伝説と呼ばれた義足 (アストラッド)
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伝説と呼ばれた義足

 
 投稿してから前書きを編集するやつ

 主人公
 
・白銀 空
 シルバ製薬の次男、幼い頃の事故で両足を失い一時は引きこもりがちになったがご先祖のオクタビオ・シルバの事を知り、憧れを感じる様になる。ゲームプレイ時はお調子者で挑発的、なおかつノリの良い性格をしている。が現実では礼儀正しく、素直で相手を尊重する青少年。義足で生活しているが、知り合いの凄腕メカニックによって本物よりも快適な足を手に入れた。

 プレイヤー名は「シルバリオ・スカイ」
動画サイトでは「アドレナリンズ・オクタン」というチャンネル名で活動しているためにオクタンと呼ばれている。
フレンド登録をしている人間が少ない為に正体がバレる事はほぼ無い。


 ・シノン
 みんな大好きなシノン。空とは同級生、普通に会話するし弁当も一緒に食べる。異性として好きだがそれに気付いていない、彼がオクタンだとも気付いていない。
 彼女の使ったMP7は原作よりも銃身を短くした特注品、マガジンも長めの物を使用しサプレッサーも着けない。

 


 その男は速さを求めた‥‥…いや、求めた先に速さが

あった。

 

 曰く、認識した頃にはすでに倒されている。

 

 曰く、高笑いが聞こえるが姿は見えず。

 

 曰く‥‥…伝説の頂点(Apex,legends)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おいおい、このSRのデザイン最高だろ?俺のお

  気になんだよ」

 

 その男は嬉しそうに誰もいない空間へ話しかける。

しかし、ただの独り言と言う訳でもない‥‥…この様子

を配信しているのだ。

 

 「センチネルって言ってな、この間のロングボウと

  はまた違うぜぇ‥‥…光学銃と実弾銃、両方の切り

  替えができんだよ」

 

 彼の配信は特殊で、3つのチャンネルで一人称視点

と三人称視点、そして少し離れた所からの引きの視点

が見られる。

 これは彼が、多くの人々の好みに合わせて用意した

"観客席"である。

 

 「今日はこのセンチネルと、P-90で殺ってくぜ!

  最近、砂漠に俺より速い奴が出るって噂があって

  よ‥‥…近々いってみようと思ってな!!

  そいつにはP-90が良いと思ってな、練習がてら今

  日はこいつでいくぜ‥‥…砂漠の奴も生放送するか

  ら楽しみにしててくれよな!!」

 

 彼はセンチネルを磨きながら、ストロー付きのボト

ルドリンクを飲む。

 

 「さーて、獲物が来たぜ。

  瞬きしてたら見逃しちまうぞ」

 

 近くにおいてあった拡声器を拾い上げ、音量を最高

レベルにセット……そして、視界に入ったパーティーに

向けて言葉を放つ。

 

 「すぅ‥‥さぁ、パーティーの始まりだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

・とあるスナイパー少女視点

 

 

 その声が聞こえた時、私は咄嗟に腰に入れていた空

のアンプルに触れる。

 

 [シノン!獲物を横取りされる前に奴を撃ってくれ!]

 

 「言われなくても!」

 

 急いで音の発生源へと愛銃‥‥…へカートを向ける。

そこにはあの憎たらしい、でもどこか愛嬌のあるそ

の鮫の牙のようなデザイン柄のマスク、そしてゴー

グルを着けた顔がスコープに映る。

 

 「今日こそ‥‥…そこよ!」

 

 彼が動き出したと同時に、その進行方向に向けて

私は引き金を引く。

 

 しかし、その弾は彼の遥か後方に着弾する結果と

なった‥‥…私がわざと外した訳ではない、彼が速す

ぎるのだ。

 

 「チッ‥‥…速すぎるのよ」

 

 彼に照準を合わせる為に、乱暴にへカートを向け

直す‥‥…が、遅かった。

 

 [シノン、撤退だ!もう取られた……これ以上は無

 意味だ] 

 

 「ならあんたらだけ撤退しなさい!‥‥…撤退でき

  るんならね」

 

 「ヒャッハァーーー!!

 

 叫び声と共にポリゴン片が舞うのが視界に映っ

た‥‥…もう、私達の取れる選択肢は少ない。

 

 「後ろから殺されるか、正面から戦って殺され

  るか‥‥…今日こそ殺すかのどれかよ」

 

 [畜生!あの薬中野郎め]

 

 ダイン‥‥…通信機の向こうで悪態をつく男を他所

に、私は移動を開始する。

 奴を仕留めるには、更に高所を取りなおかつ一撃

で仕留めなければならない……。

 

 

 「あと何秒持つ」

 

 [くそっ!‥‥…10秒だ!]

 

 「十分よ‥‥…」

 

 建物の一番上にたどり着き、そこからヘカートの

スコープを覗く‥‥…そこには、飛び散るポリゴンと

見据えるべき敵の姿があった。

 

 (いた!‥‥…今、トリガーに指を掛ければバレット

 ラインでバレる)

 

 しかし、時間が立てば不利になるのは自分だ。

パーティが覚悟して稼いだ時間を無駄にする訳には

いかない。

 

 

 「へいアミーゴ!どこにいやがる?

 

 くそっ!

 

 精神が乱される‥‥…あの調子の良い物言いが私の

思考を邪魔する、少しだけイライラする。

 

 「そのふざけた顔……ぶっ飛ばしてやる!」

 

 勝負は一瞬、聞いたことしかない方法を私はやる

ことにした……バレットラインが出るまえに

 

 「すぅ……」

 

 引き金を引いた、弾は真っ直ぐ飛んでいく。

 

 それは標的の頭へ向かっていき

 

 「よっと」

 

 躱される、まるで全部わかっているかの様に。

あいつには見えているの?

 

 「肌がひりつく視線だったぜ!そんな熱烈な

  視線は初めてだよ!」

 

 「ホントに……速いんだっての!!」

 

 私は腰に下げた特注カスタムしたMP7を左手

に取り、右腿に着けたロングナイフを右手に持

つ。

 

 「どっちから来る……」

 

 全感覚を研ぎ澄ませ、あいつが来るのを待つ。

ここで逃げるような奴じゃない、あいつも私も。

 

 「ヒャッハぁー!!」

 

 「だと思ったわよ!!」

 

 あいつが正面からやってくる、その手にP90を

持ち私に撃てるように常に構えられている。

 

 勿論、やられるつもりはない。

左手に持ったMP7をあいつに向け構える……動作

の途中、投げつける。勿論、当たるわけはない。

だが一瞬でも意思気を反らす事が出来れば、こち

らにも勝ちはある。

 

 「よっ」

 

 狙い通りにMP7を避けた……私はすかさず右手

のナイフを握りしめあいつの懐に迫る。

この距離ならあまり速さは関係ない、虚をつきタ

イミングさえ合えば今度こそ仕留める事が出来る

筈だ。

 

 (取った!!)

 

 確信、あいつの喉元を切り裂ける。

そのビジョンまで浮かんだ決死の作戦は、私の右

手に確かな感触をもたらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さいっこうに惜しかったな」

 

 漏れだすポリゴンは、惜しくもあいつの左手か

らしか出ていなかった。

 私のナイフはあいつの手によって、阻まれてい

た……もう武器はない、ナイフも右手ごと掴まれて

いる。

 

 「俺の勝ちだな、シノン」

 

 腹部に銃口を突き付けられる、私は手慣れた様

に空いた左手を上げ聞こえる様にあいつに言う。

 

 「はぁ、降参……また負けたぁ」

 

 「今回は惜しかったぜ!特に銃を投げるっての

  は驚いた、あと少しだけ俺が遅かったら勝っ

  てたなぁ?」

 

 「がぁぁ……またあんたのチャンネルに黒星を

  あげただけじゃない」

 

 これがいつもの光景、あいつのHPが無くなる

か私が降参するかの勝負。大抵は私が降参して

終わり……詰みになったら降参するのが、このゲ

ームのルールみたいになってる。

 

 私とこいつだけの、特別なルール。

 

 「よーし、リスナーは楽しめたかい?今日は

  ここまでだぜ。またみてくれよな!」

 

 「……はぁ、それで今日は」

 

 「勿論、カフェでパフェだ」

 

 「奢ればいいんでしょ……たく、いつものね」

 

 「よっしゃ!」

 

 二人はその場を後にし、行きつけのカフェへと

足を進める。

 

 これは、とある事件を解決する前の闘い。

これから嵐の中心に巻き込まれる、氷の狙撃主と

義足のイカれ野郎の奇妙で愉快な絆の物語……そ

のプロローグである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 シノンの誕生日に間に合わせる為に多少の無理をした。
誤字があるかも知れないし、拙いしで大慌て。
しかし頑張れプルスウルトラ


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欲求と実行の間

  
 なんとなく書いてしまうのでした。
続ける気はありませんでした、でも会話中心の描きたくなったので。

でもわりと纏まりはないです。
 


 とある日のGGO カフェ・Nox

 

 

 「お待たせぇ、オクちゃぁん」

 

 「たく呼んでおいて待たせんなよな、くそ鳥」

 

 「ごめんてぇ、ここは奢るからさ」

 

 「ま、あんたと俺の仲だ……それで手打ちだな。

  さっさと座ってくれ」

 

 オクタンの座る席の向かいに腰をおろす女性……ピ

トフーイは、メニューを開く。

 

 「いやぁ、ここのは現実に限りなく近いからどれ

  を食べるか迷っちゃうねぇ」

 

 「良いから早くしやがれ、ここに呼んだ理由をよ」

 

 「んもぉ……オクちゃん、デスガン(死銃)って知ってる?」

 

 その名前を聞いたとたん、オクタンは持っていたコ

ップを口に持っていくのをやめ、テーブルに置く。

 

 「知ってるぜ、有名プレイヤーに弾丸をぶちこんで

  ログアウトさせるチーター擬きがいるってな」

 

 「そうそう、それでそのプレイヤーは二度とログイ

  ンしてないって噂……なーんか知ってるよね?」

 

 「教えねぇ、死に急ぎに教えてもろくな事になんね

  ーぜ」

 

 「いーじゃん、あたし顔広いんだよ」

 

 「……メンドクセェ、じゃあ心理的な意見を聞きてぇ

  から話す。ぜってぇに手を出すなよ」

 

 「よっしゃぁ!分かってるねぇオクちゃん」

 

 オクタンはメニューを操作すると、数枚のスクショ

をピトフーイに送り付ける。

 そこには、事件の主な内容がある程度だが書かれて

おり写真も写り込んでいる。

 

 「プレイヤーの中身だ、実家に協力要請が来てな。

  薬剤の種類と注入方法の調査だ、結果はサクシニ

  ルコリン……スキサメトニウムっつう筋肉弛緩剤

  だって分かった、恐らく針無注射器を使ったんだ

  ろうよ」

 

 「ふーん……確実に複数犯だね、リアルとゲームの担

  当で別れてる。ターゲットを決めてるのと、犯行

  の仕方を考えたのは別人じゃないかな?」

 

 「……どうしてそう思うんだ?」

 

 「見た感じだけど、犯行を考えたのは殺したいだけ

  の奴かな。GGOでリアルの情報を盗めたから殺し

  ちゃおうって感じ……じゃなきゃ筋弛緩剤を使う訳

  ない、こりゃ捕まらない為じゃなくてバレない為

  の工夫だもん」

 

 「つまり、ずっと殺し続けたいシリアルキラーが犯

  人って言いてぇのか?」

 

 「そう、そしてターゲットの決め方は……簡単だね、

  ゲーマーのひがみとか恨みだよ。

  ゼクシードのアホは流行操作まがいなんてしょっ

  ちゅうだったでしょ?その後は……隣の芝生は青

  く見えるから燃やしましょう、とかじゃない?」

 

 「困った連中だぜ、俺が面倒事に巻き込まれんだか

  らよ」

 

 「あとは……価値観の逆転じゃない?」

 

 「おいおい……お前の劣化バージョンがいるのかよ

  勘弁してくれよ!」

 

 「言うねぇ!!……まぁ、私とは少し違うけどね。

  犯人に取っては仮想世界こそ自分のいるべき世

  界なんだと思ってるんじゃない?だからGGOで

  拳銃を使って撃ち抜いて……」

 

 「現実で殺すってか……手間だねぇ」

 

 「その手間が大事な人間も存在すると言うことだ

  薬物中毒者よ」

 

 ピトフーイの前にはショートケーキが、オクタン

の前にはオレンジジュースが置かれる。置いた人物

に視線をやると、オクタンを薬物中毒者と呼んだ男

、店主であるノックス……通称コースティックの姿

があった。

 

 「おいおい、コーヒーとかケーキと一緒だとか言

  い出すんじゃねぇだろうな、毒ガス博士」

 

 「強ち間違いでもない……私がガスやこの店のメニ

  ューに力を入れる事も、貴様がオートリカバー

  と言う評価されないスキルにポイントを使って

  いるのも、他者から見れば下らない事とも言え

  るだろう」

 

 「コスッち、理解してるねぇ。いわば、生きる上

  では必要ないけど人生の謳歌には必要なの。

  楽しく生きるには、自分にとってのそれ!って

  ものが必要だからね」

 

 ちゃっかりと同じテーブルに座るノックス、自前

のカップにコーヒーも入れられており話をする気満

々であるのを悟ったオクタンは、ため息をつきなが

らも意見を聞いた。

 

 「博士は今までの話で反論とかあるかい?」

 

 「ミス・ピトの意見とほぼ同じだ、だがスキサメ

  トニウムを使ったのは検査しなければ体内で分

  解されるからだろう。それと、相手は医療従事

  者かその親族……それも家系的なものか、2、3

  世代前からの院長クラスの関係者だ」

 

 「へぇ、単に心不全とかに見せかけるだけじゃな

  いんだ」

 

 「アドレナリンの過剰投与でもいけるが……褐色細

  胞腫やアナフェラキシーショック等の痕跡が出

  るのを嫌った可能性がある。そして……」

 

 「なんだよ、気になるじゃねぇか」

 

 「医療施設に詳しい貴様なら分かるだろう?緊急

  時のドアロック解錠方法を」

 

 「……あぁ、そうゆうことか。確かにそりゃ医療関

  係者って考えるわな」

 

 「んねぇ?どうゆう事?」

 

 「医者ってのはよ、緊急時のみ使えるマスターキ

  ーを持ってる奴がいんだよ。まぁ大きな医療施

  設とかだけどよ、んでこのマスターキーが厄介

  なんだよ……」

 

 オクタンの言葉と同時に、ノックスは角砂糖をテ

ーブルの上に2つおき、何故かオブラートを取り出

した。

 

 「このオブラートに包んだ砂糖を最新式の電子錠

  とする、そしてただの砂糖を旧式の電子錠とし

  よう」

 

 「なんか始まったけど」

 

 「いつものこった……まぁ分かりやすい解説ばっか

  りだけどよ」

 

 「そしてこのコーヒーをマスターキーとする。

  最新式の電子錠よりも古いタイプだ」

 

 「じゃぁ、そっちの砂糖と同じ世代?」

 

 「そうゆう事だ、このマスターキーでどちらの錠

  が開くか試した時……どうなると思う?」

 

 「そりゃただの砂糖……旧式は開くんじゃない?」

 

 「その通りだ、ん……ふぅ、この様に最新式の錠

  は開かず、旧式は開く。オブラートの砂糖は溶

  けずに無事で、普通の砂糖は溶けると言う事だ」

 

 「ふーん……あれ?」

 

 ピトフーイは少し考え、紙にイラストを描いてい

く。そこには、凸と凹や三角とそれを切り抜いた様

なイラストだった。

 

 「鍵って、こう言う特定のやつじゃないと無理な

  んじゃないの?で、最初の一本がマスターキー

  なんじゃないの?」

 

 「ミス・ピト、厳密にはそれはオリジナルキーと

  呼ばれる物だ。

  そして、マスターキーは基本的に異なるコード

  の電子錠を多く開けられる、だが権限が大き過

  ぎるのだ」

 

 「どゆこと?」

 

 「分かりやすく言うと、同世代の鍵は全部開けれ

  んだよ。下手すりゃ前世代のやつもな」

 

 「……ワーオ」

 

 「ミス・ピト……賃貸住宅やマンション、それと最

  新式ではない電子錠の一戸建て。彼等の開けら

  れる錠は我々の把握しきれない程にあると言う

  事だ」

 

 「こうなると、どうやって個人情報を取るかだよ

  なぁ……後ろからは覗き込めないようになって

  るしな」

 

 「街中で透明に慣れればあるいは……いや、モザ

  イクの消去の課題は残るな」

 

 「そもそも住所なんてステータスに書かないで

  しょ?あるとしたら……総督府?」

 

 

 その後、2時間ほど議論したが可能性の域を出ず

殺人の方法は検討がついたものの、ターゲットの場

所の割出方法は情報不足だった。

 

 

 「……そろそろ昼か、学校に行かねーとな」

 

 「ほう、サボりだったとはな」

 

 「ちげーよ、家の用事で半休とったんだよ」

 

 「オクちゃぁん、なんか分かったら教えてね」

 

 「わーたっよ、たく……じゃあ、また今度な」

 

 オクタンはメニュー操作を行い、GGOの世界か

らログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ、まだまだ検討が必要ですね」

 

 オクタンのプレイヤー、白銀 空はベッドから起

き上がると服を整え始める。

 

 「シルバ製薬の関わった医療施設の犯行かどうか

  ……この程度の情報じゃ分かる訳ないですね」

 

 外していた義足を取り付けながら、情報の整理を

するが足りない情報ではやはり全貌は見えてこない

 

 「仕方ありません、犯人の捜索と事件の解決を目

  指さなければならないのは変わらなそうですね

  ……シルバ製薬が解決したとすれば、関係施設で

  もある程度の損失は抑えられるでしょう」

 

 カシャンカシャンと言う音と共に部屋を出る空、

その姿は少しだけ憂鬱そうなオーラを放っていた。

 

 

 これから起きる激動の数日を嘆いているかの様だ

った。

 

 

 

 

 

 





 戦闘を描くとしたら次です。

・何でピトはオクタンが事件の情報を知ってると思ったの?
 A.彼の実家とその特殊性を知ってるから

・ピトの推測は合ってるの?
 A.所々で間違ってますが、おおよそは合ってます。

・コスティは何でケーキの研究してるの?
 A.現実でガスの研究出来ないから、データ入力して味覚や感覚を近付けガスの研究に利用しようとしたから。勿論、運営にも許可を貰ってる、しかもアプデに採用される事もある。

・なんでゲーム内のトリックは分からなかったの?
 A.単純に光学迷彩マントの存在をしらなかったから、あとアイテムごしならモザイク貫通すると知らないから。

・キリトとの共闘は?
 A.菊岡の依頼とかではしないです、本戦でやっと対面する勢いで考えてます。

・マスターキーすごない?
 A.たぶん新しい技術の普及に伴って発生した問題と思われます。ただ、少しだけ間抜けな事件ですよね。

 時間飛ばすかどうか迷いますね。


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アドレナリンVS毒の鮮鳥

 
 ヒロインがシノンの癖に出番すくなくね?と思ったら正解、俺もそう思う


 「あんた……緊張してるの?」

 

 俺は顔をあげると、そこにはシノンの顔があった。

どこか心配そうな、呆れてるようなその顔が気分が乗

らない俺に少しだけ元気をくれる。

 

 「少し、調子があがらねぇんだよ」

 

 「なにそれ?負けたらただじゃおかないからね」

 

 「わーってるよ」

 

 もうすぐ試合だ、立ち上がり体を解しておく。

電脳世界とかいえ、脳ミソからの信号で動かすのだ。

準備運動も無駄ではない、気休め程度だけど。

 

 「じゃ、言ってくるぜアミーゴ」

 

 「私、男じゃないけどね」

 

 「アモーレの方が良かったかい?」

 

 「あんたは調子に乗って……ほら、これあげる」

 

 「あ?こりゃ……」

 

 手渡されたのは、12.7mmのヘカートの弾丸をネッ

クレスの様にした物だった。俺は意味を察してそれを

首にかける、なかなかシンプルだがいけてやがる。

 

 「倒せたら返してやるよ」

 

 「待ってなさいよ、あんたを最初に倒すのは私。そ

  れ以外は絶対に許さないから」

 

 「了解だ、姉貴」

 

 そう言った瞬間、視界が切り替わる。待機場所に転

送された様だ……腰のホルスターにウイングマンを、右

手にピースキーパーを持って待機する。

 

 「さーて、対戦相手は……あいつだったな」

 

 カウントが0になる、戦場への転送が開始されまた

視界が移り変わる……そして俺は配信ボタンを押しなが

ら静かに呟く。

 

 

 「レディ?スタディ?ゴー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さーて、パーティーの始まりだな」

 

 あいつの事だ、目立つ場所で俺を待ってるに違い

ねぇ。それどころかこっちが見つけるまで攻撃して

こねぇ事もあり得る。

 

 

 「散歩と行こうか、勝手に待たせてやるよ」

 

 ステージを見ながら歩く、壊れたビルにひび割れ

たアスファルト、散らばったガラスにガソリンの漏

れた自動車。

 荒廃した世界って感じがプンプンして結構好きだ

、砂漠エリアは名残みてぇなもんが少ないからな。

 

 「オクちゃーん、ハロォ!!

 

 「……カナリアにでもなったか、くそ鳥」

 

 全壊した建物の瓦礫が山盛りになった場所、その

一番上にピトフーイはたっていた。それもRPGロケ

ットランチャーとM201A1を抱えてだ。

 

 「それで、事件の犯人については検討ついた?」

 

 「いや、この大会には出るだろうとおもってな。

  あんたは……ターゲットになりに来たか?」

 

 「うーん♪ご明察、だから私も本戦まではいきた

  いなぁ……ってさ」

 

 「自殺志願のアントワネットってか?動画のネタ

  にすらならねぇな」

 

 「同類の癖に♪」

 

 「てめぇと一緒にすんなっつーの。俺はスリルを

  求めてんだ、そしてお前はデッドオアアライブ

  を楽しみてぇんだ……取り返しがつくかを考え

  てるかないかの違いはでけぇぜ」

 

 「ふーん……じゃあ」

 

 ピンフーイ……ピトはロケットランチャー二丁を

俺ことオクタンに向かって投げつけた。イヤな予

感がした俺は、専用のホルダーから興奮剤を取り

出した。

 

 「デッドオアボンバー♪」

 

 「くそったれ!!」

 

 ストレージから取り出した銃を構えるピト、オ

クタンはその銃に見覚えがあった……馴染みの店

で並んでいた新作、ランページだった。

 胸に興奮剤のアンプルを射した瞬間、ピトがラ

ンページの引き金を引くのが見えた。奴はミサイ

ルランチャーを撃ち抜き爆発させる事で、オクタ

ンを倒そうと考えたのだ……勿論、数秒後には大

爆発がおき周辺を消し飛ばす。

 

 「あの改造屋、厄介な奴に厄介な銃を売ったも

  んだぜ全くよ!!」

 

 煙からオクタンが猛スピードで走り出てくる。

空になったアンプルを放り投げ、

 

 ー 興奮剤 ー

 

 一定のHPを使用して、スピードを1.5倍にする

薬物系のアイテム。オクタン作のオリジナルアイ

テムであり、運営からも許可を得ている。

 効果は重複せず、また効果時間もやく10秒前後

と短いがかなり効果的なアイテムである。

 

 「この銃、面白い機能があるんだよねぇ!!」

 

 円筒状の物体を取り出したピト、それをランペ

ージに装填しオクタンへと銃口を定める。

 

 「ハリーハリーハリー!!」

 

 「くそ鳥が!」

 

 恐ろしいほどの弾丸がオクタンの足元に土煙を

上がらせる。勿論、オクタンは猛スピードで一直

線に走り弾丸を回避し物陰へと移動した。

 

 「なんて奴だ、ありゃSTR要求値がバカたけぇ

  んじゃねぇのかよ!!」

 

 「どうしたのオクちゃーん!!早くやろうよ!

  どうせHPがなくなっても死なないんだから

  さぁ……早く真っ向からやろうよ」

 

 「テメェ……やっぱイカれてやがるよ」

 

 懐から取り出した手裏剣爆弾……アークスター

を右手で握りしめながら、オクタンは微かな怒り

に包まれていた。

 

 「ソードアート・オンライン……あんなにスリ

  ルのあるゲームをプレイ出来なかったなんて

  悔しすぎるもの」

 

 「そりゃ何度も聞いたぜ、カナリアの次はイン

  コにでもなったか?」

 

 「殺したかった、命のやり取りをしたかった。

  私の命を賭けに出して、最高のスリルを味わ

  いたいの!!分かるでしょ?オクタン」

 

 「チッ……全くわかんねぇな、ピトフーイ。

  俺はこのゲームを楽しむ為のスリルだ、テメ

  ェみてぇな命ポイポイ女と……一緒にすんな!」

 

 アークスターをピトめがけて投げつける。それ

と同時にピースキーパーを構え、突撃する。

 

 「テメェに構う暇はこの試合だけだ!速攻で終わ

  らせてやるよ!!」

 

 「しびれるぅ!で・も」

 

 ギリギリ爆発範囲に入っていたのか、ピトに放電

の様なエフェクトがまとわりついていた。

 その隙にピースキーパーの射程に入ったオクタン

は迷いなく銃口を向けた……瞬間、何かが真正面から

飛んできた。

 

 「?……なっ!?」

 

 それはランページ、ピトは近付けさせない様に得

物を自ら手放していたのだ……しかも、おまけ付きで

だ。

 

 「プラズマグレネード!?」

 

 「バイバイ、オクちゃん」 

 

 オクタンの視界は光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やるねぇ、オクちゃん」

 

 肩にダメージエフェクトを輝かせたピトはそう

言いながら、爆心地よりも向こう側を見つめる。

 一方、オクタンは物陰で医療アンプルを打ち込

んでいた。

 

 「クソが!やっぱり狂ってやがるぜあいつ!

  ジャンプパッドで飛んでなきゃ終わってた

  ……あの近距離は自爆の距離だ」

 

 ギリギリでピトに当たらなかっただけで、もう

少し投げる位置が近ければピトの自爆で終わる所

だった。

 

 「肩に打ち込んでやったが、こいつはもう使い

  もんにならねぇな。あとは……取って置きと

  ナイフくれぇか、あのデカブツのドロップし

  か持ってきてねぇぞ」

 

 オクタンは肩を落としながら呟く、手にもった

ウイングマンは焦げており銃口付近はえらく変形

している。

 

 「ナイフで仕留められるか?グレは沢山あるが

  ……仕方ねぇ、出せる様にしとくか」

 

 メニューを操作しおえ、立ち上がるオクタン。

静かにピトの場所へと向かう彼とは裏腹に、配信

のコメント欄はせわしなく流れていく……。

 

 

 

 

 

 "超レア銃じゃねぇか!!"

 

 "配信じゃ使ってねぇよな……"

 

 "GGOに実装されてたのかよ!"

 

 "STR足りんのかよ……"

 

 "GGO壊れちゃうねぇ~"

 

 "リアルじゃ、肩外れる代物だろ?"

 

 

 

 「なんだリスナー……そうかい、じゃぁ止めに

  使ってやるよ。このゲームの1番バカな装備

  をよぉ!!」

 

 スリルを楽しみたい、興奮を味あわせたい、何

よりもあのクソ鳥のピトに一泡も二泡も吹かせて

やりたい。

 

 「見せてやるぜぇ、アイツにムカついてる奴も

  大勢いるだろ?今日は俺のアンチも楽しみに

  してな……スカッとさせてやるよぉ!!」

 

 走り出すオクタン、建物の影から猛スピードで

飛び出しビルの谷間を抜け、ナイフを持ったまま

ピトに正面から向かっていった。

 

 「銃なんて捨ててかかってこいよピト!」

 

 「乗ってあげるよオクタン!!」

 

 お互いが珍しく名前で呼び合う。オクタンは特

注のバタフライナイフを、ピトはフォトンソード

を手に持ち相手を挑発する。

 

 「そうこなくっちゃなぁ!!」

 

 「そのナイフ良いねぇ、つばぜり合いできるん

  だぁ……いくらしたの?」

 

 「装甲板を20枚分だよ!オラァ!!」

 

 「たっかいねぇ!!」

 

 火花が散り、視線は交わる。

特注のナイフはフォトンソードを受け止め、その

刃が溶ける事はなかった。しかし、押し退ける事

は出来ず状況は変化しない。

 

 だが、オクタンは何も考えていなかった訳では

ない……腰につけたフラググレネードを左手で掴み

、起動する。

 

 「スリルってのはな」

 

 「マジか……」

 

 「こうゆう事だぜ!!」

 

 コンマ数秒、オクタンは足の方へフラグを投げ

る。ピトとオクタンの2人は爆風で吹き飛ばされ

る……その最中もオクタンは忙しなくメニューを操

作し、準備を進める。

 

 「やるねオクちゃん!!」

 

 ピトは太ももに納めていたハンドガン、AM.45

を手に持った。両足は吹き飛んでおり、歩けはし

ないがそれはオクタンも同じ……ピトはそう考えて

いた、だから銃と体を自分の後ろに向けた。

 

 「これで終わらせようよ!」

 

 「あぁ、この1発だ」

 

 視界に映らないが声は上から聞こえる、ピトは

視線を勢いよく上へ動かす……そこには、超大型の

ライフルを構えた義足の無いオクタンがいた。

 

 Anzio 20mm

 

 アンチマテリアルライフルの中で1番の射程と

言われている伝説級のライフル。最大有効射程4.

5km、放物線をほぼ描かない威力、しかし最大

重量は脅威の60kg、撃てば肩が外れるほどの火力

……故に要求ステータスは意味不明なほど高い。

しかし、空中ならばそれも関係ない。

 

 「お前の好きな……」

 

 「さいっこう……」

 

 「レアモンだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お互いに引き金を引く、雷鳴に似た銃声の後に

何かが落ちる音と衝撃が響く。

 

 「いてぇ……あの女、今度会ったら覚えてろ」

 

 ボロボロのオクタン、そして上半身が吹き飛ん

だピトのアバター。オクタンはアンツィオを隣に

投げ配信を見ているフォロワーに宣言する。

 

 「俺の勝ちだ!楽しかったか?」

 

 後に配信を見ていたシノンは語る。

 

 「認めたくないけど、最高の勝ち方だったわよ

  ……無駄は多かったけどね」

 

 オクタンは少し疲れた表情で、配信画面を切り

替え待機場所に転送されるのだった。

 

 

 




 なんかよくわからんくなったけど、
私はアンツィオがスゲー好きなんだよね。
楽しめたら幸いです。


※設定を変更し、非ログインユーザーの方も感想を書ける様にしました。


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そこでじっと出来ない

 今回は文章の書き方をなるべく、なるべく見やすくをモットーに書いてみますの事よ。


 あと時間を飛ばします。ほんとはこのオクタンのやつ、1話しか考えてなくて読み切りの想定だったし。

 もうね、回想して独白して洞窟まで飛ばします。


 俺は別にGGOで有名になりたかったわけじゃねぇ

 

 強くなりたかった訳でもねぇ

 

 ただ、このゲームで命のやり取りとは無縁の安全

なスリルってのを味わいたかったのさ

 

 二度と、目の前でポリゴンとなって消える友人を

見たくはなかった

 

 次を誓った人間がもういないと知るのは、

他人の噂話と石碑に刻まれた横線と名前だった

 

 僕は臆病だった、だから一族の中でも1番の勇気

を持ち、無謀を行ったオクタンの様に振る舞った

 

 口調を真似し、行動を予測し、僕じゃない俺に

 

 プレイヤー……シルバリオ・スカイは白銀空(はくぎんそら)では

なく、オクタビオ・シルバ(オクタン)としてSAOを過ごした

 

 先陣に立ち刃を抜き、面倒に首を突っ込んでは

手助けをした

 

 手からこぼれ落ちた者もいる

 

 時に残酷な言葉も吐いた

 

 それでも、オクタンとして振る舞わなければ、

きっと僕は耐えきれず身を投げていただろう

 

 部屋の隅でガタガタ震えていたかもしれない

 

 一層で店を開いていたかもしれない

 

 現実世界の思い出に浸りながら怯え、

誰も救えず誰にも救って貰えなかっただろう

 

 だから……だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「シノン、よく今まで戦ったね」

 

 「えっ?」

 

 シノンの体を抱き背中をさすりながら、

僕は彼女の身体に染み込ませる様に話した。

 

 「怖かったよね、寂しかったよね」

 

 「……」

 

 「怒りたかったよね、ぶつけたかったよね」

 

 「ぅ……ぁっ」

 

 「助けてほしくて、隣に居てほしくて、

  手を握ってほしくて、言葉をかけて欲しくて」

 

 「あぁっ……」

 

 「だから泣いて良い、怒って良い、止まって良い

  ……()が代わりに走る(戦う)から」

 

 「うあああああああ!!

  手を握ってよ、助けてよ!

  守ってよ……ずっと、ずっとぉ」

 

 「……守るよ、例えそれが命懸けでも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「久しぶりだな、スカイ」

 

 洞窟から出ると、キリトが声をかけてきた。

アルブヘイムでの事件以来、会っていなかったが

すぐ僕だと気付いた様だ。

 

 「オクタンって呼んでよ、キリト」

 

 「わかったよ、オクタン……

  前もこんな会話をしたよな、俺達」

 

 「最悪の思い出だよ、本当に」

 

 「あの喋り方、辞めたのか?」

 

 「違うよ、僕もいい加減にこのゲームで僕自身

  と向き合う時が来たんだよ」

 

 僕が白銀空で、俺がオクタン……別に考えていた

、でも根っこは一緒なんだ。

 

 「だから俺としても僕としても、

  今回だけは戦わなければならないんだ」

 

 「……律儀だよな、お前はさ」

 

 「プレイヤー、シルバリオ・スカイは面倒な性格

  で快楽主義者の馬鹿野郎さ……」

 

 代わりに走ると約束したから。

 

 「キリト、お前も走れ……僕も走る、

  今まで全力で走った女の子の為に。

  だからお前は、俺の為に走ってくれ」

 

 「当然だ、お前は俺達に勇気をくれた。

  あの時の俺はお前の行動で動けた、

  だから今度はお前が自由に動けるように

  手伝ってやるよ」

 

 「助かるよ……アミーゴ。

  お前には闇風の野郎を倒して貰う」

 

 「足止めじゃなくていいのか?」

 

 「俺の次に速い奴はキリト、お前だぜ? 

  なら行けるだろ」

 

 「はぁ……今度、なんか奢れよ」

 

 「高級焼き肉を腹一杯食わしてやるよ」

 

 「期待しないで待ってるよ」

 

 キリトと腕をぶつけ合った。

これが、良い友を持ったという事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よう、リスナー」

 

 俺は配信ボタンを押した後、何時もより低い声で

リスナーに言葉を投げた。

 

 「デスガンって知ってるだろ。

  今から俺がそいつを倒してやる、

  配信もしてやる、絶対に狩ってやる。

  過去最高のスリルと迫力を見せてやる、

  SAOサバイバー達の悪夢を払ってやる」

 

 息継ぎもなくスラスルと言葉が出る。

どうしようもない程に怒りが沸き上がってくる。

 

 「無謀だってか?それは俺が決める。

  この大会の主役なんて要らねぇ、

  この戦いの主役は俺だ!」

 

 空気が一瞬だけ、ほんの僅かだが"鳴った"。

 

 「!?」

 

 体を反射的に反らす、見えた訳じゃなかった。

しかし、頭のあった所には弾丸が通りすぎていき、

その行動が正解だった事が理解出来た。

 

 「来やがったぜ、死神さんよ」

 

 促進剤を打ち込み、デスガンの所へまっすぐに

向かっていく。

 

 「さぁ、お前はどうする。

  続けるのか?それとも!」

 

 デスガンが視界に現れる、マントの様なものを

脱ぎ捨てライフルを捨て、剣を抜くような仕草を

見せる。

 

 「そうだよなぁ、お前らは!!」

 

 SAOを忘れられず、快楽を忘れられず、

他者を踏みつけ、尊厳を奪い、蹂躙する。

 

 「オラァ!!」

 

 『ぐぅ……知って、いるぞ』

 

 「だろうなぁ、俺は覚えてねぇけどなぁ」

 

 俺のナイフと奴のエストックが交差し、

眼前には奴の趣味の悪いマスクがあった。

 

 「過去を見たくない奴もいるだよ、

  恐怖を思い出して泣く奴等がよぉ」

 

 『それが……どうした?俺は、俺であるだけ』

 

 「棺桶が笑う時間は終ったんだよ!!

  お前らに入れる為の人間は、もういねぇ!!

  空の棺桶のまま、埋まって黙ってろ!!」

 

 切り払い、火花が散る。

 奴の顔目掛けてナイフを突きだし、躱され、

奴のエストックが俺の肩を突き刺さ貫通し、

奴の顔面に拳をめり込ませ、膝蹴りを叩き込む。

 

 『そのキレ……更に、鋭く……洗練され、た』

 

 「くそが……SAOの悪夢に怯える奴がいたら、

  最後の恐怖だ、この配信を見やがれ」

 

 『自分の……無様を、晒す……準備か?』

 

 たった数秒の戦闘で息が上がる。

理解してる、これは錯覚であり脳へのストレスだ。

落ち着け、僕は冷静だ、クレバーにクレイジーに。

 

 「俺が一緒に走ってやる!

  SAO最速のプレイヤー、オクタンだぜ!

  死神からも悪夢からも恐怖からも!!

  お前らを連れて振り切ってやるよ!!」

 

 本当の意味で、目の前の奴を倒す。

あいつらへのトラウマを、傷を、記憶を。

 

 「SAOから、消してやる」

 

 もう一度、促進剤を打ち込む。

間合いに入り、高速での攻防が行われる。

 

 殴り切りつけ、刺され殴られ、蹴りつけ、

ぶつかり転がり、投げつける。

 

 「消えろぉぉぉぉ!!」

 

 『知るかぁぁぁぁ!!』

 

 ガクンッ

 

 上半身の力が抜ける、辛うじて攻撃を避け、

斜め横へと転がっていった。

 

 「ぐぁ……」

 

 脳は動く、しかし上半身は殆ど動かない。

ナイフすら持てない、理由が分からない。

 

 『オーバー……ロードだ。お前……の、脳は

  今……機能を、制限し』

 

 頭を捕まれ、持ち上げられる。

腕を上げる事も出来ず、ただ捕らわれるしか

今は出来ない。

 

 『促進剤は……情報量も、上がるが……

  処理能力は、変わらない。

  負荷が上がる、だから処理落ちした』

 

 「……お前、馴らしに使いやがったな」

 

 『トレーニングに、利用した……

  うかつ、だったな』

 

 謎は解った、こいつは安全装置が働く程に

促進剤を連続で使って、脳の能力を上げた。

 だから、促進剤を使った俺との戦闘でも

互角以上だったのだ。

 

 一方、俺は安全を考慮してプレイしていた。

 

 「よっぽど忘れられなかったみてぇだな。

  あのクソゲーをよ……」

 

 『そうだ……俺は、ラフィン・コフィン。

  変わる事は……ない、事実だ』

 

 「そうかよ、サ終したゲームの事ばっかり。

  まるで老害だな、このバカがよ」

 

 『さよなら……だ、あの、女が……死ぬ所を、

  その目で……眺めて、いろ』

 

 動け腕、何度も願った。

あのたった数分で動けなくなるなんて、

全然オクタンじゃねぇ。

 

 約束を守れないなんて、情けねぇ。

 

 何よりもムカつくのは

 

 「お前の言い様に事が運ぶのが、ムカつく」

 

 『俺は……楽しい、この……長い会話も含めて』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分前

 

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 急いで走り、辺りを見回せる場所へたどり着く。

人影を探し、砂漠を見回す。

 

 「いた!」

 

 スコープを覗く、ちょうど彼と標的が重なって

うまく狙えない。

 

 「狙えない……お願い、お願いだから」

 

 指が震える、汗が吹き出す。

呼吸が荒くなる、視界もぶれる、心臓がうるさい。

 

 「お願い、お願いだから…」

 

 治まらない、何度願っても止まらない。

お願い、お願いだから止まってよ。

 

 「止まって、止まって、止まってよ!!」

 

 ー 落ち着けよ ー

 

 「誰!?」

 

 誰もいない、見えない。

 

 ー スコープを覗けって ー

 

 「無理よ、止まらない」

 

 ー 止めなくて良いんだよ ー

 ー 見ろ、まずは的を ー

 

 「でも、彼が射線に」

 

 ー じゃあ好都合じゃねぇか ー

 

 「どうしてよ!私は」

 

 ー 迷ったら撃つな、外れるからな ー

 

 「そうよ!私はデスガンに当てなきゃ」

 

 ー だったらよ、    ー

 

 「!?……やってみるわ」

 

 スコープを覗く、落ち着け。

相手は油断してる、横やりなんて考えてない。

私は引き金を引く、ただ引く。

 

 彼には当てない、絶対に! 

 

 

 「迷ったら撃て!当てる気ねぇんだから!!」

 

 私は、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!?」

 

 『ぐぉぉっ』

 

 奴の仮面の半分が吹き飛ぶ、

その破片は突き刺さり、奴はうめき声を上げる。

 

 俺は理解した、シノンが撃ったんだ。

偶然か、狙ってか、仮面の端に弾をかすめて

砕いたんだと。

 

 「動けぇぇぇ!」

 

 動く下半身の力を振り絞り、奴の顔面へ目掛け

最速を繰り出す。

 因縁に決着を、復讐に安らぎを、友に鎮魂を、

笑う棺桶には沈黙を。

 

 『なっ!?』

 

 「2度と……前にでるなぁぁぁぁ!!

 

 骨の砕ける擬似的な感触が、義足から伝わる。

それもすぐに消え去り、俺は地面に転がる。

 

 「……いてぇ」

 

 全身が痛い……動けない、辛うじて頭だけは

動かせたから奴の事を確認した。

 

 「うわぁ……顔が、ぐちゃぐちゃ」

 

 最速すぎたのだろう、原型を留めていない

その頭部は流石にモザイクがかかっていた。

 

 「ははっ、動けねぇや……。

  リスナー、情けない勝ち方だったがよ……

  勝ったぜ、死神によぉ」

 

 爆速で流れていくコメントを見ながら、意識

をゆっくりと手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "ありがとう" そう見えた気がした。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 




 訳が分からなくなってきたな、難産だぉ。
難しいよ、読みやすい改行ってさ……さて、どこまで書いたら良いものか。

 でもね、確実に言える。次回はシノンのヒロインが全面に出たのを書く。絶対にだ。







 俺の子孫も、そのガールフレンドも危なっかしいぜ。
ついつい話しかけちまったよ、俺もお節介だよなぁ。
まぁ、走りは誉めてやるよ。


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