ライスシャワーの耳かき (蒼月柊)
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ライスシャワーの耳かき
リビングの明かりもつけずに、ライスシャワーはソファに座っていた。微笑みを見せる彼女は自分の腿をぽふぽふと叩く。
「耳かきをしたいな」
その言葉に従って、頭をライスシャワーの腿に置いた。
「それじゃ最初は右耳から」
耳かきの先が耳に触れる。耳の中をくすぐられる快感とライスシャワーの体温にまぶたが重たくなる。
「眠たくなったら眠っていいんだよ?」
吐息まじりの小さな笑い声がだんだん遠くになっていった。
*
「いつもお疲れさま。お仕事は大変だね。
どうしてわかるのかって? だって、夜に見る顔がいつも眠そうだもん。いつも頑張っているってわかるよ。
だからね、今日は少しでも疲れが取れるようにって思ったんだ。……本当はいつもやらせてもらえると嬉しいんだけど、だめ、かな。
なんて、聞こえていないよね。……やっぱりライスは悪い子だ。でも、いつかちゃんと言えるようになれたらいいな。
耳かきはどうかな。眠っているってことは気持ちいいんだよね。それとも、それだけ疲れていたってことかな。
そんなに頑張らなくていいんだよ。ライスも一緒に頑張るから、その想いは自分のために使ってほしいな。……それだけ想われていることはとても嬉しいけれど、もっとライスを見てほしいな。もっと、ライスと一緒にいてほしいな。
……ちょっと恥ずかしくなってきちゃった。大丈夫かな? 気づかれていないかな?」
*
「ふー、よし、右耳はきれいになったね。それじゃ次は左耳にと、えへへやっぱりかわいいなあ。この
……体を動かしても起きられないほどに疲れていたんだね。いつもありがとう。でも、やっぱり心配だよ。いつか離れてしまうんじゃないかって、怖くなる。あなたはきっと離れないって言ってくれるだろうけど、あなたが死んでしまったら離れてしまうんだよ?
だから、頑張りすぎないでほしいな。頑張るときは一緒に、ね。
レースに出ていたときもそうだったんだから、これからも一緒にいてほしいよ。そのためだったらなんだってする。この幸せが続くためなら、頑張るよ。
……えへへ、あなたと一緒だね。ライスもあなたのためなら頑張っちゃいそう。だからやっぱり一緒がいいな。これからもずっと」
*
意識が戻ってきても、体を動かすことはできなかった。首を動かすと狭いソファにライスシャワーが体を抱きしめて横になっているのが見える。
どうにか腕をライスシャワーから抜いて、ライスシャワーの頭を撫でた。所々から跳ねてしまう髪質とは思えないほどに触り心地がよい髪を触りながら、外が明るくなる様子をずっと眺めていた。
……書いている連載作品を別作品の執筆にリソースを注ぐ必要があるからと放置しているくせに、慣れないASMR作品を書き始めたバカはこちらです。
脳内のシチュエーションの乏しさに絶望した!
あと、全然、別作品が書けないでいるけど(間違いなく更新再開しますと約束した日を過ぎるやつ)、私は元気です。
ああ、アオハル杯が来ちゃうから、執筆の時間がぁ〜(沈黙)
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