Fate Grand Order  超越不定空間 ゼラード・クアル 活動中止 ((´・ω・`)しょんぼりくん)
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荒くれ者と花の魔術師

やってしまった、また余計な小説を増やしてしまった、ただえさえ手一杯なのに衝動が抑えられずやってしまった(汗)、まあ出すからには最後までやると思いますが不定期になると思いますので気長に待ってね(他の作品もありますが全部台本形式なので気を付けてください、この作品は違うけど)


人はさまざまな夢を見る、良い夢、驚きの夢、悲しい夢、怯える夢、人は自分が置かれている環境によって様々な夢を見る、何故そんな物を見るのかはわからない、ただ人は必ずと言っていいほど眠る時にその謎の世界に行ってしまう、現実ではないとわかっている、それが空想に終わると理解している、だが何故かそれを見続けるのは何故なのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人はそれが何なのかはわからない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『んあ?』

 

ふと気づくと目の前に美しい光景が広がっていた、辺り一面綺麗なピンクの花が咲きほこりそれがかなり遠くまで続いている、風に煽られその花が散り風と共にまっていく姿はまさしく心が安らぐ光景だ、だが男、佐藤和也は大きな欠伸をしながらその光景を眺めていた

 

『夢の中でも欠伸かい?』

 

そう上から声がした、そちらの方向に振り向くとそこには絶世の美女がいた、白髪の長髪でその瞳から見える綺麗な宝石のようなピンク色の目、服は綺麗な白い中世の着物を着ており手には杖のような物を持っている、ふわふわと浮いていた女性がゆっくりと隣に降りてきた

 

『体だけではなく心も疲れているよ、もっと休みを取りたまえ』

 

『うるせぇよ、自分の夢ぐらい見させてくれよマーリン』

 

マーリンと呼ばれた女性は優しく笑いながら返答をする

 

『いいじゃないか、減る物ではない』

 

『んなわけねぇだろこちとら毎日が苦行の毎日で大変なんだぞ、夢の時ぐらいゆっくりさせてくれ』

 

『いやだよ、夢の中じゃないと君の楽しい話が聞けないじゃないか』

 

『楽しくねぇよちゃんと聞いてたのかバカ』

 

『うぅ酷い、お母さんはかなしい』

 

『さらっと嘘つくな、誰が母さんだ』

 

そうワザとらしく悲しい演技をしながら涙目を浮かべ地面に倒れている彼女に対しそれをあきれながら見下ろす彼、何度目かと心の中で思いながら彼はゆっくり綺麗な花が咲く地面に腰を下ろした

 

『ほら、聞かせてやるから』

 

『それを早く言っておくれよ』

 

さっきの演技は即座に消え失せ四つん這いでこちらに近寄って来た、人を惑わすほど綺麗な美貌がニコニコしながら近づいて来る、それを見て思わず子供見たいだなと苦笑してしまうが取り敢えずその女性が求める物を出す事にした

 

『んじゃ話すぞ、最初はいつも通りまた飛ばされて、んでついたの幻獣が普通に暮らしていた場所だったな』

 

『おおいいじゃないか、聞かせてくれ』

 

『わかったわかった、んなはしゃぐなよ』

 

自分が行った世界でどんな事をしたのか、マーリンは地面に膝をつき腕枕をしながらそれを楽しそうに聞いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『んでだ、その怪我してた奴を直して旅を再開しようとした途端、また飛ばされたんだ』

 

『も~何で君はそこで飛ばされるんだい?良いとこだったのに』

 

『仕方ないだろ?勝手に飛ばされるんだから』

 

そう腕を組みそれを頭の後ろにやった状態でそれを枕にしながら寝っ転がり旅の話を続けていた、マーリンはいつもなにか姿勢を変えて和也の近くで座り彼を見下ろしながら聞いていた

 

『不思議な者だね、自分の意思ではなく勝手に飛ばされる何て』

 

『ホント参るよ、どこのどいつがやってんのかわかったら〆てやる』

 

『残念ながらこれは私にもわからないな、特に君の体からは何も感じられないしそれに別の時代どころか異空間に転送させる何てそんなの出来る人何か恐らくいないよ』

 

そもそも時空を超えて転送をする等の芸当など恐らく指で数えるぐらいしかいない、アヴァロンで世界を見続けたマーリンでもその答えは知らなかった

 

『あのマーリンさんでもお手上げか』

 

それを聞いたマーリンは頬を膨らませいじけながら見下ろしていた

 

『そんな事言わなくてもいいじゃないか、わからない物はわからないんだからさ』

 

『魔術の事は俺も使えるがよくは知らない、だからお前に聞いたのにこの駄女ときたら…』

 

そう冷たい目線を送る和也、マーリンの方は両手を上げてやれやれと首を振っている

 

『酷い言いぐさだな~、私が使えるのは無害な花を作るだけの綺麗なお姉さんさ』

 

『そうだな、確かに綺麗だ、散った花と相まって正直見惚れるよ』

 

地面いっぱいに咲き誇る綺麗なピンクの花、風に煽られその幻想的な空間にこんな美女が立つだけで絵になるものだ、それを聞いたマーリンも嬉しそうに笑みを浮かべた

 

『おや?さっきと言ってる事が違うけど?』

 

『何だよ素直な感想を言っただけだろ?性格はまあ、問題あるけどそれを入れても綺麗だよ』

 

『それはよかった』

 

そう言うとマーリンは彼に寄り添いその頬を撫でる、優しそうな眼をしながらザラザラした髪が手に当たるが柔らかい頬だけは触りごごちが良い、彼もその手を優しく自分の手で掴み目を閉じた

 

『あったけぇな、それに何だか安心する』

 

『そうなのかい?よく皆は不気味がるんだけどね』

 

『そりゃやってきた事が事だし』

 

正直性格は良いとは言えないし今もそう思っている、けど何でだか嫌いになれない、ずっと一人で旅をしてきたためだろうか?上半身を起こし彼女と額をくっ付ける

 

『なぁ、いつお前に会えるんだ?』

 

『私には一生会えないよ、ここはそういう場所だからね』

 

アヴァロン、マーリンが住むこの場所は普通の人間では辿り着けない場所にある、ここに来る方法はマーリンのような魔術師かマーリンが夢から語り掛けるのを待つしかない、和也は夢で会える事もうれしいがどうしても直接でもいいから会いたかった

 

『俺は直に会いたいのにな…お前は?』

 

『私はまあどっちでもいいかな、夢で会うのも現実で会うのも私には何ら変わらない、前にも言ったろ?私は君の話を聞くのが好きなだけな、ただの客なんだから』

 

彼女はただ見る事が好きなのんびり屋、本の物語のキャラになりたいわけでもないただそれを見るのが楽しいだけなのだ、それを聞いた和也は少し目を伏せたが直ぐに戻しマーリンの方を向いた

 

『俺は…会いたい』

 

『…夢で会えるさ』

 

その言葉と一緒に前がボヤケ始めた、それと同時に前が真っ白になっていく、戻ってしまう当てのない旅、次は一人なのだろうか?それとも藤丸とまた会ったりするのか、よくわからない当てのない旅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも彼女に会えたのは嬉しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ン、マーリン!」

 

「ん?」

 

その声に釣られ意識が戻った、最初に見えたのは雪景色、一面が真っ白世界が広がっており空模様も曇りそこから出た雪が延々と降り続けている、その光景を施設の窓から見ていたうちに昔の事を思いだしていたようだ、そして声を掛けられた方を見てみるとそこには契約者の藤丸が不思議そうにマーリンを見ていた

 

「どうしたの?何だかボーとしてたみたいだけど」

 

「何でもないよマスター、ただ昔の事をちょっと、ね」

 

そう大した事がないと手を振りながら流す、ただそれでも藤丸の顔は晴れる事はなく直ぐに聞き返す

 

「何か悩み事なら聞きたい、マーリンがそんな顔をするのは珍しいから」

 

「はは、まあ見透かされるよね」

 

そう笑いながら流す、ガラにも無く隠し事を露呈してしまった、こうなった彼は意地でも聞こうとするからたちが悪いので折れる事にする

 

「何、ちょっと昔の事を思い出してただけさ」

 

「それってキャメロットの事?」

 

「いや違うよ、私とよく夢で会っていた男の話はしたかな」

 

「佐藤さんの事?」

 

佐藤和也、目的が無くかと言って自分でやったわけでもない旅を続けていた謎の人物、藤丸もその人の事は特異点で何度か会っているため認知はしており旅の仲間として一緒に戦った時もあった

 

「少しね…今どうしているのかなって」

 

「ソロモン以降僕も会ってないからよくわからないな、元気にしているといいけど」

 

「だと、いいんだがね」

 

アヴァロンにいた頃は彼の夢に入る事は出来たのだがここに召喚されて以降彼の夢どころかどこにいるのかもわからなくなってしまった、その日からずっと探しているのだがどうしても見つからずにいる

 

「大丈夫だよ、多分大丈夫」

 

「どうしてそんな事が言えるんだい?」

 

「だってあの人が死ぬ光景何か思いつかないから」

 

それを聞いたマーリンは思わず頷いてしまった、マーリンはよく彼の話を聞いていたのだがよく生きているなと思う程の話を聞かせてくる時があった、龍と戦ったりはてや何故か幻獣と戦ったり等色々あるがどれも話の内容は多彩で面白かったと言う記憶だけはあった

 

「佐藤さんは僕よりもしっかりしているから大丈夫だよ、魔術の幅も広いし戦闘経験も僕よりもあった、引き際もいいしきっとどこかで生きているんじゃないかな?」

 

確かにっと一瞬思ったマーリンだがその後ため息を吐き呆れた目線を当てながら藤丸に返した

 

「それはそうだけどね、あまり自分の事を過小評価するのはよくないよマスター、君は立派な事を成し遂げているのだから」

 

「ははは、ごめん」

 

マーリンからそう指摘された藤丸も笑いながら流していた、それが彼らしい答えだったのだろうかマーリンは肩をすくめている

 

『あ~、藤丸君、これが聞こえていたらちょっとミーティングルームに来てくれ、なるべく急いでね』

 

そんなやり取りをしているとカルデアの通路にあるマイクから馴染みの声が聞こえてきた、この様子だとまた何か問題が起こったようだ

 

「ダ・ヴィンチちゃんが呼んでるから、僕は行くよ」

 

「待ちたまえ、私も行くとしよう、せっかくだしね」

 

「ありがとう、それじゃいこっか」

 

マーリンはそれに頷き藤丸と一緒に歩きだした、マーリンのヒールが当たる音が通路に響きそれが一定のリズムを刻んでいる、藤丸はそれに気にせず歩きミーティングルーム前に着くとその入口のドアが開いた、そこにはダ・ヴィンチの他にも数人集まっており全員が藤丸の顔を見ると早速声を掛けてきた

 

「来たね藤丸君…おや?マーリンも来たのかい?」

 

「たまたま近くにいてね、ついてきたのさ」

 

そう元気よく両手を広げる、最初に来た時は少し不思議な目線を送られていたが今ではもうなれたのか笑みを浮かべて返されている

 

「よしよしそれじゃ二人ともこっちに来てくれ…話を始めるよ」

 

二人は前へ進み皆が囲っている台の前に立つ、そしてダ・ヴィンチが台を操作し始めるとその台の上にホログラムが現れた

 

「集まってもらったのは他でもない、今日またカルデアスが特異点を発見した、場所は冬木市だ」

 

「冬木か…」

 

一番最初に攻略した特異点、すべての始まりの場所だ、藤丸たちが和也にあったのもその日だった

 

「そして気になる年号なのだが…表示された数字は2014を示していた」

 

「え?そんな年に?」

 

それを聞いたダ・ヴィンチは大きく頷いた

 

「そうこの年だ、だが新宿等と同じようにそこまで大きな問題はこの時代には起こっていない、特異点の力も弱くなったり強くなったりして他のと比べて不気味何だ」

 

「つまり不安定と言うところか」

 

「そんなのいつもの事でしょう、逆に今までまともだった特異点など聞いた事もない」

 

そう返す白い鎧で身を固めた男と体の赤い模様が入り金の装飾品を付けた女性がそう溢した、白い方はあのアーサー王で金色の方は英雄王ギルガメッシュ、二人とも世に知れたビックネームだ

 

「一応わかる範囲ではこれくらいかな、微小特異点でもないし特にこれと言った原因も考えられない」

 

「それじゃ現地に行って解決するしかないか」

 

一応ここからでも調べられるが限度があるため詳細な情報はどうしても手に入らない、それを手に入れるためにはどうしても現地に行って探す必要があった

 

「そうなる…いつもすまないね」

 

「大丈夫ですよ」

 

申し訳なさそうな顔をした顔をするダ・ヴィンチだがそれを優しそうな笑みで返す藤丸、そこにいたサーヴァントたちはやれやれと呆れている

 

「それじゃ連れて行くメンバーはここにる三人にとマシュにしよう、丁度いいしね」

 

「よしわかった、それじゃ準備が出来たら来るように、こっちも準備をして待ってるよ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後藤丸は準備を終えカルデアスの方に向かった、メンバーはギルガメッシュ、アーサー、マーリン、マシュの四人、レイシフトの方は特に問題もなく進み無事冬木に飛ばされたのだが藤丸たちは目の前に入ってきた光景に少し驚かされた

 

「えっと…」

 

「これは…どういう事でしょうか?」

 

藤丸たちがまず見たのは綺麗な街だった、到着地点が山の中と言う事もあってかよく全貌が見えており人影も確認できている、空は真っ青な色が広がりそこには太陽もありよく見てみると飛行機も飛んでいる所が見える、至って変わらない普通の街に驚く方が不思議なのだが藤丸たちにとってそう取られるのも仕方がなかった

 

「どういう事?皆平和に過ごしているようにしか見えないのだけど?」

 

「強制された平和でもなくかと言って統制された平和でもない、ただの人間社会にしか見えません」

 

『だね、こちらも以上は感知してないし生命反応は多いがそれも街の人たちの反応だろう』

 

「特にこれと言った魔力もない…マーリン、幻術と言う類の物は?」

 

「いや確認できない、幻覚も見せられていなければ精神的な攻撃をされてるわけでもなさそうだよ、至って普通としか言いようがないね」

 

サーヴァントたちは分析を始めているがこれと言った例は挙げられていなし進んでいく道中にもそれといった脅威には出会わなかった、一応注意しながら進んでいくが別に問題なく街の近くにまで辿りついたがここで別の問題が発生する

 

「やっぱり人が多いな、しかも普通の恰好だし、これじゃ皆目立っちゃうんじゃないかな?」

 

今まで人気がなかったり古い時代のために今まで問題なかったが、恐らくこのまま入ると目立つ恐れがある、藤丸以外はどう考えても浮きだってしまう

 

「霊体化が使えれば問題ないのだが…まあ無理だろうな」

 

「うっ」

 

そう冷たい目線を送るギル、藤丸はお世辞にも優秀な魔術師ではないためサーヴァントを霊体化させる事ができない、そのため本来隠れる事ができるサーヴァントはそれができず実体化したまま行動するしかないのだ

 

「まあそこはマーリンの幻覚でどうにか出来るだろう、どうだマーリン?」

 

「任せたまえ、そんなのちょちょいのちょいだよ」

 

そう元気よく彼女が杖を振ると全員の体が一瞬光ると服装が変わった、ギルとアーサーは黒いスーツで身を固めておりマーリンの方は白いブラウスにプリーツスカートだった、そして藤丸はマシュの方を確認しおうと目を向けるとそこには驚くべき光景が写っている、そう、まさしくあのハロウィンの…

 

「!」

 

マシュはどうしても見せまいと体を縮め手を使って隠している、そしてこうした元凶であるマーリンの方を向いた、マーリンの方は面白そうな顔をしていたがマシュが目を向けた途端表情を変えキョトンとしている

 

「マーリンさん!な、なな何でこの衣装、何ですか!?」

 

その言葉に釣られて全員がマーリンの方を向く、アーサーはやれやれとため息をつきギルの方は笑い藤丸にいたっては目の前の事が刺激的過ぎてずっとマシュの方を向いている

 

「なにって、可愛いだろう?」

 

そう何故か首をかしげるマーリン、取り敢えずこのろくでなしは一度〆た方がいいだろう、そして案の定そんな答えで納得できないマシュが反論する

 

「こ、これは可愛いとかできめる物ではありません!周囲に溶け込むための必要な事なんです!それなのにこんな格好ではもっと目立ってしまいます!」

 

まさしくその通りであった、健全な男子には目が痛すぎる光景だし何よりこんな衣装を着て街に出る等マシュにとっては自殺行為だ、そしてここで首を元の位置に戻したマーリンが一言

 

「でも、幻覚だろう?」

 

「元の状態より目立ってしまっては意味がありません!改善を要求します!」

 

さらに首を傾げたマーリンにマシュは思いっきり反対する、ギルの方はもう笑いが止まらずアーサーの方は流石に止めるべきと判断したのかマーリンの頭を軽く叩いた

 

「ふざけすぎだマーリン」

 

「もう、我が王はノリが悪い」

 

そう杖をもう一振りするとマシュの体が光いつもカルデアで着ている服装になった、それを確認したマシュはほっと息を吐き藤丸の方も正気に戻った、ギルの方はまだ笑っているが

 

『ほらほら仲良しごっこするのもいいけど仕事をしてくれ』

 

「あ、は、はい!」

 

その言葉を聞いて正気に戻ったのか藤丸が返事を返した、そして藤丸の声のもと全員が街の中に入っていった、ここは住宅街なのだろうか一軒家が目立ち複数の公園もある、歩道にある植木には木が綺麗に並べて生えておりそれが多少なり自然の雰囲気を醸し出している

 

「前来た時は火の海だったけどそうなる前はこんなに綺麗だったんだ」

 

前は特異点の発生もあってここ一帯が火の海と化していたがそうなる前は綺麗な街のようでこの住宅街の雰囲気は何だか懐かしさも感じた

 

「ふむ…いささか直線的で変わり映えがないが、まあ凡人にしては上出来だろう」

 

そう手を顎に当てながら今ある景色の評価をしていたギル、スーツの事も相まってクール系女性にピッタリの絵が出来上がっていた

 

「でも、何だか心が安らぎます」

 

そう自然の景色を見ながらマシュも感想を述べた、今思えばこうやって現代に近い街をみるのは久しぶりでもあるのでどうしてもなつかしさが勝り雰囲気を見てしまう、家や塀にただ真っすぐなだけの道路、公園の砂広場とそれを囲うように出来上がった木の囲い、どれも懐かしかった

 

「ホントにこんな場所に特異点が?」

 

『ああ間違いないよ、今さっきこっちで反応があった、そこから真っ直ぐにある繁華街で何かの霊気反応を確認したが直ぐに消えたよ』

 

「となると繁華街で問題が起こっているってこと?」

 

『確証はないが、恐らくそうだろうね』

 

そうと決まれば話が早い、急いでその繁華街に向かい原因を解決しようと思い歩き出すがふとある事を藤丸は思い出した

 

「そうだ、電車とか使えば早く着くんじゃ…」

 

「それは良い提案だけどマスター、お金は今あるのかい?」

 

そうアーサーの言葉を聞いて思わず自分のポケットに手を入れて探るがそんな物は何処にもなかった、いつもは金何て使う機会など皆無と言っていいほどなので所持している訳がなかった、久々に乗れると思っていたのかガクリと首を落とし大人しく歩いていく事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繫華街に着くと少し見て回りたかったがそうも言ってられず反応があった場所に向かったがやはり何も残っていなかった、そのためそれぞれお分断して探す事にした、ギル、アーサーとマーリン、マシュと藤丸と言った感じで別れ捜索をし始めた、昼のためか人込みが多く少し移動しづらいがなるべく裏路地や人気のない場所、直接人から聞く等探りながら続けるが、これといった物はなかった

 

「見つからないね」

 

「はい、特に異常と見える物は何処にもありません」

 

『こっちもだよ、マーリンの探知にも反応はない』

 

『私の方もだ、これと言って目立つ物はない』

 

収穫無し、やはり特異点ではあるためそんなに甘くはなく簡単には見つからない、表通りの方を歩きながら思考を巡らす

 

「やっぱりあっちが動きださないと無理なのかな?」

 

「それが一番早いですが何故反応が一瞬だけしたのかが少し気にかかります」

 

どう思考を巡らしても手詰まりだった、いつもなら問題があっちからやってくるのに今回は一向にやってこない、もしかしたら夜になって起こるかもしれないけどそれまで待っている間に人が犠牲になるのは耐えられない

 

「取り敢えず色々探してみよう、何か見落としているのかもしれないし」

 

「はい」

 

そう決意を顔に表しそれにマシュが賛成の声を上げる、まだ探し始めてそんなに経っていないんだ、なら動けなくなる限界まで探そう、そうすれば何か見つかるかもしれない

 

『貴様のそう言う所、嫌いではないぞ』

 

「ありがとうアーチャー」

 

『それもそうだね、それじゃ少し範囲を…』

 

アーサーが喋っていると急にノイズが走った、それに思わず顔をしかめ手を耳に当てしばらくその場で固まってしまう、それを見たマシュが思わず声を掛ける

 

「マスター!大丈夫ですか!?」

 

「あぁ大丈夫だよマシュ…皆聞こえる?」

 

マシュの方に無事を伝え再び念話で話そうとするが雑音が酷く何も聞こえない、マシュの方はいつでも盾を出せるように身構え藤丸の近くで待機している、そしてしばらく経つと多少なりとも雑音が収まってきて誰かからの回線が開いた

 

『藤丸君!今すぐそこから離れて!!』

 

「っ!マシュ!」

 

だが聞こえてきたのは良い言葉ではなかった、すぐさまマシュの方に声をかけこの場から立ち去ろうとしたが遅かった、藤丸がいるその真横で急に音が鳴ったと思ったら虹色の穴が空き轟音とともに風が起こり周りの物を吸い込み始めた、思わずそれに体が浮き吸い込まれそうになるがマシュが盾を召喚しそれを地面に突き立てると直ぐに藤丸の腕を掴み阻止した

 

「うぅ!」

 

だがそれで安心する訳には行かなかった、その穴はどんどん広がっていくとともに強くなり人だけじゃく車や街灯等も吸い込み始めた、しかも穴の直ぐ近くにいるため藤丸の方に物が飛んでくる形で迫ってくる、ある程度は盾が何とかしてくれるがそれが盾の前でどんどん積み重なっていきこのままでは盾で引っ掛かった物と一緒に吸い込まれてしまう、どうしようかと必死に模索していると自分の体に金色の鎖が巻かれた

 

「アーチャー!」

 

「遅くなったなマスターよ、随分面白い事になっているではいか」

 

そう余裕の笑みを浮かべるギルガメッシュ、そして程なくして一つの影が藤丸たちと少し離れた正面に立つと剣を穴に向ける

 

「風よ!」

 

その声とともにその剣から風が吹き荒れ穴の風とぶつかり合い相殺し始めた、そのおかげか浮いていたからだが地面につきそれと同時にその場からマシュと一緒に引っ張りだされた

 

「大丈夫かい?」

 

そして着地した場所にはマーリンが杖を持ちこちらに安否の確認をする、金色の鎖は消え自由になったので立ち上がる

 

「大丈夫、マシュは?」

 

「私も大丈夫です」

 

「それはよかった、我が王がうまくやってくれているがそろそろ限界だろう、早急にこの場から離れる事を提案するよ」

 

それにはこちらも大賛成だ、直ぐにマーリンについて行きその場から離れる、それを確認したマーリンは花を出現させるとその花が穴に吸い込まれていく、それを見たアーサーは直ぐにその場を離れると風の勢いが戻り吸引を再開し始めた、そしてアーサーの方は藤丸たちの方に向かうが直ぐにまた異変が起こった、次は藤丸たちの真下に大きな穴が出現したのだ

 

「え?」

 

思わず藤丸が変な声を上げてしまう、アーチャーもセイバーも直ぐに向かおうとするが遅かった、轟音とともに穴に三人とも吸い込まれていった、アーチャーは鎖を出現させ穴に入れ藤丸たちを捕まえようとするが次はアーチャーの後ろに穴が出現した

 

「なに?」

 

「アーチャー!」

 

セイバーが声を上げるもこちらも遅かったようだ、武器を出現させ地面に突き立てていたがそれでも吸い込まれていき穴の中に入ってしまった、それを見ていたセイバーだがそう唖然としていられない、あちこちに穴が出現し始め近くにある物を吸い込み始めたのだ、しかも発生度が高くもう見渡す限り穴がだらけだ、しかもそれが時間が経つと同時に大きくなっていく

 

「仕方ないか!」

 

こうなっては恐らく自分がここから逃げ出すのは難しいだろう、ならいっその事藤丸たちが落ちていった穴に入って合流するのにかけるしかない、そう決めたセイバーは穴の方に向かい自分からその中に入っていった




はいと言う訳でこれが第一章です、え?何でギルが女なのかって?自分の趣味です(もしかしたら女ギルの作品作るかもしれないからそれの練習)、マーリンはどっちもクソ野郎だから別にいいんですけどね


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不思議な姿

「皆さん!私の後ろに!」

 

そう虹色に包まれている光景の中で一緒に落下しているマシュが声を上げた、それに応じた藤丸とマーリンは何とか彼女の後ろに行く、前や後ろからは一緒に入って来た瓦礫が宙を舞い不思議な軌道を描きながら迫ってきた

 

「キャスター!」

 

「任せたまえ」

 

マーリンに指示を出す、そしてマーリンは杖の先端を瓦礫に向けるとその先端から光弾が飛び出しその瓦礫に直撃する、するとその瓦礫は綺麗なピンクの花に変わりそれが藤丸たちを覆った、マシュがもしもの時のために宝具を展開できるようにしマーリンはなるべくそれが無いように瓦礫を花に変え続けた、そしていると落ちていくとその虹色の景色が一変した

 

「な、なんだこれ?」

 

その光景に思わず驚いてしまった、下の方にはまるで浮島のような物が浮かんでおり周りの風景も少しだけ月明かりが強いような明るさだった、島の大きさは小さかったり、はてはかなり大きな物も存在していた、その島には自然が生い茂る自然や山のような物が存在するが真下にある島には冬木の残骸であろう物が積み重なっており今まさにその瓦礫の山に突っ込もうとしていた

 

「マシュ!」

 

「はい!オルテナウス、疑似リンク開始!」

 

そしてマシュは前に向けていた盾を大きく自分の頭上に掲げた

 

 

 

真名、凍結展開

 

 

 

 

 

 

 

これは多くの道、多くの願いを受けた幻想の城

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと目を閉じ大きく息を吐く、二人はマシュの後ろに回りしっかりと彼女の体を掴む、花がその周りを包み不思議に浮かぶ浮島、そんな幻想的な世界の中でマシュはゆっくり瞳を開きその名を口にした

 

 

 

 

 

 

呼応せよ!モールド・キャメロット(いまは脆き夢想の城)!!!

 

 

 

 

 

 

そして盾を前に勢いよく下ろした、目の前にあった浮島からは大きな城が現れた、だがその城には違和感がありまるでノイズが走っているような光景が広がっており見た目は立派な城なのだがノイズのせいで不気味な空想城が出来上がっていた、藤丸たちはその城に向かって落ちていくが流石に彼女の宝具だけでは落下の勢いは殺しきれない、そのため最後はマーリンの魔術で落下地点にあった瓦礫を花に変えクッションにして最後まで殺しきった、そのまま花に突っ込み一面がピンク色に包まれ落下地点は花の飛沫が上がっていた、そして一緒に落ちてきた瓦礫は城に阻まれているので中には入らず城の外に落ち藤丸はその花の中から落ちてくる瓦礫の奥にある穴の事を見ていた、だがやがてその穴が小さくなっていき最後には閉じ薄暗い光景が空に広がっている

 

「…落ちちゃったね」

 

「油断していたとはいえまさか自分たちの真下に穴が空くなんてね」

 

花の中に埋もれながらマーリンとの会話を続けた、いきなりの事で頭が追いついていないせいか少しボーとしておりしばらく埋もれたまま固まっていた、そして少し経つと瓦礫も落ちてこなくなり周りも静かになるとマシュが不思議そうな顔をして花に埋もれている藤丸の顔を覗き込みながら声を掛けた

 

「大丈夫ですかマスター?」

 

「あぁ大丈夫、ちょっとびっくりしてただけだから」

 

流石にこのまま花に埋もれた状態を続ける訳にもいかないのでまずその状態から抜け出した、その場から立ち上がり体についた花をはたき落としながらマシュと一緒に周辺を見渡す、マーリンは何故か楽しそうに花の中に埋もれていた

 

「何だか不思議な場所だね」

 

「そうですね、よく見たら浮いている島は自然が広がっている物だけじゃないですね」

 

落ち着いて見て見ると自然が広がっている小島だけじゃない、ここのように瓦礫が積もっている島やあるいは何もないただ茶色の地面が広がっている小島もある、しかも大きさもちぐはぐだらけ島の周りには島の破片と思わしき物が漂っておりうまく伝って行けば違う島の方に乗り移れそうだ

 

「重力とかどうなってるんだろう?島は漂ってるのに島に落ちなかった瓦礫はそのまま落ちていったけど」

 

「無重力、と言う訳でもなさそうですね、ジャンプしてもちゃんと地面に着地します」

 

瓦礫の山から離れ少し草が生えた地面に立つとマシュはその場で軽く何回か飛んだ、体はそのまま浮かずに下にある地面に吸い込まれ無事着地した、藤丸の方はダ・ヴィンチと会話をしようとしているが一向に繋がらずにいるようだ、マーリンの方はいつの間にか花から出てきて周囲を観察している

 

「上には雲、下にも雲、確かに随分不思議な場所だ、重力は島が発生させていて島の外に出ると真っ逆さま、大きな島程重力が強くなっているっと言ったところかな」

 

「こんな場所に生き物はいるのでしょうか?」

 

「見える範囲では見えないけど、だいたいこういう時って…」

 

そう会話をしていると瓦礫の方から何かが崩れ落ちてきた、それに釣られ三人ともそちらの方を向くとその瓦礫の上にそれはいた、体長は四メートルは超えているであろう毛並みが白い狼が四体ほど三人を睨みつけておりそれを見たマーリンはため息をついていた

 

「まあいるよね、いつもの」

 

「二人とも!」

 

その声とともに二人は武器を構えマシュが前にマーリンはその後ろに回るとその狼たちが駆けだした、一匹の狼がマシュに飛びつくと同時にマシュががら空きの腹に向かって盾を振った、それは直撃し吹っ飛ばされるかと思ったが狼は前足の爪をたてそれを盾に引っ掛けるとそのまま乗り越え口を開きマシュに襲い掛かった

 

「え!?」

 

「おや?」

 

マシュは急いで盾を軸にしてその狼を蹴り飛ばすが狼は姿勢を立て直して直ぐにマシュに襲いかかった、マーリンがそれを援護しマシュを囲んでいる他の狼が飛び掛からないようにしその間にマシュはその飛び掛かって来た狼を叩き落とし盾えお突き立て止めをさした、その間にマーリンはこちらに迫ってくる狼に向かって魔法弾を放つがそれを回避したりあるいは直撃しても数発当てなければ倒せなかった

 

(魔法に偉い耐性が強いね、これは私じゃ相性悪いかも)

 

飛び掛かって来た狼に対しては剣を出現させ首を落としも右からきたのは剣で受け流して宙に浮かせた後火力を上げた魔法弾で迎撃した、最後の一匹の方はマシュの方に行き盾のない方から飛び掛かるが蹴りでその勢いを無くした後盾を回転させ勢いをつけ殴り飛ばす、狼は瓦礫の山に突っ込み体制を立て直す前にマーリンの魔法弾が直撃し倒された

 

「終わりじゃないよ、瓦礫の奥にまだいる」

 

マーリンの警告と同時に七体の狼が出現しマシュたちの方に向かってくる、二人はなるべく藤丸の前に立ち武器を構えマーリンは魔法弾で牽制を行う、そして狼たちがその場からジャンプしこちらに飛びかかろうとした時突如風が吹き起りその狼たちを吹き飛ばした、その風がきた場所に顔を向けるとそこには剣を構えたセイバーの姿があった

 

「セイバー!」

 

「遅くなってすまない」

 

そしてセイバーはその場から駆け出し狼たちの方に向かった、狼たちはそのままセイバーの方に向かって襲い掛かるがセイバーはそれを巧みに剣を扱い次々に狼たちを倒していく、それを見たマシュとマーリンは援護に周った、そして最後の狼をセイバーの剣で倒した

 

「…敵影の姿、認められません」

 

「生命反応も無し、終わったね」

 

一応武器を出現させたまま周辺を警戒しながら藤丸の方に集まった

 

「皆大丈夫?」

 

「はい、怪我はしていませんがさっきの敵、予想よりもかなり頑丈でした」

 

「そうだね、ケチってたとはいえ私の魔法弾数発当てないと倒せなかったからね」

 

「確かに切った時の感触も少し重かった、見た目は普通の狼ぽかったが」

 

見た目はただの狼を大きくしたような姿で特に見た目には変化がなかった、ただその体は鋼のように固く俊敏性も高かった、マシュの盾の攻撃も受けて何ともなかったしマーリンの魔法弾も火力を絞っていたとはいえ数発当てないと倒せなかった、それにセイバーの方の話も聞いてみると少し切りにくかったと言う話だしこの先敵に会う事になったら気を付けないといけないかもしれない

 

『…丸…!藤丸君!』

 

「だ、ダ・ヴィンチちゃん!?」

 

どうやら通信が復活したようでダ・ヴィンチが藤丸の安否を確認してきた、あの後向こうの方でも通信が繋がらず焦っていたらしく何度も試していたようだ、藤丸の方もその声を聞いて安心し安否の報告をする

 

「こっちは大丈夫だよ、それよりそっちから僕たちが見てる様子って見れる?」

 

『それは私たちの方でも確認できているけど…すごい光景だねこれ』

 

「うん、僕たちも少し驚いてる…いつもの事だけどね」

 

摩訶不思議な場所に飛ばされるのはいつもの事だが今回は少しだけ違う、最初に飛ばされたのが現代の人間社会だったが変な穴が出現した先がこの場所だ、まだ周辺を見ただけだが建物らしい物は見えず浮島のがあっちこっち浮かび破片も漂っているよくわからない空間だった

 

「浮島について何かあるかな?よくファンタジーな世界ではありそうだけど」

 

『例として挙げるのならホメロスの叙事詩『オデュッセイア』かな?その話には浮島アイオリアと言う物があるのだがこの様子からするとその可能性は低いな、まあ色々探してみるよ』

 

「お願い、こっちは少し周りを探索してみるから何か見つけたら教えるよ」

 

『はいよ、気を付けてね』

 

そう通信を切り周りにいる皆と少し相談し探索をする事にした、この浮島もそこそこ大きく小さな町位の大きさではあるが目新しい物はなかった、そのため他の浮島に行く事にし取り敢えず少し危険だが破片を渡りながら移動する事にした

 

「マスター気を付けてください、ここの重力も少し安定してませんでゆっくり渡りましょう」

 

「う、うん」

 

今浮かんでいる破片で渡っている所なのだが渡る時にジャンプすると何故か無重力のようなジャンプになっておりしかも破片の平面が横に向いていたり下に向いていたりしていてそれがそこら中に浮いているのでジャンプするのが少し怖い、一応横を向いている所にジャンプをすると吸い込まれたようにそこの平面に着地は出来るのだがそのせいで視界が右往左往するので何処にジャンプする予定だったのかわからなくなってしまう

 

「ホントに変な場所だね空間も重力も安定してない、一応上にある破片にわたる事も出来そうだけど試したくはないね」

 

「だが意外と密集している、マスターも気を付けていれば簡単にわたる事が出来るようだ」

 

マーリンは藤丸の後ろにおりセイバーは先行し偵察を行っている、マシュの方は藤丸の隣で落ちないようにサポートしておりゆっくりだが次に目指している浮島に向かっている、その浮島は建物や車などの瓦礫が目立つがそこには自然が広がっており大きな山も幾つか見えるので最初に見えた浮島よりかなりの大きさのようだ

 

「アーチャーは大丈夫かな?」

 

「僕が最後に見た時は別の穴に吸い込まれていった、簡単には死ぬわけないから無事だと思うよ」

 

『一応サーヴァント反応はこの先にある島から出ているよ、恐らくアーチャーの物だろうね』

 

「なら早く合流しよっか」

 

ゆっくりであるが前にある浮島には近づきつつあった、藤丸たちも移動には慣れたのか少しペースが上がっており浮島の姿が大きくなっていく、後もう少しでつくと言う所で通信が入った

 

『藤丸君!君から見て右の方から生命反応あり、約50キロでそっちに近づいてる!』

 

それを聞いた4人は直ぐに前にある浮島に乗り移るため破片から跳躍する、藤丸の方はマシュに運んでもらい飛んでもらい浮島に到着し臨戦態勢に移る、すると藤丸たちから見て左の破片の方から何か動く物が見えた、その影が破片を伝いながら移動しこちらに近づいてくると最後の破片を蹴とばし大きく跳躍する、そのまま藤丸たちを飛び越える藤丸から数mはなれた場所に着地した、そこには紫色の配色をした鎧のような姿をした人の形をしている者がそこに立っている

 

「…おや?」

 

ゆっくりと上げられた何かの角を付けた兜越しに見えた水色の瞳がこちらを見ている、セイバーはそちらの方に剣を向け警戒をしている、マシュの方もセイバーの隣に立ちマーリンの方もその後ろについている

 

「ほー、あんな高さから落ちて無事な奴もいるもんだ」

 

ゆっくりと立ち上がり手に鉈のような物を出現させそれを下げたままこちらをずっと見ている

 

「けど恰好が変だな、現代人の恰好はこんな感じなのか?」

 

すると相手が腕を前に出すとその手首についている装飾品の一部を取る、するとそれが形を変え肥大化していき紫色の鉈になった、だが古風な鉈ではなく少し未来的な感じがする鉈で相手はそれを持ち上げそれを手で刃先を撫でながらその場を軽く回りながら歩く

 

(投影…ではないね、かと言って複製とも違う、私でもわからないな~あれ)

 

マーリンの方はさっき行った事の分析をしているようだ、相手の方はマーリンの視線には気にせずまるでこちらを品定めるように視線を外さずセイバーはその言葉に返事を返す

 

「貴様は何者だ?」

 

「俺?…あ~色々あるな」

 

それを聞いた相手は頭を捻りながら止まっている、まるで考えるように顎にも手を当てまた軽く歩きだし少し経つと止まりセイバーの方を向く

 

「色々あるけど…リーバスって呼ばれてる」

 

「リーバス…聞いた事がありません」

 

『こっちも特にそんな名前は該当がない』

 

「まあ知らないよな」

 

そう落胆したようにため息を吐くリーバス、セイバーの方は直観が働いて嫌な予感が外れないのか油断なくリーバスを見つめ続け他の二人も警戒を続けている、そして顔を上げたままのリーバスがチラリと藤丸の方を見た瞬間、その場から消えた、それを察知したマシュが殺気が来る場所に向かい盾を構えたと同時に凄まじい衝撃と音が響いた

 

「いいねぇ」

 

兜の頬の部分が歪みまるで軽い笑みを浮かべている形に見えた、その後リーバスは鉈を器用に持ち替え連続でマシュの方を攻撃それをマシュは盾を前に出し防いでいるとその間にセイバーが間に入りそこから切り合いが始まる、サーヴァントの中で最優と呼ばれるセイバーを相手に一歩も引かずむしろ楽しそうに切り合いを続けているとその間にマシュが入り二人係で攻めるが少し不利と感じたのか一度リーバスが下がる、それを見たマーリンが魔法弾を放つが相手はそれに向けて鉈を振るとそこから斬撃が飛び魔法弾を切り裂きながらマーリンに迫るがそれをマシュが盾で防いだ

 

「何かあんたら普通と違うと思ったら、そこにいる猿以外は全員英霊…だけど何か盾だけ何か違うな、まあいいか」

 

「猿?」

 

そう鉈を藤丸の方に向けそう言ったがマシュの方を見て首を捻った、どうやら戦っていると同時にこちらの分析も行っていたそうだ、鉈を軽く回し持ち替えるとそれを肩に置き間を保ちながら四人がいる場所を周りながらこちらを見続ける

 

「にしても最近の猿は英霊を使うのか、いつも落ちてきた奴は死んでたから知らなかったな」

 

「あの穴をあけたのは貴様か?」

 

「そうだよ」

 

そう軽く笑いながら周のをやめその場に止まった、セイバーはそれを聞くとリーバスを睨み始めその理由を問う

 

「何故こんな事をする」

 

「理由?…特に、無いな」

 

「なに?」

 

セイバーの目つきがつり上がり表情からは怒りとともに魔力が解放されその波動が放たれそれが地面の塵を巻き込み広がった、マーリンの方は別段変わり映えがないがマシュと藤丸の方は困惑の表情が現れている、出来ればそれが嘘であってほしいのだが相手の表情からそんな感じがしなかったのだ

 

「無いんだよ、俺はただ好きな事をして好きなように生きるんだ、あいや待ってよあった、ここには何にもないから適当に穴開けて遊ぶものを持ってくるんだ」

 

そう今思いだしたように人差し指を上げ答えた、セイバーはそれを聞いた途端我慢できなくなったのかそれに異議を唱える

 

「ふざけるな!!そのせいで何人死んでると思ってるんだ!」

 

「だって仕方ないだろ?ホントに何もないんだから、だけど今は最高だね、あんたらがいるししかももしかしたら外に出られるかもしれないからな」

 

そう顔を反らしながら笑う、紫色とその読めない行動が相まって不気味さを感じさせる、そしてゆっくりと鉈を回し持ち替えると姿勢を落とした

 

「マスター、来ます!!」

 

マシュの声とともにリバースが前に駆け出し鉈を振り上げる、セイバーが前に出てそれを押し止め切り合いが始まった、受け止めた鉈を流し返しに剣を振るが相手は鉈を逆手に持ちその剣を防ぐと逆の手で貫手を放ちセイバーはそれを避ける、セイバーは剣を巧みに使い一方相手の方は独自で磨いた我流に体術を加えており少しセイバーが押され気味だがマシュが盾を振りながら入る、体勢を崩されたセイバーを追撃されないように盾で防ぎ終えると盾を持ち替え相手に振り下ろすが鉈で弾かれるがその間に立て直したセイバーがその隙に反撃する

 

「私がいる事を忘れないで欲しいな」

 

そして二人と相手の間が少しでも空くとマーリンの魔法弾が放たれる、相手は二人により姿勢を崩された後だったのかそれが直撃するがそれを気にせずリバースは舞った塵を鉈で切り払うと共に斬撃波を発生させそれがマーリンに迫るがマシュが盾がそれを防いだ

 

「はぁ!!」

 

そしてセイバーが相手に近づき大きく剣を振り上げ振り下ろす、相手は急いで鉈でそれを防ぐがそのまま吹き飛ばされ近くにあった岩に当たり舞った塵と一緒に貫きながらも脚と鉈を使いながら姿勢を安定させる、そして複数の斬撃波を放つがセイバーとマシュがそれを防いだ

 

「器用な奴」

 

鉈を一度マシュの方に投げセイバーの方に接近する、回転しながら迫るそれをマシュは弾き飛ばそうと考え盾を大きく振りかぶりその鉈を叩き弾き飛ばすが予想より威力があったのか少し姿勢が後ろに傾いてしまった、その間にリーバスは自身の鋭い爪から繰り出す手刀でセイバーと対峙していた

 

「来い」

 

その声とともに遠くに飛ばされていた鉈がブーメランのような軌道を描きながらリーバスの方に戻って来た、セイバーは鉈が来る前に仕留めようとしマシュは急いで姿勢を立て直しその鉈を防ごうと盾を伸ばす、どうやらマシュの動きの方が早く鉈を防いだ

 

「もっらい」

 

だが相手は腕についている装飾品の一部を取るとそれが大きな返しがついたナイフになりそれを後ろにいるマシュの方に投げた

 

「しま!」

 

「マシュ!!」

 

藤丸が声を上げる、不気味な紫色をしたナイフがマシュに迫る、マーリンは急いで速度を上げた魔法弾でそれを打ったがその弾をものともせずナイフがマシュの脇腹に突き刺さった

 

「前は見なくていいの?」

 

「っ!!」

 

相手のその挑発じみた声につられマシュは前を見ると鉈が回転しながら迫っていた、急いで顔を背けその鉈が接近戦をしている二人の方に向かって行く、リーバスは少しセイバーとの間を空けると後ろの方に手を向け受け取ろうとする、それをさせまいとセイバーが距離を縮める、だが

 

(いや違う!)

 

セイバーの直感が働き下げていた剣を前に出した、いつもは走る時は剣を下げ速さを意識するのだが今回は防ぐ事を優先した、すると相手の方は後ろから来る鉈を取らなかった、鉈がセイバーの方に向かいそれに続くように腕にある装飾品を三つほど取りそれを投げるとそれがナイフになりそれに続くようにリーバスが駆けだす、セイバーはまず最初に来る鉈を姿勢を下げるように避けそれを予測したように投げられたナイフが迫ってくる、それを体を捻りながらジャンプしそのナイフが下を通り過ぎると今度はリーバスの手から繰り出された突きが迫る、セイバーにはもはや防ぐしかなくそれを剣を盾にして防いだがそのせいで着地が出来ず体が空中で静止してしまった

 

「これで二人目」

 

その不気味な微笑みとともに零れた声が背筋を凍らせた、リーバスはこの事を予測してナイフを避けた時点で最初に投げた鉈をこちらに呼び戻していた、だがセイバーは防いだためそのための硬直が生まれてしまい後ろにせまるそれを防ぐ事ができない、剣を後ろに回して盾代わりにしても今度は前にリーバスからの攻撃が来る、万事休すかと思っていた時マーリンがセイバーの後ろに立ち剣を取り出してそれを叩き落とした

 

「接近戦は本業じゃないんだけどね」

 

リーバスに魔力弾を放ち直撃させると詰め寄り数回ほど切りつける、相手は手でそれを防ぐが杖から繰り出される魔法弾だけは至近距離で放たれたため避けられず直撃してしまう、その隙に立て直したセイバーが剣で数回切りつけ最後に風とともに吹き飛ばしそれに追撃するようにマーリンの魔法弾が当たりそのまま地面に叩きつけられた

 

「マシュ!大丈夫!?」

 

「はいマスター、すいません油断してしまって」

 

マシュは脇に刺さったナイフを無理に抜きそれをその場に捨てる、藤丸は軽めの魔術を施し回復を促進させる

 

『ひどい、ナイフ一本でこの出血量に直りが少し遅い、ただの武器ではなさそうだ』

 

体もそうだが来ている礼装も治っていない、本来なら応急処置でも直ぐに治るものなのだが治りがかなり遅かった、藤丸は相手の方を警戒しながらマシュの方を治療しているとそばに捨ててあったナイフがリーバスの飛んで行った場所に飛んで行った、それだけじゃなく突き刺さったナイフと落ちていた鉈が飛んで行った、その方向を見て見るとリーバスがまった塵を祓いながら出てきた、そして飛んできた武器を掴むとそれが元の装飾品に戻っていく

 

「いってぇ俺の装甲が切り裂かれる何てどんな剣だよ」

 

そう背中を擦り装飾品を元の場所に戻していく、そして体についた塵を手で叩きながら落としていく

 

「性格に合わず器用な奴だ、切られる寸前に重心をずらすとは」

 

「ああだから切りにくかったんだね」

 

「でもかなり切られちまった、いってぇな」

 

気の抜けた声を出しているが二人は特に手は出さず藤丸たちの前に立ち警戒する、それが誘いだとわかっていた上に意外と奇怪な作戦を仕掛けてくるので下手には動かず藤丸たちの傍にいた方がいいと判断したのだ、相手は叩き終えると鉈を出現させ構える、マシュの方も立ち上がり四人は警戒するように警戒する

 

■■■■■■■ーーー!!!

 

「!?」

 

「ありゃ」

 

綺麗に少し響く低い鳴き声のようなものが聞こえた、その声を聞いたリーバスは鉈を戻しその場から離れようと飛び上がった

 

「貴様!何処に行く!!」

 

「ごめんな~戦いはまた今度な~」

 

その声を置いていくようにリーバスは離れ近くにあった山の方に消えていった

 

「あの引きざま…さっきの声から逃げている?」

 

『藤丸君!!そこから南西二キロ離れた場所から高密度のエネルギー反応が出現!!それが君のほうに超高速で接近中!!この速さじゃ後少ししたら接触する!!』

 

「皆!急いでここを離れよう!」

 

その声に釣られ全員が藤丸と同じ方向に駆けだす、セイバーが藤丸を抱えて駆け出し急いでその場から離れた、するとダ・ヴィンチが言った方向の空に一つの光が出現した、そしてその光が強くなっていくと藤丸たちがいた場所に一筋の細い光が当たると強烈な光とともに爆音と爆風が響き半径一キロ程の光る半球体が現れた

 

「うわ!?」

 

『すごい威力だ、君たちがいた半径二キロ半が焼け焦げている』

 

「あぶなかった」

 

■■■■■■■ーーー!!!

 

その声はとても近くで聞こえた、藤丸たちはその声の方向を向いた、その上空にはとても奇妙な存在がいた、大きさ十数メートルの大きさのドラゴンだった、翼が生え尻尾もあり形状からしてドラゴンのようにも見えるが普通のドラゴンとは姿がまるで違う、体には小さな鱗で覆われている訳ではなくまるで鎧のような形状をしており顔の方は龍のように長い顎をしているようだが尖った鎧に覆われているため中がよく見えなかった、しかも手の方もおかしく生き物らしい指のような物はなく鋭く尖った大きな槍のような形状をしており頭の方も大きな角のような物がある、見えたのは全身を覆う白い鎧のような装甲とその下から覗かせていた黄色に輝く瞳だけたった

 

『ドラゴン…のように見えるけど姿ちょっと生物らしくない、何なんだいあれは』

 

■■■■■■■ーーー!!!

 

龍は口を開いた、以外にも口の中はこっちの世界で言う生き物らしい形をしておりピンク色の綺麗な舌に綺麗に並んだ牙がある、だがその口の中心にある光だけは別だった

 

『口の中から超高エネルギー反応を検知!!しかも完全にこっちを狙ってないかい!?』

 

「狙ってるも何も他に誰もいないだろう!」

 

セイバーたちがその場から飛び上がる、すると龍はこちらにその光を向け顔を少し後ろにのけぞったあと勢いよく前に出した、するとその光が一筋の光になりセイバーたちの方に向かって行く、セイバーたちはそれを回避するがその光は後を追うように後ろから迫る

 

『あの熱量を照射し続けている!まともに当たったら無事じゃすまないよ!!』

 

マシュは一応セイバーの隣につきマーリンの方は魔法弾を龍に向けて放っている、だがそれが当たっても気にせずにこちらを上空で追いかけながら照射し続けている、セイバーたちは取り敢えず山の近くにある森の方まで走り続け中に入った、すると龍は照射をやめ下に降り森の木々をその角や爪でなぎ倒しながら藤丸たちに迫る

 

「森は大事にって言われなかったの!?」

 

『取り敢えず走って!!さっきよりも早くなってるよ!!』

 

藤丸の弱気な声を無視し前の方に突き進んでいくとまたもや龍が口開け光を収束し始めた、それを見たマーリンが魔法弾をその光に向けて放った、だがその魔法弾は光と接触するとかき消された

 

(もう収束が終わっている…ちょっとやばいかも)

 

本来収束中のエネルギーが何らかの強い衝撃を受けた場合、そのエネルギーは拡散して消えるかあるいは魔法弾に引火して爆発を起こすかなのだが収束を終えた物はそうはいかない、収束中は不安定な状態なのでそれを狙ったのだが思ったよりも終えるのが早かったため間に合わなかったようだ、そしてその光が一筋の光となって襲ってきた

 

「避けて!!」

 

藤丸の声とともに藤丸たちとマーリンが散開する、その中心に眩い光が現れ木々を焼き払った、そして相手は藤丸たちが散開したのを見ると口を閉じると大きく後ろに頭を下げると勢いよく前に出すとその一つの光が複数に増えて藤丸たちを襲った

 

『あの収束を複数に拡散出来るのかい!?』

 

「皆さん気を付けて!!」

 

その複数に拡散した光をうまく避けながら移動していく、相手の方も攻撃しながら移動しているのでさっきより速度が落ちている上に移動しながら撃っているため狙いが甘いから避けるのは容易い、マシュが後方を警戒しながらセイバーが移動していくがこのままではじり貧だ、取り敢えずあの龍をどうにかまく必要がある

 

「皆!こっち!!」

 

その声に釣られた方向を向くとそこにはマーリンがいてその後ろには少し大きめの穴が空いている、どうやら走って行くうちに山の方についたようだ

 

「ここから入ればこの山の向かい側にある穴から出られる!!探知もして生物はいないし罠もないから安全だよ!」

 

「流石はマーリン!セイバー!!」

 

「心得た!」

 

その声に応じセイバーたちがマーリンの方に方向を変えた、龍の方もセイバーの方を追いかけていたのでそれに釣られるように一度口を閉じ方向を変えた、方向を変えるのが向こうの方が早かったのか少し追いつかれ気味になり大きく開いた口がセイバーたちに迫っていく

 

「マーリン!!」

 

「はい、我がマスターよ」

 

その声に応じてマーリンが事前に設置してあった罠を起動した、木々の根が出現しそれが龍の口の前に現れる、すると口を開いていたためそれが引っ掛かり大きく減速してしまった、その隙にセイバーたちは穴の中に入りそれに続くようにマーリンも穴の中に入っていった

 

「た、助かった~」

 

「危なかったですね、マーリンさんがこの穴を見つけてくれて助かりました」

 

「そうだろうそうだろう、もっと褒めてくれたまえ」

 

「こら調子に乗るなマーリン、まだ助かったと決まったわけじゃない、早く先に行こう」

 

軽いやり取りを行いながら洞窟の中を歩いていく、中は5~7程の大きさでその土の中には光る鉱石のような物が埋まっておりあまり問題なく中を移動できる、マーリンが言うにはもう少ししたら抜ける事が出来るようだ

 

「あの龍、一体何だったんだろう?」

 

『異様な姿だった、普通我々の世界で言う龍とかドラゴンは本来固い小さな鱗で覆われており伝承ではあるがちゃんと自然の生き物に基づいた姿をしている、だがさっきの奴は違う、鱗と言うより鎧、爪と言うよりまるで大きな槍、全身が少し鋭く角ついている事を見て速さに物を言わせた突撃とあのバカげた火力が特徴か、炎じゃなくてビームが飛んできたのはびっくりしたけどね』

 

ドラゴンと言うのはヨーロッパ文化圏で共有されてき伝承や神話における伝説上の生物、その姿はトカゲあるいはヘビに似ており大抵がダ・ヴィンチの言う通り全身が鱗で覆われており恐竜のような鋭い爪、鳥のような翼、鰐のような長い顔にその頭部から角が生えており蛇を思わせる尻尾をしているなどのキメラと同じように数体の生物を配合したような姿をしている、だがあれに該当するのは口の中と若干ドラゴンに似た姿だけだった

 

「何か、自然の生き物ぽくなかった」

 

「だね、あれは生命の樹で成り立った姿をしていない、何かの外的要因によってあんな姿になったのかもね」

 

『恐らくそうだろうね、その事を知ってそうなのはさっき君たちを襲った奴だ、姿が割と似ていた』

 

「そうだろうな、あの声がした途端引いたのをみると何か知っているのは確かだ」

 

そうセイバーが返す、と言ってもそのリーバスは何処かへ消えてしまった、探そうにしても外に出ないといけないのであのドラゴンの事を視野に入れて探さなければならない、あの火力と速度を考えると次に追われたら終わりかもしれない

 

「取り敢えず今はアーチャーと合流しよう」

 

「そうですね、ギルガメッシュさんなら何か打開策を持っているかもしれません」

 

ギルガメッシュがもつ王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)なら何か特攻武器があるかも知れない、だとしたら早く合流しなければ

 

「んじゃ早くこの洞窟を抜けよう、それから外の様子を見て空を警戒しながら…」

 

『藤丸君!』

 

「ど、どうしたのダ・ヴィンチちゃん?」

 

『さっき君たちが入った洞窟の入口付近に高エネルギー反応!!さっきのドラゴンがその洞窟に何かしようとしてる!』

 

「皆急いで!!」

 

その声とともに全員が駆けだした、その時ドラゴンの方は入口の前で口に何かを溜め込んでいる、龍の口から火が漏れており一度大きく息を吸い込んだその時、大きくその口を洞窟に向け炎が放たれた、その勢いはすさまじく勢いで洞窟の中を覆いつくしていき入りきらなかった炎は山の方に昇っていくか後ろにある森を焼き尽くしながら広がっていく

 

『あいつなんでもできるな!?』

 

「ダ・ヴィンチちゃんが変な事を言うから!」

 

「この威力じゃ恐らく王でも私でも止められない!早く出た方がいい!!」

 

その声を聞き全員が急いで前方にある光に向けて走り出す、後ろからは赤い光が熱を肌に伝えながらこちらに迫ってきている、息が苦しく脚が重くなっていき前に脚を出すのが辛くなっていく、それを見たセイバーが藤丸を担ぎ駆けだしていった、そして洞窟から出た途端セイバーたちは急いで洞窟から見て横に飛んだ瞬間、その洞窟から凄まじい勢いのもと出てきた、その炎は洞窟周辺の地面を焦がしながら広がっていくが勢いが強すぎたのか横にはあまり拡散せずセイバーたちの方には来なかった

 

「あ、危なかった」

 

「縦に逃げないでよかったですね」

 

「凄まじい勢いで来たからな、横に逃げていてよかった」

 

そう藤丸たちは腰を下ろしたがセイバーの方は立って周辺の警戒を行っていた、空は相駆らわず朝なのか夜なのかわからず何一つ変わっていない不思議な色が広がっている、そしてセイバーたちの先にはまだ少し大きめの山が幾つかあるが少し気にかかる物が目に入った

 

「あれは…街か?」

 

セイバーの視線の前には山の近くにあった廃墟の街が見えた、建物は中世時代の石積みやレンガなどでできた城壁がありそれが風化して崩れ中の様子が見える

 

「ホントだ、結構大きいね」

 

「確かにそうですね、けど見るかぎり廃墟のようですが…」

 

「ほら皆早くあそこに隠れようよ、あいつがこっちに来て見つかっても知らないよ?」

 

『そうだね、藤丸君そこを調べるついでに隠れさせてもらおう、なるべく急ぐんだよ?』

 

「けどアーチャーは…」

 

『それは心配ないだろう、さっきアーチャーに通信を送ってその街で合流できるよ』

 

ここはさっきの場所と違って木々がないただ草が少し生えている程度でその影響か城壁や家にはコケや草木が生えている、草が生えているここより街跡に入った方がよさそうだ、四人はなるべく空を見ながら草木が生い茂る廃墟の方に向かった




いつもの初対決が訳のわからない奴らなのは安定…ん?リーバスが使う技がどっかで見たことがあるって?……気のせいだよ気のせい


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異界人

今日は戦闘はありません。


周りはまさしく自然に飲まれる前の街の風景だ、石が積み重ねられた建物は風化による疲労で崩れ中が見えおり石でできた机や椅子などが砕けて散乱しており前まであった生活空間が広がっていた、一応入っては見て確認して見たがそこには石屑しかなく特に人影はない、だが入口の大きさや少し残っていた生活品から考えるとかなり昔まで人が住んでいたのは確かだ、

 

「生命反応はありません」

 

『それはこっちでも確認している、そこ周辺には何がある?』

 

そう返答したのはホームズだ、少しの間ゴルドルフと一緒に方針などと話していて遅れたのだが今は二人ともおりモニターをしている

 

『見た所ローマあたりの建物と少し酷似しているが使われているのはレンガじゃないね、それに食器や家庭用品は石じゃなく鉄でできているな、藤丸君ちょっとそれを手に取って見せてくれるかい?』

 

「わかりました」

 

既に壊れた入口から中に入る、細かな石が足にすりつぶされ音がなり舞っていた埃も相まって時間の経過が過ぎているのを実感する、そして試しに近くに落ちてあったスプーンを取りそれを自分の目の前で鑑賞してみる、長年使われてなかったせいか土や汚れが付いて多少汚くなっていたがそのスプーンにはキチンと装飾の形ははっきりと見えた

 

『これは…何だろうな、他のも見せてくれるかい?』

 

「わかりました」

 

皿や飾ってあった装飾品、家の造形と石でできていた椅子や机の形など様々な物に手をつけて藤丸はダ・ヴィンチに見せたのだがその本人は頭を捻っている

 

『一番似ているのはイギリスで使われていた装飾に似ているがどれもこれも装飾品の形がバラバラ過ぎるな、日本風の桜だったりイギリスの服掛けだったり何だかあるのがちぐはぐだらけだ』

 

「確かにどれもこれも似ているが微妙に違うね、時代背景と言うか装飾品に統一性が無い、特にこの建築物にこんな日本風の絵はおかしいからね」

 

指をさす場所には縦長のスペースがありそこに緑色の掛け軸があった、絵は日本の龍が空に舞い上がる姿が描かれており洋風な場所には少しこれは浮き過ぎている

 

「拾った物を飾った…とかですかね」

 

「いやこれは元々掛け軸をかけるために作られたスペースだ、ここに掛けるために作ったのだろう」

 

マシュが言った事にセイバーが答える、掛け軸を掛ける時はだいたい部屋の端に縦長のスペースを取るのだがこれも似たような物で作られている、ただ日本は木造建築なので日本の事を知っている人にとっては石でできたスペースも掛け軸もあるのも違和感がある

 

『ここにいたのは日本人?でも家の外装イギリス…寄せ集めなのか?』

 

『えぇい!こうごちゃまぜだとわかりずらい!もっとわかりやすい物はないのか!?』

 

「どうする?他の場所も探してみるかい?」

 

『いや状況が落ち着くまでここにいた方がいい、報告にあった龍の感知力を考えると浮島の移動は困難だろう、浮いている破片群で見つけられたら回避が難しい。』

 

あの龍の空間戦闘力と遠距離砲撃を考えると平たい場所や漂う破片群何かで見つかったらほぼ終わりだ、アーサーの直感マーリンの魔術によってようやっとあの光線を避けられた、次も同じように避けられるとは考えられない。

 

『また厄介な奴に目を付けられたものだ、だがそんな化け物みたいな奴ならここも狙ってきそうなものだが…』

 

「上空を見た限りあの龍の姿は確認できません、てっきり上を徘徊しているものかと…」

 

上空ではまるで適当に絵の具を混ぜ合わせたような空が雲に覆い隠されている、高さがどれくらいあるのかはわからないが少なくとも地球で発生する雲よりは低いようだ。

 

『今の状況を整理しよう、特異点の発生地点であった冬木に向かった所謎の時空穴に巻き込まれ不思議な浮島に落下、セイバーと合流した後アーチャーを捜索していたらリーバスと呼ばれる謎の敵と遭遇、交戦中に謎の龍の妨害を受けここまで撤退した。ここまではいいね?』

 

それに藤丸たちは頷く、それを見たホームズは言葉を続ける。

 

『さっきリーバスとその龍の姿を見てみたのだが姿がオリュンポスで戦った敵と少し酷似しているが戦い方はまるで戦士のようだ。武器は自身が身に着けてある物を何らかの方法で変化させているがほぼナイフや剣と言った物で実にシンプルだ。』

 

『マーリン、君はあれを見てどう思う?君の意見を聞いてみたい。』

 

「う~んあれは今の現代魔術と言うより古代の魔術と少し似ているね、ただ進歩があまり見られない。オリュンポスのように規格外に進歩した技術と言うよりは昔の形を残したまま質を上げ続けた魔術って所かな?」

 

自身の着けていた装飾品を変化させての使用、今で言う投影と似たような物だがそれなら大抵強度が脆く壊れやすい。セイバーの剣と切り合いができる時点で投影を極めたのか別物と考えた方がしっくりくる。

 

「と言う事は技はあれ一つだけ?」

 

『いやそれはないかな、魔術の系統は確かに少ないが種類は幾つある筈だ。ただ彼が見せなかったと言うのは十分ありえるからね。』

 

死霊魔術、理想魔術、ルーン等の系統は少ないがその魔術で使用できる技の種類は多い。あれ一つだけと言うのは魔術師としては考えづらい。

 

「戦い方としてはケルトの方たちと似ています、ただ力がかなり強かったです。盾で防いでいたのですが盾越しに衝撃が強く直ぐ立て直すのが難しく感じました。」

 

「彼の方も魔術に対する耐性は強く感じたよ、私の援護はあまり通らないかもね」

 

『ともかくだ、特異点の問題となっている聖杯を見つけ回収しなさい。それに特異点だったらはぐれサーヴァントもいるだろう、見つけて協力を申し込むのだ。』

 

『ゴルドルフ社長の言う通りもしサーヴァントがいた場合は協力してくれたらありがたい。聖杯の情報収集もしなくてはいけないし上空には気を付けたまえ。』

 

ゴルドルフたちの指示に藤丸は頷き会議はそこで終了となった。

 

「今ギルガメッシュは何処に?」

 

『ここからそう遠くない場所にサーヴァント反応が一つあるね。霊基の大きさからして恐らくギルガメッシュだよ。北西二キロの場所かな?』

 

「なら移動しよう、皆もそれでいい?」

 

サーヴァントたちはそれに頷き移動し始める、廃墟となった都市を移動していきながら雑談をしていく。

 

「ここがこうなったのはどうしてなんだろう、崩れ方からしても自然に崩れていったって感じだけど。」

 

「確かに、地形の方を見ても別段戦ったような形跡はない。」

 

「それに少し見て回っただけだが死体が何処にもない、まあこんな有り様だし移住とかも十分ありえるんだけどね。」

 

「そうなるともしかしたらここよりも大きな街があるのかな?」

 

『どうだろう、ここよりも大きな浮島はあるかどうかはわからないが似たような浮島ならあるかもしれない。人が存在していた以上他の場所に出をだしているのは十分考えられるからね。』

 

『かと言って油断はするな、オリュンポスのように敵対するかもしれんしな。だが幸いなのはここが特異点だと言う事だ、たとえ接触したところでどうせ忘れられる。』

 

藤丸はそれを聞いて胸が締め付けられた、今までの事を考えると当然だ。マシュはそんな藤丸の心中を察したのだろうか声を掛けて来た。

 

「あの、先輩?」

 

「大丈夫だよマシュ、大丈夫だから。」

 

そう平気そうに笑顔を浮かべながら歩いて行く、だが藤丸は少しは楽だったのだ。ここは異聞帯じゃないので人が消滅する事はないのだから。

 

『どうかな藤丸君、もうすぐなんだろうけど見える?』

 

「うん、パスも繋がってるからすぐ近くにいるのはわかる。」

 

そう藤丸は返答をして先頭を歩きだしその直ぐ隣でマシュがついて行く、マーリンたちはその後を追う形で追いかける、崩れた瓦礫の山を越えたその先では…

 

「そうだ!貴様中々話がわかるではないか!」

 

「だろ!?おめぇもわかってんな!」

 

黄金でできた椅子の上でギルが隣にいる誰かと酒を飲みながら談話をしていた、しかもその相手の姿も中々妙な姿だ、装備を見た所中世風の鎧を着こんでいるが脚と腕が露出している。その全身を覆う小さな鱗と顔の造形を見るに今で言うリザードマンのような姿をしていた。

 

「え、えっと、ギルガメッシュ?」

 

「お、遅かったではないかマスター。」

 

「お!兄ちゃんがマスターって言う奴か?」

 

リザードマンと思われる生物が藤丸に近づいて行く、口から出ている牙とギラギラこちらを見る黄色の鋭い眼光がこちらを覗いていた。

 

「ははは!やっぱりちっけぇな猿は!けど来ているその鎧は中々いいねぇ、確か魔術礼装って言うんだっけか?まあいいや」

 

そう手を頭に置かれる、その大きな手にすっぽり収まり頭がガシガシ揺さぶられる。マシュの方は口をポカンと開けておりセイバーたちの方もそれと似たような表情をしている。

 

「え、えっと…あなたは?」

 

『サーヴァントだよね君?』

 

「お?何だ今の声、どっから出て来た?」

 

『和也くん一度我々を出してくれないか?彼と話をしたい。』

 

「は、はい。」

 

そう言われ藤丸はホログラムを起動する。するとリザードマンの方はそれを見て口を開け驚いていた。

 

「おわ!?」

 

『驚かせて失礼、こうやって話をした方がいいと思ってね。』

 

「へぇ~未来ではこんなもんがあるのか、中々変わってんな。」

 

そう彼はホログラムの方に手を突っ込みそこに人物がいない事を確認する。それを見ながらもホームズの方は疑問に思っている事を口にする。

 

『君はサーヴァントで間違いないね?』

 

「あぁそうだぜ、それが?」

 

『なら君は何の種族なのかな?』

 

全身を覆う鱗、トカゲのような長い尻尾に鰐のように長い顎は今で言うリザードマンと呼ばれる生物に該当するが伝承や童話の話ではリザードマン等の生物は存在しない。あくまで現代フィクションで登場する架空の生き物であるので本来ならサーヴァントでこういった生物は存在はしない。その事を気にしたホームズはその事を投げかけた。

 

「種族?俺は一応龍だが…それが?」

 

『そのわりには人と酷似した姿をしている。』

 

「そりゃそうだろ、竜人なんだからよ。」

 

『竜人、と言う事は君は人と龍のハーフなんだね?』

 

「お、おう、そうだけど。なんだ兄ちゃんさっきから当たり前の事聞いてきて」

 

『いやすまない少し確認したくてね、それで最後の確認なのだが…君は何処の英霊か教えてもらえないだろうか?』

 

「良い事聞くじゃねぇか兄ちゃん。聞いて驚くなよ?…かの大戦から行く数年、あらゆる災害に身を乗り出す龍族の中でもっとも戦いにたけた我らがウルダの一族、『ザイガの双璧』『コーガの丘』『アクレポリスの災害』を片付け果てには『ギルガ戦争』であのイング・ティティラトスを倒した英雄、『ウルダの激走』と呼ばれたガルード・デインとは俺の事よ!!」

 

そうドヤ顔で自分の顔に親指を差しながら笑顔を見せるゼイン、とは言えマシュも藤丸、果てにはホームズだってその名には聞き覚えがなかった。そのリアクションを見てどんどん自身が無くなっていったのか顔が曇り出し頭を掻きだした。

 

「あ、あれ?何かリアクション薄いな…おっかしいな家の国じゃ結構有名なんだがな~」

 

(マ、マシュ、ウルダって何?)

 

(わ、わかりません。残念ながらどれもこれも聞いた事がない物です。)

 

『(どれもこれもこちらの世界では聞かない伝承、それにサーヴァントは現代の知識を分け与えられている筈、だから彼は自分の国では有名だと知っている。だがそんな記録に引っ掛かった物はない…となれば恐らく…)』

 

『すまない君の国家を教えてくれないかな?』

 

「家の?ウルダと言ったら『源の大地』に決まってんだろ。」

 

『それは君の国の名前なんだな?』

 

「はぁ?そりゃそうだろ、何言ってんだ兄ちゃん猿の癖に何か鈍くないか?」

 

『そう言われるのは君が初めてかな、少し君に幾つか聞いて置きたい事がある。どうやらこの特異点は普通ではなさそうなのでね。』

 

どうやら今回もただ事ではなさそうだ、ホームズが言う事に危機感を覚えた藤丸は身を引き締めた。




はいオリキャラ登場、見てわかる通りだと思うが生まれが違う人です。キャラの詳細とかについては次の話に書くのでそこはご了承を。


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ゼラード

「さて何を聞きたい?俺の英雄談なら幾らでも聞かせてやれるが…どうもそう言う雰囲気じゃないな。」

 

槍を立てると同時にその場にあった瓦礫に座る、それを気にホームズが切り出す。ダ・ヴィンチの方も色々聞きたい事はあるようだ。

 

『まず最初に君は地球出身かな?』

 

その言葉にガルードは横に首を振る。

 

「俺らが住んでいるのはゼラードと呼ばれる星だ。お前らとは違って人間が主体として生きている星じゃねぇ、俺らのような龍の祖先が住んでいる。人も一応いるはいるんだがな…」

 

『別の惑星か…そこには国はあるかな?』

 

「あるぜ、色々と…別々の国が存在し支配している地区で住んでいる種が異なる。俺が住んでいる所はまあ飛竜とかもいるが中心は俺のような原龍だな。」

 

「その飛竜と原龍とは何なのでしょうか?」

 

そうマシュが聞き返す、ガルードの方はそれを聞いて返答する。

 

「飛竜はまあ飛ぶ事を主体とした奴だ、あんたらで言う所の鳥かな。原龍はまあ何と言うかそこに前々から住んでいた龍の事だよ。あんたらで言うとそうだな…日本に住んでいるから日本人みたいな感じだな。」

 

「と言う事はその国に住んでいる民族の事?」

 

「そうなるな。」

 

『なるほど、そうなると君たちの世界では龍が生物界の頂点になったのか…』

 

「他の龍となると何がいるんだい?」

 

「国によって存在する魚とか動物とかかな。あんたらとの違いと言えば人間と違って数が少ないから自然が多い事かな。」

 

『となると現代科学のような発展は遂げていないと?』

 

「そうだ、俺らはどちらかと言うとそんなの必要ないからな、移動とかは飛竜や走龍とかを使えばいいし魔術で何なら魔術で作った道具を使用すればいい、飛行機とかは俺らの世界は気候が厳しいからほぼ無理だ。」

 

ガルードの話を聞くにどうやら重力も何もかも違う上にガルードの世界では現代科学のような物より多少手間がかかるような移動手段の方が好まれるらしい。建物の方も違いがあるようでガルードが住む場所ではレンガや石での建築が主流のようだ。

 

「ガルードさん、誰ですかそいつら?」

 

すると藤丸たちの後ろで声がした、そこには青い鱗を纏った人型がいた、ガルードと同じような鱗をしているがこちらの色は青い、頭はトカゲ、胸には鋭い逆鱗があり体格も身長も人より大きい。着ている鎧の方も急所はしっかりと守らてはいるが少し露出が多い。手には白く光る剣を持ちながらこちらに近づいて来た。

 

「おおどうだった坊主。」

 

「無理ですね、あの龍がいるので近づけません。」

 

「困ったな…」

 

いきなり現れガルードと話始めた青い龍人に呆気に取られてしまった。それに見かねたマシュが話しかける。

 

「えっと、あなたは?」

 

「俺か?俺の名前はジュルド・トゥルトゥー、ランサーだよ。」

 

「そういや職業の方言うの忘れてたな、俺はライダーだ。」

 

「ジュルド…やはり聞いた事がない名前ですね。」

 

「そりゃそうでしょ、むしろ知ってたら驚きだよ。」

 

「その、ジュルドさんは今まで何をしていたのですか?」

 

「周辺調査、見知らぬ空間だからね。なるべく知っておきたいから俺が見て回ってたんだ。んで、何か変な白い龍のせいで一か所だけ調べられない所があったんだ。」

 

『白い龍?それはもしかして大きな一角を持つ奴かい?口から光線や火炎放射したり翼からジェット機見たいな飛び方したり。』

 

「何だ、あんたらも知ってたのか。」

 

どうやらジュルドたちの方でも接触をしていたようだ、まああの移動速度から見ても行動範囲は広い事はわかっていたので当然と言えば当然だがかなり厄介な事になる。藤丸たちは軽く移動して来ただけだが彼らは藤丸たちより前に来ていた上に事前調査を行っていたのだ、そんな彼らが会っているとなるとあの龍の行動範囲が広すぎる可能性がある。

 

『もしや調査した所々の場所にあの龍が現れたのかな?』

 

「まあそうなんだがあの城の周辺やその近い地区にいかなければ接触はしない。」

 

「城?」

 

藤丸がそう答えるとジュルドはその城があると思われる場所を指す。

 

「ここから数十キロ先にでかい城がある。その周辺の浮島にも都市みたいな物があるんだけどそこら上空にあの龍が飛んでいて俺らを見つけ次第攻撃してくるんだ。正直困ったもんだよ。調べていないと言えばそこら辺だけなんだがな…」

 

「戦おうにもあいつが早すぎて俺らじゃどうしようもない、それにあの火力だし立往生しててな。」

 

「攻撃方法はあのアホ見たいな威力している光線を上空から撃ち続けるやつともしくは一撃離脱、後はあのバカげた速度から来る突進だな。正直距離取られたらどうしようもない。」

 

『爆撃機のように上空からの爆撃に音速を声掛けた突進、今回の相手も中々厄介そうだ。』

 

「今僕たちで対抗できるのは…ギルガメッシュとマーリンくらいかな。」

 

『とは言えマーリンの攻撃はほぼ効いていないような物だった、ギルガメッシュの宝具ならば対応策はあるだろうがあの速度だ避けられる可能性が高い。』

 

「たわけ、私にもその龍の速度に勝るとも劣らない物がある。とは言え龍如きに使うのは癪だがな。」

 

恐らくヴィマーナの事を言っているのであろう。ヴィマーナの機動力とギルガメッシュの宝具なら確かにいけるかもしれない。

 

「なんだ嬢ちゃん、アーチャーなのに移動手段の脚も持ってんのか、羨ましいねぇ。」

 

「ふ、我が宝物庫に勝る物などない。」

 

「ずりいぞまじで。」

 

「何の話で?」

 

「こいつの蔵の話。」

 

『とは言え彼女の宝具なら対抗できるかもしれないがそれは彼女だけだ。作戦を考えなければいけないね。』

 

「僕の魔術でも幻術などなら聞くかもしれない。」

 

「…あれ?もしかして俺らお荷物?」

 

「まあ作戦立てる前ですからまだわかりませんよ。とは言え正直まだあいつと戦うのはおすすめしませんよ。やるならもうちょっと対抗手段を用意した後でやった方がいいんじゃないすか?」

 

『そうだな、どうも不安要素が多すぎる、それに今まで上手くいって来た事がない。もう少し何か欲しいなぁ…』

 

「なら他の奴探すか?変な連中もいるが他にもいろいろな臭いがある。恐らく俺ら以外に他にもいるかもしれないぞ。」

 

『そう言えば聞くのを忘れていた。龍人の二人に聞きたいのだが紫色の鎧を着た人型に会わなかったかな?』

 

「紫?いや見てないが、どんな鎧を着てやがった?」

 

「あの白い龍とほぼ同じ姿をしていました。形状が似ているだけですが…」

 

それを聞いた龍人の二人は顔をしかめお互いに顔を見合わせた。直ぐに顔を藤丸たちの方に戻す。

 

「…一応言っておくとあの白い龍もその紫の奴が着ている鎧はまったく同じだ。」

 

「『生体装甲』か、またこりゃめんどくさいのが出て来たな。」

 

『生体装甲とは何のことかね?何か名前からして嫌な感じがするんだが…』

 

「俺らの世界ではその鎧は超越した存在だけが持つとされる鎧だ。自身の皮膚や細胞に魔力を流し込み装甲に変化させる、現れ方は龍それぞれだがそれを着ていると言う事はそいつは龍を越えた証でもある。しかも俺らが会った奴の中にその鎧を着こんだのが三人いた。全員敵だったが…」

 

『なにぃ!?あんなめんどくさいのが四人もいるのか!?』

 

「紫の奴も含めるとそうなるな。」

 

つまりあのリーバスと同じ実力を持った奴が後三人もいると言う事になる。そうなるとかなり厄介だ、なんたってこっちは一人に三人がかりで挑みほぼ押され気味だった。幾らギルガメッシュがいなかったからと言ってアーサーもマーリンもいたのにほぼギリギリの戦いだった。

 

「でも超越した存在だからと言って能力の上げ下げにはかなり差がある。例えば俺があったアサシン何かはそんなに強くはなかったしライダーの方も…まあジュルドの二人がかりだったから何とかなるしあんたらがいるからわりと何とかなるぞ。一番警戒するのはその紫と後一人だろ、二人ともあった事ないが…お前らの反応からすると片方は強いらしいな。」

 

それに藤丸は頷く、油断していたとは言えほぼ真正面からの戦いだった。実力はほぼセイバークラスで間違いない。

 

「となるとやっぱりタイマンは難しいか。まあこんだけいるんだから何とかなるだろ。」

 

「戦力も大事だがここが何処かと言うのも大事だぞ、それが一番わからないんだから。」

 

『そうだね、今の所まだ未知な部分が多いが取り敢えず今はここが何処なのかを探りながら行こう。』

 

ホームズの言う通りここにいても始まらない、不安要素は強いがそれでもここで何が起こっているのかを調査するのが先だ。細かな詳細は移動しながらでいいだろう。

 

『Mr.ガルード、君が知っている浮島の中で何か気になる場所はなかったか?なんでもいい。』

 

「う~んそうだな気になる場所か……そう言えば浮島の幾つかに人がいたと言う日記を見つけたんだ。」

 

『日記何ぞ探せばありそうな物だろう。何が気になるんだ。』

 

「いやよそれがさその日記、日本語で書かれてて、しかもかなり前に書かれたやつだ。」

 

そう言うとガルードは懐からその日記を取り出した。見た目は今でも見る皮の本だがかなり使いこまれておりさらに風化による損傷が見られた。ぱっと見数十年前程のように見えるがそれにダ・ヴィンチが声を上げる。

 

『これ保護の魔術がかけられているね。実際は恐らく数百年程前くらいと考えられるかも。』

 

「となると先輩じゃ読めないかも…」

 

「いやそれが…まあ捲ってみな。」

 

そうジュルドが言うと藤丸がその本を受け取りページをめくる。するとそこには藤丸でも読める文字だった。使われているのは今の日本語で日付も漢字もまったく現代の物とは思えない物だった。だが藤丸は驚いたのはそれだけじゃなかった。その日記を書いていた人物の名前が一番最後のページに記載されていた。そこには…

 

「佐藤 和也って、まさか」

 

それを聞いたマシュとマーリンがその日記を注視しアーサーがそれに驚いてしまう。アーサーはその和也と言う人物と会った事はないため驚かなかったがマーリンの反応に思わず驚いてしまった。その名前を聞いた途端いつも表情に変化が無いマーリンが目を見開き口をポカンと開いているまさに驚いている表情を浮かべたのだ。

 

「和也って、和也さんですか?」

 

「え?知り合いなのか?」

 

『お、おいダ・ヴィンチ、これは本当に数百年前の物なのか?確かその和也って…』

 

『うん、私の方でも記録されている。藤丸君が過去の特異点で会い協力をしてもらってきた人物だ。2001年生まれで確か飛ばされた年は2032年、理由不明のレイシフトや転移を繰り返している人物だ。』

 

『ありえない!これは数百年前の物なのだろう!?人間がそんなに生きれるはずがない!誰か他の奴じゃないのか?』

 

「いやそれが…」

 

そう藤丸が指す、そこは風化による影響で途切れ途切れだがこう書かれていた。

 

『藤丸たちと別…大分経…、マシュは……か、…二人は……ろう。』

 

『どういう事だ!?人間の筈なのに何故こんな物が残っている!?そいつは今も生きているんだろう!?』

 

『考えられるとしたらレイシフトによる誤差かここの空間の時間がずれているかのどちらかだろうけど…もしかしたら彼が残した物と言うのも十分に考えられる。彼は基本的に軽装備だったからね。』

 

「いや彼は確か黒いリュックがあった、中身は知らないが確か日記を書いていたのは彼から聞いた事がある。」

 

それを聞いたカルデア一行は思わずマーリンの方を注視する。マーリンは基本的に他の事にあまり興味が無い、そのため何事にもほぼ客観的な上に冷静な意見が多い、表情もいつもニコニコしていて変わらずただ楽しそうにしている様子しか見てこなかった。そんな彼女が珍しく興味がある人物の事を話した。彼女に目をつけられるなんてかなり稀な事なのだがそこは流石和也と言った所だろうか。

 

「…随分詳しいんだな魔術師。」

 

「そりゃまあ今まで話し相手になってくれた友人だしね、話題もいつも面白かったしよくアヴァロンに連れて来たよ。」

 

「…その和也と言う人物に色々言わなければいけないことができてしまった。できればこの馬鹿の謝罪と言うなの。」

 

「何言っているのさ我が王よ、彼も面白そうに話していたからギブアンドテイクさ☆」

 

それを聞いたアーサーは大きなため息をつき藤丸たちは苦笑いを浮かべた。ガルードたちの方はなんの事なのかさっぱりわからずただ不思議に見ていた。カルデアにいる人たちも藤丸たちと同じように苦笑いを浮かべていた。だがマーリンの表情はいつもと違って若干嬉しそうに見えた。




佐藤 和也

謎の転移を繰り返し続ける人物、独自で磨き上げた魔術と体術を使用しさらに様々な一般技術を使用する、藤丸たちの協力をした事も幾つかある。性格は邪龍百年の時はかなり人嫌いな性格だったがそれ以降は信用していくようになりキャメロットでは負けず嫌いな頼れる人物になっていた、ソロモンの特異点収束後行方がわからなくなっていた。


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