Fate/ Dream Battle 〜unlimited weapon works〜 (ふり〜だむ)
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第一夜 始まりの夜

週一で投稿したいです


私は人生に後悔している

 

 

 

 

 私の名前は花咲奏音、そこら辺にいるただの高校2年生である

皆と違う所は髪の色ぐらいかな?黒や茶色が多い日本人の中で私は何とコバルトブルーの髪色をしている、学校に地毛ですって説得するの大変だったんだぞらこのやろう

両親は私が14歳の時に他界、今は1DKアパートで一人暮らし

学校では孤立…、休み時間はいつも本を読んでいる

孤立しているせいか、キャッキャうるさい女子たちに目を付けられがちでイジメとかはないけどよくイジられる

お昼休みは屋上でボッチ飯、青空を見ながら食べるコンビニ弁当は格別だぜ

そんな底辺女子高生をしている私当然友達1人いない為、放課後は買い物でもなければすぐ家に帰り、着替えもせずベットに倒れ込むのが日課となっている

これの繰り返しだ

昼休みにコンビニ弁当を食べていたという点から察しが付いている人がいるだろうけど、私は料理が苦手だ 筋がいいと言われた事があるので何度も演れば美味しい物が作れるのであろうか?

 

 

 

そして今日も、コンビニ弁当を食べ終わり制服のままベットに横たわっている

 

 

 

 

つまらない…

 

人生がつまらない

 

もっと、人生は楽しい物だと思っていた

 

同じ事を繰り返すだけの毎日、まるで同じ日をループしてるみたい

 

このまま…だったら、私…

 

 

 

 

 

 

 

「おかしく…なっちゃうよぉ…」

 

そう口からこぼし、私は意識を落とした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B B〜〜チャンネル〜〜♪

 

 

 

 

 

 

 

…う〜ん

もう朝…?しまった、お風呂入ってない…学校でる前にシャワーだけでも浴びるか…

 

 

 

目を覚まそうと目を開けると

 

 

 

スタジオにいた

 

 

え…?

 

は…?え…?どこ…ここ?

 

私は自分の部屋で寝てしまった筈だ、普通なら自分の部屋で目覚める筈、なのに今私はテレビのスタジオ的な所に私はいる

 

「ゆ、誘拐?でも…何で…?」

 

私を攫う意味とは…?私はどこにでもいる高校生だ、容姿は…悪くはないとは思っているが、私より良い人なんて山ほどいるから私を攫った意味が分からない

お金…?そんなに持ってないよ、両親の遺産とバイトでなんとか普通の生活を送れているから、決して私は裕福というわけではない

 

今気付いたけど…拘束も何もされていないじゃないか

という事は…誘拐じゃない…?

え、マジで私はなぜここにいるの!?

 

 

あ、そうかぁ!

 

 

 

これは夢だ、夢なんだ!

だから妙にリアルでどこかおかしいんだ! 

 

よーし!もう怖くない、夢だと分かれば後は夢から覚めるだけ

 

 

 

…覚めない!!

うーん!覚めてー!

 

自分で頬を引っ張ってみても…痛い!?

す、凄いなぁ…最近の夢は痛さを感じられるなんて…

どうすれば目覚められるの?

何か、方法は…

 

 

 

「フッフッフッ♪」

 

 

 

突然誰かの笑い声が聞こえて来る

だ、誰?

どこにいるの?

 

 

「あなたの後ろですよ〜」

 

すぐに後ろを見てみると、1人の女の子がいた

多分年齢は私とそんなに変わらない

紫色の髪に紫色の目、まるでブラックジャックみたいな黒いコートを着ており、黒いスカートを履いている、スカート短くない?

あと、おっぱい大きい

 

「え、あ…えと…貴方は…誰…ですが…?」

 

 

「おやぁ?もしかしてBBちゃんのあまりの可愛さに緊張してますぅ?まぁ、貴女ような底辺女子高校生には私の様なスクールカースト最上位は眩しすぎますよぇ♪」

 

 

え、何この子?私disられてる?

あと自分で可愛いとか言っちゃってるし、まぁ確かに可愛いけど…

 

 

「フフ、そんな底辺で毎日暗〜い日々を過ごしている貴女に朗報で〜す♪」

 

 

「ろ、朗報…?」

 

 

「貴方を()()()()()()()()()にご招待しま〜す♪」

 

BBとやらは小悪魔っぽく言った

 

「えと、聖杯戦争?…って何…」

 

 

「聖杯戦争は"あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機・聖杯の所有をめぐり、一定のルールを設けて繰り広げる争い"それが聖杯戦争です♪」

 

 

「あらゆる願いを叶える万能の願望機…聖杯…」

 

 

「はい♪それを夢の中で争ってもらいます♪」

 

 

あ、争うって…私戦う事なんてできないんだけど…

 

「アハッ☆もしかして自分は戦う事なんてできない〜なんて思ってますぅ〜?安心してくださ〜い、戦うのは貴方ではありませんから♪」

 

「え?じゃあ誰が…?」

 

 

 

「"サーヴァント"ですよ♪」

 

「サーヴァント…?」

 

 

「サーヴァントとは、英雄が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものを、魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したものです、まぁただのコピーですけどね☆」

 

 

待ってくれ、情報量が多すぎる…聖杯戦争にサーヴァント?

頭は悪くはない方だと思うけど…流石に覚えきれない…

 

 

 

「とりあえず考えるのは後です☆早速サーヴァント召喚をしましょう!」

 

 

「へ!?そ、そんな急に!?もっと後じゃダメ?」

 

 

「ダメです☆」

 

アハハ…ですよねー…

 

「サーヴァント召喚はとても大事なことです、何せ貴女と共に聖杯戦争を戦い抜くための大事なパートナー(使い魔)なんですから生半可な気持ちで召喚なんてしたら、聖杯戦争で敗北、つまり貴女の死を意味します」

 

 

え、待って

聖杯戦争に負けると死んじゃうの!?

 

「負けると…死んじゃう…の?」

 

 

「当たり前です!"戦争"なんですから当たり前じゃないですか!サーヴァントを指揮する魔術師(マスター)が死ねば自動的にサーヴァントも死にます、ですから聖杯戦争は自分は大丈夫だーなんて甘い考えでいると、貴女なんて秒で死んでしまいますよ!」

 

 

 

び、秒で…

 

いやまぁ確かに、多少は変わりたいなぁとか多少刺激が欲しいとかは思ってたけどさ…刺激強すぎない?

紐なしバンジージャンプ、安全が保障されていないジェットコースターとかと同じだよ…

 

 

「あ、あの…だったら…私参加したくない…」

 

 

BBはニッとした笑顔を私の顔の目の前まで持ってきて

 

「ダメです☆貴女に拒否権はありません♪」

 

 

ですよねー…

 

 

「ほらほら♪早くサーヴァント召喚をしてください♪他の人達は既に召喚し終わっているんですから♪貴女だけなんですよ、貴女が召喚しないといつまで経っても聖杯戦争は始まらないんですよ!」

 

 

BBが私の背中を押してくる

私は足に力を入れて、抵抗するが

徐々に前に進んでいく私の体

 

こ、この子力強すぎぃ!

 

 

結局押されて、ここまで来てしまった…

 

「今回は大サービスで私がサーヴァントを召喚を行う為の魔法陣を作っておきました!ささ、早くサーヴァントを召喚してくだーさい♪」

 

 

また背中を押され、魔法陣の目の前にくる

 

…え?どうすればいいの…?私…?

何をしたらサーヴァント?を召喚できるの?

 

「…あ、すいません英霊を召喚する為の呪文を教えるのを忘れてました、今から言うので、ちゃんと記憶してくださいね♪」

 

 

「う、うん…」

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――以上です☆」

 

な、なげーー

え、今の言うの!?

長くない!?

 

「ハイハーイ♪それでは次は私と一緒に言ってみましょう♪あ、その前に…」

 

BBは服から服を縫うとかに使う小さい針を出した

 

「ちょっとチクッとしますよー」

 

私の指先に針を刺し

指先から私の血液が出てくる

 

「それでは針を刺した方の手を前に出して、さっきの呪文を私と共に言ってましょう♪」

 

 

「行きますよ?せーのっ!」

 

 

「「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――」」

 

 

魔法陣に私の血が一雫落ちた

 

 

 

すると魔法陣が光出した

 

え!?ちょっ!?光出したんですけど…!?

 

 

そして次の瞬間、魔法陣から強い風が吹き、私はその場に尻餅をついてしまった

 

 

うッ、痛ッ

 

 

目を開けて魔法陣を見ると

 

 

そこにいたのだ

 

(サーヴァント)

 

 

赤色の髪に金色の目

グレーの小袖と紺色の袴に桜の花が刺繍されてある白色の羽織を着ている

腰元には一本の刀、金と青で構成された刀の鞘がとても美しい

 

頭に赤色の鉢巻?の様なものを巻いている

1人の男性が

 

 

「そんな…まさか…嘘でしょう…?」

 

 

尻餅付いている私の横でBBが凄い顔で驚いている

 

え…?もしかして…駄目だった?

 

 

目の前にいる男性は口をゆっくりと開いた

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント、セイバー間桐士郎…今君の前に参上したよ」

 

 

 

サーヴァント…召喚できたんだ、よかった成功したんだ!

 

 

 

その青年?はニッコリと笑い

 

 

 

 

 

「問うよ、君が僕のマスターかい?」

 

 

 

 

 

 




お休み…スヤァ


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第二夜 サーヴァント

お久しぶりです
と言っても数日しか経ってませんが

ようやく二話目の投稿です
他の作品も書いていくのでかなり遅くなります

まぁ、ごちゃごちゃ言ってないで本編見せろと言う人がいるでしょうから
本編どうぞ


「問うよ、君が僕のマスターかい?」

 

よくわからない所で、よくわからない女の子に強制的参加させられた、よくわからない戦争

 

 

何もかもが分からなくて混乱している私の前に現れた赤髪の青年

 

情報がぐちゃぐちゃになっている私の頭の中で、ある言葉が浮かんだ

 

 

 

カッコイイ…

 

 

そんな事が頭の中で一番最初に出てきてしまった

 

…いや!そんな事考えている時じゃないでしょ今は!!

 

あーもう、私のバカバカ!!

 

人との付き合いが苦手だからってイケメンと目を合わせてしまうだけで頭の回路がバカになってしまうとか…

 

あーもう!恥ずかしい…ここからいなくなりたい!!

誰か!誰か私を殺して…!!

 

 

「…?おーい、もしもーし?君が僕のマスター?おーい、返事してよー」

 

 

ハッ!私ったら動揺しちゃった…

 

あ、返事!はい!今します!!

 

 

「あ…えっと…はい…そうです…」

 

 

「…ハハッ!面白い子だね!うんうん!よろしくマスター!聖杯戦争頑張ろうね!」

 

私に近付き、手を差し出してくる彼

 

ちょっ…近い!近い!

 

「えっと…よ、よろしくお願いします…」

 

彼の手を掴み、握手をする

あ〜!私の顔が熱い!

イケメン陽キャオーラヤバイ!!

溶ける!溶けちゃう!バターみたいに溶けちゃぅ…

 

 

 

「…まさか貴方の様な人が召喚されるなんて…正直驚きです…」

 

今までのアゲアゲのテンションは何だったのかと思うほど、低い声とテンションで喋るBB

 

 

「…フンッ!花咲奏音さん、おめでとうございます…たった今、貴女の聖杯戦争の勝利が確定しました」

 

 

「え…?」

 

今なんて…?聖杯戦争の勝利が確定した…?

 

 

「…え?な、何で?」

 

「そのサーヴァントが召喚されたからですよ…」

 

 

私は振り向き、彼を見る

 

彼はその場から一歩も動いておらず、BBの言葉にキョトンとしている

 

 

「えっと…それどういう事かな?」

 

アハハ…と頬をぽりぽりとかく

 

「はぁーッ?貴方、自分がどういう存在か理解してますぅーッ?」

 

 

 

「あー…えっと…実は…」

 

彼は気まずそうに言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はぁーッ!!?(えーッ!?)記憶が無いーッ!!??」

 

 

「う、うん…クラスと名前は分かるんだけど…後は覚えてないんだ…」

 

 

 

 

「…花咲奏音さん…ちょっと…言いにくいですけど…多分貴方聖杯戦争は厳しいです…」

BBがとんでもない発言をした

 

 

「え…!?サーヴァントが記憶を失うって事はそんなにマズい事なの…!?」

 

 

「はい、サーヴァントとは本来"英霊の座"と呼ばれるこの世界の外側の座標に登録された"英霊"を、人間が召喚可能なレベルまで格落ちさせて降霊した"コピー"に過ぎません」

 

 

コピー…?この人が…コピー…つまり…偽物?

 

 

「そして英霊には"宝具"と呼ばれる切り札があります、まぁ簡単に言えば必殺技です」

 

 

ほぇー、サーヴァントにもゲームみたいに必殺技があるんだ…

 

 

「ですが、今の彼は英霊の座に登録されている本来の彼の記録を全て忘れています」

 

 

 

 

えーっと…つまり…

 

 

 

 

今の彼は…戦う術を全て忘れている…?

 

 

え?マズくない?

 

「え…じゃあ…彼は戦えないって事…?」

 

 

「いや、戦えますよ」

 

BBはすんなり行った

 

 

 

「え…?…だって忘れちゃってるんでしょ…?」

 

 

「いや、例え記憶を忘れても()()()()()()()()()()()()

 

 

なるほど、何かの職人みたいに長い事同じ事をやりすぎちゃったから体がもう覚えて同じ事をしちゃうみたいな事か

 

 

「あと、普通のサーヴァントなら記憶を忘れても宝具は使えますよ」

 

 

…え?今…なんて…

 

 

「先程も言った通り、記憶を失っても体は本来の力を使う事を覚えています、まぁ…宝具の真名を忘れていなければの問題ですがね…」

 

ダメじゃん…

 

 

「まぁ、もしもの時は…"令呪"を使ってください、令呪を使えば何とかなるでしょう」

 

…?れいじゅ…?

 

「えっと…その令呪って…?」

 

 

「右手を見てください」

 

?右手…?

 

右手を見ると、私の左手の手の甲になにやらタトゥー?刺青?の様な物があるではないか

 

 

「…?鳥…?」

 

私の間違いかもしれないが、その手にあるタトゥーの様な赤い物は私には赤き鳥の様に見えたのだ

 

 

「それが令呪です、令呪はサーヴァントとマスターを繋ぐ証明であり、サーヴァントに対する絶対命令権です」

 

命令権…、これを使えば…彼に何でも命令ができる…?

 

彼の顔を見る

 

これがあれば…どんな命令も…

 

 

 

 

途端に顔が熱くなる

 

何を考えているんだ私は!!

 

 

「?どうしたの?マスター?」

 

 

キラッキラッした目で私を見てくる彼、

やめてぇ!そんな純粋な目で私を見ないでぇ!!

 

 

「いや…な、何でも…ないです…」

 

 

 

「あのー…話を続けていいですか?」

 

 

冷めた目で私を見てくるBB

 

「あ、は、はい!」

 

 

「はぁーッ…令呪は無限じゃありません、3回、3回まで使える事ができます…だから考えて使ってくださいね」

 

 

3回か…BBの言う通り、考えて使わないと…変な事に使わない様に気を付けないと…

 

 

「おや、どうやらそろそろ時間切れの様ですね…よし!記憶喪失なサーヴァントと契約してしまった可哀想な貴女に、BBちゃんが()()にこの夢の聖杯戦争に参加しているサーヴァント達のヒントを教えてあげましょう♪」

 

 

ヒント…?他のサーヴァント達の…?

 

 

「1人目のサーヴァントは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

海に関連する人…?漁師さんとか?(絶対違う)

 

 

「2人目のサーヴァントは、()()()()()()()()()()()

 

 

最古の文明の女王様…?これは調べたらすぐ出てくるかも…

 

 

「3人目は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

誰もが必ず知っている作品達の作者…?

何の作品なんだろ…?

 

 

「4人目は、()()()()()使()()()()()()()()()()()()()

 

 

堕天使って事…?しかも美しい…綺麗な女の人とか…?

 

 

 

「5人目は、3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

3人目の人と関わりが深い…?作品達の作者だから…友人とか…?

 

 

「6人目は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()

 

 

魔物と化してしまった…?

 

 

 

「そして、最後は…貴女が契約しているサーヴァントです…いや…サーヴァントと言えるのでしょうか…?

 

 

「…?今…なんて言ったの…?」

 

 

BBは笑顔を作り言った

「なんでもありません♪さぁ!そろそろ目覚める時間ですよ♪夢の聖杯戦争、せいぜい頑張ってくださーい☆」

 

 

え…?

 

 

私は急に眠くなった

 

 

え…あれ…、なんで…眠く…

 

 

「セイバーさん、彼女を頑張って支えてあげてくださいね、記憶はなくとも、聖杯戦争の事ぐらいは聖杯によって理解はしているんでしょ?」

 

 

 

ああ、もうダメだ…も、う…眠る…

 

 

「ああ、もちろんさ…僕の命に変えても…彼女を守るよ」

 

 

「…そうですか…、それじゃあ頑張ってください!花咲奏音さん!私のここで呑気に眺めていますので♪」

 

 

 

待って…まだ…聞きない…事が…

 

 

「また、いつか会いましょう♪先輩…いや…こ・う・は・い(後輩)ちゃん♡」

 

 

 

私は意識を落とした

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、目覚めた

 

…知ってる天井だ…

 

首だけを動かして周りを見ると…

 

そこは自分の部屋である事を理解した

 

 

なんだ…ただの夢だったのか…

 

あのBBも、聖杯戦争も、彼も…全て私の夢だったのか…

 

 

 

あ…そういえば…制服のまま寝ちゃったんだっけ…

 

シャワー浴びなきゃ…

 

 

 

シャワーを浴びるため部屋を出ると…

 

 

 

 

 

誰かがキッチンで料理をしていた

 

 

 

 

 

(間桐士郎)

 

 

 

 

は…?…え…?

 

「うぇ…?あ、え…?」

 

 

私は思考が完全に停止してしまい、まともに声が出せれない

 

 

 

すると、彼が私に気づき味噌汁らしき物を作る手を止める

 

 

「おはよう、マスター」

 

 

夢の中と同じ笑顔で私に話しかける彼

 

 

 

 

 

 

 

「良い夢、見れたかな?」

 

 

 

 

 




いまのところ決まっている令呪です
※令呪の動物(?)とサーヴァントは関係ありません(多分)


【挿絵表示】


鳥の奴カ●カワマークに似てねぇかこれ?



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第三夜 現実世界

すっごい遅くなりました

マジで最近忙しすぎて書く時間が少ないんですよね…
でも執筆はちゃんと進めています!
頑張ります…

本編どうぞ


「あ、あ、え、あ…!?な、なんで!?」

 

 

夢の中で私のサーヴァントとして召喚された彼

 

夢から覚めたらもう彼はいない

 

 

そう思っていた

 

 

 

でも、何故か目の前にいる

 

しかも、エプロン姿で味噌汁作りながら

 

 

 

「なんでって、僕が君のサーヴァントだから」

 

 

 

 

え?でも…それは夢の中の話で

 

「でも…それは夢の中の話…だよ…?」

 

 

「昨夜の夢の出来事は君の幻想なんかじゃあない、ほら、君の右手にあるものがその証拠さ」

 

 

右手…?

 

自分の右手を見てみると

 

 

 

鳥のような絵がついたタトゥーが私の右手の甲にあるではないか

 

 

「え!?は!?れ、令呪!?」

 

 

そんなバカな!?あれは夢のはず!

 

 

「うーん、まぁ最初は戸惑うよね…何しろ夢の聖杯戦争だからなぁ…」

 

 

 

え、じゃあ私は本当に聖杯戦争に参加するって事になってるって事!?

 

ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!

 

 

あ、そっかぁ!まだ夢の中なんだぁ!そうだよねー

私がこんなイケメンのマスターなんてありえないよねー

 

アハハ…あれ?頬つねっても痛い…

両方の頬つねっても痛い…

痛さに鈍くなってるのかなぁ?

こうなったらビンタで!

 

「わぁ!?何自分で自分にビンタしようとしてるのさ!?」

 

 

 

 

 

「シャワー浴びて目覚めてきなさい!」

 

私は浴室に放り込まれてしまった

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー…」

 

 

冷たいシャワーが混乱している私の頭を冷やしてくれる

 

「未だに…現実だと思えない…」

 

 

 

本当に私は聖杯戦争とやらに参加しないといけないのかな…?

 

真剣に取り組まないと、私は死ぬ…

 

つまり…人と人同士が殺し合いをする…つまり…私は人の命を奪わないといけない…

 

殺したくはないけど…でも…死にたくはない…

 

 

ドラ●ン●ールみたいに、聖杯を勝ち取って望めば殺した人を生き返らせる事はできるのかな…

 

…とりあえず…聖杯戦争を生き抜くためには相手の事を知るしかない…

 

 

BBが言ってた、夢の聖杯戦争の参加者のサーヴァント情報を頼りに学校の図書室で探してみるしかないか…

 

 

私はシャワーを止め、聖杯戦争に参加するという強い決意をした

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やっと出てきた」

 

彼がテーブルの上に朝ごはんを用意して待っていた

 

 

ご飯に味噌汁、漬物に卵焼きといった見た感じは質素な物に見えるが、いつもパン一枚で済ませる私にとってはとても豪勢な物に見えた

 

「…記憶は無いのに…料理は作れるの…?」

 

「うーん、何でだろう?昨夜BBが言ってたみたいに、料理を作る事を体が覚えているんだろうね」

 

 

「…なるほど…」

 

私は席に座り、彼と机を挟んで対面する形になった

 

…私と同じように変わった色の髪だなぁ…

 

あとは…

 

やっぱり…カッコイイなぁ…

 

 

「…?マスター、早くたべないと冷めちゃうよ?」

 

 

「あっ、はい!い、いただきます!!」

 

 

「どうぞ」

 

 

とりあえず、湯気が出ている味噌汁に手を伸ばした

 

 

…チクショウ!すごい美味しい!お母さんの味噌汁を思い出す味だぁ!

何故なんだ…、私は料理できないのに…何故このイケメンはこんな上手い味噌汁が作れるんだ!?

 

うぅ…17歳にもなって、料理で年間離れてなさそうな男性に負けるなんて…私は一体何を誇れるんだ…(泣)

 

「!?マ、マスター!?な、何で泣いてるの!?もしかして口に合わなかった!?」

 

「ち、違う…美味しすぎて…」

 

「そ、そう…ならいいんだけど…」

 

 

 

 

 

「…ごちそうさまでした…」

 

「はい、お粗末様でした」

 

…おいしかった…ここ最近コンビニ弁当しか食べてないから、最高の一言だよ…

 

「マスター、はいこれお弁当」

 

「…!?え、お弁当も作ってくれたの!?」

 

 

「え?だってマスター学校あるでしょ?あ、もしかして購買で買う感じ?」

 

「い、いや…いつもお弁当…(コンビニ弁当)」

 

 

「なら、はい!さ、早く行かないと学校遅刻しちゃうよ?」

 

 

あ、そうだ…学校に行かなry…

 

私は時計を見て停止した

 

 

8時22分

 

 

ホームルームが始まるのが8時30分

私の家(アパート)から学校まで10分ぐらい

 

ち、遅刻だーッ!!

 

「ち…」

 

「ち?」

 

「遅刻だよ!!」

 

「えぇ!!?」

 

私は荷物をバックに詰めて逃げるようにアパートを出る

 

「マスター!鍵!部屋の鍵閉めなきゃ!」

 

「ああ!そうだ!」

 

鍵を閉め、登校するためのルートを走る

 

遅刻なんて絶対ダメだ!

底辺の私が遅刻なんてしたら!今より底辺になっちゃう!

 

 

「マスター、もしよかったら僕が君を抱えて走ろうかい?」

 

走ってくれるの!?やったー!

 

「お願い」

 

すると、彼は私を抱えてた、俗に言うお姫様抱っこと言う奴だ

 

か、彼の顔が近い…

 

しかも…触られてる… ※変な意味じゃ無いよ!

 

 

「さ、飛ぶよ!」

 

レッツゴー!

 

 

 

 

 

 

え?今なんて言った?

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあああああ!!!!!?」

 

私は今屋根から屋根へと飛んでいる

 

 

早い!高い!怖い!

 

 

「士郎さん!!こ、怖いです!」

 

「セイバーでいいよ」

 

 

「セイバーさん!早い!もっとゆっくりぃ!」

 

 

「ダメだよ、学校間に合わなくなっちゃうよ?」

 

 

「うっ…たしかに…」

 

確かにいつも通りの道を歩いて行ったら確実に私は遅刻する…

 

クソォ!背に腹は変えられねぇ!!

 

「お、お願いしまぁす!!」

 

「うん!任せて!」

 

よぉし、心の準備をしておこry

 

 

「うああああああああ!!!!」

 

彼は私を抱えたまま街の屋根と屋根の間をアクロバティックに飛んでいく

 

 

サーヴァントだから普通の人間じゃ無いと思ってたけど!

こんなに凄いの!?

 

そ、それにしても…

 

 

 

は、速い!

こんなのジェットコースターになってるのとあまり変わらないよぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「はい、到着!と言っても校舎裏だけどね、誰かに見られてたらマズいし」

 

「…はぁ…はぁ…、お、おつかれ…さま…」

 

「それじゃマスター学校頑張ってね、僕は見守ってるよ」

 

「…え…?アパートに帰るんじゃ無いの?」

 

「無いと思うけど、他のマスターがいるかもしれないし、まぁ現実だと僕はあまり動けないみたいだけどね」

 

 

「え…?でも…見守ってるって…今日は授業参観の日じゃ無いよ?」

 

「あぁ、それは大丈夫」

 

 

すると、彼が粒子のようになり消えた

 

「え!?」

 

すると、再び彼が現れた

 

「驚いた?これがサーヴァントができるスキル、《霊体化》さ」

 

霊体化…幽霊だから姿を消す事もできるのか…なにそれ私も欲しい

 

「ま、とりあえず校舎に入ろうよ、僕は霊体化しながら話したりするからさ」

 

 

 

 

 

彼のおかげでホームルームが始まるまで多少の余裕ができたので、私と霊体化した彼は教室に向かって歩いている

 

「あの…何でその霊体化はすぐ使えたの?記憶がないんでしょ?体が覚えてるってわけじゃなさそうだし…」

 

 

「召喚されたサーヴァントは聖杯によってある程度の知識か送られてくるだよ、だから僕はこの世界の文化、歴史、そして聖杯戦争のルールを理解する事が出来たんだよ」

 

 

「なるほど…聖杯って便利だね…」

 

 

「そうかなぁ…?」

 

 

「え?な何で?何でも願い事が叶うんでしょ?」

 

 

「うーん…何だろうなぁ、僕も何かよく分からないんだけど…どこか嫌悪感を感じるというか何というか…本来の僕は聖杯を嫌ってたとか?」

 

 

 

「そんなの私にだって分からないよ」

 

 

 

 

 

「ねぇ、マスター、もしかしてここって女子校?」

 

 

「うん?そうだよ?」

 

 

「へえ〜、女子高ってこんな感じなんだぁ」

 

 

「そんなに見ても面白い物ないよ」

 

 

「いや、見ててすっごい面白いよ、僕達男性がイメージする女子校と現実の女子校を見比べるとすっごい面白い」

 

 

「あ、さいですか…」

 

 

「わー、あの女の子パンツ見えてるけど大丈夫かな?」

 

 

「何見てんじゃい!」

 

 

「あ、もう教室に着いたみたいだね、それじゃ僕は」

 

 

「え、見ててくれるんじゃないの?」

 

 

「見てるさ、少し離れた場所でね」

 

 

「ああ、そう…うん、それじゃ行ってきます」

 

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

 

私は教室に入った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっと」

 

セイバー(間桐士郎)マスター(花咲奏音)を送り届けた後

マスターの通っている学校の屋上に足を踏み入れた

 

 

「さてと…いい加減隠れているのはよしにしたらどうだい?」

 

セイバーがそう言うと、少し離れた場所に人が現れた

 

 

「…いつからだ…」

 

そう言い現れたのは、銀髪で右側の前髪に少しメッシュが掛かっており

髪以外を仮面で顔を隠した男である

 

 

「ずっとさ、君がマスターを付けていた時からずっとね」

 

 

「…そうか、ならばここで討つのみ…」

 

すると、彼の手に細長い何かが現れ、それを構える

 

長さと細さ的に…槍かあれ

つまり…槍兵(ランサー)か、この人は…

 

宝具が分かれば、サーヴァントの正体も分かるんだけどなぁ

 

だがしかし、ランサーの槍は水で包まれており、形こそは槍だが

どんな槍かは分からない

 

「(うーん、相手の事をよく知らず戦うというのはあまり良くないよなぁ…でも、戦わなきゃいけない空気だしなぁ…仕方ない…この刀を使うか…)」

 

セイバーは腰元にある刀に手を掛ける

 

 

 

 

 

2人は同時に動いた

 

ランサーがセイバーに向けて槍を突くが

セイバーはそれを避けランサーに向けて剣を振おうとするが、ランサーはそれを槍で受け止める

 

ランサーは力を入れ、押し返す

 

 

弾かれたセイバーに一瞬の隙が生まれ、狙おうとするが

 

 

 

セイバーが一瞬で消えた

 

 

「!?」

 

 

そして、ランサーの背後にセイバーが現れ

 

 

ランサーに蹴りを入れる

 

槍で蹴りを防ぐが衝撃で少し吹っ飛ぶ

 

ランサーはすぐさま体制を整え、再びセイバーに向かって行く

 

 

しばらく2人の目に見えないレベルの白兵戦が繰り広げられる

 

 

そして2人の鍔迫り合いになる

 

「ねぇ、やめない?こっち(現実世界)だと僕たちは宝具使えないんだからさ」

 

 

「…ここで討っておけば、後が楽になる…貴様にも分かるだろう」

 

 

「ああ分かるさ、でも真剣勝負はできないんだよ?だからあっち(夢の世界)で本気の勝負した方が僕と君の何方かが負けても後悔は無いだろう?」

 

 

「…断る!!」

 

 

「えー」

 

 

再び2人の白兵戦が続く

 

 

 

そして2人は同時にぶつかり、弾かれる

 

 

 

「貴様の武器…今は抑えられているが、本来の力を解放した時は()()()()()()()()()ぞ」

 

 

「そういう君の槍だって、何で水で包まれているのさ?おかげで君の正体が分からないぞー」

 

 

「真名を隠す為だ…さぁ、剣を構えろ…」

 

 

「(ああ、クソッ…めんどくさい事になったな…やらなくちゃいけないのかな…)」

 

セイバーが剣を構えようとした時…

 

 

ウ〜! ウ〜! ウ〜!

 

「!?」

「!?」

 

 

「(パトカーのサイレン…?)」

 

 

数台パトカーが学校で止まり、パトカーの中から数人の警察官が出てきた

 

「オクジョウダ!イケイケ!」

 

 

「(マズいな…誰かが僕達の事見て警察を呼んだのか)」

 

 

「邪魔が入った…この勝負は中断だな…次は、貴様を討つ…」

 

 

そう言って消えていくランサー

 

 

「(結局…相手の情報を何も掴めないまま戦闘が終わってしまった…、マスターへの良い報告は無しか…)」

 

 

 

すると、屋上にに通ずる階段から警察の集団が駆け上がってくる音が聞こえる

 

 

「おっと、退散しなきや」

 

そう言い、セイバーは屋上から消えた

 

 

「(そういえば…警察に僕達を追放したのは誰なんだ…?学校の先生?生徒?周りの建物の住人?それとも…)」

 

 

「ダレモイナイゾ!?ドウイウコトダ!?」

 

 

「(いや、先にここを離れるのが先か…)」

 

セイバーは屋上を後にした

 

 

 

 

 

 

 

その様子を見ている者がいた

黒髪ロングで制服を着た、1人の女性であった

 

 

「フフ、あれがセイバーとランサーですか…凄く面白そうですわね…()()()()()()

 

 

「…」

 

 

その隣で束帯を着た男がセイバーとランサーがいた屋上を凝視していた

 

 

 

 




DBショート話

キーンコーンカーンコーン

お、お昼だー…
くっ、隠キャにとって午前授業合計3回の休み時間ボッチは沁みるぜ…!


あ、そうだ昼ごはん…
そういえば今日お弁当なんだっけ…

自分のカバンをゴソゴソと漁り、弁当を出した


よぉし…今日も屋上に…


「あれ!?花咲さん、今日お弁当なの?」

クラスメイト数人がいつもコンビニ弁当な私を知っているからか、弁当を持ってきた私を見て驚き、近づいてきた


「え、えっと…は、はい…」


「え〜!?手作り?」
「見せて!見せて!」


おいおい、そんなに期待をするんじゃないよ
美味かったとは言え、男が作ったんだ、ガッツリ系の物が入っているに違いない…

私は弁当箱を開けて驚愕した


クマさんのように海苔やチーズでデコーションされたご飯
可愛らしいタコさんウインナー
全体的に彩りが良い弁当箱

まぁ、つまり…キャラ弁である


おいおいおい!あのイケメン女子か!?こんな可愛いキャラ弁作るのかアイツ!?


可愛い物に敏感である女子高生にこんな物見せたら…

「キャー!可愛いー!!」
「すごーい!花咲さん、こんなの凄いお弁当作れるの?」


ハ、ハハハハハハ…
クラスメイトのマシンガントークか私を撃ち抜いていく

「え、えっと…手作りじゃ…無いです…」


「え!?手作りじゃない!?じゃあお母さん?」

「バカッ!花咲さんのお父さんとお母さんはもう亡くなってるんだよ!」

「あ、え!?ご、ごめーん…花咲さん…」


「い、いや…いいよ」


一気に周りが暗い雰囲気になる


「で、でもぉ!自分で作ったんじゃ無いならぁ…あれじゃない?」

「あ、成る程ぉ!」
「えーっ!本当?」


何の話をしているんだこの陽キャ共は

「か・れ・し♡でしょ!」

「キャー!」
「彼氏がお弁当作ってくれるとかエモーイ!」



は、はぁぁぁぁぁ!!!!?

な、な、な、何言ってんだこの娘どもーっ!!
わ、私があのイケメンと、つ、つ、付き合ってる!?
馬鹿言いなさい!!ま、まぁたしかに…?
イケメンで優しくて和服で赤髪で金瞳で料理ができるよ?
カッコイイとは思ってたけど、つ、つ、つきあってるなんて!?
な、ないわー!マジで無いわー!

「ち、違う…!!」


「おやおやぁ?これは?」
「怪しいですねぇ!」

ヤメロォ!ニヤニヤすんなぁ!!


「花咲さん、彼氏によろしく♡」


あ"ー"!"!"セ"イ"バー"た"す"け"て"ー"!"


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第四夜 考察

すいません、遅くなりました
他の作品を望んでいる皆様、大変申し訳ありません…!!
一様執筆は進んでいますが、まだまだかかりそうです
あと来週一週間は忙しいので厳しそうです
執筆頑張ります


本編どうぞ


「で…?何かいう事はある…?」

 

 

「大変申し訳ありません…」

 

 

今私が何をしているかと言うと、セイバーを説教中である

セイバーは正座でしゃぼんとしている

 

可愛い…

あ、違う!

 

 

「できれば穏便に済ますつもりだったんだけれども…」

 

 

「結局…戦闘になってしまったと…」

 

 

「はい…」

 

 

まぁ、今回はセイバーに非はないのでそこまで責めるつもりはない

許してあげるとも

ぶっちゃけめんどくさい5、6時間目の授業が無くなって嬉しい

 

 

「まあ…いいよ、放課後になったから図書室行って他のサーヴァントの事調べよう」

 

 

「りょーかい!」

 

 

 

 

 

 

私達は図書室に入り、偉人や歴史の本を本棚から取り出し

山積みになっている本を読み漁っていた

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「ねぇ、セイバー…」

 

 

「んー?なーにー?」

 

本をパラパラと捲りながら返事をする彼

 

「それっぽいの…見つかった…?」

 

 

「んー…、まだだね…」

 

 

「…昼間見た…サーヴァントは…分からないの?」

 

 

「残念ながらね、ランサーってのは分かったけど、重要な槍が水?で包まれててよく分からなかった、カッコいいマスク?仮面?付けてたなぁ、僕もあれ欲しい」

 

 

何言ってんだこのイケメンは…

 

 

「B Bの言ってたヒント覚えてる?マスター?」

 

 

「ああ、えっと…確か… 1人目のサーヴァントは、誰もが聞いた事がある、海に関連する人…で2人目は最古の文明の女王様…で3人目は誰もが知っている作品達の作者で…4人目はかつては天使だった、美しき悪魔で…5人目は3人目の人と関わりが深いとある物を被った人で…6人目はかつて日本の上の者達を陥れた、怒りと悲しみによって魔物と化してしまった1人の男性…そして、7人目は…」

 

 

「僕だね」

 

 

「…まだ、自分の事思い出せないの?」

 

 

「うん…色んな資料を読み漁っても、ピンとくる物がないなぁ…この刀の事も調べてみたけど、どの資料を見てもこの刀と一致する物が無い」

 

と彼は資料を適当に捲りながら言う

 

 

「…さいですか…、他のサーヴァントの事とかは…?」

 

 

「1人目の人はさっき言った通りランサーで海に関連する人」

 

 

「うん」

 

 

「うーんとね、2人目の人は悪感がすごいから考えたくない」

 

 

「えぇ…何それ…?」

 

 

「なんと言うかね…あれだよ、明らかに異常な物があると体が拒否反応とか起こすでしょ?そんな感じ」

 

 

「えぇ…ん…?それじゃあ、その人とセイバーは何らかの関わりがあるのかな…?」

 

 

「かもね、はい次3人目の話行きまーす」

 

あ、話変えた

どんだけの悪感がするんだ…(困惑)

 

 

 

「えとね、"作品達"と言う事だから作家とか医者とかの文化人じゃあないかなと僕は思ってるよ、でそういう芸術家とかは大抵キャスターとかだね」

 

 

「キャスター…」

 

 

「そうキャスター、白兵戦には不向きなサーヴァントだね戦略とか練る方が得意」

 

 

「で…他は…?」

 

 

「んー、6人目はバーサーカーじゃないかなと思ってる」

 

バーサーカー…狂戦士…クラス名だけでなんかやだな…これが悪感か!?

うん、会いたくないわ…戦いたくないわ

 

 

「魔物と化してしまった…てっ所がバーサーカーっぽいよね」

 

 

ぽいかよ!?

 

 

「後2人は残念ながらクラス考察はできない、どっちかがアサシンでどっちかがライダーという事しか」

 

 

「うーん、4人目は…かつて天使だったかぁ…つまり堕天使…か…」

 

 

堕天使って名前ちょっとカッコいいよね…

 

 

「5人目は3人目と関わりが深い人で何かを被っている…か、帽子とかかな?ていうか、B Bの奴もう少し上手く説明しなよ!これじゃ対策も何もできないよ!」

 

 

「ま、まぁまぁ…教えてくれただけでも…」

 

 

「…収穫は特に無し…うん!帰ろうか、マスター!」

 

 

「…うん」

 

 

 

 

 

学校から出て、その帰路途中

季節は冬へと近づいているのか、5時を過ぎ空が徐々に暗くなってきている

 

「今日のお弁当、どうだった?」

 

堀の上を歩きながら彼は私に聞いてきた

 

 

「え…?あ、うん、おいしかったよ」

 

 

「そりゃ、よかった」

 

 

…ん?今日は…?

 

 

「待って…、もしかして…これから毎日作ってくれるの…?」

 

 

「?そうだけど?」

 

 

マジかー、これから毎日アレ(キャラ弁)かー…

明日から陽キャ女子達に絡まれるのか…

はぁ…、嬉しいような…辛いような…

 

 

「さぁ、マスター!すぐに帰って今日に備えよう!」

 

 

え?何を?何言ってんだこのイケメン

 

 

「な、何を…?」

 

 

「何って…、聖杯戦争だけど?」

 

 

「え"っ"っ"!!?」

 

 

今夜するの!?聖杯戦争を!?…あ、そうかぁ…私平和ボケしてたんだぁ…

聖杯戦争という物に手を出してしまった私にこんな平和な生活を送っている事自体がおかしいんだ…戦争なんだからきっとこれから非現実的な生活を送るに違いない!

 

 

「…よ、よっしゃぁ!どんとこぃ!」

 

 

「?マスター、説明してもいい?」

 

 

「あ、ハイ、どうぞ」

 

 

「聖杯戦争は夢の中で行われる、つまりマスターがお布団に入って眠ってから起きるまで、その空間の中で僕達サーヴァントとマスターが争いをする、因みに現実から物を持ち出す事は可能だよ銃とかナイフとか」

 

 

はへー、武器は持ち込み可能なんだ、でも私は銃とかの危ない物は持って無いんだわ…

 

 

「サーヴァントは現実の世界でも限界していられるけど、宝具は使えない…でも、いつ誰がマスターを狙ってくるからわからないから気をつけてね」

 

 

「成る程…つまり…家に帰って作戦会議と準備ってところかな…?」

 

 

「せいかーい!じゃ、行こ」

 

彼は堀から降り、私に手を差し出した

 

 

「う、うん」

 

 

差し出された手を握ろうとしていたその時…

 

 

 

「ちょっーと待ったーッッッ!!!」

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

何処からか声が聞こえた

 

それは私たちの目の前の十字路の影から聞こえた

 

 

「フフ、フフフフ」

 

姿が見えない人は笑う

 

 

「だ、誰…?」

 

 

「よぉくぞ!聞いてくれたー!!」

 

 

うっわ、なんだこの人…

 

 

すると、十字路の影から誰かが飛び出してくる

 

 

その人は、茶髪で短髪

緑色の目をしており、

仮面ライダーの様なポーズをしている

 

…男性…?

 

年齢は…私と同じぐらい…?

 

 

「…えっとぉ…もしかして君聖杯戦争の参加者かな…?」

 

セイバーが苦い顔をしながら目の前の男性に聞く

 

 

「そのとぉーり!!我こそは…!」

 

 

あ、これアレだ…

 

 

 

痛い子(めんどくさい奴)

 

 

 

私とセイバーが悲しい人を見る目で彼を見る

 

 

「おい!何悲しい奴を見る目でこっちを見てるんだ!!」

 

 

よく見たらウチの隣近所の男子校じゃねぇか!

あの学校にこんなおかしい奴がいるのか…?

 

 

「まぁいい…、取り敢えず!俺はお前達に宣戦布告をしに来たんだ!」

 

 

「せ、せんせんふこく…?」

 

 

「そのとーり!!俺は奇襲とかのせこい事はしない!正面衝突!相手とはタイマンだぜ!!だから俺は戦うことになるだろうお前達に宣戦布告をしにきたんだ!」

 

 

だ、大丈夫かこの人…痛い人かと思ったらやべーやつだったか…

 

 

「そう、この俺!!!泉京介が正々堂々お前達を倒しry」

 

 

 

 

 

 

「30点だな」

 

 

 

「(!?この感じ、サーヴァント!?)」

 

「今度は誰?」

 

 

 

すると、泉京介の出てきた十字路の陰から小さい影が二つ出てくる

 

 

出てきた影の正体は2人と少年だった

2人は灰色の髪をしており

同じ服

同じ顔

同じアホ毛

見た感じ違う所はアホ毛の向きと前髪だろうか

右の方が右向きにアホ毛と前髪が向いていて

左の方が左向きにアホ毛と前髪が向いている

 

 

「こらぁぁぁ!!!キャスター!!俺の壮大でダイナミックでかつミステリアスな!紹介を邪魔すんじゃねぇよ!!」

 

 

「何?今のが自己紹介だったのか?俺から見たらただの頭の痛い奴が頭のおかしい事を言っている様にしか見えなかったなぁ!」

 

 

「ハハハ!マスター頭おかしい!」

 

 

「ふざけんな!!俺は頭はめちゃくちゃいいぞ!」

 

 

「うそこけ!!今日の小テスト32点だっただろう!!」

 

 

「因みに100点中ね!!アハハハハハ!」

 

 

な、なんだこのカオスな空間は…(困惑)

 

あのあたおかなマスターと右側にいたサーヴァントが口論していて

左側のサーヴァントがクルクル回ってアハハと笑ってるし…

 

きっと、セイバーならこんなカオスな状況に表情も変えずにキリッとした顔で「ハハッ、愉快ですね」とか言ってるんだろうな

 

チラッとセイバーの方を見ると…

 

 

「!?お、お、おぉ〜??」

 

めちゃくちゃ困惑してるやん…

 

 

…ねぇ、セイバー泉京介とか言う人のサーヴァント…キャスターって言ってたよね…

 

私は小さな声でセイバーに話しかける

 

 

うん…そう言ってたね…僕の考察は間違ってなかったかも…

 

 

え…?何が…?

 

 

キャスターが文化人って事だよ…ほら、小さくて武器も持ってない、服装も先頭向けじゃない…どう見たって先頭に不向きなサーヴァントだよ

 

 

たしかに…昔の西洋服らしき物を着ている

セイバーの言う通りどう見たって戦闘向きじゃない…

 

 

すると、セイバーが

 

「ねぇ、早くしてくれないかな?お互い夜の為に準備とかしておきたいだろう?」

 

 

「…そうだな!!」

お互いの頬を引っ張り合っていた泉京介とそのサーヴァントは引っ張り合っていた手を離し元気な返事をくれた

 

 

「改めて!お前達に宣戦布告をry」

 

 

「君達に言っておきたいことがある」

 

泉京介の発言を邪魔する様に泉の頬を引っ張り合っていたサーヴァントが発言する

 

 

「俺(達)は、戦闘もロクにできない非戦闘員だ、アハハハ!喜びたまえ!君達の目の前にいるサーヴァントは戦う事のできないクソ雑魚サーヴァントなのだ!!」

 

 

は?

 

え…?な、何言ってんの、この少年

 

なんで、自分でクソ雑魚とか…弱いとか、戦う事のできないとかなんで自分の事を晒すんだ…?

普通なら…相手に自分の事を隠して…

 

 

「は!?ちょっ!!キャスター!!何言ってんだ!!」

 

これには流石の泉も驚きを隠せない様だ

 

 

「何とは…?俺はただ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「は、はぁ!?」

 

 

「ねぇ、マスター!さっき言ったでしょ?()()()()()()って、君はサーヴァントとしても、召喚したクラスにしても君はハズレを引いた、だから僕たちが希望を作ったんだ!このまま負けて死ぬという運命(物語)に僕たちが修正を加えてあげるというんだよ!」

 

少年2人が泉に説明をしている

 

 

セイバーは何かを察し、発言をした

 

「えっと…つまり…君達は、僕達と手を組みたいって事…?」

 

 

 

手を組む…? 

 

 

「ああ、俺達と手を組んでくれないか?セイバーのマスター、セイバーが前線で戦い、俺達がサポートする…悪くはないだろう?おっと、先に言っておくが、俺達は裏切る事なんてしない、そこは保証しよう」

 

 

「俺達裏切る力すらないからね!」

 

 

どれだけ弱いんだあのサーヴァント…

 

えぇ…どうすればいいんだこれぇ…

取り敢えず…セイバーに相談するっきゃねぇ!

 

「セ、セイバー…どうすればいいと思う?」

 

 

「うーん、僕的には手を組んでもいいと思うな、キャスターとはいえサーヴァントを仲間にできるのはいい事だよ」

 

 

「そうなんだ…」

 

うーん、ならば手を組んだ方が良いのか?

セイバーが言ってた通り、サーヴァントが仲間になるのはとてもありがたい、サーヴァントは全員で7人いるらしいから、2人も私の陣営(?)に入ったという事だ

それに図書室での話が本当ならキャスターが戦略、セイバーが前線で戦う

私は後ろでのんびり観戦…いい事ずくしだな、こりゃ

いよぉし!サ●ー●ォーズみたいによろしくお願いしまーす!!!

と言わなくちゃな!

 

 

「よ、よろしくおねry」

 

 

「まてぇ!!」

 

 

「!?」

なんだね!突然の大声で体がビクゥ!!としてしまったじゃないか!!

 

 

「俺は認めないぞ!!俺は誰かと組むなんて事はしない!したくない!!俺は孤高の戦士だ!!」

 

 

何言ってんだコイツは…

 

「…」

「…」

「…」

「…」

 

 

これには私もセイバーもキャスターの2人も黙り込んでしまう

 

 

「あのなぁ、マスター…さっきの話聞いてたか?俺たち弱い、このままだとお前死ぬ、だから助っ人を頼む、OK?」

 

 

「…そんなの分かってる!!」

 

 

「はぁ…?」

 

 

「俺が弱い事も!この聖杯戦争に勝てっこないって事も!全部わかってる!!」

 

 

「じゃあ、何故…」

 

 

「ここで…誰かの手を借りたら…俺はこの聖杯戦争に参加した意味が無くなる…」

 

 

「…どういう事だ」

 

 

「俺は…何もできない奴だった、勉強も運動も…全て逃げてきた…嫌だったんだ、そんな自分が…現実から逃げる自分が、嫌で嫌でしょうがなかった…」

 

 

 

…この人…私に似てる…?

変わらない自分に嫌気がさして、変わる自分よりも、変わらない自分がとても嫌だった私に似てる…

 

 

「だから!聖杯戦争はチャンスだと思ったんだ!!逃げる事をやめ、真っ直ぐに向き合う!そうなれるチャンスだと思ったんだ!」

 

 

 

 

「…彼の気持ちも分かる」

 

 

「…」

 

 

「自分を変えるチャンスが来たのに、キャスターという先頭に不向きなサーヴァントを引いてしまったから、彼は真正面からの勝負じゃなく後ろでコソコソと行動する事を強いられる…聖杯戦争に参加しても…彼は現実とも、夢でも真っ直ぐ向き合えないんだ…」

 

 

たしかに…泉京介がキャスターのマスターとして行動したら、彼は夢でも逃げるしかなくなる…でも、彼が言っている正面から正々堂々戦うというなら、彼は真っ直ぐ向き合う事ができる

…だが、それは自殺行為だ…

 

キャスターというクラスで相手と正々堂々戦うというのはあまりにも無謀な事である

彼は自分自身が変わる代わりに命を落とす…

 

そんなの…変わった意味があるだろうか?

 

キャスター達が言っている事も分かる

 

 

 

 

 

「…マスター、お前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    バカか?」

 

 

 

 

「は…?」

 

 

おぉう!?ここでキャスターが泉京介に罵倒を言い放った!!

 

 

「正面衝突する、それが本当にお前が求める真っ直ぐに向き合うという事なのか?」

 

 

「は…?でも…それしか…俺は…」

 

 

「いいか?よく聞け、今のお前は…()()()()()()()()()()()()

 

 

「え…?」

 

 

「さっきお前は言ったよな?"勉強も運動も全て逃げてきた"それは何故だ?」

 

 

「…それは…何度やっても出来なくて…嫌だったからだ…」

 

 

「つまり、嫌な現実から逃げてきたって事だろ?」

 

 

「…」

 

 

「お前はこの聖杯戦争(クソ)というマジでめんどくさくて、不幸しか招かないクソオブザイヤーに逃げる事なく、真っ直ぐ向き合っているだろう?」

 

 

「…でも…それは…」

 

 

「マスター、お前は十分成長しているよ、なに後衛で指示するのも悪くは無い、それに後衛というのも責任感はある、前衛で戦うのも大切だが後衛で作戦を練るのも責任重大だぞ」

 

 

「…そうだよな…うん!そうだよな!!」

 

 

先程の頭おかしい時の顔に戻った

 

でも、まだ…どこか無理をしているような…そんな気がする…

 

 

「決まりだな、ほらマスター同時で握手だ」

 

 

「おう!」

 

 

「は、はぁ…」

 

 

私と泉京介は握手をした

 

 

 

「よぉし!戦力増加!マスター、泉くん、キャスター頑張ろうね!」

 

 

「「「おー!」」」

 

 

「お、おー…」

 

まだ慣れない私がいる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、つかれたー…」

 

泉京介達と一旦別れ、私とセイバーは帰宅した

 

 

「お疲れマスター、夕ご飯作るから先にお風呂入っちゃいなよ」

 

 

「うん…」

 

 

 

 

 

「あー…学校での疲れが落ちる〜」

 

湯船に浸かり、今日を振り返る

 

 

 

変わる為に…聖杯戦争に…

私と泉京介は似ている…

 

彼は変わりたいと願って、自ら変わろうと動いた

でも…私は何も変われない

変わる方法が分からない

 

 

私も…今の自分が嫌で嫌でしょうがない…

 

 

 

…変わる方法があるのかな…

 

 

私はお風呂を出た

 

 

 

 

 

 

夕飯を、歯磨き、明日の学校の準備を済ませ

私は完全に寝る体制に入った

 

 

「いよいよだね」

 

 

「う、うん…」

 

なんか急に緊張してきた…

 

 

「マスター、準備はいい?」

 

 

「…うん!」

 

 

「そっか」

彼は笑いそう答えた

 

 

「それじゃ、夢の中で」

 

 

「うん…おやすみ…セイバー」

 

 

私は目を瞑り、意識を落とした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ…?

ここ…どこ…?

 

私の部屋…?

ここが夢の中…?

 

 

「やぁマスター、無事にここに着いたみたいだね」

聞き覚えのある声が背後から聞こえ、振り向くと

 

 

「セイバー…!」

 

 

「うん、君のセイバーだよ どうだい?夢の中の気分は?」

 

 

「え、となんというか…これが本当に夢の中の話なのかよく分からない…」

 

 

「無理もないよ、現実の世界とそっくりだからね、ここ」

 

 

「え、そっくり…?」

 

 

「気になるなら見てみれば」

 

ではお言葉に甘えて…

 

私は窓を開けて外を見てみると

 

 

昼間だがどこか暗く、まるで色が抜けたような空が広がっていた

 

よく見ると、太陽が動いていない

…人がいない…いや、生き物が何一ついない

 

 

「そう、これはあくまで夢の中 夢の聖杯戦争の為に作られた現実とは違うもう一つの世界、聖杯戦争の関係者以外は生き物一ついない特殊な世界だよ」

 

 

特殊な世界…

 

 

「さぁ、聖杯戦争を始めようか、マスター」




眠いので寝ます


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第五夜 暗殺者

うわぁぁぁん!
遅くぅ!遅くぅなってしまったぁぁ!!!

ワクチン接種で熱が出たり、肝臓と脾臓が荒れたりして色々大変だったんだよぉぉ!!



本編どうぞ(スンッ


「此処が…夢の世界…?」

 

あまりにも現実世界過ぎて本当に此処が夢の世界なのか疑ってしまう

 

「イエース!そのとおーり!此処は夢の世界!見た目は現実世界そのものだけど、この世界には君と僕、サーヴァントとマスターしか存在しない、まさに!聖杯戦争の為だけに作られた世界なんだよ!」

 

「そ、そうなんだ…」

 

相変わらず元気だなぁ…セイバーは…偶にその明るさについていけない時があるよ…

 

「さて、マスターそろそろ行こうか!キャスター達がもう待ち合わせの場所で待っているころだろうよ」

 

 

「え、う、うん!」

 

 

私は外に行く準備を整え、家を出た

 

 

 

 

 

 

「本当に…誰もいない…」

 

ここまで誰もいないと不安になってくる、セイバーと一緒にいるという事が救いだが、もし1人とかであったらどんな悪夢であろうか、陰キャコミ障の私でも流石に1人はキツイのである

 

「そうだね、動物いや虫1匹も確認できないね」

 

待ち合わせ場所自体はあまりアパートからあまり離れていないので、話ているうちに目的地が見えてきた

 

「あ…そろそろ待ち合わせ場所…だね」

 

 

「キャスター達は…まだ来てないみたいだね、待ってよっか」

 

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セ、セイバーってさ、日本のサーヴァントだよね」

 

 

「うん?」

 

 

「髪色とか金色の目とかは日本人離れしてるけど、和服とか着てるし、刀持ってるし、名前も"間桐士郎"でしょ…?日本の英霊じゃないのかな?」

 

 

「…うーん、どうなんだろうなぁ?記憶はまだ戻ってないし、よくは分からないんだけどさ、この前マスターの学校の部活動見ている時に茶道部とか華道とか弓道部を見たんだけど、なんか既視感あったから生前の僕と何か関係があるかもしれないね」

 

 

「…そっか…」

 

 

 

「おーい!花咲ー!」

 

 

「あ、来た…」

 

 

「おっす!!おはよう!あ、いや夜だからこんばんわか!」

 

 

「久しぶりだな、セイバーとセイバーのマスター聖杯戦争をする準備は完璧か?ハンカチ・ティッシュ・飲み物などは持って来たか?

 

 

「アハハ!お弁当は持ったかな?」

 

 

相変わらずの元気で五月蝿い人たちである、誰もいない夜の世界でよかった…、こんな人達(特にマスターの方)と一緒にいるところを他人に見られたくはない…

 

 

「よし、とりあえずみんな揃った事だし、街を探索しますか!偵察ってやつだね」

 

 

「なるほど、俺も賛成だ、兄さんはどうだ?」

 

 

「俺もさんさーい!」

 

 

「だそうだ、マスター達よ、お前達はどうする?」

 

 

「…ど、どうするって…私達2人じゃどうする事もできないでしょ…サーヴァントとかが出た場合どうするの…」

 

 

「バカ言え、誰が置いていくなんて言った?二手に分かれるか、皆で固まって探索するかという事だ!」

 

分かるか!!説明不足だ!どっかの紫色の髪色をしたあの小娘をおもいだすわ!!

 

「…私は…みんなで固まって行く方がいいと思う…なぁ…」

 

 

「俺も!皆一緒の方が楽しい!」

 

 

「理由がバカみたいだな!マスター!」「アハハハ!マスターらしい!」

 

 

「なんだとぉ!?」

 

 

キャスターと泉の喧嘩が始まってしまった

元気だなぁ…よくこの状況で仲良く喧嘩なんてできるのか分からん

 

 

「静かに!!」

 

突然、セイバーが叫ぶ

 

 

私もキャスター達も、静まり返る

 

 

「え…ど、どうしたの…セイバー?」

 

 

「何か…聞こえない?」

 

 

「聞こえる…だと…ッ!?」

 

キャスター達も気付いた様だ

 

何なんだ?分からん私には何も…

 

 

 

 

 

 

 

トントントントントントン…

 

何かの音が聞こえた

 

 

「!私も…何か聞こえた!!」

 

 

「あっちからだね…」

 

 

私達は音の鳴る方へと向かった

 

 

 

 

 

 

「うーん、この家から?」

 

音が聞こえる方向へ行くと、そこは平家の一軒家だった

 

 

「…ぽいね」

 

 

「柵から少し顔を出して家の様子を見てみるか?」

 

 

「賛成!」

 

 

「えぇい!もう少し声を抑えんか!このバカマスター!」

 

 

「誰がバカだよぉ!」

 

 

 

私達5人は柵から頭を少し出し、家の様子を伺った

 

 

 

 

そして、目に入ってきたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の老人であった

 

 

「…え…?おじいさん… ?」

 

え?聖杯戦争には歳とか関係ないの?

おじいさんでも参加可能なの…?

 

 

「これは…驚いたな…」

弟の方のキャスターが呟いた

 

 

「"夢の世界の聖杯戦争"だからこういうのもありなのか…僕の視野は狭かったのかもしれないな…」

キャスターに続いてセイバーも呟いた

 

 

「なぁ、あの爺さんはここ(夢の世界)にいるって事は、爺さんはマスタって事だろ?」

 

 

「…どうした、マスター?今日はやけに賢いな…?」

 

 

「マスター、変な物食べた?」

 

 

「あぁん!?」

 

 

まーた、3人の喧嘩が始まった…

 

 

「待って待って!ここは!敵の基地!静かに!静かに!」

 

セイバーが仲裁を入れ、喧嘩は収まる

 

 

「…で、どうする?サーヴァントが出てくるまで遠くで見てるか?それとも、ここであの老人のサーヴァントに襲われる可能を入れ、ビクビクしながら近くで監視するか?」

 

 

「うーん…どうする?」

 

 

「私は…、遠くで…監視すれば…いいと思う!そうすれば…襲われないと…思う」

 

 

 

「セイバーのマスターはこう言ってるが…?」

 

 

「うーん…あ、そうだ」

 

 

セイバーがポンッと手を叩いた

 

 

「「?」」

 

すると、セイバーはこの家の玄関の方に向かって行き

 

 

「セイバー?」「何をする気だ?」

 

 

 

 

 

 

 

玄関のチャイムを鳴らした

 

 

 

 

「「おいいいいいいいいいいいい!!!!!?」

 

私とキャスターは絶句した

 

 

 

「何やってるの!?セイバー!?」

 

 

「何で正面衝突してるんだ!?バカマスターか!?お前は!?」

 

 

「いいぞー!セイバー!正・面・衝・突★だーッ!」

 

 

「アハハ!セイバー面白い!」

 

 

 

 

すると、押したチャイムから声が帰ってきた

 

 

『は〜い、どちら様ですか〜?』

 

 

以外にも、帰ってきたのは若い女性の声だった

 

 

「サーヴァントは女か…」

弟の方のキャスターが再び呟く

 

 

「はい、どうも!宅急便サムラーイですー!」

 

おいおい、何だそれは

 

 

『あ、はいはーい、宅急便屋さんですね〜、今行きまーす!』

 

 

相手のサーヴァントも何故気付かない…?もしやこれ罠か?もしくは、単純に相手サーヴァントがバカなだけ…?

 

「セイバーのマスター…君はとんでもないサーヴァントを引いたな…」

 

 

「解せぬ…」

 

 

 

ガラガラガラっと、懐かしいドアの音を思い浮かぶ

 

 

玄関から出てきたのは、おそらく先程の玄関のチャイムの時の声の本人であろう、若い女性であった

クリーム色の髪でセミロング、膝を隠すほど長い白や黒色のドレスの様な服を着ている

料理でもしていたのか、白色のエプロンがよく似合う

だが、一番私の目に止まった物、それは彼女が被っている物である

 

それは、頭巾である…と言っても、学校とかでよく使う頭巾ではなく見た目はパーカーのフードの様な見た目だ

 

赤い頭巾はまるでマントの様に大きく、デカい、もうあれ頭巾じゃないでしょ、マントでしょ、フード付きマントでしょ

 

 

 

…ん…?頭巾…?赤…?女の子…?…赤頭巾…?

 

 

 

 

 

赤頭巾?

 

 

 

赤ずきん…ちゃん…?

 

 

 

 

いやいや…まさかね…?

 

 

 

 

 

「こんばんわ!宅急便です!」

 

 

「はい!お疲れ様ですぅ!」

 

 

なんなんだこれは(困惑)

 

 

 

 

 

「少し待て!」

 

弟の方のキャスターが止めた

 

 

「は、はい?何でしょう?」

 

 

「悪い、声を上げすぎた謝罪するよ…で、君唐突で悪いが、問おう」

 

 

「は、はい?何ですかね?」

 

 

弟キャスター!やるんだね!?ここで!!

 

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

き、聞いたーッ!!聞いちゃった!!

さぁ、どう動く…?このサーヴァント?

「フフ、バレちまったかぁ!」とか言って襲ってくるのか!?

どう動くんだぁ?

 

 

「あ、バレました?」

 

軽ッ!!?

 

「あ、バレました?じゃないでしょ、君ぃ…」

 

散々ふざけたセイバーもこの少女のあっさりとしたサーヴァントですよに流石に苦笑いをしてる

 

「…そうか、なら…君のクラスを聞いても構わないかな?」

 

 

「あ、いいですよ、私はアサシン(暗殺者)でーす」

 

 

これまたかっる!?

なんなんだこのサーヴァントは…、聖杯戦争ではこういう事もよくあるのか?

 

 

「もう一つだけ聞きたい、構わないか?」

 

 

「ええ、どうぞ」

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いいえ、ありません」

 

 

「へぇ…」

 

「ほぉ…」

 

セイバーと弟の方のキャスターが興味深そうに聞く

 

 

「何故だい?君は聖杯が欲しくないのかい?」

 

 

「聖杯ですか…正直、あらゆる願い事を叶える聖杯というのは興味はありますが、願いや夢は自分で叶えてこその物だと思うので、私はいりません…それに、私は戦闘向けのサーヴァントではないので戦闘聖杯戦争なんてしてもすぐ負けてしまいますしね」

 

 

「…君のマスターも、聖杯を望んではないのかな?」

 

 

「はい、そもそも聖杯という物を認知できていないと思います」

 

 

「それは、どういう…」

 

 

「ああ、私のマスターはおじいさんでして、歳で認知症なんです、ボケてる…といった方がよろしいでしょうか?」

 

 

「ああ、そういう事ね」

 

 

 

やっぱり日光浴してたのはアサシンのマスターだったのか

 

 

 

「私の事もサーヴァントではなく、ヘルパーさんだと思ってるようですし」

 

アサシンは「アハハ…」と頬をぽりぽりかきながら笑う

 

 

 

すると、家の中の奥から

 

 

「お〜い、紅さ〜んお昼ご飯はまだかね〜」

 

 

「おじいちゃん、お昼ご飯どころか夕ご飯も食べたでしょー!」

 

 

大変そうだなぁ、たしかにこれは聖杯戦争なんて参加できないし、やってる時間はないだろうなぁ

 

 

「アハハ、ごめんなさい私は色々(主に介護)しなくてはならないので…」

 

 

「いや、唐突に訪問して悪かったな、謝ろう」

 

 

「それじゃ、これで…」

 

 

アサシンがドアを閉めようとする

 

 

え、ちょっと待ってくれ

 

 

「あ…待って…一つ聞きたい事が…」

 

 

私は閉まりそうになっていたドアに手を掛け、アサシンに聞いた

 

 

「はい?何でしょう?」

 

 

「えっと…貴女は、それでいいの?マスターとはいえ…聖杯戦争に参加する事なく、おじいさんの介護をするんだよ…?」

 

 

「えっと…私は幸せですよ?元々私は誰かを介護したり手助けする事が性に合っていますし…誰かの役に立てるという事ほど…嬉しい事はありません」

 

 

 

 

「(誰かの役に立てるか…何だろう…妙に心がモヤモヤするな…)」

 

 

 

 

 

「そう…ですか、ごめんなさい…私失礼な事聞いちゃいましたよね…」

 

 

「構いませんよ、えっと…セイバーのマスターさん?」

 

 

「はい?」

 

 

「聖杯戦争、頑張ってくださいね♪握手しましょ?握手」

 

 

「え、あ、はい!?」

 

 

アサシンは手を出してきた

 

取り敢えず私はその手を握る

 

 

 

ブンブンと握った手を振ってくるアサシン

 

 

私の目に入る二つのたわわ

 

 

うおっ、でっか

 

おかしい…サーヴァントといえど、私とあまり年齢は変わらないはずのアサシン…私もある方だとは思うけど…これは…

 

 

 

「応援しますよ、聖杯戦争頑張ってください!」

 

 

「は、はい!頑張りましゅ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、いい人だったねマスターの方は分からないけど」

 

 

「ああ、可愛げがある少女だったな」

 

 

「可愛かった!」

 

 

「おっぱいが大きかったな!!」

 

 

「マスタァ!!敢えて皆が触れないでいるところを貴様ァ!」

 

 

「アハハ!喧嘩!僕も混ぜて!」

 

 

 

「騒がしい…」

 

 

「夢の中なのに元気だね、3人は」

 

 

「ねぇ…セイバー」

 

 

「ん?何?」

 

 

「セイバーも…そ、その…胸は…大きい方がいいの…?」

 

 

「え" " "!?」

 

 

「ほら…男の人って大きい方が好みだって聞くから…」

 

 

「え、えっとぉ…う、うーん…そうだなぁ…綺麗事かもしれないけど、僕は大きくても小さくてもどっちでもいいかなぁ」

 

 

「え、そうなの?」

 

 

「大きくても小さくても、僕は"その人"を好きになったんだから、あまり大きさは問わないよ、男性が大きいのに憧れるというのは、おそらく大きい=母性を感じるだからじゃないかな?」

 

 

「そうなんだ…変わってるね…」

 

 

「変わってるって言っても、悪魔で僕の考えであって…今の若者はどうか分からないよ?」

 

 

「…そういえば、セイバーって年齢はどれぐらいなの?」

 

 

「…肉体年齢の話かい?」

 

 

「?そうだけど?」

 

 

「うーん、僕は多分10代後半じゃあないかなぁ?」

 

 

「え、若」

 

 

「サーヴァントは基本的に自分の最も強かった時期、全盛期の姿で召喚されるんだよ」

 

 

「…記憶は無いのに、肉体年齢は分かるの?」

 

 

「何だろ、感覚で分かるんだよ」

 

 

「感覚?」

 

感覚とはなんぞや?ニュー●イプか?

 

 

「体が重いというか…動かないというか…まぁ、マスターもそのうち分かる時がくるさ」

 

 

「おじいちゃんがよく言う腰が痛いのぉーみたいな感じ?」

 

 

「まぁ、そうだね」

 

 

「やぁ、お二人さん仲良くお喋りかい?」

 

 

「うわぁ!?キャ、キャスター…!?」

 

 

やめなさい、びっくりするでしょう?

コミュ症クソ陰キャな私が急に顔が良いショタ寄り青年が背後から急に出てきたら心臓止まりますわ(錯乱)

 

 

「やぁ弟の方のキャスター、もう君のマスターとの取っ組み合いは終わったのかい?」

 

 

「ああ、今兄さんがアホマスターにキャメルクラッチ(プロレス技)を決めているところだ」

 

泉京介に兄の方のキャスターがプロレス技を決めている

よく漫画とかアニメで見るやつだ

「ギブギブギブギブ!!」

マジで痛そうだ

 

 

「ねぇ、キャスター聞きたい事があるんだけどさ」

 

 

「…なんだ?セイバー?」

 

 

「君、いや、君達はアサシンの事をどう思ってるんだい?」

 

 

「…どう言う事だね?」

 

 

「一様君とアサシンは関係が何らかの関係があるんだろ?君だったらアサシンの真名が分かるんじゃない?」

 

 

「…何故俺達とあの少女と何らかの関係があると…?」

 

 

「とある人から情報を貰ってね」

 

 

「…はぁ…仕方ないか…まぁこれだけは言っておこう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「…そうかい」

 

 

え、今ので何が分かったの?愉快なモノになった(キリッ)

じゃねぇよ、何一つわかんねぇよ!

 

 

「残念ながら教えられるのはこれだけだ、アサシンの真名を言う事は俺の真名を言う事になる」

 

 

「…そう、ありがとうキャスター」

 

 

私の予想通りアサシンが本当に赤ずきんちゃんなら、キャスターとアサシンの関係は何なんだろうか?家族?親戚?もしくは赤ずきんちゃんに出てくるオオカミ?でもキャスターは二人だし…

 

 

 

「いよぉし!取り敢えず街を歩いてみますかね、もしかしたら他のサーヴァントを見つける事ができるかもしれないしね」

 

 

「えぇ…本当に行くの…?アサシンを見つけれただけでも今日は充分だと思うけど…」

 

 

「何を言うんだマスター!調査をするのはとても大事なんだよ!何も分からず戦地に突っ込むかい?ちゃんと地形や相手の数や武器、戦い方を見極めるだろう?それと同じさ!街を歩き、この街の地形、何があるかとかを理解する事によってやっと戦いができるんだよ!その為に街の探索は重要だ!」

 

 

「は、はぁ…成る程…」

 

 

「…俺も賛成だ、街とはいえ戦場になる場所を見ておき、可能ならば相手サーヴァントやマスターについても知っておきたい、兄さんもそれでいいか?」

 

 

「さんせーい!」

 

「サンセーイ…」

 

 

兄方のキャスターとプロレス技を決められなったらとしている京介も賛成した

これ私も賛成しなくちゃいけない空気か?

 

 

「そ、それじゃ…私も…」

 

 

「満場一致だね、そうと決まれば!出発!」

 

 

私達は再び、歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大型ショッピングモールの屋上にて

少女が手を広げながらクルクルと回っていた

 

楽しそうに、幸せそうに

 

 

「アハハ!フフフ!」

 

 

 

 

「…マスター、楽しいか」

そこに、槍を持った仮面を被った男が現れた

長い髪を後ろにまとめ

鎧を着てるかの様なまるで仮面ライダーの様な姿である

 

 

「えぇ、ランサー!とっても!とっても!楽しいわ!世界ってステキ!歩くってステキ!話すってステキ!全部、ぜーんぶ!ステキよ!」

 

 

 

「…そうか…」

 

 

「マスター報告がある、セイバーとキャスターが手を組んだ」

 

 

「あら、そうなの?でも貴方なら対処できるんじゃない?」

 

 

「キャスターなら今の私でも余裕だ、だが…問題はセイバーだ…」

 

 

「…そんなに強いの?セイバーは?この前の貴方の姿でも対処はできないの?」

 

 

「あの時の姿は奇跡の様な物だ、二度は使えない…例え使えたとしても、張り合えるかどうかだ…」

 

 

「そう…とっても強いのね、セイバーは」

 

 

「すまない…私が弱いせいだ…マスター…私を召喚した事を後悔してないか?」

 

 

「いいえ、後悔なんてしてないわ、それに…ランサー、貴方はとっても強いわよ?例え皆が貴方を弱いと言ったとしても、私にとって貴方は最強のサーヴァントよ?」

 

 

「…そうか」

 

 

「あ、もしかして照れてる?」

 

 

「照れてなどいない!」

 

 

「あら、そう?…ランサー、大丈夫よ私は…私達が負けても…それが私の"運命"…後悔なんてしないわ」

 

 

「…マスター、もう一度お前に誓おう」

 

 

「…?」

 

 

「"我が槍、我が力…私という者全てを君に誓おう"」

 

 

「…ええ、頑張りましょう、ランサー」

 

 

少女はランサーの手を取り、歩き出した





「いや〜最近のスーパー戦隊だったら、仮面ライダーだったり、ガ●ダムだったり色々とすごいね!マスター!」


「う、うーん…正直私はよく分からない…」


「アハハ、ごめんごめん、マスターは女の子だからあまりこういうのはよく見ないか」


「女の子でも見る人とかはいると思うけど、少数だと思うなぁ…俳優目的とかもあるだろうけど」


「成る程、俳優目的ねぇ」


「セイバーは今の仮面ライダーとか戦隊とかガン●ムとかの何処かよかったの?」


「デザインとかじゃないかなぁ…カッコイイよね最近のヤツは」


「まぁ、確かに昔のやつよりカッコいいよねデザインは日々変わってるなぁと思うし」


「ほへー…」


「やっぱり男心くすぐられるというかなんというか…カッコイイ!!と思うとつい…」


「うーん、分からないでもない…」


「…もし仮に、英霊にそんな感じの人がいたらどう思う?」


「?変身するとかロボットとか?って事?」


「そうそう」


「うおおぉ!!スゲェ!ってなると思うね、まぁ多分いないだろうけど」


「どうだろうね、もしかしたら…いるかもよ?」


「アハハ、ないない!絶対にいないね!僕はいないに花京院の魂を賭けるよ」


「花京院って…誰?」


「あれ?花京院ネタを知らない?女の子だからジョ●ョとか見ないかな?」


「…あー、作品名だけは聞いたことあるかも…」


「…マスター、多摩川のタマちゃんって知ってる…?」


「?何それ?猫?」


「グハァ!!ジェネレーションギャップゥ!!」


「セイバー!?」


「そうか…時代は変わっていくんだね…」


「自分の事は覚えてないのに…それは分かるの?」


「最低限、何があったとかは分かるよ…あ、時代の話ね」


「(やっぱり、セイバーと私はあまり時代が変わらないのかな?)」




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第6夜 再会と出会い

最後の投稿から1ヶ月以上掛かってしまいました…!ごめんなさい…

決してサボっていたわけじゃないんですよ!?

最近無駄に趣味が増えてる気がする

本編どうぞ


アサシンとの遭遇の後、僕達は

再び街をぶらぶらと探索してたんだけど、特に何も無し

得られた事は、地形情報や美味しいケーキ屋さんがある事ぐらい

 

 

 

 

 

という事で、現実世界へ帰還!

 

マスターはお弁当を持って学校へ

僕はアルバイト探しへ

 

え?なんでアルバイト探しだって?

マスターは学生、しかも一人暮らし、めちゃくちゃじゃないけど金銭事情は厳しいと言っていた

 

僕が支えなくては!!

 

 

マスターの金銭事情を解決出来なくて何が英霊か!まかせとけぇ!!マスター!!

 

 

 

 

 

 

「えっと…間桐士郎君ね…」

 

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

という事で、僕はファミリーレストラン略してファミレスのバイト面接に来ていた

何故ファミレスにしたかって?ふふ、それは接客か料理人のどっちかになれるからだ!最悪皿洗いでも家事が得意な僕からしたら何の苦もないね!

 

 

「料理人資格はないけど、料理が得意なの?」

 

 

「はい!よく皆に振る舞って美味しいと言われてました!」

 

 

「なるほど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、このファミレスの店長である サイトウにある直感が走った!!

 

 

「(この若いにいちゃん、一緒にいたらなんか絶対やばい気がする、いやこのにいちゃんがヤバいのではなくて、何かにいちゃんに寄ってくるモノがやばい気がする)」

 

そう!サイトウには下手したら英霊と同じぐらいの直感A++を持っているので、あらゆる危機的な状況を先に知ることができるのだ!

だが、しかし

 

 

 

 

 

 

「(まぁ、いっか)」

 

 

サイトウは驚くほど、楽観的であった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん!面接終わったー!!」

 

手を上にぐっーと伸ばしながら人がまぁまぁいる商店街を歩く

 

 

「いやー、いいねぇこの商店街のこの活気感!何だが懐かしい気がするよ!」

 

 

すると、商店街のど真ん中、僕が真っ直ぐ行くとぶつかってしまう道に1人の男がいた

 

長い髪を後ろに纏めサングラスを付けている

服装は革ジャンとジーパンというどんな世代だよとツッコミたくなる服装である

 

 

「(あれってまさか…)」

 

 

この気配、この感じ

圧倒的只者ではないです感!!

 

 

「やぁやぁ!君はいつぞやのランサーじゃないか!」

 

 

ここで無視するのもどうかと思い、思い切って話してみる事にした

 

 

「…お前か、セイバー」

 

 

「むむ、何だいその反応!まるで僕と会うのが嫌みたいな顔じゃないか!」

 

 

「実際嫌だからな」

 

 

何と!?ランサーの的確な精神攻撃は僕のハートにクリティカルヒット!大ダメージだ!

ぴえん

 

 

「えっと…、ここで何してるんだい?」

 

 

「こっちのセリフだ…」

 

 

「僕?バイトの面接だよ」

 

 

「…買い物だ」

 

 

「買い物?」

 

 

しかし、彼の手には花しかない買い物ってそれだけ?

初めてのお使いでももっと沢山の物買うよ?

 

 

「へー、お大事に」

 

 

「…ああ」

 

 

…?待って、なんで僕今お大事にって言ったんだ?おかしくない?ただ花持ってる人に対してお大事にって言うのはおかしいだろ!?これじゃランサーが墓参りや見舞いに行く人みたいじゃないか!!

遂に語彙力を失った僕、焦る!!

 

 

「何故バイトなんて始めたんだ?」

 

 

「え?マスターの生活を安定させるためにだけど?」

 

 

「すぐに終わる命に金を貢いだって意味はないだろう?」

 

 

「…それって…どういう事だい?」

 

 

「わからないのか?お前達は今日俺が倒すって事だ」

 

 

はーい、煽られました!こりゃあやるっきゃないねぇ…!

 

 

「ハハッ!面白いねぇ!聖杯戦争を生き残りたいって事もあるだろうけど、何が君たちをそこまで動かすんだい?よほど強い願いをお持ちなのかな?君と君のマスターは?」

 

 

「俺は願いなどない、あんな醜い盃など、俺は欲しくはない」

 

 

「じゃあ問おう、何故君は君のマスターの願い事をそこまで叶えさせようとする!君は、君という存在は()()()()()()()()()()()()()()()何故君は存在が格下の人間の願いを叶えさせようとするんだい?」

 

 

 

 

「…ノーコメントだ」

 

 

あ、ずるい

 

 

流石に騒ぎ過ぎたかな、周りの人達が僕達の事を見てる

いやー!そんな視線で僕を見ないでー!全部ランサーが悪いんですー!!煽ってきたから!

 

 

「ネェ、アノフタリメッチャイケメンジャナイ?」 「アラ、イイオトコ」 「モデル?」 「ハイユウサントカ?」

「ウホッ、イイオトコ」 「ケンカカ?ケイサツヨブカ?」

 

 

「…人が集まって来たな…じゃあなセイバー、また、夜に会おう」

 

 

「じゃーね」

 

 

ランサーは道を真っ直ぐ進んで行ってしまった

 

 

 

 

「…ケーキ買って帰るか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜」

 

あくびをしてしまった私は今現在お昼を食べ終わって眠気が襲う魔の五時間目の授業を受けていた

 

 

眠いなぁ…どうして古文の授業ってこんなに眠くなるんだろなぁ…

あの一つ一つの文字に眠くなる呪いでも付与されているじゃないか?

古代の人間恐るべし!

 

 

 

 

 

 

 

終わりのチャイムが鳴り、皆片付けを始める

 

次は…数学か、私数学の係だから授業で使う物下に取りに行かなかなきゃいけないんだよなぁ…

 

 

教室を出て階段を降りる

 

 

一階に降りて倉庫から機材やらなんやらを取り出し持ち上げる

 

重くもなければ軽くもない、絶妙な荷物だ両手で持たなければいけない所が面倒くさいが

 

 

「よっこいしょ…」

 

 

荷物を持ち上げると一つの荷物が落ちてしまった

 

うげー、マジか、しゃがむという無駄な事をしなければならない、しかしここでとらなければ荷物一つを置いていくという事になってしまう

実にめんどくさい事になった

 

 

 

すると

 

 

 

「はい、どうぞ」

 

 

1人の女子生徒が取ってくれた

 

 

「え、あ…ありがとうございます…」

 

 

黒髪ロングに黒い目

めっちゃ美人…スタイルも抜群…

 

あ、この人知ってる…三年の確か…黒田奈緒子だっけな…

 

 

「気をつけてね」

 

 

そのまま彼女は長い廊下を進んで行ってしまった

 

 

なんだろう、不思議な人だな…

自分を隠しているというか…猫を被っているというか…

何か、あの人は…違う気がする

 

 

あ、やべ早く持って行かないと!

 

私はゆっくりとだが少し急ぎ足で教室に向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、迷うなぁ」

 

 

僕は今現在先日の街の探索の時に見つけた美味しいケーキ屋さんに来ていた

 

目の前に広がるのは宝石の様に綺麗で美味しそうなケーキ

ショートケーキにチーズケーキ、タルトやモンブランなどどれも美味しそうで選べない

 

 

うーん、マスターは何が好みかなぁ…フルーツタルト?チーズケーキ?案外ショコラケーキかも…

 

 

迷ったら全部買えばいいじゃない、と頭をよぎるが

そんな事をしたらマスターの家計が真っ赤になるためにそんな事はできない

 

うーん、だけど…迷うなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全種類を一つずつくれ」

 

 

僕の横の人がそう言った

 

 

ほえー、贅沢

余程のお金持ちも見た!

 

僕は横の人をチラ見する

 

 

その人は金髪に赤い眼、耳には錠前?を付けている女性である

所々に金がある服を着ている

 

何か服ダサくない?

 

 

まぁ、顔は美人である

モデルやっててもおかしくないレベルの

 

 

「そのうち二つはここで食べる」

 

 

「畏まりました」

 

 

あら、本当に金持ちな人だこと、平日にお高めのケーキを全種類買ってそのうち2つはお店で食べるとか

 

 

「久しぶりだな、セイバー」

 

 

 

久しぶりにゾクッとした

 

 

僕の事をサーヴァントだと知っている!?

 

つまりコイツも…

 

サーヴァント!?

 

 

僕は急いで立ち上がる

 

 

「そうか、今は記憶を失っているのか、仕方ない」

 

 

 

 

「少し付き合え、セイバー」

 

 

そう言い彼女は受け取ったケーキを自分の前に差し出し言った

 

 

「…?あ、うん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故僕は今お茶を飲みながらケーキなんて食べてるんだろう?

いや、まだそれは普通にあり得る…

 

問題は僕の目の前の席に座るこの女性だ

 

ケーキを食べる僕を微笑ましく見ているこの女性は僕と同じサーヴァント…だよな?

 

なんだろ、この感じ…この女性からは危ない感じが…

一緒にいたら面倒くさい事になりそうだぞぉ?

 

 

「ケーキ、食べないの?」

 

 

「欲しいならやるぞ?」

 

 

そう言って彼女は僕に自分のケーキを差し出す

 

いや、別にそういう意味で言った訳じゃないよ

 

 

「そういう事じゃ無くて…ほら、ずっと紅茶飲んでるだけたから…」

 

 

「目の前に甘味よりも甘いモノがあるのだ、この様な物は必要ない」

 

 

目の前…?

僕は後ろを向くがガラス越しの外の景色しか無い

しかも外の景色は多少自然があるものの、ほぼ住宅街なのだが?

 

 

「…で、君は…サーヴァントでいいんだよね?」

 

 

「ああ、サーヴァントだ」

 

 

やっぱり…だとしたらクラスは?

今のところ判明してるのは

 

ランサー アサシン キャスター そして僕、セイバー

 

 

だとすると…残っているのは

 

 

 

アーチャー(弓兵)

 

ライダー(騎乗兵)

 

バーサーカー(狂戦士)

 

 

見た感じ…バーサーカーではなさそうだな…

狂ってはなさそうだし…

 

 

「…クラスを聞いてもよろしくて?」

 

 

「アーチャー」

彼女は紅茶を飲みながらそう答えた

 

 

アーチャーか…

 

なるほど…

 

これで残るはライダーとバーサーカーだけか…

 

 

「質問続きで悪いけど、なんで僕とお茶をしようと?宣戦布告?」  

 

ランサーにも宣戦布告されたから2人同時はできればやめてほしいんだけど

 

 

「いや、そんな事をしに来たのでは無い」

 

 

よっしゃ、戦闘は免れたぜ!

んじゃ、なんで僕を?単純に敵を観察しに来たのか?

 

 

「フン、単刀直入に言おう」

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(わらわ)のモノになれ、セイバー」

 

 

 

はぁ?

 

 

何言ってんの?この人?

 

 

 

「…理由を聞いてもいいかな?」

 

 

「単純な理由だ、我はお前が好ましい いや、愛してる!我のモノになれ!セイバー!!」

 

 

「丁重にお断りさせていただきます!!!」

 

何を言い出すんだ!?この人!?

バカなの!?バカなのか!?

 

 

「何故だ!?我はこんなにもセイバーの事を愛しているだぞ!?何故これが分からん!?」

 

 

「初対面の人に愛を唱えられたら誰だって断るし、引くわ!!!ていうか誰!?君誰なのさ!?まずは名乗りなさいよ!?」

 

 

 

「ああ!いいだろう!!言ってやろう!我の名を!!はい雑種共!ご唱和下さい!我の名を!!」

 

 

やめろぉ!恥ずかしい!!店の人達とお客さんが見てるぅ!!

 

え?これもしかしてマジで名前(真名)いうやつ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我の名は!英雄王ギルガメッシュ!!いや、女帝ギルガメッシュ!その人である!!」

 

 

 

 

開いた口が塞がらなかった

 

 

コイツが…!?

 

 

この人が…!!

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()!?

 

 

 

 

 

 

ここにて、士郎先生の偉人紹介

 

古代メソポタミア、シュメール初期王朝時代の伝説的な王で世界最古の物語として有名な『ギルガメッシュ叙事詩』の主人公だね!

頑張って探した不死身の薬を水浴びしている最中に蛇に取られた

中々面白い伝説を持っている人だね!

ここテストに出しますよ

 

 

 

「嘘…でしょ?何故貴女の様な存在が僕を?」

 

 

「理由なぞ無い、まぁ、一つ挙げるとすれば…お前の生き方だろうな…」

 

 

分からない…この人の事がとことん分からない…

 

ていうか人?人であってるの?半人半神だから人として扱っていいのか分からんぞ

 

 

「聞いてもいいかな…?いつどこで僕を知り、好きになったの…?」

 

 

「最初からだ」

 

 

「最初?貴女は僕がマスターに召喚された時、何処かにいたのか?」

 

 

「そういうことでは無い、我はお前の事を昔からよく知ってる…サーヴァントになる前からな…」

 

 

 

「!!?」

 

 

どういう事だ!?

僕の生前を知っている!?つまり…記憶を失う前の僕を知っているという事なのか!?

 

でも、何故だ!?コイツは…人類が生まれてすぐの最古の文明の王なんだぞ!?何故僕を知っているんだ!?

 

つまり僕は…ギルガメッシュ王となんらかの関わりがある人だったのか!?

 

 

でも、それはどう考えてもおかしい…

 

何故僕は和服を着ている?何故日本刀を持っている?

何故日本人の名前なんだ?

 

 

 

あー、もうよく分からない…

 

 

「教えてくれ!僕が何なのか…何者かを!」

 

 

「…そうお前が望むなら教えてやってもいい…だが、他人の記憶から自分を判断するのは間違っていると思うぞ、自分で思い出してこそ、真のお前が帰ってくるのだ」

 

 

真の…僕が帰ってくる…?

 

記憶を思い出す事で自分が帰って来るなんて言葉初めて聞いたんだが

 

 

「フン、そうだな一つだけ教えてやろう」

 

 

女帝は紅茶を飲み干し、こう言った

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()

 

 

せ、正義の味方?

 

 

「我から言えるのはこれだけだ」

 

 

そう言いギルガメッシュは立ち上がる

 

そして

 

先程買ったケーキをの箱を僕に差し出した

 

 

「やる、我はその様な物はいらん」

 

 

「え、ちょっと!?まだ聞きたい事が…!」

 

 

「また、会おう…セイバー、今度は夢の中でな」

 

 

それを最後にギルガメッシュは店を出て行った

 

 

 

「…な、何というか…びっくりするほど疲れたなぁ…」

 

 

情報が多すぎる…あの有名なギルガメッシュだったり、自分が正義の味方?だったり…

 

うーん、まぁ…今はケーキをを食べて忘れよう!

 

 

…ん?このケーキ…変わった味がするなぁ?

いや、不味いわけではないんだけど…

むしろ美味しいよ?

 

 

「店員さん」

 

 

「はい?」

 

 

「このケーキ、少し変わった味ですけど何を使っているんですか?」

 

 

「ああ、このケーキは"桜"を使っているんです、珍しいでしょう?」

 

 

なるほど、桜か…たしかにほのかに桜の匂いが…

春を先取り〜

 

 

「へぇ〜!桜ですか!僕も料理得意なので今度お菓子作る時に桜の塩漬けでも試してみます!」

 

 

「あら!そうなんですか!頑張ってください!応援してますよ!」

 

 

「もしよかったら、お作りしたのを持ってきましょうか?」

 

 

「あらら〜、パティシエにお菓子を作って持ってくるとは!新手の挑戦状ですか?」

 

 

「違いますよー!ただ僕は自分が作った料理で皆が笑顔になってくれるのが嬉しいんですよ(圧倒的鈍感イケメンスマイル)」

 

 

「はぅッ!?(何この人、イケメン!?)」

 

 

「はぅ?」

 

 

「い、いえ!ありがとうございました!!またのお越しをお待ちしております!!」

 

 

追い出されたんですけど!?

 

 

 

 

しっかし桜かぁ…帰りにスーパーでも…

 

 

 

 

一枚の桜の花びらが僕の目の前に落ちた

 

 

「桜…?まだ、早くないか?」

 

 

 

貴方は、自分の事を知りたいですか?

 

 

そんな言葉が僕の頭に突然出てきた

 

それと同時に入ってくる謎の記憶

 

その記憶は楽しい記憶だったり、悲しい記憶だったり、苦しい記憶だったり、憤怒する様な記憶であったり、嫉妬する様な記憶であったりと様々な情報が僕の頭の中に流れてくる

 

 

「あ、ああああああ!!!?」

 

 

痛い、

 

痛い

 

頭が割れそうなぐらい痛い

 

 

 

これが、僕の記憶なのか?

僕が本来の僕に戻るためにはこの痛みに耐え、この全ての情報を頭に入れる必要があるのか?

 

 

 

頭の痛みが消えた

 

 

「うぅ…、これキツイなぁ…」

 

 

僕は少しゆっくりとした動きで、マスターの元へ向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでが今日の僕の出来事だね」

 

 

「濃いよ!1日が濃厚過ぎる!!下町にあるラーメン屋のラーメンのスープよりも濃いよ!!」

 

 

 

学校が終わった私はアパートに帰り、セイバーが作ったご飯を食べながらセイバーの濃厚な1日を聞いていた

 

 

「アハハハ!マスターその例えおもしろーい!その例え方いただくよ!」

 

 

「…で、記憶の方は…?」

 

 

「全然、ミリも思い出せないよ」

 

 

「そっかぁ…」

 

 

 

 

「…でもさ、これだけが頭の中に印象深く残っているんだよねぇ」

 

頬杖をつきながらそんな事を言ってきた

 

 

「"桜"」

 

 

「さくら…?花の桜?」

 

 

「多分そうじゃないかなぁ?静岡県の麩菓子じゃあるまいし」

 

 

「…逆になんでさくら棒の方が出てくるの?」

 

 

「フフッ、分からん」

 

 

「あとさマスター」

 

 

「?なに?」

 

ご飯を頬張りながら答える私

 

 

 

 

 

「多分今夜ランサーとガチの闘いするからマスターも覚悟決めといた方がいいよー」

 

 

スーパーのチラシを見ながら答えるセイバー

 

 

あ、ふーん ランサーとガチの闘いね

 

…ん?ランサーとガチの闘い?

 

ランサーとガチの闘い!!!???

 

 

 

「え!?ちょっ!?それって…!」

 

 

「?お互いの命を掛けて戦うって事だけど?」

 

 

は、はああああぁぁぁ!!?

 

 

「え!?な、なんで!?もっと早く言ってくれないの!?もっと早く言ってくれれば準備できたのにぃ!!」

 

 

「化粧とか?」

 

 

「違うよ!!戦うための準備だよ!!」

 

 

 

 

「フフッ」

 

 

怒っている私を見て笑うセイバー

 

 

「何わろてんねん」

 

 

「いやさ、マスター 初めて会った時より明るくなったからさ、嬉しくてつい笑みが」

 

 

親か?セイバーは私と父親なのか?娘の成長を喜ぶ父親の姿なんだけど?

 

…でも、何故か悪くない…お父さんもこうやって…

 

あれ…?お父さんは…私の成長を喜んだいたっけ…?

 

…お父さんって、どんな人だっけ…?

 

 

「マスター?」

 

 

「え?あ、何?」

 

 

「対策なら大丈夫だよ、キャスターに頼んであるし」

 

 

なんだ、キャスターに頼んであるのか、ならよかった…ん?

 

キャスターって非戦闘員だよね?

 

 

心配なのだが…

 

 

 

「あとさ、戦略について言っておくけど」

 

割と真面目な話が来た、これは真剣に考えなくてはいけないやつかな?

 

 

「僕がランサーと戦っている間、マスターはランサーのマスターと戦ってもらう」

 

 

うん、うん、うん…うん?

 

え…?相手のマスターと戦ってもらう!?

 

 

「え!?は!?私が戦うの!?」

 

 

「当たり前じゃん、僕だってずっとマスターについて入れるわけじゃないんだしさ」

 

 

殴り合いでもしろって言うのか?

格闘の経験はないんだけどなぁ

 

 

「だからそんな心配しなくても大丈夫だって、キャスターに頼んであるから」

 

 

「そんな事言ったって…」

 

 

「大丈夫だから、はい!お風呂は入って寝る準備!!」

 

 

「ちょっ、セイバー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分遅かったな、待ちくたびれたぞ」

 

 

「君らが早いんじゃないの?まだ21時だよ?」

 

 

「ウチのマスターはバカだが生活習慣は正しくてな、夜の9時に寝て朝7時に起きるザ・健康生活を送っている」

 

 

「誰が馬鹿じゃ」

 

 

「で、キャスター"例のものは"?」

 

 

「ああ、持ってきているぞ」

 

 

「よっしゃ、じゃあ行くかね」

 

 

行くのか…覚悟は決めてきたとは言えまだ不安がある

皆は不安じゃないのかな?下手したら死ぬんだよ?怖くないのか?

 

 

「マスター」

 

 

「?何?」

 

 

「大丈夫、僕がいる 僕が守るから」

 

 

「…え?」

 

 

「だからそんな心配しなくても大丈夫だよ、君を死なせたりはしないから」

 

 

…もう…セイバー、そういうところだぞ…

 

 

「…よし、行こう」

 

 

私達はランサーとそのマスターの元へと向かい、歩き始めた




サーヴァント

アーチャー

女帝ギルガメッシュ

強さや能力は男ギルと対して変わらない
性格、見た目、めんどくさいところは全くという程同じ
何故かセイバー(間桐士郎)に好意を抱き、いつも求婚を迫っている

戦闘服は男ギルと同じ様に金の鎧を着ているのだがかなり露出している
「何?それで体を守れるのかだと?ハッ!何を言うか、これはファッションというやつだ!」
 
私服はダサい


マスター 不明




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第7夜 バトル

割と早めに書けたのではないかと思います

まぁ、内容は保証できませんが

好きなss作家さん達が音信不通になってきて悲しいですね

本編どうぞ


「ねぇ、キャスター…一つ聞いてもいいかな?」

 

 

私たち一行はランサーとランサーのマスターとの決戦の場に向かっている

 

「ん?どうした?セイバー?」

 

 

「いやさ、何で…鎧つけてるの?」

 

セイバーの気持ちはよくわかる、私も不思議に思っていた

なぜ、キャスター(弟)はなぜ西洋の鎧を着ているのか…と

 

「安心しろ、これはレプリカだ何の防御性も何もない」

 

 

「レプリカなの!?これから戦争しに行くのにレプリカなの!?まだ防御性があるならともかく防御性能が何もないならただのコスプレだよ!?」

 

 

「ああ、()()そうだな」

 

 

「…それって泉君に付けた方がいいんじゃないの?」

 

 

「ハハッ、セイバーのマスターよ安心しろ、コイツ(京介)は多分ギャグ補正がついている、銃で撃たれても次の日にはピンピンしてると思うぞ、ここ日本の言葉で言うならアレだ、バカは風邪引かないと同じだ」

 

 

「てめぇ!キャスターこの野郎!!」

 

 

泉がキャスターに飛びつき取っ組み合いの喧嘩が始まった

そこに兄の方のキャスターが参戦し大乱闘に

 

 

前もこんな光景を見た気がする、飽きないなぁ…この人達は…

 

 

「コラコラ!まだランサーのところに着いてもいないのに傷作ってどうするの!喧嘩はやめなさい!!」

 

 

セイバーと鉄拳が3人に頭に炸裂する

 

 

「ハハハ!よぉし!行こうかマスター!」

 

「おう!行こうぜ!キャスター!」

 

「レッツゴー!」

 

 

「え、あれ大丈夫?おかしくなってない?」

 

 

「そう?元々あんな感じじゃなかった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この街にある唯一の大型病院、その屋上にランサーと1人の少女がいた

少女は明るくも暗くもない、そんな空を見て、色が抜けた白黒の街を見てキャッキャはしゃいでいる

 

それに対し、ランサーは屋上の柵に腰をかけ手を組んでいる

 

「…来たか」

 

 

ランサーがそう呟くと同時に屋上に行くための階段のドアがガチャと開く

 

「やぁ!ランサー!昼間ぶり!喧嘩してた?」

 

 

「ちょっ…セイバー!?」

 

 

「あれがランサーか?仮面ラ●ダーじゃねぇか!?」

 

 

「成る程、あれがランサーか、ライダーにもジョブチェンジできそうだな」

 

 

「変身してよ!変身!」

 

 

 

酷い言われ様である、この悲壮感(?)な空気が漂う中で現れた者たち

 

 

「…」

 

 

ランサーは仮面の下で悲しみと怒りとめんどくさい、的な色々な感情が混じり合った複雑な顔をしていた

 

 

「(私はコイツらの相手をしなてはいけないのか…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上のドアを開けた先にいたのは仮面をつけ、槍を持った背の高い男性と

白いヒラヒラのドレスの様な服を着た少女であった

おそらく私よりも年下で、体が心配になるぐらい細い

 

 

「ふーん、そゆことね」

 

 

何かを察したかの様に言うセイバー

 

「?セイバー?」

 

 

「いや、なんでもないよ…マスター、覚悟は大丈夫?」

 

 

「え?あ、うん!大丈夫!やるよ!私!」

 

 

セイバーはにっこりと笑い私の頭を撫でた

 

「うん、その意気だよ、頑張ってね!」

 

 

「う、うん…」

 

 

 

 

 

「セイバー!時間は無限ではない!やるぞ…」

 

 

「あらやだランサーってばせっかちなんだね、こう言うのは余裕を持って、のんびーりと…」

 

 

「チッ…!」

 

 

「あー!舌打ちしたー!酷いよ!ランサー!僕たちズッ友だろ!」

 

 

「お前と友になった記憶はない!!」

 

 

ランサーは勢いよく踏み込みそのままランサーはセイバーに突っ込み(物理)ランサーとセイバーは病院の屋上から飛んでいく様に消えていった

 

 

 

 

屋上には私と泉京介とキャスター2人とランサーのマスターだけになった

 

だが、無言だ

 

 

ランサーのマスターはずっと屋上から見える空や景色をずっと見ている

私達など眼中にないかの様に

 

 

「…えっと…ランサーのマスターさん…?」

 

 

返事は返ってこない、私達に背を向けずっと景色を見ている

 

 

「何だあれ?簡単にやれるんじゃねえの?」

 

 

確かに、私達に隙を見せまくりだ、戦う気があるんだろうか?

 

 

「やめておけ、あの少女は後数秒後に振り向く、セイバーのマスター、彼女をもう一度読んでみてくれ」

 

 

「え?あ、うん」

 

 

「あ、あの…君…」

 

 

「?」

 

 

少女がこっちを見た

 

 

「貴女たち…誰?」

 

 

「え…」

 

 

「おいおい、アイツ大丈夫か?」

 

 

「マスターに言われるのは心外だろう」

 

 

「マスターの方がバカでしょ!」

 

 

おいおい、この場で喧嘩するのはやめておくれよ

 

 

「あー!貴女達ランサーが言ってた人たちね!」

 

 

「あ、うん、そうだよー」

 

 

うーん、可愛らしい少女だ、その笑顔が眩しい!

私の様な陰陰陰には眩しすぎる!

 

この子と仲良くできないかな…、純粋な子そうだからワンチャンいけそう…

 

 

「ランサーから言われてるの!貴女達が来たらこれを使えって!」

 

 

「え、あ、そうなの?」

 

 

少女は足元にある結構な大きさの袋をガサガサと漁り

 

 

とある物を出した

 

 

 

 

 

ロケットランチャーだ

 

 

「は?」 「え」

 

 

私とキャスターのマスターの口からこんな声が溢れた

 

 

「セイバーのマスター!避けろ!!」

 

私はすぐ横に緊急回避をした

 

避けたと同時にランチャーが発射され私の背後にあった扉が爆発した

 

 

「え…えぇぇぇぇぇ!!?」

 

「おいおい!?何であの女の子があんなもん持ってんだよ!?」

 

 

「銃刀法違反!銃刀法違反!おまわりさーん!!」

 

 

混乱して変な事ばかりが口に出る

 

 

「気を付けろ、まだ来るぞ」

 

 

キャスター(弟)は冷静に答えた

 

 

ランサーのマスターはロケットランチャーを捨て、また足元の袋を漁る

 

そして次に出したのはライフルであった

 

 

「階段の方に隠れろ!」

 

 

私達は階段の方にダッシュで向かい隠れた

 

壁に銃弾が当たる音が聞こえる

 

 

「無理無理無理!!銃に勝てるわけない!おうちかえる!!」

 

 

「…よっしゃ、俺に任せ…」

 

 

「よしマスター、ステイ」

 

 

「あ、ハイ…」

 

 

「大体、何で銃何であるの!?日本の警察は!日本のポリスメンは何をしているぅ!!」

 

 

「いや、正確にはあれは銃ではないぞ」

 

 

キャスターが冷静にそう言った

 

 

「え?」「ドユコト?」

 

 

「あれは、モデルガンだな」

 

 

「も、モデルガン?え、でも爆発したし、銃弾も本物だよ?」

 

 

「モデルガンって何だ?」

 

 

「簡単に言えば、発射できない銃だ」

 

 

「ほーん…ってじゃあ何で撃てるんだよ!?」

 

 

「だから今その話をしているんだろうが」

 

 

「セイバーのマスター、()()()()()()()?()

 

 

「え…?あ、()()()()じゃないの?」

 

 

「そうだ、それだ」

 

 

?夢の世界?

夢の世界?

夢…思考の中の世界?

 

 

「?…!まさか!?」

 

 

「分かった様だな」

 

 

「?ドユコト?」

 

 

「…この世界は夢の世界だから、例え偽物でも本物になる…って事でしょ?」

 

 

「そうだ、この世界はあくまで夢の中、自分の思う通りにいく、だからモデルガンでも本物の銃になったんだな」

 

 

「ほぇ〜、夢の世界ってすごいな」

 

 

「それじゃぁどうするの?私達は生憎武器になる物持ってきてないよ」

 

 

「俺の武装を使うか?」

 

 

「そのまま撃ち抜かれそうなので却下」

 

 

「ふん、ならこれを使うがいい」

 

 

キャスターは胸元に掛けてあったペンダントを取り私に差し出した

 

そのペンダントは青いサファイヤの様に綺麗な物であった

 

「これは?」

 

 

「セイバーから言われてないか?」

 

 

「…あぁ、例のやつ?」

 

 

「これが、この戦いに勝利する為の鍵だ」

 

 

「これが…?」

 

 

私は差し出されたペンダントを受け取った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランサーのタックルによって吹き飛んだ僕とランサー

途中でランサーから離れ港の近くに着地した

 

 

「…マスターから随分離れちゃったな…大丈夫かな?」

 

 

と心配していると目の前から槍が飛んできた

 

 

「うおっ!?」

 

 

槍が飛んできた方を見ると、仮面を付けた男がこっちに向かって歩いて来ている

 

 

「…危ないなぁ、ランサー武器といえどもっと優しく使わなきゃいけないよ?」

 

 

「お前を殺すためなら本望だと槍も言っているさ」

 

 

「ははっ怖」

 

 

うーん、普通に戦うしかなさそうだなぁ

やるしかないのか…

 

「やる気になったか?」

 

 

「戦わないと君僕を殺すだろ?」

 

 

「そうだな」

 

 

「平和的に行こうよー、ほらスマイルスマイル!」

 

 

 

「…そういうところだ…」

 

 

「え?」

 

 

「私は貴様のそういう所が嫌いなのだ!!」

 

 

「え?うん?」

 

 

「私を圧倒できる程の実力を持っていながらもヘラヘラとしているッ!!そういうところが私は気に入らんのだ!!」

 

 

「え、えぇ…(困惑)」

 

 

「何故だ!何故それほどの力を持っていながらそうヘラヘラとしている!?お前なら私達など最も容易く潰すことができるだろうに!!」

 

 

「…何故だろうね」

 

 

目から何かか零れ落ちる感覚がある

 

涙だ、僕は今泣いているんだ

 

 

「!?」

 

 

流石にランサーも驚いた様でこっちに近づいていた足が止まる

 

 

「僕も、よくわからないんだよ、何故ヘラヘラしているのか、何で今泣いてしまったのかも…僕はね…記憶喪失らしいんだよ」

 

 

「記憶喪失だと…?」

 

 

「だから、僕もどういたら分からない、本来の僕はもっと真面目な奴だったのかもしれないし、逆かもしれない…」

 

 

分からない、何故泣いているのか、でも涙が流れてくる

 

 

「自分の在り方がわからないよ…僕は…」

 

 

「…」

 

 

「でも…、これだけは本心で言えるんだ…」

 

 

僕は刀をゆっくりと引き抜いた

 

「僕は、いや…僕達は君達に絶対に負けない」

 

 

「…ああ、私達もだ」

 

ランサーが手を前に出すと、壁に刺さっていた槍がランサーの手元に戻った

 

 

「いくぞ…セイバー、私が出せる最大の力でお前を討つ!!」

 

 

ランサーが槍を構えると、今まで槍を覆う様になっていた水の様な物が弾け飛んだ

 

その槍は三叉槍であった、純白の白 所々に模様の様なものが彫刻されている

 

 

ランサーは己の真名を晒したのだ

 

つまり、()()なのだ

 

なら僕も…今の僕はどこまでやれるのか分からないけど…やるしかないんだ

 

 

「ああ、僕も全力で君の相手になるよ!」

 

 

 

 

僕とランサーは同時に動いた

 

目に纏まらぬ速さで駆け出し

 

お互いの武器をぶつけ合った

 

 

ただ武器と武器がぶつかり合う、金属を叩きつけるかの様な音が、何度も何度も聞こえる

 

何度か武器をぶつけ合った後、僕とランサーはお互いの武器を鍔迫り合いの様に擦り付けながら睨み合いをしていた

 

 

「ッ!」

 

「ッ!」

 

 

そして僕はランサーを押し、隙ができたランサーに蹴りを入れようとしたが、防がれた

 

 

「もう蹴りは効かんぞッ!!」

 

ランサーは槍の棒の部分を僕の腹に向かって飛んでくるボールを打つバットの様に振った

 

 

なんとか刀で防ぐ事に成功したが、ある程度の衝撃が僕の腹に入る

 

 

「ぐッ!?」

 

 

僕はそのまま吹っ飛ぶが足を地面に付け、何とか飛んでいく体を押さえつけた

 

 

「これでどうだッ!!」

 

ランサーが槍を槍をクルクルと回し、最後に横に振る

 

 

すると、ザザザ…と言う音がした

 

 

「まさか…!?」

 

 

僕は海の方を見た

 

大きな波がこっちに向かって来ているではないか

 

 

僕は急いで置いてあるコンテナの上に逃げるが

 

ランサーは逃すかと追ってくる

 

波がそこら辺一帯を飲み込みコンテナも流されそうになる

 

 

「コンテナの上じゃダメか!」

僕は流れゆくコンテナを飛び移り船からコンテナを下ろすための大きなクレーンの場所に急いだ

 

 

「行かせるかッ!!」

 

ランサーが槍を振ると

 

波が変な動きをして僕を襲って来た

 

 

「うあッ!?」

 

 

波が明らかにおかしい軌道で僕を襲った

 

「なるほど…海を操れるとは聞いていたけど、波すらも自分の意のままって事ね」

 

 

また波が僕を襲って来た

 

なんとか波を避けコンテナを移っているがしかし

 

次の瞬間、大きな波が僕の目の前に現れ僕を飲み込もうとしていた

 

 

「まだだ!!」

 

僕は足元にあった、波によって運ばれて来た丸太を蹴り上げ、目の前の波に向かって蹴った

 

波は波を貫通し、大きな穴ができた

 

僕はその小さつなりつつある穴に飛び込み、何とかクレーンの脚を掴んだ

 

 

少し濡れながらも、波を抜けることができ内心ホッとする

 

 

「次は上でやろうよ?ランサー」

 

 

「…望むところだ」

 

 

僕は階段を急いで登り、クレーンの上に登った

 

 

 

先程の波で濡れた為、少し冷える

 

 

ランサーも上がってきた様だ

 

 

そして僕達は再び戦いを始めた

 

 

ランサーが僕に向かって槍を突き刺そうとするが

僕はランサーの大きく空いた脚をスライディングしながらすり抜け、ランサーの左足を切ろうとしたが

ランサーは急いで回避したため、大きなダメージにはならなかっだ様だ

 

 

再び僕とランサーはぶつかり合い

そして離れ、再びぶつかり合う

 

この繰り返しだ

 

 

するとランサーは槍を投げつけ、僕に向かって走り出した

 

僕は槍を刀で弾くと、その隙にランサーが僕の目の前に来て僕に殴り掛かろうとしてきた

 

 

僕はその拳を掴み刀の頭でランサーの頭を殴りつけた

 

 

「ゴフッ!?」

 

 

ランサーの仮面の一部が割れ、ランサーの左目が見える様になる

 

その目は青く、美しいものであった

 

 

ランサーは少しヨロヨロと後ろに下がり、体勢を立て直す

 

そして投げた槍を手に戻し再び構える

 

 

「…一発で決めてやる」

 

 

「…うん、望むところさ」

 

 

僕も刀を一度鞘に入れる

 

 

この狭い中で西部の決闘の様なものが始まるのだ

 

海の波の音意外聞こえずただ静寂が僕達を包み、冷たい風が濡れた体を冷やす

 

 

 

波が大きな音を立てた

 

僕達は同時に動き、止まった

 

 

「…ガハッ!?」

 

 

ランサーの胸に大きい切り傷ができた

 

そこからは大量の血が出て、ランサーは膝をつく

 

 

「…致命傷レベルだよ、降参するなら今のうちだよ?」

 

 

「誰がッ…降参など…」

 

 

「でも君はもう無理だ!動けない程の致命数だよ!?」

 

 

「まだだッ…!まだ私は…戦えるッ!!」

 

 

 

君は、そこまであの女の子を救いたいんだね…ランサー…

 

 

 

「…原初の海…全てはここから始まり…、ここで終わる…」

 

 

ランサーが震えるその声で何かを言い始めた

 

 

「まさか…君…宝具を…!?」

 

 

僕は止めようと動こうとするが

 

 

「我は…その全てを司る神なり…」

 

 

遅かった様だ

 

 

この高さからは絶対にありえない筈なのに

 

ランサーの周りから波が出て、僕を飲み込んだ

 

 

 

 

 

 

目を開けると…そこは

 

 

 

海だった

 

 

見渡す全ては海、何もない

 

僕はその海の上に立っている

 

 

「これは…固有結界」

 

固有結界、それは

術者の心象風景をカタチにし、現実に侵食させて形成する結界。

世界と繋がり自然を変貌させる「空想具現化(マーブル・ファンタズム)」の亜種であり、

展開すると、結界内の世界法則を、結界独自のモノに書き替えたり、捻じ曲げたり、塗り潰すことができる

自分の世界なのだ

 

 

よく見ると、奥にランサーがいた

 

 

ランサーは何かに乗って立っている

 

 

イルカだ、ランサーはイルカに乗り僕と同じ目線にいる

 

 

「…私は…私の全てを使い、貴様を倒す…行くぞ…セイバー…」

 

 

ランサーは再び槍を構えた

 




実はこの作品、僕が聞いている音楽の歌詞がキャラクターの性格や個性、話の構成になっております

ちょっと古めの曲を聞いたり
最近の曲を聞いたり、様々です


次回、ランサーの正体と宝具が分かります


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第8夜 決着

遅くなりました

色々あって執筆する時間があまり無く、投稿するまで握る時間が掛かりすぎました

本編どうぞ


多くを人救ってきた

 

多くの人を殺してきた

 

誰かの為だと思って戦ってきた

 

誰かが笑ってくれると思って戦ってきた

 

自分がいくら怪我を負っても

 

自分が心に大きな傷を負っても

 

誰かが笑ってくれると信じて戦ってきた

 

皆を救いたかった

 

誰でも救える、マンガやアニメの様なヒーローに僕はなりたかった

 

 

でも、それは無理だと分かったよ

 

1人を救う為に、1人を犠牲にする必要がある

 

何かを成す為には、それ相応の犠牲を払わなくてはいけない

 

 

それが…自分にとって大事な人でも…

 

 

心身共に疲労し、砂漠を歩く

その手は赤く染まり、目は虚ろだ

息が荒れ、己の死期を悟る

 

後悔はしてない

だけど、幸福ではなかった

 

自分自身を削り、誰かを救う

 

それが、僕にとっての"正義の味方"だ

 

 

足が動かなくなり、その場に膝を付ける

 

夜の冷たい砂漠が僕の体温を奪っていく

 

目がゆっくりと閉じていく

 

 

 

●●●…僕はこれで正しかったのかな…? 

 

 

1人の男が夜の砂漠で息を引き取った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今現在の状況を軽く説明すると

ランサーのマスターがマシンガンぶっ放していて動けない

 

この状況を打破する為にキャスターが私に渡してきたものは…

 

ペンダントであった

 

「ふざけてる?」

 

 

「大いに真面目だが?」

 

仕方ない、普通はこんな反応をしてしまうだろう

何せペンダントだ、銃や剣でもなんでもなくペンダントなのだ

この状況を打破する為に伝説の剣とか銃を持ってきてくれるかと期待していたらまさかのペンダント

普通なら絶望ものだ

 

 

「いや…だってペンダントでしょ…?これでどうしろと?」

 

 

「セイバーのマスター…長いなカノンでいいか?」

 

 

「…いいよ?」

 

 

「カノン、君は普通の人間に比べ魔力量が化け物級に…いや桁違いに多い…」

 

 

「魔力量?あのアニメやマンガ見たいな?魔法を使う為に必要なやつ?」

マジか、私は魔力量が多いのか

魔法の呪文とか覚えれば魔法が使えるのだろうか?

 

 

 

「そうだ、君は特別多い」

 

 

「…それで?このペンダントと何が関係あるの?」

 

 

「いいか?このペンダントには付けた者の魔力を形にして銃の様に放つことができる」

 

 

「…え?つまり魔力銃ができるってこと?」

 

 

「まぁそうだな」

 

 

「すっげぇ!!俺もできるのか!?」

 

 

「お前は魔力量が絶望的だから無理だ」

 

 

「何ィィィィィ!!?」

 

 

何故この絶望的状況で叫べるのだ…やはり私はこの男がよく分からん

ある意味こんな人になりたいよ…

 

 

 

すると、あの少女が何か投げた

 

 

「?何か投げたよ?」

 

 

「ん?本当だ、野球ボールぐらいの大きさだな」

 

 

「ああ、あれは手榴弾だな」

 

 

…え?

 

 

「「ええええ!!!?」」

 

 

投げるのが上手くいかなかったのか、私達と少し距離が空いた場所に落ちた

 

 

「ちょちょちょ!!!どうするの!?」

 

 

「爆発するぞぉぉぉ!!!?」

 

 

「よし、マスター!兄さんの持っている盾を持て!!」

 

 

「は、は!?」

 

 

キャスター(兄)は泉に持っていた盾を持たせ、泉を前に出した

 

 

「は!?ちょっ…!!クソォ!!やるしかねぇ!!!」

 

 

泉は私達の前で盾を構え、グッと構えた

 

 

手榴弾が爆発して大きな音と光が私達を襲う

 

盾で私達を守った泉は少し吹っ飛び、私に当たる

 

 

「わ!?」

 

 

「いってぇぇぇ!!尻餅ついたー!!」

 

 

コイツ…すげぇな…爆発を盾で受け止めておいて

尻餅の方に痛みを言うとは…頑丈すぎる…

 

 

「カノン!使えペンダントで指先に魔力溜めて放て!!」

 

 

「そ、そんな急に無理だよー!!どうやって撃つのよ!?」

 

 

「イメージしろ!!指先に弾丸を撃つイメージだ!!」

 

 

「イ、イメージ…」

 

 

 

 

多くの悲しみを見た…

全てに絶望してきた

 

 

多くの悲しみを見た…

他人の絶望も同情し共に苦しんできた

 

 

多くの悲しみを見た…

何故、人間は…"終わり"があるにもかかわらず…絶望しなくてはならないのか

 

 

 

ならば…私は…全ての人間の絶望を背負おう

 

 

 

 

 

ッ!?

 

私の指から何かが発射される

 

それはエネルギー弾の様なもので

発射されたエネルギー弾は壁にぶつかり壁を少し破壊する

 

 

「で、できた!?」

 

 

指でピストルを作る様な形でイメージすれば

エネルギー弾を発射できる!

 

感覚で言えば!幽遊白書だこれ!

 

 

「発射するコツがわかった様だな」

 

 

「うん!」

 

 

「よし、ならばあの少女が狙っている銃を狙え、武器をなくしてしまえばか弱な少女だ」

 

 

「や、やってみる」

 

 

狙え、あの子に当たらないように…銃だけ狙う…

 

そこッ!!

 

放たれたエネルギー弾は少女の銃を弾く

 

「痛ッ」

 

わわわ!?もしかしてあの少女に当たってしまったのだろうか?

そんな不安が私を襲う

 

しかし少女に目立った傷はなく、おそらく銃を弾いた時の衝撃で少し痛みが出てしまった様だ

 

よ、よかった…

内心安心しながらも手で銃を作りながら

少女の前に出ていく

 

「負けを認めて!」

 

 

少女は袋から再び銃を取り出そうとしている

 

「させないッ!」

 

 

私はエネルギー弾を放ち袋を弾く

袋は少女から遠い場所離れていった

 

少女は立ち上がり私の事をジッと見る

 

 

「殺したくはない!降参して!」

 

 

少女は何もいわず、ただ私の事をジッと見る

 

 

「…聞いてる?」

 

 

少女は何も言わない

 

 

夜風が吹き、私達の髪を靡かせる

 

 

「貴女は…」

 

 

少女がやっと声を出した

 

 

「私と…同じ感じがする…」

 

 

「え…?」

 

 

「ねぇ?私と一緒に踊らない?」

 

 

「え…?あ、うん?」

 

 

「おい!花咲!やめろ!罠かもしれないぞ!?」

 

 

「いや、カノン踊ってこい」

 

 

「おい!キャスター!?」

 

 

私は少女の元へ近づく

 

 

「名乗らせてもらいます、私の名は蛍原紅葉…今宵は貴女のパートナーとして踊らせてもらいます」

 

 

「…えっと…私の名は花咲奏音…よろしくお願いします」

 

 

私は蛍原紅葉という少女の手を取る

 

 

暗い夜の下で私達は踊る

 

音楽も何もない、ただ暗い世界の中で私達は踊る

 

と、言っても私はダンスなんて初心者なので動きがぎこちなく、少女の動きに合わせて動くのが結構大変だ

 

 

「緊張しないで…私に任せればいいの…」

 

 

彼女の甘い声が囁かれる

 

 

 

 

 

「おいおい、何だよこれ?何で敵同士の2人が踊ってるんだよ?」

 

 

「これでいい…今のところは()()()()()()だ」

 

 

「?お、おう?」

 

 

 

 

 

「ねぇ、奏音さん」

 

 

「…奏音でいいよ」

 

 

「私ね、両親がいないの…少し前に事故で死んだのよ…」

 

 

「…私もだよ」

 

 

「そうなの…?両親が死んだ時の気持ちって…何にも例えられない…ただただ絶望しかないわよね…」

 

 

「うん、心がキューって締め付けられる様に痛くて、悲しいよね…」

 

 

「そうだよね…私もそんな感じになった」

 

 

「フフ…私達似た者同士だね」

 

 

「うん、そうだね」

 

踊りながら会話し、笑い合う私達

これが戦いという事を忘れてしまう程楽しいのだ

 

ああ、こんな時間がずっと続けばいいのにな…

 

 

 

「グッ…ゲホッ!!」

 

すると少女がかがみ込み血を吐く

 

「!?紅葉ちゃん!?」

 

 

 

紅葉は血がべっとりついた手を見て涙をボロボロ流す

「ああ…やっぱり…私って…()()()()()()()()…」

 

 

「…え…?」

 

紅葉はどこから出したのか拳銃を私に向けた

震える両手で拳銃を構え、険しい顔で私を見ている

 

「紅葉…ちゃん…」

 

 

「私は…生きたいの…だから…貴女を殺す…お父さんとお母さんの為に…私は…私だけは…!」

 

 

「紅葉ちゃん…やめて…やめようよ!こんな事!こんな事したってどっちかが傷つくだけだよ!」

 

 

「貴女はいくらだって生きれるじゃない!両親の分だって生きられる!でも私は違う!私は…生きられない…もう長くないの…両親の分まで精一杯生きたいと思っても!生きられないのよッ!!」

 

 

「ッ!撃て!花咲!撃たなきゃお前じゃやられるだけだぞ!!」

 

 

泉が私に撃てと言う

 

「でも…私は…」

 

 

「あの子の為にお前は死ぬのかよ!?」

 

 

「…ごめんね…奏音…」

 

紅葉は拳銃のトリガーを引いた

 

「クソッ…!」

 

泉は私の前に立ち、盾を構えた

 

 

放たれた銃弾は盾にぶつかり弾かれる

 

 

「うおぉぉ!!」

 

泉はそのまま盾を紅葉に投げつける

 

紅葉に向かって放たれた盾は紅葉に当たり、紅葉は倒れる

 

 

「うぐッ…痛いよぉ…お父さん…お母さん…ランサー…」

 

 

辛いよね…悲しいよね…私もその痛みは分かるよ…

 

「花咲…俺だって認めたくないけど、これは戦争なんだぜ?()()()()()()()()()()()()()その覚悟が無いなら…お前は聖杯戦争を降りた方がいい…」

 

 

「そんなの…あるわけない…人を殺す覚悟なんて…」

 

 

「マスターにしてはごもっともな意見だな、カノンこれから先は地獄と化す、人(サーヴァントのマスター)を殺さなくてはこの聖杯戦争では生きていけない」

 

 

「慣れなきゃね!!」

 

 

「慣れなきゃって…そんなの…」

 

 

その時私は思い出した

3人との会話ですっかり忘れていた、紅葉の事を

 

 

「紅葉ちゃん!」

 

私は紅葉のところに小走りで向かった

 

紅葉抱きしめる

 

 

「あぁ…、死ぬんだね…私…」

 

 

「だ、大丈夫だよ…死なない!絶対に死なないよ!」 

 

 

「…もう無理よ…ランサーも…負けたみたいだから…」

 

 

「え…?」

 

 

 

 

「マスター…」

 

 

私達が後ろを向くと、そこには右腕がなく仮面の一部が割れ顔が露わになったランサーとセイバーがいた

 

 

「ランサー…」

 

 

「セイバーすげぇな…ランサーに勝ったのか」

 

 

「さっすが聖杯戦争勝者候補」

 

 

 

 

「すまない…マスター…俺は…負けた…」

 

 

「いいの…これが…私の運命なの…貴方が悔やむことじゃないわ…」

 

 

「だが…俺は…」

 

 

「…ランサー…貴方は…誇っていいのよ…」

 

 

「…なに…?」

 

 

「今まで人間を裁き、人間を苦しめていた貴方が…私を…人間を救おうとしたのよ…?」

 

 

「それは…私とマスターが契約したからだ…当たり前の事だ」

 

 

「いいえ…貴方は"自分自身の意思で私のサーヴァントとしていてくれた"…貴方は凄い事をしたのよ…?」

 

 

「ッ…私は…紅葉…俺はッ…」

 

 

「貴方は、最低な神なんかじゃない…最高の神よ…」

 

 

 

「奏音…もうじき朝が来るわ…またこの病院に来て…私の名前を言えば通してくれるはずよ…」

 

 

「…うん、行く…行くよ」

 

 

段々と眠くなり、瞼が重くなる

 

 

「待ってるわね…」

 

 

私の意識はここで一旦消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私は…私の全てを使い、貴様を倒す…行くぞ…セイバー…」

 

 

イルカに乗りこいらに槍を向け構えるランサー

 

 

「(強制的に海にする固有結界なのか…?よくは分からないけど気をつけなくちゃな)」

 

 

すると僕の顔面に何かがぶつかってきた

 

生臭い匂いが僕を襲う

 

僕がぶつかってきたものを手に取って見てみると

 

 

 

鯖だ

 

 

「鯖?何故鯖が僕の顔に?」

 

 

まぁ、海だから仕方ないかぁーと思っていたのも束の間

 

 

再び何かが僕に向かって海から飛び跳ねてきた

 

 

それは鯖より大きく下手したら僕よりも大きい

 

 

「ぬわぁぁ!!?」

 

 

僕はなんとか飛んできたものを掴む

 

 

それはよく見ると鮪だった

 

 

「マ、マグロ…?」

 

 

「(何故さっきから魚が僕にぶつかろうとしてくるんだ…)」

 

 

鮪を海に向けて投げてやった次の瞬間、海から一斉に大量の何かが飛び跳ねた

 

 

その何か達は僕に群がり視界を塞ぐ

 

 

「おいおい!?なんだよこれ!?」

 

 

見てみるとその大量の何かは全て魚もしくは海にすむ生き物ばかりであった

 

タコが張り付き、僕の顔に墨を吐き出す

 

 

「(これもランサーの方がこの一部か!)」

 

 

僕は魚達を振り落とし何とか塞がれた視界を良好にする

 

 

ランサーの方を見て驚いた

 

 

 

ランサーの周りに大量の鮫や鯱や、鯨までいるその中には普通の鮫やクジラのサイズではない、デカい奴がいる

 

 

「…へぇ、メガロドンね…本当に現代にいたとは」

 

 

「…これはあくまで私の固有結界内だ、コイツもあくまで俺の記憶の一部でしかないがな」

 

 

「海を操る…やっぱり君は…」

 

 

「自分の心配をしろ、私が待ってやってもコイツ達は待ってくれないぞ?」

 

 

鮫が3匹こっちに向かってやってきた

 

僕に噛みつこうと海から飛び跳ねたが僕によって切り落とされてしまった

 

 

「(まずいな…あの数の生き物達が僕に一斉に襲いかかってきたらランサーの攻撃を避けられない)」

 

 

 

ランサーの槍が青く光る

 

 

「受け取れ!セイバーこれが俺の全てだ!!」

 

 

ランサーはイルカに乗り、青く光る槍を構えこっちに向かってくる

 

 

それと同時に他の海生物が僕に向かってくる

 

何だこれ、悪夢か?

 

 

 

生命の海(オーシャンズ・ストライク)!!」 

 

 

 

マズい、ほんとにマズい…

 

避けられない…海生物が多すぎる

 

避けようにも避けられないぞ!?

 

「なら…切るしか…」

 

 

でも無理だ、流石に無理だ多すぎるしデカいやつもいる

 

例え海の生物達を切れてもランサーの攻撃を防げない

 

何とか…何とかしなくちゃ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄さん…

 

 

 

僕の頭に誰かが兄さんと呼んだ

 

次の瞬間、僕の頭に大量の情報が流れてくる

 

 

これは…確か!あの時の!!

 

現実世界でアーチャーと会った後に流れた大量の記憶

 

それと同じものが今再び頭の中に流れる

 

 

痛い…!頭が割れるぐらい痛い!!

 

がああぁああ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強化 開始(チャージ スタート)

 

 

 

 

『生命殺しA+』『切れ味増加A+』『海面歩行EX』

『神殺しEX』『身体能力向上EX』『高速移動EX』

『開際の一撃A+』『怪力A+』『無敵の剣A+』

『魔神剣B+』『対神攻撃A+』『7つの冠A+』

etc…etc…

 

 

スキルを一つに集中…

 

 

 

セイバーは抜刀した

 

 

次の瞬間、セイバーに向かい飛びかかろうとしていた海の生物達が一瞬で切断された

全てマグロのように2枚おろしにされ

海の中に落ちていく

 

 

 

「何ッ!?」

 

 

その光景をみたランサーは驚愕する

 

そして、ランサーの右腕が飛んだ

 

 

目にも止まらぬ速さで…一瞬で

 

ランサーは槍を持っている腕が切断された

 

 

「バカな…!?」

 

 

ランサーの右腕は海の中に落ち

 

固有結界も徐々に消えていく

 

 

「…負けたのか…俺は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハッ…!?今のは…ッ!?」

 

 

唐突に流れた大量の情報

 

口が勝手に言った "強化 開始"

 

何だ!?何が起こったんだ!?

 

 

 

 

「…セイバー…」

 

 

ランサーの声に我に帰り、ランサーの方を振り向く

 

 

「負けておいて何だが…肩を貸してくれないか…、これじゃ少し不便でな…」

 

 

割れた仮面の一部からランサーの顔が見える

 

その顔は悲しそうだが、どこか嬉しそうな顔をしていた

 

 

「…いいよ」

 

 

僕はランサーに肩を貸し

 

共に己の主の元へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ…」

 

 

目が覚め飛び起きる

 

毎度毎度思うが、夢の中であれほど動き働いた記憶が有るのにも関わらず

疲れる訳でもなく、身体に異常も何もない 不思議な感じだ

 

 

 

 

「…そうだ…紅葉ちゃん…」

 

 

夢が覚める前に紅葉から自分のとこに来いと言われた

 

丁度今日は休日という事で行く事は可能である

 

 

私は布団から出て冷たい床に足を付け、前を見た

 

 

 

そこにはセイバーが部屋の壁を背もたれにして腕組みながら立っていた

 

 

「…ランサーのマスターのとこ、行くんでしょ?」

 

セイバーは優しい顔でそう言った

 

 

「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…蛍原紅葉さんの面会に来たんですけど…」

 

 

紅葉の病室の場所を聞くために受付の職員に話しかける

 

 

「…紅葉さんのお友達ですか…?」

 

 

「は、はい…そうです(昨日会ったばかりだけど…)」

 

 

「…着いてきてください」

 

険しい顔をしながら私を見る職員の女性、何か怪しいだろうか?セイバーは霊体化してるから見えない筈だけど

 

 

「え、あ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅葉さん事はどこまで知っているのかしら?」

 

 

病院の長い廊下を歩きながら私に聞いてくる職員

先導をしている為顔は見えない

 

 

「えっと…両親を失っているということと…病気?のことと…長く生きられない?と聞いていますけど…詳しくは…」

 

 

「…正確には"病気"ではないわね」

 

 

「病気じゃない…?どういう事です?」

 

 

「…見れば分かるわ…」

 

 

私は職員さんが案内してくれた扉に入っていった

 

 

 

 

『マスター…ここ、集中治療室じゃない…?』

 

霊体化越しに聞こえてきたセイバーの発言に私も認めたくなかったが、そう認めざるおえないだろう

 

 

ガラス越しに見える紅葉の姿は

 

 

ベットに寝たきりで、身体あちこちにチューブが繋がれ

口には酸素マスクを付けた紅葉であった

 

その身体は痩せ細く、骨に皮がついただけなのではないか?と思うほどである

 

 

「やっぱりか…」

 

実体化したセイバーがそう口にする

 

 

「…紅葉…ちゃん…?」

 

 

すると私たちが入ってきた扉が開く

 

 

 

 

セイバーはすぐ霊体化をして姿を消す

 

 

入ってきたのは、白衣を着た1人の中年の男性であった

 

 

「ご友人の方だと伺っています、申し遅れました、私は紅葉さんの専属医の内藤と申します」

 

 

「あ、どうも」

 

 

 

「さて、さっそくですが紅葉さんの状態を言わせてもらいます」

 

 

「は、はい…」

 

 

「紅葉さんは事故で頭部に激しい衝撃を受け脳に激しいダメージを受けてしまいました」

 

 

「脳に…ですか…?」

 

 

「ええ、その脳へのダメージで紅葉さんは()()2()()()()()()()()()()()

 

 

「え…?に、2年ですか…?」

 

 

2年、とんでもなく長い期間紅葉は眠っていたのだ

 

 

「意識は…あるんですか?」

 

 

「ええ、意識はあります…ですが眠ったままなので…」

 

 

「…そんな…」

 

 

「…大変申し上げにくいのですが…紅葉さんはもう長くはないです…」

 

 

「…」

 

 

紅葉が夢の中で吐血していたのを思い出す

長く生きられないと言っていたが…

 

 

「徐々に身体の器官が弱くなってきています…早ければ…明日…いや今日にも…」

 

 

「…分かりました…ありがとうございました…少し…1人にさせてもらえませんか…?」

 

 

「…はい」

 

医者は黙ったまま外に出て行った

 

 

 

「マスター…」

 

 

セイバーが実体化した

 

 

「…死ねばよかったんだ…」

 

 

「…え?」

 

 

「私が…死ねばよかったんだ…」

 

 

そうだ、私が死ねば 紅葉は聖杯戦争で勝てたかもしれない

 

そうすれば、紅葉は生きれた

 

私が殺したのだ、私のせいで 紅葉は死んだのだ

 

 

 

「私が死ねばよかった…!私が…」

 

 

涙が次々に流れる

止められない、止めようと思っても止められない

 

いや、止めたくない

 

泣かなければ、この気持ちを…心情を抑えられない

 

 

「私が…紅葉ちゃんを殺した…紅葉ちゃんの未来を奪っちゃった!!」

 

 

死にたい、ここから消えたい…

 

 

 

「マスター!!」

 

 

セイバーの声にハッとなる

 

セイバーは私の肩を掴んでいる

 

 

「死ねばよかったとか言うんじゃないよ!!生き残ったマスターが紅葉ちゃんの代わりにするべき事は"生きる事"じゃないの!!?」

 

 

「生きる…事…」

 

 

「この戦いに"正しい" や"間違い" "正義と悪"なんて関係ないんだ!!」

 

 

「でも…生きる事に絶望を抱いている私よりも!生きられない事に絶望を抱いている紅葉ちゃんの方が生きる価値はある…!」

 

 

「そんな事はない、マスターはマスターだよ…いいかい?マスター、人はそれぞれ"運命"が決まっているんだ」

 

 

「…運命?」

 

 

「ああ、運命の終わり所…死がね…」

 

 

「紅葉ちゃんはここで死ぬ…そういう運命なんだ…だから不思議な事でもあっちゃいけない事でもない、紅葉ちゃんはそういう"運命"なんだ…仕方ない事なんだ…だからさ、欲という名の泥で穢れた"聖杯"で生き延びるなんてさ…ダメなんだよ…ならさ…終わらせる時はきちんと終わらせてあげた方がいいんだよ…」

 

 

「…でも…そんな運命可哀想だよ!!なら、私が代わりに…私の代わりなんていくらでもッ!でも紅葉の代わりの人なんていない!!」

 

 

「違うよ、マスターはマスターだけ、この世に同じ人なんて1人もいないんだ…マスター、今君は人生に楽しさを得てないから自分なんてどうでもいいなんて言えるんだ、でもね…きっと近いうちに…人生が楽しいと言える時が来る…いや、見つけるんだ…なんなら僕が君の楽しいと思える事を見つけてみせるよ!だからさ、死ねばよかったなんて、言わないでよ」

 

 

「…分かった…もう死にたいなんて言わない…だから絶対に見つけてね…私の人生を楽しいと思える方法」

 

 

「うん!もちろんさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…紅葉ちゃん…」

 

 

「会ってきなよ?その為に来たんでしょ?」

 

 

「会うって…もう会ってるんですけど?」

 

 

「違う違う、"夢の世界で"って事」

 

 

「え?夢の世界でって…」

 

今は夜でもないのに…あ、そうか

 

 

紅葉ちゃんは目覚めてこそないが、意識はあるのか

 

つまり、()()()()()()()()()という事だ

 

 

 

「分かったみたいだね、多分今ここで寝れば会えると思うよ?」

 

 

「分かった!寝る!お休みセイバー!」

 

 

「いや寝るって…そんなすぐ寝れる訳…」

 

 

「ZZzz…」

 

 

「ええ!?マスターのび太君並みに寝るの早いんですけど!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…さっきの病室?」

 

 

目を開けると、今さっきいた紅葉が寝ていた病室であった

 

だが、ベットに紅葉はいない

 

 

「紅葉ちゃん…どこにいったの…?」

 

 

私は病院内を散策した

 

 

だか、どこにもいない

 

治療室にも、1階のフロアにも、購買にも、中庭も、全ての部屋を調べた

 

 

しかし、どこにも紅葉はいなかった

 

 

 

「もしかして…病院の外へ行っちゃった…?もしくは…」

 

 

既に死んだ、か

 

 

嫌な事が頭に思い浮かぶ

 

いや、そんな事は絶対ない

きっと紅葉はまだ生きてる、きっとまだこの病院の中のどこかにいる筈だ

 

まだどこか探していない場所がある筈だ…思い出せ

 

 

「あ…」

 

 

あった、まだ探していない場所が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明るくも暗くもない、そんな空 

 

白い空に、灰色の雲

 

その他の景色は全て色が抜けたモノクロ写真様に白黒だ

 

普通なら違和感や気味悪さを感じる景色だが

 

そんな景色を高い場所で眺めている少女がいた

 

 

病人用の服を着て、その身体は心配なるほど細い

 

 

 

 

 

 

突然、屋上のドアが開いた

「紅葉ちゃん!」

 

奏音が来たのだ

 

「…やっと来てくれた…奏音ちゃん」

 

 

2人は抱き合った

 

己の存在を確かめる様にお互いをギュッと強く抱きしめた

 

 

 

「ごめんね…ごめんね…紅葉ちゃん…」

 

 

「謝らないで…奏音ちゃん…、命を賭けた戦争だもの…こうなる事なんて分かっていたわ」

 

 

「でも…でも…!」

 

 

「私は後悔してない、貴女を恨んでもないわ…むしろ感謝してるの…」

 

 

「え…?」

 

 

「だって…やっと会えるんだもの…お父様とお母様に…」

 

 

「何で…生きたいんじゃなかったの?」

 

 

「生きれるものならね…中途半端という事が嫌だったの、私…生きるなら生きる、死ぬなら死ぬ、どっちかになって欲しかったの」

 

 

「それでも…」 

 

紅葉の力が徐々に弱くなっていくのを感じる

 

 

「ねぇ、奏音ちゃん…私と約束してくれない?」

 

 

「…?何を…?」

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()って」

 

 

「そんな…」

 

 

「死なないで…精一杯生きて…どんなに辛い時も…楽しい時も…生きて…お願い、それが私とも約束…分かった?」

 

 

ゆっくりと私から手を離し、私に抱えられる紅葉

目が虚になっている

 

「…うん…生きる…絶対に…生き延びる!紅葉ちゃんの代わりに!紅葉ちゃんの分まで、シワシワのおばあちゃんになるぐらい生きる!」

 

 

「…うん…約束だよ…」

 

 

紅葉は目を閉じ

 

紅葉は消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…眠ったね…もう出てきていいよ、ランサー」

 

 

「…」

 

隅っこからランサーが実体化した

 

 

切った腕は無く 

 

仮面は付けてない

 

その顔はとても美しい

 

束ねていた髪はロングの状態になっている

 

黒髪だが前髪の一部分が白くなっている

 

 

 

「…ごめんね、ランサー」

 

 

「…何故謝る?」

 

 

「君は、守りたかったんだろう?あの子を」

 

 

「…それがどうかしたか?マスターを守るのは当然の事だ」

 

 

「いやいや、落ち着いたとはいえ()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「そんな君があの子を"守りたい"と思うなんて、よっぽどだ思うけど?」

 

 

「…最初は、私も使われることはとても苦痛だった…だが…美しいと思ったのだ、モミジが…」

 

 

「…ん?君の好み的な意味かい?」

 

 

「そういう意味ではない!」

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そんなモミジが美しく感じたんだ」

 

 

「なるほどねぇ…」

 

 

「セイバー」

 

 

「ん?何?」

 

 

 

「勝てよ、この聖杯戦争」

 

 

セイバーは驚いた様な顔をしたが、すぐにニッと笑った

「当たり前だよ!任せて!…楽しかったよ、()()()()()

 

 

「フッ…ああ…俺も楽しかったぞ、間桐士郎…」

 

 

2人は最後に握手の代わりに拳と拳をあてた

 

 

そして、ポセイドン(ランサー)は光の粒子状になり、消えていった

 

 

 

 

 

 

病室には紅葉の元にあるベットサイドモニターのアラームの音が鳴り響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関のチャイムが鳴り響く

 

わかってる、分かってるからそんなに鳴らさないでくれ

 

と内心思いながら、赤い頭巾を被った少女ことアサシンはエプロンで手を拭きながら玄関へと向かっていた

 

 

 

「はいはーい、どなたですかー?」

 

 

スライド式のドアを開けると、そこには

 

 

執事服を着た真っ黒髪で、狐目の男が立っていた

 

 

身長はざっと175程

 

顔はかなり整っており、ん?これどこのホスト?と思ってしまう

 

 

 

 

「えっと…どちら様ですかねぇ?」

 

 

少し前に来た、セイバーとキャスター一行達とは違い

この男からは異常な感じがする

この男は…"危険"だ…と本能で察していた

 

 

 

「…無防備で出てくるのは、危険ですよ?」

 

 

すると、その男はアサシンの顔を鷲掴みした

 

 

「ッ!?離して下さい!!い、痛い!!」

 

 

「バカな人…いや、バカなサーヴァントですね、召喚者がボケている事は知っていましたが…サーヴァントもバカとは…」

 

 

「ッ…あの人の事を悪く言わないでください!!あの人は…歳で…あぁッ!」

 

 

アサシンの顔を掴む手は緩まず、むしろ強まる一方だ

 

 

 

「はいはい、()()()()さん、貴女は物語はハッピーエンドで終わるのが好きですか?それとも、バットエンドで終わるのが好きですか?」

 

 

「私は…バットエンドで終わるのが大好きですよ」

 

 

その男が両眼を開眼すると

 

 

鷲掴みしている手を離そうとしていたアサシンの手がゆっくりと落ちていき

 

アサシンが抵抗しなくなった

 

 

男はアサシンを壁に投げつけた

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

アサシンの目が紅く染まった





サーヴァント 真名 ポセイドン

海の支配者
海・地震・馬の神
クロノスとレアの子であり、兄弟にかの有名なゼウスがいる

若き頃はやんちゃで色々やらかしており、周りからの評判は悪いものであった 
それ故か、今の彼は落ち着きがあるが
人間嫌いな所、闘いが好きな所は今現在も変わらない

彼の武器、三叉槍(トライデント)
嵐や津波、洪水を巻き起こすとされるを持ち、戦う

サーヴァントとなった彼の力は全盛期の半分以下であり
神としての力もトライデントの力も上手く出せないが、それでも他のサーヴァント達を圧倒できる程の力を持っている


「私(俺)は海の支配者ポセイドン、人間よ恐れ慄くがいい、この私がお前たちに裁きを与えてやるぞ」



宝具

対人対神宝具
「生命の海(オーシャンズ・ストライク)」 

ポセイドンの宝具の一つ
その場を海にする固有結界
その固有結界内の全ての海生物達はポセイドンの思う通りに動く

その固有結界では三叉槍に海の力を宿す事が可能であり、その一撃は海の一撃、生命の一撃





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第9夜 日常

ハハ、ハッピーバレンタイン(やけくそ)

もう遅くなってしまった事は何も言いません

正直サボってました、日に日に増えていく趣味に没頭してたら
小説書くのが完全に遅れてましたね、すいません

本編どうぞ


『何故そこまでして戦う?君は自分で自分の首を絞めている様なものだ』

 

 

そんな事を聞かれた事があった

 

 

僕はその時、しばらく黙り込んでしまった

 

戦っている理由?考えた事もない

名誉が欲しいわけでも、お金が欲しい訳でもない

ただ、ひたすらに戦っているだけだ

 

あ、でも強いて言うなら…

 

 

人の笑顔が好きだからかな

人が笑う顔が好きだ、人が幸せになっている顔が好きだ

 

人の笑顔の為に戦う、そんな英雄(ヒーロー)になりたかった

どんなに強靭で無敵な敵も、へっちゃらな顔で戦い 悪を討つ

 

そんな"正義の味方"になりたかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅葉の死から数日が経った

悲しい事は悲しかったが、紅葉と交わした約束を果たす為にクヨクヨしてられない

セイバーや京介、キャスターも同じ様で前よりもずっとやる気が上がってるっぽい

 

全く関係ない話だが、セイバーは数日前からバイトに行くようになった

どうやらこの前面接に行ったとこに受かったらしい、ファミレスだっけな?

どうやら今日も行くらしい

 

え?私? 今の私の状況は

 

セイバーが作ってくれた朝ご飯を堪能してるとこ

相変わらず、朝は和食スタイル

ご飯、味噌汁、漬物 この三つは変わらず確定である

そして、毎回メニューが違う主菜だ、魚な時があれば、肉の時、偶には卵という可能性もある

毎回思うが、朝から豪華だなぁと思う

嫌なわけではないんだよ?美味しいし

 

セイバーの料理はけっして、不味いわけではい、でも高級料理店の様な味ではない  

下が慣れ親しんだ、母親の味というのが正しいだろう

 

ああ、味噌汁おいしぃ…

 

つい頬が緩んでしまう

 

 

「マスターってさ、美味しそうに食べるよね」

 

 

私が食べている様子を頬杖をしながら見ているセイバー

 

「そう?」

 

 

「だって、顔に出てるよ?」

 

 

「うぐ、だって美味しいんだもん」

 

 

「いや、良いことなんだよ?作った人に素直に感想を言ってくれる事は、美味しいって言ってくれると作った人は嬉しいものだよ」

 

 

「セイバーも嬉しいの?」

 

 

「もちろん!そうやって美味しそうに食べているマスターは僕は"好き"だよ」

 

 

「ブフッ!!?」

突然の"好き''という言葉に味噌汁を吹き出してしまう私

 

 

「!?マスター!?」

 

駆け寄って、ティッシュを差し出すセイバー

 

「あ、ありがとう…」

 

 

「大丈夫?何か嫌いな物入ってた?」

 

 

「違う、違う 大丈夫、本当に大丈夫だから」

 

 

「そう? 落ち着いて食べるんだよ」

 

 

私の頭を撫でながら優しい顔でそう言うセイバー

 

 

全く、セイバーはずるいなぁ…

 

 

『今朝、●●市の●●にて男女三人の遺体が発見されました、警察は殺人として捜査を進めているようです』

 

 

「これ、ここら辺だね」

 

 

「ひゃー、怖い怖い」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お弁当」

 

 

「ありがとう、行ってくるね」

 

 

「気をつけるんだよー」

 

 

奏音にお弁当を渡し、外に出て見送る

 

小走りで走っていく姿を小さくなるまで見つめていた

 

 

「よぉし!僕もバイト頑張るぞぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全国規模で店がある有名ファミリーレストラン"スターラフ"和洋中何でもあり人気がある店である、セイバーはここでバイトをしている

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

ワイシャツ長ズボンにエプロンを掛け、接客するセイバー

中作業でも良かったのだが、人員がこっちの方が少なかった為、数合わせで接待をする事になった

 

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

 

「えーっと…、A定食と日替りランチ」

 

 

「カツサンドセットで!」

 

 

機器を押して、厨房に送信する

「かしこまりました、少々お待ちください」

 

 

「お兄さん、カッコいいね」

 

突然客に褒められ、驚くセイバー

 

「え?そうですか?」

 

 

「カッコいいよ!ねぇ、お兄さんこの後ヒマ?私達と遊ぼうよー」

 

 

「お誘いは嬉しいけどごめんなさい、まだこの後も仕事なんです」

 

 

「あら、残念」

 

 

「間桐くん!6番テーブルの片付け頼むよ!」

 

 

「はーい!それでは」

 

 

「またねー」

 

 

 

 

「(ふふ、やっぱりこういう仕事は楽しいな 働いてる!って感じがする)」

 

 

テーブルの片付けを済まし、厨房へと持っていく

 

 

「はい、佐藤さんお願いします」

 

 

「はいよー」

 

 

 

時刻を見ると11時 混み時である十二時にはまだ時間がある

 

 

「(今のうちに昼ご飯済ませるかな)」

 

 

「店長、僕休暇入ります」

 

 

「おう!昼時がピークだからしっかり休んどきなよ」

 

 

「はーい!」

 

 

 

従業員の休憩部屋に入り、テーブルに座り弁当を出す

 

パカっと弁当箱を開けると、可愛らしいウサギの形をしたご飯に海苔なので作った顔 その他のおかずも全体的に可愛らしくかつ色鮮やかになっている弁当が出てきた

 

 

「(ふふ、自分で言うのもあれだけどうまくできたな マスター喜んでるかな)」

 

一方その頃

 

 

「わぁ!花咲さんのお弁当今日はウサギかぁ!可愛いー!」

 

 

「写真撮ってもいいかな?」

 

 

「え、うん…どぞ」

 

 

「やっぱり彼氏いるんじゃないの?花咲さん写真ないの?写真」

 

 

「えぇ?写真?」

 

 

サーヴァントって写真に写るのかな?今度試してみよう

 

 

この前からクラスの女子達にいい意味で絡まれる様になった 

1人で食べるってのも好きだったけど、まぁこっちもこっちで好き

 

でもみんな一気に私に話しかけるのはやめておくれ、私は聖徳太子じゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でーす」

 

 

「あ、士郎さん!」

 

 

休憩室のドアの方を見ると、二人の若い女性が入ってきた

 

 

「お疲れ、熊本のお二人」

 

 

「その呼び方やめてくださいよー」

 

 

「好きじゃないですーその呼び方」

 

 

両隣に座ってきたのは、近くの大学に通う熊谷加奈子と本田椿である

一様2人ともこのバイトの先輩に当たる人だが、年はおそらく士郎の方が上っぽいという理由で、敬語で士郎に話している

 

 

「わぁ!士郎さん今日もお弁当可愛らしいですね」

 

 

「ふふん、でしょ?我ながら上手くできたなって思ってたんだ」

 

 

「いいなぁー、私なんてコンビニのサンドウィッチですよぉ…あ!士郎さん一口くださいよー!ひとくち!」

 

 

「いいよ、何欲しい?」

 

 

「タコさんウインナーで!」

 

 

「ほえ?こんなんでいいの?ほら、唐揚げとかあるよ?」

 

 

「いえ!タコさんウインナーがいいんです!」

 

 

「あ、そう?はい、取りなよ」

 

 

熊谷の顔が小悪魔の様にニヤついた

 

「そこわぁ…食べさせて欲しいなぁ…お願いしますよー士郎さーん」

 

 

「ちょっ、加奈子…やめなさいよ」    

 

 

「いいよ」

 

 

「「!?」」

 

 

「はい、熊谷ちゃんあーん」

 

 

「あ、あー…(え、マジ?もしかして士郎さん私に気がある!?)」

 

 

箸が加奈子の口に入りそうになった時、突然ドアが開き、誰かが入ってきた

 

 

「間桐君!」

 

 

「?店長?どうしました?そんなに慌てて?」

 

 

「お、お客さん、お客さんが!」

 

 

「はい?」

訳が分からず困惑する士郎

 

 

「金髪でサングラスかけた美人な女性が君をご所望だそうだ!」

 

 

「金髪…?よくわかりませんが、取り敢えず行ってきます」

 

 

「た、頼むよ」

 

 

口を開けたまま硬直する加奈子 それを横目で苦笑する椿

 

「あ、そうだ、加奈子ちゃん」

 

 

「!は、はい!」

 

 

「お弁当、食べていいよ」

 

そう言って、士郎は休憩室を出て行った

 

 

「…お弁当食べていいってさ、加奈子…加奈子!?」

 

椿が加奈子の方を見ると、加奈子は分かりやすく目がハートになり、口元はニヤっと笑い「えへへへ…」と気色の悪い声を出している

 

 

「椿ぃ、士郎さん絶対私に気があるって(勘違い)」

 

 

「え、どうだろう、多分士郎さんはたらし気質なだけだry」

 

 

「えへぇ、士郎さんったら…」

 

 

「だめだこりゃ」

 

 

「おや、間桐君のお弁当美味しそうだね、私も一口貰ってもいいかな?」

 

店長の手が士郎の弁当に伸びていく

すると、加奈子が素早く弁当を取り上げ

 

 

「あげませんッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕をご所望とか、どういう事?」

 

 

士郎が急いでエプロンのボタンを閉め、戻ると

 

 

「間桐君!こっちこっち!」

 

先輩が士郎を手招きしていた

 

 

「どなたです?そのお客さんってのは?」

 

 

「あの人だよ!あの人、17番テーブルに座っている人!」

 

士郎は17番テーブルをチラッと見ると

そこにいたのは…

 

 

金髪でサングラスをかけ

全体的に黒の服で包んだ美人な女性であった

 

 

士郎はこの女性を知っていた

つい先日、ケーキ屋で会ったサーヴァント(変態)

"英雄王 女帝ギルガメッシュ"

 

 

「何でアイツここにいるの!?」

 

 

「え?間桐君知り合い?」

 

 

「知り合い…いや、知り合いという訳じゃ…ああでも知り合い?なのか?」

 

 

「まぁ、どっちでもいいけどさ、君をご所望の様だし、取り敢えず行ってみたら?」

 

 

「ええ…嫌ですよ、何されるか分かりませんし…面倒臭いですし」

 

 

「絶対最後の本音だよね、はぁ、取り敢えず行ってきな」

 

 

「はぁーい」

 

士郎は嫌そうに彼女の元へと向かった

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」

 

 

士郎は何とか作った笑顔でギルガメッシュに言った

 

 

「そうだな、この日替りランチ?というのを頼む」

 

 

「(ありゃ?意外に普通だぞ?)」

 

 

「畏まりました、少々お待ry」

 

 

「あと…セイバー、お前をくれ」

 

 

「ないよ、非売品だよ っていうか品でもないよ」

 

 

「定員なるもの、客の要望には応えるものだろう?セイバーを指名する」

 

 

「ホストじゃないんだよ、ここ」

 

 

「つまらんな、ならスマイルをくれ」

 

 

「お客様、女性から男性にそういう事をする事もセクハラと扱われますよ」

 

 

「ふん、現代は生きづらいな、セクハラだとか何とかハラスメントというのが今の人間を縛り付けているのではないか?それだから、日本は少子高齢化社会なのだぞ」

 

 

「フェミニストに言ってください」

 

 

「で、どこまで出せるのだ?」

 

 

「日替りランチまでなら出せますよ」

 

 

「それでいい、頼む」

 

 

「はいはい、日替りランチですね、少々お待ちください」

 

 

 

 

 

 

 

 

「間桐君!?どうだった?大丈夫だったのかい!?」

 

 

厨房の方に向かっている最中、店長に呼び止められた

 

 

「え、あ、はい 大丈夫でしたよ」

 

 

「あの人、間桐君の知り合い?」

 

 

「…そうと言えば、そうですけど…店長、僕あの人と関わるのは嫌なので、運ぶ時は別の人に頼んでくださいよ、僕昼休憩の途中だったのでご飯も食べたいですし」

 

 

「残念ながら、そうはできないんだ…」

 

 

「はい?何故です?」

 

 

すると、店長は懐から二十センチ程の大きさの金の延棒を出した

 

 

「…何です?これ?」

 

 

「あの、金髪の人が出したんだ、胸元から、PON★とね」

 

 

「店長…まさか賄賂を受け取ったんですか?」

 

 

「この延棒…凄く重いんだ…本物だよ…多分」

 

 

「賄賂と引き換えに従業員を売るんですか!?」

 

 

「給料上がるからさ!頼むよ!!」

 

 

「き、給料アップ!?」

 

この時、士郎は葛藤していた

マスターの生活を取るか、自分自身のプライドを取るか

正直嫌だ、あの変態と会話なんかしたくない、面倒臭いだけだ

でも、マスターの生活を裕福にしてあげたい!美味しい物を食べさせたい!

 

天秤が平等に保っていたが、しかしマスターの生活の方が少し、重くなった

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフン、我が愛を眺めながらの食事をするのは、最高だな!」

 

 

「君の愛になったつもりはないんですけどー」

 

 

士郎は店長と取引をした、給料アップと、今日はそのまま上がるという事だ

 

ギルガメッシュが食事をするその対面で頬杖をつきながらぶすぅと明らかに不機嫌な顔になっている

 

 

「何で、君僕がここで働いてるって分かったの?」

 

 

「お前の事ならなんでも知っているさ、そう何でもな」

 

 

「何それ、ストーカー?」

 

 

「断じて違う、ただ妾はお前を遠くからずっと眺めているだけだ」

 

 

「ストーカーじゃん!それ!!」

 

 

 

「冗談はさておき、実際は違う、妾は特殊な眼を持っているからな、先の事まで見える」

 

 

「…ふーん、いいねぇ、魔眼…便利だろうなぁ」

 

 

「何を言うか、お前も持っているだろうに」

 

 

「…え?」

 

 

「?何だセイバー、まだ記憶が戻ってないのか?」

 

 

「そこまでは思い出してないよ、っていうか僕が魔眼を持っているってどういう事!?教えてよ!!」

 

 

「お前が自力で思い出さねば意味がない、こればっかりは流石にな」

 

 

「…あ、そう…実はある程度は思い出してるんだよね」

 

 

「ほう、どれぐらいだ」

 

 

「第二次聖杯戦争が始まったぐらい」

 

 

「ほう、では身内ぐらいは分かるか」

 

 

「うん、そこら辺は思い出した」

 

 

…まだ宝具は使えんのか…

 

 

ギルガメッシュはコーヒーカップに口を付け、ふぅ…と一息ついた

 

 

「一つ聞いておきたい事がある」

 

 

コーヒーカップを皿に置き、真剣な顔でそう言うギルガメッシュ

 

 

「…なに?」

 

 

変に真面目な顔をする為、妙に畏まってしまう

 

 

「あの娘の事をどう思っている?」

 

 

「…は?」

 

 

「お前のマスターの事だ」

 

 

「え、ああ、うん可愛い妹みたいに思ってるけど」

 

 

「…そうか」

 

 

何処か安心した様な顔をしてコーヒーカップを再び手に取る

 

 

 

 

 

「ふぅ、悪くない味だったぞ」

 

 

「それはよーござんしたー」

 

 

「しかし、肉がイマイチだったな、安い肉だな、A5ランクの物を使えば良いと思うぞ」

 

 

「そんな事したら大赤字だよ!!」

 

 

「フン、悪くないランチタイムであった、会計を頼む」

 

 

「はいはい…店長お願いしまーす」

 

 

「ハイヨー!喜んで!」

 

 

店長が目にまとまらぬ速さで駆け付ける

 

すっご、今のマッハを超えてたんじゃない?

 

 

ギルガメッシュは何処からか金の延棒を出し

 

 

「釣りはいらん」

 

 

「逆にこんなもん出されたら釣りが出しづらいわ」

 

 

 

 

 

「またの、お越しをお待ちしております!!」

 

 

「バイトするとこ…間違えたかも…」

 

 

「ふん、金が欲しいなら妾に言えばやるぞ」

 

 

「え、ホント!?」

 

 

「ただし、あの娘の為に使うわ無しだ」

 

 

「ちぇー、何だよそれ」

 

 

「誰かの為ではなく、自分の為に使ったらどうだ、お前はそう言うところだぞ」

 

 

「…誰かの為にする事が、僕にとっての幸せだよ」

 

 

「…ハッ、そういう奴だったな、お前は」

 

 

ギルは店を出た後、僕が行く方向とは逆の方向に歩いた

 

 

「あれ?もういいの?」

 

 

「腹ごしらえは済んだからな、再び会う事を期待してるぞ、セイバー」

 

 

 

「…何なんだろうな、アイツ」

セイバーは少々呆れ気味にそう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉし!今日も張り切って聖杯戦争に挑みましょう!」

 

 

「…何でセイバーそんなに元気なの?」

明らかに疲れた顔で言う奏音

 

 

「バイトで給料アップしてくれたから、そう言うマスターは何でそんな疲れた顔してるの?」

 

 

「今日体育あってさ…マラソンだったの…死ぬ程走ったの、足の筋肉痛と疲れが溜まってるのに…寝るとこの世界だとか…一様寝てるから体の疲れは取れてるって言われても、精神が壊れる…」

 

 

「リ●ビタンDあるけど飲む?」

 

 

「いらない」

 

 

「ファイトー!」

「いっぱーつ!」

 

 

「??何それ?」

 

 

「え?リポビタンDのCMだよ?」

 

 

「え?リポビタンDのCMってキ●タクが出てるやつだよね?」

 

 

「グハァ!ジェネレーションギャップゥ!!」

 

 

セイバーはまるで吹き飛ばされる様に飛んでいった

 

「セイバー!?」

 

 

「…今時の子は知らないか…」

 

 

「やっぱり…セイバーって最近の人だよね…」

 

 

 

 

 

 

「まぁ、色々あったけど、取り敢えず探索開始と行こうじゃないか!全速前進DA☆」

 

 

私達五人が道を歩き始め、数分が経った もう少しで、チェーン店などが立ち並ぶ大通りに出れるぐらいになった時

 

 

 

前から人影が見えた

 

 

「みんな、夜間だからと言って、出会った人には挨拶をしようね」

 

 

「おう!挨拶は大事だよな!」

京介もそう言うが

 

 

ん?人?

 

 

「「こんばんわ」」一礼

 

 

セイバーと京介が頭を下げる

 

 

よく見るとその人は女性でフラフラと私達の横を通り抜けて行った

 

 

私とキャスターはなんとも言えない顔でセイバーと京介を見る

 

 

「「…」」

 

2人は目を合わせ

 

 

 

「「ひ、人ォォォォ!!?」」

 

 

「何で人がいるんだよ!?」

 

 

「そうだよ!?ここ夢の中だった!!人がいる訳ないじゃん!!」

 

 

「あ ほ く さ」

 

 

キャスター(弟)がそう言い、兄の方は爆笑してる

 

私も2人を見て苦笑している 

 

 

 

「アイツ完全に気配を消してるけど、サーヴァントだ!!」

 

 

「ふん、つまりアサシンだな」

 

 

「え、じゃあ人は」

 

 

アサシンと言えば、少し前に私達が出会った

赤い頭巾を被ったたわわ少女(?)だ

 

でも、その割には…失礼だけど、服も汚れてし…

赤い頭巾を被ってなかった

それに…この前のあの子とは明らかに気配が違った

 

見た目はそのままなのに、中身が全然違う人に変わったみたいな…そんな感じ

 

 

 

 

 

「…ねぇ、アサシンでしょ?君?どうしたの?足ふらついてるよ?」

 

セイバーが少し大きめの声で言った

 

「…」

 

少女はゆっくりとこっちを振り向き

 

 

「…アハァ♡

 

 

不気味に笑った

 

そのあまりにも不気味な笑みにゾクッとしてしまう

 

 

 

「ねぇ…貴方達…生きてるよね…?血、流れてるよねぇ?」

 

 

相変わらず不気味な笑顔で私達に質問する彼女

 

 

 

「…そりゃ、流れてるし、生きてるよ…流れてない人なんている訳ないだろう?あー、でもミイラとかってどうなんだろう?ホラー映画とかで出てくるミイラって明らかに流れてないよね…ごめん訂正、一部を除いて、ほぼ全員流れてるよ」

 

 

「セイバーァッ!こんな時に変な事言わないでぇぇ!!」

 

 

「血…良いよね…特にさ…首を切った時に水飛沫みたいな感じで吹き出すの良いよねぇ…」

 

 

やっぱり、あの子だ…あの赤ずきんちゃんだ…でも…明らかにこの前と様子が…

 

 

 

「…マスター、赤ずきんちゃんってどんなストーリーか知ってる?」

 

 

「え?赤ずきんちゃんが、病弱だっけ?なおばあちゃんの所に行くけど、そのおばあちゃんは狼が化けた偽物で赤ずきんちゃんは食べられちゃうけど、狩人が食べられたおばあちゃんと赤ずきんちゃんを助けて最終的に狼を懲らしめる…って感じだと思うけど」

 

 

「うん、正解 でもそれは一つの話に過ぎない」

 

 

「?」

 

 

「知ってる?赤ずきんちゃんって実は3つのストーリーがあるって事」

 

 

3つのストーリー?どう言う事だ?

 

 

 

「一つは、マスターが言ったハッピーエンドで終わるグリム版 二つ目はバットエンドで終わるペロー版、そして三つ目は…人という名の殺人鬼()を著した民話」

 

 

「民話…?」

 

 

「元々はフランスで伝わっていた民話をペローがその時代の風俗やちょっとした教訓を入れたのが、ペロー版赤ずきんだ因みに"赤い頭巾を被った"という要素を加えたのはペロー版だな そして…そのペロー版に更に修正を加えたのがグリム兄弟…それが、現代で知れ渡っている"赤ずきんちゃん"だ」

 

キャスター(弟)が淡々と答えた

 

 

「民話の赤ずきんちゃんの内容って…何なの…?」

 

私の視線の先に写る少女を見ながら私は聞いた

 

 

「…人によって違うが、俺が知ってるのは…少女が祖母の家に行くのところは同じだが、その先が違う…少女とその祖母は殺された、狼に?いや違う…それは狼などではなかった…たった1人の人間だよ 少女を殺したのは、たった1人の狂った人間だった…それが俺の知っている赤ずきんの元となった民話だ」

 

 

「…そんな残酷な話が、赤ずきんの元になったの?」

 

 

「この日本でもあるだろう?狂った人間が人を大勢殺す事が、それを元にストーリーを作ったんだ」

 

 

「そんな…事…いいの?」

 

 

「…何か許せねぇよな」

 

今まで黙っていた京介が口を開けた

 

 

「人を殺した狂人を元に作品を書くのかよ?人が死んだんだぞ?何にも悪い事も変な事に頭突っ込んだ訳でもなく…ただ毎日を一生懸命に生きてた奴を殺した奴が皆に愛される本になるだぁ?ふざけんなよ!!」

 

 

「…京介…」

 

京介の気持ちも分かる 

ニュースとかでよく聞く殺人事件を変にネタにされたら

被害者やその家族の気持ちはたまらないだろう…

 

 

「…いいか、京介、作家はな…ただ金儲けや自分を宣伝したいが為に本を描いている訳じゃない 本は残る、永遠にな…後先の時代にずっと残る、だからこそ、俺達は俺達の後の世代に伝えるんだ、自分の経験した感情を、体験を、嬉しい事も悲しい事も、それが嬉しい事ならそれを後先の者達にも経験してもらいたから作品を描く、それが悲しい事なら、その経験を後先の者達に味わってほしくないから作品を描くんだ、それが例え、どんなに悲しく酷い話であっても、"自分には関係ない事"で終わらせてたまるか、悲劇を回避し、幸せを掴む事が人間の性質ではないのか?きっと、シャルル・ペローもそうだった筈だ」

 

 

 

「…」

 

京介は苦虫を噛んだ様な顔をしていた

 

 

 

「え?その話とアサシン何が関係あるの?」

 

 

「ん?ああつまり今の彼女の中身は民話版の殺人鬼だよ」

 

 

「ふーん、そうなの…どう言う事だってばよ…」

 

 

「本来なら普通の少女としている筈だけど、何らかの影響で中身が変わっちゃったみたいだね」

 

 

「…だったらマズいんじゃねーか?アイツがこのまま現実世界に行っちまったら、現実世界でアイツが誰か殺すぞ?」

 

 

「…もしかして、朝やってたニュース…アサシンがやったのかな?」

 

 

「あー、そうかもね」

 

 

「ま、どのみち奴を倒さなくては進めない、セイバー頼むぞ」

 

 

「オッケー、頑張ります」

 

セイバーは私達の前に出て腕を組みグィ〜ッと上に伸ばした

 

 

「さてと、殺人鬼様には物語の中に帰ってもらおうか」

 

 

セイバーはアサシンに向かって指を刺しそう言った




真名解放

赤ずきん (クラス・アサシン)

皆がよく知っている赤ずきんちゃん
赤い頭巾を被り、その満面の笑みと二つの大きなたわわを持ち、愛する祖母の為にお使いをするいい子、戦闘はできない(できる訳ないだろ、か弱い少女だぞ)


しかし、その"赤ずきん"という話上、多数の"ルート(人格)"が存在する、
一つは、赤ずきんという少女の人格
二つ目は、狼という赤ずきんに恋をした1匹の獣の人格
三つ目は、殺人鬼という狼(人間)の人格




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第10夜 本当の私

皆さんこんばんは、覚えているでしょうか?

最後の投稿…いつだっけなぁ??

書かなきゃなぁとは思っているんですけどねぇ…

なにせ趣味が多い奴なので…

本編どうぞ!


私は赤ずきん、私個人の名前は無い

"赤ずきん"という名が私の名前なのだ

物語の私は祖母のお見舞いに行く途中でオオカミさんに出会って、そしてオオカミさんに食べられるけど、最終的には猟師さんに助けられてみんなハッピーエンドで終わる、それが"赤ずきんちゃん"としての私

それが皆に求められる"赤ずきん"であると自覚している

 

でも、サーヴァントとしての私はどうだ?

何もできない、戦う事も、支援する事もできない

所詮私はただの少女なのだ、赤ずきんという名の宿命を背負ったただの少女に過ぎない

 

だから私は、サーヴァントである自分が嫌いだ

嫌いな理由?そんなの決まっている、()()()()()()()

戦えないから攻める事も、守る事もできない

私はハズレサーヴァントなのだ、私を召喚した契約者は皆死んだ

守れなかった、戦えなかった

 

ああ、神様…何故私は、ただの少女なのですか…?

何故私を、ただの少女を英霊にしたのですか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、こそ 君は私を呼んだんだろぅ?()()()()

私の姿をした何かが、私にそう問いた

 

「違う…違う…私は人を殺したかった訳じゃないんです…私は…ただ」

 

 

「契約者を守る、それはつまり他の契約者を殺すということだ、変わりないよ」

 

 

「…でも貴方は…この戦いに関係無い人も殺しています…!そんなの…ダメな事ですよ…!」

 

 

「必要な犠牲だったんだよぉ、脳がね、求めていたんだよ、血を…あの赤い血を…水とは違うあの触り心地、美しい赤色、その血をね…」

 

 

「そんなの…犠牲でも何でもありません!ただの…人殺しです…!貴方のために犠牲になっていい命なんてありません!」

 

 

「そんなの分かっているよぉ」

 

 

「…はい?」

 

 

「止めたいと思うけど、やめられない…刃物で人の心臓を刺す瞬間…それが最高か気持ちいいんだぁ、あの感触、悲鳴、そして流れる血、全てが最高なんだよぉ…」

 

狂っている、完全に狂っている、

 

 

 

 

「やめろ!あかづきんをこまらせるな!」

 

少しぎこちない言葉が聞こえる

 

 

「あぁん?」

 

 

「そでいじょうあかづきんに近づくんじゃねぇど!」

もう1人の私、オオカミさん

彼と同じで私の姿をしている

 

 

「獣風情が、これは人間同士の話なんだ、君の様な獣が入っていい事じゃぁない」

 

 

「あかづきんごまでっる!おで!ゆるさいど!!」

 

 

「調子に乗るなよ、人間様に逆らうんじゃぁない」

()オオカミさん()の腹部を殴る

 

倒れたオオカミさん()に更に蹴りを入れる

 

「やめて下さい!」

私はオオカミさん()の前に立ち、彼を庇う

 

 

「やめろ、あかづきん…あぶないよ…」

 

 

「でもこのままだと貴方が死んじゃうわ…」

 

 

「赤ずきん、何故私を否定するんだい?君は私を必要としているだろぅ?」

 

 

「誰が貴方なんて…」

 

 

 

「力が欲しいんだろう?」

 

 

「ッ…!?」

  

 

「私は勝手に出てきたんじゃぁない、君が私を呼んだんだよ赤ずきん」

 

 

「え…?」

 

 

「私やそのオオカミは決して君の人格の一部という訳ではない、君の霊基の一部さ、"赤ずきん"という概念が生み出した一つの物さ」

 

 

 

 

「薄々気づいているんだろう?今現実世界で行動してるのは、私じゃなく…」

 

 

「そんな…それじゃ…」

 

 

「そう、君さ 人を殺してたのも、この前の少女達と今戦ってるのも、君なんだよ、赤ずきん…」

 

 

「違う…、違う…私は人を殺してなんて…」

 

 

「無意識に君は求めてしまったんだ、(殺人鬼)をね…でも残念ながら私が表に出る事はなかったがね」

 

 

「私は…そんな事してない…絶対に…」

 

 

 

「現実を見るんだ、さぁ…目を開けろ、君の姿を…君の在り方を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああ…違う…違うの…わたしは…やってない…」

 

突然膝をつくアサシン

 

 

「ありゃ?もう降参?まだ刀も抜いてないよ、僕」

急なアサシンの行動に困惑するセイバー、いやこれ煽ってるでしょ

 

 

「やってない…やってない…私は、違う…私は…私は…」

 

 

「ねぇ、アサシンの様子おかしくない…?何か急に…」

 

 

 

 

 

 

 

「私は…血が、血が見たいぃ…!

アサシンは私に向かって飛びかかってきた

「な!?」

 

 

アサシンの急な行動にすぐに反応できなかったセイバー

 

 

アサシンはどこから取り出したのか、ナイフを構えている

 

セイバーは私を助けようと、急いで抜刀するが

既にアサシンは私に向かってナイフを振り落とそうとしていた

 

 

 

ヤバ…!?

 

反射的に手が前に出てしまう

 

 

そして、ガンッ!と、鉄と鉄がぶつかる鈍い音が聞こえた

私は恐る恐るゆっくりと目を開けた

 

 

アサシンが振り落とそうとしていたナイフを刀で受け止めるセイバーが私の前にいた

 

 

「全く、不意打ちなんて酷いじゃないか」

 

 

セイバーはアサシンを受け飛ばした

 

アサシンはすぐに体制を整え、再びナイフを構える

 

 

「違う…違うの、私がやったわけじゃない…」

 

 

「じゃあその手止めたら?説得力無いよ」

セイバーはアサシンの攻撃を防ぎながらそう言う

 

 

 

 

 

「奏音、手に傷が出来てるぞ痛く無いのか?」

弟の方のキャスターがそう言った

 

 

「え?」

左手を見ると

 

手のひらに約5センチ程の切り傷が出来ていた

傷は深く無いが、血が少し出ている

 

「ホントだ、でも大丈夫 全然痛く無いよ」

 

 

「そうか?ならいいんだが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺させてよぉ!私には、それしか!!」

無茶苦茶にナイフを振りながらセイバーに近づいて行くアサシン

それに対しセイバーはアサシンの攻撃を軽く防ぐ、恐らく本気のほの字すら出してないだろう

 

 

「(殺人鬼の精神が彼女を飲み込んでいると思っていたけど、彼女は殺人鬼の精神に侵されていない?彼女は行動こそ殺人鬼そのものだけど、暴れる自分を自身で否定している?〉」

 

セイバーはアサシンの攻撃を防ぎ、隙のできたアサシンの腹部を横から蹴り上げた

 

 

「うぐぅ!!?」

アサシンは周りの家の外壁に叩きつけられた

 

 

「悪いけど、すぐに終わらせるよ」

息を整える、そして…

 

 

 

 

 

 

 

強化開始(チャージ・スタート)

 

 

『反撃EX』 『怪力EX』 etc…etc…

 

 

選択したスキルを一つに集中

 

 

 

 

 

アサシンは再びセイバーにナイフを向けて走り出した

 

 

セイバーはその場から一歩も動かず、ただ刀を抜刀しているだけ

 

 

「セイバー!危ない!!」

セイバーは何も動かないので、つい口からそう発してしまった

 

 

アサシンとセイバーの距離が1メートル程になった、アサシンはセイバーにナイフを刺そうとしている、

だがセイバーはアサシンのナイフを刀身で受け止め、ナイフを弾き飛ばした

 

そして、そのままアサシンの右首を浅く切った

 

 

アサシンの首から血が流れる

 

「あ、あ…ああ…私…あ、ああ…」

自分の首から流れる血を見て混乱するアサシン

 

 

「君の負け、早く治療しないと血が全て流れてっちゃうよ」

刀を鞘に納めるセイバー

 

 

「わ、私は…あ、ああ…!!」

アサシンは体を半回転させ、通って来た道を逆走し始めた

 

 

「え、あ!?逃げた!?」

 

 

「アサシンの奴、自分から仕掛けておいて逃げるのかよ!?」

アサシンの行動に驚く私と京介

 

 

「セイバー!アサシン逃げちゃうよ!?追い掛けないと!」

 

 

 

「いや、追い掛けなくて大丈夫だと思うよ」

 

 

「え!?だってアサシンは人を殺してるんだよ!?何するか分からないんだよ!?私達が逃してまた被害が増えたらどうするの!?」

 

 

「いや、もう彼女はもう人を殺しやしないさ」

 

 

「えぇ…?何でそんな事分かるの…??」

 

 

「勘」

 

 

「「えぇ…?」」

流石に京介も困惑している様だ

 

 

「ま、そろそろ朝になるし、ここいらで解散ー!」

セイバーが両手を叩きながらそう言った

 

 

「えぇ…?そんな急に…」

徐々に意識が薄れていく

 

 

「大丈夫、アサシンはきっと、救われる」

.

 

「…そっか…」

私は意識を落とした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏音と京介が居なくなったが、セイバーとキャスター(弟)は夢の中にまだ居た

 

「…セイバーお前、いまどこまで記憶はある?宝具は使えるのか?」

 

 

「大体は戻ったけど、宝具はまだ」

 

 

するとキャスターは急に真面目そうな顔をした

 

「記憶がまだ全て戻ってないにしても、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「…さぁーて、何のことだかねー」

 

 

「お前のマスターの正体の事だ」

キャスターは真剣な顔で聞いている

 

「放っておいたら、不味いことになる事は分かっているだろう?記憶を無くして宝具が使えない、お前は一体どうするつもりだ?」

 

 

「…気付いてるよ…マスターの事…"異常な僕"とパスを繋いで、無事でいられるマスターの"異常性"…」

 

 

「噂には聞いていたが、本当にいるとはな…抑止力(世界)が危機を感じた時に召喚される、()()()()()()()()

 

 

「何でここにいるのかなぁ?()()()()()で完全に消滅したと思っていたんだけど」

 

 

「詳しく事は分からん、だがもし彼女が思い出してしまったら…」

 

 

「その時は僕がどうにかする、絶対に」

 

 

「…そうか」

 

 

 

 

「もう夜明け、また明日ねキャスター」

 

 

「ああ、じゃあな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う…私はやってない…人を殺してなんか…いない」

血を垂らしながらフラフラと道を歩くアサシン

その目に光はなく、今にも倒れそうだ

 

 

 

 

ああ、私は…結局何も出来なかったな

 

聖杯を勝ち取る事も、戦うことも

 

マスターを守り切る事も

 

もうすぐ死ぬ

 

 

 

結局わからなかった、自分のあるべき姿が

 

少女?狼?殺人鬼?

 

私はどの姿でいるのが正解なの?

 

 

 

まぁ、いいや…どのみち消える

 

 

でも、身体が動いてしまう

嫌でも動いてしまう

 

止まってよ、お願い、止まってよ殺人鬼()

 

 

血が…血が欲しい

 

欲しくない、私は吸血鬼じゃない

 

聞きたい、悲鳴を

 

聞きたくなんか無い、そんな物を聞いて何になる

 

 

だが、足は止まらない

行く場所が分かっているのか

ふらふらとだが、前に前に進んで行く

 

 

そして私は、ある家の前で止まった

 

 

 

マスターの家の前であった

 

 

 

嫌な予感がする、私がしようとする事が嫌でも想像できてしまった

 

 

私は玄関のドアに手を掛け、ドアを開けた

 

ドアを開けた先には少し長い廊下がある

私はゆっくり、ゆっくりとその廊下を歩き

1番奥の部屋に向かっていく

 

 

やめて、やめて

 

お願いだから

 

殺させないで…

 

 

 

私は1番奥の部屋を開けた

 

 

 

 

そこには、1人の老人がスヤスヤと寝ていた

 

アサシンのマスターだ

 

その息は安定しており、ボケているところを除けば健康な老人である

 

 

 

 

 

私はゆっくりとマスターの枕元に立ち、そのまま膝をついた

 

 

そして、手に持っているナイフを徐々に上に上げていく

 

 

やめて、やめて

やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて

 

 

殺したくないの、この手でマスターを殺したくないの

 

嫌なのに、体が言う事を聞かない

 

 

ナイフはマスターの胸の真上まで上がってしまった

 

 

「はぁ…はぁ…」

息が荒くなっていく

勝手に動く自分の体を止めようと精神を使い、疲労していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私はマスターの胸にナイフを刺した

 

 

 

やってしまった

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…

 

 

後悔と悲しさが込み上げていく

 

だが、どこか 気持ちいい と思ってしまう自分が憎い

 

 

 

「あぁ…ああ…ぁぁぁ…」

涙が流れる

 

 

抑えられなかった、止められなかった

 

ごめんなさい、私が弱いから…

 

 

私がただの少女だから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢さん…」

 

 

 

 

「え…?」

幻聴だろうか、声が聞こえた

優しく、温かい声

聞き慣れてしまった声

 

 

「なん…で…?」

 

 

「ここは夢の中、ボケる前の私になったてもおかしくは無いだろう?」

 

 

「…ごめんなさい…ごめんなさい、私は…私を抑えきれなくて…」

今更謝っても遅い、マスターの胸には刺し傷がある

夢の世界だからか、マスターは刺し傷を痛がる事もなく

ただ優しい顔で私を見ている

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…私が、弱いから…私がただの少女だから…」

そんなマスターの前で私はボロボロと泣いてしまった、顔がクシャクシャになるほど、マスターの前で泣いた

 

 

「…お嬢さん、名前はなんて言うんだい?」

 

 

「グスッ、赤ずきんです」

 

 

「違う違う、君の 1人の少女としての名前はなんて言うんだい?」

 

 

 

 

 

「…ありません…私はただの少女なのです…」

 

 

 

「…いいや、あるはずだ 君の名は何だい?」

 

 

「ブランシェット…噂なのか、作家さん達が付けた名なのかは分かりませんが、私に付けられた名はブランシェットです

 

 

「ブランシェットちゃんか、可愛らしい名前じゃあないか

 

マスターはいつもの優しい笑顔で、そう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブランシェットちゃん、君は君らしくいればいいんだよ」

 

 

「え…?」

 

 

「君は君のままでいるのが、一番なんだよ、無理に変わろうとしなくてもいいんだ、ただの少女でいる事こそか君の、赤ずきんちゃんとしての役割なんだ…オオカミ…も、殺…人鬼も…君の…大切な…一部なんだ…ただの少女でいる事が…」

徐々に瞼が落ちていく、起き上がっていた体が再び倒れていく

 

 

 

 

 

 

「…私の望む君なんだ…よ…」

マスターは私の膝に頭を下ろした

瞼は既に閉じている、もう時間は無いんだろう

 

 

 

「…ありがとう…ブランシェットちゃん…こんな死に損ないの爺さんの…最後を見守ってくれて…ありがとう…」

 

 

そして、マスターは息を引き取った

 

 

 

手の甲にある令呪が消えていく

私の身体も除去に光の粒子状に消えていく

 

 

私はマスターの頭を優しく、優しく撫で

涙を流しながらゆっくりと微笑んだ

 

 

 

「やっと、やっと分かりました…私は、私は…物語(赤ずきん)…、自分がどうなりたいかではなく、誰かの望む姿(結末)であればいいんです…」

 

少女は息をしなくなった己の主人の頭を撫でながら静かに泣いた

だが、その涙は決して絶望や己の自己嫌悪によるものではなかった

 

 

「でもごめんなさい、最後に我儘を言います…貴方の最後を見守るのは…少女()でいさせて下さい…」

 

その言葉を最後にアサシンは消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、マスター」

 

 

「…おはよう、セイバー…」

いつもの朝

変わらない、変わるはずのない平凡な朝だ

 

 

 

「アサシン…どうなったのかな…」

セイバーが用意してくれた朝ごはんを食べていると

ふと昨晩のことを思い出し、ボソッと言ってしまった。 

 

 

「どうだろうねぇ」

すると、セイバーは私の事をジッと見てきた

 

 

「ちょセイバー、何…」

あまりにも見られるので少し照れてしまう

 

 

「…マスター、手大丈夫?」

 

昨夜の事を気にしてるのか、少し悲しそうな顔をするセイバー

 

 

「え?大丈夫だよ、少しヒリヒリするぐらい」

手の甲をセイバーに見せる

 

「…あれ?傷そんなに小さかったっけ?」

 

セイバーにそう言われ、私は手の甲を確認した

 

昨晩確かに私はアサシンの攻撃によって手の甲を切った筈だ、正確な数値は分からないが傷口は10〜8センチぐらいの大きさだった筈だ

しかし、いまある傷の大きさはその半分の5〜4センチ程だ

 

 

「ほんとだ…セイバーが治した…とか?」

 

 

「アハハ、ボクマジュツノサイノウはゼロニヒトシイヨ」

 

 

「え、あ、何かごめん」

 

 

「まぁ、いいや ほら!マスター!早く準備支度して!学校から遅れちゃうよ!」

 

 

「あ、言い忘れてた」

 

 

「?」

 

 

鞄から「パンフレット」と書かれた紙をセイバーに見せる

「えっとぉ…今日、遠足だった」

 

 

 

 

 

 

 

「そういうの先に言ってよ!!!!!!!!!」

 

 

 












サーヴァント 真名 赤ずきん

童話「赤ずきん」の主役
童話では赤ずきんの少女に名は付いていないが"ブランシェット"や"メイジー"などの名がある

"赤ずきん"としての霊核の中に世話焼きで心優しい少女と少女に恋した1匹の狼と非道で残虐な殺人鬼の3つの人格がある


宝具「"本当の私"(ル ブレ モア)」
正直宝具と言えるのかわからないが、宝具という事にしておこう
赤ずきんの3つの性格を切り替えれるものである
この宝具は魔力がいらず好きな時に好きなように使える為、本人にも魔力を与えるマスターにも優しい宝具となっている(?)


「貴方はどの私をお望みですか?」




おまけ

「ん?あれ、なにここ?」

いつも通り夢の世界に入れたかと思えば、そこは真っ白な空間であった
何もない、建物も植物も人間も 何もない空間に私はいた


「やぁ、マスター ってここどこだい?全部真っ白じゃん、無印系の物が好きな僕でもやり過ぎだと思うよ」


「いや、私に聞かれても…」




すると、




「フハハハハハハハハハ!!!」

甲高い女性の笑い声が聞こえた


「げ…」
セイバーが苦虫を噛み潰したような顔をする


「久しいなセイバー!!妾の夫になれ!!」


「会って早々にそれ?やめてよ、胃が痛くなる…」


金髪赤目の美しい女性、少し変わったデザインの黄金の鎧を付けているその人物は…


アーチャー "女帝ギルガメッシュ"


「ねぇ、セイバーここどこなんだろう?」


「さぁね、でもまぁ原因は間違いなくあの性悪B×2だと思うなぁ」



『何故バレたんです!?』

(幻聴が)聞こえる聞こえる…


「おい、妾を置いて貴様らだけで喋るな」




「ってあれ、アーチャー…君の足元にあるのって」


セイバーが指差す方向を見ると…


紫色で構成された四角い箱、いや機械?があった
正面には四つの穴、後ろには長いコードがテレビに繋がっている


「…ゲーム?」


見た事は無いが、おそらくゲーム機なのだろう
ゲームなどスマホでしかやらないのでゲーム機の事など疎い 


「ゲームキューブじゃん!!」
少し興奮しながらセイバーはそう言った


「ゲーム…きゅーぶ…?」
聞いた事ない機器だ



「マスターは知らないかぁ、あの有名な任●堂の機器でね、あのW●iの一つ前のゲーム機なんだ あ、正確にはDSの前」


「…で、そのゲームキューブが何でここに…?」


「やれって事じゃないかな?ゲームを」
セイバーはゲームキューブの隣にある物を拾い上げ、私達に見せた


「マリオカート…ダブルダッシュ?」

マリオカートは知っているが、これは見た事が無い





「フハハハハハ!いいだろう!妾がやってやる!セイバー、用意をしろ!!レースで対戦でもしようではないか!!」


「用意も何も…、コントローラー一つしかないから、2人でなんか出来るわけないだろ」


「フハハハ!たわけ!コントローラーならある!!」
すると、ギルガメッシュは宝物庫を漁り始めた


「確かここら辺にあった筈だが…これか!あったぞ!セイバー!!」
そう言って宝物庫から取り出したゲームキューブコントローラーは、まさにギルガメッシュ…というカラーリングの…黄金のコントローラーだった
 

「「…」」

黄金のコントローラーを見て2人は何とも言えない顔をする


「うわぁ…アーチャー趣味わっる…」


「何を言う!まさに妾を体現したコントローラーであろう!!」


「いや、確かに君を体現したコントローラーだと思うけどさ…ま、いいや…やろ」

コントローラーを本体に刺して操作し始めるセイバー


「マスターもやるでしょ?アーチャー、金色でいいからコントローラー出して」


「いや、必要無いよ、私見てるだけで充分」


「フン、つまらない娘だ、まぁいいだろう」


アーチャーはコントローラー手に持ち、大声で言った


「行くぞセイバーァァァ!!!デュエル開始ィィィィィ!!!」











「は?君そこでトゲゾー使う??性格悪いよ」


「勝つ為には手段は問わん、特にお前にはな…ってうぉぉい!!?」


「僕のダミーアイテムボックスを喰らったね!ざまーみろー!!」





「あ、●ッシーに抜かれた」

「「●ッシーこの野郎!!」」





この2人…敵同士のはずなのになんでこんなに楽しそうなんだ?



「このゲームの良いところ、いや他のマリカーとは違う所は二人乗りができる所だね」


「キャラの数こそこの時代の最新作には劣るが、このシステムやアイテム、ステージがこの作品の魅力だ」




「いぇぇぇぇぇぇい!ナイスアーチャー!!」


「妾たち二人がいれば無敵よ!」
ハイタッチを決める2人


「よーし、最後はボムバトルだぁぁぁ!!!!」

「FOOOOOOOOOOO〜↑↑↑」

楽しそう…
あれ…2人って敵同士だよね?


「必殺☆ボム10連射☆」


「ぬおぉぉぉ!?やめろセイバー!!ボムを妾に向かって落とすな!!」


小学生のノリだ…
学校終わりに双方どちらかの家に行って、ゲームする小学生だこれ












「久しぶりにやったけど、やっぱり神ゲーだねこれ」


「ちび●る子ちゃんのおこづかい大作戦がバビロンの中にあるがやるか?」


「クソゲーやめて」


「駄目なの、それ?可愛らしいタイトルだけど」


「内容もゲーム自体もダメダメ、ここまでくるとある意味神ゲーだけどね」


「セイバー、サモンライドもあるぞ」
宝物庫からゲームを取り出すアーチャー


「うわ凄、君の宝物庫の中にはクソゲーが大量に溜まってるのかい?」


「何を言うか、これも立派な財宝だぞセイバー、例えるならグルメスパイry…」
「オッケー、もう言わなくても良いよ」


「グルメスパイ…?」

「やめてマスター、変な物を覚えないで…」



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