまずプロテインなしで鍋をしてもらうことになり、具材を入れていよいよ鍋が始まった。

 

標華「あ、そうだ或刻!ライダーみよ!ライダー!」

 

急に元気になったかと思えば、標華さんがとんでもないことを言い始めた。

 

壊占「お、仮面ライダーか。見ようぜ見ようぜ!」

 

「待ってください!標華さんだけならともかく壊占さんがいる中ではちょっと…」

 

壊占「何だよいいじゃねぇか!お前もどうせTTFC入ってんだろ?ならビルド見ようぜ!」

 

僕のテレビを操作し、仮面ライダービルドの夏映画、Be the oneを見ることになった…

 

ー壊占sideー

或刻の新しい友達獲得のために、手段として最も適しているのがやはり仮面ライダーだ。と今日の打ち合わせで後輩の標華っちは言っていた。

まぁ仮面ライダーウォーズで選ばれている時点でよっぽどのライダー好きだとは予想はついていたが…

 

或刻「やっぱここ!この普通だったらめっちゃかっこいい合体シーンをいい意味でぶっ壊せるのはビルドだけなんだよ!!いやぁ最っ高だな!!」

 

「……えっと?」

 

標華っちに小声で耳打ちする

 

「すいません標華さん、この人すっごい騒いでるんですけど?学校でいつもお外見てて授業以外で一度も話してるとこ見たことないから想定外すぎるんですけど?」

 

標華「或刻って、仮面ライダー見ると性格変わるんです。多分、これが素…だと思います。」

 

それを聞いて、俺はこう思わざるを得なかった…。

 

(ひょっとしてこいつ…ライダーバカ?)

 

いつもは静かなやつの、意外な一面を見た瞬間だった。鍋パーティは最終的にはうまく行き、現在23時。3人で分担しながら後片付けをしているところに携帯から一つの通知が届いた…。

 

「或刻、ちょっと散歩いかねぇか?」

 

或刻は不思議そうに首を傾げ、

 

或刻「散歩、ですか?」

 

と聞いてきた。

 

ー極血sideー

「さて、こいつの力見せてもらおうじゃねぇか。」

 

アタッシュケースから取り出したアイテム、モータリティガシャットのスタータースイッチを押してガシャットを起動する。

 

『モータリティ!!』

 

右手にもつ変身銃、モータリティシューターにガシャットを装填。

 

「ショット」

 

トリガーを押した。銃口から一発の銃弾が周囲を周り、俺に向かったと同時に銃弾が展開、アーマーへと変貌を遂げる。

 

ライダーon!!let's Fight ! Arm Fight ! Burning Fight ! Are you ready ? I'm a Full Armor…

 

…変身したのか?画面にはfpsでよくある液晶画面が表示されている、上半身をマントが覆い、体の各部位に銃火器が収納されているみたいだ。

全体を予想するに、仮面ライダースナイプのレベル2のフルアーマー版…ってところか?

モータリティシューター自体も、ガシャコンマグナムと似たようなもので、展開しライフルモードにもなるようだ。

早速動こうと思ったが、視界の隅でコソコソ動く人影が二つ。

 

「何コソコソしてんだ?出てこいよ」

 

煽るように話しかけると、俺のよく知るやつがそこにいた。

 

「なんだ、大将んとこの下っ端か。どうしたよ?」

 

とぼけたふりをしながらもわかっていた。下っ端2人の眼が完全に殺る眼だ。それぞれ右手にライドウォッチを握っている。

絵柄を見ると、茶色のエグゼイドのような姿…ライドプレイヤーか。バイヤーの野郎、お気に入りの一号ライドウォッチ壊されて機嫌悪いんだな。

 

下っ端A「テメェは大将のお気に入りだ。つまり、テメェを潰せば俺たちは…大将のお気に入りになれる!」

 

「確かになぁ…大将基本強いやつが好きだしなぁ…わかるっちゃあ分かるけどさ?」

 

下っ端B「あ、兄貴…本当にやるんすか?自分正直不安っすよ…」

 

下っ端A「ウルセェ!俺はやる…やってやるんだぁ!!」

 

Aがライドウォッチを起動すると、Bも起動し、ライドプレイヤーとなる。しかし、ところどころボロボロなデザインだ。

あいつらの不安な気持ちを表すかのように。ため息をついたと同時に通信が入る。大将からだ。

 

「何すか大将?今そっちの若造に迷惑かけられてんですけど」

 

大将「アッハッハ!いやぁ悪い悪い実はそいつらバイヤーとの交渉のためか知らないけどうちの資金持ち出しちゃってさ?資金はもう使われちゃってるだろうからいいとしてやっぱ責任は取らせないとって思ってさ…」

 

大将は実に愉快そうに 淡々と 俺に告げる

 

大将「掃除しといて」

 

「…発破かけたのあんたでしょ。強いやつがお気に入りなんだよなぁとか何とか言って。」

 

大将「なぁんのことやら!んじゃ頼んだよー」

 

ブチっと通信が切れる。普段は思わないが、やっぱあのグループで生き残れてる俺って実はすごいんじゃないかって思わされる。

 

「哀れとは思うぜ?でもまぁ、仕事お願いされちゃったからなぁ…やるしかねぇんだわ」

 

モータリティシューターをマグナムモードで下っ端2人に突き出し、俺は告げる。

 

「That the god of death of coming for you」

 

ーあなたに死神が訪れんことをー

その言葉とともに、引き金を引いた。




敵ライダー、モータリティでございます!いやぁ極血さん名前でインパクト強いのに決め台詞っぽいやつがまさかの全部英語と…何でこうなったw
それにしても或刻さん仮面ライダー見ると性格変わるんですね!
というかオルタネイトヒストリーヴィランズ…また新しい謎が!?(謎なのか?w)
ではまた次回でお楽しみに!


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第六話 或刻の過去

第六話です!ついに主人公の過去が少し明かされます!ついでにあの3人が同じ現場に遭遇します!
しかしこれ書いてる日がドンブラザーズ初回放送日だったんですけど、リバイスでも重大な秘密が明らかになったりして色々と濃いニチアサタイムでしたね…これからプリキュアとクロニクルDが癒しになりそうです。



ー道路ー

「おわアアアアアア!!!!???」

 

壊占「しっかり捕まってろよ!!飛ばすぜ!!」

 

現在23時過ぎ、あたりのビルは光こそついているものの周辺に人の姿はめっきり見えない。そんな中を僕たちは走り抜けていた。いや、本当は僕が見えていないだけなのかもしれない。だって…

 

「散歩だって言ったじゃないですか!!??」

 

壊占さんの駆るワルキューレ ルーンを改造したバイク、不知火 破音なるバイクで夜中の街を走っていたのだから。

なお、改造したというの本人談である。

 

壊占「誰も歩くなんて言ってねぇよ!さぁて目的地はあと少しだ!急ぐぞ!」

 

「ていうか、改造車で道路走るの法律違反なんじゃ!?」

 

壊占「俺は特別でな、黙って俺についてこい!或刻!」

 

「やっぱ僕嫌いだこの人ぉぉぉ!!!」

 

…この時運がいいのか、僕たちの走る先に車は一台も出てこなかった。ありがとう神様。

 

ー街郊外 大型貨物集積所ー

キキーッ!!とブレーキをしながらバイクは街外れの貨物集積所に停まった。

心臓がバクバクしながらヘルメットを外し、僕は地面に立つ。

 

「…一体どうしたんです?流石にキレますよ?」

 

内心ふつふつと湧き上がる怒りの感情を抑えながら詰め寄る。

壊占さんは、ヘルメットを外すと僕の方に向き直り口を開く。

 

壊占「何ていうか…今日の鍋パーティ通して、予想が確信になったことがあってな。」

 

「は?」

 

壊占「普段のお前、周りと関わるのを拒んでる。」

 

「…それが何か?」

 

壊占「それなのに、鍋パーティしてる時めっちゃこっちに話しかけてきやがる。あの時のお前、本当に楽しそうだったぞ?本当はお前、友達欲しいんじゃねぇの?」

 

「一体何を証拠に…」

 

壊占「じゃあなんで、鍋パーティしてる時に仮面ライダー見ること止めなかったんだよ?」

 

その一言で、僕は固まってしまった…そういえば確かにそうだ、どんなに標華さんが提案したって、僕が絶対に嫌だといえば流石に彼女も手を引くだろう。それを断らなかったのは自分だった。

 

壊占「お前、何でそんなに人と関わるのを拒否するんだ。自分の気持ちを抑えてまでよ?」

 

この人は、単純そうに見えて実は人をしっかりと見ているんだ…。まるで、仮面ライダークローズや、仮面ライダーバルカンみたいに真っ正面から人を見て話している。こういう人であれば、正直になってもいいと、僕は思った。

 

「……僕の家、少し不思議なことありませんでしたか?」

 

ー壊占sideー

或刻は突然、そのようなことを言ってきた。

不思議なこと…そういえば一つ思い当たる節があったので、それを聞いてみる。

 

「そういやお前の家、両親いなかったな。田舎から上京してきたのか?」

 

或刻「そんな優しい理由だったら今頃、僕の周りには友人がたくさんいますよ。」

 

或刻は、一拍置いてからそれを告げる。

 

或刻「殺されたんですよ。12年前に。」

 

「なっ…」

 

或刻「12年前、その時の僕はいろんな人に恵まれていました。優しい先生、当時の僕の趣味だったサッカーに付き合ってくれる友人たち、そして何より暖かい家族。幸せだった…

でもある日、僕の家に殺人鬼が襲ってきて両親を殺害、運がいいのか悪いのか、たまたま友達と遊びに行っていた僕は生き残り、一人ぼっちになった。悲しくて悲しくてずっと泣いてる中ある日悟っちゃったんですよ、あぁ、幸せってずっと続かないんだなって。今関わってる人たちともいつかは別れが訪れるんだなって。だったら、こんな悲しくて辛い気持ちを味わうくらいなら…そもそも誰とも関わらなければいいんだって」

 

「……なら、何で標華っちを否定しなかった?」

 

或刻「口では否定してましたよ?多分、無意識に受け入れちゃってたのかもしれませんね。彼女の明るく元気な姿、不愉快とは思えなくて、むしろ居心地よくて…」

 

そこまで言ったあたりで、俺は気付いた…或刻の目から涙が流れていることを。

 

或刻「初めてですよ、標華さんとおじいちゃん以外に自分の気持ち言ったの。」

 

きっと彼自身も不安な中言ってくれたのだろう…ならば、俺がやることは一つ。

 

「…そうか、よく言ってくれたな。だが安心しろ!!俺は絶対にいなくならん!これで俺とお前は友達だ!」

 

と言って、ガッハッハと大きな笑い声をあげる。

 

或刻「あなたみたいな筋肉バカと友達なんかごめんです」

 

「なっ!?それを言うならお前はライダーバカだ!!」

 

口ではそう言っていたが、口元は微笑んでいた。その時だった。

ドガァァァァァァァァン!!!!

 

「!?」 或刻「!?」

 

突如倉庫の方で爆発が起きる。そういえばすっかり忘れてしまったが、ここ連絡を受けた場所だった。

 

或刻「壊占さんはここで待っていてください!僕が様子を確認してきます!」

 

「お、おいちょっと!?」

 

俺を置いて、或刻は爆発の方へ進んでいってしまった…。ひとまず組織に連絡して俺はまた不知火 破音にまたがり、爆発のした方へ走らせるのだった…ってん?

 

「ちょっと待てよ?俺の破音は?」

 

周囲を見渡すが一向に見つからない…まさか

 

「あいつ乗ってったなァァァァ!!???」

 

ー或刻sideー

ついやってしまった…急いでいるとはいえ、バイクを許可なく借りてしまった。まずはあの爆発の元を探り出そう。バイクを爆発が起きた付近で停めて、僕は周辺を探索し始める。

 

???「おいおいおせぇぜ下っ端!その程度の速さでこの俺に勝てると思ったら大間違いだぜ?」

 

その声と同時にさらに爆発が3回ほど起きる。

 

「一体誰が!?」

 

コンテナの陰から様子を見ると、新しい仮面ライダー1人とライドプレイヤーのアナザーライダー2人が戦っていた。

力を貸さなければと思い、ポケットからスマホを取り出し、仮面ライダーウォーズを起動、3回タップしてベルトを取り出す。

 

ベルト…クロスドライバーを腰に当て、カードホルダー…ライジングホルダーから一号とゼロワンのカードを出してクロスドライバー左右にセット。

次にライジングカードをドライバー中央に入れて上部のスイッチを押した。

 

「変身!!」

 

ゼロワンと一号の幻影が僕に重なり、変身を遂げる。

 

ライダーシステムライジング!!クロスアップ!!ファーストホッパー!!

 

そして回転ジャンプをしながら新しい仮面ライダーの隣に着地する。

 

ライダー「あ?誰だアンタ」

 

「力を貸します。一緒にアナザーライダーを倒しましょう。」

 

アナザーライドプレイヤー1「何だテメェ!テメェも大将のお気に入りなのか!?」

 

「はい?」

 

アナザーライドプレイヤー2「見るからに絶対強いよこいつ!兄貴ぃもうやめときましょうって!」

 

急に敵2人が話し始める…っていうか大将って誰だ?

 

ライダー「あのさぁ、俺の仕事邪魔しないでくんないかな?」

 

と、新しいライダーは僕に言ってくる…。

 

「そんなこと言っても、お互いライダーだったら助け合うべきです!オーズで学んだでしょう?」

 

僕がそう説得すると新ライダーはかなりだるそうに首を捻りながら

 

ライダー「面倒だな…あーあーしょうがねぇ。だったら手伝わせてやるよ。」

 

「ありがとうございます!ところでえっと…お名前は?」

 

そのライダーは右手に持つ銃を肩につけ、名乗った

 

モータリティ「仮面ライダーモータリティ…とでもいえば満足か?」

 

「僕は仮面ライダークロスライジング。よろしくです!」

 

するとモータリティは少し考える素振りを見せる。

 

モータリティ「…そうか、お前があいつのお気に入りぶっ壊したやつか」

 

「何か言いました?」

 

モータリティ「いや、何でもねぇよ」

 

説得成立、僕たちはアナザーライドプレイヤーに向き合い構えをとる。

 

「うおおおお!!!」

 

僕は1の方に走り出し、ドロップキックを繰り出す!

 

アナザーライドプレイヤー1「ちぃ!!やられてたまるかぁ!!」

 

1は僕の攻撃をモロに受け、尻餅をつく。そのまま後ろへ退避し、腰に装着されていたライドウェポンの銃モードで発砲してきた。

 

「ふっ!」

 

三発撃ってきたうち、二発をメカニカルマフラーをたなびかせ、風を発生させることでかき消す。

あと一発へは顔を傾けて避けることに成功した。

 

「シェアッ!!」

 

さらに近づき、ベルト上部のスイッチを一度押す。

 

パワーアップ!ファーストホッパー!

 

初戦闘時は右足に力を集中させたが、今回は左腕に集める。

周辺の空気が変わるほどに風の力が集まった左腕を1の腹部に繰り出した。

 

アナザーライドプレイヤー1「グハァ!!」

 

ドゴッと鈍い音がしながら、1は転がり、追い詰められていく。変身も解除された。

 

1「何なんだよお前ぇ…強すぎんだろうが!!」

 

何となく予想できていたが、この人自分がなったものの特性を理解していない。元々ライドプレイヤーはいわゆる雑魚敵に当たる存在で、変身すること自体が非常にリスキーなものだ。エグゼイド世界においては最下位の力しかないのに、変身することでゲーム病に感染、治せなければ死という最悪の代償を支払わされるということを、この人は理解していない。今はアナザーとしての存在のため、もしかしたら変身解除=死は無くなっているみたいだが…頭を切り替えて、僕はあのアナザー一号の時にはできなかった情報収集を開始した。

 

「貴方が言っていた大将…なる人物は一体誰ですか?それに貴方にライドウォッチを渡した人物は一体誰です?」

 

1「言うわけねぇだろ?てめえら2人の仮面ライダーを倒せば俺は大将に認めてもらえるんだ!」

 

「いえですから、その大将って一体…」『そいつぁ俺も気になるな』「え?」

 

暗闇の裏路地から、複数のアサルトライフルを所持した人たちを連れた僕にとって馴染み深い人物、破道 壊占さんが現れる。

 

壊占「よお或刻、よくやったな。そいつはバイヤーどもにつながる重要な人物だ。俺たちで確保するぜ。」

 

「……え?えちょっと待って…何で知ってるんですか僕のこと?」

 

壊占「何でって…知ってるものは知ってるし。俺も仮面ライダーだし。」

 

「はァァァァァァァァ!!???」

 

頭が追いつかない、ヒーローって基本正体明かさないものじゃないのか?って言うか後ろの人たち誰なんだ?何で僕のこと知ってるんだ?

頭の中でさまざまな疑問が湯水のように溢れ出てくる。でも、現実はそんな僕を待ってはくれなかった。

 

モータリティ「そいつには俺も用事があるんでな、確保されちゃ困る」

 

気づけば今度は僕の右側にさっき共闘していた、あの銃を使うライダーが現れた。その左手には、さっき倒したであろうアナザーライドプレイヤー2の変身が解除された人間が意識もなく引きづられていた。

 

……この板挟みみたいな状況、僕どうすればいいんですか?




さぁしれっと正体バレ!これは大丈夫なのか!熱い展開的なの無くていいのか!?あの3人って言うのは、現状変身する仮面ライダー3人のことですね!
そして或刻くんの過去…なかなか悲惨ですね。
次回は少し時間を戻して、モータリティの戦闘シーンから始まります!お楽しみに!


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第七話 激戦

第七話でございます!では前回の後書き通り、モータリティ戦からスタートです!
新フォーム登場かも(ボソッ)


ーモータリティsideー

時間は遡り、時はクロスライジングがアナザーライドプレイヤー1と戦闘を開始した直後…

 

「さてと、頼りにしてた兄貴は消えちまったな」

 

そういうと、やつは腰を抜かしながら俺から少しでも距離を取ろうと後ずさっていく。

 

アナザーライドプレイヤー2「兄貴…い、今助けます!!」

 

足に力をこめて下っ端2は兄貴と呼ぶ方へ走り出そうとする。

 

「見逃すと思ったか?」

 

複眼を光らせ、モータリティシューターを構えなおし、俺は戦闘を開始した。

トリガーを押し、光弾を放つ。

 

アナザーライドプレイヤー2「ヒィィ!!」

 

たまらずターゲットは逃げ出し始めた。

 

「おいおい待てよ。せっかくの初戦なんだ楽しませろよ!!」

 

脚がぐらつきながらも逃げるその姿に俺は笑いながら、モータリティシューターを展開し、スナイパーモードにした。

ターゲットサイトが展開され、肩越しに構える。

こいつを撃っちまえば終わるが、もう少し性能を確かめたい。早速腰にあるガシャットホルダー上部の銀のスイッチに手をかける。

本来だったらエリア変化の意味合いを持つそのスイッチを押すと、両脚部分にミサイルポットが出現、計6発の小型ミサイルがやつを捉え、飛んでいく…

 

アナザーライドプレイヤー2「そんなの理不尽だ!!」

 

ドガアアアアアアン!!!

飛んでいった小型ミサイルは、奴の進路を塞ぐように爆発した。

爆風で視界が制限される中、モータリティガシャットを一回抜き、再度入れ直した。

 

ガシャット!!キルワザ!!

銃身にエネルギーが溜まり始める。

 

「see you」

 

その一言と共にトリガーを押し、奴に終焉への片道切符を叩きつけた。

モータリティ!!キルユーフィニッシュ!!

 

アナザーライドプレイヤー2「うアアアアアア!!!」

 

その弾丸は目標を貫き、内部から爆発させるのだった。

 

「さぁて、もう1人連れてかないとな」

 

倒れ伏している弟分を抱えて、オレは兄貴分の方へ向かっていったのだ…

 

 

ー現在ー

或刻side

 

現在僕は二つの勢力に睨まれている…一つは壊占さんが所属している方、そしてもう一つはさっき共闘した謎の仮面ライダーの方

どちらかといえばもちろん壊占さんの方を信用したいのだが

 

(組織ってなんか怖いんだよなぁ)

 

今までたくさんの仮面ライダーを見てきたが、高確率で組織って表が良くても裏が大変なことがある。仮に壊占さんにこの人を預けたとしても実は秘密裏に消されてたりなんて絶対ないとはいえない。

だがもちろん、これは現実だ。ちゃんとした組織の場合もある。

 

(せめて何かしら判断できる材料があれば…)

 

と考え、交互を何度も見る。そうしているとモータリティはイライラした様子で首を掻く動作をし始めた。

 

モータリティ「おいおい、協力してやったんだからこっちに渡せよ?」

 

(あの人イライラしてるなぁ…あれ?)

 

そこで僕は下っ端1が言った発言を思い出す。

 

『何だテメェ!テメェも大将のお気に入りなのか!?』

 

テメェもという言葉、これはつまり、少なくともあの空間に大将のお気に入りがいたということ。当然僕は違うし、あの2人のどちらかがお気に入りなわけがない。そうなれば答えは一つ…それを確信し相対するべきものを見定めた時、僕は信頼できる人に背中を預けた。

 

「壊占さん、この場合敵対してる人たちって捕まったらどうなります?」

 

壊占「ああ、違法取引やら今の場合だったら建造物破壊やらで懲役10年ちょいだな。こいつらが殺人をやっちまってんならもっと罪は重くなる。」

 

そう言い始めると、先ほど倒した兄貴分の人が僕の方をみて泣きながら訴える。

 

下っ端1「な、なぁ頼むよ。俺たちは確かに裏社会に足を踏んじまったけど生きるために仕方なかったんだ。弟はオレを信じてずっとついてきてくれたんだ…人殺しは一回もしてねぇ。ちゃんと罪も償う!だから頼む!…弟を助けてくれ」

 

その涙の訴えを見て僕は壊占さんに声をかける。

 

「壊占さん。その人のこと、任せます。」

 

壊占「俺たちの事、信じてくれてありがとな。みんな!そいつを確保だ!」

 

壊占さんの一言で周辺にいた隊員数名が下っ端1を立ち上がらせる形で確保し、下がっていく。

それを確認した後、僕はモータリティに向き直り構えをとる。

 

モータリティ「チッ、こうなるんだったら先に消しとくんだったわ。」

 

「残念ですが、仕方ありません。あなたを倒してその人を渡してもらいます!!」

 

壊占「力を貸すぜ」

 

と、壊占さんが僕の横にやってきた。

 

「え?」

 

壊占「言ったろ?俺も仮面ライダーだって」

 

「…では、頼みます!」

 

僕の返事に壊占さんは頷き、腕輪型の変身アイテムを装着する。そこにある太鼓の面を一度叩くと、今度は拳面を地面に力強く打ち付ける。

 

「おわわわわっ!?」

 

モータリティ「あァ!?」

 

地面が揺れると、今度はそこから火柱が出現し、壊占さんの身の回りを竜巻のように周囲に纏っていく…!!

 

壊占「闘鬼、ヴァルクルス!!」

 

エレキギターの音楽鳴り響き、そこから熱き拳を身に纏う仮面ライダーが姿を現した。

 

ヴァルクルス「俺の熱い魂、轟かすぜ!!」

 

「前から思ってましたけど今確信しました…あなた筋肉バカですね?」

 

ヴァルクルス「はぁ!?誰が筋肉バカだって!?大体お前もライダー見る時にめっちゃ興奮してたじゃねえか!!このライダーバカ!!」

 

「なっ…!興奮だなんて言わないでください!あれはそう…熱狂です。」

 

ヴァルクルス「ほとんど変わんねぇよ」

 

気づいたらなんか争論を始めてしまう僕達、それは当然モータリティの目にも留まっているわけでして

 

モータリティ「テメェらふざけてんだったら消えてろやァ!!」

 

そう言うと、モータリティは銃をマグナムに変形させて何発も撃ってくる。

その弾丸たちは僕達へ向かってくるが、後ろには当然隊員さんがいる。回避はできない…ならば答えは一つ。

 

「フッ!!」

 

ヴァルクルス「ドォラ!」

 

その弾丸を弾き返すことだ。これは同じ考えだったみたいで、僕は左腕を振り払うように動かし首元についているメカニカルマフラーを起動。

ブゥンッ!!

その効果音と共に風を発生させて弾丸を防いだ。

壊占さんは炎を纏わせた右腕をアッパーの要領で打ち上げる。

ドンッ!!

と、空気が振動したような音とともに弾丸を黒焦げにしてしまう。

 

「僕が先行します、援護を!!」

 

ヴァルクルス「あいよ!任せな!!」

 

地面を力強く蹴り込み、僕はモータリティの元へ向かい始める。

 

ー三者sideー

クロスライジングがモータリティの元へ走る。その姿はカマイタチのように鋭く、力強い。

 

クロスライジング「ハッ!!」

 

その速度を利用し、ジャンプ…踵落としを放つ。しかし

 

モータリティ「良い速さだがよぉ…」

 

クロスライジング「ってしまった!?」

 

その踵落としはモータリティには届かない。それはなぜか?

 

モータリティ「戦いってのをまだ知らないみてぇだなァ!!」

 

スピードのままに攻撃をしたが、モータリティは体を少し捻ることで回避をしてしまった。

それもそのはず、クロスライジングが今まで相手にしてきた者たちは

『力に溺れた過剰な自信を持つ犯罪者』

『戦いを知らない下っ端』

だけであり、実戦に慣れた者と戦うのはこれが初だからだ。

 

モータリティ「オラッ!」

 

回避したモータリティは、弟分の下っ端を抱えながらもマグナムを撃ってくる。

攻撃を回避されてしまったクロスライジングは咄嗟の攻撃には対処できず、マグナムの銃弾を背中に受けてしまった。

 

クロスライジング「かはっ…!?」

 

背中を守る装甲からが衝撃が来る…銃弾の痛みこそかなり軽減されているが、それでも当たった衝撃は或刻にとって初めての物で慣れておらず膝をついてしまった。

 

ヴァルクルス「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」

 

そこにカバーを入れるようにヴァルクルスが割ってきて、モータリティに向かっていく。

 

モータリティ「ちっ…」

 

鬱陶しく思ったのか、モータリティは舌打ちをしながらヴァルクルスを標的と捉え、またトリガーを引き銃弾を発射する。

 

ヴァルクルス「うおらアアアアアア!!」

 

モータリティ「は!?」

 

その弾丸の数々をヴァルクルスはまるで効かないと言わんばかりに、真正面から受けながらも走り続ける。

胸部装甲に弾丸が大量に当たり、火花が散りながらもひたすらにモータリティの元へ走り続け…

そして左腕を存分に振りかぶりストレートで殴りつける!!

 

モータリティ「うごあっ!?」

 

弾丸をものともしない姿に混乱しつつも、モータリティは片腕でガードの体勢をした。

しかし直接のダメージはないものの、その衝撃はガードを貫通し彼の体勢を崩すには十分のものだった。

だが、モータリティもタダではやられない。

すぐさま右太腿に装備されていたコンバットナイフを使い、横一閃を繰り出す!!

 

ヴァルクルス「ぐおっ!?」

 

脇腹部に当たったその攻撃は、ヴァルクルスにとって想定外の攻撃だったためかダメージを負ってしまう

 

クロスライジング(最優先はあの下っ端の弟さんを助けること…とにかく一気に制圧する!)

 

そう考えたクロスライジングは立ち上がり、左腰部にあるカードホルダーから2枚のカードを取り出す。

その2枚には、『バスター 玄武神話』と『クウガ タイタンフォーム』の絵柄が描かれている。

ベルト上部スイッチを3秒ほど長押しする。

 

クロススタンバイ!!

 

ヴァルクルス「お?」

 

音声とともに待機音がなり、ベルト両サイドのカードスロットにこの二つを入れ、再び上部スイッチを押した。

 

クロスライジング「クロスアップ!!」

 

の宣言すると、クウガタイタンフォームとバスター玄武神話の幻影が重なり、形態変化を起こす。

 

ライダーシステムライジング!!クロスアップ!!タイタンメソロジー!!

 

暗いオレンジと紫のオッドアイが光り、背中に装備されていた大型剣、紫電剣 土豪を片腕で持つ。

その重量は剣を地面に置いた瞬間にドンッ!と大きな音がなるほどだ。

 

ヴァルクルス「うっそぉ!?お前のライダーってフォームチェンジできんの!?」

 

クロスライジング「むしろ最近のライダーでフォームチェンジしない方が珍しいレベルですけどね…」

 

モータリティ「たかが姿が変わっただけだろ?木っ端微塵にしてやるよ!!」

 

モータリティが嘲笑すると、自身の左スイッチを押す。すると両足からミサイルポッドが出現し、6発の小型ミサイルがクロスライジングに向かっていく。

だが一切クロスライジングは動く気配がない。ヴァルクルスは援護するために近づこうとするがそれを左手で静止する。

刹那、クロスライジングが深呼吸をし紫電剣 土豪を握りなおし、ベルトスイッチを三回押す。

 

ライダーパワーコンプリ―ト!!タイタンメソロジー!!

 

刀身全体に紫の稲妻がはしり、さらに土の補強によって刀身が2倍以上の大きさとなる…そのエネルギーが最大限になった瞬間、

 

クロスライジング「紫電大断断!!」

 

その剣を横一文字にミサイルを切り払う…。

ドガアアアアアアン!!!!

切り払ったミサイルは、周辺の空気を振動させるほどの爆発を起こす。

その爆炎で、周囲の視界がふさがってしまった。

 

モータリティ「クソッタレ…前が見えねぇ!?」

 

しかしその中で、ものともせずに今度は縦一文字に構えるクロスライジング。彼だけは視界センサーの保護によって、目標がはっきりと捉えられている。

 

クロスライジング「そこだァァァァァ!!!!!」

 

僅かだが刀身を左にずらした状態で縦に振り下ろしていくその時。

 

モータリティ(見えたぜ…)

 

空からの攻撃を警戒していたモータリティは、ゆっくりと振り下ろされてくるその刀身を発見する。

その刀身を回避しようと左側にジャンプしたときだった

 

クロスライジング「今です壊占さん!!」

 

わずかな風の流れを察知し、ヴァルクルスが拳に力をこめモータリティに詰め寄る!!

 

ヴァルクルス「爆炎掌甲波ッ!!!」

 

クロスライジングが放った斬撃ですべての視界が晴れたときには勝負が決まっていた。

ドンッ!と拳が当たる鈍い音がモータリティの顔面を強打していた

モータリティは吹っ飛び、その反動で下っ端の弟も彼の手を離れる

 

ヴァルクルス「よっと…」

 

ヴァルクルスが下っ端の弟を抱えることで、この戦いはクロスライジングたちの勝利となった。

 

モータリティ「あーあ、こりゃやっちまったな…」

 

その時、モータリティのもとへ一つの通信が入る。

 

モータリティ「げっ…大将じゃねえか。なんすか大将?」

 

大将『よお極血、依頼の方はどうだ?』

 

モータリティ「あーえっと…しくじりました。」

 

大将『え、うっそマジか?お前失敗することあんの!?』

 

モータリティ「規格外のやつが出やがったもんでして…」

 

大将『ふーんなるほど…どうやら面白い奴がいた感じだな?まあいいや!早く帰ってこい。」

 

モータリティ「了解。」

 

通信が終わると、モータリティは改めて周囲を一瞥する。

全員が警戒状態だ。

 

モータリティ「仕方ねぇ、今回は俺の負けだ。次の戦場で会おうぜ?see you!!」

 

というとモータリティシューターを地面に撃ち煙をまく。

 

クロスライジング「なっ!」

 

次の瞬間、そこには誰もいなかった…。




ということで第七話いかがだったでしょうか。
めっちゃ戦闘描写進化したと思うんですよ…。最後めっちゃ頑張りましたハイ。
これで僕の語彙力はすべて消えました。
ですがまだまだ物語は始まったばかり、これからも気ままに全力で頑張ります!

さてさて、今回新たに登場したタイタンメソロジー…日本語訳では「巨人神話」タイタンフォームと、玄武神話をもじりました。
紫電剣 土豪についても、土豪はおなじみですが、紫電剣は少し変わってはしまうんですけどライジングタイタンを意識したりしてます。



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第七・五話 キミとボク

第七・五話でございます。
時系列は第七話直後の小話から始まります。
今回は標華さんと或刻さんの出会いを語ります。
こう言うところでキャラの深掘りしっかりしなきゃ…w
ではどうぞ!!


ー或刻sideー

一つの戦いは終わった…結局戦いが終了した後壊占さんに説明を求めても

 

壊占「心配すんな、しばらくしたら説明すっから」

 

と僕を家に送り、その場をはぐらかしてすぐに帰ってしまった。

家に帰ると電気が何故か消されていた。その時までは標華さんが帰る時に消したのだろう位に思っていたのだが、

 

「あれ、標華さんまだいたんですか!?」

 

標華「……ん?あ」

 

明かりをつけると片づけられた部屋の椅子に標華さんは座りながら眠っていた。

目を擦りながら僕の方を向く。

 

標華「おかえり。あれ先輩は?」

 

「僕も先輩なはずなんですけど…帰りましたよ。用事があったみたいで」

 

標華「ふーん…?」

 

そう言いながら彼女は立ち上がり、僕の周りをぐるぐる回り始める…

身体全体を見ながら、目の前で急に立ち止まったかと思えば、標華さんは口を開いた。

 

標華「また戦ったの?」

 

「何故それを!?」

 

標華「見ればわかるよ。肩の力の入れ方が。右側にかなり負荷をかけたでしょ」

 

確かに、ファーストホッパーの攻撃の時もタイタンメソロジーの必殺の時も僕は右側に力を入れていた

つい恥ずかしく感じてしまい、右腕を隠すように体の後ろに隠す。

その姿を見て、標華さんは呆れたように言葉をつづける。

 

標華「それに、昔からの付き合いだしね。キミがおじいちゃんの家に引っ越してきて以来の仲だよ?」

 

「あ、あの時はお世話になりました…」

 

確かに僕はもともとこの街出身ではない。もっと地方の方で育ってきた。しかし、両親がいなくなってしまったことで唯一の親類であるおじいちゃんが住むこの街へやってきたんだ。

その時の僕は、家族を失ったことで全てを拒絶してたんだったな。

標華さんの言葉で、不意に昔の記憶が思い起こされる…

 

ー12年前 三者sideー

緑豊かなこの街に、少し大きな家がひとつ。その家の持ち主は黒宮家。

そこに住む老人、黒宮 弦二郎はお隣さんの奥さん、須道 美智香に相談をしていた。

 

弦二郎「孫がの…出てこんのじゃ」

 

美智香「お孫さんって確か…あの事件の?ってすいません黒宮さん、不謹慎なことを…」

 

あの事件、それは連日ワイドショーなどでも取り上げられている事件。『黒宮一家殺人事件』だ。

謝ろうとする美智香、しかしそれを弦二郎は静止させる。

 

弦二郎「ああ、おやめくだされ。起きてしまったことをいつまでも悔やんでいたら、あの子を笑顔にする者がいなくなってしまう。そうしてしまっては、息子たちに死んでも顔向けできんわい。」

 

美智香「そうですね…それで、お孫さんのお名前は?」

 

弦二郎「或刻じゃ…ショックが大きかったと言うのもあるじゃろうな。」

 

或刻は今外に出ることを拒絶している。もう2度と同じ思いをしたくないからだろう。

美智香は頭を少し悩ませると、そうだ!と両手を叩いた。

 

美智香「うちの子と会わせてみましょう!」

 

というと、家の方からドタバタと足音が聞こえてきてドアがばたりと開かれると、可愛らしい少女が美智香の元へ走ってきた。

 

標華「なーに!!お母さん!!」

 

弦二郎「標華ちゃんかい…?」

 

美智香が言った『うちの子』、名前は標華。黒宮家が住む地域でその名前を知らない者はいない。

母に似た天真爛漫っぷりで周囲を笑顔に、どんなイベントでも真剣に取り組むその真面目さで4歳ながらさまざまな伝説を作ってきた所謂『すごい子』だ。

美智香の元にやってきた標華は全く曇ることのない笑顔で弦二郎の方を見る

 

標華「あ!弦二郎おじいちゃん!やっほー!」

 

弦二郎「ああ標華ちゃん、相変わらず元気いっぱいだね。」

 

標華「うん!昨日は保育園のかけっこで一位取れたんだ!」

 

標華は元気に昨日あった出来事を弦二郎に教えていく。

不思議と、その笑顔に引き込まれるような感覚を弦二郎は覚える。

 

弦二郎(ひょっとしたら…彼女なら或刻を変えられるかも知れぬな)

 

わずかに、だが確かに感じたこの感覚に弦二郎は希望を感じ、標華に一つのお願いをする。

 

弦二郎「標華ちゃん、キミにお友達になってほしい子がいるんだ」

 

標華「?」

 

弦二郎の真剣な眼差しに、思わずキョトンとしてしまう標華。

 

弦二郎「ひとまず、美智香さんも標華ちゃんも家においで。この後雨の予報だしね」

 

その提案で、二人は黒宮家に上がることになった…

 

ー黒宮家ー

 

少年、黒宮或刻は自身に用意された部屋の片隅で膝を抱えて座っていた。部屋のカーテンは全て閉め切っており太陽の光が届かないまるで深海のようで、彼の心の暗さを表現したような空間だ。

 

或刻「……」

 

そこで扉からトントンと音が鳴る。

 

弦二郎「或刻?そろそろお昼ご飯にしようか」

 

引っ越し先で世話をしてくれている弦二郎がそういうと、或刻は無言で立ち上がり、扉の前に立って開けようとする…その時だった。

 

ばたんっ!!

 

標華「こんにちは!!或刻くん!!」

 

或刻「うがっ!?」

 

弦二郎 美智香「あ」

 

勢いよく扉が開かれ、その扉にぶつかってしまった或刻は気絶してしまった…。

 

ー現在 或刻家ー

 

或刻「…そういえば初めて会った時のこと、未だに僕謝って貰ってないんですけど」

 

標華「な、なんのことかなー」

 

ー12年前 黒宮家ー

 

或刻は気づくと、居間の畳部屋に寝かされていた。

少しふらふらする頭をなんとか振り払い、周囲を見渡す。

 

標華「あ!起きたんだ!」

 

襖から先ほどの少女、標華がこちらに気づき駆け寄ってくる。

 

標華「いやあさっきはびっくりしたよ!まさかぶつかっちゃうなんて思わなくて…キミは或刻君だよね?これからよろしく!」

 

と言って、手を差し出し握手を求めてくる標華。

 

或刻「………」

 

この時、或刻は久しぶりに頭の思考を再開した。

 

或刻(一体なんだこの人!?急に話しかけてきたかと思ったら何故か僕の名前知ってるしって扉が勝手に動いたのこの人のせい!?ってか何だこの距離感っ!)

 

そして体感5時間、実際5秒の時間が流れ或刻が発した言葉は…

 

或刻「とりあえずアンタだれ?」

 

標華「え?えっとねー」

 

弦二郎「標華ちゃんじゃよ。」

 

キッチンのほうから、祖父である弦二郎がやってきた。

 

弦二郎「わしが呼んだんじゃ、お前の友達になってほしいとな。」

 

或刻「おじいちゃん、友達はいらないって前にも言った。」

 

というと、標華は或刻に近づき思った疑問をぶつける

 

標華「え?なんで?友達いたほうが楽しいよ!」

 

そういって或刻に近づく標華。或刻はそれに反発するように立ち上がり、

 

或刻「うるさいな…僕に関わんないでよ!!」

 

握手を求めた手を払いのけ、そのまま家を飛び出した。

 

その光景を見ていた美智香、弦二郎を手招きで少し離れた扉まで呼ぶと話し始める。

 

美智香「…一応、家からは出ましたね。」

 

弦二郎「あぁ、でも或刻の心を救えてはおらぬ。標華ちゃん!」

 

標華「え、えっと?」

 

弦二郎は標華に声をかけると、目線を合わせ今の或刻の状況を説明する。

 

弦二郎「今の或刻は、心に深い傷を負ってしまっているんだ。あの事件のことは、君もよく知っているだろう?」

 

標華「うん。もしかして、或刻君が?」

 

弦二郎「君が初めて、或刻に大きな変化を与えられた…どうか、あの子の心を救ってはくれないだろうか?」

 

標華は考える、例の事件で唯一の生き残りである或刻。その境遇は自分では考えられないほどつらいだろう。

しかし、だからと言って目の前に自分のことを大切に考えている人がいるのにそれを邪険にしてはいけない。

そんなことをしてしまっては、或刻自身も、おじいちゃんもどっちも報われない。

改めて状況を整理した標華は、覚悟を決め弦二郎に向きなおる。

 

標華「うん。任せてよおじいちゃん!私が何とかする!!」

 

弦二郎「そうか…では頼む!」

 

標華は頷くと、或刻の跡を追うように外へ出ていった。

そこへ美智香が不安そうな顔をしながらやってくる

 

美智香「弦二郎さん?」

 

弦二郎「おお美智香さんや、どうしたんだい?旦那さん早めに帰ってくるのかい?」

 

美智香は弦二郎の目を見て、その事実を告げる

 

美智香「この後、雨の予報ってご自分でおっしゃってませんでした?」

 

弦二郎「あー…しまったのお」

 

2人は急ぎ傘を準備し始めるのだった。

 

ー森の奥地ー

緑豊かなこの地域、その由来は一つの大きな森があるからだ。

この森は国の自然保護地区にも指定されているほどで、森の中にも大きな川が流れており、そこからさまざまな生き物が生態系を作り出している。

そんな森に珍しく、一つの足音が鳴り響く。

 

或刻「はぁっ…はぁっ!」

 

しばらく走っていなかったからなのだろうか、無我夢中で走った結果奥地に入ったところで大きな大木にもたれかかる。

 

或刻「なんで僕の周りには常に人が寄ってくるんだ…僕はもう大切な人を失いたくないんだ」

 

両親を失う前の自分だったら、人が周りにいることは彼にとって嬉しいことだった…

しかし、今の自分にとって親しい人ができることは、失ってしまうかも知れないという不安を抱えてしまうようなもの。

そう考えてしまうと、彼は再び親しい人を作ろうと思えなくなり、引っ込み思案になってしまっていたのだった。

 

???「なーるほど?そういうことだったんだ」

 

或刻「なっ…!?」

 

走ってきた方を見ると、先ほど或刻と友達になろうとした標華が歩いてくる。

 

或刻「な…なんで着いてこれたんだ?」

 

標華「簡単だよ?走ってついてきた!」

 

笑顔で淡々と説明する標華、息は上がっているものの、その姿を見た或刻は心の中で思った

 

或刻(怖っ…)

 

お互い息を整えると、標華は改めて或刻に向き直る

 

標華「きみ、大切な人を失うのが怖いんだ?」

 

或刻はその事実を告げられ、今まで溜まっていた胸の内の思いを吐き出し始める

 

或刻「ああそうだよ!それまで当たり前のようにいた家族が自分の知らないところで突然死んじゃったなんて言われて、わけ分かんないまま現実だけ突きつけられて…ずっと続くと思ってた幸せが急になくなるんだって分かっちゃった僕の気持ちが…アンタに分かる!?」

 

標華は考える。今でこそ両親や友達と仲良く暮らしているもののそれが急にいなくなってしまったらどうだろう。

きっと不安や恐怖で心が支配されてしまうと思った。でもこれはあくまでも想像だ。

実際に失ってしまった彼の心は誰にも推し測れる物ではない…。だからこそ、標華は弦二郎の事を思い出す。

 

標華「…それをさ、誰かに言わなかったの?」

 

或刻「……え?誰かに言う?」

 

標華「そうだよ。自分が辛いって、誰かに相談しなかったの?それこそ弦二郎おじいちゃんとか!」

 

その問いに、或刻は黙る…。

 

標華「きみがどれほど辛い思いをしたのか、私なんかじゃ全然分かんないけど…でもそれって、誰かに相談したら気持ちって少し軽くなると思うんだ。弦二郎おじいちゃん、ずっときみがお部屋から出なくて不安そうだった。心配もしてた!きみが大切な人を失うのが怖いって思うのと同じみたいに、弦二郎おじいちゃんだってきみを失うのが怖いんだよ!」

 

或刻「!?…おじいちゃんは僕のこと心配してた…の?」

 

標華は頷き、言葉をつなぐ

 

標華「じゃなかったら、私をきみと会わせたりしないでしょ?」

 

標華は再び、或刻の前に手を差し出す

 

標華「過去を見つめることも大切だけどさ、今を見つめて歩こうよ!或刻君!」

 

或刻はしばらく迷っていたが、真っ直ぐ見つめる標華の姿を見てひとつため息をつくと

がしっとその手を取った。

 

或刻「…あなたの言葉に、少しだけど勇気をもらいました。」

 

標華「え、君その喋り方」

 

或刻「僕はもともと、こっちの話し方が楽でして…あの話し方はとにかく拒絶するために作っていました。」

 

標華「えぇ?あの話し方の方が気楽な気がするんだけどなぁ…ま、いいや!雨降りそうだし一緒に行こ!!」

 

気がつけば、空には大きな雨雲が広がっていた。

そしてポツンと、一粒の水滴が降り始めたのだった…。

 

ー現在 或刻家 或刻sideー

 

「結局雨が降ってきて、おじいちゃんたちに合流するまでに結構濡れちゃったんですよね」

 

標華「そうそう!!」

 

「そういえばあの時お風呂一緒に入ったのは楽しかったですね…」

 

と言いながらお風呂のことも思い出そうとするが…刹那

腹部に強烈なパンチが繰り出される

 

「ぐふぅ!?一体なぜ!?」

 

というと、標華さんは少し赤面しながら言う

 

標華「それは思い出さなくていい…いいね?」

 

「……ハイ」

 

とてつもない恐怖に襲われ、これ以上攻撃されないよう口をつぐむ僕。

結局その後は戦いの手当てをしてもらい標華さんは帰って、僕もまた眠りにつくのであった…

そして時間は進み一週間後、ここから新たな物語が始まることになる。




と言うことで一週間が経ちました!まぁ時間が経つのはよくあると言うことで…
次回は第八話!お楽しみに〜!!


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第八話 臨時復活の通りすがり

リアルがようやく落ち着いてきたので、無事に第八話です!
今回からいよいよ、復旧した学校を舞台に新たな物語が始まります
ぜひともお楽しみください!
にしても誰が通りすがるんだ…?


今日から学校が始まった…とはいってもオンラインで配られた課題を提出するためというのも一部あるが

復旧されたとはいえ未だに校内のあちこちにアナザー一号が暴れた形跡が残っていて、奴の残酷さが垣間見える。今回の一件で亡くなった生徒や教師がいないことが唯一の救いだろうか?

ちなみに今、あのアナザー一号になっていた人間は裁判中だ。なんでも懐占さんによると、当初はアナザー一号になっていた証拠もなく被害者面して病院にいたが、付近の監視カメラから変身した証拠が出てきた為改めて逮捕され自白したかと思えば、今度は自身の無罪を主張してきた。

裁判の中でも、「俺は悲鳴が聞きたかっただけ」「誰も殺してないから無罪」などと訳の分からない主張をあたかも当然のように言って、弁護士を困らせていた。

 

(弁護士さんも大変だな…)

 

早速教室の中に入ると、自分の机に向かい課題をカバンから出す。

 

1時間目は課題提出だった。その後の時間は部活動などの時間になるそうだ。

当然ながら部活動はしていないので、すぐに帰ろうとするその時、

標華さんが僕の元へやってきた

 

「どうかしたんですか?」

 

標華「あ、私じゃなくてみくちゃんが君に用事があるって」

 

「…みく?」

 

そう聞くと、標華さんの後ろから一人の女の子が出てきた。

ツインテールの髪をした少女は僕の方を見ると緊張した面持ちで話し始める

 

みく「日比野みくです。標華ちゃんからお話聞いてどうしてもお礼がしたくて…!」

 

そういえばアナザー一号と戦っていた時に、標華さんともう一人女の子がいたのを思い出した。

 

みく「私たちを助けてくれて、ありがとうございました!!」

 

お礼を言ってくれたまではよかったのだが…あまりにも大きな声でお礼をしてくれたものだから、当然周囲にも聞かれてしまう

 

「あわわわ!?ちょ、ちょっとこっちきてくださいぃ!!」

 

多分僕は今日、人生で初めて学校で大声を出した気がした。

 

ー三者sideー

思わず二人の手を引いて廊下を思いっきり走り出す或刻。それを遠目で見守る存在が一人

 

壊占「おうおう、今日も元気だなあいつ」

 

壊占は早速今日から始まったバスケ部に顔を出そうとするが、そこで一つの電話がきた

電話してきたのは仕事先からだった。

 

壊占「どうしました?電話でなんて珍しいじゃないですか…士さん」

 

士という人物は話し始めた

 

士「ああ、今その学校でアナザーライドウォッチの反応を確認した。エネルギーも溜まったし、クロスライジングへの挨拶も含めて今回は俺も出ようと思ってな。壊占には、所有者が誰かを調査してほしい」

 

壊占「!?…了解です。すぐに探します」

 

電話が切れると同時に、壊占はバスケ部に行こうとした足を止めてスマホに送られた位置情報をもとに走り出す。

どうやら場所的に学校の体育館裏のようだ。

 

壊占(これ以上は絶対この学校には被害を出させねぇぞ!!)

 

決意を抱き、壊占は体育館裏へ向かった…

 

ー或刻sideー

時間は少し遡り、僕は無我夢中で二人の手を取って校舎内から外へ出ていた。

どうやら自分では気が付かなかったが、ここは体育館裏だったようだ。

 

みく「あの私、何か気に触ること言っちゃいましたか…?」

 

みくさんは僕の顔を覗いて聞いてくる。

慌てて僕は訂正した。

 

「あ〜えっと、違うんです!お礼を言ってくれたのは嬉しかったんですけど、実は僕が仮面ライダーだっていうのは内緒にしてまして」

 

標華「あっ」

 

「え?」

 

みく「え、仮面ライダー?」

 

とみくさんが聞いてきたので、標華さんに急いで小声で確認する

 

標華「私、流石にありのまま伝えるのはアレかなって思ったから逃げる手伝いをしてくれたって事にしてたの」

 

「そういう事でしたか…しまったな」

 

なんて二人で話をしていると、

 

みく「ひょっとして学校を襲った一号もどきを倒してくれた仮面ライダーって君だったの!?」

 

二人「うわぁ!?」

 

みくさんが僕達の間に入ってきて、目をキラキラ輝かせながら僕の方へ向いて聞いてきた

あまりに勢いが強かったので、かなりびっくりしてしまう

 

「な、なんのことです!?それに世間的にはあの事件は放火魔を警察が取り押さえたって」

 

みく「そんなのすぐ嘘だってみんなわかるよ!それにここで事件が起きたんだよ?学校のみんなは本当のことすぐわかるって!」

 

そういえばそうだったと、すぐに納得した。

自分で納得していると、みくさんは僕の手をとり話しかける

女性経験がはっきり言ってほぼゼロに等しい僕はみくさんの行動に驚きを隠せない。

 

(あわわわ…!?)「標華さん!この人止めてくださいって!!」

 

みく「君があの仮面ライダーなの?どうなの!?」

 

標華「あちゃ〜みくちゃんって結構仮面ライダー好きなんだよね…」

 

そんな感じで僕達が騒いでいると、目の前の角から一人の生徒がやってきた

 

???「テメェか!バイヤーさんの言ってた奴ってのは」

 

「?」

 

急いでその場を離れようとした僕であったが、その一言で立ち止まりその生徒を見る

逆立った髪にわざとらしく乱した服装は明らかに不良という印象を思わせる

その遊んでいる右手には、アナザーライドウォッチが握られている。

一瞬で危険と判断した僕は二人の前に立つ

 

「…二人とも、下がってください」

 

標華さんはすぐにその意図を理解してくれたみたいで、みくさんに下がるよう促した。

一方のみくさんも意図がわかっていなかったが、場の緊張感を察して標華さんと同じく下がってくれたようだ。

二人の前に立ち、問いかける

 

「どこでそれを手に入れたんですか?それは危険なものです。すぐにこちらに渡してください」

 

不良「危険だぁ?いいや違うな、これは俺に力をくれるもんだ!それにテメェも潰せればもっといい奴を買わせてくれるって契約もしてくれた…それで俺は、あの組の頂点をとってやるんだァァァァ!!」

 

不良はそう言うと、人差し指でアナザーライドウォッチのスイッチを押して起動させた

 

『ライア』

 

その音声が鳴り終わったと同時に不良の周りを紫のエネルギーが纏わりつく。

その隙間から暗い紅色の装甲が見え出した。

そして完全な姿を見せる。

本来のライアの特徴の一つである召喚機エビルメタルバイザーは左ではなく右に装着され、頭部の鉄仮面は右側が割れており髑髏のような顔が恐怖感を駆り立てる。

 

みく「ひっ…!?」

 

みくさんはその姿に恐怖を抱いたのか、隣にいる標華さんのそばにくっつく…みくさんを守るように標華さんは抱き寄せた。

 

「あの組…とにかく、この学校で暴れさせる訳にはいかない。」

 

二人の方を見る。標華さんも、みくさんを落ち着かせようとしているけれどその顔からは恐怖が見てとれた。

 

「標華さん!みくさん!今から見ることは多言無用でお願いしますねッ!!」

 

みく「え…?」

 

標華「或刻!お願いっ!」

 

二人の返事を受け取り、スマホを取り出して仮面ライダーウォーズを起動…その画面を3回タップする。

画面からクロスドライバーが出現した。

それを手に取り、腰部に装着する。

ICカードをベルト中央のスロットに入れ、上部のスイッチを一回押して変身待機状態へ移行した

 

ライダーシステムスタンバイ!

 

続いてカードホルダーからゼロワンと一号のライジングカードを取り出し、ベルト左右のスロットにそれぞれ装填。

ゼロワンのように両手を広げ、上げてから左手を腰に、右手を左前に構え…上部スイッチを押した

 

「変身ッ!!」

 

ライダーシステムライジング!!クロスアップ!!ファーストホッパー!!

 

ゼロワンと一号の幻影が僕に重なり、仮面ライダークロスライジング ファーストホッパーへと変身した。

 

「仮面ライダークロスライジング、ファーストホッパー。僕がお前を止める…仮面ライダーの名のもとに!!」

 

アナザーライアとの戦闘が今、始まる

 

ー士sideー

PSW本社にて、俺は準備を進めていた。

仮面ライダーウォーズの運営状況をひとまずまとめて、続いて社長室の横にあるエレベーターからラボへと向かう。

地下に造られたラボは、俺が変身する仮面ライダーの調整が行われていた。

 

「ようやくか」

 

充填装置からマゼンタのベルトを取り出し、腰に装着した。

左にライドブッカーが出現して開き、一枚のカードを取り出す。そこには緑の複眼にライドプレートを特徴にもつ戦士

 

「さて、腕が鈍ってなければいいがな」

 

仮面ライダーディケイドが描かれていた。

 

ー或刻sideー

アナザーライアとの戦闘が始まって少し経ったのだろうか

この間、ひたすら防戦一方だった

構えていると、突然背中から激痛が走る。どうやら蹴られたようだ。装甲から火花が飛び散る

こんなことがさっきからひたすら繰り返されているのだった…

 

「このっ!」

 

アナザーライア「最初の威勢はどうした?ガキが」

 

攻撃を受けた方向へパンチを繰り出すが、それをアナザーライアは鏡の中に入ることで回避してしまう

仮面ライダー龍騎に登場する仮面ライダーは皆、鏡の世界『ミラーワールド』を自由に行き来する能力を持っている

ライアもその一人だ…当然鏡の世界へと行くことも可能だ。流石にフォームチェンジでなんとかなるような物ではないため、一向に対策も思い付かない

 

(二人を守らないと!)

 

みくさんと標華さんを守るため、急いで二人の元に駆け寄ろうとするがこれまでのダメージの蓄積のせいか膝をついてしまう。

 

アナザーライア「お前の大切な奴、消しといてやるよ!」

 

二人のすぐそばにある鏡から、アナザーライアが姿を表す

 

「みくさん!標華さんっ!」

 

アナザーライアは二人に手をかけようとするその時、

 

ヴァルクルス「ドォラァ!!」

 

一つの炎を纏った拳がアナザーライアの顔面を直撃する。その拳を受けたアナザーライアは攻撃を受けるとその瞬間だけ音速を超えたようなスピードで吹っ飛び、地面に転がっていく。

目の前で助けてくれたヴァルクルスを見て、みくさんはまた笑顔になった

 

みく「前にネットで見たことある!響鬼モチーフの格闘ライダーって本当にいたんだ!!」

 

ヴァルクルス「助太刀に来たぜ?クロスライジング、よく頑張った。」

 

壊占さんは僕の方まで駆け寄ると、倒れている僕に手を差し伸べて立ち上がらせてくれた。

 

「助かりました」

 

ヴァルクルス「早速で悪い、あいつについてなんか情報ねぇか?さっきはがむしゃらに殴っちまったもんで…」

 

と、頭を掻きながら聞いてくる壊占さん。僕もわかる範囲での情報を共有することにした

 

「あいつは仮面ライダーライアのアナザーライダーといったところでしょう。原典と同じくミラーワールドへ行き来することができるみたいで、まだ使用こそしていないものの、召喚機があることからアドベントカードも使用可能かもしれません」

 

すると壊占さんは首を捻る。何か気になることでもあったのだろうか?

 

「どうかしましたか?」

 

ヴァルクルス「いや、大体はわかったんだがよ?さらっといってたその…『アナザーライダー』ってのはなんだ?お前が作った造語か?」

 

「あれ、知りませんか?アナザーライダー。ジオウの怪人枠ですよ?」

 

ヴァルクルス「ジオウ?なんだそりゃ」

 

その瞬間、僕の時間は凍りついたように錯覚した。ジオウを知らないだって…?平成ライダー最後の作品だぞ?

僕が思案していると、壊占さんは何かを見つけたように声を出した

 

ヴァルクルス「っと、ようやく来たみたいだ」

 

何が来たのだろうか?僕はその方向を見てみると、突如銀色のカーテンが現れてそこから一人の青年が現れる。

黒のスーツに何故か似合うマゼンタ色のネクタイ、それに同じくマゼンタを主としたベルト…青年はバックルを展開すると、左のカードスロットから一枚のカードを取り出し、高らかに宣言した。

 

青年「変身」

 

カードを裏返してバックルに入れ、またバックルを元の形に戻すと機械的な音声が鳴り響いた

 

KAMEN RIDE DECADE

 

左右から灰色の変身後と思われるスーツが青年に重なり、ベルト中央からカード型の装飾品が出現し顔に刺さり始める。

最後の一枚が刺さり終わるとそのスーツはマゼンタ色になっていって、胸部アーマーには十をかたどるような模様が追加された。

僕はその姿を知っている。なんなら一瞬だけしか見えなかったはずの変身前の姿だって見たことがある。

 

アナザーライア「くっそ…次から次へと!なんなんだお前は!?」

 

アナザーライアは怒りを露わにしながら、今度はマゼンタの戦士に向かっていく

マゼンタの戦士は左にあったカードホルダー…ライドブッカーを変形させ、ソードモードにしたら右斜め上へ切り上げる

アナザーライアは装甲が大きく破損し、火花を散らしてまた地面を転がる。

その姿を見たマゼンタの戦士は剣先を一撫でして、自身の通り名を言った。

 

ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」




まさかのディケイド参戦!!しかし壊占くんジオウ知らないなんて…そういえばなんで仮面ライダーウォーズでジオウとディケイドシリーズのライダー参戦してないんでしょうか?
そんなこんなで次回!第九話お楽しみに!!


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第九話 実在したミラーワールド

第九話です!前回登場したディケイド、それを見た各々の反応は如何に…
ってかアナザーライアどうやって攻略するんでしょう?
お楽しみに!


仮面ライダーディケイド。平成ライダー10作品を記念して制作され、唯一年を越さずに2009年で放送が終了。他作品にひょろっと通りすがるや否や気付けば当時やっていた主役ライダーの出番を食ってしまうほどの存在感を放つ不思議なライダー。

同じく20作品を記念して作られたジオウではベルトが白からマゼンタに変更された『ネオディケイドライバー』を引っ提げて、実質四号ライダーの立ち位置でジオウ達と共に戦っていた。

 

「な、なんでディケイドが!?ってか本物…?」

 

立ち上がった僕は、本物かどうか確かめようとディケイドのそばへ近づこうとしたが、それを見たディケイドは僕の方を見ると一喝する

 

ディケイド「話は後だ。まずはこいつを止めるぞクロスライジング」

 

「僕のこと知ってるんですか!?なんたる光栄…わかりました!主役食われないよう頑張らせていただきます!」

 

ディケイド「…なんのことだ?」

 

〜三者side〜

ディケイドはヴァルクルスの方を見る。ヴァルクルスはその問いに同じく疑問を持っていた。肝心の本人が意図せず主役を食うのはジオウを見ながらなんとなく察してはいたが、本当だったんだなぁとしみじみするクロスライジング。

そんなことを考えていると、ほぼ蚊帳の外になっていたアナザーライアが再び立ち上がり始めた。それを見たディケイド、ヴァルクルス、クロスライジングの3人は構え始める。3人のうしろには、みくと標華がいる。

 

アナザーライア「通りすがりだぁ?だったら通りすがってろ!」

 

右手に装着している召喚機にVバックルもどきから取り出したアドベントカードを入れる。

 

スイングベント

 

鏡からピンクの鞭、エビルウィップを召喚したアナザーライアは勢いに任せ最後に攻撃したディケイドに振り下ろす。それを見たディケイドはライドブッカーをわざと前に構え、エビルウィップを剣に巻き付けさせ、逆に鞭をつかむ。

 

クロスライジング「タァ!!」

 

ヴァルクルス「オラッ!!」

 

クロスライジングとヴァルクルスはその隙をついてアナザーライアの元へ走り出し、クロスライジングは飛び蹴りを、ヴァルクルスはストレートパンチをそれぞれ顔面、腹部に繰り出した。その攻撃に堪らず大きく後退するアナザーライア。

 

アナザーライア「どんなに強くてもな、鏡に入っちまえば関係ないんだよ!」

 

と負け惜しみのようにミラーワールドに入ってしまう。周囲を警戒していると、後ろから女の子の悲鳴が聞こえた

振り返ると、標華とみくの2人がアナザーライアに攫われていた。すぐ後ろには、ちょうど体育倉庫の窓があった。

 

クロスライジング「しまった…標華さん!みくさん!!」

 

クロスライジングは急いで手を差し伸ばす。それを見て標華さんも手を伸ばした。

 

標華「或…刻!」

 

しかしその手は僅かに届かず、二人はミラーワールドの中に連れ去られてしまった。

その光景にもディケイドは一切取り乱さず、ライドブッカーから平然と龍騎のライダーカードを取り出す。

そしてヴァルクルスに話し始める

 

ディケイド「今からミラーワールドに行ってやつを倒す。警察への連絡、事後処理の準備をしておけ」

 

ヴァルクルス「…わかりました」

 

何もできない不甲斐なさを感じていたクロスライジングだが、ディケイドが肩を置いてきた

 

ディケイド「さ、いくぞ」

 

クロスライジング「え?いやでも僕ミラーワールド行けない…」

 

ディケイド「できるさ。お前の龍騎のカードを使ってみろ」

 

言われるがままカードホルダーから龍騎のカードを取り出す。龍騎との組み合わせは色々仮面ライダーウォーズの中で試したが、最も良いのはやはりコレだろうと、もう一枚のカード…仮面ライダーセイバーのカードを取り出した

早速クロスアップするため、ベルト上部スイッチを3秒長押しする

 

クロススタンバイ!!

 

待機音が鳴り始め、両サイドのカードスロットにこの二つのカードを入れて、上部スイッチを押した

 

クロスライジング「クロスアップ!」

 

宣言が終わると、龍騎とセイバーブレイブドラゴンの幻影が重なりフォームチェンジする。

 

ライダーシステムライジング!クロスアップ!ブレイブドラグレッド!

 

腰部に火炎龍剣 ドラグソードを引っ提げ、全身に赤色の甲冑のような装甲が追加され左肩にドラグレッター、右肩にブレイブドラゴンの頭部が出現する。左腕には召喚機ドラグバイザーが装着された

 

クロスライジング「一応使ってみましたけど…」

 

ディケイドはそれを見ると、自身もバックルを展開し、龍騎のライダーカードを入れてバックルを動かす

 

KAMENRIDE RYUKI

 

その姿が龍騎の姿まんまに変化する。

 

クロスライジング「これで本当に行けるんですか?」

 

ディケイド龍騎「ああ。行くぞ」

 

ディケイドはそう言うとそのまま鏡の中に入っていった。

クロスライジングも入ろうとする。その時、壊占さんから声をかけられた。

 

ヴァルクルス「こっちのことは任せな。だから、そっちは任せた。」

 

クロスライジング「…絶対助けます!」

 

覚悟を決め、鏡に触れる。鏡の表面が波打ち始めクロスライジングはそのまま鏡の世界に入っていく

 

クロスライジング「…待って本当に入れるの!?うわあ!!」

 

数秒前までカッコつけていた赤と銀の仮面ライダーは、滑稽としか思えない姿でミラーワールドへと向かっていった。

 

ーミラーワールド 或刻sideー

本来、原典の仮面ライダー龍騎では、ミラーワールドへ向かうためにライドシューターと呼ばれる専用のバイクがある。

だが、それはドラマの中での存在だ。当然現実では無いだろうと思っていたが…

 

「あったよ…」

 

正直初めて変身してから色々あったし、何があってもおかしくはないと理解はしていたがまさか別世界のミラーワールドまであるなんて…

いや、そもそもライドウォッチが存在するのもおかしい。そしてこの変身だってそうだ。仮面ライダーは本来、テレビドラマであって、ドキュメンタリー番組ではない。でも、今こうして僕は仮面ライダーに変身している。

 

「現実で…一体何が起きているんだ?」

 

あの始まりの日、僕は変身するとき、仮面ライダーウォーズが起動した。この謎の鍵は、このゲームが握っている気がする。

ずっと考えていると、向こう側から剣の攻撃音が聞こえた。音的にライドブッカーだろう。

 

「それよりまずは、目の前のことだ!」

 

ライドシューターに乗り込み、アクセルを踏む。夢にまで見た実物に心が躍った。しかしそれとは別で戦いが本当に起こっているのも事実。気をしっかり引き締めて僕は進んだ。

ディメンションホールを走り抜き、鏡の境界線を突破。僕はついにミラーワールドに到着した。そこは文字やものが全て反対になっている世界。学校の花壇に植えられていた花の向きも、窓ガラスの鍵も、風の向きも何もかもが反対だった。ライドシューターを降り、ディケイドの元にたどり着いた。向かい側にはアナザーライアと、恐怖のあまりか気絶している2人

 

「2人を離してください!!」

 

アナザーライア「いいや?こいつらは餌になってもらうぜ」

 

その様子を見ていたディケイドは、一切慌てず僕の横に立つ

 

ディケイド龍騎「…今回はサポートに回ることにしよう。」

 

アナザーライア「余裕なツラしやがって、これを見てもそんな余裕は出来るか?」

 

再びアナザーライアは召喚機にアドベントカードをセットし読み込ませた。

 

アドベント

 

するとどこからともなく、ピンクの色をしたエイのような姿のミラーモンスター、エビルダイバーが出現して、僕たちを襲ってきた。

エビルダイバーは標華さんたちに狙いをつけると、その巨大な口を開いて食そうとする

ドラグソードを鞘から取り出した所で、横からいくつもの弾丸がエビルダイバーを攻撃した。横をみれば、ディケイドがガンモードで攻撃して一旦退却させたようだ。エビルダイバーはそのままアナザーライアの上空で待機する。

 

ディケイド「さぁ見せてみろ。特異点の力を」

 

「…はい!」(特異点ってなんだろ…?)

 

ドラグソードを構え直し、相手に集中する…アナザーライアは同じく僕のことにしか眼中にないらしく、エビルウィップを握り直すと僕と戦闘を開始した!

アナザーライアはそのウィップでまっすぐ伸ばして攻撃してきた。ブンッとしなる音でその威力がどれほどのものか想像に難くない。

それを見切った僕はすぐに下へ緊急回避をすることで当たらないようにする。それをしながらカードホルダーから一枚のカードを取り出す。

本来だったらライダーの絵が描かれているカードだったそれは、アドベントカードに変化しており、ドラグレッダー、ブレイブドラゴンの二体が渦巻いている様子が描かれていた。それを左手に装着されている召喚機ドラグバイザーにセットする。

ちょうど回避し終わったタイミングでバイザーの上部を動かし、カードの効果を発動させた。

 

アドベント

 

僕の背中からまるで本の見開きのような炎の召喚ゲートが出現し、その中から二匹の龍、ドラグレッダーとブレイブドラゴンが出現した。

 

「コレでも食らってください!」

 

二匹の龍は口から火炎弾を生成し、何発も発射する

それを見たアナザーライアはエビルウィップを振ることでエビルダイバーに指示をだす。

エビルダイバーはその巨大な身体を前にだして、アナザーライアを守る。その隙を見逃さずに僕とディケイドの二人は左右から挟み撃ちを仕掛けた!

僕はドラグソード、ディケイドはライドブッカーソードモードでお互いすれ違うようにアナザーライアを切り捨てる。胸部装甲から大きな火花が散る。

 

「よし。…うん?」

 

追撃を仕掛けようとかけだしたところで、僕はそれに気づいた。

シュー…火花の音とは違う、まるで炭酸水のキャップを外した時のような音がした。音の方向、みくさんを見ると体が消えかけているのが見える。

このミラーワールドには滞在時間が存在する。ライダーに変身した状態でおよそ9分55秒。そう、ライダーに変身した状態でだ。

生身の肉体ではそもそもミラーワールドに入った時点でミラーモンスターに食われるか消滅するかしか選べない。唯一生きて帰る手段があるとしたら、ミラーワールドに入った仮面ライダーによって助け出される事以外、方法はない。

 

(早く終わらせる!)

 

急ぎ上部スイッチを3回押す。

 

ライダーパワーコンプリート!!ブレイブドラグレッド!!

 

その音声とともに一つのカードが出現した。そのカードを手に取り、ドラグバイザーにセットする。

 

ファイナルベント

 

ブレイブドラゴンとドラグレッダー、二匹の龍が僕の周りを旋回し始める。

それを見たアナザーライアも、自身の召喚機にアドベントカードをセットした

 

ファイナルベント

 

エビルダイバーの上に乗って、必殺を放つ準備を始めた。

あの構えは、本家ライアと同じ『ハイドべノン』だろう。

ブレイブドラゴンとドラグレッダーの火炎を、ドラグソードに集める。そして中段の構えでアナザーライアを見据える。

 

アナザーライア「コレで俺は…強いライドウォッチを手に入れるんだ!」

 

「物語の結末は…」

 

アナザーライアは大きな雄叫びと共に突進してくる。

それを捉え、一呼吸し、薙ぎ払う。振るった剣は炎の斬撃を飛ばしアナザーライアに直撃した。

それを確認した僕は、相手に背中を向け、ドラグソードを鞘に収めた。本来であれば自身の身の危険を意味する行為だが、一向にアナザーライアは攻めてこない

 

「…僕が変える」

 

アナザーライア「うぐアアアアアア!!!」

 

直後、アナザーライアはエビルダイバーと共に爆発しライドウォッチが破壊され、変身前の人間は地面に倒れ伏す。直後、不良の身体が消滅のカウントダウンを始めた。

 

「士さん!僕は2人を連れます!ですのでこの不良さんをお願いします!!」

 

ディケイド「わかった。」

 

僕はみくさんと標華さんを、ディケイドは不良を担ぎ、急ぎミラーワールドからの脱出を開始したのだった。

 

その後、2人を救出した僕たちは不良を警察に引き渡す。その時のパトカーは一台しか来ておらず、世間にバレないために色々と講じているようだ。

意識をすっかり失っていた標華さんとみくさんは、2台の救急車にそれぞれ乗せられ、病院へと送られていった。

そういえば、標華さんだけ全くミラーワールドの影響を受けていなかった気がしたが、おそらく気のせいだろう。

それを見送った僕は変身を解除、同じく変身を解除した士さんと壊占さんに向き直る。

 

「あの、本当にありがとうございました!にしても、なぜ門矢 士さんご本人がここに…仮面ライダーディケイドって、特撮番組ですよね?」

 

と聞くと、壊占さんが聞いてきた

 

壊占「そういやなんで士さんのこと知ってんだよ?それにさっき言ってたジオウってなんだ?」

 

「いやいやいや…壊占さん忘れたんですか!?平成ライダー10作品記念のディケイド、20作品記念であり平成最後のライダー、ジオウですって!」

 

壊占さんはそれを聞いてもなお、疑問を持っているようだ…まるでそのような作品自体がなかったと思っているみたいに。それを見かねた士さんは、壊占さんに話しかけた。

 

士「壊占、今日はもういい。久しぶりの部活なんだろう?こいつには色々俺から話しておくさ」

 

壊占「そうですか…まぁ今日はお疲れな!或刻!んじゃ俺はこれで」

 

「あ、ちょっと!?」

 

それだけ言うと壊占さんはそそくさと行ってしまった…この場には僕と士さんの2人だけになってしまう。少し気まずい雰囲気になっていると、向こうから話しかけてきた。

 

士「すまないが、名前教えてもらってもいいか。クロスライジングって呼ぶの長くてな」

 

「え、あっと…黒宮 或刻です」

 

士「或刻、今はまだ詳しいことは俺にもわからん。だがしかし、俺がこの世界に来て一つだけわかっていることがある。」

 

士さんは一泊おくと、その衝撃の事実を口にした。

 

士「…この世界において、ディケイドとジオウの歴史は存在しない」




とんでも事実が明らかになりました…じゃあ今まで或刻が見ていたものは一体?
などなど、色々あるかと思いますがしっかりと明らかになると…思います!!
ここで改めてお詫びを、リアルの環境がなかなか安定しないため、投稿頻度が非常に不安定で申し訳ございません!
それでも投稿できる日があればしっかり投稿いたしますので、気を長くしてお待ちいただけると非常に嬉しいです!
それでは次回、第十話!


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第十話 難易度 ウォーズ

第十話です!今回から少しずつ仮面ライダーウォーズに焦点を当てていきまっしょう!
でもその前に、説明が入ります。
かなり長いですが、世界観説明のためですのでご容赦ください



今巷を大きく賑わす大人気ゲーム、『仮面ライダーウォーズ』既存の仮面ライダーに囚われず、自身の考えたオリジナルライダーを創造し動かせる…そんなゲームを作ったのは『PSW』という今でこそ知られているが、それまでは全くの無名だった会社。社長、職員ともに一切の素性が明かされていないその不気味さに、一部では某国の秘密組織が日本侵略に大きく動くための口実に作った。なんて、よくわからないデマが出ているほどだ。何故こんな話をしたか。それは……

 

「まさか、ここに呼ばれる日が来るなんて」

 

僕がそのPSWに呼ばれたからだった。

経緯は少し前、実在した門矢 士さんにとんでも事実を告げられた直後に遡る。

 

「ジオウとディケイドの歴史が…ない!?」

 

それを聞いて、僕は絶句していた。

 

「そんなわけないですよ、だって僕はおじいちゃんの家で確かに観ました!あなたも!ジオウも!」

 

標華さんに心を救われてから、僕は少しずつだが立ち直り始めていた。その姿を見たおじいちゃんは、一つのテレビ番組を見せてくれた。それが仮面ライダー響鬼だった。自分にとって響鬼はある意味もう一人の父親みたいなものだった。そこから今までの仮面ライダーを見ながら、現行の仮面ライダー…『仮面ライダークイズ』まで見続けている。その中に、確かに仮面ライダーディケイド、仮面ライダージオウは放送されていた。

 

士「俺たちがこの世界に来たのは今から5年前だ。とある反応を追ってな。まぁいい。積もる話は俺たちのところで話そう。それと、急いで次のイベントの準備もしないとなんでな。」

 

「俺たち?それに次のイベントって?」

 

士「言ってなかったか。俺はこの世界では、PSWの社長だ」

 

「えぇ!?」

 

こんなことがあって、僕は今PSW本社前にいる。のだが…

 

「なんで一緒にいるんですか標華さん!?」

 

標華さんが僕と一緒についてきてしまったのだった。

 

標華「だって、今の仮面ライダー人気社会を作り上げた超大手会社でしょ?気にならないわけないじゃん」

 

「でも士さんが知ったらなんて言うか…『俺がどうした』って士さん!?」

 

標華「士ってあの門矢士!?或刻が見てたディケイドの!?」

 

士「君はあの時の子か。どうやら俺のことを知っているみたいだが…まあいい、一緒に来てくれ」

 

そう言いながら士さんは会社の中に入っていく。僕たち2人は少し不安になりながらもついていった。

受付の人に声をかけようとしても、すでに許可をとっているらしく(まぁ社長だから問題ないのか…)すぐにエレベーターで最上階へ

窓から見たこの街の景色は、新鮮味を強く感じる。そこに秘書らしき人物が立っていた。片手に持つその本は、逢魔降臨歴と書かれている

 

「まさか!?」

 

士「待たせたな、ウォズ。」

 

ウォズと呼ばれた男性はコートともスーツともいえない中間のような服を棚引かせ僕たちの方を見て、挨拶する。

 

ウォズ「やあ特異点とそのご友人、私の名はウォズ。君たちの知る仮面ライダージオウの登場人物…と、2人とも知っているか」

 

「ウォズさん!?こっちも本物!?是非とも、握手を…」

 

おどおどしながら僕は手を差し出すが、その光景を見たウォズさんは思わず笑い出す

 

ウォズ「おや、そう言う反応されるとは思わなかったね。」

 

標華「そりゃあ、テレビの中の存在を実物で見たらこうなりますって」

 

士「…もういいか?説明に入って」

 

「あ、すいません」

 

気づけば士さんは窓側にあった社長用のデスクに腰掛けながら、こちらのことをじっと見ていた。若干不機嫌そうにしていたためすぐに謝罪、来客用に用意していたと思われる大きめのソファにウォズさんによって案内され、僕たちは座った。

士さんはすぐさま自分のPCで何かの操作をしたあと、僕たちの向かい側のソファに座りウォズさんが用意したホットティーを少し飲んだ。

同じく用意されていたホットティーを飲む。少し心が落ち着いた気がする。

 

士「事の発端は、俺が…っていうより」

 

ウォズ「我が魔王、常盤ソウゴが新しく作り出した世界で起きたのさ」

 

仮面ライダージオウ最終回において、主人公常盤ソウゴは仲間を失った孤独の王になる事を選ばず、新しく作り出した新世界で仲間達と共に新たな生活をスタートした。その後は一応、Vシネマで記憶を取り戻したところで終わったのだが

 

「ジオウの世界で、何があったんですか?」

 

ウォズ「突如、世界の崩壊が再び起きたのさ。」

 

標華「再び…確か一回目は、主人公の人が新世界を創ったんだっけ。」

 

「うん」

 

ウォズ「そのとおりだご友人。しかし今度の崩壊ではいわゆる、怪人によって破壊と殺戮が無差別に起こされるようなものではなかった…」

 

ウォズさんは拳を握りしめ、言う。

 

ウォズ「文字通り消滅したんだ。世界そのものがオーロラカーテンに飲み込まれて。」

 

「オーロラカーテン!?でもオーロラカーテンって、確か世界と世界を隔てる存在だったはずじゃ」

 

士「まだ実際に確認出来てはいないが、どんな時間軸でも干渉できない場所へ、ジオウの世界は移されたんだろう。結果的に今ジオウとディケイドの存在が無い事になっているのは事実だ。いくつかの平行世界を渡ってそれは確認済みだしな。」

 

どんな時間軸も干渉できない場所…一体それはどこなのだろう?そしてそれはどうやって生まれたのだろう?様々な疑問が浮かんでくるが、これが特に疑問に思ったので聞いてみることにする。

 

「でも、何故ディケイドまで?確かにジオウにも出ていましたけど作品自体は別のはず」

 

士「それなんだが、恐らくディケイドライドウォッチの影響だろうな。まさか念の為を想定して力を移しておいたお陰でこんな面倒な事になるとは」

 

「……そうか!ディケイドライドウォッチは歴史だけじゃなく、今の士さんの力、つまりネオディケイドの力を半分入れた状態のものだった。それでジオウのライダーに判定されてなし崩し的にディケイドの歴史にも影響が出てしまったんですね!」

 

標華「あ、あの〜…訳がわからないのですが?」

 

途中から完全に話についていけなくなっていた標華さんがとうとうギブアップ宣言をしたところで、ウォズさんは咳払いをして一旦整理した。

 

ウォズ「簡単に言えば、ジオウとディケイドの歴史がどこかの誰かによって現在消滅寸前の状態になってるって事さ。だがこれは、ジオウとディケイドだけの問題じゃない。今は変化こそないが、これはすべての仮面ライダーの歴史が消えるかもしれない重大な危機だ。だからこそこの世界に居るであろう黒幕を探る必要性がある」

 

標華「この世界に…黒幕が?」

 

士「これを見ろ。」

 

というと、プロジェクターから映し出されたのはこの街の地図のようだった。いくつか赤い点のようなものがあること以外特に不審な点はない。

 

士「これはこの平行世界に来てから反応が確認されたアナザーライドウォッチだ。数々の平行世界を渡ったが、この世界だけ、アナザーライドウォッチの反応が確認された。ジオウの歴史が実質消滅しているのにも関わらずだ。」

 

「こんなに沢山…じゃあ、このアナザーライドウォッチをばら撒いている人を捕まえれば!」

 

標華「黒幕への足掛かりが掴める!」

 

僕らが顔を見合わせながら息ぴったりに言うと、士さんとウォズさんは同じく顔を見合わせながら肩をすくめて苦笑いをこぼす。

 

士「まぁ当面の目標はそんなところだ。それで少しでも活動しやすくするためこの会社を創ったって訳だ。質問は今度聞いてやる。まだまだ伝えなきゃいけないことがあるからな」

 

プロジェクターの映像を切り替えると、今度は仮面ライダーウォーズの新イベントと思わしき画面に切り替わった。難易度はイージーから始まり、一般的なゲームの難易度順に並べられクリアするごとに報酬が変わっていく。どれも僕のキャラであれば一通りクリア出来るが、気になる難易度があった。

 

「ウォーズ?初めて見ます」

 

士「当然だ。これはお前達のために用意したんだからな」

 

「お前達…?もしかして!」

 

ウォズ「そう、現実で仮面ライダーになった者にしか挑戦することができない究極の難易度であり最高の訓練場。それが難易度 ウォーズさ」




長らくそういうゲームがあるとしか触れられなかった仮面ライダーウォーズですが、基本或刻達が訓練をしたりする場所として今後は使われていきます。
「え、ただのゲームでどうやって訓練すんだよスマホゲーなんだから指しか鍛えられないじゃん!」と思ったそこのあなた!
次回をお楽しみに!

極血「そろそろ出番ねぇのか?」

あっ…


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第十一話 僕/俺だけの、仮面ライダー。

今回も結構説明が多いですが、戦闘もあります!そしていよいよ彼らも動き出す…


難易度WARS…挑戦するための条件は唯一つ、現実で仮面ライダーに変身していること。ウォズさん曰く最高難易度でありながら、訓練場でもあるというこの難易度だが…

 

「どうやって訓練するんですか…ソシャゲーですし指しか鍛えられないんですけど?」

 

早速僕の口から質問が飛び出た。当然だ。このゲームは基本スマートフォンでキャラクターを操作するゲームでVRの機能は無いはず。それに今の時代はそこまでVRが発達しているわけではない。それを聞いた士さんは手招いて再びエレベーターに僕たちを乗せる。ウォズさんも一緒についてきた。

士さんは4、5、3、1、4、5の順番で階数を押した。するとエレベーターはものすごい勢いで降り始める!

 

「うわあああああ!!??」

 

ウォズ「うおっと…」

 

士「ふっ」

 

標華(どうしたんだろうみんな?)

 

あまりの勢い、それはジェットコースターのように速かった。体感で10分くらい続いたこの感覚は次第に勢いが弱くなって、やがて完全に静止したのちエレベーターの扉が開かれた。開かれたと同時にヘロヘロになりながらエレベーターから出て膝をつく。数年ぶりに大絶叫をしたので、咳が出てしまう。そんな僕の横を楽しそうに標華さんが話しかけてきた

 

標華「大丈夫?或刻」

 

「なんで標華さんは大丈夫なんですか」

 

標華「そこまでびっくりするほどだったかな?」

 

「嘘でしょ…?」

 

思わずそうこぼす僕だったが立ち上がると同時にウォズさんが言った

 

ウォズ「すごいな。あのエレベーターの速度は誰でも一度はびっくりするものだと思っていたが」

 

「ウォズさんは驚いたんですか?」

 

ウォズ「あれは流石に驚かない方が難しいと思うよ」

 

顔を少し横に向けながら言うウォズさん。顔を覗くと少し苦い顔をしている。士さんの方はというと一切表情を崩さずスタスタと歩いて行って、目的の場所へ向かって行っていた。そのあとを標華さんは興味深そうに着いていく。僕は頭をぶんぶん振って、3人についていった。とあるドアの前に着くと、士さんは自身の職員カードを電子ロックに掲げる。少しの沈黙の後、ピピッとロック解除音が鳴ってドアが自動で開いた。その先にあったのは…

 

士「これが、ウォーズVRだ」

 

目の前にあったのは大きな人1人分は入るだろうカプセルが5つほど置かれていた。おびただしい程の配線があるが綺麗にまとめられており中央にあるモニターには仮面ライダーウォーズのタイトル画面が表示されている。

 

「このカプセルで、仮面ライダーウォーズの中に…?」

 

ウォズ「そう…門矢士のオーロラカーテンの力を応用して、ゲームの中に君達を送る」

 

標華「そんな大それたことができるんですか!?」

 

士「せっかくだ、試してみろ」

 

いつの間にか先に着いてキーボードを操作していた士さんはenterキーを押した後、士さんに言われるがまま僕はスマホで仮面ライダーウォーズを起動、モニターすぐ横に置いてあるスマホホルダーに差し込む。そしてカプセルの中に入った。

 

士「ウォーズVR起動」

 

その声とともに、僕の意識は現実世界からフラッシュアウトする…

 

ーウォーズ 市街地エリアー

気がつくと、僕はクロスドライバーを装着した状態で市街地エリアに立っていた。よくイベントクエストやメインクエストでお世話になっている場所だ。何度か目を擦って、ほっぺたをつねってみる。痛みはある。不思議に思っていると左上に何か緑色のゲージが0.5減った。残り999となっている。このゲージ、ひょっとして…

 

ウォズ「お察しの通りさ、プレイヤー アル」

 

突如空間上にウォズさんの声が響き渡った。

 

「ウォズさん!?てことはやっぱりここは…」

 

ウォズ「そう、今君は仮面ライダーウォーズの中にいる。そして、もうわかっているとは思うが改めて説明しよう…君が変身する仮面ライダークロスライジングは、君がこの仮面ライダーウォーズで創り上げた、『君だけの、仮面ライダー』だ」

 

「僕だけの、仮面ライダー…」

 

すでに何回か変身しているとはいえ、改めてそれを、ジオウの祝辞をしていたウォズさんに言われることは1人の仮面ライダーファンとしてこれ以上にない嬉しさが込み上げてきた

嬉しさに浸っていると、目の前に1人の人型のデータが出現しそれはやがて、マグマドーパントへと変化を遂げた

 

士「チュートリアルがてらにやってみろ」

 

標華「或刻!やっちゃえ〜!」

 

標華さんの応援で心に火がついて、僕はゼロワンと一号のカードを取り出しながら宣言した!

 

(今の僕は、負ける気がしないッ!)「変身!」

 

こうして、本来だったら絶対に体験出来ないゲームの中での戦いに心を踊らせながらも、真剣に向き合いながら繰り出していくのだった。

 

 

ー同時刻 とある研究所ー

三者side

とある研究所にて、男、極血はモータリティに変身していた。そんな彼の周囲は白い壁に包まれ、人の形をした的が無造作に置かれている。一つだけ、部屋の上部には大きなガラス窓があった。その中では多くの研究員が専門用語を使いながらモニターを操作している。

しかし一人の研究員が窓ガラスの前まで来ると、マイクを使いモータリティに話しかけた。

 

研究員「君が今身に着けている『仮面ライダーモータリティ』は、君がオルタネイトヒストリーヴィランズ…やっぱ長いな、通称AHVにて歴代最高得点を手にした君のために我々が創り上げた、君だけの、仮面ライダーだ。当然、そんな力を提供してあげたのだから、我々の計画にも協力してもらう義務が生まれる。そこは分かってるよね?」

 

モータリティ「分かってるさ、こっちの世界じゃ信用が全て…だろ?ジョウゲンさん」

 

ジョウゲンと呼ばれた男は、不敵な笑みを浮かべ再び話し始める。

 

ジョウゲン「そう、信頼関係は大切さ。そこでその信頼関係を深める第一歩としてこの実験を行ってもらいたい。戦闘データ採集ではあるけど、今回は試し打ちとして、単なる的にしておいたよ。」

 

モータリティ「おいおい、俺はすでに実践を経験済みだぜ?そんな俺に単なる的当てで満足しろと?」

 

ジョウゲン「まぁまぁいいじゃないか。これから難易度を上げていくから」

 

モータリティ「りょーかい。んじゃ、lets start」

 

部屋全体にブザーが鳴ったと同時に、モータリティは右手に持っていたモータリティシューターを右に向け引き金を引いた。

 

モータリティ(世界でただ一つの、『俺だけの、仮面ライダー』楽しませてもらうぜ!)

 

仮面の下で、極血は笑っていた

 

ーウォーズ 市街地エリアー

 

マグマドーパントは全身を赤く輝かせ、右足を踏み込んだ。踏み込んだ場所を起点に地面が割れマグマが湧き始めクロスライジングの元へ迫ってくる

それを横に受け身をすることで回避し、お返しとばかりにジャンプしてマグマドーパントの元に着地して、左ストレートを繰り出す。

 

「まだまだ!」

 

そこからフックを時折含めながらパンチのラッシュでマグマドーパントに攻撃の隙を与えないようにする。

 

マグマ「グルァ!」

 

マグマドーパントはその攻撃に少しづつ苛立ち始めたのか、今度は体内でマグマを溜め始める…

 

(まずいっ)

 

すぐにラッシュを止めて、距離をとる。

ドガーン!!

それと同時に大きな爆発がマグマドーパントを中心に発生した。

 

「おわわわっ!?」

 

僕はその爆風を、ちょうど近くにあった大きなビルの中に入ることで防ごうとしたが、予想以上に規模が大きくゴロゴロと転がりビルの壁に全身をぶつけた。左上の緑のゲージ…体力ゲージは変身したことで1000から4000に上がっていたものの、今ので3245まで下がってしまった。

 

「痛った…この難易度ってまさか」

 

士「言ってなかったか、これがウォーズだ」

 

通信越しでさらっと言われる。

 

「ですよね…仕方ない、炎には炎!クロスアップ!」

 

ライダーシステムライジング!クロスアップ!ブレイブドラグレッド!

 

龍騎とセイバーブレイブドラゴンのカードを使用する事で、ブレイブドラグレッドへと形態変化をした。

すぐにドラグソードを手にしてビルの割れた窓ガラスから飛び降りながらマグマドーパントを視認する。

当のマグマドーパントは、手から火炎弾を生成し僕に投げてきた。

 

「でやっ!」

 

その火炎弾をドラグソードによる上段切りで真っ二つにし、直撃を避けた。真っ二つに別れた火炎弾はそのままビルの壁面に直撃し小さいながらも爆発を起こす。

 

地面に着地すると同時に下段から上段へと袈裟斬りを繰り出し、そこから腰を捻りながら横一文字に切る。

 

マグマドーパントは切られると大きく後ろに交代。その隙をついて、ベルトのスイッチを一回押した。

 

パワーアップ!ブレイブドラグレッド!

 

音声が鳴り終わると、右腕に炎が集まり右腕にあった甲冑をパージさせる。中からはまるでドラゴンの鱗を思わせるような籠手が出現。ドラグソードを左手に逆手で持ち、右手に力を集中させ突きだす!

 

「ドラゴン・ワンダー!!」

 

突き出した右腕からドラゴンの形をした炎が出現し、マグマドーパントめがけて突進していく。直撃したマグマドーパントは効果は半減したものの、かなりの大ダメージを与えたみたいだ。

 

「これで決める」

 

カードを入れ替え、クウガライジングタイタンとバスター玄武神話を使用する。

 

「クロスアップ」

 

ライダーシステムライジング!クロスアップ!タイタンメソロジー!

 

オッドアイが光ると同時にベルトのスイッチを3回押した

 

ライダーパワーコンプリート タイタンメソロジー

 

前回は巨大な紫電剣 土豪を振ったが、今回は握ったと同時に柄についているトリガーを押すことで巨大化を無くし、土と電気の力がそのまま蓄積されて、マグマドーパントの方へ一歩、また一歩と歩いて行く。

マグマドーパントの方は、そんな様子を好機とばかりに両手から火炎弾を闇雲になげつけてくる。

が、そんなのは一切効かないとばかりに僕は紫電剣 土豪を片手で持ちひたすらに歩き続ける。何度も鎧にダメージを受けるが一切進む足を緩めない。

 

「うぉりあっ!」

 

紫電対極閃

カラミティタイタンと同じ技でダメージは負うものの、スーパーアーマーである鎧を活かし必殺の一撃を放つ技。

剣が届く範囲まで近づいたその時、マグマドーパントへ突き刺す。

爆発が起こるかと思いきや、だらんとマグマドーパントは動かなくなり、そして静かにまたデータへと姿が変わりゲームクリアの文字が出ることで、この戦いは一先ずの終了を迎えた。

最後に見た体力ゲージは、500を下回っていた…。

 

ーとある研究所ー

極血、いやモータリティが実地試験をしている中、ある男がジョウゲンの元にやってきた。

 

ジョウゲン「おやおや、極血君の所の…えっと?」

 

ジョウゲンに聞かれると、その男はジョウゲンの前を通り過ぎ窓ガラスの方へ向かう

 

悠也「焉党 悠也(なりとう ゆうや)だ。大将って呼ばれてる。」

 

ジョウゲン「そうでしたか。では私も大将って呼ばせていただきますよ。」

 

悠也「勘弁してくれ。スポンサーにまで大将って言われちゃあ流石に背中痒いっての」

 

と言いながら鏡の方を見る。モータリティはと言うと一切疲れを見せず戦闘を継続している。

 

悠也「あいつ、やっぱすげぇな」

 

ジョウゲン「ええ、お陰でいいデータが取れています。やはりあなた達を財団本部に推薦して良かった」

 

悠也はジョウゲンに視線を向けると、そのままモニターを見た。

 

悠也「ソイツを創る為にデータを集めてるってことでいいのかい?」

 

そこには、新たな仮面ライダーの姿があった




新たな仮面ライダー…一体登場はいつなのか?
次回をお楽しみに!


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第十二話 邂逅

大変長らくお待たせしました!年内最後の仮面ライダーウォーズです!
今回戦闘がないですが、とんでも事実が発覚するかも…
年明けからは、また忙しくなってしまうので投稿頻度がさらに悪化してしまいますが、それでも応援していただけると嬉しいです!
ではどうぞ!


懐占「…疲れた」

 

「これで遅れた分の成績は取り戻せたわけですし、結果オーライですよ」

 

今日は休校になった分の補習があった。僕は普通にやっていたが、懐占さんのほうはというと、士さんがトップにいる組織の仕事などで睡眠不足だったらしく、眠そうになりながら受けていた。

 

懐占「そういや、こないだ士さんから説明受けたんだろ?俺たちの組織について」

 

「え?…あ!?」

 

数日前に行ったPSW訪問の際、仮面ライダーの歴史が危ないということしか教えてもらっていないのを思い出す。組織のことを聞く前にウォーズVRというとんでも訓練場で戦っていた為、聞くタイミングが全くなかった。その後はPSWにはいっていない。というのも士さん曰く、

 

士「業務が忙しいからな、必要な時は俺から呼ぶ」

 

ということでその場はそのまま解散となっていたのだった。

 

「すっかり忘れていました…」

 

懐占「お前何しに行ったんだよ…?まあいいや、この後時間あるか?」

 

僕はうなずくと、懐占さんはその返答を受けてそのまま立ち上がり、肩に手を置く。

 

懐占「俺たちの組織についてちょっと説明してやる。屋上でな」

 

ー屋上ー

 

教室から出た僕たちは階段を登って、屋上へやってきた。扉を開けて周囲を確認するが誰もいない。

あの時の戦いの痕があるかとも思ったが、ある程度は元通りになっていた。keep outのテープが張り巡らされている事以外は…

 

壊占「よし、誰もいないな」

 

壊占さんは誰もいないことを確認すると、まだ壊れていないフェンスに寄りかかる。

 

「それで壊占さん。あなたが所属してる組織って…?」

 

僕が話を切り出すと、壊占さんはコホンと一つ咳払いしてから話し始める

 

壊占「ああ、俺が所属してるのはガーディアンズ。PSW直属の治安維持部隊で、裏社会で暗躍してるっていう組織、エンドワールドから街を守るために戦ってる」

 

「エンドワールド?」

 

聞いたことがない単語に頭の中にはてなが沢山出てくる。

 

壊占「エンドワールドは15年前から活動を始め、いくつもの組織を吸収し裏社会で高位の地位に存在する組織だ。今現在、俺たちが戦っているあの怪人、或刻流に言えば…アナザーライダーだったか?奴らに変身するアイテムを売っているのがエンドワールドの1人、バイヤーだ」

 

「アナザーライドウォッチが売られてるって…一体誰が作っているんですか?まさかタイムジャッカーが?」

 

壊占「そのタイムジャッカーってのは知らないが、誰がどうやって作っているのかはまだわかってない。ただ、お前が最初に戦ったあの一号…あのアイテムを作ったのはバイヤーだ」

 

「なんでそれだけはわかっているんです?」

 

壊占「前に何度か対峙したことがあってな。その時に奴自身が変身して自慢してやがったよ…いくつか複製してそれを売買してるってのはわかってた。その一個が、前に或刻が倒したやつってことだ」

 

それを聞いた僕はそのまま、keep outのテープの先にある場所を見た。ある程度は修復されているものの、破壊の痕跡があちこちにあるのが見える。

それに屋上だけじゃない、今でこそ普通に登校できているが、まだ高校の一部は立ち入り禁止になっている場所もある。

生徒や先生だって、全員が復帰できたわけではなく、病院に通院しながら通っている人だっているそうだ。この間の一件で出会ったみくさんだって、今も定期的に検査をしているとのことだった。

 

「僕は、本当に守れているんでしょうか?」

 

ぽつりと、自分でも気が付かないうちに僕は呟いていた。それを見ていた壊占さんは大きなため息をつくと、ドンっと背中を叩いてきた

 

「ちょっと!?何するんですか!」

 

壊占「お前のお陰で、誰も死ななかった。バスケ部の顧問から聞いたぞ?お前が沢山医療器具持ってきたからだいぶ治療が捗ったって」

 

「え、僕は確か吹奏楽部の顧問の先生に渡したはずですけど…」

 

壊占「あの人バスケ部も兼任しててな、俺も治療の手伝いしてたもんだからすぐにはアナザー一号の元に行けなくてさ。士さん曰く他のライダーにも協力を要請したがこぞって全員街の外にいたから到着が遅れてたんだ。だから、お前が仮面ライダーになって戦ってくれたおかげで、被害も収まった。ありがとう。」

 

壊占さんは頭を下げて、礼を述べる。

 

「僕はただ、できることをしただけです。結局、どうして仮面ライダーに選ばれたのか…まだわからないですし」

 

僕が独り言のように呟いたその言葉に、壊占さんが付け加えるように説明してきた。

 

壊占「それなんだが実は士さん達も明確にこの人を仮面ライダーにって選べるわけじゃなくて、ランダムに選ばれるんだ」

 

…今さらっととんでもないこと言ってなかっただろうか?

 

「え、ランダム?」

 

壊占「とは言っても、流石に完全ランダムってわけじゃなくて、何かに特化した才能を持った人物が選ばれるんだそうだ」

 

士さんが選んでいるわけではないとすると、一体誰が選んでいるのか…予想はついていた。だが、信じられなかった。だからこそ、それを確認するために壊占さんに聞いてみる。

 

「それを決めているのって、もしかして…」

 

そして壊占さんはひとつ、大きな呼吸をして告げた

 

壊占「仮面ライダーウォーズが、選んでいる」

 

すぐさま携帯を取り出して、仮面ライダーウォーズを起動する。何ら変わらないタイトル画面ではあるが、今の話を聞いてからどこか意志を感じるような気がしてならなくなった。

 

「一体、士さん達はどうやってこのゲームを創ったんです…?」

 

壊占「それは士さんたちにも分かっていないんだ。

なんでも、当初は資金集めのためにこのゲームを創ったらしいんだが、ある日自分達ですら知らない仮面ライダー…つっても、俺なんだがな。そこで初めてあの人たちと会ったって訳だ。」

 

そこまで説明されると、壊占さんはフェンスによりかかるのをやめて再び屋上の入り口に向かっていく。

 

壊占「まあ大体はそんな感じだ。そんじゃ俺部活に顔出してくるわ」

 

そう言って壊占さんは少し足早に降りていった。これからどうしようかと迷っているその時、再びドアの開く音が聞こえる

 

標華「或刻じゃん!ようやく見つけたよ〜」

 

「標華さん?どうかしたんですか?」

 

扉から出てきたのは、標華さんだった。見ると少し息切れをしているみたいで、呼吸を整えながらこちらに近付いてくる。

 

標華「この前の約束、まだだったじゃん?」

 

と言われ、僕はすぐに思い出す。初めて変身したあの日は本来、標華さんと遊園地に行く予定だった事を。

 

「そういえば…結局色々あって行けなかったんでしたっけ?」

 

標華「そう!だから今日行かない?私の方も今日は部活無いしさ」

 

「では準備してから行きましょう」

 

こうして僕たちは一旦学校をあとにして、それぞれの家に向い、隣町にある遊園地へと行くことになる。

 

ー極血sideー

 

俺は今、遊園地にいる。一人で遊びに来たわけではなく、とある人物と会う為だ。話は数日前に遡る

 

「護衛?」

 

俺がそう聞くと、大将…焉党 悠也は飴を暇そうに舐めながら詳しいことを話し出す

 

悠也「そう、バイヤーと取引した奴が居てな。ライドウォッチを渡すところを護衛してほしいんだわ」

 

「そういうの、前はエンドワールドの下っ端とかにやらせてなかったか?なんで今回は俺なんだ?」

 

悠也「今までのガーディアンズだったらそれでも構わなかったんだがよ、前にお前言ってたじゃん。規格外の奴が出たって」

 

その瞬間、空気が一瞬で変わった。それまで横にいた護衛すら、思わず固唾を呑んだ。

 

「あー…そっすねハイ。今まで注意すべきは話に聞いてたヴァルクルスだけだと思ってたんすけど、新しい仮面ライダーが出たもんで」

 

思わず敬語が出てしまう。別にこの話題自体は問題ないんだが、大将の目は完全に狩る目をしている。どうもこの状態の大将は恐い。

 

悠也「もしそいつが出たらさ、リベンジマッチはしたいっしょ?」

 

「…うっす」

 

そして時は現在、俺はバイヤーと共に遊園地に入り、取引先となる場所へ向かっている。

 

バイヤー「いやあ嬉しいですよ、極血君が護衛になってくれるとは。頼もしさが段違いだ。」

 

「はあ?悪いがお前の護衛はついでだ。俺の狙いはただ一人…」

 

バイヤー「クロスライジング…分かっていますとも。君には期待してますよ?私の貴重なライドウォッチの一つを壊してくれた彼には、一刻も早く消えてほしいですからね」

 

そんな他愛のない話をしながら、俺たちは多くの人が行き交う大通りを進み続ける。軽快な音楽がノイズにならない程度でなり続ける。そこでふと、バイヤーの足が止まった。

 

「おい、どうした?まさかこんな大広場が取引場所とか言わないよな?」

 

バイヤーは下を向くと、しゃがみ込み一枚のチケットを見せてきた。どうやら拾ったものらしく、書かれているものとしてはジェットコースターに乗るために必要なチケットらしい。

 

バイヤー「落とし物でしょうか…おや?」

 

ある方向を見ると突然、バイヤーが固まった。よく見ると口がパクパクと開いているのがわかる。

 

「おい!」

 

ガッと肩を一回揺さぶる。それと同時にバイヤーは我に返ったのか、俺の方を向き直り話し出す。

 

バイヤー「いえ、彼女を以前、どこかで見たような気がして」

 

その視線の先には、高校生と思われる一組のカップル…いや、あの感じは友人か。そいつらが何やら話をしていた。普通に考えて、面倒事には突っ込まないのが楽なんだが…

 

「うるせぇな。どうした」

 

気がつけば、声をかけていた。

 

(何やってんだ…俺?)

 

男子「あ、えっとその…」

 

男の方は少し人見知りなのか、俺の方を見るや否や先ほどより慌て始める

こういうのは嫌いなタイプだ…男を見かねてか、今度は女の方が話し始めた。

 

女子「実は或刻がジェットコースターのチケットを無くしちゃって…今探してるところなんです。もしよければ一緒に探してくれませんか?」

 

或刻「標華さん、流石に無関係の方々を巻き込むわけにはいかないですって」

 

標華「でもさ、私たちだけじゃ探せないよ?」

 

或刻「それは、そうですが…」

 

とまた2人は話し始めてしまう

そこでバイヤーが割り込んでくる

 

バイヤー「もしかして、こちらのチケットではありませんか?」

 

と言って、一つのチケットを差し出した

そういえば先ほど拾っていたのを思い出す

 

或刻「それです!ありがとうございます!」

 

「ったく、2度となくすんじゃねぇぞ」

 

或刻「はい!あ、改めて…黒宮 或刻です!本日はありがとうございました!」

 

標華「須道 標華です。本当にありがとうございました!」

 

と言って二人は去って行く。

その二人の背中を見送りながら、バイヤーが話しかけてきた

 

バイヤー「案外、ああいうのがクロスライジングかもしれませんよ?」

 

「…いや、流石にないだろ。それよりお前こそ、あの女に見覚えあるんじゃねぇのか?」

 

バイヤーに聞くと、少し首を傾げながら

 

バイヤー「…ええ、成長していたため疑ってしまいました。彼女は……」

 

「…?」

 

バイヤーはすごく楽しそうに、目をカッと開いて言う

 

バイヤー「強化人間の試作0号です」




ということで、2022年最後の投稿です!
物語はまだまだ続きますがちゃんと完結できるよう頑張ります!
これからも応援、よろしくお願いします!


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第十三話 その少女、令嬢で、フェンサーにつき。

あけましておめでとうございます!
今年からも心機一転、頑張っていきます!
では、新シーズン開幕です!(ギーツ面白いですよね)


遊園地で遊んでしばらくしたある平日、登校初日の課題の結果が廊下に張り出された。といっても成績上位10名の成績だけだが…。

 

(さてと、僕は入ってるかな?)

 

自分の順位を見ようと張り出されている場所へ向かう僕。そこへ向かう中、色々な生徒達の話し声が聞こえてくる。

 

生徒A「やっぱ俺らの学年一位は翔か〜、あいつを越せる気がしないって」

 

生徒B「マジでふざけんなよ…点Pの速度なんか知るかよクソっ」

 

生徒K「オンドゥルラギッタンデスカ!?」

 

生徒T「コノテストヨウシ、クッテモイイカナ」

 

…若干名とんでもないのがいたような気がするけど、気のせいと思う事にしよう。

張り紙のところに足を運んで、自分の順位が載っているかどうかを確認する。

張り紙は計4枚貼ってあり、一年用と二年、三年、そして全学年の物だ。二年の紙にある僕の順位は…7位だった。全学年の方には名前すら載っていない。

 

(7位かぁ。ま、まぁ高いかな?)

 

もっと頑張ろうと心に決め、同じく見に来ているであろう標華さんやみくさんを探そうとしてふとその姿が目に入った

 

壊占「うおおおおおおお!!!名前が入ってるぅぅぅぅ!!??」

 

そこには膝をつき、まるで世界が滅びを回避したときにあげるような雄叫びをする壊占さんがいた。

 

「な、何もそこまで喜ばなくても」

 

壊占「これが喜ばずにいられるか!ビリ争いをしていたこの俺が遂に10位だぞ!?」

 

あまりの喜びか、食い入るように顔を近づけながら熱弁してくる壊占さん。たまらず後ろに交代する僕は、自分でもわかるほどの引き攣った笑みで返事をする。

 

「そ、そうでしたね…でも、ライダーとしての仕事もあったでしょうに一体どうやって?」

 

点数が大幅アップした仕組みが知りたくて聞いてみると、今度は少し苦い顔をしながら話し始めた。因みにビリ争い云々は、まだ僕が関わっていないときでも耳に入る程よく先生に注意されていた程だった。

 

壊占「ああそれか、俺もあんまり使いたくなかったんだが」

 

「まさか…不正を」

 

冗談半分で言ってみると、壊占さんは驚いて

 

壊占「んなわけあるか!?あいつに頼み込んで勉強教えてもらったんだよ…」

 

「あいつ?」

 

壊占さんが指を指す。その方向から一人の女子生徒が歩いてきた。綺麗な黒髪をたなびかせ、まるでモデルのような歩きでやってくる彼女は、それまで順位について話していた生徒たちを一斉に注目させる。何人かは彼女のファンなのか、近づいてサインを貰おうとするが、すぐ横にいるSPと思われる人に阻まれている。その中でも一切真顔を変えず歩き続ける彼女が凄い

 

「あの人は一体…」

 

と小声で呟くと近くにいた同級生が教えてくれる。

 

生徒C「知らないのかよ!?あいつは凛動 翔(りんどうかける)凛動財閥の令嬢で常に成績トップ、スポーツ万能で才色兼備、将来はあいつの親がトップの会社に入社が決まってるなんて噂らしい」

 

生徒D「しかも、既に結婚相手が決まってるらしいで?政略結婚っちゅう奴やな」

 

「へ、へぇ…」

 

なんて相槌を打ちながら、邪魔にならない様に壊占さんと退いたところで気が付いた。

 

翔「……」

 

翔さんの目がこちらをじっと、獲物を見つけたかのような眼でこちらを見続けながら歩いてくる

僕というより、壊占さんをじっと見ていた。対する壊占さんはというと…

 

壊占「………。」

 

ずっと下を向きながらひたすら無言だった。

 

(こんな壊占さん見たことないんですけど!?)

 

上履きなので本来は聞こえにくい足音が、周りの喧騒もあるはずなのに、やけにはっきり聞こえる気がする。そして僕と壊占さんの前にやってきた。自分達よりかは少し身長が低いものの、その少し淡い茶色の眼はしっかりと壊占さんを捕らえており、そして…

ぽすんと、壊占さんの肩に手を置き、話し始める

 

翔「さ、いこっか。壊占君」

 

たった一言、言った直後には壊占さんの腕をSPが掴み引っ張っていく

 

壊占「ちょちょちょちょっと待ってくれ!まだ心の準備が!?」

 

翔「勉強教えてあげる条件だったんだけど?」

 

壊占「だけどお前の親になんて説明すれば!?」

 

翔「そこは僕がなんとかするから」

 

壊占「嘘だろぉぉぉ!!??或刻助けてくれぇぇぇぇ」

 

そのままずるずるとSPに連れていかれる壊占さんであった

 

「えっとあの…が、頑張ってくださいね?」

 

ー壊占sideー

 

発端は少し前、いつも通りガーディアンズの仕事を終え

た後そのまま家に直帰した。

そしていつも通りご飯を食い、寝ようとしたところで気が付いた。

 

「明後日、課題提出日じゃねぇか!?」

 

急いでデータで配られた課題達を見る…やばい、全く分からない。

教科書を見れば多少はわかるが、それでも量が多すぎる。本来は休み期間にちょくちょくやればよかったんだろうが、すっかり忘れていた。

 

「どうしたもんかな…」

 

とLINEの通知などを見ながら考えていると、そこで一人の名前が目に入った

 

「凛動…一か八かで頼むか!」

 

ーLINE画面ー

 

「凛動!突然すまん!課題が終わりそうになくて助けてほしい!!」

 

翔「うん!いいよ!」

 

ー現実ー

 

(あ、ありがたい…)

 

無事に連絡が取れたので勉強を教えてもらうことに成功する。後日、街にある図書館で教えてもらうことになるのだが、そこで事件は起きた。

勉強を教えてもらっている最中、それは突然言われた

 

翔「今日勉強教えようと思ったのは、理由があるの」

 

「…え、理由?」

 

翔「僕さ、実は縁談申し込まれてて。うちの親は了承したけど個人的に嫌いなタイプだから、どうにかして縁談を蹴りたいんだ。協力してね?」

 

学校では一切真顔で冷静さを貫く彼女だが、どういうわけかめちゃくちゃ明るい声色でとんでもないことを言い出してきた。このダブルパンチに思わず

 

「……はぁ!?」

 

そして時を戻して現在、俺たちは喫茶店に来ていた。翔は初めてだが、俺は今やすっかり顔馴染みとなったこの喫茶店「喫茶たちばな」で今後の作戦を練っている。

 

「んで、その縁談相手ってのは誰なんだよ?そいつの情報がなきゃ俺も作戦考えられねえだろ」

 

翔「そういえば言ってなかったっけ」

 

頼んでいた紅茶を一口飲むと、SPの一人に目配せをした。その合図とともにSPの一人…リアムさんはタブレットでいくつかの操作をした後、

 

リアム「こちらでございます。壊占様」

 

壊占「ど、どうも…」

 

と渡してきた。うわ何だこの違和感、名前の後に様つけられるのこんな違和感あったか?

そう思いながらもまずは相手を見ようとして…俺は目を疑った。

 

「なんだこの坊ちゃま感!?」

 

そこには顔面が見事に整っており、そこらの俳優顔負けなスタイルでスーツを着こなす青年が写されていた。

 

翔「名前は大賀一圭(おおがいっけい)、一回だけ面識があるんだけど典型的なお坊ちゃんでさ。事あるごとに自分の自慢ばっかで僕の話なんか一切聞こうともしなくてね。流石に恋人が居るって誤解させれば向こうも諦めるかなって」

 

「ああ成程、確かに…ってお前恋人いんの!?じゃあその人に頼めよ!」

 

翔「い、居ないから君に頼んでるんでしょう!?恋人役を君に頼みたいの!」

 

「あ、そういうことか。んでどうやって俺たちが恋人ってその一圭さんとやらに見せつけるんだ?」

 

そう聞くと、今度はリアムさんが話し始めた。

 

リアム「近日、大賀様主催の社交パーティーがあります。そこに凛動家も招待されているため、そのダンスパーティーの際、大賀一圭様ではなく壊占様と踊られることで婚約破棄の意思を示そうという計画です」

 

翔「正直、僕は行きたくもないんだけどね」

 

と言ってまた翔は紅茶を一口飲む。それでホッとしたのかため息を翔はこぼした。

それにしても、なぜリアムさんまで一緒にこの計画に加担しているのだろうか?

聞こうとしたその時、俺の携帯にメールが一通届いた。

士さんから、アナザーライダー(呼び方は統一することになった)が出現したと連絡があった。

 

「悪い、ちょっと出かける」

 

翔「あ、ちょっと!?」

 

「マスター!お金置いとく!」

 

と言ってそのまま走って出ていく。

でも俺はすっかり忘れていた…

 

翔「僕も行くんだけどな…」

 

翔の携帯にも、同じメールが来ていたことを

 

ー翔sideー

僕の元に、士さんから一通のメールが届いた

それを確認した後、リアムの目配せする。リアムはそれに頷くと会計に向かった。

店を出ると、走りながら仮面ライダーウォーズから僕の『変身アイテム』を、そして僕の『バイク』を、士さんに転送してもらうのだった…

 

ー或刻sideー

士さんからのメールを受け取り、僕は急いで変身し現場に急行した

現場の町外れにある廃倉庫では既にアナザーライダーとガーディアンズの隊員達による戦闘が行われており、多くの隊員が倒れている

 

「ここは僕に任せてください!皆さんは負傷された方の救護に!」

 

その声が届いたのか、隊員達はアサルトライフルなどの装備をしまい撤退を始める。

それを見届けながら、今回のアナザーライダーを目視で情報を集める。緑の複眼に腕、脚には毒針と思われるものが無数に無規則に突き出されている。ベルト思われるものは、真ん中にはZECTと書かれて、蠍のようなものが剣になっており、それを持っている。それを踏まえると僕の頭の中に一人のおぼっちゃまライダーが浮かぶ

 

「アナザー…サソード?」

 

Aサソード「ほお、これの名前か!素晴らしい…実に素晴らしい遊具だ!」

 

僕が呟くと、Aサソードは楽しそうに剣を振り回して攻撃してくる。

 

「うわっ!?それは危険なものです!急いで変身を解除してください!」

 

Aサソード「危険だと?私が初めて自分で買ったものに対して何たる侮辱、恥を知れ!」

 

剣を構え直すや否や、僕に向かって攻撃を再度仕掛けてくる!

それを避けつつ、反撃の機会をひたすらに探す僕だが

 

(これ、攻撃したら針に当たって逆にダメージ食らうんじゃ!?)

 

ならば一撃必殺を狙おうとタイタンメソロジーに変わろうとするが

 

Aサソード「ふっ!はっ!ヤァ!」

 

(変わる隙がないっ!?)

 

出鱈目に切っている様に見えて、その太刀筋は本物であることがわかる

そこへさらに乱入者が一人、少し大ぶりな一閃をなんとか避けた直後、凄まじいほどの弾幕が僕を襲った。

ズダダダダダダッ!!

地面に無数の弾丸が当たり、火花で一瞬視界を失ったところへ

 

Aサソード「とお!!」

 

「ぐあっ!?」

 

Aサソードの横斬りが炸裂、たまらず後ろに吹き飛んでしまい床に転がってしまう

せめて相手は見失ってなるものかとAサソードを見るが、その隣には先ほどの弾幕を放った主が…

 

「仮面ライダー…モータリティ!」

 

モータリティ「よお、前のリベンジマッチにきたぜ?」

 

Aサソード「む、私の楽しみを邪魔するな無礼者め。大人しく私の手伝いだけしているんだ」

 

モータリティ「…ちっ」(これだからボンボンのお坊ちゃんは嫌いなんだ。イラついて叩き潰すのも大将のメンツもあるし出来ねぇ)

 

モータリティは舌打ちをした後、横の壁に寄っかかる

Aサソードはそれを満足そうに見送るとこちらに目標を定め、ジリジリと近づいてきた

先ほどの攻撃の乱舞でダメージが蓄積されたのか、立ち上がれない…その時

 

ヒヒーン!!

 

3人「……え?」

 

僕とAサソード、モータリティの間を突如、壁をぶっ壊して一匹の馬がやってきた!

 

「って馬!?機械の馬!?」

 

形だけ見ると馬だが、よく見るとところどころに機械の関節部が見え、その黒いアーマー…どちらかといえば甲冑だろうかそれも上から被さっているのではなく、機械の外装のようになっている。

そこに跨っているのは…

 

翔「あれ、新しい仮面ライダー?」

 

「り、凛動さん!?」

 

翔「僕と知り合い…?」

 

Aサソード「おお!私の妃じゃないか!馬に乗る姿もまた麗しい…私にふさわしいな」

 

翔「まさかその声、大賀一圭なの?」

 

機械馬から降りた翔さんは、Aサソードを視界に捉えると携帯を取り出した。画面を3回タップすると黒い太刀が出現し、鞘を左手で持つ。

その太刀はまさに黒そのもの…同じく出現した黒色のディスクを鍔に装填

 

フェンサー system set

 

翔「ちょうど良いや、アンタを捕まえれば僕の縁談は白紙になる…さっさと倒す!」

 

そして柄をもち、トリガーを押しながら鞘から刀剣を抜刀、アナザーサソードに切っ先を向け告げる

 

翔「心意抜刀ッ!」

 

刀を横へ一振りすると、周囲に黒の甲冑が浮かび上がり翔さん自身にもアンダーアーマーが装着され、その上に甲冑がついていく。

 

intention rider system フェンサー!

 

最後には編笠のような形のヘッドパーツが斜めに装着され、片目の複眼が黄色に光った

それと同時に廃倉庫入り口から、エンジン音を鳴らしながら不知火 破音を駆り、ヴァルクルスに変身した壊占さんがくる

 

ヴァルクルス「おっと、そういやそうだったな」

 

「壊占さん!?い、今凛動さんが」

 

ヴァルクルス「ああ、お察しの通り、あいつも仮面ライダーだ。」

 

凛動さんは太刀を正眼の構えで持ち直し、告げる!

 

フェンサー「仮面ライダーフェンサー…押し通る!」




新年一発目、仮面ライダーウォーズ第十三話でした!
これからまた一年、出来る限り頑張っていきますので、是非とも応援のほど、よろしくお願いします!


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第十四話 リアムと父、その真意。

前回登場した新レギュラー、凛動翔…その正体は仮面ライダーフェンサーでした!
そんな翔ですが今回はまた一波乱ありそうです…


クロスライジング「仮面ライダーフェンサー?フェンシング選手とは真逆の武士…というか、足軽みたいです」

 

鎧武のようなアーマーを身に着け、太刀を両手で構える姿はさながら日本の足軽のような印象を与える。凛動…仮面ライダーフェンサーは正眼の構えでアナザーサソードを見据え、

 

フェンサー「ッ!!」

 

Aサソード「ぬおっ!?」

 

あたり一帯の空気を吹き飛ばす勢いで近づき、逆袈裟切りを繰り出した!

それを間一髪のところで蠍のような剣で防いで見せたAサソードは、今度は自分の番だとばかりに上段切りをフェンサーに放った。

それと同時にモータリティとヴァルクルスの戦いも始まった。モータリティに近づいてアッパーを繰り出すヴァルクルス。

 

ヴァルクルス「お前もここで捕まえてやるよ!」

 

モータリティ「悪いが、そのお誘いはNo thank youだ!」

 

モータリティは常にステップやジャンプをすることで距離を保ちつつモータリティシューターを撃つ。ヴァルクルスは弾丸を払いのけたり避けることでさらに近づき、追い打ちをしようとするが、互いに決め手とならず、戦いは平行線のままだ。

 

フェンサー「甘いよ!」

 

一方、蠍状の剣を受け流すフェンサー、剣を受け流されてよろけたAサソードの後ろから、今度は横一文字に自身の武器『武士刀 漆黒』でAサソードの背中を斬りつけ、追い打ちとばかりに乱れ斬る。

 

フェンサー「でやああああ!!!」

 

ガキンガキンとAサソードの腕から脚、そして胴体を斬りつけどんどん棘をはじめとした外装部分が、剥がれていく。やけに規則正しく剥がれていく外装部分にヴァルクルスは嫌な気配を感じたが、それ以上に気になる点が一つあった。

 

ヴァルクルス(おいおい、久しぶりに戦うからか感情に流されてねぇか?普段の戦い方はどうした?)

 

普段の戦い方…フェンサーは見た目こそ無骨で侍を模しているがその剣技に一切の無駄がない。一太刀振るう度にまるで桜が舞い散る様なその姿はまさしく『綺麗』という言葉が似合っていた。

ヴァルクルスがフェンサーについての疑問を持ち始めたと同時に、直前までAサソードと戦っていたクロスライジング、そしてモータリティはAサソードに対してのある違和感に気付いた

 

クロスライジング(なんか、わざとやられてる?)

 

モータリティ(ん?待て、奴は何を考えている…)

 

一方そのころ、Aサソードとフェンサーはお互いに距離を取り、互いの切っ先を向けあうことで互いをけん制しあっていた。

 

Aサソード「うぐう…さすが私の妃、やはり私の目に狂いはないんだなぁ?」

 

Aサソードが痛みに悶絶しながらも、眼はしっかりとフェンサーの方を見続けている。

その内側で、涎が垂れるほどの笑みをしているような気がしてフェンサーはならなかった。

 

フェンサー「人を見てるようで自分しか見てない…そんなのじゃ一生かけても結婚なんて出来ないよ!」

 

Aサソードの全ては自分のものと言わんばかりの振る舞い、そして初めて会った時の態度を思い出し、フェンサーの怒りは爆発。漆黒の柄を強く握り締め、再びAサソードに近づいて漆黒をふるおうとするが…それがAサソードの狙いだった。

 

Aサソード(狙い通り!)

 

クロスライジング(あの装甲の分割の仕方まさか…!)「凛動さん避けて!!」

 

ヴァルクルス(そういう事かよ!)「くっ!」

 

ふるおうとしたその一瞬、Aサソードは蠍状の剣の中心部にあるでっぱり(原典におけるサソードゼクター)を、素早く引き上げ、倒す。

同じタイミングでヴァルクルスは戦いを止め、フェンサーの元へ駆け出した!

 

モータリティ「オイ待て!」

 

ヴァルクルス(間に合え!!)

 

Aサソード「キャストオフ」

 

CAST OFF

 

無機質な機械音声が鳴ったその時、Aサソードの体から崩れ落ちそうになっていた外装部分が廃倉庫一帯に広がるように飛んでくる!

 

モータリティ「なっ!?俺もかよクソが!」

 

クロスライジング「ぐうっ!」

 

モータリティは腰についたスイッチを押し、小型ミサイルを連続発射することで破片の直撃を避け、クロスライジングはテクニカルマフラーを起動。風を周囲に発生させて破片を破壊する。一方…

 

フェンサー(しまった…冷静さを欠きすぎた!!)

 

フェンサーは後悔する。いくら相手が大賀一圭といえど今この場では敵。冷静に状況を判断しないと下手をすれば一圭にその気がなくとも死んでしまうかもしれない。その可能性を頭からすっかり排除してしまっていた

 

フェンサー(もう、ダメなのかな)

 

目を閉じ、全身の力が抜けそうになった次の瞬間…

 

ヴァルクルス「ぐあああああああ!!!」

 

フェンサー「……なっ!?」

 

突如フェンサーの前にヴァルクルスが立ちはだかり、当たるはずだった破片を庇う形で全て受けてしまう…フェンサーの周りにも破片が当たり、破片が落ちたところドガーンと爆発が次々に起こる。

一連の爆発が収まった先には蠍と髑髏が全身を覆い、紫のアーマーラインが蠍の毒を表すかのように身体中を駆け巡るAサソード。

 

CHANGE SCORPION

 

緑色の複眼が徐々に侵食されたように紫に変わっていき、完全に変色した後、鈍く光る。

 

Aサソード「ほお、全部受け切ってなお耐えるとは、面白い…だがそれだけじゃないぞ?」

 

ヴァルクルス「ぐあっ…はぁ…はぁ…?」

 

キャストオフ…仮面ライダーカブトという作品に出てくるライダーほとんどに備わる固有能力の一つ。カブトはマスクドフォームとライダーフォームの二つがあり、キャストオフをすることでライダーフォームへと2段階変身をするのが最大の特徴。キャストオフで飛んでいくマスクドアーマーは、カブト本編でも多くのワームを撃破してきた。だがこのAサソードのキャストオフは、ただの防衛手段ではなかった。

直後、ドクンと

 

ヴァルクルス(まさか毒っ!?)「うあっ!?」

 

心臓から全身に渡って強烈な痛みが駆け巡り、変身が解除され地面に倒れる或刻。

フェンサーは彼を支えるように抱き抱える。

 

フェンサー「壊占君…しっかりして!」

 

Aサソード「やっぱりぃ!原典のサソードより棘が強調されているもんだからなんかあるんじゃないかと思ってねぇ?僕の読み通りダメージを受けるごとにキャストオフ機能が追加されるみたいだ!いやあさっすが僕の頭脳!!」

 

と、かなりテンションが上がったように話し始めるAサソード。クロスライジングはその姿を見て一つの違和感を覚えた

 

クロスライジング(さっきと性格が変わってる?とりあえず壊占さんを!)

 

フェンサー「大賀…!」

 

フェンサーはAサソードを睨む。戦おうにも或刻のことを気にして動こうにも動けない。すぐそばにクロスライジングもやってきて二人を庇うように前に立って構える。

そこで銃声が一発、Aサソードに放たれた。Aサソードが避けて撃たれた方向を見ると…

 

モータリティ「どういうつもりだお前、いくらお坊ちゃんといえども我慢の限界ってのはあるぞ?」

 

Aサソード「おっとこれは失礼した。私ともあろう者が…では私の妃。今度会うときは私の家で。今日は遊び疲れた。いくぞモータリティよ」

 

モータリティ(こういう奴、本当に面倒だ)「チッ」

 

Aサソード「クロックアップ」

 

Aサソードの肩を掴むモータリティ。それを確認するとAサソードはベルト横を摩りクロックアップを発動させる。原典では周囲からは高速移動しているように見えるシステムだったがここでもそれは変わらず、目にも止まらぬ速さでこの廃倉庫を後にした。

周囲に敵が居なくなると、フェンサーとクロスライジングは変身が解除される。

翔の膝下には、今にも全身の毒が蔓延し苦しむ壊占の姿が

 

翔「僕の…せいで…」

 

そこへ或刻が走ってきた。その背後、入り口付近はガーディアンズの隊員が忙しそうに周囲を動き回っている。

 

或刻「大丈夫ですか!?すぐに救護班の方を呼んできます。貴女は壊占さんを!」

 

先ほどまで死闘が繰り広げられていたはずのこの廃倉庫は、不自然なほど静まり返るのだった…。

 

ー病院ー

翔「壊占君!ねえしっかりして壊占君!!」

 

場所は病院に変わり、Aサソードに大ダメージを受けた壊占はすぐさまガーディアンズの救援により病院へと運ばれた。壊占はそのまま手術室に入り、手術室の扉がガタンと閉まると翔はそのまま扉の前で立ちすくむ。

そこへ一つの走る音が聞こえてきた。或刻だ。

 

或刻「壊占さんは!?」

 

そう聞く或刻は肩を大きく動かしながら呼吸をしている。相当走ってきたようだ。

 

翔「今手術室に入った…」

 

或刻「そうですか…」

 

二人「………」

 

気まずい雰囲気が手術室前に漂い始める。

何せ2人はほぼ他人と言ってもいいほど会話をしていないし、会ってもいない。

しばらくその状態が続いていると、その空気に耐えきれなくなり思わず或刻が口を開いた

 

或刻「あの…凛動さん何かあったんですか?」

 

翔「え?…あ」

 

そこで翔は気付いた。廃倉庫にいる時こそ焦りで気付かなかったが、目の前にいる少年こそが新たな仮面ライダー。クロスライジングであると。

翔は前髪を手で直し、或刻の方に向き直り話し出す

 

翔「君は学校で壊占君と一緒にいた…」

 

或刻「黒宮 或刻です」

 

翔「凛動 翔。僕のせいで君にもこんな目に遭わせてしまってごめんなさい」

 

或刻「それ、廃倉庫で壊占さんにも言ってましたよね。一体何があったんですか?」

 

翔「君は気にしなくていいよ。大丈夫。必ずアイツは…大賀一圭は僕が倒すから」

 

翔は或刻に言うと、そのまま病院の出口に向かって歩き出し始める。

その眼は殺意を帯びており、誰が何を言っても止められるような者ではないだろう。それをわからない或刻ではない。

しかし目の前の少女はAサソードを倒した後、今度はその変身者すら殺してしまいそうな危うい気配を、或刻は感じていた。

思わず行こうとした肩を掴み、進行を阻止する

 

或刻「待ってください!今の僕たちではアナザーサソードのスピードに勝てません。勝てる手段を考えてから動くべきです!」

 

翔「そんなのしてたら壊占君が苦しみ続けるんだよ!?僕のせいでこんな事になったんだ…僕がやらないと」

 

と言葉をつづけようとしたところへ、また一つ足音が2人の方向へ近づいてきた。2人がそちらへ視線を向けると翔のSPであるリアムがやって来ているのが見える。そしてリアムは翔の前に立ち、彼女が通ろうとした通路を塞いだ。

 

リアム「お嬢様、お待ちください。」

 

翔「邪魔しないで、アイツの居場所は分かってるんだ。今すぐ行ってアイツを…」

 

翔はリアムを避けて通ろうとして、リアムは再びその道を塞ぐ。

そして手元にあるタブレットを操作して翔に見せた。

そこには、翔にとって今一番見たくない招待状が写されていた。

 

翔「何?今更アイツと一緒に踊れって?」

 

或刻「お、踊る!?」

 

リアム「はい、貴女にはこちらのパーティーに参加していただきます」

 

翔「ふざけないで!」

 

翔が怒りをリアムにぶつけると、一つため息をつく。そしてリアムは翔、そして或刻に視線を合わせた。

 

リアム「元々、私にだけ言われていた司令でしたが、こうなっては仕方ありません。翔様にも、そして貴方にもお伝えいたします」

 

翔「?」

 

或刻「僕もですか?」

 

リアムは頷くと自身に課されていた秘密の司令を、2人に話し始める。

 

リアム「大賀家の長男、大賀一圭が詐欺師による成りすましである証拠集めをお手伝いいただきたい。」

 

二人「え?」

 

リアム「大賀家は確かに、資産家の一つとして名前を連ねており、我々とも業務提携などはしておりました…そんな家の縁談をなぜお父様が『今』お受けになったのか…それは大賀家の長男である大賀一圭にあります」

 

翔「大賀一圭に?」

 

リアム「はい。事の発端は大賀家の長女、大賀美香様から私個人への連絡がきっかけでした。…大賀一圭の様子がおかしいと」

 

或刻「様子がおかしい…?一体どういう事ですか?」

 

リアム「具体的に言えば、性格が今までとは真逆、横暴で傲慢な性格になってしまったと。私も一度お話をさせていただいたことがありましたが、常にご家族や周囲の方に気を配るお姿はまさしく、大賀家の長男として相応しいお方だと思っておりました。」

 

翔「え、何言ってるのリアム?だって前にアイツと会った時は…」

 

ー数週間前 凛動家ー

時は遡り数週間前、僕はいつも通り家の敷地内の庭でフェンサーに変身。鍛錬を積んでいた。

そこへ父がやってくる。

 

父「翔。鍛錬を積んでいる所すまないが、話がある。」

 

フェンサー「お父様?一体どうされたんですか?」

 

父「以前からお前に縁談を申し込んできていた者がいてな。お前が生まれるより前からこの家と関わりがある大賀家の長男なんだが…」

 

翔は変身を解くと、運動で少し乱れていた服を直しつつ返答を返す。

 

翔「縁談ですか…でも僕は」

 

汗を拭くタオルは、メイド達の気配りかとても良い匂いがする。お陰で少し練習の疲れが取れた気がして、その縁談という言葉にあまり動揺せずに返事を返せた翔だが、その様子には気付かない父は、腕時計を確認した後

 

父「話を聞くだけでも構わない。私はこの後また会議がある為立ち会えないが、既に客間に通している。リアムと共に行ってほしい。」

 

と言い残してすぐにまた出てしまう

 

翔「…わかりました」

 

タオルを洗濯し、すぐに着替えて客間に入った。

客間に入ってすぐ左側の席に、その男『大賀一圭』は座っている。凛動家のメイドが用意したと思われるワインを上品に飲み、翔の方を見るや否や席を立ち上がりお辞儀をしてきた。

 

一圭「お初にお目にかかります私の妃、凛動 翔様。大賀一圭と申します」

 

翔「え、あ…初めまして」

 

最初は呼び方こそあれだが、真面目な人なのだろうと翔は思っていた。しかしそれは、しばらくして全く違うのだと思い知らされる事になる。

数十分後、一圭はワインの飲み過ぎか少し顔が赤くなり性格が少し荒っぽくなってきた。見かねた翔がワインを飲むのをやめさせようと何度か声をかけるが…

 

翔「あの、もうお辞めになられた方が…」

 

一圭「良いだろこれがやりたかったんだよ!」

 

翔「ですけど…」

 

一圭「大体僕の家系は大賀だぞ?少しは一緒に飲もうよ?」

 

翔「あの…」

 

それを見て隣で立っていたリアムはドア付近に待機しているメイドの一人に話しかける

 

リアム「あのワイン、こちらが出したものですか」

 

メイド「いえ、こちらはハーブティーをお出ししようとしたのですが、ご本人から断られてしまって…あのワインは一圭様がお持ち込みされたものです」

 

リアム「…そうですか。これは確定かもしれませんね」

 

メイド「何が確定なんです?」

 

リアム「いえ、こちらの話です。それよりこれ以上お嬢様にご迷惑をおかけするわけにはいきません」

 

リアムは胸元から一枚のメモ帳とペンで一つの連絡先を書き、メイドに渡す

 

リアム「これは大賀家のお嬢様、美香様への連絡先です。こちらに電話してすぐに迎えをこちらに送るよう手配してもらってください。私の名前を出せばすぐ事情は分かってもらえるでしょう」

 

その後、大賀家の迎えに一圭は引き取られその後日、その謝罪文と共に例のダンスパーティーの招待状が送られてきた。

両親は共働きでこの事も話そうにも話せずに、結局今日までずるずると引きずってきてしまったのだ。

 

ー現在ー

翔「もしかして、お父様も疑っていてわざと縁談を受け入れた…?」

 

翔がリアムにそう聞くと、リアムは頷く。それを見ると翔は静かに瞼を閉じる。

或刻はそんな翔の手が震えているのに気付く。

それに気付かないリアムではない。すぐに頭を下げ謝罪した。

 

リアム「翔様。貴女の心を無視してこのような事をし、不快な気持ちを与えてしまい申し訳ありません」

 

翔はリアムを見て、そして

 

翔「フンッ!」

 

リアム「ウッ!?」

 

或刻「あ…」

 

思いっきり頭突きをした。ドンっと鈍い音が病院の廊下に響く。

頭突きされたリアムは少しよろけ、壁に手をつけて体勢を整えようとする所へ、翔は追い討ちをする様にシャツの襟部分を掴み激昂した。翔の目には涙が溢れそうになっている

 

翔「そういう事はちゃんと説明してよ!僕だって女なの!この縁談だってどれほどの覚悟決めてきたかリアムにわかる!?だから本気でアイツのパーティー中に婚約破棄を思いっきり証明してやろうって貴方には話したよね!?」

 

リアム「はい…」

 

翔「なんで僕に話そうって考えが出ないわけ!?」

 

リアム「申し訳ありません…少しでもお嬢様が危険に突っ込んでいかないようにと私が旦那様に進言しておりました」

 

翔「僕がそういう人に見えるの!?」

 

翔がそう言えば、今度はリアムが冷静に反論する。

 

リアム「お言葉ですが、お嬢様は仮面ライダーフェンサーに変身できるようになってからご自分から危険に突っ込むことが多くなりました。なので士様にお願いし、仕事も少なくしてもらったのです」

 

翔「貴方は僕の親かなにか!?」

 

リアム「ボディーガードです」

 

翔「あーもうっ…そうだけどさ」

 

とリアムの言葉を受けて、翔は若干苦笑いしながら襟から手を離す

 

翔「まあこれに関しては僕が折れるよ…でも良かった、何はともあれそれを話してくれたんだから」

 

リアム「?」

 

翔は皺を直すと涙を手で拭く。その先の翔の顔は笑顔があった。

 

翔「これで安心して、アイツを全力で倒せる!」

 

リアム「…では!?」

 

翔「僕も協力するよ。でもさ、次こういうのがあった時はちゃんと最初から言ってよね?」

 

それを聞いたリアムはとても嬉しそうに一つお辞儀をし、自身の覚悟を伝える。

 

リアム「かしこまりました…お嬢様!」

 

或刻「僕も手伝います。ライダーは助け合いですから!」

 

翔「うん…ありがとうね!」(絶対に助けるから。壊占君!)

 

ー大賀家別荘 一圭専用家ー

大賀一圭は家に帰ってくると、すぐに自室へ。自室に入ってすぐ近くにある大きなソファに腰掛けて、リラックスタイムへと入る。

 

一圭「さあて…ようやくここまで来た。あと少しで凛動翔は僕の物に」

 

そこでノック音がドアから聞こえてきた。

 

一圭(おっと…)「誰かな?」

 

悠也「こんにちは一圭さん。お邪魔してもいいかな?」

 

その声はアナザーサソードの力を購入した際に、挨拶にとやってきた男だった

 

一圭「ああ、あんたか。構わないさ。入ってくれたまえ」

 

一圭は悠也を部屋に招き入れる。悠也は向かい側のソファに座る

 

悠也「購入してくれたアナザーサソードはどうだい?」

 

一圭「最高さ。これなら私は支援する価値があると思うよ。是非とも支援させてほしい」

 

以前アナザーライドウォッチを購入した際、一圭は裕也から秘密裏にエンドワールドの支援をしてくれないかと依頼を受けていた。それを考える条件として、通常の半分近くの値段でアナザーサソードを購入したのだ。

 

悠也「そうか、助かるよ…。それで一つ気になったんだけどいいかな?」

 

一圭「何かな?」

 

悠也はこの部屋を一周見回して話す。

 

悠也「君、本当に大賀一圭?」

 

ーPSWー

士は今、パソコンとにらめっこしていた。

それをウォズは面白そうに見ている。

 

ウォズ「それで、完成しそうかい?」

 

士「まあな。クロスライジングの基本はファーストホッパーみたいだし、それを元にスーパースポーツモデルにすれば…よし、出来た」

 

PSW地下のラボ、そこで今一つのバイクが完成した。

パソコンにでている画面にはそのバイクの名前が書かれていた。その名は

 

『ライズサイクロン』




第14話、ありがとうございました!
14話にしてようやく主人公のバイクが…ってか壊占が危機的状況に!?
次回仮面ライダーフェンサー編 完結です!
それではまた!


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