伏論破✿大正浪漫夢恋草子 (ダンガンロンパ4作者)
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椿編
第弐話 椿の紋様、恋の模様


 

コォー…

紫苑「んん…ここはっ…」

ガタガタガタ…

紫苑「ひっ…って、なんで足枷なんてっ…!」

ガチャガチャ…

紫苑「…だっ、誰かいますかー!」

シーン…

紫苑「…え…誰もいないの…泣きそう…」

 

今の状況を説明しよう。只今私、烏岳紫苑はくらーい洞窟みたいなところで囚人のように扱られている。

 

あと、噛まれた跡があるみたいだ。

 

そう、私は左右田くんから逃げてた筈…嗚呼…足挫いて眠らされたのか…

 

紫苑「…とりあえず、左右田が来るまで待つか。」

 

未だに左右田くんが伏男子ということが信じられない。化け物…らしいけど。

 

紫苑「…騙されてたんだなぁ…」

 

雫の音が聞こえる。寒いけど、そのままの服だからそんなに寒くない。

 

紫苑「じゃあ…あの三人も伏…なのかな…」

 

家に帰りたいなぁ…喰われるのか、喰われないのか…よくわからないし…

 

紫苑「…喰われる…嗚呼…足挫いてなかったら逃げれてたなぁ…」

 

 

 

紫苑「はー…まだ来ない…」

ザリ…

紫苑「!」

左右田「…紫苑、入っていいよな?」

紫苑「…う…うん…」

ガチャガチャ…ぎぃぃぃ…

左右田「…なぁ、俺が伏って気付かなかったのか?」

 

左右田くんは隣に座った。

 

紫苑「…うん。気付けなかった。」

左右田「…紫苑、今から話すことをよく聞いてくれ。いいな?」

紫苑「…うん。」

 

 

俺らは伏、という世間での化け物、だ。けれどな、女だけを喰ってしまうっていうのは間違ってる。ただ、悪いやつは喰うけどな。

 

俺らは普段は学生してるけどな、夜になると伏になる。で、今は夜だ。

 

紫苑はちょっと黙らすために眠らした。…噛んだのはその時だ。

 

 

左右田「…紫苑、俺らは…番…を待ってるんだ。大切な人のことだ。」

紫苑「…え?」

左右田「…だから、紫苑。俺の…番に、なってくれるか?」

紫苑「…ちょっと…ごほっ…ぢょっど!待って。番って…!」

左右田「いや…嫌ならいいぜ。ただ…今からだと帰れねぇんだよ。妖界ではな。」

紫苑「…わ…」

大和田「そんなことを使って色っぽいことしようとすんな。呼びにいけって言ったろ?」

左右田「それはちげえっ!」

大和田「…紫苑、行くぞ。」

紫苑「えっ…?」

 

 

ぎぃぃぃ…

石丸「む、来たかね。」

由李「お…遅いよぉ…」

紅葉「…紫苑、助けて。」

茉莉花「しおおおおん…!」

大和田「泣くな泣くな。少し痛くしただけだろ?」

葉隠「泣くでねぇべ。」

左右田「…わりぃな、なんか。」

紫苑「いや…楽しそうだけど…」

石丸「紫苑くん、座り給え。」

紫苑「は…はぁ…」

 

 

石丸「すまなかったな。伏ということを黙っていて。」

紫苑「いや…なんか…」

大和田「そりゃあ怖えよな。化け物だしな。」

由李「喰われるかと思ったしぃ…」

茉莉花「…大和田クン、痛かった…」

大和田「そんな、大袈裟でもねぇだろうよ。」

石丸「…納得できたかね?」

紫苑「え、まぁ。」

 

納得できないけどね。

 

石丸「じゃあ、連れて行ってくれたまえ。左右田くん。」

左右田「はいはい。」

 

ぎぃぃぃ…バタン

左右田「…わりぃな、あんなやつらで。」

紫苑「ううん。楽しそうじゃん。…でも、痛いって…どれくらいなんだろ。」

左右田「…そりゃ痛えだろ。人それぞれだけどな。」

紫苑「…そっか。」

左右田「…紫苑、試してみるか?」

紫苑「え?」

ガッ!

左右田「…俺で。」

紫苑「ちょっ…ちょっと待って、それならっ…」

左右田「わりぃ、待てねぇ。」

ガッ…

紫苑「いっ…」

ツツ…

紫苑「んあっ…あっ…」

グイッ…

紫苑「ち…ちょっ…待っ…待ってっ…」

ツツ…グイッ…

紫苑「ふぁっん…」

グチュ…チュウ…

紫苑「ふあっ…」

パッ…

左右田「…どうだ?痛えだろ。」

紫苑「…はっ…激しいよっ…」

左右田「お?…まだやるか?紫苑。」

紫苑「絶対嫌です。」

左右田「そうかよ。なら、寝床教えるからこっち来い。」

紫苑「…はいはい。」

 

 

紫苑「…結構強烈な噛みと接吻だったな…」

 

…椿の紋様。首筋に見えた。本当の伏なんだ。

 

紫苑「…あれ?なんでドキッ…てするの…?」

 

 

第弐話 終



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第壱話 大正美人四人と伏男子

私達は知らなかった。

あんなに仲良かった仲間が…

あの「伏」だなんて。

嗚呼…

好きになってしまうのは何故?

誰か、教えてっ…


ー浪漫学校ー

 

キーンコーンカーンコーン…

 

先生「では、また明日。左様なら。」

みんな「左様なら。」

 

ガタガタガタ…

紫苑「ふー…」

茉莉花「紫苑…帰ろ。」

紫苑「ん!いいよ。」

茉莉花「あと何分で終わる?」

紫苑「あと1分。」

ドタドタドタ…ガラガラ!

紅葉「紫苑!帰ろっ!」

紫苑「え…いいですけど…」

由李「もぉー…早いよぉ…」

紅葉「そりゃあ!今日は肝試しするからね!」

茉莉花「え、肝試しっ…?!」

紫苑「ええ…何処で…」

紅葉「そうそう、なんか…」

 

昔から女だけを喰ってしまう幽霊がいるらしくて、喰わないとやってけないんだって。

 

紅葉「名前は…」

紫苑「…伏、じゃないんですか?」

紅葉「そうそう!伏って呼ばれててさ、すごく怖いんだって!」

由李「えぇえ…怖いよぉ…」

茉莉花「…行ってみたい…かも。」

紫苑「え…じゃあ、行く?」

紅葉「よし!行くぞー!」

三人「おー!」

 

 

ガサガサ…

紫苑「こんなにも生い茂ってるんですね…」

紅葉「らしいね。なんか、出てきそう。」

由李「はぁあ…眠いよぉ…」

茉莉花「…あれ、何かな。」

 

それは、何かの置物だった。4つある。

 

由李「んん~?これってぇ…触っちゃいけないものかもぉ…」

茉莉花「…墓ですか?」

由李「そうじゃなくてぇ…なんだろぉ…」

紫苑「…あれ、紅葉さんは?」

由李「んん~?紅葉ぃ?」

紫苑「あれっ…茉莉花も…」

由李「あれれ…なんでぇ…」

紫苑「…何これ…」

 

白い…毛?

 

ヒュン…

由李「何ぃ?!」

アオーン…

紫苑「ちょっ…ちょっと…」

ガサ…

二人「ひぃああああ!」

??「…人間?ここで何をしているんだね。」

紫苑「…えっ…」

 

それは、普通の…人だった。けれど…

 

紫苑「…あれ?石丸委員長?!」

石丸「む、烏岳くんの…妹の方かね!ここで何をしていたんだね?」

由李「…あれぇ…私はぁ…」

石丸「…ここは危ない。早く逃げなさい。」

紫苑「う…うん。ほら、行こっ。」

由李「ええ…でもぉ…」

紫苑「早くっ!」

ガサガサ…

石丸「…グルルル…」

 

 

 

ー翌朝ー

 

先生「…昨日、烏岳紅葉さんと葭原茉莉花さんが行方不明になりました。危ないことには気をつけてくださいね。」

紫苑「…え…」

 

紫苑「…ねぇ、やっぱり連れ去られたんじゃ…」

由李「そうしか考えられないよねぇ…」

左右田「どうした?」

大和田「ずいぶん悩んでるじゃねぇか。」

葉隠「どうしたべ?」

由李「それがぁ…紅葉ちゃんとぉ…茉莉花ちゃん…行方不明になってぇ…」

 

私達は昨日のことを三人に話した。

 

大和田「うーん…それは伏、ってやつに連れ去られたってことか?」

紫苑「そういうことになると思う。」

左右田「まぁ…そういうの、噂だって。」

葉隠「安心するべ。」

由李「…もう一度行くよぉ…」

紫苑「流石に見捨てれないから…ありがとうね、三人とも。」

バタバタ…

左右田「…ふーん…ツギはあいつでいいかも。」

大和田「茉莉花と紅葉はこっちにいるしな。」

葉隠「今のところバレてねぇべ。」

三人「…お前らも連れ去ってやるよ。紫苑、由李。」

 

 

ー夕方 森林ー

 

ガサガサ…

紫苑「紅葉さーん、茉莉花ー?」

由李「どこにいるのぉー?」

紫苑「いた?」

由李「いなぁい。」

紫苑「もうちょっと探そ。」

 

紫苑「…ずいぶん奥まで来ちゃった…」

 

暗いなぁ…よく道がわかんないよ…

 

紫苑「…も…」

ガサッ

紫苑「!由李ちゃん、見つかった…っ…?!」

左右田「…よ、紫苑。」

紫苑「そ…左右田…くん?」

左右田「紅葉と茉莉花、探してるんだよなぁ?」

紫苑「…え?」

左右田「これ。わ す れ…」

紫苑「…!きゃああああああああああ!」

ガサガサ…ガサガサ…

左右田「おいおい、獲物は逃げたらだめだろう…がっ!」

紫苑「や…やだ!来ないでっ!」

 

嘘でしょ?!左右田…くんが伏…だなんてっ!ありえないっ…

 

グキッ

紫苑「いっ…たぁ…」

ガサ…

左右田「…紫苑、みーつけた。」

紫苑「や…やだ…こ…来ないでっ…」

左右田「ほら、我慢して俺の側に来いよ。」

紫苑「やだっ…!絶対にいやっ!」

左右田「おいおい…まだ逃げる気かよ…まぁ、どうせ、足挫いて動けねぇけどな。」

紫苑「あっ…!」

左右田「少し、紫苑には寝てもらうぜ。」

紫苑「ううっ…」

 

 

第壱話 終



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