私は気ままにデュエルがしたい (紙吹雪)
しおりを挟む

本編
1話


創作デュエルが描きたかった。それだけ。


「……ここは、どこ?」

 

 私、仕事帰りだったのだけど……私は何処にいるの?

 

 なんか終電に乗っててうっかり寝ちゃったんだけどね、気が付いたら外の光景が明らかに妙だったの。夜だったのに真っ昼間だったんだもの。流石の私もそこまで寝過ごしたりはしない、はず。多分。だよね?とにかく、早く自宅に帰りたい……それにしても、ここは一体何処の街なのだろうか?電車の中には日本語があったし、風景も近いから現代日本であるのは分かるんだけどね。私、たまに出張で遠くに行く事もあるんだけどこんな街あったかな……?

 

「あっ、お、降ります……」

 

 取り敢えず、電車が止まったので降りる。駅は特に変わった物もない普通の駅だった。うーん、でもなんか違和感があるなぁ……

 

 そう言えば、駅なら街の名前とか書いてあるだろうと確認してみる。街の名前はどうやら『舞網市』と言うらしい……待て待て、そんな名前の市日本にあったっけ!?まるで意味が分からんぞ!?いや、でも何処かで聞いたような……

 

「……あ」

 

 ……思い出した。たしか、遊戯王ARC-Vの舞台がそんな名前だったような……私、アニメの方はネタくらいしか知らないんだよね。基本OCGカード位しか知らないしさ。街の名前を知ってたのは友達から聞いたからだ。別に興味なかったんだけどね。あっはっは。

 

「…………」

 

 ここ、遊戯王ワールド?マジですか?ブラマジです。うっさいわ!

 

 ここは一旦落ち着こう……まず、残りの仕事を何とか……違う、そうじゃない。これからどうするかを考えますか……

 仮に、ここが遊戯王の世界だとする。すると、どうせ遊戯王の事だ。多分死人が出る。デュエルで。……あかん。

 

 ……取り敢えず、主要キャラには近づかないようにすれば大丈夫、かな?私は何処にでもいる普通のOLだよ?闇のゲームとか魂を盗られるのは勘弁してほしい。怖くて震えそうです。私は普通のデュエルが出来れば満足なんです。

 

 たしか、主人公の名前は……思い出せないや。友達がトマトって言ってたのは覚えてる。んで、前作のが海老で次作が山羊。他にはCMで見た人が何人か覚えている。【RR】と【DD】の宣伝にしてた2人はなんとなく覚えてる。カッコ良かったし。ちなみに宣伝されてたパックは買いました。ノーマルレアしか出なかった。ちくせう。

 

「ここに居ても仕方ない、か」

 

 この街、歩き回ってみますか。流石にいきなりガラの悪いチンピラに

 

「俺とデュエルしろぉぉぉぉぉぉ!」

 

 とか言われないでしょ多分……いや、デッキは今持ってないからデュエルは出来ないか。持ち物……そう言えば、お金、この世界でも使えるかなぁ……無理だとは思うけど。そう願って私は肩に掛けた鞄の中に財布があるのを確認して……あれ?

 

「で、デッキがある!?それに、多分デュエルディスクも……」

 

 デッキは複数あるみたいだがおかしい。そもそも仕事帰りにこんな物持ってる筈がない。でも、何故かそこにある。

 デッキを確認してみると、それは私が組んだ覚えの無いものばかりだった。どのデッキもリンクモンスター関連のカードが全く見当たらない。しかし、どれもガチデッキだなおい……ヴェーラーや灰流うららなんかも入ってる。一番悲しいのはリンク入ってない事かな。私、結構リンク召喚お気に入りだったんだけど……

 

 ……もう、いいや。考えるのは後にして今は散歩でもしよっと。

 私は何が起こってるのかも分からないまま街に繰り出した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ……迷った。当たり前か。初めて来た街だし。それしても、この世界にはデュエル塾なるものがあるらしい。あれかな、サイバー流とかなんとかいう奴みたいなアレかな?個人的にはディアンケトが先生をやっている所が気になるけど……まあ、それはそれとして。

 

 結局どうしようか……ホテルに泊まる?お金、確認してみたけど使えなさそうだったんだけど。なら、お金を稼ぐ手段を確保するのが良い……かな。

 

 アルバイトでも探してみようか……いや、待て。塾の講師か……一応、これでも近所の大会には参加した事もあるし、デュエルの先生なら出来るかも?

 

 よし、そうと決めれば何処か良さそうなところを探してみますか。とは言ってもこの街の地理なんてサッパリ分からないんだけどね。はぁ……どうしよう……

 

 

「どうしたんだい、お姉さん?」

「え……誰?」

 

 

 ……急に話しかけられた。相手はキャンディーを舐めてる男の子……事案?いやしかしここは遊戯王の世界だ。実は多重人格の決闘王でもおかしくは無い。

 

「道にでも迷ったの?なんなら僕が案内してあげようか?」

「……えっと」

 

 どうしよう。案内すると言われても何処に行けばいいのか分からないのだけど。ストレートに先生募集してるデュエル塾ありますか?って聞いていいものか……あーもういいや、聞こう。

 

「えっと、講師とか募集してるデュエル塾とかって知らない……?」

「それなら良いところがあるよ!」

「ほんと?」

「うん!」

 

 まじか、言ってみるものだね。わーい。

 

「うーん、でもそうだなぁ」

「……?」

「ただで教えるのもなぁ」

 

 ……あ、(察し)。

 

「そうだ!僕にデュエルで勝ったら教えてあげよう!」

 

 やっぱりか……ついさっき確認したデッキで上手く戦えるだろうか……いや、回し方は分かるんだけどね。いざ回すとなったら不安が残る。結構面倒臭いっていうか、手間がかかるっていうか。

 

 ……まあ、なんとかなるか。

 

「……いいよ」

「やったぁ!じゃあ、行っくよー!」

「はいはい」

 

 お互いにデュエルディスクを構える。流石に私もデュエルディスクを使ってデュエルするのは初めてだ。不謹慎かもしれないけど、ちょっとだけワクワクしている自分がいる。

 

 ……あ、そう言えばARC–Vってアクションデュエルするんだっけ?あれって身体思いっきり動かすって聞いたんだけど?私、運動苦手なんだけど……って思ったけど普通のデュエルだった。それでも立ってするのは私にとっては少し斬新だなぁ。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 さて、初陣だ。

 




飴を舐めてる小さな男の子。一体何者なんだ……?

主人公の使用デッキは毎回変わる予定です。
使って欲しいデッキがあれば感想で呟いてくださればもしかしたら採用するかも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

思ったより創作デュエル書くのって難しいね。


「先攻は、私か……」

「みたいだね!」

 

相手の男の子、テンション高いなぁ。まあ元気なのはいい事か。あ、名前が表示されてる。なになに、紫雲院素良?……思ったより普通の名前だ。ダイナソーとかインセクターとかに比べるとだけど。どんなカード使ってくるんだろう?小さい男の子だし戦士族とかかな?っとと、早くターン進めないと。まあ、このターンは大人しくしていよう。

 

「モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」

「ふーん、あまり動かないんだね?」

「まぁね」

「……じゃあ、僕のターン!ドロー!」

 

さて、何が出るか……

 

「僕は『ファーニマル・ドッグ』を召喚!『ファーニマル・ドッグ』の効果発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから『エッジインプ・シザー』を手札に加える!」

 

……【ファーニマル】か。可愛い顔して恐ろしいカード使いおる。

 

「そして手札から『融合』を発動!フィールドの『ファーニマル・ドッグ』と手札の『エッジインプ・シザー』を融合!悪魔の爪よ! 鋭い牙よ! 神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ、すべてを引き裂く密林の魔獣! 『デストーイ・シザー・タイガー』!」

 

早速来ましたか、【ファーニマル】のヤバいやつが……

 

「『デストーイ・シザー・タイガー』のモンスター効果発動!このカードの融合素材としたモンスターの数までフィールドのカードを破壊する!」

 

 

デストーイ・シザー・タイガー

融合・効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻1900/守1200

「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター1体以上

(1):「デストーイ・シザー・タイガー」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが融合召喚に成功した時、

このカードの融合素材としたモンスターの数まで、

フィールドのカードを対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分フィールドの「デストーイ」モンスターの攻撃力は、

自分フィールドの「ファーニマル」モンスター

及び「デストーイ」モンスターの数×300アップする。

 

 

融合素材の数だけフィールドのカードを破壊するとかいうアドの塊みたいな効果だ。だがしかし、私は除去への対策を忘れない。何故なら私にとってフィールドを蹂躙されるのはよくある事だからだ。友達によくブラロぶっぱされてたからね!伏せてたツインツイスターは無駄になっちゃった。

 

「破壊された『精霊獣使い ウィンダ』の効果を発動」

「むむ?」

 

精霊獣使い ウィンダ

効果モンスター

星4/風属性/サイキック族/攻1600/守1800

自分は「精霊獣使い ウィンダ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。

デッキまたはエクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

 

「ウィンダの効果によって、EXデッキから『聖霊獣騎 ペトルフィン』を特殊召喚する」

 

 

聖霊獣騎 ペトルフィン

融合・効果モンスター

星6/風属性/水族/攻 200/守2800

「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードは効果では破壊されない。

(2):このカードをエクストラデッキに戻し、

除外されている自分の「霊獣使い」モンスター1体と

「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

このピンクのイルカはただの壁だ。効果で破壊されず、守備力は2800。さて、どう来る?

 

「へぇ。やっぱり、やるみたいだね」

「……やっぱり?」

「ううん、なんでもないよ!シザー・タイガーの効果で僕のフィールドのデストーイモンスターの攻撃力はデストーイモンスターとファーニマルモンスターの数×300ポイントアップするけど、そのモンスターには届かないね」

 

デストーイ・シザー・タイガー ATK1900 → 2200

 

「僕はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

……なんか気になるなぁ?私、何か怪しまれるような事したっけ?……まあ、いっか。

 

「私のターン、ドロー」

 

ふむ……

 

「手札から『強欲で貪欲な壺』を発動。デッキの上からカードを10枚ゲームから除外してカードを2枚ドローする……あっ」

 

「何々?どうしたの?手札事故でも起こしちゃった?」

 

封印の黄金櫃引いた。やったぜ。

 

「『封印の黄金櫃』を発動。デッキからカードを一枚ゲームから除外し、2ターン後に手札に加える。私はデッキから『精霊獣 カンナホーク』をゲームから除外する」

「ふーん、2ターン目かぁ」

 

もっとも、2ターン目なんて来ないけどね。多分。

 

「魔法カード『おろかな埋葬』を発動。デッキから『精霊獣 ペトルフィン』を墓地に送る。私は『霊獣使いの長老』を召喚。そして、その効果により更に『霊獣使い ウェン』を召喚」

 

長いから巻きで行かせて貰うよ?

 

「ウェンの効果を発動。除外ゾーンから『精霊獣 カンナホーク』を特殊召喚。『精霊獣 カンナホーク』の効果発動。デッキから霊獣カードをゲームから除外し、2ターン後に手札に加える。私は『精霊獣 ラムペンタ』をゲームから除外する」

「へー、また除外するんだね」

「まぁね」

 

霊獣使いの長老

効果モンスター

星2/風属性/サイキック族/攻 200/守1000

自分は「霊獣使いの長老」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功したターン、

自分は通常召喚に加えて1度だけ、

自分メインフェイズに「霊獣」モンスター1体を召喚できる。

 

霊獣使い ウェン

効果モンスター

星3/風属性/サイキック族/攻1500/守1000

自分は「霊獣使い ウェン」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功した場合、

除外されている自分の「霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

精霊獣 カンナホーク

効果モンスター

星4/風属性/雷族/攻1400/守 600

自分は「精霊獣 カンナホーク」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。

発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、

この効果で除外したカードを手札に加える。

 

 

「さて、と。君は融合使いみたいだね?」

「それがどうかしたの?」

「ううん、なんでもないよ」

「……?」

 

よし、行くか。

 

「私はフィールドの長老と『精霊獣 カンナホーク』をゲームから除外。そしてEXデッキより融合モンスター、『聖霊獣騎 カンナホーク』を特殊召喚!」

「融合モンスターを『融合』無しで召喚……?」

「この子はちょっと特殊な融合モンスターでね。フィールドの『霊獣使い』と『精霊獣』モンスターを除外する事で特殊召喚出来る」

「…………」

 

……なんか、警戒されてる?いや、デュエルを続けるか。

 

「『聖霊獣騎 カンナホーク』の効果を発動。除外されている霊獣カード2枚を墓地に戻して、デッキから霊獣カードを手札に加える。私は長老と『精霊獣 カンナホーク』を墓地に戻してデッキから『霊獣の連契』を手札に加える」

 

これだから霊獣は楽しい。

 

「手札から魔法カード『魂の解放』を発動。お互いの墓地のカードを合計5枚までゲームから除外する。私は君の墓地の2体のモンスターと私の墓地のウィンダと『精霊獣 ペトルフィン』と長老をゲームから除外する」

 

「ああ、それは困るかな。トラップオープン、『デストーイ・カスタム』!墓地から『ファーニマル・ドッグ』を守備表示で特殊召喚する!そして、フィールドのファーニマルモンスターが増えたからシザー・タイガーもパワーアップ!」

 

デストーイ・シザー・タイガー ATK 2200 → 2500

 

ああ、そんなカードもあったっけ。たしか、蘇生したカードをデストーイとしても扱うんだっけか。ちなみに『魂の解放』は対象のカードが墓地から離れても残りのカードを効果処理するので問題はない。

 

 

デストーイ・カスタム

通常罠

(1):自分の墓地の、「エッジインプ」モンスター

または「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターを融合素材とする場合、

「デストーイ」モンスターとして扱う事ができる。

 

 

「『聖霊獣騎 カンナホーク』のもう一つの効果を発動する。このカードをEXデッキに戻して除外ゾーンから「霊獣使い」と「精霊獣」モンスターを特殊召喚する。私は長老とラムペンタを特殊召喚する。そして、ラムペンタの効果発動。EXデッキから霊獣モンスターをゲームから除外し、除外したモンスターと同じ種族のモンスターをデッキから墓地に送る。私は『聖霊獣騎 アペライオ』をゲームから除外して『精霊獣 アペライオ』を墓地に送る」

 

 

聖霊獣騎 カンナホーク

融合・効果モンスター

星6/風属性/雷族/攻1400/守1600

「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):1ターンに1度、除外されている自分の「霊獣」カード2枚を対象として発動できる。

そのカードを墓地へ戻し、デッキから「霊獣」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードを持ち主のEXデッキに戻し、除外されている自分の、

「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

精霊獣 ラムペンタ

効果モンスター

星4/風属性/獣族/攻1600/守 400

自分は「精霊獣 ラムペンタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

エクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を除外し、

そのモンスターと同じ種族の「霊獣」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。

 

 

さて、もういっちょやりますか。

 

「私はフィールドの長老とラムペンタをゲームから除外し、もう一度『聖霊獣騎 カンナホーク』を特殊召喚する」

「え〜、また〜?」

 

霊獣ならよくある事です。我慢しなさいな。

 

「『聖霊獣騎 カンナホーク』の効果発動、除外されている『聖霊獣騎 アペライオ』とラムペンタを墓地に戻してデッキから『霊獣使い レラ』を手札に加える。そして『聖霊獣騎 カンナホーク』をデッキに戻して除外されているウィンダと『精霊獣 ペトルフィン』を特殊召喚する」

 

「見栄えしないな〜」

 

すぐにそうも言っていられなくなるよ?ふふふ……さて、と。

 

「私はフィールドの『聖霊獣騎 ペトルフィン』と『精霊獣 ペトルフィン』、『霊獣使い ウェン』を除外する」

 

「お!何かな何かな!?」

 

「来て!『聖霊獣騎 ガイアペライオ』!」

 

 

聖霊獣騎 ガイアペライオ

融合・効果モンスター

星10/光属性/サイキック族/攻3200/守2100

「聖霊獣騎」モンスター+「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):上記の方法で特殊召喚したこのカードは以下の効果を得る。

●モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、

手札から「霊獣」カード1枚を除外して発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

ガイアペライオは【霊獣】の切り札だ。こいつにはターン1制限がない。1ターンに何度も使える効果の恐ろしさを思い知りなさい。

 

……なんか私、普通にデュエルしてるな。いきなり知らない土地に飛ばされたのにカードゲームしてるってどうよ?しかも、さっきまで途方に暮れてたのに。まあ、仕事帰りのテンションだからね、仕方ないね。

 

「わぁ!それがお姉さんの切り札!?」

 

お姉さん……!いい響きですねぇ!

ごめん待ってやっぱり私今テンションおかしい。クールに……クールになるのだ私……

 

「そ、そんなところかな!バトル、ガイアペライオでシザー・タイガーに攻撃!」

「ふふーん!トラップ発動!『びっくり箱』!このカードは……」

「無駄です。ガイアペライオの効果を発動!手札の霊獣カード……『霊獣の相絆』をゲームから除外してモンスターの効果、魔法、罠の発動を無効にする!」

「!?」

 

残り手札は2枚……うち一枚は連契だから伏せる。つまり、あと無効に出来るのは一回か。

 

「くっ……」

 

素良 LP 4000 → 3300

 

ふむ、ジャブにしては悪くない。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド。さあ、君のターンだ」

「……あははっ!お姉さん結構強いねぇ!」

 

お姉さん……お姉さん……うふふふふ

 

「じゃあ、そろそろ本気だそっか♪」

「……ん?」

 

なんか嫌な予感が……

 

「僕のターン!ドロー!」

 

……これが顔芸ですか?あんな可愛い子が?うそーん。

 




ストーリーはそこまで深く考えてないのでゆる〜く見てもらえれば良いと思います。
9/5 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
9/25 風霊媒師ウェンの誓約でガイオペライオの効果が使えなかったのでやや変更しました。なんでガイオペライオ光属性なん?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

大寒波サモサモキャットベルンベルン
ボチヤミサンタイ
もはや、これら言葉が懐かしく感じてしまう。


「僕は魔法カード『魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)』を発動!」

 

「うーん、じゃあガイアペライオの効果を使ってその発動を無効にするかな」

 

 

魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「融合」1枚と「エッジインプ」モンスター1体を手札に加える。

 

 

流石にそれを通すのは不味いかな。

 

「なら、『ファーニマル・ベア』の効果発動!このカードを捨ててデッキから『トイポット』をセットしてそのまま発動!墓地の『エッジインプ・シザー』の効果発動!手札を一枚デッキトップに置いて自身を特殊召喚!『トイポット』の効果発動!手札を1枚墓地に送ってカードを1枚ドローする!そしてドローしたカードがモンスターだった場合、手札からモンスター一体を特殊召喚出来る!」

 

 

トイポット

永続魔法

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。

自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。

確認したカードが「ファーニマル」モンスターだった場合、

手札からモンスター1体を特殊召喚できる。

違った場合、そのドローしたカードを捨てる。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「エッジインプ・シザー」1体または

「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える。

 

ファーニマル・ベア

効果モンスター

星3/地属性/天使族/攻1200/守 800

「ファーニマル・ベア」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

デッキから「トイポット」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする。

(2):このカードをリリースし、

自分の墓地の「融合」1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

うーん、止めたのに結構回ってるよ。

 

「ドローしたカードは『ファーニマル・オウル』だから、そのまま特殊召喚!そして、効果発動!デッキから『融合』を手札に加えてそのまま発動!僕はフィールドの『ファーニマル・オウル』と手札の『エッジインプ・チェーン』を融合!魔物の爪よ! 悪魔の使徒と一つとなりて新たな力と姿を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! 自由を奪い闇に引き込む海の悪魔!『デストーイ・ハーケン・クラーケン』!」

 

 

ファーニマル・オウル

効果モンスター

星2/地属性/天使族/攻1000/守1000

「ファーニマル・オウル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「融合」1枚を手札に加える。

(2):500LPを払って発動できる。

自分の手札・フィールドから、

「デストーイ」融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

エッジインプ・チェーン

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1200/守1800

「エッジインプ・チェーン」の(1)(2)の効果は

1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードの攻撃宣言時に発動できる。

デッキから「エッジインプ・チェーン」1体を手札に加える。

(2):このカードが手札・フィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「デストーイ」カード1枚を手札に加える。

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン

融合・効果モンスター

星8/水属性/悪魔族/攻2200/守3000

「エッジインプ」モンスター+「ファーニマル」モンスター

(1):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを墓地へ送る。

この効果を発動するターン、このカードは直接攻撃できない。

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

(3):このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動できる。

このカードを守備表示にする。

 

 

厄介なカードが出てきてしまった。しかもチェーン握ってた。クラーケンは破壊耐性をすり抜けて来るんだよね……。ここはさっさと処理してしまおう。

……それに今更だけど、悪魔族モンスターって近くで見ると怖いんだよね。ウィンダちゃんを見習え。

 

「リバースカードオープン、『霊獣の連契』。私のフィールドの霊獣モンスターの数までフィールドのモンスターを破壊する。私はクラーケンとドッグを破壊する」

「それは、さっき手札に加えてたカード……!しかし、墓地に送られた『エッジインプチェーン』の効果は発動させて貰う!デッキから『魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)』を手札に加える!」

 

 

霊獣の連契

通常罠

(1):自分フィールドに「霊獣」モンスターが存在する場合に発動できる。

自分フィールドの「霊獣」モンスターの数まで、

フィールドのモンスターを選んで破壊する。

 

魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)

通常魔法

「魔玩具融合」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のフィールド・墓地から、

「デストーイ」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、

その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

 

さて、次はどう来るかな?

 

「……墓地の『ファーニマル・ウィング』の効果を発動!このカードと『ファーニマル・ベア』をゲームから除外して1枚ドロー!そして、フィールドの『トイポット』を墓地に送って更にドロー!そして『トイポット』の効果発動!デッキから『ファーニマル・シープ』を手札に加える!」

 

 

ファーニマル・ウィング

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 100/守 100

「ファーニマル・ウィング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「トイポット」が存在する場合、墓地のこのカードを除外し、

自分の墓地の「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを除外し、自分はデッキから1枚ドローする。

その後、以下の効果を適用できる。

●自分フィールドの「トイポット」1枚を選んで墓地へ送り、

自分はデッキから1枚ドローする。

 

 

うげっ、トイポットの時に墓地に送ってたか。一気に手札補充されてしまった。

 

「よし!『魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)』を発動!このカードはフィールド、墓地のカードを除外してデストーイモンスターを融合召喚出来る!僕は墓地の『ファーニマル・オウル』と『エッジインプ・チェーン』、そして『デストーイ・シザー・タイガー』を除外!現れ出ちゃえ! 全てに牙剥く魔境の猛獣!『デストーイ・サーベル・タイガー』!」

 

 

デストーイ・サーベル・タイガー

融合・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000

「デストーイ」融合モンスター+「ファーニマル」モンスターまたは「エッジインプ」モンスター1体以上

(1):このカードが融合召喚に成功した時、

自分の墓地の「デストーイ」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分フィールドの「デストーイ」モンスターの攻撃力は400アップする。

(3):モンスター3体以上を素材として融合召喚したこのカードは

戦闘・効果では破壊されない。

 

 

うぐぐ、これは少し不味い……

 

「サーベル・タイガーの効果発動!墓地のデストーイモンスターを蘇生させる!戻ってこいっ!『デストーイ・ハーケン・クラーケン』!守備表示!そしてハーケン・クラーケンの効果を発動!相手のフィールドのモンスター一体を墓地に送る!僕は『精霊獣使い ウィンダ』を墓地に送る!」

 

…まあ、そう来るよね。一度ウィンダの効果は見せてるし。これは次にモンスターが融合されたらこのターン中に殴り殺されるが……

 

「うーん、サーベル・タイガーの効果で僕のフィールドのデストーイモンスターの攻撃力は400ポイントアップするけど……ガイアペライオの攻撃力には敵わないね」

 

デストーイ・サーベル・タイガー ATK 2400 → 2800

デストーイ・ハーケン・クラーケン ATK 2200 → 2600

 

「僕はカードを2枚伏せてターンエンド。出来ればこのターン中に勝負をつけたかったんだけどなぁ」

 

あっけらかんに素良ちゃんは言う。ぶっちゃけクルーエル・ホエールが追加で来てたら負けてた。さて、私のターンか。

 

「ドロー」

「トラップ発動!『融合準備』!僕はエクストラデッキの『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』を見せてデッキから融合素材の『エッジインプ・ソウ』を手札に加える。更に墓地の融合も手札に加えちゃう!」

 

あ、これはあかん。次のターン殴り殺される。このターンで決着をつけないと……私はドローしたカードを確認する……ん?これは……私、こっちに来てから引きが強くなった気がする。

 

「さぁ、どうするお姉さん?次の僕のターンでそのお姉さんのエースを引き裂いてあげるよ」

 

サディスティックな表情で素良ちゃんは言う。やめて!その表情は私の性癖が超融合して私の中の何かが滅びのバーストストリームして太陽神合一してしまう……!!

 

 

 

いや、何言ってんだ私?

 

 

 

とと、取り敢えずとっととこのデュエルを終わらせよう。早くしないと私が私でいられなくなる気がする……もう戻れなくなっちゃう。

 

「私は『紅蓮魔獣 ダ・イーザ』を召喚する」

「ん?霊獣じゃないの?しかも、攻撃力が『?』のモンスター?」

「まぁね」

 

このデッキ、マクロコスモスや次元の裂け目、ディメンション・アトラクターなんかも入っててややメタビート気味だったんだよね。だからだろうか、このカードも入ってた。

 

「このカードの攻撃力は私の除外されているカード×400となる」

「……え?」

 

 

紅蓮魔獣 ダ・イーザ

効果モンスター

星3/炎属性/悪魔族/攻 ?/守 ?

(1):このカードの攻撃力・守備力は、

除外されている自分のカードの数×400になる。

 

 

「私の除外されているカードは計16枚。よって、攻撃力は6400となる」

「攻撃力6400……!?サーベル・タイガーの攻撃力は」

「さて、バトル!ダ・イーザでサーベル・タイガーに攻撃!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

素良 LP 3300 → 0

 

蓋を開けてみれば完勝だったけど、地味に危なかった…慣れないデッキはやっぱり使わないものだね……

 

 

◇◇◇

 

 

「……凄い!凄いよお姉さん!融合は僕が一番だと思ってたのに!凄いよ!」

 

……んん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!?

 

「ひょっとしたら、師匠より強いのかも?」

 

………はっ!?私は何を…?

 

「あれ?お姉ちゃん聞いてる?」

「聞いてますよ」

 

たしか、私に貴方の姉になって欲しいって話だっけ?

 

「……え?頭大丈夫?」

「……」

 

ヒドイッシュ。ちょっとした冗談なのに。それで、私は何の為にデュエルしてたんだっけ?

 

「……本当に大丈夫?」

 

ショタの心配する表情はグッと来るけど……あ、思い出した。

 

「えっと、先生を募集しているデュエル塾を教えるって話だったよね?」

「ちゃんと覚えてるじゃん…しっかりしてよ」

 

私今心配されてる……!勤務中はいつも同僚から「まあ、あいつならなんとかするだろ」と言われて仕事をぶん投げられていた私が……!しかも、こんな可愛い子に……!!

 

「……やっぱり、教えるのやめようかな?」

「ごめんなさい」

 

こんな子に手を出すなんて最低だよね。YES!幼い子、NO!タッチ。

 

「じゃ、ついておいで?…あ、そう言えばお姉さんの名前は?」

「あ、それはですね……」

 

私達はそんな話をしながら一緒に歩き出した……事案に見えなきゃいいけど。

 

 

◇◇◇

 

 

この人、なんとなくこの次元の人と雰囲気が違う。それで気になって話したところ、デュエル塾の先生を募集しているところを探しているとの事。どうやら今は無職らしい。……それで、試しにこの人とデュエルをしてみた。すると、この人意外と強くてさ。少し本気を出したんだけど勝てなかったや!

 

……でもこの人……名前は藤野明美と言うらしい……は時々顔がニヤける。はっきり言えば気持ち悪い。多分、だらしのない事でも考えているのだろう。ひょっとしたら、僕よりもある意味危ない人かもしれない。デュエルの腕は高いんだけど。こんな人持って帰って大丈夫かなぁ……?今更ながら、少し不安になって来た。

 

……それはそれとして、次は勝つ。同じ融合で負けたなんて、僕のプライドが許せない。

 

……だから待ってろよ、藤野明美。今度こそ、僕が勝つ。

 




素良君の残りの伏せカードはデストーイ・マーチでした。
やっぱ創作デュエルって難しいなおい!?
ミスとかしてなきゃいいけど……

9/5 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
9/25 トイポットは直接セットされますね……指摘してくれた方ありがとうございます。
9/25 除外されているカードの枚数が間違っていたので修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話

今回は新しい先生の歓迎会(?)です。
頑張れトマト。負けるなトマト。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

「「「ええっ!!?」」」

 

この人絶対主人公じゃん!名前に遊ついてるし髪型特徴的だし!?嫌だぁ!?死にたくなーい!死にたくなーい!!私は生き延びる…平穏に生きてみせるぞ……!!

 

「あばばばばばばば!!!」

 

「そ、素良!?これは一体どういう事なんだ!?」

「ぼ、僕も分かんない……さっきまでは気持ち悪い笑みを浮かべてたけど」

「……?と、とにかく、落ち着いてもらわないと」

「この人、結局誰なの?」

「うーんとね、デュエル塾の先生がやりたいんだってさ」

「えー、この変な人が?」

「さっきデュエルした時は強かったんだけどなぁ。負けちゃったし」

「ええっ!?素良が負けたのか!……こんなのに?」

「師匠、その言い方は酷いよ〜」

 

 

◇◇◇

 

 

ぜぇ、ぜぇ……お、驚いた……まさか、たまたま辿り着いた塾に主人公らしき人物が居るとは…この海のリハクの目を以下略。ま、まだそうと決まったわけでもないし……あと、大丈夫だよね、私?変な人に見られてないよね?

 

「や、やっと落ち着いたか……で、このへん…女の人はうちの塾の先生になりたいんだったな!別に構わんぞ!」

 

手遅れでした。おうふ……

 

「えー、でもこの人本当に強いの?」

「うーん、どうだろう?」

「なんか気持ち悪いというか……」

 

おい、聞こえてるぞそこな少年少女。とくにそこの小太り少年後で覚えてろよ。しかし、それはそれとして舐められるのは私としてもあまり好ましくないかな。ムカつくし。

 

「……なら、誰か私とデュエルしてみる?」

「じゃあ、遊矢お兄ちゃんやってみて!」

「この変な人なんかやっつけちゃえ!」

「え!?俺ぇ!?」

 

……小さな女の子から変な人扱いされるのは、うぐぐ……ここはデュアル歴10年位の私のジツリキを見せて見返してやろう。しかし。

 

「君が私の相手って事で良いかな?」

「うーん、まあいいさ!」

 

……この人、主人公だよね多分。どうしよう。めっちゃ強かったらどうしよう。…ええい、考えててもしょうがない!行くか!

 

「よし!じゃあアクションフィールドをセットしないとな!」

 

え?…ひょっとして、アクションデュエルって奴ぅ!?いやしかし、やりようはある。……ここは、あのデッキを使うか。アレが出せればアクションマジックなど恐るるに足らず、だ。

 

私達はお互いに向き合い、デュエルディスクを構える。ちなみにフィールドはどうやら草原のようだ。プレイン・プレーンと言うらしい。この景色だけでもすごい技術だと思うんだけど、なんでデュエルに使おうとするのだろう?

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見ろ!これがデュエルの最強進化系!」

 

「「アクショーン!」」

 

「デュエル!」

 

「……でゅ、デュエル」

 

えっなにそれそんな掛け声私知らない。

 

 

◇◇◇

 

 

「先攻は俺だ!俺は手札から『EM ディスカバー・ヒッポ』を召喚!」

 

 

EM ディスカバー・ヒッポ

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻 800/守 800

(1):このカードが召喚に成功したターン、

自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに、

レベル7以上のモンスター1体を表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。

 

 

攻撃力800のモンスターを攻撃表示、か。たしか、聞くところによるとアクションマジックによる防御がどうのこうのあるらしいが、実際のところはどうなのだろう?

 

「俺はカードを2枚伏せてターンを終了!」

 

すると、彼……遊矢君はカバのモンスターに乗って走り出した。え、なにそれ?召喚したモンスターに触れるとかすごい面白そう。つまり、このシステムを使えばウィンダちゃんやイヴちゃんの上に乗ることが出来る……?っとと、デュエルに集中せねば。でも私運動苦手なんだけど……まあ、やるだけやってみますか!

 

「私のターン、ドロー。手札の『魔救の分析者』の効果を発動。相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、自身を特殊召喚出来る」

 

私の前にいかにも書類仕事をしてそうな青年が現れる。もう少し幼ければ……そう、今回は【アダマシア】だ。理由は、そろそろ分かる…といいな。

 

「『コアキメイル・ガーディアン』を通常召喚。更に手札の『魔救の追求者』の効果を発動。フィールドにアダマシアモンスターが存在する場合自身を特殊召喚する」

「こんなに簡単にフィールドにモンスターを揃えてくるなんて……!」

 

この子は割と好みだ。私がそう思っていると追求者君から目を逸らされた。……解せぬ。

 

魔救の分析者(アダマシア・アナライザー)

チューナー・効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1500/守 700

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中からチューナー以外のレベル4以下の岩石族モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

 

魔救の追求者(アダマシア・シーカー)

チューナー・効果モンスター

星2/地属性/岩石族/攻1200/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「魔救の追求者」以外の「アダマシア」モンスターが存在する場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中からチューナー以外のレベル4以下の岩石族モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

 

コアキメイル・ガーディアン

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1900/守1200

このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に、

手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、

手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる。

または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。

また、効果モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

◇◇◇

 

 

「……」

「あれ?素良君どうしたの?」

「さっきデュエルした時とデッキが違う……」

「え?」

「そ、それって複数のデッキを持ってるって事!?」

「そんなの、プロでもほとんどいないと思うけど……」

「でも、召喚したモンスターはコアキメイル・ガーディアン以外はそこまで強くないよ?」

「いや、それはどうかな……」

 

 

◇◇◇

 

 

「『魔救の追求者』の効果を発動!デッキトップを5枚めくり、その中からチューナーモンスター以外のレベル4以下の岩石族モンスターを一体特殊召喚する事ができる!」

「チューナー以外……?」

「さて、めくるぞ」

 

さて、何が出るか……

 

原子生命態ニビル

魔救の息吹

ブロックドラゴン

フリント・クラッガー

墓穴の指名者

 

あっぶな……出せるモンスターが一体しかいないじゃんか……まあ、丁度良い。出来れば出て欲しかったモンスターが来たからね。

 

「私はレベル3の『フリント・クラッガー』を特殊召喚!」

 

 

フリント・クラッガー

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻 800/守1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

自分の手札を1枚選んで捨て、EXデッキから「化石」融合モンスター1体を墓地へ送る。

(2):フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。

相手に500ダメージを与える。

自分の墓地に「化石融合-フォッシル・フュージョン」が存在する場合、

さらに除外されている自分の、「化石融合-フォッシル・フュージョン」1枚または

そのカード名が記されたカード1枚を選んで墓地に戻す事ができる。

 

 

「『フリント・クラッガー』の効果発動。このカードが特殊召喚に成功した場合、手札の『ネメシス・キーストーン』を捨ててEXデッキから『新生代化石竜 スカルガー』を墓地に送る」

「EXデッキから直接墓地に送るだって?一体何を狙っているんだ……?」

 

いずれ分かるさ…いずれな。なんてね。

 

「スカルガーのモンスター効果発動。墓地のこのカードを除外し、デッキから『化石融合-フォッシル・フュージョン』を手札に加える」

「!…墓地に送ったのはその為か!それに、名前から察するにそのカードは融合を行うカード……!」

「ピンポーン♡」

 

 

新生代化石竜 スカルガー

融合・効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2500/守 0

岩石族モンスター+相手の墓地のレベル4以下のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「化石融合-フォッシル・フュージョン」1枚を手札に加える。

 

 

さて、と。

 

「先ずは先にこっちだ。私はレベル3『フリント・クラッガー』にレベル2チューナー『魔救の追求者』をチューニング!」

「…まさか、シンクロ召喚!?」

「当たりですね。後で貴方にもやって貰いますよ?シンクロ召喚!来て、『ナチュル・ビースト』!」

 

この子こそ、対アクションマジック対策に用意したモンスターだ。遊矢君は私の記憶がたしかなら【EM】を使ってくるだろうから相性はかなり良い筈。

 

 

ナチュル・ビースト

シンクロ・効果モンスター

星5/地属性/獣族/攻2200/守1700

地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

デッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、

魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

 

さあ、対応しますか?主人公(仮)?

 

 

◇◇◇

 

 

「し、シンクロ召喚だって!?」

「凄いよあの人!かなり変わった人だけど!」

「さっきのデュエルでは使ってなかったけど……もしかしたら、エクシーズ召喚も使えるのかもね」

「マジか!?そんなすげー奴がうちに来てくれるなんて……!!」

「しかも、彼女は融合するカードを手札に加えている。多分このターン中に融合召喚もやってくると思うよ」

「そんな……遊矢、勝てるの?」

「がんばれー!遊矢お兄ちゃん!」

 

……まさか、僕の時は本気じゃなかったのか?それにあのカード、物凄く嫌な予感がする。

 

 

◇◇◇

 

 

「さて、魔救の分析者も同じ効果を持っています。さあ、めくるぞ」

 

来てくれよ……?いや、フリとかじゃなくて。

 

灰流うらら

増殖するG

ツインツイスター

無限泡影

魔救の奇石-ドラガイト

 

……またギリギリだよ。まあドラガイト来たからヨシ!

 

「来て、『魔救の奇石-ドラガイト』!ドラガイトがアダマシアモンスターの効果で特殊召喚されたので1枚ドローさせて貰うぞ」

 

 

魔救の奇石(アダマシア・クリスタ)-ドラガイト

効果モンスター

星4/水属性/岩石族/攻 0/守2200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが「アダマシア」カードの効果で特殊召喚に成功した場合に発動できる。

自分はデッキから1枚ドローする。

(2):このカードが墓地に存在する場合、

自分のフィールド・墓地の水属性Sモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを持ち主のEXデッキに戻し、このカードをデッキの一番上に戻す。

 

 

「よし!私はレベル4のドラガイトにレベル4チューナー魔救の分析者をチューニング!さあ、早速出番ですよ!魔救の奇跡-ドラガイト!」

「1ターンに連続でシンクロ召喚をするなんて……!」

「この程度で驚いていてはこの先苦労しますよ?ドラガイトの効果を発動!デッキトップを5枚めくり、岩石族モンスターの数まで相手フィールドのカードを選んで手札に戻す!」

「なんだって!?」

 

 

魔救の奇跡-ドラガイト

シンクロ・効果モンスター

星8/水属性/岩石族/攻3000/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中の岩石族モンスターの数まで相手フィールドのカードを選んで

持ち主の手札に戻す事ができる。

めくったカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

(2):自分の墓地に水属性モンスターが存在し、

相手が魔法・罠カードの効果を発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

さあ、何枚来るかな?

 

魔救の息吹

海亀壊獣ガメシエル

死者蘇生

コアキメイル・サプライヤー

魔救の奇縁

 

 

1枚……おかしいな、結構岩石族モンスターは入れた筈なんだけどなぁ……まあ、無いよりはマシか。

 

「じゃあ、右の伏せカードを手札に戻させてもらおうかな」

 

ドラガイトが発した冷気がヒッポに乗って移動している遊矢君に襲いかかる。

 

「なら、戻される前に使うだけさ!トラップ発動、『エンタメフラッシュ』!自分フィールドにEMが存在する時、相手フィールドの表側攻撃表示モンスターを全て守備表示になり、次のターン終了時まで表示形式を変更出来ない!」

「無駄です。ドラガイトの効果を発動!私の墓地に水属性モンスターがいる場合、1ターンに一度相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊する!」

「なんだって!?」

 

ふふん。さて、私もモンスターに乗ってみましょうか?乗るのはドラガイトだ。この子は飛べそうだし。多分。私は試しにドラガイトの背に乗ってみた。ちゃんと乗りやすいように首を下げているのが可愛らしいです。

 

……硬っ!?寒っ!?やっぱモンスターに乗るのやめよ。ドラガイト君は少しだけ残念そうに首を下げて私を下ろしてくれました。構って貰えなかったペットかな?

 

「……さて、行きますよ?魔法カード『化石融合-フォッシル・フュージョン』を発動!このカードの効果によって私は自分、相手の墓地からモンスターを除外して化石融合モンスターを融合召喚する!」

「お、俺の墓地からも!?いや、でも今の俺の墓地にはモンスターは存在しない…」

「うん、だから私は墓地の『ネメシス・キーストーン』と『フリント・クラッガー』を融合!来て、『新生代化石騎士 スカルポーン』!」

 

さあ、バトルフェイズだ。

 

 

◇◇◇

 

 

「ゆ、遊矢兄ちゃん大丈夫?」

「遊矢……!」

「頑張れー!遊矢お兄ちゃーん!」

「しかし、あのドラガイトってシンクロモンスター、強力だな!もう一体の方はなんか地味だが!」

「(いや、多分そっちもかなり危険な匂いがする。一体どんな効果を持っているんだ……?)」

 




Q
先生ガチすぎない?
A
先生「モンキーボードとドクロバットジョーカーを使ってくるんだとしたら本気で行かないと負けるんじゃないかと思った(本音)」
切りは悪いですけど分けます。

9/8 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

やべぇよ……枕元の髪の毛が……ころころ使ってもすぐにまた……
アァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!


「バトル!スカルポーンでヒッポに攻撃!」

「アクションマジック『回避』を発動!」

「無駄無駄ァ!ナチュル・ビーストの効果を発動!デッキからカードを2枚墓地に送ることで魔法カードの発動を無効にして破壊する!」

「な、なんだって!?だったらアクションマジック『奇跡』を……」

「ナチュル・ビーストの効果は1ターンに何度も使える!再び効果発動!『奇跡』を発動を無効にして破壊する!」

「くっ……なら、手札の『EMバリアバルーンバク』の効果を発動!このカードを捨てて戦闘ダメージを0にする!」

 

あのシンクロモンスターにそんな効果があっただなんて……!今のはなんとか防げたけど……このままじゃ……いや、まだだ!

 

「……ナチュル・ビーストでダイレクトアタック!」

「トラップ発動!『EMピンチヘルパー』!相手モンスターの直接攻撃宣言時、その攻撃を無効にしてデッキから『EMインコーラス』を特殊召喚する!来いっ、インコーラス!」

「ならば、スカルポーンでインコーラスに攻撃!」

「なっ!?そのモンスターはもう攻撃したはず……!」

「スカルポーンは一度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃することが出来る!」

 

 

新生代化石騎士 スカルポーン

融合・効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2000/守 800

岩石族モンスター+レベル4以下のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「タイム・ストリーム」1枚を手札に加える。

 

EMピンチヘルパー

永続罠

(1):1ターンに1度、相手モンスターの直接攻撃宣言時にこの効果を発動できる。

その攻撃を無効にし、デッキから「EM」モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

(2):自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に、

魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送って発動できる。

その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

 

 

そんな効果を持っていたのか……!?しかし!

 

「破壊されたインコーラスの効果発動!このカードが戦闘で破壊された時、デッキからペンデュラムモンスター以外のEMモンスターを特殊召喚する!来いっ、『EMロングフォーン・ブル』!EMロングフォーン・ブルの効果発動!デッキから『EMヘルプリンセス』を手札に加える!」

 

「ほう……しかし、まだ私のモンスター達の攻撃は残っている。ガーディアンでロングフォーン・ブルに攻撃!」

「くっ、ロングフォーン・ブル……!」

「ドラガイトでダイレクトアタック!」

「させない!墓地のバリアバルーンバクの効果を発動!手札のギッタンバッタを捨てて、このカードを特殊召喚する!」

「ならバリアバルーンバクに攻撃!……いやはや、全部防がれちゃうとはね?」

 

 

EMインコーラス

ペンデュラム・効果モンスター

星3/風属性/鳥獣族/攻 500/守 500

【Pスケール:青2/赤2】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「EMインコーラス」以外の

「EM」カード、「魔術師」カード、「オッドアイズ」カードの内、

いずれかが存在する場合に発動できる。

このカードのPスケールはターン終了時まで7になる。

【モンスター効果】

(1):このカードが戦闘で破壊された時に発動できる。

デッキからPモンスター以外の「EM」モンスター1体を特殊召喚する。

 

EMロングフォーン・ブル

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1600/守1200

「EMロングフォーン・ブル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキからPモンスター以外の「EM」モンスター1体を手札に加える。

 

 

EMバリアバルーンバク

効果モンスター

星6/風属性/獣族/攻1000/守2000

「EMバリアバルーンバク」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、

このカードを手札から捨てて発動できる。

その戦闘で発生するお互いの戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、

相手モンスターの直接攻撃宣言時に手札から「EM」モンスター1体を捨てて発動できる。

このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する。

 

 

素良の言っていた通り、この人……藤野明美さん、滅茶苦茶強い……!そこらのプロよりも強いんじゃ無いか!?こんな人が今まで一体何処に……

 

「貴方は…何者なんだ?」

「……ただの仕事帰りのOLさ。夜勤明けのね……私はカードを1枚伏せてターンエンドだ。そして、除外されたネメシス・キーストーンの効果発動。自身を手札に加える。さらに、コアキメイル・ガーディアンはターン終了時に手札の岩石族モンスターを公開するかコアキメイルの鋼核を墓地に送る、もしくは自身を破壊する。私は手札のキーストーンを見せる。これで私のターンは終わりだ」

 

なんか、明美さんの目が死んでいる気がする……いや、それは今はいい!

今の状況は圧倒的に不利だ。しかし、俺にはペンデュラム召喚がある。このターンで逆転してみせるっ!

 

「俺のターンっ!ドロー!!」

「あっそうだ。言い忘れてたね」

「えっ、なんだ?」

 

急にどうしたのだろう?

 

「君はペンデュラム召喚を使うんだよね?」

「あ、ああ……それがどうしたんだ?」

「ペンデュラムモンスターってスケールにセッティングする時ってどんな扱いになると思う?」

「どんな扱いって、それは、モンスターじゃないから魔法カード……!!まさか!?」

「ふっふっふ」

 

まさか、ペンデュラム召喚を封じる為にわざわざそのシンクロモンスターを!?いや、しかし何故そこまでペンデュラムの事を知っているんだ!?

 

「本当に貴方は何者なんだ……!?」

「しがない社畜さ……で、どうします?サレンダーします?ちなみにコアキメイル・ガーディアンには自身をリリースしてモンスター効果の発動を無効にして破壊する効果を持っています」

「なんだって!くっ……」

 

サレンダー。それは負けを認めるという事。もう、既に俺に勝ち目は……いや……まだ、諦めない!

 

 

◇◇◇

 

 

「ゆ、遊矢、大丈夫なの!?」

「魔法カードをほぼ完璧に封じるだと!?とんでもねぇ効果を持ってやがる!」

「これは、かなり不味い…」

「い、一体どういう事だ!?」

「ペンデュラム召喚はまずペンデュラムスケールをセッティングする必要がある。その時、ペンデュラムモンスターは魔法カード扱いだから……」

「つ、つまり、遊矢兄ちゃんはペンデュラムモンスターを封じられたってわけか!?」

「そ、そんな!?」

「このままじゃ、遊矢が負けちゃう……!」

「(このカード、僕とのデュエルの時に出ていたら僕は融合をほぼ封じられていた……次にデュエルする時は何か対策を用意するか…)」

 

 

◇◇◇

 

 

……モンキーボード、来なかったな。もう少し加減すれば良かったかな?ま、いっか。

 

「相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、『EMレビュー・ダンサー』は手札から特殊召喚出来る!『EMヘルプリンセス』の効果発動!自分がEMモンスターを召喚、特殊召喚した時にこのカードを特殊召喚する!」

「ふむ。コアキメイル・ガーディアンの効果発動。自身をリリースしてヘルプリンセスの効果の発動を無効にして破壊する」

「まだだ!相手フィールドに特殊召喚したモンスターが存在し、自分フィールドよりモンスターの数が多い時、『EMラディッシュ・ホース』は特殊召喚出来る!ラディッシュホースの効果発動!ナチュル・ビーストの攻撃力を500下げ、ラディッシュホースの攻撃力を500上げる!」

 

ナチュル・ビースト  ATK 2200 → 1700

EMラディッシュ・ホース ATK 500 → 1000

 

 

EMヘルプリンセス

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1200/守1200

(1):自分が「EMヘルプリンセス」以外の

「EM」モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

 

EMレビュー・ダンサー

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 800/守1000

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、

自分フィールドにモンスターが存在しない場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):「EM」モンスターをアドバンス召喚する場合、

このカードは2体分のリリースにできる。

 

EMラディッシュ・ホース

ペンデュラム・効果モンスター

星4/地属性/植物族/攻 500/守2000

【Pスケール:青3/赤3】

(1):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体と、

自分フィールドの「EM」モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターの攻撃力は、その自分の「EM」モンスターの攻撃力分ダウンする。

【モンスター効果】

(1):特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在し、

相手フィールドのモンスターが自分フィールドのモンスター数以上の場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体と

自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

ターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力はこのカードの攻撃力分ダウンし、

その自分のモンスターの攻撃力はこのカードの攻撃力分アップする。

 

 

「ほう、やるな」

 

ナチュル・ビーストの攻撃力が下げられてしまった。

 

「俺は2体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚!雄々しくも美しく輝く二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

来たか、彼のエースモンスターが。このモンスターが主人公のエースモンスターだとは知ってはいたが……

 

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

ペンデュラム・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

【Pスケール:青4/赤4】

このカード名の(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。

(2):自分エンドフェイズに発動できる。

このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、

このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 

来たか……友人はこのカードの事を擬似サーチ魔法としか使っていなかったが。

 

「バトルだ!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでナチュル・ビーストを攻撃!螺旋のストライクバースト!」

「ぐはっ……」

 

藤野 LP4000 → 2400

 

まだまだかすり傷だ。

 

「ふっ……あの劣勢からここまで立て直したか。ナチュル・ビーストを倒すとは流石だな。しかし、私のフィールドにはまだドラガイトが残っているぞ」

「ぐっ……俺はこれでターンエンド……」

「さて、私のターンか。このターンで終わらせてやろう」

「なっ!?」

 

さぁ、フィナーレと行きますか!

 

「私のターン、ドロー!」

 

引いたカードは原子生命体ニビル。帰れ!

 

「私は魔法カード『魔救の息吹』の効果を発動!墓地の岩石族モンスターを守備表示で復活させる!もう一度お願い、『魔救の奇石-ドラガイト』!更に、この効果でアダマシアモンスターを特殊召喚した場合、墓地の岩石族モンスターをデッキトップに置く。私はコアキメイル・ガーディアンを置かせてもらう」

「折角倒したのに、また!?」

「ドラガイトの効果を発動!デッキトップを5枚めくり、岩石族モンスターの数まで相手フィールドのカードを手札に戻す……既に1枚は出る事は確定しているけどね!」

 

コアキメイル・ガーディアン

灰流うらら

魔救の探索者

ツイン・ツイスター

巌帯の美技-ゼノギタム

 

3枚!

 

「さあ、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンとEMピンチヘルパーを手札に戻して貰おうか!」

「オッドアイズ!!?」

 

さあ、これで私を阻むものはいない。

 

「さあ、これで終わりだ……!」

「ぐっ………」

「多少は粘ったけれど、これで終わりです!バトル!魔救の奇跡-ドラガイトでダイレクト・アタッ……ク?」

 

あ……れ?視界が……揺らい……で……

 

「ど、どうした!?大丈夫か!?」

「きゅう……」

 

目が回る……頭が痛い……そうか、そうだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、一昨日から寝てないや……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう……ああ、久しぶりの心地よい眠気が……ぐぅ……」

 

おやすみ……

 

 

◇◇◇

 

 

「あれ!?姉ちゃん、寝ちゃったぞ!?」

「お、おい!大丈夫なのか!?」

「……眠ってるだけみたい」

「ほっ……良かった…」

「……」

「師匠、大丈夫?」

「あ、ああ……」

「今度はきっと勝てるよ!」

「……本当に、そうだろうか……今のデュエル、俺はエンタメデュエルをする余裕すらなかった。こんな事じゃ……」

 

 

 

 




先生「止まるんじゃねぇぞ……」
赤馬「なんか電波受信した」

・先生の伏せカード
墓穴の指名者。当初は魔救共振撃の予定だったが流石にガチすぎるのでやめておいた。

・まさかの中断
眠気には勝てなかったよ……みんなも睡眠はしっかりとろうね!取らないと止まってしまうからね!

9/8 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


先生の名前の由来は特に無いです。強いて言うなら何処にでもいそうな名前かなぁと思いながら名付けました(ただしショタロリコン)

9/12 ドラガイトの攻撃力を間違えてたのでデュエル内容を一部修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話

朝、貴方は目が覚めると沢山の髪の毛が枕に引っ付いていました。SANチェック1/1D6です。また、APPを1減らしておいてください。

今回のデュエル、滅茶苦茶あっさりしています。許して。


ぐぅ……ぐぅ……うーん……今何時……?

 

 

 

 

 

AM 9:00

 

 

 

 

 

………………ん?

 

「ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!??遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

 

「な、何!?」

 

 

ヤバいヤバい遅刻する遅刻する早くご飯食べて出勤しないとヤバい所長のくそ長いお説教があばばばばば!!

 

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「もう、静かにしなさい!」

 

「きゃん!?」

 

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

 

ぜぇ、ぜぇ……

 

「落ち着きました?」

「ええ、なんとか……」

 

そうだった……私はたしか昨日からどういう事か遊戯王の世界に来てしまってたんだった。結局、その理由は不明だ。まあ、この際それはどうでもいいだろう。それより……

 

「仕事、無断欠席したら辞めさせられるんじゃ……」

「はいはい、まずは朝食を食べなさいな」

「あっはい」

 

この人はどうやら遊矢君のお母さんらしい。凄いオカンみたいな感じがするひとだね。と、言う事はここは遊矢君の家か。気絶するように寝てしまった私をここまで運んでくれたのかな?だったら後でお礼を言わないと。

 

「あ、目が覚めたのか……」

「おはよう、遊矢君。昨日はもしかして君が運んでくれたのかな?それなら本当にありがとうね!」

「あ、ああ……」

 

……なんか、遊矢君元気がないみたい?

 

「もう、だらしのない子ね!一回ボロ負けしたくらいで情けない!」

 

……あ、それか!

 

「え、えっと、大丈夫!あのくらい練習すれば誰でもできるようになるから!」

「……あれを、誰でも?」

「あはは、まあ私も少し大人気なかったかな?いや、あの時はなんというか……仕事から解放されたテンションでおかしくなっていたから……」

 

大体私は仕事帰り終わるとはしゃぐ。いつもは表面上には出さないんだけどわりと久しぶりのデュエルだったからね。てへっ。

 

「……明美さん、俺にもっとデュエルを教えてくれ!」

「うむ。その意気である。さて、まずは何を教えたものか……」

「はいはい、話はご飯を食べてから!」

「「はーい」」

 

この人、オカンだなぁ……実際に遊矢君のお母さんなんだけど。さて、何を教えるか……あ、このパンケーキ美味いな。今度作り方教えてほし……くないな、別に。私はカップ麺とインスタントカレーだけで生きていける。

 

 

◇◇◇

 

 

遊矢君達の放課後。私は塾に来ていた。遊矢君達ももう既に全員来ている。彼らに何を教えるのかはもう決まっている。

 

「ねぇねぇ!何教えるの?明美お姉ちゃん!」

「はやくしろよー!」

「楽しみ…」

「ははは。さて、授業を始める前に。貴方達に一つ質問があります!

貴方達は『墓地』の事をどう思っていますか?」

 

「どうって……」

「あまりいいイメージはないよね……」

「墓地に行ったモンスターが可哀想……」

 

お前それアンデット族の前でそれ言えるの?……まあ、いいか。

 

「ふむふむ、なるほどね?」

 

「で、結局何を教えるの、お姉ちゃん?」

 

んん゛ん゛ん゛ん゛!!

 

「ごほん!今日は先程質問した墓地の重要性について説明しようと思います!」

「えー?」

「どういう事?」

「……墓地に行く事がメリットになるカードはいくつかあるけど…」

 

お、青髪少年は中々賢いな。

 

「さて、これから長々と説明してみんなに悲鳴をあげてもらうのも一興だけど…」

「え!?」

「いやなんでもない。今日は実際に私のデュエルを見て学んで貰おうと思います!」

「「「わー!!」」」

 

子供達には割と好評みたいだ。まあ、遊戯王の細かいルールは説明し出すと日が暮れちゃうからね……

 

「さて、デュエルの相手だが……今回も遊矢君に……」

「遊矢!元気か!」

 

ん?誰?

 

「あ、権現坂。よう!どうして此処に?」

「うむ。最近、ここに新しい教師が来たと素良から聞いてな。どんな奴だろうかと見に来たのだ!」

 

その人……権現坂君はかなり特徴的な服装をしていた。白服にリーゼントって……あと喋り方が古臭い。まあ、悪い人じゃなさそうだしこのくらいの服装なら遊戯王ではよくある事か……そうだ!

 

「丁度良かった!なら、私のデュエルの相手を務めてくれないかな?」

「む?それは構わぬが、何故だ?」

「いや、今私の講義中でね。口で説明するよりも実際にやってみたほうが早いかなって。ちなみに講義内容は墓地についてだよん」

「……うむ!そういう事ならこの男権現坂!謹んでデュエルの相手をお受けしよう!」

 

うん、分かった。こいつ屈指の聖人だ。この子なら申し分ないだろう。

 

「じゃ、始めますか?」

「いつでも構わぬ!」

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ!これがデュエルの最強進化系!」

 

「アクショーーーーン!」

 

 

「「デュエル!」」

 

うん、2回目だけどもう慣れた。さて、初期手札にあのカードは来るかな?

 

 

◇◇◇

 

 

「先攻は君だね」

「遠慮なく行かせてもらおう!俺のターン!」

 

さて、どんなデッキだろうか?

 

「自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、手札の『超重武者ビッグワラ-G』は手札から特殊召喚出来る!更に、ビッグワラ-Gは機械族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースにできる!動かざること山の如し。不動の姿、今見せん!『超重武者ビッグベン-K』!」

 

ほう、【超重武者】か。中々渋いデッキを使うじゃないか。しかも、ビックワラ-Gがいるという事は【フルモン】型か。

 

 

超重武者ビッグベン-K

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻1000/守3500

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

このカードの表示形式を変更する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分フィールドの「超重武者」モンスターは、

表側守備表示のままで攻撃できる。

その場合、そのモンスターは守備力を攻撃力として扱いダメージ計算を行う。

 

 

「さらに俺は、手札から『超重武者装留ビックバン』の効果を発動!このカードをビッグベン-Kに装備する!ビックバンの効果によってビッグベン-Kの守備力は1000ポイントアップする!」

 

超重武者ビッグベン-K DEF 3500 → 4500

 

「守備力4500!?」

「いいぞ、権現坂!」

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

ふむふむ、なるほどね。

 

「じゃあ、私のターンか。ドロー」

 

おっ、来た。

 

「ところで権現坂君。君のデッキ枚数は何枚かな?」

「む?何故そのような事を聞く?基本、デッキは40枚だが……」

「ならいいや!」

「……?」

 

さあ、お楽しみはこれからだ!なんて。

 

「私は手札から魔法カード『隣の芝刈り』を発動!」

「な、なんだ!そのカードは……!」

「このカードの効果によって、私は相手のデッキの枚数と同じになるように私のデッキの上からカードを墓地に送る!私のデッキの枚数は54枚、君のデッキの枚数は35枚。よって、私はデッキからカードを19枚墓地に送る!」

「なんだと!?」

 

 

◇◇◇

 

 

「ねえ遊矢、なんで先生はそんなにカードを墓地に送るの?」

「おそらくは、墓地で発動するカードがあるからだ。多分、その為だけにわざわざデッキの枚数を60枚にしたんだ!」

「えー、そんな事してもカードが墓地に送られただけじゃんか!」

「いや、これは……」

 

「(あんなカード、聞いた事も見た事もない。使い方次第でとてつもなく恐ろしいカードだ……)」

 

 

◇◇◇

 

 

「お楽しみの時間ですね☆私は墓地に送られた2枚の『ワイトプリンス』の効果を発動!デッキから2組の『ワイト』と『ワイト夫人』を墓地に送る!更に『ワイトベイキング』の効果も発動!『ワイトプリンセス』と『ワイトキング』を手札に加える!更に更にぃ!『牛頭鬼』の効果も発動する!墓地の『灰流うらら』をゲームから除外して手札からアンデット族モンスターを特殊召喚する!さあ来い!本日の主役!『ワイトキング』!」

 

「なんという怒涛のモンスター効果……!しかも、攻撃力?だと?」

「うん!」

 

ちなみに私はモリンフェンの方が好きです。

 

 

ワイトプリンス

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 0/守 0

(1):このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

「ワイト」「ワイト夫人」1体ずつを手札・デッキから墓地へ送る。

(3):自分の墓地から、「ワイト」2体とこのカードを除外して発動できる。

デッキから「ワイトキング」1体を特殊召喚する。

 

ワイトベイキング

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

(2):自分フィールドのレベル3以下のアンデット族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、

代わりに手札のこのカードを捨てる事ができる。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから以下のモンスターを合計2体手札に加える(同名カードは1枚まで)。

その後、手札を1枚選んで捨てる。

●「ワイト」

●「ワイトベイキング」以外の「ワイト」のカード名が記されたモンスター

 

牛頭鬼

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、

自分の墓地から「牛頭鬼」以外のアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。

手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

 

ワイトキング

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0

このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する

「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、

自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を

ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

 

 

「ワイトキングの攻撃力は自分の墓地のワイトキング、ワイトの数×1000ポイントの数値になる!」

「という事は……攻撃力4000!?だが、まだビッグベン-Kの守備力の方が上だ!」

「いーや、違うよ?墓地のワイト夫人、ワイトプリンス、ワイトベイキング、ワイトプリンセス、ワイトメアは墓地に存在する場合カード名をワイトとして扱う!よって、ワイトキングの攻撃力は……」

 

ワイトキング ATK ? → 9000

 

「こ、攻撃力9000だと!?」

「ふふん!これが弱小モンスターと言われ続けたワイトの実力よ!」

 

「す、すっげー……!」

「たった魔法カード1枚を使っただけで攻撃力9000のモンスターを呼び出すなんて……!」

 

「それもこれも墓地を使ったおかげさ!」

「しかし、俺のフィールドのビッグベン-Kは守備表示だから、戦闘ダメージはない!」

 

「それはどうかな!」

 

「なに!?」

 

ふふ、一回言ってみたかったんだよなぁ。やったぜ。

 

「私は手札から魔法カード『アームズ・ホール』を発動!このターン通常召喚を行えない代わりにデッキから装備魔法カードを手札に加える!私が手札に加えるのは……『光学迷彩アーマー』!これをワイトキングに装備!」

 

すると、ワイトキングの姿が見えなくなった。

 

「……一体、どういうつもりなんだ……?」

「こういうつもりです!光学迷彩アーマーはレベル1のモンスターしか装備できないが、装備したモンスターは直接攻撃ができる!」

「なんだと!?」

「さあ、トドメだ!ワイトキング!相手プレイヤーにダイレクトアタック!」

 

ワイトキングが権現坂君の背後から現れる。軽くホラーだねこれは……

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

権現坂 LP 4000 → 0

 

「わ、ワンターンキル……」

「権現坂を相手に……!」

「凄い……!」

 

ふふん!幼い子からの賞賛の眼差しは心地いいねぇ!!

 

 

「またなんか気色悪い事考えてる……」

 

「ん?何か言った、素良きゅん?」

「あはは、なんでも無いよ!……でもその呼び方はちょっと……」

「むぅ……もっと褒めてくれても良いのよ?」

「はいはい、凄い凄い」

「適当!」

 

だがそれがいい!いやよくない。落ち着け私。

 

「むぅ……まさか、ここまで強いとは……」

「あはは。まあ、年季の差って奴かな?」

「え、貴方今何さ……」

 

バチィ!!

 

「女性の人に年齢聞いちゃダメでしょ!」

「うわ!?ごめんって柚子〜!」

「仲が良いねぇ。あ、そうだ。権現坂君は実践デュエルに付き合ってくれたお礼です。受け取ってくださいな」

「むむむ、このカードは……」

「おそらく君のデッキにも合うはずですが」

「……なるほど!帰って改めてデッキを組み直してみるとしよう!」

 

あと、シンクロ召喚使いましょうよ。折角優秀なチューナーもシンクロもいるのに。まあ、それはまた次の機会でいっか。

 

「さて、今見せたのは墓地利用のほんの一例に過ぎません。これから多様な墓地の使い方を貴方達に教えましょう!」

 

「「「はいっ!」」」

 

こうして、私の教師生活が始まった………が。

 

私は忘れていた。

 

遊戯王世界は、ハプニングが付き物だと言う事を……

 




感想、評価等ありがとうございます!

沢渡「あれ、俺の出番は!?
紙吹雪「ちゃんとあるから安心しろ」
沢渡「ちゃんと活躍するんだろうな?」
紙吹雪「……(=^▽^)σ」
沢渡「なんだその顔!?」

今回、先生はチェーンについては何も言いませんでしたが、良い子のデュエリストはキッチリチェーンを使いましょうね!

・先生が権現坂に渡したカード
一体なんでしょうね?ヒントは上級モンスターです。これだけ言えばほとんど分かったようなものかもしれませんが。

9/8 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7話

沢渡「今回こそ俺の出番だぜ!」
紙吹雪「……うん、そうだね(目逸らし)」
沢渡「おいっ!なんだその目は!?」
紙吹雪「……今回、デュエル無いです。次回からですね」
沢渡「Σ(・□・;)」

バーに色が着きました!
評価、感想等ありがとうございます!励みになります!



「ふぅ〜!気持ちいい!」

「痺れるぅ〜!」

「デュエルで汗を流した後はこれだね!」

 

デュエルで汗を流すってなんだよ(哲学)。まあ、アクションデュエルじゃなくても緊張したりしても汗は出るけどねぇ……あまり、聞かないセリフだなぁ。遊戯王世界だと全く違和感を感じないし。それを完全に受け入れている私はこの世界に馴染んできた、という事だろうか。

 

……これ、私元の世界に戻れるかな……?私、デュエルを教えるのは別に嫌いじゃないけどいつまでもそれして生きていくわけにもいかないかな。

 

……会社の同僚?多分「ああ、遂に失踪したか……」って感じだと思う。あの会社にはあまり仲の良い人居ないんだよね……中学の頃から仲の良かった友達は他の会社に行っちゃったし。寂しくはないけど虚しさは感じてしまう。

 

「あっ遊矢、首の後ろ汚れちゃってる。首も綺麗に洗いなさいよ!明美先生も!」

 

「「はいはい……」」

 

「『はい』は一回!」

 

「「はーい……」

 

最近、オカンに見えてきたね柚子ちゃん……

 

「しっかし、暑いな!こういう時はアイスが食べたくなるな!」

「あー、確かに一理あるなぁ………誰が買いに行く?」

「柚子!頼む!」

「えー……」

 

嫌そう。まあ暑い中わざわざ出掛けたい人なんてそうそう居ないだろうな。そういえばソリッドビジョンだと衝撃とかあるみたいだけど、トリシューラでも出せば涼しいのでは?ドラガイト出した時は冷たかったし。アブソルートzeroとかも良さそう。まあ、それはそれとして。

 

「まあ、待つんだ遊矢君。ここはデュエルで誰がアイスを買ってくるかを……」

「えー、時間が掛かるよー?」

「早く食べたーい!」

 

お前らそれでもデュエリストか!……まあいいや。この歳のデュエリストにそれを求めるのは酷だろう。上から目線だけど。

 

「もう、しょうがにゃいにゃあ……私が買いに行くよ」

「先生!良いんですか!?」

「まあね」

 

たまには街を歩いてリフレッシュでもしよう。教えるネタも切れかけてるし、丁度いい機会だろう。そこら辺を散歩していたら何かアイディアが思いつくかもしれない。

 

「あ、私も行きます!」

 

そう私に声をかけてくれたのは柚子ちゃんだ。柚子ちゃんは天使か……?天使だな、使っているカードは。見た目もだけど。鮎ちゃんも可愛い。そんな彼女にお餅さんを渡そうとしている私は鬼畜なのでは……?

 

まあ、そんなこんなで私達2人はアイスを買いに街に出かけました。ついでに私用のお菓子でも買いましょうかね。

 

……ただし、お金は柚子ちゃん持ちです。私、お金ないからね……塾に直接寝泊まりさせて貰ってるから文句は言えないけどね。すまんねマイエンジェル……

 

 

◇◇◇

 

 

アイスを無事に買った帰り道。日が暮れかけて夕方くらいの時間帯だ。ちなみにお菓子はチョコレートを買って貰いました。

 

「まったくもう……みんなアイスが食べたいなら自分達で買いに行けば良いのよ!明美先生も先生です!自分のお金で買ってください!」

「たしかにそれは申し訳ないと思っているけど、口ではそう文句言いながらもこんなに沢山買ってるんだからもしかして柚子ちゃんツンデレ?」

「いや、ツンデレってなんですか……?」

「普段はキツイ態度をとっているけど、たまに好意的な態度になる人の事、かなぁ……特に、遊矢君とか」

「だ、だから私と遊矢はそんな関係じゃなくて……!」

 

お互いの事名前で呼びながらそんな関係じゃ無い……?どういう……事だ……?私はそんな関係見た事も聞いた事もないです。遊矢君滅茶苦茶妬ましい(豹変)

 

「そんな事言っても顔が赤いぜ?」

「ち、違っ……「柚子お姉ちゃーん!せんせーい!」アユちゃん?どうしたの、慌てて?」

 

あれ、本当にどうしたんだろう?この子は遊矢君達と一緒にアイス待ちしてると思ってたけど。

 

「大丈夫?アイス食べる?」

「あ、ありがとう……じゃなくて!ゆ、遊矢お兄ちゃんのこと、話してる人達を見たの!」

 

……一体なんの話だろうか?遊矢君何かしちゃったの?そんな事する子には思えないけど。

 

「遊矢の事?それ、どんな人達?」

「前にペンデュラムカードを盗ろうとした悪い人達!」

「それって…沢渡達の事!?」

「うん!今日こそ遊矢お兄ちゃんに仕返しするんだって!」

 

カード泥棒ってほんとにいるんだね、なんて気軽に構えている場合でもないかも。ここは遊戯王世界なのだ。闇落ちした沢渡君とやらが黒幕的なサムシングに操られて闇のゲームを仕掛けてきても不思議ではない。その場合、遊矢くんが危ない、か……

 

……どうしよう。私、デュエルは好きだけど流石に自分の命の方が大事なんだけど……

 

「アユちゃん、沢渡達が何処に行ったか分かる?」

「ちゃんと聞いたよ、倉庫に行くって!」

「倉庫ね。お手柄よ、アユちゃん!」

「えへへ……」

「行きましょう、先生!今度は私が遊矢を守る!アユちゃん、これ、持ってて!」

 

……あ、これ私もついて行かないとハリセンでシバかれるやつだ。はぁ、そこまで気乗りはしないけど行きますか……

 

「面倒事はごめんなのだけど……」

「言ってる場合ですか!早く行きますよ!」

「あ〜!待って〜!」

 

ちょ、柚子ちゃ、足早……こけるこける!?

 

改めて私はこの世界の女子にも体力が劣っているなぁとひしひしと感じながら倉庫に向かった。

 

 

◇◇◇

 

 

「ふっ…」

「沢渡さん!今度のデッキ、マジ強すぎっすよ!」

「ちっちっち、違うな。強いのはデッキじゃない。肝心なのは、それを使いこなすデュエリストの腕!つまり強すぎるのはこの俺、沢渡シンゴさ!」

「沢渡さん、気合入りまくりですね!」

「そうですね。これなら、榊 遊矢に勝つ確率は…」

 

ふむふむ、アユちゃんの情報は正しかったみたいだね。

 

 

「沢渡っ!!」

 

「な、何!?」

「殴り込みか!?」

 

「見つけたわよ、沢渡!」

 

「お、お前は…柊 柚子!?それに、そっちの女は誰だ!…なぜ、ここに?」

 

あ、こいつ見た事あるかも。なんか、パックの宣伝してた気がする。取り巻きっぽい3人は知らんけど。たしか、妖仙獣使いだっけ?うーん、あんまし覚えてないや。あ、よく見たら取り巻きの女の子可愛い。後で名前聞こっと。

 

「私とデュエルしなさい!」

「この俺が君如きとデュエル?はっ、ありえないね」

「負けるのが怖いの!」

「フン、何を言ってるんだ」

「もう全部分かってるんだから!あんたが、遊矢にボコボコにされた逆恨みから仕返しを企んでるってこと!」

 

柚子ちゃん、ストロングに行くなぁ。デュエルの時もそのくらいぐいぐい行って欲しいものだ。

 

「おいっ!誰が、誰に、ボコボコにされたってぇ!?」

「あんたが、遊矢に、よ!」

「何だとぉ!?LDSでも期待されているこの俺に向かって……!」

「あり得ないわね!あんたみたいな二流…ううん、三流、四流!いいえ、百流のデュエリストが相手なら遊矢が出るまでもないわ!今度は私がボコボコにしてあげる!」

 

百流はむしろ強そう。ところで、LDSってなんぞ?

 

「この俺を百流だとぉ…!身の程知らずなその態度、そこの女共々後悔させてやる!良いだろう!デュエルだ!」

 

ちょ、なんで私まで!?今まで自然な流れだったのに!私なんかした!?って、んん?

 

「さ、沢渡さん!?」

「後ろ!後ろっ!」

 

「ん?……って、誰だ、お前は!?」

 

そこに立っていたのは顔をマスクとゴーグルとマフラーで覆った不審者だった。え?誰?

 

「いきなり現れて、プリンセス達を助けに来たナイト気取りってわけか?」

 

「下がっていろ」

「はあ?何貴方?」

 

柚子ちゃんも知らない人みたいだ。完全に不審者じゃねぇか。いや、それよりも……

 

「ねぇ、柚子ちゃん。『LDS』って何?」

「し、知らないの?それは……」

 

ふむふむ、要はこの辺りで一番人気なデュエル塾と。それにしても、この人、一体何の為に…?もうデュエルディスクを構えている。あまり見ないデュエルディスクだ。とは言っても私はあまりデュエルディスクについては詳しくないんだけど。

 

「変わったデュエルディスクだな…こちらの問いかけに答える気はないって事かよ?それと、そこの女は何こそこそ話してやがる!お前もとっとと構えろ!」

「ほ、ホワイ!?」

「昨日だったか、連絡があったんだよ。1人免許もなしにデュエル塾の先生をしてるやつがいるってな!それも榊 遊矢の塾でな!お前の事だろう…!」

 

……あ。免許……いや、それどころではなく私は戸籍すら無い!?そりゃあ怪しまれるわけだよ!いや、でもどうしてこいつごそんな事を知ってるんだ?私が異世界から迷い込んだ事はまだ誰にも言っていない。一体何故……ううん、考えるのは後にしましょう。

 

「…分かった。デュエルを……」

「ついでだ。お前も下がっていろ」

「殴るぞ不審者」

 

人のことを柚子ちゃんのおまけみたいに言うなよ。確かに柚子ちゃんはきゃわわだ。私なんかと比べるなんて彼女が可哀想だろう。でも、私だってプライドがあるんだからね?

 

 

「断る。どうしてもというならどっちがアイツとデュエルするかをデュエルで決めるぞ」

「流石にそれは……」

「おい!とっとと始めるぞ!ねね、手伝え!ルールはタッグフォース式だ!」

「は、はい!」

 

あ、女の子も参加するのか。これは、ひょっとしてタッグデュエルってやつ?あ、タッグフォース式ってのはなんとなく分かる。友達がそんな名前のゲームをしてて一回だけ貸してもらったことがある。友達曰く『カードゲームも出来るギャルゲー』だそうだが……それは一先ずおいておこうか。

 

「というわけで、よろしくね?」

「……好きにしろ」

 

タッグフォースはたしか墓地とフィールドを共有していたはず。つまり、墓地肥やしの重要性が更に上がっている。例えば、『ゴブリンのやりくり上手』なんかは普段よりも大量ドローを狙える。

 

……さて、ゲーム以外だと初めてだね、タッグデュエルは。

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

さて、楽しみだね?

 




紙吹雪「本SSは沢渡さんの出番が少なめです。なので、前書き次元や後書き次元での出番が多めとなっております。」
沢渡「な、納得できねぇ……!」
紙吹雪「ないよりはマシでしょ……」

急にタッグフォース次元のキャラを出してしまった……多分ここだけくらいしか登場しないと思うんで許して()

9/25 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!

8/1 致命的なガバがあったので少し訂正しました!!!!
  私ってほんと馬鹿……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話

前回のあらすじ!

ショタロリコン&不審者その1VS沢渡さん&TFSPのラスボスVSダークライ

以上!
沢渡「おい、なんか変なのが混ざってるぞ!?」
紙吹雪「これも全部ドン・サウザンドって奴の仕業なんだ!」
ダークライ「マジかよドン・サウザンド最低だな」
ドンちゃん「#^ω^)ピキピキ」



そういえば、まだこの人の名前聞いてなかったね。

 

「君の名前は?」

「…………」

「ずっと黙ってるつもりなら舌入れてチューしますよ?」

「…………ユート」

 

ありゃりゃ、距離を置かれてしまったようですね。一歩分くらい離れられました。マフラーとかゴーグルとか付けてるし、実はシャイなんでしょうか?

 

「いや、当たり前ですよ……」

「ん?何か言いましたか、柚子ちゃん?」

「なんでもないです」

「おいっ!そっちが先攻だろうが!早くしろ!」

 

あらあら、怒られちゃった。

 

「お先にどうぞ?」

「………俺のターン」

 

手番を譲ると割と素直に受け取りましたね。さてさて、相方のデッキは〜?

 

「俺は手札5枚、全てのカードを伏せる」

「「はぁ!?」」

「ふむ……?」

 

なんだ、インフェルニティか。

……いや、違う。タッグデュエルだと相方の手札は確認できないけど伏せたカードは確認出来る。

 

『幻影騎士団シャドーベイル』×2

『幻影死槍』

『サイクロン』×2

 

なるほど、【幻影騎士団】か。そういえば少し前に『RR』と『幻影騎士団』として扱うカードが出たような……もしかして、あのCMの黒咲って人と関係あるのかな、この人。

 

「ターンエンドだ」

 

「……クハハハハハ!!おいおい!なんかカッコつけて登場した割に、それだけかい!?」

「沢渡さん、大嵐っすよ!」

「モンスターが1枚も入ってなかったかい?気の毒だがお前、持ってないねぇ?」

「聞こえなかったか?ターンエンドだ」

「ああん?」

 

いや、これでいい。そう、【幻影騎士団】ならね。それにしても、今回の私のデッキと相性結構、いやかなりいい。私、珍しくついてる。

 

「ほら、貴方のターンですよ?」

「ふん、見せてやる。俺の完璧なデュエルを!……俺のターン、ドロー!」

 

さあ、どう来る……?

 

「お前の伏せたカード、利用させて貰うぜ!相手の魔法・罠ゾーンにカードが2枚以上存在する時、手札からこのカードを特殊召喚する事が出来る!出でよ、『氷帝家臣エッシャー』!」

 

あれ、【帝王】?【妖仙獣】じゃなくて?……まあ、問題はないかな。真帝王領域さえ来なければ。

 

「さらに俺はエッシャーをリリースしてアドバンス召喚!氷帝メビウス!メビウスの効果発動!このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで選択し破壊できる!」

 

 

氷帝家臣エッシャー

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻 800/守1000

(1):相手の魔法&罠ゾーンにカードが2枚以上存在する場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

 

氷帝メビウス

効果モンスター

星6/水属性/水族/攻2400/守1000

(1):このカードがアドバンス召喚に成功した時、

フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

 

メビウスさんチィーッス。中々懐かしいカードだ。しかし、破壊されたのはシャドーベイルと槍だ。むしろありがたいんだが。私ならアーティファクト警戒して局所的ハリケーンとか使うかな。何回友達とのデュエルで羽箒引いて喜んではアーティファクト踏んで痛い目を見たか……

 

「まだ始まったばかりだ!俺は手札から魔法カード『カード・アドバンス』を発動!このカードはデッキの上からカードを5枚まで確認して好きな順番に戻し、このターンもう一度アドバンス召喚を可能にする!」

 

「!?攻撃力2400のメビウスをリリースして、まだアドバンス召喚するって言うの!?」

 

アドバンス召喚したモンスターをリリースするって事は多分出てくるのは……

 

「その通りさ!俺は氷帝メビウスをリリースしてアドバンス召喚!出でよ!『凍氷帝メビウス』!」

 

 

凍氷帝メビウス

効果モンスター

星8/水属性/水族/攻2800/守1000

このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。

このカードがアドバンス召喚に成功した時、

フィールド上の魔法・罠カードを3枚まで選択して破壊できる。

このカードが水属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、

その時の効果に以下の効果を加える。

●この効果の発動に対して相手は選択されたカードを発動できない。

 

 

ふむ、君か。まあエレボスじゃなくて良かったと思おう。

 

「本来ならばモンスター2体のリリースが必要な所だが、アドバンス召喚に成功したモンスターならば一体のリリースでアドバンス召喚できる!それが、この凍氷帝メビウスだ!」

 

知ってるってば。

 

「凍氷帝メビウスの効果発動!このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを3枚まで選択し破壊する!」

「んで、水属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚したからチェーンできないと」

「……!?な、何故知っている!?」

「このくらい知っていないと先生は出来ませんからね」

 

新しいカードが出る度にwikiに齧り付いていたからね。分からないカードだってあると思うが環境に出てくるようなカードは大抵頭に叩き込んでいる。何はともあれ、無事に全てのカードが破壊されたね。ノータッチでバトルに入られていたら不味かったね。うう、メビウスの冷気が寒い寒い……ん?

 

「……え?どうしてアクションフィールドじゃないのに風を感じるの……?」

「…………」

 

このデュエルは闇のデュエルだった……?え、ちょ、何で!?一体いつのまに!?でも、相手が闇のデュエルみたいな雰囲気でも無いんだよね……という事は、原因は、

 

「あんたの仕業?」

「…………」

「舌入れてチューするよ?」

「………………………」

 

原因こいつか。確定だわ。なんて事してくれたんだよおい。負ける気は一切ないけどどうすんだよ。怪我したら責任とれよ……?

 

「後で詳しく聞くからな……!」

「……」

 

おい喋れよ冨岡義勇かお前は。

 

「ふん!カードの効果を知っていようが、これでお前らの伏せたカードは全滅。そして手札も0。おまけに壁になるモンスターもいない。カッコつけて出てきた割には情けないもんだ」

 

「ね、ねぇ、貴方!しっかりしなさいよ!こんなんだったらでしゃばらないで、私にやらしておけばよ……!」

 

一瞬、マスク男ことユート君が柚子ちゃんの方へ顔を向ける。すると、何故か柚子ちゃんは押し黙った。……ははーん。

 

「さては恋だな……?遊矢君がいながら……ちょ、危な!?」

「…!?…!?」

 

ハリセン振り回さないで!?というかいつも持ち歩いてるのそれ!?

 

「……さて、黒ずくめのナイト君。大変目障りなので、早めにご退場願いたい!」

「……」

「バトルだ!俺は凍氷帝メビウスでダイレクトアタック!」

 

メビウスから発せられる冷たい風が強くなっていく。寒い。なのに私以外は割と平然としている。デュエリスト怖い。

 

「墓地より罠カード、『幻影騎士団シャドーベイル』を発動!」

 

「「はぁ!?」」

「墓地から……!?」

「罠カードを…!?」

 

「罠カードを墓地から発動するだと!?」

 

あ、お約束の反応だ。

 

「ダイレクトアタックの宣言時、墓地のこのカードをモンスターカードとして特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したカードがフィールドから離れた場合、除外される!俺は2体のシャドーベイルを特殊召喚する!」

 

 

幻影騎士団シャドーベイル

通常罠

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):このカードが墓地に存在する場合、相手の直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードは通常モンスター(戦士族・闇・星4・攻0/守300)となり、

モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「ふん、所詮は壁になるモンスターを慌てて召喚したに過ぎない。蹴散らしてやるさ!行け、凍氷帝メビウス!シャドーベイルを攻撃!」

 

メビウスの攻撃で、シャドーベイルは破壊されてゲームから除外された。

 

「首の皮1枚繋がった、ってところかな?俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ。次の俺のターンまで生かしておいてやる!」

 

タッグデュエルだと結構先ですよ、沢渡君。

 

「……ふん」

「さて、私のターンですか」

 

ユートくんが不機嫌そうだ。まるで自分ならこのターンで決めれるのに、とでも言いたげだ。むむむ……

 

「ドロー。ふむ。貴方の残したモンスター、使わせて貰いますよ?」

「ふん……勝手にすればいい」

「どーも」

 

さて、許可は貰った。やりますか。丁度私がエクシーズ主体のデッキで良かったね。このデッキにして正解だった。まずはっと。

 

「カードを一枚伏せる。そして、伏せた罠カード『幻影騎士団シェード・ブリガンダイン』を発動!」

「何!?罠カードを伏せたターンに発動するだと!?」

「このカードは墓地に罠カードが存在しない場合、セットしたターンに発動する事ができる。このカードをモンスター扱いとして特殊召喚する!」

「……俺と、同じカード……」

「お揃いだね!」

「……」

 

また距離を取られた気がする。ちくせう。

 

「もう、照れ屋なんだから……」

「早くしろ」

「はいはい……私は手札から『クロノダイバー・リューズ』を召喚。リューズの効果を発動。デッキからクロノダイバー・アジャスターを手札に加える。速攻魔法発動、『クロノダイバー・スタートアップ』。手札からクロノダイバーモンスターを特殊召喚する。来い、クロノダイバー・アジャスター。アジャスターの効果発動。デッキからクロノダイバー・ベゼルシップを墓地に送る」

 

 

クロノダイバー・リューズ

効果モンスター

星4/闇属性/サイキック族/攻1800/守1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「クロノダイバー・リューズ」以外の「クロノダイバー」カード1枚を手札に加える

 

 

クロノダイバー・スタートアップ

速攻魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札から「クロノダイバー」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、

自分フィールドの「クロノダイバー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

自分の墓地から、「クロノダイバー」カード3種類(モンスター・魔法・罠)をそれぞれ1枚ずつ選んで、

対象のモンスターの下に重ねてX素材とする。

 

 

クロノダイバー・アジェスター

効果モンスター

星4/闇属性/サイキック族/攻1200/守1800

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分が「クロノダイバー・アジャスター」以外の

「クロノダイバー」モンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「クロノダイバー・アジャスター」以外の「クロノダイバー」カード1枚を墓地へ送る。

 

 

ふむ、私は今日も調子が良い。不思議。

 

「そ、そんなモンスターいくら並べたってどうって言うんだ!」

「……私はレベル4のブリガンダインとシャドーベイル、リューズとアジャスターでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!

エクシーズ召喚!来て、時を超える快盗!ランク4!『クロノダイバー・リダン』!『クロノダイバー・パーペチュア』!」

 

 

クロノダイバー・リダン

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/サイキック族/攻2400/守2000

レベル4モンスター×2

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。

相手のデッキの一番上のカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

(2):自分・相手ターンに発動できる。

このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。

その後、以下を適用する。

●モンスター:このカードをエンドフェイズまで除外する。

●魔法:自分はデッキから1枚ドローする。

●罠:相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで持ち主のデッキの一番上に戻す。

 

 

クロノダイバー・パーペチュア

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/サイキック族/攻1900/守2500

レベル4モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のスタンバイフェイズにこのカードのX素材を1つ取り除き、

「クロノダイバー・パーペチュア」以外の自分の墓地の

「クロノダイバー」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカード以外の自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。

デッキから「クロノダイバー」カード1枚を選び、

対象のモンスターの下に重ねてX素材とする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

うーん、召喚口上とかもっと考えた方がいいのかな?

 

「エクシーズ……召喚……!それも、一気に2体も……!」

 

柚子ちゃんが驚いている。そういえば塾ではエクシーズ召喚はまだ見せていなかったっけ。

パチパチと音がする。沢渡君だ。

 

「一気に2体のエクシーズ召喚は驚いたよ。しかし、そのモンスター達で俺のメビウスにバトルを仕掛けるつもりかい?クロノダイバー・リダンの攻撃力は2400、クロノダイバー・パーペチュアに至っては1900。それに対し、メビウスの攻撃力は2800!エクシーズ召喚も、所詮は虚仮威しってわけだな」

 

ははは、こやつめ。

 

「はっはっは」

「何を笑っている!?」

「君は何も分かっていないね。エクシーズモンスターの恐ろしさはオーバーレイユニットを使ったインチキめいた効果や次々と重ねる事で暴れていく事にある」

 

 

まあ、例外はあるけどね。タイタニックとか。

 

 

「特別授業だ。貴様に講義をしてやろう」

「エクシーズの講義は結構だ。興味ないんでねぇ!」

「ならば、その身で学びなさいな……!

 

さぁ、講義の時間ですっ!!」

 

 

◇◇◇

 

 

「(こんなエクシーズモンスター、見た事がない。一体この女、何者なんだ?先程、たしか戸籍不明と言っていたが……俺と同じカードを持っていたし、こいつもハートランド出身……?いや、それだとこのモンスターを見ていてもおかしくないはず……)」

 




Q 先生って遊矢シリーズは守備範囲内?
A もう少し若ければなおいいが十分守備範囲内。が、柚子シリーズのが好き。

ユート「(なんだこいつら……ここは何処だ……?)」
ねね「私、空気過ぎません?」
紙吹雪「ごめんね。次回は大暴れするから……」
沢渡「ま、一番活躍するのはこの俺、沢渡シンゴだがな!」
ユート「(誰か説明しろ)」

アンケート、規約ひっかかるらしいので活動報告にて行おうと思います。既に投票してくれた方、本当に申し訳ございません。

9/8 誤字を修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
9/25 シャドーベイルが1体しか出してないように見えるとご指摘を頂いたので修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9話

前回のあらすじ!

先生キモい。

以上!

先生「私の扱い……」
沢渡「いや、妥当だろ」
ワイト「ワイトもそう思います」



さて、どう料理してくれよう。

 

「私は永続魔法『クロノダイバー・ハック』を発動。そしてパーペチュアの効果発動。デッキからクロノダイバーカードを自身以外のエクシーズモンスターのエクシーズ素材にする。私は罠カード『クロノダイバー・フライバック』をリダンのオーバーレイユニットにする。なお、この効果はオーバーレイユニットは使わない」

「ふーん」

「デッキからエクシーズ素材を補充するだと……?」

 

敵より先に味方に驚かれてる。まあ、クロノダイバーはここら辺り結構変わってるからね。それが楽しいところなんだけどね。

 

「『クロノダイバー・ハック』の効果を発動する。自分フィールドのエクシーズモンスターを一体選択して、そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで持っているエクシーズ素材の数×300ポイントアップさせる。私はリダンを選択する」

「リダンのエクシーズ素材の数は3つだから900アップか」

「ともかく、これでメビウスの攻撃力は超えたな」

 

クロノダイバー・リダン ATK 2400 → 3300

 

 

クロノダイバー・ハック

永続魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

自分フィールドのXモンスターは特殊召喚したターンには、

相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、そのX素材の数×300アップする。

さらにそのモンスターが、元々の持ち主が相手となるカードをX素材としている場合、

このターンそのモンスターは直接攻撃できる。

 

 

「な、なんだとぉ!?」

「まだです。リダンの効果発動。このカードのオーバーレイユニットを3種類……すなわちモンスター・魔法・罠を取り除き、その種類によって異なる効果を発動する」

「…………」

「罠を取り除いた場合は相手の表側表示のカードを持ち主のデッキトップに戻す。私はメビウスを選択する」

「ば、馬鹿な……!

 

……なーんてな!」

 

ほう?

 

「リバースカードオープン、『帝王の凍志』!自分のエクストラデッキにカードがない場合、自分フィールドのアドバンス召喚したモンスター一体を選択する!そのモンスターの効果を無効にし、このカード以外の効果を受けなくする!」

 

ほうほう、防御手段は用意してましたか。ほんのちょっぴり見直しました。

 

 

帝王の凍志

通常罠

(1):自分のエクストラデッキにカードが存在しない場合、

自分フィールドのアドバンス召喚した表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターは効果が無効になり、このカード以外の効果を受けない。

 

「おい、防がれたぞ」

「心配してくれてるの?えへへ、優しいねユートは」

「………………はぁ」

 

ため息つかれた!?

 

「むぅ……墓地のベゼルシップの効果発動。クロノダイバーエクシーズモンスターのオーバーレイユニットを一つ取り除きこのカードを特殊召喚する。手札からレイダーズ・ウィングの効果を発動。自分フィールドの闇属性エクシーズモンスターのオーバーレイユニットを一つ取り除き、このカードを特殊召喚する。私はパーペチュアとリダンの素材を一つずつ取り除いて2体を特殊召喚する」

「今度は隼の……」

 

あ、それってもしかしてあのCMの人かな?うーん、気になる。

 

 

クロノダイバー・ベゼルシップ

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1000/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースし、自分フィールドの「クロノダイバー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

相手の墓地からカード1枚を選び、対象のモンスターの下に重ねてX素材とする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

レイダーズ・ウィング

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻 0/守2000

このカード名はルール上「幻影騎士団」カード、「RR」カードとしても扱う。

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、

自分フィールドの闇属性XモンスターのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

(2):このカードを素材として持っている、元々の属性が闇属性のXモンスターは以下の効果を得る。

●このカードは相手の効果の対象にならない。

 

 

「私はレベル4のベゼルシップとレイダーズ・ウィングでオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク4、『クロノダイバー・ダブルバレル』!

 

 

クロノダイバー・ダブルバレル

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/サイキック族/攻2200/守2200

レベル4モンスター×2

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手が効果を発動した時に発動できる。

このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。

その後、以下を適用する。

●モンスター:このカードの攻撃力は400アップする。

●魔法:相手フィールドの表側表示モンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る。

このターン、そのモンスターは攻撃宣言できず、効果を発動できない。

●罠:フィールドの効果モンスター1体を選び、その効果をターン終了時まで無効にする。

 

 

「やったわ!このまま総攻撃を仕掛ければ先生達の勝ちだわ!」

 

柚子ちゃんフラグ建設やめて。そして沢渡君は何故か怪訝な表情をしています。

 

「……何故だ?」

「急にどうしたの?」

「シャドーベイルはフィールドから離れる場合ゲームから除外される筈……」

 

ああ、なるほど。

 

「エクシーズ素材になるとフィールドから離れても除外されないんだよ。まあ、これ以上詳しい講義をするならうちの塾にきてね☆」

「誰が行くか!」

 

手厳しい。

 

「バトル。リダンでメビウスに攻撃!」

「ぐっ……!」

「きゃっ……」

 

沢渡&光焔 LP 4000 → 3500

 

よし、先制ジャブは決まった。このままトドメです。あとあの女の子、悲鳴がきゃわわ。

 

「私はパーペチュアでダイレクトアタック!」

「へっ、そう簡単にはこの沢渡様はやられねぇぜ!手札から『バトルフェーダー』の効果を発動!」

 

ほう、それが来ましたか。面倒な……あ、だからさっきシャドーベイルを気にしていたのかな?バトルフェーダーもフィールドから離れるとゲームから除外されるし。

 

 

バトルフェーダー

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「ふむ、なら私はダブルバレルの効果を発動する。このカードもリダンと同じで取り除くオーバーレイユニットの種類で効果が変化する。相手がカードの効果を発動した時、モンスターのオーバーレイユニットを取り除く事で自身の攻撃力を400ポイント上げる」

 

クロノダイバー・ダブルバレル ATK 2200 → 2600

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

「はん!その前にリバースカードオープン、『ダーク・アドバンス』!墓地の氷帝メビウスを手札に加えて、アドバンス召喚する!バトルフェーダーをリリースしてアドバンス召喚!再び現れろ、『氷帝メビウス』!」

 

ほう……?

 

 

ダーク・アドバンス

通常罠

「ダーク・アドバンス」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分・相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに、

自分の墓地の攻撃力2400以上で守備力1000のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

その後、手札から攻撃力2400以上で守備力1000の

モンスター1体を表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。

 

 

「メビウスの効果は分かるよなぁ?お前らのフィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊する!……」

 

ああ、ハックとレトログラードが……ま、いっか。

 

「わ、私のターンです……!」

 

あ〜この子可愛い〜。

 

「待って、君のスタンバイフェイズにリダンとパーペチュアの効果を発動するね。まずパーペチュアの効果。オーバーレイユニットを一つ使い、自分の墓地のクロノダイバーモンスターを復活させる。私はアジェスターを守備表示で特殊召喚する。アジェスターの効果でデッキからクロノダイバー・レギュレーターを墓地に送る。ついでにもう一つの効果も使ってダブルバレルに2枚目のフライバックを補充する。

そしてリダンの効果。相手のデッキトップをオーバーレイユニットに補充する!」

「ええっ!?」

「相手のカードを……か」

 

ユートくんからちょっと嫌な顔されました。コントロール奪取が嫌いなのかな?それしても驚いているねねちゃんは可愛いなぁ。

さて奪ったカードは……『シャドール・ファルコン』だとぉ!?あれぇ!?全然可愛くねぇ!?

 

え、待ってまさかあの子【シャドール】なの!?それって、つまり……!

 

「君、絶対沢渡より強いじゃんか……」

「そ、そんな事ないですよ……」

「おいこら聞こえてんぞ!」

 

謙遜かな?(困惑)

謙遜だな。(確信)

 

「わ、私は手札から魔法カード『影依融合』を発動しますっ!」

 

やっぱり謙遜じゃねぇか!(激怒)

 

「このカードはシャドールモンスターを融合召喚するカードですが、相手フィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する場合、デッキのカードも融合素材にする事が出来ますっ!」

「デッキのカードも融合素材にするだと……」

 

ほら、ユートくんも驚いてんじゃんか……

 

「わ、私はデッキの『影霊の翼(リーシャドール) ウェンディ』と『ADチェンジャー』を墓地に送ります!来てくださいっ、『エルシャドール・ネフィリム』っ!」

 

墓地に送るカードがガチじゃないですかやだー!?

 

 

影依融合(シャドール・フュージョン)

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分の手札・フィールドから、

「シャドール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、

自分のデッキのモンスターも融合素材とする事ができる。

 

エルシャドール・ネフィリム

融合・効果モンスター

星8/光属性/天使族/攻2800/守2500

「シャドール」モンスター+光属性モンスター

このカードは融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと

戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。

そのモンスターを破壊する。

(3):このカードが墓地へ送られた場合、

自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

なんでこの人沢渡君の取り巻きなの?絶対LDSとやらの主席でしょこの子。

 

「ネフィリムと墓地に送られたウェンディの効果を発動します!まずウェンディの効果でデッキから『シャドール・ビースト』を裏側守備表示で特殊召喚しますっ!そしてネフィリムの効果でデッキから『シャドール・リザード』を墓地に送りますっ!墓地に送られたシャドール・リザードの効果で『シャドール・ヘッジホッグ』を墓地に送って効果を発動しますっ!デッキから『シャドール・ハウンド』を手札に加えますっ!さらに墓地のADチェンジャーの効果を発動して裏側守備表示のシャドール・ビーストを表側攻撃表示にしますっ!シャドール・ビーストのリバース効果を発動しますっ!デッキからカードを2枚ドローしますっ!」

 

やだこの子、殺意が高い。邪魔しないと(使命感)。

 

「ビーストの効果発動時、私はダブルバレルの効果を発動する。モンスターと罠カードを取り除いて効果発動、攻撃力が400ポイントアップしする。更に、フィールドのモンスター一体の効果をターン終了時まで無効にする。私はビーストの効果を無効にする」

「あ、あう……」

 

クロノダイバー・ダブルバレル ATK 2600 → 3000

 

なに失敗したみたいな顔してるのこの子?十分に動いてるじゃんか。

 

「わ、私はモンスターをセット。そして、装備魔法『魂写しの同化』をシャドール・ビーストに装備しますっ!え、えっと、このカードは属性を一つ宣言して発動するんですけど」

「うん、効果は知ってるから別に説明しなくていいよ〜」

「は、はい。わ、私は地属性を宣言します……!そして、魂写しの同化のもう一つの効果を発動しますっ!」

「……ふむ。私はリダンの効果を発動する。シャドール・ビーストにはデッキトップに戻ってもらおうか。それと、モンスターカードも取り除いてこのカードをエンドフェイズまでゲームから除外する」

「あ、あうう……」

 

 

魂写しの同化(ネフェシャドール・フュージョン)

装備魔法

「シャドール」モンスターにのみ装備可能。

属性を1つ宣言してこのカードを発動できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):装備モンスターは宣言した属性になる。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

「シャドール」融合モンスターカードによって決められた、

このカードの装備モンスターを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールドから墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

エルシャドール・シェキナーガ

融合・効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻2600/守3000

「シャドール」モンスター+地属性モンスター

このカードは融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):特殊召喚されたモンスターの効果が発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

その後、手札から「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、

自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

シェキナーガ出されるとやや厄介だから止めました。ああ、そう言えば。

 

「リダンのオーバーレイユニットを取り除くのはコストではなく効果だ。シャドール・ファルコンの効果を発動しますか?」

「…え?そ、そうなんですか?」

「ふむ。君は融合召喚を使うようですけど、エクシーズ召喚やシンクロ召喚も覚えたいならうちの塾にぜひ来てくれ。いつでも教えよう」

「は、はぁ……私はシャドール・ファルコンを裏側守備表示で特殊召喚……」

「おい!勝手に勧誘するな!」

 

勧誘、ステマは基本。

 

「……私は魔法カード『手札抹殺』を発動しますっ!私は手札を3枚捨てて3枚ドローしますっ!」

「私の手札は0枚だからドローはできないと」

「私は墓地に送られたシャドール・ハウンドと影依の源核の効果を発動しますっ!まず裏側守備表示のシャドール・ドラゴンを表側攻撃表示にして、墓地の影依融合を手札に加えますっ!」

 

姑息なプレイングを……(灯台墓地送)。

 

 

シャドール・ハウンド

リバース・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守 900

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードがリバースした場合、

自分の墓地の「シャドール」カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、

フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの表示形式を変更する。

この時、「シャドール」モンスター以外のリバースモンスターの効果は発動しない。

 

影依の源核(シャドールーツ)

永続罠

(1):このカードは発動後、効果モンスター

(魔法使い族・闇・星9・攻1450/守1950)となり、

モンスターゾーンに特殊召喚する。

この効果で特殊召喚されたこのカードを「シャドール」融合モンスターの融合素材とする場合、

そのカードに記された属性の融合素材モンスターの代わりにできる。

このカードは罠カードとしても扱う。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、

「影依の原核」以外の自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

「なら、私は墓地のフライバックの効果を発動します。墓地のこのカードをゲームから除外して相手の墓地のカード1枚をダブルバレルのオーバーレイユニットにする。私は影依融合を選択する」

「あ、あう……で、でもリバースしたシャドール・ドラゴンの効果は発動しますっ!相手フィールドのカード1枚を手札に戻しますっ!私はクロノダイバー・ダブルバレルを選択しますっ!」

 

おっとっと。

 

シャドール・ドラゴン

リバース・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1900/守 0

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードがリバースした場合、

相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、

フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

 

むむむ、結構キツイね。

 

「ば、バトルフェイズですっ!私はネフィリムでダブルバレルを攻撃しますっ!」

「なんで!?攻撃力はダブルバレルの方が高いはず……」

「ああ、それはね……」

「ネフィリムの効果を発動しますっ!このカードが特殊召喚されたモンスターとバトルする時、そのモンスターを破壊しますっ!」

「なんですって!?」

 

これがあるからネフィリムは厄介だ。しかも、墓地に送られるとサルベージ効果も発動できるし……

 

「さらに、私はシャドール・ドラゴンでアジェスターを攻撃しますっ!そして、氷帝メビウスでパーペチュアに攻撃しますっ!」

「うぐっ……」

 

藤野&ユート LP4000 → 3500

 

少し削られたましたか。それにしてもダメージがこの程度で良かったです。それでも結構怖いですけど……

 

「私は墓地のレギュレーターの効果を発動する。自分のエクシーズモンスターが破壊された時、自身を特殊召喚する。守備表示だ。なお、この子もフィールドから離れる場合、ゲームから除外される」

「ふん、また壁モンスターか!」

 

シャドールが強すぎるのが悪い。なんで妨害したのにここまで食らいつくかなぁ。

 

「だったら速攻魔法発動っ!『神の写し身との接触』っ!このカードの効果によって私はメビウスとシャドール・ドラゴンを融合しますっ!来てくださいっ!『エルシャドール・アノマリリス』っ!」

 

ファッ!?

 

 

神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分の手札・フィールドから

「シャドール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

エルシャドール・アノマリリス

融合・効果モンスター

星9/水属性/悪魔族/攻2700/守2000

「シャドール」モンスター+水属性モンスター

このカードは融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

お互いに魔法・罠カードの効果で手札・墓地からモンスターを特殊召喚できない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、

自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

ま、マジかー……この子も引きが強い……いや、そうでも無いのかな?私は詳しくは知らないけど歴代主人公の中にはカードを創造したりする人もいるらしいし。

 

「最後ですっ!私はアノマリリスでレギュレーターに攻撃しますっ!」

「レギュレーターが破壊されたため、ゲームから除外される」

「わ、私はカードを2枚伏せてターンエンドです……」

「この瞬間、リダンはフィールドに戻るっと」

 

……さて、後はユートくんならなんとかしてくれるだろう。

 

「んじゃ、ここで決めちゃってね?」

「……俺のターン、ドロー!」

 

無視かよっ。

 




クロノダイバー・ハック、エクシーズ召喚前に使うべきでしたね。反省。

Q若干遅れたのは何か理由が?
Aリアルが騒がしかったのと今後の展開考えてた。あと単純に長くなったからですね。ごめんね。
今までで最長ですわ!こんなの初めてでしてよ!3話に渡って一つのデュエルを書き続けるのは避けたかったのですが、仕方がありませんわね!
これも全部ドン・サウザンドって奴の仕業ですのよ……本当に許せませんわ!

9/12 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
9/13 ねねちゃんの伏せたカードを2枚に修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10話

シャドールって創作デュエル泣かせですわね。強すぎて圧倒的になりすぎたりしてしまいますわ。困った事ですこと。


「あ、貴方がドローした時、リバースカードオープンっ、『堕ち影の蠢き』っ!デッキから『星なる影 ゲニウス』を墓地に送って裏側守備表示のシャドール・ファルコンを表側守備表示にしますっ!そして墓地に送られたゲニウスと、リバースしたファルコンの効果を発動しますっ!墓地のシャドールモンスターを裏側守備表示で特殊召喚しますっ!私は墓地のシャドール・ドラゴンを裏側守備表示で特殊召喚しますっ!さらに墓地に送られたゲニウスの効果ですっ!フィールドの効果モンスター一体の効果の発動を封じますっ!私はリダンを選択しますっ!」

 

おー。握ってたのか……

 

 

堕ち影の蠢き

通常罠

(1):デッキから「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。

その後、自分フィールドの裏側守備表示の

「シャドール」モンスターを任意の数だけ選んで表側守備表示にできる。

 

シャドール・ファルコン

リバース・チューナー・効果モンスター

星2/闇属性/魔法使い族/攻 600/守1400

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードがリバースした場合、

「シャドール・ファルコン」以外の自分の墓地の「シャドール」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する。

 

星なる影(ネフシャドール) ゲニウス

リバース・効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1000

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードがリバースした場合、自分フィールドの「シャドール」モンスター1体を対象として発動できる。

このターン、その表側表示モンスターは自身以外のモンスターの効果を受けない。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

このターン、その効果モンスターはフィールドで発動する効果を発動できない。

 

 

うむむ、これではオーバーレイユニットを補充できない。つまり、リダンがバニラ同然になってしまったという事だ。が、まだ出来ることはあるぜユートくん。

 

「……墓地のクロノダイバー・スタートアップの効果を発動!墓地のこのカードをゲームから除外し、リダンに墓地のクロノダイバーカード3種類をオーバーレイユニットに補充する!」

「墓地から魔法カードを発動するだと!……いや、しかし!このターンはゲニウスの効果でそいつは効果が発動出来ないはずだ!」

「「それはどうかな?」」

「な、なにぃ!?」

 

あ、ハモった。わーい。

 

「……墓地のクロノダイバー・ベゼルシップの効果を発動!自分フィールドのオーバーレイユニットを一つ取り除いて自身を特殊召喚する!さらに俺は、墓地のレイダーズ・ウィングの効果を発動する!こいつもベゼルシップと同じ効果を持つ!」

「くっ、だからわざわざオーバーレイユニットを補充したのか!」

 

よし、いいぞ。

 

「俺はレベル4のベゼルシップとレイダーズ・ウィングでオーバーレイネットワークを構築!

漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!」

 

おお。

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

レベル4モンスター×2

(1):このカードのX素材を2つ取り除き、

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力を半分にし、

その数値分このカードの攻撃力をアップする。

 

 

「しかし、まだエルシャドール・アノマリリスの方が攻撃力は上ですっ!」

「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を発動!オーバーレイユニットを2つ使い、相手フィールドのモンスター一体の攻撃力を半分にし、その数値分ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!」

「やった!これでアノマリリスの攻撃力を上回るわ!」

 

だから柚子ちゃんフラグはやめちくり。

 

「だ、駄目ですっ!私は手札からエフェクト・ヴェーラーの効果を発動しますっ!相手モンスター一体の効果を無効にしますっ!」

「何っ!?」

 

 

エフェクト・ヴェーラー

チューナー・効果モンスター

星1/光属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、

相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

 

 

……やっぱりこの子、LDSとやらの主席なのでは?しかし、今回は私たちの方が上手だ。

 

「ふん、少しは歯応えがあるようだが……甘い!速攻魔法発動!RUM-幻影騎士団ラウンチ!このカードはエクシーズ素材のない闇属性エクシーズモンスター一体をランクアップさせる!」

「な、何ぃ!?ランクアップだぁ!?聞いたことすらないぞ!?」

 

……アニメ次元じゃ一般的じゃないのかな、ランクアップ。これはエクシーズの講義は少し考える必要があるかも。まあ、今は別にいいか。

 

「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う新たな反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク5!『アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!」

 

 

アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

レベル5モンスター×3

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):X召喚したこのカードは効果では破壊されない。

(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールドのモンスターの元々の攻撃力の合計分アップする。

このカードが闇属性XモンスターをX素材としている場合、

さらにこのカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分はこのカードでしか攻撃宣言できない。

 

 

「こ、攻撃力3000だと……!?」

「ら、ランクアップって何?教えて先生!」

「いいよ。けど、後日ね」

「アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン以外の全てのモンスターの攻撃力分、アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力をアップさせる!」

「なっ……!つまり、アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力は……2800+2700+2400+600で8500アップするのか!?うっそーん!?」

「なんて効果なの……!?」

 

アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ATK 3000 → 11500

 

「……一度しか聞かん、覚悟して答えろ!このバッチはLDSのものだな?貴様らとアカデミアとの関係は?」

「アカデミア?なんの事だ?」

「惚けるな!」

 

アカデミア?それってたしか遊戯王GXの舞台じゃね?主人公は、遊城十代だっけ?でも、なんでその名前が今出てくるんだろう?

 

「本当だ!そのバッチはLDSに入学した奴なら誰でも持ってる!アカデミアとか、なんの事だか知らない!本当だ!」

「……ならば用は無い。バトルだ!俺はアーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでエルシャドール・アノマリリスを攻撃!叛逆のライトニング・ディスオベイ!」

「……バカめ!おい!」

「と、トラップ発動、『聖なるバリア -ミラーフォース-』!相手モンスターの攻撃宣言時、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊しますっ!」

 

あ、すげー懐かしい。私は激流葬しか使ってなかったけど、友達によく使われたっけ。でも、無駄無駄。

 

「これで貴様らのモンスターも全滅して、次の俺のターンに勝利が確定だ!」

「……安い戦略だ。児戯にも等しい」

「はい!?」

「カードの効果はよく覚えておく事だね」

「エクシーズ召喚されたアーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンは、効果では破壊されない」

「な、何ぃ!?」

「きゃっ………!?」

「……ええい!」

 

おお、沢渡くんが攻撃の衝撃からあの女の子を庇ってる。かっけー。うふふ、私もユートくんに庇って……なにぃ!?既に柚子ちゃんを庇ってるだとぉ!?あれ、私はどうな……

 

「あべばーーー!?」

「先生っ!!」

「げほっ!」

 

壁に叩きつけられた…痛い。なんで攻撃した側なのにダメージを受けるの……?許さんぞユートくん。そのユートくんは先程の衝撃で割れたのかゴーグルを外し、マフラーを脱いだ。あらわになった顔は……遊矢君にそっくりだった。格好も雰囲気も大分違うけど……

 

「遊矢!?」

「貴様だった……のか」

「沢渡さん!?」

「そんな……私なんかの為に……!」

「へっ……取り巻きを守るのはリーダーの仕事だろ……?うぐっ」(がくっ)

「「沢渡さん!?」」

 

……遊矢君のカードを奪ったって言ってたけど、そこまで悪いやつでも無いのかもね。団長みたいなことも言ってたし、割と慕われてるみたいだし、タカキも頑張ってたし。

 

「遊矢、なんでそんな格好して……?」

「どうしてここに?まさかアイスか?自力で買い物を……?」

 

答えを聞きたかったのだが……急に柚子ちゃんが付けていたブレスレットが光った。

 

「きゃあ!?」

「何の光ぃ!?」

 

すぐに光は収まったけど、ユートくんは居なくなっていた。え、何これ?

 

「ちょっと、何?」

「居ないね……」

「遊矢ー!」

 

「柚子ー!」

 

あ、本当に来た。多分本物だ。

 

「え?遊矢?」

「大丈夫か!?」

「遊矢……貴方、遊矢よね?」

「は?何言ってんだ、柚子?」

「あれは、遊矢じゃなかったの……?」

「へっ?……って言うかここ、どうしてこんな煙臭いんだよ?焚き火でもした?くっさー……あ、先生も無事だったんだな」

「あれ?私って心配されてない?」

「あ、いや……先生ならなんとなく大丈夫だろうなって……あ、よく見たら先生も怪我してる!?」

 

……そういやさっき味方に、味方に!吹き飛ばされたんだった。おのれ。次会ったらデュエルでボコボコにしてくれよう。……痛てて、結構傷ついた……血も出てないし捻挫や打撲とかもないけど痛い……全く、女の子にこれとは……え?お前もうそんな歳じゃ無いだろって?知らね。

 

 

 

 

この時はまだ知らなかった。この後、この件が大きな騒動となる事に……

 

 

◇◇◇

 

 

「今日は、デュエルの様々な召喚についての勉強です。まずは通常召喚。これは1ターンに一度でき、手札から表側攻撃表示と裏側守備表示でする事ができる。なお、裏側守備表示で召喚する場合は単にセットとも言われ、召喚できない状況でも可能です。例えば『迷える子羊』を発動したターンは表側攻撃表示で召喚する事はできませんがモンスターをセットすることは可能です。ですが、通常召喚とは扱いますので『ボスラッシュ』適用中や『アームズ・ホール』を発動したターン、『溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム』を相手フィールドに特殊召喚したターンなどはモンスターのセットはできませんね。次にアドバンス召喚ですかね。タツヤくん、説明できますか?」

 

「……は、はい!」

 

……うーん、やっぱりこの辺はちょっと難しいのかもね。素良君や遊矢君は普通に聞いているみたいだけど他の子は首を傾げている……そして、柚子ちゃんに至っては余所見をして考え事をしているようだ。昨日の遊矢によく似た人についてでも考えているのかな?やれやれ……

 

「ゆーずちゃん♡なーに考えてるの?」

「ひゃっ!?ちょ、ちょっと!耳に息を吹きかけないでください!」

「だってー、柚子ちゃんせっかく私が講義をしているのに上の空で聞いてなさそうだったもん」

「そ、それは……」

 

柚子ちゃんが遊矢君を見つめている。おいそこ変われ遊矢。

 

「えっ?何?」

「あ、いえ、なんでも……」

 

絶対気にしてるね、この子。まあ、この年頃の子だとそりゃ悩む事もあるよね。私は特になかったけど。私が中学生だった頃なんて学校から帰ると家でゴロゴロしていた記憶しかないや。友達もたまに一緒に寝転んだりデュエルしたりしたっけ。……懐かしいなぁ。もうあの頃には戻れないんだよね……。またいつか自由にゴロゴロしたいものですね。ポテチとかチョコレートでもつまみながら。

 

私がそんな事を考えていると、塾の入り口の方から男の声がしてきた。この声は……権現坂くん?

 

「闇討ちだと!?遊矢はそんな卑怯な真似などせんわ!」

「権現坂!?」

 

一体、どうしたのだろう……?

 




Qユートくん弾丸の如き〜とか言ってなかったけど?
Aシャドールは流石に歯応えがあった。

Qレクイエムの方でも良かったのでは?
A折角だから新しい方を使いたかった。

短くなったり、長くなったりしてしまう。ごめんね。

沢渡「取り巻きを守んのは俺の仕事だ……!」
社長「また電波が……」

9/14 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
9/25 色々計算間違えすぎ笑えない……
11/4 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11話

いつもwikiとにらめっこしながら書いてますわ。たまに新しい発見もありますので良い経験にもなりますわ。貴方達もやってみては如何かしら?中々面白くてよ?


「説明は、私からさせていただきます」

 

遊矢君が沢渡君を闇討ちした、という事になっているらしい。それを言い出した沢渡の取り巻き(昨日いた人とは別人)と話していると、謎のおばさ……女性の人が現れて放った一言がこれだ。

 

「貴方は……LDSの……!」

 

知っているのか柊さん!

 

「はい、理事長を勤めております、赤馬日美子と申します」

 

なるほど、要はLDSのお偉いさんと。私よりもだいぶ階級上ですね。私、上司と話すのあんまり得意じゃないんですよね……やれやれ。

 

 

◇◇◇

 

 

「彼等が言ったことは、全て事実です。我がLDSの塾生沢渡シンゴが襲われた事も、その犯人が遊勝塾に所属する榊遊矢とその教師だと彼が証言しています」

「……どうなんだ、遊矢?先生?お前本当に……」

「やってないよ!そんな事するわけないじゃないか!なぁ、先生!」

「この男権現坂!友、遊矢を信じる!先生もだ!そうだろう?」

「あったりまえだ!」

「柚子は?」

「……」

「……」

 

あかん、そりゃそうなるわ。やべぇ、どうしよ。言い逃れできない。このままだと社会的に死ぬ……!!不味い不味い……どうすれば良い?どうすればこの危機的状況から脱出できる……?ああもうデュエルでなんとかなるだろきっと!!

 

「あらあら、結束が固いこと。これじゃ遊矢君と教師を引き渡せと言っても無理そうねぇ。でも、こちらも引き下がるわけにも行かないんです」

 

私が考え込んでいる間にも話は進んでいく。あばばばば……

 

「業界No. 1を誇るLDSの塾生がデュエルで負けたなどという噂が世間に広まれば、ウチとしても大打撃ですから」

「だから、それはウチの遊矢と先生では……」

「そんな事はもはや関係ない!!」

 

うわうるさ!?耳に来るから大声はやめてください!?

 

「問題は、LDSの看板に泥を塗られた事!この汚名をそそぐには、塾生同士戦って勝つしかありません!」

「い、異議ありっ!!」

「……!?」

 

やばっ!つい勢いで口出ししてしまった!ええい、どうにでもなれ!!

 

「その勝負、私が全て受けましょう!」

「えっ!?せ、先生!それは嫌だ!俺も戦う!」

「えー。僕も一度LDSのデュエリストと戦ってみたかったんだけど……」

「なら、どちらがLDSと戦うか、デュエルで決着をつけるぞ!」

「え、え〜……」

「そこまで言うなら別にいいけど……」

「なら、ヨシ!さあ、とっととデュエルだ!準備してくれ!」

「……はぁ。では、はじめましょうか」

 

……よし、勝てばなんとかなる。勝てば……うん、気負うのは私らしくないからやめよう。ゆるゆるとしていてもなんだかんだ勝つ方が私らしいや。闇のゲームじゃあるまいし、気楽に行きますか。

 

——私の人生がかかってるけどね!

 

 

◇◇◇

 

 

「さぁ、デュエルを始めましょうか?」

「塾生と教師が戦うのはおかしいと思うのですが……まあ、良いでしょう。しかし、そう簡単に勝てると思わないで彼らは遊矢君と同じジュニアユースクラスだけど……」

 

ふむふむ、要約すると各召喚法クラスのトップ3人が私の相手と。それにしても、丁度召喚方法の授業をしていた時に来るとは。中々悪くないタイミングなのかもしれない。なんだっていい!授業をするチャンスだ!最初の相手は、エクシーズクラスの志島北斗君って言うらしい。そんなことより、あのキリッとした女の子可愛い。じゅるり。

 

「エクシーズ……」

「あった!LDSの志島北斗!」

「今年の公式戦……58戦53勝!?」

「勝率9割以上って……!」

「ふーん」

 

なるほど、そこそこやりそうな相手ですな。

 

「相手にとって不足はなさそうですかね」

「はん!あんた、エクシーズモンスターを使うそうじゃねぇか?ペンデュラム使いを倒すのもいいが、あんたを倒して俺が一番だって事を証明してやるのも面白い!」

「……くくく」

「あ?」

 

やれやれ最近の学生は血の気の高い子ばっかだね。まあ、それが良いんだけど。

 

「くはははは……はーっはっはっはっはっは!!」

「なっ!?何がおかしい!」

「くっくっく……いずれわかるさ……いずれな」

 

クソを下水で煮込んだような性格と呼ばれた私相手にデッキ内容をある程度晒した事を後悔させてやろうじゃないか……!となれば、使うのはアレ確定だな!エクシーズ使い相手なら丁度いいだろうね。

 

「ウチの学生はどんな状況だろうと対応できるから……さあ、お好きにどうぞ?」

「どんな状況にも対応できるだと!?……なら、これでどうだ!アクションフィールドオン!」

 

フィールドの名前はコスモサンクチュアリと言うらしい。星が綺麗で、神殿のようなものまで浮かんでいる。こんなに幻想的な光景、子供の頃にも映画で観た事あったっけ?この技術、やっぱり他の事に使うべきなんじゃ……?

 

「……はっはっはっはっは!よりによって僕が1番得意とするフィールドを選ぶとは!」

「なにぃ!?」

「北斗って名前なんだからちょっと考えれば分かるじゃん」

 

素良君ひどい。でもそれがいい。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが! 」

 

「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い! 」

 

「フィールド内を駆け巡る! 」

 

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクショーン……!」

 

「「デュエル!」」

 

この掛け声にも慣れてきた。そろそろ私も此方の住人という事なのだろうか?

 

 

◇◇◇

 

 

「さあ、北斗。貴方の力を見せておやりなさい」

「分かりました、理事長先生……先攻は頂く!」

「いいよいいよ〜」

「頑張れー!先生ー!」

 

ぶっちゃけこのデッキは後攻の方がやりやすい。

 

「僕は『セイクリッド・グレディ』を召喚!」

 

ほう、【セイクリッド】か。たしかにエクシーズ使いというのは間違いないようだな。プレアデスが飛んできそうだ。サイドラのあれより百倍マシだけど。

 

「このカードの召喚に成功したとき、手札からレベル4のセイクリッドと名のつくモンスター一体を特殊召喚できる!『セイクリッド・カウスト』を特殊召喚!セイクリッド・カウストの効果発動!」

「効果は知ってるからとっととプレアデスだしてー」

「なっ!?何故僕の出すモンスターの名前を!?」

「そりゃあ、カードの効果なんかはほとんど覚えてるからね。これくらいできないと先生とは名乗れないんじゃないかな?」

「ぐっ……カードをほとんど暗記しているだと?」

 

 

セイクリッド・グレディ

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4の「セイクリッド」モンスター1体を特殊召喚する。

 

セイクリッド・カウスト

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1800/守 700

このカードはS素材にできない。

(1):フィールドの「セイクリッド」モンスター1体を対象として以下の効果から1つを選択して発動できる。

この効果は1ターンに2度まで使用できる。

●対象のモンスターのレベルを1つ上げる。

●対象のモンスターのレベルを1つ下げる。

 

 

デュエリストなら当たり前だよなぁ?

そして、北斗君はカウストの効果でグレディとカウストのレベルを5にした。……実は無限泡影握ってるんだけど、敢えて見逃してる。ああ、理由はすぐ分かると思うよ?

 

「はん!全てのカードの効果を覚えていようが関係ない!僕はレベル5のセイクリッド・グレディとセイクリッド・カウストでオーバーレイ!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5、『セイクリッド・プレアデス』!」

 

 

セイクリッド・プレアデス

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/光属性/戦士族/攻2500/守1500

光属性レベル5モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、

フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを持ち主の手札に戻す。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

出たか、どちらかと言うとセイクリッド以外のデッキでよく見かける取り敢えず出しとけ的なエクシーズモンスターが……こいつ、まともに相手すると面倒臭いんだよなぁ……まあ、手札にはあれがあるからモーマンタイだけど。

 

「これが、エクシーズ……」

 

「ランク?レベルじゃなくて?」

「なんだ?そんな事も知らないの?エクシーズ召喚って言うのは、まず同じレベルのモンスターを複数使って、EXデッキからエクシーズモンスターを特殊召喚できるんだよ。で、エクシーズモンスターはレベルに代わってランクを持つの」

 

あ、素良きゅんずるい!私が説明しようと思ってたのに!!

 

「ちょ、ちょっとー!後で私に説明させなさーい!!」

「あはは、先生ってほんとーに面白いなー」

 

やべー、面白い女認定されちゃった。そうか、ここが死後の世界だったのか。道理で美しい景色だ。

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ。ほら、あんたの番だ」

「……ハッ!?ごめん、ちょっと死んでいた!」

「……は?」

 

……本当に何言ってるんだろう私。

 

「……ごほん!んじゃ、私のターン。ドローっと」

 

咳払いをして引いたカードは……お、良いカードだ。だが、まずは。

 

「私は手札から罠カード『無限泡影』を発動する」

 

「手札から!?」

「罠カードを!?」

「発動するだってー!?」

 

君達仲良いね。

 

「このカードの効果により、相手フィールドのモンスター一体の効果を無効にする。これでプレアデスなどただのカカシですな」

「ぐっ……!」

「私は手札から魔法カード『コンドーレンス・パペット』を発動する。このカードの効果によりEXから特殊召喚された相手モンスターの数+1枚までデッキからギミック・パペットモンスターを墓地に送る。私はギミック・パペット-ネクロドールとギミック・パペット-ナイト・ジョーカーを墓地に送る。ギミック・パペット-ビスク・ドールは、手札のギミック・パペットモンスター一体を墓地に捨てることで手札から特殊召喚する事ができる。更に、墓地のギミック・パペット-ネクロドールの効果を発動。墓地のギミック・パペットモンスター一体をゲームから除外し、自身を墓地から特殊召喚する!」

 

 

コンドーレンス・パペット

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):EXデッキから特殊召喚された相手フィールドのモンスターの数+1枚まで、

デッキから「ギミック・パペット」モンスターを墓地へ送る(同名カードは1枚まで)。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの機械族Xモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターはフィールドに表側表示で存在する限り、相手の効果では破壊されない。

 

ギミック・パペット-ビスク・ドール

効果モンスター

星8/闇属性/機械族/攻1000/守1000

(1):このカードは手札の「ギミック・パペット」モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚できる。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

このターン、自分フィールドの「ギミック・パペット」モンスターは相手の効果の対象にならない。

 

ギミック・パペット-ネクロ・ドール

効果モンスター

星8/闇属性/機械族/攻 0/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、

このカードをX召喚の素材とする場合、

「ギミック・パペット」モンスターのX召喚にしか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、

このカード以外の自分の墓地の「ギミック・パペット」モンスター1体をゲームから除外して発動できる。

このカードを特殊召喚する。

 

 

「レベル8のモンスターが2体……!」

 

来るぞ、遊馬!……なーんちゃって☆

 

「私はレベル8のビスク・ドールとネクロ・ドールでオーバーレイ!現れろ、No.15!運命の糸を操る地獄からの使者、漆黒の闇の中より舞台の幕を開けろ!ギミック・パペット-ジャイアントキラー!」

「なんばーず……?」

 

まあ、ゼアル時代のカードだからね……それもアニメに登場した。私はゼアルもそこまで視聴していなかったけど、好きな声優さんが声を当ててると聞いてその人物が出てくる回を一回だけ見た事がある。その人が使っていたのがこれだ。ファンサービスがどうこう言ってたっけか。たしか、例のCMの赤いマフラーをした人も同じ人なんだっけ。

 

 

No.15ギミック・パペット-ジャイアントキラー

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/闇属性/機械族/攻1500/守2500

レベル8モンスター×2

(1):自分メインフェイズ1に、このカードのX素材を1つ取り除き、

相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊する。

破壊したモンスターがXモンスターだった場合、

さらにそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

この効果は1ターンに2度まで使用できる。

 

 

現れたのは、巨大な人形のようなモンスターだ。しかし、攻撃力はたったの1500である。まあ、効果がそこそこ強いからいいけど。

 

「ね、ねぇ!何なのあのモンスター!?気持ち悪い!」

「す、すごい不気味なモンスターだな……」

「そーお?僕は結構カッコいいと思うけど?」

 

気持ち悪いとは失礼な。たしかに昔アニメで見た時はうわぁ……ってなったけど。それと、素良きゅんには後でおねーさんがハグしてあげよう。良い子にはご褒美です。

 

「たった攻撃力1500だと……?」

「私はジャイアントキラーの効果を発動する。オーバーレイユニットを1つ使い、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター一体を選択して破壊する!さらに、破壊したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、さらにそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!デストラクション・キャノン!」

「なっ……貴様、僕をエクシーズ使いだと知ってそのカードを使ったのか!?」

「デュエリストならそれくらいしなくちゃやってられないよ?」

「くっ……!」

 

勝てば良かろうなのだ!ただしイカサマは勘弁な!

 

ジャイアントキラーの指から糸が伸び、プレアデスを絡みとり、自身の胸部に引き寄せる。そこにはローラーが付いている。抵抗できずに引き摺り込まれたプレアデスは哀れ、火花を散らしながら粉砕玉砕大喝采(誇張)。

 

「ひっ……!」

「だ、大丈夫だ柚子!あれは先生のモンスターなんだぞ!」

「そ、それでも怖いよ遊矢お兄ちゃん!」

「……あのカード、ちょっと欲しいかも」

 

そして、ジャイアントキラーの胸部から砲台現れ、それを相手……つまり、北斗君に向けて発射された。

 

「ぐ、ぐわぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

北斗 LP 4000 → 1500

 

「よ、よし!これでダイレクトアタックが通れば先生の勝ちだ!」

「LDSの主席ってのも大した事ねーな!」

 

おいフラグはやめて。それは私に効く。

 

「くっ、そうはさせない!罠カード発動!『和睦の使者』このターンの終わりまで僕のモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも受けない……よくも、40回中一度も削られた事のない僕のライフを……おのれぇぇ!次のターンで貴様を必ず倒す!」

 

あらあら、バトルフェイズに入ってから使わなかったの?くっくっく。それに。

 

「ふん。バカめ……ライフなんぞ飾りだ。偉い人にはそれが分からんのです……それに、だ。君のターンはもう回って来ない」

「……は?」

 

「私は魔法カード『エクシーズ・シフト』を発動する」

「エクシーズ・シフト……?」

「自分フィールド上のエクシーズモンスター一体をリリースする。そして、リリースしたモンスターと同じ種族・属性・ランクでカード名が異なるモンスター一体をEXデッキから特殊召喚し、このカードをオーバーレイユニットにする」

「……そんなカードになんの意味がある……?」

「いずれ分かるさ……いずれな」

 

 

エクシーズ・シフト

通常魔法

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体をリリースして発動できる。

リリースしたモンスターと同じ種族・属性・ランクで

カード名が異なるモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚し、

このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする。

この効果で特殊召喚したモンスターは、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

「エクシーズ・シフト」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

 

「私はジャイアントキラーをリリースする!来なさい!No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ!」

 

 

No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/闇属性/機械族/攻3200/守2300

レベル8モンスター×3

このカードにデステニーカウンターが3つ置かれた時、自分はデュエルに勝利する。

(1):1ターンに1度、自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。

このカードのX素材を1つ取り除き、このカードにデステニーカウンターを1つ置く。

この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

 

 

アニメだとこいつ、滅茶苦茶だったらしいね。知らんけど。それにこいつは踏み台に過ぎない。

 

「デステニー・レオの効果を発動。私の魔法・罠ゾーンにカードがない場合に、このカードのオーバーレイユニットを一つ使うことでこのカードにデステニーカウンターを一つ置くんだけど……まあ、あんまり気にしなくていいよ」

「どういう……ことだ……?」

「答えはこうだ。『RUM-アージェント・カオス・フォース』を発動!このカードは自分フィールドのランク5以上のエクシーズモンスター一体を『CX』または『CNo』エクシーズモンスターにランクアップさせる!」

「!?それはたしか報告にあった……!」

 

さあ、フィナーレに行こうか。

 

 

RUM-アージェント・カオス・フォース

通常魔法

このカード名の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのランク5以上のXモンスター1体を対象として発動できる。

その自分のモンスターよりランクが1つ高い、「CNo.」Xモンスターまたは「CX」Xモンスター1体を、

対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在し、

自分フィールドにランク5以上のXモンスターが特殊召喚された時に発動できる。

このカードを手札に加える。

 

 

「現れろ、CNo.88!吼えろ、荒ぶる魂!すべてを滅ぼす、怒りを、呼び覚ませ!ギミック・パペット-ディザスター・レオ!」

 

CNo.88 ギミック・パペット-ディザスター・レオ

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/闇属性/機械族/攻3500/守2500

レベル9モンスター×4

このカードは「No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ」を対象とする「RUM」魔法カードの効果でのみ特殊召喚できる。

自分エンドフェイズに、相手のLPが2000以下でこのカードにX素材が無い場合、自分はデュエルに勝利する。

(1):フィールドのこのカードは効果の対象にならない。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

相手に1000ダメージを与える。

 

 

「で、でけぇ…………」

 

うん。せやね。

 

「私はディザスター・レオの効果を発動!オーバーレイユニットを一つ使うことで相手に1000ポイントのダメージを与える!マキシマム・カラミティ(小)!」

「ぐあぁっ……!!」

 

北斗 LP 1500 → 500

 

「私はこれでターンエンド」

「くそっ!……しかし、まだ僕のライフは残っているぞ!」

 

「それはどうかな?」

 

「なんだと!?」

「ディザスター・レオの効果。自分エンドフェイズに相手ライフが2000以下でこのカードのオーバーレイユニットがない場合、私はデュエルに勝利する」

「「「「な、なんだってー!!?」」」」

 

……仲いいね君達(倒置法)。

 

「ファイナル・クラックダウン!」

 

私がそう叫ぶとデュエルが終了し、辺りが既に見慣れた塾になった。初戦は無事に勝利できました。

 




今回もやや長くなってしまいましたわ。申し訳ありませんわ。

Q 今回デュエルあっさりしてたね。
A 本命は社長なんでね……でも、真澄ちゃん好き。きゃわわ。

Q なんで相手はアクションカード取りに行かなかったの?
A ジャイアントキラーを生で見たのでビビってました。実際リアルタイムで見てた私もビビった。でもⅣ好き。かっけー。

9/15 いっぱい誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうござい!そして私ミスし過ぎぃ!な、なるべく気をつけます、はい……

9/16 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!

9/17 真澄ん戦での先生のデッキを悩んでいます。良ければ活動報告にて皆さんのお力をお貸しください_:(´ཀ`」 ∠):

9/25 反語じゃなくて倒置法じゃん!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12話

ちょっと遅れちゃいました。すみませぬ。

前回のあらすじ

先生「私のファンサービスを受け取れぇ!!」


「……や、やったー!」

「先生が勝ったわ!」

「痺れるぅ!」

 

よし、まずは1つ白星っと。このまま順調に行きたいけど……まあ、ハプニングの1つや2つ、3つや4つはよくある事だ。多少はなんとかしてみせよう。

 

「……まさか貴方がこんな小さな塾の生徒に負けるなんて……それじゃLDSエクシーズコースの名が泣くわ」

 

うわぁ、結構キツく言うなぁ。そう言えば、私ペンデュラム使ってないけど良いのかな?たしか、ペンデュラム欲しい!みたいな事言ってた気がする。一応ペンデュラム主体のデッキもあるんだけど……まあ、何も言われてないならいっか。このまま好きなデッキでやろう。

 

「次は貴方の番よ」

「はい、理事長先生」

 

お、次の相手は気になっていた女の子だ。この子、本当に可愛いなぁ。

 

「……私は、融合コース主席の光津真澄」

 

「へー、このお姉ちゃん融合使いなんだ……」

「ふむふむ……ん?」

 

って事はあの子……ねねちゃんは主席じゃないのか?この子、ねねちゃんより強いの?うーん、どんなデッキなんだろ?融合コースらしいしヒーローでも使うのかも?あと素良きゅん、その齧ってるポッ◯ーみたいなの美味しそう、欲しい。食べかけでいいから。いやむしろ食べかけが良い。

 

「先程のデュエルからして……貴方、中々やるようね」

「えへへ……そんな褒められても何も出ないよう?」

「……見間違いかしら……?」

 

酷いっしゅ。

 

「ふん、最初の一戦で勝ったからって調子に乗らない事ね……それにしても貴方の目、澱んでるわ……」

「……大人になるとね、色々と大変なんだ。だから、まあ、気にしないでくれ。私と一緒の職場の人はみんなこんな感じの目をしていたよ。いや、私以上に澱んだ目をしてると思うわ」

「……そう」

 

まあ、私は最近はぐっすり睡眠が取れるくらいだけど、まだ社畜根性は根付いている。今朝も枕元の時計を見て思いっきり慌ててしまった。

 

まあいいや。とっととデュエルしようぜ。さて、この子の実力、しかと見させてもらいましょうかね。そして、あわよくば我々の塾に引き込もう……私は美少女美少年なら大歓迎だからね!ぐへへ……

 

 

「……ロクでもないことを考えていそうな顔ね」

「ふぇっ!?そそ、そんな事ないよ!」

 

 

アクションフィールドが展開される。フィールドの名前はクリスタル・コリドーというらしい。屋内のフィールドらしく、あちらこちらがキラキラしている。まるで宝石みたいだ。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ!これがデュエルの最強進化系!」

 

「アクショーン………!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

◇◇◇

 

 

「先攻は私よ!」

 

ふむ、後攻か。今回の私のデッキだと後攻の方がやりやすいから丁度いい。って前回もだけど。

 

「私は手札から魔法カード『ジェムナイト・フュージョン』を発動!このカードで、手札のジェムナイトモンスターを使って融合召喚する!」

 

ほぉ、ジェムナイトか。懐かしいな、昔組んでいた記憶がある。ドローソースとレッリプ積んでワンキル特化にしてたっけ。ブリリアントが制限食らってとばっちり受けてたなぁ……おっと、デュエルに集中しよう。

 

「召喚もしていないモンスターで融合?」

「魔法カードを使って手札のモンスターを素材に融合召喚する。これが手札融合さ」

「基本、召喚する事で効果を発動するモンスターがあるんだったら召喚してから融合した方が良いんだけどね。召喚権を使わず展開できて、神の警告が効かないのは利点だけど、手札消費が激しいのが欠点かな」

「かみのけいこく……?」

 

ふむ、今後はよく使われる汎用カードについても教えようかな?

 

「融合の講義をしている場合?私が融合するのは、手札の『ジェムナイト・サフィア』と『ジェムナイト・オブシディア』!」

 

ふむふむ、それにしてもジェムナイト……ジェムナイトかぁ。

ジェムナイトにはリンクモンスターであるジェムナイト・ファントムルーツがいるんだけどね。この世界だとリンクがないから少しだけ残念だ。ああ、なんだか久しぶりにソリティアがしたくなってきた。次のデュエルはソリティアするデッキにしよっと。

 

「融合召喚!現れよ、『ジェムナイト・アクアマリナ』!」

 

やっぱりこいつか。こいつは効果がやや面倒なんだよね。指名者は握ってないしどうしようかな……?それしても。

 

「このモンスターはたしか墓地に送られた場合に相手フィールドのカードを1枚手札に戻す効果。私の事、結構評価してくれてるんだ?」

「まあ、ね。仮にもエクシーズの首席を倒したのだから」

 

 

ジェムナイト・アクアマリナ

融合・効果モンスター

星6/地属性/水族/攻1400/守2600

「ジェムナイト・サフィア」+「ジェムナイト」モンスター

このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚でのみ

エクストラデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、

相手フィールドのカード1枚を対象として発動する。

その相手のカードを持ち主の手札に戻す。

 

 

「ふぅん、その相手をみくびらずに戦いに挑むその凛々しい姿……300アグニカポイント進呈しよう」

「あぐにか……?まあいいわ。私は融合素材となって墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果を発動!このカードが手札から墓地に送られた場合、墓地のレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚するわ!来なさい、ジェムナイト・サフィア!」

 

ジェムナイト・サフィア DEF 2100

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドよ!」

 

うむ、これは完全に守備を固めてきたね。ミラフォの匂いがぷんぷんする。

 

「じゃあ、私のターンっと…ドロー!」

 

お?

 

「手札から魔法カード『ライトニング・ストーム』を発動しますね。このカードは私のフィールドに表側表示のカードが存在しない場合に発動でき、相手の魔法・罠か攻撃表示のモンスターを全て破壊する。私は魔法・罠を全て破壊する!」

「何ですって!なら、破壊される前に発動するわ!罠カード『ダメージ・ダイエット』!このターン、私が受けるダメージを半分にする!」

 

ほう、戦闘ダメージだけでなく効果ダメージも警戒しているね?ギミパペ見たからだろうか?いや、あいつはエクシーズ限定でバーンダメージを与える。なのに警戒しているってことはデッキを変えてくる事も知っている、か?いや、それは今はいい。もう1枚の伏せカードは……ん?

 

「破壊したわね?このカードを……!」

「……マジか」

 

まさかそいつが出てくるとは……まあデスサイズじゃないだけラッキーと思おう……

 

 

やぶ蛇

通常罠

(1):セットされているこのカードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。デッキ・EXデッキからモンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「ふん、どうやらこのカードの事は知っているようね」

「ええ、昔何回も使われたから…」

 

このデュエルが終わったら局所的ハリケーンに変えておこう!

 

「…なら、私はやぶ蛇の効果でEXデッキから『ジェムナイト・ジルコニア』を特殊召喚!」

「EXデッキから融合モンスターを直接召喚するだって!?」

「へぇ〜、あのお姉ちゃん結構やるじゃん」

 

おいなに素良きゅんに尊敬されてんだよ!ゆ゛る゛さ゛ん゛!

 

 

ジェムナイト・ジルコニア ATK 2900

 

うーん、そこそこ高い攻撃力だけど……まあ、なんとでもなる。

 

「お楽しみはこれからだ……なんてね」

「それはどういう…」

「今に分かるさ。私は続けて魔法カード『サイバネティック・ホライゾン』を発動する。手札及びデッキから属性の異なるドラゴン族・機械族のサイバーモンスターを墓地に送る。そして、デッキからドラゴン族・機械族のサイバーモンスターを手札に加え、EXデッキから機械族のサイバー融合モンスターを墓地に送る」

「EXデッキのカードを墓地に送る……?」

 

 

サイバネティック・ホライゾン

通常魔法

このカードはルール上「サイバーダーク」カードとしても扱う。

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、

このカードを発動するターン、自分は機械族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

(1):手札及びデッキからそれぞれ1体ずつ、ドラゴン族・機械族の「サイバー」モンスターを墓地へ送って発動できる(同じ属性は1体まで)。

デッキからドラゴン族・機械族の「サイバー」モンスター1体を手札に加え、

EXデッキから機械族の「サイバー」融合モンスター1体を墓地へ送る。

 

 

LDSとやらではEXデッキのカードを墓地に送る有用性を教えないのかな?轟雷帝ザボルグなんてカードもあるのに。

 

「私は手札の光属性の『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』とデッキの闇属性の『サイバー・ダーク・キメラ』を墓地に送る。そして、デッキから『サイバー・ドラゴン・ネクスティア』を手札に加え、EXデッキから『サイバー・エタニティ・ドラゴン』を墓地に送る。そして、墓地に送られたサイバー・ドラゴン・ヘルツの効果、デッキからサイバー・ドラゴンを手札に加える」

 

 

サイバー・ドラゴン・ヘルツ

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 100/守 100

このカード名の(2)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

このカードのレベルをターン終了時まで5にする。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

自分のデッキ・墓地からこのカード以外の「サイバー・ドラゴン」1体を選んで手札に加える。

 

 

「さらに、サイバー・エタニティ・ドラゴンを墓地から除外して効果発動、このターン私の融合モンスターは効果の()()にならず、効果では破壊されない!」

「だからわざわざそのモンスターを墓地に送ったのね……対象?」

 

 

サイバー・エタニティ・ドラゴン

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻2800/守4000

「サイバー・ドラゴン」モンスター+機械族モンスター×2

(1):自分の墓地に機械族の融合モンスターが存在する限り、

このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):融合召喚したこのカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。

自分の手札・デッキ・墓地から「サイバー・ドラゴン」1体を選んで特殊召喚する。

(3):墓地のこのカードを除外して発動できる。

このターン、自分フィールドの融合モンスターは相手の効果の対象にならず、

相手の効果では破壊されない。

 

 

そういえばアニメ次元だと対象って言葉聞かないような気がするね。これも今度教えようかな?

 

「手札からサイバー・ドラゴン・ネクステアの効果を発動します。手札からモンスター1体を墓地に送ることで自身を特殊召喚する。さらにネクスティアの効果を発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、墓地の攻撃力か守備力が2100の機械族モンスター1体を特殊召喚する。来て、サイバー・ダーク・キメラ。サイバー・ダーク・キメラの効果を発動、手札の三戦の才を墓地に送ってデッキから『パワー・ボンド』を手札に加える」

「パワー・ボンド……?」

 

融合コースでパワー・ボンド知らないのか……?まあ、機械族専用だから仕方ないのかもね。

 

 

サイバー・ドラゴン・ネクステア

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 200/守 200

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

(2):手札からこのカード以外のモンスター1体を捨てて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(3):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、

攻撃力または守備力が2100の、自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない。

 

サイバー・ダーク・キメラ

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻 800/守2100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札から魔法・罠カード1枚を捨てて発動できる。

デッキから「パワー・ボンド」1枚を手札に加える。

このターン、自分はドラゴン族・機械族の「サイバー」モンスターしか融合素材にできず、

自分が融合召喚する場合に1度だけ、自分の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

同名カードが自分の墓地に存在しない「サイバー・ダーク」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。

 

 

「サイバー・ダーク・キメラの効果を使ったターンは機械族・ドラゴン族のサイバーモンスターしか融合素材にできないけど、一度だけ墓地のカードを除外して融合召喚を行える。魔法発動、パワー・ボンド!このカードで私は手札・フィールドのモンスターで機械族融合モンスターを融合召喚する……が、私はキメラの効果で墓地のカードも除外して融合素材とする!私は手札のサイバー・ドラゴン・フィーアとフィールドのサイバー・ドラゴン・ネクステアとサイバー・ダーク・キメラ、墓地のサイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・ヘルツを融合する!」

「5体も融合素材にするですって!?」

「い、一体どんなモンスターを出すんだ!?」

 

みんな大好きあいつだよ。私もこの子を使うときはよく叫んだものだ。

 

「……さあ、出番です!『キメラテック・オーバー・ドラゴン』!」

 

私の前に出現したのは、五つ首の機械竜。昔はワンキルの代名詞として有名だった。キーパーツの未来融合が禁止になり、エラッタされてしまったが、今でもその威力は健在だ。

 

「攻撃力?のモンスター……」

「キメラテック・オーバー・ドラゴンの()()()攻撃力は融合素材にしたモンスターの数×800の数値になる。さらにパワー・ボンドの効果によって融合召喚されたモンスターの攻撃力は()()()攻撃力分アップする!ただし、ターンの終わりにアップした数値分のダメージを私は受けるけどね」

「なんですって!?」

 

「つ、つまりキメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃力は……」

「融合素材にしたモンスターは5体だから……」

「パワー・ボンドの効果で丁度2倍になるから……」

 

 

「「「攻撃力8000!?」」」

 

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK ? → 8000

 

 

「それと融合召喚に成功した場合に自身以外の私のフィールドのカードを全て墓地に送る強制効果があるけど、今の私のフィールドにはキメラテック・オーバー・ドラゴンしかいないから関係ないね」

 

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン

融合・効果モンスター

星9/闇属性/機械族/攻 ?/守 ?

「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動する。

このカード以外の自分フィールドのカードを全て墓地へ送る。

(2):このカードの元々の攻撃力・守備力は、

このカードの融合素材としたモンスターの数×800になる。

(3):このカードは1度のバトルフェイズ中に、

このカードの融合素材としたモンスターの数まで相手モンスターに攻撃できる

 

パワー・ボンド

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、

機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。

このカードを発動したターンのエンドフェイズに自分は

この効果でアップした数値分のダメージを受ける。

 

 

「さあっ、バトルだ!キメラテック・オーバー・ドラゴンで、ジェムナイト・ジルコニアに攻撃!」

「くっ、なら!私はアクションマジック『奇跡』を発動!」

 

キメラテックが出てから急にフィールドを走り出したと思ったら……

 

 

奇跡

アクション魔法

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは半分になる。

 

 

「ああ!?このままじゃライフを削りきれずに、パワー・ボンドの効果で先生が負けちゃう!」

「そんな、先生!?」

「先生っ……!」

 

「……心配は無用ですよ?」

「それは、どういう……?」

「手札から速攻魔法『リミッター解除』を発動!このターン私のフィールドの機械族モンスターの攻撃力を倍にして、ターンの終わりに破壊する!」

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK 8000 → 16000

 

「なっ……!?攻撃力16000……ですって!?」

「す、すげー!」

「なら、回避を……」

 

「無駄だ!このターン私のフィールドの融合モンスターは効果の()()にならない!」

「!?回避はフィールドのモンスター1体を()()に発動する……!」

 

「……さあ、キメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃!エヴォリューション・レザルト・バーストォ!グォレンダァ!!」

「き、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

いや、実際は5回も攻撃できないけど、やっぱりこのカードを使うんだったら言ってみたいよね?

 

真澄 LP 4000 → 0

 

……これ、オーバーキルじゃない?怪我してないと良いんだけど……。

 




先生の目が澱んでいたのは単に社畜特有のなんかアレですきっと(曖昧)

サイバー・ダーク・ワールド「…………」
キメラテック・ランページ・ドラゴン「まあまあ……」
サイバー・ドラゴン・インフィニティ「出番のなかった同士仲良くしようぜ」

お前これやりたかっただけだろって感想で言われそうだぁ……

9/25 なんだよサイバー・ドラゴン・ネクスティアって……ネクステアでしょうに……

9/25 ワイアームは融合召喚でしか出せないのを見過ごしてたのを修正しました……おうふ……他にも色々修正しました……

10/31 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13話

前回のあらすじ

グォレンダァ!!(誇張)

色々ミスしすぎで笑えない……なるべくミスの無いようにがんばります。



うーむ、やはりサイバー流の火力は凄まじい。

 

「また先生の勝ちだー!」

「すっげー!」

「ま、先生なら当然じゃない?」

 

素良君からのお褒めの言葉、頂きました〜♪

 

「まさか、我等がLDSの誇る生徒が一度のみならず二度までも……」

「……申し訳ありません。理事長」

 

真澄ん、すっかり意気消沈しちゃった。流石にオーバーキルし過ぎたかなやっぱり……?よし、此処は……

 

「真澄ちゃん!」

「……気安く名前を呼ばないで欲しいわ」

「じゃあ真澄ん!」

「悪化してるじゃない!?」

「そんな事より!」

「そんな事!?」

 

 

「……少し外してくれませんか、理事長」

「……お断りします。そもそもなんでそんな事を?」

「話の邪魔になると思った。真澄んと私の」

「……それは今必要な事ですか?私は今日初めて貴方に会いましたが既に貴方のことが嫌いなのですが」

 

理事長先生、分かって言ってるの……?

 

「その子に素晴らしい提案をしたい。君も我等の塾に来ないか?」

「いや、それは……」

「素晴らしい才能を持つ者が醜く衰えてゆく!! 私はつらい!! 耐えられない!!」

「……はぁ、一応、見学は考えておいてあげるわ」

「……え」

 

なん……だと!?失敗フラグが建設されるような説得をしたから絶対断られると思ったのに……まさか、プライド高そうな彼女がそう言ってくれるとは……いっそ、何か言いたげな理事長さんは無視しよう。

 

「……いいの?」

「べ、別に……貴方の授業が少しだけ気になっただけよ」

「もう〜そんなに髪をいじって照れちゃって〜も〜」

「照れてない!」

 

そっぽ向かれた……解せぬ。

 

「さて、次で最後だね?」

「あれ、3回中もう既に2回勝ったんだからもうデュエルする必要ないんじゃない?」

「いや、私がデュエルしたい」

「せ〜ん〜せ〜い〜?」

「ご、ごめん柚子ちゃん!冗談だからそのハリセンしまって!?」

 

ひぃぃぃぃ!?

 

「……騒がしい事」

 

寧ろうるさくないデュエリストなんているだろうか、いやいない(反語)。

 

「まあ、それはそれとして。生徒と先生が戦うんだから3連勝しないとダメってくらいのハンデはあげるよ?」

「……その言葉、後悔しないように」

 

最後の相手の男の子は多分シンクロ使いだろう。何故か竹刀を背負っている。戦士族でも使って来そうだ。

 

「3連勝するだと?随分気軽に言ってくれるじゃねぇか」

「お前は・・・?」

「俺はLDSシンクロコースの刀堂刃。俺の相手はお前だな」

 

ふーん……あ、素良きゅん飴舐めてる。欲しい。舐めたい。いや、飴の方だよ?うん。

 

「おい、聞いてんのか!?」

「あ、ごめんごめん。つい持病が出ちゃって……」

「……?よく分からんが……いつまで待たせるんだ。それともビビって不戦敗か?」

「あはは、言うじゃない?」

 

それにしてもシンクロ相手か……機皇帝でも使おうと思ったけど、今私は無性にソリティアがしたい。となれば……

 

「言っとくが、俺をさっきまでのお行儀が良いだけの連中と同じと思ってたら痛い目見るぜ!」

「ふーん?」

「なにしろ俺は、アイツらと違って本当に強いからな!」

 

へー、言うじゃん。あ、エクシーズコースの子がすっげー落ち込んでる。真澄んも顔には出してないけど若干落ち込んでる気がする。

よし!ここはこいつをボッコボコにして真澄んの栄誉を守るんだ!

 

 

◇◇◇

 

 

今回のフィールドは『剣の墓場』だってさ。あちこちに刀が刺さっていて、まるで戦場にタイムスリップしたような気分だ。というか塾長、相手の名前でフィールド決めてる節ないか……?

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「以下略!デュエル!」

 

 

 

 

 

 

「「「えぇ!?」」」

 

「お、おう……デュエル!!」

 

たまには省略したって良いでしょ!だって結構長いもんこの詠唱!今回結構時間かかりそうだから巻いていかないと!

 

「先攻はお前に譲るぜ」

「へー、そう。私のターン」

 

多分、前の2人のデュエルを見て後攻ワンキルを警戒してるんだろうけど……本来、遊戯王は先攻絶対有利なんだよ?それしても良き手札だ……

 

「私は手札から『召喚僧サモンプリースト』を召喚。そして効果発動、このカードが召喚・反転召喚に成功した場合、守備表示となる」

 

 

召喚僧サモンプリースト

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻 800/守1600

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。

このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

このカードはリリースできない。

(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。

デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

 

「そのモンスターなら知ってるぜ。たしか、手札の魔法カードを捨ててデッキからレベル4モンスターを呼び出す効果だな」

「よろしい。サモプリの効果発動、手札の魔法カード『局所的ハリケーン』を捨てて、デッキから今回の主役、『トレジャー・パンダ』を特殊召喚する」

 

現れたのは冒険家のような格好をしたパンダだ。インディなんとかってやつ?わりと似合っている。

 

「トレジャー・パンダの効果を発動する。私の墓地から魔法・罠カードを3枚まで裏側表示で除外し、除外した枚数と同じレベルの通常モンスター1体をデッキから特殊召喚する。私は局所的ハリーケンを除外する」

 

 

トレジャー・パンダ

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1100/守2000

(1):自分の墓地から魔法・罠カードを3枚まで裏側表示で除外して発動できる。

除外したカードの数と同じレベルの通常モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

 

「通常モンスターをデッキから呼び出すモンスターか……効果のない弱小モンスターを並べて一体何になる?」

「私が呼び出すのはレベル1、闇属性魔法使い族の『千眼の邪教神』だ。そして、この子に手札から装備魔法『ワンダー・ワンド』を装備して効果発動、装備モンスターとこのカードを墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする」

「コストの為か……」

 

 

ワンダー・ワンド

装備魔法

魔法使い族モンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):装備モンスターとこのカードを自分フィールドから墓地へ送って発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

 

「さらに、手札から魔法カード『トゥーンのもくじ』を発動する。デッキからトゥーンと名のつくカードを1枚手札に加える。私は『トゥーンのもくじ』を手札に加える。で、またもくじ発動してもくじ加えてまた発動して今度は『トゥーンワールド』を手札に加える」

「……はぁ?」

 

そう言わないでほしい。デッキ圧縮とパンダのコスト確保のためだ。

 

 

「パンダの効果発動、墓地のトゥーンのもくじを除外してデッキから呼び出すのはレベル1闇属性魔法使い族の『封印されし者の右腕』。そして、魔法カード『馬の骨の対価』を発動、自分フィールドの効果モンスター以外のモンスター1体を墓地に送ってカードを2枚ドローする。私は右腕を墓地に送って2枚ドロー……」

「……聞いた事のない通常モンスターばかり使いやがる」

 

ほぉ、このカードをご存知でない?ニチャア……(愉悦)

 

「私はまたまたパンダの効果を発動する。その効果でデッキから呼び出すのはレベル1チューナーモンスターの『ガード・オブ・フレムベル』」

「通常モンスターのチューナーだと?」

「おっと、見た事ないの?」

「ああ……」

 

……そうなんだ。私は通常モンスター使うデッキは嫌いじゃないんだけど……それはそれとして手札にジェネコン来たらキレ散らかすけど。

 

「さて、シンクロコースならシンクロ召喚については知っているだろう?私はレベル4の召喚僧サモンプリーストにレベル1ガード・オブ・フレムベルをチューニング!リミッター解放がうんたらかんたら!いでよ、強欲な司書!『TG ハイパー・ライブラリアン』!」

「いや口上雑すぎんだろ!そして強欲な司書ってなんだよ!」

 

ええい、うろ覚えなんだから仕方ないでしょ!それに強欲なのは事実だろ!

 

 

TG ハイパー・ライブラリアン

シンクロ・効果モンスター(制限カード)

星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、

このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。

このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、

自分はデッキから1枚ドローする。

 

 

そして、私の墓地には通常モンスターが3体いる!

 

「魔法発動!『トライワイトゾーン』!このカードは墓地の通常モンスター3体を特殊召喚する!さあ来なさい!ガード・オブ・フレムベル、封印されし者の右腕、千眼の邪教神!」

「通常モンスターとは言え3枚も復活させたか……なら、この後は当然……!」

 

ふむ……この後の展開が読めるのは、流石はシンクロコース主席と言ったところだろうか?

 

「私はレベル1の封印されし者の右腕にレベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング!集いし願いが新たな速度の地平へ誘う、光さす道となれ!シンクロ召喚!レベル2!希望の力、シンクロチューナー、『フォーミュラ・シンクロン』!」

「シンクロモンスターのチューナーだと!?」

 

チューナーが自身のレベルの数の光の輪に変化、チューナー以外のモンスターはレベルの数の光点に変化し、それらが合わさる事でシンクロモンスターがフィールドに現れるというシンクロ召喚特有の演出。これ結構お気に入りなんだよね。カッコいいし。

あ、今回はアクセルシンクロはしないよ?

 

 

フォーミュラ・シンクロン

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星2/光属性/機械族/攻 200/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。

自分はデッキから1枚ドローする。

(2):相手メインフェイズに発動できる。

このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

 

「ライブラリアンとフォーミュラ・シンクロンの効果発動、フォーミュラ・シンクロンがシンクロ召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローできる。また、ライブラリアンには自身以外のシンクロ召喚に成功したらカードを1枚ドローする効果を持つ。よって合計2枚ドロー」

 

ふむ……現在の手札は6枚、墓地の魔法・罠は4枚。中々良い調子だ。

 

「私はさらにレベル1の千眼の邪教神にレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!現れよ、レベル3!シンクロチューナー、『武力の軍奏』!」

「またシンクロモンスターのチューナー……!」

「武力の軍奏の効果を発動!このカードがシンクロ召喚に成功した場合、墓地のチューナーモンスター1体を守備表示で特殊召喚することができる!再び現れて、ガード・オブ・フレムベル!さらにライブラリアンの効果で1枚ドロー」

 

 

武力(ブリキ)軍奏(ぐんそう)

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻 500/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合、自分の墓地のチューナー1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

(2):このカードをS素材としたSモンスターは、

フィールドに表側表示で存在する限りチューナーとして扱う。

 

 

「パンダの効果でデッキから『封印されし者の左腕』を特殊召喚。そしてレベル1の封印されし者の左腕にレベル3の武力の軍奏をチューニング!シンクロ召喚!来て、レベル4!虹光の宣告者!そしてライブラリアンの効果で1枚ドロー。さらに、武力の軍奏の効果、このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターはチューナーとして扱う」

「またシンクロ召喚する気か……!と言うか何回シンクロ召喚する気だ!?」

 

数えてないから知らん。

 

 

虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)

シンクロ・効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻 600/守1000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

お互いの手札・デッキから墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される。

(2):モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、

このカードをリリースして発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

儀式魔法も組み合わせれば面白いかもしれないけど、私は事故りそうだからしません(キッパリ)。

 

「パンダの効果で封印されし者の右足を特殊召喚。さらにレベル1の封印されし者の右足にレベル4の虹光の宣告者をチューニング!シンクロ召喚!現れなさい、レベル5!水晶機巧-アメトリクス!ライブラリアンの効果で1枚ドロー。さらにレベル5の水晶機巧-アメトリクスにレベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング!現れなさい、レベル6!『氷結界の虎王 ドゥローレン』!ライブラリアンの効果で1枚ドロー」

 

 

氷結界の虎王 ドゥローレン

シンクロ・効果モンスター

星6/水属性/獣族/攻2000/守1400

チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカード以外の自分フィールドの表側表示のカードを任意の数だけ対象として発動できる。

その自分の表側表示のカードを持ち主の手札に戻す。

このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で手札に戻ったカードの数×500アップする。

 

 

「さてと、そろそろ終わりにしようか?」

「な、何ぃ!?先攻1ターン目は攻撃は行えない筈……!」

 

「まだ先攻1ターン目なのに!?」

「先生、一体どうする気なんだ……?」

「もう何度もシンクロ召喚をしているけど……」

 

さあ、見せてやろう。モンスターを出して殴り合うだけがデュエルではない。カードの効果を悪用してデッキ切れ、バーン、特殊勝利、先攻ガン回し制圧、タイムアウト、あらゆる方法で勝ちを目指す。それが遊戯王という奴だ。タイムアウトはルールの変更で不可能になったけどね。

 

「パンダの効果!デッキから封印されし者の左足を特殊召喚!もういっちょパンダの効果を使って2枚目のガード・オブ・フレムベルを特殊召喚!」

 

これで墓地の魔法・罠はゼロ、と。手札は10枚で()()()()()()()()()()()()

 

「レベル1の左足にレベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング!シンクロ召喚!レベル2!2回目のフォーミュラ・シンクロン!フォーミュラとライブラリアンの効果で合計2枚ドロー!」

 

よし、来た!

 

「私は魔法カード『闇の量産工場』を発動、墓地の通常モンスター2枚を手札に加える。私は墓地の封印されし者の右腕と左腕を手札に加える。さらに『貪欲な壺』を発動、墓地のモンスターを5枚選んでデッキに戻し、カードを2枚ドローする。私は、

 

封印されし者の右足

封印されし者の左足

ガード・オブ・フレムベル

武力の軍奏

フォーミュラ・シンクロン

 

この5枚をデッキに戻してカードを2枚ドローする」

「どれだけドローするつもりだよ!?」

「ドローはこれで終わりですね」

 

まあこのデュエルももうそろそろ終わりになるわけですけど。というか早い段階であれが来たからあんまりドローの意味なかったな……

 

「パンダの効果を2回使い、先程デッキに戻した封印されし者の右足と左足を特殊召喚します」

「けっ、またかよ……」

「まあそう言わないでくださいな。もう終わりますから……私はドゥローレンの効果を発動します。自身以外の私のフィールドの表側表示のカードを任意の数選択して手札に戻し、ターン終了時まで戻した数×500ポイント自身の攻撃力を上げます。私は封印されし者の右足と左足を手札に戻し、合計で2枚のカードを手札に戻したのでドゥローレンの攻撃力は500×2で1000ポイントアップする」

 

氷結界の虎王 ドゥローレン ATK 2000 → 3000

 

「攻撃力3000か。はん!その程度で勝ったつもりか?」

「ふむ、そうですね……では、敢えて言いましょう」

「は?」

「そういう言葉は私達の世界にはありません……そんな弱虫の使う言葉はね……「勝利する」……そんな言葉は使う必要がありません。なぜなら私、私達デュエリストは!!その言葉を頭の中で思い浮かべた 時には!もうすでに デュエルに勝利しているからだ!だから使った事がねェ〜〜〜ッ!」

「どういう……事だ……?」

「つまりッ!「勝利した」なら使ってもいいッ!ドゥローレンの効果で私の手札にある5枚のカードが揃った!手札の『封印されしエクゾディア』の効果!このカードと「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」が手札に全て揃った時、私はデュエルに勝利する!!」

「なっ!?手札に揃っただけでデュエルに勝利するだとッ!!」

 

それがエクゾディアの最大の利点だろう。他のは時間が掛かったりするし。

 

「「「なんだってーーーーー!!?」」」

「だから、何度もドローを繰り返していたのか!!」

「先生、そんなカードも持っていたんだね……」

「痺れるぅ!!」

「先生すごーい!」

 

「特に恨みはないけど喰らいなさい!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

虚空から『封印されし者の右足』と『封印されし者の左足』が一歩を踏み出し、『封印されし者の右腕』と『封印されし者の左腕』がその腕を前に突き出し、『封印されしエクゾディア』がその姿を現した。そして……

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

全てを燃やし尽くす豪火が掌に現れ、視界に収まらないほどの巨大な炎となって彼に降り注いだ!

 

「よしッ!「勝利した」ッ!」

 

 

勝った!第3部、完ッ!

 




トレパンエクゾは私考案です。
多分現実だとニビルうららヴェーラー無限泡影etcで妨害される事請け負いなので成功率はあまり高くないと思います。結構事故るし。
図書館エクゾとの差別化は普通にビートダウンも出来る事くらいでしょうか?
リンクも混ぜれば更に回ると思います。なんならリンクメインでエクゾディアパーツはTDN素材に使うのもいいかと。


・お知らせみたいな何か
デュエルのミスは時間がある時に纏めて修正しようと思います。
それまで許してください何でもしますから!(なんでもするとは言っていない)

10/2 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14話


前回のあらすじ

手札誘発握ってない奴が悪い。

すいません、人狼とかラッシュデュエルにハマってて遅れました。
最近筆が乗らねぇ………

色んなデッキ案をありがとうございます!
今後もデッキのリクエストは受けようと思いますので気が向いて頂ければ活動報告にて挙げてもらえると嬉しいです。



 

「そんなバカな……この俺が何も出来ずに負けただと!?」

「手札誘発握ってないのが悪い……さて、これで三連勝っと」

 

やったぜ。そしてソリティアでそこそこ満足できたぜ。流石に先攻ワンキルは悪いような気もしたけど……ま、いっか!

 

「先生っ!!」

「すっげー痺れたぜ!!」

「カッコ良かったー!」

 

ふっ……小さい子からの賞賛が心地いいぜ。

 

「……これで、我々の勝利ですね。この場は引いて貰いたい」

「ぐっ……!」

 

ふぅ、これにて一見落着かな?ちょっと疲れちゃったよ。

 

「先生、お疲れ様ー!」

「凄かったぞ先生!」

「うむ!流石は遊勝塾の教師だ!」

「それにしても良かったわ。これでこの件は無事に終わり……」

 

柚子ちゃんそれはフラグだ!……とは口に出せなかった。何故なら……

 

 

 

 

 

 

「……お見事」

 

 

 

 

 

!?このまるで止まるんじゃねぇぞとか戦局を変えるとか言い出しそうな声は!?

 

「貴方は……まさか!?」

「私のことを知っているようで——」

「たしかCMのっ!!」

「……人違いでは?」

 

この声、その顔……DDが出てくるパックのCMに出てた人だ!某団長や軍師と同じ声だしきっと間違いない。赤いマフラーも着けてるし。

 

「ごほん……えっと、どちら様でしょうか?」

「……私は赤馬零児という」

「どのような御用件で?」

「君とデュエルがしたい」

 

え?

 

一体どういう目的で……?彼とは初対面のはずだし、どういうことなのだろう?

 

「藤野明美。貴方は異常だ」

「え?なんで?」

「私以外でこれほどエクストラデッキからの召喚に精通している人物は見た事がない」

「はぁ……」

 

それだけの理由で何故怪しまれるの私?ルールさえ理解できれば小学生でも出来るのだけれど……ただし他の難しいルールは除く。

 

「それに、君の事をいくら調べても何も出てこない。まるで、急にこの世界に現れたかのように、な」

「…………」

 

やっべ、否定できない。

 

すると……彼はとんでもない事を言い出した。

 

 

「君はもしかして、異次元の出身なのではないか?」

 

 

「…………!?」

 

この人、何故それを……!?

 

「は?何言ってるんだ?そんなもの、あるわけないじゃないか!」

「そうよ!ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし……」

 

やめて2人とも、事実なので心が痛い。

 

——いや、待てよ?

 

異次元と言うより、異世界の出身って行った方が正しいのではなかろうか?私が異世界だと思ってる世界は彼にとっての異次元なのだろうか?もしかすると、異次元が本当にあるのかもしれない。私の居た世界とは全く無関係の。

 

「どうなんだ?」

「……」

 

……これ、なんて答えればいいんだ……?相手は多分勘違いしている可能性が高いけど確定ではないし……そういえば、私がこの街に来た時に降りた駅、前に一回戻ってみたんだけど何もなかったんだよね……今から思い出してみると私以外に誰も居なかったし……あの駅、もしかして如月駅の類のものだったんだろうか……?って、それは今はいい。問題は今この状況をどうするべきか、だ。

 

……考えても何も思いつかないや。ここは、はぐらかすしかない、か。

 

「……その答えは、デュエルの中で見つけるしか無い!」

「…………いいだろう」

 

……よし、乗ってきた。デュエル脳万歳!

 

「……本当は、直にペンデュラム召喚を見るために彼とデュエルする予定だったのだがな」

「へ?それなら私がペンデュラム召喚を使いましょうか?」

「……!?使えるのか?」

「ええ」

 

「「「ええーーーーーー!!?」」」

 

「ちょ、先生!?聞いてないぞ、それ!?」

「あ、言ってなかった?」

 

遊矢くん、ちょっと慌てすぎでは?

 

「そもそも、ペンデュラムは俺が最近初めて使った召喚法で俺以外の奴は使い方をほとんど知らない筈だ……!何故先生が使えるんだ!?」

 

あ、アニメ1話でそんなこと言ってたような気がしないでもない。正直全く覚えてないが。

 

「私がペンデュラムを使える理由?そんなの簡単だよ?」

「そ、それは……?」

 

「「「それは……?」」」

 

 

「生徒に出来て先生に出来ない事なんてあるわけないじゃない?」

 

「………」

 

何故だろう、呆れられた気がする。ほわい?

 

「……い、いや!それでも!ペンデュラムカードを持ってるのか!?俺しか持ってない筈なのに!?」

「カードは拾った」

「ええ!?」

 

正確にはいつのまにか持ってたが正解なんだけどね。

 

「ほう……よもやだ。ペンデュラムまで使えるとはな。さらに君に興味が湧いた」

「それはどうも……」

 

声イケメンだけどショタでもロリでもないしどうでもいいや。

 

「……ふむ。私が勝ったら我が塾に来ないか?」

「いや、それはちょっと……」

「給金はこのぐらいだ。さらに、休日もそれなりに設けよう」

 

な!?私の会社なんかと比べ物にならないくらいの高待遇!?

 

「……か、考えとく」

 

「「「先生ッ!!?」」」

 

「はっ!?」

 

いかんいかん、

 

こうして、何故か私は本日4回目のデュエルをする事になりましたとさ。まあデュエルしたかったし別にいいんだけどね?なんというか、原作のイベントを完全に乗っ取ってしまっている気がする。原作あんまり知らんけど。

 

 

◆◆◆

 

 

「先生ならきっと勝つよ!」

「だな!」

「うんっ!」

 

おお、少年少女が応援してくれている。タカキも頑張ってたし私も頑張らないと。

 

「それはどうかしらね?貴方達、うちの零児さんがどれ程強いのか知らないようね?」

 

理事長の言う通り、【DD】って結構強いんだよなぁ……一時期は環境にも顔を出してたし。まあ、魔術師にゃ負けるが。悪魔族で統一されているからいっそ守護神エクゾディオスでも入れてやろうかとも考えたけど流石にやめておいた。手札事故の原因となる未来しか見えない。

 

「アクションフィールドはどうします?」

「ご自由に」

 

ん?今何でも良いって言ったよね?(幻聴)

 

「じゃあアクションフィールドは無しでいきましょうか」

 

「………それはつまり、アクションデュエルではなく普通のデュエルをする、と?」

 

「「「えっ」」」

「先生っ!?」

 

あのね、お姉さんはね、お姉さんはねっ(強調)、運動苦手なんだよぉ。もう腰が痛いんだ。え?お前ほとんど動いてないだろって?いやいや、そんなことないよ!

 

「……別に構わない」

「そっか。なら、修造先生。そういう事で」

 

「お、おう!ふ、2人がいいなら何も言わないぜ!」

 

この人、名前までなんか熱苦しい……って、それよりもデュエルを頑張らないと。

お互いに向き合い、デュエルディスクを構える。

 

「ここまできてアクションデュエルじゃないのか!?」

「でも先生、この前ちょっと動いただけで息上げてたし……」

「……そう言えば俺、先生が家でちょっと重い荷物持っただけで腰痛めてたのを見たな」

 

遊矢くん、それ恥ずかしいから言わないでくれ。蹲りたくなる。

 

「先攻は……ふむ、貴方みたいですね」

「そのようだな」

 

残念。今回は普通に先攻取りたかったけど。

 

「私のターン!」

 

さて、お手並み拝見と行きましょうかね。

 

「私は手札から永続魔法『地獄門の契約書』を発動!」

 

早速来たか……生憎こういう時に限ってうららは握ってない。なんで(殺意)?

 

 

地獄門の契約書

永続魔法

「地獄門の契約書」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

デッキから「DD」モンスター1体を手札に加える。

(2):自分スタンバイフェイズに発動する。

自分は1000ダメージを受ける。

 

 

「地獄門の契約書の効果を発動!デッキからDDモンスター一体を手札に加える。私が手札に加えるのはDDスワラル・スライムだ」

 

うーん、【DD】でよく見る動きだぁ。

 

「手札のDDスワラル・スライムの効果を発動!手札のこのカードを含むモンスターを墓地に送り、DDD融合モンスターを融合召喚する!私は手札のDDスワラル・スライムとDDバフォメットを融合する!」

 

「モンスター効果での融合……!」

「へ〜?」

「先生、頑張れッ!」

 

大丈夫、この手札ならサイフリくらいなら処理できる。

 

「自在に形を変える神秘の渦よ、異形の神を包み込み、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ、『DDD烈火王テムジン!』」

 

 

DDスワラル・スライム

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻 200/守 200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札に存在する場合、自分メインフェイズに発動できる。

「DDD」融合モンスターカードによって決められた、

このカードを含む融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

手札から「DD」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

DDD烈火王テムジン

融合・効果モンスター

星6/炎属性/悪魔族/攻2000/守1500

「DD」モンスター×2

「DDD烈火王テムジン」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、

自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、

自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、

自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

来たか、DDのいつもの。

 

「DDD……Dが3つ……」

「どういう意味だ?」

「なんか、全然違う……もしかして本物?でも……」

 

たしか、ディメンション・ディファレント・デーモンだっけ?詳しくは知らんが。あと素良きゅんは何ぶつぶつ呟いているんだろう?

 

「融合召喚だけ?なら、先生の方がずっと凄いや!」

「そうだね!」

 

「……それはどうかしら?」

 

「「「えぇっ?」」」

 

外野が騒がしいね。それにしても、バフォメット墓地に送ったという事は多分アイツが来るねこぉれは……

 

 

「DDDとは、ディファレント・ディメンション・デーモン……異次元を制す王の力、とくと見るがいい……」

 

……実際、一時期環境に顔出してたからね。見くびることなんてとてもじゃないができない。

私は改めて気を引き締めて、あの赤マフラーの社長を見据えた。

 





中途半端だけどここで切ります。最近投稿できてないので……ほんとにごめんね
いや、書く気はあるんだよ?でもね、現実が最近忙しいんよ()


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15話

前回のあらすじ!

社長襲来!
赤馬「おい、デュエルしろよ(意訳)」
先生「あ〜いいっすね〜」

今回もやや短めです。ごめんね。


「私は墓地のDDスワラル・スライムの効果を発動!」

 

「墓地からモンスター効果だって!?」

 

あ、お約束の反応だ。まあ、DDは墓地をよく利用するデッキだからね。このくらいなら日常茶飯時だ。あと、墓穴の指名者で妨害されるのもよく見るね。

 

「このカードをゲームから除外し、手札からDDと名の付くモンスター一体を手札から特殊召喚する。現れよ、ペンデュラムモンスター、『DD魔導賢者コペルニクス』!」

 

「な!?ペンデュラムモンスター、だって!?」

 

遊矢くんがすっげー驚いてるな。私としてはDDがペンデュラムモンスターを内包している事なんて当たり前なんだけどね。まあこの世界だとペンデュラムを作り出した?のは彼らしいし当然の反応かな。

 

「DD魔導賢者コペルニクスの効果発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した場合、デッキから契約書、またはDDと名のつくカードを1枚墓地に送る。私が送るのはDDネクロ・スライムだ。更に、DDD烈火王テムジンのモンスター効果発動!このカード以外のDDモンスターが特殊召喚に成功した場合、墓地のDDモンスター1体を特殊召喚する事が出来る!私はDDバフォメットを特殊召喚する!」

 

ネクロ・スライムを墓地に送ったと言う事は、墓地融合する気満々だねこれ。まあDDD融合モンスターには制圧力のあるモンスターは超死偉王くらいか。それと、バフォメットを出したからには多分あいつがくるね。

 

「DDバフォメットのモンスター効果を発動!フィールドのDDバフォメット以外のDDと名のつくモンスター1体を選択し、そのレベルを1〜8に変更する。私はDDコペルニクスのレベルを6に変更する!」

「これでレベル6のモンスターが2体か」

 

壊獣の用意をしないと(使命感)。

 

 

DD魔導賢者コペルニクス

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「DD」モンスターしかP召喚できない。

この効果は無効化されない。

(2):このカードがPゾーンに存在する限り1度だけ、

自分にダメージを与える魔法カードの効果が発動した場合、その効果を無効にできる。

その後、このカードを破壊する。

【モンスター効果】

「DD魔導賢者コペルニクス」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「DD魔導賢者コペルニクス」以外の

「DD」カードまたは「契約書」カード1枚を墓地へ送る。

 

 

DDバフォメット

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1400/守1800

(1):1ターンに1度、「DDバフォメット」以外の

自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象とし、

1~8までの任意のレベルを宣言して発動できる。

そのモンスターはターン終了時まで宣言したレベルになる。

この効果の発動後、ターン終了時まで

自分は「DD」モンスターしか特殊召喚できない。

 

 

「わざわざレベルを変更したって事は……」

「も、もしかして、エクシーズ召喚!?」

「いや!ペンデュラムモンスターまで入っていると言う事は……!」

「ペンデュラム召喚まで行えるって言う事……!?」

「あいつ、何者なんだ……?」

 

おお、外野が驚いてる。別に、どんな召喚法だろうとやり方とカードさえあれば誰でも使えると思うんだけどなぁ。

 

「ペンデュラムチューナーモンスター、DDオルトロスを召喚!」

 

「ペンデュラムモンスターのチューナーだって!?」

「落ち着け遊矢くん。それくらいよくいるだろ?」

「あ、ああ。たしかに……いや、いないだろ!?俺は見た事ないぞ!?」

「あいつ、全ての召喚法を扱えるのか……!!」

 

……ここでレベル4チューナーが来たのは普通に面倒だな。

 

「私はレベル6になったDD魔導賢者コペルニクスとDDD烈火王テムジンでオーバーレイ!現れよ、ランク6!DDD怒涛大王エグゼクティブ・シーザー!」

 

「エクシーズ召喚……!」

 

「更に、レベル4のDDバフォメットにレベル4のDDオルトロスをチューニング!

その紅に染められし剣を掲げ、英雄たちの屍を越えていけ! シンクロ召喚!生誕せよ、レベル8!DDD呪血王サイフリート!」

 

厄介なのが2体も出てきたな……まあクリスタルウィングが来ないだけ良しとしよう。

 

……そう言えば、私の手持ちのデッキには召喚法ドラゴン系が全然居ないんだよね。ドラグニティデッキがあるのにクリスタルウィングが入ってないし、前使ったクロノダイバーにはエクシーズドラゴンが入っていない。スターヴもオッドアイズも何故か見当たらない。オッドアイズを持っているのも推定主人公の遊矢くんだし、もしかするとストーリーに深く関わっているのかもね。

 

 

DDD怒涛大王エグゼクティブ・シーザー

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/水属性/悪魔族/攻2800/守1800

悪魔族レベル6モンスター×2

(1):モンスターを特殊召喚する効果を含む、

モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、

このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

その後、このカード以外の自分フィールドの「DD」モンスター1体を選び、

そのモンスターとこのカードの攻撃力をターン終了時まで1800アップできる。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。

 

 

DDD呪血王サイフリート

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守2200

チューナー+チューナー以外の「DD」モンスター1体以上

「DDD呪血王サイフリート」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードの効果は次のスタンバイフェイズまで無効化される。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

自分は自分フィールドの「契約書」カードの数×1000LP回復する。

 

 

「1ターンに融合、シンクロ、エクシーズ召喚を一辺に……!」

「しかも、融合モンスターをエクシーズ召喚の素材に使うなんて……!」

「あいつ、本当に何者なんだ……?」

 

さっきから素良きゅんの様子がややおかしい気がするけど……生憎、今はデュエルに集中しないと。

 

「更に、私は墓地のDDネクロ・スライムの効果を発動!墓地の自身を含む融合素材モンスターを除外し、DDD融合モンスターを融合召喚する!」

 

「ここに来てまだモンスターを召喚するのか!?」

「しかも、墓地融合……!」

「……素良、墓地融合ってなんだ?」

「ああ、それは……」

 

「墓地融合については後で先生に説明させてー!」

「余所見をしていていいのかね?」

「あ、ごめんなさい」

 

怒られちった。

 

「……融合召喚!出でよ、神の威光伝えし王!DDD神託王ダルク!」

 

 

効果ダメージメタまで現れたか。ふざけてチェーンバーンとかで来なくて良かった。

 

 

DDネクロ・スライム

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 300

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合に発動できる。

「DDD」融合モンスターカードによって決められた、

このカードを含む融合素材モンスターを自分の墓地から除外し、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

DDD神託王ダルク

融合・効果モンスター

星7/闇属性/悪魔族/攻2800/守2000

「DD」モンスター×2

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分にダメージを与える効果は、自分のLPを回復する効果になる。

 

 

「私は強欲で貪欲な壺を発動。デッキの上からカードを10枚裏側表示で除外しデッキからカードを2枚ドローする……カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

幸いにも、今彼の手札は0だから戦乙女の契約書をあまり警戒しなくてもいいね。まあ打点パンプ効果は使えるから全く警戒しなくても良い訳ではないけどね

 

「……先生、大丈夫かな?」

「せ、先生ならきっと何とかしてくれるよ!」

 

ふふふ。ここは、期待に応えないとね!とはいえ、先ずはあの厄介な2体を何とかしなければ。

 

「私のターン!」

 

引いたのは……おっと、力技で解決しろと言わんばかりのカードだ。

 

 

「魔法カード、ハーピィの羽根帚を発動!相手の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「うお!?なんかすげーカードが来た!?」

「先生、あんなカードまで持ってたの!?」

「あれ、確か凄くレアなカードだったような……」

 

やっぱりアニメでも羽根帚はレアなんだなぁ。

 

「チェーンして罠カード契約洗浄(リース・ロンダリング)を発動!私の契約書カードを全て破壊し、破壊した数だけドローし、破壊した数×1000のライフを回復する!」

 

やはり、そっちだったか。

 

零児 LP 4000 → 6000

 

まあ、もう1枚パワーカードがあるんだけどね。

 

「魔法カード、ブラックホールを発動!お互いのフィールドの全てのモンスターを破壊する!」

 

「またすっげーカードだ!?」

「先生、レアカードばかりを使うのは……」

 

あ、やべ。生徒に引かれてる……つーか、ブラックホールの演出凄いね。羽根帚の時も思ったけど中々迫力のあるね、パワーカードは。

 

「とにかく、あいつのモンスターはこれで全滅する筈……!」

 

だが、土煙(?)が晴れても彼のモンスターは健在だった。まあ知ってた。

 

「なっ!?どうして!?」

 

「私はブラックホールにチェーンして呪血王サイフリートのモンスター効果を発動していた。1ターンに一度、フィールドの表側表示の魔法・罠カードの効果を次のスタンバイフェイズまで無効にする事ができる」

 

「そんな効果を持っていたのか、あのシンクロモンスター……!」

 

だが、その効果は使わせたぞ。

 

「……さて、ここからが本番だ」

 

「さて、どうくる……」

 

彼は、私の一挙一動を見逃さないとばかりにこちらを見つめている。

 




やや小刻みに行きます。行かせて?

今回の彼女のデッキのテーマはパワーカードみたいですね()

11/3 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!

11/28 ちょっと後の展開に影響が出るので赤マフラー社長の手札枚数を調整しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16話

遅れてすまねぇ……すまねぇ……
今回、禁止カードが使われています。良い子は真似しないようにね☆


さて、と。この世界に来てからは初めてのペンデュラムだ。

 

「私はスケール5の竜剣士ラスターPと、スケール5のマジェスペクター・フロッグをペンデュラムスケールにセッティング!」

 

「え!?先生!?その2体のスケールだと……」

「ペンデュラム召喚出来ない……よね?」

「ちょっとー、せんせー?」

 

「ふっふっふ。歩が3つです。心配しないでよ?私は竜剣士ラスターPのペンデュラム効果を発動!私のもう片方のペンデュラムゾーンのカードを破壊し、その同名カードを1枚手札に加える!」

「ふむ、なるほど……ペンデュラムゾーンで破壊されてもエクストラデッキに行くのか……」

「そうだね」

 

「そんな事して何になるんだ?」

「いや、後で一気にペンデュラム召喚で呼び出す為なんじゃ……?」

 

うーん、大体合ってる。

 

 

竜剣士ラスターP(ペンデュラム)

ペンデュラム・チューナー・効果モンスター(制限カード)

星4/光属性/ドラゴン族/攻1850/守 0

【Pスケール:青5/赤5】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる。

そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。

【モンスター効果】

このカードを素材として、「竜剣士」モンスター以外の融合・S・Xモンスターを特殊召喚する事はできない。

 

 

「私は今デッキからサーチしたマジェスペクター・フロッグをもう一度ペンデュラムスケールにセッティングして速攻魔法、揺れる眼差しを発動!このカードは、お互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、破壊したカードの数によって効果を得る」

 

「ええ?先生、またペンデュラムゾーンのカードを破壊してるよ?」

「いや、これは……」

 

ふふふ、まあ楽しみにしていてくれたまえ。

 

「……お互い?」

 

あ、やべ、そこ疑問に思うよねそりゃ。ここはとっととソリティアして誤魔化そう。

 

「2体破壊した事によって私は2つの効果を使う。まず、相手に500のダメージを与える……が」

「神託王ダルクの効果により、私への効果ダメージはライフの回復となる」

 

零児  LP 6000 → 6500

 

「げっ、先生!?」

「だ、大丈夫なの!?」

 

モーマンタイでっせ、柚子ちゃん。

 

「2つ目の効果によって、私はデッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加える」

「なるほど、そちらが本命か」

「Exactly(そのとおりでございます)。私が手札に加えるのは……EMモンキーボード!」

「何?EMだと?」

 

「え、先生が俺のカード使ってる!?」

「ちょっとだけ、借りるね。まあ元々持ってたのだけどね」

「そ、そうか」

 

さて、行くか。

 

「私はこのままモンキーボードをセッティングして効果発動!デッキからEMを1体手札に加える!私はEMドクロバット・ジョーカーを手札に加えてそのまま召喚!そして、ドクロバット・ジョーカーの効果発動!このカードが召喚に成功した場合、デッキからEMか魔術師、オッドアイズモンスターを手札に加える!私はEMオッドアイズ・バレットを手札に加えてそのままペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル2からレベル7までのモンスターが召喚可能!」

「……これは」

「お、気付いた?」

 

これ、かなり安定するんだよね。ま、元の世界の環境だとサルは使えないけどね。もっとも、使えたところで悪用されるのが目に見えている。

 

 

EMドクロバット・ジョーカー

ペンデュラム・効果モンスター(準制限カード)

星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守 100

【Pスケール:青8/赤8】

(1):自分は「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、

「オッドアイズ」モンスターしかP召喚できない。

この効果は無効化されない。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「EMドクロバット・ジョーカー」以外の「EM」モンスター、

「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターの内、いずれか1体を手札に加える

 

 

EMモンキーボード

ペンデュラム・効果モンスター(禁止カード)

星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

【Pスケール:青1/赤1】

「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、

このカードのPスケールは4になる。

(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。

デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。

手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。

このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。

 

 

「え?なに?なんなの?」

「……多分、先生はかなり有利だよ、今」

「え?どう言う事だ素良?」

「先生は、モンキーボードからたった1枚でペンデュラム召喚ができる状態に持っていった。多分、最初からこの流れを見据えていたんだと思うよ」

「た、たしかに……」

 

お、素良きゅんも気付いたのか。300アグニカポイント移譲しよう。

 

「なるほど、な。これがペンデュラム召喚を使うお手本と言ったところか」

「お手本と言うか……本気?みたいな?」

 

サル禁止だしね。

 

「……我が魂を揺らす大いなる力よ!この身に宿りて、闇を引き裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚!現れよ、私のモンスター達よ!

竜剣士ラスターP!

2体のマジェスペクター・フロッグ!

そして、烈風纏いし一角獣!マジェスペクター・ユニコーン!」

 

 

マジェスペクター・フロッグ

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/魔法使い族/攻1300/守 500

【Pスケール:青5/赤5】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・フロッグ」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「マジェスペクター」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

この効果でセットしたカードはこのターン発動できない。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、

相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

 

「一気に4体も……!」

「先生、遊矢兄ちゃんよりも凄いんじゃ……」

「先生……」

 

「落ち込まないで、遊矢くん!生徒より劣る先生なんていないんだから!私はマジェスペクター・フロッグのモンスター効果を発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した場合、デッキからマジェスペクター魔法・罠カードをセットする!私がセットするのはマジェスペクター・ソニックだ。ただし、この効果でセットしたカードはこのターン発動できない。まあ、マジェスペクター・ソニックは速攻魔法だから元々このターンに発動できないけどね」

「……流石にウチの生徒3人を軽くあしらっただけはあるな」

 

ふふん。って、まあパワーカードばっかり使った結果だからあんまり自慢はできないけどね。そして……ふふふ。

 

「さあ、ここからは私のファンサービスです!レベル4のマジェスペクター・フロッグにレベル4のチューナー、竜剣士ラスターPをチューニング!」

「何!?」

「シンクロ召喚!レベル8!爆炎の中から現れよ!爆竜剣士イグニスターP!」

 

 

爆竜剣士イグニスターP(プロミネンス)

シンクロ・効果モンスター

星8/炎属性/ドラゴン族/攻2850/守 0

チューナー+チューナー以外のPモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、フィールドのPモンスター1体

またはPゾーンのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊し、フィールドのカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

デッキから「竜剣士」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはS召喚の素材にできない。

 

 

「ペンデュラムとシンクロ召喚を連続して行うだなんて……!」

 

「……なるほどな」

「お、何がなるほどなんだい?」

「ペンデュラムは単体だけで使うのではなく、他の召喚法と併せる事で真価を発揮するのか!」

「そのとーり」

 

まあ、マジェスペクターは若干例外というかなんというか……ま、いっか。今回竜剣士との混成だし。

 

「さて、その邪魔なシーザーには消えてもらおうかな」

「なに?」

 

私の中ではシーザーは泡の人しかない。Fateあんまり詳しくないからね。

 

「爆竜剣士イグニスターPのモンスター効果発動!フィールドのペンデュラムモンスターまたはペンデュラムゾーンのカード1枚を破壊してフィールドのカード1枚を持ち主のデッキに戻す!私はモンキーボードを破壊してエグゼクティブシーザーをデッキに戻させて貰おう」

「ぐっ……」

 

これで邪魔者は消えた。

 

「さあ、まだまだ私のファンサービスは終わらない!爆竜剣士イグニスターPの効果を発動!デッキから竜剣士モンスター1体を特殊召喚する!来い!ラスターの未来の姿!竜剣士マスターP!なお、この効果で特殊召喚したモンスターはシンクロ召喚の素材にできない」

「これは、通常モンスターのペンデュラムモンスター……?それに……」

 

たしかに、ペンデュラムが登場した初期は珍しかった……訳でもないかな?まあアニメで登場したって話は聞かなかったかな。

 

「私はレベル4の竜剣士マスターPとレベル4のEMドクロバット・ジョーカーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!烈風の中から現れよ!昇竜剣士マジェスターP!」

「エクシーズまで使いこなすか……!」

 

 

昇竜剣士マジェスターP(パラディン)

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/ドラゴン族/攻1850/守2000

レベル4のPモンスター×2

(1):このカードがX召喚に成功した時に発動できる。

このターンのエンドフェイズに、デッキからPモンスター1体を手札に加える。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

自分のエクストラデッキから表側表示の「竜剣士」Pモンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはX召喚の素材にできない。

 

 

「まだまだ!マジェスターPの効果発動!このカードがエクシーズ召喚に成功した時、このターンのエンドフェイズにデッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加える。更にマジェスターPのもう一つの効果を発動!オーバーレイユニットを一つ使い、エクストラデッキの表側表示の竜剣士ペンデュラムモンスター1体を特殊召喚する!もう一度きて、竜剣士ラスターP!なお、この効果で特殊召喚したモンスターはエクシーズ召喚の素材に出来ない」

「……と言うことは」

「そうだね!……私はマジェスペクター・フロッグと竜剣士ラスターPをリリース!現れよ、剛竜剣士ダイナスターP!」

「融合するカードを使わずに融合召喚か……」

 

 

剛竜剣士ダイナスターP(パワフル)

融合・効果モンスター

星8/水属性/ドラゴン族/攻2000/守2950

「竜剣士」Pモンスター+Pモンスター

自分フィールドの上記カードをリリースした場合のみ、

エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分のモンスターゾーン・PゾーンのPモンスターカードは戦闘及び相手の効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

自分の手札・墓地から「竜剣士」Pモンスター1体を選んで特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは融合素材にできない。

 

 

それにしても爆竜剣士以外は攻撃力ショボいな。

 

「私はさらに剛竜剣士ダイナスターPの効果を発動!手札・墓地の竜剣士を特殊召喚する!なお、この効果で特殊召喚したモンスターは融合素材にできない」

 

「あれ?ペンデュラムモンスターは墓地に行かずにエクストラデッキに行くんじゃ……」

「多分だけど、エクシーズ素材となったペンデュラムモンスターはオーバーレイユニットとして取り除かれると墓地に行くんじゃないかな?」

「素良きゅん正解!後でお菓子あげるね!」

「わーい!」

 

おっと、デュエルに戻らなければ。

 

「……何をする気だ?」

「こうする気だ!私はマジェスペクター・ユニコーンのモンスター効果発動!自分フィールドのペンデュラムモンスター1体と相手フィールドのモンスター1体を手札に戻す。私は竜剣士マスターPとサイフリートを手札に戻す」

「ここまでとは……!」

 

 

マジェスペクター・ユニコーン

ペンデュラム・効果モンスター(禁止カード)

星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

【Pスケール:青2/赤2】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・ユニコーン」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のモンスターゾーンのPモンスター1体と

相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、

相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

 

うーん、このターンには決められないか……

 

「バトル!イグニスターPでダルクを攻撃!」

「くっ……!」

 

零児 LP 6500 → 6450

 

ヴェルズみたいなライフの減り方だなぁ……まあいい。

 

「さあ、総攻撃だ!やれ、マジェスターP、ダイナスターP、マジェスペクター・ユニコーン!」

「零児さん!?」

「ぐ……」

 

零児 LP 6450 → 4600 → 2600 → 600

 

よし、これでアビス・ラグナロクのペンデュラム効果なんかは使えなくなったな。

 

「まさか、零児さんをここまで追い詰めるなんて……貴方、何者なの!」

「……通りすがりの決闘者だ」

 

なんか何処ぞの仮面ライダーみたいな名乗りをしちゃったや。

 

「エンドフェイズ。この瞬間、マジェスターPの効果でデッキからマジェスペクター・ラクーンを手札に加える。これでターンエンドだ」

「……一つ、聞きたいことがある」

 

えっ。

 

「な、何でしょう?恐れ入りますが私には皆目検討もつかず……」

「……お前は相手がペンデュラムを使うことを視野に入れたカードを使っていたな。それに、私がペンデュラムを使っても驚かなかった」

 

うげげ……

 

「それに、だ。まるで効果を知っているかのように私のDDD怒涛大王エグゼクティブシーザーをデッキバウンスした。たしかに効果が未知であるならば通常警戒して除去すると考えるだろうが……わざわざデッキに戻すという除去を行ってきた。まるで()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()かのように、な」

「……!?べべ、別にそんなことないしー?」

 

たしかにエグゼクティブシーザーの破壊されたとき契約書サーチはだるいから避けたかったのは事実だけど!それだけでここまで推理してくるか!当たってるから言い訳も言えない……というか除去手段が破壊以外だったのは偶然なのにぃ!

 

「……もう一度聞こう。貴方は何者だ?」

「……通りすがりの」

「それはもういい」

 

くっ、回り込まれた!?

 

「……まあ貴方の正体はこの際なんでもいい。私にはお前が良からぬことを企むようなやつには見えない」

 

いいのかよっ!?そしてそれは私がノーテンキってことなのか!?

 

「ふ、ふふふ!……貴方のターンですよ」

「しかし……私をここまで追い詰めたのは貴方が初めてだな」

「えっと、光栄です?」

「しかし、まだ勝負は決していない……私のターン、ドロー!」

 

ここはアニメ世界だろう。つまり、トップ解決なんて日常茶番ではないだろうか?要するに……ここから逆転される可能性も全然あり得る。

最後まで、気を抜けない。

 




そりゃあ社長も警戒します。当たり前だよなぁ?

中途半端なところで止めてごめんなさい。

あと前書きでも書きましたが遅くなってすいません。

11/28 ご指摘して頂いたシンクロの口上の部分を一部修正しました。
いつも本当にありがとうございます。でも、なるべく編集段階で気づけるよう気をつけますっ。

12/18 モモンカーペットのデメリットに気付いたのでオッドアイズ・バレットに変更しました……気づくの遅くてすみません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17話

UAが4万超えました……ありがてぇ。
まだまだずぶの初心者ですがよろしくお願いします!


「手札から魔法カード闇の誘惑を発動!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。私はDDゴーストを除外する」

 

なんて実践的なプレイングを……(ユニコーン立てながら)。

 

「DDゴーストの効果発動!このカードがゲームから除外された場合、除外されているDDモンスターもしくは契約書カード1枚を墓地に戻す。私が戻すのはDDネクロ・スライムだ」

 

まあ、だよね。

 

「墓地のDDネクロ・スライムの効果を発動!墓地の自身とDDD烈火王テムジンを融合!生誕せよ、DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン!」

 

厄介なのが来ちゃった……ここは!

 

「マジェスペクター・ユニコーンの効果発動!自身とテムジンを手札に戻す!」

「相手ターンでも使えるのか……まだだ!手札からDD魔導賢者ニュートンのモンスター効果発動!自身を手札から捨て、墓地のDDまたは契約書と名のつくカードを1枚手札に加える。私が選ぶのは地獄門の契約書だ。そしてそのまま発動しデッキよりDDリリスを手札に加える!」

 

うげ、再利用してくるか。しかもリリスでさらにサルベージするつもりか……

 

「さらに、魔法カード悪夢再びを発動!墓地の闇属性で守備力が0のモンスターを2体手札に加える。私はDD魔導賢者コペルニクスとDD魔導賢者ニュートンを手札に加える!」

 

げ、これは……ペンデュラム来るな。それにしてもいい巻き返しだ。

 

「私はスケール10のDD魔導賢者ニュートンとスケール1のDD魔導賢者ガリレイをペンデュラムスケールにセッティング!これで、レベル2から9のモンスターが同時に召喚可能!」

 

おっと、コペルニクスはセットしないのね。つまり、召喚して適当なDD……多分、ヴァイスデュポーンでも墓地に送るつもりか。まあガリレイ手札に来たからってのもあるだろうけど。

 

「我が魂を揺らす大いなる力よ!この身に宿りて、闇を引き裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚!出現せよ!私のモンスター達よ!

DD魔導賢者コペルニクス!DDリリス!そして、エクストラデッキよりDDオルトロス!DDリリスの効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功したとき、墓地のDDと名のつくモンスターまたはエクストラデッキの表側表示のモンスター1体を手札に加える!わたしは墓地のDDバフォメットを手札に加える!さらにDD魔導賢者コペルニクスの効果でデッキからDDヴァイス・デュポーンを墓地に送る!」

 

うっわ、これは逆転されそう……この世界に来て戦った相手の中で1番手強い気がする。

 

「DDバフォメットを召喚!そして効果を発動!DD魔導賢者コペルニクスのレベルを4から6に変更する!

そしてレベル6となったDD魔道賢者コペルニクスにDDオルトロスをチューニング!

生誕せよ!レベル10!DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー!」

 

 

DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー

シンクロ・効果モンスター

星10/風属性/悪魔族/攻3000/守2500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドに「DDD」モンスターが3体以上存在する場合、

このカードの攻撃力は3000アップする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、

自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、

自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

うわぁ……打点を上げて物理で殴り殺す気か?

 

「更に!レベル4のDDリリスとDDバフォメットでオーバーレイ!この世の全てを統べるため、今 世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!生誕せよ、ランク4!DDD怒濤王シーザー!

更に墓地のDDヴァイス・デュポーンの効果を発動!このカードが墓地に送られたターンのメインフェイズに発動でき、レベル8以上の「DDD」融合モンスターによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを私の墓地から除外し、その融合モンスター1体を融合召喚する!私はDDヴァイス・デュポーンとDDD神託王ダルクを融合!混沌たるこの世の行く末を見極める王よ、未来に流される血を吸い、竜をも倒す勇者となれ!融合召喚!生誕せよ、レベル8! DDD剋竜王ベオウルフ!」

 

 

DDD怒濤王シーザー

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/水属性/悪魔族/攻2400/守1200

悪魔族レベル4モンスター×2

「DDD怒濤王シーザー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このターンに破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了時に、

自分の墓地から可能な限り特殊召喚する。

次のスタンバイフェイズに自分は

この効果で特殊召喚したモンスターの数×1000ダメージを受ける。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。

 

 

DDヴァイス・デュポーン

効果モンスター

星7/闇属性/悪魔族/攻2300/守2800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、

自分フィールドの「DD」モンスター1体をリリースして発動できる。

デッキからレベル7の「DDD」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードが墓地へ送られたターンの自分メインフェイズに発動できる。

レベル8以上の「DDD」融合モンスターカードによって決められた、

このカードを含む融合素材モンスターを自分の墓地から除外し、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

DDD剋竜王ベオウルフ

融合・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500

「DDD」モンスター+「DD」モンスター

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分の「DD」モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

(2):自分スタンバイフェイズに発動できる。

お互いの魔法&罠ゾーンのカードを全て破壊する。

 

 

うげぇ……これ、このターン中に決めるつもりか?

 

「この瞬間、DDDモンスターがフィールド上に3体揃った。よってDDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダーの効果により自身の攻撃力を3000ポイントアップさせる!」

 

DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー

ATK 3000 → 6000

 

「こ、攻撃力6000!?」

「先生ッ!?」

 

あー……これがアクションデュエルだったら間違いなく怪我してるね、うん。

 

「バトルだ!DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダーで剛竜騎士ダイナスターPを攻撃!」

「こ、このままじゃ先生のライフが0になっちゃう!」

「こ、ここまでか……?」

 

デカイ方のアレクサンダーの攻撃の余波で土煙が舞う。流石は攻撃力6000……だが!

 

明美 LP4000 → 1200

 

「何っ!?」

「私はアレクサンダーの攻撃宣言時にEMオッドアイズ・バレットの効果を発動していた!1ターンに一度、相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、そのモンスターの攻撃力を私のエクストラデッキの表側表示のPモンスターの数×300ポイントダウンさせる!」

「君のエクストラデッキのペンデュラムモンスターは4体。よって1200ポイントダウンしたわけか……ん?」

 

これこれ。一度だけやってみたかったんだよね!この気持ち、分かるだろ?分かれ!

 

 

EMオッドアイズ・バレット

ペンデュラム・効果モンスター

星1/光属性/魔法使い族/攻 100/守 200

【Pスケール:青8/赤8】

(1):1ターンに1度、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

その相手モンスターの攻撃力は、自分のEXデッキの表側表示のPモンスターの数×300ダウンする。

【モンスター効果】

このカード名の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「EMオッドアイズ・バレット」以外の、「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送る。

このカードのレベルはターン終了時まで、墓地へ送ったモンスターのレベルと同じになる。

(2):モンスターゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

「さて、これでこのターン中に決着は付けれないようだね?」

「……ああ、そのようだ」

 

私のモンスターは全滅するけど次のターンにペンデュラムモンスターを引けば十分すぎるほど逆転できる。ベオウルフをどうにかして除去するだけで地獄門の契約書のデメリット効果で私の勝ちだ……!

 

……そんな風に思った、その時。今の発言がフラグだったのだろうか。

 

「なんですって!?」

「マルコ先生がッ!?」

 

え、何事?

 

「零児さんッ!」

 

理事長さんが社長の方を焦った様子で見つめる。

 

「すまない、少し外す」

「あ、はい。どうぞ……」

 

社会人かッ!って突っ込まれそうだな、今の私。

社長はデュエルディスクと話し合っている。それ、ケータイ代わりにもなるのか。

 

「……この勝負、預ける」

「え?あ、はい……えっと、お疲れ様です……?」

「すまなかったな、付き合わせて」

「いえ、それは構わないんですが……何か?」

「それはそちらが知る必要はない」

「あ、さいですか」

 

なら大人しくしておこう。下手に首突っ込むと3秒で死ぬかもしれない。ここ、遊戯王ワールドだし。本音を言うとちょっとだけ不完全燃焼だけどね。

 




最近、すごーく筆が重い。ストラク出る前の三幻魔より重い。
内容が微妙って言われないか不安です。

3/5 悪夢再びの効果の説明が足りていませんでした。感想でご指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18話

最近、アンデット族と捕食植物の新規が出るようです。
どれもこれも中々面白そうです。色々と。
今回はデュエルはないです。ごめんね。


うーん、デュエルは途中で中断だったけど……まあ、久しぶりに暴れられたしスッキリしたかな。かなり疲れたケド。いや、それよりも、だ。

 

「…………」

 

遊矢くんの様子がおかしい。なんだか、落ち込んでいるように見える。そーいやネットで振り子メンタルとかなんとか言われてたっけ……うーん、これは正直私が何とか言って立ち直せられるものなのかな?私、ただのOLよ?教師の経験なんてちっともないよ?たまに職場で新人に仕事教えたりした事はあるけどさ?

 

それに……連絡が入った時のあすみん、慌ててた。一体全体何があったのか。私、気になります!

 

デュエルスペースから出ると、柚子ちゃん達がこちらに走り寄ってくれる。遊矢くんだけはやや下向きのまま落ち込んだ様子で歩いてくる。ゴーグルもしてる。なんで?

 

「先生っ!」

「お疲れ様、先生!」

「痺れたぜ!」

「凄かったよ!」

 

いやー小さい子達の賞賛はいつ聞いても良いものだねー。……遊矢くんは心配だけど。まあ、この程度なら修造先生の方がどうにかしてくれるかな。あの人と同じ名前なだけあってン熱血指導だァ!ってしてくれそうだし。いや、何か今混ざったような?

 

「あれ、遊矢お兄ちゃん?」

「どうしたの遊矢?」

 

「ペンデュラム召喚は……俺だけの……」

 

いや、そんなオンリーワンがあったら嫌だわ……て思うのは私がOCG次元出身のデュエリストだからだろうか。アニメの遊戯王カードは高価だったり世界に1枚しかないカードがあったりするから……

 

「……くっ!」

 

あ、遊矢くんが逃げ出した。

 

「お前まで何処に行く気だ?」

 

しかし回り込まれてしまった。いや、腕を掴まれた。修造先生に。

 

「逃げても現実は変わらんぞ。お前の言う通り、もはやペンデュラム召喚はお前1人だけのものじゃない!」

 

……1人だけ使えるカード、か。それを言ったら私の持ってるカードってOCGのだけなんだよね。今のところアニメオリカらしいカードなんて出てきてないけど、これから先出てくるかもしれないし……

 

「ペンデュラムカードは自分だけに与えられた力。なのに他にも使うやつが現れた……それがショックだと言うわけか」

 

遊矢くんはぐぬぬ……と言った感じで黙っている。

 

「赤馬零児と先生がどうやってペンデュラムカードを手に入れたのかは分からない……先生は拾ったって言ってたが、本当のところは言いたくないだけかもしれない。もしかしたら彼の会社が開発したのかもしれない」

 

なんとなく察してくれたのか、熱血なだけかと思ったけどそれなりに気は利くんだなぁ。

 

「くっ……先生は何故、ペンデュラムカードを……」

「それはね、気が付いたら持ってた、としか言えないかな」

「何でだよ!?ペンデュラムは俺だけの……!」

「黙らっしゃい!」

「!?」

 

私が大声出して驚いたのか遊矢くんは驚いている。

 

「あのね、遊矢くん。本音を言うとね、少なくとも私にとってはペンデュラムなんて大した力じゃないよ」

「……え?」

 

「「「え?」」」

 

「エクシーズもシンクロも融合も、後は儀式だってそう。全部あくまで1つの手段に過ぎないわ。なんならどれも使わなくてもデュエル出来るし勝てる。それなのに、ペンデュラムだのなんだの……はっきり言うとね、そんなのはデュエルで勝つための『手段』に過ぎないよ」

 

なんとか落ち着かせようとしたけど遊矢くんは……逆に怒ってる。私が何を言っても届かなさそう。

 

「先生……あれだけ使っておいて、そんな事言うのか!才能もあって、特別で……!」

 

「遊矢!俺とデュエルだ!」

 

ん?

 

「ちょ、お父さん!?」

 

……この人が出てくれるなら、何とかするんじゃないかな?それより、私には気になることがある。

 

「ああ、それなら私はちょっと用事があるんだけどいいかな?」

「えぇ!?このタイミングで!?」

「うん。あのね、素良きゅんが居ないんだ」

「「「……あっ」」」

 

いつの間にか、彼は居なくなってる。ちょっと目を離した隙に……全く、何故消えちゃうかなぁ?逃したりしないからねぇ?

 

「と、言うわけで行ってきまーす!」

「ま、待てよ!」

「あ、大丈夫!何処に行ったのかは匂いで分かるから!」

 

あの子最後に見た時もお菓子食べてたし、きっとその匂いを辿れば行けるでしょ。

さぁ、この場は男に任せて私はショタ成分の補完のためにも素良きゅんを探すぜ!

 

 

◆◆◆

 

 

——翌日。遊矢くんは完全に立ち直っていた。これならもう大丈夫だろう。やはり塾長に任せて正解だったね。流石熱血。

 

「ああ、眠い。今日の空はまるでコンクリートみたいだぁ……」

 

今日は、と言うか午前中は大体暇なので毎日午前は散歩してる。近所の地理の把握という目的もあるけど、基本的には自由に特に何も考えずに歩いてる。が、今は違う。

 

「素良きゅうん……どこぉ……?ここぉ……?」

 

「お母さん……」

「しっ!見ちゃいけません!」

 

今は素良きゅんをずっと探してる。……一旦帰って休んだものの、殆ど寝ていない。

 

「あ〜蝶々〜……」

「あっ!見つけた!もう、先生ったら何処に行ってたのよ!心配したんだからね?」

 

……あれ?

 

「いつ柚子ちゃんは私のお嫁さんになったっけ?」

「はぁ!?な、何言ってるのよ!?寝ぼけてるの?」

 

パシンッ!

 

あだ!

 

「は!?ここは、現実世界……?」

「どんな夢見てるのよ……あ、素良も見つけた!」

「な、何ぃ!?」

 

何処だ!……そこか!私も見つけた!

 

「おぉぉぉぉい素良きゅうぅぅぅぅん……」

「!?な、何、先生?」

「ぉぉぉぉぉぉぉ」

 

やっとだ……300年だ……(誇張あり)休暇はもう十分楽しんだだろう……?

 

「というか、やっぱりここに居たわね素良!赤馬零児が気になるからって……」

 

あ、よく見たら前の建物LDSって文字がある。

 

「うん、まあね……先生はどうしてここに?」

「馬鹿は貴方よ!先生は昨日は夜通し素良を探してたのよ!」

「えぇ?そ、そうなの?ごめんなさい……」

「可愛いから許す!」

 

これ、真理。

 

「それにしても先生は何故ここに……」

「もしかしたら、無意識に素良きゅんの匂いを追っていたのかも……」

「先生、流石にそれは気持ち悪いよ」

 

ま、真顔でディスられたぁ!?こ、これは……

 

「ぐっ……!イイ……!」

「……もう、先生はいいわ。素良!私と来て!」

「ど、どこに行くの!?」

「いいから!」

「あ、ちょ、置いていかないでよ〜!」

 

手を引いて走る2人を必死に追いかける。きぃぃぃ!あの泥棒猫!……なんて。

 

 

◆◆◆

 

 

「何なの?こんなとこに連れて来て」

 

素良きゅんが連れてこられたのは人気の少ない倉庫だ。柚子ちゃんは扉閉めた。ま、まさか……?

 

当たり前っちゃ当たり前だけど、なんとか私も追いつけた……私はまあ、殆ど寝てないからしょうがないね?

 

「お願い!私に融合召喚を教えて!」

「え、ここで?」

「私が塾で教えるけど?」

「強くなりたいの!」

「なんでまた……」

 

柚子ちゃんは割と必死な様子だ。体力は私より強い……って、どうでもいいよそれは。

 

「私、デュエルは先生に頼ってばっかりで……私も、遊勝塾を守る力になりたいの!」

「おお……」

 

若いのに立派だね……私も若いよ?嘘じゃないよ?ホントウデス。

 

「それで、私や素良きゅんを頼ったと……」

「うーん、いいのかなぁ?僕が教えたら絶対強くなっちゃうし……」

「ならいいじゃない。強くしてよ私を!誰にも負けないくらい!」

「いや、でも……いいのかなぁ?」

「別にいいでしょ?」

 

私としては生徒の頼みだから聞いてあげないとって感じだけどね。

 

ふーん、なら……

 

「なら、まずは実践を交えて教えていこうかな?」

「あ、先生がよくやるやつだー」

 

別に私は教員免許持ってないし、教えるのに自信があるという訳でもない。だから、こうやって実践から入った方が多分分かりやすいと思うんだよね。

 

「なら、僕が相手をするよ!」

「うん、それでいいわ。早速——」

 

 

 

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

 

 

 

……!こ、この声は……!

 

「真澄ん!?いらしてらっしゃったのね!」

「ちょ、先生?なんだか口調がおかしくなってるよ?」

「これは生理現象だから仕方ないね」

「ええ……?」

 

おっと、それより。

 

「えっと、真澄んはなんでここに?」

「その呼び方を許した覚えは……まあいいわ」

 

あ、公認もらったー!やったぜ。

 

「……本当は、マルコ先生をやったやつを探してたんだけど……」

「やったって?」

「……それは」

 

真澄んの話によると、どうやら真澄んの先生だった人(羨ましい)が行方不明らしい。しかし、何故かデッキやデュエルディスクなんかは残っていたそうだ。落ちていた場所は別の倉庫らしいが、それでも真澄んは探しているそうだ。

 

「……ふむ、ここまでは分かったよ。それで、『本当は』ってのは?」

「……その今からするデュエル、私が相手してもいいかしら?」

「……ふむ、何故?」

「私は……」

「いや、いいわ。なんとなく分かるよ」

 

なんとなく理由は分からなくもない。犯人はもしかしておそらく多分どうせデュエルでマルコ先生とやらをどうこうしたのだろう。それなら、デュエルの腕を磨きたいと思うのは当然だろう。

 

「ちょ、ちょっと!勝手に進めないで……」

「僕は別に構わないよ?」

「そ、素良!」

「丁度4人だ。タッグデュエルにしよう。それでいいかな?」

「ええ。構わないわ」

「さ、3人とも……!ええい、やるだけやってやるわ!」

 

そうそう、それでいいんだ。まだ中学生なんだ。私はこんな小さい子達に世界の命運とか握らせたくない。

 

「さて、と。みんな、準備は出来た?行くよ……」

「ええ」

「うん!」

「いつでもいいわ!」

 

じゃあ、行くか!

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

真澄 & 素良 LP 4000

  VS

先生 & 柚子 LP 4000

 

 




ユート「あいつがいるなら大丈夫だろう。別の意味で不安ではあるが……」

腹パンマンことナスビくんは空気を読んでクールに去りましたとさ。

来年もよろしく!良いお年を!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19話

あけましておめでとうございます!(おせーよホセ

今回は融合の基本回。タッグデュエルですけど。
試験的に、以前感想欄で指摘されていたようにターンが一巡する毎に後書きで盤面を記載したいと思います。そもそも作者が1番ややこしいし(おい)。
なので、一旦細かく投稿していきたいと思います。作者のミスを減らす為にも。
ちなみに今回の先生のデッキはヒーロー……の予定だったんですが。
ソリティアするのがめんどいので別のデッキにしようと思います(おい)。



「先攻は……真澄んみたいだね!」

「……私はその呼び方、あまり好きじゃないわ」

「あ、照れてるんでしょ!?大丈夫!その内慣れるから!」

 

そーゆー羞恥感とかその内感じなくなるって誰かから聞いた気がする。

 

「試合前に柚子ちゃんのデッキに入れておいた融合と融合モンスター、上手く使ってね」

「先生……そんな、いきなり使えるかどうか……」

「ふふ、実践こそ1番の経験!……と、私は思ってるわ!それに、柚子ちゃんが強くなったら遊矢くんも褒めてくれると思うよ?きっと耳元で『強くなったな。偉いぞ、柚子』ってさ」

「ゆ、遊矢はそんな事言わないわ!だ、大体なんでそんな……」

 

によによ。

 

「……その顔、後でぶん殴るわ」

「え、ちょ、え!?」

「だから、今はデュエルに集中して」

 

ゆ、柚子ちゃんのハリセン、すげー痛いんだけど……まあ、なんか快感だしいっか!

 

「!?……い、今寒気が……」

「あ、柚子ちゃんもしかして……月」

 

「いつまでお喋りしているの?」

 

「「あ、はい」」

 

待たせてしまうのは悪い事なので大人しく頭を下げて謝っておく。それ、自分がやられると発狂しかねないからね。実際何度かしかけた。

 

「自分からデュエルしようって言っておいてそれはないんじゃ……」

 

よし、真面目にデュエルするぞ!オラ!気合い足りてんのかオラ!スッゾ!スッゾコラー!

 

「私のターン!私は手札から永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動!」

 

うわ、早速本気だ。でも、それでこそだ!……一旦落ち着くか。流石にそれはヤヴァイからね。

 

 

ブリリアント・フュージョン

永続魔法(制限カード)

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時に、

自分のデッキから「ジェムナイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体を、攻撃力・守備力を0にしてEXデッキから融合召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

(2):1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を捨てて発動できる。

このカードの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は相手ターン終了時まで元々の数値分アップする。

 

 

「……?先生、あのカードって?」

「もはや本家以外で見かけることの方が多くなったカードの1枚だよ。まあ、見てれば分かる」

 

「このカードの効果により、私はデッキからジェムナイト融合モンスターの素材を墓地に送って融合召喚を行う!」

「で、デッキから!?そんなの反則よ!」

「柚子ちゃん落ち着いて。そのくらい私にとっては日常茶飯時だから」

「こ、こんなのが!?」

「うん」

 

シャドールとかシャドールとかシャドールとかね。まあ他にも色々あるんだけどね……ムーンライトとか。最近のだとダイノルフィアとかか。

 

「へ〜、デッキからだなんて……お姉ちゃん、意外とやるね?」

「賞賛なら後になさい。私は、この人に負けた時からどうやって貴方に勝つか考えてきたわ。タッグデュエルとは言え、今日は私が勝つ!」

 

ほーん?言ったね?

 

「私はデッキのジェムナイト・ガネットとジェムナイト・サフィア、ジェムナイト・ラズリーを融合!融合召喚!現れよ!輝きの淑女!ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!」

 

ラズリー落とす辺り分かってるねぇ彼女。

 

「ブリリアント・フュージョンの効果で特殊召喚したモンスターは攻撃力は0になるわ」

「それなら、別に大した事ないわね」

「それはどうかな?」

「……私のセリフ、盗らないで貰えないかしら?」

「もー、照れちゃってー」

「……融合素材として墓地に送られたジェムナイト・ラズリーの効果を発動!ジェムナイト・ラズリーが効果で墓地に送られた場合、墓地の通常モンスター1体を手札に加える。私はジェムナイト・サフィアを手札に加えるわ!」

 

あ、無視ですか?そうですか。そうか……

 

「そして、手札から魔法カード、ジェムナイト・フュージョンを発動!手札・フィールドのモンスターを墓地に送ってジェムナイトモンスターを融合召喚する!私が素材にするのは手札のジェムナイト・ラピスとジェムナイト・オブシディア!」

 

ラピスとオブシディアか……前のデュエルと彼女の性格を鑑みると出てくるのは恐らく……

 

「神秘の力秘めし碧き石よ!今光となりて現れよ!融合召喚!レベル5!ジェムナイトレディ・ラピスラズリ!」

 

やっぱりそっちか。前回とは変えてくるところ、更に私を警戒してそうだ。

 

 

ジェムナイトレディ・ラピスラズリ

融合・効果モンスター

星5/地属性/岩石族/攻2400/守1000

「ジェムナイト・ラピス」+「ジェムナイト」モンスター

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。

自分は「ジェムナイトレディ・ラピスラズリ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

デッキ・エクストラデッキから「ジェムナイト」モンスター1体を墓地へ送り、

フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

 

こいつはバーンがなぁ……ライフ4000でバーンはキツいよ、うん。

 

「融合素材として墓地に送られたジェムナイト・オブシディアのモンスター効果発動!このカードが手札から墓地に送られた場合、墓地の通常モンスター1体を特殊召喚する!私はジェムナイト・ガネットを特殊召喚!」

 

まあ、それしか選択肢ないからね。それにしてもこれで1500バーン確定か。生憎私は次のターンプレイヤーだから手出し出来ない。柚子ちゃんのデッキには手札誘発なんて私がこっそりねじ込んだオネストくらいだからなぁ。まあ私も灰流うららとかヴェーラーは手札にないんだけどね!なんだかこっちに来てから手札誘発が手札に来にくいような……まあ、いっか。

 

 

「更に!ジェムナイトレディ・ラピスラズリのモンスター効果を発動!1ターンに一度、デッキ、またはエクストラデッキからジェムナイトモンスター1体を墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与える!私はエクストラデッキからジェムナイト・パーズを墓地に送るわ!」

「そして、こっちは1500のダメージと……」

 

先生 & 柚子 LP 4000 → 2500

 

「せ、先生……?大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。ライフなんて801あれば十分だから」

「何よその微妙な数値!」

 

全てはガンマンが悪い。私も何度かやられた。おのれ。

 

「さらに、ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤのモンスター効果を発動!私のフィールドのジェムナイト1体を墓地に送り、エクストラデッキからジェムナイト融合モンスターを特殊召喚する!私はジェムナイト・ガネットを墓地に送り、ジェムナイト・アクアマリナを特殊召喚!」

 

またお前か……まあ、取り敢えず出しとけばいい感あるからかな。

 

 

ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ

融合・効果モンスター

星10/地属性/岩石族/攻3400/守2000

「ジェムナイト」モンスター×3

このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。

自分は「ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

自分フィールドの表側表示の「ジェムナイト」モンスター1体を選んで墓地へ送り、

エクストラデッキから「ジェムナイト」融合モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドよ。さぁ、今回はどんなデュエルを見せてくれるのかしら?」

 

真澄んがこっちを見つめてくる……ああ、幸せ。

 

「気持ち悪いわ」

「気持ち悪いね」

「気持ち悪いわよ」

 

「ゴフッ」

 




801はわざとじゃないですょ?
やや短め。ごめんね。

1/13 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20話

ジェムナイトはワンキル特化、デュアル軸、通常モンスター軸など、色々な組み方あるのが面白いですね。作者も前はワンキル特化型作ってました……が、ブリリアントが規制食らってガッカリした。
まあ遊戯王ではよくある事だから……


さて、私のターンか。

 

「私のターン、ドロー」

 

……ドローカード無限泡影かよ。まあいいや。さて、先ずは……

 

「さて、柚子ちゃん」

「え?な、何ですか?」

「誤解のないように言っておくけど融合モンスターを主体に戦う場合、素良きゅんのデッキとかを除いてカテゴリ専用の融合カードを使った方が強い。つまり、普通の魔法カード融合はあまり使われない。ほら、真澄んみたいにね」

「は、はぁ……でも先生、開始前に普通の融合魔法を入れてませんでした?」

「君のデッキにはそっちの方が合うからね……」

 

いやぁ、幻奏デッキ使いで助かったよ。他のデッキなら融合ねじ込むのが難しかったかもしれないしさ。

 

「さて、手短に行こう。まず手札のサンダー・ドラゴンの効果を発動。手札から自身を捨てて同名カードを2枚まで手札に加える。フィールド魔法暴走魔法陣を発動。このフィールド魔法の発動時に効果処理として召喚師アレイスターを手札に加えることができる」

 

「効果処理の時にモンスターをデッキから手札に加える……?珍しい効果だね」

「ちなみにもう一つの効果は私達が融合召喚する場合に相手はその召喚を無効に出来ず召喚成功時にモンスター・魔法・罠カードの効果を発動できないと言うものだよん」

 

まとめると奈落と神宣が効かない。地味に便利。

 

「召喚師アレイスターを召喚。アレイスターの効果を発動、デッキから召喚魔術を手札に加える。魔法カード召喚魔術を発動。このカードは通常手札のカードしか使えない言わば劣化融合だが……召喚獣モンスターを融合召喚する場合は私のフィールドとお互いの墓地のカードを除外して融合素材にすることができる」

 

「て、手短なの……?」

「私達の墓地まで融合素材にするですって……?」

 

まあジェムナイトにとっても迷惑な効果だよね。ジェムナイトの属性を考えるとそれで出せるのはかつて十二獣の打点担当だったアレだけど。

そして、私が今回出すのは当然……

 

「私はフィールドのアレイスターと墓地のサンダー・ドラゴンを融合する!さぁ、敵対する者をその車輪で轢き潰せ!融合召喚!レベル9!召喚獣メルカバー!」

 

 

召喚師アレイスター

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1800

(1):このカードを手札から墓地へ送り、

自分フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで1000アップする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが召喚・リバースした場合に発動できる。

デッキから「召喚魔術」1枚を手札に加える。

 

 

召喚魔術

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

「召喚獣」融合モンスターを融合召喚する場合、

自分フィールド及び自分・相手の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、

除外されている自分の「召喚師アレイスター」1体を対象として発動できる。

墓地のこのカードをデッキに戻し、対象のモンスターを手札に加える。

 

 

暴走魔法陣

フィールド魔法(準制限カード)

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、

デッキから「召喚師アレイスター」1体を手札に加える事ができる。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、

融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、

その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

 

召喚獣メルカバー

融合・効果モンスター

星9/光属性/機械族/攻2500/守2100

「召喚師アレイスター」+光属性モンスター

(1):1ターンに1度、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、

そのカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の手札を1枚墓地へ送って発動できる。

その発動を無効にし除外する。

 

 

ここまで大体テンプレ。まあリンクないからアルミラージもセキュアガードナーもアルテミスも使えないんだけどね。

 

「レベル9……いや、それだけじゃない。何か、このモンスター……威圧感を感じる……」

「へぇ、お姉さんも?僕もなんだか感じるなぁ、攻撃力は2500なのにね」

 

勘のいいガキは以下略。さて、少しおまけも出してあげよう。

 

「私は手札から雷鳥龍-サンダー・ドラゴンの効果を発動」

「また手札のモンスターの効果を……」

「自身を捨てて墓地又は除外されている同名以外のサンダー・ドラゴンモンスターを特殊召喚する。私は除外されているサンダー・ドラゴンを特殊召喚する」

 

さて、条件は揃った。今こそあの敵に回すとと忌々しいあいつを出すとき……

 

「さて、と。私はフィールドのサンダー・ドラゴン1体で融合召喚を行う!」

「何ですって!?カードの効果も使わず、しかもモンスター単独で融合を……!?」

「そんなモンスターがいるなんて……」

「先生……これの何処が手短なの!?」

 

いつもと比べたら手短じゃん。比較対象がおかしい?はて。なんのことだか……

 

「この融合モンスターは手札の雷族モンスターの効果が発動したターン、私のフィールドの雷族モンスター1体をリリースすることで特殊召喚できる……だから、正確には融合召喚ではないね。この違いはまた後日説明するとして……私はサンダー・ドラゴンをリリースする!禍々しき雷をもってその威光を示せ!現れよ、レベル8!超雷龍-サンダー・ドラゴン!」

 

通称、ソリティア絶対殺すマン。

 

 

雷鳥龍-サンダー・ドラゴン

効果モンスター(制限カード)

星6/光属性/雷族/攻1800/守2200

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。

自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、

「雷鳥龍-サンダー・ドラゴン」以外の「サンダー・ドラゴン」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

(2):このカードが除外された場合またはフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。

その後、自分はデッキに戻した数だけデッキからドローする。

 

 

超雷龍-サンダー・ドラゴン

融合・効果モンスター(制限カード)

星8/闇属性/雷族/攻2600/守2400

「サンダー・ドラゴン」+雷族モンスター

このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。

●雷族モンスターの効果が手札で発動したターン、

融合モンスター以外の自分フィールドの雷族の効果モンスター1体をリリースした場合に

EXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手はドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事ができない。

(2):このカードが戦闘・効果で破壊される場合、

代わりに自分の墓地の雷族モンスター1体を除外できる。

 

 

「……このモンスターも、嫌な予感がするわ」

「奇遇だね、僕もだよ」

「あ、私も私も〜★」

「「は?」」

 

え、こわ……ちょっと輪の中に入りたかっただけなのに。

 

「うーん……そんなに凄いモンスターなの?攻撃力はどっちも極端に高い訳でもないのに……」

「それはそうだけど、あの先生が使うモンスターよ?絶対に悪辣な効果を持ってるに違いないわ」

「うーん、当たってるから何も言えないや」

 

実際、相手に使われるとすげー厄介だからなぁ。

 

「それに、先生の手札に注目してみてよ柚子おねえちゃん」

「えっと……え?融合モンスターを2体も召喚したのにまだ手札が5枚もある?」

「……何だか、柚子ちゃんへのお手本って言ってるのにすごーく本気でやってない、先生?」

「まあ、デュエルだからね?」

 

こう見えて私、負けず嫌いだから。

 

「さて、柚子ちゃん。融合を使う場合、他の召喚法と比べるとどうしても手札消費が嵩んでしまう。それは何故だか分かる?」

「え!?そんな急に……」

「はいはい答えて一二の三ハイ!」

「わ!?え、ええっと……素材となるモンスターの他に融合するカードが必要になるから?」

「ピンポーン、大正解!流石柚子ちゃん!私の可愛い妹!」

「勝手に妹にしないでよもう!」

 

もう、照れちゃっ……この流れ前もやったな。

 

「だから、融合を使う場合は真澄んみたいにデッキのカードを素材にしたりするのが強いんだ。分かったかい?」

「うーん……なんとなく」

「なんとなくかぁ」

 

まだアド計算を教えてないからだろうか。デッキ融合とかネメシス・コリドー1体で超雷龍出しても凄いって思うだけなのかな。これはまた後日アドバンテージの重要性を教える必要性がありそうだ。

 

「ごほん。バトルフェイズ!超雷龍-サンダー・ドラゴンでジェムナイトレディ・ラピスラズリに攻撃!」

「くっ……!」

 

真澄&素良 LP 4000 → 3800

 

72……いやなんでもない。忘れてくれ。それにしてもかすり傷。

 

「……ただではやられないわ!罠カードオープン、ブリリアントスパーク!私のジェムナイトが相手によって破壊された場合、破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

「なんですって!それだと私達のライフは100に……!」

 

うーん、やはりライフ4000だとバーン強いなぁ。ラピスラズリは蘇生制限満たしてても蘇生できないから再利用されることはないけど……一応使っとくか。このターン他に使うタイミングもないだろうし、手札に余裕はあるし。

 

「私は召喚獣メルカバーの効果を発動する!1ターンに一度、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類の手札を1枚墓地へ送り、その発動を無効にし除外する。私は手札の罠カード無限泡影を墓地へ送りブリリアント・スパークの発動を無効にして除外する!」

「くっ……やっぱり厄介な効果を持っていたわね。しかも、除外してくるだなんて……」

「これは中々やり辛いかな……」

「か、カードの効果を無効って……先生、そのカード強くない?」

 

制限カードが弱いわけないんだよなぁ……

 

「さて、私はこれでバトルフェイズを終了して……おっと、忘れてた忘れてた。私は墓地の召喚魔術の効果を発動する。除外されている召喚師アレイスターを手札に加え、このカードをデッキに戻す」

「……それって、次のターンまた召喚獣を融合召喚できるって事?」

「そうだよん」

「毎ターン融合召喚を確実に決めてくるなんて……普段の言動がその、物凄く残念だけど先生って凄い人なの、よね……」

 

なんでそんなに認めたく無さ気なんだよ!酷い!

 

「ぐすん……私はカードを2枚伏せてターンエンド。さぁ、素良きゅんのターンだね」

「もう、待ちくたびれたよ!」

 

うーん、元気な子!……でも、使うのはデストーイという敵を殴り殺す事に特化した融合モンスターのバーゲンセールって言う……もう、可愛らしい見た目とは正反対だよね。

 

「……先生、これらのモンスターが強いってのはなんとなく分かったけど、攻撃力で負けてるからすぐに破壊されちゃうんじゃ?」

「ふふん。その辺の対策くらいはしてるよん!」

 

柚子ちゃんのデッキにねじ込んだオネスト……それが今回の鍵になるかもしれないね。上手く使ってくれるだろうか……なんて、今回の趣旨とは違って来てるかな?

 




Beetrooper早くOCGに来ないっすかねぇ?私昆虫族は爬虫類族と水族の次くらいに好きなんですよね。

話毎に文字数に差があってすみません……
ちなみに今回早かったのは感想でポジティブな意見を貰ったからです。これ全ての物書きに当てはまる特徴だと思います。

次回!素良きゅんの魔玩具補綴(デストーイパッチワーク)は果たして無事に発動出来るのか……!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21話

マスターデュエルやってますかー!?(クソでかボイス)
遅れてすみません(小声)

この小説は、ランクマしたいけど魔境すぎて怖いから創作デュエルに逃げるヘタレ作者によって投稿されています……それに一旦終わったからね、ランク上がる時期が。

え、投稿遅れたのはマスターデュエルやってたからじゃないのかって?
いや、やってたんですよ?ただ、指名者とか手札誘発積むのが面倒になっただけです。決して、
「エルドリッチ閃刀LL鉄獣ばかり……他にカードを知らないのか?」
ってなったわけじゃありませんよ?ええ。
(一応ゴールド手前位まではやった。だけど相手のデッキがあもりにもワンパターンすぐるのでやめた。ウチの島じゃあれノーカンだから)



「僕のターン、ドロー!速攻魔法サイクロンを発動!相手の魔法・罠を1枚破壊する!」

 

恐ろしく早い速度で神の宣告が割られたんだが?いや、ね?いいんだよ、別にいつもの事だから。それにバーン効果がただでさえ4000ルールだと痛いしタッグデュエルだと尚更のこと。だから、別に泣いてないよ?本当です。

 

「……なかなか危ないカードを伏せてたね」

「お手本と言いながら本気、と言う訳かしら」

「あはは……まあね」

「そして、スタンバイフェイズにジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤの攻撃力は0に戻る、と」

 

……何となくだけど今素良きゅん、パッチワーク握ってる気がするなぁ。こう、なんだろう。デュエリストとしての勘ってやつが私の脳内に語りかけてくるんだ……!ふふふ、私も一端のデュエリストとしてのスキルが……

 

(明美……明美……目の前のショタを抱きしめるのです……そして、真澄んの太腿に挟まるのです……)

 

誰だ貴様!?何者だ!?なに言ってやがるこの変態野郎!

 

(私は貴方の中の良心です……)

 

嘘つけ!YESショタロリータNOタッチという名セリフを知らないのかよ!私そっくりな姿も気に食わん!

 

(逆に考えるのです……抱きしめちゃってもいいさ、と)

 

んなわけ……んや、一理ある、か?

 

 

いやいや!騙されるな!この私の心の中に住む寄生虫パラノイドめ!悪魔族じゃないのかって?なんでや!デスガイドちゃん可愛いやろ!愛を込めた鉄拳を喰らえ!

 

(くっ……耐えましたか。しかし、忘れないことです。貴方が少年少女への愛を諦めない限り、私は何度だって現れます……)

 

そいつは私の拳を喰らい、かき消すように姿を消した。

 

「ふふ……いつでもかかってこい。返り討ちにしてやる……」

 

「!?魔玩具補綴(デストーイパッチワーク)が発動できない……って先生頭……じゃないや、大丈夫?」

「ん、大丈夫……」

 

ヤバい。意外と頭が動かない。まあでもこのくらいなら昔よくやってたからへーきへーき。きっと。おそらく……

 

「で、残念ながらこの超雷龍がフィールド上に存在する限り、ドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事ができないよ」

「やっぱり厄介な効果を……」

 

ジェムナイトはともかくデストーイはサーチしてなんぼだからなぁ……トイポットとファーニマル・ウィングならある程度すり抜けれて手札交換できるけど……

 

「うーん、だったら!僕は永続魔法トイポットを発動!」

 

……フラグってマジであるんだなぁ。流石はアニメ遊戯王世界だ……

 

「トイポットの効果発動!手札のカードを1枚捨てて、デッキからカードを1枚ドローする!そしてドローしたカードがファーニマルと名のつくモンスターだった場合、手札からモンスター1体を特殊召喚でき、違った場合はドローしたカードを捨てる……僕が引いたのは、ファーニマル・ペンギン!」

 

相変わらず、この世界の人達は引きがいいね……最近の私が言えたことでもないけど。以前の私ならそのタイミングで無限泡影とか増殖するGとか灰流うららを引いていたに違いないや。あと、何気に手札に魔法はないからトイポット止めれねぇ。かと言ってペンギンの効果止めてもなぁ……バックに何あるか分からないからここは温存しておこう。素良きゅんの事だから急にブラックホール使い出してもおかしくないし。

 

「僕はそのままファーニマル・ペンギンを特殊召喚!さらに、手札からエッジインプ・サイズを召喚!」

 

うーん、順当。それにしてもファーニマル"は"可愛いな。隣の敵の命を刈り取る気満々な鎌がなければ素直に和んでた、うん。サイズを出したのは悪くない判断だ。このターン中にメルカバーを処理しないと結局はサイズの効果も無意味になっちゃうからね。私の手札は3枚。そして、その全てがモンスターカード。つまり、メルカバーで無効に出来るのはモンスターの効果のみだからね。……一応伏せの1枚は速攻魔法だったんだけど、伏せなくてもよかったかな?まああくまで柚子ちゃんに融合召喚のお手本を見せるデュエルだし?いっか。なんとかなるって。

 

「僕は魔法カード置換融合を発動!このカードは僕のフィールドのモンスターを素材に融合召喚する!僕はファーニマル・ペンギンとエッジインプ・サイズを融合!」

 

ほむほむ。この場面で出てくるのは……

 

「現われ出ちゃえ!レベル8!デストーイ・デアデビル!」

 

お前か。まあ素の打点は高いもんね。他のモンスターのが優秀だから優先されがちだけど。

 

 

デストーイ・デアデビル

融合・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2200

「エッジインプ」モンスター+「ファーニマル」モンスター

「デストーイ・デアデビル」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。

相手に1000ダメージを与える。

(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、

または戦闘で破壊された場合に発動できる。

自分の墓地の「デストーイ」モンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

 

それにしても今回はよくバーンが飛んでくるな……そんなに私を焼き殺したいの?ぬぬぬ。

 

「攻撃力3000!?このままだと召喚獣メルカバーも超雷竜も破壊されちゃう!」

 

うむ、柚子ちゃんフラグ建設お疲れ様です。

 

「融合素材となったファーニマル・ペンギンの効果発動!このカードがデストーイ融合モンスターの融合素材になって墓地に送られた場合、デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚捨てる!」

「うーん、メルカバーの効果発動。手札のサンダー・ドラゴンを捨ててその効果の発動を無効にして除外するね」

「うーん、やっぱりそう来るかー」

 

予想通りと言う訳か。流石は私の弟だぁ……

 

「!?な、なんか寒気が……?」

「気の所為じゃない?」

「そーお?まあいっか」

 

さて、後続が来なければこのターンは余裕でやり過ごせそうだけど……

 

「僕は魔法カードトイ・パレードをデストーイ・デアデビルを対象にして発動!このターン、選んだモンスターでしか攻撃出来ない代わりに戦闘でモンスターを破壊する度に続けて攻撃できる!このターン中に決めちゃうよ、先生?」

 

おっと、勝負仕掛けてきた。それはまあいいんだ。だけど、やっぱり殺意高いな、デストーイは。

 

「先生?ど、どう言う事?デストーイ・デアデビルの攻撃力は3000。そして、メルカバーと超雷龍の攻撃力はそれぞれ2500と2600。デアデビルが2体とも戦闘破壊したとしても合計ダメージは900。私達のライフは2500だからまだ1600も余るじゃない?」

 

な、なんて丁寧なフラグ建設なんだ……!

 

「ふふ。それはね、柚子お姉ちゃん。デストーイ・デアデビルは戦闘で相手モンスターを破壊した時、相手に1000ポイントのダメージを与えるからだよ!」

「な、なんですって!?」

「先生、大丈夫なの!?」

「大丈夫だ、問題ない」

「なんか不安なんですけどー!?」

 

ワロス。

 

「先ずは……デストーイ・デアデビルで召喚獣メルカバーを攻撃!」

「先生ッ!」

「だいじょーぶだいじょーぶ」

 

うーん、まあここで切るか。欲を言うなら使い回したかったけど致し方なし、

 

「その攻撃のダメージ計算前に!」

「だ、ダメージ計算前?」

「そう。それに関してはまた後日ね。私は手札の召喚師アレイスターのモンスター効果発動!」

「!?伏せカードじゃなくて手札からか!」

 

へへ、手札のカードが全て分かっているからと油断したようだな。伏せカードを使ってくると予想していたようだけど。

 

「手札のこのカードを墓地に送り、自分フィールドの融合モンスター1体の攻撃力を1000アップさせる!返り討ちだ、メルカバー!」

「墓地のエッジインプ・サイズの効果!フィールドのデストーイ融合モンスターが破壊される場合、このカードをゲームから除外することで戦闘・効果による破壊を免れる!」

 

……はっ!?これはあのセリフを言うチャンス!

 

「だが、切れ味は受けてもらうッ!!」

「くっ……」

 

真澄 & 素良 LP 3800 → 3300

 

ふぅ、満足。

 

「うーん、やっぱりそう簡単にはいかないか……ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤを守備表示に変更。僕はこれでターンエンド。さあ、次は柚子お姉ちゃんのターンだね」

「え、ええ……上手くできるかしら」

「私のモンスターを使わなかったのは気に入らないけど……貴方も中々の腕前のようね」

「あはは。まあ、君よりはね?」

「……言ってくれるじゃない」

 

おお、火花がバチバチしている幻聴が聞こえる。若いっていいなぁ。

 

……私もまだ若いよ?まだ20代だし?

さて、と。柚子ちゃんは……

 




マスターデュエル、ジェムとかクラフト素材の都合上デッキ組めるのは精々一つか二つくらいなんですよねぇ。もっと組みたいよお。

このデュエルが終わったらトマトくんのデュエルはカットして授業風景を1話だけ投稿する予定です。大体OCG化してない男共が悪いんだ。
あと汎用カードやメタカードとかがURなのもドン・サウザンドの仕業です。
デスフェニが出たらフューデス禁止になりそうなのもドン・サウザンドの(ry
最近描きたい作品がいっぱい出来て投稿がやや遅れ気味なのもドン(ry
その所為で今回やや短めになったのも(ry

2/9 素良きゅんサイドのライフが間違っていたので訂正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22話

ぶっちゃけはよこのデュエル終わらせて日常編やりたい……


「私のターン、ドロー!」

 

柚子ちゃんのターン……事前に少しだけデッキ弄ったけどなんか今になってちょっと不安になってきたぞおい……

 

「(流石にデッキのカード10枚も入れ替えたのは失敗だったかな……?)」

 

ふむ、ここは1つ具体的なアドバイスをしようか。タッグフォース形式ではパートナーの手札は確認できないが、それでも助言くらいはできるだろう。

 

「柚子ちゃん、柚子ちゃん」

「な、何ですか?」

 

……ちょっと警戒されてるのが悲しい。私が一体何をしたと言うのだ……

 

「私達3人のプレイングを鑑みてデュエルして欲しい。それがどう言う事なのか、君になら分かる筈だ」

「うっ……が、頑張りますけど……そこまで理解出来てないと言うか……」

「ふむ、じゃあそのものズバリ言おう……デッキ融合が1番アドを取りやすいッ!」

「……アド?」

「うっせぇわ!……じゃなくてっと。アドはアドバンテージの略だ。n回目になるけど基本融合って消費が激しいからエクシーズやシンクロと比べるとやや工夫が要るんだ。例えば、墓地に送ることで効果を発揮するモンスターを融合素材にするとか、ね」

「……そういえばブリリアント・フュージョンは発動したのに手札枚数が変わってなかったわ。それは融合素材として墓地に送ったジェムナイト・ラズリーの効果で同じく墓地に送られたジェムナイト・サフィアを手札に加えたから」

「そうそう」

 

基本、デッキ融合は最強だ。爆アドだし。別のカードを挙げるならフュージョン・デステニーや烙印融合なんかがそうだ。使用後に展開する制限がかかるのも納得できるレベルの強さである。まあ、融合召喚できるモンスターに問題がある場合は……

 

デッキ融合できるカードの中で、唯一ブリリアント・フュージョンは使用後の制限が一切存在しない。精々融合召喚したモンスターの攻撃力がゼロになるくらいだが、効果が使えるなら全く問題ない。基本、効果優先だからねぇ遊戯王。まあ例外なんていくらでもあるが。

 

「そんな風に墓地に行くと有効に作用するカードを素材にすると消費を抑えられるぞ」

「う、うん」

「それから基本攻撃力よりも効果に注目するといい。遊矢くんは効果を駆使して攻撃力を相手と逆転したりしてるだろう?」

「な、なるほど……?」

 

まあ、例外はあるけど(2回目)。スキドレとかVFDとかね……

 

「ふぅぅぅぅはっはっは!!さあ、融合召喚を行えるのかな、柚子ちゃんはぁ!」

 

「……先生はなんでキザなポーズしてるの?」

「なんとなく」

「……変人」

 

それ言い出したら遊戯王の登場人物全員変態にならない?アニメはmmdでしか見たことない私でもそう断言できる。カッコいい人もいるけどね、黒咲とか(ただし腹パンは無かったこととする)。

 

「私は魔法カード融合を発動!自分の手札・フィールドから融合素材モンスターを墓地に送って融合モンスターを融合召喚するわ!」

 

素で融合か。まあ今はオスティナートも使えないしな。それにしても普通の融合って久しぶりに見た気がするのは何故だろうか?素良きゅんも使ってるはずなのに。

 

……まあ、それはいいとして。出すのは誰かな……?

 

「わ、私は手札の……ええっと、どの子を融合すれば……」

「迷ったら上級モンスターなんかを素材にするといい。死者蘇生なんかがデッキに入ってるならアドバンス召喚を介さずにフィールドに出せるからね。後は……墓地に行くことでアドバンテージを得ることができるモンスターがいれば積極的に素材にするべきかな。まあ、そこら辺は自分で考えてみてね」

 

だからといってデスフェニは絶対に許すまじ。ドラグーンオブレッドアイズは論外。烙印融合はまあ許してやろう。

 

「……わ、分かったわ!えっと……普段の先生は「基本的には攻撃力よりも効果を優先するべき」って言ってたから……決めたわ!私は手札の幻奏の音女タムタムと幻奏の音姫プロディジー・モーツァルトを融合!魂の響きよ!至高の天才よ!タクトの導きにより力重ねよ!融合召喚!今こそ舞台に勝利の歌を! 幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ!」

 

おお……!ほぼ理想的なプレイングだぞ柚子ちゃん!成長していたんだね……ずびびっ。やだなぁ、歳を取ると涙脆く……

 

いや、まだ若いよ私は?

 

 

幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ

融合・効果モンスター

星6/光属性/天使族/攻1000/守2000

「幻奏の音姫」モンスター+「幻奏」モンスター

(1):このカードは戦闘・効果では破壊されず、

このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。

その相手モンスターとこのカードの、元々の攻撃力の差分のダメージを相手に与え、

その相手モンスターを破壊する。

 

 

「攻撃力たったの1000……これは何かあるね」

「ええ……そうね」

 

それにしても懐かしいな。昔幻想召喚師からよく出したっけ。素良きゅんも勘が良いようで。まあユベルよりかは露骨じゃないものの攻撃力1000は何かあるって思うよね。実際あるし。

 

「え、えっと……幻奏の音女タムタムの効果発動!このカードが融合素材となって墓地に送られた場合、私のフィールドの幻奏と名のつくモンスター1体の攻撃力を500下げて、相手に500ダメージを与える!私はブルーム・ディーヴァを選択!」

 

「くっ……」

 

幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ ATK 1000 → 500

 

真澄 & 素良 LP 3300 → 2800

 

ふむ、悪くないな。ただ……

 

「え、えっと……バトル!私は幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァでデストーイ・デアデビルを攻撃!リフレクト・シャウト!」

「攻撃力は負けているのに攻撃してくる、か。迎え撃て、デストーイ・デアデビル!」

 

自分より強い相手に立ち向かう……なんて勇ましい姿なんだ(棒)。

 

「ブルーム・ディーヴァは戦闘・効果によって破壊されず、このカードによって発生する自分への戦闘ダメージは0になるわ!そして、ダメージ計算後に戦闘を行った相手モンスターとの攻撃力の差分のダメージを相手に与えるわ!」

「つまり、3000引く500で2500ダメージってことか……!」

「ふふーん、私だって日々成長……」

 

「残念、違うよ柚子ちゃん」

 

「……えっ」

 

まあ、たまに私も間違えちゃうんだけどね?

 

「よーく見てみて。ブルーム・ディーヴァのその効果は自身と相手の元々の攻撃力を参照する。つまり、3000引く1000で2000だ……まだ詰めが甘いね、柚子ちゃん?」

「う、うう……」

 

あ^〜可愛いんじゃ〜。く……何故私は今、カメラを持っていない!

 

「さて、気を取り直してブルーム・ディーヴァの効果によるダメージを受けてもらおうかな」

「ぐっ……まだまだ!」

 

真澄 & 素良 LP 2800→ 800

 

大分削ったな。このターン中には決めれない、かな。まあ、別に構わないけど。一応、このデュエルの名目は柚子ちゃんの融合研修みたいな感じだし。

 

「次に……ええっと召喚獣メルカバーでジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤに攻撃!」

「くっ、私のエースモンスターが……」

 

……何気にアクアマリナが滅茶苦茶邪魔だな。またダイレクトアタックが通らないよ、やれやれ。壁として機能するモンスターって基本厄介だ。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

伏せカードは……なるほど、幻奏のイリュージョンか。悪くないっちゃ悪くないか。

 

「まあ、今回はそこまで悪くなかったよ?」

「うう……まだまだ勉強しないとっ!」

 

向上心があるのは良いことだ……私の若い頃を思い出……

いやだから私は今も若いってば!

 

「それで、真澄んのターンだね。さて、この状況で逆転できるかな?」

「……やってみせるわ。このくらいで諦めてなんかやれないわ!」

 

勇ましい。男前な女の子だなぁ。ちょっとだけ、私にも眩しく見えるや。私なんてどうせ、ただ定石やカードの効果をちょっと知ってるだけなんだもん。アニメで活躍できるような特別な能力なんて何もない。でも、それでもデュエルは教える事ができる。それで救われる何かがあれば……ってのは私の思い上がり、かな?

 

……若い子達の成長を見守るのは大人の務めってね。

 

……いや、だから私も若いって。このネタ何回やるんだよおい?

 




主人公の年齢って需要あります?多分20代だと思うんですが……

真澄 素良 LP 800
真澄 手札×1 素良 手札×0
フィールド ジェムナイト・アクアマリナ
伏せ なし

先生 柚子 LP 2500
先生 手札×1 柚子 手札×2
召喚獣メルカバー 超雷龍 ディーヴァ(チューナーに非らず)
伏せ 2枚

2/24 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
というかメルカバーいるからオスティナート使えねぇなぁ!?
特大ガバをやらかしてしまった……申し訳ありません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

23話

整地機能と言うものがあるらしいですね。試しに使ってみたらカードの効果の部分まで空白が発生しました。
遊戯王小説でこの機能は死に機能なのでは?というかそもそも段落文字下げを今まで書いてきた小説全てにおいて忘れてました……俺はどうしたらいい!答えろ、答えてみろルドガー!

「全て修正しろ」

っ!デュエリストっていつもそうですよね!物書きの事なんだと思ってるんですか!

……とにかく、これからはちゃんとします。これまで読んでくださった方の中に「空白がねぇじゃねぇかァ!このド素人がァ!」と思ってらっしゃった方がいられたら今まで本当に申し訳ございません。私の代わりにトマト君がセプクします。ハイクも詠んであげてください。




「私のターン、ドロー!」

 

 ドロー。それはデュエリストにとっては希望であり、絶望を齎すこともあるパンドラの箱である。時に引いたカードに歓喜し、時に引いたカードに落胆する。誰もが経験のある話だろう。しかし、大抵のアニメ出身デュエリストにとっては大体逆転のカードをただ引くだけの簡単なお仕事です。つまり、何が言いたいのかと言うとだな……

 

「……来たわ!まず、私は速攻魔法禁じられた聖杯を召喚獣メルカバーを対象に発動!このターン、召喚獣メルカバーの攻撃力は400ポイントアップするけど……その代わり、効果は無効になる!」

 

 絶対トップ解決してくるってことだよちくしょう!それにしても懐かしいカードだなぁ聖杯。今では一滴の方がよく見られるよね。って私は一体誰に同意を求めてるのかは知らないけどさ。

 

「そして、墓地の置換融合の効果発動!墓地のこのカードをゲームから除外して墓地の融合モンスター1体をエクストラデッキに戻してデッキからカードを1枚ドローする!私はブリリアント・ダイヤをエクストラデッキに戻して1枚ドローするわ!」

「墓地から魔法ですって!?」

 

 出た!真澄んのマジックコンボだ!

 

「……更に!私は魔法カード闇の量産工場を発動!墓地の通常モンスター2体を手札に加える!私が加えるのはジェムナイト・ガネットとジェムナイト・サフィアよ!」

 

 一気に手札増やしに来たな……ちゃっかり素良きゅんの置換融合も使いこなしてるし。これはまだまだ来るぞ。

 

「更に、魔法カード手札抹殺を発動!お互いの手札を全て捨て、捨てた枚数分ドローする!」

「タッグフォース形式だから、この場合は真澄んと柚子ちゃんだけ効果を適用するんだっけ」

「ええ、そうね」

「そ、そうなんだ……」

 

 ゲームのタッグフォースやった事ないからそこまで詳しい訳でもないけどね。実質ギャルゲーらしいけどプレステ系列一切持ってなかったからなぁ……買っときゃよかったやもしれぬ。ロリもショタも居るって話だったし。

 

「私は手札を2枚捨てて2枚ドローするわ」

「えっと、私も2枚捨てて2枚ドローっと……」

 

 まあ、真澄んの手札はさっき手札に加えたジェムナイトなんだけどね。闇の量産工場をそんな風に使えるならそこそこのデュエリストやね。む、柚子ちゃんの手札にヴァルハラが……すまない、事故らせてしまってたようだ。もう1枚は……もう1枚もヴァルハラだと!?

 

 ん?

 

 ……あっ、これ墓地にラピスラズリいるからマスター・ダイヤ来た時のフィールドによっては負けるなこれ?いや、それ以前にパーズで殴り殺されそうだなこれ?

 

「……これなら!墓地のジェムナイト・フュージョンの効果を発動!墓地のジェムナイト・ラピスをゲームから除外して、このカードを手札に加えるわ!」

 

 あ、やばい。このままだと負けるわ。……勝ち筋は、1つ。アレに賭けるしかないか。

 

「……行くわよ!ジェムナイト・フュージョンを発動!手札のジェムナイト・アレキサンドとジェムナイト・ルマリン、そしてフィールドのジェムナイト・アクアマリナを融合する!」

「3体も融合素材に……!?」

「融合召喚!現れよ、全てを照らす至上の輝き!ジェムナイトマスター・ダイヤ!」

 

 来たか、ジェムナイトの切り札が。

 

 

ジェムナイトマスター・ダイヤ

融合・効果モンスター

星9/地属性/岩石族/攻2900/守2500

「ジェムナイト」モンスター×3

このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードの攻撃力は、自分の墓地の「ジェム」モンスターの数×100アップする。

(2):1ターンに1度、自分の墓地のレベル7以下の「ジェムナイト」融合モンスター1体を除外して発動できる。

エンドフェイズまで、このカードは除外したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

 

 

 私達の残りライフは2500。幸いにもフィールドの特殊召喚されたモンスターの合計はダイヤ、メルカバー、ディーヴァ、超雷龍で4体だから即死はしない。だけど……

 

「まず、融合素材として墓地に送られたアクアマリナの効果発動!フィールドのカード1枚を手札に戻す!私は幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァを選択!」

「ブルーム・ディーヴァ!?」

「ブルーム・ディーヴァは戦闘・効果で破壊されない効果を持つ……が、だからと言って無敵ではない。手札やデッキに戻したり除外したりだとかには無力だ。そこらの対策もちゃんとしておくといいよ」

 

 幻奏のイリュージョン腐っちゃったね、残念。

 

「私はジェムナイトマスター・ダイヤのモンスター効果発動!墓地のレベル7以下のジェムナイトと名のつく融合モンスター1体をゲームから除外することでエンドフェイズまで除外したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る!私はジェムナイト・パーズをゲームから除外!」

 

 そっちを選ぶか……!

 

「ええっと……つまり、どう言うこと?」

「ジェムナイト・パーズの効果は2回攻撃できるのと、戦闘で相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるもの……」

「それって……!?先生、大丈夫なの!?」

「……んー、そうだなぁ」

 

柚子ちゃんの表情を見るに……あ、これやばいな?

 

「ふーん、お姉さんも結構やるねぇ」

「ふん、言ってなさい。ジェムナイトマスター・ダイヤの攻撃力は墓地に存在するジェムと名のつくモンスターの数×100ポイントアップするわ。私の墓地に存在するジェムナイトは7体。よって、700ポイントアップする!」

 

ジェムナイトマスター・ダイヤ ATK 2900 → 3600

 

「これで、私の……いや、私達の勝ちよ!バトル!ジェムナイトマスター・ダイヤで超雷龍-サンダー・ドラゴンを攻撃!」

 

 ふむ、そっちを攻撃するか。

 

「せ、先生!?」

「大丈夫大丈夫。超雷龍は戦闘・効果で破壊される場合に墓地の雷族モンスターを除外することで破壊を免れる効果があるから」

「な、なら大丈夫ね。えっと、墓地の……雷鳥龍-サンダー・ドラゴンをゲームから除外するわ」

「!くっ……まさかまだそんな効果を持っていたなんて……!でも、ダメージは受けて貰うわ!」

 

 くっ、まさか殆ど同じセリフを言われるとは……

 

先生&柚子 LP 2500 → 1500

 

 超雷龍が2回攻撃されてもライフはギリギリ残る。そして、私達の最後の逆転の機会が訪れた。

 

「柚子ちゃん、雷鳥龍はゲームから除外された場合、手札のカードを任意の枚数デッキに戻してシャッフルし、戻した数だけカードをドローする効果があるよ」

「え?……じゃあ、折角だし。私は手札のカードを2枚ともデッキに戻してシャッフル……そして、カードを2枚ドローするわ」

 

 いや折角って……唯一の逆転の機会やぞ?手札抹殺の時にはあのカードは捨てられていなかった。

 

「……これって」

 

 ……おおっと?

 

「さあ、ラストバトルよ!ジェムナイトマスター・ダイヤ!あの忌々しい戦車を破壊しなさい!これで、終わりよ!」

「……ここ、ね!その戦闘のダメージステップ開始時に!」

「ダメージステップ開始時!?そのタイミングで発動するってことは、まさかその伏せカードは……!」

「いいや、違うぜ真澄ん」

「先生、口調がおかしくなってるよ」

「いや、普段からおかしいから別に普通じゃないかなぁ?」

「それもそうね」

 

 ……酷くね?

 

「おほん。さあ、やったれや柚子ちゃん!」

「何故関西弁……私はダメージステップ開始時に手札からオネストの効果を発動!」

 

 やっと引けたか……!

 

「オネストはええっと……何々?自分の光属性モンスターが——」

 

 

オネスト

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1100/守1900

(1):自分メインフェイズに発動できる。

フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行う

ダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、

このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、

戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

 

「——攻撃力分アップする。これなら……!!」

「……焦っちゃった、のね」

「いや、正直私でもそこはそうしたと思うよ」

「慰めはいいわ」

 

 やだ、ストイック。

 

「……とにかく、これで終わりよ!」

「反撃だ、メルカバー!」

 

 えっと、攻撃名は……これだッ!

 

「オネスティ・ロードローラーだッ!」

「何その攻撃名!?」

 

私の言葉に乗ったのか、召喚獣メルカバーは光り輝きながら高く跳び上がり、ジェムナイトマスター・ダイヤを上から潰した。WRYYYYYY!って幻聴がしてくるね?

 

真澄&素良 LP 800 → 0

 

 

◆◆◆

 

 

「あーあ、また負けちゃった」

「貴方は悪くないわ。敗因は私……」

「いいや、僕がもっと……」

 

おお、反省会か。何と言えばいいか……新鮮だ。吹奏楽部でのコンクール後で学校に帰った後の良かったとこと悪かったとこを言い合ったことを思い出したなぁ。

 

「さて、ちょっと趣旨がズレたかもしれないけれど融合の基礎?は教えたつもりだよん」

「今イントネーション的に?がついてなかった?」

「キノセイダヨ」

「……まあ、いっか。ありがとう、先生。色々と教えてくれて」

「いいんよ、それが私の今の仕事だし」

「……たしか、前はOLしてたんだっけ?」

「うん、まあ結構ブラックだったんだけどね……」

 

まず、職場の同僚が全員結婚してない。先輩も。それに、仕事ができなければ容赦なく残業になった。入社したての頃は遅くまで残ってたなぁ……いや、慣れてからも何故かそれなりに帰るのが遅く……いや、これ以上はよそう。

 

「さて、じゃあ私は塾に帰って仮眠を取るから……」

「え、どうして?」

「素良きゅんを夜まで探したからだよ」

 

 私が長女だったから耐えられたけど次女だったら耐えられなかった!……そもそも私一人っ子だけどな!

 

「もー、素良ったら!少しは反省したらどう?」

「うーん、探させてしまったのは謝るよ。ごめんね?」

「許す!あと、気になったんだけど素良きゅんって何処に住んd」

「あ、用事思い出した。それじゃ……」

「ちょ、待ってよぉ……うーん」

 

 なーんか怪しい気がしないでもないんだよなぁ素良きゅん。ま、そこが可愛いんだけど!(?)

 

「それじゃ、今日は修造先生に任せて寝るとしますか……」

「……待ちなさい」

「んあ?」

 

 帰ってからNo.41の如く惰眠を貪ろうと思っていたら、何故か真澄んに呼び止められた。

 

「何?もしかしてお持ち帰り?」

「……やっぱりいいわ」

「待って待って!冗談だから!そんな養豚場の豚を見る目で私を見ないで!」

「……はぁ。それで要件なのだけれど」

「うん」

 

 なんだろう。鬼になれとかかな?

 

「……明日、貴方の……遊勝塾だったかしら?また行ってもいいかしら?」

「ん、なんでまた?」

「貴方はデュエルの技術だけは素晴らしいわ……だから、私は貴方からもっと学びたいの」

「いやぁそれ程でも……」

 

 ……いや待って、「だけ」って何よ!

 

「……まあ、いいよ。今のところうちの所属人数はかなり少ないからね」

「ええ!?いいの、先生?」

まあ別に断る理由もないし(美少女が増えるなら大歓迎)

「先生……」

 

 ……しまった、心の声と建前が逆だ!

 

「……そう。感謝するわ」

「あ、そうだ。あの2人も連れて来てくれても別にまあ構わないよ〜」

「あっそう」

 

 一応友達かもしれないから伝えたんだけど以外とドライッ!でもそれが良いッ!

 




なんとか投稿。予定通りの終わり方です(震え声)。

次回は真澄んを交えて遊勝塾日常編です。真澄ん可愛いヤッター!

3/5 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

24話

たまにはちょっと早めに。

毎回最初からデュエル内容考えるのも中々疲れるのでたまにはダイジェスト版をいくつか入れてみました。どうでしょう?


 さて、真澄んと素良きゅんと柚子ちゃんとタッグデュエルした日の翌日。その日は夕飯まで眠って夕飯を食べたらまた寝てお風呂が沸いたら入浴した後また寝て過ごした。あ、歯はちゃんと磨いたよ。遊矢くんのお母さんにも注意されたし。あの人スケバン張ってたって聞いたけど現在は完全にママだな。

 

 さて、そろそろ現実見よっか。

 

「……私は、聞いていないのだけれど」

 

 約束通り、真澄んはうちの塾に来ていた。それは良いんだ。どちかて言うと大歓迎。目の保養にもなるしね。彼女、凄い熱心だから授業にも真面目に取り組んでくれそうだ。なんなら遊勝塾に元々所属している子達よりも真面目だろう。私としても解説なんかを真剣に聞いてくれる生徒の方が良い。誰だってそう思う。私だってそう思う。

 

「僕もだ……」

「お、俺もだ」

 

 前に来ていたエクシーズコースとシンクロコースの子も来ていた。それもいい。来ても良いって私言ってたからね。シンクロコースの子は今度こそ私に勝つッ!って意気込んでいる。まあ先攻ワンキルしたからね仕方ないね。エクシーズコースの子の方も負けたプライドが許せないのか、シンクロの子と同様張り切っているみたいだ。若いっていいね。いや、私も若いけどね!

 

「むぅ、まさか、またもや遊勝塾に殴り込みに来たと言うのか!?」

 

 後、権現坂くんも来ているようだ。まあ割と頻繁に見かけるからおかしいことは何もない。前にも来てたしな。何でも遊矢くんの幼馴染だとか何とか。柚子ちゃんと一緒だね。

 

 ……しかし、貴方は聞いてないんだが?しかも、貴方塾生ではないでしょうに。

 

「ええっと、赤馬……さん?」

「好きに呼んでくれて構わない」

「なら素直に赤馬さんで」

 

 何故か、LDSの社長さんが再び私の塾に訪れていた。いや仕事はどうしたんよ!?今日来ていた真澄ん達も凄く驚いていたよ?そりゃあ自分の職場の上司が出張先にいきなり現れたら心臓がまろびでそうになるわ。私ならそのまま心的ショックで死ぬ自信がある。考えても見てよ?旅行先とかで蝶ネクタイをした小学生とか金田一耕助の孫とかと会ったらビビるでしょ?あとあれだ。こち亀で言うなら自分が両さんだったとしていきなり目の前に署長が「両津のバカは何処だァァァァァァァァ!」って叫んでたら飛び上がるでしょ?

 

「……あの、今日はどのような御要件でしょうか?いきなり来られてびっくりしたのですが(いやアポくらい取れよこの非常識人)

「本音と建前が逆だぞ。今日この遊勝塾に来たのは理由がある」

「……それは、何でしょう?」

 

 たしか、前来た時は異世界出身とかどうこう言ってたっけか。事実その通りだから芝も刈られるね。お陰で墓地が肥えるわぁ嬉しいですわぁ。

 

「貴殿のデュエルタクティクスは我がLDSの教師……いや、私と比べても遜色ないレベルだ。なのでその技術を我が塾に応用できないか、と」

 

 ……なんとなく、本音ではない気がする。私、こう見えても嘘には敏感だから。本当の所は隠しているんだと思う。実際、社長は素直に「君が怪しいから無理矢理にでも調べる」って言い出す様な人じゃないし。聞いたところによるとLDSはかなり規模の大きいらしいし、私のことを調査くらいした筈だ。遊戯王のそーゆー企業は絶対やばい技術持ってる印象なのは私の偏見かもしれないけど……多分内心では絶対住所不明身元不明独身な私を怪しんでるはず。

 

「そんな……やっぱり先日のデュエルだけでは飽き足らず……!」

「先生!また追い返しましょうよ!」

「いや、それはちょっと……真澄んとは今日授業するって約束したし。それに、別に構わないよ。私なんかの技術で良ければ」

 

 これくらいなら問題ないだろう。吹奏楽部でも他の学校にお邪魔してお互いにアドバイスし合ったりした。多分、そんなもんだろう。それに、デュエルが上手い人が増えたら私ももっと楽しめる……って、そんな考えは傲慢だろうか?

 

「勿論、謝礼は用意している。これでどうだろうか?」

「……」

 

 …………

 

「ぜひとも引き受けます!いや、引き受けさせてください!!」

「「先生!?」

 

 お金には勝てんよ。ははは。

 

「いや、しかしだな。先日、LDSとは争ったわけで……」

「修造先生、これ……」

 

 その時だ(そっと金額のかかれた書類を見せる)。

 

「……よし!いいぞ!」

「ちょっと、お父さん!?」

 

 お金はいいぞ。

 

「それで、今日はどのような授業をする予定で?」

「特には……そうですね、真澄さんが本日いらっしゃる予定でしたので融合メインの授業を行おうかとも思っていたのですが、3人ともいらしたので……」

 

 そうだなぁ……墓地肥やしについては前やったでしょ?どうしよ。流石にタイミングを逃すとか効果による特殊召喚とチェーンブロックを組まない特殊召喚の違いとかはちょっと難しいし……

 

「……逆に、何かしてほしい授業はございませんか?」

「特にないな。普段、君がしている授業で構わない」

 

 はいでましたー超必ゲージ0予測可能回避不可即死コンボ「君に任せる」。私知ってるよ、本当にいつもやってる風にやると文句言われるんでしょ?分かってるてば。あれでしょ、本当は自分が見るに値するようにしないと滅茶苦茶に怒られるんでしょ?社交辞令的なやつなんだろ?おう、そうなんやろ?おい。全投げがどれだけ人に精神的な負担をかけるか知らないのかっ。

 

「ねぇ、なんだか先生の表情が死んでない?」

「社会人になるとあんな風になってしまうのかもな……」

 

 ともかく、ここは私が何か考えなければ最悪某鬼の首領レベルのパワハラを喰らっても不思議じゃない。なんとかせねば……しかし、まるで思いつかない。いっそ実践授業と称してひたすらデュエルした方が良いのでは……?しかし、それだとマジでいつもと変わらないような。だったら……

 

「……そうですね、私がハンデを背負って塾生とデュエルする実践形式の授業を行おうと思っています。例えば、私はエクストラデッキの使用を禁じたりとかですね」

「……それなら俺がデュエルする!これまで何回も負けてるからなっ!」

 

 おおっと遊矢くん、ハンデを背負っているからと言って私にそう簡単に勝てるかな?エクストラデッキを使わずにでも戦う方法なんていくらでもあるんだからね。まあエクゾディアはこの間使ったから勘弁してあげよう。

 

「なるほど……実に面白い」

 

 お前何処の湯◯学だよ。

 

「では、それで構わない。やってくれ」

「では、そのように」

 

 しかし、謝礼の金額は凄まじいの一言だ。今日このある意味ハードな1日を乗り越えたら前に見かけたトリシューラプリンとやらを食べよう。あれ、名前抜きにしても美味しそうだったんだよね、めっちゃ高いけど。2700円って……なんか笑っちゃうよね。

 

「それじゃ、最初の相手は遊矢くん。お願いできるかな?」

「勿論だ!いつもは負けてるけど、今日こそ負けない!」

 

 

◆◆◆

 

 

「ねぇ、貴方……たしか、柚子といったかしら?」

「そう言う貴方は真澄だっけ?」

 

「好きに呼べばいいわ。1つ、質問があるのだけれど」

「何よ?」

 

「あの先生、普段からどんなデュエルをしてるの?私はまだあの先生と2回しか戦ったことないからあまり詳しくないのだけれど……いつも違うデッキで異なる戦術を使ってくるの?」

「え?……えっと、いつも違うデッキを使うかな。何でも、色んなカードを使ってるのが楽しいからだとか……」

 

「ふーん……例えばどんなデッキを使ったのかしら?」

「たしか……これまで使ったデッキはアダマシアっていうシンクロする岩石族のデッキとか、かな。後は墓地を一気に増やすカードを使ったりもしてたわね」

 

「どれだけデッキを持ってるのよ……でも、流石に明美先生もエクストラデッキを封じたら少しは弱体化するでしょう。どう戦うか見ものね」

「うーん……そうかなぁ」

 

「(先生は今まで同じデッキを使ってなかった。だからあの隣の芝刈りを使ったワイトキングのデッキは使ってこないだろうけど……何故だか、遊矢が勝てる道筋が思いつかないわ……)」

 

 柚子ちゃんと真澄んの仲が良いようで何よりです。はっ、まさか百合……?

 

「今日こそ、先生に勝つ!今までの恨み、必ず晴らす!」

「ほほう、やってみるがよい」

 

 くっくっく、そう簡単には勝ち星はやらんよ。

 

「なんでちょっと偉そうなのよ……」

「あはは……で、先生はエクストラデッキは禁止だけど、柚子お姉ちゃんはどちらが勝つと思う?」

「遊矢、これまで一度も先生に勝ててなかったけど……」

 

「くっ……!先生、俺は忘れていないぞ!今までの先生とのデュエルを!」

 

 

◆◆◆

 

 

「アクションマジックエクストリームソードの効果を発動!オッドアイズを選択して攻撃力を1000アップさせる!さらにEMチアモールのモンスター効果を発動!自分のモンスター1体を選択し、その攻撃力が元々より高い場合、攻撃力を1000ポイントアップさせる!さらにさらに!EMラクダウンのペンデュラム効果も発動!自分のモンスター1体を選択して相手フィールドのモンスター全ての守備力を800ポイントダウンさせる!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 2500 → 4500

 

百万喰らいのグラットン DEF 3300 → 2500

 

「ほう、やるようになったね。まあ、私の百万喰らいのグラットンには意味のない話だがね」

「いいや、ラクダウンの効果はこれからだ!選んだモンスター……オッドアイズはこのターン、貫通ダメージを与える!百万喰らいのグラットンは戦闘した相手を裏側表示で除外する効果はたしかに強力だ……しかし、伏せモンスターに攻撃するならなんの問題もない!」

 

「ふふふ……中々成長したじゃないか、遊矢くん」

 

「バトルだ!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで伏せモンスターに攻撃!攻撃宣言時にEMオッドアイズユニコーンのペンデュラム効果を発動!EMと名のつくモンスター1体を選択してその攻撃力をオッドアイズに追加する!俺はゴールドファングを選択!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 4500 → 6300

 

「攻撃力6300……!しかも、貫通効果に加えて戦闘ダメージを倍にする、か。本当に成長したね、遊矢くん」

「どうも、これで終わりだ!」

 

「ふっふっふ、それはどうかな?」

「なんだって!?」

 

「私の伏せていたモンスターは紅蓮魔獣ダ・イーザだ。この子の攻撃力・守備力は私の除外されているカードの400倍だァ!」

「なっ!?つ、つまり……」

「私の除外されているカードは40枚。よって、ダ・イーザの攻撃力と守備力は……」

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ ATK/DEF ?/? → 16000/16000

 

「しゅ、守備力いちまんろくせん〜!?」

「さて、遊戯王の基本的なルールのおさらいだ。攻撃したモンスターが守備表示のモンスターの守備力を下回っている場合、攻撃したモンスターは破壊されないけど、下回っている数値分攻撃したプレイヤーは戦闘ダメージを受ける……さあ、受けて貰おうか、9700の反射ダメージを!」

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

遊矢 LP 4000 → 0

 

 

◆◆◆

 

 

「私のターン、ドロー!テラフォーミングを発動してデッキから光の結界を手札に加える!光の結界を発動!手札からヘカテリスを捨てて効果発動!デッキから神の居城ーヴァルハラを手札に加えて発動!フィールドにモンスターがいないとき、手札から天使族モンスターを特殊召喚できる!来い、レベル8!アルカナフォースXXI-THE WORLD!このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、コイントスを行いその結果によって異なる効果を得る……が!光の結界が存在する場合、私自身がその結果を選択できる!当然正位置だ!」

 

「ちょ……」

 

「魔法カードワン・フォー・ワンを発動!手札のレベルスティーラーを墓地に送ってデッキからレベルスティーラーを特殊召喚する!さらに墓地のレベルスティーラーの効果を発動!このカードは私のフィールドのレベル5以上のモンスターのレベルを一つ下げて墓地から特殊召喚できる。私はこれでターンエンドだが……そのエンドフェイズ時、我がスタンドザ・ワールドの能力を発動!」

 

「いやスタンドってなんだよ!?」

 

「自分のフィールドのモンスター2体を墓地に送り、次の相手ターンをスキップする!時よ止まれィ!ふはははは!これが、ザ・ワールドだ!」

 

「まるで意味が分からないぞ先生!」

 

 

◆◆◆

 

 

「俺はスケール1の星読みの魔術師とスケール8の時読みの魔術師をペンデュラムスケールにセッティング!」

「あ、チェーン虚無空間で」

「くっ……なら、虚無空間を対象にサイクロンを……!」

「チェーン王宮の勅命。あとマクロコスモスも発動するね」

「……」

 

 

◆◆◆

 

 

「ブルーアイズ・ホワイトドラゴンのダイレクトアタック!滅びのバーストストリィィィィム!!」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

遊矢 LP 3000 → 0

 

「強靭!無敵!最強! 粉砕!玉砕!大喝采! ワハハハ!」

 

 

◆◆◆

 

 

「今度こそ……今度こそだ!いい加減、負けてばっかりじゃあいられないんでね!」

「よい覚悟だ。感動的だな……来い、遊矢ァ!」

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの2人、普段そんなデュエルばかりしてるの?」

「さ、さあ……毎回見てたわけじゃないし……」

「遊矢、流石に情けないぞ……!」

 

「(さて、エクストラデッキを自ら封じたままどのように戦う、藤野明美……)」

 




先生が使うデッキは果たしてどのようなデッキなのか……!
作者にも予想が付かないぜ!(おい)

先生の名前は藤野明美、です。殆ど出てこないので一応ここに書いておきますね。大体先生呼びだからね仕方ないね。

3/6 少し修正を加えました。いつも助かってます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25話


100,000UAありがとナス!お気に入りも増えてて嬉しい……ウレシイ……

今回のデュエルはダイジェスト版です。他にも書きたい事もありましたので……デュエルパートが好きな人には申し訳ないです。
最初はトマト視点です。



 

 俺の通っている遊勝塾で講師をしている藤野明美先生には謎が多い。ある日突然現れ、圧倒的なデュエルの腕を俺たちに見せてくれた。今ではデュエルの先生を買って出てくれている……と言うか、他にできる仕事がないかららしい。何でも普通の会社でOLをしていたらしいんだけど、終電に乗っていたらいつの間にか舞網市に着いて居たんだとか……いや、どう言う事だよ。帰れよ……家族とか心配しないのか?

 

 出会った後、実力を証明するために俺とデュエルをした。結果は先生が途中で倒れて無効だけど……実質俺の負けだった。しかも、俺の家に運んだらどういう経緯なのかそのまま住むことに……だからどう言う事だよ。

 

 見た目は意外と美人……だと思う。最初に会った時は目の隈とか髪の荒れようとかが酷かったけど、うちのお風呂に入って良く寝たら見違えた。すごく跳ねてた髪の毛はスラスラと櫛が通るくらいに。母さんが楽しそうに櫛を通していた。散髪に行くのが面倒だからとかなり長い黒髪だ。その癖自分の外見には全くの無頓着らしく母さんに叱られていた。女の子なら髪の毛のお手入れくらいしなさいって。そしたら子供みたいに「やだー!」って……俺に圧勝した先生は何処に行ったんだ。

 

「見違えたわね〜。その顔なら彼氏とか居るんじゃない?化粧とかは?見た限りしてなかったと思うけど」

「いや、居ないっす。それと、化粧とか興味ないっす。もし万が一まず無いだろうけど化粧なんかしてまだ見れる見た目になってしまうと部長のセクハラの対象になるんで……ああ、現実で禁じられた聖衣使えたらなぁ」

「とにかく、これからはきちんとお手入れすること!いいわね?」

「やー!」

 

 ちなみに禁じられた聖衣は攻撃力を600ポイントダウンさせる代わりにモンスターを対象にならず、効果による破壊から守る速攻魔法らしい……対象を取るってなんだ?たしか、回避にもそんな言葉があったような……その後母さんが「うちに住む?」って言い出したんだっけ。この子を放って置くと折角の長い髪が勿体ないとかなんとか……俺にはよく分かんないや。

 

 それよりも、家族が居るんだったら早く仕事に戻るべきなんじゃないかと言ったんだけど本人曰く、「1日サボったんなら多分勝手にクビになってるから……今更戻っても罵詈雑言のストライクバーストだよ」だそうだ。何を言ってるのか殆ど分からないが、多分ブラック企業って奴なのか?あと、アパートで一人暮らしで実家に父さんと母さんはまだ居るらしい……それは、ちょっとだけ羨ましいな。あれ、アパートの家賃って……いや、気にしないでおこう。本人は気付いてないみたいだし。

 

 まあ、ここまでは良い。あんまり良くないかもしれないけど。この先生が1番問題なのは……性格だ。

 

 だってさ、先生の柚子や素良を見る目線がなんと言うか……凄く邪なんだよ!初対面の時とか権現坂に「不審者かッ!?」って言われてたし、その癖デュエルは滅茶苦茶に強いから文句も言えない。ライフ16000対100なら流石に勝てると思ったのに……!ライフを入れ替えるなんて反則だぞ!「でもこれってエンタメじゃなかろうか?」って言われたらそれもそうかもしれないけどさぁ!あんなのデュエルじゃなーい!

 

 でも、授業は割と真面目にしている……たまにふざけるけど。普通の召喚だけをとってもかなり複雑に説明するんだ。通常召喚と召喚の違いってなんなんだよ……正直、俺はあまり理解できていない。それよりももっと父さんと同じエンタメデュエルを極めたいんだ、俺は。でも、それを先生に言ったら「ならまずは基本のルールくらいは完璧に覚えないとね♡」って……ああもう!なんでそういう時だけ正論を言うんだよ!

 

 他にも様々なカードの効果や使い方、相性の良い組み合わせなんかも教えてくれる。その中には実戦向きではないと言いながらかなり面白いコンボもあったから聴いていて楽しかった。授業中昼寝したら怒られるし。でも、先生が授業をしていた最初の頃はあまりデュエルをやってなかったんだ。

 

「んがー!」

「ん?どったの遊矢くん。大丈夫?乳酸菌摂ってる?」

「いや、ヨーグルトは別に嫌いじゃないけど……って、ちがーう!俺が言いたいのはもっとデュエルの実践とかをだな……」

「ほうほう、なるほど……なら、やろっか」

「……えっ?」

 

 俺がそんな事を言った日から、先生は主に実際にデュエルして教えるやり方をするようになった。これは後から聞いた事だけど、先生はこれまで誰かに教える事は後輩に仕事教えた事ぐらいだったから生徒の意見を参考にしてやるようにしてみたんだそうだ。その教えた後輩はすぐに辞めてしまったそうだが……なんだろう、先生と一緒にいると会社とか企業にいいイメージが湧かないや。LDSには元からそんなにいいイメージを持ってないけど……

 

「これで、俺の勝ちだ!」

「それはどうかな?カンコーン!」

「その謎の効果音はなんだ!?あと、効果音は口で言うものじゃないだろっ!?」

 

 それから何回も先生とデュエルしているけど、まだたった一度も勝てていない。最近はハンデを付けてデュエルしているんだけど、それでも勝てない。毎回毎回、ハンデをすり抜けたり逆にハンデを利用したりしてくる。しかし……

 

「先生は同じデッキをまず使わない。それで、今回のハンデはエクストラデッキなし……」

 

 ……これなら、勝てるかもしれない!いや、絶対に勝つ!負けっぱなしは性に合わないんだ!あのターンをスキップする巨大な天使やライフを同じにする天使も出てこず、確実に正解するクイズも使わず、延々と攻撃を防ぎ続けるデッキも使わないなら……!

 

 ……デュエルが始まる前は、そう思っていたんだ。

 

 

◆◆◆

 

「セリオンズ"キング"レギュラスでダイレクトアタック!」

「くっ、アクションマジック回避を発動!」

「ならセリオンズ"キング"レギュラスの効果発動!手札・フィールドからセリオンズと名のつくモンスター……セリオンズ"リーパー"ファムを墓地に送って相手の発動したカードの効果を無効にする!これで君の発動した回避は無効だ」

「くっ、またか!?シンクロや融合やエクシーズモンスターでもないのになんて強力な効果なんだ!?」

 

 まあ、下手なエクストラデッキのモンスターよりも強いメインデッキのモンスターなんていくらでもあるし……分かりやすいのだとパンクラトプスとかかな。あれは初心者にもおすすめできる。

 

「ねぇ、これって……先生は全ての召喚法の使い手なのは知ってるけど。と言うか下手したらいつもよりも生き生きしてない?」

「まさかエクストラデッキを一切使わずにここまでペンデュラム使いを圧倒するとは、な……アクションデュエルではないのは気になるけど」

「くぅ、もう一度戦いたいぜ!なにせ前に俺が戦った時は何もさせて貰えなかったからなぁ!いや、今回も大して何もさせて貰えないような気もするが……」

 

「はい、セリオンズ"キング"レギュラスでダイレクトアタックで終わりっ!」

「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

遊矢 LP 1200 → 0

 

 いやぁ、EMは強敵でしたね……

 

「くそっ、また負けた……」

「ははっ、ざっとこんなものかな。これで30勝目か。そうだなぁ、今回は反省会みたいなのをやってみようかな。はい、私の勝因は主になんでしょうか?」

「はいはい!最後のセリオンズ"キング"レギュラス!回避を無効にしたりする効果が強かった!」

「うん、素良くん正解!ご褒美にこの飴玉をあげよう」

「わーい」

 

 か゛わ゛い゛い゛な゛あ゛そ゛ら゛き゛ゅ゛ん゛

 

「おほん。えっと、他には?」

「はい。先生は最初、惑星探査車の効果で自身をリリースしてフィールド魔法円盤闘技場セリオンズ・リングをデッキから手札に加えて更にそのフィールド魔法の効果でセリオンズ"キング"レギュラスを手札に加えた後、墓地の機械族の惑星探査車を装備して特殊召喚していました。セリオンズ"キング"レギュラスを特殊召喚するには墓地にセリオンズと名のつくモンスターか機械族モンスターが必要だったわ。つまり、先生は惑星探査車を召喚した時から既にそこまで繋げるつもりだったのでしょう?」

「おー、そこまで考えてるなら合格点かな」

 

 流石は私の真澄ん。

 流石だぞ! デュエルのコンボを 理解して いるんだな !

 

「うん。今真澄ちゃんが言ったように自分の使うカードと相性の良いカードなんかは積極的にデッキに入れるべきかな。まあ限度はあるけど……そう言った自分のデッキに合うカードを探す事もデュエルの楽しさの1つなんじゃないかな?特に種族や属性に関するサポートカードはデッキを組む段階で探しておくといいよ」

 

 代表的なのだとオネスト、闇の誘惑、増援、リミッター解除、サルベージなんかかな。

 

「な、なるほど……」

「たしかに、デッキを組む時も楽しいよな!」

 

 うんうん、そう言ってくれると口から出まかせを言ってる身としては冷や汗が出るな!いや、完全に口から出まかせって訳じゃないけど……私、最近勢いで話してるところあるし。

 

「ふむ、じゃあみんなのデッキに合うカードを幾つか挙げてみよう。まずは遊矢くん」

「え、俺ぇ?」

「正直遊矢くんのデッキに合うカードは割と少ない。EMって割と単体で完結してる部分あるし」

 

 って言っておかないとEmと合わせられたら酷くなるからな……

 

「まあEMは種族属性レベルがかなりバラけている。だから正直サポートカードとなるとペンデュラム関連のカードになるからなぁ」

 

 だからと言ってセンサー万別なんて私は絶対に薦めないぞ。遊矢くんには合わないだろうし。決して私が使われると困るとかそんな理由ではない。いいね?

 

「次に柚子ちゃん。彼女のデッキは天使族・光属性で統一されている。これは中々組みがいのある種族属性だぞ」

「そ、そうなの?」

「ああ。まず光属性デッキなら取り敢えずオネストは入れて損はない。天使族関連となると……神の居城ーヴァルハラとかかな。他にも挙げようと思えば幾らでもあるからこれくらいにしとくね」

 

 クリスティアとかクリスティアとかクリスティアとかな。

 

「お次は真澄ちゃん。ジェムナイトは組む方向性によってデッキがかなり変化する面白いデッキだね」

「……と言うと?」

「ジェムナイトは他のカテゴリ……あー、カテゴリって言うのは例えばカードに「○○と名のつく」とかってあるでしょ?その○○の部分を私はカテゴリって呼んでるかな。【EM】や【ジェムナイト】って感じで」

 

 正直、「○○カード」の方が言いやすい。一応他の人らに合わせてるけど……あと、テーマやシリーズなんて呼び方もあるけど、そこら辺は人それぞれだし好きな呼び方でいいんじゃないかな。呼び方なんてどうだっていいんだ、重要な事じゃない。

 

「で、ジェムナイトは……と言うかジェムナイトに限らず他のカテゴリと合わせてもいい。まあ相性はあるけどね……ジェムナイトだと例えばサンダー・ドラゴンを入れるとジェムナイト・プリズムオーラの召喚が、ヴォルカニック・バレットを入れるとジェムナイト・マディラの召喚が楽になるかな」

「……なるほど」

 

 まあ正直マディラそんな強くないけど……もうちょい打点あればなぁ。

 

「後はそうだなぁ……取り敢えず魔法罠を除去するカードは入れておいた方がいいかな。普段よく私とデュエルしている遊矢くんや観戦している他の人は分かってるだろうけど」

「うっ……たしかに先生が罠カードを使うとかなり酷い目に遭ってたなぁ」

「ま、そう言う事だから。何か質問のある人はいるー?」

 

 私が生徒達を見渡すと、1人手を挙げている人がいた……しゃ、社長さん?

 

「え、えっと、なんでしょうか赤馬社長?」

 

 もしかして騙して悪いがされるの……?これが仕事なの?

 

「1つ、聞きたい事がある。君が先程使ったカードは何処で入手したんだ?少なくともセリオンズなんてカード、私は知らない」

「…………」

 

 そ、それ聞いちゃいますか?いやまあ正直に答えるしかないけどね……?下手に誤魔化したら後で酷い目に遭いそう。

 

「……その、気が付いたら持ってました」

「ほう、具体的に言うと?」

「終電で家に帰ろうとする私。日々の仕事の疲れからか睡魔に負けてしまう。目覚めて見知らぬ土地に来てしまった私に対し、その場所舞網市で降りかかる出来事とは……って感じです」

「何1つ分からないんだが」

「すみません、ちょっとズレました。えっと、まあそんな感じでこの街にやって来ちゃったんですけど……デッキはその時に何故かカバンに入っていました。それも大量に」

 

 思えば、結構重かった……

 

「……なるほど。その説明で一応は納得した」

「なら、良かったです」

 

 私としてはそうしてくれると助かる。絶対まだ疑ってるだろうけどな!しかし、私がこの世界に来た理由もイマイチ不透明だな……調べてみてもいいかもしれない。何をどう調べたらいいんだよって話だけど。

 

 ……まあいいや、私は自由気ままにデュエルでもして暮らせればそれで満足だ。あ、この場合の満足は某満足の人とは何も関係ないからね?

 





需要があるかは分かりませんが一応主人公の容姿をPicrewのテイク式女メーカー様をお借りして作ってみました。あくまでイメージですが。

 社畜時代

【挿絵表示】

 現在

【挿絵表示】


と言うか、1話を投稿してからもう半年ちょい過ぎてるんですね……一周年で完結は流石に無理そう。

4月にジェムナイト新規が出るみたいですね。ブリリアントフュージョンを反省したようなカードが出るみたいで嬉しい……ウレシイ……




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26話

どうも皆様お久しぶり、私です(誰だよ)。遅れてすみません。

今回はデュエルなしかつ短めです。許してください何でもしますから!(なんでもするとは言っていない)


 

 赤馬社長が急に見学に来てから数日。遊矢くんはジュニアの大会に参加する資格みたいなのを取りに他の塾生とデュエルを挑んでいた。その試合にみんな行っちゃったから私は手持ち無沙汰になっていた。

 

「先生は行かないの?」

 

「行かないかな。結果なんて分かりきってるからね」

 

 色々叩かれてても遊矢くんは主人公だしこんなところじゃ負けないでしょ。私は暇潰しに最近見かけたトリシューラプリンでも食べようかな?

 

 そうそう、柚子ちゃんは融合の勉強の為に素良きゅんの試合を見に行っているらしい。勉強熱心で何よりだ。

 

「うーん、平和だ」

 

 私は昨日お店で買ったトリシューラプリンを食べながらソファーでぐうたらしていた。かなり高いプリンだから食べるのは週に一度にしている。

 

 これでコーヒーもあればいいんだけどね。

 

「明美ちゃん、貴女今日はする事ないからってダラダラし過ぎじゃない?」

 

「そんな事ないっすよ。あぁ、プリンうめぇ……」

 

 まるで手札と墓地とフィールドのカードをゲームから除外されたかのような美味さだぁ……除外されたカードはきっと征竜が混じってるに違いあるめい。

 

「はぁ、まったく。買い物にでも行ってもらおうかなと思ってたけど……」

 

「えー昨日行ったじゃないですか」

 

「それは貴女が勝手に行っただけでしょ?」

 

「まあそうだけど」

 

 カドショ寄ろうと思ったけどよく考えたら私のデッキケースに大体のカードがあるから必要なかったんだぜ。

 

 と言うかいつの間にかデッキケースに新しいデッキが追加されてるし、どう言う事なんだよ。たしか【ティアラメンツ】だったかな。他にも沢山ある。と言うか無限に湧いてくる感覚すらする。

 

 他にも所持デッキを見返していると私の知らない真新しいカードがいつの間にか投入されてたりしてビビる。おそらく、私が居ない間にOCGで登場したカード……だと思う。多分。

 

「とにかく家でずーっとダラダラしてないで、たまには外出くらいしなさい」

 

「えー……」

 

 折角の休日なのに……

 

「またそのプリン買ってもいいから……ほら、これが買う物リスト」

 

「……なら行こう!」

 

 あのプリンは良いものだ! お値段は少々高くて2700円だけど。隣にあったコーヒーのブルーアイズマウンテン3000円よりかはマシだったけど。

 

「行ってきまーす!」

 

「はぁ、勿体ない……行ってらっしゃい」

 

 こうして私はお買い物に行く事になったのである。主にプリンを買いに。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 しかし、この街の広告看板なんかを見ると遊戯王関連ばっかだな。ワイトとかディアンケトとか。いやまあアニメ遊戯王世界なんだからそりゃそうだろうけど。

 

 買い物は終わった。トリシューラプリンは売り切れだった。解せぬ。

 

「どうしよ、代わりになんか買おうかな……」

 

 とは言え、他に買いたいものなんて……しょうがない。適当にエクレアでも買って食べよ。

 

「うーん、甘くて美味しい。美味しいけど……」

 

 やはり、トリシュじゃなければ満足できねぇぜ……

 

「……遊矢くんの試合でも見に行こ。暇だし」

 

 する事ないから別にいいよね? 幸い、会場は聞いていたから知ってるし。

 

 そう思い立って遊矢くんが今日アクションデュエルを行なっている会場に向かっている途中。

 

「……あれ、先生?」

 

「柚子ちゃんに素良きゅん? どうしてここに……まさか、自力でここまで?」

 

 私と同じ方向に向かおうとしていた2人と会った。たしか、柚子ちゃんは素良きゅんの試合を見に行っていると聞いていたけど……もう終わったのかな?

 

「先生も遊矢の試合を見に行くの? 行かないって聞いてたけど……」

 

「あまりにも暇だったからね。じゃ、一緒に行こっか」

 

 しかし、時間帯的にはもう終わっているかもしれない時間らしく、2人は走って行く訳で……

 

「ぜぇ、ぜぇ……ちょ、ま、はや、」

 

「先生、おっそーい」

 

 やかましい! デュエリストに体力なんていらねーんだよ!

 

 私は今ここに体力不要論を講じる!

 

 アホな事考えてぜーはーぜーはー言いながらもなんとか会場にたどり着いた。どうやら試合はまだ終わっていないらしかった。

 

「や、やっと……着いた……」

 

「よかった、まだ終わってない!」

 

「そして、俺は手札から魔法カード融合を発動!」

 

 ……ぬぬ?

 

「遊矢が融合召喚!?」

 

「いつの間に……と言うか素の融合いつ入れたんだろう?」

 

 融合素材にするのはオッドアイズと星読みの魔術師か。相手のフィールドを見るに出すのはボルテックスじゃなくてルーンアイズ……いや、待て。

 

 相手の女の子可愛い!? 丁度食べご……育ち盛りじゃん!

 

「ああ……勝ったな。丁度締めの部分だけでも見れただけよしとしよう」

 

「そうなの?」

 

「ああ」

 

 ルーンアイズはそこそこフィニッシャーとしての効果を持つからね。つーか壊れた瓦礫みたいなのが見えるんだけど、もしかして崩れたのかな? こんなのがよくあるなら絶対一年に何人か死人出てるでしょこれ。

 

 そして、私の思った通りに遊矢くんが相手をワンキルしていた。初期ライフ4000だと打点上げなくてもそれなりにワンキルが決まるもんだ。

 

「すっごーい! 流石遊矢!」

 

「あれ、先生? 来ないって言っていたけど……」

 

「ああ、暇で。それにしてもいつの間に融合モンスターを……いや、勝利おめでとう。私は見に行かなくても勝つって信じてたけどね」

 

 遊戯王アニメだとデュエル中にエクストラデッキのモンスターが増えたりカードを創造したりするらしいから、そこには突っ込まないでおこっと。そこ考え出すと頭が螺旋のストライクバーストしちゃう。

 

「遊矢、今の……」

 

「あ、ごめん。これ、勝手に使っちゃって……」

 

 そう言って遊矢くんは先程使った融合を柚子ちゃんに差し出す。

 

「これ、返すよ」

 

「え? いいの?」

 

「勿論!」

 

「そいつと一緒に、柚子は今までと違う自分になろうと頑張ってる。今度は俺の番だ。柚子のお陰でヒントを貰った」

 

 あら〜、あんた達本当に仲良いわね。これは柚子ちゃん正ヒロインですわゾ〜。

 

 そう思った矢先。

 

「ミエルの……運命の人ー!」

 

 今の声某少佐じゃね!?

 

「やっぱり貴方が運命の人だったのね! さっきビビッときちゃったの! 占いは間違ってなかったんだわ!」

 

 さっきまでデュエルしていた相手の女の子に遊矢くんは飛び付かれていた。これ絶対はいってるよね。

 

「ちょっと……運命の人ってどう言う事?」

 

 あーらら、柚子ちゃんもオコだよ。

 

「いや、俺もよく分からないんだけど……」

 

「遊矢くん、浮気はちょっと……」

 

「ち、違うんだ先生!」

 

「遊矢〜……!」

 

「いや、だからこれは……!」

 

「何なのよその女!」

 

 リアルでそんなセリフ聞けるとは……ある意味来た甲斐があったな。

 

「待てよ、遊矢くんとこの子が結ばれるとすると……この子が私の妹になるのか!」

 

「先生、その発想は気持ち悪……おかしいと思うよ」

 

 取り繕えてないぞ、素良きゅんや……(泣)

 

「待てよ、元々柚子ちゃんは私の妹みたいなものだから、遊矢くんが新しく女の子囲ってくれると私としてはお得なのでは……?」

 

「先生ぃ……!」

 

「げぇ!」

 

 しまった、こちらにもハリセンの矛先が向いてしまった! ハリセンの矛先ってなんだよ(自問自答)

 

 取り敢えず、その場から離れて会場の外まで来た。なお、声帯がどっかの魔法少女な女の子はずっと遊矢くんにくっついていた。

 

「ダーリン……♡」

 

「くっ……羨ましいぞ、遊矢くん!」

 

「え、えぇ……?」

 

「だーかーらー! いつまでくっ付いてるのよ!」

 

「私も遊矢にくっつきたいのに……」

 

「え、ゆ、柚子まで……?」

 

「ち、ちが……! ちょっと先生、勝手に私の真似しないでください!」

 

 えー?

 

「折角柚子ちゃんの内心を代弁してあげたのに……」

 

「それって……」

 

「わあぁぁぁぁぁぁ!!! 私にはそんな本心ありません! いーい?」

 

「「はい」」

 

 柚子ちゃんは嘘付かないからきっとそうだねうん。

 

「それで、2人は付き合うの?」

 

「当たり前よ!」

 

「そんなの認めないわよ!」

 

 これは、アレだな……あの流れだな。

 

「なら、デュエルで決着をつければいいじゃない!」

 

「先生、いつもそればっかり……」

 

「え、私だけが?」

 

 他の人も内心そう思ってるでしょきっと。

 

「なるほど……それなら負けないわ。貴女の運命、占ってあげる!」

 

「うっ……丁度今、デッキは調整中なのに……」

 

 素で言ってるのは分かるんだけど、調整中とか言われると笑っちゃう。悔しい。

 

「……んもーしょうがないわね。だったら代わりに私が相手を務めようじゃないか」

 

「え、先生が?」

 

「仮にも柚子ちゃんのお姉ちゃんだからね!」

 

「はぁ?」

 

 柚子ちゃん……そんな心愛ちゃんを見るチノちゃんみたいな視線を向けないで欲しい。興奮しちゃうゲフンゲフン。

 

「ふーん、誰だと思ってたけど……なるほどね。なら、相手にする理由は充分よ!」

 

「ふぅん、気合いは充分のようだ……」

 

「私は方中(ほうちゅん)ミエルよ」

 

「私は藤野明美。よろしくね……行くぞッ!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、先生が柚子の姉だと思われてるままなんだけど……」

 

「別にいいんじゃない?」

 

「よくないっ!」

 





お気付きの方もおられると思いますが私の好きな声優は悠木碧さんと子安武人さんです(他にもいっぱいいるけど)

ミエルちゃんは好きなキャラだし他の連中と違って使用カードもOCG化してるので出します。

Q.一ヶ月の間何してん?

A.なろうで投稿頑張ってた。よければそっちで投稿している作品も見てくれると作者が喜び庭駆け回り枯れ木に残らず花が咲きます。
名義は同じ紙吹雪、作品名は『魔王様は逃げられないっ!』です。
別に光堕ちした方が強かった時期もあったあの方とは関係ないです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

27話

遅れてすみませんなんでもしますから!(何でもするとは言っていない)

本当は皆さんが予想していた【フォーチュンレディ】を予定してたんですけど、最近私好みの新規が出たので急遽変更しました。

まあキット・イツカ、イツカ・ドコカやると思います……多分。
そこまで辿り着くと信じて夢を見続け彷徨います。

お気に入り1500超えありがとナス!


 

「先攻はミエルのようね。ミエルのターン、ドロー!」

 

 うーん、どう聞いても蜘蛛子ボイス。そして一人称が自分の名前。ここから導き出されるアンサーは1つ。

 

 この子は私の性癖にガングニールしようとしてるのか? こんなの円環の理に還っちゃいそうなんだが? 鳩尾にハデス食らった気分なんだが……ここは耐えるのよ私。

 

「ミエルは手札から魔法カード儀式の下準備を発動! デッキから儀式モンスターとそのモンスターの名が記された儀式魔法を手札に加える!」

 

「ほほう、儀式か。いい趣味してるじゃん」

 

「褒めても何も出ないわよ」

 

 儀式かぁ。最近使ってなかったから見るのは割と久しぶりになるかな。

 

「ミエルは聖占術姫タロットレイと聖占術の儀式を手札に加えるわ!」

 

「一気にカードを2枚も手札に加えるなんて……」

 

「まだそんなカードを持っていたのか……」

 

「へー」

 

 素良きゅん興味無さ気で草。それよりも、雰囲気からしてこのターンで来そうだ。

 

「ミエルは先程手札に加えた儀式魔法聖占術の儀式を発動! 手札の占術姫クリスタルウンディーネと占術姫アローシルフをリリースする! 全てを見通す、太古の巫女よ! 古の秘術にて今蘇れ! 儀式召喚! レベル9! 聖占術姫タロットレイ!」

 

 早速だねぇ。うへひひひ。

 

 

聖占術姫タロットレイ

儀式・効果モンスター

星9/光属性/天使族/攻2700/守1200

「聖占術の儀式」により降臨。

「聖占術姫タロットレイ」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、

いずれか1つしか使用できず、相手ターンでも発動できる。

(1):フィールドの裏側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを表側攻撃表示にする。

(2):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを裏側守備表示にする。

(3):自分エンドフェイズに発動できる。

自分の手札・墓地のリバースモンスター1体を選んで裏側守備表示で特殊召喚する。

 

 

 ……最近、レベル9を見るとV F Dしか思い付かないのは何故だろうね。ははは。はは……は……

 

「これから義姉になる貴女もミエルが占ってあげるわ」

 

「なりません!!」

 

 ミエルちゃんが何か言っておられる。柚子ちゃんは怒っておられる。

 

 何をするのか見守っていると、タロットレイから何かのカード……あ、タロットカードか。なるほどなるほど。そう言えばそれが元ネタみたいなものだったかな?

 

 占いか。社会のアンティークギアと化していた時は全く信じてなかったけど、今ここ遊戯王ワールドなんだよね……オカルトとか妙に発展した科学技術とかある世界だから普通に信憑性が高いんだよね。変な結果が出ないといいけど。

 

「貴女の運命を示すカードは……『死神』の正位置よ!」

 

「死神の正位置……」

 

 ……流石に不安なんだが。

 

「これは、貴女の何かが終わる事を暗示しているわ……でも、終わらなければ始まりもない。中途半端だと必ず後悔することになるわ」

 

「命が終わる可能性ってないんですかミエル氏ちゃん様」

 

「何よその敬称……んん、それはない筈よ」

 

 よし、お墨付き貰ったな。これで命の保証は貰ったぜ!

 

「何かが、終わる……?」

 

「一体何が終わるんだ?」

 

「それはミエルにも分からないわ……でも、必ずしもマイナスに働くとは限らない。案外悪くない結果じゃないかしら?」

 

 だといいけど……こうやって遊戯王やってる時間が終わってまた会社勤めになる暗示じゃないだろうな……?

 

「ミエルは更にモンスターを裏守備でセット。そしてカードを1枚伏せてターンエンドよ……そして、タロットレイのモンスター効果発動! エンドフェイズに墓地のリバース効果モンスター1体を裏側表示で特殊召喚する! ミエルは占術姫アローシルフを裏側守備表示で特殊召喚! さあ、貴女のターンよ」

 

「……私のターンドロー」

 

「先生、なんでいきなりどんよりしてるのよ?」

 

「ごめん、ちょっとヘルシェイク矢野のこと考えてた」

 

「誰よ!?」

 

 僕だ! と、茶番はこれくらいにして。今の手札が意外とアレだったけど、ドローでなんとかなったな。つーかこのデッキ回すの何気に初めてだな。最近なんか気が付いたらデッキケースに入ってたシリーズのやつだし。

 

「私は魔法カード金満で謙虚な壺を発動。エクストラデッキからカードを3枚または6枚裏側表示でゲームから除外し、除外した枚数だけデッキの上からカードをめくる。その中からカードを1枚選んで手札に加え、残りは好きな順番でデッキの下に戻す……っと」

 

 さあ、めくったカードを見てみよう。

 

灰流うらら

古衛兵アギド

手札抹殺

おろかな埋葬

地霊媒師アウス

無限泡影

 

 ……うーん。

 

「私は地霊媒師アウスを手札に加え、残りはデッキボトムへ。さらにこのターン、私が与える戦闘ダメージが半分になるわ」

 

「戦闘ダメージが半分になるなんて、中々のデメリットね?」

 

「いや、ぶっちゃけライフ8000削り切れるなら大して……」

 

「へ?」

 

 ここにもライフ4000による被害が……少なく感じるんだよねぇ、私としても。

 

「私は手札の他の地属性モンスター1体と自身を捨て、地霊媒師アウスのモンスター効果を発動。捨てたモンスターのいずれかと同じ種族で、攻撃力が1850以下の地属性モンスター1体を手札に加える。私が捨てた古衛兵アギドは天使族、地霊媒師アウスの魔法使い族。よって、私はデッキから地属性の天使族または魔法使い族を手札に加えられる。私は地属性で天使族、攻撃力は1500の剣神官ムドラを手札に加える。なお、アウスの効果を使ったターン、私は地属性モンスター以外の効果を発動することができない」

 

 丁寧にすると結構長くなるねこれ。宿神像ケルドウサーチしても正直ケルドウのサーチ対象が軒並み手札にいるから今回はやらない方がいいかな。

 

 

地霊媒師アウス

効果モンスター

星5/地属性/魔法使い族/攻1850/守1500

このカード名はルール上「霊使い」カードとしても扱う。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと地属性モンスター1体を捨てて発動できる。

元々の種族が捨てたモンスターのいずれかと同じで、

攻撃力が1850以下の地属性モンスター1体をデッキから手札に加える。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は地属性以外のモンスターの効果を発動できない。

(2):自分の地属性モンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

 

 

「このターン、地属性のモンスターしか効果を使えない……」

 

「また先生が知らないデッキ使ってるわ」

 

 遊矢くん、正確に言うと「発動できない」だから永続効果や発動しないタイプの効果なら使えるよ。

 

「おっと、ここで先程私が手札から捨てた古衛兵アギドの効果を発動。このカードが手札かデッキから墓地に送られた場合、お互いのデッキからカードを5枚ずつ墓地に送るよ」

 

「まさか、デッキ破壊……?」

 

 勘のいい悪いに関わらず幼女は好きだよ(真顔)。

 

 ところで、私の墓地に落ちたカードを見てくれ。こいつをどう思う?

 

 

ハーピィの羽箒

増殖するG

おろかな副葬

虚無空間

森と目覚めの春化精

 

 

 凄く……酷いです。いやまあ虚無空間は回収手段と破壊を防ぐ手段あるから悪くはないんだけどね? 春化精も同じく。

 

「更に私の墓地に現世と冥界の逆転があれば自分または相手のデッキから更にカードを5枚墓地に送るけど……ないから省略するね。おっと、手札からもう一枚の古衛兵アギドの効果を発動するね。このカードはデッキまたは手札からカードが相手の墓地に送られた場合に発動できるよ。手札から自身を特殊召喚する。その後、墓地の古衛兵アギド以外の天使族・地属性モンスターを特殊召喚できる。私は墓地の森と目覚めの春化精を特殊召喚! 2体とも守備表示で」

 

 

古衛兵アギド

効果モンスター

星4/地属性/天使族/攻1500/守1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札・デッキからカードが相手の墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、自分の墓地から「古衛兵アギド」以外の天使族・地属性・レベル4モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

(2):このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動できる。

お互いのデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

その後、自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する場合、

自分または相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る事ができる。

 

 

「モンスター効果を自在に操る……ダーリンのお姉様なだけあって手強いわね」

 

「だから違うって言ってるでしょ!?」

 

「え、何か変なところでも?」

 

「さも当然のような顔をするなぁ! 遊矢からも言ってやってよ!」

 

「ま、巻き込まないでくれよ〜……」

 

 情けないぞ遊矢くん。

 

 え、お前が言うな?

 

 はっはっは、何のことやら。

 

「おほん。えーと、今のミエルちゃんの墓地の枚数は……8枚か。んで、私の方が7枚っと……」

 

 私の方はエクシーズ素材にして墓地に送るなりしないといけないかな。ミエルちゃんの方はまあなんとかなるやろ〜。

 

「……何を言ってるの?」

 

「こっちの話。じゃ、行こうか。私はレベル4の古衛兵アギドと森と目覚めの春化精でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

「エクシーズまで扱えるなんて……!」

 

「現れよ、ランク4! 恐牙狼 ダイヤウルフ!」

 

 現れたのは凛々しい狼。今まで出てきたのが天使族だから若干合わないね。まあすぐ墓地に逝くからいいけど。本当はバグースカ出したいけど……ある程度墓地肥さないとだからね。カステルはアウス君ちゃんのデメリットでこのターン使えないし。

 

「ダイヤウルフの効果発動。オーバーレイユニットを1つ使い、私のフィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体とフィールドのカード1枚を破壊する。私はダイヤウルフ自身と君の伏せカードを破壊する!」

 

「自爆!? まあ、いいわ……」

 

 破壊した伏せカードは黒猫の睨み。まあ予想通り。それよりも、破壊された時に一瞬現れた黒猫が気になる。

 

「黒猫が4匹……ダーリン程じゃないけど不吉ね」

 

 ミスタいじめはやめて差し上げろ。

 

「さて、これでミエルちゃんが9枚で私が10枚っと……」

 

「それより先生、大丈夫なの? 先生のフィールドにモンスターはもう0だし……」

 

「デッキ破壊は今まで何度かされたけど、このペースじゃ先に先生のライフが尽きるぞ?」

 

「大丈夫ー。私は手札から天使族・地属性モンスターを1体捨て、剣神官ムドラのモンスター効果を発動。自身を特殊召喚する。その後、デッキから墓守の罠1枚を表側表示で置く事ができる」

 

「永続罠カードを表側表示でデッキから置く……?」

 

「まーた先生がよく分からないカード使ってる……」

 

 よく分からないとは失礼な。灰流うららに引っかからない最強のサーチやぞ。

 

 

剣神官ムドラ

効果モンスター

星4/地属性/天使族/攻1500/守1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札から他の天使族・地属性モンスター1体を捨てて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、デッキから「墓守の罠」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く事ができる。

(2):自分・相手ターンに、フィールド・墓地のこのカードを除外し、

自分・相手の墓地のカードを合計5枚まで対象として発動できる。

そのカードをデッキに戻す。

自分のフィールド及び墓地に「現世と冥界の逆転」が存在しない場合、この効果の対象は3枚までとなる。

 

 

「さてと。手札から墓地に送られた古尖兵ケルベクの効果を発動させてもらおう。お互いのデッキからカードを5枚ずつ墓地に送る」

 

「また? その程度じゃミエルのデッキを削り切るなんて夢のまた夢ね」

 

「お、そうだな。んでもって私の墓地に現世と冥界の逆転が存在する場合、更に墓地の罠カードをセットする事ができる……おお、落ちてるやんけ。私は現世と冥界の逆転をセット!」

 

「な、何よその罠カード……嫌な予感がするわ!」

 

「勘がよろしいようで何より」

 

 実際、エラッタ前は凶悪だった……何処ぞの処刑人やファイアウォールとかよりかはよっぽどマシだけど。

 

 それより落ちたカード見てよこれぇ!

 

無限泡影

運命の抱く爆弾

宿神像ケルドウ

手札抹殺

現世と冥界の逆転

 

 うん……悪くないね! (目逸らし)

 

「デッキまたは手札から運命の抱く爆弾が墓地に送られたのでその効果により墓地のレベル4・天使族・地属性モンスター1体を手札に加える……私は古衛兵アギドを手札に加える」

 

 さて、これでお互いに14枚になったね。

 

「墓守の罠の効果を発動。手札を1枚捨て、デッキから墓守と名のつくモンスターまたは天使族・地属性モンスター1体を手札に加える。私は古衛兵アギドを捨て2枚目の古尖兵ケルベクを手札に加えるね」

 

 ふむ……これで私の方は15枚っと。残り1枚は……墓守の罠ではたき落としすればいいか。

 

「自分のフィールド上に天使族・地属性モンスターが存在する場合、予見者ゾルデは手札から特殊召喚できる! その後、お互いのデッキの上からカードを5枚確認する。ここの確認は最初に私が使った金満で謙虚な壺の『めくる』とは違って私だけが見ることができるから注意してね」

 

「覗き見なんて……!」

 

「占いも極論すれば覗き見になるのでは?」

 

「た……たしかに」

 

「納得できる要素何処!?」

 

 柚子ちゃんのツッコミ性能がさ◯まさんレベルになってきた気がするぜ。

 

 私のデッキトップ見るのはどうでもいいとしてミエルちゃんのデッキトップはっと……

 

占術姫コインノーマ

サイクロン

ブラックホール

月の書

占術姫ウィジャモリガン

 

 えっと、何これ怖い。汎用カードの暴力を見てしまった。まあ月の書は相性いいからね……

 

「なるほどなるほど……私はこれでターンエンド……準備は整ったかな」

 

「ふーん……攻撃はしないのね。ミエルのターン!」

 

 しても意味ないからねえ……

 

「ここで墓守の罠の効果発動。相手がカードをドローする前にカード名を1つ宣言する。そしてドローしたカードをお互いに確認して、宣言したカードだった場合は墓地に送る。私も実は占いができるから次の君のヒクカードハマルワカリダヨ」

 

「途中から棒読みじゃないの! ついさっき予見者ゾルデの効果で私のデッキの上から5枚のカードを確認した癖に……!」

 

「あっはっは」

 

 中々相性良いんだよねぇ、これ。

 

「つまり、あの女は墓守の罠を何とかして破壊しない限りこれから5ターンの間ドローできない……?」

 

「先生……容赦なさ過ぎ……」

 

 手加減したら相手にも失礼だと思う派閥なんで……

 

「安心して、ダーリン! 今の手札でもなんとかしてやれるわ……ミエルの本気、見せてあげる!」

 

「くっくっく……いつから私が5ターンも待つと勘違いしていた?」

 

「え?」

 

 さあ、行こう。ドローできない絶望とデッキが無くなる絶望と墓地が利用できない絶望を味わうんだな!

 

「リバースカードオープン! 現世と冥界の逆転!」

 

「それは、さっき古尖兵ケルベクの効果でセットした罠カード……」

 

「この罠カードはお互いの墓地が15枚以上の場合にライフポイントを1000ポイント支払って発動できる。効果は単純明快。お互いのデッキと墓地を入れ替え、デッキをシャッフルする」

 

「「「なっ!?」」」

 

 

現世と冥界の逆転

通常罠

「現世と冥界の逆転」はデュエル中に1枚しか発動できない。

(1):お互いの墓地のカードがそれぞれ15枚以上の場合に1000LPを払って発動できる。

お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキと墓地のカードを全て入れ替え、

その後デッキをシャッフルする。

 

 

「墓地とデッキを入れ替えるなんて……! で、でも! そんな事してもミエルのデッキ枚数が15枚になるだけ。そんなに致命的ではないわ!」

 

「それはどうかな? 私は現冥にチェーンして墓地の宿神像ケルドウと剣神官ムドラの効果を発動する!」

 

「チェーン……えっと、たしか逆に処理していくん、ですよね?」

 

「exactly(その通りでございます)。ケルドウとムドラの効果は同じ。フィールド・墓地の自身を除外し、自分または相手の墓地のカードを5枚までデッキに戻す。フィールド・墓地に現冥がなければ選べるカードは3枚になるけどね」

 

「えーと、この場合は……宿神像ケルドウと剣神官ムドラの効果が先に反映されて……」

 

「私は当然ミエルちゃんの墓地のカードを計10枚戻すよ。んで、残された墓地のカード5枚がデッキになるってこと」

 

「こ、こんなデッキ破壊……初めて見た」

 

 まあややマイナーではある。いや、そんな事ないか? デッキ破壊と言ったらこれな気もするな……ヘルテントーチとかの方がぶっ飛んでておかしい筈。

 

「ちなみにだけどこの時墓地に行くカードは墓地に送られた処理とは扱われないからねー」

 

「え、なんか関係あるのか?」

 

「うん、あるけど意味ないかな」

 

「墓地に送られたのとは扱われないなら……! 私は墓地の聖占術の儀式の効果を発動! このカードを除外してデッキから占術姫と名のつくモンスターを……発動できない!?」

 

「墓守の罠のもう一つの効果。フィールド・墓地に現世と冥界の逆転が存在する場合、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地からモンスターを特殊召喚できない」

 

「そ、そんな……」

 

「まあ、それ以前の話なんだけどね……墓守の罠の効果。手札を1枚捨てて墓守または天使族・地属性モンスターを手札に。私は手札の古尖兵ケルベクを捨てて……そうだなぁ、楽天禍カルクラグラでも手札に加えよっと。この時ケルベクの効果でお互いのデッキからカードを5枚墓地に送る。墓地に現冥があるので私は墓地の罠カード虚無空間をセットする」

 

 これで、ミエルちゃんのデッキは0枚。残り2枚の手札が気がかりではあるけど……

 

「ミエルは……ターンエンドよ……」

 

「あーらら。私のターンドロー。ターンエンド」

 

 まあサレンダーしないところはちょっと好感持てたよ。私ならはいはいサレってしてたかもしれん。

 

「ミエルの負けよ……ダーリンのお姉さんなだけあって、凄く強かったわ」

 

「まあ、姉としてそう簡単には負けられないよ。良かったらうちの塾においで。色々と教えてあげるよ」

 

「……考えてみるわ、お義姉様!」

 

 私は頑張るロリとショタの味方だからね。負けてそこまで落ち込んでないようで何よりだ。頭を撫でてあげよう。ぐへへへ……

 

 

 

 

 

 

 

「だーかーらー! 違うって言ってるでしょうに!!」

 

「そ〜……」

 

「遊矢も逃げないでッ!」

 

「げっ、バレた!?」

 

「(あのデッキ厄介だなぁ〜……)」

 




ちょっと長くなった。

今回のデッキはスキルドレインと相性がよいのでお気に入りです。

スキルドレインと相性がよい(大切なことなので2回言った)

先生「投稿遅れるお詫びと暇潰しにちょっとした解説をしてみるコーナー! 解説役は私と……」

沢渡「この俺様★沢渡さんがやるぜ!」

先生「なんか草。まあいいや、今回はこれだね。『手札からカードを捨てる』について」

沢渡「この場合は墓地に送るに含まれるんだったか?」

先生「その通りです。なので古衛兵アギドや古尖兵ケルベクの『手札またはデッキから墓地に送られた場合』の効果を使う事ができます」

沢渡「ただし、シャドールみたいな『効果で墓地に送られた場合』の効果はちょっと違うな」

先生「ええ。捨てるのは大抵効果ではなくコストですからね。まあ効果で捨てるカードもありますけど。暗黒界の雷とか、未界域とかですね」

沢渡「暗黒未界魔轟神使ってる人ならもっと理解してそうだな?」

先生「そうなんじゃね? さて、もっと初心者が躓きやすそうなワードがありますね?」

沢渡「そうだな。その一つであるだろうコストについては……ちょっと長くなるからまた次回以降だな!」

先生「ですかねぇ。では、また次回〜」

沢渡「安心してくれよな! もし遅れたら俺が作者をしばき回すからよ!」

紙吹雪「え、待って聞いてない……あと沢渡さんなんかキャラがおかs」

追記:順番おかしくなってたのを調整したのと誤字修正しました。
  誤字指摘ニキネキありがとナス!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

28話

最近TRPGしてねーなぁ……

なろうで投稿してる作品の方も見てくださると作者が鳴いて悦び庭駆け回り跳び上がって月まで到達して令和のガガーリンになります。

なお、今回のデュエルは例のあの人のターンのみになります。


 

 私には後悔が多い。大体その場の雰囲気によく流されて行動するからだ。覚えてる失敗の数なんて幾らでもあるし、黒歴史も量産された。え、私の黒歴史が知りたい? お巡りさんこいつです。

 

 失敗にはいくつかの種類がある。

 

 単に知識もしくは経験の不足。ケアレスミス。勘違い。

 

 それらは大体もう一度やれば正す事ができる類いの失敗だろう。取り返しの付かない失敗なんて普通の人生には早々ない筈だ。アニメや小説じゃあるまいし。数年後に酒の席で笑って肴にできるような失敗が殆どではないだろうか。

 

 あ、受験とかはまた別の話よ?

 

 んで、なんの話だったっけ……ああ、そうだそうだ。失敗についてポエム作ってる……もとい、語ってるんだった。

 

 私はね、これでも慎重かつしっかりと準備をして事に臨むタイプなのだよ。「なので(ガバは)ないです」とは言い切れないけど。謙虚だなー憧れちゃうなー。いや待てよ寧ろここは敢えてそう発言する事で笑いを取りに行くべきか……?

 

 おっと、話を戻すね。まあお察しの通り、たまには失敗しちゃう訳。専門用語でうっかりもしくはガバと言われるそれ。

 

 集中力の問題だろjkだのお前はいつもツメが甘えんだよだの言われると思うよ。あれ、なんかRTAの話になってるような……まあええや。

 

 RTAはあくまでゲームだからね。登山の奴とかも含めて練習は出来る。けど、人生だと……んにゃぴ。

 

 人生、何が起こるか分からないから。

 

 真剣勝負ではあらゆる手を尽くして準備をする。何が起こっても取り乱さず、リカバリできるように備える。それが私の信条だった。

 

 ……でもね、ガバは起こるさ。割と、唐突にね。

 

 見ている側だと楽しいけれど、やってる側はマジ勘弁だからね。その事を忘れないように、ね。

 

 ……私は常に見ている側にいたいけどね!

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 目の前に倒れている3人の容態を確認する。別に医学知識もなんもない一般通過市民な私だけれど何もしないよりかはマシだろう。とは言え大した事は出来ないが。

 

 ……呼吸はちゃんとしている。脈拍も問題ない。多分デュエルの衝撃で気絶しただけだろう。いやデュエルの衝撃ってなんだよ。いや、アニメだとこれが普通なんだっけ?

 

 私は立ち上がり、その惨状を作り出した張本人……黒咲隼に歩み寄る。ただし、近付き過ぎないように。物理で来られると負ける。もやしとクロワッサンじゃカロリーが違いすぎる。

 

「派手にやるじゃん」

 

「貴様はたしかユートが言っていた……」

 

「藤野明美。ちょっと前まではOLだったけど今はデュエル塾の講師をしている」

 

 昔、つべで見たっけ。ま、私としては使用デッキさえ知っていれば今は問題ないが。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

「……貴様はこいつらとは大した関係でもないだろう。何故怒っている?」

 

 別にね、怒ってないですよ? いやぁ私をキレさせたら大したもんだははは。ほら今だってこんなに笑ってるじゃんか。にっこりスマイルで口も弧を描いてるよ。

 

「以前、顔を合わせた。その時この子らと縁が出来た……なーんて。顔見知りが重傷っぽくて、怪我負わせた下手人がその場に居ればそりゃあね?」

 

「ふん、くだらん」

 

「で、デュエルできないのか?」

 

「……いいだろう。ユートから聞いていた貴様の実力、見せて貰おう!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 私は……相変わらず気持ちの整理が下手くそだ。先程まではのんびりだったからだろうか。シリアス嫌いだからだろうか?

 

 ……どうでもいいな。こいつにも事情があるかもしれないけど。

 

 ぶちのめす。久しぶりに、本気で。

 

 ああ、でも、少し怖い。足が震えているのかもしれない。もし指摘されたら武者震いとでも言い訳しようか。

 

「……先攻は君だね」

 

「……俺のターン! 手札からRR-バニシング・レイニアスを召喚。 バニシング・レイニアスのモンスター効果発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンに一度だけ、手札からレベル4以下のRRを特殊召喚することができる。俺は手札のRR-ミミクリー・レイニアスを特殊召喚!」

 

 

RR-バニシング・レイニアス

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1300/守1600

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの

自分メインフェイズに1度だけ発動できる。

手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

RR-ミミクリー・レイニアス

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1100/守1900

「RR-ミミクリー・レイニアス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。

自分フィールドの全ての「RR」モンスターのレベルを1つ上げる。

(2):このカードが墓地へ送られたターンの自分メインフェイズに、

墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「RR-ミミクリー・レイニアス」以外の「RR」カード1枚を手札に加える。

 

 

 いつ見てもメカメカしい鳥獣族だ。個人的にはBFの方が好みだったな。こっちも嫌いじゃないけどね。

 

「更に永続魔法ラプターズ・ネストを発動! 1ターンに1度、自分フィールドにRRが2体以上存在する場合、デッキ・墓地からRRを1体手札に加える。俺はデッキからRR-ファジー・レイニアスを手札に加える」

 

 ふむ……純構築っぽいな。まあアニメのキャラは大体純構築だろう。アニメ殆ど知らないから偏見かもしれないけどさ。

 

「俺はRR-バニシング・レイニアスとRR-ミミクリーで、オーバーレイ! 冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実を暴き、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ! エクシーズ召喚! 飛来せよ、ランク4! RR-フォース・ストリクス!」

 

 

RR-フォース・ストリクス

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/鳥獣族/攻 100/守2000

レベル4モンスター×2

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールドの鳥獣族モンスターの数×500アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4モンスター1体を手札に加える。

 

 

 初手として理想的な回転だな。守備表示だし。リンク無くてよかったやもしれん。

 

 ヴェーラーもうららも残念ながらお留守だ。だけど……代わりにこれがある。

 

「フォース・ストリクスのエクシーズ召喚成功時、手札からディメンション・アトラクターの効果を発動。私の墓地にカードが存在しない時、このカードを捨てることで次のターン終了時までお互いの墓地に行くカードは全てゲームから除外される……」

 

「……くっ! 流石はユートが危ないと言っていただけはある」

 

 

ディメンション・アトラクター

効果モンスター

星6/闇属性/魔法使い族/攻1200/守2200

(1):自分の墓地にカードが存在しない場合、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

次のターンの終了時まで、墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「……俺はフォース・ストリクスのモンスター効果発動! オーバーレイユニットを1つ使い、デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスター1体を手札に加える。俺が手札に加えるのはRR-シンギング・レイニアスだ。そしてシンギング・レイニアスは自分フィールドにエクシーズモンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!」

 

「本来墓地に送られるオーバーレイユニットだが、ディメンション・アトラクターの効果によりゲームから除外される……」

 

 まだ展開するつもりか。使ったエクシーズ素材は当然バニシングの方だった。まあ、誰だってそうする。私もそうする。

 

「更に手札からRR-ファジー・レイニアスのモンスター効果発動! 自分フィールドに同名カード以外のRRがいる場合、手札から特殊召喚できる!」

 

 

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻 500/守1500

「RR-ファジー・レイニアス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、

このカードの効果を発動するターン、自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。

(1):自分フィールドに「RR-ファジー・レイニアス」以外の

「RR」モンスターが存在する場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「RR-ファジー・レイニアス」1体を手札に加える。

 

 

「俺はシンギング・レイニアスとファジー・レイニアスでオーバーレイ! エクシーズ召喚! RR-フォース・ストリクス!」

 

 ふむ……2体目か。

 

「俺は2体目のフォース・ストリクスのモンスター効果発動! オーバーレイユニットを1つ使い、デッキからRR-ブースター・ストリクスを手札に加える」

 

 おっと、守りを固めに来たか。どう処理しようかな……若干怠いな。今回は普通の……普通かどうかはまた別としてビートダウンデッキだし。

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 ハンドレスになったな。RRの伏せカードと言ったら……ゴドバ、レディネス、ラプターズガスト辺りか? シンプルに神宣とかなら笑うが。私の勘だけど……片方はレディネスな気がするぞ。

 

「……」

 

「どうした、臆したか?」

 

「いや……」

 

 たしかにカードが実体化するとか言う謎技術は怖い。ただ……

 

 

「随分と私は冷静だな……と、ね?」

 

 ……いつの日かの記憶が蘇る。

 

 

『心に火を灯し、頭をキンキンに冷やすんだ……』

 

『自分を失くして行くんだ……そうだな、人形になればいい』

 

『負けるのを恐れるな。負けて死ぬわけでもないだろうし、な?』

 

『そんなにビビるなよ、慣れれば簡単な事だぜ?』

 

 

 これは私が何歳の時の記憶だろうか。よく覚えていない。そもそも誰の発言なのかも分からない。いやでも割と最近な気もするような。いや、今はいい。

 

 別に、負けるのはいい。だけど……

 

「後悔したくない。ミスが怖い。恐れるな? 怖いに決まってる。言い訳は醜いぞ……」

 

「……?」

 

 

「私の、ターン!」

 

 これから始めるのは反逆でも仕返しでもない。そんな高尚な事は私にはとても理解できない。

 

 だから……これは。

 

 ただの苛立った元OLの、やつあたりだ。

 

 




赤馬社長「なんかあの変な教師おる……せや、見守ったろ!」(意訳)

なんか、らくがきじゅうがOCG化しとる……マジかよ。

メル・ゼナ強くて草枯れる。ソロ討伐無理やろあれ。

風花雪月無双楽しみ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

29話


遅くなってすいません。今回はクロワッサン視点です。

最近投稿が遅れ気味なのは色々と新しく書いてみたい作品があって悩んでたからです。決して風花無双とかサンブレイクとかTRPGで遊んでたからではありません。イイネ?

マジレスすると筆が最近めっちゃ鈍いです()


 

 俺から瑠璃を奪った敵……赤馬零王から瑠璃を取り戻す。その為に彼の息子赤馬零児をLDSの人間をカードにして誘き出し、人質交換を行う。

 

 瑠璃を取り戻す為ならば、俺はどんな困難な状況だろうと乗り越えてみせる覚悟がある。

 

 ——だから、目の前のこのよく分からない女も乗り越える壁の1つなのだろう。

 

 

黒咲隼 LP 4000 手札×1枚(RR-ブースター・ストリクス)

RR-フォース・ストリクス×2

魔法・罠 2枚

 

藤野明美 LP 4000 手札×5

なし

魔法・罠 なし

 

 

 この女は手強い。先ほどの3人とは違う。強い意志を感じる。

 

 ユートによるとエクシーズを使ってくると聞いたが、どう来る……?

 

「手札から魔法カード、強欲で謙虚な壺を発動。デッキの上からカードを3枚めくる。その中から1枚選び、残りはデッキに加えてシャッフルする。また、私はデメリットとしてこのターン特殊召喚をおこなうことができない」

 

「……何?」

 

 特殊召喚を行えなくなるカードを使う、だと? ユートから聞いていた戦い方とはまるで違う。しかし、この女は先程ユートと言う名前に反応した。別人とは考えにくい……まさか、複数のデッキを扱うデュエリストなのか?

 

 捲られたカードはお互いに確認する。これで奴のデッキのことが少しはわかるだろう。

 

ライトニング・ストーム

テラ・フォーミング

浮幽さくら

 

 ……テラ・フォーミング以外は知らないカードだな。たしか、フィールド魔法をサーチする魔法カードだったな。生憎、周りで使っている者は少なかったが。

 

「……ただ、のんびりと、遊んでいたかったんだ。私は」

 

「……何の話だ?」

 

「なんでもない。私はテラ・フォーミングを手札に加えて残りをデッキに戻す。そしてテラ・フォーミングを発動。デッキからフィールド魔法1枚を手札に加える……私が手札に加えるのはふわんだりぃずと謎の地図」

 

 どうやら、奴のデッキはフィールド魔法を基点とするデッキらしいな。なら、話は早い。そのフィールド魔法を破壊してやれば奴の動きは停滞する筈だ。

 

「私はフィールド魔法ふわんだりぃずと謎の地図を発動。発動時何かありますか?」

 

「……いや」

 

 少々悩んでから俺は否と答えた。何故、そんな事を聞いた……? そんな事をご親切にわざわざ聞くデュエリストなぞ聞いたことがない。

 

「そう。なら、いい。私はふわんだりぃずと謎の地図の効果発動。手札のレベル1のふわんだりぃずモンスター1体を相手に見せ、見せたモンスターとはカード名が異なるふわんだりぃずカードを1枚除外する。その後、見せたモンスターを召喚する。私はふわんだりぃず×ろびーなを見せ、デッキから永続魔法ふわんだりぃずと未知の風をゲームから除外する。そして、ふわんだりぃず×ろびーなを召喚する」

 

 

ふわんだりぃずと不思議な地図

フィールド魔法 (準制限カード)

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

手札からレベル1の「ふわんだりぃず」モンスター1体を相手に見せ、

見せたモンスターとはカード名が異なる「ふわんだりぃず」カード1枚をデッキから除外する。

その後、見せたモンスターを召喚する。

(2):相手がモンスターの召喚に成功した場合に発動できる。

自分は「ふわんだりぃず」モンスター1体を召喚する。

 

 

 ……レベル1・鳥獣族モンスター、か。わざとではないとしても瑠璃の使うモンスターと似たレベル・種族のモンスターを使うとは腹立たしい女だ。

 

「私はふわんだりぃず×ろびーなのモンスター効果発動。このカードが召喚に成功した場合、デッキからレベル4以下の鳥獣族モンスターを手札に……」

 

「その瞬間! 俺は罠カード発動、ゴッドバードアタック! 俺の場に存在する鳥獣族モンスター……RR-フォース・ストリクスをリリースし、フィールド上のカードを2枚破壊する! 俺が選ぶのはふわんだりぃずの謎の地図とふわんだりぃず×ろびーなだ!」

 

 ゲームから除外される所為でエクシーズ素材となっていたファジー・レイニアスの効果が使えないのはやや惜しいが、あのフィールド魔法を破壊してしまえば……!

 

「……ふむ、そっちか。チェーンして速攻魔法、抹殺の指名者を発動する」

 

「何っ!」

 

「カード名を一つ宣言し、宣言したカード1枚をデッキから選びゲームから除外する。ターン終了時まで、除外したカード及びそのカードと元々のカード名が同じカードの効果は無効化される……私が除外するのはゴッドバードアタックだ」

 

「なっ!?」

 

 相手と同じカードを使っていなければほぼ無意味なカードだと……!? つまり、こいつは俺がどのようなデッキを使うのか知っていたのか? 先程のデュエルを見られていたか……たしかにこの女のデッキは鳥獣族主軸のデッキだが、だからと言ってゴッドバードアタックと抹殺の指名者を同時にデッキに入れるのは明らかに俺のデッキを意識している筈だ。

 

 しかし、それだと恐ろしいほどの短時間で俺のデッキへの対策をしていることになる。それほどの実力のデュエリスト、と言うことか……だか、そう簡単に負ける訳にはいかない!

 

「フィールドのRRモンスターが減ったことにより、RR-フォース・ストリクスの攻撃力・守備力は減少する……」

 

RR-フォース・ストリクス

ATK 600 → 100

DEF 2500 → 2000

 

「ゴッドバードアタックの効果は無効となった。ろびーなの効果でデッキからふわんだりぃず×とっかんを手札に加える。その後、手札から鳥獣族モンスター1体を召喚できる」

 

「デッキからモンスターを補充した上に召喚まで行うだと……?」

 

 フィールドにモンスターを並べるのはエクシーズデッキを使う者として基本だ。しかし、奴は全く同じことをしようとしているのに全く異なる動きをしている。特殊召喚できなくなると言うデメリットを持つ強欲で謙虚な壺を使ったのが良い証拠だ。つまり、やつがこれから行うのは……アドバンス召喚か?

 

 ユートはこの女を俺たちと……いや、もしかするとそれ以上にエクシーズ召喚を扱っていたと聞いた。あの時のユートの言葉を真実と仮定するとこいつはエクシーズ召喚を使えるのに態々使わずにデュエルをしていると言うことになる。

 

 それだけ聞けば舐められていると思われるだろう。こいつは本気を出す程度の相手ではない、と侮られていると思われても仕方のないかもしれない。が、奴と対面していれば分かる。

 

 ——奴は微塵も俺を侮っていない。こいつは俺を全力で排除しようとしている。こうして相対しているだけで肌がピリピリする程の敵意を感じる。使っているカードはまるで女子供が好みそうな可愛らしい絵柄のカードだが、効果は全然可愛らしくない。

 

「私は手札のふわんだりぃず×いぐるんを召喚し、効果発動。デッキからレベル7以上の鳥獣族モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのはふわんだりぃず×えんぺん、その後手札から鳥獣族モンスター1体を召喚できる」

 

 やはり、行ってくるのはアドバンス召喚か……!

 

「私は……ただ、好きなデッキを使って、自由気ままに楽しく遊んでいたかったんだ」

 

「……さっきから何の話だ」

 

「……気にするな。私はいぐるんの効果でふわんだりぃず×とっかんを召喚。ふわんだりぃず×とっかんの効果発動。このカードが召喚に成功した場合、ゲームから除外されているふわんだりぃずカードを手札に加える。その後、手札から鳥獣族モンスター1体を召喚できる」

 

 ここまで特殊召喚は一切行なっていないのに……止まらないのか、奴のデッキは!?

 

「私は先程ふわんだりぃずと謎の地図の効果でゲームから除外したふわんだりぃずと未知の風を手札に加える。とっかんの効果を使って召喚は行わない」

 

「何……?」

 

 みすみす召喚を行う機会を破棄するだと……? いや、奴はまだ召喚権を使っていなかったな。それに、先程手札に加えた永続魔法……きっと、何かがある。

 

「私は永続魔法、ふわんだりぃずと未知の風を発動する。そして、私はふわんだりぃず×ろびーなと……さらに貴方のフィールドの伏せカードを墓地に送り、アドバンス召喚!」

 

「なんだと!?」

 

 モンスターをリリースする代わりに、俺のフィールドのカードを墓地に送るだと!?

 

「ふわんだりぃずと未知の風の効果により、私はモンスターをアドバンス召喚する際、モンスターを2体リリースする代わりにモンスター一体と、相手フィールドのカード1枚を墓地に送ってアドバンス召喚することができる」

 

 先程わざわざ召喚を止めたのはこの為か……! くっ、前のターンで発動していたディメンション・アトラクターの効果の所為でRR-レディネスの2つ目の効果を使えない……!

 

「現れよ。みんな大好きな人気者、ふわんだりぃず×えんぺん!」

 

 

ふわんだりぃず×えんぺん

効果モンスター

星10/風属性/鳥獣族/攻2700/守1000

(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「ふわんだりぃず」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

その後、モンスター1体を召喚できる。

(2):アドバンス召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手フィールドの特殊召喚された攻撃表示モンスターは効果を発動できない。

(3):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、手札を1枚除外して発動できる。

その相手モンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで半分になる。

 

 

ふわんだりぃずと未知の風

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

自分がモンスター2体のリリースを必要とするアドバンス召喚をする場合、

モンスター2体をリリースせずに自分フィールドのモンスター1体と

相手フィールドのカード1枚を墓地へ送ってアドバンス召喚できる。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

手札の鳥獣族モンスターを2体まで相手に見せ、好きな順番でデッキの一番下に戻す。

その後、自分は戻した数だけデッキからドローする。

 

 

 レベル10、攻撃力2700か……まず間違いなく、厄介な効果を持っているに違いない。これは、厳しいか……?

 

「ふわんだりぃず×えんぺんの効果。このカードがアドバンス召喚に成功した場合、デッキからふわんだりぃず魔法・罠カードを1枚手札に加える。私はデッキからふわんだりぃずと怖い海を手札に加える。更に、手札から鳥獣族モンスター1体を召喚できる」

 

 くっ……まだ止まらないのか。

 

「私はふわんだりぃず×いぐるんをリリースして風帝ライザーをアドバンス召喚。風帝ライザーの効果を発動。このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚をデッキの1番上に戻すことができる。私はRR-フォース・ストリクスをデッキに戻す」

 

「何っ!?」

 

 エクシーズモンスターは手札かデッキに戻る場合、エクストラデッキに戻される……この女、俺のデッキに対する完全な対策をしている!!

 

「……これで貴方のフィールドは空っぽ。手札の1枚はRRが攻撃対象になった時、手札の自身をゲームから除外して攻撃したモンスターを破壊するブースター・ストリクス。頼みの綱のRR-レディネスも発動前に無力化。墓地で発動できる効果も除外されては使えない」

 

「くそっ! 貴様、やはり……!」

 

 薄々感じてはいたが、こいつは偶然ではなく明らかに俺の使うカードを熟知している! そして、その上で対策及び対処をしてやがる!

 

「これで、終わり。バトルフェイズ……」

 

「そこまでだ」

 

 完全に追い込まれた俺と奴の間に、第三者の言葉が届いた。

 




先生「投稿遅くなったからお詫びに解説入れるのコーナーいえーい!さて、今回の解説はお馴染み私と〜」

赤馬「本編では出番がほとんどなくなってしまったからと言う理由で私が担当する。ここの作者は投稿が遅くなる度にこのコーナーを挟むつもりなのか?たまには定期的に投稿したらどうなのだ」

先生「私は知らないよそんな事。なんか筆が重いって愚痴ってたけどさ。そんな瑣末な事より、社長が解説するのか……契約されて騙されそう(こなみ)」

赤馬「風評被害だ。それで、今回の解説は『コストと効果』について、だな。これもまた初心者がつまずきやすいルールだと思われる」

先生「召喚・特殊召喚・反転召喚したモンスターが守備表示になりそう。まあ冗談はさておき……これが27話で言ってたやつだね。コストとはズバリ、カードの効果を発動させる前に行う処理の事です。〇〇して発動する。の〇〇して、の部分ですな」

赤馬「リリースする、手札を捨てる、ライフを支払う等がよく見かけるな。言うまでもないが地獄門の契約書等のダメージを受ける効果はコストではなくただのデメリット効果だ」

先生「じゃあなんで言ったんですか(正論)。さて、それよりも効果で墓地に送るのとコストで墓地に送るのはどう違うのかだけれど……」

赤馬「単刀直入に言うと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うことだな」

先生「効果の無効と効果の発動の無効の違いは……また今度やな!」

赤馬「まあ、一つずつ解説して行かないと遊戯王……もとい、コンマイ語に明るくない者は頭に入りにくいだろうからな」

先生「噂によると遊戯王に触れやすいようにってコンセプトでこの作品が作られてるらしいからね。何処がだぁ!?って思う人もいるかもだけど」

赤馬「それについてはあとで作者が謝罪の意を込めて土下座焼きとやらをするそうだ」

紙吹雪「え、待って聞いてない」

先生「音声担当が喋るな。大人しくマイクこちらに向けてろ……おほん。話を戻すと……ま、簡単に纏めて仕舞えば妨害に気を付けろって話なんですが。今回の場合もう一つ注意点があるんだよなぁ」

赤馬「マクロコスモスの影響下……要するに墓地に送られるカードがゲームから除外される状態の場合、墓地に送ることがコストになる効果は()()()()()()()()

先生「今回使われたのはディメンション・アトラクターだけどね。でも墓地に送ると明言していない……リリース、手札から捨てるなどのコストは問題なく発動できます。除外はされるけどネ。ややこしいなぁ」

赤馬「例を挙げると、手札から捨てるだけの灰流うららは発動できるがエフェクト・ヴェーラーなどが墓地に送る必要があるから発動できなくなってしまうな」

先生「前者は墓穴の指名者受けないから寧ろ美味しいまである。後者は抹殺の指名者対策が裏目に出る感じかな。かの有名な増殖するGも使用不可になります。では、今回はこの辺りで」


◆ ◆ ◆


それにしてもふわんだりぃず強すぎて想定よりもめちゃ早くデュエルが終わってしまった……見せ場が殆どなくてすまねぇ黒咲。

8/10 諸々を訂正。こんなミスだらけな作品ですまねぇ……すまねぇ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

30話


ふわんだりぃずの反響凄いですね〜。

流石にあんなレベルのガチデッキを使用する対戦カードは今のところ1組しか思い付いてないので大丈夫です。
大丈夫……大丈夫なんだ……大丈夫だよね?

今回はデュエルなし。


 

 黒咲とのデュエルから次の日。塾の備え付けの長椅子の上で寝っ転がりながら全力でダラダラしていた。

 

 ……今、私疲れてるわ。うん、間違いない。最近は伸び伸びとやってた分、反動が来たのかもしれない。メガボーマンダのすてみタックル並の反動がきてるわ。竜舞もしてたわ。

 

「はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜……」

 

「先生……どうかしたんですか?」

 

「なんでもあるよ、柚子ちゃん……」

 

「はぁ、そうですか……って、あるんですか!?」

 

「そうだよ」

 

 昨日は散々だったな……あんまり怒らないようにって自制してたのに。はぁ、格好つかない。これじゃ私、リモートワークにしたくなっちまうよ……こんなにもみんなとの間にやる気の差があるとは思わなかった。

 

「まあ、それは後で説明するから……着席して待ってて」

 

「はい……昨日の、あの後に何かあったのかな?」

 

 柚子ちゃんに着席を促し、私はいつもの立ち位置につく。あまりの憂鬱さに、ため息が出てしまう。

 

「はぁ……」

 

 全く……面倒事に巻き込まれるのは絶対にごめんだったのに、なんであんなことになったのだろうか。昨日の自分をスクラップ・フィストしたい。その後破壊され墓地に送られた私は墓穴の指名者してくれ。

 

「こんにちわー! ……って、先生どうしたの?」

 

「なんでもないよ素良きゅん……いやごめんあったよ」

 

「あるんだ……昨日まではそんなことなかったよね?」

 

「ええ……一体何があったのかしら」

 

 何があったか、か……起こったことなんて精々不審者とデュエルした程度なんだけどさ。どっと疲れた。デュエル内容とかと関係なく……ね。

 

 私はこれからしないといけないことを反芻しながら、昨日の出来事を思い返した。思い返したくはないが、そうせざるを得ないのである。その理由は……と、その部分も纏めて思い出して行こうか。面倒臭いけどね、はぁ。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 突然の乱入者に、思わず視線が吸い寄せられる。あのsilhouetteは……

 

「貴様は……?」

 

「赤馬零児……レオコーポレーションの現社長だ」

 

 やっぱりだった。しかし、なんだってこんなところに……

 

「赤馬、零児……」

 

「私がいるこの舞網市で、レオコーポレーション直属であるLDSの関係者を襲い続けてきた。私に会いたいが為……違うか?」

 

 ……ほーん、そんな理由でこの子達は襲われたのか。ふーん、へー?

 

「……赤馬零王の息子か?」

 

 誰そいつ。聞いたことないや。それより……

 

「……あの、忘れていたけれど、救急車呼んでくれません?」

 

「それに関しては問題ない。あとで我が社の救護班が駆けつける手筈となっている」

 

 そんなものもあるのか……LDSは財団か何かか?

 

「……この女はこの際どうでもいい。赤馬零児! 俺とデュエルしろ!」

 

 あーこいつ私とのデュエル打ち切りやがった!

 

「どうでもいいってこの野郎……盤面的にもう負けてる癖に!」

 

「黙っていろ!」

 

 お、おう……でも、なんでこの不審者は社長とデュエルしたがるんだ?

 

 その理由は、なんでも助けたい仲間がいるそうだ。社長はそう推理していた。瑠璃、と言う仲間がいると言う発言を真澄んが証言していたとか。あれ……もしかして、腹パンシーン見逃してる……?

 

 別に遊戯王アニメファンではないけれど、ちょっと惜しい気がするぞ。迷シーンなのに……

 

 それで、黒咲は社長の父親である赤馬零王と人質交換を行う為に社長の身柄を捕らえたいと。うーん、割とガバガバじゃねその作戦?

 

「つまりは、私は人質交換の材料と言う訳だ」

 

「その通り。LDSを襲い続けて来たのも、その魂を封印したカードを送り付けたのも、全ては貴様を誘い出す為!」

 

 いやいやいや、魂を封印したカードって何!? デュエルに負けたらカードにされるの……? いや、アニメだと割とよくあることだった。死んでないだけマシかもしれな……いや充分こえーよ。

 

 しかし、社長曰く自分に人質としての価値はないんだとか。親子仲が良くないのかな? 関心しないなぁ。

 

「……君が戦いたいと言うのなら受けてやってもいい。ただし、条件がある」

 

「条件……?」

 

「その条件を君が飲み、実行してくれたならば……喜んで相手になってやる」

 

 ……条件か。なんかロクでもない予感がするな。

 

「ところで、私はどうしたら……」

 

「別に私からは何も咎めない。ただ、口止めはする。今ここであったデュエルは口外しないように」

 

「それはまあ、いいよ」

 

 もし口外したら終了されそうだもん。

 

「……いや、逆に君には色々と教えておきたいことがある」

 

「……ふーん。じゃあ、ついでで聞くけどさ。その条件って何よ?」

 

「貴様には無関係だろう!?」

 

 黒咲声がうるさ……いや、声がでかいのはデュエリスト共有だった。

 

「ええい、負けたんだからうじゃうじゃすんなし。それで、条件って?」

 

「条件とは——」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「——い、先生! そろそろ授業を始める時間ですよ!」

 

「ん? ああ、そうか……もうそんな時間か」

 

 これ、アニメとか漫画だと回想シーンで再現されてそうだな……まあ、いいや。それにしてももうそんな時間か。最近の中学生は帰宅が早いな。

 

 室内を見渡すと、確かにこの塾のメンバーは既に全員揃っているようだ。まあ、そんなこと言っても数人しかいないんだけどね!

 

「さて……嘆いても何も変わらないんだし、授業を始めて行きたいんですけれども……今日は皆さんにお知らせがあります」

 

「お、なんだなんだ?」

 

 遊矢くん……残念ながらあんまりいいお知らせじゃないゾ。私だって気が滅入るもん。

 

「この遊勝塾に、新しいお友達(笑)がやってきます。所属自体はLDSなんだけど、何を血迷ったか私のところで学びたいことがあるとのたまいやがったのでやって来てしまいます」

 

「ちょ、先生言い方が汚いですよ!」

 

「だってぇ……」

 

 仮にもデュエルで犯罪してた人物だよ? 叙情酌量の余地はなくはないだろうけど、常識的に考えて凶暴な奴と一緒にいたくないもの。

 

 ……まず、デュエルで犯罪のところで違和感を感じなくなってきたな私。この世界に適用してきたのを喜ぶべきか悩むべきか。むむむ。

 

「と言う訳でぇ……まあ今はまだ来てないみたいだけど、その内多分来ると思うのでもう始めますね。今日は、そうだなぁ……」

 

「あれ、決めてないんですか?」

 

「昨日色々あったから……」

 

 昨日ちょっと忘れてたから今考えてる。あいつが来るかもしれないなら、多少難しい授業でもしておくか……えーと、たしか昨日はデッキ構築についてだったっけ。

 

「……よし、今日のテーマはエクストラデッキを使う相手の対処法とでもしておこうかな」

 

「対処法……ですか?」

 

「ああ。皆も知っての通り、エクストラデッキからの召喚法はどれもこれも強力だ。しかし、全く弱点がない訳ではない。今日はその弱点なんかについて話そうかな」

 

 この塾の子達……と言うかこの世界の住人は融合召喚とかシンクロ召喚とかをあまり使わない傾向にある。その理由に関しては……昨日、赤馬社長から色々と聞いた。全く、とんでもな事実をいきなり伝えやがって……危うくSAN値減るところだったっつーの。

 

「まずは、エクシーズ召喚を使う相手に対しての対処法だ。エクシーズモンスターは、例外もなくはないが基本同じレベルのモンスターを2体以上並べてエクシーズ召喚される。恐らくだが、他の召喚法と比べるともっとも使い易い召喚法だろう。何故だか分かるかな?」

 

「ええっと……」

 

「はい、はーい!」

 

「はい素良きゅん」

 

「他の召喚法と違って、チューナーや融合カードが必要ないから!」

 

「うん、正解だね」

 

「わーい!」

 

 かわいい(かわいい)。

 

「素良きゅんの言った通り、エクシーズ召喚は比較的容易に行えるんだ。これは私の持論でもあるけれど、使えるものは使うべきだと思うよ。エクストラデッキに余裕があるなら、取り敢えずエクシーズモンスターを入れとけば使う機会はある筈だよ」

 

 エクシーズ召喚に特化したデッキじゃなくても、エクシーズ召喚は行える機会が多い。まあリンク程ではないけど。

 

「最も汎用的なランクは4だろう。レベル4以下のモンスターは基本的並べやすいからね。逆にランク5以上のエクシーズモンスターは召喚しにくい。これも例外はあるけれど……レベル5以上のモンスターは並べにくいからね。でも、出せたら強力なモンスターばかりだ」

 

「それで、結局どう対処するの?」

 

「まずは出させないってのが1つ」

 

「え、エクシーズさせないってこと?」

 

「そうそう。なんならモンスターを召喚させないところから妨害するのもいいね。ほら、虚無空間+マクロコスモスみたいにね」

 

「……それはもうやめてくれ先生」

 

 今までのデュエルで虚無マクロ使ってきたからか遊矢くんが萎びたトマトみたいになっている。まあ、気持ちは分からんでもない。

 

「あとは、そうだな……若干トリッキー気味ではあるが、相手モンスターのレベルを変更したりすればエクシーズ召喚はできなくなるね」

 

「なるほど……」

 

「もしエクシーズ召喚に成功されたとしても、焦ることはない。普通の大型モンスターを対処するのと同じように対処すればいい。エクシーズモンスターの場合は基本的には普通に破壊して対処した方がいい。バウンス……エクストラデッキに戻して対処すると効果を再利用されるからね。ここは他のとは違ってエクシーズモンスターにはオーバーレイユニットがある。その為墓地に送られたエクシーズモンスターを死者蘇生などで呼び戻しても効果が使えないことが多い。なので、私は大人しく攻撃力を上げてバトルするか、効果で破壊することを推奨する」

 

「お、おう……」

 

 本当に分かってるかなぁ? ま、いいけど。いやよくなくね?

 

 それにしても黒咲の野郎こねーな。全く行けたら行くってことか? やれやれ……

 

「……ん?」

 

「先生、どうかしたの?」

 

「……いや、家のエアコン切り忘れてないか気になっただけだ」

 

「あ、それなら母さんが切っておいたって言ってたぞ」

 

 マジか遊矢ママ、ありがとう。そして切り忘れててごめんなさい。

 

「えーと、と言う訳でエクシーズモンスターは取り敢えず入れとけってことかなぁ。素良きゅんもだよ」

 

「え〜、僕もー? 僕は融合召喚だけでいいよ」

 

「召喚法にこだわっていてはお爺ちゃんになっても私には勝てんよ」

 

「むむむ……」

 

 うーん……素良きゅん、なーんかおかしいんだよね。まあ、可愛いいいか。内面は知らんけど外面は滅茶苦茶KAWAIIだし。

 

「次は融合召喚について。これは前にも言った気がするけど、融合召喚は融合を行うカードが必要な分、他の召喚法に比べて消費が嵩む。その消費を如何にして減らすかが融合召喚使いの腕の見せどころと言っても過言ではないだろう。消費が多い分、召喚を無効にされたりすると途端にピンチになる。マストカウンターには気をつけなければならないね」

 

「あのー先生、マストカウンターってなんでしょうか?」

 

「マストカウンターはカウンターする場所を見極めることかな。ブラックホールと言った全体除去カードに対しては神の宣告は大抵の場合は撃たざるを得ないだろうが、相手が何をしたどのタイミングで召喚を無効にするかを見極めれるようになると脱・初心者ってところでしょうね」

 

「「「……」」」

 

 うーん、小さい子にはちょっと話が難しすぎただろうか?

 

「それから、融合召喚には他の召喚法と違う点があるけれど……それはまた今度にしよっか。んじゃ、次はシンクロ召喚について——」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「うん、今日はこんなところかな。デュエルはなかったけど、つまらなくはなかったかな?」

 

「楽しかったよ!」

 

ありがとう素良きゅん(結婚しよう素良きゅん)

 

「ちょ、先生本音出てますよ!」

 

「ぎゃー!? わ、悪かったからハリセンはやめてくれ!」

 

 ああ、そうだよ。これだよ。こう言うのでいいんだよ、こう言うので。こう言う日常こそが私が求めたものだよ。

 

「それじゃ、今日のところはもう解散でいいよー。好きにデュエルとかしてくれて構わないよー」

 

「おう!」

 

 遊矢くんはたしかあと1勝でなんとか選手権に出られるって言ってたっけ。実は、対戦相手は修造先生から聞いていて知っている。まあ……頑張れよ、遊矢くん。

 

 皆んなでワイワイしているので、私はこっそりと席を外してドアノブを回して廊下に出る。すると、まるで不審者のような格好をした不審者がすぐ横に立っていた。やっぱりいたか。

 

 

「それで、何か役に立ったかい?」

 

「……ふん、まあ、聞かないでいるよりかはマシだったかもしれんな」

 

 

 こいつ、素直じゃねーわリアルファイト強そうだわ面倒臭い奴だな……やれやれ。

 





ボツ原稿

「毎度のことながら、授業内容決めてないんだな先生……」

 ええい、うるさいぞトマト遊矢。お前の本名トマリーにしてやろうか? お? 瑠璃と繋がればトマトと瑠璃で丁度トマリーだな?


シンクロはまた今度。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

31話

アァァァァァァァァァ!!!
ピュアリィ!きゃわわだよマジキャワワだよピュアリィたんはぁはぁ!


◆ ◆ ◆


失礼、取り乱しました。私って小動物系大好きなんですよね。メルフィーとか。あとゴーストリックとかも好き。

ふわんだりぃず?
害鳥ですが?



 遊矢くんが選手権に出る為に必要な最後の試合。私はスマイリーとか言うなんか変なおっさんの頼みで塾から席を外していた。他にすること……と言うかしないといけないことがあったので私としては別にどうでもいい……って、その言い方だと遊矢くん傷付きそう。

 

 あんの社長が厄介なこと言い出したからね……色々とやることが増えてしまって試合の観戦には向かえない。いい加減彼の成長を確認したいと思ってたからか、ちょっと悲しい。

 

「ええ!? 藤野先生はいらっしゃられないんですか!?」

 

「ああうん……ちょっと赤馬社長に呼ばれててね」

 

「え、LDSの!?」

 

「いや、別に引き抜きとかの話じゃないんだけどね? ま、そう言うことで! 私が居ないからってヘタれた試合してたら遊矢くんを叱っておいてねー」

 

 一悶着あったけど、まあ普通に抜け出せた。いっつも試合見に行っていないから遊矢くんに嫌われてないといいんだけどね。まあ、私が判断する限り、社長の案件のが重要性が高そうだから此方を優先するけれども。

 

 ……なんなら話を聞かなかったことにもできたのだろう。でも、なぁ……アークファイブって評判やばかったやんか最期の方。私は詳しく知らないけど、そんな結末を少しでも変えられたら……って思うじゃん?

 

 だから、私は社長の話を聞いて協力している。正直、気は進まない。いや、やらないといけないのは分かってるんだけどね。夏休みの宿題の読書感想文みたいなものだ。

 

 さて、それはさておき……いや、さておけれてないんだけども。私は今、LDSにいる。ついでに言うなら目の前には赤馬社長が座っている。更に言うなら側に黒咲が立っている。

 

「それで、君の目で見て気になる者はいたか?」

 

「一応目は通しました。が、やはり一度見てみるべきでしょうね。実際に対面した時の対応力なんかは戦績だけでは確認できませんし」

 

「それはそうだろうな」

 

 はぁ……今夜は胃に優しい物食べよう。

 

「メンバーの選定に関しては君達に任せるつもりだ」

 

「……ふん」

 

「ああうん分かった……これは塾の応援してる場合じゃないなぁ。やれやれ……」

 

 なんでこんな面倒事に……そうだ、ここ遊戯王アニメ世界だった。平穏なんて概念は存在しない。どうせ世界の命運を賭けたデュエルが始まるんだろうなぁ……うう、身体が震える。

 

「ああ憂鬱……突然そんな重要そうな話を私に聞かせて、馬鹿なの?」

 

「君のことを信頼したまでだ。たしかに君ははっきり言って不審者だが……デュエルの腕前に関しては私をも超え得る程だ」

 

「だーれが不審者だ。たしかに住所不定暫定無職スレスレの行き遅れなのは認めるけどさ……」

 

 でも、そんな私を何故かこの社長は普通に信用している。こいつ絶対星のカービィの銀河に願いをやって最後にキレるタイプだろ。登場人物はちゃんと疑わないとだめだヨォ。

 

「まあ、それについてはいい。今日のところはもういい」

 

「はいはーい。さぁて、遊矢くんの試合でも見に行くかねぇ……」

 

 多分遊矢くんの方が勝つだろうけど、どうなってるかね。

 

「おい、待て」

 

「……では私はこれにて失礼する」

 

「だから待て! 失礼するな!」

 

 ぬわーん! あぁんもうなんなんだよお前よぉ!

 

「はぁ……何の用?」

 

「……もう一度、デュエルしろ」

 

「え、また? 昨日したばかりなのに……うーん」

 

 またか……意外と負けず嫌いだって思ったけど、遊戯王キャラって大概の人達が負けず嫌いな印象があるような。特に海馬社長とか……まあ、それはいいとして。

 

 うーん、反骨心的ななんかこうあれは嫌いじゃないんだよね。ライオンハートって奴かな? しゃーなし、断っても受けるまで言われそうだし、付き合ってやるか。

 

「しょうがにゃいにゃあ……まあいいよ、何度でも相手になるよ」

 

「……いや、相手は俺じゃない」

 

 んあ、黒咲じゃないのか?

 

「ユートがお前とデュエルをしてみたいと言っていた。だから、付き合え」

 

「あぁ……あの子ね」

 

 ユートか……たしか、使用デッキは幻影騎士団(ファントムナイツ)だったか。6ロンゴミは流石に無いだろうけど難敵だね。と言うか怠いな。妨害も防御も得意で長期戦向けな所為でデュエルが長引くし。ロンゴミはまず使ってこないことに感謝しよう。

 

「ふむ……まあ、よかろう。相手になってやろうじゃないか」

 

「ふん……一々上から目線な奴だ」

 

 え、それお前が言うの?

 

「ほう、君の仲間か……面白い。私もそのデュエル、観戦させて貰うとしよう」

 

 ……社長、思ったより暇なのかな。私がそんなことを思っていると、社長は誰かに電話をかけた。ああ、そう言えばデュエルディスクが電話機代わりになるんだっけ……私のいつの間にか持っていたディスクにも同じ機能あったっけ? 後で確認してみるか。

 

「私だ。午後の仕事は任せる——」

 

 おい。まあいいけど……

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 さて、やって来ました人気のない裏通り。なんでこんな所にまで来ないといけないんですかね。もう足腰がすんごいことになってるよもう。

 

 言うまでもないけど私はデュエルはできるけど運動神経は壊滅的だ。そこら辺の子供よりも酷い自負がある。社長とか黒咲とかのリアルファイト能力とは比べものにならない。こいつらの体力は私からしたら化け物にしか感じないよ。

 

 さて、そんな貧弱デュエリスト(笑)の私がひぃこら言いながらやってきた先にはたしかにユートがデュエルディスクを構えて待っていた。

 

「ああ、お待たせ……ぜぇ、はぁ……」

 

「貴様の体力の無さには呆れて物が言えんな」

 

 うっせーぞメローネ。じゃなかったクロワッサン。どれだけもやしだろうと、私はお前らがおかしいと主張を続けるぞ。

 

「おほん……私とデュエルしたいからと呼ばれて来たけど、合ってる?」

 

 デュエルディスクを構えながらユートに尋ねる。これ格好いいな。仮面ライダーみたいで。

 

「ああ……隼を倒したそうだな。その実力、この目でもう一度確かめたい。以前はタッグバトルだったからな」

 

 ……まさか今度は私と社長VSユートと黒咲みたいになるんじゃなかろうな? いや、この口振りだとなさそうかな。正直タッグデュエルはやや面倒臭いからありがたい。

 

「さあ……構えろ」

 

「その前に一つ。以前と同じようにモンスターが現実に影響を与えることはないだろうね?」

 

 下手したら私死ぬよ? それはもうあっさりと。私自身のライフなんて精々500かそこらだもん。ファイアボール一回で瀕死になるわ。何処かの団長よりも貧弱だよ。なんなら同じ声の凄いマフラーしている人が隣にいるよ。

 

「…………」

 

 なんだその沈黙は。え、なに、もしかしてオンオフできないのか?

 

「私、割と簡単に死ぬよ? 瓦礫が身体に当たっただけで絶命するよ? 私のか弱さ舐めないでよ?」

 

「…………デュエル!」

 

 おいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!? こちとら死活問題なんですけど!?

 

「先攻は、お前でいい」

 

「あのさぁ……はぁぁぁ。止めとけば良かったかな。今更何言っても無駄そうだけど」

 

 全く、これだから最近の子供は……いや、スレてるし子供でもないか。遊矢くんはまだまだ子供な感じするけど。

 

 

 

「私のターン……私はピュアリィを召喚するね」

 

 現れたのは小さな……なんだろ、仔猫? 仔犬? とにかくケモナーが歓喜しそうな可愛らしい小動物の姿をしたモンスターだ。しかし、天使族である。レベルが1だからイーバのサーチ範囲内だね。

 

 レベル2以下の天使族を見たらイーバを連想する。これ、デュエリストの基本ね。

 

「ピュアリィの効果発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、私のデッキの上からカードを3枚めくって、その中からピュアリィ魔法・罠カードを1枚選んで手札に加えるよ」

 

 

ピュアリィ

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 100/守 100

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

自分のデッキの上からカードを3枚めくる。

その中から「ピュアリィ」魔法・罠カード1枚を選んで手札に加える事ができる。

残りのカードを好きな順番でデッキの下に戻す。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

手札の「ピュアリィ」速攻魔法カード1枚を相手に見せ、

そのカード名が記されたXモンスター1体を、

自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いでEXデッキから特殊召喚し、

見せたカードをそのXモンスターの下に重ねてX素材とする。

 

 

「さぁて、何が出るかなっと……」

 

 

オネスト

ピュアリィ・マイフレンド

ワン・フォー・ワン

 

 

 ……うん、1枚あれば十分だ。オネスト手札に加えてぇ。ダベリオン使って来そうだし。

 

「私はピュアリィ・マイフレンドを手札に加えて、そのまま発動! ピュアリィ・マイフレンドの効果。1ターンに1度、デッキからピュアリィカードを3枚相手に見せ、その中からランダムに1枚選んで手札に加えるよ」

 

 

ピュアリィ・マイフレンド

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):500LPを払って発動できる。

デッキから「ピュアリィ・マイフレンド」以外の「ピュアリィ」カード3枚を相手に見せ、

相手はその中からランダムに1枚選ぶ。

その1枚を自分の手札に加え、残りをデッキに戻す。

(2):自分フィールドの表側表示の「ピュアリィ」Xモンスターが相手によってフィールドから離れた場合に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。

自分の墓地から「ピュアリィ」速攻魔法カードを3枚まで選んで手札に加える(同名カードは1枚まで)。

 

 

「私が君に見せるのはこの3枚だ。さあ、選んでくれ!」

 

 

ピュアリィ・デリシャスメモリー

ピュアリィ・デリシャスメモリー

ピュアリィ・デリシャスメモリー

 

 

「……どれを選んでも同じだな」

 

「そうだよ」

 

 パワーツールとかでよく見た光景だなぁ。団結団結団結……

 

「んじゃ、私はピュアリィ・デリシャスメモリーを手札に加える。そんで残りはデッキに戻すっと」

 

 余ったデリシャスメモリーをデッキに加える。自動でデッキがシャッフルされるのは便利だなこれ。ショットガンシャッフル並のスピードなのにカードは傷まないし。

 

「私はピュアリィのモンスター効果発動。手札の速攻魔法を相手に見せ、そのカード名が記されたエクシーズモンスター1体をこのカードの上に重ねてエクシーズ召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚し、見せたカードをそのエクシーズモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする」

 

「……随分と変わったエクシーズ召喚の仕方だな」

 

「刺激にはなるでしょ?」

 

「……ああ」

 

 ユートはゴーグルと変なマスクの所為で殆ど表情は伺えないけれど、割と好感触らしい。まあ、今回は可愛かったからこのデッキ選んだのであって別に他に意図があった訳じゃないんだけどね。うーん、たまには動物も悪くないかな。やっぱりショタロリの方が主食。

 

「私が見せるのはピュアリィ・プリティメモリー。そしてエクシーズ召喚されるのは……エピュアリィ・ビューティ!」

 

 ピュアリィが美しく成長した姿。それがエピュアリィ・ビューティだ。清らかな姿をしていて思わず撫でたくなる。そっと触れてみると、もふもふな感触がした。ってことはダベリオン出たらやっぱり衝撃が発生するんじゃねぇかこん畜生。

 

 

エピュアリィ・ビューティ

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/水属性/天使族/攻1600/守1100

レベル2モンスター×2

(1):1ターンに1度、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

このカードが「ピュアリィ・プリティメモリー」をX素材としている場合、

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):自分が「ピュアリィ」速攻魔法カードを発動した時に発動できる。

フィールドのそのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

その後、相手フィールドのモンスター1体を選んで表示形式を変更できる。

この効果は1ターンに3度まで使用できる。

 

 

「私は速攻魔法ピュアリィ・デリシャスメモリーを発動する。フィールドのモンスター1体を選択し、そのモンスターを次のターンの終了時まで戦闘では破壊されなくする。それにチェーンしてエピュアリィ・ビューティのモンスター効果発動。自分がピュアリィ速攻魔法を発動した時、フィールドのそのカードを自身のエクシーズ素材とする」

 

 よし、こんなもんかな。

 

「ピュアリィ・デリシャスメモリーをオーバーレイユニットとして持っているピュアリィエクシーズモンスターは、攻撃力・守備力が所持しているオーバーレイユニット1つにつき、300ポイントアップする」

 

「エピュアリィ・ビューティのオーバーレイユニットは3つ……900ポイントの上昇か」

 

エピュアリィ・ビューティ ATK 1600 → 2500

             DEF 1100 → 2000

 

 まあ、悪くない数値ではある。オネスト構えたいけど(2回目)。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド。さあ、君の番だ」

 

「……お前は、どの戦い方が本当のお前なんだ?」

 

 えー、私は回してて楽しそうなデッキ選んでるだけなんだけど。その質問は返答に困るよ。

 

「お前は様々なデッキを使い分けるデュエリストなのは分かっている。何故、そうする?」

 

「………楽しいから。私は色んなデッキを使って異なるカードを使っていて楽しいからってのはダメ?」

 

「……楽しいから、か」

 

 まあなんかデュエルで紛争してそうな人にそんな事言ったら腹パンされそうだけども。

 

「変わってる人だとでも思えばいいよ。実を言うとこの町に来る以前はあんまりデュエルしてなかったんだ」

 

「ほう、それは初耳だな」

 

 赤馬社長は興味深そうに私の話を聞いている。きっと私のことを探ってこの街に来る前までの私の記録がないから気になってるんだ。冷静に考えるとなんで私この人に信用されているのか分からないぞ。

 

「ええ、まあ、仕事が忙しくて。やる相手も居なかったし……だから、最近はこれでも結構嬉しいんだ。仕事からも解放されたし」

 

「働いていた会社に戻らなくても?」

 

「………………やめてくれ。その言葉は私に効く」

 

「そうか」

 

 くそお、適当に流しやがって……人のトラウマ抉っておいてなんて奴だこの社長は! マフラーに針金入れてる癖に……

 

 私が話しているとユートが意外そうな表情で語りかける。

 

「案外適当なんだな」

 

「適当って?」

 

「人生が」

 

 ユートまで辛辣ぅ!? 否定できないのが痛い点だな……

 




赤馬社長が不審者先生を信用する理由
・運動神経がいくらなんでもゴミ屑過ぎる
・スパイにしては性格が……と言うか一般人だとしてもおかしい
・デュエルの腕前は信頼できる
・赤馬零王もプロフェッサーも何も知らない
・深刻的な人材不足
・零羅大好きクラブの同志()

ピュアリィが可愛いので急遽書いた話。なのでデュエルの続きは皆さんのご想像にお任せします。最終的には多分先生が勝ってる筈……


え、全然急遽じゃない? はて……

8/24 最後の方をちょっとだけ修正。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

32話


初投稿です。投稿が遅くなってすいません。


 

「ほわぁ〜……」

 

 ……おおっと、欠伸が出てしまった。一応今は仕事中ではあるんだ。ビシッとしておかなければ。

 

『聞いていたぞ』

 

「げげっ……何のことなのか分かりませんね。そんなことよりもそろそろ榊遊矢くんの試合が始まりますよ」

 

 無線越しで欠伸を聞かれていたらしい。社長は騙されにくい性格をしていると思うので誤魔化すのは適当にして目の前の試合に注意を引かせることにした。

 

「ああ……そうだな」

 

 既にジュニアユース選手権は始まっているニダ。そっちに集中するニダ。たしか、もう1つ小さい子用の大会もあったっけ。そっちの方がある意味興味深いけど残念ながら見る機会は無くなってしまった。やれやれ……今夜は白ワインでも飲むか。

 

 零羅きゅんの試合見たかった(血涙)。でも、スタジアムが違うからなぁ……んにゃろう、後でふんだくってやらぁ。

 

 私は今観客席ではなく、大会の運営員としてスタジアム内を歩き回っている。名目上は整理員ってなってるからね。一応制服みたいなのも着ている。まあ今は立ち止まって試合を見ようとしてるけれども。

 

 辺りは結構煩い。まあ、大会なんだから当たり前なんだけど、これは元の世界で言う甲子園みたいなものだろうか……あんまり、私は好きじゃないな。うるさいのは嫌いだし。人だかりとか見るだけでうんざりする程度には嫌いだ。でも、仕事だから我慢しよう。

 

 歓声が耳をつんざくので昨日酔っ払ってたら絶対頭痛になってただろうなぁこれ。まあ、私は滅多に酔うほど飲まないけど。翌日頭が痛くなるし……ちょろっと飲んだだけで翌日頭痛くなる体質だけど。

 

 うーん、やっぱり年に一度の大会だけあるなぁ。元の世界……OCGの遊戯王の大会よりもよっぽど祭典みたいだ。こんな時ばかりは自分の住んでいた世界と異なる世界だと感じざるを得ない。デュエルディスク付けてデュエルしてる時点でも割と感じるけども。

 

 ……いつか、帰れるだろうか。それとも私は帰りたいのだろうか。異世界漂流モノでよくある問いだけれども、まさか真剣に考えざるを得なくなるなんて思いもよらなかったな。

 

 まあ、今考えても仕方ないし……今は素直に大会を楽しもうか。どうせ後に面倒な仕事をするのは確定してるんだし。

 

「ええと、対戦相手はたしか……ああ、あの子か」

 

 遊勝塾所属  榊遊矢選手 

 VS

 LDS所属  沢渡シンゴ選手

 

 遊矢くんはまあ置いといて、沢渡シンゴって……ああ!

 

 思い出した思い出した。ええっと、たしか前にデュエルしたっけ……帝王使ってたな。油断とか慢心なければそこまで酷いデュエリストでもないんだよなあいつ。慢心せずして何が帝王か! まあ性格はちょっと大分アレだけれども。

 

「彼にはペンデュラムカードを渡している」

 

 それは私も聞かされたっけ。たしか妖仙獣だっけ。この人ペンデュラムをデッキバウンスさせるつもりだわ。んー、でも……

 

「うーん、でも鎌壱弐参太刀だけデッキ入れてあとはひたすら相手の動きを封殺するカードとドローソースでも突っ込んだ方が私は強いと思うけどなぁ」

 

「ほう、と言うと?」

 

「取り敢えず強欲で謙虚な壺を入れてー、虚無空間とか一回休みとか特殊召喚に対するメタカード積めば相手によるけどかなり厄介になると思うよ」

 

「ふむ、たしかに特殊召喚を行わないデッキは数少ない。君の言う通りにすれば榊遊矢にも勝てるだろう。しかし、今回は此方もペンデュラム召喚を行いLDSが開発したペンデュラムカードを使い、召喚エネルギー等を観測する予定だからな」

 

 ああ、そう言えばこの人達カード作ったりしてるんだっけ……そういや私の持っていたカードを研究の為に貸したりしたっけ。それはさておき、1つ私の知らない単語があったな。

 

「召喚エネルギーって何? 初耳なんだけど……」

 

「文字通り、エクシーズ召喚や融合召喚を行った時に生まれるエネルギーのことだ。ちなみに、君が作る召喚エネルギーは召喚するモンスターや状況によってまちまちだな」

 

 へー、そんなのがあるんだ……うん、これ以上感想ないね。だって別に私はどうでもいいし……

 

「取り敢えず、試合を見て考えよっか。対戦相手の沢渡くんも見極めないといけないし」

 

「ああ、私も直接見るが判断については……」

 

「私と黒咲に任せるってことでしょ?」

 

 さて、見届けますか……

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「ふむ、やはり榊遊矢の勝利か……」

 

「これでも私が直々に教えてるんだし。上手く教えられているかはさておき、私に追い付こうと必死でしたからね」

 

 まあそう簡単には追い付かせないけど。年長者舐めんな。誰がおばさんだ!(情緒不安定)

 

「ふむ、次の対戦カードはたしか……」

 

 遊勝塾所属 紫雲院素良

 VS

 LDS所属   黒咲隼

 

 ……黒咲と素良きゅんだったか。何故だろう。この2人は合わせてはいけない気がするんですけれども。なんかこう、犬猿の仲みたいになりそう。普段は可愛いショタだけど素良きゅんプライド滅茶苦茶高いからなぁ……折角十二獣ブルホーンと月光黒羊薦めたのに使おうとしないし。いじっぱりなんだよねぇ。

 

「彼……黒咲隼にはささやかなプレゼントを用意している」

 

「ふーん、プレゼントって?」

 

「ああ、それは……」

 

「っとと、始まりますよ?」

 

 うーん、素良きゅん勝てるかなぁ? 相手RRだからサーベルタイガーぶっぱした後シザーウルフでも出せば楽に勝てるかもしれないけど。RR-レディネス握ってたら知らん。

 

「アクションフィールドは……ハートランド?」

 

 はて、何処かで聞いたような……何処だっけ?

 

「このフィールドは黒咲の故郷だ」

 

「……ああ」

 

 そういやそんな話してたな……エクシーズ次元にハートランドがあるのか。うーん、ハートランド……はっ、もしかしてハートランドラコと何か関係が……!?

 

 そんなアホなことを考えている間に、黒咲はかなり動揺していた。まあ、滅んだ故郷の姿を再現されたら誰だって動揺する……よね? 私にはイマイチ分からん感覚だけれどもさ。

 

「さて、見届けようか……」

 

 君たちはどんなデュエルを見せてくれるのかな?

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「うーん、この……」

 

 結果は……黒咲の勝ちだった。素良きゅん、言ってることが完全に悪役なんだよなぁ。ちょっとあそこまで酷い悪い顔されるとは思わなんだ。正直結構引いた。

 

 アクションフィールド破壊し過ぎでしょこれ。質量を持ってるんだから下手したら絶対死人出るってば。何なら素良きゅん最後に建物の崩落に巻き込まれて死んだと思ったし……意外と死人は出ないようにされているのかもしれない。怪我人出てる時点で大分アレだけれども。

 

 リアルソリッドビジョン……これ絶対軍事利用される技術でしょ。遊戯王世界やっぱりヤバいなぁ。

 

 と言うかまさか素良きゅん敵サイドなの? 発言は悪の組織そのものだったし。そうか……うん、あの子敵だわ(顔を思い出しながら)。

 

「……彼には、色々と尋ねたいことがある。彼が使っていたデュエルディスクも調べなければ」

 

 私には、社長が眼鏡をキラッと光らせる幻覚が見えた気がした。なんかこうあれ、悪役がよくやりそうな。

 

「彼って……素良ですよね?」

 

「ああ。応急措置が済み次第、彼をLDS本社へ移送する。彼の性格上、移送に抵抗する可能性がある。できれば寝ている間にひっそりと送りたいが……もし既に目覚めていた場合、君には彼の説得を手伝って欲しい」

 

 ああ、うん……しそう。ワカル。

 

 移送の手段は……って、車しかないか。ヘリで行くのが大穴だろうか。うーん、カプコン製程ではないにしろ落ちそうだなヘリだと……

 

「うん、分かったよ。今日の試合が全部終わったら行くね」

 

「ああ、頼む」

 

 

 

 最後の試合を見届けた後、私はその場を後にした。たしか、素良きゅんは会場内の医務室に運ばれたんだっけ。もう結構遅いし、ちょっと急ごうか。

 

「ええと……此処ら辺りの筈」

 

「おや、貴女は?」

 

 んあ? ……なんだ、ただの警備員か。

 

「ええと、私実は紫雲院素良の説得を……」

 

「ああ、貴方が零児様が言っていた……」

 

 ああ、よかった。ちゃんと指示が行き渡ってる。カリスマあるだけあるなぁあの社長。

 

「それでは向かおうか。今ちょっと迷ってて……」

 

 

「分かりました。それにしても……なんか静かですね」

 

 

 ……その発言はやめろ。怖いから。普通にギャグ抜きでもトラウマだから。

 

「う、うん……もう試合も終わりましたからね」

 

 当たり障りのない返事をしておく。

 

 

「ええ。もう暗いですし、昼間とはえらい違いですね。警備員も軒並み向こう側に回していますし……」

 

 

 ちょ、おま……それは中の人的に社長の仕事だろ!?

 

 

「ま、自分もそろそろ仕事の終わる時間ですし……もうそんなの関係ないですけどね!」

 

 

 おい馬鹿やめろ。銃撃は洒落になってないぞ!? ここ室内だけど……スナイプでもされるのか? それとも角待ちショットガンか!?

 

 

「え、ええと……じょ、上機嫌ですね?」

 

 

 あ、やべっ、間違えて乗ってしまった!?

 

 

「そりゃそうですよ! 皆も助かりますし、タカキも頑張ってたし! 俺も頑張らないと!」

 

 

 ああ、終わった……私今から死ぬわ。遺言今のうちに考えないと……

 

「ああ、着きました。この部屋で……あれ、扉が開いてる」

 

 たしかによく見れば横開き式の病院に良くありそうな感じの扉が開いている。と言うか、2人の警備員が中を覗こうとしている。しかも、中から声も聞こえてきた。

 

「……けてない……筈がない……今すぐ……せろ。今度こそ……」

 

 これは……素良きゅんの声だ。でも、独り言にしてはなんか違和感が……

 

 ……嫌な予感がするので私は扉から離れておこう。下手したらパラノイアよろしくドアが爆発するくらいあり得そうだし、6メートルくらい……いや、この際曲がり角から見守っておこう。その間に私を案内してくれた人を含めた3人の警備員の人達は部屋の中を覗いていた。

 

 ホラーだとこっそり覗いたりするのは死亡フラグだったりするけど……マジで爆発とか起こって死なないよね?

 

「そこで何を騒いで……!」

 

 ヒュン、と。すごいスピードで誰かが警備員達の間をすり抜けて、私の横すら通って行った。暗かったし、動体視力のない私にはあまりにも速かった為に見逃してしまった。

 

「待て!」

 

 素良きゅんは今出て行った何者かを追いかけようとしているようだ。まだ怪我も治ってないのに逞しいんだか……大人しく休むという選択肢はないのだろうか。

 

「まだ動いちゃいかん!」

 

「どけっ!」

 

 私は目撃した。まだ全快とは言えない身の素良きゅんが止めようとした警備員3人を薙ぎ倒す場面を。ぅゎぁ、しょたっょい……フィジカルモンスターだらけかデュエリストって奴はよォ!

 

「そこにいるのは先生!?」

 

「中に誰もいませんよ……」

 

「見りゃ分かるよ間抜け!」

 

 しまった!?

 

「ちょ、素良きゅんちょっと話を聞いて欲し」

 

「今あんたに興味ないから! くそっ、何処に行った……!」

 

 かはっ!

 

 私が心の内で吐血していると、さっさと素良きゅんは先程の何者かを追いかけて何処かに行ってしまった。

 

 うぐぐ……話を聞いて貰う隙すらなかった。仕方ない、一旦社長に連絡だ。無線はまだ繋がる筈。

 

「あー、あー、此方藤野明美! ごめんなさい、紫雲院素良を取り逃がしました」

 

『聞こえている……そうなってしまったか』

 

 なんか私の所為みたいになってない? 私は悪くねぇ! デュエリストとか言う猛獣を草食動物である私が止めれる訳ないんだよ!

 

「後、彼の部屋に誰かが侵入していた模様! 今彼はその人物を追っています!」

 

『……なるほど。その人物について何か情報はないか?』

 

 その質問について、実はその不法侵入者に対して心当たりがある。

 

「その人物が素早い動きで私の脇を通って行った際、その人の顔は分かりませんでしたが、嗅いだことのある匂いがしました。恐らく紫雲院素良の部屋にいたのは……ユートだと思われます」

 





デュエルは大体原作みたいな感じになっていたと言うことで……描いてもいいんですけどテンポアド失っちゃいそうなので今はカットします。
今後原作より成長したトマト達は描く予定なので許して……ユルシテ……
このペースでサクサク行かせてください(願望

先生の個人に対する所感的な何か

・遊矢
可愛らしい。青臭い。割と好み。
・柚子
可愛い。突っ込み力が凄い。割と好み。
・素良
見た目はめっっっちゃ可愛いぃぃぃ!!ただしゲス顔は普通に引く。
・遊勝塾の子供達
ありがとう。
・LDS召喚法コース3人組
ぐへへ……
・社長
まだ若いってのに……大変だね。見た目はすっごい大人びてるけど。助けないと(使命感)。
・零羅
彼の姿を見た時、私はアグニカ・カイエルの姿を見た。彼は……天使だ。まるでアグニカ・カイエルの伝説の一場面を見ているようだった。

おまけ 他の遊矢、柚子シリーズへの所感(まだ登場してすらない人いるけど)

・ナストラル
ふーん……埃臭いねぇ。
・主にネタの方で名前が知られている妹
なんか大人っぽい。これはこれでいいのでは?
・融合じゃない人
(無言で頷く)
・リン(緑髪妹大好きな情報屋の姉さんにあらず)
ふふ……あんた、良い女になるよ(眼鏡クイッ、髪の毛ファサッ、増Gスッ
・紫キャベツ
きぃぃぃ!生意気ぃぃぃ!でも良いぃぃぃ!
・槍サーの姫
おいおい、最高かよ。

好感度(一方的)ランキング
零羅、槍サーの姫と続く。残りは大体同じような感じ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

33話


いつも感想等ありがとうございます。いつも励まされます。
皆様から頂く感想のありがたさを周囲に示す為に、皆様の感想を全て印刷したシャツを着ようと思います。
ごめんなさいやっぱり色んな意味で無理です。

文章が全然思い付かなくて……遅くなっちゃいます。決してスプラ3とかで遊んでた訳じゃないんです!
許してくださいトマトが何でもしますから!
ヒッセンのサブポイズンミストにした奴を八咫ロックしてやりたい



 

『……………………そうか。なら、此方も町中の監視カメラを使って探してみよう

 

「はい、分かりました」

 

 なんか妙に長い間があったような気がするけど……一先ず私の仕事はこれまでだ。帰って餃子でも食べたいな……バイクで近所の居酒屋行こっと。

 

『……移動中のユートを見つけた。紫雲院素良もそこに向かう可能性が高い。今から君のデュエルディスクにユートの位置情報を送る。なるべく早く、君はそれを追ってくれ』

 

 うわ出た、上司、しかも社長からの命令での残業やめれ……やめてくれ……断れないんだよ。しかもそれ一般ピーポーの私がする内容じゃないでしょ。そう言うのはその筋の人に頼んでくれよ……人材選びミスってんよ〜。

 

「わ、わ、私が行っても何も出来ませんよ!?」

 

『念のためだ。ユートの事も気になるからな……今は大会中だ。あまり派手に追跡できない。君が頼りだ』

 

 無視ですか? しかも理由は念のためとか。マジキツいっすわぁ……でも社長のお願いだからなぁ。断ったら終了処分とか記憶処理とかされそう。この世界の技術力は財団よりも上を行くと思っておこう。質量を持ったビジョンとか作れるし。

 

 でもまあ……君が頼りだ、ねぇ。

 

「はぁ……しょうがないなぁ。わかりましたよ、行けばいいんですね?」

 

『ああ』

 

 やれやれ……まあいいか。今日は大した仕事してないし、体力はまだある。貧弱だけど。これでもこの町来てから多少は生活リズムも改善したし、運動も微かにはしてるから体力も多少は伸びた筈なんだけど……まだまだデュエリストとしての標準域には程遠いようだ。

 

 ほら、今だって階段を降りて出入り口に辿り着いただけでもう息が乱れて汗もだくだくだし……もやしに追跡とかなんで頼むねん。

 

「ぜぇ、はぁ……もう無理、帰りたい」

 

 私が愚痴りながら満身創痍で階段を降りきって外に出ると、見覚えのある顔が3人並んでいた。遊矢くんと柚子ちゃん、それに権現坂くんだ。正直、もう遅い時間だから既に帰ってるんだと思っていた。まだ帰ってなかったのか……

 

「……あ、先生! 素良を知らないか?」

 

「ぜぇ、ぜぇ……ま、待って、今息整えてるから……」

 

「先生がそんなに疲れてるなんて……って、それはいつものことだったわ。前なんか階段を登っただけで息切れしてたし」

 

 柚子ちゃん、事実だけど時には正直に言うよりも多少誤魔化しやオブラートに包んで話すことを覚えた方がいいぞ……真実と言うのは人を傷付けることもあるからね。ほら、今も私の心がひび割れたガラスみたいになっているだろう?

 

 って、傷付いてる場合じゃなかった。

 

「あれ、なんで3人は素良きゅん探してるの?」

 

「さっき、警備の人が素良が逃げ出したと話しているのを聞いたのだ」

 

 うげ、知ってしまったか……まあいい。放っておこう。私これ以上働きたくないでござる。後で社長に報告はするとして、この場は適当に誤魔化してとっととバイクに乗り込むとしよう。

 

「へーなるほど、それは気の毒に……ごめん、私も今忙しいから私はこれにて失礼する」

 

「待って先生、失礼しないで!」

 

「く゛け゛え゛え゛え゛……」

 

 ぎ、ギブギブ! やめて柚子ちゃん襟を引っ張らないで服も伸びるし息ができなあばば……

 

「ちょ、柚子一旦ストップ! 先生の顔が青くなってる!」

 

「あ……ごめんなさい先生」

 

 ぐほぇあ!

 

「さ、サンズリバーで誰かが手を振ってるのが見えたぞ……ええと、とにかくサヨナラ!」

 

 こんなところにいられるか! 私はとっとと仕事を終わらせて帰らせてもらう!

 

「先生、その様子だと素良について何か知ってるのね?」

 

「し、知らないしぃ〜?」

 

「何か知ってるんだな? 先生が素良が逃げたと聞いたのに何の反応もないのはおかしいからな。頼む、教えてくれ!」

 

 秒でバレた!? しかし、バイクの置かれている位置までは後数メートル……ダメだ、たとえ1メートルしか離れてなくても「しかし まわりこまれてしまった!」ってなる予感しかしない。

 

 ううん、今は割と急いでるからなぁ……今この瞬間にも素良きゅんがユートに【CENSORED】とか【規制済み】とかされてるかもだし。

 

 ……下手に逃げて余計な追及受けるよりも協力してもらった方がいい、か。

 

「今忙しいから簡潔に説明する。私は今素良きゅんを追ってるんだ」

 

「本当か!? なら、素良の居場所も知ってるのか?」

 

「ああ! で、今からバイクで向かおうとしているんだ。言っておくけど、着いて行くなら1人までだからね。あと、多分体格的に権現坂くんは無理そう」

 

「ぬわー! 鍛えに鍛えたこの身体が仇になるとはー!」

 

 コントしとる場合かーッ!

 

「と言う訳で、柚子ちゃんと遊矢くんのどちらかにして。私のお勧めは柚子ちゃんかな、背中に胸が当たるし……って、当たる程なかったや。じゃあどっちでもウェルカムだよ!」

 

「くっ……先生ったらこんな時にまで……!」

 

 ふっ……残念だが柚子ちゃんの必殺ハリセンは権現坂くんの背中に隠れた私には届かないぜ!

 

「先生……なら、俺が行く!」

 

「ちょ、遊矢!?」

 

 遊矢くん、この漫才を華麗にスルー。この子絶対女の子泣かせだよ。いや実際にそうだったわ。

 

「よし、じゃあ一緒に行くぞ遊矢くん! ええと、たしかヘルメットがもう一個……あったあった。これ被って!」

 

「お、おう!」

 

「よし、丸太は持ったな!? イクゾー!」

 

 デッデッデデデデ! カーン!

 

「え、丸太ってなん……うおぉぉぉぉ!?」

 

 バイクを発進させる。速度は既に2速だ。

 

「2人はまた後でねー!」

 

「遊矢、気を付けて!」

 

「無事に帰って来いよ!」

 

 ……いい友達と彼女(予定)持ったな遊矢くん。

 

「で、先生。素良は何処に……」

 

「デュエルディスクによると……うん、移動しているみたいだね」

 

 大体の位置を逐次マークしてくれているようだ。科学の力ってすげー。デュエルディスク万能過ぎない? 携帯代わりにもなるし……スマホみたいなものかこれ? でも流石に検索エンジンは使えない。その内使えるようになっても驚かないケド。

 

 私の目的は素良きゅんの捕獲だ。まだ身体は万全じゃない筈だし、疲れ果てて倒れたところをおぶってあんなところやこんなところをぐへへ。いやいや、あくまで仕事を優先しているだけであって私情で動いてるだなんてそんなそんな……

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「むむ……あれは」

 

「あ、素良!」

 

 マークを追いかけていると、走っている素良きゅんを目視で発見した。なんか広場っぽいところに向かっているみたいだ。たしか中央公園だっけ? この町の地理に詳しい訳じゃないけど、この辺に公園があるのは聞いたような気がする。

 

「先生!」

 

「分かってるって!」

 

 ふふ、流石にバイクには追いつけまいて。と、思っていたら社長から通信が来た。

 

『聞いてくれ。監視カメラに映っているユートを発見した。場所は素良のすぐ近くだ。どうやら、君の読み通り彼はユートを追いかけていたようだな』

 

 ふむ……って事はもう素良きゅんは逃げない筈。追いかけっこはもう終わりだね。たまにはバイクで散歩するのも悪くはなかったけど、致し方なし。

 

「りょーかい……おっと、ユートも目視できた。どうしますか?」

 

『……様子を見てから判断する』

 

「あと遊矢くんがついて来たんですけどいいですか?」

 

『…………構わない』

 

 うん、ごめんね社長。貴方が今無線越しで血管ブチ切れた幻聴がしたのはたしかなんだ。今度からちゃんと話通すから許してくれ。私も同じことされたら絶対キレ散らかすからお願い許して。

 

 と、社長と連絡を取っていると、遊矢もユートを発見したようだ。

 

「なっ、あれは……!」

 

 しかし……見比べると顔面は割と似てるな。匂いはだいぶ異なるけど。

 

「俺にそっくり……あれが柚子が言っていたユート……?」

 

 ……そういえば柚子は会ってるんだっけ。まあ別に口止めとか要求されなかったしいいか。

 

「早くあいつを呼べ! 黒咲隼を!」

 

 その言葉に、今まで背を向けていたユートは振り向いた。

 

「そんな身体で、隼ともう一度戦うと言うのか?」

 

「そうだ! 今度こそ、絶対に負けない!」

 

 ううん、なーんか素良きゅんの様子がおかしいんだよね。今までは余裕のある系のショタだったけど、今は割と感情丸出しで声を荒げている。何があったし。誰か説明キボンヌ。

 

 ここはどうしよう……間に入るか? でも喧嘩腰の理由も分からないのに仲裁するのは難しいな……これ、どう収拾付ければいいんだろう。そもそもフィジカル/ZEROの私が何やってもデュエルするまでもなくボコボコにされるし。

 

 そこら辺はアニメのヒロイン(?)らしく遊矢くんにでも守ってもらうとして……ううむ、ここは一旦様子を見るしかないか?

 

「素良!」

 

 そうこう考えていると、私よりも先に遊矢が2人の方へ走って行ってしまった。

 

「ちょ、待っ……!」

 

 ああもう……無鉄砲なんだから。猪かよっ。

 

『ああ、監視カメラにも榊遊矢が映った』

 

 うわビックリした。

 

「ええと、放っておいていいんですか?」

 

『君が派手に暴れるよりかはマシだろう』

 

 人の事をバーサーカーか何かだと思ってるのかこの見た目年齢詐欺が……前お酒勧めようとしたら未成年だからって断られた時は驚いたぞ。つーか未成年が社長ってどーなんよ? はぁ、親は何してんだか……って、それはもう聞いてたな。やれやれ。

 

「素良!」

 

「遊矢!? どうして……いや、今はそんな事はどうだっていい。あっち行け! 遊矢には関係ない!」

 

「何言ってんだ、病院で寝てなきゃいけない身体なのに! なのに無理に抜け出して……」

 

 すると、ユートがデュエルディスクを取り出した。あれ、たしかこいつのデュエルディスクってリアルに衝撃が出る奴なんじゃ……素良きゅん病み上がりだから下手したらやばい事になるんじゃ……そう思っていたらユートに反応して素良きゅんまでもがデュエルディスクを……

 

「はぁ……社長、ちょっと止めに行ってきます」

 

『くれぐれも派手な事をしてくれるなよ。今は大会中なのだからな』

 

「りょーかい。ここは地味ーに行きますか……」

 

 うん、あのデッキを使おう。そして、ちょっと大物感付けた登場の仕方をしよう。大して意味はないんだけどね? こう……格好付けたいじゃん?

 

「ふぅ……やれやれだわ。全く、私の目が付いているのに勝手な真似をして……そんなに痛い目に会いたいのかしら?」

 

「「!?」」

 

 2人は私に気が付いてなかったので驚いているようだ。くっくっくっ……カツカツと靴音を立てて登場する私はまさにクール系格好いいお姉さんだ!

 

「先生、なんでそんな無駄に大物ぶってカッコ付けて登場したんだ? いつもより口調おかしいし……」

 

「遊矢ァ……私、涙が出そうだよ」

 

「な、なんか怒ってないか先生!?」

 

「先生がなんでここに……いや、そんなの後だ! デュエルしろ、エクシーズ使い!」

 

 無視しないでくれよー(´・ω・`)

 

「いいや、違う……素良、貴方は私とデュエルだ。んてもって遊矢がそいつとデュエルしろ」

 

「え!? あ、ああ……分かった!」

 

 遊矢くんは素直に言うことを聞いてくれた。

 

「ふざけんな! 僕はこいつと……エクシーズの奴に……!」

 

 はぁ……やれやれ。

 

「うるさい! 私とデュエルだ! デュエルで素良きゅんを拘束するぞ! おらっ、デュエル!」

 

「くっ……立ち塞がるんだったら先生だろうとなんだろうとぶちのめす!」

 

 

「「デュエル!!」」

 





バイクに乗る先生……あっ(察し
おまけ 社畜先生のトラウマ

・明日社長の前で一発芸やってね。
・あ、俺の分の仕事もやっといて? 俺もう帰るから。
・俺が頑張ってるんだからお前も頑張れよ!
・あ、タイムカードには○時ってしとくから。
・ねぇねぇ、この仕事土日会社でやってくれない?
・そんなに仲良くない上司と一緒に食事。

いつの間にか環境デッキがスプライトからイシズティアラメンツに移り変わったそうですね。全く関係ないデッキで悪用されるアギドとケルベクぇぇ……しかも10月からアギドとケルドウ規制されてやがんの。その所為かディメンション・アトラクターまで準制限になるそうだし……ウケる(死んだ翌日の魚の目)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

34話


遅くなりましたすいません(無言の土下座)
ちょっとこの先のプロットを組んでて遅れました。展開悩む……おかしいな、書き始めた当初は気楽にデュエルしてるだけの小説にしようと思ってたのに何故かストーリーが出来てきているぞ……

大体VS黒咲の辺りから思い付きで先生のバックストーリーとかが物凄い勢いで私の脳内に捏造されたぞ……その所為ですっごい苦労してるゾ……(自業自得)

今回は素良の使用カードのテキストを大体省いています。以前書いた筈なので……間違えてまだ出ていない奴まで省いていたらすいません。それとは関係なく先生の使っているカードのテキストもちょっと省いてます。一万文字超えそうだったので……許してくだせぇ。

あ、そうだ(唐突)
最近生まれて初めてアニメのガンダム見たんですけど(水星の魔女)めっちゃ面白いですね。
やっぱすげーよ……ニカは……



 

「先攻は僕が貰う! 僕のターン!」

 

 ほう、先攻を取られたか。くくく……と、特に意味もなく笑ってみる。悪役っぽい……いや、ここは悪役令嬢風に笑ってみようか?

 

 なんか最近の私行動おかしいような……気の所為だな!

 

「おーっほっほっほ!」

 

「その意味不明な気持ち悪い笑み、すぐに絶望に変えてあげるよ!」

 

「ガーン……絶望した」

 

「……僕は手札からファーニマル・ベアのモンスター効果発動!」

 

 あ、無視ですかそうですか……なんか最近よく無視されるな。ちょっと癖になり……いやならないわ。普通に傷付くわ。私別にマゾじゃないわうんそうだよきっとそう。

 

「このカードを墓地に送ることで、デッキからトイポットを手札に加える。そして、そのまま発動!」

 

 ううむ、ウィング握ってたら手札補充されちゃうなぁ……なんでこう言う肝心な時にうららいないんだろう。うららに限らず、最近初手に手札誘発全然握れてない気がする。これで次のドローカードが手札誘発だったら泣くけど……まあ、流石にそうそうないでしょ。フラグなんてそんな簡単に建たないよ、うん!

 

 ……言ってるうちにありそうに思えてしまうのは何故だろうか。

 

「トイポットの効果発動! 手札のエッジインプ・チェーンを捨てて、デッキからカードを1枚ドローする! そしてドローしたモンスターがファーニマルモンスターなら、手札からモンスター1体を特殊召喚できる……ドロー! 僕がドローしたのはファーニマル・ウィング! 僕はこのままファーニマル・ウィングを特殊召喚する!」

 

 引き強っ。主人公レベルの引きをサラッとやるんじゃあないッ!

 

「更に! 墓地に送られたエッジインプ・チェーンの効果を発動! デッキからデストーイカード……魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)を手札に加える!」

 

 うーん、回ってるなぁ……まあ、デストーイは基本相手の場を荒らして殴り殺すデッキだから先攻は出来ることはやや少ない。ここは余裕を持って見守ろう。と言うか若干飛ばし過ぎまである。素良きゅん、焦ってるなぁ?

 

「そして、そのまま発動! デッキから融合とエッジインプモンスター……エッジインプ・シザーを手札に加える! そして、魔法カード融合を発動! 僕が融合素材にするのはフィールドのファーニマル・ウィングと手札のエッジインプ・シザー!」

 

 やっぱ補綴強いなぁ。単純にアドだし。雑に強い。

 

「現れ出ちゃえ! 自由を奪い闇に引き込む海の魔獣! デストーイ・ハーケン・クラーケン!」

 

 おおん、先にそいつ出したって事は……

 

「僕は魔法カード融合回収を発動! 墓地の融合とエッジインプ・シザーを手札に加える! そして墓地のファーニマル・ウィングのモンスター効果発動! 墓地の自身と他のファーニマルモンスター1体をゲームから除外して、デッキからカードを1枚ドローする! さらに、僕のフィールドに存在するトイポットを墓地に送ることでもう1枚ドローできる! そして、墓地に送られたトイポットの効果発動! このカードが墓地に送られた場合、デッキからエッジインプ・シザーかファーニマルモンスターを手札に加えることができる! 僕が手札に加えるのはファーニマル・キャットだ!」

 

 ガン回りしてんよぉ〜。これでも他のデッキと比べると大分マシだと思えるのが怖いな……今手札7枚もあるのに。ドロー加速コンボつおい。

 

「そして、僕はまた魔法カード融合を発動! 僕が融合素材にするのはフィールドのデストーイ・ハーケン・クラーケンと手札のファーニマル・キャットとファーニマル・ペンギン!」

 

 出てくるのは……うん、あいつしかいないな。融合素材的にも。

 

「現れ出ちゃえ! 全てに牙むく魔境の猛獣、デストーイ・サーベル・タイガー!」

 

 うーん、こいつは耐性がなぁ……まあ、なんとかするけどネ。幸い、今回のデッキなら多分なんとかなる。

 

「デストーイ・サーベル・タイガーのモンスター効果発動! このカードが融合召喚に成功した時、墓地のデストーイモンスター1体を特殊召喚できる! っとと、さらに融合素材として墓地に送られたファーニマル・キャットとファーニマル・ペンギンのモンスター効果も発動! 墓地の融合を手札に戻し、デッキからカードを2枚ドローして手札を1枚選んで捨てる。んでもって、墓地からデストーイ・ハーケン・クラーケンを守備表示で特殊召喚する!」

 

 うわぁ……まだ続くなこれ。私めっちゃ暇だな。ソリティア終わるまでちょっと隣の遊矢くんとユートのデュエルを盗み見するか……んお?

 

「な、なんだ? この感覚は……」

 

 私の気の所為じゃなければ、遊矢くんが少しだけ苦しそうに見えた気がする。胸抑えてるし……って、ユートも胸抑えてない? あれぇ?

 

 フィールドに目を移すと、ダベリオンとオッpがお互いのフィールドに並んでいた。

 

「おーい、大丈夫ー?」

 

「あ、ああ……なんとか」

 

 うーん、不整脈とかじゃないだろうな……はっ!?

 

「まさか、恋……?」

 

「何の話だ!?」

 

 怒られちった。

 

 ……いや待てよ。そう言えばユートの切り札ってダベリオンなんだよね。んでもって遊矢くんの切り札がおっpだよね。あ、そういうイミじゃないからね?

 

 うーん、なんだか偶然にしてはなんかこう……出来過ぎてるような。いや遊戯王アニメ世界に来ちゃってる時点で色々アレだけども。

 

 それと、気になるのがもう一つ。私の手持ちカードについてだ。

 

 私の鞄の中から何故か知らないカードまで取り出せてしまう。これに関してはもう考えるのを辞めてはいるが、何枚か取り出せないカードが存在する。それが、この2人のエースモンスターだ。

 

 他にもクリスタルウィングとかスターヴヴェノムとか無いと困るカードが幾つかあるが、それらは全然取り出せない。クリスタルウィングないのは結構困るんだが……あと、それらの関連カードも全滅だ。超融合の使い心地が悪くなったな。シンクロデッキ関連もやや制圧力が落ちたか。

 

 あと無いのはリンク関連と……覇王龍ズァーク関連だ。リンク関連はまあ置いといて、ズァーク関連もないのはなーんか引っ掛かるな。これ、もしかして何か物語に……

 

「余所見をしている余裕なんてあるの? まだまだ! 僕はまたまた魔法カード融合を発動! 僕は手札のエッジインプ・シザーとファーニマル・ラビット!」

 

 おっと、今はデュエルに集中しようか……後で考えよう。なんか思い出せそうな気がするし。

 

「現れ出ちゃえ! デストーイ・デアデビル!」

 

 ATK3400か……私、スキドレとか使ってたから効果無効を警戒されたのかな? まあスキドレの被害者は遊矢な訳だけども。まあ、それはそれとして……これで融合3回目か。

 

 うん。素良きゅんさ、飛ばし過ぎ。

 

「融合素材となって墓地に送られたファーニマル・ラビットの効果発動! 墓地のエッジインプ・シザーかファーニマルモンスター1体を手札に加える。僕はファーニマルキャットを手札に加える!」

 

 ……

 

「僕はまだ通常召喚を行なっていない! 僕はファーニマル・ドルフィンを召喚! そして、ファーニマル・ドルフィンのモンスター効果発動! 僕の墓地に存在するトイポットをフィールドにセットし、デッキからエッジインプ・シザーまたはファーニマルモンスター1体を墓地に送る」

 

 

ファーニマル・ドルフィン

効果モンスター

星4/水属性/天使族/攻1600/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地の「トイポット」1枚を対象として発動できる。

そのカードを自分フィールドにセットし、

デッキから「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル」モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。

自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、

「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を選んでデッキに戻す。 

 

 

「僕は、更に魔法カード魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)を発動! 僕は墓地のエッジインプ・チェーンとファーニマル・ペンギンをゲームから除外して、融合する!」

 

 魔玩具融合まで切るのか……

 

「融合召喚! 現れ出ちゃえ、すべてを封じる鎖のケダモノ! デストーイ・チェーン・シープ!」

 

 ふむ……フィールドにモンスターが5体並んだな。なんとなーく、狙いは分かる。と言うか素良の性格的にも考えて、アレを握ってそうだ……

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 ふぅん……なるほど。盤面を整理しよう。

 

 

手札 2枚

フィールド

デストーイ・ハーケン・クラーケン、デストーイ・サーベル・タイガー、デストーイ・デアデビル、デストーイ・チェーン・シープ、ファーニマル・ドルフィン

魔法・罠 伏せ2枚、うち1枚はトイポット

 

 ……ふふっ。

 

「ふふふっ……」

 

「どうしたの先生? まさかビビっちゃった?」

 

「うふふ……あはははははははっ!」

 

 自然と、頬が緩む。口は弧を描き笑い声が漏れる。

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

「なんだか、可笑しくってね。あー、腹痛いわー……なーんちゃってね」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 僕と対峙している先生は、正直に言うとあまり気に入らない。初対面の時から融合を使って僕に勝ったのはまだいい。決め手はダ・イーザとか言うモンスターだったし。

 

 でも、その後は違う。彼女は融合どころかシンクロやあのエクシーズまでも使い、デュエルをしているのを見た。ただ使うだけでなく、どれも有効に使いこなし、それどころかエクストラデッキを全く使わないこともあった。

 

 実は、こっそり2、3回程挑んで再戦したけど、全く勝てなかった。

 

 なんか、エルドリッチとか言うモンスターを使われて……なんだったんだよアレは! 融合もシンクロもしてない癖に強いし……って、その話は今はどうでもいい。後だ後。

 

 その時はあくまで本気で戦ってなかったって自分に言い聞かせた。でも、悔しいけど先生の実力は本物だと思ってる。遊矢にも何度も勝ってるし、憎たらしいけど先生の授業には学べる部分もあったと思う。

 

 そんな先生がいつも言っていることがある。

 

『何でも使いなさい。卑怯な手段以外だけど』

 

 そう言って、僕のデッキと相性は悪くないからとエクシーズモンスターを勧めてきた。

 

 ……冗談じゃない! 僕はあんなのを使いたくなんてない。融合こそが1番だ。僕が断ると、先生は困ったような顔で僕を見つめる。まるで、幼子に言い聞かせるような優しい口調でこう告げた。

 

『ワロス』

 

 ……これ絶対僕を馬鹿にしてるよね? 口調と表情はまだ善人に見えなくもないのに。いや、よく見たら歪んだ風に笑っているように見えなくもない。

 

 本気じゃない僕に勝ったからって……思い上がるなよ、先生。このデュエルに勝って見せてやるさ、僕の本気を!

 

「(さぁ、どう来る……?)」

 

「私のターン、ドロー。私は魔法カード増援を発動。デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える。私が加えるのはマジック・ストライカー。そして魔法カード成金ゴブリンを発動。相手は1000LP回復し、私はデッキからカードを1枚ドローする。成金ゴブリンを再び発動。1枚ドローする……更に成金ゴブリンを発動」

 

 

素良 LP 4000 → 5000 → 6000 → 7000

 

 

 僕のライフを回復させたか……いくらライフが増えようが、自分の勝利は揺るがないとでも思ってるのかな? 3000も僕のライフをわざわざ回復させたその思い上がり、絶対に後悔させてやるからな!

 

「魔法カードライトニング・ストームを発動。相手フィールドの表側攻撃表示のモンスターまたは魔法・罠カードを全て破壊する」

 

「させない! 罠発動、大革命返し!」

 

「何っ」

 

「フィールドのカードを2枚以上破壊するカードの効果を無効にして破壊する!」

 

 これは先生とのデュエルを経てデッキに入れたカードだ。先生に見せるのは初めてだけどね。

 

 先生はブラックホールとか激流葬とかハーピィの羽箒とか、カードを大量に破壊するカードをよく使ってくるしよく薦めてくる。だから、このカードを入れてみた。毎回毎回同じ手を食うと思うなよ……

 

 悔しいが、多少は対策をしなければ先生に勝つのはかなり厳しい。数回のデュエルで僕はそう感じた。この時点でかなり屈辱だけど……やむを得ない。僕のプライドがまた軋む音が聞こえた気がした。だけど……絶対に勝つ!

 

「……へー。ほんのちょっぴりは成長したね」

 

「……ふん」

 

「……だが。私は墓地の成金ゴブリンをゲームから除外し、手札からマジック・ストライカーを特殊召喚する。マジック・ストライカーは墓地の魔法カード1枚をゲームから除外して手札から特殊召喚できる。更に、俊足のギラザウルスを特殊召喚する。このモンスターは手札から特殊召喚できるが、代わりに相手は自らの墓地からモンスターを1体特殊召喚できるが……」

 

「僕のフィールドにはモンスターが5体。そのデメリット効果は適用できないってことか」

 

 この辺りの小技は本当に豊富だな……小賢しいけど。

 

 そして、両者共にレベルは3……来るか。

 

「私はレベル3のマジック・ストライカーと瞬足のギラザウルスでオーバーレイ! エクシーズ召喚! 現れよ、弦魔人ムズムズリズム!」

 

 現れたのはさすらいのギタリストのようなモンスターだった。わざわざエクシーズを使ってくるのは当てつけのつもりか……だが、どんなモンスターが来ようと関係ない。必ず潰してやる……!

 

「弦魔人ムズムズリズムの召喚に成功した時、僕は手札からエッジインプ・サイズの効果を発動! このカードを見せることで、自身を素材とした融合召喚を行える!」

 

「相手ターンにモンスターの効果で融合だって!?」

 

 いつの間にか遊矢が此方を向いていた。

 

「あはは、遊矢は余所見してていいの?」

 

「くっ……」

 

「心配しなくてもすぐに先生を打ちのめしてそっちに加勢してあげるよ」

 

 挑発するように先生の方を見たが、先生はやや俯いたまま何も言わない。

 

 ……珍しいな。あの先生があんなに静かなんて今まで見たことがないかもしれない。それ程に今の先生はちょっと変わっていた。ハッキリ言って不気味だ。普段から気持ち悪いけど。

 

 表情が抜け落ちたかのように無表情な顔は、ポーカーフェイスなのか。それとも……

 

「……とっとと進めろ」

 

「……空気読めないなぁ? 僕が融合素材にするのはエッジインプ・サイズとフィールドのファーニマル・ドルフィン!」

 

 いつもへらへらしている先生め、吠え面かかせてやるっ!

 

「現れ出でよ! 残虐残酷な海の魔物! デストーイ・クルーエル・ホエール!」

 

 

デストーイ・クルーエル・ホエール

融合・効果モンスター

星9/水属性/悪魔族/攻2600/守2400

「エッジインプ」モンスター+「ファーニマル」モンスター

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。

自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ選んで破壊する。

(2):1ターンに1度、自分フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。

デッキ・EXデッキから「デストーイ・クルーエル・ホエール」以外の「デストーイ」カード1枚を墓地へ送り、

対象のモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自身の元々の攻撃力の半分だけアップする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「デストーイ・クルーエル・ホエールのモンスター効果発動! このカードが融合召喚に成功した場合、お互いのフィールドのカードを1枚ずつ選んで破壊する!」

 

 このカードは先生がよく言っていた対象を取る効果ではない。忌々しいことに先生の教えに多少の影響を受けているのは認めざるを得ないな……

 

「僕が破壊するのはセットされたトイポットと弦魔人ムズムズリズムだ!」

 

「あっそ」

 

 自分が折角出したエクシーズモンスターを破壊されたのにその余裕、何故だ!? 先生はまだ召喚権こそまだ残ってるものの手札は残りたった3枚の癖に……!

 

「くっ……その態度、気に入らない! 僕は墓地に送られたトイポットの効果発動! デッキからファーニマル・オウルを手札に加える!」

 

「私は魔法カード三戦の才を発動。このターンのメインフェイズに相手がモンスターの効果を発動している場合、3つの効果から一つ選んで効果を適用する。私は2枚ドローする効果を使用する……SRベイゴマックスは、自分フィールドにモンスターがいない場合に手札から特殊召喚できる。ベイゴマックスの効果発動、デッキからSRモンスターを1体を手札に加える。私が手札に加えるのはSRタケトンボーグ。そして、タケトンボーグは自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。マドルチェ・ホットケーキを召喚。そして効果発動。墓地のモンスターを1体除外してマドルチェ・ホットケーキ以外のマドルチェモンスター1体をデッキから特殊召喚できる。私はマドルチェ・ミルフィーユを特殊召喚」

 

 ……あっという間にモンスターが4体も揃った。それでも手札はまだ2枚残ってる。そして、僕は直感で分かった。

 

——先生はこのターンでデュエルを終わらせるつもりだ。多分、次のターンとか防御のことを何も考えていないような気がする。僕を絶対に仕留めると言う殺意しか感じない。僕を狩るつもり……なのか?

 

「私はレベル3のSRベイゴマックスとSRタケトンボーグでオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク3、管魔人メロメロメロディ! 更に私はレベル3のマドルチェ・ホットケーキとマドルチェ・ミルフィーユでオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク3、鍵魔人ハミハミハミング!」

 

 ランク3のエクシーズモンスターが2体か……だけど、その程度じゃ僕のライフを削り切る事なんてできやしない。

 

「鍵魔人ハミハミハミングのモンスター効果発動。このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の魔人エクシーズモンスター1体を特殊召喚し、手札を2枚までそのモンスターのエクシーズ素材にできる。もう一度、弦魔人ムズムズリズム」

 

 先生は1枚だけエクシーズ素材にした。そして、先程僕が破壊したモンスターの蘇生……だから余裕の表情だったのか。恐らく、僕がそうすることを読んでたな!?

 

 くそっ、どいつもこいつも……僕をこけにしやがって!

 

「管魔人メロメロメロディのモンスター効果発動。オーバーレイユニットを1つ使い、自分のフィールドに存在する魔人モンスター1体を選択し、そのモンスターはこのターン2回攻撃できる。私は管魔人メロメロメロディ自身を選択する」

 

 2回攻撃か……ふぅん、なるほどね。

 

「でも、僕のフィールドを見なよ?」

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン DEF 3000

デストーイ・サーベル・タイガー ATK 2400 → 2800

デストーイ・デアデビル ATK 3000 → 3400

デストーイ・チェーン・シープ DEF 2000

デストーイ・クルーエル・ホエール ATK 2600→ 3000

 

「先生の弱小エクシーズモンスターで勝てる訳ないじゃん。さっさと諦めたら?」

 

管魔人メロメロメロディ ATK 1400

鍵魔人ハミハミハミング ATK 1100

弦魔人ムズムズリズム ATK 1500

 

 僕のモンスター達の最低攻撃力ラインは2800。1番やられやすいデストーイ・チェーン・シープには破壊された後に攻撃力を800ポイント上げて復活する効果がある。

 

 デストーイ・サーベル・タイガーは3体以上の素材で融合した場合に戦闘・効果による破壊を受け付けなくなる。デアデビルとハーケン・クラーケンは単純にそれぞれ攻撃力・守備力の数値が高い。

 

 先生がどうにかして僕のモンスターの攻撃力を上回ってもクルーエル・ホエールは1ターンに一度、僕のフィールドの融合モンスターを1体選択して、デッキかエクストラデッキからデストーイカードを墓地に送ることで選択したモンスターの元々の攻撃力の半分攻撃力を上乗せする効果がある。半端な攻撃ならこれで返り討ちだ。

 

 それに比べて先生のエクシーズモンスターのランクは3体とも3。それほど強い効果も持たないだろうし、1番高い奴でも攻撃力すらたった1500だ。子供みたいな絵柄のモンスターを使ってよくもまあ無表情でデュエルできるね。

 

 先生とは言え、この布陣をそう易々と突破できないだろ!

 

「私は装備魔法ストイックチャレンジを管魔人メロメロメロディに装備する。ストイックチャレンジを装備したモンスターは攻撃力が私のフィールドのオーバーレイユニットの数×600アップする。ただし、効果の発動はできなくなる」

 

 今の先生のフィールドに存在するオーバーレイユニットは4つ。つまり、2400アップするって訳か。

 

管魔人メロメロメロディ ATK 1400 → 3800

 

 なんだ、たったそれだけ? 先生の手札はもう0だし、これ以上何もできないね。

 

「はん、散々偉そうに語っておいて……攻撃力が3800になったモンスターがいる程度で僕に勝てるとでも?」

 

 攻撃力3800のモンスターの2回攻撃はたしかに脅威だ。しかし、今の僕の布陣を崩すにはまるで足りない。

 

「バトル。管魔人メロメロメロディでデストーイ・サーベル・タイガーを攻撃」

 

「ふん……所詮はその程度だね。いいさ、別に。これで僕の勝ちだ! ダメージステップ時、デストーイ・クルーエル・ホエールのモンスター効果発動! デッキからデストーイ・リペアーを墓地に送ることで対象にしたモンスターの元々の攻撃力の半分を現在の攻撃力に上乗せする! 僕はクルーエル・ホエールを選択する。返り討ちにしろ、クルーエル・ホエール!」

 

デストーイ・クルーエル・ホエール ATK 3000 → 4300

 

 これで次のターンで僕の勝ちだ……!

 

「……チェーンして、弦魔人ムズムズリズムの効果を発動。自分の魔人モンスターが相手モンスターに攻撃する時にオーバーレイユニットを1つ使い、このターンのエンドフェイズまでその攻撃力を倍にする」

 

 ……は? ば、倍……?

 

「その前にストイックチャレンジの効果による攻撃力上昇量が減る。そして、その後倍加させる」

 

管魔人メロメロメロディ ATK 3800 → 3200 → 6400

 

「攻撃力6400だと!? だ、だけどその程度なら……!」

 

 この戦闘で受けるダメージは2100。この後1番攻撃力の低いサーベル・タイガーを攻撃しても3600で合計5700。普段ならダメだけど、今の僕のライフは……

 

「あははっ、たしかに攻撃力を倍にするのは先生が使ってたリミッター解除くらいしか知らなかった。けど、それでも僕の今のライフである7000には届かない! 自分のプレイミスで負ける気分はどうだよ先生!」

 

「……ああ、言い忘れてたな」

 

 なんてことのないように先生はこう言った。

 

 

「ストイックチャレンジを装備したモンスターが相手モンスターと戦闘する時、相手プレイヤーに与えるダメージは2倍になる」

 

 

「……なッ!?」

 

 だ、ダメージまで2倍だって!? 遊矢のオッドアイズみたいな効果まであったなんて……こ、これじゃ……

 

「さあ、バトル再開だ。敵を粉砕しろ、管魔人メロメロメロディ」

 

「う、うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

素良 LP 7000 → 2800

 

 今まで受けたことのないくらいの衝撃が僕を襲った。なんとか受け身は取ったけど、正直身体が言うことを聞かない……

 

 くそっ、あんなよく分からないモンスターなんかに……くっ、全部先生の掌の中だったってこと、か……

 

「トドメ。管魔人メロメロメロディで……ん?」

 

 すると、僕のデュエルディスクが光った。正直、もう僕には戦える気力がなかった。エクシーズデッキを相手に惨敗したってことだけでなく、先生が怖かったからだ。

 

 だから、アカデミアに強制送還されることに少しだけ安堵を覚えた。そんな自分が情けなく感じた。僕は、エクシーズの連中と同じ負け犬なのか……?

 

「僕は、エリート、だったの、に……な」

 

 僕は転送と同時に気を失った。微かに見えたのはやはり人形のように無表情な先生だった。これが、多分だけど素の先生なんだろう。どうして普段はあんな風に振る舞ってるのかは分からないけど……

 

 僕には先生の背後に、般若の顔が浮かんでいるように僕には見えた。

悲しみなのか、怒りなのかは分からないけど……まるで心の奥底で激情を抑えているようにも感じた。

 

「……いやなこと、おもいだしちゃった」

 

 最後に聞こえたのは氷のように冷たいけど、何処か悲しさを感じさせる先生の声だった。

 




先生「ファッ!? なんか素良消えたンゴ……」(意訳)

今回のデュエル、素良きゅんの手札管理が割と手間でした。
それはそれとして刻の封印が制限カードになってるのはなんでやねん。wiki見れば分かるけどパワーカードと言うよりはコンボでやべーことになるカードなんですよね、八咫烏とかと同じで。

Q.スピードロイド出てるけどいいの?
A,大丈夫大丈夫、あいつの出番多分あんまないから(!?)
それはそれとして先生は普通にEMとか幻影騎士団とか捕食植物とかも何故か持っています。先生の無限カバンが何処に繋がっているのかは作者にも分かりません。

Q.ハミングの効果ェェ……
A.使わなくても勝てたんで……もっとギリギリになるかと思ったけどそんなことなかったぜ!(ストイックチャレンジで足りないなら団結にしようと思ってたら余裕で足りたので成金追加しました。ダメージ倍しゅごいのぉ……)

Q.先生のキャラ変について
A,先生はたまーにあんな感じになります。
例1:残業が確定した
例2:昨日買った家電が半額になっていた
例3:財布を落としたことに帰ってから気付いた













Q.クルーエル・ホエールで魔玩具厄瓶墓地に送っていれば素良勝てたんじゃね?
A.ファーニマル・ペンギンの効果によって墓地に送られています。編集中に気付いて滅茶苦茶焦った()


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

35話


展開に悩み過ぎて頭フラッピィになりそう。

アクションフィールドがすっげー邪魔だ……
フィールド魔法が実質禁じられているんだよなぁ……


 

 懐から手鏡を取り出して顔を確認し、手でむにむにしながら弄る。週に1回か2回やっていることだが、やはり手間だ。まあ決めたことだから仕方ない。正直、鏡を見るのはあまり好き好んでやりたい事でもないが。

 

「うーん」

 

 この作業が不必要になれば良いのだが、一生無理だね。ま、このくらいの手間に文句を言うほど幼稚でもない。

 

 さて、と。

 

 唇の端を弧を描くように曲げてみる。まだ人形みたいだ。目を細めさせる。嘲笑に感じる。眉を垂れさせる。悪くない。口角を上げさせる。

 

「……ヨシ!」

 

 ()()()()()()()()()()()。私★復活ッ!! 素良きゅんがどうなったのかも気になるけど、まずは遊矢くんとユートの様子を確認するか。あと、社長の方にも連絡をしなければ。

 

『……ふむ』

 

 あ、もしかして全部聞こえてた? うーん……まあいいか。あの人隠し事得意そうだし。それにお喋りなタイプでもないしね。

 

『……君という人物に対して少し興味が湧いたな。それは後にするとして紫雲院素良はどうなった?』

 

「たしか監視カメラで見てるんじゃありませんでしたっけ? 見たまんまですよ。と言うか私にも何が起こったのかイマイチ分かってません」

 

 結局なんで突然消えたのかな。たしかカードを現実にするデュエリストとかアニメにいたらしいけど……強制脱出装置でも使ったのかな?

 

 いや待てよ、先程の社長の発言……今までは私のデュエルの腕前だけ見てた……ってコト!?

 

 いやどうでもいいや。

 

 ……なんか投げ槍気味だな私。ちょっと引き摺られてるみたいだ。外面は普段通りでも内面はそうじゃないようだ。

 

『なるほど……それで、もう片方のデュエルも終わっているぞ』

 

「うぇ? ああ、その通りですね」

 

 たしかに遊矢くんとユートは2人ともデュエルディスクを閉まっていた。取り敢えず私は遊矢くんの方に駆け寄った。勝敗は……いや、これ途中で辞めたみたいだな。素良が居なくなったからデュエルする理由が無くなったのか。

 

「先生、素良は一体何処に行ったんだ?」

 

「……見てたの? でも、私にもそれは分からないわ」

 

 何というか、テレポートしていったようにも見えなくはないけど……うん、考えても分からん。大人しくユートに聞こう。

 

「まさか、お前が素良を……!?」

 

「奴は融合次元に戻った。奴は元々、向こうの世界の人間だ」

 

「向こうの世界って……さっき言ってたやつか!」

 

「そうだ」

 

 ……向こうの世界、か。存在自体はあの人に聞いてたから知ってたけど、やっぱり存在するんだねぇ。何というか、作品内に元々そう言うのがあるのが結構以外と言うか……いや、私のいた世界ともまた違うのは分かるけどね。えーん、複雑。駅に降り損ねたらなんか異世界に来ちゃいましただからね私。

 

「本当にあるのか? 融合次元やエクシーズ次元が……っ、それじゃあ、もしかしたら!」

 

「ああ、確実に存在する。シンクロ次元も……」

 

 ……今のセリフ、ネットで聞いたことあるぞおい! なんか色々ネタにされてた気がするぞおい!

 

 私がそんな事に気を取られた、その瞬間だった。私の頭上で突如、眩い光が出現した。

 

「……なんだ?」

 

「何よこの光……」

 

 

 眩しさに耐えながら振り返ろうとしたその時。

 

 

「……ぐぎゃあぁ!?」

 

 何か……重い物が私の上から降ってきた。

 

 痛い痛い痛い! これ、下手したら、死ぬ……っ!?

 

『監視カメラが全て壊れた。其方はどうなっている? ……おい、どうした? 応答しろ。どうなっている?』

 

 私が最後、微かに見えたのは、白いバイクとそのバイクに乗っている者の足だけだった……

 

「先生っ!?」

 

「白い……バイクが……」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 とてもうるさい。私と目の前の相手は何も喋っていないのに。外野が騒がしい。関係ない癖に……いや、関係はあるか。寧ろ元凶と言っても過言ではない。

 

 デュエルにはなんとか勝った。敵の妨害は激しかったが、どうにかなった。だが、何故こんなにも虚しい。

 

 私は、こんなデュエルがしたかったのか?

 

 それだけは絶対にない。ボウリングでもしてた方がまだマシだ。私がやったところでガターを連発するのがオチだろうけど。ついでに突き指もするだろうね。

 

 人間はいつの時代でも醜悪だ。でも、皆が皆そうじゃないのを知った。私は……こんなくだらない世界で何をどうしたいのだろうか。別に滅ぼうがどうしようがなんとも思わないだろう儚くつまらない世界に。

 

 デュエルは好きだ。私が1番心が安らぐ趣味だ。しかし、あくまでゲームとしてしか見ていない。この世界の皆とはかなり異なる世界だったから。それが、ほんの少し気掛かりだった。

 

 でも、この世界なら……もっと別の見方を思い付けるかもしれない。

 

 私は本当に見つけたいのだろうか。自分で自分がわからない。あんなデュエル、2度と見たくもないのに……何故私は新たな視点を求めるのだろう。

 

 私のことを1番知っているのは果たして私だろうか。恐らくその問いはYESだろう。でも、私に知らない部分を他人が知っているかもしれないし、誰にも気付いていない私もあるのかもしれない。

 

 その部分は……私はきっと知られたくないのだろう。

 

 だから私は、笑う。くだらないことに、可愛い女の子を見て、トップ解決で、ソリティアで……笑うんだ。

 

 友人と一緒で——

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「……ん、夢か」

 

 昔の……あまり思い出したくない記憶だ。もう慣れたつもりだったけど。そうでもないみたいだ。寝覚めの悪い……

 

「目覚めたか……」

 

「んあ?」

 

 ベッドの横では社長が立っていた。辺りを見回すと、どうやらここは病室らしい。即死じゃなくて助かったな……

 

「もう3日も起きないので死んだと思った」

 

「え、ほんと?」

 

 休日を一日中寝て過ごしたことならあるけど3日っておま……重症だぞおい。身体は動くかな? まさか欠損とかしてないよね?

 

 念の為背を起こして身体を見渡したけど、特に欠損とかもない。割と快調だ。少なくとも連勤明けよりも体力はある。クソゴミだけど。

 

「……身体については心配ない。もう動ける筈だ」

 

「え、3日も起きなかったのにですか?」

 

 どう言うことなんだってばよ。

 

「医療班によると、身体には既に問題はないので起きないのは精神によるものではないかと言われていたな」

 

「……」

 

「まあそれに関しては今は聞くまい」

 

「……助かる」

 

 誰しも聞かれたくないことくらい、あるものだ。はぁ、やれやれ。

 

「今日は第3回戦の日だよね多分?」

 

「ああ、まさにそれに関して話そうとしていた」

 

 ふむふむ、3年前に融合次元であった少女のセレナに昨日出会った? え、なにそれ元カノ? それで、その子を捕まえる為の追手が来るだろうからこの街を護る為に街を封鎖して第3回戦をバトルロイヤルにした?

 

「……なんか凄いことになってない?」

 

「君にも動いて欲しいと思っていたが……無理そうならいい」

 

 ふむ……ベットから降りて立ち上がっても問題ない。普段と特に変わらない感覚だ。全然運動してないのが功をそうしたか!(?)

 

「多分、問題ないよ」

 

「そうか。ならその無表情を直してから来なさい」

 

 ん? ああ、そうか……

 

「鏡、ある?」

 

「脇に置いてあるだろう」

 

 それだけ言って社長は病室から退室して行った。社長の言葉の通り、私の使ってる手鏡が置いてあった。

 

「……」

 

 一応、いつもよりも丁重にやっていこうか。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 それで、社長の指示に従って街の中を移動している。バイクでだけど。なんでも別に侵略してくるであろうアカデミアの連中の相手をする部隊は既に編成しているらしい。なんか、ユースクラスのエリートとかなんとか。

 

 私の役目は索敵とできれば殲滅。部外者の私が街を彷徨いて良いのだろうかと聞くと、カメラにはなるべく映らないようにとのことだ。もしカメラに部外者が映ったらカメラの映像を切るらしい。カメラの位置なんかは貰ったデータに乗ってるから問題はない。

 

 それと、ユースクラスとは別に事情をある程度知っているバトルロイヤル参加者もいるらしい。忍者の兄弟とか言ってたな……絶対そいつら使用デッキ忍者だろ。格好から入ってるだけでなく実際に忍術とか使えそうだなぁ……

 

 話は変わるけど、ソリッドビジョンってヤバいねこれ。何故この技術を軍事利用しないのだろうか……マグマとか出てるもんほら。こんなんヤバすぎるでしょこれ? これ落ちたら死ぬの?

 

 ……よし、気にしないようにしよう。考えると泥沼にハマる気がする。

 

 さて、社長の話ではセレナちゃんとやらがエクシーズの残党……多分、ユートと黒咲かな? その2人を探しているらしい。彼女は誰なのか分からないから手さぐりで探しているとかなんとか。何と言うか、破天荒な性格っぽいね。

 

 荒っぽい女の子か……いいぞもっとやれ。嫌いじゃあない。

 

「あっちぃ……お水飲も」

 

 暑いから桃の天然水が美味い。そう言えば、聞きそびれたけど遊矢くんとユートはどうしたんだろうか。突然の死とか遂げてないといいけど……

 

 とと、ここら辺は足場が少ないな……仕方ない、一旦降りるか。

 

「しらばっくれるな!」

 

 む、この声は……誰だ? 一応、見に行くか。

 

 声のした方に足を運ぶ。然程遠くない場所に声の主はいた。

 

 その子は、社長に見せて貰った女の子……セレナだった。それに、知らない男の子と柚子ちゃんも近くに居た。

 

 これは、どう言う状況だ……? 取り敢えず、間に入るか。もうカメラは切られてる筈だし。

 

「これはどういう状況なの?」

 

「お前は誰だ!」

 

「先生!? 良かった、ちゃんと生きてて……」

 

 柚子ちゃんは驚いた様子だ。その反応からすると、あの日気絶した私を目撃していたのかもしれない。心配させちゃったな。

 

「身体の方はもう問題ない。それで、その子の……セレナの相手は私だ」

 

「急に出てきて……何者だ貴様は!」

 

 すっごい当たり強いなこの子……まあいいか。

 

「私は……そこの女の子の先生だ。私も質問だけどなんでそんなに殺気だってるのよ」

 

「決まっている。そこのエクシーズの残党を倒す為だ!」

 

 セレナちゃんはこの場にいる男の子の方を指差してそう言った。その男の子は困った様子だ。勿論、黒咲でもユートでもない。なのに、エクシーズの残党ってどう言うことだろう。

 

 いやまあ考えるまでもなくセレナちゃんの早とちりなんだろうけども。ここは、彼女を落ち着かせる為に……デュエルしないと。うん、私もこの世界に馴染んで来たな。

 

「なら、代わりに私が相手だ。私が知る限り、その男の子はエクシーズの残党ではない。君が私に勝ったらその人物を教えようじゃないか」

 

「なんだと? ……ふん、まあ良いだろう。誰が相手だろうと薙ぎ倒してやる!」

 

「先生、あの、なんでここに……?」

 

 あ、やべ……説明してなかったか。でも馬鹿正直に言う必要もないし、多分その暇もない。

 

「説明は後でするからここは任せてくれ。君もそれでいいか?」

 

「勿論OKだよ。僕達は見守っていようか。観客がいた方が盛り上がるしさ」

 

 なんかエンターテイナーみたいな事言ってんな? まあ今はいいや。

 

「あ、そうそう。1つ言っておくことがあるのよ」

 

「なんだ? とっととしろ!」

 

「いや君乱暴だね。それは置いといて……私、実は病み上がりでね。だからリハビリも兼ねて——」

 

 

「——多少、本気で戦わせて貰おうか」

 

「ふん、全力でかかって来い!」

 

「では、お言葉に甘えて……」

 

 

「「デュエル!!」」

 





石投げられそうですがこんな展開に……ナストラル、無力な私を許してくれ。
あ、石投げないで! 原始生命態ニビル投げないでぇぇぇぇ!!
ちょ、おま、Gはもっとやめtうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?

※トマトはナスビとのデュエルに夢中で先生の変化に一切気が付いていません。気づいてるのは素足マフラーだけです。クロワッサンも訝しんではいます。
※先生の友人は割と重要ポジです。今後も出ます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

36話


前回のあらすじ

セレナ「私とデュエルしろぉぉぉぉぉ!!」
先生「セレナァ……私、涙が出そうだよ」

柚子「私達ってもしかして」
デニス「空気ってやつ?」



 

「先攻はくれてやる。かかってこい!」

 

「なら、お言葉に甘えて……私のターン」

 

 さて、本気を出すとは言ったもののこの手札じゃあんまり動けんな。幸いキーとなるカードは一部は手札にあるけど、ここは温存して他のキーカードが揃うまで耐えよう。今回コンボデッキだからね。

 

「私はモンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

「はん、本気を出すとか言っておいてモンスターと魔法罠をセットしただけとはな! 私のターン、ドロー!」

 

 うーん私は別にMの自覚はないんだけど……なにかに目覚めそうだね。いや、この場合Sの方か。

 

「珍しいわね。あの先生が先攻で大した動きもなくターンを終えるのは」

 

「へー、そうなのかい?」

 

「ええ。いつもなら大型モンスターが3体くらい並んでるのが日常なのに……やっぱりまだ本調子じゃないのかしら」

 

「大丈夫ー、心配しないでいいよー」

 

 医療技術も発達してるのか、身体に違和感はない。でも、これはリアルなデュエルだからな……また大怪我する可能性はゼロではない。気を付けないとな。

 

「私は月光彩雛を召喚! そして、月光彩雛のモンスター効果発動! デッキまたはエクストラデッキからムーンライトモンスターを墓地に送ることで、このターンに融合召喚を行う場合に墓地に送ったモンスターと同名モンスター扱いにできる!」

 

「エクストラデッキから直接モンスターを……」

 

 なるほど、ムーンライトか。アニメのデュエリストって大抵カテゴリ内のカードのみを使用するって聞いたから十中八九ムーンライトだと思う。まあ汎用カードくらいは使ってきてもおかしくはないかな。それにしても、素良と言い、融合次元のデュエリストって攻撃的なデッキだね。

 

 

月光彩雛(ムーンライト・カレイドチック)

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1400/守 800

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、デッキ・EXデッキから

「ムーンライト」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。

このターン、このカードを融合素材とする場合、

墓地へ送ったそのモンスターの同名カードとして融合素材にできる。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、

自分の墓地の「融合」1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

(3):このカードが除外された場合に発動できる。

このターン、相手はバトルフェイズ中に効果を発動できない。

 

 

「私が墓地に送るのは月光舞猫姫だ」

 

 ふむふむ、なるほど。ってことは来るのは……

 

「そして私は魔法カード融合を発動! 私が融合するのは月光舞猫姫扱いとなった月光彩雛と手札の月光紫蝶だ!」

 

 まあ、そう来るよね。

 

「現れ出でよ! 月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣! 月光舞豹姫!」

 

 

月光舞豹姫(ムーンライト・パンサー・ダンサー)

融合・効果モンスター

星8/闇属性/獣戦士族/攻2800/守2500

「月光舞猫姫」+「ムーンライト」モンスター

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードは相手の効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。

このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、

このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動する。

このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで200アップする。

 

 

 おお、出た出た。たしかこいつは……効果破壊耐性持ってるやつだっけ。正直ムーンライトは下級でぶん回す方が印象強いから記憶が若干おぼろげだわ。

 

「月光彩雛の効果で融合素材の重さを軽減したのね……」

 

「私は月光舞豹姫のモンスター効果発動! このターン、相手モンスターは一度だけ戦闘では破壊されず、さらにこのカードは全ての相手モンスターに2回攻撃できる! さらに、装備魔法メテオストライクを月光舞豹姫に装備する!」

 

 ほほう、なるほど?

 

「このカードを装備したモンスターは、貫通ダメージを与える!」

 

「そんな! ってことは先生の伏せたモンスターの守備力次第じゃ、先生のライフがもう0になっちゃうわ!」

 

「んー、そう簡単に上手くいくかな? ほら、見てよあの人の顔。まだまだ余裕そうだよ?」

 

 あのなんかよく分からん男の子の言う通り、余裕だ。まあ、次のセレナちゃんのターンは凌げるかどうかは分からないけど……

 

「バトルだ! 月光舞豹姫で裏守備モンスターを攻撃!」

 

「攻撃宣言時、リバースカードオープン! 罠カード和睦の使者を発動! このターン私のモンスターは戦闘で破壊されず、受けるダメージも0になる」

 

「ふん、姑息な罠カードを……」

 

 和睦では攻撃自体は無効にならない為、月光舞豹姫は私のセットモンスターに向かって攻撃を繰り出し、裏側表示から表側表示になる。

 

 

デビル・フランケン DEF 500

 

 

「デビル・フランケン……? 先生、また知らないカード使ってるわ」

 

「いや、待ってくれ。たしか、あのカードって……」

 

「え? デニスはあのカードのこと知ってるの?」

 

「う、うん。まあね……」

 

 おや……デニスって名前らしい男の子はこのカードについて知っているようだ。うん、勉強熱心なようで何より。

 

「ふん、そんな雑魚モンスターを守ったところで状況は変わらん! 私はこれでターンエンドだ」

 

 おや、伏せなしか……今伏せ除去握ってないから助かるけど、よく考えたらムーンライトに採用する罠って精々が泡影くらいなもんか。いや、あれは汎用カードだけども。今使ってるデッキにも入れてるし。

 

「私のターン、ドロー。おやおやおや……?」

 

 あーあ、キーカード揃っちゃったよ。なーんか最近の私、運が良い定期が来てるな。

 

「私は魔法カードアームズ・ホールを発動する。デッキトップを1枚墓地に送って、デッキか墓地から装備魔法を手札に加えるっと……私が手札に加えるのは念動増幅装置だ」

 

「念動増幅装置? うーん……」

 

 まあマイナーなカードなのはたしかだね、うん。ちなみにデッキトップは神の宣告だった。

 

「説明しよう。念動増幅装置はサイキック族にのみ装備でき、装備したモンスターが効果を発動する為に支払うライフがなくなる。おまけに装備モンスターが破壊されることによってこのカードが墓地に送られた時にライフを1000払って手札に戻すことができるよ。こっちの効果はおまけだけどね」

 

 実際に役に立つのは珍しい方だと思う。

 

「ライフの支払いを免除する……いや、しかし」

 

「デニス、どうしたのよ?」

 

「いや、デビル・フランケンは機械族だ。なら、あの装備魔法は何の意味だろうと思ってね?」

 

「その問いに答えてあげようじゃないか」

 

 さあ、絶望しろ。私は最初このコンボ見た時絶望しかけたぞ。

 

「私は永続罠DNA改造手術を発動! このカードを発動する際、種族を1つ宣言する。その後、フィールドのすべてのモンスターの種族を宣言した種族に変更する」

 

「……! やっぱり、それが狙いか!」

 

「だからなんだと言うのだ。この状況だと、たかが通常では装備できない装備魔法を装備できるだけじゃないのか?」

 

 セレナちゃんは疑問を呈する。まあ、デビフラ知らないなら仕方ないのかも。

 

「……デビル・フランケンは、ライフを支払うことでデッキから融合モンスターを攻撃表示で特殊召喚できるんだ」

 

 うん、正解。彼は結構物知りみたいだ。まあ、他の人との比較だけど。

 

「え、ライフっていくら払うのよ? そんな強力な効果をバンバン使えないと思うんだけど」

 

「……5000だよ」

 

「5000!? 初期ライフよりも多いじゃないの!?」

 

 たとえ初期ライフ8000でも通常では1回しか発動できないけどね。だけど……

 

「私は念動増幅装置をデビル・フランケンに装備! そしてデビル・フランケンの効果を発動!」

 

「貴様! それはズルじゃないのか!? そのようなコンボ、聞いたこともないぞ!」

 

 うん、最初は私もそんな反応だったよ。でもね?

 

「知らない方が悪い。デュエルとはそう言うモノだ。私がエクストラデッキから特殊召喚するのは、ナチュル・エクストリオ!」

 

ナチュル・エクストリオ ATK 2800

 

 まあ、相手の伏せがないからぶっちゃけあんまこいつ出す意味ないけどな!

 

「はいはい次々! 現れ出でよ、ナチュル・ガイアストライオ、地天の騎士ガイアドレイク! そして最後に重爆撃禽 ボム・フェネクス!」

 

ナチュル・ガイアストライオ ATK 3200

地天の騎士ガイアドレイク ATK 3500

重爆撃禽 ボム・フェネクス ATK 2800

 

 

 私が今特殊召喚したモンスターは全部デカい。私のフィールドがくっそ狭く感じるぜ。レベル10の大型融合モンスターが3体も並んでるからねぇ。ナチュル2体はクソでかい獣だし、ガイアドレイクはクソデカい騎士だし……1番小さいフェネクスもオッドアイズくらいのサイズがある。このエリアはあまり広くないから大分手狭だ。

 

「こ、これほどとは……!」

 

「やーやー、驚いてくれたなら良かったよ。私は重爆撃禽 ボム・フェネクスのモンスター効果を発動! 1ターンに1度、フィールドのカード×300ポイントダメージを与える。今、フィールドのカードの枚数は7枚。よって、2100ポイントのダメージを君に与えるよ」

 

「2100ものダメージだと!? くぅ……!」

 

セレナ LP 4000 → 1900

 

 よし、射程圏内に入った。まあ、得物は大砲なんだけどね!

 

「く……!」

 

「私はレベル10のナチュル・ガイアストライオと地天の騎士ガイアドレイクでオーバーレイ!」

 

「融合モンスターを2体も使ったエクシーズ召喚!?」

 

「これは……凄まじいね……」

 

「さあ、現れて! ランク10、超弩級砲塔列車グスタフ・マックス!」

 

 これで終わりだ。

 

「グスタフ・マックスのモンスター効果発動! オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手に2000ダメージを与える!」

 

「何だと!? ぐうぅぅ……」

 

セレナ ATK 1900 → 0

 

 はい、お終い。やっぱりライフ4000はすぐ終わるねぇ。

 

「先生!」

 

「いやぁ! 凄いデュエルだったよ! まさかあんな超大型融合モンスターがバンバン登場するなんて!」

 

 デュエルが終わると同時に駆け寄ってきたデニスくんと柚子ちゃん。デニスくんの方はちょっと興奮気味みたいだ。ちょっとだけ遊矢くんに似ていたかも。

 

「つ、強い……貴様のようなデュエリストがいたとは、な」

 

「貴様じゃなくて、そうさね……先生とでも呼びなさい。って、そんな話どうでもいいんだ。エクシーズの残党が誰だか知りたいんだっけ」

 

 私の考えだと、この子は何も知らないんだと思う。アカデミアがこれまでやってきた所業を。私もこの目で見た訳じゃないんだけど、話を聞くに無辜の人々をカードに変えたとか……うーん、デュエルを挟む意義が見出せないのは置いておいて、滅茶苦茶怖いな。

 

 カードにされるって相当やばいやん。一生カードのまま戻る方法が無いんだったら実質死じゃん。怖すぎるわ。私カードにされても攻撃力守備力が共に100くらいだと思うんですけど……クリボーにすら劣ってそうなんですけど……

 

 で、話を戻すと。セレナちゃん、見た感じ世間慣れしてない強気な女の子って感じかな。そんな私好みげふげふん、真っ直ぐな彼女がアカデミアの所業を見たらそりゃあ反発するだろうに、全くそのような様子はない。

 

 まあ、ただの推測だから今はまだなんとも言えないけどね。

 

「そんなにエクシーズの残党に会いたいなら、黒咲って男を探してみて」

 

「……私はデュエルに負けたのに何故それを教える?」

 

「べ、別に親切心とか、そんなんじゃないんだからねっ!」

 

「……」

 

「君がエクシーズ次元の当事者に話を聞けば、きっと自分が為すべきことに気付いてくれると思ったからさ」

 

「……そうか」

 

「先生、私もそう思うわ。彼女……セレナは実際に話をした方が良いと思う」

 

 柚子ちゃんも私と同意見のようだ。

 

「あー、でもたしかセレナって多分アカデミアに放たれた刺客に追われてるんじゃなかったっけ?」

 

「え? ……それ、どう言うこと?」

 

「……それは」

 

 セレナちゃんの話を簡単に纏めると、アカデミアのトップであるプロフェッサーに力を認めさせる為エクシーズの残党を倒しに無理矢理この次元に向かった……って感じ。脳筋過ぎないこの子?

 

「あ、私に良い考えがあるわ。セレナは今、アカデミアに追われてるんだよね? だったら——」

 





デニス「(なんやこいつ、めっちゃやべーやんけ……後で報告しとこ)」

今日の最強カード


デビル・フランケン
効果モンスター(制限カード)
星2/闇属性/機械族/攻 700/守 500
(1):5000LPを払って発動できる。
エクストラデッキから融合モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。


本編でやった通り、種族をサイキック族に変更して念動増幅装置を装備するとノーコストで融合モンスターを呼び出せるようになるぞ!
現実ならデビフラと手札コスト1枚からその状況を作れるぞ!(詳しくはwiki参照)
本編ではリプロドクス使えないからDNA改造手術で代用したゾ!

作者が知っている中ではペインゲイナーで戦闘ケア、異星の最終戦士とディンギルスで自らのモンスターを守りつつ妨害とかを聞いたことあるゾ。後は適当に青眼の負けフラグとか高攻撃力モンスターでも突っ込んどけ(適当)

1/26
セレナが今置かれている状況を付け足しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

37話

ポケモンsvで対戦パーティ組んでたので遅れました。
あと原神とかモンハンとかスプラとかやってたので遅れました。あと別の作品考えてたので遅れました。鬼滅とヒロアカと本好きとオバロ二次とオリジナルのやつが二、三本。

馬鹿かな???そりゃ遅れますよ遅れました。


遅れました(山びこ)


遅れました(エコー)


すいません許してくださいなんでもしますから!(何でもするとは言っていない)

誰か年を跨がなかったこと褒めて

今回、残酷な描写(禁止カード)があります。
カード1枚から簡単に呼び出せるクソ強モンスターアレルギーの方はご注意下さい。
それと、今回は三人称視点です。



 

 ——オベリスクフォースとは融合次元が保有する戦力で、デュエルアカデミアのトップである赤馬零王が持つ直属の精鋭部隊である。 直属の部下という立場だけに零王から直接任務を任されるほど部隊としては上位クラスである。

 

 彼らは基本的に複数人数で動き、敵を追い詰める。そして、敗北した相手をカードにすることができる。その技術を使い、エクシーズ次元の人間を次々とカードにして行った。

 

 オベリスクフォースとは、ハンティングゲームの狩人である——

 

 

 

 

 筈だった。

 

 

 

 

「……くっ!」

 

「……」

 

 場所は氷山エリア。2人のデュエリストがお互いにデュエルディスクを構え、フィールドを挟んで向かい合っていた。片方……紫色の髪をした方は苦い表情をしており、彼を知る者ならば普段と様子が全く違うと断言できるだろう。

 

 そして、もう片方……藤野明美もまた、普段と違う表情を見せていた。

 

 その表情は……例えるならマネキンだろうか。作り物めいた表情で、瞬きをしていなければ良くできた等身大人形だと勘違いできる程だ。温度を全く感じさせないその視線は、デュエルをしている相手である紫色の髪をしたデュエリストを貫いていた。

 

 彼の名はユーリ。アカデミアの中でもオベリスクフォースよりも偉い立場であり、相当な実力者でもある。だが……

 

「……わたしはこれでターンエンド」

 

「エンドフェイズ時リバースカード捕食計画を発動! デッキから捕食植物モンスター1体を墓地に送り、フィールドの全てのモンスターに捕食カウンターを乗せる!」

 

「効果は通す。が……速攻魔法、墓穴の指名者を今墓地に送ったドロソフィルム・ヒドラを対象に発動。対象にしたモンスターをゲームから除外し、次のターンのエンドフェイズまで除外したモンスター及びその同名カードの効果を無効化する」

 

「くっ……!」

 

 

捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ

効果モンスター

星5/闇属性/植物族/攻 800/守2300

このカード名の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは自分または相手フィールドの

捕食カウンターが置かれたモンスター1体をリリースした場合に手札・墓地から特殊召喚できる。

(2):このカードがフィールド・墓地に存在する場合、

このカード以外の自分の墓地の「捕食植物」モンスター1体を除外し、

フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力は500ダウンする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

 ユーリが罠カード捕食計画の効果を発動する()()()()()()墓地に送られたモンスターは、自分か相手か問わず捕食カウンターの乗ったモンスター1体をリリースして墓地から特殊召喚できる。この効果を利用して彼が先程からずっと見つめているモンスターを除去しようとしていたが、失敗に終わった。

 

 本当ならば捕食カウンターを置く効果を持つ捕食計画を止めたかったが、デッキから捕食植物を墓地に送る効果は《あくまでコスト》だ。なので、彼女の手札でイタズラっぽく笑う妖怪少女は使うことはできない。

 

 彼女のフィールドに存在するモンスターは彼が発動した捕食計画を防ぐ効果を持っているが、生憎このターンは既に使用済みだ。

 

「ふん、オベリスク・フォースを瞬殺しただけはあるか。僕のターン、ドロー! ……ハハッ! そのモンスターは確かに強い。だが、それだけで僕に勝てると思ったことを後悔させてやるよ!」

 

 ユーリは人を嘲るような言葉を口にしているものの、その額には冷や汗が浮かんでいる。その顔に浮かぶ感情は焦燥、または……恐怖だろうか。強がりとも言える。

 

 ——プロフェッサーから下された任務である柊柚子の確保。その任務を遂行しようと確保対象を探そうとした矢先、彼女に妨害されている。面倒なのでオベリスク・フォースに任せようとしたが、彼女は一瞬でそれらを薙ぎ払った。今もなお、彼女のフィールドに、佇む魔術師によって。

 

 彼は、未だ彼女ではなく彼女のフィールドに立つ1体のモンスターを執拗に見つめていた。

 

 そのモンスターは黒い竜を思わせる衣装を纏っているが、魔法使い族である。彼らしくない形相の原因は恐らくこのモンスターだろう。

 

「……はやくしろ」

 

 

ユーリ LP 1200

フィールド 捕食植物セラセニアント

魔法・罠 なし

手札×2

 

先生 LP 4000

フィールド 超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ

魔法・罠 なし

手札×3

 

 

「ふん、お前その態度……気に入らないね。いいさ、その能面みたいな顔を般若みたいに変えてやるよ! 僕は装備魔法、捕食接ぎ木を発動! このカードは墓地の捕食植物モンスター1体を選び、そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する」

 

「……」

 

「僕が復活させるのは、捕食植物サンデウ・キンジー!」

 

 現れたのは、エリマキトカゲとモウセンゴケが合わさったようなモンスターだ。植物の身体を持ち、襟巻きに相当する場所から生えた毛の先端には丸い粘液が大量に付いている。心なしかふるふると嬉しそうに粘液が震えている。

 

 

捕食植物サンデウ・キンジー ATK 600

 

 

「……超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズの効果を発動。手札を1枚捨て、発動したモンスター・魔法・罠の発動を無効にして破壊し、攻撃力を1000上昇させる」

 

 

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ

ATK 3800 → 4800

 

 

 魔術師から黒い波動が放たれ、復活したサンデウ・キンジーはすぐさま墓地へと送り返された。粘液が残念そうに震えていた。

 

「……ふん、攻撃力の上昇はターンを跨いでも戻らないのか。でも、もうそんな事は関係ない!」

 

 彼はこれも予想通りと次ぎなる一手を打つために手札からカードを手札に叩きつける。

 

「僕は捕食植物フライ・ヘルを召喚!」

 

 現れたのはハエトリグサに似た植物のモンスター。既にフィールドに並んでいるサラセニアを背負った蟻と並ぶと、まるでここが邪悪な植物園のようにも見えるかもしれない。

 

 ふと、彼女が呟く。

 

「……プレデター・プライム・フュージョンか」

 

「……! やっぱり、僕の使うカードを知ってるんだ。へぇ……でも、だからどうした! 僕は速攻魔法、プレデター・プライム・フュージョンを発動! 君の知っての通り、このカードは相手モンスターも融合素材にすることができる!」

 

 

プレデター・プライム・フュージョン

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):フィールドに「捕食植物」モンスターが存在する場合に発動できる。

自分・相手フィールドから、闇属性の融合モンスターカードによって決められた、

自分フィールドの闇属性モンスター2体以上を含む融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

「僕が融合素材にするのは捕食植物セラセニアントと捕食植物フライ・ヘル。そして、お前の超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズだ!」

 

 既に効果を使った以上、同じターンに再び効果を使うことはできない。魔術師はなす術なく融合の渦に呑まれて行った。

 

「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ! 龍の力を待つ黒魔術師よ! 今一つとなりて新たな脅威を生み出せ! 融合召喚! 現れろ、三つの首持ちし植物の竜! レベル9! 捕食植物トリフィオヴェルトゥム!」

 

 

捕食植物トリフィオヴェルトゥム ATK 3000

 

 

「これでお前のフィールドはガラ空き……バトルだ! 捕食植物トリフィオヴェルトムでダイレクトアタック!」

 

「……」

 

先生 LP 4000 → 1000

 

 彼女は壁を背にしてその直接攻撃を耐え凌いだ。しかし、相当な衝撃だったのか、彼女は地面に膝をつく。

 

「はん、僕に逆らうからこうなるんだ……」

 

「……痛い……」

 

「そうだろうねぇ。でも、もうすぐ痛みも感じなく——」

 

「でも、怖くない」

 

 彼女は何事もなかったかのように膝についた土埃を手で払い、立ち上がった。

 

「……へー? でも、君って訓練も受けてない一般人だよね? デュエルの腕こそ、まあ多少は認めてやってもいいけど」

 

「……昔から……」

 

 何処か遠くを見ているかのように、彼女は視線を明後日の方向へ向けながら淡々と話す。

 

「……わたしは感情がとても希薄と言われていた」

 

「あ、そう」

 

「……友人なんて、いなかった。わたしみたいな不気味な子、誰も相手にしなかった」

 

「だから、なに?」

 

「あなたも、おなじでしょう?」

 

 その言葉に、初めてユーリは困惑の表情を見せる。

 

「……だから、なんなんだよ!」

 

「あなたもきっと、ひとりぼっちなんでしょう?」

 

「た、たしかに僕に友達なんていないけど僕を必要としてくれた人はいるし?」

 

 困惑が明らかに動揺へと変わった。

 

「(と言うか……なんか、滅茶苦茶子供っぽいな)」

 

「そこもおなじ。わたしにもわたしをひつようとしてくれた人がいたの」

 

 彼女は何処か悲しそうに顔を下げる。しかし、眼は全く動いていない。瞬きすらもはや人間のフリをする為にプログラムされた仕草に見えてくる。

 

「でもね、その人はもう、わたしからはなれちゃったの……」

 

「……あっそう」

 

 彼からしたらなんだこいつ? も良いところだった。

 

「……あなたはきっと、じぶんがたのしければいいって考えてるの」

 

 ユーリは驚愕した。目の前の女は、自分自身の内心を言い当てた。

 

「……別に、それは否定しないけど」

 

「あくをあくだとわかってない。まるでこどもみたい」

 

「わたしね、かんじょうがほしい。だからね、ふだんはその人の真似をしてるの」

 

「真似したらね、わたしにもかんじょうがりかいできるかなって」

 

「でもね、わからない……」

 

「だけど、きみはわたしとにているの」

 

「わたしと一緒にいようよ、ねぇ」

 

「あなたと一緒にいたら、感情がわかるかもしれないの」

 

「あなたを愛せば心がきっと満たされるの」

 

「たぶん……いや、ぜったいにそうなるの!」

 

「だからねだからね、いっしょにカードにならない?」

 

「わたし、こわいのもたのしいのもかなしいのもよくわからないの」

 

「あなたといたら、たのしいのはりかいできるかもしれないの」

 

「カードになるって、どんなかんじなの?」

 

「わたしはカードになるのはかなしいことだとしってる」

 

「でも、かなしいってどういうことなのかわからないの」

 

「あなたもかなしいのをしらないとおもうの」

 

 

「——だから、いっしょにカードになるの」

 

 

「うごけなくても、いしきがなくても、なにもにんしきできないのは幸せなの? 不幸なの?」

 

「わたしはしりたい。しってりかいしたい」

 

「わからないことはしらないとって、あの人はいってたから」

 

「あたまではりかいできるけど、こころはまったくあいいれないの」

 

「だから、あなたもいっしょに……こころのそこからなにかをおもおう」

 

「きっとそうすれば、まんぞくできるよ」

 

 独りよがりな、独白。自らはそれを正しいと思っているが故、善悪の区別が付いていない。そのことが、ユーリには気持ち悪いと感じた。自分のことは一度、棚に置いてだが。

 

「ユーリ……」

 

 初めて、この女は自分の名を呼んだ。

 

「……気持ち悪いから名前を呼ばないでくれないかな?」

 

「だいじょうぶ。にくしみも、いっしゅのあいっていってたから」

 

 何が大丈夫なのかさっぱりわからない。

 

「……ああ、もういい。とっととデュエルを終わらせよう」

 

「……かったら、ひとつになってくれる?」

 

「さっきと色々変わってるぞ。あとそれどう言う意味なんだよ……まあ、勝ったら考えてあげるよ」

 

「……やった! わたしのターン!」

 

 やっと気味の悪い独白が終わった、と。彼はホッと一息付く。何故だか知らないが、目の前の女は苦手だ。大きな子供の相手をしているかのようだ。

 

「けど、お前に勝ち目はもうないんじゃないか?」

 

 相手の手札は今ドローしたのを含めてたった3枚。それでこの状況を覆すことは……

 

「いちまいでじゅうぶん」

 

 彼女は笑った。いや……

 

 嗤った。

 

「魔法カード、円融魔術発動。このカードは、フィールド・墓地のモンスターを、ゲームから除外して融合召喚を行う」

 

「なっ!? ま、まさか……」

 

「……紅の眼を持つ黒竜よ、偉大なる黒き魔術師よ。今こそ一つになりて歯向かう敵を打ち払え」

 

 再び、降臨する。

 

「現れて。レベル8、超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」

 

「そ、んな……また現れるなんて……」

 

「効果、はつど——」

 

 

 

「先生!? あ、そ、そいつは……」

 

「……柊柚子!」

 

 しめた、と。ユーリは確保対象を見つけてしまった。最悪、このデュエルに負けても彼女を連れ拐えば問題はない。

 

「もしかして、彼がアカデミアの……!」

 

「……うん」

 

「見つけたよ……もう、この際デュエルなんてどうでもいい。力づくで攫ってやる!」

 

「!? た、助け……」

 

 その時。柚子の付けていたブレスレットが光った。

 

「? な、何が……」

 

 ブレスレットが光ると同時に、ユーリの身体は霞のように消えてしまった。

 

「……前に見た、ワープに似てる」

 

「え、えっと先生……状況がよくわからないんだけど……ん?」

 

 ふと、バイクのエンジン音が聞こえた。彼女は自らが使っているバイクを確認したが、当然駐車した場所のまま動いておらずエンジンはかかっていない。

 

 音源はどんどん近付き、遂にその正体を現した。そのバイクは白く、乗ってる運転手本人も白いスーツを着用している。

 

「あれは……リン! と、それに……」

 

 バイクの運転手はバイクを降り、柚子に駆け寄り、そのままハグした。

 

 その顔は、榊遊矢にとても似ていた。

 

「リン! 会いたかったぜ!」

 

「きゃ、ちょ、ちょっと……」

 

 そうこうしている内に。

 

 また柚子のブレスレットは光った。

 




あなたと一つに……(意味深)

※今回のデュエルとその間の会話は赤馬零児に認知されていません。理由は次の回に。

今日の最強カード

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
融合・効果モンスター(禁止カード)
星8/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2500
「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター
(1):このカードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、
その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる。
(3):1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。
その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。


うん、最強だな(確信)

①強固な耐性
②上位互換"マグマックス"
③つよつよパーミ

と言う3つの効果を持つ。強い(確信)。
しかも③にはおまけに永続(は?)攻撃力アップまで付いている。それが真紅眼融合1枚から飛んでくるのでまさしく壊れカード。
アナコンダからも飛んでくるので更ににぶっ壊れカード。
公式の作ったオリカ、僕の考えた最強のカード、ダイナソー竜崎と奇術師パンドラの友情のカードなどと揶揄されることも。

現在は禁止カード。未来永劫帰って来ることはないだろうね。こいつが帰ってこれる環境が想像できない(´・ω・`)
……心変わりとか魔導書の審判とか戻ってきたからまだよく分からんが。いや、でも流石にこいつは帰って来ないでしょ……

うなぎはやっとこさエラッタされたね。遅い(確信)。

あ、セラセニアントのサーチ効果は省いてます。デュエルに対した影響がないので、テンポの為に……ごめんね蟻さん。

前書きで呟いてた作品が投稿されるのは……今現在迷い中です。
早めに投稿したいとは思ってるんですけどね……私の筆は見たらわかる通りかなり遅いです。



そして最後に一つ。



良いお年を。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間 スタンダード次元編


FEエンゲージ(ハードクラシック)クリアしたので投稿します。アルフレッド王子とエーティエさん面白すぎましてよ。子安さんもめっちゃ陽キャだったしすげー面白かったゾ。

先生がいないスタンダード次元の様相なので、幕間です。大体36.5話+38話みたいな感じです。短いです。

本当は黒咲相手にギミックパペットジャイアントキラー出してゲス顔する素良きゅんとか壊獣とタマCでシンクロする権現坂とか描きたかったけどテンポの為省略されました。残念。デュエル描写疲れるんよ……幕間でやるにはちょっと厳しいかな。

柚子ちゃん視点→三人称視点です。



 

 私のした提案……それは、セレナと私が着ている服を入れ替え、私が囮になる事だ。先生の話だと、セレナは今アカデミアが放った刺客に追われているらしい。その人達を惹きつける為、私と瓜二つのセレナの服を着ると言う訳だ。

 

「……それ、危険じゃない?」

 

「うん、でも……!?」

 

 その時、セレナの背後から仮面を被った6人組の男が降り立った。もしかして、この人達がセレナや先生が言っていた追手……!?

 

「げげ、人数多いな……面倒だな……」

 

 仮面の男達が此方にじりじりと近寄る中、先生がそう言ってデュエルディスクを構えようとしたが、突然私達と男達との間に何か爆裂音がして煙が私の視界を埋め尽くした。

 

 そんな中、私の身体を誰かが掴んだ。

 

「明美殿、此方へ!」

 

「あー、なるほど……社長が言ってたのはアンタらか。おーけー! ほら、デニス君乗って乗って!」

 

「え、ちょ、ま、」

 

 誰かの声に先生が返事した後、私の身体は持ち上げられてその場から離脱された。

 

 

 

 仮面の男達の前から逃げだし、私達は火山エリアから離れて氷山エリアに着いていた。

 

「くっ、離せ! 貴様のような覆面に……!」

 

「……」

 

 私達を助けてくれたのは、忍者みたいな格好をした2人組だった。ところで、セレナが凄い怒ってるわ。忍者の赤い方の人が困ってるじゃない。

 

 あ、放してくれた。それで、1人が辺りの見回りに行ってしまった。

 

「あー、多分あれが追手かな……じゃあ、早速作戦を実行する?」

 

「ああ、そうしよう。ゆっくりしている余裕はない」

 

 セレナはそう言うと、すぐに服に手を掛けて……って、ダメダメ!

 

「ちょ、ダメよセレナ!?」

 

「何故だ?」

 

「何故って……」

 

 私は周りの人を見渡す。忍者の片割れの方は察したのか後ろを向いてくれている。デニスも同様に後ろを向いてくれているけど、何か考え込んでいるような……まあ、いっか。

 

 それで、1番心配な先生は……何やらデュエルディスクを弄っていた。こんな時に、何をしているんだろう……

 

「先生?」

 

「ああ、デュエルディスクにカメラ機能とか付いてないかなって……ぐべら!?」

 

 私は先生をぶん殴って無理矢理後ろを向かせた。

 

「2人とも先生を見張っててね。絶対こっちを向いちゃダメだからね!」

 

「承知」

 

「お、おっけー。って、そーゆーのって普通男がやるもんなんじゃないの?」

 

「うう……デニス君、一眼レフ持ってない?」

 

 盗撮する気満々じゃないの。

 

「ほらセレナ、急ぐわよ。さもないと……後悔するわよ」

 

「あ、ああ。よく分からないが、分かった」

 

 私達は首尾よくお互いの服を交換できた。

 

「ふむ、2人とも似合ってるね」

 

 何故か少し顔がツヤツヤした先生が満面の笑みでそう言ってきた。うん、自分の塾の先生に抱く感想ではないけど、気持ち悪いわ。

 

「もう一度くらい引っ叩いても……」

 

「さ、サー! なんでもありません! サー!」

 

「誰が軍人よ!」

 

「サーは男の方だぞ」

 

 セレナ、その突っ込みはちょっと違うと思うの。

 

「ええと、黒咲の居場所は何処ですか?」

 

『全く……まあ良い。黒咲は古代遺跡エリアにいる』

 

 わ、びっくりした! 先生が持っている無線機から聞き覚えのある声が聞こえてきた。この声は…….多分赤馬零児だ。

 

「……その声は、」

 

『セレナ。君も会って話せば理解できるだろう。百聞は一見に如かずとも言う。その時は私の話も聞いてくれると助かる』

 

「……ふん、良いだろう」

 

 ……セレナと赤馬社長は知り合いなの? なんだかそんな感じに聞こえる会話だったけれど。

 

「ふむ……私はどうするかな」

 

『君は元々の任務通りだ。相応しい人員を見極めて欲しい……いや、もうそれはいいか』

 

「と言うと?」

 

『このバトルロイヤルにて生き残る。それ自体がすなわち試験と言う訳だ』

 

「……なるほど、納得はできたよ。乗り気はしないがね」

 

 ……何の話をしているんだろうか、先生は。

 

『貴女は好きに動いてくれて構わない。巻き込んだのは此方だからな』

 

「ふむ……なら私は柚子ちゃんに付いていようかな。あ、そうだ」

 

 先生は、無線機をずっと黙っていたデニスに差し出した。

 

「これ、あげるよ」

 

「え……えぇ?」

 

「私なら大丈夫だから。それに、自由に動いていいなら私にはもう必要ないし」

 

『なるほど。それならそれで構わない。彼がカメラに映らない重要な現場に居合わせる可能性もある』

 

「い、いや、ぼぼ、僕はちょっと遠慮したいって言うか何と言うか……」

 

「うるせぇ! 行こう!」

 

 ドン! と先生はデニスの背中を叩いた。まあ、先生は時々奇行がよく目立つけど非常時は頼りになる筈……頼りになるかな?

 

 こうして、私は先生と2人で追手の目を撹乱することになった。

 

 けど……その途中、冷たい目をした遊矢みたいな顔の男の子に出会った。その時、オベリスクフォースをチェーンバーンってデッキで返り討ちにしていた先生が足止めをして私を逃がしてくれた。

 

 その後、バイクに乗った……またも遊矢に似た顔をした人に……その……

 

 だ、抱きつかれたの! しかもいきなりよ!?

 

 私は彼を引き離していると、その場にバイクに乗った先生がやってきて……私達は光に包まれた。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 バトルロイヤル終了時刻。

 

 生き残った大会に参加したデュエリスト達がその場に集結していたその場に赤馬零児が現れた。

 

「おめでとう。諸君らはアカデミアの戦士を撃退し、対アカデミアの為のデュエルの戦士……ランサーズとして相応しい実力を示してくれたと言う訳だ」

 

「何がランサーズだ! そんな事の為に……お前の所為でみんなは……柚子は!」

 

 榊遊矢は涙を流しながら目の前に佇む赤馬零児に殴りかかる。が、その拳は悠々と止められてしまった。

 

「君もデュエリストなら、怒りを拳ではなくデュエルで現せ!」

 

「……やってやる! カードにされた柚子達に変わって——」

 

「デュエルするその前に、1つ訂正しておこう」

 

 零児は遊矢の言葉を遮り、指を1つ立てた。

 

「確定ではないが……柊柚子が生きている根拠を1つ答えてやろう」

 

「な、なんだよそれは!?」

 

「柊柚子の側には、藤野明美が付いていた。彼女がデュエルにおいて不覚を取ったとは私には考え難い」

 

「なっ!? 何故先生がバトルロイヤルの会場にいるんだ!」

 

「それは私も聞きたいな……あいつは何者なんだ?」

 

 アカデミアから来たが、現在アカデミアから追われる身であるセレナは2人との間に口を挟む。

 

「あいつは異様に強い。あのような者が一体何処から……」

 

「それに関しては私も知らない。が、彼女が誰で何者だろうと関係ない」

 

「つーか、なんであいつが居る理由が気になるな。ユースの選手でもないだろうによ」

 

 そう横槍を入れたのはトーナメント1回戦にて遊矢と戦い負けた筈の沢渡シンゴだ。彼は赤馬零児に直談判した結果この場にいる。

 

「それは私がそう頼んだからだ。彼女には私から直接依頼した。私の目的を隠さず話し、同意してくれた上で協力してくれている」

 

 零児はそう答えたが、遊矢はどうにも腑に落ちなかった。先生には特に変わったようなところは無かった筈だ。隠し事ができるような性格にも見えなかった。

 

「どうも納得がいかないようだな。まあ、君も知らない藤野明美もあると言う事だ」

 

 そう話した時に零児は微かに何かを考えているような顔をしていたが、それに気付いた人物は殆ど居なかった。

 

「彼女には無線機を渡していた。だが、途中で自分には不必要だとデニスに渡した。結局、その行いは裏目だったようだが」

 

「は、はーい……待ってるよー……」

 

 妙に低いテンションでデニスは答えた。一体、何故だろうか。

 

「まあ、御託はいい……デュエルを始めるとしよう」

 

「先生は、きっと無事だ。強いから……本当に、柚子も無事なのか! 答えろ赤馬零児!」

 

「お前は自分の教師を信用していないのか?」

 

「くっ……デュエルだ!」

 

「……ああ。絶対に、お前に懺悔させてやる!」

 

 遊矢は駆ける。己の激情を、デュエルで示す為に。

 

 

 

「(藤野明美は……柊柚子と共に消えた。バイクに乗った男……シンクロ次元の人間と共に。だが、今の頭に血の上った彼に伝えても無駄だろう。しかし、藤野明美……カメラの目が届が無いところで何があった? 消える直前の彼女の表情は……今考えても仕方ない、か)」

 





デニス「僕が何をしたって言うんだ……」
Emヒグルミ「強いて言うなら僕を生み出した罪では?」
先生「それは全部コンマイって奴の仕業なんだ」
赤馬社長「そんな事よりランサーズを結成した」
セレナ「まるで意味が分からんぞ!」
ズァーク「(駄目だこの人達……早く1つにならないと)」



今回みたいな幕間は次元を隔てる度にやりたいですね。

それと、シンクロ次元編のストーリー練るので次回は結構遅れるかもしれません。具体的には4月くらいになるんじゃないかなぁ……(計画性ガバガバ筆者並感)
(最初はストーリーもクソもなくひたすら空想デュエル書く予定だったけどVS黒咲辺りからなんか狂った)
続き書く間に他の二次を投稿するかもしれないです。
作品の構想を練る為に作品を書く……何もおかしいところはないな!

Q.デニス君w
A.ユーリ君は空気を読んでデニス君の前に現れませんでした。まあ、それでも結局原作通り柚子ちゃんとカチこんで先生とドンパチしました。
プギャーm9(^Д^)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

38話



私は帰って来たぞー!

 何気に幕間が番外編のところに合ったので位置を修正しておきました。

デュエル描写、久々だからちょっと変なところあるかも。

もし致命的におかしかったら私の代わりにトマトが切腹します。




 

 

 

 ——私の友は、かつてこう言っていた。

 

「生きているだけで、私は全てを愛おしいと感じる」と。

 

「貴方もきっとそう感じられるようになれる」と。

 

 

 私には苦痛しかありません。他には何もいりません。

 

 苦痛は私にいつも忠実だった。

 

 なのに、どうしてお前を恨むことができようか。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「うーん……」

 

 気怠い身体を何とか気力で起こしながら何とか思考を回す。

 

 私はたしか……あのユーリって子とデュエルして……白バイクを見つけて、それからなんか光って意識を失ったんだったか。

 

 所持品は……ヘルメットとデュエルディスク、それとデッキケースがいっぱい。無くしてしまった物はない。

 

 私が周囲を見渡すと、ここはどうやら何処かの都市みたいな街だった。なんか凄い発展してる。どうにも舞網市には思えないが、一体此処は何処なのだろうか? 少なくとも現代日本じゃないのは分かる。

 

 すげー高層ビルとかめっちゃ並んでるのは壮観なんだが、下方になんか寂れた貧民街みたいなのが見える。なんだアレ? あれか、超格差社会なのか?

 

 つーか……この街の建築技術ヤバすぎるだろ。この街やべーよ、ジャッジメントとか存在しそう。

 

 そういや遊戯王5D'sってそんな感じの世界観じゃなかったっけ? ほら、なんかセキュリティってのがサテライトのクズゥ! (高圧的)って罵りながら蟹みたいな髪型の主人公とデュエルしたのは覚えてる。おい、デュエルしろよ。カードは拾った。って名言吐きながら。

 

 もしかして異世界転移二回目とか? 今度はアークファイブから5D'sの世界観に来ちゃったのか? でも、なんか新旧闇属性鳥獣族対決がどうこうってのを聞いたことがあるような……なんか過去作のキャラも出て来るよーみたいな話はチラホラ聞いたんだよね。

 

 私の他に人間は……うん、いない。あの白バイクの持ち主や柚子ちゃんとはぐれているのは分かる。一体何があったし。

 

 柚子ちゃん大丈夫かな。あの白バイクの持ち主にNTRされてないだろうか……仮にそんなことが起きれば遊矢君がマインドクラッシュされてしまう。でも遊戯王ってそんな展開あるかな……あるかも。無いって言い切れないのが困ったところだ。

 

 考えてるだけだと状況は好転しないし適当にぶらつくか……なんか初めて遊戯王ワールドにやって来た日を思い出すな。あの時は電車に乗った後眠くなって気付いたら舞網市にやって来ていたんだった。まるで如月駅みたいな感じだね?

 

 それにしても……社長に貰ったバイクが見当たらないな。あれが無くなるのはちょっと嫌なんだが……歩くのだるいし。よし、暫定的な目標をバイクの発見に定めよう。歩き疲れて行き倒れるのはごめんだ。

 

 

 

 ——二時間後。

 

 

 

「あったよバイクが!」

 

 でかした!

 

 ……うん、一人で漫才始めるくらいには諦めかけてたわ。なんかもう心が折れそうだったもん。もう日が暮れかけてたもん。

 

 それでも結構探し歩いた結果ようやくバイクを見つけられたわ。なんかそこら辺にさも当然の権利の如く放置されてた。よし、これに乗れば随分と楽になるだろう。

 

 軽く点検したが何処も壊れてないみたいだし、早速乗り回して……と、私がバイクに触れた瞬間だった。

 

「そこのお前、止まれ!」

 

「んあ?」

 

 いきなり何者かに呼び止められてしまった。振り返ると、そこには妙な格好をした男がいた。

 

 はて、何処かで見たことあるような……あ、そうだ。なんか牛尾って人と似てる。つまり、この人は……警察ってコト!?

 

「ま、待って! 無断駐車は謝りますから!」

 

「ええい、うるさい! そもそも俺は不明なDホイールを発見したとの通報したから来たのだ。これは貴様の物なのか?」

 

「え、あ、はい」

 

 そりゃそうなるわな! うう、まさか犯罪者の烙印を押されてしまうとは……不覚。

 

「……しかもお前、さてはコモンズだな!?」

 

「へ? えっと、コモンズって?」

 

 レア度か?

 

「問答無用! お前をデュエルで拘束する!」

 

「ちょ、おまっ、ええぇぇ!?」

 

 あ、なんか勝手にデュエルディスクが起動してる!? うう、しゃーない。ここはやるしかない……のか?

 

 でも、公的な機関とぶつかるのはあまり得策じゃない気もするが……

 

「はん、お前を逮捕して収容所にぶち込んでやる!」

 

 ごめん物凄い嫌な予感するから抵抗するわ。なんかこう、カイジの世界観みたいな地下施設に送られそうなんだもん! 嫌すぎる!

 

 不本意だが、不可抗力なので仕方ない……

 

 

「「デュエル!」」

 

 

デュエルチェイサー801 LP 4000

 

先生 LP4000

 

 

「先攻は私が貰う。私のターン!」

 

 どう出てくる……? 今回は突発的なデュエルかつ相手の情報が殆ど無いにも等しいしデッキによってはかなりやばい可能性があるぞ。

 

「私はモンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドだ。さあ、貴様のターンだ。早くしろ!」

 

 む、あっさりだな……情報アドが足りないからもっと動いてくれた方が私としてはありがたいのだが致し方あるまいて。

 

「私のターン、ドロー……うーん」

 

 この手札……あんまし動けんな。このターンは私もあっさり終わらせるか。

 

「私はガスタの巫女 ウィンダを召喚。カードを2枚伏せてターンエンドよ」

 

「ふ……すぐに引導を渡してやる! 俺のターン、ドロー!」

 

 ほう、攻めてくるか……?

 

「俺はゲート・ブロッカーを反転召喚する!」

 

 ふむ……壁モンスターか。

 

「更に私はジュッテ・ナイトを召喚!」

 

『御用だ!』

 

 おお、喋った! すげー(こなみ)。

 

 さて、レベルの合計は6か……まさか、元禁止のあいつでも来るのか?

 

「私はレベル4のゲート・ブロッカーにレベル2のジュッテ・ナイトをチューニング!

 荒ぶる獣の牙をもって捕獲せよ! シンクロ召喚! レベル6、ゴヨウ・プレデター!」

 

 おおっと、そっちか。

 

 

ゴヨウ・プレデター

シンクロ・効果モンスター

星6/地属性/戦士族/攻2400/守1200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「ゴヨウ・プレデター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。

そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる。

 

 

 てっきりガーディアンの方が来るかと思ったが……まあこっちはこっちで利点もあるしな。つーかリアルで見ると結構ビジュアルキツいな。体臭凄そう(偏見)。

 

「さあ、バトルだ! ゴヨウ・プレデターで伏せモンスターを攻撃!」

 

 だが、生憎と私のデッキとあまり相性は良くないな?

 

 

ゴヨウ・プレデター ATK 2400

 

ガスタの巫女 ウィンダ ATK 1000

 

 

「ふん、雑魚モンスターを攻撃表示で出すとはな……やれ、ゴヨウ・プレデター!」

 

 雑魚とはなんだ雑魚とは。ウィンダちゃん可愛いだろ。

 

 ああ、小さな女の子がむさ苦しいモンスターに襲われてる……お労しや。

 

「……って痛ぁ!?」

 

 

先生 LP 4000 → 2600

 

 

「ゴヨウ・プレデターのモンスター効果発動! このカードが戦闘破壊したモンスターを私のフィールドに特殊召喚する!」

 

 

 ガスタの巫女 ウィンダ ATK 1000

 

 

 うわぁ……NTRって実際やられるとこんな気持ちなんだな。これからはコントロール奪取は控えよう……脳破壊は同人誌の方でやって欲しい。

 つーかタイミング逃すからウィンダの効果使えないじゃん。

 

「はははっ、これで追撃して……」

 

「自分の表側表示のガスタが相手の攻撃によって戦闘破壊された場合、手札のガスタ・ヴェズルの効果発動。自身を特殊召喚する」

 

「何ぃ!?」

 

「来い、『ガスタ・ヴェズル』!」

 

 

ガスタ・ヴェズル DEF 1000

 

 

 現れたのは緑色の羽毛を持つ鳥のモンスター。いたいけな女の子もいいけど愛くるしい動物も嫌いじゃないぜ。何気にコイツ見たことない新規モンスターなんだよな。私が居ない間にいつの間に強化されたんだよガスタ……嫌いじゃないからいいけど。効果も強いし。

 

「くっ……破壊されても後続が出てくるか。追撃はできない、か」

 

「そうそう、ウィンダちゃんは相手に戦闘破壊された時にデッキからガスタのチューナーを呼べる効果を持ってたけどタイミングを逃すから発動できないんだよね。そうそう、もし私がウィンダを攻撃して破壊したら、ウィンダは私の墓地に行くでしょ? その場合、「相手の攻撃によって」の相手が私になっちゃう。だから、ウィンダを奪ったのは別段ミスじゃないから安心して結構な訳」

 

「…何故私に唐突にそんな解説をするんだ!」

 

 いけねっ、しばらく教師してたからつい癖がっ。

 

 ……いや、別にどうでもいいかな。

 

「私はガスタ・ヴェズルの効果発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからガスタモンスター1体を墓地に送れる。その後、手札からガスタを1体特殊召喚できる。私はデッキから2枚目の『ガスタ・ヴェズル』を墓地に送り、手札から『ガスタの神裔 ピリカ』を守備表示で特殊召喚する!」

 

 

ガスタの神裔 ピリカ DEF 1500

 

 

 現れたのはウィンダちゃん同様可愛らしい女の子。リアルソリッドヴィジョンはこれだから最高なんだよなぁ。

 

「更にピリカちゃんの効果発動! この子が召喚・特殊召喚に成功した時、墓地の風属性のチューナーモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚できる! 私は今し方墓地に送ったガスタ・ヴェズルを特殊召喚!」

 

 

ガスタ・ヴェズル DEF1000

 

 

「私のターンの筈なのに……ここまで展開を行うだと!?」

 

「いやぁ、手札微妙だったからウィンダちゃん攻撃してくれて助かったわーw」

 

「き、貴様……!」

 

 精神攻撃は基本。

 

「さて、ウィンダちゃんの攻撃力では私のフィールドに存在するモンスターをどれも突破できないよ?」

 

「くっ、私はカードを一枚伏せてターンエンドだ……次のターンで必ずお前をズタボロにしてやるからな!」

 

 伏せ2枚に2400打点のシンクロモンスター、おまけにウィンダちゃんか。うん、まだまだ余裕はあるな。手札今ちょっと事故り気味だけどヴェズルのお陰でボードアドは負けていない。

 

「私のターン、ドロー!」

 

 私のドローカードは……『ガスタへの追い風』。

 

 ……さあ、このターンで決着を付けようじゃないか?

 

 





ジャッジメントって入力しようとしたら予測変換に風紀委員って出たんですけど……why?


次回決着です。ガスタに関してある程度の理解がある方にはどうやって勝つのか丸分かりかもしれませんけども。


4/16 最初のなんかよく分からないけど意味深な部分を結構変えました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

39話


フレッドシップ大会に先生が出場はします。
や、出ないかも……わがんにゃい。
拙作はOCGカードのみ使用していく所存なので
出るとしたら多分未OCGだらけのセルゲイが犠牲になります。
だが奴は……弾けた。




 

 

デュエルチェイサー801 LP 4000 手札×2

フィールド

ゴヨウ・プレデター ガスタの巫女 ウィンダ

伏せ 2枚

 

 

先生 LP 4000 手札×4

フィールド

ガスタ・ヴェズル×2 ガスタの神裔 ピリカ

伏せ1枚

 

 

 さて、まずはっと。

 

「私は装備魔法、ガスタの追風を発動! ピリカちゃんに装備する。このカードを装備したモンスターは効果では破壊されなくなる。んで、効果発動。こいつは装備したモンスターのレベルまたはランクによって発動できる効果が変わる」

 

「ランク……?」

 

 ……シンクロ召喚を使っていてかつランクを知らないってことはあれか? シンクロ次元って奴か? たしか、ユートと遊矢がそんな話をしていた記憶が微かにある。上からバイクが降って来て気絶したけど。

 

 むむむ、思い出すとちょっとムカついてきた。不可抗力とは言え人を轢いて(?)おいて……あいつ、マジで一度謝罪入れさせてやるからな?

 

 まあいい、今はデュエルに集中するとしよう。そのことを考えると嫌な記憶で苛々させられる。

 

「装備したモンスターのレベルorランクが4以下の場合、種族の異なるガスタモンスター1体をデッキから特殊召喚できる。私はその効果を早速発動する。ピリカちゃんはサイキック族なので、私がデッキから特殊召喚するのはレベル1の鳥獣族チューナー、『ガスタ・イグル』。攻撃表示で特殊召喚!」

 

ガスタ・イグル ATK 200

 

「デッキからモンスターを呼び出す効果を持つ装備魔法だと!?」

 

 

ガスタの追風

装備魔法

「ガスタ」モンスターにのみ装備可能。

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):装備モンスターは相手の効果では破壊されない。

(2):装備モンスターのレベル・ランクによって以下の効果を発動できる。

●4以下:装備モンスターとは種族が異なる「ガスタ」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

●5以上:デッキからレベル1チューナー1体を特殊召喚する。

(3):墓地のこのカードを除外し、手札から風属性モンスター1体を捨てて発動できる。

デッキから「ガスタ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

 

 このカード強い(確信)。まるでこのカードだけ生まれた時代が違うみたいだぁ……

 

「私はレベル3のピリカちゃんにレベル3のガスタ・ヴェズルをチューニング!」

 

「シンクロ召喚……!」

 

 んー、やはりリアルで見るとシンクロ召喚の演出は凄く格好良い。格好良いんだけど……本気でソリティアしたいと思ってる時だと長く感じてしまいそうだ。好きだから良いけど。

 

「……さあ来て、レベル6! ダイガスタ・ラプラムピリカ!」

 

 

ダイガスタ・ラプラムピリカ

シンクロ・効果モンスター

星6/風属性/サイキック族/攻1900/守2600

チューナー+チューナー以外の「ガスタ」モンスター1体以上

自分は「ダイガスタ・ラプラムピリカ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。

「ガスタ」モンスターを手札及びデッキから1体ずつ効果を無効にして特殊召喚し、

その2体のみを素材として「ガスタ」Sモンスター1体をS召喚する。

このターン、自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分フィールドの他の「ガスタ」Sモンスターは相手の効果の対象にならない。

 

 

 現れたのはデカい鳥に乗ったピリカちゃん。この鳥はよく見たらピリカちゃんのイラストに載ってる奴が成長したのだね。リアルソリッドヴィジョンだとピリカちゃん本人しか実体化しないみたいだから忘れてたけど。

 

「守備力の高いシンクロモンスターか……」

 

 本当は攻撃表示でもまるで問題ないが、無限泡影みたいなカードを使われると割とキツイので守備表示で出した。

 

「ダイガスタ・ラプラムピリカの効果発動! このカードがシンクロ召喚に成功した場合、ガスタを手札及びデッキから一体ずつ特殊召喚して、その特殊召喚したモンスター2体のみを素材にしてガスタシンクロモンスターをシンクロ召喚することができる! ただし、このターン私は風属性モンスターしか特殊召喚できなくなるがな」

 

「連続してシンクロ召喚を行うだと!?」

 

 おー、驚いてる。私もこのカードの存在知った時は驚いたよ……

 

 またピリカちゃんとラムペンタの合体が出てきたって。

 

 それはさておき、エースの登場といきますか。

 

「私は手札の『ガスタの疾風 リーズ』とデッキの『ガスタ・イグル』を特殊召喚し、そのままシンクロ召喚を行う!

 さあ来い、ガスタの一族随一の戦闘達者! 神風と化せ! レベル6! ダイガスタ・スフィアード!」

 

 現れたのはおへそが出ている杖みたいなのを持ったガスタの疾風 リーズちゃん。カードのイラスト見てツインテ解いてて可愛いなって思ってたけど……この子、腹筋が割れてる!

 

 ソリッドヴィジョン付きだから分かったことだな……まあ、例えシックスパックだろうと可愛いから何も問題ないな!

 

「連続してシンクロ召喚を決めてくるとは……しかし、我がゴヨウ・プレデターの攻撃力の方が貴様の2体のシンクロモンスターよりも上だ!」

 

 寧ろ高い方が助かるな。

 

「さて、ダイガスタ・スフィアードのモンスター効果を発動。このカードがシンクロ召喚に成功した時、墓地のガスタカード1枚を手札に加えることができる。私は『ガスタの神裔 ピリカ』を手札に戻す」

 

「そのモンスターはたしか、風属性のチューナーモンスターを特殊召喚するモンスター……まだシンクロ召喚を行うつもりか!?」

 

 いや、これ以上シンクロはしないつもり。面倒臭い上にこれ以上出してもあまり意味無いし。

 

 さて、伏せカードがやや気に掛かるし念の為除去するとしよう。

 

「私は墓地のガスタの追風をゲームから除外し、手札からガスタ・グリフを墓地に送って効果発動! デッキからガスタ魔法・罠を手札に加える」

 

「3つも効果を持つだと!? インチキ効果も大概にしやがれ!」

 

「うるせえ! 反論できないけど!」

 

 文句ならコンマイにでも言ってろ! これあっても環境に顔出せるか微妙でしょガスタは!

 

 私がこの世界に来る直前だと……たしか【勇者デスフェニ】や【エルドリッチ】、それから【ふわんだりぃず】なんかがやばかったな。正直この程度でインチキとか言うにはまだまだだわ。いや、十分強いんだけどな? 出張セットに使えないだけまだマシだろう。

 

「私が手札に加えるのはガスタの交信だ。おっと、墓地に送られたガスタ・グリフの効果を使わせてもらおう。このカードが手札から墓地に送られた場合、デッキからガスタを特殊召喚できる。私は『ガスタ・ガルド』を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

ガスタ・ガルド ATK 500

 

「なっ、またモンスターを呼び出しただと!? しかし、先程から何故低攻撃力モンスターをわざわざ攻撃表示で……」

 

 追い風一枚でアホみたいに回るようになったな……フィールドがモンスターで埋め尽くされたよ。伏せの緊急テレポートが用無しになっちゃったよ?

 

「そして、先程手札に加えたガスタの交信を発動。このカードは私の墓地のガスタ2体と相手フィールドのカード1枚を対象として発動する。墓地のガスタの神裔 ピリカとガスタ・ヴェズルをデッキに戻し、私が選んだカード……あんたの左の伏せカードを破壊させてもらう!」

 

「くっ……だが、今この状況では役に立たぬカード故私に被害はほぼない!」

 

 破壊したのはブロークン・ブロッカー……ゲート・ブロッカーを伏せてたからまあ有り得なくはない伏せだな。ま、妨害の可能性を少しでも潰せただけ良かったと思おう。

 

「貴様のフィールドは既にモンスターで埋め尽くされた。そして、私のゴヨウ・プレデターよりも攻撃力の高いモンスターはいない。いくら攻撃力の低い雑魚モンスターを並べようと私には勝てん!」

 

「お、そうだな。じゃ、バトル!」

 

「……貴様、何をする気だ!?」

 

 

 ははは、決まってるじゃんか? ガスタですることと言ったら、ねぇ?

 

 

「さあガスタ達よ、突っ込むぞ! 特攻、特攻、特攻だーッ! まずはガスタ・イグルでゴヨウ・プレデターに攻撃!」

 

「馬鹿な、ゴヨウ・プレデターの方が攻撃力は上なのに……」

 

 たしかに2400打点も越えられないガスタは非力と言える。だがな、デュエルは脳筋だけが勝てるようには出来ていないんだぜ?

 

「ダイガスタ・スフィアードには自分フィールドのガスタモンスターによって発生する私への戦闘ダメージを相手が受けるようになる効果を持つ!」

 

「な、何だと!? わざわざ弱いモンスターを攻撃表示で並べていたのはその効果があるからか!」

 

「さて、ガスタ・イグルの攻撃力は200。ゴヨウ・プレデターは2400。2200のダメージを受けて貰おうか」

 

 雑魚モンスターとか言ってくれたツケは払わせてやるぞ?

 

「くっ、ならば私は罠カード次元幽閉を発動! 攻撃したモンスターをゲームから除外する! ふはは、これならばダメージは受けずに済む!」

 

「( ´_ゝ`)ふーん」

 

 伏せ次元幽閉だったか。うん、ミラフォならちょっとキツいかなとヴェズルは守備表示のままにしたけどまるで問題ない。

 

 小さな鳥であるイグルがゴヨウ・プレデターに突貫して行く最中、次元の狭間みたいなのが出現した。イグルは止まらずに狭間に飲み込まれて消えた。おめでとうイグル、君は二階級特進だ……

 

「だが、私のモンスターはまだまだいる。第二陣、ガスタ・ガルド! ゴヨウ・プレデターに突貫ッ!」

 

「ご、ゴヨウ・プレデター! 反撃するな、やめろ!」

 

 ガスタ・ガルドが突進する。ゴヨウ・プレデターは主人の言うことを聞かず(ルール的に仕方ない)ガスタ・ガルドを追い払うように攻撃する。

 

 その時ダイガスタ・スフィアードの杖が光り、その戦闘で生じた衝撃は相手へと。我ながらかなり姑息な気がしてきたなこれ。

 

「ぐわあぁぁ!?」

 

 

デュエルチェイサー801 LP 4000→ 2100

 

 

 よし、クリボーとかも無いみたいだ。

 

「ガスタ・ガルドの効果発動! このカードが墓地に送られた時、デッキからレベル2以下のチューナー以外のガスタを特殊召喚できる!」

 

「なん……だと……」

 

「私はデッキから『ガスタの希望 カムイ』を攻撃表示で特殊召喚する」

 

 

ガスタの希望 カムイ ATK 200

 

 

「これで終わり、私はカムイでゴヨウ・プレデターに攻撃!」

 

「そんな……馬鹿なー!?」

 

 

デュエルチェイサー801 LP 2100 → 0

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 よぉし、私の勝ち。これでこの場は丸く収まるかな。いやぁ、警察は強敵でしたね……

 

「くっ……」

 

「私が勝った以上、この場は見逃してくれない?」

 

「……いや」

 

 項垂れていたセキュリティの人は何かを思い付いたように私に視線を傾ける。

 

「お前は普通に拘束する!」

 

「ファッ!?」

 

「大人しくお縄に付くんだな!」

 

 何!? デュエルで勝てば見逃してもらえるのではないのか!?

 

 セキュリティはそう言いつつ手錠を取り出しながら私に走り寄ろうとしてくる。

 

「ま、待て! そんなことしちゃいけない! つーか私が勝ったのに何故よ!?」

 

「うるさい! 姑息な手で上手くこの場を逃れて違法駐車する奴を無視できる訳ないだろうが!」

 

 やめろ! 急に常識的な思考で物事を判断し出すのは今の私にとっては都合が悪いにも程があるだろ!

 

「ま、待て! れレle冷静になれ!」

 

 私は極めて冷静に心を保とうとしながらも足を必死に動かしてセキュリティから逃げようとする。

 

「私だってなぁ……今月の給料減らされたらヤバいんだよ! ただでさえ出世できてないのにこんなところで検挙ミスってクビになったら路頭を迷う羽目になるだろうが!」

 

「まずそんな崖っぷちに行く前に普段の勤務態度から見直せやこん畜生!」

 

「うるせぇ! こちとら朝7時出勤だゴラァ!」

 

 わーわーと私がセキュリティと騒いで逃げ回っていると、こけた。ただでさえ運動音痴なのについ先程まで歩き回っていたからか足がもう棒みたいになってたんだ。そりゃそうなるよね……痛い。膝擦りむいたかも。

 

「だ、誰かー! この人強姦魔です!」

 

「喧しい! つべこべ言わずとっとと……」

 

「レイプ魔に犯されるー! お巡りさーん!」

 

「いい加減黙れコラ! 耳がキンキンするんだよ! あとお巡りさんは私だ!」

 

 そうだったわ!?

 

「くっ……殺せ!」

 

「いや殺しはしねーよ……はぁ、もう疲れた。さっさと手錠を掛けて——」

 

 万事休すか……セキュリティの魔の手が私に降り掛かろうとした、その時だった。

 

 

 ふと、誰かがこの場にいる私達のすぐ背後に立っていたのに気付いた。

 

 

 ……何故か、サングラスにマフラーを着用した不審者みたいな格好で!

 

 

「「だ、誰ぇ!?」」

 

「ふふ……」

 

 その不審者は長髪の女性のようだった。首にマフラーを着けている割にボーイッシュな格好をしていて水色のダメージデニムにヘソ出しシャツを着用していてアスリートみたいにバリバリに割れた腹筋がまるで見せつけられるかのように露出している。首から上とその下でガード率がまるで違うんですけど?

 

 そんな明らかに不審な人物がセキュリティの人に名刺を差し出した。

 

 側から見れば何かヤバそうな光景だ。何者なんだこの人。怖い。

 

「……ファッ!? あ、貴方は……」

 

「この人、私の友人なのよ。だから、見逃してあげて?」

 

 不審者がそう言いながらセキュリティの方に向いて無言の圧力を掛ける。

 

 えっと、まず私はこんな不審者みたいな格好をして意味深な登場をする知り合いなんて1人もいないんだけど……でも、なんか助けてくれてるみたいだし特に何も言わないでおこう。本当は色々と言いたいけど。

 

 でもこの不審者の声、妙に聞き覚えがあるような……

 

「……でも、貴方にはそんな権力はない筈で」

 

「さもなかれば貴方の上司に今のデュエルで負けたことを告げ口して貴方をクビにさせて上げようか?」

 

「お疲れ様でした! いやぁ、無断駐車なんて通報受けたけど何処にもバイクなんてなかったなぁ! 全く、セキュリティにイタズラ電話して来たのは何処の誰なんでしょうなぁ!」

 

 セキュリティの人は私でも見逃してしまいそうな速度の掌返しをしてすげー棒読みで叫びながらこの場を去って行った。

 

 取り敢えず、助けてくれた不審者さんに礼を言うことにする。

 

「あの、助けて頂いてありがとうございました」

 

「……」

 

 ……残された私達の間に、少しの間沈黙が流れた。

 

 気不味い。何か返事してくれよ……この空気を私にどうしろってんだ?

 

 私のそんな気持ちを汲んだのかは分からないが、不審者の人が私に向けて話しかけてきた。

 

「……覚えてないの?」

 

「えっ」

 

「……ああ、軽く変装してたんだった。いけないいけない」

 

 ついうっかりしてた、みたいにそう言いつつ不審者はサングラスとマフラーを取った。

 

 

 露わになったその容貌はかなりの美人だった。

 

 キリッとした印象を与えるアイラインに薄いピンク色に塗られたリップ、控えめながら魅力をよく引き立てているブルベチークと、とても大人っぽく化粧せれているのに顔は小さめで同性の私からしても惹きつけられてしまいそうだ。

 

 そして……何よりも、私にとってはその顔はよく見知ったものだった。

 

 

「う、嘘……なんで、こんなところに……」

 

「うん、それはこっちのセリフでもあるんだけどね?」

 

 

 元いた世界で疎遠になってしまい、もう二度と会わないと思っていた私の唯一の友達が目の前に苦笑を浮かべながら立っていた。

 

 

「……よっ。久しぶり、明美!」

 

 





先生の友人(不審者)、登場!


リハビリで書いたも同然なデュエルなのでかなりシンプルであっさりした内容になりました。
腹筋割れてる女の子って良いよね……アーイイ……

セキュリティの番号に関してはノーコメントです。一応言っておきますが(私はホモじゃ)ないです。


今日の最強カードはこれ!


ダイガスタ・スフィアード
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/サイキック族/攻2000/守1300
チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地の「ガスタ」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
(2):このカードは戦闘では破壊されない。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分の「ガスタ」モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。


S召喚時に墓地のガスタカード(魔法罠も可)をサルベージし、戦闘では破壊されない。
更に、ガスタが戦闘する時に受ける自分への戦闘ダメージを相手に押し付けることができる!
脆刃の剣なんかとは相性ばつ牛ン!さあ行け、ガスタ神風隊!突っ込むぞ!
また、脆刃の剣装備したスフィアードでダイレクトアタックするだけで8000ダメージを叩き出すこともできるぞ!
(それするなら時戒神でよくね?とか思ってはいけない)




私が知らない間にピュアリィが環境デッキに躍り出てるみたいですね。
初動の多さは(カテゴリ内だけで21枚)確かに強みですわ。
ワン・フォー・ワンとかも含めるともっと初動安定するだろうし。
あと超重武者も新規貰って顔出してるようっすね。
あれ適当に組んでも普通に回るんですよねあれ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

40話



今回のあらすじ

新たなる不審者、東堂遊佐!




 

 

 ——東堂遊佐。私のかつての友人が目の前に佇んでいた。

 

 最後に会ったのは大学卒業した頃だったから会うのは数年振りで、私にとっては唯一友人と言っていい存在だ。少なくとも、私には他に名前と顔を覚えている同級生はいない。

 

 就職してから一切会っておらずメールのやり取りも全く無かった。だから、とっくに縁が切れたのかなって思って……ずっと心残りだった。

 

 だから正直に言うと……今、ちょっと気不味いや。

 

「なんで、こんなところで……」

 

 さっき口にしたことと似たようなことを繰り返す。柄にもなく緊張しているのかもしれない。

 

「うーん、話すと長くなるんだけどね。取り敢えず、立ち話も何だしちょっと私の住んでるところまで来てよ」

 

「あっはい」

 

 一方遊佐は自然体で話している。そもそも、私は遊佐が焦ったところなんて……一回しか見たことがないけど。

 

 でも遊佐の言うことももっともだ。たしかについ先程までデュエルして疲れたし、正直もう足が動かない。立っているだけでも辛い。明日は筋肉痛で更にキツくなるでしょうね。でも、今からバイク運転するのも気が引けるな……

 

「バイクなら後で業者さんに回収させるから私の車乗ると良いよ。その様子だと疲れてるんでしょ?」

 

「うん、よろしくお願いします」

 

 その提案に私はノータイムで返事した。相変わらずよく気が回るな、遊佐は。でも私、卒業後メールを何回も送ったのに返信がなかったこと、気にしてるから。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 遊佐の自宅は超が付く高層マンションだった。ここに住むのに幾ら掛かるのか、小市民な私には想像しただけで辟易してしまいそうだ。

 

 遊佐の住んでる部屋はマンションの一番上の階だった。本格的に家賃が気になって来たが我慢する。

 

「ほら、ここなら誰の目も届かないから」

 

「……え、薄い本展開?」

 

「ちょっともう〜。私は友達にそう言うことしません!」

 

「……」

 

 それは友達じゃない相手……例えば幼い子供にはやるのか、と聞きたくなったがやめておこう。

 

 玄関を通り、リビングに入る。中にはダンベルとかランニングマシーンとか、名前は知らないけどジムに設置されてそうなトレーニング器具がわんさか置いてあった。身体を鍛えるのが趣味なのは変わっていないようだ。

 

「そんで、まずはお風呂入って来たらどうかな。ちょっと匂うよ?」

 

「……ラブホ?」

 

 色々と突っ込みたいことが多かったが、遊佐の発言を聞いて私は反射的にそんなことを口走ってしまった。

 

「あのさぁ……自分でもちょっと考えちゃったから辞めなさい」

 

「はーい」

 

 遊佐は別に同い年の女性……それも私なんかに手を出すような人間ではない……筈だ多分。遊佐の趣味はよく知ってるから分かる……おそらく。彼女のストライクゾーンは中学生くらいだ……少なくとも昔は。

 

 ……なんか考えているとどんどん不安になってきちゃうな。もうとっととお風呂入って来よう。

 

 私が感じたそんな不安は杞憂だったようで特にお風呂に入っている間浴室に睡眠ガスが散布されたりとか湯舟が実は液状スライムだったとか着替えがマイクロビキニやバニーガールのコス衣装しか用意されてないだとかは無かった。広い浴室は初見はちょっと緊張してしまったが、特に変なことは起こらなかった。

 

 私は金持ちが使っていそうな着心地の良いバスローブを着用してリビングに戻ると、テーブルの上にティーカップが2つ置かれていた。テーブルを挟んだ位置にあるソファーに遊佐は腰掛けていた。

 

「次、遊佐も入る?」

 

「いや、私は後で良いよ。この後トレーニングの予定があるから」

 

「……そう」

 

 そう言えば高校時代はあらゆる運動部に引っ張りだこだったっけ。まあ、あの腹筋見せられたらねぇ。

 

 私は遊佐と向かい合う形でソファーに座った。

 

「……それで、何から説明しよっか」

 

 遊佐は悩むようにしながらティーカップを手に取る。中身はどうやら紅茶のようだ。匂いからして恐らくアップルティーだろう。遊佐がよく飲んでいた。

 

「まず、いつからこの世界にいるの?」

 

「数年前からだね。明美は?」

 

「……大体1、2ヶ月前」

 

「ふぅん、なるほどね」

 

 遊佐がメールに返事をしてくれなかったのって、もしかしてこの世界に来ていたから……?

 

「遊佐はどうやってここに来たの?」

 

「うん、あれは1人で居酒屋で飲んで駅に着くと終電時間だったあの日……我慢できなくて電車の中で寝ちゃってたらいつの間にかこの街に来てたの」

 

 私と同じじゃん。

 

 どの駅なのか聞いてみたが、私が乗ったのとは全く知らない名前だった。

 

「その反応からして明美も同じみたいだね……ところで、もしかしてこの街には次元を超えて来てたりするの?」

 

「うん」

 

「あちゃ〜……もうそんな時期かぁ」

 

 遊佐はたしか遊戯王アニメは視聴している筈だ。だから私が次元を超えて来たと分かったのだろう。

 

「ちなみにどの次元から……って、スタンダードに決まってるか。他の次元だと色々と説明が付かないし」

 

「うん、多分合ってる。原作だとこの後何が起こるの?」

 

 一応私は今後起きる出来事を聞いておく。この後の顛末を知っておいた方が危険なことに巻き込まれるリスクは減らせるだろうし。

 

 私の質問に遊佐は人を煽るような表情になって妙に腹が立ちそうな口調で喋り出す。

 

「明美はたしかアニメ未視聴だったよね……やっぱ気になるぅ?」

 

「……やっぱいいや」

 

「気になるよねぇ?」

 

「……いや、別に」

 

「よし、そんなに気になるなら教えてあげよう!」

 

「はぁ……まあいいけど」

 

 うん、下手に取り合うと更に面倒臭いからしばらく自由に喋らせておこう。遊佐は無駄話することも多いから。

 

「あ、でもその前に……」

 

 突然、遊佐は真面目な顔になって私を真っ直ぐに見つめた。

 

「……明美、なんかちょっと怒ってる?」

 

「……いいえ、とは言えない、かな」

 

 遊佐へのメッセージが既読もされず反応もなく、ずっと嫌われたのかなって思っていた。

 

 仕事を始めたばかりで不安も多く愚痴を聞いて欲しかった。そんな時に友達だと思っていたのに、遊佐は何もしてくれなかった。多分、その時にはもう既にこの世界に来ていたのだろう。それでも、私はあの時に受けた心の傷が私にはとても忘れられない。

 

 本当はまた会えて良かったって言いたいのに。どうしても素直にそう口に出せない自分が……情けなかった。

 

「……明美の気持ちは分かるだなんて、私にはとても言えないよ。ごめんなさいって謝って済むなら、私は幾らでも謝る」

 

「謝られても、私は多分許せる気がしない……かな」

 

「うふふ。私は明美の素直なところ、好きだよ」

 

 遊佐はいつの間にか私の隣にまで来て座っていた。い、いつ動いたんだ……?

 

 と言うか。言い方! そんなんだから女にモテるだな生まれてくる性別を間違えたとか言われたんだろうに!

 

「でも、謝らないとまず私の気が済まないの。私、この世界に来てからずっと明美のこと心配してたから」

 

 真剣な表情でそう言う遊佐に、私は思わず見惚れてしまいそうだった。最後に会った時よりも更に魅力的になったな……

 

 横に腰掛けた遊佐は私の右手を握った。遊佐の手は少し硬いけど、初めて出会った時と同じで凄く暖かい。

 

「ごめんね。私が居なくて辛かったよね。寂しかったよね……1人にしちゃって、ごめんね」

 

 悲しそうに……本当に後悔しているのだろう。遊佐は私の眼を見ながらそう話した。

 

「……遊佐はずるいよ。そんな風に言われたら、許したくなっちゃう」

 

 私は遊佐に体重を預ける。すると遊佐も身体を傾けてお互いに身体を預け合う形になった。かつての友人同士とは言え少し照れ臭い。

 

「明美……」

 

「別に、そこまで怒ってる訳じゃないよ。ここ最近は遊矢くん達と一緒だったから寂しくはなかったし」

 

「あ、やっぱり知り合いなんだね……向こうで何してたの?」

 

「遊勝塾の教師」

 

「え、先生やってるの? まあ明美勝負強いもんねぇ……悪運はもっと強いけど」

 

「うるさいよ」

 

 たしかに私が悪運強いのは事実だけど。

 

「あはは、ごめんごめん。でも、本当に平気だった? 明美、身体弱いのに……」

 

「……大学卒業した後は、快復に向かったからね。現在はそこまで病弱じゃないよ」

 

「……そっか」

 

 思えば、そのことを報告すらできなかったんだったな……

 

「私達、また友達になれるかな。また明美と友達になってもいいのかな……」

 

「そんな……」

 

 私は……そうか、心の奥底では、まだ遊佐と友達のつもりだったんだ。もう割り切ったつもりだったのに、未練たっぷりだったりしい自分が恥ずかしくて仕方がない。

 

「わ、私は……今でも、友達のつもり……」

 

「え、ちょっと怒ってたのに? んもう、これでも感情の機微の敏感さには定評がある東堂さんと呼ばれてるのに明美はちょっと分かり難いよ」

 

「ご、ごめんなさ……」

 

「いやいや、明美謝らなくてもいいよ全然!」

 

 そう言い、遊佐はもう片方の手も握って身体を捻って私と向かい合う。だから、距離が近いってば……もう……

 

「私、また明美に会えて嬉しいよ!」

 

「……うん、私も」

 

「よし、それじゃ……久々にやろうか?」

 

 そう言うと遊佐はソファーから立ち上がって棚の上に置いてあったデュエルディスクを手に取った。ああ、そう言う……

 

「……広いとは言え、流石に室内は不味い。他の住人にも迷惑だろうし普通にやるべきだよ」

 

「変なところで冷静なのは変わってないね。って、変わりないのはお互い様かな。うん、いいよ!」

 

 デュエルディスクからデッキを取り出した遊佐は、私の対面に座る。私も置いていた鞄からデッキを取り出してテーブルの上に置く。

 

「ははっ、明美とデュエルするのは久し振りだね。腕、鈍ってないよね?」

 

「まさか」

 

 遊佐もやる気充分のようだ。あの頃と遊佐は殆ど変わっておらず、まるで昔に戻ったかのような気分になった。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 この後滅茶苦茶デュエルした。

 

 






※三十路手前の独身女性同士です

2人のデュエルの一部抜粋


明美の初期手札

灰流うらら
灰流うらら
無限泡影
墓穴の指名者
墓穴の指名者

明美「……」

遊佐の初期手札

ハーピィの羽箒
無限泡影
無限泡影
増殖するG
無限泡影

遊佐「……」


「「…………」」


明美「ツーペア!」
遊佐「スリーカード!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

41話


ふふふ……デュエルが遠いです。

次回はデュエルに行きたいけどちょっと無理かもしんない。



 

 私、実は枕が変わると眠れなくなるタイプの人間なのだ。だからこの世界……や、あの次元に来た当初は割と寝不足気味だった。割とすぐに馴染んだのは疲労があったからだな。寝付きも寝起きもお世辞にも良くなかったけど。

 

 だが、このベッドはやばい……人を駄目にするタイプのベッドだ。ここに寝転んだ瞬間に気が付いた。これは真冬の布団並みに手放したくなくなるような心地になれる。一生をこのベッドの上で過ごしても良いような気がした。テレビも付いてるしパソコンも遊佐が予備の奴貸してくれたし。

 

 

 私は足の筋肉痛を言い訳にして、遊佐と再開した次の日はずっと横になって過ごした。

 

 そして今、遊佐に怒られている。

 

 

「いや、昔より元気になったって言ってなかった!?」

 

「運動不足ならこんなものでしょ」

 

「うーん……少し外に出て運動しない? ほら、軽く散歩だけでも」

 

「やだ。降りるのめんどい。おやすみ……」

 

「んぐぐ……ま、いいや」

 

 遊佐は呆れたような顔をしているが私は一向に構わない。もうこのお布団とベッドと低反発枕が私の恋人でいい。なんとまあ素晴らしい逆ハーレム状態じゃないか。こりゃ他の女性に嫉妬の目を向けられちゃうねあはは。

 

「どうせ明日には強制的に外出してもらうことになるからね」

 

「……え?」

 

 私は遊佐のその発言を聞いて思わず枕から頭だけ起こした。遊佐は悪戯っ子みたいな表情をしている。こんのメスガキがよぉ……

 

「ど、どうして? 私のこと嫌いになっちゃった!?」

 

「……本気で言ってるなら歯茎に小骨を突き刺すよ?」

 

 なんて地味な嫌がらせなんだ……

 

「……えっと、その逃れられぬカルマについて詳しく聞きたいんだけど」

 

「カルマって……ちょっと、知り合いから呼ばれててさ」

 

「知り合い?」

 

 この世界の遊佐の知人か。ちょっとだけ興味はあるな。無理に会いたくはないけど。このお布団とお別れするのはあと5年は早い。

 

「ちょっとした酒飲み友達でね。実は、なんか次元超えてきた人がいるから相談に乗ってくれないかってさ」

 

「ふーん……うん?」

 

 まさか赤馬零児か? アカデミアとかの可能性もあるにはあるけど、もうそうならもっと遊佐は慌てる筈……そう言えばまだアニメでのこの後の出来事聞いてないな。それも併せて聞いてみるか。

 

「社長か? あと、忘れてたけどこの後アニメだと何が起こるの?」

 

「社長で合ってるよ。んーと、アニメの展開かぁ……スマイルカップってデュエルの大会が行われるよ」

 

 ほーん、デュエル大会ねぇ……うん、あんまり良い思い出はないね。

 

「あ、興味ある? バイクに乗りながらデュエルするんだけどさ……」

 

「出るくらいならバンジージャンプでもするけど?」

 

「私も明美には出て欲しくないかな……折角また会えたのに、怪我して欲しくないよ」

 

 遊佐、ありがとう。でも言い方が口説いてるみたいでちょっと反応に困るよ。私、そっちの趣味はない。断固としてないのだ。遊佐もそんな趣味はないと知っているけど。

 

「で、だ。私が相談に乗るぜって了承出す前にね、私も次元超えてきた人会ったよ〜って答えちゃった訳よ」

 

 遊佐口軽いな……酒の席だからある意味仕方ないかもしれないけど。

 

「そしたら相手方がその人も連れて来てって」

 

「えーと……うん、明日はちょっと腹痛の予定があるの」

 

「なんだその言い訳……相手、行政のお偉いさんだから仮に逃げたら私でも庇える保証は出来ないよ」

 

 ま、マジかよ……つーかどうやってそんな公的な権力を持ってる相手と友好結べたんだよ。

 

「うう……分かった行くよ」

 

「ならよろしい。あ、私は今日は仕事あるから」

 

 二連休貰ってるとか遊佐の職場ベリベリホワイトかよ……羨ましい。たしか、元の世界だと父親の仕事を手伝ってるって言ってたな。ええと……たしか遊佐の父は保険会社の社長だった筈だ。何と言えばいいか……娘居なくなってあの人悲しんでるんだろうな。一度だけ会ったことあるけど凄い親バカ気味だったから。母親の方はあまり記憶に残ってないから分からないけど、心配しているんだろうな。

 

「それじゃ行ってくるね」

 

「……うん、行ってらっしゃい」

 

 口から出たのは弾まない声で唯一の友人を見送るのには相応しくない声だった気がするが、遊佐は気にせずに部屋から出て行った。

 

 遊佐もきっと家族と会えなくなって何も思わなかった事はないだろう。心のどこかでは寂しさを感じているのかもしれない。いや、本当は私に会うまでずっと心残りだけど私の前ではそんな態度を面に出せないと我慢しているだけなのかも。

 

 

 だって、私の家族はもう既に……

 

 

 その後、私は用意されてた朝飯を食べてから何も考えずにベッドの上で横になって目を閉じて過ごした。寝心地が良かったお陰かすぐに眠ることが出来たが夢見はあまり良くなかった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」

 

「女の子が何て声出してるのよ。ほら、シャキッとする!」

 

「あーい……」

 

 私は後部座席で横たわ。遊佐は車を運転している。再開した日にも見たこの車、黒塗りの高級車なんだよね。まあ、ぶつかられる側よりかはおいゴラァ! 側の方がマシか。

 

「ほら、そろそろ着くよ」

 

「え、早くない? まだ出発して5分位しか立ってないと思うんですけど」

 

「この道は行政の人達が整備した道でね。私のマンションと直通出来るように調整して貰ったんだ」

 

 いや、マジでどう言うことなの? 行政に知り合いがいる友人とか遊佐じゃなかったら一目散で媚びに行くレベルなんだが。この世界に来て数年でとんでもないコネ作ってやがるよ。

 

 身体を起こして窓の外を見ると、如何にもな感じの建物が目に入った。なんか……近未来都市ってイメージがほぼ完全に一致している建物だった。この世界の技術はどうなってるんだか。

 

 車をそこら辺に停めて私と遊佐は建物の入り口へと歩いて向かう。駐車場とかないみたいだけど平気なのかな……まあ遊佐のことだし多分大丈夫かな。

 

「やっほー、あんたらの上司に呼ばれて来たよん」

 

 入り口に立っていた2人の警備員らしき人に遊佐はこれ以上なく気軽に話しかける。おいおい、その話し方で本当にいいのか?

 

「ど、どうぞ此方へ!」

 

「お通りください!」

 

 ……私の気の所為じゃ無ければちょっと怯えられてないか?

 

「うむ、職務ご苦労様ってね。行くよ明美」

 

「お、おう……ねぇ、なんか怯えられてなかった?」

 

 建物に入ってすぐに見えたエレベーターに乗りながら私は素直に疑問を口にしてみた。遊佐は聞かれたことは大体答えてくれる性格だから。まあ時々おふざけが入ることもあるけど。ちなみにエレベーターは最上階に向かうらしい。

 

「あー、それね。昔セクハラして来た奴がいたのを返り討ちにしたんだけどね」

 

「あ、そう……まあそんなおへそ丸出しにしてたらそりゃね」

 

 言い忘れてたけど遊佐は未だに腹筋丸出しの露出が激しい服装をしている。幸い(?)まな板みたいな胸筋をしているので痴女らしさはやや薄いが、何故かマフラーとサングラスもさも当然のように着用している。正直不審者にしか見えないんだけどいいのだろうか?

 

「まあ、私が鍛えているってことを見せつける為だねそれは。んで、そのセクハラ野郎を背負い投げして壁に埋めてやったのを見たからじゃないかな?」

 

「うん……うん?」

 

 ……この建物って何製なんだ? いや、ギャグ漫画にしてもどんな筋力してるんだ遊佐。たしかに高校生の頃から腹筋は割れてたけど流石にちょっと何かがおかしい気がする。少なくとも一般人がサラッと出来ることじゃない。

 

「いやぁ、アニメでクマを一頭伏せてターンエンドってネタが合ってね? 私もこの世界に来たんだから鍛え続けたらそのくらいできるようになるんじゃないかなってずっと鍛錬を続けて来た成果だね」

 

 遊佐満面の笑みを浮かべながら謎の筋肉主張のポーズを取る。そんなポーズみたことないけどジョジョ立ちか何か?

 

「……そうか」

 

 誰か返事を出来た私を褒めろ。隣にフィジカルモンスターがいるエレベーターの中でこんな事できるのは私くらいでしょう?

 

 そうこうしているとエレベーターは最上階についた。やっとか。まあ外からみたら相当高かったしな……

 

「さて、到着っと! じゃ、行ってみよ〜!」

 

「はいはい。あー……」

 

 これからお偉いさんに会うのかぁ……辛たん。幾ら遊佐の知り合いとは言えどもちょっと身体が思うように動かないなぁ。あ、それはまだ筋肉痛が続いてるからだった。まだ足がやや痛むよ。

 

「頼もー! いつもニコニコ貴方の後ろに這い寄る混沌、外神ナイアルラ! 重ねて外神アザトート! ここに見参!」

 

 ハイテンションでドアを思いっ切り開けながら意味不明な事を叫ぶ遊佐から、私はそっと目を逸らして今からでも何とか赤の他人の振りが出来ないか模索していた。部屋はだだっ広くて何の用途に使うのかイマイチ思い付かないような内装だったが、私が知っている奴もいた。

 

 

 遊矢くん達だ。

 

 

 おい、聞いてないぞ遊佐。先に説明しろよっ。社長からランサーズを結成してシンクロ次元行くよーとは聞いてたけどさ!

 

「貴女は……確かキングの秘書の」

 

「遊佐でーっす! いやぁ、元気してたかいセキュリティの長官殿ぉ? それにしてもわたしゃそっちの方々に呼ばれて来たのになんで貴方がいるのか……全然これっぽちも分かりませんねぇ!」

 

 最早胡散臭いを通り越して売れない道化師みたいになっている遊佐だが、付き合いが長かった私には分かる。あの、鷲鼻の金髪で前髪が後退している長官と呼ばれた人物。今は澄まし顔をしているがなんか内心怒ってそうだ。

 

 遊佐は彼に強い敵意を持っている。

 

 

 ……いや待て、キングの秘書ってなんだ? そう言えば遊佐の仕事について聞いてなかったけど、芸能人のマネージャーみたいなものかな?

 

 





キングは芸能人だった……?

明美「トランプの柄が私達になったトランプセットが発売されるんだって。誰がどの数字やる?」
ジャック「キングは1人、この俺だ!」
遊佐「では、私はクイーンだ!」
明美「ジャックはアトラスさんだね」
遊佐「って、キングとジャックは兼役なんかーい!」

どっ

みたいな……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

42話


新しい種族……だとッ!?

幻想魔族……さながら幻に身を落とし幻想と化した悪魔と言った所か(厨二病)
現在は全員戦闘時相手と自信が先頭破壊されなくなる効果を持つ種族ですな。
それはそうと有翼幻獣キマイラさんテーマできてて草なんよ。




 

「明美、大丈夫?」

 

「いや、全然?」

 

 私はライダースーツを着用してバイクの点検をしていた。いや、この世界の名称だとデュエルホイールになるのか。社長から貰ったやつではなく遊佐が貸してくれたものだ。元の世界のそれと比べると技術力がとんでもないことがよく分かる。質量を持ったヴィジョンとか作れる時点で大分あれだけど。

 

 ふむふむ、ここが手札を置くところか。ここが墓地で……そんな感じで私はデュエルホイールの確認を黙々と行う。

 

 もっと別のことに……いや、そうすると軍事利用されるだろうからある意味これが正解なのかもしれない。

 

「本当にごめんなさい! 私が「いいえ」と言える日本人だったら……!」

 

「別にいいよ。気にしてないから。本当本当」

 

 別にその無駄に露出したへそをボルトでグリグリ押し込んでやりたいとか全然思ってないっすよ?

 

 おっと、くだらないことを考えてたら工具を落としてしまった。拾わないと……うん、腰が痛くならないか不安になるな。ぎっくり腰にならないように気を付けないと。前うっかりなりかけたし。

 

 先程から謝り続けている遊佐を尻目に私はメンテを一先ず終えてエンジンをかけてみるが、異常はなさそうだ。何とかずぶの素人な私でも扱える代物のようで助かった。オートパイロット……自動操縦とか元の世界でやっとこさ実現出来てたレベルなのに、この世界の人達はその技術を平然と娯楽の為に使っているのは改めて考えるとおかしいと思う。

 

「……やっぱりあの野郎の方を先に処理しておくべきだったかな」

 

「いや処理って……」

 

 遊佐、徒手空拳で暗殺とか平然とやってのけそうで怖いのに処理って言い方で更に物騒さが増してるよ。あと、先に処理しておくべきだったかなってもう処理した奴がいるの?

 

 どうしよう、私の知り合いに弁護士はいないんだけど……

 

 まあ真面目に考えると、原作に出てくる奴で悪い奴を病院送りにしたとかその辺りだと思う。遊佐なら烈海王とか桐生一馬とかが相手じゃない限り負けないでしょ。

 

 余計な考え事を頭から振り払い、時計を確認するとそろそろ時間が迫っていた。私はともかく、遊佐は間に合うのか?

 

「遊佐、そろそろ時間なんじゃない?」

 

「げっ、やっば……私、特等席で観てるからね。それじゃ、メリルちゃん後は頼んだよ!」

 

「はい」

 

 遊佐は残像が出たのかと見紛う程のスピードで走り去って行った。床は綺麗に掃除されているのに埃がすげー立ってる。

 

 扉を律儀に閉めてるのが少しシュールに思えた。

 

 ちなみにメリルは無口な女の子のスタッフだ。遊佐の知り合いらしい。

 

 ちょっと話した感想はコミュ障だなって感じ。いつも落ち着いた雰囲気の子なんだけど、遊佐と話す時は微かにだけど嬉しそうに口が綻んでいた。キマシの塔が立ってそうなんですけど……こんな小さい子相手にソンナコトスルナンテー。

 

 さて、私の方もそろそろ覚悟を決めないとな……

 

 

 そう、ライディングデュエルをする覚悟をな。

 

 

 さて、私が出場するのはフレンドシップカップ。

 

 何とこの大会、バイクに乗りながらデュエルをするんですって!

 

 バイクに乗りながらデュエルするだと!?

 

 

 ……私がやりたくて出場したとでも? まさか。なんか不可抗力だったよ。

 

 あれはそう、遊佐が私を連れ出した日。

 

 遊矢くん達の再会した時のことだ——

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「説明してよ」

 

「え、何を?」

 

「社長がいるのはまだ分かるよ? シンクロ次元にまず向かうとは聞かされていたから。だけどなんかめっちゃ色々いるよ!?」

 

 いやまあ主人公だから来なかったら逆に不思議だとは思うよ? でもなんか良く分からん人達もいるし……なんで沢渡くんいるねん。あとあの縦に長めのおっさんは誰よ? 如何にも偉そうな感じの高い所に座ってる5人が行政の人とやら? あのオレンジ色の髪の人はどっかで見たことあるような気が……過去作に居た気がする。

 

 一先ずセキュリティの長官とやららしい男は今は放って置こう。遊矢達もよく見たらなんか手錠……手錠? とにかく両手を封じられていた。社長と忍者と零羅きゅんは手錠を付けられてない。

 

「あ、説明してなかった? えへっ!」

 

「えへってなんだよこんにゃろっ!」

 

 こいつ確信犯だ間違いない! おのれ重要なことだろうが先に言え!

 

「せ、先生!? 取り敢えず無事で良かった……」

 

 遊矢くん……

 

「うん……心配させたよね。ごめんね」

 

「ああ、先生がまた変なことしてないか……」

 

 そっちかよ。ちょっとした感動を返せ。

 

「で、だ。遊佐、この場で何をする気なの?」

 

「いや? 何も?」

 

 ……

 

「は?」

 

「やっぴー! 此方が話題の次元を飛び越えて来た人、私の友達藤野明美ちゃんですぜ!」

 

「おお、ちゃんと連れて来てくれたね。それにしても、いつも君はハイテンションで意味不明だね」

 

「えへへ」

 

 遊佐は照れているように見えるけどあの爺さんは十中八九褒め言葉として言ってないと思うんだけど……むっ、私の方を見たぞ爺さん。

 

「へぇ、君が彼女の親友ですか。噂には聞いてますよ、デュエルが凄く強くてちょっと頼りないところもあるけど根は真っ直ぐで遊佐くんの唯一無二の友であったと……」

 

「わわ! ちょ、それ酒の席で話した事じゃん! 言わないって約束だったじゃんか!」

 

 さっきの演技めいた照れとは一目瞭然の差で遊佐は照れていた。こう言う所が憎めないんだよね……はあ、私も顔赤くなってるかも。ちょっと下向いとこ。

 

「ふむ、やはり生きていたか」

 

 そう話すのは眼鏡を光らせる社長。社長は側に忍者と零羅きゅんを引き連れている。零羅きゅんも来たのね……

 

「社長。すいません色々あって……」

 

「いや、いい。それに……今の君は以前よりも余裕がありそうだ」

 

 ……それはもう会えないと思ってた人と、再会出来たから。

 

「へーい、議長! ところでそこなセキュリティ長官殿がいるのは何故ですかい?」

 

 遊佐は両手で金髪の男に指を差す。なんだそのポーズは。

 

「いやあ、それがね……そこの手錠を付けた人達の処遇を預かりたいと。まあ、却下するがね」

 

 この爺さんから漂う只者じゃ無い感は何なんだ。

 

「ほうほうほう、ほくの3段活用……ところでさっきまで何を話してたのカナ?」

 

 それは私も気になるな。状況を鑑みるに、この偉そうな5人組に社長が声を掛けて逮捕されそうだった手錠組をここまで連れて来て身柄を預かりたい長官と揉めている……ってところだろうか。

 

「彼等、ランサーズとしての実力を見極める為にフレンドシップカップに出場して貰うことになったところだよ」

 

「へー、ランサーズって?」

 

「ああ」

 

 ……?

 

「ふむ、まあいいや! それじゃ、そろそろ明美が吐きそうなんでこの辺りで失礼を……」

 

「いや、吐かないよっ! 流石にこれだけ人の目がある所じゃ吐かないわ!」

 

「およっ!? あの人混みを見るだけでちょっとオエッてなってた明美が……およよ」

 

「なーにがおよよだ!」

 

 皆の前で変なこと吹き込むな! 遊佐にはプライバシーの概念がないのか!?

 

「ほう……貴女の友人でしたか」

 

 うわびっくりした。急に話しかけてくんな長官。

 

「あら、それがどうかしたのかしらジャン・ピエール・ポルナレフ殿?」

 

「ジャン・ミシェル・ロジェです。いえいえ、実はフレンドシップ大会の出場枠が一つ空きそうなのですよ。良ければ貴女のご友人も参加して貰えれば……と。どうやら彼等の仲間のようですし」

 

 ……つまり私もランサーズだから実力を見せろってことか。

 

 ふむ、デュエル大会か……まあ出場してみるのもいいか。思いっ切りデュエルできる機会が最近あまりなかったし。

 

「は? あんた馬鹿ぁ? 明美は貧弱なの。バイクに乗りながらデュエルするのは厳しいわ」

 

「そうだぞふざけんなこのハゲ。その目玉はおもちゃか大体デュエルの大会に私がホイホイ釣られて出場する訳ないだろいい加減にしろ!」

 

 っぶねー!? あれか、ライディングデュエルってやつか! あんなの無理無理! 下半身ど上半身がおさらばしたり突然相手が走り出したりするんだろ?

 

 結論、無理。私は家に帰ってのんびりミルクでも飲む。

 

「それじゃ私はこの辺りで失礼します。お疲れ様でした」

 

 それだけ言って私はすぐにその場から退室しようとした。その時、あの遊佐が議長と呼んでいた爺さんに呼び止められてしまった。

 

「ふぅむ。少し待ちなされ。彼の言うことにも一理あると思いますが?」

 

「いえ、全然全くこれっぽっちも無いと思いますけど……」

 

 不味い、私の勘が今すぐここを離れろと言っている。早くこの部屋から脱出せねば……!

 

「では、私が決めましょう。貴女、出なさい」

 

「何でだよ!」

 

「私が観たいからですねぇ」

 

 F◯ck! こんの腹黒ジジイ! 増殖するGに埋もれてしまえ!

 

 おい馬鹿やめろ。別にデュエルの腕は遊佐から聞いてるなら別に参加しなくてもいいじゃん。私絶対事故るって! バイクの運転そんなに得意じゃないからね私!? 精々あると便利かもなぁ程度の気持ちで免許とった言わばバイクニワカ女だからね!?

 

「なるほど、私も良いと思います」

 

 ちぃ、邪魔するなこのパツキンがよォ!

 

 遊佐がよく思ってない奴なだけあって初対面だけど私はこいつの事がすでに嫌いだ。

 

 遊佐、頼む。この人の皮を被った悪魔共を止めてくれ!

 

 私はその気持ちを込めて彼女の顔を真摯に見つめた。遊佐は私の思いを汲んだのか話し出す。

 

「議長、私は反対です。明美は貧弱過ぎます。未就学女児と比べてもどんぐりの背くらべな身体能力ですしちょっと走っただけで足が攣って翌日筋肉痛になるような人ですよ!? 彼女が大会に出るのは危険過ぎます!」

 

「そうだそうだ!」

 

 私の貧弱さを舐めてんじゃねぇぞ!

 

「では、デュエルホイールは特別製のを提供致しましょう。まあ、そもそもオートパイロットですが」

 

「しかし……」

 

 頑張れ遊佐、何とか説得してくれ!

 

「そう言えばこの前貴方が壊した建物の修繕費……結構高かったんですよねぇ」

 

「うぐっ」

 

 あれか、もしかしてセクハラ野郎を壁に埋めた時のことなのか? くっ、不味い……遊佐はこう言うのに弱い。

 

「いやぁ、あれ新調したばかりだったんですがねぇ」

 

「……ええい、もう良いよ!」

 

「遊佐さん!?」

 

 思ったよりも早いギブアップに私は思わずさん付けしてしまった。もう少し粘ってくれよ……はぁ。

 

「先生も参加するのかぁ……」

 

「ふん……次こそは負けん」

 

 おいゴラ遊矢と黒咲。止めてクレメンス……

 

「では、彼女をフレンドシップカップの前夜祭に行われるキングとのエキシビジョンマッチをしてもらうのはどうでしょう?」

 

 なんかパツキン長官がまた変なこと言い出したよ……まあエキシビションマッチくらいなら多分大丈夫だろうと私が返事をしようとしたら、私が口を開く前に遊佐が口を挟んだ。

 

「それはダメです」

 

「ほう、何故ですか?」

 

 

「だって、エキシビジョンで明美が勝っちゃったら……つまらないでしょ?」

 

 

 私の友人がハードル上げてくる件について……

 

 結局、エキシビジョンには遊矢くんが出ることになった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 と、まあ……そんなことがあって出場することになりましたとさ。はぁ。

 

 因みにだが遊佐は解説役として実況席に座るらしい。なんか実況役の相方とも仲良しらしい。メリッサって女性だったかな? エキシビションでは彼女がなんかハイテンションで実況してたねたしか。

 

 さて、エキシビションは昨日行われたが……遊矢くん大丈夫かな。なんか頭がゴムみたいに跳ねてたけど。

 

 あと、これはついさっき聞いたけど負けたら収容所送りらしいんだけど……なんだよこれ、スタジアムは華やかな催しのに出場者にとっては半ば命を賭けた試合じゃないか……!

 

 しかも建物に軟禁させられるし……まあ遊佐の差し入れのお陰で割と快適だけどね。スタッフも遊佐が選んだみたいだし、アフターフォローは完璧なのね。

 

 まあ、仮に負けた場合も遊佐曰くこの大会が終わったらコモンズとトップスの壁が取り払われる展開になるって言ってたけど。最悪の場合、自分が強引に助けに行くと言っていた。頼もしいんだけど、まずはそんな大会に出なくて済むようにして欲しかったな。

 

 起きてしまった悲劇はやり直せない。諦めて頑張るとするか……

 

 なんかエキシビションを見る限りアクションデュエルの要素もあるみたいでマリカーのアイテムみたいに道中アクションカードを拾えるらしいけど拾えるかな? まああまり期待はしないでおこう。バイク運転してなくてもあまりアクションカードは使ってなかったし、最悪縛っても行ける……筈。

 

 流石に勝ちたいな……と言うか負けたくないな。ちょっとばかり本気を出そうか。幸い使用デッキを交換してはいけないルールは制定されてない。

 

 私の第一回戦の相手は……ええと、たしかデイモン・ロペスだっけ? うん、全然知らん名前だ。

 

「明美さん。そろそろお時間です」

 

「はいよ」

 

 メリルちゃんの誘導で私はバイクに乗ってスタジアムへと向かう。

 

 取り敢えず、路面が滑りやすくなっていない事を切に願おうかな。横転事故はシャレにならないからね……

 






どうしよう、有翼幻獣キマイラさんデッキを試しに机上でちょっと組んでみたんですがあれ結構強いですね。
クロシープと好相性でサーチやリクルート、蘇生を毎ターン繰り返してリンクやエクシーズ、そして融合モンスターで戦前維持。
それでフィニッシャーに幻想魔獣キマイラ。割と初心者にも回し易いテーマだと思います。
まあまだカテゴリ内のカード枚数はちょっと心細いですし環境に行く程とは言い切れませんかねぇ。
バフォメット手札に来ると腐るし。面白いデッキだとは思いました。
まあ私OCGデュエリストとしては割と半人前も良い所ですので話半分で聞いててください。
だってリアルのデュエル経験が一緒にやる友達いなくて殆ど無(ry

今作に登場するかは未定です。ちょっと出したい。


Q.あれ、セルゲイはどうしたん?
A.遊佐ちゃんが(リアルファイトで)病院送りにしました。
「誓って殺しはやってないです!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

43話



流石に今回はデュエルできるやろ……そう思っていた時期が私にもありました(ごめんなさい次回はデュエルします)。

最初は遊佐視点、エキシビションで遊矢がゴム頭ポン太郎した直後くらいから。




 

「勝ったのは勿論我らが絶対王者、ジャック・アトラス!」

 

 

「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

 

「遊矢!」

 

 王者への大歓声がスタジアムに響く。彼への絶大なる人気が人々を熱狂させているのだ。相変わらずこの世界の人達はエンターテイメントがお好きなようで……私もスキッ。

 

 ジャックコールが繰り返される中、敗北者である榊遊矢を心配する女の子が1人。

 

 柊柚子だ。背後にはユーゴくんもいる。

 

 意外と簡単に見つかっちゃった。私ったらラッキー!

 

 最悪スタジアム中を全力ダッシュで駆け抜けて探すつもりだったけど、そんな必要なかったんだぜ。良かった良かった。

 

 おっと、あの長官の手の者ことセキュリティの方々も発見。さて、確保させられる前にっと。

 

「へい嬢ちゃん! まずうちさぁ……屋上あるんだけど焼いてかない?」

 

 私は気配を消して柚子ちゃんの背後まで一瞬にして辿り着く。そして後ろから肩をポンっと叩く。柚子ちゃんは勿論ユーゴくんもびっくりしてくれた。心にゴーストリックを飼ってる者としては嬉しい反応だね。

 

「うおっ!?」

 

「へっ? い、いつの間に……誰ですか貴女は!?」

 

「ふふふ……なんだかんだと言われたら、答えてあげるが——」

 

 

「いたぞ」「あそこだ」「確保する!」

 

 ちぃ、せめて全部言い終えてから割り込めってんだ。空気読めよこんにゃろ!

 

「わっ、何!?」

 

「なんだなんだ?」

 

 取り敢えず困惑している2人を背中にセキュリティ達と相対する。ここで長官にこの子達を渡す訳には行かないね。

 

「やはっ! どーもどーも長官……セキュリティのクソ犬共、ごきげんよう! 私の前までやって来た褒美に死をやろう……と、言いたいところだけど人目も多いし辞めてあげよう。さ、とっとと去るんだな。お前達にも家族がいるだろう?」

 

 私は挑発してセキュリティ共の注目を私に集める。私も顔は念の為隠しているけどこの人混みの中目立ちたくはないからね。ジャックに注目が集中しているけどね。

 え? サングラスにマフラーしてヘソだしルックの格好とか絶対目立つだろうって?

 いやいやいや、変な髪している人達と比べたらまだマシ……いや、マシなのかな?

 

 まあいいや!

 

「このっ……貴様! キングの秘書で行政評議会にも気に入られているからって調子に乗りやがって!」

 

 うん、効果覿面だね★

 

 案の定激昂して襲い掛かるセキュリティの頭を私は片手で鷲掴みにした。

 

 私が力を込めると少しメキメキと嫌な音が聞こえてきた。やっぱり人の頭って頑張れば割れるんだよね。

 

「あがあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「はい、ごめんなさいは?」

 

「ごめんねさ……あだだだだだ!?」

 

 全部言えなかったからやり直し……と言いたいところだけど流石に人殺しは経験したくない。私は彼を離してやった。

 

「それじゃ、2人は貰って行くね〜」

 

「くそっ……覚えてろ!」

 

 よし、ちゃんと撃退出来たね。さぁて柚子ちゃんとユーゴくんを宿舎に案内しないと……ってあれ?

 

「いない……」

 

 馬鹿な、まさか逃げたのか! 自力で脱出を!? いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないよ何処だ何処だ……

 私は必死に辺りを見渡した。幸い私の視力は2.0以上あると自負している。

 

 ……よし、見つけた。なんか柚子ちゃんがユーゴくんの手を引いて逃げてる。普通逆じゃない? まあいいけど。

 

 私は先回りして柚子ちゃんを待ち伏せする。デュエルホイールならともかく生身で私から逃げられる訳がないんだよなぁ。

 

「やっほーさっきぶり!」

 

「うぐっ、先回りされた!?」

 

「だから聞けよ柚子! この人はなぁ……!」

 

 おっとユーゴくんは私をご存知な様子。まさか、正体がバレた……ってコト!?

 いやまあ騒がれなきゃいいけど。まだスタジアムには歓声でうるさいから多少大きな声も掻き消されるだろうし。

 

「やあ、2人とも。私は遊佐って言うんだ。えっとね、この大会の参加者を宿舎に案内する係の人なんだ」

 

「は、はぁ……そうなんですか。てっきり変質者かと思って逃げちゃいました」

 

 失礼な。格好良いだろうにどう見ても。

 

「……なぁ、あんた。もしかして、遊佐ってあの東堂遊佐なのか?」

 

「ふっ……その通りさ」

 

 ユーゴくんの質問にも素直に答えた。これでも結構控え目に活動しているつもりなんだけど、いやぁ人気者は辛いっすわ(髪の毛ファサッ

 

「お、おおぉぉぉぉ! すげー、あのクイーンと生で会えるとか……! あの、サインとか貰えますか?」

 

「いいよいいよー」

 

 私は懐からサイン色紙を取り出してサインしてユーゴくんに渡した。ユーゴくんは子供のようにはしゃいで喜んでいる。まあ、実際子供と言える年齢か。何より私の性癖センサーにビビっと来てる。この子は守備範囲内だ……と。

 

「ちょ、ちょっと……この人何者なの?」

 

「この人はキングの秘書でデュエルの解説なんかもしている超有名人さ!」

 

「いやぁ、照れるなぁ」

 

 ほんとはデュエルで成り上がろうと思ってたんだけど、そっち系でも行けちゃったんだよね。案外どうにかなるものだ。

 

「この人もコモンズ出身でさぁ、キングと同じ時期に名前が売れて……キングの次に俺の憧れなんだ!」

 

「えへへ、そんなこと言っても何も出ない……ん?」

 

 なんか行政評議会からメッセージ届いた。なんだろ……

 

 

『おう、はやくしろや( ^ω^ )』

 

 

 やだ、私の教えた顔文字を活用していらっしゃる……!?

 

 やっべ。これ絶対怒ってるわ。はよ頼まれた仕事終わらせよ。

 

「あー、おほん。とにかく2人を案内させて貰うよ」

 

 うん、そろそろ真面目にやろう。さもないとサンダー・ボルトが落ちる。

 

「ちょっと待って、遊矢は……」

 

「ああ、ごめん。質問に答えてあげたいのは山々なんだけど今上司に脅されてて……」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 私は東堂遊佐。何処にでもいる普通の女の子だったんだけど、ある日酔い潰れて終電に乗ったら遊戯王世界に来ちゃったんだ。

 

 なんで?

 

 知らん。

 

 でもまあ割と適応してそれなりに楽しくやっていけてる。この世界にきた当初は空前絶後の階級社会に戸惑うこともあったが、なんだかんだ人は慣れる生き物なんやなって……

 

 それに、原作開始前の時間軸に来れたのも運が良かった。下手な時期に来たら次元融合に巻き込まれてなんかヤバいことになりかねん。

 ズァーク……やっぱりこの世界にも存在しているんだろうなぁ。できれば奴は是非とも眠ったままにさせたい所存。

 

 今は色々あってキングことジャックの秘書やったりデュエルの解説を生業にしている。

 

 当初はメリッサと揉めたんだっけ……自分の方が歳上で先輩なのに知名度も知識も全部私の方が上回ってたからか地味にうざ絡みされた。

 まあ、そりゃ嫉妬されちゃうよね……私、スレンダーだけど美人だもんね。胸は無いけど。

 

 胸は無いけど。

 

 胸は無いけど。

 

 ……

 

 まあ、一緒にお酒酌み交わして全部感情吐き出してもらったらあっさりと仲良くなれちゃった。やっぱり飲みニケーションの汎用性を……最高やな!

 

 今では私の事を慕ってくれている。生憎タイプではないから恋愛対象ではないけどまあそこそこ仲良くやれている。たまに野獣の眼光みたいな視線をこっちに向けてくるけど。

 

 元ジャック……じゃないや、現キングことジャック・アトラスとは何と言うか……ビジネスパートナー?

 第三者が見るとすっげードライな感じかな。あの人感情を面に出すの苦手と言うか本心を伝えるの下手くそなんだよな。

 原作でもその所為で一部のコモンズから嫌われてたし。一応私がフォローはしたけどやっぱり彼とコモンズとの溝は深いままだ。

 

 あいつなぁ、もうちょい素直になれよ全く……カバーに回る私の気持ちになってみろってんだ。

 

 いつか原作が始まる頃に上手くやれるように行政の人達とも交流できた。何かイレギュラーなことがあっても柔軟に対応できるように。ただ、セキュリティに関しては全然手が回らなかった。あの長官、目的は小物臭がするのに中身結構有能なのが面倒だわ。

 

 だけど、奴との衝突は避けられる訳もなく。どうしようかと頭を悩ませていた。

 

 そんな時だったね……私の友人である藤野明美と再会できたのは。

 

 あの子とまた会えてとても嬉しかった。最後に彼女を見たのはもう数年前だったから……正直涙を見せないように必死だった。多分、明美にはバレてない筈だ。これでも私、内心を隠すの得意なんだから。

 

 初めて明美と出会った頃と比べると見違えるようになった。特に、虚弱だった身体が良くなっていて本当に良かった。

 以前は、学校に登校することすら満足に出来てなかったから。

 

 一応仲直りも出来たし、嬉しい誤算だったよ。まあ、私の所為でフレンドシップカップに出場させられることになっちゃったけど……

 

 セルゲイはなんとか再起不能に出来たし原作よりも事態が悪化することはないだろうと思ったけどまさかこんなことになるなんてね。あの1枠どうするかセルゲイを始末した後に考え出したからなぁ。

 

 明美の身体の弱さを1番知っているのは私だ。幼少の頃から私は明美を見てきたんだから。

 

 だから、こんな危険な事をやらせたくなかった。私は全てを投げ出してでも貴女を助けるべきだった。

 

 もし貴女が危険な目に遭いそうになったら私が助けるから。

 もし負けても地下収容所まで助けに行くから。

 

 だから心配しないで明美。私は何処までも貴女の味方だから。

 

 私は着慣れてなさそうなスーツを着込んでデュアルホイールに跨る親友を見つめながら、どうか彼女が怪我しませんようにと祈っていた。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 わーお、スタジアムに人がゴミみたいに詰まってらぁ。

 

 こんな大勢に囲まれてデュエルするのは流石にちょっと緊張するかも……その緊張が仇になって事故る未来が一瞬見えた。いやだなぁ……事故りたくないなぁ。

 

 デュエルホイールに乗ってからもネガティブな考えが堂々巡りしちゃうな。我ながら無理もないとは思うが。

 

「さあ、次の試合は第七試合! 第一回戦も残すところ残り2試合になりました!」

 

 メリッサさんとやらがすげーハイテンションで実況してくれている。

 頑張っているみたいだなぁ……あ、隣に遊佐もいる。

 

 これまでの試合の結果は……うん、正直いつ私の番が来るのかとビクビクしながら見ていたからかあんまり記憶がない。

 

 まあ流石に勝敗や使用デッキの大まかな内容くらいは覚えてるし多分平気かな……多分。

 

「さあ、今回の出場選手は〜……デイモン・ロペス! そして〜……藤野明美ぃ!」

 

 彼女のその言葉で私はスタジアムへと入場する。いやぁ、これ普通に緊張するなこれ。

 

「そう言えば、今回戦う藤野明美選手。出場選手紹介の時に遊佐さんが友人だと言っていましたよね?」

 

「ええ、たしかに藤野明美選手は私の友達です。ですが、だからと言って決して贔屓はしませんよ? 平等に見ますとも」

 

 うわっ遊佐が清楚な喋り方してるきもっ。なんかこう、鳥肌が立った。

 

 そして遊佐はすごい人気らしく、遊佐が喋っただけで歓声があがる程だ。黄色い歓声の方が心なしか大きく聞こえるのは気の所為だろうか?

 

 私がそんなことを考えていると、対戦相手の……名前なんだっけ? ええと、たしか……思い出した、デイモン・ロペスだったかな。そいつが話しかけてきた。

 

「遊矢から聞いたぜ。あんた、あいつの先生なんだって? アクションデュエルでは負け無しだったそうだが……ライディングデュエルだとどうかな?」

 

 へぇ、遊矢くんがねぇ……変な事吹き込んでないだろうなあいつ?

 

「……ふふ、答えはもうすぐ分かるんじゃないかな?」

 

 答えは適当にお茶を濁しておくことにする。変に返して傷付く反応されたくないし。

 

「それもそうだな。ふ、負けても文句は言うんじゃねぇぞ!」

 

 仮に私が負けたら多分文句撒き散らしてもうデュエルなんてこりごりだ〜っていいながらエンディングに入るのを希望する。

 ギャグ展開ならなんかこう……許されない? ま、そうならないように努力はするけどね。

 

「では、早速アクションフィールドオン! 『クロスオーバーアクセル』!」

 

 メリッサがそう言い終えると前方に数字が現れた。これは……カウントダウンか。

 

 って、あと3秒で走り出すのっ!? ちょ、おま、心の準備が……っ!

 

 

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」

 

 ……ええい、やったらぁ!

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 





Q.クイーンってお前絶対感想欄参考にしただろ!
A.そうだよ(素直)

なんかそれっぽかったので採用されました。


ちなみに遊佐はメリッサがヘリを飛び降りるシーンで一緒に降りてますが彼女は何も使わず生身で着地しました(強い)。
そのシーンを文字数の関係でカットせざるを得ないのが残念ですね。
他にも遊佐の解説役とか描きたかったんですが……うん、いつか番外編でやることにします。

エーリアン、好きなカテゴリなんですけどデイモンくん原作での使用カードソルジャーだけとかマ?
多分彼のデッキは結構捏造されると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

44話



さあ、やっとこさスマイルシップカップだ!




 

 

「「デュエル!!」」

 

 

藤野明美 LP 4000

 

デイモン・ロペス LP 4000

 

 

 ええと、たしか第一コーナーを先に回った方が先攻を取れるルールだったな。昨日試合を見ていた時はそうだった。どんなルールやねん。オートパイロットなのになんだそのルールは……まあいい。

 

 元々Dホイールに関しては完全にトーシロな私がそんな事できる訳がない。今回はソリティアをせずに済むし後攻でも旨味があるデッキをチョイスした。デュエルのアドバンテージよりもこの身の安全を第一に考えて行動しよう。

 

 第一コーナーを曲がる。先にコーナーを制したのは……

 

 

「先攻は藤野明美選手だ〜!」

 

 

 マジか……なんか先攻取れちゃったよ。いや、なんかおかしい。私如きがそんなに上手くできる筈がない。安全運転しか意識してないし。

 

「ふむ……これはデイモン選手、わざと先攻を取らせましたね」

 

「へっ? そうなの?」

 

 遊佐も私と同じことを考えていたようだ……多分、相手のデッキが後攻の方が動きやすいんだと思われる。シンクロ次元だしシンクロ召喚は使うよな……まあ、何が来ても何とかするだけだ。痛いのは嫌だからね。

 

「私のターン。ふぅん……」

 

 まあ、最初のターンは控え目に行くか。バイクに乗りながらじゃあ複雑なソリティアとかできる訳ないのだ。

 

「私は相剣師(そうけんし)莫邪(バクヤ)を召喚する」

 

 現れたのは剣を持った女性の剣士。いつ見ても思うんだが、リアルソリッドヴィジョンは女性モンスターの表現を規制しないと子供には見せられないことになる可能性があるのではなかろうか……水の踊り子とか。

 

 

 変なことを考えていたからかDホイールがコーナーの壁に当たりそうになった。

 

「危なっ!?」

 

 何とかハンドルを動かせて事故は防げたものの、やはり運転しながらのデュエルは精神力の戦いになるな……よし、とっととターンを終わらせよう。そして運転に集中しよう。転倒して明/美になりたくないよ。

 

「私は莫邪の効果発動。手札の相剣カードもしくは幻竜族モンスター1体を見せることで、相剣トークンを特殊召喚できる。私は手札のタツノオトシオヤを見せ、相剣トークンを特殊召喚する」

 

「トークンを生み出す効果か……」

 

「それだけじゃないよ。このトークンはチューナーだ。ただし、このトークンがフィールドに存在する限り私はシンクロ召喚しか行えない」

 

「チューナーモンスターのトークン!? つまり、チューナーとチューナー以外のモンスターが1体……」

 

「来るわよメリッサ。ほら、ちゃんと実況してね?」

 

「ば、馬鹿にしないでよね!」

 

 遊佐、思い切りメリッサ弄って楽しんでやがるよ……一応そいつ先輩だろうに。まあいい。

 

「私はレベル4の相剣師-莫邪にレベル4の相剣トークンをチューニング!」

 

 ……ライディングデュエルでのシンクロ召喚、か。なるほど、これはちょっと見応えあるな。生で見ると特に。

 

 

「顕現せよ、レベル8! 相剣大師(そうけんたいし)赤霄(セキショウ)!」

 

 

相剣大師-赤霄

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/幻竜族/攻2800/守1000

チューナー+チューナー以外の幻竜族モンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「相剣」カード1枚を手札に加えるか除外する。

(2):自分の手札・墓地から「相剣」カード1枚または幻竜族モンスター1体を除外し、

このカード以外のフィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

 現れたのは赤と金の全身鎧を身に纏い、巨大な剣を振るう剣士。

 

 でも、効果は汎用性豊富なんだよね。見た目は凄い格好良い部類に入る筈。

 

「明美選手、いきなりシンクロ召喚を決めてきたー!」

 

「赤霄のモンスター効果発動。このカードがシンクロ召喚に成功した場合、デッキから相剣カード1枚を手札に加えるか除外できる。私はデッキから相剣暗転を手札に加える。その効果にチェーンして私は莫邪のモンスター効果発動。このカードがシンクロ素材として墓地に送られた場合、デッキからカードを1枚ドローする」

 

 よし、取り敢えずこの手札だとこのくらいかな。操作がシンプルなデッキにして良かった。その代わり相手ターンも忙しいデッキになったがな……

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドっと」

 

 これで運転に集中できる……吹き付ける風が私が今スピードの世界にいると嫌でも主張してきて怖かったからな。これを楽しめるようになるのはちょっと時間がかかりそうだ。やらないのが1番だけどね! つーかこんなのを楽しめるような神経してないけどね私!

 

「ふむ、サーチしたのは罠カード……間違いなく明美選手のあの2枚の伏せの中に今手札に加えたあのカードがあるでしょうね。あ、分かってますかメリッサ先輩?」

 

「それくらいは私でも分かりますよっ!」

 

「そうですね。さて、これからデイモン選手がどう盤面を動かすか期待されますね」

 

 遊佐、楽しそうだな……人前だからかはしゃぐ程ではないけど声が完全に面白がってやがるよ。後輩いびりならぬ先輩いびり……

 

 

 今まで私がデイモンよりも前方に位置していた。しかし、私がターンを終えた時から追い上げてついに私を抜かして先頭に躍り出た。

 

 下手に妨害しようとしたら絶対事故るので私は脇に避けて前に出させておいた。変に阻止しようとしてぶつけられたら絶対横転するからね。

 

 クラッシュは嫌だ。

 

 もう一度言おう。

 

 クラッシュは嫌だ。

 

 ふむ、コモンズの人間らしいけど……正直お綺麗な人間じゃ無い方が怖いな。平気で機体をぶつけにこられたらデュエル以前の問題だ。

 

「ふ、中々やるようじゃないか。俺のターン、ドロー!」

 

 さて、どう来る……マジストワンキルとかやめてくれよ?

 

「まずは速攻魔法、サイクロンを発動する!」

 

 わー……

 

「そのカードは知っている。どちらを破壊する?」

 

「……そうだな、俺から見て右のカードを破壊する!」

 

 あっ、相剣暗転持って行かれた。ぴえん。

 

「おー! デイモン選手、明美選手が先程手札に加えたカードを見事に当てた〜!」

 

「いやはや、彼も中々持ってますね」

 

 ……ふふ、いいもーん。本命はもう1枚の方だしー?

 

「続けて俺は速攻魔法、「A」細胞組み換え装置を発動!」

 

 むむ……なるほど、【エーリアン】か! それなら後攻を選んだのも納得できる。私なら迷いなく先攻取りに行くけど。

 

 しかしまあ厄介なカードを……

 

「フィールドの表側表示のモンスター1体にデッキからエーリアンモンスター1体を墓地に送り、そのモンスターのレベルの数だけAカウンターを置く! 俺が墓地に送るのはレベル4のエーリアン・ソルジャーだ。お前のそのシンクロモンスターにAカウンターを4つ置かせて貰おうか」

 

 バスターじゃないだけマシに思っておこう……ソルジャーも1900打点はそこそこだけどね。ええと、たしか一つに付き300下がるから2800引くことの1200で1600か。ウォリアーが1700打点だったかな?

 

 一応効果無効を備えているから問題ないけど、もう一手打たれたら突破されかねないね。

 

「更に俺は永続魔法古代遺跡コードAを発動し、効果を早速使わせてもらう。フィールドのAカウンターを2個取り除き、墓地のエーリアンモンスター1体を特殊召喚できる! 俺はお前のモンスターに乗っているAカウンターを取り除く。来い、エーリアン・ソルジャー!」

 

 墓地送りからの蘇生の流れがスムージィ。

 

「よし、俺は速攻魔法、トライアングル・エリア発動!」

 

「デイモン選手、本日3回目の速攻魔法!」

 

「彼の手札、緑だらけですねぇ」

 

 ほんとそれな。しかし、それ切ってくるか……

 

「フィールド上のAカウンターが乗ったモンスター1体を破壊し、その後デッキからレベル4のエーリアン1体を特殊召喚する!」

 

「チェーンして永続罠発動、竜星の具象化! 自分フィールドのモンスターが戦闘及び効果で破壊された場合、デッキから竜星モンスター1体を特殊召喚できる」

 

「何っ!? だが、そのシンクロモンスターには退場してもらう!」

 

 ああ、効果を使う機会なく赤霄が……まあ蘇生札握ってるから別にいいけど。

 

「私がデッキから特殊召喚するのは、光竜星-リフン。守備表示だ」

 

 

光竜星-リフン DEF 0

 

 

 レベル1のモンスターだからか小さいな。これはこれでちょっと可愛い。

 

 貫通効果持ちでも来ない限りダメージ受けないからと竜星との混ぜ物にして正解だった……ダメージを受けると事故る可能性が飛躍的に高まるし、痛いのは嫌だし。守備表示でも稀に衝撃は来るけどね……クソ強モンスターの攻撃とかだと。

 

「ほう、2種類のテーマの混合ですか」

 

「……あっ、さっきまでは相剣カードを使ってたのにいきなり竜星カードを使ってる!」

 

「両者共に幻竜族モンスターのテーマ。2種類のテーマを混合させたデッキを組むのは通常よりも技量が必要になりますね。何はともあれ、これで明美選手はフィールドをガラ空きにせずに済みましたね」

 

 インフェルニティの無限ループ覚えるよりかは簡単だけどね。いや、それは比べる相手が悪過ぎるか?

 

 まあいい。とにかく遊佐の言う通りフィールドをガラ空きにしないようにしないとな。ダイレクトアタックなんか受けたらライフが0になる前に私が死にかねない。事故で。ハンドルを握る手が今でもちょっと震えてるもん。

 

「だが……俺はチューナーモンスター、エーリアンモンナイトを召喚!」

 

 げっ、握ってたのか。

 

「エーリアンモナイトのモンスター効果発動! このカードが召喚に成功した時、墓地のレベル4以下のエーリアンモンスター1体を特殊召喚できる! 来い、2体目のエーリアン・ソルジャー!」

 

 ……この流れでトリシューラ来たら笑うんだが。割とマジで。

 

「俺はレベル4のエーリアン・ソルジャーにレベル1のエーリアンモナイトをチューニング!」

 

 よかったよかったあっちの方だ。いや、あっちも使い方次第じゃかなり強いな。

 

「現れよ、レベル5! 宇宙砦ゴルガー!」

 

「デイモン選手も負けじとシンクロ召喚を決めて来たー!」

 

「ほう……」

 

 

宇宙砦ゴルガー

シンクロ・効果モンスター

星5/光属性/爬虫類族/攻2600/守1800

「エーリアンモナイト」+チューナー以外の「エーリアン」モンスター1体以上

(1):1ターンに1度、フィールドの表側表示の魔法・罠カードを任意の数だけ対象として発動できる。

その表側表示のカードを持ち主の手札に戻す。

その後、手札に戻った数だけフィールドの表側表示モンスターにAカウンターを置く。

(2):1ターンに1度、フィールドのAカウンターを2つ取り除き、

相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

その相手のカードを破壊する。

 

 

 耐性や制圧力は無いものの2つの効果をフル活用すると色々出来るのがこのエーリアンの名前を持たないエーリアンのエースだ。エーリアンとしても扱う効果くらいは入れてあげても……つーかリアルソリッドヴィジョンで見ると結構キモい見た目してるなこいつ。

 

「俺は永続魔法永続魔法「A」細胞増殖装置を発動! そんで、宇宙砦ゴルガーのモンスター効果発動! フィールド表側表示の魔法・罠カードを任意の枚数選択して持ち主の手札に戻し、戻した数だけ表側モンスターにAカウンターを置く。俺はお前の場を含めた3枚のカードを手札に戻し、3つのカウンターを光竜星-リフンに乗せるぜ!」

 

 うーんこの……あ、アクションカードだ。私でも取れそうな位置にカードがある。相手はデュエルに夢中らしくカードを見逃したようだ。回収しとこ。

 

「古代遺跡コードAを再び発動! そして効果を使ってリフンに乗ったAカウンターを2個取り除いて墓地のエーリアンモンスター……エーリアンモナイトを復活させるぜ!」

 

 あ、2体目も来る感じなのね。ええと、回収したカードは……うん、役に立たないカードではないようで何よりだ。

 

「俺はレベル4のエーリアン・ソルジャーにレベル1のエーリアンモナイトをチューニング!」

 

 いやはや……まあ、貫通効果ないならどうとでもなるか。

 

「現れよ、2体目の宇宙砦ゴルガー! そして「A」細胞増殖装置を再び発動して2体目のゴルガーのモンスター効果を使ってリフンにカウンターを2個乗せる! そして1体目の宇宙砦ゴルガーのもう一つの効果を発動するぜ!」

 

 飛ばしてんなぁ。

 

「フィールドのAカウンターを2個取り除き、相手フィールドのカード1枚を破壊する! 俺は光竜星-リフンを破壊!」

 

 宇宙砦ゴルガーがレーザーを放ち、それがリフンを貫いた。怪獣映画か何か?

 

「おおっとー! これで明美選手のフィールドはガラ空きだ〜!」

 

「リフンの効果。このカードが戦闘・効果で破壊された時、デッキから光竜星-リフン以外の竜星モンスター1体を特殊召喚できる。来て、風竜星-ホロウ!」

 

 

風竜星-ホロウ DEF 1800

 

 

「が、ガラ空きにならなかった……」

 

 思うんだけどこの実況の人、結構面白い女だと思う。

 

「くっ……なら、バトルだ! 1体目の宇宙砦ゴルガーで風竜星-ホロウを攻撃!」

 

「アクションマジック奇跡を発動する。この戦闘でホロウは破壊されず、戦闘ダメージは半分になる……ま、守備表示だけどね」

 

 宇宙砦ゴルガーが触手でホロウを薙ぎ払うが、ホロウが破壊されることなくフィールドに残った。竜星と相性あんまり良くないな……ま、ダメージを受けたくないから仕方ない。

 

「だったら2体目のゴルガーで攻撃だ!」

 

 今度はホロウは破壊された。

 

「破壊された風竜星-ホロウの効果発動。デッキから風竜星-ホロウ以外の竜星モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。来て、炎竜星-シュンゲイ!」

 

 

炎竜星-シュンゲイ ATK 1900

 

 

「なんと、明美選手! デイモン選手の猛攻を無傷で乗り切ったー!」

 

「くっ……中々やるじゃないか」

 

 えなり君か貴様は。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「私のターンっと……ドロー」

 

 ううむ……なるべく早く終わらせたいな。デュエルが長引けば長引く程事故のリスクが上がっていく。

 

 もっと早期決戦を心掛ければ良かったな……まあいい。精々慎重にやって行くさ。

 

 ん……あれ? おかしいな、遊佐がいないぞ!?

 

 あいつ、この衆人環視の中いつの間に実況席を離れたんだ……お、メリッサも気付いたようだ。

 

「あ、あれ!? 遊佐がいない……まあいいか。あの子私よりも人気あるし」

 

 それでいいのかお前は?

 

 






次回、最初遊佐視点が入ってちょっとデュエルが飛びます。デュエルを全部書くとテンポが悪くなっちゃうので致し方なし。
どうかご了承の程を。


最近アトリエシリーズをやり始めたんですけど面白いですねあれ。
たーる。


ちょっと次回は間が空きます。
え、今回も投稿期間空いてただろとか言わないでください。ライフがゼロになります。
ちょっと他の二次創作とかオリジナルとかの草案をちょこちょこ書いてたりするので……
CoCのシナリオとかも挑戦中。進捗はダメです。

書きたいものがいっぱいある。だけど細部まで書き出すと結構な文字量になっちゃう。
そっちの方は書き溜めする為公開されるのは大分後になる予定。
予約投稿してるのだけで3作もある……私ってホント馬鹿。

多分今作が完結するのは早くても来年ですわ。
一応結末とかは考えてはあるんですけど、そこまでに至るまでの経緯ががが……
完結目指してのんびりながらも投稿を頑張って続けます。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

45話



宣言通り、最初は前回遊佐がこっそり消えて裏でやっていたことから。

……の、筈でしたがぁ!

ちょっと長引いたので1話分書き切ることにしました。
その結果短めにはなっちゃいましたけど。
しかし、そこでは遊佐が大活躍していた!




 

 シティの地下……そこには地獄とも形容されるゴミ処理施設が存在していた。

 

 阿鼻叫喚がひしめく監獄よりも酷い環境に……私、東堂遊佐は足を踏み入れようとしていた。

 

 ちょっと確認したい事があったからね。大会の途中に抜け出しちゃったけど大丈夫なのか不安だけど……ま、メリッサなら多分平気でしょ。私が居ないのを良い事に陰口叩いてそうだけど。そこら辺りがある意味愛おしくもあるけどね。

 

 丁度2人の巨漢にロズウェル事件みたいな持ち方されて地下収容所エレベーターに乗せられそうになっている沢渡シンゴ君を見かけたので話しかける。よしよし、ここまでは予想通り。

 

「よぉ、元気に仕事やってるかい?」

 

「お、お前はっ!?」

 

「おいっそこのなんか見覚えがある女、俺様を助けろっ!」

 

 あ、うん。この人原作と全く変わらないね。まあ寧ろそれが癒し要因ですらあるね。シリアス続きだった展開があいつ出て来ただけでちょっと和んだのを覚えている。

 

 一先ず沢渡君は無視して巨漢と対話を試みる。

 

「……貴様、実況席にいる筈じゃ」

 

「ごめんごめん、ちょっとそこに用があってね?」

 

 私はそう言ってすぐそこにあるエレベーターを指差す。これで意図は伝わるだろう。

 

「……それは流石に貴女とは言え出来かねます」

 

「まあまあそう言わずに。ね?」

 

 私がそうお願いしてもこのガチムチのおっさん2名の表情は芳しくない。いや、逆にこれは……

 

「おい、お前はそいつを持ってろ。へっ、こんな細い女俺1人でも……」

 

 あー、やっぱりか。ロビン長官も部下の教育がなってないね。まあ、こいつらは末端なんだろうけども。

 

 

 ——さて、先に敵意を見せたのは相手だ。私はあくまでもとても温厚な性格だからね。何もしてないのにこっちから仕掛けるような好戦的な奴じゃないの。

 

 

「へっ、こんな女があのデュエリストクラッシャーを倒したなんてきっと冗談に違いない。ここでとっちめて褒美を貰ってやらぁ!」

 

「全く、図体しか取り柄のないトーシローばかりよく揃えたものだね——」

 

 私は予備動作無しで……腕捲りをしていた巨漢の金的に無言の上蹴りを放った。

 

 

「アアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァィァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!??!?」

 

 

「「ひえっ……」」

 

 

 うん、もう1人の巨漢と沢渡君は俗に言う……かはどうかは知らないけど玉ひゅんとか言われるやつをしているようだ。

 

「——ただのカカシですね。ジャックが見たら彼も笑うでしょう」

 

 私がそう言って微笑みを浮かべつつ、アソコを抑えて蹲っている男の背後に立つ巨漢にもう一度要求する。

 

「さて、もう一度言うよ。そこのエレベーターに私を乗せてくれ。行きと戻りで2回な。別に上に報告してくれても構わない。ついでにそこの不運にも何故か突然大事な部分に激痛が走ってしまったそいつの慰謝料も後で払おうじゃないか?」

 

 私はそう言いつつ右足をプラプラと揺らしてやる。すると巨漢は敬礼のポーズを取って私の願いを了承してくれた。何故か沢渡君をつられて敬礼していたのは見ててちょっとふふってなった。別に君まで脅そうとしてなんか……いや、まずこれは脅しではなくてただのお願いだよね。

 

 呻き声を上げながらまだ無事な方の巨漢に呼ばれて来た者達に担架に乗せられていく哀れな男を尻目に私達3人でエレベーターに乗り込んだ。やれやれ、何事もなく予定通りに事を進められて何よりだ。やっぱり平和が1番だと心から思う。

 

「おい……あいつは大丈夫なのか?」

 

「ん? ああ、平気平気。加減はしたよ」

 

 私が本気で蹴ったら確実に再起不能だろうけど、今回は精々しばらく安静にしてたら治るだろう程度に力を抜いた。未だに怯える巨漢にそう返しつつ私は屈託のない笑みを浮かべる……しかし、何故かもっと怯えられてしまったように思える。何故だ、こんな無邪気で素敵な笑顔を見せたのに。金取るぞ?

 

「お、おい。お、脅されてもこいつの身柄は渡さないからなっ」

 

 こんな美女と一緒にエレベーターに乗れて緊張しているのか、巨漢は沢渡君を指差してそう言う。うーん、流石に自分の役割は放棄しないか。

 

「心配しなくても、別にそんな気は一切無いよ」

 

 原作だと確かこの後オベリスクフォースの襲撃のいざこざに紛れてシンジ達が反乱を起こすから。その日までの辛抱だと伝えたいが、沢渡君がうっかり口を滑らせて変な行動を取らせて失敗する……なんて事があるかもしれないし黙っておこう。

 

「……」

 

「ひっ……い、いやいや! 俺様は全然ビビってないぞ!」

 

 ふふ……やっぱりこう言う子はいいね。とても。

 

 おっと、到着したらしい。エレベーターの扉が開き、あまり愉快ではない光景が私の視界を埋め尽くした。

 

「やれやれ、ここは相変わらずか……」

 

 私だけでこんな酷い施設を抹消させるのは不可能だからと放置していたけど……ちょっと後悔するな、こう言うの。たしかに罪を犯した奴もいるけど、無実の罪を着せられた奴や嵌められた奴もいる。丁度、フレンドシップ大会に出場していたランサーズのように。

 

「……何をするつもりか知らんが、変な真似をするなよ」

 

「はいはい。ええっと、ギャラガは……っと、いたいた」

 

 あ、デュエルチェイサー227君が迫真の虐待受けてる。原作通りで良かった……いや、良くはないけども。見てて気分は良くならないよ。私、そんなサディストじゃありません。

 

「おーいギャラガー」

 

「あん? なんでお前がこんなところに……」

 

 ギャラガの側には既に負けた権現坂君と徳松長次郎、それにギャラガに見い出されたデュエリスト達がいた。ふむ、私の知らない事が起きていないようで何より。

 

 肝心のギャラガは私を見て驚いたような嫌なような顔をしている。

 

「あんたはたしか……」

 

「あ、どうもどうも! 貴方の心臓をブレイクハート! ハートクラッシャーこと東堂遊佐ちゃんです! きゃぴ♡」

 

 そう言いつつ幼い頃テレビで見たうろ覚えのプリ○ュアでやってたポーズを私は披露する。

 

 ふっふっふ、この私がこの地獄にとっての清涼剤となるのだ! ちょっとここ汗臭いしそっちの意味でも清涼剤が欲しいけど。

 

 と、思っていたのだけれど……何故かここにいる全員が私を見て「うわぁ……」って思ってそうな表情をしている。もっと正確に言い表すなら……ドギツイ物を見せられたかのような反応だった。

 

「おいギャラガ。ここにいる者の教育はどうなってやがるよ?」

 

「俺に言われても困るんだよ! 頼むから他所へ行け!」

 

 本気そうな口調でギャラガはそう言うが、用事を終えるまで私は帰らんぞ。塩を撒かれようが爆弾で脅されようがな。

 

 私がギャラガに話をしようとすると、先に権現坂君が私に対して質問してきた。

 

「お前はたしか、あの時先生の友人とか言う……あと、大会を実況していた人だったな」

 

「うん、そうぁよー権ちゃん」

 

「ご、権ちゃん!? お前まで俺をそう呼ぶのか!?」

 

 うん、この子も変わらないね。あ、そうだ。ついでに聞いとくか。

 

「ねーねー、君って明美のこと知ってるんでしょ? 塾での様子とか教えてくんろ?」

 

「む……何故そのような事聞くのだ?」

 

「本人から聞けよって事かな? それがねぇ、明美ったら恥ずかしがって教えてくれないのよね」

 

 全く……初めて出会った頃と比べれば大分人間味が出てきたようで嬉しいけど、私としてはやっぱり気になっちゃうんだよね。

 

「あ、ああ……俺は遊矢とは違う塾出身だったがたまに授業に参加していたのだが……」

 

 権ちゃん曰く、実際にデュエルしながら教えることが多かったらしい。デュエルの相手は主に遊矢君がやっていたそうだ。たまに柚子ちゃんや権ちゃんもやっていたみたいだけど。

 

「ふーん……なるほどね。意外と元気そうにやっていたようで良かったよ」

 

「むむ……しかし、何故貴方のような御仁がこのような場所に?」

 

 おっと、ここに来た本来の用事を忘れてた。まずは……

 

 私は唐突に用意していたダーツをとある場所目掛けて投げ付けた。

 

「シッ!」

 

 投げ付けたダーツは私の狙い通りの地点に突き刺さった。

 

「ど、どうしたんだ急に?」

 

「いや……誰かに見られているような気がしてな。まあ気の所為でしょ」

 

 私はそう言いつつも原作で月影が隠れていた物陰を見つめる。彼ならきっとダーツに括り付けておいた手紙に気付けるだろう。あいつ有能だし。

 

 さて、あと残る用事は1つ。

 

「さてギャラガー。お前に聞きたいことがあってわざわざここに来たんだが」

 

「けっ……何だ?」

 

 ふん、こいつは相変わらずだな。まあ私に若干の非はあるけど。

 

「ギャラガさん……この女の知り合いなんですかい?」

 

「げっへっへ……かなりの美女みたいですが」

 

「おい馬鹿、こいつに手を出すな。文字通りに地獄行きになるぞ」

 

 失礼な。私、誓って殺しはやってません。

 

「はぁ、こんな細そうな女がですかい? まあ、腹筋はたしかに凄いですが……」

 

 ふっ……こんな奴の取り巻きにも少しは見る目がある奴も居るみたいだ。

 

「げっへっへ、でもこの女……貧乳だな」

 

 私はその言葉を吐いた奴にゆるりと歩いて近付いて顔を鷲掴みにした。

 

「ファッ!? 女、いつの間に……ぐべら!」

 

「全く、下品な奴め……」

 

 私は掴んだ男をひょいっとゴミの山場に投げて両手をポンポンと払い、改めてギャラガーに向き直る。投げた男は見事にゴミ山てっぺんに突き刺さった。

 

 権ちゃん達からなんだあの女強過ぎだろ霊長類最強かよみたいな声が聞こえてくるけど無視した。このくらいデュエリストなら出来ても不思議では無い。熊を一頭伏せるよりかは軽い軽い。

 

「それで、聞きたい事なんだが……」

 

「はぁ、なんだ?」

 

 

 

「……セルゲイ・ヴォルコフがどうなったか知ってるか?」

 

「……お前、よくもまあいけいけしゃあしゃあと」

 

「いやいや、私がぶちのめした後の事だよ。再び此処に来たりしてないかい?」

 

「知らん。そもそもお前が奴をノックアウトしてからは行方知らずだ。長官なら知ってるんだろうがな」

 

「……そうか」

 

 あの後、シティの病院とかをコネも使って探ったけど……何処にもアイツは見当たらなかった。ここにも来てないとなると、まさかまだ……

 

「……分かった。それじゃ、用事も済んだし帰るよ」

 

「おう、とっとと帰れ。次来たら塩撒いてやる」

 

 嫌われ過ぎワロタ。まあいいけど。

 

「それじゃね〜」

 

 私はとっととエレベーターへと戻った。そろそろ明美、試合終わらせたかな。一応録画はしておいたけど……

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「零児殿。この手紙を……」

 

「これは何だ?」

 

「例の女性……東堂遊佐が地下の施設へと踏み込んだ際に周りの者に悟られぬよう渡して来た物」

 

「ふむ……」

 

 

『この手紙を赤馬零児へと渡して欲しい。

 貴方に伝える。ジャン・ミシェル・ロジェは融合次元の者だ。

 大体の事情は明美から聞いたので知っている。

 既に知っているかもしれないが警告はしておく。

 柊柚子の身柄は私もなるべく気を配っておきます。

 私はどんな時でも明美の味方だと決めている。

 貴方が明美の味方なら私も貴方の味方だと言う事を忘れないで。

 ロジェ以外の融合次元の者達にも注意して欲しい。

 奴等はいつでもこの世界を襲いに掛かるか分からないのだから。

 

 追伸:零羅君を私にも後で撫でさせて欲しい』

 

 

「……なるほどな」

 

 赤馬零児は1人、頷いたのだった。

 

 






赤馬零児「あの2人ともそう言う趣味なのだな」


この人、デュエルよりも暴力の方が万能だと思ってる……
如くの世界から来たのかい?
8も発売されるらしいし……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

46話



前回までの龍が如く 遊佐編は!

トップスの「龍」である東堂遊佐はある日親友だった藤野明美と再会する。
彼女は一度はもう会えないだろうと思っていた人物との再会に喜ぶ遊佐。
しかしセキュリティ長官ロジェの魔の手が忍び寄る。
一度は打ち倒した筈のセルゲイを探す為、彼女は地下のゴミ処理施設へと足を運ぶ。
そこにもセルゲイを見つける事はなく、彼女はセルゲイが再起してロジェの手駒として動いている事を確信する。
不安を胸に抱きながらも彼女は友人が戦っている試合の実況席に戻るのであった……


……あれ、あらすじがまともだ。




 

 

「ええい、いい加減しつこいぞ!」

 

「こっちのセリフでもあるけどね!」

 

 しかし、長引いてしまったな。そろそろ終わらせないと……

 おっふ、いい加減手首が痺れて来た。

 これ以上長引くと間違いなく事故る。

 そして明日は筋肉痛が心配だ!

 

 遊佐の行方はまだ気になるけどもういい。

 終わらせに入る!

 と言うか終わらせないと先に私が事故って敗北(事故死)する!

 

 

先生 LP 4000 手札×0

フィールド 炎竜星-シュンゲイ、光竜星-リフン、水竜星-ビシキ、風竜星-ホロウ、闇竜星-ジョクト

魔法・罠 なし

 

 

デイモン LP 4000 手札×1

フィールド エーリアン・ソルジャー、エーリアン・リベンジャー

魔法・罠 古代遺跡コードA、一族の結束

 

 

「くそっ、だがデッキにもはや竜星モンスターは居ないだろう?」

 

「まあね」

 

 流石に出し尽くした。防御に徹したのはこの特殊なデュエルに慣れる意味合いもあったんだけど……いやまあうん、全然裏目だわ。

 何と言うかもう、疲れた。早く柔らかいベッドの上で寝たい。

 

「そろそろ終わらせてやるよ、バトルだ! 俺はエーリアン・ソルジャーで攻撃表示の光竜星ーリフンを攻撃!」

 

「デイモン選手のエーリアン・ソルジャーの攻撃力は永続魔法一族の結束の効果で2700になっています! 攻撃力0の光竜星-リフンがこの攻撃を受けたらダイレクトアタックされたのと同じダメージになってしまいます!」

 

 よし、ここだ!

 

「その瞬間、私は炎竜星-シュンゲイのモンスター効果発動! このカードは相手メインフェイズ及びバトルフェイズ中に、フィールド上の竜星モンスターのみを素材にしてシンクロ召喚を行う事ができる!」

 

「なっ!? 俺のターン中にシンクロ召喚だと!?」

 

 もう耐える時間は終わった。反撃開始と行こうか!

 

「私はレベル4のシュンゲイとレベル1のリフンでチューニング!」

 

 合計レベルは5。まずはコイツからだ。

 

「現れよ、レベル5! 天に吼え意志を伝える竜! 源竜星-ボウテンコウ!」

 

 

源竜星-ボウテンコウ

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星5/光属性/幻竜族/攻 0/守2800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分は「源竜星-ボウテンコウ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「竜星」カード1枚を手札に加える。

(2):1ターンに1度、デッキから幻竜族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。

このカードのレベルは、墓地へ送ったモンスターと同じになる。

(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動できる。

デッキから「竜星」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「な、なんと明美選手、相手ターン中にシンクロ召喚を決めたぁ!」

 

 うん、この輝きは元禁止カードの威厳があるな。

 まあその原因の元は恐竜だの真竜だのだけど…… 

 

「ボウテンコウのモンスター効果発動! このカードが特殊召喚に成功した場合、デッキから竜星カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは竜星の輝跡だ。これで新しいモンスターが特殊召喚された事により、巻き戻しが発生する」

 

「ああ。攻撃対象を選び直せって事か……ならば俺はエーリアン・ソルジャーで攻撃表示の風竜星-ホロウを攻撃!」

 

「おおっと! 攻撃力0の風竜星-ホロウがこの攻撃を受けたらダイレクトアタックされたのと同じダメージになってしまいますって、このセリフさっきも言ったような?」

 

 デジャヴかな?

 

「私はその攻撃宣言時、風竜星-ホロウのモンスター効果発動! こいつもシュンゲイと同じ効果を持っている。私はレベル1のホロウとレベル2のビシキ、そしてレベル5のボウテンコウをチューニング!」

 

「俺のターン中なのに連続シンクロ召喚だと!?」

 

「現れよ、レベル8! 輝竜星-ショウフク!」

 

 出てきたのはボウテンコウとは違う輝きを放つ美麗な竜。

 元ネタが竜星九子だからか竜星は中国味を感じる見た目だったけど現実で見ると中々格好良い。

 打点はレベル8の面汚しだけど。

 2300ってお前……効果強いからいいけど。

 

「輝竜星-ショウフクのモンスター効果発動! このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードのシンクロ素材となった幻竜族モンスターの属性の種類の数までフィールドのカードを対象にしてデッキに戻す! 私はそのエーリアン・ソルジャーとエーリアン・リベンジャー、そして古代遺跡コードAをデッキに戻す!」

 

「デッキに戻すだと!? くっ……」

 

「なんと!? 明美選手、一気に形勢逆転したー!!」

 

 いやぁ、デッキバウンスは強いなぁ。

 

 

「流石ですね」

 

 

「うわっ、びっくりした! いつの間に戻ってたのよ遊佐!」

 

 いや、マジでいつの間に帰って来たんだ遊佐……声を聞くまで全然気が付かなかったぞ。

 私はともかくMCまで気が付いてないってお前は忍者か?

 観客も驚いているような反応してるしさ。

 

「何処に行ってたのよ……」

 

「ちょっと急用が出来てね」

 

 おっと、ショックで忘れるところだった。

 

「墓地に送られたボウテンコウの効果発動。このカードがフィールドから離れた場合、デッキから竜星モンスター1体を特殊召喚できる。私は魔竜星-トウテツを特殊召喚する」

 

「くそっ、またかよ……!」

 

 ふむ……ついでにやっておくか。

 

「特殊召喚されたトウテツの効果により、私はシンクロ召喚を行う!」

 

「相手のターンなのに、3回も連続でシンクロ召喚!? この人凄くない!?」

 

「はいはい、子供みたいにはしゃがないの」

 

「お母さんかお前は!」

 

 なんか実況席で漫才が発生してるけど気にしないでおこう。

 

「私はレベル5のトウテツとレベル2のジョクトをチューニング! 現れよ、レベル7! 邪竜星-ガイザー!」

 

 

邪竜星-ガイザー

シンクロ・効果モンスター

星7/闇属性/幻竜族/攻2600/守2100

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードは相手の効果の対象にならない。

(2):自分フィールドの「竜星」モンスター1体と

相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

(3):自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。

デッキから幻竜族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 

 

 ショウフクよりもレベル低い割に打点は高めで耐性持ちなガイザー。

 うん、ソリッドヴィジョンで見ると迫力凄い。

 凶暴そうだわ……コントローラーの私に対しては何もされないよね?

 急に裏切られたりしたらとか想像したくないな……

 と言うか運転中に攻撃される事自体が嫌だなって。

 

「さぁ、どうする?」

 

 何はともあ完全にこっちが優勢になった。

 後は早目に倒すだけだ。

 そろそろ痺れが酷くなってきた……

 

「くそっ、俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「私のターン、ドロー!」

 

 引いたカードはブラックホール……このタイミングだとイラネ。

 

「私はカードを1枚伏せて輝竜星-ショウフクのモンスター効果発動。私のフィールドのカード1枚を破壊して、墓地のレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。私は今伏せたカードを破壊して墓地の炎竜星-シュンゲイを特殊召喚する。更に邪竜星-ガイザーのモンスター効果発動。自分フィールドの竜星モンスター1体と相手フィールドのカード1枚を対象にして破壊する!」

 

「くそっ……だったら!」

 

 破壊したカードはリビングデッドの呼び声か。

 相手はアクションカードを回収する為か速度を上げてコースを回っている。

 もし拾ったカードが回避ならガイザーは対象耐性があるしショウフクも魔法耐性持ってるから大丈夫だけど……

 一応念には念を入れようか。

 

 よし、そうと決まれば後は!

 

「破壊されたシュンゲイと墓地のリフンのモンスター効果を発動する。リフンを墓地から特殊召喚し、デッキから地竜星-ヘイカンを特殊召喚する」

 

 アクションマジックの対策として一応入れてはいたけど……まさか本当にこいつがフィニッシャーになるなんてね。

 

「私はレベル7の邪竜星-ガイザーとレベル3のヘイカン、レベル1のリフンをチューニング!」

 

「レベル11シンクロだと……」

 

「現れよ、レベル11! 星態龍!!」

 

 

 うわデカっ!?

 スタジアム一帯を埋め尽くすレベルだぞこれ!?

 誰がそこまで再現しろと言った!

 大半の人があっけらかんに呆けているぞ。

 1番呆けてるのは私だけだな!

 

 ま、まあいい。

 流石に死んだりはしないだろう……しないよね?

 ほら、相手もアクションカードを無事手に入れたみたいだし!

 

「バトル! 私は輝竜星-ショウフクでダイレクトアタック!」

 

「まだだ! 俺はアクションマジック回避を発動!」

 

 回避か。このカードの面倒臭さは身に染みている。

 何度も遊矢君に使われたからね!

 だからこそ、対策は余裕で練られている。

 

「無駄無駄無駄! 風竜星-ホロウはシンクロ素材になった場合、そのシンクロモンスターに魔法カードの効果を受けなくする効果を持つ!」

 

「なっ!?」

 

「行け、ショウフク!」

 

デイモン LP 4000 →1700

 

 

「くっ、くそぉ!」

 

 よし、勝ったな……うん?

 

 あれ、なんか都合の良い位置にアクションマジック見えるような?

 

「っ、ハハ! まだ終わらねぇ!」

 

「おおっ、この土壇場でアクションマジックを再びゲットした! これで耐えて次のターンに反撃なるか!?」

 

「……」

 

 相手さんは無理なくアクションマジックをゲットした。

 

 妨害しろよって?

 無理無理。灰流うらら握ってないし。

 え、そう言う話じゃない?

 

 とにかく、とっとと攻撃宣言するか。

 遊佐も察している通り、攻撃宣言してしまえば問題ない。

 

「星態龍でダイレクトアタック!」

 

「アクションマジック、回避を発動!」

 

「おお! これでダイレクトアタックを無事に回避でき……あれ?」

 

 相手は発動している筈なのに、何故かディスクが受け付けてくれないようだ。

 ナンデダロウナー。

 

「馬鹿な、故障か!?」

 

「星態龍は攻撃する時、ダメージステップ終了時まで他のカードの効果を受け付けない」

 

「なっ……」

 

 

星態龍

シンクロ・効果モンスター

星11/光属性/ドラゴン族/攻3200/守2800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードのS召喚は無効化されない。

(2):このカードのS召喚成功時にお互いは魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(3):このカードは攻撃する場合、ダメージステップ終了時まで他のカードの効果を受けない。

 

 

「やれっ、星態龍! あ、いやでも、なるべく怪我とかはさせないように頼むね!?」

 

 流石に間接的にとは言え自分の所為で人が大怪我するところは見たく無い。

 カードに意思が伝わるのかどうかは知らないけど……

 

 星態龍は私の意思を汲んでくれた……のかどうかは分からないけど。

 対戦相手のデュエルホイールの側面をどつくだけだった。

 意外と融通は効くのね……

 

デイモン LP 1700 → 0

 

「しょ、勝者は藤野明美ー!」

 

「まあ、私はこうなると思っていましたけどね」

 

 心なしか遊佐がちょっと誇らし気にしている気がする。

 まあ、それは良いとして。

 

「あんた、やるな……頑張れよ」

 

「あ、はい」

 

 ……このデイモンって人。

 遊佐の話によると後で地下に送られるんだよね。

 なんか近いうちに解放されるとは聞いたけど……罪悪感が全く無い訳じゃないなぁ。

 

 まあ、負けて自分が地下行きになるよりかは……うん。

 あーもう、全身が痛い痛い。

 今日はもうとっととベッドに寝転んで泥の様に寝よう。

 

 次の試合はたしかデニス君と黒咲だったかな……

 なら、観戦はやめて身体を休めるのを優先するか。

 多分黒咲の方が勝つでしょ多分。

 デニス君の方のデッキは知らないから何とも言えないけどね。

 

 それにしても疲れたな。

 くそっ、痛いのは嫌だからこんな怖いデュエルやりたく無かったのに!

 勝てば良いとは言えこんなデュエルを続けてたら身体がおかしくなりそうだ……

 かと言って逃げるのは無理そうだし……はぁ。

 

 まあ、なるべくダメージを受けないように頑張って立ち回るしかない、か。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「ふむ……」

 

「流石は彼女の……東堂遊佐の認めるデュエリストと言ったところでしょうか」

 

「彼女を上手く手駒にできれば東堂遊佐諸共障害を排除できますかね」

 

「ここで一手、打たせて貰いましょうか」

 

「藤野明美……待っていなさい」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「本日最初の試合は〜……柊柚子選手対藤野明美選手! 女性同士の対決です!」

 

「……ヒヒッ……ヒッヒヒ……」

 

「先生……?」

 

 





ボウテンコウシンクロ時のシュンゲイの打点アップ効果は意味ないので省いてます。仕方ないね!

本日の最強カードはこれ!


輝竜星-ショウフク
シンクロ・効果モンスター
星8/光属性/幻竜族/攻2300/守2600
チューナー+チューナー以外の幻竜族モンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した時、
このカードのS素材とした幻竜族モンスターの元々の属性の種類の数まで、
フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを持ち主のデッキに戻す。
(2):1ターンに1度、自分フィールドのカード1枚と
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのフィールドのカードを破壊し、その墓地のモンスターを特殊召喚する。


召喚成功時のデッキバウンスがかなり強い。
対象は取るものの2、3枚程度のデッキバウンスは使いこなせば凄まじい荒らし性能を誇る。
ただし、チェーンして竜星の共通効果を使ってシンクロ召喚するとタイミングを逃すのは注意。
蘇生効果も中々強力で竜星を破壊すればアドバンテージに。
今話みたく要らない魔法罠を蘇生札に変換する使い方もできる。

何気にショウフクはアニメに出てるらしいです。
そんなん覚えている人いる?


星態龍、デザインは好きなんですがねぇ……
新入りのアイツに出番を取られてますね。
こっちは一応カウンター罠に強いと言う利点はあるんですけども。

回避が都合良く2枚も登場したのは単に私の構想不足です。
すみません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

47話


今回も前々回に続いて遊佐視点です。
とある人とのデュエルがあります。

何故こんな回を挟むのかと言うと、以前に言いましたがシンクロ次元編は途中端折るからです。
先生視点オンリーだと短くなり過ぎるかなと。
一応幕間で多少補いはしますが……
なので姑息な差し込みをさせてください(サルガッソの灯台を墓地に送りながら)

まあ本音の所はいい加減遊佐にもデュエルの出番くれよって幻聴が聞こえたからですが




 

 ——先程からセキュリティ達の様子が変わっている。

 

 と言う事は、いよいよロジェは動き出したか。

 デニスはまあ融合次元に送り返すとして、問題は素良きゅんな訳だが。

 彼が味方になるか敵になるか……まあ原作通りなら結局はランサーズ寄りになってくれるだろう。

 しかし……念の為確認はしておこう。

 明美が存在した事で元とは異なる結果になる可能性はなくは無いのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……と言う建前で可愛過ぎるデュエリストこと素良きゅんに会いに行くんだ!!!!!

 うっひょー! 他の次元に向かう手段がなかったからようやく会えるぜ!

 はぁはぁ、はぁはぁ!

 

 さぁて何処かなぁ……コッチヘオイデヨ……

 

 くんくん。

 お、あっちから甘い匂いがする。

 行ってみると次元移動している途中のデニスとそれを見守る素良きゅんがいた。

 

「……っ、誰!?」

 

「怪しい者ではないよ」

 

 私はデニスが完全に戻ってから素良きゅんの前に姿を現した。

 デニスには私の姿は確実に見られていないだろう。

 プロフェッサーことハゲ親父の目的も理解しているけど……

 まあ、遊矢シリーズの合体を阻止できればなんとかなる、か?

 

 ぶっちゃけ、解決方法は一応思い付いている。

 物理的に覇王龍ズァークを4つに解体するとかではなくよ?

 柚子シリーズもできれば全員生存を目指したい。

 ……いっそ遊矢君を監禁したら解決するかもしれないけど、流石にやめとこう。

 

「何者なの?」

 

「私は東堂遊佐……ふむ、そうだな……藤野明美の親友、かな」

 

 明美はスタンダードで何故か塾の教師をやっていた。

 彼の信用を得るにはそう名乗るのが手っ取り早いだろう。

 

「先生の? ふーん……で、その親友さんが何の用?」

 

 あなたを舐め回すためだよげっへっへぇ!

 

 と言いたいのをここはグッと堪えてだな……

 幸い表情はサングラスとマスクで隠してるから大丈夫だ。

 多分今私凄いだらしない表情してる。

 

「ロジェって言うアカデミアとやらの裏切り者がさっきまでいたデニスとやらを探してたから。邪魔してやろうかなぁって思ってたら君に出会ったよ」

 

「裏切り者かぁ。確認する……のはちょっと面倒臭いな」

 

 次元を超えてプロフェッサーに連絡できる手段は無いのだろう。

 次元を移動できる技術があっても不可能なのかとか疑問に思うけどまあいいか。

 そこら辺を気にし出すと頭が痛くなってくる。

 

「少なくとも、君の敵じゃ無いよ。そこは信用して欲しいかな〜」

 

「……悪いけど、まだそんなに信用はできないな。先生の事を知っているのは確かだろうけど、それだけで信用には値しない」

 

「そっかー……」

 

 ……まあ、何と言うか。

 予想通りだなぁ。

 こんな格好の人を初対面で信用できる人の方がおかしいよね。

 

 え、自覚あったのかって?

 殴るよ?

 

「……先生にはまだ一度も勝ててないから。今度は勝つ」

 

 そんな声が、微かに聞こえてきた。

 明美ってなんか強いんだよね。

 こう……強かなのよ。

 接戦になると何故か心理戦とか得意だしたまに小技とかも駆使してくるし。

 追い詰めても地味にピンチ時の引きもなんか強いし。

 

「……そうだ。お姉さん、デュエルしない?」

 

「……なるほど、デュエルで信用できる相手が見極めると」

 

 なんて自然なデュエルへの導入の流れなんだ……!

 まあ冗談は置いといて。

 

「そう言う事ならば受けよう。だが、周りにはセキュリティって連中が彷徨いている。場所を変えるかな?」

 

「いや、構わないよ」

 

 デュエル途中に邪魔されたら……いや、物理的にのしてやればいいか。

 ロジェに洗脳されてて動きはあまり良くないし、割とどうとでもなる。

 ならば、とっととやろう。早く寝ないと健康に悪いからね。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

素良 LP 4000

 

遊佐 LP 4000

 

 

「先攻は君に譲るよ」

 

「あらそう。なら、遠慮なく……」

 

 正直、ファーニマル使いに後攻譲りたくない気持ちも微かにあるが……

 それでも先攻貰えるならありがたいな。

 遊戯王は先攻絶対有利なのだ。

 

「私のターンっと……」

 

 ……あ、これ暇な時に明美とデュエルした時のデッキのままだ。

 エクシーズデッキだから変な疑いを掛けられる可能性が微レ存だけど大丈夫かなこれ?

 いや、別にエクシーズ次元から来たと思われても大した損害はないか。

 

ZS(ゼアル・サーバス)昇華賢者(アセンド・セージ)は自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から特殊召喚できる」

 

 

ZS-昇華賢者 ATK 900

 

 

「更に、ZS(ゼアル・サーバス)武装賢者(アームズ・セージ)は自分フィールドに同名カード以外のレベル4モンスターが一体のみ存在する場合、手札から特殊召喚できる」

 

「っ、レベル4のモンスターが2体……エクシーズ使いか!」

 

 さてと、ダブル・アップ・チャンスが初期手札にあるんだよねぇ()。

 なのでダブルの方は出しても効果が使えない。

 エクシーズ・チェンジ・タクティクスも持ってこれないし初手にしてはやや不安だなぁ。

 ZS2体は結構な引きではあるんだけど。

 

「私はレベル4のZS-昇華賢者とZS-武装賢者でオーバーレイ! エクシーズ召喚!」

 

 出現したのはみんな大好きランク4の元祖。

 おお、畳まれた状態で現れた!

 すげー! 原作ファンとしてはこれ以上ないファンサービス……

 いや、あっちの意味のファンサービスでは無いからね?

 

「現れよNo.39! 私の戦いはここより始まる。白き翼に望みを託せ。希望皇ホープ!」

 

 

No.39 希望皇ホープ ATK 2500

 

 

「ナンバーズ……先生も使ってたカードだけど、こいつは見た事がない……」

 

「ふぅん、そうなんだ」

 

 明美、使用デッキが安定しないからなぁ。

 お金に余裕の無かった学生時代は【スキドレバルバ】使ってたっけ。

 ADSの存在を知ってからそっちに乗り換えたらしいけど。

 

「エクシーズ素材となった2体のZSのモンスター効果発動。この2体を希望皇ホープモンスターの素材としてエクシーズ召喚した場合、効果を付与する。まずは武装賢者の効果。エクシーズ召喚に成功した場合、デッキからZW(ゼアル・ウェポン)モンスター1体…… ZW(ゼアル・ウェポン)雷神猛虎剣(ライトニング・ブレード)を手札に加える。更に昇華賢者の効果。デッキから通常魔法のRUM(ランクアップマジック)カード1枚……HRUM(ハイパーランクアップマジック)-ユートピアフォースを手札に加える」

 

「HRUM……?」

 

 たしか普通のRUMは黒咲が使ってたっけ。

 ああ、新旧闇属性鳥獣族対決をまた見てみたいが……

 

「しかし召喚権を使っていないにも関わらず手札が一切減っていない……」

 

「まぁね。それじゃまずは……」

 

 希望皇ホープのいつもの光景を見せてやるか。

 

「私は希望皇ホープ1体でオーバーレイ!」

 

「モンスター1体で……ああ、先生もやってたな。状況的にアーゼウスじゃない筈……」

 

 明美年下相手に何出してんの?

 いや、それよりショタの尊敬の眼差しが欲しかった(本音)。

 

「現れよ、CNo.39! 混沌を光に変える使者! 希望皇ホープレイ!」

 

 

CNo.39希望皇ホープレイ ATK 2500

 

 

「攻撃力は変わってないな」

 

 まあ所詮は下敷きだからね……

 効果を使う機会なんて殆どないモンスターですしお寿司。

 

「準備は整った。行くよ?」

 

「……来いっ!」

 

「私は魔法カード、HRUM-ユートピアフォースを発動! このカードは自分フィールドのランク9以下の希望皇ホープ1体を、ランク10以上の希望皇ホープにランクアップさせる!」

 

「っ、他のRUMとは……一味違うね」

 

 スパイスガールかなっ?

 と、冗談はさておき。

 

「私はCNo.39希望皇ホープレイをランクアップさせる!」

 

 さあ、行こうか。

 

「ランクアップ、ハイパー・エクシーズ・チェンジ! 現れよ、No.99! 新たなるホープが今、光り輝く!希望皇ホープドラグナー!」

 

「っ、先生の友人ってだけはあるみたいだね!」

 

 

No.99 希望皇ホープドラグナー

エクシーズ・効果モンスター

ランク12/光属性/戦士族/攻3000/守3000

レベル12モンスター×3体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。

「No.1」~「No.100」のいずれかの「No.」モンスター1体をX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

この効果を発動するターン、自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できず、

このカード以外の自分のモンスターは直接攻撃できない。

(2):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

その相手モンスターの攻撃力を0にする。

 

 

 この子こそ紛う事なく最強のホープ……あ、シャイニングは除く。

 あんな手軽に出てくる奴私は知らん。

 デッキには入れてるけど。

 

「私はホープドラグナーのモンスター効果を発動! オーバーレイユニットを2つ使い、エクストラデッキより1〜100までのナンバーズをエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する!」

 

「エクシーズモンスターを呼び出すエクシーズモンスター……!」

 

 私はクラゲとかダイソンとかは入れてないけどね。

 

「私はエクストラデッキより、獣装合体 ライオ・ホープレイを特殊召喚! このカードはカード名をCNo.39 希望皇ホープレイとして扱う」

 

「……なるほどね」

 

「私は墓地のユートピアフォースの効果発動。墓地のこのカードが墓地に存在し、ランク10以上のホープエクシーズモンスターが自身の効果でエクストラデッキからエクシーズモンスターを特殊召喚した場合、そのモンスターを1体を対象にする。ユートピアフォースはライオホープのエクシーズ素材になる。そしてライオホープの効果発動。デッキ、エクストラデッキからZWモンスター1体をその効果による装備カード扱いとして装備できる。私が装備するのはZW(ゼアル・ウェポン)天馬双翼剣(ペガサス・ツイン・セーバー)。その効果によって攻撃力は1000アップする」

 

 

獣装合体 ライオ・ホープ ATK 2500 → 3500

 

 

 よし、序盤ならこんなもんでしょ。

 

「私は手札の雷神猛虎剣の効果発動。ライオホープにこのカードを装備カード扱いとして装備する。その効果によりライオホープの攻撃力は更に1200アップする。更に風神雲龍剣の効果も使って装備する。こっちは攻撃力は1300アップする。私はこれでターンエンド」

 

 

獣装合体 ライオ・ホープ ATK 3500 → 4700 → 6000

 

 

「攻撃力6000か……しかも、おそらくあの装備されているカード。間違いなく攻撃力を上げるだけではない筈」

 

「ふふ、鋭いね」

 

 そうさ……この布陣はそう易々と崩せる物ではない。

 

 ライオホープに装備したZWの効果。

 雷神猛虎剣と風神雲龍剣の耐性付与により壊獣とかを除けば突破できる手段は限られる。

 ただ突破するだけならディスアドになるし、万全の備えだ。

 

 更に天馬双翼剣とライオホープ自体の効果でモンスター効果には滅法強い。

 2回もモンスター効果を止められるのだから魔法カードで突破するしかない訳だが。

 ホープドラグナーのオーバーレイユニットはまだ2つも残っている。

 そして、ホープドラグナーの効果は相手ターンにも発動できる!

 つまりは……そう言う事だ。

 

 おまけにホープドラグナーは攻撃してきた相手モンスターの攻撃力を0にする効果もある。

 下手に打点を上げて殴りに来ても返り討ちだ。

 まあこの効果はおまけみたいなもんだが……

 

「……僕のターン、ドロー」

 

 素良きゅんが思っていたよりも静かにデッキからカードを引いた。

 おかしいな、私の記憶だともっとこう……堂々としていたと言うか。

 

「この瞬間! 私はホープドラグナーの効果を発動! このモンスターの効果は相手ターンにも使用できる。私はエクストラデッキより、No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシーを特殊召喚! 更に墓地のユートピアフォースの効果も発動しエクシーズ素材を補充する」

 

 これで私の備えは万全だ。

 しかし、壮観だね。

 ホープ2体にタイタニック。

 あとは凌牙の使用カードがあればチョベリグだったけど流石に入れてない。

 

「……流石、先生の親友を名乗るだけはあるみたいだ」

 

「むー、私自身を見てよ。明美を基準に考えられてもねぇ」

 

 確かに明美だって強い……いや寧ろ明美の方が強いか。

 10戦中4勝6敗で負け越してるし。

 なんだかんだ、勝負強いんだ明美。

 

「……でも、突破してみせるよ。この布陣を」

 

「やる気だねぇ」

 

 ……今思ったけど、明美は生徒にどんな教育したんだか。

 まあ、今に分かるか。

 原作ブレイクなレベルの調教とかしてなかったらそれでいい。

 

 それに、私のこの布陣を破るのは厳しいだろうし。

 さあ、かかって来て素良きゅん!

 打ち砕いて慰めてあげるからねぐへへ。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 私がそんな事を考えている間に。

 

 目の前の小さなデュエリストは、静かに闘志を燃やしていた。

 





一級フラグ建築士遊佐。

次回は多分素良きゅん無双(?)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

48話


お久し振りです。
半年以上待たせてしまっただけでも申し訳ないのに、今回は柚子ちゃん視点からVS先生(?)とのデュエルになります……
遊佐と素良きゅんのデュエルに関しては構想から書き上げる時に問題点とか色々浮上したので、機会があれば47.5話として書かせてください……
戦犯は前回のホープカイザーの効果を通してタイタニック出させた事。アレの所為で禁じられた一滴が使えなくなった



 

「本日の最初の試合はなんと、女性デュエリスト同士だ〜!」

 

 まさか、先生と当たる事になるなんて……大丈夫かしら。

 勝てるかどうかってのもあるけど、1番の心配は先生の身体だ。

 

 塾で講師をしてくれていた時は、階段を少し登っただけで息を荒げていた。

 少し外を出掛けて帰って来たら、筋肉痛で腰を痛めて泣き喚いていた。

 箪笥の角に足の小指をぶつけた時なんて、しばらく悶絶して授業の開始が十五分遅れた。

 運動音痴な先生に、果たして危険なライディングデュエルが務まるのかな。

 

 そう思っていたけど、昨日のデュエルを見る限りは割と余裕そうなのよね。

 だから、私も全力でぶつかって行こうと思う。

 アクション部分では私の方が慣れてるんだし、頑張らないと!

 

「今日はよろしく、先生」

 

 デュエル開始前。

 私達はスタート地点に並ぶ。

 隣の先生に話し掛けるが、返答がない。

 おかしいわね……先生なら、寧ろ話し掛けてくると思ってたのに。

 

「……ヒヒッ……ヒッヒヒ……」

 

「先生……?」

 

 先生は俯いた状態で表情が窺えない。

 よく見ると、昨日被っていたのとは異なるヘルメットだわ。

 微かにだけど、たしかに私の耳に先生の発した小さな笑い声が届いた。

 

 ……先生ってこんな感じに笑ったっけ?

 いや、割と笑ったような。

 

 って、いけないいけない!

 そろそろデュエルが始まるわ、今は集中しなきゃ!

 

「アクションフィールドオン! 『クロスオーバーアクセル』!」

 

 

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

柊柚子 LP 4000

 

藤野明美 LP 4000

 

 

 先生を相手に先攻を取らせるのは不味い……

 ここは、無理をしてでもっ!

 

 私はアクセル全開で第一コーナーを目指す。

 対する先生は……

 

「……」

 

 物静かだ。

 いつもなら騒いでる姿ばかりな人なのに。

 やっぱり、何か違和感が……

 いや、今はデュエルの方を優先しないと。

 

「コーナーを先に曲がったのは、柚子選手だ〜!」

 

「っ、先攻は私ね」

 

 バイクに乗ってデュエルを行うのにも、段々と慣れてきたみたい。

 この手札なら、まずは……

 

「私は魔法カード、独奏の第1楽章を発動! このカードは自分のフィールドにモンスターが存在しない時に発動でき、手札またはデッキからレベル4以下の幻奏モンスターを特殊召喚する! 私が特殊召喚するのは、幻奏の音姫ルフラン!」

 

 

「おっと、これは1回戦では見なかったペンデュラムモンスターだぁ! ってあれ、セッティングせずに召喚しちゃうの?」

 

「召喚した方が活きるモンスターなんでしょ。少しは頭を回したら?」

 

「昨日も思ったけど、なんか私の扱い酷くない!?」

 

 実況がうるさいわね。

 ……不本意だけど、騒がしいのには慣れてる。

 

「ルフランのモンスター効果! このカードが召喚・特殊召喚した場合、デッキから幻奏モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏の音姫クープレ。さらに、クープレの効果発動! このカードが通常のドロー以外の方法で手札に加わった場合、このカードを相手に見せることで、手札・墓地からレベル4以下の幻奏モンスター1体を特殊召喚できる! 私が特殊召喚するのは、手札の幻奏の音女タムタム! さらにさらに! タムタムの効果も発動するわ!」

 

 

「おお、流れるようなカード裁きです!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「幻奏モンスターが存在し、このカードが特殊召喚した場合に発動でき、デッキ・墓地から融合を1枚手札に加えるわ!」

 

 よし、これで準備は整ったわ。

 先生に私の今までの努力の成果、見せつけてあげる!

 

「私は魔法カード融合を発動! 私が融合するのは、幻奏の音姫ルフランと幻奏の音女タムタム!」

 

 本気で行かせてもらうわ……!

 

「繰り返す輪舞よ! 魂の響きよ! タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台に素晴らしき歌を! 幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ!」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2500

 

 

「スペクタキュラー・バッハのモンスター効果発動! このカードが特殊召喚した場合、デッキから幻奏モンスター1体を特殊召喚できる! さらに、この効果にチェーンして墓地に送られた幻奏の音女タムタムの効果発動! このカードが融合召喚の素材として墓地に送られた場合に、自分フィールドの幻奏モンスター1体……スペクタキュラー・バッハの攻撃力を500下げて、相手に500ダメージを与える! さらにさらに、この効果にもチェーンしてエクストラデッキに行った幻奏の音姫ルフランの効果を発動! このカードがエクストラデッキに存在する状態で自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合、スケール1のこのカードをペンデュラムゾーンにセッティングできる! 舞い戻りなさい、幻奏の音姫ルフラン!」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ

融合・効果モンスター

星7/光属性/天使族/攻2500/守1800

「幻奏」モンスター×2

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):融合召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分の「幻奏」融合モンスターが発動した効果は無効化されない。

(3):このカードが墓地へ送られた場合、

「幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ」以外の自分の墓地の「幻奏」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

 

「ペンデュラムモンスターの扱いも凄ーい! て言うかまだ最初のターンなのに派手なデュエル見せちゃう柚子ちゃん素敵!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「次に、タムタムの効果で500ダメージ!」

 

「っ……ヒヒッ……」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2500 → 2000

 

藤野明美 LP 4000 → 3500

 

 

「最後に、スペクタキュラー・バッハの効果で特殊召喚するのは、幻奏の歌姫ソプラノ!」

 

 

「柚子ちゃんのフィールドには、もうモンスターが沢山並んでいるぞ〜!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「ちょっと、さっきから全く同じセリフじゃない!?」

 

 先生の友人だけあって、あの人も変わった人なのね……

 それにしても、先生の様子は相変わらずおかしい。

 ここまで派手に動いたのに一言もコメントがないし、反応が希薄過ぎる。

 

 もしかして何かあったんじゃ……

 うぅん……でも、デュエルで手を抜く事は出来ないわ。

 

「幻奏の歌姫ソプラノのモンスター効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の幻奏モンスター1体を手札に加える事ができる。私が手札に加えるのは、幻奏の音女タムタム! さらに私はスケール9の幻奏の音姫クプーレをペンデュラムスケールにセッティング! そして、そのペンデュラム効果を発動! この効果は、自分フィールドに幻奏モンスター以外のモンスターが存在しない場合に発動でき、デッキから幻奏魔法・罠カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏協奏曲! まだまだ行くわよ!」

 

「えー!? まだ何かするつもりなの!?」

 

「まるでソリティアですね」

 

「何度も何度もソリティアとばかり……他に言葉を知らないんですか貴女は!?」

 

「スペクタキュラー・バッハを対象に、幻奏の音姫ルフランのペンデュラム効果を発動! デッキから幻奏モンスター1体を墓地に送り、ターン終了時までそのモンスターのレベル×200、対象のモンスターの攻撃力をアップさせるわ。私が墓地に送るのは、レベル4の幻奏の音女アリアよ!」

 

 

幻奏の歌姫ルフラン

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1600/守 800

【Pスケール:青1/赤1】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「幻奏」融合モンスター1体を対象として発動できる。

デッキから「幻奏」モンスター1体を墓地へ送り、

対象のモンスターの攻撃力をターン終了時まで、墓地へ送ったモンスターのレベル×200アップする。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「幻奏の歌姫ルフラン」以外の「幻奏」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードがEXデッキに表側で存在する状態で、

自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2000 → 2800

 

 

 よし、次は……

 

「そして、魔法カード幻奏協奏曲を発動! このカードは手札・フィールドのカードで天使族モンスターを融合召喚するカード。ただしその際、ペンデュラムゾーンのモンスターも素材にできるわ!」

 

「私が融合素材にするのは、手札の幻奏の音女タムタムと幻奏の音姫ローリイット・フランソワ、そしてペンデュラムゾーンの幻の歌姫クープレ!」

 

 これが、私が到達した境地。

 

「魂の響きよ、優れた奏者よ、繰り返す回旋よ! タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台に花を咲かせる来春の歌を! 幻奏の華歌神フラワリング・エトワール!」

 

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール

融合・効果モンスター

星8/光属性/天使族/攻2800/守1500

「幻奏の音姫」モンスター+「幻奏」モンスター×2

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに発動できる。

自分フィールドの「幻奏」モンスターを任意の数だけエンドフェイズまで除外する。

その後、この効果で除外したモンスターの数まで相手フィールドの表側表示カードを手札に戻す事ができる。

(2):融合召喚した表側表示のこのカードが相手によってフィールドから離れた場合に発動できる。

デッキ・EXデッキから「幻奏の華歌神フラワリング・エトワール」以外の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「す、凄いよ柚子選手……デュエルの最初からクライマックスだ〜!!」

 

「まだまだ! 私は墓地に送られたタムタムとエクストラデッキに行ったクプーレのモンスター効果を発動! まずはタムタムの効果でスペクタキュラー・バッハの攻撃力を500下げて、500のダメージを与える!」

 

「っ……ヒッヒッ」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2800 → 2300

 

LP 3500 → 3000

 

 

 先生はダメージを受けて、バイクごと少しよろけた。

 その結果、先生の肩が壁と接触してしまった。

 

「先生っ!?」

 

「……」

 

 先生はそれでも俯いて顔を上げない。

 今のは結構痛そうだったのに……

 申し訳ない気持ちと、今の先生に対する違和感が半々。

 やっぱり、何かがおかしい気がする。

 

「……クープレは、ルフランと同じ効果を持っているわ。舞い戻りなさい、クープレ!」

 

 

幻奏の歌姫クープレ

ペンデュラム・効果モンスター

星5/光属性/天使族/攻1200/守2000

【Pスケール:青9/赤9】

このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分は光属性モンスターしかP召喚できない。

この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドに「幻奏」モンスター以外の表側表示モンスターが存在しない場合に発動できる。

デッキから「幻奏」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが通常のドロー以外の方法で手札に加わった場合、

このカードを相手に見せて発動できる。

自分の手札・墓地からレベル4以下の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードがEXデッキに表側で存在する状態で、

自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

 よし、後は仕上げね。

 

「幻奏の歌姫ソプラノのモンスター効果発動! 自身を含むフィールドのモンスターを素材にして、幻奏融合モンスターを融合召喚する! 私が融合素材にするのはソプラノとスペクタキュラー・バッハよ!」

 

 

「1ターン目から連続で融合召喚!?」

 

 

「天使のさえずりよ! 壮大な震響よ!タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台へ! 幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト!」

 

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2400

 

 

「墓地に送られたスペクタキュラー・バッハのモンスター効果発動! このカードが墓地に送られた場合、スペクタキュラー・バッハ以外の自分の墓地の幻奏モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる! 私が特殊召喚するのは、幻奏の音姫ローリイット・フランソワ! さらに、墓地の幻奏協奏曲の効果も発動!」

 

 

「墓地から魔法カード!?」

 

 

「このカードが墓地に存在する状態で幻奏融合モンスターが墓地に送られた場合、このカードをデッキの一番下に戻す事でデッキからカードを1枚ドローできる! そして、ローリイット・フランソワのモンスター効果発動! 墓地の光属性・天使族モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏の音女アリアよ!」

 

 

「なるほど、それで先程ルフランのペンデュラム効果で墓地に送ったんですね。ローリイット・フランソワの効果で回収する為に」

 

「そして、手札に加えたアリアのレベルは4。セッティングされているペンデュラムスケールは1と9。これは来ますね」

 

 

「揺れて、魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク!」

 

 遊矢……この力、真似させて貰うわ。

 

「ペンデュラム召喚! 現れて、私のモンスター達! 幻奏の音女エレジー! そして幻奏の音女アリア!」

 

 

「柚子ちゃん、融合召喚だけでなく何とペンデュラム召喚まで決めてしまった〜!」

 

 

「特殊召喚された幻奏の音女エレジーの効果によって、私のフィールドの天使族モンスターの攻撃力は300アップする!」

 

 

幻奏の音女アリア ATK 1600 → 1900

 

幻奏の音姫ローリイット・フランソワ ATK 2300 → 2600

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール ATK 2800 → 3100

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2400 → 2700

 

幻奏の音女エレジー ATK 2000 → 2300

 

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ」

 

 これが、今の私が出来る最善を尽くした結果。

 これでも先生に勝てるかどうかは分からないけど……

 

 

「いやぁ、柚子ちゃんはいきなりモンスターを5体も並べた上で相手に1000ダメージを与えました。これはもう、決まったんじゃないか〜?」

 

「たしかに、明美にとってこれは大分厳しい状態ですね。アリアの効果で柚子選手のモンスターは効果の対象にならず戦闘では破壊されない。しかも、エレジーの効果で効果破壊からも守られています」

 

「え、それはどうやって突破すれば……?」

 

「……明美、どうしたのよ貴女」

 

「何か言いました?」

 

「いえ、何も」

 

 

 先生が、緩慢な動作でデッキに触れた。

 接触した肩を庇いながらなのに、何処か強さを感じさせる動き。

 何かが始まる前の、嵐の前の静かさ。

 

「私のターン……ドロー……」

 

 ドローしたカードも確認すらしない。

 先生は今日、初めて顔を上げた。

 

 先生は、口を綺麗な弧を描かせて笑っていた。

 片眼から怪しい光を灯し、何処か遠くを見上げながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャーッハッハッハッハッハ! この痛みが、苦しみが、私が生きていると感じさせてくれるゥ! いいよォ柚子ちゅわ〜ん……もっと撃ち込んでよォ、さぁさぁさぁさぁさぁ!! クハハ、ヒャハハハハハハァァ!!」

 

「先、生……」

 





セルゲイがいないなら、主人公自身をセルゲイにすればいいじゃない。

ギミパペ新規出たのを知ってwikiで効果を眺めてたら、フィールド魔法1枚からできるワンキルルートがもう書かれてた。
コンマイ、ブラッディ・ドールとか大丈夫か……?
何かしらは規制されそう(超重武者を見ながら)


Q.柚子ちゃん強くない?
A.先生の教えの結果もあるけど、まず幻奏が強い。特に新規のペンデュラム2枚とスペクタキュラー・バッハがヤバい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

49話


前回のあらすじ
先生がセルゲイになった

引き続き柚子ちゃん視点
まだデュエルは終わらない……先生がハイテンションなのが悪い

ロジェ「早くも藤野明美の様子が妙だな……洗脳装置はちゃんと機能してるんだろうな?」
研究員「はい。セルゲイに付けて居たのを改良したので制御装置の精度が向上したはずです」




 

 何かが無理矢理壊されたような音が響いた。

 音の発生源は、実況席のヘリコプター。

 私がヘリに視線を向けると、先生の友人が無惨に壊れたマイクを握り締めていた。

 その表情は、怒り一色に染まっている。

 

 ……よく見れば、マイクは折れたのではなく潰れている。

 まさか、素手でマイクを握り潰したって言うの!?

 どんな握力してるのよっ!

 

 

「あれ、先輩のマイク壊れちゃった?」

 

「……予備のマイクを頼む」

 

「ひぃっ!? わ、分かったから怒らないでよ。ほら、スマイルスマイル……」

 

 

 いや、今はそんな事よりも!

 

「先生、どうしちゃったの!?」

 

「ハハッ……別に、どうもしてないけどォ?」

 

 先生はおかしかった。

 口調もいつもと全然違うし、雰囲気に至ってはまるで別人。

 目もギョロギョロ動いてて気持ち悪い。

 普段からおかしい人だったけど、今は明らかにもっとおかしい!

 

 ど、どうすれば……

 こうなったら、デュエルで落ち着かせるしかないの!?

 

「私はダイノルフィア・テリジアを召喚!」

 

 先生が召喚したモンスターは、両手に巨大な爪があり尻尾の付いた人型のモンスター。

 何処か恐竜の名残みたいなのがチラホラと見受けられた。

 恐竜が、人間の姿に進化したかのような……

 

 

ダイノルフィア・テリジア

効果モンスター

星4/闇属性/恐竜族/攻1500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「ダイノルフィア」罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする。

自分のLPが2000以下の場合、さらにこのカードの攻撃力は500アップする。

(2):このカードが戦闘・効果で破壊された場合、

自分の墓地から罠カード1枚を除外して発動できる。

自分の墓地から「ダイノルフィア・テリジア」以外のレベル4以下の「ダイノルフィア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

「ダイノルフィア・テリジアのモンスター効果を発動ォ! デッキからダイノルフィア罠カードを1枚選んでセットできる。私が選ぶのは当然、ダイノルフィア・フレンジー!」

 

 何が当然なのかも分からないし、無駄にテンションが高い……

 

「私はカードを4枚伏せる。そして、手札の天獄の王をモンスター効果を発動させて貰うよォ?」

 

 手札からモンスター効果……一体どのような?

 ふと、私の視界に影が入る。

 

 上を見上げると、巨人が先生の背後に追従していた。

 天獄の王だ。

 

「っ……!」

 

「相手ターン終了時まで天獄の王を公開する。その間、フィールドにセットされたカードは効果で破壊されない……私はカードを4枚伏せてターンエンドォ!」

 

 こ、これでターンエンド……?

 

 

「おおっと明美選手、柚子ちゃんの万全な盤面に手も足も出ないか〜?」

 

「……いや、それはどうかな」

 

「え?」

 

 

 少なくとも、伏せカードが5枚もあるのは怖い。

 先生の事だから、無闇に除去しようとしたら逆に痛い目に遭うかもしれない。

 無策に突っ込むのは論外だけど、今の私の手札では処理できないわ。

 

 ……落ち着いて。

 油断せず冷静に対処するのよ、柊柚子。

 

「エンドフェイズ、私は幻奏の華歌神フラワリング・エトワールのモンスター効果を発動! 自分フィールドの幻奏モンスターを任意の数だけターン終了時まで除外して、その数まで相手フィールドの表側表示のカードを手札に戻す! 私はローリイット・フランソワをゲームから除外して、ダイノルフィア・テリジアを手札に戻すわ!」

 

 

「おおっと、これで明美選手のフィールドはガラ空きだ〜! これはもう決まったか〜?」

 

 

 この程度で決まる程、先生は甘くない。

 いつだってそうだった。

 

 授業の際……先生はただの一度も負けなかった。

 短い間だったけど、先生とのデュエルは私達にとって忘れられない記憶だ。

 

 だから。

 

「先生。私は今ここで、貴女に勝つわ!」

 

「ヒヒヒッ……やれるモンならァ、やってみろよォ?」

 

 ……先生の呂律が怪しくなった気がする。

 早く、終わらせてあげなきゃ!

 

「ローリイット・フランソワがフィールドに戻り、私のターン、ドロー!」

 

 ドローカードは残念ながら伏せカードを除去できるカードではなかった。

 でも、先生のフィールドにモンスターが居ないのは見過ごせないわ。

 ここは、臆さずに攻めるしかない!

 

「私は幻奏の歌姫クープレのペンデュラム効果を発動!」

 

「なら、それにチェーンしてリバースカードを発動させて貰おうかァ! 罠カード、ダイノルフィア・フレンジーを発動!」

 

「っ!?」

 

「さらに罠カードダイノルフィア・ドメインも発動するゥ……ライフを半分払い、ダイノルフィア・ドメインは手札・デッキ・フィールドのモンスターを墓地に送り、ダイノルフィア融合モンスターを融合召喚するぜェ!」

 

「デッキ融合!?」

 

 先生はいつも、融合関連の話をする授業の時に言っていた。

 デッキ融合は強いと。

 口が酸っぱくなるくらい、耳にタコが出来そうなくらい。

 そう語っていた。

 

 でも、ライフポイントを半分払うのは決して軽くないデメリット。

 先生とは言えども、ライフが無ければ戦い辛い筈……

 

「うぐおォォォォォ………!!」

 

 先生は、女性らしからぬ苦痛の声を上げる。

 何かと思えば……先生の周りに管のような物が出現し、先生の身体に食い付いていた。

 まるで、先生から何かを吸っているかのように。

 

 

藤野明美 LP 3000 → 1500

 

 

「ケヒッ、ヒヒヒッ、ヒハハハッッッ!!!」

 

 でも、先生は恍惚としながらそれを受け入れた。

 痛い筈なのに、苦しい筈なのに……

 疑いようもなく、先生の感情は歓喜に溢れていた。

 

「さ、さっきから自分のライフを減らしまくって……何考えてるのよこの人?」

 

 ……私にも訳が分からない。

 分からない事は、怖い。

 でも立ち向かわなきゃならない時だってあるの!

 

「私はデッキのダイノルフィア・テリジアとダイノルフィア・ディプロスを融合! 鋭き巨爪よ! 地を薙ぐ尖尾よ! その身体に流れる血潮の命ずるままに、敵対者共を薙ぎ倒す力へと生まれ変われ! 融合召喚! 現れよ、レベル6! 棘を張り巡らせる、赤光の軌跡を描く女王! ダイノルフィア・ケントレギナ!」

 

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 4000

 

 

「こ、攻撃力4000……!?」

 

 

「……な、なんと明美選手、攻撃力4000の融合モンスターをあっさりと繰り出して来たー!」

 

 

 流石に単に攻撃力の高いモンスターってだけではない筈……

 

「ダイノルフィア・ケントレギナの攻撃力は、私のライフポイントの数値分ダウンするゥ……ヒヒッ」

 

 先生の、ライフポイント分?

 って事は、つまり……

 

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 4000 → 2500

 

 

「って、弱体化しちゃうの? あ、弱体化する前提だからそんな攻撃力なの?」

 

「……」

 

 

 ……なるほど、それなら攻撃力4000も納得できるわ。

 

「そんでェ、ダイノルフィア・フレンジーの効果! 此方もライフポイントを半分払い、融合召喚を行う効果だよォ。カハッ……」

 

 

藤野明美 LP 1500 → 750

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 2500 → 3250

 

 

 先生がライフを減らす度に、ケントレギナは強化される……

 戦術としてライフを減らすのは正しくとも、このままだと先生の身体が持たないかもしれないわ。

 なるべく早く終わらせてあげないとっ!

 

「ただし、こっちはエクストラデッキのモンスターとデッキのモンスターを一体ずつ融合素材にするゥ!」

 

 エクストラデッキのモンスターで融合ですって!?

 そんな効果、聞いた事がないわ……

 

「私はデッキのダイノルフィア・ディプロスとエクストラデッキのダイノルフィア・ステルスベギア! 地を薙ぐ尖尾よ! 隠密する翼よ! その身体に流れる血潮の命ずるままに、敵対する愚か者共をひれ伏せさせる力へと生まれ変われ! 融合召喚! 現れよ、レベル8! 恐れる力を今こそ解き放て! ダイノルフィア・レクスターム!」

 

 

ダイノルフィア・レクスターム ATK 3000

 

 

「……っ!」

 

 今までとは打って変わり、恐竜にそっくりだけど機械的な部分が多いモンスター。

 人型ではなく、一見巨大な恐竜だけど口内に砲が見える。

 何よりも。

 

「怖い……!」

 

 私だけじゃない。

 私のモンスター達が、怯えている……!

 

「ダイノルフィア・レクスタームがフィールドに存在する限り、私のライフ以上の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターは、効果を発動できない」

 

 そんな強力な効果が……モンスター達が怯えるのも無理はない。

 フラワリング・エトワールの効果を封じられたのは痛いわね。

 今はフィールドに居ないけど、ブルーム・ディーヴァの効果も使えなくなった。

 だけど「効果を発動できない」なら、「発動しない効果」や「フィールド以外で発動する効果」は生きている筈。

 アリアやエレジーの効果が消えた訳じゃないって事だわ。

 それに、私の手札には……

 

「チェーンの逆順処理の最後だァ。さっさと処理するんだねェ!」

 

「……デッキから幻奏協奏曲を手札に加える」

 

 先生の事だから、何か策があるに違いない。

 だけど……私だって成長したんだから。

 先生の思惑を掻い潜って、攻撃を届けて見せるわ!

 

「私は幻奏の歌姫クープレのペンデュラム効果も発動。デッキから幻奏協奏曲を手札に加える」

 

 私のエクストラデッキに、この状況を解決してくれるモンスターはいない……

 だから、融合はしない。

 今は。

 私は、先の方にあるアクションカードを見据えた。

 

「ケントレギナのモンスター効果発動ォ! 自分・相手メインフェイズにライフを半分払い、墓地のダイノルフィア通常罠カード1枚をゲームから除外し、その効果を適用するゥ! こ、ふっ……」

 

 

藤野明美 LP 750 → 375

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 3250 → 3625

 

 

ダイノルフィア・ケントレギナ

融合・効果モンスター

星6/闇属性/恐竜族/攻4000/守 0

カード名が異なる「ダイノルフィア」モンスター×2

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの攻撃力は自分のLPの数値分ダウンする。

(2):自分・相手のメインフェイズに、LPを半分払い、

自分の墓地から「ダイノルフィア」通常罠カード1枚を除外して発動できる。

この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。

(3):このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

自分の墓地からレベル4以下の「ダイノルフィア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

 う、高い攻撃力だけじゃなくてそんな効果まであるなんて……

 レクスターム程では無いとは言え、とても厄介ね。

 できればフラワリング・エトワールの効果でどかしたいけど、レクスタームの所為で出来ない。

 やはり、戦闘で突破するしかないわね。

 

「私が除外するのは、ダイノルフィア・フレンジー! 私はデッキのダイノルフィア・テリジアとエクストラデッキのダイノルフィア・ステルスベギア! 後は……分かるよなァ?」

 

「っ、まさか!?」

 

「融合召喚! 現れよ、2体目のダイノルフィア・レクスターム!」

 

 

ダイノルフィア・レクスターム ATK 3000

 

 

 2体目が来るなんて……

 うぅ、すごい威圧感だわ。

 

 それでも、私は勝たなくちゃならない。

 先生の正気を取り戻す為に!

 

「ローリイット・フランソワを攻撃表示に変更し、バトルよ!」

 

「バトルフェイズ開始時、私はカウンター罠ダイノルフィア・シェルを発動するゥ!」

 

「このタイミングでカウンター罠ですって!?」

 

「このカードは、相手のバトルフェイズ開始時にライフを半分払って発動できるゥ! くはっ……」

 

 

藤野明美 LP 375 → 188

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 3625 → 3812

 

 

「明美選手、ライフポイントの数値が凄く微妙な値に……と言うか、ライフって割り切れないと小数点未満四捨五入するんだ?」

 

 

「私のフィールドにダイノルフィアトークンを特殊召喚し、このターンの間、トークンがフィールドに存在する場合トークンにしか相手は攻撃できないィ!」

 

 

ダイノルフィアトークン DEF 3000

 

 

 守備力の高い壁モンスター……しかも、攻撃を誘導させるおまけ付き。

 そう簡単には突破させてはくれないみたい。

 一度、私のフィールドのモンスターの攻撃力を確認しましょう。

 

 

幻奏の音女アリア ATK 1900

 

幻奏の音姫ローリイット・フランソワ ATK 2600

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール ATK 3100

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2700

 

幻奏の音女エレジー ATK 2300

 

 

 この中で、ダイノルフィアトークンを破壊できる攻撃力を持つモンスターはフラワリング・エトワールのみ。

 マイスタリン・シューベルトの効果を使えれば良かったんだけど、レクスタームの効果がある限りそれは不可能。

 まだ見ぬ2枚の伏せカードも不安だけど……ここは、強行突破する!

 

 デュエルアカデミア……融合次元の脅威もあるのよ。

 こんな所じゃ、終わらないっ!

 

「改めて、バトルに入るわ!」

 

「その前にぃぃぃ……天獄の王の効果を発動させて貰おうかァ?」

 

「なっ!?」

 

「セットされた魔法・罠カードの効果が発動された場合、手札からこのカードを特殊召喚できる。さらに、このカードが相手に公開された状態でこの効果を発動した場合、デッキから魔法・罠カードを1枚をセットできる。私がセットするのは、罠カードイタチの大暴発」

 

 

天獄の王 DEF 3000

 

 

 イタチの大暴発?

 先生は色んなデッキを使うけれど、このカードは使ったところを見た事がないわね。

 

 でも、関係無いわ。

 何としてもこのターン中に決めて見せるから。

 

「私は幻奏の音女アリアで、ダイノルフィアトークンを攻撃!」

 

 

「おっと柚子ちゃん、攻撃力1900のモンスターで守備力3000のモンスターに攻撃しちゃった!?」

 

 

「……ふん、なるほどなァ?」

 

 どうやら、先生には私の考えが分かったらしい。

 

「ダメージ計算時、手札から幻奏の音女スコアを墓地に送って効果発動! 自分の幻奏モンスターと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力及び守備力を0にする!」

 

 

ダイノルフィアトークン DEF 3000 → 0

 

 

「行け、幻奏の音女アリア! シャープネス・ヴォイス!」

 

 よし、これで邪魔者は消えたわね。

 

「これでトドメよ! 幻奏の華歌神フラワリング・エトワールでダイノルフィア・レクスタームに攻撃!」

 

「その攻撃宣言時、ダイノルフィア・レクスタームのモンスター効果発動ォ! ライフを半分払い、相手フィールドのモンスター全ての攻撃力をターン終了時まで私のライフの数値と同じにするゥ! けふっ……」

 

 

藤野明美 LP 188 → 94

 

ダイノルフィア・ケントレギナ ATK 3812 → 3906

 

幻奏の音女アリア ATK 1900 → 94

 

幻奏の音姫ローリイット・フランソワ ATK 2600 → 94

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール ATK 4700 → 94

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2700 → 94

 

幻奏の音女エレジー ATK 2300 → 94

 

 

「あわわ、大半のモンスターの攻撃力が中途半端な値になっちゃった!?」

 

「このままでは、柚子選手は2906の戦闘ダメージを受けてしまいます」

 

「ダメージもややこしい数字だ〜!?」

 

 

ダイノルフィア・レクスターム

融合・効果モンスター

星8/闇属性/恐竜族/攻3000/守 0

「ダイノルフィア」融合モンスター+「ダイノルフィア」モンスター

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のLPの数値以上の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターは効果を発動できない。

(2):自分・相手ターンに、LPを半分払って発動できる。

相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分のLPの数値と同じになる。

(3):このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

自分の墓地からレベル6以下の「ダイノルフィア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

 そんな効果も持っていたのね……それでも!

 私はこの瞬間を待っていたわ。

 先生が先に動き、私の攻撃を阻止してくる時を!

 

 尽くせる所はとことん尽くす。

 貴女にそう教わったから。

 

 私のデュエルの腕前じゃ、今の先生に敵わない。

 だから、使える物は活用させて貰うわ。

 遊勝塾で学んだ事と先生から学んだ事。

 そして、素良から教えて貰った融合召喚も。

 私は私の出せる全身全霊を出し切る!

 

 

 私は先程確認しておいたアクションカードを見逃さずに手を伸ばし、ゲットした。

 

 

 ああ、良かった。

 狙い通りのタイミングだわ。

 

 

 取ったカードを確認する。

 よし、このカードなら!

 この状況にそぐわないカードでも、一応役割が持てたけど……

 運も実力の内、ね。

 

「アクションマジック、立体交差を発動! 戦闘するお互いのモンスターの攻撃力を入れ替えるわ!」

 

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール ATK 94 → 3000

 

ダイノルフィア・レクスターム ATK 3000 → 94

 

 

「攻撃力が逆転した〜!」

 

「引き運がとても良いですね」

 

 

「先生……これで、目を覚させてあげる! やりなさい、フラワリング・エトワール!」

 

「っ……」

 

 

 フラワリング・エトワールの華やかな歌声が、確かに先生へと届いた——

 

 





先生へ響け、恩返しの歌声……


お気付きだろうか。
先生は、セルゲイよりも本性を現すのが早い事に……
早◯だな(最低)


ところで、片手で金属製のマイクを潰すのに必要な握力ってどれくらいなの?


Q.ライフ計算とモンスターの攻撃力が分かりにくいです
A.ダイノルフィアなんで、それはもうどうしようない。仕方無いっス……
計算間違いがあったら是非コメントで教えてください()







次回予告!

やめろ!〇〇〇・〇〇〇・〇〇⚪︎〇⚪︎〇のダイレクトアタックで、フィールドを焼き払われたら、

ライディングデュエルで体勢が不安定な柚子の身体が大変な事になってしまう!

お願いだ、死ぬな柚子!

お前が今ここで倒れたら、俺や遊勝塾の皆との約束はどうなるんだ?

ライフはまだ4000丸々残ってる。ここを耐えれば、先生に勝てるんだぞ!


次回「柚子 死す」 お楽しみは、これからだ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編
ホワイトデー番外編 ①


えっと、24話を投稿してからお気に入り数が増えすぎててビビってます。それと、UAも80,000を超えました。お気に入りも1,000人を超えました……
やべぇ、この話を投稿する頃には既に私はこの世に居ないだろうってなってるかもしれない……

読んでくださっている皆さん、本当に感謝しかないです。これからも投稿頑張ります、とは言いません。初投稿した時から反響に関わらず必ず完結させるって決めていますので。ですが、これからも読んでくださるとモチベーション向上に繋がります。まだまだ拙いところが多いですが、それでも良ければよろしくお願いします。以上、浮かれて焼肉食べ過ぎてちょっと「うぷっ」てなった作者でした。

今回は番外編みたいなアレです。ホワイトデー番外編とか言っておきながらバレンタインに出せなかった分です。私には来世まで縁がないと思われますが。



「諸君、今日は何の日だか分かるね?」

「と、突然どうしたんだ、先生?」

「正解はリア充爆★殺デーです」

「いや、バレンタインでは……」

「と言うわけで先生は街のリア充を片っ端からデュエルで爆発させてきます」

「「「やめて!!」」」

 

 ええい、私はこの世からリア充を撲滅する使命があると言うのに……!あいつらの桃色オーラで私の職場がどれだけ荒れたと思っていやがるんだゴラァ!え?普通クリスマスでやるイベントじゃないかって?クリスマスはクリスマスでやるよ、ああ!

 

「と言うか先生、普通そう言うのはチョコを貰えない男が妬みからそう言う行動を取るんじゃないの?」

「周りがピンク色だとなんか腹立つ」

「ええ……?」

 

 高校どころか中学時代から渡す相手も貰う相手もいなかった。つまり……そう言う事だ。友達は居たけど大体家族に渡してた……それはまあええんよ、うん。あの子凄いいい子だったし。

 

「私だけ捨て置いて幸福になるだなんて許せない……みんな不幸になりましょう……さあ、こっちへおいでぇ……」

「先生がまたおかしくなった」

 

 失礼な。私は常に正常だよ。ホントウデス。

 

「さて、まずはそこらの学校でチョコの受け渡ししている不届き者どもを懲らしめてやりますか……」

「流石にそれは犯罪でしょ!?」

「警察が怖くてデュエルができるかっ!」

「いや、その理論は流石におかしい……」

 

 いや、だってたしか遊星さんも1話で牛尾さんから逃げてたし……

 

「はぁ、全く……ほら、先生にもチョコあげるから大人しくしててよ」

「はい、柚子ちゃん様!!」

 

 ああ、世界ってこんなにも美しかったんだ……

 

「……先生がトリップしてる」

「いつもの事でしょ?放っておけば治るわ」

「と言うか性別が……」

 

 さて、今宵は特別にリア充共の爆発は控えておいてやろう。光栄に思うんだな。そしたら今日はどうしようか。すっかり予定が開いちゃったよ。

 

「ふむ……みんな用のチョコでも買ってこようかな?」

「え!本当ですか先生!」

「うん。まあ暇だしね」

 

 街に入り浸っているリア充共に片っ端から破壊輪を使おうと思ってたけどその分の時間でもっと色んな事ができるよね、ふふん。一応塾長さんからお給料は貰ってるし。

 

「それじゃあ、ちょっと行ってくるねー」

 

 さてと、どんなの買うかな〜……

 

 

◆◆◆

 

 

 美しい街だ、舞網市……他にこんなところがあるかなぁ。

 

 私の名前は藤野明美。年齢の27歳、結婚はしていない………仕事は『遊勝塾』の講師で毎日遅くと夜8時には帰宅する(居候)。タバコは吸わない。酒はたしなむ程度。夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている。寝る前に暖かいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体を解してから床につくと、ほとんど朝まで熟睡さ。赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに、朝目を覚ませるんだ。健康診断でも異常なしと言われたよ。私は常に心の平穏を願って生きてる人間と言う事を説明しているのだよ。勝ち負けにこだわったり、頭を抱えるようなトラブルとか夜も眠れないといった敵を作らない(大嘘)。と言うのが、私の社会に対する姿勢であり、それが自分の幸福だということを知っている。もっとも、デュエルしたとしても私は誰にも負けんがね。

 

 仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない女(?)……なんかエリートっぽい気品ただよう顔と物腰(笑)をしているため男性社員にはもてるが(妄想)生徒からはデュエルの催促ばかりさせられているんだぜ。悪いやつじゃあないんだが、これといって特徴のない……影のうすい女さ。

 

「……よし、現実逃避終了」

「……お姉さん変わってるねぇ?」

 

 そこらのお店、大体回ったのに何処も売り切れだった……嘘やろ?3軒も売り切れとかマジマジマジシャン★ギャルですか?マッチにも勝利するわってうるせーよ。

 

「くっ、生徒達に必ずチョコを渡すって約束したのに……!」

「ああ、それなら1つだけ手があるぜ?」

「何ッ!?それはなんじゃらほい?」

「ああ、俺も話だけ聞いたんだが……」

 

 ふむふむ?この店長が言うには近くでバレンタインデーデュエル大会が開催されているらしい。それで、そこの優勝賞品が沢山のチョコらしい。なんとまあご都合主義と言うかなんと言うか……まあ、そう言うので良いんだよ、そう言うので!

 

「さんきゅ!ちょっと取ってくるわ!」

「お〜言うね〜?まあ、頑張れよ、へっ」

 

 店長にお礼を言いその場を去る。教えて貰った建物に向かうと何人もの人が集まっている。大会があるのはどうやら本当のようだ。仕切りみたいなものがあってその奥でデュエルをするんだと思う。まだ参加出来るだろうか?取り敢えず、受付的な人が居たのでその人に話しかけてみる。

 

「あのぉ、すいません。バレンタインデュエル大会ってここで行われるのですか……?」

「おや、貴方も参加したいのですか?」

「あっはい」

「では、このカードをお持ちください。そのカードに貴方の番号が書かれております。確認しましたらこちらにどうぞ。貴方様が勝ち上がるのをご期待しております……ふふ」

 

 受付の人はそう答え、私を奥に通してくれた。なんか笑ってたけど気にしない方向で行こう。番号は15番みたいだ。特に参加規定とかはないみたい。高校生くらいの歳の子が大半を占めている。ああ、カップルみたいな雰囲気な奴もいるなぁ?ああ、やはり裏山。いいもんねーだ。私の嫁は灰流うららだもーんだ。いいだろ羨ましいだろこのこの。

 

「——では、そろそろバレンタインデュエル大会を初めたいと思います!」

 

 司会の説明によるとどうやら4回勝てば優勝らしい。まあよくあるトーナメント制だね。ちなみに一等賞は高級ブランドのチョコレートで二等賞が私の目的の沢山のチョコみたいだ。なるほど、最低でも3回は勝たないとだね。ちなみに三等賞は図書カード二千円分だ。なんだろうね、この急な雑な感じは。まあいいや、とにかく勝てばいいんでしょ?

 

「さて、最初のデュエルを行うのは〜?」

 

 ああ、そう言う感じか。箱の中の番号の書かれた紙を取り出してーってやる。昔何かで見た気がするなー。

 

「はい、決まりました!初戦を飾るのは8番と15番の方です!どうぞ、こちらにお上がりください!」

 

 おっと、早速か。私はステージに登った。と言っても大した高さでも装飾でもないけどね。対戦相手は……うん、高校生の女の子みたいだ。

 

「彼へのプレゼントの為……この勝負、勝たせて貰いますっ!」

「潰す」

「ひっ……!ひ、怯みませんからね!」

 

 いや怯んどるやんけ。

 

「アクションフィールド、オン!」

 

 げっ!?しまった、これアクションデュエルか!やべぇよ……主に私の腰が。明日腰痛になるのは覚悟しなければ……いや、まだ腰への被害を諦めてはいけない!

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「——見よ、これがデュエルの最強進化系!」

 

「アクショォォォォォン!」

 

「「デュエル!!」」

 

私 LP 4000

相手 LP 4000

 

 だがしかし。それならそれでやりようはあるって事を教えてやるよ!

 

 ……いや、誰にだよ。まあいいや。

 

「先攻は私か。私のターン。堕天使ナースーレフィキュルを召喚!」

 

堕天使ナースーレフィキュル  ATK 1400

 

 現れたのは全身包帯まみれの悪そうな天使ちゃん。まあ……やる事はもう分かるよね?

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドよ」

「私のターン、ドロー!」

「その瞬間、私は永続罠真実の目を発動する。このカードがフィールドに存在する限り、君は手札を公開しなければならない」

「そ、そんな!?」

 

「おおっと〜!15番、8番の女の子の手札を覗き見だ〜!」

 

 言い方ァ!これじゃ私がまるでいかがわしいことする変態みたいじゃないか!やれやれ……ふむ、手札を確認してみよう。

 

レッド・ガジェット

リミッター解除

奈落の落とし穴

グリーン・ガジェット

マシン・デベロッパー

レアメタル化・魔法反射装甲

 

 割とガチじゃねぇかこんちくしょう。取り敢えず魔法除去もないみたいだし丁度いいね。

 

「……!あった、アクションカード!」

 

 そして私が相手のカードを確認してる間にちゃっかりアクションカードを手に入れている女子高生デュエリスト。あの子絶対陸上部だ……あの走りは陸上部だろ。大半のデュエリストがそのくらいの身体能力を持っているとか言われたらそれまでなんだが……

 

「ああ、そうだ。手札を除き見れるんだけど……真実の目が存在する限り、貴方のスタンバイフェイズ時に貴方の手札に魔法カードがある場合、貴方は1000ポイントのライフを回復するわ」

「そ、それならまだ……」

「……が、しかし。レフィキュルの効果により、君へのライフ回復効果は反転し、ダメージとなる」

「なっ……そ、それじゃあ!?」

 

「おおっと〜!これでは8番は手札を完全に暴かれた上、毎ターン1000ポイントものダメージを受けてしまうぞ〜!なんて恐ろしいコンボだ〜!?」

 

相手 LP 4000 → 3000

 

「うぅ……で、でも!まだ勝負が決まったわけじゃあ!」

「それはどうかな」

「……へ?」

「さて、貴方は負けるわ。だから、その代わりと言ってはなんだけど……私からプレゼントよ」

「それは、どう言う……!」

 

 さあ、破壊輪よりも痛いぞこいつは。

 

「罠カードギフトカードを発動。このカードは相手のライフを3000ポイント回復するわ……この意味はお分かり?」

「!?そ、そんな……!」

「さあ、私からのプレゼントだ!ありがたく受け取っておくれよ!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

相手 LP 3000 → 0

 

 さて、まずは1勝だ。

 

「な、なんと!もう決着がついてしまったぞ〜!!勝者、15番!あっという間に相手のライフを削り切ってしまったぞ〜!」

 

 相手の女の子の持っていたアクションカードはどうやら自分のライフを回復するものみたいだった。危ない危ない。シモッチ以外のバーンデッキならやばかったかもね。

 




フィールド名とか決めるの面倒臭いので誤魔化しています。
それともなんかオリジナルのフィールドとかあった方がいいんでしょうか?

モブはタッグフォースから出そうかと思ったんですけど……キャラが濃いすぎるので……レイン恵ちゃんとかツァン・ディレちゃんとか藤原雪乃ちゃんとかが参加してたら目立ち過ぎるわそんなん!主人公が勧誘もといお前も鬼にならないかとか言い出しかねないので……またの機会に。でも雪乃ちゃんくらいなら出しても良いかも。守備範囲外だし。紬ちゃんは……うん、流石にこんなデュエルに彼女を巻き込みたくなかったんや……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホワイトデー番外編②

最近お気に入りが凄い勢いで増えてて夢心地になっています。
私は下弦の壱の血鬼術を受けていた……?いや、デス13かもしれない……


 まずは1勝。この様子なら余裕だけど一応次の対戦は違うデッキにしておこう。さっきのデュエルは観られてたから多分効果ダメージに対する対策をしてくると思うんだよね。だから念の為効果ダメージによる虐殺は自重しておこう。普通のデッキより事故が起こりやすいしね。

 

 それから3回のデュエルを挟んでまた私のデュエルの順番が回ってきた。私の対戦相手は12番だそうだ。ふむ、たしかこの人は魔法使い族軸のデッキを使ってた人だな。ヴァルキリアロックを披露していた。まあ、一応対策はしておいた。無視して効果で除去してゴリ押しでもいいんだけどね。

 

「貴方は最初のデュエルで相手を瞬殺した……!ですが対策はしました!絶対に負けません!私の事を待っている彼の為にも……!」

てめぇの血は何色だ?(あはは、よろしくね)

「っ!ひ、怯んだら負けです……!」

 

 いやだから怯んどるやないかーい。

 

「「デュエル!!」」

 

私 LP 4000

相手 LP 4000

 

 掛け声は私の中でカットさせて貰ったぜ。

 

「私のターン!」

 

 今度は後攻か。まあ別に不都合はないかな。今回は別のデッキにしておいたし。

 

「私はマジシャンズ・ヴァルキリアを召喚!さらに、魔法カード二重召喚を発動!このカードの効果によって、私はこのターンもう一度だけ通常召喚が行える!私もう一体のマジシャンズ・ヴァルキリアを召喚!」

 

マジシャンズ・ヴァルキリア ATK 1600

 

 おい積み込みしてるだろこいつ……と思ったけど遊矢くんも毎回星読み時読み握ってるからあまり気にしないようにしよう……考え出すとドツボにハマってしまいそうだ。

 

「……これで貴方は攻撃できないわ。私はカードを1枚伏せてターンエンドよ!」

 

 懐かしいなぁ、ヴァルキリアロック。昔切り込みロックとかあったなぁ。それにしてもあの伏せ、あれがさっき私の使った対策カードかもしれないな。なんだろ、レインボーライフか痛魂の呪術かな?今回は効果ダメージを与えるカードは入ってないから一才問題ないけど。

 

「さて。私のターン、ドロー」

 

 ……ふむ、ちょっとソリティアしようか。

 

「私は魔法カード成金ゴブリンを発動。私はデッキからカードを1枚ドローし、相手はライフを1000ポイント回復する」

「……あのライフの回復を反転させるモンスターは」

「今回は別のデッキだよ」

「なっ……!」

 

相手 LP 4000 → 5000

 

 同じデッキしか使ってはいけないなんてルールは知らないなぁ?くひひっ。

 

「よし、私は更に魔法カードアームズ・ホールを発動するね。まず私のデッキの上からカードを1枚墓地に落としてっと。それからデッキ・墓地から装備魔法カードを手札に加える。私が加えるのは折れ竹光だ」

「装備魔法ですって……?」

「墓地の魔法カードをゲームから除外することで、マジック・ストライカーは手札から特殊召喚できる!」

 

マジック・ストライカー ATK 600

 

 現れたのは可愛らしいモンスター。まあこれから凶悪な事になるわけだか

 

「攻撃力たったの600……その程度のモンスターで何ができると言うの?」

「あはは、まあ見てなさいな。私は装備魔法折れ竹光を発動!マジック・ストライカーに装備!」

「それは先程アームズ・ホールの効果で手札に加えたカード……!」

「このカードを装備したモンスターは……攻撃力が0ポイントアップする!それだけ!」

「……は?」

 

「ど、どうしたのだ〜!?攻撃力が全く上がらない装備魔法なんて……これは15番、勝負を捨てたのか〜?」

 

 ええい、喧しいわ!

 

「全く……私は魔法カード黄金の竹光を発動!このカードは自分フィールドに竹光と名のつく装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

「な、なんと〜!ここであの強欲な壺と同じ効果を持つ魔法カードを使ってきた〜!先程の無意味だと思われた装備魔法はこのためだった〜!」

 

 だからあの時折れ竹光を発動しておく必要があったんですね。さて、もう少しカードを引く作業をしないと。

 

「私は魔法カード無の煉獄を発動。デッキからカードを1枚ドローし、このターンの終わりに手札を全て捨てる。……おおっと、またまた成金ゴブリンの効果を発動!効果は言わずもがな、よね?」

 

相手 LP 5000 → 6000

 

「な、なんと!このターンの終わりに手札を全て捨て、相手のライフは6000もある!相手を自ら有利に導く15番の思惑は一体なんだと言うんだ〜!?」

 

 よし、来た。

 

「私は装備魔法脆刃の剣をマジック・ストライカーに装備する!このカードを装備したモンスターは攻撃力が2000ポイントアップする!」

「なっ……!?」

 

マジック・ストライカー ATK 600 → 2600

 

「おおっと!今度は打って変わって攻撃的な装備魔法だ〜!と言うか攻撃力が2000ポイントも上がるだなんて反則だ〜!」

 

「まあ、その代わりにこのカードを装備したモンスターの戦闘によって発生する戦闘ダメージはお互いが受けるんだけどね。しかも、私が一度に2000ポイント以上のダメージを受けた場合、このカードは破壊されるわ」

「そ、それなら……いや、それ以前に!マジシャンズ・ヴァルキリアの効果は知っているでしょう!貴方は一切の攻撃はできないわ!」

 

「た、たしかに12番の言う通りだ〜!いくら攻撃力が高くても攻撃ができないのなら意味がないぞ〜!」

 

 ここの解説もお相手さんもフラグ建築士一級の資格を持ってるのかな?まあそれを言うなら私もそうなると言うかなんと言うか……

 

「さて、私は装備魔法アサルトアーマーをマジック・ストライカーに装備!このカードは私のフィールド上に存在するモンスターが戦士族1体のみの場合に発動できる。このカードを装備したモンスターは攻撃力が300ポイント上がるんだけど……それがメインじゃないわ。装備したこのカードを墓地に送ってアサルト・アーマーの効果発動!このターン、このカードを装備していたモンスターは2回攻撃が可能となる!」

「だから、そんな事したって無駄……」

「いいや、無駄じゃないね。マジシャンズ・ヴァルキリアの効果をよーく見てみるんだな」

「……?」

 

 

マジシャンズ・ヴァルキリア

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1800

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手は他の魔法使い族モンスターを攻撃対象にできない。

 

 

「マジシャンズ・ヴァルキリアはあくまで他の魔法使いへの攻撃を不可能にする効果だ。それが2体揃うとヴァルキリア自身も魔法使い族の為、ロックが成立すると言う訳だ」

「つまり、何が言いたいのよ!」

「つまり……モンスターを攻撃するのでなければ、マジシャンズ・ヴァルキリアの効果は全く関係ない!マジック・ストライカーは直接攻撃できる!」

「な、なんですって!?」

 

 くくく、通称マジストワンキルはその程度のロックでは止まらないでござるよ。

 

「はっはっは、困難な読解を毎回やる語力。略してコンマイ語の勉強が足りなかったようだな!装備魔法魔導師の力をマジック・ストライカーに装備!このカードは装備モンスターの攻撃力を私のフィールドに存在する魔法・罠カードの数×500ポイント分アップさせる装備魔法!これでマジック・ストライカーの攻撃力は1500上昇!」

 

マジック・ストライカー ATK 2600 → 4100

 

「攻撃力4100のダイレクトアタックが2回ですって……!?いや、でも!脆刃の剣の効果で私の受ける戦闘ダメージを貴方も受けるのよ!私の今のライフは6000。つまり、先にライフが尽きるのは貴方の方……」

「それはどうかな?マジック・ストライカーはな、私への戦闘ダメージを0にする効果を持つ。つまり、私はダメージを受けず、脆刃の剣も破壊されないってわけ」

「そ、そんな……!」

「最後に禁じられた聖衣をマジック・ストライカーを対象にして発動!マジック・ストライカーの攻撃力は600ポイント下がる……」

 

マジック・ストライカー ATK 4100 → 3500

 

「わざわざ攻撃力を下げた……?」

「考えている余裕はあるかい?バトルだ!さあ、マジック・ストライカーでダイレクトアタック!」

「ま、まだ!アクションマジック、回避を発動!相手モンスター1体の攻撃を無効に……な、発動しないっ!?」

 

 こいつ、やっぱり人がソリティアしてる時にアクションマジック見つけてたか。姑息な手を……(禁じられた聖衣を使いながら)。

 

「無駄無駄無駄無駄ァ!禁じられた聖衣は対象としたモンスターを効果による破壊と対象をとる効果から守る効果を持つ!そしてアクションマジック回避はあくまで相手モンスターを対象にとって発動するカードだ。よって、回避は無効!」

「そ、そんな……」

「マジック・ストライカー、ダイレクトアタック!ニレンダァ!」

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

相手 LP 6000 → 2500 → 0

 

「決まったぁぁぁぁぁ!勝者、15番!一戦目と同様、圧倒的な実力で完全勝利だぁぁぁ!」

 

さて、これで後2回だ。

 

 

◆◆◆

 

 

「さあ、第3回戦だぁ!対戦カードは9番と15番!さあ、今回も15番が圧倒的な勝利を見せてくれるのか!それとも9番が15番を乗り越えるのか!」

 

 さて、次の相手は暗黒界使ってた人だな。参加者の中では珍しく男だ。

 

「1つ……聞いて欲しい事がある……」

「……な、なんだ?」

「この大会に優勝すれば、賞品の最高級のチョコが手に入る。それはつまり……デュエルと言う彼女からチョコを貰える事にならないか?」

 

 なん……だと……?

 

「お前……さては天才だな?」

「ふっ、実は俺は天才だったのさ……」

 

 な、なんて賢い奴なんだ……!これはもしかすると苦戦するかもしれない。

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は俺が貰う!俺のターン!うおぉぉぉぉぉぉ!チョコが欲しいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 欲望になんて忠実な奴なんだぁ……で、今回の私の初期手札酷いな?ポーカーでもするのか私は。いや、この場合だとスロットか?

 

「よし、これなら……!俺は手札から魔法カード手札抹殺を発動!」

「ファッ!?」

「ふっ、何をそんなに驚いてるんだ?」

 

 いや、だってその……ね?おいおい、たしかにそうなる可能性があると思ったからこのデッキにしたんだが……まさか本当にそうなるとは。このリハク(ry。

 

「手札抹殺はお互いの手札を全て捨て、捨てた分だけカードをドローするカード。俺は4枚捨てて4枚ドローするぜ!」

「あっはい。私は5枚捨てて5枚ドロー……」

「ふっ、いいカードが墓地に行ったのか?それなら残念だったな!俺は手札から捨てられた暗黒界の術師 スノウ、暗黒界の狩人 ブラウ、暗黒界の導師 セルリ、そして暗黒界の鬼神 ケルトの効果をそれぞれ発動させて貰う!」

 

「おおっと〜!なんと4体ものモンスターの効果を連続して発動だ〜!!これは9番の有利か〜?」

 

 あー、その……うん。取り敢えずチェーンはちゃんと組めよ。まあ、いいけどさ……今回は。と言うかどんな手札してるんだよ。絶対積み込みしてるだろ……

 

「その前に、私の墓地に送られたカードの効果も使わせて貰うよ」

「ほう、君も私の暗黒界のように手札から捨てられた時に効果を発揮するモンスターを持っていたのか……」

「いや、そうじゃないんだけどね……先に謝っておこう。すまない」

「……それは、どう言う意味だ?」

「こう言う意味だ。私は墓地に送られた3枚のジャックポット7(セブン)の効果を発動する。このカードは相手の効果によって墓地に送られた場合、ゲームから除外される」

「……はぁ?なんだその効果は」

「そしてこの効果によって除外されたジャックポット7が3枚揃った時……私はデュエルに勝利する」

「………………は?」

 

 上部に強欲な壺、機械の部分はファラオカラーな言ってはなんだけどちょっと気持ち悪いスロットマシーンが3台現れた。そして、スロットが回転する。左から順番にストップし、最終的には7が9つ並んだ。3枚集めたのに9つ並ぶのってなんぞ……そして、最後にファンファーレが流れた。

 

「な、な、ななななんと!15番、0ターンキルをやってのけたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「今思ったけどそんなに観客いないのになんで司会はこんな騒がしいんだよ……」

「そ、そんな馬鹿な……0ターンキル、だと!?」

 

 だから言ったじゃん。先に謝っておくって。

 

「勝者、15番!!」

 

 さて、あと1人か……

 




よい子のデュエリストはチェーンについてしっかり勉強してからデュエルをしようね!チェーンがよく分からないと女の子デュエリストにモテないゾ。

感想や誤字報告でミスを指摘してくれるのが非常にありがたい半面、ミスを出さないようにしなければ……
それはそれとして指摘してくれた方、本当にありがとうございます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホワイトデー番外編③

若干遅れちゃったんだぜ……すまねぇ。
ちょっとグッバイグッバイうるさい肉塊と
機嫌が良くても悪くても逃げ出す面倒臭い音楽家と
汚い団子三兄弟と戦ってたので……あと危険度詐欺兵隊とも。


 よしっ、後1人だ。なんとか約束は守れそうだとほっと胸を撫で下ろしてステージから降りる。正直、次は棄権してもいいっちゃいいけど……まあ、折角のデュエルだし、最後までやろう。そして2位の人と賞品を入れ替えて貰おう。

 

「ふぅ……」

「おや、貴方はたしか試合で注目されていた15番選手でしたね?」

 

 お、おう?私に話しかけて来たのは……あ、受付っぽい人か。え、なに、こわ……

 

「えっと、何か御用でしょうか?それともゴヨウでしょうか?」

「……?いえ、用と言うほどのものではありませんよ。ただ、まさか貴方がここまで勝ち残るとはなぁ、と」

「……ど、どうも?」

 

 この人なんで私に話しかけてくるの?取り敢えず話を逸らすために今行われているデュエルの観戦でもするか。ええっと、今デュエルしてるのは1番と6番か。どっちも女の子だね。

 

「私のターン、ドロー!手札から永続魔法マドルチェ・チケットを発動!さらに、手札からマドルチェ・エンジェリーを召喚——」

 

 おお、マドルチェか。なんてバレンタインらしいデッキだろうか。

 

「この試合、どちらが勝つと思います?」

「1番に決まってるじゃないですか」

 

 何故に断定系?ええっと……マドルチェ使っている方が6番かな。1番のフィールドは……おお?なんだあれ、バルバロスが棒立ち状態だな?伏せは3枚……いやあれ絶対スキドレやんけ!エンジェリーの効果を使った時点でスキドレ発動しないのは止められないと理解してるからか……たしかに強敵だなぁこりゃ。つーか1番の容姿が女子校で死ぬ程モテる女の子のそれなんだけど。

 

「私はマドルチェ・ホーットケーキの効果を発動!墓地のモンスター1体をゲームから除外し、デッキからマドルチェと名のつくモンスター1体を特殊召喚する!」

「残念、永続罠スキルドレインを発動!ライフを1000支払い、フィールドのモンスターの効果を全て無効にする!」

「な、なんだって!?」

 

 ほらー。

 

「実は1番は、私の彼女なんですよ」

「えっ、そんなん関係無いでしょ(正論)」

「……そもそも、今回の大会は彼女が勝ち上がるだろうと踏んで企画しました」

「……ん?」

「彼女はデュエルが私なんかよりもずっと強くて……本当に、私なんかじゃ勿体ないくらいです」

 

 なんで私は惚気を聞かされているんですか(キレ気味)。

 

「でも彼女は料理が苦手で……去年のバレンタイン、私は彼女からチョコを貰えませんでした。その事を悔やんでたみたいなんです。そんな時、私がアルバイトしていたこのお店でデュエル大会が開かれる事を聞きました。優勝賞品が高級チョコだとも。それを彼女にさり気なく伝えると、今度こそチョコを渡して見せるから、と……」

 

 いや、自分で買えよその彼女……金欠か何か?料理下手なのは私と同じだけどさ。

 

「あー、うん。それで、どうしてそんな話を私に?」

「……負けてくれませんか?」

「……」

 

 ……そう来たか。

 

「貴方は強い。彼女では勝てないかもしれない……ですから、」

「まあ待ってくれ。ぶっちゃけ、私は2位の賞品が目当てだからそれでもええんよ」

「ほ、本当ですかっ!」

「だけど、やだ」

「どうしてですか?先程は……」

 

 何故かって?そんなもの、考えずとも分かるだろう。少なくとも、この話を聞いた奴なら分かる筈だ。

 

「私の目の前でカップルが幸せになるのが許せない!」

「そ、そんな理由で!?」

「そんな理由だよ。それに……な」

「全く、何しているんだか……」

「……!き、聞いていたのか!」

 

 私の背後から、デュエルを終えた1番が現れた。どうやら試合はちゃんと1番が勝ってたみたいだな。

 

「貴方って人は……」

「ちょ!?ち、違うんだ!君の事を想って……」

「言い訳するの?」

「あ、いや、その……」

 

 しどろもどろに弁明しようとする受付君にため息をついている1番ちゃん。そりゃそうなるわね。最悪別れるんじゃね?

 

「まあいいわ、今回だけ許してあげる……気持ち自体は嬉しいし

 

 なんだこのリア充……たまげたなあ。

 

「えっと、15番さん。彼が失礼な事をしてしまった。私としては決勝戦を棄権してこの事を詫びたいのだが……」

「うーん、でも私としては2位の賞品が目当てなんだよねぇ……」

「いや、しかしそれでは……」

 

 1番ちゃんが渋る。何というか、真面目系な子だな。でも、このままだと平行線だろう。早く帰らないと文句を言われそうだ。

 

「ふむ……あ、1つだけ、案を思い付いたよ!」

「それはなんだ?」

「どちらが棄権するかをデュエルで決めよう!」

 

「え!?」

 

 彼氏君が驚いた声を上げる。

 

「……なるほど、それならいいでしょう」

「ちょ、まっ……」

 

 お互いにデュエルディスクを構える。さあ、スキドレ相手にどれほどやれるかな……!

 

「「デュエ——」」

 

「待ったぁぁぁぁぁ!!」

 

 うお、ビックリした。

 

「そんな理由でデュエルするくらいなら大人しく決勝戦をやれよ!?」

 

「「あっ」」

 

「まさか気付いてなかったのか、2人共……?」

 

 ……ま、まさかそんな事ないでしょ?私は別に?デュエルで全部解決できるから?適当にデュエルって言った訳じゃないし?

 

「うぐ……」

「なんでこう、デュエル以外だと……ほら、そろそろ決勝戦の時間だよ」

 

 さてと、やるか。

 

「……こうなっては仕方ありません。正々堂々勝負致しましょう!」

「おっけい、お互い頑張ろうか!」

 

 2人揃ってステージに向けて歩いて行く。彼氏君は若干落ち込んだ様子でありながらも私達を見送った。

 

「さあ、注目の決勝戦だぁ!」

 

「……彼が言った事を許して欲しいとは言いません。が、それはそれとして!私が勝ちます!」

「いいよ……かかっておいで!……正直、かなり疲れたけど」

「……そうか」

 

 私はあくまで運動音痴だからなぁ……

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これがデュエルの最強進化系!」

 

「アクショォォォン……」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は私か……私のターン!」

 

 残念、私は後攻。スキドレ相手なら先攻の方が有利かもだが……ある程度急がないと生徒達に悪いからな。ある意味好都合だ。

 

「私は神獣王バルバロスを召喚!このカードはリリースなしで召喚でき、その場合元々の攻撃力は1900となる。さらに、装備魔法愚鈍の斧を神獣王バルバロスに装備!このカードを装備したモンスターは効果は無効になる代わりに攻撃力が1000ポイントアップする!つまり、バルバロスの攻撃力は、4000!」

 

神獣王バルバロス ATK 1900 → 4000

 

「なな、なんと!最初のターンから攻撃力4000のモンスターをあっさり出してしまった〜!?」

 

 実質サンダイオンみたいなもんだね。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド……さあ、来なさい!」

「よし、言質はとったぞ。私のターン!ドロー!」

 

 完璧な手札だぁ……と言うかあの伏せカードからスキルドレインの霊圧を感じるんですがそれは……どちらかは分からないけど。

 

「念の為だが……ここで使わせて貰おうか。私は永続罠スキルドレインを発動!ライフコストを1000払い、フィールド上の全てのモンスターは効果が無効となる!」

 

LP 4000 → 3000

 

「おおっと〜!早くもここで1番のフェイバリットカードが登場だ!果たして15番はこれを乗り越える事ができるのか〜?」

 

 ナイトショット辺りでも警戒したのか?まあいい。

 

「手札からレベルの合計が8以上になるように捨てる事で、マシンナーズ・フォートレスは手札または墓地から特殊召喚できる!私はマシンナーズ・フォートレスとマシンナーズ・ピースキーパーを捨てて、墓地からマシンナーズ・フォートレスを特殊召喚!」

「自らも含むのか……」

 

 それはまあ……うん。考えたら負けだと思うよ。

 

 

マシンナーズ・フォートレス

効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2500/守1600

(1):このカードはレベルの合計が8以上になるように手札の機械族モンスターを捨てて、

手札・墓地から特殊召喚できる(自身を捨てた場合、墓地から特殊召喚する)。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

このカードを対象として発動した相手モンスターの効果が適用される際に、

相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んで捨てる。

(3):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合、

相手フィールドのカード1枚を対象として発動する。

その相手のカードを破壊する。

 

 

「更に私は可変機獣 ガンナードラゴンを召喚!このカードは神獣王バルバロスと同様にリリースなしで召喚でき、その場合は元々の攻撃力・守備力は元々の半分……つまり1400と1000になるわけだが、スキルドレインの効果によってその効果は打ち消される」

「私のカードを逆に利用してくるか!」

 

 流石にスキドレは対策しないとだったからね……

 

「更に私はおろかな埋葬を発動。デッキからモンスターカード1枚を墓地に送る。私が墓地に送るのはマシンナーズ・カーネルだ」

 

 さて、準備は整った。

 

「悪いが……このターンで決めさせてもらおうか!」

「攻撃力は負けているのに強気……まさか、リミッター解除かっ!」

 

 残念、リミ解は握れてない。だか、それでもやりようはある。残り1枚の伏せはなんとなく予想はつく。が……一応警戒はしておくか。

 

「永続魔法機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)を発動。早くもラストバトルだ!私はマシンナーズ・フォートレスで神獣王バルバロスを攻撃!」

「くっ、自爆か!?迎え撃て!」

 

 巨大な機械と獣がくんずほぐれつ、やがて機械の方が押し倒され戦いは危険な領域に突入する……と言う言い方は悪いか。とにかく、機械の方が負けたと言う事だ。

 

LP 4000 → 2500

 

「くっ……!しかし、マシンナーズ・フォートレスの効果発動!このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、相手フィールドのカード1枚を破壊できる!私が選ぶのはその伏せカードだ!」

「わざわざ自爆したのはこのためか……!まあいい。伏せていたカードは宮廷のしきたりよ」

 

 ん、宮廷のしきたりか。予想通りだ。これで後は攻撃するだけだ。

 

「私はさらに墓地のマシンナーズ・カーネルの効果を発動!このカードが墓地に存在する状態でマシンナーズ・カーネル以外の機械族・地属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、このカードを墓地から特殊召喚できる!更に永続魔法機構部隊の最前線の効果を発動!機械族モンスターが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、そのモンスターと同じ属性で攻撃力が低い機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する!私はデッキからマシンナーズ・ギアフレームを特殊召喚!」

「なるほど、だからわざわざ……!」

 

 

マシンナーズ・カーネル

特殊召喚・効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに、自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。

その機械族モンスターと、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、

「マシンナーズ・カーネル」以外の自分フィールドの表側表示の機械族・地属性モンスターが

戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

このカードを特殊召喚する。

 

 

機甲部隊の最前線

永続魔法

(1):1ターンに1度、機械族モンスターが戦闘で破壊され自分の墓地へ送られた時に発動できる。

墓地のそのモンスターより攻撃力が低い、同じ属性の機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

 

 このまま行くぞ。

 

「バトル続行!私はマシンナーズ・カーネルで神獣王バルバロスを攻撃!」

「またか……迎え撃て!」

「この瞬間、手札からマシンナーズ・リザーブレイクを捨てて効果発動!自分フィールドのマシンナーズと名のつくモンスター1体の攻撃力を1200ポイントアップさせる!」

 

マシンナーズ・カーネル ATK 3000 → 4200

 

「おおっと〜!?これで15番のモンスターが1番のモンスターの攻撃力を上回った〜!」

 

「私は可変機獣 ガンナードラゴンとマシンナーズ・ギアフレームでダイレクトアタック!」

 

 1番ちゃんは、静かに目を閉じた。

 

「見事でした……」

 

LP 3000 → 200 → 0

 

 

◆◆◆

 

 

「——と言う事があってね」

「け、結構大変だったのね……」

「だから、みんな大切に食べてねー」

 

「「「「はーい!」」」」

 

 いやあ、疲れた……無事に景品交換もして貰えたし。

 

「それにしても、なんで最後その人はアクションカードを使わなかったんだろ?」

「あー、なんでも私が一向に使わなかったから自分も!とかなんとか……」

「権現坂みたいな理由じゃないだろうな……と思ってたら」

 

 うーん、何というか……デュエリストとしてはアレだけど人間としてはいい人なんだろう、きっと。

 

「それにしても先生、カップルを目前にしてよく暴走しなかったね?」

「みんな私の事何だと思ってるの?」

 

「「「変人」」」

 

 みんな揃って私を虐める……

 

「いいもん。そんな事言うならこのチョコあげないもん……」

 

「わー!?悪かったから返してくれよぉ〜」

 

 

 ……今日のは大変だったけど、まあ、こんな風に子供に囲まれて過ごすのは、悪くないね。いや、ちょ、犯罪者とか言わないでくださいよ?私は至って普通な一般人だよ。ちょっと小さい子を可愛いって思う感性の持ち主であるだけであってね?大体小さい子が嫌いな人なんて居ないでしょ?つまり、私は何処にでもいる凡人であって決して世間一般で言われるようなロリコンではなく紳士であることは明らかであるとして




ハッピーホワイトデー!(遅刻気味)
さあ、みんなで不幸になろう!

ぶっちゃけここまで長くなるなんて思ってませんでした()
最後ちょっと雑になってすんません許してくださいなんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)
アクションデュエルにする理由……なかったんじゃ

3/18 スキドレのコスト忘れてたので修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

突然同僚が失踪した件


前日譚的な何か。或いは残された人のお話。

ゆる〜い気持ちでご覧ください。



 私は蛇川由佳乃。年齢27歳、女。特筆する点もない、自分で言うのも何だけど何処にでも見掛けられる普通のOL。

 

 卒業した高校、大学も極々平凡な大学。通っている会社も当然中堅程度の会社で、変わり映えしない実にありふれた毎日を送っている。強いて変わった事を挙げるなら、会社がややブラックよりな事だろうか。給料は意外と悪くはないんだけども労働時間は割と長めだ。と言うか、仕事が結構多い……まあ、慣れればそこまでではないけど。多分退職率は新人の方が多いんだと思う。

 

 まあ、ホントそれ以外に何か自慢できるような事なんて……いや、最近1つ変わったことがあったんだった。それも、良い事じゃなくて悪い事が。

 

 なんと、5日前に同僚が失踪したのだ! しかも、あいつが抱えてた企画が丸々全部私に襲い掛かってきた……!

 

 なんとまあ、傍迷惑な……他の人は今手が空いていないので、あいつの代わりに私が仕事を処理しなければならないらしい。

 

 しかし、私は知っているぞ。あいつの残した仕事の話が出た時に別の仕事を積極的に受け始めた同僚共をなぁ……! 全く、情けない。いやまあ向こうにも事情はあるのかもしれないけど。

 

 あいつ、今度会ったらはっ倒してやるからな……まあ、誘拐とか失踪したのならもう二度と会えないかもしれないけど。全く、恨み言も伝えられない。一応メールとか電話も試したみたけど返信はない。一応自宅も訪ねてみたけど帰って来てないらしく留守だった。

 

 聞くところによると、あいつがいつも利用している電車に乗ったところまでは駅に配置されているカメラに映っていたのだが、何故か電車内の監視カメラにはあいつは映っていなかったらしい。このことは、事情聴取に来た警察官と刑事が話しているところをたまたま耳にして知った。何と言うか、都市伝説にでも出てきそうな話だ。あいつ、如月駅にでも行っちゃったんじゃないだろうな……?

 

 たまに堂々と迷子になったりするような奴だからほんのちょっとだけ心配だが……まあ、あいつならきっと何とかなるだろうきっと。そこらで野垂れ死ぬような奴じゃないし。きっと石に齧り付いてでも生きるだろう。

 

 あいつ、見てくれは悪くないし地味に男供にモテてた上にそこそこに仕事もできて優秀だったからな。働き始めてからかなりの短期間で中間管理職にまで登り詰め、他人に一切興味ないだけで面倒見は良い方……まあ、愛想はないけど。まるで人形みたいな顔して仕事してた。たしか、社長もあいつに興味を持ってた筈。最初は社長も若干下卑た目であいつを見てたけど、最近は何故か珍しい動物でも見てるような感じだったな。まあ、野郎の視線なんてあいつは気にしないだろうが……いつもポーカーフェイスだし。

 

 でも、それは全部仕事の時の話。オフの時、特に一年くらい前に私が強引に飲み会に誘った時は……うう、あいつの酔った時の事なんて忘れよう。あれはちょっと……うん、忘れよう。翌日、普段より一層あいつを見つめる視線は震えちゃった。

 

 っとと、そんな話は良い。早くこの私の頭の位置くらい積み上げられた書類の山と格闘しなければならない。今日1日だけでせめて三分の一くらいまでは済まさないと……さもなければ残業によって私の貴重な休日が破壊される。たまには気ままにショッピングでもして気分をリフレッシュさせたいのだ。お洋服とかアクセとか、買いたい物もいっぱいあるし。

 

 今日も頑張りますか。昨日休日だった分も含めて、頑張らねばならぬ。

 

「と、言う訳で手伝いなさい」

 

「え、由佳乃先輩〜今日は私にも用事があってですね……」

 

「ダメ。今日は逃がさないぞ絶対にな……!」

 

「ちょ、肩掴まないでくださいよ〜!」

 

 コイツは私の後輩の谷本。短い茶髪と眠たげな眼がトレードマークのウチの新入社員。比較的私と波長が合うので、仕事を教えたりしているので割と仲は良い方なのだが、何故か周囲からは彼女と私が似ているとか言われている。私自身にはそんな自覚はないので、きっと勘違いだろう。全然似てないし。

 

「ちょっ、私だって残業なんて極力やりたくないですよ! 休日くらいのんびりショッピングとかしたいです! お洋服とかアクセとか欲しいし……」

 

 似てないったら似てないのだ。

 

「まあ、そう言わずに……あんたは無理のない範囲でいいから協力して、お願い!」

 

 私は手を擦り合わせて頭を下げる。これでも割と追い詰められているのだ。私の心の平穏な為、どうにか協力を取り合わせたいのだ。

 

 私の真摯な思いが伝わったのか、一度ため息を吐いて妹は答えてくれた。

 

「しょうがないですねぇもう……その代わり、今晩焼肉奢ってくださいよっ」

 

「なん……だと……」

 

 どうやら私の真摯な思いは伝わっていなかったらしい。この後輩、細身に見えて結構食べるのだ。不味い、先週に出たボーナスが露に消える……

 

「……そこをなんとか」

 

「嫌なら手伝わないです。私にも仕事があるので。それじゃ私はこれで」

 

「分かった! 分かったから!」

 

 私は断腸の思いで後輩の脅迫を受け入れた。これが仕事関連じゃないならビンタくらいしている。それも往復するやつをな。

 

「で、やると言ったからにはやるけど……この量は凄いですね」

 

「ふん、辞めると言ってももう遅いからね?」

 

 私は書類を一掬いし、明子に差し出す。3センチくらいかな……まあ、こいつはまだ入りたてだからそれほど忙しくないし、余裕はある筈だ。仕事振りの方は私が叩き込んでいる問題ない。

 

「はいはい。それにしても由佳乃先輩って同僚が居なくなったのに、あんまり悲しんでるように見えないですね」

 

「何も思わないことはないけどね。悲しんでる暇がないんだ……いや、割と真面目に」

 

 今手が止まるとマジで仕事に殺される。これが止まるんじゃねぇぞですか? 既にタカキより頑張ってる自負すらあるぞ。

 

「あ〜……うん、その……頑張ってください」

 

「お前も頑張るんだよ……」

 

 明子はやや同情気味に書類を受け取り、自分のデスクに向かって行った。

 

 頼むぞ後輩。お前の働きにそこそこ掛かってる。だけど、焼肉の注文は控えめにしておくれ。

 

 

◆◆◆

 

 

「ンアァァァァァァァ……」

 

 ペンを置き、一度伸びをする。仕事が……仕事が終わらない……ええい、あいつこのクソ忙しい時に仕事抱えすぎだろ! これ3人分くらいの仕事だろ絶対によぉ! 何平気な顔してこの量抱えてるんだよぉ!

 

「ちょ、由佳乃先輩落ち着いて……」

 

「私は冷静だ。至って冷静に……この書類の山をシュレッダーにかけることを考えている」

 

「えいっ」

 

「ひゃい!?」

 

 谷本はキンキンに冷えた氷の入ったペットボトルを私の服と背中の間に入れてきた。ちょ、おま、真冬にそれはやめろォ!?

 

「ちょ、この……おいゴルァ!」

 

「やれやれ……少しは落ち着きました?」

 

「落ち着かせようとこんな事したのか!? あのなぁ、そうだとしてもやって良い事と悪い事がだなぁ……」

 

「あ、それよりもう良い時間ですよ。焼肉屋行きましょうよ! そんなシャンプーが大嫌いな飼い猫をどうにかして捕まえようとしている飼い主みたいな顔してても仕事は捗らないでしょう?」

 

「無視すんな! つーかそれどんな表情よ! ったく……」

 

 まあ……そろそろ良い時間だし、もう今日はあがろうか。正直、もう少しやっといた方が明日以降楽になると思うけど。夏休みの宿題よろしくいつもそんな風にやらないといけない事を済ましていたらいつか大変な事になるだろうし。

 

「焼肉屋……ぐへへ……」

 

 後輩よ、涎を垂らすのはよせ。女性としてちょっとそれは不味い……いや、人としても充分不味いが。

 

「はぁ……まあ、いいわ。その代わり、貴女が明日担当する書類が増えます」

 

「うぇ!? まぁ……いいか。早く行きましょう先輩!」

 

 全く此奴は……まあいいか。さりげなく仕事押し付けられたし、多少は融通が効く後輩は嫌いじゃない。燃費は悪いけど。

 

 私は立ち上がってもう一度伸びをする。その後机の上に忘れ物がないか確認し、問題ないようなので掛けていた仕事カバンを肩に背負う。時計を見ると、7時半くらいだった。いつもよりも30分程遅れているがこの程度なら全然許容範囲だろう。

 

「あ、由佳乃ちゃん。焼肉行くなら私達も行くよ」

 

 そう話しかけてきたのは件の別の仕事に逃げた私の同期である同僚達OL3人組だ。お前らなぁ……

 

「はぁ……お前らなあ?」

 

「えへへ。今日の分が以外と早く終わったし、明日手伝うからさ」

 

 キレそう。しかし、今は猫の手も借りたい状況だ。ぐぬぬ、これが足元を見られる感覚か……

 

「……こき使ってやるからな? あと割り勘させろ」

 

「わーいやったー!」

 

「なんだかんだ、由佳乃ちゃんって甘いよね〜」

 

「なんで私こんなに舐められてるんだよ!?」

 

 私が何したってんだよ。

 

「……まあ、自覚ないならいいけど」

 

「匂わせるのやめろよ……ったく」

 

 こいつらの払う金額をちょっと多めにさせてやる。私をあんまり怒らせるなよ!

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「んく、んく……プハー! やっぱ仕事上がりはビールですねーセンパーイ!」

 

「……明日も仕事なんだから、あんまり飲み過ぎないでよ?」

 

「分かってますってー、おかわりー!」

 

 その言動から何も分かってない事がよく分かるな……まあ、こいつはあまり二日酔いしないし別にいいか。酒代くらいは自腹で払わせよう。酔ってるし勢いで誤魔化せば何とかなる筈だ。こいつバk……げぷんげふん、ちょっと抜けてるし。

 

「あ、由佳乃ちゃんそのソース取ってー」

 

「はいはい……」

 

「由佳乃ちゃん、ちょっと布巾貸してくれない?」

 

「……うん、いいよ」

 

「由佳乃ちゃーん、お水入れてー!」

 

「……分かったよ」

 

「センパーイ! 一緒に飲みましょうよー!」

 

「お ま え ら な !」

 

 酒飲んでるのはお前だけだぞ……つーかなんでみんな雑用を私に押し付けるんだよ私だってキレるぞいい加減に!

 

「ええい、どいつもこいつも私の事馬鹿にしてるのか? はぁ……」

 

「それでもなんだかんだやってくれるし、由佳乃ちゃんってチョロ……甘いよねー」

 

「だぁれがチョロ甘だっつーの!!」

 

 うぐぐ……折角の焼肉だってのに既に胃がもたれそうだ。

 

 その胃痛を加速させるかのように、谷本は私に畳み掛ける。

 

「おや、先輩大丈夫ですか? そんなイライラして……」

 

「蹴るぞ」

 

「まあまあ、落ち着いて……ほら、お酒飲みます?」

 

「……今夜だけだからな。あと、後輩の飲みかけを貰う程私は落ちぶれてない」

 

「やだ先輩優しい……」

 

「虫歯が感染りそうだからな」

 

「酷いです先輩! 私は虫歯を抜いた事なんて一度しかないですよ!」

 

 一度はあるのかよ。

 

 それはそうと、私はお酒を注文した。あんまりお酒にこだわりはないし、まあ適当にビールでいいか。谷本も同じの飲んでるし。

 

 明日も仕事なのを考えるとお酒とかあり得ないが、もう知らん。お酒でも飲んでなきゃやってられんよ。

 

「お待ちどう様ですー!」

 

「ああ……」

 

 注文したビールはすぐ届いた。キンキンに冷えていて美味しそうだけど、今一月なんだし、一気飲みするとお腹壊しそうだ……うんちびちび飲もう。

 

「ほら先輩、一気一気!」

 

「抉るぞ」

 

「ど、何処を!?」

 

 この馬鹿みたいに騒いでる後輩は無視して私はビールを飲む。よく冷えていて美味い。やはり、ちょっとづつ飲むに限るな……

 

「あー、そう言えば……藤野さん、いなくなっちゃったよね」

 

 私はその言葉を聞いて、ビールのジョッキを置いた。

 

「そうだねー……結局、警察も探してはいるけど全然見つかってないらしいし」

 

「居なくなった奴の事なんて気にするんじゃない」

 

 私は焼き上がっていた鶏肉を取り、そう言った。ソースは……柚子ぽんでいいか。たまには酸っぱいのも悪くない。

 

「そんな事する暇あったら、仕事をしろ」

 

「……ええと、でもこの中だと1番仲良かったよね、由佳乃ちゃん」

 

「……まぁな」

 

 それは事実だ。近寄り難いオーラを放ってるあいつに話しかけるのはいつも私だった。と言うかあいつを怖がってる奴が私に押し付けてくる。嫌がりながらも断っていないから甘いとか言われるのだろうか。

 

「……あいつの事だ。その内帰ってくるさ」

 

「あはは、なーんか理解ある友達って感じ?」

 

「そんな事ないさ。あいつは小学校から高校まで同じ学校だったが、この会社で再会した時にあいつは私の名前を聞いて「初めまして」って返しやがったんだよ」

 

「あ、あぁ……そうなんだ」

 

「くそっ、あいつ一体何なんだよ……クラスが同じになった事だって何回もあったのに顔すら覚えてないのかよ! 私は別にイメチェンなんてしてないぞ!?」

 

 いつの間にか、ビールのジョッキは空になっていた。お皿に盛った筈のお肉もないし、おかわりしよ。

 

「店員さんおかわり! それでさ、直接あいつに聞いたんだよ。学校同じだったけど本当に覚えてないのかって! そしたらあいつマジで不思議そうな顔した挙句、真顔でごめんなさい全然覚えてないですってさぁ!」

 

「お、おう……?」

 

「チキショー! こちとらあいつが行くからって同じ高校行くのを決めたのにぃ! 大学は残念ながら無理だったけどできれば一緒に行きたかったよ!」

 

「え、えぇ……?」

 

「折角同じ職場になったってのにぃ! あいつ一体何処に行きやがった! 昨日は手当たり次第に探したんだぞ! あいつの知り合い当たったり、あいつの自宅に行ってみたり、メールとか電話とかしたりしても返信来ないしぃ……つーか、あいつの唯一親しくしてた奴もなんか連絡取れないしぃ……」

 

「う、ううん……?」

 

「んもー! なんなんだよあいつぅ! 人がこれだけ心配してお前の事考えてるのにぃ……明美ぃ、お前何処行ったんだよ……わたしはまだおまえになにもできてないの……こんの朴念仁がぁ!」

 

「せ、先輩……?」

 

 気が付けば、視界がゆらゆらとしていた。あ、なんだか、とても、きもちいい、ような……あはははは。

 

 

「コンチキショー! 今夜はもう飲むぞ! 行くぞ谷本、谷本、谷本! 3人でジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」

 

 

「ど、何処から突っ込めばいいんですか!?」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 翌日。会社のオフィスにて。

 

「うぇっぷ……」

 

「先輩、大丈夫……じゃないですよね」

 

 か、身体が怠い……頭痛がする……は、吐き気もだ……な、なんてことだ……この私が……気分が悪いだとぉ?

 

「うう……」

 

「もう、私より飲んで2日酔いになるなんて……」

 

「お前だって、結構飲んでただろうに……」

 

「鍛え方が違います。さあ、お仕事始めますよー」

 

「納得いかない……っ!? おrrrrr……」

 





Q.先生って優秀だったの?
A.女子力捨ててる人間を馬鹿にしてはならない。仕事してる時はずっと感情が抜け落ちたような顔してる。社畜顔。

Q.今回登場した女って先生の元友達?
A.いいえ、違います。先生の元友達は中3で知り合って大学まで親しくしてたけど違う会社に就職してそれ以来疎遠になっています。

Q.キマ……キマ……
A.多分ただの構ってちゃんですね。

Q.今回の話って何か意味あるの?
A.いずれ分かるさ。いずれな……

Q.結局先生が遊戯王世界に行った原因って何よ?
A.知らん。そんな事は俺の管轄外だ。

明日は新作のFEやるぞー!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。