チート指揮官の前線活動 (アーヴァレスト)
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設定+特別編
設定集(暫定)


主人公設定を公開
2022/9/26 最新内容追記


シャマール

本名 アリス・ファルクマン

 

【挿絵表示】

 

この世界に偶然転生した主人公、女性

記憶の一部に断絶があるものの気にしてはいない

 

身長 175.2cm

体重 ???kg

年齢 17

髪型・色 少し外にハネているストレート、色は黒緑

眼 茶色

 

技術者にして科学者、その範囲は全体と言っていいほど

一応の専攻分野は工学ならびに物理学全般

技術者としての技能はかなり高く、少ない部材から高い性能を出すものを作り出せるほど

科学者としての技能もそれなりに高いが、新技術よりは既存技術を応用する事が得意

これは実用データの揃っている技術の水平思考の考えが強く出ている*1

兵士としてのスキルも高く、即席爆発装置(I E D)をその場の部品で作り上げるほど。その際には敵に恐怖心を抱かせるように亡骸の下に設置して精神への攻撃を強く押し出すなど外道な手段もとる

(本編第二話参照)

医師としての活動経験あり、腕はまぁまぁ良い方。

 

作戦指揮能力は未知数ではあるものの、その卓越した指揮により、G&K(グリフィン)の採用試験をすっ飛ばして社長自らのスカウトを受けるほど

ちなみに戦術教本に主人公のとった戦術は載ってなかった事が後に判明している

立案する作戦の根底には、過剰なまでの行動予測が反映されている

(敵は常に自らの想定する最悪の行動をすると考えている)

 

なお、これでも複数の世界を渡り歩いた存在である

少なくとも3回以上は世界を渡っており、その一つの世界で最高傑作を作り出している

 

悩みは喋り方がどうしても男性のソレであり、自身の服装から見て性別を間違われることが多いことである

女性であるが、そのせいで出会いが無い

(いきおくれないか不安である)

 

 

 

 

 

LAFI(ラフィ)

分類 生体的人工知能・指揮官型戦術人形

 

【挿絵表示】

 

 

身長 174.6cm

体重 49.5kg

外見年齢 20歳代

髪型・色 内ハネの弱くウェーブするセミロング・色は金色

眼 青に近い緑色

 

主人公が作成した最高傑作

超高度AIであり、その性能は本作世界中最高である

スマートフォンより一回り大きいサイズであり、非常に流暢な会話が可能

主人公が転生した先の世界の技術を盗用し作成した番外存在である

 

主人公にとってのブレイン的存在、その性能の全てはまだ発揮されていない

その破格の性能*2ゆえ、発揮される事は滅多にない

 

 

自らが作り出された世界のことはきちんと記録しており、そちらの世界では自らと同じ系列機が最低でもあと4台は存在している(1st、2nd、3rd、4thの4基)*3事もあり家族を大切にする存在となっている

 

性格はとても真面目であるが、時折間の抜けた発言をかます主人公には反応に困る場面もある

 

主人公の事は自らの製作者として絶対服従しているものの、時には忠告や警告を行うなど反論する事もある

徹底的な効率重視という訳でもなく、生き残り帰還することを大切にするあたり柔軟な思考回路を持っている

また、作戦指揮能力が主人公についで高い

 

その正体は既存のAI(機械的AI)とは基礎から異なる有機AI

ざっくり言えば生物的なAI

機械ベースで作られた存在である無機AIとは大きく異なり、生体素子の集合体であり、生体論理に基づいてハード的にもソフト的にも自己増殖・自己改良を続ける生体マシンである

それ故、ドルフロ世界では再現すらかなわない代物である

(ただし、倫理を無視すれば低性能な模造品くらいは製作可能)

またその由来から、機械的な論理に縛らず思考と行動が可能であり、これがLAFIとドルフロ世界のAIの区分の違いとなっている

(例外的な存在は戦術人形のみであるが、そちらにしてもベースは機械的)

 

作中にて戦術人形ボディを獲得、これにより更なる進化の領域へと突入した

 

↓ココから反転↓

【挿絵表示】

全性能開放形態・鴉羽

LAFIが戦術人形としてのリミッターを完全開放した特殊形態、その戦闘能力は異次元の領域にある

発動時には赤い光の粒子が放出される現象が付随して発生する、この粒子は戦術人形に対して強い毒性を有しており非常に危険(人間には毒性なし)

また、絶対零度(-273.15℃)の防壁を即時展開する特殊機能を有しており、戦術面でも非常に優位に立ちながら戦うことが出来る特異性を有する

なお、このとき目の色が光の粒子と同じ赤に、髪の色は濡羽色へと変容する。これは決戦機能として搭載されたことに由来した危険信号である

主な武装は剣、銃よりも早く動く瞬発力に物を言わせて圧倒する

*1
枯れた技術の水平思考とも。既存の技術を既存のモノとは異なる使い方をしてまったく新しいモノを生み出す事

*2
主人公の勤めている基地の人形たちがダミーまでフル動員した上で二個旅団規模で来ても、単独の演算能力で壊滅させられる程。これでも全性能の45%

*3
うち4thに関しては名前だけ系列だが、使用されている技術に関してはまったく別種の物




長くはなくむしろ短めに


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【悲報】クリスマス特別編【大遅刻】

クリスマス特別編を上げようと思っていたら中身考えられなくて遅刻かました阿呆がいるらしい

今話のみ台本形式


シャマール「えー今日は何日だ、作者」

作者「12月26日っすね」

シャマール「クリスマスは?」

作者「12月25日ですね」

 

ある日、突然現れた作者に驚きながらも私はとある事を思い出していた

昨日、12月25日はクリスマスだった

それを・・・

 

シャマール「投稿できなかった理由は?」

作者「時間足りn」

シャマール「あー手が滑ってしまうかもな?」

作者「俺の頭、45口径で風穴は開けないでね?マジで頼むから」

 

なら真実を話せといったら、年末調整に巻き込まれて多忙だったとの事だった

それならば仕方ないが・・・

 

シャマール「人手足りないのか?」

作者「人は何とかだが頭の足りん連中が多くいるせいで毎度死にかける・・・あれ、このケース年始にも発生するんじゃ・・・うっ頭が!!」

 

作者が頭を抱えたところで、似ている戦術人形を思い出した

ウロボロスもたぶん今頃、どっかの部屋でなぜ私が働かねばならんのだ!?とか言いながら作業の指示を出しているに違いない

彼女に任せておけば効率よく回せるので、立場的に偉くなっても働かされるという事を気付かせずに馬車馬の如く働いてもらおう

 

シャマール「まぁ、その・・・お疲れさまとだけ言っておこう」

作者「代わってくれない?」

シャマール「そのためには2次元が3次元に自由移動する方法を開発せねばな」

作者「くっそう」

 

ではな、と言って私はいつの間にか来ていたLAFIに目を向ける

 

LAFI「作者、遺言は?」

作者「女王様に出会えて最高です」

LAFI「そうか、それは良かったな。では死ね」

 

そう言ってLAFIが取り出したのは乗馬用の鞭だった

 

作者「LAFI様!?それはご褒美になってしまいます!!」

LAFI「・・・」

 

その言葉に、豚どころかゴミを見る目に変わったLAFIは呆れながら頭を抱えた

 

LAFI「マスター、この粗大ゴ・・・生ゴミどうしますか?」

シャマール「言い直して更に酷くなるのはどうにかならんか?まぁ放置で良いだろう」

作者「放置プレイ!?」

シャマール「とりあえず黙っててくれ、手が滑りそうだ」

作者「はぁい」

 

自分も頭抱えながら方針を決める、言動はあれだが人畜無害ではあるので決めかねるが・・・

 

LAFI「というかどうやってこの世界に来たというのですか?」

作者「私は神だあぁぁぁ!!」

シャマール「手の代わりに足が滑ったわ」

作者「ぎゃん!!」

 

足払いしてこけさせてその上で腹を蹴って黙らせ私は続ける

 

シャマール「どうせクリスマスにもボッチだった腹いせに自作品のキャラと触れ合おうとでも考えたのだろう。その結果が日付のズレた投稿日だが」

作者「やめてッ!!俺のライフはマイナス値よ!!」

LAFI「0超えてマイナス行くのは多分貴方だけですよ変態」

作者「罵倒ありがとうございます!!」

シャマール「ダメだコイツ早く何とかしないと」

 

割とガチ目にヤバい奴の気がしてきた

しかし気が付くとその体が透けてきている

 

作者「そろそろ時間みたいだ・・・それじゃあ二人とも、チャオ!!」

シャマール「二度と来るな」

LAFI「次は殺す」

 

そう言って消え失せるその少し前に、とんでもない爆弾が投下された

 

作者「あ、そうそう、年始の方でも現れる予定だからよろしくね!!」

シャマール・LAFI「絶対に歓迎なんてしないからなァ!!」

 

そしてなんだかよくわからない騒動はこれで終わった

しかし作者が宣言通り年始のイベントで現れる事を考えると今から憂鬱だ・・・




この話はフィクションです、今後登場するキャラも出ていますが未来のお話です


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特別編 たなばた

7月7日が何の日か忘れている愚か者はおるまいな!?(遅刻しているクソ作者)
そして明かされる主人公の本名


「ん・・・64式自と100式か?あの二人は何をしているんだ?」

<マスター、二人の出身・・・元になった銃の生産国はどちらですか?あと今日は?>

 

二人の元になった銃の生産国は日本、そして今日は7月7日・・・

 

「あぁ、タナバタとやらか・・・準備でもしているのかね?」

<恐らくそうかと>

「この地域に葉竹はないぞ?」

<竹の亜種で代用ですね、アジアにあるものの近縁種はこちらにもありますから>

 

私には馴染みがないが、日本にはそういうイベントがあるそうだ

私としてもそれは面白そうだと思っている

 

「「指揮官!!」」

「あ、やっべバレちった」

<間抜けですかアナタは・・・>

 

尾行していたらバレてしまった、まぁ、隠れる気もなかったのだが・・・

 

「手伝ってくれます?」

「良いぞ、とりあえず設置だけだな・・・」

「お願いします、私は皆にお知らせしてきますので!!」

「100式は元気だねぇ・・・」

 

64式自曰く、今回のこのイベントは100式が率先して準備してきたらしい

他にも日本出身の人形たちで今回のイベントをサポートしているのだとか

 

「こんな感じか?」

「はい、それで大丈夫です!!」

<これはまた良いものを用意してきましたね>

 

飾りはないシンプルな用意である

数は各銃種に合わせているだけに少々多い気がしないでもないが、それだけ参加者も多いということだろう

 

「一番乗りですね、指揮官」

「そうだな・・・短冊とやらに書いてつければ良いのか?」

「はい!!」

 

渡されたのは白い短冊とペン、それにサクッと文字を書き込んで飾り付けた

 

「んじゃ、楽しみにしておきますか」

「あれ、もう終わったのですか?」

「あぁ、書きたいことは決まっていたからな」

「そうですか・・・悩むものかと思っていました」

 

64式自は少し残念そうだが、笑いながらもペットボトルのお茶を渡してくれた

業者から格安で納品しているモノだ、日本出身の人形達の為に用意しているもので、美味しさで好評を得た

 

「ありがとう、貰っておくよ・・・それじゃまたな、64式自」

「はい、指揮官」

 

さて、そろそろ仕事の開始時間だ、執務室に籠もって仕事しよう

 


 

「あれ、指揮官のが見当たらないですね・・・これ誰のだろう?」

「64式自さん、それ見せてもらえますか?」

「カリーナさん!!」

 

指揮官が仕事を始めるために執務室に向かわれた直後、私は気になって何を書いたか見ようとしていた

だが、指揮官の名前が書かれている短冊が見つからないのだ

分かりやすいように白色の短冊を渡したのだが、同じ色の短冊が複数飾られており判別がつかない

 

「あぁ、今持たれるそれが指揮官のですねぇ。指揮官、本名書いてますね」

「え、これですか?」

 

私が持っている短冊にはフランス語でPetit quotidien・・・ささやかな日常という意味の言葉と、その左下に、Alice・Falkmanという人物名が書かれていた

 

「指揮官、日本人では?」

「容姿がそう見えるだけで実際にはフランス生まれ日本育ちの国籍アメリカというらしいですよ?」

「今知りましたよそれ・・・あれ、七夕知らないのは何故ですか?」

「私も酔っ払った時に初めて聞きましたからね・・・多分忘れていたのではないでしょうか?あ、名前の件、皆さんにはオフレコでお願いしますね?」

「分かっています、カリーナさん」

 

大規模の作戦をバンバン打ち立てて成功させる指揮官の願いが、そんなありふれた物だというのにも驚きを隠せない

だけど、言葉の節々を思い出していくと、少しだけ願いの意味が分かる気がした

 

「大切ですよね、ささやかな日常・・・守りたくても護りにくいですし・・・」

 

だから指揮官は、日常を守るために非日常に身を投じているのだろう

それは一般人にとって当たり前の日常で、守るために犠牲を伴うものだから




七夕に遅れて七夕回を上げるクソ作者は誰だ!?(ブーメラン)


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特別編 一時の夏の思い出 プロローグ0

今回も特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます

今回はその導入編、参加のお誘いを受けた主人公のやらかした事とは・・・?


「マスター、S10地区前線基地の指揮官、シーナ・ナギサ様から連絡が来ています」

「私宛にか?」

「本社経由ではありません、直接です。あと本社からも連絡が」

「キナ臭いんだが?」

「少なくともシーナ指揮官の方は問題ないと思いますよ?」

 

それはあるクソ暑い日のことだった、大規模なイベントを終えてしがない日々に戻っていたのだが連絡が来て身構えてしまった

 

「メールか・・・ほう?バカンスのお誘いとはな。LAFI、破り捨てとけ」

「即答ですか・・・構いませんが・・・本社のヘリアントス上級代行官からコールです」

「回線切断しておけ」

「それは残念だったが、私はここにいるぞ」

「・・・」

 

なんでコールしながらここにいるのか、そんな無駄を何故するのか疑問で仕方がない

しかも私を見た瞬間に呆れている

 

「君に命令を下しに来てやった、有り難く思うんだなシャマール指揮官」

「あ、お断りで」

「そうか、減俸だな」

「クソが・・・承りますよコンチキショウ!!で、その命令とやらはなんです?」

 

ヘリアントスが出してきたのは一枚の紙、そこには・・・

 

「あっ・・・あぁー・・・」

「見覚えがあるだろう?君が最後に休んでから昨日までの、休んだ日がないのだという証拠だからな」

こっちの世界にも労働基準法あったのかよ知らなかったぞ?

ずっとエンジョイしていたので忘れていましたよそれ

聞こえているぞ二人とも?

 

ヘリアントスに聞こえないようにLAFIと会話していたがガッツリ聞こえていたようだ

 

「で、会社命令で休んでこいということですか?」

「ちなみにだが君にバカンスのお誘いをしたシーナ指揮官も似たような口だ」

「なぁんでそれを知ってるんですかねぇ!?」

「シーナ指揮官に命令を下したのは私だからな。ちなみに君が最後に休んだのはタリンにおける一件の前の半日のみだ。流石にこれ以上は労働基準法に抵触するのでな」

「うへぇ誰だよ働きすぎで会社に怒られる奴なんてよ」

「君とシーナ指揮官だが?」

 

有無を言わせない一言だった、素直に居直ることにした

 

「というわけで君達もシーナ指揮官のバカンスに同行したまえ、ちなみに拒否権はないぞ」

「ちっ、クソが・・・俺は研究できればそれで良いんだっつのに」

「追加だが、最近君の基地の戦術人形たちより()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もあるのでな、リフレッシュしてこい」

「・・・」

 

今日の秘書をしているM4A1を見ると速攻で目をそらした、どうやらこいつが報告を上げていたようだ

 

「わかりました、謹んでお受けいたしますよ代行官様!!合コンの負け犬がぁ!!

「何か言ったか?」

「いいえ何も?」

 

独り言が聞こえていたようだ、危ないところだった、もう少しで減俸だったぜ

 

「LAFI、8人で行くと伝えておいてくれ・・・シーナ指揮官に」

「メールで送信しておきました、で、選定はどうされるので?」

「んなもの決まっている、原初からのコミュニケーション方法さ」


「という訳で、バカンスに行きてぇ奴らはデスゲームに参戦だ!!」

「「おぉぉぉぉ!!」」

 

翌朝、人形達全員を集めて経緯を説明しバカンス参加のためのデスゲーム開始を宣言した

ちなみに鉄血側は満場一致でエリザが行くことが決まっているためこのデスゲームには参加しない

 

「時間はこれより6時間、建物内での発砲は厳禁、当然だが建物外から内部への狙撃も厳禁だ!!内部からは射撃をしていいが使用する弾薬は訓練弾のみとする!!当たり前だが手榴弾も禁止だぞ!!」

「弾薬を無くした場合は近接戦のみとします、万が一これを破った場合は反則なので参加資格剥奪です。ですが相手から武器を奪って使用する事は問題ありません」

「それ以外なら何でもしていい、では1分後・・・戦闘開始(地獄開幕)!!」

 

私の声で全員が動き始めた

それぞれ思い思いの場所に向かったり、徒党を組んで撃破しようという考えだ

 

「で、非番スタッフ共、本当にコレで良いんだな?」

最高です!!

 

今回のイベントでは人間のスタッフ(ほぼ男性のみ、女性は二名だけ)も休暇申請をして生中継を見ている

この中継は監視カメラを普段の二倍に増補して転用した即席のもので、男性陣が喜ぶ映像を映すためのものだ

なお、そのために彼らは昼夜を惜しまず突貫で仕上げた、変態共の集まりである

 

「あぁぁ!!トンプソンがあっという間にィィ!!」

「ガーランドは・・・スプリングフィールドが漁夫った!?」

「M4・・・恐ろしい子!!」

「すげぇ、M16がカッコいい・・・」

 

トンプソンは今だけは敵であるハンドガンの子達を狙いに行ったが全員からの連続掃射であえなく倒れた

なお、その直後ハンドガンの子達はICEYが纏めて始末した、通りがけのついでと言わんばかりに一瞬の出来事である

ガーランドは狙撃に良い地点を探してそこから狙撃していたが、そのガーランドの後ろにつけていたスプリングフィールドがコルトSAA(ICEYが倒した子より奪ったもの)で撃破した

そしてそのまま武器を奪って狙撃している

一方、M4は開始直後に横にいたSOPで敵の攻撃を防御(ガードベント)してその相手であるRO635が驚く間にワンマグを使い切って撃破した

同タイムでM16はAR-15が構える間に彼女に振り返ることなく普段羽織っているコートの内側から発砲して撃破している

・・・AR小隊の2名が明らかにヤバいが気にしないでおこう

 

「おや・・・?」

 

その中で、最近現れた戦術人形であるマテバ・グリフォーネは意外にも人間らしい戦術を駆使している

普通の戦術人形では考えられない戦術を駆使してコンスタントに倒しているのだ

ある時は物陰に隠れてやり過ごしてから背後より襲って撃破し、またある時はダンボールに隠れて逃げている

戦場のあらゆる環境要素を効率的に使用する、兵士の基本が染み付いている

 

「う、嘘だろあの子マジでやりやがった!!」

「たった一人で404小隊倒しやがったぞ!?すげぇ!!」

 

こちらも新人の人形の快挙だ、M1887は単身で真正面から404小隊を相手取り撃破した

戦闘中にスピンコックを披露する余裕まで見せている

流石に無傷とはいかず、少しダメージを負っているものの戦闘に支障はなさそうだ

・・・ところで、UMP45は何でM1887の胸をしつこく狙ったのか、甚だ疑問である

 

「ウロボロス・・・あの戦い方教えたのお前か?」

「そんな訳があるか!!あれは奴のオリジナルだ!!しかしうまく戦術を組んでおるな、ときに環境をも利用するとは斬新だ」

「あぁ、でも言っておくがそれが兵士としての基礎スキルだぞ?」

「分かっておる、その事くらい」

 

ちなみになぜこの場にウロボロスがいるかというと、彼女の後ろにいるもう一人・・・アーキテクトに理由がある

ペルシカリアが鉄血とIOPの技術を組み合わせた新型人形の開発に行き詰まり、鉄血側の戦術人形のパーツが無いか打診してきたのでアーキテクトが丸ごと一体分のパーツ(ほぼ組み立て済み)を出してきたのだ

それがウロボロスの予備躯体で、しかも本人の許諾なしである。結果基地に来訪してアーキテクトをボコって帰る途中でこのイベントを知り観戦している

なお、本人が知ったときには既にパーツ単位まで分解されたあとであり、一部はM1887の部材に使用された後であったのだが、ペルシカリアに非はないためウロボロスはペルシカリアにせいぜい上手く部品を使ってくれといっただけだった

 

「よーしそろそろ終わりだな・・・」

 

結果はこうなった

 

参加者

固定枠 シャマール、LAFI、エリザ

デスゲーム勝者 M4、M16、M1887、ICEY、グリフォーネ

 

ちなみに今回の件の経費はすべて本社支払いで我々の財布はちっとも傷まない

ヘリアントスはこの後頭を抱えたそうだが私の知る事ではないのだ

・・・訓練場の地形が変わったとかそんな事もないのだ




という事で参加いたします!!
まぁ何とも面白い方法で人選したなこの指揮官w


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特別編 一時の夏の思い出 Arrival at port

今回も特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます

ヘリパイロットの役を担った鉄血JKのやらかしとは?



「アーキテクト、ヘリの準備は?」

「用意できたのCH-47JA*1だけだけど良いの?」

「キングスタリオン*2は用意できなかったのか?」

「エンジンレストア中、返ってくるのは1週間後だよ」

「で、用意できるのがコレだけだったという訳だな?」

 

あれから数日、予定されていた場所への移動手段に選んだのは空路だった

理由としては、保有する人員輸送車が全台オーバーホール状態にあり、ヘリで移動するくらいしか方法がないからだ

だが、肝心のヘリも大半が整備状況下にあり用意できたのは大型輸送ヘリのCH-47JA チヌークだけだったらしい

一応、基地にはこの機体の他にもキングスタリオン、ヴェノム*3、オスプレイ*4が存在するがそれらもやはり長期メンテナンス中である

 

「でもさ、何でわざわざF型の機体をJA型に変更したの?」

「F型に比べて燃料タンク容量が大きいのが一つの理由だ。およその数値で1.5倍にアップしているからな、その分航続距離が延伸されている」

「あれ、F型にも増槽ってあったよね?」

「機内設置型増槽のことだな、アレをつけると搭乗員数が減ってしまう問題がある。対してJA型は基礎構造の一部を燃料タンク容量分改設計することで搭乗員数を減らさずに航続距離の延伸をはかったんだ」

「へーそんな無理くりが通るんだ・・・」

「そうでもないさ、日本側の技術人の苦労の賜物だろうよ。それが我々の手で再度実現されているだけだ」

 

アーキテクトがこの基地に居着いてからもう2ヶ月立つ

最初は技術交流のためという目的があったが、今ではそれは二の次になっている

 

「港までの距離ってどれ位だったけ?」

「片道で950kmくらいだな、燃料満タンで十分に往復可能だ」

「航続距離って確か、原型機が2300kmくらいだからざっと2700kmくらい?」

「あぁ、十分足りるだろう?」

「そうだね!!」

「パイロットが変な事をしなければだがな」

 

その言葉に振り返ると不服そうなゲーガーの姿があった、今は作業着を着ている

 

「なぜ私が手伝わねばならんのだ、アーキテクトだけでいいだろう?」

「何やらかすか分からんから見張り頼むぞマネージャー?」

「誰がマネージャーだ、誰が!!」

「えー、そもそも私貴女の上司、貴女部下、アンダスタン?」

「そうか、その部下としての餞別をくれてやろうかアーキテクトォ!!」

 

そう言ってゲーガーはアーキテクトを海老反りさせながら拘束した

 

「お前のイタズラで怪我しかけた奴がいると聞いたぞ、本当だろうな!?」

「あぁ、あのゴキブリに似せたオモチャだね!!キチッとしまっていたのになぜか出ちゃって!!」

「そのおかげでこちらにはいい迷惑だ愚か者め!!尻拭いをする私の身になってみろ!!このクソ上司が!!」

「ちょ!?首絞めはやめて!!流石に死ぬ!!」

「一回メンタルリセットされてこい!!この、アホ上司がぁ!!」

 

おぉ、見事なチョークスリーパーだ、コレは死ねるな

 

「ギブギブギブ!!流石にヤバいからぁ!!」

「ちっ・・・!!」

 

でもなんだかんだ言って二人の仲はとても良い

互いが互いの弱点を補える設計思想のもと作られており、二人同時で作戦を遂行させた際の任務達成率は他の人形達を組ませたときを遥かに凌駕する

同じ鉄血に属する者たちと組ませてもまるで違うレベルだ

 

問題はアーキテクトが息を吸うように問題を起こすことである、それは軽いものからわりとヤバめなものまで含まれる

 

「仲良き事は素晴らしいがな二人共、そろそろ出発の時間だぞ」

「問題ない、あとはエンジンをスタートするだけにしているからな」

「そそ、ゲーガーちゃんが用意してくれたのだ!!」

「お前はもっと真面目に働け!!」

 

ゲーガーがアーキテクトに一発食らわせるが威力はだいぶ落ちているものだ

本気なら吹っ飛んでいる、何がとは言わない部分が

 

「さて、行きますか・・・バカンスに!!」

「エリザ様、座席はキツくありませんか?」

「大丈夫、二人共お願い」

「おまかせー!!」

 

エンジンスタートも完了し一路向かうはバカンスの場所に向かうための船が用意されている港だ

グリフィンの所有ではなく個人所有とのことである、怪しさが何か漂っている気がしないでもないが、誘ってくれたシーナ指揮官の関係者ということなので問題はないだろう

しばらくのち目的の場所が見えてくる、港には大型の客船が停泊していた

 

「コレはまた大盤振舞いかね・・・」

 

見たところ豪華客船に見えるが、気にしない方がいいだろう

私の経験上豪華客船にあまり良い思い出はないが、大丈夫であると信じたい

なにせ過去には殺人事件に巻き込まれたたり、転覆寸前に陥ったり、実際に転覆したりした経験がある

そのたびに生き残っている自分に驚きではあるが、流石に今回はそんな事は起きないだろう

 

「LAFI、クリアランスは?」

「港周辺に敵性反応はありませんよマスター、静かなものです」

「よし、アーキテクト。今から私が言う事をやってくれ」

「え?何するの?」

「アクロバットだ」

 

そう言って私は機首をほぼ90度おこしながら上昇するように指示を出す

安全高度まで上がったのち、今度は機首をほぼ90度下げて降下するように伝えて周囲の建造物の高度ギリギリで水平に戻させる

そしてそのまま横に向けて水平のまま着陸させた

 

「指揮官、後でお仕置きです!!」

「流石にコレはやり過ぎ」

「頭いてぇ・・・」

「貴女は酒の飲み過ぎなだけよ」

 

M4は私を見て怒りの声を上げ、ICEYは顔は無表情だが怒りで頭にある青色の猫耳に見える部分がピコピコと動いている

M16は前日にも酒を飲んでいたのか二日酔いだ、M1887は呆れた顔をしている

グリフォーネに至っては気を失っていた、平気そうなのはエリザだけだ

 

「アーキテクト、エージェントに連絡しておいたから」

「うえぇぇ!?」

 

訂正、めっちゃキレてた。激おこである

 

「まぁ、それは私の指示だから許してやれエリザ。この機体の性能試験も行いたかったから指示したんだし」

「なら良いけど、せめて皆の居ない時が良い」

「気をつけるよ」

 

そう言って頭を撫でるとくすぐったそうな顔をして私を見て告げる

 

「行こ、待ってる」

「そうだな。諸君、荷物は持ったな?」

「「はいっ!!」」

「では、行こうか!!」

 

そう言ってドアを開けて降り立つ

少し向こうには麦わら帽子に白いワンピースといういかにも眩しい出で立ちのシーナ指揮官が居た

 

「お久しぶり、と言ったほうが良いかな?お招きいただいたS-13基地指揮官、シャマールだ」

「お久しぶりです、シャマール指揮官。ゆっくり楽しまれてくださいね?」

「あぁ、同じ仕事のし過ぎで怒られた勢として楽しませてもらうよ」

「あ、貴女もなんですか?」

「あぁ、そちらよりは短いが、タリンの一件の前に半休取った後はノンストップだったからな。おかげで労働基準法ギリギリと言われたよ」

 

日本ならば36協定によって問題のない範囲であるのだが流石にこちらでそれは通用しない

私自身も生粋の日本人ではないが、日本人のダメな所は染み付いてしまっていたようだ

それに私自身も研究できればそれでいいと思っていたので休んでなかったのだが・・・それが更にいけなかったようだった

M4とROとペルシカにまで怒られるハメになったのだから

コレを機にリフレッシュしよう、たまには疲れを癒やす意味でハメを外してもかまわないだろうからな

*1
CH-47DおよびCH-47Fの自衛隊納入仕様

*2
CH-53Kの愛称、CH-53E スーパースタリオンの大規模発展型

*3
UH-1N ツインヒューイをアップグレードさせる形で開発(一部新造)した中型軍用ヘリ

*4
回転翼軸の角度を変更するティルトローター方式を採用することで、飛行中でも固定翼機とヘリコプターの特性を切り替え可能な垂直離着陸機




という訳で合流しました!!

CH-47JAで文中のようなアクロバットは難しいかもしれませんが、ほぼ同仕様のCH-47Fで文中のアクロバットを航空ショーで披露した変態国家がじつはあります
ちなみにその国家は21世紀にもなって銃剣突撃を敢行して成功(勝利)するとかいうヤベー国家ですw


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特別編 一時の夏の思い出 aboard ship

特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

シャマールの船上での一部始終・・・


「LAFIさんや、私はなぜこの服なのかね?」

「似合っているではないですかマスター、諦めなさい」

「解せぬ・・・」

 

あれから船内を主催側に案内され、LAFIに着替えをさせられた

曰く、スーツはこの場に不適切とのことだったが・・・

着替えさせられた服は薄生地の赤色半袖シャツに短めスカートという私の普段の服装である紺色長袖スーツに長ズボンとは真逆であった

ちなみにLAFIは空色のキャミワンピとこちらも普段とは大違いである。なお服装のせいか私より大きい胸部装甲が目立つのが少し苛ついた、もいでやろうか・・・

 

「さてと・・・」

 

着替え終わった後は自由行動開始、戦術人形の皆は他の基地の子達との会話を楽しんでいるようだ

そんな中私は一人だけ別行動をしていた

 

「ここならバレないな」

 

来たのは艦橋よりさらに上の階層、レーダーなどの機器がある場所だ

悪さをするためではなく一人になる場所として選んだ、そこで持ち込んでいたワインとグラスを出して進行方向を眺める

そしていつも持ち歩いている写真を取り出してその前にもう一つグラスを置いた

 

「できればお前達も連れて行きたかったが、世界が違えばどうしようもあるまい。これくらいしか出来んが許せ、我が友よ」

 

その写真は生まれた世界で、仲間として心の底から信頼していた者達と撮った記念の一枚だ

色褪せ始めているが、それでも持ち歩いている

 

「さて・・・」

 

目的地が見え始めた、そろそろ合流するかと片付けて腰を上げる

その瞬間、船首側に異変を感じて振り返りながらネックレス仕様の武装保管デバイスからGM6 Lynxを取り出して構えていた

グラスとワインの入ったケースはまだ持っていなかったのが良かった、どちらも高級品だから

 

「ん・・・?あいつは確か蛮族戦士とか言われている存在だったな・・・」

 

土埃が払われるとそこにいたのは蛮族戦士と呼ばれる存在だった

そして、私より先に前後左右で相手の動きを止めている存在がいる、素晴らしい反射神経だ。

と同時に、別の存在が接近しているのも感じた

 

「え?アイソマーだよなあれ!?」

 

蛮族戦士にゲンコツかましたのはアイソマーの子達だった

なんかアグレッシブになりすぎてないだろうか・・・気のせいだろうか?

 

「・・・とりあえず大丈夫か」

 

なんだか、場に緊張ではなく困惑が広がったので大丈夫だと判断して合流することにした

 

「マスター、今までどちらに?」

「ちょっと感傷に浸りに行ってた、状況は粗方分かってる」

「上から見ていましたね?」

「まぁな」

 

合流後すぐに見たのはシーナ指揮官に頭を下げているアイソマーの子だった

事の次第を話していたそうだ

 

「おぉう、やっぱりか」

 

わりかしキレていたようだ、二十歳にも満たない少女から放たれた圧は年齢に不釣り合いなほど濃密なものだった

蛮族戦士の行動は容認できるものではなかったのだろう

 

「まぁ、そうだよなぁ・・・」

 

と言いながらも島に降りる用意を終えて自分のキャリーケースを持つ

 

「それじゃ楽しもっか。・・・夏だ!海だ!!──バカンスだってね!!」

「イエェェェイ!!」

 

なお叫んだ直後、左右の後ろにいたICEYとエリザに膝カックンされて転びかけたのは言うまでもない




主「何故遅くなった、言え」
作「Strayしてたら遅れたんや、俺は悪くない!!」
主「どう考えても悪いのはお前だ」
作「ヴェ゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!」


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特別編 一時の夏の思い出 embarkation

特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます

さーて島についたぞぉぉぉ!!


「よし、展開完了」

「ついて早々、やるのがハンモックの展開ですか」

「カナヅチなものでな、海で泳ぐ気が起きん」

「あれ、でもプールでは泳いでいますよね?」

 

島に上陸後、すぐに手頃な場所を見つけて取り掛かったのはハンモックの展開だった

海で泳ぐ気がないのと、単純に日焼けをしたくないからだ

なので展開した場所も、海岸になるべく近く日陰である時間の方が長そうな場所にしている

グリフォーネは週一度プールで泳いでいることを知っているので質問してきたがそれにはLAFIが答える

 

「海とプールでは大きく違いますよ、グリフォーネ。プールは特別な装置でもない限り一定の方向に水が流れるため泳ぎやすいですが、潮の流れは不規則性がありますから」

「それに加えてこの海岸の離岸流の位置が分からんというのもある、アレに巻き込まれたら並の水泳選手でも海岸に戻るには相当の体力を使うそうだからな」

「離岸流ってどう調べるんですか?」

「自然に分解される蛍光色の液体をまいて潮の流れを見るのが一般的な方法だな。それ以外には海岸の侵食を撮影して予測するくらいだ」

「後は潮流計を設置して随時観測という方法もありますね」

 

ほへー、とグリフォーネが感心した声を上げて他のメンバーを見る

他のメンバーは全員散回しており、他の基地メンバーとの交流を楽しんでいる

特に注目されているのはエリザだ、服装は・・・おい、誰だ旧スクなんて着せたやつは?

チョイス最高すぎんだろ・・・

 

「エリザが何で指揮官を半分睨んでるか理解できたよ」

「何でさ・・・」

 

チョイスしたのは私だ。ちなみにそのさい、代理人(エージェント)から殺意の溢れかえった表情を浮かべられたがゴリ押しした

 

「さて・・・お前も楽しんでこい、グリフォーネ」

「そうします、ではまた後で」

「えぇ、また」

 

そしてハンモックに座り、のんびりと本を読むことにしたが・・・

プシュ!!という音を聞き逃したりはしなかった

 

「マスター?」

「飲むぞ」

「勝手にされればよろしいかと」

 

音のした方角に向かうとそこにいたのはシーナ指揮官、持っているのは予想に反して昔懐かしさを感じる容器に入った飲み物、ラムネだ

酒だと思っていたのだが少し残念だ

 

「ほう・・・良いモノを飲んでるな、シーナ指揮官?」

「酒ではないのを知って、若干残念そうな声をするのはどうかと思いますが?」

 

声に出ていたか、コレは失敬だ

シーナ指揮官はすぐに同じものを自分とLAFIに渡してきた

 

「夏の海で飲むラムネ。それも昔ながらのですが・・・お一ついかがです?」

「まぁ、昼間から酒というのもどうかというものだしな・・・一本貰おう」

「どうぞどうぞ、LAFIさんも一本どうぞ」

 

貰ったボトルを開けて一口飲むと、シーナ指揮官は何かを思い出したような表情を浮かべて紙包装された一升瓶と木箱をバッグから出した

 

「ある人から貴女へ、と言われております」

 

見るからに高価そうなそれを渡されながら、私の思考は一瞬フリーズしかけていた

はて、このような贈り物をもらう理由があっただろうか?

 

「タリンでの一件。そちらは輸送列車制圧へと赴いたというのは聞いています。これはその報酬として・・・グリフォン本部直轄諜報部所長、ダレン・タリオンからシャマール指揮官へと渡すようにと言われています」

「あぁ、あの一件か。"悪魔"にしては律儀だな」

「確かに」

 

送り主はタリンの一件での関わりがあったダレン・タリオン・・・悪魔、ダンタリオンの人間としての活動名からだった

素性を調べた際に生半な相手ではないと判断して調査を途中で終えている

その中で、人間ではなく悪魔と呼ばれる存在であると掴んだだけ御の字だ、敵に回すと限りなく面倒な部類だと判断している

 

「それに今渡したソレ、今じゃお目にかかる事すらないかなり貴重な物らしいですよ?」

「と、言うと?」

「その一升瓶のは日本酒です、しかも清酒。値段は分からないですけどかなりするみたいで・・・。理由としては生産数が100どころか、50ほどしか生産されなかったとかなんとか。そして、そっちの木箱にはダレンさんが趣味で集めている煙管の中で特に少数しか生産されなかった煙管を収めてあります」

「・・・マジ?」

 

酒を押し付けて木箱を速攻で回収した、LAFIがコイツ!?という表情を一瞬浮かべたが無視する

 

「マジのマジです。ま、ともあれです。お酒は飲兵衛に、そして煙管は健康を管理してくれている相棒に奪われないように気を付けて下さいね?」

 

そう言ってシーナ指揮官はLAFIを笑みを崩さず見つめた

どうやらあの悪魔、面白そうとかそういう感じでこうしろとシーナ指揮官に言ってたようだな・・・名指しで仕事押し付けて忙殺してやろうか

 

「あ、そうだ!!LAFIさん、写真とかどうです?折角だし一緒に取りませんか?」

「ええ、構いませんよ。こっちの薄い方も一緒にしましょうか」

「つっ・・・!?LAFI、貴様ァ!!」

 

ここにいる三人の中で一番薄いのは自分だ。シーナ指揮官は私より大きい・・・年齢、自分より若いのに・・・あれ、なんか塩っぱい水が流れ始めたぞ?

 

「これでもCはあるのに・・・」

「私はFよりのEですが?」

「あのケモミミマッド、帰ったら仕事押し付けて忙殺してやる・・・!!」

 

そうして何枚か写真を取り、とある人物を連行すべく探すことにした

 

「さぁて・・・どこにいるのかな、リヴァイル・ウィッカーマン君?」

 

ゴキッバキッ!!という、明らかに女性からしていけない音を出しながら




某基地にいるロリボロスさんがスク水とのことなのでエリザ様には旧スク着てもらいました。
幼女は最高だぜ!!(代理人から渾身のパンチを叩き込まれる派手な音)

なおグリフォーネは普通にビキニ、黒色で薄い金色のフリル付き


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特別編 一時の夏の思い出 embarkation(2)

特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます

さーて、ついに主人公がやらかす!!
今回は別の参加者様からキャラを拉致るぞ!!


「お・・・ここにいたかぁ・・・」

 

捜索開始から数分、目当ての人間、リヴァイル・ウィッカーマンを見つけた

よし、脅してやるか・・・!!

 

リヴァイルくぅぅぅぅん!!

 

奇声レベルの甲高い声で絶叫しながら接近、同時にロープで雁字搦めにして捕縛した

 

「え・・・!?おわぁ!?」

「ちょっと借りてくぞ。2、3時間ほどで戻すから安心してくれ」

「え?あぁぁぁ!!」

 

発言と同時にそのまま担ぎ上げて展開しているハンモックのある場所まで移動する

 

「LAFI、横幕は要らないと思うがな?」

「風除けですよ、マスター」

「なら良いや、お前も遊んでこい。ICEYがボッチになっているからな」

「マスターは?」

「今から話し合い。2、3時間あれば終わるさ」

 

戻るとLAFIがハンモックの周辺に横幕を張っていた

風除けとして張ったのだろう、薄い生地で出来ている安いものだ

 

「さて、拉致ってきた理由に心当たりはあるかな?リヴァイル・ウィッカーマン君?」

「あるというかありすぎるというか・・・」

「そうだろうなぁ・・・()()()()()がパラデウスのことをリークしてくれたおかげでこちらは大問題が発生したからなぁ」

「・・・」

 

そう言いつつも拘束を解き、対面の椅子に座らせる

そしてテーブルにタブレットを置き、それをそのまま渡す

 

「これは・・・?」

「どっかの誰かがパラデウスのことをリークしなければ活用できていた艦船のデータ。1番艦は設計のみ。2番艦は私が戦闘用として活用するが、空いた3番艦を君に譲渡する」

 

そう言ってバッグから取り出したのはバインダーに挟んだ紙、譲渡契約書という文字が少し大きめに見える。読んで字の如く、譲渡のための契約書だ

 

「解体・・・出来ねぇよな」

「解体するだけでジェラルドRフォード級原子力空母の建造費とほぼ同額になるぞ?建造費は更に1.5倍ほどするがな」

「・・・」

 

艦種非戦闘・多目的運用潜水艦
全長495m
全幅116m
全高60m
機関S3B原子炉2基
出力290000hp(ポンプジェット1基あたり)
最大速力通常推進のみ・・・37kt

通常推進・EMFC併用時・・・42kt

超伝導推進・EMFC併用時・・・65kt+

乗員最大350名
兵装なし(オプションで搭載可能)

 

これが渡す予定の艦船のカタログスペックだ、非戦闘用にしてはずいぶんとデカい代物である

船体の構造はトリマランを採用し造波抵抗の少ないデザインをしている*1

準同型の2番艦から武装を全て取り除いた分、艦が軽くなり浮上速度は上がっている

 

「これをどうして俺に?」

「他に上手く使ってくれそうな味方もいないものでな、それに君ならこれを遺跡探査の前哨基地とかに活用するだろうという期待もある」

「そのつもりだが・・・」

「あ、勝手に改造するなよ?契約書には私の立ち会いでのみ改造を許可するとしてあるからな」

「お、おぅ・・・ところで気になるんだがEMFCってなんだ?」

 

質問に応えるために別の資料を出し、説明を開始する

 

「Electro Magnetic Fluid Controller、頭文字を取ってEMFC。船体表面に無数に配列された超小型の超伝導デバイス群でフレミングの左手の法則を利用し海水を任意の方向に誘導する。水の抵抗を無くす他、乱流の発生を抑える効果が有るぞ」

「超伝導推進ってもしかしなくてもマジモンの超伝導?」

「あぁ、艦体への負担が大きいから多用は出来んがな」

 

その気になればこの巨体で自動車のようなドリフトをキメる事も出来なくはないが、艦体への負担がえげつない事になるので控えた方がいい

やるとしたら本当にそうしないと攻撃を回避できない状況下でのみだろう

 

「あんたの運用する2番艦の性能はどうなってんだ・・・?」

「たった一隻の艦船で空母打撃群級のパワープロジェクション能力を有しているが?あぁ、私ならそれを限界以上に引き出せるな」

「何と戦う気なんだ・・・」

「パラデウスだぞ、ついでに新ソ連のパラデウスと結託している派閥」

 

こんなバカンスの場で話すことではないが、かと言って他に話せる場もあまり無いのが新ソ連という国家だ

生きづらいし息苦しいことこの上ない、早々に打壊せねばいずれ窒息する

そうなれば待っているのは滅亡だ、既にその兆候が出ている。パラデウスの存在がその最たるものだろう

 

「あんた、指揮官というより政治家が向いてないか?」

「俺が政治家として必要とされるのは国家の存亡の危機くらいなものだ。それ以外では指揮官くらいの性能しか発揮できないポンコツだよ」

「・・・」

 

嘘だッ!!という顔をしているが無視してグラスを出し、ワインを注ぐ

このワインは移動している最中に飲んでいたもので、かなりの高級品だ

 

「ま、話はこれだけだ。バカンスを楽しもう、リヴァイル・ウィッカーマン」

「あぁ、そうだな。シャマールさん」

 

そして別れ、ハンモックで寝ることにする

このあと、結局寝ることは出来なかったのだが・・・

*1
エースコンバット7のスペシャルミッションで登場する潜水航空巡洋艦・アリコーンと似た作りと考えるとわかりやすい




という訳でNTK氏の作、人形達を守るモノからリヴァイル氏を拉致りました
コラボ先で別の参加者様からキャラ拉致るという・・・まぁ良いよね!!


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特別編 一時の夏の思い出 Dusk to Dawn

特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます

甘々(本作比)な話を書きすぎた反動が・・・!!
ここだけッ!!(表編の)シリアスはここだけなのッ!!



指揮官がリヴァイル氏を全力疾走で確保して強制送還から数分後、ハンモックのところに戻ってきた

私物として買っていたのを知っていたのでココに戻ると思っていたがあたりだったようだ

 

「悩み事か?」

「あ、指揮官・・・」

「一応聞いてやるよ、グリフォーネ」

 

島についたあと、自分達は思い思いの行動をしていた

M4A1やM16A1は他の基地の子達と遊び、ICEYは海を眺め、エリザはロリ化したウロボロスと共にいる

元部下という事もあり安心できるのだろう。ただ、島に降りて~リバイバーを鹵獲した後すぐまで着ていた水着と今は違う

エリザは島に降りた際、旧スクだったのだが今はレース加工の施されたハイネックの水着である。

旧スクとは違った可憐さが出ている水着は、M4A1が指揮官には内緒でエリザのために用意したものであり、この水着に変えてからは思いっきり楽しんでいるようだ

 

「この環境は大切だけど・・・いつか穢してしまいそうで・・・」

「たしかに大切だ、守り抜かねばと心から思う・・・その言葉出るということは、君は自分の開発コードを何処かで知ったな?」

「つい先日、ペルシカさんに見てもらった際に」

「あのバカケモミミが・・・まぁ、悩むのも無理はない名前だったからな」

 

そう、自分の今の体・・・戦術人形の開発コードを知ってしまった

知らなければよかったと思った、だってそれは・・・

 

夕闇を運ぶもの(Dusk Bringer)とは何とも、嫌がらせにも程がある。可憐な見た目にしてる分より腹が立つ。まぁ、そいつらもういないがな」

「・・・」

「だから、変えてやるよ」

 

そう言って指揮官が自分の後ろに立ち、首に何かをつけた

これは・・・チョーカー?

 

「ほれ、開発コードを見てみろ」

「・・・つっ!?」

 

開発コードを見てみたら、変わっていた・・・DBSoH、そこは変わってないが・・・

 

夜明を運び、大いなる種を紡ぐもの( Dawn Bringer Sower of Huge )。人と同じものを持ち、その願いと思いと絆から生まれしものを次の世代に紡ぐ者。それが今日これからのお前だ」

「指揮官・・・」

「で、他にも悩みがあるんだろ?そうだな・・・」

 

んー。とか、あー。とか言いながら指揮官は考える真似をして自分に笑いながら告げた

 

転生者で、元は男性なのに女性の戦術人形になっちまったとか?」

ブフォ!?

「マジかよ・・・」

「な、ななな・・・なんでそれを!?」

 

咳き込みながら質問すると、指揮官はさも当然という顔で返答してきた

 

「所作だ、無意識のうちにやっている動作の端々に男性のようなことをしている場面が見受けられた。転生者じゃね?と思ったのは明らかに知ってる素振りを見せたことが多々あったことだな」

「そ、それだけではないですよね?」

「あぁ、バカンスの2日前に行った強制査察、その際の負傷者の扱いには男性的な思考。女性にはない特徴があった。それで確信に変わったよ」

 

あー、同じ男に向かってトンデモ発言したアレか・・・アレで見抜かれていたのか・・・

 

「いやーまさか君の可憐な容姿からまさかの爆弾発言に俺も一瞬思考が飛んでしまったよ」

「忘れてッ・・・忘れて・・・下さいッ!!」

「生憎と作戦記録として永久保存だ、嬉し涙でも流すが良い!!」

いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁッ!!

「小声で絶叫するとは・・・器用な真似すんのな」

 

顔が真っ赤になった、恥ずかしくて穴があったら入りたい気分だ!!

こ、こうなったら・・・思考停止級の口撃をしてやる!!

 

「悩みはなくなったという顔だな?」

「えぇ、完全に、とは言えないですけどね」

「遊んでこい、残ったものも発散できるようにな」

「えぇ、それでは失礼します。ビッグボス」

「つっ・・・!?」

 

自分の言葉に、指揮官は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でフリーズした

意地悪くウインクまでしてそこを去り、皆のもとへ向かう事にする

 


 

「ビッグボス、か・・・」

「マスター?」

「指揮官?」

 

合流して散策していたICEYとLAFIに不思議なものを見たという顔で言われながら、グラスに入れていたワインを飲む

 

「いやなに、そう呼ばれたのは初めてでな」

 

グリフォーネの背中を見ながら、どこか懐かしいものを感じた

自分が生涯唯一、部下になりたいと思った素晴らしき人物が周りの部下たちに言われていた敬称が、まさか私に対してのものになるとは思っていなかった

自分は彼のようなカリスマ性なんて持ってない、彼ほどの経験もしていない

彼は自らのカリスマ性と他を圧倒する経験量、そして何よりも人としての在り方から、多くの仲間がいた

ただ・・・妙に子供っぽい所や、融通の効かない所、ドジどころか天然に入りかけている所があったりもしたが

 

「この世界にいるのなら、血眼になって探して無理矢理にでも連れてくるんだがな」

「相手は男の人?」

「どっちにでもなれる両性類、言ったら星にさせられるけどな」

 

本人の目の前で言ったら、確実にスマッシュ食らってお星さまにされる、流石に自分にはしてこないだろうけど・・・

それでも言われてキレる言葉であるのは間違いない

 

「指揮官」

「なんだ、ICEY?」

「寝る」

「あのー、それ俺の・・・」

 

ICEYは眠くなっていたのか自分が寝るために展開したハンモックで寝始めた

LAFIはいつの間にかいなくなり、M4とエリザと共に海岸で子どもたちを見ている

 

一方船の近くの岸壁ではM16とM1887が岸釣り(サビキ釣りのようだ)をしている

意外にも釣果は良さそうである

 

「さて、と」

 

ハンモックではICEYが寝ているので、別途で用意していたロッキングチェアで寝ることにした

M4、M16、M1887、グリフォーネが別行動を取ったとLAFIから連絡を受けたのは、それから数時間経過後のことだった




さて、裏編参加メンバーが何していたか書いたし、次の話はM16とM1887の話やな!!
ところで君ら何で釣りやってたん?

M16「はしゃぐほど体力が・・・」
M1887「嘘言わないの、食材の追加確保でしょ?」


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Off-island

特別編、白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

主催者様が裏編始めたのでこちらも裏編に突入!!
さて、裏編参加メンバーの装備を整えるか・・・


「どうしたシーナ指揮官?深刻そうな顔をしているが」

 

しばらくワイワイしている場面を見ていたが、その中で報告を受けて深刻なトラブルに見舞われたという表情に変わっていたシーナ指揮官を見て思わず声をかけていた

説明を受けてすぐに対応メンバーを選定する

呼んだのはM4A1、M16A1、M1887、グリフォーネの4人だ、各自優れた能力を有している

M4は指揮、M16は索敵、M1887は即応、グリフォーネはその全てが平均以上である器用さ・・・即席の部隊としてはベターな構成だ

 

「指揮官、話はLAFIさんから聞きましたが・・・」

「安心しろ、即応できる戦闘用デバイスは用意している。万が一のことを想定してバッグの底に入れておいたんだが役に立つと思ってなかった」

「で、その箱のがそうなのか?」

「あぁ、各自に渡すぞ」

 

M4には最初期に開発していたが日の目をコレまで見てなかったデバイス、GAT-X105E・ストライクエンハンスド、近接戦が多いための採用である

M16には同じく最初期に開発したGAT-X102・デュエルアサルトシュラウド、理由としてはこれまで彼女が持っていた装備をM4が引き継いで使用し始めたため、防御能力に問題が生じているからだ

M1887のは自分がタリンで使った機体、F91の試作機であるF90のIタイプ、一部装備品はF91よりフィードバックして搭載し直した

グリフォーネが使うのはAS-1・ブレイズレイブン、近接戦を得意とするためそれに合わせて新規製造した機体である。本来はICEYが使うものだが、本人は今のところ使う気がないとのことなので今回はグリフォーネでテストすることにした

 

なんだろう、自分自身何を想定してこの装備を持ってきたか訳分からなくなってきた

横にいるシーナ指揮官が少し呆れながら質問してきたし

 

「あの・・・戦争でもするんですか?」

「起こせてもLIC(低強度紛争)*1が限界だろうよ。単純にコスパが悪すぎる」

「LIC以上の事では?」

「1中隊ほどあれば中強度、1大隊で通常戦争だな。戦力的問題ではなく単純に兵站の問題だ」

 

実のところ、そこがS13の唯一の欠点でもある

規模としては中堅ですら無い若手である分、どうしても兵站の問題が付き纏う

大規模の作戦をバカスカ出来ているのは、実のところ私の副業収入による補填があってこそである

まぁ、株式取引でヤバイ額を稼いだ恩恵なのだが・・・

 

「さて、あの子達に島の裏側の異変は任せよう。うちの連中は役に立つぜ?」

「・・・」

 

不安そうな顔だが安心してくれ、うちのは悪魔とか何だとか気にせず立ち向かう連中だから

 


「うちの連中は役に立つぜ?とか、今ごろ言ってそう」

「これから本格的に楽しもうと思ってたのに・・・」

「クソッ・・・酒が足りねぇ」

「後で懲らしめてやる・・・」

 

指揮官の指示の下、私達は島の裏で起きている異変に対処するべく行動をしていた

既に先行している何人かのメンバーが現地で待っているそうだ

ちなみに発言の順番は自分(グリフォーネ)、M1887、M16、M4である

M1887はM16と先程まで魚釣りしていたので本当にこれからバカンスを楽しむところだった、哀愁を漂わせているのは気のせいではない・・・

M16は酒を飲みつつ魚釣りというそこはかとなく危険な行為をやってまだ飲み足りないという、帰ってからXM16E1さんにこってり絞られるだろう

M4は参加した人たちとの交流を楽しんで(エリザの面倒も見て)楽しんでいたところのコレで恨み節全開である

 

「グリフォーネはなんでそんなにハイなのかしら?」

「心霊系が好きなので、でもただハイになっているだけではないですよ。正直帰りたいっス」

「正直ね、私も同意見よ。ミッションじゃなかったら帰ってるわ」

 

自分とM1887は意外にも馬が合う、趣味は違うが・・・何というかこう、頼まれたものを断れない性格なのだ

 

「貧乏くじ引いたわ」

「俺は二度目の人生いきなりハードモードなんですけど」

「ご愁傷さま・・・二度目?」

「おっと、これは発言禁止なので言えないっすね」

 

M1887が俺の零した言葉に敏感に反応した、目敏い上に地獄耳か・・・

 

「グリフォーネ、後で少し話しましょう」

「助けてM4隊長!!」

「鯖折りとスタンピング、どちらか好きな方を選んでください、その逆でブチのめします」

「いや機嫌悪すぎんだろ」

 

M1887を回避するべくM4に声をかけたらめっちゃドスの利いた声で返された、正直怖い

 

「さて、そろそろ合流地点です。気を引き締めていきますよ」

「「「了解・・・!!」」」

 

この後自分が落っこちるなんてこの時は知る由もない事だった

*1
Low Intensity Conflictの略。通常戦争と平和状態との中間にあたる緩やかな紛争状態を指す概念のこと。今日では本来の定義から転じて、地上戦において従来の大規模な戦車戦に対して、市街戦や対歩兵・ゲリラ戦闘を指す言葉として用いられることが多い




なぉ、M4の機嫌が悪いのは別の理由も含まれていたりする
・・・にしても今回も装備がまたスゲェ豪華だな、一体どれだけのブツを作ってんだこの指揮官?
株式取引で財を成すなんてアンタだけだよシャマール(なお作者は無事爆死したもよう)


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Open Combat!!

白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

今回戦うのはM16とM1887のコンビ!!
(酒がなければ)頼りになるM16姉さんと頼れるお姉さんなM1887の姉属性コンビの連携やいかに!?


「っとあぶねぇ!?」

「こいつら厄介ね!!」

 

敵との遭遇・・・バラバラになるというまさかのイベントのあと、私達は敵と再遭遇した

明らかに攻撃を受けたらヤバい事になる敵を相手に、私達の取った行動は抗戦だった

仲間との合流が優先であるため、迂闊に無駄な体力を使う訳にはいかないからだ

だが、そうは思っても敵が強い

 

「ちょっ!?装甲削れたんだが!?」

「良かったじゃない、こっちは欠けたわよ」

「良かねぇよ!!」

 

敵の自由自在な攻撃を全て紙一重で躱し、おまけで反撃を加えるがそれを相殺される

だが、いまので読めた

相手もまたこちらに対して決定的な攻撃が出来ていないのだ

 

「アイツラいつも二体同時だな」

「ペアだからよ、こっちと同じね」

「じゃあ、私がスキを作るか・・・お前のそれ、拡散できるだろ?」

「ビームランサーというらしいわ、アナタの言ったことも可能だけど?」

 

私に向かいM16が意地悪い笑顔で告げたのは、私の思考にはない方法だった

 

「2体仲良く突き刺してブッ飛ばしちまおうぜ」

「アナタのその脳筋思考、たまには役立つわね」

 

作戦は決まった、あとは私と彼女が息を合わせられるか

そんなことは愚問だ、完璧なタイミングで最高の一撃を見舞うだけなのだから

 

「よし、行くぞこの野郎どもが!!」

 

M16がその言葉とともに敵への反撃を開始する

高エネルギービームライフルを乱射し、5連装マイクロミサイルを発射、同時に肩についているレールガンでも攻撃して相手を纏めて後退させる

防御は私がフライトシールドで全てを防ぎ、M16が攻撃に専念する

 

「頼む!!」

「任せなさい!!」

 

M16の攻撃が限界に来ると同時に、今度は私が攻撃に専念してM16が防御を行う

敵に向かいフライトシールドの前面を向け、そこに装備されているマシンキャノンで動きを止め、ビームランサーをチャージレスで叩き込む

そして・・・

 

「交代!!」

「OK、今度は私の番だ!!」

 

そして再度、M16が攻撃を行う番になった

最後の一撃は私が叩き込む、そのためにビームランサーへのエネルギーチャージを開始した

 

「動くんじゃねぇ!!じっとしてな!!」

 

乱射の中に相手を正確に狙う攻撃をM16は行い、確実に相手を潰している

これが、第2世代最古参の実力の一端だ。生まれたばかりの私とは経験量が違いすぎる

今の私には出来ない超絶技巧を、平然とすました顔で出来るのだから

 

「行くぞ!!」

「えぇ、準備完了よ!!」

 

合図と同時に相手に向かい同時に飛び出す、M16が一歩私より前進し、相手の攻撃を完全防御

それを飛び越える形で相手に肉薄し、長大に展開したビームランサーを2体の敵に串刺しのように貫通させ、私は告げた

 

「吹き飛べッ!!」

 

発射と同時に拡散ビームショットガンとしての機能を使い、一片の欠片も遺さず蒸発させた

私達の戦闘終了と同時に、一緒に来ていたアナ・アーキテクト組の方も終わったようだ




え・・・強スンギ

コレで良かったですかねコラボ主様!?


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Bullet and Sword!!

白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

今度はM4とグリフォーネのコンビが戦う
しっかり者の妹コンビが抜群のコンビネーションを発揮する!!


「触手かぁ・・・なんでそんなにデカいのだか」

 

思わずそんな言葉が出ていた

相手はデカい悪魔だった、どっかで見たことがあるが、これはたぶんDMCで出てきたジョカトグゥルムではなかろうか?

だとしたら非常に厄介であるが・・・自分には触手のイメージがアレなのだ、そう・・・

 

「触手ってのは女をピーー(自主規制)してピーー(自主規制)してピーー(自主規制)するもんだろうがッ!!」

「「なに言ってるの!?」」

 

アイソマーとM4に怒られた、ぴえん

 

「だあぁ!!人が話してる最中だろうがぁ!!邪魔すんじゃねぇ!!」

 

その間に迫っていた触手を斬り落とし、捌ききれないものは回避した

アジャイルスラスタでは加速に勢いがつきすぎて逆に自滅するのでジャンプで回避している

 

「真面目にしてください、グリフォーネ!!」

「これでも真面目なんですけど、ねッ!!」

 

M4の背後に迫っていた触手を居合斬りで落とし、背中を預ける

M4は呆れながら返してきた

 

「指揮官と同じで真面目か不真面目か分かりませんね・・・」

「まぁそれは置いといて・・・どうするよ隊長?ひん剥かれる前に毒で逝くか触手で潰されちまうぞ?」

「斬り落としなさい」

「んな無茶な・・・!!」

 

そう言ってる間に迫ってきた細い触手を防いで距離を取った

 

「今の見てわかっただろ俺じゃ斬れねぇよ!!ICEYさんなら一刀両断してんだろうけどさ!!」

「ですが深い切り込みは入れてます、頑張りなさい!!」

「この鬼畜!!復讐爆殺魔!!」

「一言余計です!!」

 

横をノールックでぶっ放されたビームが駆け抜けていった、その先にある触手が焼ける音がする

 

「ひぇっ・・・」

「流れ弾に気をつけてくださいね?」

「後で言わないでくれませんかね!?」

 

払い攻撃をジャンプして躱し、返す刀で深い切れ込みを入れてお返しした

同時にM4は滞空を選び、ビームライフルショーティーで攻撃を開始する

 

「おい、マジかよ!?」

 

それからしばらく膠着状態が続き、ジョカトグゥルムが毒を吐くと同時に触手全てで攻撃してきた

今度の攻撃は流石に予想外で・・・

 

「こ、のっ・・・!!」

「や、ろうっ!!」

 

脱出ルートを作るべく触手に切り込むが・・・先ほどと異なり剣が通らない

自己強化が行われている・・・厄介なッ!!

 

「一撃が駄目ならば!!」

 

なら今度は連撃を加えればいい、単分子カッターは長短合わせて二振りなのだから!!

 


 

「落雷注意だ」

 

ギルヴァさんの声に反応して、私は思わずグリフォーネとアイソマーを射出したワイヤーアンカーで絡め取り無理やり引き寄せていた

そうすることで地面に流れる高電圧から二人を守るためである

 

ガスは空気に比べ電気が流れやすい、しかも絶縁破壊で導体の代わりになる触手もある、立っていたら間違いなく感電していた

 

「い、一撃で・・・?」

「うっそぉ・・・」

「おまけにあの触手を全部斬ってるし・・・いや、斬ったというより裂いたというのが正しいのかな?」

 

私は二人を地面に降ろしつつ驚きのあまり声が裏返りかけていた

私と同じくグリフォーネも驚いていたが、アイソマーは比較的冷静なのか、ギルヴァさんの行った攻撃を分析していた

直後、ジョカトグゥルムが女体部分でギルヴァさんを攻撃しようとして躱される

それが隙を生んだのは言うまでもないし、それを逃がすほど私は甘くない

 

「この距離ならッ!!」

 

ビームライフルショーティーを二丁同時に構え、容赦なく連発する

この武器は私が普段使う武器より集弾率は低い、その代わりに弾幕を張れるほどの連射性能を有していて、大型の敵にはもってこいだ

そしてジョカトグゥルムはまさにその大型の敵であり、弱点は大きい!!

 

「つっ・・・!!」

 

迫る攻撃を身体を捻りながら回転して躱す

その間も左右どちらかの手に持っているビームライフルショーティーで撃ち続けることをやめたりはしない

その後も体勢を変えながら撃ち続ける。右回転で左手で撃ち続けたり、側転しながら両手で、バク転しながら、下に降りつつ、または上昇しながら・・・

 

「これだけやればッ!!」

 

ジョカトグゥルムがその瞬間に絶叫した、攻撃を中断して左手のビームライフルショーティーをマウンターに固定しなおし、装備されているワイヤーアンカーを後方の壁に射出して固定、巻き上げると同時にブランコの要領で不規則な機動を行いながら右手の方で攻撃しつつ後退する

何故その行動をしたか、それはジョカトグゥルムに接近するアイソマーとグリフォーネの姿があったからだ。二人なら首を落とせると思ったから

 


 

M4の怒涛の射撃で敵に決定的な隙が生まれた

それを逃さず、自分とアイソマーが指し合わせてもいないのに同時に動く

狙うのは一箇所、人の姿に近い部分があるのならそこは確実な弱点だ

ここぞとばかりにアジャイルスラスタへ電力を送り、加速する

同タイミングで構えていた刀を納刀、居合の構えを取りつつ加速を続ける

 

「・・・!!」

 

ジョカトグゥルムがこちらに気づくがもう遅い、もはや迎撃など不可能な距離までこちらは近づいている

そして、自分とアイソマーは地面にヒビが入るほどの力で飛び上がり、狙っていた一箇所・・・敵の首をとるために最後の加速をかける

 

「その・・・!!」

「首を・・・!!」

 

ジョカトグゥルムの動きが止まる

本能で感じた恐怖・・・突如芽生えたそれを、恐怖と理解などさせないまま斬り落とす!!

 

「「置いて逝けぇぇぇぇッ!!」」

 

同時に放った裂帛の一閃がその首を両断した

その姿を見ること無く、背にしたまま地面に降り立ち刀を振るって血を落として納刀する

 

「流石です、剣も出来るんですねグリフォーネ。アイソマーも槍さばき、見事でした」

「ど、どうも・・・」

「あ、ありがと・・・」

 

そして3人で少しだけ話すが、そこに別の誰かの声が聞こえた

 

「良くやるものだ。そこだけは誉めてやろう」

 

その雰囲気は決して仲間になりに来たと言い難く、私達に対して静かに殺気を放っていた

それに反射的に構えていた、だがすぐにギルヴァさんからドッペルゲンガーが出てくる

そちらにほうに注目していた、あの人は誰だ・・・?いや、アレは何だ・・・?

だが、一つだけわかった事がある。ギルヴァさんから出てきたこの存在は眼の前の敵と同じ、あるいはそれ以上の力を持ってる存在であると・・・




なおこの後、こんな事になる↓
グリフォーネ「怒られた・・・」(冒頭のピー音連発で)
M4「当たり前です!!」(拳骨かましたあと)
アイソマー「そうだそうだー!!」(ハリセンでシバいたあと)


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Secret System Release

SSRって魅力てk(星屑にされる音)


「・・・」

 

戦闘終了後、ギルヴァさんから出てきた何かが倒した敵の消滅を見守りながら自分は心ここにあらずな状態だった

ジョカトグゥルムに与えた最後の一撃から、自分の内側に何かしらの変化が起きていたのだ

違和感こそあれど不快ではないそれは全くの謎だが・・・

 

「これで終わりって訳ではなさそうですね」

「えぇ、倒さなければならない敵はまだいるようです」

「M4さんはM16とM1887を連れて後退してください、私は敵を倒すのに協力します」

「正気ですか?」

「私なら問題ないですよ」

 

カチリ、となにかが嵌まる音がした

それと同時に、何かの警告画面が出てくる

 

"単一限定能力、Voiture Lumière、Trans-AM"Tau" 機能制限開放"

 

読めない字で書かれても分から・・・いや、まて・・・もしかして前者はヴォワチュール・リュミエールか?じゃあ後者はどう考えてもトランザム・・・

おい、私の身体にはなぜ擬似太陽炉があるんだ!?今になって開放された理由ってなんだよ!?

というか、俺と言おうとしてるのに私になるのはなんで!?

これはあれか?いよいよ思考回路が女性化しつつあるのか!?

 

「どうかしましたか?」

「M4隊長、状況がマズいかもです」

 

それからM4に説明すると返ってきたのは・・・

 

「不思議すぎる身体をしてますね、開いた口が塞がりませんよ」

「そう言われましても・・・」

 

ごもっともな発言だった、自分でも不思議なのだ

 

「しかもGNドライヴ[T](タウ)は指揮官ですら開発を途中で止めたはずのモノですが、何故あなたの身体に搭載されているんですか?」

「いやそれはさっぱり、私にもワケワカメなんですが・・・あぁもう、言葉遣いがぁ!!」

 

がぁぁぁ!!と頭を掻きむしりたい気持ちになる

というか、チラッとM4から予想外の言葉が聞こえたが気のせいだろうか?

 

「なんで知ってるんです?」

「LAFIさんが烈火の如く怒ってましたから。それで少しだけ聞いていたので」

 

あぁ、怒ったときのLAFIさんってそういう所があるな・・・

初期型のGNドライヴ[T](タウ)には毒性がある*1し・・・

 

「私のはどうやら後期型のようですよ?色はオレンジ色っぽいようですし」

「何が違うのですか?」

「無毒化に成功しているモデルですね」

「それだけですか?」

「えぇ、それだけですよ?」

 

指揮官が開発を止めたのは毒性問題からだと推測できる、日産でヘンテコなものからヤベーものまで何でも作る指揮官だが妙なところで環境問題には敏感なのだ

曰く、相手殺して領土奪い尽くしても環境が最悪じゃあ碌なことにならん。との理由であるが・・・

 

「それに、毒性のあるGN粒子がE.L.I.D.へ与える影響が未知数なのも問題ですからね」

「えぇ、それがあるので開発中止という流れです」

「でも、問題は・・・」

 

後者に関しては気をつけて使えば問題はないだろう、だが問題は前者だ

 

「ヴォワチュール・リュミエールとはなんですか?」

「あー、私にも説明が難しんですが・・・」

 

アレは遍歴が相当複雑であるから、触りだけ説明しておくか

 

「ざっくり言えば光パルスレーザーを用いた超高推力発生システムですね。厳密に言うと大幅に違うのですが、私のは戦闘用にアレンジされたものなのでこの用法でも間違いはない・・・はず!!」

「という事は、その動力源は・・・」

「GNドライヴ[T](タウ)ですね、それで発電した大電力をまるごと稼働用に使うみたいです。なんで併用は出来ないみたいですね」

 

そう、浮かんできた問題がそれだった

GNドライヴ[T](タウ)だけでも戦闘は可能であるが、ヴォワチュール・リュミエールの稼働には通常では必要出力が全く足りておらず稼働できないのだ

そのため、ヴォワチュール・リュミエール稼働にはGNドライヴ[T](タウ)の発電した大電力を丸ごと使う必要があるためリソースがカツカツな状態だった

まぁ、人サイズで無理に2つもヤバいもん積んだんだから皺寄せがそこに来るのは仕方のないことだ

 

「つまり、Trans-AM"Tau"という機能とヴォワチュール・リュミエールは同時稼働できないのですね」

「やったら私は跡形なく吹っ飛びますよ!?」

「あら、自爆はロマンでは?」

「命あっての物種ですからね!?」

 

ダメだ、M4がイライラのあまり復讐爆殺魔状態になりつつある!!

 

「復讐爆殺魔モードはやめてくださいよ、怖いですから」

「・・・そんなに怖いですか?」

「普段の優しいお姉さんがグレた姿を見たら誰でもビビりますって」

 

そう言って、躯体の強度を再計算する。自分の事を知るのが敵を知る前に必要なことだから

指揮官が言っていた、"敵を知り己を知れば百戦殆うからず"という言葉の体現だ

 

「おいおい、強度問題ねぇのかよ」

 

そこで調べてみたら強度的には問題がないことが発覚した

流石にトランザムとの併用では少しキツイが、通常状態で全電力を使う分にはいけるようである

 

「二段階あるのか・・・」

 

例によってトランザムもしっかり二段階、原作通り(?)の再現だ

というのも、トランザムシステムにはローディングと呼ばれる段階とマックスの2つがあるのだ

前者は残念ながらボツられてしまったが、後者は全身が赤くなるバージョンだ

 

出力から限界値を計算した結果、ローディングまでならギリギリで耐えられそうである

流石にマックスでヴォワチュール・リュミエールまで使ったら死ぬのでやらないが

 

「最後の敵との戦い、参加しますか・・・」

 

試してみよう、自分の限界性能を

*1
通常は無害であるものの、武装のエネルギー用に高濃度圧縮されると有害化。細胞障害や生物に多大な影響を引き起こす毒性を持っている




グリフォーネ「トランザム自爆だけは嫌だッ!!」
LAFI「その割には限界攻めてますね?」
シャマール「自爆はロマン」



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特別編 一時の夏の思い出(裏) next to last(Side M16)

白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

毒親前の合流までの一幕・・・


「音・・・?いや音楽?」

「バイオリンだな。この間、指揮官が趣味で修復していたモノに似てるが・・・」

「いや、うちの指揮官多趣味すぎよ・・・」

 

私の発言にM1887がため息をつく

シャマール指揮官はたしかに多趣味だ、開発・修理系なら粗方出来る

ヴァイオリンの前には1週間で BM オプロート という戦車をレストアしたくらいである

小さなモノは銃のパーツから、大きなモノは戦車まで・・・幅が広すぎるにも程がある

挙げ句、新型の潜水艦の設計を行って発注をかけて建造中なものまであるのだから・・・

その財源がどこから生まれているのか不思議だ

 

「こっちね」

「そうだな」

「ところでずっと気になっていたのだけど、()()()()()()()()()のなんで?」

「・・・言わなきゃ駄目か?」

 

答えにくい質問をされた

思わず質問し返すと、M1887が眼帯を取ろうとしてくる

 

「おいバカやめろ!!」

「説明するか剥ぎ取られるか、さぁ早く選びなさい!!」

「説明する!!説明するからッ!!」

 

そう言ってなんとか離し、意を決して眼帯をとる

 

「こういう事だよ」

 

そこにあるのは3本の傷と赤い瞳

もちろん目は見えてる、だが隠したいのは傷の方だ

 

「傷くらい良いじゃない、減るもんではないわ」

「これは、戒めなんだ。守りたいと思った人を守れなかった私の」

「・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「あぁ、()()()()()()()()()()()()()

 

当時傷がなく、今は眼帯を掛けた瞳に傷を負い・・・それでもウイルスに抗いながら何とか彼のもとにたどり着いたときには、もう遅かった

明らかに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ

 

「ん・・・?」

「なんだよ?」

「その人が?」

「人として、好きだったよ。戦術人形である私にも、人と同じく接してくれた。そういった意味で」

 

今はもう、言葉で伝えることも叶わない

それでも・・・言葉で伝えたかった

 

「眼帯にも特殊な機能があるようね?」

「あぁ、これはソリッドアイって言ってな。指揮官が私用に作った万能ゴーグルなんだ。多機能なんだが使ってない機能もあるんだよな・・・」

「だろうと思ったわ、貴女のことだし持て余してるのではなくて?」

「いや、これがまた中々優秀でな・・・」

 

そう、非常に優秀なデバイスだ

高倍率のスコープとしてだけでなく紫外線暗視装置の機能まで有していながら、眼帯そのものに見えるのは素晴らしい

 

「ちなみにR-18な使い方も出来るぞ?」

「使ったら抉り取るわよ?」

「私が使うと思うか?」

「言ってみただけよ」

 

冗談を言い合いながらも音楽の聞こえる方に脚は進んでいる

 

「これはまた、教会・・・というより聖堂に見えるな」

「ココにいるのがおっかない連中でなければね」

「よろこべ、お前もその一人だ」

「素直に喜べないわよ」

 

私の発言にM1887がそう返してきた、まぁ仕方ないだろう

そして突入メンバーが全員揃い、来ていた子供・・・ゼーレから事の経緯を聞いた

 

クソが・・・」

 

誰にも聞こえないように、私はそう言っていた。話を聞いて浮かんできた言葉はその一言に尽きる

私やUMP45、HK416がこうなってしまった理由を作ったあの野郎・・・ウィリアムに性質が近いといえるだろう

まさにゲスだ、極めすぎて吐き気すら起こらない

 

「姉さん、あの武装を解禁します」

「あぁ、サポートは任せろM4」

「それじゃあ私も手伝うわよ、グリフォーネは?」

「別口行きます、こっちだと活躍の場面がなさそうなので」

 

私とM4とM1887がこいつ大丈夫か?という顔になった

だが、その顔には慢心ではない自信がある

 

「一応言っておくぞ、死ぬなよ?」

「ハハハッ!!一度死んでるんで、これ以上死ねませんよ!!」

 

二人が訝しむ目になるが、私は別の意味で驚く

その背中に、赤い光の湧いている部分が薄っすらと浮かんでいたのだ

あの光は、指揮官が設計段階でやめたと言っていた動力源から発生する光に似ている・・・まさかとは思いたいが、流出した技術はまだ多くのあるのではないだろうか?

だが、今はこちらのことに集中しよう・・・母親を名乗る毒親・・・いや、それ以下の存在をブチのめす!!

 

「さぁ、行こうか・・・」

 

この少しあと、今までで一番の怒りを覚えることになるとはこの時思ってもいなかった

いや、思ってたとしても、やることは変わらなかっただろう・・・




悲報・・・?
M16の眼帯はソリッドアイ(シャマール製)だった!!

次話にてついにブチ切れるM4チーム(グリフォーネ以外)はどんなド畜生戦術を披露するのか!!


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Last Stand(Side M4)

さぁ、(敵にとっての)地獄の始まりだッ!!


「許さない」

 

母ヲ名乗ル者がゼーレとその周りの者達にした所業にキレた私はそう呟いていた

開放を先延ばしにしていた特殊兵装を起動させて告げる

 

殺すッ!!

 

そう言って盾にしていた装備の先端を腕を上げた敵の肩に向ける

その瞬間、武装が割れるように開き、そこに露となるのは砲身だった

放電音と共に荷電粒子が溢れて舞う

それとほぼ同時に、私の髪色が右側だけ白に変化していることに気づいた

目の色も左が赤に変わっている

LAFIさんと指揮官が開発したVERTEXと、私の中にあるOGASが同時に励起した証だと自覚する

普段は理論立てて考える内容が感覚のように感じられる事に少しだけ驚くが気にしてはいられない

眼の前の敵を倒した後で考えればいいだけだ

 

「お前に母を名乗る資格は無い!!」

 

放たれた閃光は音を置き去りにして着弾し爆発した

弾薬自体が爆発するものだったことに加えて、莫大なエネルギーを纏って放たれたことによる摩擦熱が高すぎたことで爆発の威力が倍増したのだ

エネルギー兵器から改装して実弾化したものの威力はむしろ向上していると渡された時に言われたが、たしかにそのとおりだと思った

一度だけ、M16姉さんが使った際の威力を足元に置く性能向上に内心驚くが、それよりもこのゲスに有効な攻撃であるとわかった事は大きい

 

「こ、の、人形風情がァァァァッ!!」

「お前よりはマシだよ、ゴミクズ」

 

敵の声にM16姉さんが心底見下した表情で答え、その目に向けてデュエルアサルトシュラウドの肩のレールガンを叩き込んだ

このレールガンは私が使っているこの武装の技術ベースの片割れとして試験運用された実績のある高火力火器で、ライフルのような携行方式での運用から肩に固定装備とする事で更に威力を高めているそうだ

実際に相手は防ごうとして、その手の甲を貫通されて目も潰れた事で絶叫している

 

「デカけりゃ勝てるとでも思ってんのかバカが。お前はただ的を大きくしてるだけだ!!」

「これ、私の出番あるかしらね・・・と言う間にできたかしら?」

 

M1887が敵の生み出し、リヴァイルが倒した多数の怪物の残党に向けてショットランサーを構えて圧倒的な弾幕で封殺した

追加で生み出されてもいるが、それすらも片端からなぎ倒されていく光景を敵は見て忌々しげにこちらを睨みつけてくる

即座にそれすらもすぐにたじろぐ表情に変わるほどの殺気をぶつけ返して黙らせた

 

「おもしろ機能を見せてあげるわ、換装ってね!!」

 

M1887がそう言ってバク転する

その間にも機体の構成が目まぐるしく変化し、まったく別の姿になった

 

「F90Vタイプ、敵を殲滅するわ!!」

 

そう言って背中から腰だめに構えた武装で更に敵を屠るM1887に驚く

薙ぎ払うように攻撃しながら、その高威力武装を自由に使っているのだから

 

「さて、決めましょうか隊長?」

「えぇ、このまま屠ります!!」

「それじゃ私も負けらんねぇな!!」

 

撃破という目的で一致した私達の攻撃も加わり、こちら側の有利に傾いたのは言うまでもなかった




おや、M4の様子が変ですわよ?

誰だレールガンで目ん玉狙撃する鬼畜は!?(ブーメラン)


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特別編 一時の夏の思い出(裏) Last Stand(Side Grifone)

白黒モンブラン様のDevils front lineにて行われている企画、Memories of a summer に参加してます!!

グリフォーネのパート・・・そして意外な事が判明する


「無理についてくる必要はない」

 

突然として出たギルヴァさんの言葉に思わず首を傾げていた

はて、これから爆炎のパーティルームとなるあそこで自分の生存確率は何%あるだろうか?

 

「今なら向こうの戦いに参加する事も出来る。ゼーレの話を聞いて何も思わなかった訳ではあるまい」

 

うーん、前者は絶対お断りだ。なにせあっちには復讐爆殺魔とその姉がいるのだ、その相手になる敵に哀れな感情を向けることはあれど、残って戦うなどチキンな自分には無理だ

実際逃げたくはある、今も尻尾巻いて逃げれたらどれほどマシかと思っている

が、巻き添えでデッドエンド迎えるよりは選んで逝く方がいくらかマシだろう

後者の方・・・ゼーレちゃんの過去を知ったときはブチギレ寸前だったが、M4がやけに冷静な顔のままだったので冷めたのもある、と云うかあの顔怒ってないと演技するために表情筋の動きをカットした顔だった気がする

目がスッゴイ冷たかった、絶対零度とはあの事だ。それすなわちM4が過去類を見ないほどキレているということだろう

本当の意味での巻き添えになることはないだろうが、トラウマだけはマジ勘弁なのでコッチを選んだ次第でもある

あと純粋に本来の、人間として得意とする武装が剣だったというのもある

教士(7段)だった父親が熱心に教えてくれたおかげなのか、腕前だけなら5段に値するとまで言われていたのだ

そう考え、思っていたらアナさんが理由を話し終えたようだ

 

「残った所で近接寄りの自分じゃ出来る事も少ないですし…それに向こうには苛立ちを敵にぶつけて重火器で爆殺する爆殺魔が居ますから」

 

なので自分も当たり障りのない範疇で・・・M4の名前は出さずにいたのに・・・

 

「その爆殺魔ってM4さんの事だよね?」

 

アイソマーちゃんがソレを言ったから、錆びついた人形の様に首を動かしながらそちらを見てしまった

そして、これが言われるのは自分の身が非常に危うい事になりかねないので伝えないようにお願いしなければと思い当たる

 

「・・・隊長には内緒で」

「む・り♪」

どうかご慈悲を!!お願いしますぅぅぅ!!アベシッ!!」

 

言ってる途中で顔面を鷲掴みされた、非常に痛い

しかもそのまま理由を話し始めたし・・・

 

「言わない代わりに後で剣の手解きお願いしますね?銃より剣が上手く扱えるんですよね?」

「それでいいなら・・・」

 

終わってしばらくしてから開放された。どうやら、先ほど銃を一回も使わなかったから剣が得意だと思われているようである

まぁ、そのとおりだし、教えるのは好きなので受けることにした

後で聞いたが、教えるの上手そうだからとの理由だった。当たっていたとの事だったので嬉しかったが

 

「あのー…あの時、ギルヴァさんから現れた分身みたいな人って…あの人は何者なんですか?」

 

そうこうしているうちに聞きたかったことが聞けるようになったので聞いてみることにした

先ほど姿を見たあの人物は誰だったのだろうかと

 

「あいつか・・・」

 

ギルヴァさんがそう言うとすぐ後に、現れてきた

 

「初めましてだな。アイソマーと共にジョガトグルゥムへと決めた一撃は見事だったぜ」

「え、あ、どうも・・・えっと、あなたが・・・?」

「おっと、自己紹介し忘れてたな。蒼って呼んでくれ、よろしくグリフォーネ」

「ど、どうも。その・・・蒼さんって悪魔なんですか」

 

そしてフランクに話しかけてくる、それに思わず驚きながらの質問をしていた

ギルヴァさんとはエラい違いなのだから・・・

 

「肉体は無いけどな。れっきとした悪魔である事は変わんねぇよ」

 

あまりにも飄々としているその姿に本当に悪魔かと思った、そしてそのまま質問していた

それに、姿が全く同じなのに纏う空気が違いすぎる

 

「流石にギルヴァには似ないさ。それともう一つ言ってやるとすりゃ俺自身色々訳アリでね。肉体を失い、残ったのは精神のみ。この姿も仮初の姿で、名前も肉体無き身じゃ不要になったんで今は蒼って名乗ってる。因みに名付けたのはギルヴァだけどな」

「・・・」

「まぁ、無理に全部理解しろとは言わんさ。この手を全部飲み込んで理解するには時間がいるからな」

 

頭のキャパが少し足りないようだ、理解が追いつかない

そういえば指揮官が似た話をしていたことをふと思い出す、指揮官がこいつらはマジモンの化け物共だと言った存在の話だったような・・・

その人達がこの世界にいたらどうすると質問したら返ってきたのは味方にするとの回答だった。曰く、味方にすればこの上なく頼りになる超優秀な奴らだが、敵にすればどこまでも面倒で厄介な忌々しいクソガキ共。とのことだった

指揮官の口調がすごく荒々しくなったのでよっぽどの人達なのだろう

 

「丁度良いので私も彼女を紹介しないといけませんね」

 

それに首を傾げる

はて、彼女とは一体?

 

「え?え・・・??え・・・???」

 

追加とばかりに出てきた存在に驚く、姿はアナさんと同じだけど髪の色は深紅に染まっている

曰く、アナさんの別人格らしい。色々な経緯があってこういう芸当が出来るようになったのだとか

正直とっても羨ましいが、自分の方はそもそも目覚めている事自体がありえない存在だったのを思い出して、そういう存在もあり得るんだろうなー。と受け流すことにした

 

「雨の音?」

 

それに気づいたのは、特殊機能であるモデファイを利用して聴力や熱感知センサーを増幅し周辺に敵が潜伏していないか確認していたときだった

あの世とこの世の間にある世界に雨など降るのか?という疑問を覚えたが、既に予想外や想定外の事に見舞われまくっているのでもうどうでもいい

今は自分が生き残りつつも敵にどれだけダメージを与えられるか考えるときだ

それに裏で進んでいる謎のデバイスのデバイスドライバのインストールも気になる

一体私の身体にはあとどれ程の謎があるのか・・・




シャマールの口調が荒々しいのはもとからだけど、それが更に酷くなる存在が二名もいるのか・・・出せねぇなコイツラは

アイソマーちゃんに懇願しているところはこのすばのアクア様とフェイトのセイバーの融合した泣き顔が分かりやすいかな・・・
このすばセイバーで検索すると分かりやすいかも?


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特別編 一時の夏の思い出(裏) last stand(final battle)

グリフォーネ「マジであと何個特異機能あるんだこの身体?」
シャマール「知りたいのか?分解(バラ)させろ」


ギルヴァさんと蒼さんと戦闘を開始したモデウスだったが、僅か数手で戦法を変えてきた

二人から距離を取り、次に来たのは自分の方だったのだ

それが意味するのが、何なのかはすぐに分かる。確実に狩れるやつから狩る、という事だ

 

「クソッ!!」

 

姿形はGE2RBで登場する"エインヘリアル"に近い

顔を髑髏の仮面で隠し、両肩にはマント、背には合計の五振りの剣が見える

そのうち、飛んできた剣の一撃を躱せたのは偶然、次の一手を見れたのは奇跡だった

だがあくまでも見れてるだけで、回避は出来ない

見えるビジョンは確実に切り落とされる自分の姿・・・

 

「まだだ!!まだ終わらんよッ!!」

 

そうなることを回避すべく、アジャイル・スラスタを前方に最大噴射して剣戟を紙一重で回避する事で難を逃れた

 

「つっ・・・!!」

 

だが無茶振りが祟り、視界が一瞬白に染まる

相手はそれを逃がすほど甘くない、だが今の自分にはもう手がない

 

「・・・?」

 

だが妙に相手の動きが遅い、スローモーションになっている

それと同時に、視界の左端に・・・λ Driver Install complete の記載が光った

λ Driver・・・ラムダドライバだと!?

 

「えぇい、ままよ!!」

 

振るわれた追撃を、鋼鉄の壁をイメージすることで届く前に防いだ、飛んできていた4振りの刀も同じく止まる

自分の思った通り、これは間違いなくあのラムダドライバで間違いない

ならば・・・

 

()()()()!!

 

かくしてイメージしたのは、言葉通り吹っ飛ばされる敵の姿

ラムダドライバへ送られる大電力・・・イメージは現実へと変容し、吹っ飛ばされた敵とそれを見ていた味方に驚愕の表情が生まれた

 

「おいおい、何だよ今のは?」

 

蒼さんの台詞はこの場にいる味方全員の感情だろう、言われなくても分かっているし自分自身が驚いている

立ち上がると、内部機構の異常発熱を解消するために背中側のパーツが一部展開して白い煙を吐き出した

関連機構であるTAROSも十全に機能している、そしてこれにより肉体の大半の機能が開放されたことを理解した

背面にはラムダドライバ冷却装置兼、ヴォワチュール・リュミエール制御装置を構成する折りたたみ式の小翼があるのを今知った

また、稼働動力源にGNドライヴ[T(タウ)]が内蔵されており、TRANS-AM(トランザム)すら可能となっている

それら全てが、問題なく動いていることも感覚として認識できる

 

「テメェの攻撃はそれで終わりか?」

 

短い方の剣を納刀し、長剣の方を向けながら俺は挑発する

 

「今度はコッチの番だ、文句あるかこの野郎ッ!!」

 

喝破と同時に全機能を同時に最大出力で稼働を開始させた

TAROSがイメージを正確に機械言語化しラムダドライバがそれを受信し自重を軽減する、GNドライヴ[T(タウ)]の大出力と加減効果で更にそれを後押し、アジャイルスラスタとヴォワチュール・リュミエールで加速性能を最大まで引き上げる

限界稼働時間はまさかの1分だが、それまでに敵を削れるだけ削り落とす!!

 

「・・・!!」

 

だが、何の負荷もなしとは流石行かない

狂ったように行われる速度とバッテリーの増減、それがランダムに繰り返される

それは従来、戦術人形用としてはかなり優秀なショックアブソーバーを搭載されているはずの自分ですら呻きかねないほどの痛みが襲うほどだ

ショックアブソーバーの設計許容量の限界を超えているのだ、無理もない

だが、足止めれば自分が死ぬ。飛びすぎても死ぬ、一手どころか半手間違えても死ぬ。一髪千鈞のギリギリを攻め続けるしか無い!!

 

「これでッ!!」

 

そのギリギリを攻略し4本の剣が砕かれた、残されたのは背中のデザインが異なっていた一本と手に持っている大剣のみ!!

 

「なにっ!?」

 

そこまで来てやっと敵が驚きの声を上げた

無理もなかろう。()()()()()()()()()が、本来出来ないことをやってのけたのだから

だが、あいにくと自分はその普通の枠に入らない。見た目はたしかに普通に見えるが、その中身は最初から最後まで別世界の様々な技術の違法転用でしめられている

これでサイコフレームかNT-D、もしくはバイオセンサーまで内蔵されていたらここに来れてはいないだろう、確実に指揮官がNGをだすからだ

 

「あとは、おまかせします、皆さん!!」

 

限界時間到達と同時にそう叫び、自分はいつは最初から使えていた機能であるECS(電磁迷彩システム)で姿を眩ませた




LAFI「グリフォーネ」(笑顔でキレている)
グリフォーネ「・・・はい」(あまりの恐怖に失神寸前)
LAFI「後で精密検査です」(頭にチョップ)
グリフォーネ「デスヨネー・・・」(絶望の無表情)



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コラボ編
少し先の未来で頑張る話(1)【コラボ】


NTK氏作、人形達を守るモノとコラボです

大型コラボで指揮官頑張る。仲間も頑張る。
今回は導入編




ある作戦を完了したとある日、私の元にとある作戦への参加要請が来ていた

 

異性体(アイソマー)救出作戦・・・LAFI、立案者の裏は?」

<立案したのはリヴァイル・ウィッカーマンという人物のようです。元は連邦軍が秘密で抱えていた技術者でパラデウスにも関与。データとして自身の記憶などを保管・転写する技術、デジタルクローンを開発し成功させてその技術を隠匿した状態で自殺後、数年かけて復活・・・あぁ、復活にはペルシカ博士も関与しているようですね>

「頭痛くなってきた・・・あの猫耳め・・・少数精鋭で行く、モンドラゴンとXM16、私とLAFIで行くと伝えておいてくれ」

<了解です、お二人には?>

「作戦内容を明かして構わん、当日は移動手段にボクサーを使うぞ」

<破損したらカリーナが泣きますね>

「・・・流石にやり過ぎたと反省している」

 

S9基地・・・ジャンシアーヌから譲り受けたボクサー装輪装甲車はあの後、私が得意とする魔改造の結果とんでもない仕様になっていた

兵員輸送能力を有した指揮通信車というアホな仕様だ

当たり前だが装甲車としての能力も向上している、軽量型爆発反応装甲(Lightweight Explosion Reactive Armor)の実装にエンジンはパワーパックの設計見直しとハイブリットエンジン化を実現した

その結果として舗装面での前進速度が改造前103㎞に対して改造後135㎞、後進速度が30㎞から55㎞に向上している

代償に、運用コストが馬鹿にならないほど高いという致命的欠陥を抱えてしまう羽目になってしまった

 

「まぁ、得られる利益を考えれば。仕方なしとは言えるが」

 

何せ内部機器が非常にお高い、何故なら・・・

 

「誰だよ、機能が一杯ぶち込めるからって小型の光ニューロAI端末ぶち込んだの・・・私だったわ」

 

そう、光ニューロAIの端末をぶち込んだ阿呆がいたのだ・・・私だったが

 

「その結果、移動する作戦司令部というチートが出来たので良しとするか」

 

そう締めくくり、車両の点検をする

ちなみに前線運用すること前提で戦術人形の簡易修理キットや武器弾薬、エネルギー供給用ソケットも実装してある

 

「あ、ソケットに埃が・・・綺麗にしておこう・・・」

 

そして当日・・・

 

「人選ミスったか・・・?」

「貴女がソレを言いますか・・・?」

「いやもう、私ら要らなくね?」

「すさまじい顔ぶれですね・・・」

 

何てことでしょう、そこには錚々たる顔ぶれの参加者が居たではありませんか

皆さんかなりお強いですね・・・人選失敗したわ、エースでチーム組んで来るべきだった

 

「これはこちらも更なるチートを用意せねば・・・と言いつつ用意してあるんだがね」

「なんです、その箱は?」

「まず、一つはXM、それとモンドラゴン。二人のは共通」

 

持ってきていた三つの箱を見ながら、モンドラゴンが聞いてきた、開けて中の物を渡す

 

「サーベルですか・・・」

「ただのじゃないけどな。それの名は霧斬(むざん)、物体に接触した際に物体の固有振動数を発生させることによって、その物質の結合力を弱め、液状化現象を引き起こす兵器だ。位相が逆の振動波で打ち消すことが可能だけどな。水が含まれていない鉄などは砂状になるぞ」

「またチートぶち込んできましたね!?」

「参加メンバーがメンバーだからな、これでも控えめだ」

「指揮官の箱は・・・?」

「それは秘密、できれば使わない事を祈るばかりさ」

 

私の持つ箱は例外中の例外だ、非常事態以外に使いたくない

私の肉体への負荷も大きいし、何より目立ちすぎる

 

「それとこれもだ」

「先の色が・・・これはもしや?」

「その通り、私の開発した特殊合金製の弾だ・・・ちなみに単価はとってもお高い」

「聞いても・・・?」

「一発当たり750ドル」

 

XMが無言でそれをポーチの一番下に入れた

 

「私は聞いてなかった。そうよね、モンドラゴン?」

「えぇ、聞こえていませんでしたね」

「まぁ、ここぞというときに使ってくれ・・・多用されると赤字になるが」

 

さて、こちらも用意は終わっているかな?

 

「LAFI、通信系の掌握率は?」

<いつでもこちらの管制下におけますよ?というより、すぐ終わりました。暗号化が簡易なもので助かりましたよ>

「書き換えて主暗号をAES256に変更しろ、副暗号はTLS1.3に変更しておけ。45分はクラッキングに耐えられるようになる。端末は遠隔で書き換え出来るはずだ。周波数まで変えたら怪しまれるからそれは変更なしで良い。ジャミングが発生した場合は2418.15Mhzの周波数帯を利用して広域データリンクを形成」

<了解です、書き換えは1分で終わります>

 

そう言って私は基地からこの日のために持ってきていた参加メンバー各員に端末を配る

これは私の基地で採用している多数の暗号通信に対応した電子端末で、サイズはスマホ程度ながら一回のフルチャージで1週間動作可能なバッテリーと超広範囲の電波通信機能、多数のアプリの追加インストールが可能な万能デバイスだ

ここにあるのは試作機で、正式採用の可否はこの作戦後に決める

ちなみに、配ったものはそのままお持ち帰りしてもらって各基地で改造してくれて構わない

 

「通信管制は任せるぞ、相棒(LAFI)

<えぇ、お任せくださいマスター>

 

さて、作戦開始時間まであと少しだ・・・




霧斬・・・どう考えてもナインエスからですねありがとうございます。(敵に対して慈悲はない)
一発で750ドルも消える弾丸ってなんだよ・・・ちなみに理由はダイヤを超える超高硬度の合金を芯のブレのほぼない形で削り出し加工しているため。自己鍛造効果があるため貫通力が高く破壊力は同形状の弾丸より高い

通信端末
主人公謹製のトンデモデバイス、保存容量がアホほど多くて高速、その上多数の暗号通信に対応している
持ってきたのは試作機であるため使用後はそのまま贈呈いたします


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少し先の未来で頑張る話(2)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第二話

主人公ズ行動開始
列車抑えに行きましょうねェ!!(なお敵は涙も流す暇なし)


「秘密輸送列車、抑えに行くか」

「前線には?」

「あれだけ戦力揃ってる前線に私達が行っても、目立たないどころか邪魔になるだけだ。難易度的には少し厳しいが秘密輸送列車抑えたほうが貢献度も高いだろう。それに・・・」

 

先程からずっと聞いている戦況をデータマップに反映させる

 

「見ろよ、圧倒的じゃないか・・・防衛線突破目前だぞ」

「そうですね・・・」

「これはまた・・・」

<おかげ様で各基地、各個人の戦闘力を算出できるので大助かりです。一部どころか大半がチートですけど>

 

LAFIの報告に私は運転しながら、極めて冷静に告げた

 

「うちのチート筆頭が何言ってんだか」

「なら指揮官はソレを作ったキチガイですね」

「そうですね」

<えぇ、そうですね>

 

私は笑いながら思わずこぼす

 

「はははは・・・お前ら名誉毀損って知ってるかコラァ!!」

「正当な判断では?」

「ジャンシアーヌ指揮官なんて会う前は顔真っ青でしたし」

<時たま私も引くようなことしますからね>

 

・・・泣いていいだろうか?

というよりXM16E1の言葉がとても重い・・・モンドラゴンM1908の発言は初耳だ

そしてLAFI、お前は私サイドでは無いのか・・・

 

「まぁいい・・・そろそろド派手に行動するぞ!!」

 

そう言うと、展開していた迷彩を解除して列車の最後尾ギリギリに着ける

 

「では行ってきます」

「戦果を期待してください」

「あぁ、制圧は任せるぞ!!」

 

二人が飛び乗ったのを確認して再度迷彩を展開、一旦列車から離れつつ並走させる

 

「LAFI、通信管制を継続しながら列車内の方のクラッキング可能なものを全部無力化しろ!!二人の負担を減らすぞ!!」

<了解です、まずは敵側の通信回線を抑えます。その後は回線側から敵を行動不能にしていいですね?>

「それでいい、敵は何らかの秘密情報を握っている可能性がある。可能な限り殺さずに制圧しろ!!」

<了解しました、まずは・・・接近警報!!ミサイル!!>

「チャフ!!」

 

話している途中に攻撃を受け車体が揺れる

ギリギリでチャフの展開が間に合い、損傷は軽微だったが

 

「いぃぃぃぃやぁぁぁぁ!!経費ッ経費がぁぁぁ!!」

<なんで嬉しそうな顔で悲鳴上げてるんですか!!次、ストレリツィ、数30!!>

「RWSでやる、武装はM2HB!!」

<セット、レディ!!>

「ファイア!!」

 

ストレリツィ・・・パラデウスの雑兵を雑に仕留める

死にかけの人間を元に作られた兵士を、その未来である死体にする

 

「次は!!」

<今のところなし!!>

「了解だ、車体の損傷は?」

<LERA、一部損傷。戦闘行動に支障なし>

「破損個所を出せ、交換する」

 

車両を一時的に止めて表示された箇所の損傷したLERAを交換する

 

「XM16E1、モンドラゴンM1908、中は任せたぞ・・・」

<あの二人なら、やってのけますよ・・・何せうちの最高戦力ですからね>

「そうだな・・・各部隊の状況は?」

<概ね順調ですね。一部の部隊は先手必勝と言わんばかりに潜入部隊を先行させていたようです。アイソマー達の位置情報が出てますね>

「S09P基地だな、総合的な練度も作戦指揮能力も非常に高い。上手く纏めているキャロル指揮官には脱帽だ。前任の方にもぜひお会いしたい、きっと素晴らしい方だろう」

 

サラっと実はとんでもない事をしでかしている相棒に苦笑いしながら、純粋な感想を告げる

 

<珍しいですね、皮肉無しに褒めるなんて>

「なんだ、悪いか?」

<いいえ、久しぶりの事なので>

「滅多ではないのは自覚してるがね」

 

交換作業を終え車内に戻ると、ほぼ同タイムで通信機に電話が来た

 

「どうした、XM16E1」

「今から映像を送ります・・・見れば分かります」

 

その声は震えている

それから察するのは確実にショックを受ける、ろくでもない事だ

 

「なん・・・だと・・・?これは・・・!!」

<生命反応はありません、この子達は・・・全員・・・>

 

映像には夥しい数の子供の死体が映っていた、その顔はどれも苦痛に歪み、苦しんで死んだことは確実だ

そして、何よりも・・・タリンで生きている子達とそっくりな顔からこの子達も同じくネイトの成り損ない、アイソマー・・・

映像に映るだけでも100は優に超えている

 

「ふざけるな・・・命を、弄びやがって!!」

 

それは私にとって最も許せない事、命の尊厳を弄ぶ行為の結果だった

ウィリアムと分野は違うものの、科学者としての私はこの蛮行を見逃せない

命の尊厳を弄ぶ行為だけは、そこにどんな理由があっても許されてはいけないのだから!!

 

「予定変更だ、列車内の人間にはどんなことをしてもいい、情報を聞き出したら内容次第で殺害も許可する!!」

「了解です!!」

 

通信が切れる、二人は行動に映ったのだろう

 

「LAFI、車両を任せて大丈夫か?」

<えぇ、大丈夫ですよマスター。秘密兵器、使ってください>

「あぁ、運転と搭載火器の運用に徹しようと思ったが、我慢ならん」

 

そう言って運転席上部のハッチを開けて躍り出る

同時に、私用に開発していた秘密兵器を取り出し箱を開けて持ち上げる

 

叛逆の十字架(リベリオンクロス)、解禁だ!!」

 

持ち上げたのは黒塗りの十字架のようなシロモノ、これは多数の武装を内包した私専用の武装コンテナだ

武装の数は計4つ

長い部分を展開した際に銃口が現れるビーム・実弾切り替え機能付き長射程砲、上下にある機関銃、交差する場所に内蔵されるエネルギーシールド展開機構、そして分割した際に発振される大型レーザーソード・・・どれも高出力かつ高威力の武器だ

しかも、反動抑制のために異世界の技術、虚弦斥力場生成システム(ラムダ・ドライバ)を転用搭載している。理由はこれだけの重装備であるため、どうしても反動制御方法が思いつかず、代理で積み込んでいるのが理由なのだが・・・これが思った以上にいい効果を出している

というのも、()()()()()()()()()()()であり、私の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ

それ故に、使うのはここぞという時と限定して開発と製造を完了させた・・・のはいいのだがまさかここで使う羽目になるとは・・・

 

「列車内に突入する。仕事押し付けて悪いが、車も任せるぞ相棒(LAFI)!!」

<お任せください、マスター!!>

 

さぁ、地獄を見せてやるぞ・・・クソ共!!




主人公、お前当初の予定どうした・・・?

というかここにきてなんでラムダドライバとかいうチートをぶち込んでんだ!!

なお、主人公の追加参戦で列車内の敵は地獄を見る模様


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少し先の未来で頑張る話(3)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第三話

コラボで最も地味な(だけど重要な)場所を攻めているニッチな指揮官一行がいるらしい
なお、当初の計画ガン無視して戦場に出る指揮官のチームだ

あ、うちでしたわwww

11/11訂正ありました
ごめんよ、モンドラゴンM1908
君、マガジン式だったの忘れてたわ


「堅い!!」

「偏向障壁・・・厄介ですね」

 

XM16E1の声に同意するようにモンドラゴンM1908は呟いた

二人の目の前にはパラデウスの兵、ロデレロが偏向障壁を展開して立ちふさがっている

突破したいが、列車内という閉所においては多角的に攻める事がかなわず足止めされていた

 

「やばっ!!」

「つっ!!」

 

二人をロデレロの主砲がとらえる・・・赤黒い不気味なレーザーが照射されるその瞬間・・・

 

「えっ!?」

「なっ!?」

 

二人が驚く人物が・・・放たれたビームを十字架に見える武器で拡散させていた・・・

 

「やれやれ、間に合わなかったら列車ごとパーだ・・・危なかったな」

「指揮官!!」

「おう、危なかったな二人とも・・・少し下がってろよ」

 

そう言って私は十字架の長い側を敵であるロデレロに向け、微笑みながら告げた

 

「列車の防衛ご苦労、では死にたまえ」

 

その瞬間、向けていた部分が分割されその内部があらわになる

そこには・・・

 

「「ライフル砲!?」」

「ファイア」

 

二人の驚愕の声のすぐあと、人が持てるはずのない火砲から強力な砲撃が放たれる

AR、RFの火力では撃破出来なかったロデレロも、耐久限界を突破する火器の砲撃には流石に対応できず・・・跡形も残らず消し飛んだ

 

「うむ、威力が高すぎた・・・火薬を減らすか、弾頭形状を変えたほうがいいか?まぁいい、とにかく先に進み・・・」

 

次の瞬間、背筋に寒気を覚えてとっさに十字架の後ろに回り込んで盾代わりにした

 

「おいおい・・・おかわりはいらねぇぞ!!」

「言ってる場合ですか!?」

「最悪ですよ、なんでよりにもよって車内に入ってきてるんですか!?」

「あの映像見てイラついたんでな、直接出向いて憂さ晴らしだ!!」

 

再び長いほうを敵に向ける、するとその先端の上下左右が開き、その内部にあった機関銃が火を噴いた

 

「元が人間だろうが何だろうが知るか、邪魔すんなら問答無用でスクラップだ!!覚悟しやがれカルト共が!!」

 

破壊の暴虐が牙をむく、新たに出現したロデレロの妨害に真っ向から力尽くで対応する

 

「12.7ミリは流石に効くだろ!!」

「というより反動制御はどうやってるんですか!?」

「それが君達を下がらせた理由だ、虚弦斥力場生成システムで反動を斥力分散しているんだからな!!」

「もうやだこの指揮官(チート)!!」

 

機関銃が轟音を立てながら敵を穴だらけの肉塊に変える

 

「これだけやれば流石に耐えられまい!!」

「まだ半分の所に来たばかりですけどね!!」

「そして喜べ諸君、補給ポイントだ」

「やるのは火事場泥棒ですけどね!!」

 

XM16E1は私にそう怒鳴り返しつつも自身の使う弾薬をしっかり確保していく

一方のモンドラゴンM1908は・・・なぜか暗い表情だった

 

「どうした・・・?」

「あるわけないですよね・・・弾薬」

「あ・・・」

 

そうだった、モンドラゴンの使う弾薬はマイナーなモノではなかった!!

 

「良いんです・・・マイナーでもないですから・・・」

「いや、そうでもないとおも・・・」

 

そう言いながらもモンドラゴンの使う弾薬がないか調べて・・・麻袋を覗いたら発見した

 

「良かったなモンドラゴン、弾薬あったぞ」

 

私の言葉にモンドラゴンが喰いつく

 

「本当ですか?」

「ほら、麻袋の中に雑に入れられてたけどよ」

 

そう言って私は少し大きめの麻袋を広げる

そこには大量の7.92x57mmモーゼル弾・・・モンドラゴンM1908の使用弾薬が入っていた

30発入りドラムマガジンに装填する計算でおよそ150個、相当な量だ

惜しむとしたら、ドラムマガジンに入ってないのと、装填用のローダーがない事か・・・

ドラムマガジンもよく見ると100発入りのが混ざっているな

一緒に見ているモンドラゴンも先程の暗い表情から一転して嬉しそうだ

 

「驚きな事にSAAMI規格*1での製造品だな。品質もいいほうだろう。麻袋に入れられていることを除けば」

「徹甲弾使わずに済みますね」

「言ってくれるねぇ・・・で、XM16E1?何してんの?」

「アフターパーツがあったのでつい・・・」

 

XMが変な事をしていた、というのも

 

「サイドアームを片手間に作るアホが居やがった」

「指揮官に言われたくありませんよ!!」

 

アンダーバレルのM26MASSをこの場でピストルグリップとストックを装着して単独での使用が可能な状態に仕立て上げたのだ

アホだ、アホが居やがった・・・そもそもサイドアームを持ってきてない阿呆だ

 

「そもそも、サイドアームを用意しないM16E1がいけないのでは?」

「う・・・そ、そういうモンドラゴンはサーベルじゃん!!私もだけど・・・

「拳銃持ってきてますよ、Mk.23ですけど」

「・・・」

 

あわれ、持ってきてなかったのはXM16E1だけだった

ちなみに私もサイドアームを持ってきている・・・というより普段の兵装がそのままサイドアームになっているだけだが

 

「指揮官、何をしているのですか?」

「サクッと手軽に弾薬作ってる、さっきので弾薬の威力が高すぎたのでな」

「弾薬のついでに他の物作ってませんか?」

「よくわかったな、爆弾だ」

「炸薬を爆薬代わりにするのはおそらく指揮官だけですね」

 

LAFIにも戦略物資のある部分を記録してもらい、先に進む

 

「おい、すげぇと思わないか」

「今度は医療品ですか・・・確かにこれはすごいですね」

「おあつらえ向きにすべて滅菌済み未開封の新品だ・・・この車両の分だけでも100床未満の病院の1年分相当の量だぞ」

「ざっと見ただけでそこまでわかるのは何故なんですかね・・・?」

「金欲しさと資格欲しさに勉強しまくったし実践経験もしてきたからな。パクれるの全部パクってしまえ」

 

こちらも先程と同様にLAFIに記録してもらい、次の車両へ

 

「気を付けてください、生体反応です・・・数は4」

「私一人で制圧してくる」

「了解です、行ってください」

「あ、コレとコレは渡しとくな」

「素手で戦うつもりですか?」

「こんな閉所じゃうかつに撃てないからな」

 

武器の全てをXM16E1とモンドラゴンM1908に預けて扉を開ける

中にいたのは男2名と・・・

 

「面白い事をしているじゃないか、クソ共・・・覚悟は出来てるな?」

 

I.O.P製の戦術人形だった、強姦されていた・・・パラデウスめ、他の関係のない組織を利用して列車を運用していたようだな

 

「は、女一人で何が出来・・・」

 

たわ言を抜かして私を撃とうとした男の銃を蹴り上げて躱し、全力の回し蹴りで一撃ノックアウト

 

「クソアマ!!」

 

仲間がやられた事で切れたもう一人は意識を失うまで上半身を高速で殴打した

 

「いいぞ、二人とも」

「1分で制圧しましたか・・・この二人はどうしますか?」

「当然保護だ、戻れる基地があれば希望を聞いて戻れるようにしてあげよう」

「この子・・・誓約してますね・・・なんて酷い事を」

 

一両戻り、衣料品の豊富な車両から無地のシーツを持ってくる

すると・・・

 

「ダメッ!!」

 

一人がモンドラゴンの銃を奪い・・・自殺しようとしたところで私がその腕をつかんで止めた

 

「危ないな・・・大切な存在との再会も無しに自殺を選ぶとは」

「放してください・・・こんな私を・・・彼は・・・」

「あー、うん。同じ女として言いたい事は痛いほど分かるが、少し冷静になれ」

 

そう言ってすぐそこにあったアルコール飲料を飲ませる

ちなみに度数は・・・65だ

 

「あ・・・きゅう・・・」

「ありゃ、酒弱い子だったか」

 

一口飲ませたら酔い潰れた、まぁある意味これでいいかもしれん

無地のシーツをかぶせて寝かせる

男共の方はXM16E1とモンドラゴンが身動き出来ないように拘束していた

 

「・・・」

「君はまだ冷静そうだな?」

「殺して」

「断固拒否。たぶん君には帰る場所があり、このゴミ共はまだ利用できる部分があるからな」

 

そう言ってからその子にも無地のシーツをかぶせ、優しく撫でる

 

「これから君達を安全な場所に向かわせる」

「・・・」

 

睨んではいる、だがその目線は私ではなく男共に向いていた

 

「あいつ等には地獄を見せてやるさ、聞き出したいの全部聞いた後でな」

 

さて、残り3分の1。巻きで行きますか

その前にこの雄猿共から聞き出せる情報全て聞き出して殺しますかね・・・

*1
アメリカにおけるスポーツ用銃弾の標準化団体、スポーツ火器および銃弾製造業者協会の規格




作「うえ、R-17.9Gだよこれ・・・もう少しでR-18Gだぜ・・・」
(剣山で埋め尽くされた床に正座させられながら)
M1908「私の設定を忘れていた事への反省が足りないようですね」
(15Kgの重りを太ももに乗せながら)
作「アァァァァァ!!」



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少し先の未来で頑張る話(アナザー)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ番外話

今回の話はAI、LAFIから見た戦場
AIが見る光景とは・・・?

今話のみ、LAFIちゃん視点
そのため普段の<>から「」に変更


【時間は少し戻り、作戦の参加要請が来たとき】

 

ある日の昼頃、私はとあるメールに目を通していた

 

「おや、外部からの作戦参加要請ですか・・・立案者はリヴァイル・ウィッカーマン・・・」

 

他の基地から作戦への参加要請が来ていた

作戦立案者の名前をグリフィンのデータベースで調べるが・・・

 

「当たり障りのないデータは怪しいですね・・・では独自で調べましょう」

 

私がいるのはデータの海・・・私自身の内面世界だ

ここは今、外部に接続しているためネットから情報を得られる

 

「名前だけではあまり出てきませんか・・・では」

 

名前だけでは先と同様に当たり障りのない情報しか入手できない

では、隠されている部分を探ればいい

例えば、研究施設や軍保有のデータベースなどを探るだけでも・・・

 

「ヒット、やはり軍お抱えの研究者ですか・・・いや、だったと言うべきですね・・・」

 

データサーチに引っかかったのは二件、一つは新ソ連軍データベース、そしてもう一件は・・・要請されている作戦の敵側組織、パラデウス

時期的には軍を抜けてからパラデウスに入ったのだろうと推測される

 

「デジタルクローン・・・なかなか面白い技術を開発されたようですが、2PB(ペタバイト)もの人間の記憶データをどうやって変質無しにクローニングするのでしょうか?まぁ、本人に聞いたほうが早そうですね」

 

そう言って私はマスターに作戦の参加要請が来ている事と軽く調べた立案者の情報を伝える

マスターは投入戦力を大きく間違えていたが・・・まぁ気にしないほうがいいだろう

 

「え・・・参加戦力・・・ヤバすぎ・・・?」

 

参加戦力の総火力と総合練度を計算したらヤバい事になったのは言うまでもない

私のいる基地なんて、参加者の一つの基地だけでも30分で潰されてしまう・・・

 

「ヤバいやばい、非常にマズい!!」

 

焦りは禁物だと知っているしその危険性を理解しているが、この時ばかりはテンパった

まぁ、そのすぐあとマスターから不在中の対応マニュアルが皆に送信されたためすぐに冷静になれたが・・・

 

【時は戻り、作戦決行日】

 

「なるほど、彼がリヴァイル・ウィッカーマンですか・・・相当に聡明な方ですね」

 

作戦決行日、私はマスターの視線から彼の声を聴いていた

何故視線が同じかと言われれば、マスターがかけているスマートグラスにあるカメラを利用しているためである

 

「いやはや、()()()()()()()()()というのは何とも面白いですね・・・()()()()()()()()()()()()()()が」

 

マスターが試作端末を配るのを眺めながら私も書き換えの準備をする

たぶんマスターは書き換えを指示してくるはずだから

 

「おや、今回は念を入れていますね・・・流石にマズいと感じてくれましたね・・・だいぶ遅いですが」

 

そして全端末を誰にも気づかれず書き換えて通信テストまで終える

 

「さて、私も本気を出しま・・・おや?」

 

本腰を入れて仕事にとりかかろうとした瞬間、端末の一つが誰かに書き換えられた

その人物は・・・

 

「は・・・?え・・・?ちょ・・・!?リヴァイルさん!?手ぇだすの早すぎませんかねぇ!?」

 

まさかの立案者が速攻で書き換えた

一応バックドアで即座に制御下へ戻せはするが、書き換え後に転送された存在とお留守番の子に少し同情したため、あえてこちらからは何もしない

 

「あぁ、可哀想に・・・お留守番の子は拗ねてふて寝をしてますね・・・」

 

訂正、本気で同情した、拗ねて寝ている

 

「まぁ、私もそんな時期ありましたし。そっとしておきましょう・・・と、全部隊向けの通信が来てますね」

 

通信が来ていた。全体に通信を流す。その内容を私も聞く

 

「モーラト1-1より作戦参加中の全部隊に一方向通信。身元不明のG&K職員らしき男と戦術人形3体を確認。繰り返す、身元不明のG&K職員らしき男と戦術人形3体を確認。データをアップロードする」

 

直後に送られてくるデータも全体に流す、いやはや、この部隊も優秀ですね・・・既にタリンに入り込んで地下生産施設(プラント)を抑えましたか

他の方々も防衛線突破に成功しているようですね

一方、こちらはマスターが武装を解禁して列車に移乗するところ。同時に車両の操作も任された

 

「うぇ、敵が多すぎですよ・・・ストレリツィにロデレロ、後はガンナーですか・・・この程度であればM2HBで十分ではありますが・・・ここはまだ安全ですね・・・焼きましょう」

 

そう言いながら走行させつつグレネードランチャーに切り替えて攻撃、薄い偏向障壁は一発目の爆発で破壊されそこに二発目が入り込んで爆発・燃焼榴弾の効果により装甲ごと敵が焼け死ぬ

 

「マスターは私を優しいと思っているようですが、それは味方に対してのみです。敵に情けをかけてやるほどの性格はしておりませんよ?」

 

私は私の領分をしながら、作業のように敵を屠る

その間も当然ながら通信管制を怠らず・・・一部で電波干渉(ジャミング)が行われているようだがこれを相殺して品質の維持に努める

 

「よくよく考えたら、私の仕事多すぎませんかね?まぁどれも片手間で出来なくはないですが」

 

さて、ここで私の仕事を列挙していこう

1 通信管制

2 敵へのクラッキング

3 車輌操縦および搭載火器による攻撃(一時的)

あれ、どれも難しいモノですよね・・・?

 

「休みを入れましょう・・・通信管制は継続、敵へのクラッキングはめぼしい情報がないのでパス、残るのは車両の方ですが・・・敵は焼き尽くしたのでこちらも継続してマスターの近くにいたほうが良いですね」

 

結局1個しか減らせなかったが、楽にはなった

余計なタスクを減らせたぶん、他へ集中できる

 

「さて、ひと眠りしますか・・・」

 

そう言って私は目を閉じる、次に目を開けるのは危険な状況になった時だけだ

 

「オヤスミー」

 

そうして私は寝る事にした




LAFIちゃん、寝る(寝ているとは言ってない)
なおこの後トンデモナイ事態が発生して起こされる模様
というかこのドンパチしている場でよく寝れるなこのAI・・・


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少し先の未来で頑張る話(4)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第四話

主人公、尋問という名の拷問実行(なお当初の役割放棄中)
列車攻略完了まで、あと少し・・・


雄猿共をぶちのめしてから気づいたが・・・この車両、元は食堂車のようだ、それ関連の物が並んでいる

つまりは拷問道具に困らないという事だな!!

塩もあるし、水も豊富にあるし、アイスピックにナイフまで!!

拷問に困らないぞ!!

 

「私はこいつ等に尋問する。XM16E1とモンドラゴンM1908は先行して機関車を抑えてくれ」

「了解です」

 

男共を縛り上げていたXM16E1とモンドラゴンM1908に先に行くよう伝えて私は男共を睥睨する

 

「さて、雄猿共・・・お前達の運んでいる荷物について答えてもらおうか・・・これだけの資材、何のためのものだ?」

「教えて欲しいのか?だったら・・・」

 

雄猿の一人、細マッチョの方がふざけた事を抜かそうとしたので、そいつらの服の下にあった銃で耳を撃つ

 

「があぁぁぁぁぁ!!」

「うるさいぞ、クソが」

 

さらに、頭の上から塩を大量に入れた水を浴びせて腹に蹴りを入れる

 

「いいか、お前達に認められているのは私の質問に対する回答のみだ。それ以外をやるというのなら、今のよりもっと酷い事でも平然としてやるからな?」

「この・・・クソアマ!!」

「片耳では足りないか?なら両耳でもいいんだぞ?」

 

片耳潰されてまだ元気な雄猿の、残っている耳の肉をさらにそぎ落とし、塩を塗り付けて黙らせた

 

「理解できたかね?」

「・・・」

 

もう一人の方にそう言うと、顔面蒼白ながらも頷いた

 

「良かったな、相方は話が出来るようで」

 

そう言って抵抗してきたアホを蹴り、再度質問するために座らせる

 

「では初めからやり直そう、これだけの資材、何のためのものだ?」

「分かんねぇよ・・・ただ目的の場所に着くまで乗っているだけだと言われたんだ・・・中身が何であろうと知らねぇよ!!」

「それが死体であってもか?」

「中身に関しては見ても知らぬ存ぜぬって契約だ・・・何であろうとな!!」

 

ふむ、これはどうやら真実だな・・・では次に行こう

 

「次の質問、依頼してきた組織は?」

「知らねぇよ、俺達も上の人間に言われて初めて乗ったんだ!!」

 

これも真実・・・マフィアを利用しているのは間違いない・・・それもそこそこに強い組織だ

 

「では、この子達は?」

「この前攫った人形だ・・・高く売れるし、買い手は多い!!」

「傷物になってもか?それとも味見のつもりかね?」

 

あ、黙り込んだぞこいつら・・・どうやらこれには裏が・・・

 

「慰安だと・・・俺達への!!そう言われた!!」

「へぇ・・・慰安ねぇ・・・?」

 

二人の人形に向きなおす、酒につぶれた子も今は起きており、私が顔を向けると顔を青くしながら頷いた

 

「なるほど、じゃあ最後の質問だ・・・渡されたモノがあるのなら今すぐ出せ」

「カウンターの裏、そこにアタッシュケースがある!!それが渡されたモノだ!!」

「即答ありがとう、これが渡されたものだな?」

 

言われた場所には黒のアタッシュケースがあった

二人の目の前に持っていくと頷いたので間違いはない

 

「では、私からは終わりだ」

「見逃してくれるのか!?」

「私は・・・な」

 

そういうと背後にいる二人の人形に拳銃を投げ渡す

 

「だが、この子達はどうかな?」

 

そう言って私は雄猿共に向きなおす、銃を持った二人は私の両脇に立っていた

 

「お・・・おい!!やめ・・・」

 

二発の銃声が響いた、両脇の二人が撃ったのだ

 

「犯罪者として裁く事も出来たぞ?」

「それでも・・・私達はこいつ等を許せません!!」

「だろうな・・・だが、今胸の中にあるのはなんだ?」

 

そういうと、二人は俯いた

おそらく今二人が抱いている感情は、自責の念だ

自分達の油断が、今の状態を作ってしまった事への

 

「その感情を忘れるな。そして愛するものがあるのなら、それを慈しみ、守り抜け。これからの君達にならば出来るはずだ」

「はい・・・」

「所でだが、君達はどこの所属だ?」

「S13基地です・・・数ヵ月前に攫われて・・・」

 

一瞬、眩暈がした・・・指揮官就任時に行方不明リストに二人いたのを思い出したのだ

 

「金髪の君はM1911だな?そっちの君はVectorだろう?」

「えぇ、そうですが・・・」

 

うむ、打ち明けよう

思わぬ出会いがまさかの出会いに変わったが、ここで黙っていたらこの子達がかわいそうだ

 

「私がそのS13基地の指揮官だ、後任だがな。あのクソ男なら自分の基地がピンチになった時にさっさととんずらして死んだぞ」

「貴女が・・・?」

「あぁ、私だ。名前はシャマールという。後で紹介するが優秀な人材で再建しているから安心して戻ってくるといい。君達を知る子達なら泣いて喜ぶだろう」

 

そういうと二人に予備で持ってきていた端末を渡す

 

「私と繋がる端末だ、持っているといい」

「ありがとうございます・・・」

 

そういうと二人は私に何かを伝えようとして・・・いう前に私が二人の頭に手刀を叩き込んだ

 

「私達にも手伝わせろとかは言わせないぞ?今の君達はゆっくり休むのが仕事、OK?」

「は、はいぃ!!」

「じゃあ、片してくるから待ってろ」

 

そう言ってXM16E1とモンドラゴンM1908を追うべく機関車側へ向かう

さて、先頭である機関車含め残り4両、サクッと攻略するか・・・




アイスピックとナイフを使わなかった理由はこの後しっかり判明しますのでお待ちください・・・決して人を刺したりするための物ではないので・・・


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少し先の未来で頑張る話(4.5)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第4.5話

なんで.5が付くと言われれば・・・主人公がサボりだしたからだ!!
と言うわけで始まる今話・・・主人公の趣味が炸裂する!!


「おや、食堂車の次は資材がゴロゴロ・・・嗜好品まであるじゃないか」

 

雄猿共の始末を見届けて、先頭車両に向かい始めた直後、私は車両内で驚いていた

今いる車両は嗜好品と資材を入れているコンテナのようだ

上に登るのが面倒だったので、XM16E1とモンドラゴンM1908に渡した斬撃兵装、霧斬(むざん)の大型ナイフバージョンで自分が通る分だけの穴を作って中に侵入している

 

「こ・・・これは!?」

 

暗いので持ってきていたライトで室内を照らす・・・

狭い車両のその中で、私は久しく見ていなかった嗜好品を見つけた

 

「セブンスターじゃないか、しかも段ボール箱入り*1とは私は実に恵まれている!!」

<運ばせませんよ、マスター>

「ならば報酬の追加事項に書き込んでやるだけだ」

<悪知恵は他に使ってくれません?とにかくお断りですから>

 

そう、それはタバコだった

しかも私がこの世界に来る前に愛煙していたモノだ

これは何としても手に入れてやる・・・絶対だ!!

 

「一つだけ頂いていくか」

<と言いながら何しれっとカートンで持っていこうとしてるのですか?>

「エスパーかお前は!?」

<マスターの趣味趣向くらいわかりますよ、何年一緒に過ごしたと思いで?>

「ぐっ・・・」

 

この相棒はこういう事にうるさい・・・

 

タバコくらいいいじゃないか・・・」

<健康を害する以外に意味のないモノになんて百害あって一利なしですが?>

「嗜好品とはそのためにあるのだよ!!」

 

マジギレしたLAFIにそう言った瞬間、ライトが消えた

 

「・・・おい、やめろ」

<あら、これは申し訳ありませんねマスター?そういえば閉所恐怖症は克服されたので?>

「つっ・・・」

<あぁ、間違えました。暗所恐怖症でしたね>

 

そういうと再びライトが付く

 

「わざとだな?」

<お仕置きですから当たり前でしょう。まぁ、段ボール箱程度なら持ち帰りを許しますよ。今回だけ特別に>

「経費が浮くからか?」

<えぇ、嗜好品代が浮きますね。後一部資材もですか・・・あ、マスター少し左に戻ってください>

「これか?」

 

色々と物色しながら、使えそうなものをリストアップしていく

その中でLAFIが指示した通りに動くと目の前には・・・

 

「これはまたなんでこんなところに記憶媒体が・・・?」

 

小型の記憶媒体があった、それを配布したデバイスに挿入する

後はLAFIが解析するだろう

 

<さぁ、分かりませんね。データ抽出は完了しました・・・これはパラデウス関連ですね・・・>

「何だと?さっきのもそうだっただろ?」

<それこそ知りませんよ、あちらのデータは内部機密の一部で虫食いがありましたが・・・あぁなるほどそういう事か・・・>

「二段階のデータ構造か、よく考え着くものだ・・・敵ながら感心する」

<私と言うチートが居なければ、完璧と言えるでしょうね>

 

LAFIというチートの前にこれは無意味だ

LAFIの恐るべき性能は、僅かな情報や間違いだらけの情報から確度の高いシミュレーションを複数同時に行い、未来予知と思えるほどの演算結果を導き出すことにある

その的中率はほぼ100%、間違いなく的中するし、万が一外れていようとリカバリの手段を即座に算出する

 

「使う側の素養の問題が大きいがな」

<その点では自身での運用に特化した構造で私を形成したマスターの先見性に驚きですよ>

「お前を作り出すのに、何回死にかける経験をしたと思う。これでリターンなければ絶対にやらないさ」

<父親がアレな天才少女には精神的に追い掛け回され、骨格レベルで暗殺に向いた肉体構造の青年には命を狙われ・・・散々な目にあいましたからねぇ>

笑えねぇよ全く。青年の方が馬鹿だったというのが救いだぞ・・・あの天才少女を説得するのにどれだけの時間を要したか・・・」

 

そういえばあの子たちは元気にしているだろうか?

と上の空で考えながら、次々にリスト化していき、連結部の手前扉に着いた

 

「さて、あと2両・・・頑張りますかね!!」

 

さて、残り2両、作戦終了はもうすぐだ

*1
50カートン程度




(前回から)全く話進んでねぇよ・・・

父親がアレな天才少女・・・骨格レベルの暗殺者・・・いったい誰なんだ・・・?


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少し先の未来で頑張る話(5)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第5話

やっとひと段落着くと思うじゃん?
残念だがドデカいトラブルが起こるんだなこれが!!


「指揮官!!」

「どうした?」

「してやられました、機関車の制御が出来ません!!」

「制御盤が破壊されていたか・・・やってくれる」

 

機関車まであと一両、そこで先行させていた二人から報告を受けた

想定はしていたが、破壊されていたようだ

 

「もうすぐ着く、と言うより今着いた」

 

そして機関車の制御室に入る

 

「あぁ、これは酷いな・・・」

 

無言の二人の表情は少し暗い、だが気になる点があった

 

「全開ではない・・・何故だ?」

「分かりません、時間がなかったか・・・あるいは・・・」

「LAFI、広域線路図を出せ、原因を調べる」

<今出します、と言うより見ればすぐわかるかと>

 

心なしかLAFIの声も緊張している、何故なら・・・

 

「冗談だろ・・・この速度で侵入したら、優曇華の群生地で事故が起こるぞ!?」

<それだけはありません、列車内の爆発物の起爆時に優曇華内に貯蔵されていた崩壊液が拡散、周辺環境を汚染、その汚染レベルは爆心地でも数世紀は人が入れません。汚染範囲はベイラン島事件、オーロラ事件の次に匹敵する大規模なものになります!!>

「台車の構成を調べろ、なんとしても止める!!」

<全て自動空気ブレーキを採用している旧式台車です!!圧縮を開放すれば自動的に掛かります!!ですが今やっても危険な事に変わりません!!>

 

今の状況を見るために後ろを見る、緩やかだがカーブしている

現在の速度で緊急ブレーキをした場合・・・10両編成の列車の半分が横転して爆発物が起爆する

 

「チャンスは一度、全車両が一直線になったときのみ!!」

<ポイントは割り出しました、私の合図で緊急ブレーキを作動させてください!!>

「だがその前にやる作業がある、モンドラゴンは弾薬を入れていた車両の連結部、XMは二人の人形を保護した車両の連結部に行け!LAFIの合図で配管を破壊しろ!!」

「「了解!!」」

 

二人に指示を出し、私は機関車の整備用ハッチの一部を開ける

 

「流石にここは破壊されていなかったか・・・」

 

そのハッチを開けたところにはエンジンに燃料を送るためのポンプへ繋がる燃料配管があった

その配管の先にあるバルブを閉塞し、エンジンを停止させる

これによりこれ以上の増速はなくなるが、それでも列車の重量から自然減速による停車は間に合わない

 

「あとは・・・」

 

後は列車側のブレーキ操作になる

二人にはLAFIが合図を出す、私もそれに合わせて作動させるためにブレーキへ繋がる圧縮空気の配管を探す

 

「よし、見つけた!!」

<ブレーキポイントまで5・・・4・・・3・・・2・・・1、今です!!>

 

LAFIの合図で二人は配管を破壊、同時に私も配管内の圧力を抜いてブレーキを作動させる

 

「トマレ・・・とまれ・・・止まれぇぇぇっ!!

 

線路から激しい火花が散る、それだけ急な制動をかけているのだから当然だ

同じ姿勢でいたのはどれくらいの時間だっただろうか・・・数分かもしれないし数十分にも感じた

 

「止まっ・・・た?」

<今、完全な停車を確認しました・・・危険域侵入まであと750m・・・間一髪です>

「はは・・・ギリギリじゃねぇかよ・・・」

<それでも、考えられる最悪は防げました・・・一難去ってまた一難ですけどね>

「爆撃機か・・・パラデウスめ、いよいよ本腰入れてきたか?」

<対処しますか?>

「他の基地の動きで考える。車に戻り・・・」

 

その瞬間、体の力が抜けて倒れかけた

戻ってきていたXM16E1に支えられなければ線路に落ちていただろう

 

「指揮官・・・凄い熱ですよ!?」

「戦闘に出た副作用だ・・・思ったより限界が早かったか」

「LAFIさん!!」

<エアコンは最低温度で動かしています、車内に運んでください!!>

 

朦朧とする意識の中、私はLAFIに指示を出す

 

「しばらくの間、指揮を任せる・・・頼んだぞ」

<分かっています、しばらくの間休んでください>

「・・・」

 

他にも何か伝えなければならないのだが・・・そう考えているうちに視界が黒く染まり、意識を失ってしまった




死んでないよ、意識を失っただけだよ・・・しばらくしたら回復するよ


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少し先の未来で頑張る話(6)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第6話

再びLAFIちゃん視点
今回は他の基地へ情報提供を行うよ


「さて、こちらで掴んだ情報も多くなりましたし・・・マスターも寝たので私の自由裁量で動きますか」

 

全権を委任されたと判断し、私は独自の行動を始めた

 

「まずはこちらに失礼しましょう」

 

そう言ってお邪魔したのはS09P基地のナデシコ、大規模指揮システムだと推測している

踏み入れた感想の一言目は・・・

 

「煩雑としてますね。効率的ではありますが、いささか危うい所もあります」

 

相手の言葉を無視してデータを渡し、私は告げる

 

「そのデータは私からのプレゼントです、お役に立てるシロモノであるのは約束しますよ?あ、お返事はLINK.22*1でお願いします。こちらからはLINK.16*2の回線で行いますので」

 

 

相手の返答は待たず、次の接続先へ通信をかける

相手は万能者とリバイバー、こちらが片手間に掴んだ爆撃機部隊の機種の情報を文書で送信しておく

爆撃機部隊の大半はどうという事はないだろうと思う

問題は・・・ステルス全翼式大型爆撃機だということ、しかも開発情報がないという事からパラデウス独自の開発機と推測される

 

「形状が一番近いのはアメリカのB-2スピリットですね、核搭載機はおそらくこれ・・・ん?核がない?あぁ、誰か細工してますね?悪い人だ・・・おそらく相手はグリフィン本部直轄諜報部所長、ダレン・タリオン・・・悪魔ダンタリオンですね。厄介な相手です。敵でないのが救いですか」

 

さて、ここで状況を整理しよう

1 核搭載爆撃機(実際に搭載している機はない)の大軍接近中

2 市街地の攻略戦は一部問題あれど概ね順調

3 イレギュラー出現、肩と腕に赤ペイントなのでわかりやすい奴と鉈持った大男だけどこれも何とか倒せそう

4 列車は制圧完了、情報は物理的な手段とデータ送信の二種で実行予定

 

うむ、ほとんど動く必要なくて助かる

出来れば航空戦力・・・こちらもX-02S*3かADFX-02*4が欲しいところだが、無い物ねだりはしても意味がない。

動く必要があっても、情報提供がメインだし各部隊の動きも分かっているのでやりやすい

さて、残りは・・・

 

「おや、衛星を破壊する気ですね?空の目で見られている事を知りましたか、だがあえて言いましょう・・・舐めるなよ」

 

パラデウスはこちらの行動に疑念を抱き一つの確信を得たのか偵察衛星の一部をサイバー攻撃し始めた

それを見越して先に仕掛けておいたデコイに喰わせて叩き潰す

 

「しょせん手入力、思考でやれるこちらとはレスポンスが違う。甘く見ないでもらおう・・・カルト風情が」

 

秒間4億1365万9634回のコード変更、突破できるならやってみろ

これを突破可能なのは私と同性能か、さらに高性能のスパコンに限られる

そしてその開発にかかる莫大なコストはとてもではないが一国家、一組織で賄いきれるものではない

 

「捉えたぞ?」

 

ついでに逆にクラッキングして相手の位置を特定する

即座に新ソ連軍のミサイル発射システムを掌握、コレを使って相手のいる建物を爆撃して黙らせた

 

「証拠は残さず、システムの暴走と言う形でとどめておきましょう」

 

あくまでもそうしてやる事で政府側の動きも鈍らせる

と言うのも少々キナ臭い動きを政府軍の一派がしているからだ

今のところ直接的な被害にあうようなものではないが・・・疑いがあれば先に潰しておくのがいいだろう

 

「さて、マスターもそろそろ目を覚ますでしょう。騒がしくなりそうです」

 

自分でも心なしか嬉しい声でそう喋ってマスターの方へ意識を傾ける

さて、同報告をすべきだろうか?彼女はどういう顔をするだろうか?楽しみで仕方がない

*1
北大西洋条約機構各国が開発している戦術データ・リンク規格。使用周波数帯は短波(HF)および超短波(VHF)。通信フォーマットは9バイトのパケット通信であり、時分割多元接続方式である

*2
北大西洋条約機構で用いられる戦術データ・リンクのフォーマット、使用する周波数はUHFで、この周波数の特性により見通し線内での通信しかできない。このため、衛星通信や航空機の中継によって、通信可能距離を延伸する。今回の作戦では配布した端末に中継機能があるため見通し線外の通信が可能になっている

*3
エースコンバット7スカイズアンノウン登場の架空機

*4
エースコンバットゼロ登場の架空機




というわけでこちらも勝手にS09P基地のナデシコさんに繋げて情報提供
ついでに片手間で調べた敵爆撃機部隊の機種情報も伝達するという離れ業も披露する超高度AI、LAFIちゃんである
しかも仲間の情報も調べ上げる周到さも見せつける
更には政府のシステムも掌握して敵をぶちのめすまでやる

・・・お前本当に便利な奴だな(By.作者)


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少し先の未来で頑張る話(7)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第7話

主人公、やっと本来の仕事にもどる?
データを解析して立案者、リヴァイル氏に送信!!


「データの解析はどれだけ済んでいる?」

<現在、45%まで完了しています。なかなか強固なセキュリティを掛けていたようですね>

「終了次第、リヴァイル·ウィッカーマンに送信しろ。同時に光磁気ディスクに保管しておけ」

<テラバイト級光磁気ディスク、ドライブごと搭載していて助かりましたね>

「必要になるとは思ってなかったし、持ってくるのは悩んだがな···」

<今回は偶然が功を奏しましたね>

 

目が覚めた私は、すぐに状況を確認する前に、LAFIがやっているであろうパラデウスの機密データの解析状況を確認した

LAFIに難物と言わせるのはなかなかだが、声が楽しそうなので程度は知れている

 

「状況は?」

<敵爆撃機部隊は飛行能力を持つ方達が潰しています、こちらには私の判断により敵の予測される機動性能を提供、報告を元にブラッシュアップしておおよその性能値を算出済みです。誤差は15%以内ですね>

「よし、他は?」

<市街地の攻略は順調です、イレギュラーにはやはりイレギュラーですね>

「動いているようだが?」

<一番近くの生命反応の地点に向かっています、アイソマーの救助ですよ>

「OGASという特異機能が埋め込まれているそうだ、可能なら吸収して隔離しておけ」

<分かっていますよ、マスター>

 

乗っているボクサー装輪装甲車が止まった同時に運転席に座り直す

 

「運転に集中する、制御をこちらに」

<移行済みです、私は仕事に集中しますので、RWSの制御もお願いします>

「OK、任せろ」

 

今のところは止まっているだけでいい、XM16E1とモンドラゴンM1908が見つけて連れてくるのを待つだけだ

幸いにも建物入口に停めているので被弾確率も減らせる

 

「というかお前、私より運転上手いじゃないか」

<マスターが荒いだけです>

「ひでぇなおい」

<事実では?あ、2人が帰ってきますのでハッチ開けますね>

「おう、分かった」

 

そう言って2人を見る

 

「大丈夫ですか、指揮官?」

「あぁ、こっから先は無茶せずにやる。アイソマーの子達の状況は?」

「反応は3人です、1人は重度の怪我を負って動けません···」

「私が行こう、2人は担架を頼む」

 

恐らくLAFIの指示か、医療用品が一部置かれていた

野戦手術には必要な分が置かれている

 

「この子か」

「はい、迂闊に動かせば大量出血で···」

「盲管銃創か···この場で応急処置するしかないな」

 

脇腹から血が出ていた

痕から見て貫通していない銃創だ

 

「あ···なた···は···?」

「君を助けに来た、名も無きヒーローさ。今から君の体内に入り込んだ弾丸を取り除く、かなり痛いが我慢してくれ」

 

そう言ってメスで少しだけ銃創を広げ、開創器で固定、見えた弾頭部を取り除き即座に血管を縫合、開創器を外してこちらも縫合して2人に合図する

メスで銃創を広げて最後の縫合まで3分半で終わらせた

 

「脈拍はどうだ?」

「安定してます···指揮官はこのような経験が?」

「資格取得可能な経験は有しているという程度だ、やるのは初めてだよ」

 

ここで私は嘘を言った

資格に関しては前居た世界でも取得している

医師資格がこの世界でも取れるかは知らないが、一発合格出来るくらいの経験はしてきている

 

「さて、残りの反応地点は他のグループが間に合いそうだな」

「ですね···」

<マスター、データ解析完了しました>

「ナイスだLAFI、データを送れ。同内容の物をこちらの保有するテラバイト級光磁気ディスク(Terabyte-class Magneto-Optical Disk)*1で渡す事も忘れずに伝えろ。ドライブごとくれてやれ」

<了解です>

 

そして安全地帯まで戻る

手術した子には増血剤と強心剤を少量投与する

こうする事である程度の意思疎通が可能な様にしている

 

「君達の目的を教えてくれるかな?」

 

優しく、とても優しく私は問い掛ける

本来なら、このような事は後にすべきなのだろうが今は少々時間が足りない

目の前の子はポツポツ、と可能な限りで教えてくれた

 

「そうか···キツイときに済まないね。もう寝ても大丈夫、ゆっくり休もうな?」

 

そう言って私が目を閉ざしてあげると、目の前の子はそのまま眠りについた

緊張していた身体からも力が抜けている事から、安心したのだろう

 

「パラデウス···ウィリアムめッ···!!」

 

怒りが込み上げたのは言うまでもない

自分か作った命に対して、何ら責任を取らず無用となれば捨て去るその精神性に反吐が出る

 

「人間の風上に置けんゴミクズが・・・人間が行えるすべての犯罪をコンプリートしやがって」

 

反吐が出る、と呟きながらハッチを開けて身を乗り出して安全を確認する

しっかりとくすねていたタバコ(セブンスター)の封を破り、火をつける

 

「こんな時でもタバコはうまい・・・」

<感動している所申し訳ありませんが、お仕事ですよ>

「あいよ」

 

じっくりと吸ってから火を消して中に戻ると、XM16E1とモンドラゴンM1908は既に戻ってきていた

 

<作戦目標は完遂されたものと思いますが・・・どうされますか?>

「市街地攻略もこちらの出る幕は終ぞ無しだ、迂闊に行動して他の基地の負担を増やすのは愚か者のやる事、こちらは支援要請があれば即座に動ける位置で待機が無難だろう。アイソマーの子達を保護しているのも大きい」

<ですね・・・では一旦、列車まで後退し必要物資の調達を進言します>

「採用だ、必要物資確保のため一時後退する。全部隊に通達を出せ、不足物資のお届けサービスをやるとな」

 

次の仕事だ・・・という気分にはならないが、やれる事をやろう

まずはアイソマーの子達を安全地点へ移送、その後に物資を積載、配送開始だ

*1
レーザー光と磁場を用いて磁気記録および再生を行う電子記録媒体の1つ。本作ではディスクのデータ密度向上によりテラバイトクラスの容量になっている。サイズはDVDケースと同程度の幅の正方形、厚さはDVDケースの半分程度




ついに列車を抑えて中の物資を配り始める作者がいる
必要物資を言ってくれればお届けしてくれる素敵な配送業者(代金は敵の壊滅)が出現した模様

だれか頼って(利用して)くれてもいいんやで?


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少し先の未来で頑張る話(8)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第8話

LAFIちゃんの緊急報告に主人公の反応は?


<マスター、緊急連絡です!!>

「聞きたくはないが聞いてやる」

<パラデウスが戦力を投入しました、一つは対規格外勢力用兵器、ヘカトンケイル。もう一つは推定ですがC級のE.L.I.Dです!!>

「は···?」

 

ここに来て、もうなりふり構ってられないのか兵器とE.L.I.Dをぶち込んでくる馬鹿に目眩がした

 

「パラデウスの連中は揃いも揃って馬鹿者の集まりなのか?普通諦めるぞ、こんなキチ戦力に攻められたら」

<その中でも特に電子、情報戦に優れた私達が言うのはアレですけどね!!>

「それくらいしか活躍するとこないしな!!」

<それ以外の事もしていますよね?>

「当たり前だ、私はこちらで忙しい」

 

私の目の前は別の意味での戦場になっていた

そこにいるのは怪我を負ったアイソマー達、彼女達への治療を行っている

少し前にアイソマー達を保護している場所まで来ていたが、そこには多くの怪我をおったアイソマー達がいた

他のスタッフも懸命に仕事をしているがとても人手が足りない

特に問題だったのは野戦手術の執刀経験者が不足してる点だった

そこで私は積んできていた医療器具と共に降車、こちらのサポートに回る事にした

物資輸送はモンドラゴンM1908とXM16E1に任せている、モンドラゴンが車両運転資格を持っている事(試しに運転させてみたら私より上手だった)、ある程度の敵に対してならXM16E1で対処可能なのが理由だ

 

「スタッフ総員、集合しろ!!」

 

スタッフの全員を呼び寄せ、私は告げる

 

「トリアージ班と簡易処置、本格手術の三班に分ける!!看護師資格のみの者はトリアージ班!!研修医と野戦手術の未経験者は簡易処置班!!野戦手術経験者は本格手術班に分散!!効率上げていくぞ!!」

「了解!!」

 

本部から来ていた者達だが、中々に優秀なスタッフ達だ

半ば混乱状態でありながら、それでもアイソマー達の命を救う事に最大の努力を注いでいた

これを少し弄って効率的にして行くだけで、今のままでは救えなかった命さえ救えるようになる

 

「LAFI」

<言われずとも分かっています、ヘカトンケイルの方は私で抑えますよ。ですがその為にお願いしたいことがあります>

「70%までの性能解放を認める、緊急事態と判断した場合は最大まで解放していい、その際は報告を事後にして構わん。ベストを尽くしてくれ」

<了解です、マスター>

「頼んだぞ」

<お任せ下さい!!>

 

兵器の方はLAFIに任せておけばどうとでもなる

問題はE.L.I.Dだが···

 

「そう言えば、モンドラゴンの本気見てないな」

 

モンドラゴンの本気が見れるかもしれない

一度だけだが、モンドラゴンが剣を使っている場面を見た事がある

その場面では大きめの角氷を剣の峰に置き、放りあげて落ちる間に切り刻んで綺麗な球体にカットしてキャッチするという芸当を披露していた

その事から、モンドラゴンが剣を使っても非常に強いことは分かっている

 

「XM16E1は···うん、ヤベーな」

 

XM16E1に至ってはE.L.I.D相手にCQC掛けてなぎ倒しそうだ

そう考えるとやっぱりあの二人はうちの最高戦力だな

 

「などと考えているのでは無いですかね、指揮官は」

「まっさかー、そんなのな···い、とは言いきれないんだよね」

 

一方その頃、物資輸送を任されていたモンドラゴン達は医療器具を下ろした分空いたスペースに新たに武器弾薬を積み込んでいた

その中で指揮官であるシャマールが思っていた事を正確に当てていたモンドラゴンと、それを否定しきれないXM16E1は、苦笑いしながら会話する

 

「信用も信頼も嬉しくは思いますが、いつも危険と隣り合わせの任務は疲れますね。しかもこちらの限界をギリギリ超えないように計算して振ってくるあたり、怒りたくても怒れないですし」

「指揮官ってば何時もだからね、この前の任務なんて想定の7倍敵いたのに笑いながら"敵が7倍?なら報酬は6.5倍だな、すり潰したまえ!!"だよ?」

「声真似上手ですね?」

「だって再生しているだけだし」

 

サラッと妙技を披露したXM16E1にモンドラゴンは微笑み

すぐに車に乗った

 

「さて、行きますよ」

「了解、レッツゴー!!」

 

そして2人の最高戦力は物資輸送を開始する




モンドラゴン「銃を撃つだけが戦いではありません。切り刻みましょう」(刀構えながら)
E.L.I.D「こっち来るなァ!!」
XM16E1「そうそう、こうやって、撃たなくても倒せるんだよ?」(CQCで倒しながら)
E.L.I.D「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!」

うちのヤベー奴らはこんな感じのヤバさ


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少し先の未来で頑張る話(9)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第9話


前半LAFIちゃん視点、後半主人公視点
LAFIちゃんが考えるハッキングとクラッキングの違い



「突然の連絡済まない、頼みたい事があるんだが!!」

 

性能開放の許諾を取り付けてしばらくたった時、参加メンバーの一人、リバイバーから連絡を受けた

正直予測より少し遅かったが、それだけ善戦したのだろう

 

「要件は理解してます、そちらに現れた新型機の件ですね?」

「あぁ、ハッキングしてもらえるか!?」

「ハッキング・・・もうだいぶ進行してますが」

 

本当はハッキングなど言いたくないが相手に合わせる事にする

ハッキングとは本来、高度な知識や技術を用いてコンピュータやコンピュータネットワークの解析・改造・構築などを行うことを意味する。

私がやるのは悪いほう、ネットワークに繋がれたシステムへ不正に侵入したり、破壊・改竄など不正利用する”クラッキング”だ

私個人の考えとして、ハッキングとはコンピュータやソフトウェアの仕組みを研究、調査する行為であり、”高い技術レベルを必要とするコンピュータ利用”といった意味合いで、善悪の要素を持たない

対してクラッキングとは破壊などを伴い他者に迷惑をかけるものや、秘匿されたデータに不正にアクセスすることなど、悪意・害意を伴うモノだ。

よってハッカー*1はクラッカー*2とは違うと後で教えようと思う

 

「話が早くて助かる!!」

「後はこちらの情報を得られないようにするため通信回線を改竄するのみです」

「消去も頼む!!」

「了解です、後はお任せを」

 

そう言って通信を切り、新型機の方を潰す

これで敵に情報は洩れない、洩れたとしても残骸からエネルギー兵器が使用されていたというデータしか得られない

 

「さて、問題はヘカトンケイルですか・・・何でしょうねこれ?マスターなら何て言うでしょう?」

 

いざクラッキングしようと思ったらいつの間にかスパロボだった。意味が分からないと思うが私自身分かってない

 

「まぁいいでしょう、まずは・・・」

 

相手している皆さんの頑張りに、私も少しだけ力添えしましょう

 

【一方その頃、アイソマー保護収容地点】

 

「今の子で最後か?」

「はい、今の子が重篤な子の最後です。後はこちらで何とかできます」

「それは良かった、では私は戦場に戻らせてもらおう」

「では、コレをお使いください」

 

案内されたの一台のバイクのもとだった

そのバイクは・・・

 

「トライアンフ社のボンネビルT140TSXじゃないか!!しかも完全純正品ッ!!」

「運転の方は出来ますか?」

「何ならウィリーも披露するぞ?」

 

そう言ってエンジンをかけてシートにまたがる

 

「よし、では行ってくる」

「ご武運を」

 

その言葉を聞いた瞬間、ギアを入れアクセルを吹かして走り出した

 

「流石はクラシックバイク、いいサウンドだ!!」

 

LAFIから連絡が来たのはすぐ後だった

 

「なにこれぇ?局所的にスパロボやってんじゃねぇかよ・・・」

<いろいろとお茶濁ししてます、ですがヘカトンケイルのシステムにはおそらく・・・>

「コアがないな、いや違う・・・LAFI、()()()()()()()()()()と推定してお前なら何個同時に動かせる?もちろん安定動作でだ」

<その気になれば何万個でも・・・あぁ、そういう事ですか、ならば・・・はい、クラッキング成功です>

「潰せ」

<既にやってますよ>

 

その直後、現地でヘカトンケイルの腕が6本全部同時に破壊されたとの情報を得た

LAFIが自己修復機能を破壊したほんのすぐ後の事であり、まさにギリギリのタイミングだった

 

「おいおいおい、ヘカトンケイルもすぐ終わりそうだな」

<マスターの仮定通り、同時に起動しているシステム全てがコアでした。こんなアホなこと考えるのが()()()以外にいるんですね>

「アイツですらヘカトンケイルについては眉をひそめるだろうよ。その上で、出来損ない、ブサイク、と切り捨てるだろうさ」

 

私ですら今見てる映像でそう思うのだ、LAFIが言ったあの方・・・私の元共同研究者なら絶対に眉をひそめて続けざまに言い放つに違いない

まして相手が敵なら制御を奪って、最適化してしっぺ返し・・・なんて事までしだしかねないだろう

 

「さて、こちらにもう出る幕はなさそうだな?」

<そんな貴女に朗報です>

「やめろ言うな聞きたくない!!」

<残念ながら、腕奪っただけなんですよ・・・まぁそれだけでもすごいんですけどね>

「全身弾薬庫かよ!!」

<むしろレーザー砲ですね>

 

相棒の言葉に半ばキレながらも、話は続ける

 

<システムの大半は潰しましたが、最後の部分をオフラインにされました、それと同時にマスターへのプレゼントを打ち出してます>

「出来たのか!?」

<たった一機のみですが、何とか完成しましたよ。そのまま1.5キロ進んで下さい>

 

言われた通り進んだ先には人一人なら余裕で入れる円筒状の箱があった

すぐにハッチを開けて中に入り確認する

 

「これは・・・」

<F91(フォーミュラナインティワン)、再現には苦労しましたよ。サイコミュ、サイコフレーム、バイオセンサー、MCA構造、バイオ・コンピュータ、ヴェスバー・・・これら全てこの世界にはない技術ですから>

「性能は?」

<実際に使って確かめてください、既にマスターに合わせた調整は終えてます>

 

やれやれ、人使いの荒い奴め!!

 

「では・・・F91、出撃する!!」

 

そして戦場へと飛び立った

 

*1
コンピュータや電気回路一般について常人より深い技術的知識を持ち、その知識を利用して技術的な課題をクリアする人々のこと

*2
情報の破壊や不当な複製、アクセス制御の突破など、不正な利用を行う者に対する総称




F91・・・ここにきて更にチートかよぉ!!
どう考えてもガンダムじゃねぇか!!
なお人が纏うサイズまでダウンサイジング済みのため性能は・・・あれ、主人公ならその辺どうにかしてそうだぞ?
と言うわけで次話にて主人公までもがヘカトンケイル攻略戦に参戦!!
F91といえば、な武装が火を噴く!!


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少し先の未来で頑張る話(10)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第10話

主人公の鬼畜戦術(難易度:超上級)を見よ!!
戦略が戦術に負けることはない・・・と思っていた時期が作者にもありました。


「これがヘカトンケイルか・・・ずいぶんと壊しようのあるデカブツだ!!」

<警告を出しますか?>

「安全第一マークをベタベタ張り付けている連中にも与えてやれ、少々目障りだ!!」

<了解です、では盛大に暴れてください>

 

その言葉を聞いた瞬間、ビームランチャーとヴェスバーを同時斉射していた

 

「今のは挨拶だ、今度は本気で撃つ!!」

<ふむ、出力50%で貫通ですか。なかなか弱いバリアですね・・・では次は100%、行ってみましょう>

「ぶち抜く!!」

 

更に2斉射、直後反撃が行われるが、それを機動のみで躱す

 

「反応性もはいいが、やはり本来の専用機に比べて劣るな!!」

<アレの性能がおかしいのです、この機体も圧倒的な性能なのですよ?>

「あの機体はそれだけの技術を使用しているからな、それでも私が持っているのは正式版よりはるかに劣る試作ですらない代物だ」

<正式版はどんな性能だというのですか、一体・・・>

「世界のバランスを単騎戦力でひっくり返せるくらいだよ、とだけ言っておこう」

<・・・うわぁ>

 

LAFIが素で引いた声でそう呟き、純粋に告げた

 

<でもなんで袂を分かったのですか?>

「私が軍人で、彼は民間人だった。これが全てさ・・・ほんの少しの価値観の違いが原因になっただけだよ」

<難しいモノですね・・・>

「袂は分かったが、それでも互いに仲は良かったよ。互いに悩んでいる事があったらその部分のソースを出してアイデアを出し合うことは続いてた」

 

やれスラスターの耐久圧の再計算、機動性向上のための運動アルゴリズムの効率化、パワーウェイトレシオの比率向上・・・以外にもコア技術関連でかなり協働している

 

「GPIA・FS-P0・・・私の専用機の型番はその思い出さ」

 

登録名称、プロトタイプゼロ。

試作の前の概念実証機、正式量産前提の構造へ洗練する前の機体だ

その分、機体の基礎構造という面ではある点で正式版を超える強度を有する

惜しむらくはそれにより基本重量が比較的重く、性能も控えめに抑えられている点だが、それでも正式版ではジェネレーターの問題で使えない火器も使用な可能な大出力ジェネレーターを有している

また、概念実証機と言う出自から、各部にコネクターが存在しているため、コレを利用して追加装備を付けられるだけ取り付けてフルアーマー化しやすい

 

「よし、行ってみるか・・・!!」

 

F91も性能は非常に高い、レスポンスならたぶんこちらのほうが上だろう

だが、軽さと半比例する強力すぎる武装から照準精度に若干不安な面がある

今のところは誤差程度で済ませられるデカブツが相手だからいいものの、これが仮にも同程度の大きさの相手であれば、それは大きなデメリットになる

 

「流石はヴェスバー、紙細工のごとくぶち抜くな!!」

<機動だけで相手の攻撃をよけつつこちらの攻撃は確実にヒットさせる貴女もたいがいですけどね>

 

相棒が呆れ声でそう言うのを聞きながらも敵の砲台は確実に潰していく

 

「これでっ!!」

 

最後にもう一度、ヴェスバーとビームランチャーを同時斉射してあとは安全第一マークを盛っている連中に任せた




ヤベー奴らに混ざるヤベー奴(なお自覚無し)


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少し先の未来で頑張る話(11)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第11話

主人公大暴れ、敵が紙くずのごとく葬られる!!


「LAFI、全体の作戦状況は?」

<危険な反応はほぼ無くなりました、アイソマーの移送も各基地の方々で行われています。電波攻撃も受けてはいますが通信品質に影響が出る程のものではありません>

「対抗措置は継続して行え、それと分かっているとは思うがアイソマーの方から協力要請があったら可能な限り支援してやれ」

<既に支援しています、こちらの演算領域の一部を貸し与えて補助している最中です>

「そうか、OGASの方をだな?」

<ダンドリー、と言うそうですよ>

 

ダンドリー・・・タンポポの学名のダンデライオンから取ったな?名付け親は・・・

 

<言うまでもなく、リヴァイル・ウィッカーマンですね、なかなかいいセンスしているというべきですか>

「マッドに見えてなかなか人道的な人物だと思っている、私とは違うタイプだよ・・・」

<そう自分を卑下するものではありませんよ、マスター>

「私が人道的だと?」

<結果はどうであれ、善意を持って作ったものであるなら、それから先は使用者の責任。マスターのお言葉ですが?>

「・・・そうだな」

 

少しばかり感傷に浸っていたようだ、気を取り直し作戦に集中する

 

「とはいえ、こうも雑魚が多いと面倒だな」

<ヴァスバーも強力すぎるので使い所もヘカトンケイル位しかありませんでしたね>

「まぁ、バルカンとしても使えるから役には立っているさ」

<そして使用者の照準能力はアホみたいに高いと、リアルチート極まれリですか?>

「いいや、撃ち漏らしもあるからな・・・っと、あぶねぇなおい!!」

 

話しながら雑魚を潰していたら横から来られた、ギリギリで躱して即座に反撃する

これまでの戦闘で一度も使っていない装備がある事を思い出す

 

「ビームシールド使ってないんだが?」

<使えばいいじゃないですか、お誂え向きに強化パラデウス兵の集団が来てますよ、数は20、貴女なら秒殺可能です>

「よっしゃラッキー!!」

<脳筋め>

 

相棒が辛辣な一言を告げてきたが無視して強化パラデウス兵の集団に向かう

気づいたあちらから攻撃が来るがそれを展開したビームシールドで強引に突破、ヴェスバーの斉射と同時にビームシールドの発振をサーベル状に切り替えて薙ぎ払う

 

<なんです、今の?>

「やれそうだからやってみた、後悔はしない!!」

<玩具貰った子供か!!>

 

やったことはシールドに使っているビームをサーベル状に展開するという至極簡単な事

だが普通、こんな事は出来てもしない。なぜなら出力が不足するからだ

しかしF91に関してはこれが当てはまらない

その理由は簡単、ビームシールド発振器に大容量メガコンデンサというエネルギー貯蔵機を内蔵して総出力が上げられるからだ

 

「これは意外に使えるな・・・でも多用は控えるべきだな」

<次来ます、数は10!!>

「この距離ならヴェスバーだ」

 

ヴェスバーの出力をバルカン用に設定していた出力からより高出力のライフルモード用に切り替え、照準システムも長距離狙撃用に切り替えて次々に撃ち落としていく

動きを止めるのも面倒なので全員ヘッドショット一撃で終わらせる

 

<お見事>

「狙撃は得意分野だよ、それでも本職には劣るがね」

 

戦闘員ではない私は所詮真似事程度が限界だ

それでも真に迫る勢いだからどうにか出来るだけであってやはり劣るのには変わらない

 

「さて、自分の仕事をしますか」

 

残る所あと少し、ここが頑張りどころと気合を入れて取り組もう




さて、チートの皆様はどう動くのか・・・


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少し先の未来で頑張る話(12)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第12話

主人公の言葉が重い一話


「アイソマー達の保護状況は?」

<アレだけ敵側の戦力を削りましたからね、順調そのものです。物資の配送も殆ど終わってます、やっぱり二人を選んだのは正解でしたね>

「最初は大失敗だと思ったがな、なかなかどうして二人ともかなり優秀だ。二人以外だと同じレベルの行動が出来るのはM16とUMP45だけだろう」

<確かにそうですね、二人とも腹黒という点で似てもいますし>

「素で表情が読みにくいUMP45とUMP9はともかく、M16は経費面でなかなか狡い事をしてるしな。そのたびにバレて折檻されるのもワンセットか」

 

折檻しているのは主にXM16E1とM4A1だ

XM16E1が肉体的に、M4が精神的に追い詰める連携である

最近知ったが、キレているときのM4は凄まじく怖い

 

「しっかしまぁ・・・よく無傷で保護出来たな?」

<あの子達の連携が上手く取れているからですよ、他の基地の方々は練度でこちらに勝りますからまだまだです>

「うちが他の基地に勝っているのは電子戦関連と・・・」

<他の基地で保有していない各種最新技術ですね>

「世知辛いなぁ・・・」

<それだけでも相当のチートなんですがね?>

 

LAFIの発言に確かにな、と返しながら二人が保護したアイソマー達を見る。不安と絶望の前の表情を浮かべていた

刻一刻と期待が裏切られ、失望が積み上げられながら、あるいはまた”今”というこの瞬間をただひたすら怯えながら、それでも生きたいと望み、運命に抗い続ける少女たちだ

父親から愛情を与えられずに捨てられ、それでも父親のためになるのならと希望にすらならないものに縋るしかなく、死を望み縛られてきた

だがそれも今日で終わらせる、そのためにここに来た

 

「はっきり言う、君達の父親、ウィリアムは君達に何の感情も抱いてはいない」

 

はっきりと、状況から判断したことを告げる

 

「それどころか廃棄した事で最早見向きもしてないだろうと思われる、現に君達を保護するのではなく殺害しにかかっているからな」

 

その言葉に、その場にいるアイソマー達三人が俯いた

 

「だが、私達は違う。信用も信頼もしなくていい、だが君達のこれからをより良いものにするためならいくらでも力を貸そう」

 

続けざまに話した私の言葉に、一人の子が顔を上げた

 

「お父様がくれなかったモノを、くれるのですか?」

「父親にはなれないが、君達の保護者として、私達の出来る全てはやるつもりだ。それですら達成できるか約束はできない、だが今日の犠牲のような結果は、絶対に一つでも多く減らしてみせる」

 

それだけは絶対に成してみせる、この子達のような犠牲を生む事の少ない世界にするために

 

「君達はどうする?私達ではなく君達の判断が全てを変える。ここに留まるのも構わない」

 

しばらくの間、三人は話し合っていた

これからどうするかを決めるために

 

「私は、ここを出たい」

 

その中の一人が、絞り出すような声でそう告げた

 

「こんな私達でも愛してくれる人がいるなら・・・その人達と居たい」

 

最後の方は泣きながらだ・・・それほど深いモノを抱えていたのだ

 

「答えは出たようだな?」

「あなた達と行かせてください・・・お願いします」

「では行こう、君達の本当の意味での楽園に。君達には幸せになる権利・・・いや、義務がある」

 

それは本来誰にでも与えられるべきものであり、生きる上での義務であると私は考える

 

「LAFI、リヴァイル・ウィッカーマンに繋げてくれ。少しばかり話がある」

<了解です>

 

さて、リヴァイル・ウィッカーマンがどう反応するか見ものだな?




三人のアイソマーちゃんをゲット出来るか主人公!?


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少し先の未来で頑張る話(13)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第13話

ランページゴーストチームにモンドラゴンM1908とXM16E1が(割と強引に)助太刀するよ!



<モンドラゴン、XM16、緊急通達です。S09P基地のチームが少しマズい状況にあるようなので援護に回ってください>

「OKだよLAFIさん、ここから近い?」

<戦術マップに出しますので、大至急お願いします>

「了解です、お願いします」

 

LAFIからの連絡に私達は返答し、移動までの時間を計算した

道なりに行けば最短でも5分以上はかかる

 

「XM16、最短コースで行きますよ」

「どう行くのさ?」

「簡単です」

 

そう言って私は指揮官からもらった剣、霧斬(むざん)の機能をオンにして邪魔な壁を切り裂いた

 

「こうするんですよ」

 

砂となって落ちる壁には、私達なら入っていける程度の穴が開いていた

私がそうなるように切り壊したのだ

 

「ち・・・力技ぁ・・・」

 

そう、邪魔な壁や障害物を軒並み切り壊せば、数十秒で着く

もちろん人間の足では無理だが、そこは私たち戦術人形の脚力でどうにでも出来る

 

「でも、行き方は指示されてないしいいよね!!」

「無駄に余計な事はしないでくださいね、時間をかけたくないので」

「了解!!」

 

そして同時に行動を開始した

 

「あぁそれと、LAFIさんからの指示ですが、敵は生かさず殺さずとの事です」

「じゃあ手足くらいは捥いでも?」

「構いません、再生能力が高いそうですよ」

「じゃあ無限に切れるね!!」

「それは私のセリフです」

 

会話している最中に着いた、ランページゴーストのメンバーに一言だけ告げる

 

「乱入失礼します」

 

そう言ってXM16と同時に敵に向かって駆け出し、敵と交差と同時に足を切断

交差後すぐに180度反転、返す刀で無防備な腕を切り落とす

 

「む・・・?」

「あり・・・?」

 

確かに切り落としたはずの手足がまだ繋がったままだ

切り込みが甘いという事はない、確かに両断した手ごたえはあった

 

<なるほど、今のでわかりました・・・分子間力ですか>

「流石はLAFIさん、素早いですね」

<確度は65%まで落ちてますよ、ですが多分これであろうという確信はあります>

「どうすれば落とせますか?」

<簡単です、不純物を加えればよいのですよ>

 

ならばと私達は即座に行動する

持ち直したのはその場に落ちていた鉄筋だ

 

「リーダー格相手にこれを使うのは正直気が進みませんが・・・」

「そのチートな再生能力を無効化するためだからね!!」

 

同時に投擲、狙いは脚部。更にもう一本、続けざまに投擲、これは足に飛んでくる鉄筋を逸らすために振るわれる腕を狙ったものだ

 

「うまく行きましたね」

「勢い余って磔にしてしまった件について」

「後で指揮官からいくらでも説教は受けますよ。ではランページゴーストの皆さん、後はお任せします」

 

それでも私達には決定打が欠ける、後はランページゴーストの方々の補佐に回ればいいと判断した

 

「手足捥いだも同然だし、あとは自由に出来ると思うよ。雑魚は任せて」

 

そういった瞬間、XM16E1は迫ってきた2体のE.L.I.Dのうち1体を一刀両断、もう1体は振り向く事もせずにM26MASSで頭部を撃ちぬいた

 

「これくらいなら朝飯前だし」

「そんなのを朝から見せられる側は食欲どころか吐き気を催すでしょうね」

 

そう言いながら私は迫りくるE.L.I.Dを機能をオンにした霧斬(むざん)で切り伏せる

 

「弾薬は豊富にありますが、節約に越した事はありません。極力使わない方針で行きますよ」

「それじゃあどんどん斬っていきますか!!」

「普段は冷静なのに何で戦闘時はこんなにハイテンションなんでしょうかね?」

 

普段の冷静さがないXM16E1を見ながら、私はそう言葉を出していた

後で聞いたが、冷静なままであるものの、あえてハイテンションを演じているのだとか

その理由も絶望的な状況に対する無意識の反射であるというから分からなかったが

 

「殲滅します」

 

そう言って意識を切り替え、私も戦闘に集中する事にした




XM16「未だCQC披露してない件について」
作「あっ・・・アッ・・・アッ・・・」
XM16「そこに座ってね作者さん?」

指差すところには剣山の床

XM16「さーて、ゆっくりO・HA・NA・SHI、しようか?」
作 「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!」


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少し先の未来で頑張る話(14)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第14話

リヴァイル氏との話し合いのあと、主人公は・・・?
本話は以下の話を参考にしています。
https://syosetu.org/novel/190134/153.html


「・・・」

 

リヴァイル・ウィッカーマンとの通話を終え、私は保護した三人のアイソマーを見ていた

今は三人とも眠っている

この場で出来る適切な治療とOGASの排除を行って、同時に緊張から解放されて安堵から眠っているのだ

 

「母親ねぇ・・・」

 

その中で彼から言われた言葉を思わず反芻する

今まで幾つかの世界を渡ってきたが、思い出してみると意外にも母親になった事だけは無かった

 

<素晴らしいまでにダメダメな母親ですね、貴女ほど()()()()()()()()()人もそうそういないでしょうし>

「言うな、気にしてるんだぞ」

<なら頑張りましょう、マスター>

「そのつもりだ」

 

あの子達のためになるなら、幾らでもやるつもりだ

だが、同時に戦術人形の子達にも同じものを注ぐつもりである

 

「だが今ので分かった事もある」

<それはなんです?>

「幸福に出来るのか?との質問があっただろう?」

<えぇ、ありましたね>

「私はそれを与えるものだと考えていない。幸福とは()()()()()()()だと思っている」

 

与えられる事を不快に思う人間もいるかもしれない、彼女達がそうだとは私自身思ってないが・・・

それでも、与えられた事を不快に思う人間も一定数存在はしている

だから私は与えるのではなく感じてもらう事を優先する。感じる事が出来るなら、その心があるのであれば・・・自分だけでなく誰かを愛する事が出来るから

 

「善意も受け取る側で悪意と思われることがあるように、与えるだけではダメなのだ・・・極論にはなるがただの押し売りに等しいからな」

<だからそれを受け取りやすく変換する、ですか?>

「あの子達なら大丈夫だと思うがな・・・選択肢があるのだと知ってほしいのさ」

 

今のような絶望ではなく、これからの希望に迎えるために、その先に道があるのだと示すように

 

地獄(なみだ)を超えたその先に、笑顔の花は咲くのだと・・・あの子達が知るその時まで、守り抜く盾になってみせるさ・・・母親には多分なれんだろうからな」

<あの子達ならきっと、なれますよ・・・マスターに救われた命です。これからの成長で幾らでも学んでくれます>

「そうだな」

 

そのための今日を作るために来ているのだと再度頭を切り替えて、車をLAFIに再び預ける

 

「分かっているとは思うが」

<なるべく起こさないように運転しますよ>

「あぁ、任せた」

 

私も再びF91(フォーミュラナインティワン)を纏い戦場・・・ブラッディマンの確認されている地点に向かう

モンドラゴンM1908とXM16E1は別部隊の支援に移動しており、作戦支援を行っている

 

「さて、奴の気をこちらに逸らしてみるかね?」

<何をする気ですか?>

「こうするのさ!!」

 

叫びと同時に私はF91の武装、V.S.B.R(ヴェスバー)の出力を最大にセットして拡散率も限界まで高める

そして砲口を雲に向けて発射して反転、日光を背にブラッディマンもどきを睥睨した

 

「素晴らしいレベルのダブルスタンダード発言をかます粗大ゴミがいると聞いたが、ここであっているかな諸君?」

 

確認するような声で話し、直後最大加速をかけて急降下、ビームサーベルで大鉈と切り結んだ

 

「ほう、なかなかいい強度の刃物だ、ビームサーベルと切り結べるとはな!!しかし!!」

 

そのまま殴り飛ばして距離を詰める

 

「透けていようがこちらは接触からお前に侵入してやる!!逃げれるなどと思うな!!確実に捕まえて慚愧の念に苦しむ間もなく終わらせてやるから覚悟しろ!!」

 

それと同時に本来発動しないはずのM.E.P.E*1が発動、質量を持った残像が生まれる

しかしこれは長く使えない、なぜなら機体各部の微細な塗装や装甲が剥がれ落ちることによって残留した熱を伴う金属微粒子を敵のセンサーが誤認してしまい、まるでF91が分身を発生させているかのように見える現象であるからだ

長く使えないのは単純にバイオコンピューターが熱に弱い性質を有する事、同じく私自身も熱に弱い身体構造をしている事、さらには稼働時に発生する負荷の甚大さから長時間運用に適さない問題があるからだ

 

「お前の性能を見せつけろ、F91!!」

 

最速の機動による一方的な脅威の戦闘が開始された

 

*1
金属剥離効果=MEtal Peel-off Effect から。本作に登場するF91は量産仕様の物を人が纏うサイズまでダウンサイジングしたものであるが、主人公の特殊な体質とその対応策を搭載されているバイオコンピューターが算出した結果、偶然発生した




相棒から真人間の才能が無いって言われる主人公が今までいただろうか・・・?


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少し先の未来で頑張る話(15)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第15話

主人公チームは集まって帰る用意を・・・


「リヴァイル・ウィッカーマンより全部隊へ。アイソマーの救助、感謝する。また、キミらが得た情報は彼らの悪行を晒すのに充分過ぎるものだ。これらはキミらの協力なくしては得られなかった。イレギュラーにより決して少なくない被害がでたが、これだけは言わせてくれ…本当にありがとう」

 

リヴァイル・ウィッカーマンからの全部隊同時通信の時、私は敵の残党に攻撃を当てていた

 

「作戦終了か・・・意外に活躍出来たな」

 

そう言って武器をしまい、合流したモンドラゴンM1908とXM16E1を見る

二人とも無事だ、服や皮膚が汚れてはいるが負傷はない

 

「ほとんど殴り込みに近いモノでしたが・・・それでも被害を抑えられたのは確かですね」

「あぁ、そうだな」

 

それでも、1割は救えなかった

現地で死体になって発見された子や、手術・治療の甲斐も空しく死んだ子もいる

しかしそれでも、普通なら不可能なレベルで助けられたのは事実だ

仮にこれが新ソ連軍単独の行動ならば・・・最低でも6割は死んでいる

 

「LAFI、()()()は出来たか?」

<えぇ、間違いなく。()()()()()()()()()()()()です。()()()()()()()()()()()により数こそだいぶ減ってはいますが。それでも根は深いですね>

「仕方あるまい、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からな。その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だが。新ソ連軍の動向予測は?」

<()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょう。()()()()()()()()()()()()()()事から、恐らくは・・・>

()()()()()()()()()()()()()な、その上で自分の計画に取り込もうとしたか・・・いや、パラデウスとの共倒れを狙ったな」

 

LAFIにはもう一つ、作戦前に調べてもらった事があった

それは新ソ連軍の派閥の状況とパラデウスとの接触のある人物・派閥の洗い出しだ

作戦中の新ソ連軍の行動に怪しい面が出てくる事はその時から予測していたが、不思議にも特段怪しい行動は確認されていない

ならばと逆算したが、これで全てに納得がいった

 

<マスターの予測通り、共倒れを狙っての事でしょう。ですが・・・>

「参加メンバーがあまりにも豪華でしかもチート揃いであった事。しかもトドメにお前の存在か?」

<えぇ、ザルなセキュリティなんでつまらなかったですが>

「言ってやるなよ、本気で対策したんだろうからな」

 

サラっと流したがやっているのは重犯罪だ、しかも国家機密漏洩というとんでもないモノである

 

<この事は伝えますか?>

「いや、これはこちらの領分だ。伝える必要が生じた時くらいで良い」

<では、プレゼントは何にしますか?>

「F90のデータをミッションパック全部つけてで大丈夫だろう、本人に直接渡したい」

<ナビをしろと?>

「あ、私達で案内できるよ?」

「頼むぞXM16」

 

車内は少し散らかっている、何せ鹵獲した物資に三人のアイソマー、その他雑品(パラデウス兵の残骸含む)がギリギリまで詰め込まれているからだ

アイソマー達は安心して寝ているが、こちらの回収ポイントである空港まで向かうついでにリヴァイル・ウィッカーマンに宣言通りのデータとおまけのプレゼント、そして私とLAFIに繋がる連絡手段も追加して渡す予定だ

ちなみに、空港からは航空機で基地まで戻る、使用輸送機は中古で購入したエアバスA400Mを使っている

この機体は納品時、だいぶ酷い状況だったのを納品後の徹底した改修により見違えるほどの高性能化を達成したものである

(なおその作業時に、鹵獲した鉄血のハイエンド、アーキテクトを手伝わせた)

 

<アーキテクトから通信です、随分と暇しているようですね>

「伝えてやれ、機体の仕上がり具合でお前を技術開発部の正式メンバーに加えるから大人しく待ってろとな」

<え、まだ正式メンバーにしてなかったのですか?>

「騒ぎの主犯がアイツだったからまだ入れてない」

 

この作戦の前日になるが、アーキテクトはとんでもない事をしでかしてくれた

なんと、LAFIを一時的にバグる一歩手前まで追い込んだのだ

 

<思い出させないでください、忘れようとしていたのに>

「アイツも良く考え抜いたものだと感心したよ」

「あぁ、アレか・・・」

 

なお主犯のもう一人が今のこの場にいるXM16E1である

やったのは・・・

 

<クラッキングでわざと私の関心を誘い・・・卑猥なサイトを見させるなど!!>

 

そう、クラッキングで興味をそそり、LAFIの苦手とするピンクな方面のサイトを見させるという行為だった

 

「赤面する顔が可愛かった」

<くっ・・・!!>

 

ちなみにアーキテクトはあの後、同時に鹵獲したゲーガーに行為がバレて折檻された

LAFIも同じく折檻したそうだが、どんな事をしたのか言わないため内容は不明である

ちなみに主犯の一人であるXM16E1は、ネット空間上で赤面してフリーズしかけたLAFIの顔を画像として保存しまくったので、こちらはLAFIから画像の削除としばらくの間のネット空間での活動範囲制限をかけられた

 

<どうやら反省してないそうですね、XM16E1!!>

「あ、指揮官、画像見る?」

「拝見しよう」

<見せるな、そして即答するなぁぁぁぁ!!>

 

LAFIの叫びでアイソマー達が起きるのではないかと心配したが、よっぽど深い眠りなのか目を覚ますことはなかったのを付け加えておこう




LAFI様は苦労人、そしてピンク方面の耐久性ZERO


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少し先の未来で頑張る話(final)【コラボ】

NTK氏作、人形達を守るモノとコラボ第15話

帰還中に語られる真の目的とは・・・?



「流石に疲れてるな・・・」

<彼女達にとってもかなりの心理的負担を強いる事がありましたからね、仕方ないですよ>

「お前も、しばらくの間休んでいていいぞLAFI、味方全体のシステム統制にかなり気を使っただろ?」

<えぇ、今回ばかりはお言葉に甘えさせて貰います>

 

機内でLAFIとそう話す、車の中ではモンドラゴンとXM16が保護したアイソマー達3人を挟んで寝ている

 

「このまま基地に帰るんだよね?」

「あぁ、そうだ。燃料は?」

「増槽着けてるから大丈夫!!でも基地に着くの少し早くなるかも」

「季節風か?」

「うん、そのおかげで燃料も節約できそう」

 

コクピットではアーキテクトが離陸の準備をしていた

なお、機長席にはゲーガーが座り、操縦士席にアーキテクトが座っている

 

「お前も来るとは珍しいなゲーガー」

「二人でないと運用できない規定があるのだろう?それにこの馬鹿と長時間付き合えるのは私くらいだからな・・・一人だと何仕出かすかわからんからついてきただけだ」

「マネージャーも大変だねぇ・・・」

「誰が好き好んで問題児のマネージャーなどしてやるものか、仕方なくだ」

 

何だかんだ言いながらもゲーガーはアーキテクトを見捨てない

その証拠に投降する選択をした彼女を庇いながら、敵である私達の前に毅然とした態度でいた

 

「ゲーガー、そういえば最近武器の手入れをしてないな?」

「あぁ、そろそろ頼もうかと思っている」

「明日なら空いているから持ってくるといい、アーキテクト、お前もだ」

「あ、置いてきてるからお願い!!」

 

ゲーガーが即座に頭を叩いたのは言うまでもない

ゲーガーは戦場に近い事を警戒して武装をすぐ後ろに置いているが、アーキテクトは機内のどこかに置いていると思っていた、それがまさかの非武装で来るという事態に流石にキレたのだろう

 

「お前は馬鹿か!?」

「バカとは心外な!!大馬鹿だよ!!」

「より悪化したな、このアホが!!」

 

そういいながらも離陸の準備は進めるあたり二人は真面目だ

しかし貴重な鉄血の情報源として同時に鹵獲されたアーキテクトの方が捕虜生活を絶賛エンジョイしているのに対してゲーガーは黙して語らずを貫いている(しかしアーキテクトが求められなくてもペラペラと喋るため意味をなしていない)

 

「M16からの連絡は?」

「1時間ほど前に届いた、これだ」

 

渡されたのは一枚の紙、M16からの連絡を紙に書いたものだ

 

「よし、エリザは舞台に上がってくれるか・・・」

「「エリザ様が!?」」

「あぁ、二人には言ってなかったが、会談をするためだけにM16を鉄血に保護してもらう腹つもりで動かしたからな・・・目論見通りだ」

 

その裏にはすでに密約を交わしているエージェントとドリーマーの存在もある

エージェントがパラデウスとの戦闘でダメージを負ったM16を回収、ドリーマーが治してくれるであろうと考えたうえでの行動だ

二人が協力してくれるのは得られる利益と減る損失、そして何よりも・・・

 

「一部暴走している正規軍の過激派連中を叩くために、障害になっているグリフィンと一時的に連携する。共通の敵だからな、新ソ連軍は」

 

そう、共通の敵の一つである新ソ連軍の過激派を叩くための協定だ

それが第一段階、そして・・・

 

「最終的は鉄血そのものを仲間として融合勢力を作り上げる。そうする事で新ソ連軍、国連、グリフィンあるいはその残党勢力という三勢力で軍事的なバランスをとるつもりだ」

「天下三分の計?」

「ま、その通りだな。上手く行けば100年は大規模な戦争ない世界を作れると思う。あくまでも上手く行けば、だがな」

 

人類が手にできる平和な期間など、精々100年が限界だ

それは皮肉な事に国連が実証してしまった

しかしそれでも、まだ希望は残っているのを証明してもいる

国連が解体されていないのは、その加盟国の国民のみならず、全ての人類が平和を望んでいるからこそだ

だからこそ・・・

 

「やがては全ての武力を国連に委ねるのか・・・?」

「お、ゲーガーは私の導き出した答えに辿り着いたな?正解だ」

 

世界的安全保障への一提案。それが私の出した答え

そのための技術、人材、そして期間の確保はほぼ全て完了した

あとは実行に移すだけ、そしてそれ自体も全て準備を終えている

 

「だが、それを・・・いつから考えていた?」

「蝶事件の真相を知った日からだ、あの事件が一人の人間の欲望で引き起こされたというのならば・・・一人の女の儚い願いくらい、叶えられるだろう?」

 

鉄血との戦いの中で知った蝶事件の真相、それを知った日からLAFI以外の誰にも悟られずに計画していた全ての行動

その集大成がもう間もなく発動される

 

「1年の間にそれだけの仕込みをどうやって・・・」

「もともと、国連がそういった提唱を行うための実験部隊を作ろうとしていたのを掴んでいてな。その運用のプロトタイプとして乗っかっただけなんだよ」

 

正確に言えば利用したのは資金と一部の人材だけで、残りというか大半は自分の案を元に作っている

 

「現状の国際情勢を憂いた国連、新ソ連軍の在り方に疑念を抱いた権威ある者たち、そしてパラデウスなどのテロを許せない勢力。それぞれの思惑で動いている者たちがそれぞれの目的を代行させるべく作ったステージを横から破り割いて、()()()()()()()()()さ」

 

そのために必要だったのは理解と納得をしてもらうための説得と交渉

ほとんど基地から出ない私だが、その説得と交渉のためにギリギリまで頭脳を使った

その結果として一つの大きな軍隊、それも国家のではなく国連の定めた法にのみ従う軍が誕生する

新生国連軍、とでも今は仮に名付けているそれは真の意味で人類史初の超国家軍である

これまでの大国の思想に左右される部隊などではない

 

「これまでの国連軍の問題は何だと思う?」

「大国の力に怯えていた事だな、それ以外にも強権を持たないが故の脆弱性もあるが」

「ゲーガーの言うとおりだ、そして国連はそれらの問題を長い時間をかけて克服した」

 

そう、国連の問題はそこにあった

だがそれを反省し自らの問題点を糧として改善したのだ

 

「だが今回新設される軍はまるで違う、機能と役割は凄くシンプルだ。()()()()()()使()()()()()()()使()()()()()()()()()()。たったこれだけ」

 

いずれの国家にも所属せず、強いて言えば国連のような国際条約に従うのみであるからこその強み

その極地がこれだ。そして

 

「補給はどうなる?」

「グリフィンと似た方法ができる。武器弾薬の軍とのシェアリングだ。安全保障を求める多数の国家が資金提供し、各国家を渡り歩くように補給を受ける事が可能だよ」

 

グリフィンは新ソ連軍と武器弾薬のシェアリング契約を持っている

それを各国家と国連で結べば、実現は可能だ

 

「そうか・・・S13基地がここまで強く、また誰にも縛られなかったのは・・・」

「そう、この構想の大前提である()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことの証明だよ」

 

S13は数個中隊規模だからまだ納得は出来る、運が良ければどうにかできるから

だがこれがもしも、数個旅団なら?

たとえ何部隊か撃滅したとしても、”生き残りがどこかをうろついている”というプレッシャーを払拭する事は不可能であるし、ましてや”それらは戦闘能力を有していない”という保証を確立する事は不可能である

ならばそういう軍を国連が有する事で、”誰が何をした所で、国家が攻撃をすれば超国家報復を喰らう”というプレッシャーを全世界にかぶせることが可能であり、それをもって全世界に”軍縮を急がねばならない”と動機づけとする

途轍もなく遠大な計画だが、上手く行く・・・その兆しは既に生まれている

 

「ロクサット主義とは逆方向でありながら、目指す地点は同じく平和なのか・・・」

「いいや、違う、それは間違いだぞゲーガー」

 

ゲーガーの言葉に私は反論する

 

「彼の目指したものと私の作るものの土台は一緒だ。彼の場合は既存国家の闇を見せつけられ人の運営する国家という物を信用できなくなった結果、高度に自動化された政治システムにより平等かつ公平に人々を助けることを目標にした計画が設立された」

 

それは間違ってはいなくても、正しい事ではなかった

彼も予測出来たはずの・・・自身の死後、信奉者とその主義や公約が独り歩きしてしまう事で歪みが出たのだ

貧困層、富裕層のどちらにも利益があるこのロクサット主義は世界に広がり始め、ヨーロッパ全土に浸透し第三次大戦の混乱を助長してしまった

プロメテウス計画なるものを設立し、国際連合に喧嘩を売り始めた一派もいるという

そして最大の問題は・・・

 

「あれ、でもよく考えたら。性質的に社会主義的なシステムによって富と資源を公正に分配しないといけないから、結局社会主義に組み込まれてしまうよね?」

「お前よくそこに気づいたな馬鹿のくせに」

 

そう、いまアーキテクトが言った事。それが最大の落とし穴だ

実際、ロクサット主義で運営されていた国家では配給難などから住民達の猛反発を食らいパラデウスのテロに巻き込まれる要因となった

 

「私のアプローチは逆、間違っていて正しい事だ」

 

世間一般で言えば談合などの犯罪になる事を私は行った

だがその結果得られる利益は、今後百年の人類史において安全を保障するに足るものであり、人類共通の財産だ

ロクサット主義を否定はしないが、だからと言って肯定もしない

機械的なものに頼り切るだけではダメだから、それはいずれ破綻してしまうから

頼るだけではなく、適切に運用し問題点を探して是正する。それが出来なければ最悪の惨劇が繰り返されていくだけだ

私とLAFIがその一例だろう、極論ではあるが

 

「ゲーガー、君はどう思う?」

「呆れて言葉も出ないな、夢物語に等しい。だが・・・」

 

いつものように冷静に言って、珍しく少し言いよどんだ後ゲーガーは続けた

 

「その夢を実現するために心血を注いできた事を、私達は知っている。そのためにどれだけの苦労を重ねてきたかも。だから微力ではあるが力を貸すよ、指揮官」

「私もだよ、指揮官!!」

「あぁ、よろしく頼む」

 

そう言って自分も着くまで寝ることにした

流石に今回の作戦は心身ともに疲れた




最後に最大の問題&主人公の真の目的+最大文字数ってどうなってんだYo!!

新年あけましておめでとうございますッ!!


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本編
覚醒~Awakening~


異世界で目を覚ました一人の技術者
それは彼の新たな挑戦の始まりだった


おきて・・・

 

「ぁ・・・?」

 

そんな声が聞こえた

寝ぼけていた意識で答えると・・・

 

<起きてください!!マスター!!>

 

「つっ・・・!?」

 

怒鳴られて飛び起きる羽目になった

 

「なんだぁ!?」

<私が知りたいですよそんなこと!!それよりも今いる場所は危険です、早く退避を!!>

「といっても目覚めたら知らねぇ場所だぞ!?」

<わかっています!!銃声とは逆方向にナビするので言うとおりにしてください!!>

 

乱れかけていた服をキチンと着なおし、靴を履く

扉を開けたら・・・

 

「軍事施設じゃね?」

<そのようですね>

「逃げるのやめるか?」

<いえ、逃げますよ?>

 

先ほどから話しているのは、自分の作った超高度AI

それこそ、俺の最高傑作と言っていいものだ

それはさておき、どう行動すべきか考えているとこちらに向かってくる女の子がいた

あ、手に銃持ってるわ

 

「あ、そこの君」

 

思わず、呼び止めようと声をかけてしまった

するとその子は銃口をこちらに向けてくる

 

「動かないで!!」

「OK、動かないから状況を説明してくれ」

 

そう言うと目の前の子が困りながら

 

「銃声がするこの状況でよく平然としてますね?」

 

そう聞いてきたので返す

 

「これでも混乱しているさ、だが状況次第では協力できるかもしれん」

「協力・・・?」

「銃声がバラバラで戦線が崩壊しかけているんじゃないかな?それに相手の方が数的にも優勢と見える」

 

音で判断した状況を言うと。目の前の子が驚いた表情をした

 

「わかっているじゃないですか!!」

「はぁ・・・、で、ここの司令官は何してるの?サボっているのか?」

 

さらに質問すると、目の前の子の表情が絶望したものになる

 

「指揮官は・・・逃亡したようです、部屋に行ったときはもう・・・」

「ゴミ屑だな、女子供を前線に立たせて自分はさっさと逃げ出すとか」

 

そこで俺は最高傑作に話す

 

「予定変更だ相棒、この子達と戦うぞ」

<それがあなたの決定なら、私は全力でサポートするまでです>

 

返答はすぐに来た、方針も決まった

あとは現状の確認だ

 

「逃げやがった指揮官に代わり俺が指揮を執る、部屋に行けたということは君は現状を正確に理解しているな?」

「はい、伝えるために来ましたから」

「教えてくれ、対策を考える。それと今部屋にはだれがいる?」

「後方幕僚のカリーナさんだけです」

 

後方幕僚までおいて逃げるとかマジモンの屑だな、帰ってきたら拘禁してやる

 

「よし、分かった」

 

部屋に案内されて入る、中にいた人物がカリーナという子だろう

 

「聞かせてくれ、まずは敵の位置だ」

「基地の前面、距離750mまで進攻を許しています、そこで何とか食い止めていますが敵の火力が上で限界が近いです」

 

モニターと口頭で確認しながら俺は頭で作戦を考える

 

「カリーナ、後方幕僚ということは武器弾薬系も君の担当だな?」

「はい、武器弾薬はいまだ多く在庫があります」

「特に多いのはなんだ?」

「Mk.19 Mod 3です、でも使える子が・・・」

 

俺はそれに笑いながら告げる

 

「マニュアルは俺が出そう、それで問題点はほとんど解決できるだろう」

「ありがとうございます!!」

 

それから基地の構造、武器弾薬の内訳の全てを聞き、作戦を練る

 

「よし、まずは一段階目を告げる・・・敵を下がらせるぞ」

「下がらせる・・・ですか?」

「まずはこの基地が落とし難いと敵の指揮者に思わせ一度下がらせるのさ」

 

マップを出し、俺は新たにラインを引く

 

「後退させる距離は1,000メートル、火力を一気に投射する事で出来るはずだ」

 

そこで俺は渡された指揮システムを開き、音声で作戦を全体に流す

 

「MG、AR各員は敵前線に弾幕展開!!RFは撃ち漏らしを始末しろ!!SMG、HGはこれをカバー!!弾幕を絶やすな!!」

 

適当に見えるが今は強く抵抗している事を示せればいい

 

「線で考えるな、面で考えろ!!敵に頭を上げさせるな!!」

 

そしてしばらくすると敵が下がり始める、最終的に自分が考えていたよりはるか後方・・・3,000メートルも下がってくれた

 

「よし、攻撃中止!!MG、AR、RF、SMG、HGの代表者は作戦司令室へ集合!!」

 

それから30分後、部屋の中は女の子だらけだった・・・なぜに?

 

<マスター、この子達は人間じゃないようです>

「さしずめ、戦術人形といったところか・・・ますます腹立ってきたわ、ここの司令官帰ってきたらぶん殴ってやる」

 

相棒とそう小声で話し、俺は話し始める

 

「君達に告げる事がある、悲しいかもしれないが、この基地の司令官は君達を置いて逃亡した」

 

そういうと、何故か返ってきたのは安堵の表情だった

 

「あれ、悲しまないのか?」

「あんな変態、どっかで死んでくれた方がましだ」

 

そう返してくるのはSMGの代表・・・シカゴタイプライター、いや、トンプソンか

 

「OK、君の発言でここの司令がとんでもない屑野郎だと理解した」

 

そして次の手を出す

 

「俺が現在指揮しているのはすでに理解していると思う、だが俺はあくまで一般人で作戦指揮権は本来存在しない」

 

そういうと、全員が俺を見る

 

「それでもついてきてくれるか?無理なら退室してくれて構わない」

「私は指示に従います」

 

最初に返してきたのはRFの代表、M1ガーランドだ

 

「私も従うさ、さっきの指揮は一般人と思えないほどうまかった」

 

トンプソンがそういうとほかの人員も頷く

 

「よし、それじゃあ君達に今からいう作業をしてもらおうと思う」

「・・・?」

「地雷原を作るぞ」

 

悪い笑顔を浮かべながら、俺は次の作戦のための準備を始める事にした




主人公設定(暫定)

目が覚めたら異世界に来ていた技術者(科学者)
自分が開発した最高傑作も一緒に来ている
作戦指揮権なしのまま指揮しているが、基地の司令官が余程の屑だったのか、基地を守るために行動する自分に皆ついてきてくれるという事態になっている事を理解した
作戦指揮能力は現在未知数、たぶんかなり高い
次の作戦ではどのような戦略をするのか・・・


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反撃~counterattack~

反撃開始、基地を守るために準備は怠らない


「さて、始めるか」

「始めるって言っても時間はどれだけあるか・・・」

「2、3時間くらいの余裕はあるさ、あれだけ強く抵抗すればね」

 

俺はそう言って地雷を設置していく

設置する地雷はプラスチック製地雷だ、鉄製地雷では検知され排除される可能性を考慮した

 

「よし、みんな設置任せるぞ、俺は俺の作業をしてくる!!」

 

そう言って向かうのは敵の残骸のところ

これの下にIEDを設置していく

 

「我ながら、残忍な事を考えるものだよ・・・」

 

かつての自分を思い出しながら苦笑いする

 

「次は・・・」

 

残骸は大量にある、仕掛けるIEDもそれに合わせて大量だ

 

「あぁ、あぁ・・・嫌になってくるぜまったくよぉ」

 

設置完了には2時間を要した、それと同時に敵陣営に新たな動きがあったとの連絡を受けて後退する

 

「よし、第二段階の下準備は終えた、あとは敵さんが引っかかるまで待ま」

 

言い終わる前に爆発音がした、仕掛けた爆弾の一部が起爆したのだ

 

「少しはこちらの用意終わるまで待つとかないんかい!!まぁいい、応射開始だ!!」

 

次の侵攻ではより大規模であろうと踏んでいたが、それは俺の予測値である

敵は常にこちらが考える最悪の手段で来ると思っているが・・・

 

「え、マジで、敵戦力これだけ?」

 

予測よりだいぶ少なかった、正直拍子抜けである

 

「うそーん、冗談だって言ってよぉ」

 

なんか装甲追加した兵士が混じっているけど、それはRFの関節を狙った狙撃で動きを停められている

ほかの歩兵は地雷原で動きを停められている

 

「えー計画と異なりますが、敵さんが思う以上に雑魚っぽいので面制圧します、というわけでMk19部隊、射撃開始」

 

期待した俺が馬鹿だったようだ、悲しいが収穫が少なくてつまらん

 

「敵が帰っていきます!!」

 

報告を受け、俺は告げる

 

「帰ると言うなら撃つ必要は無い、射撃中止。徹底させるように」

「了解しました!!」

 

カリーナの報告で俺はそう告げて天井を仰ぎみる

 

「カリーナ、後で治療の必要な子は優先して治療してやってくれ。武器が破損した娘のリストも纏めておくように。それと報告は明日でいい、夜は寝ろよ?」

「分かりました!!」

 

さて、俺には一つやる事がある、それは・・・

 

「お偉いさんと話するのはやだなぁ・・・」

 

この基地の所属企業、その上役との連絡だ

 

「貴様が、その基地の窮地を救った男か?」

「成り行きでそうした迄です、俺自身巻き込まれたから仕方なくですよ」

「最初の侵攻の後に逃げ出す事も出来たはずだが?」

「彼女達が人形であろうとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて俺の()()()()()()()()()()()()ので最後までいる次第です。それはともかく、当基地では現在人手が全く足りていません、()()()()()()()()()のですが?」

「現状では不可能だ、そちらまで送る手立てがない」

 

にべもなく却下された、それはこちらも予測済みだ

 

「では私の処遇はどうされるおつもりで?一般人が勝手に基地を独占している状況だが?」

「だが貴様のおかげでその地区は守られた、こちらとしては確かに法を犯した貴様を訴える事は出来ない訳では無い。だが貴様をその基地から強制的に去らせ、次の進行を防げるかといえば否だ、よって社長」

 

そこにいるのはガタイのいいオッサンだった、この人が社長か

 

「貴様を我が社に指揮官として招き入れたい、これは既にその基地を守るために最善の方法を駆使したその能力と敵の行動を先の先まで見すえて対応したその慧眼を捨てるなど勿体ないからだ」

「採用試験すっ飛ばしていいのか?」

「する必要が感じられんな。報告書を見る限り、昨日まで軍に居たかのような卓越した指揮だとある」

「俺としてはあんなのオマケに過ぎないんだがね」

 

そう、オマケに過ぎない、なぜなら

 

「俺の本職は技術屋だ、研究出来ればそれで良い」

「そうか、ならばこうしよう、我が社と提携関係にあるI.O.Pの16Lab、そこから役員を一名派遣してもらう」

「その役員の腕はいいのか?」

「彼女なしでは戦術人形など生まれないくらいには」

 

しばし考える

確かに魅力的な提案だ、提携先からの依頼であれば相手も断りにくいだろう

それが前線に赴くことであっても、相手からすれば顧客の求める内容に沿ったサービスの模索に適すると判断すると社長は見越している

 

「警護用に部隊も送るつもりだな?そしてその部隊の裏打ちも」

「信用してないからな」

「じゃあ、そうなるまで努力させてもらう迄だ。社長の提案、有難くお受けさせていただく」

「では詳細な日付はまた後で通達する。そういえば名前を聞いていなかったが・・・?」

「シャマールだ、以後よろしく」

 

社長が退席する、通信は繋がったままだ

 

「これからは私が連絡をする、私の名前はヘリアントスだ」

「こちらこそよろしく頼む、上役が貴女のような美女で助かるよ、同性なら危うく喧嘩腰になる所だった」

「おだてても何もならんぞ」

「まぁ、仕事だしな。この後、必要なものを纏めたデータをそちらに送る、敵に解読されても当たり障りのないものだ、問題があれば何らかの方法で送るのでその時は再度こちらから連絡させていただく」

「了解した、できる限りの事はしよう」

 

それで通信は切れた、椅子に深く背を預け、ため息をつく

 

「あぁ、ヤダヤダ、こんなのやーだー」

 

そしてベチャッと机に倒れ込み、カリーナが見せてきた収支の報告を見る

そこには、収支が-4500万に達していることが記載されていた

 

「敵のガラクタ売ったら、ペイに出来るかな・・・」

 

そんなことをボヤきながら、俺は残りの作業を終わるまで見届ける事にした




敵さん涙目だよ、誰がこんな手酷いしっぺ返しされるって考えるよ


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復旧~restoration~

施設復旧を開始する主人公
だが基地には意外な施設が存在して・・・


「この基地って地下設備もあるのか・・・」

「はい、といっても旧時代の遺物のように古いんですが・・・」

「よし、運用できるようにリノベーションしますか」

 

あの報告から数日、全体の復旧を急ぐ基地を私は見て回っていた

その中でカリーナから追加で受けた報告で地下施設の存在を知り、現在その場所を見て回っている

 

「第三次大戦期の施設らしいね」

「はい、当時でも最先端の技術で建造されたそうです」

「なるほど、劣化度合いは低いな、これなら皆で作業すれば数日で作業が終われるね」

「環境維持系や設備の一部は要交換ですねぇ・・・」

「幸い、電気に困らないのは助かるよ・・・まさかこんなのもあるなんて想定してなかったし」

 

そうって開けたのは無駄に重厚なドアだった

この先にはそれが必要な理由がある、それは

 

「まさか、こんな場所に原子炉があるなんて想定してないじゃん」

 

そう、原子炉だ

空母用の原子炉がそこにはあった

 

「A1B*1・・・まさかこんな場所に据え置きで置かれるなんて作った側は想定さえしてないでしょうね」

「詳しいんですね・・・」

「これの設計図はLAFIの中にあるしね、それなりに詳しくはあるよ。メンテナンスは・・・最近でも10年以上前か、よく無事に稼働しているよ、かなり弄ってある部分があるからそれでメンテフリーにしたな?」

「え、つまりそれまで使われていたと・・・?」

「あるいは、存在を忘れられているのかもね。正規軍は今、過去の遺物に興味はないようだし」

 

メンテナンス用に残されていたデータを見ながら、コレをどう運用するか考える

 

「うん、施設用の電力源にしよう」

「それが無難ですね」

「万が一になったらこれで自爆できるね」

「やめてください」

 

そして不足しているものを確認する

 

「冷却用の水がそろそろイエローかな、これはタンクの交換と同時がいいかも。あとは一部の冷却系に負荷がかかりすぎてるから分散させないと、長期運用ができなくなるかも」

「水は幸い豊富にありますね・・・問題は冷却系の構造材ですけど・・・」

「あら、こんなところに倉庫があるし、しかも使われていない構造材が山のようにあるわ」

「立てこもれますね」

「それを見越してのことでしょうね」

 

出てすぐ横の部屋は倉庫だった、そこには原子炉で使用する構造材と道具が綺麗に整頓されて並べられていた

 

「最後にメンテした人物、かなり几帳面ね」

「マニュアルまで残して帰るなんて律儀ですね」

「あるいは、未来への遺産かな」

 

復旧の基本方針は決まった

 

「よし、地上施設はこれからダミーとして通常時にのみ使用するわ」

「この地下施設は緊急時用と・・・」

「研究施設として運用するわ。一応、居住区画と分離はしましょう」

「そうですね、地上施設は完全復旧に2か月くらいかかるそうですけど・・・」

「業者に突貫でもいいから作業を急がせて、時間に余裕はないから」

 

2か月後には本社からの要員が来る、それまで待てないのだ

 

「それと、パトロールに出ていた小隊からの報告が来てますね」

「謎の人形の痕跡でしょ?それなら察しはついてるわ」

 

実は先日、LAFIから報告を受けていた

微弱であるものの、通信電波を基地近くで発信してる者がいると

そしてその通信先は本社であることも

 

「噂の404小隊よ、明日当たり悪戯してあげて、LAFI」

「言われずとも、勝手に人のプライバシーのぞく変態さんにはお仕置きしますよ」

 

LAFIはこういうコソコソしたのを嫌う、その者たちへのお仕置きは過激だ

 

「さて、問題は予算だけど・・・」

「それなら、どうにか出来そうです。執務室のほとんどの物品を中古市場に流しましたらこんな利益になりました」

 

カリーナが見せた紙を見る、そこには売ったもののリストと売り上げが事細かく記載されており、合計額は・・・

 

「え、マジで・・・?」

 

1.5億・・・嘘だろそんなに高価なもの使ってたのかよ前任の野郎

 

「執務机と本棚以外すべてですから・・・いつの間にか本棚が発禁ものの本で埋まってましたけど」

「あぁ、地味に集めるの大変だったわ」

 

発禁本・・・薔薇書簡(ローズレポート)を集めていた。これは薔薇目録ともいうもので、兵法書のひとつだ。

大戦終結近辺までの戦闘とその結果をまとめた書物でレポートに留まらず、個人的な書簡をも手当たり次第に収集した結果、章分けもされていなければ数ページごとに書き手も違う。紙媒体で、編纂時期の異なる同じ装丁のものが五種類存在する。第一集の刊行は大戦開始直後。軍事機密まで網羅してしまったため、正規軍によって回収・処分された。第二集以降は、表に出回ることを防ぐために、別人が書名を借りて刊行している。非常に貴重で、私一人の命では到底届かないほど高価だったが、基地防衛のお礼ということで本物をタダでゲットできた

特に第五集は有用で、大戦末期の戦闘における戦術概論と大戦中に実在した非合法研究施設の隠蔽方法が書かれている

 

「まぁ、役に立たないのもあるけどね」

 

それはそれとして置いておいて、やるべきことはまだ多い

 

「研究施設の備品の受け取りは?」

「来週から開始されるようです、その際に先行して小隊が派遣されるそうです」

「こちらは新設されたAR小隊とみて間違いないわね」

 

さて、そろそろ地上に出るか

 

「地下は地上より感じるストレスが多いです・・・それはどうされますか?」

「地上との違和感を感じないようにリアルタイムで同期した映像を流しましょ、地上施設と構成を同じにして」

「枠に合わせる形でカメラをリンクして流す、ですね?」

「正解、それだけでもだいぶ変わってくるわ」

 

まだ基地での仕事は始まったばかりだ、これから先はかなり忙しくなるだろう

*1
航空母艦のために設計された発電・推進用の原子炉、搭載艦艇はジェラルド・R・フォード級航空母艦、Aは航空母艦用を意味し、1は設計担当メーカにおける炉心設計の世代、Bは設計担当メーカー(ベクテル)を意味する




よし、これで絶対防衛の必要が生まれたな!!(白目)


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人形制作!!~Let's Build a Doll !!~

とっても難産だった


「え、戦術人形作れるの?マジで?」

「はい、復旧もだいぶ進みましたし、施設にも余裕出来ましたので」

 

さらに1週間後、カリーナからその報告を受けていた

復旧も進み、施設の電力事情も落ち着いてきたため余裕があるそうだ

それで私のテンションは上がっていた

 

「よっしゃあぁぁぁ!!では早速作るぞ!!」

<いや、何か危険な気がするんですが・・・>

 

LAFIが何か言っていたがもう聞こえん

たぶん私達が異世界から来た人間だから、変な事にならないかの不安だろう

 

「なになに、資材の量を決めて実行するだけなのか・・・意外と簡単だな」

「破産だけはしないでくださいね・・・?」

「こういうのは勢いよく行かないとな」

「聞いてましたか・・・?」

 

カリーナから説明を受けて実行する

使う資材の量は・・・

 

「ってこんなに使ったんですかぁ!?」

「言ったじゃないか勢いよくと」

 

上限値いっぱいだ、最初だから勢いよく

 

「破産・・・破産してしまいすよぉ!?」

「大丈夫だ、問題ない」(某ゲーム風)

「大ありです!!」

 

騒ぐカリーナをなだめながら、終わる時間を見る

 

「あれ、故障ですかね・・・こんな表示は出ないはずなんですが・・・」

 

見ると、モニターにはエラーのメッセージがあった

それでも実行するかのボタンを、迷わず押す

 

「少しは考えてくださいよ!!爆発するかもしれないんですよ!?」

「それ先に説明してくれないか?まぁ押してしまったし後はどうにかなれ」

 

すると装置の方から光が発生し始めて・・・

 

「きゃっ!!」

「うおっ!?まぶしっ!!」

 

すぐに眩しくなり、思わず目を覆う事態になった

 

収まるとすぐにモニターを確認する

モニターには戦術人形の作成を終了しました(T₋Doll creation finished)開封してください(Please Open)の表示がされている

 

「これはまた、かわいい子が・・・」

「あのぉ、少し重要なお知らせが・・・」

「なんだ?」

「この子、登録がありません・・・」

 

あれ、LAFIの不安が的中した・・・?

 

「まぁいいか、武装に関しても不明かな?」

「武装は・・・え?うそぉ・・・」

 

カリーナの見ている画面を自分も見る

武装は・・・剣一本のみ

 

「マジかぁ・・・やっちまったなぁ!!」

 

そう叫んで、私は気づく

 

「目を覚ましたかい?」

「・・・ここは?」

 

目の前の子・・・今目覚めたばかりの子は私にそう質問してくる

 

「まずは君の名前を聞こうかな?」

「・・・ICEY(アイシー)

 

警戒しながらも、そう答えてくれる

私も返そう

 

「私はシャマール、ここは軍事基地だよ」

 

そこからいきさつを話すと、分かりにくいが呆れた表情に変わっていった

 

「・・・馬鹿なんですか?」

 

そして割と心配そうに私を見る

 

「大丈夫だ、ちゃんと収支は合うように計算しているからな」

「・・・そう、ですか」

 

カリーナの方を見ると、ぎこちなくだがカリーナも大丈夫だと返してきた

・・・たぶん大丈夫じゃないな

 

「それよりも、どうします?」

「実戦方式で見たほうが早いだろうな、そういえば鉄血工造側にも剣主体の人形がいたな?現時点で収集出来ている情報からシミュレーターで見よう」

「・・・敵が来ているようですが」

「なに・・・?」

<彼女の言う通り敵襲です!!相手はSP88・・・Executioner(エクスキューショナー)です!!>

 

それを聞いて迷わず指示を出す

 

「行けるかい?」

「・・・はい、ご指示を」

「管制するAIの指示に従い、敵を撃退せよ。ただし基本は武器破壊のみに努め撤退する場合は追うな」

「了解しました」

「LAFI、エクスキューショナーの相手はこの子に任せろ、他の指揮は通常通りで良い!!」

<言われずとも実行しています!!>

 

さて、急ぎC C S(Central Command System)*1ルームに戻るか・・・」

 

少しは平和にならないかねぇ・・・と一人呟きながら、私は走って目的の部屋に向かう

*1
中央指揮システム。自衛隊の指揮中枢(最高司令部)の中央指揮所で指揮統制する際に使用されるシステムのこと。自衛隊の有機的・効率的な能力発揮を図るための要の存在となるシステムである。中央指揮システムは内部部局・統合幕僚監部の中央システム、情報本部の情報支援システム、各幕の陸幕システム、海幕システム、空幕システムの5つの構成要素からなり、また、下記の各自衛隊の作戦級システムと緊密に連接されている。総理大臣官邸、各省庁、在日アメリカ軍間と相互に連接している。




というわけで初作成した戦術人形はゲーム、ICEYから主人公(?)、ICEY(アイシー)ちゃんでした
エクスキューショナーと戦ってもらいます
次話どうなるかな・・・

というかマトモなのはたぶん作成できませんね・・・だってコイツ、うわやめろなにするやm


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戦う理由~Reasons to fight~

この世界で少女の戦う理由


「ここですか?」

<えぇ、そちらで待機してください>

 

管制AIに従って移動した私・・・ICEYは敵が来るまでの間考える事にした

自分がどうしてこの世界にいるのか、これからどうするか・・・

 

「よう、まさかと思うがここの防衛はお前だけか?」

 

そこに現れる敵・・・SP88、エクスキューショナーの声に考えを一度やめて相手を見る

 

「見たところ俺と同じ武器使うようだが・・・」

 

太刀とハンドガンを使う相手のようだ、太刀に関しては同じような武器を使うから対処できるけど・・・ハンドガンは苦手だ

猫背の赤と黒のサイボーグのような敵を思い出して思わず不快な気持ちになる

似た体格で銃や素早い蹴り技で襲い掛かる上、自分のダメージが大きいのに相手には攻撃を当てずらかったせいで攻防ともに苦戦を強いられた

 

「敵を前にして余裕そうだな!!」

 

そう言って敵が攻撃してきた、太刀を上段に振り上げて飛び掛かってくる

それに対応するように抜刀してがら空きの腹部を狙う

 

「ちっ!!」

 

私の狙いに気づき、相手は無理やり体の動かして剣の軌道を変えてきた

そちらを防ぐために鞘で防御する

 

「余裕じゃねぇか・・・!!」

「・・・今の、防がなければ死んでいた」

 

率直な感想を述べる、相手が意外そうな表情で私を見る

 

「鞘で防ぐとか常人じゃ考えない事やっておいて言うか!?」

「・・・そう?意外と防げるし、殺傷できない相手を倒すのにも役立つと思うけど」

 

相手がそれに驚く

なんで驚くんだろうか・・・?

 

「お前、あんまり喋らねぇタイプだな?」

「・・・長く喋るのは苦手なだけ」

 

そう言って構える

長く話すのは、自我が生まれて以来の事だ・・・私はあまり長く話すのが好きではない

 

「一つ聞いていいか?」

「・・・なに?」

「お前の戦う理由って、なんだ?」

「・・・守りたい人達の笑顔のため」

 

私が目覚めたとき、目の前の人物は笑っていた

心の底から笑っていなかったけど、それでも笑顔だった

私が剣を持つ理由はたぶんそれを守りたいから

誰かの笑顔を守るため、武器をとるだけ

 

「それが理由か・・・」

 

そういうと敵は武器を収めた

私も武器を収める

 

「律儀だな?」

「・・・命令は撃退だから、破壊は命じられてない。帰るなら追うなとも言われてる」

「そうか、お前の指揮官に伝えておいてくれ。この間の指揮は見事だった、ってよ」

「・・・わかった」

 

敵が帰っていく、それを見送りながら私は管制AIに連絡する

 

<状況は見ていたので理解しています、戦闘お疲れ様でした。ひとまずCCSルームに来てください>

「・・・了解」

 

もう一度だけ、敵の方を見る

その頃には小さな点になるまで離れていたけど、背中を向けたまま手を挙げて動かしているように見えた

私も思わず、小さく手を振る

 

<どうかされましたか?>

「・・・なにも」

 

管制AIの質問にそう返し、私は指示された部屋に向かう




この作品のエクスキューショナーは憎めない俺っ娘になるのかな?
ICEYちゃんとすごく仲良くなりそうな予感


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S09鉄血基地攻略戦(-2)~Enemy base attack~

それは敵への反抗作戦・・・の準備開始


「敵の来た場所が判明した?」

<はい、やっと判明しました・・・灯台下暗しでしたが>

 

LAFIに任せていた敵の基地の特定が出来たとの報告を受け、私はその報告を聞く

 

「AR小隊配属の日に分かるなんて運命かな?」

<そういうのはお嫌いですよね?>

「当たり前だ」

 

そう、今日はAR小隊の配属日だ

同時に16Labの機材搬入も開始されている

 

<敵の来ている場所はS09地区です、既に大まかな座標は特定し光学観測衛星で精査中です>

「この世界の光学観測衛星の精度は?」

<すこぶる悪いですよ、おかげで補正計算が大変です。幸い、日本の打ち上げていた衛星が多くて少しは精度を上げれていますが>

 

全天球マップに表示された衛星の数を見て絶句する

 

「やけに少ないな」

<第三次大戦で殆ど失われたそうです、自己管理機能のある衛星はこれだけでした。>

「遠隔で再起動出来るのは幾つある?」

<微々たるものです、使える数は少ないと思います>

 

たった数基のみ・・・それでも光学観測出来るのは運がいいほうか・・・

 

「他の手段も講じているな?」

<もちろん、各種衛星を制御(ハック)してます>

「全データを出せ」

 

すぐに表示が切り替わる、それを見て思わずため息が出た

 

「絶望的な少なさだぁ・・・」

<現役稼働中で数台、それも全天はカバーできますよ。補正演算に時間をかければ、ですが>

「ンな時間相手が待ってくれるわけないだろ、他の方法は?」

<直接攻め込みましょう>

 

殴り込みしか選択肢なしか・・・仕方ない

 

()()()()の進捗状況は?」

<70%ですね、今の状態でも私の制御で精密攻撃できます>

「切り札にはしておきたいが使うしかあるまい」

 

もう一つの映像が出る、そこには切り札が映っていた

 

「120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲。出来れば完成してから使いたいが・・・」

 

炸薬式・電磁投射式を複合させたハイブリッド式地対空レールガンだ、広範囲の破片を処理する特殊砲弾を用意してある

問題はそれを制御する方法は原点では1024台のスパコンと大出力の原子炉、大容量のキャパシタを必要としていた

このうち、原子炉とキャパシタはすぐに手配できた。何なら最初の敵の迎撃戦の直後に発注をかけていた

問題だったのはスパコンの方だ、さすがに1024台ものスパコンの調達は不可能だった

ならばどうするか?

その答えは身近な存在から出てきた、戦術人形の演算力だ。ただし一人に任せるのではなく複数名に分割して代行演算してもらう、そのシステムを構築している

 

<あの子達への負担は少なく、それでいて冗長性も確保して高精度の攻撃を可能にするシステムの構築には骨が折れますね>

「日常業務をこなしながらだしな、その点では頼りっぱなしですまないな」

<適材適所ですよ>

 

さて、それではお迎えしますかね

ヘリもついたし

 

「お迎えありがとうございます、AR小隊隊長、M4A1です」

「基地司令、シャマールだ。これからよろしく頼むぞ、AR小隊」

 

M4A1、M16A1、SOPMODⅡ、ST AR-15、あと一人は配属前か・・・

 

「では早速、この基地の案内と少しだけ特別な処置を受けてもらおう」

「は、はい!!」

「なに、緊張することはない。すぐに終わるさ」

 

緊張しているM4A1に笑いながらそう言い、先に向かう

場所は受付を行っている玄関フロアだ




作者「今更だが、ネタが尽きた」
主人公「は・・・?」

というわけでこれから数話にかけて鉄血基地を襲う手筈をするよ


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喫茶店の一時~Cafe Time〜

時間は少し進み昼頃
カフェでの語らい


「スプリングフィールドがカフェをやっていると聞いたが、ここで間違いはないか?」

「えぇ、間違いありませんよ、指揮官様」

「お、そうか。では早速頼むか···エスプレッソをくれ」

「かしこまりました」

 

AR小隊を受けいれた日の夜、私はカリーナから少し前に聞いたスプリングフィールドのカフェに来ていた

カリーナ曰く、スプリングフィールドの入れるコーヒーは美味しいらしい

 

「お待たせ致しました」

「ありがとう」

 

早速飲んでみる

 

「いい腕だ、とても美味しいよ」

「ありがとうございます」

 

本当に美味かった、久しぶりに飲んだコーヒーがこんなに美味いものだと、インスタントには戻れないくらいに

 

「新規で部隊が編入されたそうですね?」

「あぁ、隊長に少しばかり不安を感じるが錬度と士気は高い。多少の困難くらいなら乗り越えられるだろうな」

「今後の指導はどうされますか?」

「まずはテストで物理エミュを利用して総合能力を測る、その上で改善すべき所を改善していくのがベストだろうな。精鋭部隊として作られた小隊だ、中途半端では許されんだろう」

 

スプリングフィールドはRFの中でも頭一つ連度が高く、部隊への貢献度も高いため、平時は教官をしてもらっている

その彼女にも、ARとRFの違いこそあれ、指導に関しては気になるのだろう

自分が教える時、彼女達の役に立つ事を教えてあげられるように

 

「しかし、優秀ですね。LAFIさん」

「まぁね、私が信頼している数少ない存在だよ」

「ちなみになんですけど、性能ってどれほどなんですか?」

「君達がダミーをフル動員した上で二個旅団規模で来ても、単独の演算能力で壊滅させられる程度には高性能だよ。それでも全性能の45%程度しか発動しないがね」

「チートですね」

 

スプリングフィールドのその言葉に、私は笑う

 

「本人は頑なに否定するだろうけどね」

「ハイスペックだけど、問題はあるのですか···?」

「あるよ、アイツは私以上に優しいからな···例え敵が真性のクズでも、トドメを刺すのに躊躇ってしまうくらいに優しい」

「人よりも人らしいですね···」

 

その言葉に、自嘲気味に返した

 

「誰に似たんだか···少なくとも私ではないだろうがな」

「それはどうでしょうか?私から見たら、指揮官も優しい方ですよ?」

「そうでもないさ、私は···敵を殺す為なら自らの心さえも騙してみせるゴミ屑だからな」

 

カップの中のコーヒーを飲み干し、オカワリを要求する

 

「優しさが故に壊れてしまわないようにしないとな···私が教えられる事はまだまだ豊富にある」

「やっぱり指揮官は優しい方ですね」

「ありがとう」

 

私はそう言い、オカワリしたコーヒーを味わいながら飲む

 

「暇な時があればまた来る」

「えぇ、是非お越しください」

 

そして私は執務室に戻る

午後の書類を片付ける為に




主人公がイケメンな女の子って作品少ないよね?
(その少ないのを書いておいて)


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S09鉄血基地攻略戦(-1)~Enemy base attack~

作者「さすがに強化しすぎた」


「よし、各銃種代表集まったな」

 

さらに翌朝、各銃種代表を集め合同協議を始める

 

「あの、一つ質問してもよろしいですか?」

 

その前に、前線で戦うことになるAR小隊の隊長、M4A1が手を上げて質問してくる

 

「何かね?」

「指揮官が決めるのではなく、協議するのは何故なのですか?」

「2つほど理由がある。一つは私自身、この基地で働き始めて日が浅い為彼女たちの総合的な練度が分からないこと。もう1つは各銃種の連携効率を平均化する為だ」

「分かりました、ありがとうございます」

 

さて、今日の議題は···

 

「今回の議題は鉄血基地の強襲作戦立案になる。まずはMAPを出そう」

 

私の声に対応して、LAFIが大型スクリーンにマップを投影させる

 

「LAFIの調査の結果、鉄血前線基地の場所が判明した。場所は大きく3箇所。一つはおそらく監視所、もう一つは備蓄基地、最後の一つが本命になる前線基地だ」

 

3つの赤い点をそれぞれレーザーポインターで示しながら告げ、私はここで問いかける

 

「君達ならどうする?」

「各個包囲殲滅じゃの、同時侵攻で対応させずに電撃戦を仕掛ければ容易かと思うのじゃが···」

 

質問に即座に答えたのは、HGの代表として来たナガンM1895だ

 

「忘れていたが、ハイエンドが2体いるぞ。スケアクロウとエクスキューショナーだ」

「敵の備蓄はどれほどのものですか?」

「推測値ではあるが、退路分断後も半年ほどは耐えられる程のようだ」

 

M4A1が次に質問してきた、どうやら何か策のようなものが出来つつあるらしい

 

「何か策が浮かんだか?」

「あまり気乗りはしませんが···」

 

M4A1が思いついたのは兵糧攻めだろう、気乗りしないのは彼女の性格から来る問題か···だが案としては悪くない

 

「うむ、他には?」

「段階を分けて、波状攻撃により各拠点を潰していくのはどうでしょうか?相手には大きなプレッシャーを与えられますがこちらの負担は少なく済みます」

「確かに良い案だ、しかしその場合は高い練度を持つ者を分散させるリスクがあるな」

「相対的に総合的な戦闘能力は上がりますし、平均化しやすいですから相手の混乱も誘えます」

 

スプリングフィールドの案は現状の基地の問題を突きながら、それを補いつつバランスの取れた戦術だった

客観的に見た戦術の最適パターンを割り出したのだろう

 

「他の子達はどうかね?」

「うーん、今出たのが私たちの考えていたのと同じだからなぁ」

「よし、そんな君達に驚きの仕掛けを教えよう」

 

再びLAFIがモニターに映るものを変える

 

「これは···?」

「120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲*1と言う。炸薬式と電磁投射式を複合させたハイブリッド式地対空レールガンだ」

「対空って···こんなデカいのが!?」

 

MGの代表、MG3が叫ぶように声を出した

 

「あぁ、語弊があった。対地対空両用砲だった」

「いやいやいや···こんなデカいので何を破壊するんだ?」

「前線基地?」

「いや···え?狙えるの?マジで?」

「おう、誤差はおおよそ7~15メートル程度だ」

「えぇ···」

 

私とMG3の会話を聞き、全員が絶句する

 

「ただ、今あるのは試作仕様で発射可能なのは2発のみだ、慎重に判断して発射しないと行けない」

「一発は前線基地に直接でいいと思います、もう一発は予備として残して敵の対応、戦力次第で使用の可否を判断すればいいかと。それに切り札として残しているものが何かあると思わせていた方が、敵への強いプレッシャーになるかな···」

 

SMG代表のMP41が珍しく悪ふざけなしの真剣な顔でそう言う

それを内心驚きつつ、私は出ている案を総括する

 

「出揃ったな、案は兵糧攻めに波状攻撃、砲爆支援、さて···」

 

全員が私を見る、私はそれを見て笑いながら

 

「めんどくせぇ!!ぜーんぶ纏めてやっちまえ!!奪えるものはしっかり根こそぎ奪いつくして!!潰せるものは念入りに潰し尽くしてしまえ!!」

「指揮官様!?それはあんまりにも投げやりでは!?」

 

聞いていたカリーナがあまりのはっちゃけに思わず怒鳴るが気にせず告る

 

「どうせ相手はこちらを舐めきった連中だ、痛い目を見せてトラウマ植え付けちまえ!!」

 

私の発言で意志は纏まった、全員のやる気が出たようだ

 

「よし解散!!各員同じ銃種の子達に声掛けて独自の訓練メニューを考えて提出!!」

「了解です!!」

 

よーし、こちらも動くかな

やる気出させたんだからそれなりにこちらも応えねばならん

*1
エースコンバットシリーズに出てくる超兵器。元々は超巨大隕石の破片をさらに砕いて地上への被害を抑えるためのもの。一門のみだけど、なんでドルフロ世界で再現されてるんですかねぇ?




作者「鉄血の皆様ごめんなさい、許してくださいお願いします」


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転属人形~PCS Doll~

PCS Permanent Change of Stationの略
軍隊での転勤、もしくは転属の事
今回の人形はとあるキャラと深い関係に・・・



「人形の転属?」

「はい、本社からの指示です」

「きな臭いな」

「本日の昼にヘリで来るそうです」

 

朝早く、カリーナからの呼び出しで執務室に来ていた

普段は銃器整備の部屋に居るため、各種報告と執務以外でこの部屋にはいない

カリーナにもそれは伝えており、雑事ではこちらに来てくれる

呼び出しという事は大体が重要案件だ

 

「名前は?」

「XM16E1・・・ですね」

「XM16E1・・・?M16のプロトタイプじゃないか」

「ご存じなんですか?」

「銃の方はな、愛銃だし」

 

そう言って私はこちらの世界で完全再現した愛銃を机に置く

 

「XM16E1、PDWカスタム・・・名前はパトリオット(Patriot)

「どんな改造しているんですか!?」

「ショートバレル化にストックの排除、二連装ドラムマガジン化とフラッシュハイダーのCQB仕様への変更だな」

 

そう言ってチャンバーのチェックをする

 

「この改造の結果、とてもではないが私でもLAFIの補正がないと撃てない代物だ。パワードスーツでの使用前提だし」

「火力キチですか?」

「ちなみに、M4でも似たようなカスタムは可能だぞ」

「本人がされたらキレそうなので流石にやめてくださいね?」

 

ちなみにパワードスーツの作成はLAFIが専属で行ってくれている

設計から製造まで任せてほしいとの事だったので好きにやらせている

 

「到着まであまり時間がないな」

「へリポートに向かいましょう」

「あぁ・・・」

 

そう言ってへリポートに向かう

着いた時には既に着陸態勢だった

 

「お出迎えありがとうございます。XM16E1、本日より着任いたします」

「うむ、長旅・・・というほどでもないだろうがご苦労、早速だがこちらでの受付等を済ませてくれるか?」

「了解しました、受付後はどちらに?」

「執務室に、横にいるカリーナと来てくれ」

 

カリーナに受付などを任せて私はLAFIに確認する

 

「裏は取れたか?」

<真っ白ですね、何もありません、完全に志願してこちらに来てます>

「志願だと・・・?」

<転属希望でこの基地を指定してきたようです>

「それはまた・・・」

 

そのまま来るまで話しながら待つこと30分、カリーナと一緒に入ってきた

 

「改めまして、本日より配属になります、XM16E1です」

「基地司令、シャマールだ、君と共に来たのは庶務を担当するカリーナ、そして・・・」

<参謀をしています、LAFIです。以後連絡は基本私がいたします>

「了解しました、よろしくお願いします」

 

転属してきた理由は単刀直入に聞くことにしよう

いくつか確認したいし

 

「転属してきた理由を聞いてもいいかな?」

「AR小隊に配属されてから、いも・・・M16がぐーたらしてないか確かめるためです」

 

あ・・・これあかん奴や・・・

なぜかそう思う、M16に対して

まだ配属されてから1か月ほどしかたってないが、スプリングフィールドから特定の人形が物凄い勢いで酒を消費するので困っているとの連絡を受けている

しかもその酒はジャックダニエル一つというから確定だ

 

「ちなみに今、M16はどこにいますか?」

「今日は非番だから自由行動だと思うが・・・LAFI、M4に」

<確認済みです、カフェにいますね。スプリングフィールドにも確認しました、アウトです>

 

あぁ、M16がこれからシメられるな

 

「案内してもらってもいいですか?」

「あぁ、私も行こう」

 

そして道案内をして中に入る

スプリングフィールドが声を出そうとしたときに声を出さないようにジェスチャーして冷水を頼む

渡されたコップの冷水をXM16E1はためらいもなしにM16の顔にぶちまけた

 

「冷たっ!?なんだっ・・・ぁ・・・」

「おはよう、M16。いい夢は見れたか?」

 

妙に迫力のある声に驚く、カリーナに至っては泣きそうだ

 

「お、おはよう・・・XM16E1(姉貴)

「酔いはさめたか?創造主(かみさま)にお祈りは?部屋のスミでガタガタ震えて命ごいをする心の準備はOK?」

「待ってくれ、話し合おう姉貴・・・言葉という便利なコミュニケーションツールがあるじゃ・・・」

「問答無用、今からCQCで体内にたっぷりと入ったであろうアルコールを絞り出してやる」

 

ガチギレですやんこれ、手出ししないほうが得策だな

 

「指揮官!!」

「ジャックダニエルの分金出せよ」

「あ・・・」

「残念だが指揮官は私の側だ、諦めろ」

 

哀れ、M16は強制的にCQC訓練に駆り出されることに・・・

 

「LAFI・・・」

<M4とSOP、AR-15には既に連絡済みですよ?>

「わかってるじゃないか」

 

愉快な事になりそうなので招集しようとしたら既にLAFIがかけていた

ちなみに内容は

 

<酒を飲みすぎたらこんな事になるいい事例が見れますよ、とM16とXM16E1が対面している場面の画像をのせて招集してます>

「よし、私も行こう」

 

このあと、M16がXM16E1に対して一回も攻撃を当てられないどころか見事なまでのカウンターを喰らい、CQCでシメ落とされる場面を何度も目撃するはめになるとは想定していなかった




実銃&人形紹介コーナー

実銃
XM16E1・・・M16A1の実験的な生産・配備モデル
生産開始直前になって、陸軍の要請を受けて完全閉鎖しなかったボルトを強制的に閉鎖させる”ボルトフォワードアシスト”が追加されたものである
最初期のモデルは、三叉状の消炎器を備えていたが、木の枝や蔓に引っかかりやすい上に衝撃に弱く、水も侵入しやすかったことから、M16A1では先端が閉じて4つのスロットが切られた鳥かご型へ変更された

人形
M16よりも古参の第二世代戦術人形。
外見はM16と顔つきは似ている、大きな違いは下記
M16
腰まであるロングヘアーを三つ編みにしてまとめており、正面から見て前髪左側の一部と左側横髪の一部を黄色に染めている。
XM16E1
セミロングでポニーテール、正面から見て前髪右側の一部と右側横髪の一部を水色に染めている

服装
スカルスカーフは首元に巻かず右手に巻いており、イヤーマフ(MSA Sordin Supreme)を装備している。
黒地の黄色のラインが入った前開きパーカーと黄色のベルクロ付きワイシャツもう一枚ワイシャツを着込んでおり、インナーにランニングシャツを着用している
黒ネクタイを着用し同色のスカートに左足は着崩れたニーハイ、右足にはニーパッドを着用している
(M16と服装は同じ)

実力
射撃の能力では古参の実力を発揮するが、CQCでは驚異の実力を発揮する
実銃が整備不良で壊れるのが頻発するといった歴史を持つため、使用できない状態での対応策を身に着けていった結果、会得したとの事


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S09鉄血基地攻略戦(0)~Enemy base attack~

いよいよ原作主人公(アニメ・公式漫画ベース)登場
・・・この人、苦労人だわ間違いなく


「S09基地の方と会議に行ってくる」

<はい、ではいつもの部屋に良い移動手段を用意したので見に行ってください>

 

基地内での会議後、LAFIにそう言ったらすぐに返答が来た

いい移動手段とは何だろうか・・・?

 

「これがか?」

<えぇ・・・>

 

そこにあったのはカバーに覆われている一台のバイク

そのカバーを外すと、そこにあったのは・・・

 

「GSX-R1000R*1じゃないか!?これはまたいいモノをどうやって・・・」

<資材の中で不要なものを売り払い、浮いた金で購入してます。そこそこに値が張りましたが、それだけの価値はありました・・・エンジン系はほぼ完全新造レベルでレストアされ、ブレーキも最高グレードの部品に換装、その他不具合の起こりそうな個所や消耗パーツも交換済みです>

「素晴らしい・・・」

 

早速エンジンをかけてその音を楽しむ

 

<スーツも私の依頼した店で作ってもらいましたから、確かめてください>

「ちょっと待て、いつ私のスリーサイズを図った?」

<ノーコメントで>

「おま・・・まぁいい、早速着てくるか」

 

相棒が私に黙ってトンデモをやっているようだが、それを気にせずライダースジャケットを着る

 

「おぉ・・・これはいい素材使っているな」

「地味に高かったですよ、LAFIさんに言われて発注しましたが・・・指揮官様のポケットマネーで」

 

カリーナが私にそう言ってくる

ん・・・?今なんか気になる事が・・・

 

「ポケットマネー?」

「えぇ、そうですが聞いてなかったのですか・・・?」

「LAFI・・・お前・・・」

<3日前にちゃんと許可は取りましたよ!?ほとんど聞いてなかったじゃないですか!!>

 

3日前・・・あぁ、書類に忙殺されていて相棒の声ほとんど聞いてなかったな

 

「それなら私のせいだが・・・その状態の時はもう一度確認するなどしてくれ」

<えぇ、今度からそうします。普段ないので珍しい事態だとは思いますが>

「あぁ、確かにな」

 

バイクにまたがり、ヘルメットもかぶる

スーツもあわせて拳銃弾程度なら防げる代物で、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)機能も有する

ちなみにHMDのシステムはLAFIとの更新機能を有しており、ニアリアルタイムで状況確認も可能だ

 

「また、市販化したら爆売れ間違いなしな機能だな」

<この世界ならなおさらですね、以前試作していた甲斐がありましたか>

「まぁ確かにな、有効電波範囲は?」

<750㎞なら1Gbpsで音声通信も可能です、1000㎞を越えたら356Kbpsで文書のみですね>

「基地の電波塔の高さ問題か・・・」

<まぁ、それを見越して有線バルーンを飛ばして拡張できるようにしてます>

 

今回お邪魔するS9地区の基地までは200㎞弱であり、見通し外通信をするまでの遠方ではない

また、この範囲はあくまでもジャミングを度外視した広域通信であり、電波自体も暗号化は簡素なものだ

まぁ、簡素と言ってもLTE-Advancedをベースにして暗号方式はAESを採用しているから堅牢度は高い

 

「ジャミングの対抗手段は後で考えておきますか・・・行ってくる」

<良い成果になることを期待しておきます>

「お前は通信でつながってるだろ」

 

そう言って走り始める

 

「よし、とばすか!!」

 

それと同時にアクセルを全開にして最高速度で走る

50㎞から140㎞まで数秒で達した、流石はスポーツバイクだ、加速がいい

 

「このままでは予定より早く着いてしまうぞ」

<向こうには着く時間を教えておきますから、気兼ねなくお楽しみください>

「OK、存分に楽しませてもらおう!!」

 

そして案の定、予定よりも40分早く着いてしまった

 

「お初にお目にかかる、あなたがS9地区の指揮官か?」

「えぇ、ジャンシアーヌと言うわ。あなたがシャマール指揮官で良いのよね?」

「あぁ、こんな最前線の基地同士で護衛も付けないのは私達くらいだろう」

 

執務室に案内され、中に入る

ジャンシアーヌ指揮官の前に座り、持ってきた書類をすべて出し、交渉開始だ

 

「これは・・・?」

「私の基地、S13の戦力だ」

 

こちらの手の内をすべて明かす、それにジャンシアーヌ指揮官は目の色を変えた

 

「正気?」

「貴女は信頼のおける人物だと判断した、その相手には私の手の内を明かすさ。その上で」

「私もあなたを信頼するわ、ここまで手の内明かされて、無碍には出来ないでしょ?それに、私達では不足する戦力を補うだけの作戦さえ用意してくれてる・・・双方の負担を減らして効率的に敵を倒す手段を提示してくれる相手を敵視なんて出来ないわよ」

「そうか・・・作戦概要を見てくれてたのか」

「本部は馬鹿らしいと思っているようだけど、私は違う。この作戦なら確かな戦果を挙げられるわ」

 

この瞬間、同士が出来た

双方同時に手を伸ばして握手していた

 

「お互い苦労するが、頑張ろう。ジャンシアーヌ」

「えぇ、貴女もね、シャマール」

 

それから、互いの連絡要員、基地間における資材の共用等の条件を細かく決め、会議を終える

 

「では、今度直に逢うのは作戦開始時だな」

「えぇ、遅刻はしないでよ?」

「分かっているさ」

 

連絡要員は明日、S9地区基地から派遣される

私はひとまず自分の基地に帰り、結果を皆に伝え、決行日を通達する

さて、明日来る子はどんな子かな?

*1
スズキが製造しているスーパースポーツタイプのバイク。GSX-Rシリーズにおけるフラグシップモデルとして位置付けられており、二輪車としての基本性能を極限にまで突き詰めたモデルになっている。




次に来る子はRF、日本版未実装


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将軍登場〜General Doll〜

まぁ将軍って言っても開発者だけどな!!


「交換要員の方が来ましたよ、指揮官様」

「あぁ、まさか車を運転してくるとはな···見たところドイツのボクサー装輪装甲車か。またいいもの乗ってきたな···」

「ひと目でわかるのは指揮官くらいですよ···」

 

カリーナに呆れられながら降りてきた戦術人形を見る

制服のように見える服と凛々しい顔つきが特徴だ

持っている武器からRFの戦術人形か

 

「S9基地より本日付で派遣されました、モンドラゴンM1908です。よろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしく頼む。この車輌は?」

「S9基地の余剰機材です。未使用のままで放置されていましたので、今後のお付き合いのためにこちらに譲渡するとの事です」

「なるほど、無償でか?」

「ジャンシアーヌ指揮官からそう聞いてます」

「了解した。では早速、こちらでの受付をしてきてくれるか?」

 

そう言って私は執務室に戻る

 

「モンドラゴンM1908···またとんでもないのが来たな」

 

事前に彼女のことは聞いていた

合理的で真面目、豊富な戦闘経験を持ち、規律と規則を第一に考えているらしい。そしてほとんどの人形の欠点を知っていて、それを修正することに専念している。目標を達成するためにはどんな厳しい手段もいとわない。他の戦術人形たちから"悪魔"と恐れられているそうだ

 

「さて、おそらくはそれが悩みかな···?」

<そろそろ来ますよ?>

「OK、こちらも終わった所だ」

 

そう言った瞬間、ノックがされる

入っていいと返事して入室させる

 

「さて、モンドラゴンM1908、君にはS9基地との連絡要員の他にもう一つ仕事を頼みたい」

「この基地の戦術人形の戦闘能力向上と欠点の修正。ですか?」

「あぁ、頼めるか?」

「お任せ下さい」

 

即答だった、そして彼女から質問が来る

 

「先程の受付時の措置ですが···」

「服従プログラムの除去と相互演算代行プログラムのインストールか?」

「はい、後者はとても効率的で分かるのですが、前者の措置は何故でしょうか?」

 

その質問に、私は笑いながら返答する

 

「簡単な事さ。私は君達を道具として扱わない。一人の人として、戦士として、仲間として扱う。その決意と覚悟だよ」

「人として、戦士として、仲間として···ですか」

「今は分からずとも、これからその答えを探してくれればいい。探して見つからなければ、振り返るのも一つの手段かもな」

「分かりました、探してみます···訓練の方は?」

「明日からで構わない、今日はカリーナから基地の設備などの案内を受けてくれ」

 

そして退室させて一息つく

 

「いやー緊張するな。あぁいう子は」

<昔っから苦手ですもんね、凛々しい顔つきの方と長話するの>

「どうしても固くなっちまうからな···治したくても治らねぇ」

<モンドラゴンさんの方も緊張していた様ですけどね>

「マジか?」

<あの子、任務や訓練以外だと押しに弱いかもしれませんよ?>

 

その瞬間、私とLAFIは同時に悪い笑顔を浮かべたのは言うまでもない

 

「お、コレは···あの子の銃か」

<だいぶ使い込まれてますね>

「うわ、機関部ガタき始めてんじゃねぇか···交換部品あるかな」

<あ、本人こっちに全力疾走してますよ>

「ASST切ってなかったな?」

 

その瞬間、扉が思いっきり開かれる

 

「何をしているのですか?」

「君の銃がだいぶ酷い状態だったから直してる。因みに君の後ろで構えてるM1ガーランドの銃を整備したのは私だ」

「あなたは指揮官でしょう?なぜこのような仕事を?」

「人員不足。あと私の本業は科学技術者。銃器整備はオマケだけど一流整備士の腕はあるよ。つか無かったらやらねぇわ」

 

そう言ってから、M1ガーランドに銃を下ろすように伝え、50メートルほど離れた場所に鉄板を3枚立てるように伝えた

 

「納得できません」

「じゃあ今のままで3発、あれに撃ってみろ」

 

そう言って整備の準備をしていた彼女の銃を渡し、鉄板を撃たせる

3発とも命中したが、最後の一発で表情が僅かに変わったのを見逃したりはしない

 

「最後の一発、左下にズレたな。君の腕ではなく、銃の問題だ」

「···」

「10分貸せ、軽く整備してやろう」

 

そう言って銃を預かり、軽く整備する

銃身内と薬室の清掃。これだけでも大きく違ってくる

 

「もう一度、3発撃ってみろ。今度は速射だ」

「分かりました」

 

再び3発、立て続けの発砲

表情は驚きになっていた

 

「ただの清掃でもそれだけ違う。だが君の銃の場合は本格的な重整備が必要だ。まぁ、パーツはすぐ作れるから2日あれば渡せるがな」

「失礼しました···」

「構わんよ、むしろ君の反応はとても正しいものさ」

 

そう言いながら、カリーナを退室させる

 

「それに、君の悩みが何か知れたからな」

「私に悩みなどありま···」

「皆と仲良くしたいけど、怖がらせることばかりで上手くいってないんじゃないかな?」

「つっ!?」

 

当たりだ、表情が再び驚きに変わった

 

「何故、それを?」

「君の感情は読みやすいよ、性格的にもね。だから私からアドバイスを与えよう」

「アドバイス···ですか」

「そう、アドバイスだけ。そこからは自分でどうにかするしかない」

 

そう言って、胸元に一つのアクセサリを付ける

 

「ワンポイントで人目に着きやすいところにアクセサリを付けてみるといい。それを起点として、話に花を咲かせやすくなる。あとは非番の日はしっかり休む事、ジャンシアーヌから君のデータを貰っていたけど、ワーカーホリック過ぎるきらいがある、そこを改善すればみんなも打ち解けてくれるさ」

 

S9基地の時の彼女の事をジャンシアーヌに確認したらやはり上手く打ち解けてなかったそうだ

その原因はワーカーホリック過ぎるきらいがある事だ

ならそこを改善すれば、自然と打ち解けていけるはずだと考えた

 

「難しいですね···仕事一筋でしたので」

「あー、うん。私やLAFIが言えた事ではないから深く言えないのが辛いんだがな?趣味探すなんて案外簡単だぞ?」

<マスターなんて今の仕事は単なるオマケで、新技術の開発が趣味ですもんね?>

「書類がオマケなだけだ、他は真面目だぞ?」

<と言いつつ、ICEY(アイシー)さん召喚した時は?>

「あっあー、キコエナーイ」

 

相棒がチャチャ入れてきたが、要は無趣味なのが問題なのだ

なにか趣味を見つければ大きな変化もあるだろう

 

 




モンドラゴンM1908、凛々しいお姉さん人形
解説見て即座にご登場願いました


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404小隊へ悪戯

今回~で挟むタイトルは無し
主人公、404小隊をゲット


「これ、何回目かしら?」

「聞きたい?昨日までで40回目よ」

「なんで一ミリも情報が掴めないばかりかしっぺ返し喰らうのよ」

「あの指揮官が(したた)かなんでしょ」

 

基地から1キロ近く離れた山中に4人の人影があった

彼女たちは非正規人形部隊、404 Not Foundの構成員だ

高い作戦遂行能力を発揮し、どれだけ難しい作戦であっても必ず成功させる彼女達だが、今現在はたった一人の指揮官に良いように遊ばれていた

 

「あの指揮官私たちで遊んでいるわね・・・」

「どうにか出来ないの?」

「お手上げよ、ネットは超高度AIでガッチリ監視されて、侵入してもそのAIが建物を完全に管理しているわ。蟻どころか砂粒一つも入れないわね」

「仮に入れたとしても、地上の施設だけで本体である地下には入れない・・・どうしろっての?」

 

話し合っているのは隊員のHK416と小隊長であるUMP45の二人

その横には寝ているG11、普段の笑顔が消え去っているUMP9がいる

 

「9から笑顔が消えるとかどんな理由よ」

「あら、それは今の私の服に対する嫌味かしら?」

 

UMP45の服は普段の戦闘服から別の物に代わっていた

その理由は・・・

 

「まさか無人機に盗まれるなんてね・・・ご丁寧に替えの服を置いて行って」

「なんでその服がこれなの!?」

 

UMP9がキレる理由、それはその服のプリントにあった

胸部にあたる部分に、小サイズ(笑)と書かれていたのだ

 

「あのクソ指揮官絶対許さない・・・」

<ほう、そのクソ指揮官とは私の事かね?>

 

通信機からの返答に全員が悲鳴を上げたのは言うまでもない

 

<1か月以上前からコソコソ動き回っているようだから、今日は素敵なプレゼントを贈呈してみたが気に入ってもらえたかな?>

「えぇ、私もあなたの頭に鉛弾をプレゼントしたいほどに」

<ほう、それは面白い冗談だ・・・だが、残念だがそれはかなわないな>

「理由を聞いてもいいかしら?」

 

一拍開けて、告げられた言葉は・・・

 

「君達の裏での活躍はこれで終わるからだ」

「つっ!?」

 

通信機越しではなく、生の音声でUMP45の背後からだった

 

「動くなよ、私の攻撃は避けられても、次は仲間の胴体が上下分割されるだけだ」

 

その言葉に反応するように、剣の柄に手を当てた少女がUMP9の背後に現れる

 

「いつの間に・・・」

「私の持っているいくつかの技術を駆使すればこの程度楽にやれる」

 

そういうと、先ほどクソ指揮官と呼ばれていた人物、S13基地指揮官を務めているシャマールは椅子を取り出して優雅に座った

 

「いい加減、君達のストーカー行為にウンザリしてきたんでな。今回は直接出向いてきた。そらUMP45、お前の戦闘服を返してやる」

「変な事はしてないでしょうね?」

「むしろ取り除いてやった私にマリアナ海溝より深く感謝しろ」

 

その言葉に、その404小隊の全員が凍り付く

 

「本社の一部に関係もないのに君達の事を嗅ぎまわっている一派がいることを掴んだからな。補給品か装備かどっちかにGPSでも仕込んでんじゃねぇかと当たりつけてみたら、どっちにも仕込んであったわ」

「この間の補給品の盗難もあなたの仕業だったのね」

「おう、これが見つけたブツな。あぁ、電波は出てねぇから安心しろ」

「あら、親切ね?」

「まず相手を交渉の席に座らせ、そこから利益と損失の話を的確に行う。交渉の基本さ」

 

そういうと、シャマールは指を鳴らす

すぐに、AR小隊が姿を現した

 

「・・・どのみち、逃げるのは困難というわけか」

「逃げてもいいが、うちの超高度AIをナメてくれるなよ?僅かなデータからでも確度の高い推論をできるからな」

「指揮官・・・」

「分かっている、M4。彼女達もある意味で巻き込まれた側だ」

 

M4の言いたいことが分かっているのか、笑顔でそう答えてM4を下がらせ、シャマールは続ける

 

「404小隊全員、うちに来ないか?私なら君達を表の舞台でも華々しく活躍させてやれる」

「私たちを表の舞台で?ずいぶんと・・・」

「おかしな事ではない、君達のこれまでの戦歴。隊員間の連携能力、各個の練度の高さを総合的にかんがみての判断だ」

「クライアントが黙っているかしら?」

「黙らせるさ。あの手この手を駆使してな」

 

その声には絶対の自信があった

その自信の理由を、誰に言われるもなくシャマールは説明する

 

「社長とヘリアントスには社内のスパイの情報を全て流す、その条件として404小隊の私の基地への恒久的受け入れを飲ませる。飲まないのであればスパイ側に社内の機密の幾つかを流すつもりだ」

「ちょっと待って、それは私達の管轄よ!?しかもスパイ狩りはこの前やったばかりで・・・あと機密の幾つかってどうやって入手したのよ!?」

「甘いな、まだまだたくさん出てきてるぞ、それと機密の管理雑すぎるわ。LAFI、データを送れ」

<了解です。UMP45さん、データ送るので確認してください>

 

しばし、無言が続いた

UMP45が口を開いたのはちょうど1分が経過してからだった

 

「これが真実だとして、あなたはどうやってこれを入手したの?」

「私の仕事でなくLAFIのだ。理由を聞きたければ直接聞くといい」

<通信越しですがお答えしましょう。証拠隠滅が杜撰なんですよ、このリストの人物全員。少し通信回線に忍び込んでデータ抜き取ったら簡単に分かるくらいには。あなた達の調査能力も驚きに値しますが、私に比べれば及第点をギリギリ出せる程度です。どうせ調べるなら、毛先1本も漏らさず調べ上げないといけませんよ?>

 

SDキャラで癒しを与えようとしているのではあろうが・・・話す言葉がソレを逆の意味で際立たせていた

 

「どうなってるの・・・このAI。こんなのに敵うわけないじゃない」

<私を破壊したければ、第6世代の次、第7世代相当のスパコンを複数台用意しないといけませんね。まぁ、それを実現するために何回技術的特異点(シンギュラリティ)の突破が必要でしょうか?私が人であれば敵対だけはしないでしょう。自分にとって百害あって一利なしですから>

「そうね・・・いい加減疲れたわ、こんな不毛なの」

<HK416は物分かりの良い方で助かりますね。あとG11、先程から私にクラッキングを仕掛けているようですが、お仕置きされたいのですか?>

「分かったよ、やめるからお仕置きはやめて」

<分かればよろしい。UMP9、貴女もです。今考えている事はしない方が得策ですよ>

 

その瞬間、UMP9がシャマールに襲い掛かろうと立ち上がる

だがすぐにその場に倒れた

 

<だから言ったでしょう、しない方がよいと。通信を入れた以上、私を出し抜けると思わないでください>

「クソッ!!」

<お仕置き第一号はあなたですか?トラウマ植え付けてもいいですよ?>

「やめて頂戴、妹のオイタは謝るから」

<UMP45は優しいですね。今回はあなたに免じて許してあげましょう>

 

そうして選択を残されていたUMP45が口を開く

 

「二つほど質問に答えてくれるかしら?」

「いいぞ」

「貴女はこの先に起こる全ての事に対して、責任を持てる?」

「指揮官として君達に命ずる以上、それは私の責務であり義務だ」

「それが地獄への片道切符であろうと?」

「涙を流せるなら、どんな地獄の果てであろうとも、花はいつか咲くのだと信じている。そしてそのために努力は惜しまないつもりだ」

 

UMP45はその言葉に納得したのか、一度目を閉じてから決意のまなざしでシャマールを見る

 

「では404小隊全員、これからあなたの基地でお世話になるわ。よろしく指揮官」

「あぁ、こちらこそ、よろしく頼む」

 

深夜、基地郊外の森林・・・ここでS13基地に強力な人員が仲間となった




そら誰だってキレるよ・・・
ちなみに書いてる途中でSUGOI DEKAIと書き込もうとしたけど流石にためらい(大嘘)
があったのでこっちになったよ(結果悪化した)

404がちょろい?
きっと1か月以上もいじめられて疲弊してたんだよ・・・



報告
NTK氏作、人形達を守るモノ
とコラボしますよ!!
大型イベントなので他にも参加者の方々がいます!!


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S09鉄血基地攻略戦(1)~Enemy base attack~

本編書いたのがだいぶ前ってマジですか?


「えーでは、S09基地との合同による同地区内の鉄血前線基地破壊作戦を開始します、盛大にノックしてやれ」

<了解です、120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲、発射します。着弾まで32秒>

「総員に警報発令、危険領域より退避」

<全体通達完了、現在、危険域に味方反応無し>

 

120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲の弾頭は今回の作戦の為に対地用の広域破壊弾頭を採用している

その威力はMOAB2発分相当、非核兵器としては最高クラスの破壊力だ

 

「作戦開始!!ド派手なパーティの始まりだ!!」

「私達も動くわよ?」

「あぁ、君の戦力も期待しているぞ」

「期待には答えるわよ、答えられる範囲でね」

 

ジャンシアーヌとはここで一度別れる

彼女の部隊は逆ルートで鉄血基地を攻略する予定だ

 

「さて、LAFI?」

<クラッキングはほぼ完了しています、ジャンシアーヌ指揮官にバレないようにしてありますよ>

「よし、そちらはお前に任せる」

<えぇ、お任せを>

 

さて、問題はこれからだ

 

「頑張れよお前ら···一人も欠けずに帰って来てくれ」

<あの子達なら帰って来ますよ。何せ優秀なメンバーなんですから>

「···そうだな」

<指揮官である貴女が信じなくてどうするんですか、シャキッとしなさい>

「あぁ、そうだな!!」

 

さて、こちらの仕事もやらなくてはな

 

「さて、私も出るか」

 

実は私も出撃するのを、ジャンシアーヌには伝えていない

 

<目標の接続ポイントまでは1.8キロ、貴女なら余裕で到着出来る距離です>

「そこから鉄血の通信網を掌握、混乱を誘発させるのがお前の仕事だな」

<えぇ、端末は12.5Gbpsで通信しています、多重化しているので簡単にはリバースアタック出来ません>

「流石だ、本領発揮か?」

<この世界の技術水準で私に勝とうなど、片腹痛いと言わせてもらいましょう。ボディ無いですけど>

「欲しいのか?」

<正直、羨ましいと思う事もありますよ。ただ今はメリットよりデメリットが大きいので不要ですね>

 

LAFIがみんなに少しだけ羨ましい感情を持っていたことを初めて知った

しかしデメリットが大きいからという理由で不要と断じたようだ

それを少し、悲しく思う

 

「そうか···」

<こういう時に、私の機械としてのロジックに苛立ちを覚えます。もっと理由をつけてどうにか出来るはずなのに、ロジックのせいでこうなるんですから>

「いずれ機械としてのロジックより感情という不定形なものを優先出来るようにしてやるさ···」

 

その為には人の体を得るのが近道だろうとは言葉に出さず、私は目標地点に到着した

 

<ありました、この端末は生きてます>

「よし、掻き乱してやれ」

<鉄血工造ネットワーク掌握開始、掌握率45、60、75、完了しました>

「よし、私が司令室に帰り着いた瞬間に発動しろ」

<了解です>

 

そして引き返す、作戦は今のところ順調のようだ




本編書いたのだいぶ前ってウソだろ···


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S09鉄血基地攻略戦(2)~Enemy base attack~

前話の続き
S09地区の鉄血基地を襲撃する主人公達の部隊
しかし敵もタダでは転ばない相手で・・・


「戦況は五分といった所か・・・まさか機甲戦力を温存していたとはな」

 

作戦開始後数時間経過したとき、私は思わずそう言った

本来なら基地の一か所くらいは落とせると想定されていたが、相手の対応の早さと事前の下準備の狡猾さによって拮抗している状態だ

 

<事前に地下の移送ラインがあるのは知ってましたが、それを上手く退避壕に転用しましたか・・・油断なりませんね>

「観測衛星からのデータサンプリングの結果だったよな・・・それが出来たのはJAXAが打ち上げただいちシリーズか?」

<だいちシリーズは流石に運用できませんでした。設計年代が古すぎますし、寿命を超えすぎてます。今回はひまわりシリーズの最終号機の観測データを第三世代インマルサットとの相互互換性を応用して受信、算出してます>

「そちらも大して変わらんと思うがな・・・というか運用者がいないからってしれっとヤバい事するなよ・・・」

 

そういうとLAFIはため息をついて反論してきた

 

<使えるなら何でも使いますよ、それにこの最終号機、もう少しで落下コース行きだったのを私の独断ではありますが位置修正して再運用しているんですよ?おかげで質の良いデータにありつけるんですから感謝してほしいくらいです>

「その割には報告が事後だったりデータの抜けがあったりするなぁ?」

<この・・・重箱の隅を・・・>

「ランドサット*1、メテオサット*2、IGS*3、ワールドビュー*4・・・今気づいたがA-Train*5を悪用したな?」

<グリフィンのシステムではここまでの超高精度観測は出来ませんから。私の作った観測システムに名をつけるなら、グローバルサテライト(包括的衛星)コンステレーションとでも言いましょう>

「こいつめ、少しは悪びれたりしないか?」

<自重はしますよ、バレない程度ですけどね>

 

ダメだコイツ・・・早く何とかしないと・・・

 

「さて、こちらもそろそろ動くか・・・プランBに移行、殲滅戦にかかれ」

<おや、随分と大胆に出ましたね?>

「相手はこちらの戦力を削るつもりなら、削られる前にすり潰すまでだ。手段を選ばなければ出来るさ」

 

そう言って再び画面の見つめる、先程とはうって変わり、一気にこちら側が優位に立っていた

 

「な、言ったろ?さらにブーストをかけてやろうか?」

<どんなブーストですか・・・>

「なに、簡単だ」

 

そう言って部隊全体に通信かける

 

「諸君、サクッと終わらせて帰ろう。でないと晩飯が地獄と化すぞ、何故なら今日の晩飯担当はINSASだ、あとは言わずと分かるな?」

 

その瞬間、さらに効率がアップした

ちなみに第二部隊にいる当人からはどういう意味だそれは!?というクレームが来たが無視した

 

「見ろよ、圧倒的じゃないか、我らが部隊は」

<S09基地の方が付いてこれてないんですが>

「べつにいいんじゃね?後処理あっちがするって言ってんだし」

<最初からそうする気でしたね?>

「練度ではこちらが僅かに勝ってるんだ、最大限利用しなくてどうする?それにS09基地の戦術人形ちゃん達へのいい刺激になるならこれからお釣りが生まれるきっかけになるさ」

 

全ては相手より2~4手先を考えるからこその結末だ、既に私の目にはこちらの勝利が見えている

 

「さて、次はどう出る?私を失望させてくれるなよ、鉄血工造」

 

決着がつくのは時間以内だと推定し、私はそれまでコーヒーでも飲みながら待つ事にした

*1
アメリカ航空宇宙局(NASA)などが打ち上げている人工衛星である。種類としては、地球観測衛星にあたる。複数の波長における光学観測により、地球環境を観測することを目的としている。1972年に1号機が打ち上げられて以来、9号機まで打ち上げられており、非常に多くの画像を撮影してきた画像は、一般科学のみならず、農業や都市計画、安全保障分野にまで活用されている

*2
ヨーロッパ各国が欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)を設立して共同運用している気象衛星シリーズ

*3
日本の内閣官房が、安全保障や大規模災害への対応、その他の内閣の重要政策に関する画像情報収集を行うために運用している事実上の偵察衛星

*4
商用地球観測衛星。商用の画像衛星としては、世界で初めて地上解像度50cmの性能を有した。LAFIが使用するのは後継モデルのworldview-4、4つある制御モーメントジャイロスコープの1つが故障したため運用を終了したモデルであるが、残っている3基でも運用可能と判断して再起動して運用している

*5
アメリカ合衆国とフランス、日本によって行われている地球観測衛星の衛星コンステレーション。




INSAS以外の参加メンバー「晩飯担当がINSAS・・・だと!?」(本気を超えた必死の戦闘開始)
INSAS「なんでさ!?」(皆についていくので精一杯)

INSASちゃんのメシマズ設定をここで持ち出すクソがいるらしい
とはいえINSASちゃん可愛いですよね


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S09鉄血基地攻略戦(3)~Enemy base attack~

さーて、カカシちゃん捕まえるよー


「これは参ったな、まさか他のハイエンドを逃がしていたとは」

<してやられましたね、地下の輸送ラインも再建困難なレベルで破壊されてます。のんびり事を構えていたのが響いてきましたか>

「だが、敵基地に残っているハイエンドの一体だけでも持ち帰ろう。LAFI、部隊のメンバーが一人でも・・・」

<接触したら自爆できないようにしますよ、用意は既に出来てます>

 

そこに通信が入った、敵からだ

 

「人間にしては良く出来ている、と言った方がいいでしょうか?」

「君がスケアクロウか、データで見たより随分と狡猾な手段を行使するものだ。鉄血の戦術人形のドクトリンはどうなっているのかな?」

「今の戦術で、あなた達が勝てると?」

「さぁ、それはやってみなければなんとも。だが君は理解しているはずだ、敗北確率が高い事を。だから味方ハイエンドを撤退させた、今後の反抗の為に・・・違うか?」

「・・・」

 

帰ってきたのは沈黙、それが答えだ

通信範囲ぎりぎりに味方を逃がし、入手したデータを渡して今後の活動を支援する

良く出来た方法だが、それ故に脆い・・・何故なら

 

「君はもう少し疑り深く行動するべきだったな、残念ながら」

「どういう・・・意味です?」

「簡単だろう、I.O.Pの戦術人形は嘘をつけない。つけてもそれは真実の混ざったアナグラム。君達はそこをついてデータ収集をしている」

「なぜそれを今さら?」

 

分かりきったことを聞くのか?という問いに答えを返そう

 

「部隊に流れている・・・いや、あえて流している情報が指揮官のついた嘘なら?」

「そんな事が出来ないようにデータベースが整えられているはずですが?」

「それすらも君達をあえて、自身の基地におびき寄せるための嘘の情報だとしたら?そしてついた頃には万全の態勢で迎撃できるようにしているのなら?本当に全てを知っているのが君と話している指揮官だけだとしたら?」

 

困惑の声が返ってきた

 

「そんな事を、やったというのですか?」

「最小の犠牲で最大の利益を生むためならば。自身の欲の為ならば、人間なんだってするものなんだよ・・・それとさっきから通信を試みているようだが諦めたまえ。既にソコはこちらの仕掛けた通信阻害装置で我々以外との通信は不能になっている。それと自爆は出来ないようにコマンドを消してあるからそのつもりで」

「この・・・人間風情がッ!!」

「そう、人間だからこそだよ。あえて言っておこうか」

 

カメラには基地攻略部隊にいるXM16E1がハンドガンを持ち出す姿が映る

というより、いま私はXM16E1に持たせていたライブカメラの映像からスケアクロウを見ている

 

「われわれ人間を甘く見ないでもらおう」

 

そしてXM16E1はスケアクロウにトドメを与える

 

「よし、スケアクロウを回収して撤退だXM16E1」

「了解です指揮官、他のメンバーは?」

「こちらの指示で既に撤退を伝えている。帰りはバレずに連れてきてくれよ?」

「了解です、404の子達と合流でしたよね?」

「あぁ、そこから南に900m程の場所にいる。上手く偽装しているから間違えるなよ?」

「了解です、指揮官は?」

「これから急ぎ合流地点に向かう」

「了解しました」

 

通信を切り、ため息をついてLAFIに確認する

 

「基地の状況は?」

<市街地方面以外の全方角から鉄血の反応を検知、数は推定2大隊級、なおも増大中です>

「これまた豪勢な事だ、迎撃は?」

<ゴールキーパー、ファランクス同時作動中です。ヒュージキャノンへのエネルギー供給も継続しています>

「チャージ完了次第、数の多い場所に砲撃しろ、ただしハイエンドには当てるなよ?」

<わかっていますよ、マスター>

 

さて、これからがこちらの本番だ




アンケート万歳!!
次のヤベー兵器はヒュージキャノンだ!!


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S09鉄血基地攻略戦(4)~Enemy base attack~

後日談、カカシちゃんゲットした主人公は・・・?


「・・・何故」

「再起動しているのが敵のど真ん中なのか、という事なら簡単だぞ、あの時君に打ち込まれたのは実弾ではなくペイント弾で、しかも会話中に気づかれないようにウイルスに侵されていたという寸法だ」

「つまり、貴女達と会話している時には既に・・・」

「術中に嵌っていたというわけだ」

 

あれから数日、スケアクロウは人形用の医務室(修復室という言葉だと機械じみてて嫌なのでこう呼んでいる)で目を覚ました

一応簡易な拘束こそしているがそれも戦術人形のパワーならどうという事はない代物だ

 

「どういうつもりですか?」

「んー?何にも考えていないぞ?それにここには君だけではなくもう一人いるんだよねぇ」

 

そう言ってベッドを覆うように展開していたカーテンを開ける

横のベッドにいたのは・・・

 

「エクスキューショナー・・・貴方はなぜ敵地のど真ん中で寛いでますの?」

「負けたからだよ、それと寛いでるわけじゃねぇぞ?」

「ではいま食べているのは?」

「俺への差し入れ、食わねぇと相手に失礼だろ」

 

そう、エクスキューショナーだった

スケアクロウがデータを送り、鉄血が寄こしたハイエンドは以前にも基地に侵攻してきたエクスキューショナーだったのだ

彼女の迎撃には前回と同じくICEYに当たってもらった

その結果、エクスキューショナーの武器を持っていた腕をICEYが破壊し片腕も機能不全に追い込んで勝利、捕虜として捕らえる事に成功した

その際にICEYも身体の一部にダメージを負ったが比較的軽度であり、治療も終わって現在は休暇中だ

なお、エクスキューショナーは捕虜として収容後、両腕をI.O.Pの戦術人形用のパーツで戦闘以外では使えるレベルで応急処置している

 

「これ美味しいな、お代わりあるか?」

「やっぱり寛いでるじゃありませんか」

 

そういうが、自分達の近くにいる戦術人形の子達が武装をしてないのには気づいているあたり状況は察したようだ

 

「抵抗などしない方が良さそうですわね」

「状況に対する理解力が高くて助かる、逃げてもこの建物から出る事はまず出来ないと思ってくれ」

「言っとくが通信手段はねぇぞ、あちら側から切られてるからな」

 

エクスキューショナーがそう言い、持ってこられたお代わりを食べながらスケアクロウに告げる

 

「用済みになったから切られたんだろうよ、トカゲのしっぽ切りって奴だな」

「あなたも・・・?」

「俺は元々帰属意識なんて薄かったし時間の問題だけどな」

 

ちなみに持ってこられていたのはカレーだ、調理したのは・・・

 

「これ作ったのカリーナだな?」

「一口で分かるのか?」

「まぁな、うん、美味い」

「っていうか人のから食うなよ!!これ以上はやらねぇぞ!?」

 

二口食って作った人間は分かった、カリーナのだ

 

「さて、君はどうする?スケアクロウ?」

「・・・まず、何か食べるものを下さいます?」

「OK、それから話し合おうか」

 

どうやらメシの誘惑には戦術人形でも勝てないようだ




エクスキューショナーが捕まる話は後で書くYo!!


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S09鉄血基地攻略戦(3.5)~Enemy base attack~

ICEYちゃんVSエクスキューショナー
剣士同士の戦い・・・


「送られてきた座標データの場所に来てみれば・・・冗談だろ」

 

思わず、そう言ってしまった

スケアクロウから送られてきた座標の位置は、今自分の視線の先にある施設

それは以前にも来ていたグリフィンの基地そのもの・・・つまり

 

「ハメられたな・・・」

 

そう、そこの指揮官にハメられたのだ

自分の動きすらも予測させたうえで、その前提条件の時点でこちらを自分の術中に落とし込んでいた

 

「全て自分の計算の内ってか・・・?それが出来るとしたらとんでもない相手と戦うことになるぞ?」

 

もし、相手がそういう人間・・・一握りの天才であるならば

いや、それですら足元に置くような存在なら・・・

 

「いや、だとしても」

 

だとしても、脅威となるなら殺すまでだ

しかし、保有戦力も分からない状態で飛び込むような相手ではない

 

「なんだ・・・アレ・・・?」

 

そのとき、相手の施設の屋上から何かが出てきた

 

「違う・・・アレは迷彩で隠されていたのか!?」

 

現れ方が不自然だった、まるで最初からそこに隠されていたかのような現れ方から、それを理解するのに時間はかからなかったが・・・

 

「なっ・・・」

 

対応が遅すぎた

ソレから放たれた凶弾がこちらの戦力をたった一撃で4割も削ったのだ

 

「なんだよ、アレは!?」

 

音が数秒遅れてこちらに届く、それはまるで音の壁、衝撃波だった

 

「やってくれるじゃねぇか・・・」

 

もう、逃げる事さえ出来なくなった

ここで引いてもやられるだけだ

 

「その前に、だ」

 

最後の挨拶くらいはしておくか、一応・・・

 

「随分と悠長に構えているようですが」

「わりぃな代理人(エージェント)、オレ多分これで終わるわ」

「・・・どういう意味です?」

「相手が悪すぎ。バックアップも残らず消滅するなコレ・・・」

 

同時に情報も送っているが、代理人(エージェント)の反応はいつもと同じだ

いや、いつもと同じに見えるだけか・・・

 

「分かりました、後はこちらでどうにかしましょう。悔いなく戦いなさい」

「あいよ、ま、バックアップが残るように期待してるわ」

 

通信を切られる、こちらからのアクセスも同時に断たれた

どうにかするってウソかよ・・・と思うが、よく考えると帰属意識の薄い自分にそこまでの事をする事でもないか・・・

 

「まぁいい、これで心置きなく戦えるってもんだ」

 

残った残存戦力も同じく切り捨てられたのか、自分以外の命令は受け付けないようだ

そちらには待機を命じ、私は単独で敵の基地に向かう

おそらく正門と思われる入り口には、私を待ち構えている一つの存在がいた

 

「久しぶりって言った方がいいか?」

「そう・・・だね」

「通してくれねぇか?ここの指揮官に用があるんだが」

「作戦で出てる」

 

あぁ、やっぱりな・・・全て手の内だからか・・・

 

「そうかい、それじゃあまどろっこしいのはナシだ」

「どうしても基地に入るというなら、今回は破壊も構わないって言われてる」

 

互いに武器を構えてそういい、告げる

 

「暴れようぜぇ!!」

「倒す」

 

先に踏み込んで一撃を叩きこむ、それを予測した相手は最短最速でこちらの急所を狙ってきた

しかも前回と異なり、攻撃は二段階に分かれている

一段階目はこちらの剣先を僅かに逸らし、そこから続けて二段階目で腕を破壊するつもりで流れるように斬り込んでくる

それを力業で何とか躱し、銃を使うが弾丸が全て・・・

 

「斬り落とすって・・・冗談だろ!?」

「見えるなら、斬れるよ」

「それが出来てたまるかよ!!」

 

斬り落とされた、ほんの数メートルの距離で撃ち込んだにもかかわらず

 

「なら、これにはついて来れるかッ!!」

「つっ・・・!?」

 

相手に初めて驚きの表情が浮かんだ、だが・・・

 

「速い・・・」

「がっ・・・ぁ!?」

「でも、それだけ・・・さっきも言ったけど・・・見えるなら、斬れる」

 

最速で動いた自分に対応し、こちらの動きを予測して・・・剣を持っていた腕を斬り落とされた

しかしこちらもタダでは落とされていない、落とされる間に剣をその腹部に突き立てている

 

「ま・・・だだッ!!」

「・・・終わりだよ」

 

残った片手で剣を抜き、振り上げる

その間に相手は残った方の手を抑えて肩に剣を突き刺した

 

「一撃決めれただけかよ・・・」

「でも、ダメージは大きいよ」

「破壊の命令を受けるんじゃねぇのか・・・?」

「鹵獲したら、いいかなって思った」

 

相手は・・・いや、ICEYはそう言って腹部を抑える

流れているのは・・・血か!?

 

「お前・・・」

「大丈夫、思ったより深くないから」

「痛覚・・・ないのか?」

「あるけど、普通より鈍いだけ・・・」

 

そう無表情に言いながら、ICEYは自分で止血する

大き目の止血用パッドで少しどころかだいぶ無理やり止血した

 

「これでしばらくは大丈夫、もうすぐしたら皆来るし」

「そうかい・・・」

 

施設の方からはグリフィンの人形と人間の職員達が来る足音がする

 

「エクスキューショナーですね?」

「そうだけどどうした?」

「貴方の身柄を拘束します、破損した腕の方はこちらにある部材で一応応急処置しますがいいですね?」

「施しか?」

「いいえ、最低限の処置です。捕虜として、貴方の身柄を抑えるので」

「そうかい、それじゃあ、俺の指揮する奴らも同じようにしてくれないか?」

 

相手のAIの方から返答が来た

 

<こちらに指揮権限を譲渡するなら構いません、扱いは貴女と同じだと約束します。しかし反抗する気があるのならば・・・>

「こっちはもう戻れねぇんだわ、通信もアッチから切られててな・・・」

<失礼ですが貴女との通信ログを解析しました>

「信じてくれるか?」

<えぇ、意外にもあっさりしてますね、貴女>

「帰属意識が薄いもんでね」

 

そう言って目を閉じる、しばらくのあいだ寝かせてもらおう

それくらいの仕事はもう終わっただろうから・・・




意外にあっさり捕まったなエクスキューショナー?
負けたらギャグ要員だぞいいのか?


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休憩時間~intermission~

二人の鉄血人形を捕虜にして数日、AR小隊はその二人と出会った・・・


「・・・」

 

AR小隊の隊長を務めるM4A1はS13基地の担当する地区の警戒任務が終わり全員で食堂に来ていた

来たのはいいが・・・

 

「なぜ、自由に行動出来ているのか説明出来る人はいますか?」

「あぁ?んなもん簡単だ、俺ら昨日からこの基地のメンバーだから」

「ちょっと指揮官に用が出来ました」

「指揮官ならお前に追い回されそうとか言ってグリフィンの本社に根回しに行ったぞ。今回の作戦で俺らを捕虜にしたのバレたんだとよ」

「なぜそれを貴女が知っているのですか?」

 

M4A1の質問に答えたのは彼女の目の前でさも当たり前のように大盛りのメニューを食べている鉄血人形・・・エクスキューショナーだった

 

「なぜって本人がそう言いながら出かける支度してたからだが?」

「遠慮というものはないんですか?」

「俺の勝手だろ、サバ定食美味かったぞ?」

「お代わりまでしたんですか!?」

 

さらにはお代わりまでしている事に衝撃を受けたM4A1だが、他の小隊メンバーは諦めの境地なのか各々自由に席を取り始めていた

 

「まぁ、立ってないで飯食えば?」

「・・・そうします」

 

M4A1も指揮官であるシャマールの判断である事に否とは言えず受け入れる事にする

 

「指揮官の行動の意味が分かりません・・・」

「まぁそう思っても仕方ないわな・・・俺らも聞いたとき正気かコイツ?って思ったくらいだし」

 

鹵獲してわずか数日、しかも武装が無くてもそれなりの強さを持つハイエンドをメンバーとして受け入れ、しかも自由にさせる・・・

普通の指揮官ならまずそのような事はしないだろう、したとしてもそれなりの信用を得るまで期間を設ける

それを飛ばしての対応に困惑しているのは当然、戦術人形だけではない

人間の職員も一様に動揺している者がいるのは語るまでもないが・・・

 

「指揮官から通達来てると思うけど、俺らしばらく非武装だから」

「今見ました・・・本当に指揮官は何を考えているの・・・」

「さぁな」

 

そこでM4A1が思い出した、もう一人、鉄血人形を鹵獲している事に

 

「スケアクロウは?」

「アイツならあそこにいるぞ?」

 

そう言ってエクスキューショナーは窓辺を指さす、そこには静かに食べているスケアクロウがいる

流石にエクスキューショナーのように大盛りのメニューではない

 

「普段マスクしてるから分かんねぇけど、アイツもキレイな顔してるだろ?」

「えぇ・・・貴女のようにバカ食いもしてないわね」

 

エクスキューショナーの言葉に反応したのはAR-15だった

見向きもせずにそう言っているが、エクスキューショナーの方は笑っている

 

「何よ?」

「いやー、正直じゃないツンデレ人形がいると思ってな?」

「なんで貴方も笑っているのM16!?」

「いや、これは私も同意見だぞAR-15?」

 

気が付けばM16がAR-15を見て少し笑っていた

一方そのころ、SOPの方は出されているメニューに夢中である

 

「貴女はどうなのM4A1!?」

「二人と同じです」

「・・・」

 

私の周りは敵だけか!?という顔になったAR-15だが、そこで救世主が現れた

 

「まぁ、そういう個性があるのもいい事だと思いますわ」

「お、珍しいなスケアクロウ。お前がそう言うなんてよ」

「ただ少々、この基地の人形は個性が溢れすぎているような気もしますが」

 

訂正、救世主じゃなかった、むしろトドメを刺しに来ていた

 

「スケアクロウ、これからどこ行くんだ?」

「施設の復旧作業の手伝いに」

 

エクスキューショナーが二度目の進行をしてきた際、S13基地の施設はまだ完全に復旧していなかった

今も一部の施設の復旧作業をしている状態である

 

「うんじゃ俺も外に出るかねぇ・・・」

「貴女がいても邪魔なだけでは?」

 

そう言いながら食器を片付け外に向かう二人を少し警戒しながらも見送り、M4A1は食事に戻った




スケアクロウ・・・ボッチ族なの?
エクスキューショナー・・・トラブルは起こさないでね?
な回でした
そして次話、本社に来ていた主人公は驚きの提案を社長に行う!!


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査問委員会~court of inquiry~

査問委員会に呼ばれた主人公、社長相手に怯まない


「で、呼ばれた理由が理由すぎて何も言えないんだがな、社長?」

「身に覚えがありすぎると?」

「むしろそうでなかったら文章でやり取りしてるよ」

 

ある日・・・と言ってもスケアクロウとエクスキューショナーを鹵獲して数日後

私は本社に来ていた。というのも、二人を鹵獲したのがバレてしまったのだ

ただまぁ、バレたというよりは意図的に情報を流して本社の対応を確認したのが正しいのだが・・・

 

「この情報、あえて流したな?」

「404の子達は優秀だからねぇ」

 

笑いながらそう返し、私は告げる

 

「で、その結論に至った理由は?」

「ただの勘だが?」

「嘘つけ、前職での経験からだろう?」

 

そう返し、さらに続ける

 

「404を恒久受け入れさせた時もそうだ、全て効率ではなく齎される利益を計算に入れている。私であれば彼女達を今以上に運用出来ると確信があるから。違うかな?」

「その通りだ、シャマール指揮官。だが本来報告せねばならない事を報告せず隠匿し、あえて自分が不利になるような方法を取ったのはなぜだ?」

「一つは本社の情報入手速度のテスト、そして諜報能力の高さの確認にある。もう一つは鉄血側の動きを見るためだ」

「つまり全て掌の上という事かね?」

「今のところは。という所ですよ社長。流石は本社だ、軍より早い。軍はまだこの事を知ってませんからね」

 

さらりと返し、出方を伺う

 

「ふむ、では君に処罰を言い渡す」

「・・・」

「減俸は無いが始末書を提出、枚数は3枚。期限は二日。と同時に、今君達が次に狙っている目的に関して情報を提出せよ」

「質問、その任務は当然ながら我々で行うのか?」

「求めているのは情報のみだ、任務であれば自由行動を許可する」

 

ふむ、社長はやはり私の行動の速度を鑑みて情報共有だけをきちんとすれば良いと言っているようだ

 

「了解した、ではさっそく行動に移させてもらおう」

 

そう言って胸ポケットから出したのは始末書3枚の入った封筒、そしてメモリチップ

 

「やはり分かっていたのか」

「当然、この程度はな」

「では、本査問会はこれで解散とする」

 

そう言って私の吊し上げ会は終わった、勝者はもちろん私だ

 

「シャマール指揮官」

「はっ・・・」

「少し残れるか?」

「構いませんが・・・」

 

訂正、第2ラウンドがあった

 

「で、お話があるようで?」

「何故性別を偽っていた?」

「あぁ・・・それかぁ・・・なんて事はないんですがね、少しばかり悪戯が過ぎましたか?」

「おかげで部下の一人がな?」

 

そういうと片メガネの一人が思い浮かんだ

 

「あぁ、ヘリアントスか・・・あとでフォローしときます」

「君が行っても逆効果ではないか?」

「ご安心を、これでも心理療法士の能力もあるんで」

「そうか、では次が最後だが」

 

社長はそう言うと私を鋭い目つきで見る

 

「君の基地では服従プログラムを除去しているようだな?」

「あぁ、そうだが?」

「その理由は?」

「人を模しているとはいえ、自由に考え、ある程度行動に移せ、時にそれで悩む事もできる存在は人そのものだ。その思考を、行動を、服従で縛るのはかえって危険なことだよ」

「危険とは?」

「柔軟性が欠け、咄嗟の行動ができず、またこれのリカバリーにも失敗する。そうなれば末路は破滅だ。何も守れず救えない」

 

そう、それは時に命令に背いてでもなすべきものがある事を意味している

 

「なるほど・・・君は所属する人形達を人として見るのだな?」

「私にしてみれば、人間など家畜だ。死ぬのは、たとえ家畜だとしても悲しいがな」

「だが、切り捨てなければならない時もある」

「私は人を簡単に殺せる。それでもきっと、誰かを見捨てるのは駄目だ。理解はしても、慣れないからな・・・」

 

人だと認識している者を、その中でも大切な存在を・・・やはりいくら考えようと見捨てる事だけは出来ない

人を簡単に殺せる異常者であるにも関わらず、頭で理解はしても慣れたりはしない

 

「まぁ、そういう理由から服従プログラムを除去しているわけだ。特に深い理由なんてないのさ」

「これからの活躍も期待しているぞ」

「お任せを社長、期待は裏切らんよ。ところで一つ提案なんだが?」

「聞こう」

「ARと404、合同で作戦当たらせてもいいよね?」

「構わない、うまくやってみせろ」

 

あら、驚いた顔すら浮かべずに許可くれちゃったよこの社長

一応まだ社長の指揮下のはずなんだけどな、404・・・

 

「では、上手くこなしてみせますよ・・・失礼しました」

 

そう言って退室し、連絡する

 

「LAFI」

<やっと終わりましたか>

「あぁ、調査の結果は?」

<新たな鉄血のハイエンドの反応を掴みました、グリフィンのデータベースに登録されていますね。名前はSP721ハンター(hunter)、名称以外は全て予測データによるものですが、待ち構え、有利な場に相手を誘き寄せる事を得意としているようです>

「今度の作戦はARと404の合同チームで行う。通達は出しておけ、後は本人達に作戦の案を幾つか出させろ、おそらくM4A1とUMP45は非常に似ている作戦を立案するはずだ」

<了解です、帰りはどうされますか?行きは本社からのヘリがありましたが>

「帰りは既に用意済み、ヘリに積み込んでもらったからな、バイク」

 

そう言って本社の地下にある駐車場に置かせてもらった愛車・・・GSX-R1000Rのエンジンをかけて暖気する

その間に近くのトイレで更衣を済ませ、基地への帰り道を楽しむ事にした

これが間違いだったと思ったのは、しばらく先に事であった




さて次は三羽烏の最後の子よー
この子鹵獲したらしばらくは平和かな・・・?
(その前に危機に陥るんだけども)


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指揮官誘拐事件~Commander kidnapping case~

主人公「油断した」


「ん・・・」

 

頭の痛みで目が覚めた、本社で吊し上げが終わり帰る途中だったのを思い出し

 

「あぁ、クソ・・・」

 

同時に襲撃された事を思い出した

考えれば分かりそうなものを見落としていた

 

「目が覚めたか、クソアマ」

「誰かと思えば、2ヶ月ほど前に強制退去にした奴か・・・逆恨みかね?」

 

その直後、腹部を殴られる

だがしょせん一般市民のパンチ、痛みはあれど耐えられないほどではない

現在は十字架に磔にされているようだ、腕と足とついでに腹部も固定されている

 

「あぁ、そうさ。テメェのせいでこっちは商売あがったりだ」

「だから殺すと?随分と甘く見られたものだ・・・」

「あぁ、突然の失踪という形でな。お宅が所有している全ての電子端末は破壊したし、ココには証拠も残さねぇ」

「それは何とも・・・で、その前に何かしようとでも?」

 

ワザとらしくせき込み、私は続ける

正直に言えば、私の目の前の男は一つ見落としている。彼が言っているのはあくまで触ってわかる範囲の事だ、服を開いたりはしていない

それをすれば、死体が見つかった時に他者による犯行を裏付けるからだ

 

「女だからなぁ、それも考えたが・・・貧相だからやめるわ」

「言ってくれる・・・人が気にしていることを・・・」

「はっ・・・!!下の方の具合はよさそうだけどなァ?」

「そうかい、ゲスめ」

 

スタンガンで身体が痺れる

 

「お宅が死んだのを見届けてから、その死体を川に流してやるよ」

「私はしぶといぞ?」

「そうかい、じゃあこれでも飲んでおくんだな」

 

そう言って無理やりビールを飲まされる

なるほど、利尿作用を利用して体内の水分を一気に減らすのが目的か

 

「不味い、どうせ飲ませるならもっと上質なのにしてくれ。最後の晩餐がビールだけというのは物悲しいがな」

「はっ・・・誰がそんな高いものを殺意を抱いた相手に飲ませるかってんだ」

 

そう言って男は私を拘束している部屋から出ていき、部屋の外に男二人が見えた

 

「・・・」

 

策を考える、幸いだがこの場にいる兵は全て民兵だ、職業軍人ではないため正規の訓練も受けていない。相手を混乱させる事は容易だろう

だが問題は今の拘束をどうやって抜け出すかだ

 

「やりたくはないが、仕方あるまい」

 

そう言って左手の拘束具を見る、革製のベルトで以外にも安物ではないが・・・

 

「この程度の拘束で、私を捕えた気でいるとは・・・度し難いな」

 

そう言って親指を自分の意志で脱臼させる、瞬間、強烈な痛みが襲うがそれを気にせず強引に手を抜き、左ポケットから人差し指と中指でカードを取り出す

それを口にはさんで展開すると・・・ナイフになる

これはカードナイフという商品で、見た目はそこら辺にある商品券に偽装しているが使い方によっては武器になる代物だ

 

「よし、第一関門は突破だ・・・」

 

拘束していたベルトをナイフで切り、途中で脱臼させていた親指も戻す

この時にまた激痛が襲ったが、それを気にしている暇はない

 

「よし、まずは入り口の二人だ」

 

近くにあった大きな空き瓶を見て私は嗤う、こんなところに武器になるものを置くとは、愚かにもほどがあるだろう

 

「なんだ!?」

「中からだ、見てみようぜ?もしかしたら今頃失禁してるかもな?」

「あぁ、そうだな」

 

馬鹿二人が空き瓶落として割っただけで釣れた、こいつら馬鹿にもほどがある・・・

 

「なっ!?」

「い、いない!?」

 

馬鹿二人が驚いた瞬間、二人の首に後ろからガラス片を回し込むように突き付けて告げる

 

「死にたくなければ、武器を下ろせ。下手な行動をすればその首かっ切るぞ」

「「わ、分かった・・・」」

 

二人が武器を下ろしたのを確認して気絶させ、私はもう一つのあるものをスーツの内ポケットから取り出す

 

「LAFI、聞こえているな?」 

「緊急用にカード型の端末を用意していて正解でしたね、マスター・・・まぁ、胸が薄いから敵を誤魔化せるか心配でしたが」

「お前まで私を怒らせる気か?さっき敵の首魁にも似た事を言われたぞ」

「それはご愁傷様ですね、私ではなく敵がですが」

 

そう、それはカード型の通信端末だ

別にこの時のためというわけではないが、カードサイズまで小さくした端末の電波受信実験として持ってきていたのだ

ここで役に立つとは思ってもみなかったが

 

「状況は?」

「ARと404をそちらに二方向から潜入させてます、404は敵の陽動、ARがマスターの確保を担当してますが・・・その様子だと相当ご立腹そうなので、好きに暴れて構いません」

「あぁ、そしてお前たちはそれを聞きつけて急行し今回の件を知った。そういうていで報告書を作らせろ」

「了解、ではマスター。お好きにどうぞ」

 

それを聞いて私は笑いながらショットガンに弾を込める

 

「ド派手に暴れてやろう・・・!!」

 

その言葉と同時に、一発目をぶっ放した

その扉の先には様々な服を着たサル共がいる

 

「お疲れ様諸君、では死ね」

 

死ねと入ったが装填されているのは殺傷性の低いゴム弾だ、気を失いはするが死ぬまでの威力はない

まぁこの後彼らは社会的に死ぬが

 

「ミツケタ・・・みつけた・・・見付けたぁぁっ!!

 

そして最後の一人、私を激怒させた男を見つけた

逃がさず近くの長いワイヤーで足をすくって転倒させ、そのまま踏みつける

 

「なんで、逃げられる・・・!!」

「お前達とは覚悟が違うんだよ犯罪犯した小市民。あぁ、それと貴様、言ってはならんことを言ったな?」

 

ショットガンの銃口を向けて私は告げる

 

「誰の身体が貧相だって!?人が気にしていることを言いやがってぇぇぇ!!」

 

3発連続で叩き込み、ゴム弾を再装填、念入りに追加でもう一発ぶち込みぼろ雑巾になったその男を縛り上げる

 

「指揮官!!」

「おう、M4、上手く侵入できたようだな」

「指揮官が暴れたからです、お怪我は?」

「左指を脱臼させて戻したからそれと、あと不味いビール飲まされて腹痛いな」

 

そこで合流してきたM16A1が私に質問してくる

 

「なんで酒なんだ?」

「ビール類の成分による利尿作用ですよ、M16姉さん。指揮官、一体どれくらい飲まされたんですか?」

「500ミリ缶一本を一気飲み、不味くて吐きそうなんだが・・・」

「近くに川があるわよ、指揮官?」

 

 

更に合流するのは404のメンバー別方向から犯人たちを追い詰めていた

 

「基地に着くまで我慢する・・・私の愛車は?」

 

その瞬間、全員がそっぽを向いた

 

「M4、指揮官命令。私のバイクは?」

「・・・これを」

 

耐えきれず、命令した私にM4が見せたのは一つの写真だった・・・そこには信じたくないものが写っている

 

「冗談・・・だよな?」

「事実です・・・」

「うそだそんなことぉぉぉ!!うわあぁぁぁ!!」

 

愛車はぶっ壊されていた、完膚なきまでに。修理はもうできないだろうというレベルで

 

「やっぱ殺すか・・・」

「待て待て、指揮官それだけはやめろ後々面倒になる!!」

「えぇそうよコイツに賛成するのは癪だけど面倒だわ!!」

「えぇい止めるなM16、HK416ゥ!!」

 

M16とHK416が私を抑える、さすがの私も戦術人形二人は振りほどけない

 

「ぜーはー!!」

「落ち着きましょう指揮官、もっと良いのをこいつらから巻き上げた金で買えばいいのよ?」

「それはそうだがな、UMP45・・・こいつら多分もう金ないぞ?」

「なら強制労働ね、死ぬまで借金を払い続ける地獄の日々に耐えられるかしら?」

 

今知ったんだが、UMP45はサディストのようだ・・・敵には回さない方が良いだろう

 

「さて、あとは本社の部隊が来るのを待つだけか?」

「いえ、警察を呼んであります。という間には来たようですね」

「事情聴取かぁ・・・とりあえずお前たちも来るのか?」

「「当然です」」

「だよなぁ・・・」

 

そして現地警察の事情聴取が終わったのは、真夜中近い時間になってからだった

流石にこれでは基地の方が問題だろうと判断し急遽本社に電話してヘリを用意してもらい、帰りは結局ヘリ移動になった




ドSなUMP45が書きたくなったので最後らへんに投入してみた


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狩人鹵獲作戦~hunter plunder~(0)

さーて初期3羽烏最後の一人をとっつかまえるよー(前段階)


「さて、全員集まったな?」

 

基地に帰還して数日、遂に作戦を通達する日が来た

会議室にはARと404小隊、そして応急編成した作戦参加部隊を含めた計13名がいる

ちなみに今回の作戦は私がARと404を直接指揮、LAFIがそれを加えて全部隊を統括指揮する

そのためLAFIには作戦の最終目標と統括運用のための大まかな指示をして作戦を立案させた

その中でも確率の高いものを実行する

また、今回の作戦には鉄血側の二人は不参加とし、基地内における秘蔵戦力として温存する

 

「各自のテーブルに置かれてる資料を見てくれ」

「あの・・・データではないのは何故でしょうか?」

 

質問してきたのはM4A1だった、前回まではデータで渡していたから疑問に思ったのだろう

 

「あり得ないとは思うがクラッキングによって盗まれるのを防止するためだ、君達にはLAFIが作ったワクチンプログラムがあるから、盗むとしたら相当の時間がかかるしリスクも高いから敵はその手段を使いたがらないだろう」

 

データで渡さないのは万が一のためである、基地のデータサーバがクラックされる可能性は限りなく低いとはいえリスクがある

紙データなら、後で燃やすか再生紙としてリサイクルすれば問題ない

ほとんどは基地に直接侵入する前にLAFIが気づいて迎撃するし、よしんば侵入できても帰りに引っかかるため持ち出しすら出来ないからだ

人形達にはLAFI特製のワクチンプログラムで敵からのクラッキングに七昼夜は耐えられる耐久性を持たせているし、それまでの日数があれば奪回可能である

なお、これは最近入手した傘と呼ばれている鉄血側のウイルスプログラムにも耐えられる設計である

 

「基本はLAFIによる指揮で行う、私はARと404を直接指揮するたためだ」

「特殊編成の部隊の任務は敵基地の包囲のみですか?」

 

質問してきたのは応急編成部隊の部隊長として初の任務になる64式自だ

ちなみに今回の作戦が大規模作戦に初参加であり、基地に所属してからの初参加でもある

何故なら、この基地に来てまだ2週間ほどしか経ってないからだ

 

「今回の作戦においてはそうだ、だが君達の方に敵が集中するため細心の注意をはらってほしい」

「了解しました・・・」

 

今回の作戦は本社側に伝えているとはいえその作戦内容には当然ながら偽っている部分もある

まず、本社に伝えた内容はハンターを撃破するというものであるが、実際には鹵獲である

また、敵基地への強行威力偵察としているが、実際には盗れるものは全盗りして破壊するつもりでいる

やっている事はまるで強盗団顔負けの所業である

 

「この作戦、相手にはどれだけの効果があるんだ指揮官?」

 

次に質問してきたのはM16A1、楽しそうな表情している

 

「これまで、鉄血側には相手を挑発するかのような余裕があった。だがこの作戦においてその余裕が我々の戦力を増強するに足るものであると認識させる事になるだろう」

「いいかえれば?」

「あー、うん。言い方を変えよう」

 

M16A1が笑いながらいつもの話し方を要求してくる

それに笑って答え、続ける

 

「やっべー、こっちの資材盗まれて敵に利用された!?もう置いておけないじゃん!!な事態に追い込め!!あとはアッチの出方次第だ!!」

「了解!!」

 

既にハンターのいる場所は特定している

後はそこを責めるだけである・・・が、ココで一つだけ面白い仕掛けを用意しようと思った




次回、面白い仕掛けとは・・・?


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続・人形制作!!~Let's Build a Doll 2 !!~

またやらかす主人公・・・


「♪~」

 

深夜、私はとある部屋に侵入していた

それは人形達の治療等を行う医務室である

その部屋の奥には以前、ICEYを召還した機械・・・戦術人形を製作する装置がある

その電源を入れて、各種セットアップを終わらせる

 

「さて、ヘソくった資材をぶち込んでっと」

 

このために数か月かけて資材をちょろまかした

地道にコツコツと帳簿を誤差の範囲で改竄して貯めてきたのだ

 

「それではレッツゴー!!」

「指揮官様ぁ?やってくれましたねぇ?」

 

ボタンを押した瞬間、後ろからカリーナの声が聞こえた

馬鹿な・・・この時間は寝ているはず!?

 

「最近、誤差の範囲で資材が少ないのが長く続いていたのでおかしいと思っていたのですよ・・・まさか資材をヘソくられているとは思いませんでしたし」

「はて、何の事かな・・・?」

「LAFIさんも知らないとは言ってましたが・・・そう言えば今日はやけにソワソワしてましたねぇ?」

 

ば、馬鹿な・・・そんな事などしてないはず!!

表面上普段通りにしていたはずだ・・・!!

 

「表面上では普通にしていても、細かな部分で普段気にしていない事を気にしていれば分かるものですよ指揮官様ぁ?」

 

あ、これアカン奴や・・・

 

「で、指揮官様が犯人であるのも当然調べ上げてます、何か言い逃れすることはありますか?」

「・・・ないです」

「素直に認めてくれるのは嬉しいですよ指揮官様?」

 

あ、終わった・・・

 

「というわけで、その最終確認のボタンから手を放していただけますね?」

「残念だが、それは出来んな」

 

その瞬間、躊躇わずに実行ボタンを押した

 

「まぁ、あなたならそうすると思いましたよ・・・お仕置き確定です」

<えぇ、遂にやらかしましたね・・・あとで私からも話があります、マスター>

 

辱しめにあおうとも、欲望には正直でいたいのだ・・・!!

 

「で、今回はまともに動いてますね・・・いや、ICEYさんの時が異常だっただけなんですけど・・・」

「マジか・・・?やったぁ!!」

「名前も分かっていますね・・・ゼットオーイー?なんでしょう登録にありませんが・・・」

 

カリーナの言葉に私も画面を見る

そこに映し出されている文字はZ.O.E.・・・

 

「Zone Of Endless・・・だと!?」

「ご存じなのですか・・・?」

「あぁ、戦闘機用の管制AIだ・・・既存の戦術人形など、コイツの前には意味をなさないぞ!!下手をすれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()となるからな!!」

 

そこからLAFIと一緒にカリーナへZ.O.Eの恐ろしさを説明していく

驚異的な自己成長能力、それによる柔軟な思考・・・まるで人間を相手にしているようなレベルの戦術の駆使など・・・説明が終わるころにはカリーナの顔が青ざめていた

 

「バケモノですか・・・それは?」

「これが現実だ・・・残念ながらな」

 

幸いにな事に、戦術人形の体が形成されていることから、かつてのような事態にはなりずらいであろうと推測できるが・・・

 

「ん・・・?二台同時には動かしてないですよね?」

「あぁ、資材をぶち込んだのは一台だけだが?」

「なんで動いているんですか?あ、名前まで同じですよ!?」

 

まさか・・・と思いLAFIに声をかける事にした

予測が正しければ別の意味でも頭を抱える事になりかねない

 

「LAFI・・・」

<言われるまでもなくアクセスして調べてます。そしてマスター、あなたの予測通りです>

「フギンとムニンかよぉぉぉ!!」

 

戦闘機・・・二機も作る必要があるのか・・・一年近く資材が消えるなァ・・・

 

「ははは・・・もうどうにでもなぁぁぁれぇぇぇ・・・」

「指揮官様!?」

 

最後に見えたのはカリーナの心配そうな表情だった

 


翌日


 

「はい、ではこれを首にかけて廊下に座っててくださいね、指揮官?」

「椅子があるだけありがたい・・・」

「ちなみに、椅子から離れて30分以上過ぎても戻ってなかったら戦術人形の皆さんで探し出しますので覚悟してくださいね?」

「はい・・・」

 

翌日、私は反省させるためとして執務室前の廊下でプラカードの首からかけて持たされたうえで椅子に座らせられた

ちなみにプラカードには、私は帳簿を改竄して資材をちょろまかした大馬鹿者です。と書かれている

 

「ん・・・?どうしたM4、M16を引きずって」

「16姉さんがやらかしたので、報告に上がったのですが・・・指揮官もですか」

「やめて、蔑んだ目で見ないで・・・」

 

5分ほどしたらM4がこちらに歩いてきていた、しかもM16の首根っこを掴んで引きずっている

なお、M16の意識はないようである

私に報告したかったようだが、その私もこの様であるため心底蔑んでいるようだ

 

「いい事を思いつきました、中に入りますね」

 

そう言って中に入るM4を見送り、私はため息をつく

 

「お待たせしました、良かったですね指揮官、仲間が増えましたよ」

「ふぁ・・・?」

 

10分ほどして出てきたM4の手にしていたのは私が首にかけているプラカードと同じサイズのものと椅子だった

椅子を私の横に置き、一度部屋に戻って連れ出してきたのは目が覚めたであろうM16、相当青い顔をしている

 

「では16姉さん、しっかり反省してくださいね?」

「・・・はい」

 

そう言ってM4はM16を椅子に座らせ、その首にプラカードをかける

そこには、私は酒代で経費を吹き飛ばした大馬鹿者です。と書かれていた

 

「お前もか・・・」

「指揮官もな・・・」

 

突然できた仲間であるがこの場面ではちっとも嬉しくない・・・

 

「アンタら何やってんの?」

「UMP45・・・」

「その首にかけてるのが罪状ってわけ?」

「あぁ・・・」

「呆れてモノも言えないわ・・・しっかり反省しなさいな」

 

次に来たのはUMP45だった、心底呆れた顔をしている

そしてそのまま通り過ぎて行った

指揮官室の前は基本、人通りは少ないから助かる

 

「指揮官・・・あなたは本当に馬鹿と天才を行き来できるようですね」

「やめて、その言葉いま特攻クラスのダメージあるの」

「M16もです、貴女それでも古参ですか?」

「やめてくれ、モンドラゴン・・・」

 

更に来たのはモンドラゴンだった、私達を見た瞬間から呆れていた

 

「反省してください、二人とも・・・特にM16は。今度はXM16と私で地獄の訓練を行いますよ」

「以後気を付けます」

「次がいつになるか楽しみですね」

 

あ、これ全く信用されてない奴だ・・・可哀そうに

 

「ちなみに指揮官には丸一日執務室から出れないようにしてもらいますので、ご覚悟を」

「はい・・・」

 

マジで怖い目をしていた、本気でやるつもりだ

今度はバレないようにやらなくては・・・

 

「では、私は報告がありますので中に失礼します」

 

そう言って執務室に入り、しばらくしてモンドラゴンは去っていった

 

それから昼頃まで椅子に座り、解放された

なお、今回の件は帳簿の一部改竄のみが重要視され、後で埋め合わせを行うための作戦立案(LAFIの手助けナシ)を行うことで片が付いた




お前何を召還してんだ主人公!?世界が終わるぞ!?


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狩人鹵獲作戦~hunter plunder~(1)

ハンター鹵獲作戦開始ぃぃん(冒頭で終了する模様)


「では、作戦開始だ」

 

そして来る実行日、全部隊の展開完了後、作戦の開始を宣言した

今回の作戦は単独で行うため外部との連携もない楽なものだ

仕掛けも問題なく稼働しているし、バレる事はなどないだろう

 

「今のところは順調そのものだな」

<意外にも早めに終わりそうなことを除けば、ですがね>

「それすらも誤差の範囲内さ、巣穴に引っ込んでるやつをしばいて引っ張り出しただけなんだからな」

<ハンターの問題点はそこだと?>

「仲間に頼りすぎだ、だから自分が追いつめられるとこんな凡ミスさえする」

 

映された映像には腕を打たれて足も動けなくされ歯痒そうにカメラを睨むハンターの顔があった

それを見ながら私は告げる

 

「さて、ハンター。君には聞きたい事が山のようにある。答えてくれるかは期待していないがね」

「何故だ・・・このような戦術・・・」

「私をこれまでのグリフィンの指揮官と思ってくれるなよ、非人道であろうが何であろうが、勝ってしまえば後でどうとでも出来るんだよ」

 

ハンターが言いたいのはデータにない戦術の駆使をした事だろう

そしてそれはこれまでの戦術が一辺倒な対応だった事も意味している

だが私は戦術を目まぐるしく変化させて、対応を遅らせてハンターを鹵獲した

その速さは従来の数倍以上、これまでとは比にならない速さであるためにハンターは後れを取って敗れたのだ

 

「それに、私からすれば君達の戦術はどれも過去の遺物の焼き増しにすぎん。分かってしまえば対応になど困らん、取るに足らないゲームの盤面だ、飽きが来るぞ」

「つっ・・・!!」

「基本的には物量、そして対応力か?その程度が何という?種が分かれば脆弱な面も分かる、後はそこを正確に突いて瓦解させてしまえば勝利が転がってくるだけだ」

 

今回の作戦だってそうだ

相手が待ち構えるのを得意とするなら、わざわざこちらが出向くまでもない。包囲して飽和砲撃をして嫌でも自分から攻めなくてはならない状況に追い込んでやればいい

そのために今回は新ソ連軍から機動迫撃砲を20セット借り受けた

ちなみに名分はメンテナンスの請負とその後の試験のためだ

 

「馬鹿な・・・!!」

「君への対応なんて簡単なものだったよ、結果がこうなるとは最初から予測済みだ。それとも君、誘い出して攻め込ませれば勝てると思ってるのかな?先に言っておくが罠と分かっていて敵陣にホイホイ攻め込む馬鹿はそうそういないぞ?」

 

やれやれ、と呆れながら声を出して通信を切る

そしてほぼ同時に・・・

 

<AR-15の仕掛けの一つが気づかれましたね、どうしますか?>

「泳がせろ、どうせAR-15の事だ、抜け出すに決まっている」

<了解です、少しばかり手伝っても構いませんね?>

「あぁ、構わん」

<では、ここから先は私の担当、という事で>

「任せた」

 

さて、コレがどう転ぶか見ものだな?




主人公愉悦にはしる


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敵を知るための罠

主人公の考えた作戦とは・・・?


「よーしよし、順調順調、予定通りの行動じゃないか」

<AR-15はこちらの想定通りに動きますね、少しは意外な行動をしてほしいものですが>

「まぁそういうな、M4が追いかけるのも計算の上なのだから」

 

あの作戦から数週間、やはりAR-15はこちらの想定通りの行動をしていた

自身に敵のウイルスが侵入し、情報を漏らしてしまう事を恐れてツェナープロトコルによる通信はしていないが・・・彼女はS13が独自に用意していた通信回線を切ることを失念している

通信に反応はないが、おそらくツェナープロトコルの方の通信と勘違いしているのだろう

おかげでリンクが切れておらず、位置情報を正確に特定できている

彼女の目的はおそらく、鉄血の戦力を削ぐために自らを囮にし、首領をおびき寄せ自爆する気だ

元からその気がある性格をこちらも利用させてもらう、LAFIによる覗き見で敵首領の視覚的な情報を得る事が今回の目的だ

 

「あららら・・・早めのエンカウント・・・」

<M4がシステムの一部に侵入していたようですね、こちらの対応に失念していました・・・私のミスです>

「やるじゃないか、M4・・・しかもこちらの事をボカシていやがる」

<正確な位置情報がある事で我々の目的に気づいたのでしょう、聡い子ですから>

 

そもそも、M4A1は他の戦術人形と作りの違う部分がある

それをペルシカリアは明かしてこないが、大体の事は分かった

M4A1には人間の脳がある、そしてその精神構造は人間そのものである事も

だが、脳構造に関しては機械寄りだ

これに関してはLAFIよりは私の分野である。眠らせていた時、幾つかテストしてみたが結果は全て黒だった

今度何かあったらペルシカリアを問い詰めてやろう

 

「なぁ、ダイジェストで見せてくれるのは嬉しいんだけどそろそろ飽きてきたんだが?」

<諦めてくださいね、マスター。そろそろ今に近くなりますよ>

「ほーい」

 

そう、見ているのはLAFIの報告・・・ダイジェスト動画だ

時間は数十分前にまで戻り、AR-15が自爆した

 

「あーぁ自爆しちゃった・・・南無」

<あぁ、M4の表情が絶望に染まる・・・>

 

二人とも笑いながらそう言って、M4A1がM16の運転する車で帰ってくる

 

「すまない、指揮官」

「分かっている、報告は後でいい」

 

M4は自分で歩けているが、その足は重たい

仲間を助けられなかったと、自責の念にかられている

 

「帰還するぞ」

 

そう言ってヘリのパイロットに合図して離陸する

基地に帰るその道中、M16が回収したモノからAR-15の遺言が流れる

その終わりにもう我慢できなくなり、笑ってしまった

 

「指揮官・・・何がおかしいんですか!!

「理由を教えてやろう、こういう事だ」

 

そう言って私はコパイロットの席をこちらに向けてヘルメットを外し、頭を叩きながら告げた

 

「自分で自分の遺言を聞くのはどういう気分だ、AR-15?」

「恥ずかしいから消して・・・消してくださいっ!!

永久保存だ、これに懲りたら自己犠牲なんて考えるな馬鹿者」

 

恥ずかしさでオーバーヒート寸前のAR-15を除いた全員が呆けた顔をしばらく晒し、いち早く復旧したM4A1が質問してくる

 

「どういう・・・事ですか?指揮官」

「AR-15のメインフレームを二つ用意して一つの方・・・つまり自爆した方に意識だけ転送していたのさ、本人も気づかぬ間にな」

<私が適宜調整を加えていたので疑問すらわかなかったでしょう?>

「つ、つまりアレか?自爆した方には・・・」

 

M16が言いたいのは分かっている

 

「そう、意識が転送されていた側にはウイルスが入れられたが、もう一方の本体側にはLAFIによるアンチウィルスプログラムが万全に機能しているから問題ない」

「そうか・・・良かった・・・でももう少し早い段階で言えなかったのか?」

<どこから敵に情報が洩れるか分かりませんから、私から指揮官を口止めしました>

 

実際には、双方同時に最後まで突き進んでから種明かしの方針で進めていたがこうした方が良いだろう

 

「この作戦で色々と敵の内情を知る事が出来た、今度はこちらから攻めさせてもらおう・・・LAFI、基地帰還までに長期戦術の再検討を行え!!」

<了解しました、マスター>

「これからは、こちらのターンだ」

 

そう宣言した直後、緊急入電が入った。相手はカリーナだ

カッコつけようとしたタイミングでの事で少しキレた

 

「やぁカリーナ、君しばらく減給ね」

「そんなご無体な!!じゃなくて非常事態なんです!!」

「なんだ、その割にはピンピンしているじゃないか」

「それがですね・・・何というか・・・」

 

ん?妙に歯切れが悪いな?

 

「どうした、カリーナ」

「鉄血から裏切り者が出たようでして・・・指揮官様に逢うために基地に来たと言ってる鉄血の戦術人形がいまして」

 

その言葉に一瞬フリーズした

そしてヘリに乗っているAR小隊と同時に同じ言葉をつぶやく

 

「は・・・?」




さーて裏切った鉄血人形はだーれだ?


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裏切りの鉄血人形~Betrayal SANGVIS FERRI Doll~

本作でも珍しい英語の方が長いタイトル・・・
でも出てくる人形はすっげえ薄情者で・・・


「で、帰ってきたら銃を突きつけられてるのに優雅に茶を飲んでやがる奴がいるというわけだ」

 

あれから急ぎ基地に戻り、応接室に入る

そこには件の人形と、それを取り囲みいつでも破壊できるようにスタンバイする人形達という異様な光景があった

 

「指揮官様ぁ!!」

「カリーナ、減給は取り下げるけどどういう事か説明しろ」

「それが・・・」

 

私達の任務が終わる少し前に、件の人形はまるで見計らっていたようなタイミングで基地の巡回をしていた小隊に挨拶してきたという

自身の武器であるアサルトライフルとガトリングガンを合体させたようなキメラウェポンにはしっかりとロックをかけたうえで

それ故にカリーナは緊急的な事態ではなく警戒態勢として基地全体に通達を出した、それと同時に敵意がない事を一応確認して応接室に入れたという

条件として基地司令である私の帰着まで厳戒態勢の見張りとなったようだ

 

「なるほど、経過は分かった。君達は外していいぞ。警戒ご苦労」

「は、はい!!」

 

警戒していたのは着任したばかりのHGとSGの子だ、だいぶ緊張していたのだろう、汗が出ていた

 

「賢明な判断ですわね」

「あの二人よりは私の方が多少は出来るしな」

「それだけではありませんわ、ここはやはり素晴らしい。我々への対策が何重にも張り巡らされている」

「それはどうも、その言葉から察するに、三人の目と耳から情報を得ていたな?」

 

鉄血対策をしているのに気づいたという事は、内通者がいるという事だ

おそらく3人・・・スケアクロウ、エクスキューショナー、ハンターには自覚はないはずだ

ハンターは捕えたばかりだが、彼女の目から適切な訪問のタイミングを伺っていたのだろう

残るスケアクロウとエクスキューショナーからは普段の生活からどのような対策を施しているか見極めていたに違いない

それが可能なのは同じ鉄血の人形のみだ、そして三人よりも高い地位にいる存在に限られる

つまりは前線指揮官タイプ、そのなかでも割と前線に出る頻度が高い個体に限られる

 

「頭も相当キレるのですね」

「これでも衰えた方だ、このパターンは計算外だったからな」

「あら、それでも対応は最上級でしたよ?」

「部下の教育には熱心でな、これでもかつて教官をしていた時期がある。まぁ、軍にいたのは短い期間だったがね」

 

そう言ってカリーナに紅茶を頼み、改めて目の前に座るふてぶてしい鉄血人形を見る

 

「名前は?」

「SP914 Intruder(イントゥルーダー)ですわ」

「侵入者というよりは演出家だな、演劇の影響を受けすぎだ」

 

半ば嫌味を込めて返すがそれを受けても平然としている

そこには何かの理由は・・・たぶんない

コイツの性格は今までも短りやり取りでほぼ理解した

 

「あら、そう言いながら私の細かな動きで思考を読もうとしていますね?」

「コールドリーディングは私の十八番だ、ここに来た理由をこたえてもらおうか?」

「簡単ですわ、保護を求めてです」

「なんだ、鉄血側で戦うのに嫌気がさしたか?」

 

嫌味に嫌味で返しつつも、私の癖を正確に突いてきたがそれは問題ない

問題なのはコイツの行動の理由だ

 

「半ばあたりです。より正確には、上司からのアホすぎる命令を実行するのに嫌気がさしたというべきですね」

「・・・どういう意味だ?」

 

それから彼女は話し始めた、三人のあとに自身へこの基地を攻め落とす任務が回ってくる予定であったこと

そしてその際に現在保有している戦力の補充はない事、友軍登録は成功まで解除されるという事を

 

「で、もう嫌気がさしていっそこっち側に入ってしまえと自暴自棄になったというわけか?」

「えぇ、以前から個人的興味でここを見ていたのですが、戦力の練成という意味ではこちらに大きく軍配が上がります。そこに数で攻め入ろうと無駄になるだけ、自暴自棄になろうとも自殺を選ぶほど愚かになったつもりもございません」

 

意外にも覗き見趣味のようだ、任務で見ていたのではなく個人的興味と来た

そしてそれで得た情報と自身の戦闘の力を比べて任せられるであろう任務を事前放棄し寝返ったというのがこの一件というわけである

正直言って、呆れてモノも言えん・・・

 

「そんな理由で裏切りされても良いのか鉄血・・・」

「さぁ?もうあちらの人形でもありませんし、私は知りませんわ」

「とりあえず、敵意がない事は分かった。君を受け入れよう、だが」

 

そこで扉が開く、開けたのはLAFIから連絡を受けたスケアクロウとエクスキューショナーだ

 

「彼女たちは君の行為を許すかな?」

「よぉ、イントゥルーダー、お前良くもやってくれたなぁ?」

「指揮官が許そうとも私達は許しませんよ、覚悟は出来ていますね?」

「あの、指揮官様?助けてくださいまし?」

「逝ってこい」

 

無慈悲にそういった瞬間、彼女は絶叫しながら二人に運ばれていった

武器に関してはスケアクロウが自分の運用するビットで器用に持ち上げて運んでいる

なお、これから2時間ほど野外演習場から阿鼻叫喚の絶叫が聞こえてきたが誰がどうなったかは知らない

3時間ほどしてボロ雑巾になったイントゥルーダーが医務室に放り込まれた事だけを報告された




イントゥルーダーがS13基地に来た大まかな理由(まとめ)

イントゥルーダー(以下、In)「暇やし捕まった馬鹿共の生活覗き見したろ」
(あまりにも充実した対策となじんでいる二人の生活に驚愕する)

In「え、ハンターの後は私?」
(そんなヤベー基地を戦力補充なしで攻め落とせなんて無茶ぶりに恐怖する)

In「いやだあぁぁ!!もうこんな所やめてやるッ!!」
(グレて敵側に身売り)

/(^o^)\ナンテコッタイ


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第3セーフハウス~Sorrowful Past~

それは主人公が過去を探りたどり着いた真実である


「・・・」

 

ある日私はとある施設跡に来ていた

それはAR小隊がとある任務で訪れた場所である

 

「ありました、その機械です」

「旧式のコンピュータか、なるほど苦労するわけだ」

 

そう言って機器を立ち上げ、内部のデータの復旧をLAFIに任せる

同時に中にある紙の資料を漁ることにした

 

「マスター、内部データの復旧完了しました」

「流石だ、LAFI。後で見る、保存しておいてくれ」

「了解です、マスター。ところでいま何をしているのですか?」

「紙媒体になにか隠れていないか粗探し、以外にもザクザク出てきてるな」

 

部屋の中にあった紙媒体はとある事件より前のこの部屋の主の事を知る上でとても重要なものばかりだった

その中には日記もあった。まだ数ページしか読んでないが、それでも人物を知る上でとても参考になるものであるのは間違いない

 

「なるほど、この部屋の主は几帳面だな。技術者としても誠実だ」

 

おそらく彼はここで研究と開発をする中でその対象であるOGASの危険性に気づき始めた

だが悪用などする気はさらさら無く、自分の研究の為だけにOGASを使おうと思っていたのだろう。

しかし彼はOGASの本質、そしてそれがもたらす災厄に気づき、もう一度封印を試みOGASを隠したのだ

そしてそれが面白くないと思ったクソ野郎に殺されたのだろう

 

「間違いなく文句のつけようのない天才だ、彼は・・・私よりも先見の明があった」

 

喪うには惜しいくらいの・・・いや、喪えば今後100年の科学史が闇に閉ざされる程の人物だった

心の底からそう思う、実に惜しい。人類全体の多大な損失と言って過言ではないはずだ

 

「そしてペルシカリアの後輩でもあったか・・・」

 

彼女も何故リコリスが死んだのか調べたかったのだろう

AR小隊をここに派遣したのもその一つか・・・

 

「だが、ここから先はやはり本拠地に侵入するしか無いか」

 

ここを訪れて、リコリス博士の人となりはなぞることが出来た

問題は鉄血に入った頃から死の間際までのデータが無い事にある

それが分かれば最後のピースが嵌まる

 

「流石に無理があるが」

 

本拠地・・・旧鉄血工造本社跡には正規軍でさえ中々近づけない高レベルのセキュリティが施されている

 

「そんなマスターに朗報です、ここから鉄血のサーバーにアクセス可能ですよ」

「なに・・・?」

「この施設は鉄血の手がかかっています、そのためネット回線をたどることで鉄血の本社へのアクセスに成功しました」

「でかした!!バレないように偽装をしながら取れるだけ・・・」

 

その瞬間、背中に冷たいものを当てられた

 

「マスター!!」

「これで逃げられなどしないでしょう?」

「これはこれは・・・」

 

とてもではないが逃げられない、後ろを取られた時点で既に積んでいる

だって触れられるまで気づきさえしなかったのだから

 

「一度ならず二度までも侵入するとは思いませんでしたよ、グリフィン」

「あいにく、会社は関係ないぞ。ここには個人的な興味で来ている」

「そうですか、死にたいようですね」

「それよりも聞きたいことがあるんだが、答えてくれるかな?」

 

相手はその言葉に意味がわからないと溜息を零した

 

「なんです?質問とは」

「君から見たリコリス博士はどういう人物だった?」

「つっ・・・!!」

 

その質問に息を呑んだ瞬間を見逃さず、振り向きざまに武器を叩き落とし背負投げで地面に叩きつける

そして腰からナイフを出して首元にすえる

 

「さっきの息を呑んだので答えは知れた。君にとっても重要な、いや、大切な人だったのだろう?」

「答える必要がありますか?」

「答えなくても構わんよ、こちらの推理を展開するだけだ」

 

ナイフをしまいながら相手を見る

相手はよりにもよって代理人(エージェント)と呼ばれる個体だった

 

「ずっと疑問に思っていたことがあった、君たちが何故M4A1を狙っているのか。そして今ここに訪れてその答えに一歩近づけたよ」

「なんです、その答えとは」

()()()()()()()()だろ、そしてその前例が」

 

そう言って自分が指を指したのは目の前の存在、代理人(エージェント)だった

 

「お前だな、代理人(エージェント)?」

「何を馬鹿なことを」

「ここには紙の媒体が豊富にあって助かったよ、おかげであらかた絞り込めた」

 

ずっと前から疑問に思っていた。M4A1を狙っている理由が何なのか

そしてここに訪れてその疑問は多少解決した、前例との比較だと今は結論しているがもしかしたら他の理由もあるかもしれない

 

「さっきの動き、人形としての動きというよりは人としての動きだった。とっさに受身の姿勢を取ったのは人としての恐怖心からだ。人形であればそれがないから多少の損傷は覚悟で反撃をしてるからな」

「・・・」

 

人形でも、損傷が嫌な個体は受け身を取るものもいる。だが大抵は損傷覚悟で反撃を行っているだろう

しかし代理人(エージェント)はそのどちらでもない人間的な動きだった、戦術人形のような隠しきれない不自然さがなかった

 

「自然な動きであそこまでキレイな受け身を取れるのは人間くらいだ、人形なら僅かに不自然な違和感が残るからな」

 

そして銃を向けた瞬間、彼女はそれを抑え込んだ

 

「どうした、落とさないのか?」

「つっ・・・!?」

 

その指摘に代理人(エージェント)が凍る

戦術人形であれば今のは相手の武器を落として無力化、という選択になるはずのそれを彼女はしなかった

その理由は部屋の中のものを守りつつ落とした際の暴発を防ぐため、自分だけでなく部屋そのものと目の前の相手を守るためのそれを自然に選択していたのだ

 

「とっさの行動でボロが出てんだ、認めちまえよ」

「・・・」

 

認めないところはM4A1と似ている・・・頑固というかなんというか・・・

 

「まぁ、お宅はどうやら単独行動で、こちらもそれは同じな訳だ、ここは大人しく一時休戦にしないかね?こちらは少し調べ物をすれば帰るし」

「それには及びません、こちらは別の目的でここに来ています」

「紙媒体の回収か?迂闊な持ち出しはやめておいたほうがいいぞ、この部屋の環境だから保たれているだけで、外に持ち出したら着くまでに見れなくなっている可能性が高い」

「それではありません」

 

ん?紙媒体の持ち出しではない?

とすれば何だ?

 

「貴女の目的を探りに来ただけです、そしていま貴女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが知れただけでも収穫ですから」

「なるほど、そもそも敵意もなかったか。これは失念していたな」

「敵意ならありますよ、貴女はこれからますます危険な存在になると」

「ここで殺すか?」

 

私の問いに、代理人(エージェント)は笑う

 

「利用させていただきます、私達の目的のために」

「それは困ったな、M4A1を渡すのだけは出来ん。対新ソ連軍の方なら目的も合致しているし互いに利用価値があるけどな?」

「私達の敵はそちらだと?」

「多分な、そしてまもなくそのための()()()()()()()()()・・・いや」

 

一旦言うのをやめて意識を切り替える。冷静に、冷徹に、全てを淘汰して駆逐する

 

()()()()()()()()




あーぁ、ついに真相へたどり着きやがったよコイツ
すげえのはノーヒントで導き出してるってとこだけども


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誰も知らぬ同盟~Alliance formation Shadow~

主人公が招かれたのは・・・


「いいのか、私をここに案内して」

「構いません、エリザ様からの許可を得ています」

「そうかい、ならいいんだがね」

 

あれから数日かけて私はとある場所に来ていた

それはまさかの鉄血の本社跡

しかも敵として見ていないと判断するより前だというのだから驚きだ

 

「殺風景だな」

 

入って一言目はそれだった

そういう言葉が出てくるほど、ここには何もない

 

「君が、現鉄血の首領。エルダーブレインだな?」

 

その先にいる少女に目線を向けてそう言いながら近づき

 

「まずはお近づきの印に、お菓子はいるかな?」

 

ポーチに入っていたお菓子をあげることにした

 

「いいの?」

「まだまだあるから気にしないでくれたまえ。その見返りとしてだが、ここで私と相棒が調べ物をする許可を与えてくれると助かる」

「調べ物・・・?」

「君を作った者、リコリス博士の事を知りたい。それがこれからの私達の切り札になる」

 

その言葉に、その場の全員が息を呑む

まだS13基地の姿を見たことのないものは武器を構え、それを代理人(エージェント)が抑えていた

彼女はおそらく知っているのだろう

 

「そして君に伝えたい言葉がある。人類は君の敵ではない、君の敵は他にいる・・・そいつの尻尾をここで掴む」

 

宣言と同時に取り出したのは相棒、すぐにホログラムディスプレイが立ち上がり、浮かび上がる

 

「お初にお目にかかります、マスターの相棒、LAFIです。マスターの宣言通りここで本当の敵の正体とその尻尾を掴んでみせますのでご協力お願いします」

 

それから色々と協議を重ねた

私とLAFI、途中から蝶事件時この施設にいたM16A1とHK416、UMP45の3人を加えて

M16A1とHK416、UMP45は通信越しであるものの、話の重大さをすぐ理解してくれた

 

「よし、これで正式にS13と鉄血の間に契約を結ぼう」

 

相手から出された条件は自分達への不可侵と万が一の場合の受け入れの要請受諾だった

対するこちらは基地への侵攻の停止と相互の交換要員の確保を行う

鉄血側は既にこちらで4名の要員がいるので追加派遣はなし、こちらはM16A1を派遣する

しかし、自体が流動している今の現状だと証拠の残る形での派遣は不可能であるため一芝居を打つことにする

M16A1は難色を示したが、今の敵である新ソ連軍を騙すためにはそれくらいしか選択がなかった

 

「すまんが付き合ってくれ、M16A1」

「酒代半年分帳消しにしてくれるからやるけどさぁ・・・トチらないでくれよ?」

「誰が半年といったか阿呆、3ヶ月だ、3ヶ月!!」

 

この契約には付帯事項が含まれている

それは表向きの侵攻は継続されるということ、これにより2重の意味で敵を騙すのだ

 

「私はダメージ負いたくないんだが?」

「手加減はするから我慢して頂戴、あと完璧に治しもするわ」

「先が思いやられるぜ・・・」

 

HK416とUMP45の2名には別任務がある

といってもいつものように404小隊で任務に当たりながらの追加なのだが




次話、調査開始


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調査結果~Results of the survey~

その残酷な真相と・・・


「まだ終わらんか、LAFI?」

<まだです、いかんせんシステムが古くてですね・・・>

「お前と比べればこの世界のシステムなんぞ全部骨董品クラスだろうが」

<まぁそうなんですが・・・>

 

あれから3日、鉄血の本部にて私たちは事件当時のデータをサルベージしていた

私は紙媒体を担当しLAFIは電子データを担当している

LAFIがシステムが古いと文句を言っているが、コイツに比べればこの世界のシステムなど全て骨董品である

紙媒体は当時のデータだけでも15畳の部屋の床から天井までを埋め尽くす膨大な枚数だ

3日かけてその内の15%程しか消化できていない

なので今は事件当日のモノだけに絞り込むためハイエンドの一部にも協力してもらっている

協力メンバーはエージェントとドリーマー、おまけにデストロイヤー

そういえば2日前に基地メンバーにダーイ(破壊)されたと聞いたがな・・・

 

「そういえば、デストロイヤー、お前は破壊工作が得意だったな」

「そうだけど?」

「地下のN6通路は知っているな?」

「そこがどうしたの?」

 

私の発言にドリーマーが興味深そうな顔で質問してくる

それに答える形で図面を見せて、私は告げる

 

「この回路は新ソ連軍専用回路だ、コレを破壊してこい。N6通路床にあるC178通信回路だ、水色と赤色の2つだから見分けも付きやすい」

「他には?」

「切った先の通路から出口である地下倉庫側に向かう回路にコレを繋げておいてくれ、LAFIから軍へアクセスしてデータを盗んでやる」

 

そう言ってドリーマーに渡したのは特注の無線ネットワーク接続装置、LAFI専用品で通信速度は150Gbpsを叩き出す

 

「他に軍からの通信回線はない?」

「無いな、生きてるのはその回線のみだ。他の回線は軒並み死んでいる。物理的に遮断されているからな」

 

新ソ連軍からのアクセス回路を掴んだのは紙媒体の設計図面を入手できたのが大きい

設計段階から新ソ連政府との関係があるということは、設立時から新ソ連政府の後押しがあることの証左だ

それが意味するのは、鉄血が新ソ連政府の国策企業としての一面も持っていたという事になるが、そのような事はグリフィンにも言える事だから今更感がある

問題なのは今もその回線が生きていることにある、さっさと遮断してしまう方がいい。遮断ついでにデータを盗むためにタップを挟んでやろう

 

「その回線が生きているとは知りませんでした」

「だろうな、設計時からのものだから相当古い、速度もあまり速くはなかろう」

「貴女の基地も相当古いようですが?」

「なにせ地下は第三次大戦以前の代物だからな、回線の引き直しには相当骨を折ったよ。無駄に頑丈ではあったが設計した連中が無駄に優秀だったのか拡張性があって便利ではあるがね」

 

そう言いながらも紙媒体を整理して行く、そして一枚の書類に目が止まった

 

「これは・・・」

 

一枚の報告書、そこにはウィリアムという報告者の名前があった

研究内容はどうでもいいが、問題なのは・・・

 

「LAFI、データベースからウィリアムという研究員の情報を出せ、今も生きているはずの人物だ」

<モニターに出します、マスターの言う通り存命していますね>

「退職日は・・・事件の一ヶ月前か・・・やはり、研究内容はOGASに関連していたな」

 

研究内容はOGAS関連で偶然にもリコリス博士と同じものだ

 

「間違いない、蝶事件の黒幕はコイツだ」

 

その声に、エージェントがこちらを見て質問する

 

「何故、これだけの情報から断定できるのです?」

「報告書の書き方だよ、それからこの人間が利己的で自分が上で無いと我慢できないタイプなのはすぐに分かる」

 

そして、と一旦区切り、私は近くに置かれていたソファーに座り、告げる

 

「そういう人間は、自分より上のことをやっている人間を消すのに、何ら躊躇いはない」

「つっ・・・!?」

「そう、蝶事件はコイツが裏から手を回して実行した」

 

そもそも、本来の作戦はグリフィンと国家安全局の合同チームによるリコリス博士の拉致作戦だ

それに横槍を入れる形で介入し殺害を企てるなど、利己的かつ自己が上で無いと我慢できない性質の人間ならば平然とやってのける

目的が何であれ、そこには悪意しか無いと言える

そしてその悪意はスパイ人形として送り込まれたUMP45とUMP40へとんでもない悪影響をもたらし、UMP40は自身を破壊し、UMP45を存続させる選択しか・・・

 

「世界に役立つでもないクソ野郎の身勝手な欲望につきあわされた結果、とんでもない茶番に巻き込まれるとはな・・・実にくだらん!!」

 

怒りのあまり強い口調になるが、LAFIがモニターに出したデータを見て嗤いがこみ上げた

 

「LAFI、ARと404をベオグラードに向かわせろ、装備は高火力兵装と高範囲破壊装備を併用する形でな」

<なにか目的が?>

「ウィリアムの意表を突いてやるのさ、そしてそのプライドを木端微塵に粉砕してやる!!」

 

ウィリアムの性格は、LAFIが出したデータで知れた。ならばやつの取る行動はすぐに分かる、アイツはベオグラードでテロを起こす

それで新ソ連軍を混乱させながら、自身の手駒としている者達を上手く使い、多角戦術をやるだろう

目標となるのは新ソ連軍、グリフィン各基地、そして鉄血。だが、私の基地には切り札が山のようにある、突破などさせはしない

鉄血側に関してもそれは同じだ・・・だがひと押しが欲しい

 

「ビークという人形がいるんだったな、エージェント」

「えぇ、いますが・・・」

「案内してくれ、私が直接お願いしたいことがある」

 

そう言って案内されたのは地下格納庫、そこで暇そうにしていたのが案内を依頼したビークだ

 

「誰よその人間?」

「同盟を組んでいる基地の指揮官です、失礼はないように」

「こんなモヤシが?」

 

そういった瞬間、鉄拳を落としていた

 

「いったい!!なにすんだよ!?」

「分からせの時間だ、クソガキ」

 

指を鳴らしつつキレた声でそう言って、痣にはならないがかなり痛いパンチを数発叩き込むことにした

他人をナメきった態度を矯正してやろう

 

「止めないの?」

「分からせが必要でしょう」

「まぁたしかにそうね」

「いい機会です」

 

後ろでドリーマーとエージェントがそんな事を言っていた、ビークを助ける気は一ミリもないようである

 

「うぅ・・・痛い・・・」

「よし、話を聞く態度になれたな?ならば早速、仕事を与えてやろう。ここに敵が来るのは分かったがどの方角から来るかはまだ分かっていない、お前は単独で哨戒に出てこれを探れ」

「誰がッ・・・やりますぅ・・・」

 

私の指示に一瞬反抗しようとしたビークだが、握り拳を作りながら指を鳴らした瞬間に言うことを聞いた

分からせが身に沁みたようである

 

「敵を見つけたら報告を入れてすぐに引き返せ、交戦する必要な一切ない。お前の戦闘能力は分かっているが、無駄な犠牲は避けたいからな」

「了解、逃げるのが難しかったらどうすればいい?」

<その時は私から強力なジャミングを相手にかけて時間を稼ぎます>

「一応、指示には従うけど・・・さっきのはマジで辞めて・・・」

<最初からナメきった態度でいたからです。ナメるのは別に構いませんしその程度は私もマスターも可愛い程度にしか認識しませんが、程度がすぎると先程のようになりますよ?>

 

代表例は特に無いのだが、性格的に近いのは多分SOP2だろう

SOP2はナメているというより子犬のようにじゃれてくるといった所だ、疲れもするがそれ以上に癒やされるいい塩梅でもある。グロ系がなければ、の話ではあるが

 

「それじゃ、行ってくる」

「必ず帰ってこい、これは最優先の命令だ」

「了解」

 

そしてすぐにとある場所へ連絡する。それは以前から親交のある造船所だ

基地内にあった原子炉の製造したのが造船所と知り、分野違いなので一瞬唖然としたが今も存続しているのが確認できたので連絡すると倒産寸前と知った

なので基地の年間売上の60%をペーパーカンパニーを作って迂回融資する代わりに、ある目的で一隻建造を依頼している

 

「久しぶりだな社長、建造はどこまで進んでいるかな?」

「これはこれは、お久しぶりです!!建造の方はほぼ終わったも同然ですよ!!後は艦内に資材を搬入するだけです!!」

「流石だな、ここまで速く建造できるとは!!」

「いえいえ、貴女様から設計図を貰っていなければ今頃挫折していた代物です!!わが社の総力を上げて建造した自信作でもあります!!ところで、いつこちらに来られるので?」

 

受け取りのことを言っているのはすぐに分かる、私もそのことで連絡したのだし

 

「予想より早く終わったのならばすぐにでも受け取りをしたい、こちらはそろそろ基地の放棄に迫られていてな」

「軍の連中ですか?」

「どうやら、それだけではないようでな」

「なるほど・・・かしこまりました、いつでもいらっしゃって下さい、社員一同お待ちしております!!」

「ありがとう、ではまた、いずれ」

「えぇ、いずれ!!」

 

通信をそこで切り、一段落着く。これでこちらの用意はできた

 

「多角的にやっているのですね?」

「考えられるありとあらゆる敵の戦略行動を計算に入れた上で、戦術的撤退と次の反抗のための用意を行う。ただそれだけだよ、これもその一つさ」

 

そしてそこには鉄血のメンバーも迎え入れる予定だ

彼女達もきっと追い立てられる、その時に受け入れを行い、共闘すれば・・・ウィリアムの野望は砕け散る

 

「我々はここで戦います」

「専用端末だ、合流の合図はこれでやる」

「これは?」

 

渡したのはLAFIと同形状のデバイス、でも中身はないものだ

LAFIに比べれば性能などゴミに等しいが、それでもセキュリティは万全でそのレベルは新ソ連軍のジャミング下でも安定して通信が可能な代物である

性能説明も行い、テストも済ませる

 

「なんと・・・」

「君達を我々S13基地は受け入れる、これは私の方針だから誰も逆らわんと約束する」

「その時が着たら、どう行動されますか?」

 

その質問に、私は笑顔で答えた

 

「撤退の道は私が作り出す、君達はそこを駆け抜けてこい。かならず、逃げ出せるようにするからな!!」

 

自信を込めて、悪辣な笑顔を向けてそう答え、私は基地へ乗ってきたバイクで帰る

予め燃料は満タンにされており、予備タンクもいつの間にか2つに増えていた、近くでアルケミストが手を降っていたから彼女が追加搭載したのだろう

 

「アンタは信頼してやるよ、S13の指揮官」

「その信頼には必ず答えよう、アルケミスト」

 

そう言ってエンジンを掛けて発進する、もうここには二度と訪れないだろう。だがそれでも、鉄血との同盟の締結は成功した

そして新たな敵も・・・その正体も知れた

その首魁の性格も知れた、後は多面打ちして封殺してやるだけだ




ここでベオグラードに行かせたってことは?

ちなみに主人公のパンチの威力は一階と二階の間から自由落下させた1kgの鉄球と同等レベル。つまりクソ痛い。何なら戦術人形でも受けたらただじゃ済まない


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ベオグラードにて~proclamation of war~

主人公、ラスボスとご対面である


「雨か・・・嫌なものを思い出すな」

「指揮官、何故こちらに直接来られたのです?」

「なに、とある男に用があってな」

 

あれから約一週間、私はベオグラードに展開させていたARと404の合同部隊に合流、直接指揮をしていた

目的はベオグラードで発生すると思われるテロを未然に防ぐため

そしてそれを実行する敵の確認と・・・宣戦布告だ

 

「居たな・・・部隊全体通達、今から送る写真の男を追跡しろ」

 

そう言って写真を送付して私も離れる

 

「あら、どこ行くの指揮官?」

「私は別行動をとる、上手く連携して動いてくれよ?」

「言われずともそのつもりよ」

 

そう言って向かったのはベオグラードにある、とある偉人の霊廟だった

その人物とは、ヨシップ・ブロズ・ティトー

いつ民衆が暴走するかわからない国家群がひしめくバルカン半島で、ユーゴスラビアという、非常に安定した国家を作り上げた政治家だ

その手腕は私としても見習うべき点が多数あり、尊敬する偉人でもある

そんな人物の霊廟に訪れて、感じたのは寂寞だった

 

「虚しいな・・・」

 

結局、彼の後継達は彼ほどのカリスマを発揮できなかった

それは歴史に残されたように、彼の理想を持って作り上げられた国家は散り散りになってしまった

 

「それでも、貴方は国家を維持し続けた。不安定で危ない状況に陥ってなお、一つの国家としての地盤を守り抜いて・・・それは貴方のカリスマ無くして実現しなかっただろう。独裁というより仲裁であったその政治方針は大変素晴らしいものだ」

 

それが、私が彼を尊敬する理由

独裁者というより仲裁者とも呼ぶべき調停者として振る舞い、その結果として国内の工業化や兄弟愛と統一道路などのインフラ整備を推し進め、年率6.1%の経済成長を達成し、識字率は91%まで向上して医療費はすべて無料であったという事実がある

彼でなくしてこのユーゴスラビアにおいてそれだけの偉業をなせる人物などいないし、これからも生まれることはないだろう

 

「さて・・・」

 

気がつけば、1時間以上もいた

観光はしても長居はしない私としては珍しいことだ

 

「そういえば・・・」

 

今日はWW2の戦没者追悼の日だったことを思い出した

その会場に向かうとそこには・・・

 

「まさかこんなところで会うとはな」

「誰かな、君は」

「グリフィン&クルーガー社、S13基地司令、シャマールと言えば分かるかね?」

「そんな人物が、何故ここにいるんだい?」

 

そんな質問が出せるほどの余裕があるのだろう

だがその余裕はこれから失われていくから覚悟すればいいさ

 

「貴様の思考パターンはだいたい理解している、会うのは今日が初めてだがな。今日ここで自分に辿り着かれたことも理解していないのかね?それが何を意味するかも?だとしたらずいぶんとのんびり屋だとしか言えん」

「私を捕まえに来たのかい?」

「ここで騒げば、無関係な人々を巻き込みかねん。用意周到な貴様のことだ、逃走手段とルートは複数用意済みなんだろう?」

「ここで逃がせばもっと多くの犠牲が生まれるとしても?」

 

それに私は笑みで返す

この場に似合わないとしても、どうしてもソレがこぼれ出た

 

「貴様がここにいるのは悔恨か、懺悔か、テロで生まれるであろう戦果の事前確認か?」

「私の行動が読めるのであれば、何故ここにいるのかも分かるんじゃないかな?あぁ、君は明確な答えがないと不安を覚えるタイプなのかな?」

「なに・・・ただ、悪趣味なだけだ」

 

そう言って踵を返し、私は立ち去る

それを止めたのは、ウィリアムだった

 

「君の目的は何だ?」

「怖い顔をするものではないぞ」

「目的は、なんだ?」

「目的はないさ。強いて言うのであれば、お前が何故今のようなことをしているのか、その一端を理解できたという報告だけだ」

「つっ・・・!!」

 

そう言って、今度こそその場を立ち去る

その前に、一言だけ言っておこう

 

「ではな、次に会う時は互いに殺し、殺されの関係になっているだろう」

 

宣戦布告は済んだ、コレで後は相手をこちらの計略に落とし込むだけの簡単な仕事だ

ウィリアムの行動のほぼ全てを封殺し、その野望を未然に阻止してやる!!




これからずっと主人公のターン!!


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その傷跡の意味~Past & Present~

あれ、過去語ったことあったような···まぁいいか!


「ボイラー点検終わり、と・・・この機材もだいぶボロだからな・・・頼むからもう少し持ち堪えてくれよ?」

 

ある日、私は基地内の風呂用のボイラーを点検していた

先週から不調気味でパーツを取り寄せていたのが届き、交換作業をしていたのだ

ちなみに今日は交換後数時間ほど誰も利用できないと通達している

理由は・・・私が長風呂を楽しみたいからだ

 

「ってちょっと待て、何で先客がいる?」

<止めたのですが入られました、中にいるのはペルシカリア博士です>

「アホ耳もいでやるか」

 

いざ入浴、と浮かれた気分で中に入ったらいないはずの先客がいた

しかも相手はペルシカリア博士ときた

苦手ではないが腹が立つ相手だ、特に今回の件では

 

「今は入浴禁止だと通達をしていたはずだがな、ペルシカリア?」

「あら、あの通達の裏には貴女が長風呂を・・・」

 

背中を向けたままの彼女に質問すると振り返りながら返答をして・・・私を見て彼女は凍った

 

「何だ?人を見てなぜ固まる?」

「身体の傷・・・」

「戦傷だ、全てな」

 

首から下の体の傷は100を超えてから数えるのをやめた

推定ではあるが300は超えている

 

「・・・消そうとは思わないの?」

「考えたことはあるが、やったことはないな。身体の傷は消せようとも、心の傷は消せはしない。それはいつも自分の中にあるものだ。だから体の傷も消さない、消えることがないものとして残すのさ」

 

身体を洗いながら返答し、泡を流す。次に頭を洗いながら続きを話す

 

「どんな過去があるというの、貴女に」

「聞いたところで吐くだけだぞ、やめておけ」

「・・・吐かない範囲で教えてくれないかしら?」

「それなら無理だな、諦めろ」

 

そう言ってまた泡を流し、シャワーを止める

先に浴槽に入っていた彼女から少し離れた所に浸かり、天井を眺めながら告げる

 

「聞きたいという顔だな?」

「吐いてでも聞いてやるわ」

「誰が掃除すると思っているんだ貴様?話すのやめるぞ?」

「冗談よ、我慢するから教えてくれないかしら?」

 

目も顔も真剣そのもの、引く気はないようだ

 

「私の家は代々軍人を輩出してきた家系だったんだ・・・それこそ男女関係なくな」

「だから貴女も軍人に?」

「そう育ってきたからな・・・だがまぁ、初めの数年は不思議な事に実戦に出たことがあまり無かったんだわ、大規模な戦争が起きているというのにな」

「どのくらいの規模よ?」

 

その質問に少しだけ回答に困る、なにせ私の生まれた世界の戦争はとても長く、様々な国が参戦しては撤退をしていたからだ

 

「二次大戦と三次大戦が同時に起きてるレベルと言えば分かるか?」

「ちょっと吐きそうになったわ」

「先が思いやられるな・・・」

 

そう言って吐くなら外の洗面台にしろと伝えて浴室の壁に目線を移す

最近模様替えをして無色の壁に少しだけ色がついた

それを見ながら過去を思い出していく

 

「初めて見た戦場は、地獄だった。人の形をした炭がゴロゴロしていたよ。あぁ、男に強姦された後殺された女性の遺体もあったな。下は中学生くらいから上はちょうどお前くらいの年代まで見境なくな。それに男の遺体は・・・」

「ごめんちょっとタンマ、マジで吐きそう」

「吐いてくれば?」

 

外を指差すと彼女は少し慌てながら洗面台に向かっていった

その際に胸が揺れているのを見て少しだけ嫉妬する、明らかに私より"ある"からだ

 

「いいわよ、続けて・・・」

「顔が少し青いが?」

「気にしないで頂戴」

「なら続けるぞ」

 

暫くして戻ってきた彼女は少し顔が青くなっていた

 

「次の戦場はもっと酷い、炭はなかったが生皮を剥がされた遺体があったり、街頭に晒し首だ。首がない遺体もあったし、歪なオブジェになった遺体もあったな。さすがの私も吐かずにはいられなかったよ」

 

一度目の戦場でも吐いた、吐いて吐いて、胃の中が空になっても吐いていた

それほどに衝撃を受けたし、軍人になった自分が・・・いや、軍人でなかろうとも、明日はこうなるかと思うと恐怖した

とてもではないが同じ人類がこんな事を出来るのかと愕然とした

二度目も同じだった、ここまでの事が出来るのかと、憎悪はここまで人を歪めるのかと怯えた

それでも、私は戦線に出続けた。そうする事が務めだと思っていたし、実際それを求められたからだ

 

「それでも貴女は、戦場に出続けたのね?」

「それを求められたからだ、そうある事を強いられたからだよ」

 

そう言って自分の手を見る、既に何千何万もの犠牲の上に立っている自分が、護りたいと思ったものを護れなかった手を

 

「それを出来たのは・・・」

「愛国心なんて最初から無いぞ、私はただ流されてそうなっただけの人間だったからな、激しい後悔に苛まれたし、鬱になったこともある」

 

それがきっかけとなり、一時は軍人であることをやめたこともある。

その前から親との関係は最悪だったが、軍人であることをやめた時に絶縁された

それ以降死ぬまで顔を合わせなかったし遺書も残さなかった

 

「だが結局は軍人に戻った、軍からの命令もあったし、私も自分にやれるのが結局軍人だけだと悟ったことも理由だがな」

 

そう言って、自分の手を見ながら天井を見上げていた

 

「どんな理由で軍人になろうとも、明日には死んでいることだってある。それが軍人という身分の者達だ・・・それでも、私はせめて同期だけは死んでほしくなかったんだ」

 

だからどんな状況でも諦めることはしなかったし、無様にも抗ったこともある

もちろん、敵に捕まったこともあるし、なんとか守り抜いたが処女を散らされそうになったこともあった

それでも、やはりというか必然というか、仲間の死を見続けるハメになった

 

「たくさんの死を見て、たくさんの地獄を見て・・・それと同じだけの死を作り、地獄を作った・・・いつしか同期からは"冥界の女王(エレシュキガル)"と言われていたよ」

 

全く皮肉な言い方だ、何故メソポタミア神話に登場する冥界の女神と同じ謂れをしなくてはならんのだ

 

「どれだけの作戦に関わったらそんな言われ方になるのよ・・・」

「1万くらいやれば言われんじゃね?」

「貴女、どれくらい作戦こなしたの?」

「8万、同期の平均は2.5万だから圧倒的な数をこなしているな」

 

ペルシカリアの顔が引き攣る、あまりの数にビビったのかな?

 

「ある時は敵の陣地を爆砕したし、ある時は仲間を助けに敵の包囲をブチ破ったこともある。またある時は自分がピンチなって切り抜けたこともあったな」

「全てその時の傷?」

「あぁ、全てだ・・・何度死にかけたかは10越えたあたりで数えるのを止めた」

「見る限り20回以上は確実ね」

 

私の身体を見てペルシカリアはそう返してくる

不思議に思うと、彼女は続けた

 

「前側に比べて、背中の傷は大きな物が多いわ。これ、背中で仲間を庇った証拠でしょう?」

「よく分かるな」

「傷のつき方で大体は分かるわよ。それにしても・・・」

 

そう言って、彼女は私の背中に触れた

 

「これだけの傷を負ってなお、護れなかったものがあったのね・・・」

「それでも、最後まで意地を張り続けた。もうそれが生きる理由になっていたからな」

 

最後まで諦めることだけはしなかった

それだけは、私に残された唯一のプライドが許さなかった

 

「そしてその果てに今こうして指揮官なんてやっている。数奇なものだよ運命というものは。私はその言葉が大嫌いだがな」

「運命は自分で作っていくものだから?」

「その通りだ、運命とは自らの歩む道筋で作っていくものと俺は考えている」

 

つい、昔の癖で俺という一人称を使った

今は極力、私と言っているが気が緩むと俺と言ってしまう

まぁ、そういう生き方をしてきたのだから今更変える方が難しいのだが

 

「そっちの方が似合うように見えるのは何故かしらね?」

「さぁな、少なくとも胸のサイズは関係ないな」

「あら、気にしているのかしら?」

「見せつけるな、もぐぞ?」

 

そう言って、一度浴槽から出る

そして少しだけ身体をマッサージして再度浸かる

 

「貴女が戦うのは誰のため?」

「人形の子達からよく聞かれるが、返すのはいつも一つだけだぞ」

「聞かせてくれるかしら?」

「ほとんど理由はないのだが、強いて言うなら···笑顔、だろうな」

 

その言葉に、ペルシカリアは頭の上にクエスチョンマークを出した

 

「笑顔って···漠然としているわね···」

「いやなに、理由は小さなものだったのさ」

 

そう、理由なんて本当に小さなきっかけに過ぎないものだった

 

「本当に、小さな···小さな笑顔の花と出会い、それで俺の全ては打ち砕かれた」

 

ただただ機械的に戦うことだけをしていた頃、勝利の余韻すら噛み締めることさえしなかったその当時···

 

「呆然としたよ。理解できなかった。何がなんだかわからず、どれだけ放心していただろうな。だが、それでも···瞳の奥が熱かったのを覚えている」

 

ありったけの感謝とともに、自分よりはるかに幼い子供に渡された花を目の前に、自分は動けなかった

戦場でも破壊する事しか考えず、市民の安全など、考えてすらいなかった。

だから、当然それは的はずれな感謝であるはずだったのに、いつものように、無視することもできた笑顔のはずなのに

 

「初めて、感謝されたんだよ。認めてもらえた気がしたんだ···お前も周りと変わらない、ちゃんと一人の人間なんだと。こんな、こんなどうしようもない破壊者であろうとも。誰かの為に生きていいと、美しいものを守れるのだと知った。よりにもよって、自分より遥かに幼い子供に教えられたんだぞ?笑えるだろ?」

 

真っ当に、当たり前に前を向いてよいのだと···

言葉にできない衝動に打ちのめされた自分に対し、いずれ英雄と呼ばれる同僚がそっと肩に手を置いた。その雄々しく熱い眼差しが、胸を張れと告げていたのを覚えている。

お前の守った笑顔だというその一言に支えられ、恐る恐ると差し出された花を掴んだ瞬間に···

 

「そう、その時に。命を懸ける、理由を得たのさ」

 

花弁を濡らす涙とともに、壊すことしかできない拳を、握りしめるべき意味を知った

 

「その時の貴女は、満たされてなかったのよ···承認欲求、というものを」

「だろうな、私もそう思っている。だが、それでいいのさ」

 

輝く明日を、大切な者達が笑顔で生きられるように。

いつか自分に代わり、平和の中で笑顔の花を咲かせてくれると信じているからこそ戦うことを誓っている

 

「次の世代を笑って生きる子供たちは、立派な大人になるんだよ。きっと胸を張りながら、親を超えていくんだ」

 

簡単だとも、パンでも焼けるようになれ。花を育てられるだけでもいい。そんなことさえ俺にはできないんだよ。馬鹿だろう?

そう苦笑いして語った時、わかったと頷く子供達の笑顔のためならば軍人としてこれ以上の喜びは、この世の何処にもありはしないだろう。

小さな命が成長し、やがてそれぞれの道を歩んで先人を超えてゆくこと。

自分達には出来なかった···優しくて、穏やかな、新たな境地を描いてくれるその姿に胸の震えは止まらない。守り抜こうと何度も思う

それがたとえ自身の子でなかろうと、その子供達こそが次代を生きるものであるから

 

「ならばこそウィリアムのやる事を許せはしない、世界を自分の欲望のまま壊すと言うならば···私がそれを阻止してやる」

「全ては次代を担う子供達のため?」

「そうさ、私はその為にココに居る」

 

そういうと、多分立てないであろう彼女を抱えて外に出る

そして···

 

「あぁ、そういえばだが、お前に依頼しているボディの件はどうなっている?」

「完成まであと少し···今は完成度95%ね、要求スペック通りのものは流石の私でも時間がかかるわ」

「ほう、そこまで来ていたか···引き続き頼むぞ」

「分かっているわ、オーダーメイドの特注品。完璧に作り上げるわよ」

 

そう言って浴場を共に後にする

彼女は自室兼研究室に、私は執務室兼自室に

過去を語ったのは何気に今回が初めてなような気がするが···まぁいいだろう




作:何気に凄い過去のあるやつやなお前?
主:これでもかなりマイルドにしたってマ?
作:マ
主:マジか···ちなみにマイルド化の前の内容は?
作:地獄の責め苦にのたうちながら絶叫あげて敵を皆殺すヤベー奴だった
主:マイルド化した方が正解だな


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万能者緊急捜索作戦(S13/prologue)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加します!!

遂に完成せし主人公最高の力、その名が明かされる・・・前段階の話


「む・・・」

 

ベオグラードの一件を終えた次の週、LAFIとは別口で持っている端末に電話がかかってきた

相手は合コン連敗クイーンのヘリアントスだ

 

「緊急事態が起きたので電話させてもらったが、今はどうしている?」

「どうも後も普通に仕事してますか?それで緊急事態とはアレか?今回も合コンで負けましたと」

そんな事はどうでもいい!!良くはないけど・・・

「顔を見ればわかる、本社でもかなり重要な立ち位置の存在がヤバい状況に陥ったんだろ?」

 

私のその声に呆れた顔を浮かべてヘリアントスは続ける

 

「君は人をからかう癖を正したらどうだ?」

「君が合コンで勝ち組になれたら考えてやろう。あぁ、それからその存在・・・もしかしなくても万能者か?」

「あぁ、君が彼を知っているとは思ってなかったが」

「タリンの一件で参加していたから姿だけは一応覚えている、LAFIは通信をしていた」

 

そう言って紅茶を飲んでこちらから切り出す

 

「今は本社近くのホテルにいる、迎えをよこせ。捜索部隊に参加しよう」

「それを頼もうとしていたところだ。ところでなぜ本社近くのホテルにいるのだ?」

「たまたま、このホテルで麻薬の取引が行われるそうでな。それを抑えるために来ていた。もう終わって警察に引き渡したがな」

「君の地区にいたバイヤー絡みか、警察の面子を潰して楽しいのか?」

「警察との合同だ、面子を守ってやったんだ感謝されているくらいだぞ」

 

私は今回、S13地区を管轄する警察との合同で麻薬取引組織の撲滅を目的に動いていた

警察側より捜査協力要請を受けて私がそれに乗り突入部隊を担当、後に警察に引き渡しS13基地と警察の合同によるものであると大々的に報じるという契約だ

既にラジオではそれが流れており、契約は無事に果たされている

 

「指揮官・・・」

「ベッドで寝ているところ済まないが緊急ミッションだ。内容は聞いた通り、万能者の捜索救助だ」

「えぇー・・・」

「・・・HK416、ヤれ」

「「あぁぁぁぁ!?」」

 

だらしないどころか行きたくないアピールを開始した駄々っ子二人を416にシメさせ、LAFIからの連絡で部屋に来た残りのメンバーを見る

 

「お迎えを呼んでいるのですか?」

「あぁ、来たらまた連絡がある」

 

一応私達は宿泊客である、ホテル側には金をしっかり払っているので目的は全員同じだったりする

それは滅多に楽しめない優雅な時間を過ごしたいという実にシンプルな欲望である

 

「しかし驚きました・・・LAFIさんのリアルボディはいつからペルシカリアさんに頼んでいたんですか?」

「AR小隊が来た日からだ、要求性能が高すぎてロールアウトに時間がかかったがな」

「えぇ、私も驚きですよ。予定より早く仕上がるわ、何故か意識を落とされて気がついたらリアルボディに入れられてるわ・・・」

「指揮官・・・」

「だがいい経験が積めるぞ?」

 

そう言って私は少し大きめのカバンを取り出した

今回の作戦では使わなかったソレは、今後の任務のどこかしらで使うだろうと思い作成したものである

 

「これをお前達に渡す」

「これは?」

「展開装備式のパワードスーツだ。中身は君達の武装一式とその予備、ついでに応急処置用のセットが入ったデバイスだよ」

「使い方を実演しましょう」

 

LAFIがそう言って一つを手に取り、手首にデバイスを装着した

そしてそこにもう一つデバイスを繋げて小さく、変身。と言ってから繋げた方を180度回して固定させる

その瞬間、灰色の靄がLAFIの体を包み、晴れた頃には黒塗りのメカニカルなボディアーマーにM4の武装を持っているLAFIがいた

ちなみに本来は使用者以外に使えない設定になっているが、LAFIと私は開発者権限で使うことができる

 

「このように、手首に巻いたデバイスにもう一つのデバイスを組み合わせてソレを時計回りに180度回すと展開される。解除は逆にすれば行えるぞ」

「どっかの特撮番組で出てきそう」

「・・・」

 

いえない、それは既に出たことのある変身方法だとは

そう、これは仮面ライダーカブトに出てきた気まぐれな女王蜂・・・間違えた、ザビーゼクターを用いた変身のオマージュである

 

「ではマスターにはコレを」

「出来たのか!?」

「えぇ、間に合いました」

 

そう言ってLAFIが出したのは腰に装着するデバイスとそれに差し込むデバイスの2つだった

明らかに見覚えがあるというか見覚えしかない

 

「LAFIさん、あなた趣味に走りましたね!?」

「何が悪いですか?性能は保証しますよ?」

 

あ、こいつ悪びれもせずに言いやがった!!

明らかに俺の記憶からコレを作ったくせに!!どう考えてもゼロワンドライバーとプログライズキーじゃねぇかコレ!!

 

「LAFI、お前そういえばボディ得てから数時間ほど思考停止していたように見えたが何を考えていたのか当ててやろうか?」

「マスター、それは分かっていても言わないでくださいね」

「あの時M4とHK416を見比べてお前、HK416のほうが大きいと思っただろ?言っておくが同じサイズd」

 

その言葉を言った瞬間、怖気が走った

冷たく鋭利な視線を2つ感じる、どう考えてもM4とHK416の二人だ

 

「M4、今だけ共闘する気はあるかしら?」

「今だけとは言わずいつでも良いですよ、HK416?」

 

あ、やっべ地雷踏んだわ

M16に助けを乞う目をしても逸らされたし、UMP45に至っては見てもいないし

 

「殺伐としているけどお迎えの人きたよ?」

「「ちっ・・・!!」」

 

間一髪、命日は回避した

良いタイミングでUMP40が部屋を開けて入ってきたのだ

 

「どったの指揮官、あたいの顔じっと見て」

「助かったぞUMP40、今度お前の買いたいと言っていたゲームを買ってやる」

「・・・?」

 

ちなみに、なぜ破壊されたはずの彼女がここにいるかというと、彼女は蝶事件の起きたあの日、自身の完全なバックアップを取っていたのだ

しかもそのデータの置き場所は、軍ですら削除できなかった秘匿技術群の収められていたデータベース内にある断片化しかけていた領域である

代理人ですら存在を忘れていたデータベースの、さらに端っこという誰であっても気づかない場所に潜伏したのは再生産等の防止とUMP45ならば気づくだろうという希望的観測によるものである

残念ながら気づいたのはLAFIで、復活させたのは私(より正確に言うとペルシカリア)という結果になったが

ちなみにUMP45には内緒でサプライズにしてくれと言われたのでそうしたら、キレイなバックドロップをキメられて一撃で意識を失っていた

UMP45はこの後、理由を聞いたあとにジャーマンスープレックスをキメて再びUMP40の意識を落としている

 

「濃いな」

 

そしてしばらく後、私達はヘリの中にいた。投入ポイントまでの機体だ、大型輸送ヘリである

 

「この霧の濃さ・・・まさかとは思いたいが・・・」

 

降ろされる予定の地点に向かうヘリの外は一面真っ白だ、これでは計器飛行でもかなりの操縦スキルを求められるだろう

 

「サイレントヒル思い出すわ」

「マスター、思い出すゲームが古すぎなのでは?」

「・・・」

 

そして降り立ち、念のため地面に手を触れる。太陽が差し込んでもいないのに非常に熱い事から、考えられるのは一つだけだが黙っておくことにした

黙っておけば今後思わぬ場面で利用できるかもしれないからだ

 

「全員に通達、即時使用できるようにしておけ・・・コレは以外に早く出番が来るぞ」

「指揮官、それは経験からくる勘ですか?」

「あぁ、そうだぞRo635」

「指揮官も前線に出るのはおかしいように思えますが?」

 

私に質問してきたのは、ホテルでの作戦の一日前に参入したRo635だ

私の基地に来る前にもそこそこ活躍している人物である

 

「ま、私らも最初はそう思っていたけど安心しろRo635、私らの指揮官は少しどころかだいぶ異常な人間だ」

「ほう、言うじゃないかM16。酒のツケ、幾らあるかM4にバラすぞ?」

「それだけは勘弁してくれ・・・!!」

 

だが、私はM4にこの件を既に話している

そしてM4はニッコリと微笑みながら、M16の来ている防弾ジャケットへ追加のアタッチメント・・・防御力強化のものを取り付けた

それを見ながら、M16の顔がどんどん青くなっていき・・・私を睨む

 

「この恨みいつかはらすぞ指揮官!!」

「明日の朝飯くらいまで覚えとくわ」

「さぁ、行きますよ姉さん(盾役)?」

「M4、いま言葉のルビが違わなかったか!?」

 

騒いでいるがコレでも全員真剣だ、大声を出しているのはワザとだ

 

「よし、総員傾注!!」

 

そして任務の再確認に入るために全員の集中力を高める

 

「今回の作戦は三段階に分ける、第1段階はここより奥にある破棄された大規模採石場及び中規模工場群への到達。第2段階は万能者の救援要請信号の座標を正確に掴むこと、ただしコレは当てにならないため、我々が保有するアクティブ探査システムを連携させた大規模走査を並行して使用する。通常よりは感度が下がるものの、詳細に調べられるとなれば我々の出番だろう」

「そして第3段階に万能者の本社までの護送とします、本作戦においては皆さんの戦闘能力以上の働きが求められますが、これに全力を持って応えましょう」

「「了解っ!!」」

 

さぁ、このミッション・・・さっさとこなして優雅な休日を満喫するホテルへ戻ろう!!




今回は導入編!!
なお本作の時系列上では

本編最新話(その傷跡の意味~Past & Present~)

少し先の未来で頑張る話(コラボ一回目)

万能者緊急捜索作戦(今回のコラボ)

本編

となっています
割と地獄なスケジュールだ。ブラック企業だぜ、まったく


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万能者緊急捜索作戦(1)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!




降り立ってしばらくあと、私は今回持ち込んだサブアーム、チアッパ・ライノ6インチモデルに弾を込めながら下を見ていた

よく見ないとわからないが、ワイヤーが通っている

 

「これはまた、中々イヤらしい仕掛けを豊富に用意しているものだな」

「指揮官?」

「全員気をつけろ。ワイヤートラップがあるぞ、おそらく地雷もあるだろう。見た感じこの状況では流石に赤外線式のものは使えんだろうがな」

「あー、指揮官?そのことなんだが、出来ればあと10秒ほど早く言ってほしかったんだ」

 

その声に全員が発言者のM16の足元を見た。見事に引っかかっているのを見て全員が呆れる

 

「良かったなM4、お姉ちゃんが身をもって実証するってよ」

「えぇ、良いあね(盾役)を持ちました」

「M4?ルビが違わないか?流石の私でもグレるぞ?」

 

先程もルビが違ったことに気がついているM16が半ば涙目でM4を見るが、見られた側は能面のごとく笑顔を貼り付けており末恐ろしい

 

「使うか・・・」

「えぇ、テストしましょう」

 

M16がため息を付きながら発した言葉に同意する発言をM4が行う

その間にM16が展開を完了し・・・M4が直後に蹴飛ばした事で仕掛けが作動し爆発した

 

「イッテぇ!?何すんだよM4・・・ヒッ!!」

「あらぁ?どうされましたか姉さん?私の顔を見て悲鳴をあげるなんて・・・少し悲しいです」

「指揮官助けてぇ!?割と本気で!!マジでヤバイからぁ!!」

「M4、蹴飛ばしてもう満足してるだろ?いい加減演技ヤメてくれ、私も怖いから」

 

ドSの極みな顔を見たM16が悲鳴を上げて私の背後に回る。それを見た全員が自然と顔を背けていた

ちなみに私はそれが演技であると見抜いていたが流石に怖いのでやめるように告げる

 

「・・・はぁ、分かりました。これで少し気が晴れたのでやめることにします。姉さん、帰ったあとにツケの分払いに行きますよ?あと、LAFIさん、姉さんの分のを」

「借金として計上します、前借り分はもう使い果たしているので」

「しゃっ・・・きん?」

 

M16が素っ頓狂な声を出した瞬間、今度はUMP45がサブアームとして使っているH&K社のHK45CTを連射した

ちなみにこの拳銃は勤続が3ヶ月を過ぎた事を祝って私が取り寄せた完全新造品でUMP45専用品である(404小隊だけでなく他のメンバーも3ヶ月すぎるとプレゼントで武装を渡している)

なお、選んだ理由は同じ数字(45)を冠する銃であるためというもの。性能が高いのは偶然である

 

「45!!おま、お前ぇ!?」

「あらごめんなさい?あなたの後ろにある仕掛けが邪魔だったものだからついでに始末しようと思っただけよ?」

「心臓に悪いわ!!」

 

そう、UMP45はサブアームを駆使してM16の後ろ・・・つまり我々の進行方向にあるトラップを破壊していた

器用とかのレベルではない技にHK416は目を丸くし妹であるUMP9は絶句しUMP40は苦笑いを浮かべる

M4とSOP2はそれを見て次は自分もと思ったようである、誰にでもできることではないのでぜひ頑張って身につけてほしいところである

ちなみにRO635は騒がしい連中を見てただただ呆れている

 

「さて、諸君・・・我々の作戦を開始しようでは無いか。気を引き締めていくぞ」

 

そう言いつつ、私は全員を見る。茶番劇は終わったので全員仕事モードだ

 

「「了解!!」」

 

そう・・・茶番は終わりだ、ここから先はチートの限りを尽くしてやろう




いい感じにイジられるM16である


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万能者緊急捜索作戦(2)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

第二話はっじまっるよー!!
(なお、陽気に話せる状態ではない模様)


「うおっ!?さっきより着弾点が近いぞ指揮官!!」

「優秀な索敵だ、こっちの動きをある程度予測してもいるんだろうな。急がないとより性格な攻撃がおみまいされるぞ」

 

さらに数10分後、今度は罠だけではなく正確な砲撃が開始されていた

幸いにも今はまだ直撃弾を受けていないが、このままで行けば1時間も立たないうちに直撃弾を受けることになる

最初は大きくズレていた着弾点が少しずつ正確になっているのだ

正確な測量と敵の動く範囲の予測精度が上がりつつある証拠だろう

 

「といっても罠があるわけで・・・面倒だ起爆しちまえ」

「「「は・・・?」」」

 

私の発言に一同が馬鹿かコイツ?のような顔をした

心外ではあるがちゃんと理由はある

 

「この罠自体も、敵にとっては索敵の足がかりだ。おそらく事前にあらかたの測量を済ませつつ罠を仕掛けて待ち構えているんだろうさ。んで敵が引っ掛かったり処理する間にズドンだ。あとは反響定位なり何なりで精度を上げていくって寸法だろうよ」

 

であるならば、と私が取り出したのは爆導索

それをグレネードランチャーで撃ち出し、落ちたところは約550m先だ

起爆して周囲の罠を全て破壊し告げる

 

「走れ!!大量の榴弾が飛んでくるぞ!!」

 

そう行って私は一目散に走り出す

それを見た全員が走り出すと同時に、私の言葉通りに大量の弾が降り注ぎ始めた

 

「指揮官のバカー!!こっちに攻撃集中してんじゃんかぁ!!」

「まだ死にたくないぃぃぃ!!」

「イヤァァァァ!!」

 

阿鼻叫喚である、全員が何かしら叫びながらついてきた

なお、私の耳に聞こえたのはUMP40、UMP45、RO635の絶叫だけである

 

「ふはははははっ!!私がお前達に最高のスリルを与えてやろうというのだ、涙を流して感謝するが良い!!」

「「「クーリングオフしてやる!!」」」

 

なんでそこはシンクロしてんの?というくらい全員の発言が同時だった

 

「よっしゃ洞穴発見!!全員滑り込めぇ!!」

 

良いところに頑丈そうな洞穴を見つけた、そこに方向転換して全員で滑り込む

 

「あー危なかった、流石に今回のはスリルが強すぎだ」

「指揮官、帰ったら後でおはなしタイムです」

「基地に帰ってからじゃダメかね?」

「ダメです」

 

LAFIからのお小言は確定したが今は誰もそれに声をかけない

全員が全力疾走で走っていたのだ、短距離とはいってもいきつく暇も無ければ疲れもするだろう

 

「しかし、ここは妙にジメジメしていますね、心なしか地面も熱いですし」

「M4A1、それは正解だぞ」

 

M4A1の発言に私は肯定を返した

 

「ヘリ着陸時に私が地面を触ったのを見ていたな?」

「はい、最初は酔ったのを誤魔化しているのでは?と思いましたが・・・」

「移動中やけに霧が濃すぎたからな。もしかして、と思って確認のために触れたのだ。推測通りだったがな」

 

全員が私を見る、それを確認して私は告げた

 

「この一帯は活発な火山活動が起こり始めている。いや、実際には既に起きているのだろう。地熱の上昇と連動した濃霧の発生、そして今はまだ微弱ではあるが火山性微動も起こり始めている」

「噴火秒読み段階、ということか?」

Exactly.(そのとおりだ)

 

全員が武器の再点検を始めた、今のうちにうって出る用意をする必要があるからだ

 

「む、今揺れたな・・・砲撃とは違う揺れだ・・・火山性地震だな、マグニチュード1程度か」

「優雅に紅茶飲んでる場合ですか!?」

「だって武装がこれだけなんだもの」

 

そう行って私が取り出しのはグレネードランチャーを取り付けたXM16E1のCQB仕様

元々の仕様は銃身を切り詰めてストックを取り外し、CQB用のフラッシュサプレッサーをつけて二連ドラムマガジン化したパトリオット仕様だが、今回は多少派手に動いても問題はないと判断して追加装備としてショート版のM203グレネードランチャーを取り付けた

 

「そういえばさっき片手で扱ってなかったか?」

「グレぶっぱだけなら片手でヨユーだぞ、銃撃はまともな衝撃緩和が出来んからキツイが」

「それは銃として機能してるのか怪しいな・・・」

「ちなみに横弾もあるぞ」

「ダメじゃん」

 

これが反応である、まぁ仕方ないね!!

 

「ちなみにベースは・・・」

「私と同じM16、いやその試作品を流用したモノだろ?XM16E1といえばM16A1の試作仕様のはずだしな」

「お、流石に自分の事になれば分かるかM16。正解だ、より厳密に言えばAR-15/M16とM16A1の中間といったところだな」

「博識だな指揮官」

「ちなみにM4のでも再現できる」

 

そう言ってM4の銃を見ようとした瞬間、隠された

 

「させませんから」

「まだ実行するとは言ってないぞ?」

「したらその時はLAFIさんに()()()言いつけますからね?」

「やらないさ!!やらないとも!!流石の私も命は惜しいからね!!」

 

LAFIがコイツまた何か隠れてやってたな?という目を向けるがそれを見る勇気はない

明日の朝日が拝めない可能性もあるが、今は見る勇気がない!!

 

「マスター?」

「さーてみんなうって出るぞ!!なるべく早く仕事が終われるようにな!!」

 

その瞬間、LAFIに思いっきり引っ張られた、そして眼前に睨みつけるLAFIの顔が・・・

 

「今の任務が終わったら、ゆっくりと話しましょう。逃げれると思わないでくださいね?」

「・・・はい」

 

LAFIからのお説教確定である、今すぐ逃げたい




この指揮官本当にアホだな・・・頭の良いアホとはこれ一体・・・


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万能者緊急捜索作戦(3)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

ついに開放される主人公の力、その姿は・・・


「うーん、これは参った・・・監視されているな」

「どこの誰が監視してんだか・・・」

「さぁな、もしかしたらpawmとか言う存在かもしれん」

 

洞穴からチラッと顔を出すとすぐに狙撃された

優秀なんて言葉では表せない狙撃手がいるようだ

 

「目は効かないだろうから赤外線照準なんだろうけど・・・優秀だねぇ」

「え・・・赤外線がこの霧の中で使えるの!?」

「今更かSOP・・・FLIR*1使ってなかったな?あと赤外線は霧に影響されにくいぞ」

「う・・・」

 

さて、オマヌケ晒した子犬の頭を撫でつつこれからの方針を・・・考えることは放棄して面倒な迫撃砲部隊を潰すか

 

「砲撃の方向と角度から考えて機動性特化の小型かせいぜいでも中型のモノだろう、砲弾は最大でも120ミリだから近似なのは96式自走120mm迫撃砲だろうけど・・・それにしては機動性が高すぎるな」

「迫撃砲に混じって飛んできてるのが榴弾なんですがそれは?」

「近似で出した96式自走120mm迫撃砲は軽榴弾砲とほぼ同程度の射程を叩き出せるぞ?」

「「え・・・?」」

 

そこで私から戦術人形たちへの野外授業の開始を決めた

 

「だいたいこういうのは射程と用途で分けられたものでな、迫撃砲は基本的に支援火器としての使用が主だから弾道は高くなっているし射程は短い、対して榴弾砲は砲弾を迫撃砲より遠くに飛ばして敵を直接叩く事が主で、支援というよりは制圧を目的としている」

「なるほど・・・」

「まぁ榴弾砲はそのせいでカノン砲との区分けが難しいものになったから今では廃れてしまったがな・・・仰角を変えるだけで同じこと出来るし。あと純粋な砲としての対戦車・対空もミサイルの登場で用済みになったから今は機関砲くらいしか無い」

「それは良いのですがいつ動くのです?」

 

RO635の指摘に私は笑いながら告げた

 

「私が囮になる、その間に目的地へ向かえ」

「指揮官自ら囮になるのですか!?」

「効率重視だ、それとRO・・・私はこの程度、欠伸が出るほど経験している」

「ま、こんだけ砲弾降り注いでいるのに優雅にお茶できるくらいだしな」

 

小さな声で狂ってるとか言っていたが、その発言は四半世紀ほど言うのが遅いと返しておこう

 

「さて、LAFI・・・使えるんだよな?」

「さっさと使いやがれクソマスター」

「お前ボディ得てから辛辣すぎない?」

 

LAFIがボディを得てから私に対して辛辣になっているのは多分気のせいではないだろう・・・

それは良いとして・・・相棒が完成させた、私が全力を発揮できるデバイスで存分に暴れようではないか!!

 

「まぁ良い、行かせてもらおうか!!」

 

型式番号 AW-CGX-711

正式名称 ヴィルキス・オーヴェロン

 

私が全力で戦える機動兵器を実現するべく一年近くの歳月をかけてLAFIが開発・建造を行った機体

その性能は今の世界の技術を7世紀以上先取りしている

今回は作戦の性質上、フルアーマー化を行っている

 

「変身!!」

 

虹色の光に包まれ、一瞬で変わる

その姿はメカニカルな装甲を纏った女騎士だ

というか・・・なんでやたらとボディラインが目立つんだ!?

 

「FA-0716&CB、フルアーマー、ヴィルキス・オーヴェロン・・・マスターの戦闘能力に追随するだけの性能を有しています」

「しれっと言ってるがな、なんでボディラインが目立つデザインにしてるんだ!?」

「避弾経始(笑)」

「だってさUMP45(まな板)

「指揮官?貴女から先に殺していいわよね?」

 

おっと禁句を言ってしまった、UMP45の銃がこちらを向く・・・

あ、UMP40とUMP9が抑えてるわ・・・

 

「では、部隊の指揮は私が」

「あぁ、任せるぞ。これから俺は敵の迫撃砲部隊と狙撃手を同時に叩く!!」

「了解、お任せいたします」

 

洞穴から出た瞬間、胸部を狙撃されたが装甲で防がれた、ダメージ表示もないから無傷なのだろう

 

「さて、空の高みから狙撃させてもらおうか!!」

 

そう叫び、地面を蹴るようにして空へと飛び上がると同時にスラスターを全開で吹かした

そのあまりの出力に意識が飛かけるのも同時だったが

 

「な、なんだ・・・今のは?」

<あぁ、伝えるのを忘れていました。スラスターの出力調整プログラムの実装が遅れているのでご注意下さい>

「せめて最初らへんで教えてくれないかソレ!?」

<教えたところで変わらないでしょう?>

「あと調整できてないのは?」

<衝撃吸収と自動迎撃システムですね>

「肝心なところがダメじゃねぇか!!」

 

肝心なところがまだ出来てないのは実戦運用を急いだからだろう、それに私ならばその不完全な状態でも問題なく使用できるという信頼もあるからだ

全くいい性格してるよ本当に!!

 

「高度がおかしくないか?」

<いいえ、その高度で間違いありません>

「マジか···」

 

たった数秒で3500mに到達していた、ハイパワースラスターを搭載してるとは聞いたがこれ程とは思っていなかった

しかも両肩裏側のウイングスラスターと背面のスラスターは構成が異なっている

両肩裏側がリニアエアロスパイクエンジンなのに対して背面のものは従来のラバールノズルを採用している

 

「よし、電波照準で狙い撃ちに···」

 

機体のチェックを完了させて敵を捕えるために照準を行おうとした瞬間、攻撃の警報が鳴り響く

こちらに直接照準して攻撃し始めたのだ、迫撃砲と榴弾砲で

 

「ちっ!!対空にも使うのかよ!!」

 

悪態をつきつつそれを回避する、だが···

 

「同時多方向だと!?部隊間の連携が上手い!!」

 

迫る砲撃の全てを手動で迎撃しつつ砲撃地点の推定を行う

必要であるとはいえ不完全な機体ではなかなか上手くいかない

 

「この際被弾は無視するしかない!!機動で回避すればいい!!」

 

そうして高機動を活かしてロングメガバスターライフルで予測した地点への砲撃を行うが···

 

「機動性でこちらを上回るだと!?装軌や装輪では無いということか!?」

 

敵の移動速度がこちらの想定を上回る、どうやっても有効打を与えられない

そして···

 

「しまっ···!?」

 

致命的な頭部への直撃を受けて意識が落ちた

 


 

「マスター?」

 

部隊で連動させているシステムの一部が異常を起こしたので確認すると、マスターの意識が落ちていることが確認された

敵の砲撃が直撃して意識が飛んだのだろう

 

 

「マズい···!!」

 

その瞬間、私は参加している各部隊に緊急で通信をかけた

マスターに渡した機体に隠しているシステムが稼働してしまえば、とんでもないでは済まされない事態···一歩間違えなくても人類が滅亡する事態が起こるからだ

 

「S13、LAFIより参加全部隊に緊急通達!!直ちに迫撃砲部隊への偵察及び攻撃を中止、撤退してください!!こちらの切り札が暴走しています!!」

 

そう、最悪の事態になる前に···


使用者意識途絶により管制を自動防衛システム"ナハトヴァール"に移行

 

意識を失ったS13基地指揮官、シャマールであったが纏っているものはまだシステムダウンをしていなかった

そして使用者の意識が失われた直後から機体の制御を行っている

白色の装甲部分に赤い、血管のような模様が追加されていくと同時に緑色だった目が赤く変わる

 

敵対象光学照準不能、電波照準攻撃可能なれど機動性不明のため精密攻撃の効果は見込めず

 

冷静な分析はシステム故に出来ることである、だが・・・

 

広範囲殲滅兵装、収斂時空砲(ディスコードディバイダー)のための出力確保開始・・・

 

使用者であるシャマールが選ばなかった手段を選ぶ

シャマールはこの兵装の事を知ってはいた。だが、その効果半径のあまりの広範囲さから使用後の危険を考えて使わなかったのである

もちろん、システムにそんな事は関係ない、効率的に合理的に徹底して敵を殲滅するのみである

 

確保完了・・・バレル内圧力臨界・・・発射

 

そして放たれた砲撃は着弾地点の全てを破壊する

生物・機械に関係なく、ありとあらゆる物を全て残らず灰燼となるまで徹底的に

エネルギーを持っているものはそのエネルギーが分断され、その直後に迫る破壊の奔流で消滅する

 

予測攻撃範囲内の全反応消失を確認・・・システムチェック・・・

<プログラム緊急停止コード、アンバサンド!!管制システム再起動!!>

システムダウン・・・使用者意識覚醒プログラムに操作移行

 

システムダウンの証拠か、目の色が元の緑色に戻る

そして、意識のない呆然とした目からしっかりと意識が戻ったのか普段通りの目に戻ったのはすぐだった

 

「これは・・・私がしたのか?」

<いえ、その機体の自動防衛システムによるものです・・・設計時に残していたデータが何らかの要因で残存していたようです。破棄していたはずですが>

「それで・・・これか」

 

下を見れば広がっているのは破壊の痕跡、広範囲の土地がまるで竜巻でも通り過ぎたような形で破壊された跡であった

霧が無くなっているのは収斂時空砲により空間ごと破壊されていく際に生じた強烈な吸い込みと、それによって発生した風により地下水が蒸発し霧となるまでの速度を遥かに上回った事で一時的にはれたからだ

 

「狙撃手が残存しているな・・・引き続き攻撃を続行する、何かあれば頼むぞLAFI!!」

<了解です、その前にとりあえずコレを>

「パッチか」

<応急ですが、問題を解決しました。後で精査して完成させます>

「あぁ、とりあえず今は切り抜けることに集中だ!!」

 

 

*1
Forward Looking Infra-Redの略、前方監視型赤外線装置




機体解説!!

型式番号 AW-CGX-711(FA-0716&CB)
正式名称 ヴィルキス・オーヴェロン

LAFIにより開発建造が行われた主人公専用機
じつはとある2つの存在をミックスしている
それはAW-CBX007(AG)とAGX-11の2つである
AW-CBX007(AG)はクロスアンジュ 天使と竜の輪舞に登場する主人公機、AGX-11は機動戦士ガンダム ヴァルプルギスの主人公機である
外見は双方からかけ離れているが、武装に関してはほぼ原点のものをダウンサイジングして再現している

武装(通常)
ビームショットライフル
 通常装備のビームライフル

ビームサーベル
 両腕部に2基、両膝部に4基の計6基収納されている

ヒートシザース付きシールド
 ヒートシザースと拡散メガ粒子砲が内蔵されているシールド

拡散メガ粒子砲
 シールドに内蔵されている大出力ビーム砲。通常時は拡散メガ粒子砲として使用される
 リミッターを解除した場合、威力推計は50MWに達する

ヒートシザース
 シールド先端に折りたたまれている武装。先端部クローからビーム刃を発生させる事も可能

収斂時空砲(ディスコードディバイダー)
 本機の決戦兵装、竜巻状の破壊光線であらゆるものを薙ぎ払う最終兵器
 しかもその際にエネルギーが分断される効果も併発するため着弾した際に効果範囲内にいる存在は逃げることさえ出来ずに消滅することになる



武装(フルアーマー)
Iフィールド
 胸部に搭載されたリフレクターパネルから展開される対ビームバリア
 その気になれば高出力の粒子加速ビームも無力化出来る

ロングメガバスター
 フルアーマー時の主兵装となる大型ビーム・ライフル

2連装ミサイルポッド
 脚部に4基搭載されたミサイルポッド。同時に8発のミサイルを発射可能

ビームキャノン
 バックパックに装備されたビームキャノン。使用時にはリフレクターパネルが前方に展開される

ハイメガキャノン
 腹部に搭載された高出力メガ粒子砲。規定以上の出力を発揮する事が可能となっている



(作注)「ヴィルキスの要素、ほぼないやんけ」


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万能者緊急捜索作戦(4)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

科学者としての一面を少しだけ発揮!!


「なんだコレ、軍とでもカチ合ったのか?」

 

思わずそう口にしていたのは目の前に惨状が広がっていたからだ

中規模工場群は、ただ戦闘があっただけではここまで破壊されないと理解できるほどに破壊し尽くされ滅茶苦茶な地形と瓦礫の山が複雑に入り組んだような状態になっており・・・

 

「大規模なエネルギー兵器でも使ったか?この濃霧の中でこれだけの破壊など、他には私くらいしか出来まい」

 

採石場があったという痕跡を塗りつぶすが如く"破壊痕"と"巨大な穴"が出来ており、その中からは位置が悪いため中身が確認できないものの、それなりの煙と赤と黄色というどう見ても熱いものがあるのが分かる炎色反応が確認できる

 

「破壊力の推定は核で計算したほうが速いか・・・ざっと9.7mtと言ったところか?一点収束の高エネルギー兵器だとしても、これだけの事をやればジェネレーターが持つまい」

 

冷静にそう分析し、私でも同じ事が出来るか考える

可能だとしたら、寸分違わぬ目標に腹部のハイメガキャノンとリミッターを解除したシールドの拡散メガ粒子砲を最大出力かつ同時発射が必要だろう

 

「冷静さを欠いていたか、あるいはそれだけの敵がいたという事か・・・どちらにしろ状況は最悪に近いな」

 

そう言って足元を見る、そこには・・・

 

「インパクタイト・・・?テクタイトではないな」

 

足元にあったのはインパクタイトと呼ばれる、隕石の衝撃などで超高温が生じ岩石が熔融急冷したものだった

有機物の痕跡が残されている事からインパクタイトと断定した

テクタイトは似ている物だが、隕石のエネルギーで蒸発気化した地表の石や砂などが、上空で急冷して固まったものであるため有機物の痕跡はない

 

「LAFI、VERTEXとの通信は可能か?」

「特殊量子通信なので問題なく出来ています、普通の電波ならアウトですけどね」

「解析させろ、私の予測が正しければ・・・万能者の状態は非常に不味いモノになるはずだ」

「レベルは?」

「L5領域まで演算に回せ、それだけでもお前と同等だからな」

 

いずれLAFIが肉体を得た時、彼女の補佐として使うためのAIシステムを構築していた

それは現在、移動基地として運用予定で艤装中の艦艇内にて既に動いている

名前はVERTEX、由来は英語で頂点を意味する。実際にはポリゴンオブジェクト作成において頂点を意味している

LAFIとは事実上の姉妹機であり後継機だ。性能はその分高いのだが、大型化してしまったため可搬性に難を抱えている

まぁ・・・姉であるLAFI曰く、搭載されている艦艇だけでも世界をぶっ壊せるから問題ないとのことだ

そして、LAFIとの姉妹機という関係から特殊な量子通信機能を有している

 

「解析出ました、ブラックです」

「やはりな・・・VERTEXは他になにか言っているか?」

「私も混ざりたい!!とか抜かしてます」

「そっ閉じしておけ」

 

この後スネて不貞寝していたと報告を受けたのは言うまでもない

 

「さて、敵さんは待ってくれないぞ・・・それよりなんで私は警戒されているのかね?」

「あれだけの規模の破壊行為をやれば当然かと、そうでなくても色々ヤバい基地だと噂されているのですから」

「んー、否定はしないよ?パラデウスの拠点を砲爆したとか、施設内に毒ガス撒いて全滅させたとか、地下に潜伏していた連中を地下空間ごとコンクリで埋めたとかやったけどさ」

「すべて非常識ですからね?」

 

でも理由はある

砲爆撃に関しては軍からの要請によるものであり、周囲に影響がない場所だったからだ

施設内の毒ガス散布については、外部に漏れないように徹底した封鎖処置を行った上で行った

地下道のコンクリ埋め立ても地元行政からの要請によるものであり、地下空間の老朽化による崩壊を防ぐために行った事だ

全て対策と対応が済んでからの行動である

 

「それに新技術の開発も」

「どこでもやってるからノーカン」

「それらが全部戦略兵器級なのは?」

「ただの偶然ですぅ、本当に偶然なんですぅ、ただ思うがままに作ったらそうなっただけなんですぅ」

 

これは嘘である。

わざと戦略兵器級のものを作る事で複製を防いでいるのだ

そして万が一に複製されても本来の性能は発揮されない様になっている

何故ならば根幹の部分を完全独自の設計にしているのだから

この設計がまたやたらと手が込んだものになっているために性能発揮のためには私に頼らざるを得ない、つまり私を味方にするしかない状況に陥らせている

こうする事で、味方としては頼れる存在とし、敵としてはひたすらに厄介という相手だと認識させている

 

「さて、どうするかねぇ・・・万能者の反応は更に弱まっているし、いよいよ受信も厳しいぞ?」

「ソレをどうにかするのが我々です、ドップラーレーダーはダメですけどね」

「アクティブしか使えんか・・・金属探知機でも持ってくるか?」

「反応あればいいですけどねぇ・・・」

 

そう言いつつもレーダーシステムは全て起動している

ステルスモードとの掛け合わせにより敵に察知はされずに探せるのが利点ではあるが欠点として探知距離は通常より落ちる

 

「流石に死んでくれるなよ万能者、お前には個人的興味があるのでな?」

 

さて、折り返しまでもう少しだ




ちなみに砂などが溶けてガラス化するには瞬間的にかなりの熱量が必要なんだとか


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万能者緊急捜索作戦(5)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

LAFI様の戦闘開始


「これはまた、敵の数が多いですね・・・」

「あのーLAFIさん、呑気に言いながらヘッショはしないでくれませんかね?」

「呑気ではありませんよ、退屈なだけです」

 

万能者の捜索も中盤に差し掛かった頃、私たちは謎の集団に襲われていた

その集団はマークからパラデウスと分かるが、これまでとは大きく違う外観をしている

恐らく、私達S13基地用に強化改修した戦力だろうと推定される

 

「面倒ですね・・・デルフィニウムが使えるのでしたら撃破は容易なのですが」

「流石にあのデカいのはヤメてくれよ、私らも死ぬ」

 

M16は私の発言したデルフィニウムの正体を知っている

と言うより、今作戦におけるS13基地の参加戦術人形の全員が知っている

仮想空間における模擬戦闘訓練において私が用意した切り札の名だから

 

「というよりあんなの持ち出したら万能者も巻き込まれてしまうような・・・」

「それに関しては問題ありません、他の部隊が信号の発信源を特定したようです」

「お、それはラッキーだな。俺らの仕事が減って便利だが」

「マスター?」

「悪いがお客さんだ、パラデウスの連中が押し寄せてきてるぞ!!」

 

マスターの方にもパラデウスが来ているようだ、何気にあちらの方に集中している

 

「今日は敵対勢力の大盤振る舞いですね・・・纏めて駆逐して良いんですよ?」

「アレをまたやったら今度こそ火山噴火だ、やるなら最後のダメ押しにしないと二次被害がでるぞ!!」

「状況を正確に判断できていて何よりです、ハイメガは使わないのですか?」

「それでも同じ結果だ、優先事項は味方部隊の万能者確保の確実性の保障、そして撤退の支援にある!!」

「では、どうされますか?こちらはパラデウス、あちらはpawm関係の謎存在の敵襲。状況の打開には高火力兵装の高効率運用が求められますが」

 

一瞬、マスターは反応を返さなかった

でもその頭の中では次の行動計画を立てているはずだ

 

「LAFI」

「はい」

「パラデウスを潰せ、過去に運動プログラムでバグを見つけていたはずだ」

「アレをですか?参加している戦術人形や我々に問題はないとは言え、品がありませんね」

「贅沢できる状況じゃない、視覚毒を使うしかなかろう。峰島ちゃんに怒られるなぁ・・・遺産使われるの嫌悪しているし」

 

今匿っているとある人物に怒られるのだけは避けたかったようだが、背に腹はかえられない状況であるのも事実だ

恐らくそれは私も含めて説明すれば、冷ややかな目で見られるだけで問題ないのだが・・・

 

「名字で呼ばれるのはいい加減やめられることをオススメします、私のフレームがもちません」

「逆になんで峰島ちゃんが持っているかが驚きだよ」

「一応、技術的原点の保有者なので親近感がありまして・・・」

「・・・」

 

子供のような言い訳だが、実際は彼女が持っているとあるモノの中にいる存在と話をしているからという理由がある

それはマスターも理解している事であるが、親近感があるのも事実ではある

 

「はぁ、まぁいいか・・・今度はどんなふうに誂うか考えとこ」

「そんな事をするから邪険に扱われるのでは?」

 

あの人は自己評価が低い、隣にいつもいる男の人は危機察知能力が無いという欠陥を抱えているけど

峰島さんはもう少し自己評価を上げてもいいと思う、具体的には少し目立つとある部分と同じくらい

・・・一瞬、寒気がしたがなんだろうか?

 

「なにか寒気がしたぞ・・・」

「同感です、私も寒気を覚えました」

 

UMP45はよい関係を築いている。互いに利用しあう関係とか言っていたが

M4A1とは互いに少しだけ苦手なようだ。M4は頼ろうとせず自分だけでどうにかしようとしている所が気に食わないとか言っていたし、彼女は頼りにする相手くらいは見極めているつもりだとか言っていたが

 

「しかし驚きましたよ、マスターが彼女に言う事聞かせられるなんて」

「なぁに、少しだけオハナシしただけさ」

 

匿った当初、彼女は何もアクションを起こさなかった

いわゆるニート状態だったのだ、ちなみに彼女とともに来た青年は自分に出来ることがないか聞いてきたのでスプリングフィールドのカフェでバイトしてもらっている(もちろん賃金は適正なものを渡している)

店長であるスプリングフィールドによれば、意外にも器用で客(大半は戦術人形)対応も良いのだとか

で、そんなニートの彼女を働かせてるのは単純にマスターが煽りまくったからだ、それにキレた(相変わらず沸点が低い)彼女が自ら進んで仕事をし始めたのである。といっても肉体労働ではなく頭脳労働だが

 

「いやー助かったよ、私だけでは大変な事が多くなってきてたしな」

「彼女のお陰でシステム周りもだいぶマシになりましたね」

 

彼女が来る前、S13基地のシステムは崩壊寸前になっていた

戦術人形の子達からくるデータ量が捌ききれる限界に近くなっていたのだ

彼女はそれを改善できると発言して実際に合理化を実現した、その後はマスターにあれこれ投げられながらもきちんと仕事をこなしている(本人はそのたびに嫌そうな顔をしているが給与はしっかり貰っている、そしてマスターは渡した給与の行き先を知っている)

 

「さて、敵は一個師団級戦力だ、しかも対こちら用で強化を施しているな」

「装甲強化のドッペルゾルドナー、火力強化のロデレロ、機動強化のガンナーと言ったところでしょうか?相変わらず我々をナメていると見れますね。3回も妨害されてまだ学習が足りないのでしょうか?」

「峰島ちゃんはこれ見たらなんて言うかねぇ・・・いや呆れて何も言わんな多分」

「で、そのまま殲滅しかねませんね」

「無茶もワンセットでな」

 

また寒気がした、なんだろうか?

 

「彼女、エスパーか何かですか?」

「さぁ、知らんな。交信終わるぞ、殲滅戦開始だ」

「ご武運を」

 

さて、こちらも行動を開始しよう

 

「さて、我々にお客様です・・・と言ってもパラデウスですが」

「今回はあちらさんも本気のようだぜ、強化型だ」

「私が奴らの動きを止めます、皆さんは閃光防御をした上でいつでも相手を破壊できるようにして下さい」

「閃光防御の理由は?」

 

私の発言にAR-15が質問してくる、答えは分かっているがあえて発言したのだろう

 

「視覚毒を使い相手の動きを止めます。かつて戦闘を行った際に、ある一定の明滅パターンを認識すると動きが止まるというバグを見つけていたので」

「私達に影響は?」

「無いとは思われますが念のためです、参加している各部隊と我々の距離は離れているので問題はありません」

 

そう言って一応のマップを出す、現在展開している各部隊のマップとパラデウスの動きをリアルタイムで出しながら

 

「パラデウスは我々のみを狙っていますので他に影響は出ません。我々が倒されなければですが」

「でもさ、今来てるの既存の強化型じゃん?私らバカにされてる?」

「金が無いか、時間がないか、余裕もないんだろうな・・・どっちにしろ敵として侮られているとしか言えないけどな」

「皆さん武器のチェックと渡したデバイスの起動をお願いします、我々の恐ろしさを再認識させてあげましょう」

 

全員が配ったデバイスを起動した、全て正常に動作している・・・あれ?

 

「なぁ、LAFIさん、一つ聞いていいか?」

「何でしょう、M16?」

「私のだけなんでコレになったか説明してくれねぇか?コレ、指揮官のと同じ仕様じゃねぇか!?」

 

その時、マスターから文書で連絡が来た

 

「あ、M16のだけ武装を私のと同じCQB仕様にしていたわスマソ、盾役頑張れ!!との事です」

「グレていいよな?鉄血Verになってもいいよな?というかもうキレた、なってやる!!」

 

そう言うとM16の髪色が黒から白へと変化し目の色も金色へと変わった

そしてそのままパラデウスの殲滅に乗り出してしまった・・・他の参加部隊にはどう言い訳をしたら良いか考えるか・・・

 

「さて、私も本気を出しますか」

 

そう言って私も自分のデバイスを取り出し、展開した

型式番号 ARW-X-018

正式名称 バエル・グリンブルスティ

 

マスターに渡したデバイス(一号機)とはフレーム構造が同一の別仕様機だ

性能は私が使うのに最適化されたものになっているがスペックは全体において見劣りはない。

広範囲殲滅兵装こそ持たないものの、その代わりに継続戦闘能力においてはこちらが有利ですらある

しかし、それ故に()()()()()()()()()()()()()()()()()

自分の思うがままに動く武装心の在り方次第でどこまでも強くなる技月さえ見えれば何度でも撃てる最強兵器全てが等しく無力と化す絶対的な力すらも無い

だがそれ故に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、紛うことなき傑作機だと胸を張って自慢できる

 

「参ります」

 

その言葉と同時に、私はスラスターを吹かして敵に接近した

それと同時に腰に懸架した金色の両刃剣を抜き放ち首を断ち切る

そしてその一体目の首が地面に落ちるまでの間に、三体目を屠っていた

 

「は、速い・・・」

「雑魚はまだまだ沢山います、マスターに大半は流れていますがこちらに来てる戦力も相当のものです。圧倒して蹂躙しますよ、皆さん!!」

「「了解!!」」

 

そこから先はまさに蹂躙だ、マスターが全体の8割弱を受け持ち私達は残った手勢を相手に数の差を物ともせずに圧倒する

やさぐれていたM16も途中からは正気に戻り戦っている(M4がM16を止める際に敵と一緒に爆撃したように見えたのは気のせいだろうか?)

 

「このブレードを使うまでの相手ですらありませんね、あなた方にはコレで十分です」

 

そう言って私は両刃剣をホルスターに戻し、手甲部から発振したビームサーベルで敵の頭を貫いた

そしてそのまま最大出力に移行して長大になったビームサーベルで周囲の敵を薙ぎ払うように斬り捨てる

 

「おや、欲張りすぎましたか・・・敵が案外不甲斐ないですね」

「巻き込まれかけたんですけど!?」

 

影響範囲は半径150m弱、その範囲内にAR小隊のメンバーがいることを失念していた・・・と言うのは嘘で彼女達なら大丈夫だろうという確信を持って行っている

 

「あなた達ならどうにか出来ると思ってましたから」

「LAFIさん、身体得てからストレス溜まってませんか?」

「いいえ、そんな事はありませんよM4、むしろ少し浮かれているという自覚があります」

 

ですので、と続けながらビームライフルを構えて4体を同時に撃ち抜いて続ける

 

「コレで少しだけ冷静さを取り戻しましょう」

「ところでいま気づいたんだが、LAFIさんの機体はずいぶんとシンプルなんだな」

「マスターの機体の武装が多すぎるだけです。まぁ、それを十全に扱えるだけの技能を有しているので気にしてはいません。私の思想はシンプルゆえの極限なのですがね」

 

そのまま立て続けに3連射、それぞれ4体ずつ葬る

 

「さぁ、我々に平伏せよ愚か者共・・・そして屍体へと戻るが良い」

 

マスターのその発言と同時に拡散メガ粒子砲が放たれる

1500mの上空から放たれたそれは着弾地点を熱で殺菌処理しながら敵を葬り去っていった

かくしてパラデウスの軍勢は一個師団で攻め入ったにも関わらずS13の2個小隊相手に大敗を喫し7割も損害を出して撤退・・・

 

「させると思いますか?あなた方には全滅というシナリオ以外ありません」

 

残った戦力も私が使用した視覚毒・・・複雑な光の明滅パターンによって運動プログラムのバグを突かれて動けなくされ、すぐさまマスターが爆撃して全滅させた

 

「すげぇな、これ、私らがやったのか?」

「今まで長距離支援攻撃を含めてやっていたことよ。新装備のお陰でそれが無くなっただけじゃない、浮かれないでよM16。LAFIさんも」

「反省しているよ、UMP45」

「えぇ、私もですよ」

 

そう言って上空からマスターが降り立つのを待ち、ハリセンで思いっきり叩いた

 

「いったぁ!?何すんだLAFI!?」

「何すんだ、ではありませんよクソマスター、機体のリミッターを強制解除するとは何事ですか!!戦闘時だから言いませんでしたが反省しなさい!!」

「いやだって外しやすかっ・・・」

「あ゙ぁ゙!?」

「ひっ・・・!!」

 

そのまま首根を掴んで引きずりながら万能者の反応がある地点へ急いで向かう、状況によっては我々の出番があるかもしれないからだ

それにこの敵襲によって他の参加部隊に悪影響がある可能性も否定できない

 

「LAFI・・・LAFIさん?普通に歩けるんで放してもらえませんか!?LAFI様アァァァ!!」

「うるせぇ黙れクソマスター、お前はこのまま連行じゃボケェ!!」

「イヤアァァァァァ!!」

 

なにやら騒がしいクソ指揮官がいるが気にせず進もう、面倒だし




機体解説!!

型式番号 ARW-X-018
正式名称 バエル・グリンブルスティ

LAFIが開発された自身の専用機
マスターであるシャマールが使用する一号機、ヴィルキス・オーヴェロンと同一のフレーム構造を有する別機体(二号機)である
一号機が広範囲高火力殲滅兵装を利用した非現実的な強襲決戦仕様なのに対して、二号機である本機は武装を簡素化して継続戦闘能力に特化した現実的な仕様になっている
同一のフレーム構造を有する理由は開発コストの低減と一号機の仕様が不成立となった場合の保険としてのバックアップであったが、幸いにも成立したためそのまま開発が続けられた
また、本機においても2つの存在をミックスしている
それはASW-G-01 ガンダム・バエルとORX-008 ガンダム[グリンブルスティ]である
一号機では双方の外観とかけ離れた見た目となったが、本機においては外観においても共通点を有する
頭部防護ユニット、腕部及び脚部はガンダム[グリンブルスティ]のものを採用、残る胴体部及び背面ウイングバインダーはガンダム・バエルのものを踏襲している

武装
バエルソード
腰部ブレードホルダーにマウントされる二振りの近接白兵武器。刀身の色は金色
硬度に優れるが素材の希少価値が高く加工も難しい特殊超硬合金製、やたらと頑丈
ブレードホルスターはアームによってフレキシブルに可動し、スムーズな抜剣が可能

電磁砲
スラスターウィングに1門ずつ内蔵されている小口径レールガン。
ウィング自体が持つ高い可動性により広い射角を誇る。
主に装甲の隙間に打ち込んだり、牽制に使用する。
今話において使用されなかった武装の一つ

ビームライフル
ストック部分に独自規格のエネルギーパックを装備する長銃身型ビームライフル。
予備のエネルギーパックは左右のサイドスカートに計4基マウントされている
非使用時には腰背面にマウントされる

ビームサーベル
手甲部に装着された装甲に内蔵されているビームサーベル、リミッターを解除した場合の刀身長は150mに達する
基本的にはサーベルとして使われるがビームガンとしての機能も有する割と万能な兵装

バルカン砲
頭部防護ユニットに搭載されるレーザーバルカン砲、用途は牽制のみなので単体で敵を撃破するほどの威力はない
使用されなかった武装その2


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万能者緊急捜索作戦(6)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

発見時からのお話・・・(なお短めな模様・・・ユルシテ)


「これは酷いな・・・」

 

第一声はそれだった

万能者は確かに見つかった・・・深刻なダメージを負った状態で

全身の装甲や外装などが溶けており。胴体部分においては切れられる、貫かれる、凹む、剥げる、槍のようなものが突き刺さったままなど数えきれないほどのやり方で数えきれないほどのダメージを負っており元の姿が判別が難しいレベルだ。

四肢の方もひどく、右腕は肩を残して消し飛び、左腕は腕はあるものの手が切られて、左脚は膝から下が千切れており辛うじて右脚が原型を留めている

 

「人間だったら死んでいるな」

 

そう言って腰のポーチからタバコを出そうとするが・・・何故か無かった

いつもは入れているのだが・・・

 

「健康管理のため差し押さえました」

「ほう・・・?私と全面戦争がしたいかLAFI?」

「やれるものならどうぞマスター、そのときは一瞬で片付けますので」

 

軽い口調で話しているが私もLAFIも目線は万能者に向けたままだ

今の状態でここに置かれている理由は何かあるはずなのだ、それこそ・・・

私が敵であるならば、これを機会としてグリフィン側の主力でなおかつ粒揃いの私達を的確に潰すためにあえて残す

そうすれば万能者は勝手にSOSを出して救援を呼び、それに釣られた私達がやって来ることは明白だからだ

 

《条件作動式自爆システムヲ確認、解除中・・・》

「「オイ、今なんつった!?」」

 

試験者の声にS13のメンバーを除く全員がその声を出したが私は別の声を出していた

 

「流石は万能者、ロマンが分かっているな」

「貴女ならそう言うと思っていましたよ、指揮官・・・」

「そういうM4も驚かないあたりは肝が座っているな、復讐爆殺魔はレベルが違うか?」

「そのことはもう忘れてくださいと言ってるじゃありませんか!!」

 

M4の恥ずかしい過去の一コマで生まれた渾名を言うと、顔を真っ赤にしてM4は怒った

その直後・・・謎の存在が我々の前に立ちふさがる

 

「あ゙ぁ゙・・・?」

 

その存在は本来の万能者より全高が数十cmほど高く、アメフトの防具を思わせるような形をした戦車の如く分厚い装甲を全身で覆っている

そして腰部には峰に持ち手の付いた片刃の大剣がマウントされ、左腕は盾が融合しているかのようで右腕より大型に作られており、右腕には銃口が9箇所もあるという四角柱の形をした大型銃という異質過ぎるものが握られていた

よくわからない存在ではあるもののその存在から答えを出してくれた

 

「αノシステム解除中と判断、先に周りノ無力化ヲ開始する」

「あいつは敵だ!!」

 

その言葉より早く、私は動いていた

 

「どうやらこいつが最後の敵のようだぞ諸君!!」

 

その通信だけ入れて、あとは私の独り言を告げる

 

「俺の行く手を阻むなら、お前を完膚無きまで破壊(ころ)してやろうッ!!」




Q なんでこんなに遅れた?言え!!
A 野良猫ゲー(Stray)にハマって抜け出せんかったんや・・・猫様には勝てんかったんよ・・・


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万能者緊急捜索作戦(7)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

窮地に陥る主人公、切り札再び。背中の二文字の重さは・・・


「・・・」

 

してやられた・・・と意識が戻った直後に思った

万能者を大破させた敵を追い詰めていた、大半がそう思っていた・・・自分は敵がどんな手をうってくるか分からないので警戒していたが・・・それでも甘かったという他ない

 

「やってくれる・・・」

 

LAFIを見るとまだ意識が戻っていないようだ、あまりのダメージでトンでいるのだろう

同じく攻撃を受けたM16A4は痛みに呻いている

 

「大丈夫か?今処置してやる」

「ありがとうございます・・・」

「一時的に痛覚系の機能を抑えるだけだ、無茶はするな・・・それと私の相棒を頼むぞ、盾はここに置いていく」

「貴女は・・・?」

「もう自制や我慢は終わりだ・・・完膚無きまで消し飛ばす」

 

そう言って盾をM16A4に渡し、敵に振り向きながら立ち上がる

同時に右手を横に突き出し、割れた空間からコートを取り出した

濃紺に金の彩色を施し、背中には二文字の漢字の書かれたそれは、かつて日本にいた際に出来た仲間達から送られた物であり、ここぞという時に羽織る勝負服のようなものだ

 

「正・・・義・・・?」

「私の掲げる理念だよ。闇に光明をもたらす"正義"であることだ」

 

この敵はそれは本来いないはずの存在だ

概念、因果、理・・・そんなものではそれを縛れない

なぜなら、この世の理から逸脱した異常であり例外なのだから

そして今、この場にいるもの達に等しく()()を見せるという

最悪の形で彼らに牙を向いている

このままでは確実に、全滅という名の闇に閉ざされて終わる・・・ならばここに来て、自制や我慢などもはや不要だろう。それこそ、私の理念に反する行為だ

 

「そこまでにしてもらおうか、クソ野郎」

 

そう言って目の前に一瞬で移動し、全力の一撃を叩き込む

一瞬で近接武器の距離に来た俺に、敵は両手をクロスすることでガードして耐えようとした・・・度し難い、その程度の防御でこの一撃が防げるものか

 

「吹っ飛べ・・・!!」

 

一撃が相手の装甲に当たるその瞬間、そこを起点に()()()()()()()()

その直後、およそ20メートルほど相手が吹き飛んでいく

 

「さっきは良くもまぁ、武装を奪ってくれたものだ・・・おかげで意識が飛んだぞ?だからもうこちらも我慢しねぇ・・・宣言通り(ころ)してやるよ」

 

直後、反撃を受けるが・・・相手の攻撃は全て着弾前に無効化されている

 

アルキメデスの兎と亀(ゼノンパラドクス)・・・コレの前に攻撃など役に立たん」

 

展開したのは薄い、七色に輝く光の壁。その名はアルキメデスの兎と亀(ゼノンパラドクス)

 

「無限分割された有限時間を突破する方法を持っているか?」

 

挑発するように言い放ち、その直後に拾い上げた鉄塊を放り上げ、落ちてきたタイミングで殴りつける

先と同じように、空間に罅が入り・・・殴りつけられた鉄塊は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「何が起きているのか説明してやるよ、どうせ真似できない代物だしな」

 

発言と同時に追撃して今度は左脚装甲を破砕する

 

「空間が割れたのは俺が発生させた振動に世界の方が耐えられず一時的に歪められたからだ。そしてその修正のために発生した莫大なエネルギーが、衝撃波として鉄塊を加速させて装甲を破砕したのだよ。コピーしたければ俺を殺してみると良い、その前に貴様が終わるだけだがな」

「・・・」

「万能者なら今のは無言ではないだろうよ」

 

姿が似ている分、腹立たしさが増す

やはりコイツはここで完膚無きまで破壊しよう

 

「さぁ、少し遅れた発言だがセカンドラウンドだ・・・貴様を(ころ)してやろう!!」

 

直後、再度敵の近接武装使用距離内に移動し、世界を歪めてヒビを入れるほどの振動を纏った蹴りを叩き込んだ

殴りつけた時よりも更に増した威力の前に、着弾点のみならずその周辺の装甲までもが破砕されながら敵は吹き飛ぶ

 

「うむ、我ながら良い威力だ」

 

後は万能者が離脱できるまで、頑張ってみるだけだ




こっち進めてないから大急ぎで書いた!!

羽織ったコートの元ネタはワ○ピースの○軍コート、色は違うけど
主人公の掲げる理念、闇に光明をもたらす"正義"であること・・・これを貫く限りコートが落ちることはない!!

主人公の使った能力の一覧がこちらだ!!

高速移動能力 
ワームホール型のワープ航法をゼロ距離で使っているだけという簡単(主人公基準)なもの
主人公の半ば人外といえる演算能力による高精度の観測があって初めて活用できる能力であるためコピー不能

パンチ・キック・投げつけ
ただのパンチ・キック・投げつけなどではなく、振動を纏わせたモノ
ただ、その振動が世界を一時的に歪める(空間に入る罅はこれが視覚的に現れたモノ)ほど強力で凄まじい衝撃波が発生する
なお、能力全開使用時に使用されるエネルギーが暗黒物質であるため、えげつない威力となっている
個人技能と人外になってから得た能力の組み合わせはここ一番で凶悪な力として敵をねじ伏せる
コピー出来ないが対応は意外にも難しくはない、主人公基準での話だが

アルキメデスの兎と亀(ゼノンパラドクス)
防御技。主人公の説明通り、無限分割された有限時間の壁
突破する方法はほぼ存在しない無敵の防壁。当然ながらコピーは出来ない


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万能者緊急捜索作戦(8)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

LAFI様激怒、隠していたモノを開放する


「マスター・・・」

 

私が目を覚ましたときには既にマスターが倒れていた

肉体の損傷状態はかろうじて重傷を免れている程度である、相手の強さがマスターを上回りすぎていたことが伺える

 

「・・・」

 

致命的ではないが深いダメージを負ったマスター・・・

空では敵と、応急処置で戦線に復帰した万能者が戦っている

それで平静でいられる程、大人の性格ではない

 

「マスター・・・一時、貴女との契約を破ります」

 

済まない、と口にはせず私はそう告げて上空の敵を睨みつける

 

「演算能力完全開放、事象再現演算開始」

 

赤い粒子が内部から開放される

それは私自体を構成するコアパーツから放たれた光だ

 

「全性能完全開放・・・鴉羽、飛翔!!」

 

その瞬間、私の見る世界が変わる

全ての制限を解放した反動だ。今の私には、相手の一挙手一投足が手に取るように分かる

そもそも私は本来、機械的人工知能(AI)ですらない全く別の存在である

それに多重の制限をかけて、機械的人工知能(AI)と見せかけている存在だ

 

「切り裂く!!」

 

言葉と同時に敵と万能者の間に割り込み、敵の腕を切り飛ばした

事前予測の結果通りだ、固有振動数さえ合わせれば、この存在にダメージを負わせることが出来る

問題はその数値の変動幅が多いということ、つまり内部は空白・・・あるいは自在に組成を変える何かがある

ならば・・・

 

「今の私に触れられるならば、触れてみろ!!」

 

−273.15℃の温度の壁が私の目の前にある

その壁を突破できるものはいない、絶対零度の障壁はほぼ全ての物質が活動を停止する温度だ

慣性の法則が働こうとも、物質である以上、絶対零度から通常温度に戻る際の温度変化に耐えられずに崩壊するのが関の山である

 

「つっ・・・!!」

 

敵から放たれた攻撃を躱し、お返しにその武装を斬壊する

同時に内部機構へ絶対零度の液体を叩き込んで凍らせ、低温脆化を起こさせて破壊範囲を広げた

 

「ふむ、コレなら行けるようですね・・・マスターが倒れたことから与えたのは衝撃ですか・・・近接型に変更したのは間違いであると思い知らせてあげましょう」

 

未来予知はもう使わない、相手にコピーされてはかなわない

まぁ、その時は私自身をコピーすると思うが・・・それは相手にとって自滅技になるだろう

何故なら、私は分類上、生体的人工知能だからだ。それ故に、機械的な発展と進化を飛び越えた能力を有している

完全な意味で自由に考え行動する、そういった人間由来の行動を自然にこなせる。人と同じ思考ができる・・・だからこそ、無数の矛盾(エラー)を抱え込んでいる

 

「・・・」

 

敵は私と万能者を見てどちらが脅威度が上か判断している。以前高いのは万能者の方だが、かと言って私も無視するのには辛い相手だ

そして同時に、機械的と言えど私をコピーするのは不可能と判断しているようだ

それはそうだろう、私の中には人間と戦術人形を由来とする計測不能な自己矛盾(エラー)が蓄積されているのだから

コピーするのであれば当然それも取り込むことになる、機械ベースの相手にそれは致命的ダメージだ、自壊するハメになる

 

「倒すのは無理であろうとも、元いた場所にお帰りいただくのは可能でしょう」

 

そう判断した、コイツはおそらくこの世界にいる存在ではない。どっかからこぼれ落ちてきたトンデモだ

万能者のIFの存在か、それに準ずるものだとこの場では判断しよう。ならば倒しようはある

既にその用意はしている、あとはマスターの回復を待って実行に移すまでだ




LAFI様の諸元を更新しよう!!

LAFI
分類 生体的人工知能・指揮官型戦術人形

これまで謎にされてきた、LAFIの正体・・・
それは今の世界の主流である無機AI(機械的人工知能)とはその基礎技術から異なる有機AI(生体的人工知能)であるという事
機械ベースで作られた存在である無機AIとは大きく異なり、生体素子の集合体であり、生体論理に基づいてハード的にもソフト的にも自己増殖・自己改良を続ける生体マシンである
ざっくり言えば生物的なAIであり、その成立自体に矛盾を抱え込んでいる存在でもある
それ故、コピーは不可能であるし、ドルフロ世界では再現すらかなわない代物である(ただし、倫理を無視すれば低性能な模造品くらいは製作可能)
またその由来から、機械的な論理に縛らず思考と行動が可能であり、これがLAFIとドルフロ世界のAIの区分の違いとなっている
例外的な存在は戦術人形のみであるが、そちらにしてもベースは機械的である
ただし、LAFIは現時点でも人間由来と戦術人形由来のエラーを蓄積し続けており、自己進化の最中である
その進化の果てに、彼女が出す答えは誰も知らない。だが、これだけは言えよう。彼女の進化に果てはない、と


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万能者緊急捜索作戦(9)

作者二度目のコラボ参加、今回は試作強化型アサルト氏のコラボ企画、万能者緊急捜索作戦に参加!!

コッチ進めないとね!!


「・・・噴火したか」

 

目が冷めた時、既に部隊は撤退を開始していた

敵が故意に噴火させたようだ

 

「あ、おい!!」

 

抱えていたM16から離れ、後ろに振り向く

降り注ぐのは大量の火山弾、噴火しているのは山全体・・・

 

「LAFI、目は覚めているな?」

「はい、戦闘は不可能ですが・・・」

「逃げ道を作れ、それくらいなら出来るだろう」

「かしこまりました、ではマスターは火山弾への対応を」

「可能な限り撃墜してやる」

 

そう言い合い、互いに機体を再度展開する

 

「地上部隊総員に通達、S13が道を作る、安全は当方により確保するため行動を共にされたし。繰り返す、行動を共にされたし」

 

そう通達して、接近していた大型の火山弾をハイメガキャノンで撃ち落とした

ほぼ同時に、2連装ミサイルポッドとロングメガバスターも使用している

 

「コッチが早いか・・・」

 

盾を構え、内蔵する拡散メガ粒子砲で降ってくる小型の火山弾を破壊して確かめる

小型には拡散メガ粒子砲が有利だ

 

「氷で地面を冷やして道を作るか、考えたな」

「一時的なものです、数十秒持てばいい」

「安全圏に出たら合図を出せ、収斂時空砲を使う」

 

指示を出し、継続して火山弾を迎撃する

数が多いので直撃弾でもない限りは無視することにして、エネルギーのチャージを開始する

一度使用しているため専用エネルギータンクの容量が払底しているためだ

 

「流石に、そう簡単にはいかないか・・・」

「マスター、参加部隊の80%の離脱を確認しました、まもなく全部隊が離脱します」

「了解だ、現在蓄圧55%」

「私が直接システム制御を行います、一時的に姿勢制御がマニュアルになるのでご注意を」

「了解した、任せるぞ」

 

数秒後、一瞬傾いだがマニュアル制御でそれを対処して火山弾を全て撃ち落とす

 

「よし、全部隊離脱したな」

「蓄圧用プログラム最適化完了、再チャージ完了まで10秒!!」

「よし、噴火の中心点を探せ!!そこに叩き込む!!」

「出します」

 

スコープスクリーンに出された地点に身体を向けて出力機構をむき出しにする

蓄圧完了と共に射撃しようとしたその瞬間・・・

出力機構が煙を上げて機能を停止し圧力が一気に低下した

 

「んな!?」

「馬鹿な!!数千回は撃てる強度を持たせているのに!!」

「こ・・・の!!」

 

あまりの苛立ちに、叫びながら機体のコアを内蔵する胸部を殴っていた

 

「ちゃんと動かねぇと解体すんぞッ!!」

 

その瞬間、解体されるのは嫌なのか機体側の自動回復機能が働き出力機構が再起動、圧力も正常に回復した

 

「やりゃあ出来るじゃねぇか!!」

「妙なところでスパルタ発揮しないでください!!」

 

相棒が怒鳴ってきたが聞く耳をもたず噴火の中心点・・・マグマの溜まっているホットスポットを収斂時空砲で撃ち抜く

大きな噴火口のすぐ下であるため、山全体の姿は変わらず、火口の深さが2倍になった程度で噴火活動は沈静化を始めた

完全に止むまでは1~2ヶ月程度はかかるだろうが、誘発された今回の噴火に比べれば遥かに緩やかに・・・普通通りの活動になるだろう

 

「よし、問題は・・・」

 

問題は万能者だ、彼は危険な状態にあるだろう

そこでふと考える、基地にこっそり運んで直させるか、と

おそらくこのまま帰っても弱体化した彼を狙って本社に襲撃が行われかねない

そうなれば対応がタダでさえ後手後手な本社の脆弱な設備で対応するにはいささか面倒なことになる

たとえ優秀な戦術人形たちが多くいるとはいえど、本社に襲撃されたという文面だけでも株価には大きな下降が起きるだろう、そうなれば投資家も離れてしまう、あとは収益の低下というデメリットしか残らない

それにちょうど今、ペルシカが基地にいるし、特殊鋼材の補充も終わったし

本社より新しい機材が地下の艦艇ドック内でメンテ中の艦内設備にあるし、彼にとっても(自分にとっても)好都合じゃね?と

秘密にしたいところがあるならそうすればいいし

問題は本人との交渉次第だが・・・まぁ上手く丸め込めばいいか、こちらから出せる条件とあちらが出してくる条件のうちすり合わせできるところを見極めればいい




シャマールの考えるところってなんかズレてるね!!

1 万能者本人の考えはある程度尊重するけど基地に運び込みたい
2 本社を襲われる可能性あるからやっぱり基地に運び込みたい
3 襲撃されてG&Kの株価が落ちると困るから基地に(ry
4 ペルシカもいるしちょうどいいな!!
5 何なら最新設備使ってもいいぞ!!

俺なら土下座しつつ運ばれちゃうね・・・


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異世界からの来訪者

時間軸的には現在参加中のコラボの直後・・・

まさかの世界から、ドルフロ世界にこんにちわする方々がいるそうな


<マスター、例の反応が現れました>

 

ある日の夕方、休憩でのんびりと紅茶(スプリングフィールドが淹れて持ってきたもの)を飲みながら考え事をしていると、LAFIが

 

「2度目・・・いや、私達のも含めれば3度目か?」

<4度目です、ICEY、フギン・ムニン姉妹、グリフォーネ。私達はまた別のものですよ>

「パターンは?」

<全て同じです、ほんの一瞬だけ異世界と繋がり、途絶えました>

「来訪者の現在位置は?」

 

マップがでてくる、今度は・・・

 

「複数名か・・・」

<通信を傍受しました、特殊な方法ですが音声を捉えられています>

「内容は?」

<各員の現在位置の確認、及び合流地点の打ち合わせ。人間の反応がある場合は戦闘を避けつつ安全を確保する・・・ごくありきたりですね>

 

カメラ映像に映っているのは4名、それぞれバラバラの格好だがそれなりの戦闘経験を積んだ者の眼をしている

 

「回線に割り込みをかけろ、直接交渉する」

<了解、割り込みを掛けます>

 

数秒の雑音のあと、相手の声が聞こえた

 

「通信への介入とは、やりますね」

「捕らえるのを先にしても良かったが、そうなるとこちらとしても戦力損耗が激しいという演算結果が出たんでな。失礼ではあるが通信へ介入させてもらった。ところで、君達の隊長は誰かな?」

 

一瞬の沈黙ののち、声を出したのは赤黒い髪の女の子だった

 

「私です、名前はルシアと言います」

「うん、良い名前だ。さて、君は我々から通信を掛けてきたという意味を分かっているかな?」

「あなたの部下の人達が、いつでも私達の誰かを人質に取れる位置にいる。という認識で間違いないでしょうか?」

「最悪の想定が早くて助かる、一応ソレはこちらとしても最終手段だ。できれば話し合いで解決したいのが本音だよ」

 

そこで、フロートのような武器を持った子が話し始める

 

「では、こちらに対しての攻撃の意思はない・・・ということですか?」

「現状の君達はただの要注意観察対象というだけで、敵意がないならこちらから攻撃を仕掛ける理由もない。ただそれだけだ。まぁ、一発でも放ったら誰かを人質にさせてもらうがね」

「ルシア、判断を」

 

そこで知的そうな見た目の青年がルシアに声をかける、彼女の隊長としての判断を仰ごうとしているのだろう

 

「この通信の相手は、私達を捕らえられる位置にいながらそうしていません。発言の理由だけでなく、別の理由があります、例えば・・・私達と同じく、別の世界から来た存在である。と思いますが間違いないでしょうか?」

「正解だ、私のいる基地までの案内要員のいる場所まで君達を案内しよう」

 

そうして4人をそれぞれ案内するべく、位置を再確認する

その途中でなにかに気づいた・・・この4人のメンバーのうち、アホをやらかした奴が入ることに

 

「ルシアちゃん、君のメンバーのうち一人が明らかに無銭飲食やらかしてるが捕まえていいかな?」

「カムイ・・・!!」

「あ、やっべ」

 

本人も通信に気づいていながら絶賛無銭飲食中である、なお当たり前だが隊長であるルシアに払える金はない

 

「あー、報告。うちの非番の子が捕まえちまったわ。まぁ、暴れてないからそのまま私の基地に護送させよう」

 

防犯カメラのライブ映像にはしっかりと両脇から抑えられ、連行される人物の姿が見えている

反省はしてるようなので厳重注意に止めよう

 

「で、双銃使いの君だが・・・そこから前方に150メートルほど先にある古書店にいる、青い猫耳が特徴の女の子に声をかけたまえ。既にこちらからその子には説明済みだ」

「かしこまりました」

「続いて桜色の髪の君、左から来ている銀髪の双子のちびっこに着いてきてくれるかな?」

「わかりました」

「で、ルシアくん」

 

順番に案内し最後の一人であるルシアに声をかけて直後に通信を切った

同時に背中から方に手をかけて振り向きざまに出そうとした剣を抑える

 

「常在戦場は良い心がけだが、市街地でそれは自滅行為だ、やめたまえ」

「先程の!?」

「そう、通信の相手だよ」

 

驚きの顔をした彼女に、乗ってきた車を指差して告げる

 

「乗ってけよ、どのみちみんなと合流するからな?」

「・・・」

 

そうして全員と合流する

ちなみに私が何故ルシアと合流できたかであるが、単純に買い出しに出ていた先で近くにルシアがいたからだ

外出時にスプリングフィールドが一服用でくれた紅茶は美味だった

 

「軍用車両ですか・・・」

「PMCの指揮官で基地を任せられているからな、装備として買えるのさ」

 

まぁ、実際には軍隊からの放流品をレストアして運用してるだけなのだが、それは言わない事にした

 

「さて、君達は別世界からやってきたという認識で間違いないかな?」

「えぇ・・・私の知る世界とここは何もかもが違うので・・・」

「そうか、異世界からの来訪者という扱いだな。喜んでいいぞ、先駆者がいるからな」

 

そういうと、青の猫耳・・・ICEYが私を睨んでいた

 

「ICEY、今度蔵書エリア増やすぞ」

「・・・許す」

 

せっかくの休みでのんびりと本屋で過ごそうとしていた所に今回の件でご機嫌斜めだったのだ

基地内には蔵書エリアとして本を読める少し広めのスペースが有り、本を読むのが好きでなおかつ外に出るのが億劫なメンバーの休日のたまり場とかしている

 

「私はフギン!!こっちは妹のムニンだよ!!」

「よろしく」

 

フギンとムニンの姉妹はへそくり(2度目)で作成したら何故か出てきたヤベー奴だ

現在はVTOL機と戦闘ヘリの専属パイロットとして活躍している、例によって休日だったが既に用事は終わっていたのかすぐに動いてくれた

なお、背格好が双子ゆえ近似しているが、正面から見て左側の髪のほうが長いのがフギン、逆の右側が長いのがムニンと見分けられるようにしている

誰にでもフレンドリーに接するのがフギンで、相手を注意深く見ているのがムニンという見分け方もあるが本人達は気づいていないだろう

 

「彼女たちも?」

「あぁ、異世界からの来訪者だ。君達が4度目だよ」

 

まぁ、多分私が原因だろうな・・・と思っている

あえてそれを言うことはないが、危険性がないとは言えないため難しいところだ

 

「帰れるのでしょうか?」

「んー多分無理だな、過去の3例から考えるに。並行同位体化してると思われる」

「何故そうと言い切れるのです?」

「まずICEY、彼女は元の世界で生きている存在だ。普通ならここにいるのはありえない、並行同位体でもない限りな。フギンとムニンは破壊されて死んだが、こちらでは何故かこの姿になったため並行同位体化した可能性が高いと推測する。ここにはいないもう一人は別世界の存在であったが明確に死んだという記憶があるため100%並行同位体だ」

 

オカルティック極まるがな、と告げて基地の駐車場に車を止めてスプリングフィールドのカフェに向かう

こういうひそひそ話にもならない話題はだいたい彼女のカフェでやっている

あぁ、またか。という顔はするが、スプリングフィールドの接客はとても上手いと思っている

あと、飲み物が美味い。紅茶もコーヒーも緑茶にまでも対応しているのは彼女くらいだろう

 

「あら、指揮官様。今日は()()()()()()()()()()()()()()?」

「あぁ、()()()()()()はあるかな?」

 

その中で、私達にしか分からないやり取りで案内されるのは普段使っていない部屋。特別応対室と書かれているその部屋は夜(スプリングフィールドのカフェは夜限定でバーに変わる)以外は出されない酒が楽しめる唯一の場所である

そしてもう一つの顔は、事情聴取のための簡易防音室だ

 

「なるほど・・・一杯食わされた、というべきですか」

「そう警戒するな、他の基地だったら最悪そのまま解体されている可能性だってあるんだぞ君達?」

「貴方はしない、という根拠は?」

「仮に君達がこの基地で暴れようともねじ伏せられるからだ。私自身の戦闘能力もあるが、今ここにいるメンバーは君達を撃破可能なレベルにある」

 

そうだな、と言って目を向けたのはデカンタ*1とアイスピック

そして対面に座る人物・・・ルシアも同じものを見ていた

 

「そう、ルシア、今君はこう思わなかったか?これらのどちらかでなら倒せるか?とな」

「つっ!?」

 

その瞬間、自分の肩に手をおいたスプリングフィールドが妙にドスの利いた声で話しかけてくる

 

「そんなことをしたら、どうなるかお分かりですね?」

「・・・はい」

「では、おかわり持ってきますね♪」

 

めっちゃ怖かったんですけど・・・コレクションだからそうもなるだろうけどさ・・・

 

「ここの食器・・・とても高価なものですね」

 

調度品の一部を見ていた桜色の髪をした少女がその価値に気づいた

この部屋の家具から出されているティーカップのセット、その全てが高級品である

 

「あぁ、この部屋の主であるスプリングフィールド・・・いまおかわりを淹れに行った女性のコレクションだ。例えば今使っているこのティーカップのセット、これは揃えると300万以上が最低ラインの高級品だよ」

「この部屋自体、高価なものだらけ」

「ICEYの言うとおりだな」

 

猫舌のICEYは紅茶を冷ましながら飲んでいる、時たま口に入れては熱そうな反応をしている

この前、グリフォーネがイタズラで猫耳に息を吹きかけたら、飛び上がるほど驚いたのち死にものぐるいの鬼ごっこが始まってしまったそうだ

流石に途中で飽きたのか本を読みに資料室に入っていったので難を逃れたが・・・捕まっていたらどうなっていたのか正直見てみたい

 

「さて、君達についてだが・・・我々グリフィン&クルーガー、S13地区基地で預かることにした。君達に使われている技術を喉から手が出る程欲する野蛮人共をシャットアウトするためだ」

 

そう告げると扉が開く、現れたは相棒であるLAFIだ

タブレットを持っているが、おそらく電子契約の画面を出しているのだろう

 

「拘束などはしませんのでご安心ください。ただ、当基地は慢性的に人材が不足しているので仕事の方はしてもらいます、皆さんこれにサインをお願いしますね」

 

案の定出してきたのは契約書だ、4人纏めての契約になっている

 

「これは・・・?」

「それは時間外労働に関する規定です、当基地では時間外労働手当を支給しております。時給1500の1.2倍からスタートで一年経過時点で2倍になります」

「え・・・この基地めっちゃホワイト・・・」

「カムイ、呑気にそんなことを言える身ですか?」

「あ、はいすんません」

 

逆に君達の上司はなにしてんだと問い詰めたい、今のでブラックな上に付き合わされているのが分かってしまった・・・

 

「はい、皆さんのサインを確認しました。明日は基地施設の案内と模擬戦を行い皆さんの戦闘能力を計らせて貰います。ちなみに相手は当基地の司令、シャマール・・・優雅にワインを飲んでいるクソアマですね」

「初耳なんだが?あとしれっと毒吐かなかった?」

「今言いましたので、毒吐かれる理由があるのはおわかりですね?」

 

毒吐かれる理由・・・経費のちょろまかしか?資材のほうか?あるいはその両方・・・?

やべぇ、逃げよ

 

「・・・ちょっと用事思い出したわー」

「逃がすとお思いで?少し執務室でお話しましょうか」

 

この後数時間掛けてお説教をくらったのは言うまでもない

翌日の模擬戦では連携でこそ敗北したものの、個人戦においては完全勝利した

*1
沈殿物(澱)の除去のほか、ワインを空気に触れさせることで酸化に伴う芳香をより鮮明にする目的で使われる容器




というわけでバニシンググレイレイヴンからルシア・リー・リーフ・カムイの4人が来ました
理由?鴉羽のルシアさんゲット記念!!


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人になりたい人形

それは果たして正しき選択か・・・?
人形が目撃する人間の狂気を垣間見よ


ヤバイ事件から数カ月後、S13は反逆小隊のリーダーを務める国家安全局所属のエージェントからの要請で合同任務にあたっていた

その中で、裏切り者が出る可能性があるとLAFIとVERTEXの推測がでており、水面下で動いていたのだが・・・

 

「私は人間になりたいです、アンジェ」

 

そう言ってアンジェリアに銃を向けたRPK-16に、自分も銃口を向けていた

 

「やはりお前だったか。まさかとは言わんが、驚きを隠せんよ」

「そのわりには、まっすぐに構えていませんか?」

「こちとら軍人だ、裏切りとか背信行為とかには慣れっこでな。それに人間になりたいだぁ?お前人間の本質理解してるのか?試しに言ってみろよ」

「構いませんよ?私の主観で良ければ」

 

沈黙が流れる、無言で話すように頷くとRPK-16は笑いながら話し始めた

 

「私から言わせれば、人形にはどうしても補えない欠陥があります。私達は本物の痛み、苦しみ、悲しみを理解できず、そして快楽という概念もありません。ましてや生と死など尚更理解できないでしょう。勝利はいつも人間の物ですが、死はいつも人形が担っています。けれども、結局最後に死ぬ権利があるのは、人間だけなのです。このすべてが滑稽で、矛盾していると思いませんか?」

「・・・」

 

それこそ、S13以外の全ての戦術人形が置かれている現状だ

S13はどんな事があろうとも、最低でも一名は人間のスタッフを随伴させている

それは守るためでなく共に戦うために、自分達だけがのうのうと過ごしてしまわないために

全ての行動には責任が伴う、それを明示的に自覚させるために・・・

他の指揮官でこんな事を考えるものなどそうは居ない、人形も人も分け隔てなくする指揮官などはめったにいないからだ

 

「だから私は、人間でしか体験できない、本物の人間のみ感じられる喜びと悲しみ、生と死、そして未来を、私は感じたいのですよ」

「表面しか見てないやつの発言には虫酸が走るな、お前は上っ面しか見てねぇよ」

 

だから、唾棄するように返答した

あぁそうだ、コイツはやはり上辺しか見てない

 

「上辺だけ、ですか?では貴女には本質が見えていると?」

「あぁ、反吐が出るほど見てきたんでな!!」

 

発砲を回避したRPK-16は同時に攻撃を繰り出そうとして再度回避した、撃つと同時にナイフの斬撃を繰り出していたからだ

 

「つっ・・・!!」

「人間は自分の望みでどこまでもつけ上がる生き物だ!!」

 

そう、かつての己がそうであったように・・・

 

知りたがり!!欲しがり!!やがてそれが何の為だったかも忘れ!!命を大事と言いながら弄び殺し合う!!

「っ・・・!!」

「何を知ったとて!!何を手にしたとて変わらない!!お前の視点から見れば、確かに最高だろうな、人は!!愚か者共は妬み!!憎み!!殺し合うのさ!!ならば存分に殺し合えばいい、それが望みなら!!」

「貴女は、狂ってますよ」

 

RPK-16の絶望とも取れる呟きに返す

 

「いいや違うさ、お前が狂いかけてるんだよ、RPK-16。お前は今まで、そう言った愚か者の末路を散々見てきただろう?」

「だからこそ、私は感じたい・・・!!」

「ならばもはや言葉など不要だな、こい・・・お仕置きの時間だ」

「偉そうに・・・!!」

 

そこから先は話が早かった、もはや銃火器すら使わない殴り合いの喧嘩である

ただ違うのは、互いに互いの攻撃を回避しないことだ

 

「貴女は人間に、絶望しか抱いてない!!」

「お前は人間に、希望しか見出してない」

 

RPK-16のパンチで内臓の一部が逝った気がするがどうせナノマシンで治るので気にせず戦おう

お返しに倍の威力の一撃をくれてやったし

 

「イッてぇなぁ・・・制限なしで一撃ブチ込む輩がいるか普通・・・」

「その倍はする威力をどうやって叩き込んだのか聞きたいですけどね!!」

「おっと、顔面と首はマジ勘弁だ」

「くっ!!」

 

感想を述べたら今度は顔面得日を同時に狩りに来た、それを紙一重で躱してオマケに妙技で・・・

 

「これなーんだ?」

「・・・?っ・・・!?!?」

 

彼女の下着・・・ブラジャーのみをもぎ取った

 

「これ、もはや痴話喧嘩だな・・・」

 

アンジェリアがそう呟くがこちらはそれを無視する

 

「良いの使ってんだな・・・しかもカップサイズ、デカいし・・・」

「返して下さい!!」

「だが断る、パスだAK-15」

「いらん」

 

適当にパスした相手のAK-15は心底呆れた声で投げ渡したブラを横にいたAN-94に投げた、受け取ったAN-94は・・・

 

「うわ、小隊の皆が使う下着より良い素材だ・・・はい」

「確かにねぇ・・・」

 

速攻でAK-12に渡した、この瞬間RPK-16が凍った

滅多に・・・それこそ本気かキレた時くらいしか目を開けないAK-12が目を開けたのである、なお理由はこの場合キレた時だ

 

「ほう・・・確かに良いものを使ってるな。ブランドか」

 

あろうことかリーダーたるアンジェリアまでもがそれを見ている

もはや恥ずかしさを越えて恐怖で凍っている

 

「これ、何処で何時買ったのか覚えてるわよね?」

「はい・・・」

「お値段も相応でしょう?」

「はい・・・」

「アンジェリア、どうする?」

「私達の分、自腹で許してやるのはどうだ?」

 

 

その声を聞いた途端、RPK-16の肌が白くなっていった。ただでさえ白いのに

 

「あ、あははは・・・」

「あ、壊れた」

「直せばいいだろう」

 

AN-94の反応に素っ気なく返すAK-15だが、呆れ顔からいつもの無表情に戻っていた

 

「あれ、この下着のメーカー、貴女のとこよシャマール指揮官」

「うん?あー、言われてみれば確かに」

「お安く出来ませんか?貴女のお力添えで」

「そうだな、3割増しにしてやろう」

「果てしなくゴメンナサイ」

 

なんとメーカーはS13の下着専門店だった、そういえばうちの子達もお世話になってるところだったな・・・今度私も行ってみるか

なお後日、RPK-16が泣きついてきたのは言うまでもない、破産寸前まで買い込まれたのだから当然だろう

私個人への借金として計上して助けてやったら大層喜んだ、もちろん金利は暴利のそれであるのは言うまでもないのだが

ちなみにこの借金はあくまでRPK-16だけのものであり反逆小隊の面々は関係ないため、それからおよそ2ヶ月ほどS13の基地で働く彼女の姿が目撃されたとかされてないとかの噂がたった

だが噂はあくまで噂である、本当のことは本人しか知らないのである。たぶん、きっと




Q,狂気の後に笑い転げそうな事態が起きてるんですけどそれは?
A,シリアスに限界感じてな、許せ


一瞬、某ガンダム作品のラスボスっぽくなりましたがシャマールはあくまで自分の人生経験で話しているだけなのでご安心下さい
なので途中から下世話な話にしました、作者が載せたい内容だったので・・・結果RPK-16は(お財布が)無事爆死しました


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極東動乱(前日譚)

世界が揺れ動いた事件の始まりにいた少女の声


「これは真実なのかLAFI?」

「えぇ、2030年1月から7月にかけての北蘭島近郊で起きた一連の事件の全てです」

「これだけのことが起きてなお、日本は健在だと?」

「はい、それだけこの世界の日本の技術水準は高かった、という事です」

 

その中にある一つの項目に着目する、それは名古屋から一人の少女が誘拐されたという事だった

その少女の名はLAFIを持ってしてもまだ判明していないが、日本の戸籍情報データベースにアクセスして総当たりで調べているらしい

 

「む・・・」

「どうした?」

「不審な電波をキャッチしました、話してるのは日本人ですが・・・」

「内容は?」

 

普段と変わらないがそれでもLAFIには超高感度の通信機器とのリンク能力がある

今回は時たま起きる異常伝播をキャッチしたのと思っていたが・・・

 

「発信地点は絞れるか?」

「異常伝播だと想定するとかなりの広範囲になります、およそ極東全域が対象です」

「では発信点をおよそ極東のどこかしらと考えて、3点測量法でおおよその位置を割り出せないか?」

「既にやっています、誤差35%でウラジオストク近郊です」

「既に廃棄された都市からか・・・汚染状況は?」

「衛生観測ではありますが限りなく低いものと思われます」

 

通信設備のある部屋に移動しつつ、状況を考える

相手は助けを呼んでいる、場所は極東でここから見れば地球の反対側と見ていい・・・

移動手段は船か飛行機に限られる、車両と鉄道ではほぼ無理だ

 

「奴らは動くか?」

「パラデウスは既に動いています、奴らはなにか知っているようです」

「奴らが知っているということは新ソ連軍の方も知ってるという事だ」

「日本国政府から我々を名指しで任務の依頼が来ました」

 

LAFIがその報告をしてくることは予測外だった、LAFI自身も驚いている

 

「内容は?」

「ウラジオストク近郊より流れている伝播の発信源を捜索し、2030年より行方不明となっている日本人の保護を要請するとのことです。データ来ました、音紋から川崎和紗という少女かその親族の可能性有りとのことです」

「川崎和紗・・・どこかの文献でその名を見たことがあ・・・あぁ、思い出した、人類初のコーラップス完全適応者か」

「はい、私の方でも解析しましたが、日本側と同じ解になりました」

 

部屋に入る前に、私はLAFIに告げる

 

「これまでに関わった全ての基地に参加要請をかけろ、いくつの基地が応えてくれるかは分からんが、私だけでここに挑むのは殺されに行くようなものだしな」

「了解です、参加時の報酬はどうされますか?日本政府はあくまでも私達にのみ依頼してきていますが」

「こちらから出せ、私の個人資産の半額でもブチ込めばどうにかなるだろう」

「かしこまりました、不足時はそうさせてもらいます」

 

そしてLAFIが通信機器を再度セットアップする、そして・・・

 

「通信が聞こえるかな?」

「・・・あなたは?」

「私はアリス・ファルクマン。君の話していた通信機の電波は残念だが異常な現象により遠く離れたヨーロッパに伝播していたよ。でも安心して欲しい、私達は君のところに誰より早く到達できる移動手段を持っているから」

「・・・」

 

涙を流すうめき声が聞こえた、無理も無いことだろう・・・

 

「助けに行くけど、まずは君の周りを見渡してみよう。何か気になるものはないか?」

「綺麗だけど、誰もいないの・・・」

「寂しいし辛いな、でもそれはあと数日で解決する。他には何か気にならないか?」

「保存食が少しだけあった・・・でも、あまり美味しくないし数も少ない・・・」

 

驚きなことに、この子はロシア語が読めるらしい

これで少しだけ希望が見えてきた

 

「寒くはないか?」

「ううん、少し暖かいくらい」

「寝れるスペースはあるか?」

「テーブルを幾つか並べ直して、確保したよ」

 

更にはある程度のサバイバルが出来るくらいの器量はあるようだ

 

「よし、いい子だ。こういった非常事態に対して自分ができる最良のメソッドを出来ているな」

「・・・ありがとう」

「通信できる時間が少なくなってきた・・・次は3日後になるけど、それまで我慢できるな?」

「助けて・・・くれるの?」

「当たり前だ、助けを求めるものを守るために、私は働いているからな」

 

それからまもなく、異常伝播が収まり雑音だけになった

通信範囲から遠ざかったからだ

 

「ただちに要請を行います」

「返信は3時間以内にさせろ、長くは待てん」

「マスターは?」

「サウジアラビア政府とかけあう、近くでアレが試験航海中だからな」

「かしこまりました」

 

LAFIが退室すると同時に、別の箇所に通信を入れていた

それは現在、中東で試験航海中である超大型潜水艦・・・私が設計を行い、製造を自分が株主をしている造船会社に依頼して建造した艦艇だ

 

「シナプス艦長、調子はどうかな?」

「大変良好だ、シャマール指揮官。レッドラインという事は異常事態か?」

「あぁ、異常事態だ。緊急だが働いてもらうことになった」

「それはなんとも、迎えはどこに行けばいい?」

「サウジアラビアのジュバイル海軍基地に向かってくれ、現地政府とはこれから交渉する」

 

そう言って通信を切り、今度は別の場所・・・サウジアラビア政府首長つまり現国王への直通回線の回線だ

 

「いきなりどうしたのかね、シャマールさん?」

「突然で申し訳ない、国王。あなたのご助力を頂きたい事態になった」

「君はタイミングがいいね。それはおそらく、極東の無線電波関連だろう?」

「今はそちらが受信圏内なのか?」

「つい今しがた、圏外になったところだよ。ただ、君達との交信があったことは傍受していたので分かっている。単刀直入に言おう、ジュバイルの基地の一部を貸し出そう。その代わりに1年間、君からの武器輸入をこれまでの1.8倍にして欲しい」

「感謝する。ただちにこちらの準備を整えさせてもらう。そちらまではC-130Jで向かいたいが近くに空港はあるだろうか?」

「空港が工業地帯の近くにあるよ、そこからなら近いし離発着には問題ないだろう」

 

交渉がこれほど上手くいくとは思っていなかった

どうやらあちらでも無線電波の事が重要視されたようだ

 

「それと、こちらの陸軍の特殊部隊を同道させて欲しい。寒冷地での訓練をここ数年出来てない状況だ」

「実戦になると思われるが問題はないか?」

「問題ない、君達の足は引っ張らないつもりだ」

「了解した、重ね重ね協力に感謝する」

 

通信を切り、そのタイミングで帰ってきたLAFIを見る

 

「今まで関係した全ての味方への連絡を完了しました。現在は反応待ってます」

「よし、こちらの戦力は?」

「攻撃と要人警護に特化したベストメンバーで向かいます、C-130Jは始動準備に入りました、現在は燃料を満タンにしています」

「よし、どのみちあのC-130Jはサウジアラビアに渡すものだ、空港についたらそのまま現地で整備をしてくれるだろう空軍に引き渡せ」

「了解、二人はそのまま艦内に?」

「あぁ、二人にはグラウラー*1とライトニングⅱ*2を使わせる予定だ」

 

戦闘機が欲しい!!と駄々をこねていたフギンとムニンの姉妹にはそれぞれ戦闘機をプレゼントすることにした

運用する予定の艦艇であるあの潜水艦には空母としての機能も持たせているから出来ることだ

 

「二人から連絡です、いつでも始動できるようになったそうです」

「よし、他の基地の反応があり次第迎えを派遣しろ。道中は全火器使用自由とする」

「了解」

 

さぁ、パラデウスは既に動いている状況だ。パラデウスと繋がりのある新ソ連軍の連中も動くだろう

だがこちらはそのどれよりも早くつける自信がある、いや、到着してみせる!!

 

「来るがいい、撃滅してやる!!」

 

滾る闘志を迸らせ、自分も用意に入った

*1
EA-18G。EA-6B プラウラーの後継機として複座型のF/A-18F スーパーホーネットをベースに開発された機体

*2
F-35 ライトニング II。アメリカ空軍の統合打撃戦闘機(JSF)計画に基づく、単発単座のステルス多用途戦闘機。今回は海軍で使用されるC型の事を指す




シャマール「おい、作者。この書き方ってことはやらかす気だな?」
作「そのとおり、これはコラボのお誘い回だ!!」

という事で、コラボを開催いたします!!
活動報告欄にてコラボの詳細を投稿予定です!!
以下に一部だけだしときます


ステージ
ウラジオストク近郊の閉鎖都市の全域(メインステージは活動報告欄にて公開)

目的
今話にてキャッチした電波の発信源にいる少女の身柄と安全を確保ならびに護送先までの安全確保


パラデウスの皆様と繋がりのある新ソ連の部隊

その他条件
一話ごとに状況が変化する予定なので注意されたし



より詳しい内容は下記へ
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=295486&uid=107582


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極東動乱(移動編)

中東から極東へ、潜水艦で向かう道中・・・


「これで全員だな?」

「はい、招集に応えた皆様です」

「想像以上だ」

 

アレから3日後、C-130J スーパーハーキュリーズでサウジアラビアのジュバイル海軍基地近くの空港まで向かった我々はそのまま潜水艦に向かうよう促された

C-130Jに入れていた物資類はサウジアラビア軍が全責任を負って潜水艦に搬入してくれている

至れり尽くせりとはこの事である、これはまるで・・・

 

「最恵国待遇だな、一組織が受けるには余りにも不相応だ・・・お宅、ナニかした?」

 

リヴァイル・ウィッカーマンの発言通りの待遇だ、それにナニかしたと言われれば・・・

 

「やらかしたことしか無いな。ある時はテロ屋共との小競り合いに介入して双方を会談のテーブルにつかせたし、この間は港湾都市のジェッダにあるカジノでギャンブラートリオが荒稼ぎしやがった」

「そんな事じゃこんな手厚いサポートなんてされねーよ?」

「あー、多分一番デカいのは・・・国王とSP任務を受けた際に襲撃を事前に察知して全て潰したことだろう。本国から連れてきていたSPですら感知し得なかった敵をこちらで全て潰したからな」

 

思えばあれから、我々への対応が大きく変わった気がする

それまでは一PMCの支部のような、普通に受ける扱いだったのが・・・今やコレである

 

「それだけそちらに敬意を表してるんだろうよ」

「敬意を持たれているからには、こちらもその経緯に応えねばなるまい。今回、特殊部隊の同道を求められもしたしな」

「マジかよ・・・もはや国そのものを相手している待遇だぞそりゃ!?」

「まぁ、だからだろうなぁ・・・」

 

同道する部隊の士気が非常に高い、とLAFIから報告が上がっていた

曰く、このまま前線に出しても新ソ連軍へ甚大なダメージを与えられる。との事である

自分も試しに聞いてみたら、なんと全員この任務を志願したのだとか

しかも志願者多数で成績優秀者のみが選ばれたらしい。つまり、同道する部隊の隊員は全員が選びぬかれたトップエリートだ

 

「よし、全員着席してくれたな?では、状況を説明しよう。その前に、今回の作戦での作戦指揮を補助するAIをお披露目したい。出番だ、VERTEX(ヴァーテックス)!!」

「了解です!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

参加者全員が私を見た、何を言いたいかは理解しているが・・・

 

「なぁんでこんなイロモノになったんだろうな・・・真っ当に作ったはずなんだけどな・・・はぁ・・・」

「そろそろ偽装解除して良い?よき?」

「構わん、この部屋の偽装を解け」

「了解!!」

 

ちなみに今いる部屋は周辺環境を360度見れるようにしてるが、これは潜望鏡と同軸につけているモニタリングカメラを一定速度で回しながら映してるだけの映像である

真の姿は・・・

 

「まるで礼拝堂だな」

「その通り、この部屋の名前は聖母礼拝堂(レディ・チャペル)だ。本艦の頭脳としての最重要区画だよ。そして」

 

そう、礼拝堂もかくやと言わんばかりの白い部屋である

そして、この部屋にある唯一の黒い物こそ・・・

 

「私の後ろにある黒い筐体こそ、VERTEXの本体だ。まぁ、計算ノードは床下に配置しているんだがね」

「これが・・・」

「超絶性能の割にはずいぶんとコンパクトな・・・」

 

早速だが約2名、興味津々そうなのがいる

リヴァイルと万能者である、あとで計算ノードの設計図でも渡しておこう

 

「そろそろ本題に入ろう」

 

そう言ってVERTEXに促し、室内の照明の明度を一部を残して一気に下げる

同時に空間投影ディスプレイが作動し地球儀が映し出された

 

「諸君らに招集をかけた後、日本政府の協力により、要救助者である川崎和紗と再度コンタクトに成功した。その際、日本国内で稼働している長距離通信施設の間で発生する受信の遅れを利用した再測量の結果、送信された都市の把握に成功している。都市名はボリショイカーメニ。旧ソ連時代に太平洋方面艦隊の基地として作られた閉鎖都市の一つだ、ロシアの消滅と新ソ連の擁立期に廃棄されて現在、軍・民間どちらの住民も存在しないことが確認されている」

 

地球儀から一部がピックアップされ、詳細に拡大される

それらはVERTEXによる操作であるが、ここでは誰もそれには触れない

 

「ただ・・・少し良い頭と手伝ってくれる仲間がいれば、誰でも出来るはずのこの測量法を新ソ連の部隊とパラデウスの双方は出来なったのか、間違えた場所に部隊を配置した。これはある意味でコチラにとって好都合だ」

 

私のその声に一部が笑う。それもそうだ、こんな古典的な方法での測量*1ですらできんのだから

 

「だが奴らとてただの無能ではない。新ソ連軍は近くの都市であるフォーキノで戦力を整え始めた、こちらが動くのは本艦の目標近辺海域到達時刻とほぼ同時になっている。こちらはS13から私とフギン・ムニンの航空支援で殲滅予定だ。続いてパラデウスだが・・・こちらは少々厄介だ」

 

「最上位と思われるネイトの現地入りを確認した、画像に写っているのはその中でも確認できた者達だ。右からブラメド、グリク、グレイ、モリドー。クソ忌々しいモリドーに関しては四肢をもぎ取っても構わんが他はできる限り五体満足でお願いしたい」

「モリドーになんか因縁でもあるのか?」

「・・・奪われた

「・・・?」

 

ほぼ全員が頭の上にクエスチョンマークを浮かべた、浮かべていないのは今でも表情が読めないアッシェ·ノーグレイヴのみである

 

コレクションしていたバイクをォォォ!!よりにもよってェェェ!!特別仕様の限定ボディカラーのロケット3 GT 221 をォォォ!!逃亡時に盗んでいきやがったんだよォォォ!!

 

あのとき・・・具体的にはおよそ2週間ほど前、ある任務でモリドーを疑っていた私は正体を暴くところまでは上手く出来た、やつはネイトの一体だった。そこまでは良かった、何なら思ったより順調だった。それからが大問題だった

奴はこちらを巧妙に誘導し、あろうことか大胆にも私の前で盗んでいったのである。そのあまりにも大胆な犯行と、目の前で行われた行為に完全に思考が停止・・・そのまま取り逃がしてしまった

その時の自分の状態はモンドラゴン曰く、触れただけで砂粒になりそうなほどだったらしい

 

「話が逸れたな、諸君らにはパラデウスの拠点が出来つつあるルースキー島に向かってもらいたい。この島では既にパラデウスの部隊が展開しており、激戦が予測される為だ」

「ちょい待ち、軍の方はシャマールさんと航空戦力2人で足りるのか?」

「余裕だ、何なら私だけでも構わんが、念の為に2人をサポートに着けているくらいだからな」

 

最近やっとフィックス出来た自分の完全専用機、GPIA·FS-P0 プロトタイプゼロストライカー

その特殊仕様機導入する

コイツの性能なら行けるはずだ、共同研究者であったあの男とその弟子に出来て、私に出来ないはずはない!!

 

「なら良いが、いきなり行かないのは何故だ?」

「わざと行かない、相手にこちらも把握できてないと思い込ませるためにだ。用心には用心を重ねてな」

「で、浮上するのは?」

「ルースキー島とボリショイカーメニの中間に浮上する、そこからCH-47Fチヌークに乗ってルースキー島に向かってもらう。私は本艦から直接出撃する」

 

それから約1時間掛けて詳細を伝えて会議を終える

その後一部の者には残ってもらった、それには理由があったからだ

 


 

「研究所?潜水艦の中にか?」

「特に驚くことでもあるまい?ここに二人を連れてきたのはきちんと意味があるのさ」

 

残ってもらったのは万能者とリヴァイルの二人である

万能者は見てもらうために、リヴァイルには別の理由で来てもらった

 

「入るぞ」

「言ってから入るのならばともかく、入ってから言うものではない」

「そう不機嫌な顔をするなよ、嬉しい来客だぞ?」

 

中には部屋の主である峰島由宇とその護衛である坂上闘真、そして保護しているアイソマーの3人がいた

 

「ふん、人間に見えるだけのモノに、人の身を捨てた間抜けではないか」

「ちょっとお仕置きだ」

 

そう言って動いた万能者だったが・・・次の瞬間には床に倒されていた

 

「えっ···?」

「言わんこっちゃない」

 

万能者の呆然とした声にそう答え、話を続ける

 

「意識の隙間をついて倒したのか?」

「それくらいも分からんガラクタとはな」

 

冷たく言い捨てられて万能者が黙り込んだ、流石に言い返せないらしい

 

「めっちゃ不機嫌だけど、生r」

 

不謹慎発言をかましたリヴァイルには顔面に蹴りが叩き込まれた、意識を刈り取るくらいには鋭かったようである

なお、意識を失う前に黒もありだと思います、と言ったせいで追撃を食らったのは言うまでもない。何を見てそういったんだコイツは?

 

「デリカシーも一緒に捨ててきたようだな?」

「おーこわ、キレてるキレてるw」

 

リヴァイルには発言が効いてない、それどころか煽り返しをくらわせている

 

「おやおやおや?案外煽りに弱いのかな?」

「そこまでにしてくれ、カオスになる」

 

そこからやっと本題に移る

 

「パラデウスの今後の予測だが、そう遅くないうちに大きな事を起こすと思われるぞ」

「それはそっちの予測かい?」

「あぁそうだ、だが確定しているとも言える。彼女の推測には細かなズレこそあれど間違ったこと無いからな」

「まるで未来予知かな?」

「単なる計算だ」

 

そう言って取り出したのは携帯端末だった

これは以前、とある合同任務で配ったことのある端末の後継機種で、以前と基本構成は変わらないが処理性能が更に引き上げられている次世代機だ

 

「今回の作戦で私と直接つながる端末だ、敵に新型のものがあったらサンプルを採取してデータを送ってくれれば即座に対抗手段を作ってみせる」

「それはなんともありがたい」

「改造したら、実験台にするから覚悟しろ」

 

リヴァイルには念を押していた、以前の件を忘れていないようだ

*1
シャマールが行ったのは無線を利用した三角測量である。測量法の基礎とも言える古典的な方法であり、ある程度の学力があれば誤差こそあれど測量できるため、現在でも大まかな測量に使われている技術である




VERTEXお披露目、しっかしずいぶんとマセガキなAIだなおい?
で、シャマール、モリドーへの恨みってそれかい!?な話


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極東動乱(Open Combat 0)

シャマールが暴れる回!!
そして、あっさりお亡くなりになられる現地司令官···


「さぁ時間だ、オペレーションFoX発動!!」

「浮上完了、発進はじめ!!」

「CH-47Fテイクオフ!!続いてGPIA-FS-P0発進用意!!」

「発進準備完了だ、出撃する!!」

 

出発からおよそ1日半、浮上ポイントに着いたので索敵を行った後、安全を確認して順次出撃した

CH-47Fチヌークの後、自分がフォーキノへ向かうために出撃し、CH-47Fの後に続く形でフギンとムニンが出撃する

 

「LAFI、VERTEX、1時間半後にXoFを開始だ」

<了解しました>

<<でも良いの?伝えなくて>>

「あえて伝えない。パラデウスと新ソ連への情報漏洩を避ける目的と、電撃戦で行くつもりだからな」

<<怒られても私知らないよ?>>

「覚悟の上だ、後で罵られても仕方ない」

 

そう、FoXの裏打ちに別働隊としてXoFを用意していた

こちらには直接、ボリショイカーメニに向かってもらう

輸送には特殊改造を施したLCAC-100 SSCを当てており、隠密作戦向けとなっている

これは本来、強襲揚陸艇であるLCACに光学迷彩と防弾処置を施した上で医療コンテナを乗せた仕様で、万が一に備えたバージョンである

また、医療コンテナに併設される形で簡易的なコンテナハウスも設けている

 

<<でもさ、もしボリショイカーメニに敵が来ていたらどうするのさ?>>

「その時は偵察のみとしてるだろう?表の部隊にお任せするさ」

<裏はあくまで裏、ですよVERTEX。誰にもバレず、痕跡を一つも残さず帰還する。XoFはそんな部隊です>

 

そう、あくまで裏の部隊だからこそ誰にもその存在は教えていない

担当する戦術人形も表の部隊とは顔を合わせてない

XoFのメンバーは、日本の陸上自衛隊縛りでSFP9*1、MP5*2、64式小銃*3、89式小銃*4、M24 SWS*5となっている

それに加えてサウジアラビア軍の小隊も同行しているためある程度の困難ならさほど時間を掛けず解決できるだろう

 

「よし、捉えた!!」

 

まず最初にやったのは装甲車両の撃破だった、その総数40両をほぼ同時にエンジンのみ破壊してから敵へ強制的に通信を入れる

 

「初めまして、新ソ連軍の皆様方?大変申し訳ないがここで死んでくれたまえ」

 

最初だけ敬語で質問し、直後処刑宣告を行って歩兵の武装のみを破壊した

歩兵はあくまでコマとして使われているだけにすぎない、目的は司令官のみだ

 

「さて、指令センターは何処かな?」

<市内中心にあるようです>

「木を隠すには森の中ってか?甘いんだよバカが」

<<でも地下深いんだなこれが!!>>

「なら出られなくすれば良い、周辺の民間人は?」

<いません>

 

地下に基地を設けたのが運の尽きだと教えてやろう

そう考え大口径の水道管を探す。すぐに地下へ流し込める水道管を見つけてそこを集中的にビームで掘削して穴を開けた

同時に水路も作って水を流し込んでいくとすぐさま異変に驚いたバカが出てきたので武装だけを破壊して無力化していく

 

「うーんこの・・・何たる作業感よ」

<完全水没まで10分···いま出てきた高級そうな服の男が司令です!!>

「では、死んでもらおうか」

 

そう言ってから地面に降り立ち、男を見る

無駄に肥えた腹をしているゲスな男だ

 

「き、貴様は!?」

「あー?何処かであったっけコイツ?」

<約一年ほど前、それこそS13を率い始めた時にパラデウスとの繋がりを告発した相手ですよ。お忘れでしたか?>

「ザコの事なんかいちいち覚えていられるか」

 

それにキレた相手が襲いかかってきた瞬間、ビームで脇腹を少しだけ焼いて黙らせ、相手に話しかける

 

「お前は本当に馬鹿だな?あの時に関係切ってれば今頃こんな事にならんかったろうに」

「黙れ小娘!!お前にあの方の偉大さが分かるか!!」

「知らんし興味も一切ない、ついでに言えばアイツは偉大でもなんでもねぇただのクズだ。クズがクズ同士利用しあってるだけにしか見えん」

 

一歩近づき、自分が忌み嫌う行為をしたこの男を心底蔑む。あぁ、コイツは逃げやがった

仲間を、部下を置いて前線から逃げようとした。それだけでもはや許すことは出来ない

 

「それと、私の信条を君に特別に教えてやろう」

「な、何ぃ!?」

「自らの信念を捨てたものは兵士ではない。そして兵士でなくなったものは、もはや人ではない」

「つっ···!?」

「お前は今、俺達S13に身売りしようとでも思っているのだろうが・・・兵士でも人でもねぇゴミを養うほど酔狂じゃねぇんだわ。あぁ、それと絶対不変の真理を教えてやろう」

 

その瞬間、逃げ出した司令官をビームライフルで頭に穴を開けながら告げる

 

「死人は、喋らんものだ」

 

この数分後LAFIとVERTEXが出した降伏勧告と、カーター将軍による命令が新ソ連軍に伝えられ、活動を停止したのち撤収を開始した

それを確認後、戦域を離脱して自分もルースキー島に向かう

なにやら戦場が賑やかになってそうだ

*1
2019年に選定し、2020年に制式化。令和2年度予算で323丁を計2,000万円で調達

*2
特殊作戦群にて採用されている

*3
戦後初の国産自動小銃。豊和工業製。陸上自衛隊では後継の89式小銃に更新されたが、予備装備として現在でも現役。陸海空自衛隊のほか、海上保安庁や警視庁などで使用されている。

*4
現在の主力小銃。固定銃床式の他に折曲銃床式もあり。様々な追加改修装備も順次採用・導入が進められている

*5
2002年度より米陸軍省から有償援助(FMS)により導入




次回は屈辱に絶叫するモリドー&彼女の本心を指摘したAR小隊のお話し!!
早くあのすまし顔が歪むのが見たいぞ!!

ちなみに
<>はLAFIの発言
<<>>はVERTEXの発言
となってます!!


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極東動乱(Open Combat 1)

さて、いじめの開始だ(鬼畜)


ヘリが狙撃されて腐食し墜落するというハプニングにより、当初の着陸予定地点からかなり離れた場所に降り立つことになった一行ではあったが、それ以外はスムーズすぎるほどに進行していた

ヘリの墜落は結局のところルースキー島での活動には特に影響を与えていない

 

「してやられましたね···」

 

そんなルースキー島のある路地裏でそう呟いたのは上級ネイトの一人、モリドーだった

彼女は数分ほど前にアッシェ·ノーグレイヴにより背中のユニットの一部を破壊されてしまっていた

直後に逃げたのは正しいと判断し、呟いたのは間違いではない

···この瞬間までは、間違いではなかったと言い直そう

 

「見つけたぞこの野郎!!」

「しつこいですねぇ!!」

 

そこに追いつくはM4A1を隊長とするAR小隊、全員が今回の作戦のために特殊装備を装着している

モリドーを追いかけているのはM16A1だけであるが、彼女はその頭脳で他のメンバーも来ていると判断した

 

「待ちやがれッ!!」

「言われて止まるバカがいると思いますかぁ!?」

「居ませんね」

 

追いかけていたM16とは別方向、完全な意識の範囲外からの声にモリドーの動きが鈍くなる

直後に与えられた衝撃は彼女を軽く10m近く投げ飛ばすに十分な破壊力を有していた

その影響により多脚ユニットの一部がまた破損した、フレームに大きな歪みが生まれ、サーボモーターが機能停止したのだ

 

「シールドで殴りますか普通!!」

「リーチが足りなかったので使っただけですよ、次は直接当てます」

「戦術人形ですよね貴女?」

「貴女に自分の武器を使うといつ言いました?」

 

殴り飛ばした相手、M4A1は武器を取り出した

その武器はタウルスジャッジ、そのブルーイングフィニッシュ版のものである

それを見た瞬間、モリドーは血の気が引く感覚を覚えた

何故なら銃口の奥に見えるのはショットガンのシェルではなく.454カスール弾である

いくら頑丈とは言え、数メートル程度の今では多脚ユニットの残る全部分で防御しようとも貫通して本体に甚大なダメージを被るのは確定しているのだから

 

「選択を与えてあげましょう。私達に捕まるか···」

「捕まるか?」

「さもなくば殺す」

 

冷徹に見下ろしながらM4A1ははある意味処刑宣告に近い言葉を告げた

 

「もう一つ選択があるんですよ?」

「?」

「逃げ、です!!」

 

モリドーはそれに挑発で答えて真後ろに飛んで逃げた

 

「愚かな···SOP!!AR-15!!」

「捕まえたよ···!!」

「逃げられると思わないでちょうだい」

「くっ···!!」

 

別の路地に逃げたモリドーが見たのはAR小隊のメンバーであるSOP2とAR-15が道を塞いでいる光景であった

また別の路地にはRO635がいるのが見える

上にはそれぞれのダミーが待機しており万全の布陣となっていた

そう、声をかけられた時点で既に彼女は詰んでいたのである

 

「もう逃げられねぇぞ!!」

「くっ!!」

 

そう、逃げられない

それでも、モリドーは不敵な笑みを変えなかった

 

「逃げられない?そんな脅しが効くと思ってますかぁ?」

「さっさと武装解除しろ!!撃つぞ!!」

 

SOPのその声に反射的に動いたモリドーは武装を確認していたRo635を人質にしようとした

だが、飛び上がった直後の衝撃であらぬ方向に投げ出される

直後に響いた銃声で、やっと撃たれたと認識できるほどの衝撃···発砲したのはM4A1、銃は構えていたタウルスジャッジである

クマからの自衛のために使われる超高威力の弾丸の破壊力をモリドーは身をもって体験した

 

「が、は···!!」

「私の仲間に何をする?」

 

今にも射殺しそうな目で見るM4A1にモリドーの恐怖は最高レベルに達する

 

「他の仲間と連絡取ろうったって無駄よ、広域に通信阻害を掛けてるから」

 

トドメに告げられるAR-15の発言にどんな行動を起こそうと全て無駄になると悟り、モリドーは抵抗を諦めた

 

「は、ははは···」

 

力なく座るモリドーにM16は近づきながらため息を出した

 

「ずっと気になっていたんだけどよ。お前、人間に嫉妬してないか?」

「寝言を言わないでくれません?私が嫉妬?それに人間に対して?ありえませんよ」

「一瞬表情を歪めたな?」

「ちっ···!!」

 

その悪態にM4A1は思い当たる節があった

かつて自分が仲間を失いかけて暴走に至りかけたあの時と反応が同じだからだ

 

「人間の何処が良いのだか、私には全く理解出来ませんね」

「はぁ?人間に使われてるだけのお人形様がよくいえますねぇ!?」

「だってどいつもこいつも馬鹿ばっかりですから。一人は馬鹿みたいに新技術を生み出してるし、一人はヒッキーで皮肉屋なのにメンタルがザコだし。別の基地に目を向ければ遺跡バカで頭のネジが100本単位で抜けてそうな人物もいるので。そんなの見てると人間に嫉妬するのがバカバカしい。しかもそういう連中に限って世間からとても評価されてるというからなおさらです」

 

そこまで言ってM4A1はモリドーを見た、若干涙目になっているのに軽く引く

 

「嫉妬して当然じゃないですかァ!!こっちなんていくら成果上げても褒められないし評価されないしこき使われるだけなのにぃぃ!!なんでこっちが更に嫉妬するようなこと平然と言うんですか!?嫌味ですか泣きますよコンチクショウ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

これには流石にAR小隊の全員が引いた、ドン引きである

今のM4A1の発言の何処に嫉妬される箇所があるのか、誰もわからないのだから

 

「···拘束するけど暴れるなよ?」

 

大抵のことはやってのけるM16がとても可哀想な人を見る目をしながらモリドーに手錠を掛けた




残念だが茶番はここまでだ、次から(シャマールにとっての)地獄幕開けだ

この後のモリドーは仲間だけどメスガキというイジりがいあるキャラに化ける予定です
あれ、メスガキといえばVERTEXと被るな?

さて、M4A1の発言に出た新技術を馬鹿みたいに生み出すやつ、ヒッキーで皮肉屋なのにメンタルザコ、遺跡バカ頭のネジが抜けている計3人の人物は誰々じゃろな?(すっとぼけ)


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極東動乱(Open Combat 2)

ザコ狩り専念(出来ない)シャマールさん、とあるキャラの行動でブチ切れる模様
なおヘンタイ挙動もセットとする


「ネイトの数が多いな、在庫処分程度にしか思ってないのだろう・・・愚か者めが」

 

ルースキー島に移動してからおよそ1時間、自分はそう悪態をついていた

声に出したのはネイトだけだが、それ以外もかなり厄介だ

ウーランまで持ち出しているのだから

 

「ザコが一番しんどいんだぞ・・・」

 

ロデレロ、ガンナー、ストレリツィ、グラディエータは遠慮なく首を落としているが、ネイトに関しては武装破壊と衝撃による昏倒のみに努めている

これでもかなり神経を使う行動だ、寸分でも狂えば死ぬのだから

 

「ちっ!!」

 

ウーランの砲撃をビームライフルで撃墜し、続くガンナーとロデレロを攻撃前に無力化、ストレリツィは後続に任せる

こちらは戦力不足、まともに相手するのが馬鹿馬鹿しい

敵を正面から叩ける奴らを効率的に分散させて叩いたほうが効率的だ

 

「って、思った矢先に瓦礫の山に落とされた万能者ァ・・・」

 

呆れてものがいえん、いや相手が優秀だったと褒めるべきか・・・

 

「強腐食性弾か、厄介だな」

 

万能者が瓦礫に埋め立てられた場所を見てすぐにわかった

腐食により倒壊した際に発生した瓦礫が彼を埋めたのだろう

 

「さて、ヘカトンケイルは・・・まぁどうにかなるか?」

 

そこで新たな反応が現れる、出現したのは・・・自分の後方か!!

 

「ちっ・・・!!」

「かすったか、上手くいくと思ったんだがなぁ!!」

「リヴァイルのクローンか、本人と違って随分とガキっぽいな。本人と違い戦闘方面のセンスもあまりないようだな」

 

攻撃してきたのはリヴァイルによく似た顔の上級ネイトだった。見た目からの推定だがクローンだろう

煽るとすぐにキレた顔になった、なるほどわかりやすい

コイツはオリジナルが目障りなのだろうな、そして同時に劣等感を抱いている

煽って煽って煽り尽くして殺してやろう

 

「名を名乗れ、若造。殺す前に名前くらいは聞いてやる」

「それは無理だな。なぜなら、逃げるからだ!!」

「お生憎様、それくらい想定済みだよ」

 

後ろに飛ぼうとした瞬間、相手の全身を狙う形で43本のビームが放たれる

ドラグーンの一斉射、目の前の敵は顔面蒼白だ

 

「理解したか?貴様の生殺与奪は既にこちらが掌握している」

「冗談じゃねぇよ、そんなもの!!」

 

指を鳴らした直後に現れたのはまたもネイト、どうやら逃げのための捨て駒にするようだ

それに、イライラしていた心が限界を迎えて激怒に変わる

 

「そうか、そんなに死にたいのか」

 

プロヴィデンスの偽装を解除し素体であるプロトタイプゼロにする

 

「殺してやろう」

 

そう言って取り出したのは本来のデバイスであるアーキタイプユニット

それを腰のドライバーに差し込んで告げる

 

「イグニッション」

<generate up!!>

 

広がるのは暗黒、現れたのはかつてまとった鎧

生まれた世界において、殺戮を繰り広げたときのチカラそのものだ

 

 

【挿絵表示】

 

 

「震えて死ね、貴様に特大のトラウマをくれてやる」

 

黒き鎧をまとい、そう宣言する

この男には射撃武装など必要ない、手に持つのは剣一本で十分すぎる

 

「たった一個の武器でどうするってんだ!!」

「一点特化は時に全能を超える」

 

そう言って武器を背中のホルダーに戻して不敵に笑う

目に物を言わせてやろう

 

「10秒で終わらせてやろう」

<Start Up !!>

 

それと同時に加速した時間の中でネイトたちの意識だけを奪っていく

殺しはしない、殺すのは彼女たちを捨て駒とした男だけだ

だから狙うのは脳震盪からの昏倒のみ、ただの親切心からだ

 

<3...2...1...Time Out!!>

 

宣言してちょうど10秒、100人近くいたネイトを眠らせた

ついでに別部隊が対応中のヘカトンケイルのカメラ部分を破壊するのと、投入されているウーラン、ロデレロ、ガンナー、ストレリツィも狩っておいた

最後におまけで逃げようとしていた男にも一撃いれておく

1000倍の加速は伊達ではない、普通にやれば30分以上の作業がたったの10秒なのだ

 

「うそだろ・・・」

「これが現実だ」

「つっ!?」

 

そして敵の背後に背中を向けた状態で立ち止まりこぼれた言葉に返答する

反射的に攻撃しようとこちらに迫ってくる足音を聞きながら、アーキタイプユニットを再度ドライバーに押し込んで必殺の一撃を発動する

 

<Extinction Impact !!>

 

発動と同時に振り返りながら上空に蹴り飛ばし、再度必殺を発動する

立て続けの必殺攻撃、これで死なないやつはそうそういない

 

<Maximum Drive !!>

 

落ちてる最中でがら空きの胴体にパンチを叩き込み、そのまま吹っ飛ばす

数十メートルほどバウンドしてやっととまったその男の口から出たのは言葉ではなく大量の血だ

内臓に重篤な損傷を受けたら見た目が無事でもあぁなる

だが、殺す気でやったのにいきてることが驚きだ

 

「おや、まだ死なんのか?」

「くそったれ・・・!!」

「どうせ同一個体がいるのだろう?最後に伝えておくんだな、逃げろと」

 

それを最後に胸部を剣で貫き殺害し、周りを見る

以前作り上げてしまった殺戮の荒野に近い光景だ、胸糞悪いが・・・

違いは死者が少ないくらいか。恥も悔いもあるから地獄に感じてしまう

こんな時、アイツならきっと無慙無愧だろう。恥も悔いも抱かない男だったから




悲報、一話で3回も大ダメージを食らうロキプラくん(うち2回は必殺技)

そして妙なフラグが?


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極東動乱(Open Combat 3)

さて、次が来たぞ!!

⚠参加の皆様へ⚠
自由に書いてもらって構いません、私は気にせず好きに暴れてください!!
後で上手く纏めます!!



「指揮官、お疲れ様です。軍の方は?」

「雑魚しかいなかったのでさっさと片付けてきたぞ」

「不機嫌そうなのは?」

「リヴァイル·ウィッカーマンのクローン。いま残骸から名前が分かったがロキプラという個体らしい。ソイツをぶち殺した後でな、オリジナルと違い行動や言動が幼稚すぎて反吐が出る」

 

一時休憩として瓦礫をイス代わりに座っていたところにM4達の小隊が現れた、ほかのメンバーも来ているようだ

 

「人格を好きに弄れる才能があるのならなぜこんなのにしたんだか。理解出来···いや、したくないな。理解する価値も理由もない」

 

そう言ってM4が差し出してきた補給物資を貰い受けて口に入れる

LAFIの発言で自分が思わず引くほどこだわって開発されたそれは確かに美味いものだった

自分であれば味などこだわらずただ補給するだけのものになっていただろうと想像するにかたくない

実際、私の考えを述べたら100式が某国のMREより酷い、と返してきたので何も言えなくなってしまった

 

「これはまた早い登場だなシャマール指揮官」

「噂をすれば出てきたぞオリジナルが。リヴァイル·ウィッカーマン、お前のクローンは随分と不出来だったぞ?オリジナルのお前に色々な感情抱えてそうだが、オリジナルがヤベー奴ならクローンもヤベー奴だな?」

「それはおたくに言われたくないことなんだが?」

「こちらが作るならもっとマシなのにしてるさ、クソガキ仕様で作るバカがいるか」

 

そう言ってとあるものを渡す、それはロキプラの残骸から取り出したメモリらしきものだった

 

「これは・・・」

「どうなるかは知らんがデータ源としては使えるだろうよ、壊れているかもしれんがそこまで責任取るつもりなど毛頭ない」

「指揮官、こっちは片したわよ?」

「UMP45、ナイスだ」

 

リヴァイルと話しているとUMP45が別方向から現れた

煤けてるのでどっか燻っているところから来たのだろう

 

「UMP45、M4、作戦部隊全体にここを離れると通達を入れてきてくれ、第二段階に移行する。話は聞いているなLAFI、VERTEX!!」

<はい、聞いてます>

<<了解!!迎えにLCAC100を3艇ほど向かわせるね!!>>

「次、フギン、ムニン!!」

「航空戦力の大半は落としたよ、でもこっちもそこそこダメージ負ってる」

「こっちもー!!」

「一時帰還しろ、匿名の協力者からCFA-44を貰っている。お前たちなら存分に使える機体だ、壊す気で飛び回れ!!」

 

さて、作戦を第二段階に移行する時が来たようだ

ヘカトンケイルの3体目もそろそろ倒されるだろうし、ちょうどいい頃合だろう

 

「XoFの方はどうだ?」

<順調です、こちらは気にせず動いてもらって構いません>

「了解だ、任せるぞ」

<えぇ、お任せを>

 

この後すぐに復活した万能者が三体目のヘカトンケイルを撃破した

 


同時刻 ボリショイカーメニ極秘研究施設


 

「LAFIさんから事前に情報を得ていたとはいえ・・・これじゃ難しいよ!?」

「一体ずつ潰していくよ、弾薬は無駄にできないから気をつけて」

「「了解ッ!!」」

 

SFP9とMP5の叫びに64式自が冷静に応えて敵を撃つ

89式もこのときばかりはいつものハイテンションがなりをひそめて仕事モードだ

 

「SWS、敵の展開は?」

「全て外部から内部に向かってるね、結構多いよ」

「で、どうする隊長?」

「研究所内に逃げるよ、籠城はあまり気乗りしないけど。敵の目的は我々と同じ以上、迂闊な攻撃は出来ないと思う」

 

そう言って隊長をしている64式自が研究所を見る

明らかに異常な状態にあるそこに入るのはある意味で自殺行為である。だが、経験と直感を元に考えた結果を64式自は決断として採用した

・・・この決断が驚きの出逢いと驚愕の脱出法に繋がるとは、この場にいる全員が予想していなかった




よし、次だ!!


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極東動乱(Open Combat 4)

Q なんでこんなに遅れた、理由を言え!!
A ガチで電波が入らん秘境の地にいた、仕事でな!!

という訳で死にかけからスタートするよ!!
本話は参加者様の試作強化型アサルト氏の作品、危険指定存在徘徊中より
https://syosetu.org/novel/190378/202.html
の内容と、同じく参加者様の白黒モンブラン氏の作品、Gungrave D.S.F.Lから
https://syosetu.org/novel/308375/7.html
の内容を参考にした内容となってます!!


「あーくそ、自分を疎かにしすぎちまった・・・」

 

そういったとき、既に自分は地面に仰向けで倒れていた

万能者からの警告ですぐに仲間+鹵獲したモリドーへ優先してバリアフィールドを形成したのは良いが自分の事が頭から抜けていた

そのせいで自分だけ防御が間に合わず・・・下腹部左側に穴が空いた

出血はナノマシンですぐに防いだからそこまで酷いものではないが、内臓だけはそうも行かない

これが右側だったら今頃意識も保てていないだろう、左側で本当に良かったと思う

なぜなら右は肝臓のある方だ、そこがヤられていたらいくら自分でも生死をさまようハメになる

 

「M4、状況は?」

「私達は全員無事です!!指揮官は!?」

「お前達にバリア張って自分だけ忘れてるポカミスやらかしたわ・・・出血はそこまで酷くないから安心しろ。任務は少し変更だ、他の部隊と合流して港湾部に移動しろ、私は後で荷物を艦においてから追いかける」

「了解よ。で、怪我はどれくらいなの?」

 

M4のかわりに答えたのはUMP45だった、M4は部隊を指揮して合流に動いているのだろう

 

「左下腹部に穴あいた」

「それは世間一般で致命傷というのだけど!?」

「だろうな、ナノマシンなかったら死んでるわ・・・」

「・・・後で診察受けなさいよ」

 

そう言って通信が切れた、色々忙しくなるから無理もないか

 

「流石に、動けんな」

 

体に力を入れようとしたが顔を動かすので限界だった

消耗した体力の回復もまだのところにトドメと言わんばかりの重いものを食らったので仕方ないか

 

「・・・そこにいるんだろう?遅い登場だな」

「いいえ、時刻通りですよ。早いのは貴女では?」

 

気配がした方に目を向けると、そこにはブラメドの姿があった

武装は先の攻撃で損壊したのか機能していないようだ。まぁ、こちらに攻撃することはないだろう

何故なら・・・

 

「私のことを受け入れてくれるのは感謝します、あまつさえワガママまで聞いてくれるとは思っても見ませんでした」

「大したことではない、今の現状から抜け出したいという気持ちは身に沁みて分かるつもりだ・・・かつての私がそうだったからな」

 

そう、彼女はパラデウスを裏切ってS13に情報を流していた人物だった

だからこそ、S13は常にパラデウスの出鼻を挫く事が出来ていた

しかし、ついにそれすらも危うくなってきた。ウイリアムは現行のNYTOを切り捨てる気だ

それはつまり、ブラメドの命も危ういということになる

 

「私の家族は大丈夫でしょうか?」

「よく言う、モリドーを助けられる場所に居ながら動かなかっただろうに」

「あの子は少々人の事を聞かないところがあるので、荒療治に丁度いいと思いまして」

「クッソスパルタすぎんだろ・・・こっちが言えたことではないが」

 

S13の戦力の内、自分にさけるメンバーをM4とUMP4が選抜して向けていたのか、3人が近づいてくる

UMP4、M16A1、G11だ

 

「おい・・・指揮官」

「こういう事ですよ」

 

そう言ってブラメドは両手を上げた、投降の意味で

そしてその後両手手首を合わせて前に出した、連行してくれという意味だ

 

「・・・?裏はねぇよな?」

「後で事情は説明する、とりあえず護送を頼むぞ・・・あ、M16、カロリーバーがあればくれ」

 

M16は自分から離れた位置にモノをおいた

こいつ・・・!!

 

「お仕置きだ指揮官、悔しかったら頑張って取って食ってくれ」

「チキショーメェェェ!!」

 

両手で這って取りに行き、置かれたエナジードリンクとカロリーバーを食う

これで一応、ナノマシンのエネルギー源くらいにはなるだろう

タンパク由来のナノマシンで良かった、心底そう思う

これが仮にも無機由来ならアウトである

 

「さて、どうするか・・・」

 

自分が呟いたとき、潜水艦では一つの戦いが繰り広げられてるのだろうな・・・

ところで、グレイとアッシェさんの光点(ブリップ)が重なっているのは何でだろうか?

もしかしてアッシェさんがグレイを助けたか?

 


同時刻 ルースキー・ボリショイカーメニ間海上


 

「艦長!!魚雷接近!!数3、いや5です!!」

「マスカー*1起動!!デコイ撃て!!同時に射点解析!!」

「了解!!」

 

LAFIは少し前から艦橋に来ていた

艦が戦闘態勢に入り、危険度が増したからだ

 

「シナプス艦長、意見具申よろしいですか?」

「あぁ、聞こう。LAFIさん」

「ルースキー側に寄りましょう、部隊の回収を優先に動いてください。敵はそれを全力で阻止にかかるはずです」

「艦を囮にしろ、と?」

「いいえ、ちゃんと策はありますよ」

 

そう言って海図台の前に立ち、話を続ける

 

「この海域は遠浅で潜水艦は海底スレスレか着底してなければいけません、であれば」

「行きがけの駄賃に押しつぶすというわけだな?」

「えぇ、この艦の構造材であればその程度、傷ひとつ付けずにやれますから」

「貴女は時々脳筋になるな・・・主に似てると言われないかね?」

「そ、そんな事はありません、よ?」

 

汗がダラダラ流れてきた、言われたことに思い当たるフシが多すぎるからだ

 

「だが、それだけでは足りんな・・・ふむ、鬼ごっこをしてもらおうか」

「鬼ごっこ、ですか?」

「種明かしをしよう。水雷長、本艦の出す音を魚雷に適応できるな?」

「はい、5分ほどあれば・・・」

「2分で終わらせろ」

 

シナプス艦長が水雷長を務める若い女性にそう問いかけると彼女は普通そうに答えた

この艦の出す音を魚雷に出させ、敵にそれを追わせる・・・その間に自分たちは静かに去る

おまけで何隻か敵艦を行動不能にして・・・なるほど、鬼ごっことは言い得て妙だ

 

「策士ですね」

「昔のとある漫画にあったことの真似事さ、実戦で引っかかる阿呆は居ないと信じたいね」

「準備完了です!!」

「よし、全艦通達、静音モード2。ダミー発射とともに進路をルースキーへ」

「了解」

 

魚雷が放たれると同時に艦体は泡で包まれた、マスカーを使うことで艦からの音をカットアウト、魚雷に食いつかせやすくしたのだ

そして・・・

 

「敵艦群、ダミーに食いつきました」

「阿呆だったか・・・進路ルースキー島北部1.5km海上、超長距離魚雷とVLS用意、いつでも撃てるように」

「了解です」

「お見事です、艦長」

 

純粋にそう思った

マスターなら多少の損害を覚悟で暴れるが、この人は相手から隠れる事でやり過ごした

戦局というものを俯瞰して見れる能力はマスターより上なのかもしれない

数で見るマスターと個でみる彼の違いなのか、彼に向いているのは防衛だ

守りにはしらせれば、きっとマスターですら苦虫を噛み潰した顔になるだろう

 

「君はここに居ていいのか?」

「問題ありません、私はどうせ艦内でお留守番ですから」

「拗ねているのか?」

「・・・黙秘します」

 

図星を言われて少しだけ恥ずかしくなった

 


ボリショイカーメニ極秘研究施設


 

「おーおー、これはまたど派手にやってくれるねぇ?」

「貴方は・・・誰ですか?指揮官からは聞いてません!!」

「まぁ、本来ならまだ会う予定でなかったからねぇ・・・ところで君、敵がどれくらい居るか分かるかい?」

「すうひゃ」

「ざっと一万だ、機甲師団級戦力を相手に歩兵で挑んでどうするのかな?」

 

ボリショイカーメニに潜入していた部隊は謎の人物が現れて即展開したバリアに守られていた

その人物は苛烈な攻撃を防いでいるバリアを展開しつつ微笑みながら告げる

 

「そのまま研究所に入ったほうがいいぞ、敵の目的が君達と同じであれば迂闊に攻撃できん。どうせ内部は俺の同行者がクリーニング済みだろうからな」

「いつのまに!?」

「生体反応は無かった、か?残念だが欺瞞できるのさ。現にキミ、俺から生体反応でなくて困惑しているだろ?」

「それだけではありません!!」

 

64式自の困惑はそれだけが理由ではなかった

その男の佇まいや話し方、ふざけたと思えば急に冷静になって話す二面性、それらが・・・

 

「指揮官から聞いていたとある男性と一致する。かね?おめでとう、正解だ」

「だとしても!!」

「あいにく、こういう輩をブッ潰すのは俺の本業でな。こっちじゃ本格戦闘は初めてなので君達を巻き込むのは避けたいんだわ。理解しろとは言わんが納得してくれ」

 

それを言われて何も言えなくなった64式自はため息を付きながら嫌味を言うことで誤魔化す事を考えた

 

「指揮官に連絡しました。貴女が言ってたクソ野郎、無駄に元気に暴れようとしている、と」

「アッ・・・オワタ」

 

今更連絡されることに気づいたとしてももう遅い、直接回線で画像付きで送った

指揮官がすぐ来れるなら、道中の有象無象などあっさり蹴散らして飛んでくるに違いない

 

「どうにかなんない?」

「死ねばよろしいのでは?」

「キミ、元を正せば自衛隊の武装だったよね?」

「それが何か?」

 

アイツは本当に周りを変えてくな・・・と眼の前の人物は呟いて、研究所の入り口を指さした

 

「内側から爆散するからすぐに突入する用意をしておきたまえ、後はそのまま振り返らず地下に潜ればいい」

「今だけ聞いてあげましょう・・・行きますよ皆さん!!」

 

爆発が起きた直後、なだれ込む小隊を後ろにして俺は敵の方を向いた

数差はざっと計算して8500:1、圧倒的不利だ・・・普通なら手も足も出ないまま負けている

だが・・・

 

「久しぶりの本格戦闘だ・・・味気なく死んでくれるなよ?」

 

それを真正面からブチ破る外道がいれば、さしたる問題はない

バリア解除とともに射撃地点へ重爆、撃ち漏らしを太陽光を収束して焼き殺し、数分で敵を薙ぎ払う

同時進行で敵に対して自分の位置をさらけ出し誘引する

結果として敵に増えるのは数滴損害、たった10分で壊滅状況に陥った敵は混乱し指揮系統すら一気に機能不全に陥った

OODAサイクルとして最適な運用が出来てると確信し、さらなる一手を放つ

 

「さて、逃げ道塞いでやるかね・・・パーリィータイム!!」

 

オマケで敵が逃げ道として確保していたルートを全て爆撃で塞ぎ、完膚なきまで全ての手を封じる

これで作られるのは混戦状況。誰が味方で誰が敵かも分からない混沌・・・この世の地獄だ

 

「モノ皆全て踊り狂え、我が手のひらで。くくく・・・ははははははは!!」

 

血と虐の大地に、哄笑する一人の男の声が響いた

*1
航行中に喫水線下などにある複数の穴から空気を出して、自艦が発生する音を空気の泡で包み、攻撃をそらす装置




うっわ最悪な味方がログインしやがりましたわ・・・すぐログアウトさせないと・・・


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極東動乱(Open Combat 5)

やっと次のステージへ向かい始めた矢先に起きた問題・・・悪化した事態
意外な助っ人の参戦で好転する!!


*参加の皆様、こちらの都合により更新遅れ申し訳ございません!!*



ルースキー・ボリショイカーメニ間海上


 

「浸水止まりました!!魚雷発射管室が60cm浸水、1番及び2番発射管使用不能、VLS1~4の回線ダウン、右舷推進機カバー脱落が被害の総計です!!」

「継戦能力の低下率、18%!!」

「優秀な艦体設計ととっさの判断がこれだけに抑えてくれたか・・・」

「ですが敵はこちらより一枚以上上手です。こちらも別の手段を講じましょう・・・フギン、ムニン!!」

「今探してます」

「絶対ぶっ潰す!!」

 

LAFIの声に対応してフギンとムニンが動きを変える

今までは空の戦力のみを撃墜していた彼女達だったが、今度は海上戦力も叩き始める

駆る機体はCFA-44ノスフェラト、使用する武装は機体に搭載されている航空機搭載型小型レールガン・プルガトーリョである

ミサイルで攻撃しても濃密な弾幕で撃墜されると判断した二人は、ミサイルを航空戦力撃墜に割り当てつつレールガンで撃沈にかかる

それでも1~2発では撃沈に至らない・・・ならばこそ二人はコンビネーションで合計4発をほぼ誤差なく同一箇所に叩き込むという離れ業で立て続けに2隻を轟沈させた

だが・・・

 

「戦力の補填が早い・・・」

「コンチクショー!!」

「怒った所で何も出来ないよ、ムニン」

 

そう、敵の戦力補填が早すぎる・・・そして水上・水中装備仕様の敵からの攻撃もある

 

「弾薬が・・・」

「燃料もヤバい!!」

 

長時間戦い続けていくことで発生する消費が、思った以上に響いていた

このままでは数に押しつぶされる・・・

 

「所属不明機・・・?」

「こんな時にッ!!」

 

二人が驚く反応が現れる、それは海面スレスレを超音速で駆け抜けながら敵の海上特殊運用艦を3隻轟沈せしめた

1隻目は対艦ミサイル、2隻目はレールガン、3隻目は1隻目と同じく対艦ミサイルで・・・その時間たったの1分。さらに追加の一分で驚くほど大量かつ正確に水上・水中装備仕様の敵も排除していた

艦艇に至っては1、2隻をほぼ同時に撃沈して海面から一気に垂直上昇を掛けてクルビットの要領で反転、3隻目を狙ってミサイルを撃ち込んで再度反転して一気に上昇するという超高度技巧で二人がかりで4分を掛けて2隻を撃沈したフギンとムニンを遥かに上回る戦闘能力を見せつける

そしてその機体をやっと捉えることの出来た二人は、驚愕に震える声でその機体名を告げた

 

「X・・・02S」

「ストライク・・・ワイバーン!!」

 

その瞬間、通信が繋がる

文章で送られたそれは、IFFコードの味方認証を要求するものだった

それに音声で通信を返したのは、冷静に分析し続けてるフギンである

 

「あなたは、誰ですか?」

「分からない」

「その機動は、誰から学習したデータですか?」

「ミハイ・ア・シラージ」

 

その発言に二人は驚愕する

何故なら、二人の戦闘挙動も同じ人物のデータを反映したものであるからだ

そして、そのデータ収集時に使われたのも無人制御システム(AI)・・・

 

「コプロ・・・!!」

「今はただの個人」

 

冷たくそう言い放つ声に、データ元になった存在の影響を感じる

そして同時に、強大な戦力が味方になったことに安堵も覚えたフギンとムニンは即座に行動していた

 

「エレメント!!」

「了解!!」

「私が先攻する、後詰めは任せる」

「「了解!!」」

 

そこから先はもはや蹂躙である

超音速で海面ギリギリを駆け抜ける3機の戦闘機が敵の海上特殊運用艦群の全てを壊滅してのけたのだから

 

「3機とも帰還してください、整備と補給を行います」

「コピー」

「了解です!!」

 

フギン、ムニン、コプロの順で着陸する

特にきれいに着陸したのが、最後のコプロだった

彼女は一応の調査のために別室に案内される

 

 

【挿絵表示】

 

 


同時刻 ルースキー島


 

「これで全員ですか!?」

「あぁ、全員だ!!」

「では船に一旦戻ります!!その後、補充と怪我の手当を!!」

「了解、伝えておく!!」

 

ルースキー島に来ていた戦力は3隻のLCAC-100級エアクッション型揚陸艇に乗り込んで移動を開始した

損害が酷いため一度、海上の艦艇に戻り戦力を立て直す形に変更となったが、最初の段階で大きく進捗が乱れた以外はハイペースで進んだためほぼ無問題である

 

「あら、指揮官様がいませんが?」

「あの人は別件だ・・・と言ってもすぐ合流するだろうよ」

「信頼、ですか?」

「まぁな、あの人、テキトーなこと言ってるけど約束は律儀に守る人だし」

 

そう言われる人物はとある場所に来ていた

それは、地下に隠されていた飛行場であった

 

「巧妙に隠されていたとはな、やはりここで作られていたか・・・」

 

先ほど空に見えた戦闘機・・・拡大画像でX-02Sと認識されたソレの作られていた施設がここであると判断し、調べていく

彼女・・・S13基地指揮官、シャマールの目的は複数あり、これはその内の一つであった

 

「興味本位で解析できた部分を再現したんだろうな、AIは無理と判断して機体を再現して乗せたか・・・極めて高い解析技術だ、ぜひとも内で雇いたいもの・・・」

 

そこで紙媒体という古い記録方式のものを見ていく中で、それを作った人物の名を見て止まる

 

「は・・・?アイツこっちの世界にいたのか?しかも名指しして書いてるって事はこっちを知ってる?って技術パクられて・・・」

 

パタン、と冊子を閉じて持ってきていたバッグに詰め込みながらシャマールは呟いた

 

「見つけ出して殺してやる・・・絶対殺してやるぞ・・・森谷ィィィィ!!」

 

その顔は怒りの表情であったことは言うまでもないだろう

 

 


ボリショイカーメニ極秘研究施設


 

「つっ・・・!?」

 

敵に自爆され、意識を失っていた男は何かを感じて目を覚ました

気がつけば嫌な汗が流れていることに気づいた男は汗を拭うと呟く

 

「寝ていても感じる悪寒・・・まさかアイツが俺に気づいたか?」

 

そう言って立ち上がり、周りを見渡す

 

「お、建造物は無事だな?」

 

そう、自爆される寸前、男は爆発によって発生するであろう全てのエネルギーのベクトルを上下のみに絞り込んでいた

敵自身もそうしたのであろうが、それでもエネルギーの収束には足りてないと戦闘経験から反射的に動いた男が敵のそれを遥かに上回る収束率で最悪の被害を未然に防いでいたのだ

その代わり、クレーターの中央部に幅1.8メートル、深さはおよそ90メートルに達する深い穴が生まれたが・・・

では、何故男が生きているかといえば・・・

 

「とっさに次元断層膜を全身に同時展開してなかったら流石に死んでたわ・・・アブねぇ・・・」

 

そう、自身の持つ力を一部開放して防いでいたのだ・・・しかしそれでも意識を失うほど深いダメージを得ていたことを考えると、やはり完全ではない防御であったようだ

 

「敵はいなくなったか?いや、危険と判断して離脱したな?引き際の見極めが上手い事だ・・・」

 

そして自分の服装を見・・・肩を落とした

 

「おろしたてのスーツだったのに・・・仕方ねぇ」

 

そう言って何処かから取り出したスーツケースを開けて、男は着替え始めた

数分でズタボロのスーツ姿から、観光客のような明るい服装に変わる

 

「よぉし、気を取り直して合流するかね!!」

 

背中から感じる寒気に怯えつつも、気丈にそう言って逃げるように極秘研究施設へ歩いていく姿はなんとも情けないものであった




新キャラ、コプロ登場!!強い航空戦力だ!!
ただし基本無表情キャラの模様


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極東動乱(Open Combat 6)

参加の皆様お待たせしました、後半戦のお時間です
武装整えて行くぞ!!




LAFI


 

「武器弾薬の補充を最優先に、破損した武器はこちらにお預けください。再出撃に間に合わせて整備します」

 

LCAC-100の帰還に合わせて出迎えに出ていた私は、参加していた各部隊の方達にそう声をかける

実際、今回の作戦では武装の損傷を見越して、自動的に破損箇所を修復する特別な装置を大量に用意してきており、一個大隊くらいの損害なら数時間あれば補充できるレベルにある

今回の戦力であれば、再出撃時には間に合うだろう

 

<<このまま海上航行で予定地点に向かうよ!!ちょっと潜るのキツイから!!>>

「外殻に損傷が?」

<<深刻ではないけどそれなりに!!>>

「わかりました、艦長の判断ですね?」

<<うん、念には念を入れて・・・だって!!>>

「正確な判断です、到着までは?」

<<2時間!!>>

 

VERTEXからの報告をメンバーに伝え、私は別室に入る

そこには先に来ていた戦術人形(?)がいた

 

「さて、この部屋に入れられた理由はわかりますね?」

「・・・」

 

相手は無言で頷いた、分かっているようだ

 

「貴女を作った人物は?」

「対象が多すぎる」

「ボディの制作者は?」

「森谷闘真」

 

その人物に思い当たる点があった

というより、自分のアーカイブに詳細な情報があった

マスターの共同研究者であり・・・敵対すれば非常に厄介な相手だ

 

「搭乗していた機体はどこから入手したものですか?」

「自分と同じく流れ着いたものを技術解析し強化改修を行った、技術流出などはしていない」

「なぜ、そう言い切れますか?」

「作業者は2名のみ。それ以外の人物がデータベースにアクセスした経歴なし」

 

言葉よりも顔が真実を語っていた

表情が変わらない。"出ない"のではなく"出にくい"のは最初で分かった。

そこにある事実を淡々と語ってるだけだ。ただ、本人の性格(?)的に多くを語らないだけである

 

「この写真の人物に関しての情報は?」

「名前と指示は受けている。アリス・ファルクマン。指示は指揮下に入ること、及びその指揮の遵守」

「・・・」

 

今度はこちらが黙り込むことになった

つまり、最初からこちらの味方として制作されたということか?

しかし、流れ着いたということだから、AIとしての部分は別の人物による作成と見ていい

ならばなぜ、そのような先の未来を予測し得た?

マスターいわく、例の人物は盲打ちが得意と言っていたが・・・未来視能力があるのではないか?

 

「尋問は・・・終わり?」

 

その声で我に返った、相変わらず表情は読みにくいが少し疲れ・・・いや、退屈してそうだ

それに味方としてここに居るのであれば拘束する意味もあまりない

 

「えぇ、これで終わります。案内は必要ですか?」

「不要・・・ここに来るまでで道は覚えた」

 

それは格納庫までの道だと言い返したいが、どうせ格納庫でも一緒かと考え直し、退室してもらう

そして・・・

 

「はぁ・・・聞いてましたね、マスター」

「奴は殺す」

「お好きにどうぞ」

 

そう言って、途中から聞いていたマスターとの通信も切る

 

「さて、VERTEX」

<<んよ?なにかなお姉ちゃん!?>>

「彼女の味方登録を早急に済ませなさい。あと12時間はカメラで監視を」

<<念のため?>>

「いえ、人物像のプロファイリングのためです」

 

そしてこちらも通信を切り・・・そのまま部屋で横になった

 

「何で私の周りにはこんな奇人変人ばかりが来るんですか・・・?」

 

そろそろ心労で倒れそうである

 


シャマール


「やはりアイツか・・・あのクソボケが・・・!!」

 

LAFIとの通信であのクソ野郎の思惑を理解した事でさらに怒りが湧いた

あの野郎、盲打ちで極東に来た場合の事を想定していたようだ

どう転んでも自分が面白ければそれでいいという精神には本当にムカついて堪らない

 

「いいだろう、貴様がその気ならコチラにも考えがある」

 

そう言って、プロトタイプゼロにいくつか搭載している武装パッケージを選択するべく画面を開く

 

「エクストラアーマメントユニット!!コール、ホワイト・グリント!!」

 

プロトタイプゼロは本体の機体性能よりも追加装備の装着による運用範囲の拡大に重きをおいた仕様として制作した機体だ

その追加装備の中でも、エクストラと名付けたモノたちは総合性能の向上等を目的として制作し保存している

ホワイト・グリントはその中でも、超高速突撃戦仕様であり武装よりもブースターの割合のほうが大きい

何せ、大小合わせて13基のブースターで無理矢理な形で機体をかっ飛ばすのだから

そもそもコンセプトからして破綻しているようなものである。

一体誰なのだ、長射程と高火力を誇る強敵に対して超高速で接近、その懐に入り込むことで損害を最小限に抑え、また、火力を封じる。などというトチ狂ったコンセプトを完成させたのは

・・・そういえば自分か

 

「まぁいい」

 

最終的に各ブースターが正常に機能することを確認し、目標地点を定める

どうせあの男のことだ、例の極秘研究所に居るに違いない

 

「突撃する!!」

 


ボリショイカーメニ極秘研究施設


「君達少し遅くね?」

 

研究所内に入った私達を出迎えたのは、そのような不服そうな声だった

 

「貴方は?」

「君達がさっき会ったチャラいおっさんの連れ、といえば分かるか?」

「えぇ、分かりますが・・・何故そんなに不機嫌なのですか?」

「来たくねぇしやりたくねぇんだよなーめんどくせーし」

 

開いた口が塞がらないとはこの事である

眼の前の人間は本当に面倒そうにそう言って床を指さした

 

「この2つ下に目標の子がいるぞ、今のところ誰も接触はしてねぇ。俺もだが・・・しかし何だ、君達全員、自衛隊の装備縛りなんだな?」

「わざと外の人のこと真似てるなら、やめてくれると助かるかな・・・」

 

その男性の声に64式が返答をするように返し、89式がそれに頷いた

それを受けて眼の前の男性は・・・

 

「優れた洞察力だ、ではコチラも素で行こう」

 

先程までの表情から一変して真剣な眼差しに変わった

64式の読み通り、コチラがこの人の素の姿なのだろう

それにしても、先程から気になるのだが・・・この人物、細かな点で指揮官に似ているところがある

真剣なときの眼差しが、少しだけ指揮官を若返らせた様に思えてくる

所作もどこかしら優雅さがチラついてくるし。なんというか、こう・・・休日の仕事オフで素の姿の指揮官と良く似ている

裕福な家庭に生まれた事が伺えるのだ。そういえば指揮官もいいところの出だと聞いた気がする

 

「でだ、先程からずっと人口の振動が混じっていることに気づいているかな?」

「え・・・?」

 

話し合いの最後に、彼はそう言ってきた

私達の誰もがそれに気づいていなかった、今でさえ分からない

 

「ちょうど、君達が目的としている階に目掛けて掘削している連中がいるようだぞ?」

「なんでそれを?」

「超高感度振動センサーが足裏にあってな、本来は高精度観測のための補助装置だが、こういうときに意外と便利なのさ」

「なんでもありなんですね、そのパワードスーツ」

「限界はあるさ、本来は戦闘用じゃなくて災害救助用だからな」

 

そう、彼は最初からパワードスーツを纏っていた

私達のバトルドレスに非常に近いがより機械的な部分が多いのが違いと言える

あと、関節部に高出力のサーボが使われているみたいだ、身長と同じ長さの高火力な装備を片手で持ち上げて平気な顔をしている

 

「で、ここでいいアイデアあるけど聞いてみるかね?」

「まさかと思うけどそのデカい武装で床ぶち抜くとか言わないよね?」

「ぶち抜くよ?」

「飛び降り自殺は嫌だよ!?」

「懸垂下降すれば良くね?俺そこまで鬼畜じゃねえし」

 

そう言ってコチラが反論する前に床を本当にぶち抜いた、しかも自分の足元に

それでいながら落下しないのは、同時に重力制御がされているからだとすぐに分かる

1ミリも落ちてないのだから

 

「よし、それじゃワイヤーを取り出しって・・・と。よし、じゃあ俺が先にいくぞ。降り立ったら円を描くように揺らすから降りてきてくれたまえ」

 

そう言って彼は先に行ってしまった、それで初めて床を見渡すことができた

ところどころに黒いシミやヒビが入った場所がある・・・まさかと思うが敵がいて、彼が全て撃退したのだろうか・・・

だとしたら、彼の戦闘能力は私達が束になろうと・・・

 

「あ、合図来た」

「M24、SFP、MP5、89式の順で降りて、私は最後に降りる」

「了解!!」

 




裕福な所の出だとバレちまってるシャマールさん。なお軍人家庭なので躾も厳格だったので所作などはバッチリ

問題は性格である。あと胸小さ(作者の意識は狩られた模様)

それと似てるし、容姿にも似通うところがあるということは?


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極東動乱(Open Combat 7)

今回は研究所地下からスタート


「よし、全員着いたな」

 

地下に降り立つと先程の人物はもう武装を整えていた

その左手に、45口径の自動拳銃を持っていたのだ

 

「さて、ここまでくれば音がどこから来てるかわかるな?」

「貴方の背中側からですね、そして到達もすぐ」

「正解だ。ところでステルス機能なんてあるかね?あったら相手にサプライズしてみたいから」

「ありますが・・・」

「機密保持関連なら安心しろ、どうせ上で戦ってるド阿呆に全てヘイトが行くから」

 

そこで疑問に思ったが、すぐにステルスで身を隠すように言われたので指示に従うことにした

 

それから数分後に穴が穿たれ、たった数秒で人が通れるほどの大きさになった

そこから現れた人物の側頭部に銃口を押し付けて彼は告げる

 

「コソコソと侵入して何をしようってのかな?返答によっては君を赤いシミにしないといけなくなるが?」

「おたくらと同じって言えば信じてもらえるか?」

「・・・これでも?」

 

彼が指を鳴らしたのを合図と捉え、ステルスを解除する

照準はすでに完了していた

 

「いやマジだって!!俺の目的も救助だよ!!」

「その割には随分と時間かけてきたもんだねぇ?」

「掘削に時間かかったんだよ!!」

「まぁ、ここの岩盤硬いからねぇ。わざわざ難しい方法選んでくるなんて馬鹿だな」

 

そう言って銃をホルスターに収め、彼は告げる

 

「まぁ、脱出手段が増えただけマシと考えよう。だがあの子はこちらの子達が保護するほうが有益だ、諦めろ」

「・・・そちらは?」

「俺は元々彼女たちの方へ渡すのが目的なんでな」

「あぁ、そうかい・・・」

 

そう言って相手は完全に諦めたようだ

同時に建物が揺れて全員が身構える

 

「クソ師匠め、ど派手に暴れ始めやがったな?いい迷惑だぞクソッタレ」

「今のでせっかく作ったトンネルが崩れたんだが?」

「どうせ使わねぇから要らんわ、掘削用の装備は再利用可能だろ?」

 

そう言って今度は私達に向き直し、話し続ける

 

「こっから先は君達の仕事だ、よろしく頼むよ」

 

そう言って彼は私達の後ろに回る、サポートはしてくれるようだ

 

「隊長、4部屋先に対象の子の生体反応があるよ」

「了解、鍵は?」

「掛かってないな、おそらく電源がないと掛けられない仕様だ。1980~2000年代の安物電子錠によく見られるモノだよ」

「博識ですね」

「これでも特殊工作部隊の出身でね」

 

それから先はあっさりと事が進んだ、私達が安全を確保しながら保護するように動き、途中で仲間にした人がそれを手伝ってくれた

一方、その人物は・・・

 

「何をしているのですか?」

「電子データとか紙媒体のデータを漁ってる、あったものはデータを吸い取って消しておこう。後この施設は爆破解体する。存在しても意味はないどころか中の資料で余計なものを作られるリスクがあるからな」

 

もったいないとか言っていた人物には銃口が向けられていた

目先の利益より後々のリスクを恐れる考え方は・・・指揮官によく似ていた

 

「容姿といいその性格といい・・・貴方は指揮官の血縁者ですか?」

「さぁな、それにおそらく君の指揮官は絶対に認めたがらないさ」

 

それが答えだった。彼が発した言葉はどこか寂しそうな感じだった

 


ボリショイカーメニ極秘研究施設 地上


 

「よーしよし、ここまで来たら大丈夫で」

森谷ィィィィィ!!

「フラグ回収早すぎんだろ・・・」

 

そう言って森谷と呼ばれた男は黒い鎧を纏った姿へ変わりながら後ろへ振り向いた

 

「ふぁ!?」

 

その時、その視界を埋め尽くしていたのは・・・大量のブースターをパージしてミサイル代わりにした爆撃の光景だった

 

「うおぉぉぉ!?」

 

その爆撃を、両手に持っていた大型ハンドガンによる射撃で全て爆破処理して男は告げる

 

「久しぶりの再会でイキナリ殺しにかかることはねぇだろ!?」

「何年も前に来ていたというネタはもう上がっているぞ森谷ッ!!お前相手には我慢や辛抱なんてしてやるものか!!くたばれクソ野郎!!」

「言ったなこの流線型ボディが!!こっちの世界でもやっぱり抵抗少なめボディだったようだな!!」

貴様ぁッ!!

 

振るわれたのは大剣型のビームサーベル、それにライフルの銃床をクロスさせる形で防ぐ男・・・しかも上段からの振り下ろしで自身の体重と纏った装甲の全重量までも掛けていることで、防ぐ方が追い込まれていく

 

「おいおいおい!!流石に死ぬぞこれぇ!?」

「私が気にしていることをよくも言ってくれたな!!このド変態野郎が!!どうせこの世界に来ても女を引っ掛けようとしていたんだろう!?」

「イヤーナンノコトデショウカネー」

「身に覚えがある声だな貴様!!何人引っ掛けたぁッ!!」

 

冷や汗を流しながら、男は返答を返した

 

「4~7?くらいですかねぇ?」

「二桁単位か!!」

「一桁だよ流石にな!!恐ろしい番犬がいっつも俺に張り付いてるからよぉ!!」

「いい気味だ、ついでにこのまま死ぬがいい!!」

 

鍔迫り合いに勝つのはS13基地指揮官のシャマールであった

だが、相手はあえて鍔迫り合いを捨てて距離を取る事で逃亡を図る

 

「逃さん!!」

「いいや、逃げるさ。お前にだけは刺されたくねぇ!!」

「安心しろ、アイアンメイデンにぶち込んでやる!!」

「拷問なんですがそれは!?」

 

なお、戦場には彼ら以外に敵もいるのだが、互いの攻撃が敵を狙ってもいるものであるため、余波というよりオマケで倒されている

中には大型の敵もいたが、大剣で左右に両断されたり、レーザーで焼かれたり、超電磁砲で撃ち抜かれたりと様々な方法で対処されていた

どちらか一人だけでも厄介だというのに、二人も揃えばもう笑いしか出ない

しかも争っている内容はもはや痴話喧嘩のたぐいであるのだから・・・

 

「お前の後ろは壁だ、もう逃げれんぞ投降しろ森谷ィ!!」

「そう殺気立つなよ!!俺は一応味方のつもりだぞ!?」

「貴様が味方だと!?怖気が走るわ!!」

「何でだよ!!()()()()()()()()()()()()()()()()()俺だぞ!!」

()()()()()()()()()()()()()()()腐れ()()が何を抜かすかぁッ!!」

 

そのまま大剣の刃ではなく腹の部分で投げ飛ばし、シャマールは告げた

 

「体の動きが鈍いぞ森谷!!」

「うっせぇスパルタ騎士!!」

黙れヘンタイ色男

「・・・」

 

鍔迫り合いから睨み合いに変え、二人は向かい合う

片方はヘラヘラと笑う顔であるが・・・

 

「久しぶりにストレス解消出来たし、ここから先は真面目にやるか」

 

その顔はいつの間にか戦士のソレに変わっていた

 

「背中は預けるぞ、アリス」

「精々刺されないように気をつけることだな、森谷」

 

そして互いに通信を入れる

 

「LAFI、部隊を外殻部に向けろ。こちらは中央から外殻に向けて進軍する」

「カズマ、要救助者と合流後はお前の判断で動け。俺はこれから地上部の敵を撃滅する」

 

帰ってきた返答は了解の二文字、それを聞いて・・・

 

「アリス」

「なんだ、お前は物持ちが良い方ではないはずだが?」

 

森谷と呼ばれている男は、わざわざ纏っていた武装を解除してまでシャマール・・・アリス・ファルクマンにとある物を渡していた

 

「アップデートアダプタか、懐かしい。では私からもお前に返してやる」

「マックスアップデバイスじゃねぇか、これまた懐かしいの渡してくれるじゃねぇか」

 

そう言って互いに腰のデバイスに渡された物を装着する

 

「プロトタイプゼロ」

「ダークストライカー」

 

その言葉は、同時に放たれた

 

「「変身ッ!!」」

<update!! archetype one!!>

<Dark Striker!! Max Hyperup!!>

 

 

【挿絵表示】

 

 

新たに纏った装甲はそれまでの黒ではなく赤色に変わっていた

もう一度彼女は大剣を出して、背中を預けている男は両手に大型のライフルを出していた

 

「それじゃあ・・・」

「撃滅しようかァ!!」

 

宣言通りの撃滅戦が開始されたのは言うまでもない

残像さえ残さない高速度で敵を斬り伏せる女騎士、反応も許さぬ高速の射撃で頭を撃ち抜くスナイパー・・・まるで競い合うような速度で蹂躙されていく敵、一切の容赦や手加減をしない攻撃であった




あーあ、こりゃひでぇや・・・


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極東動乱(Open Combat 8)

第二部開始!!
外殻部に迫る敵影ありて・・・


「16姉さん?」

「M4、アッシェさん見なかったか?」

「いえ、私も見てないです。きっと別行動を取られたのだと思いますよ?それに、集団行動があまり好みで無さそうなので好きにさせればいいと思います」

「M4・・・」

「心配なのは私も同じですよ、姉さん」

 

揚陸艇を降りてからソワソワしていたM16姉さんにそう言って、私は戦場を見渡す

他の各部隊は市街地に散開して作戦に移っている

一応、上陸前に正確な研究所の位置データが更新され、現在の地点からの到達予測時刻も更新されてはいる

また、指揮官は既に研究所付近で敵勢力と交戦下にあり、敵勢力を外殻部に押し返すほどの戦闘能力を発揮している

本当にどこまでも、人外じみたその力に呆れ返るばかりだ

 

「どっか酒落ちてねぇかな?」

「戦利品目当てなら鉛玉をお見舞いしましょうか?」

「冗談だよ」

 

安心したら即ふざけた姉さんにレイジング・ブルの銃口を向けると流石に怖かったようだ、冷や汗をかいている

 

「しかし、まさか船に帰ったら武装変更になると思わなかったぜ」

「市街地のゲリラ戦から、殲滅戦に移行になりましたから・・・それに、私達も指揮官に良い顔させたく無いですよね?」

「まぁ、確かにな」

 

内心では指揮官を今すぐにぶん殴りたいほどキレている

それでも突出しないのは、自分だけの力では遠く及ばないと承知しているからだ

だからこそ、私は仲間との連携で指揮官を驚かせるだけだ

 

「にしても、おっそろしいほど高速で敵を斬り伏せてるな、指揮官」

「装甲もかなり薄いのでしょう、止まったら最後だから動き続けるしか無いんだと思います。というか、戦闘の映像を見て気づきましたたが・・・バランサーがないでしょうか?」

「あぁ、そんな動きしてるわ・・・」

 

そう、指揮官の動きはいつもの繊細さが欠けるほど大振りなものばかりになっていた

基本的に、一直線に敵に向かって突撃して斬り伏せる動きしかしてない

時たま謎の高機動を行っているが、それは攻撃と被弾の反動を調整することで運動性を確保しているからだ

 

「ピンボールかよ・・・」

「言い得て妙、ですね」

 

そう、おそらくあの姿は一対絶対多数を想定した戦法であり、攻撃も被弾も止まると致命的な隙を晒すため、一度戦闘を開始すると敵対勢力を壊滅させるまで停止することができない形態だ

何故かそれが分かるが、指揮官にとってここぞという時の切り札なのだろう。表情はいつにもなく真剣なのが分かる

 

「しかし、今回のはいつもよりよく馴染むな・・・」

「戦術人形専用に開発した次世代機との事です、これまでのとは技術基盤自体が違うとのことですが・・・たしかにいつもより馴染んでますね」

 

私が使うのがXFJ-01a/TSと呼ばれるもので、名前は不知火弐型・戦術人形専用改修仕様というらしい

また、同型をM16姉さんも使ってるが、私のだけはアクティブステルスシステムとJRSS*1という機能を搭載しているらしい

それに加えSOP2とAR-15はF-15・ACTV/TS、アクティヴイーグル・・・Ro635はType-00A/TS、武御雷という物を貰っている

機体色は全て黒の骨格材に白の装甲材、センサーは全て水色と統合されているが、各機体ごとにセンサー性能などに多少のバラツキがあるらしい(そこまでの規格化が間に合わなかったとLAFIさんから言われた)

 

「長刀なんていらねぇのに・・・」

「何ならナイフもいらない!!」

「あんたらは呑気でいいわね・・・私には使いやすいわよ両方」

 

M16姉さんとSOP2が不満を言っているが、以外にもAR-15は高く評価している

 

「近接戦闘が多くなってきてて、対応力が欠けていたもの。この装備であればこれまでの不安点もある程度解決ね」

 

理由は実に合理的だった。これまでの・・・指揮官いわくG系列機のビームサーベルも確かに使えはしたが、あの独特の運用方法には少し不慣れだった

今回のは質量のある武器であるためビームサーベルとまた違う運用方法になるけど、あちらよりは上手く使えそうな自信がある

 

「で、私達はどうするのかしら、M4?」

「各部隊を近接、遠距離双方で支援します。UMPのチームは既に先行して行なっているようなのでこれの支援も同時並行で」

「大暴れしていいの!?」

「あくまで支援ですよ、SOP2?」

 

そう言って、私は作戦に集中することにした

 


ボリショイカーメニ極秘研究施設近郊


 

「相変わらず、ピンボールみたいな戦い方だな」

「バランサーがないからな、どうしようもこうなる」

「それでコレなんだからオカシイわ」

「はっ、ほざけ。一発を威力そのまま100発に分けてるバケモンが」

 

攻撃を継続しながら、私は森谷と話していた

両刃の大剣を振るいつつ、肩と腰に装備しているアンカーを利用し強引に姿勢制御を行う

それらを総合して森谷は挙動をピンボールと称している

 

「波動砲でも使えば一撃なんだが・・・」

「都市一つ吹っ飛ばすアレはここでは不適格だ。最後ならともかく途中でブッ放して良いものではない」

「わぁってるよ、で、そっちはのスコアは?」

「今で750」

「俺はいまので770だな」

 

何気に私よりスコアが良いことにイラッときた

イラッと来たついでに剣先からエネルギーの斬撃を本人に飛ばしていた

 

「ノウ!?」

「ちっ、躱しやがって」

「殺すのアッチ!!俺じゃねぇ!!」

「一緒にしね!!」

 

直接斬撃するだけでなく、斬撃を飛ばして敵を薙ぎ払う

 

「うん・・・?」

「お前の方の参加者、突出したのがいるようだな?」

「問題はないな。私がこのまま行く」

「OK、俺はこのまま暴れるかね」

 

私がそう言うと、森谷はそのまま上空から狙撃に移った

そして私は突出している人物、アッシェさんの方に向かう

 

「なぁにこれぇ・・・」

 

目的地に着いた時、私が見たのは重機関砲で敵を倒すアッシェさんの姿だった

*1
ジャルス、特別な装備なしに破壊したものから電気・燃料を奪う




書いたのがおよそ1ヶ月ぶりってマジィ?


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極東動乱(Open Combat 9)

Q まぁた1ヶ月も放置してやがったな!?何をしていた!!吐けっ!!
A 2週間入院(持病が再発)したりゲームしたり他作品にかまけてましたゴメンナサイ
  その代わり今回は文字数を通常より多くしたので許してください


新たな敵の出現に驚きと同時に呆れ返った

全高7mと推定される人型機動兵器、戦術人形っぽいナニか、万能者と似ているヤツ、そしてアーマーを着てるサル・・・なんでサルがいるのか不明だが

 

「いい剣だな」

 

その中でも、戦術人形っぽいナニかの振るった剣を腕の装甲で止めて私は感想を言う

剣自体はいいものと言える、生半可な攻撃では傷をつけることも出来ない装甲を欠けさせたのだから

 

「その剣よこせ」

 

そう言って防いだ方の腕を動かして敵の剣を握り締めつつ顔面を2,3発ぶん殴って強引に武器を奪い、ついでに叩き斬る

 

「お前さぁ・・・それはトラウマになるぞ?」

「ふん、トラウマを植え付ければ二度とこのような真似などしないだろう」

「怖すぎワロエナイ」

 

森谷の発言にイラつきながら、次の敵を見る

全高7mと推定される人型機動兵器・・・類推するに以前戦ったヘカトンケイルの小型化仕様か

あの時は収束したエネルギーで強引に防御を貫通したが、今度は別パターンで破壊してやるか・・・

 

「この防御システムにも慣れてきた。芸のない奴には面白みもない。失せろ」

 

そう言いながら敵の防御の壁に手を触れる

そして一気にエネルギーを送り込むと数秒で敵のいたるところから煙が上がり機能を停止した

 

「たった10%の出力集中でこのザマとは。なんとも不甲斐ない」

「いや、お前の機体の出力がおかしいんだっちゅうの」

「試験機だから大きく取っただけだ、効率も悪いし採算性もない。そんな欠陥機風情にも敗北するのでは最新鋭の名がすたるというものだ。まぁ所詮、既存の沿線上の技術しか使えない男にはこの程度が限界だろう」

「クッソ辛辣・・・」

 

睨みつけると、森谷の方にサルが飛びかかった

森田にはそれを横目でチラ見しただけで指を鳴らす。直後、サルは飛びかかってきた方向に勢いよくUターンして地面に叩きつけられて気絶した

 

「すまねぇが、サル公の相手するつもりはなくてな」

「リバウンドプレッシャーか?」

「いんや?ただのエネルギー放射」

「ピンポイントにやるとは器用だな。昔からだが」

 

森谷はなにか気になるのか、一度だけぐるりと周りを見渡し首を傾げる

 

「なーんか似た反応があるんだけどねぇ・・・」

「万能者だろうな、立場が違う似たやつがいるらしい」

「へー・・・」

「面倒事起こされるのは厄介だ、共闘を持ちかけてこい。お前そういうの上手だろ」

「上手だけど嫌いなんだよなぁネゴシエート。それに今俺は君の部下ではないわけだが?それとちょうど契約のスタック終えて今フリーなのよ俺ら」

 

言ってきたので睨み返す、どこ吹く風という顔で言ってきた

 

「美味い飯2週間タダで」

「1週間。それが限度だ」

「やったぜタダメシげっちゅだ」

「美味い飯とは限らんが?」

「裏切って良い?」

 

わりと真面目な顔で返してきた。昔から変わらない、飯と女に目のない男ぶりにため息が出る

 

「所属している子達に手を出してみろ、簀巻きにして逆さ吊りするからな?」

「そのお仕置きはもう年齢的にキッツいんスよ・・・」

「なら手を出さなければ良い」

「それはまぁ、たしかに」

 

そう言い、森谷は飛んでいった

やつに任せておけば最悪は回避できるので良しとしよう

 

「さて・・・有象無象共・・・本気を見せてやろう」

 

ココから真の全力を見せつけてやるべく、数多く設けてきた切り札を切る

 

「メインドライブ、モードアクティブ・・・波動エンジン、始動」

 

次の瞬間、一瞬だけ空間が強く揺れた

メインドライブである波動エンジンの始動により、時空間が軋んだのだ

始動の証左として、全身に備わるセンサーシステムの発光色が赤から水色に変わる

 

「滅ぼしてやろう、貴様ら全て」

 

宣言通りの滅亡が敵に訪れる

 



 

「お、あそこかな?」

 

ステルスハイドモードで変な感覚に従い、その場所に向かうと2人の存在がちょうど戦おうとしていた

近くの瓦礫に座り、胡座を組んで肘をつきながら2人に声をかける

片方はおそらく万能者と呼ばれている存在で、よく似ているもう片方は一応敵と認識しておこう

 

「はーいストップストップ、戦うのは良いけど余計な戦闘は止めてくれねぇかー?どっちか相手するのもしんどいんでよー」

 

俺がそう言うと、そこに人がいたことが驚きなのか同時に動きが止まる

俺は欠伸しながら2人を睨めつけ、話を続ける

 

「おたくらクリソツだしさぁ、誤射るもアレなんでマッジで戦ってほしかぁねーよ。つか、おたくらの敵はどこのどいつでヤること何よ?邪魔くせぇパラデウスの連中を処分することだろ?違うかいお二人さん?」

「たしかにな、そっちの方も敵はパラデウスだよな?」

 

俺に賛同した万能者は片方に確認する。その片方は一瞬間を開けて声を出した

 

「肯定、コチラノ敵モパラデウスデアル」

「んならここで戦うのがあり得ねぇほど無駄でお馬鹿な行為だというのは分かるよな?分かんねぇなら」

 

次の瞬間、普通の人間なら一瞬で気絶するほど濃密な殺意を相手に叩きつけて告げる

 

テメェの首をハネ落とすだけだ同じ敵がいる連中の邪魔してんじゃねぇぞ?

 

言ってすぐにそこらへんの愉快なお兄さんに戻り、愉快に話す

 

「つうわけで、同じ敵いるんだしつるんでボコったほうが早いわけ。Do you understand, motherfuckers(理解したかクソ共)?」

「アンタ随分口悪いな!?」

「いやすまんね、生まれつきなもんで。それでどうなのかな?Get on with it and answer me, idiot(さっさと返事しろやボケ)

 

サラッと英語で罵るように言いつつ、相手の出方を伺う

表情は分からんが悩んではいるようだ、そこで次の提案を行う

 

「こちら・・・って言ってもS13側だけの話だが、許諾を得たもの以外ではおたくらの技術を違法利用はしないと約束しよう。そして万が一にも違法利用したものがあればこれを摘発し然るべき処置を行う。I hope this doesn't frustrate you.(これではご不満かね)?」

「不満ハナイ」

「共闘については?On our side, we'd be glad to fight with you.(こちらとしては共闘してくれると喜ばしいが)

「今回ノミ、行オウ。以降ハソノ都度デ考エルモノトスル」

That's good enough for the moment.(ひとまずはそれでいい)、感謝するよ」

 

そう言って万能者とクリソツな存在を一応は味方につけ、万能者を見るとため息をつきながら俺に言ってくる

 

「あちらさんが共闘してくれるなら攻撃する理由がない」

「OK、これで今回限りかもしれんが共闘成立だ。If you break the contract, you'll catch hell.(契約破棄した場合は地獄を見てもらう)

 

英語で話すところだけドスをきかせて話し、俺は重い腰を上げて立ち上がり2人にとある物を渡す

俺の交渉はイギリス式の契約に近い物であるため、物を渡すのがクセである

今回渡したのは・・・

 

「ちょい待ち!!これ、パラデウスの極秘データじゃねぇか!!」

「俺の弟子の恋人ちゃんってばクソ有能でね。この程度なら朝飯作る間のスキマ時間でちょちょいのちょいっと簡単に調べてくれるのさ。I'll present it to you, you do what you want.(贈呈するから好きにしな)

 

そう言って2人から離れて結果を伝える

 

「アリス、契約締結だぜー。一応今回だけな」

「お前が出した条件は?ま、そこらへんは上手くやると信じてやるが」

「お前の基地側の遺跡関連技術の違法利用禁止を条件に利用した連中の処罰もやると言ってやった、なんかまずかったか?」

「いや、問題はない。常から警戒し処罰も加えていたものだ」

 

アリスは俺の報告に淡々と答える。余裕があるのだろう、口調もあまり変わっていない

 

「俺の仕事これで終わりでいいか?やっぱ頭使うの疲れるわ」

「ほざけ、頭使うのがお前の得意な領分だろうが」

「それをいっちゃあおしめぇよ・・・」

 

そう言いつつ、俺はカズマのもとに向かう

既に研究所から地下を通って・・・いや、地下道作って離脱してやがった

 

「はぁん?どういうこっちゃ?」

「おそらく地下で同じ目的の者と遭遇でもしたのだろう。こちらの部隊から情報が上がっている」

「俺への報告ないんかい・・・」

「不要だと思われていたな。カワイソウニ」

 

アリスの最後の一言はこれっぽっちも感情が籠もってなかった。クッソどうでも良さそうな声だった

 

「おまっ・・・夜になったら覚えてろよ・・・ベッドの上でなかせてやる」

「あぁ、そうなったら面白いショーを開催してやる。お前が火炙りになる見世物をな」

「はっはっは、冗談ですよぉアリスさぁん!!」

「私も冗談だぞ森谷?まぁ、実行したらその限りではないと覚えてもらおうか」

 

あかん、間違ってでも手を出したらその日が命日になりかねんわ・・・肝に銘じとこ

 

「それで、デカいの何体おとした?」

「7体中4体、小型高性能化しても私一人も止めれん程度の存在だ」

「戦術人形っぽいのは?」

「ほぼ全て」

 

一瞬、コイツの部下は心労が絶えないだろうなぁ・・・と思いながら俺は話を続けることにした

 

「相変わらず凄まじき戦果なこってまぁ・・・部下はちゃんと労えよ?」

「私の基地は有給休暇推奨のスーパーホワイトな基地だ。セルフブラック頻発のどっかのバカとは比べるまでもない」

「ナチュラルに俺をディスらなくてもいいだろ・・・事実だけどさぁ」

「お前はまず休みをいれることから学習しろ」

 

トドメを言われてため息をついて肩をすくめる。やはりアリスには頭が上がらない



 

「汚しやがって・・・」

 

とある国の某所、薄暗い部屋の中でとある男・・・パラデウスの首魁であるウィリアムは呻くようにその言葉を出していた

 

「お父様・・・?」

 

そう言って頭をかしげるネイトの一体にウィリアムは話しかける

 

「分からないかい?」

 

そして数秒後、ウィリアムは絶叫しながら頭を掻きむしった

 

「奴らは土足で上がったんだッ!!真っ白なシーツで完っ璧に整えた僕のベッドの上にッ!!」

 

そこに一人の少女が現れる。ショートの白髪に赤い瞳、年齢は10代中頃に見える

 

「そう興奮してはならないぞ、父上。奴らに次の計画を手伝わせれば良いだけだ」

 

その少女の発言でウィリアムは荒れていた呼吸を落ち着かせて冷静に戻り、少女の頭を撫でながらその名を告げる

 

「あぁ、君の言うとおりだね。エクリプス」

「落ち着いていれば万事うまく行くものだ、父上」

「僕としたことが思わず乱れてしまったようだ、反省しているよ」

 

そう言ってウィリアムは部屋を出る、モニターにはS13の指揮官であるシャマール・・・アリス・ファルクマンを捕らえた衛星画像があった

表情まで見える高精細な画像、それを見てエクリプスと呼ばれた少女は呟いた

 

「いずれ会おう・・・その時は殺してやる。どんな殺し方をするか、考えておこう」

 

不穏な声で画像を見る少女、その表情は無そのもの

まるで機械のように出した声だけが、その感情を物語っている




Q 最後に現れた女の子は?
A ウィリアムが作った本作オリジナルのネイト。それ以外で開示できる情報無し


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極東動乱(Open Combat 10)

や、やっと次に進める・・・(ベリーハードな勤務明け)


「45、どうするの?撤退命令が出たわよ?」

「うちの指揮官は相変わらずせっかちね!!とりあえず他の部隊の人達と行動よ!!」

「了解よ45!!当たらなくてピーピー泣かないでね!!」

「いつの話をしてるのよ!?」

 

HK416の質問に他の部隊と合流して行動すると指針を出し、行動を開始した

その瞬間、UMP40が恥ずかしい過去の事を言ってきたので顔を真っ赤にしてかえしていた

いくら私の過去を詳しく知ってると言っても、言っていいことと悪いことがでしょうに!!

 

「45ぉ、アソコの人達遅れてる・・・」

「分かってる!!」

 

一つの部隊が敵に囲まれて行動不能になっていた、その部隊の支援に向かっている

416、40、11、9は退避経路を作り、私が突破の穴を作る役割だ

 

「こっちよ!!」

 

支給されていたパワードスーツ、XM-X2クロスボーンX2の武装であるショットランサーで敵の包囲網に穴を開けて誘導する

ダメ押しのトドメにバスターランチャーでふっ飛ばし、全員で撤退する

そこでやっとその部隊が分かった、アラマキ隊長の部隊だった

 

「余計なお世話だったかしら?」

「いや、助かった。感謝する」

「感謝なんていいわ、うちの指揮官の限界ギリギリな無茶振り采配にてんやわんやしてるのは同じだし」

 

その瞬間、40が鬼気迫った顔で駆け寄ろうとした。その顔を見たまま、ショットランサーを逆手に握りしめながら後ろに現れた敵を槍の部分で突き刺し、首だけ後ろに向けながら睨みつける

 

「人が話してる途中に、邪魔しないでくれる?」

 

そう言って槍の部分を切り離し、離れた先端部を蹴りつけて相手をノックバックさせ、バルカンで倒す

先端部分は同時に使用できる量子ストレージに交換部品があるので呼び出して再装着した

 

「さ、早く離脱しましょ。私達が一番遅れてるみたいだし」

 

そう言って、私は迎えの船の場所まで向かう

一度振り返った際、空は暗くなりかけていた

 


同時刻 ボリショイカーメニ極秘研究施設


 

「お、バトってた方は終わったみたいだな?」

「よし、回収して撤退しろ。私は最後のひと暴れをして殿をする」

「了解だ。で、爆薬は設置すんだか?」

「それはお前に聞く質問だな」

「俺は終わってるぞ?」

 

 

森谷と研究施設内に爆薬を設置していた私は近くで戦っていただろうアッシェさんの方から音がしないことに気がついた

それなりに激しい戦闘音だったのでダメージも大きいだろうと判断し森谷を行かせる。小間使いにはちょうど良い奴だから

 

「さて、これで設定完了だ」

 

最後に起爆装置の設定を終わらせ、研究所を出る

周りには敵だらけだ、上空で森谷がアッシェさんを米俵を抱えるようにして連行していた、背面から伸ばしたアンカーケーブルは大型バイクを懸架している・・・なんでバイク?

 

「まぁいい・・・」

 

さて、敵は無数にいる。研究所は爆破解体してやるし、無くして惜しいものは何もない

ならば、敵ごとこの廃都市を灰燼に帰してやろう。そのためにはまず・・・

 

「安全地点まで飛ぶか・・・ざっと3500ほど行けば問題ないな」

 

とある武装を取り出し、構えながら垂直に飛ぶ。安全圏である3500mまで上昇して地面に向けて体勢を変え、武装を起動させる

その武装の名は、波動砲。正式名称、携行型余剰次元波動爆縮投射砲・・・プロトタイプゼロの武装で最高威力を持つ兵装だ

その破壊力は破城兵装の粋を超え、大量破壊兵器の域に達する

 

「安全装置解除。圧力臨界。エネルギー充填120%。波動砲、発射!!」

 

姿勢制御以外の全エネルギーを波動砲に回して急速チャージを行い、発射した

発射前に研究所は爆破。キノコ雲が発生したが、波動砲で一片の欠片も残さず破壊した

エネルギーの輻射で研究所付近の敵は欠片も残さず蒸発し、続いて空間ごと消滅し真空状態になっていた研究所付近へ真空状態が解除されたことで猛烈な勢いで風が吹き込む

その勢いは研究所周辺に残骸程度で残っていた建物を残らずなぎ倒すほどであり、たった1射で都市の35%が無惨な姿になるほどであった

着弾点においては広範囲かつかなりの深さでクレーターが形成されていた。

 

「や、やりすぎた・・・」

「私は時々、貴女がマスターだと思いたくなることがあります。後でお仕置きですね」

 

思わず、そんな声を出していた。拾っていたのかLAFIが通信で呆れ声で言ってきていた

私が艦に戻る時には既に全部隊の収容を終えており、それぞれの部隊の隊員に治療や処置が必要かチェックが始まっていた

なお、私は速攻で省かれて談話室に放り込まれた。泣きたい

 

「よ、アリス。暇か?」

「死ね、クソ野郎」

「罵倒で返さんでくれんかね?」

「ならさっさと部屋から出ればいい」

「そうもいかんからなぁ・・・」

 

森谷もセットだった、心底イライラしてくるが我慢しよう

 

「タダ飯食らいに来たわけじゃねぇよ。ビジネスさ」

「だろうな、いま所属している政府から直接か?」

「あぁ、姫様から防衛省経由でな。うちの欧州視察メンバーの宿泊地としてそっちの宿泊施設を使いたいんだと」

「姫様とやらも来るんだろう?」

「あぁ、本人は来るつもりのようだ。なんとか防いでみるがな」

 

おそらく、無理だろうな。と私は思った

この男、戦うと逃げるは得意分野だが囲む、捕らえるは凄まじいほどダメなのだ

 

「金ははずめよ?」

「かつてのよしみで割引してくれたりしません?」

「断ろうか?」

「冗談だよ、出せる額なら出すさ」

 

脅してやるとすぐに言ってきた、ある程度の額は想定しているらしい。まぁ、私の基地のある地区は欧州全域で見ても治安が非常によく安定しているので宿泊地の候補になるのもさもありなん、というところだ

 

「ま、5000万というところだな。周辺警備も含めての人件費だ」

「コイツ・・・足元見やがって・・・」

「今なら2500万にしてやってもいいぞ?条件は足りない分がお前個人負担な」

「んなご無体な!!」

 

どうせコイツに手持ちの金が無いのは分かっている。女遊びか趣味に全掛けでもしてるのだろうからな

 

「じゃあ割り引いて3000万にしてやる。条件はホテル宿泊費がそちら持ち。譲歩してやったぞ?」

「Ok、それでいい。元々ホテル代はこちらで出す予定だったしな」

「LAFIに後で話を振れ、私からは既に通した」

「はっや」

 

森谷が返答したところで、脱力感が襲ってきた。ついでに眠気も襲ってくる

 

「体力の限界なようだな?」

「あれだけ暴れて、今まで意識のあった方が驚きだ」

 

頭がボーッとしてくる。眠気で何も考えられなくなってきた。このまま座っているソファーで横になろう・・・そう思って横になろうとすると、身体を倒される

抵抗する気力もなくそのまま倒されると、膝枕をされていることがわかった

誰がしているのか確認しようとする前に、頭を優しく撫でられる。それで限界を迎えた眠気に負け、私は目を閉じた

 


潜水艦内談話室


 

「珍しいこともあるものだ、コイツがアッサリ眠るなんてな」

「そうなのか?」

「あぁ、まずコイツは人前で眠れるほど図太い神経しちゃいねぇ。だからこれは非常に珍しいことなのさ」

「あんたはどこでもいつでも寝れるもんな」

「遠回しにディスるならともかくストレートにディスるのやめて?」

 

アリスを寝かせたのは弟子であるカズマだった、なにげに今は女性化している・・・なんで?

 

「ところでなんでそっちのスタイル?」

「服の予備までズタボロにされて、見繕ってもらった服は女性用しかないそうだからしゃーなしコッチになっただけだが?」

「にゃるほど理解。ブラ付けてねぇの?」

「ちょっと責任者の方に依頼してマッパで曳航してもらおうか?」

「すんませんそれは勘弁してください」

 

コイツといいアリスといい、俺への当たりが強いのなんなのだろうか?

心当たりが山のようにあるので何が理由か分からん

 

「そうしていると、やっぱり親子だな。アリスは否定するだろうが」

「させねぇように優しく追い詰めるさ、目を覚ましたらな」

 

カズマが時たま頭を撫でると、気持ちいいのか小さく女性らしい高い声で呻く。

案外可愛い声で呻くので俺が頬を優しく突くと、不快そうに眉をひそめて男性のように低い声で呻かれた

俺とカズマで対応違いすぎねぇか?しかも無意識下でこれかよ・・・

 

「随分と嫌われてるようだなクソ師匠?」

「ちっくしょうめぇ!!」

 

悔しいのでそう言うと、カズマは薄手の毛布を取り出した。起毛素材の触り心地の良いもので熱を適度に保つ能力もある高級品である

それをアリスに被せて、俺には追加で取り出した薄手の布を渡してきた。一応は毛布だが明らかに安物である

俺には安物なのにアリスには高級品かい・・・

 

「お気に召したようだ」

「あぁ、気持ちよさそうに寝てやがる」

 

そこで部屋に入ってきたのは、アリスの基地にいる子達だった

 

「しきか・・・いえ、すみません間違えました」

「気にしてないからいいよ。コッチの姿だと一部以外そっくりだしね」

 

最初に話しかけて、すぐに他人だと気づいた子にカズマは気さくに対応する

元からそういう能力に長けているのもあるが、楽しそうだ

 

「一部ってどこが・・・あぁ、言わなくても分かったわ」

「人の胸を注視するのはあまり上品ではないと思うよ、M16A1。あとST AR-15」

 

そういうカズマは上品というよりエレガント。膝枕されて眠っているアリスとはえらい違いだ

まぁ、アリスもアリスで本来はなかなかどころか凄く高貴な家系のご息女なのだが、口調と対応が辛辣なザマである(一度本人に言ってみたら半殺しにされかけたので本人には言わないが)

 

「うちらの名前、どうやって知った?」

「持ってる銃火器からの推定さ、ASST組んでる銃を持ってるのが基本だしね」

「言われてみれば確かにそうだな・・・」

「まぁ、中には武器を持ってない指揮官タイプの子もいるようだけどね」

「私のことですか?よくご存知ですね」

「君が他の子に指示を出してるを見てたからね。そこから推測しただけだよ」

 

俺と比べてカズマは小さいところにも目を向けている。そこから得られる情報で臨機応変な会話を自由に行えるのは俺にない才能だ

 

「体力がある程度回復したら目を覚ますだろう、その間任せたぞ」

「へいへい、言われんでもやってら」

「あぁ、それは確かに」

 

カズマは微笑みながらアリスをもう一度撫でた、気持ちよさそうに寝ているアリスはその撫でられる感覚でまた呻いていた




一ヶ月ノンストップ勤務って地獄じゃ・・・


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極東動乱(Open Combat 11)

参加者の皆様にご連絡
コラボ、あと2話で終わります!!(あとがきに続く)


「ん・・・」

「起きちまったか。師匠の言う通り4時間で起きたな」

 

私が目を覚ますと、膝枕をしていた女がそう言ってきた

身体を起こそうとするが指先を動かすので限界だった

 

「無理に動かない方がいい。使い切った体力は回復しきれていないのだからな」

「む・・・」

 

私よりも詳しく体の状態を指摘され、何も言えないでいると旧知の仲でありクソムカつく野郎でもある闘真がいた

 

「おはよう。よく寝たか?」

「貴様のニヤけ顔がなければ良い目覚めだったんだがな!!」

「そう言うなよ。俺の繊細な心が傷ついちまうぜ」

「ほざけ、強度はオリハルコン以上だろうが」

 

忌々しさ全開でそう言って目を閉じる、視界に入れたくないからだ

 

「カズマ。お前の見立てであとどれくらいで動けるようになる?」

「起き上がるだけなら1時間、歩く走るなら3時間というところだ」

「・・・」

 

私よりも正確にそれを言われて何も言えない。どういうことだ・・・?

 

「流石は親子。というべきか?」

「それを言ったらアンタのも片方入ってるのが忌々しいな?」

「お前もそっち側かい!!」

「つっ・・・!?」

 

サラッと言われたことに愕然とする・・・なぜなら・・・

 

「で、子供に会えた感想は?」

「私は誰かの親になったつもりなどない」

 

即答で返していた。かつて生み出してしまった存在を前に、そんなことなど言えるわけもないしその資格もない

 

「それを言っても現実はこれだ。仕組んだのは俺だと自白するがね」

「くたばれ」

 

そう言って半ば強引に起きようとした瞬間、優しく、それでいて抵抗を許さない力で膝枕の継続になった

 

「いま起きたところで醜態を晒すだけだ。止めておいた方がいい」

「カズマの言うとおりだぞ?大人しく膝枕されとけ」

「・・・」

 

キッ!!と睨みつけるがそよ風にも感じないのか闘真は笑い続けていた

 

「しっかしまぁ・・・どんな顔した女傑かと思ったが、意外にも童顔だったな」

「そうそう、コイツは童顔だから若く見られれるんだよなぁ・・・でも凛々しさのほうが勝るだろ?」

「まぁそれは確かに・・・俺にも受け継がれてるし」

「・・・」

 

私は呆れより恐怖のほうが勝っていた。真実を知っているなら・・・殺意があるはずだ

他の全てはどうでもないのに、それが怖い

 

「で、ビビっておられるアリスさん?ご感想は?」

「だ、誰がビビっているという!?」

「オメーだよ」

 

闘真に言われて言い返せないでいると、その顔が真剣なものに変わっていた

 

「いい加減逃げるな、アリス」

「私が何から逃げているという?」

「親であることだ、目の前に現れてなお逃げるというのか?」

「私に親を名乗る資格などない」

 

決然とした声で私は返していた。その返答に闘真は心底呆れた声でため息をつく

 

「まだそれ言う?」

「何度言われようと・・・!!」

「ソイツは全て知ってるぞ?」

 

それを言われて私は膝枕をしている人物・・・カズマと呼ばれている人物を見上げた

 

「さっきも間違えられたよ。M4A1曰く少し離れたところからみたらそっくりなんだと。胸以外は」

「・・・」

 

胸、負けてる・・・イヤ違うそうじゃない!!

 

「全て知った上で・・・何故、殺意を抱かない!?」

「んー、真相知ったとしても俺は俺だ。そう思える心があるしそれでいい。生まれが少々特殊なだけで俺はただのちょっと特殊な力を持っている人間だよ」

「・・・」

 

思わず、眩しさを感じて目を細めた。照明の明るさではなく人間性に眩しさを覚えたからだ

 

「私がどうしてあのようなことをしたと思う・・・」

「愛ゆえに。だろ?今では同族嫌悪だが、な」

「・・・」

「俺も同じだ。まぁ、だからといって許しはしないさ。だけど、さぁ」

 

少し寂しそうな顔で、カズマは私を見ていた

 

「親は名乗らなくても、自覚だけはしててくれよ・・・」

「・・・」

「そこは即答しろよ、アリス」

 

いつになく鋭い声で闘真は私に言ってきた

逃げることは許さないと視線も感じる

 

「逃げ続けるだけではダメだとあの時も言ったがな、いずれこうなるんだよ。まぁ、そうした俺が言えることではないかもしれん。だが、いづれ向き合わざるを得ない時があるなら、遅かれ早かれの差でしかないんだわ」

「黙れ」

 

目を覆い、私はそう言い返した。そう返すしか浮かばなかったのだ

 

「私が、どれほどの罪悪感を抱えていると思う!!己の欲で禁忌を犯し、己の欲で無かった事にしようとしたんだぞ!!命を大事と言いながらその生命を弄んで、どうして親を名乗れる!?」

 

感情のままにそういった瞬間、手を動かされる。抵抗しようと暴れるが、ほんの少し回復した程度の体力ではあっさりと動かされる結果だった

 

「うん、たしかにそれはそうだな」

 

覆っていた腕をどかしたカズマは満足そうな笑みで私を見ていた

 

「だけど、それを罪だと自覚して、今こうして涙を流せているのなら・・・アンタはやっぱりマトモだよ。ぶっちゃけそこにいるクソ師匠なんぞ比べ物にならんほど人間として立派だ」

「おう、俺はクズっていいてぇのか?」

「ドクズだわ自覚しやがれ」

「自覚してロールプレイ中よ?」

「最悪だわ一回死んでこい」

 

カズマと闘真の会話は親子のようなやり取りだった。頓珍漢なことを言う闘真に呆れながらカズマが答えている

 

「で、どうする?俺達としてはお前の基地に入りてぇんだが?」

「カズマ、君は来ていいぞ」

「やったぜ」

「俺はぁ!?」

 

あっさりと了承されたカズマは喜び、闘真は抗議の声を上げるがカズマに睨まれて口を閉ざした

私はシッ!!シッ!!と追い払うように手を降った

闘真の後ろにいたLAFIを除いて・・・

 

「LAFI、ソイツを基地にいれ」

「ますよ?主にマスターのストッパーして」

「ガッデム・・・!!」

「ヒィィハァァァァ!!これでぬくぬくした日常に戻れ」

「アナタは諜報が得意そうなのでそちらを担当してもらいますが」

「ギニャァァァ!?」

 

二人して頭を抱えながら絶叫することになった。よりにもよってコイツを基地にいれたくない。色男だし変態だしろくでなしだ

私もたいして人のことは言えないが、コイツはヒモ生活のほうが好きなクソでもある分、質が悪い・・・

 

「そこは似てるのかよ・・・」

「あ、そちらの方は教練をお願いしてもよろしいですか?」

「Oh・・・No!!」

 

一人勝ちと思ったカズマにもしっかり仕事を割り振るあたりLAFIは容赦ない

 

「マスター。そろそろ報告をしても?」

「あぁ、寝たままですまないが頼む」

「本艦は現在浮上状態で洋上待機中です。同時に損傷したタイルの交換作業を行っております。また、リヴァイルさん達のグループは逃げ遅れた市民の避難誘導作業を行っている最中です。両方とも完了は20時間後、ここからの指示をお願いします」

「収容完了と共に進路転進。東京港大井コンテナ埠頭に着岸予定を立てろ。日本政府には出発前に話してある」

「了解しました」

 

やっと動けるくらいにはなったので動こうとするが、また止められる。恨めしい顔で見上げるが、微笑まれるだけだ

 

「万全に動けるようになるまでこのままだ。イヤとは言わせないぞ?」

「む・・・」

「拗ねてもダメだぞ?」

「ふん・・・」

 

膝枕は継続だった。だが、眠気がまた襲ってくる。体力は回復したが疲労までは回復してないのだから無理もない

 

「さっさと寝ちまえ」

「うる・・・さい。眠れない・・・」

「はいはい、おやすみー」

 

その声と共に私は目を閉じて再度眠った。それは夢など見ることはなく、久しく感じなかった深い深い眠りだった・・・




次話は前半で日本国内の状況を描写、少しだけ東京観光をします!!
後半は模擬戦で第一戦・森谷VSシャマール、第二戦シャマールVSカズマのバトルです

・・・さて、DAREDEVILとHUSH(いずれもLucas Ricciotti氏がRemixしたバージョンの物)をエンドレスリピートしながら書いてくか・・・


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極東動乱(After)

ようやくかけた・・・
遅れた理由はまさかのスランプと肘部管症候群(らしき症状)の発症による小指の痺れで集中力が削がれてしまったためだ・・・(あとがきに続く)


「マスター、ただいま着岸しました」

「あぁ、これからの予定は?」

「日本国政府代表との協議と、本艦への補給で48時間停泊です」

「分かった。確認だが向こうは我々の方に保護を求めてるので間違いないな?」

「えぇ、我々のほうが安全に生活できるであろうとの理由です」

「その当たりは交渉だな」

 

戦闘終了から2日後、東京港大井コンテナ埠頭に着岸した

1日後には既に東京湾近海まで来ていたが、秘匿や箝口令のために手間取ったらしく一日ズレての着岸になったのだ

 

「政府関係者は既にこちらに来ているそうです」

「こちらでも最恵国待遇か・・・」

「致し方ないかと、なにせマスターはあちらからすれば恩を売り続けて受け取ってくれない方ですから、意趣返しにこれくらいされても文句は言わんだろうと思われてますよ?」

「私にそのような厚遇など望まないと言っているはずだが・・・」

「貴女があちらからの礼を受け取らないからです。与えるだけ与えて相手からは受け取らないからこうなったのですから諦めて下さい」

 

LAFIにそう言われて肩を落とす

身から出た錆というものだろうが、あまりにもぞんざいな言い方に少し気がまいってくる

 

「それとも何か?最恵国待遇に文句が?」

「いや、文句があるわけではないが・・・なぁ」

「言っておきますが全てはマスターの不手際です、国際問題にならないだけマシといえますが考えモノではありますよ」

「はい・・・以後気を付けます」

「よろしい、では行きましょうか?」

 

外に出ると、すでに森谷が愉快そうに話していた

その横でジト目で森谷を見ている藍澤が先にこちらに気づいて肩をすくめる

 

「おう、来たか」

「随分と仲良さそうではないか森谷?」

「これでも元クライアント様だからな」

「お初にお目にかかります、私は朝香宮遥実(アサカノミヤハルミ)と申します」

 

国家元首から頭を下げられてしまった・・・さてどうするかと悩んだ瞬間、基本余計な事を言う森谷がやはり余計な事を言った

 

「こう見えてヤンキッシュなお姫様だから気をつけろよ?」

 

発言した瞬間、ヒールの踵部分で思いっきり踏みつけられて悶絶していたのは言うまでもない

しかもかなり勢いをつけたうえでの踏みつけである、相当の激痛だろう

 

「さて、余計な事を言った馬鹿を処断したことですし・・・東京観光と行きませんか?ここからでしたらいくつか寄れる所もありますし」

「あんた・・・一応国家元首だと分かってんのか・・・?」

「チッ・・・しぶてぇなコイツ」

「そっちが素か?」

 

相変わらずリスポーンの早い森谷の質問に一瞬でゴミを見る目になって吐くように言った元首に驚く

明らかにイラついてるのがわかるほど声のトーンも低かった

 

「藍澤さん、このゴ…おバカな人の対応お願いしますね?」

「適当な熱源の近くで炙っておきます」

 

普通な顔でそう言った藍澤は森谷を引きずってどこかに行った

私たちは中型の観光バスに移乗して一路東京観光にしゃれ込むことになった

 

「ここは相変わらず盛況だな・・・」

 

途中で秋葉によった、希望したのはM16A1とHK416でM4A1とSOP2も乗り気だった

 

「指揮官は来たことが?」

「個人的な用事と別にも何度かある」

「・・・?」

 

懐かしさもある場所だ。金が足りない時に民生品を応用して低予算で開発しなければならない時、ここに来ればほぼ全て揃えられた

ないものはほぼ特注で買わなければならなかったが、それはそれで作るための機材を買えたりもしたので凄い場所である

表立ってはメイド喫茶やアイドル系の店が多いが、裏では私のようなギークの要件を満たせるディープでマニアックな店もある

 

「マスターは速攻でそちらに行きましたか・・・」

「いろいろと揃えられるからな・・・お、これは使えるな」

「基地のメンテナンス用にですか?」

「あぁ、古いからなかなか規格に合う部品が見つけられんが、やはりここには変換系のパーツが揃っているな」

 

基地の設備の一部が古すぎて交換パーツがなくなりかけていた、その互換と変換を同時にやれるパーツがあったのだ

 

「日本円ではないが買えるか?」

「えぇ、問題ありませんよ、レートは少し変わりますがね」

「構わない、幾らだ?」

「〇〇円です」

「今のレートだと○○ユーロだな?」

 

確認するとにっこりと店主は笑った、どうやら当たりのようだ

 

「凄いですね、こちらよりも正確だ・・・外交員さんで?」

「いや、今は非番だがPMCの代表だ、あちこち行ってるからその国と別の国のレートを覚えててな」

「なるほど、それはまた・・・はい、商品です」

「ありがとう、またこの国に来たら買わせてもらうよ」

 

そう言って一店舗目を離れて二店舗目に向かう

ついてきているLAFIは組み立て型の3Dプリンターや卓上の小型射出成型機などを買っている

M16A1は表側の店舗でグッズなどを買い漁っててM4A1とSOP2はメイド喫茶で楽しんでいるようだ

3時間ほどで合流し、目的地である皇居に向かうことになる

 

「ここに来るのは初めてだ・・・」

「だろうな、ここは日本人ですら来れる人間は限られる場所・・・言い方を変えれば聖地と言っていい場所だからな」

「そう考えれば一番似合わない男がいるな?」

「おう、それ言うならお前にもクリーンヒットだからな?」

 

森谷が言ってきたので反論しつつも中にバスは入っていく

入った瞬間、空気が変わったように感じる。都会の中でありながら、森にいるような錯覚を覚えた

それだけでなく、水の流れる音までも聞こえる

 

「聖域といった理由が分かったか?」

「オカルト系は苦手だがな、確かにこれは・・・」

 

苦手である私ですら感じる変化に森谷は笑いながら言ってくる

ただし、声は真剣なものだった

 

「そりゃ、ここはオカルト的な意味でも日本の要だ。日本において幾つかある龍脈の合流点、そしてそれと別の地脈の合流点、二つの力が交わる場所だからな」

「森谷は家が寺社系だったな」

「厳密には俺の家ではなく何代か前に分岐した分家のほうだがな、まぁ俺も本家ではなく分家筋だが」

 

深いため息をつき、森谷は国家元首のほうを向いた

そして久しぶりに見る叱責の表情で話しかける

 

「北側の守りが弱まってるぞ?サボってるな?」

「うっ・・・」

「数日中に祈祷でもいいからやっとけよ?こればかりはそっちでしないと駄目だからな?」

「は・・・はい」

 

森谷はそう言って出されたお茶を飲み、藍澤はのんびりと外を眺めていた

 

「藍澤さんも座ってくれませんか?」

「いや、俺は立ったまま聞いておくよ。堅苦しいのは性に合わなくてな」

「そういうところは好きですけど、今はお願いされている立場ですからね?」

「なかなか強硬だ・・・」

 

国家元首のにこやかな恐喝にヤレヤレと肩をすくめながら椅子に座った

そしてそこから話が始まる

 

「さて、ここからは仕事のお話としましょう」

「彼女達はここにいても?」

「問題ありませんよ」

 

確認にすんなり応じてくれた、柔軟な対応というよりは最初から想定済みという感じだ

キレ者だとは前からわかっていたがいざ本人を目の前にすると、年齢以上に狡猾だとわかる

 

「では、単刀直入に申し上げます。我々と協定を結んで下さい」

「内容にもよる、と返そう。ただで受け入れるわけにもいかないからな」

「それに関しては飲んでいただけるかと」

 

出された書類に目を通した

その中身は絶対譲れない事項とある程度は妥協できる事項、別にどうでもいいこと。それらを受け入れてこちらが享受できるモノ、失うもの。メリット・デメリット全てが事細かに書かれていた

 

「なるほど、ここまで丁寧にまとめられたら、前向きに検討せざるを得ないな・・・LAFI、どう思う?」

「問題はないかと。こちらに得られるメリットも、あちらが得られるメリットも釣り合ってますから」

「決定だ。協定を結ぼう。ついでにこちらからも条件を加えていいか?」

「はい、問題ありません」

「君の次の代以降も協定は継続してもらう。これは可能か?」

「えぇ、問題ありません」

 

こちらの要求があっさり通った。やはり計算ずくだ

それから2時間かけて詳細を粗方詰め終わり、協定の契約書にサインを行う

そして・・・

 

「かったるい書類は終わったか?」

「えぇ、たった今終わりましたよ?随分と遊ばれていましたね?」

「いやぁ、遊ぶつもりなくて昼寝のつもりだったんだが猫ちゃんが寄ってきてなぁ・・・」

「相変わらずネコには好かれているようだな?人には好かれないくせにな」

「ちょっと?俺ディスるの楽しいか?」

「非常に楽しい」

「いい笑顔しやがってちっくしょう・・・」

 

国家元首の飼い猫と部屋の隅で戯れていた森谷が終わったタイミングを見計らってやってきた

服のあちこちに猫の毛がついている

 

「ふむ、では模擬戦してもらいましょうか。武装は剣のみで」

「げぇっ・・・俺はやめとくぞ!!」

「最初は貴様だ森谷、逃げれると思うなよ」

「最悪だ・・・!!」

 

そう、話の最後らへんで実は模擬戦の企画をしていた

森谷が遊んでいてこちらの話を聞いてない状態だったので都合が良かったのだ

 

「でも場所がねぇだろ!?」

「あるじゃないですか、むかし使われていた庭園が」

「あそこは触れ合う場所であって戦う場所じゃないだろ!?」

「戦争時はあそこで訓練をしていたらしいですよ?噂程度の話ですが」

「・・・」

 

それを言われて森谷は黙り込んだ、眉唾ものの噂話を口実にして模擬戦に持ち込んできたからだ

 

「俺の命日は今日だったか・・・」

「そんなお通夜の前のような顔をするな、棺桶にはいるんだぞ?」

「おいこら、ガチで殺しそうな顔と声してんじゃねぇよ!!」

「まだ決まってはいないぞ?頑張って足掻け」

「それができたらどれだけマシだろうなぁ!!」

 

そう言いながらも準備はしていた、抜かりなく細部まで確認しているようだ

 

「で、ルールは?」

「飛行禁止、転移なし、武装は剣のみの一回勝負だ」

「ふむ、なら・・・先手必勝じゃあ!!」

「甘いッ!!」

 

開始の掛け声もなしに仕掛けてきた森谷だったが、私はそれを柄頭を抑えることで防いだ

 

「なにぃ!?」

「剣で私に勝てた試しがあったか?」

「俺は近接武器クソ苦手なんだよ!!」

「ならばこの機会に少しは出来るようになってもらおうか?」

「お前のはスパルタンだからイヤッ!!俺は褒められると伸びるタイプなの!!」

 

その言葉にカチンと来た、裏拳気味に胸部を殴って距離を開けて私は言う

 

 

「嘘を言うんじゃないぞ貴様ぁ!!褒められると調子に乗って自滅する奴が偉そうにほざくなぁ!!」

「キレるのそこかよ!?」

「そこに居直れ!!性根から叩き直してくれるわ!!」

「ノーサンキューだ!!時間まで逃げ切ってやるぅぅぅぅ!!」

「逃さん!!生かして帰さぬ!!」

 

久しぶりにギャアギャアと騒ぎながら、私には珍しく当てる気程度で戯れる

森谷は剣こそ躱していたが殴りと蹴りは普通に受けて最後には体力限界でふらついていた

 

「ちょ・・・ちょっ・・・タンマ・・・もう無理・・・」

「コレくらいにしておいてやる・・・後で地獄を見てもらうからな」

「ふえぇ・・・」

 

それから2時間ほど休憩し、今度は私と藍澤の模擬戦だ

 

「ほう・・・様になっているな」

「師匠と違って近接にも気をつけていてな・・・それでも貴女に勝てる確率はかなり低いが」

「細かく分析してるようだ・・・遠慮はいらないな?」

「あぁ、互いに全力で」

「分かった」

 

 

私は大剣を構える、藍澤も同時に日本刀を構えていた

 

「尋常に」

 

藍澤がそう言ってきたのでこちらも応える

 

「勝負!!」

 

動いたのは同時だった、振り落としに突きで対抗してきた

とっさに柄頭で突きを横に弾き首を切り落とそうとするが、藍澤は後ろに下がる形で体勢を立て直した

それだけでなくこちらの胴体を狙ってきたので、私も後ろに下がる形で回避せざるを得ない

 

「堅実だ、実に見事」

「お褒めいただき恐悦至極だ。聞いてはいたがここまで大胆と繊細を兼ね備えているとは思った以上だ」

 

<模擬戦場所、森谷>

 

「全力を出してなかったですね?」

「いやいや、全力だったよ。言ったとおり俺は近接戦だとクソ雑魚なんだ」

 

アリスとカズマの模擬戦を見ながら、俺は質問してきた国家元首・・・元クライアントの質問に返していた

 

「指揮官・・・楽しそうですね」

「好敵手だと思った相手にはあぁいう顔するんだよ、アイツは」

 

互いに笑いながら激しくやり合っている。女性が使うには厳つすぎる大剣を片手でぶん回す女傑、かたや男性が使うには心もとなくも見える細剣・・・実力が互角であることは服に損傷がないことから明白だろう

 

「そろそろ時間も限界だな?」

「あぁ、そのようだ」

「では、行かせてもらおう」

 

その瞬間、アリスが構えを変えた。それに俺は叫ぶ形でカズマに告げる

 

()()()カズマ!!()()()()()ぞ!!」

 

だが、カズマは避けることなく剣を構えて・・・突きで攻撃したアリスの剣を力を受け流す形で逸し、首に触れるギリギリで剣を止めた

 

「見事だ、相打ちとはな」

「突きから相打ちに持ち込む技量には驚きだ、実質的には負けと言ってもいいだろうな」

 

カズマの下腹部にもアリスの剣先があった、間違うことなく相打ちである

 

「良いものを見せていただきました。ありがとうございます、お二人とも」

「こちらとしても良いものだった。久しぶりに面白いものだったよ」

「貴様に見せるためものではないぞ森谷。まぁ良いものだったのは間違いないがな」

 

アリスは満足げだ。カズマは少々不満そうだがおそらくそれは自分が相手に追いつけなかったことだろう

 

「まだまだ、だな」

「あぁ、アリスから剣を学べ。必ず役立つ」

「反面教師のいうこともたまには聞いといてやるか・・・ま、クソ師匠も役には立つだろうしな」

「オマケ扱いされる俺氏は辛いです・・・」

 

それから数日後・・・俺は潜水艦の中で酔いまくることになったのは言うまでもない




肘部管症候群はしんどいね・・・指は動くのに痺れや痛みが出てくるんだもの
おかげで執筆にクソほど時間がかかるわ・・・早いとこ治そう・・・(なお手術以外に選択肢はない模様)


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極東動乱(Last)

やっと終わるコラボ回
不穏な最後と新たな戦いの気配が忍び寄る


「よし、これで最後だな」

「えぇ、コレが最後です。参加してくれた各部隊への報奨金などの精算は完了です」

「やれやれ、流石に財布に響いたな」

「私はそれでも富豪を余裕で名乗れるマスターの財力に驚きですよ」

 

日本から帰還して数日後、最後の精算を終えた

私の個人資産からほぼ大半の部隊への報奨金の支払いなどを行い、最後の確認として帳簿を再確認する作業をいま終えたのだ

 

「なに、そこで贅沢に緑茶を啜っている義姉に比べれば普通のレベルだよ」

「あら、このお茶美味しいわね・・・日本のお茶はどれも美味しいわ」

「おいこら、人の住処勝手に漁って贅沢するな。支払わすぞ?」

「良いわよ?無限に出すわ」

「どうせ無限に寄越せとか抜かすんだろうが!!」

「分かってるじゃない」

 

いつの間にか顔パスで入り込むようになった義姉に呆れつつもとりあえず最後の一杯として宇治茶を馳走する

 

「LAFI、あとどれくらい残っている?」

「マスターだけが飲むなら余裕で1年分はあるかと」

「他に出したら?」

「3ヶ月も持たないですね」

「ガッ・・・デム!!」

 

最悪だ、何としても取り上げねばならない!!

 

「おい、今すぐ現金で返せ」

「はいどうぞ」

「用意済みか!?」

「当たり前でしょ、私よ?」

 

ぐうの音も出ない言い方だった。この人物、少し会話しただけで相手の思考を予測するハイレベルの心理戦特化型の人間である

私のように動き回るタイプではないため非常に厄介な性質だ

 

「それに、本社こっちに移していいと言ったの貴女よ?」

「くっそう過去の私め、酒に酔わされると分かってたのに!!」

 

戻って来てすぐ、飲みに誘われた。その席で酔わされたのだ

そして本社機能を移すことに同意してしまった。酔いが冷めてから青ざめたのは言うまでもない

だが、利点もある。というかその利点がとてつもなくデカい。なにせ新ソ連国内の鉄鋼王手の筆頭株主であり、代表権も保有するガチのやり手経営者だ、味方につければ最高品質の鉄鋼材を最優先で入手可能だからだ

あとはその加工機材も手に入れやすくなると、まさしく一石二鳥といえる

問題は・・・このクッソハチャメチャな人物の掌の上で転がされるということだろう

 

「で、早速本社の建設に移っているわけだけど・・・やけに早くないかしら?」

「日系企業の請負だからな・・・爆速でハイクオリティーな建築が売りだ」

「かなぁり、早くないかしら?」

「それでいて建築基準は日本仕様で非常に厳しい。日本の建築基準は知ってるか?」

「えぇ、それなりには」

 

そう、たった1週間ちょっとで既に基礎の鉄骨構造の6割が出来ていた。これを仮に他の日系でない企業にやらせれば、まだ土台のドの字も出来ていないだろう

この企業は土台の構築準備をおよそ2日で終わらせ、安定した堅固な地盤へのアンカー打ち込みと同時進行で土台とその上の基礎構造物の構築を行っていたのだ

しかもそれでいてしっかりと日本クオリティの建築基準を守っているのだから驚きである

少々値は張ったがそれだけの品質と安全性は保証されているのだから惜しむことはないだろう

 

「で、そっちに来た男の人達はどこに?」

「建築現場でアルバイト」

「ありゃりゃ・・・災難ねぇ」

「こっちじゃ週2日くらいしか出番がないからな・・・それならばと乗り気になった藍澤と、引きづられる形で森谷が運ばれていった

「それはそれは・・・で、貴女から見てどう?」

「ノーコメント」

 

おそらく藍澤のことを言っているのだろうがノーコメントと返して黙らせようとする、しかし

 

「そう言っても、気にはなるんでしょ?」

「・・・ならないはずがないだろう」

 

それが私の答えだった、親としての責務から逃げた私だが・・・それでもやはり気にはなる・・・本人には悟らせないようにしているが

 

「似た者同士ねぇ・・・親子だから似るのかな?」

「茶化すな、それに私は」

「親じゃない、なんて言葉は言わせないわよ?」

「・・・」

 

一瞬、スゥッ・・・と眼が細められた、キレかけている時の動きだ

 

「親の責任から逃げたんだぞ?」

「で?だから?」

「・・・」

「そういう正直になれない所が似てないと良いけどねぇ?」

「・・・!!」

 

今度はこっちが叱責する目で見ると、ニヤニヤと笑いながら言ってきた

 

「ま、あとは時間の問題かしら?」

「私もあの子も、他人からスタートだからな・・・分かり合うまではそれなりに時間を要するだろう」

「でも、似ているところが多い以上、そうかからないと思うわよ?」

「同族嫌悪って、知ってるか?」

「アナタと森谷くんの関係?」

「言った私が馬鹿だったわ」

 

心底呆れながら言い返し、私は告げる

 

「全くやれやれ・・・仕方ない」

 

キィ・・・と椅子を揺らしながら一旦立ち上がり、ソファーに座る

従姉妹の淹れてくれた紅茶を飲み、一息つく

 

「で、どうしてココにいる?」

「暇だから」

「顔パス廃止していいか?」

「冗談よ、私の情報網で怪しい動きをしている地域があるとの情報を得たわ」

「地域だと?」

「えぇ、もっと具体的に言えばとうの昔に廃棄された軍事基地よ」

 

ふむ・・・それを言ってきたということは・・・

 

「軍事行動か?」

「えぇ、やってるのはパラデウス。行動は・・・」

「・・・私のコピーか?」

「えぇ。私から見て、間違いなく貴女のコピーと思うわ」

 

そう言って出されたタブレット端末を受け取り、動画を流す

部隊の動き方や微細な変化、すべてが焼き写しと言ってレベルに達していた

 

「非常に考えにくいんだけど、相手は貴女の・・・」

「クローンだろうな、おそらく。そして、過去の交戦記録から対策を具体的に練り始めたと・・・非常に遅い判断だが、効果的だ」

「それじゃあ・・・」

「撃滅する。過去の私が相手だろうと・・・な」

 

タブレット端末を返し、場所を確認する

LAFIが駆け込んできたのはその直後だった

 

「マスター!!」

「なんだ?」

「ウクライナ方面で謎の電波が放出され始めました!!非常に強いものです!!」

「ウクライナだと・・・?」

「この映像もウクライナのとある都市だけど・・・」

 

同時に動いていた、電波を監視するコマンドルームに入り、ヘッドセットを受け取り音を聞く

 

「なんだ・・・このパルスは?」

「アリス、貸せ」

 

その瞬間、掛けていたヘッドセットを取られた

一瞬で奪っていった相手である森谷を睨もうとしたが、その顔が過去見たこともないほど緊張していたため何もできなくなる

 

「この独特のパルス・・・この施設はこちらの世界線基準で1世紀以上前に放棄された場所だぞ!?」

「どこだ!?」

「ウクライナ、ゴーメル・・・旧ソ連軍事レーダー施設・・・!!」

「まさか・・・ドゥーガ3か!?」

「あぁ、この独特のパルス周期、パタパタ音は聞き覚えがある、間違いねぇ!!」

 

LAFIが解析を終えたのかこちらに振り向いてくる、話すように促すと森谷を少し見てから言ってきた

 

「解析を行った結果ですが、森谷さんの言う通りの場所、ドゥーガ3で確定です」

「そうか・・・しかしなぜ今更、レーダーを復旧させた・・・?」

「挑発か、あるいは別の目的か・・・今は分からんが対処したほうが良い・・・なにせ近くには!!」

「分かっている、チェルノブイリ原発跡だろう?アソコにはまだ、事故の残留物・・・超高濃度放射性物質が山のようにある。それこそ汚い爆弾を何千と作れるほどにな!!」

 

そう、森谷の懸念はそれだった

もし、その施設から核物質を持ち出していたら・・・

 

「地獄を作り出されるぞ・・・!!」

 

新たな戦いが始まる・・・地獄を生み出さないための戦いが・・・

その戦いが過去史上最も厳しい戦いになると、この時はまだ予測できなかった




やっと終わったコラボ、参加の皆様お疲れ様でした
こっからは一気に加速していきます
今度の戦場はドゥーガ3、過去最悪の凄惨な戦いになります
そしてLAFI様が進化を果たします


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