オーバーロード~異世界転移!!? 嘆きの亡霊は帰りたい (嘆きのラジオ)
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異世界に来ちゃったよ
あれ?ここはどこですか?


「始まりの足跡」

それは誰もが憧れるギルドだ

クランマスター室で一人の黒髪青年が宝具を磨いていた

 

その一室にて事件はおこる

 

僕はクライ・アンドリヒ、始まりの足跡(ファーストステップ)のクランマスターであり嘆きの亡霊(ストレンジグリーフ)のパーティリーダーだ

 

ギルドマスターの部屋にはパーティーメンバーが集合していた。

仲間の剣士は狭い部屋のなか剣を振る

仲間の錬金術士は研究の成果を報告する

仲間の盗賊は「クライちゃんひまぁ~と抱きついてくる」

仲間の聖騎士は何もせず佇む

仲間の魔法使いはだらしない自分に注意をする

そして僕、クライ・アンドリヒは欠伸をしながら平和だなぁと思いながら宝具を磨く、いや磨こうとしていた

 

狭い、君たちなんでこんな狭い部屋に集まってるの暇すぎない?

 

磨こうとしたらいきなり仲間達が雪崩のように入ってきた「暇だから何かしない」と

生憎僕は忙しいのだ宝具を磨くのに

 

僕は宝物殿にはいかないよ?

 

宝物殿、ランクが1〜10に別れており、レベルに比例して攻略難易度が増す

平たく言うなればダンジョンだ、宝物殿内には宝具と呼ばれる魔法のアイテムがドロップする

 

宝具には炎をだす杖や剣、万物を破壊する宝石など種類は多岐にわたり、古代の空飛ぶ城なんてものもある

 

強さもピンキリでハンターはみな一攫千金を求め宝物殿に潜る

僕等、嘆きの亡霊も例外ではない。

 

最近仲間達が手にいれて来てくれた宝具を磨こうとする

それは、よくみると何かのスイッチみたいなものだった

 

押してみたい。そんな欲求が頭をよぎる

「・・・・・・」

無意識に指がボタンへと動く

まぁ何か起こっても仲間達がいるしなんとかなるだろう

そんな軽い気持ちでぼたんを押す

 

「ピンポーン!」

呼び鈴を鳴らしたような音が部屋に響く、どうやら自分にしか聞こえていないようだ

「どうかしましたか?クライさん?」

「いや、なんでもないよ」

何もおきない?ただ音を鳴らすだけの宝具?出落ち感半端ないなぁと思いながら手にある宝具を磨く

するとある違和感に気づく

 

(視界が歪んでいるいや空間が歪んでいるのだろうか?)

仲間達は気づいていない

 

持ち主に悪影響を与えるなんて・・・不良品だな

そんな呑気なことを考えつつクライは意識を失った。

 

瞼に太陽があたる、眩しい

「う~~ん」

目が覚める、見覚えのない草原に眠っていた、仲間達も一緒に、

(どこだここ?確かあのボタンを押したら意識を失って、、、これはつまり、つまり)

 

「どういうこと?」

その問いに応える者はいないあの宝具の影響ではあるだろうが

 

「まぁ何か危険があったら宝具が教えてくれるか、」

呑気に独り事をいいながら彼は目を瞑る、もうちょっと寝よっと

 

草原に仰向けに寝っ転がる、ふわぁと欠伸をしながら彼の意識は再び闇へと落ちる

 

「まぁなんとかなるか」

 

~ナザリック付近に人間がいると報告を受けたアインズは困惑していた

 

(こいつらは何をやっているんだ?)

突然現れたと思えば彼らは気持ちよく眠っていた、気持ちよく

普通に考えてもモンスターがいるであろう場所で寝るなど正気ではない

身なりは冒険者にみえるので帝国の冒険者が罠にでもかかったのだろうか?

 

(だが、、、一人は間違いなくなく一度起きたよな・・・)

「う~~む?」

脅威ではないだろうが、上手い解決案も思い浮かばないのでとりあえずほっておくことにした

 

まぁ仮に襲われたとしてもそれは本人達の自己責任なのだから

 




クライ・アンドリヒ レベル1
適性職 アイテムマスター
持ち物 宝具多数
もとの世界では10あるレベルあるうちの8に位置する実力者とされているがその実は平民よりも弱い一般人
数々の困難を悪運で乗り切った
宝具大好き、この世界ではマジックアイテムが好きになるだろう

本人も自分はどうしようもないと自覚しており
早く引退したいと考えている


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ジェノサイドモンスター!リィズ・スマート

どれほどの時間が立ったのだろうか眼を覚ます辺りは暗く霧が出ている、夜目の聞かない僕は何も見えない

いつだってそうだ僕ら未来も、自分も、目の前さえ何も見えてないんだ

 

「クライちゃ~ん!おっはよー!!」

明るい女の子の無邪気な声がすると同時に抱きついてくる。

ピンク色のブロンドに、金属のブーツ「天へ至る起源」が輝く

この宝具は空気を一歩けることが出きるだけのなんてことのない宝具だ彼女の身体能力があって初めて真価を発揮する

 

彼女の名前はリィズ・スマート、盗賊(シーフ)だ

怒りやすく、感情がコロコロ変わる、手のつけられない

バーサーカーそれが彼女だ

 

「うん、おはようリィズ、もう夜だけど」

「そんなのきっにしなーい」

猫なで声で体を寄せてくる

気になったことがあったので質問する

 

「他の皆は?」

 

「う~んわかんない私が目を覚ましたときは私とクライちゃんしかいなかったよ?」

リィズは困ったように言う、僕が起きたときにはいたんだけどなぁ?

「でもでも~せっかくの二人きりなんだし~」

そういってリィズは甘えてくる、

 

「ん?」

リィズがいきなり臨戦体制をとる、先程とは変わって真剣な顔で霧に霞む闇の中を凝視している

 

ボケっとする僕に彼女は言う

 

「やっぱりクライちゃんは厳しいなせっかく二人きりなのに」

「うんうん、そうだね」

彼女が何をいっているのかわからない、わからないので彼女と同じ方をみる

 

霧から武装、摩耗の酷い剣と盾をもった骸骨が現れるまるで騎士みたいな、なにあれ?

ここらへんてあんなのが出るの?

 

 

 

「ふ~ん、中々強そうじゃん」

リィズは余裕そうだが、というかワクワクしている

起きてそうそう元気だね、リィズ

 

そう思っていると目の前の骸骨が消え、僕の生命線、セーフリングが発動する

いつの間にか背後にたっていた骸骨と目が合う(目なんてないが)

骸骨が驚いたように停止する

 

僕を守ったのはセーフリングという宝具、一度だけどんな攻撃を防ぐことが出きる正に生命線だ、僕はそれを17個もっているわけだが一つにつき一回しか防げないので

 

つまりあと17回攻撃されれば僕は死ぬ

 

骸骨が僕に追撃を加えようとした瞬間に、骸骨が吹き飛ぶ

隣にいるリィズが凄まじい蹴りを加えたのだ

 

「クライちゃんに攻撃が効かないのは分かってるんだけど~」

彼女の口調が変わる

 

「それでもクライちゃんが攻撃されるのはリィズにとっても~と~ても不快」

 

リィズの雰囲気がかわる、体温が上昇し彼女の周囲の空間が陽炎のように歪む

額に青筋をたて、腰に差してあった短剣を抜く

 

キレた、リィズはきれると一人称が自分の名前になるのだ

そうなっては止めるのは難しい、こうなっては触れるもの全てに噛みつく野犬のような存在になる

 

彼女が話終わると同時にリィズの姿が消える、

ガゴンと鈍い音がする、音のほうをみると骸骨の騎士がまた吹っ飛んでいた

 

リィズの体格の数倍はありそうな騎士骸骨が空を舞う姿は、リィズがやっぱり化け物じみた存在だと再度認識できた

 

空を舞った騎士骸骨は難なく地面に着地、

「ガァァァァァァァア」

咆哮をあげリィズに突進を仕掛ける

巨体に似合わずに早い、それは瞬く間にリィズに肉薄する

 

骸骨の騎士が彼女の首めがけて剣を振り回す。

だが当たらない、リィズは体を引き、ギリギリで避ける

「おせぇんだよ糞が!!!」

振り終わりにリィズの拳が骸骨の鳩尾を穿ち鈍い音が響く

 

「そんなノロマな攻撃がリィズちゃんに当たるわけねぇだろが!!!嘗めてんのか!!!」

蹴り突き、殴る咆哮と共にに骸骨にリィズが無数の打撃を浴びせる、

まるで嵐のような猛攻は強固な盾をも砕く

もはやどちらがモンスターなのか

 

僕には何が起きているのかさっぱりわからないが

明らかにリィズが優勢だ

骸骨の攻撃はリィズに掠りもしないが骸骨はリィズの攻撃を防げない

一方的、まさに一方的蹂躙

 

「せっかくご機嫌だったのによぉ!!死ねよ!!!」

リィズの渾身の回し蹴りが骸骨の頭に直撃し砕ける

糸がキレた人形のように骸骨が崩れ落ちる

 

動いたからか体から蒸気を発しているリィズが戻ってくる

 

「ふぅ~」

一暴れして落ち着いたようだ

「リィズ大丈夫?」

要らないとは思うが一応声をかける、

 

「うん!大丈夫だよクライちゃん!あんな遅いの私の敵じゃないし!」

えぇ、すごく強そうだったのだけど

本当にどっちがモンスターなのかわからない

 

僕が呆れていると

 

暗闇のなか赤いランタンが見えたとともに馬車が目の前を通りかかる

渡りに船だ、乗せて貰おう

僕はそう思い、馬車のおじさんに声をかけようと走る

 

「すいませーん」

これからどうなるのだろうか?そんな疑問を抱きながら




クライ君のキャラ紹介~
リィズ・スマート 二つ名「絶影」
装備 「天へ至る起源(ハイエスト・ルーツ)」
盗賊であるが騎士顔負けの攻撃力、盗賊とは

彼女の師匠にはよく怒られる
すぐに問題を起こす
誰にでも噛みつく


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対面!蒼の薔薇!イビルアイvsリィズ・スマート

おじさんの馬車にのり揺られること数分

リエスティーゼ王国が見えてきた

「おっきぃなぁ、」

「そお?あんなのゼブルディアに比べたら全然ちっちゃいけど」

無意識から出た感想にリィズが反応する

 

馬車が、とまったどうやら着いたようだ

おじさんは向かう途中に色々と教えてくれた

 

この世界にはマジックアイテムという特別なアイテムがあること、腕に自身があるなら冒険者組合に登録し稼ぐのが一番だと

力が一般人よりも劣る僕は心底いやなのだが、リィズは乗り気だ、メンバー探しも依頼をこなし有名になるのが一番はやいとは思うのだが

 

「ここが冒険者組合か~」

この建物が古今東西の実力者を集める危険地帯か

まぁリィズがいるから絡まれても大丈夫だろうけど

 

「行こ!クライちゃん!」

リィズに手を引かれ嫌々中に入る

 

やっぱり中にはゴロツキのような冒険者がいた、

(こっわ、)

急ぎ足に冒険者登録を済ませようとすると独りの屈強な冒険者?が足を出してくる

(うわ~こういうところでもこんなことするんだなぁ)

どうすればいいのかと迷っていると

 

「おいテメェ、クライちゃんに何してんだよ?」

リィズがドスの聞いた声で話す

(あ、やば)

この流れ絶対ヤバイやつだ慌ててリィズを止めようとする・・・

完全に不味い展開だ

 

「おめぇみてぇなひょろっちいやつは冒険者には向いてないっていってんだよ、家に帰ってママにでも泣きついてな」

馬鹿にするようにチンピラ(?)は言う

仲間なのか屈強な漢たちが揃って

「そうだぜ嬢ちゃん、」「ままが不安がってるよ~」

と野次を送る

 

リィズはもうキレている

殺るきだ、戦闘態勢だ

僕は急いでリィズをとめようとする

 

「おいテメェらなんの話をしてんだよ?」

「おいガガーラン余計な口を挟むな」

ガガーランと呼ばれる男(?)と少女の声が背後から聞こえる

 

「あ?」

リィズは新しく来た二人にもドスの聞いた返事を、彼女らにも噛みつくつもりだ不味い

 

「ひっ、あんたらには関係n・・・」

言い終わるよりも早くリィズがチンピラを顔面を蹴る

可哀想に蹴られたチンピラは床に突き刺さる

ピクピクと男が痙攣している、クライは彼が死んでないことを祈りながら、考えるのを放棄した

 

その行動に助けようとしてくれた二人も警戒の目を僕たち(僕は何もしてないが)に向ける

 

「おい、いくならんでもやり過ぎなんじゃねぇのか?」

ガガーランと呼ばれる男(?)言う。

 

「うるせぇな!私達を舐めてたんだ、こうなるのは当然だろうが!!」

リィズは何もしてない二人にも噛みつく

野犬かな?

注目されている悪い意味でだ本当に勘弁してほしい

 

「まぁまぁリィズ、助けてもらったんだから、そんなことを言うのは失礼だろ?」

「え~あんなの私だけでもなんとかできたし~」

いやいや、そういう問題じゃないからね?!

リィズは拗ねたように言う

感情の変化も早いそれが彼女、リィズ・スマートなのである

 

「すみません、リィズはちょっと怒りっぽくて誰にでも噛みつく上に素行が悪くて口が悪いのですが本当はいいこなんです」

「それは・・・いい子と言うのか?」

仮面を被った少女があきれたように答える。

 

「もう!クライちゃんったらそんなに褒めなくてもいいのに~」

いや褒めてない褒めてない、反省して下さい

 

「まぁいいや、クライちゃんがそう言うなら、どーせ私のほうが強いし、今回は引いてあげる」

リィズは納得したのだろうが、一言余計である。

どうして彼女はそんなに煽るのだろうか?勘弁して下さい

 

「ふん、どこの田舎者かは知らんが大した自信だな」

「冒険者になっても同じことが言えればいいな」

皮肉をこめて仮面の少女はいいはなつ

 

「は?余裕だし?そっちこそ私達に負ける心配でもしたら」

リィズは鼻で笑い煽り返す

 

「なんだと?どうやら私達が誰なのか知らないようだな?」

少女とリィズの間に火花が散る、リィズお願いだから煽らないでよ

 

「あ?私がテメェらなんか雑魚のことなんて知るわけねぇだろうがよぉ!!!」

リィズが再びぶちキレるもうめちゃくちゃだ

(助けて下さいお願いします)

周囲に助けを求める視線を送るが彼らは首を振る、受付のお姉さんをみるが彼女も同じようだ

 

神に祈る、どうにかして下さい

 

「やめなさい!ガガーラン、イビルアイ」

「チッ」

「いや俺は何もしてねえよ?!」

 

正に神の救いかのような、金髪で立派な、よるの星空を思わせるバスターソードをもつ女性が三人を諌める

 

「ごめんなさいね二人とも」

彼女が謝罪するがリィズがまた怒鳴り散らしそうなので

僕は慌てて口を塞ぐ

 

「イビルアイ、新人さんに怒りなんて貴方らしくないわ?」

「ふん、その小娘があまりにも生意気だったからな、すこし冒険者の厳しさを教えてやろうとしただけだ?」

 

「モガッ?!モガモガ(あ?!調子乗んなよクソガキが!!!)」

(本当にやめてリィズ、せっかく丸く収まりそうなんだから)

 

「それに私達は王z・・・ごほん、依頼人に呼ばれてるのだから早くいかないと」

呆れたようにラキュースと呼ばれる女性は言う

「わかった、命拾いしたな、行くぞガガーラン」

「だから俺は何もしてねぇからな?!」

 

彼女達はこの場を後にする

(ふぅなんとかなった)

冷や汗のかく攻防(?)が終わったと感じた僕は安堵から溜め息をつき右をみる

 

(あ、忘れてた)

リィズに蹴られたチンピラがピクピクと魚のように跳ねる、

 

クライはこのあとの床を壊したこと、彼を蹴ったことの責任をとらされるのだった




クライ君の~宝具紹介!

宝具とは?魔力を籠めてその固有の力を発揮するアイテム、使った魔力を籠め直す必要がある

「結界指(セーフリング)」物理、魔法攻撃なら一度だけ防げる指輪、尚チャージする魔力が高いことから人気はない、一個安くて3000万円ほどする、クライの生命線

「弾指(ショットリング)」魔法の弾を飛ばす、但し威力はそこまでない、一つにつき5回使える
魔法の弾はとても綺麗


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死の支配者との対面~リィズ?落ちついてね?

どうやらこの村はピンチなようだ

村人の周りには屈強な銀の立派鎧に身を固めた騎士達が囲んでいる、何故わかるって?

 

(どうしてこうなった・・・)

 

そりゃあ勿論、僕も捕まっているからだ

 

簡単に説明しよう、薬草採取の依頼人に会うため村に向かう→なんか襲われてる村人→捕まる僕→何故か抵抗しないリィズ

(そして今に至る・・・と)

 

「フッこれが運命か・・・」

(誰か助けて下さい!!!)

ハードボイルドに意味のわからないことを呟く

尚リィズは捕まっているのにも関わらず呑気だ

 

「ねぇ~暇、クライちゃ~ん」

いやいやそもそもなんで君まで簡単に捕まってるの?!

いつもなら野犬のように突っ込むでしょ君?!

 

「はぁつまんないなぁ・・・おいそこのお前なんか面白いことしろよ?」

リィズは騎士に向かって怒鳴る

刺激しないでほしい・・・というか君本当に捕虜?

騎士達も彼女の反応に驚いている

立場が逆ではないだろうか?

 

森から咆哮がすると同時に見覚えのある骸骨が走ってくる

起きたらいきなり襲ってきた骸骨にソックリだ

「あ、やっときた?」

リィズが知っていたかのように呟く

え?君知っていたの?それなら僕にも教えてほしかった

 

骸骨は到着すると同時に騎士のあっという間に全滅させた

(グロ、気持ち悪い)

僕は血が苦手なのである、吐きそうだ

ていうかあれあんなに強かったの?

あれを圧倒するリィズとは・・・改めて自分の仲間の化け物ぶりに驚く

 

リィズは気にすることなく話す

「ふ~んあれがクライちゃんのまってた奴か、う~ん確かに結構強いかも」

いやいやまってたってなに?!というか結構やばくない?!

リィズが結構強い、そんなことを言うのは「迷い宿」で出会った神のごとき13の尾をもつ妖狐くらいだ

僕死んだ?

 

「そう怯えないで下さい、私は貴方達を助けにきたただのマジックキャスターです」

立派な装飾品に身を包んだ、死を象徴するかのような骸骨の王はそう言った

 

(うわ~この世界やば・・・)

そんなことを思いながらクライは現実逃避を始める

 

~骸骨王(仮称)と村長が話終える

「さて実験も終わったし、ある程度の世界の常識も把握した。帰るぞアルベド」

「ハッ!」

「では皆さんごきげんよう」

骸骨王とアルベドと呼ばれるフル装備の女性(?)は帰っていく

(帰ってくれてよかった・・・)

何もなかったことに安堵する、リィズも珍しく噛みつかなかったようだ

これで依頼を達成できる、そう思っていると

 

馬の駆ける音、鎧の音がしかも聞こえる数的にかなりの人数がこの村に迫っている

逃げよう、そう思ったが

リィズがやる気だ、何で君はそんなに殺る気なの?!

今度こそ終わったとそう思いながら騎士達と対面する

 

なんでこうなるのだろうか?

どうやら僕の不幸はまだ終わらないようだ




ちょっと適当になってしまった
ある程度話を進めたら直すか・・も?


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閑話 それいけ頑張れシトリーちゃん!

新キャラ紹介


森のなかで彼女は目を覚ます

「ん・・・ん・・・あれ?」

見覚えのない森、周囲を、観察してもこの森は彼女の記憶にない場所だ

それに確か・・・自分はクライと、一緒にいたはずだと

 

「今は状況を把握しなくちゃ、、」

「キルキル君!!!」

彼女が名前を呼ぶと同時に

空から「キルキル」と叫びながら巨漢の漢がやってくる

その姿は2メールはあるだろう巨体に、ブーメランパンツ、顔はゴミ袋で素顔を隠されている

勿論人間ではない、彼は彼女シトリー・スマートによって作られた魔術生命体だ

 

シトリー・スマート、二つ名は「最低最悪」

ピンクの短髪に優しそうな瞳におしとやかな仕草、それは彼女が戦いには携わっていない可憐な乙女を思わせる、魔法使いのようなローブに身を包んだ天才と呼ばれクライの次にランクが高かった錬金術士(アルケミスト)である。

 

「じゃあキルキル君、ちょっとここら辺の探索に行って来てください!」

彼女に指示されたキルキル君という生き物は森の奥に走っていく

「頼みましたよー!」

彼女はよい成果を得られればと願いながら

 

「さて、では私も行きますか!」

そう言うと彼女はキルキル君とは反対方向を歩こうとすると

 

「ギャァァァァァァ」

と爬虫類特有の叫びが聞こえる、

 

巨大な蜥蜴、牙は猛毒、その瞳は対象を石に変える魔眼をもつ魔物、それはギガントバジリスクと呼ばれる。

 

シトリーは頭を押さえる

「はぁ~キルキル君がいなくなった側から」

仕方ないといいながら彼女は腰の銃・・・水鉄砲を抜く

「しょうがない、今回は私が殺るしかないですね」

 

~大爆発が起こる

ギガントバジリスクのは胴体を吹き飛ばされて死に絶えている

「この程度で死ぬとは情けないですね」

シトリーは呆れたように、見かけ倒しだと

目の前の死骸に言う、

 

「ですが利用価値は高そうですね、ポーションも個数に限りがあるので温存しなきゃだし、現地で作るしないか」

そういう意味では僥倖である。

彼女はギガントバジリスクの使えそうな素材を剥ぎ取る

剥ぎ取り終えた頃にキルキル君が戻ってくる

どうやらこれと同じ個体を数体を見つけたようだ

 

「これはこれはラッキーですね、早速案内して下さい」

「キルキル!」

キルキル君に抱えられた彼女は幸先が良いと思いながら

ギガントバジリスクの元に走る(キルキル君が)

 

「それにしてもクライさんはどこ行ったんだろう?」

彼女にとって大切な人の行方を彼女は心配する

 

「とりあえずポーションの素材になりそうな魔物を殺しまわりますか」

そのおしとやかな見た目をした少女のものとは思えないような発言をしながら、彼女は深い森の奥に進む

 

彼女が再会を果たすのはそれはまだ少し先のお話



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陽光聖典

がんばるよー
王国編


~あらすじ~

なんか知らんけど、リエスティーゼ王国のガゼフという男から一緒にこの村を守ってほしいと言われました、

嫌だよ?

 

「頼むクライ殿、そなたの協力が必要だ!」

グイグイくるなこの人・・・

無理だよ僕を雇うならその辺の傭兵を雇うべきだ

 

「協力したいのは山々なのですが、僕は今、依頼を受けている最中でして、残念ですが・・・」

それっぽいことを言って拒否しようとする僕に村長は言った。

 

「気にすることはありません、この村の危機なのですから、今は薬草などとは言っていられません」

いや僕にはあるんだけど・・・

というか普通に嫌だし

 

「おっさん、別にいいけど、タダ働きて訳にはいかないよ?」リィズは乗り気である

リィズゥゥゥゥゥ!!?何いっちゃってるの?僕、受けるなんて言ってないよね?

 

その言葉を聞いてガゼフは答える

「無論だとも、報酬は望まれる額を用意させて頂くとも」

彼は少し嬉しそうに答える

それは魅力的なのだがなぁ

 

「だってさクライちゃん、正直お金は必要だし、ワタシはうけてもいいと思うんだよね?」

リィズがまともなことを言っている?!

確かにこの世界にきて問題なのは金だ、

ランクも低いため稼げる依頼が受けられないのも事実だ

これでは・・・これではマジックアイテムが買えないじゃないか!!!

 

クライは覚悟を決める

「わかりました、でも僕には準備が必要です・・・」

 

~「ではクライ殿頼んだぞ」

押しきった・・・

クライの作戦はこうだ、まずあの騎士団と敵を戦わせる、リィズを強襲させる、終わったころに僕が登場

 

それが僕のシナリオだ、これなら僕が死ぬことはない

完璧である

 

「じゃあクライちゃん行ってくるね~」

リィズはそう言うとガゼフの後を追う、馬などない、彼女は走って追いかける

 

「さてそれじゃあ僕も行くかな・・・ゆっくりと」

・・・そういえばどこで戦うのか聞いてなかったな・・・

 

陽光聖典隊長ニグンは村から王国騎士団が出てきたのを感じ計画通りに事が進んでいることを確認する

「やはり村のために突撃してくるか・・・馬鹿な男だ」

彼は今、王国の至宝を装備していない、いくら王国最強と言ってもそれは至宝とガゼフ二つの力があってこそである

 

「天使達に攻撃を命ぜよ、ガゼフ・ストロノーフを撃ち取るのだ!!!」ニグンは指揮をとり部下たちに命ずる

 

神官達が天使に攻撃を命ずる、天使達は王国騎士に攻撃を開始、

騎士団は迎え打つ陣形をとる

勝敗など決まっている

 

我々の圧勝・・・の筈だった

 

「は?」

間の抜けた声をあげる

瞬きなどしていなかった、何の前触れもなく天使達が全て消える、三十体を越える天使が一斉にだ・・・

神官達はもちろん、ニグンですら状況が読み込めない

(何がおこった?)

 

「こんなものか」

リィズは呟く、その言葉にはなんの感情もない

天使達を全滅させたリィズは思う

(ちょっと期待してたんだけどなぁ)

彼女は強い・・・だがそれは彼女の強さへの渇望故にだ

 

強くなるためなら誰もが無茶だと思う訓練もする

強くなるなら無謀とも思える巨大な敵にも挑む

強くなるためなら毒物でも飲む

強くなるためなら人間ではとても生きることは出来ない場所にでも赴く

それは仲間のため、好きな人のために

だから彼女は求める強くなるためにより強い強者を求める

 

尽きることのない力の渇望、それが彼女リィズ・スマートだ

だからこそ期待していた、きっと自分を満足させてくれる相手に会える・・・と、

 

だが結果はこれだ期待外れにもほどがある

 

神官達はニグンは彼女を見て絶句する

「笑う骸骨?」

誰かが呟く

まるで亡霊のような生者を嘲笑うかのような仮面をつけた少女

何もない荒野に佇む笑う骸骨、それはまるで自分達を狩にきた死神のように

 

「恐れるな!!!再び天使を召喚せよ!」

ニグンの号令とらともに神官達は天使を召喚する

天使達は笑う骸骨を取り囲む、逃げ道はない

 

「これで逃げ道はふさいだ、何をしたかは知らんが、これで終わりだ亡霊!やれ天使達よ」

魔法か?特別なアイテムか?

なにかはわからない、その正体を探るため

 

天使達を集める

自身の天使、監視の権天使をを含めた上位天使が一斉に彼女に襲いかかる

 

だが彼女に攻撃が届くことなく天使達が消滅する

「な・・・に?」

ニグンは理解した・・・彼女は魔法もアイテムも特殊スキルも使っていない

彼女は速いのだ、ただただ速いだけなのだ

 

それは例えるならそれはーーー風、

 

影、雷、炎あるいは、嵐

彼女は速い、ただひたすらに

小柄な体には太陽のような力が満ちていた、

その全力は影を残さぬほどに

故に「絶影」故に「最速」

 

それが彼女「絶影」リィズ・スマート・・・

「嘆きの亡霊」の最速の「盗賊(シーフ)」である




クライ君の宝具紹介~
夜天の外套(ナイト・ハッカー)

羽織れば誰でも高速でのみ空を飛べるぞ!(夜のみ)

欠陥品でありスピードの調整や進路の調整、ブレーキも出来ないただ真っ直ぐのみに飛ぶ外套
故に死人(壁に激突など)が多くでたため「事故宝具」と呼ばれている


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クライ・アンドリヒ

のんびり歩きなが戦闘が起きてるであろう場所にクライは赴く、リィズが戦っているのは僕の宝具「梟の眼(オウルド・アイ)で確認済みだ。

もしリィズが苦戦しているようなら夜天の外套でリィズだけは回収する予定だったから

まぁモンスターならともかく同じ人間でリィズに勝てるような人は少ないだろうが・・・

 

そんなことを考えながら歩いていると、

突然足元が輝く

足元をみると魔方陣が起動しているようだ

僕は光に包まれる、

あぁ、なにかろくでもないことが、起こるきがする・・・

 

気づいたら僕は陽光聖典の眼の前に突っ立っていた・・・

 

~(まさかあれほどとは)

法国とリィズの戦闘を観戦していたガゼフは思う

始めて会ったときから並々ならぬエネルギーを秘めている少女だとは、只者ではないと感じていた。

 

(私を倒すために派遣されているならあれは法国の暗部であるだろう)

法国でも実力者の集まりである陽光聖典・・・

(それを圧倒するとは・・・)

フル装備のガゼフでもそれは無理だろう

改めて彼女が敵でなかったことに安堵する

 

(クライ殿は彼女以上の実力者なのだろうな・・・)

クライは彼女のパーティーリーダーなのだ、

ガゼフから見ても彼女は暴力的でまるで猛獣のようだ

ハッキリ言って彼女が誰かの下につくなど考えられないだろう

 

故に強者が従う理由など一つだろう

世界は広いガゼフは改めて思う・・・

 

そう思っていると、リィズの前に魔方陣が描かれる

(ようやくご登場か・・・)

まさに完璧なタイミングである

あれは転移の魔方陣だろう

そしてそれで現れるものなど一人しかいない

 

ガゼフを持ってしても未だに掴み所はないが確かな実力、そして高い知略をもつであろう男

クライ・アンドリヒである

 

聖騎士達はいきなり目の前に現れたであろう男に瞠目する、それは彼がいきなり現れたという理由だけではない

彼もリィズと同じ「笑う骸骨」の仮面をつけていたからである

 

「二人目・・・だと?!」

誰かが呟く・・・まるで信じられないものをみるかのように

陽光聖典の団員の顔が恐怖で歪む、「撤退すべきでは」

「無理だ」といすら言う者が出てくる

隊長のニグンですら動揺を隠しきれていない。

 

「落ち着け!!!」

ニグンが怒鳴る、

自らを奮いたたせるように

「認めよう、確かに貴様らは強いこの至宝を使うべきと言うほどにはな!!!」

クライは答えない

ニグンが懐から魔結晶を取り出す

神々しさを感じさせるほどの魔結晶だ

聖騎士から歓声の声が上がる、

 

「絶望せよこれこそ人間では、決して辿りつけない領域の第7位階!現れろ威光の主天使(ドミニオン・オーソリテぃ)!!!)

水晶が解放されると同時に先ほど天使達とは比べものにならない力を持った天使が召喚される

クライは何もいわない、リィズも静観している。

 

「どうだ?恐ろしいだろうこれこそが人間を超越した存在!君たちでは決して勝てぬ領域、絶望するがいい!!」

「フハハハハはは!!!」

クライは呆れたようにいう

 

「あぁうんわかったわかった」

「それで?それが切り札」

目の前の天使などまるで大したことのないように答える

(なんだと!目の前に人間の領域を遥かに越える存在を目にしてなぜそこまで落ち着いていられる?)

まさか彼にとってはこの程度、相手ではない・・・と

 

「正直そんなのもう見飽きてるし、なんだかなぁって」

クライは実感のこもったかのように言う

それは彼が実際そのような敵にはなんども会っているかのように

 

その言葉にニグン動揺する

「まさか・・・いいや、そんなわけあるわけがないハッタリに決まっている!」

「威光の主天使よ!聖なる極擊を放て!!!」

ニグンの指示で、天使はメイスのような武器を変え、魔法を唱える・

直後クライの上空から光の柱が大地に突き刺さる

まるで神の一撃とも思わせる光はクライに直撃する

 

「フハハハハはやはり、威光の主天使に勝てる人間などいるはずがない、」

ニグンの、高らかな笑い声が響く

それは勝利を確信した笑い

 

リィズは何も言わない、ただ静観している

天使の攻撃がおわると同時に光の柱が消える

その一撃で大地が抉れる、

だが少しの、円を描くように少しだけ地面が残っていた

 

そこには神の一撃を、受けたであろうクライ・アンドリヒが何もなかったかのように立っていた・・・

 

「馬鹿・・・な、無傷だと・・・?」

ニグンは信じられないように呆然としている

そんなことがあるわけがない、あり得るわけがない

神の如く一撃を受け、無傷など

ニグンは目の前の化け物にとう・・・

 

「貴様は・・・貴様は一体何者なんだ!?」



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決着

ここで余談
実は「笑う骸骨」の目の部分に穴はあいてないので
リィズは前がみえていません。


なんでいつもこうなるのだろうか?

不意に踏んでしまった魔方陣、

そのせいで彼は今、敵陣の目の前にいる

 

(ゲロ吐きそう・・・)

というか敵無傷じゃん!

仕事しろよ王国騎士!

自分を棚にあげた発言ではあるがそう思わずにはいられない

 

だがよくみると何やら敵は怖じ気づいてるようだ

いきなり目の前に現れた僕に対して、攻撃をせず、呆然としている、僕としては有り難いが・・・

というかそのまま帰ってください

 

「落ち着け!」

隊長であろう顔に傷のある男が怒鳴る

相手の、神官達は落ち着きを取り戻したようだ

 

「認めよう確かに貴様らは強いこの至宝を使うべきほどにな!!」

何を言ってるんだ?この人は・・・

この世に僕ほど人畜無害な人間などいないだろう

僕なんて、道端の石ころのようなものだ

(というか不味いのでは?)

状況をやっと把握したぼくは焦る

 

変な石が光ると、同時に変な格好をした?翼の生えたオートマタが姿を現す

(うわ~なんかでた、よくシトリーがあんなのを作ってたような・・・)

呑気な感想を抱きながら、彼はいつも通り諦める。

どうせ勝てないのだから・・・

クライにとって、オークも神も大して違いはない、どちらにしよ自分は弱者であり狩られる側なのだ

相手がなんであろうと彼にとってはどれも同じ捕食者である。

 

何しろ彼は本当の、神にも会っている、あれに比べたらあんなの可愛いものだ愛嬌がまだある

怖いものは怖いが・・・

 

「どうだ恐ろしいだろう!」

はい、恐ろしいです

といっても僕にとっては今更である。

何度も竜や幻獣に襲われたことのある僕にとっては

 

なので不意に本音が出てしまった

「それで?それが切り札?」

慌ててハードボイルドに決める

 

相手が絶句し化け物でも、みるように僕をみる・・・

あれ?これはいけるのでは?

 

「正直そんなのもう見飽きてるしなんだかなぁ」

事実、彼はこれまでこのような超常の存在はなんどもみてる、そのたびに彼は諦めるのだが

そういうもの、に良くも悪くも耐性が出来てしまった

 

隊長は動揺している

このまま帰ってくれ!

そう願う

だが僕の願い虚しく攻撃しようとしてくる

 

「眩しッ・・・」

不意に空がというより僕の真上から眩しい光が・・・

 

直後、僕を光の柱が貫く、それと同時にセーフリングが発動する、セーフリングは僕を中心として僕とその回りの大地を守る

それをみた隊長は呆然とする

 

「無傷だ・・・と、そんな馬鹿な・・・」

隊長が驚愕の表情を浮かべる

当たり前だ、僕は弱いがこの宝具は違う

僕の世界で最も高い防御を誇る、それがセーフリングである、これは数千年間という歴史のなか一度も破られたことはない

そう彼らが挑んでいるのは僕ではない、セーフリングという歴史なのである

 

「そんなわけはない!威光の主天使よ、この化け物を攻撃しろ!」

もはや破れかぶれといった様子だ

だがそれは困る、セーフリングの数が少なくなると言うのは僕にとって死の危険が迫るのだから

 

僕は慌ててペンダント型の宝具を起動する

これは僕の親友がお土産で持ってきたものだ

宝具の名は「異郷への憧憬「リアライズ・アウター」

起動すると同時に僕は頭に浮かべた魔法を唱える

 

「静かなる死(フォーリン・ミスト)」

威光の主天使はその体を大きく揺らす

そして糸が切れたかのように大地に墜落する

 

「一撃・・・だ・・・と?」「ありえない」

隊長は絶望する、もはや壊れた人形のように言葉を紡ぐ

 

「クライちゃーん、こっちは終わったよー?」

リィズが明るく、戦闘中とは思えないほどきを抜けた感じに話す

いつの間にか彼女は隊長以外の奴等を叩きのめしていたようだ、

最初からそうしてほしかった・・・

 

墜落した天使が元の石に戻る

どういう原理なんだ?

僕は天使だった石を拾う、よくみると石のなかにはミニチュア版天使が入っていた

 

「返せ!それは我々の至宝だ、貴様らのような蛮族が手にしていいような代物では・・・」

彼が言い終える前に、神速の蹴りが彼を貫く

ドゴォ!!!という音と共にニグンが吹き飛ぶ

容赦ねぇ・・・

隊長の顔は完全に陥没していて全ての歯が折れていた

(いたそうだなぁ)

思わず敵に同情してしまう

 

リィズが言う

「クライちゃんが勝ったんだからそれはもうクライちゃんのものだろうが!!」

「負け犬はそうやって大人しく寝てろ!」

いやそれじゃあ僕が山賊みたいじゃないか

返すよ返す・・・返していいのか?

敵であったものにわざわざ強力なアイテムを返すのは

うーーん?

やっぱり返さないわ・・・

 

「まさか、これほどとは君たちを雇って正解だった」

ガゼフが話しかけてくる

あ、忘れてたわ

 

「んなことより報酬のこと、わかってるよなぁ?」

チンピラのようにリィズは言う

そんな彼女にきにすることなくガゼフは「もちろん」と答える

男前である、器も大きいし、リィズとは正反対だ

 

「んじゃ!帰ろうかクライちゃん!」

リィズが言う

そうだね、何はともあれ終わったんだね

というか君、温度差激しくない?

 

「そうだね帰ろうか」

そういって僕達は馬にのせてもらう

今日は疲れた帰って寝よっと・・・

僕は自分を誉めつつなんのマジックアイテムを買・・・報酬の使い道を考える

 

だが僕達は忘れていたのだった

これには大きな落とし穴があると、いうことに




クライ君の宝具紹介~
「異郷なる憧憬(リアライズ・アウター)」
どんな魔法でも一つだけ保存するこてが出来る
ただし保存するにはその魔法を行使するに必要てする数倍の魔力を必要とするため人気はない

使用時には魔術を使う兆候などなくノータイムで発動可能
非魔術師でも使用できるため
クライ君の少ない攻撃手段の一つである


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アダマンタイト級に昇格だって?こんちくしょうが!

陽光聖典からガゼフを救った、クライとリィズはリエスティーゼ国王から呼びだしをうけていたのだった・・・

 

「我らが王国最強の戦士を救ってくれたこと、心から感謝するぞ」

国王から直々に感謝される

それと同時に貴族の方々の視線が痛い・・・

田舎者をみるような冷ややかな目

勘弁してくれ

「いえ、それほど大したことを僕はしていません」

そうなのだ僕は何もしていない、やッたのはリィズである

ですのでそのような過大評価はやめてください

クライはキリキリと痛む、胃をおさえる

 

「謙遜するな、聞くところでは戦士長でも勝てない強者だと聞いたぞ?」

「戦士長を救うだけてだけでなく、敵の捕縛もするなど、大変名誉であったぞ、」

ベタ褒めである、国王は大変機嫌がよろしい様子だ

国王である以上はこれ以上否定して怒りを買うわけにもいかない

だがクライは知っているこれは非常に不味い展開であると

お願いですから褒美だけください・・・

 

「よって褒美を授けようと思う・・・」

「金貨とそして、その実力を讃え、そなたらをアダマンタイト級冒険者へ昇格するよう組合に掛け合おう」

嫌な予感が的中する

予想通りの(嫌な)展開に目眩がする

さりとて拒否することは出来ない

八方塞がりである

 

「身に余る光栄です、ですがその待遇は冒険者の方々は納得しないのではないでしょうか」

やんわりと国王を説得するように言う

褒美には、高い立場にはそれなりの責任がつきまとう

ランクアップなどしたら命の危険のある依頼を受けなきゃならなくなりそうだ

国直々の依頼など僕にとって寿命が縮む思いだ

 

「そう気にするでない、そなたの働きに見合った報酬だ、誰が不満を抱くものか?そうであろう」

国王は貴族たちにとう

「もちろんです」「異存はありません」などの言葉が飛び交う

誰も否定してくれない

 

「そこまでおっしゃるのでしたら、ありがたく頂戴いたします」

逃げ場のない状況にクライは諦めるのであった

 

そう答える僕に国王は満足そうに頷きなが言う

「此度の働きまことに大義であった」と

 

~組合は国との関係に縛られない

故に国が特定の冒険者を昇格させようにも拒否されるケースがある

僕はそれにかける

組合ならわかってくれるはずだ僕はアダマンタイト級の器ではないと

それに他の冒険者が納得するわけがない

そんなことを思う僕、だが現実は非常だった

 

「こちらアダマンタイト級冒険者のプレートになります、お受け取りください、クライさん、リィズさん」

最強の戦士ガゼフを救ったという話は僕達を昇格するには十分な理由だったようだ

懐かしさを覚えるチンピラ冒険者も、誰も、不満を漏らさない。納得しているかのように

(誰か止めてくれーーーー!!!)

 

「やったねクライちゃん!これであのクソガキに一発かませるね!」

嬉しそうにリィズは言う

いや、かませないからね?

そのとき聞き覚えのある声が響く

 

「俺は納得してねーぞ!!!いきなりアダマンタイトだなんて、きたねえ手を使ったにきまっている」

まさに僕にとっては救世主である

そうその救世主とはリィズにボコされたチンピラ冒険者だった、

いいぞもっとやれ、そう思っているとチンピラ冒険者が吹っ飛ぶ

 

「ん?文句あんの?」

犯人はもちろんリィズである

神速の蹴りを浴びせ、救世主は倒れ伏す

慈悲はないのだ

 

「他には?文句があるなら聞いてあげるけど?」

リィズがドスの聞いた声でいう

誰も何も言わない

だいたい君、聞く気ないでしょ・・・

それは周囲もわかっているようで、だれも文句を言わない

それはそうだろう誰しも死にたくはないのだ

 

「それじゃ決まりだね」

リィズは明るい声でいうが

僕は心配ある、この先の未来が

 

(こんちくしょうが!)

心の中で呟く、余計なことをした国王を恨むかのように・・・



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依頼主はシトリーちゃん

アダマンタイト級冒険者になってから依頼が来た

名指しでだ

依頼主は帝国の研究者らしい、研究に必要な素材を採ってきて欲しいということだ

報酬は破格の額ではあったがそのぶん難しい

必要なのはキングトロールの肝、特殊個体ナーガの魔眼、まんげつ草

どれも希少な上、入手には危険な魔物を探す必要がある

 

僕達は依頼主にその素材の在処を聞くため帝国へ向かっている

どうして名指しでたのんでくるんだ、他にも代わりはいるだろう、代わりが!

「元の世界だったら今頃、アークに押しつけてるのになぁ」

あの器の、広いおとこ前なら快く受けてくれるだろう

なんで必要なときにいないんだよ!あの有能は!

「えークライちゃん、またあいつに頼るのぉ?クライちゃんの頼みなら私が聞くのに」

リィズが、甘えるように、いう

君、探しものとか出来ないでしょ?

というかリィズの場合、奪ってくる絶対に

 

そんなことを考えながらも帝国につく

 

王国とはまた違う感じに発展してるなぁ

まぁ何が違うかなんてわからないが

 

「お待ちしておりました」

突然気配もなく声をかけられる

背後には黒いローブに身を包んだ女性が立っていた

びっくりである、心臓に悪い

 

リィズは気づいていたように話す

「それで依頼主はどこにいるの?」

どうやら、彼女はわかっているようだ

 

放心状態の僕をよそに話しはすすむ

「話が早くて助かります、流石アダマンタイトといったところでしょうか・・・」

「オーナーの元には私がご案内致します」

なんだかよくわからないが案内してくれるようだ

大人しくクライはついていく、リィズも一緒に

 

ー「此方になります」

そこは見た感じ普通の一軒家といった様子だ、

どうやらこの中に依頼主がいるのだろう

そう思いドアを開けようとすると

 

「入り口は此方になります」

なんと入り口は畑のようだ?

ローブの女性は魔法を唱えると

畑から土が舞い上がると同時に螺旋階段が出現する

普通に家の中でいいじゃん?

 

「じゃ、入ろっかクライちゃん!」

リィズは驚くことなく真っ先に螺旋階段にはいる

少しは躊躇しようよ

どう考えても怪しいし

 

螺旋階段を下りていると、木の扉が見えてくる

「オーナーはこちらになります」

やっとらついた、どうやら依頼主は相当に性格が悪いようだ

どれだけ歩かせるきだよ

というか君は入らないの?

 

扉を開ける

中には人間の姿ににた人形に、お伽噺に出てきそうな窯、よくわからない薬の数々

こっわ!!!

もう帰りたい

 

リィズは不思議そうに言う

「うーーん?なんか見覚えがあるきがするんだよね~この悪趣味な感じ」

えーーそんなわけ、あるわけない・・・よね?

スッゴい心当たりがあるんだが

 

奥の扉が開くと同時に一人の女性が抱きついてくる

その姿はリィズと同じピンク色の短髪、彼女の露出の高い格好とは反対にローブで包んで一切露出はなく

おしとやかな仕草は彼女が荒事に関わっていないことを思わせるようだ

 

だが僕は知っている、この子は決してそういうこの子ではないと

「こらシト!!勝手にクライちゃんに抱きついてんじゃねぇ!!!」

シトと呼ばれた女性、何を隠そう、僕の仲間の錬金術師、シトリー・スマート

ちなみにリィズの妹である

 

「クライさん、本当はもっと早く、会いたかったのですけど、この世界について調べなきゃいけないことが多くて」

しくしくとシトリーが泣き真似をする

というか彼女は何をやってるの?

僕の胸板にスリスリしながら

 

「シト!!いい加減離れろ!!!」

リィズの蹴りがシトリーに飛ぶ、異に介すことなく彼女は避ける

「もうお姉ちゃんったらせっかくいいところだったのに」

不満を漏らしながら彼女は離れる

いくらリィズの妹とはいえ戦闘職ではない彼女はリィズと争うきはない・・・ような気がする

 

「シトリーとりあえず説明してもらえる?」

僕は再開に喜びながらも彼女のこれまでの経緯について聞くことにした




とうとう仲間が一人加わりました
次の話は久しぶりにナザリック、そしてクライ君の仲間の話になります

~クライ君の宝具紹介
「大地の鍵」世界を滅ぼす力をもった対界宝具
一部の力を解放するだけで周囲の地形をまるごと変えてしまう、無属性の魔力をもつ
クライ君がもってます


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おはようしたらナザリック

「おはよう!・・・ん?ここはどこだ?」

赤い髪、燃えるようなそれは煉獄。それは烈火のごとき瞳、天才剣士ルーク・サイコルは目を覚ます

「どこだここ?」

見覚えのない風景に疑問を感じながら

本能で危機を察知したのか、彼は腰の武器に手を伸ばす

 

「目覚めたか」

死を呼ぶような声が聞こえる、それは死、そのもの、

そのものがいるだけて周囲の気温は下がり、普通の人間であるなら見ただけて死んでしまうだろう、

 

「まずは名乗らせてもらおう、私はこのナザリックの支配者、アインズ・ウール・ゴウンである」

 

声の主、アインズは思う、

いきなりナザリック内部に、あらわれたかと思えば爆睡していた侵入者を・・・

(なんの前触れもなく・・・転移の魔法か、だがナザリックには転移阻害の魔法があるが)

(もしくはプレイヤーの可能性も)

考えるアインズに男は恐れることなく言う

 

「誰だお前?」

「ッ!!!?」

さっきなのったじゃん?!

空気が凍る、、、、、

アルベドとデミウルゴスが、殺気を飛ばす

「アインズ様、ご許可を頂ければ直ちにこの不届きものを処分いたします」

確実に怒っている

アルベドは烈火のごとき、デミウルゴスは冷静ではあるが殺気が隠しきれていない

予想外過ぎる状況に焦りながらアインズは言う

 

「ま待て、二人とも、まず確認s」

「ちょっとまて!俺は不届き者じゃねぇ!!!俺はテスタメントブレードのルーク・サイコルだ!!!いずれ最強の剣士になる男だ!!!」

再びアインズの言葉を遮る赤毛の男

(嘘だろ?!)

いや自己紹介してる場合ではないだろ!?

この状況がわからないのか?!

二人の怒りは有頂天に達している

 

「ゴミごとき人間が二度も至高なる御方のお言葉を遮るなど・・・万死に値します!」

「奇遇ですね、アルベド、私もこの愚者にどのような地獄を見せるべきか考えていましたよ!」

(不味い、話を聞きたいこともあるのだが、というかそもそもこの男、話を聞くきがあるのか?!)

状況の理解が出来ているのかいないのかわからないが赤毛のルークと名乗る男は全く話を聞かない

 

だが何もかもわからないものに手を出すのも危険だ

 

他の守護者は二人の意見に賛成なようすで、ルークに殺気を飛ばしている

アインズがいなければ間違いなく殺しているだろう

 

「ま、待てルークといったな、貴様は何故このナザリックにいる、どうやって侵入した?」

「知らん!起きたらここにいた!!!」

もう怒りでどうにかなってしまいうな守護者達、

彼らが、すぐにでも目の前の人間を殺さないのは主への忠誠心故にだ

 

なんとか、したいがなんとも出来ない、

そもそも目の前の男に言葉が通じない

(まぁそのお陰でこの男が我々を害しようとする又は敵対している組織とかではなさそうだ)

 

目の前の、男はバカだ、真っ直ぐすぎる

それゆえに、嘘や謀略など向いていない

(意志疎通が困難なのは難点だが)

 

「アインズサマ、ゴキョカヲイタダケレバコノニンゲンヲスグニデモハイジョイタシマス、コレイジョウノブレイヲユルストイウノハ、ワレワレモタエラレマセン」

コキュートスが言う

彼もそうとう怒っているようだ

このような場でこんなことを言うのは珍しいと

NPC達の感情の変化に驚いていると

ルークがさらに驚くことを言う

 

「ん?なんだお前、剣士なのか?!」

「しかも腕が四本もあるじゃねぇか?!」

ルークが興奮したように話す

(剣士がすきなのか?)ここまで物怖じしないものは珍しい

アインズは思う

 

「そんじゃあ俺と勝負しようぜ!!」

(は?)馬鹿なのか?いや馬鹿ではあるのだが

いくらなんでも?

 

そういってルークは腰に下げている武器を抜く

それはなんの変哲もない木刀を抜き

 

コキュートスに飛び掛かるのであった

 



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ルークvsコキュートス

先程のおかしなやり取りは嘘だったように

コキュートスとルークとの激しい剣戟は起こる

ルークは木刀をコキュートス4本手のひとつのみを、斧を使う

 

コキュートスが上段から振り下ろした一撃をルークは木刀で受け流す、流れるようにその反動を利用し攻撃に転じる、常人には眼で捉えることの出来ない一進一退の攻防だ

だがコキュートスは本気出していない、

 

不意に攻撃を止める

「ん?なんだもう終わりか?」

ルークがもの足りなさそうに言いながら

攻撃を止める・・・訳もなく

攻撃を打ち込む、だがそれは攻撃が届く前になにかの壁で弾かれる

激流のような連撃だがコキュートスに届くことはない

 

「ムダダ、ソノボクトウデハワタシヲキズツケルコトナドデキナイ」

コキュートスは言うがルークは止めない

それを異に返すことなく話を続ける

 

「ナゼオマエハボクトウデワタシトタタカウ、ワタシノコトヲブジョクシテイルノカ」

それは憤りだ、本気ではないとは言え、コキュートスとやりあえる剣士など稀だ

だからこそ、彼は許せない、これ程の力を持ちながら真剣で、本気でかかってこないことに

故にコキュートスは剣を使わないのだ

 

「・・・はぁ~仕方ねぇなら教えてやるよ」

「なんでかって?木刀でも斬れるからだよ」

ルークは攻撃を止め話す、

「真の最強の剣士が武器を選ばねぇ」

「だから俺はクライに武器の全てを預けた」

「最強を目指すのに俺に剣は必要ねぇ」

無茶苦茶な理論だ

だがそのくせにルークは強いのだ

適当なことを言ったのにそれで強くなるルークはどうなの?とはクライの談である、

 

「ダガキサマハワタシヨリヨワイ、ワタシガウデヲヒトツシカツカワナイノガドウイウコトカワカルダロ?」

コキュートスは言う

木刀では私に勝てない、全力を出せ・・・と

「?」

ルークは何を言ってるのかわからないと首を傾げる

「何いってんだ?斬るよ俺は、お前が腕を一本しか使わなくてもな?俺は好き嫌いとかないから、」

「それに俺は腕六本の剣士とやったから四本なんて今さらだしな」

まるで会話にならない

かなり無茶苦茶なことを言ってる

 

ルークは面をつける、「笑う骸骨」それは彼らのシンボル、ルークは構える

「言っておくが、今の俺はさっきの俺より強いぞ?」

雰囲気が変わる

その熱量に空間が歪んでさえみえる

 

「ドウヤラ、キヅカイハムヨウトイッタトコロカ」

コキュートスは構える、その瞳に先程の憤りはない

ルークは真剣で、相手を侮辱するような者ではない

それを理解する

 

互いに踏み込み、剣戟がとび、戦闘が再開される



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「千剣」ルーク・サイコルという男

コキュートスの剣戟は早さを増す。先程より速く、より重く、より鋭く

ルークも同じだ。先程よりも剣戟を流し、反撃の手数が増えている

だが、状況は圧倒的に不利である、致命傷にならないまでも斬られ、突かれ、殴られる、所々出血もしているいずれ動けなくなるのは明白だ

 

だがコキュートスは一切のダメージを受けていない

「ムダダ、ワレワレシュゴシャハ、アイテムトウニヨッテヨワイブキノコウゲキヲムコウニスル」

それでもルークは斬り続ける

 

ルークは斬撃を捌きながら言う

 

 

「何度も言わせんじゃねえ!!!俺は最強の剣士になる男だ!だから、俺が斬るといったら斬るんだよ!!!」

斬られながらも、いや斬られる度に鋭く重く速くなる

ルークは斬るのも好きだが、斬られるのも好きなのである、これもクライの談である

 

ルークはそう言いながら渾身の斬撃を放つ

「ムダダトナンドモ・・・」

いつものようにその障壁は木刀を弾こうとする

だが木刀が、弾かれるよりも速く、空を、その空間を斬る

障壁をすり抜けるかのように、まるで針に糸を通すかのように

 

木刀は吸い込まれるようにコキュートスへ向かう

「ナニ!!?」

木刀がコキュートスに到達しその甲殻を砕く

甲殻が砕かれたとしてもダメージはない

だがその事実にコキュートスの手が止まる

 

「どうだ?斬れただろ?」

自慢気にルークはいう

「昔な、ある宝物殿に向かう時にこういうことがあったんだよ、シトリーの話では空間の歪みがなんだとかいっていたが」

俺にはよくわからんといった様子だ

「ようするに見えない壁ってことだろ?ならその空間自体を斬ればいいってことだろ?」

無茶苦茶である

そもそも一体どうすれば空間を斬るというのか?

 

「まぁあのときは無理だったが鍛練を詰めばな、斬れるようになるってことだ」

理解が出来ない

ルークがしていることは

それは魔法でもスキルでもない、ただの技術なのだ

鍛練といってもどう鍛練すれば空間が斬れるのか?

 

「てわけで、これでやっとイーブンだな?」

ルークはそういい終わると再びコキュートスに斬りかかる

とても楽しそうに

 

~形成は逆転していた

無数の斬撃がコキュートスを襲う

もはや彼を守る障壁はない

甲殻は砕け、肉を斬られ、虫特有の液体が流れる

コキュートスは油断していた

 

傷を負うなどありえないと考えていた

(アナドッテイタノハワタシノホウダッタヨウダ)

(コレハワタシノミスダ、ツヨサヲミアヤマッタ)

それと同時にコキュートスは目の前にの男を評価する

強い、と。腕一つでこの男に勝つことは不可能だと

 

それと同時に彼は歓喜していた、これほどの強者に会えたこと

 

「ミトメヨウ」

コキュートスは呟く、激しい剣撃の嵐のなか

この男に手加減など、侮辱であるというかのように

 

コキュートスは斧をふる

これまで戦のなかで、最も速く、最も重い一撃を

 

「、、、!!!」

ルークはその一撃をギリギリ受け止める、だが衝撃を殺しきれなかったのか、大きく吹き飛ぶ

ミシリと音がなる

木刀は耐えきれなかったのか、根本から折れてしまった

 

「・・・」

ルークはその一撃に無言で予備の木刀を構える

 

「シャザイシヨウ、アナドッテイタノハワタシノホウダッタ」

そういうコキュートスの4つの手にはそれぞれ武器が握られていた

ルークのことを認めたようだ

空気がひやりつく

 

「イワセテモオウ、イマノワタシハ、サキホドノワタシヨリモツヨイト」

そう言い終えるとコキュートスは踏み込み、ルークに斬りかかる

そう言う彼は少し楽しそうだった

 




次回、決着します


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氷の武人

雨のような剣戟がルークを襲う

防戦一方である

反撃する隙もない

ただ、斬られる、完全に防ぐことも出来ず致命傷を避けることしかできない

 

その剣はルークよりも速く、重い、手数はもちろん

剣士として全てが格上であるとルークは思う

だからこそ斬りがいがある、と

(致命傷を避けるだけで手一杯だな)

ならどうする?

 

逃げるか?

距離をとるか?

降参するか?

宝具を使うか?

 

否否否、、、、、

否である‼️

それは彼の戦い方ではない

ルーク・サイコルに人生を捧げた男である、剣を愛し、そして剣に愛された男

古今東西の剣士の元を訪ね、あらゆる流派を学び、それでも型をもたず、吸収し融合させ我流の剣術を完成させた天才剣士

 

ついでにその流派の師範たちはその立ち会いでもれなく再起不能にされている

 

そんなルークに出来ることそれは≪斬る≫それだけだ。

「俺はただ斬るだけだ・・・どんなものでもな!」

なにせそれしか出来ないからだ、というか斬り会いたいだけだが

 

コキュートスの連撃を防ぎつづける、

目で追うのがやっとな猛撃、

圧倒的実力差

一瞬の起こり得る隙を彼は待つ

傷の出血量から意識を失ってもおかしくない

だが、彼はそれを忘れるほどに楽しんでいた

 

コキュートスが上段の構えをする

極限状態のルークは感じとる

≪この瞬間だと≫

 

振り下ろされる神速の斬撃、ルークは避けない

4つの剣はルークへと到達する

感覚を失う、それは覚悟していたことだ

 

ザクッという音と共に血が噴水のように吹き出す

腕は両断され、足は切り落とされ地面に血溜まりが出来る

胴を垂直に斬られ、臓物が出そうになる

眼は斬られたのだろう、前がみえない

闇のなかルークは確信する≪仕留めきれなかった≫と

 

ルークは糸の切れた人形のように、力尽き

「あ~あ負けちまったな、」と倒れる

(悪いクライ・・・負けちまった)

この場にいない親友に謝る

強くなる、そう約束したんだかなぁ

 

(だが、次は勝つ、そのためにも鍛練をつまねえとな・・・)

世界は広い、ここまでの剣士がいる

次斬り会うときまでにどんな鍛練をしようか

楽しみでしょうがない

 

「あぁ・・・少し・・・眠い・・・な」

瞼が重い・・・意識が朦朧とする

 

(ちょっとだけ、寝るか・・・)

既になにもみえないが

今は凄く眠い、彼は眼を閉じた、

 

クライにも教えてやらねえとなこんなに強いやつがいると、

そして次は勝つ・・・と

そう思い馳せ彼の意識は闇に落ちた

 

~ルークは倒れる

 

それと同じくギャリッという金属と金属のぶつかりあう音が響く

それは青い昆虫のような甲殻をもった・・・

 

 

彼が倒れると同時にコキュートスの腕の一つが切り落とされた・・・

 

~(ミゴトダ、ルーク・サイコル)

コキュートスは腕を切り落とされながらも彼を称賛していた

コキュートスは白兵戦最強だ、四つの腕に武器を持ったコキュートスの前にルークは防戦一方だった

勝ちを確信していた

だが同時に残念にも思った

≪これで本当に終わりなのか?≫と

 

これほどの楽しい戦いは久しぶりであった

だが彼でさえもコキュートスの本気を受け止めることは出来ない

勝負は決していた、出血から、斬撃も徐々に鋭さを失っていった

倒れるのは時間の問題だと

だが、その戦士の魂は衰える所か輝きを増している

 

故にコキュートスは思った、せめて一思いに一撃で斬り伏せようと

それは敬意をこめた一撃だった、その一撃は彼の唯一この戦いでみせる全力の一撃だった

 

(ワタシハ、マタルークトイウセンシヲアマクミテイタヨウダ)

倒れ伏した青年を見ながら思う

 

ルークは待っていた、その瞬間を

ルークは即座に3つの斬撃を防御することを捨てた

腕を捨て

胴を捨て

足を捨て

勝利を捨てた

受ければ死なずとも立っていることなど、戦闘を続行することなど不可能だと

 

だがそれでも剣を、彼の誇りを、夢は捨てなかった

4つめの斬撃、彼はそれを足で威力を軽減させ歯で受けとめた

人間とは思えぬほどの咬筋力、そして執念

 

そしてその一瞬の隙、彼の出来る最高で最強の全身全霊の斬撃をぶつけた

 

その一撃はコキュートスの腕を切り落としていた

 

ルークの手には刀身のおれた、木刀が握られていた

倒れ伏した今でも剣だけは放さなかった

その彼の剣士としての誇りに

「ミゴトナセンシダッタ、」と

氷の守護者は思う

それは心からの称賛、敵でありながら、人間でありながら全力を、出すに相応しい相手だったと・・・

 

コキュートスはひれ伏しながら主に言う

「アインズ様、オネガイガアリマス」と




ひとまずナザリックsideはこれにて
巻く引きです(漆黒の英雄モモンとの絡みはあるかもです)
モチベーションがつつけば、ゲヘナ作戦辺りでまたナザリックside出そうかなと思っています

誤字の報告をして下さった方々、誠にありがとうございます❗️

みにくい文章や淡白な内容になってしまうかもしれませんが
精一杯頑張らせて頂きますので
今後ともよろしくお願いします

追記、やっぱり1日に数話更新するの結構大変ですね(笑)

~ルーク君の宝具紹介
紅天剣
ルークの師匠が使っている剣
その切れ味の高さから炎すら両断するとされている
ちなみにルークが折りました

蒼霊剣
ルークの師匠が使っている剣
澄みわたる空を思わせる
その剣は斬られたという自覚させないほどの
切れ味と滑らかな刀身をもつ
これもルークが折りました

なお折った本人は「どちらが強いのか知りたかっただけだ」
と証言している


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力不足

今回の依頼の理由はポーション作成のためらしい

この世界に来て、彼女の武器であるポーションが不足しているようで

この世界で生き残るために依頼したそうだ

「まさか偶然にもクライさんが受けて下さるとは」

君、指名したよね、指名依頼だったんだけど

まぁ別にいいけど・・・

「でも困っているのは本当ですよ、何せ手持ちのポーションの素材はこの世界では手には入りませんし」

「代用品を作るにしても後衛職の私ではとても」

シトリーは手で顔を覆い、「うえーん」と言う

泣き真似である

 

「ルークや他の皆は?」

今、クライが気になっているのは親友たちの行方だ

まぁ僕よりもずっと超人な彼等なら大丈夫だと思うが心配ではある

シトリーは演技をやめて答える

切り替えはや・・・

 

「残念ながら私が起きた時にはキルキル君しかいませんでした」

シトリーは本当に残念そうに、いう

話を聞くと彼女は森で寝てたようだし

というより僕が起きたときには皆いたのに・・・なぜ?

「ですが、ルークさんやルシアちゃん、お兄ちゃんなら大丈夫ですよ、冒険者、帝国の騎士たちをみて思いましたが、相当弱いですよあれ」

 

「魔法もそうです、ルシアちゃん並みに魔法が使える人間なんて殆んどいないでしょうね、私は魔法の専門家ではありませんが、魔法の基準がこの世界では低いようです」

シトリー・・・がかなり酷いことを言っている

評価低いなー

 

「えーー、それ凄く困るんだけど?強いやつぶっ殺したいのにーー」

リィズも残念そうに言う

「それは私もそうだよお姉ちゃん、せっかくこの世界に来たんだから。強そうな人がいたら実験t・・・じゃなくて色々と調べようと思ってたのに」

シトリーは何やら物騒なことを言ったような気がするがまぁ、気のせいであろう

リィズについてはいつも通り、僕はきにしない、きにしない

 

「何人かの魔法使いのサンプルはほしいけど、期待した結果にならなそうだし、費用対効果に見合うだけの成果も出せるとは思えないしなぁ」

シトリーはよく、わからないことを言ってるがわからないから僕に手伝えることはないだろう

「そんで?シト?結局あんたは戦えんの?」

リィズはシトリーに質問する

それはクライにとっても重要な問題だ

生存率という意味で

 

「んーー、無理かな、ポーションはもしものために温存したいし、この世界で作ったポーションで有用性がありそうなのも今の所、少ないし」

「それにキルキル君も今はメンテナンス中だし」

そう言ってシトリーは試作品であろうポーションを取り出す

「ポイズンポーションと石化ポーションです」

毒々しい紫の液体が入った瓶と、鼠色をしたドロドロの液体が入ったポーションを取り出す

「どちらも効能はイマイチです、ポイズンのほうは現存する私のポーションのほうが強力ですし、石のほうは一部しか石にならない上に効力が短いです」

どうやらシトリーにとっては満足がいかないようだ

僕は全然良いと思うが

 

「攻撃系のポーションとしてフレイムポーションもありますがやっぱり手持ちと比べると威力不足が否めません」

困ったような仕草をする

「ふ~~ん?だから手伝ってほしいってわけね」

リィズは納得したようだ。シトリーはうなずく

 

え?何が?クライには全くわからない

 

「今ほしいのは、蛇腹人のサンプルです。彼等は魔法を使えるらしいので、サンプルもとい手駒を増やすには使えるでしょう」

命令を実行できる程度の知識があることが第一理由だとシトリーは付け加える

 

そう話ている間に目的地についたようだ

「くれぐれも殺さないでねお姉ちゃん」

リィズは勢い余って殺しそうだからとシトリーは念を押す

「はいはい、わかってるよシト」

リィズはめんどくさそうに言う

手加減とかリィズは苦手だからなぁ・・

 

そうこうしているうちに目的地につく

蛇腹人がいるであろう洞窟

三人は暗い闇のなか進む



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蛇腹人




の大洞窟に入る嘆きの亡霊御一行(3人)

「うわー不気味だなぁ、幽霊とか出てきそう」

クライはそう言いながらブルリと身を震わせる

気温もそとより、低いのが無気味さをます

(なんかの動物の骨とかあるし・・・早く帰りたい)

「ねぇシト?本当にここに蛇腹人がいるの?」

「あいつらってこんなジメジメした場所なんか好むっけ?」

リィズがシトリーに質問する

それらしい気配が感じないらしい

彼等の独特の這いずり音もだ・・・

 

「おかしいなぁ?確かにここを縄張りにしてたはずなんだけど、彼等の習性的にもう襲ってきてもおかしくないはずなのに・・・・」

手を顎に当て

シトリーは不思議そうに言う

というか本来だったら襲われてたの?僕達

事前にいってほしいよシトリー・・・

 

「それ、誰情報なの?」

クライは聞きたくはない、ない・・・が

僕が質問するとおろおろしながら

シトリーが困ったように答える

 

「確かな情報屋から聞いたので信頼できるはずなんですが?流石に私も彼等の行動や生息地はわかりませんし」

 

「それ?確かな話なの?騙されてるんじゃないの?」

リィズは疑う

まぁいないのであれば、情報屋を疑うのが普通である

でもどうしてなのか?

シトリーは普通の女の子だ、

クライは疑問に思う

 

「恨まれてる・・・とか」

懐かしい過去をクライは思いだす

僕達にはよくある話である、簡単な依頼を受けたはずなのに現地に言ったらドラゴンがいた・・・など

それでも情報屋がグルになるなど相当の恨みを買っている必要があるが、、

 

(僕の思い出そんなのばっかだな)

嘆きの亡霊は恨みを買いすぎて

何度も僕が襲われて、暗殺されそうになったり、誘拐されたり、騙されたりしたっけな

(全て返り討ちにしたんだけどね・・・仲間たちが)

それもあの世界での話なのでこちらはではまだそれほど恨まれていないはずだ

 

よく、生きてるな僕

うん、考えないでおこ

 

「うーん、そうですねー」

シトリーは腕を組み考える

何か思いあたる節があるのだろうか?

いやシトリーは優しい子だ、そんな子とをするとは思えない・・・・・・よね?

 

そうだシトリーは優しいこなのだ

そんなクライの予想は裏切られる

 

「思いあたる節が多すぎて断定できませんね!」

ポンッと手を叩き彼女は言う

あまり興味をなさそうではあるが

どうやら思いあたるらしい

開きなおりやがった、、

 

「研究室をのっとr・・・ではなく譲って頂いたり、難航していた研究を変わりやってみたりしましたね。あとは、ちょっとした、実験台に、なって貰ったり、、」

聞いているだけで、まぁ恨まれるよね!と納得出来る内容だ

かなり物騒なことを言っている

普通に犯罪である

というか何やってるのシトリー・・・

 

「ふーん、じゃあそいつらのどれかなら、早めに潰す?放っておくのもねぇ?」

長い髪を靡かせながら拳を鳴らしながら

リィズが物騒なことを言う

ヤル気満々である

いや止めて下さい

 

「お姉ちゃん、それなら出来れば生かしておいてほしいんだけど、実験体は多いほうがいいし」

シトリーも止めない

それどころか姉以上に物騒である

君たちはなんなんだろうか?

というか非常に不味い、このままでは二人が犯罪者になってしまう(シトリーは手遅れだが)

ただ僕にはシトリーを説得できる頭はない、どうしたものか

 

「まぁ辞めといたら?僕達にとっては今さらでしょ?」

やんわりと説得する

これ以上敵を増やさないで、という意図をもって・・・

 

「なるほど、確かにそうですね!クライさん!」

シトリーは理解したとでも言うようにこたえる

どうやら伝わったようだ、良かったと胸を撫で下ろす僕に

シトリーは続ける

 

「確かにまだ彼等には利用価値もありますし、徒党を組んでいるのであれば、一気に潰したほうがいいですよね、人を雇うのであれば、キルキル君二号になりえる優秀な人材も手にはいるかもですし」

どうやら伝わってなかったようだ

そもそもどうしてそうなるのだろう

 

僕はそんなこと、いってないからね?!

 

「クライちゃんがいいなら私はいいんだけどね~」

「シト、クライちゃんに迷惑かけないようにしろよ?」

リィズはシトリーに念を押す

(うんうん・・・ん?迷惑?)

リィズは何を言ってるのか?

 

「もちろんわかってるよ?上手くやりますとも、クライさんの邪魔はしません」

シトリー・・・凄いわるい顔してるよ・・・

僕の邪魔ってなに?僕がまるで何かをしてる言い草だけど

君たちにとって僕はどう見えてるんだ?

 

「奥になんかいるねクライちゃん」

リィズが洞窟の奥を指差す

蛇腹人だろうか・・・やっぱり情報は間違っていなかったようだ

よかった

これで二人が犯罪者にならないことに安堵する

 

「うんうん、そうだね」

クライは頷く、当然僕にはわからないが

 

シトリーが質問する

「蛇腹人?」

「いや、音からして、二足歩行、多分トロールかな

これは?」

 

「うんうん、そうだね?」

え?蛇腹人じゃないの?

まさか、騙された?

本当に恨みを買ってたのかシトリー・・・

 

(いや、まだ決めつけるのは早いよ)

もしかしたら間違えた可能性も、蛇腹人がトロールの可能性だってある

クライは現実逃避を始める

 

現れた蛇腹人(仮)は緑の体表に、2メートルから5メートルはあるであろう、巨体、顔は悪鬼を思わせ、右手には棍棒をもち

二足歩行である

そのらなかでも際立って大きな体色が青い蛇腹人がいる

 

へーこれが蛇腹人か、蛇要素ないけど

というよりこれが蛇腹人であってほしい・・・

クライは願う

 

「トロール、それに奥にいるのはトロールキング?」

願い空しくどうやらトロールだったようだ

シトリーは落ちついたように答える

だが少し興奮してるようにみえる

 

だがそんなことはどうでもいい

やっぱりたまされてたのか・・・

クライは思う

あぁ終わったと、待ち受ける未来に絶望しながら

 




クライ君の僕達にとっては今さらという意図
クライside、「いつものことなんだならほっておこう」

シトリーside「今は泳がせておいて、時がきたら一網打尽にしよう」
「貴重なアイテムの強奪」
「犯罪に手を染めるようなことがあれば、罪をかぶってもらおう、なにせ犯罪者が大手をふって否定なとできないし、否定しても誰も信じないのだから」


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足手まといの自分

洞窟の奥からゾロゾロとトロールの群れがやってくる

目算で20~30はいるようだ

トロールたちは品定めをするかのような目で僕達を(主にシトリーとリィズを)みる

 

「あれ、トロールだよねシト?どうなってるの?」

「わからない、でも一応・・・確認しないとね?」

冷たく言う

顔は満面の笑みではあるが眉毛、口元がピクピクと動いている

、当然その表情通りの心境ではないだろう

誰に確認するかなど言わずもがなだろう

 

リィズはニヤニヤしながらシトリーに尋ねる、とても楽しそうだ

 

「はぁーとりあえず、めぼしい個体以外は処分しち

ゃっていいや」

シトリーはかなり機嫌が悪い

それこそ周りの状況が見えなくなるほどだ

 

(まぁポーションの効能を試すには実験台は十分すぎるほどいるし)

シトリーは、諦めて切り替えることにした

終わったことを考えても仕方のないことだ

今は、どのようにこの件についてお礼をするか考えておくとする

腰に下げていた宝具、「パーヘェクト・プレイ」という水鉄砲を抜く

 

「ナンノウダ?ワイショウナニンゲn」

彼等にとっては僕達のことなど巣に迷いこんだ餌と言った所だろう

明らかに油断、舐めている様子だ

僕は仕方ないが、あの二人にこの態度は不味い

ニヤニヤしながら餌に尋ねようとするトロールにシトリーは容赦なく水鉄砲を射つ

毒々しい紫色をした水が顔に直撃する

 

「ガァァァァァァァ!?」

被弾した直後にトロールの甲高い悲鳴が木霊する

それはそうだろう

なにせ水を被った部分から溶けているのだから・・・

トロールの顔は溶けたことにより、醜悪な顔はもはや顔というよりのっぺらぼうのような感じになっている

 

「酸性はかなり弱い、少ない部分しか溶解できない、絶命は難しいと・・・今後戦闘で使えるかは・・・改良しだいかな、でも、拷問には最適かも」

何やらシトリーはこの液体の効用について考えているようだ

拷問と言ったような気がするが、きっと僕の気のせいだろう

「まぁ概ねポーションの効果はわかったので」

シトリーは顔を抑え悶えるトロールに水鉄砲をつきつけ

無慈悲にも、無表情で、冷酷に言う

「貴方に利用価値はなさそうなので、、死んでいいですよ?」

引き金を引き液体がトロールに直撃

また甲高い悲鳴をあげたトロールは今度こそ動かなくなった

それをみて呆然と立ち尽くすトロールと僕

(いや、グロすぎ)

怒ったシトリーが怖すぎでそんな感想しかでない

 

~シトリー・スマート

彼女は非常に怒っていた

この世界に来て一番焦っているのは彼女であった、

彼女の得意とするのは、メンバーの補助、そしてポーション作成や商談などの交渉術である

 

だがこの世界で彼女はそれらの全てを失った

交流のあった商団、密接(ビジネスパートナーみたいな)な繋がりや資金源どなっていた貴族、ポーションのレシピや研究の品々

 

それがこの世界ではどうだろうか?

初めから伝手を作らなければならない、初めてみる数々、全てのレシピを暗記しているシトリーでも材料が丸々違うのであれば再び調合し直しである

そもそもなにがどんな効能をもっているのか、調合以前の話である

資金がなければ材料集めも難しい

 

しかし、なによりシトリーが一番気にしているのは

自分がパーティーの役にたてないことだ

現状では補助もできない

昔、パーティ内で弱かった自分を思いだす

 

それが嫌で精一杯頑張ったのだ

得意分野を活かし、戦闘で役に立てないのなら、それ以外でメンバーを助ければいい

それがシトリーの考えた結論だ

幸いにもその分野に関していえば、シトリー以外では務まらない、適性をもつのはシトリーだけなのだから

 

それをこの世界に全てを奪われた

最初こそ、理性的に動けはしたが

ドブの大森林ではあまりの理不尽な状況に怒りに我を忘れてしまいそうになったのほどだ

、彼女は焦っていた過去の自分に戻ることに

役立たずの自分に、仲間たちに置いていかれることに

故にシトリーは早急にこの現状を打破しなければいかない、知識を蓄え、伝手を広げ、戦闘用ポーションの作成など、やらなければならないことはごまんとある

 

睡眠時間を減らし、研究に、あけくれる毎日

パーティメンバー探したくても力不足な自分では逆に足手まといになる

 

(酷い話ですよ)

 

その中でこのように時間を無駄にされることは彼女にとって非常に不愉快なのだ、

あまりにも手を強く握り過ぎて血がたれてくる

だが彼女はそんなことを忘れるほどに

彼女には止まっている時間などないのだ

 

だからこそ、このようなことをした輩には、地獄をみてもらうことにする

だから目の前のモルモット共に構っている余裕など彼女にはないのだ

シトリーは構える、その目は非常に冷たかった

 

「早く死んで・・・」

彼女はボソリと呟いた

 



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閑話、転移したものたち⚠️前書き読んで下さい

結構適当に、書いたので
それでも良ければみてください


~帝国~

ルシア・ロジェは資金稼ぎをしていた

「はぁ」

溜め息をつく

長い黒髪に黒のローブを羽織る少女は、

資金難に陥っていた

この世界では無名の彼女を雇う所などない

実力を見せればいくらでも宛先はあるのだろう

だが自分の魔法とこの世界の差、自分が強過ぎることを自覚していた彼女は実力を隠していた

 

この世界の位階という魔法を学べば学ぶほどである

今の彼女は第5位階の魔法を使える

この時点で英雄の領域であるのだが、彼女にとっては火力不足であることは否めない

 

魔術師が第何位階を使用可能かと、知ることができる者(タレント等)がいるらしいが

幸か不幸が彼女も転移の際、ひとつのタレントが与えられていた「魔力偽装」というタレントが

 

結局、彼女は今、ワーカーとして日銭を稼いでいる

そんな彼女に一攫千金の話を持ち込むものがいた

 

「フォーサイト」というワーカーチームである

ルシアは彼等と生活と仲間のために一時的にではあるが行動をともにすることにした

たがそれは、また別のお話である

 

~聖王国~

「どうかこの子の怪我を治して下さい!」

「ウム・・・」

足に傷をおった子供を治す

 

「聖騎士様、魔物に襲われて腕を失くして、仕事できません、どうか治癒して頂けませんか」

「ウム・・・」

腕を失くした男の腕に回復魔法を唱える

治癒された男の腕は失くなった箇所が再生する

 

今では、町行く人に治癒を求められ

治癒を施す善人

アンセム・スマートは慈善活動をしていた

 

~リエスティーゼ王国~

食料が保管されている倉庫

その中の木箱のなかでムシャムシャと食料を漁る音が聞こえる

木箱の蓋が開き、二つの獣耳が飛び出る

その耳はピョコピョコと動き周囲の状況を伺っている

 

「ここ、どこ?」

見慣れない景色に気配

みてはいないものの感じる、記憶にない地形、

魔力の奔流

 

狐耳の女の子は油揚げを食べながら呟く

その姿は白い着物に神性さを感じさせる眼窩の、ないら仮面、しかしその姿からは想像もできないほどエネルギーを秘めていた

それは大国ひとつを滅ぼせるほどの

「・・・まぁいいや」

女の子は気にすることなく油揚げを頬張る

それは彼女の欲望、食欲が満たされるまで

続くのであった

 

~法国~

「ん、ここは?どこだ」

知らない場所だ、確かに彼は先程まで仲間たちと一緒にいたはずだと

クライに感化され自身の強力な杖を預け、修行に明け暮れていた雷の魔術師は思う

 

悲鳴が聞こえる

魔術師は走る

それは弱きものを助けるために

「今はそんなことを気にしている場合ではないな」

 

二つ名(自称)を「千天万花」またの名を「雷帝」と

 



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無慈悲な3人の悪魔

妹が怒っているなか姉は面白がっていた

あれほど妹が感情を表にだすのは稀である

 

暗い洞窟、壁を蹴り、登り

眼にもとまらぬ速さで動きながら

リィズはトロールの頭を綺麗に砕いていた

 

(はぁめんどくさ・・・)

一応妹のお願いでもあり、できるだけ損傷しないようにトロールを殺すのは彼女に、とっては造作もないが面倒ではある

まぁ気分がいいから、今回はそうしているわけではあるが

 

「ウガァァァァァ」

 

リィズが見えていないであろうトロールは仲間が次々と殺られていく様をみて我に返った

一匹のトロールが闇雲に棍棒を振り回す

当然当たるわけもないが、棍棒の巻き添えを食らい

 

周りのトロールに当たる

打ち所が悪かったのか一匹は頭から血を流し動かなくなる

 

「んなもん当たるわけねぇだろ」

罵声と同時に大地を蹴り、瞬く間にトロールに接近する

小さい体からは想像のできない渾身の蹴りを見舞う

ドゴォという音とともに血が吹き出る

噴水のように血を撒き散らしながら

ドスンという重いものが落ちる音と共にトロールは倒れ付し動かなくなった

トロールの死体には頭部がなくなっていた

 

リィズはトロールの頭を蹴りで首ごと吹き飛ばしたのだ

蹴りとばされた首は壁に当たり四散する

まるで脆い菓子のように

 

「あーーつまんな」

あまりにも弱する上に、放心しているやつが多い

準備運動にすらならない鈍足の獣に対してリィズは退屈していた

妹のためにもトロールキングは残してあげたいが

「まぁいいや」

考えるのを止める、そのときになったら考えればいい

(クライちゃんもいることだしね)

 

このままでは終らないだろうとリィズは思い

トロールの群れに特攻する。

 

~トロールたちは動けない、あまりにも違う実力差に

もはや目の前にいるのは餌などではないからだ

それは、天敵、捕食者

決してかてない存在

蛇に睨まれた蛙の如く彼等は恐怖のあまり動くことは出来なかった

 

そんなトロール達の様子に退屈したのかリィズはつまらなそうにいう

「なに?もう諦めたの?」

心底呆れたように

「ちゃんと死ぬ気で抵抗してくれない?じゃないと私達の訓練にならないでしょ?」

そう言い終わると同時に彼女の姿が消え、自分の隣にいたトロールが倒れ伏す

まるで悪夢だ

見えない影に次々と仲間が殺されていく

もはや大勢いた仲間は半分をきっていた

まるで虫けらのように殺されていく

 

「アクマ・・・」

不意に出た「悪魔」という言葉

今の状況に、敵にしっくりくる表現だ

しかも悪魔は一人ではない、華奢な見た目、戦闘向きではない格好

だが明らかに自分より強い

その悪魔は仲間の顔を溶かした

それをみて攻撃しようとした仲間達が彼女の水鉄砲から放たれる液体に触れ悲鳴をあげて死んでいく

 

腕を、顔、溶かされては、燃やされて、切り刻まれては死んでいく

悪夢のようだった、夢なら覚めてほしいと、、

そう思い動けないでいるトロールの前にシトリーと呼ばれる女は歩みよる

それは穏やかに、笑顔で、冷酷に、無慈悲に、悪魔の武器を構えながら言う

 

「抵抗しないでくれると助かります、、次は新作のブレイズポーションを試してみたいので」

その言葉と、ともに硝子の割れる音がした

体を覆う炎、皮膚を焦がし、肉を焼く

激痛がはしる

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

全身を炎に包まれ悶える、火を消そうとして転がっても一向に消えない、それどころか炎は勢いをます

 

不意に眼にした洞窟内の池に飛び込む

だがそれでも炎は弱まらない

どうして?どうして?ドウシテ?ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ?ドウシテ?

消えないのか?

 

痛みに、意識が薄れていく

 

そんな中、悪魔の女は呟く

「死ぬまでには時間がかかりそうですね・・・これも改良必須ですか」

めんどくさそうに、ヤレヤレといいながら

火ダルマの自分に銃口をつきつけながら

「もう用済みなので、、死んでいいですよ?」

その言葉を聞くとともに一体のトロールの意識は闇へ落ちた

 

残っていたのは黒焦げになり原形をとどめてないトロールだった黒い塊だった



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亀裂

トロールが次々と倒れていく

怯えている個体もいるので少し可哀想だとすら思っている

そんなクライは二人の後ろでボーと地獄のような(トロールにとっての)戦場をみているのであった

 

(うん、ちょっとやり過ぎじゃない?)

確かに彼等は敵なのだが、あそこまで一方的かつ怯えていれば申し訳なく思う

弱肉強食などという輩もいるが、なら自分はどうなるのだろう?

 

やっぱり弱者にも優しくするべきである

というのがクライの持論だ

普通にみててグロいし

もう相手に戦意ないし帰ろうよ

(ラブアンドピースでいこう)

 

そう思い、シトリーとリィズを説得しようと二人の元へ向かおうとすると他とは違う深い青色の体表に1mほど巨体なトロールが目の前に現れた

その顔は他のトロールと同じだが顔が真っ赤だった

 

「キサマ、ヨクモワガドウゾクヲ」

親の恨みでもみるかのような目で僕を睨む

それはそうだろう、あそこまで痛々しい殺されてかたをすれば怒る(僕は何もしてないのだが)

だがこのまま戦ってもやられるのは明らかだろうそれは相手もわかっている筈だ。

何せ僕達は圧倒的に有利だ強きにいこうじゃないか

 

「もう、降参したら?そうすれば見逃してあげるよ?平和にいこうよ平和に」

ハードボイルドに言う

僕は何もしていないが、平和にいこうじゃないか

戦ってもいいことないよ?

だからもう帰ろうよ?

 

「ドコマデ?!ココマデノコトヲシテオイテ、ナニガヘイワダ!!!」

どうやら大変お怒りの様子だ

青トロールは僕めがけて棍棒を叩きつける

だがそれはセーフリングによって弾かれる

青トロールは目を見開く

 

「グヌゥ!?ダガワレワレハマケテイナイ!!!キサマダケデモ!!!」

諦めずに棍棒を叩きつけ続ける

その、度にセーフリングが発動し僕を守る

だが非常に不味い展開だ、何故か二人もみているだけだ

助けてほしいんだけど・・・

 

僕は焦って話す

「ままってほしい、僕は君たちのことを思っt」

「アレダケノコトヲシテ、フザケルノモイイカゲンニシロ!!!」

セーフリングが起動する

余計なことをするんじゃなかった

ますます青トロールは顔を真っ赤にして棍棒を振り回す

見境なしに壁や地面に当たる

何でわかってもらへないのか、僕は平和にいきたいだけなのに

 

トロールは大きく振りかぶる

その一撃は彼にできる渾身、全てを込めた一撃にみえた

 

僕はその気迫に押され、後ずさる、

振り下ろされた一撃が僕の足元に叩きつけられ

轟音と共に地面がゆれる

 

不意に足元に亀裂が、、いや洞窟全体に亀裂が入る

あ、、、これ不味い展開だ

亀裂は広がり、僕を中心として大地が崩れる

一瞬の浮遊感を感じながら僕達は穴に落ちていった、、、



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奈落

洞窟が崩落し大穴へと落ちる僕達とトロール

あまりにも長い浮遊感、

(うぷ、気持ち悪い)

なんかもうどうしようもない感じにそんな感想しか、浮かばない

隣をみると青トロールが僕を抜いて奈落の底に落ちていった、

結界指があるので落下の際の衝撃で死ぬことはないが

問題は脱出の方法であるが

未だ全身を駆け巡るゾクゾクとした浮遊感が考えをまとめさせてくれない

 

「こんなときは・・・」

眼を瞑り、膝を曲げ、体を丸める

眼を開けていれば気持ち悪くなったり、落下のさいに地面が近くになるに、つれ怖いので

このように全てが終わるまで眠るのが一番だ

 

クライは現実逃避をすることにした

 

衝撃とともに浮遊感が消える、しかし結界指が起動していなかった

何故だろう、そう思うと同時に手に、ブヨブヨとした爛れた皮のような感触がする

下をみると青トロールが下敷きになっていたのだ

だがその原形は留めておらず、腹回りから顔は潰れていた

正直かなりグロい

「吐きそう・・・」

先程は浮遊感からだがこんどは別のものである

というかよく助かったな僕

青トロールから飛び降りながら思う

 

近場にあった石のブロックに腰掛けながら周囲の状況を把握する

まず大穴、僕が落ちて来たであろうのだが、全く天井がみえない

どれだけ落ちてきてしまったのだろうか?

ぽっかりと空いた穴、光は届かない

 

次にこの辺りの地形だが、前方には遺跡を思わせる建造物があった

それはまるで神殿のようだった、所々ひび割れてはいるが

小さな祭壇、ひび割れた柱、壁には古代文字?とでも言うのか僕には読めない意味不明は言語で文字が綴られていた

(うーんシトリーならわかったかもしれないけど)

状況を確認するにシトリーとリィズは近くにはいない

もしかしたら崩落に巻き込まれたのは僕だけなのかもしれない

こういうときにこそシトリーが居てくれれば助かるのだけど

というより二人はどうなったのだろうか?

 

「とりあえずこの場をどうするか」

というか本当にどうしよう・・・

脱出方法なのだが正直無いわけではない

クライはこんなこともあろうかと事故宝具と揶揄されるほどの圧倒的事故率を誇る、飛行系宝具「夜天の外套」をもってきていたのだから

 

だがこの宝具は方向変換できず、止まることもできない

魔力が尽きるまで止まらない、ストッパーを外した事故宝具なのである、その上速度も減速できないくせに、高速の速さで突貫するため

魔力切れ以外で止まるときには使用者が壁に突き刺さっているというのが殆んどだ

 

ハッキリいって使うことはできない

そもそも崩落した洞窟で通路が使えないかもしれない

飛んで天井についても出口がないのであれば目も当てられない

まぁブレーキができないので出口があっても天井に突き刺さるのがおちだが

 

どうしようもない状況に嫌になった僕は

寝っ転がることにした、

そもそも僕のような無能に打開策が浮かぶとは考えをづらい

こういった場合、時間が解決してくれるのではあるが

 

「そういう訳にはいかないよなー」

現在、天涯孤独状態の僕は自力でこの場をどうにかするしかない

幸いなことに魔物の気配はないので死ぬことはなさそうだ

ゴロゴロして諦め状態に陥るボク

不意にカチッ!という音がした

 

それと同時にまるで機械仕掛けのような音が誰もいない遺跡に木霊する

ガチャガチャとまるでギミックがはまるかのように

神殿そのものが動く

祭壇が割れ、中から土色をした巨人が現れる

 

全長は15~20mといったところでかなり大きい

手には巨大な剣、、バスターソードのようなものが握られており、その姿は殆んど裸で古代文字が刻まれていた、腰には申し訳ない程度に布が巻かれているだけだった。

顔は何かの部族なのかよくわからない仮面がつけられていた

 

「うわーおっきいなぁー」

そんなすっとんきょうな感想がでてくる

うん、、きっと古来からこの奈落に住んでいる由緒ただしい部族なんだろう

なんというか・・・こう立派な仮面である

いろいろとおっきいし、迷いこんだ羊に優しくしてくれるに違いないと・・・

 

明らかににそんな雰囲気ではないが

目の前の巨大が寛大であることをクライは願う

 

うん・・・めっちゃ見てる、仮面越しだから目線なんてわからないがめっちゃみてる

とりあえずコミュニティケーションをとることは重要だ、とりあえず手を降ってみる

僕は怪しいものじゃないよーー、、、と

 

突如右半身に衝撃がはしる

恐る恐る確認すると僕に当たるすれすれで剣が振り下ろされていたようだ

今さらながら恐怖の、あまり、冷や汗がわきでる

 

「あ、これヤバイやつだ」

そんなことを言うが逃げ道などどこにもない

というか歩幅が違う上に、体力ゴミカスの僕では逃げ切ることは難しい

巨人は剣を抜き振りかぶる

今度こそ僕に当てる気である

 

僕は手をあげ巨人に対して友好的であると示そうとする

「ま、まって僕は決して怪しい者じゃ・・・」

そんなことを言う僕に、構うことなく振り下ろされる剣

同時に結界指が起動し、剣を弾く、巨人は反動でよろめきながらも再び振りかぶる

その動きに感情など微塵もないかのように

 

これ不味いやつだ

攻撃が効かないことで少しでもビビってくれればいいのだが

目の前のこれは生物というより機械人形に近い

これを作ったやつはなんでこんなところに放置しているのか?

 

会ったら絶対文句をいってやる

 

リィズやシトリーがいない以上、自分の身は自分で守るしかない

あれ、死んだ?

 

不意にペンダント型の「異郷への憧憬」を起動する

頭に浮かぶ魔法を唱える

「氷精の吐息(フロストリバース)」

冷気は巨人へと到達すると同時に巨人を凍らす

しかしその、巨体ゆえに全体までは凍らすことが出来ず

足元までしか凍りついていない

 

動きは止めることが出来た、そう思いどこかに隠れようとするが、巨人は無理矢理足を動かし、氷を砕いてしまった

 

 

不味い非常に不味い

僕にあった攻撃手段はこれだけである、もうひとつ異郷への憧憬はあるが、これは完全な非殺傷魔法なので

足止めにしか使えず、根本的な解決にならない

いやどうする?!

 

「ヤバイ死ぬ」

本気で死ぬ!!!

そう呟くぼくに容赦なく剣を振り下ろす巨人

絶対絶命だ

あと8回しか結界指がない

つまりあと9回で僕の命は尽きる

 

水平に迫る剣が地面を削る、風圧で僕は吹き飛ばされ、柱へと衝突する、当然衝撃は結界指が守ってくれる

 

絶望な状況にゲロを吐きそうになる

僕が何をしたというんだ

 

僕の懐から法国から回収した(奪った)ミニチュア天使の結晶が落ちる

 

藁にもすがる思いで結晶を起動する

結晶は光輝き、巨人の動きがとまる

輝く結晶からはあの時、僕に攻撃をしてきた

威光の主天使が現れた



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太古の巨人vs威光の主天使

輝きと共に威光の主天使が現れる

正直使えるとは思っていなかったが

もうこいつしかいないのだ

 

巨人は一瞬たじろいだものの、すぐにバスターソードを振り上げると共に天使に向かって振り下ろす

心なしか僕を潰そうとしていたときよりも威力が高い気がする

 

ガキンッ!という金属同士がぶつかり合う音と共に小さな衝撃波が起きる

威光の主天使はあの巨人の一撃をなんなく受けとめていたようだ

メイスとバスターソードの鍔迫り合いは火花を散らしギャリギャリと金属音をたてる

 

互いに譲らず、拉致が明かないと判断したのかは不明だが

巨人は刀身を退こうと足をひこうとする

 

巨人が刀身を退こうとした一瞬、天使は突撃し巨人を吹き飛ばした。結果、巨人は膝をつくように態勢を崩した

 

天使はすぐさま接近し殴打し、その重い一撃に巨人が揺れる

 

メイスで顔、胴を連打し続ける。殴打を受ける巨人は一撃の重さから態勢を立て直せないでいた

立ち上がろうとしても激流のような連打から膝をつく

 

あまりの激しい攻防に神殿の柱は崩れ、破片が飛び散る

砂煙を巻き起こしむせ返る僕は思った

 

「ゲホッゲホッ!」

(強くね?)と

法国はあんなものを僕にぶつけてきたのか?

頭がおかしいのではないだろうか?

 

世の中には適材適所という言葉が存在するように役割が存在する

少なくともあれは僕のような一般人に向けていいものではない

まぁいつものことなので今さらではあるのだが

だからといって慣れていいものではない

アレを相手にしてよく生きてるな僕、、

 

改めて生を実感してしまった

 

だが敵ならいざ知らず今は味方(?)だ、これ程心強いことはない

とりあえず一生借りておこう・・・

そう心に誓っておく

 

少しの期待が希望に変わる

勝てる、生き残れるという希望に

 

不意に巨人の眼が、体に刻まれた紅く紋様が浮かび上がる

不味い兆候じゃないだろうか?

僕の予感が当たるかのように巨人は熱を帯びた機械のように、殴打の嵐のなか無理矢理立ち上がろうとする

体の紋様が輝く

魔法の術式が浮かび上がり天使を吹き飛ばす

第三位階魔法「衝撃波(ショックウェーブ)」だ

 

天使はもろに受けたようで大きく後ろに後退する

ダメージは殆んどないだろうが魔法を受けた天使は態勢を崩す

再び巨人に特攻しようとした天使の顔にバスターソードが突き刺さる

投擲だ、あの巨人、馬鹿力でバスターソードを投げやがった

 

クライは戦いになど参加しないのであるが、無意識に宝具「弾指(ショットリンク)」を起動する

七色の派手なだけの弾が巨人に向かう

被弾、周囲に強烈な閃光を放つ

だがこの宝具は派手なだけで見かけ倒しな攻撃力が全くない弾だ

中には被弾者を麻痺状態にするものもあるが当然効かないだろう

 

「やっぱりそうだよねぇ」

当然のように無傷な巨人

それと違い、無能な僕と致命傷の天使

明らかに形成は逆転している

最早切り札を使うしかない、、、

というより天使がやられたら詰みである

 

この洞窟なら一般人に、被害を与えることはないはずだ

責任は一切とれないのでそう願うしかない

首にかけてある、火薬の入っていない銃弾の薬莢を取り出す

覚悟を決め、中にあるモノを解放しようとした矢先、

 

轟音が響き渡り巨人が揺れる

それと同時に聞き覚えのある声がこの奈落内を木霊する

「クライちゃん!!おっまたせー!!」

リィズだ、リィズが来てくれた

この絶望的状況のなかで、普段は問題しか起こさない手のつけられない猛獣で

いつもだったらこの状況とは別の意味で絶望的で諦めるしかない彼女が来た

 

今のこの状況で彼女の参戦はこの上なくありがたい!

「リィズ・・・遅いよ・・・」

安堵からかつい言いたくもない文句を言ってしまう

「ごめーーん、壁を駆け下がるのに時間かかっちゃて」

リィズは悪びれることなく明るく言う、、

ん?壁を駆け下がる?

君?落ちてきたんじゃなくて、壁を走ってきたの?

 

それなら僕と一緒に落ちて来ないのも納得である

いや、納得していいのだろうか?

相変わらずの幼馴染みの怪物っぷりには驚かされる

 

その感動(?)の再開の最中、巨人は立ち上がろうとする

が・・・また巨人は轟音と爆発と共に今度は地面に倒れ伏した

遅れて声が聞こえる

「クライさーーーん!!」

シトリーの声がする、声のする方向、壁をみると

キルキル君がシトリーを抱えながら壁を走ってくる

壁を走ることが君たちの間では流行っているのだろうか?

 

僕の目の前に現れたキルキル君とシトリー

シトリーは眼を輝かせながら言う

「流石です、クライさん!!まさかこんな古代遺跡を発見されるなんて」

「うんうん、そうだね」

シトリーはそんなことを言っているがなんのことだろうか?

確かに最初に向かう先を選択したのは僕だが、果たしてこれら全てが僕のせいだと思っているのだろうか?

そもそも、これの元凶は青トロールでありよくよう考えたら依頼を出したシトリーである

僕はいつだって被害者であり断じて加害者ではないのだ

 

「そんなの当たり前でしょ!シト、クライちゃんが何も考えずにこんな場所にくるわけないっつーーの!」

リィズがそんなことを言うが本当になんのことだろうか?

君たちにとって僕は何に見えてるんだ?

というよりよく僕の居場所がわかったね?

 

「壁を下るなか、真っ暗なそこの中から、弾指の光が見えたもので」

シトリーが声に出す前の、僕の心の声を感じとった

エスパーなのかな?

 

そんな話をしているなか巨人が立ち上がろうとしている

そんな中また轟音と、共に巨人が揺れる

 

「うーん、あれだけの攻撃を受けてまだ倒れないなんて、、、相当堅いですね」

「奥の手のエクスプロージョンポーションを使ったのですが・・・」

シトリーは考察している

ちなみに巨人に攻撃したのはキルキル君だったようで

シトリーが離れると同時に巨人に跳躍し殴りかかったようだ

 

立っては倒され立っては倒され、少し可哀想に思えてくるが、、、

まぁともかく仲間が揃った

 

「やっぱり、ああいうのが相手じゃないとねー」

リィズが体を伸ばしながら言う

相変わらず楽しんそうだ

「機械人形ですか、興味深いですね、それにこの遺跡、発掘された跡などがありませんし、資金調達という面でも非常にありがたいですね」

シトリーは何やら現金な話しをしている、

というより完全な盗人の発言である

 

「シト?別に見ててもいいよ?どーーせ私一人で充分だから」

「そういう訳にはいかないでしょ?お姉ちゃん手加減出来ないんだし、私はあれも研究したいの!」

リィズとシトリーが既に勝つ気でいる

心強いのであるが

「ふーん?別に良いけど?足、引っ張らないでよね」

「わかってるよ、お姉ちゃん!」

リィズとシトリーが構える

その微笑ましい(状況が危なっかしいが)光景に心配が吹き飛ぶ・・・、わけもなく増大する

よくも悪くもモンスターな二人

果たして大丈夫なのだろうか?

 

何が心配なのかって二人がやり過ぎてまた崩落して生き埋めにならないかである

僕は切に願うのであった

 



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幕話 狐の眷属

おかしぃ・・・

狐の眷属、通称(クライの)妹狐は困惑していた

見覚えのない町の風景、

そして大気に漂っているはずのマナマテリアルが感じられないことに

 

本来彼女たちのような幻影(ファントム)はマナマテリアルがなければその存在を維持することはできない

またマナマテリアルは時間がたてば抜けてしまう

なら実体を保つにはどうするのか?

答えは空気に漂うマナマテリアルを吸収することである

 

だがこれは、どういうことだろうか?現在、この空気にはマナマテリアルが存在しない

妹狐も例外ではなくどれほど強力な個体であれ、マナマテリアルがなくなれば消滅してしまう

それが幻影(ファントム)なのだ

 

しかし体からマナマテリアルが抜け落ちる感覚などなければ、実体が薄れるということもない

それどころかこの感覚はまるで全盛期の自分のように感じる、、、

それはまるで生きているかのように

 

そんな中、町行く人間たちが妹狐をみている

当たり前であろう、どう考えても場違いな格好(洋服の中和服が混じる)である上に、その着物は純白で高貴さを思わされる和服と神性さを感じさせる仮面

彼女が貴族の娘と言われても誰もが頷くであろう

純真華麗な姿

 

注目されるのは当然である

「・・・不味いかも、、」

彼女は非常に高位の存在だ

更に人の感情が読める

人間が自分を見ながら何を思っているのか筒抜けである

 

興味、好奇、これだけなら問題はないのであるが

それに悪意、嫉妬まで加わるのであれば無視できない

 

だがこの国を滅ぼすわけにもいかない、実際彼女にはそれが可能ではあるが

彼女は知恵ある幻影(ファントム)だ

 

そもそも滅ぼして何になるのか?

今、自分は孤独の身だ、この世界に頼れる存在がいない以上、問題を起こす訳にもいかない

なにせ、未知の世界、自分にとっての脅威の存在がいないとも限らない

まずは身に置かれた状況の確認が最優先である

 

可能であるのなら拠点の確保もだ

 

そんなことを考えながら妹狐は行動に移すことにしたのだが

グゥ~~と腹の虫がなった

 

どうやら実体を得たのは本当で腹も減るようだ

そしてこのような生理現象と共に妹狐はあることに期待を寄せる、

 

もしや味覚もあるのではないか?

幻影であったころはなかったが

実体がある今では?

 

心が踊る気がする

そうだ何をするにしてもまずは食欲を満たさなければ

(腹が減ってはなんとやら・・・だ)

 

妹狐、期待(食への)を胸に上機嫌で歩きだす

断じて人間の作るものに興味はない、、、これはあくまでこの体の検証であると言い訳しながら

 

街道を歩き、目的の場所へと着く

そこは高級レストラン、この国でもトップクラスの

 

「いざ・・・」

喉を鳴らし妹狐は突入する

それは未知への探求のために

 

フリフリと感情を抑えきれない尻尾をよそに妹狐は芳ばしい香りのする高級レストランの中に、

 

いや・・・新たな戦場に身を投じるのであった



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24話

生命の危機

 

どうしてこうなったのだろうか?

確かに依頼を選らんだのも僕だし

依頼主が殆んど国や貴族からの依頼ばかりだったから

これなら評価が上がることもないかも、と、依頼内容も「素材集め」

だったから受けただけだし

 

「これが運命か」

腕を組みハードボイルドに自身の運命を嘆く

そのクライの隣には巨大なバスターソードが突き刺さっていた

 

「かったーーい!」

金属がぶつかり合う、それと共に空を舞う少女が巨人の腕を弾く

彼女は光の如く速く、その上体格差のある巨人と互角なほどの剛力だ

(僕に直撃しそうになった)バスターソードを蹴り飛ばした犯人でもあるリィズである

巨人は僕のような小鹿より二匹の獅子を脅威と認識したのか殆んど攻撃してこない

では、何故生命の危機なのか・・・

戦闘の衝撃によって此方に向かってくる剣や岩、

戦闘の余波

ピンポイントで向かってくるの勘弁してください

 

耳が張り裂けるほどの爆発音、

「お姉ちゃん!あまり単調な動きをしないで!少しづつだけどあの機械人形(オートマタ)、お姉ちゃんの動きに対応してきてる」

そう姉に注意する彼女は色取り取り(赤や紫、黒といういかにも害のありそうな色)のポーションを巨人に投げながら巨人の、動きを観察している

 

彼女は後衛職だが、15~20mもある巨人の頭にピンポイントで投擲できるほどのコントロールと腕力がある

後衛職とはなんなのだろうか?

普通に僕より圧倒的に強い

投擲だけなら問題ない、問題のあるのは投擲された中身である

割れた瞬間に凍結、延焼、溶解、猛毒、雷撃など色いろある、だが問題なのは雷撃ポーションだ、割れた瞬間に何故か僕の元に向かってくる、まるで避雷針に引き寄せられる雷のように

 

何故?何故だシトリー?

僕は君に何かしたのか?心当たりがありすぎて逆にわからない

怒っているなら教えてください

 

敵ならまだしも味方にやられるなど笑い話にもならない

 

いつから僕は敵よりも味方に命を狙われるようになってしまったのか?

今は、そう雷の当たらない場所に逃げるしかない

 

というかそうしないと普通に死んでしまう

 

そう思い遺跡内を逃げ回る

落ちたばかりの時には気づかなかったが、この遺跡はかなり広い、先程巨人が現れた祭壇であろうものが複数みられる

もしやあの巨人は一匹ではないのでは?そんな考えが頭をよぎる

 

「あっぶなッ!!!」

そんなことを思っていたらシトリーが使用したであろう雷撃が飛んできた

間一髪、、、足下に飛んできた雷撃を避ける

雷撃は床をこがしていた、かなり距離は離れているはずなのにどうやって飛んでくるのか?

 

ガチン!

 

不意に機械音が聞こえる、まるで何かが嵌まったような

(あ、これ不味いやつだ)

僕は過去の思い出から危険を察知する

すぐにこの場を離れなければ、、

そう思い足を動かす前に僕の足下の床が消失する

 

本日二回目の浮遊感

もう慣れたとだろうか?

一回目よりも僕は落ち着いている

 

いやこれは諦めていると言うのだろうか?

これから自身に起こり得るであろう厄災に

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

クライの悲鳴は先の見えない落とし穴(?)の中には消えていった




39℃の高熱出して投稿遅れました 


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スマート姉妹

(うーーん、困ったなぁ)

シトリーはポーションを機械人形(オートマタ・ジャイアント)に投げながら考えていた

巨人の装甲があまりにも堅いのだ

それはアダマンタイトよりも堅い、(この世界では)未知の金属なのか・・・わからないがそのせいでダメージを与えられない

 

「私たちが合流する前にクライさん(天使)が戦っていたようだけど・・・」

まるで効いている様子がみられない

(こんなときにルークさんやルシアちゃんがいてくれたら)

戦闘は彼女の分野ではない、解析、思考し敵の弱点を探るのが彼女の領分だ

だが弱点をしったところでそれをするだけの力がいまのチームにはない

 

リィズは無類の特効力を誇る、だが殴るや蹴るでは限界がある

 

巨人の装甲を凹ませることが出来ても、質量が大き過ぎるため大したダメージを与えられていないのだろう

巨人がよろめいたり、動きが鈍ることはない

 

流石に素手、素足では難しいのだろう

 

(それどころかだんだんとお姉ちゃんの動きに対応し始めてる)

最初は一方的だった、だが今ではリィズの動きを予測し彼女が動くであろう場所に攻撃を行っている

掠りもしないが長期戦になるのは避けるべきだ

 

だが突破口がないのである

本来この手が通じないのであれば別の手段を使うのではあるが

シトリーは魔法などは使えないがある程度はポーションで代用できる

だがシトリーのもつ本来のポーションは複製できない

この世界にはそれを作るための材料がないためだ

 

この世界にいるであろう脅威のために温存しておくに越したことはないのだ

 

この世界の材料でポーションを作成してはみたが本来のポーションより2ランク以上も劣る

しかもこの世界ではアダマンタイトが最も硬い金属と聞いた

強い魔物でもアダマンタイトに傷をつけるのは難しい

なら、どうやってそれ以上の硬度があるであろう目の前の巨人に傷をつけるというのか?

彼女のポーションの材料はこの世界では強いとされるレベル20~30程度のモンスターである

 

少なくともあれはその辺の魔物とは比べものにならない強さですし、勿体ないですが使うしかありませんか・・・)

温存したいが

 

そう考えるとともに近いの柱に何かが直撃する

大きな土煙をあげ柱は倒壊した

ムクリと土煙の中から姿を現した、それは高速で動きまわり先程まで機械人形を攻撃していたリィズである

 

「んーーしくったなぁー」

体についた砂や泥を落としながら

まるで何事もなかったかのように彼女は体を伸ばす

機械人形が彼女に対応してきたのであろうのか、それともまぐれ当たりなのか

リィズは一撃をもろに受けてしまったが受け身をとって衝撃を殺したのか彼女にダメージはない

 

「それで?どうするシト?」

姉は冷静に問いかけてくる

「クライちゃんがいないってことは、もう動いてるだろうし、そうなるとやり過ぎるのはどうかなって思うの」

リィズは淡々と話す

それは彼女にとってこの程度の敵はどうとでもなると言っているかのように

 

それはそうだ彼女たち、嘆きの亡霊は何度もこのような状況を乗り越えてきた

ただ硬いだけの敵など今さらである

 

クライがいないことはシトリーも知っていた

彼がいないということは大抵大元の元に向かっているのが殆んどだ、そう例えばあの機械人形を操作している元凶のもとに

だがこれ以上時間をかけるのはよくない

かなりポーションも減らしてしまった、作成にもそれなりの手間がかかるのだ

 

「いえ、これ以上消耗するのは対価と見積もっても損だし、クライさんもわかってくれると思うの」

「オッケー」

シトリーの言葉にリィズは納得したように返事をする

その言葉と同時に二人は「笑う骸骨」をつける

 

「それじゃ・・・もう手加減しないから!!!」

リィズの言葉とともに二人の空間が、歪む

リィズが機械人形に特効するそれは先程の戦闘よりも速い、

一撃を加えたであろう機械人形は驚くような仕草をとったと同時に小さく吹き飛ぶ

顔面をもろに食らったのかその仮面は凹んでいた

反撃しようと機械人形はリィズの動きを予測しながら攻撃を続ける

 

リィズが跳躍したタイミングを見計らい剣を振るう

空中に浮かぶ彼女にそれは当たると思われた

そもそも人間には空中での回避手段はない

誰しも空では無防備になるものだ

 

だがリィズは空を、空気を蹴り、剣を避ける

 

本来であれば翼などの空中を移動する手段がなければ避けることは出来ない

だが彼女が使用している宝具・・・先程までは身に纏っていなかった宝具はそれを可能にする

 

「天へ至る起源(ハイエストルーツ)」

一度だけ宙を蹴ることができる

単純な能力ではあるが彼女の類い稀なる身体能力がそれを可能にする

 

彼女の動きがかわり戸惑いを隠せないのか動きがとまる機械人形、それは人間味を帯びていた

 

空を蹴るとともに急速に接近したリィズは腕をかけ上がり、顔に到達する

轟音、回し蹴りの要領で仮面を蹴り飛ばしたリィズはその、反動で地面へと着地する

 

それが起こると同時にシトリーは投擲する

割れた瞬間に機械人形にまとわりつくかのように付着する液体、範囲は腕の間接である

数秒とかからずそれは固まりその箇所はまるでセメントされたかのように白い

関節を固められた機械人形は無理に動きそれを壊そうと動くが

それよりも速くリィズがその箇所を蹴りとばす

 

ゴキン!という耳障りな音と共に、腕が体から離れる

 

大きな砂ぼこりをあげ凄まじい衝撃と共に地面に巨大な腕が落ちる

それを凝視するかのように地面に俯く人形はまるで信じられないものをみるかのようだった

 

そんなことを気にすることなくシトリーは話す

「どうか降参してくれませんか?これ以上の戦いは無駄だと思うのですが?」

それは機械人形にむけて、いやその操縦者に向けられているような言葉だった

 

一瞬動きが止まったものの

まるで否定するかのように機械人形は剣を上段に構え

シトリーへと降りおろそうとする

不意に爆発が起こる、それは先程まで彼女が使っていたもの、よりも遥かに強力な

衝撃に耐えられなかったのか人形は仰向けに倒れる

 

それを見下ろすかのようにシトリーは言う

「出来ればあまり壊さないでおきたいんです、手にいれるにしてもバラしては勿体ないですし」

淡々と冷酷に

 

先程までの攻防はなんだったのか?

それほどまでの圧倒的力

苦戦していた、突破口がない、それはあくまで二人がどうにかして損傷があまりない状態の機械人形を手にいれようとして動いた、結果だ

 

壊す、殺す前提であるなら話はかわる

「操縦者がいることはわかっていますので、早めに降参することをお薦めします」

 

そう言って彼女から投げれたポーションが当たり

人形は炎に包まれた



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外へ

予定ではゲヘナ作戦でルークを
帝国でルシアを
王国虐殺で妹狐かエリザ
聖王国でアンセム、妹狐
を登場予定です(いつまでかかる?)




機械人形(オートマタ・ジャイアント)の動きが停止する

表面は焼け焦げ、四肢は欠損し、仮面は割れ

顔はなく、無数の術式がうめこまれていた

 

「さてと・・・どうやら術式で動いていたようですが、」

人形を観察しながらシトリーは言う

 

不意に機械のカラクリ音が周囲からガチャガチャとこの奈落ないに響く

一つではない、戦いの最中にも気になっていたが、巨人が現れたであろう祭壇が複数ある

 

「ふーん、おかわりってこと?」

周囲に配置された、祭壇、確認できるだけでも8つの

地面が割れ、先程と同じ個体が地割れから現れる

 

その、数8体の古代の巨人、

「サンプルが多いのは嬉しいんだけど、、、クライさんのことだからうーーん?」

シトリーは嬉しいような困ったようなそんな複雑そうに顔をしかめる

 

突如8体の巨人の全てが鮮やかな青色に輝く、、

刻まれた術式は浮かび上がり、仮面が剥がれおち

術式まみれの顔が見える

話の蕾のように顔が割れると中から見たこともないような綺麗な薄紫色のクリスタルが現れた

 

(どうやらあれが、あの人形の原動力のようですね)

 

体の術式がまるで文字を描くように動き、一つの術式、いや言葉を綴る

「抽出」

誰かが言った、まるで機械のような

 

それと共にそのクリスタルは巨人から離れるとともに倒れて伏している天使、威光の主天使のもとにむかう

クリスタルは天使を囲むように止まる

 

同時に天使とクリスタルが輝きながら同化を始める

腕、胸、頭へとクリスタルが埋め込まれ

盛り上がりように天使が変形する

 

「あぁ!もったいない」と腑抜けた声・・・

 

6の羽のうち2の羽は抜け落ち、発火する

羽は焼け落ちず、炎はより勢いを増し、形を変えるそれは巨大な車輪、燃え盛る船の舵の形をした燃え盛る車輪

 

天使が15mほど車輪は10mその左右を守るように浮遊する

天使の体はより戦闘向けの姿へと変わる

下半身は6の車輪のある戦車へとかわり、メイスは馬に、全身から業火を発する馬へと変化する天使の右手には手綱が握られており、炎馬は自身を引くためのものだろう

 

その姿は、翼がなければ悪魔とみまちがうほどの攻撃的、暴力的なフォルム

纏う、業火は地獄のものと認識すらできる

だがそれは神の炎、罪人を裁く、天の裁き

 

名は「支配の座天使」第三位の天使

 

~古代遺跡から脱出を果たした三人

「もう、無理、引退したい」

洞窟からの出来事で、クライは疲れ果てていた

何回死んだのだろうか・・・

「まぁまぁクライさん、そんなこと言わずに、今回はやり過ぎてないので、サンプルもかなり手に入りましたし」

シトリーはそう言うと腰にかけてある、小さな鞄を僕にみせてきた

「魔法の鞄」収納型の宝具で、魔法という名に相応しく、その大きさと比べものにならないほどのものを収納できる

城一つ分の容量があるだとか、、、

正直、大きすぎて想像できない、、

 

シトリーの言うサンプルとはあのデカイ巨人のことであり、9つのうち8つはほぼ無傷だとシトリーは大喜びだった、

何でもアダマンタイトよりも硬い素材でつくられていると

専門的な話は僕にはさっぱりなので

とりあえず「うんうん、シトリーは偉いなぁ」と頭を撫でることにしておいた

 

因みに脱出はなんか僕がいない間に物騒に(最初からだが)なった支配の座天使が戦車に僕達を乗せ

奈落を飛翔し瓦礫ごと洞窟を突き破るという強引な方法で脱出した

不思議なことに燃え盛る戦車に乗っても僕達は焼けるどころか熱を感じることはなかった

 

支配の座天使は一応僕がまだ持っている、別にいらないが自衛の手段が少ないため仕方なく、、、だ

 

「そういえばシトリー?これからどうするの?」

「そうね、シト、ポーションの実験でも続けるの?」

シトリーに一番聞きたかったことだ、正直僕としてはやっと会えた幼馴染みだ、出切れば一緒に行動したいし

シトリーがいれば、たまった依頼も旨くこなしてくれるだろう

 

決してサボりたいわけじゃないんだよ?

そう自分に言い訳する

 

「いえ、それはもう大丈夫です、目的は果たしましたし、材料のほうもクライさんと一緒のほうが集まり易いですし」

そう言いシトリーが僕に腕を巻き付け僕に寄りかかる

香水の良い匂いと、腕にあたる、ふっくらとした柔らかい感触

普通の男なら勘違いしてしまうだろうが、シトリーはこれが普通なのだ

本当に(クライだけに)スキンシップが激しい子なのだ

まぁその度にルシアに吹き飛ばされるのだが

 

ん?僕と一緒のほうが集まり安いとはどういうことかな?

 

「あーー!?シト!クライちゃんから離れろ!クライちゃんはアタシのなの!!」

そう言って、リィズもシトリーの真似をするように僕に抱きつく

通行人に羨ましがられるような目線を感じる

それはそうだ、何も知らない人からすれば美女二人に特にパッとしない僕が抱きつかれてるハーレム状態

 

正直気分がいいのでニヤリと自慢気にしてしまう

と一瞬思ったが驚くほどに気分が悪い

アークはいつもこんな気持ちだったのだろうか

 

あとで謝っておこう・・・

 

勘違いしないでほしいのだが、確かに二人は美女だ。だが僕は幼馴染みに手を出すほど、女に汚くはない

それに考えてほしい、両手に花と言うかもしれないが巨人を倒す程の、誰にでも噛みつく猟犬と皇女すら実験対象に扱う錬金術士

 

間違いなく両方とも僕の手に余る、猛獣が二匹というほうが正しい表現だろう

 

何せ問題しか起こさない上にそのツケは毎回僕が払うのだから

 

まぁでも別に嫌ではあるが笑って許そうだって僕達は冒険者以前に友達なのだから

友達を助けるのは当然だ

 

それにまずはシトリーにこう言うべきだろう

これからまた一緒に冒険するのだから

 

「お帰り、シトリー」

「はい、ただいま帰りました、クライさん!」

疲れたように言う僕とは反対にとても明るく嬉しそうに

三人は帰り道の参道を仲良く(?)歩いていくのだった




反省点、支配の座天使の像が浮かびあがらない(語彙力不足)ので後でイラストを添付します

クライ君に何があったのかは話すと長そうなので(ただでさえ、ストーリーから逸脱してるので)幕話とした出します

更新期間が空いたのは、突如より夢で嘆きの亡霊vsシャルティアを見たのでそちらを書いてました
やりたいこと多すぎて2万ほど文字数いきました(笑)

ただどこで出すんだ?という感じになってます
次回はストーリーの路線にもどります
次回「注目の冒険者」


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注目の冒険者

エランテルの酒場にて

 

「どうやら新しいアダマンタイト級冒険者が、、、二人も現れたらしいな、イビルアイ」

男勝りな筋肉に、濃い赤の鎧に身を包んだガガーランと呼ばれる女性は面白そうに仮面の少女に話す

「止めろガガーラン、その話は、頭が痛くなる」

仮面の少女、まだ幼さの残る声、だが大人びた佇まいと口調、イビルアイはまるで嫌なものでもみたかのように答えた

「まぁまぁ良いじゃねえか、」

「はぁーー」

 

「そんで?そいつらはつえーのか?」

急に真面目になるガガーラン、目がガチだ

内心、無駄に聞く姿勢がいいこと今回だけは滅入る

 

「そうだなまず漆黒の英雄だが~」

一通り漆黒について説明を受けたガガーラン

 

「そいつはすげーな」

感心と驚きが混じったそんな感想をいう

 

「そしてもう一つ、あの生意気な小娘がいるパーティーだが、お前らが苦戦した陽光聖典、ニグン・グリッドとその精鋭部隊をたった二人で潰したらしい」

 

「まじ・・・かよあいつらをか?」

過去に一度だけイビルアイが仲間になる前にだが、蒼の薔薇は陽光聖典とぶつかったことがあった

隊長ニグンの実力は当時のラキュースを上回っていた

かなり苦戦を強いられ、勝った記憶がある

 

(イビルアイが加わった今なら、負けるきはしねーが)

イビルアイの能力は蒼の薔薇の中でずば抜けて高い、

今の、蒼の薔薇なら陽光聖典にも楽に勝つことができるかもしれない

だがそれはイビルアイがいてこそ、、だ

 

ガガーランはニヤリと今回の新入りはやるじゃねえかと笑う

それは新たな実力者に対しての期待なのかもしれない

 

「あぁ、どうやら口だけではなかったようだ、更に古代遺跡の発見に、強化個体トロールの討伐に、ギガントバジリスクの群れの殲滅」

 

「そいつは、、、すげーな、、」

 

「今はメンバーを一人追加したようだが、、そいつもかなりの腕らしい、錬金術士でありながら、戦闘職に引けをとらない身体能力に、ポーションを武器とした戦闘を得意にするそうだ」

どちらも短い期間でアダマンタイト級に登り詰めたチーム

更に王国戦士長を救ったという嘆きの亡霊は国内でもかなりの期待をされているようだった

 

「んじゃ、こりゃぁ先輩として色々教えてやらねえとな 」

巨大な身の丈ほどありそうな大槌をもちカガーランは楽しそうに話す

 

「おい、ガガーラン、私達はこれから、八本指の調査があるんだ、まさか忘れてないよな?」

ヤル気のあるガガーランをみて

注意するかのように言葉をあてる

 

「おう、もちろんだ!」

「ならいいが・・・」

イビルアイはガガーランを、返事のいいガガーランを横目に話題の冒険者について考える

 

(陽光聖典を潰したパーティーは盗賊(シーフ)と魔術詠唱者(マジックキャスター)と聞く)

(あの女が盗賊というのも驚いたが、陽光聖典は強い、並みの盗賊なら役になどたたんだろう、、ならやはり魔術詠唱者の腕が良かったのか?)

クライと呼ばれるパッとしなかった黒髪の男を浮かべる

アダマンタイト級冒険者というのに、それを感じさせない、覇気のない、冒険者と言われなければ一般人にさえ間違えそうな男を

 

(見た目からは想像もできんが、実力を隠していた、、

と言うことだろう)

イビルアイは久しぶりの実力者の登場に少しだけ笑みをこぼす

 

「それにしても、あの生意気な小娘がシーフとはな」

イビルアイは少し可笑しそうに呟いた

アダマンタイト級の自分らに食いかかってきたチンピラのような女を

暴力的で野性的で、誰かの下につくなどありえないような女を

 

「盗賊、、というより、あれは山賊(ヴァンデット)だろ」

「ん?なんか言ったかイビルアイ」

イビルアイの小言、それは誰にも聞こえないような消え入るような呟きだった

 

「いや、なんでもない、行くぞガガーラン」

「て、まてよ、俺まだ食ってる途中なんだが?!」

まだ半分しか食べていないステーキを一気に頬張り、ガガーランはいう

こいつも十分野性的だったな・・・と染々思うイビルアイ

 

「そんなのは知らん、早くしろ」

そういい、会計を済ました、イビルアイは足早に酒場を後にする

それに続くように口に肉のつけながら、ガガーランが後を追いかける

「ま、期待させて貰うぜ」

走りながら、話していた二つの冒険者チームを思いだす

依頼を共にこなす機会もあるだろうし、話はそのときにとっておくか

 

 

なんやかんやでクライの評価が蒼の薔薇で上がっていたのだった

 



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甘味所

王都に帰ってからそれはもう忙しかった

シトリーは遺跡にあった宝物を売り払い

あの巨人の研究のため、籠りっきりだ

 

リィズはというと、なんか退屈だったらしく

「ちょっと、そこら辺の犯罪者、ブッ殺してくる!」

なんて言ったまま帰ってきていない、

そこら辺に犯罪者なんていたらたまったものではない

どこまでいったんだ?

 

僕はと言えば、高級宿から出ようとしたら遺跡について、話を聞かせて欲しいなど、組合から歓迎会をさせてほしいなど、しっちゃかめっちゃかだ

まぁ全部断ったんだけど・・・

 

遺跡に関してはシトリーに全投げしておいたのでまぁ大丈夫だろう、

犯罪者の件は、、、うん、、リィズの心配はないな

 

組合は、、、考えとこう

 

そんなことを考えながらクライは散歩に出かける

何せこの世界では僕に恨みをもつ人など、いないのだから!

 

そういえば、陽光聖典とかいう奴等から恨みを買ったきもするが、、、まぁ牢屋のなかだし

 

クライは街中を、スキップであるく、ご機嫌である

その証拠に、足取りは軽く、じゃらじゃらと金貨が揺れる音がする

 

一番の原因は金だろう、遺跡の宝、報酬金や謝礼金など彼の財布にはそれまでの苦労の対価が金として入っていた

 

「とらあえず、甘味巡りでも、いやマジックアイテムを買うのも、、」

夢が広がる、お金とはなんて良いのだろうか!

 

大通りに出ると人集りが出来ている

ガヤガヤと民衆は互いの顔を見合わせてきる

 

なんの集まりだろうか

気分がよく、油断していたのか、僕はそっと何が起きているのか、自分からトラブルの元に行ってしまった

首にかけてある黒い黒曜石でできた宝石のネックレスを起動させる

宝具「第三の瞳」自身の半径50mならどこにでも視点を送ることができる宝具だ

 

状況を確認する

 

子供が複数の大人からリンチを受けていた

大の大人が情けない

 

だが、非力な僕にはどうしようもない誰か、そう高ランクの冒険者でも助けに来てくれないものか・・・

 

考えながはフリーズする

・・・僕じゃん・・・

 

危険に自ら足を突っ込むのは嫌だが

 

流石の僕もあれを見逃せるほど人でなしではない

おもむろに足を前にだす

 

一応僕はアダマンタイト級だ、実力はなくても名声がある

 

覚悟は決まった、見せてやろう、アダマンタイト級冒険者の≪ハッタリ!≫というものを!

クライは服につけられたプレートをよく見える位置に移動させる

いつもはこんなことはしない、が(目立つため)

今回はアダマンタイト級冒険者と認識されなければ僕が危ない

 

民衆を掻き分け前にでる

そしてハードボイルドに登場するとしよう

 

「ちょっ・・・」

ちょっと待て、格好よく決めようとした矢先

一人の執事服をきたじいさんに出鼻を挫かれる

 

いつの間に現れたのか、白髪に白く染まった立派な髭

背筋はピンとしており、老齢とは思えないほど

眼光は鋭く、僕だったら間違いなく逃げ出すだろう

 

そんな強そうな老執事かチンピラの前に、子供を庇うように立ちはだかる

 

チンピラが突然現れた執事にビビることなく突っかかる

ここからでは何を言っているのか聞こえないが

 

きにさわることでも言われたのか、チンピラが執事に殴りかかろうとしていた

 

チンピラが食いかかかるより早く、チンピラに拳を見舞う

恐ろしく早く、節穴の僕だけでなく、民衆もその一撃を捉えられなかったようだ

 

チンピラ共は逃げ出した、執事もそれを追うつもりはないようだ

またもや、急に現れた金髪の少年に、子供の介抱を任せたあと足早にこの場を去っていった

 

同時に安心する、僕がいかなかったことに

そして、この場にリィズがいなかったことに

 

「おっと、そうだ今から甘味巡りするところだったんだ、」

忘れてたことを思いだし僕は裏路地にはいる

話によるとこの先に、甘味の秘境と呼ばれる名店があるようだ

こんな人目がない所に店を構える辺り、まさに秘境だろう

 

裏路地を歩くなか、何人かのがらの悪いチンピラが僕を品定めするようにみる

普通に怖い

だが、背筋を伸ばし、瞳を真っ直ぐに見据え堂々と歩く

この世界では舐められたら終わりだ

気弱な態度やわみせたら間違いなくカツアゲされる、そうなったら

 

お金を渡して逃げるしかない!

 

重い足取りのなか、パンフレットに載っている店にたどり着く、何やら用心棒らしき輩もいるが、それほどまでに貴重の素材を使っているのだろう

 

帯刀してるようだし、彼がどれだけ真剣なのかわかる

 

僕は入店する、甘味を求めて

途中怖そうな用心棒に止められたが、金を見せたら快く通してくれた

 

金がないと思われたのだろうか?

「フッ心外だな、僕はアダマンタイト級冒険者だぞ」

誰にも聞こえないようにハードボイルドに呟く

 

灯りが少ないが、これも味があっていいだろう

そう思いクライは店の中に入っていく

 

後日わかったのだが、その店、実は八歩指コッコドールが経営する娼館というのは

後にその店で助けたクライムという子供を介抱した少年に教えてもらうのだった

 



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vsエントマ

詰まったので少し飛ばします



なんとか八本指拠点襲撃作戦から

逃げ出したクライは走っていた・・・

あてもなく、夜目も効かないので闇雲に走り続けた

 

「不味い、不味い、不味い」

逃げださなければ、ハッキリ言って裏社会、しかもかなり有名な大勢力など敵にまわしたら一体どれだけの刺客を送りこまれるのやら

 

今、仲間も半分しかいないなか、セーフリングだけでは命が危ない

 

もつれそうになる足を必死に動かす、市街地は不味いと思い、森に逃げ込んだのだが、

どうやら上手くいったのか人の気配はない

 

一度状況を把握するために、止まるべきなのだが、森の中では別の不安が残る

 

走り続けるなかようやく、木々の隙間から屋敷のようなものが見えてきた

立派な屋敷だ、一応アダマンタイト級冒険者といえば事情を察して泊めてもらえるかもしれない

 

クライはあと少しでゴールだと、足を進める

森を抜け、道なりに出る

 

そこで、思いもよらない光景に

目を見開く、蒼の薔薇のガガーランとティア?という冒険者チームが一人の?虫女のような魔物と交戦していたのだ

 

どうやら苦戦しているようすだ

虫女は一切ダメージがなく、蒼の薔薇は切り傷など大事には至らないだろうが出血していた

 

逃げようと思った

ここで僕が参戦しても、戦闘力皆無の自分では足で纏いにしかならない

それなら僕がいない方が良いだろう

(まぁ逃げられないんだけどね)

 

既に長い時間走っていたせいで体力は底をついている

足がプルプルと震えている、座りこまないでいるのは

緊張感と空気を読んだためだ

 

ガガーランが僕に気づいたのか、顔を僕のほうにむける

「おう!クライか!わりいが手伝ってくれねぇか!」

いや、無理だろ

断りたい

僕には無理です、といって逃げ出したい

 

だがそれは難しい、既にこの場にいる全員が僕に視線をむけている、蒼の薔薇は助かったという、虫女は不思議そうにこちらをみる

 

「わかったよ」

全てを諦めたように、僕は頷き

彼女らのもとに歩いて向かう

いきなりの乱入に虫女は警戒してるのか僕を見ているだけだ

 

一歩踏み出すことに、死の危険が迫り、冷や汗が止まらなくなる

重い足取りのなか彼女らを庇うように前へでる

「だぁれぇ?」

虫女は目の前に来た僕に不思議そうに問う

当然だろう、何せ僕は武装らしい武装をなにもしていない、

体を埋めつくのは宝具といえども端からみれば装飾品の数々

戦闘向きの格好じゃない

 

「アダマンタイト級冒険者、嘆きの亡霊、クライ・アンドリヒ」

質問に答えるように僕はハードボイルドに言うが、

心臓がばくばくと鼓動を早める

僕の見かけ倒しの名声で撤退してくれないものか

そう祈るしかない

だが僕の祈りは神に、届かなかったようだ

 

「ふーーん?強いんだ?なら保存食にしようかなー」

僕の希望を砕くように物騒なことを言う

食料か・・・魔物には人間を主食とするやつもいると聞いたが

 

「僕なんておいしくないよ?」

つい口に出てしまった

 

そんな僕の軽口に驚いたように視線を向ける二人と表情が変わらない目を向ける一匹

「そんなの、食べてみなきゃわかんないよー。君面白いねー」

楽しそうに話してくる。表情は変わらないが

なんか好評価だ、見逃してもらえないかな?

 

「君面白いから、今日は君を食べてあげる」

うわぁ、要らねぇ

まさかの今日の夕食は僕で決まってしまったようだ

こんなに嬉しくないことは初めてだ

 

虫女の手に剣のような形をした虫が張り付く

同時に虫女は踏み込み一瞬で僕との距離を0にする

動くことが出来ない

 

あまりの早さに後ろの二人も驚きの言葉をあげる

水平に振られた剣が僕に襲いかかる

当然、避けることは出来ず、それは無防備の僕にモロに直撃する

 

ガキン!とう金属音

 

それと共に剣は弾かれ、虫女は後ろに後退した

弾かれた虫女は不思議なものをみるように変わらないが表情の顔をこちらに向ける

「あれぇーー?」

二度三度首を傾げた彼女は再び僕に斬りかかる、

だがそれは僕に届くことはない、攻撃が当たる瞬間に結界指が起動し僕を守るからだ

 

僕に近接攻撃は通用しないと悟ったのか

距離を空ける

 

「爆散符」

虫女は服の袖から呪符のような札をとり出し

僕へ投げる

札とは思えない、綺麗な放物線を描き、一直線に僕に直撃する

轟音が、閃光が僕の目を焼くと同時に、結界指が起動した感覚がした

そうして初めて、僕は自分が攻撃されたのだと認識した

 

爆発をうけ、それでも無傷な僕に、今度こそ虫女は警戒したように構える

先程とは雰囲気がまるで違う緊迫した状況

 

蒼の薔薇の二人も驚いている様子だ。怪我が治ってるなら攻撃してほしいものなのだが、、、

呆然とした二人を横目に僕は虫女に提案をする

 

「ここまでにしない?お互いに暇じゃないようだし?」

僕に攻撃効かないんだから、撤退したら?と

「んーー?」

不思議そうに首を傾げる、僕からそんなことを言われるとは思ってもいなかったのだろう

悩むような仕草をする

 

「ッ!?」

不意に虫女は大きく後ろへ後退したかと思うと

その誰もいなくなった真上から水晶の巨大な剣が突き刺さる

 

「・・・」

「どうやら無事のようだな、ティア、ガガーラン」

剣の柄には仮面を被った、イビルアイと呼ばれていた少女が立っていた

 

「お前は・・・そうか礼を言うぞ」

そこで初めて僕に気づいたのだろう

剣から飛び降りながら、体は虫女に向け、警戒しながら言ってくる

 

「しかし、彼我の戦力差を考えるべきだったな、こいつはお前らよりも強く、そして」

「私よりも弱い」

 

「なんだと?」

虫女の口調が声色が変わる

 

イビルアイは飛び上がり魔法を行使する

「ヴァーミンベイン」

魔方陣が浮かび上がり、そこから濃い霧のようなものが発生し、虫女を包み込む

「グァァァァァァァ」

甲高い悲鳴が聞こえるとともに、まぁ虫女が苦しみ始める

なにかが溶けるような音と刺激匂に僕は顔をしかめる

 

「溶けてる・・・」

ティアはボソッと呟く

その通りだね

虫女は顔を押さえ込む、服の隙間から小さな蛭のような虫が落ちてくる

顔をらしき部分は人の口のような形をしており、そこからは可愛いらしいような少女の苦しむような声がきこえる

 

というか滅茶苦茶グロい、

思わず手で口を抑えてしまうほどだ

 

そんな僕をきにすることなくティアは話す

「口甄虫・・・人間などの声帯を貪って犠牲者の声を出す蟲・・・」

なんか説明してくれた

ふーーん、そんな虫がいるのか

身の毛がよだつとともに殺虫剤と虫除けを買うことを決める

 

終わったのか、虫女は顔を上げる、それと同時に抑えていた顔が剥がれ落ちる

床に落ちた顔は昆虫の足を早し二度三度動いた後に絶命した

 

「え?なにあれキモ・・・」

ついでてしまった感想

あの仮面も虫だったのか

 

緊張感のない言葉に一瞬僕をみるイビルアイ

 

虫女の素顔が現れたる

 

魔物・・・というのに相応し程に醜悪で、そして凶暴なフォルムをしている

メイド服が全く似合ってない

 

「よくも、人間風情がぁ!!」

激情したように声を荒らげる虫の魔物

表情は全くわからないが、明らかに怒っている

こえぇぇぇぇぇ

 

背中から虫の足だろうか、四本の足が彼女を支えるように生える

そのため虫女の体は宙にういている

体を揺らした後、四本足でこちらに向かってくる

 

「フン、水晶短剣(クリスタルダガー)」

詠唱と共に腕に魔方陣が浮かびあがり、水晶製の巨大な短剣が放たれ、一直線に虫女の元へ向かう

避けるつもりはないのか、そのまま止まることなくこちらに向かってくる

 

短剣が直撃、、、するとともに砕けた

イビルアイは詠唱と共に

 

「飛び道具への耐性か」

 

「ならこれならどうだ、ヴァーミンベイン!」

先程と同じ霧を発生させる

これは効くのか、虫女はまた苦しそうに呻き声をあげる

 

だが、足を止めることなくこちらに突っ込んでくる

虫の、大口を開ける、中は別にみたくもないが、粘液がドロドロと糸を引いていた

 

イビルアイが考察するとともに口から糸のようなものを吐き出す虫女

近くに僕もいるので当たってしまう

なんとかしてくれ

 

「つまらん攻撃だ、水晶壁(クリスタルウォール)」

僕達を守るように水晶の壁が現れる

糸吐きが直撃し、壁が崩れ落ちる

 

不味い、これではこちらまで来てしまうな

 

「狗の鎖(ドックズチェーン」

僕は腕に巻き付けていた鎖型の宝具を起動する

鎖は自動で動くとともに犬の形を形成

そのまま、虫女のもとに向かうとともに前肢?に巻き付き動きを止めた

 

「うらぁぁ!!」

雄叫びとともに金属音がガキン!と響き

それとともに虫女が吹き飛んだ

 

動きを止めた一瞬を見逃さないように

いつのまにか立ち上がったガガーランが大槌で殴っていた

 

「おい、聞いたかよ今の音、俺の鎧とメイド服が同じ堅さなんてありえねぇだろ・・・」

「どうする?」

二人が僕の前に出て戦闘に参加する

 

どうするんだ?僕も二人に合わせるようにイビルアイをみる

 

「高火力で一気に畳みかける」

イビルアイは言う

どうやら作戦は決まったらしい、二人が頷いたので

僕も頷く

まぁ僕に攻撃手段なんてないのだが、

 

「いくぞ!!」

イビルアイの号令とともに三人が虫女に接近する

 

「おらぁぁぁぁぁ!!」

「不動金縛りの術」

「水晶短剣」

「不動金剛盾」

「雷鳥乱舞封」

「蟲殺し(ヴァーミンベイン)」

夜空の下、戦闘音ともに三人の声が木霊する

僕は巻き込まれないよう、外でみているだけだが

勝敗は喫したようだった

 



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煉獄の魔皇

同時進行で妹狐が主人公の救済の聖王国
を投稿し始めました
良かったらそちらも、よろしくお願いします


決着は思ったよりも早かった

三人の猛攻、特にイビルアイの蟲に対しての特効魔法が効いたのか

エントマは倒れ伏した

 

「ようやく終わったか・・・」

「あぁトドメをさす」

ようやく終わった、今回もなんとか生き残ったようだ

戦闘が無事おわった安心感から胸を撫で下ろす

ガガーランとティアトドメをさすように倒れふす虫女に歩みよろうとする

 

ほんの一瞬の瞬きに、それは立っていた

嗤う仮面を被り、リクルートスーツに身を包んだ、翼のはえた悪魔が

「そこまでにして頂きましょうか」

空気がその一言だけで凍りつく

これは、ヤバイ、

僕の感覚がこいつはヤバイと警鐘を上げる

先程のメイドとは比べものにならない

 

「何だこいつ?イビルアイの親戚か?」

ガガーランが冗談のような声をあげる

 

「逃げろ」

イビルアイがボソッと呟く

 

「あ?」

鬼気迫る彼女の言葉にガガーランは声を漏らす

そんな彼女にきにすることなくイビルアイは話す

 

「逃げろあれは化け物の中の化け物だ」

「お前はどうするんだよ?」

「心配するな、私はお前たちが逃げたと知ったら、すぐに転移の魔法で逃げる」

イビルアイも感じたようだ、あれは人間が勝てるような敵ではないと

彼女がすぐさま戦闘そのものを諦めるように

 

「早く逃げろ!!!!」

彼女の怒号から三人(僕を含めた)は逃げ出す

逃げながら僕は本能で感じる

(これヤバイやつだ)

 

「出会って早々別れるのは辛いですので転移は阻止させて頂きます」

そう言うとともに場が不思議なものに包まれる

言葉の通り転移阻害の空間だろう

 

「ッ!!?魔法最強化、水晶短剣!!」

水晶短剣は悪魔に当たる直前で砕ける

先程のメイドの魔物と同じように

 

嫌な予感がする、僕は急いでティアと言う女性を抱えガガーランに近づく

「何をッ?!」

ティアの疑問など気にせず結界指を手動行使する

これは僕の危機察知からとった行動だ

そうでなければ死ぬ(僕以外が)

 

「獄炎の壁(ヘルファイアーウォール)」

声がきこえた

寸分違わす、炎の壁が僕達三人を焼く

周囲は焼け、僕達を中心に、結界指の守護範囲の焼け残り、小さい円のようなものができていた

 

あっぶねぇぇぇぇぇ!!!!

なんとか回避した死(クライは結界指があるので別だが)

二人は僕に驚きの目を向けるが今はそんな状況ではない

ティアを抱える手に力が入る

「あの・・・降ろして・・・ほしい」

「今はそんなこと言っている場合じゃないよ!」

僕は思わず叫んだ

彼女は顔を俯いている、顔が赤いような気もするが

そんなに僕に言われるのが恥ずかしかったのだろうか?

「嫌だろうけど今はジッとしてて!」

そうじゃなければ三人を守ることは不可能だ

結界指の守護範囲は広くない

そのため、ある程度は密着しなければいけない

 

ガガーランを抱えるのは無理なので攻撃がくると予感したら引っ付くしかない

 

 

「わかった・・・」

必死に、息を切らして走る僕をみて放すつもりはないと感じたのか

小さく消え入るような声で納得したように答えるティア

耳まで赤い、

さっきまで頼りにされていたような気がするが

一体どこで評価を落としてしまったんだ?

 

ガガーランは何だか僕達をみてニヤニヤしてるが

そんなに僕に助けられるのが嫌なのだろうか?

本当にわからない

 

~逃げる三人を見送りデミウルゴスは考えていた

(手加減したとはいえ、この世界にあれを防ぐ者がいるとは、少し予想外ですね・・・)

しかも防いだ本人であろう男はデミウルゴスの主観ではあるがあのなかでは郡を抜いて弱い

予想外の展開に思わず顎を撫でる

 

「まぁ逃がしても問題はないでしょう」

あれらが自分たちの脅威になることはないだろう

何せ弱すぎるのだから

 

今の彼にとっての興味はエントマを追い詰めた目の前のイビルアイと呼ばれる少女だ

(エントマを倒すということはレベルは40~50でしょうか?まぁ試して見ればわかりますか)

「さて、それではこちらも始めましょうか」

 

目の前にいる小さな脅威に笑みを浮かべる

いや彼にとっては実験台というべきだろう

 

(どこまで耐えられるか)

 

戦闘とも言えない、一方的な虐殺が始まろうとしている

少し時間が経った後に漆黒の英雄モモンが助けにくるのだがそれは語られることはないだろう




語られることはない(展開は原作と全く同じなので)

ティアがヒロインみたいな立ち位置にいきなり現れましたが暗殺姉妹が個人的に好きなので
他意はありません(笑)

同時進行で妹狐が主人公の救済の聖王国
を投稿し始めました
良かったらそちらも、よろしくお願いします


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救出作戦

更新しましたが、疲れすぎて頭が働いていませんでした
そのためかなりチグハグな内容になってます

すいません 


虫メイドとヤルダバオトの戦闘終了後

市街地を囲むように炎の壁が出現した

組合の調査では炎は一切の温度を感じないらしく触っても害はないらしい

 

また市街地には王国市民、そして大量の魔物で溢れかえっていたと

 

何故僕に言うんだ?

 

~組合では対策が練られていた

「冒険者の皆さん、今回非常事態に集まって頂き感謝します」

ミスリルやシルバーといった様々なランクの冒険者パーティーリーダーが会議室へ呼ばれていた

そこには蒼の薔薇、漆黒、当然のように嘆きの亡霊も

 

「本日、王都の一部このあたりに炎の障壁がはられました」

「この炎は幻に似たようなものであり触れても一切害はないようです」

王女様が分かりやすく現状を教えてくれた

どうやって熱がないと知ったのだろうか。

無能な僕は足りない頭で考えこむ

 

「それは蒼の薔薇が確認済みです」

 

「わたしが実際に触れてみた熱も一切感じない、侵入を阻害されるこてなく中に入れた」

「壁の向こう側には低位の悪魔かいることも確認している」

蒼の薔薇のリーダー、ラキュースが説明する

え?触ったの?

僕は彼女の勇気ある行動に目を白黒させる

しかも悪魔までいるのか・・・逃げようかな

 

「この事件を起こした首魁の名はヤルダバオト」

「非常に凶悪かつ強力なあくまで多数の悪魔を従えていると」

王女様が話を続ける

話がどんどん進んでいくお陰で僕は半分以上理解出来ていない

とりあえず壁の中は危険と言ったところだろう

わかったように頷いておこう

 

「どれほど強いんだ?」

一人の冒険者が疑問の声をあげる

「私が戦ったが全く相手にならなかった児戯のようにな、戦闘にすらなっていなかった」

「アダマンタイトが4人もいながらに撤退しか術がなかった、逃げ切れたのは奇跡のようなものだ」

イビルアイが真実味を持たせるように丁寧に説明する

うんうん、それは事実だ

戦っていなら間違いなく死んでいただろうし

あれは人間に勝てるようなものではない

僕は腕をくみ何度も頷く

 

周囲では「勝てるのか?」などと聞こえるが

そこには僕も完全に同意見だ

無理じゃね?とすら思う

 

「ヤルダバオトは強いそれはなす統べなく敗北した私が保証する」

「しかし私たちにはこの人がいる!」

イビルアイがテンションの上がったように声をあげる

全身完全装備の漆黒の戦士を紹介する

その鎧は夜にも関わらず輝いており

その風貌は歴戦の猛者を感じさせた

 

あれ?君ってそんなキャラだっけ?

 

「漆黒の英雄モモン殿だ!」

紹介とともに漆黒の英雄が出る

その姿は僕はもちろん、蒼の薔薇にとっても、アダマンタイトのなかでは頭が飛び抜けている存在だと言っても過言ではない

 

「おぉ!!」

冒険者たちの悲痛な叫びからが

希望に満ちた叫びに変わる

なおいつもなら、僕の名前が出ているところだが

ラッキーなことにそれはない

今回は危ない思いをしないで済みそうだ

僕は安堵から息をつく

 

「私達は決して勝てない戦いに挑むわけではありません」

「そうだな、それに希望はモモンだけじゃねぇ」

いつの間にか入って来たのだろうかガガーランが話す

彼女に視線が集中する

ほほぅ、まさが漆黒さん以外にも強い冒険者がいるのか

これならもう勝利なのでは?

楽勝とやつだろう

 

期待する僕、なんか視線を感じる

なんかガガーランがこっちを見ている気がするがまぁ、僕が弱いことは知ってる筈だし大丈夫だよね?

 

不意に僕の頭に固いものが当たる

鎧に身を包んだガガーランが僕の頭に手をのせていた

「俺達が逃げ切れたのはクライのお陰だ、こいつがいなけりゃ今頃死んでいただろうさ」

周囲の視線がモモンも僕に視線を向ける

いやいやいや、可笑しいだろ?

そもそもあれは僕の力じゃなく結界指の力だ

 

「そうだな、あの悪魔の攻撃をクライは防いでみせた、場合によっては私よりも強力な魔術詠唱者かもしれん」

いや魔術詠唱者って、君たちは僕が魔術を使ったところを見たのかな?

自慢でもないが、僕は一切の魔術が使えない

それどころか魔力すらほとんどない

予想外の流れに唖然とする

 

「イビルアイを越えるって・・・」

ラキュースが疑問の眼差しを僕に向ける、

それはそうだろう、そんなわけあるわけがない

僕にそんな力はない

否定して下さい

 

「うん、それは私も同意」

どこからが援護射撃がはいる、僕にとっては攻撃ではあるが

その犯人はすぐ近くにいた

ガガーランの影が浮かびあがり、その中から一緒に戦ったティアが姿を現した

なにしてんの?

 

三人の言葉に驚きながらも納得したようにラキュースは頷く

信じて貰っては困る

否定しようと、声をあげようとするが

またしても先手をうたれてしまった

 

「それは頼もしいですね、是非とも強力して頂きたい

叶うならその、力みせてほしいものです」

モモンが僕に歩みより話す

最早見事な連携プレイである僕に逃げ道がない

ここで否定しても信じてもらえないだろう

 

何故こうなった?そんなに期待されても困る

本来の僕はなんの役にもたたないのだ、勘弁してほしい

後退りたい、そんなことを思いながら気合いで耐える

 

「任して下さい、僕も出来る限り全力を尽くします」

つい答えてしまった

というかこの状況で「いや無理です」なんて言えるはずがない

全てを悟った

 

「それでは作戦を伝えます」

この言葉を最後に僕の記憶はとんだ

あまりのストレス故にだ

聞いた話だが僕は漆黒の英雄とともに首魁ヤルダバオトを討つ

主力部隊に任命されてしまった

 

普通にゲロ吐きたい



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外伝 嘆きと狂乱

設定では
アインズの計画を阻止(リエスティーゼ王国壊滅)したためシャルティアが怒りのあまり、アインズで内緒で嘆きの亡霊を殺そうと赴いたという

リエスティーゼ王国存亡編も頑張って書こうとは思ってます(笑)
(そこまで続けられたらですが笑)


ドブの大森林にて

 

 

「どうして私達を狙うのですか?」

シトリーら目の前の吸血鬼に問う

「そんなの決まってるでありんす」

「お前たちは御方のお顔に泥を塗った、それだけで万死に値しんす」

 

「だからおとなしくs」

 

同時に美しくも人間に対しゴミでもみるかのような瞳を向け吸血鬼は動こうとする、

 

轟音とともに

シャルティアが爆発、、正確にはその周辺が爆発する、草木が吹き飛び土煙が舞う

 

犯人は勿論シトリーだ、シトリーの特性ポーション「エクスプローションⅡ」だ

物体に液体に触れた瞬間に起爆するという単純なものだが威力が高く、生産性が高いという

シトリーの談

というか自分で質問しておきながら、相手が話す前に攻撃するとは、流石というか汚い

 

不意打ちとは汚いというかもしれないが、パーティーメンバーは一部を除き、不意打ちを不意打ちとは思ってない、、

 

まぁそんなことを言わせる前に終わるので

「こんな不意打ちは卑怯だ!」と言われることはないためだが

 

そうこう思ってはいるが一向に爆発の勢いが止むことはない、というよりいくつ持ってきたんだシトリー?

その衝撃波から周辺の木々は吹き飛び、大地は抉れ、砂埃が舞う

普通の人間、いや魔物でも無事ではいられないだろう

 

不意に土煙と爆炎の中、高速で何かが高速で空に飛翔する

 

「ずいぶん舐めた真似・・・ッ!」

話終わる前にルシアが魔法を、シトリーがポーションを投擲する

二人共、というより嘆きの亡霊は話を聞くきはないようだ

 

だが二度も同じ手は通用しないようでポーションと魔法弾の間を縫うようにシャルティアは動く

簡単に言ってはいるが、シトリーもルシアも並みではない、ルシアの「拡散する雷鳴」は彼女の雷魔法の中では最速な魔法だ、そもそも速さで雷を避けるなど普通不可能だろう

 

それに合わせるようにシトリーのポーションもだ、投擲する直後に栓を抜いたのか、より広い範囲に液体が拡散するようになっている、

 

雷とポーションの雨、これを捌くのはまず不可能なはずだ

それを難なく、まるで楽しんそうに笑顔で避けながら、此方に接近してくる

当然僕には何も見えないので呆然としている

 

一直線で迷うことなく

狙いはシトリーのようだ

 

(多対1の戦闘において、まず司令官を潰すのが定石、)

(剣士、聖騎士、盗賊は指揮官というよりあの性格で指揮官はありえんでしょうし、残りは三人、)

 

(魔術師詠唱者、錬金術士、補助職?でありんすが・・・黒髪は最早突っ立てるだけ、あれはないでありんす)

 

(魔術師詠唱者はよく周囲を見てるようだけど、、あれだけ魔法を連発しているのに指揮まで手が回るとは)

(なら一番はあの錬金術士ね、こちらの進路にポーションを投擲してくるし、何より、守られるようにパーティーの中心に陣取ってる・・・)

攻撃の嵐を避けながらシャルティアは考える

 

シャルティアは後衛職、前線に出ず、中央に待機するピンクのブロンド髪の女性に狙いを定める

シトリーは動かない、それどころか他のメンバーも彼女を守るきどころか動く気配すらない

 

シャルティアの射程範囲に入っても動こうとしない錬金術士・・・最初から避けるつもりでもないかのように

 

シトリーは懐からゴーレムコアを取り出し、地面にまく

コアを取り込むように地面が盛り上がり土人形(マッドゴーレム)が完成する

マッドゴーレムは盾になるかのようにシトリーの前に陣取る

 

「そんなものッ」

シャルティアは構わずに突撃し、構える

シャルティアとシトリーの距離(マッドゴーレム)が0になる

 

スポイトランスが突き刺さる

グサッ!確かな手応え・・・周囲に肉片らしきものが飛び散り、穂先が抉り貫く

シトリーが展開したゴーレムごと貫き、スポイトランスから回復のエネルギーが体に流れる

 

(・・・?)

 

だがその手応えは違和感があった何度も生物を殺してきた彼女にとっては、、

それは肉というよりはあまりにも柔く、骨というには滑らか過ぎる

 

彼女の盾となっていた、もろともに貫いたゴーレムが音をたてて砕ける

その先の人間、シトリーと呼ばれる女性は無傷だった

 

スポイトランスは彼女に届いていない

その寸前で停止している

半透明ななにかに止められているかのように

 

周囲の肉片(?)を確認する、それは確かに人間の肉の色をしていた、、だがそれはピクピクと動きだし次第に半透明の物体に変わり、空気中へ霧散する

それを、始めてみるがシャルティアは記憶にある生物と合致させる

 

半透明、粘液、擬態

少ないピースを繋ぎあわせ答えに至る

「スライムッ!!?」

気づいた、だが気づいたときには遅かった、シャルティアがスポイトランスを引き抜くよりも早く、それはスポイトランスを通じてシャルティアを飲み込んだ

レベルにしたら50台程度のスライムだ、この世界では強者だろうがレベル100のシャルティアにとって脅威にはなり得ない

 

シャルティアは完全にスライムに包まれた、ダメージはない、

それと同時に違和感を感じる

 

スライムとは基本、無害なものから毒素を分泌するものや微弱なものから濃硫酸を発生させるものが殆んどだ

 

だが、このスライムはそれらが一切ない

このスライムは明確な意思を持っている、更にレベル50となると何の特殊能力を持ち得ないはずがない

 

教えられるまでもないスライムに包まれてから感じる急激な脱力感

 

(この感覚は・・・!)

 

魔力を.MPを急激に吸いとられている

≪魔力吸収(マジックドレイン)≫とは比べものにならない速度でだ

 

シャルティアは迷うことなく自身もろともにスライムを魔法で攻撃する

それはこのスライムの核が見当たらないこと、物理攻撃に対しての完全耐性を懸念してだ、

何よりこれ以上MPを吸われるのは不味い

 

「≪朱の新星(ヴァーミリオン・ノヴァ)≫」

第9位階魔法の煉獄がシャルティアもろともスライムを焼く

当然レベル50程度のスライムでは耐えることが出来ず消滅する

 

シャルティアがスライムを脱出する前に嘆きの亡霊は既に動きだしていた

ルシアは魔法を詠唱し、その間に、リィズとルークは接近する

 

許可を得た猛犬かのように二人は

斬る

殴る

「分裂剣!!!」「ウラァァァァァ!!!」

ルークが正面をリィズが側面から攻撃する

正面からは1つから2つに分裂した剣が

側面からは無数の打撃が

 

シャルティアを、おそう

斬撃と打撃、どちらもこの世界の基準ではあり得ないほどの威力、ユグドラシルでも中堅レベルはあるだろう

ある程度のプレイヤーなら、、、だが彼女は最上位NPCにして最上位の種族、

こんなもの、どうとでもない

強引にスポイトランスを振る前に、打撃が穂先に、柄に直撃し、弾く

 

剣がシャルティアを斬ると同時に槍を抑えつけるかのように槍を斬る

 

初動を抑えられ、攻撃に移すことが出来ない

(時間稼ぎ!?)

 

その連撃は、シャルティアを倒すためのものではない

シャルティアを足止めするかのように、腕、特にスポイトランスの柄を握る腕を重点的に

足を踏み出させないために動きだすであろう、間接を狙う

 

「こんなもの!魔法最強化、大衝・・・」

「≪決壊の大洪水(コラプストラ・ダイダロス)≫」

声が聞こえると同時に正面から津波の如く、水が押し寄せる、魔法を唱え終える前に波に飲み込まれる

 

(コイツ、仲間もろとも?!)

シャルティアに攻撃していた二人は当然避けることも出来ず巻き込まれる

波に飲まれたせいなのか攻撃は止む、シャルティアには大したダメージではないとはいえ、水流に体が絡めとられ動きだしが遅れる

 

「≪蹂躙する雷(カラミティ・サンダー)≫」

突如として全身に電流がはしる、この水を通して

空からルシアが複数の雷を落とす

オリジナル魔法だろうか、シャルティアが知らない魔法だ

 

威力から想定では6~8位階レベルの魔術詠唱者だろう

 

(どうやら、雑魚ではないようでありんすね)

シャルティアは攻撃を受けるなか考えた

(最低でも6位階、、でもまだ実力を隠してるなら・・・全員の実力は多少の差はあれど同じね)

(第8位階レベルが6人・・・か)

(めんどうね)

 

飛翔を開始する、水から抜け出すと同時に周囲を観察する

嘆きの亡霊はシャルティアを囲むようについていた

先程の連携彼らの強みはチームワークにあるのだろう

個々の実力が高いだけなら今頃何人かは倒れているはずだ、

 

 

「ならそれを分断、各個撃破すれば済む話でありんす」

「≪眷属召喚≫」

シャルティアが唱えるとともに瞳の赤、狼、蝙蝠といった

 

「行け!眷属y・・・ッ!!?」

無数の魔物が彼女の影から現れ霧散する

それと同時に地面に叩き伏せられていた

 

ルシアが魔法をクライはほぼ偶然に異郷への憧憬を起動する

「≪暴君の命令(タイラント・オーダー)≫」

「≪過重重量波動世界(オーバーグラビティ・フレーム)≫」

 

「重力・・・魔法!!?」

二重の重力を受けた眷属達は数秒で圧死

 

周囲一帯は更地になっており、草木やなにもかもが上から凄まじい力を受けたのからペチャンコになり小さなクレーターができている

 

シャルティアは強力な重力を受けながら立ち上がろうとしていた

 

それを見逃す訳もなく、

全身フルプレートに身を包んだ4mをも越える体格をもつ「不動不変」アンセム・スマートはまだ動けないでいるシャルティアに向かって拳を振り下ろす

「武技≪鋼鉄の豪腕(アイアン・フィスト)≫」

シャルティアは避けることも出来ずまともにその一撃をくらう

拳は大地へと突き刺さり、地響きが起こる

大地にヒビが入り、土煙が舞う

その巨大な拳は小さなシャルティアを丸々包みこんだ

 

メキョッという骨が折れる音がする

凄まじい衝撃を受けて骨が砕ける音だ

 

アンセムの腕は手首がへし折られていた

 

「痛いでありんすかえ?」

赤目の吸血鬼が可笑しそうに問う

アンセムの腕を片手で持ち上げながら

 

「・・・・・・」

アンセムは答えない

手首が折られたことを認識したアンセムはすぐさま魔法を行使する

「≪慈愛の神聖領域(セイクリッド・サンクチュアリ)≫」

癒しの光、治癒の力が彼を含めた領域に降り注ぐ、

アンデットであるシャルティアには有効である

 

ダメージを受ける前にシャルティアは領域外へと離れる

 

「あれだけやって効いてないとか・・・」

ルシアは魔力の消費から痛む頭を押さえる

「予想外ですね・・・ある程度はと思ったのですが、スライムでガッツリ魔力を吸われたはずですし」

シトリーはその言葉とは裏腹に冷静に分析する

 

ニヤリと飛翔しながら、情弱な人間を見下ろしながら

「お遊びは終わりでありんすえ」

「それは、こちらもですよ、ルシアちゃん」

その言葉と共に、シャルティアは特殊技術による完全武装をする

シトリーはシャルティアに聞こえないほどボソッとした呟きで

クライから預かっている魔封じの水晶を

ルシアは13狐の2神尾を

 

それぞれ取り出す

 

「死せる勇者の魂(エイン・へリアル)」

「魔女の秘術・土 (ウィッチクラフト・ガイア) 古巨人軍隊行進(エンシェントオブアーミー)」

「支配の座天使(スローンズ・ドミネーションズ)」

三人の詠唱と共に

 

本体から分裂するかのようにモノクロのシャルティアが

 

300を越える太古の巨人(エンシェントゴーレム)が

 

神々しさを感じさせる鎧を纏い天使と言う名にふさわしい二対の翼と燃え盛る6つの車輪をもつ戦車に騎乗(浮遊)し、全身に炎を纏う、馬の手綱を握る第3位の座天使が

 

天使は武器をもつ代わりに10の「罪業を裁く火焔剣(インフェルノ・ジャッジ)」が天使の背後に円を描くように浮遊している

その姿は翼がなければ、悪魔とみまちがうほど

 

 

 

「ルークさん、お兄ちゃん、私はあっちの偽物を」

「ルシアちゃん、お姉ちゃん、天使は本物を」

「ルシアちゃん!!!こっちにもゴーレムをまわして下さい!!!」

「うっしゃー!斬るぞー!」

「ぶっ殺すぞー!」

「はぁーーそんな簡単に、、魔女の秘術、、、」

「ウム・・・」

 

それぞれが頷く

シトリーはアカシャゴーレムを起動し

ルシアは300のゴーレムを再び出す

 

アカシャは偽物へ、座天使は本物へ

 

「ルークちゃん、流石に今回は剣を抜くべきかもね、あいつ強いし・・・」

そういいリィズは進化する鬼面(オーバーグリード)を

「そうだな、技を使う度に木刀を変えるのも面倒だしな、」

ルークは紅血の惨殺剣(スカーレッド・ブラッティ)を

 

「はぁぁぁぁぁぁ、シト!!ポーション!!!」

ルシアは諦めたように溜め息をつきながら一気にポーションを飲み干す

 

「ふぅ・・・」

シトリーはアカシャゴーレムを操作すると共に奥の手のポーション、透き通る藍色「凍土」を取り出す

 

「皆さん、ここからが本番です、お姉ちゃんとルークさんはいつも通り、お兄ちゃんはタンクを、ルシアちゃんと私は後衛を、、、」

「ウム・・・」

「はぁ、精霊の祷り(フェアリーホープ)」

ルシアが魔術を唱え全体の身体能力が向上する

5人と1人(クライ)がそれぞれのポジションにつく

 

「覚悟はよろしいでありんすか?」

「「「「「いつでも?」」」」」

5人は声を会わせ、同じ言葉を言う

 




忙しい過ぎてあまり投稿出来ないので
ネタもない・・・やばいよー

見所シーンを書くのは楽しいのですが、そこまでの導入が・・・キツいー

vsアインズ様にしなかった理由は流石に勝てないからです、
いくら嘆きの亡霊でも時間耐性と即死耐性は・・・

今後やってみたいのは
13尾の神狐vs守護者
番外次席vs
アークvs
兄妹狐vs守護者

オリジナルスキル解説

「強制対等条件」
そのなの通り自分と相手のステータスを対等にする
ステータスに(プラスの)影響をうけるのは
自分レベル50相手レベル90なら自身のレベルを90まであげる、
攻撃力20、守備力30、MP 100
相手、攻撃力120守備力100MP1200
なら自分、攻撃力120守備力100MP1200
に対等になるように能力を底上げする
スキルなどは対象外

自分-魔法が使えない、相手-魔法が使える

自分-魔法が使えない、相手-魔法が使えない

「強制不平等条件」
対等条件の、逆
両者のステータスが対等にならないように調整する
自分レベル20、攻撃力120、防御力320、MP100
相手レベル20、攻撃力150、防御力200、MP150
レベル1ダウン 以外変化なし
自分レベル68、攻撃力300、防御力300、MP1000
相手レベル72、攻撃力300、防御力300、MP1000

自分レベル68、攻撃力300、防御力300、Mp1000
相手レベル67、攻撃力220、防御力200、mP800
調整するのは相手のみ
不平等になるようにステータスを下げるためその分のステータスを下げる
なおその際には全ステータスが劣るようにする

「絶対不文律」
自己ルールの押し付け
「命を奪うと思わない限り奪われることはない」
ダメージは与えられるが死なない
「負けたらその者の一番大切なものを失う」
自身の命を除くなにかを負けたら奪われる
負けたらというのは勝負であれはなんでも
戦闘、知恵比べ、じゃんけんなど勝敗のつくもの全て


「空想世界具現(迷い宿)」
空間を侵食し迷い宿を出現させる



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切り札

どうしてこうなった?

 

僕は今、王国兵士たちを先導(つれられて)してヤルダバオトとかいう悪魔が待ち構えているであろう(王女が予想した)とされている複数あるうちの一つ

北区域、市民街の倉庫へと向かっていた

 

「くそ!槍隊構え!」

司令官であろう男が慌てたように兵達へ指示を飛ばす

大きな怪我こそないものの全員疲労の色が濃い

それもそうだろう、市街地には大量の低位悪魔で溢れていた、

 

最初こそ、問題なく通過していったが

進むにつれ悪魔は数を増し、負傷するものが増えていった

低位といっても数が多すぎる上に、中位悪魔が混ざっているのが厄介だ

幸いにも低位悪魔には弾指が通じるようで、心ばかりの援護が役にたっていた

 

魔力もなくなったのでもう使えないのだが・・・

冒険者も魔術詠唱者も限界のようだ

斬る度に刃は零れ、防具で命は守られるだろうが衝撃は、ダメージは殺しきれない、

、魔術も低位魔術ではダメージを与えることは難しく、自身の魔力残量を計算しながら戦う必要がある、そのため戦闘中へのストレス、魔力枯渇の倦怠感が彼等を襲う

 

動きが鈍ったものからやられていく

現在、僕達は悪魔の大群に囲まれていた

 

血に飢えた狼、蛙魔、小悪魔など選り取りみどりだ

悪魔のバーゲンセール、残念なことに僕達は限界だが

 

包囲網を狭めるようにジリジリと悪魔たちが近づいてくる、兵士たちは構えてはいるが、その目には恐怖や怯えが宿っていた

 

流石に切り札を使うしかないだろう

僕は指輪型の宝具、異郷への憧憬を使用する

黒き黒曜石の宝石に藍色の光が灯り

脳内に指輪に秘められた魔法が浮かびあがる

 

「過剰重力波動世界(オーバーグラビティフレーム)」

ただ、一度空気が大きく揺れた、それだけで全てがおわっていた

 

指輪から藍色の輝きが失われると全てが終わっていた

 

僕達を襲っていた悪魔は全て圧死していた、中級悪魔でさえ、原型を保つことが出来ずその悪魔がいた場所には小さなクレーターと肉塊が出来上がっていた

 

これが僕の切り札

ルシアにいって無理に込めて貰った重力魔法だ

 

まるで僕が倒したのかのように、100を越えるであろう悪魔はたった一つの魔法で全滅した

「オオォォォォォォ!!」

「流石アダマンタイト級!!」

「流石です!クライさん!」

後ろで僕を賛美する声が溢れる

僕は何もしていないが・・・気持ちいいな、

つい調子にのってしまう

 

~ナーベとイビルアイにて~

「お前が二人、私が三人でも構わないが」

「私が三人、貴女が二人です」

「ふん、頑固な女だ」

 

「ふーんなら私が全部貰ってやるよ?」

夜のなか、月明かりに照らされそのピンクの髪が鮮やかに輝く

彼女は建物から飛びおりる

 

「お前は、、、」

イビルアイが露骨に嫌そうにする

「よお糞餓鬼!負けたんだって?ザマァ!」

そんなイビルアイに気にすることなくリィズは玩具でも見つけたかのように無邪気に言う

相当彼女が負けたのが嬉しいようだ

 

「その減らず口もあの、悪魔と対面したら言えなくなるだろうさ」

イビルアイはそのような子供の反応など気にもとめず

冷静に答える

 

「はぁ?私が?てめぇみたいな雑魚と一緒にすんじゃねぇよ?」

 

 

「はぁ蚊蜻蛉共がいい加減にしていただけませんか?」

 

「あ?誰だてめぇ、」

「蚤g・・・私は漆黒、アダマンタイト級冒険者ですよ」

「知らねぇよ!ちょっとリィズちゃんよりアダマンタイトになったからって調子のるなよ?」

 

「あ?」

ナーベは本気で嫌なもの、生理的に無理なものをみたかのような視線でリィズをみた

 

「ん?なにリィズちゃんと殺ろうていうの?いーよそこのクソメイド共々相手してやんよ?」

「二人とも落ち着け、今は味方同士であろそっている場合ではない、協力しあうべきだ」

イビルアイが止めようとするが二人は止まらない

互いが互いに威嚇しあっている

下手をしたらこの場で殺しあいが始まりそうだ

 

「必要ねぇよ」

「遺憾ですが同意です」

二人同時に

いや、息ぴったりだなお前ら・・・

以外にも波長が合うのか、

 

「いいか相手はk」

「知るか!!!そんなにしてぇなら雑魚同士で勝手にしやがれ!!!」

リィズが話を聞く前に大地を踏み抜きメイド悪魔に特効する

数の不利など全く考えていないようだ

 

「愚かな・・・」

その一言とともにユリは後退する

「一応・・・援護する・・・」

感情が読めない、そんな声で

手にもつライフルを構え銃弾を放つ

火薬のような消炎が銃身からあがると同時に、複数の弾丸が放たれる

それは放物線を描き一直線にリィズへ向かう

 

そしてその弾丸は彼女に当たるまえに、消えた

 

「ッ!!!?」

シズは見えていたのだろう

 

「そんな、物理文明から引っ張ってきた火気なんかがリィズちゃんに通用するわけねぇだろ!!!」

その言葉とともに彼女から蒸気があがる

ブチギレたようだ

口調がかなり荒い

 

弾丸が消えた、リィズは魔法を使ったわけではない

スキルでもない

彼女は高速で向かってきた弾丸をただとっただけだ

 

「雑魚を基準にしてウチらを舐めるのもいい加減しろ!!!」

弾丸を放ったシズへ向き直り、大地に罅が入るとともに姿を消す

 

「剣刀蟲!」

シズを守るようにエントマは前へでる

裾から剣型の蟲が現れ、腕に巻き付き固定される

 

リィズが見えているのか、エントマは彼女に合わせるように剣を振るう

空気を撫でる音

眉間に剣が接触する

 

たがそれは斬る直前にとまる

二本の指で剣を受け止めていた

引き抜こうとする、がピクリとも動かない

この体のどこにこれぼとの力があるのか

 

驚愕するエントマを他所に

リィズはなす

 

「んなもんが効くか!掴め、流せ、好きにしろ、何が悪いんだ?言ってみろよ!!!」

何をいってるのかわからない

リィズは誰かに怒鳴るように

エントマの顔を殴りつける

 

その一撃で仮面は吹きとぶ

醜悪な虫の顔が顕になる、だがリィズはそんなものに気にすることなく

顔面を殴りつづける

何度も、何度も、粘液が手につこうが、謎の体液で汚れようが

金属音が響き続ける

 

「ガハッ!」

「エントマ!!!」

 

「ルプ、ソリュシャン!!」

シズは予想外の展開に動揺したが

すぐさま、エントマを助けようと彼女に馬乗りになり

殴り続ける人間に接近しようとする

 

突如、体を動かせないほどの、重さが彼女を、悪魔メイド達を襲う

地面に叩きつけられ、体がめり込む

体を地面につけ、立ち上がろうとするが襲いかかる重力により耐えるので精一杯だ

 

人間が、汚い、足で姉妹の顔を踏み込む

その、下等生物が、大切な家族に足を向けていることに

全身の血が沸騰するような

怒りに身をやく

 

万力の、力を生み、各々のメイドが起き上がろうとする

 

ボキッ!!!

過剰な重力に逆らっためか、何かが砕ける音がした

骨が、関節が折れる

手は有らぬ方向に曲がり、コントロールを失った腕は再び重力の影響を受ける

それでも動きを止めない

 

めり込む大地を踏み込み、渾身の力をいれる

 

そんな怒り狂う、重力の影響から解放されかかっていた、一番早く立ち上がろうとしていた、ユリの頭をリィズは踏み抜いた



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最悪の勝利

振り下ろされた踵

 

ユリ・アルファの頭は身体から分断し、地面にめり込んでいた

 

「んじゃ・・・次ね」

リィズは未だに重力魔法の影響下にある、戦闘メイドを見渡して考える

誰を次に潰すかを

 

(蟲野郎に、人形、狼女にスライムか・・・)

「クライちゃんが協力してくれたから出来れば全滅させたいけど・・・スライムはシトが欲しがってるしなぁ」

 

「キサm!」

立ち上がろうとする赤毛のメイドを殴りつける

素手であるにも関わらず金属音が響く

 

「お前でいいや、狼女」

まるで作業のように、表情を崩すことなく目の前のメイドを殴り続ける

何度も、

何度でも

動かなくなるまでだ

 

「ガァッ!」

悲鳴など気にすることなく無心に原型が保てなくなるように力を籠めて

 

「貴様・・・この蛆虫が・・・」

それをみせつけられたナーベラルは限界のようだった

それでも動きださなかったのは御方のご命令だからだ

それが無ければ今すぐにでも目の前の人間を灰にするところだった

しかし、それは命令と言えども何も感じないわけではない

目の前で家族がやられあまりの怒りに美しい顔が歪んでいる

 

そしてリィズはそれを見逃さなかった

 

「何?文句あるの?」

殺気が自分に向けられていることを知りナーベに食いかかる

「いいえ・・・ですが、動けない相手を一方的に痛めつけるのはどうかと思っただけです」

苦しい言い訳だ

正直、今すぐにでも殺してやりたい、般若のような顔を浮かべるナーベにリィズは嘲笑うかのように言った

 

「なに?もしかして自分が正義の味方とでも思ってる?」

「これは戦いなんだよ、ルールなんてねぇ!そいつが動けようが、動けまいが、関係ねぇ!そんな下らねぇことを考えるなら冒険者なんて辞めちまえ!!!」

 

銃声が響く

リィズの手には放たれたであろう弾が握られていた

ナーベを一瞥し振り向く

「何度言わせんだよ!!!物理文明から引っ張ってきた武器なんかでリィズちゃんに通用するわけねぇだろうが!!!」

怒号を飛ばし、大地を抉るほどに踏み込む

姿が消え、ひとつの影がシズの元へ向かう

 

シズは連射し応戦するが銃弾よりも速い彼女には掠りもしない

シズとの距離が迫りつつある

 

不意に民家が崩れ落ち、ヤルダバオトが吹き飛んできた

ほんの一瞬、視線がそれに集まる

 

「どうやらここまでのようですね」

立ち上がり、周囲の見回した悪魔は焦るように言った

そのことば重く、憤怒が含まれていた

 

「それはどういうことだ?」

壊れた民家から漆黒の英雄が現れ、問いかける

 

「これ以上は私の仲間たちが危ないようですし、ここは痛み分けということにしませんか?」

「いいだろう」

「いいわけねぇだろ?」

二人の話に割り込むようにリィズは悪魔の提案を拒否する

 

「フゥ、わからないのですか?私たちがいつでも街の人間たちを殺せるということが・・・」

「だからなに?」

呆れるように説明するヤルダバオトをリィズは切り捨てる

流石に予想外だったのか、その動きが止まる

 

「いいか?私たちが殺すんじゃねえ、お前たちが殺すんだ?私たちのルールにはなんの問題もねぇ」

「なにを、いって!」

イビルアイがリィズの考えていることを察し

声を荒らげる

それとともに全員は理解した、この女は人質など見捨てるつもりだったのだと

端から守るきなどなかったのだと

 

「んじゃ、始めよっか!!!」

「待て」

漆黒の英雄はリィズに刃を向ける

それをみてリィズは漆黒を、モモンを睨む

それは冗談などではなかった

 

「なんの真似?」

「それは此方の台詞だ」

二人の殺気がぶつかり合い

周囲がその気迫に押し潰される

 

「私たちの目的は住民の保護だ、」

「結果的に被害が拡大してもか?」

リィズにしては随分と賢い返答だ

そのような問答が続くなかヤルダバオトは話に割り込む

 

「何を争ているのか知りませが、私たちはこれで」

焦るように最低限の言葉だけ話、転移する

悪魔たちは撤退し、住民を守った

勝利のはずだ、だが空気があまりにも重い

睨みあうリィズと、モモン

 

先に口を開いたのはリィズだった

「はぁーもういいやー萎えたし、クライちゃんにも仲良くしろって言われてるしね、今回は譲ってあげる」

「それはどうも」

リィズは臨戦態勢を解き、腑抜けた明るい声ではなすが

モモンは礼をいうがモモン自身、言葉のトーンからそんなことを思っていないのは明らかだ

 

リィズは姿を消し、モモンは兵士の元へ歩きだす

その姿をみて

 

一部始終を見ていたイビルアイは

勝利という形としては最悪な結果になってしまったと

感じたのだった

 




やっと更新出来ましたがかなり内容に詰まってます
ヘルプミー
日本語勉強します
語彙力と表現力がなさすぎだー(泣)


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ルシアの災難
巻く引きは不在でお願いします


クライは馬車に揺られながら今までの災難をふりかえっていた

 

ヤルダバオトの悪魔の集団を退けてから数日が立った

街の人や王国兵士から感謝はされたが、僕は殆んどなにもやっていないので

なんだか罪悪感がある

特に蒼の薔薇の目が痛い

最近は何故かティアというくノ一から食事に誘われているが、そのたびに双子のティナというくノ一から凄い訝しむような視線を受ける

 

申し訳ないのだがやんわりと断らせて頂いている

そのたびにティアがションボリとするのだが、

ティナが怖すぎるのがいけないのだ

 

またシトリーからは「またですか」みたいな目線を送られる

僕なにかやった?

 

他にも国から褒美を与えたいだの、この国に在住してほしいなど、色々めんどくさいことが多いので

とりあえず逃げることにした

 

「本当に良かったんですか?クライさん・・・」

シトリーが聞いてくる

 

「いいよ、いいよ目的は達成できたし」

まぁめんどくさいしあのまま王国にいても危険な依頼とか受けさせられそうだから

これで良かったのだ

 

それに目的が達成できたというのもあながち嘘ではない

僕はそう思い、馬車の外をみる

いつも通りリィズが走っている

その隣で赤毛の、僕の幼馴染みが一緒になって走っていた

外をみる僕をみてシトリーは納得したように話す

 

「ルークさんですか」

そう住民救出作戦にはどうやらルークも参加していたようだった

というよりかは好き放題に悪魔を斬っていただけだが

結果的に住民を守っていたので結果オーライである

なんでも沢山斬れるから参加したらしい

 

「そういえばクライさん、次は何処に向かいますか」

「そうだなぁ~次は帝国に行ってみようかな!」

帝国とは王国とは違う発展を遂げた国らしい

さらに高級料理店やスイーツ店も他国とは1枚も2枚も上だとか

スイーツハンターの僕としては行かない理由はない

 

「帝国ですか・・・」

シトリーは難しい顔をし考え始めた

僕も噂は聞いたことがあるが

そういえばシトリーとは帝国で再開したが、何かやったのかな?

 

「わかりました、向かいましょう」

意を決したようにシトリーは答える

いや、別に観光目的なのでそこまで難しく考える必用はないのだが

シトリーは真面目だから色々考えることがあるのだろう

 

「まぁ気楽に行こうよ、気楽に、」

シトリーの不安を和らげるように言う

きっとなにも起きない、

シトリーの表情は晴れないがまぁ、なんとかなるだろう

 

僕は呑気に考えながら窓から差し込む暖かな日光に当たりながらひと眠りすることにした

お休み~~

 

ーエランテル酒場にてー

「そうかもう行っちまったのか・・・」

ブレイン・アングラウスは口惜しそうに酒を呷りながらいう

「なに、クライ殿には何か考えがあるのだろう、仕方ないことさ」

「千変万花か・・・なんというかあいつにしっくりくる2つ名だな、パッとしない奴ではあるが、あいつの策のお陰でヤルダバオトの計画も頓挫したらしいしな」

「まぁでも祝勝会には来てくれてもよくねぇか?」

ヤルダバオト撃退の祝勝会、MVPが、一番の功労者が不在ではあるが、豪勢な料理と高級な酒で小さなパーティーを開いていた

蒼の薔薇、王国戦士長、ブレイン、豪華な面々が集まる様子は周囲からかなり注目されていた

 

「そうね、ティアのこともあるし」

ラキュースはそう言いながら意味深な視線を隣で一人元気がないティアへ送る

 

「別に・・・礼が言えなかったのが残念なだけだし」

「まぁまぁそんなに落ち込まなくてもよお」

「落ち込んでない」

笑いながら励ますガガーラン、反論するがティアの言葉に力はない

こりゃぁ重症だなぁ

「そうね、せめてお礼だけでも言いたかったわね」

「俺は一度手合わせしてみたいものだ」

ラキュースとブレインも同意するように

どちらも何も言わずに急に去っていったクライには思うことがあるようだ

 

「でも実力は確か」

黙っていたティナが口を開いた

 

「あぁ、何でも街全体に重力魔法をかけたようだが、にわかには信じられない話だ、あれほどの魔法をあれだけの威力を保ちながら、しかも無詠唱で」

「貴女でも無理なの?イビルアイ」

ラキュースの質問に鼻で笑う

彼女にそんなきはないだろうが嫌味である

散々、侮っていた相手が自身よりも遥かに格上な魔術詠唱者など

 

「無理に決まってるだろ」

本当なら、人ではないイビルアイにとっても化け物でしかない

クライの2つ名を聞いたときは思わず手を叩いて納得したものだ

 

「だが、私はもう会いたくないぞ、あの女がいるからな」

「「「「確かに!」」」」

イビルアイの一言に皆が賛成したように声を合わせる

思わず笑ってしまうほどだ

あの女とはもちろん、リィズとシトリーのことである

 

「あはははは・・・」

「まぁ悪い方ではない・・・はずだ」

「俺はシトリーのほうが苦手だな、上手く言えねえが腹黒そうだ、」

「俺もだぜ、あの女は何考えてるのかわかんねぇしな」

「同意」

「賛同」

それぞれが互いの所感を話ながら(悪口)

宴は続いていくのだった




これにて一章は完結になります(設定してないが)
見てくれた方々、誠にありがとうございます
2章の舞台は帝国
ここでもクライ君は大暴れ、、、皇帝どころかアインズ様も頭の痛い思いをするでしょう・・・

またこのストーリーをみて少しでも面白いと思って頂けるのであれば
是非「嘆きの亡霊は引退したい」を見てください
拙い自分とは違いとても面白です(上手く表現できん笑)

一応王国滅亡編まで続けていくつもりですので
今後ともよろしくお願いします

psよろしければ面白いなろう系を教えて頂ければ嬉しいです
他にもやりたいことはあるのですが、オーバーロードだけではやっぱり似たような物語になるので
どうかよろしくお願いします


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結果報告①

~ナザリック地下大墳墓、玉座の間にて~

「デミウルゴス、弁解があるのであるなら聞きますよ?」

各階層守護者がアインズに跪きながら

今回の計画発案者、デミウルゴスに対してアルベドは今にも殴りかかりそうなほどの殺気を向けていた

 

「やめないかアルベド、気にすることはないデミウルゴス、わたしは別に怒ってなどいない」

崇拝する至高なる御方が慈悲深く、無能な自身に対して許しの言葉を頂く

怒っていない・・・それは本心かもしれない、だが主に対してそのような気遣いをさせてしまうなどデミウルゴスにとっては死よりも重いものだった

すぐにでも自害し詫びたい所ではあるが主の命令である以上は・・・

 

「ご報告させて頂きます、今回のゲヘナ作戦でありますが本来の目的の殆んどが失敗に終わりました」

「人間を拉致する役割の悪魔は人間の搬送中に重力魔法により圧死、捉えた人間は1000人にも満ちません、加えて本来の計画も頓挫、名声の多くは憎き嘆きの亡霊が得てしまいました」

 

跪き、自分の情けなさ、無能さに歯噛みしながら淡々と報告していく

あまりの恥ずかしさに主の顔を直視することが出来ず、不敬にも顔を下げることしか出来ない

周囲の守護者も今回の失敗には攻めるような目付きと、デミウルゴスの計画を失敗させるほどの人間に対しての戸惑いが現れていた

 

「そうか、だがなデミウルゴスよ、ミスは誰にでもある、勿論私にもだ」

「・・・・・・アインズ様に限ってそのようなことは」

デミウルゴスの言葉を遮るようにアインズは続ける

不敬にもアインズの言葉に異を唱えようとしたためアルベドがデミウルゴスを睨むが

アインズは前に出ようとするアルベドを制止する

 

「よいのだデミウルゴスよ、大切なのは失敗から何を学んだかだ、今回は失敗してしまったなら次にいかせ、同じ過ちを犯さぬよう励め、それでも納得出来ぬのであれば今回のミスを帳消しにするほどの成果を上げてみせ

よ!それが私がお前に与える罰とする」

 

偉大なる御方は立ち上がりデミウルゴスに命ずる

(なんという寛大な御方なのか)

いやアインズ様は全てお見通しだったのかもしれない

デミウルゴスが失敗することも、それがわかってもなお自分を成長させるべく機会を与えてくれた

デミウルゴスのアインズへの忠誠心がより大きく上がっていった

 

「期待しているぞデミウルゴスよ、何しろお前はナザリック一の知恵者なのだからな、」

「お任せ下さいアインズ様!」

秘められたその言葉を理解し

デミウルゴスは御方に平伏し答えるのだった

 

「クシュンッ!!、ん~誰か噂してるのかな?」

同時刻、馬車の中で急な寒気に襲われくしゃみをするクライだった



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結果報告②

フムフム・・・」

シトリーは魔法鞄の中身を確認しながら

今回の市民救出作戦の成果に笑みを浮かべていた

 

大量の違法麻薬

八本指の宝物庫に保管されていた財宝にマジックアイテム、その中でも異質な存在を放っている

禍々しい悪魔の象があった

 

「思わぬ掘り出し物が見つかりましたね」

くすねたお宝とは比べものにならないほどの代物

まず間違いなく八本指が保管していたものではないだろうと確信していた

 

あの騒動のなか、何者かがある目的のためにわざと宝物庫に置いたのだとシトリーは予想していた

その、目的はなんなのか?

考えられるのはあの騒動で誰が一番得をしたかだ

 

「貴族辺りが怪しいでしょうが、あの悪魔を操れるとは思いませんし」

反王権派の貴族なら、この事件をもとに王を紛糾出来るだろうが

シトリーの見解は違う、まず一歩間違えれば国家が転覆しかねない行為だ

国の弱体化は敵国の進行を許す原因にもなる

 

そもそも反王権派のパーティーに潜入した際

特に五大貴族に接触を図ってみたが、レイヴン侯は反王権派というよりは派閥の均衡を保っているように思えた

シュルムラシール侯は金欲にまみれたよくある子悪党であるが、そのぶん損得勘定を考える人間であるため、

 

メリットどころか王国にとって痛手を受けることは結果的に貴族にも影響を及ぼすため、悪魔を召喚する動機がない、

 

今回の事件はそれこそうってつけのものではあるが

いくら何でも無謀すぎる

それにこの作戦には難点もある、まずは悪魔を撃退しうるほどの実力者が存在すること(嘆きの亡霊を除き)

そしてあの悪魔を召喚するための贄

国家絡みでなければあれを喚ぶの無理だろう

 

調べてわかったことだが、あの悪魔たちは人間を拉致することを目的としていたようだった

悪魔と言えどもあそこまでスムーズにことを運べるものか?

キレ者はいるだろうが、入念な計画されたものでなければ・・・

そもそも国一つを単機で落とせるほどの力をもった悪魔なら人間だけを誘拐するのにあそこまで面倒なことをするだろうか?

 

「となると王国内部に悪魔に通じるものがいるということでしょうか」

悪魔に情報をリークしたものがいる

そう考えるのが妥当か・・・

 

貴族を除けばあとは王族になるが・・・現国王はありえない、あれは優しすぎる

ならば時期国王候補の長男と次男だが・・・

そもそも長男はシトリーからみれば愚者だ、あれに国を動かすことは不可能だろう

仮にあれが悪魔を呼んだのならこの国は終わりだ

 

次に次男だがこれもありえない、猫を被ってはいるもののあれは国のことを本気で考えている

 

「となると、あとは黄金の姫ですね」

一度だけ対面し、他愛もない談笑した可憐な姫を思い浮かべる

一見、慈愛の心を持ち、民のことを、国の未来を考えているように思えたが

その笑みが作りものであると感じられた

まるで人形のような

 

「はぁ~一国の姫が一番得体の知れない存在とは」

仮にあの王女が悪魔の内通者なら・・・

「離れて正解ですね、」

クライ・アンドリヒはもしかしたらそこまで考えていたのかもしれない

確かにあれはうちでも手が余る存在だ、

何かやらかすまえに姉を使って暗殺したほうがよい程に

 

「判断材料が足りませんね・・・少し調べる必要がありそうですね」

そう考え、後に暗殺者を雇い仕向けてみたがそのほとんどの連絡が途絶えたのだった・・・・

その、なかにはシトリー作人口生命体キルキル君3も含まれていたため

シトリーは王女が限りなく黒だと判断したのだった




書き貯めするため更新が遅れます


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黒の魔術詠唱者

昼の街道、鎧に身を包んだ騎士、野菜を叩き売りするおばちゃん、鬼ごっこをする子供

活気付いた街並みはその国の繁栄ぶりを示すかのように帝国街道は賑わっていた

その中でも一際目立つ三人の女性がいわゆる女子トークで花を咲かせていた(?)

 

「ルシアちゃんも苦労してるのね」

「えぇ本当にうちのリーダーときたら」

ムスッとし少し可愛らしい表情をしている黒髪の女性、嘆きの亡霊の魔法使いにして「万象自在」の2つ名をもち若くしてランク6、魔術詠唱者ルシア・ロジェは依頼仲間である、ハーフエルフの盗賊、イリーナと人形のような可愛らしい金髪の魔術詠唱者、アルシェに愚痴を聞いて貰っていた

 

「うんルシアさんがお兄ちゃん好きなのはよくわかった」

「違います!?」

アルシェの感想に先程まで丁寧な言葉(普段と比較して)から一転、すがでたかのようなすっとんきょうな声で批判した

それに同意するかのようにイリーナも首を縦にふる、彼女も愚痴を聞いていたし内容も、酷く納得出来るものではあったのだが

何故か惚気話に聞こえてしまうのだから不思議だ

女性の話しが出てきたさいにはお兄ちゃんと親しそうにする女性に対してリーダーは~と批判していたが明らかに嫉妬しているようだった

 

兄妹と言ってもどうやら義理のようで、恋慕の情を抱いても不思議ではないだろう

そのあまりにも新鮮な反応にアルシェまでもがクスリと笑ってしまう

 

「まぁでもルシアの気持ちは分かるわ。なんなら女癖の悪さと言ったらヘッケランも似たようなものだしねぇ」

「本当に、イリーナという美人な彼女がいるのにこの前も他の女性に目移りしてたし」

アルシェも同じ考えなのか溜め息を吐きながら答えた

ルシアは二人の様子に、ヘッケランと呼ばれる男を思い浮かべる

確かにそんな感じがする・・・

 

「あ、ここじゃん集合場所・・・て、また昼間から酒場なの?!」

「全くあの飲んだくれどもは、せっかく優秀でしかも美少女の魔術詠唱者との初仕事っていうのに」

「気にしない、いつものことだから、それにヘッケランはともかくロバーテイクがいるから問題ない」

「いつものことなんですね~」

 

 

「こらヘッケラン!また昼間から飲んでるの?」

「げッ!イリーナ?!」

昼ということもありこじんまりと人気のない酒場のなか、二人の人影が端のカウンターの席にみえる

2振りのサーベルのような武器を下げた20代半ばから後半の金髪の男性

熊のような鍛えられた肉体におおらかな優しそうな見た目に銀の装備に身を包んだ神父のような男性

 

「なにか?げッ!よ?なーに?私がいたら不味い話しでもしてたわけ?」

「そっそんなことはないよな?ロバーテイク」

いきなり、話を振られたロバーテイクと呼ばれる顎髭を蓄えた優しい印象をもつ信仰系魔術詠唱者は溜め息をつきながら彼に同意する

 

「はぁーえぇ勿論ですとも、今回の依頼について、ですよ」

 

「ごめんねールシアちゃん、こんな駄目リーダーの情けない姿をみせちゃって」

「ダメリーダーって、そりゃあないぜイリーナ」

「いえ、大丈夫です、気にしていませんから」

情けなさならうちのリーダーのほうが数段上であるので問題ない

なんならプライベートと仕事の切り替えが出来るのあたり、リーダーにも見習ってほしいほどだ

 

「うん、いつものことだから」

「ウッシ!ルシアもそう言ってる訳だし」

「少しは自重して下さいよヘッケラン」

やり取りは少し遠慮のなさを感じるがいつものことなのか気にすることなく話が進む

その雰囲気からルシアは呆れではなく懐かしさを感じた

自分のパーティーもこんな感じ・・・いや、これよりかなり過激で罵倒が飛び交っていたものだが

 

「だがなぁ大したもんだぜ、その若さで2つ名もちでしかも4位階魔法まで使えるんだってな」

「確か2つ名は「豪雨」でしたか」

「扱う魔法の規模と水魔法を使うからだったからだっけ?」

「うん、魔法なら蒼の薔薇のイビルアイにも匹敵するほど、と噂されてる」

蒼の薔薇のイビルアイ・・・噂で聞いたことがある、自分と同じ災害級魔術詠唱者であり、英雄の領域に足を踏み入れた凄腕の冒険者であり、その実力は他のアダマンタイトの中でも群を抜いている・・・と

 

「まじかよ・・・益々うちに欲しくなってきたな、しかもかなりの美人ときたもんだ」

「ヘッケラン?」

「じょッ!冗談だよイリーナ」

ヘッケランの言葉にイリーナは形のよい眉をひそめ、じろりと横目をむける

慌てて言葉を紡ぐヘッケランに二人は呆れたように溜め息をついた

 

「二人ともそろそろイチャイチャするのを止めるべき、ルシアさんも困ってる」

「そうですよ、夫婦漫才は話し合いが終わったあとにして下さい」

「アルシェまでー」

今までおどけるような仕草をしていたヘッケランもその言葉に同意するかのように情けない顔から真剣な面持ちにかわる

それは歴戦の冒険者のように

 

「そうだな、そんじゃ、今回の依頼について話していこうと思う」

彼の手から一枚の依頼書が・・・これから起こる最悪の悪魔の依頼書がテーブルに置かれた



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おまけと報告

お久しぶりです、見てる方がいらっしゃるかはわかりませんが、
仕事の余裕ができてきたのでボチボチ投稿していきます

第二部として新しく「嗤う骸骨は帰りたい」スタートしました。よければ嘆きの亡霊で検索してみてください


「フッ、これが運命というやつか」

狭い個室に蝋燭の火が温かく灯るなかハードボイルドに腕を組ながらアダマンタイト級冒険者、クライ・アンドリヒは牢屋のなか諦めるようにない虚空を見上げながら呟いた

 

(シトリィィィィィィィィ!?なにやってんの?)

 

ー数時間前ー

バハルス帝国に着いた嘆きの亡霊一向(ルークは別行動)

は衛兵に囲まれていました

見かけ倒しの僕よりもずっと強そうな屈強な衛兵達がかなり険しい顔で僕達を、、、、主にシトリーを睨んでいた。

 

「僕達はただの冒険者・・・」

「動くな!!クライ・アンドリヒ!シトリー・スマート!」

 

誤解を解こうと会話しようとしただけなのに全く話を聞いてもらえない、それどころか少し近づいただけなのに今にも殺しにかかってきそうな勢いなんだけど?

というかなんで僕の名前知ってるの?面識ないんだけど。

 

「え?誰?シトリー、なんかした?」

「はい!クライさん!」

いや、はい!じゃないよはい!じゃ

天真爛漫なまるで「私なにかやっちゃいました?」みたいな感じで言わないでほしい

ルシアじゃないけどパンチしたくなってくる

 

「誤解しないでください私は魔法学院の研究資料や重要機密を少々お借りしただけです」

「学院に実験と生じてヘンテコな魔獣を放った上に、その処理として学院の倉庫ごと爆破したことがか?」

 

うん、そりゃあ怒るわ、というか重要機密を軽々と盗むんじゃないよ!やってることも火事場泥棒だし

というかシトリーのテンションがやたら高いんだけど?

なに?いまが思春期真っ最中なのかな?危ないことをするのが楽しい年頃なのかな?

 

「あぁ?なに?下っ端の雑兵ごときがあたし達と殺ろうってんの?身の程を知ったら?」

「うぉぉぉぉぉぉ!!なんだ?剣士か?俺がやる!」

「いいですね!人体実験ですか!クライさん?」

リィズとルークが(シトリーも)ノリノリで応対する、殺る気だ、槍を突き付けられてるのに

シトリー・・・僕がいつ人体実験なんてするなんて言ったのかな?

 

今にも襲いかかりそうな勢いだ、責められてる立場なのに攻め返すなんてうちくらいだろう

うん、いつものことだったわ、そもそも「危ない」の代名詞がうちらのパーティメンバーだったわ

「な、なんだこいつらは?!」

衛兵たちは珍獣でもみるかのように僕ら(特にルーク)をみて目を見開いている

それはそうだろう、それが日常と化して慣れてしまっているあたり僕も中々業が深いのかも知れない

いつもの調子で腕を組みハードボイルドに頷いてしまう

 

「斬るぞー!」

「ぶっ殺すぞー!」

どうやら呑気にハードボイルドを決めている訳にもいかないようだ

リィズとルークが物騒なことを言っている、大丈夫慣れているのだ、二人を止めることにも勿論慣れている

 

 

「ふ、ふざけるな!クライ・アンドリヒ!聞いているぞ貴様がこの女の夫であり、これらの件、全てが貴様の指示だと」

「え?」

(ニッコリ)

 

不味い、カンカンだ、

「落ち着いて下さい、」



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