バンドリ! コズミックパーティー(仮 (ツナ缶マン)
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Poppin'Party篇1-学・園・体・験
学・園・体・験-1 夢への序章


フォーゼ生誕10周年とバンドリプロジェクト始動6周年とガルパ4.5周年記念なのでふと思いつきで投稿です。
クロスの物語ははどんどん思いつくけど導入部分が一番難しいですね。


「ここらへんで一旦休憩しようか」

 

 

 

私は牛込(うしごめ)りみ。Poppin’Party(ポッピン パーティー)というバンドでベースを担当しています。

今日は有咲ちゃん家の蔵で練習で、今はみんなでお茶を飲んで休憩中です。

私はお茶と練習前にドラムの沙綾ちゃんの実家でやってる”やまぶきベーカリー”から持ってきてくれたチョココロネを食べてリラックスしてたら、バンドリーダーの香澄ちゃんからお話が始まりました。

 

 

「ねぇねぇ~。来週転校生来るって噂ホント? 」

 

「ホント、なんか数か月の間だけ、うちにいるらしいぞ。月曜の朝に集会で紹介するってことになってる」

 

「へぇ~ でも転校生来るってなんだかドキドキするね」

 

「しねーよ」

 

 

香澄ちゃんが最近学校内で噂になっていることを生徒会の書記をしているキーボードの有咲ちゃんに質問していた。

 

 

 

「有咲ちゃんはどんな人が来るか知ってるの?」

 

「生徒会室で燐子先輩と一緒に話を聞いただけだけどな」

 

「有咲~教えてよ~」

 

「でもどんな人で、どこの高校から来てるかとか気になるよね」

 

沙綾ちゃんも結構気になってるみたい。

でも、”転校生”って高校だと珍しいから少し気になります。

 

「燐子先輩と聞いた話だと、転校経験が多くて、すぐに友達を作れるような子だってさ」

 

「すぐに友達作れるって香澄に似てるね」

 

「えへへ~」

 

「相手校は”天ノ川学園高校”ってとこだな」

 

「その学校の名前、テレビで聞いたことあるような・・・」

 

「香澄、それって宇宙飛行士の試験してるってやるじゃない?」

 

「それだ!宇宙かぁ、行けたらキラキラドキドキするんだろうなぁ~」

 

「それだけじゃなくてだと色々都市伝説みたいな噂があるらしいぞ」

 

「へぇ~どんな話があるの?」

 

「色々あったけど『学園内で宇宙服着てるやつを見かけた』とか、『学園内で車がデカいロボットに変形した』とか、『学校からロケットが打ち上げられた』ってあったな」

 

 

普通だったら噂にすらならないような話だけど、

有咲ちゃんが言うにはいろんな人が見ているけど夢みたい内容だから都市伝説扱いされてるんだって。

 

 

「あはは~有咲~。流石に嘘でしょ、私でもそんなのわかるよ~」

 

「でも、ちょっと前まで学校ヒエラルキ―があったって噂は本当らしいぞ」

 

「ねぇさーや、ヒエラルキ―?って何?」

 

「アメリカのドラマとかにみたことあるけど、学生のグループ分けみたいなのだよ」

 

「へぇ~」

 

「香澄。お前絶対わかってないだろ」

 

「あはは~・・・」

 

 

香澄ちゃんは笑ってごまかしてるけど、私も正直ヒエラルキ―については分からない。

アメリカってそういう風になってるんやな~って感想しか持てなかった。

 

 

 

そう言えばおたえちゃんは?

目の前のお菓子とお茶に夢中になってるみたいで、全然話を聞いてないみたい。

私も、休憩が始まってからあまり話してはないけど、話は聞いてる。

 

チョココロネはこれで4個目だけど。

まだまだコロネには余裕があります。

 

 

「そう言えば、元転校生のりみりんは転校前はどんな友達いたの?」

 

「えぇ!?」

 

 

今まで目の前のお茶とお菓子に夢中になっていたおたえちゃんが急に話を変えてきて、変な声を上げちゃった。

おたえちゃんも話聞いてたんだ・・・

 

 

「でも、おたえの言う通り。りみりんの大阪時代って少し気になるなぁ」

 

おたえちゃんの一言から沙綾ちゃんの援護で、急にみんなの視線が集まる。

 

「えっとね・・・」

 

有咲ちゃんの話に思い出した大阪でお友達の話をポピパの皆に話したら、皆からの色々聞かれて、話が終わった時には日が沈見かけるくらいの時間になってました。

 

 

 

日が変わって、月曜日

有咲ちゃん家の蔵での話通り、朝から集会が行われました。

壇上では有咲ちゃんが司会として集会の進行をしていました。

 

「では、転校生の紹介を行います。転校生は壇上にお願いします」

 

壇上に上がってきた姿はリーゼントをした、丈の短い学生服を着た大阪の友達でした。

 




誤字脱字報告お願いします。
後2話以内では変身させます。


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学・園・体・験-2 登場・ヤンキー転校生

今回まではキャラ目線で話を書いています。

次の話以降は基本的には3人称視点をメインにしていこうと思います。


 

(見た目最悪じゃねぇか。何を考えて相手の高校は不良を送ってきたんだよ・・・)

 

私と同じ壇上に立つ男子。

それが噂の転校生だ。

 

 

生徒会の会議で以前から話だけは聞いていた。

”共学化に向けた男子生徒の試験編入”という題目で、数か月間だけうちの学校に通うことになった男子。

初めて見た第一印象は最悪だ。正直、この人選は明らかに失敗だろう。こいつを送り出した相手の学校側に文句を言ってから、送り返してやりたい。

 

 

 

リーゼントに短ランという姿で”数世代前の不良”を忠実に再現したような服装で、

さながら不良漫画からそのまんま飛び出してきたようなスタイルだ。

 

 

この姿だけでも男子になれていない女子高生にとってはあんなのが前にいたら普通はビビる。

それを証明するかのように、集会に参加している多くの生徒の顔が固まってるのが壇上からもはっきり見える。

 

不良って言葉に過敏に反応しそうな紗夜先輩は表情こそ見えないが、

あれは怒りで肩が震えているということは、壇上からでもはっきりと分かる。

 

怖がってないとはっきりと分かるのは、沙綾以外のポピパとハロハピの2年生組くらいだ。

ハロハピ組は本当にヤバかったら弦巻さんの黒服さんたちが何とかしてくれるから安心してるのはわかる。

 

でも、ポピパのメンバーは分からない。

特にあの引っ込み事案なりみが怖がる素振りすら見せていないのが一番の謎だ。

 

 

 

 

っと、いけない。いけない。空気に呑まれて司会を忘れてしまった。

私は気持ちを切り替えて、会の進行を再開する。

 

「そっ、それでは転入生に一言挨拶をお願いしたいと思います」

 

言えた。

少しビビッて最初に言葉に詰まってしまったが問題ない。

後は燐子先輩が、マイクを転校生に渡して自己紹介が終われば教師からの説明等が始まるので司会としての役割を終えることが出来るので、ひとまず安心だ。

 

しかし、いつまでたっても燐子先輩が動く様子がない。

壇上の舞台袖に待機しているはずの燐子先輩を横目で確認する。

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・

あれはダメだ。入学式でのスピーチみたいに目の焦点がまったく合っていない。

それどころか恐怖心で顔が真っ青になって動けそうにない。

 

他の生徒会メンバーも燐子先輩ほどではないがすぐには動けそうにない。

私は司会用のマイクを転入生の渡すべく、壇上を移動する前に転入生が自己紹介を始めてしまった。

 

 

 

 

「天校から来た『如月弦太郎』です。俺の夢はこの学校全員と友達になることっす。よろしく!!」

 

 

 

 

転入生、如月が壇上から降りた後、教師からの説明では、以下の内容が伝えられた。

・学年は3年生。

・男子に慣れてもらうため、たまに他の学年と一緒に授業に出てもらう。

・編入元の学校できていた制服を着用して登校してくること。

・明日から授業に参加する。

 

 

あの服装が許される学校って相当ヤベエんじゃねぇか?

しかも、とんでもない爆弾がクラスに来るかもしれないって言うおまけ付きだ。

 

自己紹介でも感じたが、これはやばい・・・

見た目は不良で、中身は香澄同じようにグイグイ行くタイプだ。

香澄と同じタイプがこれ以上増えたら、過労で倒れる・・・

絶対にこいつとは関わらないようにしよう・・・

 

 

そう決めた私は教師の話を聞き流し、集会を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――集会終了後

ポピパのメンバーに合流しようとした私を教師が呼び止められ、

教師から出た言葉に私は耳を疑った。

 

「市ヶ谷さん。すいませんが、本日の昼休みから如月君に校舎の案内をお願いします」

 

教師からの突然の宣告。

とっさに私は言葉を返した。

 

「私ですか・・・?同じ学年の先輩方のほうがいいのではないでしょうか・・・?」

 

「本来なら生徒会長に頼むべきですが、白金さんでは無理みたいですので、

昼休みで終わらなければ午後の授業時間も使ってください。授業は出席扱いにしてもらいますので。それでは市ヶ谷さん、お願い致しますね」

 

教師は伝えることだけを伝えて、職員室へ向かっていしまった。

こうして私は転入生『如月弦太朗』の学校案内役に強制的に任命されてしまった。

私の覚悟は決めてから10分も持たずに打ち砕かれてしまった・・・

 

この案内が学校全体を巻き込んだ大事件へ関わってしまう切っ掛けになってしまうことを

この時の私は知らなかったんだ・・・




誤字脱字報告お願いします。

バンドリ時空で学校で男出そうとすると共学化は結構テンプレですね・・・
次回変身させたいですねぇ・・・


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学・園・体・験-3 目的・再開・そして―――

変身初投稿です。

感想・誤字報告もらえて正直嬉しさリミットブレイクしてます。

質問ありましたが、ライダー部とメテオさん先輩ライダーは3話執筆時点では本編登場予定はないです。
出ても回想や名前だけ出てくると思います。

小ネタとか上げる機会があったら出るかもしれません。


全校生徒に対して「友達になる」と宣言後、

降壇した弦太朗は教師によって空き教室に案内されていた。

 

現状の学力を確認するための試験を実施し、昼から校舎の案内が行われるのが本日の弦太朗の予定になっている。

 

―――花咲川の全員と友達になる。

 

集会で宣言したことは弦太朗の大きな目標であるが、

今回の編入にはそれとは別の目的が存在していた・・・

 

ことの始まりは今から2週間前に遡る・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――――2週間前 天ノ川学園

 

「翔太朗先輩、お久しぶりっす。急に電話なんて何かあったんっすか?」

 

『あぁ、天ノ川学園の外でスイッチが見つかった。また”連中”が行動を起こすみてぇだ』

 

「”連中”ってまさか、SOLU の時の・・・」

 

『そうだ、あの死の商人”財団X”だ。スイッチを天ノ川学園の外にある”コズミックエナジー”が強い地域でばら撒いて性能を試す。

っていうのが奴らの狙いだと俺の相棒は推理している。そこで弦太朗、お前に2つ頼みがある』

 

「賢吾の親父さんや我望理事長の夢を悪いようには使わせねぇ! そしたら翔太朗先輩、俺はどうしたらいいっすか?」

 

『話が早くて助かるぜ。1つはこの事件を”仮面ライダー”として弦太朗、お前に協力してほしい。生憎俺たち”風都”の仮面ライダーは別の事件で街を離れるわけにはいかねぇ。この件はお前の部活”宇宙仮面ライダー部”だったか?そこの連中にも話はつけてある』

 

「わかりました! それで何か手掛かりはないんすか?」

 

『取引現場からスイッチを持って逃げた奴の”落とし物”が見つかってな。そこからスイッチをばら撒く地域の目星がつけた』

 

「落とし物っすか?」

 

『とある女子高の資料だ。資料によれば共学化に対して試験的に編入する男子を募集してるって話だ』

 

「もう1つの頼みってのは、その学校に入って中から犯人とスイッチを探せってことっすか?」

 

『あぁ。その手筈はこっちで整えてある。

整えてはあるんだが・・・

やってもらうことがあってだな・・・』

 

「なんすか。もったいぶってないで教えてくださいよ。なにしたらいいっすか?」

 

『・・・勉強だ』

 

「・・・はぁ?」

 

『勉強だ。お前の部活の副部長?だったかに勉強を叩き込んでもらうことになってるからな。頼んだぞ、じゃあな』

 

「ちょっと、翔太朗先輩!!」

 

編入するまでの2週間。

宇宙仮面ライダー部によるしごきによって弦太朗の成績が大きく上昇したのはまた別の話である・・・

 

 

 


 

 

試験では花咲川での平均よりも少し下程度の点数を取れた弦太朗は

昼から行われる学校案内が始まるまで教室内で待機している。

 

教師の話では生徒会の人が学校を案内を行い、それが終われば初日は終了の予定だ。

一人で待機している教室のドアが開く音とともに視線をドアに向ければ、

そこにはテスト採点を行った教師と1人の生徒がいた。

 

「如月君、お待たせしました。学校案内はこちらの生徒にしてもらうことになっていますので、案内でわからないことがあれば彼女に質問してください。案内が終了したら職員室に来てください。

では市ヶ谷さん、案内はお願いします。私は授業の準備がありますのでこれで失礼します」

 

教師は足早に教室を後にし、教室内には弦太朗と案内役である生徒の2人だけになる。

 

「御機嫌よう、如月さん。私、生徒会書記の2年市ヶ谷有咲と申します。本日は如月さんの学校案内をさせていただきます」

 

「おぅ!! 有咲。今日はよろしく頼むな」

 

「っ!!・・・それでは、まず校舎の1階から案内をさせていただきますので、ついてきてください」

 

 

 

 

 

有咲による校舎案内が始まり、

弦太朗の姿は不良の見た目に反して、その説明を聞く姿は真剣そのものであった。

見た目から想像できないその姿は遠巻きにその姿を見ていた生徒の一部には好印象を与えた。

 

 

「まずは1階について説明させていただきましたが、何か質問はございます?」

 

「いや、質問はないけど・・・いい学校だな。歴史を感じるけど古臭さを感じねぇって言うか・・・」

 

「如月さんの通っていた天ノ川学園の設備に比べたら、大したものではないと思いますが?」

 

「転校していろんな学校を見てきたけど、この感じ嫌いじゃねぇ」

 

 

案内人の有咲に対しても気まずい空気にならないように

弦太朗は話を振ってはいるが、何とも言えない空気感が二人を包んでいた

 

 

しかし、この空気を最初にぶち壊したのは

有咲にとって意外な人物であった。

 

 

 

 

 

 

 

「有咲ちゃん?こんなところで何してるの?」

 

集会の際に、弦太朗を見ても表情が変わらなかった一人・・・

りみである。

 

 

「あぁ、今この人の学校案内してるとこ。りみは購買で売ってるコロネでも買ってきたのか?」

 

「えへへー。正解」

 

「・・・コロネ。・・・りみって、もしかして牛込りみ?」

 

コロネと名前だけで苗字まで出す弦太朗。

 

表情の固まる有咲に対して、

名前を呼ばれたりみは明るい表情を浮かべ右手を差し出す。

 

弦太朗もそれに答える形で右手で握手をした後、互いに拳を作り打ち付け合う。

 

これは弦太朗との”友情のシルシ”だ。

 

「やっぱり、弦太朗くん!! 久しぶりやね!! いつから東京におんの?」

 

「おぉ!! やっぱりか!! 1年くらい前から天校にな!!」

 

「そうやったんやね!! 今度話し聞かせてな? 後、連絡先教えて?」

 

「おう」

 

引っ込み思案のバンドメンバーが転校生の不良に対して謎の握手をした後、興奮気味に会話をしている。

 

この事実だけで、有咲の思考を停止させるには充分すぎた。

思考停止する有咲の目の前で連絡先を交換し、盛り上がる2人。

 

思考が最低限回復した有咲は2人に対して当たり前の質問をする。

 

「えっと、2人はどういったご関係なんでございましょうか?・・・」

 

「ダチだ(お友達だよ)!!」

 

思考が回復してきた有咲は”大阪時代のお友達”ということは分かった。

理解はしたが納得できない。

 

なぜなら、あまりにも2人の性格が違いすぎるからだ。

 

「有咲ちゃん、私もついて行っていい?」

 

「おっ・・・おぅ・・・」

 

学校案内にりみがついてくることが決まった次の瞬間

この空気を壊す2つ目の出来事が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

「(キャーーーー)!!」

 

「ちょ・・・まま・・・!!」

 

校舎の裏から響く悲鳴だ。

悲鳴を聴いて、そのもとへ走り出す弦太朗とそれを追いかける2人。

 

悲鳴から逃げる生徒をかき分けて進む3人の前には

弦太朗にとっては見慣れた存在であり、

追いかけた2人には初めて目にする怪物。

 

「ゾディアーツか・・・」

 

ゾディアーツ―――

スイッチによって人間が変身した怪人―――

 

弦太朗が”仮面ライダー”として、学園の自由と平和を守るために戦った相手である。

 

その体にオリオン座を持っている。

奇しくも弦太朗が天校で初めて倒した星座を持つオリオン・ゾディアーツ

 

それがここ、花咲川で現れたのだ。

「なに・・・これ・・・?」

 

「りみ⁉ 如月!! こいつについて何か知ってんのか?」

 

「後で説明する!! 2人とも下がってろ!!」

 

困惑するりみと有咲に対して

弦太朗はゾディアーツの前に立ち、フォーゼドライバーを右手に構える

 

「いくぜ」

 

構えたドライバーを腰に当てる。

当てたドライバーからはベルトが伸びて、弦太朗に装着される。

 

「ダチと学校は俺が守る!!」

 

ベルトに着いた4つ赤いトランスイッチにスイッチを入れ、構える。

 

 

 

 

 

―――戦う覚悟を決めるカウントダウンが始まる。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

 

 

 

カウントダウンが終わり、

”仮面ライダー”としての覚悟の言葉を叫ぶ―――

 

「変身!!」

 

ベルトのエンターレバーを右手で倒し、

その倒した右手で星を掴まんと宙に伸ばす。

 

伸ばした手の先に現れたゲートとベルトから煙のように噴き出す宇宙の力”コズミックエナジー

”が身体を包む。

そして、伸ばした右手で煙を払い”仮面ライダー”へと変身する。

 

”フォーゼ”としての”ライダー”として戦う自分を鼓舞するかのように、

宇宙に力を感じて叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙キターーーーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




感想・誤字報告お願いします。

本編での先輩方の出番はこれで終了予定です。
先輩の活躍は”風都探偵”で確認してください(ダイマ)


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学・園・体・験-4 ライダーと黒い影と秘密の約束

戦闘描写って難易度レベルMAXでした・・・

戦闘の時の声ってどう表現したらいいんだろう?と試行錯誤してます。

これなんじゃ神山先生に怒られてしまう・・・



怪物・・・ゾディアーツに遭遇する―――

 

 

 

これまでに周囲が起こす問題行動ですら、些末なことと思わせる異常事態。

この目の前で起こったので異常事態にに対して、更なる異常事態が彼女たちを襲った。

 

 

りみにとっては旧知の友人が、

有咲にとっては初めて知り合った男子が目の前で別の異形に変身し、理解不能な言葉を叫びだす―――

 

異常事態の連続に困惑する2人をよそに変身した弦太朗―――”フォーゼ”はオリオン・ゾディアーツに対して握りこぶしを突き出し、宣言する。

 

 

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

宣言に聞いたモノの反応は三者三様であった。

 

挑発と認識し、怒りだすゾディアーツ―――

フォーゼの宣言にさらに混乱を深めるりみ―――

フォーゼが宣言した”仮面ライダー”という反応を示す有咲―――

 

 

 

―――仮面ライダー

人知れずに人類の自由と尊厳を守るために戦いを続ける都市伝説で語られるヒーロー。

 

 

目の前で変身した男は自らその都市伝説で語られるヒーローであることを名乗り、そして目の前でゾディアーツと彼が呼んだ怪物と対峙している。

 

このことが彼―――如月弦太朗が”仮面ライダー”である。

という事実を有咲が理解するには十分であった。

 

 

その事実を有咲が理解したと同時に互いが走り出し、距離を詰め・・・フォーゼの花咲川での初戦闘が始まる―――

 

 

 

 

 

 

 


 

「うぉりゃ!!」

 

その戦闘はりみや有咲の素人目から見てもフォーゼの優勢であった。

 

オリオン・ゾディアーツからの攻撃は全てフォーゼによって回避される一方、フォーゼから放たれるパンチは全てオリオン・ゾディアーツの体へ吸い込まれるように当たっていく。

しかしゾディアーツへのダメージは少ない。

 

そのことを把握したフォーゼは戦闘スタイル―――ベルトのスイッチを交換する時間稼ぐため、背中のバックパックを吹かしゾディアーツへ向かって飛んでいく。

 

 

「ドリャ!!」

 

 

勢いそのままにオリオン・ゾディアーツへ飛び蹴りを食らわせる。

 

飛び蹴りを受けたオリオン・ゾディアーツは蹴りによって後退するが、再びフォーゼに向かい突進する。

 

オリオン・ゾディアーツの後退したわずかな隙をついてフォーゼは×と□―――右足と左腕のスイッチを交換し、起動する。

 

 

 

 

――――チェーンソーON――――――

――――――――ハンマー ON――

 

 

 

 

起動と同時にフォーゼの右足にチェーンソー・左腕にはハンマーが生成される。

 

「オリャ!!」

 

突進の横をすり抜け、すれ違いざまに左腕のハンマーを振り下ろす。

振り下ろしたハンマーは背中に命中し体勢を崩したオリオン・ゾディアーツに追撃のチェーンソーを振り抜く。

 

2つの攻撃により大きなダメージを受けた怯むオリオン・ゾディアーツ―――

 

 

「うだうだやるつもりはねぇ。一気に決める!!」

 

 

勝負を決めるべく、フォーゼの最大戦力のである”40”番のスイッチ”コズミックスイッチ”をベルトに装填―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ!? 挿さんねぇ!!」

出来なかった。

 

コズミックスイッチ完成直後―――

仮面ライダー部の仲間たちの絆を感じる前と同じようにスイッチがベルトから弾かれてしまう。

 

フォーゼのピンチに対して、

オリオン・ゾディアーツは自身のエネルギーを近くにいた有咲達2人に目掛けて放つ―――

 

「っ!! アブねェ!!」

 

2人の前に身体を割り込ませ、体で受け止めるフォーゼ。

受け止めたエネルギーはフォーゼが受け止めると同時に大きな爆炎を発生させた。

 

「「・・・!!」」

 

爆発への驚きのあまり言葉を失う2人。

 

 

爆炎のはれた後にはフォーゼの姿のみが残るのみで、オリオン・ゾディアーツは爆炎に乗じて撤退したようだ。

 

 

 

 

「2人とも大丈夫か!?」

 

「うん・・・」

 

「あぁ・・・」

 

変身したままの弦太朗が庇った2人は特にケガをした様子もない。

爆炎によって巻き上げられた土によって衣服が多少汚れた以外には問題なさそうである。

 

「とりあえず、如月。説明しろ」

 

「あぁ、わかt「何ですか!! 今の爆発は!!」ってやべぇ逃げるぞ!!」

 

 

「キャッ!!」

 

「うおぉ!!」

 

説明することを承諾する前に遠くの方で爆発音を聞きつけて人が接近してくる。

 

現状を見られたら犯人にされかねない弦太朗は現場から逃走すべく、目撃者の2人を抱えつつ、スイッチの交換し起動した。

 

 

――――スモークON――――――

――――――ホッピングON――――

 

起動したスモークスイッチに煙を人が向かってくる方向目掛けて放出する。

 

煙によって視界を遮った後、ホッピングスイッチによって校舎の屋上目掛けて飛び上がる。

 

「キャァァァァァァ!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

抱えられた2人の絶叫を残して、現場には戦闘の跡を残すのみである。

 

弦太朗たちの離脱に少し遅れて煙の中から女性とが飛び出す。

 

 

 

現場近くに居合わせた風紀委員・氷川紗夜である

 

「何ですか・・・これは・・・」

 

紗夜に遅れて教師達が現場に姿を現し、

惨状を目の当たりにした教師たちによって本日の授業の中止と目撃者からの聴取の実施が決定した。

屋上で変身を解除した弦太朗は

りみと有咲のに対して変身したことを秘密にすること

その代わりとして放課後に可能な限りを説明することを約束して屋上を後にした。

 

 

その後すぐに事件の目撃者として弦太朗・有咲・りみの3人は生徒指導室に呼び出され、事情徴収を受けていた。

 

3人と教師の他に、戦闘後の現場の第一発見者であり風紀委員の紗夜が同席していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・では、改めて聞きますが、3人も校舎裏で化け物を目撃した。このことは間違いないでしょうか?」

 

「はい。如月さんに対しての学校案内中に牛込さんに会って、その直後に悲鳴が聞こえた校舎裏に向かったら化け物がいました」

 

 

 

「他の方も『化け物がいた。』と証言していますが!!正直信じられません!!そもそも、如月さんの転入初日にこんなことが起きるなんて何か関係があるとしか思えません!!如月さん!!あなた何かやったのでしょう!?」

 

 

同席している紗夜からの弦太朗に対して、犯人と決めつける言葉に対して、それを有咲がそれに反論する。

 

「すいませんが紗夜先輩。私たちが現場に向かったのは、最初の悲鳴の後なんです。最初の悲鳴を上げた生徒達とは彼女たちが逃げてるときにすれ違っていますので、彼は化け物とは関係はないはずです」

 

「そうですねぇ。最初に見たという生徒たちも『逃げてる時にすれ違った。』って証言もありますので・・・」

 

「それは彼に脅されてるからでしょう!! 不良の言葉なんて信用できません!!」

 

「・・・氷川さん。確かに彼の服装はいささか問題がありますが、証拠もないのに『脅した』なんて言うのは貴女らしくありませんよ?」

 

「・・・っ!!」

 

有咲の反論と教師からの言葉によって、反論できなくなった紗夜は言葉なく弦太朗を睨みつける。

 

「・・・如月さん申し訳ありません。これで話は終わりますので皆さんはすぐに下校してください。また後日話を聞くことになると思いますので、その際はよろしくお願いします」

 

教師からの聴取が終わり、紗夜は無言で部屋を飛び出し、弦太朗たち3人だけが残される。

 

「2人ともすまねぇ、変身したこと黙っててくれて」

 

「ううん、助けてもらったんだから」

 

「あの場で『如月が変身して、化け物を追い払いました』なんて言っても信用されるわけないだろ」

 

「そっか。じゃあ屋上での約束した通り、知ってることを話すけどどっか場所はねぇか?」

 

「なら、うちの蔵でいいだろ。さっき香澄達とも話して蔵練は中止にしたし」

 

「そうだね。なら弦太朗くん荷物持ってくるから校門で待っててね」

 

「いや、俺も2人の教室についてくぜ。荷物はこの部屋に置いてあるしな」

 

「2人とも早くしろー」

 

そうして3人は指導室から出て2年生の教室へ荷物を取りに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!!」

 

指導室から出た3人に対して、影から舌打ちして憎しみを持った視線を送る人物がいた。

 

 

――――その手の中には黒いスイッチが握られていた――――

 

 




誤字脱字報告お願いします。

感想もらえて感謝スパーキング

カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 4/40 ( コズミック君は使えなかったからカウントしてない。いいね? )



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学・園・体・験-5 彼女たちはどうして覚悟を決めたのか

投稿です。

評価がついてるのをお外で確認して、ヤベェェ!!とハザード状態で驚いておりました。

キャラ崩壊は感じてますがこれからキャラに寄せていくように頑張ります。



 

学校を後にした弦太朗一行は有咲の実家にある蔵の地下にいた。

 

「さて、如月?屋上で言った通り、さっきの化け物とあんたの事について話せよ?」

 

有咲のその言葉には、弦太朗に学校を紹介していた時にお淑やかさなど微塵も感じさせない。彼女の素である少々乱暴な口調で問いかける。

 

それに対し、弦太朗は隠す様子も無く、先ほどの化け物―――ゾディアーツについての説明を始める。

 

 

 

 

―――ゾディアーツ

スイッチによって人間が変身する星座を模った化け物。

変身に使うスイッチはゾディアーツスイッチと呼ばれ、多くの使用者のスイッチの力によって感情と人格が歪ませ、最悪の場合には使用者を消滅させてしまう悪魔のアイテムである。

 

以前に天ノ川学園を中心にばら撒かれていたこの悪魔のスイッチが、ここ花咲川周辺の地域に出回っていることを告げる。

 

 

「まぁ、化け物――ゾディアーツ?ってのは大体わかった。それで、如月は都市伝説のヒーロー・・・”仮面ライダー”で、事件を解決するために花咲川に編入してきたってことでいいのか?」

 

「あぁそれで間違いねぇ。みんなはあいつらが出ても戦えねぇ・・・

だから俺が花咲川のみんなを守る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの大切な思い出を作ってきた街――

そこに現れた化け物・ゾディアーツ――

そのゾディアーツ 相手に文字通り命を懸けて戦う弦太朗――

これから事件に巻き込まれるかもしれない大切な友人達 ――

 

 

今までの大切な思い出と、今日の体験した出来事、そしてこれから起こるかもしれない最悪の未来を想像した彼女は、1つの覚悟決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も手伝う!!」

 

 

「「りみっ!?」」

 

 

突然の発言に驚きを隠せない2人。

普段”引っ込み思案で怖がり”な性格のりみが自分から危険に飛び込むと宣言しているのだ。

 

当然有咲は反対する。

 

「絶対ダメ!!りみに何かあったらバンドどころじゃなくなるし、最悪大けがで死ぬかもしれないんだぞ!!」

 

「友達が困ってるんやさかい助けてやらんと。有咲ちゃんも香澄ちゃんが同じこと言うたら止めるん!?」

 

「そっ・・・それは・・・」

 

 

普段のりみからは全く想像出来ないくらい怒気を含む発言に言葉を詰まらせる有咲。

りみの宣言に対して弦太朗は応える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、分かった!!りみ、そしたら手伝ってくれ」

 

 

みんなを守るといいながら、りみが危険に飛び込むことを許している。

先ほどとは矛盾する弦太朗の発言に対して、有咲は弦太朗に詰め寄り胸倉に掴みかかる。

 

 

 

 

 

 

「おいっ!!お前ふざけんなよ!!お前。りみの事を友達だと思ってんじゃねぇのかよ?友達を危ないことに巻き込んでいいのかよ!!」

 

 

友達思いの有咲にとっては、りみが危険なことをすること自体許せない上に、弦太朗の矛盾も許せないのだ。

 

「互いに支え合って助け合う、それがダチってもんだ!!」

 

 

弦太朗の考えを聞いてしまった有咲は反対できない。

もしこれを否定してしまったら今までの香澄達との関係を否定することに思えてしまったからだ。

 

 

 

 

「それなら、私も手伝う。りみだけに無理させる訳にはいかねぇし、・・・他のみんなを巻き込みたくねぇ・・・」

 

 

 

弦太朗の考え、りみの気持ちを聞いた有咲も友達であるりみを手伝うことを決めた。

 

有咲自身もりみに流されてるとは思う部分はあるが、それ以上に有咲も大切な人達を”危険な目に合わせたくない”という気持ちが事件に関わっていく選択を選ばせたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ有咲。俺とダチになってくれ」

 

右手を差し出す弦太朗。

 

「ちょ!?いきなりなんだよ!!」(男と手をつなぐとか恥ずかしい・・・)

 

「ん?どうした?」

 

「ふふっ」

 

顔を真っ赤にして恥ずかしがる有咲と手を伸ばして握手を待つ弦太朗、その光景を見て微笑むりみ。

 

意を決した有咲は伸ばされている手に握り、学校でりみとしていた握手―友情をシルシ―を行う。

 

「よろしくな、有咲!!」

 

「おぅ・・・よろしく・・・」

 

「有咲ちゃん、顔真っ赤だね?」

 

「うるせぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、3人は夜通し互いのことを語り合った・・・

 

 

 

 

 

 

――――――翌日

 

ゾディアーツの出現によって花咲川学園は臨時休校になった・・・

 

香澄とたえが休校を理由に有咲がいる蔵の地下へ向かう。

 

「学校休みだから蔵で沢山練習できるね!!おたえ」

 

「そうだね。でもその前にお菓子食べてからにしよう。お腹すいちゃった」

 

 

他愛のない会話をしつつ、地下への扉を開けた香澄。

 

 

 

「おっはよ~!!あ~り・・・えっ・・・?」

 

「どうしたの?かす・・・み・・・?」

 

扉を開け固まる香澄とその後ろから地下を除くたえ。

 

2人の目の前には予想をはるかに超える状況が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソファーには昨日学校で見かけた男とその横には肩を寄りかかり寝ているりみ。

さらには男の膝を枕代わりに寝ている有咲。

 

「有咲とりみりんが男の人と寝てる~~~~!!!!」

 

「・・・お盛んだね・・・」

 

目の前の光景に驚きを隠さずに叫ぶ香澄と、あらぬ誤解をするたえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んぁ?」

 

その叫びによって最初に目覚めてしまったのは、膝で寝ていた有咲。

はっきりとしない意識でゆっくりと周囲を見回す有咲。

そして地下の入り口でこちらを眺める2人の姿に気が付く・・・

 

 

「んなあぁぁあぁぁぁあぁぁ。かぁぁぁすぅぅぅぅみぃぃぃぃ!?」

 

 

その叫びに他2人も目覚めて、有咲が指さす方へ視線を向けると

 

 

 

「あわわわわわわわわ!!」

 

「・・・昨晩はお楽しみでしたね?今日のご飯はお赤飯だ」

 

 

 

地下への入り口には思考回路がショート中の香澄と、絶賛あらぬ誤解中のたえのポピパギター組の姿があった。

 

 

 

 

夜通し語り明かしていた3人はその最中に全員で寝落ちしただけであるが、そのことを知らない2人の誤解を解くのにはそれなりの時間がかかるのであった・・・




誤字があったら報告お願いします。

感想評価は気分次第でお願いします。

メッセージの質問来てたので回答をここで
Q.Roseliaにカバーしてほしいライダーの主題歌は?
A.『Alive A life』・『Be The One』とかをおもいっきりビブラート聞かせてほしいです。



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学・園・体・験-6 不揃いのPoppin'Party

プロットが甘々でした・・・
後1~2話でポピパ篇は1度終わる予定でいます。

前半の話はキャラ少ないから話練りにくい・・・
とりあえずTV版で出たバンドは1回はメインの話出す予定ではいます。

モニカはすまん。一部のキャラがつかめないんでガルパで勉強し直します。



 

 

蔵での誤解を解いた弦太朗達は香澄に連れられて街を歩いていた。

 

 

それは香澄が弦太朗へ「街の案内をする!!」という提案が発端だった。

香澄のペースに流された弦太朗は学校周辺の案内をされていた。

 

ショッピングモール・ライブハウス・行きつけの楽器店などを巡り、一行は沙綾の実家でもある”やまぶきベーカリー”を目指す。

 

 

 

 

「それでこの商店街に食べ物は全部おいしいんですよ!!特にさーやのうちのパンはすっご~くおすすめで~!!後、お肉屋のコロッケもおいしくて~!!」

 

「話聞くだけでも腹が減ってくるな!!」

 

「じゃあ、早く食べに行きましょう!!」

 

「おぅ!!」

 

「てか、なんでこいつらは会ってそうそうに息ぴったしなんだよ!?」

 

「似た者同士だからじゃない?」

 

「確かに弦太朗くんと香澄ちゃんって似てるとこあるよね」

 

「もう考えるのもアホらしくなってきた・・・」

 

駆け出す香澄と弦太朗とそれを追いかける有咲達は目的地”やまぶきベーカリー”をへ到着した。

 

 

 

 

 

 


 

 

「さーや!!いるー?」

 

「おいこら香澄。店の中で騒ぐな!!って誰もいねぇじゃねーか・・・」

 

「チョココロネ買ってくるね!!」

 

「じゃあ俺はチョココロネと焼きそばパンだ!!」

 

「それじゃ私はメロンパンにしよう」

 

「って、お前らもお前らで騒ぐなぁ~!!」

 

声を聴いて沙綾の母である千紘が店の奥から姿を現した。

 

「いらっしゃい。あら?沙綾は一緒じゃないの?」

 

「えぇー!?さーや家にいないんですか?」

 

「有咲ちゃんの所に行くって言ってたから一緒だと思ってたわ」

 

「そうだったんですか。じゃあ蔵に帰ろうか」

 

「だから勝手に話決めんなって!!ちょっと待ってろ沙綾に電話すっから!!」

 

 

 

 

 

 

 

だが、何度掛けても沙綾の携帯とはつながらない。

 

 

「有咲ちゃんどうしたの?」

 

「沙綾が電話にでねぇんだよ。もしかしたら蔵の中にいんのかも。蔵の中だと電話繋がりにくいし」

 

「じゃあ、早く戻ってあげないと。沙綾はさみしいと死んじゃうんだよ?」

 

「それはうさぎだろ!!つーか、うさぎも寂しくて死ぬわけじゃねーし!!」

 

「おぉ~有咲が一人で乗りツッコミしてる~」

 

「だぁ~!!もう。早く帰るぞ!!」

 

「ちょっと待ってよ~有咲~」

 

店から飛び出す有咲とそれを追う香澄。

それを後から追いかけるようにパンの購入を済ませた弦太朗達も後に続いて蔵へ戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

私は一人で有咲の家へ向かっていた。

 

 

 

普段、自分から行く際には有咲に連絡を入れてから行くけど、

「今日は香澄みたいに突然行って驚かせてみよう――」そんなふとした思い付きをするために有咲の家に向かっていたら、普段から学校でよく見かける人が”黒いもの”を握りしめてこちらに向かって歩いてくる。

 

その人は私の目の前で止まった。

 

 

 

 

「あの。どうかしましたか?」

 

「・・・・・・」

 

 

 

気になった私はその人に声をかけるが返事がないが、視線を私の顔に向けた。

その人は私の顔を見た途端黒い笑みを浮かべながらその手に握っている黒いものについていたスイッチを押す。

 

 

 

 

 

 

その人は私の前で怪物へと変身した。

 

 

 

 

 

 

目の前で起こった出来事に対して驚きと恐怖によって、脚が動かず、声も出せない。

 

そんな私を怪物は道路の塀に向かって投げ飛ばす。

 

「うぅ!!」

 

塀に打ち付けられた強い痛みと怪物に抱えあげられる感覚を感じて

 

そのまま私は意識を失ってしまった・・・

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーや!!あれ?さーやいないよ」

 

一行は蔵へと戻ったが、そこには沙綾の姿はない。

 

「どっかで追い越しちまったんじゃねぇか?」

 

「いや、店からまっすぐに戻ってきたんだからそれはねぇだろ」

 

「じゃあ私はお茶とってくるね」

 

「じゃあ、俺は外を探してくるぜ!!」

 

「おたえは何勝手に人のうちからお茶持ってこようとしてんだ!!それと如月は沙綾の顔しらねーだろ!!」

 

「それもそうだな・・・」

 

「有咲はコーヒーがよかった?」

 

「だからそうじゃねぇって」

 

りみは沙綾に電話を掛けても沙綾の携帯とはつながらない。

 

「沙綾ちゃん、電話にでないよ?」

 

「やっぱりみんなで探しに行こうよ!」

 

「あぁ~。今探しに行っても沙綾と入れ違いになるかもしれないだろ?それにおたえもホントにお茶取りに行っちまってるし・・・。それに買ってきたパン食ってからでもいいだろ」

 

「みんな、お茶とお菓子取ってきたよ。それ先輩にはコーラ」

 

「おぅ、サンキューおたえ。ってなんで俺だけコーラなんだ?」

 

「??・・・だって不良の飲み物はコーラじゃないの?漫画にそう書いてあったけど?違うの?」

 

「違う!!おたえは漫画と現実一緒にすんな!!」

 

 

その最中、突然りみの携帯へと着信が入る。

通話相手には”山吹沙綾”と表示が―――

 

りみの携帯には沙綾の実家である”やまぶきベーカリー”も別に登録がされているため、

この着信は間違いなく沙綾の携帯から掛けられているものである。

 

りみはこの場の全員に聞こえるようにスピーカー設定に変更して通話を開始する。

 

「もしもし!!さーや!!今どこにいるの??蔵でみんな待ってるよ」

 

「おい。バ香澄。いきなり近くで大声出すな!!」

 

『・・・・・・。』

 

 

通話開始早々の香澄からの第一声に対して、沙綾のほうからは反応がない。

 

「・・・なぁ。沙綾ってこんな無口な奴なのか?」

 

「そんなことないよ。でも電話かけてきて話さないなんて沙綾ちゃんらしくないね」

 

「・・・寝てるんじゃない?」

 

「いや。寝てたらそもそも電話できねーし!!」

 

『・・・・・・。』

 

このやり取りを聞いているはずの沙綾からはいまだに反応がない。

普段の沙綾なら無視するなんてことはしないことはバンドメンバーが一番よく理解している。

 

少しの沈黙の後、沙綾の携帯から反応があった。

 

『・・・如月弦太朗に伝えろ・・・。』

 

「「「!?」」」

 

「・・・俺がどうかしたのか??」

 

「・・・この声・・・誰??」

 

突然の反応に驚く香澄達に対して、名指しの指名に対して反応する弦太朗。

たえの反応からこの声は沙綾以外の誰かであることはわかる。しかし誰がまではわからない。

 

 

 

 

『・・・その場にいるなら話は早い。

如月弦太朗・・・。

今日の17時に花咲川学園まで来い。

来ない場合はこの女には痛い目にあってもらう。

警察に話しても。無駄だ。』

 

「おい!!どういうことだ!!それにお前は!?」

 

『助けて!!怪物が・・・』

 

その声を最後に通話が終了する。

 

 

 

 

「沙綾!?どうしよ!?警察??119!?」

 

「119は警察じゃねぇぞ?ってちょっと待て。最後怪物とか言ってたよな?」

 

「その声は間違えなく 沙綾の声だった。有咲もそう思うよね?」

 

「そうだな。流石に同じバンドメンバーの声を間違えたりしねぇよ」

 

 

怪物とはゾディアーツのことで間違いはない。

ゾディアーツ相手ならば弦太朗のとる行動はゾディアーツを倒すことである。

 

 

 

 

 

「それなら。俺が呼ばれた時間に行くだけだ」

 

「・・・先輩。本気?怪物?とか言ってたけど」

 

「おう、その怪物から沙綾を助けて、ダチになってくるぜ!!」

 

「それなら、あたしも行く!!」

 

「おい、香澄!!何言ってんだ」

 

「だって、さーやが危ないんでしょ?それなら行かないと!!」

 

「ダメだ!!相手がわかんねぇんだから、ここで待ってろ!!」

 

「行く!!」

 

「ダメ!!」

 

「2人とも落ち着いて!?おたえちゃんどうしよう!?」

 

「・・・でも先輩、沙綾のことわかんないんでしょ?誰か行かないとダメじゃない?」

 

「それはそうだけど・・・」

 

 

 

 

 

 

「なら全員で行けばいいだろ」

 

 

目の前で慌てるポピパに対して弦太朗は全員で行くことを提案する。

 

「はぁ!?何言ってんだよ。お前!!」

 

「みんな、ダチを助けてぇって思ってんだ。ならみんなで行けばいい。

それに昨日も言ったろ?互いに支え合って助け合う、それがダチってもんだ!!」

 

「そうだよ有咲!!みんなで行こう!!」

 

「香澄ちゃん。ここは弦太朗くんに任せて。ね?」

 

「やだ!!おたえも行くでしょ!?」

 

「・・・誰かが行くなら行くよ。行かなかったらきっとこのメンバーで震える演奏できなくなるから」

 

 

 

言い出したら止まらない香澄にバンドに対して責任を感じるたえ。

その2人に説得を試みるりみ。

 

 

 

 

 

目の前のやり取りを見る弦太朗に対して、有咲は弦太朗に対して耳打ちする。

 

「どうすんだよ。このままだと昨日のことバレるぞ」

 

「でもな。おたえの言ったように沙綾の顔がわかんねぇ」

 

「それなら写真とかでどうにかなるだろ」

 

「それにほっといたら香澄の奴は勝手について来ちまいそうだし。そのせいでみんなが危なくなったら元も子のねぇ」

 

「・・・確かにそうだけどさ」

 

「だから、有咲これ持って行ってくれ」

 

 

弦太朗は”あるもの”を有咲に渡して、有咲から離れる。

 

 

 

 

「よし!!じゃあ全員で沙綾を迎えに行くか!!」

 

「弦太朗くんいいの?」

 

「おぅ。でも、沙綾助けたら5人は絶対離れんなよ?」

 

 

「わかった!!」

 

「・・・ありがとう。先輩」

 

 

「はぁ・・・やっぱりこうなるのか・・・」

 

 

 

 

 

そして、花咲川学園で”さーや救出大作戦!!”が始まる。

 




誤字があったら報告お願いします。
なかなか自分では見つけられないものでして・・・

感想評価は気分次第でお願いします。

ポピパ篇の次メインは2択ですが、まだ未定です。


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学・園・体・験-7 GIRLS' SCHOOL

投稿です。

皆さんは特撮で好きなシーンってありますかね。
私の最近のお気に入りはフォーゼのカウントダウン時のカメラ切り替え演出と
ウルトラマンシリーズでおなじみの変身時のグングン巨大化するシーンですね。

ホントに誤字脱字減らない・・・
何か減らす方法はありますかねぇ


指定された時刻に花咲川学園に到着した弦太朗一行―――

しかし、臨時休校中の学園内に人の気配はない―――

 

 

「さーや!!どこー??」

「沙綾!!でてこーい!!」

 

 

 

 

香澄と弦太朗の呼びかけに対して反応はない。

 

 

 

「でも、ほんとに沙綾の奴はどこにいるんだ?」

 

「沙綾ちゃんの携帯に電話掛けても出ないよ?」

 

「ったく・・・仕方ない。とりあえず、みんなで一緒に沙綾を探すか・・・って香澄!!。勝手に行こうとすんな!!」

 

「だって~!!」

 

「気持ちは分かるけど。落ち着けって」

 

「でも・・・」

 

「とりあえずみんなで沙綾を探そ?」

 

「おたえの言うとおりだな」

 

「じゃあ!!外から探そ!!」

 

「香澄。何で外からなんだ?」

 

「何となく!!」

 

「はぁ!?」

 

「でも、人いないんだったら校舎の入口は閉まってるよね?」

 

「・・・とりあえず、探すか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーや~!!どこにもいないよ~!!」

 

「もしかして校舎内にいんのか?でも、休校中に校舎に入れるなんて教師とか生徒会関係者くらいしかいないぞ?」

 

 

校庭・中庭・駐輪場をはじめ、先日の現場まで沙綾の捜索したが、沙綾の姿はどこにもない。

残りの場所は校舎内を残すのみ―――

 

 

「あれ?」

 

「どうしたんだ。おたえ?」

 

「今、屋上に人影があったような?」

 

「っ!!さーや!!」

 

「おい待て!!香澄!!」

 

「ちょっと、2人とも!?」

 

「おいっ!!香澄!!如月!!ったく、みんな行くぞ!!」

 

「みんな~待って~!!」

 

 

たえの見た人影を追いかけるべく、屋上を目指す―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「ん・・・」

 

意識を取り戻した私は学校の屋上にいた。

 

 

その場で立ち上がろうとするが動けない。

 

―――彼女の両手足は縄で拘束され、自由に動くことすらできない。

 

 

そんな状態の彼女に近づいてくる足音が1つ・・・

 

「あら・・・起きたんですか・・・」

 

沙綾は声がする方に顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声の主は、学校の先生だったのだ。

 

手足も動かせず声も出せない私をみた彼女は助けるわけでもなく、ただ私に向けて黒い笑みを浮かべた。

 

 

その笑みは気を失う前に見た黒い笑みと全く同じものであった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾はその先生とは接点はなく、名前も思い出せないが、彼女の事は知っていた。

その教師にまつわるとある”噂”である。

 

内容は”男性嫌いである”という物だった。

 

 

曰く、定年間近の男性教師に話しかけられた際にも拒絶反応を示した。

曰く、生徒から没収した男性芸能人の写っている雑誌をそのままゴミ箱に捨てた。

曰く、男子の転校生が来ることになった時は最後の最後まで反対した。

 

などの話が上がっている。

 

 

それにしても分からないことが多すぎる。

 

 

何故、彼女は怪物に変身したのか―――

どうして、私はそんな彼女に襲われたのか―――

私はこの後どうなってしまうのか―――

 

そんな激しい不安と恐怖の中、

彼女は私のスマホで電話をしている会話が聞こえた。

 

 

 

『もしもし!!さーや!!今どこにいるの??蔵でみんな待ってるよ。』

 

『おい。バ香澄。いきなり近くで大声出すな!!』

 

「!!」

 

会話の相手は香澄達―――

 

私の次に襲うのは香澄達?

でも、狙われる理由がわからない―――

 

そんな中、教師の口から予想外の名前が飛び出す・・・

 

「・・・如月弦太朗に伝えろ・・・」

 

『・・・俺がどうかしたのか??』

 

「なっ!!」

 

如月弦太朗―――

昨日、うちに転校して来た不良みたいな男子生徒―――

でも、どうして香澄達と転校生が一緒にいるの??

 

分からないことの連続によって思考が纏まらない。

 

 

ただ助かりたい―――

 

ただその一心で私は声を上げる。

 

「助けて!!怪物が学校に!!」

 

その声と同時に私のスマホは教師のよって握りつぶされていた。

 

助けが届かなかった・・・

その事実を認識した私は自身の心が壊れる音が聞こえた気がした・・・

 

 

 


 

 

「さーや!!」

 

屋上への扉を開けた香澄は沙綾の名前を叫びながら周囲を見回す。

 

 

 

そして、沙綾ともう一人の人影を発見した。

しかし、見つけた沙綾は酷く震えている。

弦太朗達はその人影に見覚えがあった。

 

 

「あんたは、朝の先生!!もしかしてあんたが!!」

 

「・・・えぇ」

 

「ねぇ有咲。あの人誰?」

 

「三浦って名前の先生だよ。確かうちの学校のOGで男嫌いって噂の・・・」

 

「あぁ、私もその話聞いたことあるよ」

 

「もしかして、あんた。俺を呼ぶために沙綾を!?」

 

「あんたが校舎裏でベースの子と一緒にいたからね・・・。バンドの子を痛めつければ来ると思ってね・・・」

 

「ひどい・・・」

 

「でも、どうして弦太朗くんを狙うんですか!?」

 

「この学校はね。女子高で女の子の聖域なの!!

その中に入っていいのは女だけ・・・。

だから男はみんな消えてもらうの。最初はあんた、そして次は教師を消して私は聖域と私の青春・・・思い出を守るの!!」

 

「そんなことのために・・・。さーやに酷いことしたんですか!!」

 

「えぇ。彼女には悪いことをしたわ・・・・。もう心がボロボロみたいね・・・。でも仕方ないの。この聖域を守るために致し方ない犠牲よ。でも、私は悪くないわ。悪いのはそこの男よ!!」

 

 

香澄の叫びに対し、教師・三浦はポケットからゾディアーツスイッチを取り出しながら応える。

取り出したものに対して驚愕する弦太朗達と恐怖で震えが強まる沙綾。

一方で、スイッチの存在を知らない香澄とたえは、不思議そうにそれを見る。

 

「ぁあ・・・ぁぁ・・・!!」

 

「そのスイッチは危険だ!!頼むから捨ててくれ!!そんなもんに頼んなくてもあんたの青春は無くならねぇ!!」

 

「如月の言うとおりです。三浦先生!!それは危険なものなんです!!」

 

「もういい!!まずはこの男を消して、次は男に毒されたあなた達を消してやる!!」

 

 

教師の悪意に反応するように手元のスイッチから声とともにより禍々しい形状へと姿を変える。

 

・・・・・・ラストワン!

 

 

ラストワン―――

その状態のスイッチを使えば、身体は完全に人間の物ではなくなり、その状態が長く続けば人間に戻れなくなる―――

 

「やめろー!!」

 

 

 

 

弦太朗の叫びもむなしく、三浦はスイッチを押した―――

その体は糸に包まれた抜け殻のような状態で横たわり―――

 

彼女はオリオン・ゾディアーツになった―――

 

 

 

「先生が変身したよ!!おたえ!!」

 

「うん・・・。でもあれって確か・・・オリオン座だよね?」

 

初めてゾディアーツへと変身する姿に驚きを隠せない香澄達。

そんな中、弦太朗は懐からフォーゼドライバーを取り出し腰に当てる

ベルトが巻かれると同時にドライバーのスイッチを入れて構えると同時にカウントが始まる―――

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

レバーを押し込み、手を伸ばして弦太朗はフォーゼへと変身し、叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「宇宙キターーーーッ!!」

  

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「あれっていつもやってんのかよ・・・」

 

弦太朗の決め台詞にありさのツッコミが刺さる。

 

「先輩も変身した・・・。なんか白くてウサギみたい・・・」

 

「すっごい。キラキラドキドキするね!!」

 

「ウサギって色だけじゃねーか!!」

 

「ん?よくわかんねぇけど、りみ!!有咲!!みんなの事は任せた!!」

 

「うん!!」

 

「分かった!!」

 

 

――ロケットON―――――――――

 

 

フォーゼは右腕にロケットスイッチを起動し、オリオン・ゾディアーツもろとも、屋上のフェンスを突き破り、校庭へと落ちていく・・・

 

 

「さーや!!」

 

フォーゼたちが校庭へと落下したのを確認したのと同時に香澄は沙綾へ向かって駆け出す。

 

 

「この縄、きつくて解けないよ!!」

 

「こっちもきついね。流石に手じゃ解けないや・・・」

 

沙綾を拘束している縄に悪性苦闘している中、有咲は弦太朗から受け取ったものを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有咲?流石にそれは・・・」

 

「私もそれは流石にないと思う・・・」

 

香澄とたえが指摘するがそれもそのはずである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有咲が取り出したものはそれはスイッチと”ポテト”だったからだ―――

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

とりあえず今回はオリキャラにスイッチを押していただきましたが、
今後はバンドリキャラにもスイッチ押してもらうこともありそうです。


カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 5/40 ( ロケット君は過労死枠 )



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学・園・体・験-8 いくぜポピパ

投稿です。登校です。

ひとまずここでポピパメインは一度終了です

誤字報告ありがとうございます!!
これ来るだけで執筆が1割はかどります!!



縛られてる沙綾の前で”ポテト”を取り出す有咲―――

普段の有咲では考えられない行動に対して香澄やたえからも困惑の声が上がる・・・

 

 

 

「有咲?流石にそれは・・・」

 

「私もそれは流石にないと思う・・・」

 

 

「ちげーよ!!ここ来る前に如月から預かったんだよ!!

 えぇーと・・・確か・・・後ろにスイッチをはめて・・・

スイッチを入れる・・・っと」

 

 

 

 

スイッチを入れたポテトは有咲の手元でヤドカリを思わせるロボット”ポテチョキン”へと変形し、沙綾のほうへと飛び出し、彼女たちの前でポテチョキンは彼女たちが解けなかった縄を容易く切断していく――

 

 

「すごい・・・ポテトが歩いてる・・・」

 

「・・・ヤドカリ?」

 

「有咲!!ロボットが沙綾の縄を切ってる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「沙綾(ちゃん)!!」」」

 

拘束が解かれ、身体が自由になった沙綾へと駆け寄ろうとした彼女たちに、

沙綾から帰ってきたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁあああああああああああああ!!」

 

 

 

 

強い拒絶の叫びだった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな沙綾の姿を見た彼女たちの脚は止まってしまう・・・。

 

 

「沙綾・・・?」

 

「おい・・・どうしたんだよ・・・沙綾っ!!」

 

 

「いやぁ・・・・・・もうやだ・・・・・・こわいよぉ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

沙綾は自身の震える身体を抱き、今の彼女の目に光はない。

 

 

 

目の前に怪物が現れた恐怖―――

その怪物によって受けた痛み―――

怪物の正体知った時の悲しみ―――

助けを求めるべく出した叫びが届いたかも分からない絶望感―――

 

 

 

想像を超える出来事の連続によって、身体も心も深く傷ついたしまった沙綾は完全に心が壊れないように必死になっていた。

 

「いやぁ・・・・・・ぅぅ・・・・・・・ぁぁ・・・・・・いゃぁ・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「沙綾ちゃん・・・?」

 

 

「なんで・・・どうして・・・こんな・・・いやぁあああああ!!」

 

 

今の沙綾には声をかけているのが香澄達という認識が出来ていない。

彼女にとっては目の前にいるのは自分を傷つける”何か”でしかない・・・。

 

 

「さーや・・・」

 

「ちょっと。香澄ちゃん!?」

 

 

 

そんな状態の沙綾へと香澄はゆっくりと近づいていく・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁあああああ!!来ないでぇぇええええええええええええええ!!」

 

錯乱している沙綾は彼女の周りにあるものを手当たり次第に香澄に向かって投げつける。

 

自身を縛っていた縄―――

身に着けていた髪留め―――

ポケットに入っていた財布―――

 

 

 

その中で沙綾が近くに転がっていた石が香澄の頭に当たり、出血するが香澄は構わずに沙綾へと近づき、香澄はそっと沙綾の手を握りしめて呼びかける。

 

 

「大丈夫だよ・・・。さーや・・・」

 

 

 

「か・・・すみ・・・?」

 

香澄に手を握られた沙綾は少しずつではあるが香澄の存在を認識し始めた。

 

 

「・・・うん!!そうだよ・・・香澄だよ!!」

 

「かすみ・・・・・。みんな・・・・・・。うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」

 

 

 

香澄達の存在を認識できた沙綾は安心感からかその場で泣き崩れる。

 

「沙綾!!大丈夫か!?」

 

「・・・沙綾・・・!!」

 

「沙綾ちゃん!!」

 

 

 

沙綾の姿を見た全員が呼びかけながら沙綾へと駆け出す。

 

「みんな・・・!!」

 

 

 

 

普段の沙綾に戻ったことを喜ぶ中、校庭の方から爆発音が響く―――

 

 

「えっ!?何!?」

 

「あー如月の事すっかり忘れてたわ・・・」

 

「そうだね・・・。沙綾ちゃんの事で頭いっぱいになってたね・・・」

 

「そーだよ!!有咲、りみりん!!さっきのは何なの!?」

 

「この先生も何とかしておかないとね」

 

「まずは校舎から出るぞ。おたえ、先生の事任せていいか?」

 

「うん。いいよ」

 

「おたえちゃん。流石に脚を掴んで引きずるのは・・・」

 

「だめ?」

 

「もう何でもいいから、とりあえず出るぞ!!」

 

 

そうして香澄達一同は戦闘が行われている校庭へと向かった。

 

 

 

 

 

 


 

 

一方、屋上から校庭へと場所を移したフォーゼはロケットスイッチをOFFにして、

オリオン・ゾディアーツとの戦闘を開始していた。

 

「まずはこいつだ!!」

 

 

 

――――――スパイクON――――

 

スパイクを起動して左足にスパイクを精製し、蹴りかかる。

キックと同時に左脚のスパイクが伸び、ゾディアーツの身体へと突き刺さる。

フォーゼはスパイクの連続キックによってゾディアーツへと確実にダメージを与えていく。

 

「ぐぅうううう。がぁああああああああああ!!」

 

キックによるダメージを受ける中、ゾディアーツはラストワンによって精製された右腕に持った棍棒をフォーゼに向けて振り回す―――

 

 

 

 

「よっと」

 

しかし、その攻撃全てがフォーゼに回避されて、スパイクによるカウンターでゾディアーツへのダメージが増えていく。

 

「消えろぉおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

ゾディアーツは自身のエネルギーをフォーゼに向けて放つ。

放ったそれはフォーゼの足元で爆発する―――

 

 

 

 

 

爆発の土煙が立ち込める中、フォーゼはスイッチを交換する。

 

――――ランチャーON――――――

――――――――レーダーON――

 

「ロックオン!!いけええええええええ!!」

 

 

フォーゼは土煙の中からレーダーを使って

見えない敵をロックオンして、ランチャーからミサイルを放つ。

 

土煙から突然飛び出してきたミサイルはゾディアーツに対して直撃する。

そんなゾディアーツはフォーゼに向けて言い放つ。

 

 

 

「がぁあああああああああああ!!お前のせいであの女はもうボロボロダァアアアアアアアアア!!」

 

「何言ってんだお前、知らねえのか?」

 

「何言ってるんだ貴様はぁああああああああああああ!!」

 

 

校舎から声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗せんぱぁああああいい。頑張ってぇええええええ!!」

 

その声の主はゾディアーツからしたら想定外の人物。

香澄に手を握られて声を上げる沙綾であった。

 

 

 

 

 

 

彼女は先ほどまで屋上で精神崩壊寸前まで追い込まれていたはず―――

そんな彼女の姿を見てゾディアーツから絶叫が響く。

 

「ナゼダァァァァァァァアアアアアアアアアア!!」

 

「知らねぇのか。

ダチは青春の特効薬だ、なんでも治っちまうんだよ!!」

 

「フザケルナァァァァァァァアアアアアアアアアア!!」

 

「友情に不可能はねぇんだ!!・・・これで決めるぜ!!」

 

 

フォーゼは左足用のスイッチを交換し、右腕スイッチと合わせて起動する。

 

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

右腕に生成されたロケットで上空へと飛び上がり、

空いている左腕でベルトのレバーを引き、ベルトから音声が響く。

 

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

 

その音声とともに上空のフォーゼはロケットの推進力で急降下して左足のドリルで敵を貫く。

自身が最も多くの敵を倒してきた必殺技を叫ぶ―――

 

 

「ライダーロケットドリルキィィィィィック!!」

 

ゾディアーツの身体を貫いたドリルを地面に突き刺さり、その場で身体を回転しながらロケットとドリルのスイッチを切る。

必殺キックにゾディアーツは身体が耐え切れずその場で爆発四散し、その爆発からフォーゼへとスイッチが飛んでくる。

そして、飛んできたスイッチはフォーゼの手によって切られ、その瞬間に消滅した。

 

 

「おっ・・・終わったの・・・?」

 

「あぁ!!」

 

「よかったぁ・・・グスッ・・・!!」

 

 

若干の不安を感じる問いに対して、応えるフォーゼ―――

沙綾はその答えを聞いた瞬間、恐怖が終わったことを知って安堵の涙を流す。

そんな彼女を前に変身を解除した弦太朗は沙綾へと手を伸ばす。

 

「沙綾、俺とダチになってくれ」

 

「・・・はいっ!!」

 

笑顔で応じる沙綾と友情のシルシを交わす弦太朗。

 

「よろしくね・・・弦太朗!!」

 

「おぅ!!よろしくな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・。ここは・・・?」

 

「・・・ねぇ先輩。先生が目を覚ましたよ」

 

先ほどまでオリオン・ゾディアーツになっていた教師・三浦が目を覚ました。

その頭にはいくつかの大きなこぶが出来ていた―――

 

「先生!!大丈夫ですか?」

 

「頭が痛い・・・。・・・これはこぶ?」

 

「こぶって、おたえおまえ・・・」

 

「流石に階段おりるまでが限界だった・・・」

 

「おたえちゃん・・・」

 

 

 

 

たえは先生を屋上から降ろすので力を使いきり、その後は脚をつかんで先生の身体を引きずっていたのだ。

そのこぶはその結果できたものである。

 

「流石にヤベエだろ、これは」

 

「市ヶ谷さんいいの。自分がやったことに比べたら軽すぎるもの」

 

「先生・・・」

 

「山吹さん。ごめんなさいね。それに、如月君。確かに学校は変わってしまうけど、私がここで過ごした思い出は変わらない。そのことを教えてくれてありがとう」

 

「いえ・・・」

 

「うっす!!」

 

「じゃあ、あなた達は早く帰りなさい。ちょっとここで1人になりたいから・・・」

 

 

 

 

「分かりました!!それじゃあ、さようならー!!」

 

「えぇ、さようなら・・・」

 

 

 

 

 

 

その場に先生を残して学校を後にする弦太朗達。

その帰り道―――

 

 

 

 

「うーん・・・」

 

「どうしたんだ。香澄?」

 

「有咲。あのね。なんて呼んだらいいんだろ?って!!」

 

「はぁ??呼び方??」

 

「確かに香澄。先輩の事ちゃんと呼んでなかったよね」

 

「呼び方がしっくりこないって言うか如月先輩って言うのも違うし、名前呼びもなんかしっくりこないって言うか・・・」

 

「香澄ちゃん。それならあだ名でもつけてみたら?」

 

「う~ん。なにがいいだろ~」

 

「ちょっとりみりん。弦太朗に勝手にあだ名付けていいの?」

 

「おぅ。別にいいぞ!!」

 

「いいんかい!!」

 

「よし決めた!!げんちゃん先輩しよう!!」

 

「おぅ!!よろしくな!!香澄」

 

「はい!!」

 

「あっ・・・」

 

「どうしたの??沙綾」

 

「いやー。いろんなことがあったからお腹すいちゃって」

 

「ファミレス行こ~!!」

 

「ちょっと、勝手に話を決めんな!!」

 

 

こうして花咲川で起こった最初のゾディアーツ事件はこうして幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――翌日・通学路

臨時休校が開けて

花咲川は今日から学校が再開されることになった。

 

 

「みんなおはよー」

 

「沙綾ちゃんおはよー」

 

「大丈夫か?」

 

「あれ弦太朗と香澄は?」

 

「しらねー。寝坊じゃね?」

 

昨日の出来事が嘘かのような日常の登校風景―――

 

 

 

そんな彼女たちの後ろから全力疾走してくる人影が2つ。

 

 

 

「うぉぉぉぉぉおおおおおお!!」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

弦太朗と香澄が後方から大声をあげながら全速力で通学路を走って来る。

そして、有咲達を追い抜かし学校へ向かって駆け抜けていく。

 

「何やってんだ。あいつら」

 

「香澄ちゃんたち。朝から元気だねー」

 

「私も朝のランニングするけどあそこまで全力は出さないよ」

 

「・・・」

 

「ん?どうした沙綾」

 

「ごめん、あたしも行ってくる。待てぇぇぇぇえええええええええええ!!」

 

「ちょ!!沙綾!!」

 

「あはは・・・」

 

 

 

 

「あら、美咲あれ楽しそうね!!私たちもやりましょう!!」

 

「・・・はいはい。こころー。人が一杯いて危ないからやめようねー」

 

「ふぇえええ」

 

 

 

 

 

 

「戸山さん!!如月さん!!あなた達何をしてるんですか!!」

 

「紗夜先輩!!おはようございます!!全力疾走で登校してました!!」

 

「これやるだけでざっと2割はパワーが増した学園生活送れるぞ。絶叫全力疾走は青春のターボエンジンだ!!」

 

「何言ってるんですか!!とりあえずあなた達こっちへ来なさい!!って山吹さん!!あなたもですか!!」

 

 

 

こうして新たな友情とともに弦太朗の花咲川体験は始まったのである。

 

 




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次はAfterglowメインで話を進行します。
その前に1回ポピパ篇での没ネタ投稿するかもしれないです。
では!!


カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 10/40 ( ポテト君はカウント対象だから!! )


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Afterglow篇1-熱・唱・稲・妻
熱・唱・稲・妻-1 夕焼けとの邂逅


Afterglow篇初投稿です。

遅くなってしまい申し訳ありません。
大筋は決めてたんですが、細かいとこで修正挟んでたら遅くなってしまいました。

PC投稿だとスマホ表示での行間が分かりにくいので指摘くださると助かります。




やまぶきベーカリー

商店街の一角にある上昇中のガールズバンド”Poppin’Party “の山吹沙綾の実家でもあるパン屋

 

パンの味は地域でも評判であり、沙綾も積極的に店を手伝っている姿も相まって、女子高生を中心に老若男女問わずに地元の住人から愛されている。

 

「ふんふ~ん、今日は何にしよーかな~」

 

土曜日の今日も店の常連客の一人”青葉モカ”がいつも通りパンを購入すべく店の扉を開ける。

 

そこに待っていたのは店の娘である沙綾の「いらっしゃいませー」の清涼感を感じさせる挨拶・・・

ではなく―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぅ、らっしゃい!!」

 

リーゼントヘアーに店のエプロンを着けた男――

如月弦太朗の威勢のいい言葉が返ってきた―――

 

 

 

ことの始まりは少し前に遡る――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「お父さん、調子乗って無理するからだよ」

 

 

私はお父さんと一緒に店の倉庫へとパンの材料を運んでいた。

その際、お父さんがお母さんにいいところを見せるべく無理して腰を痛めてしまったのだ・・・。

幸い、朝の分のパンは既に焼いており、後は取り出して店に陳列すれば終わりの状態だったのは不幸中の幸いだった。

 

 

「お父さんを病院に連れて行くから、沙綾は店をお願いね。誰かにお手伝い頼むんだったらバイト代も出すから」

 

と言い残してお母さんはお父さんを病院まで連れて行った。

 

 

もう時刻は開店時間を過ぎており、私は予定がなさそうな知り合いに連絡を取るべくスマホを取り出すと、見慣れないバイクが店の前に止まった。バイクの運転手は店へと入ってきた。

 

 

「おっす!!沙綾!!」

 

「いらっしゃいませー!!って弦太朗かー。どうしたの?」

 

「前に約束した通り、パン買いに来たぜ!!」

 

 

先日起こった事件―――

怪物のこととか仮面ライダー?の事を聞いたけど、それ以上に弦太朗に興味がある。

 

昔に妹に読んであげた絵本に出てくる白馬に乗った王子様みたいにピンチに颯爽と駆けつけて助けてくれたことを思い出すとすごくドキドキする。

実際は白馬に乗ってなくて、ロケットを持って飛んできたんだけどね。

 

あの後、一緒にご飯を食べたりするようになって、その際に「私が店にいるときに店にパンを買いに来る」と約束して、今日パンを買いに来てくれたのだろう。

 

買いに来てくれてるところ申し訳ない気持ちもない訳ではないが、”二人っきり”という魅力的な状況の誘惑に負けた私は弦太朗に声をかけた。

 

 

 

 

「弦太朗・・・ちょっといいかな・・・?」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「おやー新しいバイトさんですか~」

 

「今日だけどな」

 

「それにしてもコッペパンみたいなリーゼントですなぁ~」

 

「コッペパンじゃねぇ!!リーゼントは男の勲章だ!!」

 

「おぉーなかなか熱いですな~」

 

ヤンキーのような見た目の弦太朗に対して自然体で対応を続けるモカ。

そんな中店の奥から沙綾の声が響く。

 

 

「弦太朗~ちょっとこっち来てもらえる~?」

 

「今お客さん来てるから後でなー!!」

 

「ほほー!!これはこれは~」

 

「そうだったの?ってモカ、いらっしゃいってどうしたの?」

 

 

沙綾と弦太朗のやり取りを面白いものを見たかのようににやけ顔が止まらない。

そんなモカは笑みを浮かべながら2人へと問いかける。

 

「2人共お似合いで、まるで恋人同士みたいですなぁ~」

 

「ん?そうじゃねぇけど、沙綾は俺のダチだ!!」

 

「・・・ウン、ソウダネー。オトモダチダネー・・・はぁ・・・」

 

 

「!!むふふーこれは面白いことになってますなぁ~」

 

 

沙綾から弦太朗という男には恋愛的矢印は向いてるが弦太朗にはそれがないことをこのやり取りを見たモカは理解した。

 

 

 

「って、沙綾。この客は沙綾の知り合いか?」

 

「そうでーす。モカちゃんは青葉モカっていいま~す。この店の常連さんで~す」

 

「おぅ!!俺は如月弦太朗だ!!よろしくなモカ!!」

 

「そう言えばモカ。今日はライブじゃなかった?」

 

「なんだ?モカもバンドやってんのか?」

 

「そうでーす、”Afterglow”ってバンドでギターやってまーす。後、これお会計おねがいしま~す」

 

「おぅ、ちょっと待ってくれ」

 

弦太朗はモカが持ってきたトレーに大量に積まれたパンの会計を済ませる。

そしてモカは会計の際に勘定とは別の物を2つ取り出して、弦太朗達に渡す。

 

「モカ、これってライブのチケット?」

 

「そうだよ~。今日のライブのチケットだよ~。よかったら見に来て~。なんと今回の出番はトリなんだ~」

 

「おぅ。終わったら行くか。沙綾!!」

 

「うん!!ありがとうモカ」

 

「いえいえ。それではモカちゃんはこの辺で~」

 

「頑張れよー!!」

 

「ありがとうございましたーじゃあ、弦太朗ちょっとこっち来て」

 

「おぅ」

 

こうして、弦太朗のパン屋での仕事は沙綾の両親が帰ってくるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ!!お母さん。おかえりなさい」

 

「ただいまーってあらあなたはこの前の・・・もしかして沙綾の?」

 

「如月弦太朗っす、沙綾とは友達っす」

 

「そうなのね、今日はお店手伝ってくれたんでしょ?ありがとう、バイト代出すからちょっと待っててね」

 

「大丈夫っすよ、ダチが困ってたから手伝っただけっす」

 

「そう?ならまたいらっしゃい。沙綾、如月君。後はお母さんたちに任せて」

 

「うっす!!」

 

「うん、でも今から行っても間に合うかなぁ・・・」

 

 

沙綾が時間を確認したが、モカから受け取ったチケットに記載されていたライブ開始時間を過ぎていた。

 

今回のライブ会場”CiRCLE”は商店街から歩いて行ける距離にはあるが、少し時間がかかるため今から向かっても着いた頃にはライブは終わっている可能性が高い。

 

 

「すんません、沙綾借りていきます!!」

 

「ちょっと!!弦太朗!?」

 

「いってらっしゃーい」

 

にこやかな表情を浮かべる千紘に見送られた弦太朗は沙綾を店の外へ引っ張り出す。

そして店の前に止めてある自身のバイクへと向かい、ヘルメットを沙綾へと投げ渡す。

 

「歩いたら間に合わねぇかもしれねぇけど、こいつなら間に合うだろ」

 

「ちょっと、そのヘルメットはどこから出したの?」

 

「細かいことはいいから。乗れ!!場所はこの間香澄達に聞いたから知ってる!!」

 

「うん!!じゃあよろしく!!」

 

「おぅ、ちゃんと捕まってろ!!」

 

そうして2人を乗せたバイクはライブ会場へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

ライブハウス”CiRCLE”の控室でAfterglowのメンバーは自身の出番を待っていた。

 

 

「そう言えばモカちゃん。今日沙綾ちゃんのところ行ったの?」

 

「もちー。モカちゃんが行かないわけないよー」

 

「つぐ?どうしたの?」

 

「あのね。今朝からずっと変わったバイクが沙綾ちゃんのお店の前にあったの」

 

「あー。そんなのものもありましたなー」

 

「えぇ!!もしかして沙綾がバイクを!?」

 

「いやーそれはないだろー」

 

「ないでしょ」

 

「なんでよ~!!」

 

とぼけたことを言いだすひまりへのツッコミを聞きながら、モカはこの話題に対して面白半分で爆弾を開始する。

 

 

「そして沙綾と彼にライブのチケットを渡したのだ~」

 

「そうなんだ。って待ってモカちゃん。彼って何!?」

 

「ん~。つぐの言ってたバイクの持ち主~」

 

「でも、じゃあ何で朝からずっと止まってたんだ?」

 

「えぇー!!もしかして・・・沙綾の彼氏!?」

 

「な、なにー!?」

 

「ちょっと。モカちゃんそれ本当なの!?」

 

「う~ん。どうなんだろ~」

 

「ちょっと。モカ~!!どんな人だったの!?」

 

「ひーちゃん。落ち着いてー。そろそろ出番来るよー」

 

「気になるのもわかるけど・・・。

今日もいつも通りいくよ」

 

 

こうしてAfterglowのステージが始まる。

 

 

 

 




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熱・唱・稲・妻-2 戦慄のA/想像以上のBadBoy

遅れました。

うーん。サブタイトルって難しいですなぁ。
誤字脱字報告によって私は支えられております。


ライブハウス"CiRCLE"到着した弦太朗はバイクを止め、沙綾とともにライブハウスへと入っていく。

受付の女性は沙綾へと声をかける。

 

「沙綾ちゃん。どうしたの?」

 

「まりなさん。ライブってもう終わってますか??」

 

「いいえ。これからAfterglowの番よ。ところで沙綾ちゃん。その後ろの子は?」

 

「うっす。俺は如月弦太朗っす。沙綾のダチっす」

 

「そうなんだ。私は月島まりな。このライブハウスのスタッフやってるの」

 

「まりなさん。これライブのチケットです」

 

「はーい。それじゃあライブ楽しんできてね」

 

「ありがとうございます。ほら弦太朗。行くよ」

 

「おぅ!!」

 

 

まりなの視線を背後に感じながら2人はライブ会場へと入っていく。

ステージの上にはそれぞれの楽器を構えるモカを含めた5人の姿―――

 

 

「Afterglowです。では聞いてください」

 

そして、赤いメッシュの少女のMCから彼女たちAfterglowのライブが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「(おー さーやたちは来てますなぁー。よく見たらあこちんもいるし。)」

 

ライブのMC中、あたしはさーや達を見つけた。

横にはさーやの店にいたあの人もげんたろ―って人も一緒に来ていた。

 

「それじゃあ、次行くよ」

 

そんなことを考えてるとトモちんのドラムから次の曲が始まった。

 

「(さーや達を控室に呼んでみよー。あこちんはトモちんが呼んだって言ってたし、おもしろそーなことになりそうですなぁー)」

 

そんなことを考えつつも、あたしはギターの演奏へと意識を集中させた―――

 

―――――――――――――――――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブ終了後、2人は併設されているカフェテリアの席に座り、

ライブの余韻に浸りながら感想を話し合っていた。

 

 

「モカたちのライブはどうだった弦太朗?」

 

「なんていうか、みんなスゲーし、歌もこう熱いもんがビリビリ伝わってきたな!!」

 

「ちょっとよく分かんないけど、確かにモカたちのバンドはロックで盛り上がるよね」

 

「そうだな!!でも今度は沙綾達のライブも聞かせてくれよ!!」

 

「・・・うん!!ちゃんと呼ぶから楽しみに・・・ってちょっと待ってモカから電話だ・・・もしもし?」

 

 

『あっ、もしもしさーや。まだ帰ってないなら控室まで来てー。

あぁ、あの人も連れてきてねー。よろ~』

 

 

そうしてモカからの一方的な話が終わり、通話が終了する。

 

「ちょっとモカ??って切れちゃった」

 

「ん?どうした沙綾」

 

「今から控室に来てだって」

 

「控室?入っても大丈夫なのか?」

 

「本当は入れないんだけど、まりなさんに言えば入れてくれるから行こっか」

 

「おぅ!!」

 

そうして控室へと行くべく、受付にいるまりなに話をする沙綾とその後ろをついていく弦太朗。

沙綾が話し初めてから少し経つと、まりなからの許可を得た沙綾達はモカのもとへと向かった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

「みんなおつかれさま~!!」

 

「おつー」

 

「いやー。今日も盛り上がったな!!」

 

「そうだね」

 

 

ライブでの出番を終えた私たちは控室へと戻ってきた。

今日のライブもいつも通り―――

いや、いつも以上に良く出来ていたと思う。

 

「この後、あこが控室に呼ん「おねーちゃん!!」ってあこ。早いな!!」

 

控室に戻ってすぐに、あこが控室へと入ってきた。

ライブ前に巴が終わったら控室に呼んだことは聞いていたから驚きはしないけど、流石に早すぎじゃない?

 

「おねーちゃんのドラム!!すっごいかっこよかったよ!!後ね!!蘭ちゃんの歌もすっごいかっこよかったよ!!」

 

「そうかーなんか嬉しいな!!」

 

「ありがと・・・あこ」

 

「蘭~顔が赤くなってるよ~」

 

「熱いだけ・・・」

 

 

 

 

ひまりからモカみたいな揶揄い方をされてるけど、

いつもの5人・・・今はあこもいるから6人だけど、こんなやり取りもいつも通りで悪くない。

 

「えぇ~なんでよ~!!」

 

「あはは~あれ?そう言えばモカちゃんは?」

 

「モカちんならそこで電話してるよ!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・きてねーよろ~。ん?どしたのー?」

 

「なぁモカ。今誰と電話してたんだ?」

 

「さーやだよー。控室に呼んでみましたー」

 

「沙綾って、そういえばモカ!!ライブ前の話!!あれどうなの!?」

 

「おねーちゃん、ひーちゃんが言ってるライブ前の話って??」

 

「モカが今日のライブのチケットを沙綾と一緒にいた男に渡したんだってさ」

 

「あぁ~!!さっきさーやが男の人と一緒にいたの見たよ!!」

 

「「「!!」」」

 

あこが言うには控室に来る前に沙綾の横に男がいたらしい。

 

 

「あこちゃん!!どんな人だった!?」

 

「確かに気になるよね!!」

 

「ひまりはともかく、つぐが乗り気なのは珍しいな」

 

「だって沙綾ちゃんが男の人と一緒って珍しいから・・・」

 

さっきまではライブに集中できていたから忘れてたけど、私も沙綾がどんな男と一緒に来ていたかは気になる。

 

 

 

「ん~とね!!キングみたいなかっこいい服で変な髪型してたよ!!」

 

 

 

「「「「えっ(はぁ)!?」」」」

 

 

えっ?

あこのいうキングってRASのマスキングの事だよね。あの人の私服って不良っぽい感じの服だったけど、あの沙綾が不良と一緒にいるの?もしかして何か沙綾の弱みを握られてるの?

 

 

 

「えっと・・・。あこちゃん?もう1回言ってくれるかな?」

 

 

ナイスつぐ。

流石に聞き間違いだと思ったのかつぐがあこに聞き返してる。

あたしも聞き間違いだと信じたいけど・・・。

 

 

「モカちんに借りた漫画で出てきたリーゼント?してたよ!!」

 

 

は?

さっきと言ってることは違ってるけど

マスキングみたいな服にリーゼント。

間違いなく特徴を聞く限りは沙綾と一緒にいるのは不良だ・・・。

 

 

沙綾が不良って普通なら考えられない組み合わせだけど、沙綾って不良みたいなのが好みなの・・・?

もしかして本当に不良に弱みを握られてる・・・?

 

 

 

そんな微妙な空気が流れる中、控室のドアからノックと普段からよく聞く声が聞こえる。

 

 

「おーい、モカー来たよー。入っても平気ー?」

 

 

沙綾の声がということはあこの言ってた不良も一緒?

 

同じことを考えてたのか、ひまりとつぐは巴の後ろに回り込む。

あたしも同じようにモカの後ろへ移動する。

どうやらあこは巴によって後ろに隠された。

 

そうして巴とモカをドアとの間の壁にして待っていると、控室のドアが開かれた。

 

 

「みんな、ライブお疲れ様~」

 

 

 

開いた先に待っていたのは笑顔であたしたちへ声をかける沙綾と

その後ろにはあこの言っていたような不良がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 




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熱・唱・稲・妻-3 接触

誤字脱字報告に圧倒的感謝!!

オリジナル設定のゾディアーツを送っていただいたのですが、申し訳ないですがアンケートで扱いを決めさせてもらいます。
申し訳ないですがご協力おねがいしますでます。

ということで投稿です。


「みんな。ライブお疲れ様~」

 

Afterglow の控室へとやってきた弦太朗達。

控室の中にいたのはステージに立っていた5人と見たことのない小柄の少女―――

 

「おぉ~。さーやにげんたろーさん。ども~」

 

「おぅ、今日はチケットありがとな!!」

 

「いえいえ~」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

 

 

呼び出した張本人のモカは自然体で話をするのとは対照的に、こちらに警戒心むき出しの視線を弦太朗へ向ける少女達――

控室内に緊張感が増す中、そんな空気を意にも返さず3人の会話は続く。

 

 

「ちょっとモカー。急に電話で呼び出してどうしたの?」

 

「げんたろーさんから感想を聞こうとおもいまして~」

 

「あぁ!!みんなスゲーし、歌もこう熱くて、最高だったぜ!! 」

 

「モカ、今日もいつも通りすごかったよ。他のお客さんたちの反応もよかったよ」

 

「いやーモカちゃんたちですから~」

 

「でも、モカ。もし弦太朗がうちで働いてなかったらそのチケットどうしたの?」

 

「うーん。そこは考えてなかったですなー。まぁ、結果オーライということでー」

 

 

 

 

「「「「「・・・」」」」」

 

蘭達の弦太朗への警戒心は依然として変わらない。

その一方でこの場の空気に耐え切れなくなった一人――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇさーや!!この人がさーやの彼氏なの!?」

 

「えっ!?」

 

「「「あこ(あこちゃん)!?」」」

 

「あこ・・・恋愛に興味を持つようになって・・・。姉としてその成長が嬉しいよ・・・」

 

「トモちん、その反応はないよー」

 

 

 

 

 

――あこである。

 

沙綾が何故男の人といたのか興味があったが、

彼らが控室に来たタイミングで姉である巴によって後ろに隠されたこと。

控室入って早々に会話を始めた3人に対して彼女なりに我慢して黙っていたが――

 

”女子の実家で働き、2人で一緒にライブへ行く。”

 

そんな恋愛マンガでありそうなシチュエーションを聞き、しかもその相手が自身もよく知る人であった。

そんな状況を前に元々好奇心旺盛なあこの我慢が限界を迎えたが故の質問であった。

 

突然のあこの質問に困惑する沙綾と蘭。

驚きつつも興味津々といった表情が隠せないひまりとつぐみ。

恋愛に興味を持った妹の成長を喜ぶ姉。

 

沙綾達の関係性を把握してこの状況を楽しんでいるモカ。

 

 

「沙綾とはダチだ!!」

 

「うん、そうだよ。ただの友達だよ・・・今はね・・・」

 

「沙綾、最後なんか言ったか?」

 

「ううんなんでもないよ!!」

 

弦太朗は答えるが、その答えには内心を不満に感じながらも同意する沙綾。

彼女としては危機を助けてもらった彼との関係を進展させたいと思いが少し表情に出てしまっていた。

 

 

「っていうか、自己紹介してなかったな。俺は如月弦太朗、よろしくな!!」

 

「アタシは宇田川巴、Afterglowのドラム担当!!こっちは妹のあこ」

 

「あこです!!あこもドラムやってます!!」

 

「羽沢つぐみ、キーボード担当です!!実家は沙綾ちゃんと同じ商店街で喫茶店やってます」

 

「上原ひまり!!ベース担当でAfterglowのリーダーです!!」

 

「・・・」

 

「ちょっと蘭~。流石に名前くらい言おうよ~」

 

「・・・美竹蘭」

 

「青葉モカでーす。ギター担当で~す」

 

「って、モカはうちでもう自己紹介したじゃん」

 

「えへへ~。ここはする流れかな~って」

 

「おぅ、よろしくな!!」

 

 

自己紹介を終えて控室の緊張感が薄れる中、ひまりが何かを思い出して声を上げる。

 

 

 

「って、そうだ!!ステージの片付けしに行かないと!!」

 

「とりあえず、今からでも行くぞ。あこは入口で待ってろ」

 

「わかった!!」

 

「ライブの片付けもがんばろーえいえいおー!!」

 

「おぉー!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「げんたろーさん、やらないのがあたし達のお約束なんですよー」

 

「そうだったのか?」

 

「みんなもやってよー!!」

 

「・・・いいから、みんな行くよ」

 

そう言ってAfterglowのメンバーは控室から出て行った。

 

 

 

「じゃあ弦太朗、私たちは帰るよ。片付けまでがライブだからね」

 

「そういうもんなら、仕方ねぇな」

 

「あこも入口まで一緒に行くよー」

 

「あこは巴と一緒に帰るの?」

 

「うん!!そーいえば、さーやはなんでげんたろーと友達になったの??学校も違うのに」

 

「元々はりみりんの友達でそこから色々あって友達になったんだー。後、弦太朗は理由があって今は花咲川に通ってるんだよ」

 

「そーいえば、りんりんと紗夜さんが言ってた!!学校に男子がしばらく通うって!!でも・・・」

 

「紗夜の事は知ってるのか?って”りんりん”って誰だ?」

 

「”りんりん”はね。あこの友達で花咲川の生徒会長で。紗夜さんとりんりんと同じバンドやってるんだよ」

 

「なるほどな。じゃあ、あこ。俺ともダチになってくれ」

 

「うん!!よろしくね!!げんたろー!!」

 

弦太朗はあこに手を出し、友情のシルシをする。

あこは何をやってるか分かってないようだが「かっこいい!!」とのことでなかなか上機嫌だ。

 

 

 

「弦太朗そろそろ行くよ」

 

そんな中、沙綾はバイクに置いてあったヘルメットを弦太朗に渡すと、自分もヘルメットを被る。

 

「おぅ。って沙綾、帰りも乗るのか?」

 

「いいじゃん。よろしくね」

 

「げんたろーってバイク乗れるの!?今度あこも乗せてよ!!」

 

「おぅ!!また今度な!!」

 

「さーや。げんたろー。ばいばーい!!」

 

「じゃあね。あこ」

 

「またな!!」

 

 

弦太朗と沙綾はバイクに乗り、帰路へ着くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ライブの撤収作業が終わって5人でライブハウスを出た。

 

 

「お待たせあこ。沙綾達はどうしたんだ?」

 

「あっ!!おねーちゃん!!さーやならげんたろーのバイクに乗って帰ったよ!!」

 

「なんか恋愛漫画みたいじゃん!!」

 

「ちょっとひまり・・・」

 

「今度ね!!あこも乗せてくれるって!!」

 

「良かったね。あこちゃん」

 

「うん!!」

 

 

そんな他愛も無い話をしながら6人でそれぞれの家に帰る。

そして、みんなとの分かれ道。

 

「じゃあ、明日はひまりちゃんがバイトだから反省会は月曜日ね!!」

 

「みんな~ごめんねー」

 

「別に気にしないでいいから・・・」

 

「それじゃあ、みんな月曜日な!!」

 

「じゃ~ね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなと別れて家へと向かう途中、黒いスイッチみたいなのが足元に落ちていた。

 

物が落ちてても普段ならそこまで気にも留めないが、何故かスイッチを拾い上げてスイッチを入れる。

 

 

どす黒い感情に呑まれるのと同時に身体に違和感を覚え、街灯についているミラーを見上げた。

 

そこに写っていたのは怪物へと変身した自分の姿だった――

 

 

 

 




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熱・唱・稲・妻-4 苦悩!大いなる普通!

アンケートありがとうございます!!

オリゾディアーツは採用していくことにします!!
送られた設定は少し変えるかもしれませんが送ってくれたら出すことを前向きに考えさせていただきます。

なお、本章では本編に出てきたものを使う予定になっておりますので、次章から登場させます。


Afterglow のライブ翌日――

 

"羽沢珈琲店 "で働く羽沢つぐみは悩んでいた。

理由は先日のライブの感想が原因だ。

 

彼女の演奏自体にはミスがなく、バンドメンバーからもそのことに対する評価もよかった。

しかし、SNSに書き込まれたライブの感想は――

 

 

 

――ギターソロがカッコ良かった。

――ドラムの迫力感が凄い。

――ベースの子が可愛い。

――熱い歌声に痺れた。

――MCも盛り上がってよかった。

 

 

 

様々な感想が書き込まれる中にはキーボードに対する感想がない。

そのことに対して悩む彼女の仕事はミスの連発であった。

 

掃除中にバケツをひっくり返す――

注文を間違える――

会計金額を間違える――

 

普段からの仕事では想像できないミスの連発をする彼女を見た両親や常連客が心配する中、事件は起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイスコーヒーお待たせし・・・キャ!!」

 

コーヒーを持った彼女が何もないところで躓き、持っていたコーヒーが宙を舞い客の頭へ落下する。

セットされていたであろう客の髪はかかったコーヒーによって無残にも崩れている。

 

 

「あぁ!!お客さん!!申し訳ありません、すぐに拭くものを!!キャ!!」

 

「うおっ!!」

 

慌てたつぐみは零したコーヒーに足を取られ、その場で転倒する。

その音を聞きつけた店の奥からつぐみ両親が顔を出す。

 

 

「つぐみ!!お客様申し訳ありません。今回のお題は結構ですので!!」

 

「それに服のクリーニング代を・・・」

 

 

 

 

 

娘の失態に慌てる夫婦をよそに、客からの声が上がる。

 

 

「俺は大丈夫なんで・・・。つぐみ大丈夫か?」

 

 

 

コーヒーをかけた客から突然名前を呼ばれて驚くつぐみ。

常連客なら名前を知っていてもおかしくはないが、この客を店内ではおろか商店街ですら見た覚えがないつぐみ。

しかし、どことなく覚えがあったその顔を見たつぐみは先日初めて会った男の名前を出す。

 

 

 

 

「もしかして、・・・如月くん?」

 

「おぅ」

 

「つぐみの知り合いでしたか。申し訳ありません」

 

「如月さんとりあえず、着替えを用意しますので、こちらに」

 

 

父に連れられ店の奥へと入る弦太朗を見送るつぐみ。

 

「つぐみ。今日はもう休みなさい。後はお父さんと二人でやるから」

 

「うん・・・」

 

 

母に休みを告げられたつぐみは店の座席へと座り込んだ。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

「はぁ・・・」

 

お客さんにコーヒーをかけてしまうなんてとんでもないミスをしてしまった――

仕事中は考えないようにしていたけど、ライブの感想の事がどうしても頭から離れなかった。

 

ライブをしても普段から私についての感想は少ない。

 

 

ギターも歌う姿もカッコいい蘭ちゃん。

ギターもコーラスも凄く上手なモカちゃん。

かわいらしい見た目とは裏腹にベースをカッコよく決めるひまりちゃん。

見た目もドラムを叩く姿もカッコいい巴ちゃん。

 

 

いつも感想で出てくるのは他のみんなばっかり――

ポピパやRoseliaのライブの感想を見てもちゃんとキーボードについても感想が上がってるのに私だけ感想がない。

 

それを見るたびに自分の演奏に自信が無くなってくる。

 

 

 

 

 

 

「おい、つぐみ。どうしたんだ?」

 

悩んでいる私に声をかけたのは先ほどコーヒーをかけてしまった如月くんだった。

でも、リーゼントをしてないから最初のイメージからだいぶ違って爽やかな感じになっている。

 

 

「如月くんって髪型変わると印象が違うね」

 

「ん?そうか」

 

「そっちの方がいいと思うよ」

 

「そうか?でも、リーゼントは男の勲章だからな」

 

「ふふっ、何それ」

 

「でも意外だったな。演奏でミスはしないつぐみでも仕事ではミスするんだな」

 

「っ!!何でそう思ったの?」

 

 

 

 

 

如月くんの予想外の発言に私は驚いてしまった。

正直、この人がそこまで気が付くとは思ってはいなかった。

そのせいで思わず質問してしまった。

 

「なんつーかさ、演奏してるときになんか違和感を覚えたって思ってな」

 

「違和感?どういうことですか?」

 

「全体的にみんなスゲェうまかったけど、リズムが少し早くなったり、歌の入りが遅れたように感じるとこがあった。だけど、つぐみにはそれがないと思ってな」

 

「!!」

 

 

 

 

凄い・・・

確かに昨日は巴ちゃんのドラムが走ってたところも、蘭ちゃんの歌いだしが遅れる箇所があった。

演奏してた私たちもそう思うところはあったけども、この人は最初の1回だけで、何となくだけどそれに気付いたんだ・・・。

 

 

「そうだったんだ。でもねライブの感想を見たら私に対する感想がないんだよ?」

 

「それは分かんねぇ・・・。でも、感想ってそんなに大事か?」

 

「えっ?」

 

「俺は天校の部活に入って色々やってるけど、そこは表ヅラの名誉がねぇから誰も褒めてくれねぇんだ」

 

「えっ?じゃあなんでそれを続けたの?」

 

「俺たちだけの勲章があったからな」

 

「俺たちだけの勲章・・・」

 

「モカから聞いたけど、つぐみたちも周りから褒められるためにバンドを始めたんじゃねぇんだろ?」

 

「・・・うん!!」

 

 

 

 

 

 

そうだ。幼馴染5人で一緒にいるために始めたバンドで最初は周りからの評価を気にしたりすることは無かった。

 

みんなと一緒に入れて楽しい――

みんなといい演奏が出来れば嬉しい――

 

最初はそれだけだった。

ライブをある程度やったらみんなお客さんの反応や評価を気にするようになった。

 

最近では感想でみんなの事が書かれることを気にして、自分が楽しむことよりもお客さんの評価の事を考えるようになっていたのを気づかされた。

 

確かに評価されることは大切だけど、自分のやりたいことをやることの方が大事だよね・・・

でも、感想がないのも悔しい。

 

「でも、感想でみんなの事ばっかり書かれてるとちょっと悔しいかな?」

 

「う~ん。そうだな」

 

 

そうして考え込む如月くん。

でも、話をしただけで何でこの人は真剣に考えてくれるんだろう。

そのことが少し嬉しくもある。

そして、何かを閃いたかのか如月君は声を上げる。

 

 

 

 

 

 

「そうだ!!イメチェンだ!!」

 

「イメチェン?」

 

「演奏は悪くないなら服装を変えて目立つようにすればいい!!イメチェンは青春の模様替えだ!!」

 

「そっか!!衣装を変えれば見え方も変わるよね!!明日の放課後にもライブがあるから、そこで着る服を捜さなきゃ!!」

 

「勝手に決めていいのか?」

 

「今回の服は各自で用意するって事になってるからOKだよ!!」

 

「それなら、今から一緒に買いに行くか?つぐみの親父さんに服返さねぇといけねぇしな」

 

「うん!!」

 

こうして私たちは服を買うためにお店から外へ出た。

 

でもお店を出る時にお父さんから「お店の中では静かに」って怒られちゃったのは仕方がないかな?

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

今日は予定もなかったので羽沢珈琲店に行こうと思って商店街を歩いていたら、予想外の光景をみてしまった。

 

幼馴染の彼女が見知らぬ男と店から出てきたのだ。

 

 

「どこまで買いに行く?」

 

「そうだね。まずはショッピングモールに行こっか。そこなら大体の物は揃うし!!」

 

「じゃあ、バイクで行くか。つぐみ。後ろに乗れ」

 

「うん!!」

 

そうしてつぐみは男のバイクの後ろに乗って2人は目の前から消えていった。

 

 

 

 

「・・・"いつも通り”にあんな男はいらない・・・。

・・・私がみんなの”いつも通り”を守らないと・・・」

 

 

拾ったスイッチを握りしめ、私もショッピングモールへ向けて歩き出す――――

 

つぐ・・・待っててね・・・?

 

 




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熱・唱・稲・妻-5 ウサギとイヌと人形と――

投稿です。

評価や感想が付いて恐縮する半面見てる人がいるのって嬉しい・・・




ショッピングモールに到着した弦太朗――

 

「じゃあ、如月くん。次はこれね!!」

 

「まだ着るのか・・・?」

 

「とりあえず、これで最後だから!!」

 

彼は現在つぐみが選んだ服をひたすらに試着していた。

 

つぐみに「髪おろした時に着る服もあったほうがいいよ?」とアドバイスを受けて、服を選んでもらうことにした弦太朗。

しかし思った以上に熱のこもった彼女によって今に至っている。

 

 

 

「隼が言ってた通り、女の買い物って長いんだな・・・」

 

「う~ん。やっぱりさっきの方が一番いいかな」

 

「じゃあ、それ買って次はつぐみの服選ぼうぜ」

 

「ショッピングモールのとこに雑貨屋があるんだけど、私はそこに置いてあった服で選ぼうかなって」

 

「おぅ。じゃあレジ行ってからすぐ行こうぜ」

 

 

 

そうして2人はレジで会計を済ませて雑貨屋へ向かう。

 

「なぁつぐみ。次の衣装ってどんな風にするんだ?」

 

「それなんだけど。折角だから如月くんが普段来てるような感じの服にしようかなって」

 

「でも普段の俺は学ランだぞ?」

 

「制服ってこと?それなら普段はブレザーだからセーラー服にしてみよっかな?」

 

「なぁ・・・雑貨屋にセーラー服って売ってんのか?」

 

「うん・・・。あそこは品揃えは凄いから・・・。って、あそこにいるのっておたえちゃんと有咲ちゃんだ」

 

 

到着した雑貨屋にはたえとうさ耳を付けた有咲がいた。

 

 

 

「おぉ。ホントだ声かけてみるか?おーい!!おたえー!!有咲ー!!」

 

「んっ・・・。って羽沢さん!!なんでここに!?・・・てかお前誰だ?」

 

声をかけられた有咲は髪をおろしている弦太朗の存在に気が付いておらず、つぐみが見知らぬ男と一緒ということが疑問だったが、一緒にいたたえはつぐみの横にいたのが弦太朗と気が付いていた。

 

 

 

「あっ。先輩。有咲のうさ耳似合ってるよね?」

 

「ってお前如月かよ!?その頭だとわかんねぇよ!!つか、こっち見んな!!」

 

「えっ!?如月くんって先輩だったの!?」

 

「おぅ!!これでも高校3年だぞ?」

 

 

リーゼント不良が別人レベルにまで印象を変えたことに驚くうさ耳有咲。

先日、沙綾が名前呼びで呼び捨てにまでしていた彼が先輩であったことに驚くつぐみ。

そんな驚く2人をよそに、弦太朗とたえの会話が続く。

 

 

「でも、おたえよくわかったな」

 

「そんなことないよ。兎を見分けるよりは難しいけど」

 

「兎?よく分かんねぇけど。というよりも何で有咲はうさ耳なんてつけてんだ?」

 

「何でって?そこにうさ耳あったから。先輩も付ける?このロップイヤーなんていいんじゃない?」

 

「いや。おたえ流石にそれはないだろ」

 

 

弦太朗とたえの会話に割り込むようにつぐみが声を上げた。

 

 

「あのっ!!如月先輩!!年上って知らずにスイマセン!!」

 

「ん?あぁ!!気にすんなって、それにさっきまでの話し方でいいからな」

 

「そうだぞ羽沢さん。敬語ってのは敬うべき相手に使うんだよ」

 

「なぁ有咲。それってどういうことだ?」

 

「友達同士に敬語はいらねぇってことだよ」

 

「そう?じゃあそうするね!!」

 

「おぅ!!よろしくな!!つぐみ!!」

 

「うん!!よろしくね。如月くん!!」

 

「ねぇ。このままみんなでご飯食べにいこっか」

 

「あのさぁ・・・おたえ。少しは空気読めよ」

 

「あはは!!じゃあみんなでいこっか!!」

 

「私は別にいいけど・・・」

 

「俺も構わねぇけど。有咲はいつまで耳つけてんだ?」

 

「っ!!もっと早く言えよ!!」

 

 

その後、雑貨屋でつぐみの目当てのセーラー服を購入して、フードコートへと歩き始める。

その買い物に驚くポピパ組だが有咲もそれに乗じて先ほどまで着けていたうさ耳を人知れず購入するのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「・・・何あれ?」

 

ショッピングモールに到着して見つけてしまった――

つぐの他にもポピパの2人を連れている男の姿を――

 

つぐだけじゃなくポピパにもすり寄って”いつも通り”をめちゃくちゃにしていく――

 

それを思うとあの男が許せなくなり、湧き上がるどす黒い感情と主に私は握ったスイッチを押して、

”いつも通り”を守るべく男へ向かって走り出した。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「やっぱり、今日はハンバーグかな」

 

「おたえは今日”も”だろ・・・」

 

「でも、沢山あると悩んじゃうよね。有咲ちゃんは何にする?」

 

「私はあんまり腹減ってないからポテトでも買って食べるよ」

 

「俺はラーメンにしよう・・ってあぶねぇ!!」

 

「キャア!!」

 

 

正面から突進してくるナニかをつぐみにぶつかりながらも避ける弦太朗。

 

 

「羽沢さん!!おぃ如月!!お前何し・・・っておい!!」

 

「ねぇ先輩・・・あれって学校に出たやつの仲間・・・?」

 

「何あれ・・・」

 

 

 

 

 

 

弦太朗達の前に現れたのは黒い体に猟犬のような鋭い牙を持つ怪物――

猟犬座――ハウンド・ゾディアーツが弦太朗へと狙いを定めて構える。

 

その姿を見た周囲の客たちはパニックになりその場を逃げ出して弦太朗達のみが残される。

 

 

 

「みんな。逃げないと!!」

 

「あー羽沢さん。後で説明するけど、今一番安全なのは如月の近くなんだわ」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「先輩。後はよろしくね」

 

「おぅ!!2人ともつぐみは任せた!!」

 

 

 

そうして弦太朗はドライバーを装着する。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

弦太朗はフォーゼへと変身する。

 

 

 

「宇宙キターーーーッ!!」

 

「キター」

 

「ってなんでおたえまでやってんだよ・・・」

 

「・・・・・・」

 

目の前の出来事に対し呆然とするつぐみ。

その中でフォーゼはいつものセリフを叫ぶ。

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「仮面ライダー・・・?」

 

「羽沢さん。とりあえずこっちに!!」

 

つぐみが有咲に連れられて離れると同時にハウンド・ゾディアーツはフォーゼに向かい突進する。

 

 

「うぉあああ!!」

 

ハウンドの高速の突進を避けきれずに吹き飛ばされるフォーゼ。

吹き飛ばされて倒れるフォーゼに追撃するべく再度突進するハウンドだが、

フォーゼは素早くスイッチを切り替えて起動する。

 

 

――――――ウォーターON――――

 

 

左脚用のウォータースイッチを起動し、ハウンド目掛けて高圧水流を噴射する。

水流を正面から受けたハウンドは勢いに負けてそのまま後ずさる。

 

 

「・・・なんで脚に蛇口なの?」

 

「うん。凄く使いにくそうだね」

 

「そうじゃないだろ!!」

 

つぐみが当然の疑問を口にするが、誰も答えを返せない。

その間もフォーゼから噴射された水流は止まらず、水が床一面に広がり続ける。

 

「次はこれだ!!」

 

ウォータースイッチをOFFにしてフォーゼが立ち上がると同時に別のスイッチを起動する。

ハウンドも水流が止まると同時にフォーゼに向かって走り出す。

 

 

――――フリーズON――――――――

 

 

起動と同時に右足に冷蔵庫が現れ、そこから発生する強烈な冷気によって床に広がった水が瞬時に凍結する。

 

「ガァ!!」

 

凍結した床に脚を取られハウンドはフォーゼの目の前で転倒する。

転倒したハウンドに対して、とどめを刺すべくスイッチを交換すると同時にハウンドは周囲一帯に針状のエネルギーを乱射する。

 

「ガァアアア!!」

 

「うぉあ!!」

 

 

 

 

 

至近距離での攻撃によって飛ばされるフォーゼ。

 

起き上がったフォーゼが周囲を確認するとハウンドの姿がどこにもいない。

飛ばされると同時にハウンドは戦闘から離脱していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わりぃ。逃がしちまった」

 

謝罪とともに変身を解除する弦太朗。

 

「いきなりだったし仕方ないよ。つぐみ大丈夫?」

 

「うん・・・。でもさっきのは何だったの?」

 

「さっきのは仮面ライダーフォーゼ。あの怪物を倒すためのモンだ」

 

「如月。とりあえずここから離れるぞ。とりあえずうちの蔵で話すよ。羽沢さんもそれでいいか?」

 

「うん」

 

「よし、じゃあ行くか」

 

「っ!!あれは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘後の現場でつぐみは見つけてしまったのだ。

自分たちだけの世界で5つだけしかないお守りを――――

 

 

それを拾い上げたつぐみは弦太朗達の背中を追いかけるのだった。

 




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カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 12/40


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熱・唱・稲・妻-6 こうして彼女は探り始める。

投稿です。
少し遅くなってしまって申し訳ないです。
仕事が急に立て込んでしまったせいで遅れました。





自宅へと帰ってきたつぐみは思い詰めた表情で自分の部屋に閉じこもっていた。

 

ショッピングモールでの出来事があった後、有咲達から知ってることを教えられた。

 

昼間にあった怪物・ゾディアーツは人間が変身していること――

変身するための道具が街にばら撒かれてること――

如月くんはそれと戦い続けてること――

 

 

人間が怪物になるなんて事は信じられないが、目の前で変身して戦ったことが真実であることをつぐみに突きつけていた。

 

弦太朗達には伝えていないが、つぐみには気がかりな点が1つあった。

 

 

それは現場に落ちていたお守り――

あれはAfterglowの5人しか持っていない物であり、つぐみ以外の誰かが現場にいたことを示す証拠だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中で彼女のスマホにメッセージが届く―――

その相手は幼馴染のグループにメッセージが届く。

 

 

――――――――

 

『今日、ショッピングモールで事件があったんだってー。誰か何か知ってる~?』

 

『あたしずっと家にいたから。』

 

『そんなことがあったんだ!!私はバイトだったから知らなかったよ!!』

 

『アタシも夕方にあこと行こうとしたけど事件の後で入れなかったんだよ。』

 

『私はショッピングモールに行ったけど、ちょうど入れ違いだったから分からないなぁ。』

 

 

――――――――

 

 

メッセージを見た私はみんなに嘘を返した。

ショッピングモールの事件現場にいたのに、見なかったことにして返事をする。

 

 

しかし、現場にいたつぐみだからこのチャットから分かったことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼馴染の誰かが嘘をついている――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件があったとしてショッピングモールに行ったことを隠す必要がない。

それに現場に残されたお守りのことも考えると、その嘘をついている人が怪物の正体の可能性が非常に高い。とつぐみは考えたが、幼馴染の誰かが怪物になったことを信じられないつぐみは考えた末、幼馴染の潔白を証明することを決心をしたのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日が変わって月曜日

つぐみ以外のバンドメンバーはライブハウスの控室にいた。

 

 

「それにしてもつぐみ、遅いね。後ちょっとでライブ始まるのに・・・」

 

「生徒会の急用って言ってたけど心配だな」

 

「さっきモカちゃんが電話でげんたろ―さんにお願いして、つぐを送ってもらえるように頼んだけど、着くのに少し時間かかるって~」

 

「えぇ~、またあの人~?」

 

「ふーん・・・」

 

 

つぐみを心配したモカは弦太朗につぐみの迎えを頼んだことを伝えると不満な様子を隠さない蘭とひまり。

 

 

「蘭もひーちゃんもげんたろーさんが苦手なの?」

 

「別にそうじゃないけど・・・」

 

「だってすっごい不良じゃん!!」

 

「でも沙綾達とも仲がいいみたいだから見た目と違ってそこまで悪い奴じゃないと思うけど」

 

「そういうことじゃないよ!!」

 

「・・・おいひまり?どうしたんだよ急に」

 

「ごめん・・・。何でもない・・・」

 

「でも、つぐが本当に間に合わなかったときはどうする~?」

 

「キーボードの音源なんてないぞ?」

 

「仕方ないけど4人でやるしかないね」

 

「私つぐに電話してくるね!!」

 

そうして控室を飛び出すひまり。

残されたメンバーはつぐみの到着を待つ中、ライブの開始時間が迫っていた―――

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

ライブ開始時間が迫る中、私は商店街にいた。

私の出来る範囲で昨日のみんなのことを聞いて回っていた。

 

「巴ちゃんはあこちゃんとずっと一緒にいたからやっぱり後は・・・」

 

 

しかし、分かったのはあの事件の時は巴ちゃんはあこちゃんと一緒にいた事だけ。

ひまりちゃんはバイトしてたので残るのは蘭ちゃんとモカちゃんだけど、2人とも昨日は何をしていたのかが分からない。

 

もう少し調べたいけどもうライブまで時間がないから、そろそろライブに向かわないと・・・。

 

 

「つぐちゃーん!!」

 

後ろから私を呼ぶ声が聞こえたので振り返るとそこにいたのは日菜先輩が私の方へと駆け寄って話しかけてきた。

 

「日菜先輩。どうしたんですか?」

 

「えーとね、今からポテト食べに行くんだ~。でね、たまたまつぐちゃん見かけたから一緒に行こうと思ってさー」

 

「そうだったんですね。でも、すいません私これからライブがあるのでそろそろ行かないと・・・」

 

 

「そっかー。あっ!!そういえば昨日ね!!・・・」

 

 

この後日菜先輩からの話を聞いた私は日菜先輩と別れた後に

合流した如月くんと共にライブ会場へと向った―――。

 

後は直接本人に確認することにしようーーー

 

―――――――――――――

 

 

ライブ会場に着いたつぐみは急いで控室に飛び込み、先日買った衣装へと着替えて舞台袖へとやってきた。

服装もつぐみの心情もいつもと違うが、彼女は彼女なりに”いつも通り”を演じていた。

 

 

「みんな遅くなってごめんね!!」

 

「つぐみ!!間に合ってよかっ・・・たってその服・・・」

 

「「「・・・」」」

 

「折角だからイメチェンしてみたの!!どうかな?」

 

「・・・つぐ・・・」

 

 

つぐみが着てきたのは先日ショッピングモールで買ったセーラー服―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、スカートが極端に長い、俗にいう”スケバン”と呼ばれた服装だ。

 

 

「ねぇ、トモちんつぐのあれ。似合ってない・・・」

 

「・・・巴なら似合いそうだけどね」

 

「モカちゃんにひまりちゃん。変かな?」

 

「なぁ、つぐ。スカート長すぎないか?」

 

「・・・巴、とりあえず服の感想は後、出番終わってから」

 

「みんな、もう出番だよ」

 

「うん。じゃあ今日も”いつも通り”の音楽をしよう!!」

 

 

 

 

そうしてステージへと上がった彼女たちの表情は”いつも通り”の表情であった。

 

ある1人を除いて・・・。

 

 




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熱・唱・稲・妻-7 Grudge of Food

遅くなりました。

出来ればもっとバンバン弦太朗の意味わからん語録使いたいですが、難しいですね。
もう少しでafterglow篇も一旦区切りですかね。
次のメインバンドはもう決定してます。悪しからず・・・


ライブ終了後、Afterglowは控室へと戻ってきた。

 

「今日はいつも以上に盛り上がったね~」

 

「そうだな!!特につぐのパートなんていつも以上に盛り上がってたな!!」

 

「うん。そうだね!!」

 

「でも、いつものつぐじゃないみたい」

 

「・・・そうだねひまり」

 

 

 

 

今日のライブは大成功であり、それは観客の盛り上がりを見ても明らかであった。

その結果に喜ぶモカと巴に比べて、蘭とひまりの心境は複雑だ。

 

 

「じゃあ、この後の反省会はファミレスでやろっか!!」

 

「そうだな!!そういえば如月?だっけ。あいつにもつぐの事で礼を言わないとな」

 

「この前やったライブと一緒に反省会と打ち上げだね~。げんたろーさんも呼んで感想聞けば反省会の参考になるんじゃないかな~」

 

「送ってもらったときにチケットも当日券買ってたから、まだ近くにいると思うよ」

 

「アタシはいいぞ。それにつぐのことお願いしてそのままってのあれだから礼もしないとな!!」

 

「ですな~」

 

 

ライブ後の反省会兼打ち上げに弦太朗を呼ぶことに賛成するモカたち。

それに対して蘭とひまりは自身の荷物を纏めて控室から去ろうとする。

 

「あれ~?蘭もひーちゃんもどうしたのー?」

 

「ごめんみんな!!今日は先帰るね!!」

 

「悪いけど、あたしも宿題が残ってるから・・・」

 

「ちょっと2人とも待ってよ!!」

 

「おい、蘭!!ひまり!!」

 

 

 

 

つぐみと巴の静止も聞かずに控室を後にする蘭とひまり。

2人が去った控室には暗い空気が流れる。

 

 

「とりあえずファミレスで反省会するか」

 

「うん!!」

 

「おぉ~。とりあえずげんたろ―さんに連絡しておくね~」

 

「じゃあ行こっか」

 

 

残された3人は反省会を行うため、ファミレスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

反省会をやるはずだったがあたしはひまりと一緒に控室を出た後、ひまりと別れて家に帰って来てしまった。

 

 

 

―――イライラする。

 

原因は分かってる。

この間のライブでポピパの沙綾と一緒にいたあの如月とかいう男のせいだ。

 

赤いメッシュの入った髪のせいで不良みたいな扱いされたことはあたしもあったから見た目で髪型だけで判断するつもりはなかったけど、あのリーゼントと制服だったので身構えてしまった。

 

ライブの感想も聞くだけでは満足してくれたとは思うが、なんか裏があるように思ってしまう。

モカはいつもあんな感じだから何とも思わなかった。

あこの場合は昔から人と仲良くなるのが得意だったから納得してしまった。

 

 

 

 

 

 

でも、今日のつぐみと巴を見てなんかモヤモヤした。

それに「打ち上げに呼ぶ」といったのを聞いて控室を出てしまった。

ひまりも一緒に出て行ったのは意外だったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

それにつぐについては気になることはまだある。

商店街で見てしまったつぐと一緒に出てきたあの男だ。

 

ショッピングモールではポピパの有咲達とも仲良さそうに話していた。

 

そして、昨日の夜に来たモカからのメッセージに対して嘘をついて家にいたと連絡してしまった。

 

 

つぐみの件とモカたちの如月への態度から嫌な考えが頭を過った

 

 

”いつも通り”が変わってしまう―――

そうなる前にあたしが何とかしないと・・・。

 

 

そうしてわたしはカバンの中に”あるもの”を入れて打ち上げが行われているであろうファミレスへと向かった―――

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

モカからの連絡にあったファミレスに到着した弦太朗は中へと入っていく。

 

「いらっしゃいませ~。おひとり様ですか~?」

 

「いや、連れが中で待ってるんだけど・・・」

 

「げんたろ~さ~ん。こっち~」

 

弦太朗を呼ぶ声を聞いた店員は

「失礼しました~。それではごゆっくり~」

と言葉を残して、去っていくのを見てから、弦太朗はモカたちのいる窓際の席へと向かう。

 

 

「待たせたな」

 

「急に呼んだのはこっちなんだし気にしないで」

 

「でも、急にどうしたんだ?こっちでは部活もないから放課後は予定ねぇけど・・・」

 

「今日つぐの事送ってもらったからそのお礼もしないとね~」

 

「それに私たちのライブの感想が気になっちゃって・・・」

 

「ダチのためだからな。それとライブ。今日も痺れたぜ!!」

 

「・・・」

 

「如月・・・。お前・・・」

会話を聞いていた巴が声を震わせながら弦太朗へと話しかける。

 

 

 

 

 

「おぅ巴?どうした?」

 

「如月・・・。お前いい奴だなぁ!!友達のためにここまでするなんて!!」

 

「それがダチってもんだろ」

 

「巴ちゃんと如月くんがすぐ意気投合してる・・・」

 

「トモちんは友情とかに弱いからね~」

 

「おまたせしました~」

 

 

 

4人で雑談している最中に料理が運ばれてくる。

食事をしながらも雑談は続く。

 

 

 

「でも、げんたろーさんが部活してるのは意外でしたな~」

 

「部活はいいぞー。部活は青春の大通りだ!!」

 

「モカちゃんもつぐも部活入ってないけどね~」

 

「でも生徒会も部活みたいなもんだろ?」

 

「つぐはうちの副会長だもんね~」

 

「すげーな!!」

 

「ちょっと2人とも!!」

 

「ははっ。ごめんつぐ」

 

「さーせんー」

 

「そうそうさっき連絡があったけど蘭達も今から来るって~」

 

「そっか。でもなんで2人は先に帰ったんだ?」

 

「ひーちゃんは分かんないけど蘭は宿題だって」

 

「あれ?ねぇ2人とも。そういえば今日って宿題なんてあったっけ?」

 

「確かに今日って宿題出てなかったよな」

 

「げんたろーさんが怖くて避けてたとか~?蘭って意外と怖がりだし~」

 

「蘭って怖いもの無しみたいな感じだったけど」

 

「そうでもないんですよ~。蘭って怪談とか苦手なんですよ~」

 

 

 

 

 

 

 

蘭のついた嘘に対して表情が暗くなるつぐみ。

そんな中ファミレスの外からガラスを突き破り、黒い影が店に入ってくる―――

 

 

 

「あれは!?」

 

「また!?」

 

「黒い犬・・・?」

 

 

影の正体は先日つぐみたちが遭遇したハウンド・ゾディアーツだった。

弦太朗達に向けて構えるハウンド・ゾディアーツを前に弦太朗はドライバーを取り出そうとするが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・おい・・・」

 

「・・・?」

 

 

巴が怒気を含む声をハウンド・ゾディアーツへ放ちゆっくりと立ち上がる。

 

 

「おい巴?」

 

「巴ちゃん(トモちん)!?」

 

「・・・」

 

弦太朗達の静止も聞かず、ハウンド・ゾディアーツの目の前へと歩き出す。

その行動に弦太朗達もハウンドも衝撃を受けて動けない。

 

「・・・・・・せよ・・・」

 

「ん?」

 

「今、巴なんて言った?」

 

「聞こえなかった・・・」

 

 

 

 

 

 

 

巴はゆっくりと拳を握り、

 

「アタシのラーメン返せよぉぉぉぉおおおお!!」

 

その拳をハウンドの顔面目掛けて振り抜いた―――

 




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熱・唱・稲・妻-8 パニックレストラン

投稿です。

つぐみって何着てても似合うと思うのは私だけでしょうか?
私だけでも一向に構わん。

そろそろ小説のタイトルの(仮 を取りたいけどいいのが浮かばないのでこのままです。


「アタシのラーメン返せよぉぉぉぉおおおお!!」

巴がハウンド目掛けて拳を振り抜く。

 

「やめろ巴!!」

 

弦太朗の静止も空しくその拳はハウンドの顎へ吸い込まれ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハウンドの身体を後方へ吹き飛ばした―――

 

「マジかよ・・・!!」

 

「流石トモちん~」

 

「巴ちゃん!?」

 

巴が放った拳はハウンドの身体を吹き飛ばす姿に店内のいるもの達は驚愕する。

 

「あのラーメンはなぁ。まだ一口も食ってなかったんだよ・・・。どうしてくれるんだよ!!」

 

「トモちんはぶれないなぁ・・・」

 

「巴ちゃん!!危ないから下がって!!」

 

「つぐ!!離せ!!」

 

拳を固めたまま巴はハウンドへと歩み寄るがつぐが捕まえて静止する。

その隙をついてハウンドは近くにいた店員へとチェーンを投げ飛ばす。

 

「ガァァ!!」

 

「っ!!アブねェ!!」

 

「うわぁあ!!」

 

 

 

弦太朗はチェーンから店員を庇うべく、店員へと飛び込んだ。

店員をチェーンから庇うことには成功したが、弦太朗の右足へチェーンについていた分銅が突き刺さる。

 

「ぐぁあ!!」

 

「げんたろーさん!!」

 

「おい如月!?しっかりしろ!?」

 

客の多くが弦太朗へと注意へと向けられる中、ハウンドはチェーンを引き抜き入ってきた時とは別の窓を突き破って逃走する。

 

「なんだったの・・・あれ・・・?」

 

「もしかして、あれの正体って・・・!?」

 

「おい、つぐみ!!どうしたんだ!?」

 

「ううん!!何でもない!!」

 

「とりあえず、げんたろーさんの手当しないと~」

 

「それなら私がやります。私のせいでケガさせてしまったので」

 

 

 

「店員さんお願いします!!ってあんた確か・・・」

 

「げんたろーさんが庇ったのって七深ちんだったんだ」

 

「こんばんはーモカ先輩。休憩室から救急箱持ってきてもらったので、早速やっちゃいますね」

 

「よろしくね」

 

バイトとして居合せた後輩バンド"Morfonica"の広町七深に弦太朗を任せて、つぐみは2人へと話しかける。

 

 

 

 

「ねぇ。2人ともちょっといいかな?」

 

「ん?どうしたの?つぐ?」

 

「さっきの事は蘭ちゃんたちには秘密にしてほしいんだ」

 

「!?どうしてだよ!!つぐ!!」

 

「モカちゃんはつぐにさんせーかなー」

 

「モカ!?どうして!?」

 

「えー。だってつぐ、あれ見たの初めてじゃないんでしょ?」

 

「・・・やっぱモカちゃんは気づいちゃうか・・・」

 

「つぐ・・・」

 

「でもね、ずっと秘密って訳じゃなくて、明日みんなで集まってからちゃんと話したいから。それまででいいから!!」

 

「確かにー。よく分かってないの話ちゃうと混乱しちゃうからねー」

 

「・・・納得できないけど。つぐがそこまで言うなら・・・」

 

「2人ともありがとう!!」

 

「でもつぐ。明日には絶対に話してもらうからな」

 

「うん!!」

 

 

 

 

「あの~。お取込み中のところ申し訳ないんですけど、ちょっとお話が聞きたいから残ってほしいと店長が・・・」

 

「それはいいけど。アタシ達もよく分かってないぞ」

 

「話を聞くといっても、広町的には形式的なものだと思うので~」

 

「うん。ありがとうね」

 

「後、今日はもう閉店するのでひまりん先輩達が来るんだったら連絡お願いしますねー」

 

 

 

そう残して他の客のもとへと向かう七深。

そして、つぐみの携帯へ着信が入る。

 

 

 

 

「もしもし?」

 

『もしもしつぐみ。今ファミレスの前なんだけど急に閉店するって言われてさ。今どこにいるの?』

 

「お店の中だよ。ちょっとお店でトラブルがあって・・・」

 

『大丈夫なの?』

 

「私たちは大丈夫だけど、代わりに如月くんが店員さんを庇ってケガしちゃって・・・」

 

『そっか・・・。つぐたちにケガが無いんだ・・・』

 

「おい蘭!!流石に如月がケガしてるのにその言い方はないだろ!!」

 

『巴!?・・・確かにあたしが悪かったよ』

 

「蘭~。ひーちゃんはー?」

 

『ひまり?ついさっき会って今あたしの隣にいるよ?』

 

「そっか・・・。私たち帰るの遅くなりそうだから」

 

『分かった。なら明日詳しく聞くから・・・』

 

「うん。じゃあ明日ね」

 

『うん、つぐみたちも気を付けてね』

 

 

 

「大丈夫か?つぐ・・・」

 

「大丈夫だよ?明日、如月くん達も呼んで全部話すから・・・」

 

「そっか・・・。ならとっとと話終わらせて飯食いに行こうぜ!!」

 

「そういうモカちゃんも、そんなに食べれてないからお腹すいちゃった~」

 

「ふふっ。2人とも。そんなにお腹空いてたの?」

 

「でも、如月があれだからまた今度にするか怪我人連れまわすのもあれだろ」

 

「とりあえず、話をして早く行こう!!」

 

 

 

――――――

 

ファミレスでの事件後に時間が遅くなってしまったため解散することになったが、先ほどの事件もあり弦太朗は怪我をしているにもかかわらずみんなを家まで送り届けていた。

 

巴の家に送った際に怪我を見られて大声上げられる事件もあったが、今は弦太朗とつぐみの2人のみになった。

 

「如月くん、今日はごめんね」

 

「こっちこそすまねぇ。心配させちまったし、巴のあれを止められなかった」

 

「あはは、巴ちゃんのあれは流石に私たちも想像してなかったから・・・」

 

「でも、あのゾディアーツの目的が全然わからねぇ!!なんでつぐみが狙われてるんだ?」

 

「如月くん、そのことで明日話したいことがあるんだけどいいかな?」

 

「明日?今じゃダメなのか?」

 

「うん、明日本人の前でちゃんと話して止めさせないとダメなんだ」

 

「本人って、つぐみお前あいつの正体が分かったのか!?」

 

「うん、だから明日5人で集まるときに話したいんだ」

 

「5人でって!?・・・分かった。明日な」

 

「うん、もう家の目の前だからここまででいいよ!!じゃあ如月くん明日ね!!」

 

「じゃあな、つぐみ!!」

 

 

つぐみを家まで送った弦太朗は自身のバイクに跨り、帰路へ着いた。

 

 

 

 

―――――

 

そして翌日。

事件の事もありお互いに会話がなかったAfterglowのメンバーは放課後につぐみの家の喫茶店に集合していた。

つぐみ父の都合によって休業している店内にはつぐみたち以外には誰もいない。

 

「ねぇつぐみ、昨日の事ちゃんと教えてよ」

 

「うん、でもちょっと待って。事件の当事者が揃ってないから・・・」

 

「ねぇつぐ・・・。当事者ってまさか・・・」

 

「そーだよ、ひーちゃん」

 

「蘭もつぐもその袋は何なんだ?」

 

「これ?モカに言われて昨日ファミレスに行った時の持ち物持ってきたんだけど・・・」

 

「ありがとね~蘭。もしかしたら必要になると思ったからさ~」

 

「私のは後で話すから待ってね」

 

 

店内が静寂に包まれる中、休業中の店のドアが開けられる。

つぐみのいう事件の当事者達が到着した。

 

「わりぃつぐみ、遅くなった!!有咲は連れてきたけど。おたえはバイトだってさ」

 

「ううん、急に呼び出したのはこっちなんだから気にしないで」

 

「おい如月、私も生徒会の仕事があったんだけど・・・。まぁ、今度手伝えよ!!」

 

「って荷物運びくらいしか出来ねぇぞ」

 

「って、如月はともかく何で有咲までいるの?」

 

「なんでって・・・。まぁ、私もおたえも今回の関係者っていうか・・・」

 

「あんた!!有咲達まで巻き込んで・・・!!」

 

「落ち着け蘭」

 

「巴!!でも・・・!!」

 

「つぐの話聞いてからでもいいだろ」

 

「・・・ふんっ」

 

「じゃあ、始めようか」

 

そうしてつぐみは自身の持ってきた袋を漁る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして中から探偵帽子を取り出して、頭に被り宣言する。

 

「じゃあ始めよっか!!今回の事件の推理を!!」

 

 




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質問の回答をここで・・・
Q.何で巴にギャグ補正かかってるの?
A.中の人(芸人さんですし・・・)

Q.モニカだせ!!
A.あのお嬢様高校そのまま出すの厳しいねん!!後キャラの話から合ってるか不安なので今んとここれで堪忍してください。





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熱・唱・稲・妻-9 名探偵T/探偵は喫茶店にいる―――

投稿です。
話の区切りがつけられず長くなってしまった・・・

誤字報告が神様です。
いつも感謝しています・・・
見にくい等の連絡もくださると改善の参考にさせてもらいます!!




意味不明な発言に戸惑う蘭達に対して、有咲がつぐみへ質問する。

 

「なぁ羽沢さん。その帽子は何なの?」

 

「さっきはぐみちゃんが貸してくれたから折角だから被ってみたの。変かな?」

 

「似合ってるよ~つぐ~」

 

「えへへ。ありがと」

 

「なんでもいいけど、話進めてくれる?」

 

「うん!!」

 

脱線した話を蘭の一言によってつぐみは自身の”お守り”を腕に抱えて本題へと入っていく。

 

 

 

 

 

「最初に2つ謝らないといけないことがあるの」

 

「つぐ。なんのこと?」

 

「うん。昨日のことなんだけど本当は生徒会じゃなくて日曜にあった事件の事を調べてたから遅れたの」

 

「つぐ!!どういうこと!?」

 

「ねぇ・・・何で嘘ついたの?」

 

「蘭もひーちゃん。最後まで話聞いてからにしようよー」

 

 

声を荒げる蘭とひまりに対してモカが2人を宥める。

それによって蘭は少しだけ冷静さを取り戻す。

 

「つぐみ。続けて・・・」

 

「ありがとう蘭ちゃん。もう1つ目はショッピングモールの事件の時に有咲ちゃん達と一緒にいたの・・・」

 

「そうなの有咲?」

 

「そうだよ蘭ちゃん。日曜はおたえも一緒に現場にいたんだよ」

 

「じゃあ、日曜に一緒にいた男は誰なの!?」

 

「ねぇ~蘭。日曜はずっと家にいたはずなのに何でつぐが男の人と一緒にいたこと知ってるの~?」

 

「確かに、蘭はチャットでずっと家にいたって言ってたよな」

 

「ごめん。実はつぐみたちの後を追ってたの。それは知らない男といたつぐみが心配で!!」

 

「あ~。蘭ちゃん。その一緒にいた男は如月の事なんだよ」

 

「はぁ!?だって全然髪型違ってたし!!」

 

「ううん。蘭ちゃん。一緒にいたのは間違いなく如月くんなんだよ」

 

「おぅ。日曜はつぐみと一緒にショッピングモールへ行った時に雑貨屋で有咲達とあったな」

 

「それでその後にショッピングモールの事件があったんだよ」

 

「なぁ、つぐ。モールの事件っていうのは昨日の奴か?」

 

「トモちん。そうだと思うよー。だって、その時くらいしか考えられないよー」

 

 

 

ショッピングモールでの事件内容が把握できた巴とモカに対して、事情を知らずにいる蘭は不満な様子を隠せない。

 

「ねぇ。いい加減に教えてくれない?日曜と昨日で何があったの?」

 

「んとね~。変なのに襲われたんだ~。日曜は有咲達で、昨日は私たちが~」

 

「その2つともにいたのがつぐとその人ってこと?流石に都合よすぎない?」

 

「ひまりの言うとおりだよ」

 

そんな連続で同じ人間が同じような事件の現場に居合せるなんてそうそう起こることではない。

モカが理解した事件の概要を説明するも蘭とひまりはそのこと事態を疑う。

 

「少なくとも昨日のファミレスはそれだよ。蘭達もファミレス入れなかったろ?」

 

「それはそうだけど・・・。そいつがなんかしたんじゃないの?」

 

「おい蘭!!」

 

「どーどー。でもそれならげんたろーさんはここじゃなくて警察のお世話になってるんじゃない~?」

 

「それもそっか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、普段よりも口数が少ないひまりが口を開く。

 

「ねぇねぇ。ショッピングモールの事件は蘭が関係してるってこと?」

 

「ひまり!?あんた何言って!!」

 

「落ち着け2人とも!!」

 

「えぇ~だってさ。どっちの事件の時も現場に行けそうなのってこの中だと蘭だけじゃない?」

 

「ひーちゃん・・・?」

 

「あんたいい加減に・・・!!」

 

ひまりの発言に怒りがこみ上げる蘭―――

声を荒げその勢いのままひまりに詰め寄り一触即発の空気の中―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは違うよ!!」

 

つぐみが声を上げる。

 

「つぐ・・・。だって!!蘭以外に両方の現場に1人で行ける人いないじゃん!!私はバイトだったんだから」

 

「でもね日菜先輩が「ショッピングモールの方から走ってきてる蘭ちゃんを見たよ~」って言ってたんだよ」

 

「・・・うん。確かにつぐみ達の姿見てちょっと訳わかんなくなってモールから走って帰ってたよ」

 

「じゃあ、この中に犯人なんていないのに何でこんなこと話してるの!!」

 

「つぐ~。ひーちゃんの言うとおりこの中には犯人いないんじゃない?」

 

「話を聞いてる限りだと、俺もそう思うぞ」

 

「まぁ、如月でも分かるってことはそうだろ・・・」

 

「じゃあ、つぐ。もう少し詳しく話さないか?」

 

全員が安堵の表情を浮かべる中、つぐみだけは真剣な表情を崩さない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かにこの中に犯人はいないと思うよ。これ以上嘘ついてる人がいなければね・・・」

 

「ねぇ。つぐみ・・・?それってどういうこと?」

 

 

 

 

つぐみのトンデモない発言に対して先ほどまで犯人扱いされていた蘭が聞き返す。

 

「そうだよ!!だってみんな2つの事件の犯人じゃないじゃん!!おかしいよつぐ!!」

 

「流石にアタシもこれ以上は無理があると思うぞ」

 

「モカちゃんもこれ以上は擁護できないよ~つぐ~」

 

他のAfterglowのメンバーがつぐみに対して否定的な発言をする中、つぐみは日菜から聞いた別の証言を語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ひまりちゃん。何で彩さんとバイトのシフト変わったのに「バイトしてた」って嘘つくの?」

 

「・・・えっ?何言ってるの?つぐ・・・?」

 

「彩さんがスケジュールの都合でバイトのシフト変えてもらってたってイヴちゃんから聞いたよ?」

 

「そうなの?ひーちゃん?」

 

「・・・ちょっと待って。アタシが店に電話して確認するから」

 

そう言いだすとおもむろにスマホを取り出してひまりと巴のバイト先である店へと電話をかける巴。

視線が巴に集中する中、弦太朗は周囲に気づかれないようにあるガジェットにスイッチを入れて起動する。

 

 

 

「そうですか・・・・わざわざありがとうございます。それでは失礼します」

 

「ねぇ巴。ひまりの件はどうだったの・・・?」

 

「ひーちゃん?トモちん?どしたの?」

 

巴の電話が終わり、蘭が確認するが電話に出た巴とひまりの表情が暗い。

暗い表情のまま電話で聞いたありのままを話す。

 

「あぁ・・・。ひまりのシフトについて確認したけど・・・。つぐの言うとおりだった・・・」

 

「・・・」

 

「・・・っ!!」

 

「「「「!!」」」」

 

無言のまま真剣な表情を崩さないつぐみ。

嘘がばれて苦い顔をするひまり。

つぐみ言うとおりだったことに驚きを隠せない他のメンバー

 

 

「じゃあ!!証拠!!私が犯人だっていうなら証拠出してよ!!」

 

重い空気の中、ひまりが声を荒げて叫ぶ。

 

「うん。分かったよ・・・。ひまりちゃんがそれで納得するなら・・・」

 

「じゃあ、蘭ー昨日のカバンの中身も見せてー」

 

「えっ??・・・うん。分かった」

 

 

そうしてつぐみと蘭が同時に荷物の中身を取り出していく。

 

蘭のカバンからはバンドスコア、変えの弦、剣山を取り出していく。

 

「つぐみ。次で最後だから一緒に取り出そう」

 

「うん。じゃあいくよ・・・。せーの!!」

 

つぐみの掛け声で2人が荷物から取り出した物――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは人形のような”お守り”であった―――

 

「「??」」

 

「「「「!!」」」」

 

 

状況が分からない弦太朗と有咲に対して、

Afterglowのメンバーは1つずつしか持っていないはずの”お守り”が今、つぐみの手元に2つ存在していることに驚きを隠せない。

その中で、巴が素直に疑問を投げつける。

 

「なぁ、つぐ・・・。それどうしたんだ?」

 

「・・・。拾ったんだよ・・・。如月くんに助けてもらった最初の事件現場で・・・」

 

「っ!!それじゃあ!?」

 

「蘭の荷物にこれがあったってことは・・・」

 

「そうだよ。事件の犯人は・・・ひまりちゃんだよ・・・」

 

「なんでよ!!おかしいよつぐ!!」

 

「ううん。おかしくないよひまりちゃん・・・。最初の事件と2回目の事件は同じ人に襲われたんだから・・・。襲われてない蘭ちゃんとひまりちゃんで蘭ちゃんが"お守り"を持ってるってことは、ひまりちゃん以外には考えられないんだよ・・・」

 

事実が受け入れられない一同に対して、声を震えながらつぐみは訴える。

 

「誰かが犯人を私にするためにわざとやったんだよ!!」

 

「じゃあ犯人は私たちしか持ってないのをどうやって用意したんだ?」

 

つぐみの証拠の反論をするひまりに巴が問いただす―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは”イヌの怪物”が盗んで!!それにその人の脚だって怪物に"刺された”んでしょ!!」

 

そして、ひまりの口からボロが出た―――

その発言に対して事情を知ってる者の視線はひまりへと集中する。

 

「「「「!!」」」」

 

「はぁ?ひまり・・・。どうしたの急に?」

 

「おい!!ひまり!!」

 

「ひーちゃん・・・」

 

「嘘だろ・・・」

 

「・・・」

 

「何!?みんなして!?どうしたって言うの!!私じゃないよ!!」

 

皆の視線が集めてしまったひまりが声を荒げてる中、つぐみは涙を堪えながら理由を述べる・・・。

 

 

 

 

 

 

「確かに「襲われた」って言ったけど。「怪物に」なんて誰も言ってないよ・・・」

 

「つぐ!!それはSNSで書いてあったから・・・!!」

 

「ひまりちゃん。私が昨日から如月に頼まれてSNSの書き込み捜した時には「怪物」ってのはあったけど「イヌの」なんて書いてなかったよ・・・」

 

「俺も別のダチに探してもらったけど、イヌの怪物なんて書き込みは事件起こってからはねぇってさ」

 

「それは・・・!!」

 

「それにげんたろーさんの怪我が刺し傷ってことを知ってるのは現場を見た人か犯人しかいないよ。ひーちゃん」

 

 

最初のボロから自身で墓穴を掘るひまり。

皆の視線と反論に口ごもるひまりに対して、つぐみが声をあげる。

 

 

 

「もういいよ!!ひまりちゃん・・・。もうやめよ・・・?」

 

「つぐみ・・・。お前・・・」

 

「最初にこの”お守り”を拾ったときは、みんなの無実だってことを証明しよう。って思ってたんだよ・・・」

 

「つぐ・・・」

 

「それで、みんなに嘘をついてまで頑張って証拠を探してたらおかしな所ばっかりで・・・。決心してみんなに話したらこんなことなっちゃって・・・」

 

その言葉とともに泣き崩れるつぐみ。

 

店内の空気に耐え切れなくなったひまりが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なの!!みんなして私を悪者にして!!もういいよ!!」

 

そう言い残して店から飛び出す。

 

 

 

「ひまり!!蘭!!追いかけるぞ!!」

 

「うん!!よく分かってないけど・・・。ひまり追わないと!!」

 

「ひーちゃん!!」

 

「あぁ!!もう!!とりあえず私は知り合いに片っ端から連絡してひまりちゃんの行先聞くから!!」

 

 

 

 

 

そうしてひまりを追うべく次々に店から飛び出し、

 

店内には弦太朗とつぐみが取り残された―――

 

 




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なんのガジェットを起動したか書いてないのでスイッチカウントは無いです!!


質問あった弦太朗の呼ばれ方(呼び)ポピパ篇
弦太朗は基本的下の名前orあだな()呼び
香澄:げんちゃん先輩
たえ:先輩(おたえ)
りみ:弦太朗くん
有咲:如月
沙綾:弦太朗


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熱・唱・稲・妻-10 Shout!!少女の気持ち

投稿です。
次でAfterglow篇は終わりの予定です。
予定です!!

それにしてもここの巴が脳筋キャラみたいになってきた・・・。

本章ではダイザ―に乗ってもらうつもりはないから巴さんの生身での戦闘シーン()がここまでだ!!



店内に取り残されて泣き崩れるつぐみ。

つぐみの様子が落ち着いた頃、弦太朗はつぐみへ語りかける。

 

「つぐみ。俺はひまりを捜してあいつを止めに行く」

 

「・・・止めるって、怪我してるのにまた戦うの・・・?」

 

「あぁ・・・。あいつがまた変身したら俺にしか止められねぇからな。だから、そうなる前につぐみ達であいつを止めてくれ」

 

「あんなこと言った後なのに・・・。出来るわけないよ・・・」

 

「つぐみ達の友情はそんなもんじゃ壊れねぇ!!それに今の俺じゃ言葉であいつを止めらんねぇ。だから俺に出来ないことをやってくれ!!」

 

「如月くん・・・」

 

「それに、つぐみ。お前は一人じゃねぇ。蘭もモカも巴もいる。みんなでダチを止めてくれ。それでもダメなら戦ってあいつを止める」

 

「・・・分かった。やってみる!!」

 

つぐみはひまりの凶行を止めることを決意する―――

 

「うっし!!だったら今からひまりを追いかけるぞ!!場所はこっちで――」

 

「だったらあそこかも!!街外れの公園があるの!!多分そこだよ!!」

 

「何でそこまで分かるんだ?」

 

「普段集まる学校の屋上は靴を履き替える時に捕まっちゃうし。ここから公園はそれなりに距離はあるけど、ひまりちゃんが変身したならそこまで行くのに問題ないと思うから!!」

 

「ナゲット出した意味がなかったぜ・・・!!とにかくその公園に行くぞ!!バイクの後ろに乗れ!!」

 

「うん!!」

 

こうして2人を乗せたバイクは目的地へと走り出す―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

アタシたちはつぐみの店を飛び出したひまりを追いかけているが、距離が次第に離されていく―――

蘭も走って追いかけているが次第に蘭とアタシ達の距離が離れていっている。

普段のひまり相手だったらすぐにアタシかモカが追い付くんだけどそれにしても―――

 

「ひまりの奴、早すぎるだろぉ!!」

 

「流石にモカちゃんもキツいよぉ~」

 

「はぁ・・・はぁ・・・きつっ・・・」

 

「蘭!!頑張れ!!」

 

「・・・」

 

つぐの店から始まったこの追いかけっこ―――

始まってからそれなりに時間が立っているのにひまりの奴はあれだけ走っていて息1つ切らしていない。

こっちは蘭の体力が限界寸前だし、このまま闇雲に追いかけてもこっちが体力が持たなくて逃げられてしまう・・・。

せめて目的地が分かれば・・・。

 

「なぁモカ!!ひまりどこ向かってると思う?」

 

「さぁ?方向的には昔良く行ってた公園だと思うけど」

 

「それにしても、何でひまりは前みたいに変身してないんだ!!あれだったらすぐ逃げれるだろ!?」

 

「そこまでは分かんないよ~!!」

 

 

アタシ達を振り切るだけなら変身すればすぐだけど―――

走り続けてるから頭が廻らなくなってきた・・・。

 

「でも、つぐはどうするの~?」

 

「知らん!!今は目の前にいるひまりだ!!」

 

つぐは如月が何とかしてくれるはず・・・。

昨日話して分かったけどあいつほど”友情”を大事にするやつを見たことがない・・・。

そんなあいつだったらアタシ達の”友情”も分かって何とかしてくれるはずだ!!

だから今のアタシに出来ることは―――

 

「とにかくこのまま追いかけるぞ!!蘭!!踏ん張れ!!」

 

「・・・話しかけないで・・・。しんどい・・・」

 

こうしてアタシ達は会話を終えて目の前のひまりを追いかけることに集中した。

 

 

 

そのまま走り続けていると急にひまりが走るのをやめた。

アタシ達もそれに合わせるように足を止めた。

少し遅れて着いた蘭は地面に倒れこんで肩から息をしている。

 

息が落ち着いてきたアタシは場所を確認するために周りを見渡した。

 

 

今、アタシ達がいる場所―――

それは小さいころよく来ていた公園だった・・・。

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「あれ?つぐは来てないんだ?」

振り返ったひまりはつぐがいないことを指摘する。

 

「・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。ひまり!!」

 

「蘭も倒れるくらい頑張って走ったんだ」

 

「ひーちゃん!!何でここに来たの?」

 

モカはこの場所に来た理由をひまりに質問する。

そして、ひまりの自身の気持ちを語る。

 

「懐かしいよね。昔はここに5人で集まって遊んで、夕焼けを眺めてから帰ったよね。

でも中学にはいる前かな?この場所へ来なくなって、学校の屋上から夕焼けを見るようになったよね。そこからクラスがバラバラになったからバンドを始めて、5人で一緒にいる時間が増えてさ・・・」

 

「そうだね。ひーちゃん・・・」

 

「でも、高校生になってからみんなバイトを始めて・・・。つぐも生徒会に入ったりお店を手伝う時間も増えたから、5人の時間が減ってきて・・・。それに色んなバンドの人と交流をするようになってからは、5人だけの時間がどんどん減ったよね・・・」

 

「ひまり・・・。お前・・・」

 

「最近はあの男が来て、つぐたちと仲良くなってさ・・・。これ以上5人でいる時間が減るのは嫌なの!!そのせいでみんなに嫌な思いをしてほしくないの!!

だから5人の時間を奪うモノはどんなことしてでも・・・私が・・・!!」

 

 

ひまりの語りの声が叫びに変わっていく―――

しかし、とある一言がひまりの叫びを止める。

 

「・・・ふざけないで・・・」

 

「蘭~!!」

 

蘭はモカの肩を借りながら立ち上がる。

 

「正直よく分かってないけど悪いことしてるのは分かった。だからこれ以上はあたしが止めるよ!!」

 

「蘭ちゃん!!みんな!!」

 

蘭の言葉とともにつぐみ達を乗せたバイクが到着し、つぐみが蘭達へと駆け寄る。

 

「「つぐ(つぐみ)!!」」

 

「蘭ちゃん。違うよ?」

 

「えっ?」

 

 

「”あたしが”じゃなくて、そこは”あたし達が”だよ」

 

 

「つぐみ・・・!!」

 

「だな!!」

 

「モカちゃんもやっちゃうよ~!!」

 

「つぐ・・・。その人も一緒なんだ・・・」

 

「ひまりちゃん・・・。もうやめよ・・・?だからスイッチを渡して?」

 

「つぐ・・・」

 

「ひまり!!もうやめて!!」

 

「そっかぁ・・・。つぐだけじゃなくてみんな変わっちゃったんだ・・・。だったら・・・!!」

 

 

そしてひまりはポケットの中からスイッチを取り出す。

取り出すと同時にスイッチはラストワン状態へと形を変える。

 

「みんなを変えちゃった全部を消して”いつも通り”を取り戻さないと!!」

 

 

その叫びとともにスイッチを押すひまり。

人間の身体はその場に横たわり、ひまりはハウンド・ゾディアーツになった―――

 

「ひまり!?」

 

「ひーちゃんが昨日のに変身した!!」

 

「・・・」

 

「ひまりー!!」

 

ひまりの変身を目の当たりにした蘭達は戸惑いの表情を浮かべる中、怒りに身を任せた巴が先日と同じようにハウンドに殴りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、今回のハウンドは巴の攻撃を意に返さない。

 

「いってぇ~!!」

 

「巴・・・。邪魔だよ・・・」

 

「うわぁ!!」

 

ハウンドは殴りかかってきた巴の腕をつかむとそのまま巴を投げ飛ばす。

投げられた巴は蘭の横へと飛んでいき、地面を転がるように受け身を取る。

 

「トモちん!?大丈夫~?」

 

「あぁ・・・。でも昨日と全然違うぞ!!どうすんだよ!!」

 

「・・・如月くん!!後はお願い!!」

 

「おぅ!!」

 

つぐみの言葉とともに弦太朗はハウンドの前へ出る。

 

「何?自分から消されに来たの・・・?」

 

「ちょっと!!何やってんの!?」

 

「如月!?」

 

「2人とも!!大丈夫だよ!!」

 

「つぐ~?どういうこと?」

 

「すぐわかるよ」

 

そうして弦太朗はドライバーを取り出して構える。

 

 

 

「ひまり・・・。俺が今からお前を止める!!」

 

その言葉とともに弦太朗はドライバーを腰に当ててひまりに告げる。

 

 

 

 

「先輩の言葉を借りてお前にはこう言うぜ・・・。”さぁ、お前の罪を数えろ”!!」

 

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

活躍無かったジャイロくん。君のスイッチカウントは無しだ!!

次回予告
宇宙いくぞー!!


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熱・唱・稲・妻-11 いつも通りな型破り

投稿です。
次でAfterglow篇は終わらせるまで書いたら長くなってもうた
わしの能力じゃ切れなかったんじゃ・・・

これでAfterglow篇は終わり!!(次がないとは言ってない)




げんたろーさんは懐から取り出した何かを腰に当てるとそこからベルトが伸びて腰に巻かれた。

そして慣れた手つきでそれに着いてるスイッチを入れて構えてる・・・。

 

流石のモカちゃんも目の前で起きてることに理解が追いつかないし、蘭達も頭の上に”?”を浮かべている。だけど、つぐはこの後のげんたろーさんが何をするか知ってるっぽい・・・。

げんたろーさんと向かい合うひーちゃんは警戒して身構えている。

 

そんな状況下で、聞き覚えのないカウントダウンが私たちの耳に鳴り響く。

 

「ちょっと!!あんた!?」

 

3―――――――

 

「如月!!」

 

2―――――――

 

 

「あれ・・・?」

 

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

その言葉とともにベルトのレバーを弄ったげんたろーさんは上に手を伸ばしだした。

それに合わせてげんたろーさんの方から煙が勢いよく噴き出し、その勢いが強くって蘭とトモちんが煙から目を背けたり、顔を守ってるけど、つぐとあたしは中心にいるげんたろーさんを見ていた。

煙で段々とげんたろーさんの姿は見えなくなっていく・・・。

でもすぐに煙の中から見たことのない腕が出てきてその腕が煙を払う・・・。

煙を振り払うとそこには変身したげんたろーさん?がいた。

そして、身体を縮こませてから両手を上に突き上げながらいきなり叫びだした・・・。

 

「宇宙キターーーーッ!!」

 

げんたろーさんの声がする。

ってことは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ~。げんたろーさんも変身した~」

 

「「はぁ・・・?」」

 

そのままげんたろ―さんは右腕をひーちゃんへと向ける。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「私には罪なんてないよ!!」

 

その言葉とともに目の前で姿を変えたげんたろーさんとひーちゃんは殴り合いを始めた。

 

 

 

 

「仮面・・・?」

 

「らいだぁー?」

 

「おぉ~!!」

 

”仮面ライダー”って都市伝説の・・・。

 

蘭達はげんたろーさんが言った意味が分からず声を出してるけど、まさかげんたろーさんが都市伝説の”仮面ライダー”だったことに自分でも分かるくらいには興奮していた。

 

「ねぇ。モカ知ってるの?」

 

「"仮面ライダー”は都市伝説のヒーローだよ~。あたし達は今。都市伝説を見てるってことだね~」

 

つぐはげんたろーさんのあの姿を見たことがあるから特に驚いてないみたいだけど・・・。

そんなことを思ってるとトモちんがつぐに質問をしていた。

 

「なぁ。つぐ。ひまりの奴はどうなってるんだ?あそこに身体が転がってるけど。声はイヌの方から聞こえたんだけど・・・」

 

確かに・・・

ひーちゃんの身体は地面に転がってるけど、怪物からひーちゃんの声が聞こえる。

よくわかんないけど、あの状態のひーちゃんをやっつけたらどうなっちゃうんだろ?

 

「確かに・・・!!あれがひまりならあいつが倒したら・・・」

 

その言葉に嫌な考えが頭を浮かんでしまったであろう蘭とトモちんは顔をどんどん青くしてる・・・。

先ほどまで都市伝説と浮かれていたあたしも蘭達みたく青くなっているのだろう・・・。

 

 

 

 

でもつぐだけは違っていた。

 

「如月くんがいうにはひまりちゃんがさっき押したスイッチを切れば元に戻るって。おたえちゃんも有咲ちゃんもそれで元に戻るのを見たって言ってたから間違えないと思うよ・・・」

 

そっか・・・。なら少しは安心できるね。

蘭達の顔色も段々とさっきよりは良くなったけど、蘭は走った疲れがまだ顔に出てる。

 

「とりあえず、アタシがひまりの身体をこっちに持ってくるからみんなは離れててくれ」

 

そう言ってトモちんは戦いを避けてひーちゃんの身体を回収しに行った。

その間にあたし達は戦いから離れた場所へ移動して目の前の戦いに目を向ける。

 

「・・・如月くん。・・・ひまりちゃん」

 

「ひまり・・・」

 

つぐも蘭も心配そうに目の前の戦いを見つめてる。

姿は違うけど実際は知り合い同士が目の前で殴り合いしてるだよね・・・。

 

 

しかも、げんたろーさんの動きがどこかぎこちない・・・。

 

あたしは不安を感じる中、目の前で行われている戦いを見つめた―――

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

殴り合いから始まったハウンドとの戦いは次第にフォーゼがハウンドに押され始める。

 

「ほらっ!!早くやられてよ!!全部そっちが悪いんだから!!」

 

「くっ・・・!!」

 

「ほらほらっ!!どうしたの!!」

 

フォーゼを押し始めたハウンドの攻撃は次第にフォーゼの右足へと集中する。

攻撃に耐えきれなくなったフォーゼは体勢が崩れて転倒する。

ショッピングモールでの戦いからフォーゼと距離を取ることが危険と認識しているハウンドはフォーゼの左腕を自身のチェーンで拘束する。

 

「これでもう距離は取らせないよ・・・。だから早くやられてね!!」

 

そうしてハウンドはフォーゼが転倒するたびに拘束したチェーンを引くことで

フォーゼの身体を自身へと寄せては右足への攻撃を繰り返す。

 

「如月くん!!」

 

「ひまり・・・。あいつが怪我してる足を集中して攻撃してる・・・」

 

「如月!!」

 

 

 

 

ハウンドからの攻撃によって身体の正面から倒れこむフォーゼ。

勝機を確信したハウンドはフォーゼにとどめを刺すための先ほど以上に強くチェーンを引き、フォーゼを自身へと引き寄せる。

引き寄せられるタイミングに合わせフォーゼはスイッチを起動する。

 

 

――ロケットON―――――――――

 

 

「うぉおおおおおおおおおおお!!」

 

ロケットの推進力を加えてハウンドの引き寄せられる力を合わせて、ハウンドへと突撃する。

 

 

 

「うああああああ!!」

 

ハウンドは拘束を外して突撃の回避を試みるも間に合わずに大きく吹き飛ばされる。

フォーゼもロケットをOFF にするが、右足に力が入らずに膝から崩れ落ちる。

 

だが、拘束も外れて距離が開いたハウンドへ追撃するためにフォーゼは左足のスイッチを交換して起動する。

 

 

 

――――――ガトリングON――――

 

 

「食らえ!!」

 

フォーゼのガトリングから放たれた弾の多くがハウンドへと直撃し、ダメージを与えるがフォーゼのピンチには変わらない。

最初の肉弾戦とこのガトリングでハウンドにはそれなりのダメージは入っているため、ここから必殺技を決められれば勝つことは出来る。

しかし、必殺技を使うにはそのためには今使用しているガトリングを止める必要があるが、止めた途端にハウンドは自身を再び拘束して怪我をしている足を狙われた時点で戦いは一気に苦しいものになる。

他の形態の必殺技を使うとしてもフォーゼの足が耐えられない。

 

 

しかし、モカが放ったある言葉からフォーゼは勝機を見出した

 

 

 

 

 

―――――――――

 

ひまりの身体を回収したアタシは蘭達の元へ移動して如月たちの戦いを見ていた。

目の前の光景から蘭が不安をそのまま口にした。

 

「足をあんなにやられたら流石に・・・」

 

「・・・」

 

本当は大声で「大丈夫!!」と言いたかった。でもそんな訳がない。

 

どんなことをするにしたって足の力は大切だ。

軽い筋肉痛が起こるだけでも楽器の演奏や日常生活にだって影響する場合がある。

ただの筋肉痛ですらそれだけの影響があるのに、如月が今行っているのは文字通りの”命がけ”の戦いだ。

足も筋肉痛なんて生易しいものではなく、怪我も決して軽い物じゃない。

 

今も足から弾を撃って時間を稼いでいるが、それもひまりが対応してしまったらアウトだ・・・。

 

「足がうまく使えないならさ~。"(そら)”で戦えばいいんじゃない?」

 

「そっか!!"宇宙(そら)”か!!」

 

モカの言葉に反応した如月は変わった形の携帯を取り出して何かを操作する。

 

如月とモカでなんか字が違った気がするが・・・。

 

そんなことを考えていたら誰も乗っていないバイクが如月の元へと走り出す。

驚くアタシ達を他所に如月は弾を撃つのをやめて、バイクに乗ってひまりへと突っ込んでいく。

 

「そんなバイクに乗っても!!」

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

ひまりは自身のチェーンを如月に飛ばすが、アイツはお構いなしに突っ込んでいくがひまりは如月のバイクを避けた―――

 

 

 

 

しかし、避けたひまりは急に来た黄色い車と衝突して吹き飛ばされる。

 

 

そして如月がバイクもろともその車の上に乗り上げると車がいきなりひまりに対してミサイルを乱射した。

そのミサイルの爆風はひまりの身体を上空へ大きく打ち上げる。

 

「ねぇ!!あれ!!」

 

つぐの突然の声にみんなの視線はつぐが指をさしていた如月へと向いた。

その車はいつの間にかロケットの発射台のような形へと形を変えていた。

 

 

ははっ・・・。

まさかそのままひまりに突っ込むのか・・・?

 

そんな考えをしていたら最初に聞こえたカウントダウンが響く。

 

 

 

 

3―――――――

 

 

2―――――――

 

 

1―――――――

 

 

―――Blast off!!

 

 

「いっけぇええええええええええええええええええ!!」

 

 

 

如月がハンドルをひねると同時にバイクと共に空へと打ちあがる。

そして打ち上げられたひまりへと突っ込んで、そのままひまりを巻き込んでどんどん高く飛び上がり

 

 

 

そして、アタシ達の視界から2人の姿は見えなくなった――――

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

黄色い車―――パワーダイザーによって宇宙へと打ち上げられたフォーゼとハウンド―――

 

ハウンドは初めての宇宙空間で上手く行動が出来ない中、フォーゼはスイッチの交換を終えるとバイクから飛び降りる。

 

「ひまり!!これで終わらせる!!」

 

その言葉とともにスイッチを起動して、ベルトのレバーを倒す。

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

 

 

 

「ライダーロケットドリル宇宙キィィィィィック!!」

 

 

「あああああああああああああああああああああ!!」

 

宇宙空間で放たれたそのキックは容易にハウンドの身体を貫いて爆発を起こした。

爆発の中からスイッチがフォーゼへと飛んでくる。

それを右手で掴むと、左手用のスイッチを交換する。

 

「ひまり。お前の罪は心配してたダチを悲しませて泣かせたことだぜ・・・。俺もやったことあるけどな・・・」

 

その言葉とともにフォーゼは大気圏へと突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォーゼをハウンドが宇宙へと飛び立った後、状況が分かっていない4人は公園―――

 

「あいつどこまで行ったの・・・?」

 

「見たまんまだけど本当にロケットの打ち上げだったね・・・」

 

「いや~。まさかモカちゃんも宇宙まで行くとは思ってなかったよ」

 

「とりあえず終わったってことでいいのか・・・?」

 

「ねぇ!!あれ!!」

 

フォーゼたちが飛んで行った方向を見つめながら話す4人。

そして空からなにがこちらに向かってくるのを見つけたつぐみ。

最初は豆粒ほどしか見えなかったそれが次第に大きくなり、途中で左腕からパラシュートを展開しながらつぐみ達の方へと落ちてくる。

 

「あれって・・・!!」

 

「げんたろーさん!!」

 

「パラシュートまであるのかよ!!」

 

「おわああああああ!!」

 

しかし、足のケガがあるフォーゼは着地に失敗して自身の展開したパラシュートを巻き込みつつ地面を転がる。

 

パラシュートのスイッチをOFFにして4人の元へと向かう。

 

「ふふっ・・・」

 

「如月・・・。最後はカッコよく決めてくれよ・・・」

 

「いや~。流石にやばいと思ったよ~」

 

「ちょっと、どうなったの!?ひまりは!?」

 

フォーゼに詰め寄る4人にフォーゼは目の前でゾディアーツスイッチを切り、スイッチが消える瞬間を見せる。

 

「これで大丈夫だ・・・」

 

そう言いながら変身を解除した弦太朗はその場に座り込む。

 

「流石にもう足が限界だ・・・」

 

「如月くん。お疲れ様・・・」

 

「げんたろーさんおつー」

 

「さんきゅーつぐ、モカも・・・」

 

 

 

 

そんなやり取りの中、ひまりが意識を取り戻す。

 

「あれ・・・?みんな・・・?」

 

「ひまり!!気が付いたんだ!!」

 

「ひーちゃん!!(ひまり!!)(ひまりちゃん!!)」

 

4人はひまりの元へと駆け寄る。

 

「ひまり大丈夫か!?」

 

「うん・・・」

 

「さっきまでの事覚えてる?」

 

「覚えてるけど、なんか夢みたい・・・。自分が自分じゃないような・・・。みんな迷惑かけてごめんね・・・」

 

「うん!!」

 

「今からまたいつも通り5人でいようね・・・」

 

「蘭・・・。うん!!」

 

 

 

 

 

5人の光景を見た弦太朗は公園から見える夕日を眺めながら、

「今日の夕日は一段と目に染みるぜ・・・」

そう呟いて意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

「でも、ひーちゃん。お礼はげんたろーさんに言わないとねー。さっきまで怪我した足にすっごい攻撃し続けてたんだから~」

 

「おい!!モカ!!」

 

「巴!!私のせいだからいいの!!ってえぇ!!」

 

「ひまりちゃん?どうしたの?」

 

「足!!すっごい血が出てる!!」

 

「えぇ!!ちょっと如月くん!?」

 

「おぃ!!」

 

「110番しなきゃ!!」

 

「・・・どうすんのこれ・・・」

 

「もしも~し、救急車おねがいしまーす」

 

 

 

バタバタ慌てる4人を他所にモカは救急車を呼び、弦太朗は運ばれていった。

それを見送るながら5人一緒に帰路へ着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、羽沢珈琲店にて――――

 

「ねぇ・・・」

 

「ん?どうしたんだ蘭?」

 

「いや、巴じゃなくて、あんたが何でここにいるの?」

 

 

 

蘭が話しかけた相手―――それは先日救急車で運ばれたはずの弦太朗だった。

 

「なんであんな怪我してたのにそんなにピンピンしてるの・・・?」

 

「不思議だね~」

 

「はーい。コーヒーとケーキセットどうぞー」

 

「さんきゅー。つぐ」

 

「弦太朗くん!!話はつぐから聞いたよ~。沢山迷惑かけちゃったからこれからは弦太朗くんの事をみんなで手伝うね!!じゃあ早速!!あ~ん!!」

 

「ちょっとひまり!?」

 

「・・・ひまりちゃん?何してるのかな・・・?」

 

「だって、助けてもらったからこれくらいはしないと!!」

 

「ひまりちゃん・・・!!」

 

「なぁ、2人ともどうしたんだ?」

 

「弦太朗くん(如月くん)は黙ってて!!」

 

「・・・おぅ・・・」

 

 

目の前の光景が理解できない弦太朗に対して目の前に火花を散らすひまりとつぐみ。

残った3人はその光景を餌に話しを進める。

 

 

 

「なぁ、つぐはなんとなく分かるけど、どうしてひーちゃんまで・・・?」

 

「スイッチ使うと精神とか考えがおかしくなる。って言ってたけどそのせい・・・?」

 

「その時の記憶もあるって言ってたし、助けてもらったからそのせいじゃないか?それかあれだろ戦って芽生える友情的なあれ」

 

「あれは恋愛感情だと思うし、トモちんのいうそれは漫画だけだよー。でも、漫画以上に面白い光景はこれから見れるよ~」

 

「は?モカどういう・・・」

 

「入口に注目~」

 

モカの言葉とともに入口のドアが開かれるとそこにはパン屋のエプロンを付けたままの沙綾の姿あった。

 

「ねぇ・・・つぐにひまり・・・?それってどういう状況かな・・・?」

 

「「沙綾(ちゃん)!?」」

 

「ねぇ、2人とも外で詳しくお話ししよっか・・・」

 

「「「ふふふっ・・・・・・」」」

 

 

 

 

「なぁ、まさか・・・」

 

「そのまさかだよー。トモちん」

 

「・・・頭痛くなってきた」

 

3人は話を戻すがその時に別の乱入者が―――

 

「おぅ、如月もAfterglowも全員いるな・・・」

 

「あっ・・・」

 

「忘れてた・・・」

 

「ひーちゃんの後にげんたろーさんの運ばれたのもあったからすっかり忘れてたね~」

 

「お前達なぁ・・・!!」

 

この後、有咲を放置していた6人が後日怒られる事。

そして弦太朗が先輩であることを知るのはまた別の話である――――




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

オリ設定としてはマグフォンからのダイザ―操作っすねぇ
あれ資料だとカバンからしか遠隔操作できないっぽいんすっよねぇ・・・
宇宙行くためにはカバンをバンドリキャラに使わせるよりもそうした方が話つくりやすい・・・
非力な私を許してくれ・・・

次章はクマかな・・・

質問あった弦太朗の呼ばれ方(呼び)アフターグロウ篇
弦太朗は基本的下の名前orあだな()呼び
蘭:あんた・あいつ -名前で呼ぶのは恥ずかしい
モカ:げんたろーさん
巴:如月
ひまり:弦太朗くん
つぐみ:如月くん(つぐ)次章以降から

カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 14/40


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オマケ時空篇- 彼女たちの日常・・・?
日・常・風・景1 -俗にいう小ネタ集


次バンド入る前に小ネタ・没ネタを突っ込みます。

思い付きの内容を書きなぐっている部分もあるのでキャラ崩壊注意!!

トテモキケーン!!


~~~~小ネタ1:意外なミラクルマッチ

 

ある昼下がり―――

練習前に自宅で趣味を満喫中の有咲の元へ、沙綾がやってきた。

 

「有咲。おはよー」

 

「おっす。って沙綾だけか」

 

「時間まで余裕あるからね。ってそれは・・・?」

 

「これ?ばぁちゃんが知り合いから貰ってきた盆栽なんだけどさ。手入れがされてないから酷い状況でさー」

 

「盆栽なの・・・?」

 

有咲が手にしていたもの盆栽は枝が多すぎる上に、枝の形も歪であることは素人の沙綾にも分かった。

 

「ね、有咲ちょっとそれ貸して?」

 

「それは構わないけどどうするんだ・・・?」

 

「ちょっと待ってて」

 

そうして沙綾はカバンからあるモノを取り出した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは・・・」

 

「なかなか・・・!」

 

 

市ヶ谷有咲―――趣味:盆栽

山吹沙綾―――趣味:ヘアアクセ集め

 

 

2人の趣味を合わせた結果、手入れの怠って形の悪い盆栽は華やかなものへと形を変える。

その横へとポテチョッキンがやってくる。

 

「有咲あの子どうしたの?」

 

「如月に返し忘れた・・・。っておい!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

ポテチョッキンはヘアアクセがついた盆栽に自身のハサミを入れる。

有咲が捕まえようとするが捕まえたのは全てが終わった後だった。

 

「ねぇ!!有咲あれ・・・!!」

 

「・・・ほぅ!!」

 

ポテチョッキンによって切られた盆栽はでたらめに切っているように見えていたが実際はアクセに合うように形が整えられていた――

 

「しかも、見てよ!!他のヘアアクセに変えても見栄えがすっごいいいよ!!」

 

「マジかよ!!」

 

沙綾が盆栽へつけるヘアアクセを交換するがそれなりの見栄えのいいものが出来る。

 

「よし。これの手入れはこいつに任せよう!!」

 

盆栽・ヘアアクセ・ポテチョッキン―――

ミラクルマッチでーす!!

 

 

意外過ぎるベストマッチを見つけた有咲がこの盆栽の手入れをポテチョッキンへ任せることのするのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~小ネタ2:夕焼け事件報告会

 

ハウンドが倒されて5人で帰宅中―――

つぐみの店であったあることを思い出してモカが話出す。

 

「ねぇ~らん~。聞きたかったんだけどさ~」

 

「・・・何?」

 

「さっき荷物確認した時にさ~。何で剣山なんて入れてたのかな~って」

 

「確かに、音楽関係の荷物に紛れ込んでるのは不自然すぎるもんな・・・」

 

「あの時はひまりちゃんの事があったから聞けなかったんだけど。どうしてあんなものを?」

 

「・・・言いたくない」

 

「もしかして、つぐやモカにナニかしたらそれ挿すつもりだったとか?」

 

「・・・」

 

「もしかしてひーちゃんのが正解~?」

 

「ファミレス行く前にモカに何かされてたら突きさしてやろうかと」

 

「蘭ちゃん?如月くんは悪い人じゃないからやめてね?」

 

「つぐみ・・・?」

 

「やめてね・・・?」

 

「分かった・・・」

 

つぐみの圧に負けた蘭を見た。

 

その後は弦太朗つぐみの買物デート?の詳細やハウンドに変身中に体験したひまりの大気圏離脱体験談について話ながら一行は荷物の置いてあるつぐみの店へ向かうのだった。

そしてつぐみの家に着いた時に全員がそこで力尽きてつぐみの家に泊まることになるのはこれとはまた別の話―――

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~小ネタ3:舞台装置・・・?

 

Afterglowワンワン騒動(おたえ命名)の解決後、

ライブハウス”CiRCLE ”で鉢合わせしたAfterglowとPoppin'Party―――

 

一連のスイッチ事件関係者がスタジオの1室に集まって話合っていた。

 

「ポピパのみんなもあいつの変身したの見たんだね」

 

「うん!!なんかすっごいキラキラで~」

 

「”宇宙キター”って叫んでたよね~。あれってなんの意味があるの~?」

 

「分かんないけど、なんか面白いよ」

 

「おたえちゃんは変身してた時に一緒に叫んでたもんね・・・」

 

「そうなの!?じゃあ私もやる!!」

 

「やらんでいい!!」

 

「私はひまりちゃんが変身したことと、それと巴ちゃんが殴り飛ばしたことのほうに驚いちゃったよ・・・」

 

「そこはしっかり覚えてるよ!!巴のパンチすっごい痛かったんだからね!!」

 

「ラーメン台無しにされたからな!!でも、最後の変身の時は全く効いてなかったけどな・・・。アタシももっと鍛えないと!!」

 

「巴は何を目指してるの・・・?」

 

「さぁ~?」

 

 

 

話の内容は体験した事件から弦太朗――フォーゼについてに変わっていく。

 

 

「そう言えばげんちゃん先輩のあれ!!ベルト弄って色々出してたよね!!ロケットとかドリルとか!!」

 

「最初に変身した時の弦太朗くんは足にチェーンソーと左腕にハンマー着けてたよ」

 

「その後は足からスモークを出した後、足にホッピングつけて飛んだからなぁ・・・」

 

「モカちゃん達は足からガトリングを撃ってるのを見ましたな~」

 

「それに空からパラシュートで降りてきてたよな!!」

 

「へぇ~。直接は見てないけど足からミサイル撃ったり、足からトゲ生やして戦ってたって!!」

 

「ショッピングモールでは足から蛇口出して水を出したり、冷蔵庫で周りを凍らせたりしてたね・・・」

 

「それに、そのスイッチでこんなロボット動かせるんだもんな~。宇宙ってスゲーな・・・」

 

「でも弦太朗くんがいうにはライトとかスピーカー出せたり電気使ったり、火を出せるって・・・」

 

「あいつのあれ・・・便利すぎない・・・?」

 

「スピーカーにライトにスモーク、電気に火まで・・・」

 

「どうしたのおたえ?」

 

「いや、ライブの演出に使えそうだなって・・・」

 

「「「あぁ~」」」

 

「確かにげんたろーさんが変身してそれ全部使ったらどこでもライブできますな~」

 

「ハロハピが聞いたら喜びそうな話だな・・・。でもあそこは黒服さんがいるから大丈夫か・・・」

 

「でも、如月が言うには一緒に使えないやつもあるってさ。電気と火は同じところから出すらしいし」

 

「ねぇ・・・。有咲。私そんなこと聞いたことないけど何で知ってるの?」

 

「前にりみと一緒に蔵でな・・・」

 

「そうだね」

 

 

「あぁ~あの時聞いたんだ!!朝に私とおたえが蔵でげんちゃん先輩とあった時!!」

 

「あぁ。有咲達が先輩と寝てた時だね」

 

 

香澄とたえの発言に部屋の空気が凍った。

そして有咲とりみは沙綾・つぐみ・ひまりの3人に捕まり、威圧される。

 

危険を感じた蘭と巴は空気の読めないギター組を引き連れてスタジオの外へ出る。

 

 

「蘭ちゃんに巴ちゃん!!どうしたの!?」

 

「香澄。有咲達が沙綾達に囲まれてるよ・・・」

 

「何が起こってるの!?」

 

「「「修羅場だよ・・・」」」

 

気になったギター組は怖いもの知らずに出てきたドアを開けて中をみると―――

 

 

 

そこにあったのは鬼になった3人の姿とその恐怖に震え上がる有咲達の姿だった。

 

 

 

 

恐怖を感じた香澄はそっとドアを閉めた。

 

「・・・あれじゃ練習は無理そうだね」

 

「じゃあファミレス行こっか!!」

 

「「「「さんせー」」」」

 

恐怖の修羅場から離れるため5人はスタジオを後にするのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

~~~~小ネタ4:氷川紗夜の日常

 

私は風紀委員として校内の見回りをしていた。

そこで目にしたのは歩く”ポテト”の姿だった。

 

廊下の影に消えたポテトを追うべく、私はそのポテト目掛けて走り出す―――

 

 

しかし、廊下には何もない―――

 

「氷川さん・・・?どうかしたんですか・・・?」

 

私は振り返るとそこには白金さんの姿があった。

 

 

「今そこでポテトが歩いてたんです!!」

 

「氷川さん・・・。どうしたんですか・・・?」

 

「だからポテトが歩いてたんですよ!!」

 

「幻覚が見えるまで疲れてたんですね・・・。友希那さんたちへは連絡しておきますので、今日はもう休んでください・・・」

 

「でも!!ポテトが!!」

 

「休んでください」

 

そうして白金さんは私の元から離れて行った―――

 

「ぽてぇ・・・」

 

私のつぶやきが響くが返事は何も帰ってこなかった―――

 

 




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感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
小ネタ1
ガルパ読み込み画面で出てくるあれ+ポテトから
盆栽につけられる名前は「天の川」かな・・・?

小ネタ2
完全に本編で回収し忘れたネタ
剣山を刺す覚悟を持ってるなんて流石反骨の赤メッシュ(違うそうじゃない。

小ネタ3
フォーゼのスイッチを確認中の思い付きネタ
最後はオチはノリと勢い(某ギャレン校長も言ってた。

小ネタ4
ぽてぇ・・・





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ハロー、ハッピーワールド!篇1-大・熊・騒・動
大・熊・騒・動-1 危険すぎるトリニティ


ハロハピ篇開始!!

圧倒的ツッコミ不足!!
被害者が大量発生する狂気のシナリオ開幕しました。
書いてる自分でもこの状況に居合わせたら心労で倒れそうですねぇ・・・




弦太朗は先日のゾディアーツ事件の際に手伝ってもらった借りを返すべく、

放課後に有咲と2人きりで生徒会の掃除をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月~そこの棚の掃除が終わったら、次はその辺の段ボールのゴミ捨て頼むわ」

 

「おぅ。ってか他の生徒会の連中は何してんだ?」

 

「蘭ちゃん達の時に私を連れ出しただろ?この掃除はその時に私がやるはずだった仕事でなー」

 

「あぁ!!あんときは助かったぜ!!」

 

「おぅ・・・。でも、なんでお前は数日でそこまで回復してんだよ・・・」

 

「青春パワーだな!!」

 

「意味わかんねぇ・・・。まぁ、そのお陰で遠慮なく働かせられるから助かるけどな」

 

「任せとけ!!」

 

先日のAfterglowに起こった事件で怪我を負った弦太朗は数日で全快していた。

話をしつつ2人は手を止めることなく掃除を続ける。

 

 

 

 

「あともうちょいしたら香澄も手伝いに来るから」

 

「どうして香澄が?」

 

「あぁ、たまに生徒会の仕事を手伝ってくれるんだよ。他のメンバーも手伝ってくれるけど予定あるらしくてな」

 

「で、その香澄は何してんだ?」

 

「補修・・・。でも如月は勉強ダメそうなのに補修にならなかったんだな・・・」

 

「あぁ・・・。こっち来る前にライダー部の連中に死ぬほど叩きこまれたからな・・・」

 

「なるほどな・・・。私の方はこれで粗方終わったけどそっちは?」

 

「こっちも後はゴミ捨てだけだな!!」

 

「じゃあ休憩すっか」

 

 

突然の休憩宣言をする有咲に対して、弦太朗はその不自然な発言に対して質問をする。

 

「掃除終わらせなくていいのか?」

 

「ちょっと前に同じことしたら香澄の奴がさ、「何で仕事ないのー!!」って文句言ってきたからな・・・」

 

「おぅ・・・。じゃあ休憩すっか・・・」

 

「ちょっと待ってろ。お茶入れるから」

 

 

そうして2人はゴミ捨てを残して休憩に入る。

会話の話題は先日までに起こった事件について―――

 

 

 

「んで、ばら撒きの犯人は分かったのか?」

 

「・・・さっぱり分かんねぇな。見つかった2つとも拾ったみてぇで、誰が落としたかも分かってねぇな・・・」

 

「そっか・・・。まぁ、出来ることはこっちでもやるから」

 

「わりぃな」

 

 

事件を解決しても、元凶については何一つ分かっていない―――

この事実を再確認した二人の空気が重くなる。

 

 

 

 

 

 

その空気の中、勢いよく生徒会室の扉が開かれた。

 

 

 

 

室内にいた2人は扉へと視線を向ける。

そこには香澄・・・・そして、弦太朗が見たことがない金髪の生徒がいた。

 

「あっりさーお待たせー!!あっ!!げんちゃん先輩、こんにちは!!」

 

「あなたが弦太朗ね!!でもどうして弦太朗と有咲はそんなに暗い顔をしてるのかしら?」

 

「おぅ、香澄!!ってそいつは誰だ・・・?」

 

「香澄!?それに弦巻さんはどうしてここに・・・!?」

 

「楽しいことを捜してたら香澄にあったの!!それで香澄と一緒なら面白いことがあると思ったからついてきたのよ!!」

 

「それにげんちゃん先輩ならこころんとも仲良くなれると思ったから連れてきちゃった!!」

 

「よろしくな!!こころ!!」

 

「えぇ!!」

 

「そうだ!!有咲。掃除の手伝いって何すればいいの?」

 

「そこのゴミを捨てに行くだけだな。ちょっと生徒会室でやることあるから・・・」

 

「なら、あたしも手伝うわ!!」

 

「ならげんちゃん先輩!!こころん!!早く行こっか!!」

 

「えぇ!!」

 

「おぅ。じゃあ重いもんは持つから他の頼むわ」

 

 

 

こうして似た者同士3人で盛り上がりながらゴミをもって生徒会室から出ていく。

部屋に残った有咲は3人が部屋を出るとすぐに電話をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通話の相手はこころの保護者だ。

 

 

 

『もしもし。市ヶ谷さん?急にどうしたの・・・?』

 

「もしもし!!奥沢さん!!今すぐ生徒会室に来てくれ!!」

 

『えっ?今テニス部の休憩中なんだけど・・・。どうしたの?』

 

「頼むから生徒会室に来て弦巻さん引き取ってくれよぉ!!」

 

『はぁ・・・?こころが何かしたの・・・?」

 

「弦巻さん達が生徒会室で奴と出会っちまった!!」

 

『えっ?どういうこと?それに奴って・・・?』

 

「いいから早く生徒会室に来てくれぇー!!」

 

『あー・・・うん。状況がよく分かんないけど・・・。とりあえず生徒会室まで行けばいいの?』

 

「大至急!!」

 

『うん・・・。分かった・・・。』

 

そうして電話を切った有咲は生徒会室の椅子に座り込んだ。

 

 

 

「すまん。奥沢さん・・・。こうでもしないと私の胃に穴が開くからな・・・」

 

 

有咲のつぶやきは誰に聞かれることは無かった。

しかし、彼女がこの後体験するであろう惨状を思い浮かべ、生徒会室で1人頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

「何だったの?さっきの市ヶ谷さん・・・」

 

あたしに電話を掛けてきた市ヶ谷さんの慌てぶりはただ事ではなかった。

でも、さっきの「出会ってしまった」って言ってたのは一体どういうことだろう?

 

 

原因が何も思い浮かばない。って事はなかった。

あの転校してきた先輩のことかな・・・。

 

 

見た目は完全に”不良”だったけど本当に危ない人だったら黒服さんが何とかするだろう・・・。

後は最近の噂に上がってる"怪物"ってのがあったけど、あんなものは所詮噂だし、そもそも"怪物”なんているわけがない・・・。

 

でも、こころが興味を持って探すとか言い出したら面倒だな・・・。

 

 

 

 

 

 

ってちょっと待って。あの人ってちょっと前に登校中に戸山さんと山吹さんと大声上げながら走って登校して紗夜先輩から校舎前で公開説教をされていた人だよね?

ってことはもしかすると、こころとか3バカと同じタイプ・・・?

そもそも何で市ケ谷さんと一緒にいたの・・・?

 

 

 

考えたら頭痛くなってきたからこのまま帰ろうかな・・・。

 

 

3バカと同じタイプでもこころと2人ならなんとかなるかもしれないし、それに助けないと市ヶ谷さんが心労で胃に穴が開いちゃうかもしれないし・・・。

 

それに市ヶ谷さんがあそこまで壊れるくらい取り乱してるってことは相当なんだろうなぁ・・・。

 

でも、はぐみは今日はソフトボールの練習だし、花音先輩はバイトだ。

 

 

 

薫さんは羽丘なのでいない―――

 

 

そんなことを考えていたら私は生徒会室の前までやってきた。

中からはこころと男の人の声が聞こえる・・・。

 

 

これで戸山さんが一緒じゃなければなんとかなるだろう―――

 

 

そんなことを考えながら私は生徒会室に入る。

 

「失礼しま・・・・・・えっ?」

 

 

 

 

 

 

「美咲?こんなところで会うなんて奇遇ね!!」

 

「ん?こころのダチか?」

 

「あっ!!美咲ちゃんだ!!」

 

 

目の前に広がっていたのは想定していた中でも最悪の状態―――

私はドアを開けたまま逃げようとしたら、普段では考えられないような速度を出した市ヶ谷さんに腕を掴まれてそのまま生徒会室へと引きずり込まれた。

 

「頼む!!弦巻さんだけでいいから何とかしてくれ!!」

 

市ヶ谷さんの心からの叫びを聞いた途端、私は先ほどの選択を激しく後悔した・・・。

 

「えぇー・・・」

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

とりあえず、今後の流れを決めるアンケ取りたいと思います。(選ばれないほうは没ネタ行きです



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大・熊・騒・動-2 濁流

投稿です。

誤字報告に助けられて笑顔になる。
てか評価欄に色ついてるぅぅぅぅ!!

こころんにはもうちょっとだけ暴走してもらうんじゃ



有咲によって生徒会室に引きずり込まれた美咲。

そこは普段、生徒会長・白金燐子が率いる生徒会の拠点である。

しかし、美咲の目の前に広がる光景は想像以上の混沌であった。

 

 

「おっ!!お前が美咲か!!」

 

「そうよ弦太朗!!美咲の笑顔はとっても素敵なのよ!!」

 

「げんちゃん先輩とこころん!!やっぱりすぐに仲良くなれたね!!」

 

「奥沢さん。もうだめだぁ・・・。助けてくれぇ・・・」

 

「えっ・・・?何これ・・・」

 

 

美咲の目の前には香澄とこころ――

花咲川の一部から問題児扱いされる2人と意気投合している不良。

目の前の状態に美咲は困惑の声を上げる。

 

「えぇー・・・」

 

 

そんな状態の美咲に対して、涙目になりながら有咲は美咲に縋りついて懇願する。

 

 

「頼む!!弦巻さんだけでいいから何とかしてくれぇ!!」

 

「私があの中に入ってこころを?無理無理・・・」

 

「香澄と如月は私でなんとかするから!!」

 

「あ~。それなら何とか・・・。(呼び捨て・・・?)」

 

 

美咲が問題児3人の引き剥がしを快諾すると涙目の有咲の表情がみるみる明るくなっていく。

 

「よし!!じゃあ頼んだ!!」

 

「うん・・・。おーいこころ?」

 

「あら?どうしたの美咲?」

 

「そろそろ生徒会室閉めるから帰るよ~」

 

「そうだったのね。なら今日はこれで失礼するわね!!」

 

「おう!!またな!!」

 

「こころん!!美咲ちゃん!!ばいば~い」

 

 

こころと美咲は弦太朗達に見送られて生徒会室を後にする。

”花咲川の異空間”が去った後の生徒会室は静寂に包まれる。

 

「2人とも、もう生徒会室閉めて帰るぞー」

 

「えぇー!!」

 

「もう大丈夫って言ってたけど怪我した後だからな」

 

「そうだった!!モカちゃん達から聞きましたよ!!大丈夫なんですか!?」

 

「おぅ!!もう戦うのも問題ないぞ」

 

「でも有咲ー。怪我した後なのにげんちゃん先輩に生徒会室の掃除手伝わせたの!?」

 

「私も断ったけど本人が大丈夫って言ったからな・・・」

 

「そっか!!」

 

「おぅ!!掃除くらいならいつでも手伝うぜ」

 

「あぁ・・・。そん時はまた頼むわ。とりあえず早く出てくれ」

 

こうして弦太朗達は生徒会室から出た後、学校の前で香澄達と別れて帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後―――

3年A 組の授業に加わっていた弦太朗も途中で睡魔に襲われたり、ここ数日同じ席が空席になっていることに気を取られることはあったもののある程度まじめに授業に取り組んでいた。

 

そして席に座りながら帰り支度中に彼は前から声をかけられる。

 

「あの・・・」

 

弦太朗は顔を上げて声の主を見る。

 

「ん?ってあんたは確か生徒会長の・・・?」

 

 

なんと声をかけたのは花咲川生徒会会長の白金燐子だった。

しかし今の彼女は目を回して混乱しているのが彼女と関わりのない弦太朗にもすぐ理解した。

 

「はっ・・・はい。あっ・・・あの!!わ・・・・わた・・・!!」

 

燐子は何かを伝えようとするも、混乱のあまり言葉が出ない。

 

 

見る人から見れば愛の告白に緊張する姿に見えなくもないが、

彼女の目的は”有咲がする予定であった生徒会室掃除を手伝ったことの礼を言う”ただそれだけである。

 

 

「とりあえず、一回落ち着け」

 

「はっ・・・はい・・・。あの・・・・わた!!・・・・私!!」

 

「だから1回落ち着けって。しかし、あこの言ってた通りだな・・・」

 

「・・・えっ?あこちゃんのこと・・・知って・・・」

 

そんな彼女の言葉を遮るように教室のドアが勢いよく開けられた。

燐子はその音に驚いて一瞬身体が固まるが、弦太朗と2人でドアへと視線を移す。

 

その視線の先には先日、香澄の紹介で出会った少女、こころがドアの前に立っていた。

こころはそのまま教室へと入り、ある生徒の元へと駆け寄る。

 

「花音!!ここにいたのね!!今からうちでハロハピの作戦会議よ!!」

 

「こころちゃん?どうしたの?」

 

「今日も世界中を笑顔にするために次のライブについての作戦会議をするのよ!!ってあら?どうして弦太朗がここにいるのかしら?」

 

「おぅ。今日はここで授業受けてたんだ。でも上級生の教室まできてどうしたんだこころ?」

 

「あたしは同じバンドメンバーの花音を探してたのよ」

 

「ふえぇぇぇぇ」

 

先ほどこころに声をかけられていた花音の声が響く中、教室内の空気が凍る。

”花咲川の異空間”と呼ばれるお嬢様と不良―――

一件合わなそうな2人が意気投合して話をしている光景にその場に居合わせている生徒たちは驚きを隠せない。

 

この空気を変えれるであろう2人の人物。

1人は弦太朗が学校に来てからずっと欠席し、もう1人は荷物を置いて早々に教室から離れてしまったため、教室にいる誰一人こころを止められずにいた。

 

「そうだわ!!弦太朗も一緒に来てあたしたちと作戦会議よ!!」

 

「おぅ!!・・・って。作戦会議ってなにするんだ?」

 

「決まりね!!そうなったら花音!!弦太朗!!行くわよ!!他のみんなは先にあたしの家で待ってるわ!!」

 

「ふえぇぇぇ・・・・!!」

 

「ちょっとこころ!!俺たちのカバン!!」

 

そうしてこころは花音と弦太朗の腕を引いて教室から去っていく。

その後すぐに、こころの家の黒服が教室へと入り花音と弦太朗の荷物を回収して教室から消えた。

目の前で起こった出来事にフリーズする彼女たち。

 

廊下からは紗夜達の声が響く。

 

「弦巻さん!!松原さん!!廊下を走らないでください!!それと早くその不良から離れなさい!!」

 

「うおぉぉぉ。こころとりあえず腕を離してくれぇぇぇぇ・・・」

 

「ふえぇぇぇ・・・」

 

 

 

廊下から聞こえる花音達の声は次第に小さくなっていく。

こころは紗夜の注意を無視して弦太朗達の腕を引いて行ったのだろう―――

 

教室にいた全員がそう思ってる中A組の教室に紗夜が戻ってきた。

全員が教室へと入ってきた紗夜に視線を向ける。

教室内からの視線を一切気にも留めずに紗夜は自分の荷物を纏める。

燐子はその姿を見て、自身の荷物を持って紗夜へと近寄る。

 

その際に紗夜の小さく独り言をつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

「早くあの不良を何とか・・・」

 

「氷川さん・・・?」

 

「・・・いえ、何でもありません。それより白金さん。早くスタジオに向かわないと練習時間に遅れますよ」

 

「えぇ・・・。そうですね」

 

そうして紗夜は燐子を置いて先に教室から出て行ってしまった。

 

 

彼は先日、生徒会室から有咲をなぜ連れ出したのか?

弦太朗がどうしてあこの事を知っていたのか?

こころとはいつ知り合ったのか?

 

燐子は疑問は尽きないが、今そのことについて答えれくれるものはこの場にはいない。

モヤモヤした気持ちを抱えながら、彼女はスタジオへ先に向かっていく紗夜の後を追いかけるのだった。

 




これ後半半分はRoseliaなのでは・・・?

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アンケは次回更新までで結果締め切ります。


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大・熊・騒・動-3 迷走!ハロハピ会議室

アンケートへの協力ありがとうございます!!


アンケートの結果
本章は美咲に頑張ってもらいましょう。
ミッシェルにも出てもらいますが・・・。

それにしても感想がポテトに浸食されてますねぇ・・・。
みんなポテト大好きなんやなぁ・・・。



「弦太朗!!ここがあたしの家よ!!」

 

「スゲェな・・・」

 

「ふえぇぇ・・・」

 

こころに連れられた弦太朗の目の前に広がるのは見たこともないほどの豪華な屋敷だった。

 

「えっと・・・。花音だったか?普段からこころっていつもこんな感じなのか?」

 

「ふぇぇえええ・・・!!」

 

「大丈夫か?」

 

「花音!!弦太朗!!何をしているの?早く行くわよ!!」

 

「おっ・・・おう・・・」

 

「ふえぇぇぇぇ・・・」

 

弦太朗の横にいる花音が壊れたラジオのように同じ言葉を繰り返すことしか出来てないが、こころはそんなことはお構いなしに屋敷へと入っていく。

 

弦太朗はその場から動かない花音を抱えてこころを追うのだった。

 

 

 

 

――――――

 

 

「ねぇねぇ!!今日のこころんは何するのかな!?」

 

「きっとこころの考えることだ。きっと素敵な事を考えているさ・・・」

 

「あーはいはい。そうですねー」

 

「あれ?みーくん汗凄いよ?」

 

「おや?美咲。体調でも悪いのかい?」

 

「いえ。全然。全く」

 

 

普段からこころの急な呼び出しからの作戦会議が始まるのはハロハピにとっては日常茶飯事なのに、

今日は嫌な汗が止まらない。

今すぐここから離れることをあたしの直観は勧めている。

 

 

直感に従ってこの場から逃げようにも黒服さんに捕まるし、捕まったらミッシェルを着せられる羽目になると予想が出来たので、それだったらあたしが楽できるように今のままこの場でこころ達を待つ。

 

でも、何故だろう。昨日の生徒会室で見たあの光景が頭に思い浮かぶ・・・。

 

まさかね・・・。

 

それからしばらく待つとこころによって部屋のドアが勢いよく開かれる。

しかしこころはドアを開けたまま部屋に入ってこない・・・。

 

「こころ?どうしたんだい?」

 

「薫!!今日はあたしたち以外にもお客さんを呼んでいるの!!」

 

「こころん。お客さんって?」

 

お客さん・・・?

 

「こころ。お客さんってまさか・・・」

 

「えぇ。弦太朗よ!!花音と一緒の教室にいたから招待したの!!今は花音と一緒にいるわ!!」

 

終わった・・・。

でもどうしてだろう・・・。

嫌な予感は的中したのに、汗が止まらない・・・。

 

「弦太朗?聞かない名前だね?はぐみは知っているかい?」

 

「えっとねー。よく分かんない」

 

「儚い・・・」

 

あたしは何に対してこんなに危機感を抱いてるのだろう・・・。

 

3バカに1人増えて4バカになったらもう手が付けられなくなること?

花音さんは「ふえぇ・・・」って言いながらパニックになってること?

 

 

 

昨日もこころと戸山さんコンビを止めれたのだから、1人増えても問題ないはずだし、花音さんも落ち着かせればすぐ済む問題だ。

 

いや違う。状況はそんな生易しいものではない。

いや、十分に問題だけど、ハロハピで鍛えられた上に昨日の生徒会室の惨状を収めたあたしがこんな程度の事で危機を感じるわけがない。

 

あたしが感じるのはこう・・・昼ドラであるようなドロドロした感じのあれだ。

特定人物に見られたらダメな奴。

 

不安が募るなかこころは廊下にいるであろう如月先輩を呼ぶ。

 

「弦太朗!!こっちよ!!」

 

あれ・・・?花音さんと一緒にいるはずなのに何で1人だけ呼ぶの・・・?

 

疑問はスグに解決した・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっー!!」

 

「儚い・・・」

 

 

いや、解決してしまったと言ってもいいだろう。

 

廊下から現れた如月先輩。

その腕の中には花音さんが抱えられている。

 

「ふえぇぇぇ」

 

 

その光景を目にしたあたしは椅子に力なく座り込んだ。

 

 

 

 

――――――

 

弦太朗達との自己紹介を終えて、ハロハピと弦太朗は作戦会議を始める。

 

 

「これから作戦会議を始めるわ!!あら?ミッシェルは来てないのかしら?」

 

「さっきみーくんが言ってたけど。ミッシェルは今日用事でこれないんだって!!」

 

「そうなの?それなら仕方ないわね。でも会議前なのにどうしても花音と美咲は元気がないのかしら?」

 

「美咲はどうやら体調が悪いみたいでね」

 

「かのちゃん先輩は最初からだよね?」

 

「そうなの?なら美咲たちには後から話を聞きましょう!!」

 

「なぁ、こころ。ちょっといいか?」

 

「どうしたのかしら?弦太朗」

 

「作戦会議って、何の会議をするんだ?」

 

急に連れてこられて状況が呑み込めない弦太朗は何のための会議をするかを質問する。

 

 

「今度のライブでどうやってみんなを笑顔にするかの会議よ!!」

 

「こころんは何かあるの?」

 

「みんなを笑顔にしたいわね!!」

 

「はぐみも頑張るよ!!」

 

「儚いライブにしようじゃないか」

 

「儚い?どういうことだ?」

 

 

美咲が普段からいう3バカの発言について行けない弦太朗。

エンジンがかかっていない弦太朗が彼女たちのペースについて行けてない。

 

普段ならストッパーである美咲は疲れによるものかぐったりとしており、先ほどまで弦太朗が抱えていた花音はいまだに「ふえぇぇ」という言葉を壊れたラジオのごとく繰り返している。

その調子でこころは弦太朗へと問いかける。

 

 

「弦太朗!!どんなライブが素敵だと思うかしら?」

 

「俺か?」

 

「えぇ!!普段聞かない人からの意見を取り入れてみるのもいい。ってクラスの人から聞いたのよ!!」

 

「そうだな。”友情”と”青春”が感じられるもんがいいな!!」

 

「青春!!あぁ・・・何て儚い響きなんだ・・・!!」

 

「青春!!カッコいいね!!」

 

弦太朗の提案に乗り気のはぐみとこころ。

その一方で首をかしげるこころ。

 

「弦太朗。青春ってなにかしら?」

 

「ん?」

 

「前にモカも「風を感じながら海を眺めると青春って感じがする」って言ってたけど。あたしにはよく分からなかったわ。だから青春ってどんなものなのかしら?」

 

「そうだな。”自分が夢中になれるモノ”だと思うぜ」

 

「自分が夢中になれるモノ?」

 

「あぁ、俺は友達作って友達と一緒にいろんなことをするのが俺の青春だ!!」

 

「そうなのね!!とっても素敵だわ!!でも、よく分からないわね。ハロハピで音楽をするのも大好きだし、みんなを笑顔にするのも大好きだわ!!」

 

「別に青春は1個だけじゃなくてもいいからな」

 

「弦太朗・・・何て儚いんだ・・・」

 

「すごーい!!」

 

花音と美咲が会議に参加できていないが会議はどんどん進んでいく。

 

「そうだわ!!なら私たちの青春をみんなに伝えてみましょう!!」

 

「でも、こころん?さっき青春って分かんないって?」

 

「分からないならこれから知ればいいのよ!!」

 

「こころ。あぁ・・・なんて儚いんだ・・・」

 

「そうしたら、今から外に出て青春を捜しましょう!!」

 

「「「おぉー!!」」」

 

4バカでライブの方向性が決まったころに花音と美咲は意識を取り戻す。

 

「美咲ちゃん・・・。会議どうなったの・・・?」

 

「花音さん・・・。スイマセン。私もなんだか・・・」

 

2人に気が付いたこころは2人の手を引いて語りかける。

 

「花音!!美咲!!今から私たちの"青春”を見つけに行くわよ!!」

 

「はぁ・・・?」

 

「ふえぇぇ!!」

 

 

こころは2人の手を引き屋敷から飛び出していく。

連れられた常識人たちは話の流れを把握できないままこころに連れ出されるのだった。

 




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大・熊・騒・動-4 探し物は"青春"

投稿です。

花音ちゃんは3話までは「ふえぇぇ」以外は2回しか話してないのに・・・
薫くんが「儚い」って言ってばかりで突っ込まれてもうた・・・

やはり薫くんは儚いね・・・



"青春"を見つけるために屋敷を飛び出したハロハピと弦太朗。

 

「それにしても”青春”ってどこのあるのかしら?」

 

「”部活は青春の1ページ”って、にーちゃんが読んでたマンガに書いてあったよ!!」

 

「そうなのね!!それなら学校へ向かいましょう!!学校なら部活をしているはずだもの!!」

 

「ふふっ・・・。今日はどんな素敵な出来事が私たちを待っているのかな?」

 

「楽しみだね!!みーくん!!」

 

「あー。はいはいそうですねー」

 

こころ達が先を歩く中、美咲は弦太朗を捕まえて後ろへ引っ張り出して美咲たちが聞いていなかった会議について質問する。

 

「あの、如月先輩?どうしてこうなったか説明してもらえますか?」

 

「今度のライブどんなのか良いか?って聞かれてな・・・」

 

「それで"青春”って言ったらこうなったと?」

 

「まぁ。そんなとこだな」

 

「なんか眩暈してきた・・・」

 

「気にすんな美咲。眩暈は心の格闘だ」

 

「いや、意味わかんないですから」

 

「ふふっ・・・」

 

 

弦太朗と美咲のやり取りを見た花音は笑い声をあげる。

 

 

「花音さん?」

 

「えっとね。如月くんって見た目と違ってそんなに怖くないんだなーって」

 

「いえ如月先輩は怖いですよ。あの戸山さんとこころの話について行けるんですから」

 

「それは凄いね・・・」

 

「なぁ、そんなに怖いか?」

 

「服装だけで見ても、男子に慣れてない女子高にそんな恰好の男子が来たら怖いですから」

 

「でもこの学ランは俺の青春のシンボルだから脱ぐ気はないぞ」

 

「いや、別に脱がないでいいですから」

 

「2人とも早く行こ。こころちゃん達が待ってるからね」

 

先に行った3人の後を追いかけようと、花音は先に3人が歩いて行った方向とは”別の方向へ”歩き出す。

 

「はい。・・・って花音さん!!こころ達が行ったのはそっちじゃないですよ!!」

 

「あれ?」

 

「・・・花音。そっちは屋敷のほうだぞ?」

 

「えっ?」

 

「花音さん早くしないとこころ達見失っちゃいますよ」

 

「ふえぇぇ!!」

 

取り乱す花音を他所に先に進んでいる3人の影はどんどん小さくなる。

 

「如月先輩。このままだとこころ達見失うので花音さん捕まえて走りますよ!!」

 

「おっおう・・・」

 

「ふえぇぇ・・・。2人ともごめんね・・・」

 

「美咲。お前って大変なんだな・・・」

 

「えぇ・・・。もう慣れてきてしまったんで・・・」

 

こうして弦太朗達は先に歩いて行ってしまった3人を追いかける。

”青春”を捜して目指すは学校。

 

ただし、弦太朗が先ほどまでいた花咲川とは別の学校である・・・。

 

 

 

 

 

 

「3人とも!!やっと着いたのね!!」

 

こころ達は羽丘高校へとやってきた。それに遅れて弦太朗達が遅れて到着する。

 

「なぁ。ここってどこだ?」

 

「ここは私の通っている羽丘女子さ」

 

「ねぇこころ。羽丘だと如月先輩が入れないんだけど」

 

「あら?そうなの?それは困ったわね」

 

弦太朗が現在通っている花咲川ではなく、こころ達が今いるのは薫が通っている羽丘女子。

もちろん弦太朗が学園内に入ることは出来ない。

 

「”青春”を一番分かっている弦太朗が中に入れないのは困ったね」

 

「こころん。どうするの?」

 

「それなら私が普段の部活でやっている稽古をここで見せるのはどうだろう?」

 

「そうだわ薫!!中に入れないならここでやればいいのよ!!」

 

「薫くん。すごーい!!はぐみ、全然思いつかなかったよ!!」

 

「・・・学校前だと流石に迷惑じゃねぇか?」

 

「そうだよね・・・?」

 

「薫さん!!いきなりそんなことしたらみんなに迷惑かかります」

 

「それに薫くんの演技は舞台で見せてあげたほうがみんな喜ぶと思うな・・・」

 

「確かに花音の言うとおり、舞台の本番まで楽しみにしてもらおうかな」

 

「それじゃあ、仕方ないわね!!それなら次は商店街に行きましょう!!」

 

「はぐみもコロッケ食べたくなっちゃった!!」

 

「それじゃあ行くわよー!!」

 

 

 

 

 

それから、6人は様々な場所を廻り、屋敷の前へと戻ってきたが弦太朗の言う”青春”については分からなかった―――

 

 

 

 

 

「今日は色々なところに行けて楽しかったわ!!」

 

「はぐみも楽しかったよ!!」

 

「うん・・・。ちょっと疲れちゃったけど。私も楽しかったよ?」

 

「あぁ。今日も色々なものが見れてとても素敵な一日だったよ」

 

「それじゃあ、明日もみんなで”青春”を捜しに行きましょう!!」

 

「明日はぐみ、ソフトボールの練習があるんだ・・・」

 

「あの~。私も明日は午後からバイトがあるんだけど・・・」

 

「なら、明日の午前中ではぐみの練習を見に行くのはどうだろう?スポーツにかける青春というものもあるからね」

 

「薫!!とってもいい案ね!!」

 

「喜んでもらえたなら私も嬉しいよ。こころ」

 

「それじゃあ、今日の探検はここまでにしましょう!!弦太朗!!明日もよろしく頼むわね!!」

 

「おぅ」

 

「うん!!みんなバイバ~イ!!」

 

「それじゃあ、みんな。私も失礼するよ」

 

こころが屋敷へと戻り、はぐみと薫も一足先に屋敷を後にする。

 

「じゃあ、私達も帰りましょうか花音さん」

 

「うん・・・」

 

「って花音!!学校に荷物置きっぱなしだぞ!!」

 

「あっ!!そう言えばそうだった!!どうしよう・・・」

 

弦太朗と花音の2人が荷物を学校に置いてきたことを思い出すと、

扉から黒い服の大人たちが弦太朗達の荷物を持ってやって来る。

 

「如月様。松原様。学校に置いてきた荷物はこちらに」

 

「って、あんたらは・・・?」

 

「あー。こころの家の人でみんなからは”黒服さん”って呼ばれてる人ですよ」

 

「はい。奥沢様の説明で間違いありません」

 

「そうっすか・・・。あっ荷物どうもっす」

 

「あっ・・・ありがとうございます」

 

「では失礼します」

 

荷物を渡した黒服さんたちは足早に屋敷内へと去っていく。

 

「・・・じゃあ、帰りますか」

 

「こころってすげぇんだな・・・」

 

「いや、普段だったら急にライブ始めたりしますし、この間は急に山に行きたいって言われて山の中に連れていかれたり、この間はスカイダイビングしながらライブもやりましたよ・・・」

 

「いや、そんなこと出来んのかよ・・・」

 

「あはは・・・」

 

こうして残った3人も屋敷を後にする。

 

 

 

 

そして明日。

ハロハピはこころの提案と違う、非日常を体験することを誰も知らない。

 

 




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大・熊・騒・動-5 商店街のクマ・・・?

投稿です。

以前にアンケートで取ったオリジナル設定のゾディアーツ登場します。

そしてそろそろ戦わせたいがために非常に駆け足なのでご注意を―――



ハロハピ作戦会議の翌日―――

はぐみのソフトボールの練習場所であるグラウンドへとやってきた弦太朗の前に現れたのはこころ・薫・花音の3人と美咲――

 

 

 

ではなく、ピンク色のクマだった――

 

 

 

 

 

「おぅ・・・。そのクマは・・・?」

 

「ミッシェルよ!!彼女は私たちのバンドのメンバーなのよ!!」

 

「そのクマって、もしかして美咲か・・・?」

 

「美咲?何を言っているんだい弦太朗?」

 

「美咲は急な用事が入って今日は来れないって言ってたわ!!残念だけど、5人ではぐみの練習を見ましょう!!」

 

「おぅ・・・」

 

 

困惑する弦太朗を他所にこころ達ははぐみの練習場所へと近づいていく中、弦太朗は花音から声をかけられる。

 

「あのね・・・如月くん。ミッシェルの中は美咲ちゃんなの・・・」

 

「でも、なんで着ぐるみの中に入ってるんだ?」

 

「えぇっとね・・・」

 

「まぁ、成り行きで・・・」

 

「後ね。こころちゃん達はミッシェルが美咲ちゃんってことを知らないんだ」

 

「ハロハピで知ってるのは花音さんだけなので。お願いします」

 

「こころ達は知らねぇってどういう事だ?」

 

「それはこっちが聞きたいですよ・・・。目の前で脱いでも分かってもらえないし・・・。それにこころ達に話そうとしても黒服さんたちが全力で邪魔してくるので諦めました・・・」

 

「おぅ・・・」

 

「ミッシェル~。花音~。みんなで一緒にソフトボールの練習をするわよー!!」

 

「こころ~。練習みるだけじゃなかったの~」

 

「美咲ってすげーな・・・」

 

「あはは・・・」

 

哀愁を漂わせた着ぐるみがこころの言葉で雰囲気を瞬時に変えてこころの元へと向かう。

その姿を見た弦太朗の言葉に花音は乾いた笑いしか返せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフトボールの”練習”試合を終えたハロハピのメンバーはベンチで先ほどの練習試合について話していた。

 

 

「みんなとソフトボール出来て、はぐみすっごく楽しかったよ!!」

 

「あたしもすっごく楽しかったわ!!」

 

「ふえぇ・・・。練習を見るだけのはずなのに、何でソフトボールの試合をやってるの~」

 

「かのちゃん先輩。練習試合だよ?」

 

「それにしても、今日のミッシェルはなかなかの名監督ぶりだったね」

 

「ミッシェルが監督でみんな笑顔になっていたわ!!」

 

「なぁ・・・。「笑顔が足りない!!」って監督が言うことか・・・?」

 

「みんなを笑顔にするのがあたし達ハロハピよ!!」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「なぁ?どういうことだ?」

 

「如月先輩。薫さんのいうことは気にしないでください」

 

「おぅ・・・」

 

「そういえば花音。そろそろバイトに向かわなくてもいいのかい?」

 

「あっ!!急いでバイトに行かないと!!」

 

「あたしもこの後は用事が・・・」

 

「はぐみも練習終わったら、うちのお仕事手伝わないといけないんだった!!」

 

「おや、この後はみんな予定があるのかい?」

 

「それなら今日はここでお別れね。また、みんなで遊びましょう!!」

 

そう言い残してこころは趣味の楽しいこと探しをするために去ってしまう。

 

「皆さま。車で目的地までお送りいたしますのでこちらに」

 

「じゃあ、私はバイト先まで・・・」

 

「あたしは商店街までお願いします」

 

「俺も商店街にまでいいっすか?」

 

「それなら私は花音と一緒に行くとしよう」

 

「はぐみは練習の片付けがあるから。大丈夫だよ!!」

 

「北沢様以外の方はこちらへ」

 

弦太朗達は黒服の案内によって車へ、はぐみは練習の片付けを行うためグラウンドへと向かう。

 

 

 

 

 

 

そして弦太朗達を乗せた車が出発して数分後に、

グラウンドにいた人間は黒い影に襲われて全員意識を失った状態で発見されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音たちを降ろした車は弦太朗と美咲を乗せて商店街へ向かう。

 

「なぁ、美咲。商店街って着ぐるみのまま行くのか?」

 

「はい。ミッシェルって本当は商店街のマスコットなので商店街でチラシ配ったりとかの仕事をしてるんですよ」

 

「そこをこころが見てバンドに入ってたってわけか」

 

「はい。最初はあたしのことに気が付いて貰えなくて嫌でしたけど、こころのおかげで今はハロハピの活動は結構好きなんですよね。・・・まぁ結構とんでもない無茶ぶりされますけど」

 

「それも青春って感じでいいじゃねぇか」

 

「如月先輩のいう青春ってよく分かんないですけどね。黒服さん。ここまでで大丈夫ですよ。ここから歩いて商店街まで行きますから」

 

「承知いたしました」

 

「いつもありがとうございます」

 

「どうもっす」

 

「いえ。ではお二人とも行ってらっしゃいませ」

 

目的地である商店街の近くへと到着した車は扉を開けて弦太朗達を降ろすと車はそのまま走り出す。

 

 

 

「そう言えば如月先輩はどうして商店街に?」

 

「はぐみの店のコロッケでも食ってから帰ろうって思ってな。前に香澄たちにも案内してもらったけど、その時は色々あって買えなくてな」

 

「そうだったんですね。身内贔屓って訳じゃないですけど美味しいですよ」

 

「おっそうか!!そいつは楽しみだな!!」

 

「あれ?」

 

「どうしたんだ。みさっ・・・ミッシェル?」

 

「こころ達の前だけでいいですよ。昼過ぎの時間でも普段なら商店街の近くにはそれなりに人がいるんですけど・・・。さっきから誰もいないんですよ」

 

「確かに先週つぐの店に行ったときも商店街に人がいたんだけどな?今日って近くで何かやってるのか?」

 

「大きなイベントなんてないはずですよ?・・・如月先輩、何か倒れるような音がしませんでした?」

 

「路地の方から聞こえたな。ちょっと行ってみるか」

 

「ちょっと!!何でそんな躊躇いなく行くんですか!?」

 

何かの倒れる音が聞こえた商店街の路地へと歩き出す弦太朗とそれを追うミッシェル。

 

 

「こっちか!!ってお前は!?」

 

「如月先輩?どうかしました・・・えっ?」

 

路地の裏にいたのは、怪我を負っている複数の人間と、犯人と思われる黒い怪物の姿。

 

 

 

その姿は―――

 

「黒い・・・ミッシェル・・・?」

 

「いや、違います!!ミッシェルにしては本物のクマに寄せすぎですから!!」

 

 

 

目の前にいるクマの怪物がゆっくりとこちらへと振り返る―――

その身体には"大熊座"が模られていた―――

 

 




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オリ設定のゾディアーツについてはハロハピ篇最終話か1つ前で設定オープンします。


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大・熊・騒・動-6 逃走と闘争

投稿です。

オリジナル設定のゾディアーツとの初戦闘。
情報についてはあとがきに判明してる部分のみを記載。

皆さんも○○と似てるからといって不意に近づくのはやめましょう。





"大熊座"が身体に模られた黒いクマのゾディアーツ――

ゾディアーツが弦太朗達の声に反応して振り返る。

 

「見たことねぇ奴だな・・・」

 

弦太朗は始めてみるゾディアーツを観察する。

 

 

遠目から見れば黒いミッシェル―――

しかし、顔はミッシェルよりも小さく本物のクマの顔に近い。

右腕からは大きなかぎ爪が伸びているが、それ以外に武器になりそうなものはない。

そして胸には大熊座の模様―――しかし、弦太朗はその模様の星座について知らない。

 

 

「如月先輩何やってるんですか!!逃げますよ!!」

 

ドライバーを取り出そうとした弦太朗の右腕を掴んだ美咲はそのまま引き路地を飛び出して商店街を疾走する。

美咲を追いかけるようにゾディアーツもその後を追う。

 

「離せ美咲!!って力強ぇな!!」

 

「黒服さんが弄ったおかげせいですよ!!とりあえず人が沢山来る商店街から離れますよ!!」

 

「ってどこ行くんだ!?」

 

「とりあえず近くの公園まで行きますよ!!この時間なら人も少ないはずなので!!」

 

会話しながら弦太朗の腕を引いて走っている美咲だが速度が全く落ちていないが、次第に美咲たちはゾディアーツを引き離して美咲はそのまま公園へと駆け込む。

 

しかし、普段なら公園には誰もいないはずの公園には先客がいた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、ミッシェルと弦太朗じゃない!!こんなところで何をしているの?」

 

「こころ!!すぐに逃げろ!!」

 

「ミッシェルは何で弦太朗の腕を掴んでいるの・・・ってあら?後ろにいるのはミッシェルのお友達ね!!」

 

 

こころと話すミッシェルたちの後ろには商店街で遭遇したゾディアーツが追いつく。

こころはミッシェルの仲間と認識して無防備にゾディアーツへと近づいていく――

 

 

 

 

「こころ!!」

 

「やめろ!!」

 

「こころ様!!」

 

弦太朗達は声をあげて静止するが、こころは止まらない。

近くに控えていた黒服達も危険を察知してこころへと駆け寄るも間に合わず――

 

 

 

 

 

「ガァアアアアアア!!」

 

「あ・・・らっ・・・・・・?」

 

ゾディアーツの右腕はこころの身体を切り裂き、こころは身体から血を流して地面に倒れる――

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「こころ様!!」

 

「こころ!!美咲!!」

 

美咲は目の前で起こった出来事が信じられずその場で固まる。

弦太朗がドライバーを装着する前に多くの黒服がこころとゾディアーツへと向かっていく。

 

しかし、向かって行った黒服全員が漏れなくゾディアーツの右腕による攻撃によって地面に沈む。

 

 

 

 

 

 

 

目の前の事態に美咲は我を忘れ、黒服を押し退けてゾディアーツへと駆け出す。

 

「あぁぁぁあああああ!!」

 

叫びながらゾディアーツへと駆け出す美咲。

ゾディアーツは近づいてくる美咲に対して右腕を振るい、攻撃を飛ばすが美咲は構わず駆け抜ける。

駆け抜けた美咲は勢いのままゾディアーツと組みあう中、弦太朗はドライバーを装着しスイッチを入れて構える。

 

「美咲!!黒服さん!!こころ達を頼む!!」

 

「如月様!!」

 

黒服の声が響く中、カウントが始まる。

 

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

掛け声とともに、フォーゼに変身する弦太朗。

フォーゼは変身と同時にスイッチを起動する。

 

 

 

――ロケットON―――――――――

 

「宇宙キターーーーッ!!」

 

掛け声とともに起動したロケットで飛び、ゾディアーツを殴り飛ばす。

横に並ぶフォーゼを見た美咲はミッシェルの中で驚愕の表情を浮かべる。

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、ミッシェルに変わってタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「えっ・・・?如月先輩?」

 

「おぅ。美咲!!こころ達を頼む!!」

 

「えっ?・・・はい!!」

 

美咲はミッシェルをその場で脱ぎ捨て、こころへと駆け寄るが既に黒服さんたちがこころへの応急処置と倒れた黒服の退避を開始していた。

 

吹き飛ばされたゾディアーツは標的をフォーゼへと変え、右腕を振り下ろす。

爪を防ぐためにフォーゼもスイッチを起動して対応する。

 

――――――――シールドON――

 

左腕に装着されたシールドで爪を防御するフォーゼは右腕用のスイッチを交換する。

 

「爪には爪だ!!」

 

――クローON―――――――――

 

「セイヤー!!」

 

右腕に生成されたクローをそのままゾディアーツの胴体へと突き刺す。

 

「ガァアアア!!」

 

フォーゼからの攻撃をまともに受けたゾディアーツは後ずさる。

しかし、フォーゼはゾディアーツへの追撃の爪を緩めない。

 

「オラオラァ!!」

 

連続でフォーゼの爪がゾディアーツを切り裂く。

ゾディアーツも自身の爪で反撃するもシールドによる防御で全てが防がれ、ゾディアーツは消耗していく。

 

「これでとどめだ!!」

 

フォーゼは勝負を決めるべく、スイッチを交換してリミットブレイクを発動する。

 

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

 

 

 

「ライダーロケットドリルキィーーーーーック!!」

 

フォーゼのキックがゾディアーツの身体を貫いて爆発を起こすが、

爆発の後にはスイッチャーもスイッチの姿も無かった。

 

「くっそ。逃げられたか・・・」

 

 

 

 

フォーゼは変身状態のままこころ達の元へと駆け寄るが、こころの状態はかなり切迫していた。

 

 

「こころ!!しっかりして!!」

 

「処置するにしても道具が足りません!!限界です!!」

 

「今、医療チームが向かっているから!!それまで持ちこたえさせてください!!」

 

「こころ!!」

 

弦太朗は左腕を治療用のスイッチへと交換して起動する。

 

――――――――メディカルON――

 

 

「如月様!!それは!!」

 

「フォーゼの治療用のスイッチだ。道具はこれで足りるか!?」

 

フォーゼは左腕に生成された治療用キットを開き、中身を応急処置を担当していた黒服へと見せる。

 

「・・・!!これならいけます!!」

 

黒服はフォーゼの左腕から必要な道具を引きだし、こころへの処置を再開する。

 

 

 

 

「これで応急処置は完了しました。如月様のモニターでバイタル情報も確認しましたが、命に別状はないでしょう!!」

 

「こころ・・・」

 

「ふぅ・・・。なんとかなったか・・・」

 

黒服の言葉を聞いたフォーゼは変身を解除する。

そして意識のある数人は弦太朗へと頭を下げる。

 

「如月様。この度はありがとうございました。おかげでこころ様も命に別状はないところまで処置ができました」

 

「こっちこそすまねぇ。早く対処出来てたらこころは」

 

「いえ・・・。如月先輩の邪魔したのはあたしで・・・。そのせいでミッシェルとこころは・・・」

 

「こころも生きてる!!それに美咲がここまで逃げてなけりゃ商店街は大惨事だったかもしれねぇんだから気にすんな!!」

 

「でも・・・!!」

 

「奥沢様。如月様の言うとおりです。ミッシェルはこちらで対応いたします。それとこちらを・・・」

 

「はい?」

 

黒服から渡されたのは美咲の服。

美咲は自身の服装がミッシェルの中に入るための薄着であることを思い出して顔を紅くする。

そして、急いで上から服を羽織り、視線を弦太朗へ向ける。

 

「如月先輩。さっきのあれについて教えてくれますよね?」

 

「如月様。出来れば屋敷で説明願えますか?」

 

「分かったっす。でも、ここにいる人だけでもいいっすか?」

 

「承知しました」

 

弦太朗達が移動をしようとした時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅん・・・」

 

ゾディアーツの攻撃で倒れていた1人が意識を取り戻した。

そして、周囲を見回して呟いた。

 

 

「・・・なんでミッシェルがこんなに沢山いるのですか・・・?」

 




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オリ設定のゾディアーツについての公開情報(通常時)
・大熊座
・遠目から見たら黒いミッシェル
・顔は本物のクマに近い
・右腕にはかぎ爪
・爪が当たった人間に対して幻覚効果(?)

カウント・the・スイッチ
今まで使用したスイッチ 17/40


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大・熊・騒・動-7 正・体・裏・表

どうしてこうなった!!

連続での投稿
なお話は全く進んでない模様
まぁ前話を書いてたら長くなりすぎたので分割しただけなんですが・・・


こころの屋敷へ戻った弦太朗は美咲と黒服たちに対して、ゾディアーツと仮面ライダーについての説明を終えた。

 

 

「人が変身する星座の怪物――ゾディアーツですか?」

 

「先ほどの星座はおおくま座――”アルツメイヤー・ゾディアーツ”と言ったところでしょうか?」

 

「でも、如月さんの言うことが信じられませんよ。あの怪物の中が人間なんて・・・」

 

「まぁ、そうだろうな。変身するところを見ねぇと信じらんねぇよな」

 

「最近起こったこの街の事件もゾディアーツが原因・・・という事でしたね」

 

「そうっすね。さっきの含めてこの街で見たのは3体でそのうち2体は倒してるっす。スイッチをばら撒いてる奴については全然分かってないっすけど」

 

「後は・・・。如月先輩が変身した仮面ライダー・・・でしたっけ?」

 

「おぅ!!仮面ライダーフォーゼ。それが俺のもう一つの俺だ!!」

 

「仮面ライダーについては弦巻の情報にもございました。都市伝説に出てくる怪物と戦うヒーローで最近では風都での目撃証言が多くあるそうです」

 

 

弦太朗が話を進める中、

弦巻の知ってる情報があれば黒服から情報を補足される。

 

 

「如月先輩がその”仮面ライダー”ってことを知ってる人はいるんですか?」

 

「ここにいない奴だと、香澄と蘭のバンドとゾディアーツに変身してた奴が1人だな」

 

「・・・あれっ?如月先輩。人数おかしくないですか?バンドが10人で怪物だった人が1人って?」

 

「如月様。2つのバンドのどちらかにゾディアーツに変身したものがいたという事でしょうか?」

 

「・・・そうっすね。黒服さんの言う通りっすね」

 

「・・・そんな!!」

 

美咲は先ほどミッシェルで取っ組み合いをしていたあの怪物――ゾディアーツに変身した人が自身の身近にもいたことに対して驚きを隠せない。

 

「心配すんな美咲。そいつらもゾディアーツに変身するスイッチはもう持ってねぇし、もしあっても使うことはねぇよ」

 

「そうですか・・・」

 

弦太朗の答えにあまり納得出来ていない美咲だが、黒服が話を変える。

 

「如月様に対してはこちらでも協力いたします」

 

「どうもっす」

 

「いえ、こころ様を助けていただいたので当然です。それに先ほどのゾディアーツについては如月様も初めて見るという事でしたので、こちらでわかったことを報告させていただきます」

 

「もう分かったの・・・?」

 

「正体までは分かりませんが、大体の特徴はこちらで見当がついております」

 

「黒服さんたちってすげーな・・・」

 

弦太朗達の感想を他所に黒服が先ほどのゾディアーツ” アルツメイヤー・ゾディアーツ”についての報告を述べる。

 

 

「おおくま座 “アルツメイヤー・ゾディアーツ”について判明していることですが、

まずは外見。これは皆さまは直接ご覧になっておりますのでここでの説明は省略させていただきます。

気になっている点としては公園で意識を取り戻した黒服が言っていた言葉だと思います」

 

「確か・・・。「ミッシェルが一杯」とか言ってたよな?」

 

「えぇ。如月様。その通りです。

あの黒服が言うには見える人間すべてがミッシェルに見えるようです。その後黒服を含めた被害者数人が既に目覚めており、そのうちの多くの被害者が公園の黒服と同じことを話しております」

 

「多くってことは全員じゃないってことですか?」

 

「はい。その被害者の共通点は全員”右腕の爪で攻撃された”ことがありますが理由がまだ分かっておりません」

 

「ということは。こころは・・・!!」

 

「目覚めても幻覚症状は発生する可能性は高いと思われます。・・・すいません。そろそろこころ様のところへ戻らないといけませんので・・・。資料はここに置いておきますので、何かあればお呼びください」

 

「あっ・・・。ありがとうございます」

 

 

そうして黒服は部屋から退出し、美咲と弦太朗は資料を確認する。

 

 

その被害者リストの中には”弦巻こころ”の他に”北沢はぐみ”の名が書かれていることに驚きを隠せない美咲。

 

 

 

「もしかしてこころとはぐみもみんながミッシェルに見えるってことですか?」

 

「それは分かんねぇ・・・。でもあのゾディアーツが持ってるスイッチを壊せばみんな元に戻るはずだ。今までの連中も元を倒せば戻ってたからな」

 

「よくわかりませんけど、出来ることはそれしかなさそうですね」

 

「美咲。お前ミッシェルはどうなったんだ?」

 

「流石にすぐって訳にはいかないみたいで・・・」

 

先ほどの戦闘でボロボロになったミッシェルは黒服の手によって回収されたが損傷が酷いため、修理に時間がかかることが美咲に伝えられていた。

もう一人の美咲と言えるミッシェルは弦巻の技術で超高性能化がされていたため、美咲は無事であったが次同じことがあったら美咲が危険であることを明らかである。

そんな美咲を危険から遠ざけるべく、弦太朗はこころの元へと美咲を行かせようと説得する。

 

「だったら美咲はこころ達のそばにいてやってくれ」

 

「でも・・・!!」

 

「痛い目に遭ってもダチと一緒に居られた方が気持ちいいからな。こころもダチの美咲が近くにいてほしいんじゃねぇか?」

 

「・・・それはできません」

 

「美咲?どうしたんだ?」

 

「あたしのせいでああなったのであたしは少なくともこの事件が終わるまではこころに会えません。それがあたしなりの責任です」

 

「美咲はそれでいいのか?」

 

「はい。あの怪物――ゾディアーツを見つけて、こころが狙われることが無くなるまでは・・・」

 

「よし!!ならどうすっか?」

 

「えぇー。そこはビシッと決めるところですよ・・・。如月先輩はこういう時はいつもどうしてたんですか」

 

「とりあえず、飯だな!!ここにいても食いにくいから外で食うか!!」

 

「ってちょっと!!」

 

「とりあえず、さっき食えなかったはぐみの店のコロッケだな!!行くぜ美咲!!」

 

「だから!!急に腕つかんで走らないでください!!」

 

弦太朗は食事のために美咲を屋敷から連れ出す。

目的は商店街にあるはぐみの実家のコロッケ。

弦太朗は期待に胸を膨らませ、美咲はこころみたいになっている弦太朗に半ば呆れつつ2人は商店街へと走り出した。

 




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オリ設定のゾディアーツについての公開情報(通常時)
・大熊座”アルツメイヤー・ゾディアーツ”←NEW
・遠目から見たら黒いミッシェル
・顔は本物のクマに近い
・右腕にはかぎ爪
・爪が当たった人間に対して幻覚効果(?)


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大・熊・騒・動-8 クマの狙い、知ってるかい?

例のワクチンにやられてますが投稿です。

ここの女性陣は本当に強い(物理
特撮世界特有の高耐久。



先ほど騒動があった商店街へ戻ってきた弦太朗達しかし―――

 

 

 

 

 

 

「だぁあああ!!商店街の店がほとんど閉まってるじゃねぇかー!!」

 

「まぁ、さっきの騒ぎの後ですから・・・。あたしは山吹さんと羽沢さんの店がやってる方が驚きですよ・・・」

 

先ほどゾディアーツ騒動が起こった商店街では多くの店が閉店しており、その中に目当てのはぐみの実家である精肉店も含まれていた。

 

「しゃあねぇか・・・。沙綾の店かつぐの店どっちにする?」

 

「まぁ、そうです・・・ひぃ!!」

 

「ん?どうした美咲?」

 

 

弦太朗は美咲の視線が向いている自身の後ろに振り返る。

そこには笑顔の沙綾とつぐみがこちらを見て笑っているが、その目が笑っていない。

 

 

「しょうがなしでうちの店はちょっと傷つくよねぇ沙綾ちゃん?」

 

「ねぇ~。しかもつぐたちの次は美咲って弦太朗は女の子引っ掛けすぎじゃない?」

 

「いやいや!!2人とも違うからね?」

 

「そのことは後で美咲から聞くとして、何で商店街の店がこんなに閉まってるの?私たちさっきまで買物に出かけてたからよく分かんないんだよねー」

 

「さっき商店街でな・・・」

 

「えぇ!!まさか・・・また!?」

 

「もしかして、今度はハロハピが・・・?」

 

「うん。黒服さんたちもだけど・・・」

 

「えぇー!!大丈夫なの!?」

 

「あたしはミッシェルがボロボロになって、こころとはぐみは怪我はしてるけど命には別状はないって・・・」

 

「良かったね!!美咲!!」

 

「うん・・・」

 

「でも今回の目的ってなんなのかな?」

 

「羽沢さん。目的って・・・?」

 

「今回のやつの目的が分かれば次に出る場所が分かるんじゃない?」

 

「出たのは商店街とグラウンドだな」

 

安堵する沙綾とは異なり、つぐみは今回のゾディアーツの行動目的に対して疑問を持つ。

今回のゾディアーツの現れたのは商店街とグラウンド。

 

その2か所の共通点―――

 

「狙いはハロハピじゃないかな?」

 

「どういうことだ?つぐ」

 

「商店街とグラウンド・・・。狙いは美咲とはぐみだったってこと!?」

 

「っ!!」

 

「美咲!!」

 

美咲は沙綾達の話に耐えられなくなりその場から走りだす。

弦太朗が追いかけようもすると美咲の影はスグに見えなくなる。

影が見えなくなった美咲を追いかけることを諦めた弦太朗はつぐみ達との話へと戻る。

 

「どういうことだつぐ?」

 

「あのね。ミッシェルはこの商店街のマスコットで、はぐみちゃんがソフトボールしてるのはハロハピファンなら知ってるからね・・・」

 

「でも、こころはどうして・・・?」

 

「確かにこころはどこに行くか分かんねぇって美咲も言ってたな。じゃあこころは偶然ってことか?」

 

「うん・・・」

 

美咲が商店街から逃げたことによってこころが襲われた――

責任感の強い美咲はこの事実に耐えれなくなり、どこかへと走り去ってしまったのだ・・・。

 

「美咲も気になるけど、まずはゾディアーツだ」

 

「つぐの言う通りなら、次に狙われるのは薫さんか花音先輩ってこと?」

 

沙綾の言葉に弦太朗はグラウンドでの薫の言葉を思い出す。

 

「そう言えば薫は花音のバイト先に行くって言ってたぞ!!」

 

「えぇ!?」

 

「本当だったらそれってまずいんじゃないの」

 

「花音のバイト先ってどこだ?」

 

「駅の方のファーストフード店。ひまりちゃん達と同じところだよ」

 

「さんきゅーつぐ!!」

 

つぐみの言葉を聞いた弦太朗は目的地のファーストフード店へと走り出す。

商店街に取り残された沙綾とつぐみは――

 

「えっと沙綾ちゃん。どうしよっか・・・?」

 

「とりあえず家に帰ろう。お店の手伝いもあるしね」

 

「そうだね」

 

そうして沙綾とつぐみはそれぞれの実家へと帰っていった。

 

 

 

 

――――――

 

 

 

「ありがとうございましたー!!」

 

「ひまり。なんか今日は機嫌良いな」

 

「ほら!!あそこで薫先輩が私たちの仕事を見てるんだよ!!」

 

アタシはひまりが指挿す方を見てみると瀬田先輩がコーヒーを飲んでいる姿をファンが眺めているというこの店には似合わない光景が広がっていた。

 

飲んでるのはファーストフード店のコーヒーなのになんであんなに様になってるんだろう・・・。

あっ・・・花音さんに手を振ってる。

 

「巴!!今こっちに向かって手を振ったよ!!」

 

「ひまりの横にいる花音さんに向かってだろ?」

 

「もー!!巴ー!!」

 

「あはは・・・」

 

ひまりのこの状態に流石の花音さんも苦笑いしてるけど、花音さんが黒服さん達に囲まれてバイトに出勤してきたときはアタシ含めて店の全員が驚きを隠せなかったけど・・・。

でも、なんで花音さんはあんな状態で店に来たんだろう?聞いてみるか・・・。

 

「花音さん。今日はどうして瀬田先輩と一緒に店に来たんですか?」

 

「えぇっとね。バイトに来るまでハロハピのみんなと如月くんではぐみちゃんとソフトボールをしてたら遅刻しそうになっちゃってね。そしたら黒服さん達が送ってくれたんだよ」

 

「如月とソフトボールですか?」

 

「本当は練習を見るだけの予定だったんだけど。こころちゃんが一緒に練習してたらいつの間にか練習試合になっちゃって・・・。でも1番すごかったのは美咲ちゃんかな。ミッシェルで活躍しながら監督もしてたんだよ」

 

美咲のやつ、あれを着ながらソフトボールして監督までしたのかよ。

なんだろうミッシェルが監督してたってことは「そこ!!笑顔が足りてない!!」とか言ってたのか?

それにしても・・・。

 

「美咲ってやっぱすごいな・・・」

 

「だよね」

 

「えっ?アタシ声に出てました?」

 

「うん・・・。あっ。お客さん来たよ。いらしゃいませー!!」

 

「いらしゃいませー!!」

 

そうして話を区切りアタシ達は仕事へ戻るが、アタシが裏で作業をしてしばらく経つと客席の方から悲鳴に似た声が挙がる。

 

瀬田先輩に対する黄色い声だと思って悲鳴をスルーしてたら次は花音さんの口癖「ふえぇ・・・」という

叫び声。

 

流石にこれはおかしいと思い、アタシは店のほうに出るとそこにはミッシェルみたいな見た目をした怪物が客席にいる瀬田先輩に迫っていた。

 

「巴!!」

 

ひまりの声にアタシはカウンターを飛び越えて、瀬田先輩の元へと走り――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁああ!!」

 

「!!」

 

「おや、巴ちゃん。ってこれはどういうことだい?」

 

走った勢いのままに昔あこと一緒に見ていたプロレスでやっていたドロップキックを怪物に食らわせる。

 

怪物は後ろに吹っ飛ぶがダメージは無さそうだ。

それにしてもなんでこの人は今まであれに気が付かなかったんだよ!!

 

「おや・・・あれはミッシェルのお友達かな?」

 

「違います!!さっき瀬田先輩を襲おうとしてましたよ!!」

 

「おやおや。それは困った子猫ちゃんだね」

 

「いいから早く逃げてくださいよ!!」

 

「巴ちゃん達より先に逃げることなんて出来ないさ」

 

「他の人はもう避難してますから!!」

 

きっとこの騒ぎでひまりが避難させて如月を呼んでいるだろう。

だから瀬田先輩が早く逃げてくれないと正直こっちが困る。

それに、この人が逃げてくれないとアタシも逃げられないんだよ!!

 

そんなやりとりをしてる最中に怪物は起き上がりこちらを睨む。

 

アタシは仕方なしに怪物へと向き合い構える。

そして自分を奮い立たせるために怪物へと強い言葉をぶつける。

 

「お客様。当店での迷惑行為をとっととやめて、さっさと帰ってください」

 

その言葉に怒りを覚えたのか怪物はこちらへ突っ込んで右腕を振り降ろす。

 

あの爪はやばい!!とアタシの直感が訴えて体勢を崩しながらもその爪はかわす。

しかし相手はその振り抜いた爪を裏拳のようにアタシに振るが体勢が悪くてアタシは咄嗟に腕でガードするもそのまま客席へと飛ばされる。

 

「巴ちゃん!!」

 

「巴!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

ひまり達の声が聞こえるがそこに意識を割く余裕は無い。

アタシの腕は爪で引っ掻かれていないため腕は切れてはないが激しい痛みが走る。

痛みを抑えて立ち上がろうアタシの前に瀬田先輩がアタシを庇うように怪物との間に割って入る。

 

「これ以上子猫ちゃん達を傷つけるのはやめてもらいたいね」

 

「瀬田先輩。早く逃げてください!!」

 

「でも、目の前で子猫ちゃんが傷つけられて黙ってることなんて出来ないさ」

 

「薫先輩~!!」

 

ひまり。そこで目をハートにして瀬田先輩を見てるんじゃない。

 

「うぅ!!」

 

いきなり目の前の瀬田先輩が崩れ落ちる。

アタシが起き上がる前に怪物は左腕で瀬田先輩へボディーブローを打ち込み、瀬田先輩は崩れ落ちながら意識を失った。

 

「薫先輩(くん)!!」

 

後ろで声を上げる2人を他所に怪物は瀬田先輩を抱えあげてこの場を去ろうとする。

 

「待て・・・!!」

 

アタシは必死に立ち上がって瀬田先輩を捕まえようとするが、そのまま怪物に連れ去られてしまう。

店には争った痕跡とアタシ達のみが残される。

 

怪物が去った後、ひまりと花音さんはアタシの方へと駆け寄ってくる。

 

「ふえぇ。巴ちゃん大丈夫?」

 

「巴!!とりあえず腕出して!!」

 

心配する花音さんと打ち付けられたアタシの腕を氷で冷やすひまり。

 

「巴はまた無茶して!!骨は大丈夫そうだけどちゃんと病院行ってね!!」

 

「おいひまり。またって・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

ひまりまた無茶して。って前回はお前のせいだからな・・・。

そう思っていたら店へと如月が入ってきてアタシへ駆け寄ってくる。

 

「巴!!ひまり、何があったんだ?」

 

「黒いミッシェルが薫先輩を攫っていったんだよ!!」

 

「・・・間に合わなかったか!!花音は無事か!?」

 

「うん。私は大丈夫だけど。巴ちゃんが・・・」

 

「アタシは大丈夫ですよ。悪いな如月。逃がしちまって」

 

「気にすんな。他に怪我人は?」

 

「巴だけだよ。巴は怪物の爪が当たって怪我しただけで、他の人は大丈夫だよ!!」

 

「爪!?巴!!俺が分かる!?」

 

「はぁ?何言ってんだ如月?」

 

如月の意味不明な言葉にひまり達も何もわかってないようだけど、目の前の如月の奴は少し安心したような様子だ。

 

「うっし。とりあえず、今からこころの屋敷行くぞ」

 

「弦太朗くん?どういうこと?」

 

「皆さま!!こちらへ!!」

 

そうしてアタシ達は黒服さん達によって車へと乗せられてこころの屋敷へと連れていかれた。

 

 




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後数話でハロハピ篇も終わりかな?


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大・熊・騒・動-9 誰が王子様を狙ったのか?

投稿です。

ハロハピ篇なのにハロハピ出演率の低さよ。



屋敷へ戻った弦太朗達

屋敷の一室で黒服が花音たちに今起こっている事件の事を説明する。

しかし、花音がいるため仮面ライダーについては話していない。

 

「ふえぇ・・・。はぐみちゃんにこころちゃんまで・・・」

 

「なるほど・・・。大体分かりました」

 

「巴!!それ絶対に分かってないでしょ!!」

 

「そんなことないぞ。次は花音さんが狙われるってことだろ?」

 

「やっぱり分かってない!!」

 

「薫と一緒にいた花音に何もしてないって事は、目的は薫ってことか・・・?」

 

「ふぇ?」

 

「・・・確かに!!花音さんは無事って事は目的は薫先輩しかないよ!!」

 

「ん?なんかよく分かんないけど、はぐみ達が襲われるのは変だし、瀬田先輩も襲われるような理由なんてないだろ?」

 

「巴。やっぱり分かってなかったじゃん!!」

 

「花音は何か分かるか?」

 

「ごめんね。でも美咲ちゃんなら・・・」

 

「待ってくれ。花音」

 

「え・・・?」

 

「奥沢様は携帯をこちらに置いて行ってしまっているので、後でこちらを届ける際に伝えておきます」

 

「そうだったんですね。分かりました」

 

そして美咲に連絡しようとする花音を静止する弦太朗と黒服。

 

それは先ほどこころの事で思い悩んでいた美咲に対して、「これ以上彼女を追いこみたくない」という弦太朗と黒服なりの気遣いであった。

 

「でも、瀬田先輩について詳しい人なんて・・・」

 

美咲以外に攫われた薫について詳しい人――

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋にいる全員が考えるとひまりから声が挙がる。

 

「そうだ!!りみ!!」

 

「ん?りみがどうしたんだ?」

 

「りみも薫先輩の舞台とか良く行くから、もしかしたら何かわかるかも!!こころの屋敷に来てもらえるように私連絡してみるね!!」

 

そうしてひまりはりみへ電話を掛ける。

それと同じタイミングで部屋の外から別の黒服が入ってくるが通話中のため、話かけずに待機している。

 

 

『もしもし?ひまりちゃん?』

 

「もしもし、りみ。今って何してるの?」

 

『えっ?家で本を読んでたけど?』

 

「ちょっと弦太朗くんがね。薫先輩の事で聞きたいことがあるって」

 

『弦太朗くんが・・・?うん。大丈夫だよ。』

 

「りみ!!ありがと~!!それでね。見てもらいたいものがあるからちょっと外に出てきて欲しいんだけど・・・」

 

『大丈夫だよ!!それで今はどこにいるの?』

 

「えっとね。こころの家だよ」

 

『こころちゃんの・・・?でも、今から行くと時間かかっちゃうよ?』

 

「上原様。今、牛込様の家に迎えの車を出しました」

 

「えっとね。今こころの家の人が車で迎えに行ったって」

 

『えぇ!!どういうことなん!?』

 

「詳しくはこころの家で話すから!!」

 

『うん。じゃあ準備して待ってるね?』

 

「うん。じゃあ後でねー!!」

 

 

「ひまりちゃんの行動力凄いね・・・」

 

「それがひまりのいいところですから」

 

「スゲーなひまり!!」

 

「えへへ~。弦太朗くん!!もっと褒めてもいいんだよ!!」

 

「お話中失礼します」

 

 

ひまりとりみの会話中に部屋に入ってきた黒服が話へと割って入ってくる。

 

「宇田川様。医療班の準備が整いましたのでこちらへ」

 

「あぁ。ありがとうございます」

 

「それと新たに判明したことがありますので報告させていただきます」

 

「ふえぇ?新しく分かったこと・・・?」

 

「爪によって引っ掻かれた被害者の身体が徐々に”ミッシェル化”していっていることが確認されました」

 

「身体が”ミッシェル化”?どういうことですか?」

 

「傷を中心にしてそこから徐々に身体がミッシェルのように変化していっております。その減少は便宜上こちらで”ミッシェル化”と命名させていただいております」

 

「えぇー!!じゃあ巴もミッシェルに!?」

 

「ふえぇー!!」

 

2人の視線は爪によって目の前で吹き飛ばされた巴へと向けられる。

 

「宇田川様は爪による傷は無いので問題はないと思われます」

 

「ん?アタシは幻覚なんて見えてないから大丈夫だろ?」

 

「はい。現在の例外はこころ様のみです」

 

「こころちゃん!?」

 

「えぇ松原様。こちらへ」

 

「はい!!」

 

花音の考えを読み取った黒服が花音をこころの元へと案内され、部屋には仮面ライダーの正体を知る者のみが残される。

 

「なぁ、例外の原因って如月か?」

 

「はい。こころ様のみが仮面ライダーによって怪我の処置を行っております。それが原因かと」

 

「弦太朗くんのあれってそんなことも出来るんだ!!」

 

「実際手当したのは黒服さんだけどな。って巴、行かなくていいのか?」

 

「確かにいつまでも待たせるのは悪いな」

 

「では、宇田川様はこちらへ・・・」

 

「じゃあ私も巴に!!」

 

「いや、ひまりは残ってないと。りみ呼んだのに本人がいないのはダメだろ?」

 

「上原様と如月様はこの部屋でお待ちください。後ほどお茶と軽食をお持ちいたしますので」

 

「はい!!」

 

「あざっす!!」

 

 

 

 

こうして黒服は巴を連れて部屋を後にする。

2人は黒服によって運ばれてきたお茶と軽食を楽しんでいると、りみが部屋へとやってくる。

 

 

 

 

「ひまりちゃん!!弦太朗くん!!お待たせ」

 

「おう!!りみ。急に呼んで悪いな」

 

「ううん。話は黒服さんから聞いたよ!!それに友達が困ってるんだから何かしないと!!」

 

「りみ~!!」

 

ひまりがりみの言葉に感動しているが、りみは弦太朗へ質問する。

 

「それで薫先輩について聞きたいことってなに?」

 

「あぁ、りみから見て薫ってどんな奴か知りたいんだ」

 

「うん!!薫さんは演劇部でね。芝居もめっちゃ上手でね!!めっちゃかっこいいんよ!!・・・」

 

「そうだよね!!しかもファンサービスも凄くしてくれるし、イケメンで王子様でね!!・・・」

 

「それに、薫先輩が”儚い”って言うんがね。すっごい儚いんよ!!」

 

「それにギター姿もすっごいかっこよくてね!!」

 

りみとひまりから繰り出される超早口の薫トークに弦太朗は聞き取り切れず、困惑する。

 

「2人とも落ち着け!!とりあえず、薫が凄いってのは分かったから!!」

 

「薫さんはホント凄いんよ!!あっ・・・」

 

「ねぇりみ?どうしたの?」

 

「そういえば、前に一部のファンの人達が「名前呼んでもらえない」って言ってたよね?」

 

「あー!!前にそんなことあった!!私たちは同じライブとか出てるときに名前呼んでもらう時とかあるから気にしてなかったけど、すっごい炎上して薫先輩の一言ですぐ収まったあれね!!」

 

「うんうん!!あの時の薫さんめっちゃかっこよかったよ!!」

 

「あっ!!もしかして今回の犯人って!?」

 

「あん時文句言ってたファンの人!?もしかして被害者の人も!?」

 

「弦太朗くん!!」

 

「おっ・・・おう・・・」

 

「牛込様。上原様。こちらが今回の資料になります」

 

弦太朗が2人に困惑している中、どこからか現れた黒服がそれぞれにに今回の事件資料を手渡す。

その資料には被害者のリストにミッシェルのスタンプが新しく追加されている。

 

「なぁ、このスタンプって・・・」

 

「このスタンプが押されている方は現在”ミッシェル化”している人になります」

 

「りみ!!この人たちって!!」

 

「やっぱりそうやね!!」

 

「どうしたんだ2人とも?」

 

「このスタンプ押してる人!!はぐ以外はみんな薫さんのファンやない!?」

 

「なんだって!?」

 

「この人たちの顔薫先輩の舞台で見たことある顔だもん!!」

 

そう言うとひまりは資料にあるスタンプが押された被害者リストから見覚えのある顔をリストアップする。

しかし、”ミッシェル化”している全体の6割程度しかリストが埋まらない。

 

「ひまり。半分くらい埋まってねぇぞ?」

 

「あれ~?あってるとおもったんだけどなぁ~」

 

「もしかして残ってるのはハロハピのライブしか行ってない人じゃないかな?」

 

「それか~。確かに何人かはハロハピと一緒のライブで見たことあるような気もするけど分かんないよぉ・・・」

 

「あっ!!りみちゃん」

 

「こんばんは。花音先輩」

 

「こころはどうだった?」

 

「うん。まだ寝てたけど。すぐに起きるって黒服さんも言ってたから!!」

 

ひまりが埋まらないリストに唸っていると、こころの様子を見ていた花音が部屋へと戻る。

黒服の言葉とこころの様子を見て安心している花音にひまりがリストを持って詰め寄る。

 

「花音さん!!ちょっとこれ見てください!!」

 

「ふえぇ・・・。ひまりちゃん?どうしたの?」

 

「花音先輩。そのスタンプ押してある人たちに見覚えありませんか?」

 

「どういうこと?」

 

「花音!!なにか思い出さねぇか?」

 

「ふえぇ・・・!!」

 

「弦太朗くん!!花音先輩が・・・」

 

「わりぃ・・・。でもこころ達のためだから頼む!!」

 

「・・・こころちゃんの?うん。ちょっと見てみるね?」

 

そうして花音はひまりから受け取ったリストを確認する。

 

「あれ?この人ってライブにいつもライブに来てくれる人だ。それにこの人も・・・」

 

「花音さん。ライブで見たことある人に印付けてください!!」

 

「うん・・・」

 

花音がひまりから受け取ったリストを確認し、印をつけていく。

しかし、リストの数名には印がない。

 

「あれ?全部埋まってないよ?」

 

「あっれ~。そうだと思ったんだけどなぁ」

 

「でも、残った人達のこの髪型もライブ以外で見てるような・・・」

 

「ライブ以外・・・?」

 

「あっ!!黒服さん!!この中に黒服さんは居ますか?」

 

「失礼します」

 

花音の言葉に数人の黒服が現れて、その全員がひまりと花音によって情報が書き加えられた資料を確認する。

集まった黒服が全員資料を確認して結果を伝える。

 

 

「このリストの空欄は全員黒服です」

 

「ほら~!!」

 

「ひまりちゃん凄いね!!」

 

「つまり、薫くんの関することで炎上した人が犯人・・・?」

 

「皆さま。ありがとうございます!!後はこちらで犯人の調査いたします」

 

ひまりとりみの活躍により犯人の絞り込みは完了し、その結果から犯人を割り出すベく屋敷を駆け出す黒服。

 

しかし、時間が遅くなってしまい屋敷にいた弦太朗達はこのまま屋敷に泊まることのなるのだった。




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オリ設定のゾディアーツについての公開情報(通常時)
・大熊座”アルツメイヤー・ゾディアーツ”
・遠目から見たら黒いミッシェル
・顔は本物のクマに近い
・右腕にはかぎ爪
・爪によって切られた人間に対して幻覚効果←更新
・切られた人間が次第にミッシェルになる!!←NEW


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大・熊・騒・動-10 決意と笑顔と思い出と

投稿です。

本章は
コメディ担当Afterglow
シリアス担当ハロハピでお送りしております。



こころの屋敷に泊まることになった弦太朗。

自宅の布団とは違う最高級品の寝具によって就寝した彼は・・・。

 

「グゴゴォ・・・zzz」

 

今だに夢の世界へに旅立っていた。

そんな彼が寝ている中、部屋へと忍び寄る影が1つ―――

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くんの泊まった部屋が隣なんて本当にラッキーだよ」

 

ひまりである。

沙綾とつぐみといった協力なライバルがいないこの瞬間を最大限利用すべく彼女は行動していた。

 

「まずは寝ぼけてるふりして、部屋に入ってそのままベットに潜り込んで・・・。えへへ・・・。よし!!」

 

彼女は部屋の前に自身が寝間着として着ているバスローブを直して部屋へと入っていく。

 

「おはよー。弦太朗く・・・ん?」

 

部屋に入ったひまりはベットへと潜り込む。しかし――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん・・・。ひまり・・・?こんな朝からどうしたんだ・・・?」

 

彼女が潜り込んだベットにいたのは弦太朗・・・ではなく寝起きの巴の姿であった。

 

「巴!?なんで弦太朗くんの部屋にいるの??」

 

「弦太朗・・・?あいつの部屋はひまりの横だろ・・・?」

 

「・・・あぁ!!」

 

ひまりの泊まった部屋――

彼女の泊まった部屋は弦太朗と巴の部屋に挟まており、ひまりは同じ隣の部屋でも誤って巴の部屋に入ってしまったのだ。

 

「まさかひまり・・・。お前そういう趣味だったのか?」

 

「違うよ~!!」

 

「ははっ。それにしても・・・。ひまり、流石にそれはやりすぎだと思うぞ・・・」

 

「・・・っ!!ほわぁあああああああ!!」

 

「うるせええええええええええええええええええ!!」

 

ひまりは巴に指摘され、自身の姿を見て恥ずかしさのあまり悲鳴を挙げる。

その悲鳴は屋敷中へと広がり、それを近くで聞いていた巴も大声で文句を言う始末だ。

 

今のひまり寝間着として着ていたバスローブの胸元を大胆に開け、同性から見ても目のやり場に困るような状態であったため悲鳴を挙げてしまうのも無理はない。

巴も寝起きではあるが寝間着としてジャージを着ていたため服装に問題はない。

 

しかし、ひまりの不幸はそれだけで終わらない。

ひまりの悲鳴を聞きつけた黒服、そして悲鳴によって起きた弦太朗が巴の部屋へとなだれ込んでくる。

 

「上原様!!どうさr・・・」

 

「巴!!ひま・・・り?」

 

「えっ!?」

 

部屋に飛び込んできた室内の光景を見て黒服は言葉を失い、弦太朗は固まる。

ベットの中で寝間着姿の女子が2人。そのうち片方はその服が大胆に乱れている。

見られたひまりも状況が呑み込めずに固まる。

 

「あっ・・・失礼いたしました」

 

そうして黒服が何事もなかったのように対応し、いまだに固まっている弦太朗を部屋から引きずり出す。

黒服たちが立ち去ってからしばらく立って、再起動したひまりは―――

 

「いやぁあああああああああああああ!!」

 

ひまりの叫びが再び屋敷中へと響くが今回は誰も部屋に入ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の珍事の後、屋敷に泊まっていた弦太朗達は用意されている朝食を前に興奮気味だ。

 

「うぉおおおお!!すっげぇ!!」

 

「こころちゃんの家ってすごいねぇ・・・」

 

「やっぱり最初はそうだよね。私も何回かあるけどやっぱり慣れないよ」

 

「如月の言う通り。これはテンション上がるな!!ひまり?」

 

「・・・」

 

巴の問いかけに対してひまりは朝の騒動の件で目の前の食事どころでは無かった。

 

「ひまりちゃん・・・?どうしたの?」

 

「りみ!!聞かないで!!」

 

「あーひまり。朝の事は気にするなよ?ちゃんとつぐ達には伝えておいたから」

 

「ちょっと!!巴!?」

 

「あの・・・黒服さん?何かあったんですか?」

 

「えぇ。実は今朝・・・」

 

「わー!!わー!!花音さんも黒服さんもやめてくださいよー!?まずはご飯食べましょ!!」

 

朝の出来事を花音に伝えようとする黒服たちをひまりは声を上げて妨害し、

話題を目の前の朝食へと変えようとする。

 

「確かにそれもそうだな!!」

 

「巴!!今日はやけ食いだよ!!」

 

「アタシは被害者だからな」

 

「みんな待ってよー!!」

 

 

 

 

 

 

彼女たちは目の前に用意されていた朝食を楽しむが突如としてその時間は終わりを告げた。

 

「失礼します!!こころ様と数名の被害者が突然姿を消しました!!」

 

「どういうことですか!?」

 

「爪で引っ掻かれた被害者が突然暴れだし、静止も振り切って逃走し現在追跡中です」

 

慌てた様子の黒服が朝食の場へと駆け込み状況を説明する。

それに合われるかのように花音の携帯から通知音が響く。

 

「花音さん?携帯鳴ってません?」

 

「ホントだ。こんな朝から誰だろう・・・って薫さんから・・・!!」

 

花音の携帯には1件のチャット通知、送り先は先日攫われた薫から―――

その発言によって弦太朗以外の食事の手が止まり、視線は彼女へと集中する。

 

「花音さん!!なんて書いてあるんですか!?」

 

「えぇっとね。"12時に残りのメンバーでここに来い。”って書いてあるよ。それと一緒に地図も・・・ここって結婚式場・・・だよね・・・?」

 

「じゃあ、そこに薫先輩がいるってことなんやね!!」

 

「前に瀬田先輩と沙綾が撮影してたところか!!じゃあ早速乗り込んで・・・!!」

 

「明らかに誘拐犯の罠です。それに宇田川様の怪我では危険すぎます」

 

薫からのチャットに盛り上がる彼女たちを黒服が静止する。

 

先日の戦闘での巴の怪我は腕だけではなく、客席に飛ばされた際に全身を打撲しており、とても戦闘できるような状態ではない。

 

「こんなもん。気合で・・・、いってぇー!!」

 

「巴ちゃん!?それじゃあ無理だよ!!」

 

「・・・私だけで行くよ。美咲ちゃんを連れていけないよ」

 

「花音さん!?危ないですよ!!私も行きますよ」

 

「ダメだよ。これはハロハピの問題だから・・・」

 

 

 

薫とゾディアーツの待ってるであろう場所へ誰が行くかで騒ぐ中、ここで弦太朗が食事の手を止める。

 

「俺と花音だけで行く。ダチの薫を助ける。ゾディアーツは任せろ」

 

「如月くん・・・。どうしたの・・・?」

 

「それにみんなには美咲と街の人を頼む。美咲は昨日のこともあるからな」

 

弦太朗の発言と見たこともない真剣な雰囲気を見た花音は困惑していた。

花音を他所に仮面ライダーについて知っている他のメンバーは弦太朗の案に賛同する。

 

「弦太朗くん!!花音先輩と薫先輩たちのこと。よろしくね」

 

「美咲ちゃんの方は私に任せて!!」

 

「すまねぇ。如月。頼むぜ!!」

 

「おう!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

「では、我々は可能な範囲で周辺を封鎖を・・・」

 

こうして各自の役割分担を終えて彼らは今後のために食事へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

昨日の羽沢さん達との会話の最中に、逃げ出してしまったあたしは部屋の鍵をかけて閉じこもっていた。

たまに親が部屋をノックしてくるけど、全て無視して部屋の隅で蹲っている。

 

 

あたしのせいでみんながあんな目に・・・。

 

あの時のあたしは人に迷惑しかかけていなかった。

 

 

知らなかったとはいえ、商店街では戦おうとした弦太朗さんの腕を掴んで商店街から逃げ出した。

逃げ出した先にはこころがいて、その結果こころは瀕死になった。

こころを助けようと飛び出した黒服さんの多くがゾディアーツという怪物によって倒された。

あたしは怒りに任せて飛び出して、着ていたミッシェルがボロボロになってあたしを守ってくれた。

 

あの時、如月先輩の邪魔をしなければ―――

もしもあたしが公園以外の場所へ逃げていれば―――

黒服さんかあたしがこころの事を止められていたら―――

 

そんな”もしも”のことを考えるとあたしは罪悪感で押しつぶされそうになる。

 

 

ぐちゃぐちゃの頭で色々と考えていたらそのまま朝になっていた。

 

そんなあたしの目に移ったのは床に落ちている写真立て。

あたしはその写真立てを拾い上げると写真は”美咲”として写っているハロハピの集合写真。

その写真見たあたしは顔を歪めた。

 

「・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに写っていたのはいつもと変わらない笑顔のこころ、その姿に釣られるようにあたしを含めた他のみんなも笑顔だ。

 

でも、そのこころの笑顔は昨日のあたしのせいで・・・。

 

 

「あぁああああああああああああああ!!」

 

それを見ることに耐えきれなくなったあたしはそれを思いっきり投げつける。

投げたそれが部屋のドア当たる音と投げたそれが壊れる音が部屋に響く。

 

その後にドアの向こうから泣き声が聞こえてきた。

あたしはその声を耳障りに感じてドアを思いっきり開けると同時に「煩い!!」と怒鳴りつける。

 

 

 

 

でも、あたしはドアを開けた光景を見て激しく後悔した。

ドアの先にいたのは妹がミッシェルの羊毛フェルトを手にして泣いている。

目の前の光景に耐えられなくなったあたしは逃げるように家から走って逃げ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたらあたしは病院にいた。

 

ここはハロハピを結成直後の時に、こころ達と色んな子供たちを笑顔にした場所だ。

でも、ミッシェルじゃない今のあたしは笑顔にはなれないし、自分の妹の笑顔すら壊して泣かせた。

 

 

そんなことを思っていたら子供があたしの目の前で泣いていた。

それを見たあたしの身体は勝手に動いていた。

 

子供の待合スペースに転がっていたゴムボールを何個か持って、その場でジャグリングをした。

 

そのジャグリングは”みんなを笑顔にするため”と言って、ミッシェルとしてこころと練習した物だ。

 

 

 

 

 

 

 

あたしは何やってるんだろう・・・。

 

やめようとする自分の意志を無視し身体は動くのをやめない。

 

どのくらいの時間続けたが分からないが身体はジャグリングを止めた。

そして自分の意志で身体が動くようになり、あたしは周りを見渡す。

 

そこにあったのは先ほどまで泣いていた子供を中心に看護師や他の患者の人たちの笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・じゃあ、もし、全員忘れたら?』

 

『決まってるわっ。その時はあたし達以外の誰かが、思い出させてくれるわよ!』

 

笑顔を見たあたしは昔の事を思い出して、泣きながらも笑っていた。

 

 

 

 

そんな中あたしの携帯が震え、チャットの通知を伝える。

相手は上原さん。

 

内容は『薫さんがゾディアーツに攫われて結婚式場いること。』、『指定された時間に花音さんと如月先輩が2人で助けに行くこと。』が書かれていた。

 

 

 

 

 

あたしは病院を出ようとすると、泣いていた子供が声をかけてくる。

その子供の目線に合わせてあたしは子供に答える。

 

「お姉ちゃん行っちゃうの?」

 

「うん。今あたしの大切なお友達が困ってるから助けに行くんだよ」

 

「どうして助けに行くの?」

 

「あたしの大切なお友達が言ってたんだ。『世界はみんながヒーローなんだから。』って」

 

「そっか。頑張ってね!!」

 

「ありがとね」

 

指定された時間は12時。今から走っても時間に間に合うは分からないけどあたしは・・・!!

手を振る子供に見送られてあたしは病院から出ると式場へ向けて走り出した。

 




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ハロハピ篇というよりもこれ美咲篇やなって・・・



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大・熊・騒・動-11 Assault Bear

投稿です。

ホントにハロハピ篇終わるぞ・・・。
次には



指定された時間の少し前――

弦太朗と花音は他のメンバーと別れて、結婚式場へと向かっていた。

 

「如月くん・・・。薫さん大丈夫かな・・・?」

 

「大丈夫だ。ぜってぇに助けて連れて帰るぞ。って花音そっちは道違うぞ」

 

「ふぇ・・・」

 

「もう目の前なのにどうして間違えられるんだ・・・」

 

「ふえぇ!?」

 

 

弦太朗は花音を腕を引いて結婚式場へと入るが、式場内には人の気配が感じられない。

 

「着いたけど誰もいねぇな。おーい!!薫ー!!」

 

「如月くん・・・。もしかして、あのチャペルの中じゃないかな?」

 

花音は式場内にあるチャペルを指さし、弦太朗とともにチャペルの扉の前に立つ。

 

 

「花音は薫を助けたらすぐに逃げろよ」

 

「うん・・・」

 

「よし。行くぞ!!」

 

弦太朗は花音へ一言伝えるとチャペルの扉を力任せに開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャペルの奥には白いスーツ姿で手足を縛られてボロボロの薫が地面に転がり、

その横には薫を見つめるスイッチャーと思われる女性。

 

ベンチには先ほど黒服が逃げ出したと言っていた被害者達が並んでベンチに座っていた。

こころ以外の被害者の身体の殆どがミッシェルの物へと変わっていた。

 

「薫さん!!こころちゃん!!はぐみちゃん!!」

 

「待て!!花音!!」

 

「如月くん!!離して!!」

 

「かの・・・ん・・・?げんたろ・・・ぐほぉ!!」

 

「薫様。あたし以外に話しかけないで!?」

 

 

 

 

こころ達の姿を見て、飛び出そうとする花音を弦太朗は腕を掴んで止める。

目の前の薫の声に女性は薫の腹部に蹴り上げ、ゆっくりとこちらへと向き直る。

 

「あなたはいつもライブに来る・・・!?」

 

女性の顔を見た花音はその正体がいつもライブに来る客の1人であることに驚きを隠せない。

そんな花音に構う様子もなく、女性は花音へ問いかける。

 

「・・・なんで熊の中身がいないの?」

 

「あいつには言ってねぇからな」

 

「ふーん。でも薫様も熊の中身は知らないみたいだからどうでもいいか・・・」

 

「薫さんを離して!!」

 

「何言ってるの・・・?薫様は初めて会った時からずぅぅぅぅとあたしの物よ?初めて舞台で見かけたあの時から、いつも舞台を見に行っていつもファンレターも書いて、握手も何回もして、ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっと薫さまとあたしは一緒にいたのに。それなのに後からバンドを初めて、ぽっと出のあんたらに薫様を奪われて!!」

 

「それにあんたらはいつも名前を呼ばれるのに、あたしはいつも「子猫ちゃん」「子猫ちゃん」って名前も呼んでもらったことないのに!!だから、ここで薫様と愛を誓いあって!!薫様を永遠にあたしのそばに置くの!!」

 

「そんな薫さんを物みたいに言わないで!!」

 

「煩い!!」

 

「ぐああぁ・・・!!」

 

花音の声にスイッチャーの女性は苛立ちを吐き出すように叫ぶと、今度は薫の頭を踏みつける。

薫の叫びが響くが踏みつけている張本人は意に返さない。

 

「あんたたちとあの熊の中身は、ずたずたに引き裂いてやる!!その後はそこの2人も同じ目に会わせてから、薫様と永遠に一緒になるのよ!!」

 

「花音。下がれ!!」

 

 

 

そして彼女はラストワン状態のスイッチを取り出す。

弦太朗はそれと同時にドライバーを装着し、スイッチを入れる。

 

 

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

 

「変身!!」

 

弦太朗がフォーゼへと変身する。

それと同時に女性が大熊座”アルツメイヤー・ゾディアーツ” に変身すると、ラストワンで巨大化した爪を振り上げながらフォーゼへと突進する。

 

 

「宇宙キターーーーッ!!ってアブねェ!!」

 

フォーゼは突進を身体を捻って回避すると、アルツメイヤーの身体は勢いのまま屋外へと飛び出す。

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「ふえぇ・・・!?」

 

「げん・・・たろ・・・?」

 

そして拳を突き出して、いつもの決め台詞。

その光景を花音は驚愕し、薫は仮面姿の弦太朗を認識すると意識を落とす。

 

 

 

 

「花音!!薫を!!」

 

フォーゼはアルツメイヤーへの戦闘を始める。

花音は目の前で起きた出来事からすぐに我に返るとチャペルの奥へと駆け出す。

 

「薫さん!!しっかりして!!」

 

花音が薫へと走り寄ったが、彼女に意識はない。

その身体には変身前の彼女から受けたであろう暴行の跡がいくつか見受けられた。

 

「とりあえずここから出て黒服さんに・・・」

 

花音は一回り大きい薫を引きずりながらもチャペルの外へと向かう。

その間にもベンチに座って一切その場から動かないミッシェルたちや、フォーゼ達の戦闘には一切目もくれず、花音は式場の外に薫を引いていく。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、式場の外まで残り半分ほど進んだ当たりで、アルツメイヤーは薫を連れて行く花音を見つけてしまった。

 

「逃がすかぁああああああああああ!!」

 

アルツメイヤーの叫びと共にこころ以外のベンチに座っていたミッシェルたちが一斉にフォーゼへ向かって走り出す。

 

「うおぉぉ!!」

 

そのままミッシェルの波とフォーゼはぶつかり、アルツメイヤーとの距離を離される。

フォーゼも生身の部分がある相手に対して手を出せない。

 

アルツメイヤーは次第に離されるフォーゼを確認すると、花音へとゆっくり歩みを進める。

 

「やっぱり最初はあんたをズタズタにしてあげる!!」

 

アルツメイヤーは花音に向かって爪を振り降ろす。

花音は恐怖のあまり、目を閉じる。

 

 

 

しかし、そんな花音たちの元へ1つの影が叫びとともに近づく―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「花音さんから・・・離れろぉおおおおお!!」

 

声の正体は美咲だった。

美咲は走ったままアルツメイヤーへと体当りして、振り下ろされた爪は花音に当たることなく空を切った。

 

「美咲ちゃん!?」

 

「美咲!?どうして!?」

 

「上原さんから聞きました!!」

 

そんな3人の会話を裂くようにアルツメイヤーは美咲に左腕の拳を振るが、美咲はその拳を見ながら避ける。

 

 

 

 

 

 

そして彼女が覚悟を言葉にする。

 

「あたしだって戦います!!」

 

「美咲ちゃん!?どうしたの!?」

 

「美咲・・・」

 

美咲の発言に驚きを隠せない花音を他所に、フォーゼはマグフォンを操作する。

 

 

 

「こころ達みたいにみんなを笑顔に出来ないかもしれないけど・・・!!それでもあたしはみんなに笑顔でいてほしいんです!!だから・・・!!」

 

 

 

その言葉と同時に美咲の横にダイザ―が止まり、ミサイルをアルツメイヤーへとばら撒くと人型へと変形する。

 

「美咲!!乗れ!!」

 

「・・・はい!!」

 

美咲は迷いなくダイザ―へと乗り込む。

初めて乗り込んだ美咲はダイザ―の操作を瞬時に理解すると、そのままアルツメイヤーへと向き直る。

 

「如月先輩!!こころ達をお願いします!!」

 

その言葉とともに美咲の操作するダイザ―はアルツメイヤーを掴むとそのまま花音たちから距離を取り、そのまま戦闘を開始する。

 

 

 

被害者達に囲まれていたフォーゼは集団から抜け出し、スイッチを交換して起動する。

 

 

――――――エアロON――――

 

左足で周囲の空気を吸ってから

吸った空気をそのまま向かってくるミッシェルへと噴出させて、ミッシェルとの距離を離す。

 

 

距離を取ったフォーゼは再びスイッチを起動する。

 

――――ネットON――――――

 

右足にネットを付けたフォーゼはその場で右足を振るう。

 

振った足に合わせて大きなネットが現れて、ミッシェルたちを捕まえていく。

そして、ミッシェル全員を捕まえたフォーゼは黄色いスイッチを取り出して、起動する。

 

――エレキON――――――――

 

スイッチの起動と同時にフォーゼの身体を眩い電気が包む。

その光景を見ていた花音があまりの眩しさに目を背ける。

光が収まり花音が再びフォーゼの姿を見た時には身体の色が白から金色へと変わっていた。

 

「ふえぇ??」

 

「フォーゼ・エレキステイツって奴だ。・・・ちょっと我慢してくれ」

 

フォーゼは手に持ったビリーザロッド をミッシェルが捕まっているネットに当てて電気を流す。

流された電気によって、ミッシェル達は身体が痺れて上手くその体が動かせずにいた。

 

 

そして動けなくなったミッシェルたちの前に黒服がトラックに乗って現れ、全てのミッシェルとこころを回収して走り去っていく。

回収が終わると同時に薫が意識を取り戻す。

 

フォーゼは左足のスイッチをドリルへと交換しながら薫へと駆け寄る。

 

「薫さん!?大丈夫!?」

 

「おや・・・花音・・・?どうして泣いているんだい?」

 

「弦太朗、その仮面は君によく似合っているよ・・・」

 

「おい薫!?」

 

「身体は痛むが、花音の泣いている顔を見ることに比べたら大したことは・・・」

 

その会話を遮るように、美咲たちが戦っている方向から破砕音が響く。

 

「美咲!?花音、薫を!!」

 

「弦太朗、私も美咲のところまで連れて行ってくれないか?」

 

「薫さん!!どうして!?」

 

薫の願いに驚く花音だが薫は真剣な表情でフォーゼを見つめる。

 

「美咲が戦っているのだろう?仲間が戦ってるのに1人だけ安全なところにいることなんて出来ないさ。戦えなくても見守るくらいはしたいのさ・・・」

 

「薫さん・・・。それなら私も!!」

 

「よし!!」

 

こうしてフォーゼは薫を抱えあげて、花音とともに美咲の元へと走るのだった。

 




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オリ設定のゾディアーツについての公開情報(ラストワン時)
・大熊座”アルツメイヤー・ゾディアーツ”
・遠目から見たら黒いミッシェル
・顔は本物のクマに近い
・右腕にはかぎ爪
・爪によって切られた人間に対して幻覚効果
・切られた人間が次第にミッシェルになる
・切られた人間に対して簡単な行動操作



カウント・the・スイッチ
20/40


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大・熊・騒・動-12 決意のM/彼女の笑顔

投稿です。

ホントにハロハピ篇終わりです。
なんもかんもおのれディケイドー!!
長くなったと思って分割したらそうでもなかった罠

ハロハピ篇終わり!!(次があるとは言ってない



フォーゼ達から離れた場所で行われていた美咲の駆るダイザ―とアルツメイヤーとの戦闘は美咲のペースで戦闘が進んでいた

 

「死ねぇええええええ!!」

 

アルツメイヤーがダイザ―に向かって爪を振るうも、美咲はダイザ―の腕でそれを受け止めてそのまま弾き飛ばす。

 

「あんたみたいなのにぃぃぃぃいいい!!」

 

腕を弾き飛ばされて体勢を崩したアルツメイヤーに美咲は乱打する。

 

「あぁああああああ!!」

 

「逃がすかぁあああ!!」

 

ダイザ―の乱打をまともに受けてアルツメイヤーは大きく後ろに飛ばされるが、美咲は逃がす隙を与えないためそのまま接近して追撃する。

 

 

ミッシェルを着ていた時とは全くの別人のような動きを見せる美咲。

追撃の手を緩めない美咲に対してアルツメイヤーから言葉によって美咲を崩しにかかる。

 

「あんたなんて、あのお嬢様の付属品じゃない!!あの熊がないとまともに何も出来ないくせに!!自分じゃ人を笑顔になんて出来ないくせに!!」

 

「違う!!ミッシェルの時みたいに沢山の人を笑顔に出来なくても!!それでも私だって誰かを笑顔に出来ます!!」

 

美咲が思い浮かべるのは先ほどの病院での光景――

ミッシェルじゃなくても自身の手によってみんなを笑顔にしていた――

 

その光景を見た美咲はアルツメイヤーからの言葉を聞いても全く崩れない。

 

「あの着ぐるみ無しで!!あんたはあそこにいる資格なんてないんだよぉおおおおおおお!!」

 

「あなたの言う資格なんて関係ない!!こころが・・・みんなが認めてくれるなら・・・。あたしはハロハピのメンバーなんです!!」

 

アルツメイヤーの攻撃に合わせて美咲は綺麗にカウンターを食らわせてアルツメイヤーを破砕音と共に壁へと叩きつける。

 

「例えこころ達にミッシェルって分かってもらえなくてもいい!!あたしはこころ達が作った笑顔を守ります!!」

 

「ふざケルなぁアアァアアアアアアァア!!」

 

半狂乱で突進するアルツメイヤーを掴み上げ、美咲は再び壁へと叩きつける。

 

「だから、あなたが笑顔を奪うって言うなら、あたしはあなたと戦います!!」

 

壁へと叩きつけられたアルツメイヤーは動きを止める。

 

 

 

 

 

その音を聞きつけて、美咲の元へ薫を抱えたフォーゼと花音が駆け寄り、フォーゼは花音に薫を預ける。

 

「美咲!!」

 

「美咲ちゃ~ん!!」

 

「如月先輩、さっきと色違いません?」

 

「まぁな!!」

 

「おや、美咲かい?随分と大きくなったね」

 

「いや、これロボットに乗ってるだけですからね?」

 

「ねぇ!!あれ!!」

 

花音が指さす先にはアルツメイヤーが走って逃走しているが、ダメージが大きく速度が出ていない。

 

「待て!!」

 

「如月さん!!」

 

「うわぁ!?」

 

「後はお願いします!!」

 

美咲はフォーゼをダイザ―で掴み上げ、そのままアルツメイヤーへと投げつける。

 

「うわぁああああ!!」

 

フォーゼは美咲によってアルツメイヤーへ向かって飛ぶ中で体勢を変えてスイッチを起動する。

 

――――――ドリルON――――

  

―エレキ・ドリル・リミットブレイク―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダー電光ドリルキィーーーーーック!!」

 

アルツメイヤーは投げられたフォーゼのドリルによって身体を貫かれてそのまま爆散する。

 

「決まったぜ!!」

 

「如月くんは投げられただけだよね・・・?」

 

フォーゼの言葉に花音のツッコミが刺さる。

フォーゼはアルツメイヤーからの飛んできたスイッチを掴むとそのままスイッチを切る。

爆発を聞きつけて巴やりみ達が弦太朗達の元へと駆け寄る。

 

「薫さん!?めっちゃ怪我しとるやん!?」

 

「なんだこれ!?それに如月も色が変わってるし!?」

 

「もしかしてこれに美咲ちゃんが乗ってるの!?」

 

ひまりの言葉と共にダイザ―から美咲が降りてくる。

降りた美咲は体力を使い切ったのかその場に崩れる。

 

「昨日寝れてないのもあるけど・・・、これめっちゃ疲れるんだけど・・・」

 

「美咲。大丈夫かい?」

 

「薫さんに比べたら大丈夫ですよ?でも、疲れたんでめっちゃ寝たいです・・・」

 

その言葉を最後に美咲は意識を手放す。

 

「おい美咲!?」

 

「もう・・・。美咲ちゃんてば・・・」

 

「ふふっ・・・」

 

「儚いね・・・」

 

「うん。いい笑顔だよ美咲ちゃん」

 

疲れて果ててしまいその場で寝てしまった美咲。

しかし、その寝顔は誰から見ても良い笑顔だった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルツメイヤーを倒した後、黒服からの報告を受けた弦太朗達。

報告ではアルツメイヤーが倒されてすぐに、身体がミッシェルになっていた人達は元の身体に戻った。

しかし、大事をとって2~3日の間弦巻の管理する病院で入院することになった。

こころと薫の受けた傷も最後には傷も残らないとのこと。

 

報告を聞いたりみ達は一足先に家に帰っており、

目覚めた美咲と花音、治療を受けた薫は弦太朗は街へ向けて歩く。

 

 

「こころちゃんの受けた傷も残らないって言ってて良かったね」

 

「あぁ。私の傷も残らないと言われたから不安なことはもうないね」

 

「えぇ・・・。一時はどうなることかと思いましたよ」

 

「弦太朗と美咲。君達には本当に感謝しきれないよ。身体を張って私たちを助けてくれたんだからね」

 

「でも、いきなり変身したりロボットに乗りこんだのにはびっくりしちゃったよ」

 

「あの時は勢いで・・・って、薫さん。あれが如月先輩って分かるんですか!?」

 

「あぁ。私は役者だからね。どんな仮面をつけても仮面の向こうが誰か理解するのは容易だよ」

 

「・・・ならなんでミッシェルは・・・」

 

「美咲?どうしたんだい?」

 

「いえ、世の中の理不尽さを感じてしまいまして・・・」

 

「美咲ちゃん・・・」

 

「美咲・・・」

 

「良いですよ。もう分かってることですから・・・」

 

 

 

 

 

そして弦太朗達が商店街に入ると、鬼の形相でひまりを捕まえていた沙綾とつぐみの姿があった。

 

「大丈夫だよ?ちょっとお話しするだけだからね?」

 

「うん。今朝送られてきた巴のチャットについて詳しく聞くだけだから」

 

「いやぁああああああああ!!」

 

2人に引き摺られているひまりは弦太朗達を発見すると涙声で助けを求める。

 

「げんだろうぐん!!がおるぜんばい!!だずげでぇーーーーーー!!」

 

「おや2人とも、子猫ちゃんを引きずってどうしたんだい?」

 

「薫先輩。ちょっとこの泥棒猫に話を聞くだけですから」

 

「ベットに潜り込むのは許せないよねぇ・・・」

 

「未遂だよぉーー!!」

 

「「アウト」」

 

「いやぁああああ!!」

 

「なぁ、ひまりの奴なにしたんだ?」

 

「弦太朗には秘密だよ」

 

「うん!!」

 

「あれ?確か花音さんと薫さんも如月先輩に抱えられてたような・・・」

 

「「へぇ・・・」」

 

「ふえぇ・・・」

 

「あっ・・・」

 

会話の流れを察した美咲が思わず声に出してしまった言葉によって沙綾達の標的に花音たちも追加されてしまった。

 

「そうだねぇ。瀬田先輩と花音さんにも話聞きたいかなー?」

 

「おやおや、仕方のない子猫ちゃんだね」

 

「そう言えば、さっきりみから連絡があって花音さんが弦太朗と一緒に式場に入ったって、怪物絡みなのは知ってるけどその時のこと聞きたいなー」

 

「ふえぇ・・・」

 

こうして弦太朗と美咲を残して他のメンバーは羽沢珈琲店へと消えていった。

 

「あー如月先輩。ここから女子会やるんで先に帰っててください」

 

「おぅ、でも話すんだ?」

 

「・・・女の子の秘密です」

 

 

入り口前で振り返り、弦太朗へ向けた笑顔は彼が見た中で一番いい笑顔だった。

 

 




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次章:アイドル

弦太朗の呼ばれ方(呼び)ハロハピ篇
弦太朗は基本的下の名前orあだな()呼び
こころ:弦太朗
薫:弦太朗
はぐみ:げんちゃん先輩(やはり香澄と同じ系譜
花音:如月くん
美咲:如月先輩
ミッシェル:如月さん


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Pastel*Palettes篇1-偶・像・探・求
偶・像・探・求-1 女帝たちの帰還


はい。
というわけでパスパレ篇開始です。

アイドルに必要なもの(メインヒロイン・・・?
というメイン?決めアンケートした結果
(24) エゴサーチ
(20) 武士道
(21) 鉄仮面
接戦すぎぃ!!

まぁそれぞれにそれなりの役割は持たせたいなぁ・・・
羽丘組?彼女たちはもう役割あるから・・・

すまない!!




ハロハピを中心に起こった事件の翌日。

3年A 組の教室に入った弦太朗は先日までと違う空気を感じ、先に教室に来ていた花音の元へと向かう。

 

「如月くん。おはよう」

 

「おぅ花音。教室の様子がおかしいけど今日って何かあるのか?」

 

「今日?・・・あっ!!もしかして千聖ちゃんのことかな・・・?」

 

「千聖?誰だ?」

 

「えっとね、私の友達なんだけどね。如月くんが学校に来た時と同じ時期から撮影で休んでたから・・・」

 

「撮影?」

 

「うん。千聖ちゃんは女優もやってるんだ。それと"Pastel*Palettes”ってバンドもやってるんだよ?」

 

「そうなのか?」

 

「如月くん知らない?ちょっと前からテレビにも出てるんだけど・・・?」

 

「そうなのか?」

 

「あはは・・・」

 

千聖の存在について分からない弦太朗に対して苦笑いを浮かべる花音。

テレビに出始めた時期と弦太朗が天校でフォーゼとして戦い始めた時期が同じ時期であったため、弦太朗はテレビを見ている時間が取れていなかったのである。

 

「子役の頃からテレビ出てるから見たことあると思うけど・・・?」

 

「そうか?」

 

花音と弦太朗の会話を続けていると、教室内の視線が一斉に入口へと集中し。騒がしくなる。

弦太朗達もその視線の先へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

視線の先にいたのは金髪の少女―――

その横にはピンク髪と銀髪の少女達がその後ろから弦太朗達を見つめていた。

 

「ほら、あの真ん中にいる人が千聖ちゃんだよ」

 

「花音!?」

 

金髪の少女―――千聖が弦太朗の横に花音がいることに気が付くと一目散に花音の元へと駆け寄り、少し遅れてピンク髪と銀髪がその後ろに続く。

 

「花音!?どうしたの!?」

 

「千聖ちゃん!?どうしたの??」

 

「それはこっちのセリフよ!!なんでこんな不良みたいなのとあなたが一緒にいるの!?」

 

「如月くんは見た目と違っていい人だよ?」

 

「前のあなたなら「ふえぇ・・・」って言って、この不良に近付こうとなんてしないじゃない!!私たちのいない2週間で何があったの!?」

 

「えぇっとね・・・。こころちゃんがね・・・。それで・・・」

 

千聖による怒涛の質問に対して言葉に詰まる花音

 

花音が先日体験した事件――

目の前で起こったあまりにも現実離れした体験を目の前に千聖に話したしても、現場を見ていない彼女には到底信じられるような事ではない。

 

 

 

そんな状況を間近で見ていた弦太朗は千聖の顔を見て何かを思い出そうとしている。

 

「ところで、私の顔を見てどうしたのかしら?顔に何かついてるかしら・・・?」

 

彼女は笑顔を弦太朗に向けるがその顔は笑っているが明らかな怒りの感情が含まれている。

その顔に教室にいた生徒達が恐怖を覚える。

近くにいる花音は「ふえぇ・・・」といつもの口癖を口にして固まる。

 

 

 

その様子を遠目で見て弦太朗に「ざまあ見ろ」とでも言いたげな紗夜、その紗夜を心配そうに見つめる燐子―――

教室内のあまりにも異様な空気を変えたのは弦太朗だった。

 

 

 

 

 

 

「あぁー!!そういえば前にじいちゃんが見てた"はぐれ剣客人情伝”!!あれで見たんだ!!」

 

「はい?」

 

「こんな奴も通ってるってこの学校ってすげぇんだな!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

あまりにも意味不明な発言によって教室内の空気も「何言ってんだこいつ・・・」といった空気へと変わっていく。

彼が目の前にいる女優――千聖を見て思い出したのがまさかの子役時代の出演作品。

 

女優としての最近の千聖でもパスパレとしてバンドを組んでいる千聖でもない。

千聖自身も目の前の不良の発言を理解できなかったため、作っていた笑顔が崩れる。

 

「あのー・・・。ちなみに私たちのことは・・・?」

 

その空気を読まずにピング髪が弦太朗へと問いかける。

その少女の顔を見るが、弦太朗はその顔に見覚えがない。

 

「ん?誰だ?」

 

「一応、千聖ちゃんと一緒にパスパレとしてテレビに出たりしてるんだけど・・・」

 

「パスパレ?ミジンコ程も知らん」

 

「ガーン!!」

 

「アヤさん!?」

 

「彩ちゃん!!しっかりして!!」

 

「なぁ、花音。”パスパレ”ってなんだ?」

 

「えぇっとね。さっき話してた"Pastel*Palettes”の愛称だよ。3人ともそのバンドのメンバーなんだよ・・・」

 

「そうだったのか」

 

弦太朗の答えに彩と呼ばれたピンク髪の少女が力なく崩れるのを千聖が支える。

花音も弦太朗の質問に答えるが弦太朗の発言に半ば呆れながらも答える。

 

 

 

 

 

そして銀髪の少女はどこかから取り出した竹刀を弦太朗へと向ける。

 

「よくもアヤさんを!!こうなったら・・・!!」

 

「イヴちゃん!!彩ちゃんもこの調子だし、ここは一旦引くわよ!!如月さんだったからしら?覚えてなさい!!」

 

こうして千聖は彩と銀髪の少女――イヴを連れて教室から出ていく。

千聖たちが去った教室はいつも通りの空気へと変わっていた。

 

「ふえぇ・・・千聖ちゃん。もう授業始まっちゃうよ・・・」

 

「そのうち帰ってくるだろ?」

 

 

こうしているうちに教室に教師がやってきて授業が始まってしまった。

千聖が教室へ戻ってきたのは2限目の授業が始まる直前であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わった放課後、弦太朗は一人で学校を出ようとすると、昇降口のところで香澄とおたえのポピパギターと遭遇していた。

 

「あっ!!げんちゃん先輩!!今から帰りですか!?」

 

「香澄におたえか。どうしたんだ?」

 

「先輩。暇なら買物の荷物持ちしてくださいよ」

 

「ちょっとおたえ。いきなり過ぎるよ!!」

 

「買物?何買うんだ?」

 

「ギターのアンプを買おうと思ってて。郵送も出来るけどやっぱりすぐに有咲の蔵で使ってみたくて」

 

「おう。いいぞ」

 

「えぇ!?げんちゃん先輩良いんですか!?」

 

弦太朗とたえの話に普段は振り回す側の香澄がツッコミを入れるが、2人はそのツッコミをそっちのけで話を続ける。

 

 

「ありがとうございます。今度オッちゃん触らせてあげますね」

 

「オッちゃん?あぁ、ウサギか・・・・。それで今日はどこまで行くんだ?」

 

「楽器屋までです!!前に紹介した!!」

 

「じゃあ早速行きましょう」

 

「てか、りみ達はどうしたんだ?」

 

「りみは家の都合で、沙綾は家の手伝い」

 

「有咲は生徒会です!!」

 

「なぁ、有咲いないのに蔵使っていいのか?」

 

「おばあちゃんがいるから大丈夫ですよ!!げんちゃん先輩早く行きましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして3人はやまぶきベーカリーへ寄っておやつのパンを購入しつつ目的地である楽器屋へと向かう。

 

楽器屋へと到着し店内に入ると蘭・モカ・薫の3人の姿があった。

弦太朗が知っている羽丘のギター組がギターコーナーに集まっていた。

 

「蘭ちゃーん!!」

 

「香澄・・・?それにあんたも・・・」

 

「げんたろーさんに香澄、それにおたえじゃないですかぁ~」

 

「やっほー。じゃあ、私は先に買ってくるね」

 

「おや、弦太朗。こんなところで会うとは奇遇だね」

 

「で、香澄達はこいつ連れて今日はどうしたの?」

 

「えっとね。おたえが新しいアンプ買うからこの後有咲の蔵でアンプ試してみるって !!げんちゃん先輩は荷物持ち!!」

 

「おぉ~良いですな~」

 

「へぇー」

 

「あぁ・・・儚い」

 

「せんぱーい」

 

「おう!!今行く!!」

 

こうして香澄達が盛り上がる中、弦太朗は購入したアンプを運ぶためにたえの元へ向かい、アンプを持ってたえと一緒に香澄達の元へと戻る。

 

「へぇ・・・良いじゃん」

 

「いいですなぁ~」

 

「ねぇ。蘭達も良かったら蔵に来る?先輩も前にギターやってたらしいから。聞いてみない?」

 

「って言ってもちょっとしかやってなかったけどな。それにギター持ってねぇし」

 

「私の使えばいいですよ」

 

「・・・面白そうじゃん」

 

「蘭ノリノリじゃん。ならこのモカちゃんもお供しましょ~」

 

「子猫ちゃんの提案。断るわけにはいかないね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ~。面白そうだし、あたしも行っていい?」

 

たえの提案に同意して移動をしようとする3人。

しかしその移動に待ったをかけるように、後ろから声がかかる。

 

「紗夜・・・じゃねぇな。誰だ?」

 

「ねぇ!!おねーちゃんのこと知ってるの!!」

 

弦太朗達はその声に振り返ると、紗夜に瓜二つな見た目をした人物がそこにいた。

 




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偶・像・探・求-2 隣に這い寄るGenius

アンケート確認しましたが
圧倒的多数で記号OKだったので使います。
違和感感じる方が多いようなら修正しますが・・・

主に使うのは日菜ちゃんとリサ姉(未登場)かな
チャットでのハイテンション燐子の顔文字は使いません。



紗夜に瓜二つな見た目をした人物

 

弦太朗の知っている紗夜は常に自身を目の敵にしているのに対して、今目の前にいる少女は弦太朗の知っている紗夜とはまるで正反対―――

 

そのギャップに困惑している弦太朗を前に紗夜に似た少女はお構いなしに、会話を続ける。

 

「ねぇねぇ、なんでおねーちゃんのこと知ってるの?って言うか誰?」

 

「俺は如月弦太朗。・・・でお前は誰だ?」

 

「えぇ~。最近はテレビとかにも出てるのにショック~」

 

そう言って彼女は楽器店に貼られていた1枚のポスターを指さす。

そのポスターには目の前の少女と千聖達の5人のポスターがあった。

 

「あれは千聖に・・・お前か・・・?」

 

「うん!!」

 

「それになんでそんな変な髪してるの?」

 

「変!?リーゼントは男の勲章だ!!」

 

「それにその制服も古くない?」

 

「この学ランは俺の青春のシンボルだ!!」

 

 

 

少女と弦太朗の会話が明後日の方向に向かっていく中、蘭が見かねて目の前の少女の紹介して話の流れを元に戻していく。

 

「その人は紗夜さんの双子の妹の日菜さんだよ」

 

「ところで日菜先輩はここで何してたんですか~」

 

「えぇっとね。麻弥ちゃんがここで新しいドラムスティックを買うのに面白そうだから着いてきたの」

 

「で、その麻弥はどこにいるんだい?」

 

「それならさっきあっちで機材見てましたよ?」

 

「もうー。麻弥ちゃんらしいな~。お~い麻弥ちゃ~ん!!」

 

「ふへへ・・・。あっ日菜さんどうしました?」

 

「おたえちゃんが新しく買ったアンプ試すらしいからいくよ~」

 

「新しいアンプ・・・?ぜひお供します!!」

 

「結局ついてくるんだ・・・」

 

「蘭~。日菜さんだからしかたないんじゃない?」

 

「じゃあそろそろ有咲の蔵に行こ?早く試したい・・・」

 

たえの一言によって一同は有咲の蔵へと歩き出す。

 

 

 

 

「あれ・・・?そう言えば日菜さんって仕事があったはずでしたけど・・・。仕事は無くなったんでしょうか・・・?」

 

麻弥の不穏な発言は誰の耳にも入らなかった・・・。

 

 

 

 

 

――――――

 

今日の放課後―――

私は彩ちゃんと日菜ちゃんの3人で雑誌の取材が入っていたのに、未だに日菜ちゃんが来ていない。

 

そろそろ移動しないと間に合わないのに・・・。

 

「日菜ちゃんどうしたのかな?」

 

「彩ちゃん落ち着いて。とりあえず日菜ちゃんに連絡を取ってみましょう」

 

私は携帯で日菜ちゃんに電話を掛けるが、肝心の日菜ちゃんは電話に出ない。

インタビューは昨日急遽決まって話した時に「るんっ♪ってしない」って日菜ちゃんが言っていたけど・・・。

 

日菜ちゃんは練習をサボろうとしても仕事に対しては真剣に取り組む子よ・・・。

流石に仕事を理由もなく休むような子じゃないし・・・。

 

 

もしかして仕事のこと忘れてる・・・?

 

 

「千聖ちゃん。日菜ちゃんは・・・?」

 

「あの子・・・。電話に気づいてないわね・・・」

 

「えぇー!!それって・・・」

 

「不味いわね・・・。とりあえず私は日菜ちゃんに取材場所を伝えておくから、彩ちゃんは他の人たちに連絡して日菜ちゃんを探してもらうように頼んでもらえる?」

 

「うん!!」

 

私の横で彩ちゃんは連絡をし始めた。

 

「仕方ないけど2人で先に向かいましょう。相手を待たせてしまうわけにはいかないわ」

 

「そうだね・・・」

 

私は彩ちゃんと共に取材相手のいる場所まで向かった。

 

 

 

日菜ちゃんは後でお話ししなきゃね・・・。

 

――――――

 

 

たえの新たに購入したアンプを持って一同は有咲の蔵へと到着していた。

 

「おたえ!!早速試そうよ!!」

 

「そうだね。じゃあ早速・・・」

 

たえは自身のギターをアンプに繫げて―――

 

 

 

 

 

 

「おぉーいいねーおたえ!!」

 

「良いじゃん」

 

「こう見ると欲しくなりますな~」

 

「相変わらずたえちゃんのギターは素晴らしいね」

 

「るんっ♪ってきた!!」

 

「るん?なんだ?でも、おたえのギターはすげーな」

 

たえのギターからの音がアンプを通して部屋に広がる。

蔵の中に響く音に香澄達は盛り上がっている。

 

「・・・?あれ・・・?」

 

「・・・」

 

 

 

それに対して、たえと麻弥の反応が思わしくない。

 

「あれ?おたえ~。どうしたの~?」

 

「うん。なんかお店で聞いた時の音と違うような・・・?」

 

「確かにジブンも違和感感じましたね」

 

「えぇー、全然分かんなかったよ!!」

 

「そう?全然分かんなかったけど・・・」

 

「でも、麻弥ちゃんが言うならそうなんじゃないかな?」

 

「儚い・・・」

 

「もし良かったら、ジブンが見てみましょうか?」

 

「麻弥ちゃんあたし達の機材もメンテしてくれてるもんね~」

 

「・・・それならお願いしてもいいですか?」

 

「はい!!ジブンに任せてください!!まずは・・・ってスイマセン電話が・・・」

 

麻弥はたえのアンプを確認使用すると同時に彼女の電話が鳴る。

 

 

 

着信相手は彩。

 

『もしもし麻弥ちゃん!?そこに日菜ちゃんいない!?』

 

「彩さん?日菜さんなら今ジブンと一緒に市ヶ谷さんの蔵にいますよ?ちょっとスピーカーにしますね」

 

『日菜ちゃん!! 今日は千聖ちゃんと3人で雑誌の取材なのに何で来てないの!?』

 

「そうだったんですか!?」

 

「取材・・・?あーそんなこともあったような・・・?」

 

『日菜ちゃんの携帯に千聖ちゃんから連絡なかった?』

 

「千聖ちゃんから・・・?あーほんとだ。気が付かなかった」

 

『日菜ちゃん?』

 

「あっ千聖ちゃん。ごめんねー。すっかり忘れてたよ・・・」

 

『急に入った取材だけど、プロとして仕事してるんだからスケジュール管理はしっかりしないと・・・。』

 

「おや、千聖。そんなに怒ってるのは君らしくないよ?」

 

『なんで日菜ちゃんと薫が一緒にいるの?』

 

「たまたまさ」

 

「でもどうしよー!!今から向かっても間に合わないよ?」

 

「それなら俺が送ってやるよ」

 

『えぇ!?その声って!?』

 

『なんであなたが日菜ちゃん達やかおちゃんと一緒にいるの!?』

 

「薫みたいに言うならたまたまだ。じゃあ日菜は送ってやるから」

 

「そういう事だからゲンちゃんに送ってもらうから。それまでよろしくね~」

 

『ゲンちゃん・・・?ちょっと日菜ちゃんどういう・・・!?』

 

千聖の言葉を最後まで聞かずに日菜は通話を終了する。

 

「じゃあ、日菜バイクで送ってやるから場所を教えてくれ」

 

「えっとね・・・。ここで時間は・・・」

 

「ってかなりギリギリじゃねぇか・・・。とりあえず急ぐぞ!!」

 

「うん!!」

 

こうして弦太朗と日菜は蔵から飛び出す。

そしてすぐにバイクのエンジン音が響き、それは次第に遠くなっていく。

 

「麻弥さん。アンプお願いしてもいいですか?」

 

「はい!!・・・あれ?蔵の前にバイクなんてなかったような・・・?」

 

「あれか・・・」

 

「あれだね~」

 

「儚い・・・」

 

「うん。あれだね!!」

 

「そうだね。あれだね」

 

「えっ?分かってないのジブンだけ・・・?」

 

麻弥は自分以外が納得してるのに疑問に思いながらも作業へと取り掛かるのだった。

 




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偶・像・探・求-3 激写!!危険なフォトグラフ

投稿です
書き終わってこう思った―――

どうしてこうなった。

短編はゆるゆる頭悪く書き貯めて、パスパレ終わったら放出



弦太朗は日菜を愛車”マシンマッシグラー”に乗せ、夕暮れ時の街中を疾走する。

 

「あはは~すっごーい!!それに風がきもちいい~!!」

 

「おい!!ちゃんと捕まってろ!!あぶねぇぞ!!」

 

「大丈夫だよ~!!」

 

そして日菜はバイクのステップに立ち上がり、正面からの風を受ける。

危険な行動をする日菜だが、彼女自身の身体能力と弦太朗の操縦技術によってバイクはバランスを崩すことなく、街を走り抜ける。

 

「ゲンちゃん!!このまま行けば間に合うよ!!」

 

「おう!!だから、ちゃんと座ってろ!!」

 

「あはは~!!いけいけ~!!」

 

日菜の声に耳を貸しながら、弦太朗達は目的地へ向けてバイクを走らせ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日菜の声を聞き取った者は1人―――

 

 

 

 

「日菜・・・?」

 

「紗夜~。どうしたの~?」

 

「今、日菜の声が・・・」

 

「日菜・・・??どこにもいないわよ?」

 

しかし、その声は彼女以外には届いていなかった。

 

 

「それに学校で丸山さんが「放課後は日菜さんと一緒に取材」・・・だと言ってましたよ?」

 

「日菜だって仕事サボって遊んだりするわけないしさ~」

 

「ですが・・・」

 

「それにアイドルの移動なら普通は車だよね?」

 

「あこの言う通りだって~。アイドルがバイクで移動なんてするわけないんだしさ~」

 

「ひなちんの知ってる人でバイク乗ってる人はキングだけだもんね!!」

 

「・・・」

 

「氷川さん・・・?」

 

「紗夜さんどうしたんですか?」

 

 

紗夜の様子を不審に感じる燐子とあこを他所に友希那が歩みを進める。

 

「あなた達、早く練習に行くわよ。次のライブまで日がないのだから」

 

「あぁ!!待ってよ~友希那~!!」

 

「りんりん!!紗夜さん!!いこ!!」

 

「あこちゃん・・・。待って・・・」

 

「紗夜?」

 

「えぇ・・・」

 

紗夜の様子にリサさえ不審に感じるが、彼女たちは練習のためにスタジオに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

私は彩ちゃんと一緒に日菜ちゃんの到着を待っていた。

 

「日菜ちゃん。仕事を忘れるなんてこれはお説教ね・・・」

 

「千聖ちゃん。とりあえず落ち着いてね」

 

「彩ちゃん・・・?あなたも面白いこと言えるようになったわね?それは番組の収録か、ライブのMCでしてほしいのだけれど・・・?」

 

笑顔が怖い!!って顔に書いてあるわよ。

これは彩ちゃんともお話が必要かしらね?それにしても日菜ちゃんは大丈夫かしら?

 

「日菜ちゃん大丈夫かな・・・」

 

「そうね・・・。でも、そろそろ来ないとメイクとかの時間がないわ・・・」

 

「どうしよう!?」

 

「焦っても仕方ないわ。とりあえず2人で取材を先に受けて日菜ちゃんを待つしかないわね・・・」

 

私は記者が待つ取材場所へと向かおうと建物の中へと入ろうとすると――

 

 

 

 

 

 

 

「千聖ちゃん!!あれ!!」

 

彩ちゃんが私の肩を掴んで引き留める。

その視線の先からエンジン音と共にバイクの影がこちらへと近づいてくる。

ヘルメットで顔は見えないけどバイクの後ろに乗っている人が立って私たちに手を振ってくる。

 

バイクの後ろに乗ってるのって・・・。

 

「日菜ちゃん!?」

 

「間違いないよ!!あれ日菜ちゃんだよ!!」

 

バイクは私たちの目の前で停止すると、後ろに乗っていた人はバイクから飛び降りて彩ちゃんへと飛びつく。

 

「彩ちゃーん!!おまたせ~!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!!ヘルメットが顔に当たって痛いから離れて~!!」

 

やっぱり日菜ちゃんだったのね・・・。

そうなるとバイク運転してたのはまさか・・・。

 

「待たせたな」

 

今朝、花音と一緒にいた不良・・・!!

しかも花音だけじゃなくて、日菜ちゃんやかおちゃん、麻弥ちゃん達と一緒にいたのは気になるけどとりあえずはお礼ぐらいは言っておかないと・・・。

 

「ゲンちゃん!!ありがとね!!彩ちゃん。準備しに行かないと!!」

 

「ちょっと、日菜ちゃん!?」

 

私が不良と話そうとすると日菜ちゃんは勢いのまま不良にお礼を言って、そのまま彩ちゃんを連れて建物の中へ入って行ってしまった。

 

 

 

でも、日菜ちゃん?ヘルメット被ったままよ?

とりあえず私の方からも言っておかないと・・・。

 

「如月さんだったかしら。日菜ちゃんの事ありがとうね」

 

「おう。気にすんな」

 

「でも、これだけは言っておくわね・・・」

 

 

これは私の本音。

パスパレとしてこの芸能界で生き残るために絶対に必要なの・・・。

悪いとは思うけど私は意を決して彼に告げる。

 

 

 

 

 

 

 

「助かったけど。これからは私たちに近寄らないで。不良と仲がいいと私たちのこれまでのイメージが崩れるから」

 

私は伝えることだけを伝え彩ちゃん達の後を追っていった。

彼の声が聞こえるが徹底的に無視をして、取材を受けるために気持ちを切り替えた。

 

 

 

しかし、この会話をしたことが私の生活を大きく変えることになることを私は知らなかった。

 

 

――――――

 

弦太朗は香澄から既に解散したとの連絡を受けて、バイクを走らせて商店街へと到着した。

到着した商店街――そこにいたのはピンク色のクマ・ミッシェルがいた・・・。

 

「おぅ!!美咲」

 

「如月さん。今はミッシェルでお願いします。子供の夢をぶち壊さないでください」

 

「おう・・・。で、今日は何してるんだ?」

 

「商店街でやるイベントのチラシを配ってました。と言ってももう上がりですけどね・・・」

 

「お前も大変なんだな・・・」

 

「えぇ・・・。慣れましたけ・・。ぐほぉ!!」

 

美咲ことミッシェルが後ろ何者かに抱き着かれそのまま吹き飛ばされる。

しかし、彼女は頭を飛ばされることを防いでいた。

 

「ミッシェル!?」

 

「ミッシェル、かわいい~」

 

「りみ!?お前何やってんだ・・・?」

 

「あれ?弦太朗くん?何してるの?」

 

後ろからミッシェルへと抱きついたのはりみ。

りみの予想外の行動に驚いている弦太朗に驚いていると、ミッシェルはゆっくり立ち上がってりみの肩を掴んで説教を開始する。

 

「中身がおっさんかも知れないんだから「かわいい~」とか言って抱きついちゃダメでしょ!!高校生がそんな危機感でどうするの――!!」

 

「ごっごめんなさい・・・!!」

 

「最近は物騒なんだから特に気を付けないとダメでしょうが!!」

 

「そうだね・・・」

 

「気を付けて・・・ぐはぁ!!」

 

「ミッシェール!!」

 

ミッシェルがりみへと説教を終えると同時に別の人物に抱き着かれて吹き飛ばされる。

 

 

 

 

抱きついたのは見慣れない薄い水色の髪の少女が抱き着いていた。

 

「ミッシェルだ~。すっごいふわふわだ~!!」

 

「おい!!ミッシェルしっかりしろ!!」

 

「あー・・・」

 

抱き着かれたミッシェルは全ては諦めたかのような声を出して地面に倒れ伏す。

商店街の向こうで抱き着いている彼女を呼ぶ声がする。

 

「ましろちゃん~。もう行くよ~」

 

「うん!!ミッシェルまたね・・・」

 

”ましろ”と呼ばれた彼女は声の方へ走り去っていく。

 

そして倒れたミッシェルを起き上がらせて、弦太朗はりみと共にやまぶきベーカリーにパンを買いに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日の放課後―――

羽沢珈琲店に呼び出された弦太朗が店のドアを開ける。

 

 

そこにはポピパとAfterglow・はぐみとこころ以外のハロハピが店内に待ち受けていた。

 

「おう。みんな揃ってどうしたんだ?」

 

「どうしたってそれはこっちのセリフなんだけど・・・。あんた何やってんの・・・?」

 

「蘭?どういうことだ?」

 

呼び出されていきなりの蘭の問いに戸惑う弦太朗。

 

蘭の言葉に合わせて動き出したのは沙綾とひまりとつぐみ、そしてなぜか花音。

 

 

「弦太朗?本当に覚えがないの?」

 

「ねぇ、弦太朗くん?正直に答えてくれるかな?」

 

「如月くん!!」

 

「おう・・・。全く分からん・・・」

 

弦太朗の本当に分かってない様子に事情を何となく察する沙綾達。

しかし、つぐみは念のためにと弦太朗へ問いかける。

 

「じゃあ、如月くん。これは何かな?」

 

 

 

つぐみが取り出したのは1冊の本―――

 

 

 

 

 

その表紙に映っていたのは見慣れたバイクと自身の姿―――

そして見出しに書かれていた言葉に弦太朗は驚愕した。

 

 

『パスパレ!!夕暮れ時に男との痴情のもつれか!?』

 




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偶・像・探・求-4 北欧侍退散!!

投稿です
某画像投稿サイトでみた瞳のハイライトがないつぐもかわいいなぁ!!
まぁ、ゴシップ記事ネタはそこまで引っ張るつもりはない。
全てはブシドー!!の布石



つぐみが取り出した1冊の週刊誌、その表紙に載っていたのは日菜を送り届けた時の写真―――

 

 

「キサラギクン、ナンデコンナコトニナッテルノカナ?カナ?」

 

「弦太朗くん。説明して・・・ね?」

 

「言うまではは逃がさないよ?」

 

「学校であんなに目の敵にされてたのになんで千聖ちゃん達といたの・・・?」

 

週刊誌を取り出した週刊誌を片手に弦太朗を取り囲むつぐみ達。

弦太朗は先日のことを思い出しながら、つぐみ達に説明する。

 

「日菜が仕事を忘れててバイクで送ったんだ。その時に千聖と彩が居て・・・。話してた時に撮られちまったんだな・・・。てか、蘭と香澄達は昨日一緒にいたんだから説明してくれよ」

 

「ごめん先輩。沙綾には説明はしてたんだけど・・・」

 

「あの暴走状態で聞いてなかったんだよ・・・」

 

「花音は千聖と仲が良いからね。友達が心配だったのさ・・・。あぁ・・・儚い・・・」

 

「ひまりとつぐみには私達から言ったんだけど・・・」

 

「さーやと一緒ですなー」

 

「ネェキサラギクン?イイタイコトハソレダケカナ?」

 

「如月、早くつぐを止めてくれ・・・。正直アタシも今のつぐが怖い・・・」

 

「ねぇ、羽沢さん。ちょっといいかな?」

 

「ミサキチャン・・・?」

 

「その週刊誌の記事はもう読んだの?」

 

「・・・あっ!!」

 

「おぉ~つぐが戻った~」

 

「とりあえず、記事読んでから処遇を決めてもいいんじゃない?」

 

「・・・それもそうだね!!」

 

店内にいた大半がその変わりように呆れるが、つぐみはその週刊誌を開き記事を読み上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇーと・・・。『夕暮れ時のとある建物の前にアイドルバンド"Pastel*Palettes”の白鷺千聖が、マネージャーを連れて立っていると――』・・・えぇ?千聖さんと一緒にいるのって彩さんだよね・・・?」

 

「あぁ!!つぐ。それ貸して!!」

 

写真と記事の内容が合っていないことに疑問を覚えたつぐみの声が止まる。

そんなつぐみの様子に痺れを切らしたひまりは週刊誌を取りあげて、読み上げを続ける。

 

「『―――立っていると、道路の向こうから現れたバイクに乗った男。その後ろには白鷺千聖と同じバンドのメンバーである"大和麻弥”が・・・。』・・・なにこれ?」

 

取りあげて読み上げを続けたひまりも意味不明な記事に頭の処理が追い付かない。

ひまりは無言で横にいた花音へその週刊誌を渡す。

花音は困り顔であるが残りの記事を読み上げた。

 

 

 

「えぇっと・・・。『――メンバーである"大和麻弥”が男のバイクの後ろから飛び降りると、マネージャーに連れられて、建物内へと駆け込むのを記者は目撃した。しかし問題はこの後である―――。あのアイドルであり、女優でもある白鷺千聖は男に別れの言葉を告げる。男は何かを彼女に向かって話しかけるが彼女は涙を流しながら建物内へと駆け込んでいったのだ―――。』・・・ねぇ、この記事おかしすぎない・・・?千聖ちゃんが如月くんとそんなに仲いいわけないし」

 

「そうだね。それに麻弥は私たちと一緒に有咲ちゃんの蔵にいたんだから、その記事は嘘ってことさ」

 

「でもあの写真1枚でここまで嘘を並べられるとは・・・」

 

「合ってるの千聖先輩と先輩がいたってことだけじゃん・・・」

 

「それでつぐ達3人は納得したかな~?」

 

モカはニヤニヤしながらつぐみ達3人へと視線を向ける。

そして3人は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月くん!!私は信じてたからね!!」

 

「まぁ、弦太朗にそんな浮いた話はないか~」

 

「弦太朗くんだしね!!」

 

「なぁ・・・それってどういうことだ・・・?」

 

「すっごい掌返し・・・」

 

「蘭ちゃん。今の沙綾ちゃん達にその視線は・・・」

 

「なんか山吹さん達を見てられないんだけど・・・」

 

 

 

3人はもう何事もなかったかのように話を変える。

 

「みんな!!コーヒー飲む!?」

 

「じゃあ私はうちのパンをあげちゃおうかな!!売れ残りだけど・・・」

 

「「パン!?」」

 

「えぇーと、私は・・・!!」

 

「ひまり、諦めろ・・・」

 

「巴~!!」

 

 

 

 

 

 

 

話が一段落着いたところで、ハロハピのメンバーは席を立つ。

 

「子猫ちゃん達のお誘いはありがたいけど、すまないね。これから私達はこころのところへ行かないといけなくてね・・・」

 

「みんな、ごめんね」

 

「こころんとはぐは大丈夫なの?」

 

「はぐみは明日から学校に来るはずだよ。こころはもう少しかかるかな・・・」

 

「そっか!!こころんたちによろしくね!!」

 

「あぁ。それじゃ失礼するよ」

 

こうして薫たちは店を後にし、それと一緒に沙綾は自宅に戻って売れ残りのパンを取りに帰る。

りみとモカはパンを待ちきれずに沙綾の後を追った。

 

「それにしても、あいつらって本当にアイドルだったんだな・・・」

 

「あんた、知らなかったの?」

 

「千聖はじいちゃんと一緒に見た番組に出てるのは知ってたけど、彩たちは知らなかったな・・・」

 

「結構テレビに出てるのに信じらんない・・・」

 

「蘭~。げんたろーさんはもっと信じらんないことしてたんだから仕方ないよ~」

 

「あいつらがテレビに出始めたころからフォーゼを始めてたからな。そのくらいからテレビを見てる時間なかったしな・・・」

 

「そっか・・・」

 

「先輩。そんな時期からあれやってたんだ・・・」

 

「でも、ライダー部のダチとみんなで戦ってたからな」

 

「そっか!!」

 

「コーヒーどうぞー!!」

 

 

先ほどまでの空気とは一転した穏やかな空気の中、突如として店の扉が勢いよく開かれる。

店にいた全員がドアに注目するとそこにいたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖に”イヴ”と呼ばれていた銀髪の女子が制服の上から浅葱色の羽織を着て、

腰に太刀と脇差を腰に携えて扉を開けたまま仁王立ちしていた。

 

「”ゴヨーアラタメ”です!!」

 

「イヴ、あんたなにやってんの・・・?」

 

「そのイヴの持ってる刀はどうやって持ってきたんだ・・・」

 

「アリサさん!!これはファンの方からのプレゼントです!!」

 

「そうじゃなくて!!そのまま持ってきたのか!?」

 

「ハイ!!ブシは腰に刀を携えているものですよ?」

 

「イヴちゃん!!有咲が言ってるのはそうじゃなくて~!!」

 

 

イヴが腰に提げている刀に驚いている有咲達を他所に、弦太朗は巴達にイヴについて質問する。

 

 

 

「なぁ・・・。蘭、巴。あいつもパスパレか・・・?」

 

「あんた、本当に何も知らないんだね・・・」

 

「あぁ・・・。それにイヴはここでバイトしてるんだよ」

 

「なぁ・・・。アイドルがバイトしていいのか?」

 

「彩さんも巴達と一緒の店でバイトしてるし、大丈夫なんでしょ・・・?」

 

イヴは蘭達と会話している弦太朗を発見すると―――

 

「アナタが”キサラギ ゲンタロウ”ですね!!アヤさんを倒すだけじゃなく、チサトさんとマヤさんもその手に・・・」

 

「おい?何言ってんだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう許せません!!私が皆さんに変わって、”テンチュウ”です!!ブシドー!!」

弦太朗がイヴに聞き返すが、イヴは腰から刀を抜いて弦太朗へと正面から振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!!いきなり何やってんだ!!アブねぇだろ!!」

 

「まさか・・・シラハドリですか!?」

 

「しかも、これ鉄かよ!!」

 

弦太朗は刀を回避せず、振り下ろされた刀を白刃取りで受け止める。

イヴも負けじと受け止められた刀を力任せに弦太朗に押し付ける。

 

その現場に沙綾達がパンを持って戻ってくる。

 

「弦太朗!?それにイヴも何してるの!?」

 

「テンチュウです!!」

 

「おい!!誰でもいいから止めてくれ!!」

 

「こうなったら!!」

 

イブは刀から手を放して、脇差を抜いて先ほどと同じ要領で脇差を振り上げる。

 

「もう仕方ないなぁ・・・先輩は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、イブの脇差が振り下ろされることは無かった。

 

イブの手から脇差が手放されたことに驚く弦太朗は振り上げられたイブの手から徐々に視線を下におろす。

 

 

 

 

 

そこにあったのはイヴがスカートの後ろを両手で抑えている姿だった。

イブの後ろには手を上げたたえが立っていた。

 

たえはイヴの後ろに回り込んで、そのままスカートをめくった。

イヴはその羞恥に耐えれなくなり、脇差を離してスカートを守ったのだ。

 

「クツジョクです!!必ずこの借りは返しますからね!!」

 

そうしてイヴは顔を紅く染めて、刀を置いたまま店から飛び出していった。

 

 

「おたえ!!おまえなぁ!!」

 

「大丈夫だよ。先輩は刀にしか目が行ってなかったから」

 

「そうじゃないよ。おたえ!!」

 

「男の人の前でスカートをめくるなんて!!」

 

「でも、そうしないと弦太朗が危なかったから不可抗力じゃない?」

 

「そうかもしんねぇけどさぁ・・・」

 

ポピパがたえの行動について、話していると蘭が不意にイヴの忘れていった刀を持ちあげ、

その刀の刃を見つめる。

 

「あれ・・・?もしかしてこれって・・・」

 

「蘭?どうしたんだ?」

 

「モカ・・。そこの脇差拾ってもらってもいい?」

 

「あ~い。蘭~もしかしてこれって・・・」

 

 

 

 

モカが脇差を持ち上げると何かを確信した。

その脇差を受けっとた蘭も脇差を確認してモカが確信したことと同じことを口にする。

 

「うん。この2本とも本物だよ・・・」

 

「蘭!?どういうこと!?」

 

「つぐみ、なんでもいいんだけど切っていいものある?」

 

「さっきの週刊誌でいいよね?」

 

つぐみは週刊誌をガムテープでぐるぐる巻きにしてそれを蘭に渡し、それを受け取った蘭はそれに刀の刃を当ててゆっくりを刀を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと引かれた刀は容易くその週刊誌を切断する。

 

「・・・やっぱり」

 

「蘭ちゃん!?何でわかったの?」

 

「お父さんの仕事に着いて行ったときに本物を見たことあって、それに似てたから・・・」

 

「でもどうしてイヴの奴が持ってたんだ!?」

 

「そんなの知るわけないよ」

 

イヴの刀が本物であることに驚きを隠せない一同を他所に、再び店のドアが開かれる。

 

 

「みんな揃ってどうしたの・・・?って蘭ちゃん!?そんなもの持ってどうしたの!?」

 

この場に現れたのは切られた週刊誌にゴシップ記事を書かれていた白鷺千聖その人であった。

 




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偶・像・探・求-5 なぜ彼は彼女を拒んだのか

投稿です

とりあえず長くなったの分割しただけなんて言えん・・・



「蘭ちゃん!?そんなもの持ってどうしたの!?」

 

「これイヴのですよ。これ使ってあいつの事を襲ったんですよ。って鞘はイヴが持って行っちゃったしどうしよ・・・」

 

蘭は千聖に状況を説明すると、鞘のない抜き身の刀の扱いに困っていた。

しかし、千聖はその説明に納得できるわけもなく、この中で1番交流のあるつぐみへと確認を取る。

 

「イヴちゃんが!?本当なのつぐみちゃん!?」

 

「はい。これで如月くんを叩き切ろうとしてましたよ」

 

「でも、げんたろーさんが白刃取りをしてましたよ」

 

「そうだったの・・・。でもそのイヴちゃんはどこに・・・?」

 

「それは・・・」

 

「えぇっとですね・・・」

 

イヴのいない理由の説明に詰まるAfterglowの面々。

流石に「たえのスカートめくりによって帰っていきました」と説明しても目の前の彼女は信じないだろう。

そう思っていない香澄は―――

 

「千聖先輩!!イヴちゃんはおたえがげんちゃん先輩の目の前でスカートめくりしたら、帰っちゃいました!!」

 

「おい香澄!!」

 

「香澄ちゃん!?」

 

「なんですって!?」

 

「はい!!私がやりました!!」

 

「おたえってば・・・。でもおたえがそうしなかったら弦太朗はバッサリ切られてたわけです

から不可抗力ですよ」

 

千聖は香澄の説明に怒りで身体を振るわせて疲労困憊の様子で椅子に座り込む弦太朗へと詰め寄る。

 

「あなたねぇ!!アイドルであるイヴちゃんの・・・、いえ、女の子の下着を見たの!?」

 

「見てねぇぞ。そもそも刀を受け止めるのに手いっぱいで他に気を回す余裕がなかったしな」

 

「そもそも、イヴちゃんが持ってきた刀が真剣なわけが・・・!!」

 

「いえいえ~。千聖さん。イヴちんが持ってきたのは間違いなく真剣ですよ~。その証拠に週刊誌がバッサリと・・・」

 

モカが蘭の足元に転がる週刊誌を指しながら千聖へと説明する。

千聖もその週刊誌へと視線が向くが、モカの言葉が信用できない。

 

「蘭ちゃん。その刀見せてもらえるかしら?」

 

「・・・重いので気を付けてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

蘭は千聖へと刀を渡す。

千聖は受け取った刀を確認するが、彼女には重いだけでそれが真剣であることが分からなかったが一通り確認して、刀を蘭に返す。

 

「蘭ちゃん。確認したけどよく分からなかったわ。試しに何か切ってくれるかしら?」

 

「・・・普通、本物か分かんないからって試し切りなんて頼まないだろ?」

 

「巴。千聖さんがこっち見てるから!!」

 

千聖の視線にビビるひまりを他所に、蘭ははっきりと言葉にする。

 

「ここにいる人の前で試しましたし、千聖さんが試すにしても危ないですよ?」

 

「危ないのは分かっているけど、それがイヴちゃんの持ってきたものなんて信じられないの」

 

「・・・なら脇差で良いですか?こっちも真剣ですし。太刀よりは軽いのでまだ扱いやすいので・・・」

 

「えぇ、それで構わないわ。ならそこにいる如月くんの頭のコッペパンでも切ってみましょうか?」

 

「ちょっと・・・!!」

 

「白鷺さん!!あんた・・・!!」

 

「コッペパンじゃねぇ!!リーゼントは俺の勲章だ!!」

 

「・・・冗談よ。私だってつぐみちゃんのお店を血で汚したくはないもの」

 

「店じゃなきゃいいのかよ・・・」

 

「有咲ちゃん?何か言ったかしら?」

 

「いえ・・・」

 

有咲の言葉も千聖の笑顔の圧力の前に屈した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、千聖先輩。さーやのお店のフランスパンで試すのはどうですか!!長くて切りやすそうですし!!」

 

「切った後はモカちゃんがおいしくいただきます~」

 

「そういう事なら・・・。蘭、これフランスパンね!!」

 

「沙綾ちゃん?それどこからだしたのかしら?」

 

千聖は疑問に思うがすぐに蘭の手元へと視線を移す。

 

「とりあえずやってみますね」

 

そういうと蘭は手元に持った脇差でフランスパンを切断して千聖に渡そうとする。

 

「蘭ちゃん。渡さなくてもいいわ。目の前でそんなに綺麗に切られて偽物なんて言えないもの」

 

「そうですか。モカ」

 

「はーい。いただきまーす」

 

そして、モカはパンを受け取ると勢いよく食べ始める。

その光景を見た千聖は弦太朗へと近づき話し始める。

 

「如月くん。さっきはごめんなさい。学校の人から聞いたわよ。『この学校全員と友達になる。』って。それなら私とも友達になってくれるかしら?」

 

そういうと千聖は弦太朗へと手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、弦太朗がその手を取ることはなかった。

 

「悪いけど、今の千聖とはダチにはなれねぇ」

 

「「「はぁ!?」」」

 

「「何ぃ!!」」

 

「・・・。なぜかしら?」

 

千聖以外の全員は弦太朗の言葉に驚きを隠せない。

友達作りが第一の弦太朗がアイドルで女優の千聖と友達になるのを拒否したのだ。

その驚きはパンを優先するモカですら食事の手を止めるほどだ。

 

千聖は予想外の言葉を聞いても笑顔を崩さずに、弦太朗へと理由を聞く。

 

「お前、愛想はいいけど1回も笑ってねぇよな」

 

「何言ってるのかしら?」

 

「げんちゃん先輩?今だって千聖先輩笑ってるよ?」

 

「そうだよ弦太朗くん!!千聖さんすっごい優しそうな笑顔してるよ!?」

 

「香澄、ひまり。今の千聖は笑ってねぇよ」

 

「どういうことかちゃんと言ってくれるかしら?」

 

 

 

 

 

弦太朗の言葉が理解できない全員を代表するかのように千聖が詳しい説明を求める。

 

「お前、俺に対して本気でぶつかってねぇ」

 

「・・・は?」

 

「香澄達も蘭達も、それに薫達も、本当の顔を見せあって、たまに本気でぶつかりあってダチになったんだ」

 

「「「・・・」」」

 

香澄達は弦太朗の言う"本気"に覚えがあった。

 

本心で接してきた、全力で言葉をぶつけ合った、全力で戦った。

それは彼女たちと弦太朗の間だけではなく、今一緒にいるバンドのメンバーとの関係にも当てはまっていた。

 

彼女たちがそう思う中弦太朗は話を続ける。

 

 

「でも、お前は愛想よくしてるだけで心から笑ってねぇ。それに本当のお前を少しも見せてもねぇ」

 

「もういいわよ・・・。邪魔したわね」

 

そう言うと千聖は笑顔を張り付けたまま弦太朗を一瞥してそのまま店を後にする。

 

 

 

「それにしても、大阪の時から見ても弦太朗くんが友達になるのを嫌がったのを初めて見たよ・・・」

 

「でも、あたしはあいつのいう”本気”ってのが分かる気がする・・・」

 

「モカちゃんも分かる気がするな~」

 

「そうだね!!」

 

イヴの刀は店の倉庫に厳重に保管した彼女たちは再び店内が騒がしくするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

あのゴシップ週刊誌は記事の嘘が多いことで有名だった。

しかし、アイドルで女優の私があの雑誌の記事に書かれてしまったという事実は変わらない。

彼を利用して私のイメージ回復を図ろうと、彼に接触したが見事に失敗し、挙句の果てに私は彼の言葉を聞いて苛立ったまま店を出てきてしまった。

 

「気に入らないわね・・・」

 

頭に残るのは彼が放った言葉。

 

『お前は愛想よくしてるだけで心から笑ってねぇ。』

 

彼のあの言葉は私のことを的確にとらえている。そう思えてしまった。

確かに私は本心で笑う事は殆どない。

 

 

それは私が女優として生きる上で絶対に必要なことであったから―――

 

 

バンドの結成時のあの事件が起きた後、真っ先にバンドを抜けて逃げようとした。

その後に彩ちゃん達の姿を見てバンドを続けたけど、あの時は本心で動いていた。

けれどその後は―――?

 

彩ちゃん達や薫、花音と接するときだってどこか今までのイメージを守るために振舞っていたと思う。

 

 

今の私が本気でぶつかり合えてる人って誰?

 

自問自答するも私にも答えが分からない―――

 

 

 

 




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偶・像・探・求-6 Imaginationは止まらない。

投稿です
ひまりはシリアスぶち込むよりわちゃわちゃ日常してる方があってると思います。
次の話でわちゃわちゃはぶち壊しますが・・・


羽沢珈琲店での事件があった翌日――

弦太朗はいつもと変わらず、学校へと登校した。

 

3年A組の教室に入った彼に待っていたのは多くの視線。

大半は好奇の視線だが、中には怒りの籠った視線も混ざる。

 

その視線を向ける生徒の一部が持っているのは先日のゴシップ週刊誌。

 

 

 

同じ学校に通う芸能人と噂の不良とのスキャンダル―――

色恋沙汰が少ない女子校においてそのスキャンダルは瞬く間に学校中へと拡散し、学校内はスキャンダルの話題で染まる。

 

そこに記事の正否などは関係ない。

 

 

 

 

視線を向けられる弦太朗は、記事の真相を知っている花音の元へ向かう。

 

「おぅ花音。これって、昨日のあれか・・・?」

 

「あっ・・・。如月くん。そうみたいだね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音と弦太朗が会話を始めると教室内がざわつき始める。

 

「ねぇ・・・。あの人白鷺さんと出来てたんじゃ・・・?」

 

「えっ!?大和麻弥とじゃないの!?」

 

「もしかして本命は松原さんで白鷺さん達とは遊び?」

 

「逆はあってもそれはないでしょ・・・」

 

「あいつ!!よくも風紀を―――っ!!」

 

 

 

 

 

クラスメイトが花音と会話する姿から弦太朗を邪推する一部の生徒達の前に、話題の中心人物である千聖が教室に入る事で喧騒は更に大きくなる。

 

 

「あら・・・?みんなしてどうしたのかしら?」

 

「あの・・・白鷺さん。この記事って本当なの?」

 

状況が分かっていない彼女に対して、クラスメイトの1人が先日の週刊誌を片手に千聖へと質問するい。

 

 

 

「あのね。何で昨日初めて会ったのに、どうしてその記事を信じてるのか教えてくれるかしら?」

 

「ひぃ・・・!?ごめんなさい・・・」

 

「謝る必要なんてないわよ?何で信じたか理由を聞いているのだけど?」

 

「あはは・・・ごめんなさい!!」

 

千聖は笑顔で否定しているが、その微笑みには確かな怒りの感情が乗っていた。

質問したクラスメイトは気まずい空気の中、自席へと戻っていった。

 

「花音?なんでまだそんな不良と一緒にいるの・・・?」

 

「千聖ちゃん・・・?」

 

「おい・・・」

 

「不良は黙っててくれるかしら?私は今花音と話してるの」

 

「如月くんは悪い人じゃないよ?」

 

「花音!!」

 

「ふえぇ・・・千聖ちゃん?どうしたの・・・?」

 

「っ!!ごめんなさい・・・」

 

千聖は花音に対して声を荒げた後、ばつの悪い顔をして席に着く。

 

千聖の声に教室内が静まり返る中、今日の授業が始まる。

しかし、その日に千聖へ話しかける生徒は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

私は今日は久しぶりにファーストフード店でのバイトが入っており、今は一緒にバイトに入っていたひまりちゃんと一緒に制服に着替えていた―――

 

「はぁ・・・」

 

ここ数日の事を思い返すとため息が止まらない。

 

アイドルの仕事が終わって久しぶりの学校へ登校したらすっごい怖い人が学校にいた・・・。

 

その人とひまりちゃん達は知り合いみたいでそんなに悪い人じゃないみたいだけど、千聖ちゃんが「アイドルがあんな不良と関わったらイメージが下がる」って怒ってたからあまり関わらない様にしてた。

 

 

それに仕事を忘れてしまっていた日菜ちゃんを怖い人がバイクで送った写真を週刊誌に載っちゃうし、しかも週刊誌の記事には私のことはマネージャーって書いてあってすっごい落ち込んだ。

 

しかも、最近はこの周りで「怪物が出た」なんで噂も聞くし・・・。

 

そんな気落ちしてるとひまりちゃんが心配して声をかけてきた。

 

「彩さんどうしたんですか?今日だけですっごいため息ついてますけど?」

 

「うん。ここ数日で色々あってね。あはは・・・」

 

「あぁ~週刊誌の件ですね~。あれは私達も弦太朗くんを呼び出して色々聞きましたし、その後にはイヴちゃんが本物の日本刀で弦太朗くんに斬りかかってて驚いちゃいましたよ!!」

 

「なんでイヴちゃんが本物を持ってるの・・・?」

 

本物で人に斬りかかるなんて信じられないけど、イヴちゃんの事だから週刊誌を見て「ブシドー」っていいながら襲い掛かったのをイメージできてしまった。

 

でも、ひまりちゃんはあの怖い人の事をどうして名前で呼んでるんだろう・・・?

 

「そうだ!!彩さん。折角だったら甘いものでも食べて気分転換しましょう!!お店のソフトクリームなら割引で買えますし!!」

 

「うん。そうだね。それも良いかも!!この間シフト変わってもらったし、今日は私がごちそうするね!!」

 

そう言って私は自分のカバンから財布を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?財布がカバンに入ってない・・・?

 

「彩さん?どうしました?」

 

「ひまりちゃん。ちょっと待ってね?」

 

私はカバンをひっくり返し、制服のポケットも確認をするが私の財布はどこにもない・・・。

 

「彩さん・・・?」

 

「ひまりちゃん~!!財布落としちゃったみたい~!!」

 

「えぇ~!!それって一大事じゃないですか!!」

 

あの財布の中には私の今月分のお小遣いが全部入ってたのに・・・。

私は泣きそうになりながら休憩室の中を探していると、ひまりちゃんの携帯が鳴る。

 

「あっ弦太朗くんから電話だ!!」

 

ひまりちゃんはその電話に気づくと嬉しそうに電話にでる。

 

「弦太朗くんどうしたの?・・・えっ?彩さん・・・?」

 

弦太朗くんって言うのはあの怖い人だよね?その人が何で私の事をひまりちゃんに聞いてるんだろう?

 

「うん・・・。ちょっと待ってね。彩さんなら今一緒にいるからスピーカーにするね」

 

そう言うとひまりちゃんは通話をスピーカーにして私にも聞こえるようにしてくれる。

 

『おう、彩。お前、財布落としてねぇか?』

 

「財布?うん・・・」

 

『さっき昇降口で財布を拾ってな。悪いと思ったんだけど中身を見てお前のって分かったから探してたんだ。』

 

「でも、何でひまりちゃんに電話を?」

 

『ひまりと一緒のバイトしてるって聞いてたからもしかしたらって思ってな。まだバイトなら届けに行くぞ?』

 

「ほんと!?」

 

『おう、学校から向かうからちょっと待ってくれ。』

 

「うん!!ありがとう!!」

 

そう言うと電話が切れて、ひまりちゃんは携帯をしまった。

とりあえず財布は見つかったから後は来るまではバイトを頑張ろう!!

 

「じゃあ彩さん!!弦太朗くんが来るまでバイト頑張りましょうか!!」

 

「うん!!でも、如月くんって見た目と違って良い人なんだね」

 

 

 

 

 

私が如月くんについて思ったことを言うと、凄い顔をしたひまりちゃんが詰め寄ってきた。

 

「彩さん!?それってどういうことですか!?」

 

「えぇ!?どういうって・・・?」

 

「まさか!?これはつぐと沙綾にも報告しないと・・・」

 

ひまりちゃんつぐみちゃんと沙綾ちゃん?

もしかして、3人は如月くんのことが・・・?

 

「ひまりちゃん?多分考えてることは間違ってるから・・・」

 

「いや彩さんってちょろいですから!!」

 

「えぇ!?」

 

ひまりちゃんが目の前でわたわた慌ててると、バイトの開始時間になって私とひまりちゃんはお仕事を始めた。

 

 

 

 

ひまりちゃんと一緒にレジで接客をして少し経つと、日菜ちゃんがお店にやってきてレジにいる私に紗夜ちゃんの話を永遠と聞かせてくる。

その横ではひまりちゃんが次々に来るお客さんからの注文を受けている。

 

「それでねー!!その時おねーちゃんがねー!!」

 

「あの、日菜ちゃん?他のお客さんもいるから・・・」

 

「あっ!!彩ちゃんごめんね。じゃあポテトの一番おっきい奴頂戴!!」

 

「はい!!」

 

そういうと私は日菜ちゃんが来てからすぐに準備がされていたポテトを日菜ちゃんに渡すと、日菜ちゃんはおつりも受け取らないで嬉しそうにポテトを持ってどこかへ行ってしまった。

 

とりあえず、日菜ちゃんに渡すはずだったおつりを私は回収して、ひまりちゃんの方に溜まっていたお客さんの対応をするのだった。

 

 




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偶・像・探・求-7 仰天・対戦・飲食店

投稿です
私の文章力ひくすぎ・・・?(事実

もしかしてポテトが足りてない・・・?



弦太朗は彩の財布を持ってファーストフード店へと到着する。

店内では日菜がレジにいるひまりにポテトを注文していた。

 

「いらっしゃいませー。あっ!!弦太朗くん!!」

 

「あれ~ゲンちゃん?どうしたの~?」

 

「おう。彩の財布を拾ったから届けに来たんだ」

 

「そっか~。でもゲンちゃん、学校から帰ってくるの遅くない?」

 

「帰ろうとしたら色んなやつに質問攻めにあってな。でもそのお陰で色んな奴とダチになったぜ!!」

 

弦太朗は放課後に事情を知らない多くの生徒達から質問攻めに会っていたのだ。

しかしこの件によって、弦太朗の外見と異なる内面を知った者たちの印象を変える切っ掛けになっていた。

 

「あの・・・2人とも?お客さんが後ろにいるから・・・」

 

ひまりの言葉に2人が後ろを振り返ると、数名の客がレジ前に並んでいた。

 

「ひまりちゃん。あたしポテトね!!」

 

「じゃあ俺は――」

 

「かしこまりました!!弦太朗くん。もう少ししたら休憩だから待っててね!!次のお客様ー!!」

 

ひまりは注文を受けると次の注文へと移った。

日菜より先に注文を受け取った弦太朗は座席に座っていると、席には注文を受け取った日菜がその向かいに座る、しかし弦太朗は日菜の注文を見て驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーの上にあったのは山のように積まれた大量のフライドポテト――

弦太朗も1人で食べきれないであろう量を持った日菜は何食わぬ顔で座席に座ると、ポテトの山を摘まみ始める。

 

「日菜のそれ・・・。食いきれるのか?」

 

「えぇ~このくらいは余裕だよ~。むしろ足りないくらいだよ?」

 

「マジかよ・・・」

 

「ゲンちゃん。何で驚いてるの?変なの~」

 

唖然とする弦太朗を他所に日菜はポテトの山に手を伸ばして口に運ぶ。

その動作は異常なまでの速さで繰り返されるそれを弦太朗はただ眺めることしかできなかった。

 

弦太朗の視線を全く気にしない日菜の手は止まることを知らず、ポテトの山はみるみると消えていき―――

 

 

そして最後の1本が日菜の口に収まった。

ゆっくりと最後の1本を噛み締め終えると日菜は話すために口を開く。

 

「ゲンちゃん。そういえば学校での千聖ちゃん大丈夫だった?」

 

「千聖はすっげぇ怒ってたな。花音にすらキツく当たってて、その後は誰も千聖に話しかけてなかったな。授業終わったらすぐ帰っちまったし・・・」

 

「そっか~。こっちは麻弥ちゃんが皆から質問攻めに会って大変そうだったよー。しかも、皆が全く麻弥ちゃんの話を聞いて無くてねー。そこに薫くんが来て話してたら皆信じて解散したんだけど。その様子が面白くて笑っちゃったよー」

 

学校での麻弥の様子を日菜は笑ながら語る。

日菜曰く、羽丘では薫の一言で全てが解決してしまったらしい。

弦太朗はその事実を驚いていると日菜が話を続ける。

 

「でもあの週刊誌って記事がめちゃくちゃなことで有名なのにねー。それでゲンちゃんは彩ちゃんとかはどうだった?」

 

「彩は分かんねぇなぁ。別のクラスだしな・・・。そういえば昨日つぐの店に居たらイヴがな・・・」

 

「もしかして、「ブシドー!!」って言いながら木刀で襲ってきた?」

 

「おう。木刀じゃなくて真剣だったけどな」

 

「イヴちゃんだったら持ってそうだけど。流石にそれはないでしょー」

 

 

日菜は弦太朗の話を聞くも、その話を笑い飛ばす。

そのまま日菜と弦太朗は他愛もない会話を続ける―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしそれは1つの悲鳴によって終わりを告げる。

 

「うわぁああああああああああああああ!!」

 

突如として挙がる悲鳴。

店の入り口にはカメレオン・ゾディアーツがゆっくりと店内へと入ってゆく。

 

店内からは次々と悲鳴が上がり、殆どの人間が店の外へと逃げ惑う。

店の奥からひまりは彩の腕を引いて弦太朗へと駆け寄る。

 

 

そんな店内の様子を構う様子もなくゆっくりと弦太朗の元へと歩み寄る。

 

「なんでこんなとこに!?」

 

「弦太朗くん!?」

 

「ねぇ!?なにあれ?」

 

「ん~ドッキリかな?あたしちょっと行ってくるね!!」

 

「日菜先輩ダメですって~!!」

 

「日菜ちゃん~!!」

 

「大丈夫だって~」

 

日菜がカメレオンへと近づこうとするが、ひまりと彩に抑えられてる。

 

 

 

 

カメレオンは見せつけるように自身の腕をテーブルに叩きつけ、テーブルを粉砕する。

 

 

「ひぃ・・・!?」

 

「うっそぉ~」

 

「お前ら離れてろ!!ひまり!!」

 

「うん!!2人ともこっちに!!」

 

「ちょっと!?ひまりちゃん!?」

 

ひまりは弦太朗から離れたテーブル席へ3人で座席から顔だけを出して様子を伺う。

そんな3人の視線を他所に弦太朗はドライバーを装着し、ドライバーからのカウントダウンが始まる。

 

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

弦太朗を中心にコズミックエナジーによる煙が吹き荒れ、店内の空気が激しく揺れる。

座席から顔を出してこちらを見ていた3人は空気の揺れによって髪が激しく乱れるが、彼女たちは目の前の光景から目を離せないでいた。

 

そして弦太朗は煙を払い、フォーゼへと変身する。

 

 

「宇宙キターーーーッ!!”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

フォーゼはいつものセリフと共にカメレオンへと殴り掛かる。

その様子を見ていた見ていた彩たちは―――

 

「えぇえええ!!なにあれ!?」

 

「弦太朗くんって変身って後ろから見るとこんな感じなんだ・・・」

 

「ひまりちゃん知ってるの!?」

 

「まぁ・・・。そうですよ」

 

「ん~!!よく分かんないけどるんっ♪って来た~!!」

 

困惑している彩を他所に日菜は目の前の光景に自身も状況がよく分かっていないが興奮を隠せない。

そんな彼女たちを他所にフォーゼはカメレオンを肉弾戦で圧倒する。

 

「こんだけ近けりゃ、消えても意味ねぇだろ?」

 

フォーゼの連続攻撃によってカメレオンは防戦一方になっていた。

 

カメレオン・ゾディアーツにある透明化能力も、店内という閉鎖空間とフォーゼと至近距離で戦闘をしているため、透明化していてもすぐにフォーゼに捕まってしまうためこの能力は半ば封じられていた。

 

「次はこれだ!!」

 

フォーゼはカメレオンへの攻撃を繰り出しつつ、スイッチを交換して起動する。

 

 

 

――エレキON――――――――

 

 

スイッチの起動と同時にフォーゼは電気に包まれて、エレキステイツにその姿を変える。

起動と同時にビリーザロッドのプラグを挿入し、ロッドから電気を飛ばして透明化しようと試みるカメレオンへと追撃する。

カメレオンも透明化を諦めて、自身の舌を伸ばしてフォーゼの左腕に巻き付ける。

 

しかし、フォーゼは巻きつけられた腕でロッドのプラグ位置を変更し―――

 

「食らえ!!ライダー電気ショック!!」

 

カメレオンの舌へとロッドを振り下ろし、そこから放たれた電気はカメレオンの舌を通して本体に対して大きなダメージを与えて、舌による拘束を外す。

その光景を見ていた彩達は―――

 

「うわぁ・・・」

 

「ゲンちゃん、えぐい攻撃するなぁ・・・」

 

「・・・あれされなくて本当に良かった・・・」

 

「・・・なんか色々言われてるけど、これで決めるぜ!!」

 

それぞれの感想を耳にしたフォーゼはリミットブレイクの発動のためにロッドへエレキスイッチを装填しようとするが、ゾディアーツから予想外の言葉が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武器を使うなんて”ブシドー”に反します!!」

 

「お前!?」

 

「まさか・・・イヴちゃん!?」

 

「えぇぇぇぇ!!」

 

イブの口癖を聞いたフォーゼ達はその発言によって行動が止まってしまう。

そのわずかな隙をついてカメレオンは透明になってその場から逃走した―――

 

カメレオンの姿を確認できなくなったフォーゼは変身を解除する。

それと同時に弦太朗へと彩たちが歩み寄る。

 

「ねぇねぇ!!ゲンちゃんそれあたしにも貸して!!るんっ♪ってするし!!」

 

「おい!!日菜。ベルト掴むな!!それ俺にしか使えねぇぞ!!」

 

「そっか~」

 

日菜がベルトに興味を示す中、暗い顔をした彩が弦太朗へと問いかける

 

「如月くん・・・。さっきのってイヴちゃんなの・・・?」

 

「確かに、”ブシドー”なんて普通使わないし、私の知ってるのではイヴちゃんだけですよ?」

 

「そうなのかもな・・・。でも、演技してたってこともあるしな・・・」

 

彩への問いに対して弦太朗は正体を明言することはしなかった。

天校での戦いで、他の人間の動きをマネして正体を分からなくしていたという体験があったからだ。

 

 

 

 

 

弦太朗の言葉に落ち込む彩。

戦闘が終わってから少し経つ頃には黒服たちが現場へと到着し、現場の証拠隠滅を開始する。

 

そして、弦太朗達は黒服に促されるまま店を後にするのだった。

 




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偶・像・探・求-8 アイドルアタック??

色々調べたけど巴が彩ちゃんの呼び方を調べても出てこない!!

多分、彩さんって呼んでそうだけ正しいか分からないから色々修正したらうがががががが

やっぱり、みんなで集まれる羽沢珈琲店と蔵って集まるには最強だと思うんだ・・・(なお本話では出てない模様
CiRCLE ?今はまだ知らない子ですねぇ・・・


彩たちのバイト先での戦闘の後、弦太朗はバイクを押しながら彩たちにこれまでの起こっていた事件について語りながら家への帰路についていた。

 

「私達が街にいない間にそんなことがあったんだね・・・」

 

「そっか~。でも、今までも何とかなってるんでしょ?ならいいんじゃない?」

 

「でも・・・」

 

話の聞いて深刻そうな顔をする彩とは対象的に楽天的な考えを崩さない日菜。

そして話は先ほどの件へと変わっていく。

 

「後はこっちに任せておけ。とりあえずイヴをなんとかしねぇとな・・・」

 

弦太朗の発言に対して、意義を唱える者が1人―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇゲンちゃん。さっきの本当にイヴちゃんなのかな?」

 

「日菜先輩・・・?それってどういうことですか?」

 

「そうだよ。だって・・・」

 

「確かに「ブシドー」って言ってたけどさ~。あれがイヴちゃんの口癖なのはみんな知ってるじゃん?だからあの言葉を言ったからあれがイヴちゃんって言うのは”るんっ♪”ってしないんだよね~」

 

「でも、日菜ちゃん・・・」

 

「彩ちゃん~。それだったら彩ちゃんの「まん丸お山に彩を」って言った人がみんな彩ちゃんってことになっちゃうよ~?」

 

「えぇええ!?」

 

日菜たちの会話について行けない弦太朗はひまりに2人の事について質問する。

 

「なぁ・・・?日菜達の"るん”?とか”まん丸なんとか~”ってのはなんなんだ?」

 

「"るん”っていうのは日菜先輩の口癖で薫先輩の「儚い・・・」っていうのと一緒だよ。彩さんのほうはアイドルの自己紹介のセリフだよ?」

 

「一応2人ともアイドルなんだよな・・・」

 

「ちょっと如月くん!?一応じゃなくて本当にアイドルなんだよ!?」

 

「あはは!!彩ちゃんおもしろーい!!」

 

「でも、あれがイヴじゃないなら誰なんだ?」

 

 

 

 

弦太朗の言葉に大声でのツッコミをする彩の姿に大声で笑う日菜。

この緊張感のない日菜に先ほどのカメレオン・ゾディアーツの正体について質問するが―――

 

「うーん。でも見たことあるような気がするんだよねー」

 

「見たことある?日菜ちゃんどういう事?」

 

「もしかして・・・学校とかですか!?」

 

「うーん。学校じゃないようなするんだけど・・・。やっぱりわかんないや!!」

 

「そういえば、あの怪物は店に入って真っ先に弦太朗くんのところに向かってたよね?」

 

「あいつの目的は俺ってことか。それなら売られた喧嘩は買わせてもらうぜ」

 

「弦太朗くん。相手分かんないのにどうやって喧嘩買うの?」

 

「とりあえず見つけてからだね~」

 

「そうですね。あっ、私と日菜先輩の家は向こうなのでここまでだね」

 

「あたしも何か分かったら連絡するね~!!」

 

「2人とも気を付けてね?」

 

「はーい。あっ!!ゲンちゃん!!彩ちゃんの事よろしくね~!!」

 

「彩さん、弦太朗くん。お疲れさまー!!・・・日菜先輩待ってくださいよ~!!」

 

「じゃあ、彩帰るか・・・」

 

「うん・・・」

 

 

日菜たちを見送った2人は彩の家へと歩き出し、会話は先ほどの財布の件へと移る。

 

「そうだ!!如月くん。お財布ありがとうね。財布の中身もそのままだったし」

 

「気にすんな。困ったときはお互い様ってやつだろ」

 

「そうだ!!この後って時間あるかな?」

 

「ん?この後は家に帰って飯食うだけだけど。どうしたんだ?」

 

「良かったらお礼したいからこの後ご飯食べに行かない?」

 

 

「構わねぇけど、あんなことあった後だけどいいのか?」

 

「大丈夫だよ!!私これでも街中でバレたことないし・・・」

 

「それはアイドルとしていいのか・・・?」

 

「今はいいの!!商店街の方におすすめの洋食屋があってね。ハンバーグとかすっごい美味しいんだよ!!」

 

「なら早く行くか!!乗ってけ彩」

 

「・・・ねぇこのヘルメットどこから出したの?」

 

2人はバイクに乗り、彩おすすめの洋食屋へと走り出す。

 

 

 

 

彩の一押しの洋食屋でお礼ついでに彩の食レポ練習に付き合わされてしまう弦太朗。

そのアイドルらしからぬリアクションに弦太朗は反応に困っていたが・・・。

 

 

 

店の外からその光景を目撃されてしまったのを弦太朗達が気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「麻弥さん。今日はあこと一緒に練習に付き合ってもらってありがとうございました」

 

「すっごい楽しかったね!!」

 

「ジブンも宇田川さんたちの練習見れて、いい刺激になりましたよ」

 

「2人とも!!またやろーね!!」

 

「はい!!ぜひとも!!」

 

「おう!!」

 

「ねぇ!!2人ともあれ見て!!」

 

「どうしたんだあこ・・・って如月じゃないか。それにあそこにいるのって・・・」

 

「彩さんですね・・・」

 

「2人きりだよ!!もしかしてデート!?」

 

「あの件があってそれはないかと・・・ってあこさん?」

 

「どうしたの?」

 

「なぁあこ・・・。お前、今なにしたんだ?」

 

「えぇーとね。写真撮ってりんりんとひーちゃん達に送ったよ?」

 

「あこさんジブンにも送ってください。彩さんに色々聞いてみようと思うので」

 

「・・・マジでひまりに送ったのか?」

 

「うん。もしかしてダメだった?」

 

「ひまりはなぁ・・・。面倒なことになるんだよ・・・」

 

「おねーちゃん?」

 

「この後のことを考えたら胃が痛くなってきたぞ・・・」

 

「宇田川さん。今から胃薬買いに行きましょう・・・。ジブンも日菜さんたちにこれバレたことを考えたら・・・」

 

「えぇー!!2人とも!?」

 

こうして3人はその場を離れて胃薬を買いに行く。

胃薬がこれから2人の常備薬になることを2人は知らない。

 

 

――――――

 

「まさか・・・」

 

私は1人で記事に書かれていた時にあの場所にいた1人がバイトをしている店に行った。

そこで見たのは記事の原因となった不良と仲良さそうに話していたもう1人の当事者。

 

 

この光景を見た私は強い危機感を感じた。

このままじゃバンドはあの不良に・・・。

 

そう思った私は路地の裏へと入ってから黒いスイッチを押して、怪物へと変身する。

 

これはファンからのプレゼントとして送られてきてあったもの―――。

最初は不気味に見えたそれだったが、手に取ると私は吸い寄せられるようにそれを押していた。

怪物に変身したことも全く驚くことはなく、むしろ新しい自分を見れたような気さえしていた。

こんなものがどうしてプレゼントとして送られてきたのかは分からないけど、これさえあれば私達の評判を守ることも、邪魔者を消すことも思うがまま―――。

 

そしてこれからあの不良を―――。

 

 

 

 

そんな衝動に駆られた私は正面から店へと入っていく。

他の客や店員が悲鳴を挙げて逃げていくが、どうでもいい・・・。

 

今の目的はあの不良ただ1人だけ・・・。

私は恐怖感を与えるためだけにゆっくりとあの不良へと歩み寄っていくが不良は動かない。

 

そこで誤算が1つ―――

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くん!?」

 

「ねぇ!?なにあれ?」

 

「ん~ドッキリかな?あたしちょっと行ってくるね!!」

 

あの不良の周りに私の知っている顔が集まってきた。

 

私は近くのテーブルへと腕を振り下ろして粉砕する。

その様子に2人は驚いていたが、男ともう1人の子は驚く様子すらない。

 

すっごい不愉快・・・。

 

男がその場で叫ぶと、残りの3人は離れた場所へ移動して、こちらの様子を伺っている。

3人へと視線を送っていたら、何かを腰につけた男がこちらと同じように変身していた。

 

 

 

 

 

 

意味不明なことを叫ぶと同時に私に殴り掛かってくる。

そして、殴り続けながらもあの男は思いもしなかった言葉をかけてくる。

 

「こんだけ近けりゃ、消えても意味ねぇだろ?」

 

 

 

どうしてこっちが姿を消せることを知ってるの!?

姿を消すのは見せてないのに知ってることに戸惑いを隠せない。

 

殴られ続けていたら不意に目の前の男が光りだして白い姿を黄色く変えて、どこからか出した武器を使って私を追い詰める。

 

逃げるために私は何振り構っていられる状況でもなくなり声を上げる。

 

 

「武器を使うなんて”ブシドー”に反します!!」

 

 

この言葉に反応する皆を他所に私は姿を消して逃走する。

 

 

 

ああなってしまった以上、正体がバレてしまうのも時間の問題だろう。

 

こうなったら強引にでもあいつを消さないと―――

どんなことがあっても明日にはあの男を―――

 

そう決心した私は誰にも見られないように元の姿へと戻ると、何食わぬ顔で家路につくのだった。

 




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後数話でパスパレ篇終わって小ネタ挟んでから次バンドへーーー
どっちのRにしようかな・・・


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偶・像・探・求-9 憧れとランチと果たし状

私に足りてないものはポテトじゃない。コロッケだったんだ!!

というわけでもうそろそろパスパレ篇も終わりかなと思ってる時期が私にもあります。

質問でもあったけどロケットステイツなー
どこで出してやろうかしら・・・




彩との食事をした翌日、弦太朗は学校へと登校中。

商店街へと向かって走る香澄と遭遇した。

 

「あっ!!げんちゃん先輩おはよー!!」

 

「おぅ香澄!!どうしたんだ??」

 

「今日からはぐが学校に来るから!!待ちきれなくってはぐの家に向かってるの!!」

 

「そうだったのか。折角だから俺も一緒にいくぜ!!」

 

「うん!!」

 

2人は登校する生徒の流れに逆らい、商店街へと向かう。

 

 

 

 

 

「そういえば、彩先輩達のこと聞きましたよ!!」

 

「あぁ、まぁその件は任せとけ」

 

「はい!!あっ!!そう言えばその後に彩先輩とデートしてたって本当ですか!?」

 

「彩の財布拾ったからその礼ってことで飯には行ったけど・・・。誰から聞いたんだ?」

 

「巴ちゃん達から写真が一緒に送られてきたんですよ!!後一緒に胃薬の写真も送られてきて・・・」

 

「胃薬・・・?」

 

「えぇっと・・・これです!!」

 

 

 

 

 

 

 

香澄は自身のスマホを取り出し、送られてきた2枚の写真を弦太朗に見せる。

 

そこに写っていたのは―――

洋食店内でロボットを彩の方に向けている弦太朗と話しながらハンバーグを頬張る彩が移る写真。

そして苦い顔をした巴と麻弥が並んで胃薬を購入する姿が写った写真。

 

「なんだこれ?」

 

「この手に持ってるのって、前に有咲が持ってたあれと同じなの?」

 

「あぁ。バガミールって言って、カメラで色々撮れるんだ。それで彩の食レポ練習を撮ってたんだ」

 

「そうなんだ!!」

 

2人が写真の件で話していると商店街の方から紙袋を持ったはぐみが走ってこちらへと向かってきて、弦太朗達の前で静止する。

 

「かーくん!!げんちゃん先輩!!おはよー!!」

 

「はぐ!!おっはよー!!」

 

「よぅ!!はぐみ!!なんで走ってんだ?」

 

「昨日まであまり動けてなかったから走りたくなっちゃって!!でも。2人ともこんなところで何してるの?」

 

「はぐと一緒に学校行こうと思って!!」

 

「そっか!!じゃあ一緒に行こ!!」

 

 

 

はぐみは弦太朗達と並んで、3人で学校へと歩き始める。

 

「そうだ!!2人にこれあげるね!!分けて食べてね!!」

 

歩き始めて少し経った後、はぐみは手に持っていた紙袋を香澄へ渡す。

 

「ん?これって・・・。まさか!!」

 

弦太朗は紙袋の中身を確認し驚愕する―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!!うちのコロッケだよ!!」

 

その中にあったのははぐみの店で売っているコロッケ。

今まで食べることが叶わなかったコロッケを手に弦太朗が叫ぶ。

 

「うぉおおおおおお!!話には聞いてたけどめっちゃうまそうだな!!」

 

「うちのコロッケは”旨そう”じゃなくて”旨い”んだよ!!食べてみて!!」

 

「おう。じゃあ早速・・・」

 

「げんちゃん先輩。はい!!あー・・・」

 

香澄ははぐみから貰ったコロッケをそのまま弦太朗の口に運ぼうとするが―――

 

「「っ!!」」

 

「2人ともどうしたの?」

 

口に入れる直前、弦太朗と香澄が感じた背後から威圧感に固まる。

そして恐る恐る2人は振り返ると―――

 

 

 

 

 

 

「おはよみんな」

 

「さーや!!おっはよー!!」

 

「おはようはぐみ。ところで弦太朗、昨日のあれはなんなの?デート?」

 

「さーや?なんか怖いよ。かーくんも怖がってるよ?」

 

「それに香澄も弦太朗に何しようとしてたの・・・?」

 

 

 

そこにあったのは沙綾。

その表情は笑顔ではあるが、目が全く笑っていない。

 

「さーや?なんで怒ってるの?」

 

「はぐみ?私はまだ怒ってはないよ?」

 

「ひぃ!?」

 

はぐみも沙綾の圧に押され、そして香澄と弦太朗は行動を起こす。

 

「げんちゃん先輩!!」

 

「そうだな!!はぐみ!!」

 

「2人とも!?急に腕を掴んでどうしたの?」

 

「「逃げるんだよぉー!!」」

 

そうして弦太朗と香澄ははぐみの手を引いて学校へと駆け出す。

 

「あっ!!待て!!」

 

 

 

 

こうして始まった沙綾との鬼ごっこは校門にいた風紀委員の紗夜に捕まるまで続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の件で校舎前で紗夜からの公開説教を受けた弦太朗は昼休みに入ると同時に教室から出るとそのタイミングで彩が自身の弁当を片手に声をかける。

 

「ったく。朝っぱらから酷ぇ目にあったぜ・・・」

 

「あっ!!如月くん!!良かったら中庭で一緒にご飯食べない?」

 

「おう!!飯取ってくるから待ってろ」

 

彩の突然の誘いを受け、自身の席に昼食を取りに戻る。弦太朗。

その光景は廊下中の視線を釘付けにするが、2人はその視線を気にする様子もなく中庭へと移動する。

 

「それにしても女優とアイドルって大変なんだな。千聖は仕事で休みみてぇだし」

 

「えっ・・・?」

 

「どうしたんだ?」

 

「千聖ちゃん今日仕事なんてあったかな・・・?」

 

「授業中はいなかったけど、仕事じゃねぇのか?」

 

「うん・・・。少なくともアイドルとしての仕事はないから女優としてかな・・・?」

 

「同じ仲間でも知らねぇもんなのか?」

 

「流石に女優の仕事まではね・・・。とりあえずご飯食べよっか!!」

 

「おう!!」

 

中庭にはポピパ達の姿は無く、彩と弦太朗の2人だけ・・・。

アイドルと不良が一緒に昼食をとっている珍しい光景に、校舎からは弦太朗のことをよく知らない生徒達の視線が向けられる。

 

昼の話題は昨日の食レポ練習も兼ねた夕食の件―――

 

「如月くん。昨日はありがとね!!昨日の動画見直してたんだけど。色々直さなきゃいけないところが分かって良かったよ!!これで今度の食レポのお仕事もなんとかなりそう」

 

「そうか?俺はただ見た感想言ってただけだけど」

 

「ううん。日菜ちゃん達はもっと上手にするんだから私もできる限り頑張んないとね!!」

 

「最初はずっと”美味しい”しか言ってなかったものな」

 

「ちょっとそれは言わないでよ!!そうだ!!後であのロボット?は返すね!!」

 

「その収録。放送するときは教えてくれよな。ちゃんと見るから」

 

「うん!!」

 

その後も彩と2人で食事を続ける彼らの時間は突然終わりを告げる。

 

 

 

 

 

「――そうなってるんだな!!・・・ってなんだあれ?」

 

「えっ?なになに?」

 

弦太朗の視線の先には1本の矢が地面に突き刺さっている。

その矢には1枚の手紙が添えられていた。

 

弦太朗はおもむろにその矢をとり、ついている手紙を彩に渡す。

手紙を渡された彩はその手紙を読み始める。

 

「えぇーっと。

『拝啓。いくぶん残暑も和らぎ、しのぎ良い日が多くなりました。

夏のお疲れは出ていらっしゃいませんか。お伺い申し上げます。

この度、如月弦太朗様への決闘を申し込みたいと思います。

御多忙の事とは存じますが、本日の放課後に剣道場にてお待ちしております。

お目にかかれますことを心待ちにいたしております。

若宮イヴ』ってイヴちゃん!?これ!?とりあえず日菜ちゃん達に!?」

 

「なんで、果たし状に相手のことを心配する言葉が入ってるんだ・・・?」

 

弦太朗が携帯を取り出して慌てている彩から手紙をとりそれを確認する。

そこに書かれていた字は非常に達筆であり、文章の中身さえ気にしなければ時代劇に出てきてもおかしくなさそうな字体であった。

 

 

「とりあえず、放課後だな・・・。って彩?なにしてんだ?」

 

「えっと日菜ちゃんに連絡したの!!」

 

その言葉と共に弦太朗の携帯から着信音が響く。

相手は日菜からであった。

 

『ゲンちゃん!!彩ちゃんから聞いたよ!!放課後に麻弥ちゃんと2人で行くから待っててね!!』

 

「おい!!って言いたいことだけ言って切りやがった・・・」

 

「日菜ちゃんらしいね・・・」

 

「とりあえず放課後になったらイヴのところに行くか・・・」

 

「如月くん!!私も行くよ。千聖ちゃんがこのこと知る前に何とかしないと!!怒られちゃうよ!!」

 

「おぅ・・・。じゃあ飯食ったし放課後まで残りの授業も受けに行くか!!」

 

「うん!!」

 

こうして2人は昼食を終え、それぞれの教室へと戻っていった。

 

 

そして放課後、日菜たちと合流した弦太朗はイヴの待つ剣道場へと向かうのだった。

 

 




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偶・像・探・求-10 正体

私に足りてないものはポテトじゃない。コロッケだったんだ!!
でも、コロッケもじゃがいも使ってるからつまりポテトが足りんかったんや!!

次でパスパレ篇終わりたいと思います(願望



授業が終わった放課後、弦太朗は彩と2人で剣道場の前に足を運んでいた。

 

「ねぇ?本当に日菜ちゃん達待たないの?」

 

「来る前にとっとと終わらせねぇとな・・・」

 

 

 

 

2人が剣道場へと入ろうとすると、2人を呼び止める声が―――

 

 

「おーい!!ゲンちゃーん!!彩ちゃーん!!」

 

「おう日菜!!」

 

「日菜ちゃん!?」

 

その声と共に現れたのは日菜。

授業が終わってすぐの時間にも関わらず、他校の生徒が目の前にいることに彩は驚きを隠せない。

 

「日菜ちゃん!?何でもうここにいるの!?」

 

「うん!!だってイヴちゃんとゲンちゃんの決闘なんて面白そうだし!!待ちきれなくなっちゃったから麻弥ちゃんと一緒に途中で抜けてきちゃった!!」

 

「えぇ!?それって大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だって!!先生もアイドルの仕事と思ってたから」

 

麻弥と一緒に来たと話す日菜。

しかしその近くには麻弥の姿は無い。

 

「日菜。そういや、麻弥はどうしたんだ?」

 

「もしかして麻弥ちゃんを置いてきちゃったの!?」

 

「あれ?花咲川に着くときには一緒にいたはずなんだけど・・・?」

 

「日菜さん・・・。待って・・・!!」

 

「麻弥ちゃん!?」

 

日菜に遅れて息を切らしフラフラの麻弥が弦太朗達の元へと歩いてくる。

 

「麻弥ちゃん?大丈夫?」

 

「日菜さん・・・。ジブンもう限界っす・・・」

 

体力の限界を迎えた麻弥を彩が支える。

 

「麻弥!?」

 

「麻弥ちゃん?ごめんね」

 

「いいですよ。イヴさんの件も気になってましたし・・・」

 

「ねぇ、そろそろ中に入らない?イヴちゃんをいつまでも待たせるわけ行かないし・・・」

 

麻弥を支える彩の言葉を聞いた弦太朗は剣道場の扉に手をかける。

 

「それもそうだな・・・。うっし!!じゃあ行くか」

 

「はい」

 

「じゃあ開けるね。頼もー!!」

 

声を上げながら日菜が剣道場への扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、剣道場にイブの姿はない―――

 

「あっれ~。誰もいねぇぞ~?」

 

「日菜さん?なんで如月さんのマネしてるんですか・・・?」

 

「しかも日菜ちゃんも混ざってるし・・・」

 

「もしかして来るの早すぎたか?」

 

「イヴちゃんから呼び出していないなんてことはないと思うな~」

 

「そうですね。仕事でもイヴさんが遅刻するなんてことは滅多にないですからね・・・」

 

「それじゃあ、皆で待ってようよ。麻弥ちゃん支えるのも疲れるし・・・」

 

「彩さん申し訳ないです・・・」

 

「それもそうだね~。じゃあ端で座ってよ~」

 

そうしてアイドル達3人が弦太朗から離れると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブシドー!!」

 

「ん?うおぉ!?」

 

「「「イヴちゃん(さん)!?」」」

 

弦太朗の背後からイヴの言葉に振りむくがそこにあったのは刀を振り下ろすイヴの姿。

その姿を見た弦太朗が後ろへと下がるが、彼が着ていた学ランの一部が切り裂かれその刃は剣道場の地面に突き刺さる。

 

 

背後からの不意打ちという、彼女を良く知る彩たちはその”ブシドー”に反することを行ったイヴに驚きを隠せなかった。

 

不意打ちを外したイヴは床に刺さった刀を抜いて鞘に納め一言。

 

 

 

 

「ドーモ。キサラギ=サン。ワカミヤイヴです」

 

「おう。如月弦太朗だ。この学校全員と友達になる男だ」

 

 

 

 

 

イブの突然の名乗りに弦太朗もそれに合わせて言葉を返すが、彩たちは目の前も光景について行けない彼女たちからはツッコミの嵐が―――

 

 

「すっごーい。刀が床に刺さってたよ!!あれって本物だよね!?」

 

「なんで不意打ち後に挨拶して如月くんもそれに答えてるの!?」

 

「決闘する前にはアイサツをすると教わりました!!」

 

「自己紹介されたら返すのは当たり前だろ?」

 

何を当たり前のことを――。

そんなことを考えている2人に更にアイドルのツッコミが飛ぶ。

 

「でも、なんで挨拶前に不意打ちする理由にはなりませんよ!?」

 

「”アイサツ前のアンブッシュは一度だけ認められる。古事記にもそう書いてある。”と先ほどタエさんから教えてもらいました!!」

 

「ん?そんなこと書いてあるのか?」

 

「そんな訳ないよ~!!」

 

「そうなのか」

 

「そうだったんですか!?」

 

「「「えぇ~」」」

 

 

イヴはたえから教わった日本知識が誤っていたことに驚きを隠せないイヴとそんなことすら知らなかった弦太朗に他の3人は呆れた表情を浮かべる。

 

「あの、キサラギさん!!先ほどは申し訳ありませんでした!!」

 

「おう。気にすんな」

 

「ちゃんと謝るんすね」

 

「しかも、それを許しちゃってるし・・・」

 

イヴは不意打ちに対して謝罪し、それを受け入れる弦太朗に対して麻弥と彩も困惑気味だ。

 

 

 

「では、早速決闘を・・・」

 

「イヴちゃん!!ストップだよ!!」

 

「ヒナさん!!何で止めるんですか!?」

 

「だって、イヴちゃんだけが武器使うのはずるくない?それって”ブシドー”に反するんじゃないかな?」

 

「・・・それもそうですね。何かいい案がないか考えますから待ってください!!」

 

そう言うイヴはその場で何かを考え始める。

その間に彩たちに近寄る弦太朗はイヴという人間について質問を始める。

 

「なぁ、イヴっていつもあんな感じなのか?」

 

「大体はあんな感じだよ~。でも本当にあの刀本物だったんだね~」

 

「普段は礼儀正しいのにどうしちゃったんだろ・・・?」

 

「それもそうですね・・・。イヴさーん!!」

 

「マヤさん?どうしました?」

 

「気になったんですけど。どうして如月さんと決闘なんてすることにしたんですか?」

 

「・・・これです!!」

 

普段と違うと思った麻弥は何かを考えてるイヴを呼び、決闘をすることになった理由を質問する。

そこでイヴが出したのは問題になっていた週刊誌。

 

「この男がその人であることは皆さんから聞きました!!レンアイは自由ですが、色んな人に手を出すとはニッポンダンジにあるまじき行為です!!それもその相手がチサトさんとマヤさんだなんで許せません!!」

 

「おぅ・・・。それで?」

 

「しかも、この2人以外にも色んな人達とレンアイしていると聞きました!!これは由々しき事態です!!」

 

「あのーイヴちゃん・・・」

 

 

 

記事に対して憤慨するイブに対して彩がこの件の事実を伝える。

 

 

「なんですか?アヤさん」

 

「この記事の内容はデタラメなんだよ・・・?」

 

「えぇ・・・?」

 

「だって、バイクに乗ってたの麻弥ちゃんじゃなくてあたしだし」

 

「本当ですかマヤさん?」

 

「えぇ。その時は市ヶ谷さんの蔵でたえさんが買ったアンプのメンテナンスしてました。たえさん以外にも他のバンドのギターの方々が一緒でした」

 

「しかも千聖ちゃんの横にいるのって私だよ?」

 

「えぇ!?チサトさんの横にいるのアヤさんだったんですか!?気が付きませんでした!!」

 

「えぇ~そんな~!!」

 

「では・・・?」

 

「うん。勘違いだね~!!」

 

「そんなぁ・・・」

 

写真に載ってることをバンドメンバーにすら分からってもらえてなかった彩と今までの行動理由が勘違いであったことを告げられたイヴは落ち込む。

 

弦太朗は落ち込むイヴに近づいて手を伸ばす。

 

「なぁイヴ。ダチになってくれ」

 

「・・・勘違いであんなシツレイなことをした私とですか?」

 

「ダチのためにやった事だ。気にすんな!!」

 

「・・・はい!!よろしくお願いします!!ゲンタローさん!!」

 

そうして弦太朗はイヴと”友情のシルシ”をかわす。

その姿を見た彩と麻弥は安堵の表情を浮かべるが、日菜だけは何かを考えこんでいた。

 

弦太朗はイヴと共に彩たちの元へと歩くがその時――

 

 

「あぁああああああああああああ!!」

 

「うわぁ!?」

 

「キャア!!日菜ちゃん!?急に叫んでどうしたの?」

 

「ゲンちゃん!!昨日のあれの正体分かったよ!!」

 

「なんだって!?」

 

「日菜ちゃん本当なの!?」

 

「昨日?アヤさん達何かあったんでしょうか?」

 

「さぁ?私は分からないですね」

 

状況が分からない麻弥とイヴを他所に弦太朗と彩は日菜へと驚いた顔をして日菜に詰め寄る。

 

「日菜ちゃん!!昨日のアレ!!誰なの!?」

 

「それはね―――」

 

日菜がカメレオンのスイッチャーの名前を告げようとするが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜ちゃん。もういいわよ」

 

「えっ!?」

 

「やっぱりそうだったんだね。千聖ちゃん!!」

 

剣道場の入り口に現れたのは今日の授業に参加していなかった千聖。

その手には黒いゾディアーツスイッチが握られていた。

 

 




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偶・像・探・求-11 三重奏・天才ブシドーライダー

パスパレ篇投稿
次で終わりじゃ・・・

天才ちゃんは煽りスキルも高いんや・・・


「千聖さん・・・?」

 

「アヤさん達はどうされたんですか?そんなに怖い顔をして・・・?」

 

突然現れた千聖を前に警戒する弦太朗達を他所に、状況の分からない麻弥達はこの緊張した空気に戸惑う中、千聖は弦太朗を対してゴミを見るかのような視線を送る。

 

「千聖。それを捨てろ!!」

 

「ねぇ・・・なんでみんなそんなゴミと一緒にいるのかしら?アイドルとしてのイメージが下がるわよ?」

 

弦太朗の事をゴミとまで言い放った千聖。

千聖から出た言葉で麻弥たちが困惑する中、日菜だけは笑いながら千聖に反論する。

 

「そのゴミよりも最低なことしてる千聖ちゃんが言えることじゃないと思うけどな~。ゲンちゃんと一緒にいるよりもよっぽど不味いことしてるんじゃない?」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

「・・・これはどういう状況なんですか?」

 

「ジブンにもわかりません・・・」

 

「そう言えば日菜ちゃん?どうして私って分かったの教えてくれるかしら?」

 

「・・・歩き方だよ?昨日ゲンちゃんに向かってた時は何とも思わなかったんだけどさ。でも千聖ちゃんはあの時イヴちゃんのマネして逃げた時になんかモヤモヤ~ってしたんだよね」

 

「・・・それで?」

 

「それでモヤモヤ~ってしてたけどさっきのイヴちゃんが歩くの見た時に、昨日のあれは千聖ちゃんと歩く姿が一緒って分かったんだ~!!」

 

「そうだったの・・・。これからは気を付けるわね?」

 

日菜の説明を受けて千聖はそれに答える。

その2人は笑顔を浮かべている。

しかし同じ笑顔ではあるがその性格がまるで異なっていた。

一方は勝ち誇ったような笑い、もう一方は誤魔化すかのような笑いをその顔に浮かべる。

 

「千聖ちゃん何でそんな風に悔しそうな顔で笑ってるのかな~?」

 

「日菜ちゃん・・・?馬鹿にしてるのかしら?」

 

「千聖ちゃんもゲンちゃんを馬鹿にしてるんだからお相子じゃないかな~」

 

「やっぱり、日菜ちゃん。芸能人としての自覚がないわね・・・」

 

日菜の口撃を前に千聖の笑顔が怒りの表情に変わっていく。

 

「やっぱり、そいつ消したほうが私のためね・・・」

 

「へぇ~”私のため”ってことはパスパレはどうでもいいってこと?」

 

「私はパスパレでもあるけど女優でもあるの。芸能人に大切なのはイメージなの・・・だから・・・!!」

 

千聖の声に反応するように手に持っているスイッチがラストワン状態へとその形を変える。

 

「私の・・・いえ、私達のために・・・消えてちょうだい?」

 

その言葉と共に千聖はスイッチを押してカメレオン・ゾディアーツへ変身し、人間の身体を捨てる。

 

「チサトさん!?」

 

「なんなんですかあれ!?」

 

「なんでなの千聖ちゃん!?」

 

 

 

 

イヴ達の焦りを他所に、日菜は目の前のカメレオンから視線を外すことなく弦太朗へと声を挙げる。

 

 

「千聖ちゃん・・・。ゲンちゃん!!後はお願い!!」

 

「おう!!」

 

「させないわよ!!」

 

弦太朗はドライバーを装着しようとするが、カメレオンが弦太朗へ向けて舌を伸ばして攻撃が―――

 

 

 

 

 

「っ!?ブシドー!!」

 

届くことは無かった。

イヴが弦太朗の前に躍り出て、自身の持っている刀でカメレオンの舌を斬り付ける。

その舌が切れることはなかったが攻撃を弾く事には成功する。

 

「イヴさん!?何やってるんですか!?」

 

「イヴちゃん!?邪魔しないで!!」

 

「イヴちゃん。後、5秒だけお願い!!」

 

「はい!!」

 

イヴは日菜からの無理難題を理由も聞かずに応じ、カメレオンへと斬りかかる。

 

「なんでみんなしてその不良を庇うの!?」

 

「よくわかりませんがヒナさんがゲンタローさんを頼ったんです!!ですからそれまでは守って見せます!!」

 

「どいて!!」

 

「モンドウムヨー!!カクゴ!!」

 

イヴがカメレオンへの攻撃を繰り出す中、弦太朗は変身の構えをとる。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

「イヴちゃん!!下がって!!」

 

日菜の声と共に弦太朗の後ろまで飛び退くイヴ、その視線の先では弦太朗はフォーゼへと変身していた。

 

そしていつもの――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙・・・」

 

「「キターーーーッ!!」」

 

フォーゼと共に日菜が声を挙げ、フォーゼはカメレオンと対峙する。

 

「ゲンタロ―さん!?」

 

「如月さんまでなんなんですか!?」

 

「なんで日菜ちゃんも一緒に叫んでるの!?」

 

「その方がるんっ♪って来るからだよ!!」

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

後ろで繰り広げられるパスパレの会話を他所に弦太朗はカメレオンへと拳を突きつける。

それと同時にフォーゼはスイッチを交換する―――

 

 

しかし、そのスイッチの起動前にカメレオンが目の前から姿を消したことに見ていた彩たちは困惑する。

 

「えぇ!?」

 

「チサトさんが消えてしまいました!?」

 

「どうなってるんですか!?」

 

「やっぱり姿を消すんだね・・・」

 

消えたカメレオンを見つけるためにフォーゼは周囲を見渡すが、カメレオンの姿はなく室内は静まり返る。

 

カメレオンの姿が見えない中、パスパレのメンバーから声が上がる。

 

「逃げたんでしょうか・・・?」

 

「いえ・・・それはないと思うよ・・・」

 

「千聖さんの身体があそこに転がってるのもなんか不自然ですね・・・」

 

「千聖ちゃん!!」

 

彩は麻弥の言葉を聞いて千聖の身体の方へと駆け出す。

しかし、彩は千聖の元へたどり着くことはなくその体は突如として宙へと浮いた。

 

「きゃあああ!!」

 

「彩さん!?」

 

宙に浮いた彩の身体は突如として空中を移動し、姿を現したカメレオンに捕らえられる。

 

「彩ちゃん?そんな不用心なのはアイドル失格よ?」

 

「彩!?このっ!!」

 

「うわぁ!?」

 

フォーゼの攻撃に対して彩を盾にすることでフォーゼの動きを止めるカメレオン。

それを見たイブは刀を持ってフォーゼとは別の方向からカメレオンへと接近する。

 

「アヤさん!!ブシドー!!」

 

「うぉら!!」

 

イヴの振り下ろされた刀とフォーゼの拳がカメレオンへと向かうが―――

 

「「きゃあ!!」」

 

「またか!!」

 

フォーゼには彩を盾にして攻撃を止め、イヴの刀は舌で攻撃を止めてそのままイヴを麻弥たちの元へと吹き飛ばす。

その衝撃によって刀を根元からへし折られる。

 

彩を盾にされて手が出せないフォーゼと攻撃の手段を失ったイヴ。

カメレオンは他の人間には目もくれずに舌で一方的にフォーゼを攻撃する。

 

「千聖ちゃん!?どうして!?もうやめてよ!!」

 

「・・・」

 

カメレオンは彩の言葉にに無言を貫く。

 

「彩助けてやるから待ってろ!!」

 

フォーゼの言葉に怒りを覚えたカメレオンは舌で先ほど叩きおったイヴの刀を拾い上げ、彩の首へと突きつける。

 

「チサトさん!?」

 

「千聖さん!?」

 

「そうするんだね千聖ちゃんは・・・」

 

「ねぇ千聖ちゃん!!どうして!!」

 

パスパレ達の言葉に耳を傾けないカメレオンはそのままの状態でフォーゼにある要求をする。

 

「彩ちゃんをこれ以上危ない目に会わせたくなければ、今すぐに変身を解きなさい」

 

「くそ・・・」

 

「如月くん!!ダメ!!」

 

「彩ちゃんは黙ってなさい!!」

 

「ぐぅ・・・!!」

 

彩の言葉にカメレオンは自身の手で彩の首を絞め上げる。

その光景を前にフォーゼはドライバーへと手をかけるが、その横から真剣な表情の日菜がフォーゼへと耳打ちをする。

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん。今から選手交代だよ・・・」

 

そう言ってフォーゼの前に立った日菜はカメレオンに余裕たっぷりの笑みをカメレオンへと向ける。

しかし、彩が見た日菜の目は女優として活躍していた千聖の目つきにそっくりなものだった。




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偶・像・探・求-12 女優C/何度でもルミナス

投稿です。

パスパレ篇終わり!!
週刊誌ネタは最後まで引っ張ってしまった・・・
こんなことになったもの全部丸山彩ってキャラの仕業なんだ・・・

キーアイテムは胃薬



余裕の笑みを浮かべた日菜はフォーゼの前に立つとカメレオンへと言葉をぶつけていく。

 

「今の千聖ちゃんってちっとも面白くないし、女優失格じゃない?」

 

「・・・女優失格ですって?」

 

女優としての誇りを傷つけられたカメレオンは反射的に日菜の言葉に反応してしまう。

 

「昨日逃げた時だってイヴちゃんの演技・・・ごめん!!あれは演技じゃなくてモノマネだったね!!」

 

「・・・」

 

「しかもその下手なモノマネのせいで、正体見破られるなんて女優としてのどうなの?彩ちゃんのほうがもっとまともに演技できるよ?」

 

「日菜ちゃん!?何言ってるの?」

 

「アヤさんの言う通りです!!怒らせてどうするんですか!?」

 

千聖を怒らせるような発言を繰り返す日菜に対して、イヴと彩は困惑するが日菜はあっけからんとした様子で応える。

 

「イヴちゃん違うよ?本当の事しか言ってないよ?」

 

「・・・本当のことですって!?」

 

日菜の言葉にカメレオンは怒りを露にするが対する日菜はそんな様子に構うことなく続ける。

 

「それに変身した姿がカメレオンってのは最高に面白いよ」

 

「日菜さん!?どういうことですか・・・?」

 

「ほら、色んな演技できる人を”カメレオン女優”って言うけどさ。今の千聖ちゃんは女優としてダメダメだし、周りの目ばっかり気にしてる千聖ちゃんがカメレオンの姿って最高の皮肉だよね!!」

 

「日菜ぁあああああああああああああ!!」

 

「きゃあ!!」

 

「・・・その瞬間を待ってたよ!!」

 

日菜の言葉に耐えかねたカメレオンが彩を突き飛ばして日菜へと飛び掛かる。

それを待っていた日菜はカメレオンの行動と共にフォーゼの後ろへと走り出す。

 

「ゲンちゃん!!」

 

「おう!!」

 

日菜の言葉に応えるべくフォーゼは交換していたスイッチを起動する。

 

――――ペンON――――――

 

「おらぁあああ!!」

 

フォーゼはスイッチの起動と共に右足に精製された筆をカメレオンへと振り上げる。

振り上げた筆はカメレオンへと直撃させるが―――

 

「おらおらおらー!!」

 

フォーゼは足は止まらない。

連続で筆を振り、カメレオンの身体を黒く染め上げ、最後はカメレオンの顔に筆を直撃させて顔まで黒く染める。

 

「こんだけやればもう隠れらんねぇだろ!!」

 

「よくも・・・・女優の顔にぃ!!」

 

「次はこいつらだ!!」

 

フォーゼはペンを解除して、スイッチを交換してステイツチェンジを行う。

 

――エレキON――――――――

――――ステルスON――――――

 

フォーゼはエレキステイツへとその姿を変える。

その姿を見たカメレオンはフォーゼへと飛び掛かるが―――

 

 

 

 

 

 

 

「よっと!!」

 

右足を振り上げると今度はフォーゼの姿が消える。

 

「今度はゲンちゃんが消えた!!」

 

「目には目を。ですね!!」

 

その間にフォーゼはカメレオンの背後から姿を現すと、ロッドでカメレオンの背後から電流を流し込む。

 

「このぉ!!卑怯者がぁ!!」

 

「さっきまで千聖ちゃんも同じようなことしてたよね・・・?」

 

カメレオンが振り返って舌を伸ばすが、その前に再びフォーゼは消えて背後から攻撃しては消える。

 

「また後ろでしょ!!」

 

カメレオンはそのまま腕を後ろに振るうが、その腕に何かが当たった感触はない。

 

「おらぁ!!」

 

「あぁああ!!」

 

フォーゼは姿を消しただけでその場から動かず、自ら背中を向けたカメレオンの背後を攻撃する。

 

「ゲンタローさん!!今です!!」

 

「よし!!」

 

イヴの叫びに応えるようにロッドにエレキスイッチを装填し、リミットブレイクを発動する。

 

 

 

―リミットブレイク―

 

ロッドからの音声と共にフォーゼはカメレオン目掛けて走り出す。

 

 

「ライダー100億ボルトブレェェェイク!!」

 

すれ違いざまにロッドとカメレオンの身体へと打ち付けてフォーゼはそのまま駆け抜ける。

そして、フォーゼが停止するとカメレオンは声も上げずに、その場で爆発する。

 

「ゲンタローさん!!アッパレです!!」

 

「よっと!!おう!!あんがとなイヴ!!」

 

 

そのイヴの言葉とともにフォーゼは手元に飛んできたゾディアーツスイッチを切ると、変身を解除する。

日菜たちは弦太朗の姿を確認すると、千聖の状態について質問する。

 

「ねぇゲンちゃん?千聖ちゃんってどうなってるの?」

 

「スイッチも切ったし、もう起きるだろ?」

 

「如月さん!!本当ですか!!」

 

「千聖ちゃん!!」

 

日菜以外が千聖へと駆け寄ると同時に千聖は目を覚ます。

 

「みんな・・・?」

 

「千聖ちゃん!?大丈夫!?」

 

「彩ちゃん?」

 

「チサトさん!!」

 

「千聖さん大丈夫ですか!?」

 

「イヴちゃんに麻弥ちゃんも迷惑かけたみたいね・・・」

 

「チサトさーん!!」

 

4人で戯れている光景を遠巻きに見る日菜に弦太朗は話しかける。

 

「・・・うん!!千聖ちゃん。さっきよりも今のほうがるんっ♪ってするよ。」

 

「日菜。お前は行かなくていいのか?」

 

「そうなんだけどね~。怒らせるための演技とは言え、あそこまで酷いこと言った後だとちょっと行きにくいかな~。」

 

ゾディアーツであった千聖を怒らせて彩から引き離すためとは言え、散々千聖を侮辱してしまった日菜は罪悪感で4人の輪に入ることを躊躇う。

 

「あの・・・日菜ちゃん・・・」

 

「・・・千聖ちゃん?」

 

「さっきの事は気にしてないわよ?」

 

「ほんと・・・?」

 

「えぇ。あそこで怒りを抑えられなかったんだから女優失格よ?」

 

「千聖ちゃん、さっきの絶対気にしてるよね!?」

 

「彩ちゃん?余計なこと言わなくていいわよ?イヴちゃん達も・・・ね?」

 

「えぇぇ!!」

 

「すっごい気にしてるじゃないですか・・・」

 

「あははー!!うん!!やっぱりそっちの千聖ちゃんのほうがるんっ♪ってする!!」

 

普段のパスパレに戻った5人に遠目で見ていた弦太朗が歩み寄る。

 

「千聖」

 

「えぇっと如月くん?なにかしら?」

 

先ほどまで戦った人物を前に複雑な表情を浮かべる千聖は応える。

 

「芸能人としての本気をしっかりと見させてもらったぜ。さっき戦って本気も見せ合った!!本気を見せ合えばダチになれる!!だから俺とダチになってくれ」

 

そういうと弦太朗は千聖へと手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?嫌よ?」

 

「えぇぇぇ!?どうして千聖ちゃん!?」

 

「差し伸べられた手を取らないのはブシドーに反しますよ!!」

 

「千聖ちゃん。流石に空気読めてないと思うな~」

 

「ジブンも日菜さんと同意見です」

 

空気を読まない千聖の発言に驚きの声を挙げるパスパレ一同。

その反応を楽しむように千聖はその理由を語る。

 

「だって彼。私と友達になることを一度断ってるもの」

 

「えぇぇ!?」

 

「どういう事ですかチサトさん!?」

 

「彼を利用するために友達になって近づこうとしたらバレて断られちゃったの」

 

「千聖さん・・・。利用するってバレたら断られますよ・・・」

 

「千聖ちゃん。流石にそれはないかな~」

 

皆の反応を目にした千聖は微笑む。

そして千聖は手を伸ばしたまま固まった弦太朗の手を取る。

 

「私と関係を築きたいならもう一度私を本気にさせてみなさい?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「もう・・・鈍いんだから・・・。友達(仮)ってところかしら?」

 

「おう!!よろしくな!!」

 

「えぇ・・・」

 

こうして千聖は弦太朗と友情のシルシを交わして、剣道場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、放課後―――

 

弦太朗はパスパレのメンバーに呼び出されてCiRCLEのスタジオでパスパレメンバーと集まっていた。

 

「なぁ、千聖?」

 

「何かしら?弦太朗?」

 

「なんでここに集まってるんだ?」

 

「決まってるじゃない。これの対応よ」

 

そう言って取り出したのはこの問題の中心であった週刊誌。

 

「ねぇ千聖ちゃん?それの対応ってどうするのかな?」

 

「簡単よ。撮影ってことにすればいいのよ」

 

「??どういうことですかチサトさん」

 

「ほら、イヴちゃん達以外は3年で卒業するじゃない?この写真は卒業記念映像の撮影って事で誤魔化すのよ!!」

 

「ねぇ・・・。千聖ちゃん?なんか頭悪いこと言ってない?」

 

「日菜さん。あの千聖さんの目は本気ですよ・・・」

 

「そういう事にしておけば、あの週刊誌に謝罪文を載せさせられるし誤解も解けていいんじゃないかしら?ね、弦太朗?」

 

「そういうもんなのか?」

 

「えぇ」

 

日菜たちは目の前の千聖の変わりように驚きを隠せない。

その光景を見た彩は飲み物を買うと言ってスタジオを離れる。

不審に思った麻弥はジブンも飲み物を買うと言って彩を追う。

 

そして2人になった麻弥は彩へと声をかける。

 

「あの・・・。彩さん?どうかしたんですか?」

 

「うえぇ!?麻弥ちゃん!?なんでもないよ!?」

 

「なんか様子がおかしいですよ?もしかして・・・」

 

そうして麻弥は自身のスマホを取り出して、先日弦太朗と2人で食事していた写真を見せる。

 

「ウェ!?どうしてそれを・・・」

 

「先日に少々ありましてね・・・」

 

その写真を見せられた彩は顔を赤らめながら目の前の麻弥に質問する。

 

「あのね。さっきの千聖ちゃん達見てたらなんかモヤモヤしたんだけど、これって恋・・・なのかな!?」

 

「うえぁああああ!?彩さん!?何言ってるんですか!?」

 

「うん!!そうだよね!!千聖ちゃんは凄いけど負けてられないよね!!私頑張るね!!」

 

「あの・・・彩さん?」

 

「じゃあ私先に戻るね!!」

 

彩の突然の豹変に対して言葉を失う麻弥。

そこに練習のためにCiRCLEへとやってきたポピパとAfterglowのメンバーと遭遇する。

 

「あれ?麻弥先輩?どうしたんですか?」

 

「あぁ宇田川さん。うちも2人やられました・・・」

 

「やられた・・・?やっぱり彩さんちょろかったじゃん!!」

 

「行くよ!!つぐ!!ひまり!!」

 

こうしてパスパレのスタジオ内は地獄絵図のような光景とそれを見て笑う日菜という異常な空間が形成されていた。

 

「なんでしょう。胃が痛くなってきました」

 

「沙綾の事考えたら私も・・・」

 

「ほら有咲も麻弥先輩もアタシの胃薬飲むか?」

 

「どうも・・・」

 

「ありがとう巴さん」

 

こうして胃を痛めてる3人を他所にパスパレ3年生の卒業記念映像にガールズバンドの関係者が多く参加することになり、彼女たちの胃にダメージを与えてくることを彼女たちはまだ知らない。

 

 

 

 




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次章:ポテ・・・青薔薇
その前に小ネタ挟みます

弦太朗の呼ばれ方(呼び)パスパレ篇

彩:如月くん
千聖:弦太朗
日菜:ゲンちゃん
麻弥:如月さん
イヴ:ゲンタローさん

カウント・the・スイッチ
22/40 (バガミール君?君はフレーバーで活躍してないから今回はなしよ!!


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オマケ時空篇2- 分岐世界と彼女たち
平・行・世・界 -可能性世界線での話


本編没ネタ
本筋とは全く関係ありません!!←ここ重要!!

前半はハロハピ篇でアンケがミッシェルルートだった時の物です
もちろん小ネタ用にネタになるように変えてますが・・・

後半に至っては自分でも書いてた記憶がないです。
多分例のワクチン打って頭がおかしくなってた時に書いてたと思われるので戒メロンのために載せておきましょう



―――大・熊・騒・動 ミッシェルルート篇

 

 

「やっぱり最初はあんたをズタズタにしてあげる!!」

 

アルツメイヤーは花音に向かって爪を振り降ろす。

花音は恐怖のあまり、目を閉じる。

 

 

 

しかし、そんな花音たちの元へ1つの影が叫びとともに近づく―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「花音さんから・・・離れろぉおおおおお!!」

 

声の正体は本物のミッシェル―――美咲だった。

ミッシェルは走ったままアルツメイヤーへと体当りして、振り下ろされた爪は花音に当たることなく空を切った。

 

「美咲!!それは・・・」

 

「ただの着ぐるみです!!それでもこの人を止めるならこれじゃないとダメなんです!!」

 

「美咲ちゃん!?」

 

「如月さん!!花音さんとこころ達をお願いします」

 

そうしてミッシェルはアルツメイヤーを引き連れて、弦太朗達の元から離れて行った―――

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

ミッシェルとアルツメイヤーとの戦闘は能力の差からミッシェルが次第に押されていった。

 

「そんな着ぐるみじゃないとなにもできないあんたが!!」

 

「うわぁ!!」

 

アルツメイヤーに吹き飛ばされてミッシェルは地面を転げまわる。

 

「あのお嬢様や薫様みたいな選ばれた人間でもないのに"人を笑顔に”なんて笑わせるんじゃないよ!!あんたじゃ私を止められるわけがない!!」

 

その言葉を聞いたミッシェルはゆっくりと立ち上がり、アルツメイヤーへと拳を振るう。

アルツメイヤーは右腕を前に出して自身を守るがミッシェルはお構いなしにその上から拳を振り続ける。

 

「あんたはあの着ぐるみの力を借りていただけ、今は何の力もない」

 

しかし、ミッシェルの拳は止めずに振り続ける。

その拳は次第に力を増していき、少しずつアルツメイヤーの身体を後ろに押していた。

 

「たとえ、こころ達みたいに特別じゃなくても!!誰かを笑顔に出来るはずです!!」

 

ミッシェルは叫びながらどんどん力を増した拳を振り続ける。

 

先ほどの病院での出来事は彼女の自信になり、それは彼女の身体の底からどんどんと力が溢れてくる。

 

「あたしにミッシェルの資格があるならぁ!!」

 

力を増していくミッシェルの拳はアルツメイヤーの爪に集中し、

そしてその時が来た―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦えないこころたちの代わりにあたしが戦う!!」

 

渾身の力で振り抜いた拳はアルツメイヤーの右腕の爪を全て根元から叩き折った―――

ミッシェルはその折れた爪を両手で拾い上げ、そのままアルツメイヤーに切りかかる。

 

 

 

アルツメイヤーの爪が今、ミッシェルの手によって二振りの剣となって自身を追い詰めていた。

 

ミッシェルから振るわれる剣はアルツメイヤーの身体を切り裂き、1振り毎に少なくないダメージを与えていく。

 

アルツメイヤーがミッシェルの攻撃に体勢を崩す。

ミッシェルはその隙を見逃さず、片手に持っていた剣の1つを投げ捨て、1本を両手に構えて飛び上がり―――

 

 

 

 

 

 

 

「ウェェエエエエエイ!!」

 

そのままアルツメイヤーに対して渾身の唐竹割り―――!!

直撃したアルツメイヤーはその場に崩れる。

 

 

そして、その現場にフォーゼ達と、どこからかやってきた巴――

その横には人型に変形したダイザ―

 

「巴!!それで俺とミッシェルを!!」

 

「任せろ!!」

 

巴はダイザーに乗り込み、ミッシェルと弦太朗を掴むとアルツメイヤーに投げつける。

 

投げられたフォーゼ達はキックの体勢を取り、フォーゼはリミットブレイクを発動する!!

 

―エレキ・ドリル・リミットブレイク―

 

「「ライダーミッシェル電光ドリルキィィィィィック!!」」

 

ミッシェルとフォーゼのキックはアルツメイヤーの身体を貫いてその体を爆散させた。

 

フォーゼ達は見事に着地し―――

 

「決まったぜ!!」

 

「えぇ・・・!!」

 

「2人とも投げられただけだよね・・・」

 

「まぁ、終わったし良いじゃないですか」

 

 

ミッシェルとフォーゼへのツッコミをした花音―――

その言葉に対してダイザ―の中から巴が答えると、外からひまり達が駆け寄ってくる。

 

その場にいたものは気を失ったままの薫を除き全員が眩しい笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――大・熊・騒・動 超変身ミッシェルルート篇

 

変身したフォーゼはアルツメイヤーへと飛び掛かるが、客席にいたミッシェル達がフォーゼを外へと追いやりチャペルの扉が閉められる。

 

「如月くん!?」

 

チャペル内にはアルツメイヤーと花音、そして気絶したままの薫が取り残される。

 

「邪魔者はいなくなった・・・。薫様に近寄った罪は、あんたの命で償え!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

花音は恐怖によってその場に崩れ堕ち、それでもその場を逃げようと必死に手足で地面を這って逃げ出そうとするが、アルツメイヤーの左腕に捕まり花音は首元掴まれて持ち上げられる。

 

「うぅ・・・」

 

「気持ち悪い・・・」

 

「きゃああ!!」

 

アルツメイヤーはそのまま首を持って花音をベンチへと投げつける。

花音は痛みに耐えかねて地面を倒れ伏している。

 

「ゴミムシみたいに這いつくばってとってもお似合いね!!でも、つまらないからもう殺してあげる!!」

 

「っ・・・!!」

 

 

花音は振り上げられる右腕の恐怖に耐えきれなくなり、その場で目を閉じる。

しかしその腕は彼女に当たることはなかった。

 

チャペルの扉を突き破って入ってくる1台のバイク。

 

そのバイクはその勢いのままアルツメイヤーへと体当りをすると、運転手はバイクから飛び降りる。

体当りされたアルツメイヤーは運転手のいなくなったバイクごと後ろに飛ばされてバイクはそのままアルツメイヤーを巻き込んで爆発し、その爆炎はチャペルを燃やし始める。

 

バイクの運転手は花音へと駆け寄るとヘルメットを外す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その正体は美咲―――

 

「美咲ちゃん!!何しに来たの!?」

 

花音の問いかけと同時にアルツメイヤーが花音へと飛び掛かるが美咲は花音を抱えてそのまま転がりアルツメイヤーの攻撃を避ける。

 

「戦います!!あたし!!」

 

「何言ってるの!?早く薫くんと逃げて!!」

 

アルツメイヤーは攻撃の対象を美咲に変え、襲い掛かるが美咲はそれを避けていく。

 

「こんな奴らのために!!これ以上誰かの涙は見たくない!!みんなに笑顔でいてほしいんです!!」

 

しかし、美咲はアルツメイヤーに捕まり、そのまま花音の横へ投げ飛ばされる。

花音は美咲の腕を掴もうとするが、美咲の腕は花音の手をすり抜けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから見ててください!!あたしの!!変身!!」

 

その言葉と共に窓を突き破ってミッシェルの顔が飛んでくる。

それは美咲の頭上で静止すると、美咲はそのままミッシェルの頭を被る。

 

美咲がそれを被ると美咲の身体はミッシェルの身体へと変わっていく。

 

花音の目の前で美咲がミッシェルへと文字通り”変身”すると、花音と薫を抱えて燃え盛るチャペルから外へと飛び出す。

 

それに遅れてアルツメイヤーも燃えるチャペルから飛び出すとミッシェルへと向き直る。

 

「ここからはあたしのステージです!!」

 

そうしてミッシェルとアルツメイヤーは戦闘を開始した―――

 

「ふえぇぇぇぇ・・・」

 

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
ミッシェルルート篇
これってネタに振り切ったら殆どが剣のネタ・・・


超変身篇
俺に質問するな!!
チャペルにバイクで突っ込んで大炎上は平成ライダー伝説の始まりだと思ってる。
後はWの炎上してる園崎家のシーンはヤバい
どっちも1発撮りだしね・・・


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特・別・訓・練-1 史上最強の女子高生・・・?

はい。
小ネタ小ネタ。
特撮鉄板の理不尽特訓ネタ・・・

ナンバリングってことは・・・後は分かるね・・・?

注意)本編には全く関係ありません!!



~~~~小ネタ6:特別訓練

 

とある休日の羽沢珈琲店。

つぐみが働いているその場所に巴とイヴ・美咲が同じテーブルに着いていた。

 

「やっぱりアタシ達じゃどうしようもないのか・・・」

 

「あたしもミッシェルがないとダメですからね・・・」

 

「刀を折られてしまった私もブシ失格です・・・」

 

このテーブルについているもの――

それはある程度の戦闘能力を持った人間がこのテーブルに着いていた。

 

「やっぱり鍛えないとダメだな・・・。美咲までとは言わないから少なくとも如月が来るまで蘭達とあこを守れるくらいには・・・」

 

「私もトモエさんがいうように、パスパレの皆さんを守れるくらいには強くなりたいです!!」

 

「あの・・・。私もミッシェルかあのロボット乗らないとまともに対抗できませんからね・・・?」

 

 

 

重くなる空気を巴の一言が打ち破る―――

 

「よし!!そうなったら特訓だ!!」

 

「トックンですか?」

 

「そうだ!!」

 

「宇田川さん?どこでそんなことするの・・・?」

 

 

美咲の言葉を待っていたかのように店の扉が開く。

 

「奥沢様。とっておきのお話をお持ちいたしました」

 

「黒服さん達。どこで話聞いてたんですか・・・?」

 

「これから私達の訓練合宿を行いますので、もしよろしければ皆さまも参加されますか?」

 

「本当にどこで話を聞いてたんですか・・・」

 

「アタシは参加します!!」

 

最初に食いついたのは巴。

これまで2体のゾディアーツと戦闘を行っていた巴はそのどちらにも成すすべなくやられていた。

その経験が彼女が参加を決意させた。

 

「私も参加したいんですが、仕事が・・・」

 

「そんなこともあろうかと、若宮様のスケジュールはすでに抑えております」

 

「でしたら参加させていただきます!!」

 

弦巻関係で既に予定が抑えられていたイヴも参加を決意する。

 

「あの~それっていつからですか?」

 

「今からです」

 

「はい?」

 

「今からです。もう学校には連絡して公欠扱いになっております。必要なものは既にこちらで準備しておりますのでまいりましょう」

 

「「はい!!」」

 

「あの!!私の意見は~!?」

 

こうして3人は黒服に連れられて黒服の訓練合宿に参加することになった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

山奥での特訓の話を聞きつけた日菜、千聖、花音、モカ、蘭はその様子を確認すべく、木が生い茂る山を登っていた。

 

 

「ねぇ千聖ちゃん!!この辺でイヴちゃん達が特訓してるんだよね?」

 

「えぇ・・・そのはずよ?・・・花音大丈夫?」

 

「うん・・・。千聖ちゃんに比べたら全然大丈夫だよ」

 

「こころの家って本当にすごいね・・・。こんな山まであるなんて・・・」

 

「でも、本当にこんな山奥でトモちん達がいるんですか~」

 

「うん。黒服さん達が言ってたから間違いないと思うけど・・・」

 

「・・・ねぇ、何か聞こえない?」

 

「これって車のエンジン音ね・・・」

 

「いってみよー!!」

 

「ちょっと!!日菜ちゃん!!」

 

いくら歩いても景色は全く変わらない中、かすかに聞こえた車の音を頼りに歩き始める一同。

歩き進めるとエンジン音は次第に大きくなる。次第に木が少なくなるとそこで一同が見たものは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「巴!?」

 

「生身で車に追いかけまわされてますなぁ・・・」

 

「これはるんっ♪ってしないなぁ・・・」

 

そこにあったのは巴がそれぞれのジープに追いかけまわされている光景だった。

その光景を見ているとジープから怒声が巴へと飛んでいく。

 

『逃げるんじゃない!!ジープに向かってこい!!』

 

「はぁ!?」

 

蘭は驚きの声を挙げ、目の前の特訓に言葉を失っている一同の前に黒服が現れる。

 

「皆さま。長い登山お疲れさまでした」

 

「ねぇ・・・。あれって?」

 

蘭は目の前の巴の光景を指さして質問する。

 

 

 

「本来はジープから逃げて体力をつける訓練でしたが、訓練中に宇田川様が無意識にジープを殴り飛ばしましたので、今はジープに立ち向かう訓練になります」

 

「トモちん・・・いつの間に人間やめちゃったの・・・?」

 

巴の訓練にドン引きする一同に意を決した千聖が声を上げる。

 

「あの・・・イヴちゃんはどんな訓練を・・・?」

 

「若宮様は岩を切る訓練を開始しております」

 

「は?岩を切る・・・?」

 

どうやらイブは岩を刀で両断する―――という訓練をしているらしい・・・。

現実離れしすぎた訓練に言葉が出ない一同に黒服は説明を続ける。

 

「奥沢様はあちらに・・・」

 

指さす視線の先にはクレーンで吊るした巨大な鉄球をサンドバッグ代わりにしているミッシェルの姿があった。

 

「あの鉄球は1トン近くあります。あれを砕くのが訓練の目標になります」

 

「ふえぇ・・・鉄球を・・・?」

 

恐怖を超えた何かを感じる一同に黒服はあることを思いつく。

 

「でしたら、軽いものを皆様に体験して貰いましょう」

 

「は?ちょっと待って」

 

「それはるんっ♪ってしないかな~」

 

「ふえぇ~!!」

 

こうして黒服に捕まった一行は様々な訓練を実施した。

 

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

「そちらのノートに左手で三角、右手で四角を同時に書き続けてください」

 

「あぁ~!!もう!!また間違えた!!」

 

「これは単純だけど難しいですな~」

 

「両手で別々の物を描くってなんかモヤモヤする~!!」

 

「これって意外と簡単だね!!」

 

「花音・・・!?」

 

 

 

 

 

 

「次は下の水を掬って、上の瓶に移し替える訓練です」

 

「これ映画で見たことある奴だけど・・・」

 

「腹筋の訓練って言うのは分かるけど吊るす意味あるんですかね・・・」

 

「ふえぇ・・・。足元の瓶に水が入れられないよ~!!」

 

「きついですな~」

 

「でもさっきよりは楽しいね」

 

 

 

 

 

 

 

「次のチソ訓練はボールに書かれてる数字を見てわけるそうよ」

 

「ふえぇ・・・早いよぉ!!」

 

「見えない・・・2かな?・・・全然違った・・・」

 

「蘭~ちゃんと見ないとだめだよ~。5~。おぉ~当たってる~」

 

「モカちゃん見てたらるんっ♪ってきたー!!サン!!・・・やったー当たったよ!!千聖ちゃん!!」

 

「なんで2人は素手でボール捕ってるのよ・・・」

 

「黒服さんに聞いたらこれ160キロ出てるんだって・・・」

 

「「えっ・・・?」」

 

「こうなったら、もう全部やるしかないね!!千聖ちゃんも運動苦手なんだから練習しないとね!!」

 

「えっ!?日菜ちゃん!?」

 

「蘭にはもっと体力つけてもらうのもいいですねぇ~!!」

 

「ちょっとモカ!?」

 

「そう言うと思っていました」

 

「ふえぇ・・・!?」

 

 

こうして蘭達も合宿に途中参加させられる羽目になるのだった。

 

 

――――――

 

 

 

 

訓練合宿終了後、羽沢珈琲店にて―――

 

「あれ蘭ちゃんに日菜先輩たち!?みんなどうしたの!?」

 

「無理・・・。死ぬ・・・」

 

「モカちゃんも限界・・・」

 

「えぇ!?ちょっと2人とも!?」

 

「あたしももう無理だよ・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

「・・・」

 

「花音さんに日菜先輩!?千聖さん生きてますか!?」

 

途中参加させられた一同は虫の息同然の状態で店内に入ってくるが、最初から参加していた3人は何食わぬ顔で店内に入ってくる。

 

 

 

「つぐ。コーヒー3杯よろしく!!」

 

「巴ちゃん!!イヴちゃんも何があったの!?」

 

「黒服さんと訓練合宿させられまして・・・。そこの5人も後から参加してしまって・・・」

 

「えぇ!!とってもいい経験でした!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・。皆・・・訓練ってなにしてたの・・・」

 

明らかな差に恐怖を覚えたつぐみは恐る恐る質問するが・・・。

 

「向かってくる車を殴り飛ばしたり、崖から降ってくる岩を避けたりしてたな!!最後のほうが岩は砕いていいっての言われたのは楽だったな!!」

 

「私は葉の着いた若竹を素振りで葉を全て振り落とす。という訓練をしてました!!その後は木を切ってから岩を切ってました!!」

 

「私はミッシェルに入って木を殴り倒すとこから始まって、次は生身でそれをやったら、最後はミッシェルで鉄球を破壊してましたよ・・・。しかも最初の時に戸山さん達に見られるし・・・」

 

「後あれな!!蘭達のやってた流れるプールを泳ぐやつは見てて楽しそうだったよな!!」

 

「モカさんとヒナさんは時速5キロの流れで10分泳いでたそうですよ!!」

 

「美竹さんたちは2キロで3分だっけ?・・・ミッシェルの中熱いからうらやましかったなぁ・・・」

 

 

「・・・」

 

「おいつぐ!?」

 

「ツグミさん!?」

 

「まぁ、普通こうなるよね・・・」

 

巴達が体験した異次元過ぎる訓練内容に理解が追い付かずつぐみはその場で意識を失う。

なお、訓練内容を聞いた他の人たちも同様の反応をするのだがそれは別の話。

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

後1つ小ネタ投稿(紗夜さん)を投稿したら本編再開します。

誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
ありとあらゆる漫画・特撮の特訓をパクりましたね。

どのパクリかはわかる人にはわかるはず・・・


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日・常・風・景2 -俗にいう小ネタ集-Part2

ネタ投稿ですね。

今回のネタ篇はこれで終わりです。
次回からはRoselia篇開始します。




~~~~小ネタ7:フォーゼのテーマ

 

Afterglowのスタジオ練習日――

その休憩中にモカの一言からこの話は始まった。

 

「ねぇねぇみんなー」

 

「モカ?どうしたんだ?」

 

「あたし達の”COMIC PANIC!!! ”ってさ~。なんかげんたろーさんの曲っぽくない?」

 

「はぁ?」

 

「だってさー、蘭。げんたろーさんっていつも変身して戦ってるじゃん~」

 

「如月くんって、いつも"友情”とか”青春”って言ってるし、歌詞にもあるよね!!」

 

「あの変身もよく分かんないけど、めちゃめちゃ強いしな!!」

 

「いや、あいつにドラマチックとか胸キュンとかはないでしょ?」

 

「弦太朗くんの学校。なんかアメリカドラマにみたいな感じらしいよ!!」

 

他のメンバーがモカに肯定するようなことを話すが、蘭は否定をする。

しかし蘭を置いて話は続く。

 

「あの変身した奴も目からじゃないけどビーム出せるらしいし、めっちゃ強い奴をまだ使ってないって言ってたぞ」

 

「・・・は?あの宇宙まで飛んだのにまだ続きがあるの?」

 

「蘭、それに弦太朗くんはこっちに来る前にはロボットと戦ったり、弦太朗くんの友達がスパイみたいなことしてたって聞いたよ?」

 

「はぁ・・・?」

 

「文化祭の時には空から宇宙人の女の子が落ちてくるのを抱えた。って聞きましたなー」

 

 

 

 

 

 

「「「は?」」」

 

蘭の疑問の声と同時にひまりとつぐみの怒りの含んだ声が挙がる。

 

「もう意味不明なんだけど・・・。それと、ひまりとつぐみはその黒いオーラ出すのやめて」

 

「これは今度しっかり聞かないとね・・・」

 

「そうだね・・・」

 

「「ふふふふふふふふふふふ・・・」」

 

「おーい。そろそろ練習再開するぞー」

 

2人の黒い笑みを浮かべる中、巴の言葉によって練習を再開する。

 

あの歌を歌う時にアイツの事思い出しそう・・・。

蘭はそう考えつつ練習へと戻っていくのだった。

 

そして未来の弦太朗は別世界”アンダーワールド”で「悪魔」そのものと戦うことになるのは彼にとってはまだ未来の話―――。

 

 

 

 

~~~~小ネタ8:パスパレ篇週刊誌反応集

 

―Poppin'Partyの場合

 

「ねぇ、皆。これ見た!?」

 

沙綾を除くメンバーが揃っていた蔵に駆け込んできたりみが手にするのは1冊の週刊誌。

 

「りみ?そんなの普段買わないのにどうしたんだ?しかもそれガセネタ多いので有名なやつじゃん」

 

「表紙見てよ!?」

 

そこに写っているのは問題の写真。

 

「って、これ如月じゃねーか」

 

「おたえ。これって昨日のだよね?」

 

「そうだと思うよ?」

 

「昨日・・・?あぁギターがここに集まってた奴か?」

 

「日菜さんが仕事に遅れそうだったから、弦太朗くんが送っていったのかな・・・?」

 

「りみりんすごい!!正解だよ!!」

 

「もしかして・・・エスパー?」

 

「えぇ!?違うよ!!」

 

「おいりみ!!早くそれを隠せ!!沙綾にバレない様に!!」

 

 

「・・・ねぇ?私にバレない様にってどういうことかな?」

 

 

「「「「!?!?」」」」

 

「りみ?何持って・・・は?」

 

 

「えぇぇぇ・・・」

 

「沙綾!!落ち着け!!ガセだからな!?」

 

「そうだよ!!それの直前まで他のバンドのギターの人と集まってたから嘘だよ!!」

 

「うん。香澄の言う通り」

 

「ふふふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・。ねぇ、今日はこのまま練習中止でつぐのところに行くよ?」

 

「さーや・・・?」

 

「・・・ねぇ返事は?」

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

「うん!!じゃあ皆行こっか!!」

 

こうして彼女たちは羽沢珈琲店へと向かった。

 

 

 

―Afterglowの場合

 

「ふふふ・・・」

 

「ははは・・・」

 

「「あはははははははは!!」」

 

「トモちん。つぐたち怖いよ・・・」

 

「私も・・・」

 

「アタシも怖いけど、事情知ってるなら何とかしてくれよ」

 

「頑張る・・・。ねぇ2人とも」

 

「「ナニカナ?」」

 

「その週刊誌ってガセネタ多いことで有名だからね・・・。ゲンタローさんのもガセだよ?」

 

「モカちゃん?そんなことはカンケイナイヨ?」

 

「この写真事態がモンダイナンダカラネ?」

 

「「コレハオシオキガヒツヨウダネ・・・!!」」

 

「おい!!これどうするんだよ!?」

 

「知らないよ・・・」

 

「こういう時は・・・」

 

「・・・おいモカ。何してんだ?」

 

「ん~秘密兵器を呼んだんだよ~」

 

「「秘密兵器・・・?」」

 

「これはもう丸投げするしかないね~」

 

「誰に?」

 

「美咲ちん」

 

「美咲・・・。あいつも大変だな・・・」

 

「「アハハハハハハハハハハハハハ」」

 

狂った笑いが羽沢珈琲店に響く中、蘭達は秘密兵器の到着を待ち続けた。

しかしそれよりも先にポピパの暴走兵器が到着することを彼女たちはまだ知らない。

 

 

 

―ハロー、ハッピーワールド!の場合

 

『電話だけどみんなの声が聞こえてとっても嬉しいわ!!』

 

『こころんと2人だけでさみしかったよー!!』

 

「ごめんね・・・。ちょっとこの後会いに行くから待っててね?」

 

「その時はとびっきり素敵な話を聞かせてあげよう」

 

「それまでは大人しくしてなよー」

 

『えぇ!!楽しみにしてるわね!!』

 

『うん!!かのちゃん先輩!!薫くん!!みーくんも待ってるからね!!』

 

「うん。それじゃあまた後でね・・・」

 

そう言って花音はこころ達との通話を切る。

 

「じゃあ、とりあえずお見舞いの品を用意してからこころちゃん達のところに行こう?」

 

「そうだね花音。何がいいだろうね。美咲・・・」

 

「そうですね・・・。っとちょっと待ってください」

 

美咲のスマホには2件のチャット―――

 

「えぇっと。宇田川さんからだ・・・。『今すぐつぐのみせに来てくれ!!』?青葉さんからも・・・なにがあったんだろ?」

 

「美咲ちゃん?どうしたの?」

 

「花音さん。えぇっと宇田川さんからこんなのが・・・」

 

「どれどれ・・・。どうやら何かあったみたいだね。子猫ちゃん達の元へ行ってから、こころのところに行こうか」

 

「うん。商店街の八百屋で果物買ってからこころちゃん達のところいけばいいよね・・・?」

 

「それに何か儚いことが起こりそうな予感がするよ・・・」

 

「薫くん?どういう事?」

 

「つまり、そういうことさ」

 

「いやどういうことですか・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

こうしてハロハピは商店街を目指す。

そこでの話はこころ達には大変好評だったことに美咲は頭を抱えるのだった。

 

 

 

―Roseliaの場合

 

あこは週刊誌を片手に練習予定のスタジオへと駆け込む。

 

「ねぇねぇ!!これ見て!!」

 

「騒がしいわね・・・」

 

「あこ?そんなに慌ててどうしたの?」

 

「リサ姉!!これ!!」

 

「あこがこんなの持ってどうしたの・・・って、この表紙ってヒナじゃん!!」

 

「そうなんだよ!!ひなちんのスキャンダルだよ!!しかもちさ先輩との三角関係!!」

 

「うっそ!?ほんとなの!?」

 

「あこ。ちゃんと記事は読んだの・・・?」

 

「あっれ~友希那。もしかして興味あるの?」

 

「別に興味ないわ。でも、写真だけ見て決めるのはどうかしら」

 

「そうもそっか!!あこ、それ貸して?」

 

「うん!!」

 

「ありがとー☆・・・・・・うん。これガセネタだね!!記事の人物と写真の人物あってないし!!これ返すね!!」

 

「えぇー!?そうなの!?」

 

あこの声が響くスタジオに2人の人物が入ってくる。

 

「すいません。生徒会の仕事で遅くなりました・・・。ってあこちゃんそれって噂になってた週刊誌?」

 

「うん。ひなちんが写って「大和さんです」・・・紗夜さん?」

 

「それに写ってるのは日菜じゃなく大和さんです」

 

「でも・・・「大和さんです!!」・・・はい・・・」

 

「紗夜~どうしたの?最近ちょっと変だよ?」

 

「なんでもありません!!」

 

「何してるの?揃ったんだから早く練習始めるわよ」

 

こうして彼女たちは頂点への道を進み始める。

1人が道を外れていることを知らずに―――

 

 

 

―???の場合

 

「もうこんなデタラメ許せません!!」

 

「そうだよな!!写真の人を間違えるなんて許せねぇよな!!」

 

「はい!!」

 

「ごめん。遅くなって・・・。ってこの人・・・」

 

「遅かったな。ってそれがどうかしたか?」

 

「・・・ううん。なんでもない。すぐに準備するから。そっか・・・アイドルとも友達になったんだ・・・」

 

「どうかされましたか?」

 

「Hurry up!!新しいギターはまだ見つかってないけど練習を始めるわよ!!」

 

こうして彼女たちは最強の音楽を目指すために練習を開始する。

 

 

 

 

 

~~~~小ネタ9:氷川紗夜の日常―2

 

私はこれから、風紀委員として校内の見回りを兼ねて、先日目撃した歩く”ポテト”の捜索を行うため、生徒会室で準備をしていました。

 

ポテト以外にも、”空飛ぶナゲット”、”勝手に動くハンバーガー”などを見たという話も聞きます。

風紀を守る風紀委員としてこのようなポテ・・・、不審物を見過ごすわけにはいきません!!

 

前回は準備不足で逃してしまいました・・・。

ですが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですが!!今日の私は準備万端です!!」

 

何かを捕まえるための服装と言うことでタンクトップに短パン麦わら帽子。

これは以前の練習で宇田川さんから聞いたので用意しました。

それに右手に虫取り網を、肩には捕まえた時のために虫かごと水分補給のための水筒。

そして左手には非常食のポテト―――

 

今の私には一部の隙もありません!!

いざ!!ポテトを探すために出陣―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・。紗夜先輩・・・?」

 

おや?市ヶ谷さん?

生徒会室の前で固まってどうしたのでしょう?

 

「市ヶ谷さん?そんなところでどうしたんですか?部屋に入ればいいじゃないですか」

 

「いえ・・・・あの・・・その恰好は・・・?」

 

恰好・・・?どこか変だったでしょうか・・・。

 

「私の恰好がどうかしましたか?」

 

「なんでそんな数世代前の短パン小僧・・・いや、虫取り少年みたいな恰好をしてるんですか・・・?」

 

「虫取り?何を馬鹿なことを言ってるんですか?私はこれから歩くポテトを捕まえにいくんです!!」

 

「は?ポテト・・・?あー・・・」

 

なんで市ヶ谷さんはそんな反応に困ってるような顔をして・・・。まさか!?

 

 

「市ヶ谷さん!!まさかあなた!!ポテトの事を知ってるんですね!?さぁ早く教えなさい!!」

 

「紗夜先輩!?どうしたんですか?」

 

「さぁ!!早く教えなさい!!あのポテトの妖精をどこにやったんですか!?」

 

「はぁ!?ちょっと何言って・・・!!」

 

「早く!!」

 

私は市ヶ谷さんの肩を掴んで揺さぶり、早く居場所を吐かせようとしますが、市ヶ谷さんは全く答えようとしません!!

・・・まさか!?

 

「あなた!?まさかポテトを独占するつもりですね!?風紀委員として見過ごせません!!」

 

「私は紗夜先輩のその恰好の方が見過ごせねぇよ!!」

 

シツレイな!!

・・・おや?市ヶ谷さんの様子が変ですね。

顔も青くなってきてますし、身体に力が入ってないようです。

 

これはポテトを独占しようとしてる罰ですね!!

もう少しすれば・・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの?氷川さん・・・?何してるんですか?」

 

「白金さん!!止めないでください!!今、市ヶ谷さんからポテトの妖精を取り返すんです!!」

 

「何、訳の分からないことを・・・?それに市ヶ谷さんの顔色が大変なことに・・・」

 

なんで2人は私を可哀そうなものを見るような視線を送るのでしょうか?

市ヶ谷さんは私を振り払って白金さんの元へ・・・。

 

もしかして、2人でポテトを独占するつもりなんですね!?

ということはどこか身近に隠してるはず・・・。

 

2人にはあって、私にはないもの・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・はっ!?

 

 

「そこかぁ!!」

 

「「!?!?!?!?!?」」

 

私は2人がポテトを隠しているであろう場所に手を伸ばして、隠してあるはずのポテトを探しますがおかしいですね?柔らかい感触が返ってくるだけで・・・。ポテトの触感がありません・・・。

 

 

「「きゃあああああああああああああああああ!!」」

 

その声ともに私は左右の頬からの強い衝撃を受けて意識を失い、気が付いたら家のベッドで寝ていました。

でも、なんで日菜もそんな可哀そうな物を見るような目で見てるの・・・。

 

「ぽてぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

――――――

 

私と燐子先輩は紗夜先輩に胸を揉まれて反射的に頬を引っ叩いてしまったけど、

まさか燐子先輩も同じタイミングで引っ叩くとは思わなかった・・・。

 

紗夜先輩が気絶した後、燐子先輩は日菜さんに電話したらすぐに紗夜さんを回収しに来た。

 

「2人ともごめんね・・・。おねーちゃんが迷惑かけたみたいで・・・」

 

「いえ・・・私達も氷川さんの顔をはたいてしまったので・・・」

 

「でも、2人の胸をいきなり揉み始めたんでしょ?おねーちゃんの自業自得だよ!!じゃあ私はおねーちゃんを連れて帰るね!!」

 

その言葉を残して日菜さんは短パン小僧スタイルの紗夜さんの首根っこを引っ張って帰っていった。

 

「私も氷川さんのことを友希那さん達に連絡しないと・・・。うぅ・・・氷川さんの持ってたポテトのせいで制服がベトベトして気持ち悪い・・・」

 

「あぁ・・・、お疲れさまでした・・・」

 

先輩方が消えた生徒会室で私はカバンの中から騒動の原因であろう”それ”を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

「お前のせいで酷い目にあったわ・・・。今はいいけどこれからは少しは学校では大人しくしてろよ?」

 

私の声に反応したのか分からないが、ポテチョッキンは少し落ち込んだような仕草を見せたのは気のせいだろう・・・。

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
小ネタ7
私が曲聞いてたらふと思ったこと

小ネタ8
パスパレ篇3話で羽沢珈琲店集合前の彼女たち+α
ライダー先輩達の場合も考えたけどメインは彼女たちなのでネタは抹消しました。

小ネタ9
ポテ・・・

前回の特訓元ネタ
ジープ:L77星出身のウルトラマンネタ
岩切:某鬼退治アニメ
ノート:ビー玉撃ち出す玩具のアニメ(アニメでは岩に△と〇を書き続けてました。)
腹筋:某香港映画
チソ訓練:剣
崖から岩:鉄板の訓練
竹素振り:2000年初期にジャンプで連載してた某野球漫画での特訓
ミッシェル:ピコ
流れるプール:某グラップラーシリーズ(元ネタでは時速20キロで流れてました)


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Roselia篇1-悪・逆・風・紀
悪・逆・風・紀-1 狂ったメトロノーム


やってきてしまった。
”問題児”Roselia篇
もうみんな分かってるから、最初から正体なんで隠さないスタイル。

めっちゃ大暴れしてもらうからね・・・


パスパレの事件を解決した休日明け―――

彼が学校へ向かうと、腕章を付けた生徒達が校門前に並んでいた。

 

並んでいた生徒たちが校門を通る生徒たちへの挨拶運動を行っていた。

弦太朗も周囲の生徒に倣い、その生徒達に挨拶をすると彼女たちからも挨拶が返ってくる。

 

ただ一人を除いて―――

 

「おう、紗夜。おはよう」

 

「・・・」

 

弦太朗が学校にやってきた初日から彼女から挨拶が返ってきたことはないが、それでも弦太朗は毎朝の挨拶を続けていた。

 

「今日も無視か・・・。いつもながら感じ悪ぃ奴だな。でも、そんな奴ほどダチにしたくなるぜ!!」

 

「・・・」

 

「じゃあ後でな。紗夜!!」

 

 

紗夜は今まで彼の挨拶を徹底的に無視しており、会話は常に弦太朗からの一方通行になっていた。

紗夜への挨拶を済ませた弦太朗が校内へ入る姿を見て彼女は呟く。

 

「あんなのがいるから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな状況を見かねた生徒が一人、彼女へと話しかける。

 

「氷川さん・・・」

 

「どうしましたか?白金さん」

 

「いえ・・・。いつも、あの人の言葉を無視してますけど・・・。それは良くないと思いますよ・・・?」

 

「あの人?あんなのがいるから風紀が乱れるんです!!・・・そろそろチャイムが鳴りますので、これで失礼します」

 

紗夜は一方的に会話を打ち切り、教室へと戻っていく。

 

「氷川さん・・・最近おかしいですね・・・。どうしたら・・・」

 

 

「白金さん。おはよう」

 

「あっ・・・。おはようございます・・・」

 

燐子は1人校門の前で呟くが、その言葉に反応する生徒は誰もおらず周囲からの挨拶だけが響いていた。

 

その後、燐子は最後の1人になるまで校門に残っていたが―――

 

「あっ・・・授業が始まっちゃう・・・」

 

授業開始の予鈴が響く中、急ぎ足で自身の教室に戻っていく。

 

しかし、その教室の前には人だかりが出来ていた。

 

「・・・?何かあったのでしょうか・・・?」

 

彼女が不思議に思っていると、人だかりから学友である彩が燐子へ向かって駆け寄る。

 

「燐子ちゃん!!ちょっと来て!!紗夜ちゃんが!!」

 

「氷川さんがどうかしたんですか?」

 

「いいから早く!!」

 

燐子は彩に手を引かれて人だかりの中をかき分けて進んでいく。

そして人だかりを抜けた彼女達に飛び込んできたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるのもいい加減にして!!」

 

紗夜の絶叫と乾いた音。そして弦太朗の頬を叩いた紗夜の姿だった。

 

事の始まりは数分前に遡る―――

 

 

 

 

 

 

――――――

 

「おう、千聖に花音。今日は早いな」

 

「あっ如月くん。おはよう・・・」

 

「弦太朗。あなたも早いじゃない」

 

座って会話をする3人の姿を目撃した生徒は戦慄する。

先週まではあそこまで嫌っていた弦太朗に嫌な素振りを全く見せていない。

 

この休日の間に何があったのかと噂になるが、噂の中心である彼らはそのことを全く気にしている様子はない。

 

「そういえば、この間言っていた件だけど。花音も参加することになったからよろしくね」

 

「花音が?」

 

「うん。折角だからライブ以外で千聖ちゃん達と何かしたいなって思ったから・・・」

 

「って事は薫も・・・?」

 

「えぇ、今日辺りにでも日菜ちゃんが聞く予定よ?それに薫も”アレ”のこと知ってるからやりやすいんじゃない?」

 

「まぁそうだな・・・」

 

会話の流れを切るかのように千聖の携帯へ通話がかかる。

 

 

「・・・日菜ちゃんからだわ?・・・もしもし?」

 

『もしもし、千聖ちゃん?薫くんもOKだって!!』

 

「あら、そうなの?」

 

『うん!!それでね。うちの学校で撮影の許可出しておいたよ!!後はゲンちゃんの入校許可も!!』

 

「短い時間で良く出来たわね・・・」

 

『だって、あたし生徒会長だし。それにつぐちゃんもノリノリだったからね!!』

 

「そういうことね・・・」

 

「日菜って生徒会長だったのか?」

 

「うん・・・。いっつもつぐみちゃんが振り回されてるって・・・」

 

『あれ?ゲンちゃん達も一緒だったんだ!!それと薫くんが麻弥ちゃんと一緒に台本用意するって言ってたよ。』

 

「分かったわ。任せっきりでごめんなさいね」

 

『面白そうだし大丈夫だよ。あっゲンちゃん!!今日って放課後予定ある?』

 

「ん?今日は特に予定はないけどどうしたんだ?」

 

『さっきリサちーからのライブのチケット貰ったから一緒に行かない?』

 

「あぁいいぜ。でも”リサちー”って誰だ?」

 

『うん!!じゃ放課後こっちの学校までよろしくねー!!』

 

言いたいことだけを言い残して、日菜からの通話は一方的に切られた。

 

「あいつ電話切るの早いな・・・」

 

「えぇ・・・。でもいつものことよ?」

 

「あはは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!!」

 

途中からこの会話を聞いてしまっていた生徒―――紗夜が3人の元へと怒りを露にしながら近づき弦太朗の胸倉を掴み上げる。

その光景を見た千聖は普段の彼女から想像も出来ない行動に固まり、クラスにいたものはおろか廊下にいたもの達の視線集まってくるが紗夜にはその視線を一切気にした様子はない。

 

その状態のまま紗夜は弦太朗へと詰問する。

 

「あなた!!日菜に何をしたの!!」

 

「何をってなにもしてねぇぞ?」

 

「ならなんで日菜とあんな仲よさそうに話してたの!!どうせ日菜を脅して・・・!!」

 

「ちょっと紗夜ちゃん!?何してるの!?」

 

そして真っ先に我に戻った千聖は目の前にいる紗夜を止めようとするが―――

 

 

 

 

 

 

「白鷺さんは黙っててください!!私はこのゴミと話しているんです!!」

 

「「!?」」

 

普段の紗夜からは出ないであろう言葉に驚きを隠せず、周囲もその光景について小声で様々な憶測を話し始める。

 

「それに!!なんで白鷺さんもこんなゴミと・・・!!もしかしてあなたも弱みを握られているんですね!!」

 

「違うわよ!!彼とはただの友達よ?」

 

「あなたがこんなゴミと友達なんてありえません」

 

「紗夜ちゃん?あなたちょっと言いすぎじゃないかしら?」

 

「関係ありません」

 

「どうせ前の学校でもゴミだったから、うちの学校に押し付けられただけでしょ!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

「別に日菜も千聖も普通にダチなだけだぞ?千聖には(仮)っていわれたけどな。それに前の学校では"トラッシュ”って言われてた時期もあったけどな」

 

その話を聞き我慢の限界を迎えた紗夜は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるのもいい加減にして!!」

 

絶叫と共に弦太朗の頬を渾身の力で叩く。

風紀委員である紗夜が見た目が不良であるだけの弦太朗を聞こうともせずに、ただ一方的に手を挙げたのだ。

紗夜の行動に教室内が静まり返る中、紗夜の腕がもう1度振り上げられが、紗夜以外の叫びによってその手は止まった。

 

 

 

 

 

「氷川さん!!なにをやってるんですか!!」

 

叫びをあげたのは燐子。

その姿に流石の紗夜も手が止まる。

 

それと燐子の叫びで手が止まった彼女へと千聖をはじめとしたクラスメイト数名が紗夜と弦太朗は引き離し、紗夜を抑える。

 

「離してください!!」

 

「氷川さん。なんであんなことをしたんですか・・・?」

 

「白金さんには関係ありません!!」

 

「一体なんの騒ぎですか!!」

 

状況の収集がつかなくなったタイミングに騒ぎを聞きつけた教師が教室へと駆けつけてくる。

教師は抑えられている紗夜をそのまま教室の外へと連れ去り、弦太朗と千聖達を含めた教室での出来事の聴取が行われたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

被害者である弦太朗の擁護も虚しく、複数の目撃証言によって”氷川紗夜の1週間停学”が決定した。

 

 

 

 

――――――

 

気がつけば私は家に帰って自身のベッドで寝ており、窓の外を見れば外は暗くなっていた。

 

そして私は、今日の出来事を思い出し、怒りを覚えた。

 

何で私がこんな目に会わなければならないのかが分からない。

それにあのゴミには何も処罰がないことが許せない。

私はただ学校の―――いえ、この街の風紀を乱すゴミを片付けようとしていただけなのに。

 

 

こうなったらどんな手段を使ってでも・・・。

 

 

私は通学カバンから”スイッチ”を取り出す。

そして、それを片手に夜の街へと飛び出していった。




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紗夜さんはそんなことしないって?
全部スイッチによって精神歪んだせい。
この設定めっちゃすこ


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悪・逆・風・紀-2 パニクる天才ちゃん。

はい。
投稿です。

黒いつぐみはかわいい。


時間は紗夜が問題を起こした日の朝。

 

友希那とリサの2人は学校へと登校していた。

 

「友希那ー。おはよー☆」

 

「リサ・・・。えぇ、おはよう」

 

「今日のライブ楽しみだねー」

 

「そうね。でもこれは”FUTURE WORLD FES. ”に向けての・・・」

 

「分かってるって。ライブの空気感を忘れないように~ってことでしょ?」

 

「えぇ。それならいいわ」

 

「そうだ友希那。昨日クッキー焼いたんだけど・・・」

 

「・・・食べるわ」

 

「は~い」

 

 

 

そうして2人は学校へ向かうと、校門前で並んでいる生徒たちの中にいる生徒会のメンバーを発見した。

 

「リサちー!!友希那ちゃん!!おっはよー!!」

 

「友希那先輩。リサ先輩。おはようございます」

 

「日菜に羽沢さん・・・。おはよう」

 

「おっはよー☆2人ともどうしてこんなところに・・・?」

 

「今日は風紀委員の人と一緒に校門で挨拶運動してるんですよ」

 

「へぇー。日菜がちゃんと朝に起きてきてるのはちょっと意外だなー」

 

「リサちー酷いなぁー。めんどうだけど、これでも生徒会長だしねー」

 

「うんうん。そういう2人にはアタシからプレゼントだよー」

 

リサはカバンの中からクッキーとライブのチケットを取り出し、2人に渡す。

 

「リサ先輩の手作りクッキーですか。ありがとうございます!!それにライブのチケットも・・・」

 

「リサちー!!ありがとー!!」

 

「リサ・・・」

 

友希那はクッキーを渡したリサに物欲しそうな視線を送るが、リサは笑みを浮かべてカバンから別のクッキーを取り出す。

 

「も~友希那ったら~。そんな目で見つめないでよー。ちゃんと友希那の分はあるからねー」

 

「それならいいわ」

 

「あっ・・・」

 

つぐみは受け取ったライブのチケットを確認するが、その時間は今日の放課後―――。

そのことを確認したつぐみは残念そうな表情を浮かべる。

 

「羽沢さん・・・?」

 

「すいません。今日の放課後はお店の手伝いがあって・・・」

 

「そうだったのね」

 

「あっちゃ~。そうだったかー」

 

「つぐちゃん?良かったらそのチケットあたしに頂戴?」

 

つぐみが落ち込む中、日菜はつぐみが持っているチケットをねだる。

友希那達は日菜のその行動を理解が出来ていないが、いつもの事なので無視する。

 

「えぇ。いいですよ」

 

つぐみはその意図が理解できないまま日菜へチケットを渡す。

チケットを受け取った日菜の表情は満点の笑顔を浮かべる。

 

「つぐちゃんありがとー!!ちょっと電話するね!!」

 

その一言を告げて日菜はその場で電話を掛ける。

 

 

 

「もしもし、千聖ちゃん?薫くんもOKだって!!」

 

その相手は同じバンドメンバーの千聖。

このタイミングで千聖に電話する意味が理解できない一同は日菜の行動を見守る。

 

自身が巻き込まれないことを祈りながら―――

 

「うん!!それでね。うちの学校で撮影の許可出しておいたよ!!後はゲンちゃんの入校許可も!! 」

 

”ゲンちゃん”という聞きなれない名前を聞いた友希那達は頭に疑問符を浮かべる。

 

「ゲンちゃん?誰かしら?」

 

「アタシは分かんないかな~」

 

『短い時間でよく・・・。』

 

「だって、あたし生徒会長だし。それにつぐちゃんもノリノリだったからね!!」

 

日菜の目の前の会話を聞いたリサは驚いたような表情でつぐみを見る。

”日菜の暴走につぐみがノリノリで付き合ってる。”という事実に驚きを隠せないのだ。

リサの横にいる友希那は話について行けないため表情に変化はない。

 

しかし、日菜の電話から聞こえた声により友希那にも驚きの表情を浮かべることになる。

 

『日菜って生徒会長だったのか?』

 

「!?!?」

 

「白鷺さんの通話から男の声が聞こえたのだけど・・・。疲れてるのかしら」

 

「アタシも聞こえたよ!!どうなってるの!?」

 

あの女優兼アイドルの千聖が男と一緒にいることにあの友希那ですら驚きの表情を受けべるが、横からの圧によって表情が驚きから恐怖の表情へと変わる。

 

 

 

 

 

 

 

「なんで千聖さんとイッショニイルノカナ・・・?」

 

「羽沢さん・・・」

 

「友希那~!!」

 

つぐみの雰囲気が変わったことに恐怖の表情を浮かべて抱き合って震える2人。

普段なら人前でそのようなことはしないが、目の前のつぐみの圧に恐怖して人目を気にせずに抱き合っていた。

しかし、周囲もつぐみの圧に周囲も恐怖に震え上がっており、友希那達を気にする様子すらない。

日菜もそんなつぐみを気にする様子もなく、通話を続ける。

 

 

 

「・・・あっゲンちゃん!!今日って放課後予定ある?」

 

『ん?今日は特に予定はないけどどうしたんだ?』

 

「さっきリサちーからのライブのチケット貰ったから一緒に行かない?」

 

『あぁいいぜ。でも”リサちー”って誰だ?』

 

「うん!!じゃ放課後こっちの学校までよろしくねー!!」

 

 

日菜は通話を終了してつぐみ達を見るがその光景に困惑する。

 

「えぇーと、どういう状況?」

 

 

 

 

 

 

日菜が見たものはつぐみ達を中心に恐怖の表情を浮かべる生徒達。

そして―――

 

「しまった!!その手があったとは・・・!!」

 

「日菜が・・・男を誘った・・・!?」

 

「・・・そんなに驚くことかしら?」

 

「アイドルはデートなんて普通ないよ!!」

 

「そういうものかしら・・・?」

 

つぐみは自身の失態に苦い表情を浮かべる。

友希那は事の大きさを分かっていないが保護者がそれを解説するが、相変わらず理解できていない。

 

そして、何かを思いついたつぐみは日菜へと詰め寄る。

 

「日菜先輩!!チケット譲ってください!!私が行きます!!」

 

「えぇ~。もう約束しちゃったし無理だよー。それに家の手伝いがあるんじゃないの?」

 

「家の手伝いなんてイヴちゃんに押し付けます!!それにアイドルが男の人と出かけるのはダメですよ!!」

 

「押し付けるって・・・。つぐみ・・・」

 

「あの態度はどういうことかしら?」

 

「うーん。それだったらリサちーにもう1枚貰えばいいんじゃないかな?あっ、あたしそろそろ教室いかないと!!じゃ~ね~!!」

 

「「えっ?」」

 

つぐみの言動を疑問に思う友希那と困惑するリサに対して日菜は半暴走状態のつぐみを押し付けて退散する。

つぐみはゆっくりと2人へと振り返る。

 

「リサ先輩、友希那先輩、残りのチケットって・・・」

 

「残念だけど、私達の持ってるのはそれで最後よ?」

 

「そんな・・・」

 

友希那の答えを聞いたつぐみは絶望に塗れた表情を浮かべて崩れ落ちる。

そんなつぐみにリサは何かを思い出したかのようにつぐみへ話しかける。

 

「あの・・・つぐみ。もしかしたらあこが持ってるかもよ?友達誘うって言ってたから」

 

「・・・っ!?2人とも失礼します!!」

 

そうしてつぐみは2人を置いて校舎内へと駆け出し、校門前には状況が呑み込めてない人々が残される。

 

「なんだったのかしら・・・」

 

「う~ん。よく分かんないけど。アタシ達もそろそろ教室行かないと」

 

「・・・それもそうね」

 

そうして2人は教室へと向かう。

 

2人の前から去ったつぐみはあこの元へと向かったが彼女の手元には既にチケットは無く、意気消沈したまま教室に戻った時には授業が始まっていた。

 

 

 

 

――――――

 

授業も終わって昼休み―――

友希那とリサは学食で昼食を終えていた。

 

「それにしても朝のあれはなんだったんだろうね」

 

「知らないわよ。あんな2人初めて見たわ。・・・それにしてもリサのクッキーはいつも美味しいわね」

 

「もー友希那ったら~。美味しいのはいいけど、ちゃんときれいに食べてよ~。ほら制服にクッキーの欠片が・・・」

 

「ありがと・・・」

 

その2人を空気を壊すように友希那の1本の電話がかかる。

 

「・・・燐子から?・・・もしもし?」

 

『あっ・・・。友希那さん。』

 

「こんな時間にどうしたの?」

 

『実はですね・・・。落ち着いて聞いてほしいことが・・・』

 

「うわぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!リサちー!!」

 

「ちょっと日菜!?どうしたの?」

 

その通話をしていることを気にする様子もなく、日菜がリサへと飛びついてくる。

 

「あのね!!おねーちゃんが・・・。おねぇちゃんがぁ・・・!!」

 

「ちょっと、日菜落ち着いて」

 

「うるさいわね・・・。燐子、何かあったのかしら?」

 

日菜を宥めるリサを他所に友希那は燐子との通話を続ける。

そして燐子と日菜から驚くべき真実が告げられた。

 

 

『えぇ・・・、実は氷川さんが・・・』

 

「うん。おねーちゃんが・・・」

 

『「おねーちゃん(氷川さん)が停学になっちゃった(なりました・・・)!!」』

 

「「はぁ・・・?」」

 

信じられない事実が2人から同時に告げられた友希那達は困惑の表情を受けべて固まるのだった。

 




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悪・逆・風・紀-3 暴走アイドルズ!!

投稿じゃい!!

忙しくなりそうだから書ける時に書いて投稿しないと・・・
僕もこんなお母さんほしかったです()
今なら年下に母性を求める宇宙世紀の赤い彗星の気持ちが分かる。



「あの紗夜が停学・・・?日菜も燐子もつまらない冗談を言うわね」

 

「そうだよ!!確かに最近様子が変だったけどさ!!あの風紀風紀って煩かった紗夜がそんなわけないじゃん!!」

 

『いえ、間違いありません・・・。氷川さんは”1週間の停学”になりました・・・』

 

「なんですって・・・」

 

「うわあああああああああん!!おねえちゃんが~!!」

 

「あぁ!!もう日菜!!一旦落ち着いて!!でも何でそんなことになったの?」

 

『それが・・・、氷川さんが一方的に相手を叩いてしまって・・・』

 

日菜を含めた3人は停学の原因を聞いて驚くが、友希那達はそのことを信じられなかった。

 

「あの紗夜が?あり得ないわ」

 

「そうだよ!!だってあの紗夜だよ?手を挙げたとしても一方的になんて!?」

 

『うぅ・・・』

 

その言葉と共に電話の向こうから人―――

燐子が倒れる音が聞こえる。

 

「燐子!?どうしたの!?しっかりして!!」

 

「燐子・・・!!」

 

しかし、その通話は途切れることなくそこから遠くから慌てる声が聞こえる。

 

『ちょ・・・・・・ん子ちゃ・・・・・・・・・!!』

 

『保・・・室に・・・・・・ぞ!!・・・や・・・・・・・・・・・!!』

 

『うん!!こっち・・・・・・・・・!!』

 

『・・・う!!』

 

電話の向こうでは倒れた燐子をどこかへ運ぶ声。

声が遠く聞き取りにくいがそのうちの1人は朝の男の声だった。

 

「燐子!!」

 

『あら・・・もしもし?』

 

「この声って千聖!?」

 

繋がったままのスマホを拾い上げ、通話に出たのは、朝方に日菜が電話をしていた千聖。

 

『その声はリサちゃんね。燐子ちゃんだけど多分、心労で倒れてしまったのね。紗夜ちゃんの事もあったわけだし』

 

「ねぇ!!千聖!!紗夜が急に誰かを殴ったって本当!?」

 

「うわぁああああん!!」

 

『その声は日菜ちゃん!?リサちゃん!!他には誰かいるの!?』

 

「友希那と日菜だけだよ?それでさっきのは本当なの!?」

 

ここで紗夜の事を日菜が最初に聞き出す。

友希那とリサもその話が信じられなかったが、その話を聞くべく千聖の言葉を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・えぇ。間違いなく紗夜ちゃんが一方的に手を挙げたわ。私と花音の目の前でね』

 

「あの紗夜が人前で・・・?」

 

『えぇ。事があったのはあの電話が終わった直後ね・・・』

 

千聖が紗夜の行動を肯定したことに、彼女たちはその事実に驚きを隠せない。

 

「そんな・・・おねーちゃんが・・・!!」

 

「紗夜がそんなことを・・・!!」

 

「えぇ・・・」

 

『相手が悪かったのよ。日菜ちゃんなら知ってると思うけど。花咲川って今、他の学校から男子生徒が通ってるのよ・・・』

 

「もしかして、おねーちゃんが殴ったのってゲンちゃん!?」

 

『えぇ、日菜ちゃんの言う通りよ?後、殴ったんじゃなくて引っ叩いたんだけど』

 

「あのさ・・・。まさかとは思うけどその理由って日菜と話してたから?」

 

『そうよ・・・』

 

紗夜が人を叩いた相手とそのまさかの理由に困惑を隠せない。

信じられないといった表情を浮かべる2人に酷く落ち込む日菜。

 

日菜と話しただけで手を挙げるなんてことはとてもじゃないが信じられない。

そう思っている友希那は声を挙げる。

 

 

 

 

 

「それだけで紗夜が・・・?あり得ないわ」

 

「そうだよ!!何か理由があって!!」

 

『仮にそうだとしても、紗夜ちゃんは相手の話を一切聞かずに手を挙げてたのよ。しかも、私とクラスの人が抑えてなかったら構わずにもう1発は叩いてたわね』

 

「そんな・・・!!おねーちゃん・・・!!」

 

「日菜。いきなり抱き着かないでよ!!」

 

日菜は泣きついてリサの身体に顔を埋め、そのリサはその行動に困惑するがすぐに日菜の行動を受け入れていた。

リサが抱き着いている日菜を宥めている中、電話先の千聖は話を続けていく。

 

『・・・ここからは聞いた話になるけど、これでも処分は軽い方だったらしいわよ?』

 

「停学で軽い。ってどういうことなの・・・?」

 

停学処分で軽い。

普通に考えたら停学処分だけでも充分に重いが、千聖が言うにはその処分だけでも軽い。

ということに納得が出来ていない友希那は電話先の千聖へと質問する。

  

『さっきも話したけど叩いた相手は他の学校から来ている男子。言ってしまえばお客様を叩いたのよ?しかも相手の話を聞かずに一方的にね』

 

「それは・・・。でも!!」

 

『しかも、教師が話を聞いたときは全く反省の様子がなかったらしくて、”無期限停学”って話もあったそうよ?』

 

「無期限っ・・・!?」

 

『お客様をいきなり叩いて反省もしてないのだから仕方ないわ』

 

「うぇーん。リサちー!!」

 

「よしよーし日菜ー。大丈夫だからちょっと落ち着こうね~」

 

日菜を宥め続けるリサを他所に友希那は千聖との通話を続ける。

 

「でも、そこまで言われたのに1週間なんて軽すぎないかしら?」

 

『えぇ。そこまで言ったのは一部だけよ。普段から成績優秀で風紀委員としても色々してたのもあったけど、一番は叩かれた生徒が紗夜ちゃんを庇ったからよ』

 

「なんで被害者が・・・?もしかしてそういう趣味なのかしら・・・?」

 

『違うわよ。彼って相当なお人よしなのよ・・・。ごめんなさい。そろそろ授業があるし、このスマホも燐子ちゃんへ届けないと・・・』

 

「ごめんなさい。それと燐子の事、頼むわね」

 

『えぇ。そっちも・・・日菜ちゃんの事よろしくね』

 

その言葉と共に通話を終えた友希那はリサたちを見ると、リサの胸に顔を埋めている日菜の姿があった。

 

「まるでリサがお母さんみたいね・・・」

 

「うわあああああん!!」

 

「ほら日菜~。もう泣かないの」

 

「うわああああああああああああああん!!」

 

「日菜。ママ・・・いえ、リサの言う通りよ?」

 

そう言うと友希那はリサをおいて席を立つ。

 

「ちょっと友希那!?何言ってるの!?それに置いてかないでよ~!!」

 

「これからあこのところに行ってくるわ。放課後のライブについて話しておかないと・・・」

 

「そうだ!!ライブどうするの紗夜が来れないんだよ!?」

 

「最悪3人だけでもやるわよ。"FWF”ためと言うのライブでもあるけど。1人でも聞いてくれる人がいるならやるわよ。・・・じゃあ私は先に行くわね」

 

その言葉を残して友希那は1年の教室にいるであろうあこの元へと歩き出す。

リサは泣きついている日菜を引き剥がすわけにもいかず、その場で日菜を宥め続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

「さてと・・・」

 

私は友希那ちゃんとの通話を切ってその足でそのまま、保健室へと向かっていた。

彩ちゃんと弦太朗が燐子ちゃんを連れて行ってたけど大丈夫かしら・・・。

 

弦太朗はともかく彩ちゃんは不安ね・・・。

あの子はたまにとんでもないことをしでかすもの・・・。

 

そんな不安を抱えつつ、私は保健室の前へとたどり着いた。

 

彩ちゃんが何か問題を起こしてなければいいけど・・・。

そんなことを考えてたら保健室の中からとんでもない言葉が聞こえた。

 

「如月くん!!服を脱いで!!」

 

彩ちゃん!?あなた何言って!?いえ、それよりもまずは彩ちゃんの暴走を止めないと・・・。

 

「彩ちゃん!?」

 

私は声をあげながら保健室へと飛び込んだ。

そこにあったのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千聖ちゃん!?」

 

「千聖!!助けてくれ!!」

 

そこにあったのは無意識で弦太朗の制服を掴んでいる燐子ちゃんとその制服を脱がせようとしている彩ちゃん。

彩ちゃんの行動に困り顔の弦太朗の姿だった。

 

「彩ちゃん・・・?何をしてるのかしら?」

 

「千聖ちゃん!?これはね!?えぇっと・・・!!」

 

「さっきアイドルにあるまじき発言が外まで聞こえてたわよ?」

 

「うえぇえええええ!?」

 

「状況は分かったから、彩ちゃんはもう教室に戻るわよ!?」

 

「千聖ちゃん!?」

 

「袖を掴まれてる弦太朗が制服を脱げるわけないじゃない。それともその制服を切ってでも脱がせる?」

 

「でも・・・」

 

「大丈夫よ。弦太朗にそんなことをする度胸はないから」

 

「それはそうかもしれないけど、私も残るよ!!」

 

もう彩ちゃんったら、最近はアイドルの仕事もあって出席が減ってるのにこんなことで授業を休んだらダメじゃない。

 

確かあそこに・・・。

 

「弦太朗ちょっと、空いてる手を貸しなさい?」

 

「ん?こうか?」

 

私は弦太朗が伸ばした腕にひもで縛り、その端を別のベッドの脚へと結びつける。

 

「おい千聖!?なにしてんだ!?」

 

「こうやって縛れば、弦太朗も手を出せないでしょ?後は・・・」

 

「千聖ちゃん!?」

 

私は弦太朗の制服から取り出した”ハンバーガー”にスイッチを入れる。

それと同時にハンバーガーはロボットへと変形した。

 

「これで弦太朗達を撮影すれば問題はないわ。ハサミの子は有咲ちゃんが持ってるからここにはないし」

 

「でも・・・」

 

「彩ちゃん?最近はアイドルの仕事で出席できない時もあるんだからちゃんと授業に出るわよ。また、放課後になったらまた来ればいいでしょ?その前に燐子ちゃんが起きれば燐子ちゃんに何とかしてもらいましょう?」

 

「これ俺はどうなるんだ!?」

 

「先生には私から言っておくから安心しなさい?文句言ってくる紗夜ちゃんはもう学校にはいないし」

 

本当はこんなことしなくても手を出すわけないのは知ってるけど、彩ちゃんを納得させるため、悪く思わないでね。

 

「如月くん!!ちゃんと大人しくしてるんだよ!!」

 

「悪いけど我慢して頂戴ね。・・・後は頼んだわよ?」

 

そういって私は・・・えぇっと”バガミール”だったかしら?

ロボットの頭?を撫でるとその子は燐子ちゃんと弦太朗の2人は写る場所に陣取る。

 

それを見届けた私は燐子ちゃんのスマホを彼女の枕元へと置いて、彩ちゃんと共に保健室を後にするのだった。

 

 




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カウント・the・スイッチ
23/40 (バガミール君おめでとう!!


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悪・逆・風・紀-4 スキルマ・ウェイクアップ!

投稿

フォーゼ名物・戦闘以外でも変身して色々やるやつ。
これ作品時間内でまだRoselia篇始まって1日たってないんやで・・・



私が目を覚まして最初に見たのは見慣れない天井だった。

 

「んっ・・・。ここは・・・?」

 

確か私は昼休みに友希那さんに電話して氷川さんの事を伝えてそれから・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・そうだ。氷川さんの件を伝えてから、意識が朦朧としてそのまま倒れてしまったんだ。

でも、薄れていく意識の中で誰かに運ばれるような感覚があったような・・・。

それに今、私の右手は何かを握りしめているような、握りしめられてるような不思議な感覚といびきのような声が聞こえる。

 

不思議な感覚を覚えた私は身体を起こして、視線を右手へと向ける。

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?なんで・・・?」

 

視線の先には氷川さんに叩かれていた如月さんが椅子に座りながらいびきをかいて寝ていた。

 

そのまま私は自分の右手の先へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・!?!?!?!?」

 

その視線の先には私の右手と彼の左手はしっかりと握りあっていた。

 

・・・これって前に今井さんの本に載ってた恋人繋ぎ・・・。

 

 

「!!!?!!!?!?!?」

 

今の状況が理解が出来ない私は声にならない声を挙げていた。

 

なんで私はこの人と手を握り合っているの・・・!?

 

それによく見たら彼の反対の手は別のベッドに縛られてたり、ちょっと離れたところには見たこともないロボットがこっちを見ていてなんか怖い・・・。

 

とりあえずこの手を離すべく、私は目の前の彼を起こすことにした。

 

「あっ・・・あの・・・」

 

「zzz・・・」

 

声をかけるが、反応はない。

彼は寝ているけどこの状態は非常に恥ずかしい・・・。

 

とりあえず彼を起こすのを諦めた私は時間を確認しようとするが・・・。

 

「そういえばスマホは・・・?」

 

倒れた時に私は友希那さんに電話してたけど、あの時スマホはどうしたんだっけ・・・?

 

周りを見渡すと自分の寝ていたベッドの枕元に私のスマホが転がっていた。

私はそれに左手を伸ばすが―――

 

 

 

 

 

「あっ・・・」

 

利き腕ではない左手はスマホを掴み損ねてしまい、スマホはそのまま床へと落下してしまった。

 

これじゃあ、倒れてからどのくらいの時間が経ったのか分からない。

放課後にはライブがあるのに、このままじゃリズム隊の2人と友希那さんだけでライブをしなければならなくなってしまう・・・。

 

 

 

「仕方・・・・・・ないよね・・・」

 

私は意を決して彼の制服の中にあるであろう携帯を探す。

時間を見るだけ・・・見たらすぐしまうからいいよね・・・?

 

制服の中を探すとよく分からない物ばっかりが出てくる。

それぞれに番号が振ってあってよく分からないボタンみたいなのがついてるけど、最近の男の子にはこういうのが流行ってるのかな・・・?

 

そうして私は折り畳み式の携帯みたいなのを見つける。

これにも何かついてるけど・・・。携帯でいいんだよね?

 

私はその携帯を開いて時間を確認して―――

 

 

 

 

 

 

 

 

確認して、絶望した。

 

その携帯が示していた時間はライブ開始時間まで残り30分を切っていた。

ライブ会場であるCiRCLEまではそれなりに距離があるし、今から向かっても間に合わない。

 

「あぁ・・・」

 

私はライブに間に合わない事に罪悪感を覚えて泣き出してしまっていた。

 

あこちゃん・・・。みんなごめんなさい・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「燐子?どうしたんだ?それ俺の携帯・・・」

 

私が泣いていると目の前の彼が目を覚ましていた。

その時の私は彼の携帯を握りしめたままだった。

 

「あっ・・・あの・・・!!ごめんなさい!!」

 

「別にいいけど。それより手を離してくれ」

 

「あっ・・・。ごめんなさい」

 

そうして私は如月さんの手を離して、床に落ちた自分のスマホを拾い上げたが、そこにはあこちゃんを始めとした沢山の通知が来ていた。

 

でも、今から向かっても間に合わない・・・。

どうしよう・・。

 

「なぁ、燐子。何かあったのか?」

 

目の前の彼は開いた手で縛られていたひもを解きながら私に質問してきたので、私はありのままを答えた。

 

「はい・・・。今日の放課後にライブがあったんですけど・・・。ついさっき私も目を覚まして・・・。それに今から会場に向かっても間に合わなくて・・・」

 

私は涙声で彼に話していたが、彼は何かを考えるような表情を浮かべていた。

 

「燐子。それってどこでやるんだ?」

 

「CiRCLEってライブハウスです」

 

「後1つ聞きたいことがあるんだけど。紗夜の妹・・・日菜がいう”リサちー”って奴知ってるか?」

 

「それは・・・私と同じバンドのメンバーのことです・・・」

 

そうして私の話を聞いた如月さんは自身を縛っていたヒモを解くと何かを決心したような視線を私に向ける。

 

「今からライブ間に合うって言ったらどうする?」

 

「えっ・・・?」

 

本当に今から間に合う・・・?

ここからすぐにタクシーに乗ったとしても多分間に合わない・・・。

自転車に2人乗りなんて間に合わないし、そもそも法律違反だ・・・。

 

でも、本当に間に合うんだったら・・・。

 

「間に合うんですか・・・?」

 

「あぁ。でもこの後見ることは皆には黙っててくれ」

 

何をするのか分からないけどライブに間に合うんだったら・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・おねがいします!!」

 

「よし!!じゃあ行くぞ」

 

そうして如月さんは離れた位置にあったロボットを回収して、そのまま昇降口へと向かい下駄箱から靴を取り出して階段を上がっていく。

 

「燐子。靴持ってきてくれ」

 

「・・・?はい」

 

私は上履きを脱いで靴を持ったまま彼の後を着いて行く。

その後は教室で荷物を回収して彼が向かったのは学校の屋上・・・。

 

「あの・・・?如月さん?何で屋上に・・・?」

 

「燐子。靴履いてくれ」

 

「??靴ですか?」

 

私は意味が分からないが言われるがまま靴を履く。

 

「それじゃあ、ここからは皆には内緒にしてくれよ」

 

そういって如月さんは制服の中から何かを取り出すとそれを腰に巻くとカウントダウンが響く。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

彼の声と共に彼から凄い風が吹きつけてきたので目を閉じてしまった。

風が止んで私が目を開けると目の前には白い服を着た人がいた。

 

「燐子!!」

 

「・・・はひっ!!」

 

白い人から如月さんの声が聞こえて驚きを隠せない私は変な声を挙げてしまった。

そして白い服を着た如月さんは私へと近寄って抱きかかえる。

 

「しっかり捕まってろよ!!」

 

「あの・・・これから・・・どうするんですか・・・?」

 

何が起こっているのか分からないが、私は恐る恐る如月さんへと質問すると予想外の答えが返ってきた。

 

「飛んでいくぞ!!」

 

――ロケットON――――――――

 

その声と共に如月さんはベルトを操作するとベルトからの声と共に右手にロケットが出てきて、そこから炎が勢いよく噴き出す。

 

そして私の身体は感じたことのない浮遊感と共に文字通り空を飛ぶ。

不意に視線を下に向けると、とてつもない高さと速度に恐怖する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてどのくらい飛んだか分からないが、如月さんはとあるビルの屋上へと着地すると服がさっきの学ランに戻っていた。

 

「あの・・・さっきのは・・・」

 

さっきのは何だったのか疑問だった私は思わず質問してしまった。

 

「詳しくは後で話すけど。ライブがあるんだろ?CiRCLEはこの下だぞ」

 

彼はそのまま私の手を引いてビルの屋上から地上へと降りると、目の前には目的地であるCiRCLEが目の前にあった。

 

私は自分のスマホを取り出して時間を確認するが、保健室を出てから5分も経っていない。

驚く私を他所に如月さんは私の手を引いたままCiRCLEの中へと入っていく。

 

「あっ!!燐子ちゃん!!如月くんも久しぶり!!」

 

「まりなさん・・・こんばんは・・・」

 

「どうもっす。日菜見ませんでした?」

 

「日菜ちゃんはRoseliaの控室にいるわよ。後、日菜ちゃんからこれ預かってるから渡しておくね」

 

そう言うとまりなさんは如月さんに今日のライブのチケットを受け取る。

 

「じゃあ、俺はライブ見てるから。頑張れよ」

 

そう言い残すと如月さんは会場へと入っていく姿を見届けると私は急いで控室へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん!!お待たせしました!!」

 

「りんりん~!!」

 

「燐子!?大丈夫なの!?」

 

「皆さん。心配かけてすいません」

 

「燐子。ライブまでの時間がないからリハ無しのぶっつけ本番になるけど大丈夫ね」

 

「・・・はい!!」

 

そして私は前日に控室に持ち込んでいた衣装へと着替えるが―――

 

「あれ?氷川さんの衣装がない・・・」

 

気にしつつも着替えを終えて友希那さん達の待つ舞台袖へと移動する。

移動した先で衣装についての疑問が解決した。

 

そこにいたのは氷川さんの衣装に身を包んだ日菜さんの姿だった。




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悪・逆・風・紀-5 そして彼女はギターを奏でた

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うーん。
これは紗夜さんの闇落ち加速しますわ。



ライブ会場へと入った弦太朗は会場内で日菜を待つが、一向に日菜は現れないまま時間が過ぎ、舞台袖からRoseliaのメンバーが舞台へと現れる。

 

その中には先ほどまで一緒にいた燐子と以前に知り合ったあこ、その後を弦太朗が知らない2人が舞台へと現れる。

 

スピーカーからは録音されたギター音源が流れライブが始まり―――

 

 

 

 

そのまま最後の曲前のMCまでライブは進行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は集まってくれてありがとう。今日はギターの紗夜が参加できなくなってしまってのは残念だけど・・・』

 

「紗夜ってこのバンドのギターだったのか・・・」

 

ヴォーカルのMCを聞きながら弦太朗は開演前に受け取ったドリンクを口に含む。

 

『次で最後の曲になるけど、最後はサポートのギターを入れた5人で演奏するわ』

 

MCの一言で会場内の観客が一斉に盛り上がる。

中にはサポートギターが誰なのか予想する会話が聞こえてくるが、何食わぬ顔でヴォーカルがMCを続ける。

 

『それじゃあ日菜。いらっしゃい』

 

『はーい!!』

 

「ぶふぉ!?・・・日菜!?」

 

舞台に現れたのは、ライブ開始前に探していた日菜――

その彼女が今ライブしている彼女たちと同じ衣装を着て舞台袖から現れ、弦太朗は口に含んでいた飲み物を噴き出す。

 

 

 

『もー!!友希那ちゃん!!呼ぶの遅いよー!!』

 

『それよりも、日菜。あなたギターは問題ないかしら?』

 

『もっちろん!!さっき友希那ちゃんも裏で聞いたじゃん!!』

 

『そうだったわね・・・。時間も押してるし最後の曲行くわよ。”BLACK SHOUT”』

 

そして、日菜のギターの入りから始まる今回だけの特別な”BLACK SHOUT”―――

 

その曲は今日のライブで一番の盛り上がりを見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

彩ちゃん達とライブするのとは違ったカッコいい感じのライブが出来てすっごいるんっ♪って来た!!

私はライブを終えて、皆と控室まで戻ってきた。

 

「皆!!ライブおつかれー!!」

 

「日菜もおつかれー!!」

 

「紗夜さん来れないのはショックだったけど。あこはひなちんと一緒で楽しかったよ!!」

 

「着いたときに日菜さんが氷川さんの衣装来てるときはびっくりしちゃいました・・・」

 

「ライブ出るんだったら、衣装は来た方がいいかなーって思って!!・・・ちょ~っとだけ胸がきつかったけど」

 

「・・・紗夜ほどではないけど、日菜のギターも悪くなかったわね」

 

今日はおねーちゃんがライブに来れなくなって、燐子ちゃんも間に合うか分からないって状態で

「ギターもキーボードも全部録音音源でやる」って言った友希那ちゃんに思い付きでギターで参加することを提案したけど、まさか通るとは思わなかったな~。

 

それも「燐子が間に合わなくてギターもキーボードも録音だと客をがっかりさせる」とか「日菜入れて、新しい刺激を入れて音楽性を~」っていうそれっぽい意見を出して友希那ちゃんを説得して、演奏を聞いた友希那ちゃんが認めた場合って条件を出してくれたリサちーには感謝だよ。

燐子ちゃんが間に合ったから最後だけの参加になったけど、それでも楽しかった!!

でも・・・。

 

 

「でも、Roseliaの曲は弾いてるよりも聞く方がるんっ♪ってするなー」

 

「紗夜のギターじゃないと本当のRoseliaではないもの。当然よ。・・・でも、新しい方向性が見えたような気がしたわね」

 

「紗夜とは違った演奏だったからね~。ねぇ友希那~今度、他のバンドのカバーしてみる?」

 

「それならおねーちゃんのところがいいな!!」

 

「でも、ギターが1人しかいないから、バンドの構成でいうなら日菜さんのところがいいんじゃ・・・」

 

4人は今後のバンドについて話し合ってるけど何かを忘れているような・・・。

 

 

 

 

「あっ!!」

 

「・・・どうしたの日菜?」

 

「ゲンちゃんの事すっかり忘れてた!!」

 

そうだよ!!ライブ一緒に見るって言ってたのにライブに出ることになったからまりなさんに、チケット渡すように頼んだけど大丈夫だったかな・・・?

 

「あっ・・・そうでした・・・」

 

「りんりんもどうしたの~?」

 

「いえ・・・遅れそうになってたのを如月さんに送ってもらって・・・」

 

「げんたろーが?」

 

「・・・誰かしら?」

 

「その人って朝にヒナがライブに誘ってた人の事でしょ~?」

 

「そうだったかしら・・・?」

 

へぇ~、燐子ちゃんはゲンちゃんと一緒にここまで来たんだ。

あれ?でも燐子ちゃんってライブ始まる10分くらい前?に衣装来て舞台袖に来たけど、確かライブ始まる30分前に連絡入れたのに返信してなかったような・・・。

 

 

 

 

・・・まさか!!

 

「あこちゃん!!ちょっと燐子ちゃん借りるね!!」

 

「えっ!?うん!!」

 

「日菜さん・・・!?」

 

そう言うと私は燐子ちゃんを皆から離れたところまで連れて行く。

 

「ねぇ燐子ちゃん?ゲンちゃんのあれ見たの?」

 

「あれ・・・?それって・・・」

 

「白い奴・・・」

 

「あっ・・・はい。あれって・・・」

 

「う~ん。今度話すけど、皆には内緒ね!!」

 

「はい・・・」

 

やっぱりゲンちゃんあれ使って燐子ちゃん送ってきたんだ。

本当にお人よしだな~。

まぁ、そこが結構気に入ってるところだけど・・・。

 

「2人とも・・・?そんなところで何してるの?」

 

「秘密の話だよ!!」

 

「えぇ~!!りんりん教えてよ~!!」

 

「あこちゃん。秘密の話を教えちゃダメでしょ~」

 

「アタシも気になるな~!!」

 

あこちゃんとリサちーが詰め寄ってきているが、いつも通り聞き流していると友希那ちゃんがとんでもないことを言い出した。

 

「そんなに気になるなら、直接ここに呼んで話をきけばいいじゃない」

 

「確かにそうかも。じゃあヒナ、呼んで?」

 

「それならあこが呼ぶよー。前おねーちゃんのライブの時に会ったから知ってるよ」

 

「でも、いきなり呼ぶのは・・・」

 

「燐子を送ってもらってるのにそのまま知らんぷりは出来ないでしょ~」

 

「・・・それもそうね。この後の反省会に呼んで感想を聞いてみましょう」

 

リサちーが悪い顔をして燐子ちゃんを説得させようとしてるけど、後ろであこちゃんがもう連絡入れてる・・・。

 

「げんたろー今、入り口でまりなさんと話してるって!!」

 

「なら、待っててもらいましょう。早く着替えていくわよ」

 

「おっけー☆」

 

こうして3人は急いで帰りの準備を始めていた。

 

私も遅れないように帰りの支度をして、ライブに出るために借りたギターを持って皆と一緒に控室を後にした。

 

 

――――――

 

ライブが終わって会場を後にしようとした弦太朗は、入り口でスタッフであるまりなに絡まれていた。

 

「ねぇ如月くん?最初は沙綾ちゃんをバイクの後ろに乗せてAlterglowのライブを見に来て、この間はパスパレの子たちと一緒にスタジオ入って、今日は燐子ちゃんの手を引いてここまで来て。さっきの電話はあこちゃんでしょ?ねぇねぇ誰が本命なのかおねーさんに教えてよ~」

 

「まりなさん?何言ってんすか・・・?」

 

まりなに絡まれた弦太朗は恋愛話の餌にされ、理解が追い付いていない状態で会話をしていた。

 

「えぇー。皆可愛くていい子だし。誰か好きな子とかいないの~」

 

「皆俺のダチっすよ」

 

「またまた~!!照れちゃって!!そういって誰か狙ってるんじゃないの~?」

 

「何言ってんですか・・・」

 

浮いた話のないまりなに完全に狙われてしまった弦太朗。

しかし、そんなときに彼の救世主達が控室からやってきた。

 

 

 

「ゲンちゃん。おまたせー!!」

 

「げんたろー!!おーい!!」

 

「日菜か。それにあこも久しぶりだな」

 

「うん!!げんたろー。りんりんのことありがとーね!!」

 

「あぁ。気にすんな!!」

 

「あのっ!!如月さん・・・!!」

 

「おう!!燐子か」

 

「あら、私はお邪魔みたいだから。これで失礼するわね。さーて片付け~」

 

そう言ってまりなはスタジオ内へと入っていき、それと入れ替わりで2人の少女がやってくる。

 

「あなたが紗夜の・・・」

 

「あ~。こりゃ見た目だけなら紗夜が嫌っても無理ないかな~」

 

「お前らってさっきの・・・」

 

 

 

弦太朗は2人を見るが、友希那達は流れを無視して目の前の男に話しかける。

 

「ねぇ。この後時間あるかしら?」

 

「ちょ~っとお姉さんたちに紗夜とのこと教えてくれるかな~」

 

「別に構わねぇけど・・・?」

 

「そう・・・。なら場所を変えるわよ。ついてきなさい」

 

その言葉と共に友希那は外へ向かって歩き出し、弦太朗含めた一同はその後ろを着いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その外には―――

狂気を含んだ視線が彼らを待っていた。

 




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悪・逆・風・紀-6 裂夜

紗夜さんの闇落ち中に日菜が活躍したらそうなっちゃうよね・・・

ってわけで投稿。

アンケートは週末まで取ります。
でも、しばらくは出す予定はないです。
まぁダスタード君は12使徒以外でも頑張って出せるくらい成長して!!
・・・映画の奴は12使徒ではないけどだせてたなぁ・・・(ニッコリ



紗夜の欠けたRoseliaは日菜と弦太朗を連れて目的地のファミレスへと向かっていた。

 

「今日はライブに間に合ってよかったです・・・」

 

「日菜ってすごかったんだな・・・」

 

「ねぇ。ひなちん!!これからもたまにでいいから一緒にやろーね!!」

 

「あたしはいいけど、他のみんな次第かな~」

 

「あこちゃんそれはいいけど・・・。やるとしても”FWF”が終わってからだよ?」

 

「燐子の言う通りよ。でも・・・”FWF”の後だったらいいかもしれないわね。新しい私達と向き合ういい機会かもしれないわね」

 

「でも、紗夜は「私達には必要ない」っていいそうだけどね~」

 

「紗夜なら話せば分かってくれるわ。ところで・・・」

 

ここで友希那は一度話を区切る。

そして、彼女たちが気になっている紗夜の事を弦太朗へと話を切り出す。

 

 

 

 

 

「・・・如月だったかしら?紗夜とは何があったの?」

 

「友希那~。今聞かなくてもいいじゃん~」

 

「でも、皆も気になってるんじゃないかしら?」

 

「おねーちゃん達もげんたろーは悪い奴じゃない。って言ってたけど・・・」

 

「へぇ~。千聖達以外にもモカたちとも知り合いなんだ~」

 

「モカ達ともダチだぞ。どこまで知ってるんだ?」

 

弦太朗は友希那達が把握していることを確認するが・・・。

 

 

 

 

「んー。おねーちゃんがゲンちゃんぶん殴って停学になったって」

 

「ひなちんと電話してたら紗夜さんが嫉妬のあまりにげんたろーを殴っちゃったって・・・」

 

「・・・それで如月が叩いてくれた紗夜を庇ったって聞いたわ」

 

「嫉妬・・・?叩いてくれた・・・?なんかおかしくねぇか・・・?」

 

「お~い。友希那にあこも色々おかしくなってるからね~」

 

「私も現場を見ましたけど・・・。今でも信じられません」

 

「でも、ゲンちゃんとおねーちゃんは合わなそうだから・・・」

 

日菜の一言には理解を示すが紗夜の行動には納得がいかない友希那達―――。

その話で日菜の頭には1つの可能性が浮かび上がる。

 

先日の千聖と同じようなことが姉の紗夜にも。

 

そんなことを考えてしまったその時、日菜は左腕に熱を感じ視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ああぁぁぁぁああああああ!!」

 

「ヒナ!?・・・っ腕が!?」

 

「日菜!?・・・っ!!」

 

日菜の腕には何かで切り裂かれたような傷があり、そこから夥しい量の血が流れてた。

傷を視覚した日菜はそれと同時に湧き上がる痛みに耐え切れなくなり絶叫する。

 

日菜の腕に気が付いた彼女たちはその光景に顔を青くするが、弦太朗は日菜を一瞥して暗闇の中へと視線を向ける。

 

 

その視線の先には、夜の闇に紛れ日菜を襲った犯人が彼女たちの前に立ちふさがっていた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

夜の街に飛び出した私は着ていたパーカーのフードを目深に被ってふらふらした足取りで街を歩いていた。

 

―――そう言えば今日はライブが・・・。

 

停学になってしまって参加が出来なくなってしまったが、今日はRoseliaのライブが予定されていた。

 

そろそろライブが終わる時間だろうか・・・。

そんなことを考えていた私は気がつけばライブ会場でもあるCiRCLEの近くまで歩いていた。

 

ライブの観客たちの帰り時間と被っていたのだろうCiRCLEからは多くの人がそれぞれの帰路についていた。

 

様々な感想を語りながら歩く人々から信じられない言葉が聞こえ、その場に立ち尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹の日菜がRoseliaのライブにギターとして参加した。と・・・。

 

そんな暴挙をあの湊さんがそんなことを許すわけがない。

例え日菜達が以前にやったアテフリなんてこともありえない。

 

一体客どもは何を見ていたんでしょう。

 

しかし、多くの人が日菜の事を話しているのが信じられない。

立ち尽くしてどのくらいの時間がたったか分からないが、CiRCLEから出てくる湊さん達を見た私は近くに身を隠してその様子を見ていた。

 

そしてそこには信じられない光景を目撃してしまった。

 

湊さん達の後ろから日菜とあのゴミが一緒になって出てきたのだ―――

 

何であそこに私じゃなくて日菜とあのゴミがいるの?

 

私は彼女たちの会話を聞くためにつかず離れずの距離を保って、彼女たちの話に聞き耳を立てる。

 

 

 

 

「・・・ひなちん!!これから・・・・・・・・・・・一緒に・・・・・・!!」

 

「あたしは・・・・・・、・・・・・・みんな次第・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・それはいいけど・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

 

「・・・・・・の言う通りよ。でも・・・”FWF”の後・・・・・・・・・・・・・・・・・・。新しい私達・・・・・・・・・いい機会かも・・・・・・・」

 

「・・・・・・紗夜は「私達には必要ない」・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「紗夜なら・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

えっ?

私の代わりに日菜を・・・?

 

あそこは日菜じゃなくて私だけの居場所だったのに―――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で何でなんでナンデナンデ何で何で何でナンデナンデ何で何で何でなんでなんでなんでなんでナンデ何でナンデ何でなんでなんでナンデ何でなんでなんでなんでなんでナンデナンデなんでなんでナンデナンデ何でナンデナンデ何で何でナンデ何でナンデナンデナンデ―――?

 

 

 

 

「あぁあアアアァァぁaaaaああああああアアぁあぁあぁァ!!!!」

 

声にならない声で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

そっか・・・・・・この世から日菜がいなくなればいいんだ・・・。

そうすれば・・・私は・・・・・・!!

 

私は手に持ったスイッチを押して、後ろから日菜の腕を切りつける。

 

日菜には私の前で悶え苦しみながら消えてもらわないと―――!!

湊さんたちは日菜のことを気にしてるけど、あなた達に日菜はいらない。

 

日菜を殺してから、そこのゴミもすぐに殺しましょう!!

その後は街の風紀―――いや、邪魔なものは全てけしてしまえばいい。

 

あぁ・・・何て素晴らしいのだろう!!

 

日菜にも最後の情けとしてこちらを見ているゴミと仲良く凄惨に処分してあげましょう!!

 

そう考えた私はゴミを処分するべく、滴る日菜の血もそのままに闇の中から姿を現した。

 

 

――――――

 

闇の中から日菜を襲った犯人がゆっくりと姿を現す。

 

「なにあれ・・・?」

 

「血が・・・!!」

 

燐子とあこは目の前に現れたそれに恐怖する。

 

 

「お前は・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・猫!?」

 

「友希那!!」

 

 

 

闇の中から姿を現したのは山猫座――リンクス・ゾディアーツ。

その猫に似た姿をしたそれに近寄ろうとする友希那をリサは腕を掴んで静止させる。

 

リンクスはその光景に見向きもせずに負傷した日菜の息の根を止めるべく、爪を向けてゆっくりと日菜へと歩み寄る。

 

「やめろ!!」

 

日菜とリンクスの間に弦太朗が割って入るが、リンクスは爪を弦太朗へ向けて突き立てるために腕を振るうが―――

 

「っらぁ!!」

 

「がぁあ!!」

 

リンクスは生身の弦太朗の蹴りによって後ずさる。

 

 

「下がってろ!!」

 

弦太朗の一言に何をするかを何となくだが察した燐子はあこの手を引いて、状況が分かっていない友希那達と共に後ろに下がる。

 

「時間がねぇから速攻で終わらせる!!」

 

弦太朗はドライバーを装着し、スイッチを入れる。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

   

「変身!!」

 

弦太朗を中心に発生する煙―――それを払いのけてフォーゼへと変身する 。

 

「何あれ!?」

 

「げんたろーすっごーい!!」

 

突如として変身した弦太朗に燐子以外の全員が驚きのあまり固まる中、フォーゼはいつものセリフを叫ぶ。

 

「宇宙・・・キターーーーッ!!」

 

「・・・煩いわね」

 

友希那の辛辣な言葉を気にする素振りも見せず、フォーゼはリーゼントを掻き揚げるかのような仕草をした後に名乗りを上げる。

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

その言葉と共にフォーゼはリンクスと対峙する。




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悪・逆・風・紀-7 闇夜の戦闘・輝く閃光

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フォーゼくん戦闘に使いにくいスイッチおおすぎんよぉ!!
カメラとかスクリューとかボードとか!!

そしてピコの名物と思ってる友希那の「眩しいわね・・・」語録使用


「猫ならこれだ!!」

 

――チェーンアレイON――――――――

 

スイッチを起動し、右腕に精製された鉄球を猫じゃらしの要領で揺らしながら、リンクスへと歩み寄っていく。

 

「腕に猫じゃらし・・・!!いったいどうなってるのかしら・・・?」

 

「友希那!!おバカなこと言わないの!!」

 

弦太朗が目の前で変身したことに友希那達は驚きを隠せない一方であこは目を輝かせながら目の前のフォーゼを見つめる。

 

「仮面ライダー!!本当にいたんだ!!」

 

「あれがそうなんだ・・・」

 

「2人とも?あれのこと知ってるの?」

 

「はい・・・。"仮面ライダー”って都市伝説があって・・・」

 

「リサ姉!!”仮面ライダー”は正義の味方なんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁあぁぁぁぁアァァアぁぁぁああぁ!!」

 

あこの言葉を聞いたリンクスは絶叫に似た叫びをあげ、フォーゼに爪を突き立てるべくフォーゼへと駆け出す。

しかし、その爪がフォーゼへと届く前に振り上げたチェーンアレイがリンクスの顎へと直撃する。

 

「まだまだぁ!!」

 

フォーゼはチェーンアレイで追撃しようと振り降ろすがリンクスに当たることはなく、チェーンアレイの当たった地面が大きく陥没する。

 

「相変わらずはえーな!!それなら・・・こいつならどうだ!!」

 

フォーゼはチェーンアレイをOFFにすると右手と左足用のスイッチを交換する。

チェーンアレイが消えたのを見たリンクスはフォーゼへと駆ける。

 

 

――フラッシュON――――――――

――――――スパイクON――――

 

「そらっ!!」

 

起動と同時に左足にスパイク、右腕には電球の形のライトが生成され瞬時に点灯させる。

 

「うわぁ!!」

 

「すごい・・・。眩しい・・・」

 

「眩しいわね・・・」

 

ライトの点灯によって周囲は昼間のような明るさを取り戻す。

その点灯を目の前で直視してしまったリンクスとついでに戦闘を見ていた友希那とあこたちの視界を潰す。

 

フラッシュによって視界がはっきりしないリンクスにフォーゼはスパイクによる蹴りを食らわせてダメージを与えていく。

 

「ほら!!もう1発!!」

 

「っ!?」

 

リンクスの視界が回復していく中フォーゼは声を挙げると共に右手のライトをリンクスの前に向ける。

先ほどの目潰しを恐れたリンクスは顔をフォーゼから逸らすが、フォーゼはライトを点灯させることはなく直接ライトでリンクスを殴りつける。

 

予期していなかった衝撃を受けて顔を挙げたリンクス。

フォーゼはリンクスが顔を挙げる行動に合わせて再びライトを点灯させて再度目を潰し、スパイクで蹴りつける。

 

 

 

 

「うぅ~目がちかちかするよ~!!」

 

「私も・・・」

 

「でも、なんで電球なのかしら・・・?」

 

「もう!!みんなしてなにやってるの!!」

 

戦闘を見ていた3人も戦闘に目を眩ませ、そのことに日菜の対応をしていたリサは声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

「アァァァああああぁaaaa!!」

 

目の潰されたリンクスはリサの声がした方向へと走るが、

フォーゼはそれを捕まえるべくスイッチを起動する。

 

――――――――ウインチON――

 

「逃がすか!!」

 

フォーゼは左腕のフックをリンクスへ向けて飛ばす。

フックはリンクスの腕にワイヤーを搦め、そのままリサの反対側の暗闇の中へと投げ飛ばす。

 

「おい!!タイマン中だぞ?」

 

フォーゼはワイヤ―を搦めたまま、右腕のスイッチを交換して起動する。

 

――エレキON――――――――

 

フォーゼはエレキを起動し、眩い電気身に纏ってエレキステイツへと姿を変える。

 

「やっぱり、眩しいわね・・・」

 

「・・・ヒナ!!しっかりして!!」

 

「うあぁ・・・!!」

 

リサは友希那の発言をスルーして日菜の傷口を自身のタオルで抑えるが出血が止まることはない。

 

 

 

 

 

「日菜!!クッソ!!これで決める!!」

 

日菜の容体が悪化していくことに焦るフォーゼはロッドにエレキスイッチを装填する。

 

―エレキ・リミットブレイク―

 

しかし、フォーゼは暗闇に投げ飛ばしてしまったリンクスの姿を捉えられていないが危機感を覚えたリンクスはその場からの逃走を計った際に腕に絡まっているワイヤーを強く引いてしまう。

 

 

 

 

 

 

「そこだ!!ライダー100億ボルトシューーーーート!!」

 

フォーゼはワイヤーが引かれた先に向けてロッドを振るう。

振られたロッドからは放たれた電撃の衝撃波はリンクスの身体を貫き、その体を爆発させる。

その爆発と共にリンクスに搦めたワイヤーは外れ、フォーゼはワイヤーを巻き取る。

 

 

 

 

 

「やったー!!」

 

「にゃーんちゃん・・・」

 

「もう友希那!!」

 

目の前の戦闘が終わった―――。

 

そのことを理解したは友希那は怪我した日菜とリサへとと視線を向ける。

そこにあったのは文字通り目を覆いたくなるような凄惨な光景であった。

 

 

 

 

 

「これはっ・・・」

 

「ひなちん!!ってりんりん!!何するの!?」

 

「あこちゃん!!見ちゃダメ・・・!!」

 

そこにあったのは大量の出血によって衰弱している日菜と、自身の制服の上着で傷口を縛り上げて止血を試みるリサ。

その光景を見てしまった友希那はその場で固まる。

 

燐子は友希那の反応からそこに広がっているであろう光景を想像してしまいあこに見せまいとしてあこの目を塞いで自身も目を逸らす。

 

 

弦太朗も変身を解除して日菜の元へと駆け出す。

 

「日菜!!おい!!しっかりしろ!!」

 

「ヒナ!!寝ちゃダメ!!目を開けて!!」

 

「ゲンちゃん・・・。おねー・・・ちゃん・・・」

 

日菜はその言葉共に意識を手放す。

 

 

 

「ちょっとヒナ!!目を開けてよ!!」

 

「おねーちゃん・・・?」

 

「ねぇりんりん!!どうなってるの!?」

 

「あこちゃん!!ダメ!!」

 

意識を失ったことに焦るリサと意識を手放す直前に日菜が口にした言葉を疑問に思う友希那。

目を塞がれているあこは状況が分からずに燐子の手を退かそうとするが、燐子の手はあこから離れない。

 

出来る最低限の事をしたリサは自身のスマホで救急車を呼ぶが―――。

 

「救急車がこの騒ぎの渋滞で来れないって・・・!!」

 

「そんな・・・」

 

 

 

 

その事実を告げられた燐子はあこの目から手を離して崩れ落ち、燐子の手が離れてこの光景を見てしまったあこの顔がみるみる青くなっていく。

 

「ひなちん・・・」

 

「でも、日菜をどうするの?」

 

「・・・ここから一番近い病院はどこだ?」

 

「ここからだと・・・歩いて15分くらいのところにあったはずだけど。どうするの?」

 

 

目の前の光景と告げられた事実に友希那も日菜の事にどうするかの疑問を口にする。

 

「俺がそこまで運ぶ!!だから場所を教えてくれ!!」

 

「それならあこが案内するよ!!こっちだよ!!」

 

「すまねぇ!!リサはとりあえずこれ着ておけ!!」

 

「アタシも一緒に行くよ!!友希那達も無理しないでいいからね!!」

 

弦太朗は自身の制服の上着を脱いでリサに渡し、日菜を病院へ運ぶために抱えあげる。

病院へ運ぶという弦太朗の提案にあこがいち早く反応して2人で病院へ向けて走る。

 

リサも自身の服に付いた日菜の血を隠すように受け取った制服を着てから、2人の後を追った。

 

 

「うぅ・・・」

 

「燐子?どうしたの!?」

 

日菜達が病院に運ばれた後、燐子はその現場を直視してしまった燐子は崩れ落ちたまま口を手で押さえる。

 

「うぅぅ・・・・うおぇっ・・・!!」

 

先ほどの怪物とそれに襲われて怪我を負った日菜―――

そして現場に残された夥しい量の血を目撃してしまった燐子はその光景に耐え切れず、手で押さえてこんでいた口から胃液を逆流させる。

 

「燐子!!大丈夫!?」

 

「すいません・・・。うぇっ・・・」

 

友希那の心配する声を聞きながら燐子はその場で胃液を全て吐き出すと、フラフラと立ち上がりそのままの足取りで歩き出す。

 

「燐子。どこにいくの?」

 

「日菜さんのところへ・・・行かないと・・・」

 

「・・・えぇ。でもゆっくりでいいわよ」

 

「はい・・・」

 

そして2人も弦太朗達の後を追って病院へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

「イライラする・・・!!」

 

私は先ほどの戦闘で痛む体を引き摺りながら街を歩く。

 

日菜をあの場で確実に殺せずあのゴミに邪魔をされたことに苛立ちを隠せない。

それと思い出すのはあのゴミとゴミの汚染されてしまった宇田川さんの言葉―――

 

 

 

 

 

 

 

『”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!』

 

『”仮面ライダー”は正義の味方なんだよ!!』

 

「なんであんなのが・・・!!」

 

あんなゴミが正義の味方であることが何よりも許せない。

 

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ・・・あの場で日菜を殺せなかったのはいいでしょう・・・。

 

「日菜は最後までじっくりと苦しめて・・・・・・苦しめて・・・・・・絶望させてから殺してあげる!!」

 

それにあのゴミへの対処も考えなくては・・・。

でもまずは―――

 

「でも最初にこの街のゴミを消すことから始めましょうか・・・」

 

そして私は再び夜の街へと姿を消した。

 




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カウント・the・スイッチ
26/40 (フラッシュくんはまだまだ出番あるからね!!


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悪・逆・風・紀-8 覚醒する慈愛

はい。
前話で何でメディカル使わないんや!!ってコメントが多くて焦った。
怪我してすぐにメディカル使ってたらお話が・・・

日菜すまんな。
でも、それだけリサ姉が完璧だったんや・・・
あの時まではね。

そしてRoseliaへの期待値高すぎてヤバい


私と燐子はリサたちが向かった病院へと歩いているが、やっぱり燐子が段々と遅れていた。

 

「・・・燐子?」

 

「友希那さん・・・すいません・・・」

 

「無理しなくていいわ。あんなことがあった後だもの・・・」

 

「すいません・・・」

 

そこで私は会話をやめて、さっきのことを考えながら病院まで歩き続ける。

 

 

まさか・・・にゃーんちゃんがあそこまで大きくなるなんて気になるわね・・・。それに日菜が遺言の”おねーちゃん”って・・・・?

 

あの姉が好きな日菜がリサの事を紗夜と見間違えたのかしら?

今日のリサは日菜のママみたいだったけど、流石にそれを紗夜と見間違えるのは不自然ね・・・。

 

「・・・友希那さん?」

 

日菜が紗夜の事を間違えるなんてありえないわね・・・。

もしかしてあのにゃーんちゃんが紗夜・・・?

人がにゃーんちゃんになるなんてそんなことあるわけがないと思うけれど、あの如月も目の前で変身してたからもしかしたら本当に紗夜?

 

 

 

 

 

もし、にゃーんちゃんに変身できるなら私もなりたい・・・!!

 

「・・・友希那さん?どこいくんですか?そっちは病院とは道が違いますよ・・・?」

 

「・・・・・・ごめんなさい。考え事してて・・・」

 

慣れないことを考えながら歩くのはダメね。

私は道を戻ると荷物を持った二人組に後ろから声をかけられる。

 

 

 

 

 

 

 

「燐子さんに友希那さん!!襲われたって聞いたけど2人とも大丈夫ですか!?」

 

「ひまり!!ちょっと待て!!・・・って2人ともこんなところで何を?」

 

その声の主はあこの姉の宇田川さんとその友人である上原さん。

 

「宇田川さんに上原さん?そっちこそこんなところで何してるのかしら?」

 

「私達はこれから病院に行くんですよ!!」

 

「お二人もそうだったんですね・・・。でも、宇田川さんの持ってる荷物は・・・?」

 

「アタシの服ですよ。リサさんのために着替え持って来いって如月から言われたんで・・・」

 

「また戦ったって!!」

 

彼女たちも如月と知り合いだったのね。

ちょっと待って、今”また”って言わなかった?

 

もしかして彼女たちは何か知ってるの・・・?

 

「ねぇ・・・」

 

「って話は後でいいじゃないですか。今は病院に行きますよ!!」

 

「・・・それもそうね。行くわよ」

 

宇田川さんの一言を聞いて私は質問の言葉を呑み込んで病院へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして病院に着いた私を待っていたのは、信じられない事実と恐ろしい現実であった。

 

 

 

 

――――――

 

日菜と連れて病院についていた弦太朗達は病院の待合室で日菜の処置を待っていた。

病院に着いて一安心といった顔を浮かべる弦太朗とあことは対象的に、リサは待合室のベンチに座り俯いていた。

 

原因は一緒に病院に来て今はこの場にいない日菜。

 

「ヒナ・・・」

 

「リサ。心配すんな。お前は何も悪くねぇ」

 

「そうだよ!!お医者さんも「対応がよかった」って褒めてたし!!」

 

「でも・・・」

 

「やれることはやったんだ。後は信じて待つしかないだろ?」

 

弦太朗とあこの言葉で先ほどよりも少し表情が明るくなる。

そこに4人の人影が病院へと駆け込んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜ちゃん!!」

 

「ヒナさん!!」

 

「ちょっと2人とも!!ココ病院だよ!!静かにしないと!!」

 

「そうっすよ・・・。その彩さんも煩いですけど・・・」

 

「パスパレの皆がどうしてここにいるの~?」

 

ここに飛び込んできたのは友希那達ではなく、日菜のバンドPastel*Palettesのメンバー達。

突然の登場にあこは素直にその疑問を口にする。

 

「さっき俺が連絡したんだ」

 

「そうなんだ。そうだ・・・。紗夜にも連絡しておかないと・・・」

 

「それよりも、弦太朗もリサちゃんも服に血が・・・」

 

「あの・・・その服の血ってもしかして・・・」

 

「うん・・・。全部ヒナのだよ・・・」

 

「っ!!」

 

リサの姿を見た麻弥の疑問に素直に答えると、その答えに彩が驚愕する。

 

「そんな!?日菜ちゃんは大丈夫なの!?」

 

「彩ちゃん落ち着きなさい。後は医者に任せるしかないわね」

 

「アヤさん!!日本には”をジンジ尽くしてテンメーを待つ”という言葉があります!!ジンジはリサさんとお医者さんが尽くしてくれてます!!ですから後はテンメーを待ちましょう!!」

 

「イヴちゃんの言う通りよ。私達は待つしかないわ」

 

イヴと千聖の言葉によって彩たちは落ち着きを取り戻す。

 

「うん。そうだね・・・」

 

彩の取り乱した様子を見て、冷静さを取り戻した麻弥はそのままリサの方へと歩み寄って頭を下げる。

 

「リサさん。日菜さんのことありがとうございました」

 

「えっ!?ちょっと麻弥!?何してるの!?」

 

麻弥がとった突然の行動にリサは困惑するが、その後に続いて千聖もリサに声をかける。

 

「リサちゃん。日菜ちゃんの事ありがとね。話は全部聞いてるから・・・」

 

「やめてよ・・・」

 

「でもリサさんのおかげでヒナさんは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・やめてよ!!」

 

「リサさん!?」

 

パスパレの言葉に耐え切れなくなったリサは声を荒げてイヴの言葉を遮る。

 

「それに紗夜が暴力事件起こして停学になったり!!目の前によく分かんないのが出て来てヒナが襲われるし!!急に弦太朗も変身して戦い始めたりしてもう訳わかんないよ!!」

 

「リサ姉・・・」

 

「それにヒナが酷い目にあったのに!!みんなはなんで平気そうな顔してそんなこと言えるの!?」

 

「・・・リサちゃん。ちょっといいかしら?」

 

千聖は俯きながら声を挙げるリサへと歩み寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に顔を挙げたリサに待っていたのは乾いた音と衝撃。

衝撃によってリサの視線は千聖から外れて、その後にやってきたのは頬の痛み。

 

その突然の衝撃と痛みに襲われたリサは驚きのあまりに顔を挙げる。

視線の先にあったのはリサの頬を叩いたまま固まる千聖の姿だった。

 

「千聖・・・?なんで?」

 

「ちさ先輩!?何してるの!?」

 

「そうだよ千聖ちゃん!!」

 

「おい千聖!?」

 

千聖と予期せぬ行動によって周囲は千聖へと声を挙げるが当の千聖はその声に毅然とした態度のままで話を続ける。

 

「話を聞かないバカにはこれが一番効く。ってドラマの台本に書いてあったわ」

 

「千聖さんは台本の事をなんで鵜呑みにしてるんですか」

 

「マジかよ・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

「それにリサちゃん、皆の顔を見てみなさい。本当にみんなが平気そうな顔に見えるの?」

 

その言葉を聞いたリサは千聖達の顔を見たが、そこには安心している表情を作ろうとしている皆の姿があるが、あの千聖の表情からも不安が隠しきれていないことが分かる。

 

「みんな本当は日菜ちゃんの事が心配なのよ?でも、きっと大丈夫って信じて明るい顔を作ってるよの?」

 

「でも・・・」

 

「それに、リサさんは日菜さんを助けようとしてくれたことは如月さんから聞いてますし、その姿を見れば分かります」

 

「それにリサ姉!!ひなちんが起きてリサ姉がそんな顔してたらひなちん悲しむよ?」

 

「あこ・・・。でも・・・」

 

皆の言葉と顔を見たリサはそれでも彼女の顔は暗い。

そんな中彩から予想外の言葉が飛び出す。

 

 

「千聖ちゃん?もう1発いった方がいいんじゃないかな・・・?」

 

「流石にそれはやめておきましょう。私の手だって痛いもの・・・」

 

「千聖さん。それって痛くなかったらいってたんですね・・・」

 

「チサトさん・・・」

 

「リサちゃんは自分で出来ることを精一杯やったのよ?胸を張りなさい。それにあこちゃんも言ってたけど、日菜ちゃんが起きた時にママの顔じゃ・・・ね?」

 

 

「ちょっと千聖ちゃん!?何言ってるの?」

 

「千聖の奴何言ってんだ・・・?」

 

「あこ知ってる!!学校でひなちんを慰めてた時リサ姉がママみたいだったって言ってた!!」

 

「リサさん・・・ブシドーです!!」

 

 

 

 

 

皆の言葉を聞いたリサは意を決したような顔をして立ち上がった。

立ち上がったリサの目は目元がグルグルと回っており、酷く取り乱していた。

 

「そうだね!!ママがこんなんじゃだめだよね!!よーしあこ!!これからママ頑張るからね!!」

 

「うわぁ~!!リサ姉が壊れた~!!」

 

「・・・強く叩きすぎたかしら?」

 

「チサトさん!!どうするんですか!?」

 

「こういうのは叩けば治るはずよ!!昔のテレビもそうだって前に台本に書いてあったわ!!」

 

「千聖さんのその台本からの知識はなんなんですか!?それに人にそんなことしても治りませんよ!!」

 

 

 

リサを中心に騒ぎ始める一行の病院へとたどり着いたリサたちの元へと歩み寄り、一緒にいたパスパレたちへと視線を送る。

 

「待たせたわね。ってなんで彼女たちは・・・日菜ね・・・」

 

「あこ!!大丈夫だったんだな」

 

「あっおねーちゃん!!それにひーちゃんも!!」

 

「こんばんわーってリサさん!?その服!!これ!!巴の服ですけどこれに着替えて!!上着は預かっておきますから!!」

 

「おっ、ありがとー。あの時は必死だったけどさ~。今はとちょっと気になってたんだよね~」

 

「それならここのシャワー借りれるか聞きましょう。ダメだったら芸能人パワーで黙らせるわ」

 

 

 

そしてリサと千聖が病院のシャワーを借りて戻ってきた時には外には救急車が集まり、病院内が再び騒がしくなる。

その救急車から出てくるのは程度は軽いが日菜と同じような怪我をした多くの負傷者。

 

「あれってもしかしてさっきの・・・?」

 

「そうだと思います・・・。でも、日菜さんよりは怪我は軽そうですね・・・」

 

多くの負傷者が運び込まれて騒ぎ出す病院内

その多くが日菜のような大けがではないことで安心した友希那はとある疑問を言葉にする。

 

「ねぇ如月。ちょっといいかしら?」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「さっきのにゃーんちゃん・・・。あれってもしかして紗夜なの?」

 




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悪・逆・風・紀-9 背負った罪のComing Out

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友希那さんって感が良いのか悪いのか・・・
作者は混乱した。



「さっきのにゃーんちゃん・・・。あれってもしかして紗夜なの?」

 

友希那の放った一言に事情を知っている者全員が驚愕する。

ゾディアーツの元が人間でその正体が紗夜であることを変身するその場を見ていない友希那が1度の戦闘を見ただけで言い放ったのだ。

 

その言葉に最初に反応したのはリサ。

 

 

 

 

「友希那!!そんな訳ないよ!!どうやったら人があんなのになれるの!?」

 

「そうだよ友希那さん!!リサママの言う通りだよ!!」

 

「ママ・・・?あこ。あなたはいったい何を言ってるの・・・?」

 

リサの否定の後に続いたあこの言葉に疑問を覚えて固まる友希那。

 

姉と呼んでいた人物がママになったのだその疑問も当然である。

あこの言葉で固まってしまった友希那の言葉に肯定したのは燐子。

 

「でも・・・。如月さんが目の前で変身したから・・・」

 

「りんりん!!そうだけど・・・でも!!信じられないよ!!」

 

「なら知ってる人に聞けばいいじゃない。どうなの如月。それに宇田川さんと上原さんも・・・」

 

「えっ!?私?」

 

「・・・!!」

 

突然の名指しに困惑する巴とひまり。

弦太朗への質問ならまだ理解が出来るがどうしてひまりにも・・・?

一同がそれを思うがあこがその疑問を口にする。

 

「友希那さん。げんたろーだけじゃなくて、おねーちゃんとひーちゃんにも聞くんですか?」

 

「それは・・・」

 

「そういえば・・・さっき上原さんが「また戦った」って言ってましたし・・・。それに巴さんが事情を知らないなら頼み事なんて出来ないと思います・・・」

 

「・・・そういうことよ」

 

あこの質問に言葉が詰まった友希那を病院まで一緒に来ていた燐子は理由を説明する。

友希那はその言葉に同意するが、彼女はなんとなく聞いただけでそこまで深くは考えていない。

 

「それでどうなの!?」

 

「あれの正体は分からねぇけど、あれの元は人間だ」

 

「「「!?」」」

 

「そんな・・・!!」

 

「ってなんで聞いた湊さんが驚いてるんですか・・・」

 

「本当にそうだとは思わなくて・・・」

 

弦太朗の答えにRoselia全員は驚きを隠せない。

しかし、先ほど弦太朗も目の前で変身したこともあり、その回答を信じていた。

1人を除いて・・・。

 

「それでも!!やっぱり信じられないよ・・・。あれが人間だなんて・・・」

 

「リサ・・・」

 

「リサちゃん。あなたが見た怪物の元は間違いなく人間よ」

 

「もしかして巴達やパスパレもあの猫みたいな化け物を見たの?」

 

「アタシ達が見たのは犬と熊でした。犬は間違いなく元は人でしたよ・・・。熊の正体は瀬田先輩とか花音さんが見てますよ」

 

「ジブン達が見たのはカメレオンでしたけど・・・・・・間違いなく元は人間でした」

 

「でも・・・!!」

 

「リサちゃん」

 

ここでリサの言葉を遮るように千聖がリサへとある事実を語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれの元は間違いなく人間よ・・・。だって・・・私がそのカメレオンだったもの・・・」

 

「ちょっと千聖ちゃん!?」

 

「何を・・・!?」

 

千聖の突然のカミングアウトに事実を全員は困惑する。

あの千聖が自分の汚点を自ら語ったことにパスパレのメンバーも驚きを隠せない。

 

「嘘ですよね・・・?」

 

「千聖・・・冗談だよね・・・?」

 

「・・・私がこんなつまらない冗談言うと思うの?」

 

燐子とリサの言葉に真剣に答える千聖の姿にその言葉が嘘ではない様に感じるが信じたくはなかった。

 

「巴。本当にあれの正体って人間なの・・・」

 

「それは・・・」

 

ここで言葉に詰まる巴に友希那は事情に一番詳しいであろう弦太朗にとある疑問を口にする。

 

「ねぇ・・・如月。私もあの猫になれるのかしら・・・?」

 

「「「「!?」」」」

 

「「・・・・・・」」

 

「友希那さん!?何を・・・!?

 

「何って気になったから・・・」

 

「友希那・・・。猫になりたいとかそんなこと考えてないよね・・・?」

 

「・・・そんなことないわ」

 

「ならその間はなに?」

 

 

 

そんな友希那の答えに怒りと呆れを覚える一同に弦太朗は答える。

 

「猫になれるかはわからねぇけど怪物にはなれるな・・・」

 

「なら・・・」

 

その言葉に怒りが爆発したものが一人・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ふざけないでください!!」

 

「上原さん・・・?」

 

「ひーちゃん・・・?」

 

「あれは・・・。あれだけは絶対に使ったらダメなんです!!」

 

「ひまり・・・。何言ってるの・・・?」

 

「そういうことだったのね・・・」

 

友希那の言葉に声を荒げたのはひまり。

突然の声に多くの物は困惑するが構わず言葉を上げるひまりにパスパレの全員は全てを察してしまった。

 

ひまりも千聖と同じであることを―――

 

 

 

 

「・・・上原さん?あなた何を言ってるの?」

 

「そうだよひまり。なんでそんなことを・・・!?」

 

「まさか!?ひーちゃんも?」

 

「あこ!!」

 

「巴!!黙ってて!!」

 

「おいひまり・・・」

 

「お願い・・・!!」

 

あこは何かを気づいた様子でひまりへ質問しようとする声を巴が遮るがひまりが巴を止める。

ひまりの覚悟を見た巴はそれ以上の追及はせずに成り行きを見守ることにした。

 

「あこちゃんの想像の通りだよ。私も千聖さんと同じだから分かるんだよ・・・」

 

「ひまり!?そんな・・・!!」

 

「・・・」

 

 

千聖に続いてひまりからの告白―――

友達と学校の後輩が先ほどの日菜を襲った怪物と同じになっていた事実に友希那とリサの顔から血の気が引く。

 

「あれを使うと自分が自分でなくなるのよ」

 

「・・・?どういうことですか・・・?」

 

ひまりの言葉に驚くリサを他所に千聖の言葉の意味が分からない燐子はその意味を聞き返す。

 

「あれ使うと自分の悪いところがどんどんおっきくなっていくんです・・・」

 

「人殺しを簡単に実行しようとしてしまうくらいには暴力的になるのよ」

 

「・・・そんな!?まさか2人とも誰かを・・・?」

 

最悪の事を考えた燐子は2人を見るが2人はありのままを答える。

 

「私は誰も傷つけちゃいないわよ。弦太朗とイヴちゃん達のおかげで誰も怪我はしてないわ・・・。机とかの物はいくつか壊してしまったけど・・・」

 

「あの時はチサトさんに刀を折られたのはフカクでした・・・」

 

「私は殺しはしていないけど、巴のパンチから逃げる時に弦太朗くんの脚に怪我させて・・・」

 

「前にげんたろーがおねーちゃんをうちまで送ってきたとき!!すっごい足から血が出てたのがあった!!」

 

「確かに如月さんが足を怪我して、学校に来てる時がありましたね・・・。すっごく辛そうでした・・・」

 

「あこちゃんも燐子さんも見たなら分かると思いますけど。あれをやっても何にも思わないくらいには変わっちゃうんです・・・」

 

あれだけの事をしても何も思わないと言うひまりの言葉に弦太朗の負傷してた姿を見たあこと燐子は言葉を失う。

 

その様子を見た友希那は―――

 

 

 

 

 

 

「2人ともごめんなさい。無神経だったわね・・・」

 

「・・・別にいいわよ。仕方のないことだもの」

 

「そうですね・・・」

 

 

友希那の謝罪で話は一度そこで終わり、あこから言葉でリンクスの正体についての話へと戻っていく。

 

「それにしても友希那さん!!なんであれが紗夜さんだと思ったんですか~?」

 

「・・・日菜よ」

 

「ひなちんが・・・?」

 

「どういうことですか・・・?」

 

一同はその言葉の意味を理解できないが、友希那は構わずに話を続ける。

 

「あの子。意識がなくなる直前に言ってたのよ「おねーちゃん」って・・・」

 

「なぁ。それはリサと紗夜を間違えただけじゃないのか?」

 

「そうだよ!!だってあの時紗夜はいなかったじゃん!!」

 

「げんたろー達の言う通りだよ!!だって・・・!!」

 

「確かに氷川さんはいませんでした・・・。でもさっきのが氷川さんだったら・・・?」

 

「でも・・・」

 

燐子の言葉に一同は考える。

リサと日菜を間違えたのか、それとも本当にリンクスの正体が紗夜だったのか・・・。

 

「日菜ちゃんがそう言ったんだったら間違いないよ!!」

 

「ジブンもそう思います」

 

「確かにあの日菜ちゃんが紗夜ちゃんを間違えることなんて考えられないもの」

 

「双子ならではの・・・ですね!!」

 

「それでも・・・。アタシは信じられないよ・・・」

 

「今井さん・・・」

 

リンクスの正体が紗夜であるという流れをリサの一言が止める。

リサは日菜の一言だけでリンクスの正体が紗夜であることを信じることができなかった。

 

 

「・・・それなら会って確かめてみりゃいいだろ」

 

「・・・それもそうね」

 

「うん!!それに紗夜さんにも会いたいし!!」

 

「そうですね・・・」

 

「リサ。あなたはどうするの?」

 

「・・・アタシも行く」

 

紗夜に会って真実を確かめる事にしたRoselia―――

Roseliaの今後の方針が決まったところで成り行きを見守っていた千聖達が声をかける。

 

「話は纏まったかしら・・・?」

 

「えぇ・・・。明日、紗夜に会って自分の目で確かめてくるわ」

 

「如月、あこのことは任せたぞ。こっちに出たらアタシ達でなんとかしておくから」

 

「おう。任せとけ。そっちも無理すんなよ」

 

「はい!!ブシドーの心でがんばります!!」

 

「イヴさんはやる気満々なんですね・・・」

 

「私達は日菜ちゃん見ておくから!!こっちは任せてね!!」

 

「なら、そろそろ帰りません?時間も遅いですし・・・」

 

話が纏まった事で時間も遅くなっていたため、ひまりが帰宅することを提案する。

 

「私は残るわ。日菜ちゃんが気になるもの」

 

「だったらパスパレは全員残るよ!!」

 

「ブシドー!!」

 

「って事なのでジブン達は・・・」

 

「日菜が起きたら連絡を頂戴」

 

「えぇ。それじゃあ失礼するわね」

 

そして、パスパレのメンバーは日菜の病室へと向かっていった。

 

「私達も帰りましょうか」

 

「はい!!」

 

「あの・・・もしよかったら今日は私の家に泊まりませんか・・・?両親が不在であんなことがあった後だから怖くて・・・」

 

「それだったら1回家に帰りたいなー。明日も学校だし、替えの制服用意しないと」

 

「あこも行ってきていいぞ。親には言っておくから」

 

「うん!!ありがとーおねーちゃん!!」

 

「あの・・・もしよかったら巴さん達もどうですか・・・?」

 

「えぇ!?いいんですか・・・?」

 

「あんなことがあったから、人は多い方がいいわ」

 

「それなら行きます!!」

 

「ならアタシも・・・」

 

「げんたろー!!また明日ねー!!」

 

「おう!!」

 

弦太朗を残して女子は燐子の家に泊まる事になり、病院を後にする。

一人残された弦太朗は上着をひまりに持っていかれた事に気が付くが、彼は上着の無いまま自宅への帰路に着くのだった。

 

 

 




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宇宙まで飛ばすか目の前でやるか悩むなぁ・・・


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悪・逆・風・紀-10 Sの暴走/歪んだ正義感

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時間が取れん!!
Roselia篇はまだまだ続くんじゃ。



リンクスとの戦闘の翌日、

 

「うぉおおおお!!」

 

弦太朗は替えの学ランを身に纏い学校へ向けて全力疾走していた。

朝のHRまでは時間には余裕はあるが放課後の件に向けて気合を入れるため、弦太朗は声を挙げながら全力で登校していた。

 

「あっ!!ゲンちゃん先輩!!おはよー!!」

 

「香澄!?お前こんな時間に何してんだ?」

 

「えへへー。夜まで電話してたら寝坊しちゃって・・・」

 

「まだ時間余裕のはずだぞ?でもこのまま走るか!!」

 

「あっ!!待って!!」

 

 

 

合流した2人は声を挙げながら学校まで駆け抜けていったが、学校で待っていたのは校門前に出来た人混みを前で足を止めていたたえを発見した2人は足を止める。

 

「あれ?なんだろう?」

 

「・・・なんかあったのか?」

 

「あっ先輩。香澄」

 

「おたえ!!これ何があったの!?」

 

「実は・・・」

 

「おい!!如月こっち!!」

 

たえの話を遮るように有咲が人混みの中から姿を現して、弦太朗の腕を引いていく。

香澄とたえもその後に続くように有咲の後に着いて行くとそこにあったのは怪我で意識を失っている生徒達。

 

怪我の中には大きな爪による傷も見受けられた。

 

 

「これは・・・」

 

「ひどい・・・」

 

「・・・明らかにお前絡みだろ?」

 

「あぁ。後で話すけど生徒会室でいいか?」

 

「でも、燐子先輩が・・・。って今回はRoseliaか・・・」

 

「ちょっと違うけどな・・・」

 

弦太朗の簡単すぎる説明を理解した有咲はこれ以上の追及を止めた。

騒ぎを聞きつけた教師がやってきて生徒達を校内に入るように促す。

 

その暗い雰囲気のまま花咲川での授業が始まった。

 

 

 

 

 

 

「うっし・・・。入るか」

 

「はい・・・」

 

授業を消化した昼休み。

弦太朗は燐子と共に生徒会室へと入ると同時に有咲が鍵を閉める。

その中にはパスパレとこころ達以外の花咲川のバンドメンバー達が揃っていた。

 

「・・・それで如月。今回はRoseliaが狙われたってことでいいんだよな?」

 

「いや、友希那達と一緒にいる時に襲われたけど・・・」

 

「襲われて怪我をしたのはライブ直後に一緒にいた日菜さんなんです・・・」

 

「もしかして!!日菜さんがRoseliaのライブに出たって話題になってたから!?」

 

「戸山さん。それってライブ終わってすぐだと早すぎるんじゃない?」

 

「なぁ。そいつらって何か共通点とかねぇのか?成績優秀だったとか・・・。恨まれてたとか・・・」

 

「全員成績もバラバラだし。全員が素行不良って訳でもなかったな。何人かは夜遊びで指導されたこともあった人もいたけど・・・」

 

「じゃあ誰でも良かったってこと?」

 

何故Roseliaと一緒にいた日菜だけが傷ついたのか?

学校前に倒れていた傷ついた生徒達は?

ゾディアーツが彼女たちを襲った目的は?

 

疑問は尽きないが彼女たちの話は日菜についてへと切り替わっていく。

 

「ところで如月くん。それで日菜ちゃんは大丈夫なの?」

 

「命には別状はないってさっき彩から連絡が来たぞ。それに昨日の夜に病院に運ばれてた人たちもな・・・」

 

「私もそれを聞いて少し安心しました・・・」

 

「そういえば弦太朗?日菜さんの怪我って?」

 

「爪で腕をな・・・」

 

「爪って・・・」

 

「沙綾?どうしたの・・・?」

 

「ほら朝の怪我してた人達。あの人たちも爪で引っ掻かれたような怪我があったよね」

 

「確か怪我して時間が経ってたみたいで、夜に怪我したんじゃないかって話があったような気がするけど・・・」

 

日菜の怪我の内容から沙綾は今朝の被害者の怪我を思い出す。

りみが聞いた夜に怪我をしていたという話から花音がとある結論を導き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、もしかしてその人たちって塾とかバイトで帰るのが遅くなったんじゃないかな・・・?」

 

「花音さん?どういうことですか・・・?」

 

「出始めたのが昨日の夜からなら、今朝の怪我した人は夜に外を出歩いてたってことだよね・・・?」

 

「それってどういう・・・?」

 

「まさか!!夜に出歩いてたから襲われたってこと!?」

 

「遊びとか塾とかお構いなしか・・・」

 

「そう言えば病院に運ばれてたのも柄の悪い奴らばっかだったな」

 

「弦太朗くんが柄が悪いとか言っちゃうの・・・?」

 

「如月がそれ言ったらダメだろ・・・」

 

「・・・っ!?」

 

「燐子先輩?どうかしましたか?」

 

 

今までの話を聞いて燐子はとある結論に至った。

 

仮に昨日の日菜の言葉が真実で怪物の正体が紗夜だった場合―――

その目的は―――

 

「風紀・・・?」

 

「風紀って燐子先輩。そんな紗夜先輩みたいなことを・・・。って!?」

 

「あの紗夜先輩だよ?でも、最近ちょっと様子がおかしかったような・・・」

 

「ねぇさーやもりみりんもどうしたの?」

 

「夜中の外出に柄の悪い人たち・・・。って先輩みたい・・・?」

 

「花園さんは少しは言葉をオブラートに包んで言いなよ・・・」

 

そうして有咲は以前にあったとある出来事を思い出す。

 

 

 

 

「確かにりみの言うように最近の紗夜先輩はおかしかったよな。ほら、最初に出た時も・・・」

 

「そう言えば弦太朗くんの言葉を聞かないで「脅してる」とか「信用できない」って頭ごなしに否定してたよね?」

 

「まぁ見た目だけで言えば仕方ないけど、思えば紗夜先輩らしくないよな・・・」

 

「私この前CiRCLEに行った時、氷川先輩がリサさんとあこに「服装が乱れてる!!」って怒ってたのを見たよ?」

 

「ねぇ!!それって今回は紗夜先輩ってこと!?」

 

「っ!?」

 

「燐子先輩!?おい香澄!!ちょっとは考えろよ!!」

 

「いえ・・・。いいんです・・・。今日の放課後にRoseliaの皆さんと一緒に氷川さんに会いに行きますから・・・」

 

「そうだったんだ・・・」

 

「俺も着いて行くけど、もしどっかで見たら連絡してくれ」

 

「それはいいけど。如月お前も気を付けろよ?」

 

「おう!!ってそろそろ昼めし食わねーと時間なくなっちまうな」

 

「それじゃあご飯食べよっか!!」

 

そして集まった全員が生徒会室で昼食を急いで取り、それぞれの教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

「もう昼過ぎですか・・・」

 

私が起きたのは時計の針が頂点を過ぎて少し経った時間だった。

 

昨日はゴミ掃除が遅くなって帰るのが明け方になってしまった。

 

掃除に時間をかけてしまったが日菜以外にも街の風紀を乱すゴミを十数人を夜中に病院送りにしてから、ゴミが持っていたナイフやスタンガンなどの危険物を回収も行った。

 

夜間にも関わらず出歩いていたうちの学校の生徒もいたので、見せしめのため学校の目立つ位置に捨てておきました。

 

でも夜に遊ぶのを誤魔化すために参考書を持っていたのは許せませんね。

夜に遊び回っている人たちが参考書を持って塾帰りを装うなんて言語道断です。

 

それにしても、ゴミどもが向けてくるあの絶望的な表情といたぶるあの感覚は今でも思い出すだけでも背筋がゾクゾクするような興奮を覚えてしまいます。

 

 

 

これは日菜が起きるまではゴミ掃除を楽しめそうですね。

日菜は起きてから彼女で楽しんでから殺さないと・・・。

 

その前に私の周りもしっかりと掃除しないといけませんね。

 

まず最初はPoppin'Partyは全員、あのゴミと仲がいいのでダメです。

同じ理由で、Afterglowもハロハピもパスパレもダメ。

 

それに今井さんのあの私服、あれは周囲へ悪影響しか与えないわ。

そういえば、宇田川さんもあのゴミと友達と言ってましたね。

友達の友達は友達って言葉もありますから白金さんも消さないと。

湊さんも今井さんに汚染されてしまってるかもしれませんので消さないといけませんね。

 

 

 

 

 

 

あら?私の周りの人間が全員消えてしまうわね。

でも、これも正義の為ですから皆さんが消えるのも仕方ないですね。

誰から順番に消すか考えるだけで胸が高鳴ります。

 

そんな私のスマホには1件の通知が入ってきました。

この楽しみの邪魔をするのは誰でしょう・・・。

 

相手は湊さんで内容は『放課後にみんなであなたに会いに行く』と短い一言だけでした。

 

この通知に私は喜びのあまり顔を緩ませてしまいました。

まさか鴨達がネギを背負って私の前に来るんですもの。

 

私はどのように湊さん達を消すか考えながら、彼女たちの到着に心を躍らせるのだった。

 




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生身でも暴走させてぇなぁ


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悪・逆・風・紀-11 なぜ彼女は止まらなかったのか

投稿!!
紗夜さんどうなるのかなー(白目

そろそろRoselia篇も1度終わるかな?
でも、終わってもすぐにメイン回登板予定だからねぽてぇ・・・



放課後、Roseliaの”3人”は氷川家の前までやってきていた。

 

「それじゃあ・・・。行くわよ」

 

「おっけー☆」

 

「分かりました・・・」

 

覚悟を決めた一行を代表して、リーダーの友希那がインターホンを押す。

 

『はい。どちら様でしょうか?』

 

「私よ」

 

『・・・誰ですか?』

 

「ちょっと友希那ー。それじゃ誰か分からないからね?」

 

「・・・そうかしら?」

 

『湊さんに今井さんでしたか』

 

「氷川さん・・・」

 

『・・・ちょっと待ってください』

 

その言葉と共に声が途切れ、少し遅れて玄関のドアが開きその隙間から紗夜が顔を覗かせた。

 

 

 

 

「皆さん・・・」

 

「・・・紗夜。これから時間あるかしら?」

 

「・・・それはあるに決まってるじゃないですか。学校に行けないんですから・・・」

 

余りにも言葉が足りていない友希那の言葉に紗夜は怒りを覚えるが、リサが友希那のフォローに入る。

 

「ちょっと友希那~。言葉が足りてないよ~☆ちゃんと用事の内容言わないと~」

 

「氷川さん・・・。話したいことがあるので今から出れますか・・・?」

 

「そういう事でしたか・・・。少し待っていてください。このままでは外へ出れないので準備してきます」

 

「えぇ。それじゃあ家の前で待ってるわ」

 

友希那達の返事を聞いた紗夜は彼女たちに笑顔を向けてゆっくりとドアを閉じる。

 

「やっぱさ、ヒナの勘違いだったんだのかも・・・・・・」

 

「そうでしょうか・・・」

 

「でもスイッチ?を使う前に取りあげればいいじゃない」

 

「友希那さんは日菜さんの言葉を信じてるんですか・・・?」

 

「えぇ・・・。だって・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういう事でしたか・・・・・・。なら、もういいですよね・・・・・・」

 

閉めたドアの裏で今までの会話を全て聞いた紗夜は酷く歪んた笑顔を浮かべて自室へと戻る。

全ては彼女の正義を達成するために―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜が家の中に戻って少し経った後、準備を終えた紗夜が家の中から出てくる。

 

「お待たせしました。それで要件は何でしょう?」

 

「ここじゃあれだし、移動しよっか」

 

「とりあえず行くわよ」

 

「えぇ・・・」

 

そして紗夜を連れた友希那達がたどり着いたのは先日、日菜と共にゾディアーツに襲われた現場。

その地面には日菜の血の跡がしっかりと残っており、紗夜は友希那達と距離を取るようにして立ち止まる。

 

「湊さん?どうして私をここに?CiRCLEまで行かないのですか?」

 

「えぇ。ここなら昨日のこともあって人はいないもの・・・」

 

「・・・・・・それもそうですね」

 

友希那の言葉を聞いた紗夜はこみ上げてくる笑いを堪える。

 

紗夜の目の前にいる彼女たちは先日、今いる場所で襲われたにも関わらず、

襲った張本人をその場所まで連れてきている。

 

それは獲物自らが狩場まで狩人を案内しているような―――

 

そんなことを考えながら彼女は笑いを堪えて表情を作り、彼女たちへと問いかける。

 

 

 

 

 

「それで話とはなんでしょう?」

 

「ねぇ紗夜?昨日は学校から帰ってから何してたの?」

 

「今井さん急にどうしたんですか?昨日は学校から帰ってからずっと家にいましたけど?」

 

「それなら・・・。私がヒナの事を連絡した時、どうして無視したの・・・?」

 

「それは・・・今井さんの連絡が信じられなくて・・・!!」

 

「今井さんがそんな嘘を言う訳が・・・」

 

「それになんで病院にいるヒナのお見舞いにも行ってないの?」

 

「さっきから何なんですか!!日菜。日菜って!!いい加減にして!!」

 

「っ!!」

 

妹の名前が話に挙がり、紗夜は怒りの感情を彼女たちに向ける。

怒りを向けられたリサ達は言葉に詰まる中、その時友希那が声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・紗夜。あなた、もうやめなさい。あなた、自分のやってる事が正しいと思ってるの?」

 

「・・・・・・意味が分かりません!!さっきから何を言ってるんですか!!」

 

「本当に分からないの?」

 

「・・・もういい加減にして!!さっきからみんな揃ってなんなんですか!!」

 

「本当に分からないならはっきりと言わせてもらうわ」

 

「あなたはさっきから何を・・・・・・!!」

 

友希那の言葉を理解できない紗夜は先ほどのリサたちの言葉よりも語気を荒げて友希那へと話しかけるが、彼女はそれを全く意に返さない。

 

その様子を見た友希那は目の前の紗夜にあることを告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜。私は今のあなたとは頂点を目指せないわ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友希那さん・・・・・・?何を言って・・・」

 

「ちょっと友希那!?何言ってるの!!」

 

「何ってそのままの意味よ」

 

「流石にそれでは分かりません・・・」

 

「そうだよ!!ちゃんと説明してよ!!友希那!!」

 

友希那による爆弾発言によって、紗夜は言葉を失いリサたちは友希那へと詰め寄るが彼女は返事を返さない。

 

―――言うべきことは言い切った。

 

そんな表情をした彼女の視線は紗夜へと向けられていた。

 

そして友希那の言葉を聞いた紗夜は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふふふふっ。アハハハハハハハははははははははハハハハハハはははははハハハハハははハハハハハはははハハハハ !!」

 

―――狂気を含んだ笑い声と共に彼女は壊れた。

 

 

 

 

「氷川さん・・・・・・?」

 

「紗夜!?どうしたの・・・!?」

 

「・・・・・・」

 

突然の紗夜の笑い声に困惑する2人に対して、友希那は紗夜を静かに見つめる。

そして壊れてしまった紗夜は友希那達へと視線を向けて語りかける。

 

「やはりそういうことだったんですね・・・・・・。やっぱり私よりも日菜がいいんですね・・・・・・」

 

「氷川さん?何を言って・・・・・・」

 

「・・・・・・やっぱり消さないと・・・・・・」

 

紗夜は静かにつぶやき、虚ろな表情でポケットから”何か”を取り出す。

しかし、友希那達からそれを確認することは出来なかった。

 

 

 

 

 

「紗夜?」

 

「ふふふふふ・・・・・・・・・」

 

友希那の言葉が耳に入っていない紗夜は”何か”を手に持ったままゆっくりと友希那達へと歩み出す。

 

「・・・・・・やっぱり、最初からこうしておけばよかったですね。時間の無駄でした・・・」

 

「氷川さん・・・っ!?」

 

 

 

燐子は紗夜へと言葉をかけようとするが彼女の手に持っていた物を見て言葉を失う。

 

紗夜の手元には黒いスイッチが握られていた。

 

「如月さん達が言ってたのはあれのこと・・・?」

 

「紗夜。あなた本当に・・・」

 

「湊さん。やはりあなたも今井さんによって汚染されてしまったんですね・・・」

 

「汚染されたって何言ってるの・・・?意味が分からないわ・・・」

 

「風紀を守るためです・・・」

 

「紗夜。それ使ってまた人を襲うのが風紀を守ることなの!?」

 

「私自身が風紀です!!私が気に入らないものは全て風紀を乱すもの!!ですからこの手で抹殺します!!」

 

「理解できません・・・・・・・」

 

紗夜の言葉が全く理解出来ず、燐子が思っていたことを素直に口にした。

その燐子の言葉に紗夜は答える。

 

 

 

「このチカラでゴミドモからこの街の風紀をマモらないと・・・。あぁ!!早くゴミドモをイタブッテ楽しみたいです・・・!!」

 

「紗夜!!いたぶるって・・・。暴力だけじゃ何も・・・」

 

「煩い!!」

 

彼女はリサの言葉を遮るとスイッチを顔の近くまで持ち上げ、この後の出来事に胸を躍らせるような表情へと変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして紗夜がスイッチを押す直前でリサがこの場にいないはずの名前を叫ぶ。

 

「・・・・・・あこ!!」

 

「急に何を言って・・・」

 

リサの突然の叫び―――

しかも、ただ叫ぶのではなく”この場にいない人間の名前を叫ぶ”という奇行に紗夜も行動が止まる。

 

そして、紗夜の行動が止まると同時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーーーーーーーーーーんっ!!」

 

「・・・なっ!?」

 

紗夜の裏から突如として現れたあこが紗夜の腕へと飛びついて、そのままスイッチを彼女から奪い去って友希那達の元へと駆け寄る。

 

「リサ姉!!あこやったよ!!」

 

「今までよく我慢できたねー!!偉いぞーあこ!!」

 

「でかしたわ。あこ」

 

「うん!!紗夜さんのためだもん!!」

 

「えっ!?あこちゃん!?どうして・・・」

 

「宇田川さん・・・。なんでここに?」

 

突如として現れたあこに紗夜と燐子は状況を飲み込めないが、あこが自分から説明する。

 

「学校でリサ姉達といた時にまやさんが「最悪を考えて最善の行動をするのが一流の裏方ですっ!!」って言ってたんだー」

 

「それで私達が紗夜をここまで連れ出して、紗夜が持ってるかもしれないそれをあこが後ろから奪い取る。って作戦だったんだよねー☆」

 

「うん!!流石リサ姉!!でも、何であこの頭撫でてるの?」

 

「気にしなーい☆」

 

「ねぇリサ。私、あこのこと全く聞いてないのだけど」

 

「私も・・・・・・です」

 

「ほら、よく言うじゃん~。”敵を騙すにはまず味方から”って、それに2人とも演技とか苦手でしょ~。あこも苦手だけど隠れて我慢するだけだったし」

 

「・・・・・・それなら仕方ないわね」

 

「まぁ、昨日のが紗夜じゃなかったらあれだったけど。結果オーライってことで」

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハ!!」

 

スイッチを紗夜から奪って紗夜を止めれたと少し浮かれる友希那達を見た紗夜は突然笑いだす。

 

「ねぇ紗夜?何がおかしいかな~?」

 

「敵!!やっぱりそういうことだったんですね・・・」

 

「紗夜。あれは言葉の綾で・・・」

 

「そういう事だったんでしょ!!・・・・・・・・・でも、今のあなた達。本当に滑稽ですね・・・・・・」

 

「紗夜さん・・・・・・?何を言ってるんですか・・・・・・?」

 

余裕の笑い声の理由が分からないが紗夜は静かにある真実を告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつ私の持ってるスイッチが”1つだけ”なんて言いました・・・?」

 

紗夜はその言葉と共に懐から先ほど手にしていた物と同じスイッチを取り出す。

 

「・・・・・・嘘でしょ!?」

 

「宇田川さんが奪ったもの以外にもう1つ持ってたんですよ・・・」

 

「そんな・・・」

 

「不味いわね・・・」

 

紗夜の心境に反応するように持っていたスイッチが”ラストワン”と悪意の籠った声と共に禍々しい形状へと姿を変え、それを嬉しそうに見つめた紗夜は友希那達へと視線を向ける。

 

 

「計画とは違いますが・・・。皆さんには街の風紀のために死んでもらいます」

 

その言葉と共に紗夜はスイッチを押す。

紗夜は友希那達の目の前でリンクス・ゾディアーツへと変身し、元の身体がリンクスの足元へと転がる。

 

「紗夜・・・」

 

「あぁあああああぁぁぁあぁ!!この力が溢れる感じがたまりません!!早くゴミをいたぶりたい!!」

 

リンクスは高ぶる感情のままに叫び、叫び終えると視線を友希那達へと向ける。

 

「皆!!逃げ・・・!!」

 

「煩い・・・」

 

しかし、リサが声を挙げようとするが素早い動きで近寄ってきたリンクスにそのまま突き飛ばされて言葉が途切れる。

 

「せめてもの情けで宇田川さんはこの中では最後にしてあげます。一番年下ですからじっくり死ぬ恐怖を味わってくださいね」

 

紗夜の言葉に恐怖で3人の身体は震え上がるが、あこは自身が手に持っていたスイッチの事を思い出す。

 

 

 

 

―――これを使えば紗夜さんを止められる・・・?

その考えと共に先日のひまり達の言葉を思い出す。

 

―――使うと自分の悪い部分が大きくなる。

―――人殺しを簡単にするほど暴力的になる。

 

昨日の言葉は今目の前にいる紗夜の姿を見たら、理解が出来た。

でも、このまま何もしないと自分も友希那達も殺されてしまう。

 

自分が化け物になってしまう恐怖と目の前の紗夜のようになってしまう恐怖―――

 

 

 

2つの恐怖に感じであこは迷う中、近づいて来た1台のバイクがそのままリンクスへと衝突して、あこの迷いをリンクス諸共吹き飛ばし”正義の味方”は現れた。

 

「げんたろー!!」

 

「おう、待たせたな!!」




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悪・逆・風・紀-12 闇に光るAlpha star

投稿。

多分次でRoselia篇終わる(予定
Roselia篇終わったら小ネタ(スイッチ解説+α)投下してからRASにしますね。


Roseliaの3人へと迫っていたリンクスにバイクのまま体当りで吹き飛ばして、弦太朗は彼女たちの前でバイクから降りる。

 

「げんたろー!!」

 

「おう、待たせたな!!」

 

「・・・いったたぁ~。って弦太朗。来るの遅かったね~」

 

「悪いな。それでやっぱり・・・」

 

「えぇ、あれは紗夜よ・・・。やはり、日菜には分かってたのね」

 

「それで・・・。如月さん、そちらは・・・?」

 

「おぅ、こっちもばっちりだ」

 

「キサラギィィィィイイイイ!!オマエェェエエエエ!!」

 

吹き飛ばされたリンクスは弦太朗へと憎しみを込めた叫びを挙げる。

自身の”掃除”を先日に続いてまた妨害されたのが彼女にとってはそれが彼女の怒りに触れる。

 

「・・・紗夜。もうこんなことはやめなさい」

 

「紗夜!!もうやめてよ!!元々そんな事する子じゃ無かったじゃん!!」

 

「氷川さん・・・」

 

「紗夜さん!!みんなの言う通りだよ!!そんな怪物になるなんて!!」

 

「私をイラつかせるな!!お前達は風紀を乱す”悪”だ!!お前たちが私に・・・正義に盾突くな!!」

 

紗夜が自身で”悪”と断じた仲間たちの言葉へ全く聞く耳を持たない。

その言葉にあこが叫ぶ

 

「紗夜さん!!人を傷つけるのは・・・そんなの正義じゃないよ!!」

 

「あこちゃん・・・」

 

「煩い!!私は・・・私はそのゴミが―――仮面ライダーが正義の味方なんて絶対に認めない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜の叫びを聞きながらも弦太朗は懐からドライバーを腰に巻き、ゆっくりとドライバーのスイッチを入れながら紗夜の言葉に答える。

 

「紗夜、俺は・・・・・・。いや仮面ライダーは正義の味方なんかじゃねぇ」

 

「げんたろー!!」

 

「でもあこが言うには仮面ライダーは正義の味方だって言われてるんだよね・・・?」

 

「それに今までだって、市ヶ谷さんや日菜さん達を守るために戦ったって・・・」

 

「やはりそうですか!!そんなゴミが正義の味方なんてあり得なかったんですね!!」

 

「なら如月、あなたはなんの為に戦ってるの・・・?」

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーである弦太朗自身が”仮面ライダーは正義の味方”であることを否定したことにあこたちは驚きの表情を浮かべるが、あこたちも何も気にする様子もなく弦太朗は紗夜から視線を外すことなく友希那の言葉に答える。

 

「俺が守るのは正義じゃねぇ!!俺はダチを守るために戦ってるんだ。・・・だから紗夜、お前ともダチになるために俺はお前を止める!!」

 

その言葉と共に弦太朗はドライバーのスイッチを全て入れて構えと同時にカウントダウンが響く。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

   

「変身!!」

 

その言葉と共に弦太朗を中心に空気と少女達の髪を震わせてフォーゼへと変身する。

 

 

 

 

「宇宙キターーーーーーーッ!!”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!! 」

 

「きたー!!」

 

「あこー。マネしちゃダメだぞー」

 

「あれはいつも叫んでいるんですか・・・」

 

「相変わらず煩いわね・・・」

 

フォーゼのいつものセリフにそれぞれの反応を示すRoseliaのメンバー。

 

 

 

 

 

 

 

「黙れーーーっ!!」

 

その言葉にリンクスは怒りを隠さずにフォーゼへと突撃するが―――。

 

「うらぁ!!」

 

突撃に合わせてフォーゼは一歩踏み込んでその拳をリンクスの顔に叩きつけ、リンクスが後方に仰け反る。

 

「如月。にゃーんちゃん―――いえ、紗夜の事頼んだわよ」

 

「おう!!」

 

「リサ・・・」

 

「うん。任せといて!!」

 

その言葉でリサは友希那の意図を察して、地面に転がっている紗夜を回収しようとするが―――

 

 

 

 

 

 

 

「私の身体に触れるなーー!!」

 

リサの行動を察したリンクスはフォーゼよりも自身の元の身体へと寄るリサへと声を挙げて元の身体に近づくリサへと詰め寄ろうとするが、その間にフォーゼが2人の間へと割り込む。

 

「紗夜。タイマンだって言ったろ?」

 

「邪魔するな!!」

 

「お前にこれ以上暴れさせねぇ!!・・・それが日菜の頼みだからな」

 

「お前がその名前を言うなっ!!」

 

日菜の名前を出した途端にリンクスの怒りは目に見えて増す。

そしてリンクスは自身の爪を突き立てるべく先ほどと同じようにフォーゼへと突撃する。

 

しかし直線的なその動きはフォーゼによって完璧に捉えられ、今度はフォーゼの蹴りによってリンクスは止められてそこから連続で拳を叩きこまれる。

 

「そぉらぁ!!」

 

「あぁぁああ!!」

 

連続で拳を叩きこんでいたフォーゼはスイッチを起動する時間を稼ぐため力を込めて拳を叩きこむ。

リンクスがその拳によろめくと友希那達の後ろからどこからかポテチョッキンとそれを追う少女が姿を現す。

 

 

「おい待て!!ってRoselia!?」

 

「・・・市ヶ谷さん?こんなところで何を・・・?」

 

「・・・えぇっと。如月から預かってた”あれ”が急にどっか行こうとしたのでそれを追って・・・」

 

有咲が追ってきたポテチョッキンはフォーゼの手元へとやってくる。

そしてフォーゼはポテチョッキンに嵌められていたスイッチを外してベルトへとはめる。

 

「わりぃ!!これ持っててくれ!!」

 

フォーゼはそのまま有咲へとスイッチの抜かれたポテトを放り投げ、スイッチを”2つ”起動する。

 

 

 

――クローON―――――――――

――――――――シザースON――

 

 

スイッチの起動と共にフォーゼの腕に爪とハサミが精製されると同時に今度はフォーゼからリンクスへと攻勢を仕掛ける。

先ほどのリンクスの攻撃とは異なり、フォーゼの爪とハサミは確実にリンクスの身体を抉る。

 

目の前の戦いを見ている少女達はその光景を見て言葉が零れる。

 

「あの動き・・・。弦太朗は随分と戦い慣れてるね・・・」

 

「リサ?分かるの?」

 

「戦いについてはよく分かんないけど、何となく動き見れば慣れてるのはわかるかなー」

 

「リサ姉はダンスとテニスやってるもんね!!あこもなんとなく分かるよ!!」

 

「ね~!!」

 

「いや!!それは全然関係ねーから!!」

 

リサたちの意味不明な理由に思わず突っ込む有咲達は目の前の戦闘へと視線を戻す。

そこにはフォーゼが腕の爪とハサミでリンクスを攻め立て続けていた。

 

「アァァアあああ!!」

 

「よっと!!」

 

フォーゼの攻撃の合間を縫ってリンクスも反撃を仕掛ける。

しかしリンクスの攻撃は全て虚しく空を切る。

 

自身の思い通りにならないリンクスはどんどん冷静さを失ってその動きは単調になっていく。

その変化をフォーゼは見逃さずに反撃を繰り返し、遂にリンクスは地面に膝をつく。

今が勝機と見たフォーゼはスイッチをOFFにする。

 

「これで決めるっ!!」

 

そして、その言葉と共にスイッチの交換から起動、必殺技の発動までを流れるような動作で実施する。

 

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

  

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

「ライダーロケットドリルキィィィィィック!!」

 

フォーゼは右腕のロケットで空高く飛び上がった後、足のドリルをリンクスへと向けて急降下。

リンクスがそれを避けようとするも、その技を避けることは叶わずにドリルがリンクスの身体を貫いてフォーゼが地面へと着地する

 

「私はまだ!!終わって―――!!」

 

そして、リンクスの叫びが響く中、リンクスの身体は周囲に炎をまき散らして爆散する。

紗夜のスイッチは爆散した地点から音を立てて地面へと堕ちていく。

 

「やったー!!」

 

「すごい・・・」

 

「終わったのね・・・」

 

「でも紗夜は!?」

 

爆発が晴れてリンクスの姿が見えなると安堵したRoseliaから声が漏れるが、その空気を壊す発言が1つ―――

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ってちょっと待てよ?なんか変じゃねぇか・・・?」

 

「変・・・?ありさ。どういうこと・・・?」

 

「如月があの状態の怪物―――ゾディアーツを倒したら、そのスイッチがあいつの手元まで飛んできてたんですけど。今回はそれがなくて・・・」

 

「市ヶ谷さん・・・?それはたまたまじゃないでしょうか・・・」

 

「燐子の言う通りだって!!そんな毎回手元に都合よく・・・」

 

その言葉を聞いたフォーゼは以前までの戦いの経験から、最悪の事態を想定して紗夜のスイッチが堕ちた場所を警戒する。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その最悪の事態は現実の物になった。

紗夜の押したスイッチが突如として宙へ浮いて鈍く輝く。

そして爆発の炎を吸い込んで、スイッチを中心に再びリンクスが叫びと共に姿を現す。

 

「あAぁaぁアあああァァぁ!!」

 

「そんな・・・!?」

 

「だって!!今倒されたんじゃないの!?」

 

「どうなってるんだよ・・・!?」

 

「訳が分からないわ」

 

フォーゼ達の目の前で目の前で倒されたゾディアーツが復活し困惑するRoselia達、そしてフォーゼは今までの経験からある結論を導く。

 

「これは野々村の時と同じ!?紗夜がラストワンを超えたのか!?」

 

「AAaaaaaaa!!」

 

復活したリンクスはフォーゼへと肉薄し、自身の爪で連続で斬りつける。

先ほどとは違ってその攻撃は先ほどよりも素早くフォーゼはそのまま攻撃を受ける。

 

「まだやんのか・・・!!」

 

「おい!!如月!!お前大丈夫なのか!?」

 

「でも、ここで紗夜を逃がすわけには行かねぇからな・・・。このままやるっきゃねぇ!!」

 

その言葉と共にフォーゼはリンクスへと再び向き合うが、そこには彼も見たことがない光景が待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですか・・・あれは?」

 

「紗夜が・・・子供を生んだ・・・!?」

 

「リサ姉!!しっかりして!!」

 

「・・・すごく忍者ね・・・」

 

「あれって如月から聞いた・・・。でも・・・!!」

 

「紗夜!?どうしてお前がそれを・・・・・・!!」

 

そこにはホロスコープスではないリンクスでは生み出すことが出来ないはずの存在。

”ダスタード”がリンクスの周囲に姿を現していた。

 




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悪・逆・風・紀-13 青薔薇と火の鳥と青春の炎

Roselia篇終わり!!

次から小ネタ(スイッチ解説+α)少々投稿します。
紗夜さんはどうなったんでしょうねぇ・・・

未使用スイッチは減ってきたな・・・(使いにくい連中から目をそらしつつ・・・



ダスタード―――

それは上位のゾディアーツであるホロスコープスが生み出す戦闘兵。

それが今、ホロスコープスではない目の前にいるリンクスの身体から生み出されたことに驚きを隠せないフォーゼだが、その様子に疑問を持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?でも数が少ねぇな・・・。レオと違って普通の奴らだし・・・。ホロスコープスじゃねぇからか?」

 

リンクスが生み出したのは通常の物でその数も少ない。

フォーゼはその数を指折り数え始める。

 

「1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・6・・・。それと紗夜で7!!纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

フォーゼは敵の数を数え終わると、そのまま敵の中へと飛び込み戦闘を開始する。

 

「それタイマンじゃねぇから!!」

 

「紗夜から何か生まれた・・・」

 

「今井さん・・・!?」

 

「・・・リサは何をやってるのかしら?」

 

「ねぇ!!げんたろーがピンチだよ!!」

 

あこの言葉に友希那達はフォーゼの戦闘へと視線を移す。

そこには数の優位によってフォーゼを攻め立てるリンクスの姿があった。

 

「アハハハハハハハ!!」

 

「こいつら強くねぇけど邪魔だな・・・!!」

 

「そろそろイイでしょう?」

 

ダスタードとの連携でフォーゼを攻め立てる中、リンクスの言葉に反応した2匹のダスタードがRoseliaの元へと駆け出す。

その2匹を止めようとフォーゼが駆け出そうとするがリンクスと残りのダスタードによって阻まれる。

 

「やべぇ!!こっちに来てる・・・!!」

 

「逃げるわよ・・・!!」

 

「りんりん!! 」

 

「・・・っ!!」

 

友希那達の言葉も燐子には届かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子は目の前に迫る恐怖によりその場で目を閉じ、その後の襲ってくるであろう痛みに備えるが、痛みが彼女を襲うことはなく、変わりに聞こえてくるのは独特な機械の駆動音。

 

燐子がその目を開けると、塵となって消えていくダスタードと拳を振り抜いたパワーダイザーの姿。

その肩には少女が一人しがみついている。

ダイザーは燐子の身体を掴むとあこの元へと近づくと少女の声が響く。

 

「あこ!!無事か?」

 

「嘘っ!?おねーちゃん!?」

 

「巴!?なんなのそれ?」

 

「えっ!?・・・なにこれ・・・!?」

 

突如ロボットに乗って現れた姉に驚きを隠せないあことリサ。

燐子は突如の出来度に戸惑いを隠せず、巴は掴んでいた燐子をあこの横に降ろしながらも疑問へと答えていく。

 

「これは如月のやつで名前は覚えてないけど・・・。今、美咲が乗ってるんですよ」

 

「なんで奥沢さんが熊着ないでそれに乗るの・・・?」

 

「湊さんは何で美咲がいつもミッシェル着てると思ってるんですか・・・」

 

突如として現れたダイザーに驚くリンクスは残っているダスタードを全てダイザーへと向かわせて自身はフォーゼへと爪を振るう。

ダイザーから響く想定外の声にフォーゼは驚きながらもリンクスへの対応しつつ、ダイザーへと声を挙げる。

 

「美咲か!?それに巴も何で来てんだ!!」

 

「あこが心配で着いてきたんだよ!!」

 

「なら、そいつらを任せたぞ!!」

 

「まぁ・・・仕方ないか・・・。ちょっと行ってきますね・・・」

 

その言葉と共に美咲のダイザーはダスタードへと戦闘を始めると、フォーゼはリンクスの爪を避けつつスイッチを交換する。

 

――――ビートON――――――

 

フォーゼの右足に精製されたスピーカーから大音量で音が流れ、近くにいたリサたち諸共リンクスへと攻撃する。

 

「うるせー!!」

 

「これはやばいな・・・」

 

「耳が・・・痛い・・・」

 

「煩くて頭がガンガンするよ~!!」

 

「何なの!!この音!!」

 

「これ乗っててもかなり音が・・・」

 

戦闘を見ていたリサたちは余りの大音量に耳を塞ぎ、ダイザーに乗っている美咲ですらその音の大きさを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしフォーゼ以外ただ一人、友希那だけは平然とその音を聞いていた。

 

「何で友希那はそんな普通にしてられるの?」

 

「リサが何言ってるか聞こえないわね・・・」

 

「友希那!!何言ってるか分かんないよ!!」

 

仕方なしにリサは自分の言ったことを自身のスマホに打ち込んで友希那へと見せる。

 

「何でって・・・だってこの曲は”FIRE BIRD”。昨日のライブで演奏した私達の曲じゃない」

 

「ファイヤー・・・・・・そうか!!」

 

友希那の口の動きで何を伝えたいのかを理解したリサ。

この大音量で流れてるのが自分たちの曲であることが信じられないリサは塞いでいた耳を少しだけ緩める。

 

緩めた耳へと飛び込んでくるのは大音量の音。

しかし、よくよく聞いてみるとその音は自分たちの曲のメロディーに似ていることに気づくが友希那のように平然と聞く事は彼女には出来なかった。

 

音楽が止むと目の前ではリンクスが頭を抱えて苦しみもがく。

 

フォーゼはビートスイッチを切ると、懐から燃えるような真っ赤なスイッチを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜!!次は俺の青春の炎を受けてもらうぜ!!」

 

その言葉と共にスイッチをベルトへ装填し起動する。

 

――ファイヤーON――――――――

 

スイッチの起動と共にフォーゼの身体を炎が包み、その炎は日の落ちた街を照らす。

そしてフォーゼは自身を包みこんでいた炎を振り払うと身体を赤く染め上げたフォーゼが姿を現す。

 

 

「今度は赤くなったわね・・・」

 

「かっこいい~!!」

 

「・・・行くぜ!!」

 

フォーゼは手に持った銃”ヒーハックガン”をリンクスへ向けてトリガーを引く。

銃口からは吐き出された火炎弾の多くがリンクスへと命中し、その度に周囲に火の粉が舞い上がる。

 

「まだまだぁ!!」

 

フォーゼは火炎弾を撃ち続けるが、リンクスは火炎弾の攻撃を封じるべくフォーゼへと急接近する。

 

「あっ!!げんたろー!!」

 

「遠距離で戦う人が近寄られたら・・・!!」

 

 

 

 

 

遠距離で戦うキャラは近距離戦闘には弱い―――

 

ゲームでありがちな設定を思い浮かべたRoseliaのゲーマー達は考えると声を挙げるが、仮面ライダーにはこの常識は通用しない。

 

―――1度の火炎弾を耐えれば距離を詰めてなぶり殺しに出来る。

 

リンクスも燐子たちと似たことを考えをしており、銃口を向けられているのも構わずにフォーゼとの距離を詰めるが、それに合わせてフォーゼはトリガーを引く。

 

その動きを見たリンクスは火炎弾に耐えるべく腕で顔のガードを固める。

 

 

 

 

 

 

しかし襲ってきたのは先ほどまでとは異なる感覚の炎と熱。

火炎弾とは異なりその炎と熱が消える気配が感じられない。

 

たまらず、フォーゼから距離を取るリンクスが見たの火炎弾を放っていた銃から文字通りの炎を噴き出させている姿だった。

 

「おらおらぁ!!」

 

距離を離したリンクスへ火炎弾を連続で放ち、その全てをリンクスへと直撃させる。

そして火炎弾で攻撃を続けるフォーゼへとあることが告げられる。

 

「如月先輩!!」

 

「こっちは終わったからそろそろ決めろ!!」

 

「・・・っ!!」

 

リンクスは周囲を見渡すがダスタードの姿がもうどこにも見当たらず、リンクスの視線の先には拳を振り抜いた巴の姿とその先に舞い上がる塵。

 

「くそぉ!!」

 

「逃がすか!!」

 

形勢が不利と察するとリンクスはその場から逃げ出すべく走り出すが、フォーゼからの攻撃が直撃すると地面へと倒れる。

その姿を見たフォーゼはドライバーからスイッチを取り出して銃へと装填する。

 

「これで・・・とどめだ!!」

 

―リミットブレイク―

 

銃へとスイッチを装填すると同時に警報音に似たけたたましい音が周囲に響く。

その言葉を聞いたリンクスは叫ぶ。

 

「きさらぎぃいいいいいいいいいいい!!」

 

必殺技が銃から撃たれる前に銃を叩き落せばいい―――

そしてフォーゼへと駆け出そうとするが想定外の出来事がリンクスと止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!もうやめて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

聞きなれたとある声にリンクスは足と止めて声のした方を向いてしまう。

視線の先には麻弥や千聖の2人に支えられてようやく立っているような状態の日菜。

日菜の姿を見たリンクスは日菜を注視してしまう。

 

「行くぜ!!ライダーーーー爆熱シューーーーーーーート!!」

 

 

リンクスはフォーゼへと再び視線を戻すが、既に目の前まで火炎弾が迫り避けることも叶わない。

 

 

「うぁあああああああああああああああああああああ!!」

 

 

そしてリンクスは火炎弾が直撃するとその場で再び爆散し、リンクスのスイッチが暗闇の中を舞うが、フォーゼはそのスイッチを見つけると飛びついてスイッチを捕らえる。

 

「今度は逃がさねぇ!!これで終わりだ!!」

 

その言葉と共にスイッチを切るとフォーゼの手元からスイッチは消滅する。

スイッチの消滅を目撃したRoseliaは今回の事件の終わりを察する。

 

 

 

 

「終わったんだよね・・・?」

 

「あぁ。これでな・・・」

 

「紗夜はどうなってるの!?」

 

「リサさん。スイッチを切ったんだったらそのうち目を覚ましますよ」

 

「そうなのね・・・」

 

「・・・じゃあ、終わったことだし。・・・如月」

 

「おう・・・」

 

「それじゃアタシ達はそろそろ帰るわ。あこの事頼むわ」

 

「あー疲れた。如月先輩。これお願いしますね」

 

 

 

 

有咲はシザーススイッチを受け取ると巴達と共にその場を後にし、Roseliaと日菜達のみが残される。

巴達の姿が見えなくなった頃、あこはあることを思い出す。

 

「そうだ!!げんたろー。これ・・・」

 

「それは!!何であこちゃんが・・・!?」

 

「紗夜さんが2個持ってたの!!」

 

「そうだったのか・・・。それ貰えるか?」

 

「うん!!」

 

「・・・・うぅ・・・んっ・・・」

 

「紗夜!!」

 

フォーゼがスイッチを受け取ると紗夜は意識を取り戻した・・・。

 

 

 

―――――――

 

私はスイッチを押してそれから・・・・・・。

そうだ・・・。あいつが変身した奴に倒されたんだ・・・。

これからどうしましょうか・・・。

 

瞼が重い・・・。

身体が重く感じるが、暗闇の中から声だけが聞こえてくる。

 

「そうだ!!げんたろー。・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・が2個・・・・・・!!」

 

そうだ・・・。

まだ1つ残ってる・・・。

希望はまだ残ってる・・・・・・。

 

私は最後の力をふり絞り身体を起こそうとするが力がうまく入らない・・・。

 

「・・・・うぅ・・・んっ・・・」

 

「紗夜!!」

 

近くで今井さんの声が聞こえるが今はそれよりもスイッチを・・・。

自身の重い瞼を開くと同時に目に飛び込んできたのは・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなもんは・・・こうだ!!」

 

目の前で最後の”希望”が砕かれる瞬間だった―――。

 

――――――

 

 

「あああああぁぁぁぁああぁぁあああ!!」

 

「紗夜!!どうしたの!?しっかりして!!」

 

「紗夜さん・・・!!」

 

フォーゼがあこから受け取った紗夜のスイッチを握りつぶすと、意識を取り戻した紗夜が悲鳴を挙げて再び意識を失う。

慌てるリサたちを他所に日菜を支えている千聖が思い当たる理由を述べる。

 

 

 

 

「もしかしてだけど、目の前でスイッチ砕いたからかしらね・・・?」

 

「どういうことですか・・・?」

 

「スイッチを使っちまうと、その力に呑まれちまうことがあるんだ・・・」

 

「ある種の禁断症状ってことかしら・・・」

 

「そういうことね」

 

「ねぇ・・・。そういう千聖は平気なの?」

 

「えぇ。私に必要なのはスイッチじゃなくてパスパレの仲間ですもの」

 

 

千聖は笑顔を浮かべながら語るが、その横では日菜が顔を青くし始める。

 

「千聖さん!!日菜さんが!!」

 

「やっぱり、無理させすぎたわね。弦太朗、日菜ちゃんの事運びなさい」

 

「紗夜さんはこっちに任せて!!皆で家まで運んでおくから!!」

 

「じゃあ任せたぞ!!」

 

変身を解いた弦太朗は日菜を抱えあげてRoseliaと別れる。

こうしてRoseliaを中心にして起こった1つ目の騒動が幕を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンクスを倒した翌日、紗夜を除いたRoseliaと弦太朗はCiRCLEの電気を消したスタジオの1室に集まっていた。

 

 

5人は輪になって話を始める。

 

「まさか、あんなことになるなんてねー☆」

 

「そうね・・・。考えてなかったわ」

 

「びっくりしちゃったよー!!」

 

「えぇ・・・まさか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「紗夜(氷川)さんの停学が伸びるなんて・・・」」」」

 

「まぁ、よく考えたら停学中に事件があったところを歩いてたら怒られるよねー」

 

「なんで気がつかなかったのかしら・・・」

 

「でも、今回もげんたろーがなんとかしてくれたんでしょ?」

 

「はい・・・。謝るために呼び出したことにしてくださって・・・。そのせいで私と2人で反省文を書かされてしまいましたが・・・」

 

「悪いわね・・・」

 

「燐子ともダチになれたし、それは構わねぇんだけどさ・・・」

 

ここで弦太朗は思っていたことを口にする。

 

 

「何で電気消した部屋で輪になってるんだ?それになんで話すやつをフラシェキーが照らしてるんだ・・・?」

 

「可愛いからいいじゃない・・・」

 

「なんか、妙に友希那になついてるみたいだしねー☆」

 

「ねぇ!!げんたろー他にはないの!?」

 

「私・・・気になります・・・!!」

 

「あるけど・・・。スタジオ借りてるのに練習しなくていいのか?」

 

弦太朗の言葉に全員が我に返る。

 

「それもそうね・・・。紗夜がいないけど練習始めるわよ」

 

「そうだねー。紗夜が戻ってきたときに腕がなまってたら申し訳ないし」

 

「うん!!紗夜さんの分まで頑張るよ!!」

 

「頑張りましょう・・・」

 

 

 

こうして少女たちは再び頂点への道を歩き始めた。

 




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本編次回予告:猫耳ヘッドホンとギター狂人

紗夜さん?
彼女は三浦君ルートだよ・・・
早いうちにRoselia篇2(紗夜復活?篇)をやるます


弦太朗の呼ばれ方Roselia篇

友希那:如月
リサ:弦太朗
紗夜:如月さん(本編未登場
あこ:げんたろー
燐子:如月さん

カウント・the・スイッチ
28/40 (シザースくんやったね!!ちゃんと登場できたね!!


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オマケ時空篇3- 弾けてしまった彼女たち
日・常・風・景3 -私の華麗なる休日ってところかしら・・・


オマケ篇
今回はRoselia系が多くなります。
今回のオマケ篇は紗夜さんお休みです

スイッチ解説小ネタはスイッチNo.順でお届けする予定です。(未登場組も一緒だよ?



~~~~小ネタ10:腹ペコ友希那ちゃん

 

私は閉じていた瞼を開く。

昨日は作曲をしていたが行き詰ってしまって、そのまま眠ってしまったのだろう。

ベッドから起き上がるとそのままリビングへと向かうが、家の中には誰もいない。

 

 

「そう言えば両親は泊りで出掛けてるんだったわ・・・」

 

両親は泊りの用事があって家を空けており、私のご飯はリサが作りに来てくれるはずなのに今日はまだ来ていないみたいね・・・。

 

そう言えばさっきスマホに通知が来てたわね・・・。

通知を確認すると相手はリサからでどうやらバイトが急に入ってしまったため、夜じゃないと来れないらしい。

 

そしてそれを確認すると家にとある音が響く。

 

 

「お腹が空いたわね・・・」

 

それは私の腹の虫が鳴いた音だった。

 

「とりあえず、外に出ましょう・・・。曲の案が浮かぶかもしれないし・・・」

 

私は着替えを済ませ財布だけを持って家の外へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・何を食べようかしら・・・・」

 

外に出てみたものの、私は何が食べたかったのか分からずに出てきてしまい迷う。

 

そんな私の向こうから見覚えのある人たちの姿が・・・・・・。

 

 

 

「ってリサさんが言ってたんだんだけど~。蘭はど~思う?」

 

「あの人もそんなことあるんだ・・・」

 

「美竹さん。それに青葉さんも何をしているのかしら?」

 

「湊さん?」

 

「おぉ~湊さんじゃないですか~。あたし達はこれからラーメンを食べに行くんですよ~」

 

「ラーメン・・・・・・」

 

ラーメン―――

この空腹の状態でその言葉を聞いたら私も食べたくなってきたわ・・・。

 

「もしよかったら一緒に来ますか~?」

 

「・・・・・・いいのかしら?」

 

「あたしはいいですよ。でも大丈夫ですか・・・?」

 

「大丈夫よ」

 

「それじゃ~れっつご~」

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉さんの案内で目的地であるラーメン屋へと到着した。

 

「ここが目的地の”ラーメン三郎”で~す。ここはトモちんもおすすめの名店なんですよ~」

 

「始めてくるけど、宇田川さんが言うなら間違いないわね・・・」

 

「・・・モカ?本当に湊さん連れてきて大丈夫だったの?」

 

「量減らせば大丈夫でしょ~」

 

「楽しみね・・・」

 

「それじゃ~先に食券を買いましょ~」

 

「あたしは小でいいかな」

 

「モカちゃんは大かな~。湊さんはどうします~?」

 

「よく分からないわね。・・・・・・そう言えば前にあこが言ってたわね。”一番高いのがきっとその店の自信作だ”って・・・。大盛ぶたダブル・・・?凄そうね・・・」

 

「・・・・・・流石のモカちゃんもそれにはびっくりですよ~」

 

「湊さん・・・。本当に食べきれるんですか?」

 

「青葉さんも大を頼んでいるし・・・。美竹さんは小なのね?」

 

「・・・・・・私も大にする」

 

「蘭~。食べきれない量はダメだよ~」

 

「湊さんが行くなら私も行く」

 

「ん~。張り合うのはいいけど~、どうなっても知らないからね~」

 

食券を買った私達は列の最後尾に並んで順番を待っているのだけど、何で店の自販機には黒烏龍茶しかおいてないのかしら・・・?

 

 

 

 

「次のお客様どうぞ~!!」

 

「やっとあたし達の番だね~」

 

「トッピングは?」

 

「ニンニク油モリモリ野菜マッターホルン~」

 

「よく分からないけど・・・。私も同じで・・・」

 

「あたしも同じで・・・」

 

「ら~~ん~~~!!」

 

「野菜少な目で・・・」

 

「かしこまりましたー!!」

 

「ねぇ、店員が私を見て驚いてたけど何かしてしまったかしら・・・?」

 

「湊さん・・・。後悔しても知りませんよ・・・?」

 

「美竹さん?そんな怖い顔をしてどうしたの?」

 

「ま~。きつかったらモカちゃんが代わりに食べますから~」

 

「・・・?何を言ってるのか分からないわね・・・」

 

「お待たせしましたー!!」

 

そういって店員が私の前に置いたのは野菜と巨大な肉。

 

それに乗ってる野菜も凄いサイズ・・・あこの顔くらいあるんじゃないかしら・・・?

お肉も私の手のひらくらい大きいのが何枚も・・・。

でもおかしいわね・・・ラーメンなのに麺が見えないなんて・・・。

 

「美竹さん・・・。もしかしてだけど・・・」

 

「・・・麺はこの下ですよ?」

 

「そういうことね・・・」

 

「お客様ー。もしよかったらヘアゴムと紙エプロンご利用くださーい!!」

 

私は目の前の野菜を前に店員から受け取ったヘアゴムと紙エプロンを付けて目の前のラーメンを食べ始める。

 

まずは野菜。

スープを搦めるとしっかりと味がして美味しい。

最初は量が多いと思ったけど、今の私ならいくらでも食べれそうね。

 

それに肉もしっかりと濃い味で野菜と合わせるとちょうどいい味ね・・・。

 

野菜をある程度食べて隙間から顔を覗かせた太い麺を見つけると、スープが飛び散らない様に気を付けながら麺を啜る。

 

・・・・・・例えるのが難しいけど美味しいわね。

 

 

 

 

「湊さんの食欲は化け物なの・・・?」

 

「モカちゃんよりも食べるの早いのはびっくりだよ~」

 

 

 

何か美竹さんと青葉さんが話してるけど、今は目の前のラーメンね・・・。

 

その後は麺と野菜、肉を順番に食べ進めているといつの間にか私のどんぶりはスープだけが残ってる状態になっていた。

 

そのことに気が付いて物悲しい気分になってしまった私は横で食べている2人へ視線を向ける。

 

もうそろそろ2人とも食べ終わりそうね・・・。

でも何で美竹さんはあんなに苦しそうなのかしら?

 

その2人の姿を見て再び、あこの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

「ラーメンはスープの1滴まで飲み干すのが良いっておねーちゃんが言ってた!!」

 

私はどんぶりを掴むとそのまま残ったスープを飲む。

濃いスープの味がいいけど、少し冷めてしまったから脂が固まって飲みにくいわね・・・。

 

そして私はあこの言葉通り、スープを1滴残らずに飲み干す。

どんぶりを置くと店内の視線が私に集まっているのを感じる。

 

 

 

 

 

「みんなどうしたのかしら・・・?」

 

「これは才能ありですな~」

 

「うぷっ・・・。もうあたし、湊さんと食事で張り合うのはやめる・・・」

 

「それじゃあ食べ終わったことだし、行きましょうか・・・。美竹さん?」

 

「はい・・」

 

そうして私達は店を後にしたのだけど・・・。

あの店を出る時の視線はなんだったのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

「青葉さん。美竹さん。今日はありがとう。美味しかったわ」

 

「うぷっ・・・。そうですか・・・・・・」

 

「いえいえ~。こっちも珍しいものが見れましたし~」

 

「珍しい物・・・?何の事かしら」

 

「いえいえ~お気になさらず~。それじゃ~ここで解散しますか~」

 

「そうね」

 

「湊さんはこの後は・・・?」

 

「そうね・・・。2件目にでも入るわ。それじゃ」

 

言い残して私は2人の前から去っていく。

何か言ってるけど気のせいよね・・・・・・?

 

「モカ・・・。今あの人”2件目”って言ってたよね・・・?」

 

「うん・・・。流石のモカちゃんもドン引きだよ~。リサさんに教えておこ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

昼に美竹さん達と食事をした後、何件か梯子してから家に帰る。

 

「あっ!!友希那おかえり~!!」

 

家に入ると待っていたのはリサの声。

でも変ね。何か怒っている感じがするわね・・・。

 

「ねぇ友希那?アタシに何かいうことがあるんじゃないかな?」

 

「リサ?何の事かしら・・・?」

 

「ふ~ん。ねぇこの後の晩御飯どうする?」

 

「そうね・・・。お腹いっぱいだわ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のその言葉を聞いたリサは顔に青筋を立てていた。

ちょっと・・・いえ、かなり怖いわね。

 

「へぇ~。モカたちと昼に三郎の大盛をスープまで飲み干した後に、ますきのバイト先のラーメン屋でラーメンとチャーハンを大盛で食べて。そのまま日菜と一緒にファーストフードで山盛りのポテトを何個も食べてから最後はファミレスでパフェも食べてたらお腹も一杯だろうね~!!」

 

「リサ・・・?」

 

「それだけ外で食べてきたら、私のご飯は食べれるわけないよね~!!」

 

「あのっ・・・」

 

「この・・・おバカ~~~~~~~~~!!」

 

 

 

怒りが頂点に達したリサのお説教は文字通り日付が変わるまで続いた。

その時の恐怖のあまり、泣き叫んで次の日喉が枯れてしまったけど私は悪くないわ・・・・・・。

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
子供の頃ってお菓子食べ過ぎて晩御飯食べれなくなることってあるよね。
お子様の友希那ちゃんとリサママによるお説教になります。





小ネタ次回予告
リアルおままごと()


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日・常・風・景4-Roseliaとリアルおままごと・・・だぞ

オマケ篇
今回もRoselia。

某国民的5歳児とお友達だし、弦太朗もどこかの時空では参加したのだろうか・・・



「急に呼び出して何かあったのか?」

 

「私にもわかりません・・・。今井さんに急に呼び出されたので・・・」

 

「あこもわかんなーい。それに紗夜さんも来れないし・・・」

 

リサの呼び出しによってCiRCLEのスタジオの一室に集まっている弦太朗と燐子たち。

しかし、この場にいる全員が呼び出された目的が分かっていない。

 

そしてスタジオのドアが開け放たれてRoseliaのリーダーと呼び出した張本人が開けた扉を閉めずにスタジオへと入ってくる。

 

「みんな、集まってるわね・・・」

 

「お待たせー☆」

 

「おぅ。急にどうしたんだ?」

 

「それはリサが説明するわ・・・」

 

「こほん・・・」

 

友希那の言葉にリサは咳払いをして重々しい空気を纏う。

その空気を纏うリサ見て先に来ていたメンバーを張り詰めた空気が襲う中、リサの口が開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達には”表現力”が足りない!!」

 

「「は?」」

 

「リサ姉が壊れちゃったぁ・・・・・・」

 

突然のリサの宣言に意味が分からない3人を他所にリサは話を続ける。

 

「最近思ったんだけど。私達楽器組は友希那と比べると表現力が足りないと思うんだよね~。なので!!私達は表現力アップの為に特別メニューを用意しました!!ちゃんと友希那もOKしたからね~」

 

「特別メニュー・・・?かっこいい・・・!!」

 

「それで何をするんですか・・・?」

 

「それは・・・・・・先生にお願いします。先生!!」

 

「先生って・・・?誰でしょう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~い!!」

 

「待たせたね・・・」

 

開け放たれていた扉から入ってきたのは千聖と薫が人数分の台本らしきものを手にしてスタジオへと入ってくる。

 

「千聖に薫!?どうしてここに・・・」

 

「あら、弦太朗じゃない。今日の私と薫はRoseliaの臨時コーチよ!!」

 

「やぁ弦太朗。つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「何言ってんだ・・・?」

 

「リサ姉?あこと一緒に病院行こう?きっと疲れてるんだよ・・・」

 

「頭痛くなってきました・・・」

 

 

 

弦太朗達が頭を抱える中、そんなことはお構いなしに千聖は話を進めていく。

 

「今日のメニューは・・・”リアルおままごと”よ!!台本に沿っておままごとをしてもらうわ!!。薫、台本配って」

 

その言葉と共に薫は手に持っていた台本をRoseliaへと配り、彼女たちは台本へと目を通す。

そして最後に弦太朗にもその台本を手渡す薫。

 

「なぁ・・・。何で俺にも配ってるんだ・・・?」

 

「それは弦太朗は男役で必要だからよ!!」

 

「千聖の言う通り。折角だから男役は本当の男にやってもらおうと思ってね・・・」

 

「これもアタシ達のためだと思ってよろしくー☆」

 

「おぅ・・・。自信ねぇけど任せろ」

 

台本を手に取った弦太朗はその表紙を捲り、役を確認すると同時に台本を閉じる。

 

 

 

 

 

 

「なぁ千聖・・・。これ台本って言わないだろ・・・?」

 

「設定と配役が書いてあればそれは立派な台本よ」

 

「そうさ。弦太朗。与えられた役をこなすのが役者の仕事さ・・・」

 

半ば諦めた弦太朗は再び台本をめくり、再び頭を抱える。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

タイトル『修羅場』

脚本:白鷺千聖

 

配役

男 『如月弦太朗』 設定:娘の父

彼女 『湊友希那』 設定:交際3年目

浮気相手1 『白金燐子』 設定:交際3ヵ月

元妻 『今井リサ』 設定:2年前に娘と失踪・娘の母

娘 『宇田川あこ』 設定:その場のノリで年齢設定して頂戴。

 

あらすじ

男が仕事から帰宅すると、彼女と浮気相手が部屋で鉢合わせしており。

そこにも失踪した元妻が娘を連れて帰ってきてしまい・・・。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

 

「なんつー設定だよ・・・」

 

「今のあなたも似た状態じゃない・・・」

 

「千聖何か言ったか?」

 

「なんでもないわ・・・」

 

「あの・・・瀬田さんはなにを・・・?」

 

「私は千聖と一緒に採点係さ・・・。期待しているよ」

 

「それじゃあ準備はいいかしら?よーい、アクション!!」

 

 

 

 

 

――――――

 

事務所のスタジオで自主練をしようと思ったけど

設備が点検・・・?って言われたので自主練のためにCiRCLEへとやってきた。

 

「まりなさ~ん。こんにちは~」

 

「あら、彩ちゃん。いらっしゃい」

 

「急なんですけど、スタジオって空いてますか・・・?」

 

「えぇ、空いてるけどもしかして千聖ちゃんと練習かしら?」

 

「千聖ちゃん?いえ、今日は1人ですけど・・・」

 

「そっか~。そう言えば千聖ちゃんと薫さんそれに如月くんがRoseliaと一緒にいたけど何か知ってる?」

 

「いえ・・・。千聖ちゃんは用事があるって言ってたけどこのことだったんだ・・・」

 

千聖ちゃんと薫さんと如月くんがRoseliaと一緒なんて珍しい組み合わせだなぁ・・・。

 

「そうだ!!彩ちゃん。ちょっと待ってて・・・」

 

そう言って裏に消えると大きな鏡をもって現れるまりなさん。

 

「彩ちゃんの練習ってことは踊ったりすると思って、鏡用意したんだー」

 

「わぁ・・・。おっきい・・・。使わせてもらってもいいんですか・・・?」 

 

「うふふ。いいわよ。それじゃあ運ぶわね」

 

「それじゃあ・・・お願いします」

 

私はまりなさんの後ろに続いてスタジオに入ろうとすると・・・・・・。

 

 

 

 

 

『この・・・!!泥棒猫!!』

 

「えぇ!?何この声!!友希那ちゃん!?」

 

「何があったのかしら?」

 

そう言うと私とまりなさんはRoseliaの借りているスタジオのドアに耳を当てて、室内から漏れる音を聞く。

 

 

 

『オチツケー。ハナセバワカルー』

 

『弦太朗・・・。あなたこの泥棒猫に騙されてるのよ!!』

 

『うふふふふふふふ。友希那さん?私の弦太朗・・・さんに何をしてるのですか・・・?』

 

『何って・・・そういうことよ・・・』

 

 

 

「うえぇええええええ!!?!?!!どういう状況なの!?」

 

「彩ちゃん落ち着いて!!」

 

私は中から漏れる声を聴いて取り乱してしまったが、横にいたまりなさんの言葉に落ち着きを取り戻す。

 

「もう少し中の様子を聞きましょう?」

 

「・・・はい」

 

そういうまりなさんの言葉に従い再び室内の声に耳を澄ませる。

 

 

 

 

 

 

『弦太朗・・・。何・・・この女たち・・・?』

 

『リサ。ナンデ・・・』

 

『愛を誓ったのに何で・・・?酷いよ・・・!!』

 

『ママ!!落ち着いて!!』

 

『ママ!?それじゃあ・・・』

 

『そうだよ・・・』

 

『あなた。・・・嘘よね・・・?』

 

『酷い!!それなら私・・・・・・私のお腹の中の子はどうなるの!?』

 

『リンコ!?』

 

 

 

 

 

 

 

「あやややややゃああああああ!!!?!?!?!!!?!?!?!!」

 

「あわわわわわわわわわ!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

燐子ちゃん!?

嘘!?!?!?!とりあえず誰かに連絡しないと!?

えぇ・・・っと、一番最近に連絡したひまりちゃんに・・・!?

 

「ふふふ・・・。最近の若い子はすごいなぁ・・・。月島まりなはクールに去るわ・・・」

 

虚無感に包まれてその場を後にするまりなさんを他所に、私は1人でスタジオの前でオロオロしていた。

 

 

――――――

 

「はい!!みんな。お疲れ様」

 

千聖の掛け声とともに”リアルおままごと”が終了し、一同その場にへたり込む。

 

「うぅ・・・。私の知ってるおままごとと違う・・・」

 

「すっげーしんどいんだけど・・・」

 

「ママ!!友希那さん!!楽しかったねー!!」

 

「そうだねー☆」

 

「新しい曲のアイディアが沸くわね。今度は紗夜も入れてやりましょう」

 

「友希那さん・・・何を言って・・・」

 

その場にへたり込むRoseliaを前に千聖は仁王立ちで先ほどの”おままごと”の採点結果を発表する。

 

 

 

 

「はいはい!!とりあえず採点結果よ!!とりあえず弦太朗は落第。でも今日はあなたがメインじゃないからいいわ」

 

「なんで俺まで採点されてるんだ・・・」

 

「慣れないことに挑戦することもまた必要なことさ・・・」

 

「次は友希那ちゃんは流石の声の使い方ね」

 

「当然よ・・・」

 

「でも、声の強弱以外の表現が弱いから感情を込めた声を出せるようにするといいわね」

 

「参考になるわね」

 

「リサちゃんは流石の安定感だね。本当の母親みたいだったよ・・・」

 

「ありがとー薫」

 

「あこちゃんは子供らしい演技で良かったよ」

 

「次も頑張るね!!」

 

「燐子ちゃん・・・。君の採点だけど、千聖と意見が完全に一致してね・・・」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「燐子ちゃん!!あなた!!女優にならない!?」

 

「白鷺さん・・・?何を言って・・・?」

 

「表情といい声遣いも素晴らしかったよ・・・」

 

「それにて口に髪の毛を咥えてながら目の光を消して、弦太朗を追い詰める時の演技はもう言葉で表せないくらい素晴らしかったわ!!」

 

「女優のちさ先輩にここまで言わせるなんて凄いよ!!りんりん!!」

 

「ふふっ。とりあえず、この練習風景はバガミールで撮影したから弦太朗は皆に動画を送りなさい」

 

「マジかよ・・・」

 

「それじゃあ、休憩にしようか」

 

「とりあえず、飲み物買ってくるわね・・・」

 

千聖はそう言い残し、スタジオのドアを開ける。

そのドアの先に待っていたのは――――

 

「あはははは」

 

「「ふふふふふふっ」」

 

「千聖ちゃん・・・?説明してくれるかな・・・?」

 

目に光のない彩たち。

そしてその姿を見て恐怖で震え上がるバンドメンバーたちの姿だった。

 

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
ママと言ったらおままごとでしょ?
ってことで不意に思い浮かんだ・・・。




小ネタ次回予告
スイッチ解説パート1


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装・備・解・説-1 スイッチ紹介~ポピパさんと一緒

うん。
とりあえず書きあがってたけどサブタイ決まらなすぎてあげられなかったなんて言えない・・・
次はバンドにするかそれとも生徒会とかの括りでやるか・・・
解説個数は手元にあった456賽で決めてるなんて言えない・・・


とある昼下がり、有咲の蔵に集まっていた弦太朗とポピパ達。

香澄の思い付きの発言から今回の話は始まる。

 

「ねぇ。ゲンちゃん先輩!!」

 

「香澄?どうしたんだ?」

 

「変身するアレってロケットとか出す以外にどんなことができるの?私は学校の時が最初で最後だし・・・」

 

「私も気になるかも・・・。この間店に来たモカ達ともその話してたし・・・」

 

香澄達のその言葉に学校以外でも目撃しているたえ達が反応を示す。

 

「足から水を出してるのは見たよ」

 

「全身が黄色くなってたのは見たけど・・・」

 

「赤くなって火を出してたよな・・・」

 

「えぇ~。3人ともずるい!!私も見たい!!ゲンちゃん先輩!!変身だよ!!」

 

「香澄じゃないけど、私も見たいかな~。それにポテト以外の子もいるんでしょ?」

 

「確かに、何があるか分かったほうがいいかもな。・・・この前みたいになるのも嫌だしな・・・」

 

「それもそうだな・・・。よしそれじゃあ何があるか教えてやるぜ!!」

 

 

そうして弦太朗はその場でドライバーを取り出してフォーゼへと変身する。

 

「宇宙・・・」

 

「叫ばんでいい!!」

 

「そうか・・・。とりあえず最初はこいつだな。これはNo.1、ロケットスイッチ!!これを使うと右腕にロケット付けて飛べるぞ!!」

 

フォーゼはドライバーからスイッチを外して彼女達に見せる。

見せられたスイッチを彼女たちは興味深そうに見つめる。

 

「あいつ動かすのに使うのとスイッチの形がちげーな・・・」

 

「弦太朗くん。数字が振ってあるってことは・・・沢山あるってことなの?」

 

「あぁ、俺が使うのは40番までだな・・・。特別な奴もあるけどな」

 

「弦太朗?これ右腕にしか出せないの?」

 

「あぁ、俺のスイッチは使える場所がそれぞれ決まってて、こいつは右腕用なんだ」

 

「へぇ・・・」

 

「こいつは俺が初めて使ったスイッチで、初めての変身した時はうまく使えなくて学校の壁をぶち抜いてちまってな!!」

 

「如月、お前絶対にこれをここで出すな!?地下なんだからな!!」

 

「じゃあ、外で出せばいいんだよ!!」

 

香澄の提案によって蔵の外へと出るい。

蔵の外へ出ると外は雲一つない快晴。

 

「来るときも思ったけど天気いいねー!!」

 

「・・・そうだ!!皆集まってくれ!!」

 

「ん?どうしたの?」

 

突然の言葉に訳も分からず集まる香澄達。

それを確認したフォーゼは左腕にウインチを装備すると同時にそれについたワイヤーで5人を縛り上げる。

 

「何これ・・・?」

 

「ちょっと!?弦太朗くん!?なにしとんの!?」

 

「こんなのもあるんだ!!でも何で縛ってるの?」

 

「ちょっと待って。さっきロケットの説明したってことは・・・」

 

「おい・・・。まさか・・・!!」

 

「お前たちに空の旅をプレゼントだ!!」

 

フォーゼはその言葉と共にロケットを起動する。

その光景にたえ以外の4人の顔が青く染まり、この後の行動を察した有咲から抗議の声が響く。

 

「おい!!如月待て!!」

 

「・・・・・・行くぜ!!」

 

「「「きゃあああああああああああ」」」

 

「のわぁあああああああああああ!!」

 

「おぉ~~~!!高い・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ウインチで拘束したポピパの悲鳴と共にフォーゼは雲一つない快晴のと空へ飛び立ち、たどり着いたのは人気のない採石場。

 

フォーゼは器用にロケットを操作し、ゆっくりと地面に着地して彼女たちを降ろすとフォーゼは全てのスイッチを切る。

 

「有咲~。怖かったよ~!!」

 

「如月!!お前なぁ!!」

 

「悪いな。でも、ここなら何してもいいだろ?ってことで次はNo.2ランチャースイッチだ!!これを使うと右足からミサイルが撃てるぞ!!」

 

その言葉と共にスイッチを起動したフォーゼは彼女たちに見せるように足からミサイルを発射する。

放たれたミサイルは空中で複雑な軌道を描き、地面へと着弾する。

 

「これもロケットみたいに失敗はないの・・・?」

 

「ちょっと、おたえちゃん・・・?」

 

「最初は狙いがうまくつけれなくて、校舎破壊しちまってな!!」

 

「お前、学校壊しすぎだろ・・・」

 

「うちの学校では勘弁してよ?」

 

「今はダチのおかげでちゃんと狙えるようになったから心配するな。じゃあ次はこいつだ!!No.3ドリルスイッチ!!こいつは左足にドリルになるぞ!!」

 

「でも先輩、足にドリルって使いにくいんじゃないの・・・?普通は腕につけるんじゃない?」

 

「「「・・・(確かに・・・。)」」」

 

「(それに足から蛇口も同レベルで訳わかんねぇけどな・・・。)」

 

たえの真っ当なツッコミを内心では同意するが声には出さない。

その中で有咲はたえと一緒に見た足から蛇口を出す衝撃的な光景を思い出す。

 

しかし、彼女たちはそれ以上に足をペンにしたり足から手が生えたりする衝撃な光景をまだ知らない。

 

「まぁ、足にあるおかげでロケットと組み合わせて使えるんだ」

 

「それで学校の時も倒してたもんね」

 

「それじゃあ・・・次は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次のスイッチを説明しようとした途端フォーゼのベルトから変身音とは異なるベルの音が響く。

全員がベルトに注目すると、次に紹介するであろうスイッチが赤く点滅しながらその音を響かせていた。

 

「ん?ちょっと待ってくれ」

 

フォーゼはそのスイッチを起動すると左腕に彼女たちが見たことがないアンテナのようなものが現れそこから声が響く。

 

『弦太朗。変身してるみたいだが・・・。何かあったのか?』

 

「賢吾か!!今こっちで出来たダチ達にスイッチを教えてるところだ」

 

『やはりあの探偵のライダーが言ってたみたいにゾディアーツが現れたみたいだな。そっちにはメテオもダイザーのパイロットもいないんだから無理はするなよ・・・』

 

「そうだ。同じ学校でダイザー乗れる奴は見つけたぞ!!でも・・・必要になったらそん時は頼りにさせてもらうぜ!!」

 

『待て弦太朗!!今通ってるところは女子校だぞ!?そんな女子高生がいるか!!』

 

「それにチャンバラで戦える奴もいれば、他の学校だと生身でゾディアーツを殴り飛ばす女子もいるぞ」

 

『なんなんだその異空間は!?・・・とにかく!!何かあったらすぐに連絡しろ。後、たまには帰って来い』

 

「・・・おう!!」

 

その言葉と共に賢吾との通信が終了する。

久々の天校の親友との会話に夢中になり、一緒にいた少女たちは状況について行けてない。

 

「弦太朗くん?今の声って誰なの・・・?」

 

「あぁ、天校にいる俺の親友だ!!」

 

「そうなんだ・・・。じゃあ弦太朗の腕についてるそれは電話ってこと・・・?」

 

「それだけじゃなくてこれ使ってミサイルのロックオンも出来るぞ!!」

 

「でも、他のと比べるとパッとしないね。ロケットとかのインパクトが強くって」

 

「沙綾のいう事も分かるな・・・」

 

「まぁ、今まで紹介してくれたのって学校で見た奴だし・・・」

 

「ねぇ!!ゲンちゃん先輩!!何か新しいの教えてよ!!」

 

香澄は今まで見たものしか紹介されていないのに若干だが不満を顔に浮かべながらフォーゼへと抗議する。

 

変身している弦太朗本人の表情は見えていないが、何かを企んでいるような感じがするのを有咲達は感じていた。

 

「よし!!じゃあ次はこっちでまだ使ってないスイッチだ!!」

 

「ロケットにミサイルとドリルって来てるからまた武器みたいなのかな・・・?」

 

「残念だけど今度は武器じゃねぇぞ?」

 

「じゃあ、実験台は香澄な」

 

「危なくないならいいよ!!」

 

「次はこいつだ!!No.5マジックハンドだ!!」

 

フォーゼは番号を言うと同時にスイッチを押す。

起動と同時に生成されたマジックハンドはそのまま香澄の方へ伸びて彼女を上に持ち上げる。

 

「けっこーたかーい!!」

 

持ち上げられた香澄はご満悦だ。

 

「凄い・・・」

 

「部屋の蛍光灯とか取り替えるのに便利そうだね・・・」

 

「これがあれば香澄が前に言ってた空飛びながらのライブも出来そうだな・・・」

 

「でも、さっきまでと比べるとインパクトがなぁ・・・」

 

「インパクトか・・・。そうだ!!」

 

各々が見た感想を口にしているなか、突如としてフォーゼは香澄を掴んだままマジックアームを振り回し始める。

 

「ちょっと弦太朗!?」

 

「あはははー!!たっのしー!!次は有咲ねー!!」

 

「おう!!横Gは宇宙飛行士の基本だ!!」

 

「いや、宇宙飛行士は目指してねーから!!如月もやるなよ!!絶対だかんな!!」

 

しかし、その言葉も空しく有咲含めた全員がマジックアームを体験し、フラフラになりそのままの状態で帰りの空の旅を味わうことになったのは別の話―――

 

 

 




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次からは本編帰ります。


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RAISE A SUILEN篇1-最・狂・開・幕
最・狂・開・幕-1 夢へのChallenge!


はい
と言う訳でRAS篇ですね。

多分どの辺の時系列かは分かるよね・・・?

最近投稿遅いのは休日出勤座のゾディアーツと残業ゾディアーツにやられてます。
そういうことさ



とある高級マンションの一室にある彼女のスタジオにて、3人の少女たちはバンドのギターについて話合う。

 

「さっきの子、結構よかったと思うけど・・・」

 

「”RAISE A SUILEN”に中途半端なGuitarはNo!!」

 

彼女たちは自分たちのバンドのギターを探すべくオーディションを行っているが、今までのギターには猫耳ヘッドホンの少女がOKを出す事がなかった。

 

今の状況を納得が出来ていない少女はこれからの活動について猫耳へと尋ねる。

 

「でも、このまま打ち込みのギターでライブするの?」

 

「ずっとじゃない。でも中途半端なGuitarだとRoseliaはぶっ潰せないわ!!」

 

「ぶっ潰すって?」

 

「ミナトユキナ・・・いえ、Roseliaをぎゃふんと言わせるのよ!!そのためにぴったりのステージも見つけてある!!」

 

「ステージ?ギターがいないのに・・・?」

 

「とにかく!!私達とそのステージに立つに相応しい最強のguitaristを見つけるまでオーディションは続けるわよ!!パレオ!!」

 

「はい!!ジャーキーですね!!ただいま・・・」

 

「No!!次の候補者を呼んで!!」

 

パレオと呼ばれた少女は猫耳の声に対して、頭に疑問符を浮かべる。

そして、とある事実を彼女に伝える。

 

「・・・ん?さっきの方で最後ですが?」

 

「Really?・・・んっ!!とにかく!!Guitarが見つかるまで続けるわよ!!それまではあなた達はレッスンに集中しなさい」

 

「はいっ!!」

 

「・・・了解」

 

今日もまた彼女たちのギターが見つかることはなかった。

そして、今日も彼女たちはまた練習へと戻ってゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

Roselia事件から少し過ぎ10月のある日。

授業も終わり、弦太朗はポピパのメンバーと共に購入したパンを片手にやまぶきベーカリーを後にする。

 

「香澄もおたえも、買いすぎじゃねえか?」

 

「そういうゲンちゃん先輩こそ!!」

 

「如月は戦ったりするからいいだろうけど。香澄の場合太るぞ?」

 

「も~!!有咲のいじわる!!」

 

「俺の分もあるけど・・・。これは友希那達への差し入れだぞ?」

 

「私は・・・ほら、1匹だとさみしいと思って・・・」

 

「匹・・・?」

 

「おたえちゃん?それってミッシェルパンのこと・・・?」

 

「そうだよ。独りぼっちはさみしいからね・・・」

 

「それ秋の新作なんだー」

 

他愛もない話をしつつ有咲の蔵を目指す中、香澄はとある建物の前で突然足を止める。

 

「あっ!!ロックいるかなぁ?」

 

「おすそわけしよー」

 

突如として建物の地下へと続く階段を下りていく2人。

弦太朗は訳も分からずのその建物の看板を見上げる。

 

「どうした香澄?ん・・・・?ガラクシー・・・?」

 

「弦太朗くん。あれで”ギャラクシー”って読むんだよ・・・?」

 

「弦太朗は宇宙行くんだからあれくらい読めないとダメじゃない?」

 

「・・・でも、ここはなんなんだ?」

 

弦太朗は香澄達が入っていったGalaxyについて聞く。

その際に沙綾達のツッコミをあえてスルーしている。

 

「あぁ、ライブハウスだよ。それとロックって言うのは羽丘の後輩であたし達のファンだな・・・」

 

「ファンがついてるってすげーな・・・」

 

「ありがとー弦太朗くん」

 

「いつか蔵じゃなくて、ライブハウスでのライブ聞かせてあげるからね」

 

「楽しみにしてるぜ!!」

 

 

 

「うわぁああああああああああああ!!」

 

突如として響く香澄の声。

一同はその声が聞こえた地下へと向かう。

 

「香澄!!」

 

「香澄ちゃん!?」

 

「まさかまたか!?」

 

しかし、香澄の視線の先には1枚のポスター。

その光景に困惑する一同に沙綾がいち早く回復し問いかける。

 

「えぇ・・・と?」

 

「バンドリ・・・!!」

 

「武道館!!」

 

「何言ってんだ・・・?」

 

「訳がわからん・・・」

 

未だに状況が理解できない弦太朗を他所にライブハウスの扉が開くとそこから1人の少女が姿を現す。

 

「香澄先輩!!どうしてここに!?」

 

「あーロック~!!」

 

「それにポピパの皆さんも揃って・・・ヒィ!?」

 

ロックと呼ばれた少女はポピパと共にいる弦太朗を見て恐怖の悲鳴を挙げる。

 

 

「ロック・・・?どうしたの・・・?」

 

「そいつがロックか!!でも、なんか様子が変じゃねぇか?」

 

「十中八九お前のせいだぞ。如月」

 

「まぁ、弦太朗くんは見た目だけは怖いもんね・・・」

 

「中身とのギャップがね~」

 

「お~いロック~!!」

 

香澄の声にも反応せず、ロックは固まり続ける。

 

「如月、ちょっとカバン借りるぞ?」

 

「ん?よく分かんねぇけどいいぞ」

 

有咲は弦太朗のカバンから”ソフトクリーム”を取り出す。

それを見た弦太朗は有咲へフリーズのスイッチを渡すと、ソフトクリームをへとスイッチを入れて”ソフトーニャ”を起動する。

 

そのままソフトーニャを持った有咲はそそくさと固まっているロックの前に出て、ソフトーニャを向ける。

ソフトーニャはそのまま自身のから冷たい空気をロックの顔目掛けて放つ。

 

「わひゃぁあああああ!?・・・・・・はっ!?私は何を・・・?」

 

「ロック~!!はい!!これ差し入れ!!」

 

突然の冷気を顔に浴びたロックは何が起こったか分からず声を挙げ、香澄はそのまま最初の要件である差し入れを押し付ける。

 

そんな香澄達のやり取りの中、有咲はそのまま何食わぬ顔で元の位置へと戻りソフトーニャからスイッチを抜いて弦太朗へと返す。

 

弦太朗と有咲のやり取りを見て若干の不満顔を浮かべる沙綾、それに困惑するりみを他所にロックは我に返り香澄からの差し入れを受け取る。

 

 

 

「あっ・・・!!ありがとうございます!!・・・あの香澄先輩?そっ・・・・そちらの方は・・・?」

 

 

 

 

ロックは声を震わせながら弦太朗を指さす。

それを見て弦太朗はロックへと近寄っていく。

 

「俺は如月弦太朗!!よろしくなロック!!」

 

「あっ朝日六花です・・・。みんなからはロックって言われてます」

 

「ロックちゃん?弦太朗くんは見た目と違って怖くないよ?」

 

「どっちかと言えば沙綾のほうが怖いときあるよな・・・」

 

「・・・有咲?今呼んだ?良く聞こえなかったんだけど?」

 

「気のせいだろ・・・?ってか、如月はRoseliaのとこ行かなくていいのか?」

 

「やっべぇ!!皆!!またな!!」

 

有咲の言葉を聞いた弦太朗はそのまま階段を駆け上がり、Roseliaの待つCiRCLEへと走り出す光景を見て緊張していたロックが脱力する。

 

「あの・・・あの人と皆さんはどういう関係なんですか・・・?」

 

「先輩は先輩だけど友達だよ」

 

「りみは大阪にいた頃から友達らしいけどね。・・・・・・羨ましい」

 

「身長が大きくなったりしてたけど中身は昔から変わってないよ?」

 

「まぁ、見た目と違ってあいつはそんな悪い奴じゃねぇからな。・・・結構香澄に似てアホだしな・・・」

 

「有咲~酷いよ~!!そうだ!!ロック!!あのポスターについて教えてよ!!」

 

「えっ?はい。もしよかったら中で座りながら・・・」

 

そうして弦太朗はロックと呼ばれる少女と出会った。

しかし、この場でお互いのその裏の顔を知ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

Roseliaの待つCiRCLEへとたどり着いた弦太朗が中へと入ると紗夜以外のRoseliaとAfterglowのメンバーが集まっていた。

 

Afterglowとあこの視線は先ほどまで香澄が見ていたポスターと同じものへと向いていた。

 

「武道館!!行こうぜ!!蘭!!」

 

「よーし!!えいえいおー!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「ってやってよー!!」

 

「この匂い・・・!!山吹ベーカリーのミッシェルパンですな~」

 

モカはその言葉と共に入口へと視線を送るとそこにはパンを抱えた弦太朗の姿があった。

 

「よう。モカ達もいたのか」

 

「如月くんどうしてここに?」

 

「ちょっと友希那達に呼ばれてな」

 

「・・・遅かったじゃない」

 

「わりぃ。これ差し入れな」

 

「げんたろーさん~。私達のは~」

 

「あるわけないでしょ・・・」

 

「おっ!!沙綾のところのパンじゃん!!ありがとー☆」

 

 

 

「如月さん・・・。ちょっと量が多いですね・・・」

 

「弦太朗。モカ達にも渡してもいい?」

 

「あっ・・・」

 

「おう!!」

 

「やった~!!」

 

弦太朗は差し入れのパンをそのままリサへと渡し、差し入れの一部をモカ達へと分ける。

そのやり取りを他所に巴達とポスターを見ていたあこは少しだけ気落ちする友希那へと駆け寄る。

 

「ねぇねぇ友希那さん!!」

 

「Roseliaもあのイベントに出るのか?」

 

「・・・・・・興味ないわ」

 

「そっか~」

 

「何で出ねぇんだ?」

 

「えぇ・・・とFWFの準備もありますし・・・。それに氷川さんの事もありますから・・・」

 

「・・・そういう・・・ことよ」

 

「友希那~食べながら話したらダメでしょ~。でも、あこは武道館に興味あるの?」

 

「ん~・・・」

 

「あこちゃん。武道館はロックの聖地だよ?」

 

「そうなの~?なら絶対行きたい!!友希那さん!!出ましょうよ~!!」

 

あこの言葉が響く中、無言で差し入れのパンを食べる友希那。

その光景に一同は声を出して盛大に笑いあっていた。

 




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マスキングちゃんはいつ出るのやら・・・


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最・狂・開・幕-2 湯煙と不良と招待状

投稿です。

これからどう展開するんや・・・
美濃弁分かんねぇ・・・

※注意
物語の展開上、教育に非常によろしくない描写があります。
ご注意ください。


あこが落ち着いてからRoseliaは弦太朗と共にスタジオへと入り、各々が楽器の準備をしながらリサは弦太朗へと話しかける。

 

「ねぇ弦太朗。最近学校はどう?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「ほら、紗夜の事とかどうなってるのかなって・・・。燐子には聞きにくいし・・・」

 

「特に変わったことはねぇぞ?紗夜の事はあんまり話になってないぞ」

 

「そっか・・・。それならいいけど・・・」

 

「それに学校には燐子も千聖もいるからな。心配すんな」

 

「リサ、準備はおわったかしら?」

 

リサと弦太朗の会話に割り込み、友希那がリサを急かす。

その言葉にリサは謝りながら楽器を構えるが、友希那はそのまま弦太朗へと視線を動かす。

 

「如月?あなたも準備しなさい」

 

「俺?って何するんだ?」

 

「早く変身してこの前のスピーカー出しなさい」

 

「ん?おう・・・」

 

「友希那さん・・・?一体何を・・・?」

 

言われるがまま弦太朗はフォーゼへと変身し、ビートスイッチを起動する。

それを確認した友希那はフォーゼの脚のスピーカーとそれぞれの楽器をシールド線で繫いでいく。

 

「すっごーい!!げんたろーってそんなことも出来るんだ!!」

 

「・・・さぁ、練習を始めるわよ」

 

「ちょっと待って友希那!?弦太朗呼んだのって・・・」

 

「・・・このためよ?」

 

「マジかよ・・・」

 

Roseliaの練習に弦太朗が呼ばれた理由。

それは先日の戦闘で使用したビートスイッチを使って楽器の演奏を行ったらどうなるかという友希那の個人的な興味、ただそれだけである。

 

 

「でも、ちょっとどうなるか気になるかも・・・」

 

「えぇ~!!みんなずるい~!!あこもやりたい!!」

 

「今はドラム用のマイクが無いから、それは今度やってもらいましょう」

 

「はいっ!!」

 

「悪いんだけど弦太朗、ちょっとだけ付き合ってよ。アタシもちょっと気になるしさ~☆」

 

その言葉と共にリサは興味本位で弦を弾き、それに合わせて彼女たちの練習が始まる。

 

 

 

フォーゼに変身した弦太朗はその場の勢いでスピーカー役としてRoseliaの練習に最後まで付き合う事になりRoseliaは練習を終える。

 

 

 

 

 

 

「今日はここまでね・・・」

 

「やっと終わったか・・・」

 

「お疲れさまでした・・・」

 

「おつかれさまですー」

 

「みんなお疲れー!!それにしてもああなるんだねー」

 

友希那の言葉と共に変身を解除する弦太朗。

3人はそれぞれ楽器をフォーゼのスピーカーに繫いで練習をしたことにあこは少しだけ不満を顔に浮かべる。

 

「みんな、げんたろーと楽しそうでいいなぁー。あこもやりたかったよ~」

 

「じゃあ、次はドラム用のスピーカーも用意しましょう」

 

「あぁー・・・」

 

友希那とあこの様子を見たリサは言葉に詰まる。

あこの楽しみそうな様子を見て、それを奪ってしまうようなことが言いにくくなってしまったリサと燐子は弦太朗へと懇願するような視線を送る。

 

「・・・次はちゃんと説明してくれよ?」

 

「うん!!ありがとー!!げんたろー!!」

 

「如月さん。すいません・・・」

 

「弦太朗悪いねー。今度お礼するから・・・」

 

「気にすんな。ほら、早く片付けるぞ」

 

「いえ、後は私達がやるわ」

 

「そうか。なら先に帰るわ」

 

「えぇ、お疲れ様」

 

「おつかれー☆」

 

「げんたろーまたねー!!」

 

「さようなら・・・」

 

そして弦太朗が帰った少し後、Roseliaの元へとツインテールの少女が5人分のチケットを携えて現れたのだった。

 

―――――――――

 

私はライブハウスのバイトをした次の日、下宿先である銭湯のお手伝いとして番台に座っていた。

ポピパさんも”Girls Band Challenge! ”に出るなんて感激やわぁ・・・。

それにしても・・・。

 

 

 

「都会にはあんなおそがい人がおるなんて・・・」

 

思い出すのはGalaxyでポピパさんと一緒にいたあの男の人。

すっごい怖かったけどポピパさんの人たちとも仲良かったみたいだし・・・。

どういう関係なんやろ・・・?

 

もしかして誰かの彼氏さんなんやろうか・・・。

 

 

 

 

そんなことを考えていると、銭湯の入口から声が聞こえて来たので気持ちを切り替えてお客さんを待ちます。

 

「ここが”セントー”なんですね!!オモムキを感じられます!!」

 

「あら六花ちゃん、こんばんは」

 

「みんなで銭湯なんてなんかワクワクするね!!」

 

「うん!!皆でプールとかはあったけどお風呂は無かったからね~。るんっ♪ってきた~!!」

 

「他のお客さんもいるんですから騒いじゃダメですよ。それに日菜さんも腕の件があるんですから・・・」

 

「はーい・・・」

 

「大丈夫だよ麻弥ちゃん!!傷はお湯に付けないようにするから!!」

 

「六花ちゃん。煩くてごめんなさいね」

 

「いえ!!今は誰も入ってないので」

 

そこに現れたのはパスパレの皆さん。

目の前にテレビに出るようなアイドルが現れたことに驚きと”アイドルも銭湯に来るんだ。”という感想を持ってしまった私だが・・・。

 

この後にもっと衝撃的な光景を目撃してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、誰か来たよ?」

 

「そうね。ここに立ってても邪魔だから少し避けましょうか」

 

「いらっしゃいま・・・」

 

「ん?なんで彩たちがここにいるんだ?」

 

パスパレさん達の後にやってきたのはポピパさんと一緒にいた人。

近くで見るとどえれえおそがい人だわ・・・。

 

そう思っていたら日菜先輩がその人へと近寄っていた。

 

 

「あっー!!ゲンちゃんだー!!どうしてここにいるの?」

 

「おう!!さっきこころ達とソフトボールやってな。それで帰ろうとしたら銭湯があったからな。風呂でも入ろうと思ってな!!」

 

「そうだったのね。今は私達しかいないみたいよ?」

 

「それはいいな!!風呂は心の洗濯だ!!広けりゃ広い方がいい!!」

 

「何訳の分からないことを・・・」

 

 

 

 

えぇぇぇー!!

なんで昨日の怖い人がアイドルの人たちと仲良く話してるの?

それによく分かんないこと叫んでる・・・。

 

「それにロックじゃねーか。お前ここでもバイトしてんのか?」

 

「いっ・・・いえ・・・。ここで下宿させてもらってて・・・」

 

「そうだったのか。タオルと風呂代これで足りるか?」

 

「あっはい。これタオルです」

 

「サンキューロック。それじゃ」

 

そう言うとあの人は男湯の暖簾をくぐって中に入っていき、

パスパレさんと私だけがこの場所に残った。

 

 

 

 

 

そして、おもむろに彩先輩が・・・。

 

「ねぇ、お風呂ってことは如月くんのあの髪を・・・?」

 

「確かに気にはなりますけど・・・」

 

「・・・なら覗く?」

 

「普通、逆じゃないかしら・・・?」

 

「ブシドー・・・」

 

えぇぇぇぇ!!

男の人のお風呂を覗くなんて都会の人って大胆・・・。

 

「千聖ちゃん!!早く入ろ!!」

 

「そうだよ!!ゲンちゃんが髪おろすのを見るチャンスだよ!!」

 

「それもそうね・・・。行きましょうか。お金、置いておくわね」

 

「千聖さん!?止めないんですか!!」

 

「オフロー!!」

 

そういうとお金を番台に置いてパスパレの皆さんも中へと入って行ってしまった。

 

私は目の前で起こったことがまるで信じられなかった。

そして、色んな事を考えて言葉が漏れる。

 

 

 

 

 

 

 

「都会って恐ろしいところやったんだ・・・」

 

 

 

「そんなことはありませんよ?」

 

「ヒィ!?」

 

独り言に声が返ってきたのに驚いて変な声をだしてまった・・・。

その声の主へと目を向けるとツインテールの子が立っていた。

 

この人って・・・。

 

「始めまして!!」

 

「じゃないですよね・・・?」

 

「覚えていただき光栄です!!改めまして、チュチュ様のキーボードメイド・パレオと申します」

 

「ご丁寧に・・・。私はっ・・・!!」

 

「朝日六花様・・・」

 

パレオさんは私の名前を呼ぶと、その後には誕生日と星座、血液型から出身地と私の好きな食べ物。挙句の果てには私の生活スケジュールやこの間のテストの点数を「調べてきた」とニコニコしながら教えてくれたけど、やっぱり都会って怖い・・・。

 

そう思っていたらパレオさんがどこからか封筒を取り出して私に渡してくる。

 

「これは・・・?」

 

「招待状です!!あなたを新しい世界へ招待いたします。Poppin'Partyもいらっしゃいますので!!」

 

「ポピパさん!?」

 

私は驚いて聞き返すとパレオさんはニコニコした表情を私に向けてくる。

 

「では!!」

 

明確には答えてくれなかったパレオさんはそのまま銭湯を後にしようとすると女湯の方から彩さんの声は聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声を聴いたパレオさんは入口から物凄い勢いで私の前へと戻ってくる。

 

「あの!!もしかして今!!パスパレの彩ちゃんがお風呂に!?」

 

「えぇ・・・と、パスパレの皆さんが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当ですか!!あぁ・・・!!今、風呂に行けばパスパレの皆さんのあられもない姿が私の目の前に・・・。とても興味をそそられてしまいます!!私個人としてはその姿を目に焼き付けたい!!でも1ファンとしてはある程度の距離も必要・・・!!見たい!!でも、それが原因でパスパレの人たちから嫌われてしまったらどうしましょうか?でも待ってください?ここは銭湯!!銭湯という場所は公共の場所ですからそこであられもない姿を見てしまうのは事故!!そうだったとしても見える事故を回避することも・・・・・・」

 

私の答えを聞いた途端パレオさんが何か悩みながら目の前で物凄い早口で何かを呟き始めたけど、早すぎて全く聞き取れない・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・そう!!ここは銭湯!!つまり、見えてしまうのは仕方ない!!仕方ないことなんです!!だから、パレオの戦闘はここから始まるのです!!六花様!!入浴代とタオルお願いします!!」

 

「はいっ!!」

 

勢いに押されて私はパレオさんからお金を受け取るとタオルを渡す。

その瞬間―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のわぁああああああああああああああ!!」

 

「あはははははーーーー!!」

 

聞こえてきたのはすごい水しぶきの音とさっきの男の人の叫び、それに日菜先輩の笑い声。

それも男湯の方から・・・。

 

「この声は・・・日菜ちゃん!!」

 

「ちょっと!!」

 

パレオさんは男湯へと駆け込んで行き、私もなぜか後ろを追ってしまった。

そのままパレオさんは浴場への扉を開くとそこには・・・。

 

「のわぁぁぁぁあああああああ!!」

 

「あちゃ~!!」

 

「日菜ちゃん!?何してるんですかぁ!?」

 

私の目の前に飛び込んできたのは

男湯に浸かっている日菜先輩と洗い場で腰にタオルを巻いている男の人。

 

そして仕切りの上から男湯をのぞき込んでいるパスパレの皆さんの姿だった。

 

 

 




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彩ちゃん達の行為は軽犯罪法第一条二十三違反になります。
これは女が男にやっても成立しますので絶対にマネしないでください。


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最・狂・開・幕-3 欲望と行動・彼女が大将?

投稿です。

話がなかなか締まらんなぁ・・・

そういえばアニメだと謎の温泉回あったよなぁ・・・
どうすっか・・・



 

日菜を男湯から引き揚げたパレオはそのまま女湯へと引き摺って女湯へ向かうとパレオの怒声が聞こえる。

 

「皆さんはアイドルなんですよ!!それなのに何であんなことをしてたんですか!!」

 

「あの・・・。それは・・・」

 

「髪をおろした如月さんが気になってしまって・・・」

 

「そんなの理由になっていません!!これは1ファンとして・・・、いえ!!1人の女子として言わせていただきますが・・・!!」

 

 

パレオの怒声が響くなか、ロックは弦太朗の姿を見て、顔を真っ赤にして固まっていた。

 

「おい・・・ロック?」

 

「・・・」

 

弦太朗はロックへと声をかけるも、返事がない。

 

「おーい」

 

「・・・・・・」

 

弦太朗がそのまま近寄るとロックは真っ赤にした顔を更に赤くする。

 

「そろそろ男湯から出てくれねぇと、着替えらんねぇんだけど」

 

「はひぃ!!着替え・・・!!」

 

目の前の男から着替えという言葉を聞いたロックは目をグルグルと回してその場へとへたり込んで動かなくなる。

 

その姿を確認した弦太朗はロックから身を隠しながら着替えを終えると、男湯からロックを運び出て入口のソファーへと運び出してロックの目覚めを待つ。

 

しかし一向に起きる気配がなく、その場で待っていると女湯から姿を現すパレオ。

 

「お騒がせして申し訳ありませんでした。それでは私はこれで失礼いたします」

 

その言葉と共にパレオはその場を後にする。

それから少し経つとパスパレの全員が女湯から姿を現すが、日菜以外の顔はゲッソリとしていた。

 

「酷い目に会いましたね・・・」

 

「ヒナさん凄かったです・・・」

 

「うん・・・、凄かったね・・・」

 

「なんでそのまま仕切りを乗り越えるのよ・・・」

 

「楽しかったね!!でもびっくりしたよ~」

 

日菜はロックの近くにいた弦太朗へと視線を向ける。

その姿は普段のリーゼントではなく髪をおろしたままの姿であった。

 

「髪型変えるだけでもう別人ですね・・・」

 

「まさしくトウヨウのシンピ・・・ですね!!」

 

「イヴちゃんの言う通りだよね~」

 

「イケメンね・・・。嫌いじゃないわ・・・」

 

「・・・」

 

皆が思い思いの事を口にする中、彩は自身の顔を紅く染めながら弦太朗を見つめる。

その姿にパスパレはにやけ顔で彩を見つめる。

 

「アヤさん?顔が赤いですよ?」

 

「のぼせたのかな~?」

 

「弦太朗、ここは私達に任せて先に帰りなさい」

 

「こうなったのはジブン達のせいですからね・・・」

 

「仕方ないね~」

 

「そういうことよ。後は任せない」

 

弦太朗は千聖達に促されるまま銭湯を後にする。

その後、パスパレは銭湯で働いていることがネットに流れてしまい、ロックが目を覚ますと今までで見たことのない客の量に驚かされることを彼女は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りましたー」

 

「パレオ!!遅い!!ジャーキー!!」

 

「はい!!ただいま!!」

 

RASの拠点であるチュチュのマンションへと戻ってきたパレオは帰宅して早々にチュチュの世話を始める。

 

「それでちゃんと渡してきたんでしょうね?」

 

「はい!!RoseliaとPoppin'Party、それと朝日六花様にそれぞれ招待状はお渡ししてきました!!ですが・・・。Roseliaはギターの氷川紗夜様が来れないとのことで代わりに知り合いを呼ぶと伺っております。

 

「What's?・・・まぁいいわ。湊友希那さえ来れば後はどうでもいいわ」

 

「それと!!聞いてくださいよ!!六花様への招待状をお渡しするときにですね!!下宿先の銭湯へと向かったらそこにパスパレの皆さんがお風呂に入っていまして!!」

 

そのパレオの言葉に反応した者が一人。

 

「おい・・・パレオ・・・。それ本当か?」

 

「何でマスキングが食いついてるのよ」

 

「はい!!マッスーさん!!しかも聞いてくださいよ!!パスパレの皆さんが男湯を覗いてたんですよ!!」

 

「・・・マジか?それ、麻弥さんもか・・・?」

 

「はい!!なんでも、男湯にいたお知り合いの髪をおろした姿が気になるとの事でしたがアイドルあるまじき行動を見てしまって思わず怒ってしまいました・・・。それに日菜ちゃんに至っては仕切りを乗り越えて男湯の湯舟に入ってたんですよ!!」

 

「最近のIdleは進んでるわね・・・」

 

「すげーな・・・。ってなんでパレオ。なんでお前そんなこと知ってるんだ?」

 

「もちろん!!日菜ちゃんを男湯から出すために私も・・・・・・はっ!!私、男の人が入ってたのに男湯に入ってしまいました!!」

 

パレオはマスキングと呼ばれた少女からに答えると、パレオは自身のしたことを思い出して顔を紅く染めながら狼狽える。

 

「あわわ!!私、男の人のお風呂に入っていくなんて・・・。もうお嫁にいけません!!」

 

「おいおい、パレオ落ち着けよ」

 

「そんなマッスーさん!!乙女の一大事ですよ!!」

 

「全部パレオの自業自得じゃねーか」

 

「なんでもいいけど、パレオ!!準備してレッスンよ!!」

 

チュチュの言葉と共にライブに向けた練習が行われ、そして―――

ロック達を招待したライブの当日を迎える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦太朗は紗夜に渡されるはずのチケットを譲り受け、香澄達と共にRASのライブ会場へと赴いていた。

 

「お客さん一杯だねー」

 

「前も凄かったけど、今回はそれ以上だなー」

 

「すげーな、物販まであんのか・・・。CDにTシャツに・・・写真?」

 

物販の商品を見て回る弦太朗は並んでいた2枚の写真を手に取る。

その姿を見た有咲は弦太朗の元へと向かう。

 

「それはアーティスト写真だな。それがどうしたんだ?」

 

「いや、こいつにこの前会ったな」

 

「パレオちゃん?いつ会ったんだ?」

 

「この間、ロックのところの銭湯でな・・・」

 

「なんで銭湯・・・?」

 

弦太朗はそのまま写真を元に戻して有咲と共に物販を離れ香澄の元へ向かうと、友希那とリサの2人が会場へとやってくる。

 

 

「戸山さん。それに如月も来てたのね」

 

「友希那さんにリサさん!!こんにちは!!」

 

「おう。2人ともチケットあんがとな!!」

 

「弦太朗も香澄達も来てたんだ~。3人?」

 

「いえ、ポピパの5人です。如月は何でかいましたね」

 

「もしかしてポピパも招待されたの?」

 

「Roseliaもですか?」

 

「もしかして如月が来てるのって・・・」

 

「・・・紗夜の分よ?」

 

「まぁ、何度も招待されて行かないのもあれだし。それに、ガールズバンド時代のニューリーダーっていうのも気になるしね~」

 

「なんかスゲーんだな」

 

「Roseliaだって負けてないわ・・・」

 

感心するような素振りを見せる弦太朗に友希那は不満顔で声を漏らす。

そんな友希那ににやけ顔を向けるリサ。

微笑ましいものを見るような有咲を他所に香澄はロックを引き連れたたえへと手を振る。

 

「おたえー!!りみりんとさーやは?」

 

「物販見てるよ」

 

「それにおたえの後ろにいるのってロックか?」

 

「ホントだー!!なんでいるの?」

 

「ひぃ~!!」

 

 

香澄の横にいる弦太朗を見たロックはそのままたえの後ろへと隠れる。

 

「如月。あなた怯えられてるじゃない」

 

「うーん。髪型だね☆」

 

「辞めるつもりはねぇぞ?」

 

友希那達との話を他所にロックは香澄達と会話するが、ロックのとある発言を友希那は聞き逃さなかった。

 

「折角招待していただいたので・・・」

 

「「ロックも!?」」

 

「なんですって・・・?」

 

バンドとして招待されたポピパとRoselia。

その一方で個人的に正体されたロックへと香澄達からの質問が飛ぶ。

 

「ロック!!いつ招待されたの?」

 

「えぇっと、先日銭湯で働いてた時に、パレオさんがいらっしゃって・・・」

 

「なぁ、それって如月がさっき言ってた時か・・・」

 

「名前は分かんねぇけど、銭湯で見たのはさっきの写真の奴だな」

 

「ねぇ!!銭湯ってことはゲンちゃん先輩が髪おろしたんだよね?」

 

「気になるわね・・・」

 

「普段の先輩と雰囲気だいぶ違うよね」

 

「私もおたえに言われるまで気がつかなかったしな・・・」

 

「本当に別人でした・・・。パスパレの皆さんも気になってたみたいで覗きを・・・」

 

ここでロックは自身の失言に気が付き言葉を止めるがその言葉でこの場にいた全員はその時の状況を理解した。

 

「・・・大胆ね」

 

「私も見たい!!」

 

「あー、そう言えばヒナは仕切りを乗り越えて男湯に入ったって言ってたなぁ・・・。その後にパレオとロックが男湯に飛び込んできたって・・・」

 

「「・・・!!」」

 

「先輩、日菜さんに裸見られたの?」

 

「タオル巻いてたからな・・・」

 

「胃がいてぇ・・・」

 

リサはこの場で最大級の爆弾を投下する。

香澄達はその言葉に驚き、たえと弦太朗は何事もなかったかのようにその時の状況を話している。

その様子を見た有咲はこれが一部の人間にバレた時に光景と不安を想像して自身の腹を押さえた。

 

「あのっ・・・!!」

 

「おい。お前ら。このことは絶対に沙綾達に言うなよ!!リサさん達も!!」

 

有咲の鬼のような形相を見たリサと友希那は無言で首を縦に振る。

そのうなずきと同じタイミングでまだ会場に来ていないメンバーが集まって少しの時間がたつとRASのライブの開演時間となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのライブは彼女たちから見ても高いパフォーマンスで驚きに値する内容であった。

 

ライブが終わり場内からアンコールの声が響くと、ドラムの音と共にチュチュと呼ばれていた少女がステージへと現れた。

 

「アンコールの前に、Hotなお知らせをするわ!!」

 

彼女の言葉にその知らせを聞くためべく会場全体は静まり返る。

 

「私のバンド”RAISE A SUILEN"は"BanG Dream! Girls Band Challenge! "へ出場します!!」

 

「あの小っちゃいのがリーダーなのか」

 

彼女の宣言に会場から歓声が挙がる。

しかし、彼女は話を続けるべく観客を鎮めて話を続けていく。

 

「そのバンドリでRoseliaとポピパをぶっ潰す!!」

 

「・・・お団子!?」

 

その宣言に今度は観客と一緒に名前を呼ばれたバンドメンバー達とロックも困惑の声を挙げる。

困惑の声を聴きながらチュチュは更に話を続ける。

 

「そのために・・・」

 

彼女の言葉はそこで切れで会場のライトがロックの姿を照らす。

突然の出来事にロックは近くにいた弦太朗の後ろへと隠れる。

 

「ロッカアサヒ!!あなたをスカウトするわ!!ってちょっと!!隠れないの!!それとそこのBadBoy!!彼女を隠してないではやくどきなさい!!」

 

こうして、会場は驚きと困惑の声に包まれる中、RASのライブは閉演した。




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最・狂・開・幕-4 Rampage A She?

投稿です。
ロックちゃん・・・
そこは命が危ないぞ・・・

今回どのゾディアーツ出すか直前まで決まってないなんて言えない。


RASのライブが終わり、招待客用の客席から出た香澄達。

そこに待ち構えていたのは他の客からの視線。

 

宣戦布告された2組のバンドメンバー達が招待席から姿を現す。

 

しかし、その彼女たち以上に視線を集める人物が彼女達の後ろに1人・・・。

 

「ひぃ~!!」

 

突然のスカウトを受けたロックである。

彼女はその視線に怯え、先ほどと同じように弦太朗の後ろへと隠れる。

 

ロックが隠れた弦太朗の見た目、そしてロックに嫉妬する沙綾の圧に他の客は蜘蛛の子を散らすようにその場から離れて行く。

 

「なんだ?」

 

「・・・どうなってるのかしら?」

 

「有咲の言ってたのってこの事だったんだねー☆」

 

「この程度ならもう慣れましたよ・・・」

 

「ありさ?何のこと・・・?」

 

「おっかない・・・」

 

「怖い・・・」

 

ライブ前に言っていた有咲の言葉が理解できたリサたちの後ろでりみと燐子は沙綾の姿に震え上がる。

 

その沙綾の様子を見たリサは新しいおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべてロックへ話しかける。

 

「それにしてもロック~?ライブ前は弦太朗を怖がってたのにもう平気なんだ~☆」

 

「へっ?あっ・・・!!すいません!!」

 

「ん?気にすんなロック」

 

「そうだよロック。積極的な攻めは女の子の特権だぞ~って事でアタシも~」

 

「なぁ!?」

 

「ちょっと!!リサさん!?」

 

笑みを崩さないリサは言葉と共に弦太朗の腕へ抱きつく。

突然の行動に驚く弦太朗と沙綾を他所に、リサの考えを薄々理解した友希那は呆れかえる。

 

「・・・リサ?何してるの?」

 

「何って面白そうだったから~。友希那もやる?」

 

「やらないわよ」

 

「じゃあ!!あこがやる~!!」

 

リサの悪乗りに乗ってあこは反対の腕へと抱きつく。

その光景を見た有咲は見た感想をそのまま口にする。

 

「なんかあこが加わると一気に子連れ家族って感じがするな・・・」

 

「だってさ。おとーさん☆」

 

「パパ~!!」

 

「リサもあこも何言ってんだ?」

 

「先輩モテモテだね。じゃあ私は・・・前から・・・」

 

その光景を見たたえは何を思ったのか弦太朗の正面から抱き着く。

突然のたえの行動にポピパのメンバーも驚きを隠せない。

 

「おたえちゃん!?」

 

「そうだよ!!おたえ!!」

 

「だってこうやって集まってるのってウサギみたいだったから・・・。香澄達もやる?」

 

「じゃあ、私!!おたえの後ろー!!」

 

「それなら・・・私はあこちゃんの後ろで・・・」

 

「・・・っ!!」

 

「私は辞めとくね・・・」

 

たえの提案に香澄と燐子は無駄に空気を読んで行動へと移すが、その光景を見た沙綾は弦太朗の後ろに回り込みロック越しに弦太朗へと抱きつく。

おしくらまんじゅうのような状態になっていった様子を見たりみはあえて流れには乗らずに弦太朗達から離れる。

 

「おい!!!おたえ!!今のお前をレイヤに見られたらどうなると思ってるんだ!!」

 

もはや収拾がつかなくなった弦太朗達の様子を見た有咲は声を挙げるが、その答えはおたえから帰ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、私がどうかしたの?」

 

「ハナが来てるから顔見に来たけど・・・。なんだかスゲー状況だな・・・」

 

「お前ら・・・!!えぇっとだな・・・」

 

有咲は今聞きたくなかった声を聴いてしまい恐る恐る後ろを振り返る。

そこにいたのはRASのベースでたえの親友であるレイヤとドラムのマスキングことますきの姿であった。

 

彼女達の前で繰り広げられているのはRoseliaとポピパ達によって取り囲まれている男と、それを離れて呆れながら眺めている友希那達の姿であった。

 

「・・・それにしてもこれはどういう状況なの?」

 

「レイ!!」

 

「花ちゃん!?えぇ!?」

 

「どうなってるんだよ・・・」

 

「それじゃあ、嫌な予感がするから私は先に・・・」

 

「私も帰るわ」

 

「有咲ちゃんに友希那先輩!!・・・私も・・・!!」

 

男を取り囲んでるその中には幼馴染であるたえも混ざっている状況が呑み込めないレイヤ。

彼女は驚きの表情を浮かべて普段の彼女からは想像も出来ない慌てぶりを見せて、混沌とする状況に頭を抱えるますき。

 

そして危機感を感じた友希那達は現場を放置してその場から逃げようと歩き出すが一足遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Hey!!湊友希那!!何帰ろうとしてるのよ!!」

 

「遅かったか・・・」

 

この場に現れたのは先ほど宣戦布告を行った張本人であるチュチュがパレオを後ろに連れて立っていた。

 

「真ん中にいるのは・・・」

 

「ロッカアサヒと一緒にいたBadBoyじゃない!!それが何でポピパとRoselia達に囲まれてるよの!?」

 

「こんなところであんなにくっ付くなんて・・・。でもあの方はどこかで見たことあるような気もしますが・・・」

 

「ちょっと!!あんたたちこんな公衆の面前でなにしてるのよ!!」

 

パレオは囲まれている弦太朗の事を思い出そうとするが、チュチュはそれを気にする様子もなく目の前で男を囲んでいる彼女達へ声を挙げる。

 

「あれ?RASが全員揃ってる~。みんな~おふざけはここまでで弦太朗から離れて~」

 

「最初にふざけ始めたのリサじゃない・・・」

 

「あっれ~。そうだっけ?ほら他のみんなも~」

 

「ほら、沙綾も如月から離れろ~」

 

「・・・・・・うん」

 

「弦太朗・・・?如月・・・?どこかで・・・」

 

 

 

呆れる友希那とリサの言葉によって沙綾は嫌そうな表情を浮かべ、他は何事もなかったように離れる。

しかしロックのみは弦太朗の後ろに隠れたまま動かない。

Roseliaが全員離れたのを確認すると友希那はチュチュへと視線を移す。

 

「それで招待した上に宣戦布告するなんてどういうつもりかしら?」

 

「何事もなかったように続けるのね・・・」

 

「私は何もしてないもの・・・。それであの言葉は何なのかしら?」

 

「そのままの意味よ!!私のバンドはバンドリであなた達をぶっ潰すわ!!」

 

「・・・私達は出るつもりはないわよ」

 

「Really・・・?」

 

「えぇ・・・」

 

「私達は出るよ~!!」

 

チュチュの宣言が根本から覆る。

標的の1つであったRoseliaはイベントへ参加しないとリーダーの友希那が口にしたのだ。

ポピパは出ると言っているが今のチュチュにその言葉は入ってこなかった。

 

 

 

 

 

「つまりRoseliaは私から逃げるってことね・・・。”FWFに集中する"とか言い訳を付けて」

 

「・・・なんですって?」

 

何を思ったのかチュチュはその場で友希那を挑発する。

そしてRoseliaが出場しない理由も言い当てられた友希那は表情を曇らせる。

 

「それにRoseliaのギターも来なくて、代わりにあんなBadBoyを連れてるなんてね」

 

「紗夜は・・・」

 

「ふんっ!!まぁいいわ。今のRoseliaなんでぶっ潰す価値もない。ポピパを完膚なきまでに叩きつぶすわ!!」

 

「チュチュちゃん!!頑張ろうね!!」

 

「・・・トヤマカスミの相手は調子狂うわね。それじゃあ・・・」

 

 

 

 

 

 

「あぁああああああ!!」

 

「ちょっとパレオ!!急に叫ばないで!!」

 

友希那はチュチュの挑発によって怒りを、チュチュは香澄の発言による呆れの表情をそれぞれ浮かべる中、チュチュの言葉をパレオの叫びが遮る。

 

「あの人ですマッスーさん!!銭湯でパスパレと一緒にいた人です!!」

 

「この間って、招待状渡しに行ったってあの時か?」

 

「間違いありません!!」

 

「こいつが・・・?信じられねぇ・・・」

 

「ねぇ、2人とも何の話?」

 

パレオの言葉にますきは弦太朗を睨む。

話が分からないレイヤ達は不思議そうにその光景を見る一方で、事情を理解した有咲はこの場から逃げ出そうとするがりみがそれを抑える。

 

「おい!!りみ離せ!!」

 

「ダメだよ有咲ちゃん!!」

 

「・・・トヤマカスミ?あれは何をやってるの?」

 

「分かんない!!」

 

有咲達の様子を見たチュチュは近くの香澄に聞くが、有咲が逃げようとした理由を彼女たちは身をもって体験することになる。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ってください」

 

「なんだって?」

 

「ロッカ様の銭湯でパスパレの皆さんにあんなことをさせて!!日菜ちゃんと一緒に男湯に入って!!私を男湯に入らせた責任を取ってください!!」

 

「いや、そいつ全然悪く「ねぇ・・・」・・・っ!!」

 

パレオの言葉にますきは声を挙げるが圧倒的な威圧感によってその言葉は途中で遮られた。

弦太朗以外の全員がその圧を感じる方へ視線を向けるとそこには怒りで身体を震わせる沙綾の姿。

 

 

「パレオの言ってたことって何・・・?」

 

「おい沙綾・・・?」

 

「ますき黙って。私は今パレオに聞いてるの」

 

「「「ひぃ!!」」」

 

沙綾の姿に彼女たちは小さい悲鳴を挙げて震え上がるが、有咲はいち早く我を取り戻すといち早く声を挙げる。

 

「おたえ!!沙綾を抑えろ!!とりあえず帰るぞ!!」

 

「香澄、手伝って?」

 

「うん!!」

 

「ちょっと2人とも離して!!まだ話は・・・!!」

 

「レイ。また今度話そうね」

 

「チュチュちゃん!!バイバーイ!!」

 

「ちょっと・・・!!」

 

唖然とする一同を他所に香澄とたえで両腕を掴まれた沙綾はそのまま引き摺られるように会場から離れて行く。

 

「ふっ・・・・ふん!!きょ・・・今日のところのこっ・・・この辺でしっ・・・失礼するわ!!行くわよ!!」

 

「・・・私達もこれで失礼するわ」

 

「弦太朗はロックの事送ってあげてね。ちょっと待ってよ友希那~!!」

 

「バイバイ!!ロック!!弦太朗!!」

 

「さようなら・・・」

 

香澄達の後を追うように、震える声のチュチュと友希那達のバンドも会場を去り、ロックと弦太朗のみがこの場に残される。

 

「ロック、もう遅いから家まで送ってくぞ」

 

「あっ・・・。お願いします。それにしても沙綾先輩があんなに怖かったなんて・・・」

 

「たまにああなるんだ。女ってよく分かんねぇな・・・」

 

「あはは・・・」

 

 

 

弦太朗の言葉に苦い表情を浮かべる中、ロック達も会場から離れる。

 

 

 

会場と共に今までの日常からも離れていることをこの時のロックはまだ知らない―――




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最・狂・開・幕-5 逃走!!彼女は人気者?

投稿です。

RAS篇はロックが正式加入まで、MV撮影はまぁ裏でやってるよ・・・
そうしないと紗夜さん放置プレイがとんでもないことになってまう・・・

皆さんは食べ物を投げるのはやめましょう。
これが出来るのは彼女の愛と技術のなせる業です。


RASのライブが終わった翌日。

ロックは香澄の妹である明日香と共に追っ手を振り切るべく学校内を走り出していた。

 

「あたし!!もうダメかも!!」

 

「明日香ちゃん!?運動部じゃ!?」

 

「あたし水泳部だから!!走るの向いてない!!」

 

明日香の言葉を聞いたロックは後ろを振り返る。

そこに迫っていたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

「ハァハァハァハァ!!」

 

チュチュの犬・パレオがロックを捕まえるべく迫りくる。

飼い主はその遥か後方を必死の形相で追いかけている。

 

その姿に恐怖したロックはすぐさま前を向き彼女の持てる全力で走る。

 

逃げてる途中にロック達に向けて、同じ学校の日菜の注意や巴達のヤジが飛ぶが彼女はその言葉も聞かずに走り続け、学校を飛び出して街を駆け抜けて商店街へと逃げ込むと予想外の人物と出会いその友人の店に身を潜める。

 

そしてその少し後、パレオと共にチュチュが商店街へと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこへ行ったんでしょうか・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

周囲を見渡すパレオと地面に見つめ息を整えるチュチュ。

そしてチュチュが顔を上げると目に入ったのは”北沢精肉店”の看板とハロハピのベースであるはぐみが店番をしている光景。

 

その光景を見たチュチュは肉屋の中へと足を運ぶ。

 

「いらっしゃーい」

 

「ねぇ。こっちに眼鏡Girl来なかった?」

 

「眼鏡Girl?」

 

「朝日六花様のことです」

 

「ろっかは・・・」

 

彼女たちの探しているロックははぐみの足元に隠れており、咄嗟の事にはぐみは言葉を詰まらせる。

しかし、とある人物が店へと訪れたことで彼女が口を滑らせることは無かった。

 

 

 

「はぐみ!!コロッケ6つ!!ってお前らは昨日の・・・」

 

「あっ、ゲンちゃん先輩いらっしゃーい!!」

 

「あなたは・・・!!!」

 

「ライブでロッカアサヒと一緒にいたBadBoyじゃない!!」

 

突然現れた弦太朗に驚くチュチュとパレオ。

はぐみは2人からの質問よりも弦太朗の注文への対応を優先する。

 

「パレオに対して責任取りに来たんですね!!」

 

「パレオ!?そんなことないわよ!!ところでBadBoy!!こんなところで何やってるのよ!!」

 

「バッドボーイって俺の事か・・・?何ってコロッケ買いに来たんだけど、お前たちは違うのか?」

 

「違うわよ!!ここのコロッケなんて食べたことないわよ!!」

 

 

「コロッケ”なんて”・・・?むぅ!!」

 

 

「じゃあ何してんだ??」

 

「ロッカアサヒを探してたのよ!!」

 

「ロックを?」

 

「ゲンちゃん先輩!!コロッケだよ!!」

 

「おう!!サンキュー!!」

 

はぐみは弦太朗に注文通りコロッケを渡す。しかし、その顔は怒っていた。

 

原因は先ほどのチュチュの言葉。

コロッケなんてと言われたことにはぐみは彼女らしくない怒りの表情を浮かべていた。

 

「それと2人とも?」

 

「はい?なんでし・・・ムグゥ!!」

 

「なによ?・・・ムゥ!!」

 

はぐみはチュチュ達2人へ呼びかけると彼女たちははぐみへと向きなおす。

 

 

その瞬間はぐみの手元がブレると同時にはぐみの手元から茶色いものがチュチュ達の口へと投げ込まれる。

 

弦太朗は目の前のはぐみの手元を見るとそこには銀色に輝くトング、チュチュ達の口元へ視線を移すとそこには弦太朗が買ったものと同じコロッケが彼女たちの口へと収まっていた。

 

チュチュは口に収まったコロッケをそのまま呑み込むと怒りの声を挙げる。

 

「・・・なにしてくれてるのよ!!」

 

「・・・何って?うちのコロッケだよ?」

 

「コロッケ?なんでそんなものを投げるのよ!!」

 

「それでうちのコロッケはどう・・・?」

 

「What's?」

 

突然のはぐみの言葉に理解が出来ないが、パレオは口に入ったコロッケを咀嚼すると声を挙げる。

 

 

 

「チュチュ様!!これ美味しいですよ!!」

 

「それならもう1つ食べる?」

 

「はい!!出来れば持ち帰り用で3つお願いします!!」

 

「はーい!!」

 

はぐみのコロッケを食べたパレオはその味を感激したのかそのまま追加と持ち帰り用でコロッケを注文する。

 

その光景にはぐみはにこやかな表情を向けて、注文へと対応するとはぐみの顔はチュチュへと向けられるがその表情はパレオに向けられた表情とは異なるものだった。

 

 

「それで?うちのコロッケの味はどうだったの?」

 

「いきなり口に入ったから味わう余裕なんてなかったわよ!!」

 

「そっか~」

 

「なによ?・・・ムゥ!!」

 

チュチュの言葉を遮るようにはぐみは再びコロッケをチュチュの口内へと正確に投げる。

そして今度はゆっくりとコロッケを味わってから咀嚼する。

 

「悪くないわね・・・」

 

「えへへーそうでしょー!!」

 

チュチュの言葉を聞いたはぐみはチュチュにも笑顔を向ける。

その光景を見ていた弦太朗はコロッケからロックについてへと話を戻す。

 

「なぁ・・・。お前らがロックを探してたのってスカウトの事か?」

 

「YES!!」

 

「でも何でそこまでロックに拘るんだ?」

 

「文化祭での映像見て最初の音でRASに必要だって分かったの!!あの子のギター力は本物よ!!」

 

「はぐみ知ってるか?」

 

「うん!!ろっかのギター凄かったよ!!」

 

「やっと見つけたのに・・・」

 

呟きと共にチュチュの視線が下を向く。

その姿を酷く気落ちしており、見かねたパレオがチュチュの腕を引いて店を後にする。

 

彼女たちが去って立ち上がろうとするロックだが、弦太朗の言葉を聞いたそのままロックはその場に身を潜め続けていた。

 

 

「ロックを入れるためにあそこまでやってるのはスゲーな」

 

「あー。ハロハピも最初はこころんとかのちゃん先輩がメンバー探しからだったし・・・」

 

「あそこまで真っすぐな奴らなんだ悪い奴じゃねと思うぜ。・・・って俺もそろそろ行かねぇとな」

 

「ゲンちゃん先輩バイバーイ!!」

 

「おぅ!!」

 

そうして弦太朗も店から去っていく。

弦太朗の言葉を聞いたロックは少し考えた後、バイトに向かうために家への帰路へと着くのだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

チュチュのスタジオでギターを待ってたけど、あいつらが捕まえられなかったと聞いたから私はチュチュのスタジオからバイクを転がして実家へと戻ってきた。

 

店の裏にバイクを止めるとヘルメットを外して実家の横のライブハウスに足を運ぼうとすると、

見たこともねぇバイクがやって来るとあたしのバイクの横に止まった。

そのバイクに乗ってるのは男、それもあたしと同じデザインのスカジャンを着た男だ。

 

ヘルメットを外すとそこにいたのは、昨日ライブを見に来てた男。

 

「お前、昨日のライブの奴か・・・」

 

「てめぇは・・・」

 

「如月弦太朗だ!!お前は?」

 

「佐藤ますき。RASではマスキングって名前でドラムやってる。お前は何しに来たんだ?」

 

「あぁ、このライブハウスでバイトしてるロックに届けもんがあってな」

 

昨日のハナ達の件もあったから、あたしの警戒心むき出しでそいつを睨むけど相手は全く気にしてる様子もねぇ・・・。

 

そうするとこいつの視線はあたしの愛車"デス・ギャラクシー号"へと移る。

 

「なぁ、これ。ますきのバイクか・・・?」

 

「そうだけど、わりぃか?」

 

 

あたしもあいつ―――弦太朗の乗ってきたバイクを見る。

 

ボディもシートも白い車体。

車体に描かれている黒いペイントとボディの白のせいでスペースシャトルを思わせるような見た目で、飾りである後ろのスラスターの内側にしっかりと焼けたような黒い跡も残ってる。

 

それにしても改造元の車体が全く分からねぇのが気になる・・・。

 

乗ってみてぇ―――。

 

そう思ってたら弦太朗の方が先に声を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

「お前のバイク!!さいっこうだな!!ヴィンテージものをここまでカスタムするなんてな!!」

 

「・・・分かるのか?」

 

「じぃちゃんがバイク屋だからな!!名前もカッコいいし!!特にこの炎のペイント!!これが堪んねぇ!!」

 

こいつ・・・。

めっちゃ話の分かる奴じゃねーか!!

レイ達が見たときは微妙な顔されたけど、やっぱこのペイントかっけーよな!!

 

「だろ!?話わかんじゃねーか!!」

 

「おう!!」

 

「それにしてもお前のバイクもなかなかじゃねーか!!カスタム元が分かんなくなるなんてスゲーな!!今度乗らせてくれよ!!なんて名前なんだ?」

 

「おう!!こいつは"マシンマッシグラ―”だ!!今度乗らせてやるぜ!!」

 

「そう言えば弦太朗はうちのライブハウスに用があったんだったな・・・。行こーぜ!!」

 

「うちのって?」

 

「あぁ!!目的地のライブハウスは親父がやってんだよ。その横の八百屋が実家でな」

 

「そういう事か・・・」

 

あたしは弦太朗を連れてライブハウスへの階段を下りる。

扉の前に立つと中からはギターの音が漏れる。

 

「なんだ?」

 

「・・・誰かやってんのか?」

 

「今日は予定なんてなかったはずだけどな・・・」

 

「行けば分かるだろ。行こうぜますき」

 

「だな!!」

 

あたしはそのまま扉を開ける。

そこにあったのは誰も観客のいないステージの上でギターを弾いていた。

確かロックって言ったっけ・・・。

 

しかも弾いてるのはRASの”R・I・O・T”―――。

 

あいつは1回のライブ見ただけで完璧に耳コピしてやがる・・・!!

その演奏にあたしは言葉を失って見入っていた。

 

「ロックの奴・・・スゲェ・・・」

 

横で弦太朗が呟くけど、本当にその通りだ・・・。

そしてロックの演奏が終わる。

 

「あいつ・・・」

 

あいつのギターでライブがしてぇ!!

 

そう思ったあたしはロックへと歩み寄っていた。

 

「あっ!!ますきさん!!練習ですか?」

 

ロックは汗を拭おうとするがその腕をあたしは掴み取る。

 

「んんっ!?」

 

「来いよ!!どうせなら弦太朗も見に来いよ!!」

 

その言葉と共にあたしはロックの腕を引いてライブハウスを飛び出す。

訳わかんねぇこと言ってるロックを店の裏に止めたバイクに乗せる。

 

「おい!!ロック!!これ着とけ!!」

 

後ろを付いてきていた弦太朗はそう言って自分のスカジャンをロックに着せると自分もバイクへと跨る。

 

あたし達のバイク夜の街にエンジン音を響かせ、目的地であるチュチュのスタジオへと走り出していた。

 

 




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最・狂・開・幕-6 どうして彼女は出し切れなかったのか?

はい。
投稿。
バイクはイイゾォー()
そして弦太朗を壁にするロック。

オリゾディアーツ送られてんじゃん・・・
使ったろ!!
詳細は次まで待って!!


2台のバイクは夜の街を走り抜け、とあるマンションへと辿り着く。

 

「着いたぜ」

 

ますきの言葉を聞いたロックと弦太朗はバイクから降りるとそのマンションを見上げる。

 

「でけぇな・・・」

 

「高級なビルやわぁ・・・」

 

見上げた拍子にロックは後ろへ倒れる。

しかしロックの後ろに立っていた弦太朗に支えられ、彼女が地面へと倒れこむは無かった。

 

 

「おいおい・・・。ひっくり返んぞ?」

 

「すいません。ありがとうございます」

 

「ん?気にすんな」

 

そんなやり取りを他所にますきはロックの腕を掴み挙げる。

 

「行くぞ。弦太朗も来いよ」

 

「おい。ますき!!」

 

「ひぃー!!」

 

ますきはロックの腕を引いて中へと入り、弦太朗もその後を追う。

そしてますきの開いた扉の向こうには先日ライブを行っていたバンドが全員集合していた。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?マッスーさん?お帰りになったのでは?」

 

「連れてきた。っておい・・・」

 

ますきはロックの腕を離すと、ロックは扉の向こうにいる弦太朗を盾にしながら再び室内に入ってくる。

 

「あなたは・・・!!」

 

「ちょっとマスキング!!なんでBadBoyも連れてきてるのよ!!」

 

「面白そうだから連れてきた!!」

 

ここで部屋の端で成り行きを見守っていたレイヤが弦太朗の後ろに隠れているロックへと近づいていく。

 

「ねぇ・・・?大丈夫?」

 

「大丈夫じゃないですー!!」

 

「怯えてるじゃない」

 

「ロッカ様に何をされたんですか?」

 

「何ってバイクの後ろに乗せてきた」

 

「バイクはいいぞ!!バイクは心のダイナマイトだ!!」

 

「いいこと言うじゃねぇか・・・!!」

 

「ちょっと!!原因はマッスーさんじゃないですか!!」

 

ますき達が会話中、弦太朗の視線はロックへと近寄っていたレイヤへと視線が向く。

そしてレイヤの顔を見つめる弦太朗に周りが困惑し始める。

 

「おい、弦太朗。何のつもりだ?」

 

「ライブの時から思ってたけど・・・。どっかで見たことあるんだよなぁ・・・」

 

弦太朗は周りの様子を気にせずに、レイヤの顔を見つめ続ける。

そして、弦太朗の中で彼女の顔からあることを思い出して叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイ!!やっぱりだ!!久しぶりだな!!」

 

「久しぶりだね・・・。やっぱり覚えてたんだ」

 

「なんだ?お前ら知り合いだったのか?」

 

「名古屋にいた頃にちょっとね。弦太朗は私が名古屋来てすぐに引っ越したけどね」

 

「レイにハナ以外の友達がいたなんてな・・・」

 

「ますき?どういうこと・・・?」

 

「それにしてもレイはいつこっちに・・・?」

 

「ちょっとロッカアサヒを放っておいて!!あんたたちはいつまでやってんのよ!!」

 

弦太朗とレイヤの昔話に嫌気がさしたチュチュは声を挙げてその会話を止める。

そして、不機嫌そうな顔を崩さないままロックへと視線を移すチュチュ。

 

 

「それで、ロッカアサヒ!!あなたRASに入る気になったのかしら?」

 

「んなもん。セッションすれば分かる」

 

「ひぃー!!」

 

ますきの言葉にロックは弦太朗の背中へとしがみ付く。

 

「さっきから「ひぃー!!」しか言ってねぇけど大丈夫か?」

 

「大丈夫って・・・。ますきがそれを言うの・・・?」

 

「ひぃー!!」

 

「ロック!!とりあえずやって来いよ。入るか入らないかはその後でいいだろ?」

 

「だな!!こいよ!!」

 

戸惑い続けるロックへと弦太朗が言葉でロックの背中を押し、ますきは腕を引いてスタジオ内へと入っていく。

 

それと共に他のメンバーもスタジオへと入ると演奏が始まる。

 

 

 

 

そして、演奏を終えたロックに待っていたのは不合格の言葉であった。

 

不合格の言葉を聞いたロックはますきと共にスタジオを後にする。

弦太朗もその後に続いてスタジオを出ようとするがチュチュに呼び止められる。

 

「BadBoy。ちょっと待ちなさい」

 

「なんだ?」

 

「あなたさっき言ってたじゃない。「さっきと違う」って。あれはどういうことかしら?」

 

「いや、さっきますきと一緒にライブハウスでロックのギター聞いたんだけど。なんつーか、全力でやってねぇって感じがしてな」

 

「・・・!!」

 

「あのすいませんが、その時見たのはこのような演奏でしたか?」

 

パレオがタブレットを操作してモニターに動画が流れ始める。

そこに写っていたのは文化祭の舞台の上で1人ギターを演奏するロックの姿。

 

「あぁ!!さっき聞いたのはこれだ!!」

 

「さっきは手を抜いてたってことでしょうか?」

 

「入ってきたとき凄い取り乱してたのにいきなりセッションさせたから力を出せなかったってところじゃないかな・・・」

 

「常にBestなPerformanceを出せないならRASには必要ないわ」

 

チュチュの心無い言葉を聞いた弦太朗はその言葉を聞いて怒りの声を挙げる。

 

「あいつの本気のギターを生で見てもいねぇのに勝手な事ばっかり言いやがって!!それにさっきからカタカナばっかり使ってカタカナ使えば頭いいと思ってんだろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦太朗の言葉にこの場の空気が凍る。

全員が呆れ顔を浮かべるが一番最初に復帰したレイヤから指摘が入る。

 

「弦太朗、チュチュのはカタカナじゃなくて英語だよ?」

 

「ふんっ!!見た目と同じく頭の中もダメね!!」

 

「それに、お前はあいつの本気を見てみたくはねぇのか?」

 

「・・・」

 

チュチュはその言葉を聞いて考え込む。

一度はスカウトしてまでバンドに加えようとしたロックのギター、

それがさっきので本気ではないことは文化祭の映像を見れば彼女でも理解できる。

 

「だから頼む!!ロックが自分から来たらもう1回だけでいいからあいつのギターを聞いてやってくれ!!」

 

「ちょっと弦太朗!?」

 

「何を・・・!!」

 

そして弦太朗が次にとった行動にレイヤ達は驚きを隠せなかった。

 

弦太朗が目の前のチュチュに対して頭を下げた。

それも自分の為にではなくこの場にいないロックのために行っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

しかし、チュチュからの答えはない。

 

本気のロックのギターでセッションというのには、チュチュも興味をそそられる。

しかし、一度ロックへとNoを突きつけた以上、自分からそれを撤回することを彼女のプライドが許さなかった。

 

「ねぇ、チュチュ?あれが本気じゃないならもう1回だけならやってもいいんじゃない?」

 

「パレオもそう思います」

 

「・・・・・・」

 

他のメンバーも弦太朗を擁護するが、チュチュは依然として無言。

興味とプライドが彼女の中でせめぎ合い、答えが出せなかった。

 

沈黙が室内を支配する中、弦太朗から響く着信音がそれを破る。

 

「わりぃ。ちょっと電話するわ」

 

そう言った弦太朗は部屋の端へと移動し、マグフォンを取り出して電話に出る。

 

 

 

「変わった携帯ですね・・・」

 

「持ち主と同じじゃない・・・」

 

その姿を彼女たちは不思議そうに見つめていた。

しかし彼から信じられない言葉を口にする。

 

「ますきが!?それ本当かおたえ!!それでどっちに行ったか分かるか?すぐ行く!!」

 

「マスキングにハナゾノ?どういうこと・・・?」

 

「それにしても相当な慌てぶりですね・・・」

 

「わりぃ!!俺行かねぇと!!ロックの事考えてくれよ!!」

 

その言葉を弦太朗スタジオを飛び出す。

 

「・・・!!」

 

「ちょっとレイヤ!!どこ行くのよ!!」

 

弦太朗の様子が気になったレイヤもスタジオを飛び出し、弦太朗の後を追う。

 

そして弦太朗が乗ろうとしてるエレベーターに飛び乗る。

 

「レイ!!お前何やって・・・!!」

 

「ますきに何かあったんでしょ?」

 

「おたえが言うには追われてるらしい?」

 

「どういうこと・・・?」

 

そう言いながらエレベータが1階まで降り、ドアが開くと同時にバイクの元まで駆け出す。

レイヤはバイクの後ろへと飛び乗ると同時に弦太朗はレイヤへとヘルメットを渡す。

 

そしてそのままバイクは夜の街へと消えていった。

 

 

 

―――――――

 

ますきさんのバイクの後ろに乗って、私はさっきのことを考えていた。

どうしたら良かったのか悩んでいるとバイクが止まった。

 

「ますきさん?どうしたんですか?」

 

「んっ」

 

ますきさんは上を指差すと信号は赤。

それに気が付くとますきさんは私に話しかけてくる。

 

「”R・I・O・T”弾いてただろ?それでバンドやりたいんじゃないかって思って連れて行ったんだけどな」

 

その言葉に私は答えに困った。

音楽―――バンドがやりたくて学校の必死に勉強したし、1人暮らしのために家事も覚えた。

 

そしてRASにスカウトされて、チュチュさんの前で演奏したけど、”他人の顔色を伺うような音はいらない”ってことで不合格―――。

 

「あのっ・・・!!」

 

私がますきさんに話そうとするがバイクが走り出して、声が途切れる。

 

私はどうしたら良かったんだろう・・・。

そんなことを考えていたらいきなり、ますきさんのバイクがスピードを上げて、うちとは違う方向へと走り出した。

 

「ますきさん!?」

 

「しっかり捕まってろ!!」

 

ますきさんの声はかろうじで聞き取れたので、ますきさんへとしがみ付く。

そしてその速度はどんどん上がる。

 

怖くて目を瞑ってたけど、ますきさんが叫びを挙げていた。

 

「くっそ!!なんなんだよ!!あれは!!」

 

ふとますきさんの顔を見るとしきりにミラーを見て後ろを気にしており、気になってしまった私もしがみ付いたまま後ろを振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには今までの人生で1度も見たことが無い何かがバイクの後を追いかけてきていた。

 




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最・狂・開・幕-7 逃走劇・キングアンドロック

投稿。

演出の関係上明らかにアウト描写が出てきます。
注意してください。
皆さんはちゃんと交通ルール守りましょう。




 

ロックを乗せたままあたしはバイクを走らせて得体のしれない何かから逃げていた。

なんかよく分かんねぇけど、本能が”今はあいつから全力で逃げろ”って言ってる。

 

「ひぃー!!なんなんやあれ!!」

 

「知らねぇけどやべぇのは分かる!!」

 

あたしはミラーで後ろを確認するがあいつとの差は少しずつ縮まってきていた。

確実に速度制限を超えてしまうが仕方なく、スロットルを全開まで回して加速をするも依然として差は縮まる一方だった。

 

しかも、ミラーから視線を戻すと信号が変わる寸前だったが、本能が”止まるな”と警告してくる。

 

その本能に従いあたしはハンドルを切って交差点を急カーブする。

後ろのロックがうるせぇけどそれを気にする余裕はない。

 

なんとかコケるのを防いだが勢いあまって反対車線へとUターンしてしまった。

それでもあたしはそんなことをお構いなしにバイクを走らせ続けていた。

 

そして後ろを確認するが、先ほどに比べると確実にあいつとの距離は開いたことで、1つの可能性が浮かんだ。

 

 

 

 

 

カーブで距離が開いたってことは・・・、もしかしてあいつは小回りが利かねぇんじゃ・・・。

 

 

そう思ったあたしは再び、交差点を急カーブするとあいつはカーブ前でかなり減速して曲がっていたのを見たあたしの疑問は確信に変わった。

 

それが分かれば後はコーナーで差をつけて逃げ切るだけと考えていたあたしの目にショッピングモールの看板が映る。

入り組んだ立体駐車場なら・・・!!

 

逃げ切れる可能性が見えたあたしは全力でバイクをショッピングモールへと走らせ、立体駐車場の入口へと突っ込み上を目指す。

 

そして途中の駐車場の中へと入りそのまま中を走るがそこで悲劇は起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破裂音に似た音がエンジンから響くとそれと同時にバイクのエンジンが止まる。

 

「えっ!?」

 

「マジかよっ!!」

 

アタシはバイクのエンジンを再びかけようとするが、エンジンがかかる様子はない。

原因が分かんねぇけど、今はとにかくあいつから逃げきんねぇと・・・!!

 

「降りろ!!走って逃げるぞ!!」

 

あたしはバイクをその場に置いてロックの腕を引いて走る。

目指すは駐車場の出口ではなく、駐車場にある階段。

 

「ますきさん!?モールに入ったほうがいいんじゃ!?」

 

「馬鹿野郎!!他に人がいんだろ!!」

 

ロックの言葉は決して間違ってはいない。

あたし達”だけ”が逃げ切るだけなら、モールの中に入って人混みに紛れれば逃げ切れる可能性は高い。

 

でも、それだと関係のねぇ人たちが巻き込まれちまうからそれは出来ねぇ。

それにケースに入れずにギターを背負ってるロックが人混みに紛れられるとは思えねぇしな・・・。

 

一度、車の影に身を隠すと追って来ていたあいつはそのまま上へと駆け上がっていったのが見えた。

 

それを確認したあたしはロックと共に階段で1階まで駆け降りる。

 

「モカ先輩!!つぐみ先輩!!」

 

「お~い」

 

「2人ともこっち!!」

 

声の方に視線を向けると、そこにいたのはAfterglowの2人。

その2人を見てロックは声を挙げる。

 

しかし、その声が不味かった。

 

 

 

「2人とも!!後ろ!!」

 

その声にあたしとロックは振り返る。

 

「嘘だろ!?」

 

「なぁ・・・!?」

 

あたしの目に映ったのは駐車場の屋上から飛び降りてくるあいつの姿だった。

 

 

 

―――――――――

 

 

弦太朗とレイヤを乗せたバイクは夜の街を疾走する。

バイクの上でレイヤは弦太朗へとしがみ付きながら声を挙げる。

 

「弦太朗。ますきがどこにいるか分かってるの?」

 

「分かんねぇ!!でもおたえの見たのだとショッピングモールじゃねーか!?」

 

弦太朗はたえの電話での情報を頼りにショッピングモールへ向けてバイクを走らせていた。

そこに再び誰かからの着信が入る。

 

「レイ、出てくれ!!」

 

レイヤは弦太朗のポケットから携帯を取り出すとそのまま通話に出る。

 

『もしもし!!如月くん!?』

 

「もしもし?」

 

『その声レイヤさん!?何で?』

 

「今、弦太朗はバイク運転してるから」

 

その電話の主はつぐみ。

つぐみは弦太朗の携帯にレイヤが出たことに驚くを隠せない。

しかし、驚きよりも弦太朗に伝えるべきことを優先する。

 

『・・・ってそうだ!!さっきますきちゃんとロックちゃんが!!』

 

「つぐみちゃん!!それでますきは!?」

 

『私とモカちゃんの目の前でショッピングモールの立体駐車場に入っていったよ!!隠れてやり過ごすんだと思う!!』

 

「ショッピングモールだね!!」

 

『うん。何か分かったらまた連絡するね!!』

 

「ありがと!!弦太朗!!ショッピングモール!!」

 

「おう!!もうすぐだ!!」

 

 

 

 

 

弦太朗はレイヤの言葉を聞くとバイクをショッピングモールの立体駐車場を目指す。

 

「でも、何でロックとますきが追われてるんだ?」

 

「ますきは仕事でもドラム叩くから、仕事奪われた人に恨まれたとかかな?」

 

「でも、ロックは?あいつ仕事でギターなんてしてねぇし、バイトで恨まれるようなのもないだろ?」

 

「バイトは知らないけど多分チュチュのスカウトじゃないかな?オーディションしてて色んな人落としてた中でスカウトされたから逆恨みされたんだと思う」

 

「どっちにしても迷惑な野郎だな!!」

 

今回の原因について思い当たる節を声を張り上げながら話す弦太朗達はショッピングモールへと辿り着く。

そして、その駐車場入り口で彼らは目的の人物たちを発見した。

 

しかし、目的のロック達2人以外にもそれを追って屋上から飛び降りる何かとつぐみ達の姿があった。

 

弦太朗は屋上から飛び降りるそれを見てそのままバイクを加速させる。

 

「弦太朗!?何してるの?」

 

「何って?こいつをぶつけるんだよ!!」

 

「ちょっと待っ・・・!!」

 

レイヤの言葉も空しく弦太朗は屋上から飛び降りて着地したそれをバイクで轢いて吹き飛ばす。

 

そしてそのままロック達とそれの間に割り込む様にしてバイクを止める。

 

「レイヤさん!!如月先輩!!」

 

「待たせたな!!」

 

その言葉と共に弦太朗達はバイクを降りる。

 

「ちょっと弦太朗・・・!!」

 

「待てレイ!!屋上から飛び降りて、バイクに吹っ飛ばされてもぴんぴんしてるあれが人間なわけねぇだろ?」

 

「えっ!?」

 

ますきの言葉を聞いたレイヤはバイクで吹っ飛ばしたそれが飛んでいった方向を見ると、そこには何事もなかったかのように立ち上がる影があった。

 

2本の脚で立っているが、その姿は明らかに人間のそれとは違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんやあれ!?」

 

「なんか馬みてぇな見た目だな・・・」

 

「如月くん!!あれって!!」

 

「ゾディアーツ・・・!」

 

ますきの言う通りその姿はウマのような見た目をしているが、ユニコーンのような剣も持っていなければ

ペガサスのような羽根も持っていないゾディアーツがその場に立っていた。

 

そして一番特徴的なのはそのサイズ。

通常ゾディアーツの身長は2mを超えているが、目の前にいるゾディアーツの身長はレイヤと同じくらいの身長で弦太朗よりも小さい。

 

 

「ちょっと弦太朗。あれ何か知ってるの?」

 

「あぁ・・・。後でつぐ達から聞いてくれ。とりあえずなんとかしてくる」

 

「おい、なんとかってあんなバケモンどうすんだよ?」

 

「まぁまぁ~、それで馬の星座で有名なのはペガサス、ユニコーンってところだけど、どっち~?」

 

「いや、どっちでもねぇ・・・」

 

モカが今回のゾディアーツの星座を考えるが、そのゾディアーツは弦太朗が今まで見たことのない姿のためモカの言葉を否定しながらドライバーを取り出す。

 

「星座・・・?なんのことやろか・・・?」

 

「モカ!!つぐ!!3人を頼む!!」

 

「りょ~かい~」

 

「ちょっと・・・」

 

「とりあえず危ないから離れましょう!!」

 

「なんかよく分かんねぇけど離れるか・・・。話は後で聞けばいいだろ」

 

「うん・・・」

 

つぐみたちは3人と共に弦太朗から離れる。

そして弦太朗はドライバーを装着して目の前のゾディアーツと対峙した。

 

 




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現実世界の街中での暴走行為については
道交法の第六十八条がありますが、これは運転者が2名以上・2台以上という文言があります。(今回運転手は単独です。)
ですが!!
第七十条の安全運転義務や第七十六条の道路使用の禁止行為などの項目や各自治体の条例によって捕まりますので、
絶対にマネしないでください。


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最・狂・開・幕-8 音速

投稿。

ちょろっと戦闘。

レイヤさんはガラスの〇面みたいな顔して驚いてる表情が似合いそう(白目

コレハギャグジゲンノサヨサンガレイヤサンニテヲフッテルナ・・・




 

ドライバーを操作する手を止めず、その目でゾディアーツを見据える弦太朗。

 

その行動の意味が分かっていないレイヤ達を他所に弦太朗のドライバーからカウントダウンが響く。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

 

弦太朗を中心に空気が震え、レイヤ達の髪を大きく揺らす。

その中心で弦太朗は変身した。

 

「宇宙・・・・・・・来たー-------!!」

 

「き~た~」

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「いけいけ~」

 

「もうモカちゃんってば・・・」

 

フォーゼはその言葉と共に目の前のゾディアーツへと駆け出して戦闘を始め、つぐみはフォーゼと一緒に声を挙げたモカに呆れつつも目の前の戦闘を見つめる。

 

 

 

 

目の前の事を受け入れられているつぐみ達の様子に困惑を隠せないレイヤ達は彼女達だけで話を始める。

 

「なにこれ・・・」

 

「これって夢じゃないですよね・・・?」

 

「夢じゃねぇ。抓った頬が痛ぇ・・・」

 

目の前で弦太朗は変身し、人外の怪物と殴り合いを始めている光景が信じられないますきは自身の頬を抓り、その痛みが目の前の出来事が現実であることを訴える。

 

弦太朗が先ほど言っていた言葉を思い出したレイヤは事情を知っているであろうつぐみたちに目の前の戦闘を指差しながらについて問いただす。

 

「なぁ?」

 

「マッスーどしたの~」

 

「あれっていったい何なんだ・・・?それに星座がどうこうって言ってたよな?」

 

「如月くんの話だと、あの怪物は”ゾディアーツ”っていう怪物でここ最近起きてる騒ぎの原因だよ。それで星座って言ったのはあの怪物にはそれぞれ星座がモチーフだから、それが分かれば特徴が分かるんだって!!」

 

「それで馬みたいな星座でペガサスとユニコーンって言ってたんですか」

 

「そうそう~。それで後なんか馬っぽい星座ってある~?」

 

「分かんねぇ・・・。それで弦太朗の方はなんなんだ?」

 

「それでげんたろーさんのが仮面ライダーって言う。都市伝説のヒーローだよ~」

 

レイヤは目の前の出来事に未だ困惑する一方で、モカの言葉に反応を示したのはますきとロック。

2人は覚えている内容を口にする。

 

 

「確か都市伝説にそう言うのがあるって、あこちゃんが前に話してたような・・・」

 

「でもあれってあたし達が生まれる前からある話だぞ?最近だと風都にいるってサポートで行ったときに聞いたぜ」

 

「如月くんが言うには、風都にもいる。って」

 

「えっ?・・・えっ!?どういうこと?」

 

「まぁまぁ~。普段じゃ見られないくらいレイヤが混乱してるからあっちの説明はその辺で~」

 

モカは普段のレイヤからは全く想像もつかない程取り乱す姿を見て説明を打ち切る。

ますきとロックは横目でレイヤを見るが、予想以上に慌てているため彼女たちはそれをみて冷静さを取り戻していた。

 

「なるほどな・・・。後はあいつに詳しく聞くとするか・・・」

 

その言葉と共にますきは目の前の戦闘へと視線を向ける。

そこには初めて見るゾディアーツを相手に素手のみで圧倒するフォーゼの姿があった。

 

目の前のフォーゼは戦い慣れていない動きを見せるゾディアーツの攻撃を避けてはカウンターを叩きこむ。

まれにガードするが、その攻撃もガードする必要がないほどに力がない。

普通に戦っても攻撃が通らないことを認識したゾディアーツはフォーゼの周囲を走り出す。

 

 

 

その速度は先ほどますきたちを乗せたバイクを追いかけていた時以上―――

 

「全く見えん・・・」

 

「速えぇ!!さっき追いかけてた時は本気じゃなかったのかよ!!」

 

「モカちゃん?何やってるの・・・?」

 

「げんたろーさ~ん」

 

高速で動き回るゾディアーツを見てモカはフォーゼへとエアギターを披露する。

その突然の行動が理解できないつぐみを他所にフォーゼはモカのその姿を見て彼女の伝えたいことを理解して右足用のスイッチを交換して起動する。

 

 

 

 

 

 

 

――――ビートON――――――

 

ドライバーからの声が響くと同時に右足にスピーカーを精製される。

 

「足にスピーカーつけてるぞ?何すんだ?」

 

「皆~。耳塞いで~」

 

困惑しているレイヤを除いてモカの声を聴いた一同は訳は分からないが指示に従い耳を塞ぐ。

それと同時に大音量の衝撃がフォーゼの脚から響く。

 

 

「なんだこれ!?」

 

「頭割れそうや・・・!!」

 

「・・・!!」

 

「モカちゃん?」

 

「提案したけどかなり後悔してるよ~」

 

その音は耳を塞いでいる彼女達へもダメージを与える。

しかし、対策も無しにその音を聞いたゾディアーツの足が止まる。

 

「逃がさねぇぞ!!」

 

 

 

――マジックハンドON――――――――

 

足を止めたゾディアーツにフォーゼはマジックハンドを起動して、ゾディアーツを掴み上げて振り回すと、

ゾディアーツを地面へと繰り返し叩きつける。

 

 

 

「ひぃー!!」

 

「あいつ戦いだとえげつねぇことすんだな・・・」

 

その姿にますき達も微妙な顔をするが、フォーゼはその事を気にする様子も見せずに、ゾディアーツを数度地面へと叩きつけるとそのまま地面に倒れたまま動かなくなる。

 

「如月くん!!人が来ちゃう!!」

 

「おう!!決めるぜ!!」

 

つぐみの声にフォーゼはドライバーに装填していたスイッチの大半を交換して起動する。

 

 

――ファイヤーON――――――――

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

 

スイッチの起動と共にフォーゼの身体がファイヤーステイツへと変化し、右手には銃それと同時に両足にはそれぞれ武装が展開される。

フォーゼはその全ての砲門をゾディアーツへと向けるとドライバーのレバーを操作する。

 

 

 

―ファイヤー・ランチャー・ガトリング・リミットブレイク―

 

 

「食らえ!!ライダー爆熱シューー-------ト!!」

 

その言葉と共に全ての砲門から一斉射撃。

ミサイルや銃弾が嵐の如く、ゾディアーツへと降り注ぐ。

 

しかし、ゾディアーツは立ち上がると同時に駆け出す。

ガトリングを掻い潜り、遅れてやってきたミサイルが着弾する寸前に加速し、瞬間的な速度はフォーゼのリミットブレイクによって放たれたミサイルを上回り、フォーゼのリミットブレイクを全て回避する。

 

そして爆炎に紛れてゾディアーツはフォーゼに追いかける暇も与えずに戦闘から離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

フォーゼは離脱したゾディアーツを追うことなく、そのままつぐみ達の前へと駆け寄っていく。

 

 

「わりぃ・・・。逃がしちまった・・・」

 

「仕方ないよ・・・。まさか走ってミサイルを振り切るなんて・・・」

 

「でも、あんなに早いなら何であたしのバイクには追いつけなかったんだ?」

 

「単純に使いこなせてなかったんじゃないかな~?あんな速度普通出せないからねぇ~。それかあの速度は少ししか出せないとか~」

 

「でも、ミサイル振り切る早さなんて次はどうするんだ?」

 

「足を封じるしかないね・・・」

 

「走れないような場所で倒すとかだね~」

 

「それまでに考えるしかねぇな・・・」

 

「・・・!!後ろ!!」

 

突如としてロックがフォーゼ達の後ろを指差して叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには爆炎が周辺の植え込みに燃え広がっている光景だった。

 

「おい!!ヤバいぞ!!」

 

「なんでもいいから消さんと!!」

 

「如月くん!!水だよ!!」

 

「水だけで消えるかな~・・・」

 

燃え挙がる光景を目の前にフォーゼは持っているヒーハックガンを変形させて前後に分割した後にファイヤースイッチを装填する。

 

スイッチの装填と共に消防車のようなサイレンが周囲に響き、フォーゼはそれをそのまま燃え盛る火に向けて構える。

 

―リミットブレイク―

 

サイレンが響いた後に銃から発せられたのは先ほど火炎弾を出した時と同じ言葉―――

 

 

 

 

 

 

 

「おい!!更に燃やしてどうすんだよ!!」

 

「如月くん!!証拠隠滅するの!?」

 

「みんな~、流石にそれはないと思うよ~」

 

ますきたちの言葉を他所にフォーゼがトリガーを引くとそこからは放たれたのは火炎弾ではなく、火を消すための消火液。

 

その消火液は炎に当たると同時に燃え上っていた火をいともたやすく消していき、その火はすぐに消し止められた。

 

「最初にそれを構えた時は焦ったぜ・・・」

 

「うんびっくりしたよ・・・」

 

「消防士さんや・・・」

 

「六花の感想だととんでもないマッチポンプだよ~」

 

各々が思ったことを口にする中、フォーゼは変身を解除する。

 

 

 

「とりあえず、ここにいてもどうしようもねぇし。帰るか・・・」

 

「さんせ~。お腹空いた~」

 

「軽いな・・・。ってやっべぇ!!」

 

「ますきちゃん?どうしたの?」

 

「バイク!!エンジン掛かんねぇからって駐車場に置きっぱなしだ!!バイク屋呼んで運んでもらうしかねぇけど、バイク屋はもう閉まってるし・・・」

 

目の前の事に気を取られ過ぎて自身のバイクの事がすっかり頭から抜け落ちていたますき。

だが、そんな彼女はとある提案をされる。

 

 

 

「うちのじぃちゃんで良いなら連絡するぞ?バイク屋だしな。この時間ならまだ起きてるしな」

 

「マジか!!頼んでいいか?」

 

「おう!!ちょっと聞いてみるから待ってくれ」

 

弦太朗は皆から少しだけ離れて自身の祖父へと電話を掛ける。

そして彼女たちはとあることを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばレイヤさんは・・・?さっきから何も話してないですけど・・・」

 

「最後に話してたのって?」

 

「説明してるときに慌ててた時だったような・・・」

 

「おいレイ。・・・ってこいつ立ったまま気を失ってる・・・」

 

 

そこにあったのは慌てふためいた表情のまま固まって動かなくなってるレイヤ。

モカが顔の前で手を振ったり、ますきが身体を揺らしても反応はない。

 

 

 

「う~ん。体勢から察するにあの音の時でしょうか・・・」

 

「レイヤちゃん・・・。間に合わなかったんだね・・・」

 

「なんか情けねぇ表情してるな・・・。とりあえず写真撮って後で見せてやるか」

 

「レイヤ・・・哀れ・・・」

 

「ますきさん・・・。流石にそれは・・・」

 

そのやり取りの中弦太朗が電話を終えて会話の中に戻ってくる。

 

 

 

 

 

 

「ますき。とりあえずじぃちゃんがバイク回収して診てくれるってよ。今から取りに来るからそのまま置いといてくれってさ」

 

「マジか!!助かったぜ!!そしたら鍵は弦太朗に渡しとくわ」

 

「おう。・・・でレイはどうしたんだ?」

 

「如月くんのあのスピーカーに驚いて・・・」

 

「とりあえず、レイはあたしの家に運んでおくわ。その代わり、ロックの事頼むわ」

 

「私もますきちゃんと方向同じだから手伝うよ」

 

「あたしも手伝いますか~」

 

「じゃあ、弦太朗。またな」

 

「バイバイ!!」

 

その言葉と共にますき達はレイヤを連れてモールを去る。

 

 

 

「じゃあ、前みたいに送ってくから。バイク乗れるか?」

 

「はい・・・。でも、出来たら歩きたいです。さっき乗ってて追われてたので・・・」

 

「おう、じゃあ行くか」

 

弦太朗はバイクを押してロックを下宿先の銭湯まで送る。

しかし、とある人達の好意と行動によって弦太朗がこの後事件に巻き込まれるのであった。

 




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事件(ラッキースケベ?

オリ設定のゾディアーツについての公開情報(通常時)
・遠目から見たら馬のような顔
・攻撃力が異常に低い。(普通のパンチではフォーゼにダメージが入らない程度)
・走る距離が短いほど速度が上がる(フォーゼのミサイルを数瞬だけ上回る程度の速度)

これ冷静に見なくてもステが速度全振りしとる・・・。


カウント・the・スイッチ
29/40 (実質残り10個まで使ってた・・・。ロケットステイツ君はそろそろアップ開始して・・・


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最・狂・開・幕-9 バスタブ・インシデント

投稿。

なんやこれ・・・。
RAS篇のラストまでどう繋いでいこう・・・。

小ネタでRoselia篇であった例の持ち帰り事件を少し書いていたらりんりんが大変なことになってしまった・・・。




バイクを押しながらロックを下宿先である銭湯"旭湯"へと歩く弦太朗とロック。

 

「ロック?大丈夫か?」

 

「・・・」

 

だが、ここまで彼らの間には会話はない。

正確には弦太朗がロックへと声をかけるもロックは反応を示さない。

 

 

自身が体験した怪物が人を襲うような戦いの世界。

 

先ほどはモカやますき達、それに自分以上に取り乱していたレイヤがいたから恐怖を感じることはなかったが、彼女が体験したのは怪物の出る戦いの世界。

 

 

 

 

 

 

 

 

今振り返ればそれは彼女にとって恐怖でしかなった。

 

今回は怪物が現れた際、ますきのバイクに乗っていたから逃げられた。

バイクが壊れて走って逃げだそうとしたときは弦太朗がやってきて追い払った。

 

今回助かったのはこの2つの幸運が重なって無事でいられただけ・・・。

もしもその一方が無かったら自分は間違いなく無傷で立っていられなかっただろう。

その考えがロックの顔を青くさせて、恐怖によって身体が震えだす。

 

「ん?ロック寒いのか?」

 

しかし、先ほどまで闘ってた目の前に人物が何事もなかったかのようにしているのが不思議で仕方がない。

 

そんなことを考えていたら2人は旭湯まで到着する。そこで出迎えたのは六花の叔母。

 

「六花ちゃんおかえり。そっちは友達?」

 

「叔母さん。ただいま。こちらは先輩です」

 

「どうもっす」

 

「こんな寒い中、六花ちゃん送ってくれてありがとうね。もう閉める時間だけど良かったら入って行って」

 

「どうもっす。それじゃ・・・」

 

「六花ちゃんも入っちゃいなさい。表は閉めちゃうから裏から帰ってもらって」

 

「あっ・・・はい」

 

六花の叔母に勧められるまま、2人は銭湯の中へと入っていく。

 

「あら?そういえば片方の湯、抜いちゃったんだっけ・・・?まぁ、あの子いい子そうだし大丈夫か・・・」

 

そう言い残し叔母は店から去って家へと引き返してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

私は叔母さんに勧められるまま、お風呂に入るため脱衣所から女湯へと入る。

着替え中に外の入口のシャッターが閉まる音が更衣室まで響いてきたので表の入り口を閉めてしまったようだ。

 

 

 

私は身体を洗い終わって湯舟に浸かろうとしたが、その湯舟にはもうお湯がない。

 

「えぇ!?」

 

そんな状態なのに叔母さんは・・・?

わざとそんなことをする人じゃないし、もしかして忘れてたのかな・・・?

 

「ロック?どうしたんだ?」

 

「いえ、湯舟にお湯がもう無くて・・・。・・・・・クシュ!!」

 

お湯のない湯舟を見たロックは浴場にくしゃみを響かせる。

その声を聴いた弦太朗は仕切りの向こうから声を挙げる。

 

 

「それなら、俺はもう出るから。後はロックがこっちで風呂入ればいいんじゃねぇか?」

 

「えぇ!?お風呂入らなくていいんですか?」

 

「ん?別にいいぞ?」

 

流石にお風呂に誘っておいて湯舟に浸からせないで帰らせるのも失礼だし、それにもう誰も入ってこないからいいよね?

 

「あのっ!!」

 

「ロック?どうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったらご一緒してもいいですか・・・?」

 

――――――

 

 

 

 

「失礼します・・・」

 

「おっ・・・おう・・・」

 

湯舟に浸かる弦太朗の元に脱衣所からロックがタオルを巻いて入ってくる。

そしてロックはそのまま弦太朗が入っている湯舟へと入る。

 

本来ならばマナー違反だが、2人だけしかいないためその事を咎める人はいない。

2人は互いの姿を視線に入れない様にしながら同じ湯舟に浸かる。

 

ロックは恥ずかしさを紛らわせるために弦太朗に話を振る。

 

 

 

 

「あの如月先輩?いつからあんなことをし始めたんですか?」

 

「ん?あぁ、闘い始めたのは1年くらい前・・・。ちょうど天校に転入した日から始まって、闘いながら色んなやつらとダチになっていったんだ」

 

「危ないのに・・・1年も・・・?」

 

「確かに危ねぇこともたくさんあったな。相手の毒にやられたり、石にされたり、戦いに負けてボロボロに

なったりな。それに1回心臓止まって死んだらしいからな」

 

「毒!?石!?心臓が止まる・・・!?」

 

突然の言葉にロックは言葉を失う。

普通なら信じられないことを言っている弦太朗だが、ロックは先ほど出来事を見ていたためその言葉を信じてしまう。

 

「それでも俺はダチを守るために闘って・・・、前に友希那達にも言ったけどな・・・」

 

「友達のためって・・・凄いですね・・・」

 

 

 

そこで弦太朗は自身の話を辞めて、ロックの事について話し始める。

 

「そんなことねぇよ。俺からしたら音楽やるために下宿してるロックの方がすげぇよ」

 

「そんな・・・!!ギターならたえ先輩とかのほうが・・・。それにRASのギター不採用になっちゃいましたし・・・」

 

「なぁロック。なんでライブハウスとチュチュのとこであんな演奏が違ったんだ?」

 

「こっちに来る前、地元でもバンド組んでたんです・・・。そこでは皆でワイワイやるのが楽しくって

、RASさんは全然違くて・・・。さっきのRASの皆さんと演奏するときも昔みたいに合わせることばっかり考えてて・・・。でもいいんです!!ポピパさんをこねるなんて出来ませんし・・・!!」

 

「こねる・・・?何言ってるかよく分かんねぇけど、でも本当に良いのか?」

 

「えっ・・・!?どういうですか・・・?」

 

弦太朗が言った「良いのか?」という言葉の意味が分からないロックはその意味を聞き返す。

 

「バンドやりたいってのは香澄達から聞いてるんだ。それでチュチュに誘われたのに本当の自分を見せねぇでいいのか?」

 

「それは・・・」

 

「悩んでるならやってみたらいいんじゃねぇか?それにライダーの先輩も「手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する」って言っててな。ロックにとって今がそれなんじゃねぇか?」

 

「手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する・・・」

 

「それに、どこで何をしていようがロックはロックだ」

 

弦太朗が言った言葉がロックの心を揺らす。

バンドがやりたくて地元から出てきて今までバンドに入れなかった。

そんな自分の目の前に転がってきたチャンスを周りの演奏を気にしてチャンスを逃してしまったことについて考え始めてしまうがこの場では答えが出ない。

 

「・・・・ありがとうございます。ちょっと自分で考えてみようと思います。それじゃあ私は先に出ますね」

 

「おう。ちょっとしたら俺も出るわ」

 

「はい。それでは」

 

そう言うとロックは湯舟から出ようと立ち上がるが・・・。

 

 

 

「キャ!?」

 

「うおぉ!?」

 

ロックはそのまま足滑らして弦太朗を巻き込んで倒れ、盛大に水しぶきを挙げる。

 

「すいません。大丈夫ですか」

 

 

 

 

「ロック、大丈夫か?」

 

「如月先ぱ・・・っ!?」

 

弦太朗の声に答えるロック。

しかし自身の姿を確認すると彼女は言葉を詰まらせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック巻かれていたタオルは完全に外れてしまっていた。

しかし、弦太朗からは湯煙で全く見えていないのだがその事をロックが知る由はない。

 

「ひぃ~!?」

 

ロックはそのまま湯舟を飛び出して脱衣所へと駆け込んでいく。

湯煙で良く見えてはいなかったがその行動が理解できていない弦太朗は湯舟に浮かぶ何かを発見する。

 

「ロックの奴どうしたんだ?・・・ってタオル・・・?」

 

弦太朗はタオルと手に取ると、タオルの出所を考え込みそして察してしまった。

 

「どんな顔して出ればいいんだよ・・・」

 

 

弦太朗はこの後のことを考えて頭を抱える。

そして少し時間を空けて湯から上がった弦太朗はロックを見た途端にその場で見事な土下座を決めて、ロックと謝罪し合うという珍事を行った後、旭湯を後にする。

 

そして、レイヤが言っていたロック達を襲撃したゾディアーツの目的を考えつつバイクに乗って家路につくのであった。

 

 

 

 




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最・狂・開・幕-10 仰天!勘違いの先に・・・

投稿。
サブタイトルが決まらないから遅れるジレンマ・・・

RAS篇終わったらRoselia篇(という名の紗夜篇)や!!(盛大なネタバレ)

そしてアンケの接戦率よ(一番下から目をそらしつつ
とりあえず、次回更新まではアンケ残します()




 

事件があった翌日、自室の布団でロックは目を覚ます。

 

寝起きの頭で思い出すのは昨日の出来事。

もしかしたら、昨日の出来事は夢だったんじゃないのか・・・。

そう感じてしまうほどのいつも通りの朝。

 

その思考を停止させるかのように部屋の冷え切った空気が身体を震わせる。

そして、そのまま日課である銭湯の掃除へと向かうと、既に掃除を始めていた叔母の姿があった。

 

「おはようございます」

 

「六花ちゃん。おはよう。昨日、大丈夫だったかしら?」

 

「昨日・・・?大丈夫でしたけど・・・」

 

「そう?昨日湯舟のお湯抜いたと思ってたんだけど。両方とも六花ちゃんがやってくれたのね」

 

その言葉と共に叔母は掃除へと戻っていく。

 

「湯舟・・・?昨日・・・?・・・っ!!」

 

叔母の言葉に昨日の出来事を思い出し、六花はその場で赤面する。

 

赤面するロックの事を不思議そうに見る叔母に対して、何もなかったと念押しするように話すと、自分が行った恥ずかしい出来事を振り払うべく彼女は銭湯の掃除終わらせて、制服に着替えると学校へと向かう。

 

そしてその様子を見て全てを察した叔母の表情は非常ににこやかに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロックが教室に入ると先に教室で話していた明日香とあこの視線がロックへと向く。

 

「ロック~おはよー!!」

 

「2人ともおはよう」

 

「そうだ。ロック、昨日は追いかけられてたけど大丈夫だった?」

 

「昨日・・・っ!?明日香ちゃん!?なんで!?」

 

「ロック?すっごい顔色悪いけど・・・」

 

明日香の言葉に思いだすのは昨日体験した怪物との遭遇という非日常。

そこでロックは弦太朗から聞いた言葉を思い出す。

 

 

ゾディアーツの正体は人間―――

 

 

そして、ロックは目の前にいる明日香から昨日の追われていた事を言及された。しかし、ロックは怪物に追われたことは誰にも話していない。

 

何も知らないはずである明日香の口から追われたことを言及され、驚きの表情と共に恐怖で呼吸が酷く乱れたロックをあこが心配そうに見つめる中、明日香の口が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日の放課後、チュチュ?って子に追われてたでしょ?学校出た後は大丈夫だったの?」

 

「ふぇ・・・?あっ・・・大丈夫だったよ」

 

しかしロックの予想とは違い、明日香が口にしたのはチュチュとパレオとの1件。

チュチュ達に追われたのも昨日であったが、ゾディアーツの1件もあったため彼女の頭から抜け落ちてしまってたのだ。

 

自身の勘違いだったことを理解すると安堵するロックを不思議そうに見つめる2人を他所に、校舎にチャイムの音が響きいつも通りの授業が始まるが、ロックの頭には昨日の弦太朗の言葉が頭から離れることはなく、そして時間が過ぎて昼休み。

 

ロックは明日香とあこの3人で集まって昼食をとる。

 

 

 

何気ない会話の中彼女たちの耳に入ってきたのは「街で怪物を見た」と言う噂話。

3人の話題はその噂話へと変わっていく。

 

「怪物なんているわけないのに・・・って2人ともどうしたの?」

 

「ううん!!なんでもないよ!!」

 

「あこも!!」

 

「そう?あこなんて特に興味持ちそうなのに?」

 

「あこは闇の住人・・・。そんな・・・下等な・・・下等な・・・う~ん」

 

「うん。よく分かんないや」

 

「あはは・・・」

 

あこのいつものあれが出てくると即座に話を打ち切ると、明日香は怪物とは別の噂を思い出して2人へと話しかける。

 

「そうだ。噂で思い出したんだけど。今花咲川に男子が通ってるって知ってる?」

 

「うん!!げんたろーのことだね」

 

「私も知ってます。でも明日香さんはどこでそれを?」

 

「おねーちゃんが言ってたのを思い出して。それで聞いたらさすっごい不良みたいだし!!」

 

「えぇー。かっこいいじゃん!!」

 

「怖いけど見た目と違っていい人だよ?」

 

 

しかし、あことロックがその言葉を出してしまったのが運の尽き。

 

女子しかいない学校で噂になってる男子の事を知ってると言ってしまった彼女たちはクラスメイトを始め、同じ学年の生徒達から質問攻めにあい、気がつけば昼食も途中で昼休みが終わってしまった。

 

そして授業が終わると同時にロックとあこはそのまま教室を駆け出して、クラスメイト達からとの追いかけっこに興じることとなった。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

「Stop!!ちょっとレイヤもマスキングもやる気あるの?」

 

私たちはチュチュのスタジオで練習をしているけど、ますきと私の演奏は酷いものだった。

原因は昨日見たあれのせいだ。

 

最近噂になっていた怪物が目の前にいて、驚いてたら弦太朗も急に変身?した時はもう訳が分からなかった。

更に分からなくなってた時に大音量の爆音と共に意識を飛ばしてしまって、気が付いたらますき達に支えられて商店街にいた。

 

そこからつぐみちゃん達に話を聞いて何となくは分かったけど、それでも信じられなかった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・いや、正確に言うなら信じたくなかった。

 

多分だけどますきも同じようなことを考えているんだと思う。

それに加えてますきは追われてた上にバイクも壊れたからショックだったんだと思う。

 

色々考えると暗い気持ちになり、そのせいで演奏にイマイチ集中出来ていないことをチュチュに見抜かれてしまった。

 

 

 

「今日の練習は中止よ。こんなんじゃ練習しても意味ないわ!!パレオ、ジャーキー!!」

 

「はい!!」

 

チュチュの声にパレオはスタジオを飛び出して行く。チュチュもデスクから離れて行く。

 

「レイ。大丈夫か?」

 

「うん。ますきこそ・・・」

 

「まぁな・・・。バイクは直してもらう事になったから大丈夫だ」

 

互いが互いのことを分かっているため、必要以上の言葉をかわさない。

私と比べるとますきは幾分かマシに見える。

 

そのまま2人でスタジオを出ると、パレオが携帯を見ながら話しかけてくる。

 

 

 

「そう言えば皆さん。最近話題になっている怪物の話って知ってますか?」

 

「・・・話だけなら知ってるけど」

 

「バイト先の客がそんなこと言ってたな・・・」

 

「はっ!!そんなのあり得ないわ!!」

 

 

 

 

 

パレオの話を聞いてそれとなく反応を示す私達とその話を聞いて鼻で笑うチュチュ。

私達も昨日までだったらチュチュみたいに反応してたと思うけど、昨日のアレを見てしまった私たちはそんな反応をすることは出来なかった。

 

「何?あんた達そんなのにビビってる訳?」

 

チュチュの言葉に私とますきがムッっとしたけど、見てなかったら仕方ないと自分に言い聞かせた。

 

そう思っていたら花ちゃんから連絡が入る、その内容は”焼き芋食べる?"の一言のみ。

 

花ちゃんらしい連絡を見た私はそのまま表情が緩む。

 

「花ちゃん!!今日はこれで」

 

私はそのまま荷物を持って花ちゃんの元へと急ぐ。

後ろでチュチュが何かを言っているが、それよりも花ちゃんのところに行く方が優先。

 

さっきまでの暗い気持ちが嘘のように花ちゃんの元へ向かう足取りは軽い。

 

 

 

 

そして待ち合わせの公園に着くと花ちゃんが待っていた。

 

「レイ!!」

 

「花ちゃん!!」

 

花ちゃんを見た途端、私の暗い気持ちがどこかへと吹き飛んでいく。

そこでバンドリについてや六花ちゃんがうちに来て一緒にギターを弾いたこととか色々話しててふと思った。

 

 

 

 

 

花ちゃんになら昨日のことを話してもいいかな・・・。

そして私は思い切って昨日の出来事を打ち明ける。

 

「ねぇ花ちゃん。花ちゃんは怪物の噂って知ってる?」

 

「うん。知ってるよ。でも、それがどうかしたの?」

 

花ちゃんは私を不思議そうに見つめてくる。

それもそうだと思う。

だって普段の私ならこんなことを話したりはしないけど、花ちゃんは真面目に聞いてくれてるのが分かるからそのまま話を続ける。

 

「実はね・・・。昨日その噂になってる怪物を見たんだ」

 

「あぁ、そうなんだ」

 

「うん。ますきが追われてるって聞いて、弦太朗のバイクに乗ってますき達を追いかけてた時にね・・・」

 

「それなら、アレも見たの?白いの」

 

あれ?そこまで話してないのになんで花ちゃんはそこまで知ってるの・・・?

もしかして・・・!!

 

「花ちゃんも見たの?」

 

「うん。ポピパと一緒に見たり、つぐみと一緒に見たよ」

 

正直に言って驚いた。

私だけじゃなくて花ちゃん達も弦太朗のあれを見たんだ。

 

「ねぇ、花ちゃん。怖くなかった?」

 

「うん。だって、みんながいたし。先輩がなんとかしたから」

 

ん?先輩?先輩って誰のこと?

 

花ちゃんから出た”先輩”という言葉が指す人物が誰の事か分からず私は花ちゃんに誰の事か聞こうとした。

 

「ねぇ花ちゃん・・・?」

 

 

 

 

 

しかし、その声は公園に響くバイクの音でかき消された。

そこに現れたのは昨日私が後ろに乗っていたバイク。

その持ち主は・・・。

 

「弦太朗・・・?」

 

「おたえ。それにレイもなんでいるんだ?」

 

「あっ、先輩お疲れ」

 

 

 

 

 

 

 

えっ?先輩って弦太朗の事?ちょっと待って弦太朗って年上だったの!?

そんな私を他所に花ちゃんと弦太朗は2人で話し始める。

 

「おたえ、急に迎え来てって何かあったのか?」

 

「レイと話してたら先輩のバイクの後ろ乗ってみたくなったから」

 

「なんだそれ・・・?っておたえとレイはダチなのか?」

 

「うん。幼馴染だよ。でも、私は先輩がレイと知り合いだったことの方が驚き・・・」

 

 

 

 

また!!また弦太朗の事を"先輩"って言った!!

 

「ねぇ・・・。弦太朗って年上だったの・・・?」

 

「ん?3年だけど。どうしたんだ?」

 

「年上だったんだ・・・」

 

突然明かされた驚愕の真実に唖然とする私を見て弦太朗は花ちゃんへと私の事を聞いてる。

 

「なぁ、おたえ。もしかしてレイって・・・」

 

「レイは高校2年生だよ?先輩知らなかったの?」

 

「マジか・・・」

 

弦太朗も私を同い年と勘違いしてたみたい。

でも、その後は色々あって今まで通りに落ち着いて、私は花ちゃんにとあるお願いをしてから花ちゃん達と別れた。

 

 




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最・狂・開・幕-11 背を押すP/踏み出す一歩

投稿。

RAS篇の進行大変・・・
アニメ時点でロック加入までの流れが纏まってるから。うぐぐぐぐ

多分次で終わる?



私は先輩のバイクの後ろにのってロックの銭湯まで送ってもらっていた。

 

「おたえここでいいのか?」

 

「うん。ありがとう先輩。ちょっとロックと話したいこともあるから。裸の付き合いって奴だよ」

 

「そうか・・・。じゃあな」

 

「またね」

 

ヘルメットを被ってるから良く見えないけど、顔が赤くしてそのままバイクで行っちゃったけどなんでだろ?

先輩も疲れてるのかな?今度オッちゃんを触らせてあげよう・・・。

 

 

 

私はそんなことを考えながらそのまま銭湯の中に入っていくと、椅子に座ってボーっとしながらシャワーを浴びてるロックの横に座った。

 

あれ?

これって赤いのがお湯でいいんだよね?

 

「ねぇ、お湯ってこっち?」

 

「赤いのがお湯で、青いのがお水です。一緒に押して調整したほうが・・・ってたえ先輩!?」

 

「こんばんは」

 

なんでロックはそんなに驚いてるんだろ?

まぁなんやかんやあったけどその後は2人で並んで湯舟に浸かってる。

 

広いお風呂っていいなぁ。

オッちゃん達と入っても広々としてるけど、ウサギはお風呂に入れるのは危ないから辞めとこ・・・。

 

なんか今のロックって・・・。

 

 

 

 

 

 

「今のロックってオッちゃんみたい」

 

「おっちゃん・・・?」

 

「うちのウサギ。オッドアイのオッちゃん。たまにどこか見つめて動かなくなるんだ」

 

でもロックの言い方だとオッちゃんがおじさんみたい・・・。

 

「RASでギター弾いたの?」

 

「えっ?」

 

「レイヤと先輩から聞いた」

 

「はい・・・。でも不合格になっちゃいました。でもいいんです!!私にはポピパさんをこねることなんて・・・!!」

 

「・・・??」

 

こねるって方言なのかな?

今度先輩とレイにも聞いてみよ・・・。

 

「・・・それに、その帰りにあんなことになっちゃうなんて・・・」

 

「あぁ・・・。それもレイと先輩から聞いたよ。ロックも大変だったね」

 

「たえ先輩も見たんですか!?」

 

「まぁ、先輩に教えたの私だし、それ以外にも何回か・・・」

 

お風呂が熱くて入ってたらボーっとしてきた。

なんか頭も体もふわふわする・・・。

 

 

「たえ先輩はあれ見た時・・・・・・怖くなかったんですか?」

 

「レイにも聞かれたけど、怖くなかったよ。香澄達や先輩が一緒にいたし」

 

「すごいですね・・・。私なんて怖くて仕方なかったです・・・。それに、演奏した後にチュチュさんに言われたことで悩んじゃって・・・」

 

 

なにをロックはそんなに色々悩んでるんだろう?

最近の若い子はよく分かんないや・・・。

 

「別に怖かったり悩んでもいいんじゃない?」

 

「えっ?」

 

「私も明日のライブで新曲やるの失敗しそうで怖いって思うし」

 

「怪物に会うのとライブの新曲披露が一緒・・・。って新曲!?」

 

「またRASと演奏できるといいね・・・」

 

そう言い切った私は完全にのぼせてしまい、風呂の中へと沈んでロックの声と共に意識を手放した。

 

 

 

そして気が付いたら朝になってて、

ロックの布団でロックを抱き枕にして寝てたからそのまま途中まで一緒に学校へ行きました。

 

 

―――――――――

 

その日の授業も終わり、バンドリ予選ライブが行われるライブハウスGalaxyへとやってきたポピパ達の後ろを大荷物を抱えた弦太朗が続く。

 

「ぬぉおおおお。重てぇ・・・!!」

 

「弦太朗くん。後ちょっとだから・・・」

 

「おぅ。でも、なんなんだこれ?」

 

「今日の新曲で私が使うドラムセットだよ」

 

「ドラムならライブハウスにあるんじゃねぇのか・・・?」

 

弦太朗はGalaxyにはライブで使用するためのドラムがあることをロックから聞いていたが、今回のライブのために沙綾は自身でドラムを持ち込むことに疑問を覚える。

しかしその疑問に対する答えはすぐに帰ってくる。

 

 

「ゲンちゃん先輩!!それは立って使うドラムなんだって!!」

 

「なんでわざわざそんなもんを?それに有咲もなんか背負ってるよな?」

 

「キーボードだよ。これも今回のライブ用に用意してきたんだよ」

 

「気合十分だな!!・・・うっし。とりあえず階段下まで運んだけどこれでいいか?」

 

「弦太朗ありがとう。後はこっちで準備するから・・・」

 

その言葉を共に香澄達は手分けして弦太朗が運んできていたドラムセットを中へと運んでいく。

彼女たちから今回のライブに対する気合を感じる弦太朗にたえは声をかける。

 

 

「・・・先輩、もう1個お願いがあるんだけどいいかな?」

 

「おたえどうしたんだ?」

 

たえからの突然の願いに弦太朗は疑問に思いながらもたえの言葉を待つ。

 

 

 

 

「今日やる新曲。今のロックみたいな人に向けた曲なんだ・・・。それで・・・」

 

「ロックをチュチュのところに行こうとしたら送ればいいんだな?」

 

「先輩?何でわかったの?」

 

「レイからも同じこと言われたからな。ロックの事頼むって」

 

「レイも・・・。そうだったんだ・・・」

 

自分が幼馴染と同じことを考えていたことを思うと少し嬉しくなり笑みがこぼれるたえ。

 

「ロックの事は任せとけ。おたえ達も頑張れよ」

 

「今日の演奏はロックのために全力だよ。先輩にはまた今度聞かせてあげるからね。じゃあ私も準備してくる」

 

 

 

 

たえは満足そうな顔をしてライブの準備へと向かっていく背中を見送ると、弦太朗はそのままGalaxyの外へ出る。

 

「お~い!!弦太朗!!」

 

「ん?」

 

どこからか弦太朗を呼ぶ声が聞こえ周囲を見渡すも、周囲に自分を呼んでいるような人物は見当たらない。

 

「上だよ!!上!!」

 

「っ!!ますきか!!」

 

「降りるからちょっと待ってろ」

 

ライブハウスの上を見上げるとそこにいたのはますき。

弦太朗に気が付いたますきはそのまま下へと降りてくる。

 

「ますき?お前こんなとこで何してんだ?」

 

「上がうちなんだよ。ってお前こそこんなところで何してんだ?」

 

「おたえ達のライブの準備を手伝っててな」

 

「そうだったのか。じゃあ何でライブ見ねぇで外に出てんだよ?ライブはこれからだろ?」

 

「おたえにロックの事頼まれてな。あいつがチュチュのところに行こうとしたら送ってほしいって言われてな。それにこの間の奴がまた出るかもしれねぇしな」

 

その言葉を聞いたますきは少しだけ考えて、弦太朗にとある提案をする。

 

「弦太朗、バイク貸してくれ。それでロックの事はあたしが送るから。お前はこの間の奴をなんとかしてくれ」

 

「ますき。お前いいのか?」

 

「おう!!それにやられっぱなしってのはあたしのガラじゃねぇんだ」

 

言葉の意味を理解して弦太朗の質問に即答するますき。

その顔をみた弦太朗はポケットからマグフォンを操作すると、どこからかエンジン音が響き弦太朗の横に止まる。

 

「ますき。ロックの事は任せたぜ!!俺はゾディアーツを見つけて止める」

 

「ロックは任せとけ!!でもそれ無人でも走んのかよ・・・」

 

「まぁこれだけじゃねぇぞ」

 

そして、ポピパのライブが始まってすぐにロックが自身のギターを背負って飛び出すとますきの乗るバイクに乗ってチュチュの元へと向かう。

 

そして、その後を追うように黒い影と走り出していた。

 

 

 

――――――

 

私は急いで家に帰ってから荷物を纏めてGalaxyへと急ぐ。

 

今日のライブはバンドリの予選だけどGalaxyの参加バンドはポピパさん!!

それにたえ先輩が言ってた新曲があるはず・・・!!

 

私はGalaxyの扉を開くと中にはポピパさん達の掛け声が聞こえてきた。

そして扉の近くには明日香ちゃんがいた。

 

「ロックお疲れ。お姉ちゃんがバンド同士で闘う?とか言ってたけど・・・?」

 

「明日香ちゃん!!ホントはライブごとにバンドの人気投票するんだけど・・・」

 

「そっか。じゃあ、今日ポピパしか出ないのにお姉ちゃんたちは誰と・・・?」

 

「己・・・かな?」

 

明日香ちゃんもたまに香澄先輩みたいなこと言うなぁ・・・。

そう思っていたら、ステージのライトがポピパさん達を照らし出す。

 

「Poppin'Partyです!!よろしくお願いします!!初めての予選すっごくワクワクしてます!!」

 

香澄先輩の声と共に歓声が挙がる。

あれ・・・?

 

「キーボードとドラムがいつもと違う・・・?」

 

「そうだね」

 

 

 

これって・・・まさか!?

 

「じゃあさっそく新曲!!行きます!!」

 

やっぱり!!たえ先輩が言ってた新曲や・・・!!

 

「この曲は大切な友達たちの事を思って作りました」

 

「不安になったり悩んだり、色んなことがあると思うけど。「やりたいことを思いっきりやろう」ってその一歩を踏み出す切っ掛けになるようにって想いを込めました」

 

「"StepxStep "!!」

 

香澄先輩の声と共に新曲からライブが始まる。

 

なんだろう・・・。

この曲・・・私の背中を押してくれるような・・・。

そんな不思議な気持ちになってくる・・・。

 

 

 

曲を聞いて思い出すのは如月先輩が前に言ってた言葉

 

 

 

 

―――手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する 。

 

そうだ。

私はバンドがやりたくてこっちに来て、RASってバンドにスカウトまでされたのに誘いに手を伸ばさなかった。

 

前は周りのことを考えてしかなかったけど今度は自分のために―――!!

不合格って言われたけど、諦めたくない!!

 

もうちょっと手を伸ばせば夢に手が届くかもしれない。

それは1センチにも満たない小さい1歩かもしれないけど、その1歩を踏み出すために、みんなが背中を押してくれる―――

 

 

そう思ったら私は自分のギターを持ってライブハウスから飛び出していた。

目的地はチュチュさんのマンション。

場所は覚えてる!!行き方も分かる!!後は本当の私をもう1回ぶつけるだけ!!

 

 

そして階段を駆け上がって外に出るとバイクに乗っているますきさん。

でも、そのバイクは如月先輩ので・・・。

 

「ロック。行くぞ!!」

 

「・・・はいっ!!」

 

私はヘルメットを受け取るとそのままバイクの後ろへと飛び乗る。

それを確認するとますきさんはそのままバイクを走らせる。

 

物凄い速さで走ってて、普段の私なら怖いと思うかもしれないけど。

あの曲が、あの言葉が私に勇気をくれる。

 

 

しかし、それを壊すかのように後ろからこの間の怪物がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

 

「ますきさん!!」

 

「ロック捕まってろ!!ぶっちぎるぞ!!」

 

ますきさんはそのまま速度を上げ続ける。

この前の時と違って怪物の速度は早くなってるけど、それ以上をバイクが出して引き離してる。

 

「ますきさん!!」

 

「大丈夫だ!!このまま行くぞ!!」

 

そしてますきさんがバイクを止めるとそこはチュチュさんのマンションの下。

この間よりもかなり早く着いてるし、あの怪物の姿は小さくなっていたが徐々にその姿は大きくなってきている。

 

「まだっ!!」

 

「大丈夫だ。あいつが来る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙・・・・・・・・・来たぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ますきさんの言葉と変身していた如月先輩が共に聞いたことのない音と共にこっちへと飛んでくる。

如月先輩は怪物諸共空へと飛びあがってから勢いをつけて地面へと落ちてくる。

怪物だけを地面へと叩きつけると如月先輩はそのまま着地して私達へと近寄ってくる。

 

「ロック!!後は任せろ!!」

 

「はいっ!!ますきさん!!」

 

「弦太朗!!これが終わったら後でラーメン行こうぜ!!」

 

そうして私は如月先輩だけを残してチュチュさんがいるスタジオへと駆け出した。

 




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最・狂・開・幕-12 Dream in My Hands

投稿。

おいおい戦闘そっちのけかよ・・・

まぁ、本章の主役はロック。
間違いはあると思います。




弦太朗の言葉を受けてチュチュのスタジオへと駆け込むロックとますき。

その光景をデスクに座っていたチュチュが不機嫌そうに見ていた。

 

「・・・ロッカアサヒ。何しに来たのかしら?」

 

「もう一度チャンスをください」

 

「あなたのギターはRASには必要ない。パレオ。お客様を連れて行きなさい」

 

「えっ・・・!?」

 

ロックの言葉を聞いたチュチュは隣に控えるパレオへと指示するが、それを前にしてもロックは引かない。

 

 

 

 

 

 

「帰らんっ!!」

 

「What?」

 

「私!!ずっとバンドやりたかった!!特別やと思える人たちと一緒に演奏がしたかった・・・!!その特別と思える人たちと演奏したい・・・。

その夢に手が届くならこの手で掴みたい・・・。あのまま引き下がって後悔はしたくない・・・。もう遅いかもしれんけど、RASさんと一緒に演奏したい!!思いっきり全力でぶつかりたい!!

 

RASさんとバンドがやりたいんや!!」

 

静まり返ってた室内にはロックの叫びのみが響く。

 

チュチュがそのロックへと視線を向けるが、そこには先日会った時とは違う覚悟を決めた真っすぐな視線がチュチュへと返される。

 

 

視線が交差して全員が動かない中、ロックを指差してますきがその沈黙を破る。

 

「・・・こいつの本気見てやれよ」

 

ますきの言葉にロックは真剣な表情を崩さずにただ真っすぐとチュチュを見つめる。

その言葉と視線をを受けてチュチュはロックから視線を外さずに考え込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だから頼む!!ロックが自分から来たらもう1回だけでいいからあいつのギターを聞いてやってくれ!!』

 

ますきの言葉と同じようなことを言っていた弦太朗の姿が彼女の頭に思い浮かぶ。

そのままチュチュは彼女から視線を外し、弦太朗がいないまま彼への答えを出す。

 

 

 

「ブースに入りなさい。LastChanceよ」

 

 

チュチュの言葉を聞いたロックはそのまま無言でギターを持ってブース内へと入っていく。

そこに以前のような怯えは無く覚悟を決め、早く始めさせろ。と訴えるような視線を送る少女の姿がそこにはあった。

 

「あんたの言う”夢”ってのを私の手から奪い取ってみなさい。・・・かけるわよ」

 

視線に応えるようにチュチュはそのまま曲の入りを流し、それに合わせてロックのギター演奏が始まる。

 

 

 

 

 

 

チュチュから言わせればこの間とはまるで別人のような演奏を聞いて胸を躍らせていた。

しかし、それはチュチュの後ろにいた3人も同じだった。

 

「パレオ!!鳥肌立ってます・・・!!」

 

「あいつ・・・。ベースもキーボードも全部1人でやるつもりか?」

 

「歌まで歌いだしそう・・・」

 

「・・・ったく!!」

 

演奏を聞いたますきは獰猛な笑みを浮かべねがらブースへと歩き出す。

その様子に他の2人も微笑みながらブースへと歩き出しだすとロックの独奏に割って入り、ロックとRASの演奏が始まる。

 

 

チュチュの目の前にあったのは彼女が求めていた演奏に最も近いもの―――。

 

彼女の求める完璧と比べたら多少のギターが走ったり、主張が強すぎるが2回目でこれなら十分に及第点であった。

 

弦太朗のことは気に入らないが、彼が出した提案に乗ったことで見られたものを前にして、演者だけではなくそれを聞くチュチュの顔にも笑みが浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、全力で1曲を終えた彼女たちは肩で息をしならが笑みが止まらない。

演奏が終わってどのくらいたったか分からないが彼女たちは笑いあっていたがロックがその感想を呟く。

 

「バンドって・・・バンドってでらすっごい・・・!!」

 

「ギター走りすぎだよ」

 

やり切ったロックは笑みを浮かべ興奮が隠しきれない。

それが演奏にも表れたのかレイヤから指摘されるが、ブースにいる彼女たちは全員笑みを浮かべている。

そして、その様子を見とれていたチュチュは我に返り、マイク越しにブースのロックへと話かける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・このままじゃダメね」

 

「おいおい・・・」

 

「チュチュ様・・・」

 

 

チュチュから返ってきた言葉に驚くRASのメンバー。

そして、その言葉を聞いたロックは少しだけ表情が暗くなるが、彼女自身は満足いく演奏が出来たので後悔はしていない。

 

チュチュはRASのメンバーの表情を見ることなく、ロックへ言葉を続けていく。

 

 

 

「だけど、ロッカアサヒ。ギター(仮)としてあなたのRAS入りを許可するわ」

 

「えっ?」

 

「そしてあなたはRASに相応しいギタリストになりなさい」

 

「ったく素直じゃねぇな」

 

「ふふ。そうだね」

 

「チュチュ様らしいですね」

 

チュチュからのRAS入りの許可。

その言葉を聞いたロックは安心しきったのかそのまま膝から崩れ降りる。

 

「ロックさん!?大丈夫ですか?」

 

「すいません。なんか安心しちゃったら力抜けちゃって・・・」

 

「ちょっと気分転換に外の風にでも当たってこよっか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外・・・ってやっべぇ!!弦太朗のことすっかり忘れてた!!」

 

「あっ・・・」

 

レイヤの何気ない提案にますきは演奏の興奮が一気に冷めて先ほどの出来事を思い出す。

本来なら忘れられるような出来事ではないが、ロックもますきも先ほどの演奏の興奮がそれを忘れさせるほどに集中していたのだ。

 

「あのBadBoyが来てるの!?」

 

「チュチュ様・・・?」

 

「ますきの慌てよう見るともしかして・・・」

 

「はい。この間のと如月先輩が・・・。任せろって言ってましたけど・・・」

 

「ちょっとあたし行ってくるから!!レイはロックの事任せたぞ」

 

「ちょっとますき!?」

 

「・・・?3人ともどうされたんですか?」

 

「なんでもないよ・・・。屋上行こうか・・・」

 

レイヤは周囲に聞こえない様に小声でロックに状況を確認し、ますきも突然叫び出したと思った後、突然ドラムから立ち上がって静止も聞かずにますきはそのままブースを飛び出す。

 

その様子を不審に思ったパレオはその事をレイヤへと聞くがそのまま軽く流し、ロックをそのまま屋上へと連れて行く。

 

そして2人だけの屋上でレイヤは感じていたことをロックへと質問する。

 

 

 

 

 

 

「今日の演奏凄かったね。この前とはまるで別人みたいだったけど・・・。なにかあったの?」

 

「・・・如月先輩の言葉とポピパさんに背中を押してもらえたんです」

 

「そうなんだ。やっぱり弦太朗は昔から変わってないなぁ・・・」

 

「えっ・・・?どういうことですか?」

 

「うん。出会った時は凄かったんだよ。引っ越して来たばかりで友達がいない私のところの毎日来て「友達になれー」ってね・・・」

 

「なんかイメージできますね・・・」

 

「それでその後にちょっとした事があって仲良くなったんだけど。その後に弦太朗がすぐ引っ越しちゃったんだ。でも、また会った時は驚いたよ。だって、ライブハウスで女の子に囲まれてたんだから」

 

「あはは・・・」

 

ロックの疑問に答えるようにレイヤは弦太朗との出会いから再開までを語り、再開した時の状況を聞いたロックは苦笑い。

それもそのはず。彼女が言っていた状況を作った原因は自分だったからだ。

 

 

「でも、その後のことは私も驚いたよ」

 

「私も驚きましたよ・・・。でも、レイヤさん落ち着いてますけど心配してないんですか?」

 

「そういう訳じゃないよ?でも、弦太朗が任せろって言ってたんでしょ?それに花ちゃんも大丈夫って言ってたから」

 

「そうですね・・・」

 

そのまま2人は無言で屋上から街明かりで眩しい夜の街を眺める。

 

この眩しい街の中にはこの前のような怪物がいて、それと闘っているのが自分たちの知人であることを考えると、この見慣れた街の風景が感慨深いものに感じる。

 

 

 

しかし、この静寂は長くは続かなかった。

 

「お2人とも~。冷えますからそろそろ中に入ってはいかがですか?」

 

街を眺めるレイヤ達の元にパレオが現れて、2人を中に戻るように提案する。

 

「そろそろ戻ろっか」

 

「そうですね」

 

室内へ戻ろうしたその時、マンションの下から複数の爆発音が彼女たちの耳へと飛び込んでくる。

3人は爆発の聞こえた方向へと視線を向けるがそこには何もない。

 

「なんでしょうか!?」

 

「ひぃー!!」

 

「2人とも落ち着いて!!」

 

爆発音の次に響いたのは彼女たちが今まで聞いたことのないような轟音が下から迫ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女たちの目にはバイクが宙に向かって走っていく姿。

 

「はわわわわわ!!チュチュ様に報告しないと!!」

 

そう言い残してパレオは2人を残して一足先に室内に戻り、残された2人の視線は宙へと走り去ったバイクを追いかけていた。

 




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(46) ・(46)・(21)
というアンケート結果から、紗夜さん。
あなたはまじめにやりつつもたまに壊れてもらいましょう
勿論!!闇落ちではなくネタ堕ち


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最・狂・開・幕-13 今までとこれからと・・・

投稿。

RAS篇終わり。
果てしなく筆が重かったですが戦闘はお茶漬け以上にさらさらです・・・。
ちゃんと新しくカウントした子は今後たっぷり働いてもらうから許して・・・。


ロック達の背中を見送り、フォーゼはゾディアーツへと視線を戻す。

そこには立ち上がろうとするゾディアーツの姿―――

 

「タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

拳を突きつけていつもの決め台詞を放つと同時―――

ゾディアーツはマンションの入口の前へと走り出す。

 

しかし、ダメージが抜けておらず初動が遅れたこともあり真正面からフォーゼに受け止められる。

 

「これ以上は行かせねぇぞ!!」

 

フォーゼが受け止めたのも構わずにゾディアーツはフォーゼの腕を抑え込みそのまま前進する。

フォーゼも次第にその力に負けてそのまま後ろへと押されていく。

 

 

「うぉら!!」

 

腕が抑えられて足はゾディアーツの力に耐えるべく地面を踏み込んでいたフォーゼは、そのまま頭をゾディアーツへと振り下ろす。

 

頭突きと言う意識していなかった攻撃に堪らず、ゾディアーツもフォーゼから離れて後退させると両者はその場で睨み合う。

 

 

 

 

「いってぇ・・・。こいつ・・・!!前より強くなってんな・・・!!」

 

目の前にいるゾディアーツは以前よりも強くなっていた。

ゾディアーツが強化されているのも問題だが、それ以上にフォーゼにとって厄介なのは他にもいくつかある。

 

 

 

1つ目はゾディアーツの目的が分からないこと。

 

このゾディアーツの行動から考えると標的はロックかますきのどちらかであることは先ほどますきに教えられていた。

しかも、標的の可能性がある2人ともこのマンションの中にいるのでマンション内に入られてしまえば2人が襲われてしまう可能性が高い為、下手に入口から離れることが出来ない。

 

 

2つ目には必殺技を当てる事自体が難しいこと。

今回のゾディアーツは今までに相手にしたことのない速度を出せる相手であり、前回の戦いではリミットブレイクを発動するも自慢の脚で避けらてしまった。

 

対抗策の1つとしては敵を完全に拘束すること。

しかし、半端な拘束では無意味で、拘束する時間も長くする必要がある。

 

そしてもう1つの手段として足場がない宙へと打ち上げて倒すこと。

空中に打ち上げてしまえば後はダイザーの打ち上げの推力で宇宙まで押し出すことは可能だ。

 

しかし、こちらも問題がある。

それは目の前のゾディアーツがラストワンで無ければ、打ち上げて倒してしまうとスイッチャーの身体もただでは済まない。

 

 

 

 

 

 

しかし、倒し方を考える前にダメージを与えなければ倒す手段を試すことも出来ないためフォーゼは考えるのをやめる。

 

「とりあえず、考えるのはやめだ!!」

 

 

そしてフォーゼはスイッチを交換して起動する。

 

 

――――ジャイアントフットON――――――

 

起動と共にフォーゼの右足が大きくなり、その足をそのまま地面に振り下ろす。

 

その場で地団駄を踏むように見えたゾディアーツはその行動が理解できず、その場に留まっていたが突如としてゾディアーツは上から何かに押しつぶされる。

 

それを確認したフォーゼはそのまま連続で足を振り下ろすが、ゾディアーツは危機を察してすぐさま距離を取る。

 

 

 

――――――ガトリングON――――

 

その離れた隙にガトリングスイッチを起動して弾幕を張る中、フォーゼのドライバーから呼び出し音が鳴る。

 

 

――――――――レーダーON――

 

『もしもし?弦太朗くん!?』

 

「その声。りみか?今戦ってる最中なんだ!!」

 

『えっとね!!ライブハウスのトイレでスイッチ使ってる人が倒れてたの!!』

 

「アアアアアアァアアアアアアアア!!」

 

通信の相手はりみ。

内容と目の前にいるゾディアーツは通信から聞こえるりみの声に反応してそのままフォーゼの左腕目掛けて飛び掛かるが、フォーゼは回避と同時に右足から繰り出すケンカキックをその腹を的確に蹴りこませる。

 

通信を聞いたその反応からフォーゼは闘っているゾディアーツはラストワンであることを把握する。

 

『学校で見たのと同じ感じだったし!!後、持ち物の手帳に"こうま座"と”RASのギターオーディション”って書いてあるから・・・!!』

 

「コーマ?かみの毛座じゃねーぞ?」

 

『ちゃう!!小さい馬!!アクーリエスって読むんよ。』

 

「仔馬ね・・・。後は任せろ!!」

 

『・・・気ぃつけてな!!』

 

その言葉と共にりみからの通信が切れると同時にフォーゼはダイザーを呼び出す。

りみの話が本当ならばこのゾディアーツはこうま座のアクーリエス。

 

 

正体がバレたアクーリエスはそのままフォーゼを無視してマンション内へと突入しようとするが、フォーゼの右足によって進路を妨害されたアクーリエスはマンションに入ることを完全に諦めて、狙いをフォーゼへと切り替えて襲い掛かる。

 

 

 

 

 

決して攻撃そのものは強くないものの先ほどまでの攻撃と違い、圧倒的な速さによってフォーゼを一方的に攻め立てる。

 

その速さによって防戦一方になるフォーゼだが、聞きなれた音と共に1つの影がその攻防に割り込んでくる。

 

 

 

 

「ますき!?」

 

その正体はマッシグラーに乗ったますきがマッシグラーで突撃しアクーリエスを吹き飛ばしながらフォーゼへと叫ぶ。

 

「弦太朗!!こっちは終わったからとっとと決めろ!!」

 

「・・・おう!!」

 

アクーリエスは突如として現れたバイクに吹き飛ばれて倒れた状態から足り上がろうとするが、立ち上がることは無かった。

 

立ち上がろうとしたアクーリエスに背後にやってきていたダイザーがミサイルを放ち、その体を空中へと高く打ち上げる。

 

「うわぁ!!」

 

ダイザーが変形すると同時にマッシグラーが1人でにダイザーの上へと乗り上げると同時にフォーゼはダイザーへと飛ぶ。

 

「ますき。離れてろ!!」

 

「・・・あぁ」

 

フォーゼの言葉を訳も分からないまま、言葉に従ってますきがダイザーから離れる。

それと同時に変形するダイザーからは変身と似たカウントダウンが響く。

 

 

3―――――――

 

2―――――――

 

1―――――――

 

―――Blast off!!

 

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「マジかよ・・・」

 

呆然と見送ったますきに見守られつつ、カウント終了と同時にマッシグラーは炎を噴き出しながらアクーリエスを巻き込んで宙へと駆け上がる。

 

そのままマッシグラーでアクーリエス共々宇宙へと飛び出したフォーゼはマッシグラーを足場にして飛び降り、地上の重力に少しずつ引かれながらドライバーのスイッチを交換してレバーを引く。

 

 

 

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

  

 

「ライダーロケットドリル宇宙キィィィィィック!!」

 

宇宙へと打ち上げられたアクーリエス。

地上ではその足でフォーゼを翻弄したが、足場のない宇宙ではその攻撃から逃げることの叶わない。

フォーゼのドリルがアクーリエスの頭からその体を貫いて叫びをあげることなく爆散する。

 

フォーゼは地上へと落ちていく中、ゾディアーツスイッチを切って消滅させるとそのまま地上へと堕ちてゆく。

 

そして地上が近づくと先ほどまで闘っていたマンションの近くにおりるべく、空中でパラシュートスイッチを起動する。

 

 

――――――――パラシュートON――

 

起動と同時に左腕からパラシュートが展開されゆっくりとマンションへ向けて降下するが、突如として強い風がフォーゼを襲い大きく予定していた進路から外れる。

 

 

 

そして、フォーゼは咄嗟にパラシュートを操作するがそれも虚しくマンションの屋上へと落下した。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

弦太朗がバイクと一緒に空に飛んでいったのを間近で見ていたあたしは理解が追いついていないがここにいてもやることはないのでそのままスタジオへと引き返す。

 

 

レイ達が外にいるって言ってたから説明しねーとな・・・。

 

そう思いながらエレベーターでチュチュ部屋がある屋上へと向かう。

パレオとチュチュがなんか騒がしい。

 

可愛い・・・。

 

 

 

 

 

ってそうじゃねぇ!!

まずはレイ達に話さねぇと・・・!!

 

そう思った私はそのまま外に出ると固まってる2人の姿を見つけて駆け寄る。

 

「レイ!!ロック!!」

 

「ますきさん!!今!!」

 

「あれ、弦太朗だからな」

 

「なんやって~!!」

 

「あはははははは・・」

 

「レイ。お前のスマホ鳴ってんぞ?ハナじゃねーか?」

 

「花ちゃん!?ホントだ!!」

 

 

 

おいおい。

なんでハナの名前出しただけで復活すんだよ・・・。

 

しかもホントにそうだったのかよ・・・。

 

「・・・うん。そうなんだね!!うん!!ちゃんと伝えとくよ。また今度ね!!」

 

レイの奴テンションたけーな・・・。

これから何かあったらハナの名前だすか・・・。

 

「花ちゃんから連絡があって!!弦太朗が怪物倒したって!!」

 

「本当ですか!!良かった~!!」

 

その言葉を聞いたロックも安心したような表情を浮かべる。

 

こいつ・・・可愛いな・・・。

でも、何で空に飛んで行ったのに倒したって知ったんだ?

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・あれって・・・」

 

私が考えてる最中にレイが指差した先には見慣れないパラシュートがこちらに向かってゆっくりと降りてくる。

しかし、そのままこちらに降りていたパラシュートだが風に煽られていた。

 

あれ?こっちに向かって来てるな・・・。

あの角度だと屋上・・・・プールに落ちるな・・・。

 

 

「2人とも、ちょっと離れるぞ」

 

「ますきさん!?」

 

「ちょっと!!」

 

 

 

 

そのままあたしは2人の腕を引いてその場を離れるが、それと同時に中からパレオ達が外へと出てくる。

 

「本当なんですよ!!空に向かってバイクが!!」

 

「パレオ!!引っ張らな・・・!」

 

しかし、チュチュからの抗議の言葉は最後まで言われることはなかった。

 

パラシュートがあたし達の目の前で消えてそのまま目の前のプールへと落下し、盛大に水を巻き上げてチュチュ達へと水がぶっかかってそのまま気を失っている。

 

 

 

「あっ!!チュチュさん!?」

 

「あそこにいたら私たちも巻き込まれてたね・・・」

 

「それでも少し濡れたけどな・・・」

 

あたし達は少しだけ水がかかっただけだけど、真正面から水を浴びたチュチュ達に比べたら大したことはない。

 

案の定、プールへと堕ちてきたのは変身した弦太朗。

弦太朗はそのままプールから上がると変身を解いて普段の学ラン姿へと戻った。

 

 

 

「おう!!こっちも終わったぞ」

 

「さっき花ちゃんから連絡きたから知ってるよ」

 

「あの・・・・さっきバイクが空に向かって飛んでいきましたけど・・・」

 

「あぁ、あれで宇宙まで飛ばしてから倒したからな」

 

「えっ!?」

 

目の前で盛り上がってる3人。

それを他所に、盛大に水を被って気を失っていたチュチュが寒さで震えながら意識を取り戻す。

 

「・・・寒っ!!ってBadBoy!!あんたどうやって来たのよ!!」

 

「どうって空からだな!!」

 

「・・・意味わかんない」

 

「ふふ」

 

「あはは・・・」

 

「おい。チュチュお前のすげぇ事になってんぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「もうなんなのよ~!!」

 

マンションの屋上にはチュチュの虚しい叫びが叫びと共に私達の笑い声が響き渡っていた。

 

――――――――――

 

今回の事件が終わり、弦太朗はロックをバイクに乗せて旭湯へと送り届けていた。

 

「如月先輩。色々ありがとうございました。おかげでRASに入ることが出来ました!!」

 

「良かったな!!」

 

「はい!!色々手伝ってもらってありがとうございました!!これからは自分で頑張ってみます!!」

 

「困ったときはお互い様だろ?何かあったら言えよ?」

 

「はい。あのお風呂で言ってくれた言葉とポピパさんの曲が背中を押してくれたから・・・」

 

ロックは自分が行動に移せた理由は弦太朗達のおかげだということを伝えようとしたが・・・。

 

 

 

その言葉が最後まで言い切ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。2人とも?お風呂ってどういう事かな?気になるよね。ひまりちゃん?」

 

「うん!!」

 

「ひゃ!?Afterglowさん!?どうして皆さんがここに!?」

 

予想外の人物の登場にロックは驚きと恐怖を隠せない。

 

旭湯から出てきたのは風呂上がりのAfterglowのメンバー達、そして最初に話しかけて来た2人の目に光がなく、ロックを引いて弦太朗から少し距離を取る。

 

 

「いや~。六花が事件に巻き込まれたから慰めて~って沙綾から連絡があってきたんだけど~六花がいなくてね~」

 

「それに折角銭湯に来たから風呂入ってきたんだよ」

 

「そうだったのか。でももう終わったから心配すんな」

 

「あたしはつぐみ達のほうが心配なんだけど・・・」

 

蘭は呟きながら視線をロックへと移し、それに釣られるように弦太朗達も視線を移す。

 

 

 

「ねぇねぇ?どういうことか教えて?もしかして一緒のお風呂に入ったの!?キャー!!」

 

「・・・///」

 

「あの・・・」

 

そこにはひまりに寄って詰められているロックの姿があった。

横ではひまりの言葉を想像したつぐみが顔を真っ赤にして思考を停止していた。

 

 

 

「まぁ、なんとかなるだろ。冷めないうちに帰らないか?」

 

「さんせ~」

 

「なら、俺も帰るか」

 

「ちょっと!?つぐみ達は?」

 

「まぁ、なんとかなるだろ」

 

「・・・それもそっか」

 

「じゃあな!!」

 

こうして彼らは日常へと戻っていく。

 

 

 

 

 

そして彼女は・・・・・・。

 

「えへへ・・・」

 

新たに始まるであろうバンド生活に期待で胸を膨らませて笑みを浮かべていた。

 

 




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本編次回予告:メトロノーム修理篇


この戦闘の軽さ・・・。
でもいいんです。
本章ではロックが主役ですから本章の戦闘は添え物です。

弦太朗の呼ばれ方RAS篇
レイヤ:弦太朗
マスキング:弦太朗
ロック:如月先輩
パレオ:如月さん(今後からかな・・・
チュチュ:BadBoy

カウント・the・スイッチ
30/40



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Roselia篇2-哀・夜・更・改
哀・夜・更・改-1 彼女の事件は終わらない。


Roselia篇2章開幕

多分今回からは1章の長さが短くなる予定です。
まぁ出会いのとこが無くなるからそうなるよね・・・。

裏では小ネタ書いてたのと他バンドの2章考えてたなんて言えない・・・。



 

冷たい風が吹く花咲川への通学路。

冷たい風を感じながら生徒達が学校へと向かう生徒達の中を全速力で駆け抜けていく複数の影。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉおおおおお!!」

 

「弦太朗!!走って学校に行くのもとっても面白いわね!!」

 

「こころん!!ゲンちゃん先輩!!待って~!!」

 

正体は弦太朗と彼の友達。

こころを先頭に弦太朗と香澄がそれに続いて声を出しながら学校まで全速力で駆け抜ける。

 

そんな彼らは周囲の視線を集めながら花咲川の校門をくぐり抜けると昇降口の近くで座り込む。

 

 

 

 

 

「だぁ~!!こころの奴はえーな!!」

 

「こころん!!すっごーい!!」

 

「とっても楽しかったわ!!弦太朗!!またやりましょう!!」

 

「おう!!」

 

「まったく~朝から元気だね~」

 

「美咲ちゃん!!おはよー!!」

 

「おっす!!」

 

「美咲!!早く教室行きましょ!!」

 

「ちょっとこころ!!腕引っ張らないで!!」

 

 

 

 

 

こころは弦太朗達と遊べたことに満足して彼らを校門に残して、その場に通りかかった美咲を連れて校舎内へと走り去っていく。

しかし、そのこころに誰一人として視線を送ることはなく視線は弦太朗へと集中する。

 

「みんなゲンちゃん先輩のこと見てるけど?何かあったのかな?」

 

「いや、分からねぇ」

 

視線を集める弦太朗と近くにいる香澄は視線を集めているその理由を考えるが何も考えが浮かばない。

 

2人で考えてるなかこころ達と入れ替わるようにして燐子が2人へと歩み寄っていく。

 

 

 

「あっ!!燐子先輩!!おはようございます!!」

 

「燐子!!おはよう」

 

「・・・おはようございます」

 

「あの!!ゲンちゃん先輩の事をみんな見てますけど・・・。どうかしたんですか?」

 

「それはさっき皆さんで走ってきたからじゃ・・・」

 

「何もしてませんよ?」

 

「どういうことだ?」

 

「はぁ・・・」

 

「燐子先輩?ため息ついてどうしたんですか?」

 

「悩みなら相談に乗るぞ?」

 

 

視線を集めてた原因の1つを2人に教えるが、2人は理解できていない様子で首をかしげる姿に燐子からはため息が零れた。

その様子を見た弦太朗達は燐子の事を気に掛けるが、その原因から心配されるという珍事に燐子は頭痛を覚えるも、もう1つの原因についてに話題を切り替える。

 

「大丈夫です・・・」

 

「そういえば紗夜って今日からだよな?」

 

「えっ!?紗夜さんって今日からだったの!?」

 

「もしかして・・・、皆さんはまた同じようなことにならないか心配してるんじゃないでしょうか・・・」

 

「大丈夫だろ。もうスイッチもねぇんだから」

 

「そうですよ!!」

 

「そうだといいんですが・・・。そろそろ授業が始まりますので・・・」

 

「そうですね!!燐子先輩!!ゲンちゃん先輩!!またね!!」

 

自身の教室へ向かっていく香澄の背中を見送った後に弦太朗は燐子と並んで教室へと入っていくが、そこでも弦太朗は教室中の視線を集めてしまう。

 

その視線を集めてる弦太朗達の後ろを2人の生徒が声をかける。

 

 

「あっ。如月くん。おはよう!!」

 

「あら、弦太朗。生徒会長を同伴で教室入りなんて何かあったのかしら?」

 

「おう、千聖に彩。おはよう!!」

 

「おはようございます・・・」

 

「えぇ、おはよう。それにしても私以上に人気者ね。弦太朗?」

 

「何でかは分かんねぇけどなんかみんなが俺を見てくるんだよな。何でだ?」

 

「えぇ~・・・。如月くん?本気で言ってるの?」

 

「おぅ!!本気で分からん!!」

 

「あはは・・・。凄いね・・・」

 

「はぁ・・・。頭痛くなってきたわ・・・」

 

弦太朗の言葉に苦笑いを浮かべる彩と頭を抱える千聖。

そんな彼らのやり取りが繰り広げられているが燐子は紗夜の席を見つめるが、そこに紗夜の姿も使われた痕跡もない。

 

それを見た彩たちは弦太朗を残して燐子の元へと歩み寄る。

 

 

 

「氷川さん・・・」

 

「燐子ちゃん?大丈夫・・・?」

 

「丸山さん・・・私は大丈夫ですから・・・」

 

「もしかして燐子ちゃん。紗夜ちゃんの事何も聞いてないの・・・?」

 

「白鷺さん。えぇ・・・。私には何も・・・」

 

「そうだったのね・・・。ちょっと待ってくれるかしら?日菜ちゃんに連絡してみるわ」

 

「白鷺さん。ありがとうございます・・・」

 

「構わないわ・・・。それに私も心配してたから・・・」

 

「千聖ちゃん・・・」

 

 

千聖はスマホを取り出しながら表情を曇らせる。

 

 

目の前にいる千聖も紗夜と同じくスイッチを使用して呑まれた。

千聖は自分以上にスイッチの力に呑まれていた紗夜が無事に立ち直れることをRoseliaのメンバーや日菜と同じように望んでいたのを彼女の近くにいた彩はよく知っていた。

 

そんな彼女が震える手でスマホを操作する姿に彩は表情を曇らせるが、千聖は震える手で日菜に電話を掛けたが繋がることはない。

 

 

「おかしいわね・・・。日菜ちゃんが電話に出ないわね・・・」

 

「えぇ!?日菜ちゃんが!?」

 

「何かあったのでしょうか・・・」

 

彼女たちは不安を覚えるが、虚しくも教室内に予鈴が響き渡る。

 

 

 

そして、教師が教室にやってくるが紗夜の席に彼女の姿は無かった。

 

 

 

 

――――――

 

アタシは友希那と2人で並んで学校へと登校する。

今日から紗夜が学校に復学するのとそれに合わせてRoseliaの練習にも戻ってくる。

 

昨日の練習で燐子が話していた時はあこが嬉しそうにしていたのとは対照的に友希那の顔は複雑そうだった。

 

あの時はあこの前で理由を聞くのを躊躇ってしまい、その後はアタシがバイトのためにみんなより先に練習を上がってしまったから結局理由を聞けていなかった。

 

誰もいないし、折角だから聞こうかな・・・。

 

「ねぇ?リサ。ちょっといいかしら・・・」

 

「・・・友希那、どうしたの?」

 

 

そう思っていたら物凄い緊張感を持った友希那が声をかけてきて思わず身構えてきてしまった。

 

もしかして紗夜の事かな・・・?

アタシはちょっとだけ身構えて友希那の言葉を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・朝ごはん。食べ忘れたわ・・・」

 

「・・・」

 

紗夜の事だと身構えていたアタシは友希那の言葉に呆気に取られてしまった。

 

この子はあんな緊張感を持ってこんなことを言える様に育ってしまったのだろう・・・。

どこで教育を間違えたんだろう・・・。

友希那の将来が心配になってきたよ・・・。

 

 

 

「リサ・・・?」

 

「あーうん。そうだねー。それは大変だねー」

 

「どうしたらいいかしら?」

 

「とりあえずコンビニ寄ろっか?」

 

「そうしましょう」

 

そうして少しだけ回り道してコンビニへと到着するが、その時に友希那の顔に汗が・・・。

そんな熱くないと思うけど、体調悪いのかな・・・?

 

「友希那!?どうしたの!?もしかして体調悪い?」

 

「いえ・・・。そうじゃなくて・・・」

 

「それじゃあ何?もしかして・・・」

 

「リサ。多分あなたが考えてることは違うから口に出さないで・・・」

 

「じゃあ何なの!?」

 

アタシは友希那の言葉をそわそわしながら待つ。

 

「あの。落ち着いて聞いてほしいんだけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・財布ないわ」

 

「は?」

 

友希那からの答えにアタシは呆れた。

コンビニ行って財布がないって・・・。

 

友希那はどうやって今日を生活するつもりだったの・・・。

 

仕方なくアタシは友希那の朝ごはん代わりにパンを2つ買ってあげるとコンビニの前でそれを口一杯に頬張って食べ始める。

歌ってるときは凄いカッコいいんだけど、普段はどこか抜けてて心配になっちゃうことも多いけどそこが可愛いんだよねー☆

 

でも、たまに友希那の将来が不安になっちゃうけど・・・。

アタシが面倒見ればいっか☆

 

「リサ?なんで私の食べてる姿見て笑ってるのかしら?」

 

「ん~。気にしないでいいよ~。とりあえず1個食べたら学校行こっか。流石に遅刻したくないからね~」

 

「・・・」

 

友希那は無言で首を縦に振りながらもパンを頬張り続け、そのまま無事にパンを1つ食べ終わった友希那は残ってるパンをカバンへと入れる。

 

パンを入れたのを確認するとアタシは友希那と主に学校へと歩き出す。

 

さぁ~って今日も授業頑張るか~。

 

 

校門をくぐると何でか分からないけどいや~な予感がする。

この嫌な感じは紗夜の停学で日菜が騒いでた時のような・・・。

 

 

 

 

そしてアタシの予感は的中した。

 

 

通学路からは聞き覚えのある泣き声。

それは次第に近づいてくる・・・。

 

 

 

 

校門へと視線を向けるアタシ達の前には見覚えのある髪、をした人が走っていた。

あの髪は・・・ヒナ!!

怪我もある程度良くなってるのは知ってるけどあそこまで走って大丈夫のなか?

 

あれっ・・・でもよく見たら・・・ヒナ泣いてる?

 

 

 

 

「うわぁぁあぁあああああああん!!リサちー!!」

 

「ふごぉっ!!」

 

「何やってるのかしら・・・」

 

ヒナはアタシを見つけるとそのまま胸に飛び込んでくる。

それを受け止められなかったアタシは女の子が出してはいけないような声を挙げながらヒナに押し倒される。

 

ヒナはそのままアタシを押し倒しながら泣き続ける。

 

「リサちー!!うわぁぁあぁあああああああん!!」

 

「ちょっと日菜!?」

 

 

この間の事件でヒナの血で汚れた制服をやっとの思いで落としたから着てきたら、今度は涙とか鼻水でべちょべちょに汚れてしまう。

 

そんなことを思いながら、押し倒してる日菜をこの間のように宥める。

 

 

「ヒナ。取り合えず落ち着いて。なにがあったの?」

 

「あのねっ!!おねーちゃんがぁああ!!おねーちゃんがぁああああああ!!」

 

「日菜。紗夜に何があったの・・・?落ち着いてママに言いなさい?これあげるから・・・」

 

 

友希那が先ほど買い与えたパンを1/4程を手でちぎってヒナへと差し出すとヒナはそれを受け取るとアタシの上で少しだけ落ち着きを取り戻していた。

友希那の行動も言葉も意味わからないし、めんどくさいのでスルーするけど。

友希那、どうせなら半分こにしなさい・・・。

 

でも、ヒナがここまでなるってことはまた紗夜に何かあったのかな?

もしかしてまた弦太朗を・・・?

 

そう思ってヒナの言葉を待ったが予想外の言葉がヒナの口から伝えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃんが!!おねーちゃんが引きこもりになっちゃったよぉおおおおおお!!」

 

 




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哀・夜・更・改-2 パニクる天才ちゃん りた~んず。

はい。
投稿です。

年末年始は失踪しますのでこれが2021年最後の投稿になると思います。




紗夜が引きこもりになった―――

 

 

 

普段の紗夜からは想像することが出来ない彼女の状態を日菜から聞いたリサは驚愕しているが、そんな様子を気にすることもなく日菜はアイドルがしてはいけないような泣き顔でリサを押し倒したまま声を挙げる。

 

「りさちーどうしよー!!おねーちゃんが!!」

 

「ちょっとヒナ!!落ち着いて!!って友希那も見てないで助けてよ!!」

 

「落ち着かせるために日菜にパン渡したじゃない・・・。そのお陰で少しは落ち着いたじゃない・・・」

 

「あぁ~!!もうっ!!そうじゃなくてさ!!」

 

リサの叫びが虚しく響く。

 

周囲の生徒達はリサたちを囲んで様子を見守っていたが、その輪に数人の生徒が割って入る。

 

 

 

「何かあったのかな~?ろっか見にいこ~!!」

 

「ちょっとあこちゃん!?」

 

「今日菜さんの声が・・・」

 

「生徒会です!!すいません!!通してください!!」

 

輪の中に入ってきたのは興味本位で見に来たあこと連れてこられてしまったロック。

そして日菜の声を聞きつけて現場にやってきたつぐみと麻弥。

 

 

 

 

 

 

「なんの騒ぎですか・・・。ってリサ先輩どうしたんですか!?友希那先輩!!どうなってるんですか?」

 

「それに日菜さんもなんでパン持ちながら泣いてるんですか・・・?」

 

「友希那はどうでもいいから!!ちょっとヒナのことなんとかしてー!!」

 

「・・・分かりました!!あこちゃん達も手伝って!!日菜先輩をリサ先輩から引き剥がすよ!!」

 

「は~い!!」

 

「はいっ!!」

 

その言葉に反応して、つぐみはあことロックと共にリサから日菜を引き離し、状況を把握しているであろう友希那へと説明を求める。

 

「それで友希那先輩。日菜先輩に何があったんですか?」

 

「あの子が言うには紗夜が引きこもってしまったそうよ・・・」

 

「そんなっ!?」

 

「えぇ~!!紗夜さんが・・・!?」

 

「信じられへん・・・」

 

友希那の言葉につぐみ達が言葉を失うがすぐに我に返り、周囲の生徒へと呼びかける。

 

 

 

 

「他の生徒の皆さんは教室に行ってください!!」

 

普段の彼女の行いによるものか、厄介ごとから逃げるためかは定かではないが、生徒達はつぐみの言葉を聞いて次第に教室へと向かっていく。

 

「じゃあ、あこちゃん達は私と一緒に日菜先輩は生徒会室に運んでくれる?」

 

「うんっ!!」

 

「分かりました」

 

「ジブンも行きます!!」

 

「アタシ達も行くよ~。友希那もおいで」

 

「リサ。子供扱いしないでくれるかしら?」

 

こうして一同は生徒会室へと日菜を引きずっていく。

その光景に周囲の視線が集まってしまいロックは居心地が悪くなっていたが、他の全員はその視線を意にも介さずに生徒会室へと入る。

 

全員が生徒会室内に入ったことを確認するとつぐみは内側から鍵を掛ける。

 

 

 

「ねぇつぐちん?ろっかもいるけど鍵かけていいの~?」

 

「大丈夫だよ。六花ちゃんも如月くんのあれ知ってるから」

 

「そうだったのね・・・」

 

「あの・・・、つぐみ先輩。あれってこのモールで見た奴ですよね?」

 

「うん。ますきちゃんとかと一緒に見た奴だよ」

 

ロックは自分の思っていることがあっているかを確認し、つぐみはそれを肯定する。

その一方でロック達が話していることがよく分かっていないあこはロックへと問いかける。

 

 

 

 

「ろっか!!はい!!うちゅう~・・・?」

 

「えっ!?きた~・・・///」

 

「うんっ!!合格☆」

 

「ろっか!!本当に知ってたんだ!!」

 

「なんですかこれ・・・」

 

あこの問いかけにロックは弦太朗の言葉を思い出して、両手を上にあげながら言葉を返す。

その対応に納得したリサたちは納得した様子を見てツッコミを入れてしまう麻弥。

 

そのやり取りの中、つぐみは生徒会長用の椅子に座り、日菜を視線に入れながら問いかける。

 

「それで日菜先輩?紗夜さんの事でリサ先輩に泣きついて押し倒してたのは分かるんですけど、ちゃんと説明してくれますか?」

 

「確か・・・『紗夜さんが引きこもった』って言ってたよね・・・」

 

「私もあこちゃんと一緒に聞きました」

 

「ところで何で日菜さんは食べかけのパンなんて持ってるんですか?」

 

「私が・・・・・・モグモグ・・・・・・・あげたの」

 

「はぁ・・・」

 

「友希那。食べるか話すかどっちかにしなさい!!ヒナ、とりあえず何があったか話してくれる?」

 

リサの言葉によって室内の視線は日菜へと集まり、彼女からの説明を待つ。

若干1名はパンを食べながら聞いているが、その事に指摘する者はもう誰もいない。

 

この微妙な空気の中静かに日菜は説明を始める。

 

 

 

 

「今日からおねーちゃんが学校行くから、一緒に行こうと思っておねーちゃんの部屋に行ったんだけど。

おねーちゃんが外に出てきてくれなくて・・・・・・。それで部屋に入ろうとしてドアを開けようとしたんだけど、おねーちゃん、ドアの前に何かを置いて部屋に入れなかったの・・・。それにあの時からおねーちゃんがあたしと会ってくれなくて・・・!!」

 

日菜の説明はそこで止まり、紗夜の事を思い出しその場で泣き崩れる。

 

 

 

 

 

「だから日菜は『紗夜が引きこもった』と言ってたのね・・・」

 

「話を聞く限りだと紗夜さんは日菜先輩含めて色んな人を傷つけてしまった罪悪感で閉じこもってしまった・・・ってことですかね?」

 

「つぐみの想像通りかな~。紗夜って貯めこんじゃう子だし・・・」

 

「日菜さん、激しい運動をしなければ大丈夫なくらいには回復しましたけど、あの時はひどかったですからね・・・。まぁ片腕でも銭湯の仕切りを乗り越えるくらいには動けてましたけど・・・」

 

「あの・・・それでどうするんですか・・・?如月先輩に相談してみたほうがいいんじゃ・・・」

 

「とりあえず放課後になったら紗夜を部屋から引きずり出しましょう。その時に如月も連れて行くわ」

 

「りんりんにも連絡しないと!!」

 

 

日菜の泣き声だけが響く生徒会室で食事を終えた友希那が口を開き始めた結果、Roseliaの一同が紗夜を強引に連れ出す流れを作ってしまう。

 

 

「友希那先輩って強引な人なんやなぁ・・・」

 

「湊さん。それ本当に大丈夫なんですかね?」

 

「当然よ。私たちはRoseliaよ?」

 

「友希那先輩カッコいい・・・」

 

「ろっかもそう思うよね!!」

 

「それ理由になってませんよ!?」

 

「むしろそれは逆効果では・・・?」

 

友希那の発言につぐみが真っ当なツッコミを入れるが、その言葉に同意する者は麻弥のみであった。

 

 

一向に泣き止まない日菜に暴走を始めるRoselia一同とロック。

その状況の収集を付けられずに頭を抱え始めるつぐみと麻弥を救ったのは授業開始を告げるチャイムの音だった。

 

 

 

 

 

「あ~!!授業の時間になってまった~!!」

 

「でも、ひなちんはどうするんの~?気が付いたらママにくっついてるし・・・」

 

「うーん。ならみんなで授業サボろっか~」

 

「副会長としては絶対にダメです!!」

 

「それなら日菜は大和さんに引き渡しましょう・・・」

 

「えぇ!?ジブンっすか!?」

 

「ちょっと友希那!!アタシからこの状態の日菜を引き離すつもり!?何とも思わないの!?」

 

「リサは何を言ってるの・・・?それなら2人は保健室でいいんじゃないかしら?」

 

「それだ!!」

 

「リサさんはそれでいいんですか!?」

 

「とりあえず皆さん!!生徒会室から出て授業に行きますよ!!リサ先輩は日菜先輩をお願いします」

 

「まっかせといて~。ヒナと一緒に保健室行ってくるね~。麻弥は日菜の事先生に言っといて」

 

「了解っす!!任せてください」

 

「リサの事は私が言っておくわ」

 

「麻弥、よろしく~」

 

こうして彼女たちは生徒会室を後にして、それぞれの教室へと向かう。

遅れて授業へ出た友希那達を待っていたのは教師の説教ではなく、日菜の騒動に巻き込まれてしまったことへの同情の言葉だった。

 




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哀・夜・更・改-3 紗夜捕獲大作戦!!

2021年最後の投稿だと前回言ったな・・・
あれは嘘だ。

これが本当に2021年最後の投稿です。







日菜の話を聞いた日の放課後、

友希那達は氷川家の前で学校の違う燐子たちを待つ。

 

 

「それにしても、友希那が練習よりも紗夜の事を優先するなんて成長したね~」

 

「当然よ・・・。これ以上紗夜がいない練習を続けても意味がないもの・・・」

 

「友希那さんどうするんですか?紗夜さんを部屋から出すって言ってましたけど・・・」

 

「特に方法は考えてなかったわね・・・。燐子たちが来てから考えましょう・・・」

 

「あこも早く紗夜さんと練習したい~!!」

 

「紗夜が戻ってきたら今まで以上に練習を入れるから待ってなさい。ゲームする時間が無くなるのは覚悟しなさい」

 

「は~い!!・・・えっ!?」

 

ゲームの時間が無くなる。

その友希那の宣告にあこの笑顔が一瞬で消えさり、目の光は無くなる。

 

その光景を見守るリサの元へと学校を終えた燐子が弦太朗と共に姿を現す。

 

 

 

 

「お待たせしました・・・」

 

「遅くなってわりぃな」

 

「りんりん!!げんたろう!!」

 

「遅かったじゃない・・・」

 

「クラスの連中に捕まっちまってな。時間食っちまったんだよ。紗夜の事は燐子から聞いた。紗夜を立ち直らせて!!元気にしてやろうぜ!!」

 

「うん!!」

 

「それは何か考えがあるのかしら?」

 

「良薬は口に苦い!!紗夜には俺と言う薬を飲み込ませてやるぜ!!」

 

「紗夜にとっては猛毒じゃないかしら・・・」

 

「ならあこたちを呑み込ませればいいんだよ!!」

 

「友希那もあこもだけど弦太朗が言ったのは例えだからね?多分・・・」

 

 

 

紗夜の事をどうするかで話合う弦太朗達を他所に燐子は根本的な疑問を投げかける。

 

「氷川さんを部屋から出すにしても、そもそも家に入れないのではないでしょうか・・・」

 

「それならげんたろうが変身して窓からみんなで入ればいいんだよ!!」

 

「おう!!任せとけ!!」

 

「ひっ!?ロケットは怖い・・・。怖いけど・・・氷川さんのためですから・・・」

 

あこの言葉に燐子は生身でフォーゼと共に空を飛んだ時の恐怖を思い出す。

 

 

「大丈夫!!ヒナは仕事らしいけど、家の鍵は借りてきてるから家には入れるよ~。

仕事中のヒナは麻弥にお世話頼んでおいたから!!」

 

「そうですか・・・」

 

弦太朗は変身しようとその場でドライバーを取り出そうとするが、それをリサが氷川家の鍵を出しながらそれを静止させる。

リサの言葉を聞いた燐子は再びの恐怖体験を味わう事に対するから免れたことに安堵するが、その姿の意味が分かっていない友希那は首を傾げて疑問に思うがすぐに我に返る。

 

 

「リサ。鍵持ってるなら早く出して欲しいわね・・・いくわよ」

 

「「おぉ~!!」」

 

「おぉ~・・・」

 

友希那を先頭に家の中に入ろうとするが、鍵がリサが持っていたためすぐに先頭交代するという抜けた一場面があったが彼らは氷川家へと入り、紗夜の部屋の前へと辿り着く。

 

しかし、ドアを開けようとするがドアが開く様子はない。

 

 

 

 

「完全に閉じこもっていますが・・・どうしますか・・・?」

 

「如月。ドアをぶち破って入りなさい」

 

「ちょっと友希那!!いきなりそれはダメだって!!」

 

「そうだ!!紗夜さんが外に出たいと思うようなことをみんなですればいいんだよ!!」

 

「・・・それよ」

 

「はい。じゃあ案がある人!!」

 

「それだったら1ついい案がある。っていうか多分そろそろ始まるんじゃねぇか?」

 

「始まる・・・?如月、何の事かしら?」

 

「それは・・・」

 

当然の友希那の疑問。

しかし、燐子がそれに応えるまでもなくその理由を彼女たちは知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハッピー!!』

 

『『『『ラッキー!!』』』』

 

『スマイル~!!』

 

『『『『イエーイ!!』』』』

 

『紗夜!!あたし達があなたを笑顔にしに来たわよ!!』

 

突如として室内に響き渡る聞き覚えのあるフレーズを聞いて彼女たちは家を飛び出すと目の前にあったのは大きなトレーラー。

 

その中ではハロハピの面々が各々の楽器を持ってライブの準備を完了していた。

 

「すっごーい!!」

 

「相変わらずハロハピのやることはぶっ飛んでるね~☆」

 

「どういう・・・ことなの・・・?」

 

「すいません。紗夜さんの事を弦巻さんが聞きつけてしまって・・・」

 

「こころ達が紗夜を笑顔にしたいからって事でライブするとは言ってたけど。本当にやるとは思わなかったぜ・・・。

それにしても美咲の奴は本当にミッシェル着てライブしてるんだな・・・」

 

 

『それじゃ~行くわよ!!”笑顔のオーケストラ”!!』

 

こころの声と共に始まったハロハピゲリラライブに困惑するRoselia達を他所にライブの音を聞きつけて周囲から人が集まってくる。

 

それは瞬く間にSNSへと拡散されて、次第に人が集まってくる。

 

ゲリラライブによって大きな混乱になっていないのは彼女たちの裏で奔走する黒服たちの活躍に賜物である。

 

数曲を終えて周囲には沢山の人がハロハピを見ようと詰め掛けていた。

 

『あら?紗夜以外にも沢山のお客さんがいるわ!!』

 

『子猫ちゃん達。今日はとっても素敵な体験だったよ』

 

『はぐみもすっごい楽しかったよ!!』

 

『でも、紗夜の姿が見えないわね?』

 

『こころが名前呼ぶから恥ずかしがって出てこれないんだよ~』

 

『そうなのミッシェル?』

 

『ふえ~!!』

 

『どうやら、人が集め過ぎてしまったようだね・・・。儚い・・・』

 

『それじゃあ、このまま移動するわよ~!!』

 

こころの鶴の一声によってトレーラーが移動を開始するとそれの後を追うように観客も移動を開始して、Roseliaと弦太朗のみがその場に残っていた。

 

「如月。最初から何であんな手を使うのよ・・・」

 

「いや、俺じゃねぇぞ?」

 

「止められなかったので同罪よ・・・」

 

「でもこれなら紗夜さんも気になって出てくるんじゃないかな?」

 

「そうだね~。じゃあ紗夜の部屋に戻ろっか」

 

 

 

 

 

 

リサの声に従って全員で紗夜の部屋の前まで移動するが、紗夜が部屋を出た痕跡はない。

 

「氷川さんが出た痕跡がありませんね・・・」

 

「それじゃあ・・・次は私の作戦、行くわよ」

 

「友希那~。それでどうするの?」

 

「こうするのよ・・・。如月」

 

「おい。友希那何すんだ!!」

 

 

「えぇっと確か・・・こうだったかしら?」

 

友希那は突如として弦太朗の上着からドライバーを奪い取るとそのまま弦太朗の腰に当てて、見様見真似でベルトを弄るとカウントダウン始まる。

 

そしてカウントダウンが終わると、友希那は弦太朗を見るが彼は動かない。

 

「如月?何してるのかしら?早く変身しなさい」

 

「なんかよく分かんねぇけど・・・変身!!」

 

弦太朗は友希那の案が分からないがそのままフォーゼへと変身する。

目の前の変身による衝撃はリサたちに直撃するが、彼女たちは平然と衝撃に耐えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでしょう・・・何かいけないものを見てる気分に・・・」

 

「りんりん?」

 

「ちょっと友希那!?本当にドアをぶち破らせるつもり?」

 

「如月、スピーカーよ」

 

「・・・そういうことか!!」

 

――――ビートON――――――

 

フォーゼはビートスイッチを起動すると友希那の考えた案を理解したリサが叫ぶ。

 

「全員!!耳塞いで!!」

 

リサの叫びと同時に大音量の音が紗夜の部屋に向けて放たれ、それと同時に歌い始める友希那。

しかし、リサの叫びも虚しく対応できなかった燐子は大音量に耐え切れずにその場で目を回して気を失う。

 

その元凶たちは燐子の事に気が付かず1曲を歌い終えた友希那は満足そうな顔をしてリサたちへと向き直るが、目の前の光景が理解できずに首を傾げる。

 

「りんりんしっかりして!!死んじゃヤダよ!?」

 

「ちょっと燐子!?」

 

 

 

そこに広がっていたのは、目を回して意識を飛ばしている燐子を床に寝かせているあこの姿。

 

「・・・みんなして何をやっているの?」

 

「おい!!どうしたんだ!?」

 

「2人のせいだよ!!弦太朗と友希那さんのせいでりんりんが死んじゃった!!」

 

「このおバカさん!!2人して何やってるの!!それに燐子も死んでないからね!!」

 

「わりぃ・・・」

 

「ごめんなさい。でもこれで、紗夜が出てくる・・・あら?おかしいわね。出てきてないわ・・・」

 

友希那の歌とその後の騒動でも彼女が出てくる様子はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん。流石にアタシが紗夜だったとしても今のじゃ部屋を出たくないかな~」

 

「そんな・・・私の歌が紗夜に届かないなんて・・・」

 

「友希那さん!?」

 

自身の歌で紗夜が部屋を出てこなかったショックに友希那はその場に膝から崩れ落ちるが、保護者のリサはあえて彼女をスルーする。

 

「ふぅ・・・。それじゃ~次はアタシの番ってことでちょっと待ってて☆その間に2人は燐子たちをヒナの部屋に運んでおいて?」

 

その言葉と共にリサはキッチンへと消える。

取り残されたフォーゼは2人と日菜の部屋へと寝かせて紗夜の部屋の前へと戻り、キッチンへと消えたリサを待つ。

 

 

「お待たせ~☆やっぱ紗夜にはこれでしょ~」

 

そう言ってリサがキッチンから揚げたてのポテトを片手に姿を現す。

 

「リサ姉!!それだよ!!」

 

「弦太朗は知らないかも知れないけど、紗夜もヒナもポテトとかジャンクフードが好きなんだよね~」

 

「そんなもんで出てくるのか?」

 

「げんたろう!!紗夜さんはポテトがないと死んじゃうんだよ!!」

 

「う~ん。紗夜だったらそれは間違いじゃないかな~。って事でこれを紗夜の部屋の前においてアタシ達は離れるよ~」

 

リサはフォーゼとあこの背中を押して紗夜の部屋から離れるが、ポテトで紗夜をおびき出すのに部屋から離れる意味が分からないあこ。

 

「ねぇリサ姉?なんで部屋から離れるの?」

 

「それはアタシ達が近くにいたら出てこないと思うからね~」

 

「野良ネコじゃねぇんだから・・・」

 

「・・・・・・猫」

 

「友希那さん!?」

 

”猫”という単語を聞きつけて友希那はリサたちの元へと戻ってくる。

友希那が周囲を見回すと再び首を傾げる。

 

「・・・・・・?ねぇリサ。猫って言ってたのに猫がいないわ」

 

「たとえ話だからね~」

 

「そう・・・。にゃーんちゃんは居ないのね・・・」

 

猫がいないことが分かると友希那は日菜の部屋へと戻っていく。

全員が唖然とするが、リサがすぐに我に返って作戦の説明に戻る。

 

「それで、紗夜が出てきたら弦太朗が網で捕まえてね~」

 

「網?リサ姉?げんたろうはそんなのも出せるの!?」

 

「薫が言うにはそうらしいよ~」

 

「任せとけ!!」

 

――――ネットON――――――

 

スイッチの起動するとフォーゼの右足に網が現れる。

 

「足に網って変なの~」

 

「アタシもそう思うけど、今は紗夜・・・。って何か音が聞こえない?」

 

リサの言葉に全員がポテトに視線を向ける。

そこにはポテトへと迫る黒い影―――

影を見たフォーゼはその足を振り上げて影をネットに捉える。

 

「ホントに何か寄ってきたな・・・」

 

「紗夜さん!!」

 

「とりあえず確認しよっか」

 

リサの言葉と共に彼女たちはネットで捕らえた影へ向かって歩み寄っていった。

 




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それでは皆さん用2021年の終末を・・・


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哀・夜・更・改-4 ポテポテ!!作戦会議

2022年あけましたおめでとうございます。
ということで投稿です(2021年に予約投稿設定)




 

「おい、マジで紗夜はポテトで釣られるのか・・・」

 

「まぁ、紗夜だからね~。・・・でも、ドアが開いたようには見えなかったけど・・・」

 

 

 

 

 

 

「リサ姉!!捕まったのは紗夜さんじゃないよ!!」

 

ネットの元へと歩く2人よりも先に駆け出したあこの声が響く。

 

「えぇ!?じゃあ誰が・・・」

 

「紗夜以外にも釣れるのか・・・」

 

2人はあこに追いついてネットの中を確認するとそこにいたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナ!?何やってるの!?」

 

「妹もポテトで釣れるのかよ・・・」

 

そこにいたのは仕事でここにはいないはずの日菜。

彼女は床に置いてあったポテトに飛び掛かったのをフォーゼのネットによって捕縛されてしまった。

いるはずがない彼女が現れたことに疑問を覚えたあこがその理由を日菜へと質問する。

 

 

「ひなちん!!まやさんとお仕事だったんじゃないの?」

 

「それなんだけど、アタシの収録はすぐ終わったから麻弥ちゃんおいて帰ってきたの」

 

「仕事してきたんだったらいいけど・・・」

 

「ゲンちゃん。ここから出してよぉ~!!」

 

「すまねぇ・・・。すぐ出してやるからな」

 

フォーゼはそのままネットのスイッチを切ると網の中から日菜が現れる。

彼女はポテトを片手に掴んでそれをおもむろに口に運ぶと途端に目の色を輝かせる。

 

「りさちー!!このポテト!!おいしーよ!!」

 

「まぁ、アタシの自信作だからねぇ~。ちゃんとヒナの分も作ってあるから」

 

「リサ姉!!あこも食べたい!!」

 

「じゃあ、キッチンに取りに行くねー。後、ヒナの持ってるのは紗夜の分だからねー」

 

「はーい。あこちゃん!!一緒に食べよー!!」

 

「うんっ!!」

 

「じゃあ、アタシは燐子たち呼んでくるから待ってて」

 

日菜は手に持っていたポテトを紗夜の部屋の前に置くとあこと2人でリビングへと消え、リサも燐子たちの様子を見に日菜の部屋へと入っていくのを確認するとフォーゼも変身を解除して日菜達の後を追

った。

 

 

 

 

「それで、おねーちゃんはどうだった?」

 

「紗夜さん、まだ出てこないよ~」

 

「やったのは、紗夜の部屋に向けて大きな音を流したのとポテト置いただけだけどね~」

 

「次は紗夜を出して見せるわ・・・」

 

「もう!!友希那はちゃんと反省して!!」

 

「でも、紗夜の事をどうするんだ?本当にドアをぶち破るか?」

 

「それは最終手段ってことで、燐子は何かいい案がある?」

 

ここでリサは紗夜の事をどうするかを今までに案を出していない燐子へと意見を求める。

 

「私・・・ですか・・・?」

 

「友希那はまた歌うだけだと思うからね~。それにあこの話は聞いたから次は燐子じゃない?それにヒナはワタシに紗夜の事話す前に何かしらやってるでしょ?」

 

「リサちーに話す前に色々やってみたけどダメだったよ・・・」

 

「リサ。次はさっきとは違うわ・・・」

 

「それ曲違うだけだよね?」

 

「・・・・・・違うわよ」

 

「その間は図星だよね~」

 

「・・・・・・」

 

 

リサの指摘によって友希那は言葉を失い、そのまま案が出ないままリビング内が静寂に包まれる中であこが何気ない言葉で沈黙を破る。

 

 

 

「そういえばなんで紗夜さんは部屋から出てこないんだろう?」

 

「あこちゃん・・・?」

 

「あこ。急にどうしたの?」

 

「だって!!あこ!!紗夜さんが部屋から出ない理由を聞いてないんだもん!!」

 

「大体検討は付くけど一応まとめてみよっか」

 

「わかりました・・・」

 

リサの言葉を聞いた燐子は自身のカバンからノートを取り出して広げてペンを手に取る。

 

「考えられるのはスイッチでしょうか・・・」

 

「そうでしょうね。日菜を自分の手で怪我をさせたのだから・・・」

 

「それに日菜さん以外の人も・・・」

 

「それは頭の中がおかしくなっちゃったからやったことで・・・紗夜さんは悪くないよ!!」

 

「でも、紗夜だから気にしてると思う・・・」

 

「それにおねーちゃんが罪悪感を感じて、警察とかに言っても相手にされないんじゃないかな?」

 

「まぁ、『スイッチ使って怪物になった自分が人を怪我させました』って言っても信じらんねぇだろうな・・・」

 

その言葉に全員が声が止まる。

 

 

 

この街には怪物になった人を裁く法は無い―――

 

そのため多くの人を傷つけてしまった紗夜の罪を誰かが裁いて罰を与えられることはなく、その事が紗夜の事を大きく苦しめていた。

 

 

しかし、その事をここにいる自分たちではどうすることをも出来ない。

そう考えたリサは出来る限り明るく振舞い、弦太朗に別の話を振ることにした。

 

 

「弦太朗、前の学校でスイッチ使った人が紗夜みたいに学校に来なくなる事ってなかった?」

 

「天校の時にもスイッチを使ったやつが学校に来なくなったことがあったな。学校行ってもスイッチを探しちまうって言ってな・・・」

 

「ゲンちゃん!!その時はどうしたの!!」

 

「その時はライダー部とそいつの恋人と一緒に家に行って説得しに行って、その後は自分で立ち直って学校に来るようになったぜ」

 

「恋人かぁ~。青春だねー・・・☆」

 

「でも紗夜さんに恋人なんていないよね?」

 

「ならゲンちゃんがおねーちゃんの恋人になってよ!!」

 

 

 

 

 

「ダメだよ!!」

 

「リサ?どうしたんだよ?」

 

日菜の言葉に目の色を変えたリサが声を挙げて反対する。

その様子に弦太朗達は驚くがリサはその様子を気にする様子もなく自身の恋愛観を語り始める。

 

 

 

 

「あのね!!お店でポテトを注文するみたいな感じで、恋人になるなんてダメだよ!!

それに恋愛って言うのは・・・もっとこう・・・。そう!!お互いの事を良く知って時間をかけてするものだよ!!」

 

「リサ?何を言ってるの?」

 

「今井さん。この前恋愛小説を読んでましたから・・・」

 

「とにかく!!そんな軽い気持ちで恋人になるなんてダメ!!」

 

「でもリサ姉?それ以外に何かいい考えある?」

 

「それは・・・」

 

自身の恋愛観を語ったリサはあこの言葉にいい案が出せない。

でも、この場で自分が対抗案を出さなかったら紗夜と弦太朗が恋人同士・・・。

そんなことになろうものなら止められなかった自分の身が危ないことを察してしまっていたリサは必死に案を考える。

 

 

 

「あの・・・。1つ良いでしょうか・・・」

 

「燐子?何かいい案が浮かんだのね」

 

「いえ・・・そうではないんですけど。氷川さんがどうしてあんなものを手に入れたんでしょうか?

それに使った理由も分からないですし・・・」

 

「そうだよ!!どうやって手に入れたかは分かんないけど!!使う理由が無くなれば・・・!!」

 

「紗夜さんが閉じこもる理由もなくなるってことだね!!」

 

「・・・それで何か心当たりはあるかしら?」

 

「それは紗夜と同じ学校の燐子と弦太朗の方が詳しいんじゃないかな?」

 

「俺は特に分かんねぇな。学校来た頃から紗夜の奴、ツンツンしてたしな・・・」

 

弦太朗が即答するが、燐子は考え込む。

紗夜の様子が変わってから今に至るまで、彼女が何を思っていたのか・・・。

 

そして皆の視線が集まる燐子はとある言葉を呟く。

 

「”風紀”・・・」

 

「燐子ちゃん?どういうこと?」

 

その呟きの意味が分かっていない一同を代表するかのように日菜が最初に声を挙げ、燐子が応える。

 

 

 

「氷川さん。如月さんが来る少し前くらいからだんだんと厳しくなったような気がして・・・」

 

「如月が来る前から?それっておかしくないかしら?」

 

「そうだよりんりん。げんたろうが来た時じゃなくて来る前からなのって変じゃない?」

 

「うん・・・。最初は1月くらい前に如月さんが学校に来た時から凄く校則に厳しくなったんだけど。その前からも少しずつ厳しくなっていったような気がして・・・」

 

「確かに紗夜が練習中のリサの服装とかあこの言葉とかに注意始めたのもその辺りじゃないかしら?」

 

燐子の説明にRoseliaでの活動中の紗夜の言葉を思い出す友希那。

それを聞いたリサは1つの結論を思いつく。

 

 

「つまり、弦太朗が来る前から様子がおかしくなり始めてて、弦太朗がヒナと電話した時に爆発したってこと?」

 

「そうだと思います・・・。如月さんが学校に来た日に化け物騒ぎが学校で起こって、その時の様子がおかしかった。と市ヶ谷さん達から聞いてますから・・・」

 

ここまでの話で紗夜の事が分かり始めた一同。

そして1つの妙案がリサの脳内に浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、アタシにいい考えがあるんだけど・・・」

 

そして、リサはこの場で自身の案を皆に伝えて、1名が複雑そうな顔を示すが皆の説得によって納得してリサの案を決行することになった。

 

 

 

 

 

「・・・ってことで、悪いんだけどヒナ。今日は・・・」

 

「今、麻弥ちゃんに連絡したらお泊りしても大丈夫だって!!」

 

「それで明日は日菜以外で紗夜を迎えに行けばいいんだな」

 

「うん!!って事でみんなよろしくね~!!迎えに来ても出てこなかったら。弦太朗がドアを壊して学校まで引き摺って行くってことで」

 

「上手くいくでしょうか・・・」

 

「分かんないけど。紗夜さんがポテトで釣れないんだから強引にでも連れ出さないと・・・」

 

「そうね。早く練習に復帰してもらわないと困るもの・・・」

 

「それじゃあ、帰るよ~」

 

こうして紗夜だけを家に残して、一同は氷川家から去っていく。

 

 

 

そして翌日。

この作戦が大騒動を起こすことを彼女たちはまだ知らない。

 





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哀・夜・更・改-5 始まりは紗夜時雨と共に

2022年初執筆でござる。
今回はがっつり紗夜さん視点です・・・

そしてリサ姉の案とは・・・
多分みんな分かってるよね?



先日の事件を起こしてから私―――氷川紗夜は部屋に引きこもっている。

昨日から登校日だったが部屋を出ることはなかった。

 

そして、薄暗い部屋の中で私が狂い始めてしまった時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、1月近く前の雨の日―――

Roseliaの練習帰りにある考え事をしながら私は歩いていた。

 

それは学校に来ることになっている男子生徒の事だ。

どんな人か分からないし、学校にどんな影響があるか考えると不安になっていた。

 

 

そんな考え事をしながら歩いていたためかいつもとは違う道に入ってしまった。

そこで私は見知らぬ"白い服"の女性とぶつかってしまい、その女性の荷物を辺り一面に広がってしまった。

 

 

その荷物は見たことのないUSBやメダルなど私には理解できないものだったが、ぶつかってしまった私はその荷物を拾っては女性に手渡していた。

 

そして、全て拾い集めたのか女性は礼だと言って、懐から2つの黒いスイッチを私に手渡す。

 

スイッチの意味が分からなかったが女性は「妹と一緒に使うといい」という言葉を残して気がつけば目の前から消えていた。

 

 

 

 

 

それにしても、なんであの女性は妹がいることを知っていたのだろうか・・・。

妹の事はおろか、私の事は何一つ話してはいなかった。

 

その女性に不信感を抱いたが、受け取ったスイッチを捨てようという考えにはならず、私の身体は勝手にスイッチを押していた。

 

押したと同時に私の身体は人外のそれに変わる。

体中から力が溢れてくる感覚に酔いしれ、私は新しいおもちゃで遊ぶ子供のようにスイッチの力を一通り試してからスイッチを切って元の身体に戻る。

 

スイッチの力に魅せられた私は1つの結論に至る。

 

 

 

この力は私だけの物―――

日菜には絶対に渡さない―――

 

 

そう誓って家に帰ると誰にも見られない様にスイッチの1つを部屋の小物入れに隠す。

 

そして次の日、学校に来た男子を見て怒りを覚えた。

集会で舞台の上で挨拶をしているのは絵にかいたような不良。

 

怒りが浮かび私はポケットに入れていたスイッチに手を掛けたが、なんとか怒りを堪えてスイッチから手を離した。

 

 

その後、怪物騒ぎがあったが私は手に持っていた理由が見当がついていた。

この学校の誰かが私と同じものを持っているのだ。

 

これが他の人に知られるとまずいと思った私は、目の前の彼に全ての責任を押し付けようとしたが失敗した。

 

その後も彼を中心に戸山さんや弦巻さん達と一緒に楽しそうにしている彼を見ると黒い感情がこみ上げてスイッチに手が伸びるが、風紀を守る立場にいる私がそれを乱すことが出来ずに思いとどまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは容易く崩れた。

 

彼が日菜と電話で楽しそうに話しているのを聞いて、彼に手を挙げたがその後に待っていたのは”停学”という処分。

そして同じ日にあったライブでは日菜がRoseliaのギターとして舞台に上がった。

この2つの出来事から私は1つの結論に至った。

 

 

 

 

 

 

彼と日菜のせいで私の居場所を奪われた―――

 

 

その後は日菜を含めた多くの人を傷つけて、そして最後はRoseliaのメンバーすら―――

 

しかし、最後は彼―――如月さんによって私の凶行は止められた。

 

 

 

2つのスイッチを砕かれて気を失った私は自室のベッドの上で意識を取り戻した。

 

そこにいたのは今井さんと白金さん。

その時に私の使っていたスイッチの事を聞いていたが私はスイッチを失った喪失感から何も話すことができなかった。

 

意識を取り戻した翌日、私は外を出歩いていた。

目的などない。強いて言えば部屋に来るであろうRoseliaの人たちから逃げたかったのだろう。

 

外を出歩いて辿り着いたのはスイッチを手に入れた路地。

勿論だが、そこにスイッチを渡してくれた白い服の女性は見当たらず、連日その女性を探し回ったが見つけることが出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

喪失感を感じながら街を歩くと、私は日菜を襲った現場に辿り着いていた。

 

現場には薄くなってはいるが血の跡が残っていた。

それを見た私に襲い掛かったのはとてつもない罪悪感。

 

フラフラとした足取りでなんとか自宅へと戻るとそのままトイレへと駆け込み胃の中の物をすべて吐き出す。

 

全てを吐き出してからそのまま自室へと戻って着替えるために衣装棚を開く。

 

 

 

 

 

 

開いた棚の中にはスイッチを使って襲った人たちから回収した凶器が無造作に押し込まれていた。

 

私はこんな目の前にある凶器よりも恐ろしいものを使って人を襲った挙句、再びそれを手に入れるために探し回っている自分がいるという事実に恐怖を覚えた。

 

私は部屋のカーテンを閉めて荷物をドアの前に乱雑に積み上げて部屋に閉じこもる。

 

多くの人を傷つけた罪悪感と再びスイッチを求める飢餓感に襲われる中、気がつけば何日も過ぎて登校日になっていたが私は部屋を出ることはなかった。

 

 

 

 

どれほどの時間がたったのだろう―――

気がつけばカーテンの隙間から夕日が差し込み始めていた。

 

呆然と室内に閉じこもっていた私の耳に懐かしさを感じる声が届く。

 

 

『完全に閉じこもっていますが・・・どうしますか・・・?』

 

この声は白金さん―――

同じ学校だから様子を見に来たのだろうか?

 

恐怖心に襲われる中、なんとか立ち上がってドアの前まで行こうとしたが白金さんの後に聞こえてきた声によってその動きは止まった。

 

『如月。ドアをぶち破って入りなさい』

 

 

その声の主は湊さん―――

 

声を聴いた途端、湊さんから言われたあの言葉が私の頭に思い浮かび心を抉る。

 

 

 

 

 

 

 

 

『紗夜。私は今のあなたとは頂点を目指せないわ・・・』

 

 

 

 

 

その言葉を思い出すと力なくその場にへたり込むと呼吸が乱れる。

湊さんの言葉によって私は過呼吸になってその場を動けずにいた。

 

その後も部屋の外から今井さんや宇田川さん、それに弦巻さん達の歌声が聞こえるがそれを気にする余裕は私には無い。

 

弦巻さんの歌声が止むと部屋は静寂に包まれる。

しかしその静寂も束の間、次に響いてきたのは湊さんの歌声。

 

今の湊さんの歌声もとても素晴らしい物なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、今の私にとってそれはそれは猛毒だった。

 

「ぅぁぁぁあああぁああ・・・」

 

湊さんの歌声に耳を塞ぎ、声にならないようなか細い声を挙げてその場に倒れる。

彼女の歌が素晴らしい物なのは良く知っている。

しかし、その声が耳に入ると頭の中では先日の言葉を思い出して私の心を抉る。

 

 

 

どのくらい時間がたったのだろう―――

いつの間にか湊さんの歌が止んでいた。

 

そして、部屋の外からは揚げたてのポテトの匂い。

最近ろくに食べ物を口にしていなかった私は匂いにつられてドアへと力なく這って行く。

 

しかし、それも外から聞こえた言葉によって止まってしまった。

 

『ヒナ!?何やってるの!?』

 

 

日菜が部屋の前にいる―――。

その事だけで私が動きを止めるには十分だった。

 

今まで何度も扉越しに声を掛けてきていた日菜だが、会話はおろか、あの事件の後から一度も顔を見てはいない。

 

それから少しすると玄関の開く音が聞こえる。

どうやら湊さん達は帰ったのだろう。

 

しかし、そう思った途端ドアからノックする音が響く。

 

 

湊さん?それとも日菜?

 

その正体が誰か分からない私は激しく動揺する。

しかし正体はそのどちらでもなかった。

 

 

 

「・・・紗夜?聞こえる?」

 

「・・・今井さん」

 

その正体は今井さん。

私の声が聞こえているかは分からない。

 

でも、彼女はドア越しの私に話しかける。

 

「紗夜。ヒナは少しの間だけど麻弥の家に泊まることになったから。ヒナの話を聞くとまだ話しにくいんだと思ってさ」

 

「・・・」

 

私は今井さんの言葉に答えない。

いや、なんて言葉を返せばいいか分からなかった。

言葉を返さない私だったが、今井さんはそのまま話を続ける。

 

 

「それで明日なんだけどさ・・・。早い時間になるけどアタシと燐子と弦太朗の3人で迎えに行くからね。最初は5人で来るつもりだったんだけどさ、友希那はポンコツだし、あこは家の方向が違うから3人でってことになったんだ。それに人数も少ない方が紗夜も気が楽でしょ?」

 

3人で迎えに―――

 

確かに湊さんに比べたら如月さんのほうが幾分かマシかもしれない。

でも、あの不良とした見た目を前にして私は前のようにならないか不安が襲う。

 

「こんなことしたくは無いから言うんだけど。明日は多少無理しても学校に連れて行くからね。いつまでも閉じこもっても紗夜のためにはならないと思うからさ。それじゃ~。あっ、キッチンに紗夜のポテトあるから早く食べてね~☆」

 

そう言うと部屋の前から今井さんの声が消え、少し経つと窓の外から今井さんの声が聞こえてきた。

 

私は震えながら部屋を出るが、家の中には誰もいない。

とりあえずシャワーを浴びてから、キッチンへと向かうと、そこは量は少ないが今井さんが言っていたポテトがあった。

 

私はそれを手にとり口に運ぶ。

 

 

手で持っているとサクサクしているはずなのに口に入れると途端に水気が増して妙にしょっぱい。

料理上手な今井さんでもこんなミスがあるんですね・・・。

 

こうして私はポテトを食べ終えると部屋に戻ってベッドへと入る。

 

 

 

入った途端に私は意識は遠退き、気がつけばカーテンの隙間からは朝日が差し込んでいた。

 

「今日は白金さん達は迎えに来るんでした・・・」

 

そう呟いてベッドから出ようとするが、ある考えが私の頭に浮かびあがる。

 

 

 

 

このまま外に出てもスイッチを探し始めてしまうのではないか―――?

 

そう思った途端、恐怖に身体が震えだす。

 

震えてるうちに部屋のドアがノックされる。

 

「氷川さん・・・?いますか?」

 

外から聞こえてきたのは白金さんの声。

先日の言葉通りに迎えに来たようだが、私はまだ制服に袖を通しておらず何も準備が出来ていない。

 

 

 

 

「紗夜~?起きてる~?入るよ~ってドアが開かない!!」

 

「まさか・・・中で倒れてるんじゃ・・・!!」

 

「弦太朗!!ドア壊して!!」

 

「おう!!」

 

「ぁ・・・」

 

私が声を出そうとしたが、最近声を出してなかったせいか上手く声が出せない。

部屋の外から聞こえてきたのはチェーンソーの駆動音。

 

「まっ・・・」

 

 

 

 

 

 

しかし、私の声は外には届かず無常にも私の部屋のドアはズタズタに切り裂かれた。

 

ドアの向こうには先日私と闘った時の姿をした如月さん。

その足にはチェンソー。

 

なんで足にチェーンソーなんでしょうか・・・。

 

そして、ドアだったものの端から顔を出すように今井さんと白金さんがこちらの様子を伺っていた。

 

「氷川さん・・・!!」

 

「紗夜!!何もなかったんだね!!ってまだ制服に着替えてなかったんだ」

 

「えぇ・・・」

 

私はなんとか声をふり絞って2人に答えるとどこか安心したような顔を浮かべていた。

1人は全く表情が見えないが何か安心したような様子なのは理解することは出来た。

 

「うん。じゃあ紗夜は燐子と一緒に別の部屋で着替えてきて。燐子よろしくね」

 

「氷川さん・・・」

 

私は2人に言われるがまま別の部屋で身支度を済ませて、カバンを取りに行くために自室へと戻るとそこには今井さんと先ほどと同じ姿のままの如月さんが掃除をしていたが、私の存在に気が付いて掃除中の今井さんから声がかかる。

 

「あっ紗夜。準備出来たんだ。はい、これカバンね。今日使う教科書も弦太朗に授業を聞いてちゃんといれてあるけど一応確認しておいてね。あと、これが紗夜のお弁当で・・・」

 

今井さんは私にカバンを渡すと矢継ぎ早に話しかけてくるが、授業で使う教科書もですが何でお弁当まで用意してくれているんですか・・・。

 

それに部屋もドアだったもの以外は全て綺麗に片付けが終わっていることに先ほどとは違う、恐怖を今井さんに覚えたが彼女は気にする様子はない。

 

「あの・・・そろそろ学校に行かないと遅刻してしまうんじゃ・・・」

 

「それもそうだね~じゃあ、ドアだったものは後で何とかするとして・・・。そろそろ学校行こっか。弦太朗もいつまで変身してるの?」

 

「おう。じゃあ行くか」

 

そう言って如月さんはベルトに手を掛けると彼を中心に白い煙が吹いて彼が姿を―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って誰ですか・・・?」

 

そこにあったのは特徴的な髪型をした不良の姿ではなく、髪をおろして青いブレザーを身に纏っている男の人の姿だった。

 




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哀・夜・更・改-6 プロジェクトLISA・始動!!

戦闘描写がないって?
私もそう思った。
でも、そろそろ戦闘したいとは思うけど・・・。

アンケは選ばれなかった方は小ネタ行きです。
でもハロハピ篇とは違って真面目に書きます。


「誰ですか・・・?」

 

変身を解いた弦太朗だがその姿はいつもの学ランとは異なり、青いブレザーで特徴的なリーゼントもない。

その姿は正しく好青年のそれだが、その弦太朗の姿を見て状況が全く理解できない紗夜は困惑を隠せず思わず呟く。

 

「紗夜何言ってんだ?」

 

「いや、紗夜のほうが正しいからね?普通は弦太朗って分かんないからね?」

 

「本当に・・・如月さん・・・?」

 

「今井さん・・・。如月さんも・・・もう掃除は終わったんですか・・・?」

 

「えっ・・・?」

 

「燐子。こっちはもう終わってるし、紗夜の準備も終わったから学校行こっか。っとその前に~」

 

リサの言葉を聞いても紗夜は目の前の青年が弦太朗である事が信じられないが、後から紗夜の部屋に戻ってきた燐子の言葉を聞いて固まってしまう。

その様子を見たリサは面白いことを見つけた子供のような笑いを浮かべる。

そして自身のスマホを取り出すと弦太朗を紗夜を撮影し、そのままスマホを操作を続けると、燐子と紗夜のスマホが同時に震える。

 

「ってリサ。お前何やってんだ?」

 

「ん~。面白そうだったから紗夜と弦太朗のツーショットをみんなに写真送っちゃった~」

 

「なぁ燐子?そんな面白いか?」

 

「いえ・・・。見慣れてないせいか・・・。物珍しいと言うか・・・。新鮮味がありますね・・・」

 

「そうか。天校でも同じような反応だったからな」

 

「・・・」

 

弦太朗達のやり取りを前にしても紗夜は未だに今の出来事に頭が追い付かずに固まってまま動かない。

リサは紗夜の手をカバンごと掴んで玄関まで歩き出す。

されるがまま紗夜だが、玄関に近づくにつれて紗夜は無意識に外に出ることに抵抗する。

無意識に抵抗を始めた紗夜に3人は心配そうに見つめる。

 

「どうしたんだ?」

 

「紗夜・・・?」

 

「氷川さん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや・・・。怖い・・・」

 

抵抗しながら紗夜は力なく呟く。

そんな中弦太朗は紗夜に向かって叫ぶ。

 

「紗夜!!俺を呑み込め!!」

 

「は・・・?」

 

「如月さんはまた意味の分からないことを・・・」

 

「よし!!紗夜行くよ!!」

 

弦太朗の言葉に紗夜は唖然とし、そんな様子に燐子は頭を抱える。

そんな中リサは紗夜の抵抗が弱まったのを気が付き、そのまま靴も履かないまま強引に紗夜を外へと連れ出す。

 

「あっ・・・」

 

「ほら大丈夫でしょ?このまま学校行こ!!」

 

「おいリサ!!靴!!」

 

「待ってください・・・。鍵かけないと・・・」

 

こうして紗夜を連れ出したリサは靴も履かずそのまま学校へ向けて走り出すその後を弦太朗と燐子は2人は走って追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、弦太朗はすぐに2人に追いついて2人に靴を渡すとその場で履き始める。

 

「すいません・・・」

 

「悪いね。紗夜連れ出した勢いでそのまま行っちゃった」

 

「最初は驚いちまったけどな。すぐに燐子と一緒に追いかけたけどな」

 

「えっ?燐子なんていないけど・・・?」

 

弦太朗はリサの言葉に後ろを振り返るがそこに燐子の姿は無かった。

 

 

「やべぇ・・・。置いてきちまった」

 

「まぁ、目的地は一緒なんだからその内追いつくでしょ?」

 

「大丈夫か?それ・・・」

 

「まぁなんとかなるでしょ?それで弦太朗には悪いんだけどさ。紗夜の事頼んでいい?アタシも学校あるからさ」

 

「燐子もいねぇから仕方ねぇな」

 

「ありがとね~。アタシが手を離したら逃げ出すかもしれないからちゃんと捕まえおいてね。さっきも家から出ようとしたら抵抗してたからさ」

 

「そうだな。・・・これでいいか?」

 

「なっ・・・!?」

 

リサの言葉に弦太朗は紗夜の手を掴むと、紗夜は顔を紅くして狼狽える。

それを確認するとリサは手を離すとそのまま羽丘の方へと向けて歩き始める。

 

「じゃあ、アタシはこのまま学校に行くから。もしも何かあったらすぐに連絡して」

 

「紗夜の事は任せとけ」

 

「それじゃ放課後にはみんなで迎えに来るからね~」

 

リサはそのまま自身の学校へ向けて歩いていく。

その場には顔を紅くした紗夜と天校の模範服である青いブレザーを着た弦太朗だけが残される。

 

「うっし。じゃあ学校行こうぜ紗夜!!」

 

「・・・」

 

弦太朗が声を掛けるが紗夜からの返事は無いがそんなことは一切気にせずにそのまま手を引いて学校へ向かって歩き出すと、次第に花咲川の制服を着た生徒達が増える。

 

2人を見た学校へ向かう生徒全員が驚きのあまり弦太朗達へと視線を向ける

 

 

 

事情を全く知らない生徒達からしたら見たことのない制服を着たイケメンの男子生徒が停学になっていた女子の手を引いて学校に向かっているのだ。

 

 

そんな状況を面白がってか、彼女たちはその光景を写真にとるとそのまま同じ学校の知人達へと写真を送る。

その写真はどんどんと拡散していき、弦太朗達は学校に着くころには生徒のほぼ全員にその写真が出回ることになってしまっていた。

 

「なんか騒がしいな?みんなこっち見てるし・・・。紗夜は大丈夫か?」

 

「・・・」

 

弦太朗の問いかけにも紗夜は返事がない。

未だに彼女の顔は赤く染まったままで弦太朗に手を握られたことに対しての羞恥か、周囲に見られる羞恥に耐えているかは分からない。

 

 

周囲の視線を集めたまま2人は学校へと到着する。

しかし校門の前には弦太朗と紗夜の事を見ようとする生徒達が集まっており、校舎の窓からも何人もの生徒達が顔を校門へと向けていた。

そして、彼らの姿を見てた途端そこらじゅうで噂が流れ始める。

 

 

「あれ!!氷川さんと誰!?」

 

「ていうか、あの男子は何者!?」

 

「もしかして彼氏!?」

 

「嘘!?あの氷川さんに!?」

 

 

 

周囲の話のネタは停学開けの紗夜ではなく、彼女の手を引いている弦太朗。

弦太朗は何食わぬ顔で紗夜を連れて校舎内入ろうとするが、近くにいた警備員によって止められてしまうが、とある人物たちに声を掛けられる。

 

「あら弦太朗。今日はいつもの学ランじゃないのね」

 

「ゲンタローさん!!サヨさん!!おはようございます!!」

 

 

2人が呼んだ名前に周囲の生徒達はどよめく。

目の前のイケメンがあの弦太朗であることに驚いているのもそうだが、千聖達が弦太朗だと分かったことに対して驚きを隠せず様々な憶測が飛び交うが彼らは気にする様子もない。

 

 

「千聖にイヴ!!2人揃って登校か?」

 

「まぁ、そんなところよ」

 

「ゲンタローさんは何をされているんですか?」

 

「紗夜を連れてきたのはいいんだけど。俺が学校に入れなくてな」

 

「はぁ・・・それは当然じゃない・・・」

 

「ハジメテでは分からないと思います!!」

 

弦太朗の答えに呆れる千聖にイヴは自身が思っている事をそのまま口にする。

ここで千聖は弦太朗と紗夜の距離が近いことが気が付き視線を下げると、彼らの手が繋がれていることを見ると頭痛を覚えながらも千聖は話を続ける。

 

「それにしても・・・。何で弦太朗は紗夜ちゃんの手を握ってるのかしら?」

 

「学校行こうとしなかったからリサの奴が無理やり連れ出してな・・・」

 

「大体分かったわ・・・。紗夜ちゃんは私達が責任もって連れて行くから安心しなさい。イヴちゃん、紗夜ちゃんを教室に連れて行ってあげて」

 

「ブシドー!!」

 

「待って・・・」

 

紗夜の言葉は誰にも届かず、イブに腕を引かれながらそのまま校内へと消えていく。

その後は千聖と遅れてやってきた燐子の話によって弦太朗は解放されて3人で教室へと歩き出す。

 

 

 

 

 

「燐子も、千聖も助かったぜ」

 

「いえ・・・。氷川さんのためにやってくださってるんですから・・・」

 

「紗夜ちゃんのためだもの。それに私も間違えていたらああなっていたかもしれないもの・・・」

 

「とりあえず、今井さんの作戦は今のところ上手くいってますから・・・」

 

「燐子ちゃんも、弦太朗も何かあったらすぐに言いなさい。出来ることは協力するから」

 

「白鷺さん・・・。ありがとうございます・・・」

 

「良いのよ。・・・あら?教室のほうが騒がしくないかしら?」

 

「如月さんの事でしょうか・・・。それとも・・・」

 

「気にしても仕方ねぇだろ?そんなことより教室入ろうぜ」

 

 

弦太朗は教室のドアを開くと、そこには教室の中央にある紗夜の席を挟んで生徒達が2つに分かれている異様な光景だった。

 

2分されている生徒の先頭に立っているのはどちらも紗夜とはクラスが違う生徒・・・。

片方に至っては学年すら違う生徒が先頭に立って意見を交わし合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ~か~ら~!!如月くんは髪おろしたほうがカッコいいよ!!沙綾ちゃんだって前のリーゼントは怖いって思ったでしょ?」

 

「でも!!弦太朗はあの特徴的なリーゼントがいいんですよ!!彩さん!!髪おろした弦太朗なんて魅力半減ですよ!!」

 

「そうだ!!花音ちゃん達!!如月くんどっちのほうがいい?」

 

「そうです!!イヴと紗夜さんはどっちがいいんですか?それと紗夜さんは何で弦太朗と手をつないで仲良く登校してたのかきっちり話してもらいますからね!!」

 

「ふえぇー!!」

 

「えぇっと・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

先頭に立って意見を交わしていたのは彩と沙綾。

その間に挟まれて花音・紗夜・イヴがオロオロとしている姿に千聖と燐子は頭を抱え、弦太朗は訳も分からずそれを眺めていた。

 

その言い争いは授業をするためにやってきた教師・他の生徒達を巻き込んで昼休みに入るまで討論は続くのであった。

 




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哀・夜・更・改-7 Horde of Insects

投稿。
ポピドリを見に行ってモチベ上がりました。

あの星の描写の中に間違いなくXVⅡ紛れてるって思いました。

映画館に他の客いなくて貸し切り状態で見れたので最高でした〇
人が誰もいなかったから年甲斐もなく興奮して声出してもうた・・・

アンケートは勝手ながら終了しました。
今回はRoseliaENDのネタサイドの紗夜さんです


授業という名の討論会は結論が出ないまま昼休みに突入すると同時に弦太朗は紗夜を連れて燐子と共に紗夜の席へと向かうが、紗夜は自分の席に座り込み上の空で前を見つめていた。

 

「紗夜!!飯にしようぜ!!」

 

「氷川さん。大丈夫ですか・・・?」

 

「えぇ・・・」

 

「折角だから私達もいいかな・・・?」

 

「花音に千聖か!!」

 

「ちょっと!!私もいるよ!!」

 

紗夜の席に近づいてきたのは千聖と花音。

そして教室のドアが勢いよく開くと彩が弦太朗達へ向けて声を挙げる。

 

「あっ・・・彩ちゃんいたんだね・・・」

 

「もう少し落ち着きなさい?」

 

「ちょっと2人とも~!!」

 

「それにしても、ちょっと人数多いですね・・・」

 

「なら中庭に行かねぇか?」

 

「えぇ。紗夜ちゃんもそれでいいわよね?」

 

「そうですね・・・」

 

こうして一同は中庭へと繰り出すと、そこにはポピパを始めとしたバンドの2年生たちが全員集合していた。

そしで弦太朗達にいち早く気が付いたこころが声を挙げる。

 

 

 

「あら、弦太朗に紗夜じゃない!!中庭で会うなんて珍しいわね!!」

 

「それにかのちゃん先輩も一緒なんだ!!」

 

「紗夜ちゃんが戻ってきたから如月くんがみんなでご飯食べようって・・・」

 

「それはとっても素敵ね!!それならみんなで食べましょう!!」

 

こころの言葉と共にどこからともなく黒服が現れ、全員が座れるほどのレジャーシートを用意すると何事もなかったかのように去っていく。

 

ハロハピは慣れた様子でシートの上に座り始めるが、突然の出来事に驚きを隠せず唖然としていた。

 

「どうかしたのかしら?早くご飯食べましょう?」

 

「えぇ・・・。流石こころちゃんの家の人たちね・・・」

 

「千聖ちゃん?慣れないとダメだよ?」

 

「花音さんの言う通りですよ・・・」

 

「奥沢さんが言うと説得力がありますね・・・」

 

「ミッシェルに入り続ければそうなりますよ・・・」

 

「とりあえず時間も無いから早く食べちゃいましょう」

 

千聖の一言で全員がシートに座って食事を食べ始めるが、会話の話題は目の前の弦太朗についてで盛り上がる。

 

「それにしても弦太朗の髪の毛ってそうなってたんだね~」

 

「そういえば沙綾は初めてか」

 

「あたしもよ!!」

 

「じゃあ、先輩のこの髪型を前に見たことある人~」

 

たえは自分の発言と同時に手を挙げ、それに釣られるようにポピパからはりみと有咲、ハロハピからは花音がそしてパスパレは全員がその手を挙げる。

 

「えぇ~!!りみりんと有咲ずる~い!!いつ見たの!?」

 

「あたしはおたえと一緒に見たんだよ。その時は羽沢さんも一緒だったけど初見じゃぜってー分かんねぇからな」

 

「私はこころちゃんの家にお泊りした時に花音先輩と一緒に・・・」

 

「そういえば黒服さんから弦太朗達があたしの家にお泊りしたって聞いたわ!!」

 

「あの時はキツかったなぁ・・・」

 

「みーくん!?」

 

「美咲ちゃん!?しっかりして~!!」

 

「もう大丈夫だから揺らさないで~」

 

美咲はりみの言葉で当時の事を思い出して眼の光が消えるが、はぐみと花音がその体を強く揺さぶることで正気を取り戻す。

それを見た花音は興味本位で千聖達の事を聞いてしまった。

 

 

 

 

 

「そういえば、千聖ちゃん達はどこで見たの?」

 

「そう言えば日菜先輩とゲンちゃん先輩が一緒にお風呂入ったってパレオちゃんが言ってたよね?」

 

「RoseliaとロックでRASのライブを見た時に言ってたね。その時に先輩を見たのかな?」

 

 

香澄達の答えを聞いたハロハピは1人を除いて驚きを隠せなかった。

そしてその答えが事実であるパスパレのメンバーは申し訳なさそうに肩身を狭くしていた。

 

「そうなのね!!なら今度はあたし達と入りましょう!!」

 

「こころん!!それはダメだよ!!」

 

「はぐみでもダメって分かるのにアイドルが何やってるんですか・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

「だって気になっちゃったから・・・」

 

「私としたことがあの時は彩ちゃん達に乗せられてしまったわ・・・」

 

「一緒にお風呂・・・///」

 

こころが一緒に入ろうと提案するのを止めるはぐみ。

その光景に驚きつつも、アイドルらしからぬ行動に呆れ果てる中、その光景を想像してしまった花音は燐子と共に顔を真っ赤に染める。

その様子が気になった美咲は燐子に近寄って小声で問いかける。

 

 

「って燐子先輩はあたし達と違って一緒に話聞いたんじゃないんですか?」

 

「いえ、話を聞いたら想像してしまって・・・」

 

「うわぁ・・・」

 

「あら?紗夜。そんな暗い顔してどうしたの?」

 

こころの言葉に紗夜のことを忘れていた美咲と有咲は冷や汗を流し出す。

互いに視線を送り合い、2人はこの場にいる紗夜へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「紗夜。折角リサが作ったんだから食え!!それに腹減ってたら力入んねぇからな!!」

 

「ハンバーグ・・・」

 

「おたえ!!紗夜先輩の弁当奪おうとすんな!!」

 

しかし、そこにあったのは目の前の話を全く聞いていなければ、手に持っている弁当にも手を付けていない紗夜とその紗夜に声を掛ける弦太朗達の姿。

 

「そうだわ!!紗夜の事を笑顔に出来るものを探しましょう!!」

 

「こころん。笑顔に出来るものって?」

 

「分からないから探すのよ!!」

 

「はぐみもいくよ~!!」

 

「すいません。私たちはこれで・・・。ちょっと2人とも!!」

 

そうしてこころ達はこの場を去っていくのとほぼ同時に昼休み終了のチャイムが鳴る。

弦太朗達が教室へと戻ると午前中までとは違い、通常の授業が開始される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その授業中に突如として悲劇は起こった。

 

授業中に教室を飛び回る虫。

教室にいるものはそれを追い払いながら授業を受けているが、次第に追い払う回数が増えていく。

虫に嫌気がさした生徒の1人が教室の窓を開けた。

その途端、大量の虫が教室内へとなだれ込む。

 

 

 

「「「いやぁああああああああああああああああああ!!」」」

 

教室には教師と生徒たちの悲鳴が響き渡る。

しかし、それはこの教室だけではない。

 

その叫びは他の教室へと連鎖してそして、学校中が悲鳴に包まれると同時に数人の生徒達が虫から逃げるべく教室から飛び出していく。

 

そのまま大量の虫たちは教室内を飛び回ると一斉に教室から去っていく。

残された教室内は千聖を始めとした生徒達が大量の虫を見たショックで倒れこむ姿。

 

 

 

 

明らかに普通ではない状態――

大量の虫が集まって飛んでいく様に弦太朗は覚えがあった。

阿鼻叫喚の教室内を見た弦太朗は自身のカバンからナゲジャイロイカを取り出すとそのまま起動すると、3つのナゲットが空を飛んで虫たちを追跡する。

 

虫を追っていったナゲットと入れ替わるように、教室のドアから勢いよく2人の生徒が駆け込んでくる。

 

「ゲンタローさん!!」

 

「先輩。今のはもしかして・・・」

 

「あぁ!!間違いねぇ・・・」

 

「・・・!!」

 

「サヨさん!!」

 

先ほどの異常事態を見た後の弦太朗の呟きを聞いた紗夜は駆け出す。

それを見たイヴは紗夜を捕らえようとするが躱されてそのまま教室の外へと消えてしまった。

 

「2人ともみんなを頼む!!」

 

「はい!!」

 

「うん・・・」

 

弦太朗も教室の生徒達を2人に任せるとそのまま教室を飛び出して紗夜を探すが見つからない。

宛てもなく走り回っていると残ったツナゲットが突如として弦太朗の前へと飛び出す。

 

その飛び出したツナゲットを追いかけると辿り着いたのは弦太朗が花咲川で最初に戦闘を行った校舎裏。

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・!!」

 

「紗夜!!」

 

そこには紗夜と見覚えのあるゾディアーツの姿。

はえ座のムスカ・ゾディアーツが紗夜へと迫っていた。

しかし、紗夜は逃げる素振りを見せることはなく、何かを求めるようにそのままムスカへと歩み寄る。

 

その姿を見た弦太朗はそのまま紗夜の元へと駆け出した。




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哀・夜・更・改-8 誘惑・黒い欲求

投稿。
ポピドリ見てモチベ上がってもポピパの人たち出てこないんよなぁ・・・
紗夜さんがどんどん歪んでしまってる・・・。



「スイッチ・・・」

 

目の前にいるムスカに縋るように手を伸ばす紗夜にムスカはゆっくりと近寄る。

ムスカの手の中にはスイッチが握られていたが、紗夜がそれに触れることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉらぁ!!」

 

弦太朗はムスカへ向けて飛び蹴りを食らわせようとするが、ムスカは瞬時にその体を無数の蠅に変化させると同時に弦太朗から距離を取る。

 

「紗夜!!大丈夫か!?それにしても・・・こいつはもうここまで出来るのかよ!!」

 

以前に天校で戦ったことのあるムスカ・ゾディアーツ。

しかし、その時は最初は力をうまく扱えていなかったのだが、今回のムスカは自身の力を使いこなし始めていた。

 

「すぐに終わらせてやる!!」

 

弦太朗はドライバーを腰に当てようとするが紗夜がドライバーを持った腕を掴んでそれを止める。

 

「待って・・・!!」

 

「紗夜!!」

 

突然の紗夜の行動に驚きを隠せない弦太朗。

その隙にムスカは弦太朗との距離を詰めるとそのまま弦太朗を投げ飛ばす。

 

「ってぇな!!」

 

「ふえぇ~おっきい蠅~!?」

 

「如月くん!!」

 

「花音!!彩!!なんで分かったんだ?」

 

「この小っちゃい子が教えてくたんだけど・・・。如月くんのだよね?」

 

その場に駆けつけてきたのは花音と彩。

花音が手を出すとその手に1つのツナゲットが降りる。

ツナゲットを見つけた2人はそれを追いかけてここまで辿り着いたのだ。

 

「2人とも紗夜を頼んだ!!」

 

 

 

 

「うんっ!!」

 

「紗夜ちゃん!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

2人は弦太朗の言葉を聞いてそのまま紗夜の腕を引いて後ろへと下がると同時にドライバーを装着する。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

弦太朗は紗夜達が離れるとすぐにフォーゼへと変身する。

そしてすぐさまムスカへと駆け出しながら両手を上に突き上げる。

 

「宇宙キター-------!!仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

 

 

 

「あれ走りながらでもやるんだね・・・」

 

「あはは・・・でも、如月くんらしいとは思うよ・・・。日菜ちゃんと被って見える時あるよ・・・」

 

「・・・っ!!」

 

呆れながらフォーゼを見る花音と彩とは、日菜の名前が出て表情を暗くする紗夜は静かに目の前の出来事を見つめていた。

 

「ハエにはこいつだ!!」

 

 

 

 

 

――――ネットON――――――

 

フォーゼは以前に戦った時のようにネットを使用して無数の蠅に分裂したムスカへ向けて振るうが、先ほどまでの紗夜の様子が気になってしまいムスカを捕らえられずにいた。

そんな状況にフォーゼは次第に焦り出す。

 

「こいつ・・・っ!!」

 

「如月くん!!大丈夫なの!?」

 

「彩!!心配すんな!!・・・それならこれで!!」

 

ムスカを捕らえられないフォーゼはネットを切る素早くスイッチを交換する。

 

 

 

――――ジャイアントフットON――――――

 

――――――エアロON――――

 

左足のエアロによって分裂した蠅ごと周辺の空気を吸い上げることによって周囲の蠅を纏めて、纏まった蠅をジャイアントフットによって全て踏みつぶすために足を連続で振り下ろす。

 

空中に出来た複数の巨大な足は特大の土煙をあげながら大量の蠅を踏みつぶすと、蠅が集まって1体のゾディアーツへと姿を変える。

 

「すごい!!1つに纏まったよ!!」

 

「如月くん!!ガンバって・・・!!」

 

「次はこいつだ!!」

 

――――――スタンパーON――――

 

スタンパースイッチを起動してフォーゼはそのままムスカへとスタンパーによる蹴りを連続で食らわせる。

 

その攻撃によってムスカの身体にはフォーゼの顔のマークが複数浮かび上がるがる蹴り自体のダメージも小さい。

 

「まずいよ!!花音ちゃん!!あれ効いてないよ~!!」

 

「なにあれ?顔・・・かな?」

 

彩が慌てる一方で横にいる花音は彩が慌てる分だけ冷静になっていた。

目の前ではフォーゼの蹴りを受けて平然としているムスカ。

身体のいたるところにマークを気にする様子もなくそのままフォーゼへと飛び掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、飛び上がったムスカは身体に着いたマークが一斉に弾け出す。

 

「ふぇ!?」

 

「えっ!?急に爆発した!?」

 

「もしかしてさっきのが・・・?」

 

彩は突然の出来事に驚くが、花音はその事に驚きながらもその原因を呟く。

フォーゼは爆発のタイミングが同じになるように調整してスタンパーを使って蹴りを食らわせていた。

その爆発とムスカが飛び出すタイミングが重なり、ムスカは受け身も取れず地面へと叩き落とされて突然起こった衝撃の理由が理解できてずに地面を這いずる。

 

「よしこれで・・・!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「紗夜ちゃん!!」

 

紗夜が突如として戦闘中のフォーゼとムスカに割って入る。

その行動に動きを止めてしまうフォーゼとムスカ。

全員の視線は紗夜へと集まる中、紗夜は構わずに言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた!!どこでスイッチを・・・!!答えて!!」

 

「・・・」

 

「待ちやがれ!!」

 

しかし、ムスカは紗夜の叫びに答えず、身体を無数の蠅に変える。

フォーゼもそれに気が付いてムスカを捕らえようとするが目の前に紗夜が目の前にいたため行動が遅れ、そのままムスカはフォーゼの前から姿を消し―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってください・・・!!待って・・・」

 

紗夜の縋るような声だけが響く中、変身を解いた弦太朗に花音たちが駆け寄る。

 

「如月くん!!紗夜ちゃん!!大丈夫?」

 

「こっちは大丈夫だ。それにしてもおたえ達もだけど、良く花音たちも平気だったな・・・」

 

「あはは・・・。前にロケでジャングル行かされた時にね・・・」

 

「私は彩ちゃんに起されたんだけどね・・・」

 

「なんつーか・・・。彩はすげぇな・・・」

 

理由を話す彩の姿には哀愁が漂う。

その理由に驚き、言葉を詰まらせる弦太朗に対して、紗夜は静かに下を向いていた。

 

「紗夜ちゃん?」

 

「紗夜!!心配すんな!!お前は俺のダチだ!!今度出てもお前を守ってやるからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけないで!!」

 

弦太朗は紗夜に話しかけるが、その言葉を聞いた紗夜は声を荒げそのまま声を挙げる。

 

「スイッチが目の前にあったのに・・・、何で邪魔したんですか!!」

 

「ふぇ・・・?紗夜ちゃん・・・。何言ってるの・・・?」

 

「今日も休み時間にスイッチを探して!!それでようやくスイッチを目の前にしたのに・・・!!」

 

「紗夜!!お前にはスイッチは必要ねぇ!!支えてくれる”日菜”や”友希那達”がいるだろ!!」

 

「日菜や大勢を傷つけた!!湊さんやみんなに拒絶された!!」

 

「違うよ!!日菜ちゃんや友希那ちゃんは・・・!!」

 

「違わないわ!!

何もかも失くしてしまった私は・・・、もうあれに縋るしかないじゃない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜はその言葉を残して泣きながら現場から駆け出してしまう。

弦太朗はその姿を見て追いかけようとするが、無言で花音に腕を掴まれる。

 

「如月くん。紗夜ちゃんの事を少し1人にしてあげて?」

 

「花音」

 

「それに何かあってもこの子達が教えてくれるんでしょ?」

 

そう言った花音の周りには4つのツナゲットが集合して飛び回っており、花音の言葉を聞いたツナゲットの1つが紗夜の元へ他の3つは学校内へと飛んでいった。

 

「それに、紗夜ちゃんに今一番必要なのRoseliaの人たちだと思うから・・・」

 

「花音がそこまで言うなら分かった。友希那達には俺から連絡しておく」

 

「うん。ありがとね・・・」

 

 

 

花音の言葉を聞いた弦太朗は紗夜を追うことを諦め、学校の違う友希那達へと起こった出来事を連絡して3人は教室へと戻っていった。




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カウント・the・スイッチ
32/40(ほらほらナゲット君!!ジャイロで活躍できるか怪しいから君が頑張るのよ!!


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哀・夜・更・改-9 彼女たちは何を目撃したのか

投稿。

リサ姉の作戦についてはもう少ししたら完全にネタバレさせますから待ってくだされ。


 

ムスカとの戦闘を終えてから戻ろうとした弦太朗達。

彼らが校内に入ると同時に外から彼らの元へと駆け寄ってくる生徒が1人。

 

 

 

 

 

 

「あらっ!?弦太朗に花音!!彩も一緒なのね!!」

 

「ふえぇ・・・。こころちゃん?」

 

「今の時間は一応授業中なのになんでいるんだろ?」

 

「彩ちゃん。それは私達も一緒だからね?」

 

「こころはこんなところで何してんだ?」

 

彼らの目の前に現れたのはこころ。

目の前にいるこころは教室へと駆け込んできたイヴやたえ達とは違い、スイッチについては知らないはず―――

それなのに授業中の時間である現在に教室の外を出歩いていることを不思議に思った弦太朗はこの場にいる理由を問いただす。

 

 

「さっき教室に沢山の虫さんが来たのよ!!」

 

「ふえぇ・・・。こころちゃん、もしかしてだけどその虫を追いかけてたの?」

 

「花音!!その通りよ!!」

 

こころの言葉に驚きを隠せない弦太朗達。

その言葉から弦太朗と彩の2人は彼女がムスカのスイッチャーであることを警戒するが、その話を聞いても花音は普段通りに話を続ける。

 

「それで虫はどうしたの・・・?」

 

「途中で見失ってしまったの・・・。それで学校を探してたら校舎の後ろから沢山の虫さんたちが学校の外へと飛んでいくのを見たわ!!」

 

「じゃあ・・・」

 

「あの虫さんたちを探すわよ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

こころの宣言に戸惑う花音を珍しく彩がフォローを入れる。

 

「ちょっと待ってこころちゃん!!まだ授業があるよ!!」

 

「でも、先生も他のみんなも驚いて動かなくなってしまったわ!!それでも授業って出来るのかしら?」

 

「じゃあ!!あたしが先生だよ!!」

 

「彩が先生なんてとっても面白そうね!!それじゃあ行きましょう!!」

 

こうしてこころに腕を引かれて、こころ達の教室である2年B組へと向かうと彩による授業が始まった。

 

 

しかし、この授業は結果的に彩への授業へと変わってしまい、意識を取り戻した生徒達はこころと花音が彩に勉強を教えている光景を目撃して頭を抱えることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

「ハァハァ・・・・・・ミナトユキナ。今に見てなさいよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息を切らしながらワタシはミナトユキナの顔を思い出しながら、明日のライブを行う予定の"dub"までの道を歩いていた。

 

ワタシがこんなことをしているのはこの間のパレオと2人でロックを追っていた出来事。

あれがミナトユキナに知られてしまい、それで彼女に笑われたのだ。

 

それが悔しくて少しずつ体力をつけるために出来るとこから運動を始めた。

 

「ミナトユキナ・・・今に見てなさい・・・!!」

 

そう思って"dub"への道を歩き始めた時、見覚えのある制服がワタシの目の前を横切っていった。

 

あれはトヤマカスミやハナゾノ達と同じhigh schoolの制服・・・。

私は目の前を通った人物を見て驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってあれはRoseliaのサヨ・・・でいいのよね?しかも今は学校の時間じゃない・・・」

 

その正体はRoseliaのギターであるサヨ・ヒカワ。

しかし、焦点が定まっておらずフラフラとしながら歩く今の彼女は明らかにおかしい。

 

 

例えるならまるでMovieの中にいるJunkie―――

 

 

ただ事ではないことは分かった。

でも―――

 

「PoliceもAmbulanceも呼んだらまずそうね・・・」

 

そう思った私はスマホを取り出してハナゾノの学校に電話を掛ける。

 

 

 

 

 

 

「Why?どうしてhigh schoolに繋がらないのかしら?」

 

学校があるはずなのに誰も電話に出な事を不審に思うが、とりあえず私はこの事を同じ学校のハナゾノへとチャットで連絡する。

すぐにチャットの既読通知が届くと同時にハナゾノからの着信。

 

「hello?ハナゾ・・・」

 

『チュチュ。紗夜先輩見つけたの?』

 

「ちょっとハナゾノ!?何があったのよ!!あなたのhigh schoolに電話が繋がらないんだけど!!」

 

『うん。いっぱい虫が出たんだよ』

 

「はぁ?」

 

『待って。今、先輩に変わるから』

 

「ちょっと?」

 

ハナゾノが意味分からないことを言ったので聞き返すが返事がない。

先輩って誰よ・・・。

 

そんなことを考えていると電話口から声が聞こえる。

 

『おうチュチュ!!』

 

「ってあんた!!何やってんのよ!!今授業中でしょ!?」

 

ハナゾノの電話から聞こえるのはまさかのBadBoyの声。

なんで学年が違うのに一緒にいるのかしら?

 

『ちょっとハエが大量に出てきてな』

 

BadBoyの答えはまさかのハナゾノと同じ言葉。

訳が分からず、そのままワタシは頭を抱える。

 

『それにしても、お前もやるな!!学校サボるなんてな!!』

 

「違うわよ!!あんたと違ってもう単位は取り終わってるの!!だからサボってるわけじゃないわよ!!」

 

『先輩。チュチュは小っちゃいけど凄いんだよ』

 

『スゲーけど、小さいって関係ないだろ・・・』

 

 

 

ハナゾノがなにか失礼なこと言ってるわね・・・。その点BadBoyは多少は見る目あるじゃない。

 

『って今はそれじゃねぇ!!紗夜をどこで見たんだ!?』

 

「どこって”dub”の近くよ」

 

『それってこの間のライブのとこだよな?』

 

「Yes。BadBoyにしてはよく覚えてるじゃない」

 

『助かったぜチュチュ!!』

 

あのBadBoyからお礼を言われるとは正直思ってなかった。

不意打ちにフリーズしたワタシはすぐに意識を取り戻す。

 

不本意だけどBadBoyのおかげでロックをguitaristとしてRASに迎えられたから礼を言わないといけないわね・・・。

 

それに・・・。

これからは名前で呼んであげてもいいかもしれないわね。

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ!!BadBoyにしてはよく分かってるじゃない・・・。それにこっちも・・・」

 

『チュチュ?先輩ならもう行っちゃったよ?』

 

「What's!?」

 

『それにこっちもバッテリーが切れ・・・』

 

「ちょっとハナゾノ!?」

 

しかし、通話は切れてしまった。

掛け直すがどうやら電源が切れてるみたいね・・・。

 

「もう!!あいつもハナゾノもなんなのよ!!」

 

 

 

 

 

なんなのよ!!あんなやつは一生BadBoyでいいわよ!!

ワタシは今の出来事に怒りを覚えながら"dub"への道を歩き始めた。

 

――――――

 

チュチュからの話を聞いた弦太朗はこころ達を学校に置いて、気を失ったままの燐子を担ぎ上げるとその足で他のRoseliaのメンバーがいる羽丘まで走っていた。

 

彼らが辿り着くと羽丘では授業が終わったらしく生徒達が校門から出てきていた。

周囲の視線を集めながらもそれに逆らうように弦太朗は羽丘の校門までたどり着くとそこには友希那達が集合して待ち構えていた。

 

「おーい!!こっち!!って燐子どうしたの!?」

 

「わりぃ!!燐子の事頼む!!」

 

「うん!!とりあえずこっち!!」

 

リサの案内で校門に近いベンチへ燐子を座らせるとあこが一目散に燐子へと駆け寄る。

 

 

「りんりん大丈夫!?何があったの!?」

 

「紗夜の事は彩から聞いたけど・・・。それにしても、弦太朗が普通の見た目にすれば紗夜も少しはマシになると思ったけどだめだったか~」

 

 

 

リサと弦太朗の会話を他所に友希那は弦太朗の事をずっと見つめていた。

そして話がキリが良さそうなところで友希那は弦太朗を見た感想を呟く。

 

 

「写真で見たけど本当に如月なのね・・・」

 

「あこも全然分かんなかった!!」

 

「それはアタシも同じこと思ったけど。今は紗夜のことでしょ?」

 

「・・・それもそうね。燐子の事も併せて後で聞くわ」

 

「それで!!あこたちはどうしたらいいの!!」

 

「弦太朗と彩からの話を聞いた限りだと、友希那以外で紗夜を探しに行った方がいいかな」

 

「なぜかしら?」

 

リサが言った言葉の意味の分かっていない友希那。

そんな彼女にリサが理由を説明する。

 

 

「ねぇ、友希那。最後に紗夜と話したのっていつ?」

 

「直接話したのは・・・。あの時が最後ね・・・」

 

「その後は・・・?」

 

「メッセージ送って返信はないし、それに電話にも出ないわよ」

 

「まぁ、そんな感じってことは紗夜は友希那に会いにくいと思うから友希那はお留守番して燐子の面倒見てて。それに探しに行ってもすぐ体力使い果たして動けなられても困るしね~」

 

「・・・・・・仕方ないわね」

 

「じゃあ弦太朗とあこはチュチュが見たって言う”dub"辺りを探してみて!!ワタシは近いところから探してみるから!!」

 

「あこ!!近くまでバイクで行くぞ!!」

 

「うん!!友希那さん!!りんりんの事は助っ人にひーちゃんが来るから!!」

 

2人はそういうと校門から外へと飛び出してから少し後、リサたちの元へバイクのエンジン音が届く。

 

 

 

 

 

「ひまりだけだとちょっと不安だけど・・・。まぁ友希那だけよりいっか!!よしっ!!じゃあアタシも行くね!!」

 

リサは準備運動ながら2人を見送ると彼女も紗夜を探すために走り出す。

 

「如月は燐子を担ぎながらバイクに乗ったのかしら?まぁ、後は任せましょう」

 

その後ひまりが友希那の元へ現れる少し話した後、2人はその場で居眠りを始めてしまう。

 

 

3人が並んで座っているのを見た一部の生徒達から友希那が”凸凹トリオの凹んでるところ”と影で呼ばれることになることを彼女たちはまだ知らない。




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哀・夜・更・改-10 過去から迫る罪

投稿。
後少しでRoselia篇は終わる予定です()

ここのリサ姉は痛い目(物理)によく合いますねぇ・・・。
でも、特撮時空特有の高耐久でけろっとしてんじゃないかな・・・?


 

あこをバイクの後ろに乗せてチュチュが紗夜を見たという"dub"へとやってきた弦太朗。

 

「うっし。2人で紗夜の事探すぞ」

 

「ねぇ・・・?別々で探したほうがいいんじゃない?」

 

「そうしてぇけど、ハエ野郎がいるかもしれねぇしな・・・」

 

「ハエ・・・?よく分かんないけど・・・。紗夜さん探さないと!!」

 

 

あこは弦太朗の言葉が理解できなかったが、弦太朗の話を置いておいて紗夜の捜索を始める。

紗夜を探し始めるも彼女の姿は見当たらない。

 

そんな中、弦太朗達の前に2人が見知った集団が目の前に現れる。

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!それに蘭ちゃん達も!!」

 

彼らの目の前に現れたのはひまりを除いたAfterglowのメンバー達。

しかしモカだけは目の前の男が弦太朗である事が分からなかった。

 

「あっ!!あこちゃん!!それに如月くん!!」

 

「それにしてもあんた、近くで見てもホント分かんないね・・・」

 

「お前たちはこんなとこで何やってんだ?」

 

「今度ライブするからその打ち合わせだよ。如月くんのチケットはちゃんと用意するからね」

 

「悪いなつぐ」

 

「それにしてもモカは静かだな」

 

「・・・驚きのあまり言葉が出なかったよ~」

 

モカが弦太朗の事で驚くが他のメンバーは驚く様子もなく、話は弦太朗達の事へと切り替わっていく。

 

 

 

 

「ところで如月くんは何であこちゃんと一緒なの?」

 

「紗夜さんのこと探してたの!!」

 

あこは今までの経緯を出来る限り説明する。

しかし、その説明にこの場にいる大半が頭に疑問符を浮かべるが唯一、姉である巴だけはあこの説明を理解した。

 

 

 

「大体分かった。とりあえず紗夜さんがヤバいってことだろ。アタシ達も手伝うよ」

 

「おねーちゃん!!」

 

「まぁ、こんなことでRoseliaがバラバラになるんてあたしも納得できないし・・・」

 

「蘭は素直じゃないなぁ~」

 

「モカ・・・」

 

「おう!!みんなで探せばすぐ見つかるって!!」

 

「巴・・・。それにみんな・・・すまねぇ!!」

 

「気にしないで!!とりあえず手分けして探そ!!とりあえず私達で羽丘の近く探してみるよ!!如月くんはあこちゃんと一緒に!!」

 

「うん。みんな気を付けてね!!」

 

「任せとけって!!」

 

「何かあってもトモちんが何とかしてくれるからだいじょ~ぶ」

 

そう言い残して巴達は羽丘の方へと歩いていくのを見送り、弦太朗は巴達と別れてからあこと2人で周囲を探すが紗夜の姿が見つからない。

 

そんな中突如としてあこの携帯に巴からの着信が入る。

 

内容は紗夜を見つけたこと、そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その近くに服をどす黒い赤色に染めたリサが倒れていたことであった。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

学校を飛び出した私は先ほどの出来事から少しだけ時間がたってから少しだけ冷静になれた。

 

 

 

目の前で力を見せつけられて、あれをまた求めてしまった―――

全てを失った今の私はあれに縋るしかない―――

あれが無ければ今の私は自分を保てない―――

 

そんな考えが浮かび上がり、自己嫌悪しながらもスイッチを探して街を彷徨う。

 

しかし、どこに行っても一向に見つかる気配がない。

 

「どこにあるの・・・」

 

 

 

 

 

見つからないことに不安感が募る中、私の目の前を特徴的な白い服を着た人が横切った。

しかし、その顔に私は見覚えがあった。

 

 

「あの人は確かRoseliaの前に入っていた・・・」

 

その正体は湊さんに誘われる直前に入っていたバンドの人。

私が抜ける時に”仲間”を大事にしてたのに、今はそんな様子は欠片も感じられない。

 

 

 

何気なく彼女を見ていると、彼女がポケットから”スイッチ”を取り出して人の通りが全くない路地裏へと入っていった。

 

 

 

「・・・待って!!」

 

私はその姿を追って路地の奥へと向かうが、そこは行き止まり。

しかし、そこには彼女の姿はおろか人の影すら見当たらない。

 

 

 

 

「どこにいるの!?」

 

私が叫んでもがその声に答えが返ってくることはない。

今の私は彼女の学校も連絡先も知らない。

バンドを抜けた時に彼女たちの連絡先を消してしまったのを酷く後悔していた。

そんな私の後ろから耳障りな虫の羽音が聞こえてくる。

気になって振り返ると大量の蠅が飛び回っており、それが1つに纏まると先ほど学校で見た怪物が目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「あなた。・・・氷川さんね。久しぶり何か用?」

 

怪物からの響く声。

すこしエコーがかかっているがその声は間違いなくあの時の彼女。

私は目の前に現れた彼女へと縋るように声を掛ける。

 

 

「スイッチ・・・・・・スイッチをどこで手に入れたんですか!?」

 

「へぇ・・・。氷川さん。これのこと知ってるんだ・・・。あなたこれが欲しいの?」

 

彼女はその手にスイッチを持って、私へと見せびらかす。

 

目の前に待ち望んだスイッチへ向けて私は手を伸ばすが怪物になっている彼女が変身している怪物との身長差があるため手を伸ばしても届かない。

 

「でも、これは私のだから」

 

「そんな・・・」

 

彼女からの言葉に私は膝から崩れ落ちる。

スイッチが目の前にあるのに手に入らない絶望感に捕らわれた私の前で彼女は変身を解いて私を見下ろしながら、そんな彼女が言った言葉に驚きが隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに欲しいなら私が用意してあげる・・・」

 

今なんて・・・?

聞き間違いでなければスイッチを用意してくれる・・・?

 

 

「ホントですか!?」

 

「えぇ。今、”あの人”に頼んであげる・・・」

 

彼女の言う”あの人”っていうのは分からないけど、スイッチが手に入るならなんでもいい。

 

「それでいつですか!?」

 

「明日にはこれを用意してあげるわ・・・」

 

そういって彼女は手に持ったスイッチを見せながら変身する。

その言葉に私は胸が高鳴り、歓喜の気持ちが溢れてくる。

 

そうして彼女は少し考えるような素振りをしながら話を続ける。

 

 

 

 

「そうね・・・。待ち合わせは隣町の「紗夜!!」・・・誰?」

 

「・・・今井さん」

 

彼女の話を遮るように大通りの方から今井さんがこちらへと走ってくる。

目の前の彼女は話を遮られて不機嫌そうに今井さんへと振り返ると彼女の腕を掴み上げる。

 

「・・・邪魔」

 

「きゃあ!!」

 

「っ!!」

 

その光景に私は言葉を失った。

目の前で今井さんは上へと投げ飛ばされて建物の壁に激突する。

 

 

 

そして今井さんは2階くらいの高さから地面へと落下するが、今井さんの身体は地面ではなくゴミの積まれたゴミ捨て場の上へと落下した。

 

 

 

 

「かはっ!!」

 

「・・・今井さんっ!?」

 

「ふんっ・・・。それじゃ明日の夕方に隣町にある工事現場で待ってるわ」

 

今井さんからは肺から絞り出されたような呼吸の音が聞こえるのが、そんな今井さんに止めを指すわけでもなつまらなそうな様子を見せた彼女はそう言い残すと身体を無数のハエに変えてこの場から去っていく。

 

 

 

 

彼女が去った後、今井さんの事が気になって彼女が落ちて行った場所へと近づいていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにあったのは赤い液体に濡れた今井さんの姿。

 

赤く濡れた彼女の姿に、以前に自身が傷つけて血に塗れた日菜の姿が重なった。

 

「・・・っ!!」

 

 

自身が失った力を見せつけられてそれを望む自分がいる一方で、自身が求めたそれが知人を傷つけた事を恐怖を感じる。

 

 

もう自分でもどちらが正しいのか分からない―――

 

 

自身の頭の処理が追いつかず考えが纏まらない。

突如として襲い掛かる割れるような頭痛、その後体中から力が抜けてその場に倒れこむと徐々に目の前が真っ暗になっていく。

 

 

 

 

 

「何・・・し・・・・・・った~?」

 

「行っ・・・・・・う!!」

 

「あ・・・・って・・・」

 

「・・・夜さ・・・!!」

 

聞き覚えのある声がかすかに聞こえる中、私は意識を手放した。

 




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次章予告(大嘘)

「うちの店のパンが・・・豚のえさ・・・?」

「はぐみの家のコロッケが・・・負けた・・・?」

「只今より闇キッチンルールによる料理対決を始める」

「あなたの敗因はたった1つ・・・。あなたはアタシを怒らせた・・・」


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哀・夜・更・改-11 Lのメッセージ/心の力

遅れました。

サブタイトルが一番の鬼門って世間で一番言われてるから・・・
Roselia2章終わったら小ネタ篇です。




巴からの連絡を受けた弦太朗はあこと共に現場へと駆けつけていた。

2人が見た光景は、意識を失っているリサと紗夜の2人が並んで横たわっている。

 

 

 

「リサ姉!!紗夜さん!!しっかりして!!」

 

「おい!!しっかりしろ!!すぐに・・・!!」

 

「如月くん待って!!」

 

「つぐちん!!何で!?」

 

「えぇっとね・・・」

 

2人を心配して慌てるあこと、制服を赤く染めているリサを見た弦太朗はドライバーを取り出すが、それをつぐみが静止させたつぐみは複雑な表情を浮かべながら言葉を詰まらせている。

その様子を見かねて蘭が状況を説明する。

 

「紗夜さんはこの場に倒れてたんだけど、リサさんはあそこに倒れてたのをモカと2人で引っ張り出したんだよ・・・」

 

弦太朗の言葉に蘭が指差しながら説明するが、指の先には強い匂いを放つゴミ捨て場。

ゴミ捨て場の様子からリサは何者かに投げ飛ばされてあそこに落ちたことを理解するがつぐみが変身を止める理由が分からない弦太朗。

 

その様子から弦太朗は最悪の結末が頭を過る。

 

「おい・・・もしかして・・・!!」

 

「嘘でしょ・・・?リサ姉!!死んじゃヤダよ!!」

 

「あこ!!如月も待てよ」

 

弦太朗の考えがあこにも分かって取り乱し始める2人に言葉を詰まらせる蘭達を差し置いてモカはゴミ捨て場へと近寄って物を漁り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モカちん!?こんな時に何してるの!?」

 

「リサさんのはこれが原因だよ~」

 

あこの言葉を他所にモカがゴミ捨て場から引っ張り出したのは”トマトジュース”。

 

「はっ?」

 

「どういうこと?」

 

「だから、リサさんの服はこれが原因で大きなケガは無いんだよ~。」

 

「んっ・・・。いったぁ・・・」

 

「リサ姉!!」

 

モカの説明に呆気にとられる弦太朗達を他所に地面に転がっていたリサは身体の痛みで意識を取り戻して身体を起こす。

その姿を見たあこは喜びの余りリサへと飛びつくが―――

 

 

 

 

 

 

「いったあああああああ!!あこ痛いから!!」

 

「リサ姉~!!良かった~!!生きてるよ~!!」

 

「分かったからとにかく離れて~!!」

 

「リサさん・・・。ここで何があったんですか・・・?」

 

しかし、飛びつかれたリサからは痛みによる悲鳴が返ってくる。

その様子を見かねた巴によってあこはリサから引き剥がされ、彼女によって話はここで起こった出来事についてへと変わる。

 

巴の言葉を聞いて、リサは痛みに耐えながら投げ飛ばされたゴミ捨て場の上の壁を指で指し示す。

 

その際にリサは痛み以外の違和感・・・何とも言えない匂いを感じるが、あえて気にしないことにして説明を始める。

 

「路地裏から紗夜の声が聞こえたからさ~。中に入って行ったら紗夜ともう1人いてさ」

 

「もう1人・・・?あたし達はリサさん達以外は見てないけど・・・」

 

「もしかしてリサさん・・・。もう1人って・・・」

 

「多分、巴の想像通りだけどスイッチ使ってでっかい虫?に変身したんだよね。それで私は投げ飛ばされて・・・。あそこの壁に叩きつけられて・・・。」

 

「あぁ~だからリサさんはゴミ捨て場に気絶してたんですね~」

 

「ゴミ捨て場・・・?だからなんか臭うような気が・・・」

 

 

 

 

 

 

 

リサの説明を聞いたモカがリサがゴミ捨て場にいたことに納得したように声を挙げ、その言葉を聞いたリサの視線を徐々に自身の身体へと向けて、そこで説明が止まる。

 

「うそ・・・!!制服また汚れてる・・・!!クリーニングで汚れ落としたばっかなのにー!!」

 

「まぁまぁ~。大怪我しなかったから良かったってことで・・・」

 

「モカちゃんの言う通りですよ!!」

 

「良くないから~!!」

 

「とりあえず、病院行きましょ~。モカちゃんも着いて行くんで~」

 

 

自身の制服の汚れを見たリサの叫びとモカたちの言葉に緊張が和らぐ中、リサは意識を失う直前に聞いた内容を思い出す。

 

「そう言えば、気を失う前に紗夜と虫が話してたんだけど・・・。明日の夕方に隣町で会うって・・・」

 

「リサ姉!?ホント!?どこで会うの!!」

 

「・・・ごめん。最後まで覚えてなくて・・・」

 

あこの問いに対してリサは答えることが出来ない。

彼女は紗夜たちの会話の途中で意識を失ってしまったため、最後まで正確に記憶することができなかったのだ。

 

「明日何かあるって分かっただけでもいいじゃねぇか」

 

「まぁ・・・そうだけどさ・・・」

 

「でもさ・・・紗夜に聞けばいいよね?」

 

「紗夜さんが話してくれると思いますかね・・・?」

 

紗夜がこの事を話してくれると自信をもって言葉に出来ない彼女たちはこの言葉を最後に沈黙する。

 

 

 

 

「リサ・・・紗夜・・・」

 

「友希那さん!!りんりん!!ひーちゃんも!!」

 

遅れてやってきた友希那達3人に向けて駆け寄るが、彼女たちは途中で足を止めると顔を少し歪ませてゆっくりとリサ達から距離を取る。

 

「あれ?友希那さん?りんりん?」

 

「ちょっと3人とも?どうしたの~?」

 

「あこちゃん・・・。今井さん・・・。その・・・。えぇっと・・・」

 

「そのですね・・・。何と言いますか・・・」

 

燐子とひまりはは2人に掛ける言葉が見つからない。

距離を取られる理由が分からない2人は疑問に思う中、友希那はハッキリとリサたちへと言い放つ。

 

 

 

 

「2人ともなんだか臭うわよ・・・。それに美竹さんも・・・」

 

友希那の言葉に空気が凍り、微妙な空気になりながらも友希那達は紗夜とリサを病院へと送り届けてこの日は解散する。

 

 

ショックを受けた3人は友希那の発言の後の記憶はすっぽりと抜け落ちていた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・?」

 

日もすっかり落ちた夜中、紗夜は柔らかい感覚に包まれて意識を取り戻す。

彼女の視界に広がるのは見慣れない天井。

彼女の鼻を消毒液特有の匂いが刺激し、着ている服も制服から病院服へと変わっていた。

 

今井さんを見て気を失った後、病院に運ばれたのだろう―――

 

自身の状況を理解した彼女はゆっくりと身体を起こすと、向かい側のベッドにいる少女と目があってしまう。

 

 

「そんな・・・今井さん・・・」

 

「紗夜?なんて反応してるの?」

 

その視線の先にいたのはリサ。

その姿は紗夜を同じく病院服を着ており、彼女と違うのは頭を始め、数か所に包帯が巻かれていることだった。

 

 

紗夜が最後に見たのは路地裏で血に塗れて倒れていたと思っていた紗夜は目の前で身体を起こして話していることに驚きを隠せない。

 

「だって・・・あそこで倒れて・・・。血が・・・」

 

「あぁ~。まぁ運がよくってね~」

 

「そうですか・・・」

 

リサの言葉を聞いた紗夜はそこで話を止めて、リサから視線を外す。

目の前にいる彼女は何とも無さそうな顔をしているが、確実に軽くない怪我を負ってその原因が自分にあると思っている紗夜はこれ以上リサを見ることは出来なかった。

 

「紗夜?もしかしてだけど・・・」

 

「なんですか?」

 

「アタシの怪我を自分のせいだと考えてる?」

 

「えぇ・・・」

 

「言っておくけどそれは違うからね?これはアタシの責任だから気にしないで」

 

「えっ・・・?」

 

 

 

リサからの言葉に紗夜は疑問を隠せず、リサへを視線を向けてしまう。

紗夜は彼女からの責められることを覚悟していた。しかし、それに反して返ってきたのは自身の事を気遣う言葉。

 

「アタシが勝手に飛び出したから怪我したんだよ。紗夜のせいじゃないよ」

 

「ですが・・・」

 

「仮に誰かのせいだとしても紗夜のせいじゃないよ」

 

「・・・今井さん。1つ良いですか?」

 

「どうしたの紗夜?」

 

紗夜はリサの言葉を聞いて何かを考えると突然リサに質問を投げかける。

 

 

 

 

「どうしてあなたはそんなに強くいられるんですか?」

 

「強い?よく分かんないけど。アタシは弦太朗や巴達みたいに闘ったりできないし、そういう事なら紗夜の方が強いよ。

でもね・・・。今の紗夜はあこや燐子にも勝てないよ。どうしてだと思う?」

 

「・・・分かりません」

 

紗夜はリサの言葉の意味が分からなかった。

リサは自分たちの中で強いのは紗夜の方だと言っている。それなのにも関わらず、リサは自分ではあこや燐子にも”勝てない”と言っている。

 

その言葉の意味を理解することが出来なかった。

 

 

 

 

 

「紗夜はね・・・。心に余裕がないんだよ」

 

「余裕・・・ですか?」

 

「うん。張り詰めた糸がすぐ切れるみたいに、紗夜の心もそうなんだよ」

 

「ですが、湊さんはそんなことはないじゃないですか」

 

「友希那は音楽以外がダルンダルンだからそれで釣り合いが取れてるんだよ。そうだ。紗夜、ちょっとこっち来てくれる?」

 

「えぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

不安になりながらも紗夜の元へと近づいていくと、リサは1枚の封筒を紗夜へと手渡す。

 

「これは・・・手紙ですか?」

 

「うん。友希那からのね・・・」

 

「っ!!」

 

「無理に今開けなくていいよ。」

 

「なら、いつ開ければいいんですか・・・?」

 

「そうだなぁ~。今の紗夜に足りないものが1つ埋まった時・・・かな?」

 

「足りないもの?」

 

「うん。今の紗夜に足りないのは”自分と向き合う勇気”と”心に余裕を持たせられる遊び心”かな?」

 

「どういうことですか・・・?」

 

「それは自分で考えないと・・・。じゃあアタシはそろそろ寝るね~。おやすみ~」

 

「ちょっと・・・!!」

 

リサは言いたいことだけを言うと布団を頭まで被って紗夜の言葉を遮る。

紗夜はその言葉の意味を考えながら自身が入っていたベッドへと戻っていく。

 

「・・・後は頑張ってね。紗夜・・・」

 

布団の中ではリサが遅れて襲って来た痛みに耐えながら眠りに付く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、病院内に紗夜の姿はどこにも見えなくなっていた―――

 




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そろそろ真剣に次章バンド考えないと・・・

連絡
小ネタ:氷川紗夜の日常シリーズは次の小ネタ篇で最終回になります。(本格的に存在知ることになるからね。)


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哀・夜・更・改-12 暗晦

投稿。

本編から逃げて小ネタと次章のバンドどうするか考えてたなんて言えない・・・
アンケ全部書けとメッセージをいただいたけど・・・

書くよぉ!!でも出す順番が決まんねぇんだよぉぉぉおおおお!!



学校があるにも関わらず紗夜の消えた病室に集まるRoselia。

会話のなかった病室にベッドで寝ていたリサの言葉が響く。

 

「ごめん。アタシが起きた時にはもう・・・」

 

「今井さん・・・。それは仕方ないです・・・」

 

「もしかして・・・紗夜さんは・・・」

 

「ちょっとあこ!!」

 

「リサ姉・・・。ごめんなさい・・・」

 

「ううん。こっちもごめん・・・」

 

あこの言葉をリサの声がかき消すが、あこの続きの言葉は全員が思いうかべてしまう。

 

 

 

 

 

紗夜がまたスイッチに手を求めたのでは―――?

 

紗夜に限ってそんなことはないと信じてはいるが、一度抱いてしまった不安を自分たちで拭い去ることは出来なかった彼女達の視線は下へと堕ちていき、その表情は次第に暗い物へと変わっていく。

 

その空気の中、”いつも通り”の弦太朗がゆっくりと病室へと入ってくる。

 

 

 

 

「わりぃ。遅くなった」

 

「げんたろー・・・。遅いよ!!」

 

「あこの言う通りよ・・・。フラシェキー、やりなさい・・・」

 

「うおっ~。まぶしっ!!」

 

友希那の一言で彼女のカバンからフラシェキーが飛び出す。

彼女たちは以前に見た真っ暗のスタジオを照らすほどの光量はないが、それでも弦太朗の視界を潰すには十分すぎる程の光を放つ。

 

弦太朗はそれに声を挙げながら悶えていた。

 

 

 

「皆さん・・・。ここは病院ですから・・・」

 

「はーい」

 

「でも、弦太朗遅かったね~」

 

「なんかあったんですか・・・?」

 

「あぁ・・・。ちょっとやることがあってな・・・。あー目がいてぇ・・・。でも、これでみんなの顔も少しは明るくなったな」

 

「ふふっ。そうですね・・・」

 

騒ぎ始める弦太朗達を窘める燐子ながら遅れた理由を聞いても言葉を濁して理由の詳細を話さない。

それに自分の目がやられてしまったことよりも、目の前の彼女達の暗い表情を心配する様子に燐子は微笑みながらも答える。

 

 

少しだけ空気が明るくなった病室。

その空気によってかあこは視線を上げていくと紗夜が使っていたベッドが目に留まった。

 

「もしかしたら紗夜さんのベッドに手紙とかないかな~?ゲームとかなら何かあるよね?」

 

「流石にそれはないんじゃない?」

 

「でも、何かあるかもしれないから。あこ、ちょっと見てくるね」

 

あこはそのまま紗夜が使っていたベッドへ向かうとおもむろに布団を持ち上げると、その中から1枚の折りたたまれた紙が地面へと落ちたそれを燐子が拾い上げる。

 

 

 

 

「あこちゃん?何か落としたよ?」

 

「ん?なんだろ~?」

 

「これ・・・。何か書いてあります・・・」

 

「「・・・!!」」

 

「・・・燐子。それにはなにが書いてあるのかしら?」

 

燐子から告げられた言葉にこの場にいる全員が息を呑む中、燐子はゆっくりと紙を開くと内容を読み上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「氷川さんの文字で”行ってきます”・・・とだけ・・・」

 

「なぁ?それだけなのか?」

 

「はい・・・」

 

「リサ姉?どういうこと?」

 

「アタシにも分かんないなー」

 

紙に書かれた言葉を読み上げるがその言葉を理解することは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういう事ね・・・」

 

ただ1人、友希那を除いて―――

 

「ちょっと待ってよ!!友希那!!意味わかるの!?」

 

友希那の言葉にいち早く反応を示すリサに、当たり前のように言葉を返す。

 

「えぇ・・・。だからみんなで紗夜を迎えに行くわよ・・・」

 

「・・・?何言ってんだ?」

 

「あこも分かんないよ~!!」

 

友希那の言葉に更に混乱する弦太朗に対して、彼女はその反応を疑問に思いながらも理由を話す。

 

 

「リサが自分で言ってたじゃない。紗夜が夕方に隣町で誰かに会うって」

 

「それって・・・もしかしてあこが言おうとしてた・・・!?」

 

「氷川さん・・・また・・・?」

 

「そんな訳ないよ・・・」

 

あこと燐子が不安を覚える中、リサは自分に言い聞かせるように2人の言葉を否定する。

その様子を見ても友希那は話を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ、大丈夫よ」

 

「ちょっと待って!!何で分かるの?」

 

「・・・あの紗夜が”行ってきます”と言ったのよ?・・・・だから必ず紗夜は帰ってくるわ。もし帰ってこないんだったらあの子はこんなことは言わない」

 

「ねぇ友希那?もしかして紗夜が帰ってくるって言った理由って・・・それだけ?」

 

「えぇ・・・。それ以外理由がいるかしら?」

 

リサの言葉に自信満々に答える友希那の言葉に全員が言葉を失う。

そして静まり帰った室内には彼女たちの笑い声が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

「あははは!!そうだった!!友希那はそうだよね~!!」

 

「リサ・・・?何か変なこと言ったかしら?」

 

「ううん。友希那らしいって思っただけだから。それじゃみんなで紗夜を迎えに行きますか・・・」

 

「ちょっとリサ姉!!」

 

「その体で大丈夫ですか・・・?」

 

「みんなが行ってるのにアタシだけ寝てるわけにもいかないからね~」

 

「それに・・・危なくなっても仮面ライダーがいるもんね!!」

 

「おう!!」

 

「なら、リサは早く準備しなさい。先に外で待ってるわ・・・」

 

こうして友希那を先頭に弦太朗達は病室から出ていき、それの後にリサが準備を終えて紗夜と同様に病院から抜け出して友希那達と合流する。

 

紗夜に続いてリサも病室を抜け出したことで病院が騒がしくなると、友希那達はすぐに病院から離れるために歩き始める。

 

 

 

紗夜を迎えに行く―――

彼女達の考えは1つに纏まり、今から紗夜の元へ向かおうとするが―――

 

 

 

 

 

「でもさ~。紗夜ってどこにいるのか知ってるの?」

 

「・・・如月。任せたわ」

 

「おう!!」

 

「友希那さんは手段は何も考えてなかったんですね・・・」

 

「まぁ、あのままじっーとしててもどうにもなんなかったから良いんじゃない?」

 

 

 

友希那の言葉に弦太朗はカバンを開くと、そこからツナゲットが1体飛び出して宙に浮く。

 

「げんたろー!!何それ!?かわいいー!!」

 

「それで・・・その子が紗夜のところまで案内してくれるのかしら?」

 

「そうだな」

 

「・・・にゃーんちゃんみたいなのもいるのかしら?」

 

「友希那?なんか言ったか?」

 

「なんでもないわ・・・。みんな行くわよ・・・」

 

「「おぉー!!」」

 

友希那の掛け声とともにツナゲットの後を追って一同は紗夜がいる場所へと歩き出す。

しかし、次第に怪我の痛みリサの歩みが遅れ、息が上がり額には汗が浮かびあがる。

 

「っつう・・・」

 

「リサ姉!?汗すっごいよ!?大丈夫?」

 

「今井さん・・・やっぱり怪我が・・・」

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

「リサ・・・少し休んでなさい」

 

「ちょっと友希那さん!?」

 

友希那の言葉にあこと燐子は抗議しようとするが、友希那の言葉の意味が分かっているリサ自身がそれを止める。

 

「リサ。あなたの考えは分かっているわ・・・。だから、少し休んだら必ず追いかけてきなさい」

 

「・・・分かってるよ。でも、出来ればアタシが来る前に終わらせてくれると嬉しいかな~」

 

 

 

 

友希那はリサの考えてることを理解していた”今は自分よりも紗夜を―――”と言う彼女の考えを友希那なりに酌んだ故の発言だった。

 

 

「友希那さん!!」

 

「あこたちはリサと一緒にいてくれるかしら?」

 

「任せてください・・・」

 

「げんたろー!!友希那さんと紗夜さんをお願い!!」

 

「任せとけ!!友希那も紗夜も・・・ダチだからな」

 

「行くわよ・・・」

 

 

 

 

 

 

リサたちを残した友希那は弦太朗がツナゲットの後を追って弦太朗達が辿り着いたのは工事現場。

 

「ここは・・・工事現場だな・・・」

 

「大きいわね・・・。しかも工事が中止してるみたいだから人が来ることもなさそうね・・・」

 

「燐子たちに場所を教えておかねぇとな・・・。って待てよ!!」

 

弦太朗はこの場所を燐子達へと連絡すると、先に入って行った友希那の後を追う。

探し始めてすぐにムスカと紗夜の姿を発見すると同時に紗夜たちの元へと駆け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らが見た光景はムスカの前で震える手で"スイッチ"を握りしめている紗夜の姿だった―――




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誤字報告は非常にありがたいです!!

小ネタアンケ結構均衡してるなぁ・・・



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哀・夜・更・改-13 We're "Roselia"!!

投稿。
次回Roselia2章最終回


私は病院のベッドの上で朝を迎えて寝起きの気だるい身体を起こす。

向かいのベッドにいるはずの今井さんへと視線を向けるとそこにあったのは―――

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・。あぁ・・・」

 

「っ・・・!!」

 

寝ているのに痛みに魘されている今井さん。

彼女自身には何の非もないにもかかわらず、私が欲していた力が原因で彼女は今も痛みに魘されている。

 

そんな今井さんを見ることに限界を感じた私はそばに置いてあった自分の制服に着替えると、彼女から逃げるように病院から逃げ出して1人で街を歩く。

 

 

 

 

 

”スイッチ”が欲しい―――

また”スイッチ”に手を出してはいけない―――

”力”が欲しい―――

罪を重ねてはいけない―――

 

相反する2つが頭の中に浮かび上がっては消えていき、私の思考をどんどんぐちゃぐちゃにしていく。

どうするべきか決める事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・・とりあえず約束の場所へ行かないと―――。

スイッチをどうするかは決まらなかったが、約束は守らないと・・・。

時間にはだいぶ早いが先に行ってから来るまでに決めればいい。

 

そう思って約束の場所に着いても私の考えは纏まらなかったが約束の時間まではまだ余裕はある・・・。

しかし、私の考えが纏まる前に目の前に無数の虫が集まりだすと、先日の怪物が現れた。

 

 

 

 

 

「氷川さん。早いわね」

 

「えぇ・・・」

 

目の前に現れた彼女は昨日の様に淡々と私へ話しかけてくる。

一方で私の方はこの間のような飢えるような間隔は薄れていた。

 

少しだけ冷静になった私は彼女の事を気になってしまい質問してしまった。

 

「そう言えば、あなたはどこでスイッチを・・・?」

 

「白い服の人に貰ったのよ。それで今は仕事でこれを配ってるの・・・」

 

仕事・・・?

彼女はバンドを組んでたはずだったけどどうなったのかしら・・・。

 

「仕事・・・。バンドはどうしたの ?あれだけ仲間と言っていたのに・・・」

 

「バンド?・・・あぁ、辞めたわ。これがあれば仲間なんてどうだっていいもの」

 

「・・・!!そう・・・」

 

以前の彼女からは考えられなかった。

私がバンドを抜けた時のの彼女は仲間と大切にしていたのに、今はスイッチによってそれを捨てたことに驚きを隠せなかった。

 

「そんなことはどうだっていいじゃない・・・」

 

彼女はそう言うと自分が使っているスイッチとは別のスイッチを取り出して私に差し出してくる。

差し出されたスイッチは以前の私が使っていたものと同じように禍々しい形へと形を変える。

 

「ほら、あなたが欲しがっていた物よ?」

 

私は無言のままスイッチを受け取る。

受け取った私を見て目の前の彼女からは仲間が増えたことを喜ぶような感覚が伝わってくる。

 

「さぁ。これ使ってもっと暴れましょう?」

 

 

私はスイッチに手を掛けるがそれと同時に怪我をした今井さんと日菜の姿を思い出し、突如として指が震えだす。

 

再びスイッチを手にした―――。

しかし、受け取った私の手が震えてスイッチを押せずにいた。

どのくらい時間がたったのは分からないが、目の前の彼女はスイッチを押すことを勧めてくる。

 

 

 

 

「何やってるの?早く押しましょう?」

 

「はぁはぁ・・・!!」

 

息が乱れる。

呼吸のたびに指の震えも大きくなる。

力を求める本能と人を傷つけたくない理性が激しくぶつかり合う。

 

「早く・・・!!」

 

もたもたしている私に彼女も次第に機嫌が悪くなる。

 

私はスイッチのボタンを押そうとしたその時―――

 

 

「うぉら!!」

 

「がぁ!!」

 

目の前の彼女が黒い何かによって弾き飛ばされる。

 

「紗夜!!無事か?」

 

「如月さん・・・。どうして・・・!!」

 

そこに現れたのはいつも通りの学ラン姿の如月さん。

彼が彼女を”生身”で蹴り飛ばしたのだ。

 

「紗夜の事を教えてくれる”ダチ”がいてな」

 

彼は私のポケットを指を指すとそこから丸い何かが飛び出してくる。

これを使って私の場所を―――

 

そんなことを考えてると今、最も聞きたくなかった声の1つが私の耳に飛び込んでくる。

 

「紗夜」

 

「・・・みなと・・・さん・・・・・・なんで・・・!!」

 

如月さんに遅れて湊さんもこの場所に現れたことによって、私はスイッチを取り落として震えあがる。

再び拒絶の言葉を言いに来たのだろうか―――。

しかし、彼女から帰ってきたのは信じられない言葉だった。

 

 

 

 

 

「紗夜・・・。あなたが来ないから迎えに来たわ・・・」

 

「は・・・?どういう・・・」

 

今、なんて言った?

”迎えに来た”?私を・・・?

言葉の意味が分からない。どうしてこんな私を迎えに来たのだろうか・・・。

 

「リサから手紙を受け取ってないの?・・・全く、リサは私がいないとダメね・・・」

 

手紙・・・?

私は今井さんから受け取っていた手紙を開く。

 

そこには湊さんの文字でハッキリと書かれていた。

 

”氷川紗夜が戻ってくるの待っている”と―――

 

その手紙を読む様子に目の前にいる如月さんも胸の中から皴の入ってしまっている紙を取り出すと私へと突き出してくる。

 

 

「友希那もやってたのかよ・・・。紗夜、これも受け取れ」

 

「えぇ・・・」

 

突き出された紙を開く。

それを見て私は口を手で塞いでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに書かれていたのは日菜の文字。

 

”おねーちゃん!!早くポテト食べにいこーね!!"

 

「日菜・・・!!」

 

「如月・・・。あなたが遅れた理由って・・・」

 

「あぁ・・・。これ取りに行ってたんだ」

 

「それにリサやあこ、燐子だって一緒よ」

 

「あぁ!!それに千聖や花音のクラスのダチも、香澄達だって同じだ」

 

あの子に拒絶されていたと思っていたのに、書かれているのは予想とは正反対の言葉。

それと2人の口から出た言葉に思わず泣きだしてしまった。

 

「ふざけんなー!!」

 

「邪魔すんじゃねぇ!!ハエ野郎!!」

 

蹴り飛ばされた彼女は起き上がると、蹴った如月さんへと殴り掛かるが、如月さんは再び蹴り飛ばすとそのまま”生身”で闘い始める。

怪物によって何度も地面に叩きつけれられいるにも関わず、何度も立ち上がっては怪物相手に生身の拳で殴り、蹴り飛ばす。

 

でも、如月さんは何で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で変身しないの・・・?」

 

「紗夜。分からないの?如月はあなたに見せてるのよ・・・」

 

「見せる?・・・いったい何を・・・?」

 

力があるのに変身して戦わない如月さんの理由も湊さんの言っている言葉の意味も分からない。

そんな私に湊さんはゆっくりと歩み寄りながらその答えを口にする。

 

 

「如月はあなたに見せてるのよ。力に頼らなくても悪意に対して立ち向かっていけるということを・・・。それにさっきのあなたも如月と同じことをやっていたじゃない・・・」

 

 

 

―――さっきの私が如月さんと同じ?

ますます湊さんの言葉の意味が分からなくなっていた。

目の前では何度も如月さんが地面を転がりそのたびに傷も増えていくがそれに構う様子もなく立ち上がる。

 

「紗夜。あなたは欲しがっていたスイッチを手に持ったけど押さなかった。

それは、自分の押したくないという気持ちで自分の中にある悪意に立ち向かったのよ。

今の如月と同じように・・・」

 

「・・・!!」

 

 

私は傷ついた日菜や今井さんの姿が思い浮かび、自分が同じように誰かを傷つけてしまうことに恐怖していた。

湊さんの言う”押したくないという気持ち”がそれだったのかもしれない。

そんなことを考えていると湊さんは私の前に立ち、その手で落としたスイッチをその手で拾い上げて私に向けて差し出していた。

 

「紗夜。Roseliaに戻ってくるか、スイッチを押すか・・・。後はあなたが決めなさい・・・」

 

「湊さん・・・」

 

湊さんからスイッチを受け取る。

 

「紗夜!!」

 

「紗夜さん!!」

 

工事現場の入口から今井さん達の声が聞こえるが、私はスイッチを持った手を持ち上げた。

 

 

 

――――――

 

 

やってきたリサたちは視界に飛びこんできたのは、スイッチを持った紗夜が腕を振り上げている姿。

その光景にリサたちはその足を止めてしまう。

 

「紗夜!!」

 

「紗夜さん!!」

 

「・・・っ!!」

 

全員の視線が紗夜へと集まる中、紗夜は手に持ったスイッチを―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムスカへ向けて投げつけた。

 

「は?」

 

ムスカはその光景に唖然として行動を止めてしまう。

 

「おらっ!!」

 

弦太朗は油断してしているムスカを蹴り飛ばすと同時に紗夜の元へと駆け寄っていく。

 

「紗夜さ~ん!!」

 

「氷川さん・・・!!」

 

「白金さん・・・。宇田川さん・・・」

 

「紗夜~!!心配したんだからね~!!」

 

「ちょっと今井さん!?」

 

それに釣られるように遅れてきたあこたちも紗夜の元へと駆け寄る。

あこたちに遅れてリサは先ほどまでの痛みを忘れたかのように紗夜へと飛びつく。

 

「みなさん・・・私は・・・」

 

「紗夜さん!!明日から練習頑張ろうね!!」

 

「えっ・・・ですが・・・。私は・・・」

 

「紗夜!!何言ってんの?Roseliaのギターは紗夜だけだよ!!」

 

「今井さんの言う通りです・・・」

 

この言葉に紗夜はその場に崩れ落ちると同時に泣き出す。

 

「私は・・・。またみんなとバンドしてもいいんですか・・・?」

 

「当然よ。リサも言ったじゃないRoseliaのギターは紗夜だけだって」

 

「紗夜」

 

「如月さん・・・」

 

崩れ落ちている紗夜に弦太朗は手を差し伸べると紗夜はその手を取って立ち上がる。

そしてその手でそのまま2人は拳を打ち付け―――友情のシルシ を行う。

 

Roseliaのメンバーの表情が緩んでいく中、この光景に納得がいかないムスカが声を荒げる。

 

 

 

 

 

 

 

「あんた達!!馬鹿じゃないの!?」

 

「えぇ。あなたの言う通り私達は馬鹿よ」

 

「はぁ?」

 

ムスカの言葉に友希那が肯定する。

その言葉の意味が分からないムスカに友希那は言葉を続ける。

 

「自分の事ばっかりで周りに迷惑かける、仲間のために後先考えず動く、訳の分からないことをいいだす、自分が好きなものを隠してるつもりで全く隠せてない。私達はそんなことばっかりよ」

 

「ちょっと・・・友希那がそんなこと言うの・・・?」

 

「今井さん。友希那さんが話してるんですから・・・」

 

友希那の言葉にツッコミを入れようとするリサを燐子が止める。

そんなことも知らずに友希那は話を続ける。

 

 

 

「だけどスイッチを使って悪意をばら撒き、人を貶めているあなたとは違って決して愚かではないわ」

 

「愚か?私が・・・?ならスイッチ使ったってことならこいつも私と同類じゃない!!」

 

「・・・っ!!」

 

その言葉を聞いたムスカは自身のスイッチを切ると紗夜を指差して叫ぶ。

 

「紗夜はスイッチを使った・・・。でも、紗夜は自身の罪を悔いている。それに比べて、罪の意識も無く悪意をばら撒き続けているあなたとは違うわ!!」

 

この友希那の言葉を聞いた彼女の怒りは頂点を迎え、手に持っていたスイッチの形が先ほど紗夜が持っていたものと同じものに変わる。

そして、そのスイッチを押して彼女は完全に人間を捨てて友希那へと叫ぶ。

 

「人に対して偉そうに!!」

 

「人の身体と心を捨てた怪物のあなたはもう”人”ではないわ」

 

「さっきからぐちぐちと!!あんたはいったい何なのよ!!」

 

「知らないなら教えてあげるわ・・・」

 

目の前にいる怪物の問いに対して置くする様子もなく友希那は視線を向けてその答えをハッキリと答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は・・・いえ、私達が”Roselia"よ。覚えておきなさい」




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哀・夜・更・改-14 RとFと繋がるNS

Roselia篇終わり!!(現状Roseliaは3章の予定はありまぁ~す)

とりあえず、やりたいことはやった。
これネタエンドじゃねーか!!



 

「私は・・・いえ、私達が”Roselia"よ。覚えておきなさい」

 

友希那の言葉にムスカは怒りのまま彼女達へ向けて駆け出す。

 

 

 

「「「「湊(友希那)さん!!」」」」

 

「・・・」

 

その姿に恐怖するリサたちを他所に、狙われているはずの友希那は微動だにせずムスカを見据えたまま動かない。

 

「そのまま死ねぇ!!」

 

「・・・・・・」

 

ムスカの腕が振り上げられる―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅらぁ!!」

 

しかし、ムスカは飛び出してきた弦太朗によって蹴り飛ばされ、その腕が友希那に触れることはなかった。

 

「如月。終わらせてきなさい」

 

「おう!!」

 

「みんな行くよ!!」

 

友希那の言葉に答えて弦太朗はドライバーを装着すると同時にスイッチを入れ、全てのスイッチが入れ終わると同時にカウントダウンが始まる。

それと同時に友希那達は走って近くに積まれていた工事資材の物陰に別れて身を隠して弦太朗を見守る。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

弦太朗はその言葉と共に普段よりも力を込めてレバーを押し込むと、その手を宇宙へと伸ばす。

 

周囲の空気を振るわせてフォーゼへと変身を完了する。

 

「宇宙・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「キターーーーッ!!」」

 

「煩いわね・・・」

 

フォーゼと共に物陰に隠れたあこが同じ様に声を挙げ、それに答えるように友希那から言葉が漏れる。

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

自身のリーゼントを持ち上げるような仕草の後に右拳を突きつける。

それと同時に左手でドライバーに装填されているスイッチを起動する。

 

――――――ガトリングON――――――

 

「あぁああ!!」

 

ムスカは突き出された右拳に意識を持っていかれていたため、フォーゼの左足から放たれるガトリングに被弾するが、ムスカはそのまま背中に羽根を生やして空へと飛びあがると同時にフォーゼに向けて光弾を連続で発射する。

 

「あぁ~!!虫が空を飛んだよ~!!」

 

「逃がすかよ!!」

 

フォーゼはガトリングを切ると別のスイッチへ交換して起動する。

 

 

 

 

 

――マジックハンドON――――――――

――――――ホッピングON――――――

――――――――シールドON――

 

 

フォーゼは起動したシールドで光弾を防ぎながらホッピングで飛び上がる。

その飛び跳ねる光景はRoseliaを驚かせるには充分であった。

 

 

 

「マジックハンドにホッピングっておもちゃのあれだよね・・・?」

 

「ホッピングなら小学生の頃に日菜と一緒に使ったことはありますけど・・・」

 

「私は・・・もう出来そうにないですね・・・」

 

ホッピングで飛び跳ねるフォーゼを見て昔の思い出に浸り始める彼女たちの目の前では光弾を捌きながら、合間を縫ってフォーゼがマジックハンドをムスカ目掛けて振るい攻撃するが大したダメージは与えられない。

 

 

 

「しょうがねぇ!!こうなりゃ・・・!!」

 

フォーゼは自身の前にシールドを突き出し、そのまま体当りをするようにムスカ目掛けて飛び上がる。

 

 

 

「このっ!!離しやがれ!!」

 

「あはははははぁ!!」

 

ムスカは笑いながらそれを避けるとフォーゼの背後から組みつくとそのまま地面へ向けて急降下、フォーゼを頭から地面へ叩きつけると同時に自身は無数のハエに分裂して地面から逃れる。

 

 

 

「げんたろー!!」

 

「嘘・・・」

 

 

 

地面に叩きつけられたフォーゼは大の字に倒れて動かない。

その姿に興味を示さずムスカはフォーゼを背にし、Roseliaの元へとゆっくりと恐怖を植え付けるように歩き出す。

その光景を前に彼女たちは倒れているフォーゼへと叫ぶ。

 

「げんたろー!!起きてよ!!」

 

「弦太朗!!起きて!!」

 

「如月・・・」

 

「もう死んだんじゃない?次はあなた達よ・・・」

 

ムスカによって言葉は遮られる彼女たちの表情は恐怖に染まり始める。

2人を除いて―――

 

 

 

 

 

 

「知らないんですか・・・?あの人はあの程度では死なないわ」

 

「はぁ・・・?頭おかしいんじゃないの!!」

 

「紗夜の言う通りよ。如月に常識は通用しないわよ・・・」

 

 

紗夜達が放った言葉の意味が分からなかったムスカは標的を紗夜に定めて飛ぶ。

しかし、その体は上空から降ってきた網に拘束されて初めてムスカはその言葉の意味を理解した。

 

ムスカは辛うじて動かせる顔を後ろへと向ける。

 

 

 

 

 

そこには右足に網を付けて足を振り抜いたフォーゼの姿。

ムスカをネットで拘束したフォーゼは落下の痛みによって頭を抱える。

 

「いってぇ~!!」

 

「如月・・・。やられてないならすぐ起きなさいよ」

 

「あ~。心配で心臓飛び出るかと思った・・・」

 

「私も・・・です」

 

 

フォーゼが起き上がったことに安堵を浮かべるRoselia、その一方勝利を確信していたムスカは目の前の光景に驚きを隠せない。

 

「なっ!?頭から落ちてなんで生きてる!?」

 

「はぁ?紗夜とダチになってすぐに死ぬわけねぇだろ!!」

 

フォーゼは身動きが封じられているムスカに起動したままのマジックハンドで捕まえて投げ飛ばす。

 

「こいつで決めるぜ!!」

 

「あぁああぁぁああぁああ!!」

 

「やべぇ!!みんなっ!!」

 

フォーゼは懐からスイッチを取り出そうとしたその時、ネットによって拘束されて自棄になったムスカが光弾を辺り一面にまき散らす。

 

狙いもつけずにまき散らされた光弾の1つが運悪くフォーゼへと直撃する。

 

「やべぇ!!スイッチが!!」

 

光弾が直撃した衝撃によってフォーゼからいくつかのスイッチが周囲へと弾ける。

そのうちの一つが紗夜と友希那が隠れていた物陰付近へと転がってくる。

 

「「・・・」」

 

「紗夜!!」

 

「友希那さん!?」

 

近くに転がってきたスイッチを拾い上げるべく紗夜と友希那が物陰から飛び出す。

 

不幸にも2人が拾おうとしたのは同じスイッチ、2人がほぼ同時にそれに手を掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、彼女たちがそれを手に取った途端、携帯電話が2つに割れる。

 

「ちょっと2人とも!?」

 

「友希那さん!?紗夜さん!?もしかして壊しちゃったの!?」

 

「あこちゃん。違うよ・・・あれは・・・」

 

リサたちの言葉に答えようをする燐子の声をかき消してフォーゼが叫ぶ。

 

「友希那!!紗夜!!スイッチを!!」

 

フォーゼの叫びに答えるように2人は割れたスイッチを同時に投げる。

紗夜の投げた”青いスイッチ”はそのままフォーゼの左手へと収まるが、友希那の投げた"赤いスイッチ"は力加減を間違えたのかフォーゼの遥か前方へと落ちそうになる。

 

「あっちゃ~。友希那・・・」

 

「友希那さん!?」

 

「(私が投げても同じようになってたかも・・・。)」

 

リサたちの心配の言葉が飛ぶがスイッチは地面に落ちる前に起動したままになっていたマジックハンドを使って回収する。

フォーゼはマジックハンドをオフにすると受け取ったスイッチを自身の前に構える。

 

「いくぜ!!割って・・・挿す!!」

 

「もう割れてるわよ・・・」

 

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

 

 

友希那の言葉を無視してフォーゼは受け取ったスイッチをドライバーに挿して起動。

それと同時にフォーゼの両脇に赤と青の磁石が現れると、2つの磁石によってフォーゼが挟まれる。

 

身体は白から銀、赤と青のラインが加わり、上半身―――頭と胸部に装甲と肩にはキャノンが追加されたマグネットステイツへと姿を変える。

 

「げんたろーが太った?」

 

「あれは・・・肩の砲台を支える為に大きくなったんですね・・・」

 

「オラオラァ!!」

 

フォーゼがマグネットスイッチのトリガーを引くたびに肩の砲台からビームが放たれ、連射してムスカから放たれる光弾を全て撃ち落としながらムスカにビームを次々と直撃する。

 

「如月さん・・・」

 

「あぁ・・・。これで決めるぜ!!」

 

フォーゼはその声と共にNマグネットについているスイッチを操作してリミットブレイクを発動する。

 

 

 

 

 

―――リミットブレイク ―――

 

発動音と共に肩についている砲台が外れるとフォーゼの前でU字磁石を模った砲台へと形を変えるとその砲台から赤と青の光が漏れる。

 

「食らえ!!”ライダー超電磁ボンバー”!!」

 

必殺技を叫ぶと同時にNマグネットのトリガーを引くと、砲台からは2つの光がビームとなってムスカへと直撃する。

 

 

「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

直撃したムスカはその場で爆散し、フォーゼが飛んできたスイッチを掴み取って切るとたちまちスイッチはその場で霧散する。

 

スイッチが消えた確認するとフォーゼはマグネットをオフにしてベースステイツへと戻り、その場に座り込む。

その姿を見た彼女たちはフォーゼが落としたスイッチを拾いながらフォーゼの元へと集まっていく。

 

「如月さん・・・大丈夫ですか・・・?」

 

「ちょっと待ってくれ・・・」

 

 

 

 

 

フォーゼはそう言うとその場でドライバーのスイッチを交換して起動する。

 

――――ハンドON――――――

――――――――メディカルON――

 

 

フォーゼはハンドとメディカルを使って自身の治療を開始する。

 

「くぁあああああ。効くぅ~!!」

 

「足に手・・・?それに自分に注射って・・・」

 

「酷い絵面ですね・・・」

 

「弦太朗。アタシもちょっと痛みが・・・」

 

「おう!!」

 

リサの言葉にフォーゼの足のハンドはリサへとその手を伸ばして、同じように注射がリサに刺さる。

 

 

 

「あ”っ”~~~~。これヤバいかも・・・。痛みが引いてく・・・」

 

「今井さん・・・。あまり言いたくないですけど・・・」

 

「リサ姉の顔が凄いことになってる・・・」

 

「人には見せられませんね・・・」

 

「さてと・・・。どこで手に入れたか聞いておかねぇとな・・・」

 

 

メディカルによって自身とリサの治療を行った後、変身を解いて立ち上がった弦太朗はゾディアーツだった彼女の前へと歩み寄ると、タイミングよくスイッチャーだった少女が意識を取り戻す。

 

「ぅう・・・。あれ・・・?」

 

「大丈夫ですか・・・?」

 

彼女と交流のあった紗夜が声を掛けるが、彼女から帰ってきたのは信じられない言葉だった・・・。

 

 

 

 

「すいません・・・。ここは・・・?それに私は・・・?」

 

「「「「えっ・・・」」」」

 

「覚えてないんですか・・・?」

 

「すいません・・・。ここ最近の記憶がなくて・・・」

 

スイッチを使った彼女はその力に呑まれた影響でスイッチを使っていた時の記憶を失っていた。

事件の黒幕に迫れるチャンスを掴めなかった弦太朗達は歯がゆい思いを感じながら、Roselia2つ目の事件は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムスカを撃破してから2日―――

休日である今日、弦太朗はCiRCLEのロビーに集合していた友希那達の元へと向かう。

しかし、その場に紗夜はまだ姿を見せていなかった。

 

「よっ!!紗夜は・・・?」

 

「げんたろー!!紗夜さんは少しだけ遅れるって!!」

 

「それにしても友希那が、紗夜のために練習を中止するなんてね~」

 

「仕方ないわ。日菜達にも迷惑をかけたのだから・・・」

 

ムスカを撃破した翌日からも練習を予定していたのだが、『自身が迷惑をかけた日菜達に謝りたい』

という紗夜の希望を叶えるために友希那はRoseliaでの全体練習を中止していた

 

「それにしても、紗夜さんが戻ってきて良かったよ~!!」

 

「ですが・・・。氷川さんがやった事は・・・」

 

「まぁ、紗夜が変身してたことなんて誰も信じてくれなったからな・・・」

 

弦太朗は練習が中止になっていた間、紗夜がゾディアーツになって傷つけてしまった人たちへの謝罪に同行していた。

しかし、被害者の全員が紗夜の言葉を信じられずに「頭のおかしい奴」というレッテルを張って追い返えされて、そのたびに紗夜はくじけそうになっていたが、彼女が把握できている全員には謝罪を行った。

 

 

 

「・・・それなら、紗夜は自分が傷つけた人たちよりも多くの人を助ければいいじゃない。勿論私も手伝うわ」

 

「友希那ってたまに良いこと言うよね~☆」

 

「あぁ、そう言えばみんなには言ってなかったけど・・・。"BanG Dream! Girls Band Challenge! " へエントリーしたから」

 

「やった~!!」

 

「本当ですか・・・?」

 

「えぇ・・・」

 

「チュチュの奴には出ないって言ってたじゃねぇか」

 

あこは喜んでいるが、チュチュにぶっ潰す宣言をされたライブでは参加しないと言っていたのにも関わらず、参加を決めたことに他のメンバーは驚きを隠せずにいた。

 

「友希那~!!なんで私達に相談なく決めてるの!?」

 

「紗夜の為よ。まず最初に『音楽で頂点を目指す』為に私の事を助けてもらうわ・・・」

 

「友希那!!良いこと言うなぁ~!!」

 

「で、本当は別の理由は・・・?」

 

友希那の感激する弦太朗を他所に、付き合いの長いリサは彼女がそれだけが理由ではないことを察して本当の理由を尋ねる。

 

 

 

「まぁ色々と理由はあるけど・・・。如月みたいに言うなら『売られた喧嘩は買う』ってところかしらね・・・」

 

「納得」

 

「やるからには全力で頑張ります・・・!!」

 

「あこも!!」

 

「お待たせしました・・・」

 

「紗夜。遅いじゃな・・・い?」

 

「紗夜さ・・・」

 

紗夜はロビーに現れる。

しかし、その姿をみた彼女達は言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜の来ていたシャツには大きな数字が書かれた微妙過ぎるデザインのシャツを着て現れたのだ。

 

「さぁ、練習を始めましょう」

 

「ちょっと待って紗夜!?その服は何!?」

 

「これですか?オリジナルデザインです。弟子の桐ケ谷さんに一晩で作ってもらいました」

 

「紗夜さん?その胸の数字はなんですか・・・?」

 

「”343"・・・?」

 

「白金さん!!違います!!」

 

「ひぃ!?」

 

「これは"343(さんびゃくよんじゅうさん)"ではありません!!」

 

「紗夜・・・?あなたは何を言って・・・」

 

「いいですか!!これは"343(さよさん)"です!!これを着て、常に胸に私を感じながら音楽の頂点を目指しましょう!!」

 

 

 

 

 

「紗夜・・・。どうしちゃったの・・・?」

 

突然の変わり様に困惑を隠せない一同を代表してリサが紗夜に質問する。

 

「今井さん!!これはあなたが言っていた私の”遊び心”です!!」

 

「・・・リサ。なんとかしなさい」

 

「えぇ~!?」

 

困惑するリサを他所に楽しそうな笑顔を浮かべている紗夜。

リサの教育によって紗夜の暴走は止まり、再び彼女たちの頂点を目指し歩み始めた。

 




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感想評価は気分次第でお願いします。

次章予告:未定!!
小ネタでお茶を濁しておく間に・・・

(32) 腹ペコ友希那ちゃん つー
(27) リアルおままごと・ツヴァイ
(22) 修行2

カウント・the・スイッチ
35/40 (コズミック以外戦闘で使いにくい問題児じゃねーか!!



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オマケ時空篇4- 彼女たちはトラブルメーカー
本・編・裏・側-1 舞台の裏で狂って踊る―――


オマケ時空篇再会。

今回は本編の裏で会ったお話を―――



~~~小ネタ12:青薔薇お泊り会-ポテト抜き豚骨醤油に大号令を添えて―――

 

無人の白金家にやってきた一同。

家主が鍵を開けてドアを開く。

 

「皆さん。上がってください・・・」

 

「リビングで待ってるよりんりん!!」

 

「おじゃましまーす☆」

 

「おじゃまするわね・・・」

 

「お邪魔します!!・・・すっごーい!!」

 

 

 

 

「おい!!ひまり!!あこ!!・・・燐子さん、すいません」

 

「ふふっ。いいんですよ。あこちゃんの明るさのお陰でみなさんが明るくなっているんですから」

 

「そういって貰えると助かります・・・」

 

無邪気にはしゃぐ妹と幼馴染の行動を謝る巴だが、家主は2人を見ながら笑いながら許していた。

 

燐子と巴が2人でリビングへと向かうと一同はリラックスムードを漂わせていた。

 

「あっ!!どうしよう!!弦太朗くんの上着持ってきちゃった!!」

 

「それは明日如月さんに返しておきます・・・。

学校で会いますから・・・。それで皆さん。お風呂と食事どうしますか・・・?」

 

「そうね・・・。夜も遅いし食事は軽くでいいから欲しいわね・・・」

 

「あこもー!!」

 

「私もー!!」

 

「すいません。アタシもご飯食べずに来たんで・・・」

 

「う~ん。そうだね~。アタシも欲しいな~☆」

 

「でしたら、皆さんは順番にお風呂に入ってきてください。その間に準備しますから・・・」

 

「そう。悪いわね・・・」

 

「そうだ!!燐子。キッチン使わせて~。みんなはお風呂行ってきなよ。その間にアタシが何か作っておくから!!アタシは病院でシャワー借りたから後でいいからさ~」

 

「リサ姉の手料理!?やったー!!」

 

食事の準備の間に風呂。

しかしここで問題が発生した。

 

 

 

「誰から入りますか?」

 

「・・・あこからでいいわ」

 

「そうで・・」

 

「いえ!!あこは私と一緒に入りますから湊さんからどうぞ!!」

 

風呂の順番。

後輩を優先させて先輩らしく振舞おうとする友希那。

先輩を立てるためにあこを止めて友希那から入れさせようとする巴。

 

それ食事の準備を進めようとするリサは呆れながらもそれを見守るが、雲行きが怪しくなってくる。

 

「あこから入りなさい・・・」

 

「友希那さんから!!」

 

「湊さんから・・・」

 

譲り合いの結果、誰も風呂に入ろうとしない。

そんな様子にしびれを切らしたリサが吠えた。

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしなさい!!お風呂の順番は出席番号順!!その後に燐子とアタシ!!決定!!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「はい!!ひまりからお風呂入りなさい!!」

 

「ひーちゃん!!お風呂こっちだよ!!」

 

リサの言葉に反射で反応してしまった4人。

出席番号順でひまりからあこの案内でお風呂へと入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

あこが戻って少し経った頃、リサはあることを思い出して声を挙げる。

 

「あっ。そうだ。燐子。後で裁縫道具貸してくれる?弦太朗の上着の袖なんだけど。ボタン取れそうで・・・」

 

「それなら私がやっておきますから・・・」

 

「ボタン着け直したらアタシがお風呂入るときに洗っておくからー。よろしくねー」

 

そう言い残して燐子はどこからか裁縫道具を取り出すと同時に上着のボタンを付け直す。

目にもとまらぬ早業にリサ以外全員の視線が燐子へと集まる。

 

「りんりん!!すっごーい!!しゅばば~って!!」

 

「流石、燐子ね」

 

「えぇ~・・・」

 

「あこちゃん。お風呂入るときに持って行ってくれる?」

 

「うん!!」

 

「お風呂あがりましたー。ってあれ?巴どうかしたの?」

 

「ひまり・・・」

 

「おねーちゃん一緒にお風呂入ろ!!りんりんのお風呂すっごいおっきいから!!」

 

このタイミングで風呂から上がったひまりがリビングに戻ってくるが巴が困惑している様子を疑問に思うがあこが巴の言葉を遮り、一緒に風呂に入ることをと提案する。

 

「おう・・・」

 

「あれ?あこちゃん。どうして弦太朗くんの上着持ってるの?」

 

「えぇっとね!!リサ姉がお風呂入るときに洗うから持って行ってって!!」

 

「そうなんだ~。流石リサさん」

 

「じゃあ行こ!!お姉ちゃん!!」

 

「そうだな・・・」

 

そう言うと宇田川姉妹はそのまま2人でそのまま風呂場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

――弦太朗の上着:宇田川姉妹の場合

 

「風呂広いな。じゃあ、湊さんも待ってるしすぐ入るか・・・。ってあこは何してんだ?」

 

「うーん。カッコいいと思ったから着てみたの!!でも、袖がぶかぶかだよ~」

 

巴の視線の先には弦太朗の上着を着たあこ。

袖が長すぎるため腕が通らず、余った袖をぶらぶらと揺らしながら巴に答える。

 

その上着は血で汚れているが、あこは気にしている様子はない。

 

「服汚れるぞ?」

 

「大丈夫だよ!!もう脱いであるから!!でもこれ、おねーちゃんなら似合いそう!!着てみてよ!!」

 

そういうとあこは上着を脱いでそのまま巴へと突き出す。

 

「うーん。でも流石に汚れてるからなまた今度な」

 

「そっか~。でも蘭ちゃんとかも似合いそう!!」

 

汚れが気になる巴はなんとかやり過ごそうとするが、あこの言葉にあることを思いつく。

 

「この前、つぐがスケバンでライブしたから今度みんなで合わせてライブするか!!」

 

「面白そう!!」

 

「なら、その時まで楽しみにしてくれ。早く入るぞ」

 

「うん!!」

 

こうして姉妹は2人で仲良くお風呂へと消えていった。

 

 

結論:あこはおふざけで着る。巴は次のライブの衣装にしようと思いつく。

 

 

 

 

――湊友希那の場合

 

「すぐにお風呂入ってご飯食べましょう」

 

友希那は上着などに目もくれずそのまま風呂へと向かい、最低限身体と髪の手入れを終えるとすぐさまリビングへと戻っていた。

 

彼女にとって上着などは眼中にない。

彼女の意識は風呂上がりのリサの食事それだけである。

 

 

 

結論:上着よりもリサのご飯!!

 

 

 

――弦太朗の上着:白金燐子の場合

 

「まさかあんなことになるなんて・・・」

 

燐子は今日の体験を思い出していた。

 

男子と手を繋ぎ、抱きかかえられて、空を飛んで、怪物との戦いを目撃した。

 

その事を思い出しながら服をすべて脱いだ燐子の視線の先にあったのは弦太朗の上着。

彼女は今後の衣装の参考にするべくその上着に腕を伸ばして観察する。

 

 

 

 

「意外と小さいんですね・・・」

 

彼女は何を思ったのか上着に袖を通す。

あこほどではないが袖が余り、前のボタンは彼女のサイズによって閉めることは叶わない。

 

「でも、これは良く考えたら私たちのイメージとは違いますね・・・」

 

冷静さを取り戻した燐子は上着を脱いで、改めて上着を持ち上げて観察する。

 

「こういう生地なんですね・・・。裏地もしっかりしてる・・・」

 

彼女は上着の構造を入念に確認するが、その時彼女の腕から上着が滑り落ちて顔に被さってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!!!?!!」

 

瞬間、彼女の身体に電流が走る。

今まで嗅いだことのない漢の匂いが彼女が鼻腔に襲う。

 

「お父さんとは違う男の人の匂い・・・。この匂い結構好きかも・・・」

 

匂いを嗅ぐと身体の奥から熱くなり、燐子はそれを堪能するために上着に鼻を押し付けて大きく深呼吸をして匂いを堪能する。

 

「これ・・・いい・・・」

 

 

 

 

そして燐子が匂いと堪能していると突如としてドアが開く。

 

「燐子~ご飯出来たけ・・・ど・・・」

 

 

ドアを開けたのは食事の準備を終えたリサ。

そんな彼女が見たのは全裸で男子の上着の匂いを嗅いでいるバンド仲間の姿。

 

気まずい空気が2人の間に流れる。

 

「あはは・・・。ごめんね~。ごゆっくり~」

 

「っ!?!?!?!?」

 

リサは震える声を上げながらドアを閉める。

そして燐子は顔を真っ赤にして湯舟に飛び込みその直後にのぼせてしまい後から様子を見に来たリサに救出された。

 

 

結論:開けてはいけない扉を開けてしまった。

 

 

 

――弦太朗の上着:今井リサの場合

 

「よーし。ご飯を食べたし、後は上着の血だけは落としておかないとね~」

 

リサは風呂に入る前に弦太朗の上着を掴むと先ほどの燐子の行動を思いだす。

 

「燐子はさっきあんなことしてたけど、そんなに匂いしたかな~」

 

そうしてリサも燐子同様に服に匂いを嗅ぐ。

 

「う~ん。そんな臭くないと思うんだけどな~。まっそんなことより・・・」

 

リサは燐子の家にあるものを総動員して手に持っている上着についている汚れに立ち向かっていった。

 

 

 

 

 

「汚れを駆逐してやる!!1つ残らず・・・!!なんてね」

 

結論:リサ姉の戦いはこれからだ!!

 

 

 

リサの洗濯によって汚れは完璧に落ちて翌日、燐子の手によって弦太朗へと返却された。

その際、教室中の視線を集めてしまい、あらぬ噂が流れてしまったのは別の話。

 

 

 

 

 

~~~小ネタ13:おいたわしや・・・お師匠様

 

あたし、桐ヶ谷透子!!

モニカのギターをやってんだ~。

 

ギターの師匠はあのRoseliaの紗夜さん!!

最近は色々あったらしくて練習見てもらえなかったんだけど・・・。

 

今日は珍しく、紗夜さんの方から呼び出しがあったんだよね~。

でも、いつも以上に真剣な感じだったからな~。

 

もしかして免許皆伝的な!?

 

 

 

 

そんな期待感を胸に待ち合わせ場所であるななみのバイトしてるファミレスに早く着き過ぎてしまったけど、まぁ大丈夫っしょ!!ミクロン!!ミクロン!!

 

あたしが飲み物を片手に紗夜さんを待っていると入口から神妙な顔をした紗夜さんの姿が見えた。

 

「紗夜さ~ん!!」

 

「桐ヶ谷さん!!」

 

あたしが席から紗夜さんを呼ぶと普段と違って明るい顔になってあたしのとこまでやってきた。

それにしてもカバンの中から何か見えてるけどなんだろ・・・?

 

 

「桐ヶ谷さん。急に呼び出してすいません」

 

「いえ!!それにしても紗夜さんからこんなところに呼び出すなんて何かあったんですか?」

 

「えぇ・・・。桐ヶ谷さんに頼みたいことがありまして・・・」

 

「・・・っ!!」

 

あたしの質問を受けて紗夜さんの空気が変わった。

それにしてもあたしに頼みたいことか~。

 

今までにそんなことはなかったのに紗夜さんが他でもないあたしに頼ってくれることを感激していた。

 

「桐ヶ谷さん。あなた確か自分の服のブランドを持っていましたよね・・・?」

 

「えぇ」

 

「実はお願いしたいことって言うのは・・・」

 

ブランドの事を聞いて頼みたいこと・・・?

もしかして・・・!!

 

 

 

 

 

 

「もしかしてRoseliaの衣装デザインですか!?任せてください!!紗夜さん達に似合う最っ高~の衣装用意するんで!!」

 

「いえ、衣装ではないんです」

 

「もしかしてRoseliaのグッズで服出すんですか!?量が多いとちょっと時間かかっちゃいますけど・・・。

師匠でもある紗夜さんのためならすぐにだって・・・!!」

 

「本当ですか!?桐ヶ谷さん・・・」

 

「それでどんなデザインにします?バンドイメージの薔薇ですか?イメージ教えてくれればすぐにサンプルを用意しますんで!!」

 

「いえ、デザインはもうあります」

 

そうして紗夜さんは自身のカバンからスケッチブックを取り出してあたしに見せてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、それを見たあたしは自分の言った言葉に後悔した。

 

そこに描かれていたのはTシャツのデザイン・・・。

Tシャツなのはわかるんだけど~、なんでフライドポテト?しかも・・・この数字はなに?

 

「あの~紗夜さん?」

 

「桐ヶ谷さん?なんでしょうか?」

 

「これって(Roseliaの)Tシャツですよね・・・?」

 

「えぇ・・・(私の)Tシャツです」

 

「・・・・・・」

 

紗夜さんの自信に満ちた発言に絶句した。

これはあたしにも理解できない・・・。

 

それに自信満々な紗夜さんにこれをそのまま作って渡すのも・・・。

 

「紗夜さん!!あの・・・」 

 

「なんでしょうか?」

 

「これだと色々デザインを詰め込み過ぎなのでもっとシンプルにしましょう!!

紗夜さんが着るなら、もっと飾り気のないクールな感じの方がいいと思うんですよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんですって?」

 

実際にこんなのは紗夜さんに着てほしくない。そう思って咄嗟に出てしまった嘘。

しかし、その言葉を聞いた紗夜さんは私の前で肩を震わせている。

 

やっば~これは怒らせたかな・・・。

謝んないと・・・!!

 

「桐ヶ谷さん!!あなた・・・」

 

「紗夜さん・・・?あの~」

 

「桐ヶ谷さん!!デザイン案を一目見てすぐに改善点まで挙げてくれるなんて・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流石!!私の一番弟子です!!」

 

 

 

 

一番弟子・・・!!

 

 

 

 

紗夜さんから出た言葉にあたしのテンションはぶち上ってしまった。

 

「紗夜さん!!任せてください!!これをベースに最っ高~に紗夜さんに似合うクールなのをデザインしてきます!!」

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後にあたしの記憶はすっ飛んでいた。

 

おぼろげに覚えているのはその光景を遠目で見ていたバイト中のななみの姿。

紗夜さんのデザインを基にあたしなりに改良してTシャツを試作した記憶。

 

そしてハッキリを覚えているのはそのシャツを渡してすぐに着てしまうくらいゴキゲンな顔をした紗夜さんの顔だけだった。

 

 

 

その後、このシャツをRoseliaグッズとして売り出して、それなりに利益が出たことにあたしは頭を抱えずにはいられなかった。

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
お泊り会
裏ではどうしてんだろと思って書いてたらりんりんがぁ~!!

お師匠様
343爆誕の原因。
透子ちゃんは完全な被害者でも、師匠のために少しでもまともにした英雄


小ネタ次回予告
別ルートEND+紗夜さん




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平・行・世・界2 -ポテトの可能性は芋の数だけ存在します!!

紗夜さん尽くしの小ネタ集
本筋とは全く関係ありません

いや、最後のはありそう・・・



 

~~~小ネタ14a:Roselia篇2-花咲川END 大真面目紗夜さん

 

ムスカを撃破して数日が過ぎた。

 

そして今日は月曜日。

いつも通りの学ラン姿で学校へと向かっている弦太朗は同じく通学中の燐子と出会う。

 

「燐子!!おはよう!!」

 

「如月さん・・・。おはようございます」

 

挨拶を交わした2人は並んで通学路を歩く。

 

「そういえばあれから紗夜はどうだ?」

 

「昨日の練習からちゃんと参加するようになりましたよ・・・。

ちゃんと立ち直れたみたいで良かったです・・・。

それに今日から風紀委員の活動にも復帰するらしくて・・・」

 

「もう紗夜も完全復活だな!!・・・そうだ!!紗夜の仕事を遠くから見てやろうぜ!!」

 

「如月さん・・・。面白そうですね・・・」

 

燐子にしてはテンション高く弦太朗の提案に賛成し、2人は校門の見える位置に身を隠して紗夜を見守る。

 

そこには―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます。・・・って弦巻さん!!何やってるんですか!!」

 

「紗夜!!いい笑顔ね!!」

 

「ちょっとこころ!?早く降りて!!」

 

「奥沢さんの言う通りです!!早く校門から降りてください!!」

 

 

 

「ふふっ・・・」

 

そこには周囲の視線を集めながら校門に登っているこころに美咲と一緒に注意をする紗夜の姿を見て燐子は笑みを浮かべる。

 

「燐子?どうしたんだ?」

 

「いえ・・・。今まで通りの氷川さんで嬉しくって・・・。もう少し見てみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと戸山さん!!何でギター弾きながら学校に来てるんですか!?それにどうしてそんなに制服が乱れてるんですか!!」

 

「紗夜先輩!!実はライブ近くて!!それで練習しながら学校に!!制服は電車に遅れそうになっちゃって・・・!!」

 

「いいからギター弾くのをやめてください!!とにかく・・・ギターは放課後まで没収です!!」

 

「そんなぁ~!!」

 

「良いから早く制服を直しなさい!!」

 

 

 

 

 

 

「安心しました・・・。もう大丈夫ですね」

 

「香澄もこころもなにやってんだ・・・?」

 

 

 

 

 

「それは私のセリフよ。弦太朗。燐子ちゃん」

 

 

 

「のわぁ!!千聖!!いきなり後ろから声かけんな!!」

 

「私も驚きました・・・」

 

「あら、ごめんなさい。2人で楽しそうにしてたから・・・つい・・・ね?」

 

 

 

 

 

「あなた達・・・。そんなところで何してるの?」

 

「氷川さん・・・!?おはようございます」

 

「紗夜!!おはよう!!」

 

「おはよう。紗夜ちゃん」

 

「如月さん。それに白鷺さんに、白金さんも・・・おはようございます」

 

弦太朗の声を聞きつけてやってきた紗夜。

彼女は隠れていたことに疑問に思うが、挨拶を返して3人に視線を向ける。

 

「もう大丈夫みたいね」

 

「皆さんには迷惑をおかけして申し訳ありませんでした・・・」

 

「気にすんな!!ダチを助けるのは当然だろ?」

 

「如月さんの言う通りです・・・。それに私達は同じバンドの仲間ですから・・・」

 

「・・・。ありがとうございます」

 

「じゃあ、紗夜!!先に教室行ってるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・って。如月さん!!ちょっと待ちなさい!!」

 

弦太朗が紗夜の横を抜けて学校へ向かおうとするが、後ろから声を掛けられた弦太朗は後ろを振り向いて紗夜を見る。

 

「如月さん。その服は校則違反ではないんですか!!」

 

「紗夜!!悪いけど天校に制服はねぇんだよ」

 

「なら、この間のブレザーは何だったんですか!?」

 

「模範服ってやつだな。でもそれ以外はダメって校則はねぇ!!」

 

「・・・ちょっと借ります!!」

 

「構わねぇぞ」

 

弦太朗は天校の生徒手帳を紗夜へ見せつける。

紗夜は生徒手帳を受け取って、燐子と千聖と一緒に服装についての校則を確認する。

 

「紗夜ちゃん?確かに制服についての規定はないわよ・・・」

 

「そうだろ?千聖、だから・・・」

 

「確かに制服については規定は無いようですが、”質素で派手にならないように心がけること。”、”学習の場に相応しい服装にすること。”とあります!!」

 

「確かに如月さんの制服はパッと見では分かりませんが派手だと思います・・・。その裏地の模様は・・・」

 

「それに!!改造した学ランにその髪型!!学習の場にふさわしいとは思えません!!」

 

 

 

燐子の援護に風紀委員が吠える。

 

「待て紗夜!!ダチなんだから少しくらい見逃してくれ!!」

 

「確かに!!如月さんとは友達ですが!!それはそれです!!」

 

紗夜の友達宣言を聞いた近くの生徒達は驚愕の表情を浮かべる。

そして、弦太朗は少しずつ後ろに下がるがそれに合わせて紗夜が距離を詰める。

 

 

「こうなりゃ・・・。逃げるしかねぇ!!」

 

「あっ!!待ちなさい!!」

 

こうして学校を舞台にして弦太朗と紗夜の競争が始まる。

 

 

 

「あれ大丈夫かしら・・・?」

 

「大丈夫ですよ。氷川さんの顔を見ればわかります・・・」

 

「顔?・・・・・・なるほど、そういう事ね」

 

燐子の言葉の意味が分からず、千聖は弦太朗を追いかける紗夜の顔を見て燐子の言葉を理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜!!ダチなんだから見逃してくれよ~!!」

 

「ダメです!!待ちなさい!!」

 

弦太朗を追いかける紗夜の顔以前のような狂気はなく、口角の上がった楽しさも感じられるような表情がそこにはあった。

 

 

 

 

 

~~~小ネタ14b:Roselia篇2-Roselia超ネタEND 狂乱のガールズバンドパーティー

 

ムスカを撃破した翌日。

弦太朗は紗夜を連れてCirlceへと足を運んでいた。

 

「如月さん。今まですいませんでした・・・」

 

「気にすんな!!もう大丈夫だろ?それに俺たちはダチだろ?だから困ったら助けんのは当たり前だ」

 

「えぇ・・・。だからこれからは・・・」

 

紗夜の声が次第に小さくなって顔が赤く染まる。

 

 

 

 

その様子を不自然に思った弦太朗は心配して声を掛ける。

 

「紗夜、どうしたんだ?」

 

「いえ!!なんでもありません。気にしないでください!!それにしても、練習は中止のはずなのにどうしてCircleに集合なんでしょうか・・・?それも私達を2人きりで向かわせるなんて・・・。」

 

「さっぱり分かんねぇ。でも、リサたちが言い出したんだからなんかあるんじゃねぇのか?

それに『絶対に時間前に来るな』って言ってたんだろ?」

 

「えぇ・・・。それも意味が分かりません・・・」

 

彼らが呼び出しを受ける際にリサから『絶対に時間前に来るな』と念押しをされていたため、彼らは言われた時間から少しだけ遅れて到着するように歩いていたのだった。

 

「さて、言われた時間から10分経ったからそろそろいいでしょうか?」

 

「さっき連絡したら『そのまま地下のステージに入って来い』って言ってたぞ?」

 

「地下?何かあるんでしょうか・・・。」

 

2人は言われるがまま地下のステージへと足を運ぶが、暗闇に包まれて周囲の様子が分からない。

 

「誰かいますか?・・・この匂いはっ!?」

 

紗夜の声が響くが一緒にいた弦太朗からすら返事がない。

不安に駆られるが紗夜の鼻は暗闇の中から何かを感じ取った。

 

その言葉を発した瞬間にステージ全体の照明で照らされる。

あまりの眩しさに紗夜は自身の手で目を覆うが、光になれてきた紗夜が手を放す―――

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!おかえりなさい!!」

 

彼女の耳に飛び込んできたのは妹である日菜の声。

それに遅れるようにいくつもの破裂音と火薬の匂い。

 

紗夜が目を開けるとそこには日菜や友希那達を始めとしてバンド仲間でもある見知った顔が集まっていた。

 

「これは・・・?」

 

「紗夜さん復活祭だよ!!」

 

「なんですか・・・?」

 

「おねーちゃんに手紙書いた後に、どうせならみんなでパァ~ってやった方がるんっ♪って思ったからみんなで準備したの!!」

 

日菜はそう言って後ろを指差す。

そこに広がっていたのは紗夜の好物であるポテトを始めとして軽食や飲み物の数々。

 

「今日は貸し切りだよ~。ちなみに料理はアタシを中心に沙綾とつぐみ達で用意しました!!」

 

「お肉ははぐみのところだよ!!」

 

「今はいないけどろっかがRASのみんなも後から来るって!!宣戦布告するんだって!!」

 

「あの人らしいですね・・・。受けて立ちましょう!!」

 

「そう言うと思って紗夜。もう"BanG Dream! Girls Band Challenge! "へのエントリーを済ませておいたわ」

 

「湊さん・・・」

 

「紗夜。見せつけてあげましょう。Roseliaがガールズバンドの頂点であることを・・・」

 

「えぇ当然です」

 

「友希那さん!!紗夜さん!!ポピパだって負けませんからね!!」

 

「戸山さん・・・。いいでしょう。受けて立ちます!!」

 

 

 

 

「おねーちゃん!!早く食べよ!!」

 

日菜の一言によって宴が始まる。

そこには終始笑顔が溢れ、楽し気な笑い声が絶えなかった。

しかし、それも長くは続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Hello!!待たせたわね!!」

 

「遅れてすいません・・・」

 

「チュチュにロック!!来てくれたんだ!!」

 

「レイ!!」

 

「花ちゃん!!」

 

「Roseliaもバンドリに出場するらしいから改めて宣戦布告しに来たわ!!」

 

「良いわよ。返り討ちにしてあげるわ」

 

友希那とチュチュ。

2人に視線が重なり火花を散らし、彼女達の後ろには威嚇し合う猫のイメージが浮かび上がる。

 

 

 

「パレオ!!」

 

「はい!!チュチュ様!!」

 

チュチュの声にパレオが外から大量の箱を抱えて中へと入ってくる。

 

「こちらチュチュ様から皆様へのプレゼントのチョコレートになります!!Aftergrowの分は一部ビターチョコになってますので!!」

 

「敵にチョコを送るなんて余裕ね・・・早速頂くわ」

 

 

 

「トーゼン!!頂点に立ってるRASの余裕ってものよ!!ありがたくいただきなさい!!」

 

こうして会場にいるチュチュ以外の女子全員がチョコを食べ始める。

 

そして、少し後突如として事件が起こった。

 

 

「・・・・・・きゅ~~」

 

「あこ!!しっかりしろ!!フラフラじゃないか!!」

 

「あれ~おねーちゃんが3にんもいりゅ~」

 

「あこ?なに言って・・・」

 

あこが真っ赤になってフラフラになっていた。

心配になった巴はあこに駆け寄るが返ってきた反応は酔っ払いのそれ―――

 

しかし、突如として変わったのはあこだけではなかった。

 

 

 

「あっりしゃ~!!」

 

「か~しゅ~み~」

 

「香澄ちゃん!?有咲ちゃん!?」

 

「ふへへへへへ。ちしゃとしゃ~ん。もっとこっち来てジブンとお話しましょ~。ふへへへへへ」

 

「ちょっと麻弥ちゃん!?」

 

 

 

「ふえぇ~zzz」

 

「はっぴ~らっき~zzz」

 

「すまいる~zzz」

 

「あぁ~は”が”な”い”~」

 

「薫さん!?そんなに泣いてどうしたんですか!?こころ達も寝ないで!!」

 

 

 

 

「あつい・・・」

 

「ちょっと燐子!?何やってるの!?」

 

「あついからぬぐの~!!」

 

 

「ひまり~。つぐみ~。みんなだいしゅき~。」

 

「蘭~あたしもだいしゅき~!!」

 

「蘭ちゃん!?どうしちゃったの!?」

 

 

 

 

 

「どえれえいい気持ちやわ~」

 

「ロック・・・可愛いな・・・」

 

 

会場では香澄の絡みに楽し気に対応する有咲。

普段では考えられない態度で千聖に絡み始める麻弥。

床に転がって寝てしまったこころ達を見て泣き始める薫。

熱がって服を脱ぎ出そうとする燐子。

いつも以上に素直な事を口にする蘭とひまり。

方言全開で会話をするロック。

 

そのいずれもが呂律が回っておらず、顔はあこ同様赤く染まっている。

 

 

「レイ?モカ?どうなってるの?」

 

「なんか酒臭くな~い?」

 

「酒?・・・これって!!」

 

たえの疑問を受けたレイヤはチュチュが持ってきたチョコの箱を確認する。

 

 

 

「ちょっとチュチュ!!これウイスキーボンボンだよ!!」

 

「What's!?」

 

「ウイスキーってお酒だよね?それが何でチョコに・・・それになんで未成年が買えるの・・・?」

 

「確かにハナの言う通り。それは酒がチョコの中に入ってんだけど。未成年でも買えるぞ」

 

「へぇ~。だから蘭とひーちゃん達はあんなふにゃふにゃに・・・」

 

「って!!とりあえずなんとかしないと!!」

 

「・・・いや無理だろ」

 

 

 

 

ますきの言葉を受けてたえとレイヤとモカは会場へ目を向ける。

そこには大半の女子がアルコールによって豹変して収拾不可能であることを物語っていた。

 

「紗夜先輩。風紀委員ならなんとか・・・」

 

 

たえは期待感を持って紗夜に視線を向けるがそれは一瞬で砕け散った。

 

紗夜の足元には大量のチョコの包装紙。

彼女も既にチョコを口にしてアルコールに宛てられた1人だった。

そんな彼女はフラフラした足取りで弦太朗の元へ向かうと突如として彼の胸倉を掴む。

 

「きしゃらぎしゃん・・・」

 

「紗夜?って酒臭っ!!大丈夫か!?」

 

「・・・ってくだしゃい・・・」

 

弦太朗の声に反応せず、紗夜は突然声を荒げる。

 

「わたしにあんなことして!!しぇきにんとってくだしゃい~」

 

「何言ってんだ!!」

 

「わたしにでんきでびりびりしゃしぇて。あんなにあつくしゃしぇて。それにあんなふといのでからだをさしたしぇきにんとって~」

 

 

 

紗夜の言葉に会場が凍る。

 

弦太朗がゾディアーツになっていた紗夜と闘った時にはエレキとファイヤーで攻撃もしたし、ドリルで一度は止めを刺した。

 

確かに紗夜の言っている言葉は間違ってはいない。

しかし、その言い方に問題があり周囲を大きく誤解させていた。

 

「日菜!!ちょっと紗夜をなんとかしてくれぇ!!」

 

「うわぁああああああああああん!!ゲンちゃんにおねーちゃん盗られたぁあああああ!!」

 

弦太朗は紗夜の妹である日菜に助けを求めるも、彼女もまたアルコールの呑まれた1人。

紗夜と弦太朗の姿を見てその場で泣き叫び始めてしまった。

 

 

 

 

「あたしもげんたろうくんにふといのでさされたよ~。えへへーそらがきれいなところだったなぁ~。それに~みんなのまえでいっぱいかけられちゃった~」

 

紗夜の次にひまりが答える。

彼女の事も宇宙に打ち上げてドリルで止めを刺したし、最初の戦いではウォータースイッチによる水で攻撃をしていた。

ひまりの言葉も間違ってはいないが言い方が悪すぎた。

 

しかし、弦太朗が反論する前に彼の言葉は止められた。

 

 

「あら、そういうなら私はペンで身体に落書きされたわ。それに何回も身体に電気を流されたわね」

 

ここで、面白半分で素面の千聖が乱入することにより自体は混沌を極めた。

 

 

 

 

 

「きさらぎしゃま!!パレオもせきにんとってほしいれしゅ~!!おとこゆにはいることになっらんれすからぁ~!!」

 

「パレオのは完全に自分の責任じゃねぇか・・・」

 

パレオの言葉にますきが答えるが酔っ払いにその言葉は届くことはない。

 

 

そして、最終兵器ロックが混沌とした会場に特大のネタと投下する。

 

「わたしらって~きさらぎしゃんとふたりっきりでおふりょはいりました~!!」

 

「「「しぇきに~んとりぇ~!!」」」

 

「弦太朗!!逃げて!!」

 

「仕方ないな~。モカちゃん達の屍を超えて行け~」

 

「ちょっと!!なんでワタシもこっちなのよ~!!」

 

「お前の買ってきたもんのせいだろ」

 

「Nooooooooooooooooo!!」

 

 

 

 

「すまねぇ!!」

 

こうしてレイヤの勧めによって弦太朗は紗夜を振り切ってCircleを後にした。

アルコールになれていない彼女達は殆ど記憶を失っていた。

 

数日後に千聖がバガミールを使ってこっそりとその様子を撮影していた映像を見せて痴態を晒した少女の多くは声にならない叫びをあげて悶え苦しむことになるのだった。

 

 

 

 

~~~小ネタ15:氷川紗夜の日常-3

 

羽沢珈琲店、静かな店内に2つのため息が響き渡る。

 

「「はぁ・・・」」

 

「あれ?紗夜さん~。どうしたんですかため息なんてついて~」

 

「青葉さんこそ・・・」

 

ため息を吐く2人を遠巻きに見つめるのはたまたま店に来ていた有咲と蘭・千聖、それに店員として働くつぐみ。

 

「モカがため息なんて珍しい・・・」

 

「紗夜ちゃんのため息は日菜ちゃん絡みかしら?つぐみちゃん、おかわり貰えるかしら?」

 

「はい!!それにしても何かあったのかな?」

 

「なんか、凄くくだらないような理由な気がしますけど・・・」

 

 

 

 

彼女たちの視線を気にする様子もなく、ため息2人組はその理由を語り合う。

 

「紗夜さんってげんたろーさんの持ってるロボットのこと知ってますか~?」

 

「・・・えぇ。それがどうかしたんですか?」

 

「それがですね~。何でか分かんないんですけど、ハンバーガーの子に避けられてるような気がするんですよね~。今もそこにいる千聖さんのとこから離れませんし~。それにちょっと前まではホットドックの子とも距離があったんですよ・・・。およよ~」

 

「・・・!?青葉さんもですか!!私はポテトの子に避けられてるんです・・・。

今も市ヶ谷さんにべったりですし・・・」

 

「なんででしょうかねぇ~」

 

「日菜には何ともないのに・・・納得できません!!」

 

「ちなみにどんなことをしたんですか~?」

 

「最初は見つけたのを追いかけて・・・。次は網で捕まえようとして、最近は―――」

 

 

――――――――――――

 

 

私は生徒会室で1人きりで資料を纏めてる最中、ポテトが目の前にやってきた。

 

「この子は確か・・・如月さんのポテト・・・」

 

たしか、ポテトは如月さんの子で最近は市ヶ谷さんにべったりで私には近寄ってすら来なかったのに・・・。

 

この際、この事仲良くなるのが良いですね。

 

「仲間と思われてみましょうか・・・」

 

私は机に置いてあった2つのハサミを両手に持ってゆっくりとポテトに歩み寄る。

 

 

そして、ポテトは警戒心をむき出しにしていたが私が近くへと歩み寄った時に生徒会室のドアが開かれる。

やってきたのは市ヶ谷さんと白金さん。

 

「氷川さん・・・?」

 

「紗夜先輩?なにやってんですか?」

 

「あっ・・・」

 

2人がやってくると私の事を完全にスルーして白金さんの胸に飛び込む。

 

「ふふっ・・・」

 

ポテトを撫でる白金さんは満足したのか市ヶ谷さんにポテトを渡そうとするが、ポテトは市ヶ谷さんの頭の上に飛び乗る。

 

「お前なぁ・・・」

 

呆れながらも満更でもなさそうな顔をする市ヶ谷さん。

 

「氷川さんは疲れてるんですね・・・。後は私達がやりますので・・・」

 

この日は白金さんの勧めによって帰宅をするが、その日以降ポテトが私に近寄ることは無くなってしまいました。

 

――――――――――――

 

「ということが・・・」

 

「う~ん。普通ですよねぇ~」

 

 

 

 

 

 

2人はそのまま盛り上がり始めるが、外で聞いていた外野は呆れていた。

 

「モカは自業自得だよ・・・。寝ぼけて食べようとしたことあったし・・・」

 

「それ言うなら紗夜先輩もだな。あの後もこいつの事を獲物を見るような目で見てるしな」

 

「あはは・・・。千聖さん、おかわりです」

 

「ありがとう。それにしても、2人ともそんなことしてたのね・・・。バガちゃんこんなにいい子なのに・・・」

 

ため息2人組の話に出てきたロボット―――バガミールとポテチョッキンは有咲と千聖達の目の前で楽しそうにじゃれ合っている。

 

 

ここにはいないが友希那と共にいることの多いフラシェキーも最近はつぐみの店に顔を出して遊ばせている。

 

 

「あんな目の前で楽しそうにしているのに・・・ぐぬぬ・・・」

 

「紗夜さ~ん。物凄い顔になってますよ~」

 

「こうなったら私もあの輪に混ざります!!」

 

「あたしも~!!」

 

 

 

 

 

「やっべぇ!!2人ともこっちに迫ってるぞ!?」

 

「沙綾ちゃんのところに逃げてもらいましょう!!」

 

こうして2人は獲物を狙うような目つきでバガミール達に迫る。

その様子を見た有咲達は2人を抑える隙に2匹は近くの沙綾のパン屋へと避難することで難を逃れることに成功した。

 

その後、2人が今まで以上に距離を取られることになってしまうのはまた別の話。

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
Roselia篇2-花咲川END 大真面目紗夜さん
アンケートで負けた方です。
弦太朗に服に注意を続ける紗夜さん
こっちの紗夜さんは壊れなかったんや・・・

Roselia篇2-Roselia超ネタEND
没案ネタENDから343成分を抜き取ったもの
抜き取ってもかなり量があるし最初はこれに343成分が入ってたんだぜ・・・?
想像もつかねぇ・・・


小ネタ15
ぽてぇええええええええええええええ!!




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日・常・風・景5 -私たちの戦いはこれからよ!!

ネタ投稿です。

スイッチ解説したら次のメインに戻ります。
おままごとと修行は次のメイン終わったらやるよ・・・

メインはアンケートの赤メッシュ篇をお送りいたします


~~~小ネタ16:弦太朗の髪への反応集

 

――――Poppin'Partyの場合

 

「全く!!彩さんは分かってないなぁ!!あの髪型が良いのに~!!なんでわかんないかな~」

 

「沙綾ちゃん・・・。落ち着いて・・・」

 

「ならりみ達はどっちがいいの!?」

 

有咲の家の蔵で沙綾は唸る。

内容は学校で行われていた弦太朗の髪型について結論が出なかった事が不満でならず憤慨する。

普段では考えられないその姿を見たりみが沙綾を宥めようとするが、沙綾は他のバンドメンバーに弦太朗の髪型についてどちらが良いかを問いただす

 

「あの髪のゲンちゃん先輩はなんか不思議だったよねー」

 

「私もどっちかって言ったらいつものかな。この間、うちのウサギを先輩の髪型みたいにしたら可愛かったよ。ほら・・・」

 

「かわいい~!!」

 

こうしてたえと香澄はリーゼント風に毛をセットしたウサギの写真を片手に盛り上がっていた。

その様子を見て沙綾の次の標的はりみと興味の無さそうな有咲へと移る。

 

「私は今の弦太朗くんでも良いと思うけど・・・。見た目も怖くないし・・・」

 

「私はどっちでもいいな・・・。そこまで興味ないし」

 

有咲は「どちらでもいい」と答えてしまった。

しかし、その答え方は今の沙綾には悪手―――

 

 

 

 

 

 

「・・・は?」

 

「ほら・・・どんな髪型でも弦太朗くんだし!!ね?有咲ちゃん!!」

 

「それに髪型なんてすぐ変えられるだろ?それに見た目で判断する痛い目見るだろ?ほら・・・」

 

光のない沙綾に2人はそれらしい理由を述べて、有咲は指でたえを指差す。

指の先を見て何かを察したのか目に光が戻ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「それもそうだね!!どんな見た目でも弦太朗だもんね。じゃあ、そろそろ練習始めよっか?」

 

「うん!!」

 

沙綾の言葉にギターの2人はそそくさと楽器の準備を始め、りみと有咲達もそれを見て楽器の準備を行って彼女達は練習を始めるのだった。

 

 

結論:見た目で判断すると痛い目見るよね―――?

 

 

 

 

――――Afterglowの場合

 

「ひーちゃん~。この人のこと知ってる~?」

 

みんなで集まって屋上での昼食中、モカは自身のスマホをひまりへと突き出す。

 

そこには紗夜と一緒に写る青いブレザーを着た男子。

 

「知らないよ~!!ってこの人誰!?紗夜さんとのツーショットってことは彼氏!?」

 

「なら、何でリサさんが一緒にいるの!?しかも朝って事は・・・!!」

 

モカの写真を見てあらぬことを考えて1人で盛り上がり始める。

その様子を見た蘭達もモカのスマホをのぞき込む。

 

「ナンデ・・・ナンデ・・・」

 

「ただ紗夜さんを迎えに行っただけだろ?」

 

「服は怒られない様にしただけでしょ?いつものあいつで行ったら怒られるでしょ」

 

「・・・そっか!!」

 

写真を見たつぐみは瞬時に目の光が消すが、蘭と巴によってすぐにその目に光が戻る。

3人の会話を聞き取れてしまったモカは手に持っていたパンを取り零した。

 

「ひーちゃん。これげんたろーさんだって・・・」

 

「嘘!?」

 

「ひまりもこころの家で見たことあるだろ?」

 

「あの時はそんな余裕なかったよ~!!でも、こっちの髪もいいなぁ~」

 

「あたしは今までのほうがいいかな」

 

「蘭~めずらしいね~」

 

「蘭ちゃん!!どういう意味!?」

 

「別に・・・。いつも通りの方が良いって思っただけ・・・」

 

「そっか~」

 

「蘭らしいね~」

 

「それもそうだな!!」

 

「ちょっと!!みんなして何でそんな笑ってるの?」

 

蘭の言葉を聞いたモカ達は微笑ましいものを見る目で彼女を見る。

その空気に蘭は恥ずかしさを覚えて顔を紅く染めて無言で食事に戻った。

 

彼女達が写真の状態の弦太朗に会うまで後数時間―――

 

 

結論:いつも通りが一番!!

 

 

 

――――ハロー、ハッピーワールド!の場合

 

こころの屋敷で作戦会議・・・ということで呼ばれた彼女達。

しかし、こころ本人は未だに部屋に現れない。

 

「ふっ・・・。今日はどんな儚いことがあるのかな?」

 

「いやな予感がする・・・」

 

「美咲~!!」

 

美咲の呟くが、それと同時に部屋のドアを開ける音と共にこころが部屋へ飛び込んでくる。

そして、その美咲の予感は的中した。

 

 

 

 

 

「なっ・・・!!」

 

「儚い・・・」

 

「こころんすっごーい!!」

 

「ふえぇー!!こころちゃん!?その髪の毛どうしたの?」

 

部屋に現れたこころ。

しかしその髪型は普段とは違い、いつもの弦太朗のようなリーゼントが頭についていた。

 

「これね?いつもの弦太朗の髪型を真似てみたの!!」

 

「いやいや!!理由になってないし!?」

 

「はぐみよくわかんない!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

突然のこころの暴走に困惑する美咲達を他所に薫はこころへと声を掛ける・

 

 

 

 

「こころ。今日の弦太朗は紗夜のために普段の自分を隠していたのさ」

 

「あら?薫も弦太朗の事を知ってるのね!!」

 

「あぁ。リサちゃんに写真を見せてもらってね。今日の弦太朗は紗夜が好きな男を演じていたのさ」

 

「薫?それってどういうことなのかしら?」

 

「つまり・・・そういうことさ。それにこころには普段の髪型が一番似合っているよ」

 

「薫分かったわ!!」

 

薫の対応に美咲と花音は驚愕の表情を浮かべる。

こころは薫に言われるがまま普段通りの髪型に戻した後、彼女達は作戦会議を開始した。

 

 

結論:こころの暴走で話題にすらならない

 

 

 

 

――――Pastel*Palettesの場合

 

「全く!!沙綾ちゃんは分かってないなぁ!!あの髪型が良いのに~!!なんでわかんないかな~」

 

「はぁ・・・彩さん。そろそろ練習始まるから落ち着いて・・・」

 

「なら麻弥ちゃん達はどっちがいいの!?」

 

事務所のスタジオで彩が吼える。

内容は学校で行われていた弦太朗の髪型について結論が出なかった事が不満でならず憤慨する。

呆れながらも麻弥は彩を宥めようとするが、彩は他のバンドメンバーに弦太朗の髪型についてどちらが良いかを問いただす。

 

「そうね・・・。流石にアイドルの横に立つにはあれは目立ちすぎるもの」

 

「ワタシもです!!あれがニッポンダンジを体現した姿です!!」

 

「それで日菜ちゃん達は?」

 

「あたしは普段のゲンちゃんかな~。あの髪はなんか見ててモヤモヤ~ってする!!」

 

「ジブンも・・」

 

「まぁ、確かに慣れてしまったから違和感はあるわよね・・・」

 

「えぇ~!!」

 

この後彩ちゃんが一生懸命に良さを話しましたが、伝わりませんでした。

 

 

結論:慣れって怖いよね・・・

 

 

 

――――Roseliaの場合

 

紗夜も戻ってきて練習に熱の入るRoseliaは今日も練習のためにスタジオに集まる。

彼女達は遅れている友希那を待ちながら他愛ない話を繰り広げていた時に事件は起こった。

 

「そうだ!!リサ姉!!この前げんたろーが髪の毛おろしてたけど。普段のげんたろーとどっちがいい?」

 

「そうだねー。どっちでもいいけど、見た目だけならこの前かな~☆でも、あんなカッチリと制服着てるのにあんなキャラだとギャップが凄くて違和感がね~。あこは?」

 

「あこは普段の方かな~。あっちの方がげんたろーって感じがする!!」

 

「そうだね~☆まぁ、友希那にもそれ聞いたんだけどどっちでもいいって言われちゃったんだよね~。

それで紗夜たちはどっち?」

 

「私は見た目だけの話になるとこの前の方ですね。」

 

「それでりんりんは?」

 

「・・・・・・。」

 

あこの問いかけに燐子は考え込むようにしたまま動かない。

しかし、今の燐子の脳内では小さい彼女たちが集まり激しい脳内会議が繰り広げられていた。

 

 

――――――

 

『学ランの方が・・・』

 

『いえ、この前のブレザーの方が・・・』

 

『私の黒い髪とお揃いの色である黒い学ランの方がいいです~・・・』

 

『生徒会長の横にいるなら改造してない制服をしっかり着てる方がいいよ・・・』

 

『学ラン・・・!!』

 

『ブレザー・・・!!』

 

『『『『やんややんや!!』』』』

 

燐子の頭の中では小さい彼女たちが向かいあって互いに意見を飛ばし合う。

しかし、その言い争いの中で封印された扉が開き、中から出てきた彼女が一言。

 

 

 

 

 

 

『学ランです・・・!!ブレザーにはあの匂いが足りません・・・』

 

『『『『・・・・・・っ!!』』』』

 

開けてはいけない扉の向こうから出てきた彼女の一言によって脳内会議を強制終了された。

 

――――――

 

「学ランかなぁ・・・」

 

「「!?」」

 

「りんりん!?」

 

「あこちゃん・・・?」

 

「白金さん!?どういうことですか!?説明してください!!」

 

「ふぇ・・・?」

 

「・・・・・・あ~。なるほど・・・」

 

驚いた様子で詰め寄る紗夜とあこにたじろぐ燐子。

しかし、この中で1人思い当たる理由が分かるリサは彼女の言葉に意味が分かってしまったため面倒ごとをさけようと燐子から距離を取ってその様子を友希那が来るまで眺めているのだった。

 

 

結論:口は災いの元

 

 

――――RAISE A SUILENの場合

 

チュチュのスタジオにてロックは自身のスマホを眺めていた。

 

「お~い!!ロック」

 

「ひゃ!!ますきさん!?どうされたんですか?」

 

「そりゃこっちのセリフだぞ。声かけても返事しねーしさ。それで何見てたんだよ?」

 

「いえ!!大したものじゃないですよ!!」

 

「ふーん。そろそろ合わせるから準備しておけよ」

 

「はい!!レイヤさんも・・・?レイヤさん?」

 

「おいレイ?どうしたんだ?」

 

「ロック・・・ますき・・・これ・・・」

 

2人はレイヤへ視線を向けるが、レイヤは自身のスマホを見て固まっていた。

不思議に思った2人は悪いとは思ったがレイヤのスマホを覗き見る。

 

そこにはレイヤの見たことのない男が学校の中庭でたえを食事をとっている写真だった。

 

「・・・なぁこの男は誰だ?」

 

「如月先輩ですよ?私が持ってる写真とは違いますね・・・」

 

「えっ!?嘘っ・・・!!初めて見た・・・」

 

「あいつ髪おろすとこうなんのかよ・・・。それで2人は固まってたのか・・・」

 

「ちょっと。あんた達携帯持って何やってんのよ・・・」

 

「チュチュこれ見ろよ。パレオも」

 

固まっていた3人にチュチュが声を掛けるがますきは逆に呼ばれる。

そして近寄った2人にレイとロックに送られていた2枚の写真を見せられる。

 

「これってハナゾノとサヨじゃない!!しかも同じ男と一緒に・・・!!」

 

「どこかで見たことあるような・・・」

 

「弦太朗だってよ」

 

「嘘っ!?これがBadBoy!?これじゃBadBoyって呼べないわよ!!」

 

「そうです!!如月さんです!!ロックさんの銭湯で見ました!!」

 

「だからロックはすぐ分かったんだ・・・」

 

「一緒の風呂入ったって言ってた時か。流石に一緒に風呂入ったら覚えんのか?」

 

「ますきさん!!一緒にお風呂には入ってません!!ロックさんも何か言って・・・」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・///」

 

 

 

「「「「・・・・・・へぇ?」」」」

 

"一緒にお風呂"

ますきから出たその言葉にロックは先日の出来事を思い出して、その顔を真っ赤に染める。

その姿を見て他のメンバーはますきの放った言葉が事実だと知り、その事で揶揄われることになるまでそんなに時間はかからなかった。

 

結論:リーゼントじゃないならBadBoyじゃないじゃない!!

 

 

――――???の場合

 

「ロック?それにあこも・・・何見てるの?」

 

「げんたろーの写真だよ。」

 

「確かお姉ちゃんが言ってた不良男子の・・・。その人がどうかしたの?」

 

「あこのところに写真が送られてきたからろっかにも見せてたの!!これ!!」

 

こう言ってあこは明日香に髪をおろした弦太朗の写真を見せる。

 

 

 

「・・・・・・かっこいい・・・・・・・・・・・・」

 

「「へ?」」

 

あこの無自覚の行動によって、1人の少女が新たに堕ちて行った―――

 

 

 

 

 

 

~~~~小ネタ17:腹ペコ友希那ちゃん・つー:歌姫にアイドルを添えて・・・

 

「お腹が空いたわね・・・何を食べようかしら・・・」

 

みんなは用事で来れないということでCircleで自主練を行った後、私は空腹の身体引き摺って商店街を歩いていた。

 

私は自分の持っていた財布の中身を確認するが今日はそこまで持ち合わせがないから、先日みたいに店を梯子するほどの余裕はない。

 

ふと肩に重みを感じたので視線を向けるとフラシェキーが羽根をぱたぱたと動かして道を指している。

 

あの方向は青葉さんに教えてもらった三郎の方ね・・・

 

フラシェキーの提案に乗ろうと思って私は三郎へ向けて歩き出す見慣れない光景に足を止めてしまった。

 

「あら・・・?なんの騒ぎかしら?」

 

私の目に留まったのは商店街の一角―――

正確には山吹さんのパン屋の近くに人が集まっている。

 

ふと、気になった私はその人ごみの向こうを確認する。

 

 

 

 

「まん丸お山に彩を。丸山彩でーす。今日は商店街の紹介をするよ~」

 

「「「「いえーい」」」」

 

 

 

 

「あれは・・・番組の収録ね・・・」

 

人混みの向こうにはパスパレが番組の収録を行っていた。

とりあえず邪魔になりそうだし、お腹空いたから早くご飯を食べたい。

 

そう思って歩き出そうとするが――――

 

 

「あれ?友希那ちゃんだ!!お~い!!」

 

 

 

 

人混みの向こうで見えないはずなのに日菜に見つかってしまった。

逃げるわけにもいかず、私は再び足を止める。

 

「ちょっと日菜ちゃん!?何をやってるの!?」

 

「えぇ~。だってさー。たまにはゲストも必要じゃない?それに友希那ちゃんと一緒だったらるんっ♪ってすると思うし!!」

 

「ヒナさん。そういう事ではなく・・・」

 

「うぇえええ!?どうしよー!!」

 

「彩ちゃん!!落ち着いて・・・。ってカンペ?『面白いからそのまま続けて』・・・。何考えてるのかしら・・・」

 

「えぇ~と。この人はジブン達に友人で人気のガールズバンド"Roselia"のボーカルさんです!!」

 

「始めまして。Roseliaボーカル・湊友希那です。ってこれはどういうことかしら?」

 

大和さんが紹介してくれたから自己紹介をしたけど、どういうことかしら?

お腹空いたから早くご飯が食べたいのだけど・・・。

 

「えぇっとですね。これからミンナで商店街のお店を紹介するんです!!」

 

「それでね~友希那ちゃん。良かったら一緒に・・・」

 

「興味ないわ」

 

私の言葉を聞いて露骨に残念がっている日菜と若宮さん。

今の私はお腹が空いているの。食べ物の店の紹介でもない限り行かないわ。

 

「そうよね・・・。食べ物の紹介だから友希那ちゃんにはつらいわよね・・・」

 

「なんですって・・・!!」

 

それは食べ物にありつけるという事ね・・・

でも、いいのかしら・・・?

 

「友希那ちゃん~いこーよ~。ロケだから経費で落ちるよ~!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

「・・・っ!!」

 

今なんて言った?

経費で落ちる・・・?

それってつまりただで食べ放題ってことね・・・

 

「みんな何やってるの?早く行くわよ。最初のお店はここね?」

 

「そうだよ~。いってみよ~!!」

 

 

「うぇえええ!?」

 

「友希那ちゃん!?急にどうしたの!?」

 

「アヤさん!!チサトさん!!落ち着いてください!!」

 

私は日菜達を連れて”やまぶきベーカリー”へと入っていく。

 

 

「いらっしゃいませー・・・って友希那先輩!?どうして・・・?」

 

「こんにちは。なにって・・・テレビよ?」

 

「ここはやまぶきベーカリーです。地元の女子高生にも人気のパン屋です」

 

「それは知ってますけど・・・どうして・・・?」

 

「沙綾ちゃん。えぇっとね・・・」

 

彩たちが店の紹介をする中、友希那がいることに戸惑いを覚える沙綾。

そんな彼女に対して千聖はカメラに写らないように事情を説明する。

 

 

「・・・なるほど。どれもこれも全部日菜さんの仕業ってことですね・・・」

 

「ごめんなさいね」

 

「いえ、千聖先輩は悪くないですから!!」

 

「店員さん!!それでお店の一押しはなんでしょうか?」

 

「えっ・・・!!はい!!うちは一押しはチョココロネですね!!」

 

「なら、それをいただいても・・・」

 

「はい!!サービスしちゃいますよ!!」

 

そういって沙綾が差し出したのはかごに入っている2つのチョココロネの山。

 

目の前の山に嬉々として手を伸ばす日菜。

その量に怖気づいている4人だったが出されたものを食べないわけにもいかず、パスパレの4人はその山に向けて手を伸ばして食べ始める。

 

「甘くておいしー!!」

 

「そうね」

 

チョココロネを食べる5人の様子を物欲しそうに見つめる友希那。

その様子に見た日菜は自身の持っているコロネを友希那の口元へと運ぶ。

 

「友希那ちゃん!!あ~ん!!」

 

「・・・・・・あ~ん」

 

「美味しい?」

 

「えぇ・・・。甘くておいしいわね」

 

「ならみんなで食べましょう?」

 

美味しそうに食べる友希那を見た千聖は一緒にコロネの山を食べることを提案すると、友希那は無言で山に手を伸ばして食べ始め、山が全て消えると皆で店を後にして次の店に向かった。

 

 

 

――――――

 

チュチュのスタジオで練習中のRAS。

しかし、レイヤとロックがいないので個人練習を行っていたパレオが突如として声を挙げる。

 

「・・・っ!!チュチュ様!!休憩いただきます!!」

 

「パレオ。どうしたんだ?」

 

「まっすーさん!!今日はパスパレの皆さんのテレビがあるんです!!」

 

「麻弥さんも出んのかな?・・・ってここ商店街じゃねぇか!!うちの店にも来たのかな?」

 

「いえ、食べ物の紹介だからないと思います・・・」

 

「そうか・・・っておい!!」

 

「えっ!?」

 

「パレオ!!マスキングも煩いわよ!!」

 

「チュチュ様!!パスパレのみんなと一緒に・・・!!」

 

「なんで友希那さんも一緒にテレビに出てるんだ?」

 

「・・・!!ちょっと見せなさい!!」

 

2人の騒ぎに注意しようとするチュチュだったが、友希那がテレビに出ていると聞いて一目散にテレビの前へと滑り込む。

 

そこにはパスパレに交じってパンを頬張っている友希那の姿があった。

 

「・・・すっげーリスみたいに頬一杯にしてパン食べてて・・・。可愛いな・・・」

 

「はい!!とってもかわいらしいです!!」

 

「まさかミナトユキナの歌の秘密はこれだったのね・・・」

 

「それはねぇだろ・・・」

 

しかし、ますきの言葉もチュチュには届かず、3人はテレビに熱い視線を向けた。

 

 

――――――

 

 

「なんだか珈琲のいいにおいがしますね!!ちょっと入ってみましょう!!」

 

彩は台本通りのセリフを言ってから”羽沢珈琲店”の扉を開く。

扉を開けると来客を知らせるベルの音が響き、カウンターの前にはエプロン姿のつぐみが待ち構えていた。

 

「いっ・・・いらっしゃいませ!!はっ 羽沢珈琲店へようこそ!!」

 

「お客様!!何名様でしょうか?」

 

「ん・・・?」

 

「当店は淹れたてのコーヒーとケーキを・・・」

 

「5名様ですね!!こちらの席へどうぞ」

 

「あの!?イヴちゃん!?それになんで友希那先輩が!?」

 

「あの~イヴさん。今日はお客です」

 

つぐみは予定にないイヴの行動といるはずのない友希那の登場に驚いているが、そのカバーをしたのは意外にもテレビ素人の友希那であった。

 

 

「羽沢さん、私の事は気にしなくていいわ。それよりもあなたらしく、いつも通りやりなさい」

 

「ふぇ?・・・はっ・・・はい」

 

「ふふっ。こちらの可愛らしい娘さんは羽沢つぐみちゃん。この羽沢珈琲店の看板娘です」

 

「それに地元で人気のガールズバンド"Afterglow"のキーボードでもあるわね。今度のライブ楽しみにしてるわ」

 

「はい!!頑張ります!!」

 

「つぐみちゃん?ここは手作りのケーキが人気とか?」

 

友希那が話を脱線させようとするが、プロの千聖が少し強引に軌道修正を行って予定通りの進行へと戻していく。

 

「はい。今月は季節のフルーツを使った千聖さんが昨日食べたケーキがお勧めです!!」

 

「千聖ちゃん。昨日も来たの?ずる~い!!」

 

「白鷺さんも食いしん坊ね・・・」

 

「(友希那ちゃんがそれを言うの?)」

 

「(湊さん。人の事言えないですよ・・・)」

 

「そっ・・・それじゃあ・・・それをもらおうかしら・・・」

 

困ったような顔をする千聖に日菜と友希那が思ったことを口にした。

友希那の言った言葉に彩たちは心の中でツッコミを入れるがそれを口に出さず、言われた千聖も笑顔を崩さずに進行をしていたが、その口元は怒りを抑えようとしたためヒクヒクと動いてしまうが、その怒りも一瞬で吹き飛んでしまった。

 

 

 

 

 

「どうぞ!!」

 

「わーい!!」

 

「「「・・・。」」」

 

「(昨日よりはるかに大きいわね・・・)」

 

「大きいわね・・・」

 

「友希那ちゃん!!食べよ!!」

 

「えぇ・・・頂きましょう・・・」

 

目の前に出されたのは大きなフルーツケーキ。

 

そのサイズはTV映えを意識したためか千聖が先日見た物よりもはるかに大きい。

日菜と友希那はその大きさに疑問も持たずにそのままケーキを食べ始めるが、先ほどのチョココロネのダメージが抜けていない4人は困り顔を浮かべつつも食べ始めるがすぐに限界を迎えてしまう。

 

そして、何を思ったのか千聖は自分の分として取り分けられていたケーキの一部を友希那へと差し出す。

 

「はい。友希那ちゃん。あ~ん」

 

「あ~ん。・・・ここの場所も甘くておいしいわね」

 

「千聖ちゃんずるい!!私もやる!!」

 

「ジブンも・・・!!」

 

こうして千聖・彩・麻弥の3人は自分で食べながら少しずつ友希那に食べさせることでなんとかケーキを完食するが、友希那はテーブルの上に置かれていた切り分けた残りのケーキを手に取る。

 

「・・・これ食べてもいいかしら?」

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

この言葉には食べさせていた3人以外にもイヴも驚きを隠せなかった。

そして、そのまま残りのケーキを完食すると、次の店に向かうために羽沢珈琲店を後にするのだった。

 

 

――――――

 

紗夜・燐子・あこの3人は自分たちがプレイしているゲーム"NFO"のリアルイベントを終えて近くの喫茶店で休憩を取っていた。

 

「りんりん!!紗夜さん!!今日はありがとう!!」

 

「ううん。NFOのリアルイベント行きたかったけど・・・最近は色々あったから1人じゃ怖くて・・・」

 

「私も楽しかったですよ」

 

「今度はリサ姉とかも一緒にいけたらいいね~!!ってりんりん!!紗夜さん!!あれ見て!!」

 

「どうしたの・・・!!あれって・・・」

 

「ちょっと2人とも・・・。他のお客さんもいるんですから・・・って」

 

「湊(友希那)さん!?」

 

3人の視線の先には1台のテレビ。

そこに写っていたのはパスパレとケーキを頬張っている友希那の姿。

信じられない光景に紗夜は手に持っていたポテトを机の上に落としてしまう。

 

「何をやってるんですか・・・?」

 

「あっー!!友希那さんがちさ先輩に食べさせてもらってる!!」

 

「どうしてこうなってるの・・・?」

 

3人は訳が分からなかったがテレビに映っている友希那から視線を外さずにはいられなかった。

 

――――――

 

「う~ん。揚げ物の香ばしいにおいがしてきますね~。ここは何のお店ですか?」

 

「北沢精肉店だよ!!特製のコロッケをどうぞ!!」

 

「うわぁ~おっきいですね・・・」

 

北沢精肉店の前にやってきたパスパレと友希那。

はぐみの持ってきたコロッケの山を見て日菜と友希那以外の顔が青く染まる。

日菜と友希那以外のメンバーの胃袋は限界を迎えており、目の前の山に恐怖を浮かべるが、しかし職レポの仕事と割り切って限界の胃袋を酷使して山からコロッケを1つ掴んでは口に運ぶ。

 

 

「ん~。おいしー!!」

 

「食欲をそそられるわね・・・」

 

美味しそうに食べる日菜と友希那を他所に、他のメンバーは辛そうであったがカメラにその姿を撮られないように表情を作って食べ進める。

 

その様子にゴキゲンになってしまったはぐみは店の奥に消える。

 

「「「「あっ・・・」」」」

 

「ちょっとまっ・・・」

 

そのはぐみの行動にいやな予感がパスパレ全員を襲うが、その予感は現実になった。

 

 

 

「さぁ!!遠慮しないでまだまだあるよ~!!」

 

「「「「「うぇ・・・」」」」」

 

はぐみはその表情を見てさっきと同じくらい大量のコロッケを追加で持ってくる。

その光景には日菜を含めてパスパレ全員の顔が青く染まる。

 

もはやパスパレ最後の砦である日菜も決壊寸前。

大ピンチに陥っていたパスパレだったが、その新しい山に友希那の手が伸びる。

 

 

「「「友希那ちゃん!?」」」

 

「湊さん!?無理しなくても・・・!!」

 

「無理はしてないわよ・・・。ちょっとソースが欲しいわね・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

 

驚いているパスパレの5人を他所に友希那は目の前に積まれたコロッケの山に手を伸ばし続けた。

 

 

――――――

 

アタシはモカと一緒に朝からずっとバイトをしていて今は休憩中。

 

「リサさ~ん。後ちょっとで終わりますね~。」

 

「そうだね~。最近はちょ~っとお金使いすぎちゃってるからねぇ~・・・」

 

そう。

アタシは今、金欠なのだ。

原因は最近の事件に巻き込まれて何枚も制服をダメにしてるからそのクリーニングやらで面白いくらいお金が消えてしまう。

 

だからこうして長時間のバイトを入れてなんとかしようとしているけど・・・大丈夫かな・・・?

 

そう思っていたら、モカの携帯が震える。

 

「ん~。つぐからだ~。・・・リサさーん休憩室のテレビつけてくださ~い。」

 

「えっ・・・?いいけど・・・」

 

ワタシはモカに言われるがまま休憩室のテレビをつける。

店長が持ち込んだ私物だけど・・・まぁ、壊すわけじゃないしいいよね?

 

そう思って付けたテレビには信じられない光景が映っていた。

 

 

 

「えっ!?友希那!?」

 

「相変わらず・・・凄いですな~」

 

そう。

テレビの中にパスパレと一緒に友希那がいたのだ。

しかも、はぐみの家の前で大量にコロッケを食べている。

 

『今何個食べたの!?』

 

『途中からしか見てないけど、もう20個は食べてるよ!!』

 

ギャラリーの声が耳に入ってきて私は怒りを覚えた。

 

 

 

あのバカ・・・!!

またあんなに買い食いして!!

 

 

 

 

そう思っていたらはぐみが追加で大量のコロッケを持ってきていた。

あれ?なんでお金払ってないのに追加を・・・?

 

その疑問はスグに解決した。

 

『友希那ちゃん!!ガンバって!!』

 

『友希那ちゃんなら行けるよー!!』

 

『あなたならやれるわ!!』

 

『ブシドーです!!』

 

『湊さん!!後ちょっとでゴールですよ!!』

 

パスパレのみんなから友希那へと声援が飛んでいる。

それにゴールって言ってもはぐみがどんどん持ってきてるからどんだけ食べるつもりなの・・・

 

そう思ってテレビを見つめること数分。

はぐみが突然コロッケを持ってくるのが止めると、友希那の前からコロッケがすべて消えていた。

 

『友希那ちゃんすごーい!!用意してたコロッケ全部食べちゃった!!』

 

『当然よ・・・』

 

『何個食べたのかしら?』

 

『スタッフさんが言うには100は超えてたと・・・』

 

友希那当然じゃないからね・・・!!

これは帰ったらまたお説教しないと・・・!!

 

しかし、テレビの中の友希那はワタシの気持ちなど知らず、呑気にコメントを続ける。

 

『ごちそうさまでした。とってもおいしかったわ』

 

『えへへ~そうでしょ~。だってうちのコロッケは世界一美味しいからね!!』

 

はぐみは嬉しそうに自慢していた。

 

しかし、ここで空気を読む友希那ではなかった。

 

『ごめんなさい。私にとってこのコロッケは世界で2番目ね・・・』

 

『えっ・・・?』

 

 

 

 

 

『ちょっと友希那ちゃ・・・。ん?面白そうだから続けろ・・・?ってなんてカンペ出してるの!!』

 

なんか友希那の発言で現場の空気が死んでるのが分かる。

そりゃそうでしょ。

あんなにバグバグ食べてたのにこれよりおいしいのがあるって言ったらそうもなる。

 

不安になりながらもアタシは友希那の言葉を待つが、その前にはぐみの方が友希那にその疑問を聞いていた。

 

『2番目?なら1番は?』

 

 

はぐみの言葉にテレビの前の空気も凍る。

緊張した空気の中で友希那ははっきりとはぐみに向かって言い放った。

 

 

 

 

『私にとっての1番美味しいのは、リサが私のためだけに作ってくれるコロッケよ?』

 

「ゆ”き”な”ぁ”~~~~~」

 

「リサさん~落ち着いて~」

 

 

友希那の言葉が嬉しすぎて号泣した。

そこから先の事はよく覚えていない。

 

 

――――――

 

 

「パスパレ散歩でした~!!来週も見てね~!!」

 

 

「はい!!OKでーす!!」

 

こうしてパスパレのロケは終わった。

そうすると5人は私へ向けて歩み寄ってくる。

 

「友希那ちゃん!!ありがとーるんっ♪ってして楽しかったよ!!」

 

「助かりました」

 

「えぇ、こっちもいい経験になったわ」

 

「また食事のロケがあったら来てちょうだい?」

 

「・・・練習がなければね」

 

「ハイ!!」

 

あら?そう言えばこれっていつ放送なのかしら?

折角だから記念としてリサに録画してもらいましょう・・・。

 

「あの、1ついいかしら?」

 

「どうしたの?」

 

「これの放送時間っていつなのかしら・・・?」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

ん?

私の質問にパスパレの全員が固まる。

何か変なことを言ったのかしら・・・?

 

「あのね。すっごく言いにくいんだけどね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これって”生放送”なの・・・」

 

「えっ・・・」

 

丸山さんの言葉に今度は私の身体が固まった。

 

 

 

 

 

その後、呆然となりながらも家に向かう。

今日はまだ少しお腹に余裕があるから、夕飯も大丈夫ね・・・

 

「ただいま・・・」

 

「ゆっきなー!!」

 

家に帰るとバイトを終えてご飯を作りに来ていたリサが私に向かって飛び込んできた。

 

「リサ・・・?どうしたの?」

 

「なんでもないよ☆友希那!!晩御飯用意したから!!」

 

「えぇ・・・」

 

しかし、食卓にはこれでもかというくらい大量のお皿が並んでいた。

 

「リサ・・・これって・・・」

 

「全部アタシの手料理だよ~!!だって私の料理は世界一美味しいんでしょ~?」

 

ニヤニヤしながら嬉しそうに私に語る。

そして、なんとかリサの手料理をすべて食べきったらそのまま机に突っ伏すように意識を失った。

 

 

――――――

 

レイヤは仕事を終えてチュチュのスタジオに到着した。

 

「みんな。遅くなってごめ・・・ん?」

 

レイヤの目の前にはケーキを始め大量の食事が広げられていた。

 

「レイヤ!!こっちに来なさい!!」

 

「うん・・・」

 

意味も分からず、チュチュに言われるがまま食事の前に座る。

そしてそれと同時にレイヤの身体が椅子に固定される。

 

「えっ!?どうなってるの!?」

 

「今日、ミナトユキナがテレビに出てたわ・・・」

 

「何の話?」

 

「そして、彼女のスキルの秘密が分かったわ!!」

 

「うん。それはいいんだけど。この食事は何?5人分にしては多いけど・・・」

 

レイヤは戸惑いながらもチュチュに声を挙げるが、彼女から返ってきたのは想定外の言葉であった。

 

 

 

「No!!これはあなた一人分よ!!」

 

「えっ!?」

 

「さぁ!!レイヤ食べて歌のスキルを磨くのよ!!」

 

「ちょっと何言って!!」

 

「パレオ!!」

 

そこからレイヤは半ば強制的にパレオ達によって食事を取らされて用意された4割を食べたところで気を失ってしまった。

 

 

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
小ネタ16
沙綾と彩以外がどう思ったか考えてたのでそれぞれのバンドごとに纏めました。
リーゼン党
沙綾 (筆頭・最初助けられたときの印象が強すぎた
たえ (うさぎ同じ髪型にしたら可愛かったため
蘭 (いつも通りが一番
日菜 (こっちの方がるんっ♪ってするから
麻弥 (おろしてる方が違和感覚えたから
あこ (おろしてる方が違和感覚えたから
チュチュ (この姿じゃないとBadBoyじゃないから
燐子? (ブレザーだと匂いが足りない

アンチリーゼン党
彩 (筆頭・アイドルと一緒にいるならきっちりしたほうがいいよね?
りみ (今は大丈夫だけど。普段の方は見た目がコワイ
ひまり (イケメンだから!!
花音 (今は大丈夫だけど。普段の方は見た目がコワイ
千聖 (アイドルの横にいることを考えると・・・。彼女自身はそれほどまで気にしていない
イヴ (日本男児らしいから
リサ (見た目だけなら・・・。なお中身を考えるとリーゼント
紗夜 (見た目だけなら・・・。なお中身もそれに見合うようになって欲しいけどうるさく言わないつもり


小ネタ17
ガルパピコって奴の仕業なんだ・・・

スイッチ解説の後小ネタ篇では
おままごと特別編『ふたりはロゼキュア MaxBeat(仮)』を予定しております。


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装・備・解・説-2 スイッチ紹介~3年B組・彩ちゃんせんせー

スイッチ解説投稿!!

正直これは最後の下りがやりたかった。
後悔はしていない。

ということで今回の小ネタ時空篇はここまでになります。
次回からはAfterglow篇2章をお届けする予定です。


 

度重なるの事件によって授業がたびたび中止になってしまった花咲川学園。

そこでは受験生でもある3年生に対する振替授業が行われていた。

 

「んぁ~!!終わったー!!」

 

「如月さん・・・。お疲れ様です」

 

「燐子もな」

 

「・・・って如月さんは半分近くは寝てたじゃないですか」

 

「まぁまぁ・・・」

 

「紗夜ちゃん。弦太朗はいつも闘って疲れてるのに土曜も学校してるんだから多めに見ましょう?」

 

「それはそれです」

 

 

 

 

「如月くん!!」

 

昇降口を出た弦太朗を中心に3年A組に所属しているガールズバンドのメンバー達がそれを囲む。

しかし、それにB組の彩が割って入る。

 

その光景を見た他の生徒達はそそくさと学校を後にして、周囲には彼らだけが残される。

 

 

 

「ふえぇ~彩ちゃん?そんなに慌ててどうしたの?」

 

「これなに!?」

 

彩はスマホを取り出すと1つの動画を流す。

そこには先日ポピパにスイッチの説明をしていた光景が映っていた。

 

「あぁ、この間香澄達にスイッチについて教えてたんだ」

 

「私達も知りたいわね」

 

「確かに気にはなるかも・・・」

 

「私も・・・この間の氷川さんの家みたいなのはいやですし・・・」

 

「それなら、私達にも教えてもらえばいいじゃないですか。幸いこの後皆さん予定がないようですし」

 

「だとしてもどこでやるの・・・?」

 

「今回のは体育館とかだと広さが足んねぇしなぁ・・・」

 

紗夜の意見に彩が当然の疑問を口にする。

弦太朗の事はあまり知られてはいけないためスイッチの説明をする場所をどうするか?という当然の疑問があがる。

 

「それなら前に戸山さん達に教えていたところでいいんじゃないでしょうか・・・?」

 

「そうですね・・・そこなら人もいないでしょうし・・・」

 

「でも、普通に行くと時間かかるぞ?」

 

「それなら黒服さんに頼んでみる?」

 

弦太朗の言葉に花音は何を思ったかこころの黒服に連絡を取る。

そして物の数分で学校前には1台の車が止まり、彼らはそれに乗り込むを学校から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、車を走らせて少し経つと先日と似たような採石場へと辿り着く。

彼らから少し離れたところには黒服たちがフォーゼ達へと視線を向けていた。

 

 

「まさか、こころちゃんの家の人も知ってたなんてね・・・」

 

「千聖ちゃん達の前に知ったんだよ?その時に色々手伝ってもらって・・・」

 

「そんなことがあったんですね」

 

「それじゃ、早速やってくか!!」

 

彩たちが会話している間に弦太朗は変身を完了して待機していた。

 

「それで如月さん。今日はどのくらい紹介してくださるんでしょうか?」

 

「今日は6~10のスイッチだな。みんな見たことあると思うけど・・・今日の最初はこいつだ!!」

 

そういうとフォーゼは懐から"10”と書かれた金色のスイッチを取り出す。

 

「それは・・・」

 

「これはNo.10 エレキスイッチだ。これを使うと・・・」

 

 

フォーゼはベルトにエレキスイッチを装填して起動する。

起動と同時にフォーゼの身体は金色に輝き、身体全体を金色に染め上げる。

 

「こんな感じに身体が金色に変わってエレキステイツになるんだ!!」

 

「だから、電気が使えるんだね!!」

 

「それで武器としてその・・・剣?でいいんですか?」

 

「これはロッドってダチは言ってたけどな・・・。これに着いてるプラグを穴に入れるんだけど、入れる場所によって出来ることが違うんだ!!分かりやすいのだと・・・!!」

 

フォーゼは”ビリーザロッド”に着いてるプラグを上部のソケットに装填してからロッド振るうと、振った先から三日月に似た形の弾が発射される。

 

「こんな感じに弾が出たり、後は敵を捕まえたり、直接電気を流して闘うんだ」

 

「それで技を出すときはロッドにスイッチ入れるのね・・・」

 

「ふぇ?ベルトのレバーじゃなくて?」

 

「パスパレのみんなで見たときは棒の方に入れてたよ?」

 

花音が見た時はベルトのレバーを操作して技を出していたが、彩たちの目の前ではロッドに直接エレキスイッチを装填して技を繰り出していた。

 

どちらも間違ってはいない。

しかし片方ずつしか見ていない彼女達はこの食い違いに疑問を持つが、それに答えを出したのはどちらの場面も目撃した燐子だった。

 

「もしかして・・・。単体で技を出すときは武器に入れるのかな・・・?」

 

「燐子!!スゲーな。なんでわかったんだ?」

 

「いえ、以前見た時はロケットとドリルで技を出すときはベルトのレバーを操作して、ロッドから技を出すときはロッドに入れてましたので・・・」

 

「確かに私が見た時は足にドリル出してたよ・・・」

 

「私達の時はロッドだけだった!!燐子ちゃんすごい!!」

 

「如月さん。次をお願いします」

 

「じゃあ次はこいつだ!!No.9 ホッピングスイッチだ!!」

 

フォーゼは左足のスイッチを装填して起動すると左足に巨大なホッピングが精製される。

 

「それは・・・」

 

「どう見たってあれよね?子供が遊びで使う・・・」

 

「まぁ、そうなんだけどさ。すっげー高く飛べんだぞ?飛んでみるか?」

 

「そうなの?彩ちゃん試してきたら?」

 

「・・・!!ここは平等にじゃんけんだよ!!」

 

フォーゼの放った言葉に千聖は彩を押し付けようとするが、彩は興味より恐怖が勝ってじゃんけんで被害者を決定しようとした。

 

 

 

 

そしてじゃんけんに負けたのは燐子であった。

 

「うぅ・・・。お願いします・・・」

 

「うっし。紗夜!!悪いけどこれ持ってくれ!!」

 

「えぇ・・・。意外と重いですね・・・」

 

フォーゼは右手に持っていたロッドを紗夜へと手渡す。

紗夜は受け取ったロッドの重さに驚きながらもフォーゼ達から距離を取るとフォーゼは燐子を右腕に抱えたままその場で跳ね始める。

 

「・・・・・・っ!!」

 

「どうだ!!」

 

恐怖で目を閉じて声も出せない燐子を他所にフォーゼはそのまま跳ね続ける。

それを見た千聖達の視線は燐子へと向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「白金さん凄いですね・・・」

 

「うん。あんなバルンバルン・・・」

 

「えぇ・・・燐子ちゃんの胸があんなに揺れるなんて・・・」

 

「彩ちゃん!?千聖ちゃん!?」

 

紗夜の率直な感想をそっちのけで彩と千聖は見当違いの感想を述べる。

その感想に花音が思わずツッコミを入れてしまったが誰の耳にも入ってはいなかった。

 

「それじゃあこのまま次はパラシュートだ!!」

 

その言葉と共にフォーゼはホッピングで限界まで高く飛び上がる中、ホッピングのスイッチを切る。

そして跳ね上がった頂点で左腕用のパラシュートスイッチを起動すると左腕からパラシュートが上空へ広がっていく。

 

落下する感覚が無くなった燐子はフォーゼの腕の中でゆっくりと目を開けると、目の前には採石場の先に広がる自然の光景に目を奪われていた。

 

そして、ゆっくりと着地すると同時に左腕のパラシュートのスイッチを切る。

 

「今のがNo.7のパラシュートだな。見たまんまだけど」

 

「だから如月くんは広い場所が必要って言ってたんだね!!」

 

「そういうこった。燐子大丈夫か?」

 

「最初は怖かったけど、最後は良い眺めでした・・・」

 

「今度は機会があったら別のスイッチでな・・・」

 

「はい・・・。ちょっと楽しみです・・・」

 

 

 

 

ちょっとだけいい雰囲気になる2人。

それを良く思わない人間が1人、その空気をぶち壊して説明を続けさせようと声を掛ける。

 

 

「ちょっと!!如月くん!!次のは!?」

 

「彩ちゃん。落ち着きなさい?」

 

「なんだ?よく分かんねぇけど次はこいつだ!!No.8 チェンソーだ!!」

 

「でも、それも見たまんまね・・・」

 

「それになんで足なの・・・?」

 

「花音ちゃんの言う通り、腕の方が使いやすいよね?」

 

「でも脚でも意外と使いやすいんだけどな・・・。それにこいつはこっち来てから最初に使ったスイッチはこいつだ」

 

「それって如月くんが来た日の・・・」

 

「そうだな!!」

 

こうしてフォーゼは来た時のことを少しだけ話すと、今日の最後のスイッチを紹介へと移る。

 

「それじゃあ次で最後だな!!」

 

「それで今日の最後は・・・この子かしらね?」

 

「サンキュー!!」

 

そういうと千聖は自身の手で持っていたバガミールを弦太朗へと差し出す。

弦太朗は礼と共にバガミールを受け取り、そのままスイッチを取り出す。

 

「最後はこいつだ!!No.6 カメラスイッチだ。こいつは左手にカメラが出る。こいつはすっげー綺麗に映像が取れるんだ!!」

 

フォーゼはそのカメラを紗夜たちの方へ向けると、恥ずかしそうにする紗夜たちとは対照的に芸能人である彩と千聖は咄嗟に表情を作ってカメラに視線を向けていた。

 

 

「それも見たまんまですね。主にさっきのロボットを動かすのに使うんでしょうか」

 

「そうだな。紗夜の言う通り。こいつは俺が使うよりもロボット・・・バガミールを動かすためのスイッチだ」

 

フォーゼはそう言ってカメラスイッチをバガミールに差し込んでスイッチを起動すると、ハンバーガーが突如としてロボットへと形を変える。

 

「湊さんと一緒にいるのとも違うんですね」

 

「どうなってるんでしょう・・・」

 

「麻弥ちゃんもすっごい興味持ってたよね・・・」

 

「確かにそうだったわね」

 

「小っちゃい子達以外にもいるんだね・・・」

 

彼女達は目の前のバガミールに興味が向いていた。

フォーゼはバガミールの説明を始めていた。

 

「こいつはバガミール。基本的にカメラで映像を撮って偵察とかで使うんだけど。それ以外にも俺の携帯と通信したりできるんだ!!」

 

「じゃあ、この子がいれば弦太朗といつでも話せるのね?」

 

「まぁ。そうだな!!それ以外にもな。こいつが撮った映像を携帯に送ったり、その場で映す事が出来るんだ」

 

そういうとバガミールはフォーゼの手元から地面へと降りると、先ほどまで撮影していた動画を空中に投影した。

 

 

 

「ふえぇ~すごいね~・・・」

 

「演出にも使えそうね・・・」

 

千聖と花音が驚きの声を挙げていたが、バガミールが別の動画をその場に投影し始めたことによって状況は一変する。

 

 

 

 

 

 

 

 

『よーし!!今度の撮影頑張るぞ~!!』

 

 

 

「これは丸山さんの部屋でしょうか?」

 

「いったい何をやってるんでしょうか・・・」

 

「うえぇ!?待って!!」

 

「面白そうだからこのまま見てみましょう」

 

「ふえぇ~」

 

「ちょっと待って!!」

 

しかし、彩の声も空しくその映像が止まることはない。

 

 

 

 

『今度グラビアで水着の撮影だからポーズの練習をしないとね・・・。こんな感じかな・・・?』

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「丸山さん・・・凄い大胆ですね・・・」

 

「あらあら彩ちゃんったら・・・」

 

「ふえぇ~・・・」

 

「如月さん。こっち見ないでください!!」

 

「おう・・・!!」

 

フォーゼはバガミールが映した映像を見ないように顔を手で覆うが指の隙間からちらちらと映像を確認する。

 

現在バガミールが映している映像は自身の部屋で水着姿になってポーズを決めている彩の動画であった。

 

その光景に紗夜たちはおろか、一緒に来ていた黒服も唖然となってその映像に視線を向ける。

 

 

「いやぁああああああああああああああ!!」

 

彩は恥ずかしさのあまり絶叫するが映像が止まることはなく、そして動画が終わったころにはメンタルに大ダメージを受けて魂の抜けたような彩の姿がそこにはあった。

 

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

タイトルの元ネタはガルパのイベントネタです。
日菜ちゃん先生はちゃんと教えられたのに、彩ちゃん先生は生徒に教わってるからなぁ・・・(Roselia篇2章-9)
何がダメだったんでしょう・・・


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Afterglow篇2-反・骨・出・奔
反・骨・出・奔-1 小さい影/陰る夕焼け


Afterglow篇2章です。

この章はネタ時空皆勤賞の蘭ちゃんがメインを張る予定です。
それなのに出だしはRoseliaなんよなぁ・・・

些細な事から始まるすれ違い・・・



ゾディアーツも現れていない平和な放課後。

弦太朗はあこに呼び出され、彼女の友人である燐子と共にCiRCLEのロビーであこの到着を待っていた。

 

「今日も燐子たちは練習か?」

 

「いえ・・・。今井さんがバイトですから、全体練習はないんですけど・・・。あこちゃんどうしたんだろ・・・?」

 

あこによって唐突に外に連れ出されたりすることがある燐子だが、燐子たちを呼び出したあこの様子は普段に比べて雰囲気が暗くなっていたことに疑問を覚えていた。

 

それから少し経った頃にあこは1人でCiRCLEへとやって来ると、ロビーのソファーに座っていた2人の元へ向かっていった。

 

「げんたろー、りんりん・・・」

 

「あこちゃん・・・」

 

「あこ・・・?どうかしたのか?」

 

 

 

しかし、あこを見た2人は普段から考えられない落ち込み様に疑問を覚えずにはいられなかった。

 

「あこちゃん?何かあったの・・・?」

 

燐子の言葉にあこは暗い顔をしながら話を始める。

 

「あのね・・・。おねーちゃんの事なんだけどね・・・」

 

「巴がどうかしたのか?」

 

「うん。最近おねーちゃんが家でいっつも怒ってるみたいで・・・」

 

「何かしちゃったの・・・?」

 

「それが分かんないの・・・」

 

あこが話し始めたのは自身の姉である巴の事。

彼女が言うには、巴が何かに怒っているらしいのだが、あこ自身には自分の何が原因かは分からない。

 

そのため、最近仲良くなった弦太朗と自身の親友でもある燐子に自身の抱えている問題を打ち明けていた。

 

 

「それで昨日、おねーちゃんと話そうとしたんだけど・・・『あこには関係ないから・・・』って言って・・・」

 

「なるほどな・・・」

 

「げんたろー、りんりん。あこどうしたらいいかな・・・」

 

話を終えたあこの表情は更に暗くなる。

 

「もう1回巴と話すのはダメなのか・・・?」

 

「多分、昨日と同じことになると思います・・・」

 

「真剣にぶつかっていけばなんとかなるだろ!!」

 

「あこちゃん。巴さんから聞けないなら周りから聞けばいいんじゃないかな・・・?」

 

 

 

あこの話を聞く限りだと燐子の言う通り、先日と同じことになるのは目に見えていた。

そこで燐子は弦太朗の意見を否定しつつ対抗案として、周囲から話を聞くことを提案する。

 

「りんりん?どういうこと・・・?」

 

「同じバンドの人とか・・・。後は商店街の人とか・・・?」

 

「なるほど!!他の巴のダチなら知ってるかもしれねぇってことか!!」

 

「そういうことです・・・」

 

「そっか!!じゃあ今から行こ!!」

 

そう言ってあこは2人を置いてCiRCLEを飛び出していく。

その様子を見た燐子は走っていったあこの様子を見て微笑む。

 

「燐子スゲーな。あこをすぐに立ち直らせるなんて」

 

「そんなことないですよ?最近いろんなことがありましたし・・・・それにあこちゃんには暗い顔してほしくないから・・・」

 

「そっか・・・」

 

弦太朗は燐子の言葉を聞いてあこを追うために立ち上がると、そこに座っていた燐子が彼のカバンを差し出す。

 

「わりーな」

 

「いえ・・・」

 

「あらあら、如月くんと燐子ちゃん。2人とも仲がいいわね。まるで熟年夫婦みたいよ?」

 

「っ!?!?!!??」

 

「・・・??」

 

「はぁ・・・。如月くんって結構鈍いね・・・」

 

「げんたろー!!りんりん!!はやくー!!」

 

「それじゃ!!まりなさん!!さよなら!!」

 

受付で2人を見ていたまりなはその光景のを見て2人をからかう。

燐子が顔を赤らめて慌てふためく一方で弦太朗自身は何を言われているか分かっていなかった。

 

そんな様子にまりなはため息をつきながら感想を漏らすが、あこの声によってそれもかき消されてしまい、彼らの耳に入ることはなく弦太朗達もあこの後を追ってCircleを後にする。

 

「ふふっ・・・青春だな~」

 

1人残されたまりなの言葉は誰の耳に入ることは無く、虚しくロビーに響くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん。でも誰から聞けばいいんだろ・・・?」

 

「商店街なら、沙綾とかはぐみじゃねぇか?」

 

「羽沢さんは巴さんと一緒にいるかもしれませんし・・・」

 

あこは弦太朗達の連れて商店街へ向けて歩く。

誰から話を聞くか決めてなかったあこに弦太朗と燐子は助け船を出す。

 

「じゃあ・・・さーやから!!」

 

あこは2人の言葉を参考にやまぶきベーカリーの扉を開く。

 

「たのもー!!」

 

「あっ・・・あこ。いらっしゃい。それに弦太朗も燐子先輩も一緒なんだ」

 

「うん!!それでさーやに聞きたいことがあって!!最近おねーちゃんに変わったことなかった!?」

 

「巴?う~ん。学校も違うからあんまりよく分かんないな~」

 

「そっか~・・・」

 

「でも、なんで巴の事を聞いてるの?」

 

「それは・・・」

 

あこは沙綾にも最近の巴の様子について話す。

話を聞いた沙綾は何かを考えて、思い当たることを話す。

 

「巴はお姉ちゃんだから妹のあこには心配掛けたくなかったんじゃないかな?失敗しちゃってるけど・・・」

 

「そうなの?」

 

「お姉ちゃんって言うのはそういう時もあるんだよ。私もそういうときあるから」

 

「そうなんだ!!ありがとさーや!!」

 

「じゃあ、私達はこれで・・・」

 

「さーや!!ばいばーい!!」

 

「沙綾。またな」

 

「うん。またね」

 

沙綾に見送られやまぶきベーカリーを後にする弦太朗達。

 

その後、商店街の店で店番をしていたはぐみやますきのも同じ話をするが、結果は全て空振りだった。

 

「う~ん。こうなったらつぐちんに聞いた方がいいかな~・・・」

 

「幼馴染なら何か知ってるかもな。大丈夫だ!!俺達がついてるから心配すんな!!」

 

「あこちゃん・・・いこ?」

 

「うん!!」

 

あこの返事を聞いた弦太朗は羽沢珈琲店の扉に手を掛ける。

そして、それとほぼ同時に店の扉が開き中から見覚えのある制服を着た人影が飛び出してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは蘭ちゃん?」

 

「何かあったんでしょうか?」

 

「とりあえず行ってみるか」

 

そうして3人は蘭と思われる人影が飛び出してきた羽沢珈琲店へと足を踏み入れる。

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「あこ・・・」

 

「おねーちゃん?それにみんなどうしたの?」

 

そこにいたのは居心地の悪そうな顔をした巴と、気まずそうにテーブルに座っていたAfterglowのメンバー達。

彼女達は数枚の紙が散乱したテーブルを囲うように座っていた。

 

店内の重たい空気に当てられてしまい、弦太朗とあこも気持ちが少し暗くなってしまった。

そんな時、彼女達が囲んでいたテーブルから燐子の足元へと落ちてきた1枚の紙を拾い上げた。

 

 

 

 

 

「これは・・・」

 

燐子は落ちてきた紙とテーブルの上に散乱していた紙を見て彼女達の状況を理解した。

 

 

 

 

理由は単純。

彼女達は今度行うライブについて話合いをした結果揉めてしまったのだ―――

 

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

ちなみにAfterglowは蘭・モカ以外は2章以降は皆勤賞・・・


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反・骨・出・奔-2 どうして彼女たちは揉めてしまったのか・・・

これ店でやられたら怒るやろなぁ・・・

つまりそれをやられても口を出さないつぐ親って・・・
子供が天使なら親は仏かな?



 

 

「・・・っ!!」

 

「あっ!!おねーちゃん!!待って!!」

 

空気に耐えられなくなった巴は店を飛び出して蘭が走った方向と反対側へと走り出すと、その姉を追うあこ。

 

 

宇田川姉妹と蘭が去った店内の空気は暗く、重くなっていく。

そんな中で燐子は落ちた紙を拾い上げて自分の中で状況を整理する。

 

「これは・・・曲のリストでこっちは衣装の・・・。

そういえばあこちゃんが今度Afterglowがライブするって言ってたような・・・?

もしかして、セットリストと衣装で揉めて・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

燐子が揉めてしまった原因を言われてしまった彼女たちは原因を言い当てられてしまい言葉に詰まる。

しかし、事の大きさを分かってない弦太朗は燐子に話掛ける。

 

「なぁ・・・。セットリストってなんだ?」

 

「今言ったセットリストって言うのはライブで演奏する曲の順番のことです。セトリって略すこともあって・・・」

 

「そういえば、この間の紗夜の時にライブの打ち合わせがどうとか言ってたな・・・」

 

「そうだったんですね・・・。それでどうしてこんなことに・・・?」

 

 

その空気の中、燐子は意を決してその理由を尋ねる。

 

「じつは~」

 

燐子の言葉にモカが先ほどまでの出来事を語り始める。

 

 

 

 

――――――

 

弦太朗達が店に訪れる少し前――――

いつも通り5人で集まっていた彼女達だったがつぐみのとある一言から話は始まった。

 

 

「ねぇみんな。そろそろ次のライブのセットリスト決めない?」

 

「つぐの言う通りだな。この前はリサ先輩達の事もあったからな・・・」

 

「じゃあ、最初は曲から決めよう?何か意見がある人いる?」

 

つぐみはそういうとどこからかノートを取り出すと各々が次のライブでやりたい曲を挙げていく中、蘭は意見を出さずに座っていた。

 

 

「ねぇ蘭!!蘭は何かやりたい曲とかないの?」

 

「ひまり・・・。別に私はみんなといつも通りの音楽が出来ればそれでいいから・・・」

 

「また~蘭はそうやって~。ちゃんと自分のこと言わないと~」

 

「だから・・・」

 

「それなら衣装どうするか決めない?そっち決めたら曲も絞れるんじゃないかな?」

 

「この前は盛り上がったけど、つぐちんだけ浮いてたもんね~」

 

「ちょっとモカちゃん!!」

 

「それだったら私は可愛いのがいいかな~」

 

「エモーいのがいいな~」

 

曲の案は出るも纏まらなかったため、つぐみはセットリストからライブ衣装について話を切り替えてそこから話を進めようとする。

 

つぐみの提案に各々は自分の着たい衣装の案を出す。

様々な意見が上がる中、巴は何かを思いついたかのように1つの提案をする。

 

「ならさ、今度のライブは前のつぐみたいな衣装で合わせるのはどうだ?」

 

「え!?あれを皆で・・・?」

 

「巴!!それ面白そう!!」

 

「大胆~。でもたまには思い切って変えてみるのもいいかも~」

 

皆が乗り気になっている中、ここまで自分の意見を言わなかった蘭が初めて意見を口にした。

 

 

 

「私は反対・・・」

 

決まりの流れに抗うように放った蘭の言葉に一同の視線は蘭へと集まっていく。

今回のライブでここまで案を出さなかった蘭が初めて出した意見だったため、彼女達の空気が重くなる。

 

そんな空気に不安を覚えるひまりは不安そうな蘭の意見を聞き出そうと彼女に質問する。

 

「なら、蘭はどういうのがいいの?」

 

「前のライブみたいに今まで通りでいいよ・・・」

 

「なぁ、蘭。なにかあったのか・・・?最近なんか変だぞ」

 

「はぁ?巴。それどういう事?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと2人とも!?」

 

「蘭もトモちんも落ち着いて~」

 

「そうだよ!!モカの言う通りだよ。」

 

巴の言葉を聞いた蘭は不機嫌な顔を隠そうともせずに巴を睨みつけるが、そんな態度を取られた巴も蘭に対しての苛立ちを顔に出す。

その様子につぐみ達は止めようとするがそれで止まる状態の2人ではなかった。

 

「蘭。自分の意見言わないのに人の意見を否定するのはどうなんだ?この前も今回のライブについて話した時も”いつも通り”としか言ってなかっただろ。もっとはっきり自分の意見は言ったらどうだ?」

 

「だから自分の意見は言ってるじゃん!!」

 

「”いつも通り”しか言ってないだろ!!もっと他にはないのかよ!!」

 

「だから・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「もう!!2人とも落ち着いてよ!!」

 

「モカちゃん。2人を離したほうがいいかも・・・!!」

 

「ひーちゃんと2人でトモちんお願いー」

 

こうして2人の語感はどんどんと強くなっていく。

そんな中で他のメンバーはいったん落ち着かせるために2人を引き剥がすがその程度では彼女達が落ち着くことはなく、蘭の不機嫌な顔は巴ではなくひまり達にも向けられた。

 

「巴もだけどさ。あの件からみんなあいつに影響されすぎじゃない?」

 

「あいつ・・・って如月くんのこと?」

 

「助けてもらったんだから・・・少しくらいはあるけど・・・」

 

「それに今はあいつは関係ないだろ?」

 

蘭は最近現れた弦太朗にみんなが影響を受けていることを指摘され、ひまりとつぐみは顔を背けてしまう。

 

「確かに助けてもらったけどさ・・・。

あいつはバンドに全く関係ないじゃん。わざわざあいつのことをバンドにまで持ち込まないでよ」

 

 

 

 

 

蘭は冷たく言い放ったが、その光景に巴は怒りを隠さずに言い返す。

 

「確かに関係ないかもしれないけど、その言い方はないだろ!!」

 

「蘭!!巴の言う通りだよ!!」

 

「蘭~。その通りかもしれないけど・・・ちょっと言い方が悪いと思うな~」

 

「うん・・・」

 

「もういい・・・!!」

 

「ちょっと!!蘭!!待ってよ!!」

 

 

蘭以外のメンバーは巴の意見に賛同してしまったことに蘭は苛立ちは頂点に達してしまった。

ひまりの静止も無視して自身の荷物も持たないまま店を飛び出してしまった。

 

そして固まる彼女たちの元に弦太朗達が現れた。

 

 

――――――

 

「そこから先は見た通りですね~・・・」

 

「なるほど・・・。そうだったんですね・・・」

 

「つまり、蘭と巴を仲直りさせればいいってことだな!!」

 

「う~ん。いつも通りならそれは大丈夫だと思うんですけど~。次のライブまでに間に合うかな~って・・・」

 

モカの説明を聞いて納得する燐子を他所につぐみ達はライブの事を思い出して慌て出す。

 

 

「でも、どうしよ~!!これじゃライブなんて出来ないよ~!!」

 

「とりあえず2人をなんとかしないと・・・!!」

 

「まぁ・・・、いない蘭達はしょうがないから3人でライブの事は進めるしかないんじゃない~」

 

内心では蘭達の事が気になって仕方ないモカだが平常を保って話を進めていく。

しかし、無理していることを感づいたがあえて弦太朗はここではその事に触れることは無かった。

 

 

 

「困ったことがあれば手を貸すぜ!!」

 

「私も・・・あこちゃんの為だから・・・」

 

「そうですか~。それなら早速・・・」

 

 

弦太朗と燐子は言葉を聞いたモカは彼女達が座っていたテーブルへと視線を向ける。

 

「蘭とトモちんの荷物届けてもらっていいですか~?家の場所は教えるので~」

 

「おう・・・」

 

「なら巴さんのは私が持っておきますから・・・。美竹さんのギターとカバンをお願いします・・・」

 

「如月くん、燐子先輩もお願いします!!」

 

モカからの最初のお願いに弦太朗と肩透かしを食らいながらも、燐子共に蘭達の荷物を持って店を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

そして蘭達の荷物を家に届けた後、2人は並んで帰路についていた。

 

「でも、ライブの準備って大変なんだな・・・」

 

「えぇ・・・でも、準備の時も楽しいんですよ・・・?」

 

「祭りの準備が楽しいっていう奴か・・・?」

 

「そうですね・・・。では私はここで大丈夫ですから・・・」

 

「おう。またな燐子!!」

 

「えぇ、さようなら・・・」

 

燐子を送り届けて1人で家まで向かう弦太朗。

しかし、その途中で彼は曲がり角から飛び出して来た人影とぶつかってしまったが、その相手の聞き覚えのある声に弦太朗はぶつかってきた相手へと視線を向ける。

 

「っ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなとこで何やってんだ・・・?蘭?」

 

「別に・・・あんたには関係ない・・・」

 

ぶつかってきた相手は先ほど店を飛び出していた蘭。

そんな彼女は弦太朗達が持っていたはずの荷物が抱え込まれていた。

 




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反・骨・出・奔-3 蘭・乱・RUN

投稿です。
少し遅くなってしまって申し訳ないです。

フォーゼ本編からキャラ出ますねェ・・・



どうしてこうなってしまったんだろう・・・?

 

 

 

 

 

あたしは慣れない布団の上で力なく横になって見慣れない天井を見つめていた。

そんな私はつぐみの店を飛び出した後の事を思い出していた。

 

 

――――――

 

 

「もういい・・・!!」

 

あたしは巴と口論になってそのまま店を飛び出してとにかく走っていた。

 

それからどのくらい走ったか分かんなかったけど、とりあえず疲れて足を止めたら少しだけ冷静になれた。

 

最近はあたしたちの周りで信じられないような、事件が立て続けてに起こって、いつも通りの日常が壊れてしまった。

その事件に関わって解決したのはあいつだった。

 

 

勿論あいつが悪い奴とは思ってない。

そうだったとしたらひまりや他のみんなのことを助けたりなんてしない。

 

あいつが来てからいろんなものが変わった。

 

 

最初はつぐみがあいつみたいな服でステージに立った。

後から思えばあいつの影響だったんだろう・・・。

 

それで今回はみんなでそれをやろうと巴が言い出したのにあたしが耐え切れなかった。

 

あたし達5人で始めたバンド。

その5人のバンドにあいつの影響が出るのが嫌だった。

あたしはあいつが来る前のいつも通りがやりたかった。

 

それで上手くそれが伝えられなくて巴と口論になってしまい飛び出してしまった。

 

 

 

明日謝ろう―――

 

そう思ったあたしはスマホでつぐみに連絡を入れようとするが、スマホをカバンに入れていたので持っていないことに気が付いた。

 

「家の方が近いから一旦家に帰ろ・・・」

 

そういってあたしは自分の家に着いたが、家の前にはあった人影を見てあたしはそのまま隠れてしまった。

 

「なんで・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

なんでかうちから白金さんが出てきた。

 

なんで白金さんがうちから出てきたの・・・?

 

とりあえず疑問に思っていたが、あたしは白金さんが家から家から離れて、彼女の影が完全に見えなくなって少し経ってから家に向かう。

 

「ただいま・・・」

 

 

 

「お帰り・・・」

 

あたしは家の玄関を開けるとあたしの荷物と一緒にお父さんがいた。

そしてそのお父さんから言われた一言にあたしは怒りを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蘭。バンドをやめなさい」

 

「はぁ!?」

 

意味が分からなかった。

今まで応援してくれてたはずのお父さんにバンドをやめろと言われたことが理解できなかった。

 

「なんで・・・?」

 

「さっき、白金さんって人たちが蘭の荷物を届けてくれたんだが、男子がいてな・・・」

 

「あいつもいたの・・・?」

 

「知ってるのか・・・?」

 

あたしの言葉にお父さんの声が低くなる。

これは怒ってるときの声だ・・・。

 

あたしは誤魔化すことはしないでありのままをお父さんに伝える。

 

「うん。他の皆とも仲いいし・・・」

 

「そうか・・・。バンドは許可したけど、それは友達と音楽やるためであって不良と遊ばせるためじゃない」

 

「あいつはバンドには関係ない!!」

 

「蘭っ!!」

 

お父さんが何かを言っているがあたしは近くにあった荷物をひったくるように手に持つとそのまま家を飛び出した。

 

それからは何も考えず走った。

頭の中がぐっちゃぐちゃで考えがよく分からなかったけどとにかく走った。

 

 

 

 

 

 

そして交差点を走っていたら、そこから飛び出してきた誰かとぶつかった。

謝ろうと顔を挙げたが謝罪の言葉が出せなかった。

そこにいたのはさっきまで考えていたあいつの姿だった。

 

「こんなとこで何やってんだ・・・?蘭?」

 

「別に・・・あんたには関係ない・・・」

 

「でも、なんでそれを持ってんだ・・・?」

 

「それは・・・」

 

ぶつかってしまった弦太朗を睨むように見つめるあたし。

そんなあいつはカバンとギターを抱えているあたしに質問するが答えに詰まってしまう。

 

そんな不自然な反応にあいつはわたしを観察する。

 

 

店を飛び出していた時と同じ制服―――

家に送り届けたはずの荷物―――

 

それを見たあいつは何を思ったのか大声で叫んだのだ。

 

 

 

「蘭!!お前・・・家出だな!!」

 

「はぁ・・・?・・・いや、そうかも・・・」

 

あいつの言葉に最初は理解が出来なかったあたしは自身の行動を振り返るが、その言葉を否定することが出来なかった。

 

「それで、この後どうするんだ?」

 

「特に考えてなかった・・・どうしよう・・・」

 

どうしよう・・・。

全くこの後の事を考えてなかった・・・。

あいつの言葉を聞いて、この後の事を考えているとあいつが思いついたかのように声を出す。

 

 

 

 

 

「蘭!!とりあえずうちで飯でも食ってけ!!」

 

「はぁ?あんた何言って・・・!!」

 

しかし、あたしの言葉はあたしのお腹から響いた音によってかき消された。

 

「・・・・・・お願いします」

 

「おう!!じゃあ行こうぜ!!」

 

空腹に耐えきれなくなったあたしは恥を忍んであいつの後を着いて行く。

そして近くに停めてあったバイクの後ろに乗ると同時に走り出す。

 

 

 

 

 

それから少し時間が経って気が付くとバイクはバイク屋の前で停車した。

 

「ここが俺の家だ!!」

 

「バイク屋だったんだ・・・。あれ・・・?」

 

店の中にあったのはRASのますきが乗ってるバイク。

それがなんでここにあるのか疑問に思っているあたしを置いてあいつはバイクを家の前に停めて店の方から中へと入っていく。

 

「ただいまー!!」

 

「おぅ弦の字!!帰ったか!!」

 

店の奥から出てきたのは革ジャンを着たやたらかっこいいお爺さん。

あいつのお爺さんなんだろう・・・。

 

そのお爺さんはあたしを見て驚いたような表情を浮かべていた。

 

「こんばんは・・・」

 

「蘭。俺のじいちゃん!!如月吾郎だ!!」

 

「おい弦の字!!まさかこんな可愛い彼女を家に連れて帰ってくるなんてなぁ!!」

 

「彼女じゃねぇって!!吾郎爺!!」

 

「隠さんでいいから。ほら、上がった上がった!!」

 

「えぇ・・・」

 

そうして言われるがまま家に上がったあたしはお爺さん達と3人で夕食を取り始める。

 

 

 

 

「でも、弦の字が女の子1人だけを連れてくるなんてなぁ!!」

 

「なんでも、今日から家出らしくてな・・・」

 

「家出かー!!家出は青春の大冒険だぁー!!」

 

「・・・・・・」

 

「蘭?どうした?食え食え!!」

 

「あぁ・・・うん・・・」

 

あいつとお爺さんが似た者同士過ぎて言葉も出せず、箸も止まってしまう。

それを見たあいつはご飯を勧めてきたので再び食べ始める。

 

そこからは学校の話とか当たり障りのない話をしながら夕飯を食べ終える。

 

「ごちそうさまでした」

 

「おう!!」

 

「食器洗うのくらいは手伝うよ」

 

「なぁに。客なんだから気にせんでいい。ほれ弦の字!!」

 

「おう!!蘭は休んでろ」

 

そういうとあいつはあたし達が食べた食器を片づけ始めて、お爺さんを2人だけになった。

気まずい空気感を感じていたが話を切り出したのはお爺さんの方だった。

 

「それでお嬢ちゃんはこの後どうするんだ?」

 

「えぇ・・っと特に考えてなくて・・・」

             

あの時は空腹でご飯の誘いに乗ったけど、その後の事を全く考えてなかった・・・。

 

今からは家に帰りにくいし・・・。

未成年でホテルなんて泊まれないし、そもそもそんなお金は持ち合わせていない。

さっきの事があった後だからモカやつぐみ達には頼れないし・・・。

あたし達の問題なのに他のバンドの人たちに迷惑かけるわけにはいかないし・・・。

 

悩んでいたらお爺さんが立ち上がると部屋から出ていく。

それと入れ替わるようにあいつが部屋に戻ってきた。

 

「吾郎爺。終わったぞー・・・ってあれ?どこいった?」

 

「さぁ・・・?」

 

あいつの質問してくるがあたしにだってわからない。

2人でどうしたのか考えていたが答えは出てこなかった。

 

そしたらお爺さんは洋服を持って部屋に戻ってきた。

 

「お嬢ちゃん!!それならうちに泊まってけ!!弦の字!!お嬢ちゃんしばらくうちに泊めるぞ・・・」

 

「えっ・・・?」

 

「おう・・・」

 

突然の言葉に驚いているあたし達を他所にお爺さんは楽しそうにしている。

 

「そしたら風呂案内してやれ」

 

「おう・・・分かった・・・」

 

お爺さんの勢いに負けたあいつとあたし。

こうしてめでたくあたしの宿泊先が決まった。

その後はあれよあれよという間に風呂に通されて、風呂から上がると布団の敷かれた部屋に案内される。

 

「じゃあ、おやすみ」

 

「うん・・・」

 

こうしてあいつは部屋から離れるとあたしは敷かれている布団に仰向けに倒れると今日の事を思い返す。

 

 

そうしていると徐々にあたしの意識は遠退き、そのまま眠りについた。

 




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反・骨・出・奔-4 朝の騒動・報連相

投稿です。
バレたらやばそうって言ってた人たちがいましたが・・・

バレないわけがないんですよねぇ!!
ミッシェルの中が美咲って事くらいにはバレるんじゃ・・・


 

弦太朗の家に泊まった蘭。

彼女が弦太朗の叫びによって目を覚ました。

 

「おい!!蘭!!起きろ!!」

 

「・・・うぅ~ん・・・んっ!?」

 

寝ぼけた様子の蘭は目の前にいる弦太朗の姿を目を白黒させているが、

未だに寝起きで意識がはっきりとはしていないが昨日の出来事を思い出す。

 

「おはよ・・・。そう言えばあんたの家に泊まったんだった・・・」

 

「おはよう!!・・・ってそれどころじゃねぇ!!」

 

「あんたはなんで慌ててるの・・・?」

 

布団に入ったまま意識がはっきりしていない蘭は弦太朗の慌てる理由が分からない。

 

 

 

 

「このままだと学校遅刻するぞ」

 

「はぁ?何言って・・・」

 

弦太朗の言葉に蘭は自分のスマホを取り出して時間を確認する。

そこには蘭が普段起きる少し前の時間が表示されていた。

 

「まだこんな時間じゃん・・・」

 

「ここからだとこの時間でギリギリなんだ」

 

「そう・・・・・・」

 

蘭は布団から出て着替えようとするが、弦太朗はそんな彼女の様子に気が付いておらず部屋を出る気配がない。

 

 

 

 

「・・・・・・出てけっ!!」

 

「のわぁ!!わりぃ!!」

 

蘭は弦太朗を蹴り飛ばして部屋から追い出して制服に着替え、カバンだけを持って家を出る。

そこには自分のバイクに乗っていた弦太朗がいた。

 

「お待たせ・・・。バイクで行くの?」

 

「今から電車とか使ったら間に合わねぇからな。これで学校まで行くぞ!!」

 

「うん・・・」

 

蘭は昨日のようにバイクの後ろに跨る。

それを確認した弦太朗はバイクは走らせて学校へと向かう。

 

「でも、あんたこれで学校まで行くの!?」

 

「学校の近くに停めれば大丈夫だろ!!」

 

「そっか」

 

そこで2人の会話は止まる。

少し走ると次第に見慣れた制服たちが蘭の視界に入ってくるが、バイクは速度を緩めない。

 

「ちょっと!!あんたまさか・・・!?」

 

「このまま蘭の学校に決まってんだろ!!」

 

「待って!!」

 

羽丘に直接向かってることを告げられた蘭は弦太朗を静止させようとするが、その声は弦太朗の耳に入ってはいなかった。

 

 

 

「美竹さんと如月・・・?」

 

「弦太朗と蘭がなんで2人で登校してるんだろ?」

 

 

 

「弦太朗、儚いね・・・」

 

「薫さんもあの光景には驚くんすね・・・」

 

 

 

 

蘭を乗せたバイクが次第に羽丘に近づいていくと見知った顔が驚いた様子でこちらへ視線を送る。

そして、弦太朗はバイクを羽丘学園の目の前で停車させた。

 

「着いたぞ」

 

「あんた・・・!!何でここまで・・・。みんな見てんじゃん・・・」

 

「でも、遅刻してねぇからいいだろ?」

 

「だからって・・・!!」

 

学校の目の前で言い争う2人に周囲の生徒達の視線が集まる。

そんな騒ぎを聞きつけてか、生徒会の2人が現場へと駆けつけてくる。

 

「如月くん!?それに蘭ちゃん!?」

 

「蘭ちゃんにゲンちゃん!!おっはよー!!」

 

「おう!!日菜につぐ!!おはよう!!」

 

「おっ・・・おはよう・・・」

 

「じゃあ蘭!!帰りも迎えに来るからな!!」

 

「ちょっとヘルメット・・・!!」

 

バイクを降りた蘭の元へとつぐみと日菜が駆けつけてきた。

駆けつけた2人に弦太朗は挨拶だけすると蘭の言葉を最後まで聞かずに弦太朗は再びバイクを走らせてしまる。

 

ヘルメットと共に学校前に残された蘭は依然として周囲の視線を集めるが、そんな彼女へとつぐみが声を掛ける。

 

「蘭ちゃん・・・?なんで朝から如月くんと一緒にいたの・・・?」

 

「それは・・・」

 

「まさか・・・蘭ちゃん・・・。如月くんの家に泊まったの・・・?家に帰ってないって聞いたけど・・・・」

 

「・・・」

 

つぐみは震える声で蘭へと問いかけるが、蘭は無言で答えない。

その光景を見た日菜はニヤけた顔をして周囲に聞こえるように声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~蘭ちゃん。男の人の家に泊まったんだ~!!」

 

「ちょっと・・・!?何言って!!」

 

「アハハ~!!」

 

周囲の生徒は目の前で起こったドラマの様な光景と日菜の言葉によって周囲の生徒は騒ぎ出す。

日菜の言葉に驚きを隠せず慌てる蘭は彼女に突っかかるが、日菜は何事もなかったかのように笑いだす。

 

そんな蘭は日菜の言葉を聞いてから無言になっているつぐみに不安を覚えて彼女へと視線を向ける。

 

「・・・・・・ふへへ///」

 

「・・・なにしてんの?」

 

「お~いつぐちゃ~ん?」

 

「えへへ~・・・///」

 

蘭が視線を向けたつぐみはだらしない顔をして妄想にふけっている。

日菜がそんなつぐみへと興味がうつったのかつぐみへ声を掛けるもつぐみは反応を示さない。

 

蘭はつぐみの横をくぐり抜けるとそのまま教室へ向けて駆け出して教室へと入る。

教室ではこちらに視線を向ける多くのクラスメイト達に混ざって視線を向けてくるモカたちと、機嫌の悪そうな表情を浮かべる巴の姿。

 

クラスの視線を感じながら蘭はヘルメットを抱えて自分の席に着くと、少し遅れて教師が入ってきて授業が始まる。

 

授業間の休み時間で何人かの生徒が蘭へと話しかけてきたが、その中に蘭が話したかった巴の姿は無かった。

 

 

 

 

――――――

 

あたしは昼休みになってすぐに蘭たちに気づかれるよりも先に教室を抜け出して、いつも行く屋上ではなく空き教室へと入り込む。

 

ここなら誰か来るわけがないからね・・・。

 

そうしてあたしはスマホを取り出すと蘭の事を報告するため、ある人に連絡を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう!!そっちはどうだ。モカ」

 

「いやー朝の2人のせいで大騒ぎでしたよ~。昨日、話だけは聞いてたけどあそこまでするとは思いませんでしたよ~」

 

あたしは昨日の晩、蘭がげんたろーさんの家に泊まることになったのをげんたろーさんから聞いていた。

でも、まさか学校前までバイクで送るのは考えてなかったな~。

 

「ちょっと家出るのが遅れちまったからな・・・。バイク使ってたのが紗夜にバレてさっきまで絞られてたんだよ・・・」

 

「まぁ~蘭のためにやってくれた事だからモカちゃんからは強くは言えませんね~」

 

「それは構わねぇけど、蘭と巴はどうだ?」

 

「授業中はいつも通りって感じでしたね~。休み時間は蘭がつぐとか他の人たちに囲まれてたから仲直りできてはないですね~」

 

「ん?つぐたちに蘭のことは話してねぇのか?」

 

「話したら大変なことになりそうだったんで蘭の事は話してないで~す」

 

う~ん・・・相変わらず鈍いな~。

ひーちゃん達が知ったら家にそのまま押し掛けるのが目に見えて・・・。

あれ?でも、げんたろーさんの家の場所を知らないから大丈夫だったのかな・・・?

 

「どういうことだ・・・?」

 

「まぁ・・・女の子にはいろいろあるんですよ~」

 

げんたろーさんが疑問に思ってるけど、あたしはそれを軽く流して話を進めていく。

蘭の様子を伝えたあたしは話を切り替えて本題に入っていく。

 

 

 

 

「それで蘭のことですけど~、出来ればそのままげんたろーさんの家に泊めてあげてもらえますか~?」

 

「爺ちゃんも蘭の事を気に入ってるから構わねぇけど・・・。何かあったのか?」

 

「いえ~実は今朝。蘭の家の様子を確認するために行ったんですけど・・・。蘭パパがものすっご~く怒ってまして~」

 

「蘭の親父さんが?」

 

「はい~。その後、蘭ママから「蘭の事よろしく」と言われまして~洋服とか預かって~」

 

「なら、蘭に渡しといてくれよ」

 

「あいあいさ~。それじゃあモカちゃんはご飯食べますので~これで~。蘭に変なことしてもいいですからね~」

 

そう言ってげんたろーさんの返事も待たないで電話を切ると、モカは何食わぬ顔で自身の教室へと戻っていく。

 

 

 

「蘭の服は皆が見てないうちに・・・って言っても、今日はみんな蘭の事を見てると思うからどのタイミングで渡そうかな~」

 

そうして蘭と話すタイミングを考えながら、廊下を走らない程度に急いで教室へと戻っていつも通りとは違う5人で集まらない日常へと戻っていった。

 

 




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反・骨・出・奔-5 Angry girl

投稿です。

う~ん。花咲川に行ってる関係上、羽丘組の出番が減っちゃうなぁ・・・
どっかへ羽丘組メイン回作るか・・・


蘭を学校に送り届けた弦太朗は近くにバイクを停めると、何食わぬ顔で花咲川へと入ろうとする。

 

「如月さん・・・」

 

「おはよう!!・・・紗夜?どうしたんだ?」

 

いつものように挨拶をする弦太朗だが、紗夜はニコニコしながら弦太朗を見つめるだけ。

そんな様子を不自然に思った弦太朗は紗夜へと声を掛ける。

 

「・・・紗夜?」

 

「如月さん?私が何でこんな顔してるか分かってますか・・・?」

 

「いい事でもあったのか?」

 

「えぇ・・・とっても面白いことが・・・」

 

「良かったな!!それじゃあまた後で・・・」

 

「待ってください」

 

弦太朗は教室へと向かおうとするが紗夜によって呼び止められる。

 

「なんだ?」

 

「なんだ?じゃありません。如月さんは何か私に言うことは無いんですか・・・?」

 

「・・・?なんのことだ?」

 

紗夜の言葉の意味が分からなかった弦太朗。

そんな彼に対して、紗夜は言葉を続ける。

 

「先ほど今井さん達から連絡が来まして・・・」

 

「リサたちから・・・?何かあったのか?」

 

その言葉と共に紗夜の笑顔が突如として消えて無表情になって話を続ける。

 

 

 

 

 

 

「今井さん達が言うには美竹さんがバイクで学校まで送迎されたそうですよ」

 

「そうなんだな・・・」

 

「えぇ・・・。しかも面白いことにその送った人は学ランを着ていたそうで・・・」

 

「へぇ・・・」

 

「しかも、向こうの生徒会の人たちとも知り合いらしくて仲よさそうに挨拶をしていたそうですよ・・・」

 

「・・・」

 

彼女が話していることは間違いなく先ほどの自分の事であり、それを聞いた弦太朗の顔に冷や汗が出る。

 

「如月さん?なんで汗なんて搔いてるんですか・・・?」

 

「紗夜。それじゃ!!」

 

「ふふふ・・・。なんで逃げようとするんですか?」

 

その姿に弦太朗は逃げ出そうとするが、紗夜が弦太朗を捕まえると無表情だった顔がみるみる怒りで赤くなっていく。

 

「あなたは朝から何をやっているんですか!!」

 

 

 

校門の前にも関わらず紗夜の説教が始まり、それは授業開始直前まで続けられる。

そして昼休みになってモカとの電話を終えると同時に紗夜に再び捕まると生徒会室へと連行される。

 

「如月さん!!バイク通学は校則違反です!!そちらの学校ではいいかもしれませんが・・・!!」

 

「氷川さん・・・。如月さんにも事情がありますからこの辺で・・・。今度から気を付けてもらえば・・・」

 

紗夜が再びの説教を始めようとするが、生徒会長である燐子は彼の事情―――仮面ライダーの事を鑑みて表面上の注意をする。

 

「・・・そうですね。如月さんの事情もありますからこれ以上は言いませんが・・・。次からは騒ぎにならないようにしてくださいね」

 

「でも・・・どうしてそんなことを・・・?」

 

「昨日燐子と別れた後、届けた荷物を持って家出した蘭の奴に会ってな」

 

「美竹さんが・・・?ですが、朝の件は関係なさそうに思いますが?」

 

「氷川さん。今は如月さんの話ですよ?」

 

「すいません。続きを・・・」

 

「おう。家出した蘭がうちで飯食ってそのまま家に泊まることになって・・・」

 

「なぁ!?」

 

「!?!?!!」

 

弦太朗の発言に2人は驚愕する。

あの蘭が男の・・・弦太朗の家に泊ったという言葉に驚きを隠せずに固まるがいち早く再起動した紗夜は聞き間違いを疑って弦太朗へと聞きなおす。

 

「・・・今なんて言いました?ちょっと耳が遠くなってたみたいで・・・」

 

「だから、蘭がうちに泊ってな」

 

「どうしてそんなことに・・・?」

 

「蘭が家で飯を食ったんだけど、その時に爺ちゃんに気に入られてな」

 

「ちょっと待ってください・・・。羽沢さんの店を飛び出した時って制服でしたよね・・・?服とかは・・・?」

 

「寝るときは俺の昔の服を・・・」

 

「「・・・」」

 

「2人とも?」

 

2人は弦太朗の話を聞いて顔を赤くして震える。

そんな様子を見た弦太朗が声を掛けるが、2人は顔を赤くしながら声を挙げる。

 

 

「如月さん!!そんな・・・女の子を家に泊めるなんて何を考えてるんですか!?」

 

「美竹さん・・・うらや・・・んん!!破廉恥です・・・」

 

「そもそも!!どうしてお爺さんを止めなかったんですか!!」

 

「如月さん・・・!!いつまでなんですか・・・?」

 

「分かんねぇけど。今日からは自分の家から荷物持ってくるからな」

 

弦太朗の不用意な発言によって終わったと思われた説教の第2ラウンドが始まって、昼食も取れないまま午後の授業を迎える羽目になった弦太朗は1日の授業を終えて自身の席に突っ伏していた。

そんな様子を見かねて花音が心配して声を掛けるが机に伏せたまま答える弦太朗の姿に苦笑いを浮かべる。

 

「おわったぁ・・・。でも朝っぱらから紗夜に校門で公開説教されるとは思わなかったぜ・・・」

 

「あはは・・・。それに昼休みにも生徒会室に連れていかれてお説教だったもんね・・・。大丈夫・・・?」

 

「すっげー疲れた・・・」

 

「何で燐子まで・・・」

 

「ほら・・・。女の子を家に泊めてるからじゃないかな?」

 

「今度は蘭ちゃんを誑かしてるとは恐れ入ったわ・・・」

 

「千聖。その言い方はねぇぜ・・・」

 

花音との会話に千聖も入ってきては弦太朗をここぞとばかりに弄り始める。

弦太朗の反論に千聖は何事もなかったかのように話を続ける。

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね。でも、弦太朗のそんな姿が珍しいからつい・・・ね?」

 

「ついで弄られるこっちの身にもなってくれよ・・・」

 

「でも確かに元気がない如月くんは珍しいよね・・・」

 

「でも、私だけで良かったわね。紗夜ちゃん達がいたらこの程度じゃすまなかったわよ?」

 

「あぁ・・・。今日は紗夜たちが練習で助かったぜ・・・」

 

「あはは・・・。それじゃあ私達はもう帰るから如月くんも気を付けてね?」

 

「次は紗夜ちゃん達にバレない様にしなさいよ。それじゃ」

 

「またな千聖。花音」

 

 

 

弦太朗は顔を上げて花音と千聖の2人を見送ると、再び机に伏せて休む。

休み始めて少し経った後に弦太朗のマグフォンが震えるとそこにはモカからの「任務完了」という1件のメッセージ。

おそらく、モカの言う任務とは服の受け渡しの事だろうと考えた弦太朗は机から気だるそうに立ち上がる。

 

 

「それじゃあ行くか・・・!!」

 

弦太朗は気だるい体を引き摺って学校を後にすると、そのままバイクの元へ向かうと蘭の待つ羽丘まで走る。

 

 

羽丘が近づくにつれて生徒達からの視線が弦太朗へと刺さるが、彼は気にすることなく学校前へと到着する。

しかし、そこに蘭の姿はない。

バイクを降りた弦太朗はそこでようやく周囲の視線に気づいて視線を生徒達に向けるが羽丘の生徒達は遠巻きに彼を見るだけで声を掛けることはしない。

 

次第に弦太朗を囲む生徒達が増えて周囲が騒がしくなる。

そんな視線が集まる彼の元へ蘭が恥ずかしそうな表情で近づいてくる。

 

「あんた。本当に学校まで来なくても・・・!!」

 

「ダメだったか?」

 

「・・・恥ずかしいじゃん」

 

恥ずかしがっている蘭の言葉が聞こえた周囲の生徒達の興奮が止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな空気をぶち壊すかのように学校の中から悲鳴が挙がり、校内から生徒達が何かから逃げるように飛び出してくる。

 

逃げ出している生徒を見て他の生徒達も得体のしれない恐怖に襲われて一緒に何かから逃げ出し始める。

 

 

その中の1人であったロックは弦太朗の姿を見つけるとそのまま彼の元へと走る。

 

「ロック!!何があったんだ!?」

 

「如月先輩!!あこちゃん達がこの間のに・・・!!」

 

告げられたのはゾディアーツの出現し、あこ達が狙われているという言葉。

それを聞いた弦太朗は瞬時に戦いへと気持ちを切り替える。

 

「どこだ!?」

 

「こっちです!!」

 

「待って!!」

 

ロックを先頭に弦太朗と蘭はゾディアーツに襲われているあこたちの元へと駆け出して行った。

 




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やっべぇ。
まだどのゾディアーツにするか決めてねぇ・・・


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反・骨・出・奔-6 追走

投稿です。

馬系と縁がある六花ちゃん。
ここの女子たち身体能力高すぎひん・・・?


 

弦太朗と蘭を連れたロックは襲われていたあこのいた場所へと走る。

 

「なんであこが襲われてるんだ?バンドの練習だったんじゃ!?」

 

「Roseliaさんについては良くわかりませんけど・・・。ダンス部の練習場所で出たみたいで・・・!!」

 

3人は校内を駆け抜けて、あこが所属するダンス部が練習を行っていた中庭へと到着する。

そこで見たのは校舎の壁を背にしたあことリサへとゾディアーツが迫っている光景だった。

 

「また馬!?」

 

「また・・・?」

 

「げんたろう!!ろっか!!」

 

「弦太朗!?なんで!?」

 

今回のゾディアーツはロックが以前に見た時と似た姿に驚きを隠せない。

しかし、弦太朗はその姿を見た時に天校での戦闘が思い浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度はてめぇか。ペガサス野郎!!」

 

「・・・」

 

「待てっ!!」

 

弦太朗達の目の前に現れたのはペガサス・ゾディアーツ。

ペガサスは弦太朗を一瞥するとあこ達へとゆっくりと距離を詰めていた。

 

 

その光景を見た弦太朗はドライバーを着けると同時にペガサスへと走り出す。

 

3―――――――

2―――――――

 

 

しかし、ベルトのカウントが終わるよりも先にペガサスはあこへ向けて蹴りを放つ。

 

「っ!!」

 

「あこ!!」

 

「うわぁ!?」

 

「ひぃ!?」

 

しかし、あこがリサによって突き飛ばた事によってペガサスの放った蹴りはあこへ直撃することはなかった。

あこの髪を掠めながらリサの顔の至近を通ってペガサスの脚は校舎の壁へと突き刺さる。

 

 

1―――――――

 

 

 

そして壁に蹴りが突き刺さると同時にベルトからのカウントが終わる。

 

「変身!!」

 

弦太朗はそのまま走りながらドライバーのレバーを押し込む。

フォーゼへと変身しながらもあこたちに迫っていたペガサスへと組みつく。

 

「宇宙・・・来たぁーー-----!!」

 

フォーゼはペガサスに組みつくと同時に背中のバーニアを吹かしながら叫び、あこ達からペガサスを遠ざける。

それと同時に2人は蘭達へと駆け寄る。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

あこ達から離したペガサスへとフォーゼはいつものセリフを放ち、そのまま殴り掛かって戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

そんな中、騒ぎを聞きつけて演劇部の練習中だった薫と麻弥が現場へと駆けつけて、フォーゼの姿を視認した。

 

「何が起こっているんだい?・・・ってそういうことか・・・」

 

「薫さん!!ってまたっすか!?」

 

「薫!?麻弥もどうして!?」

 

「さっき怪物が出たって騒いでいる生徒を見かけてね・・・。それで今回はダンス部が襲われたのかな・・・?」

 

「あこ達が練習してたらいきなり出てきて・・・」

 

「それでこっち見て迫って来てさ。他の部活の子を逃がしてたら追い詰められちゃって・・・。そしたらロックが弦太朗を連れてきてね・・・」

 

「・・・なるほど・・・」

 

「・・・ちょっと薫さん!?」

 

「どこ行くの!?」

 

リサたちの言葉を聞いた薫はこの場から離れようとする。

そんな様子にリサたちは驚きのあまり薫に声を掛けるが、彼女は振り向きながらリサたちに答える。

 

「今、私がここにいても何も出来ないからね。それなら今自分が出来ることをやるさ」

 

「どういうこと・・・?」

 

「学校内にいる人を避難させるのさ。生徒会室へいって日菜に放送を頼んでくるよ」

 

「・・・ジブンも行きます!!」

 

そう言って薫たちは校内にいる生徒会室へ向けて走り出すと同時にフォーゼはペガサスへと駆け出す。

 

 

「そらぁ!!」

 

フォーゼとペガサスは互いに足を止めてパンチを打ち合っていたが、先に拳を止めたのはフォーゼ。

動きが止まったフォーゼへとペガサスは連続で拳を振るう。

そんな中フォーゼはそのままドライバーのスイッチを機動する。

 

――エレキON――――――――

 

フォーゼはエレキステイツに姿を変え、右手に精製されたビリーザロッドがペガサスの腹部へと突き刺さる。

 

「食らえ!!」

 

そしてロッドへと素早くプラグを装填してペガサスの身体へと電気を流し込むとそのままペガサスは後ずさるが、フォーゼはそのままロッドで追撃してペガサスを追い詰めていく。

 

 

 

「なんやあれ・・・。黄色に変わった・・・」

 

「初めて見た・・・」

 

「いっけーげんたろう!!」

 

エレキステイツを初めて見た2人の声を他所に、あこはフォーゼへと声援を送る。

そんな中、校内放送が流れ始める。

 

『全校生徒に連絡でーす。中庭周辺に不審者が出たようなのですぐに学校から離れてくださーい』

 

「なんだ!?」

 

 

校内放送で日菜の声が響いてきたことに驚いてその声にフォーゼの動きが一瞬だけ止まる。

そしてその一瞬の隙についてペガサスは蘭達の元へと駆け出す。

 

「ひぃぃぃ!?こっちに来た!?」

 

「逃げるよ・・・!!」

 

しかしにリサの声も虚しく、ペガサスは4人目掛けて駆けて出して、あこ目掛けてその腕を伸ばした。

 

「あこ・・・っ!!」

 

「うわぁああ!!蘭ちゃん!?」

 

「うわぁああ!!」

 

「蘭っ!!」

 

しかし、あこは蘭によって腕を引かれた事によって2人の位置が入れ替わり、ペガサスはあこではなく蘭の身体を掴んでそのまま校内に逃げていく。

 

「弦太朗!!追って !!」

 

「おう!!後は任せた!!」

 

フォーゼはこの場を残った3人に任せて、左足のスイッチを交換する。

 

――――――ホイールON――――

 

「足にタイヤが付いた!?」

 

「うぉおおおおおおおお!!」

 

ホイールスイッチを起動したフォーゼの左脚にタイヤが装着される。

それとほぼ同時にタイヤが高速回転すると、フォーゼは蘭を捕まえて校内に逃げたペガサスを追う。

 

蘭を腕に抱えてフォーゼから逃走するペガサスは廊下を駆けるが、フォーゼはそのまま床や壁をホイールを駆使して学校内を駆け回る。

 

「離せっ!!」

 

「・・・」

 

捕まった蘭はペガサスの腕の中で暴れるが、彼女の力では逃げ出すことが出来ず、ペガサスはそのまま階段を駆け上がりながらフォーゼから逃走する。

 

「いい加減にしろっ・・・!!」

 

「待ちやがれっ!!」

 

そんなペガサスの元へホイールを使ったフォーゼが迫る。

 

 

 

次第に距離が詰まってきたペガサスは5階のフロアに到着すると蘭を窓ガラスへ向けて投げつけると再び廊下を走り抜けて逃走する。

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・」

 

投げ飛ばされた蘭は背中から窓ガラスへと衝突し、そのまま窓ガラスを突き破って外へと放り出され中庭の地面に向けて落下する。

 

「嘘っ!!」

 

「蘭ちゃん!!」

 

「蘭!!・・・くそっ!!間に合えっ!!」

 

――――――――ウインチON――

 

フォーゼはそこでペガサスの追走を諦めて、ウインチを起動しながら蘭が突き破った窓からそのまま外へと飛び出すと蘭目掛けてウインチを打ち出す。

 

ウインチが蘭の足へと巻き付いたのが見えたフォーゼはそのままウインチを巻き取りながら蘭の身体を引き寄せて蘭を抱えると背中のバーニアを最大まで吹かして落下の衝撃を殺しながら地面へと着地する。

 

「蘭先輩!大丈夫ですか!?」

 

「蘭ちゃん!!」

 

2人が着地したのを見て中庭に残されていた3人は2人へ向けて駆け寄る。

 

「痛っ・・・!!」

 

「わりぃ!!大丈夫か!?」

 

「大丈夫・・・。あの高さから落ちてたら多分死んでたし・・・」

 

そう言って蘭は自身が落ちて窓を見上げると、他の3人も釣られて窓を見上げて身体を震わせる。

20m近くの高さからそのまま地面に落ちていたらかなりの確率で彼女は命を落としていただろう。

 

そう考えるだけで3人は恐怖を感じるが、そんな彼女たちを他所にフォーゼはハンドとメディカルを起動して蘭の手当てを始め、校内から2つの人影が中庭へと向かってくる。

 

 

「弦太朗!!」

 

「皆さん!!無事ですか?」

 

「薫、麻弥。わりぃ!!逃げられちまった・・・」

 

メディカルとハンドによる蘭の手当てが終わると、フォーゼは変身を解除する。

その際に麻弥は地面に散乱していたガラス片の存在に気が付くと校舎の窓を見上げる

 

「ガラス・・・?まさかあそこから落ちてきたんですか!?」

 

「蘭の奴がな・・・」

 

「敵よりも人の命を優先するのは人として当然だよ。弦太朗が気にすることではないさ・・・」

 

「次は逃がさねぇ」

 

薫の言葉に答えるように顔を挙げる弦太朗。。

そして、弦太朗はリサたちの顔をみてあることを思い出した。

 

 

 

「でも、なんでリサとあこがここにいるんだ?紗夜たちは練習って言ってたのに」

 

「Roseliaの練習が休みだったからあことりさ姉はダンス部の練習に来てたんだけどこんなことになるなんて・・・」

 

「紗夜と燐子は個人練じゃないかな?」

 

「あれ?そう言えば巴は・・・?」

 

「巴?なんで・・・?」

 

蘭の言葉に首を傾げる弦太朗。

そこで周りが巴もダンス部に入っていることを説明して納得はしたが、ここにいない理由が分からなかった。

 

「おねーちゃん急にバイトが入ったって言ってたよ?」

 

「そっか・・・」

 

「でも、どうしてお2人が狙われたんでしょうか・・・?」

 

「そういえば・・・あいつが来た時に誰かを探してるみたいだったよ!!」

 

麻弥の疑問にあこはペガサスが現れた時のことを話すと、リサがそれに続いてその時のことを語りだす。

 

 

「確かにあこの言う通りだったような・・・。それでアタシとあこが皆に逃げるように言った後にあこに向かって行ったような・・・」

 

「もしかして・・・」

 

「薫分かったのか!?」

 

「あぁ・・・つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「はぁ?」

 

薫の言葉の意味が分からなかった弦太朗は思わず聞き返してしまったが、そこで麻弥が薫の言葉を翻訳する。

 

「えぇっと。狙いは巴さんで、本人がいなかったから関わりの深いあこさんを狙ったってことですね」

 

「なんで分かるんですか・・・?」

 

「慣れっすかね・・・」

 

 

ロックの当然の疑問に理由を答える麻弥に半ば呆れる一同。

 

「そうだ!!弦太朗は早く学校から出たほうがいいかも・・・。ここ女子校だし、許可なく入ってるからさっきの放送で勘違いされるかも・・・」

 

「マジか!!」

 

「後は私達に任せてくれ。蘭ちゃんのことは頼んだよ」

 

「おう!!またな!!」

 

こうして弦太朗は蘭を抱えて羽丘を去っていく。

そして校門では―――

 

 

「蘭っ!!」

 

「・・・お父さん」

 

蘭の父親が学校の前で待ち構えていた。

 





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反・骨・出・奔-7 Restartする生活

投稿です。

前回が100話ってことを言われて初めて思い出しました・・・。
でも、小ネタが挟まってるので本編の100話じゃねぇ・・・!!

ってことで平常運転です。


「蘭!!なんて恰好を・・・!!」

 

蘭の父は弦太朗に抱えられている蘭を見て、自身の娘の姿に怒りを隠せなかった。

それを察した弦太朗はゆっくりと蘭を降ろすが足の痛みがあるのか蘭が立つ際に少しだけふらつく。

 

 

 

 

 

蘭の父親は蘭の言葉を聞くとそのまま蘭に歩み寄るが、蘭は足を軽く引き摺りながら父親との距離を取る。

先ほどの事があった後で蘭は実の父親にすら警戒心を剥き出しにしているその光景は学校の近くにいた生徒達は視線を集めていた。

 

 

 

「・・・行くよ」

 

「・・・っ!!」

 

「蘭!?親父さんはいいのかよ!?」

 

「・・・いいよ」

 

蘭の行動に驚きを隠せない男2人を他所に蘭は周囲の目を気にすることもなく、自分の足を引き摺りながらも弦太朗の腕を引く。

その勢いに押されて弦太朗は彼女に腕を引かれて歩き出す。

 

蘭の言葉に固まってしまった父親の横を通り過ぎた彼女は振り向いて父親にはっきりと告げた。

 

 

 

 

 

 

「お父さん。何を言われてもあたしはバンド辞めるつもりは無いから」

 

「華道はどうするんだ!!」

 

「・・・」

 

父親の言葉に蘭も言葉に詰まる。

最初に約束した”華道とバンドの両立”という約束を破ることに多少の申し訳なさがあったため、口を噤む。

 

「それに勝手に家を出て外泊するまで勝手をするとは・・・!!どうせそこの不良に何か吹き込まれたんだろ!!」

 

「・・・」

 

父親の言葉に蘭ははっきりと怒りを覚えるが、言い返すことはしなかった。

そんな蘭を見て蘭の父は彼女を攻め立てる。

 

 

「昨日も言ったがバンドを許したのはこんな不良と遊ばせるためじゃない・・・!!その足もさっきの学校の騒ぎもこいつが原因じゃないのか!!」

 

「っ!!」

 

「・・・」

 

弦太朗が原因ではないが、弦太朗も関係はしている。

それにゾディアーツの事を知らない人間に説明しても理解されないことを分かっている2人は足の事を言われて言葉に詰まる。

蘭の父は彼女の横にいる弦太朗を攻めるような言葉を言うが言われている本人が何も言い返さないため蘭も我慢していた。

 

しかし、次の言葉が蘭の逆鱗に触れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子達もこいつのせいで不良にでもなったんじゃないか?」

 

「・・・あたしの友達をそんな風に言わないで!!」

 

「蘭っ!?」

 

彼女の耳に入ってきたのは幼馴染達を侮蔑するような言葉に蘭は自身の父親に対して口調を荒げる様子に父親は驚きを隠せない。

 

 

 

 

「もういい。お父さんが納得するまであたし家に帰らないから・・・!!」

 

「蘭っ!!昨日の今日で!!どこに泊まるつもりなんだ!!」

 

「・・・お父さんには関係ない!!」

 

「蘭・・・!!待ちなさい!!」

 

「行くよ・・・!!」

 

「おいっ!!蘭!!親父さんにそれは無いだろ!?あぁ・・・!!親父さん。とりあえず蘭には親父さんと話すように言っておくんで失礼します!!」

 

親の言葉を聞かずに彼女は弦太朗のバイクまで歩きだす。

蘭の勢いに押された弦太朗は蘭の父へ頭を下げてから蘭の元へと向かい、そのままバイクに2人で乗ってそのまま走り出す。

 

羽丘学園前には唖然とした蘭の父が取り残される。

周囲は目の前で起こった光景に興奮を隠せなかったが、当事者である蘭の父は怒りを覚えながらも自宅へと戻っていった。

 

「不良に親父と言われる筋合いはない・・・!!」

 

蘭の父の呟きは誰の耳にも入ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蘭。本当に親父さんはいいのか?」

 

「・・・いいよ」

 

「・・・そうか」

 

弦太朗はバイクを運転しながら蘭に声を掛けるが、蘭の答えを聞いて複雑な表情を浮かべるが後ろの蘭はそれに気づくことはなかった。

 

 

その後会話も無くままバイクで走った弦太朗は近くのコンビニへ寄り道をする。

 

「わりぃ!!買物あるからちょっと待っててくれ!!」

 

「あっ。あたしも行く・・・」

 

そうして2人は並んでコンビニの中へと入っていくと店員の気の抜けた声が響く。

 

「サマ~セ~ル」

 

「ん?モカ?」

 

「おや、げんたろーさんに蘭~」

 

気の抜けた店員の正体はモカ。

他の客がいないこともあってか少しだけ気だるげな彼女がいるレジ前へと向かう。

 

「モカ!?お前ここでバイトしてたのか!?」

 

「そーですよ~。リサさんも一緒なんですよ~」

 

「リサの奴、すげーな・・・。部活にバンドにバイトまでやってんのか・・・」

 

「そう言えばリサさんから連絡きたんですけど~。うちにも出たって~」

 

「あぁ・・・」

 

「それに蘭の事も聞いたよ~」

 

先ほど学校での戦いは既にリサによって連絡が回っており、その中には蘭の怪我の事も含まれていた。

それを知った蘭は申し訳なさそうな顔をしながら

 

 

「モカ・・・昨日も今日も心配かけてごめん・・・」

 

「蘭~。それは言う相手が違うんじゃない~?昨日の事はモカちゃん達は気にしてないから~。トモちんに言わないと~」

 

「でも・・・」

 

「まぁ~蘭の言いたいことは何んとな~く分かったからね~。もう少し素直に言わないとトモちんには伝わらないよ~」

 

「うん・・・」

 

モカと蘭は何とも言えない微妙な空気が流れるが、そんな空気を変えるように弦太朗は2人の間に割り込んでいく。

 

「蘭。モカのバイトの邪魔になるからこの辺にしようぜ」

 

「そうだね・・・」

 

「ん~むしろ、お客さん少ないから暇つぶしにいいんだけどね~。あっ蘭~ちょっと待ってて~」

 

「えっ?・・・うん・・・」

 

モカは蘭の返事を聞くと店の裏に消えるが、すぐにカバンを持って店の裏から戻ってくる。

 

 

 

 

「はい。これ蘭のおかーさんからの差し入れ~」

 

「えっ?」

 

「蘭の洋服とかだって~。さっきここに来て渡してきたんだよね~」

 

「んっ?昼に言ってたのとは違うのか?」

 

「あ~それとは別ですね~。

お昼の奴はモカちゃんが放課後に教科書とか全部抜いてから蘭のカバンに入れておきました~」

 

「えっ!?」

 

蘭はモカの言葉に驚きを隠せない。

教科書を抜いたとはいえ、今の蘭のカバンは朝のカバンと同じような膨らみで彼女自身気が付いてなかったのだ。

 

彼女はその場で自分のカバンを開くと、その中から蘭の服が飛び出してくる。

その中には蘭の下着も混ざっていたが、弦太朗は即座に視線を逸らしていたためそれを見ることはなかった。

 

蘭は顔を真っ赤にしながらもモカからカバンを受け取ると飛び出た服を乱雑に押し込んでいく。

 

「モカ・・・!!」

 

「でも、げんたろーさんに見られてないからいいでしょ~?」

 

「・・・怒るよ?」

 

「さーせーん」

 

蘭の視線にモカは平謝りで返して蘭の買物の会計を済ませる。

 

 

 

「そうだ。蘭~。げんたろーさんの家に泊まるんでしょ~?」

 

「・・・うん」

 

「それじゃ~こっちで何かあったら連絡するんで~」

 

「ありがと・・・」

 

モカの気遣いに礼を言う蘭。

しかしそのモカから返ってきたのはニヤけた顔と変わった握りこぶし―――親指が指の間から出すサインを蘭達に向ける。

蘭はそれの意味を分からず首を傾げ、弦太朗もそれが分からないが気にする様子も無い。

 

「モカ。バイト頑張れよ!!」

 

「それと蘭~。一緒に暮らすんだからげんたろーさんのことちゃんと名前呼んであげないと~」

 

「・・・また明日」

 

「さんしゃいーん」

 

 

モカの言葉と共に2人はコンビニを後にすると再び弦太朗の家への帰路へ着く。

バイクに乗る前に弦太朗が蘭へと声を掛ける。

 

「とりあえず帰ったら飯でいいか?」

 

「うん・・・」

 

「じゃあ、早く帰ろうぜ!!」

 

「うん・・・改めてよろしく・・・弦太朗・・・」

 

「おう!!よろしくな!!」

 

先ほどのモカの言葉に思うところがあった蘭はここで弦太朗のことを初めて名前で呼ぶ。

名前を呼ばれた弦太朗も嬉しそうな表情を浮かべてバイクを限界まで速度を出して上機嫌で家へと向かうのだった。

 

 




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反・骨・出・奔-8 Rが見た/骨抜き少女?

投稿です。

遅くなりました。
大筋の流れは決まってましたがの筆が進まずに小ネタの案出しに逃げてました・・・



 

 

如月家で世話になり始めてから数日が経った土曜日の休日、蘭は彼女は如月家の部屋で目を覚ます。

 

「んっ・・・朝・・・」

 

寝ぼけている状態の蘭が向かったのは洗面所。

そこで歯磨き等の最低限の身支度を済ませた彼女は洗濯機の前へと向かい、その中からの洗濯物を取り出してから洗面所を後にする。

 

未だに自身の父親・巴との関係の修復が出来ていない蘭。

しかし、如月家で暮らし始めた蘭はこの数日間に様々なことを経験した彼女は―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗、洗濯物干すのに邪魔だからどいて・・・」

 

「あぁ・・・わりぃな」

 

如月家での生活に完全に順応していた。

 

 

最初の数日は恥ずかしがりながら洗濯を行っていた蘭だったが、今は自身の洗濯物を見られるくらいでは何とも思わなくなる程度には如月家に慣れてしまっていた。

 

「弦太朗、何見てんの?」

 

「うちにはもう慣れたか?」

 

「あんたそんな事聞いて・・・暇なの?」

 

「まぁ、今日は特に予定はねぇけど・・・」

 

「暇ならあんたも掃除してきなよ。あたしはこれ終わったら店の掃除してくるから」

 

「とりあえず、風呂掃除してくる」

 

洗濯物を干している蘭を見る弦太朗の視線に蘭は顔を顰めたが、それを見た弦太朗はそそくさと部屋を出て風呂場の掃除へと向かう。

 

 

その背中を見た蘭は弦太朗に聞かれないように先ほどの質問の答えを呟いた。

 

「ここでの生活も悪くないね・・・」

 

洗濯を干し終えた蘭はそのまま部屋着から着替えることもせず、箒を片手に店の前の掃除を始めた。

掃除をしながらも巴と父親の事をどうしようか考えていた蘭は思わぬ人物たちと遭遇することになった。

 

 

 

 

 

「お前・・・。Afterglowの・・・こんなとこでなにしてんだ?」

 

「ますき・・・?って蘭ちゃん!?」

 

「RASのマスキングとレイヤ・・・?何って店の掃除だけど・・・。・・・あぁ、ちょっと待ってて」

 

店の前を掃除していた蘭の前に現れたのはレイヤとますき。

蘭は2人がここに来た理由を聞こうとしたが、ますきの目的を察してスマホを取り出した蘭は今は店主である吾郎へと電話を掛け始める。

 

 

 

 

「もしもし蘭です。・・・・・・分かりました。それじゃ・・・。バイクは店の中だからちょっと待って・・・」

 

何事も無いように対応する蘭だったが、一緒にいたレイヤは蘭の服装に対して声を出さずにはいられなかった。

 

「なんで蘭ちゃんはそんな恰好なの・・・?」

 

「恰好・・・?あぁ、起きてから着替えてなかった・・・」

 

「起きてからって!?もしかして・・・!?」

 

「マジか・・・」

 

蘭の言葉を聞いてレイヤとますきは驚きの表情を浮かべる。

そんな2人を他所に店の奥から弦太朗が表へと出てくる。

 

「蘭。洗濯機のとこにお前の洗濯物落ちて・・・ってレイにますきじゃねぇか」

 

「洗濯物って!?一体どういうこと・・・?」

 

「お前らってそういうこと関係だったのか・・・」

 

「2人ともなんで驚いてるの・・・?弦太朗、悪いんだけどますきのバイク出してくれる?」

 

「おう。ちょっと待ってろ」

 

驚きを隠せない2人を他所に、弦太朗は店の外へとますきのバイクを運び出す。

久々の愛車を目にし途端にますきは目を輝かせて戻ってきた自身の愛車へと熱い視線を送る。

 

 

 

 

「待ちくたびれたぜ・・・!!いつものバイク屋だったら修理に半年って言われたけど。めっちゃ早くて助かったぜ!!これ、うちの店の野菜だから良かったら皆で食ってくれよ」

 

「ありがと・・・。とりあえずこれ置いてくる」

 

ますきが店から持ってきた野菜を受け取った蘭はそのまま店の奥へと消えると、ますきは弦太朗とゾディアーツについて話し始める。

 

「そういや、ロックから聞いたけど。今度はロックの学校で出たんだって?」

 

「んっ・・・。あぁ、でもまだ誰か分かってねぇんだよなぁ・・・」

 

「ロックもだけど、麻弥さんが心配だな・・・」

 

「麻弥?なんでだ?」

 

「あの人のことアイドルやる前から尊敬してんだよ・・・」

 

「任せとけって!!」

 

弦太朗の疑問にますきは恥ずかしそうに答えると、弦太朗の自信満々の答えが返ってくる。

その言葉に安心したのかますきの話はゾディアーツからバイクの話へと変わっていく中、蘭が店の奥から戻ってくる。

 

 

 

「弦太朗、バイクありがとう・・・。そう言えば吾郎さんはもう少しで戻ってくるって・・・」

 

「わかった。・・・でも、なんでますきはレイと一緒にここまで来たんだ?」

 

「この後レイと飯食いに行くんだけど、ついでにバイクを取りに来たんだよ・・・」

 

「ここまでの距離はついでで済む距離じゃないでしょ・・・ってあれ?」

 

「どうした・・・?」

 

「レイヤはあそこで何をしてるの・・・?」

 

蘭は弦太朗達から離れているレイヤを指差して疑問をそのまま口にした。

弦太朗とますきも蘭の指の先を見るが、そこにはスマホを持って固まっているレイヤ。

その手には震え続けるスマホ。

 

「レイ?お前何してんだ・・・?」

 

「ますき・・・。花ちゃんに蘭ちゃんの事を連絡したんだけど・・・」

 

「うおぉ!?なんだこれ!?」

 

「ヤバくない・・・?」

 

レイヤは恐怖を浮かべて3人へスマホを見せる。

そこにはたえからのメッセージがマシンガンのごとく送られてきていた。

それを見た蘭達は驚きを隠せなかったが、ますきはそれを見てあることに気が付いた。

 

 

「ハナじゃねぇだろこれ・・・」

 

「えっ・・・?あっ・・・弦太朗の事を”先輩”って言ってない・・・」

 

「とりあえず電源落として明日にでも連絡しておけよ・・・」

 

「そうしておく・・・」

 

レイヤはスマホの電源を落とす。

それを見たますきは弦太朗から自身の愛車を受け取ると嬉しそうにバイクに跨る。

 

「そうだ!!2人も飯食いに行かねぇか?」

 

「いいのか?」

 

「別にレイもいいだろ?」

 

「うん。私は構わないけど・・・」

 

「なら・・・!!」

 

「ちょっと!!店はどうするの・・・?」

 

「すぐ戻ってくるって言ってたんだったら大丈夫だろ?後は店閉めときゃ大丈夫だって!!」

 

「そうなの・・・?ならいっか・・・」

 

今2人が店を離れたら店に誰もいなくなってしまう為、蘭が弦太朗を止めようとするがまんまと弦太朗に言いくるめられてしまう。

 

 

 

「なら行こうぜ!!」

 

「そう言えばますき。今日はどこいくの?ご飯としか聞いてなかったけど・・・」

 

「んっ?ラーメンだけど・・・?」

 

ますきの言葉に蘭はその頭には仲違い中の幼馴染の姿を思い出して表情を曇らせる。

その様子をレイヤが気が付いて声を掛ける。

 

「蘭ちゃん?どうかしたの・・・?」

 

「いや・・・なんでもないから」

 

「青春の塩味が涙なら青春の醤油味はラーメンだ!!」

 

「なんかよく分かんねぇけど。とりあえず着替えてこいよ」

 

「おう!!ちょっと待ってろ!!」

 

「とりあえずあたしも着替えてくる・・・」

 

そう言うと2人は準備のために一旦、家の中へと戻る。

そして準備を終えた弦太朗達が店の外へ戻ってくると、弦太朗とますきの後ろにそれぞれレイヤ達を乗せるとバイクを走らせて、何事も無く目的地であるラーメン屋へと到着する。

 

 

そして駐車場にバイクを停めると店へ向かって歩き出す。

 

「銀河とはちょっと違う感じだね・・・」

 

「それってますきのバイト先だっけ?」

 

「おう!!でも今回はここだ!!とりあえず入ろうぜ!!」

 

そしてますきを先頭にして4人はラーメン屋の中へと入っていくがそこで事件が起こる。

 

 

 

 

「あれっ?キングにげんたろう!!」

 

「あこ?お前もラーメンか?」

 

「うん!!」

 

店内に入ると聞こえてきたのはあこの声。

そして―――

 

「巴・・・」

 

「蘭っ・・・」

 

現在、蘭と仲違いの真っ最中である巴の姿だった。

2人の間には流れる空気は妙に重く、そして冷たく張り詰めていた。

 





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反・骨・出・奔-9 乗り込んでくる悲劇

投稿です。

このブシドーやべーな・・・
もしかして改造人間か・・・?



 

「「・・・・・・」」

 

蘭と巴の2人を中心に店内の空気が冷え切り、2人は暗い表情を受かべて言葉を交わすことは無かった。

 

 

目の前の状況が呑み込めないレイヤ達は弦太朗へと説明を求めていた。

 

「弦太朗・・・これどういうこと・・・?」

 

「あぁ、蘭は今、巴と親父さんと喧嘩中でな・・・」

 

「巴とだけじゃなくて親と喧嘩・・・?あぁ・・・そんで家出して、弦太朗の家に泊まってたってことか?それにしてもお前たちが出来てるとは思わなかったな」

 

目の前の光景とさっきまでの光景からますきは現在の蘭の状況を言い当てる。

ますきの答えの一部間違っているがそれはある程度は合っていたことに弦太朗は驚気を浮かべる。

 

 

「出来てねぇけど・・・。それにしてもますき。お前よく分かったな」

 

「これまでのを見て、分かんねぇ方が難しくねぇか・・・?」

 

「・・・(ますきが言うまで全く分からなかった・・・。)」

 

「あんたら何してんの・・・?早く座りなよ」

 

 

蘭は3人がいつまでも席に座らないことを不審に思い声を掛けると、弦太朗達は巴達が座っているカウンター席の横に座るとすぐに3人は共通の話題である音楽について話が盛り上がっていく。

 

しかし、弦太朗はその話について行けずに視線を横にいる宇田川姉妹へと向ける。

 

そこには既に出てきていたラーメンを物凄い勢いで食べている巴とゆっくりと食べているあこという対照的な姉妹の姿。

そしてあっという間にラーメンを食べきった巴は早々に席を立つ。

 

「あこ、アタシ先帰るな。会計しておくからそのままバンド練習行ってこいよ・・・」

 

「あっ!!おねーちゃん!!待ってよ!!」

 

しかし、あこの言葉も聞かないで巴は一足先に店の外へと出て行ってしまう。

 

「巴の奴、あこのこと置いてっちまったな・・・」

 

「ひーちゃん達から聞いてたけど・・・。おねーちゃん、まだ蘭ちゃんと喧嘩してるんだ・・・。蘭ちゃん家に帰ってないって聞いたし・・・」

 

「蘭の事は任せとけって。そんなことよりラーメン伸びちまうぞ?」

 

「あっ!!」

 

弦太朗の言葉にあこは自分のラーメンをあこなりに急いで食べるが、その速さは巴に比べれば格段に遅い。

 

 

「あんな一生懸命に啜って食べてて・・・可愛いな・・・」

 

「ますき?お前あこ睨んで何言ってんだ?」

 

ラーメンを一生懸命に啜っている姿に睨みつけるような視線を送りながら呟くが弦太朗はその視線の意味が分からずに首を傾げるが、そんな中あこはラーメンを食べ終えるとバンド練習へ行くために店を後にする。

それと入れ替わるようにして弦太朗達の目の前にラーメンが出されて、一口した途端に先ほどまでのますきの事がどうでもよくなってしまい、弦太朗は目の前のラーメンを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~美味かったな!!」

 

「あぁ!!それに味も悪く無かったな!!誘いに乗って良かったぜ!!」

 

「ふふっ・・・そうだね・・・」

 

「悪くないね・・・」

 

食事を終えた弦太朗達は満足気に店を後にする。

巴の顔を見た時とは違い、蘭の表情も明るいものに変わっていた。

 

それを見て蘭に声を掛けたのは弦太朗だった。

 

「うっし。とりあえずこのまま巴のとこ行くか」

 

「はぁ!?あんた何言ってんの?」

 

言葉に意味が分からなかった蘭だったがますき達も弦太朗の援護に入る。

 

 

 

「まぁ、いつまでも喧嘩してるわけにもいかねーだろ?それに気分がいい時に嫌なことさっさと済ませちまった方がいいぞ?」

 

「ますきの言ってる意味わかんないところはあるけど。早めに解決したほうがいいんじゃない・・・?」

 

「・・・・・・」

 

「心配すんな!!俺も一緒に謝って地面叩き割るくらい頭下げてやるからな!!」

 

「はぁ・・・」

 

その言葉を聞いた蘭は考えるような仕草を見せていたが、弦太朗の言葉を聞いて考えるのが馬鹿らしくなってしまいため息をつくと弦太朗のバイクへと歩いていく。

 

「おい!!蘭」

 

蘭はバイクと一緒に置いてあったヘルメットを2つ持つと1つを弦太朗へと押し付ける。

 

「行くよ・・・。一緒に謝ってくれるんでしょ・・・?」

 

「おう・・・!!」

 

 

 

「弦太朗は相変わらずだなぁ・・・」

 

「ホントおもしれーよな。あいつ」

 

蘭の行動に笑いながら見てたレイヤ達。

和やかな空気が流れていたが、それをぶち壊わす様に1本の電話が掛かる。

 

 

 

「わりぃ・・・もしもし・・・?」

 

『もしもし如月くん!?』

 

「つぐ!?どうしたんだ!!」

 

電話の相手はつぐみであったが、酷く慌てており異常事態が起こったことを物語っていた。

 

『うちのお店でひまりちゃんが怪物にさらわれたの!!』

 

その言葉に4人は驚きを隠せずにいた。

 

「なんだって!?皆はまだ店か?」

 

『うん・・・!!』

 

「すぐ行くから待ってろ !!」

 

弦太朗はそう言うと電話を切ると、ますき達へと向き直る。

 

「わりぃ!!行ってくる!!」

 

「いってらっしゃい」

 

「気を付けろよな」

 

「おう!!」

 

弦太朗はその言葉を聞くとバイクへ跨るとその後ろに蘭も乗ってくる。

 

「あたしも行くよ」

 

「・・・しっかり掴まっとけよ!!」

 

「うん・・・」

 

短い言葉のやり取りで2人はつぐみ達がいる羽沢珈琲店へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

私はひまりちゃんとモカちゃんと3人でお店に集まっていた。

今度のライブについて机にそれぞれ違うセットリストが書かれていた3枚の紙を広げて話合っていた。

 

「とりあえず、この3つのどれかってことでいいかな?」

 

「うんっ!!どれもいい感じじゃない?」

 

「後は蘭とトモちん次第ってことだね~」

 

「みなさん!!お疲れ様です!!」

 

 

2人が欠けたバンドメンバーでセットリストと衣装の候補を決めた。

 

後は2人が戻って来た時に決めてもらえばいい・・・。

そう思った3人は机に項垂れると、不在のお母さんの代わりにバイトに入ってくれていたイヴちゃんがコーヒーを持ってきてくれた。

奥ではお父さんがニコニコしながらこっちを見ていた。

 

「でも、モカさん?なんで候補が3つもあるんですか・・・?」

 

「う~ん。なんとなくかな~」

 

そう、イヴちゃんが言ったように今の段階でセットリストの候補が"3つ”あるのだ。

 

 

 

 

最初は3人で巴ちゃんの意見を参考にした今までの私達とはちょっと違うイメージの案と、蘭ちゃんが言ってた今までの私達がやってたようなセットリストの2つだった。

 

そんな時にモカちゃんの思い付きで考えたその2つの折衷案みたいな第3のセットリストを作ったのだ。

 

「新しいことをしたいって思うトモちんの気持ちも、色んな事件があったから”いつも通り”を大切にする蘭の気持ちもどっちも大事だと思うからね~」

 

ってモカちゃんの言葉を聞いて、3人でこの案を作ったのだ。

 

それが今、ようやく形になったのだ。

後は蘭ちゃんと巴ちゃんと話して決めるだけと思ったら、重かった肩の荷が少しだけ軽くなったように感じた。

 

 

 

 

でも、この落ち着いた空気も一瞬で壊れた。

 

お父さんが店のドアを開けようとしたら、そのドアがお父さんを巻き込んで店内に向かって吹き飛ばされる。

 

 

 

「お父さん!!」

 

「嘘でしょっ!!」

 

「あこちんの次はモカちゃん達ですか~・・・」

 

そこには先日学校で出たペガサス座のゾディアーツがドアを蹴破った姿があった。

 

他のお客さんがいなかったし、ドアと一緒に吹き飛ばされたお父さんも気を失ってるだけみたいなのは不幸中の幸いだった。

 

私達をゆっくりと追い詰めるように迫ってくるゾディアーツ。

それを見た私は恐怖で身体が固まりそうになるが、なけなしの勇気を振り絞って逃げ出そうと身体を動かす。

 

 

 

「ブシドーー-!!」

 

そんな中で最初に動き出したのはイヴちゃんだった。

どこに隠してあったのか分からないけど、その手に持った木刀をゾディアーツの横から、渾身の力を籠めてその頭へと振り下ろす。

 

ゾディアーツはそれを無視したがそれは誤りだった。

 

 

 

 

 

 

イヴちゃんの木刀はそのままペガサスの頭部へ命中すると、その衝撃で頭が床に向けて堕ちる。

 

その渾身の一撃を受けたゾディアーツは床に倒れこそしなかったが、視線をイヴちゃんに向けるとそのまま襲い掛かる。

 

しかし、イブちゃんはその攻撃を狭い店内で躱し続け、当たりそうなものは木刀を使って受け流していた。

 

「皆さん!!早く!!」

 

イヴちゃんの叫びに私達はそのまま店の外へと走り出したが、ゾディアーツは近くにあった椅子を私達へ向けて投げつけると、それがひまりちゃんの足に直撃した。

 

「いたっ!!」

 

「ひまりちゃん!!」

 

「ヒマリさん!!」

 

 

 

 

 

「モカ!!・・・つぐをお願い!!」

 

「うん・・・!!」

 

椅子が直撃して転んでしまったひまりちゃんの言葉を受けてモカちゃんは私の腕を引いて店を飛び出した。

 

動けなくなったひまりちゃんとゾディアーツの間にイヴちゃんが割って入るが完全に押されていた。

後ろにいるひまりちゃんを庇って、動けないイヴちゃんをゾディアーツの拳が襲う。

なんとか躱しているが、次第に木刀で受ける回数が増えていくとその最中に木刀が折れた。

 

折れたことに一瞬だけ驚いて動きが止まってしまったイヴちゃんをゾディアーツの拳が襲う。

その一瞬で躱せない事を察したイヴちゃんが腕で自分を守ろうとするがあまりの衝撃に身体が吹き飛ばされて机に背中から落ちる。

 

そんなイヴちゃんには目もくれずに、床で動けなくなっているひまりちゃんを抱えあげる。

 

「いやっ!!離して!!」

 

「ひーちゃん!!」

 

「ひまりちゃん!!」

 

その光景に私達は声を挙げるもゾディアーツは意にも返さずにひまりちゃんを抱えてどこかに消える。

呆然となる私とモカちゃんだったが、イヴちゃんの方から呼吸音が聞こえると我に返って2人でイヴちゃんの元へ駆け寄る。

 

「お2人とも・・・大丈夫・・・ですか?」

 

「うん!!イヴちゃんの方は・・・?」

 

「私は大丈夫ですよ。ぶつけた勢いで息が止まってしまっただけですから・・・」

 

「よかった・・・」

 

「イヴちんは休んでて、つぐはげんたろーさんに連絡~」

 

「うんっ!!」

 

そうして私はモカちゃんに言われるままに震える手で如月くんへと電話を掛けた。

 

 





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反・骨・出・奔-10 ロケートフレンド

投稿です。

アンケートの大事なとこで誤字する野郎がいるってホンマかー?(っ鏡
勘のいい読者はCircleはネタエンドの温床だって気が付いてるな・・・



 

弦太朗達を乗せたバイクは商店街へと到着するが、目的地である羽沢珈琲店には騒ぎを聞きつけた人たちが群れを成していた。

 

「みんな!!」

 

「蘭っ!!」

 

しかし、蘭はバイクから飛び降りると同時にその人の群れの中へと飛び込み弦太朗もその後を追う。

 

人を掻き分けて店の前までやってきた蘭と弦太朗の目の前に広がっていたのは破壊された扉と机や椅子がなぎ倒されて荒れた店内だった。

 

人混みを掻き分けてきた弦太朗達の存在に気が付いたモカが2人に向かって手招きをして呼ぶ。

 

 

 

 

「げんたろーさん~蘭~」

 

「如月くん!!蘭ちゃん!!」

 

「モカ!!つぐみ!!」

 

「2人とも大丈夫!?」

 

「うん。私達は平気だけど・・・」

 

「つぐのおとーさんが病院に運ばれて・・イヴちんは今、さーやが・・・」

 

「私は大丈夫です・・・!!」

 

「イヴちゃん!?」

 

つぐみが言葉を詰まらせていると、店の奥からイヴが沙綾の肩を借りて店へと出てくる。

 

 

 

 

「すいません・・・。私が至らないばかりに・・・ヒマリさんとツグミさんのお父さんが・・・」

 

「イヴちゃんがあの時守ってくれなかったら、ひまりちゃんだけじゃなくて私達もどうなってたか分かんなかったし・・・。イヴちゃんが謝ることじゃないよ!!」

 

「ツグミさん・・・」

 

 

父親を傷つけられたつぐみが笑顔を作ると落ち込むイヴへとそれを向ける。

それを見た弦太朗はイヴの肩を軽く叩く。

 

「後は俺に任せろ!!ひまりは必ず助けっから!!」

 

「イヴちゃんは奥で休んでて」

 

「はい・・・後はお願いします」

 

「イヴ。とりあえず戻るよ・・・?」

 

そう言い残してイヴは沙綾と共に再び店の奥へ消えていく。

その背中を見送ったモカとつぐみは近くに倒れていた椅子を起して座り込む。

 

「でも、ひーちゃんはどこに連れてかれちゃったんだろ・・・?」

 

「・・・そもそも、なんであたし達が狙われてるの・・・?」」

 

「そうだね。蘭ちゃんが言った事を最初に考えてみよ・・・?」

 

 

 

 

 

蘭の言葉をきっかけにこれまでの事件について振り返っていく。

 

「最初は学校で、次はつぐの店・・・で間違ってないよね~?」

 

「学校の中庭よりも先は分かんないけど・・・」

 

「とりあえず学校で見たのが最初だろ・・・?」

 

「確かダンス部が練習してたんだよね?」

 

「俺は分かんねぇけど、ロックの案内で行った先にリサとあこがいたな」

 

「それなら中庭かな~」

 

「ダンス部は練習で中庭使うことあるし」

 

それまでの話を聞いた弦太朗があこの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

「そう言えば、あこが「誰か探してるみたい。」って言ってたよな・・・」

 

「うん。あいつが校舎内に逃げようとしたときにあこに手を伸ばしてきたのを庇ってあたしが校舎から投げ飛ばされたし・・・。

そう言えば瀬田さんが「巴が狙われてる。」って言ってたよね・・・?」

 

「被害に遭ったのは・・・あこちゃん・・・蘭ちゃん・・・ひまりちゃん・・・。最初はダンス部・・・その後はうちの店・・・。そっか!!」

 

「やっぱりトモちんが狙いってことだね~」

 

「本当に薫の言う通りだったのか・・・」

 

「あれ・・・?」

 

モカ達の言葉を聞いた蘭がある疑問が思い浮かんだ。

弦太朗も同じことを考えていたようで蘭の代わりに疑問を口にした。

 

 

 

 

 

「巴が狙いだとしたら最初からなんで巴を襲わねぇんだ?」

 

「そんなの簡単だよ~。周りから襲ってトモちんを追い詰めるためだよ~。

”将を射んとする者はまず馬を射よ”って言うでしょ~」

 

「ん?なんだそれ・・・?」

 

「えぇっと・・・。巴ちゃんを苦しめるために巴ちゃんの大切な人を狙ってるってことだよ?妹のあこちゃんとか幼馴染の私達とか・・・」

 

「ちょっと!!それなら・・・」

 

新しい疑問が浮かんだ蘭だったが最後まで口にすることはなかった。

 

関わりの深い妹のあこ、そして幼馴染である自身やひまり達が狙われることは分かった。

でも、それに比べればイヴと巴の関わりはそこまで深い物でもないし、つぐみの父に至っては幼馴染の親ってだけで巴自身とはイヴ以上に関わりはない。

 

理由が分からない蘭。

そんな蘭につぐみは自身が思い浮かぶ最悪の想像を口にする。

 

 

 

「こう言いたくはないけど、お父さんとイヴちゃんは私達の巻き添えで・・・」

 

「許せない・・・!!」

 

つぐみの震える声を聞いた蘭の言葉にははっきりと怒りの感情が現れていたが、モカがそれを理解しながらも落ち着かせようとする。

 

「蘭~。怒るのは分かるけど・・・」

 

「・・・ごめん」

 

「ううん。私も許せないもん・・・」

 

「でも、今はひまりを探さないと・・・!!」

 

 

 

ひまりを連れ去ったペガサスの行方が分からないのに彼女を探すと言った蘭の言葉に戸惑いを隠せないつぐみ。

 

「でも、どこにいるか分かんないよ!?」

 

「つぐ。んなもん決まってんだろ?」

 

「自分の足で探すんだよ?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・蘭。げんたろーさんと似てきたね・・・。でも、ひーちゃんの事が心配だし、あたしもここでじっとしてられないかな~」

 

蘭の言葉に言葉を失う。

そんな光景にモカは笑みを浮かべて蘭の意見に同意する。

 

「だから。ひまりを追いかけよう・・・。ひまりを止めるためじゃなくて、助けるために」

 

「うん!!・・・でも・・・」

 

 

 

 

 

 

「つぐも行ってきなよ・・・」

 

つぐみは言葉に詰まる。

ひまりの事を探しに行きたいが店の事も放っておけない責任感で悩むつぐみに

店の奥から出てきた沙綾がそれを察してつぐみへ優しく語りかける。

 

「沙綾ちゃん!!でも・・・」

 

「うちにはお母さんもいるから大丈夫だよ?だからみんなはひまりを探して・・・?」

 

「さーや・・・」

 

「沙綾ちゃん・・・!!お願い!!みんな!!いこ!!」

 

つぐみは沙綾の提案を受け入れて、弦太朗と3人はそのまま店を飛び出そうとする。

 

「・・・待って!!」

 

「沙綾・・・?どうしたんだ?」

 

しかし、飛び出そうとする彼らの沙綾が呼び止める。

全員が振り返るとそこには不安そうな表情を浮かべた沙綾がいた。

 

 

 

 

 

「1つだけ約束して?・・・ちゃんとひまりを連れてみんなで帰ってくるって・・・」

 

「おう!!」

 

「もち~」

 

「うん。ちゃんとみんなで帰ってくるよ・・・」

 

「沙綾ちゃん!!行ってきます!!」

 

「うん・・・!!いってらっしゃい!!」

 

 

沙綾の言葉を聞いた全員が笑みを浮かべて答えると沙綾はそれに笑顔で返すと4人は振り返ってそのまま店の外へと駆け出して行く。

 

 

 

 

「どこ行ったと思う~?」

 

「ひまりちゃんを連れて行ったままだと遠くには行けないと思う!!すぐ見つかっちゃうから!!」

 

「モールの方からバイク乗って来た時は騒ぎになんて起こってなかったぞ」

 

「ならモール方面以外だね!!となると・・・?」

 

「ひーちゃんをどこかに隠してからまた誰かを襲いに行ってるのかな?」

 

「あこはさっき会ったけどバンド練習って言ってたよ」

 

「ならそっちは私とモカちゃんで行くよ!!2人は・・・」

 

「学校かな~。犯人は現場に戻ってくるって言うし~」

 

「今日は学校は空いてないはずだよ・・・?」

 

「ならそっちはあたしと弦太朗で行くよ・・・バイクで行けばすぐ行けるし・・・」

 

「ならこれ!!職員用玄関の鍵!!生徒会で使ってる奴だからこれで校内に入れるよ!!」

 

「つぐ~!!行くよ~!!見つかったら連絡してね~」

 

「うん!!・・・あれ?弦太朗・・・?」

 

蘭の言葉を疑問に思ったつぐみを他所にモカはつぐみの腕を引いてCiRCLEへと駆け出していくと共に、弦太朗も蘭と共にバイクで羽丘女子学園へと向かい、学校へと到着すると2人は学園内を走り回る。

 

そして中庭に到着すると中庭に不自然な影を見つけると、蘭は屋上を見上げる。

 

 

「弦太朗!!あれ!!」

 

「ひまり!!」

 

弦太朗達が目撃したのは屋上から逆さに吊るされたひまりとその横で弦太朗達を見下ろすペガサス・ゾディアーツの姿があった。

 

 




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なんでひまり逆さ吊りかって?
タロットカード捲ったら”吊るされた男”が正位置で出たからというクッソしょうもない理由


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反・骨・出・奔-11 ツナガレ、ヨゾラモヨウ


投稿です。
なんで女の子たちがこんなバグってるのってメッセージ頂いてますが、そこの理由は設定してます。

物語中で語るよ・・・Afterglow3章でな!!



 

屋上を見上げ、弦太朗達たひまりへと声を掛ける。

しかし、弦太朗の問い掛けにも反応を示さないひまりとその横で2人を見下ろすペガサス。

 

それを見た弦太朗はドライバーを装着すると蘭の前へと躍り出ると変身の構えをとると、蘭は少しだけ後ろに下がる。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

弦太朗は蘭の目の前でフォーゼへ変身した。

 

「宇宙キターーーーーーー!!」

 

「・・・」

 

「弦太朗!!」

 

フォーゼの言葉聞いたペガサスは屋上からフォーゼへと向けて蹴りかかる。

ペガサスの脚はそのままフォーゼの頭を捉える軌道。

 

避けることだけなら簡単なそれだったが、大きく回避したら後にいる蘭が狙われることが分かっていたフォーゼは身体を捻るとその横をペガサスの脚が通り抜ける。

 

「おらっ!!」

 

「がっ!?」

 

「女の声・・・?」

 

そしてすれ違いざまにフォーゼの左拳がペガサスの顎を捉えてその体を再び宙へと浮き上がらせるとそのまま地面に倒れる。

拳と地面の衝突の衝撃に堪らずペガサスから女の声が挙がるが、蘭も聞いたことがない声に疑問を覚えていた。

 

「蘭も知らねぇのか・・・?とりあえず蘭!!ひまりは任せたぞ!!」

 

「うん!!」

 

フォーゼの言葉に蘭はその場を離れてひまりの元へと駆け出す。

その背中を見たフォーゼは再びペガサスへと視線を戻す。

そこには蘭へと視線を向けながら立ち上がろうとしていたが、そんなペガサスにフォーゼは殴りつけた拳をそのまま突き出す。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

――――――――ハンマーON――

 

いつものセリフをと放つと同時にスイッチを起動してペガサスへ向けて走り出す。

 

 

ハンマーによってペガサスを殴り飛ばす、そしてペガサスの意識を蘭から逸らすためにそのままフォーゼは攻撃の手を緩めることなく追撃を開始する。

 

フォーゼは左手のハンマーを何度もペガサスへと叩きつけてダメージが与えているが、ペガサスもそれに対応し始めてフォーゼを蹴りつけようと叫びと共に足を振るう。

 

「・・・シッ!!」

 

「よっっと!!」

 

――――チェーンソーON――――――

――――――スパイクON――――

 

 

「食らえっ!!」

 

「あぁあああ!!」

 

しかし、その蹴りは簡単に避けられてしまいその仕返しとばかりにフォーゼはチェーンソーを起動すると同時にペガサスを切りつけて、切られて仰け反ったところに連続でスパイクによるキックを浴びせる。

 

打撃に慣れてきていたペガサスが自身の身体がチェーンソーによって身体を切り裂かれる感覚とスパイクに身体を貫かれる度に叫びを挙げる。

しかし、予想外の事態にフォーゼの攻勢が終わってしまう。

 

 

 

 

「このまま一気に・・・ぐわぁあ!!」

 

「・・・!?」

 

攻勢をかけていたはずのフォーゼだったが背後から何かによって攻撃を受ける。

ペガサスも何が起こっているのか分かっていない様子を見せていることに疑問を覚えたフォーゼはそのまま後ろを振り返ってしまう。

 

 

「なんでこいつらが!!」

 

フォーゼを襲った正体はダスタード。

見えている範囲で8体ほどのダスタードが中庭に現れたことに衝撃を受けていたフォーゼ。

驚きを隠せなかったフォーゼだが、先ほどのペガサスの様子からある結論に至った。

 

「でも、こいつが出したわけじゃねぇよな・・・。もしか・・・うわぁ!!てめぇ!!」

 

しかし、ペガサスに背を向けたことによって大きな隙が出来たフォーゼの背中にペガサスの蹴りが直撃すると中庭に中心付近まで飛ばされると、その周囲をダスタードが取り囲み始める。

ペガサスはいきなり現れたダスタードについてよく分かっていないだったが、今の行動を見て自分の味方と認識してフォーゼから視線を屋上にいるひまりへと向ける。

 

 

 

 

 

「蘭・・・こっち見られてる!!」

 

「嘘でしょ・・・!!」

 

「おい!!止め・・・!!」

 

ペガサスの視線の先にはひまりを引き揚げようとしている蘭の姿が映る。

それを見たフォーゼはペガサスの行動を察して静止させようと声を挙げるがそれでペガサスが止まることは無く。

 

「シッ!!」

 

「「きゃああああああああああ!!」」

 

「蘭!!ひまり!!」

 

「・・・」

 

ペガサスは足を振るとそこから蹄に似たエネルギー弾が蘭達のいる屋上へと放たれると、2人の悲鳴と同時に爆炎が挙がる。

それを見たペガサスはゆっくりと校内に入って屋上へ向けて歩き出す。

 

「待ちやがれ・・・!!って邪魔すんなよ」

 

フォーゼがそれを追おうとするも、その目の前にはダスタードたちが立ちふさがりフォーゼの進路を阻む。

 

「纏めて相手してやる!!」

 

ペガサスを追いかけるためにもフォーゼが目の前のダスタードの集団へと飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

――――――

 

あたしはつぐみから借りていた学校の鍵を使って、弦太朗に言われた通りにひまりがいる屋上へと駆け上がって屋上へ出る扉の前へとやってきた。

 

休日の屋上なんて普通は鍵がかかってると思ってたけど、その扉はいつもあたしが見てるのとは違って鍵の部分があの怪物によって壊されていた。

 

「ひまり・・・!!あれ・・・誰?どこかで見たような気もするけど・・・」

 

あたしはそのまま屋上へと飛び出す。

そこには以前に見たひまりのように白い毛みたいなのに覆われた女、見覚えがあるような気がするけど特に考えもせずにひまりの元へと駆け寄る。

 

「ひまり!!」

 

「・・・」

 

あたしはひまりに声を掛けるが返事がない。

最悪の事態が一瞬だけ頭を過ったが考えを振り払って周囲を探し始める。

そしてあたしはひまりを吊るしている鎖が括りつけれている屋上の手すりを見つけた。

よく見たら同じような鎖が手すりに数本括られていたけど、

 

これってもしかしてあたし達とかあこにも同じことを・・・?

 

不意に考えてしまったあたしは嫌な考えを振り払うために首を振ってその考えを消してひまりがつられている鎖を掴む。

 

「ひまり・・・重い・・・!!」

 

あたしはなんとか引き上げようとするけど、ひまりの重さのせいでゆっくりとしか引き揚げられずにいた。

次第に手が痛くなってきたけど、あたしはそれに構うことなく鎖を引き続けると急に体が手すりへと引き寄せられる。

そして手すりの下を覗き込むとひまりが意識を取り戻したがあまりの光景に取り乱してミノムシのように暴れ出す。

 

「えぇ!?何これ!?あれ弦太朗くん!?」

 

「ひまり!!暴れないで!!」

 

「蘭!?」

 

「いいから黙ってて!!」

 

いまいち状況が呑み込めていないひまりをなんとか黙らせると再び鎖を引き上げる。

しかし、先日の足の痛みがここに来て再び痛み出して、その痛みと手の2重の痛みがひまりの引き揚げを遅らせる。

 

手の力が入りにくくなってきたあたしは鎖のあまりを自分の右腕に巻きつけながらそのままひまりを引き揚げ続ける。

 

嫌な予感がしたあたしはひまりを急いで揚げようとするが、それも上手くいかなかった。

再びひまりが暴れ始める。

 

「ひまり!!だから暴れないでよ・・・!!」

 

「蘭・・・こっち見られてる!!」

 

「嘘でしょ・・・!!」

 

ひまりから告げられた悪い知らせ。

それと同時にあたし達の近くで何かが弾けるような衝撃があたし達を襲った。

 

「「きゃああああああああああ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしの目にひまりを吊るしていた手すりが衝撃ではじけ飛ぶ光景が映る。

ひまりを支えていた手すりが無くなった事によって

ひまりの体重が一気にあたしを襲ったことによってあたしは転んでしまい、引き摺られるようにひまりの元へと引き寄せられるが、運よく衝撃によって吹き飛ばなかった屋上の縁に身体が引っかかることによってあたし達は奇跡的に地面への落下を防いでいた。

 

しかし、右腕はひまりの全体重がかかる。

屋上から乗り出して見えない右手からは手汗のような感覚が手に伝わり、その次に先ほど以上の痛みが襲ってくる。

 

「ひゃ!?」

 

「どうしたの!?」

 

「今、生暖かい水みたいなのが背中に・・・」

 

何かに驚いたような様子で声を挙げるひまり。

水・・・?よく分かっていないあたしだったがひまりはそれの正体に気が付いたらしく声は焦りに変わっていた。

 

 

 

 

 

 

「蘭っ!?手から血が出てる!!」

 

さっき感じた手汗の様な感覚。

そして、ひまりの言っていた水みたいな物の正体はあたしの手から出た血で、それがひまりの元へと届いたんだ。

それを理解した途端、手のひらから物凄い痛みがあたしを襲った。

 

 

 

「あぁあああああ!!」

 

「蘭!!離して!!」

 

「・・・っ!!」

 

あたしは痛みによって叫びをあげる。

それを聞いたひまりから出た諦めの言葉に反抗するようにあたしはそのまま腕に力を入れて握りしめる。

 

「蘭!!離して!!このままじゃ蘭も落ちちゃう!!」

 

「やだ・・・!!離さない・・・巴にも謝ってない!!それにひまりを連れてみんなで帰るって約束したか「蘭っ!!後ろ!!」・・・らぁぁぁああああああ・・・!!」

 

あたしの言葉を遮るようにひまりが叫ぶ。それと同時にあたしが踏みつけられてその痛みに叫びを挙げる。

 

どのくらいか分からないが踏みつけられる感覚が無くなるとあたしは後ろを振り返る。

そこには先ほど弦太朗と戦っていたはずの怪物が目の前で足を挙げていた。

 

「蘭っ!!逃げて!!」

 

「ぁあああ!!」

 

ひまりが声を挙げるが怪物は転がっていたあたしの頭を踏みつける。

その痛みで意識が飛びそうになるが、その度に右手のありったけの力を込めるが身体がもう限界寸前。

そんなあたしの耳には今、一番聞きたかった声が届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシの親友に・・・手、出してんじゃねぇ!!」

 

「巴・・・」

 

その声と共に怪物があたしの視界から消えると、真っ赤な髪を揺らして怪物を殴り飛ばしたあたしの親友がその視界に写っていた。

 




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反・骨・出・奔-12 友と拳と仲直り

投稿です。
次でAfterglow篇2章は終わりの予定です。
とりあえず美竹家で本章はラストを飾りましょう・・・

そして最後にさらっと謎を残しておきましょう・・・
それにしてもほんまここのJKってスペックバグってる・・・



「2人とも生きてる~?」

 

「蘭ちゃん!!ひまりちゃん!!」

 

ペガサスを殴り飛ばした巴の後に続いてつぐみとモカが屋上に飛び出すと蘭とひまりの姿を探す。

しかし、2人の目には屋上の端で倒れている蘭の姿の身しか確認することが出来ない。

 

「ひまりちゃん!!」

 

「みんな~!!蘭がもう限界だよー!!」

 

2人にはひまりの声が聞こえるがその方向には蘭の姿しか見えない。

その事がまさかの考えを2人の脳裏を掛けると即座に行動に移す。

 

「巴ちゃん!!モカちゃん!!」

 

「あ~い!!」

 

「任せろ!!」

 

つぐみの声に他の2人は蘭の元に駆け寄るとその腕の先にいるひまりを急いで引き揚げるとそのまま屋上の真ん中まで2人を引き摺っていく。

 

「みんな~!!ありがと~!!」

 

「死ぬかと思った・・・」

 

「あれって・・・有咲と一緒にいる子だよね・・・?」

 

命の危機が1つ去ったひまりと蘭はひとまず安堵の表情を浮かべるが、そんな中でモカが見つけたのは階段を上がってきたポテチョッキン。

ポテチョッキンは自身のハサミでひまりの拘束を容易く切断していく。

 

そんな光景を他所に蘭と巴は互いに視線を躱していた。

 

 

「蘭・・・」

 

「巴・・・。その・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ごめん!!・・・えっ?」」

 

顔を見合った2人の第一声は互いに謝罪の言葉だったが互いが同時に謝罪するなんて思って無かった2人は同時に間抜けな声をあげてしまう。

しかし、そんな2人へ向けてひまりの叫びに似た声が響く。

 

「2人とも!!横!!」

 

「ウダガワァァアアア!!」

 

そこには巴に殴り飛ばされたペガサスが巴へ腕を伸ばして駆け出している姿。

巴をそれを見てペガサスを避けようとするが間に合わず、腕を掴まれると蘭達がいた反対側の手すりに向かって投げ飛ばされる。

 

 

「がっ!!」

 

「「巴!!」」

 

「トモちん!!」

 

「巴ちゃん!!しっかりして!!」

 

背中から手すりへ強く打ちつけられた巴から息が漏れる。

幼馴染達が必死に声を掛ける姿を見たペガサスは苛立っている様子を見せつつも蘭達へと背を向けて巴へ向けて歩み寄ろうとするが、それを阻止しようとする者が動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁあああ!!」

 

「「蘭(ちゃん)っ!?」

 

「何やってんだよ!!蘭!!」

 

ペガサスの一番近くにいた満身創痍の蘭が叫びと共に最後の力を振り絞って、ペガサスの足へとしがみ付く。

その蘭の姿を見た3人は顔を見合わせると互いの考えを理解する。

 

最初にモカとつぐみが駆け出して蘭と同じようにペガサスの足へとしがみ付く。

それに遅れて、身体をうまく動かせないひまりも足へしがみ付くとペガサスの足が完全に止まった。

 

「お前たちも何やってんだよ!!」

 

「友達を助けるのに理由なんてないよ!!」

 

「ひーちゃんの言う通りだよ~」

 

「それに沙綾ちゃんとみんなで帰るって約束したからね!!」

 

3人は巴の問いに答えながらもペガサスの足に力を込めてしがみ付く。

その答えを聞いたペガサスの怒りが頂点に達した。

 

「ふざけるナァアアあああぁぁああああああ!!」

 

「「「きゃああああ」」」

 

ペガサスが蘭たちがしがみ付いている足を力を込めて振る。

その力に負けた蘭達はペガサスから振り払われてしまい屋上へと転がったが、振り払うためにペガサスの片足で立っているこの絶好の好機を逃させないために、モカが珍しく声を張り上げる。

 

「トモちんっ!!」

 

「うあぁあああああああ!!」

 

モカの言葉を聞いた巴はすぐさま体勢を立て直すと、片足立ちの不安定なペガサスへと突っ込む。

ペガサスはフォーゼとの戦闘のダメージがあったためか、その勢いに耐えることが出来ずにそのまま後ろへと後ずさると顔を落とす。

 

 

 

 

「なんでお前がアタシの周りの人たちを狙ったか分かんねぇけど!!・・・・アタシは絶対に許さねぇ!!」

 

その言葉と共に巴はそのままペガサスへ向けて駆け出す。

 

「これはあこ達ダンス部の分!!」

 

その言葉と共に巴の膝が落ちていたペガサスの顔面を捉え、その頭をかち上げる。

しかし、巴はそれで止まることなくペガサスへ追い打ちをかける。

 

「これがつぐの親父さんとイヴの分!!」

 

頭をかち上げられて無防備の胴体に巴が全力で体当り。

それ自体に大したダメージはないが今までの蓄積があった為かペガサスは大きく後ろに後ずさる。

 

 

 

「っ!?」

 

そして、ここでペガサスは自身の状況を理解した。

巴によって自身が屋上の端まで追い込まれていたのだ。

 

 

「ぁぁぁあああああああああ!!」

 

ここでペガサスが叫びをあげる。

ペガサスは妬ましく思っていた巴の事を追い詰めるべく、スイッチを使って怪物になってまで周囲を襲っていた。

それにもかかわらず、人間を辞めた自分が生身の人間である巴に再び追い詰められていることはペガサスにとっては許せない現実だった。

 

そんなペガサスはその視界に巴を捉えると妬みを超えて明確な殺意を抱くと、明確な殺意を言葉に出して巴をこの世から消すために全力で拳を振り上げる。

 

「死ねぇえええeeeEeeEEええエエエ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その拳が巴に当たることはなかった。

突如としてペガサスが不自然にバランスを崩す。それによってペガサスの拳は巴の横を通り過ぎると、巴は再び拳を作ってペガサスへと振り抜く

 

「それでこれが・・・アタシ達の分!!全部乗せだぁあああああああ!!」

 

巴の叫びと共に渾身の拳がペガサスの腹を直撃する。

その拳はペガサスの身体を屋上の外へと吹き飛ばしてペガサスは成すすべなく地面へと落下する。

 

巴はペガサスが落ちる姿を見るとそのまま、蘭達の元へとふらつきながら歩き出すと同時に蘭も再び痛めた足を引き摺りながら巴へと歩み寄る。

 

「蘭!?お前ボロボロじゃんか!?」

 

「巴も・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「ふふふ・・・」

 

「アハハ!!」

 

ボロボロの状態で歩み寄った2人はそのまま互いの状態を報告すると、2人の間に沈黙が流れる。

そして、その沈黙がおかしかったのか2人して同じように笑いだす。

 

「なんか喧嘩してたけど。今のでバカらしくなっちまったよ・・・」

 

「あたしも・・・」

 

「でも、ごめんな。蘭の話ちゃんと聞こうとしなくて」

 

「ううん。こっちもちゃんと話せてなかったから・・・」

 

そう言うと蘭は怪我をしていない左手を差し出すと、それの意味が分かったのか巴も左手を差し出して握手から拳を打ち付け合う。

弦太朗流の友情のシルシを行った2人はそれを行った後に再び笑い出す。

 

 

 

 

 

 

 

「お~い!!」

 

「ひまり!?」

 

「お前もう立てるのか?」

 

「立つくらいならなんとか・・・」

 

2人のやり取りに割り込んできたのは先ほどまで吊るされていたひまり。

なんとか立ち上がっているが吊るされていた影響か足が小鹿の様に震えていた。

 

「それで巴ちゃん。あの子のことわかる?どこかで見たことあると思うんだけど・・・」

 

そういってつぐみは屋上に転がっているスイッチャーと思われる人物を指差した。

巴はその顔を見て少し考えるようなしぐさを見せると、彼女の事を思い出して声を挙げた。

 

「確か夏祭りの和太鼓の件のやつだ!!」

 

「夏祭り・・・?そういえば、前に夏祭りの太鼓を誰がやるかで商店街の人たちが話してたよね?」

 

「でも、それって巴がやってたよね・・・?」

 

「本番前にどっちが良いかってのを実際に叩いて決めたんだよ」

 

「もしかしてその巴以外の候補がこの人!?」

 

「そうだよ」

 

巴の話で素性が割れていくスイッチャー。

 

「もしかしてだけど、巴に嫉妬してこんなことを!?」

 

「そうかもね。夏祭りの前あたし達はバンドでライブとかもしてたし」

 

「バンドもしてた巴ちゃんに祭りの太鼓のメインを取られたことに嫉妬してこんなことしたのかな・・・?」

 

「まぁ、本人じゃないと分かんないから後でちゃんと聞けばいいよ・・・」

 

「そうだね!!そしたら早く如月くんのところに戻ろ!!」

 

大体の予想がついたので、後は本人から聞こうということで話はまとまったので弦太朗の元へと戻ることになった。

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで蘭に1つだけ疑問が出た。

 

「あれ?そう言えばモカは?」

 

「あそこ!!」

 

ひまりは蘭の疑問に答えるように指を指す。

そこは先ほどペガサスが地面へ落下したところの近くにモカは立っていた。

先ほどペガサスが急に体勢を崩したのが疑問に感じて、巴によって地面に落とされる直前に立っていた場所にモカは視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこんなところに水が・・・?」

 

「お~い!!モカ!!降りるぞ!!」

 

「あっ・・・うん。すぐ行く~」

 

しかし、モカの疑問は解決することは無く彼女達は弦太朗の元へと出来る限りの早足で戻っていくのだった。

 




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反・骨・出・奔-13 傷だらけのフレンドシップ

投稿です。
Afterglow篇2章閉廷!!

小ネタ挟んで次章へ続く・・・


「うぉおおお!!」

 

ダスタードの集団へと飛び込んだフォーゼは背中のバーニアを最大まで吹かし、そのうちの1体へと向けて大きく跳躍。

そして、跳躍したフォーゼの右足がで起動されたままのチェーンソーが1体のダスタードに突き刺さる。

 

「よしっ!!食らえっ!!」

 

突き刺さったチェーンソーから独特の駆動音が響くとダスタードの身体は容易に切り裂かれ、その場で塵となって消える。

 

ダスタードが1体消滅すると残りのダスタードが全員でフォーゼへ向けて大量の爆弾を投擲する。

フォーゼはダスタードから投げられた爆弾の量の多さに回避することも出来ず、爆発がフォーゼの身体を直撃するがその爆発の中でフォーゼは足のスイッチをすべて切って左足のスイッチを交換する。

 

「・・・この野郎!!」

 

――――――ウォーターON――――

 

ウォーターを起動したフォーゼは高圧水流をダスタード達へと浴びせると、その衝撃で1体が消滅する。

 

「よっし!!どんどんいくぜ!!」

 

その後のフォーゼは駆け出した勢いのままダスタードに頭突きを見舞ってから前蹴りと共に水流を浴びせて校舎の壁に叩きつけるが、別のダスタードが自身が持っている忍者刀でフォーゼへと斬りかかる。

 

「よっと!!これでどうだ・・・!!」

 

しかし、フォーゼはダスタードの勢いを殺さないように後ろへ受けながすとダスタードの背中をそのまま蹴り飛ばすと同時に右腕用のスイッチを交換して起動する。

 

――チェーンアレイON――――――――

 

「そぉら!!」

 

起動すると同時に鉄球を振り回してダスタードに叩きつける。

鉄球が直撃したダスタードは塵なって消滅し、みるみるとその数を減らしていく。

 

そしてダスタードが最後の1体になった時に、それは起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がぁあああああああああ!!」

 

「なんだっ!?」

 

フォーゼの目の前でペガサスが上空から落下してくる。

そのペガサスの落下は地面にいたダスタードを巻き込み塵となって消滅し、中庭にはフォーゼと落下してきたペガサスだけが残される。

突然の出来事に困惑するフォーゼだったがよろけながら立ち上がってくるペガサスを見ると、注意をペガサスへと向ける。

 

「ガぁあアアァぁぁァァアアあぁぁあァァアあぁぁあぁぁaaa!!」

 

「なんだ!?こいつ!!急に暴れやがって!!」

 

ペガサスは立ち上がると同時に狂ったような叫びをあげる。

それと共に足から蹄型のエネルギーを乱射して学校を破壊し始める。

それを見たフォーゼは学校の破壊を止めるべくペガサスへと駆け出す。

 

 

「うぉおおおおお!!」

 

「アaぁぁァAaあああぁあ!!」

 

フォーゼの叫びを聞いたペガサスはその狙いをフォーゼへと切り替える。

ペガサスからの攻撃が当たるのも構わずにフォーゼは闇雲に突っ込むとそのままペガサスを蹴り飛ばす。

 

「アイツのせいデぇええええ!!」

 

「何なんだこいつは!!」

 

蹴り飛ばされたペガサスは叫びをあげながらフォーゼへと襲い掛かるが、その攻撃を受け流すと鉄球をペガサスの身体に連続で叩きこみ続けた結果、ペガサスからの叫びを止めてその場に崩れ落ちる。

 

それとほぼ同じタイミングでひまり達が屋上から戻ってくる。

 

「弦太朗くん!!」

 

「ひまり!!お前大丈夫か!?」

 

「うんっ!!少し怪我してるけどみんな大丈夫だよっ!!」

 

大事になってない事を大声でフォーゼに伝えるひまり。

フォーゼの視界にはひまりの後ろにはボロボロなっている巴と蘭が互いに支え合いながら歩いてくる姿が写る。

 

「弦太朗!!」

 

「如月!!」

 

「蘭!!巴!!喧嘩は終わったのか?」

 

「まぁな!!」

 

「うん・・・」

 

フォーゼの問いに巴は蘭の肩を組んで笑い、蘭も恥ずかしそうに笑いながらそれに答える。

しかし、巴の声を聞いたペガサスは突如として立ち上がり叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「宇ダ川ぁああああああああああああ!!」

 

「待てっ!!」

 

巴への憎しみによって再び立ち上がると同時に巴へ向けて駆け出す。

フォーゼは気を抜いてしまっていたためペガサスを止めることが出来なかった。

 

 

ペガサスが巴達の前に迫る中、巴は咄嗟に蘭を近くにいたひまりの元へと押し出す。

それと同時にペガサスが巴に向けて拳を振るうがペガサスは距離を見誤ってしまいその拳は宙を切り前のめりに体勢を崩す。

 

 

 

「っうぅ・・・!!」

 

巴はペガサスに向けて拳を振ろうとするが、腕が限界を迎えてその痛みによって腕が挙げることが叶わなかった巴はここで頭を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしろぉぉおおおおおお!!」

 

巴はペガサスに向けて叫ぶと同時に、ペガサスの下がった頭に向けて自身の頭を叩きつける。

 

「「「「巴(ちゃん)(トモちん)!!」」」」

 

この場にいる全員が巴の名を叫ぶが、巴とペガサスが頭をぶつけ合った状態で静止している。

それを見た全員が時間が止まったかのような錯覚を覚えたが巴の額からの出血と共に再び時が動き出す。

 

それと同時にペガサスが先にその場に完全に崩れ落ちた。

見届けた巴もそれを追いかけるように地面に崩れ落ちそうになるが、彼女の身体が地面に倒れることはなかった。

 

「巴。無茶しすぎ・・・」

 

「蘭の言う通りだよ~」

 

「悪いな蘭、モカ。でも身体が勝手に動いたんだよ・・・。でも蘭も人の事言えないからな・・・」

 

巴が倒れる前に蘭とモカが2人がかりで巴を支える。

危険な目に会っているにもかかわらず彼女たちは笑いあいながらフォーゼの後ろへと移動する。

 

「後は任せた・・・」

 

「あぁ!!」

 

巴の言葉に答えたフォーゼはその手にスイッチを持って構える。

 

「割って・・・挿す!!」

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

マグフォンを2つのマグネットスイッチに割って起動する。

起動と同時にフォーゼの身体が銀色のマグネットステイツに姿を変える。

 

「・・・決めるぜ!!」

 

フォーゼのの視線の先には立ち上がろうとするペガサスの姿が見えるが、それに構わずにフォーゼはNマグネットのスイッチをスイッチを押し込んで構える。

 

 

―――リミットブレイク ―――

 

ドライバーからの音声と共にフォーゼの肩にあるマグネットキャノンがフォーゼの前で1つに合体するとエネルギーを貯めながらペガサスの目の前まで移動する。

 

「ライダー超電磁ボンバー!!」

 

「ああぁあああぁぁぁああぁああああ!!」

 

必殺技の叫びと共にゼロ距離で砲撃を浴びせると絶叫と共にペガサスが爆散する。

そしてラストワンのスイッチがフォーゼの手元に飛んでくると慣れた手つきでスイッチを切って消滅させる。

 

その姿を見たひまりの歓声から戦闘の緊張感から一同が解放される。

 

 

「やったぁ~!!」

 

「それでスイッチ使った奴は何処に居るんだ?」

 

「屋上に居たけど、流石に身体がキッツいな・・・」

 

「まぁ、巴ちゃんが知ってるから後で話し聞けば良いんじゃないかな?」

 

「賛成・・・。正直かなりしんどい・・・」

 

「蘭!!巴!!怪我してるならこっちで治すぜ!!」

 

「いや、いいよ・・・」

 

「友達助けて出来た名誉の負傷って奴だな!!」

 

フォーゼはの右手の怪我に気が付いて声を掛けるが蘭も巴も治療を断るがその理由に一同はその場で笑いだす。

 

「じゃあ帰ろっか。つぐみの店に・・・」

 

「沙綾ちゃんも待ってるしね!!」

 

「うんっ!!」

 

「だな!!」

 

「う~ん・・・」

 

「モカ?どうしたの?」

 

「・・・なんでもないよひーちゃん。そうだ。ひーちゃんはこれからダイエットね~」

 

「なんで!?」

 

モカが屋上での見た件についてモヤモヤしていたが、ひまりの言葉によって単なる考えすぎと結論付けたモカは先に歩くみんなを後を追う。

 

こうして一同は沙綾が待っている羽沢珈琲店へ向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

しかし、屋上から金色の姿をした怪物がその光景を見ていたことに誰も気が付くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペガサスを倒して羽沢珈琲店に戻った弦太朗達は店にいた沙綾とイヴにボロボロの蘭と巴を見られて驚きはしたが、2人ともみんなが戻ってきたことに喜んでいた。

 

喜び合う彼女たちの横では弦太朗が外れた店のドアを着け直して店内は殆どが元通りになっていた。

 

 

そんな中、沙綾による手当てを受けた蘭が家に帰ることを急かしてきた。

その姿を見た沙綾達が店の前で声を挙げているが弦太朗は蘭と連れて如月家に帰っていく。

 

そして、その翌日に父親に呼び出された蘭は弦太朗を連れて実家へと戻り、客間で蘭の父親を待っていた。

 

 

 

「なんで呼び出されたんだろ・・・。まぁ、謝るつもりだったから良いんだけど・・・」

 

「まぁ、一緒に謝ってやるから心配すんなよ」

 

「うん・・・。そうだ、今日学校で今度のライブこと色々決まったんだ」

 

「そうなのか。これでもう安心だな!!」

 

「今までのライブとはちょっと違う感じになってるけど悪くないよ。」

 

そんなやり取りの最中に蘭の父親は神妙な面持ちで客間へとやってくる。

蘭と弦太朗が2人で並んでいる姿を見て、一瞬だけ眉を顰めるがすぐに元に戻して彼女の向かいに座った。

 

「「「・・・」」」

 

重い空気に包まれて静まり返る室内。

その中で蘭の父がその重い口を開いた。

 

「蘭・・・その・・・。彼の事は色々聞いたが・・・。その・・・」

 

「はぁ・・・?」

 

自身の父親の言葉に意味が分からない蘭。

ここで蘭の父は言葉に詰まったが、ここで蘭から話を切り出していく。

 

「お父さん・・・。そのこの間は言いすぎてごめんなさい・・・」

 

「すいませんでした!!」

 

蘭の言葉と共に弦太朗も思いっきり頭を下げて謝罪する。

その光景に面食らった蘭の父はその光景を見て驚きながらも話を続ける。

 

「この間は・・・すまなかった・・・」

 

「ううん。あたしも言い過ぎたと思ったから・・・」

 

「彼の事は色々話を聞いた。見た目は不良だけどいい人みたいじゃないか・・・」

 

「・・・?何言ってんの・・・?」

 

「・・・?」

 

父親の言葉の意味がまるで分からない蘭。

なんで親はこんなに彼を持ち上げているのか理解できない。

当の本人も分かってないようだが、構わず話を続けていく。

 

「これからも”友達”として仲良くしてあげてください」

 

「!?」

 

「うっす!!」

 

蘭の父から出た言葉に驚きを隠せない蘭だったが、弦太朗は元気よく父親の言葉に答える。

しかし、途端に蘭の父の肩が震えだす。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・めんぞ・・・」

 

「はぁ?なんて言ったの?」

 

震えながら呟くように声を出していた父の言葉を聞き取れなかった蘭は父に聞き返したが、途端に父は大声で怒鳴るように話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「”友達”としては認めるが!!”彼氏”としては認めん!!断じて認めんぞぉおおおおおおおお!!」

 

「はぁ!?何言ってんの!!」

 

「「そうだよ!!認めないよ!!」」

 

「つぐにひまり!?お前たちも何してんだ!?」

 

「ごめん~止めたんだけど~」

 

「アタシ達には止められなかった・・・」

 

父親のまさかの言葉に驚いている蘭。

その言葉に釣れれるようにつぐみとひまりが客間へとなだれ込んでくる。

その後ろではモカと巴、そして笑顔の蘭の母が客間の入り口に立っていた。

 

目の前に父親の姿が情けなく見えてしまい頭を抱える蘭。

 

「うわぁ・・・謝ったけど帰りたくなくなってきた・・・」

 

「蘭!!お前そう言えば今までどこで暮らしてたんだ!!」

 

「そうだよ!!そう言えばこの前弦太朗くんと一緒に学校来てたけど・・・。まさか!!」

 

「なにぃ~!!蘭!!お父さんは許しませんよぉ〜!!」

 

「お店の手伝いがないなら私も泊まりたい・・・」

 

「お母さん、こんなお父さんのいる家に帰りたくないんだけど・・・」

 

目の前の父親の姿を見た蘭はボソッと呟いてしまう。

しかし、蘭の言葉に母はにこにこ笑いながら親指を立てて蘭の提案を許可する。

その横では巴も同じように指を立てており、モカは以前コンビニで見せたジェスチャーを送る。

 

相変らず意味が分からない蘭と弦太朗だが、蘭の父とひまりはその意味を知っており更に声を荒げる。

 

「蘭っ!!そっ・・・そんなのまだ早いよ!!」

 

「そうだぞ!!もっと手順を踏んで・・・じゃなくて!!お父さんはそんなことは認めないぞっ!!」

 

「何言ってんの・・・?」

 

収拾がつかなくなった美竹家。

蘭の父とひまりが暴走するが、その騒ぎに乗じて蘭と弦太朗は美竹家から脱出する。

 

 

「って事で悪いんだけど・・・。もう少しだけお世話になります・・・」

 

「おう!!今日は帰ったら宇宙鍋だぞ!!」

 

「前みたいに納豆入れるのは無しで・・・」

 

こんないつも通りも悪くない。

そう思いながら彼女達は今までとちょっと違ったいつも通りの日常へと戻っていった。

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。


次章次回予告

「Hey!!また私たちのター・・・」

「はーい!!どいたどいたー!!」

「あんたたちは!?」

「次はあたし達の出番っしょ~!!」

「Noooooo!!」

「まぁまぁ気にすんなって!!ミクロンミクロン!!」

次章・特別編


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オマケ時空篇5- 恐怖体験!!彼女たちは見た!!
日・常・風・景6 リアルおままごと特別編『2人はロゼキュア MaxBeat』


ネタ投稿です。

本編にはかんけぇねぇからでぇじょうぶだ!!
誰がどの配役か予想してからどうぞ?



すぐ答え出ますけど・・・


あぁ・・・どうしてこんなことになってしまったのだろう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーっはっは!!お前たちはこの大魔王あこによって倒される!!そしてこの世界はあこによって支配されるのだー!!」

 

「私達は勝ちます・・・!!」

 

久々に見る中二病全開のあこ――もとい、世紀の大魔王・あこ。

それに立ち向かうのは本日の犠牲者である2人の少女。

 

「さぁ・・・!!ふたりでロゼキュアに変身するにゃん!!」

 

「・・・」

 

妖精?の言葉を聞いた犠牲者リサは生気が失せたような表情を浮かべて、隣にいるもう1人の犠牲者へと視線を送る。

 

 

「さぁ!!リサさん、行きましょう!!」

 

・・・いや、犠牲者と思っていたのはリサ1人だけであり、もう1人は全く問題にもしていない。

その姿にリサはプライドを投げ捨て、半ばヤケクソ気味になって隣の相棒と共に高らかに名乗りを挙げる。

 

「「2人はロゼキュア!!」」

 

この喜劇の始まりは数時間前に遡る・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日もリサは練習のためにCircleへとやってきた。

その受付前の前には他のバンドメンバーが既に集まっていた。

 

「みんな~!!おはよー!!」

 

「おはようございます・・・」

 

「リサ姉!!おはよー!!」

 

「今井さん。おはようございます。あら?湊さんはご一緒ではないんですね?」

 

「あれっ?家出る時にはもういなかったから先に練習してると思ってたんだけど・・・?」

 

紗夜の言葉に疑問を浮かべるリサ。

リサが家を出る時には既に隣の家に住んでいる友希那の姿はなかった為、既に来ているものと思っていたがどうやら違っていたようで疑問に思うリサたちのステージの方から友希那が現れる。

 

 

「あら?みんな来ていたのね・・・?」

 

「友希那さん!!おはようございます!!」

 

「おはよ~。友希那?なんでステージの方から?」

 

「それは後で話すけど、今日は1日フルでステージを借りたわ」

 

「・・・?」

 

「どういうことですか?今日はスタジオのレンタルが午前しか出来ないと聞いていましたが・・・?」

 

ステージから現れた友希那の言葉に全員が理解できていないメンバーを代表して紗夜がその疑問を投げかける。

 

「スタジオが借りれないけど、ステージを1日中借りれたからそこで練習をするのだけど・・・」

 

「だけど・・・?なにかあるんですか・・・?」

 

「それにステージのほう貸し切りって相当お金かかるよね?どこからそんなお金が・・・?」

 

「理由は話すから移動しましょう」

 

一同は友希那の言葉に従ってステージへ向かう。

しかし、ステージの前には2人の人影。

不審に思うリサたちを他所に友希那は足早に彼女達の元へと歩いていく。

 

「お待たせ。全員揃ってたわ」

 

「あぁ!!皆さん!!もう来たんですね!!」

 

「あら、皆早いわね」

 

「白鷺さんに大和さん・・・?」

 

人影の正体が分かった燐子は静かに呟く。

ステージの前にいたのはアイドルである千聖と麻弥の2人。

そんな彼女たちの元にステージの袖からまた1人、彼女達に向けて歩み寄る影が1つ。

 

「・・・っ!!」

 

その人影の正体が分かった燐子はステージから逃げ出した。

 

 

 

 

 

「りんりん?そんな走ったら危ないよ~」

 

「あこちゃん離して!!」

 

 

 

 

 

しかし、親友の魔王からは逃げられない―――

 

「白金さん?どうしたんですか・・・?それに瀬田さんもどうしてここに・・・?」

 

「それは私から説明するわね・・・」

 

紗夜の疑問に答えるように千聖がにこやかな顔をして現状の説明を始める。

 

 

 

 

 

「実は・・・私と麻弥ちゃんなんだけど、次の仕事でアニメ映画の声優をすることが決まったの・・・」

 

「アニメの声優!?すっごーい!!どんなアニメなの!?」

 

「日曜の朝にやってる女の子向けのアニメよ?」

 

「あー。昔に友希那と2人で見たようなきがするなぁ・・・」

 

「それで芝居に詳しい薫さんに相談してたんですけど・・・。お恥ずかしながら3人ともそう言うアニメについて疎くて・・・」

 

「ですが、それと私達に何の関係が・・・?」

 

その話と自分たちがここにいる関係性が分からない紗夜だったが、あこに捕まっていた燐子は状況を理解して愕然とした表情を浮かべていた。

 

「まさか・・・」

 

「そこで考えたのは詳しそうな人たち聞けばいいって思って最初に思い浮かんだのがあなた達だったのよ!!」

 

「・・・それだったら、幼い妹がいる山吹さんや奥沢さん達の方がいいのではないでしょうか・・・?」

 

「・・・・・・子供の夢を壊すわけには行かないわ」

 

燐子から出た尤もらしい意見を千聖は営業スマイルを浮かべて誤魔化す。

 

「だから、前みたいにちょっとやってほしいのよ・・・」

 

「前・・・?」

 

「あぁ、あの時ね~」

 

「楽しかったよね!!」

 

「震えが・・・」

 

千聖の言葉の意味が分からない紗夜。

しかし話を聞いた他のメンバーは以前の事を思い出してさまざなは反応を示す光景にますます疑問が強くなっていく。

 

「そのためにここを1日借り切ったのだけど・・・?それに前とは違ってこっちからお願いしてるから、私達の練習に付き合ってくれた後はここで練習するってことで友希那ちゃんと話してたはずなんだけど・・・」

 

「ゆ~き~な~!!」

 

「予定より長く練習も出来るし・・・それに白鷺さんには世話になったからいいじゃない。みんなもいいわよね?」

 

「はーい!!」

 

「「「・・・」」」

 

「みんな~?やんないの~?」

 

友希那の言葉に賛同したのはあこただ1人。

他のメンバーは困り顔を浮かべていたが、そんな様子にあこは疑問を浮かべていた。

 

「ちょっと心の準備がね~・・・。この間みたいなのは違ってキャピキャピしたのはきっついかな~」

 

「私も・・・あんな恥ずかしい思いはしたくないです・・・」

 

「確かに白鷺さんに迷惑をかけてしまいましたが、それはそれです」

 

否定的な返事が返ってきていたが千聖の表情はどんどんと悪い顔になっていく。

 

 

「なるほど・・・そういう事ね・・・」

 

「千聖さんが彩さんにも見せたことのないようなすっごい悪い顔してます・・・」

 

「鬼・・・!!悪魔・・・!!千聖・・・!!」

 

「りんりん!?どうしたの!?」

 

「あぁ・・・儚い・・・」

 

そうして鬼の最初の標的になったのは紗夜。

千聖はそっと彼女に近づいていくと自身のポケットに手を入れながら紗夜の耳元で語りかける。

 

「紗夜ちゃん。そういえば彩ちゃんと花音からこんなものを貰ったの」

 

「なんですか・・・?それは・・・!!」

 

「手伝ってくれるならお礼として、あげようと思ったんだけど・・・」

 

「なっ!?」

 

千聖がポケットから見せてきたのは彩と花音がアルバイトをしている店で使えるポテトの無料引換券。

それを見た紗夜は明らかに動揺するが必死に表情を隠そうとするが、千聖の前には無意味だった。

 

 

「そんなのには・・・釣られませんよ・・・?」

 

「1枚、2枚、3ま~い」

 

「そっそんな・・・」

 

千聖は紗夜の耳元でゆっくりと誘うような声で引換券を数えていく。

 

「4ま~い・・・・・・5ま~~~い」

 

「ぽっぽっぽっぽっ・・」

 

紗夜はその枚数の多さに圧倒され、次第に正常な判断が出来なくなっていた。

 

「6ま~い・・・7ま~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ぜひやりましょう!!何なりとご命令ください千聖様!!」

 

「紗夜!?」

 

「氷川さん・・・!?」

 

ポテトに目が眩み紗夜が買収されて、片膝をついて千聖へと跪く。

それを見た悪魔は笑みを浮かべながら次の標的―――燐子に向かって歩き出す。

 

「白鷺さん・・・?今度は私ですか・・・?」

 

「・・・ごめんなさい。燐子ちゃんは今回はナレーションなの・・・」

 

「ふぇ・・・?」

 

「燐子ちゃん上手過ぎるから今回は私達と一緒に指導側に回ってもらおうと思ってたのよ。それにあこちゃんの頑張ってる姿を見守りましょう・・・。それに・・・・」

 

ここで千聖が燐子に耳打ちをすると彼女の目が次第に輝いていく。

 

 

 

 

 

「・・・ぜひやりましょう。私も出来る限り頑張ります・・・!!」

 

「燐子!?」

 

紗夜に引き続いて痛い目に会わないことが分かってしまった燐子は千聖からの甘い言葉にそそのかされてされて千聖側へと寝返る。

 

そして最後に満面の笑顔をリサに向けながら千聖は声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあリサちゃん。Roseliaの皆で多数決しましょう?私達の練習に付き合ってくれる人~」

 

 

悪魔の言葉にリサを除いた4人が手を挙げているその光景にリサは膝から崩れ落ちた。

 

「それじゃあ、多数決で決まったことだし役は・・・くじで決めましょう!!じゃあリサちゃんから!!」

 

買収されることもなく力技によって沈黙させられたリサ。

こうして彼女にとっての地獄の練習が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「友希那さん・・・セリフと歌詞は一緒です・・・。書いた人の気持ちを汲み取ってそれを表現すればいいんです・・・」

 

「分かったわ。燐子」

 

「これが出来れば国語の成績も良くなると思いますよ・・・?」

 

「勉強の話はやめてちょうだい・・・。そうだ。これだとキャラが薄いから語尾変えてみましょう・・・」

 

 

 

 

「紗夜ちゃん。今度はもっと動きを大きくしてみようか・・・」

 

「瀬田さん。それはどういうことでしょうか・・・?」

 

「ライブの時に友希那ちゃんを思い浮かべてごらん?歌声だけではなく身体を使って曲を表現をしているだろう?」

 

「なるほど・・・こんな感じでしょうか・・・?」

 

「闇雲に動くだけではダメじゃなくて動きに緩急をつけて・・・」

 

「やってみます」

 

 

 

「ちさ先輩!!ここってどういうこと・・・?」

 

「考えすぎてはダメよ?理解することも大切だけど1番は自分らしくすることよ?」

 

「うんっ!!」

 

 

 

 

 

 

「なるほど・・・!!勉強になります!!」

 

麻弥はその練習風景を見て真剣な表情でメモを取る

その横ではリサが死んだような表情を浮かべていた。

 

「麻弥にとってはいいけど、これアタシにとっては罰ゲームだよ・・・」

 

「すいません・・・。ジブンが不甲斐ないばっかりに・・・」

 

「リサ。何を言ってるの?全てを吸収し成長するのがRoseliaよ?そんなのでどうするの?」

 

「今井さん。練習だからと言って手を抜いていい訳ではありません。練習は本番のように、本番は練習のように」

 

「今井さん・・・?練習ですから・・・あこちゃんもやってますからね・・・?」

 

「リサちゃんは恥ずかしがっているのかい?ふふっ・・・困った子だ・・・」

 

「うっわぁ・・・皆の顔を本気で引っ叩きたくなってきたぁ・・・」

 

「リサちゃん余裕そうね?それならそろそろ始めましょうか?じゃあ、2人はこれに着替えてきて」

 

「ちょっと!?これを着るの!?」

 

リサの叫びも虚しく、女児向けに出てきそうなフリフリの衣装に着替えた2人が戻ってくると喜劇が開始されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

タイトル『ふたりはロゼキュア MaxBeat 』

脚本:白鷺千聖

 

配役

ロゼキュア 『今井リサ、・・・・』

妖精 『・・・』 

敵 『・・・』 

 

ナレーション『白金燐子』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

 

―――ここは妖精のいる世界。

しかしその世界は大魔王あこよって支配されてしまったが、支配から逃れた妖精はとある伝説を信じて別の世界に逃げのびていた。

 

―――伝説って?

 

 

あぁ―――

 

世界を救う伝説の戦士"ロゼキュア"―――

これは普通の2人の少女達がロゼキュアになって世界を救う物語―――

 

 

 

「いっけなーい!!遅刻しちゃう~!!」

 

アタシ、今井リサ!!どこにでもいる普通の高校3年生!!

今日も部活の朝練があったんだけど、寝坊しちゃって急いでるんだ!!

 

それで走って曲がり角を曲がったアタシは何かにぶつかってしまった。

 

「いっててー。あれ?誰もいない・・・?」

 

「痛いにゃん!!」

 

「は・・・?」

 

 

 

 

そこにいたのは猫耳を付けて”妖精”って書かれた看板?を首にかけている頭のおかしそうな人だった。

 

 

「もしかしてあたしが見えるにゃん?」

 

「すいません。頭のおかしい人と思われたくないので・・・」

 

「待つニャン!!私は妖精の友希ニャン!!」

 

変質者―――いや自称妖精()の友希ニャン。

今すぐ逃げ出したかったけど、友希ニャンはアタシの腕にしがみついてくる。

アタシはそのまま自称妖精を連れてとりあえず人のいないところまで走った。

 

 

 

「ちょっと離してよ!!」

 

「嫌ニャン!!妖精が見えるのは資格がある人だけにゃん!!」

 

「確かに・・・でも、何でアタシはえぇっと・・・?「友希ニャン」・・・友希ニャン、その資格・・・?ってなんなの?」

 

「あなたが2人の伝説の戦士”ロゼキュア”の1人になる資格ニャン!!」

 

「ロゼキュア・・・?」

 

「お願いニャン!!もう1人のロゼキュアを探して、2つの世界を救ってほしいにゃん!!」

 

「何を言ってるの・・・?」

 

 

意味の分からない言葉が聞こえたと思ったら、朝だったのにも関わらず周囲が一気に暗くなる。

そんな状態にアタシは慌てて人のいる方へと走り出す。

 

そこにあったのは私と友希ニャン以外の人が石のように固まって動かなくなっている光景だった。

 

 

 

「嘘でしょ・・・人が止まってる・・・?」

 

「あいつが来たんだニャン!!大魔王が・・・!!」

 

「はい・・・?」

 

「はっ~はっは!!愚かな人間たちよ!!」

 

 

 

急に空から響いてきたのは高笑いする子供の声。

声のする方向―――空には少女がいた。

 

「我が名は大魔王あこ!!この世界を征服するためにやってきたのだー!!」

 

「まずいにゃん!!このままだとこの世界も大魔王あこに征服されてしまうニャン!!」

 

「この世界”も”ってどういうこと・・・?」

 

「既にその妖精の世界は我がしゅちゅーに収まっているのだー!!」

 

「えぇ!?そうなの!?」

 

「はーっはっは!!お前たちはこの大魔王あこによって倒される!!そしてこの世界はあこによって支配されるのだー!!」

 

「・・・まずいにゃん2人そろわないとロゼキュアに変身できないニャン・・・」

 

「うっそ~!!」

 

 

驚きを隠せない。

妖精を名乗る変質者にあったと思ったら、人が石みたいに動かなくなってる上に空には魔王を名乗る女の子。

 

普通の高校生活だったはずなのに、気が付けばファンタジー。

でも、それもすぐに最悪の形で終わってしまいそうだ・・・。

 

そんなことを考えていたら道の向こうから人影がこっちに向かって走ってくる。

 

「えぇっと・・・氷川さん・・・?」

 

 

間違いない。あれは隣のクラスの氷川紗夜さんだ・・・。

でも何で動けてるの・・・?

 

「今井さん!!何が起こってるんですか?それにそちらのコスプレしている人は・・・?」

 

「友希ニャンが見えてる・・・もしかして!?」

 

「2人目が見つかったニャン!!」

 

「見えてる・・・?2人目・・・?ニャン・・・?一体何を言ってるんですか?」

 

都合よく2人目・・・?が見つかってまさかのバットエンド回避。

意味の分かっていない氷川さんは首を傾げている一方で、大魔王あこも驚きを隠せていない。

 

「なに~!?ロゼキュアの伝説はほんとうだったのか~!?」

 

「さぁ、2人でロゼキュアに変身して世界を守るニャン!!奴は時間を止めるのに力を使ってるからチャンスニャン!!」

 

 

「急に何言ってるんですか・・・?訳が分かりません・・・」

 

「時間が動き出す前に世界征服の第一歩を行おう!!・・・りんり~ん・・・。あぁ・・・うん!!わかった!!

さぁ!!我がしもべたちよ!!世界中のフライドポテトの芋をジャガイモから山芋に変えてしまうのだ~!!」

 

 

「・・・なんですって!?」

 

大魔王あこの言葉に氷川さんが怒りを露にする。

 

「友希ニャンさん・・・でしたか?私は闘います!!世界中のポテトを守るために!!」

 

「2人だけで私に挑もうなど片腹大激痛!!」

 

「私達は勝ちます・・・!!」

 

「さぁ・・・!!ふたりでロゼキュアに変身するにゃん!!」

 

「・・・」

 

「さぁ!!リサさん!!行きましょう!!」

 

「氷川さん・・・ううん。紗夜!!やろう!!」

 

妖精の数え方が分からないけど・・・とりあえず2人?からの視線。

それに紗夜からの言葉に答えるように横に並ぶ。

 

「さぁ、変身するニャン!!呪文で変身するニャン!!」

 

呪文なんて分かんないけど、ロゼキュアになると決意したら頭の中に呪文が浮かんできた。

隣の紗夜も同じような感じを出してるし、なんか行ける気がする―――!!

 

アタシと紗夜で手を繫いでそして変身の呪文を高らかに唱える。

 

「「ロゼキュア!!ゆらゆらリンドンダンス!!」」

 

そして手を離して2人で各々ポーズを取ってから名乗りを挙げる。

 

「音楽の使者!!キュアギター!!」

 

「音楽の使者!!キュアベース!!」

 

個人の名乗りを挙げてポーズを変えて、紗夜と同時に叫ぶ。

 

 

「「2人はロゼキュア!!」」

 

2人が高らかに名乗りを挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで想定外の出来事が起こってしまい喜劇が悲劇に変わってしまった。

 

 

 

―――――――――

 

「はい皆さんこんにちは!!まん丸お山に彩を!!丸山彩でーす!!」

 

彩はカメラに向かって挨拶をする。

彼女は今、配信サイトに投稿する為の動画を撮影していたのだ。

 

「今日は千聖ちゃんと麻弥ちゃんがオフで2人きりで練習してるらしいのでこっそり見学しようと思いま~す!!・・・花音ちゃん、本当にここでやってるんだよね・・・?」

 

「そのはずだけど・・・恥ずかしいから動画で名前呼ばないでよ~」

 

「大丈夫だよ!!動画投稿するときはそこはカットするから!!」

 

「ならいいけど・・・」

 

彩のカメラマンとして彩のスマホで撮影を行っているのは素人の花音。

そんな2人はまりなの許可を得てからCircleの入り口前で撮影を行っているところに歩み寄ってくる2つの影。

 

 

 

 

「あっ・・・!!彩ちゃん!?何をしてるんですか!?」

 

「ちょっとパレオ!!待ちなさいよ!!」

 

「パレオちゃん、チュチュちゃん。こんにちは~」

 

「こんにちは~」

 

やってきたのはチュチュとパレオ。

彩たちは2人へと挨拶をするが、その時にパレオは花音の手に持っているカメラを見つけて更に慌て始めた。

 

「カメラ?・・・ってことはもしかして今は撮影中ですか!?申し訳ありません!!」

 

「あはは・・・。でも、動画投稿用のだし!!今のところはカットするから大丈夫だよ?でも2人はどうしてCircleに来たの?」

 

「はい!!今度RASでRoseliaのホームに乗り込んでライブを行うための下見です!!」

 

「そうなんだ!!頑張ってね!!」

 

「彩ちゃん!!ありがとうございます!!パレオ感激です!!」

 

「パレオ!!喉渇いた!!」

 

「はい!!チュチュ様!!」

 

チュチュの言葉に反応してパレオはチュチュへと飲み物の入った水筒を渡す。

その姿を見て、何を思ったのか彩がチュチュたちへと提案する。

 

「そうだ!!2人とも良かったら一緒にステージ見に行ってもいいかな?今、千聖ちゃんと麻弥ちゃんがそこで練習してるらしくて・・・」

 

「千聖さんと麻弥さんもいるんですか!?はわわ~!!」

 

「パレオ落ち着きなさい!!・・・そうね。ワタシたちもステージを見る予定だったし、邪魔しないなら構わないわよ」

 

 

そうして4人はCircleのステージの前へとやってきたが、練習中にも関わらず音が全く漏れていないことに疑問を感じていた。

 

「ねぇ、本当にここで練習してるの・・・?」

 

「千聖ちゃんがそう言ってたよ・・・?それに薫くんいるらしいよ・・・?」

 

「とにかく中に入れば分かるわよ」

 

「でも、練習中だから静かに入りましょう」

 

パレオの提案に同意して4人は静かにステージの客席へと入っていく。

そこには話に挙がっていた3人と燐子が静かにステージを見上げていた。

 

「あれは・・・千聖ちゃんに麻弥ちゃん?でも、何で燐子ちゃんが一緒に・・・?」

 

花音が疑問に思っていたが、彼女達は彩たちの存在に気が付いておらず、ステージ向かって千聖が声をかける。

 

「じゃあ始めるわよ!!3,2,1!!」

 

「ここは妖精のいる世界・・・」

 

千聖のカウントが終わると千聖の横にいる燐子が何かを話し始める。

意味の分からない彼女達だったが、燐子の声に驚いていた。

 

「何してるの・・・?」

 

「分かんないわよ・・・」

 

「でも、凄いお上手ですね・・・!!」

 

燐子の語りが終わると、ステージの上でフリフリの衣装を纏ったリサが現れて彼女達は思考が停止する。

しかし、それだけで終わらなかった。

 

猫の様な語尾で話す友希那。

いつも通り中二病で話すあこ。

そして、リサと同じような衣装を着た紗夜。

 

次々に起こる理解不能な出来事が彼女達を混乱させていく中に最大級の爆弾が投下される。

 

 

 

 

「「2人はロゼキュア!!」」

 

 

「「「「・・・・」」」」

 

 

フリフリ衣装を身に纏った2人がステージの上でポーズを決めて訳の分からないことを叫んでいる光景を見て、遂に彼女たちの思考はショートした。

 

 

あまりの衝撃にチュチュがパレオから受け取っていた水筒を床へと落としてしまい、その音がステージ中へと響き渡る。

 

その音に設定上、時間が静止していないはずのステージ上の時間が静止する。

そしてフリフリの2人を始めとして、全員が彩たちを視界に捉えた。

 

「・・・ロゼキュア」

 

「「~~~~!?!?!?!!?!?!」」

 

チュチュが思わず呟くとステージ上の2人は恥ずかしさのあまりにその場でのた打ち回る。

全員がそれを放置して、彩たちへと話かけていく。

 

 

「彩ちゃん!?それに花音も!?」

 

「それにチュチュさんにパレオさんもこんなところでどうしたんですか?」

 

「ふえぇ~それはこっちのセリフだよ~!?」

 

「あら?松原さんの持ってるのってスマホよね?もしかして撮影してたの?」

 

「なっ!?!?」

 

「ちょっと花音すぐに消して!!」

 

「うん!!・・・あれ?彩ちゃんこれなに・・・?」

 

「うん?どうした・・・の?」

 

花音は言われた通りカメラを止めようとしたが、見慣れない画面に首を傾げて彩に渡す。

しかし、画面を見た彩は途端に顔を引きつらせて笑い、不審に思った千聖は彩へと歩み寄る。

 

「あら?彩ちゃん?どうした・・・の?」

 

スマホの画面を覗き込んだ千聖も彩同様に顔を引きつらせて怒気を含めた笑みを彩へと向ける。

そんな様子に花音が2人へと声を掛ける。

 

 

 

「2人ともどうかしたの・・・?」

 

「彩ちゃん・・・。ちゃんと言いなさい・・・」

 

そして、彩の口からとんでもない事実が語られた。

 

「ごめんなさい・・・。動画の撮影をしてたんだけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

操作間違えて配信してました・・・」

 

「「いやぁあああああああああああああああ!!」」

 

彩の言葉にステージ上にいた2人の悲鳴と共に彩の生配信が終了して、その配信は伝説になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の配信後―――

 

 

「あーロゼキュアだー!!」

 

「あはは~。ごめんね~。それはあたしのおねーちゃんだよ~」

 

「そっか~」

 

街を歩くと小さい子達からロゼキュア扱いされる日菜は子供の夢を壊さないように姉がそうであるように説明をするのが恒例になってしまっていた。

 

日菜自身は姉の活躍?に満足しているようで満更でもない様子。

 

一方で本人たちは―――

 

「ロゼキュアだー!!」

 

「握手して~!!」

 

「えぇ・・・」

 

「あはは~。慣れないな~」

 

「でも、あれのお陰で子供のファンが増えたじゃない・・・」

 

「あこちゃんなんて・・・」

 

慣れない2人を宥める友希那と燐子はあこの方へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「まおーさまは次はどんなことするの~?」

 

「音楽で世界征服するのだ~。しもべ達よ!!魔王達に声援を送るのだ~!!」

 

「「「はーい!!」」」

 

魔王様は子供の人気者になっており、子供たちの輪の中に入って馴染んでいた。

呆れるリサのスマホへと1件の通話が入る。

 

「電話だ・・・。もしもし?」

 

『もしもし?リサちゃん?今時間あるかしら?』

 

「どうしたの・・・?」

 

『ロゼキュアをドラマ化すr』

 

リサは千聖の言葉を最後まで聞かずに通話を切る。

 

「リサ・・・?」

 

「いや・・・どうしてこうなったんだろうってね・・・」

 

友希那の言葉に空を見上げて、リサは涙を必死に堪えていた。

 

 

 




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感想評価は気分次第でお願いします。

次は・・・みんなが期待していた?あの人が登場予定(未定

小ネタ解説
そんなものは不要だ!!
エイプリルフール2019年・・・だったかな?
あれと魔王バンドで電波受信した。



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日・常・風・景7 家出黙示録ミタケ

今回も小ネタ投稿です。

今回のお品書きは
・蘭、宇宙鍋との出会い
・アナザーエンディング:Circle版
・デート回?

の3本です。

※注意
今回の小ネタにはバイオレンスな描写や危険描写が含まれております。
モデルガンはちゃんとした防具を着ていない人には絶対に向けないでください。



~~~小ネタ19:蘭とお鍋とライダー部

 

「どうしよう・・・」

 

如月家での生活に慣れ始めた蘭だったが、そんな彼女は如月家の生活で最大の危機を迎えていた。

 

「部屋に着替え忘れた・・・」

 

風呂から上がろうとした蘭だったが、着替えを部屋に忘れる大失態を犯してしまっていた。

流石に1回洗濯機に放り込んだ服をもう1度着る気にはなれなかった蘭は湯舟に浸かりながら考えを巡らせるが、すぐに解決した。

 

「そういえば、今は家に誰もいないから普通に取りに行けばいいじゃん・・・」

 

蘭は浴室の扉を開けるが、飛び込んできた光景に理解が追い付かなかった彼女は近くに置いてあったバスタオルだけを掴んで咄嗟に扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脱衣所に人がいた―――それも彼女の今までの知り合いとは方向性が全く異なる飛び切りの変人が・・・。

 

「気のせいだよね・・・。うん。絶対に気のせい・・・」

 

そう蘭は自身に言い聞かせて、タオルを身体に巻いて再び浴室の扉を開けて脱衣所を覗き込む。

しかし、目の前の光景は変わることはなく、むしろ悪化していた。

 

 

 

 

 

「ぼくの名前ははやぶさくぅーん!早いけどブサくはないぜー!!」

 

「えっ・・・?」

 

蘭が脱衣所で目撃したのはスペースシャトルの被り物をした変人。

しかもの先ほどと違う点はその変人は蘭には理解できない謎の歌を熱唱していた。

 

あまりの光景に今度は浴室の閉めることも無くその姿を見て呆然としてしまった。

そして歌い終わった彼女は満足そうな表情を浮かると蘭の存在に気が付いて視線を送るが、その表情は驚きに包まれていた。

 

「うわぁああああああああ!!」

 

「うぁあああああああああ!!」

 

変人は蘭を指差して声を挙げ、蘭もその声に驚いて声を挙げる。

そして変人は蘭を指差して叫ぶ。

 

「ゲンちゃんが女の子を家に連れ込んでるぅぅうううう!!」

 

その声に釣られてどたばたと人が集まってくる。

 

 

 

 

 

最初に来たのは雰囲気が違う2人の女性。

育ちのいいお嬢様みたいな女性と、ゴシック系の少女。

 

彼女達に遅れてお坊ちゃんとチャラ男と真面目そうな男が後からやってくる。

しかし、目の前の光景を見た全員が固まって後からやってきた全員が同じタイミングで声を挙げる。

 

 

 

 

「「「「「Oops!」」」」」

 

「は?」

 

言葉の意味が分からない蘭は戸惑うがその声を挙げた直後、その場にいた女性陣によって男性陣の目が潰されそのまま脱衣所の外へと連行される。

 

「・・・仕方ない」

 

彼女は仕方なく洗濯機に放り込んでいた服を取り出して、替えの服を取りに一度部屋に戻ってから再度着替え直す。

そして、居間に着くと弦太朗と先ほどの男性陣が正座でお嬢様とゴシック少女から説教を受けていた。

 

 

 

 

「あんた達!!女の子の風呂を見るなんて何考えてるのよ!!」

 

「・・・さいてー」

 

「美羽先輩も友子ちゃんも!!ちょっと待ってくださいよ~!!そもそもなんで弦太朗さんの家に女の子がいるんすか!?」

 

「美羽!!あの子にはちゃんと謝るが・・・。ジェイクの言う通り、弦太朗はお爺さんと2人暮らしのはずだろ!?」

 

「そのはずだ・・・。この前、弦太朗とバイクの様子を見に来た時には居なかったぞ・・・」

 

「賢吾が来た後から来たんだ!!」

 

「なら、それをちゃんと言っておけ!!君はいつも・・!!」

 

「何これ・・・」

 

 

 

 

目の前で繰り広げられている光景に戸惑っていた蘭。

そんな彼女の後ろから被り物の人が声を掛けてくる。

 

「あっ!!さっきはごめんね~」

 

「うわぁ!?びっくりした・・・。それにその頭は・・・?」

 

「とりあえずそれは後にして・・・。皆!!謝ったら宇宙鍋食べよ!!」

 

その言葉を聞いた男性陣は蘭へ身体を向きなおして綺麗に床に頭をつけて謝罪した後に、男性陣が机を用意すると、そのまま宇宙鍋食事会が開始され、それと同時に弦太朗が話を切り出していく。

 

 

「とりあえず、紹介しねぇとな・・・。こいつは蘭!!最近ダチになったんだ!!」

 

「どうも美竹蘭です・・・。弦太朗とは学校違うけど・・・まぁ、最近知り合いました・・・。今はここでお世話になってます」

 

 

 

 

 

 

「美竹蘭・・・?どっかで聞いたことがあるような・・・どこだっけかな~」

 

「ジェイク?知ってるのか?」

 

「ちょっと隼もジェイクも先に自己紹介しなさい?私は風城 美羽よ。よろしくね」

 

「俺は大文字隼。よろしく」

 

最初に話を切り出したのは天校のOBOG。

蘭は隼のポーズに光るSEのような物を感じたが、周りが気にしていないので気にしないことにした。

 

「オレはジェイク!!天校2年!!ヨロシク~!!」

 

「野座間・・・友子・・・です・・・。ジェイクと同じ学年・・・」

 

「俺は歌星賢吾だ」

 

「あたし!!城島ユウキ!!ゲンちゃんの幼馴染なんだ!!」

 

「よろしくお願いします・・・」

 

自己紹介が終わったが、蘭は目の前の彼らは個性が強すぎる。

強いて言えば賢吾だけはパッと見ではキャラが薄い印象を受けたが、それ以上に服装の傾向も性格もバラバラな彼らが仲よさそうにしている光景が驚きだった。

 

「それにしても流石、天校の元キングとクイーンすねぇ~。貫禄ありますねぇ~」

 

「ねぇ、そのキングとかクイーンってのは何?」

 

「学校のヒエラルキー・・・。2人とも元トップ・・・」

 

「へぇ・・・他の人は?」

 

友子からの答えに興味が出てきた蘭はその話に食い付いた。

それを聞いたジェイクはチャカすように話し始める。

 

「オレがスラッガーって言うチャラ男とかギャルのグループで、友子ちゃんがオカルト系のゴス。んで、宇宙オタクのユウキ先輩がギーグ。そんで賢吾さんは頭のいいグループのブレインでまたの名を保健室の主!!」

 

「それでバッドボーイのゲンちゃん!!」

 

「ジェイク!!俺の最後は関係ないだろ!!それに最近は保健室には行ってない!!」

 

 

 

楽しそうに話す彼らを見た蘭はある疑問が思い浮かんだ。

 

「それにしても、皆ヒエラルキ―?がバラバラなのに仲いいよね?」

 

「俺たちは宇宙仮面ライダー部だからな!!」

 

「それ前に話してたやつだよね・・・?ちゃんと部活なんだ・・・」

 

「あら?美竹さんは何か部活とかやってないの?」

 

「あたしは部活は入ってないですけど、華道と後はバンドを・・・」

 

蘭の言葉を聞いた2年生組は何かを思い出そうと唸り始めるが、蘭のバンドに食いついたのは弦太朗の同級生達。

 

「バンドか・・・俺もドラムの心得ならある」

 

「あたしはベース!!蘭ちゃんは?」

 

「あたしはバンドではギターとボーカルを・・・」

 

「美竹蘭・・・華道とバンドって・・・あぁ~!!」

 

「ちょっとジェイク煩いわよ!!」

 

「思い出した!!美竹蘭って言えば!!今巷で人気のガールズバンドのボーカルっすよ!!王道ロックがウリでうちの学校の中でも人気急上昇中っすよ!!そう言えば、今バンド内で喧嘩中で家出したって聞いてたけど弦太朗さんの家に泊まり込むなんてやるねぇ~」

 

「そういえば・・・弦太朗さんが別の学校行くって言って調べてた時に出てきた・・・。すっごい有名な華道の家元の一人娘で、二つ名は反骨の赤メッシュ・・・」

 

そこから2年生組から出てくるのは蘭の学校での成績から華道やバンドの活動、更にはニッチな情報まで様々な情報が2人の口から出てくるのを驚きを隠せず恐怖を感じた。

 

「・・・ってこんな感じっすかね~」

 

「全くどこから調べてきたんだ・・・」

 

「ネットから・・・」

 

「知り合いからちょちょっと~」

 

「とりあえず、そろそろ鍋食べよ!!」

 

何とも言えない空気の中でユウキは鍋のふたを外したが、その中身を見た蘭は戸惑いを隠せなかった。

 

 

 

「これ本当に食べれるの・・・?」

 

「やっぱ最初はそうなっちゃうよねぇ~」

 

「・・・やっぱり粘りが足りない・・・」

 

「えっ!?ちょっと!?」

 

中身に驚いているのも束の間、友子はどこからか持ち出した納豆を鍋に投下してかき混ぜる。

 

「やはりこの鍋の納豆は超ひも理論を現す重要な要素なんだな・・・」

 

「あの~とりあえず。そのなんとか理論はいいっすから・・・」

 

「蘭ちゃん食べましょう・・・?」

 

笑みを浮かべた美羽に怖気づいた蘭は恐る恐るそれを受け取って口へと運ぶ。

 

 

 

「ちゃんと食べられる・・・。でも、納豆は無い方が好きかな・・・」

 

「マジか~。蘭ちゃんってそっち系か~」

 

蘭の反応に何かジェイクが驚いた表情を浮かべるが蘭は気にせず器の中の赤い球を箸で持ち上げる。

 

 

「・・・何これ?」

 

「それ火星」

 

「ふーん。頂きます」

 

「ちょっと待て!!それは!!」

 

宇宙鍋の火星を見た隼は蘭が食べるのを止めようとするが間にあわずに蘭が火星を口にした。

 

 

 

 

「!?!!!!!?!?!」

 

 

 

 

蘭は火星を齧るとその辛さのあまりに目を白黒させてから気を失ってしまう。

一同はその姿を見てユウキへ視線を向ける。

 

「今回の火星は何が入ってたんだ・・・?」

 

「えぇっと、いつも通りトウガラシのはずだけど?」

 

「ユウキさん・・・それ・・・私が持ってきたブートジョロキア・・・」

 

「「「えっ・・・」」」

 

宇宙鍋の火星がまさかのパンドラボックスになっていたことに驚愕する一同だったが、それ以外の星はしっかりとおいしくいただけるものになっていたことに安堵し、心の中で蘭に手を合わせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学校に着いた蘭は神妙な顔をして机に座りどこか遠くを眺めていた。

その光景を不安に思った幼馴染達を代表してモカが蘭へと声を掛けに行く。

 

「蘭~ど~したの~?」

 

「ねぇ、モカ。聞きたいんだけどさ・・・」

 

「あたしってキャラ弱いのかな・・・」

 

「「「「!?」」」」

 

「蘭ちゃんがそれなら私は・・・」

 

「つぐ!?しっかりして!!」

 

蘭の一言はクラス中の全員を驚かせるには十分な破壊力を秘めていた。

その破壊力が直撃したつぐみは自身の机に力なく突っ伏す。

 

まさか過ぎる蘭の言葉によって今日1日、クラスは混沌に包まれるが、蘭はそんなことを気にすることも無く今日1日悩み続けるのだった。

 

 

 

~~~小ネタ20:Afterglow篇2章 アナザーエンディング:CiRCLE版

 

ペガサス事件が解決した翌日、モカと巴は練習のためにCiRCLEの受付で他のバンドメンバーを待っていた。

 

 

「蘭の奴、まさかギターも如月の家に持って行ったのか・・・」

 

「学校から距離があるらしいからちょ~っと時間がかかるって言ってたよ~。ひーちゃん達は知らないけど~」

 

「ひまりはともかく、つぐが遅れるなんて珍しいよなー」

 

「まぁ、モカちゃんはパンでも食べて待ってるとしますか~」

 

そう言ってモカはパンを口に運ぶと同時にCircleへと1台の装甲車が扉をぶち破って中へと入ってくる。

 

あまりの出来事にモカと巴は驚きのあまりその場から動けず、音を聞きつけてスタッフルームからまりなもスタッフルームから飛び出してくる。

 

「何事!?ってえぇええええ!?」

 

「おい!!誰か降りてくるぞ!!・・・って!?」

 

「さーや・・・?」

 

「それにひまりちゃんとつぐみちゃん!?・・・誰!?」

 

巴の言葉とまりなの叫びが響く中、装甲車のドアが開いて中から世紀末の荒くれ者の様な恰好をした4人の集団降りてくる。

 

沙綾、ひまり、つぐみ―――

 

3人はモカとまりなの共通の知り合い、その後に遅れて運転席から出てきた顔を見てモカと巴は驚きを隠せずにいた。

 

 

 

 

 

 

「なぁ・・・あれって・・・!?」

 

「うん・・・蘭のおとーさんだね・・・」

 

「えぇ!?あれが!?」

 

 

蘭の父と沙綾達の姿に驚きを隠せない一同を他所に、蘭の父は手に持ってライフルを天井に向けて乱射しながら叫び出す。

 

 

 

 

 

 

「如月はどこだ!!うちの娘を誑かした大馬鹿もんはどこにいる!!」

 

「ヒャッハーー--!!」

 

 

「ちょっと沙綾ちゃん!?止めてよ~!!」

 

蘭の父に合わせる様にひまりとつぐみも手に持っていた銃を乱射する。

まりなはそんな中で何もしていない沙綾へと叫びを挙げるが、沙綾は無言でまりなへと歩み寄る。

 

 

 

 

「へっ・・・?沙綾ちゃん・・・?へぶっ!!」

 

無言で手に持っていたハンドガンをまりなの眉間へと向ける。

その光景に唖然とするまりなへと至近距離で発砲し、直撃したまりなはその場で気を失ってしまう。

 

この時にモカ達はまりなの頭から鮮血が飛び散るイメージが見えたが、勿論モデルガンの為そんなことは無い。

 

「まりなさん!?」

 

「さーや・・・外道すぎるよ・・・」

 

「WRYYYYY!!」

 

そして、沙綾もその場で銃を乱射し始める。

手の付けられなくなった4人。

 

そんな彼女達を完全に無視して、モカ達は受付のカウンター裏までまりなを引き摺りながら退避する。

 

 

「これ、如月来たらヤバいよな・・・」

 

「蘭に練習中止って連絡しておくね~」

 

「任せた・・・」

 

モカはすぐに蘭への連絡を終えるとカウンターから4人の姿を確認する。

 

「「「「WRYYYYYYYYYYYYYY!!」」」」

 

依然として暴走を続ける4人を見たモカはそのまま蘭へと連絡を入れる。

 

 

 

 

 

『蘭~。しばらくげんたろーさんの家に泊ってて~。現在Circleは世紀末だから~』

 

『どういうこと?』

 

チャットで蘭からの返事が来るが、暴走した4人の流れ弾がモカへと直撃したため、そこから蘭への返信は無かった。

 

 

 

~~~小ネタ21:悲劇の抽選会・不吉の13(サーティーン)

 

商店街での買物を済ませた弦太朗と蘭。

そのまま帰ろうとするが、蘭は弦太朗に呼び止められる。

 

「ねぇ、ちょっと待って」

 

「どうしたんだ?」

 

「さっき買物した時に福引券?を2枚貰ったんだけどやってかない?」

 

「面白そうだな!!行こうぜ!!」

 

蘭の何気ない一言で福引をすることになった弦太朗達。

しかし、ここでの出来事が今回の事件の引き金になることを彼らはまだ知らない。

 

 

 

「とりあえず2回引けるから1回ずつってことで、俺から行くぜ!!うおぉおおおおお!!・・・白!!って外れか~!!」

 

「ふっ・・・」

 

「なんだよ。次は蘭の番だぞ!!」

 

「まぁ、どうせ当たんないけどやってみるよ・・・」

 

気合十分で回した弦太朗だったが結果は外れの参加賞。

その浮かれた様子に蘭は鼻で笑う。

ちょっとだけ悔しそうな弦太朗は蘭と入れ替わるように位置を変える。

 

蘭の結果は白・・・ではなく金色に輝いていた。

 

「特賞!!大当たり~~!!」

 

「うぉおおおお!!すげーな蘭!!」

 

「ふふっ・・・」

 

係の人がベルの盛大に鳴らしながら声を挙げる。

その光景に弦太朗のテンションも上がり、蘭は勝ち誇った笑みを浮かべていた。

 

「こちら特賞!!遊園地のペアチケットです!!」

 

「えっ・・・。どうも・・・」

 

 

特賞は遊園地のペアチケット。

蘭は戸惑いながらも受け取るとすぐにその場から離れる。

そして、何を思ったのかそれを弦太朗へと押し付ける。

 

「なんだ?」

 

「ペアチケット・・・あげる」

 

「でも当てたのは蘭だから貰っとけよ。今度の土日にひまりとか誘えばいいだろ?」

 

「ひまりも巴もバイトだから・・・。それに行くならみんなで行きたいし・・・。これ元はと言えば弦太朗の金なんだから・・・」

 

「それなら2人で行こうぜ!!」

 

そう言って弦太朗はペアチケットの1枚だけを受け取る。

蘭は少しだけ考えを巡らせる。

 

「・・・まぁ、お互い引かなそうだしそれでいっか・・・」

 

「じゃあ今度の休みでいいか」

 

「うん。でも、今はお爺さんのご飯用意しないと・・・」

 

「だな!!」

 

往来の中で行われていたこのやり取りを見て、微笑ましい笑みを浮かべて見守っていた商店街の人々。

しかし、その中に"2つ”の黒い視線が含まれていた。

 

 

 

 

そして、休日の土曜日。

蘭と弦太朗はチケットを持って目的の遊園地へとやってきていた。

 

「久々だな!!」

 

「そうなんだ。あんた友達多いから結構行ってると思ってた・・・」

 

「遊園地じゃねぇけど、月には行ったけどな」

 

「はぁ?・・・」

 

早く入って遊びたいのか妙にそわそわしている蘭と弦太朗。

その姿を複数の嫉妬が混ざった視線が捉えていた。

 

 

 

「娘とデートなんてゆ”る”さ”ん”!!」

 

「ぐぬぬ・・・!!蘭ちゃんずるい・・・!!」

 

「美咲ちゃん?なんでこんなことになってるのかしら・・・?」

 

「白鷺先輩・・・あたしに聞かないでくださいよ・・・。あたしもバイト中に無理やり連れてこられたんですから・・・」

 

2人に嫉妬の視線を送っていたのは蘭の父とつぐみ、その後ろではたまたま羽沢珈琲店にいた千聖と商店街でミッシェルのバイト中の美咲が近くの茂みに隠れて様子を伺っていたのだ。

 

呆れた千聖は蘭の父へと声を掛ける。

 

「あの・・・お父さん?娘が大事なのはわかりますけどこんなことは・・・」

 

「私はお父さんではない!!殺し屋”ミタケ13(サーティーン)”だ!!」

 

「はい?」

 

呆気に取られている美咲を他所にどこからかライフルを取り出す蘭の父―――改めてミタケ13。

美咲はもうとりあえず彼の事は諦めて、つぐみへと声を掛ける。

 

「ちょっと羽沢さん?親友のデートを盗み見るなんて悪いんじゃ・・・?」

 

「これはデートじゃないよ!!それに今の私は殺し屋”ツグミ13(サーティーン)”だよ!!」

 

「何言ってんの?それに13って何?」

 

「13は不吉の数字って言われてるんだよ?」

 

「「・・・」」

 

千聖と美咲はつぐみ―――改めてツグミ13はミタケ13から別のライフルとグラサンを受け取る。

 

「あっ・・・2人とも中に入っていった・・・」

 

「追いかけるぞ!!」

 

「はい!!」

 

「・・・白鷺先輩。2人はもう無視して・・・って何やってるんですか?」

 

こうして2人の殺し屋()は遊園地へと突撃する様子に呆気に取られていた美咲は千聖と共に帰ろうとするが、千聖は蹲って肩をプルプルと振るわせてどこからか木目の目立つ狙撃銃を取り出した。

 

 

 

「私は白鷺千聖ではないわ・・・。今の私はスナイパー!!チサト13よ!!面白そうだから行ってくるわ!!」

 

「ちょっと!?あぁ~!!もう!!」

 

まさかの千聖の暴走に美咲は3人を止めるべく、ミッシェルのまま遊園地内へと入っていった。

そこからは美咲の気苦労が絶えなかった。

 

 

「まさか、この年になってメリーゴーランドに乗るなんて・・・」

 

「わりぃ!!並ぶ列間違えちまって・・・」

 

「別にいいよ・・・。小っちゃい頃に戻ったみたいで楽しいし・・・」

 

 

 

「これを選ぶとはやるわね・・・おかげで狙いが定まらないわ・・・」

 

「うぅ・・・しかも縦に揺れるから気持ち悪くなってきた・・・」

 

「それにしても、この馬全然あいつらに追いつかないぞ・・・。いつになったらあいつらに追いつくんだ・・・?」

 

「真面目な顔して何言ってるんですか?これメリーゴーランドですよ・・・。永遠に同じ距離をグルグル回るんですよ・・・」

 

「なんであいつらの距離は縮まってるのにこちらとの距離は近づかないんだ!!」

 

「バレたらむしろ距離とられますからね?」

 

メリーゴーランドに乗り込んではその馬で2人を追いかけようとしたり―――

 

 

 

 

 

 

 

「ジェットコースターなんて楽しいの?弦太朗はロケットで飛ぶから楽しくないでしょ?」

 

「それは別腹だろ?行こうぜ!!」

 

「「うわあああああああああああああああああ!!」」

 

 

「きゃああああああああ!!」

 

「あぁあああああ!!ベルトロックし忘れた!!落ちるぅううううう!!」

 

「白鷺先輩!!頭掴まないで!!顔はずれるぅううう!!」

 

「これが若さか・・・」

 

ジェットコースターに乗り込めば、振り落とされないようにミッシェルの頭にしがみつく千聖に、あまりの衝撃に意識が遠のきそうになっている蘭の父。

 

 

 

 

 

「地球も回る!!太陽系も回る!!銀河も回る!!これが宇宙の回転パワーだ!!」

 

「ちょっとやりすぎぃいいいいいいい!!」

 

 

 

「楽しそうに・・・羨ましい・・・!!」

 

「ぐぬぬ・・・どうなっているんだ・・・!!」

 

「ああいう年頃の娘は、ちょっと悪そうな男にコロっといってしまうのよ。そうやって色んな経験をして女の子は大人になるって行くのよ・・・」

 

「白鷺先輩。18歳が何言ってるんですか・・・」

 

仲の良さに嫉妬する2人と珈琲カップに乗って謎の悟りを開き始める千聖。

そして、体力の限界が近づいてきた一行はそこからアトラクションに乗るのを諦めて遠巻きに2人を尾行していた。

 

 

「あの・・・もうそろそろ諦めて帰りません?流石にこれ以上は2人に申し訳ないですよ・・・。それに2人はデートって感覚がないんじゃないですか?」

 

「だとしても!!お父さんは認めんぞ!!」

 

「そうだよ!!2人でデートなんてずるい!!」

 

「羽沢さん。それなら今度誘えばいいじゃん・・・」

 

美咲の言葉につぐみは少しだけ冷静になってその提案を受け入れようとした。

しかし、そんな状況で千聖が声を挙げる。

 

「みんな!!あれを見て!!」

 

「なっ!?」

 

「2人きりで観覧車・・・だとぉ!!」

 

「それがどうしたんですか・・・?」

 

 

 

そこにあったのは2人で観覧車へと歩いていく姿。

弦太朗達を見て慌てる3人の意味が分からない美咲だったが、それを説明するかのように千聖は語る。

 

「男女2人きりで観覧車・・・。2人は観覧車のゴンドラでちゅーするつもりよ!!」

 

「「なっなんだってー!!」」

 

「あの・・・なんでそうなるんですか・・・?」

 

「ドラマではそうなるのが相場なのよ!!」

 

「・・・」

 

「こうしちゃいられないわ!!」

 

「あいつらを阻止せねば!!」

 

「並んでるから狙える位置までいきましょう!!」

 

千聖に意味わからない説明に頭を抱える美咲を置いて、3人はゴンドラを狙える建物の中へと駆け込んでその屋上を目指す。

 

その光景を見た美咲は吹っ切れた。

 

「もうやだ・・・。とりあえず3人をなんとかすれば・・・」

 

こうして美咲もその場を離れて行く。

 

 

そんなことがあったことなど知らない蘭達は並んでいた観覧車の順番が回ってきたのでゴンドラへと乗り込んでいく。

 

「それにしても観覧車なんてどうしたんだ?」

 

「ここの事調べてた時にたまたま見つけたんだけど。ここから近くの庭園に咲いてる花が一望できるって書いてあったから気になってて・・・」

 

「折角なら写真でも撮ろうぜ!!それってどっちなんだ?」

 

「あっち・・・頂上近くになったら見えるらしいから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タイミングはゴンドラが同じ高さになってからだ・・・」

 

「了解っ!!」

 

「да!!」

 

ゴンドラ内では盛り上がっている2人を他所にその背中を3人のスナイパーが狙っていた。

そしてそのゴンドラが徐々に登ってきていたが突如として3人に強い風が受け動揺する。

 

「なんだ!?」

 

「あれっ!!」

 

突如として3人に襲ってきた風。

その発生源は近くを飛んできたヘリコプター。

 

そして突如としてヘリの扉が開くと中から見覚えのある姿が武器を持って3人を捉えていた。

 

「ミッシェル!?」

 

「ミッシェル・・・?誰ですかそれ~?私は愛の戦士。”クマノ13”・・・」

 

「何を言ってるの!?」

 

千聖はその答えに戸惑うが、ミッシェルことクマノ13は3人から狙いを外さない。

 

「人の笑顔を邪魔するやつはふっとべ~!!」

 

 

 

そうしてクマは手に持っていた大砲を3人へ向けて放つと、3人はその爆発に巻き込まれて施設内の湖へと真っ逆さまに落ちていく。

 

しかし、あまりの光景にクマは驚きを隠せないが黒服がクマへと声を掛ける。

 

「奥沢様、お見事です」

 

「あの・・・これ本当に大丈夫なんですか・・・?」

 

「吹っ飛ぶだけで死にはしないので大丈夫です。後はお任せを」

 

そうしてクマを乗せたヘリはそのまま遊園地を離れて行く。

その裏では別の黒服が湖に浮かんで意識を失っている3人をそのまま回収していた。

 

 

 

 

その一方で狙われていた2人は―――

 

「すげーな!!」

 

「うん。これ見れただけでも十分良かったよ・・・」

 

「じゃあ降りたら飯でも食べるか!!」

 

「そうだね・・・」

 

裏で起こっていた騒動など全く把握しておらず、その後も1日中遊園地を満喫していた。

 

 




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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
小ネタ19
エンディングであった蘭と宇宙鍋との出会い。
ライダー部の蘭とハルは不参加です(設定的には2人はデート中。メタ的な理由は名前被り)

小ネタ20
別エンド、元ネタは某武装お仕置き(喫茶店はほとんど本編エンドと変わりません。ただ、つぐみ両親は認めるだけ・・・)
外道の沙綾は声優ネタ・・・サバゲ―って面白いよね!!
みんなは絶対にサバゲ―用のフィールド以外では人に向けて撃ってはいけません。

小ネタ21
某ジャンプマンガのお話から・・・

小ネタの小ネタ
ここで出てきた銃のイメージと理由は下記
・沙綾:ベレッタM92F(中の人の出演作品ネタ)
・つぐみ&蘭パパ:M4(13って言ったらね・・・?)
・ひまり:XM556(そりゃデカいからね・・・)
・千聖:SVD(そりゃ中の人よ?)


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装・備・解・説-3 集まれ!!生徒会役員共

スイッチ解説投稿!!
今回の小ネタ時空篇はここまでになります。


次回の投稿は特別編ってことでモニカ篇()をお送りします。
特別編だから多分短い予定



 

花咲川学園の生徒会。

生徒会長の燐子を筆頭に紗夜と有咲がその後に続いて目的地まで歩く。

 

そこから少し離れた場所を大量の荷物を持った弦太朗がその後を追っていた。

 

 

「如月~。とっとと運べ~」

 

「有咲!!これ意外と重いんだぞ!!」

 

「市ヶ谷さん?・・・それはちょっとひどいんじゃ・・・?」

 

「白金さん。本人がやるって言ってたのでいいんですよ・・・」

 

「そうかもしれませんが・・・それと氷川さん。せめて私か如月さんに視線を向けてください・・・」

 

「紗夜先輩の視線がつらい・・・」

 

生徒会の3人は話しながら弦太朗を待つが、その会話の最中紗夜の視線は有咲の腕の中にいるポテチョッキンを凝視していた。

 

そんなやり取りをしつつ、彼女達と弦太朗は目的にである羽丘女子学園の生徒会室までやってきて、代表として燐子が部屋をノックするが中から返事はない。

それに不審に思ったが燐子がそのドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その室内には仁王立ちしている日菜と、その横で表情筋が死んでいるつぐみが笛と太鼓で337拍子のリズムを刻んでいた。

 

「羽丘女子学園!!生徒会会則!!ひと~つ!!学校は全部あたしのもの!!」

 

「どんな暴君ですか・・・」

 

「ちょっと!!つぐちゃん!!もうちょっとやる気出して!!」

 

「ははは・・・」

 

日菜の言葉を受けたつぐみは苦笑いを浮かべた。

そんな日菜を止めるべく、紗夜がそのまま中へと入っていく。

 

 

 

「日菜・・・?あなたは何をやってるの?」

 

「おねーちゃん!!ゲンちゃんみたいなカッコいい決め台詞を考えてたの!!」

 

「決め台詞・・・?うぅ、何故か頭が痛くなってきました・・・」

 

「紗夜先輩!?大丈夫ですか!?」

 

「羽沢さん。大丈夫ですから、早く要件を済ませてしまいましょう・・・」

 

「如月、荷物をこっち持ってきてくれ~」

 

「おう!!」

 

「そしたら如月くんは待ってて!!流石に男子が1人で歩いてると騒ぎになっちゃうから・・・」

 

つぐみの言葉を受けて弦太朗は近くにあった椅子に座って5人を眺める。

視線の先には弦太朗が持っていた荷物を広げて何かの作業を行っている彼女達。

弦太朗には全く理解出来ぬまま作業は終わっていた。

 

 

「これで・・・終わりですね・・・」

 

「それならお茶入れてきますね!!」

 

「ありがとうございます。まさか、文化祭の時に羽丘の備品の一部が混ざってしまってたなんて・・・」

 

「こっちも気が付かなかったしね~。そっちの学校は大丈夫だったの?」

 

「えぇ。私と紗夜先輩で確認して、花咲川の物は揃ってたから大丈夫です」

 

「珈琲入れてきました。如月くんの分も」

 

「わりぃな」

 

生徒会の仕事が終わった彼女達は弦太朗を含めて一息ついていた。

そんな中で日菜は思い出したかの様に声を挙げる。

 

 

 

 

「そうだゲンちゃん!!あれやってよ!!」

 

「あれってなんだ?」

 

「ほら!!ポピパとかおねーちゃん達に対してやってたスイッチの説明!!なんか面白そうだし!!それにつぐちゃんも気になるでしょ?」

 

「えっ!?・・・まぁ気になりますけど・・・」

 

「でしょ!!だからお願い!!」

 

「でも・・・場所はどうするんですか・・・?」

 

「それならここでいいよ!!誰も来ないし!!」

 

「おう!!いいぞ!!」

 

「「「・・・」」」

 

「如月くんそんなあっさりOK出すんだ・・・」

 

日菜の頼みを了承した弦太朗はその場で変身する。

それを見たつぐみのツッコミを他所に花咲川の生徒会たちは唖然としていた。

 

「宇宙・・・」

 

「「きたー-------!!」」

 

「うるせー----!!」

 

いつものフォーゼのセリフを日菜と一緒に叫ぶが、有咲がここで思わずツッコミを入れる。

そんな中、フォーゼは机に向かって歩き出す。

 

「ちょっと机動かすから、お茶持っててくれ」

 

「軽々持ち上げてますね・・・」

 

「すっごーい!!」

 

「とりあえず私達も端っこに移動しましょ!!」

 

フォーゼは机をそのまま軽々と持ち上げて部屋の端まで移動させる。

その光景にそれぞれが感嘆の声を挙げる中、つぐみの言葉に従って全員が壁際へと移動すると同時に近くにいたポテチョッキンがフォーゼの手元へと移動する。

 

「それなら最初はこいつだ!!」

 

――――――――シザースON――

 

「No.11のシザーススイッチだ!!」

 

「名前通りの見た目ですね・・・」

 

「ハサミみたいに切ったり、これで敵をぶん殴ったりするな」

 

「でもゲンちゃん!!斬るだけならチェンソーでいいんじゃないの?」

 

「まぁ左腕用の武器って少ないから。意外と使えるんだぞ?」

 

「へぇ~」

 

「それで次は・・・こいつだ!!」

 

 

「ひぃ!?」

 

「っ!?」

 

フォーゼはシザースのスイッチを切ると次の説明をするために右足用のスイッチを交換するために取り出す。

それを見た有咲は情けない声を挙げ、燐子は身体を強張らせる。

 

 

「有咲ちゃんどうしたの?それに燐子先輩も?」

 

「羽沢さん。ちょっと前の事を思い出して・・・」

 

「私もです・・・。前に練習で使ったんですけど・・・」

 

「練習・・・?おねーちゃん何してるの・・・?」

 

「わかりません・・・私がいないときに何があったんですか・・・?」

 

「なんかよく分かんねぇけどいくぜ!!」

 

有咲の身構えてる理由と燐子の言葉の意味が分からない一同を他所にフォーゼは次のスイッチを起動する。

 

 

 

 

 

――――ビートON――――――

 

フォーゼの右足に精製されたスピーカー。

羽丘の生徒会は目を輝かせている一方で、花咲川の面々は苦い顔を浮かべている。

 

「すっごーい!!スピーカーだ!!」

 

「えっ・・・まさか紗夜さん達ってこれ使って練習してるの・・・?」

 

「この前は私と今井さんで・・・」

 

「「・・・」」

 

「何をやってるんですか・・・」

 

「おもしろそー!!ゲンちゃん今度使わせてよ!!」

 

「まぁ、時間があったらな・・・」

 

「やったー!!」

 

「それで如月くん。それは見たまんまスピーカーなの・・・?」

 

「おう!!すっげーデカい音が出せるぞ!!」

 

「あれはデカい音ってレベルじゃねーから!!」

 

「確かに・・・レイヤさんもあれ聞いて、立ったまま気を失ってたからね・・・」

 

「「「「えっ?」」」」

 

フォーゼの言葉に有咲がツッコみに苦笑いを浮かべていた一同だったが、つぐみから出た衝撃的な発言に全員が驚きを隠せなかった。

 

 

「まぁ、とりあえず次行くぜ!!今度はNo.13!!」

 

――チェーンアレイON――――――――

 

 

「チェーンアレイだ!!」

 

「おもそーだねー」

 

「持ってみるか?」

 

「じゃあつぐちゃん!!」

 

「えぇ!?」

 

こうしてフォーゼはチェーンアレイの鉄球をゆっくりと床に降ろす。

そして降ろされた鉄球をつぐみが持ち上げようとするが全く動かない。

 

「全く動かない・・・」

 

「じゃああたしも!!・・・なにこれ・・・びくともしない・・・。こうなったらみんなで持ち上げるよ!!」

 

日菜の号令に全員が鉄球の周りに集まって持ち上げようとするが全く動く気配がなく、降参した日菜達を見てフォーゼはそれを軽々と持ち上げる。

 

 

「確か100キロ超えてるからなぁ・・・」

 

「「はぁ!?」」

 

「うっそー!!全然そんな風に見えないよ~!!」

 

「それで敵を殴りつけてましたよね・・・」

 

「えぇ・・・」

 

フォーゼの話を聞いた紗夜はあんな物で頭に叩きつけられていた事を思い出して顔を青くさせる。

一同はその光景を見て何も口にすることが出来なかった。

 

「よし!!次行くぞ!!次!!」

 

「如月くん!!次のは何!?」

 

「有咲もつぐもどうしたんだ・・・?まぁ、次はっと・・・」

 

紗夜の姿を見た2年生が空気を読んで次のスイッチの説明を急かす。

フォーゼはその姿を疑問に思うが、深く追求せずに次の説明へと移るためにスイッチを交換する。

 

――――スモークON――――――

 

「No.14スモークスイッチだ!!ってこいつでスモークを出せるんだ!!」

 

「如月!!ぜってぇここで出すなよ!!」

 

「えぇ~!!有咲ちゃん!!なんで~!!」

 

「もしかして・・・火災報知器・・・ですか・・・?」

 

「それに、煙を見て火事と思われたら大変だから仕方ないわね・・・」

 

「ちぇ~。じゃあそれはまた今度で~」

 

日菜はつまらなそうな表情を浮かべるが、一同はそれを宥めながらもフォーゼは次の説明へと移る。

 

「じゃあ、今日はこいつで最後だな!!No.15のスパイクだ!!」

 

 

――――――スパイクON――――

 

フォーゼの左足に刺が生える。

先ほどまでと比べると幾分か地味に見えるそれにつぐみと日菜は警戒心ゼロでそれに近づいていくが、有咲によって静止される。

 

「ちょっと!!ダメだって!!」

 

「えぇ~なんで~?何もないよ?」

 

「そんな危ないの?」

 

「日菜さんは・・・そうでしたね・・・」

 

スパイクは日菜の目の前で使ったことがあったが、あの時はそれどころではなかったため日菜の中では印象に残ってなかったのだ。

 

「それは・・・危ないんですよ・・・」

 

「燐子ちゃん?そんなに・・・?」

 

「刺ですからね・・・」

 

「つぐ!!なんかいらないものってあるか?」

 

「ちょっと待ってね!!確か誰かが忘れて行った週刊誌があったはず・・・。確か保管期限が切れてるから・・・」

 

「よし。それこっちに投げてくれ!!」

 

そう言ってつぐみは忘れ物の中にあった週刊誌を持ってくると言われるがままその週刊誌をフォーゼへ向けてふわりと放物線を描いて飛んでいく。

それに向かってフォーゼの足が振るわれると、週刊誌は足のスパイクによって無残な姿になっていた。

 

「うわぁ・・・穴だらけだよ・・・」

 

「近づかなくて良かった・・・」

 

その無残な姿につぐみ達が唖然とする。

もしかしたら自分があのように穴だらけになってたと思うと冷や汗が流れる。

 

「流石にミスって人に刺したりはしないから心配すんな!!」

 

「だよね!!」

 

「とりあえずこれで終わりですか・・・」

 

「まぁ、今回はスイッチはここまででいいだろ?後は・・・」

 

「こいつだろ?」

 

 

燐子の言葉に答えてつつ、自身で動かした机を元に戻すと同時に変身を解除する。

そして、有咲がそのまま弦太朗へと近寄ってポテトを渡す。

 

その瞬間紗夜の眼の色が変わった。

 

 

 

 

「そうです!!この子の紹介がまだですよ!!」

 

「うぉ!?なんだ紗夜、そんな急にテンション上がって・・・」

 

「続けてください・・・」

 

テンションが上がる紗夜を他所に燐子は紗夜に哀れみの視線を送りながら、弦太朗へと進行を促していく。

 

「じゃあ、そのまま続けていくけど・・・。こいつはポテチョッキン!!シザースのスイッチで動くんだ!!」

 

弦太朗はポテトにシザーススイッチを挿入してスイッチを入れると、ポテトが変形してポテチョッキンへと変形する。

 

「可愛いなぁ・・・」

 

「るん♪ってきたー!!」

 

「はぁ・・・」

 

「紗夜先輩が人に見せられない顔になってる・・・」

 

「市ヶ谷さん。こういう時は見て見ぬふりですよ・・・」

 

ポテチョッキンに反応を示す日菜とつぐみといけない表情をする紗夜。

 

「こいつはハサミで鉄とか切ったりスイッチ運んだりできるんだ!!」

 

弦太朗の説明と共にポテチョッキンはその手から飛び出して、日菜の手元へと飛ぶと紗夜へ向けて威嚇するように手のハサミを鳴らす。

 

「この子可愛い!!ゲンちゃん!!ちょうだい!!」

 

「ダメ!!大事なダチなんだから」

 

「そっか~。なら今度この子と遊ばせて!!」

 

「そんくらいなら・・・」

 

 

 

ポテチョッキンと日菜が一緒にいる姿を見た紗夜は不満を露にする。

 

「なんで市ヶ谷さんや白金さんには寄り付くのに・・・。それに日菜にも・・・」

 

「氷川さん?」

 

「こうなったら・・・」

 

 

紗夜は呟きながら準備運動を始める。

その意味が分からない一同は頭に疑問符が浮かび上がる中、紗夜が叫ぶ。

 

「こっちに来ないなら!!捕まえるまで!!」

 

その言葉と共に紗夜は日菜の手元のポテチョッキンへと飛び掛かる。

しかし、いともたやすく避けられると紗夜は日菜を巻き込んで床に倒れる。

 

 

 

「おねーちゃん!!痛いよ!!」

 

「すいません・・・って逃がしません!!」

 

「ちょっと紗夜先輩!!他所の学校で暴れないでください!!」

 

こうして羽丘の生徒会室でポテチョッキンと紗夜の盛大な追いかけっこが始まり、それは他のメンバーで紗夜を取り押さえるまで続くのだった。

 

 





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次回の小ネタは修行篇をお送りいたします。
巻き添え食らうのは誰でしょうねぇ・・・



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Morfonica篇-月・森・流・星
月・森・流・星-1 ましろいろの悪夢


はい。

モニカ篇です。
特別編なのでそこまで長くはならないと思います・・・




「待って!!」

 

私は叫びながら手を伸ばす。

しかし、その手は届くことはない。

そして今日も私と同じ制服を着た人が黒い霧の中へと消えていく―――

 

「そんな・・・」

 

そんなことを呟くのも束の間、不気味な雰囲気を放っている黒い霧はゆっくりと周囲へと広がり始める。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

それを見た私は呑み込まれない様に必死に走って霧から逃げようとするが、私は逃げることが出来ず黒い霧に取り囲まれてしまう。

 

「いやぁ・・・」

 

私を取り囲んだ霧は次第に私の身体へと纏わりつき、それはどんどんと私の身体と心を蝕んでいく。

 

そして、黒い霧に完全に呑み込まれかけたその時、どこからか飛んできたに青い何かが私の目の前で弾ける―――

 

あまりの眩しさに目を瞑ってしまったが、次第に慣れてきた私はゆっくりと目の前へと視線を戻す。

そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで私は目を覚ました。

 

私は視線を外へと向けるが、未だに朝日が登っていない。

ここ最近は同じ悪夢を見ては日の登る前に目を覚ましてしまう。

 

しかし、今日も学校があるので2度寝をする訳にもいかずに私は気だるい体を起して先ほどまでの夢について考えていた。

 

 

 

 

いつもの夢だったら

黒い霧に呑まれて人が目の前で消えていき、そして最後は自分もそれによって消えてしまう―――

 

でも、今日はいつもとは違っていた。

 

 

 

 

 

「最後のはなんだったんだろう・・・?」

 

そこで思い浮かんだのは最後の光景。

いつも夢の最後では私は消えてしまうのに、今日は消える前に何かが私の前に来た。

 

何かは分からなかったけど、それは青く輝いていて・・・。

 

 

「すっごい綺麗だったな・・・」

 

思わず口に出てしまった。

 

あれが何かは分からないけど・・・。

でも、悪いものではない気がする・・・。

 

そんなことを考えていたら、いつの間には空には朝日が昇っていた。

私はゆっくりとベッドから出ると身支度を整えて、学校へと向かう。

 

 

 

 

 

 

朝日が昇り始めたこの時間の街は私の足音しかなく、まるで世界に私だけしかいないかのような錯覚を覚える。

 

そんな感傷に浸っていた私はゆっくりと学校へと向かっていく中、前を見ていなかったので誰かと曲がり角でぶつかってしまった。

 

「キャ!!」

 

小さい悲鳴と共に私の身体は後ろへと倒れていく、そして襲ってくるであろう衝撃に備えて私は目を閉じてしまった。

しかし、一向に地面にぶつかった時の衝撃は襲ってこない。

 

不思議に思った私は目を開けると、知らない男の人に抱えられていた。

それを理解した私は慌ててしまった。

 

 

「すみません!!ちゃんと前を見てなかったから・・・」

 

「ううん。こっちもちゃんと前を見てなかったから・・・。えっと・・・立てる?」

 

「はい・・・」

 

私はその人の腕から離れると、抱えてくれた人を見る。

 

この辺では見たことのない制服で、すらっとしててしっかりとした体はどこかの物語の登場人物の様な印象を受ける。

 

 

 

「ぼーっとしてるけど大丈夫?どこかぶつけちゃったかな?」

 

「えっ・・・はい・・・。大丈夫です」

 

その人が心配そうにこちらを見てくるが、私は寝不足気味の身体でなんとか誤魔化してその場を乗り切った。

どうしようかと思っていたら、相手の方から話を切り出してきた。

 

 

 

「知ってたらでいいんだけど・・・。”やまぶきベーカリー”って場所を教えてくれないかな・・・?」

 

「えっ?知ってますけどどうして・・・?」

 

「俺の友達が教えてくれたから今日の帰りに寄ろうと思ってね」

 

「そうだったんですね・・・。それなら・・・」

 

私は緊張してしまっておどおどしながらも場所を教えると、その人はにこやかに笑ってくれた。

 

 

 

 

「ありがとう。それじゃ学校まで気を付けてね」

 

「はい。ありがとうございます・・・」

 

私の言葉を聞いたその人は教えた通りの道を行って姿が見えなくなっていく。

その背中を見送った私の耳に聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

 

「おーっす!!シロー!!」

 

「透子ちゃん。おはよう・・・」

 

私の挨拶を聞いた透子ちゃんは含みのある笑みを私へと向けてくる。

 

「それにしてもシロやるなー」

 

「・・・何言ってるの?」

 

透子ちゃんの言葉の意味が分からずに聞き返した私に透子ちゃんはニヤニヤした笑みに変わっていく。

 

 

「まさか朝からあんなナンパを受けるなんてね~」

 

「違うよ!!」

 

透子ちゃんはさっきのを見てたらしく、それをネタに揶揄ってくる。

必死に否定してると、全部知ってるような口調へと変わって話しかけてくる。

 

「大丈夫!!全部見てたから!!」

 

「なら辞めてよ~!!」

 

「ごめんごめん。でも、最近は変な噂ばっかりだからシロも気をつけなよ~」

 

「それって・・・」

 

透子ちゃんが言ってるのは最近街で噂になってる怪物のこと。

私達の学校ではななみちゃんが見たって言ってたけど、その時に話を聞いていたるいさんにバッサリと否定されてて可哀そうだったのを覚えている。

 

 

「まぁ、そんなポンポンと出るわけないし!!それにななみも1回だけしか見てないし!!」

 

「そうだね・・・」

 

透子ちゃんの言葉に同意するが、私の頭の中は昨日までの悪夢が思い浮かんだが、それを表に出さないようにして私達は学校までの道を話しながら学校へ向かう。

 

 

学校に着くと透子ちゃんは荷物を置いてどこかへ行ってしまったので、私は自分の席に座って上の空で外を眺めながら今朝からの事を思い出していた。

 

 

理由は分からないけど、今まで見ていた悪夢の内容が変わった。

それにさっき会ったあの人はまた会いそうな気がする―――

 

 

 

 

そんなことを考えていたら、いつの間にか朝のHRの開始時間になり、少しだけ遅れて先生が教室へと入って来て連絡事項を伝える。

 

しかし、今の私の頭は先生の話が入ってこなかった。

 

でも次の瞬間、全てが吹き飛んでしまった。

 

「っ!?」

 

先生が合図すると再び教室のドアが開かれる。

そこにいたのは朝に会った男の人がいて、私は驚きのあまりに身体を震わせる。

 

 

 

 

私の事は気が付いていないのかその人はゆっくりと教室の前へと移動してくる。

そしてその人はゆっくりと口を開いた。

 

 

「朔田流星です・・・」

 

「えっ・・・?」

 

 

しかし、その人は朝とは別人のような弱弱しい雰囲気を出していたことに私は驚きを隠せなかった。

 

 

 




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月・森・流・星-2 友情の交差点

遅くなりました・・・

リアルが忙しい・・・(言い訳
ましろとつくしが並ぶとどっちが話してるか分からなくなる・・・(本音



 

「朔田流星です・・・」

 

教壇で挨拶をする流星だったが、彼の頭は後悔で一杯だった。

 

彼が今、この場にいる理由―――

それは学校交流を目的とした特別交換編入生、その代打である。

 

 

 

 

「(天校の時とは違って数日間とはいえ・・・恨むぞ。白川君・・・!!それになんで3年じゃなくて1年の教室なんだ・・・!!)」

 

 

必死に表情を作りながらも流星は本来の編入生の事を思い出していた。

本来の生徒が体調を崩してしまい、交換編入として天校に行っていたことのある流星が数日間だけと聞いて安請け合いしてしまった。

 

だが、彼が行くことになった肝心の編入先は女子校でしかもお嬢様校と言うことを後から知った流星は頭を抱えることになった。

 

 

 

「(弦太朗も近くの学校に通ってるらしいから、学校が終わったら会いに行くか・・・)」

 

周囲の視線が刺さるが、彼はその視線から逃れるように窓の外へと視線を向けて物思いにふけっていた。

美形の男子が窓の外を見ている光景に周囲の生徒はその姿に見とれている――

 

「・・・朝のはいったい何だったんだろ?」

 

その中でましろだけはその姿に対して疑問に思っていたが、それが周囲に伝わることはなかった。

 

 

 

 

そうして周囲の視線に耐えながら1日の授業が終えた流星。

彼は周囲へと挨拶をしながらそこから抜けようとするが・・・

 

 

「あっ!!あれが噂の男子か~!!」

 

「らしいよ~」

 

「ちょっと2人とも!!」

 

「わわっ!?」

 

流星の目の前には金髪の生徒が数人の生徒を連れて目の前に立っており、その中には流星が今朝会った女子・倉田ましろの姿もあった。

 

「えぇっと・・・倉田さんと二葉さん・・・だよね・・・?そっちの2人は・・・?」

 

「あたし桐ヶ谷透子!!よろしく~!!」

 

「ごきげんよ~。広町七深で~す」

 

「よっ・・・よろしくね・・・」

 

お嬢様学校に似合わないようなテンションに押されてしまい、戸惑ってしまう流星を他所に目の前の彼女達は話を続けていく。

 

「ちょっと透子ちゃん!!朔田さん困ってるよ!!」

 

「大丈夫だって!!」

 

「いいよ。気にしないで・・・?」

 

「ほら!!ふーすけ。良いって言ってんだから気にすんなって!!」

 

「だけど、もっと月ノ森の生徒として・・・!!」

 

「ちょっと2人とも!?」

 

「つーちゃんもとーこちゃんも落ち着きなって~」

 

目の前では流星をそっちのけで盛り上がっているつくしと透子を宥める七深。

そんなやり取りを見せられた流星、一刻も早く学校から逃げ出したかった彼は取り繕った表情を浮かべる。

 

 

 

 

「それで・・・何か用かな・・・?」

 

「えっ~っと、この後ってちょっと時間ってあります?」

 

「急ぎのようじゃないなら今度でいいかな・・・?この後、生徒会の人に学校案内をしてもらうことになってるし・・・それが終わったら行きたい場所もあるんだけど・・・」

 

早く1人になって演じるのを辞めたかった流星は咄嗟に言い訳を言ってしまった。

しかし、その言い訳がいけなかった。

 

 

「その行きたい場所ってしろちゃんが教えたパン屋ですか~?」

 

「えっ?それもだけど・・・」

 

「なら一緒に行きましょ!!あたし達も行くんで!!折角ならあたし達も一緒に案内するんで!!」

 

「ちょっと!!やっぱり朔田さん困ってるよ!!」

 

「あなた達?こんなところで騒いで何をしているのかしら?」

 

流星の目の前で騒いでいるところに大人びた様子の生徒が姿を現した。

 

 

「あっ!!るいさん!!」

 

「二葉さん。これはどういう状況なのかしら?」

 

「それは・・・」

 

「案内する生徒会ってるいるいのことだったんだ~」

 

「ルイ!!学校の案内だけどあたし達も着いて行っていい?」

 

「なんであなた達がそれを知っているのかしら?」

 

「そんなの流星さんが言ってたから」

 

「あの~・・・誰ですか?」

 

「ごきげんよう。八潮瑠唯です。朔田さんの案内をさせていただく予定でしたが・・・。桐ケ谷さん、あなた達に任せるわ」

 

「えっ・・・!?」

 

流星の元に現れた瑠唯という生徒。

その生徒の言葉を聞いたましろは声に出して驚き、他のメンバーもその言葉に驚きを隠せずにいた。

 

「るいるい?流石にそれは・・・」

 

「るいさんの仕事なんじゃないの!?」

 

「えぇ。でも、私でもあなた達でも案内するのは一緒なのだから、それならあなた達に任せて他の仕事を終わらせる方が効率的だわ」

 

「でも・・・」

 

「るいさん!!任せといてよ!!」

 

「それじゃ・・・」

 

そう言い残して瑠唯はその場を後にするが、その姿を不思議そうに見つめる視線が2つ。

 

 

 

 

「・・・」

 

「ん~・・・?」

 

「シロ?ななみ?」

 

「2人ともどうかしたの?」

 

「ううん!!なんでもないよ・・・」

 

「ほら!!流星さんも待ってるし!!」

 

「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

こうして瑠唯に変わって透子主導の月ノ森学園内の紹介が始まり、一同は学園内を巡る。

 

「それでここが~・・・」

 

「他の生徒達にも人気のところなんですよ!!」

 

「へぇ~・・・」

 

「「・・・」」

 

しかし、そんな中でましろと七深は先ほどの瑠唯を考えていた。

 

 

「2人とも?どうかしたの・・・?」

 

「ちょっとるいさんの事が気になって・・・」

 

「シロちゃんもか~。広町的にも気になってたんだよね~。いつもと違うっていうか~」

 

「いつもと違う・・・?」

 

その言葉に反応をしたのは流星。

彼は普段の瑠唯は知らないが、人が豹変させるスイッチの存在を思い浮かべていた。

そんな流星を他所に彼女たちは瑠唯について話出す。

 

「そう?あたしはそうは思わなかったけど?気のせいだって!!」

 

「そうかな・・・」

 

「ん~そうなのかな~」

 

「そうだって!!」

 

「あの~流星さん・・・・?どうかしたんですか?」

 

「いや、八潮さんのちょっとだけ気になって・・・」

 

何気なく言った流星の言葉に一番に反応したのは透子。

しかし、その彼女の顔はニヤニヤとした笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

「ルイが気になるって、流星さんも男ですね~」

 

「透子ちゃん?どういうこと・・・」

 

「ふーすけは子供だからわかんないか~」

 

「・・・って透子ちゃんも同い年でしょ!!」

 

「ほら、ルイはあたし達のなかで一番デカいからね~」

 

「一番・・・?」

 

「大きい・・・?」

 

「何を言ってるの・・・?」

 

その言葉の意味が分からずに首を傾げるましろとつくし、そして流星。

しかし、唯一分かった七深はその言葉を何気なく口にした。

 

 

「あ~おっぱいですね~」

 

「「えっ!?」」

 

「なっ!?」

 

「とーこちゃん?違うみたいだよ?」

 

その答えを聞いた一同は驚愕の顔を浮かべる。

しかし、流星も驚いている様子を見た七深は透子の考えが違っていたことを指摘する。

その言葉に聞いてなんとかキャラを作って返事を返す。

 

「そうだよ!!”いつもと違う”って言ってたのが気になってただけで・・・!!僕の知ってる人も急に変わったことがあったから・・・」

 

「なんだ~。違うのか~」

 

 

 

流星の答えに残念がる様子を見せる透子。

答えが違ったことにちょっとだけ気落ちする透子に対して、つくしはそんな彼女に注意する。

 

 

 

「透子ちゃん!!ちゃんと流星さんに謝らないと!!」

 

「あ~その~・・・すいません・・・」

 

「気にしないで・・・」

 

「それじゃあ・・・学校もある程度案内したから、これからは流星さんが行こうとしてたパン屋行こ!!」

 

「えぇ・・・。でもいいのかな・・・?」

 

「うん・・・。いいよ・・・」

 

 

 

今の彼女の姿が天校で会った友達と姿と重なってしまい、何を言っても着いてきそうな雰囲気を感じてしまった流星は透子たちを別れることを諦めた。

 

そんな流星は4人と共に彼の目的地である”やまぶきベーカリー”へと向かう、その道中。

 

「へぇ・・・みんなはバンドやってるんだ・・・」

 

「はい・・・Molfonicaってバンドでルイと一緒に5人で・・・」

 

「そうなんだ・・・」

 

「あの~流星さん?表情暗いですけどどうしたんですか~?」

 

「前にバンド・・・音楽でちょっと大変な目に会ってね・・・」

 

「そうだったんですか・・・ってあれ?あれって・・・」

 

 

そう言う彼女たちの前に6人の人影が写る。

その中1つは流星が会いたがっていた1人、如月弦太朗の姿があった。

 

「香澄先輩に後は・・・誰?」

 

「すっごい不良だよ・・・!!助けないと・・・!!」

 

「つーちゃん大丈夫だよ~。あの人、前にモカ先輩達と一緒にファミレスに来たし~」

 

「へぇ~・・・。あたしもどっかで見たことあるんだよな~・・・」

 

彼女達が話をしていると、弦太朗も彼女達と一緒にいる流星を見つけると流星の元へと駆け出してくる。

 

 

 

徐々に近寄ってくる弦太朗の姿を見たましろとつくしは見た目の威圧感に2人で身を寄せ合って震え上がるが、そんな事を気にする様子もなく弦太朗は流星の肩を掴んで話しかける。

 

 

「よぉ流星!!お前こんなところでなにやってんだ?」

 

「やぁ・・・如月くん・・・」

 

「ん?何言ってんだよ!!なんで・・・」

 

弦太朗が流星が以前のようにキャラを作っていることについて聞き出そうとするが、彼の声は最後まで言い切ることはなかった。

 

 

 

 

 

「あ~~~~~!!思い出した!!紗夜さんの彼氏だ!!」

 

「なっ!?_」

 

「何言ってんだ?」

 

唐突に叫び出したの透子。

 

その言葉に驚きを隠せない流星と彼女が言っていることの意味が分からない弦太朗はそれぞれ言葉を発するが、彼らはその直後に寒気を覚えた。

 

 

 

 

「ねぇ透子・・・。それってどういうことかな?」

 

その発生源は弦太朗と一緒にいた沙綾。

彼女の目が全く笑っていない笑顔を見たましろ達はあまりの恐怖に震え上がるのだった。

 





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流星が最初に言った「白川くん」とは―――
弦太朗達が昴星に行った時に流星の彼女と勘違いされた女子生徒です。




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月・森・流・星-3 ましろを塗りつぶすもの

投稿です。

今回はさらっとしてます。
流星くん。何で前みたいな話してるのかは今回で・・・



「ねぇ透子・・・。それってどういうことかな?」

 

「え~っと・・・」

 

沙綾の一言で彼女達は恐怖に襲われ震え上がり、原因を作った透子も恐怖のあまりに言葉に詰まる。

それに流星も沙綾の圧を感じた直後に動き出す。

 

「如月くん・・・。ちょっと!!」

 

「おい!!流星!!」

 

流星は弦太朗の腕を引いて彼女達から離れて路地へと消える。

男子2人がその場から居なくなると沙綾は途端に透子へと詰め寄っていく。

 

「それで?なんで弦太朗が紗夜先輩の彼氏なの?」

 

「え~っと・・・。この間ですね・・・」

 

「沙綾ちょっと落ち着けって!!ましろ達めっちゃ怯えてるから!!」

 

「えぇっと・・・とりあえず落ち着いてから話して?」

 

「あっ・・・はい・・・」

 

沙綾の圧に押されていたモニカの面々だったが、有咲とりみの言葉を聞いて少しだけ落ち着けた透子はその理由を語る。

 

 

「え~っと・・・。この間、紗夜先輩のスマホを見たんですけど・・・」

 

「・・・それで?」

 

 

「それで・・・紗夜先輩のスマホの画面にRoseliaの集合写真が写ってて・・・。

そこで紗夜さんの横にいたのがあの・・・弦太朗・・・?って人だったんで・・・そうなのかと・・・」

 

「彼氏じゃないから」

 

「えっ?」

 

「弦太朗に彼女はいない。だから紗夜先輩の彼氏じゃない。いいね?」

 

「・・・はい」

 

沙綾の言葉を聞いた恐怖で表情を歪ませながらもその言葉を肯定する。

その途端、沙綾からの圧が収まったが彼女達は未だに恐怖で身体が固まっていた。

そんな中で、七深だけはすぐに元に戻ってそっと有咲の元へと近づいていく。

 

 

「あの~有咲先輩?なんで皆さんはスグに元に戻ってるんですか・・・?」

 

「七深ちゃん。あたし達はもう慣れた」

 

「え~・・・」

 

しかし、質問に対して有咲から返ってきた答えを聞いて七深は困り顔を浮かべていた。

そんな中に香澄の明るい声が響く。

 

 

「でも、なんでモニカのみんながゲンちゃん先輩のお友達と一緒にいたの?」

 

「なんか学校交流?で数日間だけ、うちの学校に来てるんですよ~」

 

「へぇ~、先輩と一緒だ~」

 

「本当は女子が来る予定だったのが、女子の方が来れなくなったから代わりってことらしくて・・・」

 

「あんな弱気そうな奴と如月ってなんか・・・」

 

「弦太朗くんは誰とでも友達になるから・・・」

 

「でも、朝に会った時は堂々としてたんですけど・・・」

 

「それはないって!!シロの気のせいだって!!」

 

彼女達は先ほどまでとは打って変って暗い様子も無く、明るい話をしていた。

その一方で、流星は弦太朗を連れて路地に入ると弦太朗を追いやってから、いつもの口調で流星が話し始める。

 

 

 

 

 

「弦太朗。お前いつの間に彼女なんて作ったんだ!?」

 

「彼女なんていねーって!!勘違いだ!!」

 

「そうか・・・。それは悪かったな・・・」

 

先ほどの透子の言葉はただの勘違いだと分かった流星は落ち着きを取り戻す。

それを見ると今度は弦太朗から流星へと質問が飛ぶ。

 

 

「そんなことより流星。お前なんでここにいるんだ?」

 

「弦太朗と一緒で交換編入で月ノ森っていう学校に数日間だけ通うことなったんだ」

 

「そうか!!でも、流星は天校に来たのに何でまたそんなことしてるんだ?」

 

「本当は白川君が来るはずだったんだが、彼女が体調を崩してしまってその代わりだ・・・」

 

「白川って、アリエスの時の・・・。まぁそれはいいけど、1番気になってんのは・・・なんで前みたいな話し方してるんだ?」

 

弦太朗にとって1番の疑問は、彼女達の前では流星がメテオであることを知る前の口調で話していたこと

が気になっていた。

 

その質問をした途端に流星の肩が震えだす。

 

「それが、今回の学校が女子校・・・それもお嬢様学校なのが友子ちゃんにバレて・・・」

 

「友子が?」

 

突然出たライダー部の仲間の名前。

最近、友子と流星の仲がいい感じであると言うジェイクからの話を思い出した弦太朗。

 

状況が分からない弦太朗へと流星は話を続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

「それで言われたんだ・・・。『女の子と何かあったら呪う』って・・・」

 

「それは・・・!!」

 

流星から告げられた言葉に弦太朗も慄く。

あの友子が不吉なオーラを纏って『呪う』と言われたら弦太朗だっていまだに慄く。

 

弦太朗も同じことを思い浮かべていると感じた流星は必死に肩を掴んだ。

 

「だから頼む!!数日だけでいいから!!話を合わせてくれ!!」

 

「・・・任せとけ。友子のあれは怖いもんな・・・」

 

「すまない・・・」

 

男二人の熱い約束を交わした2人。

しかし、そんな様子を―――

 

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「倉田さん・・・?」

 

戻ってこない2人を呼びに来たましろが見ていた。

彼女が見た光景は、

 

学校に来た男子が別の男子を壁際に追い込んで所謂壁ドン。

ましろには男が男に迫っているように見えていた。

 

そんな光景を見たましろは状況が呑み込めず目をグルグルと回す。

 

「いや!!あの!!私何も見てませんから~!!」

 

そしてその一言を残して去っていく。

 

 

 

「とりあえず、戻るか・・・」

 

「おう!!」

 

男2人は何事もなかったかのように彼女達の元へと戻る。

それを見つけた香澄は2人に手を振って声を挙げる。

 

「ゲンちゃん先輩!!皆でファミレス行くよ~!!」

 

「おう!!すぐ行く!!流星も来いよ!!」

 

「えっ・・・?でも・・・僕行きたいところが・・・」

 

「流星さん!!その店なんですけど、この沙綾さんがその店の娘で!!パンを分けてくれることになりました!!」

 

「そうなの・・・?なら・・・行こうかな?」

 

戻った流星は途端にキャラを作り、彼女達の提案に乗ると彼女達の後について彼らはファミレスへと移動すると、男2人のことについての話題で盛り上がる。

 

 

 

「えっ!?流星さんって月ノ森の前にも別の学校行ってたんですか!?」

 

「うん・・・。それが如月くんのところで・・・」

 

「確か天校って宇宙飛行士の試験してたって聞いたんですけど!!マジなんですか?」

 

「おう!!流星も一緒に受けたよな!!」

 

「僕は最初の試験で落ちちゃったけどね・・・」

 

「宇宙飛行士かぁ~」

 

「でも試験って難しそう・・・」

 

彼らが話していたのは天校で行われていた宇宙飛行士選抜試験の事を語っていた。

流星の試験の結果を聞いた一同は、一緒に受けた弦太朗の結果へと興味が移る。

 

「弦太朗くんはどこまでいったの?」

 

「1次試験は通ったぞ!!」

 

「先輩、バカそうなのに・・・」

 

「おたえ、信じられないのは分かるけどもっと優しく言ってやれ・・・」

 

「ちょっとふたりとも~。弦太朗がそう見えるのは分かるけど・・・」

 

「本当に如月くんは1次試験通ったんだよ・・・?」

 

「・・・」

 

「しろ?なんかさっきから変だよ?」

 

「気にしないで~!!」

 

驚きと疑惑の視線が集まる弦太朗へと流星からのフォローが入るが、彼女達は驚きが隠せていない。

そんな中でましろはさっきの光景が頭から離れずに挙動不審になっていた。

しかし、ましろのそんな様子が一瞬で吹き飛ぶ出来事が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

突如としてファミレスの窓ガラスが割れる。

 

「「きゃあああああああ!!」」

 

「何が起こってんの!?」

 

「ましろちゃん!!透子ちゃん!!そんなことより!!早く逃げないと!!」

 

「あの状態じゃ逃げられない」

 

つくしの言葉に流星は出入口を指差す。

そこには窓ガラスが割れるという突然の出来事とましろ達の悲鳴によってパニックになっているましろ達以外の他の客たちが競うように出口へと殺到している姿だった。

 

その光景に慌てているましろ達を他所に、ポピパの5人は怯えながらも弦太朗の後ろへと隠れる。

 

しかしこの状況に覚えがあったのはポピパの5人と男子たちの他に1人―――

 

 

 

 

 

 

「これってもしかして・・・」

 

「何!?ななみ!!何が起こってるのか分かるの!?」

 

その透子の叫びと同時に窓の外から”何か”が透子へと迫る。

 

「危ない!!」

 

突然の出来事に反応できなかった透子だったが、流星だけはそれに反応して透子を庇うように間に割り込む。

 

「流星!!」

 

「きゃ!!」

 

弦太朗の叫びと共にましろの視界が顔に飛んできた何かによって塞がる。

 

 

「はっ・・・?」

 

「いやぁああああああ!!」

 

視界の塞がったましろの耳にはつくしから悲鳴が飛び込んでくる。

顔に付いてる何かを拭ってから彼女はそれを確認する。

 

 

 

 

 

「赤い・・・水・・・?」

 

ましろがそれを目にすると同時に、それから熱と鉄の様な匂いと生暖かさを覚える。

状況が分からなくなっていた彼女はそれが飛んできた方向―――

 

流星と透子がいた方へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

そこに広がっていたのはましろの常識では理解できない光景。

窓の外から伸びた長い尻尾の様なものによって腹部を深々と突き刺されていた流星の姿だった。

 




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月・森・流・星-4 そして彼女は闇に消えた

投稿です。

もう勘のいい読者ニキは正体気が付いてると・・・
まぁ、特別編だからね・・・



腹部を貫かれた流星はその場に崩れ落ち、顔は次第に真っ青に染まっていく。

それを見た弦太朗は危機感を感じ、慌てた様子で流星の元へと駆け寄る。

 

 

 

 

「流星!!待ってろ!!すぐ抜いてやる!!」

 

「っ!!止めろ!!下手に抜いたら死ぬぞ!!」

 

弦太朗は流星の腹部へと手を伸ばすのを見た有咲は静止するが、それは弦太朗が触れるまでも無く流星の腹から抜けると窓の外へと消える。

 

それと入れ替わるようにして複数の人の様な影―――

ダスタード達が窓から乗り込んでくるが、弦太朗は変身する間もなく生身でダスタードへと応戦する。

 

「何がどうなってるの・・・?」

 

「マジでなんなの!?」

 

「犬の次は・・・忍者・・・?」

 

 

突如として流星の腹に穴が空き、弦太朗は今も数体のダスタードという彼女達にとっては得体のしれない相手に生身で渡り合っている。

 

そんな常識外の出来事を前に七深以外のモニカのメンバーは驚きを隠せずにいたが、弦太朗が生身で戦闘をしつつ懐から取り出したドライバーを見て疑問を浮かべる。

 

「ベルト・・・?」

 

「ましろ達と流星は頼んだぞ!!」

 

「うん!!」

 

「どういうこと・・・?」

 

 

弦太朗の言葉にポピパの面々が店の隅へとましろ達と流星と共に隠れるが、それを確認することも無く弦太朗はドライバーのスイッチを入れながら、迫るダスタードに対して蹴りや頭突きを入れる。

 

ドライバーの全てのスイッチを入れ終わった弦太朗。

それに構う事なく複数のダスタードが弦太朗に向かってくると同時にカウントダウンが響く。

 

 

3―――――――

 

向かってきたダスタードが振り下ろした刀を躱してから力の限り殴りつける。

 

2―――――――

 

殴った勢いのまま身体を回転させて回し蹴りで複数のダスタードを蹴り飛ばす。

 

1―――――――

 

最後のカウント共に迫っていたダスタードの肩を掴み、頭突きを見舞わせるとドライバーのレバーを掴む。

 

「変身!!」

 

その言葉と共にレバーを押し込んで弦太朗はフォーゼへと変身する。

それを平然と見ているポピパ達の横で今度は七深も含めたモニカの一同が驚きの声を挙げる

 

「えぇ~!?どうなってんのふーすけ!?」

 

「私にも分かんないよ!!」

 

「白くなった・・・?」

 

 

 

 

彼はそんな彼女達のことを気にすることも無く、フォーゼはいつものように両手を上に突き上げて叫ぶ。

 

 

 

「宇宙・・・・・・きた~~~~~~!!」

 

「きた~!!」

 

「きたー」

 

「香澄もおたえもマネしないでいいから!!」

 

「はぁ!?」

 

「宇宙・・・?宇宙服みたいだけど・・・?」

 

理解が追い付いていないモニカ達を他所にフォーゼは香澄達と共に叫ぶと拳をダスタードたちに向ける。

 

 

 

 

 

「仮面ライダーフォーゼ!!纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

その言葉と共にフォーゼはダスタードの群れに飛び込んでパンチやキックを次々とダスタード達へと叩きこんでいく。

その様子に呆気に取られていたモニカの面々だったが、我に帰った透子が声を挙げる。

 

「いや!!タイマンじゃなくね!?」

 

「あいつのあれは気にすんな・・・」

 

「あはは・・・。有咲ちゃん・・・」

 

堪らずツッコんでしまった透子に悟ったような視線を送る有咲にりみは苦笑いを浮かべる。

その横では七深がフォーゼの言葉を聞いて目を輝かせていた。

 

 

「すごい・・・。本物だ~・・・」

 

「ななみ!!知ってるの!?」

 

「人々の自由と平和を守る都市伝説のヒーロー達!!それが仮面ライダーだよ~!!あたし達は今、伝説に立ち会ってるんだよ~!!」

 

透子の問いに七深が興奮気味に答える。

その横では―――

 

 

「・・・見慣れたよね?」

 

「「「・・・」」」

 

たえの言葉に全員が言葉を失う。

 

彼女たちの前ではフォーゼがスイッチを使うことなく、ダスタード達を次々と倒して消滅させる。

 

「流星!!すぐに・・・っ!!・・・ってなんでお前が!!」

 

そして全てのダスタードを消滅させて、流星の元へと駆け寄ろうとするフォーゼだったが店の入り口から

感じた強い気配を感じて、視線を向けたとその正体に困惑する。

 

困惑するフォーゼの後ろでは同じように何かを感じとった香澄とましろが震えだす。

 

「なにあれ・・・嫌な感じがする・・・」

 

「寒気が・・・」

 

「香澄!?ましろちゃん!?」

 

その正体を見た2人を気にする余裕はフォーゼにはなかった。

 

 

 

 

 

「なんでここにサソリ野郎がいるんだよ!?」

 

今回、流星たちを襲ったのは12使徒の1人、スコーピオン・ゾディアーツが店の入口に佇んでいた。

それを見たフォーゼはスコーピオンへと駆け寄ろうとするが、スコーピオンの目の前に現れたダスタード達が間に割って入り、フォーゼは再び現れたダスタード達と戦闘を繰り広げるが、スコーピオンはそれを入口から静観していた。

 

――クローON―――――――――

 

フォーゼはスイッチを起動して右腕のクローを装備してダスタードへと立て続けに振るうが、スコーピオンに刺された流星のことで完全に冷静さを欠いたその攻撃は全て虚しく空を切る。

 

「このっ!!」

 

「弦太朗くん!!焦るのは分かるけど!!」

 

「心配すんなっ!!すぐに終わらせる!!」

 

りみが思わず声を挙げるが弦太朗はその声をろくに聞いている様子も無く、闇雲に腕を振るう。

 

しかし、そんな中で1体のダスタードがフォーゼの横をすり抜けて隠れていた香澄達の元へと迫る。

 

「しまった!!」

 

「嘘でしょ!?」

 

「こっち来てるよ!?」

 

「・・・っ!!」

 

ダスタードが迫る恐怖に身体が動かなくなる彼女達の前に顔を真っ青に染めた流星がふらつきながら立ち上がってダスタードの前に立ちふさがる。

 

「朔田さん!?そんな体で何を・・・!?」

 

「・・・」

 

しかし、ふらふらとしている流星につくしが叫ぶがダスタードは構わず流星の元へと迫り、その手に持っていた刀を振りおろす。

 

「危ない!!」

 

しかし、その刀を振り下ろす前にその腕を片手で押さえつけ―――

 

 

 

「ホアチャー!!」

 

「「は?」」

 

彼女達が見た彼から想像の出来ない声と共にダスタードの胸部へと拳を打ち付けてその体を吹き飛ばし、それと同時に力尽きて倒れこむ。

 

「流星!!」

 

――――フリーズON――――――――

 

流星のその姿を見たフォーゼは冷静さを取り戻して、フリーズを起動してダスタードに冷気を浴びせて怯んだ順に腕のクローで次々に斬りつけていく。

 

 

 

 

「これで・・・!!」

 

その言葉と共にフォーゼは最後に残ったダスタードの腹部にクローを突き立てると塵となって消えると、フォーゼはスコーピオンと対峙するが、スコーピオンはそんなフォーゼを見て余裕そうな態度で腕を抱える(・・・・・)

 

「えっ・・・?」

 

「ましろちゃん!?」

 

「しろちゃん・・・?」

 

「シロ!?しっかりしろって!!」

 

その姿にましろはとある人物の印象と重なって、顔が青ざめて横にいたつくしへともたれ掛かるように倒れこむ。ましろの耳に仲間の声が届くがそれを気にするまでの余裕はない。

考えたくもない事が頭に浮かび、思わずそれを口にしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「るいさん・・・?」

 

「はぁ!?何言ってんの!?人間があんなのになるわけないじゃん!!」

 

「でも、如月さんも変身してたから・・・もしかしたら・・・」

 

「だとしても!!あれがるいさんの訳がないよ!!」

 

「「「・・・」」」

 

ましろの言葉にモニカのメンバーが言い争う姿をポピパ達が見ていた。

モニカの子たちが知らないことだが、あれが人間であることを知っている彼女達は言葉が出ない。

 

そして、フォーゼとスコーピオンが無言で睨み合っていたが、それは突如として終わった。

 

「・・・」

 

「なっ!?」

 

 

「「・・・!!」」

 

スコーピオンは突然、自身のスイッチを取り出す。

その姿にフォーゼが驚いている間にスコーピオンはスイッチを切って人間の姿に変わる。

 

「嘘・・・」

 

「マジか・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく分かったわね・・・倉田さん」

 

そこにいたのは先ほどましろが口にした彼女達のバンドのメンバーである八潮瑠唯。

しかし、彼女の目に光は無い。

 

「誰だ?」

 

「モニカの・・・ましろちゃん達のバンドのメンバーだよ!!」

 

「なんでそんな奴が!!」

 

 

 

「私に構うのはいいけど、あの人そのままでいいのかしら・・・?毒で死ぬわよ?」

 

 

「流星・・・!!っ!!しまった・・・」

 

瑠唯の言葉に流されてフォーゼは視線を流星へと向けてしまう。

しかし、その一瞬の隙に彼女は姿を消してしまう。

 

「ゲンちゃん先輩!!流星さんが・・・!!」

 

「今はとにかく流星を・・・!!」

 

そう言ってフォーゼはメディカルのスイッチを起動しながら流星の元へと駆け寄るのだった。

 




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月・森・流・星-5 嵐が過ぎて、夜が更けて

投稿です。

でもかーなーり短い!!
そしてガルパ5周年おめでとう!!



 

「サソリの毒はこれで大丈夫だろ・・・」

 

「それにしても、刺されたにしては出血も少ないし・・・大丈夫ですかね~」

 

「まぁ、如月ので見たから大丈夫だろ・・・っていってもそれ以外にもダメージが大きいけどな・・・」

 

メディカルで精製した解毒薬を流星に飲ませた後、フォーゼはその場で変身を解除する。

弦太朗の背後には荒れた店内が先ほどまでの戦闘の状況を生々しく物語っていた。

それをあまり気にすることもなく有咲は店の端へと視線を向ける。

 

 

 

「なんかすっごい嫌な感じがした・・・」

 

「いやぁ・・・怖い・・・!!」

 

「2人ともしっかりして~!!」

 

 

 

 

 

「るいさん・・・なん・・・で・・・」

 

「ましろちゃん!!ちょっと!!起きて!!」

 

「シロ!!おい!!しっかりしろって!!」

 

 

スコーピオンを見て得体の知れない何かを感じた香澄と、以前に襲われた時の記憶がフラッシュバックした沙綾が店の片隅で震えている一方で、襲ってきた怪物の正体が瑠唯であることを知った精神的なダメージに耐え切れなくなりそのまま意識を失う。

 

そんな中でたえは弦太朗に問いかける。

 

「それでこの後はどうするの・・・?」

 

「まずは流星をなんとかしねぇと・・・!!わりぃけど有咲の蔵でいいか?」

 

「この際だから仕方ない・・・。モニカの皆も悪いけど・・・」

 

「わかりました~。でも有咲先輩、さっきの事とか話してくださいよ~」

 

「それは如月から聞いてくれ・・・。それじゃ行くぞ・・・」

 

有咲の言葉に従って彼女達は蔵に場所を移して、弦太朗は先ほどまでの出来事について説明する。

 

 

 

 

 

 

「ってわけだけだけど・・・」

 

「都市伝説の仮面ライダーがこんなに近くにいたなんて・・・」

 

弦太朗の話を聞いて目を輝かせながらも沈んだ表情をする七深を他所に、他2人は先ほどまでの光景―――

襲ってきた怪物の正体が瑠唯だったことがいまだに信じられずにいた。

 

 

「自分で見たけど・・・今でも信じられないよ・・・」

 

「でも!!ぜんっぜんわっかんねぇ!!なんでルイがあんなことをしたんだよ!!」

 

「私だってわかんないよ!!」

 

「それにルイのあれってめっちゃヤバイやつなんでしょ!?」

 

「ちょっと2人とも~落ち着きなよ~」

 

「ななみちゃん!!そんなこと言ってる場合じゃないよ!!」

 

「じゃあ、ふーすけはどうすんのさ!!」

 

 

 

 

 

 

「あ~!!もう!!落ち着けって!!ここで騒いでもどうにもなんねぇだろ!!」

 

「あたし!!ルイを探してきます!!」

 

「ちょっと!!透子ちゃん!?」

 

「あっ!!おい!!待て!!」

 

モニカのメンバー同士で言い争いが始まるが開始直後に有咲が割って入るも彼女達は落ち着くことはなく、透子はそのまま瑠唯を探すために蔵を飛び出すと蔵の中は静まり返る。

 

「・・・七深ちゃん達はどうする・・・?」

 

「私はるいさんと透子ちゃんが気になるけど・・・ななみちゃんは?」

 

「るいるい達は心配だけど、広町的にはこの後一旦休んでこの後どうするか考えたいかな~って」

 

不安を隠せないつくしの横では七深はいつも通りの調子で自身の考えを語る。

 

 

「乗りかかった船だし、あたし達に手伝いたいけど・・・」

 

「香澄も沙綾も大丈夫・・・?」

 

 

 

「うん・・・大丈夫だよ!!」

 

「私も少し落ち着けたから平気だよ」

 

 

たえの言葉に全員の視線が香澄と沙綾へと向けられるが、彼女達は先ほどまで恐怖で震えているような様子すらなくなっていた。

 

「でも2人とも・・・?無理したらダメだよ?」

 

「流石にあれの後だからな・・・その・・・沙綾達、泊ってけよ・・・」

 

「有咲?顔真っ赤だよ?」

 

「うるせー!!」

 

「それなら有咲、流星の事頼むわ。俺はもう帰るぞ・・・」

 

「おう。お疲れ」

 

「弦太朗くん。またね・・・」

 

「さよなら~」

 

 

「待って!!」

 

「香澄・・・?どうかしたのか?」

 

弦太朗は有咲やりみ達に見送られ蔵から外へと出ようとするが、香澄によって呼び止められる。

そしてその後には驚きの言葉が待っていた。

 

 

 

 

 

「折角ならゲンちゃん先輩もお泊りしよ!!」

 

「いいねぇー。面白そう」

 

「はぁ!?香澄!!沙綾!!お前達なぁ!!」

 

香澄の突拍子もない提案に沙綾が賛成するが、家主である有咲がそれに待ったをかける。

 

「俺は別に構わねぇ・・・いや、ちょっと家に連絡しねぇとな・・・」

 

「先輩の家に蘭が家出中なんだっけ・・・?」

 

「そろそろ帰るって言ってたけどな」

 

「・・・」

 

「ひぃ!?」

 

「へぇ~」

 

たえの発言を聞いた沙綾は途端に目から光が消えた姿につくしは小さな悲鳴を挙げ、その横では七深がニヤニヤとしていたが、そんなこと気にすることも無くおたえの爆弾投下は続く。

 

 

「それに有咲とりみは先輩が来たその日に一緒に寝たよね?」

 

「なっ!?おたえ!!それはただの寝落ちだろ!!」

 

「へぇ~」

 

「なっ///」

 

ポピパ達の会話を聞いてつくしが真っ赤に顔を染めるが、そんな彼女に流れ弾が飛んでくる。

 

 

 

「つくしちゃん達はどう?ましろちゃんもいるし・・・」

 

「確かにましろちゃんは心配だけど・・・その・・・」

 

「まぁまぁつーちゃん。リサ先輩も言ってたけど、弦太朗さんはヘタレらしいから~」

 

「じゃあいいよね?けってーい!!」

 

「おい勝手に決めんな!!」

 

「それならとーこちゃんにも連絡しておきますね~。でも家が厳しいから大丈夫かな~?」

 

つくしと家主の意見が通らないまま、急遽としてお泊り会が決定した。

その事を七深は透子の家の事情を考えたが面白そうなので彼女にこの事を連絡した後に、七深は手を挙げて弦太朗へと話しかける。

 

 

 

「それなら広町は弦太朗さんの仮面ライダーになった話とか聞きたいで~す」

 

「ん?いいぞ」

 

「私も前に聞いたけど他に何かないの?」

 

「それなら・・・」

 

そうして弦太朗のライダー語りが始まるが、既に同じ内容を聞いていた有咲とりみはその話を聞くことなく眠りに付く。

 

弦太朗の事や、それまでの体験を語っていたら朝になっていたことに気が付かずすぐに眠りに付いていた有咲とりみ以外は眠気に耐えながらも、そのまま学校へと向かう。

 

しかし、それまでに流星とましろが目を覚ますことは無かった。

 

 

 

 

 





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月・森・流・星-6 運命と決意のプレリュード


投稿です。

無課金でために貯めた100連分で見事に爆死した・・・
なので次回まで変身引き延ばす・・・




 

先日から気を失っていたましろは蔵の中で目覚めた。

 

 

「ん・・・どこ・・・?」

 

「おはよう、ましろちゃん。大丈夫・・・?」

 

「えっ!?朔田さん・・・!?あっ・・・」

 

 

目覚めてすぐに流星がいる、そしてその様子は昨日の朝に見たような雰囲気で話しかけてきたことに驚きを隠せないましろ。

 

しかし、彼女は先日の出来事を思い出す。

 

 

 

 

目の前にいる彼は先日、得ないの知れない何かに腹部を貫かれてもがき苦しんで―――

しかもその犯人は自分の友人で―――

 

 

その事を思い浮かべるとましろから暗い気持ちが湧いて言葉に詰まる。

しかも目の前にはそんな酷い目に会ったにも関わらず、こちらを心配するように話しかけてくれていることに驚きと申し訳なさを感じてしまっていたが、なんとかましろは声を絞りだす。

 

「あの・・・お腹・・・大丈夫ですか・・・?それに・・・苦しそうにしてたし・・・」

 

「そこまで深いケガじゃないから大丈夫だよ」

 

「そうなんですか・・・」

 

「でも、学校は・・・まずいかな・・・」

 

「学校・・・?」

 

流星の言葉の意味が分からなかったましろは自身のスマホで時間を確認する。

そこに写っていた時間にましろは目を疑った。

 

 

 

 

「嘘・・・日付が変わってる・・・」

 

「あんなことがあった後だから仕方ないよ」

 

「あんなことって・・・あっ・・・」

 

ましろはその事実を知って落ち込むが流星に慰められる。

自身の親以外に年上の男に慰められていることに彼女は恥ずかしさを覚えるが、彼女は流星の言葉を聞いて昨日の出来事を思い出すと同時にあの時の恐怖が蘇って震えだす。

 

 

 

「るいさん・・・どうして・・・なんで・・・!!」

 

「大丈夫・・・。八潮さんのことは俺たちに任せて」

 

「俺たち・・・?それって昨日の如月さんと朔田さんで・・・?」

 

「あぁ、天校で弦太朗達と一緒に何度もあいつらと闘ってたから」

 

「っ!?」

 

ましろの問いに対する流星の答えを聞いた彼女は驚愕の表情を浮かべる。

流星の言葉が信じられなかったましろだったが彼の真剣な顔を見てその言葉に嘘がないと察した。

 

 

 

 

「それに俺達・・・ってことは皆で闘ってたんですか・・・?」

 

「ううん。そんなことはないよ?闘うのは弦太朗と・・・」

 

「朔田さん・・・??もしかして怪我が・・・!?」

 

「あぁ・・・、ごめんね。怪我じゃないから心配しないで?」

 

彼は話の最中に何かを悩んでいるような表情を浮かべながら急に声が小さくなる。

それを見たましろは慌てた様子で流星を声を掛けるが、彼からの言葉を聞いて少しだけ落ち着けた。

しかし、落ち着いたましろはどんどんと表情が暗くなっていく。

 

「でも・・・そんなことしてて朔田さんは凄いですね・・・。私なんて何の取り柄も無いし・・・」

 

「別にそんなことは関係ないよ」

 

「えっ・・・?」

 

ましろの出たのは彼女らしい後ろ向きな言葉。

それに対して流星が返してきた言葉を聞いた彼女は驚きの声を挙げる。

 

「何か特技がある訳じゃないし・・・るいさんの事だってどうしてたらいいかなんてわかんないし・・・私なんて何にも出来ないですよ・・・」

 

「たとえ弱かったり何も知らなかったとしても、それは何もやらなくていい言い訳にはならないよ」

 

「・・・」

 

「だから、失敗しながらでいいから少しずつ自分の出来ることを増やせばいいんだよ。・・・歌だって練習して出来るようになったんでしょ?」

 

「・・・」

 

ましろは流星の言葉に思い悩むような表情を浮かべて何かを考え込むが、それはすぐに中断された。

 

突如としてましろのスマホが震える。

それに驚きながらもそれを手に取るとそこには七深からの着信。

 

 

 

 

「もしもし・・・」

 

『シロちゃん?流星さんもだけど・・・もう大丈夫?』

 

「うん。2人とも大丈夫だよ・・・?」

 

『ならよかったよ~。・・・ってそれはいいとしてシロちゃん達に言っておくことがあったんだ~』

 

「言っておくこと・・・?」

 

電話の目的は分からなかったが、ここで七深が衝撃的な言葉を放った。

 

 

『るいるいが見つかったよ~』

 

「ほんと・・・?」

 

『学校にいるらしいから弦太朗さんが来たら一緒に行くことになったんだ~』

 

「学校・・・?学校のどこ?」

 

『音楽祭で私達が演奏したステージのとこだよ~。シロちゃんは来るかは任せるから~。それじゃ~』

 

「ちょっと・・・七深ちゃん・・・?」

 

七深は伝えるべきことを伝えるとすぐに電話が切れる。

 

「ましろちゃん・・・?広町さんはなんだって?」

 

「るいさんが見つかったって・・・」

 

ましろの言葉を聞いた流星は立ち上がる。

それと同時に腹部からの痛みを感じてそれを抑え込むように手を当てると、そのまま蔵を出ようとする流星の姿にましろは驚きを隠せない。

 

「朔田さん!?なにしてるんですか!?」

 

「何って・・・。八潮さんを止めに行くんだよ・・・」

 

「そんな怪我で・・・無茶ですよ・・・」

 

「そうかもね・・・。でも、弦太朗にだけ無茶させるわけには行かない。友達だからね」

 

「友達・・・っ!!」

 

その言葉を聞いたましろは不安そうな表情なのは変わらないが、立ち上がると流星と同じように蔵を出ようとする。

 

「ましろちゃん・・・?」

 

「るいさんに何が出来るかは分かりませんけど・・・、ここから学校までの道案内くらいなら・・・。でも・・・」

 

「大丈夫。ましろちゃんや広町さん達のことはちゃんと守るから」

 

「お願いしますね・・・流星さん・・・」

 

ましろの言葉に笑みを浮かべる流星、それを見た彼女は少しだけ不安が薄れたような表情を浮かべる。

こうして彼らは瑠唯がいる学校へ向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

七深がましろに連絡してから少し時間が経った頃、弦太朗は七深達が待っている月ノ森へ向かうが周囲の視線が刺さる中で弦太朗は七深達と合流する。

 

 

「弦太朗さん。遅いじゃないですか~」

 

「わりぃな!!学校抜けれなくてな・・・!!でも、俺が学校に入っていいのか?」

 

「私達の機材運びのお手伝いということで許可は取ってますよ!!後はルイのとこ行ってガツンと言ってやりましょう!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!?それやったの私なんだけど!!」

 

「ふーすけ!!細かいことは気にすんなって!!ミクロンミクロン!!」

 

「シロちゃんにも連絡は入れてあるから、先にるいさんのとこにいきましょ~」

 

 

 

「ミクロン・・・?マカロンってお菓子の仲間か?」

 

「「「・・・」」」

 

そう言って彼女達は瑠唯がいる場所へと歩き出そうとするが、目の前で繰り広げられていた彼女達3人のやり取りを見ていた弦太朗のあまりにも間抜けな一言で彼女達の会話も歩みも止まってしまった。

 

 

 

少しだけ固まってしまった彼女達は我を取り戻すと瑠唯がいる音楽祭のステージへと向かう。

そこにはスイッチ片手にステージの上で1人佇んでいる瑠唯の姿があったがその目に光はない。

 

 

「ルイ!!」

 

「あら、桐ヶ谷さん・・・。それに皆も一緒なのね」

 

「るいるい?そこで何をしてるの・・・?」

 

「考えてたのよ・・・それで分かったのよ・・・。私にとってあなた達は必要ないわ」

 

瑠唯が放った言葉。

そこには全く感情が乗っておらず冷たい印象を受けるがそれを聞いて真っ先に声を挙げたのは透子だった。

 

「何言ってんだよルイ!!もうやめろよ!!」

 

「そうだよ!!るいさん!!」

 

「るいるい?それどこで手に入れたの?それにここにいる意味も分かんないな~」

 

 

 

 

 

「これはある人からもらったのよ・・・。ここにいたのはあなた達はやってくると思ったし、そこで全員消した方が効率的だと思ったからよ」

 

「何を言ってるの・・・?」

 

「それになんかルイルイの目が変だよ?正気じゃないみたい・・・」

 

「正気よ。これ以上、情に流されなくするためにあなた達には消えてもらうわ・・・」

 

その言葉と共に瑠唯は手に持っているスイッチを押してスコーピオン・ゾディアーツに姿を変えると同時に大量のダスタードを出すとその場で彼女達へ視線を送る。

 

 

 

 

 

 

「さよなら・・・」

 

スコーピオンの言葉と共にダスタードは彼女達の元へと詰め掛けるが、それを見た弦太朗は変身する間もなく生身で立ち向かっていく。

しかし、数が多すぎるダスタードを前に次第に弦太朗は押されていき、抵抗する彼の身体はボロボロになりながらもダスタードを打倒していく。

 

「無駄な足掻きね・・・」

 

「ダチを守るために体張ってんだ!!無駄じゃねぇ!!そんでお前ともダチになる!!」

 

「友情なんて、上を目指すためにはいらないわ・・・」

 

「友情に限界はねぇ!!」

 

「・・・」

 

弦太朗の叫びに言葉ではなく自身の尻尾による攻撃を返すスコーピオン。

しかし、それは間一髪で当たることはなかったがその拍子に弦太朗は床に転倒すると一斉にダスタードが飛び掛かる。

 

それに飛び込むように1つの影が迫る。

 

「アタァー!!」

 

 

 

 

 

「はっ・・・?」

 

「朔田さん!?なにあれ!?」

 

「みんな・・・!!」

 

「シロちゃん!!」

 

飛び込んできた影の正体は流星。

迫って来ていたダスタード目掛けて飛び蹴りを食らわせた後に、自身の拳を叩きこんでそのままダスタードを消滅させていく。

 

彼女達が知る流星とはかけ離れているその姿に七深達は唖然としている中で遅れてましろがその場へとやってくる。

 

「流星。お前もう大丈夫なのか」

 

「あぁ、待たせたな。弦太朗もだいぶやられてるな。立てるか?」

 

「あぁ!!それにしてもアリエスの時とは逆だな・・・」

 

「そうだな」

 

 

そう言うと流星は弦太朗に手を差し伸べてそれに捕まりながら弦太朗は立ち上がる。

それと同時に残っていたダスタードは再び2人へと襲い掛かるが喧嘩の様な荒々しい動きと拳法のように流れるような動きで次々と打倒していく。

 

その様子を気にすることも無くスコーピオンはましろへと声を掛ける。

 

「倉田さんも何も出来ないのによく来たわね・・・」

 

「そうかもだけど・・・でも、それは何もやらなくていい言い訳にはならない。って教えてもらったから・・・」

 

「でも、それだけでは無意味よ。今のあなたには何も出来ないわ」

 

 

 

「確かに何が出来るか分かんないけど・・・。また皆でバンドがしたい・・・。これだけは分かるから・・・この気持ちだけははっきり伝えたい・・・!!」

 

「しろちゃん・・・」

 

「シロ・・・!!」

 

「・・・うん!!」

 

彼女達は直接的な言葉を言わなかったが思っていることは同じ。

全員がスコーピオンに視線を送る。

それをほぼ同時にダスタードをすべて倒した弦太朗達はましろ達の元へと戻ると弦太朗が数歩前に出ると再び、スコーピオンはダスタードを再び出して視線を弦太朗に向ける。

 

 

「なら後は・・・!!」

 

「弦太朗、スコーピオンは俺にやらせてくれ」

 

 

 

「流星さん!?」

 

「何言ってるの!?」

 

「流石に無理だよ・・・」

 

「・・・」

 

流星は静かに弦太朗の横に並ぶ。

その光景につくしたちが驚きの言葉を口にする中で、ましろだけはその姿を静かに見守る。

 

「無駄よ・・・消えなさい・・・」

 

「それを決めるのはお前じゃない・・・」

 

スコーピオンが声に流星は静かにそして力強い言葉で言い返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の運命(さだめ)は俺が決める・・・」

 





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月・森・流・星-7 ダブルR/流星ロケット

投稿です。

次回がモニカ最終回。
今のところ2章の予定はない。

流星くんは・・・未定!!




 

「お前の運命(さだめ)は俺が決める・・・」

 

 

 

「ん~・・・?」

 

「流星さんも、ルイもどうなってんだよ!?」

 

「昨日と人が変わったみたい・・・」

 

先日までとはまるで別人のような流星の姿に困惑するモニカ達、しかしその中でましろだけは彼に真剣な眼差しを送っていた。

 

「よっし!!なら一緒にやるか!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

 

弦太朗が懐からフォーゼドライバーを取り出すと、流星も自身のドライバー・・・メテオドライバーを取り出すと同時に腰に装着する。

 

 

 

 

 

 

「何あれ・・・?」

 

「ベルト・・・かな・・・?」

 

「一緒に・・・?もしかして・・・!!」

 

つくしや透子の理解が追い付かない中、2人の言葉を聞こえた七深が呟く。

そんな彼女達を他所に弦太朗がドライバーのスイッチを入れる中、流星もまたドライバーのトリガーを引く。

 

 

―――メテオ レディ?―――

 

ドライバーが流星へと”準備はいいか?”と問いかける。

流星はその言葉を聞いて腕を大きく回して構え、その心を戦士の物へと切り替える。

 

そしてフォーゼドライバーのカウントダウンが終わり、流星は自身のドライバーからの問い掛けに答えるように覚悟の言葉を叫ぶ。

 

 

 

 

「「変身!!」」

 

 

その言葉に合わせて弦太朗はドライバーのレバーを押し込む横で流星もまた自身のドライバーのレバーを叩く。

 

そして2人が白い煙と青い光に包まれる。

 

 

 

 

 

「えっ!?朔田さん!?」

 

「いったいどうなってんの!?」

 

「おぉ~・・・・・・!!」

 

「綺麗・・・」

 

モニカのメンバーが思い思いの感想を口にする中青い光が弾け飛んで弦太朗を包んでいた煙ごと吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

煙と光が晴れて彼女達の前にいたのは白いフォーゼと水色の装甲を身に着けた黒い男の姿だった。

 

「宇宙・・・来たぁーー--!!」

 

「・・・」

 

「あなた・・・。一体・・・」

 

2人は視線を目の前にいるダスタードの群れへと向ける。

その群れの向こう側からスコーピオンが変身した流星へ向けて小さく呟いた。

 

 

 

「仮面ライダーメテオ。お前の運命(さだめ)は俺が決める・・・」

 

「流星!!あいつまでの道は作ってやる!!」

 

――ロケットON――――――――

 

「行くぜ!!」

 

フォーゼはロケットを起動すると同時に大群へと突撃して、ダスタードの群れを割りスコーピオンの眼前へと迫る。

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「よっと・・・!!」

 

スコーピオンの針がフォーゼへと迫る。

その針をフォーゼは余裕をもって回避すると同時に急旋回。

 

「行け!!流星!!」

 

「アタァ!!」

 

 

それと入れ替わるようにダスタードの群れの間を駆け抜けたメテオはその勢いのままにスコーピオンの胸部へと鋭く蹴り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で繰り広げられていた光景に私が目を奪われていた。

 

「アタァー!!」

 

荒々しく立ち向かっていた如月さんとは違って、流星さんが昨日の怪物たちを流れるような動きでどんどんと倒していく。

 

打倒される怪物たちの向こう側に怪物の姿をしたるいさんに恐怖を覚えるが、目の前で戦いが繰り広げられているのにも関わらず私とるいさんの目が合って声を掛けられる。

 

 

 

「倉田さんも何も出来ないのによく来たわね・・・」

 

るいさんの言葉が私に突き刺さる。

確かにるいさんのの言う通り、流星さん達のように闘ったりするようなことは出来ない私はここにいても何もできないかもしれない。

 

でも、さっき流星さんに言われた言葉を胸にるいさんに答える。

 

「そうかもだけど・・・でも、それは何もやらなくていい言い訳にはならない。って教えてもらったから・・・」

 

「でも、それだけでは無意味よ。今のあなたには何も出来ないわ」

 

「確かに何が出来るか分かんないけど・・・。また皆でバンドがしたい・・・。これだけは分かるから・・・この気持ちだけははっきり伝えたい・・・!!」

 

その言葉を聞いたるいさんは表情は見えないけど明らかに怒っているように感じたが、私は気持ちを正直にるいさんに伝え、呆然と目の前の2人に視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

呆然とした私の目の前で2人が白い煙と青い光に包まれる。

その神秘的な光景に私は―――

 

「綺麗・・・」

 

 

思わず呟くと私の目の前で青い光が弾け飛び、それに包まれていた流星さん達が目の前で変身した。

 

 

 

青い光が弾け飛ぶ―――

まるであの悪夢の続きの様な―――

 

 

そんなことを考えていたが皆の声に私の意識は現実へと引き戻された。

 

「やっぱり!!流星さんも仮面ライダーだったんだ・・・!!」

 

「メテオって・・・英語だよね・・・?」

 

「流星って意味だよ~!!」

 

「って自分の名前じゃん!?」

 

横でそんなやり取りをしていたら、白くなった如月さんの腕にロケットを付けると、怪物たちの群れを割るように飛んでいき、出来た割れ目を流星さんが走る。

 

るいさんが昨日流星さんへと突き刺した尻尾を如月さん目掛けて伸ばす。

しかし、如月さんは難なく交わすと飛ぶ向きを変えると入れ替わるように流星さんが飛び出す。

 

 

 

 

その2人の間には会話は無かったが、その間で何かが光る。

 

 

そして、流星さん達はるいさんを外へと追いやるとそのまま一緒に外へと飛び出す。

 

「・・・っ!!」

 

「ルイ!!どこ行くんだよ!!」

 

「るいさんたちを追わないと・・・」

 

「危ないよ!!」

 

私が2人を追って外へと出ようとするが、他のみんなに止められてしまう。

 

「大丈夫だよ~。流星さんも仮面ライダーなんだから~」

 

「でも・・・」

 

 

ななみちゃんの言葉を聞いた私は少し不安だった。

目の前の如月さんとは違って、流星さんとるいさんは変身してるとは言っても元は人間同士が争い合ってる。

 

そう考えると凄く怖くなる。

でも、あの2人の事はしっかりと見ないといけないって心の中で何かが訴えてきてる。

 

「ここは如月さんが倒したら連れてってもらお?」

 

「うん・・・」

 

つくしちゃんの言葉に頷くと目の前で繰り広げられている戦いへと目を向けると、先ほどまでボロボロにされていた如月さんは怪物の群れに立ち向かっていた。

 

 

「これだ!!」

 

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

 

「いっけぇー---!!」

 

如月さんの足からミサイルと弾が次々と放たれ、怪物たちに当たると爆炎と火花が盛大に噴き出して怪物は塵となって消えていく。

 

しかし、そんな中を数匹がくぐり抜けると、私達の方へと向かってくる。

 

「またこっちに来た!?」

 

「しゃがんでろ!!」

 

如月さんの言葉に従って私達は咄嗟にその場に屈む。

 

――マジックハンドON――――――――

 

 

 

 

機械の音声が流れたその後、何かが私達の頭の上を通り抜ける。

 

その正体は身体を捻って後ろにいるこちらを向いていた如月さんの右腕。

マジックハンドって言ってたけど・・・。多分それが私達の頭の上を通り抜けて怪物をそのまま吹き飛ばしたのだろう。

 

「如月さん!!」

 

「後ろ!!」

 

しかし如月さんの後ろ・・・いや、身体捻ってるから前・・・?からやってきていた怪物を見てつくしちゃん達が叫ぶが、如月さんはそのままベルトを弄る。

 

――――――――シールドON――

 

その言葉を共に左腕から盾が出てくると、それで攻撃を弾いてそのまま左腕の盾で殴りつけてから足の銃弾を浴びせるとそのまま塵になって消える。

 

 

 

その後も如月さんはその場から動くことは無く弾を撃ち続け、近寄ってきた相手には盾で殴りつけ、右腕に付いた腕で投げ飛ばす。

 

それがどのくらい続いたのかは分からないけど、そうしている間に目の前の怪物が全て塵になって消えると如月さんは腕や足についていた武器たちをすべて消すと私達へと歩み寄る。

 

 

 

「よっし!!流星のところへ行くぞ!!」

 

「ルイ!!待ってろよ!!」

 

「エスコートよろしくおねがいします~」

 

「・・・っ!!」

 

「ましろちゃん!?待って!!」

 

如月さんの言葉に皆が答えるが、私はいても立ってもいられなくなってしまって皆より先に流星さん達の元へと駆け出して行った。

 

 

 

 

 

でも、足が遅くてすぐに追いつかれてしまい少しだけ恥ずかしくなった―――

 





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月・森・流・星-8 悪夢の終わり。新たな始まり

投稿です。
これにてモニカ篇閉廷!!

もう君たち纏まっての出番は・・・
その点、別のところでも出てきそうなベースとドラム・可哀そうな弟子は出番あるかもね・・・


 

フォーゼ達は外に飛び出したメテオ達を追って外へと飛び出して、メテオ達が闘っている場所へと向かう。

 

そこで彼らが見たのは―――

 

 

「流星!!」

 

「嘘・・・」

 

「マジか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ・・・!!」

 

「無駄だったわね・・・」

 

スコーピオンから少し離れたに地面に膝を突いているメテオの姿だった。

スイッチャーである瑠唯自身の身体能力とスコーピオン・ゾディアーツの身体スペックが合わさり、負傷しているメテオを少しずつだが確実に追い詰めていた。

 

その姿を見てフォーゼがその戦いに割って入ろうと駆け出そうとするが、それを察してメテオが叫ぶ。

 

 

「弦太朗!!」

 

「流星!!」

 

「俺に任せてくれ・・・!!」

 

その言葉と共にメテオは立ち上がって再びスコーピオンと対峙する。

メテオの強い言葉から彼の想いを感じ取ったフォーゼがその場で足を止めた。

 

 

 

「・・・分かった」

 

「えっ!?如月さん!?どうして!?朔田さんが・・・!!」

 

「ふーすけの言う通り!!なんで行かないの!?」

 

フォーゼの足が止まった光景につくし達から驚きの声が挙がるが、フォーゼはそれに答えた。

 

「流星の奴が任せてくれって言ったんだ。なら俺はそれを信じるぜ!!」

 

「でも、何か作戦とかあるんですか~?」

 

「広町さんの言う通りよ。そんな状態で勝つための策も無く挑むなんて無意味よ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝つための策・・・?そんなものはない・・・」

 

外に飛び出した後に彼女達の目に最初に飛び込んできたのは片膝を突いていたメテオの姿。

彼がスコーピオンの言葉に対して返した答えを聞いた一同は目を丸くする。

 

「でも・・・まだ打つ手はある・・・!!」

 

「無駄よ・・・」

 

「ここからは第2ラウンドだ・・・!!」

 

「流星さん・・・」

 

 

 

 

 

 

「フォオオオオオ!!」

 

ましろの呟きをかき消すようにメテオは再び構えると声を挙げながらスコーピオンへ目掛けて走り出す。

それに合わせてスコーピオンが腕をメテオ目掛けて振るう。

 

「・・・っ!!」

 

「アタァ!!」

 

しかし、その腕はメテオに当たることは無く空を切る。

その代わりにメテオの拳がスコーピオンの腹部へと突き刺さり、そこからメテオの拳が連続でスコーピオンへと突き刺さる。

 

 

 

 

 

 

「フォォォオオオ・・・・・・アタァ!!」

 

「さっきよりも・・・鋭い・・・」

 

「まだまだ行くぞ!!」

 

メテオの拳にスコーピオンは驚愕の表情を浮かべて、一旦メテオから離れるがメテオは右腕の武器――メテオギャラクシーへと手を伸ばす。

 

 

―――ジュピター、レディ?―――

 

ギャラクシーのレバーを操作すると声が響くと左指でギャラクシーの指紋認証パネルをタップする。

 

―――OK!!ジュピター!!―――

 

その言葉と共に右手に木星を模ったエネルギーを纏うのと同時にメテオはスコーピオンへと駆け出す。

 

 

 

「何あれ・・・?木星・・・?」

 

「おおきいね~・・・」

 

「でも、朔田さんはあれでどうするの・・・?」

 

 

 

「アタァ!!」

 

「・・・っ!!」

 

メテオは右腕を振り、スコーピオンの頭部を的確に抉り、スコーピオンの身体は宙を舞う。

 

あまりの衝撃に驚きを隠せないがすぐに冷静さを取り戻してスコーピオンはサソリの尻尾の毒針をましろ達へ目掛けて飛ばすが、その間にフォーゼがすぐさま割り込んで尻尾を弾く。

 

 

「やらせねぇよ!!」

 

「弦太朗!!すまない!!」

 

その光景を前にメテオは再びギャラクシーのレバーを操作して認証パネルをタップする。

 

 

 

―――サターン、レディ?     OK!!サターン!!―――

 

 

 

右腕から木星が消えるとすぐに土星が現れるとそれを振り上げると回転した無数のリングが放たれて、スコーピオンの尻尾を細切れにしていく。

 

「これで自慢の尻尾は無くなったな・・・」

 

「でも、それがあなたが言ってた”打つ手”ってそれだけかしら?・・・だったら無駄な足掻きね・・・」

 

「なに・・・?」

 

メテオの攻撃を受けていたスコーピオンは間違いなくダメージを受けているが、メテオの攻撃について理解した彼女は淡々と話し始める。

 

「それ、右腕にしか出せないのでしょ?それなら右腕にさえ注意を払えばいいだけよ」

 

「それなら試してみればいい・・・!!」

 

そう言うとメテオはサターンのリングをスコーピオン本体へ向けて飛ばすが、彼女はそのリングに意識を集中するとそれを避けてからメテオ目掛けて駆け出す。

 

リングを放った後、メテオはベルトに添えていた手を冷静にギャラクシーへと手を伸ばしてレバーを手早く操作する。

 

 

―――マーズ、レディ?     OK!!マーズ!!―――

 

 

操作に合わせてメテオの右手には離れているましろ達にも感じられるほどの熱を放って燃え上る火星が現われる。

しかし、その熱も右腕の火星に触れていなければスコーピオンには大した問題ではなかった。

 

「流星さん・・・!!」

 

「アタァ!!」

 

「・・・そう来ると思ってたわ・・・」

 

メテオは突っ込んでくるスコーピオンにタイミングを合わせて右腕を突き出すが、彼女は身体を捻ってそれを回避すると火星を避けてメテオの右腕を掴み上げる。

 

「右腕は抑えたわ。これで・・・」

 

「ホアチャー!!」

 

メテオは捕まれた右腕を軸に自身の身体を持ち上げてスコーピオンの顔目掛けて蹴りを放つ。

 

 

 

 

こんな体勢の蹴り・・・力もろくに入ってないから避ける必要もない・・・。

 

 

 

 

スコーピオンは今までのメテオの攻撃から、右腕の攻撃以外はダメージが通らないとたかを括っていた。

 

しかし、その甘い考えが彼女の大きな間違えだった。

 

力の入っていない蹴りがスコーピオンの顔を捉えた。

しかし、スコーピオンは想定外の感覚に戸惑いを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・熱い!!」

 

メテオの放った蹴りからは本来感じるはずのない猛烈な炎の熱を感じて思わずメテオの右腕を離してしまった。

 

「フォォォオオオ!!」

 

そして、メテオはすぐさま体制を立て直してからスコーピオン目掛けて連続で蹴りかかる。

1発、2発と炎を帯びたメテオの蹴りがスコーピオンの横っ腹に連続で突き刺さる。

 

「ぐっ・・・!!」

 

「アタァ!!」

 

「あぁああああ!!」

 

そして完全に体勢を崩したタイミングで、メテオは右腕を再びスコーピオンの身体へと突き立てると、今度は完全にクリーンヒットして、スコーピオンに大きなダメージを食らいながら吹き飛ぶ。

 

その光景に、離れてみていた透子達も驚いていた。

 

「朔田さんがるいさんを!!」

 

「さっきまでやられてたのに!!どうなってんの!?」

 

 

 

 

 

「ベルトの形が違う・・・?」

 

「あれって・・・さっきの如月さんが落としてた・・・」

 

七深はメテオを見て違和感を感じていたが、ましろはその理由まで理解していた。

 

それは2人が変身してすぐにスコーピオンへと接近してから場所を入れ替わった際にフォーゼからスイッチを受け取っており、それをスコーピオンの意識がサターンのリングに集中していた時に起動を完了していたのだ。

 

 

 

 

しかし、そんなことをスコーピオンが理解しているわけも無く、戸惑いを隠せなかった。

 

「何が・・・!?」

 

「これが君が否定していた友情の力だ・・・!!」

 

 

そう言いながらメテオはスイッチを切りながらドライバーに装填されている”ファイヤースイッチ”を外して、別のスイッチを装填する。

 

―――エレキON!!レディ?―――

 

 

スイッチを交換したメテオの四肢からは電気が迸り、今度はメテオからスコーピオンへと駆け出す。

 

「避けても・・・電気が・・・!!」

 

「ホァァアア!!アタァー!!」

 

「ぁあああああぁあ!!」

 

メテオの拳と蹴りを放つ。

しかし、回避しててもそこから電気が流れ出してスコーピオンを襲い、そのダメージによってスコーピオンの動きが鈍りだしてふらついた。

 

 

これが勝機と感じたメテオは自らを奮い立たせ負傷している身体から残された力を絞り出す。

 

 

 

「八潮さん・・・これで決める・・・!!」

 

その言葉の後にメテオは自身のメテオスイッチを取り出してギャラクシーにセットする。

 

 

―――リミットブレイク!!―――

 

 

ギャラクシーから声と軽快な待機音が響く中で、スコーピオンが体勢と立て直そうとするが、それを見たメテオはパネルをタップする。

 

 

―――OK!!―――

 

 

ギャラクシーからの音声が響くとそのまま駆け出して自身の必殺技である連続パンチ―――スターライトシャワーをスコーピオンの身体へと叩きこむ。

 

「フォ!!フォ!!フォ!!フォォォォオオオオオ・・・・・・!!」

 

「ぐっ・・・!!あぁぁあああ!!」

 

それをまともに食らったスコーピオンの身体は宙へと浮かび上がるが、それに構わず拳を叩きこみ続ける。

 

「フォォォォオオオオオ・・・・・・!!ホアチャー!!」

 

そして最後の声と共に全力の拳を叩きこまれたスコーピオンは成す術なく宙高く舞い上がり、メテオはギャラクシーからスイッチを抜いてドライバーへと戻すと、スイッチを入れる。

 

 

―――メテオON!!レディ?―――

 

 

メテオドライバーから光が漏れて、日が落ちかけている周囲を照らす。

その光の中心でメテオがドライバーの中心の球体ユニットに自らの手で勢いよく回転させた。

 

 

―――メテオ!!リミットブレイク!!―――

 

 

ドライバーからの言葉と共に光は一層強くなり、その中心でメテオは構えると未だに宙を舞っているスコーピオン目掛けて飛び上がる。

 

そして光はメテオの足へと集まて飛び上がった勢いを乗せた必殺技――メテオストライクをスコーピオンへと放つ。

 

 

「フォォオオオ・・・・・・・!!アタァ!!」

 

掛け声を共にメテオの必殺キックがスコーピオンへと突き刺さり――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

スコーピオンは叫びもあげずにメテオを巻き込んで空中で爆散する。

その爆炎の中から生身の流星が瑠唯を抱えながら飛び出して地面へと着地すると瑠唯の手からスイッチが零れ落ち―――霧散した(・・・・)

 

 

 

「・・・流星さん!!るいさん!!」

 

「ルイ!!」

 

「っ!?ましろちゃん!!透子ちゃん!!」

 

「ほら、つーちゃんも行くよ~」

 

2人の姿を見たましろと透子が走り出し、その後につくし達とフォーゼもその後を追う。

流星は腕の中に意識を失っている瑠唯を抱えてましろ達の元へと歩み寄る。

 

「悪いけど、八潮さんの事を頼む」

 

「わかりました~。つーちゃん手伝って~」

 

「うんっ!!」

 

「ルイ!!お前・・・っ!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!?」

 

「おいっ!!」

 

「弦太朗さん!!離してくださいよ!!」

 

流星は抱えていた瑠唯を七深とつくしへと渡す。

しかし、自分たちを襲った上に流星を消そうとした瑠唯に対して怒りが込み上げてきてしまった透子は瑠唯へと手を伸ばす。

しかし、その腕は瑠唯に触れることも無くフォーゼに抑えられるがそれでも透子は自身の想いを爆発させた。

 

 

 

「ななみとか紗夜先輩とかからは話は聞いてます!!・・・でも!!ルイがやったことは許せないです!!」

 

「とーこちゃん・・・」

 

「それにルイが流星さんにやった事は許していいの!?」

 

「透子ちゃん・・・それは・・・!!」

 

「「・・・」」

 

透子の言葉にモニカの全員が言葉を詰まらせる。

正気ではなかったとは言え、瑠唯は変身して流星の腹を抉った上にそこから毒を流し込んだのだ。

 

今回は運良く助かったが、普通に考えたら確実に命が奪われる行動を瑠唯はしたのだ。

 

 

 

「桐ヶ谷さん。いいんだよ。俺は八潮さんを許してるから」

 

「・・・流星さん!?」

 

「ちょっと!!流星さん!?殺されかけたんですよ!!」

 

「殺されかけたのに許すのは・・・」

 

「流石に普通じゃないかな~・・・」

 

透子の怒りが収まらない中、流星が透子へと向けた言葉に一同は驚きを隠せなかった。

 

 

普通なら透子のように怒り狂ってもおかしくないのに、殺されかけた本人が殺そうとした相手を許すと言ったのだ。

 

それに対して流星は言葉を続けた。

 

「彼女は俺とは違って人に手をかけてないし、俺以外の誰も傷けてない・・・」

 

「そうかもしれないですけど・・・」

 

 

 

「それに、手を掛けた本人から許してもらった俺が許さないなんて虫がよすぎるからな・・・」

 

 

「はぁ!?」

 

「えっ・・・?」

 

「手を掛けたって・・・!?」

 

「嘘でしょ・・・!!」

 

彼は「友人を手にかけた」と言った言葉にましろ達が驚愕する。

想像もしていなかった言葉に彼女達は言葉を失うが、その言葉に疑問を持ったものが1人―――

 

 

「あれ?」

 

「七深ちゃん・・・?どうしたの・・・?」

 

「つーちゃん。だっておかしくない?手にかけた本人に許してもらうって~・・・。もしかしてそれって・・・」

 

「俺の事だな」

 

「なるほど~」

 

「そんなこと言われたら、私が許さない訳には行かないじゃん・・・」

 

2人の言葉を聞いた透子の腕から力が抜けるのを感じたフォーゼは透子の腕を離して変身を解除する。

 

そのまま彼女達は意識がない瑠唯を連れて学校から離れると「今後の事を考える」と言い残して仮面ライダー達と別れ、彼らはその小さくなる背中を見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

スコーピオンを倒してから数日後、交換編入の期限を終えた流星は弦太朗と共に月ノ森の校門前に立っていた。

 

「そう言えば流星。なんであの時スコーピオンスイッチは消えちまったんだ?」

 

「コピー品で本来のホロスコープススイッチよりも強度もスペックも低い。だからメテオのリミットブレイクでも破壊できた。―――と言うのが話を聞いた歌星の推測だが・・・」

 

「賢吾が言うなら間違いねぇだろ」

 

「それに今は無い物について考えても本当の事が分かることもないからな」

 

「・・・そうだな」

 

2人の会話はそこで止まり、月ノ森の敷地内へと目を向けると5人(・・)の人影がこちらへと歩み寄っていた。

 

「流星さん・・・」

 

「みんな。それに八潮さんも久しぶり・・・?でいいのかな」

 

「えぇ・・・。その節ではお世話になりました・・・」

 

「気にしないで。でも、5人で一緒にいるってことは・・・」

 

「はい!!朔田さんの考え通りで、また5人でやっていくことになりました!!」

 

「そっか・・・」

 

5人が一緒になって現われたことから流星は5人の関係が修復できたことを察したが、改めてつくしの口からはっきりと伝えられた。

 

その事に少しだけ流星の表情が緩む。

 

 

 

「それで近いうちにライブやる予定なんですけど!!その時は流星さんの分のチケット抑えとくんで!!」

 

「弦太朗さんの分も用意しますからね~」

 

「さんきゅー!!」

 

「その時は必ず見に行かせてもらうよ。もし良かったら今度はこっちにも遊びにおいで?」

 

「まぁ、機会があったらってことで~」

 

「・・・」

 

その言葉を聞いて瑠唯は彼女の中に残っている罪悪感によって少しだけ視線を落としたのを流星は見逃さなかった。

 

「勿論。八潮さんも一緒にね?」

 

「・・・」

 

 

 

 

「それじゃ、俺もう行くから。弦太朗も今日は天校まで行くんだろ?」

 

「そうだった!!それじゃまたな!!」

 

「またね」

 

そう言うと2人は月ノ森から歩き出す背中を見送るが、1人の少女が少しだけ2人との距離を詰めて、離れて行く背中に声を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朔田さん・・・」

 

「八潮さん?どうかしたの?」

 

「いえ・・・。今度そちらに伺いますね。それと・・・私の事は『瑠唯』でいいですよ」

 

その言葉を聞いた流星は少しだけ驚いたような表情を浮かべた後に笑みを浮かべながら彼女に言葉を掛ける。

 

「そっか・・・またね。瑠唯ちゃん」

 

「えぇ・・・さようなら・・・流星さん」

 

そう言うと流星は再び弦太朗と共に歩き出すその背中を瑠唯は見ていたが、思わぬ瑠唯の行動に他のメンバーは驚きを隠せずにいた。

 

「ルイの奴・・・マジか・・・!?」

 

「これは・・・シロちゃん!!ピンチだよ!!」

 

「えっ・・・?どういうこと・・・?」

 

「だってましろちゃん。流星さんの事好きでしょ?」

 

 

 

つくしからの言葉を聞いてましろは頭に疑問符を浮かべながらも答える。

 

「そんなんじゃないよ・・・?ただ、あんな風に自分に自信が持てたらなぁ・・・って思ってはいるけど・・・」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ」

 

「「・・・」」

 

そんな光景を見ていた七深と透子はニヤニヤとした笑みを浮かべながらこの光景を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流星、なんか携帯なってんぞ?」

 

「すまない・・・。っ!!」

 

「流星・・・?」

 

「これ見てくれ・・・」

 

「友子から?『次はない・・・』ってあいつどこで見てんだよ・・・」

 

モニカから見えない位置まで歩いていた2人は突然来た友子からのメッセージに震え上がっている情けない姿を見られることはなかった。

 




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次章はアイドル篇~Busido-~をお送りいたします


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オマケ時空篇6-地・獄・合・宿
特・別・訓・練-2 合宿に行こう!!~地獄のシェイプアップ・導入篇~


小ネタ投稿
合宿です。

今回はサクッと導入を・・・
やっぱりRoseliaにも被害者は欲しいよなぁ・・・


とある休日前の羽沢珈琲店。

地域でも人気の店には今日も看板少女であるつぐみ、新人バイトのつくしが今日も甲斐甲斐しく働いていた。

 

そんな店内では朝の開店早々に友希那と紗夜、そしてリサの3人が重々しい空気を放っていた。

しかも今回は紗夜と友希那の2人がリサに向かい合って座っており、リサが申し訳なさそうに2人の前に座っているという異常事態が発生していた。

 

「リサ。あなたどういうつもり?」

 

「湊さんの言う通りです。バンドリの予選もありますし、FWFの練習もあるんですよ?」

 

「うん・・・。それは分かっているんだけど・・・」

 

「ならどうして・・・?」

 

「すっごく言いにくいんだけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタジオ借りるためのお金が無くなりそうです・・・」

 

リサは申し訳なさそうに自身の現状を伝える。

その言葉を聞いた2人は呆れたような視線をリサに向けながら思ったことをそのまま口にする。

 

「シンプル過ぎる理由ですね・・・。もっと複雑な事情だと思っていました・・・」

 

「リサ・・・。あなた何をやってるの?そんなに無駄遣いばっかりしてたの・・・?」

 

「散財の原因の一部は友希那の食費だよ!!」

 

 

リサは友希那の一言に即座に友希那の後ろに回り込むと拳を友希那のこめかみにグリグリと押し当てる。

 

そんな様子に紗夜は呆れながらため息をつきながら話を続けていく。

 

「・・・痛いわね」

 

「はぁ・・・、それで今井さん他の理由も聞いておきましょう・・・。流石に湊さんの食費だけでそんなことにならないでしょう?」

 

「ほら・・・。最近の事件のせいで制服がダメになっちゃって・・・。しかもそれが複数回あったから・・・」

 

「・・・そうですか」

 

リサの金欠の紗夜の暴走が原因を一端を担っていたという事実に苦々しい表情を浮かべる紗夜。

 

 

 

 

 

「それでしたら・・・今井さんの分は私がお金を・・・。」

 

「ダメだよ紗夜!!お金の問題はデリケートなんだから!!それにさ、そんなことが原因でRoseliaの仲をギクシャクさせたくないし・・・」

 

「でしたら宇田川さんや白金さんにも話すべきでしょう」

 

「それはそうなんだけど・・・。燐子は自費でアタシ達の衣装作ってるでしょ?あこにはこういう話したくないって言うか・・・」

 

紗夜の言葉にリサの言葉は尻すぼみに小さくなっていく。

 

 

 

「でもリサ、これからどうするの?・・・後、そろそろ頭離してくれないかしら・・・」

 

「それは大丈夫!!美咲が短期でいいバイト紹介してくれたからさ~」

 

「奥沢さんがバイトを・・・?」

 

「なんでも合宿での料理できる人が足りてないらしいからそのお手伝いだってさ~。料理ならアタシ得意だし!!」

 

彼女達の重くなった空気の中、空気に呑まれてぎこちない様子のつくしが注文を持ってくる。

 

「お待たせしました。こちら珈琲になりますっ・・・!!」

 

「二葉さん。ありがとうございます」

 

「そう言えば合宿って言ってましたけど?Roseliaの皆さんで合宿されるんですか?」

 

「ううん。なんでもこころのところの黒服さん・・・?の合宿らしいんだよね~」

 

「そういえばイヴ先輩も前にその合宿に参加したって言ってたような・・・?」

 

「らしいね~。それにモカとかヒナもやってたらしいしね~」

 

「日菜が?そういえば連日で外泊してきて帰ってきたら疲れ切ってた時がありましたね・・・」

 

「・・・あの日菜がそんなことになるって相当ね・・・」

 

「なんかすごそうですね・・・。私もちょっと気にな・・・」

 

 

 

その言葉と共に店のドアが開く。

外からモカと蘭の2人はつくしの言葉によって顔を青く染めてつくしに駆け寄り、店の中にいたつぐみも店の中からつくしへと詰め寄った。

 

「つくしちゃん!!あれは気にしたらダメだよ!!」

 

「あれは人間のやるもんじゃないよ・・・」

 

「あそこには地獄しか待ってないよ。つーちゃん・・・。行ったら生きて帰れる保証はないよ~」

 

「えっ!?どういうことですか!?」

 

蘭達の言葉に目を丸くしてオロオロとしているつくしの姿にリサはプルプルと震えながら友希那達へと視線を向ける。

 

 

「あの~友希那も「行かないわ」・・・最後まで言わせてよ・・・」

 

「・・・今井さん、頑張って働いてきてくださいね。私達もスタジオのレンタル代の件は出来ることはしますので」

 

「紗夜まで!?」

 

リサも話を聞いて顔が真っ青に染まっていく。

自分は触れてはいけない何かに触れてしまったと強く後悔しようとしたがそんな時間も無く店の扉が勢いよく開かれた。

 

 

 

 

 

そこにはビチビチと跳ねる何かを担いだ巴が立っていた。

 

「リサさん居ますか?バイトのお迎えですよ!!」

 

「巴!?その肩に担いでるの何!?」

 

「ひまりですよ。前にモカがダイエットさせるって言ってたので今回の合宿に連れて行くんですよ」

 

「しかも、口塞いでるからとんでもないことになってますよ!?」

 

「む~!!」

 

巴の言動に驚きを隠せないリサとつくしに平然と答える巴の言葉に反応して担がれたひまりが跳ねるが巴は何事もなかったかのように話を続ける。

 

「ひまり!?」

 

「おっ!?蘭もモカもいるのか!!」

 

「ひーちゃん大丈夫~?」

 

そう言いながらモカはひまりの口を開放すると涙声で喚く。

 

「モカ~!!」

 

「まぁ、この間の件もあるからね~。いい機会だよ~」

 

「なら!!モカも一緒だよ!!最初に言いだしたのはモカなんだし!!黒服さーん!!モカも参加でー!!」

 

ひまりの言葉を聞いてどこからともなく黒服がモカを確保する。

突然の出来事に固まる一同を他所に捕まったモカが蘭へと視線を送る。

 

「蘭~。一緒に・・・」

 

「ごめん。弦太朗の家にいた分の華道の稽古があるから・・・」

 

「うらぎりもの~」

 

目の前の光景に戦々恐々とするリサたちだったが、彼女達の思考を壊す出来事が立て続けに発生する。

 

「あ~。みんな揃ってたんだ・・・」

 

「美咲ちんやっほー」

 

「奥沢さん・・・?どうしてそうなってるの・・・?」

 

「逃げようとしたら捕まりました・・・。あのもう逃げないんで降ろしてください・・・」

 

そこに現れたのは黒服に米俵のごとく担がれていた美咲がいた。

彼女は合宿から逃げ出そうとしたが見事に捕獲されて羽沢珈琲店に連行された彼女は黒服から解放されたが、美咲は逃げることを諦めていた。

 

「後はイヴだけだな!!」

 

「今回は何やらされるんだろ・・・」

 

「あのチソ訓練程度ならモカちゃんでも・・・」

 

生き生きとする巴の言葉に美咲とモカの目が死んでいく。

その光景にリサは壮絶な合宿であることを確信した。

自分はバイトと思い浮かべてなんとか自分を保っていたがこの後すぐに目に飛び込んできた光景にリサの思考は完全に停止した。

 

 

 

「皆さん!!お待たせしました!!」

 

「イヴ!!遅かったな」

 

「すいません!!お2人のところに行ってたら遅れてしまいました!!」

 

「若宮さん・・・2人って?」

 

「うぇええええ!!なんでぇ~!!」

 

「お”ね”~ち”ゃ”~~~~ん”!!」

 

「丸山さん!?それに日菜!?どうして2人が!?」

 

イヴが黒服と捕獲―――もとい連れてきたのは彩と日菜。

その2人が黒服さんによって抱えられている光景に紗夜は目を見開いて驚いていた。

 

 

「アヤさんは最近、「衣装がキツくなった」とマヤさんが言ってるのを聞いたらしいので連れてきました!!

ヒナさんは「今回の合宿には日菜ちゃんも連れて行って。1回も2回も行くことには変わらないわ。スケジュールは合宿の後にギチギチに詰め込んでおくわ。」とチサトさんがおっしゃっていましたので!!」

 

「ですが・・・本人の意思は・・・?」

 

「サヨさん。これチサトさんからこの封筒を渡すようにと・・・」

 

 

 

 

 

 

紗夜は千聖からの封筒を受け取って中身を確認すると、目の色を変えて満面の笑みを浮かべながら黒服たちへと頭を下げた。

 

「ご迷惑をおかけすると思いますが、日菜の事はよろしくお願いします」

 

「うらぎりもの~!!」

 

「じゃあ全員揃ったし。行きましょうか!!」

 

「リサ先輩も行きますよ・・・」

 

巴の号令によって合宿の参加者―――もとい被害者たちが自分の足で、黒服に担がれて店を後にする。

 

「湊さん。そしたら私はこれで・・・。スタジオのレンタル代については私も出来ることはしますので・・・」

 

「えぇ・・・。私も考えておくわ・・・」

 

こうして満面の笑みを浮かべている紗夜と無表情な友希那も店を後にして、店内には何とも言えない顔をしたつぐみ達だけが店内に残された。

 

 

「つぐみ先輩・・・今封筒の中身って・・・」

 

「ファーストフード店のポテトの無料券だったよね・・・」

 

「みんな生きて帰ってくれればいいね・・・」

 

「お2人とも何を言ってるんですか!?」

 

前回の合宿を体験している蘭と話だけを聞いて凄惨さを知っているつぐみはそうして遠い目をしながら出て行った彼女達の身を案じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前のはすっげぇキツかったけど・・・どんなことやるんだろうな!!」

 

「前回は大変でしたけど・・・今回は楽しみですね!!」

 

羽沢珈琲店から連れてこられた一同は弦巻家所有のマイクロバスに揺られている中では巴とイヴが今回の合宿の内容について楽しそうに話合っていた。

 

 

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

一方で強制連行されたメンバー達―――

その中でも、前回の合宿を途中参加した日菜とモカの目は死んでいた。

 

「どうして2人は元気なの・・・」

 

「モカちゃん・・・前回の合宿で3人とも壊れちゃったんだよ・・・

そうだ・・・お手紙書かないと・・・

『おねーちゃんへ・・・これが私からの最初で最後のお手紙になると思います・・・、今まで迷惑かけてごめんなさい・・・・』」

 

「あたしも蘭に書かないと~・・・」

 

そう言って2人はどこからか紙を取り出すと大切な人たちへと手紙を書き始める光景に初参加のひまりは恐怖に震える。

 

「何が待ってるの・・・」

 

「ガタガタガタガタ・・・」

 

「上原さん大丈夫。黒服さん達が居るから助けが間に合えば死ぬことはないんじゃないかな?

それと彩先輩?怖くて震えるのは分かりますけど、擬音が声に出てますよ?」

 

「みんなはいったい何をさせられるの!?それに何で美咲は平気なの?」

 

「リサ先輩。私はもう諦めたんですよ・・・。リサ先輩は調理補助のバイトだから安全ですよ・・・多分・・・」

 

「そうだよね・・・。みんなのご飯作るの頑張るからね!!そういえば・・・向こうで楽器が用意されてるらしくて、時間があったら使っていいって言ってたよ?」

 

未体験の恐怖に震える彩たちと虚空を見つめる美咲を励ますリサ。

そんな彼女が黒服から聞いた内容を聞いた彼女達の顔がみるみる明るくなっていくが、それも長くは続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如としてバス止まると、運転席にいた黒服がリサを含めた全員をバスから降ろすとあることが告げられる。

 

「皆さん、目的地まで後30kmです。これから合宿を始めます」

 

「そうなんですか?でもなんでここで止めるんですか?」

 

「あの~もしかしてここから歩くんですか?」

 

「結構時間かかるけど、歩くだけなら前より楽だよ!!彩ちゃん!!」

 

「ですね~」

 

全員がちょっとだけ安堵した。

30kmも歩くのは大変だけど荷物もないならなんとかなるだろう―――

しかし、そんな甘い考えはすぐにぶち壊される。

 

「今から30kmですが・・・バスを押して移動します」

 

「「えぇ!?」」

 

「るんっ♪ってしないよ・・・」

 

「いやー期待が裏切られたよ・・・」

 

突然の宣告にモカ達の顔には絶望が浮かぶが、巴達は何事も無さそうに平然としていた。

 

「最初はこんなもんだろ?」

 

「平地押すだけなら大丈夫でしょ・・・」

 

「以前に比べたら大したことありません!!ブシドーです!!」

 

「ちなみに少ししたら山に入ります。というよりも最初1km以外は全部山道ですので・・・バスのハンドル操作は気にしないで結構ですよ?」

 

「「「・・・」」」

 

 

「あの~それでなんでアタシは外に出されたんでしょうか・・・?」

 

黒服の言葉に巴達も固まってしまう。

そしてただ1人バイトであるはずのリサが外に出された理由が分からなかった。

 

「今井様もこれから働いてもらいますので・・・」

 

「それって巴達と一緒にバスを!?」

 

「いえ・・・」

 

黒服からの否定の言葉に安堵するリサだったが、一瞬にしてその顔は絶望に染まった。

 

「野菜の下処理をお願いします。バスの中で出来るだけ多くお願いします」

 

「はい。でも・・・その野菜ってどこにあるんですか・・・?」

 

「運転席以外の座席は取り払って代わりに野菜を積んであります。やり方は中に指示がありますので出来る範囲でお願いします」

 

「・・・・・・はい」

 

「それでは、始めましょう。到着が遅いと今日の夕食は中の生野菜だけになりますので頑張ってくださいね」

 

そう言い残して黒服はリサを連れてバスの中へと戻っていった。

 

「よっしゃやるぞぉおおお!!」

 

「ブシドー!!」

 

巴とイヴの掛け声と共の彼女達の地獄が始まった。

 

 




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今回の被害者一覧(参加理由
・メイン3人巴・イヴ・美咲(強制-美咲以外はノリノリ
・ひまり(ダイエットのため
・モカ(ひまりの巻き添え
・彩(麻弥による密告による強制ダイエット
・日菜(千聖による前回の報復
・リサ(美咲に巻き込まれて


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特・別・訓・練-3 合宿に行こう!!~地獄のシェイプアップ・人類卒業篇~

小ネタ投稿
合宿です。

今回は誰が人類やめてしまったんでしょうか・・・



「死ぬ~死んじゃうよ~モカ~!!」

 

「ふえぇ~!!日菜ちゃーん!!」

 

地獄の合宿が開始され、初参加の2人はキャラ崩壊しながらその場でオロオロしてから一緒に強制参加させられた2人へ視線を送るが―――

 

「「・・・・・・」」

 

彼女達の目は死んでおり、言葉に耳を貸すことはなかった。

 

「ほら、早く行きますよ~・・・」

 

「リサさんの飯が待ってるからな!!」

 

「ブシドー!!」

 

そんな彼女達を他所に美咲たちは”3人”でバスを押し始める。

 

「前見えないからちょっと怖いですね・・・」

 

「これならヒモで引っ張ったほうが楽だな・・・」

 

「まだ平地だからね。山はきつそうだなー」

 

「「「「・・・・」」」」

 

「お~い!!いくぞ~!!」

 

目の前で繰り広げられている光景にモカ達は言葉を失ってしまったが、巴の言葉に我を取り戻すも全く戦力になることは無くそのまま移動を続け、約半日を掛けてバスを押して合宿所まで到着した一同。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩たちは着いて早々に地面に倒れ、巴達も疲労が隠せずにいた。

 

「それにしてもきつかったなー!!」

 

「まぁ・・・ほぼ最初から3人だけだったし・・・」

 

「そういえばリサさんはどうなっているんでしょう?ずっとバスの中ですけど・・・」

 

「途中すげー悲鳴聞こえたもんな・・・」

 

「噂をすれば出てきた・・・あれ・・・?」

 

美咲はバスの中から降りてきたリサと黒服を見るが様子がおかしい。

リサがバスから降りてきたがその足取りは非常に軽やかだったが、その後に続いて降りてきた黒服がカタカタと震えていた。

 

「みんな~。おつかれ~!!って彩たちは死にそうになってるね~☆」

 

「どうしたんですか・・・?リサ先輩。働きすぎておかしくなっちゃったんですか?」

 

「バスの大半が野菜でしたよ・・・?全然終わらなかったのでしょうか・・・?」

 

「でもそれならなんであんな楽しそうにしてるんだ?」

 

3人はリサの様子がおかしい事に疑問を感じていたが、その答えは震えていた黒服からスグに出た。

 

「いえ・・・。あの量を数時間で終わらせてたんですよ・・・。本来なら1日以上かかる量なのに・・・」

 

「流石に野菜だけだとしんどかったけど。意外といけるもんだねー☆」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「それじゃ、アタシ厨房行ってくるから~」

 

あまりの衝撃に言葉を失ってしまった。

常人ではこなせない作業量をこの短時間でこなしてしまったリサも人間を卒業してしまったのだ・・・。

 

楽しそうに歩くリサの背中見送る巴達だったが、彼女達の合宿は本番は日付が変わった途端に始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このクズども!!トロトロ走るんじゃない!!・・・丸山ァ!!ジジイの***みたいにヒィヒィいいおって!!」

 

「ひぃ~!!」

 

朝のランニングに始まり―――

 

 

 

 

 

「そうじゃない!!稲妻を食らい、雷を握りつぶすようにうつべし」

 

「言ってること全然分かんないですけど・・・やってみます!!・・・ソイヤッ!!」

 

「トモちん・・・」

 

サンドバッグに拳を叩きこみ―――

 

 

 

 

 

「1!!2!!3!!・・・ってなんでテニスの素振りなの~!?しかもすっごい重いし!!」

 

「上原さん。これフレームに鉛が入ってるんだって」

 

「美咲ちゃんはなんでそれを普通に素振りできるの!?」

 

「慣れかな・・・それにラケットだったらまだましだよ?あっちのに比べたら・・・」

 

 

「ブシドー!!ブシドー!!ブシドー!!」

 

「イヴちゃんはなんでそんなおっきな刀を素振りできるの・・・?」

 

「刀の気持ちになるんですよ!!ヒナさん!!」

 

「あはははははは・・・・・・おねーちゃーん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして彼女達は日付が進むのに合わせて着々と自身に課せられたメニューを消化していった。

 

「・・・って美咲、イヴ。他のみんなは?」

 

「全員あそこで伸びてる・・・」

 

「でも、どうしましょうか?次まで時間ありますよ?」

 

「それならアタシはちょっと走ってくるか・・・」

 

「トモエさん!!そういえばこの辺りでクマが出たそうですよ?アヤさんが言ってました!!」

 

「クマ?それならそこにいるだろ?」

 

「いやいや、ミッシェルじゃなくて・・・」

 

「お~い!!みんな~!!」

 

3人の会話している最中にバイト中のリサが3人を見つけてニコニコ顔で駆け寄ってくる。

 

「リサさん!!バイトはどうですか?」

 

「うん!!すっごい楽しいよ?それにベース触る時間も取れてるし最高の仕事だよ~。みんなは楽器触ってるの?」

 

「あ~触っちゃうと時間忘れてやっちゃいそうで・・・」

 

「私もですね・・・」

 

「なるほどね~。そうだ!!今日の夕飯希望あるかな?最後だからみんなの希望聞いておこうと思ってね~☆クマって言ってたけどクマ肉食べたいの?」

 

「そう言えばアタシ、クマ肉って食べたコトないから食べてみたいかも・・・」

 

「巴?急にクマなんてどうして~?」

 

「えぇっとリサ先輩・・・この辺りでクマが出たらしくて・・・」

 

「ミッシェル以外にクマなんているの?・・・まぁ、とりあえず参考にしてみるね~。それじゃアタシ仕事戻るから」

 

「リサさんも仕事頑張ってください」

 

「そしたらアタシはやっぱり走ってくるよ。それじゃ後でな!!」

 

「って行ってしまいましたけど大丈夫でしょうか?」

 

「まぁ・・・こころのところだし、そんなとこの近くにはいるわけないでしょ?それにいたとしても簡単には会わないでしょ?」

 

リサが仕事に戻ると巴も身体を動かすべくランニングへと出てしまった。

その背中を美咲たちを嫌な予感を感じながら見送っていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(出会ってしまった・・・)」

 

美咲たちの悪い予感は的中してしまった。

ランニング中の巴の前に現われたのは野生の熊は何を思ったのか後ろ足だけで立ち上がって見せて巴を威嚇する。

 

「デカ・・・くはないな。ミッシェルの方がデカい・・・・・・えっ?なんで木が?」

 

「~~~!!」

 

「うわぁ!?来た!?」

 

巴は無意識に熊を見て恐怖を感じて後ずさり、そして気が付くとその背中を木へとぶつけてしまう。

それに合わせて熊の前足が巴に振り降ろされるが、彼女は屈むと数本の髪の毛とと共に後ろにあった木がなぎ倒される。

 

巴はそのまま走って逃げるが、振り向くと物凄い勢いで距離が詰まっていた。

 

「逃げられない・・・!!やられる・・・!!」

 

熊との出会いに巴は死を覚悟した瞬間、走馬灯がよぎった。

 

そしてその中であこや蘭達の思い出が見えた途端、巴は我に返った。

 

「こんなところで死んでたまるか・・・あこが・・・蘭やつぐが帰りを待ってるんだー---!!」

 

 

 

 

 

 

 

叫びと同時に巴は足を止めて振り返り、突っ込んでくる熊を迎え撃つように巴は拳を熊の眉間へと叩きこむ。

巴の拳を食らった熊がよろけるのを巴は見逃さなかった。

 

 

「倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろよぉー--!!」

 

巴は恐怖で泣き叫びながらも連続で熊へと拳を叩きこむ。

そして何発叩きこんだか分からないが突然巴の拳が熊から外れる。

 

拳を外したことに巴は危機感を覚えたが、熊は彼女の横へと倒れこむとそのまま巴は気が抜けてしまいその場にへたり込む。

 

「ははは・・・やった・・・!!とりあえず後は黒服さんに話して・・・」

 

巴は呟きながら立ち上がると近くに寄っていた小さな存在に気が付いた。

 

「小熊・・・?そっか・・・こいつ・・・」

 

それを見た巴は倒した熊が目の前にいる小熊の親であることを察するとそのままゆっくりと立ち上がる。

 

「達者でな・・・」

 

そう呟いて巴は熊たちに背を向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「・・・・・・・」」」」

 

そして合宿のメニューを全て終えた彼女達。

巴達は食事を待ちながら会話を楽しむ一方で、モカ達は体力の限界を超えており、彼女達の会話も耳に入らずに机に突っ伏して動くことが出来ずにいた。

 

「トモエさん?本当に熊に襲われたんですか・・・?」

 

「あぁ!!彩さんの言う通り本当に熊がいて襲われたんだって!!」

 

「宇田川さん?普通、野生の熊に襲われたら生きて帰れないと思うけど・・・?」

 

「そうですよ!!トモエさん!!」

 

 

「はーい!!みんな~。今日の晩御飯だよ~!!って今日も相変わらずヒナたちは死にかけてるね~・・・」

 

巴は先ほどの熊の1件を話していたが、他の2人もあまりにも現実離れした出来事に巴の言葉を疑っていた中で、リサが晩飯を持って彼女達の前に現れた。

 

「待ってました!!」

 

「最後の晩餐ですね!!」

 

「なんか横見ると別の意味に聞こえる・・・」

 

元気溢れる巴達は横で死んでいるモカ達へ視線を送るが、食事を前にして少しだけ元気を取り戻してさながらゾンビのようにフラフラと身体を起こしていた。

 

 

「うえぇぇぇ・・・」

 

「だるいよぉ・・・」

 

「う~・・・ごはん~・・・」

 

「リサちー・・・今日のご飯なに~・・・?」

 

死にかけの日菜はリサへとメニューを聞くと、リサはニコニコしながらその質問に答える。

 

「今日は特別メニューで・・・巴のリクエストの品だよ~☆」

 

「リクエスト・・・?アタシそんなのした記憶ないですけど・・・?」

 

「えぇ~?さっきしてたじゃん。今日のメニューは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ肉を使ったクマ鍋だよ~」

 

「私!!クマは初めてです!!アヤさん!!」

 

「そうだね。クマ肉なんてこんなのあっちじゃ食べられないから」

 

「なんかるんっ♪ってきたかも・・・」

 

「美咲ちん。ミッシェルがクマ食べていいの・・・?」

 

「いやいや、流石にそれは・・・」

 

「凄いね!!巴!!・・・巴?」

 

「いや、なんでもないぞ・・・?」

 

リサの言葉に死にかけていたメンバーが物珍しいメニューに元気を取り戻したが、巴はメニューを聞いて少しだけ顔をしかめた。

 

「それじゃ食べよっか!!」

 

「「「「いただきまーす」」」」

 

リサの号令に全員が答えてから箸を鍋に伸ばし始める。

 

「う~。濃厚ですな~」

 

「匂いが気になるけど・・・案外癖になるかも・・・」

 

「まぁ・・・新鮮な肉だからね~」

 

リサの言葉に全員が箸を止めて、その視線が彼女へと集中する。

 

 

 

「新鮮・・・?まさかリサちーが取ってきたの!?」

 

「私が仕留めたわけじゃないよ?料理修行って言われて狩りに連れてかれてね・・・その時のだよ~。捌き方は教わりながらやったけど・・・。アハハ・・・」

 

リサはその事を思い出して疲れた表情を浮かべて乾いた笑い声を出すが、周囲からは賞賛の声が響く。

 

「すごいですよリサ先輩!!」

 

「私は捌いただけだしね~・・・。でも、運が良かったよ」

 

「運がよかった?どういうことですか?」

 

「狩りに連れてかれた後、なんでか分からないけど瀕死の熊が歩いててね・・・。一緒にいた黒服さんがズドン!!って・・・それでその後は皮とかの処理してもらってからは私がね~。だからちゃんと残さず食べてね」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

そのリサの言葉を聞いて巴は持っていた箸を落としてしまった。

それと同時に彼女から一気に汗が噴き出してくる。

 

「トモエさん?お箸落としましたよ?」

 

「あの・・・?リサさん?もしかしてその熊って眉間のところに怪我してませんでした?」

 

「うーん。私は直接は見てないんだけど・・・。眉間に何かがぶつかった跡があったって言ってたような・・・」

 

「もしかして・・・近くに小熊が居ませんでした?」

 

「小熊・・・?えぇっと・・・」

 

リサが何かを思い出すように唸っている。

その時間が長かったから巴は自身の考えすぎと思い込んでそのままクマ肉を口へと運ぶと同時、リサが思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそういたよ!!」

 

「ブフォ!!」

 

「トモちん汚い~」

 

「まぁ、銃声で逃げちゃったんだけどね~」

 

その言葉を聞いた巴はすかさずリサの肩へと掴みかかる。

 

「折角見逃したのになんてことを・・・!!小熊はどうなるんですか!?」

 

「えぇ~!?どうしたの巴!?だってさっき食べてみたいって言ったから一生懸命に作ったのに!?」

 

「うぅ・・・!!」

 

「巴!?どうしたの!?」

 

その言葉を聞いて巴はリサから手を離す。

状況が分からない一同だったが、巴はクマ鍋に視線を移すと途端に泣き始める。

 

 

 

「チクショウ・・・こんな姿になっちまってよ・・・!!こんな姿になっちまうなら・・・・・アタシが止めをさしておけば良かったよ・・・!!」

 

「あの~これどういうこと・・・?」

 

「モカちゃんもよく分かってません~」

 

「リサさん実は・・・」

 

泣き始める巴を前に状況が分からないリサたちへ美咲が先ほど巴から聞いた話を伝える。

 

「嘘でしょ・・・!?」

 

「でも、トモちんがあんなに泣いてますよ・・・?」

 

「宇田川さん本当にクマを殴り倒したんだ・・・」

 

「ブ・・・ブシドー・・・」

 

巴の話を話半分に聞いていた美咲たちも目の前の泣いている巴の姿を見て先ほどの話が真実であることを察してしまった。

 

「くそっ・・・何がクマ鍋だよ・・・!!何がクマ肉食べてみたいだよ・・・!!」

 

「「「・・・」」」

 

目の前で巴が鼻水までたらしながら泣き顔を晒しているという考えられない光景に一同は言葉を失ってしまう。

 

そんな巴は鼻水と涙を拭いながら鍋へと箸を伸ばす。

しかし、彼女以外の箸が動いていないことに気が付いた巴は泣き顔をリサたちへと晒しながら訴えかける。

 

 

「どうした?皆・・・!!食べないのか?」

 

「「「えっ~っと・・・」」」

 

「その~・・・」

 

「「・・・」」

 

巴の表情を見て言葉に詰まる一同だったが、それを気にするのを辞めて巴は箸を動かし始める。

 

 

 

 

「アタシは食うぞ!!こうなったら最後の最後まで食ってやるのが最大の弔いだ・・・!!みんなも残さず食べろよ!!ちくしょう・・・ちくしょう・・・!!」

 

こうして巴は女の子が見せてはいけないような泣き顔のまま、鍋を食べ始めるが一同は苦笑いを浮かべ箸が止まってしまう。

 

「流石に・・・あそこまで泣かれると食べずらいんだけど、巴の言う通りちゃんと残さず食べないと・・・」

 

「ですね~・・・。リサさんも頑張って作ってくれたんですし・・・」

 

「あたし・・・この食事がどの合宿メニューよりもキツイんだけど・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、合宿を終えた一同は羽沢珈琲店へと送り届けられて店の片隅には疲労困憊の少女達が床に積み上げられていた。

 

「うぇぇ・・・・・・」

 

「死んじゃうよ・・・」

 

「おねーちゃん~アハハ・・・」

 

「パン~・・・」

 

 

 

 

 

「みんな独り言呟いてますけど・・・これなんですか・・・!?」

 

「つくしちゃん。合宿終わりならいつもの事だから・・・」

 

「でもイヴ先輩とかリサ先輩たちは平気そうですよ・・・?」

 

「まぁ・・・ってあれ?つくしちゃん?そのヘアゴム可愛いね!!」

 

「えっ・・・これは妹とお揃いのクマのヘアゴムで・・・」

 

「クマ・・・うゎぁああああああああ!!」

 

クマのヘアピンを見て店の外へと駆け出してしまった巴と入れ違うように友希那と紗夜が客として店のドアを開けその光景に驚いていた。

 

「友希那さん!!紗夜さん!!いらっしゃいませ!!」

 

「友希那!!紗夜!!いらっしゃーい」

 

「っ日菜!?ちょっとしっかりしなさい!!何があったの!?それに今井さんも1週間も学校休んで!?」

 

「日菜達もだけれど、さっきの宇田川さんはどういうことかしら?」

 

「実は・・・」

 

ここで美咲は巴が素手で熊を倒したことを一同に報告していた。

 

 

「ははは・・・クマを・・・素手で・・・?」

 

「冗談ですよね・・・?」

 

「これ、その時のクマ鍋の写真・・・」

 

「「「「・・・」」」」

 

信じられない話を聞いた紗夜達だったが美咲が見せたクマ鍋の写真を見て脳の容量が限界を迎えてしまった。

 

 

「あはは・・・」

 

「ははは・・・」

 

「ツクシさん?どうしたんですか?」

 

「おーい紗夜先輩?ってダメだこれ・・・」

 

「ミサキさん。私はツクシさんの代わりに働いてきます!!」

 

「少し友希那と話してからでいいならアタシも厨房手伝うよ~。

帰ってきて料理の腕試したいんだよね~☆つぐみは珈琲入れてくれる?流石に店の味はマネできないからね~☆」

 

「あたしは紗夜先輩達を寝かしたら、もう少しゆっくりしていきますね~・・・」

 

そう言って美咲は紗夜とつくしをモカたちの上に乱雑に積み上げるが、店にいる客も従業員もその事は誰も気にする様子はなかった。

 

「リサがバイト中の練習の動画を燐子達と見てたけど、あなただいぶ腕をあげたわね」

 

「楽器もそうだけど、料理の腕も上がったんだよ~」

 

「そう・・・」

 

「それと友希那!!バイト代で結構入るからこれからは練習時間増やせるよ!!」

 

「それならいいわ。そういえば紗夜はあれをバンドTシャツとして売ったらしいわ・・・」

 

「えっ!?それって今着てるあのダサ・・・・・・じゃなかった、趣味悪いのを!?」

 

「しかも、それなりに売れてるらしくて桐ケ谷さんが頭を抱えてたわね・・・。それに私もなんとかしてきたわよ・・・」

 

「えっ!?あの音楽以外何もできない友希那が!?」

 

「失礼ね・・・」

 

 

 

そういうと友希那は持っていたカバンの中を漁り、机の上に1つの札束を叩きつけた。

 

「友希那!?これどうしたの!?」

 

「白鷺さんから紹介でカメラの前でご飯食べてたら貰えたわ。あれは何だったのかしら・・・?でもこれでスタジオ代は当分心配しなくていいからいいじゃない」

 

「あはは・・・。アタシそろそろつぐみ達の手伝いしてくるね?」

 

そう言ってリサは現実逃避するためにつぐみの店の厨房へと姿を消す。

 

 

 

「リサの料理の腕が上がったって気になるわね・・・。羽沢さん。リサの事見ててもいいかしら・・・?」

 

「いいですけど・・・。ちょっとリサさんが言ってたこと気になりますし・・・」

 

そういって友希那達はリサが入っていった厨房の入り口から中を観察するとそこにはこの世の物とは思えない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにあれ・・・」

 

「どういうことかしら・・・」

 

2人が見た厨房の中ではリサが包丁を振るっていた。

それだけだったら普通の光景だったが、問題は彼女の包丁の振るい方だった。

 

「私の目がおかしくなったのかしら?」

 

「いえ・・・多分おかしくなったのはリサ先輩です・・・」

 

彼女達が目にしたものはフルーツタルト用の果物たちが切り分けられている光景には何もおかしなところはなかった。

ただ1振りで全ての食材を切り分けたこと以外は―――

 

 

「・・・ん?つぐみに友希那?どうしたの?」

 

「リサ・・・あなた今、一振りで果物切ってなかった?」

 

「そんな師匠達みたいなことできるわけないじゃん!!ただ、早めに切っただけだよ?」

 

「私達には1回しか包丁を振ったようにしか見えなかったんですけど・・・」

 

「アタシなんてまだまだだよ!!魚の口に指入れても鮮度見分けるのも精度が甘いし、それに作った料理で人の服を弾き飛ばせないしね!!」

 

「「・・・・・・」」

 

 

あの3人だけでなく、リサもまた彼女達同様に人間を卒業してしまったという事実に耐え切れなくなり彼女達は厨房の入り口で石像のように固まってしまうのだった。

 

 

 




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装・備・解・説-4 焦ると大体言葉足らずになりますけど、なんなんでしょうね。あれ

スイッチ解説投稿!!
今回の小ネタ時空篇はここまでYO!!


次回から本編へ戻る。


 

「さぁ、如月。早く変身しなさい」

 

「そうだよゲンちゃん!!変身だよ!!」

 

日菜によって羽丘まで呼び出された弦太朗は到着するとすぐに体育館へと連れていかれ、そこで日菜に頭の上にフラシェキーを乗せている友希那とよって変身をせがまれる。

 

「友希那も日菜も急にどうしたんだ?それに友希那のそれ・・・」

 

彼女達の目的が分からなかった弦太朗だったが、そこへ彼女達の保護者達が遅れて現れる。

 

 

 

「ちょっと友希那~。弦太朗にちゃんと説明したの~?」

 

「日菜さん達の事ですから、いきなり要件だけを伝えたと思いますよ・・・?」

 

「儚い・・・」

 

「おう!!薫たちも来たのか?」

 

「あぁ、それで弦太朗は日菜達から何て言われたんだい?」

 

「急に変身しろって言われてな・・・」

 

「「はぁ・・・」」

 

弦太朗の言葉を聞いて保護者2人が呆れながらもため息をつきながら、2人に視線を向ける。

 

 

「まぁ、日菜さん達ですからね。そうだと思ってましたよ・・・」

 

「やっぱり・・・。ゆ~き~な~!!」

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「日菜さんもですよ・・・。ちゃんと言わないと分からないとかと・・・」

 

「えぇ~」

 

「ヒナ・・・?」

 

「・・・は~い」

 

リサの言葉に友希那は反省する態度を示すが、麻弥から言われた日菜は悪びれた様子もなく答えていたが、リサの言葉を聞いて態度を一転させ、反省した様子を見せる。

 

「でも、2人は何でそんなこと言ったんだ?」

 

「えぇ~っとね・・・友希那なんだけどさ。最近曲作りで詰まっちゃっててさ~。それで何かないかな~って思ってたんだけど・・・」

 

「そしたら日菜さんが如月さんのアレについて教えてもらってたって言ったのに湊さんが反応しまして・・・」

 

「そう言いながら、麻弥だって気になっていたじゃないか」

 

「薫さん!!あれ見て機械オタクのジブンが反応しないわけないですよ!!どんな仕組みになってるか興味が湧きます!!」

 

「だから弦太朗。良ければ私達の為に協力してくれないかな~?」

 

「そういう事なら任せとけ!!・・・変身!!」

 

彼女達の期待に応えて変身した弦太朗、そして―――

 

 

「宇宙・・・」

 

「「来た~~~!!」」

 

「相変らずうるさいわね・・・」

 

体育館の中心で叫ぶが、友希那のツッコミが刺さる。

 

「それじゃあゲンちゃん!!この間のおねーちゃん達と一緒にいた時の続きからやってよ!!」

 

「えぇ~っと、何番までやってたっけ?」

 

「確か15番のトゲトゲまで見たよ!!だから今回は20までにしよ!!」

 

「おう!!そうなると・・・って、ちょっと待てよ・・・?」

 

日菜の提案に乗ろうとするフォーゼ、しかしここで彼はあることを思い出した。

 

「弦太朗?どうかしたの?」

 

「リサ、今回の奴だと・・・友希那達の前で全部使ってるな」

 

「そう・・・」

 

その言葉を聞いた友希那は露骨に残念そうな表情を見せるが、それを見てすかさず薫がフォローに入る。

 

 

「まぁまぁ、友希那ちゃん。視点が変われば何か新しい発見があるかもしれないよ?」

 

「薫の言う通りだって~。とりあえず、見てから考えよ?それに薫とか麻弥が見た時の反応とかも参考になるかもだし!!」

 

「リサがそういうなら・・・」

 

リサの言葉に納得しきれていないようだが、友希那はこの話に乗ることにした。

 

「それじゃあ、No.16ウインチスイッチだ!!」

 

「前これで紗夜を捕まえてたわね・・・」

 

「如月さん。それの形から見るとフック飛ばしたり飛ばしたのを巻き取ったりできるんでしょうか?」

 

「麻弥よく分かったな!!しかも、これをバイクに括りつけたりしてもちぎれたりもしねぇんだ!!」

 

「それは便利ですね!!舞台セットを釣り下げたり、役者を吊るして天井から登場させるのも面白そうですね!!薫さんもそう思いませんか!?」

 

「ふっ、儚い・・・」

 

「ですよね!!」

 

ウインチ1つで舞台演出の話で盛り上がり始める演劇部を他のメンバー達は理解できないといった視線を送る。

 

 

 

「2人は何言ってんだ?」

 

「わかんない~」

 

「アタシも分かんないかな~。次行こ~☆」

 

「そうだな・・・次は17番だな・・・友希那、フラシェキー返してくれ」

 

「えぇ・・・」

 

友希那の返事を聞いたフラシェキーは友希那の頭の上からフォーゼの手の上へと飛び移る。

そして手の上でフォーゼはフラシェキーの頭からスイッチを取り出して起動。

 

「これがフラッシュスイッチだ!!」

 

「でっかい電球ですね!!」

 

「光るだけならフラシェキーと一緒じゃないかしら?」

 

「俺が使うと・・・光の強さとか・・・波長?ってのを変えて色も変えられるんだ」

 

「弦太朗。どれほどの光か試させてくれないか?」

 

「おう!!」

 

「「おぉ~!!」」

 

フォーゼの説明に驚くアイドル達、その前ではフォーゼは光の強さや波長を変えながらフラッシュモジュールを点滅させ、光が薫を照らす度に彼女はポーズを変えていく。

 

「薫くん!!るんっ♪って来たよ!!」

 

「ふふっ。喜んでもらえて何よりだよ」

 

 

 

「リサ、波長って何かしら?」

 

「ん~・・・それは後でね~。後、弦太朗そろそろ目がチカチカしてくるから止めて?」

 

リサの言葉を聞いたフォーゼはフラッシュで遊ぶのを辞めてフラッシュスイッチをフラシェキーへと戻すと、フラシェキーは動き出して友希那の頭の上に飛び移る。

 

「わりぃわりぃ!!そんでさっきまで友希那の頭に載ってたこいつはフラシェキーっていう俺の仲間だ!!」

 

「バガミールさんのお仲間っすね!!」

 

「そういえば、花音も最近小さくてかわいらしい子達を連れているよ。もしかしてこの子の仲間かな?」

 

「そうだな!!でも、なんで友希那の頭の上に乗るんだ?」

 

「知らないわよ・・・。頭とか肩とかに良く乗ってくるのだけど・・・」

 

「でも、満更でもないんでしょ~友希那は」

 

「次に行きましょ・・・」

 

フォーゼ達の疑問は解消されていないが、友希那は次を急かしてくるのでそれにこたえる形で次にスイッチの説明へと移っていく。

 

 

 

「よく分かんねぇけど・・・次はこいつだ!!18番のシールド!!」

 

「盾だね~」

 

「そうね。他にはそれに役割があるのかしら?」

 

「これでぶん殴ってたりしたな・・・」

 

「それは・・・盾でやる意味があるのかい?」

 

「それに丸くなってるからまな板には出来ないね~」

 

「今井さん何言ってるんですか・・・」

 

素っ頓狂な事を言い始めてしまったリサにツッコむ麻弥だったが、リサがボケに回ってしまい彼女のツッコミに反応する人間は誰もいない。

 

「まぁ、シールドは特にいう事もねぇし・・・次は19番ガトリングだ!!」

 

「そんな物騒なものこっちに向けないでくれるかしら?」

 

「友希那ちゃん。流石にゲンちゃんも私達に撃ったりしないよ~」

 

「それにしても今回は武器らしい武器が出てきましたね・・・」

 

「まぁな・・・。流石にこれはここでは使えねぇから次行くぞ。今日の最後はNo.20!!ファイヤースイッチだ!!これを使うと・・・!!」

 

フォーゼがファイヤーを起動すると周囲に炎が噴き出し、その体を赤く染め上げる。

 

 

 

「フォーゼ!!ファイヤーステイツになる!!」

 

「私は初めて見るものだね。ファイヤー・・・と言うことは火が使えるのかい?」

 

「おう!!この銃から炎の玉とか炎そのものを噴き出したり、後は・・・こいつを変形させると火を消す弾が出せる!!」

 

「まるで消防士みたいね」

 

「それロックも同じこと言ってたな。火を出すって言ったらこんな感じに・・・火炎放射だ!!」

 

「儚い・・・」

 

初めて見る薫の反応に対して、リサは炎を見て良からぬことを思いついた。

 

「火かぁ・・・。そうだ!!弦太朗!!」

 

「どうした?」

 

「ちょっとそのまま火を出してて!!」

 

「リサちー?何をするつもり・・・?」

 

「こうするん・・・だよ!!」

 

そう言ってリサは何かを手に持った何かを炎の中へと突っ込む。

その光景に驚いている一同を他所にリサは手早く炎の中から何かを引き抜いて口に運ぶ。

 

 

 

「う~ん。ガスっぽいなぁ・・・」

 

「何やってんだ?」

 

「リサ・・・?何をしているの?」

 

「ん?焼きマシュマロ。火を出してたから作れるかなーって。でもガスっぽい感じがしたからフライパンとか使わないとダメだね~」

 

「リサちー!!あたしも食べたい!!」

 

「いいよ~」

 

「その考えはなかったぜ・・・」

 

「「・・・・」」

 

「リサさん。流石にドン引きですよ・・・」

 

目の前で起こったリサの奇行を前に日菜以外の全員がドン引きしていたが、それを代表するかのように麻弥がそれを言葉にするが彼女達の耳には届いていないようだったが、フォーゼはそれを気にしないようにして変身を解除する。

 

「んで、今回はここまでだな」

 

「如月さん。ちょっといいですか?出来たら使ったスイッチを見せてほしいんですけど?」

 

「構わねぇぞ?」

 

そうして弦太朗は今回見せたフラッシュ以外のスイッチを麻弥へと渡すと、麻弥はそれをまじまじと見つめていた。

 

「麻弥?どうかしたのかい?」

 

「いや、このスイッチ達を見てください。全部スイッチの形状が違うんですよ」

 

「本当だね~☆」

 

「芸細かいね~るんっってきた!!」

 

「スイッチの形もそれを使って出来るものも違うなんて・・・儚い・・・!!」

 

「そういう事ね・・・」

 

今の会話を聞いた友希那は何かを思いついたような表情を浮かべる。

それを見てリサ以外が友希那の表情を疑問に思っていた。

 

 

「友希那ちゃん?どうしたの?」

 

「今の話で曲のアイディアが浮かんできたような気がして」

 

「友希那ちゃん?どういうこと?」

 

「似たようなものに見えてよく見たら細部が違う・・・。みんな違ってみんないいってことだね~☆」

 

「なんでリサさんはそれで分かったんですか・・・」

 

「愛だね・・・」

 

「薫くん?何言ってるの?」

 

「まぁ、何はともあれ。友希那の参考なって良かったぜ!!」

 

「えぇ、期待しててちょうだい。それじゃ、私は先に失礼するわね」

 

「ちょっと待ってよ!!友希那~!!」

 

そう言って友希那は足早に体育館を去っていく。

その表情は最初の思い悩んだような表情ではなく、早く曲を形にしたいという楽しさを感じられるような表情だった。

 





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Pastel*Palettes篇2-淡・色・逡・巡
淡・色・逡・巡-1 三者三様、気分下降


はい。
というわけでパスパレ篇2章・・・アクション!!
(導入思いつかなくて逃げてたのは内緒)

なお、最初はパスパレメンバー登場しない人たちの方が多い模様


「いらっしゃいませ~・・・」

 

「・・・かしこまりました!!少々お待ちください!!」

 

ある日の放課後、羽沢珈琲店では看板娘のつぐみとアルバイトのつくしが今日も働いていたが、つぐみの様子は集中できずにいた。

 

そんな店へと今日も騒ぎの種がやってくる。

 

 

 

「だぁああ!!紗夜、痛ぇから放せって!!」

 

「ダメです!!今日は逃がしませんよ!!」

 

「いらっしゃいませ!!・・・って紗夜先輩!?それに如月さん!?どうしたんですか!?」

 

「紗夜さん?如月くん・・・?いらっしゃい・・・」

 

店にやってきたのは紗夜と弦太朗。

紗夜は弦太朗の耳を掴んで引っ張ってきていた光景につくしは驚くが、先ほどからつぐみの表情は暗い。

 

「すいませんが珈琲を2つお願いします」

 

「かしこまりました。少々お待ちください!!でも、紗夜先輩はどうして如月さんと・・・?」

 

「この間の小テストで彼の点数が酷かったので次のテストに向けて勉強させようと思ったのですが、美竹さん達の件などがあったので先延ばしになってしまいまして・・・」

 

「でもバンド練習とか友希那はどうしたんだよ!?」

 

「バンドも大事ですが私達は学生で本分は勉強です!!それにこうでもしないとあなたは逃げるでしょ!!それと湊さんの担当は今井さんですので」

 

「分かったから耳を放してくれ!!」

 

「わかりました・・・」

 

そういって紗夜は弦太朗の耳を離す。

解放された弦太朗は自身の耳を抑えて席に着くと、彼の逃げ道を塞ぐようにその横に紗夜が陣取るとにこやかに笑いながら弦太朗へと告げる。

 

 

 

 

 

 

「今日の勉強が終わるころには”趣味は勉強。尊敬する人物は氷川紗夜”という理想的な学生に

しますので覚悟してくださいね?」

 

「勘弁してくれぇ~!!」

 

「お待たせしました。こちら珈琲になります!!」

 

「珈琲も来ましたし、それでは始めましょうか・・・」

 

「お手柔らかに頼む・・・」

 

「それはあなた次第ですね・・・」

 

こうして紗夜による弦太朗の勉強会が始まったのだが―――

 

 

「はぁ・・・」

 

「つぐみ先輩・・・?」

 

紗夜が弦太朗の横にいるにも関わらず、つぐみはそんなことも気にすることも無くどこか上の空で仕事

をする様子をつくしは心配そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうこんな時間ですね・・・とりあえず、今日はここまでにしましょう・・・」

 

「・・・おわったぁ・・・」

 

「お2人ともお疲れ様です・・・。これおかわりの珈琲です」

 

「ありがとうございます」

 

日が暮れた外を見ながら紗夜の言葉を聞いた弦太朗はそのまま机に突っ伏す。

そこにつくしが珈琲を運んでくると2人は弦太朗へと視線を向ける。

 

「まさか、中学レベルの内容すら危ういとは思いませんでした・・・。二葉さんもありがとうございます。たまに勉強見てもらって・・・」

 

「いえ!!如月さんにも紗夜先輩にもお世話になってますし!!それに私はこの前までやってた内容でしたから!!・・・でも、如月さんは大丈夫ですか?・・・すっごいやつれてますけど・・・」

 

「こんなんじゃ気合も何も出ねぇよ・・・」

 

「とりあえず、明日は練習前にやる予定ですので覚悟して・・・。いえ、覚悟するのは私の方ですね・・・」

 

「あはは・・・」

 

弦太朗が友希那以上の貧乏くじと判明して頭を抱えて自分が言ってしまった言葉を呪ってしまう。

そんな紗夜たちにつくしが苦笑いを浮かべる中、遅い時間にも関わらず店の扉が開く。

 

「いらっしゃいませ!!・・・って千聖先輩?」

 

「こんな時間にごめんなさいね?1杯頂けるかしら ?」

 

「かしこまりました!!」

 

注文を受けてつくしは店の奥へと姿を消す。

そして千聖は席に着くと同じタイミングで

 

「「はぁ・・・」」

 

同時に2つのため息が零れ、その音の発信源はつぐみと千聖。

その様子に彼女達の共通点が思い浮かんで紗夜が反応を示した。

 

 

 

「お2人ともどうかされたんですか?もしかして日菜が何か・・・」

 

「・・・何もないわよ?」

 

「えっ・・・?えっ!?紗夜さん?どうしたんですか?」

 

「羽沢さん・・・?あなた、見てただけでも何回もため息ついてたのだけど、気づいてなかったんですか?」

 

「えっ?そうだったんですか・・・?」

 

「気づいてなかったんですね・・・。つぐみ先輩、仕事中もどこか上の空でしたよ?」

 

「嘘・・・」

 

つくしの指摘に全く気が付いていなかった様子のつぐみは驚いていたが、そんな彼女に紗夜は話しかける。

 

 

「羽沢さん。何かあったのでしょう?良かったら話してくれませんか・・・?」

 

「紗夜さん・・・」

 

「本当は白鷺さんの事も気になりますが、芸能界については私は何もできないので・・・」

 

「そうね・・・。紗夜ちゃん、気持ちだけ受け取っておくわね・・・。つぐみちゃん、私も話くらいなら聞けるわよ?」

 

「紗夜さん・・・千聖先輩・・・」

 

常連客である先輩に心配されたことに申し訳なさを感じたが、紗夜が本気で心配していることが分かったつぐみは思い当たる原因を話し始める。

 

 

 

「実はイヴちゃんの事で・・・」

 

「えっ!?」

 

「白鷺さん?どうかしたんですか・・・?」

 

「もしかして千聖先輩もイヴ先輩のことで・・・?」

 

「えぇ・・・」

 

 

 

つぐみが話し始めて早々に千聖が声を挙げてつぐみの話を止めてしまったが、その様子を見たつくしが千聖のため息の原因を言うと千聖はその言葉を肯定する。

 

「えっ!?千聖さんもだったんですか!?」

 

「えぇ・・・。まさかつぐみちゃんもだったなんて・・・」

 

「白鷺さん。とりあえずは羽沢さんの話を聞きましょう?」

 

「そうね・・・。続けてくれるかしら?」

 

2人だけで分かり合うのがちょっとだけ納得できないような表情で紗夜は2人の間に割って入ると、つぐみもそれを受けてイヴの話を再開する。

 

 

「最近イヴちゃんがバイト中にすっごく疲れたような感じなんですけど、本人に聞いても「何でもない」の一点張りで・・・。それがすっごく心配なんです・・・」

 

「そうだったのね・・・。実はこっちでの仕事中も上の空だったり、練習も集中できてない時があったのだけど・・・」

 

「白鷺さんの方でも答えてくれない・・・。と言う事ですね・・・」

 

「えぇ・・・。それに最近は部活にも顔を出してなくて、同じ茶道部の花音が聞いても答えてくれないらしくて・・・」

 

「そうだったんですね・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

2人は話が終わると同時に不安そうな顔を浮かべる。

その様子にどうしたらよいか分からない紗夜の代わりにつくしが話を進めていく。

 

「イヴ先輩ですけど、いつからそんな風になっちゃったんですか?」

 

「疲れてるように見えたのは最近かな・・・。つくしちゃん達の件があった辺りだったかな・・・?」

 

「私の方がそう思ったのはつい最近ね。私も自分の仕事があってイヴちゃんの事をあまり良く見れてなかったの・・・」

 

「そうだったんですか」

 

彼女達の間では思い当たる節がなく、話はここで止まってしまう。

そんな時に話に割って入ってくる声が1つ。

 

「教えてくれねぇなら、こっちで見つけりゃいいだろ?」

 

「如月くん?どういうこと?」

 

「如月さん・・・?机に突っ伏して話しても説得力0ですよ?」

 

「二葉さんの言う通りですよ?」

 

つくしに指摘された弦太朗は疲れ切った体を起こすとそのまま背もたれにうなだれて話を続ける。

 

「イヴを観察してれば原因くらいわかるんじゃねぇか?」

 

「弦太朗?イヴちゃんはアイドルなのよ?」

 

「それに普通にストーカーで捕まりますよ?」

 

「紗夜先輩も千聖先輩も・・・流石に言いすぎでは・・・?」

 

「でも、教えてくれないなら・・・。それが一番早いと思うけど・・・。私学校違うから・・・」

 

「なら、つぐみちゃんとつくしちゃん達は仕事中だけでもいいから見ててくれるかしら?私は仕事中を見ておくから」

 

「それなら私は・・・」

 

「紗夜ちゃんは戦力外よ?学年も部活も違うのだし」

 

「教室は・・・おたえとはぐみに頼めばやってくれんだろ?」

 

「すっごく心配な人選ね・・・。一緒にバガちゃん達にお願いすればいいわね・・・」

 

「バガちゃん・・・?誰ですか・・・?」

 

「如月くんのお友達?だよ。つくしちゃんには今度教えてあげるね」

 

 

「ポテェ・・・」

 

「あの子は有咲ちゃん達と一緒だから無理よ・・・?」

 

「・・・」

 

「紗夜先輩が・・・どういうことなの・・・?」

 

紗夜が千聖の言葉に落ち込むが、つくし以外は彼女を気にする素振りを全く見せない。

 

「じゃあ、明日から本格的にイヴちゃんを調べましょう?ふふっなんだか話したら少し肩が軽くなったわね・・・」

 

少し空気が和んだ彼女達は少しだけ一緒にお茶を楽しむと、すっかり遅くなってしまった彼女達は弦太朗に送られてそれぞれ帰路につくのだった。

 

 

 




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淡・色・逡・巡-2 イブ・サーチ

投稿です。
とりあえずパレオちゃんにはこの章で仮面ライダーの事を知ってもらいましょう・・・
そうなるとフォーゼのことを知らないバンドメンバーは3人・・・かな(当社調べ)


羽沢珈琲店でイヴの異変について話し合った翌日。

弦太朗と千聖は変わってしまったイヴの事を調べるために、2人は学校前にも関わらずとある場所で落ち合っていた。

 

 

 

「なぁ、千聖・・・」

 

「・・・なにかしら?」

 

「なんで俺たちはこんな朝早くからこんなことをしてるんだ・・・ふぁ~・・・」

 

「ちょっと、欠伸されるとこっちも眠くなるからやめてくれるかしら?」

 

「仕方ねぇだろ?まだ日も出てねぇんだから・・・」

 

「もうすぐ出るわよ・・・」

 

「ここはどこなんだ?千聖に言われてきたけど全く分かんねぇんだけど・・・」

 

「はぁ・・・」

 

弦太朗が言うように彼らが落ち合っている時間は日が昇り始める前、それに弦太朗は千聖に呼び出された場所についてよく分かっていなかった。

そんな彼に千聖は呆れてため息を零す。

 

「あなた、なにも知らないでここに来たの・・・?」

 

「呼んだのは千聖だろ!!」

 

「ちょっと。まだ日が出てないのに大きな声出さないで」

 

「・・・わりぃ、でもここがどこか全く分かんねぇんだけど?」

 

「ここはイヴちゃんの家の前よ」

 

「お前、昨日は散々言ってたのに家の前に張り込むのかよ・・・」

 

「そうなのだけれど、やっぱりイヴちゃんが心配なのよ・・・。バガちゃんだけに任せるのも可哀そうだし・・・」

 

 

 

そう言って2人とバガミールはイヴの家の入口を見つめるが、日が出てくる前という時間もあって誰も出てくるような気配はない。

そして少しずつ日が昇ってくるのに合わせて、空腹感が彼らを襲うが千聖はカバンからあるものを取り出す。

 

「朝ごはんでも食べましょうか・・・。弦太朗、これ朝食のあんパンと牛乳よ」

 

「さんきゅー。でも、なんでこれなんだ?」

 

「弦太朗、張り込みと言ったらこれが定番よ?」

 

「・・・マジかよ」

 

弦太朗は千聖からそれらを受け取るとそのまま口に含んでイヴの家の入口を見る。

しかし誰も出てくることもなく時間が過ぎていく。

 

 

「今んとこ何もわかんねぇな・・・」

 

「・・・!!ちょっと弦太朗隠れるわよ!!」

 

「おい千聖!?どうしたんだ!?」

 

「静かに!!あれよ!!」

 

 

何かに気が付いた千聖は弦太朗の腕を引いて咄嗟に建物の影に隠れ、状況が分かってない弦太朗だったが千聖の視線の先にいた人物に驚きを隠せなかった。

 

「イヴ!?」

 

「えぇ・・・。まさか外から来るとは思わなかったけど・・・」

 

彼らの視線の先にいたのは目的の人物であるイヴ。

彼女はジャージ姿でランニングをしていたようで隠れている弦太朗達に気が付かないまま家へと入っていく。

 

 

 

「・・・でもなんでこんな時間から外にいるんだよ?てか、イヴはいつ家を出たんだ?」

 

「そんなこと分からないわよ・・・。それにバガちゃんもずっと見てたけどイヴちゃんが出たのを見てないわよね?」

 

千聖の言葉にバガミールは頭部のカメラを左右に向けて横に首を振るような動作で反応する。

この事から彼女が外に出たのは彼女達がここに来る前―――

日が全く上っていないような時間に彼女は外に出ていることに千聖が不安感を募らせる。

 

「イヴちゃん・・・」

 

「千聖、気になるのも分かるけど・・」

 

「そうね。そろそろ学校に行かないと不味いわね・・・」

 

「学校はおたえとはぐみに頼むしかねぇよ・・・」

 

「そうね・・・。バガちゃんもお願いね?」

 

イヴが家に入るのを見送った弦太朗達は足早にイヴの家から学校へと向かう。

その際に彼らの後ろからイヴが走って追い越された際に千聖はイヴの背中へと不安そうな視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

そして朝早い時間から起きていた2人は授業中に揃って夢の世界に旅立ってしまった。

事情の知らない生徒達はそれを見てあらぬ誤解をする一方で、事情を知っている紗夜は半ば呆れていたがあまりにも気持ちよさそうに寝ているのにイライラを覚えてしまい、花音を引き連れた紗夜は昼休みの時間に2人に対して説教を行っていた。

 

 

 

 

「全く、白鷺さんも如月さんも若宮さんが気になるのは分かりますが、揃いも揃って授業中に寝るなんて何を考えてるんですか!!」

 

「ふぁ~・・・。すまねぇ・・・でも、あんまり寝れてなくて眠いんだよ・・・」

 

「ごめんなさいね。私もあまり寝れてなくて・・・。それに朝から2人で一緒にいたから」

 

「ふえぇ・・・朝から・・・?いったい何を・・・」

 

「デートよ」

 

「ふぇ!?」

 

千聖の発言に驚きを声を挙げる花音の横では事情を察している紗夜が2人を見る。

紗夜自身は口に出していなかったが、その目は「早く説明しろ」と2人に訴えかけていた。

 

 

「ふふっ、冗談よ。2人でイヴちゃんの家に張り込んでいたのよ・・・」

 

「zzz・・・」

 

「・・・そうだったんですね。でも、授業中に寝ていい理由にはなりません!!って如月さんも説教中に寝るなんて何を考えてるんですか!!」

 

千聖の軽口に紗夜はお説教を始めようとするが、そんな説教を受けている2人の元にある生徒が姿を見せる。

 

「せんぱーい、いる~?」

 

「花園さん?」

 

「あっ!!かのちゃん先輩も一緒だ~!!」

 

「はぐみちゃんも・・・?」

 

「氷川先輩、花音先輩。こんにちは。先輩いますか?」

 

「如月くんならここで寝てるよ・・・?」

 

花音の言葉を聞いたたえは何事もなく教室へと入っていくと寝ている弦太朗の鼻を突如としてつまみ出す。

 

「zzz・・・。んぁ・・・おたえか・・・それにはぐみも・・・」

 

「先輩、おはよう。もうお昼だよ?」

 

「それで・・・イヴちゃんはどうだった?」

 

「授業中とか見てみましたけど、よく分かりませんでした!!」

 

「「「「・・・」」」」

 

たえはイヴの事を合間で見ていたが、彼女にはイヴの変化が分からなかったことを胸を張って報告するが、その光景に呆気にとられる3人。

 

「先輩たちの気のせいじゃないの・・・?」

 

「はぐみもイヴちんにコロッケあげた時はいつも通りだったよ?」

 

「でも、つぐみもおかしいって言ってたからなぁ・・・」

 

「そっか」

 

「そうだ!!かのちゃん先輩!!一緒にご飯食べよ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「私も香澄達とお昼食べるから」

 

「サンキューおたえ。はぐみもな」

 

「ごめんなさいね」

 

「先輩。昨日言ったアレ、よろしくね」

 

「おう」

 

はぐみに捕まった花音はそのまま教室から引き摺りだされ、たえは何食わぬ顔で教室を後にする2人は何事もなかったかのように話し始める。

 

 

「それにしても、分からない事ばっかりね。ああなった理由もだけど、なんであんな早くから外にいたのかしら?」

 

「でも、そうなると誰か頼れる奴はいるか・・・?

 

「そうね・・・。日菜ちゃんはお気楽に考えてそうだし、麻弥ちゃんも仕事中しか一緒じゃないでしょうし・・・」

 

「って!!2人とも!!私を無視しないでください!!それと白鷺さん。丸山さんはどうしたんですか?」

 

「紗夜ちゃん。今は授業よりもイヴちゃんよ。それと彩ちゃんだけど・・・こういう時に頼りになると思う?」

 

 

笑みを浮かべた千聖の言葉に紗夜と弦太朗は彩に頼った時の事を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

『イヴちゃん追いかけないと・・・うわぁ!!』

 

イヴを追いかけようとして何もないところで転ぶ――

 

『イヴちゃんから隠れないと・・・!!』

 

『アヤさん・・・?なんで頭だけ隠してるんですか・・・?』

 

隠れようとするが頭だけを隠して身体が全く隠れていない彩の姿――

 

 

 

 

 

 

 

紗夜の脳裏にはそんなイメージしか浮かばなかったが、千聖の言葉を聞いた弦太朗も同じようなイメージが思い浮かんだようで何とも言えない微妙な顔をする。

 

「確かに丸山さんでは役不足ですね・・・」

 

「紗夜ちゃん?私の事呼んだ?それに如月くんもなんか変な顔してるし・・・」

 

「丸山さん・・・!?」

 

「彩・・・」

 

紗夜の呟きと共に3人の前にひょっこりと顔を出した彩だったが、彼女の言葉と共に3人は彩に向かって可哀そうなものを見るような視線を向ける。

 

状況が分かってない彩に千聖はなんでもないと告げようとしたが口を滑らせた。

 

「なんでもないわよ?ただ彩ちゃんはトチりそう。って話をしてただけよ?」

 

「なんでそんなことになってるの~!?」

 

彩は千聖の言葉を子供のように騒ぎ立てる彩を放置して話を続ける。

 

「手詰まりね・・・」

 

「誰かいい人はいないでしょうか・・・。イヴちゃん・・・いえ、パスパレに詳しい人は・・・」

 

「う~ん。分かんねぇ・・・」

 

 

 

彩を放置して弦太朗達は唸るが、ここで騒いでいた彩がぴたりと止まる。

 

「それなら!!ピッタリの人がいるよ!!私達の知ってる人で!!」

 

「丸山さん・・・?」

 

「彩ちゃん・・・?恥の上塗りはしなくていいのよ?」

 

「ちょっと!!私まだなにもしてないよ!?・・・これでも毎日エゴサーチはしてるんだから!!」

 

「それ自慢にならねぇだろ・・・」

 

「と~に~か~く~!!私に任せて!!」

 

そう言って彩は紗夜たちの前から勢いよく去っていったが、3人は不安そうな表情を浮かべていた。

 

 




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淡・色・逡・巡-3 Pを探れ/ダンシングヒロイン


投稿です。
ガルパピコフィーバー最終回
コメントで予想してたけど宇宙行っちゃったなぁ・・・

この作品も最後に宇宙行かすか・・・(なお最終回までどうなるか考えてない模様



 

彩の自信満々な態度に不安を感じていた弦太朗達だったが、彼女の自信がどこから来たか分からぬまま放課後を迎えていた。

 

「さーてと・・・。千聖、この後はどうするんだ・・・?」

 

「悪いんだけど、放課後はパスパレの5人で雑誌の取材が「千聖ちゃん!!」・・・ってお迎えが来たわね。仕事中のイヴちゃんは私が見ておくから・・・」

 

千聖の言葉を遮って教室に彩が入ってくると千聖の話が聞こえていた紗夜が近づいてくる。

 

 

「白鷺さん。日菜のことよろしくお願いします」

 

「ふふっ。それじゃまた明日」

 

「2人ともまたね~」

 

「そうだ。如月くん!!お昼の話だけど!!CiRCLEに行ってくれるかな?そこで待ち合わせってことになってるから~!!」

 

 

2人は仕事に行こうと教室を出ようとするが、彩は教室を出る直前で振り返るとそう言い残してから教室を去っていく。

 

「おい!!待ち合わせって!?」

 

「・・・行ってしまいましたね」

 

彼が昼に感じていた不安とは逆に、彩は誰かと待ち合わせを取り付けたようだったが、相手と時間を教えないというミスをしてしまう。

時間も時間も分からない状態で待ち合わせをするという状況に弦太朗はどうするか頭を抱えてしまう。

 

「彩の奴、待ち合わせはいいんだけど相手と時間はどうなってんだよ・・・」

 

「とりあえずCiRCLEに行きませんか?私も練習があるので・・・ 」

 

「それは構わねぇけど、燐子はどうしたんだ?」

 

「彼女は生徒会長としての仕事があるので遅れるそうです。丸山さんの言ってたことは私の方から日菜にも聞いておきます・・・」

 

「すまねぇ・・・」

 

「いえ、私も羽沢さんは心配ですから・・・。それでは行きましょうか・・・」

 

こうして紗夜と共に教室を後にする弦太朗。

しかし、この光景を見ていた一部の生徒達はあらぬ誤解を周囲に広め始めるが、彼女達はそれを知る由もなくそのままCiRCLEへと歩き出す。

 

 

 

 

「それにしても、彩の奴は誰を呼んだんだ?」

 

「Afterglowの誰か・・・でしょうか?羽沢さんの店にも良く来ますから、若宮さんの事もよく知ってるかと・・・」

 

「でも、それならすぐ連絡が来るだろ?」

 

「そうなると私にはもう心当たりはありませんね・・・」

 

そして無言になる2人だったが、紗夜は何を思ったか声を挙げる。

 

 

「如月さん。今この時間に勉強しましょう」

 

「歩きながら勉強って何言ってんだよ」

 

「勉強って程ではありませんよ?私が出す質問に答えるだけです。大丈夫、昨日の復習ですから・・・」

 

「わりぃ!!俺は先に行くぜ!!」

 

「ちょっと待ちなさい!!」

 

こうして弦太朗は紗夜―――もとい勉強から逃げ出すべくCiRCLEへと駆け出すが、紗夜がそれを鬼の形相で追いかけていた。

そして周囲の視線を集めながら彼らはCiRCLEへと辿り着くが、彩の言っていたような人物も友希那達もまだ到着している様子はない。

そんな、弦太朗はカフェテリアへと駆け込むと誰も座っていない机の下へと素早く潜り込む。

 

 

 

「如月さん!!待ちなさい!!逃がしませんよ!!」

 

そう言いながら紗夜はCiRCLEの中へと入っていく。

それを見た弦太朗は何を思ったのかそのまま机から抜け出てから椅子に座って背もたれにうなだれる。

 

 

「なんで待ち合わせ前に勉強なんだよ・・・」

 

「学生ですから勉強するのは当然かと思いますが・・・?」

 

「・・・っ!?お前は!?」

 

突如として後ろから紗夜ではない誰かから声を掛けられた弦太朗は驚きの声を挙げて振り返ると、そこにいたのは特徴的な髪色をした少女。

 

「如月さんお久しぶりです!!」

 

「パレオじゃねぇか・・・」

 

「如月さん!!見つけましたよ!!・・・あなたはRASの・・・」

 

弦太朗の姿を見つけた紗夜は彼に詰め寄ろうとするが、彼の後ろにいた少女が見えると必死に取り繕って弦太朗達に近寄っていく。

しかし、紗夜の存在に気が付いていなかったパレオはトンデモナイ言葉を言い放った。

 

 

 

 

 

 

「はい!!あなただけのキーボードメイド!!パレオです!!」

 

「・・・何言ってんだ?」

 

「如月さん・・・」

 

「紗夜!?」

 

「如月さん、あなた中学生にそんなこと言わせる趣味があったんですね・・・」

 

「そんなもんはねぇっ!!パレオも何言ってんだよ!!」

 

パレオの言葉を聞いた紗夜は弦太朗へとゴミを見るような冷たい視線を送るが、言われた弦太朗もパレオの言葉の意味が分からずに混乱していた。

 

 

 

 

 

「こういえば男性の方は喜ぶと日菜ちゃんに言われたんです!!違いました・・・?」

 

「そういう趣味はねぇな・・・」

 

「それに日菜ってどういう事ですか・・・?」

 

「それはロックさん経由で、日菜ちゃんからお願いがあって!!

如月さんに『パスパレの事を教えてあげて欲しい』ってお願いされたんです!!

最初は彩ちゃんから話が来たらしいんですが・・・でも、どうして如月さんから直接連絡してこなかったんですか?」

 

「いや、彩が任せろって言って、ここに行けって言われただけで・・・」

 

弦太朗の説明を聞いたパレオだったが彼女はあまり状況がよく分からなかった。

というよりも、パレオにとってはそんなことは些細なことだった。

 

 

「彩ちゃんが・・・?状況がよく分かりませんが、パレオにお任せください!!このパレオが如月さん達を立派なパスパレオタクにして見せます!!」

 

「いや、そこまではいいんだけど・・・」

 

「達・・・?それって私もですか?」

 

「恥ずかしがらないでください!!パスパレは最高なんです!!それに妹である日菜ちゃんがどう思われているか気にならないんですか!?」

 

「・・・確かにアイドルとしての日菜がファンからどういう風に思われているのかは気になりますね・・・練習が始まる前まででしたら・・・。それまではスタジオでお願いします・・・」

 

「では行きましょう!!」

 

パレオの提案に紗夜はバンド練習が始まるまでで話を聞くことにして先にスタジオ入りすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

あこはダンス部での用事が終わってリサ姉と一緒にCiRCLEまで歩いてるの!!

りんりんは生徒会で遅くなるって言ってたけど・・・。あれ・・・?

 

「リサ姉!!友希那さんは?」

 

あこは友希那さんがいないことに不思議に思ってリサ姉に聞いたんだけど、もしかして先に行って紗夜さんと練習してるのかな・・・?

 

あこも早く練習したい!!

 

そう思ってたらリサ姉の表情が変わった。

なんだろう?明日香がたまにあこを見るみたいな表情になってる・・・。

 

「友希那は補修だよ・・・。なんであんだけ言ってあげたのに宿題やってないの・・・」

 

「そっか~」

 

「あこは宿題とか大丈夫?」

 

「うん!!おねーちゃんが教えてくれるんだ~!!」

 

「あこは友希那みたいに勉強サボっちゃだめだよ~」

 

あこも宿題があったけどおねーちゃんに教わりながらやったらすぐに終わったんだ~。

リサ姉もあこの言葉聞いてニコニコしてるからなんか嬉しくなってきちゃった。

 

そしたらあっという間にCiRCLEまで着いたけど・・・。

あれ?紗夜さんがいない・・・?どうしたんだろ・・・?

 

「紗夜は先にスタジオ入ってるって言ってたから行こっか~」

 

「うんっ!!」

 

リサ姉の後ろをあこは着いていくと、リサ姉はスタジオの扉の前で動かなくなっちゃった。

と思ったらすぐにスマホを取り出して中の様子を撮り始めた。

 

「リサ姉?」

 

あこの言葉にリサ姉はドアを指で刺してるからあこもついてる窓から中を覗く。

そこにはパレオとげんたろうの目の前に立ってる紗夜さんがいた。

 

 

 

 

 

 

と思ったら紗夜さんは2人の前で踊り出した。

私達に気が付いてないみたいでリサ姉はニコニコしながら動画を撮ってる。

それで少し経ったら無言であこの方を見てドアを指さしてる。

 

開けるってことかな・・・?

 

あこは静かにドアを開けるとパスパレの曲―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『こころ揺らし~幕がひらく~きみの声で~』っ!!」

 

それと一緒に紗夜さんの歌が聞こえたけど、ドアが開いても中の人たちは気が付いてないみたいで紗夜さんの声が聞こえてくる。

 

そんな中でスマホを片手にしたリサ姉と一緒にスタジオに入っていくと紗夜さんが動かなくなった。

 

「紗夜~可愛かったよ~」

 

「うん!!」

 

そう言ったら紗夜さんの顔がどんどん赤くなっていって―――

そのまま紗夜さんは動かなくなっちゃった・・・。

 

 

 




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淡・色・逡・巡-4 名犬!!パレ公!!大手柄!!

投稿です。

やっぱパレオってすげーんだな・・・


紗夜のダンスレッスン?の最中に発生した事件の原因として満面の笑みを浮かべたリサによってスタジオからつまみ出された弦太朗とパレオの2人はカフェテリアにいた。

 

 

 

「リサの奴、めっちゃ怒ってたな・・・」

 

「パレオのせいで申し訳ありません・・・。推しについて話せると思ったら我を忘れてしまって・・・」

 

「推し?よく分かんねぇけど・・・まぁ、気にすんな」

 

パレオの謝罪に何事も無いように振舞うとしている弦太朗だったが、疲れ切ったような表情が隠せていなかった。

 

「ですが、どうして日菜ちゃん・・・いえ、彩ちゃんはどうして私にあんなお願いをしたんでしょうか・・・?」

 

「彩から何も聞いてないのか?」

 

「申し訳ありません・・・。日菜ちゃんからの話を聞いたときに舞い上がってしまって・・・理由まで聞いていませんでした・・・」

 

「そんなに好きだったら仕方ねぇ・・・のか?」

 

「そこで申し訳ないのですが・・・どうしてそうなったのか教えてくださると・・・」

 

「あぁ。実はだな・・・」

 

 

 

 

 

ここで弦太朗は羽沢珈琲店で千聖達と話していたことをパレオにも話すが、今朝に千聖と2人で見たことについては黙っていた。

弦太朗の中の何かが話したら不味いと本能的に感じて黙っていた。

 

「・・・なるほど。イヴちゃんの様子がおかしいのを千聖さんや他の方々が心配して・・・」

 

「それで、アイドルの時のイヴたちのこと知らねぇから彩がパレオに話したんじゃねぇか?・・・それで何か分かんねぇか?」

 

「流石にプライベートまでは分かりませんね・・・。もしかして恋バナですか!?」

 

「多分恋バナじゃねぇと思うけど・・・。せめていつ頃からおかしいとかが分かれば何か分かるかも知れねぇけど・・・」

 

「お役に立てず申し訳ありま・・・ちょっと待ってください!!もしかしたら・・・」

 

弦太朗の呟きにパレオは謝罪の言葉を口に出そうとしたが、何かを思い出したかスマホを取り出して物凄い速度で指を動かして画面を弦太朗へと突きつける。

 

「これ見てください!!」

 

「これって・・・彩達じゃねぇか・・・」

 

そう、パレオが見せてきたのは彩のSNSに投稿された1枚の写真。

そこに写っていたのはパスパレ5人の集合写真だったが、これを見せられた意味が分かっていない弦太朗にパレオは別の写真に切り替えながら説明を続ける。

 

「ここ!!見てください!!イヴちゃんの表情が暗くなってるんです!!」

 

「そりゃ・・・たまにはこういうのもあるんじゃねぇのか・・・?てか、俺には前のと違いが分からねぇ・・・」

 

「そうですか・・・。でも微妙にイヴちゃんの表情が暗いんです!!それに次のも見てください!!」

 

そういってパレオは別の写真へと切り替える。

 

 

 

 

 

 

しかし、そこにイヴの姿は無い。

 

「おい、パレオ?イヴの奴いねぇけど・・・?」

 

「よく見てください!!端っこの方にあるガラスです!!そこにイヴちゃんが映りこんでます!!」

 

「いや、全くわかん・・・これか?」

 

「はい!!ちょっと見にくいかもしれませんが・・・」

 

パレオは写真の隅を指差すと、そこにはガラスに反射して写っているイヴの姿があり、見にくいが弦太朗もイヴを見つけるとその表情を見る。

 

「・・・確かに普段のイヴとちょっと違ってんな・・・。こう疲れてるのを隠してるみてぇな・・・」

 

「そうなんですよ!!」

 

パレオが見せた写真。

2枚目までは弦太朗でも差がよく分からなかったが、3枚目の写真ではイヴの表情の違いがはっきりと弦太朗にも分かった。

 

イヴ自身もそこまで写りこんでいるとは思ってもいなかったのだろうが、その表情は前の2枚とは違って少し疲れの見える表情を浮かべていた。

 

「なぁ、パレオ」

 

「はい!!」

 

「この写真がいつのか分かるか・・・?」

 

「写真自体がいつのかは分かりませんが、SNSへの投稿日時なら・・・」

 

そう言ってパレオはスマホを操作して投稿された日時を確認して、弦太朗へと伝える。

 

「最初のが8月末で、2枚目が9月、3枚目のは3日前の投稿ですね」

 

「待てよ・・・。それって・・・」

 

 

1枚目については弦太朗が来る前の出来事だが、他2枚については心当たりがあった。

 

2・3枚目が投稿された時期。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはイヴがゾディアーツと相対した時期とほぼ一致していた。

だが、そこから何があったのは弦太朗は把握していないので、とりあえずこの投稿についてだけは覚えて連絡しようと先日酷使した頭を必死に動かして覚えようとする。

 

その弦太朗の様子を見たパレオは弦太朗へと問いかける。

 

「もしかして何か心当たりがあるんですか?」

 

「いや・・・。ない訳じゃないんだけどな・・・」

 

「あるんですね!!それでしたら教えてください!!」

 

「いや・・・ほら・・・プライベートっていうか・・・すっげーデンバードな問題って言うか・・・」

 

「それを言うならデリケートではないでしょうか?」

 

「そうそう!!それだ!!」

 

「・・・」

 

弦太朗の言葉を聞いたパレオ。

彼女の中では弦太朗の頭の悪さに驚きを隠せず言葉を失うがすぐに我を取り戻すが、その表情は引きつっていた。

 

「たっ・・・確かにプライベートなところですと・・・流石にどうしようもありませんね・・・」

 

「でも、助かったぜ!!パレオ!!サンキューな!!」

 

「いえ!!お役に立てたのなら良かったです・・・!!」

 

「それにまた時間があったらあいつらの事教えてくれよな」

 

「はい!!では次はもっと沢山お話を・・・!!」

 

「出来れば分かりやすくて短めで頼むな・・・」

 

弦太朗の言葉を聞いたパレオの表情はみるみる明るくなっていく一方で、弦太朗は地雷を踏んだのを察して表情が引きつっていくがここで弦太朗は外が暗くなっていることに気が付く。

 

 

 

「もう日も落ちそうだな・・・送ってくぞ?」

 

「・・・それでしたら駅までお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「おう!!じゃあ行くか」

 

パレオは弦太朗の好意を無碍にすることも出来ず最寄りの駅まで送ってもらうことになり、そんな中でパレオからパスパレとは別の話題が上がった。

 

 

 

「如月さん」

 

「どうした?」

 

「最近この辺りで怪物が出て暴れてる事件が起きてる・・・って噂を知ってますか?」

 

「あー聞いたことがあるような・・・」

 

パレオの言葉に弦太朗は言い淀む。

弦太朗は知っている―――どころではない。

問題の中心にいて、その事件を解決しているのは彼自身であり、その関係者の中では一番詳しく知っている。

 

しかし先日天校に戻った際に「自分から言いふらさないように」と親友に釘を刺されたため知っているとは言わなかった。

 

「それで!!パスパレの皆さんが通う学校にも出たって噂を聞いて・・・!!」

 

弦太朗はボロを出さないようにしようと必死に話を合わせようと思ったが、パレオがそこからパスパレの話へと変わっていったので彼が口を出す余裕すらなく近くの駅まで到着した。

 

 

 

「うっし、パレオ今日はサンキューな!!」

 

「いえ!!パレオもパスパレの話が出来て楽しかったので!!良かったらまた・・・」

 

「お~い!!ゲンちゃ~ん!!」

 

「ん・・・?」

 

「はわわ・・・!?この声は・・・!!」

 

2人の会話に割って入る声。

しかし、その声を聞いたパレオの様子がおかしい。

 

そして2人は弦太朗の事を呼ぶ声の方を向くと―――

 

 

 

 

 

「日菜ちゃん!?それにパスパレが全員集合してる!!」

 

「おう!!仕事は終わったのか?」

 

「えぇ。それにしても如月さんとパレオさんなんて珍しい組み合わせですね?」

 

「如月くん!!どうしてパレオちゃんと一緒だったの?」

 

「まぁ、駅まで送ってたんだよ」

 

「こんにちわ!!パレオさん!!」

 

「はわわわわ~~!!パレオ感激です!!」

 

 

「ちょっと・・・」

 

パレオが目の前の推したちに感動している中、千聖はイヴたちに気が付かれないようにさりげなく弦太朗の横へと移動するとそっと耳打ちする。

 

「何か分かったの?」

 

「気になることがあってな・・・それは後で話すけど・・・」

 

「そう・・・」

 

そして2人はすぐにこの話を止めてパレオの方へと視線を向ける。

 

「パレオちゃん?お~い」

 

「日菜さん・・・」

 

「わぁ・・・!!」

 

 

 

 

「イヴちゃん?どうかしたの?」

 

「アヤさん?なんでもないです・・・」

 

「んっ・・・?そうなの・・・?」

 

そこには推しが近くにいて尊さの過剰摂取によって昇天しかけているパレオを見て、面白がる日菜とそれを苦笑いで見つめる麻弥。

その一方ではすぐにこの場所を離れたそうな表情をしているイヴを不思議に思った彩がそれを気にかけていた。

 

そんな幸せと不安が混ざりあう空気の中―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああああああああああ!!」

 

この空気を絶望感に叩き落すような悲鳴が響き渡った。

 

 




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淡・色・逡・巡-5 武士、堕ちる


遅くなりましたが投稿です。

今回は戦闘・・・があると思っていたのか・・・?




 

 

「きゃあああああああああああああああ!!」

 

「えっ!?何が起こってるんですか!?」

 

「ウェ!?」

 

「ゲンちゃん!!人が駅から離れて行ってるよ!!」

 

「如月さん・・・これってもしかして・・・」

 

「だな・・・」

 

誰の物か分からない悲鳴が周囲に響き渡る。

その様子に状況が理解できないパレオと彩だった。

悲鳴の後の人々の行動を見た弦太朗は先ほどの話が目の前で起こってしまったことを察した。

 

 

「ちょっと!!イヴちゃん!!待ちなさい!!」

 

「・・・っ!!」

 

「ゲンちゃん!!イヴちゃん追うよ!!」

 

「おう!!」

 

「2人とも待ってよ~!!」

 

「危ないですよ!!」

 

しかし、そこで弦太朗の想像にしていなかったことが起こる。

千聖の声を聞かずにイヴが悲鳴の中心地へ向けて駆け出して、日菜と弦太朗はイヴを追って駆け出し彩もその後へと続いてしまう。

 

パレオはそれを見て声を挙げるが誰もその声を聞くことはない。

 

「麻弥ちゃん。パレオちゃんを頼めるかしら?私も行ってくるわ」

 

千聖の言葉を聞いて麻弥が動き出すよりも先にパレオの手が千聖の手を取っていた。

 

 

「千聖さんダメです!!」

 

「パレオちゃん!?手を離して!!」

 

「大好きなパスパレの皆さんが危ないとこに行くなんて見過ごせません!!」

 

「あなた。何を言ってるか分かって・・・!!」

 

「・・・千聖さん。パレオさんの言う通りっすよ」

 

「麻弥ちゃん?あなた、自分が何を言ってるか分かってるの!?」

 

「勿論ですよ?」

 

パレオの提案を即答で却下する千聖だったが、麻弥がパレオの意見に賛成したことに声を荒げてしまう。

 

 

 

「麻弥ちゃん!!だけど私は・・・!!」

 

「千聖さん。それは千聖さんが1人で危険に飛び込む理由にはなってませんよ?」

 

「あなたには分からないわよ!!」

 

「千聖さん・・・」

 

千聖が言わんとした言葉を遮るように麻弥が咄嗟に言葉を挟む。

 

彼女が過去の罪悪感から危険に飛び込もうとしているのが麻弥は理解してしまった。

最初は咄嗟に止めてしまった、ごく短い時間で彼女なりに必死にどうすればいいか考えるがすぐに答えは出てこない。

 

 

 

 

麻弥の想像が正しければ千聖の向かう先は間違いなく戦いが起こる。

 

もしも今の千聖を1人で行かせたら彼女は彩やイヴのために自分の身を顧みないでどんな無茶なこともしてしまうだろう。

だが、行かせないでイヴや彩たちの身に取り返しのつかない事が起こったら彼女の心が壊れてしまう。

 

麻弥にはそれが理解できていたから必死にどうするべきかを考えるが答えでない。

そんな中で予想外の言葉が飛び出してくる

 

 

 

「・・・千聖さんが何を考えているのかわかりませんが、それでしたらパレオもお供します!!」

 

「パレオちゃん!?ダメよ!!危ないから逃げなさい!!」

 

「お断りします!!危ないのは千聖さんや彩ちゃん達も一緒ですよ!!」

 

「危ないことがあっても守れないわ!!」

 

千聖の言葉を聞いた麻弥の考えは纏まった。

 

「千聖さん!!皆で行きましょう!!」

 

「麻弥さん!?」

 

「麻弥ちゃん!!ダメよ!!あなたまで何を考えてるのよ!!」

 

先ほどまで反対していたのに意見を急に変えた麻弥の言葉に千聖とイヴが声を挙げるが、麻弥はその理由を話し始める。

 

「今何が起こってるかは多分千聖さんも検討が付いてると思います」

 

「そうよ!!だから・・・!!」

 

危ない思いをするのは1人でいい。

そう言葉を続ける前に麻弥が割り込む。

 

 

 

「みんなで行って彩さんやイヴさんを連れて逃げましょう!!それに向こうには如月さんがいますから」

 

「如月さん・・・?」

 

3人で先に行った3人を連れ戻した後は弦太朗に任せてすぐに逃げ出す。

 

それがここで言い争う時間と千聖の精神状態を考慮した麻弥の結論だった。

 

「そうかもしれないけど・・・!!」

 

「それに下手にバラバラになっているのは危険です!!それでしたら彩さん達と一緒にいたほうが、守る側にとっても都合がいいと思いますよ?」

 

確かに守る人が固まっている方が闘いやすいが、それ以前に守る人の数が少ない方が闘いやすい。

 

麻弥の言葉は破綻しているのを彼女自身が一番わかっているが、今の千聖になら勢いで誤魔化せると踏んでそのまま押し切ろうとする。

 

パレオも話がおかしい事には気が付いているようで視線を麻弥に向けるが麻弥もそれに目線を向けて答える。

 

「(パレオさん。話を併せてほしいです!!)」

 

そんな想いの籠った視線を向けられたパレオはその思いを汲み取った。

 

「千聖さん!!麻弥さんの言う通りです!!」

 

「ダメよ!!あなた達は・・・」

 

「この場で話し合いを続けても彩ちゃん達が危なくなるだけです!!」

 

「・・・わかったわ。行きましょう」

 

「千聖さん・・・!!パレオさんは千聖さんの手を離さないでください!!」

 

「はい!!パレオ頑張ります!!」

 

「ちょっと・・・!!」

 

ここでパレオの援護によって千聖が遂に折れて全員で彩たちを追うことになったが、その時も麻弥は千聖を暴走させないようにパレオに千聖を離さないように指示を忘れない。

 

そして麻弥達は先に行ってしまった弦太朗達を追いかけるとすぐに彼らを発見するが、彼女達の目に最初に飛び込んできたのは、千聖と麻弥が想像通りのゾディアーツの姿と既に変身した弦太朗、そして―――

 

「やっぱりそうだったんで・・・!!」

 

「イヴちゃん・・・?」

 

「ひぃ・・・!!」

 

 

 

 

 

「ああぁぁあああ!!」

 

「イヴちゃん!!」

 

「ほらストップだよ!!イヴちゃん!!」

 

彩と日菜がしがみ付いているにもかかわらず、鬼のような形相を浮かべて暴れまわっているイヴの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ!!イヴの奴どこ行ったんだよ!!」

 

「2人とも~待ってよ~!!」

 

イヴを追って駆け出した弦太朗達、しかし悲鳴がしたと思われるには誰の姿もない。

 

「ゲンちゃん!!こっち!!イヴちゃんの声が聞こえたよ!!」

 

「日菜!!行くぞ!!」

 

「うん!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

弦太朗達には分からなかったが日菜の耳はここから離れた場所から聞こえたイヴの声を聞き分けてその方へ向かって走ると遅れて彩が2人に続き、そこから少し走るとイヴらしき人影と人外の影を捉えた。

 

 

 

「ゲンちゃん!!アレ!!」

 

「出やがったな!!」

 

「今回のは白い鳥!!あれは白鳥座だよ!!」

 

「あぁ!!天校で見た!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・イヴちゃ・・・ん?」

 

イヴは弦太朗達から離れた場所でキグナス・ゾディアーツと対峙していた。

そこに遅れてきた彩がやってきたがイヴの表情を見て言葉に詰まってしまった。

遠目で見てわかるほどにイヴはゾディアーツを前にして完全に正気を失っていた。

 

「あぁぁああああああ!!」

 

そんな彼女は近くの店の前あった傘を持つと同時にゾディアーツへと駆け出してそれを振り下ろす。

 

しかし、それはキグナスに当たると同時に中ほどから曲がってしまうがそれに構うことなくイヴは叫びながらそれを振り下ろし続けるがキグナス。

 

 

 

 

「イヴの奴どうしちまったんだよ?」

 

「分かんないよ~!!」

 

「ゲンちゃん!!お願い!!イヴちゃんは2人でなんとかするから!!」

 

「・・・おう!!」

 

日菜の言葉を聞いて弦太朗は飛び出すと同時にイヴが振り下ろしていた傘は根元から完全に折れる。

それを見たキグナスはイヴに拳を振り上げようとするが飛び出してきた弦太朗に捕まれて2人で地面を転がっていく。

 

「まてっ!!」

 

「イヴちゃん!!待つのはイヴちゃんだよ!!」

 

その言葉と同時に日菜が後ろからイヴを羽交い絞めにする。

 

「ヒナさん!!離してください!!」

 

「彩ちゃん!!右腕抑えて!!」

 

「うんっ!!」

 

「アヤさんも離してください!!」

 

「うぐぅ~!!腕振らないで~!!」

 

日菜の言葉に彩もイヴの右腕にしがみつく。

イヴも腕を振って抵抗しようとするが彩が腕から離れない。

 

そんなことが起きていること目の前では弦太朗のドライバーはカウントダウンを終えていた。

 

「変身!!」

 

 

 

弦太朗はキグナスの目の前でフォーゼへの変身を完了する。

 

「宇宙・・・来たー----!!」

 

「来た~~!!」

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマン・・・のわぁ!?」

 

フォーゼがいつものを言い終える前に目の前のキグナスは自身の羽をフォーゼに飛ばしていた。

 

「ってまだ話してる途中だろうが!!まぁいいや・・・!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「いっけーゲンちゃん!!」

 

 

フォーゼはそのまま飛び出してキグナスへと殴り掛かって戦闘を開始するが、イヴは依然として暴れ続けていた。

 

「アヤさん!!ヒナさん!!離してください!!」

 

「彩ちゃん、いくよ~」

 

そのまま2人がかりで押さえつけながら、ゆっくりと後ろへと下がっていく。

 

「ああぁぁあああ!!」

 

「イヴちゃん!!」

 

「ほらストップだよ!!イヴちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりそうだったんで・・・!!」

 

「イヴちゃん・・・?」

 

「ひぃ・・・!!」

 

そこに千聖達が追いついてきた。

しかし、イヴの姿に困惑しておりパレオに至ってはイヴの恐怖で小さな悲鳴を挙げている。

 

「麻弥ちゃん達も手伝ってよ~!!」

 

「彩ちゃん!?・・・えぇ!!分かったわ。麻弥ちゃん!!パレオちゃん・・・は放心してるわね・・・」

 

「分かりました!!」

 

そうして千聖達も加わってイヴを抑えようとするが4人がかりでもイヴは激しく暴れ、それを振りほどこうとする。

 

「不味いですよ!!」

 

「なんで4人で抑えられないの・・・!!」

 

「えぇっと・・・確かやり方は・・・。イヴちゃん!!ごめん!!」

 

「う・・・ぁ・・・!!」

 

拘束することに限界を感じた日菜は羽交い絞めを辞めて自身の腕をイヴの首へと回して首の横を締め上げる。

それによって次第にイヴの動きが鈍っていき、最後には完全にイヴは意識を飛ばす。

 

「はぁ・・・はぁ・・・上手くいった・・・かな?」

 

「あなた!!なんてことを・・・!!」

 

「千聖ちゃん。イヴちゃんは意識を失ってるだけみたいだよ?」

 

彩の言葉を聞いた千聖は日菜に注意をして、それに聞いた日菜は反省した態度を見せている。

そんな彼女達は目の前で繰り広げられている戦闘に目を向けるとフォーゼがキグナス相手におされていた。

 

「パスパレ・・・っ!!」

 

「くっそ!!こいつ・・・!!イヴたちばっかり狙いやがって・・・!!」

 

パスパレを敵視するような視線を送っているキグナスの前にフォーゼはシールドを片手に立っていた。

キグナスはイヴたちへ目掛けて羽根を飛ばし、フォーゼはそれを防ぐために防戦一方になっていた。

 

「ゲンちゃん!!」

 

「日菜!!イヴは!?」

 

「大丈夫!!」

 

日菜の後ろではパレオを含めた4人でイヴを運び出している姿を捉えた。

しかし、そのわずかな隙にキグナスはフォーゼに向けて羽根を飛ばす。

フォーゼはそれを防げずにフォーゼの身体から火花が散る。

 

「のわぁ!!」

 

「ゲンちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だ!!・・・って逃げやがった!!」

 

フォーゼが攻撃を受けてよろけた隙にキグナスはこの場から姿を消していた。

それを悟ったフォーゼは変身を解くとイヴたちへと駆け寄っていく。

 

「如月くん!!大丈夫か?」

 

「俺は大丈夫だけど。イヴは・・・?」

 

「日菜さんが締め落としたんですよ・・・」

 

「マジかよ・・・」

 

日菜の想像の斜め上を行く行動に弦太朗は驚くが、そんな中でおずおずとパレオが声を挙げる。

 

「あの・・・。さっきのはなんだったんでしょうか・・・?それに如月さんのも・・・」

 

「後でちゃんと説明するわ・・・。弦太朗が」

 

「それはいいけど、イヴの奴どうするんだ?」

 

この後の事を考えようとしたが、そこですぐに日菜が手を挙げて答える。

 

「ここからだとうちが一番近いから一旦移動しない?パレオちゃんもそこでいいよね?」

 

「日菜ちゃんのおうち!!・・・はい!!」

 

「んじゃ、行くか!!イヴは俺が運ぶぜ」

 

「闘った後なのに申し訳ありません・・・」

 

そして、彼らは日菜を先頭にして氷川家へと向かうのだった。

 





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淡・色・逡・巡-6 どうしてイヴは狂気に取りつかれたのか

投稿です。

う~ん。
彩ちゃんの扱いが雑ぅ~!!



キグナスとの戦闘が終わった弦太朗達は日菜の案内によって氷川家へとやってきていた。

 

「誰もいないけどみんな入って~!!ゲンちゃん!!とりあえずイヴちゃんは私の部屋でいいよ~」

 

「おう。んじゃ運んでくるわ」

 

そう言って弦太朗と日菜は家の中へと入っていくが、パレオは日菜の家を前に固まってしまっていた。

 

「ここが・・・日菜ちゃんの・・・家・・・!!」

 

「パレオちゃん・・・?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。パレオなんだか胸が高鳴ってきました・・・!!」

 

「「「・・・・・・」」」

 

先ほどの事件の後にも関わらず、パレオの興奮も隠さずに氷川家へと熱い視線を向けている光景に残された彩たちは苦笑いを浮かべて家の前に立ち尽くしていた。

 

「みんな~?家に入らないの~?」

 

「そうね。とりあえず中に入りましょうか・・・」

 

一同は氷川家へと上がると、千聖以外は途中にあったドアのない部屋に疑問を覚えながらも日菜の部屋へと入ると、イヴは日菜のベッドの上で寝息を立てていた。

 

 

 

 

 

そんな部屋でパレオにフォーゼの事を話し始める弦太朗だが、反応が良くなかったため弦太朗はパレオ達に前で再びフォーゼへと変身を見せて半ば強引にパレオを納得させていた。

 

「嘘みたいな話ですけど・・・。2回も目の前で見せられたら信じるしかなさそうですね・・・」

 

「なら、次はイヴちゃんの・・・」

 

「あの・・・!!この事はチュチュ様達は知ってるんでしょうか・・・?」

 

「レイたちは知ってるぞ 。でも、チュチュは知らねぇと思うぜ」

 

「千聖さん。話を止めてしまってすいません・・・」

 

弦太朗の言葉にパレオは驚きの表情を浮かべるが、すぐに我に返るとイヴの事へと話は変わっていく。

 

「それで弦太朗。さっき言ってたイヴちゃんについてだけど・・・」

 

「如月さん。それって・・・」

 

「さっきまでパレオと話してた奴だな。悪いんだけど・・・」

 

「お任せください!!では・・・」

 

ここでパレオがCircleで弦太朗と話していた事と同じことを彩たちへとSNSの写真を見せながら説明を始め、パレオの説明と受けたそれぞれが真剣な表情を浮かべていた。

 

「・・・これがその時の写真ですが、彩ちゃん。これを撮ったのは投稿と同じ日でしょうか?」

 

「そうだよ?それがどうしたの・・・」

 

パレオが見せたSNSの投稿日時を見て彩は状況が分かっていなかったが、他のメンバーはその日付を見て困惑の表情を浮かべる。

 

「それでこれだけどよ・・・」

 

「えぇ・・・この日付って・・・」

 

「うん。弦太朗と麻弥ちゃんの考えてる通りよ」

 

「「へっ?」」

 

思い当たることがある3人を他所に彩とパレオは理解が追い付かない。

 

「彩ちゃん?本当に分からないの・・・?」

 

「あっ!!もしかして・・・!!」

 

ここでようやく彩が思い当たることがあったようで、それを見た麻弥がそれに答える。

 

 

 

 

「えぇ・・・2枚目が最初にイヴさんが如月さんのあれを見た時で、3枚目は羽沢さんのお店での時・・・ですかね?」

 

「そうだな。3枚目の数日前につぐ達の店でゾディアーツがな・・・」

 

「その時もイヴちゃんは闘ってたってつぐみちゃんから聞いたわ」

 

「それで負けちゃったから落ち込んでたってこと・・・?」

 

「彩ちゃん・・・?普通あんなのに立ち向かったら危ないんですけど・・・?」

 

「え~。でも、巴ちゃんは普通に殴り合って、頭突きで倒したってつぐちゃんから聞いたよ~?」

 

「えっ・・・?」

 

「ちょっとパレオさん?しっかりしてください!!」

 

弦太朗とパスパレの意見が一致しているが、パレオは今の話で彼女の中の常識が乱れて混乱する。

完全に頭がパンクしているパレオに麻弥は肩を掴んで揺すってみるが反応がない。

それを見た千聖は弦太朗の荷物からあるものを取り出す。

 

「えぇっと・・・。確か有咲ちゃんが言ってたのはこれね」

 

「なにすんだ?」

 

「パレオちゃんの正気を戻さないと・・・。っとこれかしら?」

 

「なにそれ!?ソフトクリーム・・・?」

 

彩の言葉を無視して千聖はソフトーニャにスイッチを入れてパレオに向けると、それから放たれた冷気がパレオを襲い、横にいた麻弥を巻き込む。

 

 

 

 

「ひゃ!?」

 

「うわぁ!?千聖さん。何を?」

 

「なにその子!?かわい~!!」

 

「日菜ちゃん?とりあえずこの子の事は後で今はイヴちゃんの話よ?」

 

千聖は満面の笑みを浮かべながら何事もなかったかのように話を進めていく。

その様子に驚く一同の中で日菜だけは何事もなかったかのように答える。

 

「確かイヴちゃんが負けちゃったってところまで話してたよね?でも、それがどうかしたの千聖ちゃん・・・?」

 

「いえ、実はね。今朝に弦太朗と2人でイヴちゃんの家に行ったのだけど・・・」

 

「って言っても日も出てなかったじゃねぇか・・・?」

 

「そんな時間からですか!?」

 

「アイドルがそんな時間から男の人と2人っきりで・・・はわわ・・・!!」

 

「千聖ちゃん!!ずるい!!」

 

「彩ちゃんは何を・・・?」

 

「ん~。気にしなくていいよ~」

 

彩の場違いの指摘にパレオは困惑するが日菜が応えるが、彼女以外パレオと彩の事を気にしている様子はない。

 

「えぇっと弦太朗と2人でイヴちゃんが家から出てくるのを待ってたんだけど、日が昇ったくらいの時間にあの子は外から来たのよ・・・」

 

「つまり朝帰りって事!?」

 

「でもな、日菜。イヴは遊んでたわけじゃなさそうだったぞ?」

 

「ランニングしていたような感じだったわね。しかも、日が昇る前から張り込んでからイヴちゃんが出てくるのを見てなくて・・・」

 

「つまり、イヴさんは日が昇る前から外にいたってことですか?」

 

「千聖さん達がイヴちゃんを見逃した・・・ということはないんでしょうか!?」

 

「カメラでずっと撮ってたからな。それはないだろ?」

 

「あの様子だと、今日だけってことはないわね。何時からなのかは分からないのだけど・・・」

 

千聖の言葉に一同はイヴの目的について考え始めるが、すぐに答えは予想できた。

 

 

 

「あの~・・・さっき話に合った宇田川さんの事はイヴさんは知っているんでしょうか・・・?」

 

「えぇ、イヴちゃんがバイト中に私と一緒に聞いたから知っているはずよ?」

 

「それなら・・・」

 

「巴ちゃんみたいに闘うためにかな~」

 

「でしょうね・・・。それにイヴちゃんもこれだけ騒いでても全く反応しないんだもの・・・」

 

「これだけ寝てるってことは随分と睡眠時間を削ったんでしょうね」

 

「やりすぎではないでしょうか・・・」

 

「そうね。後は起きた本人にきっちりと問い詰めましょう?」

 

「千聖ちゃん?怖いよ~?」

 

ここで話を切り上げた千聖は笑顔が張り付いているが、怒りが含まれている笑顔を見た彩は怖がる素振りを見せるが誰も気にする様子はない。

 

 

「あ~そう言えば、パレオ?時間大丈夫か・・・?」

 

「あっ!!どうしましょう・・・」

 

「弦太朗のバイクで送って送ってもらう?」

 

「いえ・・・!!流石にそれは申し訳ないです!!」

 

「でも、明日も学校だろ?」

 

「そうね・・・流石にこの時間に1人で帰らせるわけにもいかないわね・・・」

 

「じゃあ、皆でお泊りだよ!!」

 

「日菜ちゃん!?」

 

「お泊り・・・!!いえ!!私はチュチュ様のスタジオにお泊りします!!」

 

「急に決めてるけど、チュチュちゃんはいいの~?」

 

「大丈夫です!!」

 

「それなら送ってってやるよ。そんなに気になる距離じゃねぇしな」

 

「お願いね、弦太朗」

 

「おう!!」

 

「それでは皆さん!!失礼します!!」

 

「またな!!」

 

そう言うとパレオと弦太朗は氷川家を後にする。

 

 

「それならパスパレはお泊り会だよ!!」

 

「まぁ、着替えもありますし・・・」

 

「イヴちゃんの事もあるからね・・・」

 

「えぇ・・・」

 

残ったパスパレは急遽として氷川家での宿泊が決定した。

それとほぼ同じタイミングで紗夜が帰宅すると、突如として決まった宿泊について烈火のごとく日菜に説教を始めるが、即座に麻弥たちによって抑え込まれた。

 

そんな中で騒ぎの中でもイヴは寝息を立て目を覚ます気配はなかった。

 




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淡・色・逡・巡-7 拒絶

投稿
今回はがっつりイヴさん視点です・・・

この精神状態ヤバくね・・・?
でも、これでスイッチもってないんやで?


 

「ここは・・・ヒナさんの・・・?」

 

ここは以前にお邪魔したことのあるヒナさんの部屋。

私は暗くなったヒナさんのベッドの上で目を覚ましました。

そして同じ部屋には部屋の主であるヒナさんと麻弥さんが床に布団を敷いて寝ている理由が分かりません。

 

ところで、どうして私はこんなところで・・・。

そこで私は記憶が途切れる前までの事を思い出し始めました。

 

「取材のお仕事が終わってみんなで駅まで戻ってきて、それから・・・っ!!」

 

 

 

全部思い出しました。

 

仕事を終えて皆で駅まで戻ってきた時にキサラギさんとパレオさんとあった後にまた怪物が出てきました。

私は立ち向かいましたが、その後は成すすべなくやられてしまって・・・

そこからはボンヤリとしか覚えてませんが、私の代わりにキサラギさんが闘い初めて、私は皆さんに止められてました。

 

 

 

「どうして・・・」

 

最初のチサトさんの事件の後から部活やアイドルの練習以外にもトレーニングの時間を増やして、その後にツグミさんのお店で出た時もヒマリさんを攫われてしまいました。

 

怪物相手に勝てないのは仕方ない―――

そう思っていた時にツグミさんから信じられない話を聞いてしまいました。

 

お店で私が闘った怪物をトモエさんが闘って追い払った。

それをツグミさんは少しだけ恥ずかしそうに話していたのを聞いて、それからは今までよりもっと強くなるためにそれまで以上に厳しいトレーニングをひたすら続けてきました。

 

頑張っていたはずなのに、なんで―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで私はゲンタローさんやトモエさんみたいに出来ないんですか・・・!!」

 

その言葉と共に私は悔しさで胸がいっぱいになってしまい、声を必死に抑えながら泣き出してしまいました。

 

 

 

悔しい―――

もっと強くならないと―――

 

 

その思いがより一層強くなるのに合わせて涙もそれと共に溢れてくる。

 

どのくらい泣いたかは分かりませんが、気が付くと窓から日が昇っているのが見えました。

こうやって部屋から太陽を見るのも久しぶりな気がしますが、今の弱い私にそんなことを言ってる時間はありません。

 

「もっと、強くならないと・・・」

 

私はその言葉と共に部屋を出る。

しかし、その部屋の前には―――

 

 

 

 

 

 

「待ちなさいイヴちゃん・・・」

 

「チサトさん・・・」

 

そこには普段の優しい笑顔ではなく、冷たい表情を浮かべたチサトさんが待ち構えていました。

 

「あなた、何をしようとしてるの・・・?」

 

「それは・・・」

 

そこにいるのチサトさんからの冷たく突き放すような言葉が私に突き刺さり言葉に詰まってしまう。

言い返せない私にチサトさんはまた言葉をぶつけてくる。

 

 

 

「それとあなた。さっき部屋で「強くなる。」とか言って泣いてたわよね?」

 

「えぇ・・・負けてしまったから・・・強くならないと・・・」

 

チサトさんから出る威圧感に耐えながら私はなんとか声を絞り出すが、そんな私にチサトさんは想像もしていなかった言葉を言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっきり言うけど、イヴちゃん。今のあなたは怪物・・・いえ、前の私と全く同じよ」

 

「何を・・・!!」

 

私が怪物・・・?

その言葉に怒りを覚えましたが、なんとかそれを抑え込もうとしているのにチサトさんの心無い言葉が私の神経を的確に逆なでしてくる。

 

「あなた、意識を失う前の事覚えてる?」

 

「えぇ。覚えてます。それがなんですか?負けた私に対してバカにしてるんですか!!」

 

私はチサトさんの言葉を聞いて、怒りが抑えられずつい声を荒げてしまった。

そんな私を見るチサトさんはつまらないものを見るようにどんどん感情が冷めきっていく。

 

「そう・・・ならあなたの姿を見たパレオちゃんの表情は覚えてる?」

 

「いえ、覚えてないですが、それがなんなんですか?」

 

「あの子。あなたを見た時に怖がってたわよ。怪物よりもあなたを見て・・・ね」

 

「それがどうしたんですか!!こっちだって必死だったんですよ!!」

 

私はそんなチサトさんを睨みつけた。

でもそれは全く通用せずに冷たい視線だけを向けてくる。

 

「イヴちゃん。あなた何がしたいの・・・」

 

「もっと強くなって私が怪物と戦わないと・・・!!」

 

「ねぇ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰が「闘ってくれ」なんて頼んだかしら?」

 

えっ・・・?

何を言ってるんですか・・・?

 

「善意のつもりかもしれないけど、この際だからはっきり言うわね」

 

ここでチサトさんが1番冷たい表情を向けるが

 

「今のあなたにそんなことされても―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はっきり言ってただの迷惑よ」

 

チサトさんから返ってきた言葉を聞いた私の身体から力が抜けてその場で膝から崩れ落ちる。

それを見たチサトさんはそのまま私を見るとそのまま家から出て行ってしまう。

 

今までの頑張りは全て無駄だった・・・?

私はチサトさんの言葉に呆然となっているとそんな私の後ろから声が聞こえる。

 

「イヴさん・・・?」

 

「マヤさん・・・」

 

「千聖さんとの話は部屋から聞いてましたよ・・・」

 

「私の努力は・・・無駄だったんでしょうか・・・?」

 

私の言葉を聞いたマヤさんは少し考えこんでいた。

でも、マヤさんならきっと分かってくれるはずそう思っていましたが・・・

 

 

 

 

 

「わかりません」

 

「えっ・・・?」

 

私の求めていた答えは返ってきませんでした。

 

「なら私はどうしたら良かったんですか・・・!!チサトさんの言ってた言葉も分かりません・・・!!」

 

「そうですね・・・。いえ、これは私の口からは言うべきことではありませんね」

 

「知ってるなら教えてください!!なんで教えてくれないんですか!!」

 

何かを知っているマヤさん。

でもそれを教えてはくれなかったことに私はまた言葉を荒げてしまう。

そんな私に対してもマヤさんは少し困ったような表情を浮かべましたが、すぐに表情を真剣なものに変えました。

 

 

 

 

 

 

 

「これからのイヴさんがどうしたらいいかジブンには分かりません。

でも、千聖さんが考えていたことはわかります。申し訳ないですけど、自分もイヴさんに戦ってほしい何て思ったことはありません」

 

「なんで・・・、どういうことですか・・・?」

 

「理由はいくつかあります」

 

「理由ってなんですか!!」

 

「それは言えません」

 

「どうしてですか!!」

 

声を荒げている私を見てもマヤさんは真剣な表情をしたまま、いつもの様な優しい口調で答えてくれました。

 

 

「それは・・・イヴさんが自分で気がつかないといけない物だと思いますから」

 

「・・・」

 

マヤさんの言葉の意味が分からない。

頑張ってるのになんでこんなことを言われないといけないんですか・・・?

トモエさんと私の間で何が違うんですか・・・?

 

私の中で疑問が浮かぶが、その様子を見たマヤさんは私へ話しかける。

 

「ですから、ジブンはイヴさんが求めている答えを教えることはできません」

 

「・・・」

 

「イヴさん。でも、千聖さんはしっかりとヒントを出してましたよ?」

 

「えっ・・・?」

 

「それとこれはイヴさんよりもほんのちょっとだけ長く生きてる先輩からのアドバイスです。

「今までを振り返れば何か分かるかも知れませんよ?」・・・フヘヘ、薫さんの劇であったこのセリフ。ちょっと言ってみたかったんですよね・・・」

 

「マヤさん、それはどういう・・・?」

 

「それじゃあ、ジブンは彩さん達を起してきますので。後は自分で考えてみてください」

 

そういうとマヤさんは私に背中を向けて扉のない部屋へと入って行く。

色々教えてくれたマヤさんの背中はいつも以上に大きくて、頼もしく見えました。

 

「すぐに答えを見つけられそうにありません・・・」

 

 

 

 

私の口からは弱音が零れてしまいましたが、部屋の中から聞こえてくる寝ぼけたアヤさんの声がそれをかき消してしまいました。

 

そして、私達は束の間の学校生活へと戻っていきました。

ですがその間マヤさんが言っていたことをずっと考えていましたが、答えはいまだに分かりませんでした―――

 




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淡・色・逡・巡-8 曇り顔のActress

投稿です。

なんだこれ・・・
なんだこれ・・・
なんだこれ・・・!?

ギャグ回かな?


 

先日起こったキグナスとの戦闘があった翌日。

弦太朗はいつも通り学校へ向かっている最中に彩と紗夜と出くわした。

 

「あっ!!如月くん!!おはよー!!」

 

「如月さん。おはようございます」

 

「おっ!!彩に紗夜!!おはよう!!・・・って千聖達はどうしたんだ?」

 

氷川家に泊まっていて花咲川に通っているイヴと千聖の姿がないことに気がついた弦太朗は挨拶を返すもその事を疑問に感じていたが、その疑問を口にすると紗夜からすぐに答えが返ってくる。

 

 

「白鷺さんと若宮さんは先に学校に向かってるはずですよ?」

 

「はず・・・?どういうことだ。泊まってたんじゃないのか?」

 

「若宮さんは1度家に戻ると言ってました。ですが白鷺さんは私達が起きた時にはもういなくなってましたから」

 

「それなんだけど・・・千聖ちゃんとイヴちゃんで喧嘩しちゃったみたいなんだよね・・・」

 

ここで彩が紗夜と弦太朗の会話に割り込むが、その話を聞いた2人は首を傾げた。

 

「喧嘩?そんなんですか・・・?」

 

「うん。麻弥ちゃんは違うって言ってたけど。間違いないよ!!」

 

「よくわかんねぇけど、なんでそんなこと分かるんだ?」

 

「これでも私はパスパレのリーダーだからね!!」

 

「「・・・」」

 

「ちょっと2人とも~!!」

 

彩の言葉を疑っているわけではないが、彼女は全く根拠のない理由を胸を張って堂々と言っていた。

その姿に可哀そうなものを見るような視線を送る2人に声を挙げ続けるが、彼らはそれを気にすることなく学校へと向かっていく。

 

学校へと着いた彼らが教室へと向かっていくが彩がビクつくと小走りで千聖がいると思われるA組の教室を覗き込む。

 

「千聖ちゃん・・・。あれはすっごい不機嫌だよ~」

 

「すっげーな。俺にはわかんねぇ・・・」

 

「私もです。それと丸山さんは廊下を走らないでください。」

 

千聖が自身の席に着席している。

その姿を見た彩が言うには彼女は不機嫌らしいが、弦太朗達にはそれが分からなかった。

 

「あれは日菜ちゃんが練習サボった時とか、私が生放送で噛んじゃった時とか感じだよ~」

 

「日菜・・・。あの子は・・・」

 

「いや、今はそうじゃねぇだろ?」

 

日菜の話に反応を示す紗夜に弦太朗のツッコミが刺さるが、彼女自身はそれを気にする様子すらない。

 

「んじゃ、そろそろ教室へ行くか・・・」

 

「それじゃ行こ!!」

 

「うぉい!!彩!?」

 

「そうですね・・・。って丸山さん。如月さんは置いてって下さい」

 

彩は弦太朗の言葉を聞くと弦太朗の腕を引いて自身のクラスへと行こうとするが、それを見た紗夜がそれを静止させる。

しかし、彩から返ってきたのは抗議の声だった。

 

「えぇー。たまにはB組に貸してよ~!!」

 

「ダメです!!丸山さんは腕を離しなさい!!」

 

紗夜はそう言いながら彩が掴んでる反対側の腕を掴むと弦太朗を中心に引っ張り合いが開始された。

 

 

「おい!!2人とも腕引っ張んなよ!!」

 

「さぁ如月さん。教室に行きますよ!!」

 

「如月くん!!たまにはこっちにも来てよ~!!」

 

「とりあえず離せ~!!」

 

教室前の廊下でアイドルと風紀委員が不良男子を取り合うという信じられない光景が繰り広げられていた。

しかし、他の3年生達は弦太朗が中心で起こる騒動に慣れてしまっていたためにそれに驚きを示したのは半数にも満たず、一部の生徒は風紀委員に怒られてると勘違いしていた。

 

「紗夜ちゃ~ん!!」

 

「なんでもいいからやめてくれ!!お前、日菜の変装だな!!」

 

「そんな訳ありません!!何バカなことを言ってるんですか!!丸山さん!!もうHRが始まりますよ!!」

 

「紗夜ちゃん達ばっかり!!ず~る~い~!!」

 

「そんなわがまま言わないでください!!あなたは子供ですか!!」

 

「17歳は子供だよ~!!」

 

「おい!!腕もげる!!痛てぇからもう腕離せって!!」

 

弦太朗の必死の叫びも2人には届かない。

2人の腕を引く力がますます強くなっていきその熱はギャラリーへと伝播していく。

 

 

 

 

「丸山さん!!頑張って!!」

 

「氷川さん!!盗られたらダメよ!!」

 

「ふえぇ~!!如月く~ん!!」

 

「いいから誰か止めてくれ~!!」

 

ギャラリーと化した周囲の生徒達の声援を受けて紗夜と彩による弦太朗の取り合いと弦太朗の悲鳴は激しさが増していくと共に、ギャラリーも盛り上がっていくが最終的にB組の教師(独身)が紗夜ごと弦太朗をB組へと連行して終結した。

 

 

そんな騒ぎがあったにもかかわらず―――

 

「はぁ・・・」

 

千聖はそれを気にすることもなく教室で物思いにふけっているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦太朗の取り合いが行われた後、弦太朗はB組の授業に参加していたが昼休みになって紗夜たちのいるA組へと戻ってきた。

 

「くっそ・・・なんでみんなに怒られちまったんだよ・・・」

 

「それは如月さんが勝手に他のクラスに行ったからでしょ?」

 

「彩たちに連れてかれたからなんだよなぁ・・・」

 

「ふえぇ・・・。でも、なんで如月くんはこっちに戻ってきたの・・・?」

 

「なんでも授業にならないからって言ってたけどな・・・」

 

「あはは・・・」

 

彼はB組で授業を受けていたが他の生徒達は弦太朗の存在に気を取られて全く授業に集中できない問題が発生してしまったため彼は以前までいたA組へと強制送還されたのだ。

 

それを聞いた紗夜は頭を抑え、花音は苦笑いを浮かべるが彼の話は千聖の事へと変わっていく。

 

「千聖はどうなんだ?」

 

「えっとね・・・。今日はずっとあんな感じなの・・・」

 

「・・・あれは相当参ってますね」

 

集まっていた3人は千聖の方へと視線を向ける。

千聖は未だに物思いにふけっている。

 

「それでね。さっきはぐみちゃんがこっちに来て教えてくれたんだけど、イヴちゃんが何かを考えてるみたいだったって言ってたよ?」

 

「イヴが?何考えてんだ?」

 

「それが分かったら苦労はないでしょ・・・」

 

「それにしても、紗夜ちゃんがここまで千聖ちゃん達のために頑張ってくれるなんて」

 

「日菜がお世話になってますからね。でも、こちらからはもう何もすることはないでしょうから後はパスパレの皆さん次第でしょうね・・・」

 

弦太朗達はパスパレについての結論が出ることもなく、見たままを日菜と麻弥へと連絡をとる。

それとほぼ同じタイミングで千聖は自身の荷物を持ってそのまま席を離れる。

 

「千聖ちゃん!!」

 

「花音?それに弦太朗達もどうかしたの?」

 

「早退ですか・・・?」

 

「えぇ、急に仕事が入ってしまって・・・」

 

「そうだったんだ。頑張ってね!!」

 

「えぇ・・・それじゃ・・・」

 

千聖は教室から去ると重かった教室の空気が少しだけ軽くなる。

それを感じた弦太朗は何を思ったのかおもむろに携帯を取り出すと誰かへと連絡を取り始める。

 

「如月さん?どうしたんですか?」

 

「こういう時はダチに頼るんだよ」

 

「友達・・・?」

 

「あぁ!!任せとけって!!」

 

弦太朗はそのまま携帯で誰かと連絡を取り始めるが、紗夜たちはそれが誰かも分からないが彼の自信満々の顔に少しだけ不安を覚えるのだった。

 

 




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淡・色・逡・巡-9 落ちる白鷺

投稿です。

これパスパレメイン回・・・だよな・・・?




 

「はぁ・・・」

 

お仕事を終えた私は事務所の片隅で今朝のイヴちゃんとの一件でため息をついた。

かなりキツイことを言ってしまったけど・・・。

 

口に出した言葉はもう呑み込めない以上、今の私にはもうどうすることも出来ないし、それにあれで正しかったのかすら分からない。

 

「帰りましょ・・・」

 

しかし、ここでいくら悩んでも答えが出るわけではないからとりあえず家に帰って休みましょう・・・。

そう思って事務所を出ようとすると何か入口が騒がしいけど何かあったのかしら?

 

私はそのまま騒ぎの脇を通って帰ろうとする。

その際に騒ぎの中心にいた人物を見て驚いてしまった。

 

そこにはここにいるはずのない彼女の姿があったのだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ千聖」

 

「薫・・・。どういうつもりかしら?」

 

「良かったらこれから・・・どうだい?」

 

私は騒ぎの中心にいた幼馴染に怒りを覚えながら頭を抱えてしまった。

そんな私の事を気にする気配もなくカップを持つようなジェスチャーを向けてくる。

 

「えぇ・・・行きましょうか」

 

「それじゃ、行こうか千聖」

 

普段だったらこんな誘いには乗らないけど、今朝の事があって精神的に参っているのか誘いに乗ってしまった。

薫は私の横に着くとそのまま並んで曇り空の元を歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

少しだけ事務所から歩いた私達。

時間にすればわずかな時間だったのに心が弱くなっていた私はこの無音に耐えられず、歩き始めてまもなく薫へと話しかけていた。

 

「薫。あなたなんで事務所まで来たのかしら?」

 

「とある人に頼まれたからさ」

 

「とある人・・・?誰かしら ?」

 

薫が言ったとある人物が誰なのか気になって聞いてしまった。

日菜ちゃんはそんなことを頼むような子じゃないし・・・麻弥ちゃんか花音、大穴で彩ちゃんかしらね?

そんなことを考えていたが薫は笑みを浮かべながらあっさりと答えを返してきた。

 

「弦太朗だよ」

 

「えっ?」

 

「弦太朗に頼まれたのさ。「幼馴染の千聖の事を頼む」ってね」

 

「そう・・・」

 

弦太朗が・・・。

でもよりによってどうして薫なのかしら・・・。

 

「話は麻弥から少しだけ聞いたよ。君の事だ、イヴちゃんの事を思って憎まれ役になったんだろ?」

 

「そんなんじゃないわ?」

 

「ふふっ、私にそんな嘘が通ると思っているのかい?伊達に名女優の幼馴染を何年もやってないさ」

 

「・・・」

 

正解をズバリ言い当てられてしまった。

私はそれを隠すように振舞ったが、目の前に幼馴染には一瞬で見抜かれてしまって言葉を失ってしまった。

横にいる薫は涼しい顔をして私を見つめているけれそも、この調子でいられると癪に障るわね・・・。

 

 

「でも、それがどうしたの?かおちゃん?」

 

「そっ、その呼び方はやめ・・・。2人っきりだから・・・・今だけはいいよ・・・ちーちゃん」

 

まさかのOKに私の方が面食らってしまった。

私も薫・・・いえ、かおちゃんの幼馴染をしているから恥ずかしいと思っているのは分かっている。

でも、かおちゃんが恥ずかしさを押し殺して返した笑みの破壊力は凄まじかった。

 

「それで私の事務所の前まで来てたの?」

 

「弦太朗もだけど私だって、ちーちゃんの事が心配だったから・・・」

 

「そう・・・」

 

久々に見た薫の恥ずかしがりながらも、しおらしい反応に私は懐かしさを覚えて嬉しくなる。

まさかこれを狙って弦太朗は薫に頼んだのかしら・・・?

 

弦太朗も憎いことしてくれるわね。

弱ってる私の心に一番効果のある物を無意識に用意するのだから・・・。

 

 

弦太朗の行動と薫の姿を見て気持ちが明るくなると同時に曇り空が晴れると雲の隙間から日が差し込んで私たち2人の影を作る。

 

その影は道に先まで伸びていったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として2人の間に怪物の影が割り込んできた。

 

「嘘っ!?この前の・・・。どうしてここに・・・!!」

 

「あれが・・・」

 

あの化け物―――キグナスだったかしら?

そいつは太陽を背にして建物の屋上から彼女達を見下ろしていたが、何を思ったのか建物の屋上から飛び降りる。

それと同時にかおちゃんは私の腕を掴む。

 

「逃げるよ!!」

 

「ちょっと!?」

 

普段の薫に戻ってしまったけどその表情は真剣で私の腕を引いて駆け出す。

降りてから私達の方へと追いかけてくるキグナス、その距離はどんどん縮まっていく。

 

「なんで私達を!!」

 

「それは違うよ。あいつの狙いは君だよ。千聖」

 

私の言葉に答えるかのようにキグナスは一度立ち止まると私に向かって羽根のようなものを飛ばしてくる。

 

「ちーちゃん!!」

 

「きゃ!!」

 

「くっ・・・!!」

 

「薫!!」

 

「大丈夫。かすり傷だよ」

 

私目掛けて飛んできた羽根だったが、薫が私を抱きかかえるように腕を引く。

そのおがけで私は怪我はなかったけど、数枚の羽根が薫の服を裂き、そこから少しだけ血が滲む。

少しだけ痛がるような表情を浮かべる薫に声を掛けるが私の腕を引いて再び薫は走り出す。

 

その姿を見て私は声を張り上げる。

 

「薫!!離して!!」

 

「残念だけどそれは出来ないよ」

 

「なんで!!」

 

「弦太朗みたいには出来ないけど、私もちーちゃんの笑顔くらいは守りたいからね」

 

その薫の答えに私は返す言葉が見つからなかったが、薫はそんなことを気にすることはなく先ほどよりも速度を上げて走り出す。

 

 

「このまま大通りに出るよ」

 

「ちょっと薫!?」

 

「あいつは君が狙いだ。現にさっきから私には攻撃してこないから大丈夫だよ」

 

真剣な薫の言葉に息を呑む。

心の底からそれを言ってるのが分かった私は薫を信じることにしてそのまま大通りへと飛び出すけど、その後を追ってキグナスも私達の後に続いて飛び出してくる光景に周囲の人は悲鳴を挙げて逃げ出していたが、それを気にするほど体力に余裕はなかった。

 

 

 

 

「千聖。もう少しだけ・・・行けるね?」

 

「えぇ・・・!!」

 

「大丈夫。千聖は私が助けるから」

 

薫の言葉に答えるも私は体力の限界が見えてきていたけど、体力を振り絞ってそのまま薫と共に走る。

大通りに出たはいい物の歩道の脇には路上に停めてある自転車や街路樹で、私達よりも遥かに大きいキグナスは少しだけ走りにくそうにしていたが、次第に距離が詰まってくる。

 

 

 

「くっ・・・。すまない!!」

 

薫は私の腕を引いていた手とは反対の手で路上に停まっていた自転車を路上へと引き倒すと、キグナスは予想外の障害物に足を取られて盛大に転ぶ。

 

そのまま走ると大きな橋を渡ろうとしたがそのなかほどでキグナスが私達を追い抜いて立ちふさがった。

 

 

「うそ・・・」

 

「・・・大丈夫だよ。任せて」

 

薫が私の前に立ちふさがると同時に言葉が聞こえてきた。

そして薫が私を庇うように立つとキグナスの方から話しかけてくる。

 

「アイドルは・・・パスパレは消す・・・!!」

 

「それが千聖を狙う理由かい?」

 

「そこをどいて・・・。そうすればあなたは見逃してあげる」

 

「確かに見る人からしたら、それは魅力的な提案かもしれないね・・・」

 

あいつの目的は私を含めたパスパレのみんな・・・

私が行けば薫が助かるならいいと思ったが薫の腕を掴まれる。

その行動に驚いた私は薫の方へと向き直ると薫の腕に抱かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「薫!?」

 

「・・・だがその提案は断らせてもらうよ」

 

「なんですって?」

 

はっきりと拒否した薫にキグナスは苛立ちの言葉を見せていた。

それに畳みかける様に薫は言葉をぶつけていく。

 

 

「彼女は私達の大事な人だから自分よりも守りたいのさ。それに、君のような醜いアヒルに渡すつもりはないよ」

 

「薫・・・!!」

 

「くそがぁ・・・!!」

 

その答えにキグナスの口調が荒々しい物へと変わっていくけど、どこかで聞いたような声ね・・・。

 

「折角だ。私のもう一つの顔を教えてあげよう」

 

「もう一つの顔・・・?」

 

「何を言ってるの・・・?」

 

キグナスも私の薫の言葉に困惑するが薫は堂々とした態度ではっきりと宣言した。

 

「私は瀬田薫。またの名を"怪盗ハロハッピー"。この可憐な白鷺は私が頂いていくよ」

 

「きゃ!!」

 

その言葉を共に薫は私を抱きかかえると同時に駆け出すが、キグナスはその場で羽根を私達へ向けて飛ばすが薫は橋の手すりを駆け上がる。

 

「ちょっと薫!?まさか!!」

 

「それではごきげんよう。醜いアヒルさん」

 

「きゃあああああああああああ!!」

 

薫はそう言うと私を抱えて橋から川へと飛び降りた。

その光景をキグナスは橋の上から見下ろしていて、そこから私達を追いかけてくることはなかった。

 





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淡・色・逡・巡-10 TARGET IDOL

投稿です。

頭ドンブラしてきました。



キグナスから逃げることに成功した千聖と薫だったが、彼女達は未だに川の中で流されていた。

 

「ちょっと薫!!しっかりしなさい!!」

 

「ふっ・・・ふふっ・・・千聖・・・?」

 

「もう・・・高いとこ苦手なのに飛び降りたりするから・・・!!」

 

カッコつけてキグナスから逃げるために川へと飛び込んだ2人。

 

しかし、高いところが苦手な薫は川へ落ちるほんの少しの間で意識を飛ばしてしまい、千聖はなんとか薫と共に水面に浮きあがるも今の彼女には薫と抱えて岸まで泳ぐ体力はなかった。

千聖は薫へと声を掛けて続けて彼女は今、意識をとりもどしたのだ。

 

「大丈夫?」

 

「あぁ・・・天国が見えたよ・・・」

 

「ダメそうね・・・。薫、私もう浮かんでるだけで精一杯なのだけど・・・」

 

「私も流石に走るのに体力を使いすぎて、浮かんでるだけで精いっぱいだよ・・・」

 

「どうするのよ・・・」

 

「ふふっ、仕方ないね。このまま流れに身を任せようじゃないか・・・」

 

「~~~!!少しは後先考えなさいよ~!!」

 

千聖の叫びが虚しく響くも彼女達はそのまま流れに身を任せて川を下っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな千聖達の現状を知らない弦太朗は麻弥と2人で河川敷を歩いており、弦太朗は麻弥が購入した男物の服が入った袋を抱えていた。

 

「如月さん。今日は買物に付き合ってもらってありがとうございました」

 

「気にすんなって!!それと聞いてなかったけど、なんで男物の服なんだ?」

 

「今度演劇部で使うんですよ。それに男役の衣装なので、それだったら実際に男子の意見を聞いた方がいいと思いまして・・・。それにこの辺は学校から離れてますから買い出しを見られて劇の内容がバレることもないですし・・・」

 

「なるほどな・・・。でも、演劇って何をするんだ?」

 

「薫さんが主役で桃太郎を現代風にアレンジしたものを・・・」

 

「なんかよく分かんねぇけど・・・。川から薫が流れてくんのか?」

 

「あはは・・・それは面白いですね。あんな感じですかね?」

 

「そうそうあんな感じ・・・」

 

 

 

 

弦太朗の言葉に麻弥は川に流れている千聖を指差すとそこには薫が千聖と共に川上から川下へと流れてくる光景が写る。

 

2人は信じられない光景に自身の目を擦って再び川へと視線を向けるも、目を擦る前と光景が変わることはなく薫と千聖が川に流されていた。

 

 

「「薫(さん)!?」」

 

「弦太朗!!麻弥ちゃん!!」

 

「麻弥これ頼んだ!!」

 

「!?はい!!」

 

「―――変身!!」

 

千聖の叫びに答える様に弦太朗は持っていた荷物を麻弥へと押し付ける。

荷物を受け取った麻弥が弦太朗を見るとその腰には既にドライバーが装着し、変身の掛け声とともに川へと飛び込んでいく。

 

 

――――――スクリューON――――

 

 

フォーゼは左足に装着されたスクリューで薫たちへと近づくと2人を抱えると、すぐに麻弥の元へと引き返していく。

 

「如月さん!!千聖さん達は大丈夫ですか!?」

 

「麻弥ちゃん。大丈夫よ」

 

「ずぶ濡れだけれどね」

 

「でもよ。なんであんなとこにいたんだ・・・?」

 

そう言って2人を地面に降ろしたフォーゼはその横で変身を解除すると、全く濡れていない弦太朗が2人へと問いかける。

 

「えぇ・・・。薫と2人で事務所を出たんだけど、その出てすぐにこの前のが出たのよ・・・」

 

「千聖さん本当ですか!?」

「えぇ・・・。まるで待ってましたって言わんばかりの感じで、屋上から私達を見下ろしてたわね・・・」

 

「それで千聖の腕を引いて走って逃げてたんだけど、追いつかれてね・・・つまり、そういうことさ・・・」

 

「どういうことだ?」

 

「えぇっと、如月さんの思っている通りで川に飛び込んだって言ってますよ?」

 

「いや、分かんねぇよ・・・」

 

薫の言葉を聞くも弦太朗が首を傾げていると麻弥がそれを翻訳する。

しかし、それを聞いて言ってることは分かったが納得のいかない表情を浮かべていた。

 

「弦太朗。今回の奴の目的はアイドル・・・いいえ、パスパレの皆よ」

 

「なっ!?どういうことだ?」

 

「追いつかれた時に言ってたのよ。「パスパレは潰す」って・・・。それに逃げてた時に羽根を飛ばしてきたのだけれど、殆ど薫を狙ってなかったのよ」

 

「でも、どうしてジブン達が?」

 

千聖の自分たちが狙われているという言葉を聞いた麻弥は驚きはするがなんとか冷静さを保っていた。

でも、狙われるようなことをした自覚は麻弥自身にはなくその理由を狙われた直後の千聖へ聞いてしまった。

 

「それは・・・」

 

「千聖さん・・・何か思い当たることがあるんですか?襲われた理由と・・・それに、あの怪物の正体とか・・・」

 

「本当か!?」

 

「・・・今は他の皆に狙われてることを伝えないと・・・!!それに流石にここままでは風邪を引いてしまうわ」

 

「・・・それもそうだね。麻弥、連絡はお願いできるかな?」

 

言葉を詰まらせていた千聖に麻弥と弦太朗は話を聞こうとするも、千聖は話を変えるとそれに薫も同意して話を無理やり終わらせた。

 

 

 

「・・・連絡は任せてください!!千聖さん達はとりあえずどこかで着替えたほうがいいですね!!これ使ってください!!」

 

「ありがとう。・・・弦太朗、覗かないでね?」

 

「そんなことするか!!」

 

「今のは千聖なりの冗談だよ。それじゃあ待っててくれ・・・」

 

千聖と薫は麻弥が今日買ったばかりの服を受け取ってからこの場を離れる。

その最中に麻弥が彩たちへと連絡をしようと自身のスマホを取り出すと弦太朗から麻弥へ質問が飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

「そういえば千聖は事務所の近くで出たって言ってたけど。どの辺なんだ?」

 

「えぇっと・・・ここからだとちょっと距離がありますし、それに事務所からこの間の駅はそれなりに離れてますけど・・・あれ・・・?」

 

ここで麻弥は千聖の事を他のメンバーにも伝えようとスマホを操作していた手を止めると、先ほどの千聖の言葉と弦太朗の言葉を聞いて考え込んでいた。

 

 

 

「前回も今回も千聖さんは仕事終わりでしたね。」

 

「たしかそんなこと言ってたな。でもそれがどうかしたのか?」

 

「千聖さん・・・いえ、芸能人が今日どこで仕事をするかなんて限られた人しか分からないはずなんですよ。それなのに千聖さんが待ってたようだったって言ったのが気になってしまって・・・」

 

「良く分かんねぇけどよ。仕事終わりを待ってるなら事務所で待ってりゃそのうち出てくるだろ?」

 

「いえ、事務所に寄らないでそのまま現場から家に帰ることも結構あるんですよ。それなのに2回とも仕事終わりで遭遇しますか?ジブンはそれが偶然だとは思えないですけど・・・」

 

「・・・つまり、どういうことだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっきり言ってしまうと今回の犯人は『私達の事務所の誰か』と千聖さんは考えているのではないかと・・・」

 

「なっ!?同じ事務所って仲間じゃねぇのか!?」

 

考えるがさっぱり見当がつかない弦太朗へ麻弥は自身の推測を述べるが、それは弦太朗を驚かせるには充分なものだった。

 

「ジブン達がいなくなればそこの仕事の枠が空きますから、そこでパスパレに変わって自分が入ろうとしているんだと・・・」

 

「確かに最初の時も麻弥たちを狙ってたけど・・・それなら事務所が違う奴かもしんねぇだろ?」

 

「1回目だけだったらそうかもしれません。でも、2回目は千聖さんを待ち構えてたとなると千聖さんのスケジュールをある程度は知れる人じゃないと難しいかと・・・」

 

麻弥は自分の言葉に自身が無くなって来たのか段々と声が小さくなっていくが、ここであることを思いついた。

 

「如月さん。申し訳ないんですけど明日の放課後は空いてますか?」

 

「ん?空いてるけど・・・」

 

「なら・・・!!」

 

麻弥は弦太朗ととある約束を交わすと千聖達が弦太朗達の元へと戻ってくる。

そして4人でそのまま帰路につくが、麻弥の連絡に対してイヴから返事が返ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

『今までを振り返れば何か分かるかも知れませんよ?』

 

マヤさんの言っていた言葉の意味を朝からずっと考えていた私は今、学校の道場で竹刀で素振りをしていましたが、マヤさんが言っていた言葉の意味が分かりませんでした。

 

『誰が「闘ってくれ」なんて頼んだかしら?』

 

「・・・っ!!」

 

それに気持ちが落ち込むとチサトさんの言葉が頭の中に思い浮かぶと、その後はどうしても素振りをする気分にならず学校を出て真っすぐに家に帰るとそのまま着替えることもせずにベッドの上に倒れこんだ。

 

「はぁ・・・」

 

ため息が零れてそのままどのくらいの時間が経ったかわかりませんでしたが、私のスマホが震えるとそれを拾い上げて画面を覗くとマヤさんからの連絡に驚きを隠せなかった。

 

「そんな・・・チサトさんが・・・っ!!」

 

そこに書かれていたのはチサトさんが先日の怪物に襲われたという内容よりもその後の言葉に私の目に留まった。

 

カオルさんがチサトさんを守った―――

 

私に出来なかったことをしたカオルさんがやったと思うと私は無力さと悔しさを感じて唇を噛むが、状況は何も変わらないどころか疑問が増えてしまった。

 

 

チサトさんとマヤさんが言った言葉の意味はなんなのか―――

トモエさんやカオルさんと私の差はなんなのか―――

 

 

 

 

2つの疑問について考えるがいくら考えても答えは出ることはない。

そんな彼女はいつの間にか寝てしまい、起きた時には窓から朝日が差し込んでいた。

 

「学校へ行かないと・・・それに今日は皆さんと・・・」

 

そう呟くとイヴは身支度を整えて、モヤモヤした気持ちのまま再び学校へと歩き出していた。

 

 




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淡・色・逡・巡-11 鳥と囮とタクティクス

投稿です。

そろそろパスパレ篇2章終わるね・・・


パスパレの5人は事務所から離れたスタジオを借りて、練習に励んでいたが・・・

 

 

「「・・・」」

 

「あ~もう!!モヤモヤする!!全然るんっ♪って来ないよ~!!」

 

「流石にバラバラすぎますね・・・。一旦休憩しましょうか・・・」

 

「うんっ!!」

 

「分かりました・・・」

 

「えぇ・・・ちょっと外出てくるわ・・・」

 

スタジオに入って練習を行っていたパスパレ達。

 

しかし、千聖とイヴの2人を中心に重い空気が流れている現状でいくら練習しても今の5人の演奏が完璧に合うことはなくそれに日菜が不満を口にすると5人はそのまま休憩に入ると、千聖はそのままスタジオの外へと出て行ってしまう。

 

 

「・・・」

 

「麻弥ちゃん?千聖ちゃんとイヴちゃん達の空気が重いね~」

 

「へっ?そうなの?」

 

「気づいてなかったの?流石、彩ちゃん!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?それどういうこと・・・!?」

 

「まぁそれが彩さんのいいところですから・・・」

 

「麻弥ちゃんまで~!!」

 

「麻弥ちゃん~。これいつまで続くんだっけ?」

 

「練習終わるまで・・・後1時間ほどの辛抱ですから・・・」

 

「うぇ~」

 

「ごめんなさい。そろそろ練習再開しましょう?」

 

「・・・・・・」

 

彩たち3人を他所にイヴが纏う空気と千聖が戻ってくると更に重みを増す。

彼女達はその空気に包まれながら練習を再開するものの、彼女達はいまいち練習に集中できないまま練習が終えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・そろそろ時間ですね・・・」

 

「なんか今日はイマイチな感じだったね~」

 

「仕方ないわね」

 

「う~ん!!この後は皆仕事はないよね!!みんなでお茶でもしてかない?」

 

「すいません彩さん。それでは皆さん、お先に失礼します・・・」

 

「イヴちゃん!!ちょっと待ちなさい!!」

 

「なんでしょうか・・・?」

 

「この後、皆で事務所に来て欲しいって連絡があったのよ」

 

彩の提案を即座に断るとイヴは逃げるようにスタジオから去ろうとするが、千聖の言葉を聞いて止まったイヴは自身のスマホを確認するが、彼女にはそのような連絡は入っていないことに首を傾げた。

 

「私には来てませんが・・・?」

 

「さっき外に出た時に電話が入ってたのよ」

 

「そうだったんですか・・・?」

 

「それじゃあ!!みんなで事務所行こ!!」

 

「そうしましょう。練習着から着替えるのでちょっと待っててください!!」

 

「彩ちゃんもイヴちゃんも着替えよ~?行こ!!麻弥ちゃん!!」

 

「ちょっと日菜さん!?」

 

日菜は何を思ったのか麻弥の腕を引いてスタジオから飛び出していく。

それを見た彩たちは無言のまま3人で練習着から学校の制服に着替え、日菜達が着替えを終えるのを待っていた。

 

「皆さん。お待たせしました!!」

 

「遅かったわね?」

 

「あれ?お2人とも・・・?」

 

ここで日菜と麻弥が練習着から着替えて彩たちの元へとやってきていたが、イヴがその姿を見て疑問を感じていた。

 

 

 

 

 

 

「あれ?どうして制服じゃないの・・・?しかもそれっての・・・」

 

日菜と麻弥が着替えを終わってやってきたのだが、日菜は羽丘の制服ではなく私服でしかも紗夜の私服を着て現れたことに驚きを隠せずにいた。

 

「大変お恥ずかしいんですが・・・。ジブンが学校でお茶を制服にかけてしまって・・・」

 

「それで急いで着替えを取りに帰ったんだけど間違えて持ってきちゃった!!」

 

「だから、練習に遅れてきたのね?」

 

「そうだったんだ!!でも似合ってるよ!!」

 

「ありがと~!!」

 

「はい。とりあえず行くわよ!!」

 

彩に褒められて嬉しそうな表情を浮かべる日菜に千聖の号令が飛ぶと、彼女達はスタジオから歩き出す。

そして少しだけ離れたところで彩から声が挙がる。

 

「そう言えば、千聖ちゃん。なんで私達事務所に呼び出されたの?」

 

「よく分からないけど・・・」

 

「でも、行けば分かるんじゃないかな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな話をしていた中、千聖のカバンの中からバガミールが飛び出してくる。

それに驚いた彩たちだったがバガミールは千聖の手の上に着地すると自身の腕でスタジオの方角を指差していた。

 

 

「アヤさん。あちらはスタジオの方・・・ですよね?」

 

「うん・・・でも・・・どうしたんだろ・・・?」

 

「当たりは向こうでしたか・・・」

 

「そうみたいね・・・」

 

「当たり・・・?麻弥ちゃん達は何を言って・・・?」

 

「・・・!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

先日の騒ぎの時とは違い、彩の言葉を無視して真っ先に日菜が騒ぎのあったスタジオの方へと駆け出していく。

 

日菜を追いかけようとするがあまりの速さに誰も日菜に追いかけることができなかったが、途端に彩が慌て始めた。

 

「千聖ちゃん!?どうしよ~!?」

 

「とりあえず、行くわよ!!スタジオよ!!」

 

「はい!!」

 

「マヤさん・・・?」

 

 

彩は何が起こっているのか分からず、近くにいた千聖の手を取ると、麻弥はイヴの腕を引いて4人は日菜を追って

騒ぎの中心へと向かっていく。

 

そこにあったのは―――

 

 

 

 

「あれはっ・・・!!」

 

「やっぱりそうでしたか・・・」

 

「昨日ぶりね・・・?」

 

「この前のだよ!?それに如月くんと日菜ちゃん!!それと・・・誰?」

 

彼女達の視線の先―――

そこにいたのは先日からパスパレたちを襲っていたキグナスの姿があり、それと向かい合って弦太朗が

羽丘の制服を着た少女を抱えて、その近くには日菜がいる。

彩たちの位置からその制服の少女が誰かを確認することは出来なかったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キグナスは弦太朗達を見て酷く困惑た様子を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事態は彩たちがスタジオへ入るすこし前まで遡る。

5人が来るスタジオの外で1人の少女が入口を隠れて観察していた。

 

「(パスパレ・・・っ!!)」

 

その人物はキグナスのスイッチャーで、パスパレを襲撃するべく待ち構えていた。

 

「(事務所で聞いた予定ではここで練習を・・・今度こそ・・・!!)」

 

彼女はスイッチを握りしめて、パスパレが練習が終わって出てくるその時を待っていた。

 

 

 

先に彩たち3人が出てきたが”3人ではなく5人纏めて”と考えてた彼女は5人が揃うのを待っていた。

彩たちに少し遅れて麻弥達が出てきたがそこで彼女の頭に疑問が浮かぶ。

 

しかし、麻弥と一緒に出てきたのは制服姿の日菜―――

ではなく私服を着た女子、それに普段の日菜からは考えられないような服装に疑問を持っていた。

 

 

 

 

「(日菜さんは制服でここに来てたのに帰りに制服着てないのはおかしい・・・。確か日菜さんには姉がいたはず・・・。制服を着てて1人になっている日菜さんを・・・)」

 

スイッチャーはその結論に至ると、私服姿の日菜を見逃して5人はそのままスタジオから離れて行く。

 

パスパレたちが離れた少し後、紙コップを片手に持った羽丘の制服を着た少女が”1人”でスタジオから出てくるのを捉えた。

 

「(制服・・・髪型・・・日菜さん・・・!!)」

 

彼女はその制服から日菜であると決めつけると、彼女はスイッチを押してからスタジオから出てきた少女の背後へと迫る。

 

「・・・」

 

背後から迫っているのに少女は気が付いていない。

キグナスはそのまま彼女へと近づくが、突如として信じられない出来事が起こる。

 

「なっ・・・!?」

 

持っていた紙コップが突如として彼女の頭へと飛んできたのだ。

 

その信じられない光景に驚いていると頭に乗ったコップから光が放たれてキグナスの目を潰す。

 

「あぁぁぁああああ!!」

 

「・・・っ!?」

 

「よっしゃ!!作戦通りだな!!」

 

突如の閃光を間近で食らって喚くキグナスから少女はそのまま走り出すと弦太朗がキグナスへ向かって走り出す。

 

「待てっ!!」

 

「っ!?」

 

視界がはっきりしないキグナスは前方に羽根を飛ばし、それが少女の顔の横を通り過ぎる。

それに驚いた少女は倒れこみそうなるも弦太朗によって抱きかかえられた事によって地面に転ぶことはなかった。

 

「うおっ!?大丈夫・・・そうだな」

 

「日菜ぁ・・・!!」

 

視界が徐々に戻ってきたキグナスは弦太朗の腕に抱えられた少女を見る。

 

羽丘の制服に髪と顔――

間違いなく氷川日菜だった。

 

そのまま弦太朗と日菜の元へ駆け出そうとするが、信じられない光景を目の当たりにする。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃ~ん!!」

 

間違いなく日菜の声が響くがその事にキグナスは困惑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜がいる方向とは違う方向からその声が聞こえてきたのだ。

キグナスはその声のした方向に視線を向けると、そこには先ほどスタジオを後にした私服姿の日菜がいた。

 

 

 

そう―――

キグナスの目の前に氷川日菜が2人いるのだ―――

 

 

 

その事実に理解が追い付かないキグナスだったが、すぐにそのネタを明かされた。

 

弦太朗に抱えらている少女が自身の髪を掴み上げるとそれが頭から離れると、そこから日菜と同じ色をした髪が溢れ出してくる。

 

「服を変えて入れ替わる・・・。こんな簡単な手に引っかかるとは思いませんでした・・・」

 

「それにしても、俺も最初は紗夜って分かんなかったぜ・・・。どうやってその髪の毛隠してたんだ?」

 

「麻弥ちゃん。演劇の技術って言って覚えてたからね~」

 

 

 

「あれはっ・・・!!」

 

「やっぱりそうでしたか・・・」

 

「昨日ぶりね・・・?」

 

「この前のだよ!?それに如月くんと日菜ちゃん!!それと・・・誰?」

 

 

 

 

キグナスへの種明かしをしている最中に彩たちが現場へと駆けつけてきたが、彼女達から紗夜の顔は見えない。

 

「とりあえず行こ!!おねーちゃん!!」

 

「ちょっと日菜!!」

 

「うぇ!?紗夜ちゃん!?」

 

日菜は弦太朗に抱えられていた紗夜の腕を引いてそのままパスパレの元へと向かう。

 

「んじゃあ、後はこいつを倒して・・・!!」

 

「くっ・・・」

 

先日の出来事を思い出したキグナスはこの場から逃走しようとする。

 

 

 

 

 

 

「あら、逃げてもいいけど、私と麻弥ちゃんはもう正体分かってるわよ?」

 

「「「「・・・っ!?」」」」

 

「・・・!!」

 

その千聖が放った言葉に麻弥以外の全員が驚きを隠せず、逃げ出そうとしたキグナスも動きを止めてしまう。

 

「なんでジブン達を狙ってたのかは聞きません。だからもうその手に持っているスイッチを切ってください」

 

「マヤさん・・・!!」

 

「ちょっと千聖ちゃん!!誰なのあれ!?」

 

「そうだよ!!」

 

「ちょっと2人とも落ち着きなさい!!」

 

麻弥が自身の言葉と共にイヴを掴んでいた手に力が入り千聖へは彩たちから正体について質問が飛ぶ。

 

そんな中でキグナスの手にはスイッチが握られていたがそれを押す気配はなく、それを見た麻弥は意を決してその正体に踏み込んだ発言をするが、それは彼女達を驚かせるのに十分すぎる破壊力であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いです。あなたもアイドル・・・それもパスパレの妹分なんですから・・・」

 




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パスパレの妹分?
3章読もう!!


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淡・色・逡・巡-12 どうして彼女達が狙われていたのか


投稿です。

次回パスパレ篇2章終わる予定!!(未定!!
分かった理由がガバガバだって?
わしもそう思った(小並感


 

 

「お願いです。あなたもアイドル・・・それもパスパレの妹分なんですから・・・」

 

 

「えっ!?麻弥ちゃん!?」

 

「・・・!!」

 

「そうなの?千聖ちゃん」

 

 

 

 

 

「パスパレの妹分なんていたのか?」

 

「さぁ・・・?私はよく分かりませんが・・・」

 

麻弥の放った一言に驚き・疑問など様々な思いが入り混じるパスパレの横では妹分など微塵も知らない弦太朗と紗夜は話に置いて行けなかった。

 

「・・・っ!!」

 

「その反応は私達の予想通りだったね・・・」

 

「ビビキャンの人たちって言うのは外れて欲しかった予想ですけどね・・・。この反応では確定でしょうね・・・」

 

一方では麻弥の言葉に明らかに取り乱しているキグナスを見て、千聖と麻弥は落胆した様子を見せていた。

 

 

 

 

「ビビキャン・・・?」

 

「さっき言ってた妹分でしょうか・・・?」

 

「も~!!おねーちゃんとゲンちゃんはちょっと黙ってて!!でも千聖ちゃん?どうしてだって分かったの~?」

 

「「・・・」」

 

状況が弦太朗と紗夜で小声で話していたが、日菜に怒られた途端に無言になると日菜がその疑問を千聖に聞いていた。

 

 

「1回目の時は私達を見て突っ込んで来て、2回目は仕事終わりの私を待ち伏せ。

そして今回はスタジオで日菜ちゃんと入れ替わった紗夜ちゃんを襲ったわ。

最初のは偶然かもしれないけど、他は場所を分かってないと待ち伏せなんて出来ないわ」

 

「千聖ちゃん?それも偶然じゃないの・・・?」

 

「彩ちゃん。アイドルが仕事する場所なんて簡単に分かるものじゃないわ」

 

「同じ事務所だったらある程度は分かるってこと?」

 

「まぁ他に比べたらですけどね・・・。それに昨日の千聖さんは事務所でMV撮影の打ち合わせでしたから・・・」

 

「そんな仕事が事務所の人以外に漏れると思う?」

 

「でも、事務所の人って言っても沢山いるけど・・・?」

 

千聖の話を聞いても彩はいまだに納得が出来ていなかったが、彼女はそんな彩を見て話を続ける。

 

 

 

 

「確かにあいつが出た時、事務所の人で予定がない人はそれになりにいたわ。でも、彩ちゃん?私達がいなくなって得をする可能性を考えてみなさい?」

 

「私達がいなくなって得をしそうな人・・・?」

 

「確かに、マネージャーとかがアイドルを襲うってメリット少ないもんね~」

 

「まぁ、自分の担当アイドルを売り出そうと考えてるなら別だけども・・・」

 

「それを含めてもジブン達と同じアイドルとして売り出しているビビキャンが一番怪しいってことですね・・・」

 

「えぇ・・・パスパレの妹分でデビューして、姉貴分がいなくなったら空いた仕事が自分たちに来るとでも思ったのでしょうね。

 

 

 

 

 

でも、芸能界って言うのはそんな簡単なものじゃないのよ?」

 

「ぐぅううう!!」

 

「でも・・・!!それだけで決めつけるのは早いよ!!」

 

「・・・皆さんこれを見てください」

 

千聖の言葉を聞いて唸るキグナスと千聖達の言葉を否定しようとする彩に麻弥が静かにスマホを取り出して彩たちへと見せると彩たちを始め、弦太朗達がそれを覗き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「麻弥ちゃんこれって・・・」

 

「ビビキャンの3人にジブンが連絡をしたんですよ。「練習を見学しませんか?」って」

 

「そっか~、そういうことだっただね~」

 

「なるほど・・・。そういう事でしたか・・・」

 

「ちょっとなんでみんな分かるの・・・!?」

 

「簡単ですよ。練習場所を伝える時に3人に別々の場所を伝えたんですよ」

 

「それにさっき他の場所を伝えた2人に連絡したけどすぐに返事が来たわ。それで連絡がないのはここを伝えた子だけよ?そうよね―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ViVidCanvas のリーダー・芹沢みおさん?」

 

「・・・」

 

千聖の言葉を聞いてキグナスは自身のスイッチを取り出して皆の目の前でスイッチを切るとそこいたのは長い茶髪を靡かせた1人の少女がいた。

 

それは千聖が言い当てた彼女達の妹分のリーダーでもある芹沢みお本人だった。

 

 

 

「嘘っ・・・なんで・・・」

 

「なんでそんなことをしたんですか!!」

 

「イヴちゃん・・・」

 

動揺する彩を他所にここまで無言だったイヴが声を荒げる、それを見た少女・みおはその疑問に答える。

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・知ってますか?私達がいつも仕事場でなんて言われるか?」

 

「えっ・・・?」

 

「う~ん。分かんない」

 

「そうでしょうね・・・。どの現場に行っても「パスパレの妹分」ってずっと言われるんですよ?」

 

「そう言ってデビューしたんだったら仕方ねぇだろ・・・?」

 

何気ない弦太朗の言葉―――

しかし、その言葉が彼女の思いを暴走させてしまう。

 

「仕方なくない!!どこの現場でも聞こえてくるのは「パスパレ」、「パスパレ」・・・!!酷い現場では「パスパレの代役」なんて言われて・・・そんな風に言われるために私はアイドルになったわけじゃない!!」

 

 

 

 

 

「誰かと比べられるのが苦痛なのは分かります。ですが、それで人を襲っていい理由にはなりません・・・。

私が言える立場ではありませんが・・・」

 

 

目の前の少女を宥めようと紗夜が言葉を掛けるが、それが彼女にとっては逆効果だった。

 

自分たち比べられているパスパレの1人。

その中でも天才的な才能を持っている氷川日菜と瓜二つの人物から言われたその言葉が彼女が暴走してしまう最後に切っ掛けになってしまった。

 

 

 

 

 

「煩い・・・!!」

 

「みおちゃん・・・」

 

「すごく簡単なことだったんですよ?邪魔なアイドル―――いや、姉貴分を消せば、私はちゃんとビビキャンとしてアイドルになれる!!」

 

「そんな無茶苦茶だよ・・・!!」

 

「彩さん・・・姉なんですから、妹のために消えてくださいよ!!」

 

彼女の絶叫と共にスイッチはその形を変え、みおは人間の身体からキグナス・ゾディアーツへと最後の変身を遂げる。

それを見た弦太朗はドライバーを手に持って彼女達の前に踏み出す。

 

「俺は芸能界とかよく分かんねぇけど。でも、千聖たちの為にもこれ以上暴れさせるわけにはいかねぇ!!」

 

「弦太朗!!」

 

「如月さん!!お願いします!!」

 

「おう!!麻弥達は下がってろ!!」

 

弦太朗の言葉を聞いてパスパレたちはその場から離れ近くの物陰に隠れると、弦太朗はドライバーのスイッチを手早く叩いて構えるとドライバーからカウントが周囲へと響き渡るが、

 

 

3―――――――

 

2―――――――

 

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

「宇宙、きたー----!!」

 

「って日菜!!それは俺のセリフだ!!・・・まぁいいや・・・」

 

その言葉と共に弦太朗はフォーゼへと変身を完了するが日菜にいつものセリフを盗られてフォーゼは少し気の抜けた様子を見せるもすぐに持ち直してキグナスへと拳を突きつけて叫ぶ。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

その言葉を合図にキグナスは羽根をフォーゼ―――ではなく物陰に隠れている彩たちへと飛ばすが、フォーゼがそれに割って入って身体で受け止める。

 

「おい!!タイマンだぞ・・・!!」

 

「ゲンちゃん!!風だよ!!」

 

「・・・おう!!」

 

日菜から飛んできた指示をフォーゼは素直にそれに従ってスイッチを交換して起動する。

 

 

 

 

――――――エアロON――――

 

 

 

 

「邪魔しないで!!」

 

「おら!!吹っ飛べ!!」

 

キグナスは先ほど同様にフォーゼがいる後ろの物陰へ向けて羽根を飛ばすが、エアロから発生した風が羽根ごとキグナス本体を吹き飛ばす。

 

「おっし!!」

 

「次はフックからの・・・ビリビリだよ!!」

 

「分かった!!任せろ!!」

 

フォーゼは飛んできた日菜からの指示に従ってスイッチを交換する。

 

 

――エレキON――――――――

――――――――ウインチON――

 

 

エレキとウインチを同時に起動すると眩い光と電気がフォーゼの身体を包む。

その光に視界を奪われたキグナスへとフォーゼから飛んできたウインチが飛ぶとその体にワイヤーが巻き付くと同時にエレキステイツへと変身を完了する。

 

「行くぜ!!ライダー・・・電気ショーック!!」

 

「ぁぁぁぁああああ!!」

 

 

フォーゼはその言葉と共にロッドへプラグを装填してウインチのワイヤーからキグナスへと電気を流しこむとキグナスから悲鳴のような叫びが挙がる。

その光景に千聖は以前の事を思い出して少しだけ顔を顰めるが誰もそれを気にする様子はない。

 

「ゲンちゃん!!このまま一気に決めて・・・」

 

「っ!?弦太朗!!避けて!!」

 

「ちさ、うわぁ!?」

 

千聖の言葉と共にフォーゼの身体から小さな爆発が起こると、その衝撃によってキグナスはウインチの拘束から抜け出すとそれと同じタイミングでどこからか現われたダスタード達が彩たちの前へと躍り出る光景にキグナスを含めた一同は驚きを露にしていた。

 

 

「これってはおねーちゃんの時のが3体・・・」

 

「でも、様子が変じゃないですか?なんでみおさんも驚いているんですか?」

 

「確か・・・。この間のつぐみちゃんの時もどこからか出てきたって言ってたわね・・・」

 

「って、もう目の前にいるよ!?」

 

「・・・イヴちゃん!!」

 

「えーい!!」

 

1体のダスタードがイヴへ向かっていたが、ここで日菜が自身の持っていたカバンをダスタードの顔面へと投げつけて視界を遮ると同時にそのままダスタードを押し倒す。

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

「千聖ちゃん!!おねーちゃん!!」

 

「日菜!!えぇ!!」

 

「彩ちゃん!!麻弥ちゃん!!行くわよ!!」

 

「了解です!!」

 

「うえぇ~!!」

 

日菜の声に答えて彩たちは日菜が押し倒した1体に全員でのしかかって動きを止める。

しかし、残り2体が完全に自由になって彩たちに迫っていたが、再び日菜から指示が飛ぶ。

 

「ゲンちゃん!!パス!!パス!!」

 

「・・・っ!!おう!!」

 

その言葉を聞いたフォーゼは手に持っていた電気を帯びたロッドをダスタード目掛けて投擲して1体のダスタードを消滅させるが1体のダスタードが残される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後は任せましたよ・・・イヴさん!!」

 

「・・・っ!!はい!!」

 

麻弥の言葉を受けたイヴは地面に落ちたロッドを拾い上げるとダスタードへ向けてそれを構える。

その表情には先日までの狂気などはなく、確固たる意志が宿っていた。





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紗夜がいるからネタエンド・・・になるのかなぁ・・・


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淡・色・逡・巡-13 変わらぬ信条・変えてく現状

遅くなりましたが投稿です。

うわぁ!?納期デッドマン!?ぐわー
ということでそれなりに遅くなりましたがパスパレ2章です。
ENDです。



私は目の前で繰り広げられている戦いを呆然と見つめ、自分の力では全く届くことのない光景に悔しさを噛み締めていた。

 

その最中に私達の前には黒い忍者が突如として現れ、そのうちの1体が私目掛けて駆け出してきた。

 

 

「・・・イヴちゃん!!」

 

私に迫る忍者を見てチサトさんが必死な声を挙げていたが私は咄嗟に動くことが出来なかった

 

「えーい!!」

 

そんな危機的な状況にも関わらず、ヒナさんが自分のカバンを忍者に投げつけてからそのまま押し倒したと思ったら、忍者の上にのしかかっていた。

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

「千聖ちゃん!!おねーちゃん!!」

 

チサトさんやマヤさん、それにサヨさんまでもがヒナさんの後に続いて動く姿を見て不意にマヤさんが先日言っていた言葉が頭を過った。

 

『今までを振り返れば何か分かるかも知れませんよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(そういう事だったんですね、マヤさん・・・!!)」

 

今までの起こった出来事と目の前の光景を見て、マヤさんが言っていた言葉の意味が理解した。

 

昨日のお仕事の帰りにチサトさんが襲われた時は一緒にいたカオルさんがチサトさんのために腕を引いて一緒に逃げていたと聞きました。

サヨさんもヒナさんの為に危険を承知の上で囮になって・・・。

そして今は私が動けなかったのを見てヒナさん―――いえ、皆さんが助けようとしてくれてたんですね・・・。

 

 

 

それに比べて今の私はどうでしょう・・・。

そう思った私の頭の中ではキサラギさんと出会ってからの事が頭に浮かんできていた。

 

 

最初のチサトさんの時は皆を助けようと動いていて、ツグミさんのお店の時はお店にいたツグミさん達を逃がそうとしていました。

 

でも、この前はそういった気持ちは全く持って無くて、「自分の力で倒そう」という気持ちだけしかありませんでした―――

 

 

そうだ。

今までとこの前の時では根っこの部分から違っていたんですね―――

 

チサトさんとマヤさんが最初に気が付いたからあんな風に言って私自身に気づかせようとしてくれたんですね・・・

 

2人の考えが分かった途端に今までの自分が情けなく感じてしまいました。

ですが、そんな考えも視界に入っていた忍者がゲンタローさんが投げた武器に当たって消えるとそのまま私の足元に武器が転がってくる。

 

「後は任せましたよ・・・イヴさん!!」

 

「・・・っ!!はい!!」

 

マヤさんの声を聞いた私はそれを拾い上げようと手を伸ばしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(重い・・・。これがゲンタローさんが感じている友達を助けようとする覚悟の重さ何でしょうか・・・)」

 

キサラギさんが軽々と振り回していたそれは、実際に手に取ると見た目以上の重量感が手に伝わってきましたが、その重さを受け止めて私は武器を拾い上げました。

 

「(今回も上手くできないかもしれません・・・。それでも私は皆のために・・・!!)」

 

重さも長さも普段の竹刀とは全く異なる武器でも私はそれを持って構える。

 

 

「ふぅ・・・」

 

相手の忍者をしっかりと見て息を吐いて集中力を高めていく間にも遠くの位置からジリジリと忍者は距離を詰めてくるが私はその場で構えて動かなかった。

 

「イヴ・・・・!?」

 

「丸・・・さん!!・・・・・・で叫ば・・・・・・ださ・・・!!」

 

「おねー・・・・・・も叫・・・で・・・~」

 

「・・・・・・ヴさんで・・・・・・・・・夫で・・・・・・」

 

アヤさん達が何かを言っていますが、私はそれを聞き流す。

その後で何かの音が響くと同時に私と忍者は互いに駆け出してすれ違うわずかな時間で互いに武器を振り抜く。

 

 

 

 

そして―――最初にわたしが膝を地面についていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

イヴはロッドを構えてその場から動かない。

 

そんな光景を彩たちはダスタードにのしかかりながらそれを見守っていたが、ダスタードが段々と近づいてきているにも関わらず、一向に動かないイヴを見て彩が叫ぶ。

 

「イヴちゃん!?」

 

「丸山さん!!耳元で叫ばないでください!!」

 

「彩ちゃんもおねーちゃんも叫ばないでよ~!!」

 

「今のイヴさんでしたら大丈夫ですよ」

 

かなり近い距離で叫ばれて氷川姉妹が大声で不満を挙げる中、麻弥はイヴの事を信じ切った様子で見つめて、そのまま時間が流れる中で突如としてそれは起こった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・くしゅん!!」

 

周囲に千聖のくしゃみが響く。

あまりにも場違いであるその音と共にダスタードとイヴは互いを目掛けて走り出してすれすれ違いざまに手に持っていた武器を振り抜き、そのままの姿で静止していた。

 

 

 

「イヴちゃん・・・」

 

「「「・・・」」」

 

「千聖ちゃん?くしゃみした後にそんな雰囲気出しても・・・」

 

イヴを心配するあまり言葉が漏れた千聖へ可哀そうなものを見るような視線が刺さり、彩が思ったままを口に出してしまうが千聖以外は首を縦に振って同意を示していた。

 

 

そんな彼女達の目の前でイヴが膝をついて座り込む。

 

「・・・・・・」

 

「若宮さん・・・!!」

 

「紗夜さん。イヴさんなら大丈夫ですよ・・・」

 

「みんな!!あれ見て!!」

 

その光景を呆然と見つめていた彩と心配そうな声を出す彼女達だったが、日菜が一番最初にイヴたちの異変に気がついて声を挙げていた。

 

最初に膝を突いたイヴの方へとダスタードが振り返ろうとするがそのまま頭から地面に倒れこむと塵となって消えた。

 

 

 

 

 

 

「イヴちゃん!!」

 

その光景を見た日菜は感極まってイヴへと駆け寄り、他の彼女達もその後に続いてしまった。

 

「イヴさん!!やりましたね!!」

 

「凄かったよ!!ね?おねーちゃん!!」

 

「えぇ・・・ですが、大丈夫ですか?」

 

「集中力が切れたら力が抜けてしまいました・・・」

 

そんな賛辞の中で千聖がイヴへと歩み寄ると少しだけ空気が冷える。

 

 

「イヴちゃん・・・」

 

「チサトさん・・・。ありがとうございました」

 

「私こそキツイこと言ってごめんなさいね」

 

「いえ!!そのお陰です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヴ以外の彼女達はダスタードの上にのしかかって全員で抑え込んでいたのだが、感極まってイヴへと駆け寄ってしまい、彩がダスタードの上に取り残されていた。

そして今、ようやく我に返った彩がイヴへと駆け寄ろうとするが悲劇は起こった。

 

 

 

「あっイヴちゃ・・・!!へごっ!!」

 

 

彩は立ち上がってイヴへと駆け寄ろうとするが、タイミング悪くダスタードがよろけながら立ち上がろうとしていた。

それにぶつかってしまいバランスを崩した彩とダスタードの頭部が勢いよく衝突し、周囲に鈍い音を響かせると共にダスタードが塵となって消えてしまった。

 

「うえぇええ~!!痛いよ~!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「さすがアヤさん・・・ブシドーです・・・!!」

 

彩が余りの痛みに泣き出してしまうが、彼女達は今起こった出来事に唖然としてしまっていたイヴは驚きの声を漏らしていた。

そんな2人は放っておいて彼女達はフォーゼ達へと視線を向けると、そこにはキグナスから飛んでくる羽根をフォーゼは身体でそれを受け止めながらキグナスへと駆け出していた。

 

避けれる攻撃を避けることもしないその光景に氷川姉妹が疑問を感じていた。

 

「ゲンちゃんはなんで避けないの~?」

 

「そうね・・・。確かに如月さんはどうして・・・」

 

「・・・避けれないのよ。あの子、私達を目掛けて攻撃してるから・・・」

 

「ですがさっきのがまた出るかもしれませんから、ここから離れるのは逆に危険かもしれません・・・」

 

「うぅ~・・・」

 

 

 

 

 

「ゲンタローさん!!」

 

千聖達の言葉を聞いたイヴは何かを思いつき、握りしめていたロッドを構えて、フォーゼ達目掛けて力の限り投げつける。

フォーゼは飛んでくるロッドを確認したがそれを避けるとキグナスへと直撃する。

 

「ぐぅ!!」

 

「おらぁ!!」

 

キグナスは想定外の出来事に戸惑っている。

わずかに出来た隙にフォーゼはキグナスへと肉薄するとそのまま右拳をキグナスの顔面へと叩きこむ。

それと同時に右拳からキグナスへと電流が流れ込みキグナスは苦悶し、そこからフォーゼは連続で拳を叩きこむ。

 

そして最後に大ぶりの拳がキグナスに当たるとそのまま後ろへと殴り飛ばされそこで声を挙げていた。

 

「アイドルの顔を殴るなんて・・・!!」

 

「・・・何言ってんだ?」

 

 

 

「あ~あのセリフ千聖ちゃんも言ってたよねぇ・・・」

 

「もう・・・日菜ちゃん・・・?」

 

「あっ!!あれ!!」

 

「みおさんが如月さんの武器を拾ってますよ!!」

 

 

 

「でも、自分から武器を手放すなんて・・・バカですね・・・!!」

 

キグナスはたまたま近くに転がっていたロッドを手に持って駆け出すと、そのままフォーゼめがけて振り下ろそうとしたが―――

 

「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

キグナスが持っていたロッドが突然、手元から消える。

突如としてロッドが消えて体勢を崩したキグナスへとエレキスイッチを切ってベースステイツへと戻っていたフォーゼによって再び殴り飛ばされていた。

 

キグナスは立ち上がるが力がうまく入れられずによろめき出す。

その隙にフォーゼはスイッチを交換する。

 

 

――ファイヤーON――――――――

 

ファイヤーステイツへと姿を変えて、フォーゼがベルトの横に現れた銃へと手を伸ばそうとする。

その姿を見たキグナスはよろめきながらもフォーゼへと羽根を飛ばすが、フォーゼも銃と手に取ると飛ばされた羽根目掛けて火炎弾を放つ。

 

「やぁぁあああ!!」

 

「撃ち落としてやるぜ!!」

 

 

 

 

 

しかし、放たれた火炎弾は羽根を撃ち落とすが数枚の羽根が火炎弾の弾幕を潜り抜けてフォーゼへと直撃する。

 

「弾が足りねぇなら・・・増やすだけだ!!」

 

フォーゼは声を挙げて片手で銃を握り火炎弾を放つのを続け、空いた手でドライバーのスイッチを交換して起動する。

 

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

「倍返しだ!!」

 

「あぁあぁあああああ!!」

 

追加で遠距離用のスイッチを起動するとフォーゼからの弾幕が激しさを増していき、今度はフォーゼの弾がキグナスへと直撃するとキグナスが崩れ落ち羽根が止まる。

 

 

「如月くん!!」

 

「みおさんを・・・お願いします!!」

 

「あぁ・・・!!これで・・・!!」

 

彩と麻弥の言葉にフォーゼはドライバーに手を掛けてレバーを押し込む。

 

 

―ファイヤー・ランチャー・ガトリング・リミットブレイク―

 

ドライバーからの音声を聞きフォーゼはキグナスへ向けて構える。

 

「吹っ飛べ!!ライダー爆熱シューー-------ト!!」

 

フォーゼから放たれた嵐のような無数の弾がキグナスへ向けて放たれる。

それがキグナスへ触れると爆炎が周囲を照らすがその光景を前にフォーゼの攻撃は止まることはない。

 

キグナスの身体が攻撃に耐えられずに爆発すると、その炎が一層多きものになる。

それを見たフォーゼはそこで攻撃を止めると、爆炎の中から飛び出してきたスイッチへと手を伸ばすとそのままスイッチを切る。

 

 

 

しかし、フォーゼはダスタードを送り込んだ存在を警戒して変身を解除することはなく周囲を見回していたが、そんな彼に戦いを頭を抑えていた彩が駆け寄ろうとする。

 

 

「やったね!!如月くん!!」

 

「おう!!でも、離れてろ!!さっきのを出したのがいるかもしれねぇ!!」

 

「・・・!!」

 

「そうですね!!」

 

フォーゼの言葉を聞いた彩たちはそのまま静止するが、日菜と千聖はそのままフォーゼへと近づいていた。

 

「ヒナさん!?千聖さん!?」

 

「それなんだけど、さっきのゲンちゃんの攻撃の時にここから離れて行く影が見えたよ~」

 

「私も見たわ・・・。人みたいに歩いてたけど、間違いなく人間の影ではなかったわね・・・」

 

「千聖ちゃんも見たんだ!!なんか派手派手な感じだったよね!!」

 

 

 

「うぅ~・・・そうなの・・・?」

 

「ジブンも気が付きませんでした・・・」

 

「白鷺さんもよく気が付きましたね・・・」

 

「でも逃げたんならいいか・・・」

 

日菜達の言葉を聞いたフォーゼはそのまま変身を解除すると視線をスイッチャーであるみおへと向ける。

 

 

「この後はどうするんだ?それにこいつ・・・みおだっけか?もそうだけど・・・」

 

「後はジブン達に任せてください!!」

 

「こんなことをしたけど、私達の後輩だもの。面倒はみるわよ」

 

「ゲンちゃん!!おねーちゃんをよろしくね!!」

 

「そしたらミオさんは私が運びます!!」

 

 

「如月くん!!紗夜ちゃん!!また明日ね!!」

 

「おう!!またな!!」

 

「それでは」

 

後のことは彼女達に任せて弦太朗と紗夜はそのまま家に帰る。

そこで今回のゾディアーツ事件はここで幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キグナスを倒した翌日。

弦太朗は生徒が帰り切っていない放課後の教室で紗夜の手によって勉強をさせられてた。

 

「紗夜!!昨日の後なんだから今日くらいは勘弁してくれ!!」

 

「ダメです!!そうやって逃げるつもりでしょ!!今日の私は覚悟を決めてきてますからね。今日こそは勉強が終わるころには”趣味は勉強。尊敬する人物は氷川紗夜”という理想的な学生にしてみせます!!」

 

紗夜の言葉を聞いてドン引きするクラスメイト達、そんな中でその3人にアイドル達が歩み寄ってきていた。

 

 

 

 

 

「それってもはや洗脳じゃないかしら・・・?」

 

「紗夜ちゃん!!ずるい!!」

 

「ブシドー・・・」

 

「彩!!千聖!!助けてくれ!!」

 

千聖がまともなツッコミを入れる横で彩は弦太朗を独占している紗夜へと抗議をするが、そんなことを気にすることもなく弦太朗は2人へと助けを求めていた。

 

「2人とも邪魔しないでください!!」

 

「紗夜ちゃん!!そこ変わって!!」

 

「私はそんなつもりはないわ。2人にあの後の出来事を伝えに来たのよ」

 

「そうでしたか・・・どうでしたか?」

 

千聖の言葉を聞いた紗夜はそのまま彼女の話へと耳を傾けてた。

周囲の生徒が残っているのにも拘らず、この場所で話を続けようとする紗夜を見て千聖は言葉を選びながらこの顛末を話出した。

 

「あの子は4人で話をしたらちゃんと持ち直したわよ」

 

「すげーな・・・って4人?一人足りなくねぇか?」

 

「アヤさんはその時オロオロしてただけでした!!」

 

「イヴちゃん!?」

 

「・・・それであの子には何と言ったんですか?」

 

彩の言葉を全員が聞き流して千聖は話を続ける。

 

 

 

 

「私はただ「これからは妹分じゃなくて、事務所の仲間でアイドルとしてのライバル」って言っただけよ。日菜ちゃんも同じことを言ってたけど・・・」

 

「そうですか」

 

「ならよかったな。それじゃ・・・」

 

「って如月さん。逃がしませんよ?」

 

話を聞いて流れで逃げようとした弦太朗だったがすぐに紗夜に腕を掴まれた。

 

「紗夜ちゃんばっかりずるい!!」

 

「なら彩ちゃんも一緒にいればいいじゃない?今日はオフでしょ?」

 

「そうする!!」

 

「いいでしょう・・・。丸山さんも若宮さんも纏めて勉強を見てあげましょう!!」

 

そのまま紗夜を教師として勉強会が始まったが―――

 

 

 

 

 

 

 

「もう・・・いやぁ・・・・!!」

 

「紗夜ちゃん!?落ち着いて!!」

 

「紗夜ちゃんから返事がないよ・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

勉強が苦手の弦太朗に手のかかる彩が加わってしまった結果、紗夜は壊れてそのまま意識が飛ぶ。

それを見た弦太朗達は唖然とした表情を浮かべていた。

 

 

 

 

「紗夜もこうなっちまったし・・・どうするんだ?」

 

「日菜ちゃんに連絡したら、これから来て連れて帰ってくれるって・・・」

 

「なら、とりあえず帰ろうぜ・・・。」

 

「そうね・・・。それならどこかで何か食べていかない?」

 

「よしっ!!それならさっさと行こうぜ!!」

 

「うんっ!!」

 

「それでしたら行ってみたいお店が・・・!!」

 

「いいわね。イヴちゃん案内してくれるかしら?」

 

そこには先日まで思い悩んでいたような様子など微塵も感じられない年相応の少女達の笑みが浮かべ、荷物を纏めると3人のアイドルは弦太朗を連れて学校を後にするのだった。

 




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次章:笑顔
完全に主人公はミサキーヌの模様



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ハロー、ハッピーワールド!篇2-歪・曲・笑・顔
歪・曲・笑・顔-1 Bud of anxiety


投稿です
ハロハピ篇2章スタートジャイ!!じゃい!!

ここでギスギスドリドリしたいなぁ・・・




「「はわぁ~・・・」」

 

「おいっ・・・。2人ともしっかりしろ・・・。美咲の奴も言ってたけど、なんで劇を見てこんなことになってんだよ・・・」

 

 

 

弦太朗は薫の招待を受けて、りみとひまりと共に彼女が所属する演劇部の舞台を観覧するために羽丘へ足を運んでいた。

 

 

しかし、物語の最後になる頃には弦太朗を除いたすべての客が薫のセリフを聞いて気絶しており、劇が終わって少し経った頃にはその全員が意識を取り戻して満足気に会場から去っていく。

 

その光景に弦太朗は美咲から聞いた通りになった事と余りにも現実離れしたそれに頭を抱えていたが、2人が弦太朗の横で意識を取り戻すと何食わぬ顔で席を立ったので弦太朗もその後を追った。

 

「話には聞いてたけど、薫の奴ってあんな人気なんだな・・・」

 

「そうなんよ!!」

 

「今日は凄かったね!!弦太朗くん!!」

 

「そうだな!!・・・ってちょっと待ってくれ。麻弥から電話だ・・・」

 

会場を出てすぐに麻弥からの着信を受けると弦太朗はすぐに電話を取る。

 

 

 

「もしもし?麻弥か?どうしたんだ?」

 

『あぁ!!如月さん!!今日牛込さん達と一緒に演劇部の劇を見てくれてありがとうございます!!・・・この後って時間ありますか?』

 

「ん?何かあったのか?」

 

『そういう事ではないんですが、薫さんが如月さん達に舞台の裏を見せてみたいって言ってまして・・・』

 

「あ~、俺はいいんだけど、りみ達に聞いてみねぇとな・・・」

 

「ん?弦太朗くん、私達がどうかしたの?」

 

彼女達には電話越しの麻弥の声が聞こえていなかったようで自分の名前が出てきて、りみが通話中にも関わらず弦太朗に質問してしまった。

 

 

 

「なぁ、2人とも、この後って時間あるか?」

 

「私は予定ないから大丈夫だけど・・・」

 

「私も薫先輩の劇見るために予定空けてあるから大丈夫だけど?」

 

「これから舞台終わった後の薫のところに行くけど一緒に・・・「「行く!!」」・・・最後まで言ってねぇぞ・・・」

 

『分かりました。それでしたら演劇部の部室まで来てください。場所は上原さんが知ってると思いますので・・・』

 

「おう!!じゃあ後でな!!」

 

「部室はこっちだよ!!行こ!!」

 

「おいひまり、腕引っ張んなよ!!」

 

こうしてひまりを先頭に3人は演劇部の部室へと向かう。

その道中では他の演劇部員と思われる生徒が弦太朗を見て驚いたような視線を送っていたが、彼自身はそれに全く気が付いていなかった。

 

そのまま彼らは演劇部の部室まで辿り着き、ひまりがその勢いのままドアを叩くと中から麻弥が顔を出す。

 

「よぉ!!麻弥!!」

 

「「こんにちは!!」」

 

「みなさん。今日はありがとうございました!!薫さんは中にいますのでどうぞ!!」

 

「サンキュー!!」

 

そうして彼らは部室に入るとそこには衣装から制服に着替えていた薫がそこにいた。

 

「やぁ弦太朗、それに子猫ちゃん達も・・・。今日は楽しめてもらえたかな?」

 

「はい・・・!!」

 

「最高でした!!」

 

「こういうの初めて見たけど凄かったな・・・。最初から最後までクライマックスみたいに盛り上がってたな」

 

「それなら良かっ・・・「薫~!!」・・・おやおや」

 

弦太朗達に感想を聞いていた薫の言葉を遮って部室の扉が勢いよく開かれるとそこにいたのはこころを先頭にハロハピのメンバー達が集まっていた。

 

「ちょっとこころ!!勝手に入ったらダメでしょ!?すいません薫さん」

 

「それは別に構わないよ。皆も中へ・・・」

 

「わーい!!あっ!!ゲンちゃん先輩だー!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

開け放った扉からこころが薫の元へと駆け寄り、その後に続いて他のメンバーも部室へと入ってくる。

 

「薫!!みんな笑顔になっててとっても素敵だったわ!!それに弦太朗も見てたのね!!」

 

「あぁ!!薫に招待されたからな。こういうのは初めてだったけどな」

 

「そうだったんだ!!はぐみたちも薫くんに招待されたんだ~!!」

 

「弦太朗の貴重な体験になれてよかったよ」

 

 

 

ハロハピの3バカと弦太朗が盛り上がる一方で、比較的に落ち着きのある美咲たちは弦太朗達と一緒にいたりみ達へと話していた。

 

「でも意外だった。如月先輩はこういうの興味ないと思ってたけど」

 

「確かにそうかも・・・」

 

「前からそうだったけど、弦太朗くんは興味なくても友達に呼ばれたら行くからね・・・」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

「あはは・・・ひまりちゃん・・・」

 

美咲たちの言葉にりみが答えたが、その横では昔から知っていると無意識にマウントをとられたひまりが悔しそうにりみを見つめる姿に花音は苦笑いを浮かべていた。

 

「そうだわ!!薫くん!!次はどんな劇をやるの?はぐみ気になっちゃった!!」

 

「はぐみの言う通りだわ!!」

 

「そういや、この前麻弥と一緒にそのための衣装を買いに行ったな・・・」

 

「ゲンちゃん先輩!!教えてよー!!」

 

「そうね。弦太朗教えてくれるかしら?」

 

「えぇっとだな・・・確か・・・」

 

その言葉を聞いたはぐみとこころはその事を聞こうと弦太朗へと近寄っていく、弦太朗もそんなはぐみに困り顔を浮かべていたがそれを見た薫が助け船を出す。

 

 

 

 

「ふふっ・・・それは次回までの秘密だよ。楽しみはとっておいた方が盛り上がるからね。ライブでの演奏曲が分かってたら楽しみが減ってしまうだろ?」

 

「そうだね!!」

 

「つまりそういうことさ・・・。弦太朗も出来たら秘密にしておいてくれないか?」

 

「おう!!そういう事だから悪いな」

 

「ううん!!それならはぐみは楽しみにしてるね!!」

 

「・・・それじゃあ私は笑顔になれることを探してくるわ!!薫!!また明日会いましょう!!」

 

その事を聞いた2人は納得した様子を見せると途端にこころが席を立つと部室から飛び出してく。

何気なく見送った彼女達の中で1人だけ心配そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「こころ・・・?」

 

「美咲ちゃん・・・?どうしたの?」

 

「ん?美咲も花音もどうかしたのか?」

 

「私じゃなくて美咲ちゃんが・・・」

 

「いえ、なんか嫌な予感がしたっていいますか・・・。こころがまたなんか面倒ごと持ってきそうだなーって」

 

「ふふっ。でも、それがこころちゃんの良いところだと思うよ?」

 

「だな・・・」

 

「それに最近は如月先輩の件もありますからね・・・。あはは・・・」

 

「ふえぇ~美咲ちゃ~ん!!しっかりして~!!」

 

美咲自身がハロハピでのぶっ飛んだ事を体験してはいた。

 

そんな彼女達―――いや、弦太朗の知っているガールズバンドのメンバーでも1,2の常識人が普通じゃあり得ないような非日常的な事件を目の当たりにするだけでなく、その事件の犯人達と戦ったりした美咲。

そんな彼女は今回のこころがそれクラスの面倒ごとを持ってきそうな予感を感じ、遠くを見つめて笑いだすと花音がそれを見て彼女を揺さぶる。

 

「でも、そのお陰で花音さんの方向音痴が一時的に改善されて探す手間がないのはいいんですけどね・・・」

 

「この子たちが道教えてくれてるだけなんだけど・・・」

 

「ははは・・・」

 

 

そんな花音の呟きを聞いて美咲達だけに見える位置にナゲット達が飛んでくる。

それを見て美咲は乾いた笑い声をあげる。

弦太朗がここを離れると花音の方向音痴が復活するという現実を受け止めるには今の彼女のメンタルが耐えられなかったのだ。

 

 

 

 

「おや・・・。すまないが、私はそろそろ会場の片づけをしないといけなくてね・・・」

 

「そうだったのか?こっちも長い時間いて悪かったな」

 

「こちらから呼んだのだからそれは構わないよ」

 

「それじゃあ薫先輩!!失礼します!!」

 

「失礼します・・・」

 

「またな!!」

 

「ばいば~い!!」

 

そんな美咲と花音だったが、ここで薫が時計を見ると彼女達に申し訳なさそうな表情を浮かべると弦太朗達も申し訳なさそうな表情を浮かべるとそのまま部室を後にして、学校の校門前まで移動するとはぐみから突然声が挙がる。

 

「はぐみ!!お腹すいちゃった!!」

 

「ふふっ・・・それならこの後ファミレスでもいこっか?如月くんたちもどうかな・・・?」

 

「俺はいいぞ?」

 

「私達も大丈夫ですよ!!」

 

「来れるか分からないけど、薫くんにも連絡しておくね・・?」

 

そして、笑顔のはぐみを先頭にして彼らはファミレスへと歩き出す。

そんな微笑ましい光景を後ろから見ていた花音と美咲だったが、そんな微笑ましい光景はいとも簡単になくなってしまうことを彼女達は再び身をもって味わうことのことをこの時は知る由もなかった。

 




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歪・曲・笑・顔-2 積もる不安・感じる違和感


投稿です。

ファミレスで襲われると思った?
ここで美咲ちゃんの好きなものを考えてみましょう・・・


 

「いらっしゃいませ~。って弦太朗さん達じゃないですか~」

 

「あっ!!ななみんだ~!!」

 

「おう!!今日はバイトだったんだな!!」

 

「そうなんですよ~。とりあえず席にご案内しますね~」

 

ファミレスに着いた一同はバイトの七深によって席に通されるとそれぞれがメニューとにらめっこしていた。

 

 

 

 

「う~ん・・・はぐみはカレーにする!!」

 

「ふふっ・・・。私はケーキが食べたいな」

 

「私はチョコ・・・」

 

「りみ、チョココロネはねぇぞ?」

 

「も~・・・それは知ってるよ~。とりあえず甘いものがいいからチョコのパフェとかにしようかな・・・」

 

「うぅ~・・・甘いもの食べたいけどカロリーが~!!」

 

「美咲ちゃんはどうする・・・?」

 

「・・・・・・」

 

花音は美咲へと声を掛けるも、何かを考え込んでいたようで美咲からの返事はなかった。

そんな美咲に再び花音が声を掛ける。

 

「・・・美咲ちゃん?」

 

「・・・あぁ、すいません花音さん。少し考えますね・・・」

 

「えぇ・・・?うん・・・。みんな、ドリンクバーは付ける?」

 

美咲の様子を不審に思った花音だったが、美咲の言葉を信じてこの場で話を聞くこと諦める。

全員が注文を待つ中でとある人物から話題が上がる。

 

 

「そう言えばみんな知ってる?」

 

「「ん・・・?」」

 

「はぐ、何のこと?」

 

はぐみの言葉に弦太郎とりみは飲み物を飲みながらはぐみへ視線を送る中でひまりがはぐみへ質問した後に飲み物を口にする。

 

「えっとね!!最近、このファミレスでおばけが出たんだって!!」

 

「ふえぇ・・・?おばけ・・・?」

 

「うん!!1回目は黒い犬!!2回目は忍者だって!!」

 

 

 

 

 

 

「「ぶっ!!」」

 

「けほっ!!」

 

「ちょっとひーちゃん達どうしたの!?」

 

はぐみは屈託のない笑顔で答えるが、その2回の現場に居合わせていた弦太朗とひまりは飲み物を噴き出し、りみも驚きのあまり飲み物でむせて咳き込んでしまう。

 

「わりぃ・・・。すげぇ話で驚いちまったぜ・・・。な?ひまり」

 

「・・・うん」

 

「でも、そんな簡単には出ないんじゃないかな・・・?」

 

「そっか~。はぐみも1回でいいから見てみたいな~」

 

「「「・・・・・」」」

 

「あはは・・・。はぐみちゃん・・・」

 

「お待たせしました~」

 

「ねぇななみん!!このファミレスでお化けが出たってホント?」

 

言葉に言葉を失う弦太朗達3人を見て、理由を知っている花音は苦笑しているところにななみが商品を持ってくると、はぐみが今度は七深へ同じ質問をする。

それを受けて顔を弦太朗達へと向けるとそこにはりみとひまりがジェスチャーで話さないように伝えると七深はそれに乗った。

 

「あ~。はぐ先輩、広町は”お化け”は見てないですね~」

 

「そっか~。ななみんバイト頑張ってね!!」

 

「ではしつれーしますー」

 

七深の言葉に残念がっているはぐみだったが、すぐに目の前に運ばれていた自分の注文に手を付け始めると弦太朗達も会話をしながらも食事を終えて店を後にする。

 

 

 

「それじゃ、私はそろそろ家に帰るね!!」

 

「そうだね。はぐみもうちの手伝いしないと行けないんだった!!」

 

「私も妹たちの面倒見ないと・・・」

 

「それじゃ皆!!またね!!」

 

「ばいばーい!!」

 

「おう!!またな!!」

 

「ばいばい」

 

 

 

 

「それじゃ俺たちも・・・」

 

「如月くん。りみちゃん。ちょっといいかな・・・?」

 

「ん・・・?なんかあるのか?」

 

「花音先輩・・・?なんで私も・・・?」

 

ひまり達の後に続いて弦太朗達も店を離れようとしたところを花音に呼び止められる。

弦太朗はその事に何も思うことはなかった。

しかしりみは花音に呼び止められる心当たりがなく疑問を感じていたところで彼女は話し始めた。

 

 

「えっとね。美咲ちゃんの事なんだけど・・・」

 

「美咲ちゃん・・・ですか?」

 

「美咲に何かあったのか?」

 

「えっとね。さっきこころちゃんと別れた後から急に考え事してたみたいだったのが気になって・・・」

 

「でも、美咲だって考え事くらいするだろ?」

 

「こころちゃんがどんな提案をするか・・・とか考えてたんじゃ・・・」

 

「まぁ、急にライブ始めるようなことするからな・・・」

 

 

そこで弦太朗は以前にハロハピが突発でライブを行った事を思い出していたが、花音にとっては思い当たる節がいくつかあったのでどれの事か分からなかったが突発的にライブをしていることには同意見だった。

 

「それはそうかもだけど・・・。なんかいつもと違うような気がして・・・」

 

「いつもと違うってどういうことだ・・・?」

 

「えぇっと・・・うまく説明するのは難しいかな・・・。でも最近はハロハピも集まって会議する回数も減ってるし、こころちゃんは1人でどこか行くことが増えてるんだよね・・・」

 

 

花音は思っていることをうまく説明できずにもやもやとした感じを出しているのを見て、弦太朗とりみも

その姿を見てこころ達の事を考え始める。

 

美咲がこころの事で何か考えているのは想像がついたが、肝心のこころについては2人も全く想像がつかなかった。

 

 

 

 

「こころがどっか行くのはいつもの事だと思うけどな・・・」

 

「うん・・・。同じクラスだけど、休み時間はいっつもどこかに行ってるよ・・・?」

 

「そうなんだ・・・。それに最近は色々あるから・・・それを考えると心配になっちゃって・・・」

 

「とりあえず、こころに聞いてみようぜ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

「ちょっと弦太朗くん!?いきなり過ぎるよぉ~!!」

 

「うだうだ考えるよりも直接聞いちまった方がいいだろ?」

 

「確かに弦太朗くんの言う通りかもしれんけど・・・」

 

心配する花音へと思わぬ提案をする弦太朗。

そんな彼に驚くりみだったが、提案を受けた花音はその話を聞いて考え込んでいた。

 

「確かに・・・そうかも・・・!!うん!!そしたら明日こころちゃんに会ったら聞いてみるね!!」

 

「おう!!」

 

「なんでや・・・」

 

まさかの提案を受け入れた花音に思わず関西弁が出てしまったりみ。

しかしに、そんなことがあっても花音の表情が先ほどに比べて明るいものになっていた。

 

「それじゃ2人ともありがとね」

 

「また明日!!学校でな!!」

 

「花音さん。さよならー」

 

「うん!!またね!!」

 

 

 

 

「それじゃ、俺は明日の朝飯のパンでも買って帰るか」

 

「それなら私も沙綾ちゃんのお店に行こうかな・・・」

 

花音と別れた2人は明日のパンを求めてやまぶきベーカリーへ向かう。

そこで店番をしていたのは沙綾だった。

彼女は2人が仲良くしている光景に鋭い視線を送りつけていたが、その後に2人が1日中一緒にいたことを聞いた彼女はりみに対して羨ましさと嫉妬が混ざった視線を送っていた。

 

その視線に気が付いていない弦太朗と苦笑いするりみがやまぶきベーカリーで別れるとそのまま帰路についた。

 

 

 

 

 

 

そして翌日の学校も何事もなく授業を消化した弦太朗は特に予定もなかったのでこのまま家に帰ろうとしていたタイミングで教室の扉が勢いよく空いた。

 

「花音!!ハロハピの作戦会議するわよ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「おっ。こころ」

 

「あら弦太朗もいたのね!!ちょうどいいわ!!あなたも会議に参加してくれるかしら?」

 

「それはいいけど」

 

「それじゃあ行くわよ~!!」

 

「ふえぇ~!!こころちゃ~ん!!引っ張らないで~!!」

 

「おい!!廊下走ると紗夜の奴に怒られるぞ!!」

 

そんな軽口を叩きつつこころ達と共に弦巻邸へと久しぶりに足を運んだ弦太朗。

そこには既に他のハロハピメンバーも揃っており、挨拶を済ませるとこころは設置されていたホワイトボードの前に仁王立ちしていた。

 

「それじゃあ、作戦会議を始めるわ!!」

 

「こころん!!今日は何するの?」

 

「いい事を聞いてくれたわ!!」

 

「きっととっても儚い事が待っているんだろうね・・・」

 

「どうなることやら・・・」

 

「美咲。しっかりしろ!!俺がついてる!!」

 

「暴走させた前科があるのに・・・」

 

「あはは・・・」

 

期待感と美咲の心労が感じられる室内でこころは今日の会議内容について話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は私が笑顔になれることを考えるわよ!!」

 

「「「んんっ・・・?」」」

 

こころの言葉に美咲だけでなく花音と薫もこころの言葉に違和感を覚えて首を傾げるのだった。

 

 




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歪・曲・笑・顔-3 アンストッパブルな彼女

投稿です。

次回、戦いたい・・・




 

 

「今日は私が笑顔になれることを考えるわよ!!」

 

「「「んんっ・・・?」」」

 

こころの言葉に疑問を感じて首を傾げている3人。

その横で同じく疑問に思っていたのかはぐみがこころへ問いかける。

 

「ねぇこころん?どういうこと・・・?世界中の皆を笑顔にするんじゃないの・・・?」

 

「はぐみ!!私思ったのよ!!世界を笑顔にするためには私がいっつも笑顔でいるべきだと思うの!!」

 

「そっか!!こころんすっごーい!!ねぇ!!ゲンちゃん先輩はどうすればいいと思う?」

 

「って言われてもなぁ・・・」

 

「はぐみはね!!どこか楽しい場所に行けばいいと思う!!遊園地とか!!」

 

「でも、遊園地何て今から行っても時間ないぞ・・・?」

 

「そっか~・・・。ならショッピングモールは?あそこなら近いし!!」

 

「いいわね!!早速行きましょう!!」

 

「ちょっとこころん!!待ってよ~!!」

 

こころの言葉を受けてはぐみは意見を出すと、こころがそれを採用し早速部屋を飛び出す。

そのこころを追うようにはぐみもこころの後へと続く。

美咲ははぐみを追いかけようとした弦太朗を捕まると3年生の元へと連れてくる。

 

 

「美咲。一体どうしたんだよ?」

 

「前から思ってたんですが、最近のこころがおかしいんですよ・・・。1人でどっか行ったと思ったら、今日は自分が笑顔になる方法とか言い始めますし・・・」

 

「こころの言っていることは間違ってはいないと思うが、確かにいつもとは少し違うね・・・」

 

「あれで少しなのか・・・?」

 

「それにこころちゃんが笑ってないところなんて殆ど見たことないよ・・・?」

 

「確かにいっつも笑ってるよな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや・・・でも・・・まさかね・・・」

 

「薫さん・・・?どうかしたの?」

 

美咲の言葉に薫の脳裏にあることが思い浮かぶが、信じたくないそれを即座に否定して考え出す。

そんな様子に花音は首を傾げた。

 

 

「いや・・・大丈夫だよ花音。きっと私の思い違いさ・・・」

 

「んんっ・・・?」

 

「とりあえず・・・今はこころの要望を聞きましょうか・・・」

 

「あぁ・・・。こころとはぐみを待たせるわけにもいかないからね」

 

「ほら、如月先輩も行きますよ」

 

美咲の言葉を受けて弦太朗は彼女達の後に続き、屋敷を出るとそこにはこころとはぐみの2人が弦太朗達が屋敷から出てくるのを待っていた。

 

「皆!!遅かったわね!!」

 

「何してたの~?」

 

「あー、如月先輩がトイレに行ったのはいいけど迷子になったから迎えに行ったんだよ」

 

「おい・・・美咲・・・」

 

遅れたことを不思議に思っていたこころが理由を尋ねるが、遅れた本当の理由を言う訳にもいかずに美咲が咄嗟に嘘をついて誤魔化す。

 

「あらそうだったのね?それじゃあ行くわよ!!」

 

「でも、こころ?これからどこへいくんだい?」

 

「ショッピングモールよ!!沢山のお店もあるし何か素敵なことがありそうだわ!!」

 

「それじゃあ行くわよ~!!」

 

「ふっ・・・儚い・・・」

 

「ふえぇ~薫さ~ん」

 

「美咲たちも早く~!!」

 

「俺たちも行くか」

 

「ですね・・・」

 

「ふえぇ~待ってよ~」

 

そのままこころははぐみと薫と共に先に行ってしまい、美咲と花音と共にその後ろを追いかけてショッピングモールへと向かう。

一行がショッピングモールに着くが、そこからの事を決めていなかった彼女達は入口に集まっていた。

 

「それでこころん?ここからどうするの?」

 

「とりあえずお店を回りましょう!!」

 

「でもこころちゃん?どこから・・・?」

 

「それなら服なんてどうだろう?」

 

「服・・・?どういうことかしら?」

 

「折角弦太朗がいるんだから、彼の服を探してみるのはどうだろう?」

 

「薫!!いや・・・ちょっと待て・・・!!」

 

薫の突然の提案に弦太朗は以前にあったつぐみとの買物での思い出して声を挙げた。

 

あの時は彼女だけなのに何着も着替えさせられて疲労感に襲われたのに、今回は女子が5倍。

しかも、今回は明確に弦太朗の服を探すと言ったのだ―――

 

前回の時以上に時間と体力を持っていかれると感じた弦太朗はその提案を断ろうとするが―――

 

 

 

 

 

 

 

「面白そうだわ!!それなら弦太朗の服を探しましょう!!」

 

「おー!!」

 

「ちょっと!!人多いんだから走らないの!!」

 

こころはその案を採用してはぐみと共に駆け出していくと、美咲がそれを咎めながらも急ぎ足で彼女達を追いかけ、その後に遅れて店に入った弦太朗だった。

 

そこには弦太朗に着せたい服を楽し気に選ぶこころ達の姿。

その光景に逃げられないと察した弦太朗が肩を落とし、花音に慰められている奇妙な光景が繰り広げられている後ろでは薫は満足気な表情を浮かべながら遅れて店に入ってきていた。

 

「ふっ・・・儚い・・・」

 

「薫・・・。なんであんなこと言ったんだよ・・・」

 

「普段はいない弦太朗がいるんだったらいつもなら出来ないことをした方が楽しんでもらえると思ってね。勝手で悪いがこころのために頼むよ」

 

「まぁ、言っちまったもんは仕方ねぇか・・・」

 

「ふえぇ~・・・如月くん、ごめんね・・・?」

 

「・・・ああなったらこころはもう止められませんから、どれだけ楽しむかを考えたほうがいいですよ?」

 

肩を落とした弦太朗の前に現れた美咲。

そんな彼女は両手いっぱいに服を抱え込んで目いっぱいこの場を楽しんでいた。

 

「ふえぇ~美咲ちゃん・・・?そんなに・・・?」

 

「いや・・・「将来、弟にこんな服着せたいな~」って思って選んでたらこうなってまして・・・」

 

「なるほど・・・なら私も・・・」

 

「マジかよ・・・」

 

美咲の言葉を聞いて花音も店の服を見始めて、ハロハピでも良識のある2人が暴走を始めてしまったことに弦太朗は頭を抱えるがこの事態を引き起こした元凶である薫が慰めるように弦太朗の肩に手を置く。

 

 

 

 

 

 

「すまない弦太朗。まさか花音と美咲までああなってしまうとは・・・」

 

「どうすんだよこれ・・・」

 

「確かに美咲の量もそうだけど、花音もなかなかだね・・・」

 

「うおっ!?なんだあれ!?」

 

 

 

 

「これもいいなぁ~。でも、こっちもいいかも・・・」

 

「うわぁ・・・花音さん本気ですか・・・」

 

「かのちゃん先輩すごーい!!」

 

「とっても多いわね!!私も負けないわよ!!」

 

彼らの視線の先には、わずかな時間で先ほどの美咲以上に服を抱えている花音とそれを見たこころは笑顔で対抗心を燃やしていた。

 

「あの量は無理だ!!」

 

「まさか美咲と花音があそこまでとは思わなかったよ・・・。ちょっと話してくるよ」

 

「頼んだ!!」

 

弦太朗の最後の希望として薫が皆の元へと歩み寄り何かを話している。

 

この状況を作り出した元凶に事態の打破を頼むという普通では考えられないような事が怒っているがその事を気にする人間は誰もいない。

 

薫の言葉に納得したのか花音たちは自身が持っていた服を元に戻していくのを見て安堵していた弦太朗。

そんな彼にそれぞれが違うアイテムを渡していく状況に彼の理解が追い付いていなかった。

 

「こころがシャツで・・・美咲はズボン・・・ってこれはどういう事だ・・・?」

 

「分かったのよ!!私達で1つずつ物を選んで弦太朗に来てもらうの!!ハロハピコーディネートよ!!」

 

「まぁゲンちゃん先輩!!とにかく来てみてよ!!」

 

「理解が追い付かねぇ・・・。脳細胞がエンストしそうだ・・・」

 

弦太朗の呟きも虚しくハロハピコーデを身に纏った弦太朗が彼女達の前に姿を現した。

それを見た彼女達は―――

 

 

 

 

 

 

「弦太朗!!とっても個性的だわ!!」

 

「でもこころん!!なんか変だよ~」

 

「流石に・・・これは方向性が違いすぎたね・・・」

 

「何やってんですかそんな変なコーデ早く脱いでくださいよ」

 

「ふえぇ~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、これお前たちが選んだんだろ!?」

 

「まぁ、そうですけど・・・」

 

「みんなのセンスがバラバラだね・・・」

 

「でも楽しかったわね!!弦太朗、着替えたら次の事をしましょう!!」

 

弦太朗に待っていたのは彼女達からの厳しいダメ出しだった。

それを理不尽を感じたがこころの言葉に従ってそそくさといつもの学ランへと着替えて彼女達の元へと戻っていくとこころとはぐみは姿を消していた。

 

「あれ?こころ達はどうしたんだ?」

 

「何かのイベントをやっていたみたいでね。つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「どういうことだ?」

 

「まぁ・・・。何のイベントか分かんないのに「面白そうだから!!」って言って走っていっちゃったの・・・」

 

「子供か・・・とりあえず行ってみっか」

 

彼らはこころ達がいるであろう場所まで移動するとはぐみが1人で立っていたのを見つけた美咲は彼女に近づいていくと後ろからその肩を叩いた。

 

「はぐみ」

 

「あっ、みーくん!!みんなも!!」

 

「みんなも!!じゃなくて・・・勝手に行かないでよ・・・」

 

「えへへ・・・ごめんなさーい」

 

「おや?はぐみはこころとは一緒じゃないのかい?」

 

「へっ?こころんは薫くん達と一緒にいるんじゃないの?」

 

 

 

 

「「・・・ふぇ?」」

 

こころが互いの元にいると思っていたはぐみと花音は疑問をそのまま声に出る。

それを見て弦太朗達が周囲を見渡すも人混みのせいでこころを見つけることが出来ない。

 

「まぁ黒服さん達が見つけてくれるのをここで待ってようか・・・」

 

「みーくん?こころん探しに行かないの?」

 

「黒服さん達もこころを見失ったみたいだし、下手に動くと今度は花音さんが迷子になるでしょ・・・」

 

「ふえぇ~~~~!!」

 

そして美咲からの思わぬ飛び火に花音から悲鳴めいた声が挙がると、その声に釣られて人間ではない何かが彼女達へと迫っていった。

 




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歪・曲・笑・顔-4 ゼロレンジ・ファイト

投稿です。
多分GW後半に書くとは思いますがGW中は失踪したいです(願望)

こころん、どこいっちゃったの~?


 

「それにしてもこころんはどこ行っちゃったんだろ~?」

 

「きっとすぐに戻ってくるさ・・・」

 

「そうですね。さっき係りの人がすぐ始まるって言ってましたし・・・」

 

「そっか!!」

 

薫と美咲の言葉にはぐみは笑顔で答え、こころとこれから始まるイベントの開始を待つが、もうすぐに始まると聞いていたのにいつまでたっても何も起こらない。

 

何かあったのかと思った美咲だったが、はぐみはその事に対して口を開く。

 

「ねぇ、みーくん?本当にすぐに始まるって言ってたの・・・?」

 

「うん。確かにそう言ってたはずだったんだけどなぁ・・・」

 

「私にも聞こえていたが、もしかしたら何かトラブルがあったのかもしれないね・・・」

 

「そうなの・・・?」

 

「とりあえず聞いてみっか?」

 

「あー如月先輩残っててください。目立って場所が分かりやすいんで・・・」

 

そう言って美咲が何があったか聞く為に動き出そうとすると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・向こうが騒がしいよ・・・?」

 

「ホントだ!!」

 

花音がこことは違う場所で騒がしくなっていることに気が付く。

それを聞いたはぐみの天然めいた言葉に美咲がツッコミを入れるが、騒ぎの様子が明らかにおかしかった。

まるでそれは―――

 

 

「みんな何かから逃げてるみたいに慌ててるよ?」

 

「まさか・・・!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

 

はぐみの何気ない一言に美咲たちは以前に経験した最悪の考えが頭を過り、驚きの表情を浮かべて弦太朗へと視線を向ける。

 

「あの様子・・・弦太朗・・・」

 

「わりぃ!!ちょっと行ってくるからみんなは待っててくれ!!」

 

「あっ!!ゲンちゃん先輩!!はぐみも行く!!」

 

「はぐみ!!待ちたまえ!!」

 

「はぐみちゃん!?」

 

「あぁ~!!はぐみの事追いかけましょう!!」

 

「うんっ!!」

 

「仕方ないね!!」

 

弦太朗が騒ぎの中心へ駆け出すとはぐみも美咲の手をすり抜けて弦太朗の後を追ってしまう。

そんな彼女を捕まえるべく美咲たちも後を追って駆け出すとある場所へと辿り着いた。

 

 

 

「ここだな!!ここって・・・」

 

「ショッピングモールの中にある歯医者さんだよ!!」

 

「はぐみ!?なんでここに!?」

 

「えへへ・・・気になってきちゃった!!みんな歯医者さんが嫌だったのかな?」

 

「それはねぇだろ?とりあえず・・・」

 

 

 

「ちょっとはぐみ!!」

 

「ふえぇ~・・・!!」

 

「ここは歯医者だね?でもどうして・・・?」

 

弦太朗とはぐみに追いついた美咲たちもこの場所で何が起こっているのか疑問に思うが、とりあえずはぐみをここから連れ出そうと手を伸ばす。

しかし、その手ははぐみに触れることはなかった。

 

「とりあえず行こ!!」

 

「はぐみ!!ちょっと待って!!・・・って、もう!!追いますよ!!」

 

「おう!!」

 

先に行ってしまったはぐみを追うように弦太朗達も中へと入っていくとそこには目の前の光景を見て目を輝かせたはぐみがいた。

 

 

 

「すっごーい!!テレビの撮影かな~!!」

 

「・・・!!やめろ!!」

 

「どうやら悪い予感が当たったようだね・・・」

 

今、目の前では特徴的な左腕と右手に大剣を携えたペルセウス座のゾディアーツが左腕で掴みかかろうと腕を伸ばしていた光景を見て弦太朗は駆け出すも間に合わず、彼の目の前で人間が石へと変わってしまった。

 

「石になっちゃった!!」

 

「・・・やりやがったな!!」

 

「・・・??」

 

「はぐみ!!こっち!!」

 

「!?みーくん!?」

 

 

弦太朗は目の前の光景に怒りをむき出しにしてドライバーを取り出して乱暴にスイッチを叩くとカウントが響くがペルセウスは振り向きすらせずに目の前の石に視線を向けていた。

 

そんな目の前の光景が理解できていないはぐみの腕を美咲が掴むとそのまま後ろへ下がっていく。

 

 

 

3―――――――

2――――――― 

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

弦太朗は怒りのままにフォーゼへと変身するとそのままドライバーのスイッチを起動する。

 

――ロケットON―――――――――

 

「宇宙・・・きたぁぁぁああ!!」

 

「・・・!!」

 

フォーゼはそのままロケットでペルセウスの背中へと突っ込む。

そして壁に大穴を空けて外へと飛び出していく姿を美咲たちは少し離れた場所から眺めていた。

 

 

 

 

 

「ふえぇ~・・・壁が・・・」

 

「かっこいいー!!かのちゃん先輩とみーくんは知ってたの!?」

 

「まぁね・・・」

 

「ずるい~!!なんではぐみに教えてくれなかったの~!!」

 

「弦太朗はヒーローだったのさ」

 

「薫くんも何で教えてくれなかったの!!」

 

美咲たちは知っていたのにこの場でフォーゼの事を知らなかったはぐみはその事に不満を漏らしていた。

 

「えぇっと・・・ヒーローって普段は姿をみんなには隠してるから・・・」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「そうなんだ!!ならはぐみも皆には内緒にするね!!」

 

「あぁ、そうしてあげるといい」

 

 

 

 

 

 

「単純だなぁ・・・」

 

不満顔のはぐみだったが、花音のそれらしい理由を聞いて納得する。

そんな光景を見て美咲から出た呟きは誰の耳にも入ることはなく、彼女達はフォーゼの空けた穴から戦いを視界にとらえる。

 

 

そこには壁を突き破ったフォーゼがその勢いのままにペルセウスを駐車場の地面へと叩きつけ、フォーゼはペルセウスから距離をとるとロケットを解除する。

 

地面に叩きつけられたペルセウスは楽しみを邪魔された子供の様な視線をフォーゼへと向けると剣を振り上げて駆け出す。

 

「そらっ!!」

 

フォーゼは左腕はペルセウスの右腕を打ち払うとその腹を蹴りこむと同時に背中のバーニアを吹かして距離をとる。

 

「捕まれねぇように・・・遠くから撃つ!!」

 

――ファイヤーON――――――――

 

フォーゼはスイッチを切り替えてファイヤーステイツへと姿を変える。

しかし、ファイヤーステイツへの変身が完了した時にはペルセウスは左腕を振り上げてフォーゼに肉薄していた。

 

「このっ!!」

 

咄嗟にフォーゼは右手に持っていたヒーハックガンを手放して、石化しないようにペルセウスの左前腕を掴むとそのまま上に持ち上げる。

 

左腕を抑えるもペルセウスは右手に持っている剣で何度もフォーゼの身体を切りつける。

 

 

「ぐわぁ!!」

 

しかし、フォーゼは左腕を抑えるのが精一杯で右腕も抑えるほどの余力はない。

そんなフォーゼは斬りつけられながらも左腕でドライバーのスイッチを交換する。

 

――――ハンドON――――――

 

スイッチの起動と共に右足から腕が生えてフォーゼの足元に転がっている銃へと手を伸ばすが、目の前のペルセウスはそのことに気が付いていない。

 

「食らえっ!!」

 

「っ!?」

 

フォーゼの言葉と共にハンドが握りしめていたヒーハックガンの銃口をペルセウスの腹部へと押し付けると同時にゼロ距離射撃。

そこからは互いに一歩も引くことはなく壮絶な我慢比べが始まる。

 

 

 

互いに何度も攻撃を受けていたが、ペルセウスは腕や体など様々な場所を切りつけていたのに対してフォーゼは同じ場所への攻撃を繰り返してしており、先に限界を迎えたペルセウスは距離を取ろうと右腕でフォーゼの身体を押す。

それに合わせてフォーゼも押されたのに合わせてバーニアで再び距離をとる。

 

 

「・・・っ!!」

 

「前に流星が言ってた・・・点滴がなんちゃらってやつだな!!・・・」

 

フォーゼはその言葉と共にハンドが持っていたヒーハックガンを両手に持ち替えて腰だめに構えてペルセウスへと乱射する。

 

ペルセウスがそれを剣を盾代わりに防ぐ始める。

 

「お~い!!」

 

「ちょっとはぐみ!!待って!!」

 

「なっ!?なにしてんだ!!」

 

しかし、そのタイミングではぐみ達が戦場へと現われたことに驚きを隠せないフォーゼ。

その隙にペルセウスは自身の近くにあった1台の車を石化させると持っていた剣をバットの要領で振り抜いてフォーゼへと破片を飛ばすとすぐにに地面に剣を勢い良く叩きつける。

 

石化した車の破片と地面に叩きつけられた剣がアスファルトを砕き、その下にあった土を巻き上げてフォーゼやはぐみ達の視界を潰す。

 

 

 

 

 

「うわぁ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

「花音!?はぐみ!?大丈夫かい?」

 

「うん・・・驚いて転んじゃっただけだから・・・」

 

「あれ?そのまま逃げてった・・・」

 

フォーゼの視界を潰すと同時にペルセウスははぐみ達の方向へと駆け出すと彼女達の横を通り過ぎてそのまま姿を消した。

視界が戻ったフォーゼが周囲を見渡しても姿が見えないのを確認すると静かにドライバーを操作して変身を解除すると美咲たちが駆け寄ってくる。

 

 

 

「如月先輩!!大丈夫ですか?」

 

「いってぇ・・・!!何度も剣でポカポカ叩きやがって・・・」

 

「薫くんから聞いたけど!!ゲンちゃん先輩ってヒーローだっただね!!はぐみ!!みんなには内緒にするから!!」

 

「ん・・・?よくわかんねぇけど・・・。でも、そういやこころはどうしたんだ・・・?」

 

はぐみの突然の言葉に弦太朗は困惑して薫達へと視線を向ける。

そこにはドヤ顔を浮かべている薫と困り顔の花音と美咲がいたが、こころがいないことに弦太朗は疑問を感じていた。

 

「あの後から姿も見えなくて・・・」

 

「どこにいるんだか・・・」

 

 

 

 

 

 

「みんな~!!」

 

 

噂を擦ればこころが弦太朗達に元へと駆け寄る。

こころが来たことにはぐみ達は嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

「あっ!!こころん!!大丈夫だった?」

 

「えぇ!!でも今日はもう帰りましょう!!」

 

「うん・・・。そうだね・・・」

 

「それにしても腹減ったな~」

 

「はぐみの家のコロッケ食べる~?」

 

再び合流したこころから出た帰ろうという提案を受けて、彼らは荷物があるこころの屋敷へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか・・・。そういうことなのか・・・?」

 

「薫~?早くいくわよ~!!」

 

「あぁ・・・」

 

先ほどまでの出来事に引っかかりを感じていた薫は複雑な表情を浮かべていたが、こころの言葉を聞くとすぐに彼女達の後を追うのだった。

 

 




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歪・曲・笑・顔-5 固まるM/動乱商店街

細かいところ修正して再投稿。
恥ずかしい・・・
穴があったら失踪したい・・・


 

ペルセウスのと戦闘があった翌日の放課後、弦太朗の姿ははぐみと共に商店街の一角にあった。

 

「ゲンちゃん先輩。急に頼んでごめんね・・・」

 

「仕方ねぇよ。店番なんだろ?」

 

「でも、昨日の事もあるし・・・」

 

「大丈夫だって!!任せとけ!!」

 

弦太朗と向き合い、神妙な面持ちをしたはぐみは少しだけ考えてすぐに結論を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はゲンちゃん先輩がマリーだよ!!」

 

「おう!!」

 

「それじゃあはぐみはお店に戻って店番するね!!後でうちのコロッケ持ってくるから~!!」

 

そう言い残すとはぐみは弦太朗の前から姿を消すと入れ替わるように美咲―――ミッシェルが弦太朗の前に姿を現した。

 

「よぉ!!美咲!!」

 

「今はミッシェルです。とりあえず如月さんははぐみの代わりにマリーに入って一緒にチラシ配りですよ。後、マリーの中にいる間は如月さんは話さないでくださいね」

 

「それはいいんだけどよ・・・。普段はこれにはぐみが入ってるんだよな・・・」

 

「・・・?そうですけど?」

 

言葉の意味が分からないミッシェルは首を傾げるが、そんな彼女へと弦太朗は当然の疑問を口にした。

 

 

 

 

 

 

「それなのになんでミッシェルの事は気が付かねぇんだ?」

 

「・・・それは気にしたらダメです。とりあえず仕事しますよ~」

 

美咲の変わり身の早さに驚きながらもマリーに変身した弦太朗はミッシェルの後に続いて商店街へと姿を現すと早々に目の前のミッシェルに人が集まって来る、その中には弦太朗の見知った顔も混ざっていた。

 

「ミッシェルだぁ・・・」

 

「倉田さん?あなたはなんで着ぐるみに抱き着いているのかしら・・・?」

 

「??モフモフなんだよ?るいさんも・・・」

 

「興味ないわ」

 

「最近の男の人はギャップに弱いってこの前透子ちゃんが言ってたよ?」

 

「・・・そうなの?それなら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつらなにやってんだ?」

 

マリーとしてチラシを配っている弦太朗の近くではミッシェルがましろと瑠唯に抱き着かれている異常な光景が広がっていた。

それをとりあえず仕事をこなしていた彼の元へと見知った少女達が寄ってきた。

 

「ミッシェルと・・・ましろちゃんは兎も角、瑠唯ちゃんがミッシェルに抱き着いてるって凄い絵面だな・・・」

 

「あれ?はぐが店番してるのにマリーがいる!?」

 

「一体・・・誰が入ってるんだろう・・・?」

 

そこに現れたのはポピパ。

しかし、普段マリーの中に入るはぐみが店番をしているにも関わらずマリーがいることに疑問が覚えていたが、有咲のカバンからポテチョッキンが飛び出すとマリーの足元へと向かう。

 

その光景に疑問を覚えていた有咲だったが、たえからの一言には驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「なんで先輩がマリーに入ってるの・・・?」

 

「はぁ・・・?おたえ何言ってんだよ。如月が入ってるわけ・・・」

 

「ねぇ!!今、はぐから聞いたけどゲンちゃん先輩が入ってるんだって!!」

 

「・・・っ!!」

 

「おい沙綾!?」

 

 

 

 

 

「のわぁ!?沙綾!?何してんだ!?」

 

たえと香澄の言葉を聞いた沙綾は弾丸の様な加速でマリーへと飛びつくとマリーを地面に押し倒してその胸に自身の顔を埋めていた。

 

 

着ぐるみ越しとは言え、女子に抱き着かれて押し倒されるという事態に驚きを隠せなかった弦太朗は美咲の注意を無視して驚きの声を挙げてしまった。

 

「えへへへへへへ・・・」

 

「おい。沙綾の奴、やべぇ事になってるけどどうすんだよ・・・」

 

「山吹さーん。高校生のおねーちゃんがうさぎを押し倒さないの~」

 

「あぁぁぁああああ・・・」

 

そんな状況を見かねたミッシェルは、瑠唯達から離れると沙綾の首を掴み挙げてマリーとなっている弦太朗から引き剥がすと、彼女からは情けない声が挙がる。

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

駄々を捏ねる子供が連れていかれるような光景にその場にいた彼女達全員が言葉を失う。

そんな中で思わぬ乱入者が現われる。

 

「よぉ。お前達何やってんだ?」

 

「マッスー!!でもどうしてここに?」

 

「家から面白れぇ光景見えたから・・・冷やかしに来た。よぉ、瑠唯」

 

ますきはそう言ってからニヤニヤとした笑みを浮かべながら瑠唯へと声を掛けるとそれに瑠唯は何事もなかったかのように応えた。

 

「佐藤さん。ごきげんよう」

 

「おまえも案外可愛いとこもあるんだな」

 

「何のことでしょうか?」

 

「上から見てたけどミッシェルに抱きついてたろ?写真もあるぞ」

 

「人違いです」

 

「はぁ?」

 

「人違いです」

 

 

 

 

 

 

「るいさん。何事もなかったことにするつもりなんだ・・・」

 

「いや、あれは無理だろ・・・」

 

ますきに先ほどの行動を見られた瑠唯は人違いと言うことで押し切ろうとする滑稽な光景にましろは苦笑いをしながら呟くと有咲がそれに応えていた。

 

多かれ少なかれ笑みが溢れる商店街。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな空気を裂くように空からペルセウスが瑠唯の目の前に落ちてくると周囲は悲鳴が響く。

 

「なっ!?なんで!?」

 

「ゲンちゃん!!」

 

「くそっ!!手元にドライバーがねぇ!!」

 

「あたしとってくる!!」

 

ペルセウスと戦おうにもマリーの着ぐるみを着るためにドライバーを置いてきてしまっていたことを聞いた沙綾はマリーの着ぐるみが置いてある倉庫へと駆け出す。

 

弦太朗もマリーのままペルセウスへと駆け出すが、その左腕は瑠唯の顔面へと迫っていた。

 

「っ!!」

 

「瑠唯っ!!」

 

しかし、瑠唯は顔を守ろうと反射的に自身の腕を顔の前に出すが、ペルセウスはそのまま瑠唯の左腕を掴む

 

そして、捕まれた左腕から瑠唯の身体が灰色へと変わっていく。

 

「るいさんっ!!腕が!!」

 

「倉田さん!!早く逃げなさい!!」

 

ペルセウスに捕まれている瑠唯の左腕から灰色が広がっていく。

瑠唯は普段では出さないような叫びをあげるも、ましろはその光景に恐怖を感じて動けずにいた。

 

 

 

「おらぁ!!」

 

「キャ!!」

 

「瑠唯!!大丈夫か?」

 

「佐藤さん・・・。大丈夫とは言えそうにはないですが・・・」

 

そんな中でマリーが飛び蹴りを放つと、直撃したペルセウスは瑠唯の腕を離すと可愛らしい悲鳴を挙げて倒れこむ瑠唯をますきが駆け出して彼女を支えると同時に瑠唯に広がっていた灰色が止まる。

 

「如月!!お前!!少しは考えて動けよ!!」

 

「有咲!!でもよ・・・!!」

 

「お前がやられちまったら誰があれを止めるんだよ!!沙綾が来るまで待ってろ!!」

 

「でもよ・・・あいつはもう俺を逃がす気はなさそうだぜ・・・」

 

ペルセウスは弦太朗―――マリーへと視線を向ける。

流石に生身では分が悪いが瑠唯を放っておくことが出来なかった弦太朗は行動を起こしていたが、今まさに危機を迎えていた。

 

とりあえず左腕だけは避けようと考えていた彼だったが、彼の視線の先―――

正確にはペルセウスの背後ではとんでもない光景に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「ぁあああ!!」

 

「奥沢さん!?」

 

「それさーやの店の看板!?」

 

いつの間にかペルセウスの背後に回り込んでいたミッシェルがやまぶきベーカリーの立て看板を両手に構えてペルセウスの頭へと振り下ろす。

振り下ろされた看板は1撃で粉々に砕け散るがペルセウスには肉体的なダメージはなく、そんなペルセウスが後ろを見ることも無く左腕でミッシェルの腕を掴むと途端にミッシェルが石化する。

 

「やばっ!!」

 

「ミッシェル!?」

 

「っ!?」

 

ミッシェルが石になっていく光景にりみが叫び声をあげるとペルセウスは驚いた素振りを見せてゆっくりと後ろ振り返るとミッシェルがどんどん石になっていく光景が広がっていた。

 

その事実にペルセウスは左腕を離して慄いているが、ミッシェルの石化が止まらない。

 

「如月さん!!後は任せましたよ!!」

 

「弦太朗!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!」

 

そう言い残してミッシェルは完全に動かなくなるのと同時に沙綾がはぐみと共にドライバーを持ってくるとマリーを着たままの弦太朗の腰に当てるとそこからベルトが伸びる。

そのまま見様見真似でドライバーのスイッチを入れようとするが、ペルセウスは完全に石になったミッシェルを見て逃げ出してしまう。

 

その姿を弦太朗は口惜しそうな表情で浮かべてペルセウスを追うことを諦めていた。

 

 

 

「ミッシェル!!返事してよ~!!」

 

「るいさんっ!!しっかりして!!」

 

はぐみとましろが石化した2人に声を掛けているのを聞いて弦太朗はそのまま2人へと駆け寄る。

 

「瑠唯!!大丈夫か!?」

 

「私は腕だけだけど・・・」

 

「そんな、ミッシェル~!?」

 

「はぐみ、ちょっとこっち・・・」

 

「さーや!?離してよ~!!」

 

瑠唯はなんとか声を出して応えるも精神的なダメージが大きい。

その一方で無言のミッシェルを見て完全に取り乱したはぐみは沙綾に腕を引かれてそのままはぐみの家の中に消えていく。

 

「嘘だろ・・・美咲!!」

 

「美咲ちゃん~」

 

「おい!!なんとかなんねぇのかよ!!」

 

「とりあえずは頭のいいダチに聞いてみるけど、どうすればいいか分かんねぇな・・・」

 

「そんな・・・」

 

「美咲ちゃん~!!死んじゃやだよ~!!」

 

「お~い」

 

彼の言葉に絶望感が周囲と包むと誰からか分からないが泣き声がどんどんと大きくなる。

そんな声を聞いて悔しさと後悔の気持ちが襲ってきたがどこからか美咲の声が聞こえてくる。

しかし、ミッシェルが石になっているのに彼女の声が聞こえてきたことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

「この声!!美咲ちゃん!?」

 

「でも香澄ちゃん、ミッシェルは石になってるよ!?幻聴!?」

 

「あたしにも聞こえんぞ?」

 

「おい!!それって死んじまった奥沢さんの幽霊が!?」

 

「だったら静かにしよ!!美咲ちゃんが遺言を残そうとしてるのかも・・・!!」

 

そう言って一同は静かになり、美咲の声が聞こえてきた場所を捉えようとする。

 

 

「お~い。勝手に殺すな~」

 

「まさか・・・聞き取りにくいけどこの声の元って・・・」

 

「「「ミッシェル!?」」」

 

 

 

 

 

「あ~・・・。うん。なんかごめん」

 

声の発信元は石になってしまったミッシェルだった。

それに気が付いた全員がその発信元へと急いで駆け寄ると声を掛ける。

 

「美咲!!大丈夫なのか!?」

 

「如月さん。なんかわかんないですけど、着ぐるみだけ(・・)が石になってて・・・それに外の声も良く聞こえてないんですよね・・・。とりあえずはぐみがいないのはわかりましたけど・・・」

 

「だけって事は奥沢さん自身は無事なんだな」

 

「そうだね・・・とりあえず如月さん。なんとかなりません?流石に動けないのはしんどいんで出たいんですけど・・・」

 

美咲がぼやくと途端に彼女達の周りを弦巻の家の黒服が囲む。

皆それを見て構えてしまったが、そんな中で1人の黒服が石化したミッシェルへと近寄って会話をすると弦太朗達へと向き直る。

 

「皆さま。とりあえずこちらに・・・」

 

その言葉と共に黒塗りの車が現れるとミッシェルがその中へと運び込まれていく。

マリーのままの弦太朗と彼女達もその言葉に従ってそれへと乗り込んでいくとその中には既に沙綾とその横で泣きつかれて寝てしまったはぐみの姿もあった。

 

 





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歪・曲・笑・顔-6 遅刻の王子様

投稿です。
そろそろバレるかな・・・(なお・・・



 

 

商店街の1件があった後、弦巻邸へ移動した弦太朗達。

到着早々に完全に石化したミッシェルと完全に寝てしまったはぐみを除いて彼らは屋敷に一室へと通される。

 

「ふえぇ~!?なんではぐみちゃんとマリーが一緒にいるの~!?ってベルト巻いてるってことはもしかして如月くん・・・?」

 

「見分けるのはそこかよ・・・」

 

「おう!!」

 

部屋の中にいたのは花音のみで同じバンドメンバーの薫も家主であるこころの姿も無い。

そんな中で花音の服装に最初に疑問を思って口を開いたのはますきと瑠唯だった。

 

「あの・・・花音さん?」

 

「どうして松原さんはそんな恰好なんですか・・・?それってファーストフード店の制服ですよね?」

 

「えぇっと私がバイト中に黒服さんが来て、そのまま・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「バイトって言えば、先輩もマリー脱いだら?脱ぐの手伝うよ・・・」

 

「それもそうだな。頼むわ」

 

今の花音はバイトの制服姿だった。

花音が服とここに来た強引過ぎる手段に言葉を失っていた中で、たえと弦太朗と共に一度部屋を出てマリーから普段の学ランに着替え直すと部屋に戻る。

彼らが戻ってきたことで皆が我に返った花音がすぐに話題を変えた。

 

「美咲ちゃん!!大丈夫なの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今更・・・?あたしなら大丈夫ですよ・・・?」

 

「「「美咲(ちゃん)!?」」」

 

「なんでかは分かんないけどミッシェルだけが石になったから、それを壊してもらって中から出てきたんだよ・・・」

 

「でも、触った感じどこも石になってないよ?」

 

「そうだよね~」

 

「ちょっと2人とも!?どこも石になってないから!!って花音さんもなんで!?」

 

「美咲ちゃんが心配でちょっと・・・」

 

「香澄もおたえもなにやってんだ!!」

 

そこに現れたのは石になったミッシェルの中に入っていた美咲。

香澄とたえ、そして花音が美咲に近づくと彼女の身体をペタペタと触って石になっていないことを確認し始める。

それに驚いた美咲を見て有咲と沙綾が2人を引き離すと花音もそれを見て美咲に触れるのを辞めた。

 

 

「でも、瑠唯ちゃんと違ってどうして美咲ちゃんは無事だったの・・・?」

 

「それにミッシェルは腕が離れても石になり続けてたのに、瑠唯ちゃんは腕が離れたら止まったよな?」

 

「何か2人に違いなんてあるのかな・・・?そういえば弦太朗くんも前に石になったって言ったよね?」

 

「俺の時は最初は変身してたし、それに元山・・・天校で使ってた奴の心に迷いがあったから力が出し切れなかったって言ってたような・・・」

 

「先輩?でも、そんな迷ってるようには見えなかったよ?」

 

何とも言えない空気の中でりみからの当然の疑問があがり、瑠唯は石化が途中で止まったのかについて一同は考え始める。

 

 

 

 

 

「如月くんと違って、瑠唯ちゃんは変身なんてしないもんね・・・」

 

「花音さん。そう簡単になったら困りますよ・・・」

 

「・・・っ!?」

 

「ましろ?何か分かったの!?」

 

「ましろちゃん!?」

 

「えぇっと・・・。その・・・」

 

ハロハピ2人の言葉を聞いて反応を示したのはましろ。

彼女に対して沙綾と香澄が2人で詰め寄るとましろは困った様な表情を浮かべて言葉に詰まるのを見た沙綾は香澄の腕を引いてましろから距離をとる。

 

そんなやり取りがあったため、全員の視線がましろに集まると、彼女は瑠唯へと視線を向けてしまう。

それに気が付いた瑠唯はましろの考えていたことを表情一つ変えないで言い放った。

 

 

 

「倉田さん。それは私も怪物に変身したことがあるからってことかしら?」

 

「マジかよ瑠唯!?」

 

「なっ・・・!?」

 

「ふえぇ~!?本当なの?」

 

「えぇ」

 

「それもすっごいのだったらしくて・・・」

 

瑠唯の言葉に彼女が変身した姿を見ていないますき達が驚きの声を挙げるが、彼女は表情一つ変えずに話を続ける。

そんな彼女達に瑠唯の事を知っているポピパ達とは集まって話していた。

 

 

「弦太朗くん。それが関係してるの・・・?」

 

「俺にも分かんねぇな」

 

「えぇ~!?ゲンちゃん先輩も分かんないの!?」

 

「でも、そのくらいしか考えらんねぇよな・・・。それよりも如月、瑠唯ちゃんを治せねぇのか?」

 

「出来るかどうか分かんねぇけど試してみるか?」

 

「あまり期待できませんが・・・お願いします」

 

そう言って弦太朗はドライバーを取り出して変身するとメディカルスイッチを起動するが、瑠唯の腕は一向に変化する様子はない。

 

 

 

 

「くそっ!!ダメか・・・」

 

「仕方ないわ・・・」

 

「るいさん・・・」

 

残念な結果を受けて瑠唯は気丈に振舞ってはいるが周囲の空気が重苦しい物へと変わっていく。

そんな中で空気を変えようとしたのは香澄だった。

 

 

 

「ねぇ。さっきのを倒したら戻る・・・なんてことはないかな?」

 

「香澄!?何を言ってんだ?」

 

「あ~あれじゃない?テレビ番組とかだと敵倒したら元に戻るみたいなの・・・」

 

「2人とも?それはテレビだけの話だよ?」

 

「戸山さんも山吹さんも、花園さんの言う通りだよ」

 

「お2人の考えはあまり現実的ではないと思います」

 

 

「うぅ・・・そっか~・・・」

 

「なんで私も・・・」

 

たえ達の言葉で香澄は沙綾を巻き込んで消沈した。

しかし、その後で考えてもいい案が思い浮かばないまま沈黙が続くがそれを破ったのは意外な人物だった。

 

 

「あの・・・」

 

「松原さん?何か案があるんですか?」

 

「そういう訳じゃないけど・・・。とりあえずは香澄ちゃん達の言う通りってことにしない?」

 

「ちょっと花音さん!?何言ってるんですか?」

 

「どう治すかも大事だけど、これ以上被害者が出ないようにした方が・・・」

 

「・・・それもそうですね」

 

「花音さん。仮に沙綾達の言う通りだったとしても、どこにいるか分かんないっすよ?」

 

「だよね・・・」

 

花音の言葉に美咲は驚きを隠せなかったが、その言葉を聞いた被害者である瑠唯がそれに賛同するが、ますきの言葉によって室内の空気が固まる。

 

 

ペルセウスの目的も正体も分からない―――

 

 

そんな中では次にどこで誰を襲うかなんてことは想像することも出来なかったが、ある人物が遅れて部屋へと入ってくると空気が変わる。

 

「やぁ、みんな。どうやらお困りのようだね」

 

「薫さん!!」

 

「少し事件があってね。・・・瑠唯ちゃんその腕はもしかして・・・」

 

「瀬田さんの考えている通りですよ。それで瀬田さんが遅れた理由については?」

 

「ちょっとるいさん!?」

 

遅れてきた薫へと瑠唯から疑惑の目が向けられる。

その事にましろは驚くが、視線を向けられている薫は何事もなかったかのような態度を見せていた。

 

「倉田さん。事件の時に現場にいなかったのよ?疑うのは当然よ?」

 

「瑠唯。薫は最初にあいつが出た時に花音たちと一緒にいたぞ?」

 

「うん。一緒にモールにいたよね?」

 

「そうだったんですか。申し訳ありません」

 

「いや、瑠唯ちゃんが疑うのも仕方ない事さ。それで遅れてきた理由だったね・・・」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

「ふふっ・・・。私が遅れた訳は・・・」

 

「るいさん~話聞いてないよ~」

 

瑠唯が忽然とした態度で理由を話すも、弦太朗と花音の話を受けてすぐに謝罪する。

しかし、疑いが晴れたのにも関わらず薫は自分の話を続けていく光景に何故かましろが涙目になるが誰も気にすることなく薫の話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

「それは、またあの怪物を見かけたからさ」

 

「「「「!?」」」」

 

「なっ!?」

 

「とりあえず写真をとっておいたが・・・」

 

薫の口から出たのは驚くべき内容に一同は驚きを隠せなかったが薫がその後に見せた写真にはしっかりと先ほど見たペルセウスが映っていて彼女の言葉が真実味を帯びる。

 

 

「ちょっと薫さんは大丈夫だったんですか!?」

 

「あぁ、出たけどすぐに逃げて行ってね・・・」

 

「薫さん!!詳しく!!」

 

「おや。マスキちゃんがそんなに興味津々なんてね」

 

「とりあえず薫さん。話の続きを」

 

「そうだね。あれは―――」

 

そうして薫はここに到着する前の出来事を語り始めるのだった。

 





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歪・曲・笑・顔-7 悪夢と孤独と名推理

投稿です
バチギスドリドリまで後少し―――

次は誰が狙われるのか・・・



 

私は演劇部の練習を終えて麻弥と共に帰路へと着いていた。

 

「薫さん。今日の練習はかなり熱が入っていましたね!!」

 

「そうかい?麻弥もあんな出来事があった後なんだから余り無理をしないほうがいいんじゃないか?」

 

「はい!!ですけど薫さんもですよ?」

 

「それもそうだね。でも、こんな状況だからこそ日常を大切にしたいのさ・・・」

 

私達はそんな他愛ない話を繰り広げながら―――

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

「あの~薫さん。そんなところは今は詳しく話さなくていいので、もう少し後の事をお願いします。具体的にはあいつが出てきた辺りを・・・」

 

「おや・・・美咲はどうやらせっかち・・・。いや、どうやら美咲だけがせっかちではないようだね・・・」

 

余りにも関係が無さそうな話が始まったので美咲が早々に話を打ち切らせると、ペルセウスが出てきたところの話を急かす。

そんな薫は美咲へと視線を向けるが、そこには視線の先では美咲だけではなく薫以外の全員が薫の話を急かすような視線を向けていた。

 

「分かったよ。では出る前まで話を飛ばそう―――」

 

 

 

 

 

 

――――――

 

私と麻弥は2人で他愛ない話をしていたら、ミッシェルたちの事について連絡を受けた。

でも私は麻弥を一人にすることを躊躇って麻弥を家まで送ることを考えていたがそこで悲鳴が聞こえてきたんだ。

 

「何かあったんでしょうか・・・?まさか!!」

 

「麻弥。行こう」

 

「薫さん!?」

 

そう言うと人が逃げてくる流れに逆らって、私は麻弥と共に悲鳴の聞こえた先へと駆け出す。

少し走った私の視界には先日見た怪物が剣を振り回して人を追いまわしているのを見つけたんだ。

 

でも、こちらに気が付いていないようだったので麻弥と2人で建物の影に隠れると麻弥がスマホで怪物の撮影をしていた。

 

「とりあえず、如月さんを呼ばないと・・・!!」

 

「麻弥、後何枚か撮影して私にも写真を送っておいてくれないか?」

 

「・・・?了解しました!!」

 

そして麻弥が弦太朗達よりも先に私だけに写真を送ってくれたのを確認するとその後も何枚か撮影をしていたら追いまわされている人達の1人―――子供が転んだんだ。

 

恥ずかしいことに私達は怪物が追い回している人の中には子供がいたのに全く気が付いていなかったんだ。

その子は絶望感にあふれた表情を浮かべて後ろに迫っていた怪物へと向けていた。

 

 

 

 

「麻弥!!後は任せたよ!!」

 

「ちょっと!!薫さん!?」

 

それを見た私は麻弥の静止も聞かないで怪物の前で転んでいた子供の元へと駆け出す。

私の視線の先では怪物は左腕を振り上げていたのが見えたので、子供を石にさせるわけにはいかないと思って庇うように抱きかかえて、私が石になるのを待った。

 

抱きかかえてからどれ位の時間がたったのかが分からないが一向に石になるような感覚がないことに気になった私は視線を怪物の方へと向ける。

 

 

 

 

 

そこには左腕が私の目の前で止めていた怪物の姿が映った。

なんで腕を止めたのかは分からなかったが、そのまま怪物は腕を降ろすと右腕に持っていた剣を地面へと叩きつける。

その剣はコンクリートを砕き、破片が煙のように舞い上がって視界を奪う。

 

そして、視界が晴れるとそこには怪物が開けた穴だけが残っていて怪物の姿はもうどこにもなかったんだ。

 

 

――――――

 

 

「ここまでが私が怪物と会った時の話だよ。その後は麻弥を家まで送り届けてからここに来たのさ」

 

薫は自身がペルセウスとの出会いを語り終えると何とも言えない空気が流れていた。

 

 

 

 

「あの後すぐに人が襲われたんだ・・・」

 

「てか、さっきの写真は麻弥が撮ったのかよ・・・」

 

「流石麻弥だよ。彼女が冷静でいてくれたからこれが撮れたんだよ。悪いが、今度は弦太朗達があの怪物と会った時のことを教えてくれるかい?」

 

「あぁ・・・わりぃ・・・」

 

薫が語り終わると次は弦太朗達が見たことの説明を求める薫。

それに答えて弦太朗が説明を始め、あやふやな部分は居合せたポピパ達―――主に有咲が補足すると、それを聞いて薫は話を理解しようとしていた。

 

「そんなことが・・・。それで瑠唯ちゃんが・・・」

 

「瀬田さん。そこまで気にしないでください」

 

「ん~・・・?」

 

「ハナ?どうした?」

 

「なんだこれ・・・?」

 

「それに有咲さんも・・・」

 

そんな中で突然たえと有咲が何かモヤモヤしたような表情を浮かべていたことにますきとましろの2人が気が付いた。

 

「なんか変じゃない?」

 

「変・・・?おたえちゃんどういうこと・・・?」

 

「今までと違って目的が分かんねぇよなぁ・・・」

 

「そうそう私もそう思った」

 

有咲が違和感を語るとたえもそう思ったと口に出す。

その言葉に有咲・沙綾・ますきの3人は疑惑の視線を送るがすぐにそれを辞めると沙綾が有咲に賛同する。

 

 

 

「あー・・・。今までのも話を聞いてるだけだけど、とりあえず法則性・・・?みたいなのはあったよね?」

 

「今回は沙綾の言うようなのが無いんだよな~」

 

「モールに商店街だもんね・・・。そう言えば薫さん達はどこで見たの・・・?」

 

今回現われている場所を呟いた花音。

そこで彼女は薫たちがどこで見たのかを話していないことを思い出したので口に出すと、薫はそっと写真を見せる。

彼女は写真を撮ったものの場所までは覚えていなかったようで恥ずかしそうな表情を浮かべると、土地勘のない弦太朗を除いた全員が写真を食い入るように見る。

 

 

その写真の場所に最初に思い出したのは沙綾とますきだった。

 

「ここって・・・病院だよね・・・?」

 

「あぁ、小さい病院だな」

 

「病院?なんで病院に・・・?」

 

「さぁ・・・」

 

「てかよ。モールって言っても広いだろ?どこだったんだよ?」

 

「ふえぇ~。えぇっと・・・確か歯医者だったよね・・・?」

 

「あぁ、そうだったね。花音」

 

「聞いてみたけど・・・ますますわかんねぇ・・・」

 

「ますきだけに・・・?」

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ははっ・・・」

 

たえがここでくだらないギャグをぶっこむと、ましろがなんとか作り笑いをするも他は完全に言葉を失ってしまい、思考が停止してしまう。

 

 

 

 

 

「あ~、もうやめだ!!ハナのギャグで考えがもう纏まんねぇよ・・・」

 

「とりあえず、時間を置いて考えますか・・・」

 

「「「さんせー」」」

 

「お腹空いたよ~」

 

「そういえば、黒服さんがみんなの夕食を用意してくれたみたいだから行きましょうか・・・」

 

こうしてペルセウスへの対策をどうするかの話はここで打ち切られてしまい、彼女達はぞろぞろと部屋を出ていくと扉が閉じられた。

 

 

 

 

 

そんな中で薫だけが部屋に残ると近くにあった椅子に座り込むと頭を抱えるその姿はさながら探偵。

彼女はその姿のまま呟いた。

 

「歯医者に病院。そして商店街で瑠唯ちゃんを狙った」

 

一度ここで言葉を止めると部屋全体は静まり返るがその中で薫は再び呟き始める。

 

「さっき聞いた話にあったミッシェルを手にかけた時の様子。そしてさっき私に対して腕で掴まないで直前で止めたこと。それに最初のモールで怪物がいなくなった時のことや今までの事を考慮して・・・。

そこから導き出される結論は・・・」

 

 

ここで薫は自分の考えを纏めるがそこから導き出されたのは考えたくもない最悪の結論だった。

 

「はははっ・・・そんなことがある訳がない・・・。

仮にそうだとしたら三文芝居以下の酷過ぎる脚本じゃないか・・・。こんな考えみんなに話せるわけがない・・・」

 

薫は自身の考えた結論に絶望し頭を抱えた。

この考えを否定したかったが、今の彼女にこの考えを否定できる素材は何一つとして存在していなかった。

 

そんな中で閉じられていた扉が開かれるとそこから顔を出したのは花音と目を覚ましたはぐみだった。

 

「薫くん!!ご飯食べよ!!」

 

「薫さん?大丈夫?」

 

「あぁ・・・。ちょっと夜の街を見てみたくなってね。すぐ行くよ」

 

「うん!!かーくんもゲンちゃん先輩もみんな待ってるからね!!」

 

そう言い残してはぐみと花音は扉を開けたままその場を離れて行く。

 

 

 

 

 

「信じたくはない・・・。でも仮にそうだとしたらこれ以上無関係の人を襲わせるわけには行かない・・・」

 

薫はその言葉と共に覚悟を決めると立ち上がる。

そして明るい自分の演技をして花音たちの後を追うのだった。

 




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歪・曲・笑・顔-8 明かされたReason

投稿です。
GWが終わりました。
終わってしまったんだ・・・(絶望


 

薫の件を最後にペルセウスの目撃証言はなく数日が経過して街は表面上は平和な日常に戻って行く。

 

しかし、そんな街の中で薫だけは暗い表情を隠して、はぐみ達や弦太朗と共にこころの趣味である”楽しいもの探し”の為に商店街を歩いていた。

 

「薫?そんな顔してどうかしたのかしら?」

 

「あぁ、少しだけ考え事をね・・・」

 

こころの言葉に薫が笑みを浮かべながら答える。

その言葉にこころは不満そうな顔を浮かべるがその様子を美咲が不審感を覚えていたが、美咲の事を気にすることも無く花音が薫に考え事について質問していた。

 

 

「薫さんが考え事・・・?一体何を考えてたの・・・?」

 

「こころの興味を惹くものがどこにあるかを考えていたんだよ」

 

「そうだったのね!!」

 

「それで薫くんは何か思い浮かんだの?」

 

「残念ながらね。良いところが思い浮かばなくてね・・・」

 

「そっか~」

 

「なぁ、それだったら他の誰かの好きなことをしてみればいいんじゃねぇか?」

 

薫の考え事を聞いたこころは笑みを浮かべるが、その答えを聞くとはぐみと共にこころは残念がる素振りを見せていた。

そんな2人に普段はいない弦太朗が意見を出すと途端にこころの表情が明るくなっていく。

 

「弦太朗!!素敵だわ!!誰のにしようかしら!!」

 

「あー。でも、音楽系はなしにしましょう。それ以外ってことで・・・」

 

「そうだね!!バンドも楽しいけど他の事も面白そうだもんね!!さっすがみーくん!!」

 

「ふえぇ~」

 

「儚いね・・・。それじゃあ誰の好きなことをするか考えようか」

 

「ねぇ、それなら最初にここに来た人のにしようよ!!」

 

「運に身を任せるのもおもしろそうだね。はぐみ」

 

「ならここで待ってましょう!!」

 

はぐみの提案を受けてハロハピと弦太朗は商店街の端へと移動すると、共通の知り合いが商店街に来るのを待つ。

 

そして待ってから少し時間が経つと見覚えのある5人組が商店街に現れる。

 

 

 

「じゃあ、パン買ったら有咲の蔵で練習だよ」

 

「うん。チョココロネ残ってるかな~」

 

「あ~!!ゲンちゃん先輩にこころん達だ!!」

 

「あんな所でなにしてるんだろ・・・?」

 

「すっげーヤな予感が・・・ってこっちに来た!?」

 

そこに現れたのはポピパの5人が沙綾を先頭にして商店街へと入ってきた。

弦太朗と美咲は先日の様な既視感を覚えるが、こころとはぐみはその5人目掛けて駆け出すと他のメンバーもその後を歩いて追う。

 

「今最初に商店街に来たのは沙綾ね!!」

 

「うん!!間違いないよ!!こころん!!」

 

「ちょっと?どういうこと・・・?」

 

「沙綾!!あなたの好きなことって何かしら!!」

 

「えっ!?どうしたの急に・・・?」

 

「えっと・・・さーやが好きなのは・・・」

 

「ペペロンチーノだよ!!はぐ!!」

 

「訳わかんねぇ・・・」

 

突然の出来事に沙綾は困惑していたが、後から美咲の話を聞いてそれとなく納得をしようとするも理解が追い付かなかった。

 

そんな沙綾を置いて有咲は他のメンバーを連れてやまぶきベーカリーへと消えていってしまった。

 

 

「これって趣味を答えればいいのかな・・・?」

 

「あぁ・・・うん」

 

「だったらカラオケ、野球観戦、ヘアアクセ集め。ってところかな~」

 

「そうなのね!!」

 

「さーやありがと~!!」

 

「どういたしまして~。それじゃあ練習だからまたね」

 

そういうと沙綾はパンを買い終えていた香澄達の元に戻るとそのまま商店街から離れて行く姿を見送るとハロハピ達はその場で話し合う。

 

そして、カラオケは音楽関係だからという理由で残っているうちに1つである野球観戦をするべくグラウンドへと移動する。

そこでは野球ではなく彼女達も知らない少女達がソフトボールの練習を行っていた

彼らは遠目からそれを見学していたがそんな中で不満顔を浮かべたのははぐみだった。

 

 

 

 

「はぐみ。見てるよりも練習したいよ~」

 

「ふふっ。はぐみちゃんらしいね」

 

「あぁ・・・。今度みんなで一緒にやろうじゃないか」

 

「うん!!」

 

楽しそうに話すはぐみと薫たちを他所に美咲はある異変に気が付いた。

 

 

 

 

「あれ?こころはどこに行ったんですか・・・?」

 

「ん?もしかしてトイレか?」

 

「ふえぇ~如月くん・・・少しはデリカシーを考えて言ってよぉ・・・」

 

「でも、こころんはどこに行っちゃったんだろう・・・?」

 

 

 

「まさか・・・」

 

「薫さん・・・?」

 

全員がこころの行方を考えている中で、薫だけは最悪の想像を思い出して顔を青くしている。

薫に不思議そうな視線を送る花音だったが、すぐに彼女達の顔も青く染まることになる。

 

「えぇ~なんで!?」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

 

 

 

再び彼女達の前に現われたペルセウス。

ペルセウスはグラウンドに降りてゆっくりとした足取りで練習に割り込もうと歩き出す。

その光景に練習中の少女達と花音から悲鳴が挙がると、その横では弦太朗はドライバーを装着し、ドライバーからのカウントダウンと共に駆け出していた。

 

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

 

「変身!!」

 

その言葉と共に弦太朗が飛ぶと空中でフォーゼへ変身し、そのまま背中のバーニアも使ってペルセウスの背後へと飛び掛かるとそのまま2人で転がっていく。

 

 

「みんな早く逃げて~!!」

 

グラウンドにいた少女達が目の前の光景に呆気に取られている中で、フォーゼの後ろを追っていたはぐみの声を聞くとクモの子を散らすように逃げ出し、他の3人がはぐみを追いかけてくるとフォーゼ達へと視線を向ける。

 

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 ――――――ウォーターON――――

 

 

いつもの掛け声とともにウォータースイッチを起動して左足をペルセウスに向けるも、その様子にペルセウスとそれを見たことない彼女達も首を傾げる中でその左足から水をペルセウスに向けて放つ。

 

 

突然の放水が直撃したペルセウスは突然の出来事に驚きを隠せず、自身の剣を盾のように構え水を耐える。

 

しかし、フォーゼから放たれた水はグラウンドへと吸い込まれてぬかるんでいく。

フォーゼとペルセウスの足は次第に地面へと呑み込まれていく。

 

 

「グラウンドがぐちゃぐちゃだよ~!!」

 

「如月くんは一体何を・・・?」

 

彼の行動の意味が分からない彼女達の前でフォーゼは突然、放水を止める。

その行動の意味が分からないがペルセウスは放水が止むと剣を振り上げると同時にぬかるんだ地面を走るがそれを前にしてフォーゼはドライバーのスイッチを交換する。

 

――スコップON―――――――――

 

そのスイッチの起動と共に右腕にスコップが生成されるとそれを地面へと突き刺してグラウンドの泥を掬い上げてからペルセウスへ向けて振るう。

 

「・・・っ!?」

 

「それそれっ!!」

 

突然飛んできた泥が顔へと直撃してペルセウスはその足を止めて左腕で顔を隠す。

しかしフォーゼの手は止まるはなく、泥をどんどんとペルセウスへと浴びせていくが、ペルセウスは少しずつゆっくりと歩き出す。

 

「こうなりゃ・・・!!」

 

目の前で再び歩き出したペルセウスを見てフォーゼは距離を取るために移動しようとするが―――

 

「のわぁ!?」

 

「危ない!!」

 

フォーゼは自分で泥まみれにした地面に足をとられてその場で転んでしまうその光景に美咲が驚きの声を挙げる。

倒れたフォーゼにペルセウスが歩み寄るとそのまま石化させようと左腕を振り下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん先輩!?」

 

「アブねぇ!!」

 

振り下ろされるペルセウスの左腕。

それをフォーゼは転がりながら躱すとその腕が地面に突き刺さると同時に自身の腕を巻き込んで地面ごと石化していく。

 

「・・・!!」

 

その様子にペルセウスは地面から自身の腕を引き抜く。

しかし、その左腕は石化した泥に包まれてしまい、その機能が完全に失われていた。

 

それを見ていた薫がペルセウスに向けて声を掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう終わりにしよう・・・。

 

 

 

 

 

こころ」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「薫!?お前何言って・・・!?」

 

「・・・」

 

その言葉を聞いたペルセウスは右腕で自身のスイッチを押すとその身体から黒い煙が噴き出してその姿を変えていく。

 

「嘘・・・」

 

「なんで・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく分かったわね!!薫!!」

 

そこにいたのは彼女達のバンドリーダーであるこころが壊れたような笑みを浮かべてそこに立っていた。

 

「・・・」

 

「なんで・・・」

 

「こころちゃん・・・」

 

「聞きたいことはたくさんあるが・・・どこでそれを手に入れたんだい?こころ」

 

唖然とする一同の中で震える声を押し殺しながらこころへと問いかける。

 

「これの事かしら?これはね・・・」

 

こころが話そうとすると彼女の横に今までに見たことのないゾディアーツ。

しかし、現れたゾディアーツは今まで見たのとは明らかに一線を画す様な印象をうけるが、天校でその姿を見ていたフォーゼは驚きを隠しきれなかった。

 

「なっ!?なんでおめぇが!?」

 

「ふえぇ~」

 

「なんか出てきた・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

「すっごーい!!金ぴかだよ!!」

 

「おやおや・・・」

 

そこに現れたのは先ほどのペルセウスとは異なり、今までのゾディアーツにはない強者の風格を放っていた。

その横でこころは壊れた笑みを浮かべながら薫の質問に答えていた。

 

「このお魚さんから貰ったのよ!!」

 

その答えと共にこころの横に現れたうお座のピスケス・ゾディアーツが静かにフォーゼへと視線を向けていた。

 




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カウント・the・スイッチ
37/40
(残り ボード・コズミック スクリュー君は前章で使ってるんよなぁ・・・。多分次章終了までに再登場すると思うけど・・・)


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歪・曲・笑・顔-9 暴走する理想

投稿です。
さーて、大惨事だぞぉ~(どうしてこうなった・・・
流石、構想段階でBadENDが出来てしまったバンドやでぇ・・・




 

「このお魚さんから貰ったのよ!!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

こころの言葉を受けてもピスケスはフォーゼから視線を向けて空気が凍る。

フォーゼの近くにいた薫たちのその威圧感に言葉も出せずに動けずにいた。

 

ただ1人を除いて―――

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・」

 

「美咲?なにか言ったかしら?」

 

「なんで!?世界を笑顔にするんじゃなかったの!?」

 

「そうよ?」

 

「「「・・・っ!!」」」

 

「ならなんで!!グラウンドにいた人たちを襲ったりなんてしたの!!」

 

美咲の絶叫にこころはあっけからんとした様子で答える姿を普段のこころを良く知る彼女達は絶句してしまう。

それでも美咲はこころへと叫ぶように訴えかけていた。

 

 

 

 

「襲う?何を言ってるのかしら?今は私が笑顔になるために遊んでただけよ?」

 

「は・・・?遊び・・・?」

 

「こころん・・・?どういうこと?」

 

 

遊び―――

 

こころが良い放ったその言葉に美咲たちの理解が追い付かなかった。

 

確かに今は明確に誰かを襲うつもりはなかったのかもしれないが、それでも不可解に感じた事を今度は薫が問いかけていた。

 

「だが、モールや商店街で人を襲っていたのは何故だい?あれも遊びかい?」

 

「・・・」

 

薫の言葉に2つの現場に居合わせていた美咲。

モールでは何もなかったが商店街では目の前で顔見知りの後輩の腕は石にされ、自身もミッシェルを失ったことを思い出して言葉が出なかった。

 

「だって!!笑顔になってないんだもの!!」

 

「どういう事だい??」

 

「私!!世界中の皆を笑顔にする方法が分かったのよ!!」

 

薫の問にこころは笑みを浮かべながら答える。

それは普段の楽しさが溢れるものではなく狂気に塗れた笑みを顔に張り付けていた。

 

全員がその後のこころの言葉を待っていた。

 

「簡単なことだったのよ!!笑顔じゃない人がいなくなれば世界中の皆が笑顔になるわ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

「こころん!?無茶苦茶だよ!!」

 

こころの言葉に戸惑う花音達だったが今の彼女に花音たちの姿は写っていなかった。

 

「私が世界の中心なのよ!!だから、私の周りで笑顔じゃない人がいなくなれば世界中が笑顔になるわ!!」

 

「そんな自分勝手!!」

 

「さっきから美咲はどうしてそんなことばっかり言うのかしら?その白い人のせいかしら?」

 

「こうなったら石にされる前にこころを止めるしかねぇ・・・!!」

 

美咲の言葉を聞いたこころはフォーゼへと視線を送るとフォーゼがマグフォンを手に構えようとしていたが、突如としてフォーゼの手からマグフォンが離れて地面へと転がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「この野郎!!さっきから黙ってると思ったら急に攻撃しやがって!!」

 

「お魚さん!!一緒にあの人をやっつけましょう!!」

 

その言葉と共にこころは再びペルセウスへと変身すると横にいたピスケスと共にフォーゼへと駆け出して2対1の戦いが始まってしまった。

 

「ふえぇ~どうしよう~!!」

 

「あれは・・・!!」

 

「薫くん!?」

 

「美咲!!受け取りたまえ!!」

 

「・・・っ!!でも、どう弄れば・・・とにかくやってみるしか・・・!!」

 

 

 

 

花音が慌てふためく横で薫は地面に転がっていたマグフォンを拾い上げるとそれを美咲へと投げつけると、受け取った美咲は目的の物を呼び出すために当てずっぽうでマグフォンを操作するとパワーダイザーが美咲の横へ止まると人型へと変形する。

 

「花音!!はぐみ!!離れるよ!!」

 

「うんっ・・・!!」

 

「薫くん!!何あれ!?それにみーくんは!?」

 

驚くはぐみを他所に美咲はその操縦席へと滑り込み―――

 

 

 

「・・・うわぁああああああああああ!!」

 

「・・・!?」

 

「美咲があれに乗ってるのね!!」

 

「美咲!?行かせねぇぞ!!」

 

「邪魔しないで!!美咲で遊べないじゃない!!」

 

絶叫と共にダイザーでピクシスを殴り飛ばす。

ペルセウスはダイザーから聞こえた美咲の声を聞いて近づこうとするが、フォーゼが間に割り込んで妨害されたことに憤慨してそのままフォーゼへと向かい、ダイザーに乗り込んだ美咲はそのままピクシスを拳で殴打しながら叫びをあげる。

 

 

「許さない・・・!!」

 

「・・・」

 

「こころをあんな風にした・・・あんただけは絶対に許さない・・・!!」

 

美咲が叫びと共にピスケスを殴打すると面白いようにピスケスはその体を吹き飛ばされるが何事もなかったかのように立ち上がるその光景をみて怒りのままに美咲はダイザーの拳を振るう。

 

 

 

幾度となくピスケスを殴り飛ばしたが、ピスケスに大きなダメージはなく、美咲の体力だけがじわじわと削られていく。

そして時間が経つにつれて先ほどの光景とは対照的にピクシスの攻撃によってダイザーの巨体が宙を舞い、その衝撃をもろに受けている美咲の悲鳴が響く。

 

「ぁあああ!!」

 

「・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・絶対に・・・許さ・・・ない・・・!!」

 

「・・・」

 

 

 

 

「美咲ちゃん・・・」

 

「みーくん・・・怖い・・・」

 

「美咲・・・。それでは今のこころと同じだよ・・・」

 

何度も地面に叩きつけられている美咲が息も絶え絶えになりながらも怒りだけで向かっていく光景に彼女の仲間たちは恐怖を覚える中でダイザーの巨体が大きく吹き飛ばされる。

 

「がぁ!!」

 

「美咲ちゃん!!」

 

吹き飛ばされたダイザーの操縦席から投げ出された美咲は泥まみれになりながら地面を転がっていく。

しかし、不幸にも美咲が転がっていった先がフォーゼとペルセウスの戦闘を繰り広げている場所だった。

 

「美咲!!」

 

「あら!!もう遊び終わったのね!!なら、今度は私が美咲で遊んであげるわ!!」

 

ペルセウスはフォーゼから視線を転がってきた美咲へと変える。

美咲は既に満身創痍で身体を満足に動かすことが出来ないところへと彼女を石化させようと左腕を振り上げたペルセウスが迫る。

 

「やめろ!!」

 

フォーゼがそれを辞めさせようと動き出そうとするが、ピスケスから放たれた水流によって足止めをされて彼女達へと近づくことが出来ずにいた。

 

「この野郎!!邪魔すんな!!」

 

「・・・」

 

フォーゼの言葉にピスケスは無言を貫く。

そして、ペルセウスは美咲の目の前へと辿り着くと右手の剣を捨てると美咲の首を掴み上げる。

 

「ぐぁぁ・・・ここ・・・ろ・・・」

 

「美咲!!私の笑顔の邪魔をしたからこれから美咲で遊んであげるわね!!」

 

ペルセウスは右腕でそのまま美咲を地面へと投げつけると彼女はぬかるんだ地面にそのまま沈み込む。

 

「反応がなくてつまらないわ!!もっと私を笑顔にして頂戴!!」

 

その言葉と共にペルセウスは何度も美咲を掴んでは投げてを繰り返す。

最初は苦痛の声を挙げていた彼女も遂に言葉を発する体力すら無く地面に倒れて動かなくなっていた。

 

 

「あら?何も話さなくなってしまったわ?もうおしまいね!!」

 

そう言ってペルセウスは地面に転がっている美咲へと左腕を振り下ろす。

 

 

 

 

 

しかし、予想外の出来事を前にしたペルセウスの腕が美咲に触れる前に止まってしまう。

 

「こころ・・・」

 

「薫くん!?」

 

「いつの間に・・・!?」

 

 

 

 

「薫?何をしているのかしら?」

 

「かおる・・・さん・・・」

 

薫が美咲とペルセウスの間に割って入る。

ペルセウスの左腕はそんな彼女の目の前で止まっていた。

 

「こころ・・・」

 

「薫・・・?」

 

「・・・」

 

薫の言葉の意味が分からないペルセウスは首を傾げていた。

そんなペルセウスを前にして薫は―――

 

「薫くん・・・笑ってる・・・?」

 

「なんで・・・?」

 

薫はペルセウスを前にして笑みを浮かべていた。

ペルセウスはその意味が分からなかった。

今まで自分の前に立った人は総じて覚えたような表情を浮かべていたにもかかわらず薫はいつものように笑っていた。

 

「美咲。すまないが、後は任せたよ・・・」

 

「なに・・・を・・・」

 

「こうする・・・のさ・・・!!」

 

「「!!」」

 

「なっ・・・?」

 

その言葉を共に薫は笑いながらペルセウスの左腕を掴むと自身の腹部へと押し当てる。

ペルセウスの左腕に触れた薫はゆっくりと石化していくが、その間も笑いを浮かべていた。

笑いながら石化していく光景を始めて見たペルセウスは状況が理解できず薫から離れるとそのままこの場から去るとその後を追うようにピスケスもその場から離れて行く。

 

 

「薫さん!!」

 

「薫くん!!」

 

花音と花音はそのまま美咲と薫の元へと駆け寄り、フォーゼもこの場から離れて行ったゾディアーツ達を追いかけることもせずに変身を解除して薫へと駆け寄る。

 

「薫!!何やってんだよ!!」

 

「弦太朗・・・すまない。実はあいつの正体がこころだってことは薄々気が付いていたんだよ」

 

「なんで早くそれを言わねぇんだよ!!」

 

「こころであってほしくないと思った気持ちがあったから言えなかったのさ・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「だから弦太朗。後は任せたよ」

 

「任せろ・・・!!」

 

薫が話をするも石化がどんどんと広がっていく。

そんな光景に言葉を失っているハロハピの仲間たちへと視線を向けて薫が笑みを浮かべる。

それを見た花音と美咲は泣いていた。

 

「薫さん・・・!!」

 

「薫く~ん!!」

 

「大丈夫。きっとすぐに元に戻るさ・・・。世界中を笑顔にするのに泣いてたらダメじゃないか・・・」

 

薫の言葉を受けて花音とはぐみは泣きながら答えるも、それを見ても薫が笑顔を崩さず美咲へと視線を向ける。

 

「美咲。こころを助けてあげて欲しい」

 

「かおる・・・さん・・・」

 

「きっと美咲ならできるさ・・・」

 

「・・・」

 

こうしている間にも薫の石化は広がっていき、その体の殆どが石に変わっていた。

 

「美咲。君がこころを救う最後の・・・」

 

そして最後の言葉を言い切ることなく完全に石化してしまった。

 

 

 

「薫くん!!」」

 

「薫さん!!しっかりして~!!」

 

「かおるさん・・・うわぁああああ・・・!!」

 

「・・・薫!!」

 

薫の姿を見て彼女達は泣き、彼女達を見て弦太朗は拳から血が滲むほど拳を握りしめた。

世界も彼女達と共に泣いているように空から大粒の雨が彼女達に降り注いでいた。

 





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歪・曲・笑・顔-10 美咲はなぜ薫に希望と言われたのか

投稿です。
ハロハピ篇の主人公は美咲。
はっきりわかんだね。


 

「「「・・・」」」

 

ペルセウスに変身したこころが逃走した。

それと完全に意気消沈した黒服が現われて無言の彼女達と石となった薫を連れて向かったのは屋敷―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではなく、有咲の家の蔵の中にいた。

そんな蔵の中では家主が突然の出来事に頭を抱えていた。

 

「悪いな有咲」

 

「ったく、連絡も無しに来るんじゃ・・・って言えるような状況じゃないよな・・・」

 

「薫くん・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

ここで有咲が言葉を止めて蔵へとやってきたハロハピ達へと視線を向ける。

 

そこには普段から良く笑っている彼女達とは対照的に暗い顔で座り込んでいる姿に有咲は気を使って弦太朗だけに聞こえるように小声で話しかける。

 

「でも、薫さん。元に戻んのかよ・・・」

 

「分かんねぇ・・・、とりあえず黒服の人たちがこころ探してるからそれから・・・だな」

 

 

 

 

 

 

「薫さん・・・すいません・・・」

 

「おい美咲!!」

 

小声で話してはいたが美咲には聞こえてしまったようで彼女はよろよろとした足取りで立ち上がると蔵から出ていくのを弦太朗が止めようとするがそんな彼を有咲が静止する。

 

「今はそっとしてやれ・・・」

 

「でもよ・・・」

 

「今はそっとしといてやれよ・・・。それに如月も戦い続きなんだろ?少しは休んどけよ」

 

「・・・分かったよ」

 

弦太朗は有咲の言葉に反論することが出来ずにしぶしぶと言った態度でその場に腰を下ろすとそこで会話が止まり、静まり返る蔵の中、それと対照的に蔵の外から騒がしくなると勢いよく蔵の入り口が開かれた。

 

 

 

 

 

「薫・・・っ!!」

 

「薫さん・・・」

 

そこに千聖と麻弥が慌てた様子で蔵の中へと駆け込んでくると薫の姿を驚きを隠せなかったが、思わぬ人物の登場に有咲も驚いていた。

 

「白鷺先輩に・・・麻弥さん?てか麻弥さんが・・・?」

 

「話を聞いたときに千聖と一緒にいたんですよ・・・」

 

「そうだったのか・・・。そういえば麻弥、バガミール返してもらえるか?」

 

「えぇ・・・。さっき彩さんからバガミールさんを受け取りましたけど、どうするんですか?」

 

「とりあえず撮って天校のダチに調べてもらおうと思ってな・・・」

 

「そうだったんですね。では・・・」

 

そう言って麻弥は自身のカバンの中からバガミールと出すとそのまま薫を撮影を開始する。

薫を見て震えている千聖の姿に蔵の空気が重くなっていくとバガミールが麻弥の手から飛び出して薫を様々な角度から撮影する。

 

 

 

 

 

「ちょっと、外の空気を吸ってくるわね・・・」

 

「気をつけろよな・・・」

 

薫を撮影しているバガミールに気が付いたのか千聖は薫から離れるとそのまま蔵の外へと出ていくのを見送るが、出ていく彼女の目に浮かんでいた物について誰も触れることはなかった。

 

 

――――――

 

「・・・・・・」

 

私は市ヶ谷さんの蔵から出ると扉の影に隠れて膝を抱え込んでいた。

 

「薫さん・・・。全部私のせいだ・・・」

 

こころがおかしいと思ったのに気のせいって事にして逃げてた。

商店街の時だって私が早く行動していればあんなことにならないで済んだかもしれない。

怪物の正体がこころって分かった後に、怪物にした張本人が出てきて怒りに身を任せてしまった代償に薫さんが犠牲になってしまった。

 

「ぁあ・・・」

 

私はそのまま声を押し殺して泣きだしてぁらどれだけの時間がたったか分からない。

でも、ひとしきり泣いた私はポケットに入れっぱなしにしていた如月先輩の携帯を取り出すと先ほどの光景が蘇ってくる。

 

 

 

 

 

 

『美咲。君がこころを救う最後の・・・』

 

「薫さん・・・。あの時なんて言おうとしてたのかな・・・」

 

ふと疑問に感じて声に出てしまうがそれに答えてくれる人なんていない。

 

そんな辛い現実から目を背けたくてが見上げるとそこには私の心情を映したようなどす黒い雲がかかった空から雨が降り始め、私はこれが今の暗い気持ちを洗い流してくれると思って雨に打たれていた。

 

ひとしきり雨に打たれた私は蔵の中へと戻ろうとするが中から誰かが外に出てくる姿が見えたので

私は咄嗟に扉の裏に隠れてしまった。

 

中から出てきた白鷺先輩。

でも私の事に気が付いていないみたいで先輩は先ほどまでの私と同じように雨の中に立っていた。

流石にまずいと思って私は白鷺先輩へと声を掛けようとする。

 

「白鷺せんぱ・・・」

 

しかし、私は白鷺先輩の顔を見て声を途中で止めてしまった。

 

「かおるぅ・・・。なんで・・・!!どうしてよぉ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

雨で涙を隠すように先輩が薫さんの名前を呼びながら泣いていた。

 

先輩が泣きながら薫さんの名前を出す度、私も薫さん達と過ごした思い出が頭の中を過った私は出し切ったと思っていたのにまた泣き始めてしまった。

 

薫さんがあんなことになってしまった悲しみが涙と共に溢れてくる。

しかし、次第にそれはこころへの恨みや怒りへと変わり、悲しみを上から塗りつぶしていく。

 

白鷺先輩が泣き終えると必死に泣き顔を誤魔化そうと表情を作って中へと戻って行く弱弱しい姿を見送った私は顔を下に向けて座り込んでいた。

 

世界中のみんなを笑顔にする。って言ってた本人がみんなから笑顔を奪っている―――

 

 

 

 

 

 

 

「こころ・・・あんたは絶対に・・・許さない・・・!!」

 

そして自分の口からこころに向けてに憎しみの言葉と感情が漏れ出ていた。

この気持ちは持ったらいけない物だってのは理解できているのに、どうしてもこのどす黒い憎しみが溢れてくる。

 

もう頭なの仲がグチャグチャになってしまっていて、この気持ちを手放してしまうともう私は正気を保てないかもしれない――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥沢さん・・・。風邪ひきますよ・・・?」

 

「・・・大和さん」

 

声をかけてきたのは大和さんで、持っていたカバンから取り出したであろう折り畳みの傘をずぶ濡れになっている私に傘をさして、私の顔を覗き込んでいた。

 

きっと酷く歪んだ表情をしているのだろう。

大和さんは私の顔を覗き込んだと思ったらおもむろに立ち上がった。

 

「・・・奥沢さん」

 

「なん・・・っ!!」

 

私は立ち上がった大和さんを見ようと視線をあげると、彼女は座り込んでいた私の頬を両手でグリグリと解してきた。

 

私は訳が分からなくなってその手を払いのけてる。

 

 

 

 

「なんなんですか!!」

 

「スマイルスマイル。ですよ?」

 

「はぁ・・・?」

 

「世界中を笑顔にするのが夢のバンドの人がそんな顔じゃダメじゃないっすか。

それに薫さんだったらきっと、奥沢さんに笑っててほしいと思ってるはずです。ジブンも笑ってもらおうとしましたが上手くできませんね・・・」

 

「こんな状況で笑えると思ってるんですか!!」

 

大和さんの行動に怒りをぶつけるがあの人は余りにもぎこちない作り笑いを浮かべていた。

 

 

 

「薫さんがそうして欲しいっていうならジブンは出来る限りそうします」

 

「・・・」

 

「本当は千聖さんに渡そうと思いましたが、奥沢さんにこれを渡しますね」

 

そう言って大和さんがカバンからあるものを取り出した。

 

「それは・・・」

 

「薫さんの制服の上着ですよ。演劇部の衣装合わせした際に忘れて行ってしまったのをジブンが預かってたんです。では、ジブンは中に戻って千聖さんの様子を見てきますので。適当に理由は言っておくので落ち着いたら戻ってきてくださいね」

 

大和さんは強引にそれを私に押し付けて早々に蔵の中へと戻って行ってしまったが、私はそれを見て泣き出しそうになった。

 

 

 

そんな時に私のスマホが震えた。

でも、この震え方はいつものチャットではない、極々稀に来るメールだ。

何気なく私はスマホを取り出して通知を見る。

そこに出てきた通知に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「薫さん!?なんで!?」

 

メールの送り主は薫さん。

確かに、前にメールアドレスを教えたけど薫さんから来ることなんて無かったのにどうして・・・

 

不思議に思った私はそのメールを開くと動画が1つだけ添付された文章のないメール。

普段ならいたずらと思ってみないけど、何故か私は震える手でその動画を再生すると見覚えのある風景と信じられない人が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やぁ、美咲』

 

「薫さん!?」

 

動画に出ているのは間違いなく薫さんで私の名前を呼んだ。

私はその言葉を驚きながらもその動画を黙って見始めた。

 

『最近のスマホって凄いね。メールの送る時間も決められるなんて・・・ってこんなことはどうでもいいね・・・。

美咲がこれを見ているということは、私が石にされたんだろうね・・・。

 

それでさっき私の知っている名探偵に今までの出来事を話したんだけど、私の考えと一緒でね。

今回の犯人はこころなのだろう?』

 

「!?」

 

これがいつ撮ったものかは分からないけど、薫さんはこころだって気が付いたんだ・・・。

その事に驚いていたが、その後の薫さんの言葉に私はそれ以上の衝撃を受けた。

 

『だけど、決してこころを悪く思わないで欲しい。これは私の犯した罪の償いでもあるんだ』

 

「薫さんの・・・罪?」

 

『1つ、私が攫われた時に美咲や花音、そして弦太朗を傷つけたこと。

2つ、幼馴染の千聖の異変に気が付くことが出来ずに何もできなかった事。

3つ、今回の事件もこころが犯人だと思っているがそれを言い出せない私の弱さ。

これが私の罪だ。

だからみんなの笑顔のために私はなんでもするつもりだよ』

 

「・・・」

 

『そして、もう1つ私は罪を作る。

美咲、勝手なことを言っているのは分かっているが、こころを救ってほしい・・・』

 

「こころを・・・」

 

『弦太朗がこころを倒して止めるだけじゃ彼女は救われない。

誰よりもこころを大切に思っている君がこころを救う最後の希望なんだ・・・。

 

なに、私の事なら大丈夫さ。

弦太朗も同じことが起こって元に戻れたのだから私や瑠唯ちゃんだって元に戻れるさ・・・。

 

だから、頼んだよ。

 

 

 

 

 

 

 

つぐみちゃん。推理と撮影してくれて助かったよ。後、お茶をもらおうかな・・・』

 

締まらない最後の言葉と共に画面の中で薫さんが静止する姿を見た私はゆっくりと立ち上がった。

 

「私一人じゃ無理です。だから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力を貸してくださいね。薫さん」

 

私はそう呟いてから大和さんから受け取った薫さんの制服に袖を通す。

そしてこころを止めるために蔵から走り出した。

 

走り出してふと空を見上げるといつの間にか雨は止んでいて、雲の隙間からは綺麗な月が顔を出していた。

 

 





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歪・曲・笑・顔-11 クールパッション

投稿です。

さーてと、そろそろハロハピ篇最終回やなぁ・・・
美咲さんただの主人公やんけ・・・。

これ終わったらオマケ篇(本編)入ってから次章ですねぇ・・・



 

「こころ・・・!!」

 

美咲がこころを探して初めて数時間が経った。

今、彼女は当ても無く夜の街を走る。

 

学校―――――

商店街――――

ライブハウス――

 

これまでこころがいるであろう場所を廻ったが、彼女の姿はどこにもないことに焦る美咲は足を動かしながらも必死に考えを巡らせていた。

 

「これだけ街を探しても見つからない・・・なら、一体どこに・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美咲ちゃ~ん!!」

 

「戸山さん・・・?」

 

夜の街を走っていた美咲の名前を呼んだのは香澄。

その声に美咲が足を止めると香澄が駆け寄ってくる。

 

「戸山さん?こんな時間に何してるの・・・?」

 

「えへへー。ちょっと用事があって、それで今から帰るんだ~」

 

「用事ってもう夜10時過ぎてるよ・・・?」

 

「美咲ちゃんこそ、そんなに慌ててどうしたの・・・?」

 

「あー・・・ちょっとこころを探してて・・・」

 

「こころん・・・?」

 

美咲はこんな夜中に1人でいる香澄の事が気になりはしたものの深く考えることはせずに、彼女にこころの事を聞くも彼女の反応を見て心当たりがない事を察して少しだけ落ち込んだ。

 

「どこかいそうなところ知らない?」

 

「それは美咲ちゃんの方が詳しいと思うけど?でもこんな時間だったらこころんも家に帰ってるんじゃないの?」

 

「でも、さっきから黒服さんに連絡したけど、連絡がないから屋敷にはいないだろうし・・・

 

 

 

 

 

あれ?連絡がない・・・?」

 

美咲は自分の言葉に疑問を感じていた。

彼女はこころを探し始めてすぐに黒服に連絡を取っていた。

 

そして数時間経っているにも関わらず、その連絡に対して黒服からの連絡はない。

他の人たちなら連絡がなくても納得するが、今回の相手は弦巻家の黒服。

例え、深夜に連絡を取っても物の数分で何かしらの連絡があるであろう。

 

それに夜とはいえどもそこまで遅い時間でもないのに連絡が返ってこないことに美咲は最悪の想像が頭を過ると同時に駆け出す。

 

 

 

 

 

 

「美咲ちゃん!?」

 

「ごめん!!行かないと!!」

 

「どうしよう!?とりあえず・・・」

 

香澄は突然の美咲の行動に理解が出来なかったが、この事を相談するべく彼女はとある人物に電話を掛ける。

 

『もしも・・・』

 

「有咲~!!」

 

『ったく、こっちは忙しいのに・・・何かあったのか?』

 

香澄が電話を掛けた相手は有咲。

そんな彼女からは明らかにめんどくさそうな態度だったが、香澄はそんなことを気にすることはなく要件を告げる。

 

「あのね。今、美咲ちゃんに会ったんだけど・・・」

 

『おい香澄!!どこで会ったんだよ!!』

 

香澄の言葉を聞いて有咲は血相を変えた。

意味が分からず香澄は首を傾げるが、とりあえず聞かれたことをそのまま答えた。

 

「どこって家の帰り道だけど・・・?」

 

『はぁ?・・・それで奥沢さんはどうしたんだ?』

 

「なんかこころんを探してるって言ってたよ?」

 

『おい!!香澄!!それでどこ行ったか分かるか?』

 

「分かんないけど、こころんは家に帰ってるんじゃないの?って言ったらすぐに走って行っちゃって・・・」

 

『如月!!弦巻さんの家だ!!・・・ハロハピ?あぁ!!それなら行けるやつを後で連れていくから先にバイクで行け!!』

 

香澄の言葉を聞いて有咲の電話の向こうが途端に騒がしくなり、そしてどたばたと大きな音が聞こえたと思ったら途端に静かになる。

 

「ゲンちゃん先輩と一緒なの?」

 

『あーまぁ例の件でな・・・。とりあえず香澄も気をつけて帰れよ~』

 

「うん!!あれ?切れちゃった・・・。でも、こころんの家・・・?」

 

香澄の言葉は有咲には届かず電話は切れてしまった。

そして、彼女は帰路に着こうとしたが、少し歩いてから立ち止まった。

 

「気になるから行ってみよう!!」

 

帰路についていた香澄は好奇心に負けてしまい、その足でこころの家に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

香澄の言葉を聞いてこころの屋敷へとやってきた美咲。

屋敷の中からは余りにも不気味な空気が溢れ出ていたが、美咲はそれに構うことなく家の門を両手で押し開けて中へと踏み込んでいく。

 

屋敷へと向かって歩き出すが、その屋敷の前では石化したり、意識なく倒れている黒服たち。

そんな彼女達に囲まれて弦巻こころがつまらなそうな表情で屋敷の扉の前に座り込んでいたが、美咲を見つけると途端に壊れた笑顔を浮かべる。

 

 

「美咲!!あら・・・?その着ているのは薫の学校の制服ね!!」

 

「こころ・・・」

 

「でも、なにしに来たのかしら?」

 

「あんたを助けに来た・・・」

 

「・・・意味が分からないわ?」

 

美咲の言葉を聞いてこころの表情が曇るが、美咲はそのままこころを見つめていた。

 

 

「こころ言ってたよね?世界中のみんなを笑顔にするって・・・」

 

「だから、世界から笑顔じゃない人がいなくなればいいのよ!!そうすれば世界中のみんなが笑顔になるわ!!」

 

「そんなやり方で世界中を笑顔にしても誰も喜ばないよ」

 

「美咲?」

 

「少なくとも私は喜べないよ!!それに薫さんやミッシェルだって・・・!!」

 

「美咲!!」

 

美咲の言葉を聞いてこころの表情が無機質なものに変わると淡々とした様子で美咲へと言葉を投げる。

 

 

 

 

「なんで美咲は、そんなにいじわるな事ばっかり言うのかしら?」

 

「こころ・・・」

 

「やっぱり!!あの白い人のせいで美咲がそんないじわるばっかり言うのね!!」

 

今の美咲の態度がこころの癪に触ったのか彼女は不快感を露にしながらポケットからスイッチを取り出すとそのスイッチは形を変えていた。

それと同時に美咲も弦太朗の返し忘れていたマグフォンを取り出して素早く指で操作する。

 

 

 

「そんないじわるばっかり言う美咲なんて・・・いなくなっちゃばいいのよ!!」

 

その叫びと共にこころはスイッチを押して、ペルセウスへと変身するその体からこころの身体が吐き出されるように出てくると地面へと転がる。

 

ペルセウスはそんなことを気にする様子もなく、左腕を突き出してゆっくりと美咲へと歩み寄っていた。

 

しかし、そんなペルセウスが突如として謎の爆風に包まれる。

突然の出来事に困惑する美咲だったがそれ以上に困惑したのはその爆風に包まれたペルセウスだった。

 

「何なの!?」

 

「えっ・・・?まさか・・・」

 

美咲は後ろを振り返るとそこには彼女がマグフォンを使って呼び出したダイザー。

そこからミサイルをペルセウスに向けて吐き出して、ミサイルを吐き出し終えたダイザーは人型へと変形した。

 

ミサイルに驚いていたがすぐに切り替えてダイザーへと乗り込んだ美咲はダイザーの操縦席へと滑り込む。

 

 

 

 

「(こんな時に薫さんなら何て言うんでしょうね・・・。でも、本当に私に出来るかな・・・?)」

 

そんな考えが頭に過るが、美咲はダイザーの操縦桿へと腕を伸ばして操縦席から倒れているこころの身体と目の前にいるペルセウスへと交互に視線を送る。

それと同時に不安感が美咲の中で膨れ上がっていく中で、美咲は操縦桿とは違う別の何かの感触を手に感じて視線を向けた。

 

「んっ・・・っ!?」

 

その視線の先にある自身の手と誰かの手が重なっている光景に困惑する美咲に次は聞き覚えのある声が彼女の耳へと届いてくる。

 

 

 

 

 

 

『美咲。こころを救う最高の舞台を始めようじゃないか・・・』

 

「・・・っ!!薫さん!?」

 

美咲は声が聞こえたと思った方向を向くが、勿論そこに声の主がいる訳もない。

 

自分が勝手に作り出した都合の良い幻覚だったかもしれないが、彼女にとってはそれで十分だった。

美咲は操縦桿から片手を手放して薫の制服の胸を掴むと小さく笑みを浮かべると、小さく呟きながら操縦桿へと手を戻す。

 

「薫さん・・・。一緒に行きましょう・・・!!」

 

「美咲!!最後にそのおもちゃで遊んでくれるのね!!」

 

ペルセウスは右腕に持った剣を嬉しそうに振う。

それを見てダイザーは構えると美咲は薫の言いそうなセリフを思いついてこころへと言い放った。

 

 

 

 

 

「『さぁ・・・。ショータイムだ・・・』」

 

「素敵なショーにしましょう!!」

 

その言葉と共にペルセウスとダイザーが互いに向かって駆け出して拳と剣がぶつけ合い―――

 

 

「あははははは!!」

 

「はぁぁぁあああ!!」

 

その周囲には叫びと金属がぶつかり合う鈍い音、そしてその場に不釣り合いな笑い声が周囲に響くのだった。





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歪・曲・笑・顔-12 呼応

投稿です。
次回でハロハピ終わりですね。

マジで美咲君の主役感強いなぁ・・・


 

「いくわよ~!!」

 

「こころぉ・・・・・!!」

 

弦巻邸でこころと美咲―――ペルセウスとダイザーは激しくぶつかり合うが、単純なペルセウスの攻撃を何の苦も無く美咲は捌き切っていた。

 

「楽しいわね!!美咲!!」

 

「こころ・・・もうやめて・・・!!」

 

しかし、その声も虚しくペルセウスは剣の速度を挙げていくも、かろうじで食らい付いて攻撃を防ぎ切る姿を見たペルセウスは一度ダイザーから距離を取ると楽しそうに跳ね回る。

 

 

「嬉しいわ!!まだ遊べるのね!!」

 

「・・・(なんで左腕を使わないんだろ・・・?)」

 

「まだまだいくわよー!!」

 

美咲はふと疑問が思い浮かぶがペルセウスが駆け出てダイザーへと剣を振り下ろす。

しかし、それは先ほどに比べれば単調過ぎる動きを見切った美咲はそのまま回避するが地面にぶつかった剣はそこを中心に地面が大きく抉れる。

 

「うっそ・・・」

 

「あはははは!!」

 

美咲はその光景に驚くがペルセウス笑い声が聞こえるとその剣の回避へと専念する。

回避を続けていたが美咲。

再び振り下ろそうとした剣を避けようとしたが、彼女はあることに気が付いた。

 

 

 

 

 

 

「黒服さん・・・!!」

 

「美咲の苦しそうな声が聞けてとっても楽しいわね!!」

 

「くぅ・・・!!」

 

「もっとその声を聞かせて頂戴!!」

 

 

そう彼女の足元には石化している黒服がいた。

もし、目の前にいるペルセウスの攻撃を避けたとしたら容易くその体が砕け散ることが想像出来てしまった美咲はその腕を振り上げてペルセウスの剣を迎え撃つ。

 

剣と腕が何度も激しくぶつかり合い、その度に鈍い音が周囲に響き渡る。

最初は単調だったペルセウスの攻撃を防ぎきっていた美咲だった、が次第にペルセウスの攻撃から単調さは消えていき、その剣を何度も受けた衝撃に耐え切れずダイザーはそのまま膝を突いて座り込む。

 

「あら?もう終わりかしら・・・?なら、さよならよ!!美咲・・・!!」

 

座り込んだダイザーを見たペルセウスが遂に左腕を振り上げようとするが、予期せぬ事態によって彼女達はその動きを止めてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

香澄からの連絡を受けて弦太朗はマシン・マッシグラーを駆って夜の街を爆走する。

そんな彼は懐からドライバーを取り出すと腰に巻くと彼の目の前に最悪の光景が映っていた。

 

「なんでうお座がこんなとこにいるんだよ!!」

 

「・・・」

 

「でも、今は構ってる暇はねぇ!!」

 

彼の進路上にはピスケスが立ち塞がるが弦太朗はそのままスロットルを限界まで捻り上げる。

それと同時に弦太朗は片手でドライバーのスイッチを叩くとカウントダウンが響くもその音声はバイクのエンジン音がかき消していく。

 

「変身!!」

 

「・・・!!」

 

弦太朗はそのままドライバーのレバーを操作して変身しようとする。

しかしピスケスもその言葉に反応して弦太朗に水流を放つが、弦太朗は構わずピスケスが放つ水流へと突っ込んでいく。

 

そして完全に水流に呑まれながらもフォーゼへと変身を完了するとマッシグラーのハンドルを手放してそれぞれ水流に流されるが、流されながらもフォーゼはドライバーのスイッチを起動する。

 

――――――スクリューON――――

 

「・・・っ!!」

 

「ぉぉぉおおおおおおお!!」

 

左足に装着されたスクリューでフォーゼはピスケスの水流に逆らって突き進んで来るその姿にピクシスは水流を強めるがフォーゼはそれでも止まらない。

 

そして、フォーゼは水流から抜け出すとそのままの勢いでピスケスへと突撃すると2人はそのまま地面を転がるが、フォーゼはその最中にドライバーへと手を伸ばす。

 

「今はお前に構ってる時間はねぇ!!」

 

――ロケットON―――――――――

 

 

 

 

「あばよっ!!」

 

地面を転がりながらもフォーゼはロケットを起動する。

それに気が付いたピスケスはフォーゼへ向けて水流を放つが、それを置き去りにしてフォーゼはそのまま空へと飛び立っていくその姿を見たピスケスはどこかへと消え去る。

 

 

 

 

一方で、そんな事は知る由もないフォーゼはロケットを使ってそのままこころの屋敷の上までやってくるとその目にペルセウスの姿を捉える。

そのまま一気に降りようとしたが先日有咲に言われたとある言葉を思い出して一旦降下を止めてその場で旋回し始めた。

 

『お前がやられちまったら誰があれを止めるんだよ!!』

 

「っても、どうすりゃ・・・」

 

打開策を考えようとしたフォーゼだったがペルセウスは突如として駆け出してその先にいたダイザーと激しい戦闘を繰り広げていた。

 

「なんでダイザーが・・・って、そう言えば美咲からマグフォン返してもらって無かったな・・・」

 

ここでフォーゼは美咲からマグフォンを回収していないことを思い出しながら自身の下で繰り広げられる戦闘を見ると、ペルセウスは左腕を使う気配も感じられなかったフォーゼはドライバーにペンスイッチを装填しながらも必死に考えていた。

 

 

「こころの左腕をなんとかしねぇとな・・・。前に天校で戦った時より強かったから真正面からじゃ当たんねぇよなぁ・・・」

 

現状でペルセウスの左腕による石化を無効化するにはペンで左腕を塗りつぶすしかない。

しかし、今までの戦ってきた経験があるフォーゼから見てもペルセウスに変身しているこころの戦闘力は高い。

 

しかも、先ほどとは違い今はラストワンで先ほどよりも確実に強くなっている状態のペルセウスに確実に攻撃を当てないといけないとなれば、そんなチャンスはあっても1度きり―――

 

 

1度きりのチャンスを待つためにフォーゼは考えを巡らせていたが同時に地上のダイザーが膝を突く。

それを見たフォーゼはすぐに降りようとした時に謎の視線をフォーゼが感じ取り、その先へ視線を送る。

 

そこにいたのは1人の黒服。フォーゼと目が合ったのが分かったのか視線の主である黒服は突如として行動を起こした。

 

 

 

 

 

「さよならよ!!美咲・・・っ!!」

 

「なっ!?黒服さん!?」

 

「何で邪魔をするのかしら・・・!!」

 

「・・・っう・・・」

 

美咲へと向けられていた左腕へと先ほどフォーゼへと視線を送っていた1人の黒服が飛びつく。

しかし、既にボロボロの身体ではペルセウスの足止めすら叶わない。

 

そして最後に力を振り絞って黒服は叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「こころ様を止めろぉぉぉおおお!!」

 

「「!?」」

 

その言葉と共に地面に倒れていた満身創痍の黒服たちが立ち上がるとペルセウスを抑えようと飛び掛かる。

 

美咲は目の前に光景に驚きを隠せなかった。

今まで常にこころの味方だった黒服がその言葉と共にこころに反旗を翻してこころへと飛び掛かっていたのだ。

そして飛び掛かられたペルセウスは驚き以上に不快感を感じていた。

 

「邪魔よ!!」

 

「させないっ!!」

 

ペルセウスは怒りに任せ剣を振るって近づいてくる黒服を切りつけようとするが、それを見た美咲はダイザーを素早く立たせて右腕の剣を抑え込む。

右腕を抑え込まれ、黒服によって左腕の自由が奪われ始めたペルセウスは最初に飛び掛かってきた黒服を左腕に捉えるとその黒服を石化させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

石化が始まった黒服はそのまま上空のいるフォーゼへと視線を送ると、ペルセウスの左腕に組みついたまま完全に石化する。

 

そして石化した黒服の重みと左腕を抑え込んでいる他の黒服たちによってペルセウスの左腕の動きがほぼ完全に静止したのをフォーゼは見逃すことは無かった。

 

 

 

「・・・!!今しかねぇ!!」

 

 

――――ペンON――――――

 

「うぉおおおおおおおおお!!」

 

フォーゼはそのまま急降下し、美咲と黒服たちが動きを止めているペルセウスの左腕へと自身の右足のペンを叩きつける。

それと同時にペルセウスの左腕にペンからの墨が纏わりつきそれを見た黒服はそのまま手を離すと石化した他の黒服を引き摺りながら後ろへと下がっていく。

 

ペンによって石化を封じたが、フォーゼはそのままロケットを切ってからレバーを押し込んでリミットブレイクを発動する。

 

―ペン・リミットブレイク―

 

「おらおらおらぁ!!」

 

フォーゼはそのままペルセウスへ向けてペンを振るい、ペルセウスの左腕が真っ黒になるペンを振るって石化を封じ込めた。

そして美咲もそれを見るとペルセウスを屋敷へ向けて投げ飛ばすとそのままフォーゼの横へと並び立つと操縦席を開く。

 

 

「如月先輩!!これを!!」

 

「マグフォン!!悪ぃな美咲!!」

 

 

 

そのままマグフォンを受け取ったフォーゼはそれを構えたその時、フォーゼの背中に大量の水が直撃してそのままフォーゼはバランスを崩して振り返る。

 

「くっそ!!あの魚追ってきたのか!!」

 

「あいつ・・・!!」

 

 

「美咲!!投げるなんて許さないわ・・・!!」

 

そこにいたのは先ほどフォーゼと戦ったピスケスが立ち塞がり、投げ飛ばされたペルセウスもその場に戻って来てしまい、2人は完全に挟み撃ちの状態に陥ってしまった。

 

 

 

 

 

「ここからが本番みたいですね・・・!!」

 

「だな・・・!!」

 

しかし、そんな絶望的な状況にも関わらず美咲の心は折れることはなく、ペルセウスへと視線を向けていた。

 




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カウント・the・スイッチ
38/40
(残り ボード・コズミック スクリュー君!!戦闘で使われたね!!ほぼ一瞬だけど・・・。カメラくんは戦闘じゃ使えないよ・・・)


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歪・曲・笑・顔-13 最後の希望・笑顔の魔法

投稿です。

美咲篇!!完!!
弦太朗さん!!美咲ちゃんに存在感奪われてますよ!!



 

ペルセウスとピスケスに挟まれた2人。

危機的な状況にも関わらずフォーゼと美咲は静かに相手に視線を向けていた。

 

「美咲、後は俺に・・・」

 

「いえ、私が・・・こころを止めます・・・!!」

 

「でも・・・大丈夫か?」

 

「えぇ・・・。それに薫さんと約束しましたからね・・・」

 

 

美咲の言葉を聞いてフォーゼはその方向へと視線を向ける。

疲労困憊と言ったような声とは対照的に言葉に含まれた強い意志をフォーゼは感じ取ると、その姿に満足そうな表情を仮面の下に浮かべながら頷くとその体と軽く叩く。

 

「さっきから私の事を無視するなんて許せないわ!!」

 

「・・・!!」

 

ペルセウスは目の前の光景に痺れを切らしてダイザーへと駆け出すのと同時にピスケスもそれに合わせてダイザー目掛けて水流を放つ。

 

――――――――シールドON――

 

 

しかしその水流がダイザーへと当たることはなく、シールドを出したフォーゼがその間に割って入った。

 

 

「うっし!!じゃあこころは任せたぜ!!」

 

「えぇ・・・!!」

 

その言葉と共に美咲はペルセウスへと向かっていくのを見送る。

 

「うお座の野郎!!こっからはタイマンだぜ!!」

 

「・・・」

 

「しゃべんねぇで不気味な野郎だな・・!!」

 

そんな言葉を漏らしながらも盾を構えたまま水流に逆らって近づいていくが、思うように距離を詰められないフォーゼがドライバーのシールドを構えたまま別のスイッチを起動する。

 

――――――ホイールON――――

 

「いっけぇええええええ!!」

 

「・・・!?」

 

 

自身の足ではこれ以上近づけなかったピスケスへとホイールの力を使って強引に寄るとそのままピスケスを地面へと押し倒す。

 

「・・・っ!?」

 

「のわぁ!?なんだ!?」

 

 

ピスケスは押し倒したフォーゼへ驚いたような視線を浮かべると両手でフォーゼを突き飛ばす。

突き飛ばされたフォーゼはピスケスからの攻撃へ備えようと盾を構えるが攻撃が来ないことに疑問を感じるがピスケスが当たり構わず水流を放ち始めた。

 

「よく分かんねぇけど止めねぇとな・・・!!」

 

その行動の意味が分からなかったがフォーゼは放たれる水流を躱しながら再びピスケス目掛けて駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方では美咲がペルセウスとの戦いを始めていたが、その状況はペルセウスに対して防戦一方だった。

 

「美咲っ!!もっと私を楽しませてほしいわ!!」

 

「きっつい・・・!!」

 

ペルセウスは自身の剣をダイザーの装甲へと叩きつける。

剣が叩きつけられる度にその衝撃が内部の美咲を襲い、彼女の体力と精神をすり減らしていくが彼女はそれに耐え続ける。

 

代り映えのしない光景にペルセウスは次第に苛立ち始め、そんな中でも美咲は耐え続ける。

 

 

 

「みーくん!!」

 

「美咲ちゃん・・・!!」

 

「はぐみ・・・花音さん・・・」

 

体力の限界が近づきながらも、耐え続けた美咲の耳には大切な仲間の声が響いた。

その2人の声を聞いた美咲は身体は溢れてくるのを感じていた。

 

しかし、2人の声を聞いて反応を示したのは美咲だけではなかった。

 

 

 

「2人とも来たわね!!美咲の次はあなた達で遊んであげるわ・・・!!」

 

「こころん・・・!?」

 

「ふえぇ~!?」

 

ペルセウスは2人へ向けて次の標的だと言い放つ。

はぐみ達は驚き、恐怖を浮かべた表情を浮かべたそれを見た美咲の中で何かが弾ける。

 

 

 

「させるかぁー!!」

 

「きゃあ!!」

 

美咲は叫びながらペルセウスへと駆け出すとそのまま体当りで2人から引き剥がす。

突然の出来事にペルセウスも叫ぶ声をあげるもすぐに立て直して美咲へと向き合い―――

 

「あはははは!!」

 

「ぁぁぁぁあああ!!」

 

こころと美咲は互いに剣と拳をその体に叩きつけ合っていく。

 

 

 

「「・・・」」

 

楽し気な笑い声を挙げるこころと悲痛な叫びを挙げる美咲。

生身ではないとはいえ、大切な仲間同士が傷つけあっているその光景に2人は言葉が出なかった。

 

互いに攻撃を受け合っている2人。

ペルセウスは疲弊しているのか肩で息をするような仕草を見せているが、それ以上のダメージがあったのは美咲だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が乗るダイザーの装甲は至るところに無数の傷が刻まれていた。

そして一部の装甲はペルセウスの攻撃に耐えきれずに剥がれ落ち、そこから剥き出しになっているフレームからは時折火花が飛び散っているのが見えていた。

 

傷だらけになりながらも2人は戦いを止めない。

 

 

 

 

「(美咲ちゃん・・・!!こころちゃん・・・!!)」

 

「みーくん!!頑張れぇぇぇええええ!!」

 

そんな光景を見ていられなくなってしまった花音は目を閉じて、祈るように手を合わせる。

その横でははぐみが力の限りの声を出して美咲に声援を送り、花音は驚いてすぐに目を開けてしまった。

 

 

 

その声に答えて美咲はボロボロになったその腕を全力でこころに叩きつける。

 

「きゃ!!」

 

「まだまだ!!」

 

「やった!!」

 

美咲の攻撃は1回では収まらず、何度も何度もその腕をこころへと叩きつけているとそれに耐えきれずペルセウスは吹き飛ばされて地面へと倒れるが、すぐに起き上がるとその場で地団駄を踏んでいた。

 

「さっきまで美咲がやられっぱなしだったのに、急にこっちがやられちゃうなんて楽しくないわ!!」

 

「こころん・・・」

 

「なんで美咲1人(・・)なのに・・・!!」

 

「1人じゃない・・・!!」

 

 

 

 

 

「意味が分からないわ!!」

 

ペルセウスの言葉に美咲は声を張り上げて否定する。

しかし、言葉に意味が分からないペルセウスは苛立ちを隠さないままに美咲へと駆け出してその剣を振り下ろすが、美咲はそれを受け止めると再び力比べが始まる。

 

「確かに今、こころの前には私だけしかいない。でも、1人じゃない!!」

 

「なにをいってるのかしら?」

 

「黒服さん達と如月先輩がこころを必死に止めようとしてくれた!!はぐみがいて、花音さんがいて!!心の中には薫さんや他のみんなもいて!!それで、みんなが前のこころに戻ってほしいと思ってる!!」

 

 

 

 

 

「美咲ちゃん・・・!!」

 

「みーくん・・・。うん!!そうだよね!!」

 

美咲は自分の想いをペルセウスへとぶつけ、その想いを聞いたはぐみと花音も同意する。

しかし、その言葉はペルセウス―――こころには届かない。

 

「意味が分からないわ!!そんなにみんなで私の邪魔をするなんて酷いわ!!みんな―――

 

 

 

 

 

大っ嫌いよ!!」

 

「私も!!今のこころは大っ嫌い!!」

 

「そうなのね!!なら美咲なんていなくなっちゃえばいいのよ!!」

 

「こころんもみーくんも何言ってるの!?」

 

こころと美咲の言葉、驚きが隠せないはぐみ達。

その場で慌てふためく2人の前ではペルセウスも美咲は1歩も引かない。

 

 

 

 

 

「今の・・・みんなの笑顔を奪うこころは大っ嫌い。だから、前の・・・みんなを笑顔にしてた時のこころを取り戻す!!」

 

 

 

その言葉と共に美咲の乗るダイザーから激しい火花が飛び散るのと共に甲高い金属音が響く。

 

 

「なっ!?」

 

「嘘・・・」

 

「すっごーい!!」

 

呆然とするペルセウスと驚きの表情を浮かべるはぐみ達の視線はペルセウスの手元に集まる。

 

 

 

 

 

 

そこにあったのはペルセウスの剣が根元から叩き折れている光景だった。

 

「なんで・・・どうして・・・?」

 

目の前の出来事が信じられないのか、それとも心が折れたのかペルセウスがよろよろと後退りをした後にその両膝を地面につけて崩れ落ちると地面を殴りつける。

 

 

「どうして!!どうして負けてるよ!!ただ笑顔になろうとしただけなのに!!」

 

ペルセウスの叫ぶが、美咲はその疑問に答えた。

 

「『私達で世界中のみんなを笑顔にするんだ・・・みんなの笑顔があるこの世界で私達が負けるないでしょ(だろう)?』」

 

「えっ!?」

 

「ふえぇ~!?薫さん・・・?」

 

 

美咲が言ったその言葉だったが、はぐみと花音には美咲の声と共にここにはいないはずの薫の声が重なって聞こえたことに驚きを隠せなかった。

それを聞いたのははぐみ達だけではなかった。

 

 

 

 

 

「薫・・・。うわぁああああああああああああ!!」

 

「こころ・・・!!」

 

自身が石に変えた薫の声はペルセウスにも聞こえたらしく、ペルセウスは取り乱して暴れ出すがすぐに美咲がペルセウスの身体を左腕で掴み上げる。

 

「美咲!!」

 

「如月先輩!!おっと!!・・・こいつ!!」

 

「割って・・・挿す!!」

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

 

フォーゼの声に反応し、その方向へ向き直ると何かが飛んでくるのを右腕で受け止める。

飛んできたのはフォーゼと戦闘していたはずのピスケス。

かなりの力で抵抗されるが美咲は逃がさないように力の限りピスケスを握しているとフォーゼは先ほど美咲から受け取ったマグフォンを使ってマグネットステイツへと変身した。

 

「・・・挟み撃ちで決めるぞ!!」

 

「えっ・・・!?はい!!」

 

―――リミットブレイク ―――

 

「うぉおおおおおお!!」

 

「いっけぇぇぇぇぇええええええ!!」

 

美咲の返事を聞いてフォーゼはマグフォンのスイッチを押し込んで構えた途端に走り出したと思った途端、背中のバーニア・リパルシブマニューバーの出力を限界まで上げて地面を滑る様に移動し始めた。

 

移動しながらも肩のマグネットキャノンにエネルギーと集めながらダイザーへと互い目掛けて突っ込んでいく。

 

「・・・っ!!」

 

「きゃあ!!」

 

 

 

「みーくん!!」

 

「美咲ちゃん!!」

 

しかし、ピスケスは傷ついたダイザーの右肩の関節に少量の水流を放つ。

普段なら大した問題にはならないが、傷ついたダイザーにとってそれが致命傷になってしまい、ダイザーの右肩を中心に爆発する。

その衝撃によって操縦席内に火花が飛び散るのと同時にダイザー右腕が地面へと落下する。

 

フォーゼはその光景に速度を緩めようとするがダイザーは速度を緩めず、フォーゼへと突っ込んでくる光景に美咲の覚悟を感じてフォーゼも速度を緩めるのを止めてそのまま突っ込んでいく。

 

 

 

「行くぜ!!ライダー超電磁タッァァァァクル !!」

 

ダイザーとフォーゼがすれ違うと同時に2つ(・・)の爆炎が周囲へと広がっていく。

それを見ていたはぐみ達はその爆炎に耐え切れず目を塞いでしまい、炎が収まって2人が目を開くとそこにペルセウスの姿は無く、銀色に輝くフォーゼと傷だらけのダイザーがピスケスがいたはずの場所へと視線を向けていたが、ピスケスは捕まれていたダイザーの腕から抜け出してそのまま夜の街の中へと消えて行ってしまった。

 

「美咲!!大丈夫か!?」

 

「えぇ・・・。でも、これ壊しちゃったし・・・」

 

「気にすんなって!!とりあえず降りてこいよ!!」

 

「えぇ・・・」

 

美咲はその言葉に従ってダイザーから降りようと操縦席を開けるとそこにはボロボロの操縦席とそこから傷ついた美咲が出てきる。

彼女はそのまま降りようとするが、体力を使い果たしてしまい降りる際にバランスを崩して地面へと堕ちていく。

 

「「「美咲(ちゃん)(みーくん)!!」」」

 

突然の出来事に反応が遅れてしまった3人。

しかし、誰かがその3人の間を走り抜けると地面に落ちる直前の美咲を受け止めた。

 

「マジか!?」

 

「うそ・・・」

 

「どうして・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かおるさん・・・?」

 

「やぁ、美咲。よく頑張ったね・・・」

 

美咲を受け止めたのはペルセウスによって石化されてしまったはずの薫。

その彼女が今、石化しておらず生身で彼女を受け止めていることに驚く一同だったが、美咲は驚く体力も無く薫の腕の中に納まっていた。

 

 

「薫さん。すいません・・・制服・・・ボロボロにしちゃって・・・」

 

「なに、気にすることはないさ。仲間を救った名誉の負傷さ」

 

「薫くん!!身体は大丈夫なの?」

 

「あぁ、問題ないよ。心配をかけたね」

 

「ふえぇ~良かったよ~!!」

 

「おやおや、花音もかい?」

 

薫の姿に花音はその場で号泣しながら、みんなで笑い合うのを見たフォーゼはふと疑問に思ったことを口にした。

 

 

 

「でも、なんで薫が元に戻ったんだ?」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「いや、わかんねぇよ?」

 

「ふふっ。とりあえず、理由は後で考えればいいんじゃないかな?」

 

「うん!!かのちゃん先輩の言う通りだよ!!」

 

 

 

「お~~~~い!!みんな~!!」

 

薫がなぜ戻ったのか理由が分からない彼女達を誰か呼ぶ。

彼女達はそのままその声の方へと視線を向けると特徴的な髪型が目に入る。

 

「あっ!!かーくん!!」

 

「はぐ!!・・・ってもう終わったんだね!!」

 

「香澄?何してんだ?」

 

「えへへ~。美咲ちゃんが気になっちゃって・・・って美咲ちゃん!?」

 

やってきたのは美咲にこの場所を伝えた香澄。

彼女がここに来た理由を言いながら美咲を見るとその姿に驚いてしまう。

 

 

 

「私は・・・うん。ご覧の通り・・・」

 

「大丈夫なの!?」

 

「私はいいから・・・そういえば、こころは?」

 

「みんな!!こころちゃんが!!」

 

美咲の言葉に花音が答えてこころを指差すとそこでは彼女が意識を取り戻そうとしており、全員で彼女の元へと駆け寄っていく。

 

「こころ!!」

 

「みさき・・・?そんなになってどうしたのかしら?」

 

「ったく・・・あんたは・・・。っていうか如月先輩はいつまでそのままなんですか?」

 

こころの言葉といつまでもフォーゼでいる弦太朗に呆れる様子を見せる美咲。

フォーゼもその言葉を受けてそのまま変身を解くと、こころは目を見開いて驚いていた。

 

「すごいわ!!弦太朗!!」

 

「ん?なにいってんだ・・・?」

 

「そういえば・・・こころちゃんには見られてなかったよね・・・?いつも後ろで変身してたから・・・」

 

「「あっ・・・」」

 

 

 

ここで彼らはペルセウスには直接変身する姿を見られてはいなかったことを思いだした。

ペルセウスと戦闘を始める前に変身していても常にその後ろで変身していたため、直接は見られてなかったので、こころは気が付いていなかったのだ。

 

その事に気が付いた弦太朗と美咲は声を出してしまうが、とりあえずそんなことはなかった事にして、こころへとそのまま話しかける。

 

 

 

 

「こころ、何があったか覚えてるか?」

 

「はっきりとは覚えてないけれど、みんな怖がってたのは覚えてるわ・・・」

 

「なら、その怖がらせてしまった以上にみんなを笑顔にしていけばいいさ・・・」

 

「そうね!!」

 

「後、覚えてたらでいいんだけど。魚みたいなのにスイッチ貰ったって言ってたけど、いつ貰ったかとか覚えてるか?」

 

「確か・・・学校に沢山虫さんが日の放課後だったわ!!そういえば・・・誰かに似てると思ったんだけど・・・誰だったかしら・・・?よく覚えてないわ!!」

 

「そっかサンキューこころ」

 

こころの事を考えて弦太朗は話を聞くのを辞めると、疲れ切ってしまったのかこころはそのまま寝息を立ててしまった。

 

 

それを見て一同が笑っていると、不意に誰かのスマホが震える。

 

「誰だ?」

 

「私だ・・・。ゲンちゃん先輩!!瑠唯ちゃんも元に戻ったって!!」

 

「そっか!!でも何でだ?」

 

香澄から瑠唯も戻ったという話を聞いたが、弦太朗には皆目見当もつかない。

そんな中で薫は笑いながら弦太朗に答えた。

 

 

 

 

 

「魔法・・・かな?」

 

「何言ってんだ薫・・・」

 

「原因が分からないが、そう思ったほうが素敵だと思わないかい?」

 

「そうだな・・・!!」

 

薫の言葉に納得してしまった弦太朗は考えるのを辞める。

とりあえず1件落着と言った空気が流れる中で、スマホを眺めていた香澄の顔がどんどんと青くなっていく。

 

「かーくん?どうしたの・・・?」

 

「あ~!!どうしよう!!電車もうないよ~!!」

 

「えぇ~!?」

 

「ゲンちゃん先輩!!バイク乗せて~送ってって~!!」

 

「任せとけ!!」

 

「それじゃあ私達も帰ろうか・・・。美咲は私が送っていくから安心してくれ。それじゃあ、おやすみ」

 

薫の言葉を聞いて弦太朗達はこころの屋敷からそれぞれ帰路に着く。

皆がこころを助けた安心感に胸を撫でおろしていた。

しかし――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

夜の闇に紛れ、嫉妬や憎悪に塗れた視線が彼女達を捉えていたことに誰も気が付くことはなかった。

 




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次章:キラキラドキドキ(ギスギスドリドリ

そろそろあれを解放かな・・・


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オマケ時空篇7 境界線を越えて/カタストロフィーする世界
平・行・世・界3 愛の世界・哀の世界


小ネタ(本編)です。

パスパレ篇とハロハピ篇のアナザーエンディングです。

※注意
ハロハピ篇はかなり危ない描写が多々含まれています。
苦手な方は飛ばすことを強く推奨します。



 

~~~小ネタ23:パスパレ篇2章アナザーエンディング『氷川日菜は独占したい/乙女はお姉さまに恋してる!?』

 

キグナスが爆散し、ゾディアーツスイッチを切ったフォーゼの元へ少女達が駆け寄ってくる。

 

 

「この後はどうするんだ?それにこいつ・・・みおだっけか?もそうだけど・・・」

 

「後はジブン達に任せてください!!」

 

「こんなことをしたけど、私達の後輩だもの。面倒はみるわよ」

 

そう言ってパスパレ達がキグナスのスイッチャーであるみおへと近寄って行くが―――

 

 

 

 

 

 

「待ってください」

 

「おねーちゃん・・・?」

 

彼女達は紗夜の声を聞いて静止する。

その言葉に疑問に感じて声を挙げたのは千聖だった。

 

「紗夜ちゃん?なんでかしら?」

 

「パスパレを狙ってたのにその直後にその人たちに助けられるの辛いんですよ・・・。私がそうでしたから・・・」

 

「・・・そうね。そういうことなら紗夜ちゃん、お願いしてもいいかしら?行くわよ。弦太朗」

 

「何かあったらすぐに呼べよ!!」

 

「えぇ・・・」

 

その言葉を残して紗夜と意識がないみおを残して弦太朗達はその場を後にしてから少し経った頃に紗夜の横で倒れていたみおが意識を取り戻す。

 

 

 

 

 

「ひっ・・・!!日菜さん・・・」

 

「違います。私は紗夜・・・日菜の姉です。」

 

意識を取り戻したみおが紗夜を日菜と誤認するが即座に否定する。

みおはそのまま座り込んだまま立ち上がらずに、呆然とした表情を浮かべて呟き始めた。

 

「あはは・・・もうおしまいですよ・・・・。

アイドルになるために必死になってデビューしたのに・・・。パスパレを追い越そうとしたけど出来なくて、そしてあんなことをしてしまって・・・。もうアイドルに戻れません・・・」

 

「・・・」

 

虚ろな表情を浮かべならが呟き続けるみおをただ無言で静観する紗夜。

 

「もうこうなったら・・・アイドル辞めるしかない・・・。アイドル辞めたらもう死ぬしか・・・」

 

「ふざけないで!!」

 

「・・・っ!!痛っ!!」

 

 

みおの何気ない言葉に紗夜の堪忍袋の緒が切れ、みおの胸倉を掴み上げて無理やり立ち上がらせてるとその頬を勢いよく殴りつけるとみおは勢いに負けて再び地面にへたり込む。

 

その状況が呑み込めないみおは唖然とした表情で紗夜を見上げると、殴りつけた拳の痛みを抑える様にしている紗夜がみおを見下ろしていた。

 

 

 

 

 

「芹沢さんでしたっけ・・・?確かにあなたは以前の私と同じように間違った道を選んでしまいました。これは変えることのできない事実です」

 

「・・・」

 

「ですが、過去の罪から逃げるのは許されません」

 

「でも・・・」

 

「きちんと罪を償えばあなたにもチャンスはあります。どんな人間にも無限の可能性があります。私は大事な人たちにそれを教えてもらいました・・・」

 

「・・・」

 

紗夜の言葉にみおは答えるとが出来ないが、それにかわまず紗夜は言葉を続けていく。

 

 

 

「だから自分の罪を償って、生まれ変わりなさい」

 

「どうすればいいんでしょうか・・・」

 

「それは分かりません。私も探してる途中です。

ですから、あなたも自分の道を探してください・・・。自分がもう1度胸を張ってアイドルと言えるように・・・」

 

そう言って紗夜は少しだけ微笑むような表情を浮かべて彼女の前から去っていく。

 

そんな紗夜の姿を見たみおは―――

 

 

 

「・・・///」

 

紗夜を追うことが出来ず、完全に乙女の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キグナスを倒した数日後、弦太朗は紗夜によって羽沢珈琲店へとやってきていた。

 

「さぁ如月さん!!今日は勉強しますよ!!」

 

「だぁ~!!つぐの店に呼び出しだと思ったらこれかよぉ~!!」

 

「桐ケ谷さん!!捕まえなさい!!」

 

「ってことなんで、すいません!!」

 

逃げ出そうとする弦太朗をどこにいたのか分からない、透子によって腕を掴まれてしまう。

 

「透子!!お前、勉強できんのかよ!!」

 

「まぁ普通・・・?くらいですね。それと紗夜さんから逃げると後が怖いですよ・・・」

 

透子は何かを悟ったような表情を浮かべているのを見てしまい、弦太朗は諦めて紗夜の向かいの席に着くと透子もその横の席に座る。

 

 

「ぐぬぬ~!!」

 

「ラッシャイ!!何を握りましょうか?」

 

そんな様子をつぐみは悔しさを噛み締めるような表情を浮かべ、イヴは今までのようにそれぞれが甲斐甲斐しく働いているそんな店のドアが勢いよく開かれる。

 

「おねーちゃん!!あそぼー!!ってゲンちゃん?透子ちゃんと3人で何してるの?」

 

「日菜。これから如月さんに勉強を叩きこむんですよ」

 

「へぇ~。おねーちゃん!!私、それ見ててもいい?」

 

「・・・邪魔しなければ構わないわ」

 

「わ~い!!」

 

日菜も加わって完全に逃げ場を失う弦太朗。

そんな彼へと横に座った透子が小声へ彼に話しかける。

 

「弦太朗さん。とりあえず終わるんで耐えましょう・・・」

 

「でも、どうにかなるのか・・・?」

 

「まぁ・・・ミクロンっしょ・・・」

 

「「無理そう・・・」」

 

氷川姉妹が合わさって最強に見えた弦太朗と透子はボソッと呟いてしまうが、姉妹の耳には入らない。

 

 

「ゲンちゃん頑張れー」

 

「今日こそは”尊敬する人物は氷川紗夜”という理想的な学生にしてみせます!!」

 

「それってもはや洗脳じゃね?」

 

そうして勉強会が始まろうとしたその時、日菜のスマホがけたたましく鳴り響く。

 

「う~ん?誰から・・・」

 

スマホを取り出した日菜は苦虫を噛みつぶした様な形相を浮かべ、即座に電源を落とす。

 

「日菜?どうかしたの?」

 

「なんでもないよおねーちゃん!!ちょっとお邪魔虫が連絡してきただけだから!!」

 

「・・・?どういうこと・・・?」

 

困惑している紗夜たちを他所に再び店のドアが勢いよく開かれる。

 

「いらっしゃいませー・・・ってあなたは・・・!!」

 

「がるるるるぅぅぅぅ」

 

店に入ってきた人を見たイヴは驚いたような表情を浮かべる一方で、日菜は紗夜を庇うように立つとその人物を威嚇する。

 

状況が分からない紗夜は扉の前にいる人物へと視線を向けるとそこに―――

 

「確か、日菜の事務所のところの・・・」

 

「はい!!そうです!!・・・・・・お姉さま!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

「がるるるるぅぅぅぅ」

 

突然の言葉に紗夜たちだけではなく、働いていたつぐみも驚きの声を挙げてしまった。

そして彼らは彼女の顔から視線を下に向けていくとみおは胸に"343"と大きく書かれていた。

 

 

「って如月くんあれって・・・」

 

「あぁ、紗夜T着てるぞ・・・」

 

「やっぱこう見るとないわー・・・。てかなんで売れてんだろ・・・」

 

その姿にアイドルらしさなど微塵も感じられず、日菜と睨み合っている光景につぐみはすぐにイヴを呼び出した。

 

「ねぇ、イヴちゃん?どうしてこんなことになってるの?」

 

「事件の後に紗夜さんとお話したんですが・・・。それから戻ってきたらあんな感じでしたよ?」

 

「「「うわぁ・・・」」」

 

その言葉を聞いたつぐみ達は可哀そうなものを見るように紗夜たちへと視線を送る。

 

「日菜さん!!なんで私がお姉さまに会うのを邪魔するんですか!!」

 

「だから!!私だけのおねーちゃんでみおちゃんのおねーちゃんじゃないからだよ!!」

 

「私はお姉さまに恋してるんです!!日菜さんこそ、紗夜さんのシャツ着てないってことは愛が足りないんじゃないですか!!」

 

「なにを~!!」

 

そして店内で始まる日菜とみおによる突然のキャットファイトで慌てだす店内でイヴだけは平然とそれを見守っていた。

 

「イヴちゃん!?止めないと」

 

「事務所ではこれが普通ですよ?」

 

イヴの言葉に完全に言葉を失った一同、その視線の先では店の備品に一切触れることがないようにキャットファイトが続けられていた。

 

それを見た紗夜が吼える。

 

「2人ともいい加減にしなさい!!それと私は日菜の姉ですが芹沢さんの姉ではありません!!せめて名前にしなさい!!」

 

「おねーちゃんだってそう言ってるでしょ~!!」

 

「ですがそれでも”3438315(紗夜さんは最高)"なんですよ!!」

 

「「ぐにに~!!」」

 

しかし、紗夜の言葉も虚しくキャットファイトは続く。

そこには仮面ライダーの出番はないが、彼女達の紗夜を巡る戦いが始まってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~ここから先はグロ描写を使用しております。苦手な方はそのまま飛ばしてください~~~~

 

 

 

 

 

 

 

~~~小ネタ24:ハロハピ篇2章BADエンディング『ハローアンハッピーワールド(グッバイハローワールド)』

 

 

石化したり、意識なく倒れている黒服たちの横を通り抜けて屋敷へと歩いていく美咲。

そんな彼女達に囲まれて弦巻こころがつまらなそうな表情で屋敷の扉の前に座り込んでいた。

 

「こころ・・・」

 

「美咲。来たのね!!」

 

こころは美咲の姿を見て満面の笑みを浮かべている一方で、美咲はこころを静かに見つめていた。

 

「これからは一緒に楽しみましょう!!」

 

「こころ、こんなの誰も楽しめないよ・・・」

 

美咲の言葉を聞いたこころはポケットからスイッチを取り出す。

それを見た美咲も弦太朗に返し忘れていたマグフォンを取り出していた。

 

「美咲!!楽しみましょう!!」

 

こころはスイッチを持ち上げる。

それを見た美咲は即座にマグフォンを操作しようとするが―――

 

「えーい!!」

 

 

 

 

 

「なっ!?・・・痛っ!!」

 

何を思ったのかこころはスイッチを美咲へ向けて投げつける。

 

夜の闇に紛れたそれを美咲は見失うが、それは美咲の手に直撃するとその勢いに負けて手に持っていたマグフォンが地面を転がっていく。

 

痛みを感じたその手に視線を向けてしまった美咲だったがすぐにこころへと視線を戻す。

 

 

 

 

「ここ・・・っ!!」

 

美咲が彼女の名前を呼ぼうとしたが、突如として彼女の顔が上に跳ね上がりそのまま地面に倒れる。

そこにはスイッチに気をとられていた隙に彼女に近寄って顎を殴りつけたこころがいた。

 

こころは倒れた美咲へと馬乗りになると何度もその顔面へと拳を叩きつける。

 

「あなたと遊ぶのにあんなものはいらないわね!!」

 

こころはそんなことを言いながら笑顔で美咲の顔面を殴り続け、こころの手によって美咲の顔はどんどん顔の形を変えていく。

 

視界の右半分は自身の血によって赤く染まり、血の味と折れた歯が跳ね回る感覚と痛みが美咲を襲うが彼女は必死に抵抗してこころを押し返すとフラフラしながらも立ち上がる。

 

「あなた最高よ!!」

 

「・・・」

 

こころの言葉も聞かずに美咲は自身の口の中から何本もの歯と夥しいまでの血を吐き出してこころを見る。

 

半分が赤く染まった美咲の視界には嬉しそうに笑うこころの顔が写り、そんなフラフラとしていた美咲にこころが肉薄する。

 

こころを止めようとした美咲。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな彼女の視界の左半分が何かの潰れる音と共に完全に黒に染まる。

何が起こったか分からない美咲が困惑していると、そんな彼女を見てこころが嬉しそうな声で美咲に告げた。

 

 

「美咲!!あなたの左目!!完全に潰れてしまった(・・・・・・・)わよ!!とっても素敵な顔よ!!」

 

美咲はその言葉を聞いて自身の左目に手を当てる。

そこにはあるべきものがなく、どろりとした何かが垂れていきそれを見る。

 

 

 

彼女の顔から垂れてきたのは彼女自身の潰れてしまった左目だった。

 

「あぁぁああああaaaaアアアア!!」

 

「素敵な声よ!!もっと聞かせてほしいわ!!」

 

それを認識した美咲は余りの痛みに絶叫し始め、こころはその絶叫を嬉しそうな表情を浮かべて彼女を殴りつける。

 

 

左目の喪失感と共にこころの攻撃によって体中に痛みが走る中で、何かが折れる音が美咲に耳に入ってくる。

おそらく彼女の骨のどこかが折れたのだろうが、今の彼女はそれを気にする余裕はない。

 

「あaアァぁあAa!!」

 

痛みに耐えながら美咲は闇雲に腕を振ると、偶然こころの腕を捉えるとこころからの攻撃が止む。

 

不思議に思った美咲は痛みに耐えながらもこころを見ると、彼女の腕は普通の人体ではありえない角度に曲がっていた。

 

 

 

 

 

「あはははは!!美咲!!腕が折れてしまったわ!!もっとお互いに楽しみましょう!!」

 

「うわぁああああああ!!」

 

そこから繰り広げられたのはあまりにも凄惨なものだった。

 

片腕だけではなく足もあり得ない方向に折れているにも関わらず、それでも笑顔で殴り続けるこころ。

顔が歪み片方の鼓膜も破れ、いたるところの骨が砕けているにも関わらずこころを思う一心だけで彼女は立ち続けてこころに抗おうと泣きながら殴る美咲。

 

互いの攻撃がぶつかる度に夥しい量の血を周囲にまき散らし続けていた。

 

 

「あははハハハははははHAHAHAはははハハHAは!!」

 

「うわぁあああァアアアあああぁあAAAあああああああ!!

 

狂ったような笑い声と泣き声が響かせながら互いが拳を振りかぶる。

そして振り抜かれたそれは互いの顔面を捉えるとそのまま2人は後ろへと倒れる。

 

そして、倒れると同時に鈍い音を響かせて、笑い声と共にこころの動きが止まる。

 

笑い声が止まったことに気が付いたが、もう指1つ動かすことも出来ない美咲の意識は遠退いていく―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こころちゃんの事件から数年が経ちました。

あの後も色んな事件があったけど如月くんが頑張ってくれたおかげで、薫さん達も元に戻って街には平和が戻ってきました。

 

 

でも、その中にこころちゃんと美咲ちゃんは居ません―――

 

 

 

 

「おや、花音もここにいたんだね・・・」

 

「薫さん・・・。いないのは分かってるんだけど、ここなら2人に会えるような気がして・・・」

 

「私もだよ・・・」

 

薫さんと私がいる場所。

そこは以前までこころちゃんの屋敷があった場所だけど、今はそんな跡はなくただの空き地が広がっている。

 

 

「美咲・・・。君は最後までこころを・・・」

 

薫さんはここで会うといつも悔しそうな表情を浮かべ、私もきっと泣きそうな顔になっているんだろうな・・・

 

 

 

 

 

私達はいなくなった美咲ちゃんを探してこころちゃんの屋敷に来た時には2人はボロボロで地面に倒れているのを遠くから見つけて近寄った時の衝撃はすごかった。

 

 

 

両手足が人間ではあり得ない方向に曲がっているのに笑顔で動かなくなっているこころちゃん。

その近くには左目が無くなってて顔が凄く腫れあがってたかろうじで生きていた美咲ちゃん。

 

後で聞いたけど、美咲ちゃんは本当にボロボロで最後に私と話せたのが不思議だったって言ってたっけ・・・

 

 

そんな状況の美咲ちゃんの最後の会話は今でもはっきりと思い出せる。

 

 

 

 

 

『かの・・・んさん・・・?こ・・ころ・・・は?』

 

『うん・・・大丈夫だよ・・・!!』

 

『よ・・・。また・・・でせ・・・いをえがお・・・に・・・』

 

『・・・美咲ちゃん!!』

 

 

あの時、こころちゃんが大丈夫なんてわからなかったのに、私はとっさに美咲ちゃんに嘘をついてしまった。

最初はその事をすごく後悔して塞ぎこんでしまったけど、美咲ちゃんはあの時どう思ってたのかな・・・

 

 

 

 

 

「花音、そろそろ行こうか。はぐみも待ってるよ」

 

「そうだね・・・。この後、ライブだもんね・・・」

 

 

 

あの時から本当に私の笑顔が出来てるか分からない。

でも、2人がいなくなっても私達は残った3人で音楽を続けていた。

 

美咲ちゃんが最後に言った世界中のみんなを笑顔にするために―――

 

「薫さん。今日もがんばろうね!!」

 

「あぁ」

 

美咲ちゃんのためにも頑張らないと―――

そうして私は優しい嘘(作り笑い)で自分を誤魔化しながら夢を叶えるために歩き出した。

 

 

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
小ネタ23
アンケートで負けた方です。
なお、こちらが勝ってもみおちゃんはもう出番がない模様

小ネタ24
構想段階で出来てしまったBADEND、クウガの最終回に浸食された世界。
美咲=クウガ
こころ=ダグバ
この戦いに勝者はいない。誰も救われない悲しい世界線


次回小ネタ予告
不吉の13(サーティーン)リターンズ・他なにか



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日・常・風・景8 地雷原の上でタップダンスするような危うさと―――

投稿です。
久しぶりですね・・・彼女がネタになるのは・・・





 

~~~小ネタ25:不吉の13(サーティーン)リターンズ・ショッピングモール大追跡

 

ショッピングモール。

そこは様々な店舗が並び、一日中居ても飽きることなく楽しめる場所。

常日頃から家族連れや学生グループの遊び場、はたまたカップルのデートスポットとしても活用されるその場所はガールズバンドのメンバー達も休日の買い物やリフレッシュのために訪れるその場所に―――

 

 

 

 

「あっ・・・これ。花ちゃんが好きそう・・・。今日は用事で来れないって言ってたけど、今度は花ちゃんと来ようかな・・・」

 

RASのレイヤこと、和奏レイも気分転換の為にその場所へと足を運んでいた。

彼女は何気なく雑貨屋に足を運び、そこで彼女の幼馴染であるたえが好きそうな小物に目を奪われていたが、それを特に買うことはせずにそのまま店を後にした

 

「そういえば、花ちゃんはバイトでもバンドでもなくて用事があるって言ってたけどなんだったんだろう・・・?ってつぐみちゃんとRoseliaの氷川さん?」

 

 

雑貨店を後にしたレイヤの視線の先にはつぐみと紗夜がいた。

彼女達がモールにいること自体はなんらおかしいことはないが、彼女達は隠れて誰かを観察しているような姿に疑問を隠せずについ声をかけてしまった。

 

「あの・・・つぐみちゃん?」

 

「レイヤさん?何してるんですか?」

 

「それはこっちのセリフなんだけど・・・」

 

「レイヤさん。何をしてるんですか?早く隠れてください」

 

「えっ!?」

 

つぐみへと声をかけたレイヤ。

しかし、彼女は一瞬だけレイヤを見るとすぐに視線を元に戻す。

理解が出来なかった彼女へと横にいた紗夜が隠れるように促すと流れに乗って一緒に隠れてしまうレイヤ。

 

そして、改めて彼女達に目的を訪ねる。

 

「それでお2人は何を・・・?」

 

「これを見てください」

 

「なんでショッピングモールに双眼鏡・・・?」

 

レイヤは意味が分からないままに、その双眼鏡を覗き込む。

そこには―――

 

 

 

 

 

 

 

「花ちゃん・・・?なんで・・・?」

 

双眼鏡を覗き込んだ先にいたのはレイヤの誘いを断ったたえが1人でモールにいた。

レイヤの誘いを断ったのに1人でいることに困惑するが、視線の先にいるたえが誰かに手を振って話しかけていた。

聞こえ無い距離のはずなのにレイヤにはたえが言っている言葉が分かってしまった。

 

『先輩!!』

 

『おたえ、遅くなってわりぃな!!』

 

『ううん。それじゃ行こっか・・・』

 

 

「嘘・・・。花ちゃん・・・!!」

 

レイヤはその光景に驚きを隠せなかった。

あのたえが男と2人っきりでデート―――いや出掛けていることに驚くが、それ以上にその相手が自身も知っている弦太朗であることに驚きを隠せなかった。

 

「2人はこれをどこで・・・?」

 

「私の店で話してたんです・・・。ウヤラマシイ・・・」

 

「羽沢さんから話を聞いて、彼が風紀を乱さないか観察しに来ました」

 

「プライベートを観察するのは悪いんじゃ・・・。それにデートって訳じゃ・・・」

 

「「ダメです!!」」

 

 

 

困惑しながらもレイヤは至極真っ当な意見を述べるが、目の前の彼女達は全くそれに耳を傾けない。

 

「風紀を乱すようならどんな妨害も厭いません」

 

「紗夜さん。これを・・・」

 

「羽沢さん・・・これは・・・?」

 

「私の戦友からの送り物です。それと今の私は羽沢つぐみではありません・・・。私は殺し屋、”ツグミ13(サーティーン)”です!!」

 

「は・・・?」

 

「つぐみちゃん?そのサングラスと銃はどこから取り出したの・・・?」

 

 

レイヤはおろか紗夜も困惑し始めるが、つぐみはそれを意に返さない。

 

「紗夜さんも行きますよ!!ぐずぐずしてたら風紀が乱れますよ!!」

 

「・・・っ!!」

 

その言葉に紗夜が反応してしまい、その目がグルグル回りだして彼女は正気を失った。

 

 

 

「私は紗夜ではありません・・・。シャープシューター”ポテト13(サーティーン)”です!!」

 

「ちょっと2人とも!?」

 

そう言って紗夜もつぐみから受け取ったサングラスをかけて銃を構えだす光景に慌てるが、レイヤに対して紗夜がそっと耳打ちをする。

 

「あなたはいいんですか?ここままでは如月さんに花園さんを独占されてしまいますよ・・・?」

 

「っ!?!?!?」

 

正気の失った紗夜が放ったその言葉にレイヤも正気を失ってしまい、そんな彼女へとつぐみはそっとサングラスを差し出すとなんの躊躇もなくレイヤはそれをかける。

 

 

 

 

 

 

 

「あのデート邪魔するの日和ってる奴いる?いねぇよなぁ!?」

 

「周囲の客を巻き込まないようにしてやりましょう」

 

そして暴走状態の3人は弦太朗とたえの尾行を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

『先輩。このマグカップなんてどうかな?』

 

『いいんじゃねぇか?でも、おたえは本当にうさぎ好きだな!!』

 

『先輩も買う?』

 

『どうすっかなぁ・・・』

 

 

 

 

「ぐににににに~~~!!」

 

「抑えてください。今はまだ早いですよ!!」

 

「花ちゃん・・・」

 

レイヤが先ほどまでいたのとは別の雑貨屋で、2人でお揃いのカップを買おうとするのを目撃し―――

 

 

『先輩のやつ・・・おいしそう・・・。ちょっと頂戴?』

 

『そっちのと交換な?』

 

『いいよ・・・?はい、あ~ん』

 

『おたえ・・・!?』

 

 

 

「ポテポテポテ・・・ふぅ・・・」

 

「おたえちゃんずるい・・・!!」

 

「弦太朗と花ちゃんが食べさせ合ってる・・・。あっこれおいしい・・・!!」

 

仲よさそうに食事をとるのをポテトを齧りながら観察し―――

 

 

『先輩。これ買わない?』

 

『ドクロの猫のぬいぐるみに・・・バンジージャンプしてる犬の置物か・・・?』

 

『可愛くない?』

 

 

「なんで犬がバンジージャンプしてるんでしょうか?」

 

「紗夜さんそれはどうでもいいです・・・」

 

「花ちゃんらしい・・・」

 

たえが訳の分からない物を弦太朗に勧める光景を見た彼女達は―――

 

 

「これ、デートだ・・・」

 

「えぇ、許せませんね・・・」

 

「ハナチャンハナチャンハナチャンハナチャンハナチャン・・・」

 

「ですが、あの店には客が多いので少なくなってからにしましょう・・・」

 

それを見たつぐみ達は確信するが、周囲の事を考えて彼女達はひとまずは気持ちを落ち着けて機会をうかがっていた。

しかし、たえがある店の前で立ち止まったことでその状況が崩壊した。

 

 

 

「2人が立ち止まりました・・・!?」

 

「ハナチャンハナチャンハナチャ・・・!?」

 

「あれは―――」

 

「えぇ!!」

 

おたえが何喰わぬ顔で立ち止まったのを見た彼女達の中で何かが弾けて銃を構える。

しかし、そんな彼女達を見つけて声をかけてきた人物がいた。

 

 

 

「千聖ちゃん楽しかったね!!」

 

「そうね。彩ちゃんが言ってた映画だったか最初は不安だった・・・ってあれは紗夜ちゃん・・・?」

 

「お~い!!紗夜ちゃ・・・って何してるの!?それにレイヤちゃんとつぐみちゃんも!?」

 

「ちょっと・・・。そういう事ね。それで今回はどんなことになってるのかしら?」

 

現われたのは彩と千聖。

驚く彩を置いて千聖はつぐみの姿を見て1人で納得し、原因を聞くが無言でつぐみが双眼鏡を渡しながら弦太朗達がいる方向を指差す。

どんな面白そうなことが待っているのか考えていた千聖。

しかし、彼女が双眼鏡を覗き込んだ瞬間にその顔から表情が消えさる。

そしてどこからか取り出したサングラスをかけてから自身の背中に手を回し、そこから自前の狙撃銃を取り出して構えだす。

 

 

 

 

「千聖ちゃん!?ちょっとなんでそんなの持ってるの!?というよりもどこに隠してたの!?」

 

「丸山さん。静かにしてください」

 

「そうよ彩ちゃん。この程度で驚いてたら芸能界では生き残れないわよ?」

 

「そんなことないよ!?千聖ちゃん!!ちょっとそれ貸して!!」

 

突然の千聖の暴走に困惑する彩は双眼鏡をひったくるように奪って弦太朗を見るとその光景に表情が消える。

 

 

 

「うそ・・・。たえちゃんと如月くんが・・・」

 

「えぇ・・・。どうして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランジェリーショップの前で立ち止まっているのかしら?」

 

そう、たえが立ち止まっているのはランジェリーショップの前。

立ち止まっている2人だったが彼らはその店へと視線を向けていなかったのだが、彼女達にとってはそれはもうどうでもよくなっていた。

彩もつぐみからサングラスと銃と受け取るとそれを装備して構えだす。

 

「「たえちゃんずるい・・・!!」」

 

「ハナチャンハナチャンハナチャンハナチャン・・・!!」

 

「ぽてぽて!!ぽて!ぽーぽてぽて!!」

 

「そうね!!紗夜ちゃん!!2年生は弦太朗を、3年生はたえちゃんを狙うわよ!!」

 

「みなさん。同時に狙い打ちますよ!!レイヤさん、カウント5からお願いします!!」

 

「うん!!5・・・4・・・3・・・」

 

「待って!!誰か近寄ってくるわ!!」

 

「あれは・・・薫!?離れるまで待ちましょう・・・」

 

思わぬ人物の登場に千聖は驚き、レイヤも彼女の言葉を聞いてカウントを辞めて彼女達に視線を向けた。

 

 

 

 

 

『おや、弦太朗にたえちゃんじゃないか。奇遇だね』

 

『薫さん、こんにちは』

 

『よぉ!!薫は何やってんだ?』

 

『ちょっと、買物をね・・・。2人は何をしてたんだい?』

 

『私達も買物を・・・』

 

『なんでも、レイにプレゼントするもの選ぶの手伝ってくれって前に約束してな・・・』

 

『こころの奴もあったからだいぶ遅くなっちゃったけどね・・・』

 

『そうだったのかい?実は私も千聖に何かを送ろうと思っててね。最近彼女には心配ばかりかけていたからね・・・』

 

『なら一緒に行かねぇか?おたえもそれでいいか?』

 

『私は大丈夫』

 

『そうかい?じゃあ・・・』

 

 

 

「花ちゃんっ・・・!!」

 

「薫・・・」

 

遠くて聞こえないはずの弦太朗達の会話をレイヤと千聖ははっきりとその会話を聞き取って2人はそのまま正気に戻った。

 

 

 

 

「ツグミ13。目標を狙い打ちます・・・!!」

 

「ぽてぽて、ぽてぽて・・・ぽてぇ・・・!!(ポテト13、任務・・・了解・・・!!)」

 

「えっっと・・・!!じゃあ・・・!!”あやちゃん30(サーティー)”頑張りますっ!!」

 

「「・・・」」

 

そして、2人は他の正気に戻っていない紗夜たちに視線を向けた。

彼女達はどこからか電波を受信したのか危ない発言しているが、そんなことを気にせず2人は顔を見合わせて頷きあった。

 

「あやちゃん30さん!!、カウントお願いします!!」

 

「紗夜ちゃん!!任せて!!5・・・4・・・サンッ!!・・・ガァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

突如としてカウントが止まる。

その事を疑問に思ったポテトは彩へと視線を向けると彼女の後頭部に漫画の様なたんこぶを作って意識を失っていた。

 

「どうしたんですか!?一体なに・・ガァ!!」

 

「紗夜さ・・!!」

 

それに続いて紗夜とつぐみも後頭部に激しい痛みを感じ、薄れゆく意識の中で後ろを見上げた。

 

 

 

 

 

「薫の邪魔はさせないわ・・・」

 

「花ちゃん・・・ごめんね・・・?」

 

紗夜たちの視界に入ってきたのは手に持った銃を振り下ろした千聖とレイヤの姿。

それを最後に彼女達は意識を失った。

 

「さて、帰りましょうか・・・」

 

「でも、3人はどうしましょうか?」

 

「邪魔しようとした罰よ。このまま転がしておきましょう。それとこれ以上邪魔できないように武器だけは回収しておきましょうか」

 

「ですね・・・」

 

「それと・・・折角だし、この後お茶でもどうかしっら?」

 

「ふふっ・・・そうですね。折角ですし、行きましょうか」

 

そう言い残してレイヤと千聖は転がった武器だけを回収して3人をその場に転がしたまま、その場を離れて行き、近くの喫茶店で互いの幼馴染の良いところについての話で大いに盛り上がった。

 

 

 

裏で起こっていたことなど微塵も知らない弦太朗達は3人でそれぞれ送るプレゼント選びを続けていた。

そして後日、2人はそれぞれの幼馴染達から貰ったプレゼントを大事に抱えて再び幼馴染についての熱い会話を繰り広げることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

~~~小ネタ26:メタとーーーく!!

 

「納得いかない!!」

 

「煩いわね・・・」

 

「それで、香澄さんは何が納得いかないんですか・・・?」

 

ガールズバンドのヴォーカル達が集められている中、突如として戸山香澄は吼える。

その声に苦い顔を浮かべる友希那とオロオロしながら香澄に質問するましろ。

 

そんなましろの質問に答えるために香澄は声を挙げた。

 

 

 

 

 

 

「なんで私の出番が少ないの!!章ごとの登場回数なんてポピパの内だとりみりんに次いでワースト2ですよ!!」

 

「香澄!!私は全部通して見ても4割も出れてないわ!!」

 

「香澄ちゃんは全体を全バンドを通してみたら出演回数多い方だし・・・。

こころちゃんの場合は出番が増えすぎると・・・ほら、お金と黒服さん達のせいでお話終わっちゃうし、それにこの前の章では出番沢山あったし・・・」

 

「彩!!そうだとしても納得できないわ!!それに私!!オマケでは1回死んでしまったわ!!酷いと思うわ!!」

 

「私だってこの作品の主人公ですよ!!それだったら毎回出番があってもいいと思います!!それに彩先輩は3年生だからってだけで出番多いじゃないですか!!」

 

「ふえぇ~ん!!」

 

生々しい数字を出して香澄に同意するこころ達をなんとか宥めようとするが即座に撃沈した。

 

そんな花咲川組のやり取りを見ながら蘭は疑問に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・ここでの出番ってそんな重要?増えても危険が増えるだけじゃん・・・」

 

「ライブの出演機会と一緒で多い方がいいんじゃないかしら?」

 

「・・・そうですかね?散々走らされて、学校の窓から投げ飛ばされたり、怪我したりするんですよ?あぁ、湊さんは本編でもそれ以外でもご飯食べるか訳わかんない事ばっかりしてるから・・・」

 

「今までの本編出演回数はあなたと同じ回数よ?流石、安全なオマケでは皆勤で出演率1位の美竹さんはいう事が違うわね・・・」

 

「・・・合宿と宇宙鍋が安全だったと?流石、胃袋お化けの湊さんはいう事が違いますね?」

 

「なんですって・・・」

 

羽丘組もふとした事でバチバチと火花を散らし始めてしまう。

収集不可能な状況になってきた中で、彼女達とは違う学校に通っているレイヤとましろが2人で話し始める。

 

「私だってオマケで弦太朗と臭わせ発言があったけど出番少ないよ?・・・そんなに気にしてないけど」

 

「レイヤさん。私なんて最初の出演は殆どエキストラ出演でしたよ・・・?」

 

「ましろちゃんは出番ないけどそれでいいの?」

 

「影が薄いのかな・・・って思う時はありますけど・・・。最初は登場予定すらなかったのに短くても本編でメインストーリー出来たのを考えたら・・・」

 

「そう考えたら大出世だね・・・」

 

「それに言いたくはないですけど・・・その・・・」

 

「確かに・・・」

 

基本的に出番が少ない2人が視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「彩先輩は美味しいところ持っていくじゃないですか。私は出番っていっても会話に入るくらいですよ!!」

 

「ふえぇ~」

 

「香澄!!出番を増やす方法が分かったわ!!私達が3年生になればいいのよ!!」

 

「こころん!!それだよ!!」

 

「ちょっとそれだと、如月くんが学校卒業してるよ!?」

 

 

 

 

 

「美竹さん。出番の数が全てではないわ・・・。出た時の印象をどれだけ与えられるかよ」

 

「私、メイン2章ではメインキャラだったんで・・・。湊さんはなにしてましたっけ?オマケでご飯ばっかり食べてるのしか印象になくて」

 

「リーダーらしくしていたと思うけど?見てなかったのかしら・・・?」

 

 

未だに出番について不満を言ったり、なぜかバチバチに揉めてしまっている先輩バンド達―――

 

「「あんな風にはなりたくない・・・」」

 

互いが同じ思いを浮かべて2人はバチバチしているこの場から逃げ出すのだった。

 

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

次回はスイッチ解説編
本編とは違ってちゃんと明るい笑顔でお送りいたします。

以下ネタ説明
13リターンズ
ジャンプのネタって偉大だよね!!
ポテトが出てきたら全てが終わった。

メタとーーーく
章ごとの登場回数を確認してきたら頭の中に沸いてきたぜ!!
なお、これが次回というか別の楽器ごとの集まりがあるかは未定。



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装・備・解・説-5 ハロー、ハッピースイッチ?


スイッチ解説投稿!!
今回の小ネタ時空篇はここまで!!

アンケは装備解説強い・・・
装備解説特別編-Verメテオか ダイザ―・バイク篇かなぁ・・・




 

「全くこころは・・・」

 

ペルセウス―――こころの事件が終わった翌日、奥沢美咲はこころからの招集を受けてボロボロの身体で屋敷に向かっていた。

勿論、美咲は屋敷で何が待ち構えているのかは到着するまで知る方法はない。

 

「なんか、めんどくさそうだなー、っと着いたしとりあえず中に入りますか・・・」

 

呟きの中と共に屋敷の門をくぐってから美咲は屋敷の中にいるであろうこころの元へと向かう。

屋敷へと近づくに連れて、めんどくさそうな予感を感じた美咲だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふえぇええええええええええええ!?」

 

「この声?花音さん!?」

 

美咲の嫌な予感は的中した。

不意に聞こえた花音の悲鳴に美咲はその声が聞こえた屋敷の前に向かって走り出し、そこに待っていたのは―――

 

 

 

 

 

「如月様、そこを地面をお願いします」

 

「うっす・・・」

 

「こころん!!凄いよ!!」

 

「えぇ!!あんなに地面が早く掘れるのね!!」

 

「儚い・・・」

 

「ふえぇ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月先輩?何してるんですか・・・?」

 

スコップを腕につけたフォーゼが黒服の指示で屋敷の前の地面を掘り起こしたり、埋め立てたりしている光景を見て驚きの声を挙げているバンドの仲間たちがいた。

呆気にとられる美咲に困惑した花音が彼女に駆け寄ってきた。

 

「ふえぇ~美咲ちゃん~」

 

「花音さん・・・これ、どういう状況ですか・・・?・・・ってさっき声挙げてたから知ってるわけないですね・・・」

 

美咲は目の前で繰り広げられてる光景を理解しようとするが、全く理解することが出来ずに頭を抱えるとそんな様子に気が付いたこころ(3バカ)達が声をかけてくる。

 

 

「やぁ、美咲遅かったじゃないか」

 

「みーくん、やっほー!!」

 

「あら!!美咲、遅かったじゃない!!」

 

「これは一体どういうこと・・・?」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「はぐみが来た時にはもう始めてたよ!!」

 

「面白いわね!!」

 

「つまり何も分かってないってことね・・・」

 

遂に何でこんなことになっているのか分からない美咲はバンドメンバーを放置して、穴を掘っているフォーゼへと直接理由を聞くことにした。

 

「如月先輩!!」

 

「よっ!!美咲、どうしたんだ?」

 

「それはこっちのセリフなんですけど・・・。なんでそんなことしてるんですか?」

 

「この間、ここで戦った時にこの辺ボコボコにしちまっただろ?だから直してんだよ!!」

 

「あ~・・・」

 

フォーゼはその手を止めることなく美咲の質問に答えるが、その間もその手を止めることはなかった。

 

美咲は彼が作業している原因が自分のせいでもあり、その時に彼から無断で借りたダイザーをボロボロにしてしまった事を思い出してかなり複雑な表情を浮かべてしまった。

 

「それだったら私も、手伝いますよ・・・。アレも壊しちゃったし・・・」

 

「奥沢様。こちらはもう終わりますし、あのロボットの方は如月様の友人の方を呼んで修理を行ってますので・・・」

 

「すいません・・・。痛っ・・・」

 

黒服の言葉を受けて少しだけ安心できた美咲はボロボロの身体から痛みが襲う。

 

 

「美咲、大丈夫か?」

 

「いえ大丈夫じゃないです。昨日のダメージが残ってるんで・・・」

 

「ちょっと待ってろ」

 

そんな美咲を見たフォーゼは彼女の元へと駆け寄るとメディカルスイッチを使用すると左腕から注射器を取り出すと、美咲は顔が青くなる。

 

「あの~・・・、その注射は・・・?」

 

「心配すんな!!痛みは一瞬だ!!」

 

「いやいやいや!!そんなの急に言われても!!」

 

そんなやり取りを見てこころとはぐみはその目を輝かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

「すごいわ!!他にはどんなのがあるのかしら!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!見せてよ~!!」

 

「そういえば前にうちの学校で見せてもらったね・・・」

 

「私達も黒服さん達と一緒に見せてもらったよ?」

 

花音の言葉に黒服は無言で頷くのを見た美咲はフォーゼの注射から逃げるために全力で思考する。

 

「如月先輩。他にはどんなのがあるんですか!!」

 

「美咲も乗り気だな?どうしたんだ?」

 

「私はみんなと違って如月先輩のそれについてよく分かってないな~って思って」

 

「弦太朗。それなら前のようにしてくれるかい?」

 

「それは構わねぇけど前からの続きでいいか・・・?」

 

そう言ってフォーゼはメディカルを切るとドライバーから外すのを見た美咲は内心ガッツポーズをするが表情は全く崩さない。

そんなことは誰も知らず、フォーゼ達が話を進めていく。

 

 

 

 

「それでいいんじゃないかな?私達が見てた時は黒服さん達が動画撮ってたし・・・」

 

「私達の時も麻弥がロボットで撮影してくれてたね。みんなも気になってるだろうからカメラで撮っておこうか」

 

「そんなこともあろうかと。用意しておきました」

 

「黒服さん・・・いつの間に・・・」

 

薫の言葉に反応していつの間にか黒服たちがカメラを回し始めていた。

その事に反応を示したのは美咲だけで、他は全く反応すら示さない。

 

「薫。どこまでやったか覚えてるか?」

 

「あぁ、20番・・・炎を出したところで終わったね」

 

「それなら今回は21番から5つだな・・・」

 

フォーゼはそう言って5つのスイッチを取り出すとそのうちの1つを右足のスロットへと装填して起動する。

 

「No.21ステルススイッチだ!!これを使うと・・・」

 

フォーゼが右足を地面へ振り下ろすと、その場から姿を消してしまった。

 

「・・・居なくなったわ!!」

 

「ゲンちゃん先輩、どこ~?」

 

「ステルス・・・姿を消すってこと・・・?」

 

「そのようだね・・・」

 

「でも、どこ行ったんだか・・・」

 

「ここにいんぞ?」

 

「ふえぇ!?」

 

「うわぁ!?如月先輩!?いきなり出てこないでくださいよ。心臓に悪い・・・」

 

 

 

「まぁ、こんな感じに5秒間だけ姿を消せるんだ」

 

「全く気が付かなかったわ!!」

 

「おもしろーい!!」

 

「儚い・・・」

 

こころ達には大好評の様でそれぞれの感想を聞いたをフォーゼはそのまま説明に戻る。

それを見た美咲はもう考えるのを辞めた。

 

「それじゃあ次はこいつだ!!No.22のハンマーだ!!」

 

「おっきいわね!!」

 

「まぁ、これはさっきのみたいに特別なことは出来ねぇけどな」

 

「そうなんだ~!!ゲンちゃん先輩次は何?」

 

見たまんまのハンマーにこころ達の興味は早々に失せて次のスイッチへと変わる。

若干それに残念がるがフォーゼは気を取り直して説明を続ける。

 

「次はNo23!!ウォーターだ!!」

 

その言葉と共にフォーゼの左足に蛇口が現れる。

想像の斜め上の物が出てきたので彼女達は首を傾げる。

 

「蛇口だわ!!」

 

「でも、蛇口だけだよ?」

 

「どうせそこから水が出てくる・・・ってオチじゃ・・・」

 

「美咲の言う通りだな!!そら!!」

 

フォーゼは足を持ち上げてそのまま放水。

しかし、彼女達の想像の遥か上を行く水量と水圧に目を丸くしてそれを見ていた。

 

 

「ふえぇ・・・」

 

「どうなってるんだろ・・・」

 

「俺も良く分かんねぇけど・・・宇宙の力だな!!」

 

「宇宙の力ってすごいわね!!」

 

「そうだね!!」

 

「儚い・・・」

 

「もう何も驚かない・・・」

 

「美咲ちゃん・・・」

 

 

こころ達の反応に遂に花音も言葉を失い、成り行きに身を任せ始めてしまう。

そして、次のスイッチの説明へと戻るがフォーゼはここでミスを犯してしまう。

 

「よし!!次はNo.25の・・・ペンだ!!」

 

「・・・ふえぇ?ねぇ・・・」

 

彼はここでスイッチを1つ飛ばしてしまうミスを犯すも、花音以外の誰も気が付く様子がない。

 

 

 

「足に筆って変なの~」

 

「それ、この前も使ってましたよね?」

 

「おう。これで物を書くと・・・」

 

そういってフォーゼは地面に絵を描き始め、書き終えるとそれを手に掴んで持ち上げる。

 

 

 

「こんな感じだな」

 

「絵が本物になったわ!!」

 

「ふふっ、素敵じゃないか・・・」

 

「その筆、黒以外も描けるんですね・・・」

 

「じゃあ・・・25番までやったから今回はここまで・・」

 

「あのぉ~・・・如月くん。24番?飛ばしてるよ・・・?」

 

彼女達は目の前で描いた絵が実体化したことに驚く中でフォーゼはスイッチの説明を終わらせようとするが、ここで花音がついに順番を飛ばしたことを指摘できた。

 

「24・・・?あっ!!そう言えば忘れてた!!」

 

「あら!!そうなのね!!」

 

「24・・・24・・・。こいつか・・・」

 

フォーゼはスイッチを取り出すとそれを見て何かを考え出す。

そして、何を思ったか彼はそのまま黒服へと声をかける。

 

「黒服さん!!美咲を捕まえてくれ!!」

 

「失礼します・・・」

 

「えっ?はぁ!?如月先輩何を!?」

 

フォーゼの言葉を聞いて黒服たちは美咲を捕まえ、捕まった当人はそれを見て取り乱し始めるがフォーゼは全く気にする様子はない。

 

「それじゃあ、飛ばした24番、メディカルスイッチだ!!」

 

「ゲンちゃん先輩。それってさっき出してたよね?」

 

「ちょっと黒服さん!?放してください!!」

 

「これは見せたほうが早いからな・・・」

 

そう言いながらフォーゼはそのままスイッチを起動して左腕に精製された医療キットから注射器を取り出すと美咲へと歩き出す。

注射器を片手に持って向かってくるフォーゼに美咲は逃げ出そうとするが、黒服からは逃げられない。

 

「大丈夫だ!!これで痛いのはなくなるからな!!」

 

「なんかそれ危なそうなんですけど!?」

 

「大丈夫!!痛みは一瞬だ!!」

 

そう言ってフォーゼは美咲にそのまま注射器を差し込んだ。

 

 

「うわぁあああああああああ!?」

 

「ふえぇ~美咲ちゃん!?」

 

こころの突拍子もない行動に振り回されることに慣れている美咲。

そんな彼女も注射器をいきなり刺される事は無かったため驚きの声を挙げてそのまま意識を失い、その声に驚いた花音もつられて声を挙げてそのままなし崩し的にスイッチの説明が終わってしまう。

 

そんな光景に薫はやれやれと言った雰囲気を纏いながら、呟いた。

 

「儚い・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メディカルの注射器を刺された美咲は自身の部屋で何事もなかったかのように目覚める。

こころからの呼び出しから先が夢だと思っていたが、彼女のスマホには夢?で見た内容と同じ内容の動画が送られてきていた。

 

そして、夢だと思っていたことが現実だったことに理解が追い付かずにそのまま部屋で頭を抱えてしまう美咲であった。

 





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次回からポピパ篇2章突入します。
嫉妬沙綾からのスタートです。

ここまで装備解説編不参加リスト
Afterglow
・つぐみ以外
Roselia
・あこ
パスパレ
・イヴ
RAS&モニカ
・全員!!

っべーわ・・・


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Poppin'Party篇2-鼓・動・再・輝
鼓・動・再・輝-1 写真と不安と新たな刺客?


ポピパ2章開幕です!!

最初は短くなっちゃいましたが導入篇・・・
ギスギスドリドリしたい!!
今回は誰が曇らされるんでしょう・・・





 

とある日の放課後、街を廻っていた弦太朗はりみ、2人はそのままとある店に入っていく。

 

 

扉が開くと同時に店内には軽快な音が流れるが、店員が見当たらない。

しかし、2人はそのまま店内の商品を見て回っていると扉の空いたのに気が付いた店員が店の中から表に出てくるが、目の前の光景を目にした店員は死んだ魚の様な目をして2人に視線を送るが、2人は全く気が付く様子がなく話を続けていく。

 

「弦太朗くん!!これどうかな?」

 

「いいんじゃねぇか?」

 

「弦太朗くん、流石に手に取ったものを見てから答えようよ・・・」

 

「でも、りみが今、何持ってるかなんて見なくても分かるしなぁ・・」

 

「もう・・・!!」

 

はたから見たら恋人同士の会話にも聞こえてくるそれを、心を無にして流そうとするも否応なしに店員の耳には2人の会話が入ってくる。

 

「そういえば、りみはいつもゆりに写真送ってんのか?」

 

「そうだよ?・・・実は弦太朗くんがこっちにいることはお姉ちゃんには言ってないんだ~」

 

「ん?なんでだ?」

 

「えへへ・・・。折角だったらいきなり弦太朗くんの写真を送って驚かせようと思って・・・」

 

りみはそう言いながら照れくさそうに笑うのを見た弦太朗もそれを見ていたずらが思い浮かんだ子供のように笑う。

 

「うっし、ならそうするか!!でも・・・どこで撮るんだ?」

 

「う~ん。学校なんてどうかな?お姉ちゃんも花咲川に通ってたし・・・」

 

「なら、そうすっか!!」

 

そんな2人を見て遂に店員の我慢が限界を迎えて、2人に声をかけてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、私が店番してる時にそんなにイチャイチャするの見せつけないでくれるかな・・・?」

 

「あっ・・・」

 

「よっ!!沙綾!!」

 

彼らがいたのはやまぶきベーカリーで、その店番をしていたのは沙綾だった。

しかし、沙綾の目は先ほどまでの2人のやり取りを見たせいで完全に目が死んでいた。

 

「こっちが店番してるのに2人はデート・・・?」

 

「デート?何言ってんだ・・・?」

 

「沙綾ちゃん、そんなんじゃないよ?」

 

沙綾の言葉をすぐさま否定する2人だったが、以前として彼女の目は以前として死んだままだった。

そんな姿を見たりみは何かを思い出したかのような雰囲気で沙綾に話しかける。

 

 

 

「沙綾ちゃん。今度の週末に2人で遊びに行く約束だったけど、予定が入っちゃったから代わりに弦太朗くんと行って来たら?」

 

「えっ?そんな約束してたっけ・・・?」

 

沙綾はりみと2人で遊びに行く約束などした記憶はなく、必死に思い出そうとするがやはり何も思い出せない彼女。

 

 

 

「ん?よく分かんねぇけど来週なら空いてるから俺はいいぞ?」

 

「えっ・・・?うん。じゃあ、よろしく・・・?」

 

「おう!!じゃあとりあえずこれ頼む!!」

 

そして流されるまま沙綾は弦太朗と約束をしてそのまま会計を始める。

仕事をしながらもなんとか思い出そうとするが、彼女がりみと約束した記憶など全くなく、不思議に思って沙綾はりみへ視線を送ると、ニコニコとしたりみが沙綾を見ていたことで全てを察した。

 

 

 

 

 

 

 

最初からりみと沙綾の間に約束などは無く、りみは空気を読んで沙綾と弦太朗が2人で遊ぶ流れを作ったのだ。

 

それを理解した沙綾は2人に見えないようにガッツポーズをしてからりみへと視線を送る。

 

 

「(りみ!!今度、差し入れのチョココロネは多めに持っていくからね!!)」

 

「(よろしくね?)」

 

同じバンドのリズム隊は視線だけ会話を終えると沙綾がウキウキしながら仕事を続けるが、ふと思ったことを口にした。

 

 

「でも、弦太朗はゆり先輩とも知り合いだっただね~」

 

「まぁな。前は結構怒られてたけどな・・・」

 

「あはは・・・。それは弦太朗くんが変なことばっかりしてたからじゃ・・・」

 

「なんか分かるかも・・・」

 

りみも当時の事を思い出して苦笑いを浮かべ、沙綾もそんな様子を思い浮かべるとりみに釣られて苦笑いを浮かべるが、すぐに話を戻す。

 

 

 

「りみ。ゆり先輩に写真送るんでしょ?なら3人で撮らない?」

 

「うん!!いいよ」

 

そのままりみは3人で並んで写真を撮ると、そのまま姉のゆりへとその写真を送ると笑う。

 

「お姉ちゃん。驚くかなぁ?」

 

「そうだろ!!」

 

「まぁ・・・私だったら驚くかなぁ。知らないんでしょ?」

 

「うん・・・」

 

店内に3人しかいないのでそのまま話始めた彼らだったが、突如としてりみのスマホが震えるが、その相手に驚きを隠せなかった。

 

 

「お姉ちゃんから電話!?」

 

「「嘘っ!?」」

 

写真を送って物の数分で送り相手であるゆりから電話がかかってきた事に驚く3人だったが、りみは嬉しそうな表情でそのまま電話に出た。

 

「もしもし?お姉ちゃん?」

 

『りみ?そこに弦太朗いるの?』

 

「えっ!?ちょっと待って・・・」

 

りみはゆりの声に驚きながらも、皆にも聞こえるようにスピーカーにして全員に聞こえるようにすると弦太朗に渡す。

 

「よぉ!!久しぶりだな!!」

 

『久しぶりじゃないよ!!』

 

弦太朗が話すと早々に電話の向こうからゆりの怒り声が聞こえることにりみ達は驚くが、怒られてる本人はあまり気にしている様子がない。

 

「そんないきなり怒るなって」

 

『引っ越してから1回も連絡しないで!!心配してたんだからね!!これからはちゃんと連絡してよ・・・?』

 

「わりぃって!!でも海外留学なんてスゲェな!!」

 

『ありがと。弦太朗はちゃんと勉強してるの?』

 

「勉強の話はやめてくれよ!!」

 

『ふふっ。相変らずだね・・・』

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ?」

 

2人の会話を聞いていた沙綾は彼女はここで違和感を覚えた。

最初こそゆりは怒っていたが、すぐに怒りが収まって自分に似た何かを感じ取っていた。

 

『りみ、そう言えばバンドの方はどうなの?何かイベントに出てるんでしょ?』

 

「うん!!今みんなで武道館目指して頑張ってるよ」

 

『武道館には弦太朗と”2人で”見に行くから頑張ってね!!』

 

「うん!!頑張るね!!」

 

『それじゃあまたね!!』

 

 

 

「(弦太朗、モテすぎじゃない・・・?)」

 

その言葉を最後に電話が切れると沙綾は確信したが、その事を考えるのはやめた。

 

「じゃあ、沙綾。俺たちそろそろいくわ・・・」

 

「沙綾ちゃん。明日から練習、頑張ろうね」

 

「うん。2人ともまたね」

 

沙綾はコロネを抱えて店から出ていく2人を見送るとそのままレジに立ちながらボンヤリと考えていた。

 

「確かに、バンドリの事も心配だけど・・・」

 

今の沙綾の心配事はそれだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近良く泊まりに来るけど・・・大丈夫かなぁ・・・香澄・・・」

 

沙綾の呟きに答えるものは誰もおらず、その声は店内に響くことなく消えていき、その心配事は最悪の形で彼女達の前に現れることをこの時は知る由もなかった。

 

 

 

 

 




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鼓・動・再・輝-2 日常へのサプライズアタック

投稿です。
流れは変えるものだけど、急展開過ぎひん・・・?

そう言えばホロスコープスって集団の名前だったな・・・
まぁ、便宜上ここでもそういう風に言っておくか・・・




 

2人で写真を撮って回っていた弦太朗とりみが沙綾の元を後にすると、会話を続けながらそのまま学校へと向かっていく。

 

「そういえば、有咲達もゆりの事は知ってるんだよな?」

 

「うん。香澄ちゃんはお姉ちゃんのライブ見てからバンドを始めたんだよ」

 

「そうだったのか・・・。にしても懐かしいなぁ。大阪じゃ3人で学校行ってたよな・・・。最初は2人ともすっげぇ震えてたけどな」

 

「だって、弦太朗くんの見た目だけは怖いし・・・」

 

そんな他愛ない話をしながら2人は並んで歩き、学校に到着した2人は何気なく学校の風景を写真に収めていた。

 

 

 

「ゆりもここに通ってたんだな・・・。あいつはどんな風に過ごしてたんだ?」

 

「バンドの人たちと楽しそうだったよ?もしかして・・・さっき電話で話したから弦太朗くんもお姉ちゃんに会いたくなっちゃった?」

 

「会いたくねぇってことはないけど、流石に海外だしな・・・」

 

「でも弦太朗くんなら変身して行けるんじゃない・・・?」

 

「ダチとは自分の力で会いに行くもんだろ?」

 

「ふふっ。そうだね」

 

 

 

「よぉ、一旦帰ったのにこんな所で何してるんだ?」

 

「有咲ちゃん!!」

 

そんな会話をしながら彼らは学校の風景と撮って回っていると、仕事中の有咲が現われるが彼女はりみの手に収まってるスマホを見て状況を把握した。

 

 

 

「ゆり先輩に送る写真撮ってるのか・・・」

 

「そういう有咲ちゃんはまだ生徒会の仕事?」

 

「いや、ついさっき終わってな。帰る前に少し休んでる・・・」

 

「でも、生徒会ってそんな忙しいのか?」

 

「普段はそうでもないけどなー。最近はバンドのMV撮影とかお前絡みの騒ぎとかがあったから、仕事が溜まっててな・・・。それで燐子先輩達とさっきまでやってたんだよ」

 

「言ってくれれば手伝ったのによ・・・」

 

「だけど、如月に書類仕事は無理だろ・・・」

 

疲弊している有咲の容赦ない言葉に完全に撃沈する弦太朗をりみは笑いながら写真に収めながら、学校で彼と再開したことを思い出す。

 

 

 

 

「そう言えば、ここで弦太朗くんとまた会ったんだよね・・・」

 

「あー、あん時は驚いたぜ!!大阪にいると思ってたのにこの学校にいたんだからな!!」

 

「私もだよ~」

 

「私も・・・。りみが普通に不良に話しかけたの見た後であれだろ・・・」

 

「夢でも見てるのかと思ったよね・・・。でも、弦太朗くんのお陰でこうしてられるんだよね?こんな時間が続けばいいなぁ・・・」

 

「だな・・・」

 

少し前の事を思い出しながら、彼らは今の平和な時間を感慨深く感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは彼らの目の前で突如として起こった爆発音によってその時間はいともたやすく崩壊した。

 

「きゃあああ!!」

 

「うわぁ!?・・ってこいつらは紗夜先輩の時の・・・!?」

 

「やべぇ!!」

 

3人は爆発が止むと周囲を見渡すと、そこにはダスタード達の姿。

しかし、彼らがその姿を捉えた時にはダスタード達が既に次の爆弾を投げようとしていた。

 

 

 

「2人は逃げろ!!」

 

「おいっ!!如月!!」

 

「弦太朗くん!?」

 

弦太朗は自身に囮にするためにそのままダスタードへ向けて走り出すとそれを見たダスタード達が爆弾を放った。

 

 

 

 

 

「「なっ!?」」

 

「えっ!?」

 

放たれた爆弾は弦太朗ではなく逃げようとしていたりみたちへ向かって放たれる。

 

突然の事態にりみと有咲は突然の事態に時間が引き延ばされるような感覚を覚える。

それと共に爆弾がゆっくりと向かってくるように感じるが2人はその場から動けずにいた。

 

「うぁ!!」

 

「如月!?」

 

「弦太朗くん!?」

 

「あっちぃ!!」

 

「なぁ!?」

 

「!?」

 

そんな2人の前に弦太朗が割って入ると同時に彼の身体に爆弾が当たると爆発する。

痛みに声を挙げるが運が悪いことに爆発によって彼が着ていた服が燃え上る。

 

弦太朗はそれに気が付くと自身が着ていた上着を全て脱ぎ捨てる。

上着が燃えたとはいえ友人であると思っていた男子がいきなり上半身裸になるという異常事態に意識が持っていかれるりみ達だったが、弦太朗はそれを気にすることなくドライバーを腰に当ててドライバーのスイッチを入れていく。

 

 

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

 

「変身!!」

 

――ファイヤーON――――――――

 

カウントが終わるとともにすぐさまレバーを押し込んでフォーゼへと変身すると、ファイヤースイッチを起動して今度は自分から身体を炎に包まれてファイヤーステイツへと姿を変える。

 

「宇宙・・・来たぁー--!!」

 

その言葉と共にダスタードへ向けて駆け出しながらヒーハックガンから火炎弾を連射して1体のダスタードを狙い打ち、彼がダスタードの元へと辿り着く前に1体を消し炭にするとダスタード達の意識は完全にフォーゼへと向けられる。

 

 

 

――――――スタンパーON――――

 

しかし、フォーゼはその勢いを緩めることなく駆け抜けていくと飛び上がりながらスイッチを起動して残ったダスタード達を纏めて蹴り飛ばす。

 

「3・・・2・・・1・・・0!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!!何も起きねぇぞ!?」

 

「えぇ~!?」

 

「今だ!!」

 

フォーゼがカウントを数えるが、0になっても何も起こらない。

そのことに慌てる有咲達だったが、蹴られたダスタードがそのカウントが終わった後に放ったフォーゼの言葉と共に爆散する。

 

「カウントの意味ねぇじゃねーか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体何が・・・!?」

 

「これは・・・?」

 

「紗夜先輩に燐子先輩!?どうして!?」

 

「市ヶ谷さんが戻ってこなかったから・・・。それで探しに行ったら・・・この騒ぎで・・・」

 

「そうだったんですか」

 

ここで戦闘の騒ぎを聞きつけて学校にいた紗夜と燐子が現場に現われる。

その事に有咲が驚くが燐子の言葉を聞いて納得する。

フォーゼもその事が分かって皆の元に歩み寄ろうとするが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!如月さん!!」

 

「紗夜?のわぁ!?」

 

4人の元へ歩み寄ろうとしたその時、何かを見つけた紗夜が叫ぶ。

しかしその声に反応する前にフォーゼは背後からの大量の水を受けてそのまま地面に転がって視線を後ろへと向けるとそこには先日見たピスケスが構えていた。

 

「なに・・・あれ・・・?」

 

「あれは・・・確か弦巻さんの屋敷に出たっていう魚座だよな・・・」

 

「確か前に瑠唯ちゃんが変身した蠍座と一緒で、弦太朗くんの学校で出てきた敵の幹部みたいなの・・・だったっけ?」

 

「ですが、そんなのがどうしてここに・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このっ!!」

 

燐子達は初めて見る十二使徒のゾディアーツとその話を聞いて困惑するが、彼女達の目の前では不意打ちを受けたフォーゼが咄嗟に火炎弾をピスケスへと放つ。

 

しかし、その全てがピスケスが出した水によってかき消されてフォーゼはその水流に呑まれて壁に叩きつけられる。

 

「がはっ!!」

 

「如月!!水から逃げろ!!」

 

「でも、あの水からどうやって・・・?」

 

「こうなりゃ!!これで!!」

 

 

 

水の中で体力を奪われるフォーゼが聞いたのは有咲の指示。

しかし、今回の勢いは以前に使ったスクリューだけでは逃げられそうにないと察したフォーゼはスクリューの左足ではなく右足のスイッチを交換した。

 

 

――――ジャイアントフットON――――――

 

フォーゼの右足が肥大化する。

しかし、彼の姿が見えなくなるほどの水量を放ち続けていたことによってその変化をピスケスは気が付かない。

水の中でフォーゼは右足は地面に振り下ろすとピスケスの頭上に大きな足が現われてピスケス目掛けて落ちてくる。

 

ピスケスがそれに気が付いたが回避が間に合わず、その足によって地面へと押しつぶされると、フォーゼは水から解放されるとファイヤースイッチを解除するとすぐにエレキスイッチを装填する。

 

 

「これで仕切り直しだぜ・・・!!」

 

「・・・」

 

「おいっ!!待ちやがれ!!」

 

フォーゼがエレキスイッチをONにしようとするが、ピスケスは紗夜たちの姿が増えてることに気が付くとそのまま逃走する。

それを見てフォーゼがピスケスを追おうとするも連続で受けた不意打ちのダメージが影響してか容易く逃げられてしまう。

 

そして現場は撒き散らされた大量の水だけが残されていた。

逃げられたが先ほどの様な不意打ちを考えて一度周囲を見渡さすがフォーゼは何も見つけることが出来ず、今度こそりみ達の元へと駆け寄っていく。

 

「大丈夫か!?」

 

「うん・・・弦太朗くんが最初庇ってくれたから大丈夫だよ・・・?」

 

「ならいいけどよ・・・」

 

りみの言葉を聞いてフォーゼは変身を解除しようとドライバーに手を伸ばす。

そしてそれを見てあることを有咲が思い出して声を挙げる。

 

「ちょまま!!如月!?」

 

「ん?」

 

声をかけたが有咲は遅かったのだ。

フォーゼはベルトのスイッチを上げるとフォーゼから弦太朗の姿へと戻っていく。

 

「「あ~~~~!!」」

 

「なっ!?なぁ!?」

 

「えっ・・・!?!?」

 

 

 

 

 

「あっ・・・」

 

「あ~・・・。どうすんだこれ・・・」

 

「あはは・・・」

 

変身を解除した弦太朗。

彼と変身する前に燃えだした自分の服を脱ぎ捨てていたことを完全に忘れていた。

燐子と紗夜はそんな事を微塵も知らず、りみもその事を思い出して有咲と叫ぶが手遅れ。

 

フォーゼの姿から弦太朗へと姿とそこには上半身裸で腰にドライバーを巻いている奇妙な姿の弦太朗が現われる。

 

 

 

紗夜は余りの驚きに言葉に詰まり、燐子は恥ずかしそうに両手で目を隠して指の隙間から弦太朗をチラチラと見ていた。

 

弦太朗は脱ぎ捨てた服を見るがそこには完全に使い物にならなくなっていた布切れが転がり、現状の収集がつかないと察した有咲は諦めたような表情を浮かべ、そんな状況でりみは苦笑いしか出せなくなっていた。

 

 





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鼓・動・再・輝-3 悪意のRush!!

投稿です。
ギスギスドリドリしたい・・・!!
醗酵(薄幸)少女さん!!頑張ってくれ・・・!!

アンケは締め切ります。



 

戦闘を終えた弦太朗達を学校に残っていた生徒や教師たちから隠れながら生徒会室へと移動すると、

りみと有咲の2人が戦闘前に起こっていたこととピスケスの事を紗夜たちへと説明していた。

 

「大体分かりました・・・」

 

「如月さんは・・・その・・・大丈夫なんですか?」

 

「こんぐらいはなんでもねぇ・・・いってぇ!!りみ!!もうちょい優しくだな・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くん、我慢して・・・?それに私がやってるわけじゃないから・・・」

 

弦太朗は出来た火傷を冷やしていたが痛みを感じてりみに抗議するも、りみは弦太朗の火傷へ冷気を送っているソフトーニャを手に乗せているだけで彼女自身が冷やしているわけではないので彼女は困り顔を浮かべていた。

 

弦太朗はその言葉を聞いて我慢することにしたが、ふと気になってしまったことがそのまま口に出てしまう。

 

 

 

 

 

「あのよ・・・。さっきからなんでみんなはチラチラこっちを見るんだ?」

 

「弦太朗くんが上着を着てないからじゃないかな・・・」

 

彼は爆発によって燃えた服を脱ぎ捨てた後、そのまま生徒会室までやってきてしまったため、彼は上半身には何も身に纏っていない。

 

りみ以外の3人はそんな彼を直視することが出来なかったが、彼が気になるのかチラチラと視線を送っていたことが気になってしまったのだ。

 

「牛込さんの言う通りです。とりあえず何か着てください・・・」

 

「でも着替えなんてねぇぞ?」

 

「如月さんの服ですが・・・。もう服と言えるような状態じゃないですし・・・」

 

そう言いながら燐子が先ほどまで弦太朗が着ていた服を手に持って広げる。

焼け焦げて大穴が空いており、もはや服としての機能が完全に失われているのは明らかだった。

 

「それにここは女子校だから弦太朗くんが着れるような服があるわけないよね・・・」

 

「どうすりゃいいんだ?」

 

「だったら変身してろ!!」

 

着替えがなく困っていた彼らだったが、有咲の提案で弦太朗は再びフォーゼへと変身するとそのまま椅子に座り直す。

戦っているかRoseliaの練習でスピーカーにされる姿のフォーゼしか見たことがない彼女達はそんな彼が何もせずに椅子に座っていることに違和感を覚えるも、なんとか話を続けていく。

 

「如月さん。先ほど市ヶ谷さんが”幹部”と言ってましたがなんなんですか?」

 

「それに八潮さんと一緒って・・・」

 

「さっきの魚座と瑠唯ちゃんが変身した蠍座ですけど。如月が自分の学校で戦ってた敵のグループ・・・たしか”ホロスコープス”?ってとこでは幹部だったらしくて・・・如月、合ってるか?」

 

「魚は相手の幹部じゃなかったけどな」

 

「そんくらい強いってのが分かればいいんだよ・・・。でも、なんであいつは私達を襲ったんだ?」

 

説明が下手な弦太朗に変わって大まかな説明をした有咲は当然の疑問を口にする。

彼女達は考える中で、変身していた弦太朗があることを思いついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれじゃねぇか?ほら・・・!!バンドリ?ってイベント!!あれに出てるからじゃねぇか?」

 

「可能性としてはあり得そうですが・・・。違うと思います・・・」

 

「私もそう思うぞ」

 

「燐子?それに有咲もなんでだ?」

 

「だって、氷川先輩達が来た時に帰っていったんだよ?Roseliaも参加してるのに・・・」

 

「あまりこういう言い方はしたくありませんが、現在の順位で言えばRoseliaが上ですから如月さんの理由は違うと思います」

 

出した意見が即座に全否定されたフォーゼに変身したままの弦太朗は椅子の上で体育座りをして落ち込むと、それに続いて紗夜が意見を出す。

 

「そうですね・・・。成績による妬みでしょうか?市ヶ谷さんはテストの成績はトップでしたよね?」

 

「でも、私は有咲ちゃんみたいに成績は良くないですよ?」

 

「それが理由だったとして・・・、私達が来た時に逃げる必要ないですよね・・・?」

 

弦太朗に続いて紗夜も撃沈して、弦太朗の横に椅子を置いて座り込み、意見が否定された2人から沈んだオーラが見えるが誰も突っ込まない。

 

「バンドリは関係なくても、バンドの関係だったりして・・・。戸山さんとかライブで色々やってますから・・・」

 

「あり得るかもしれないですけど、それも私達が襲われる理由にはなりますかね・・・?」

 

「・・・すいません」

 

 

 

 

 

 

「うわぁ・・・」

 

有咲の言葉に燐子も紗夜たち同様に撃沈して、紗夜同様に椅子に座りこむ。

そんな3人並んで落ち込む3年生達を見た有咲は情けない3年生の姿を見て声が手でしまうが、3年生達は誰もその事を気にしている様子はなかった。

 

「あはは・・・。とりあえず、香澄ちゃん達にも連絡しとくね・・・?」

 

「私は香澄に連絡するからりみはおたえからで。急ぎだから電話で連絡するか・・・」

 

「うん・・・!!」

 

そう言って2人は同じバンドのメンバーに連絡し、りみが連絡したたえはバイトの休憩中だったのかすぐに電話に出てくる。

りみが簡単に事情を説明するとバイトの休憩終わりということですぐに電話が切れる。

 

「おたえちゃんには連絡したよ?そのまま沙綾ちゃんにも連絡するね?」

 

「ん・・・おう・・・」

 

「有咲ちゃん?どうかしたの?」

 

「いや、香澄のやつ電話に出ねぇんだよ。とりあえずメッセージ入れとくか・・・」

 

電話に出ない香澄にメッセージを送ろうとする有咲の横でりみは沙綾へと電話を掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その電話の向こうからは焦るような声が響いてきた。

 

「あっ沙綾ちゃん・・・」

 

『りみ!!大変なの!!この前のファミレスで見たのが出たの・・・!!』

 

「えぇ!?」

 

りみの驚く声に落ち込んでいたフォーゼが再起動する。

一気に緊張感が高まる室内にりみのスマホから沙綾とは違う、どこか間延びした別の声が響いてくる。

 

 

 

『もしも~し?』

 

「この声!!モカか!!」

 

『げんたろーさんもいたんだ~』

 

「それでどこにいるんだ!?」

 

『今、みんなで商店街にいたんだけど~。あたし達の学校に出た忍者?みたいなのがお店の外にいたさーやを襲おうとしてたんだけど・・・』

 

「だけど・・・?どうしたんだ?」

 

 

 

『ん~とね~。それを見たトモちんとイヴちんと美咲ちんの3人が大立ち回りしてるんだよ~』

 

「はぁ?とりあえず今から行くから待ってろ!!」

 

『は~い。とりあえずなんとかなってるけどみんなに伝えとく~』

 

「おう!!それと出来ればつぐの親父さんの服用意してくれ!!」

 

『ん?りょ~かい~』

 

その言葉と同時に電話が切れる。

 

「わりぃ!!行ってくる!!」

 

「あたし達もすぐに行くから!!」

 

「おう!!」

 

りみの言葉に応えたフォーゼが窓から飛び降りるとすぐにロケットで空を飛んでいく。

それを見送ったりみと有咲は未だに気落ちしている3年生を放置して、生徒会室から商店街へ向かって駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

「お客さんも来ないし、お店の前の掃除でもしてようかな」

 

弦太朗達がいなくなってからしばらく経つがそこからお客さんは誰も来ない。

店を離れるわけにもいかないからあまりやることがないからそそくさと店の奥から掃除道具を出してから店の掃除を始める。

 

「ふんふ~ん~」

 

 

先ほど取り付けた弦太朗との約束の事を思い出して鼻歌交じりで店も前を箒で掃く。

体感ではあっという間に店の前の掃き掃除を終えると店の窓を拭くために窓へと視線を向けるとそこには窓に反射した上機嫌な私の顔が映る。

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ・・・!?」

 

しかし、それもその後に写りこんだ物を見た途端、上機嫌な私の顔はすぐに恐怖の色に染まる。

 

私の後ろには以前にファミレスでモニカの子達と見た奴らが私のすぐ背後に迫って来ていた。

逃げだすのも不可能なほどに近寄ってきていて恐怖で身体が固まってしまっていた。

 

「そぉーい!!」

 

黒い影は突如としてピンク色の何かと共に私の後ろからいなくなるとそのピンクを視線で追った。

 

「美咲!?」

 

「山吹さん?大丈夫?」

 

そこにはミッシェルを着た美咲が黒いのを突き飛ばしていた。

驚いていたのも束の間、黒い奴はどこからか剣を出すと美咲目掛けて振り下ろすが鈍い金属音が美咲の方から響いてきた。

 

 

「なんで・・・?」

 

「黒服さん・・・ミッシェルに何入れたの・・・?」

 

黒い奴が振り下ろした剣はミッシェルの頭に命中した。

命中はしたが、その頭には刃が弾かれていたことには当の本人も困惑していたがその後ろには新しいのが出てくると美咲目掛けて剣を突き立てようとしていた。

 

「メーン!!」

 

「イヴまで!?」

 

美咲の次に出てきたイヴは持っていた木刀で黒い奴の手首を叩き、剣を叩き落していた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「まぁ・・・うん。ミッシェルが凄い堅くなってる以外は・・・って来るよ!!」

 

「参ります・・・!!」

 

その言葉と共にイヴが黒い奴の中に飛び込んで次々と黒い奴らから剣を叩き落しながら胴や面に木刀を打ち付けていく。

一方で美咲も剣を受け止めては次々と突き飛ばすと次々と黒い奴が塵になっていく。

 

 

 

塵になって数は減っているはずなのだが、塵となって消える度にどこからかまた黒い奴が現れてくる。

 

 

「まだまだです・・・!!」

 

「でも、まだこんなにいるのか・・・」

 

2人はまだまだ行けると言った様子だったが数が多すぎる。

なんとか抑えていたが1体が2人を抜けて私の方に向かって来るが、私の横を誰かが駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

「商店街で何やってんだ!!」

 

 

 

「巴!?」

 

 

 

「さ~や~」

 

「大丈夫!?」

 

「みんなまで!?」

 

私の横を駆け抜けていったのは巴が向かって来ていた黒い奴を蹴り飛ばすとイヴたちに混ざって黒い奴をなぎ倒いていく。

 

そんな彼女を追ってAfterglowのみんなが私の方へと走ってきていた。

 

「沙綾ちゃん!!大丈夫!?」

 

「うん・・・」

 

「弦太朗くん呼ばないと・・・!!」

 

「そうだ・・・!!弦太朗・・・!!」

 

ひまりの言葉を聞いて私はここでようやくスマホを取り出すと同時にりみから電話がかかってきたのですぐにそれに出た。

 

『あっ沙綾ちゃん・・・』

 

「りみ!!大変なの!!この前のファミレスで見たのが出たの・・・!!」

 

『えぇ!?』

 

 

りみの言葉の後ろでは弦太朗の声が聞こえたが私はもう完全にテンパってしまって、ここからの言葉が出てこない。

 

それを見たモカが私からスマホを奪い取ると代わりに話し出した。

 

 

「もしも~し?」

 

『この声!!モカか!!』

 

「げんたろーさんもいたんだ~」

 

『それでどこにいるんだ!?』

 

「今、みんなで商店街にいたんだけど~。あたし達の学校に出た忍者?みたいなのがお店の外にいたさーやを襲おうとしてたんだけど・・・」

 

『だけど・・・?どうしたんだ?』

 

 

蘭やつぐみ達が目の前の光景に困惑していたが、モカは少しだけ考える様な仕草を見せてたが目の前に広がっている光景をありのまま伝えていた。

 

 

 

 

「ん~とね~。それを見たトモちんとイヴちんと美咲ちんの3人が大立ち回りしてるんだよ~」

 

『はぁ?とりあえず今から行くから待ってろ!!』

 

「は~い。とりあえずなんとかなってるけどみんなに伝えとく~」

 

『おう!!それと出来ればつぐの親父さんの服用意してくれ!!』

 

「ん?りょ~かい~」

 

それと同時にモカが電話を切ると大立ち回りしている3人に声を挙げていた。

 

 

「みんな~もうちょっとしたらげんたろーさん来るって~」

 

「分かった!!」

 

 

 

 

その言葉を聞いた3人は先ほどよりも早く黒い奴らを倒していき―――

 

「ラストォー!!」

 

巴が最後に残った黒い奴を蹴り飛ばすと、黒い奴は完全にいなくなった。

それに少しだけ後れて、白い弦太朗が空から落ちてきた。

 

「待たせたな!!っていねぇのかよ・・・」

 

「弦太朗!!」

 

私は弦太朗に飛びついた。

ひまり達から視線を感じるが、流石に先ほどの事もあって引き剥がすようなことはしてこなかった。

 

 

「弦太朗・・・。あんた何してたの?」

 

「わりぃ。学校でも出て来て戦ってた後だったんだよ」

 

「如月くん!!これ!!」

 

蘭の疑問に返ってきた弦太朗の言葉に全員が驚いていたが、そんな中でつぐみが家から何かを持ってきていたけど・・・洋服?

 

「わりぃなつぐ!!ちょっと着替えてくるから待っててくれ!!」

 

変身したままの弦太朗はそれを受け取ると店の影に消えたことに疑問を感じた私達は全員で弦太朗の事を隠れて観察

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして弦太朗は変身を解くと、何故か上には何も来ていない状態で現れた。

 

「あいつ・・・何やってんの・・・?」

 

「なんで上に何も着てないんだ?」

 

「ほほ~」

 

「ブシドー・・・」

 

「何やってんだろ・・・あたし達・・・」

 

何食わぬ顔で素直に疑問を口にした蘭と巴。

何を考えているか分からないが声を挙げるモカに、自分のやっている行動に自己嫌悪を覚えているイヴ達。

 

「「「・・・・・・」」」

 

そんな中でつぐとひまりと私は弦太朗を凝視する。

つぐは顔を真っ赤にしているが、私とひまりは鼻から赤い情熱(鼻血)が溢れ出てきていた。

 

 

 

「お前たち・・・なにしてんだ?」

 

そんな状況がまるで理解できず、戻ってきた弦太朗は首を傾げていた。

 





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鼓・動・再・輝-4 そして推理はゼロになる

投稿です。
そろそろ正体明かしたい・・・!!
もっとキャラを曇らせたい・・・!!

アンケート・・・
装備解説と紗夜さん好きねぇ・・・
ダイザ―篇に紗夜さん登場確定だなこりゃ・・・


 

沙綾の事を聞いて学校からりみと有咲が商店街の羽沢珈琲店へと駆け込んできた。

商店街での騒動は終わっていたが、店内は異様な空気に包まれていた。

 

「悪い!!遅くなっ・・・ってなんだこれ・・・」

 

「どうなってるの・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗、あんたがいるとややこしいからあっち行ってて」

 

「おう・・・」

 

「ったく、ひまりも沙綾も何やってんだよ・・・。ほらとりあえず鼻にティッシュ詰めとけよ」

 

「どもえ・・・ごべん・・・」

 

「あたしもごめん・・・」

 

 

 

「美咲ちゃん達も大丈夫?」

 

「うん・・・。罪悪感感じてるだけだから・・・でも、何であんなことしたんだろ・・・」

 

「ぶしどー・・・」

 

店の隅に追いやられた弦太朗、鼻にティッシュを詰め込んでる沙綾とひまり、呟きながら頭を抱えている美咲という異様な光景が繰り広げられていた。

 

「有咲にりみりん~、おっつ~」

 

「あぁ・・・。モカちゃん・・・これってどういう状況なんだ?」

 

「げんたろーさんは関係ないけど、ひーちゃん達は欲望を解放して着替え覗いただけだから気にしないでいいよ~」

 

「あほくさ・・・」

 

事情が分からない2人にモカが分かりやすく説明するとアホらしくて言葉を失っていた。

そんな2人に弦太朗から声がかかる。

 

「りみに有咲来たのか!!・・・って紗夜たちはどうしたんだ?」

 

「学校に置いてきた。あの人たちはいいんだけど商店街で何があったんだ?」

 

「前にうちの学校で出た黒い奴が沙綾を襲ってたんだけど・・・」

 

「トモちん達が大暴れして、げんたろーさんが来る前にみんなやっつけたんだよ~」

 

 

 

 

 

「巴さん達は本当に同じ人間かよ・・・」

 

「私もそう思っちゃったよ・・・」

 

モカからの言葉に唖然とした表情を浮かべるが、すぐに有咲達も先ほど学校で起こった出来事をこの場にいる全員に話す。

そして全てを話した後、分からないことが多くて有咲が呟いてしまう。

 

 

 

「正体もだけど、あいつの目的も分かんねぇんだよなぁ・・・。あいつが弦巻さんにあれを渡してたって言ってたんだよな・・・?」

 

「うん。ほら、あの虫が大量に教室に入ってきた時だってこころはそう言ってたけど・・・。確かに、なんでこころに渡したんだろ・・・?」

 

「学校で騒ぎがあった後に貰ったってことは、もしかして今回の事件の犯人はうちの学校にいるのかな・・・?」

 

「でも、あれがあれば学校に入り込むのなんて簡単なんだからそう決めつけるのは早すぎるんじゃない?それに、有咲ちゃん達の学校で出た時は紗夜さん達が来たら逃げたんでしょ?」

 

「それがますます謎なんだよなぁ・・・。今の標的は私達なんだろうけど、だとしても紗夜先輩達が来たら逃げる意味が分かんないんだよな・・・」

 

「でもよ。有咲達を襲う理由と紗夜達を避ける必要がある・・・。そんなめんどくせぇ事をする必要がある奴なんているか?」

 

弦太朗の言葉を最後に会話が止まってしまう。

ピスケスの正体について考えようにも情報が少なすぎて行き詰ってしまった彼女達。

 

現在分かっているのは今の標的はポピパのメンバー達であること程度―――

そんな中でモカが何かを思い出して声を挙げる。

 

 

 

「あ~そう言えば~・・・」

 

「モカ?どうかしたの?」

 

「今回の敵って水出すんでしょ~?」

 

「うん。私も如月先輩のロボット乗ってた時に水出してるの見たし・・・」

 

「それで思い出したんだけど~。私達の学校で出た時にトモちんが屋上で戦ってた場所に水があったんだよね~」

 

 

モカの言葉を聞いて、驚く弦太朗達を他所に言葉の意味が分かっていない蘭がその意味を聞く。

 

「モカ、どういうこと?」

 

「蘭~。あの時トモちんが殴り飛ばして屋上から叩き落す前に体勢が崩れたの覚えてる?」

 

「それは・・・確かにそうだったような・・・」

 

「確か、モカがその後であのあたり見てたような・・・」

 

「うん~。それでそこに水があったんだよ~。最初はげんたろーさんが出した水が屋上まで来たとともってたんだけどね~」

 

「確かに弦太朗くんが水出してたけど、如月くん。流石に中庭から屋上までは届かないよね・・・?」

 

「試してねぇから分かんねぇけど・・・・。まぁ、上に向けて水は出してなかったと思うから屋上まで水が飛ぶとは思えねぇな・・・」

 

「じゃあモカ!?今回の犯人はあの時に巴を助けたってこと?」

 

「都合よく考えれば蘭が言った通りなのかな~って」

 

「でも、氷川先輩達を見逃して巴ちゃんを助ける様な人って・・・?」

 

「それにこころが誰かに似てたような気がするって言ってたのも気になるんだよね・・・」

 

りみと美咲の言葉に全員がそれに当てはまりそうな人物を考え始めると、ようやく復活したひまりがふと思い当たった人物の名前を挙げる。

 

 

 

 

 

 

「あこちゃん・・・?」

 

「ひまり・・・!!怒るぞ?」

 

「痛った~~!!巴!!頭叩いてから言わないでよ!!」

 

ひまりの言葉を聞いた巴が彼女の頭にゲンコツを降らせると、ひまりは頭を抱えてその場に蹲る。

そして、ひまりの言葉につぐみが反論する。

 

「確かにお姉ちゃんを助けて同じバンドのメンバーから逃げようとした・・・って考えられなくはないけど有咲ちゃん達を襲う理由がないよね・・・?」

 

「待てよ・・・?まさか如月が言ってたみたいにバンドリが理由か・・・?」

 

「有咲ちゃん?でも、学校ではそれは無いって言ってたよね?」

 

「・・・あの時はそうだと思ったけどさ。でも、モカちゃんの話を聞いて考えが変わったんだよ」

 

「どういうことだよ・・・!!」

 

ひまりに続いて有咲の身内が犯人なのではないかという疑いを向けられた巴は怒りを隠さない。

 

「巴さんには悪いけど、大体は羽沢さんの言葉と一緒かな?身内を助けてバンド仲間から逃げる。んで、バンドリに出るライバルたちは減らすためって考えるかなって・・・。まぁ、かなり厳しいけど・・・」

 

「あこがそこまで考えられるわけないだろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん?あこがどうしたの?」

 

「「「!?」」」

 

「あこ!?」

 

噂をすれば、話題に上がったあこ本人が店へとやってくる。

しかし、あこ1人だけではなくその後ろには思いがけない人物を引き連れていた。

 

「みんな。いたんだね?」

 

「どうも・・・」

 

「おたえにレイ?なんであこと一緒にいんだ?」

 

あこが一緒にいたのはたえとレイヤ。

たえとレイヤの組み合わせなら納得なのだが、そこにあこが加わると一気に謎が深まり、弦太朗が思わず一緒にいた理由を聞いてしまった。

 

「えっとね!!楽器屋でたまたまおたえ達に会ったの!!」

 

「うん。バイト終わったからギターの弦を買いに行ったときに会って、あこと会った後にレイも後から来たんだ」

 

「それで、なんでみんなはあこちゃんが店に入った時に驚いてたの?」

 

「えぇっと・・・その・・・」

 

「んとね~。花咲川と商店街で例の事件があってね~。犯人の正体があこちんじゃないか~って話の流れになっちゃったんだよ~」

 

 

 

「えぇ~!?」

 

モカの直球過ぎる説明に当の本人は驚きの声を挙げ、あこの後ろにいたたえ達が目を丸くして驚いていた。

 

「どういうこと?」

 

「この前がファミレスで見た黒い奴が商店街にも出たんだよ。おたえなら分かるだろ?」

 

「黒い奴って?」

 

「レイヤは見たことないのか・・・。黒くて忍者みたいなの・・・」

 

「えぇ!?」

 

有咲がダスタードの姿について非常に簡単に話すとレイヤとたえが驚きの表情を見せていた。

2人が驚く理由が分からないが、話を続けていく。

 

「今回の事件の犯人がそれを出してるんだけどよ。紗夜先輩達を見て逃げ出すわ、以前に巴さんを助けた疑惑が出てきて、それをしそうなので真っ先に出てきた名前があこちゃんだったんだよ・・・」

 

「アタシは信じてるぞ!!あこじゃないって!!」

 

「でも、なんてレイヤさんとおたえちゃんは驚いてたの?」

 

ここでつぐみが2人が驚いていた理由を質問するとここで予想外過ぎるレイヤの言葉が店内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それなら、さっき3人で一緒に見たよ。ね?」

 

「「「「「「えぇ!?」」」」」」

 

「あこ!?そうなのか!?」

 

「紗夜さんの時のだよね?それならさっき見たよ!!」

 

「でもすぐに逃げちゃったよね?なんでだったんだろ?」

 

その言葉によって今回の事件の謎はさらに深まっていく―――

 

 





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鼓・動・再・輝-5 The calm before the storm

投稿です。
あばばばば・・・

正体バラスのは次回・・・次回!!(なお、勘のいい読者ニキにはバレてる模様



 

あこ達から信じられない言葉を聞いてしまった面々の思考回路はショート寸前になってしまい、翌日集まることにして解散した。

 

その中で弦太朗に送られて帰路に着いている有咲とりみの2人にはピスケスの正体よりも気になっていることがあった。

 

「そういえば・・・有咲ちゃん。香澄ちゃんから連絡あった・・・?」

 

「いや・・・連絡がねぇんだよ・・・」

 

「寝てんじゃねぇのか?」

 

「香澄がそんな早い時間に寝るなんて考えらんねぇけどな・・・。仕方ないから明日香ちゃんに聞いてみるか・・・」

 

そう言って有咲はスマホを取り出して電話を掛け始めるが、弦太朗はそれが誰の事か分からずにりみへと質問する。

 

 

 

「明日香って・・・誰だ?」

 

「香澄ちゃんの妹だよ?弦太朗くん知らないの?」

 

「・・・そういえば、あことロックとかから名前だけは聞いたことあるような・・・」

 

そう言いながら弦太朗は会ったことのない香澄の妹について想像を広げ始める。

 

 

 

 

『ゲンちゃん先輩!!この子が妹のあっちゃんだよ!!』

 

『戸山明日香です!!』

 

『あっちゃん!!キラキラドキドキしよ!!』

 

『うん!!』

 

 

 

「すげー元気がある奴なんだろうな・・・!!」

 

「多分、想像してるのが全然違うよ・・・?」

 

本来の明日香とは全く違う想像を繰り広げた弦太朗が放った一言をりみは即座に否定する。

その会話を呆れながら聞いてた有咲がスマホをカバンの中へとしまい込んでしまう。

 

 

 

「有咲、その明日香には電話出来たのか?」

 

「それが繋がんねぇんだよ・・・。流石に家の電話までは聞いてねぇしな・・・」

 

「だったら家まで行ってみるか?」

 

「・・・流石にこの時間に家まで行くのは迷惑だろ。距離もあるしな・・・」

 

戸山姉妹に連絡がつかずに落ち着かない様子を見せ始める有咲。

それを見た弦太朗が香澄の家に行くことを提案するも常識的に家に行くのは迷惑な時間であることを考えて彼女は自分の気持ちを誤魔化してそれを却下する。

 

そんなモヤモヤした気持ちを持ったまま有咲の家まで到着してしまった。

 

「とりあえず、明日学校来た時に聞けばいいだろ・・・」

 

「香澄ちゃん・・・無事だったらいいけど・・・」

 

「香澄なら大丈夫だろ・・・。じゃあまた明日な・・・」

 

「またな!!」

 

 

そして有咲を送った2人はそのままりみの家に向かう。

そんな2人の話題は先ほどの出た明日香についてだった。

 

「でも、香澄に妹がいるなんて知らなかったな・・・」

 

「うん。明日香ちゃんって今は羽丘に通ってるんだけど、中学までは花咲川にいたんだよ」

 

「なんで、転校したんだ?」

 

「進学の事を考えて羽丘に行ったらしいよ?それに花咲川いた頃はお姉ちゃんと一緒に水泳部だったんだよ」

 

「ゆりのやつ、水泳部だったのか・・・」

 

「弦太朗くん。お姉ちゃんの事を考えてるでしょ・・・?」

 

「考えてたって言うか・・・、香澄の妹とゆりが同じ部活なんて思わなくてな・・・」

 

「お姉ちゃんが戻って来た時に会えればいいね」

 

「一緒に武道館見に行くって言ってたからな・・・。なら、そのためにも早くこんなの終わらせぇねとな!!」

 

「・・・うん!!そうだね・・・!!」

 

何気ない会話をしながら2人はそのまま夜の街を歩いて帰路に着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

帰路に着く彼らを物陰に隠れていた1人の少女がその背中を敵意剥き出しの視線を送っていた。

彼らが離れると手に握っていたスイッチを押してその場から離れて行ったことを彼らは全く気が付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな騒動があった翌日。

弦太朗はいつもよりも早く目が覚めてしまい、そのまま学校へと向かっていた。

その道中で見覚えのあるツインテールがフラフラとした足取りで歩く少女が現われた。

 

 

 

「おう!!有咲!!おはよ・・・のわぁ!?」

 

「おう・・・。朝っぱらから大きい声出すな・・・」

 

フラフラとした足取りで歩いていたのは有咲。

弦太朗はその顔に浮かんでいた真っ黒なクマに驚いたが、いつもの覇気はなかった。

 

「そのクマ、どうしたんだよ?寝不足か?」

 

「ちげーし・・・。香澄の事考えてたら一睡も出来なかった訳じゃねぇから・・・」

 

「全部言ってんじゃねぇか!!」

 

「だから大声出すなって・・・。頭に響くだろ・・・」

 

「わりぃ・・・、でも大丈夫か?」

 

「眠い・・・」

 

完全に自爆した有咲だったが、今の彼女はその程度の事にも気が付いておらず弦太朗の大声の文句しか言わない。

そんな彼女を見て弦太朗は眠気が限界に近い有咲の横をゆっくりと歩き始め、彼女が寝てしまわないように内容のない話を話し始める。

 

そんなことをしている間に花咲川や羽丘の制服を着た生徒達が彼らの視界に入ってきた頃に彼らの後ろから聞き覚えのある声が響いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん先輩~!!有咲~!!」

 

「「香澄!?」」

 

「2人ともおっはよ~!!って有咲!?凄いクマ!?」

 

2人の後ろに現れたのはギターを背負った香澄。

驚いている2人に駆け寄ってきた香澄も有咲の目の下に出来たクマを見て驚いてしまう。

そんな香澄を見た有咲は先ほどのフラフラした様子など感じさせることなく彼女の肩を掴んで身体を揺さぶりながら叫び始める。

 

 

「香澄~!!お前な~!!」

 

「有咲!?どうしたの!?」

 

「無事だったなら連絡しろよー!!」

 

「ちょっと有咲!?何のこと!?」

 

「それにお前!!なんでスマホに連絡したのに返事しねぇんだよぉ~!!」

 

有咲の叫びは周囲の視線を集めていたが、今の彼女はそんなことを気にする様子は全くなく目の前の香澄に以外へ意識が全く向いていなかった。

そんな有咲の言葉の意味を分かってなかった香澄だったが、有咲が放ったある単語を聞くと泣きだしてしまい彼女に抱き着いていた。

 

「うぁああああん!!有咲~!!」

 

「ぬわぁ!?香澄!?どうしたんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スマホ~!!」

 

「香澄!?」

 

「スマホ!!昨日、家に帰る途中に失くしちゃったんだよ~!!」

 

「はぁ!?お前なぁ!?連絡が取れないせいでこっちがどんだけ心配したとおもってんだよぉ~!!明日香ちゃんにも連絡したのに何でそっちで連絡しないんだよ!?」

 

「あっちゃん?ゲンちゃん先輩知ってる?」

 

「昨日香澄に連絡が来ねぇからって妹に連絡したらしいけど、返事なかったみてぇでな・・・」

 

「そうだったんだ・・・。昨日あっちゃんが帰ってくる前に寝ちゃって・・・。それに朝も私が起きる前にあっちゃんが学校行っちゃったから知らなかった!!」

 

 

 

 

 

 

「やばっ・・・。なんか急に・・・ねむ・・・く・・・」

 

「有咲!?」

 

「おい!!起きろって!!」

 

香澄に連絡がつかなかった訳―――

それは彼女がスマホを失くしたというなんとも呆気ない理由に有咲は絶叫すると寝不足と緊張からの解放感に襲われてしまい香澄に寄り掛かるように倒れてそのまま意識を手放して寝てしまった。

 

「ゲンちゃん先輩~!?どういうこと!?それに有咲はどうしよ~!?」

 

「何があったかは後で話してやるから、とりあえず学校に運んでやれよ」

 

「重いよ~!!」

 

「大丈夫だ!!手は貸してやるし、遅刻しそうになったら有咲を抱えてやるからな!!」

 

「えぇぇええええ~!?」

 

有咲に変わって今度は香澄が叫ぶと弦太朗と共に有咲を支えると、寝てしまった有咲を支えながら弦太朗は香澄へと話しかけていく。

 

 

 

「そういえば、香澄って妹がいるって聞いたぜ?どんな奴なんだ?」

 

「あれ?・・・あっ!!そう言えば話してなかったかも!?えっとね!!あっちゃんはね・・・!!」

 

「香澄・・・」

 

「あっ・・・。有咲寝てるんだった・・・。えっとね・・・あっちゃんはね・・・」

 

妹の事を詳しく話していなかったことを思い出すと勢いよく話始めようとするも有咲の存在に気が付くと声量を抑えながら可愛がっている妹について熱く語り始める。

 

そんな話をしながらも2人は周囲の注目を集めながら学校へと歩き出していったのだった。

 




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鼓・動・再・輝-6 事件の犯人(ホシ)。砕かれた星


投稿
本章はさらさらした流れで進行してます。
なお、その流れに反して約1名の心がボロボロにされる模様


 

「えぇぇぇぇぇえぇえええ!!」

 

眠っていた有咲を保健室に運び込んだ弦太朗達が午前中の授業を終えた。

 

昼休みに弦太朗を含めた”5人”は中庭に集まり昼食をとりながら、昨日起こった出来事を香澄に伝え、一通り話を聞いた香澄からは驚きの声を挙げていた。

 

「香澄、うるさいよ?」

 

「おたえ~!!それにみんなもなんで教えてくれなかったの!?」

 

「香澄、朝にお前スマホ落としたって言ってたじゃねぇか・・・」

 

「あはは・・・」

 

「でも、香澄?ちゃんと後で有咲に謝っときなよ?香澄の事を心配してて昨日の夜に心配になって私にずっと連絡してきてたんだよ?」

 

「それに今も保健室で寝てるんでしょ?放課後の蔵練は中止にする?」

 

 

 

 

 

 

 

「蔵錬はやるぞ~・・・」

 

「「「「有咲(ちゃん)!?」」」」

 

「よぉ!!いつ起きたんだ?」

 

「ついさっき・・・。でも香澄と2人で学校まで運んでもらって悪かったな」

 

保健室にいるはずの有咲の登場に一同は驚きながらも彼女の顔を見る。

朝に比べると格段に顔のクマは薄くなっており、そんな彼女を見た香澄が駆け寄って抱き着いてきた。

 

 

「有咲~!!」

 

「寝起きの相手に向かって叫ぶな!!それに抱き着くな~!!」

 

「有咲も叫んでる・・・」

 

「さーやから聞いたよ~!!も~照れ屋なんだから~」

 

「うるせー!!」

 

先日の出来事がなかったかのように香澄と有咲が騒ぎ出す。

それを見ながら彼らは昼食を再開し、食事を終えて少し経った頃に昼休みの終了のチャイムが鳴ると彼女達は教室へと戻ると午後の授業へと戻り、そして放課後に弦太朗は香澄達のいる教室へと足を運んでいた。

 

「香澄達いるか~ってどうなってんだこれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おなかすいたー」

 

「仕方ねぇ・・・遅いけど今からばあちゃんの弁当食うか・・・」

 

「あっ!!有咲ずるい!!」

 

「こっちはお前のせいで昼飯抜きだったんだらな!!ぜってー渡さねぇかんな!!」

 

「有咲の意地悪~!!」

 

弦太朗が入った教室では有咲が香澄から弁当を守りながら食べるという珍妙な光景に首を傾げていた。

 

全く昼食がとれなかった有咲と途中までしか食べなかった香澄は空腹に耐えながら残りの授業を乗り越えていたが、2人は空腹の限界を迎えてしまった。

そこで有咲はお昼に食べれなかった自分の弁当を食べ始めるとそれを見た香澄がそれを強請ってきて今の状態になっているらしい。

 

 

「なら、飯食ってから練習行けばいいんじゃねぇのか・・・?」

 

「だよね?」

 

「ほら、2人とも?練習だよ~?」

 

「片づけるからちょっと待ってくれ・・・」

 

「あ~!!」

 

目の前の2人を見かねた沙綾が声をかけると、有咲はスグに弁当をカバンにしまって帰る準備を終える。

それを見た香澄はしぶしぶ帰り支度を整えると6人は揃って学校を後にして歩き出して有咲の家の蔵を目指していた。

 

 

 

「お腹空いた~!!」

 

「練習前にお菓子でも食べよっか?」

 

「さーや!!」

 

「香澄ちゃん、さっきと違って元気だね・・・」

 

「なんか俺も腹減って来たな・・・」

 

「有咲、さっきのお弁当のハンバーグ・・・頂戴?」

 

「やらねーよ!!」

 

何気ない会話をしていた彼女達。

そんな彼女達の反対側から1人の少女が歩み寄ってくる。

弦太朗はその少女を見たことがないが、香澄はその姿を見てその少女目掛けて駆け出して抱きついた。

 

「あっちゃー---ん!!」

 

「おねーちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、あれが・・・」

 

「香澄の妹の明日香ちゃんだよ」

 

「でも、なんか変じゃない・・・?」

 

「変・・・?どこが・・・?」

 

「確かに・・・。香澄に抱きつかれても恥ずかしがってないし・・・」

 

「おたえ分かるか?」

 

「分かんなかった」

 

彼女達に歩み寄っていた少女の正体は香澄の妹である明日香だった。

明日香に気が付いた香澄は彼女に飛びついて抱き着き、抱き着かれた明日香もどこか嬉しそうな表情を浮かべる姿に見た弦太朗達だったが、その事が姉妹がいるりみと沙綾にとっては何か違和感を感じていた。

 

そんな中で有咲は明日香に抱きついている香澄へと声をかける。

 

「香澄。そろそろ練習行くぞ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔しないで・・・」

 

有咲の言葉に明日香が彼女らしくない言葉を呟くと、それと同時に戸山姉妹と有咲達の間で突如として爆発が起こる。

 

 

「明日香ちゃ・・・?うわぁ!?」

 

「きゃあぁあ!!」

 

「何!?」

 

「先輩!!あれ・・・!!」

 

「なっ!?なんで!?」

 

爆発の原因はどこからともなく現れたダスタードが放った爆弾。

ダスタードの出現に驚いていた彼女達だったがダスタードの次の行動を見て彼女達は凍り付いた。

 

「えっ!?」

 

「どうして・・・?」

 

 

 

 

 

 

「なんで香澄達を守るみたいに並んでるの・・・?」

 

ダスタード達は戸山姉妹を背にして立っているという信じられない光景を前にして困惑する彼女達だったが、少しだけ冷静になった有咲の頭には最悪の考えが思い浮かんだ。

 

「まさか・・・今回の犯人って・・・明日香ちゃんか!?」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「あっちゃん・・・。嘘・・・だよね・・・・・・?」

 

驚きの声の中で、香澄がその言葉を信じられず明日香へと問いかけるが彼女からの答えは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「下がってろ!!」

 

明日香は言葉ではなくダスタードを差し向けることでそれに答えると、弦太朗はドライバーのスイッチを入れながらと有咲達の前に出てダスタード達に立ち塞がるとドライバーからカウントが響く。

 

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

  

 

「変身!!」

 

「・・・」

 

「宇宙・・・きたぁああああああああ!!」

 

「明日香ちゃん!!どうしてこんなことしてんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話しかけないでよ・・・」

 

その言葉と共に弦太朗はフォーゼへと変身すると、そのままダスタードへと殴り掛かり、目の前の光景から自身の考えが間違っていなかったことを察した有咲は明日香へ向かって叫ぶが、彼女から返ってきたのは拒絶の言葉だった。

 

「なんで学校で有咲達襲ったり!!商店街で私を襲ったり!!こんなことするの!!」

 

 

 

 

 

「折角お姉ちゃんと話してるんだから黙っててよ・・・!!」

 

沙綾によって香澄との会話を遮られたことに不満を隠そうともしない明日香。

彼女はポケットからスイッチを取り出すと不敵な笑みを浮かべ、有咲は明日香が持っているスイッチを見て叫ぶ。

 

「あれって・・・!!瑠唯ちゃんの時のと一緒だ・・・!!」

 

歪んだ笑みを浮かべて彼女は自分のスイッチを押すと、その体は有咲とりみが昨日見たピスケス・ゾディアーツへと変わっていく。

 

「嘘だろ・・・!!」

 

「みんなが言ってたけど・・・本当に魚だ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あっちゃん・・・。本当にあっちゃんがみんなを襲ったの・・・?」

 

「うん!!そうだよ!!だって私からお姉ちゃんを奪ったんだから痛い目に会ったほうがいいよね?」

 

信じられないといった様子で香澄が明日香に問いかけると180度態度を変えて嬉しそうな表情で答えると、その言葉を聞いて明日香とは対照的に香澄の表情が曇る。

 

 

 

 

「瑠唯ちゃんやこころちゃんにスイッチ渡したのは明日香ちゃんなのか!?」

 

「なんでなの!!」

 

「さっきから会話の邪魔するなって言ってるでしょ!!」

 

苛立ちを隠さずにピスケスはそのまま水流を思わず叫んでしまった有咲と沙綾へ放つとそれに呑まれて2人はそのまま地面へと倒れる。

 

 

「うわぁ!?」

 

「きゃあ!!」

 

「有咲ちゃん!!沙綾ちゃん!!」

 

「2人とも大丈夫?」

 

「冷たっ!!全然大丈夫じゃねぇ!!」

 

「怪我はないけど・・・」

 

 

 

 

「次、邪魔したら許さないから・・・」

 

「あっちゃんがこころちゃん達に・・・?」

 

「うん!!だってそうしたら私からお姉ちゃんを奪ったあの人たちを消してくれるかな?って思って!!それに、私がいるんだからこれもいらないよね?」

 

「私のスマホ・・・!!」

 

「大丈夫!!これが壊れても私がずっと一緒にいるからね・・・?」

 

「あぁ・・・」

 

嬉しそうな声で話すピスケスが香澄が失くしたはずのスマホを取り出すとそれを嬉々として香澄の目の前で粉砕する。

その光景にに香澄の心が削られて言葉を失ってしまい、そんな中でたえが思ったことをつぶやいてしまった。

 

 

 

 

「でも、なんで紗夜先輩とかあこ達が来たら帰っていったのかな・・・?」

 

「だって、あこと六花は友達だから。そのバンドの人は傷つけたら可哀そうでしょ?」

 

たえの呟きにピスケスはそのまま答えるとその間にフォーゼが割り込んでくる。

 

「香澄の妹でも関係ねぇ!!こっからはタイマンはらせてもらうぜ!!みんなは下がってろ!!」

 

「弦太朗・・・うん!!」

 

「行こ!!」

 

フォーゼの言葉を聞いて4人はその場を離れて行くが、ピスケスはそれを追うことはなくフォーゼを見ていた。

 

「まぁ・・・あの人たちはいつでも消せるからいいか」

 

そう呟くと同時にフォーゼへと水流を放つが、フォーゼはそれを完全に見切っていた。

 

 

「遅ぇ!!」

 

――ロケットON――――――――

 

水流が直撃する前にロケットを使って空へと逃げるが、ピクシスはそのままフォーゼを狙い続ける。

 

「だったらこうだ!!」

 

何を思ったのかフォーゼはロケットを切るとピスケス目掛けて落下していく。

それを見てピスケスはそのまま落下してくるフォーゼを水流で狙い打つが、フォーゼは水が当たる直前にスイッチを起動する。

 

――――――ボードON――――

 

「いっやっほおおおおおおおおおおおお!!」

 

「っ!?」

 

 

 

スイッチの起動と共に左足に現れたボードでピスケスが放った水流の上を滑りながらピスケスへと迫る。

 

「おらぁ!!」

 

「うあぁ!!」

 

「香澄!!」

 

「ゲンちゃん先ぱ・・・!!」

 

「お姉ちゃん・・・!!」

 

フォーゼはそのままピスケスの顔面にボードで着地して近くにいた香澄の腕を掴もうと手を伸ばして香澄の腕をとるが、ピスケスも香澄へ向けて腕を伸ばしておりその腕は彼女が背中に背負っていたギターケースを掴んでいた。

 

 

そして香澄はフォーゼの腕の中に納まり、ピスケスの手には香澄が背負っていたギターケースが残された。

 

「ギターが!!」

 

 

 

 

「そっか・・・そうすればよかったんだ・・・!!」

 

香澄がギターへ向けて手を伸ばすがその手は届くことはなく、それを見たピスケスは何かを思いついてギターケースから香澄のギター(ランダムスター )を取り出すとおもむろにネックを両手に掴む。

 

「ギターを始めてからこうなったんだから・・・、ギターが無くなればいいんだ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「あっちゃん!!やめて!!」

 

「あはははは!!」

 

そして香澄は彼女が何をするかを察して声を挙げる。

しかし、その声も虚しく香澄の星(ランダムスター )は呆気なく破壊されてしまうのだった。

 

 





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カウント・the・スイッチ
39/40 (コズミック君!!スタンバイお願いしまーす!!


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鼓・動・再・輝-7 電話の相手は一体何を語るのか


投稿です。
そういえばゆりが行った海外の大学って場所の名言なかったよなぁ・・・
時差?そんなこまけぇことはいいんだよ!!




 

「あはははははは!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」

 

「おい!!香澄!!しっかりしろ!!」

 

「これで・・・お姉ちゃんは私と一緒にいてくれるよね・・・?だからこれはもう捨てちゃうね・・・」

 

「・・・っ!!」

 

「おいっ!!おたえ!!」

 

 

ピスケスは姉の大切な物をこの手で壊した事に喜びに浸りながら笑い、目の前でギターを砕かれた香澄は絶叫と共に崩れ落ちる。

 

そして手に持っているネックが折れたギターに完全に興味が失せたピスケスはそのまま宙にそれを頬り投げると離れていたたえが有咲の静止を振り切ってギターを受け止めるために駆け出す。

 

しかし、ピスケスはギターを壊してから完全にたえ達への関心を失ってしまい、そちらに一切視線を移さない。

 

 

 

「とった・・・!!」

 

「おたえちゃん・・・!?」

 

「りみ、大丈夫だよ?」

 

「良いから早く逃げるぞ!!如月!!香澄連れて逃げろ!!」

 

「分かった!!」

 

有咲はフォーゼに叫ぶと4人でこの場から逃げ出始め、フォーゼも有咲の言葉に従う為にボードスイッチを切ると香澄を抱え直して有咲達とは逆方向へと走り出す。

 

 

 

「・・・逃がさない!!」

 

しかし、逃げ出そうとするフォーゼへとピスケスが迫ろうとしていたがそんな中でフォーゼは片手でドライバーのスイッチを交換してすぐさま起動する。

 

――――スモークON――――――

 

「食らえ!!」

 

フォーゼは右足からスモークをピスケス目掛けて噴射する。

スモークが直撃したピスケスはその場で足を止めてしまう。

 

目の前にフォーゼがいるのは分かっているが、その横には香澄がいるためピスケスは水流や近づいて攻撃することを躊躇ってしまう。

 

「あばよ!!」

 

「待てっ・・・!!」

 

 

足が止まったピスケスを見たフォーゼはそのままスモークを浴びせながらスイッチを交換しながら捨て台詞を吐くと同時に起動する。

そのセリフを聞いたピスケスは以前のように空に逃げると踏んで香澄に構わず水流を空へ向けて放つ。

 

 

 

 

 

 

――――――ホイールON――――

 

空へ逃げると思っていたピスケスだったが、実際にフォーゼが起動したのはロケットではなくホイールスイッチだった。

起動と同時にフォーゼは地上を走り出し、入り組んだ住宅街の中へと消えていった。

 

そして、スモークが晴れるとピスケスだけがその場所に取り残されていた。

 

 

 

「お姉ちゃん・・・。どこいったのかな?蔵かな?それともパン屋かな?でも、私の待ってる家に帰って来てくれるよね?」

 

香澄を取り逃したピスケスはそんな言葉を呟きながらスイッチを切ると日が落ちた空を見上げて呟きながら明日香の姿へと戻ると姉が帰ってくるであろう我が家へと何食わぬ顔ですっかり帰っていった。

 

 

 

 

 

その一方で―――

 

「おい!!香澄!!」

 

「・・・」

 

ピスケスから逃げ切ったフォーゼは香澄へと声をかけるが彼女から返事はなく、追手が来ていないことを確認してフォーゼは変身を解く。

 

「でも有咲達はどこに行ったんだ・・・・?蔵か沙綾の店か・・・とりあえず行くか・・・」

 

有咲達がどこに逃げようとしたか分からない。

もしかしたら現在も逃げてる最中かもしれないと考えた弦太朗はが思い当たる場所を考えながら香澄を背負ってから歩き出そうとするが、その時に彼のマグフォンから着信音が響きだと香澄を背負ったままマグフォンを取り出してその電話に出る。

 

「もしもし・・・?」

 

『如月!!香澄はどうした!?』

 

「有咲か!!こっちは香澄と一緒に逃げ切ったけどそっちはどうだ?」

 

電話の相手は有咲で開口一番に香澄の事を聞いてくるが、逃げ切ったことを有咲に伝えると電話の向こうからは安心したような声が聞こえてくる。

 

『あぁ、こっちも全員いる』

 

「それでみんなはどこにいるんだ?蔵か?沙綾の店か?」

 

『・・・弦巻さんの屋敷だよ』

 

「こころの屋敷!?なんでそんなとこにいんだ?」

 

有咲から告げられた居場所に弦太朗は驚きを隠せず、思わず聞き返してしまった。

 

『逃げてる最中にハロハピの人たちに会ってな。それで車に乗せてもらってな・・・』

 

「でも、この前にそこで戦ったばっかりだぞ?」

 

『だから、明日香ちゃんもそんな場所に逃げてるなんて思ってないと思ってな・・・。それでお前らはどこにいるんだ?』

 

「えぇっと、ここは・・・羽丘の近くか・・・?」

 

『弦巻さんの家の人が車で迎えに行ったから待ってろ』

 

その言葉を最後に有咲の通話が終わってその場で待っているがその間も香澄が意識を取り戻す素振りすら見せない。

 

そこで弦太朗は待っている間にマグフォンでとある人物に電話をかける。

 

「よぉ!!今時間大丈夫か?」

 

『時間はあるけど・・・いきなりどうしたの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと聞きてぇ事があるんだよ。ゆり」

 

弦太朗が電話を掛けた相手。

それはりみの姉で海外にいるゆりであった。

いきなり電話がかかって来たことにゆりは驚いたような言葉が出てくるが、彼女の内心は電話がかかって来て浮かれているのが声色からはっきりと分かるのだが、弦太朗はそれに全く気が付いている様子もない。

 

『それで弦太朗が聞きたいことって何?』

 

「香澄の妹の明日香ってどんな奴なんだ?」

 

『・・・・・・はい?』

 

「ゆりが高校の時に水泳部で明日香と知り合いって聞いてな」

 

『ごめん。ちょっと何言ってるか理解できない・・・』

 

りみ経由で連絡先を教えた弦太朗から電話が掛かってきたと言う事実に完全に舞い上がっていたゆりだったが、彼からの一言で舞い上がっていた気持ちが完膚なきまでに砕かれて思わず聞き返してしまった。

 

「えぇっと・・・。さっき香澄の妹の明日香に会ったんだけど香澄の事で喧嘩になっちまってな・・・。香澄に聞けないからどうしようかと思ってたんだけど、前にりみからゆりと明日香が知り合いだって聞いたのを思い出してな」

 

『ふ~~~~~~~~~ん・・・』

 

「・・・?なんだよ?」

 

弦太朗はゾディアーツや仮面ライダーの事を伝えずに、ゆりになんとか事情を話そうとするが彼女から返ってきたのは何とも言えない返事。

その意味が分からず弦太朗は聞き返してしまったがゆりから帰ってきたのは素っ頓狂な答えだった。

 

 

 

 

『弦太朗は年下の子が好きなんだな~って』

 

「バカやろう!!そんなんじゃねぇって!!」

 

『あはは!!流石に冗談だって!!でも、明日香ちゃんかぁ・・・。正直そこまで詳しくはないんだよね・・・』

 

「まぁ・・・。同じ学校でも高校と中学じゃ関係ねぇか・・・」

 

『そうだね。明日香ちゃんは水泳部でも選手に選ばれるくらいの人だったんだけど、弦太朗が聞きたいのってこういうのじゃないよね?あーそう言えば結構りみに似てるかも?』

 

「りみに?どういうことだ?」

 

『本人は隠してるつもりなんだろうけど、傍から見たらお姉ちゃんが好きって言うのが分かっちゃうんだよね~。まぁ、りみはそんなに隠してないけどね』

 

「姉が好き・・・ねぇ・・・」

 

『弦太朗は一人っ子だから分かんないか・・・』

 

「そんなもんか?」

 

『ふふっ、お姉ちゃんのことが好きな妹って言うのは、案外それを隠すのが苦手なんだよ』

 

「あ~、周りのやつもそんな感じだな・・・」

 

『私が分かるのはそんな所かな・・・?参考になったかな?』

 

「サンキュ!!ゆり!!」

 

 

 

 

 

 

 

『それなら良かった。それじゃあ私はシャワー浴びてくるから・・・シャワーの写真はいる・・・?』

 

「なっ!?何言ってんだよ!!」

 

『流石に冗談だよ・・・!!それじゃ、またね!!』

 

「またな・・・!!」

 

その言葉でゆりとの通話が終わるのとほぼ同時に黒服がやってくると背負っている香澄と共に車に乗り込むとすぐに車は屋敷に向かって走り出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、遠い異国の地では―――――

 

「うわぁぁぁぁぁあああ!!弦太朗との電話に浮かれちゃって、何てこと言っちゃったんだろう!!わたしぃぃぃぃいいいいい!!」

 

最初に上げて落とされたのにも関わらず弦太朗との会話中に再び浮かれてしまったゆりは自身が言ったトンデモナイ発言を思い出してベッドの上で悶えていたが、そんな事は誰も知る由もなかった。

 

 





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鼓・動・再・輝-8 哀歌・ブロウクンハート

投稿です。
小ネタ案考えるのに逃げてた(残業のせいで書けなかったなんて言えない

これいつもと同じくらいの長さで終わんのか・・・?


 

こころの屋敷へとやってきた弦太朗は香澄を背負い直して屋敷の扉を開ける。

その扉の向こうにはポピパとハロハピのメンバーが待ち構えていた。

 

「弦太朗!!よく来たわね!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!かーくん!!」

 

「よぉ」

 

「「「「香澄(ちゃん)!!」」」」

 

 

 

 

 

「儚い・・・」

 

「ふえぇ~!!」

 

「いや、その反応はおかしいですからね?」

 

「おい!!香澄は!?」

 

「あの時から目を覚ましてねぇけどな・・・」

 

「相当ショックだったんだろうね・・・」

 

「ベットで寝かせあげましょう!!」

 

「わりぃな・・・」

 

「みーくん達も行こ!!」

 

 

弦太朗が屋敷に入ると、美咲以外の2年生組が弦太朗達へと駆け寄っていく光景の薫達はいつも通りの反応で思わず美咲はツッコんでしまうが誰もそれを聞いていない。

そして弦太朗はこころの提案によって香澄を客室のベットに寝かせると部屋の外に出ると入れ替わるようにポピパとこころ達が部屋へと入っていくのを見送ると薫が話を切り出しいく。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗が来る前にたえちゃん達から話は聞かせてもらったよ。相当大変な事態になっているみたいだね」

 

「まぁな・・・」

 

「それにしても、こころちゃんにあれを渡したのが香澄ちゃんの妹だったなんて・・・」

 

「こころは”誰かに似てる”って言ってたけど、戸山さんの妹だったらそりゃ似てるよね・・・」

 

「美咲ちゃん?もしかして・・・怒ってる?」

 

弦太朗より先にたえ達と合流した薫たちはピスケスの正体も話していたようで美咲の言葉から花音はそれに含まれていたわずかな怒りを感じ取っていたが、何か複雑な表情を浮かべていたので思わず彼女は聞いてしまった。

 

 

「怒ってないって言ったら嘘になりますけど、戸山さんの事を考えると素直に怒れないって言うか・・・」

 

「どういうことだい?」

 

「仮に自分が今の戸山さんの立場になったら―――って考えが浮かんじゃって・・・」

 

「それで美咲ちゃんは香澄ちゃんの気持ちを考えて素直に怒れないってこと・・・?」

 

「自分でもよく分かってないんですけど花音さんの言うのが一番しっくりきますね。でも花音さんよく分かりましたね?」

 

「私も美咲ちゃんと一緒で下の兄妹がいるから・・・。同じような状況になったらそうなっちゃうのかな?って・・・」

 

 

「花音は凄いね・・・私は兄弟がいないから想像できなかったよ・・・」

 

「俺もだな・・・」

 

兄弟がいる2人は似たようなことを考えていたが、一人っ子の2人は話を聞いて納得した表情を浮かべていたが薫は途端に申し訳なさそうな表情に変わる。

 

「でも、今回は私は何も出来そうにないね。香澄ちゃん達とは学校も違うし、香澄ちゃんの妹―――明日香ちゃんとも関わりはないからね・・・」

 

「薫さん・・・。私も学年違うから同じだよ・・・」

 

「私は戸山さん達とクラス一緒ですけど、そこまで手伝えることは・・・。黒服さん達が頑張ってくれてますけどアレもまだ片腕が直ってないみたいですし・・・」

 

「ミッシェルがいてくれればいいんだが・・・儚い・・・」

 

「「「・・・」」」

 

 

 

薫はその言葉を言うと同時に香澄がいる客室の扉の前で黄昏始めるが、弦太朗はそっと花音と美咲の2人に小声で話し始める。

 

「そう言えば、美咲にはミッシェルがあるだろ?この間も商店街で薫たちと大暴れしてたじゃねぇか」

 

「ふえぇ~!?」

 

「いや、あれは頭が異常に硬くなってたの以外はただの着ぐるみですよ!?」

 

「じゃあ、なんで商店街で大暴れしてたんだよ」

 

「いや、山吹さんが危ないって思ったら身体が動いてたって言うか・・・。生身だとあんな風に動けませんけどね?」

 

「ふえぇ~」

 

「普通逆じゃねぇか・・・?」

 

美咲の言葉に驚きの声を挙げる花音と思ったことを口に出してしまう弦太朗だったが、薫は今の会話を一切聞いていなかったようで未だに黄昏ていると客間の扉がおもむろに開かれ薫は突然の出来事に驚いて扉へと振り返ってその正体を確認する。

 

 

そこにいたのは香澄のギターを抱えたたえ。

彼女はギターを抱えたまま部屋から出てくるとそのまま外に出て行こうとするが、咄嗟に美咲がそれを阻止しようと声を変える。

 

「ちょっと花園さん!?どこ行くの!?」

 

「香澄のギター・・・直してもらわないと・・・」

 

「でも、こんな時間に楽器屋なんてやってねぇだろ?」

 

「ふえぇ~。それに・・・危ないよ・・・?」

 

「ギターなら大丈夫だよ?なんとかしてくれそうな人は知ってるから」

 

「たえちゃん。明日じゃダメなのかい?」

 

「うん。早く行かないとギターが可哀そう・・・」

 

弦太朗含めて全員でたえを止めようとするが彼女は彼らの静止を聞こうともしない。

最初に折れたのは弦太朗だった。

 

 

 

「そこまで言うなら、仕方ねぇな・・・。俺が一緒に行ってやるよ」

 

「如月くんが一緒なら大丈夫かもしれないけど・・・有咲ちゃん達は・・・?」

 

「有咲はここに来る可能性は低いって言ってたけどな・・・」

 

「まぁ・・・。最悪修理中のあれで弦太朗が来るまで美咲が時間を稼げばいいさ・・・」

 

「私が働く前提ですか・・・。まぁ、仕方ないか・・・」

 

「じゃあ・・・。先輩、いこ?」

 

「なんかあったら連絡してくれ!!」

 

弦太朗はたえと共に弦巻邸から出ると、何故か弦太朗のバイクが止めてあったことに驚きつつもそれに乗るとたえは香澄のギターを抱えながらその後ろに跨る。

 

「それでどこ行けばいいんだ?」

 

「とりあえず・・・あっちで」

 

「あっち?せめて場所くらいは教えてくれ」

 

「んっ?だからあっち・・・」

 

何故か目的地の場所を言わずに方向だけを指差すたえ。

仕方なく弦太朗はその絶えの指示に従ってバイクをその方向へと走らせていくが―――

 

「ごめん先輩。道間違えちゃった・・・」

 

「だから最初から場所を教えてくれよ!!」

 

 

 

 

たえが道を間違えるという些細な問題を起しつつも弦太朗はたえがいう目的地へと辿り着いた。

その場所には弦太朗はも覚えがあり、彼はバイクの後ろに乗ってここへと案内したたえへと視線を向ける。

 

「なぁおたえ・・・ここって・・・」

 

「チュチュのところだよ?いこ?」

 

「おいっ!!おたえ待てよ!!」

 

たえはそう言ってバイクから降りるとそのままマンションの中へと歩き出し、慌てて弦太朗も後を追うがオートロックのドアが彼らの前に立ちふさがる。

 

「先輩・・・どうしよう・・・」

 

「考えてなかったのか・・・。チュチュに電話すりゃいいんじゃねぇか?」

 

「携帯、こころのところに忘れてきた・・・」

 

「俺もチュチュの連絡先聞いてなかったな・・・。パレオに電話してみっか・・・」

 

弦太朗はその場でマグフォンを取り出してパレオに電話を掛けようとしたが、それと同時にオートロックのドアが開くとそのドアの向こうから彼らの見知った顔が現れ、その人物も弦太朗達の姿を見てドアの前で足を止めてしまう。

 

「あれっ?たえ先輩に如月先輩?どうしてここに?」

 

「ロックじゃねぇか!!練習帰りか?」

 

「はいっ!!ってたえ先輩!?その抱えてるのって!?何があったんですか!?」

 

「先輩、ロック。行こ?」

 

「おう!!」

 

「ちょっとたえ先輩!?」

 

ロックはたえの持っているものに驚いてたえに質問するも、彼女からの答えはなくそのまま腕を掴まれてしまう。

 

そしてそのまま説明がないままたえは弦太朗とロックを連れてチュチュのスタジオへと乗り込んでいくとロック以外のRASが全員集合していた。

 

 

「ロックさん?忘れ物ですか・・・?ってハナさん!?どうしてここに・・・?」

 

「よぉ!!パレオにチュチュも久しぶりだな!!」

 

「なんでBadBoyも一緒にいるのよ!?」

 

「お久しぶりです!!それで本日はどのような・・・って!!」

 

「おい!!ハナが持ってるそれって・・・」

 

「香澄ちゃんのギターだよね?しかもネックが真っ二つに折れてるし・・・」

 

 

 

 

「ハナゾノ!!カスミのギターがなんでそんなことになってるのよ!?」

 

「・・・チュチュ?これ直せる?」

 

突然やってきた弦太朗とたえに疑問を持ったRASのメンバー達だったが、たえが抱えていた香澄のギターを目にして疑問よりも驚きが勝る中でたえは要件をチュチュへと告げる。

 

「ちょっと話を聞きなさい!!どうしてカスミのギターがそんなことになってるのか説明しなさいよ!!」

 

「実は6人でいる時に変なのにバケモンに襲われてその時に折られちまってな・・・。そんで香澄のやつがショックで意識失っちまってな・・・」

 

 

 

 

 

 

「はぁ?BadBoy・・・あんた何言ってるのよ・・・」

 

チュチュは弦太朗の言葉が理解できていなかったが、他の4人は以前の出来事から彼の言葉の意味を理解すると4人は互いの顔を見合わせていた。

 

「それで・・・チュチュ、これ直せる・・・?」

 

「無理ね・・・。ハナゾノならそのくらい分かるわよね?」

 

「そうだけど・・・」

 

「ちょっと待ってなさい・・・・パレオ!!」

 

「はい!!チュチュ様!!」

 

そう言い残してチュチュがパレオを引き連れてスタジオから出ていくと、ロック達3人は弦太朗へと視線を向けると、ますきが最初に声を挙げた。

 

 

「そういや、商店街で騒ぎがあったって聞いたけど、アレも弦太朗の関係か?」

 

「うん。沙綾が襲われたんだけど。巴達が助けてくれたの」

 

「そうだったんだ・・・」

 

「そうだ。あこにも話しておかねぇといけねぇんだけど、ロック聞いてくれ」

 

「なんでしょうか?あそれにあこちゃんにも話しておかないといけないってどういう・・・」

 

ロックはその言葉の意味が分からずに首を傾げ、それを見た弦太朗は答えにくそうな表情を浮かべるが意を決して事件の犯人を告げた。

 

 

 

 

 

「実は、今回の犯人は香澄の妹なんだよ・・・」

 

「明日香ちゃんが!?どうして!?」

 

「なんでも、香澄の事を有咲に盗られたって言ってたけどな・・・」

 

「香澄先輩・・・?」

 

「・・・それって危なくねぇか?ロックと一緒の学校なんだろ?」

 

「昨日おたえとレイとあこの3人で楽器屋行ったときに襲われなかったしな」

 

「それさっき聞いたんだけど「あこと六花は友達だから。そのバンドの人は傷つけたら可哀そう」って言ってたから大丈夫だと思うよ?」

 

「でも、気をつけておくことに越したことはねぇだろ?」

 

「うん。ロック気を付けてね?」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

「Hey!!待たせたわね!!」

 

「おう。ってパレオの持ってるそれって・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「香澄のギターと一緒のランダムスターだよ・・・。ヘッドとかがちょっと違うけど・・・」

 

チュチュとパレオがスタジオに戻ってくると、パレオの手にはギターが握られていた。

その事にスタジオに残っていたメンバーが驚く中で弦太朗が疑問を口にした。

 

「でも、なんでそんなのがここにあんだよ?レイ達は知ってたか?」

 

「ううん。私も初めて知った・・・」

 

「私もです・・・」

 

「コレクションとして昔に買ってたのよ・・・」

 

「とおっしゃっていますが、実はPoppin'Partyの研究をすると言って最近買ったばかりなんですよ!!それにRoseliaの方々が使ってる物も・・・」

 

 

 

 

「パ~レ~オ~!!いいから渡しなさい!!」

 

弦太朗の疑問にチュチュは答えるも、横に控えていたパレオが本当の事を暴露するとチュチュは顔を赤くしながらパレオに向かって吼えるとその手に持っていたギターをひったくる様に掴むと弦太朗へと押し付けるとたえが持っている壊れたギターを奪い取る。

 

「トヤマカスミに伝えておきなさい。ギターはこっちで直すからそれまでは貸したギターを使いなさいって」

 

「・・・チュチュ!!ありがとう!!」

 

「別に・・・!!礼を言われる筋合いはないわ・・・」

 

「でもなんでそこまでするんだ?」

 

「何を言ってるのよBadBoy。私がポピパとRoseliaをぶっ潰すのよ!!それまでに赤の他人に潰させる訳にはいかないのよ!!用が済んだなら帰りなさい!!パレオ!!お客様がお帰りよ!!」

 

チュチュはそう言ってたえと弦太朗をスタジオから追い出す。

そして、2人がバイクまで戻ると行きと同じようにバイクに跨ったタイミングで弦太朗へと着信が入るとすぐさまマグフォンを取る。

 

『弦太朗くん!!香澄ちゃんが起きたよ!!』

 

「りみ!!本当か!?」

 

『うん・・・でも・・・』

 

「でも?なんかあったのか?」

 

りみが慌てたような声で香澄の目覚めを知らせてきたと思った途端、声のトーンが下がっていく。

その原因が分からない弦太朗は何があったのか聞くとりみかトーンが下がったまま答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

『起きたんだけど、ショックで声が出せなくなっちゃったのみたいなの・・・』

 





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鼓・動・再・輝-9 傷心

投稿です。

章全体の構成は出来てて現在曇らせまくってますが、
最終的には戻るはず・・・はず!!



 

香澄が声を出せなくなった――――

 

その連絡を受けた弦太朗はギターを抱えているたえを乗せてチュチュのマンションから弦巻邸へとバイクを走らせてる中でたえはボソッと呟いていた。

 

「香澄・・・また・・・」

 

「またってどういう事だ?」

 

「実は前にも香澄に同じことがあったから心配・・・」

 

「そうだったのか・・・」

 

「うん・・・。ギターが直るまでに治るといいけど・・・」

 

「そんな心配だったら早く戻んねぇとな・・・」

 

「うん・・・。だから先輩は香澄のところまでお願い・・・」

 

その言葉を受けた弦太朗は出来るだけ急いで弦巻邸へと向かい、バイクが弦巻邸へと着いた途端にたえはバイクを降りて香澄の元へと走り出してしまう。

たえの背中を見た弦太朗はバイクを止めると彼のマグフォンから着信音が響いていることに気がついて手に取った。

 

 

 

 

「ったく、今日は大活躍じゃねぇか・・・。もしもし?」

 

『あなた、あこに何を言ったの?』

 

「誰だ・・・?」

 

『私よ・・・』

 

「・・・友希那か?」

 

『えぇ・・・。全くどうしてわからないのよ・・・。それであこに何を言ったの・・・ちょっとリサ何を・・・やめ・・・』

 

「何だったんだ・・・?」

 

電話の相手は友希那だったが、電話の向こうでリサが何かをしたのだろう。

友希那の声と共に電話が切れた事に首を捻るが、すぐにマグフォンから着信音が鳴るとすぐに電話を取った。

 

「もしもし?友希那か?」

 

『もしもし?残念でした~。友希那じゃなくてアタシでーす☆』

 

「リサか・・・」

 

『当たり~。それで?さっき電話であこに何言ったの?』

 

「さっき・・・?今日はあこに電話なんてしてねぇぞ?」

 

『へ・・・?』

 

「ん・・・?」

 

『もしかして・・・こっちの勘違い・・・?』

 

「よく分かんねぇけど・・・。少なくとも俺は今日は電話してねぇぞ?」

 

『・・・』

 

「・・・」

 

2人の話が噛み合わず、電話中にも関わらず互いに無言になると気まずい空気が流れ出すが、電話先のリサがなんとか言葉を絞り出す。

 

『えぇ~っと。その・・・ごめんね・・・?』

 

「気にすんなって、それであこがどうしたんだ?」

 

『練習の休憩中にあこが電話かけてたのだけれど、電話終わった途端にあこが落ち込んだと思ったら如月の名前を呟いたのよ』

 

『大体は友希那の言った通りだよ。今は燐子が一緒にいるけどすっごい落ち込んでたから・・・』

 

『でも、あなたじゃないなら誰と電話してたの?』

 

「もしかしてロックが電話したのか?」

 

『ロック?ん~ちょっと待ってね?友希那、ちょっと持っててあこに聞いてくるから』

 

『えぇ・・・』

 

そう言い残してリサは友希那に自身のスマホを受け取るとあこの元へと向かう。

スマホを持った友希那は弦太朗へと話しかけていた。

 

『もしかして、またなの・・・?』

 

「あぁ、昨日学校とあこのところに出たんだけど聞いてねぇのか?」

 

『あこは言ってたような気がするけど、紗夜からは何も聞いてないわ・・・」

 

「・・・そう言えば、紗夜は今何してんだ?」

 

『今はスタジオの隅っこでリサが焼いたクッキーを食べてるわ・・・』

 

「・・・マジか」

 

『えぇ・・・』

 

『ちょっと紗夜!!なんでそんな大事なことを伝えないで呑気にクッキー食べてるの!!』

 

『今井さん。クッキー食べてる最中ですよ?静かにしてください・・・』

 

『いいから紗夜!!こっち来なさい!!』

 

紗夜が昨日の事を使えていなかったことと慌てている彼女達を前にして呑気にお菓子を食べているという友希那の言葉に弦太朗は困惑してると電話先が慌しくなり、その音は次第に大きくなっていく。

 

 

 

『ごっめ~ん。ちょっと紗夜連れて来たんだけど・・・。それに!!紗夜!!そんなことあったのに伝えなかったの!!』

 

『すいません。すっかり白金さんが伝えてると思ってまして・・・』

 

『ボロボロの布の匂いを嗅いで、人様に見せられないような顔してた燐子が伝えてるわけないでしょ・・・」

 

『今井さん?何か言いましたか?』

 

『紗夜は気にしなくていいよ・・・』

 

『でも、どうしてその事があこがああなった事と関係してくるのかしら・・・?』

 

「あぁ、実は昨日・・・」

 

そこで今日までの出来事を電話で伝え、一通り伝えると友希那以外の2人から電話越しにも関わらず神妙な雰囲気を感じ取った。

 

 

 

 

 

 

『学校で出た後に、商店街と宇田川さんのところにも出たのは聞いてましたが・・・。その正体が戸山さんの妹さんだったんですね・・・』

 

『クラスでもあこ達と仲良かったらしいからああなるのも仕方ないか~それに香澄も・・・』

 

「それで・・・すまねぇけど・・・」

 

『あこはこっちに任せなさい。あなたは戸山さんの妹さんを・・・』

 

「それは任せとけって!!」

 

『えぇ・・・それじゃあ・・・』

 

「またな」

 

友希那のその言葉と共に通話が切れると彼は屋敷の中に入っていくと黒服の案内で香澄がいる部屋へと入っていくと、ギターを抱えている香澄の周りにポピパの4人とハロハピの2年生達が集まっていた。

 

 

 

「弦太朗!!遅かったじゃない!!」

 

「先輩、何やってたの・・・?」

 

「おたえが行った少し後に友希那達から電話がかかってきてな・・・。あれ?花音たちはどこ行ったんだ?」

 

「かのちゃん先輩達は帰ったよ?それではぐみ達は同じ学年だから一緒にいてあげてって言われたから今日はここにお泊りだよ!!かーくん達も一緒だよ!!」

 

「でも、友希那先輩って・・・。弦太朗くん、あこちゃんに今回の事話したの?」

 

「俺は直接は話してねぇけど・・・。多分、ロックに話したんだけどそこから聞いたんだろうな・・・」

 

こころとはぐみは普段通りの表情で弦太朗の話を聞いていた。

しかし、有咲や美咲達はそんな弦太朗に対して困ったような視線を送ると美咲が話を切り出していく。

 

 

 

「いや、如月先輩。なんで話しちゃったんですか・・・」

 

「その・・・なんだ・・・。その場の流れって言うか・・・」

 

「あこちゃんは兎も角、ロックは香澄の事好きだからなぁ・・・。なんかの間違いで襲われた時に全く知らないのも不味いだろ?・・・まぁ、奥沢さんのいう事も分かるけど・・・」

 

美咲と有咲の言葉に気まずそうにし始める弦太朗を見て、流石に気の毒に思ったのかりみと沙綾が咄嗟に弦太朗の事から話題を逸らしていく。

 

 

「それにしても、おたえちゃんが最初に戻ってきてギター持ってきたときには驚いちゃったよ・・・」

 

「うん。それにチュチュ、良くあれ持ってたね・・・」

 

「あのギター持ってきたのと直してもらえるって話を聞いたお陰で香澄も少しだけ持ち直したから助かったけどな・・・」

 

「花園さんがギターを持ってくる前まで本当に死んだみたいな目をしてたからね・・・」

 

弦太朗達は視線を香澄の方へと向けると、ギターを抱えたままの香澄の横でたえとはぐみがどこからか自分の楽器を出して演奏してこころが歌いだしていた。

 

そんな彼女達を見て半ば呆れる様に笑うが、その中心にいる香澄はその間一切笑みを浮かべることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で電話を切ってその場に友希那達だったが、その中で友希那が最初に我に返ると持っていたスマホをリサに返す。

それを受け取ったタイミングでリサと紗夜も友希那に遅れて我に返ると、リサが先程の通話の中で思ったことを口にした。

 

「そういえば友希那?どうして香澄の事は言わなかったの~?」

 

「そうですね。戸山さんも大変なのにそう言えば妹さんの事しか言ってませんでしたね」

 

リサのふとした疑問に紗夜が同意して友希那に視線を向けると、向けられた視線の意味が分からず友希那は首を傾げながら答えた。

 

 

「だって、如月が何かしなくても戸山さんにはバンドの仲間たちがいるじゃない・・・?私達もあこのところに行きましょう・・・」

 

「・・・紗夜。私達もあこのところに行こっか!!」

 

「・・・そうですね」

 

友希那がリサの疑問に答えるとすぐにあこ達の元へと歩き出すとその背中を見た2人は笑みを浮かべながらその後を追い、彼女達の向かった先には落ち込むあことなんとか励まそうとあたふたしている燐子の姿があった。

 

「あこちゃん・・・。その・・・。えっと・・・」

 

「りんりん・・・」

 

 

 

 

 

 

「2人とも?そろそろ練習再開するわよ・・・」

 

「ちょっと友希那!?」

 

「友希那さん・・・?流石にそれは・・・」

 

「そうですね・・・。そろそろ練習に戻ったほうがいいですね・・・」

 

「紗夜まで!?」

 

「リサ?何を驚いているの?」

 

 

「いや、こんな落ち込んでるあこに練習させるの!?もう少し休ませた方がいいんじゃ!?」

 

「・・・?先に戻ってるわ。早めに戻ってきなさい」

 

友希那は落ち込むあこに対して練習の再開を告げ、その友希那の言葉に同意した紗夜。

そんな2人にリサは驚きの声を挙げていたがその意味が分からず友希那は首を傾げると彼女はスタジオ内へと戻ってしまった。

 

「それでは皆さんも行きましょうか」

 

「紗夜までどうしたの!?頭の中にポテトでも詰めてるの!?」

 

「今井さん?何を言ってるの?」

 

「あこちゃんがこんな状態で・・・練習しても・・・意味があるんでしょうか・・・?」

 

「友希那さん・・・」

 

 

 

 

 

「だからこそですよ?」

 

「紗夜?」

 

「紗夜さん・・・」

 

落ち込み続けているあこのを見て、友希那の行動に若干の怒りを述べたリサと練習の意味が見いだせない燐子。

練習に否定的な彼女達に紗夜が声を挙げた。

 

「宇田川さんは友達の事で落ち込んでるのは分かります。ですがお友達の事は如月さんが助けてくれるはずです。だからこそ少しでもその事から目を逸らさせる為にも練習はするべきです」

 

「紗夜!!だけど・・・!!」

 

「氷川さん・・・そうかもしれませんが・・・」

 

 

 

「それに・・・あんなことをした私を受け入れてくれたんですよ?真っ先に受け入れてくれたんですから・・・。きっと今回も大丈夫ですよ・・・」

 

「紗夜さん・・・」

 

「湊さんを待たせるわけにもいきませんから私も先に戻ってますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あこも・・・。あこも練習する!!」

 

あこに微笑みを向けた紗夜は友希那が待つスタジオへと帰っていくと紗夜の言葉を受けたあこが小走りでその背中を追った。

 

そんな彼女達を見たリサと燐子も2人の後に続いてスタジオへと戻っていった。

 





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鼓・動・再・輝-10 Moonlight Talk

投稿です。

そろそろちょこっとだけ戦闘挟みたいなぁ・・・
少しポピパ篇長くなっちゃうけどバランス理論でみんな同じくらいだからいいよね?


アンケートの結果、さーやはお外でデート()させます。


 

弦巻邸に泊まることになったポピパ達。

夜も更けて全員が寝静まった廊下で1つの影が動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、こころのやつに乗せられちまったけど。なんで俺も泊ってるんだ?」

 

その影の正体は弦太朗。

彼もまたこころの提案に流されて屋敷に泊まることになってしまったが、彼は屋敷の豪華な環境に慣れることが出来ずに1人で月明かりに照らされていた廊下を歩いていた。

 

「2回目だけどこの豪華なのには慣れねぇなぁ・・・。ってなんであそこ開いてるんだ?でも・・・誰の部屋だ?」

 

廊下を歩いていた弦太朗は並んでいる客室の1つの扉が開いていることを発見すると何を思ったのか弦太朗はその開いていた扉からその室内を覗き込んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「香澄か・・・ってまだ起きてたのか」

 

「・・・ぁ・・・」

 

「無理に話さなくていいぞ?」

 

扉の向こうにいたのは暗い表情をしてベットから外を眺めていた香澄。

そんな香澄が扉から顔を出していた弦太朗に気が付いて身体を起こして声を出そうとするが思うように声が出せないでいると弦太朗はそのまま室内へと入っていくと香澄が寝ていたベットの端に座り込む。

 

「それにしても香澄は寝ねぇのか?・・・って言っても声が出せねぇんだったな・・・」

 

「・・・ぅぁ・・・」

 

弦太朗の問いに答えようとするが香澄は声が出せなかった彼女は首を縦に振って答える。

そんな姿を見た弦太朗はベットにいた香澄を見つめると思わず彼は声を出してしまった。

 

 

 

「それにしても・・・猫耳じゃねぇ香澄は初めて見たな・・・」

 

「・・・っ!!・・・!!」

 

「何言おうとしてるか分かんねぇよ・・・」

 

弦太朗の言葉に声が出せない香澄は必死に何かを伝えようと声を挙げようとするが、声が出ることはなく弦太朗に彼女の考えが伝わらない。

そんな香澄は黒服から借りたスマホが視界に入るとそれを手にとると指を高速で動かした後にスマホの画面を弦太朗へと突きつけた。

 

「なんだ・・・”星”・・・?どういうことだ?」

 

弦太朗が見た画面のチャット欄は”星”と一言だけ書かれた画面が見せられたが全く意味が分からない彼に香澄は再びスマホに文字を打つ。

 

『あの髪は猫耳じゃなくて星なの!!』

 

「いや星って・・・。香澄の髪だと星がひっくり返ってねぇか・・・?」

 

『イメージだからいいの~!!』

 

「そんなもんか?よく分かんねぇけど・・・」

 

そう文字を打った香澄は頬を膨らませながら画面を見せつけると弦太朗もそれを見てとりあえず香澄の言葉に納得していると香澄は再び文字を打つ。

 

『そういえばゲンちゃん先輩はなんでここに来たの?』

 

「なんでって・・・豪華すぎて落ち着かなくてな・・・。それで廊下歩いてたらここが開いてたからな・・・」

 

『そうなんだ。でも、大丈夫なの・・・?』

 

「まぁ、天校でもこんなことはあったからな。心配すんなって!!明日香の事は任せとけ!!」

 

「・・・・・・」

 

明日香の名前が出た途端に香澄の表情は一気に暗くなってしまう。

そんな表情のままで彼女はスマホの上に指を走らせる。

 

 

『あっちゃんがみんなに酷い事してたのはショックだったし、辞めさせないといけないのは分かってるんだけど・・・。でも分かっているんだけどゲンちゃん先輩と戦ったりしてほしくないなって・・・』

 

「香澄・・・」

 

『どうしたらいいのかもうわかんないよ・・・』

 

 

言葉の届かない明日香を止める為には弦太朗が戦って止めるしかない。

香澄は頭ではその事を理解しているつもりだった。

しかし、大切な妹である明日香と友人になった弦太朗と戦ってほしくないという気持ちもあって、今の彼女はそんな思いの中で揺れていた。

そんな中で香澄は再びスマホに指を走らせる。

 

『ゲンちゃん先輩は前の学校だと、戦ってたのは学校の人たちだったんでしょ?」

 

「まぁ最初は誰か分かんなかったけど、大体は学校のやつだったぞ?」

 

『辛くなかったの?友達もいたんでしょ?』

 

「まぁ・・・。辛いって思ったこともあったけど・・・。ダチが間違いは止めてやんねぇとだろ?だから、明日香は俺が助ける。だから泥船に乗ったつもりで任せとけ!!そうだ。香澄、ちょっとこれ預かっててくれ」

 

「・・・?」

 

その言葉と共に弦太朗は懐から何かを取り出すと香澄にそれを持たせると、受け取った香澄は受けとったそれをまじまじと眺める。

 

 

 

 

 

 

 

香澄が受け取ったのは透き通るような青い色をした40の数字が書かれていたスイッチ。

弦太朗が普段使っているのとは明らかに形が違っておりスイッチがカバーに覆われており、それからは以前瑠唯が持っていたスイッチを見た時と同じような大きな何かをそれから感じ取っていたが、前回とは違って嫌な感じはせずに、香澄はそれを握りしめていた。

 

「それじゃ俺はそろそろ戻るから・・・」

 

弦太朗がそう言ってベットから離れようとしたが、離れようとする弦太朗の腕を香澄が捕まえるとそのまま自身の方へと引っ張ろうとしていたが弦太朗は抵抗していたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるせー!!香澄!!お前さっきからなんで私にメッセージ送ってき・・・て・・・」

 

叫びと共に部屋のドアを勢いよく開かれた。

その叫びの主は有咲。

 

どうやら弦太朗との会話で文字を打っていた香澄はその悉くを寝ている有咲へと送信しており、彼女はその鳴りやまない通知音によって目を覚まして香澄の部屋に乗り込むと彼女に向かって歩き出そうとするが、彼女は弦太朗の存在を認識すると同時に歩みを止めて弦太朗へと視線を向けていた。

 

「は・・・?」

 

「よっ・・・よぉ・・・有咲」

 

震える声で有咲へ声をかける弦太朗。

そんな光景を見て寝不足の有咲は必死に頭を回転させてある結論に至った。

 

 

「すまん・・・邪魔したな・・・」

 

「ちょ!!待て!!香澄からも何か言って・・・!!」

 

「zzz・・・」

 

「じゃ・・・ごゆっくり・・・」

 

「おいっ!!」

 

弦太朗は香澄と共に有咲に事情を説明しようとするが香澄は弦太朗の腕を掴んだまま夢の世界に旅立ってしまい、有咲も彼の言葉を聞かずに誤解したまま扉を閉めると部屋から去ってしまい取り残された弦太朗は部屋に戻るのを諦めてそのまま寝てしまう。

 

 

 

 

 

そして弦太朗が目を覚ます。

どうやら寝ている間に香澄によって身体ごとベットに引きずり込まれており、彼の腕は香澄の抱き枕と化していた。

 

「おい・・・香澄。朝だぞ~」

 

寝ぼけ半分で状況を認識できていない弦太朗は身体を起こそうとすると―――

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

 

一緒に泊まっていた少女達の視線が突き刺さっていた。

 

 

「ゲンちゃん先輩!!おっはよー!!」

 

「弦太朗!!何で香澄と寝てるのかしら?」

 

「あー。こころは気にしなくていいから・・・てか、何やってんですか・・・」

 

「夢だと思ったけど現実だったのか・・・」

 

「香澄って大胆・・・」

 

「弦太朗くんおはよー」

 

「アハハハハハハハハハ」

 

 

 

 

 

「おい!!香澄!!起きろ!!」

 

「zzz・・・」

 

そんな騒ぎが起こっているにも関わらず、香澄は穏やかな寝顔のまま未だに夢の世界に旅立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで―――?

 

なんで?何で?ナンデ?なンで?なんデ?ナんデ?ナンで?

 

ナンデお姉ちゃんがいないの?

その事をお母さんに聞いたら友達の家に泊まったらしい。

 

 

 

 

 

全部あいつらのせいだ―――

許さない許さない許さない許さない許さないゆるさないゆるさないゆるさないユルサナイユルサナイユルサナイ―――――!!

 

私は表情を作って朝ごはんを食べるとすぐに家を出て、お姉ちゃんの姿を探すがどこにもいない。

 

学校が始まる時間がギリギリまで探すけどお姉ちゃんが見つけられず、仕方なく自分の学校へ向かい友達の待つ教室へと入っていく。

 

「あっ・・・あすか。おはよー」

 

「おはようございます・・・」

 

「おはよう。2人とも何かあった?」

 

「ううん!?なんでもないよ!!ね?ろっか!!」

 

「ふぇ!?う・・・うん・・・あこちゃんの言う通りだよ」

 

「そう・・・?」

 

そして私は自分の席に着いたが、2人の様子が明らかにおかしい。

あいつらが余計なことでも言ったから警戒してるのかな?

 

それだったら―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴミを釣る餌にでもなってもらおうかな―――

 

私は俯くとポケットのスイッチを手で弄りながら歪んだ笑みを浮かべていた。

 

 





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おまけ

「あ~黒服さん。山吹さんが怖いので早く調べてください・・・」

「う~ん・・・。これは・・・シロですかねぇ・・・」

「うっし!!」

「なんで私がこんな目に・・・」



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鼓・動・再・輝-11 ジェラシーボンバー

投稿です。

ある意味惨状完成してしまいましたが・・・
まぁ・・・ええじゃろ・・・


 

 

「みんなで学校へ行くのも楽しいね!!」

 

「そうね!!美咲もそう思わない?」

 

「なんだろう・・・屋敷を出てすぐなのに・・・すっごい疲れた・・・」

 

弦巻邸に泊った香澄達はこころ達の後に続いて学校へと向かっていたが、既に美咲は心労によってぐったりとして歩いているその後方では―――

 

「動きづれぇ・・・!!」

 

「先輩?大丈夫?」

 

「おたえちゃん?沙綾ちゃん?そろそろ離れたほうが・・・」

 

「ヤダ・・・」

 

「・・・!!」

 

「子供か!!」

 

その後方では有咲とりみの横でおたえや沙綾達に引っ付かれながら歩く弦太朗の姿があった。

しかし、そんな彼らを見て呆れながら美咲はため息をこぼしながら説明を求めてしまった。

 

 

 

「如月先輩達何やってるんですか・・・」

 

「なんでも今朝の罰らしいけど・・・流石に3人に引っ付かれたら動きずれぇ・・・!!」

 

「戸山さんと山吹さんが腕組むのは百歩譲って分からなくはないけど、なんで花園さんはおんぶされてるの?」

 

「・・・すっごい楽だよ?」

 

「その代わりに如月がおたえとギターの重みでしんどそうだけどな・・・。てか両腕が塞がってるのにどうやっておたえはバランスとってんだよ・・・」

 

「気合・・・?」

 

「流石にそれは無理があるんじゃないかな・・・?」

 

そんな光景に有咲と共にりみまでもが呆れてしまうが先を歩いていたこころ達は弦太朗の姿を見て目を輝かせていた。

 

 

「面白そうね!!私も乗るわ!!」

 

「はぐみも!!」

 

「ちょっと2人とも、流石に如月先輩が潰れるから!!」

 

「やめろ!!」

 

美咲と弦太朗はなんとか止めようと声を挙げるが2人は全く聞く耳を持たず器用に弦太朗の身体をよじ登っていく。

 

「ぐぉおおおおお!!流石に3人に乗られるとキツイ・・・!!」

 

「随分と目線が高いわね!!」

 

「とーちゃんに肩車されてるみたい!!」

 

「流石に狭い・・・」

 

「だったら降りてくれー!!それに沙綾達も離れてくれ!!」

 

「ヤダ・・・」

 

「・・・」

 

弦太朗もろくに動けない状況で沙綾達に離れる様に頼むが、香澄は首を横に振って拒否して、沙綾も言葉で拒否する。

そんなやり取りをしているとこころが弦太朗の上で声を挙げる。

 

 

 

「弦太朗!!このまま学校まで行きましょう!!」

 

「いっけーゲンちゃん先輩!!」

 

「流石に無理だろ!!」

 

「お前らふざけるのも良いけど、いい加減いかないと遅刻するぞ?」

 

「弦太朗!!行きましょう!!」

 

「ちくしょおおおおお!!」

 

有咲がこのままだと遅刻するということを告げるも彼女達は弦太朗から離れることはなく5人を引き摺りながらも学校へ歩き出し、なんとか学校まで到着した弦太朗はそのまま疲れ果ててしまい授業を睡眠に当ててしまった。

 

 

 

そんな昼休み―――

 

「全くあなたは一体何してるんですか!!」

 

「わりぃ・・・。ちょっと疲れてまって・・・」

 

「それは今朝、弦巻さんや戸山さん達にしがみ付かれたまま学校に来たからでしょう!!ちゃんと断りなさい!!」

 

「あの・・・氷川さん・・・。弦巻さん達にはそんなこと言っても聞かないと思いますが・・・」

 

 

 

 

教室の真ん中で紗夜に説教を食らっていた。

それを止めようと燐子が紗夜に声をかけるも全く聞く耳を持つ様子はなく、そんな光景を流石に不憫に思ったのか千聖が弦太朗へ助け船を出そうと歩み寄ってくる。

 

「まぁまぁ紗夜ちゃん。落ち着いて・・・」

 

「そうよ?流石に色々あり過ぎて疲れてるんだから少し甘く見てもいいと思わない?」

 

「全く松原さんも白鷺さんも如月さんに甘いんです!!もっとびっしり言わないと!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「それに如月さんは・・・一昨日からずっと大変でしたから・・・」

 

「確かに一昨日から大変なのは知っていますが、流石に全部の授業を寝るのは見過ごせません」

 

「だったらその分、紗夜ちゃんが勉強を教えてあげればいいじゃない?」

 

 

 

 

「白鷺さん!!一度如月さんに勉強教えてからそのセリフは言ってください!!遊びじゃないんですよ!!」

 

「ふえぇ・・・。そこまで言うほどなの・・・?」

 

「・・・失礼しました。ですが、午後は寝ないようにしてくださいね?」

 

「分かった・・・」

 

「それだったらみんなでお昼食べましょう?」

 

「そうですね・・・」

 

紗夜の説教に対して3人の援護?が加わり少しだけ落ち着きを取り戻した紗夜。

そんな彼女を見た千聖はついでとばかりに一緒に食事を提案すると彼女達は集まって昼食を取り始める。

 

そこには先ほどの説教など無かったかのような空気が流れていたが、とある来訪者によってそれは一瞬で砕かれた。

 

 

 

 

「如月くん!!」

 

「彩・・・?どうしたんだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「香澄ちゃんと寝たって本当なの!?」

 

 

「如月さん・・・?どういうことか説明していただけますか・・・?」

 

「そうだよ!!説明して!!」

 

「あら?私も気になるわね・・・」

 

「私も・・・です・・・」

 

「ちなみに逃げようとしても絶対に逃がしませんから・・・」

 

「ふえぇ~!!美咲ちゃーん!!」

 

突如現れた彩の言葉に弦太朗含めて教室の全員が噎せ返ると和やかな昼食の空気は一気に修羅場と化した。

風紀に厳しい紗夜を始めとして千聖、挙句の果てには燐子までもがその話に食いつく。

しかし、興味本位で聞いてる燐子とは違い他の3人には明らかに怒気が含まれていたおり弦太朗はそれに飲まれて完全に逃げ遅れてしまった。

 

「えっとその・・・」

 

「如月くん!!はっきり言って!!どうなの!?」

 

「如月さん、大丈夫ですよ。私は決して怒ってはいませんから?ですが・・・話を聞いた後にその体に風紀と言うものを刻み付けるだけですから・・・」

 

「紗夜ちゃんダメよ?悪いことをしたら恐怖と一緒に植え付けないと・・・」

 

「私・・・気になります・・・」

 

 

「夜に話してたら腕を掴まれてな・・・」

 

「そうだったんですね。如月さんは何もしてないんですね・・・」

 

「白金さん!!そう決めるのは早いですよ!!」

 

「もしかして、燐子ちゃんも・・・?」

 

「へぇ・・・そういうことねぇ・・・」

 

 

「えっと・・・ちが・・・」

 

燐子の不自然な対応によって弦太朗と共に問い詰められる立場に変わってしまった燐子。

2人は居心地の悪そうな表情を浮かべていた時に、教室の外から彩とは別の客が顔を出す。

 

「あれ?弦太朗くん?どうしたの?」

 

「りみ助けてくれ!!」

 

「牛込さんですか。今、彼を拷問しようとしてるところですので・・・」

 

「拷問って・・・!?」

 

「香澄ちゃんと寝たって彩ちゃんが言ってたからその事でね?」

 

「えっと~・・・」

 

 

りみは数少ない説明で状況を理解すると、事実を説明し始めた。

 

「それは寝ぼけた香澄ちゃんが弦太朗くんを抱き枕代わりにしてただけで・・・」

 

「そんな言い方して本当はやましいことしてたんでしょ!!」

 

「彩先輩それは無いと思いますよ?香澄ちゃんもそう言ってましたし、そもそも弦太朗くんにそんな甲斐性はないと思いますよ・・・」

 

「・・・それもそうですね」

 

「彩ちゃん・・・」

 

「ふえぇ~ん」

 

 

 

「よく分かんねぇけど助かったぜ・・・サンキューなりみ」

 

「ふふっ・・・どういたしまして」

 

りみの説明に納得した紗夜は呆れたようにため息をこぼし、原因を作った彩は千聖が顔に張り付けた笑みを見て恐怖に震え上がる。

 

そして、追求から解放された弦太朗は机にへたり込みながらりみへ感謝していた。

 

 

 

「それでみんな納得するんだ・・・」

 

「良かった・・・」

 

そんな光景を前に花音は驚きの表情を浮かべていた横で燐子も弦太朗と同様に追求から逃れたことに安堵していた。

 

 

そんな中で弦太朗のマグフォンから着信音が響くと、すぐにマグフォンを手に取った。

 

「もしも・・・?」

 

『ゲンちゃん!!大変だよ!!』

 

「この声は日菜!?何があったの!?」

 

『おねーちゃん!!えっとね!!あのね!!』

 

「日菜ちゃん!!一回落ち着きなさい」

 

弦太朗に電話を掛けてきた相手は日菜だったが、、その声は普段以上に落ち着きが無く酷く慌てていた。

そんな彼女に紗夜と千聖が落ち着くように言うが全く効果がない。

 

 

『千聖ちゃん!!そんなこと言ってる場合じゃないよ!!』

 

「何があったんだ?」

 

 

 

 

『えっとね!!あこちゃんと六花ちゃんがこの前の黒いのに攫われちゃったんだよ!!』

 

日菜の言葉を受けて、驚く一同を他所に紗夜の顔が真っ青に染まっていった。

 




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ちなみに前回が香澄ではなく他ポピパメンバーだった場合
おたえ→大体香澄と一緒。香澄と違っておたえが勘違い爆弾を投下して大惨事
りみ→大体香澄と一緒。りみ自体は余裕の模様
有咲→彼女は寝相が悪いため、弦太朗が蹴り飛ばされてみんなが来る前に逃走成功

沙綾→(自主規制)


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鼓・動・再・輝-12 少女暴走中


投稿です。

そろそろ風呂敷を畳み始めるとしますかねぇ・・・(畳み切れるとは言っていない。




 

あことロックが攫われた―――

 

日菜からの言葉を聞いた弦太朗達は驚きの表情を浮かべていた。

そんな光景を他の一般生徒達は全く理解することが出来ず、首を傾げるが彼らはそんな視線を気にすることは無かった。

 

 

 

「・・・」

 

「うそ・・・あこちゃ・・・」

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ~燐子ちゃん・・・!?」

 

「あわわわわ・・・!!」

 

彼ら横では犯人と以前の自分と重ねてしまった紗夜はその顔を青く染めて動揺していたが、そんな彼女以上にバンドの仲間であり親友が攫われたという事実を受け入れられなかった燐子がショックで意識を失ってしまった。

 

「燐子ちゃんを保健室へ運びましょう!!弦太朗!!」

 

「任せとけ!!」

 

『ちょっとどうなってるの!?』

 

「日菜ちゃん!!燐子ちゃんが倒れたの!!今から保健室に運ぶからちょっと待っててくれる?」

 

『分かった!!』

 

「紗夜!!先に行ってるから後から来い!!」

 

「・・・えぇ」

 

「紗夜先輩は私が連れていくね?」

 

「花音、授業遅れるかもしれないから先生に説明しておいてくれるかしら?それと彩ちゃんは任せたわよ」

 

「うん・・・!!任せて」

 

「ふえぇ・・・!!」

 

花音と慌てている彩に見送られながら弦太朗は千聖と共に燐子を保健室へと運ぶ為に教室を出ると、その後を追うようにりみは紗夜を支えながらフラフラとした足取りと共に保健室へと歩き出していくとその道中に思いがけない人物と遭遇した。

 

「りみ・・・?」

 

「美咲ちゃん・・・?どうしたの?」

 

「いやいや、それはこっちのセリフ・・・それで紗夜先輩はどうしたの?」

 

「その・・・弦太朗くん絡みで保健室に連れて行こうと・・・」

 

「それなら私が変わるから、りみは戸山さん達呼んできた方がいいんじゃない?」

 

「分かった・・・!!お願いね?」

 

そう言って美咲がりみから紗夜を受け取ると彼女の身体を担いで保健室へと歩き出すのを見ると廊下を全力で走りだして香澄達の教室へと駆け込むと有咲と一緒にいた香澄の腕を掴むもりみの腕を有咲が掴んだ。

 

 

 

「香澄ちゃん!!ちょっと来て!!」

 

「・・・?」

 

「りみ?そんなに慌ててどうしたんだ?おいっ!!ちゃんと説明しろって!!」

 

「えぇっと、その・・・!!」

 

「いや、大体分かった。ほら行くぞ香澄!!」

 

 

突然、香澄の腕を掴んだりみへと有咲が説明と求めた途端に彼女は言葉を詰まらせてしまった。

そんなりみを見て香澄は況でも理解できていなかったが、有咲はその様子で状況を察するとりみの腕を離すと3人で保険室へと駆け出して、着いた早々にその扉を勢いよく開ける。

 

『バッって飛び出してズバッって暴れてたと思ったらあこちゃん達が連れてかれちゃったの!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・微塵も分からん」

 

「こころ達と違って全然理解できない・・・」

 

「日菜ちゃん落ち着いて話してくれるかしら?」

 

保健室のベットで寝ている紗夜と燐子。

電話で日菜の説明を受けているが、意味が分からずに首を傾げている弦太朗達の姿があった。

 

「有咲!?香澄も来たのか?」

 

「おい、これは・・・どういう状況だ?」

 

「えっとだな・・・」

 

「皆まで言わなくても分かる。明日香ちゃん絡みだな・・・」

 

「・・・!?」

 

「うん・・・そうだと思う・・・」

 

 

 

 

「明日香ちゃんって確か香澄ちゃんの妹の名前よね?・・・どういうことか説明してくれるかしら?」

 

『千聖ちゃん~。何言ってるか聞こえないよー!!』

 

弦太朗と2年生組は状況を察して確認しようとするが、不意に有咲が明日香の名前を出してしまい、電話の向こうにいる日菜には聞こえなかったが今回の事件内容を詳しくは把握していない千聖が反応してしまった。

 

有咲は自身の発言に後悔をしたが、千聖の態度を見て隠しきれないと判断して今回の事件について説明すると千聖は納得が出来ないといった様子で顔を顰めていた。

 

「白鷺先輩?これで説明終わったんですけど、なんで紗夜先輩達が寝ているんですか?」

 

「えぇ・・・。日菜ちゃんが言うには羽丘であこちゃんと六花ちゃんが攫われたらしいのよ・・・」

 

「!?」

 

「はぁ!?だってあこは友達だから見逃したって明日香ちゃん自身が言ってたんですよ!?何がどうなって・・・!!」

 

「私も分からなくて日菜ちゃんの説明を聞いているのだけど・・・」

 

「だけど・・・全く分かんねぇんだよなぁ・・・」

 

日菜の説明を受けても説明が感覚的過ぎて2人が全く理解できておらず弦太朗と千聖は頭を悩ませていた。

そんな2人を他所に紗夜を連れてきた流れで話を聞いていた美咲がおもむろに口を開く。

 

 

 

「なんか騒ぎの前に誰かが暴れたのは分かりましたけど・・・」

 

「どうしてあれで分かるのかしら・・・」

 

「美咲!!それで誰なんだよ!!」

 

「流石に分かりませんよ・・・。向こうも慌ててるから言葉無茶苦茶ですし・・・」

 

こころ達の感覚的過ぎる話を完璧に理解する美咲も方向性が違う日菜の話を理解することが出来ず、かろうじて”あこ達が触られた時に誰かが暴れた”ということしか読み取ることが出来なかった。

 

しかし、誰かが分からずにモヤモヤとしていたところで放置してしまっていた電話の向こうから何か音が聞こえてくると声が響く。

 

『あの~もしもし?如月さんですか?』

 

「この声は麻弥ちゃんね・・・何があったの・・・?」

 

『この声は千聖さんですね?えぇっと日菜さんからはどこまで話を聞いてますか?』

 

「誰かが暴れてあこちゃん達が攫われた・・・ってところまでね。と言っても殆ど説明が意味をなしていなかったのだけれど・・・」

 

『ジブン!!薫さん達と一緒にその時見てたんです!!』

 

「麻弥ちゃん!!どういう状況か聞かせてもらえるかしら?」

 

千聖の言葉を受けた麻弥はその時の状況を細かく話し始めるのだった。

 

 

 

 

『ジブンが薫さんと廊下を歩いていたんですけど、そしたら窓の外から悲鳴が聞こえてきたんです!!それで外を見たらあこさんとロックさんがみおさんの時に出てきた黒い人達の肩に担がれていたんです!!

ジブン達はどうすることも出来なくて廊下の窓から見てたんですけど、そしたら2階の窓から巴さんが黒い人たち目掛けて飛び降りたんですよ!!』

 

「学校中に真正面からね・・・。ってちょっと待って!!今おかしなこと言わなかったかしら!?」

 

「白鷺先輩、4階から飛び降りても無傷で着地する人間がいるんですから2階程度で驚かないでくださいよ」

 

「だよな・・・。巴さんだろ?」

 

「巴なら大丈夫だろ?」

 

「えっ?もしかして私がおかしいの・・・?」

 

『あの~、申し訳ないんですが説明再開してもいいですかね?』

 

2階から人が飛び降りたと聞いて驚く千聖だったが、他のメンバーは一切その事を気にも留めていなかったことに自分がおかしいのかと疑問を感じていると麻弥の申し訳なさそうな声が響く。

その声に有咲が「どうぞ」と返したことで説明が再開される。

 

『それで飛び降りたと思ったらあこさんを捕まえていた方の首目掛けてそのまま蹴りを入れたんです。そしたら黒い人が消えてあこさんが飛んで行ってしまったと思ったら先日話に聞いてた魚の怪物が出てきてあこさんを受け止めたんですよ。

そしたら巴さんがその魚を殴ってあこさんを取り戻したんですが、魚が巴さんを殴って巴さんが飛ばされるのを見たと思ったらそのまま2人を攫って行ったんです!!』

 

「それで巴ちゃんは無事なの!?」

 

『殴られた巴さんですけど、その時に身体がボールが地面を跳ねるみたいに飛ばされたんですけど―――』

 

「ボールみたいに人が跳ねる訳がないじゃない!!そんな状態で無事なわけが・・・!!」

 

『それでジブン達も心配になって巴さんのところまで行ったんですが、起き上がった時には少し痛そうにしてるだけで大した怪我はしてなかったんですよ・・・。念のために今はAfterglowの皆さんとリサさんが一緒にいますけど・・・。ここまでがジブンが知ってることですけど・・・』

 

「麻弥。サンキューでも気をつけろよ!!」

 

『はい。それでは!!』

 

そう言って麻弥が説明を終えて通話が切れると、口から魂が抜け出てきそうな程に驚いている千聖を横目に保健室の空気が重苦しいものになっていく。

 

「やっぱり攫った犯人は明日香ちゃんか・・・」

 

「・・・」

 

「でも、あこは友達だからって言ってただろ?それにロックだって・・・!!」

 

「まぁ、考えが変わったってことですかね?こころ達だって良くありますし・・・」

 

「香澄とか私達が狙いだったはずなのに、どうして急に・・・」

 

しかし、説明を聞いた後にどれだけ考えても明日香の目的が全く分からない。

そんな時に有咲のスマホから音が着信音が鳴り響き、手に取った有咲はその画面に映った発信先の名前に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

「・・・!!明日香ちゃんからだ!!」

 

「・・・!!」

 

「えぇ!?」

 

「マジか!!」

 

「あぁ、だから少し静かにしてくれ・・・」

 

有咲の言葉に保健室内の空気は一気に緊張に包まれる。

そんな空気の中でなるべく平静を装って有咲はその着信を受けた。

 

「もしもし・・・?明日香ちゃんか?」

 

『有咲さん。あこちゃん達の事はもう知ってますよね?』

 

「あぁ、さっき聞いた・・・」

 

『なら、用件だけ言いますね。明日の夜にお姉ちゃんと2人を交換しましょう・・・』

 

「2人は無事なんだろうな!?」

 

『今は無事ですよ?・・・でも、明日来なかったら・・・分かりますよね?」

 

「それで場所はどこだ?」

 

『場所はお姉ちゃんに聞いてください。それじゃ・・・』

 

「おい!!ちょっと待て!!」

 

 

 

有咲の静止も虚しく明日香からの通話は切れてしまい、すぐに有咲がかけ直すも繋がることはなかった。

 





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6バンド全員出ましたね・・・
モニカ・・・?う~ん・・・


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鼓・動・再・輝-13 Kの選択/彼女は全てを掴みたい

短いですが投稿です。

遅くなりました。
そして次も遅くなりそうです・・・


 

明日香からの電話を受けたその日の放課後。

ポピパ達5人は蔵に集まると話を聞いていた有咲がその場にいなかった2人に電話の内容を伝えた途端と室内は一気に静まり返っていた。

 

「・・・」

 

「それで・・・どうする・・・?」

 

「どうするって・・・?沙綾、どういうこと?」

 

「香澄のこと・・・」

 

「まさか沙綾!!香澄を明日香ちゃんに売るつもりか!?」

 

「私だってそうしたくないよ!!でも!!そうしないとあことロックが!!」

 

「んなもん私だってそうしたくないに決まってるだろ!!だからこうやって集まってだな・・・」

 

「有咲はあこ達がどうなってもいいの!?」

 

「そんなことは言ってねぇだろ!!」

 

「ちょっと2人とも・・・?」

 

「沙綾ちゃん!!有咲ちゃん!!おちついてよ~!!」

 

集まった5人はどうするかを話合うが沙綾と有咲が言い争いを始めてしまい、それをたえとりみの2人がそれを止めるも蔵内の空気がどんどん悪くなっていく中で少しだけ冷静になった有咲が意見を述べていく。

 

「ロックとあこちゃんが攫われてる時点で、私達だけの問題じゃない。それに如月が明日香ちゃんと戦うのも分かってるだろ?」

 

「確かに弦太朗くんはそうすると思うけど・・・」

 

「そうだよ!!弦太朗が明日香ちゃんを止めてくれればいんだよ・・・!!」

 

「けど私達の問題をあいつにだけ背負わせる訳にもいかねぇから、私達は自分たちの意見を纏めておかないといけないんだよ・・・」

 

「自分たちの意見って有咲?どういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりやすく言うなら”あこちゃん達を見捨てる”か”香澄を見捨てる”どうかってところだな・・・」

 

「そんなの・・・決められないよ」

 

「おたえの言う通り、でもさっきも言ったけどあこちゃんとロックが絡んでる時点でもう私達だけじゃなくてRoseliaとRASの問題でもあるんだよ」

 

「それはそうかもしれないけど・・・」

 

「もしかしたらそこの2バンドが「2人のために香澄を出せ」って言ってくるかもしれない。だからもしそうなった時に私達はどうするか考えないとダメなんだよ」

 

確かに時間が来る前に弦太朗が明日香を倒して止めるのが一番良いとは思っている。

思ってはいるが、弦太朗が時間までに明日香を倒せなかった最悪の場合にどうするのかを決めておくべきと言うことも理解は出来るが内心全く納得が出来なかった。

 

全員が何も言えない空気の中、とある人物の言葉が響く。

 

 

 

 

 

「香澄ちゃんはどうしたいの・・・?」

 

「・・・!?」

 

「りみ・・・?」

 

「いくら考えても私達には決められないなら香澄ちゃんが決めるのがいいんじゃないかな・・・?」

 

「おい!!りみ何言って!!」

 

「香澄ちゃんが決めたことなら私は納得できるから・・・」

 

「私もかな・・・」

 

「おたえまで!!」

 

余りにも重要すぎる選択をりみに迫られて香澄は狼狽えてしまい、そんな様子を見て有咲達は言葉を荒げてしまう。

 

「ぅ・・・ぁぁ・・・」

 

「おい!!香澄!!どこ行くんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな光景に香澄は耐えられなくなってしまい、香澄は蔵を飛び出してしまい入れ替わるように弦太朗が蔵へと入ってくる。

 

「なぁ?香澄が飛び出して行ったけどどうしたんだ?」

 

「それが電話の事で・・・」

 

後から来た弦太朗へりみがこうなってしまった経緯を話すと弦太朗は何となくで状況を理解すると彼女達に背を向けて蔵の外へと歩き出す。

 

「・・・とりあえず香澄のこと探してくる。今から行けば間に合うだろ?」

 

「弦太朗!!待って!!弦太朗が行ってもどうしようもないよ!!」

 

「沙綾・・・?どうして先輩じゃダメなの?」

 

「・・・だって弦太朗は家族がいなくなっちゃう怖さは分かんないよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「おい!!待てって!!」

 

しかし、蔵を出ようとした所を沙綾が静止するが、その際に言った言葉を聞いて弦太朗は沙綾達の方へと振り返ることはなくそのまま蔵を飛び出して香澄の後を追った。

 

その背中を見送った彼女達、その中で1人は普段では見せないような明確な怒りを浮かべていた。

 

「沙綾ちゃん・・・」

 

「りみりん・・・?どうしたの・・・?」

 

「弦太朗くんに言ったさっきの言葉・・・本当にそう思って言ったの?」

 

「りみ・・・?一体どうしたの・・・?」

 

「どうなの・・・!!」

 

「っ!?」

 

 

 

 

「りみ、いつもと違う・・・」

 

「待て待て!!りみが何で怒ってるのか分かんねぇよ!!ちゃんと教えてくれよ?」

 

普段は見せないりみの表情に沙綾は怯んでしまい言葉が出せなかった。

そんな沙綾を見て有咲はりみにどうして怒りだしたのか理由を尋ねるとりみは静かに語りだし、そして全てを語った後、話を聞いた3人は言葉を失ってしまう。

そんな中、沙綾は自身の言葉を後悔して激しく震えだしてしまう。

 

「私・・・最低だ・・・」

 

「「「・・・」」」

 

そんな呟きが響くが誰もその呟きに誰も答えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で香澄を探して弦太朗は街を走っていた。

 

「どこ行っちまったんだ・・・?とりあえず少しだけ休むか・・・って」

 

そう言って立ち寄った公園。

 

そこに設置されたベンチに1人、香澄は座って俯いていたのを見つけた弦太朗はゆっくりと歩いて彼女の前へと向かった。

 

「香澄、なにやってんだ?」

 

「・・・!?・・・ぁ・・・」

 

弦太朗の言葉を聞いた香澄は声を出そうとするが声が出せず、スマホを取り出すとそのまま指を走らせる。

 

『電話の事で喧嘩になっちゃって・・・』

 

「それで逃げてきたって訳か?」

 

『うん。そう言えば有咲達は?』

 

「分かんねぇな。みんなをおいて蔵から出て行っちまったからな・・・」

 

『ねぇ?ゲンちゃん先輩は、家族とか大切な人が居なくなっちゃったことってあるの?』

 

「それ蔵から出る時に沙綾も同じようなこと言ってたけど、実は小学生の時に交通事故で親が2人とも死んじまってな・・・」

 

「・・・!?」

 

弦太朗の言葉に衝撃を受けた香澄は驚きに表情を浮かべると、指先が震えながらスマホに指を走らせる。

 

『それってみんなは知ってるの?』

 

「知ってんのはりみと蘭にレイ、それと・・・りみの姉貴のゆりだけだな」

 

『・・・さみしくないの?』

 

「あんま覚えてねぇってのもあるけど、爺ちゃんとかダチがいるからな」

 

『私はあっちゃんが居なくなっちゃいそうで怖いよ。それにあことロックの事もどうしたらいいんだろ・・・』

 

その文字を見た弦太朗はおもむろに香澄の頭に手を置くとその髪をわしゃわしゃと撫で始める。

 

 

 

「なに考えてんだ?」

 

『あこ達のために私が行ったほうがいいのかな?友希那さんとかレイヤさん達がそう言うかもしれないし・・・』

 

「何言ってんだ?あいつらがそんなこと言う訳ねぇだろ?」

 

『だったらどうするの・・・?』

 

「あこもロックも明日香もみんな助けるに決まってんだろ?」

 

弦太朗の言葉を聞いて香澄の指が止まる。

そんな香澄を見て弦太朗は普段通りの様子で彼女に問いかける。

 

 

「香澄はどうしたいんだ?」

 

『あっちゃんとまた一緒に居たいし、ロックもあことライブもしたい・・・!!』

 

「それなら難しく考えねぇで明日香に自分の想いをぶつければいいんだよ!!」

 

『でも、どうしたらいいんのか分かんないよ』

 

「ピンチの時に助け合うのがダチってもんだ。明日までは時間があんだからそれまでに考えりゃいいんだよ!!」

 

難しく考えていたところに単純すぎる弦太朗の言葉を聞いた香澄はスマホへ指を走らせて画面を見せる。

 

 

 

『だったらゲンちゃん先輩!!明日一緒にあっちゃんのところに行って!!それでロックとあことあっちゃんを助けてよ!!』

 

「おう!!みんなで3人とも助けようぜ!!」

 

その言葉と共に弦太朗は手を差し出すと香澄はそれを見て差し出された手を握り、友情のシルシを行うと2人は顔を見合って笑いだす。

そして弦太朗は再び香澄の手を取ってベンチから立ち上がらせる。

 

 

「だったら明日に備えて、しっかり休まねぇとな!!」

 

『それだったら今日もこころんの家にお泊りすることになってるから!!ゲンちゃん先輩もだよ!!』

 

「まじか・・・あの贅沢過ぎんのには慣れねぇんだよな・・・」

 

そんな他愛ない話をしながら彼らは弦巻邸へと向かって歩き出し泊まることになるのだが、弦太朗は日付が変わるまで香澄以外のポピパのメンバーとは誰一人話すことはなかった。





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鼓・動・再・輝-14 夜にすれ違う

投稿です。

遅くなりました。
なんもかんも仕事が悪い・・・

ポピパ篇は16くらいに終わるかな・・・?
そしたら3章突入よ(なおそれで各バンドストーリー最後の模様



 

約束の日―――

 

 

授業を終えた弦太朗は香澄と昇降口で待ち合わせるが、そこには他のバンドメンバー達はいない。

 

 

 

「香澄、有咲達は?」

 

『今日、行くのは2人だけだよ』

 

弦太朗の問いに香澄は首を振るとスマホに文字を打って答える。

それを見た彼は今回は有咲達は帰りを待っていると考えた弦太朗はそのまま香澄へと話しかける。

 

「そっか、みんなは待ってるんだな?」

 

『うん。終わったらあっちゃんやロック達でご飯食べよ!!』

 

「それだったら、さっさと終わらせてみんなのとこに帰るか!!」

 

『うん・・・!!』

 

「・・・でもよ、約束の場所は香澄が知ってるって言ってたけど、わかるのか?」

 

「・・・!!」

 

その言葉を聞いた香澄は思い当たる場所があるようで、首を激しく縦に振って答えると弦太朗の手を掴んで引っ張っていく。

 

 

 

「ますきの実家のとこにバイク停めてるけど歩いて行ける距離なのか?」

 

「・・・?」

 

弦太朗の質問に香澄は首を傾げて答えるが、その仕草は質問の答えとして弦太朗には伝わっていなかった。

 

 

「まぁいいか、時間もあるし・・・それなら有咲達に行くって連絡を・・・」

 

「・・・!!」

 

「なんだ?連絡はしない方がいいのか?」

 

「・・・!!」

 

弦太朗は有咲達に連絡をしておこうとマグフォンを取り出すと香澄はそれを止めようとする。

そんな香澄を見た弦太朗はそんな行動に疑問を感じたが、その行動を”有咲達を心配させないため”と盛大に勘違いをして彼は深く考えるのを辞めると香澄の引っ張られるようにして学校を離れて行く。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ?如月くんに香澄ちゃん・・・?」

 

この時の弦太朗は自身が大きな勘違いをしていたことと、今の姿をとある少女に見られていたことに気が付くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

「あぁ・・・お姉ちゃん。早く来ないかなぁ・・・」

 

約束の場所で宙を見上げながら私はお姉ちゃんを待っていた。

 

その後ろでは黒い忍者、たしかダスタードって言ってたかな?そいつらが私の命令で昨日学校で連れ去った時と同じ制服姿のあこと六花を取り押さえていた。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんが来たらどうしようかな?

一生お姉ちゃんが外に出れないように部屋に閉じ込めなきゃ・・・。

でも、それだと逃げられちゃうかもしれないから足は壊して首輪して・・・。それから有咲さん達によって毒されちゃってるかもしれないから私が頑張って料理して・・・それから・・・」

 

私は2人ではなくこれから来るはずのお姉ちゃんの事で頭がいっぱいになっていた。

そんな幸せな妄想が膨らんでいくが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あすか・・・!!」

 

「明日香ちゃん・・・」

 

「チッ・・・!!」

 

後ろで急に声をあげたあこによってその妄想は破裂した。

幸せに包まれていた私は一気に不快感に襲われると宙からあこ達へ向ける。

 

六花は怯えた様子を見せている横であこは真っすぐに私に視線を向けていることに苛立ちを覚えた私は舌打ちをするとゆっくりとあこへと歩み寄る。

 

「あすかなにを・・・ウガァ!!」

 

「ひぃ~~~!!」

 

「うぅ・・・痛い・・・」

 

 

スイッチの影響かここ最近、自身の力が上手く抑えられない私は怒りのままにあこの顔面を殴りつける。

その拳はあこの鼻を直撃したらしく、彼女の泣きそうになりながらも痛みに耐えるが鼻からは大量の血を垂らしていた。

目の前の光景に六花は悲鳴を上げていたが、私は六花の声と拳に不快感を感じて苛立ってしまう。

 

そんな中で自身の拳に視線を向けるとそこにはあこの血がべっとりとくっ付いていたを見て、思わず呟いてしまった。

 

 

 

 

 

「汚いなぁ・・・あこのせいで汚れちゃったじゃん・・・。それにそんな気持ち悪い声を出さないでよ・・・」

 

 

あこにそう言ってて私は拳に着いた血をあこの制服で拭うと、あこを押さえていたダスタードは私の意思を汲み取ってあこを地面に倒す。

そして私は地面に倒れたあこの側頭部を踏みつけるが、あこの目は未だに私に対して反抗的な視線を向けていた。

 

「そんな目で見るな!!」

 

 

 

 

「う”あ”ぁ”ぁぁぁ!!」

 

あこの視線によって感じた怒りをそのままぶつける様に足であこの頭をグリグリと地面に押し付ける。

痛みに耐えられなくなったのかあこは叫び始めるがその声が私の苛立ちを加速させ、足に力が籠っていくとあこの声もそれに伴って大きくなっていくがそれに伴って六花の悲鳴が次第に小さくなっていく。

 

 

「あっ・・・!!」

 

そんな中で六花が何かを見つけたようで突然声を上げると私は彼女の視線が向いている方向を見る。

 

「あっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

その視線を向けた先には私の大好きなお姉ちゃんが肩で息をしていながら立っていた。

 

――――――

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「香澄。ここなのか?」

 

弦太朗は香澄に連れられて約束の場所と思われる場所にやってきていたと思っていたが、彼の目の前にはあるのは森の様な場所。

 

本当に合っているのか疑問に感じていたが、弦太朗の問いに香澄からの返ってきたのはメッセージではなく、腕を掴むという行動だった。

 

それに多少驚いた弦太朗だったが、香澄はそれを気にすることはなく森の中へと入っていくと薄暗い空の光を頼りに歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う”あ”ぁ”ぁぁぁ!!」

 

「この声・・・!!あこのか!!」

 

「・・・!!」

 

「香澄!!待て!!」

 

そして突如としてあこの悲鳴が森に響きわたる。

香澄はそれを聞いて弦太朗の腕を放してそのまま森の中へと駆け出すと、それに遅れて弦太朗も駆け出して声が聞こえた方へと走り出す。

 

そして少し走ると開けた場所に出るとそこでは明日香があこの頭を踏みつけている光景が広がっていた。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!!」

 

「あっ!!」

 

そんな光景を前にしても香澄は声を出せず、肩で息をしているとロックの目が香澄達の姿を捉えて声を挙げると、あこを踏みつけたまま明日香が香澄へと視線を向ける。

 

「お姉ちゃん!!」

 

明日香は満面の笑みを浮かべながら声を挙げると共にあことロックがダスタードの拘束から解放される。

 

そして今まで踏みつけていたあこの存在を邪魔と感じた明日香があこをそのまま蹴り飛ばすとその体は力なく地面を転がり、ロックがそれを追いかけ始めるが彼女はそれを全く気にしていなかった。

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!!一緒に帰ろ!!これからはずっと一緒だよ?」

 

「・・・」

 

そんな言葉をかけながら明日香は香澄へと歩み寄ろうとするが、その歩み寄った分だけ香澄は後ろへと下がってしまった光景に明日香の表情から笑みが消える。

 

「なんで?お姉ちゃんが私から逃げるの?私を避けるお姉ちゃんなんてお姉ちゃんじゃない!!」

 

「・・・」

 

「ユルサナイよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

明日香の言葉と共に先ほどまであこ達を拘束していたダスタード達が香澄を捉えようと一気に駆け出すが、その間に弦太朗が割り込むとそのうちの1体に対して頭突きを見舞うとすぐさまドライバーを腰に装着していた。

 

「あこをあんなに傷つけたな・・・。おめぇは許せねぇ・・・」

 

そう言って弦太朗はドライバーのスイッチを入れるとカウントダウンが響く。

 

 

3―――

 

そのカウントと共に2体のダスタードが再び弦太朗へと駆け出していく。

 

2―――

 

ダスタード達を回し蹴りを見舞って纏めて蹴り飛ばすのを見ながら明日香もスイッチを取り出す。

 

1―――

 

「そっか・・・。あなたのせいでお姉ちゃんが・・・!!」

 

「変身!!」

 

カウントが終わると同時に弦太朗はドライバーのレバーを押し込むと同時に、明日香も自身が持っているスイッチを押す。

 

弦太朗と明日香が白い煙と黒い煙の様にも見えるコズミックエナジーに包まれると同時に互いに目掛けて駆け出して行った。

 

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。


現状次章のメインバンドは・・・決まってません!!
そもそも、ハロハピとパスパレに関しては3章の構成すら出来ていません!!
だが私は謝らない。




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鼓・動・再・輝-15 走れポピパ

お待たせ縞々
投稿です。

次の話で終わるかはわかりませんが、あと少しでポピパ篇2章が終わります。



 

「宇宙・・・きたぁああああああああ!!」

 

変身が完了すると同時に駆け出した2人。

しかし、ピスケスへと向かっていたフォーゼとは違い、ピスケスは香澄へ目掛けて駆けていくのに気がついたフォーゼはそれを止めるべくスイッチを起動する。

 

――――――――ウインチON――

 

ウインチの起動と同時に射出。

フックをピスケスの身体に巻きつけると同時にワイヤーを高速で巻き取って香澄から距離を離す。

それを見てロックはボロボロになったあこを引き摺りながら香澄の元へと向かい始めていた。

 

「邪魔しないで!!」

 

「香澄に近づけさせねぇぜ?」

 

「それならお前から・・・!!」

 

「水を出してくるなら・・・これだ!!」

 

ピスケスは香澄からフォーゼへ標的を切り替えると先ほど蹴り飛ばされたダスタード達をフォーゼへと差し向け、自身も駆け出しながら水流を放ち始める。

 

それを見てフォーゼはウインチを解除すると素早く別のスイッチへと切り替えていく。

 

――エレキON――――――――

――――チェーンソーON――――――

――――――――シザースON――

 

 

「そらっ!!」

 

水を使うピスケスを相手にフォーゼはエレキステイツになると、ロッドをピスケスの腹部目掛けて突き刺して電流を流し込んで怯ませてから別の方向から飛び掛かってくるダスタードの刀をシザースで弾き飛ばしてからチェンソーで切りつけるとロック達へと視線を向けると既にロックはあこを連れてフォーゼの後ろへと移動しているのを確認してドライバーからエレキスイッチを取り外してロッドのプラグをを挿し直してからソケットにエレキスイッチを装填する。

 

しかし空中で切られたダスタードが地面に落ちると同時に再びフォーゼへと駆け出しており、既にその手に握られていた刀はフォーゼの頭上に振り上げられていた。

 

 

 

―リミットブレイク―

 

 

 

ロッドからの声と共にフォーゼ目掛けてダスタードがその刀を振り下ろすと同時にフォーゼは屈むとダスタードの刀はフォーゼの頭上のわずか上を通過した。

 

斜め下に振り抜かれたことが幸いして回避に性向すると同時にフォーゼがロッドを地面に突き刺した。

 

「ライダー・・・・100億ボルトバースト!!」

 

 

 

その言葉と共にフォーゼの前方へと電流が走るとダスタードとピスケスへと電流が流れ込み、ダスタードが消滅してピスケスも小さくないダメージを受けて動きが鈍っていた。

 

 

それを見たフォーゼはピスケスへと駆け出してロッドや起動したままのシザースとチェーンソーでピスケスを攻撃し始めるがそれに応える様にしてピスケスも至近距離で水流を浴びせながらその合間に素手でフォーゼへと攻撃を繰り出す。

 

フォーゼからの攻撃を避けようとするピスケスに対して、気持ちが焦ってしまってしまい素早く終わらせようと考えたフォーゼは攻勢を緩めないために防御を捨てて攻撃を受け続ける。

 

目の前で繰り広げられる激しい攻防を悲しそうな表情で見つめていた香澄だったが、突如として状況が動いた。

 

「ぐぅ・・・!!」

 

「よしっ・・・!!これで・・・きめてやる・・・!!」

 

 

 

激しい攻防の末、ピスケスが先に体勢を崩して地面に膝を突いた。

しかしフォーゼも攻撃を食らいすぎてダメージを隠しきれていないが、必死にそれを抑え込んでピスケスを倒すためにドライバーのエレキスイッチをロッドへと装填する。

 

 

―リミットブレイク―

 

ロッドからの音声と共に周囲の電気がロッドへと集まっていく。

それを感じながらフォーゼは残ってる力でピスケス目掛けて駆け出す。

 

「ライダー100億ボルト・・・!!」

 

「きゃあ!!」

 

フォーゼの必殺技の掛け声を割る様に突如としてロックが悲鳴を挙げるとほぼ同時にピスケスとフォーゼの間にダスタードが割り込んで何かをフォーゼに向けてくるが、それに構わずロッドを振り下ろそうとしたが向けられたものの正体が分かるとフォーゼはその寸前でロッドを止めた。

 

 

 

 

 

「んなっ!?あこ!!うわぁ!?」

 

ダスタードが向けた物、それは先ほどボロボロになっているあこ。

ピスケスはいつの間にかダスタードを呼び出ており、倒されるこのタイミングでフォーゼの後ろにいたあこをロックから奪って自分の盾として使ったのだ。

 

 

突然のあこを見て動きの止まってしまったフォーゼ。

その大きな隙にピスケスはフォーゼがロッドを持っている右手を水流で狙い撃ちロッドを叩き落す。

 

武器を落として少しだけ動揺していたフォーゼの目の前でダスタードがあこをロックがいる方向へと投げ捨てるとロックはそれを受け止めようとするがあこと共に地面を転がってしまう。

 

それを見て冷静さを失ったフォーゼはピスケスに駆け出そうとするがあこを投げたのとは別のダスタード達がフォーゼの身体を抑え込み始めた。

 

「くそっ!!放しやがれ!!何するつもりだ・・・!!・・・っ!!」

 

焦るフォーゼに言葉を聞いてピスケスは内心で笑みを浮かべるとゆっくりと立ち上がって見下すような視線をフォーゼに送る。

 

「それじゃ・・・お姉ちゃんの前で死んでね?」

 

ピスケスの言葉に反応してダスタード達はいつも使っている爆弾を大量に出し―――

 

 

 

 

それを地面へと叩きつけ、自身達諸共フォーゼを巻き込んで自爆するとそれによって発生した爆風によって香澄達は地面へと倒れる。

そして倒れた香澄が爆風の中で目を見開くと、そこに飛び込んできたのは爆風と共にボロボロになった弦太朗(・・・)が力なく自分のへと向かってくる光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――

 

明日香ちゃんが電話で告げていた約束の日である放課後に私たちは生徒会室に集まって香澄と弦太朗を待っていた。

 

「有咲、香澄はどうしたの?・・・トイレ?」

 

「もう少し言い方考えろよ・・・。まぁその通りなんだけどよ・・・」

 

 

 

 

「・・・」

 

「沙綾ちゃん・・・」

 

「香澄達はいつになったら来るの・・・?」

 

「ちょっと見てくるわ・・・。皆は待っててくれ・・・」

 

私のおたえの質問に答えるとおたえはそのまま椅子に座ってぼーっとし始めた横では沙綾が昨日の事を思い出してずっと俯いており、そこを中心にして室内の空気が完全に死んでいるのを感じるが香澄達が来るまでここを離れるわけにもいかず部屋の中でただひたすらにこの空気に耐える。

 

しかし、おたえのやつが愚痴のような疑問を口にするのを聞いた私はこの空気から逃げるようにすぐさま生徒会室を飛び出すと香澄と如月を探して校内を探すが2人の姿は見えない。

 

 

 

 

 

 

「香澄のやつどこ行っちまったんだ・・・?まさか・・・明日香ちゃんに・・・?いやいや・・・!!如月が近くにいてそれは無いだろ・・・!!」

 

焦りだす私がの頭には最悪の状況が浮かぶが、そんなことはあり得ないと自分に言い聞かせるように呟き、再び香澄を探そうとすると見覚えのある後ろ姿が私の目に写ると「何か知ってるかもしれない」という期待感を胸に声をかけた。

 

「花音先輩!!」

 

「ふえぇ!?有咲ちゃん!?」

 

「あの・・・!!香澄と如月を見ませんでした?」

 

「香澄ちゃんに如月くん・・・?見たけど・・・?」

 

「花音先輩!!どこにいたんですか!!」

 

突如声をかけられた花音先輩は驚いているようだが、いつも通りなのであまり気にすることはなく香澄達の事を聞くと2人を見た問う言う花音先輩の肩を掴むと激しく揺すりながら問い質すと、揺すられながら花音先輩は叫ぶように答えた。

 

 

 

 

「ふえぇ~!?2人で一緒に学校から出て行ったよ~!!」

 

「は・・・?」

 

「あの・・・?有咲ちゃん・・・?」

 

その言葉を聞いて私の身体は固まってしまった。

花音先輩が何か言ってるがそれを聞き流して2人で学校を出て行った理由を考えようとしたがそんなのはすぐに分かってしまった。

 

 

香澄のやつは私達を巻き込まないように2人だけで明日香ちゃんのところへ行ったんだ―――!!

 

それが分かった私はすぐに生徒会室へと戻ろうとしたがあることを思い出した。

 

「そう言えば、あれのスイッチ返してたんだった・・・」

 

アイツを使えば香澄と一緒にいるはずの如月の場所が分かると思っていたが、今朝会った時にスイッチを返したからあいつは今私のカバンでお休み中なのを思い出す。

そうなると2人が向かった先の見当が全くつかず、私は頭を悩ませていると小さい影が動いているのに気が付いて視線をその影の正体へと向けるとそこには小さい顔が浮いていた。

 

 

あれもアイツと一緒で如月のやつだったはず―――!!名前はナゲ・・・なんだっけ?まぁ・・・ナゲットのなんかだ!!

 

 

そう思った私は花音先輩の肩から手を放して浮いている顔を捕まえようと跳ねるがするすると腕の間をすり抜けていく。

花音先輩が不思議そうに私を見ていたがその小さい顔は花音先輩の手の中に納まった。

 

「花音先輩!!それって・・・!!」

 

「えぇっと・・・如月くんのだけど懐かれちゃって・・・」

 

「それ貸してくれませんか!!」

 

気が付けば似たような顔が4つ程花音先輩の近くに浮かんでおり、足元には箱のようなものが転がってくる。

花音先輩は箱を拾い上げて私に差し出してくる。

 

「うん・・・。みんな、有咲ちゃんの事を助けてあげて?」

 

花音先輩の言葉に小さいのはやる気を出したかのように激しく動き出したと思ったら箱の中に入っていく。

私はそれを見てから花音先輩に頭を下げてからすぐに生徒会室へと引き返し、その扉を勢いよく開け放った。

 

 

 

 

 

「「「有咲(ちゃん)!!」」」

 

「市ヶ谷さん・・・もう少し静かに扉は開けたほうがいいですよ?」

 

「ポテェ・・・」

 

生徒会室にはおたえ達3人以外に燐子先輩が仕事をしている横で紗夜先輩が頭にコップを乗せながら私のカバンの中にあるアイツを物欲しそうに見つめている光景が広がっていた。

 

「香澄達は・・・?」

 

「アイツらあたし達を置いて明日香ちゃんのとこに行っちまったんだ!!すぐに後を追うぞ!!」

 

「でも・・・どこに行ったの?」

 

「それに紗夜先輩が見てるあの子だって、場所を教えてくれるかもしれないけど今動かないんでしょ?」

 

「大丈夫だ。別のを花音先輩から借りてきた!!お前たち!!如月の場所まで案内してくれ!!」

 

花音先輩から受け取った箱から小さいのが4つほど飛び出すと、最初に反応したのは頭にコップを乗せている紗夜先輩だった。

 

「ナゲット・・・ですね・・・?」

 

「それはいいですから!!お前ら早く行くぞ!!」

 

「沙綾ちゃん?弦太朗くんはいつまでも気にするような奴じゃないから・・・?」

 

「うん・・・」

 

何とも言えない気持ちになったがすぐに気持ちを切り替えておたえ達を急かし、俯いている沙綾をりみが説得して立たせて生徒会室を出ようとするがそこを燐子先輩が止める。

 

「あの・・・市ヶ谷さん」

 

「燐子先輩。急いでるんですけど・・・」

 

「待ってください・・・!!この子たちも持って行ってください・・・」

 

 

 

 

「これって先輩のだよね・・・?」

 

「分かりました!!いくぞ!!」

 

燐子先輩はそう言うとカバンから取り出したハンバーガーと紗夜先輩の頭に乗っていたコップが突如変形すると私達の方へと飛んでくると沙綾の腕の中に納まる。

 

何て言ったっけ・・・?

バガなんとかとなんとかスキーだったような気がするが思い出せないがすぐにそんなどうでもいいことを考えるのは辞めて、私達は生徒会室を飛び出してそのまま学校を出ると浮いているナゲットを追いかけて香澄達のいる場所へと走りだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、走り始めて早々に息が上がって瀕死になっていた私だったが遂に限界を迎えてしまった。

 

「もう・・・無理・・・」

 

「有咲ちゃん・・・しっかり・・・」

 

「お前ら何してんだ?」

 

倒れそうになった私を支えたのはりみだったがそんな彼女も今にも倒れそうになってしまう。

そんな中で私達を呼ぶ声が聞こえたがそこには予想外の人物がいた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ますき・・・」

 

「先輩たちのとこまで・・・ますきこそ何してるの・・?」

 

「実家の手伝いで裏から段ボール運んでたんだよ。・・・でもハナ以外完全に息上がってるけど大丈夫か?」

 

「うん。平気だよ?」

 

「それはハナだけだろ・・・」

 

声をかけてきたのはマスキングで視線を上げるとそこは私達が良くライブをする”Galaxy”の前だった。

 

そんな場所で息の荒くしている私達を見て心配するマスキングの疑問へとおたえが答える。

その答えにツッコミを入れられるが、おたえはそんなツッコミを気にする様子はなく徐々に視線が下がっていきマスキングの持っていた物へと熱い視線を送り始めた。

 

 

 

 

何故だろう―――

凄い嫌な予感がするがそれは的中した。

 

「ますき。それ・・・借りるね?」

 

「おいっ!?ハナ!?」

 

「うわぁ!?」

 

「キャ!!」

 

「大丈夫。ちゃんと返すから!!」

 

「いや、それだとアブねぇからちょっと待ってろ・・・」

 

そう言っておたえはマスキングが持っていた物―――配達で使ったであろう台車を借りると言いながら強奪するとその上に私とりみの2人を台車の上に乗せるが、今の私達は抵抗する体力もなく無抵抗で台車の上に乗せられて、そのまま台車ごと走り出そうとしたおたえをマスキングが静止する。

 

そして店の中へと消えて行ったと思ったらすぐにとなにかを持ってくると私の頭に何かを被せてくる。

 

「こけたらアブねぇからヘルメット被ってけ。それとなんかあったらすぐ行くからな」

 

 

お前までボケに回ってんじゃんぇ!!

 

そうツッコみたかったが今の私にはもうそんな体力すらなかった。

りみも同じようでぐったりとしていたがマスキングが手慣れた様子でりみにもヘルメットを被せてそれが終わるとおたえの背中を叩く。

 

気合を入れるため・・・だとは思うけど思いのほかいい音が響き叩かれたおたえも少し痛そうな表情を浮かべるがすぐに視線をマスキングへと向ける。

 

「じゃあ逝ってくるね?」

 

「ロックの事任せたぞ!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ちょっと待って・・・!!」

 

マスキングの声を受けておたえは私達を乗せた台車を押しながら走り出し、その後を沙綾が追いかける。

しかし、おたえは涼しい顔をしているが台車の分スピードが落ちておりそのため沙綾も少しだけ余裕が出来たようで普通に着いてきていた。

 

 

 

おたえも、沙綾も体力スゲーな・・・

 

 

少しだけ体力が戻った私はりみと一緒に台車にしがみつき、周囲の視線を集めてドナドナされる姿を晒しながらもそんな事を考えてたら突然おたえが止まる。

何事かと思って正面を見ると、そこには森が広がっており、流石にこれ以上は進めないので私達が地面に立つと少し遅れて息の絶え絶えになった沙綾がやってきた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ここ・・・?」

 

「そうらしいよ?でも、沙綾大丈夫?」

 

「正直キツイ・・・。それにしてもおたえはなんで平気なの・・・」

 

「・・・?でもどうする?森の中にいるみたいだけど、暗くて見失いそう・・・」

 

沙綾の言葉におたえは首を傾げるがそれに答えずにこの後の事を話し始めた。

あのナゲット達は森の中へ入ろうとしているが、あんな場所ではすぐに見失ってしまうだろ。

そう思っていたら沙綾の腕の中から生徒会室で受け取っていたコップの方のやつが飛び出しておたえの頭の上に乗ると突如として光り出す。

 

「すごい・・・でも、なんでおたえちゃんの頭の上?」

 

「どうでもいいだろ・・・。とりあえず・・・おたえ以外のペース考えてゆっくりいくか・・・。はぐれんなよ・・・?」

 

その言って私達は森の中へと入っていくと途中でナゲット達を何度も見失うが、その度にハンバーガーに場所を教えてもらいながら少しずつ前に進んでいくと突如として森の奥から爆発音が響き渡る。

 

その音が聞こえると、みんなが今までの疲れなど忘れてしまい、私達は全員で音がした方向へと駆け出すとすぐに広い場所に出た。

 

「・・・っ!!」

 

「香澄・・・!!先輩・・・!!」

 

「弦太朗くん・・・」

 

「嘘だよね・・・?」

 

そこには変身した明日香ちゃんの前にして生身の如月の姿に地面に倒れている光景が広がっていた。

 

 

 





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鼓・動・再・輝-16 再誕する宇宙

投稿です。

多分次がポピパ2章ラストかなぁ・・・
やったぜ・・・!!


 

「これ・・・先輩の・・・」

 

たえが自身の足元に転がっていたエレキスイッチの存在に気が付き、それを拾い上げた。

そんな彼女達の視線の先にはドライバーを着けた弦太朗が地面に転がっている光景が広がっていた。

 

それを見たロックや有咲達はその光景を見て思考が完全に停止するが、そんな中でピスケスからの言葉を響き渡る。

 

 

 

 

 

 

「あはははは!!あの爆発でやっと死んだんだね!!」

 

「嘘だろ・・・?」

 

弦太朗が明日香ちゃんに殺された―――

 

ピスケスである明日香の言葉は思考停止していた彼女達の頭の中に飛び込んでくると、彼女達の頭がその最悪の思考に支配されていた。

 

そんな中でただ1人は倒れている弦太朗の元へと歩み寄るとその体を揺すり始める。

 

「・・・ぅぁ・・・!!」

 

「香澄ちゃん・・・」

 

しかし香澄が身体を揺すっても弦太朗は意識を取り戻すことはなく、その事実がピスケスの先ほど放った言葉の真実味と共に彼女達の絶望感が増していく。

 

 

「お姉ちゃん。声出せなくなってたんだ・・・?大丈夫だよ?私はお姉ちゃんが何考えてるか分かってるから・・・。そいつがいなくなって嬉しいんだよね?」

 

「・・・っ!!ぇ・・・!!」

 

「ううん。大丈夫だよ?思う存分嫌だった奴でも、最後の別れだもんね!!私は待ってるからゆっくりやってていいよ!!・・・その間にこの邪魔者達は全員を始末しておくから・・・!!」

 

 

嬉しそうな声色で話していたピスケスだったが、始末すると言いながら視線を有咲やロック達へと向けた途端にその声は冷淡なもの変わっていった。

 

 

「・・・っ!!ロック達はいいでしょ!!友達だって言ってたでしょ!!」

 

「は?私とお姉ちゃんの間を邪魔しようとしたんだからもう友達じゃないないよ・・・。だから消さないと・・・」

 

「嘘や・・・。明日香ちゃんが・・・そんな・・・」

 

「ロックちゃん!!しっかりして・・・!!」

 

ピスケスの言葉を聞いたロックは絶望感に耐え切れずその場にへたり込んでしまい、りみが声をかけるが全く反応を示さない。

しかし、逃げ出そうにもここに来るまでに体力を使い果たしてしまったポピパ達はピスケスから逃げることが出来ないと察していた。

 

 

 

 

 

「じゃあ、最初は有咲さんか・・・っ!!」

 

「この音・・・先輩のバイク・・・?でもそれ以外の音もこっちに来てる・・・!!」

 

そんな中でたえが遠くからこちらへと向かっていく音を捉えていた。

ピスケスもその音が聞こえたのか有咲達から音が響いてくる方向へと視線を向けて構えると、森の中からたえの言葉通り弦太朗のバイクが飛び上がりながら現われる。

しかし、そのバイクはピスケスの頭上を飛び越えると同時にその後ろから誰かが飛び降りてピスケスを蹴り飛ばす。

バイクは綺麗に着地してロック達の元へと走ってくるが、蹴りを入れた人物はその後の受け身を失敗して地面にそのまま転がっていくがすぐにあこの元へと駆け出していく。

 

「ロック!!無事か!?」

 

「あこっ!!お前!!鼻血!!」

 

 

 

「はいっ・・・!!」

 

「おねーちゃん・・・。あこは大丈夫だよ・・・?」

 

「ますきさん!?」

 

「それに巴!?」

 

「・・・美咲!!任せた!!」

 

「全く・・・!!考えなしに・・・。若宮さん捕まってて!!」

 

「はいっ!!」

 

突如として現れたのは巴とますき。

それに巴と入れ替わる様に美咲が片腕だけのダイザーに乗り、その肩にイヴを乗せたままピスケスへと殴り掛かる。イヴも殴りつけた腕を伝って駆け出してピスケスを木刀で顔面を打つとそれに怒りを覚えたピスケスはダスタードを出して2人へと差し向けるが、彼女達には物量差で防戦気味になるも少しずつダスタードを処理していく。

 

そんな事が繰り広げられてる後ろでは突如として現われた4人に目を丸くするポピパとあこ達だったが、一番最初に声をあげたのはたえだった。

 

 

 

「みんななんでここが・・・?私達も場所が分かんなかったのに・・・?」

 

「香澄が今持ってるスマホ・・・。あれこころの家の人が用意したもんだから、それの場所を調べてな・・」

 

「マジか・・・それなら私達の苦労は何だったんだ・・・」

 

あっさり明かされた事実に肩を落とす有咲だったが、何があったか分からない2人は疑問にその事に疑問を感じるがすぐに倒れている弦太朗へと視線を移した。

 

「でも、弦太朗の奴は大丈夫なのか?」

 

「分かんないよ・・・!!爆発が聞こえたと思って来たら倒れてるし・・・!!」

 

「とにかく!!奥沢さんたちが時間稼いでるうちに逃げるぞぉ!!」

 

「逃がさない・・・」

 

「・・・くっそ!!邪魔すんな!!」

 

有咲はその場から逃げだそうと走りだすが、ピスケスが別のダスタードを呼び出すと共に逃げ出そうとする有咲達に差し向けるがそれを巴が足止めとして向かってきたダスタードを殴り飛ばす。

 

そんな中でたえが不意に後ろを振り返って香澄の存在を確認する。

 

 

 

 

「香澄・・・?」

 

「香澄ちゃん・・・!!」

 

しかし、香澄は以前として弦太朗を起そうと身体を揺さぶっている。

そんな光景にたえ達は足を止めて香澄を暗い表情で見詰めていたが、対照的にピスケスはそんな光景をつまらなそうな視線を送っていた。

 

「お姉ちゃん。もうそろそろいいでしょ?」

 

「・・・ゃん!!・・・て!!」

 

 

 

 

 

 

「香澄・・・声が・・・」

 

「・・・!!」

 

ピスケスは不快感を全開で有咲達へと歩み寄っていたが、このタイミングで香澄の声が少し戻るとピスケスは自分の事を呼んだと勘違いして嬉々とした雰囲気を放つがそれはスグに終わる。

 

「ゲンちゃん!!起きてよ!!」

 

「はっ・・・?」

 

「おい!!香澄!!お前・・・声が!!」

 

 

今度は香澄の声がハッキリと聞こえたが、それは明日香では無く弦太朗を呼ぶ声だったことにピスケスは呼ばれたのは自分ではなかったことを理解すると信じられないと言った様子で固まってしまうが、信じられない出来事はそれだけではなかった。

 

 

「ゲンちゃん!!起きてよ!!」

 

「・・・っん・・・香澄か・・・?爆発で気を失ってたみてぇだな・・・。香澄は大丈夫みてぇだな・・・」

 

「うん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「はぁ~!?」

 

「嘘でしょ!?だって・・・!!」

 

香澄の言葉に弦太朗が突如として目を覚ますと少しふらつきながらも香澄の手を借りて立ち上がると再びピスケスへと視線を向ける。

その光景にピスケスと有咲達は驚いた形相で弦太朗を見るが、彼はそれを気にする様子も見せずにピスケスへと話しかける。

 

「待たせたな。明日香」

 

 

 

 

 

 

「なんで生きてるの・・・?ダメだよ?死人は死んでなきゃ・・・まぁいいや。どうせさっきみたいに倒されるんだから・・・」

 

「あっちゃん・・・」

 

彼らの周りでは後から来た美咲を中心に激しい戦闘音が聞こえてくるが、それに構わず弦太朗とピスケスは睨み合う横で香澄もピスケスへと視線を向ける。

 

そこには彼女が知っている明日香とはかけ離れたものが目の前にいるが、その正体は紛れも無く自身の妹である明日香であることを理解できている香澄は苦しそうに胸を抑えて苦しそうにふらつき始める。

 

そんな中で香澄は自身のポケットに収まっている物の存在を思い出して、それを手に取ると弦太朗の胸に押し付ける。

 

「ゲンちゃん!!これ!!これだったらあっちゃんを助けられるんでしょ!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・えっ?あれって・・・!!」

 

「おい!!それ・・・!!」

 

「りみ?有咲?」

 

「2人ともどうしたの?」

 

「あれ。最初に学校で使おうとした時に使えなかったんだよ!!」

 

「「えっ!?」」

 

「おいおい。そんなもんをこのタイミングで出すのかよ・・・!!」

 

香澄から弦太朗に差し出された物それは先日香澄に預けていたコズミックスイッチ。

しかし、それが使えなかった光景を見ていたりみと有咲は驚きの声を挙げて、理由を聞いた沙綾やますきですら困惑する。

 

一方では香澄の中にはこれは使える根拠などないが、これが明日香を取り戻すために必要であると確信していた。

そんな香澄の自信に溢れた視線を受けて弦太朗はそのスイッチを手に取った。

 

 

 

 

「おう!!これで明日香を助けてやる!!」

 

弦太朗は香澄からスイッチを受け取ると小さく1歩前へと踏み出す。

そこには先ほどまでのふらついていた様子は微塵も感じられず、それを見ていた有咲達は不安を感じていたが何も言わずにその背中を見詰めていた。

 

「今、目を覚まさせてやるぜ!!明日香!!」

 

「そんな状態で・・・無駄な足掻きを・・・」

 

「無駄じゃねぇ!!今から見せてやるよ・・・みんなとの絆の力を・・・!!」

 

弦太朗は手に持ったスイッチをピスケスへと突き出してからドライバーの空いているソケット目掛けて振り下ろす。

 

 

有咲達は前のように使えないのでは?と言う不安を感じていたが―――

 

―――コズミック―――

 

そんな不安を裏切る様にスイッチはドライバーに刺さると音声が力強く響き渡り、弦太朗はそれに答える様にドライバーのスイッチを叩く。

 

 

3―――

2―――

1―――

 

「変身!!」

 

「このっ・・・!!」

 

弦太朗はその声を共にベルトのレバーを押すと同時にピスケスから彼の変身中に直撃するような完璧なタイミングで水流が放たれる。

 

「先輩っ!!」

 

「弦太朗くん!!避けて!!」

 

 

 

 

 

「大丈夫!!」

 

「香澄!!何言って・・・!!」

 

りみ達の心配する声を他所に香澄はまるで心配する様子はなかった。

弦太朗が変身するためその場から動かなかったが、彼を中心に降り注いだコズミックエナジーによってピスケスからの水流は全て彼に直撃することはなく逸れていく。

 

 

 

 

「おっしゃ!!」

 

変身が完了したフォーゼは煙のように周囲に広がっていたエナジーを気合の掛け声とともに腕を振るって放たれた水流ごと吹き飛ばすと、その手をドライバーのコズミックスイッチに手を伸ばしてスライダーを操作してコズミックスイッチのハッチを開放すると中にあるスイッチを押し込む。

 

 

――コズミックON――――――――

 

 

スイッチの起動と共にドライバーから力強い音声が周囲へと響き渡っていく。

それと同時にフォーゼ以外にも変化が起こっていく。

 

「きゃあ!?」

 

「うわぁ!?」

 

「沙綾ちゃん!?有咲ちゃん!?」

 

「おい大丈夫か!?」

 

「スイッチが吸い込まれてく・・・」

 

沙綾達から突如として悲鳴が上がると彼女達が持っていたフードロイド達からスイッチがフォーゼ目掛けて飛んでいき、ドライバーに装填されていないスイッチ達が彼の周囲へ漂い始めたと思った途端に彼の身体の中に吸い込まれると周囲を閃光が照らす。

 

彼女達はその光に目が眩んでしまうが、次第に光が晴れると今までに見たことがない姿をしたフォーゼが佇んでいた。

 

 

「宇宙・・・・・・きたぁぁぁあああああああああああああああ!!」

 

そしてフォーゼは姿が変わってもいつも通りに宙に拳を突き上げて叫びを挙げる。

そんな変身を間近に見ていた香澄は―――

 

 

 

 

 

「星の・・・鼓動・・・?」

 

小さい頃に感じた星の鼓動と似たものをフォーゼから感じ取っていた。

 

 




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カウント・the・スイッチ
40/40 (コンプリート!!なお、ホルワンコフ及びジャイロとカメラには目を瞑るものとする。


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鼓・動・再・輝-17 キズナコズミック!!

投稿です。
ポピパ2章完結!!

めっちゃコズミック君難産でした。
あなた、本編でソードと変身者スペック任せに戦って能力使わなすぎよ!!





 

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマン・・・張らせてもらうぜ!!」

 

「香澄!!こっちにこい!!」

 

「うん!!」

 

コズミックステイツへと変身を完了したフォーゼは左手を突き出すその横では香澄がフォーゼの邪魔にならない様に有咲達の元へと駆け出していた。

 

「煩い!!」

 

そんな光景に怒りを感じたピスケスは無防備なフォーゼへと水流を放ち、フォーゼの正面に直撃する。

 

 

 

「おいっ!!如月!!お前何やって!!」

 

「大丈夫だよ!!」

 

「香澄も何を言って・・・」

 

 

 

 

「おい!!あれ見てみろよ!!」

 

「普通に立ってるどころか押し退けてる・・・」

 

見え見えの攻撃が直撃している光景に有咲達は声を挙げるが、フォーゼは水流に逆らってゆっくりとピスケスへと歩み寄っていく。

そんな光景を前にピスケスは水流の意味がないと察して次の手を打つ。

 

 

しかし、ピスケス自身は全く行動を起こさない。

不自然に感じていた一同だったが動き出したのはピスケスではなかった。

 

「うおっ!?」

 

「やっば・・・!!」

 

「キサラギさん!!」

 

この状態で動き出したのはダスタード。

有咲達を襲おうとして美咲たちに妨害されていたダスタード達だったが、それが一斉に美咲達を無視してフォーゼへと向かおうとする。

 

ダスタード達の突然の行動に数体を足止めするがその多くをフォーゼの方へと雪崩れ込む。

そして、先ほど同様にダスタード達は先ほど同様、フォーゼに組み付くと自身を巻き込んで大爆発を起こす。

 

「ヤベェ!!みんな伏せろ!!」

 

巴が危機感を感じて叫ぶとそれを聞いて反射的に皆がその場に屈むとほぼ同時に周囲には先ほどよりも大きい爆風が広がっていく。

 

なんとか爆風をやり過ごした彼女達は爆発の中心地にいたフォーゼへと視線を向けるが、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 

「弦太朗!!」

 

「おいおい・・・嘘だろ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジかよ・・・。如月のやつ・・・なんであそこにいて無傷なんだよ・・・」                                                                                                                                                                                                                                                                                        

 

「なんで・・・!!無傷なの!!」

 

ダスタードが自爆した中心にいたはずのフォーゼだったが、コズミックステイツになったその装甲には傷1つなくその場に立っている想定外の状況にピスケスは声を荒げるがフォーゼはそれに答えることはなく、フォーゼは右手に持っているバリズンソードのレバーを引くと、バリズンソードが割れて中から刀身が露出したスラッシュモードへと変形させる。

 

 

 

「ロケットが割れた・・・!!」

 

「ハナ。何言ってんだ・・・?」

 

外野のツッコミを気にすることなくフォーゼは胸のパネル―――スイッチングラングに描かれた1番のマークに触れてロケットスイッチを取り出して、右手に持っているバリズンソードのグリップにあるスロットにスイッチを挿して起動する。

 

 

―――ロケット ON―――

 

バリズンソードからドライバーでスイッチを使った時とは違う盛大な音声が流れると、それを聞いてフォーゼは再び胸のスイッチングラングに描かれたマークへ触れる。

 

―――ファイヤーON―――

 

マークに触れると同時にドライバーで使用する時と同じ音声が流れると同時にフォーゼはバリズンソードを構える。

 

 

「・・・行くぜぇええええええ!!」

 

その言葉と共にバリズンソードの柄からはロケットのような炎を噴き出させてピスケス目掛けて一直線に飛んでいく。

 

「このぉ!!」

 

ピスケスは反射的に水流を放つが、バリズンソードから噴き出す炎によってその水は全て蒸発する。

そしてフォーゼはそのままピスケスへと肉薄すると炎を噴き出している刀身でその体を切りつける。

 

「何で水が消えるの!?」

 

「そんな水じゃもう止まんねぇぞ!!」

 

想定外の出来事にピスケスが叫ぶも、ロケットの勢いを乗せてバリズンソードで斬りつける。

 

「うぉおおおお!!」

 

「きゃあああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「先輩のあの剣、他のを足せるんだ・・・」

 

気合の声と共に炎を帯びた剣が振り下ろされると、ピスケスは悲鳴を挙げると勢いに負けて大きく後ろへと吹き飛ばされる。

 

そんな光景にたえがポツリと呟くとフォーゼの攻撃を止めることはなくすぐさまスイッチを起動する。

 

――――ランチャーON――――――

 

右足にランチャーが生成されるとピスケスへと向けるが、すぐに放つことはなくフォーゼは胸のパネルを叩いた。

 

―――フリーズON―――

 

「いっけぇええええええええええ!!」

 

その音声と共にフォーゼはミサイルは一斉にピスケス目掛けて放たれて着弾した際にそこで起こった現象に一同は驚愕する。

 

 

 

 

 

「爆発の炎が氷になってる!!かっこいいー!!」

 

「綺麗・・・」

 

「山吹さん達は何言ってるの・・・?あっ・・・アイツが凍ってる・・・」

 

ミサイルが着弾した場所からは爆炎が上がることはなく代わりに氷柱が出来上がる。

そんな光景を前にして思い思いの言葉が挙がるがその中で1つに氷柱に凍り付いたピスケスが閉じ込められるのを見たフォーゼは凍り付いたピスケスへと飛ぶと氷柱もろともピスケスの身体を切りつける。

 

 

 

 

そして切られた衝撃でピスケスは後ろに下がるとここでピスケスに異変が起こった。

 

「あぁ!?どうなってんだ!?」

 

「明日香ちゃんが地面に沈んだ・・・!?」

 

「どうなってるの・・・?」

 

 

 

 

 

「まるで・・・地面の中を泳いでるみたいですね!!」

 

「それにしても速いな・・・」

 

「おねーちゃん達?見えるの?全然分かんないよ・・・?」

 

「弦太朗くん・・・どうするんだろ?」

 

イヴの言う通り、地面に沈んだピスケスは泳ぐように高速で移動する。

月明かりにしかないこの場所の視界の悪さとスイッチャーの明日香の水泳の能力が加わり、その速度は殆どの者が目で追うのが出来ていない中でフォーゼは高速で地面を泳ぐピスケスの姿をハッキリと捉えていた。

 

「地面にいるならこれだ・・・!!」

 

フォーゼは素早く別のスイッチを取り出してバリズンソードにセットしていたロケットを外して別のスイッチを起動する。

 

―――スコップ ON―――

 

「アイツ・・・何するつもりだ・・・?」

 

「地面にいるアイツを刺すつもり・・・?」

 

 

 

 

 

「おらぁああ!!」

 

バリズンソードからの音声が響くとそれを地面へと突き立てる。

それを見ていた彼女達だったがそんなフォーゼの行動の意味が分からなかったが、その後地面を掘り起こすように振り上げると、その剣の動きと共に彼の目の前の地面が掘り起こされて大量の土と共に無防備なピスケスの身体が宙高く舞い上がる。

 

そんなピスケスへとフォーゼは再びランチャーからミサイルを発射する。

放たれたミサイルは先ほどの同じ当たると凍るミサイルと思い込んでいたため、ピスケスは無理な体勢から水を放ちミサイルを迎撃する。

 

しかし、その放たれたのは通常のミサイル。

 

その破壊した爆風が直撃すると再びピスケスの身体は宙を舞う。

ここで再び地面に落下したら先ほどと同じように潜られると考えたフォーゼはここで勝負をかける。

 

「これで決める・・・!!」

 

 

打ち上げられているピスケスを見ながらバリズンソードのレバーを押してブーストモードに変形させると、ドライバーからコズミックスイッチを抜いてバリズンソードのスロットへと挿すと警告音のような音が周囲に響いていく。

その音に驚く香澄達を他所にフォーゼはソードを構えると空中に飛ばされているピスケスの更に上に白いワームホールが形成されると警告音が止むと同時にソードから音声が響く。

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「みんなの絆で・・・宇宙を掴む!!」

 

その言葉と共に背中のバーニアを吹かして空中にいるピスケス目掛けて突っ込み、ピスケスと共にワームホールの中へと飛び込むとワームホールが消滅すると彼女達だけがその場に残される。

 

「おいおい!!穴に入ったら消えちまったぞ!!」

 

「2人ともどこ行っちまったんだよ!?」

 

彼女達は驚きながらも周囲を見るが、2人の姿は無いことに戸惑う彼女達の中で香澄は1人だけ宙を見上げていた。

 

「かすみ・・・?」

 

「あれ!!」

 

香澄が突如として宙を指差す。

普通なら意味が分からないが彼女達は何故かそのまま香澄が指差した先を見ると、そこには星の瞬きとは違う、爆発のような光が瞬いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戸惑う香澄達の事など知らず、フォーゼはピスケスと共に宇宙へとワープドライブすると、そのままピスケスを突き放すと突然の無重力にピスケスは溺れる。

 

「何がどうなって・・・っ!?地球・・・!?」

 

戸惑うピスケスだったがフォーゼの後ろのあったものは地球。

映像や画像でしか見たことがないそれが自分の目で見えているという現実がピスケスから正常な判断力を奪われるが、そんなピスケスに構うことなくフォーゼはバリズンソード再びスラッシュモードへと変形させるとソードに装填していたコズミックスイッチへと手を伸ばす。

 

「抜いて・・・挿す!!」

 

その言葉通りにフォーゼはコズミックスイッチを抜いてから再びソードへと装填すると警告音が鳴り、止むと同時にソードから音声が響く。

 

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー・・・・超銀河フィニィィィィッシュ!!」

 

フォーゼの声と共にソードを振るうと斬撃をピスケスへ向けて放たれ、その斬撃は無重力に溺れていたピスケスへと直撃すると――――

 

 

 

「あこ・・・ろっか・・・・・・おねえ・・・ちゃん・・・!!」

 

友人と姉を呼ぶ。

そんな断末魔と共にピスケスは暗い宇宙の中で大爆発を起こすとその爆発の中でスイッチが砕ける。

 

「明日香・・・!!」

 

フォーゼはその言葉と共に爆発の中へと飛び込み、人間へと戻った明日香を抱えると香澄達の元へと戻るべくワームホールを作って飛び込む。

 

 

 

しかし、久々に使用したためかフォーゼ達は宇宙へ行くためにワームホールを作成した時と全く同じ場所に作ってしまった。

 

「うわぁあああ!!」

 

「ゲンちゃん!!あっちゃん!!」

 

余りにも想定外の出来事にフォーゼ自身も驚きの声を挙げて明日香と共に落ちていくと、その姿を見て慌てる香澄を他所にその下で何かが動き出していた。

 

 

 

 

「よっと・・・!!」

 

「美咲か!!」

 

「そうですよ・・・。私が受け止めてなかったら戸山さんの妹がどうなってたか・・・」

 

フォーゼ達が落下するのを見て美咲が早々に動き出して落ちてきた2人をダイザーの腕で器用に捕まえてそのまま地面へと着地すると、全員が一斉に美咲たちの元へと駆け寄ってくる。

 

「ゲンちゃん!!」

 

「香澄。終わったぜ・・・」

 

そう言ってフォーゼは意識を失ったままの明日香を香澄へと預けるとそのまま変身を解くと、先ほどまでのダメージによってその場に倒れこむ。

 

「弦太朗!?」

 

「おい如月!!しっかりしろ!!」

 

「だぁ~!!疲れた~!!」

 

「もう脅かさないでよ・・・」

 

 

 

 

「いや、流石にぶっ倒れた直後であれだったし仕方ないんじゃないか?」

 

「そうですよ!!先輩達が来る前に如月先輩、明日香ちゃんにやられちゃってましたよ・・・」

 

弦太朗が地面に倒れる光景に驚くポピパ達を他所に巴とロック達が擁護するが、そんな中であことイヴが倒れている弦太朗へと駆け寄ってくる。

 

「げんたろう!!凄かったね!!あの穴どこにつながってるの!?」

 

「キサラギさん!!あの剣の使い方!!ブシドーです!!」

 

「ほらほら2人とも、如月先輩も疲れてるんだからあんまり詰め寄らない!!」

 

あことイブに詰め寄られていた弦太朗を見かねて美咲はそのままダイザーで器用に弦太朗を掴み上げると呆れたような空気を纏うが、捕まれている弦太朗はぐったりと疲れた様な表情を浮かべながらも喚き散らしていた。

 

「おい!!美咲はそう言って俺を持ち上げんな!!」

 

「いや、だって倒れたままだと・・・、スカートの中見えるじゃないですか・・・」

 

「見てねぇ!!」

 

弦太朗はそんな所は見ていないが、美咲の発言を聞いて何名かは自分のスカートを押さえつけると一気に騒がしくなっていく。

 

「はいはい。でも、流石に如月先輩を誰かが抱えるのもしんどいと思いますからこのまま帰りますよ~」

 

「だったらバイクがあるから降ろせって!!」

 

「あれはアタシが乗って帰るから心配すんなって!!」

 

「ますき!!お前はバイク乗りてぇだけだろ!!」

 

「・・・悪いか?」

 

「開き直んな!!」

 

弦太朗とますきのやり取りで笑い声が挙がるが、一同は疲れたような空気を隠せない。

それを察したように弦太朗を捕まえたままの美咲がめんどくさくなる前に行動を開始した。

 

「みんなで帰りますよ~・・・」

 

「美咲!!運ぶならせめて優しく運んでくれよ!!」

 

「はいはい・・・」

 

「香澄?手伝うか?」

 

「ううん!!大丈夫だよ巴ちゃん!!大変だけど・・・あっちゃんは私の妹だもん!!」

 

「・・・無理なら早目に言えよ?」

 

美咲は弦太朗を掴んだままその場から去っていくと、その後を追うように香澄達もその後を追うと明日香を弦巻関係の病院へと運び込んだ後はみんなで仲良く弦巻邸へとお泊りをすることになり今回の事件は幕を閉じる。

 

そう思っていた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピスケスを倒した翌日にポピパと弦太朗は明日香が運び込まれた病院へと足を運んでいた。

そして、彼女がいる病室を香澄が勢いよく開け放つ。

 

「あっちゃん!!おっはよー!!」

 

「お姉ちゃん・・・それにみなさんも・・・」

 

「香澄?病院だから静かにしなきゃ・・・」

 

「沙綾ちゃんの言う通りだよ?」

 

「明日香ちゃん。身体、大丈夫か?ってその頭・・・」

 

「でっかいたんこぶ・・・」

 

病室で寝ていた明日香だったが、その頭には先日はなかった特大のたんこぶが出来上がっていた。

 

「さっきあこと巴先輩が来て・・・。謝ったら許してもらえたんだけど、巴先輩のゲンコツが落ちてきて・・・」

 

「・・・それで良く普通に起きてられるね?」

 

明日香から返ってきた言葉を聞いて思わず呟いてしまったたえの言葉に全員が首を縦に振って同意していた。

一同が納得すると思い切って弦太朗が声をあげた。

 

「明日香。ちょっといいか?」

 

「えっと・・・如月さんでしたっけ?あの時はすいませんでした」

 

「別に気にしてねぇけどさ。あのスイッチはどこで手に入れたんだ?」

 

「えぇっと・・・あれは使った後に形が変わって・・・」

 

「じゃあ明日香ちゃん。形が変わる前のはいつ、誰から貰ったんだ ?」

 

「有咲さん。えぇっと白い服の人に貰ったんですけど・・・顔までは覚えてなくて・・・」

 

有咲の言葉を聞いて明日香は必死に思い出そうとするが彼女は思い出せないようでうなり続ける。

 

「まぁ、無理に今思い出さなくてもいいんじゃないかな?」

 

「・・・りみの言う通りだよ。後からゆっくり思い出せば・・・」

 

必死に思い出そうとする様子を見てりみと沙綾が怪我人の明日香を気遣ってその場を収めようとすると明日香はハッとした表情へと変わる。

 

「誰かは思い出せないですけど・・・。貰った日は思い出しました・・・」

 

「「いつだ!?」」

 

「有咲?先輩?ここ病院だよ?」

 

明日香の言葉に有咲と弦太朗が声を挙げた途端にたえから指摘されるが2人の意識は次の明日香の言葉に意識を完全に持っていかれていた。

 

「貰ったのは”バンドリ”のボランティアスタッフの打ち合わせが会った日で、その打ち合わせの後で花咲川の近くだったような・・・。誰かまでは思い出せませんけど・・・」

 

 

それを聞いて意味が分からないと言った弦太朗と香澄達だったがりみはその言葉を聞いて最悪の想像が浮かんでしまった。

 

「これまでの犯人ってバンドリのスタッフか、うちの学校の人ってこと・・・?」

 

「「「「!?」」」」

 

「その可能性はあるだろうな・・・。誰が最初に貰ったかまでは分かんないけど、如月と見た時よりも前の話は聞かないから最初に出たのはほぼうちの学校で間違いねぇしな・・・」

 

「ねぇ・・・もしかして学校もバンドリも危ないんじゃ・・・?」

 

有咲の言葉を聞いて一同は暗くなるが、そこで香澄が口を開く。

 

 

 

「バンドリ!!頑張んないとね!!」

 

「はぁ!?お前何言ってんだ!!」

 

「だって私達が決勝まで行けばゲンちゃんが犯人に会えるかもしれないんだよ!!」

 

「それはそうかもしんねぇけどよ・・・」

 

「香澄達もあぶねぇ目に会うかも知んねぇぞ?」

 

「でもそうなったらゲンちゃんが守ってくれるでしょ?」

 

香澄の突拍子もない言葉に狼狽えた有咲と心配する弦太朗だったが、香澄はそんな2人の様子に首を傾げながら答えるとたえ達も香澄の意見に対して自分の考えをあげていく。

 

 

 

「私も・・・武道館行きたいし・・・」

 

「弦太朗くんの為だもん!!それにお姉ちゃんも武道館見に来るって言ってたし・・・!!」

 

「・・・うん。それならみんなで頑張ろう!!」

 

「そんで有咲はどうすんだ?」

 

有咲以外の4人は武道館へと気持ちが向いていたがそんな彼女達を見て弦太朗は何食わぬ表情で有咲へと視線を送ると、彼女は次第に顔が赤くなっていく。

 

 

 

 

「そんなに見んな!!分かったよ!!みんなで武道館行って犯人とっ捕まえてやるぞ!!」

 

「「「「「おぉー!!」」」」」

 

「病院なんだけどなぁ・・・」

 

明日香の目の前で決意を新たにバンドリの決勝を目指すことになったポピパと弦太朗は声を挙げた。

そんな彼女達を見て明日香は姉とその仲間たちが楽しそうにしているのを、先日までとは違った優しい笑みを浮かべてそれを見つめていた。

 




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次章は未定ですが、小ネタしてから本編行きます!!

次更新の小ネタは以下のいずれか(もしかしたら複数)を予定しています(予定だけ
・さーやデート?
・装備解説EX バイク&ダイザ―篇
・恋愛裁判
・他


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オマケ時空篇8 発進!!恋愛暴走特急
日・常・風・景9 山吹沙綾の災難


小ネタ篇開始じゃ・・・

リアルで納期ドーパントに襲われてました。
今回はデート()回




 

~~~小ネタ27:山吹沙綾はデートが出来ない?

 

休日前の金曜日、いや既に時計の針が天辺を回ってるから土曜日の真夜中―――

山吹沙綾は家にある自分の服を片っ端から取り出して部屋中に並べて唸っていた。

 

「明日・・・どれ着て行こう・・・」

 

明日はりみが取り付けてくれた弦太朗とのショッピングモールでデートの予定だが、そこに着ていく勝負服が決まらずに焦っていた。

 

 

バイク乗るかもしれないからズボンがいいか?

女の子らしい可愛いらしいスカートがいいのか?

自分の好きなお気に入りを見てもらうのがいいのか?

 

 

考えれば考える程にどうすればいいか分からなくなってくる彼女だったが、悩んだ末に彼女は1着の服を手に取った。

 

「よしっ!!やっぱ、私の好きな服にしよ!!」

 

そして彼女は明日の服以外を片付け終えたその時、遠くからバイクのエンジン音が聞こえてくる。

弦太朗やますきのとは違う音だが沙綾はその音で弦太朗とあったあることを思い出していた。

 

「そういえば弦太朗のバイクの後ろに乗ったのも結構前だなぁ・・・。つぐみ達のライブ見に行った時・・・っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

沙綾が出会ってすぐの頃の事を思い出していたが、その時彼女に電流が走る。

 

「つぐみとひまり、彩先輩に紗夜先輩、それにますきとか色んな人達が弦太朗を狙ってる・・・!!」

 

一部勘違いはあれど彼女の考えは間違っていないが、そこから更に彼女は思ったことを口に出してしまった。

 

「ハロハピとモニカは・・・友達・先輩って感じでそんなんじゃないけど、他のバンドにライバルが多すぎる・・・!!

パスパレは・・・アイドルだし・・・。Roseliaも学校では紗夜先輩達といるし・・・それにリサさんのあの圧倒的母性には勝てない・・・!!」

 

 

先輩達に遅れを取っている―――

そう感じてしまった彼女は次へと考えを変えていく。

 

「RASはチュチュは違うけど、レイヤと昔からの知り合いらしいし、ますきとはバイクで意気投合してるし、ロックとパレオは一緒にお風呂入ってるし・・・!!」

 

盛大な勘違いがあるが暴走している彼女を止めるものは誰もおらず、その暴走は加速していく。

 

 

「Afterglowだとつぐの所の喫茶店に良く行ってるし、巴とモカとラーメン行ったりしてるらしいし、ひまりのあの暴力的な胸には勝てないし・・・。蘭は一時期弦太朗の家に住んでたし・・・!!」

 

蘭の事を口に出した途端、彼女は悔しそうに唇を噛み締めると最後にポピパのメンバー達とのことを考える。

 

「りみもレイヤと一緒で昔からの知り合いでなんか良い感じだし・・・。有咲もなんやかんや言って弦太朗に頼ったり頼られたりしてるし・・・香澄はこの前一緒に寝てた上に呼び方もあだ名呼びに変わってたし・・・。おたえはおたえだし・・・・・・あれ?」

 

色々と暴走をしていた彼女だがここでふと考えたくもない現実が頭の中を過った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかして・・・・・・、私が一番出遅れてる?不味い!!」

 

彼女の中でそんな結論が出た途端彼女は先ほど片づけたはずの服を再び手に取った。

 

「このままじゃ不味い・・・ここから一気に勝つためには・・・ジャイアントステップを決めるしかない・・・!!」

 

訳の分からないことを口に出すと部屋中に衣類をぶちまけ始める。

その中には先ほどまでの私服以外にも夏用の制服やライブで使った衣装、挙句の果てには今までのライブ衣装や下着までもが部屋中に広がっていた。

 

 

「まずはどこから・・・?そういえば前に夏希達と一緒に買ったすっごいやつが・・・」

 

何を思ったのか沙綾は衣装棚の奥の奥まで手を伸ばしたその時、突如として自分の部屋のドアが開かれるとそこには―――

 

 

 

 

 

「おねーちゃん・・・?」

 

「紗南・・・!?どうしたの?」

 

そこには沙綾の妹・紗南が眠そうに目を擦っていた。

おそらくはトイレにでも行ってその帰りに電気がついてた部屋に入ってきたと思われるが、寝ぼけているのか部屋の惨状を気にする様子はない。

 

「ほら?もう部屋行って寝なさい」

 

「うん・・・。おねーちゃんなにしてるの・・・?」

 

「お部屋の掃除だよ~?姉ちゃんももう寝るからね?」

 

「うん・・・おやすみ・・・」

 

そう言って紗南を部屋から出させると沙綾は再び自身の服に視線を向けて真剣に服を選びに戻り夜が更けていく、そしていつの間にか寝落ちしてしまい―――

 

 

 

 

「ふぁ~・・・朝・・・!?やばっ!!時間!!弦太朗が来ちゃう!!」

 

沙綾は目を覚ますと時計が示した時間は待ち合わせの時間の数分前。

弦太朗が家まで迎えに来ることになっているものの、部屋には下着含めた衣類が散乱して彼が来る前にこれを片付けるには圧倒的に時間が足りないことを理解して慌て始めてしまう。

しかし、彼女の悲劇はこれだけでは終わらない。

 

 

 

 

 

 

「沙綾?如月くんが迎えに来たわ・・・って・・・」

 

「沙綾~迎えに来た・・・ぞ?」

 

「へっ・・・?お母さん・・・?弦太朗・・・?」

 

寝起きの沙綾が慌てているところに沙綾の母・千紘が弦太朗を連れて部屋のドアを開けてしまい、部屋の惨状を見て驚きの表情を浮かべるがすぐに弦太朗は恥ずかしがる様子を見せながら部屋から視線を逸らす。

 

その姿が理解できなかった沙綾だったが、そんな彼女へと母からの温かい視線が向けられていた。

 

「あら?沙綾。あなたそんな派手な下着なんて持ってたのね・・・?」

 

「派手・・・?何言って・・・・・・!?!?」

 

沙綾は言葉の意味が理解できなかったが、千紘が沙綾の手を指しと彼女の視線はその指の先へと吸い寄せられる。

 

沙綾が握りしめていたのは彼女が言う”すっごいやつ”がその手に握りしめられていた。

 

それを見て弦太朗が目を逸らしたのはこれを見たからという事を沙綾は理解してしまい、みるみる顔が赤くなっていき―――

 

 

「いやぁああああああああああああああああああ!!」

 

「あらあら・・・」

 

恥ずかしさの沙綾が叫び声を挙げ、そんな沙綾を見て千紘は娘の成長にニヤニヤしながら2人を見送っていた。

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

一方で見送られていた2人はショッピングモールの近くまで歩いてきたが、部屋での出来事を思い出して互いに言葉が出ずに気まずい雰囲気に包まれていたが―――

 

 

 

 

そんな2人の後ろから何かが転んだような音が聞こえ、互いに無言でその方向を見るとそこには子供が転んでいた。

弦太朗がその子供に近寄ろうとすると、横にいた沙綾が慌てた様子でその子供へと駆け寄ると声をかける。

 

「ちょっとこんな所で何やってるの紗南!?」

 

「沙綾、知り合いか?」

 

「妹だよ」

 

転んだのは沙綾の妹である紗南だった。

思わぬ人物の登場に沙綾が慌てだし、そんな姉と見た目は怖い弦太朗を見た紗南は今にも泣きそうな表情を浮かべていた。

それを見た弦太朗は屈みこんで紗南と同じくらいに目線を合わせると泣きそうになりながらも紗南が理由を話しだした。

 

 

「だって。お姉ちゃんが知らない人と歩いてたから・・・」

 

「それで着いてきちゃったってことか?」

 

「・・・うん」

 

「なら一緒に来るか?」

 

「いいの・・・?」

 

「ちょっと弦太朗!?」

 

弦太朗の思わぬ提案に驚きの声を挙げてしまう沙綾だったが、紗南に目線の高さに合わせたまま沙綾へと話しかける。

 

 

 

「さすがに置いていく訳にもいかねぇだろ?」

 

「それは・・・そうだけど・・・」

 

弦太朗の言葉は至極当然のことを言っていたが、2人っきりのデートにとんだ乱入者が現われたことに沙綾の内心は穏やかではなかった。

 

これがひまりや彩たちだったら嬉々として追い払ったが、相手は幼い妹であり流石に1人で家に帰すのもどうかと考えてしまい―――

 

「まぁ・・・仕方ないか・・・」

 

「やったー!!」

 

 

沙綾が折れて同行を許可すると嬉しそうな表情を浮かべる紗南と反比例するように沙綾は落ち込んでいく。

 

「んじゃあ行くか!!」

 

「うん!!」

 

弦太朗はそう言って立ち上がると紗南が何気なくその手を握ると沙綾の目が見開かれ、妹に嫉妬しだしてしまう。

 

 

「(紗南・・・弦太朗と手を繫いで・・・!!)」

 

「おねえちゃん?げんたろうと手をつながないの?」

 

「「へっ?」」

 

紗南の突拍子のない言葉に驚くと弦太朗。

そんな中で紗南の期待に溢れたような目を向けれた2人だったが、沙綾が紗南と反対の手を取る。

 

「ほら、行くよ(紗南、後で欲しい物なんでも買ってあげる!!)」

 

そこには先ほどの嫉妬が嘘のような表情を浮かべた沙綾が手を引いてモールまで歩き出していく。

 

 

 

 

 

 

「おもしろかったねー!!」

 

「そうだね。でも、今度からは勝手についてきちゃダメだからね?」

 

「うん!!」

モールでのお出かけが終わり、沙綾達を家に送るために3人で仲良く商店街へ向けて歩いていく。

3人で紗南が喜びそうなところを中心に回ることになったが結果的には楽しめたので、良かったと思っていた沙綾だった。

 

そんなことを考えて他愛ない会話をしているとやまぶきベーカリーまで辿り着くと、千紘が店の前で3人を出迎えていた。

 

「おかえりなさい」

 

「ただいまー!!」

 

「うん。ただいま」

 

「どうもっす」

 

3人で並んでいた様子に楽しそうに笑みを浮かべる千紘は揶揄うように弦太朗に声をかける。

 

 

「如月くんもごめんなさい。恋人とのデート中に・・・」

 

「はぁ!?お母さん何言って!?」

 

「彼女じゃないっすよ?」

 

「分かってるけど、つい沙綾を揶揄いたくなってね?」

 

「ちょっとお母さん!?」

 

恥ずかしがりながら声を挙げる沙綾を笑いながら受け流す千紘。

それを見て何を思ったか紗南が声をあげた。

 

「げんたろうってお姉ちゃんのこいびとじゃないの・・・?」

 

「そうだぞ?」

 

 

「なら、おっきくなったらさーながこいびとになってあげるね?」

 

子供の他愛ない言葉に弦太朗と千紘は微笑ましいものを見るような笑みを浮かべたが―――

 

 

「ダメ・・・紗南にはまだ早い!!」

 

咄嗟に沙綾が声をあげてしまった。

口元だけは笑っているも目は全く笑っておらず紗南を見ていたが、そんな姉に恐怖を覚えてしまった。

 

「うわぁぁぁぁあぁあああああ!!」

 

沙綾を見て隠れる様に弦太朗の足にしがみつくと泣き出してしまった。

 

 

 

 

「おいどうしたんだ!?」

 

「沙綾・・・」

 

「お母さん・・・っ!!」

 

「部屋にいってなさい」

 

慌てる弦太朗を他所に千紘が沙綾に声をかけると、小さく身体を震わせると言われるがままに部屋に戻る。

沙綾がいなくなると千紘は紗南を連れて店の中に入ろうとすると振り返って弦太朗へと視線を送る。

 

「今日は紗南のことありがとうね。また、遊んであげてね?」

 

「うっす」

 

「それじゃ・・・」

 

そう言って弦太朗を残して店の中へと消えていくと、何とも言えない気持ちになった弦太朗もそのまま帰路に着くのだった。

 




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小ネタ解説
小ネタ27
ポピパ篇2章冒頭にあったあれ。
アンケによってお外デート(紗南同行)
おうちデートだと店番で近所にカップルアピールして商店街の客を勘違いさせた後に沙綾がつぐ達に粛清される予定でした。




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日・常・風・景10 開幕・恋愛裁判!!

投稿です!!

恋愛裁判開幕
これは1回では裁き切れませんでした・・・


 

 

 

ライブハウスCiRCLE。

そこのとある1室ではチュチュを除いた34人のガールズバンドのメンバー達が集まっており、そこには沈黙と緊張した空気が流れている中で瑠唯がガベルを振り下ろしてライブハウスには不釣り合いな言葉を告げる。

 

「これより、裁判を始めます」

 

しかし、1番疑問を感じていたのはその言葉を告げた瑠唯自身、彼女は思ったことを口にしてしまった。

 

 

 

 

 

 

「どうしてこうなっているのかしら?」

 

「モカちゃん・・・?ここに立たされてるけど私も状況が分からないんだけど・・・」

 

「るいるいさいばんちょ~も、レイヤも分かってないんだ~」

 

それに同意したのは瑠唯の斜め前―――

弁護士席と思われる場所に立たされてるレイヤは同じく横に座っていたモカに視線を送るとモカはやれやれと言った様子で首を振りながら答える。

 

「かくかくしかじか~四角いムーブって感じ~」

 

「あの、全く分からないのだけれど・・・」

 

「え~」

 

そんな訳の分からないモカの説明を聞いていたが、それに痺れを切らして彼女達と反対側の検察側が答える。

 

「なんでも色々とやらかしてるからそれに対して裁判するらしいぞ?」

 

「ますきとましろちゃんはそっちなんだ・・・」

 

「おう、ましろ。形だけでここにいるけど・・・やるぞ?」

 

「はい・・・」

 

検察側にいたのはますきとましろだったが、ましろはますきの勢いに呑まれていたがそんなことを気にする様子もなく瑠唯は審理を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは最初の審理に入ります。被告人達は被告人席へ・・・」

 

「ちょっと待って!!達ってなに!?裁判って1人ずつじゃないの!?」

 

「まぁまぁ~」

 

「お遊びみてぇなもんだからな・・・」

 

レイヤがツッコミを入れるが右から左へ受け流すモカ達を他所に最初の被告として4人が被告人席へと立たされる。

 

「香澄ちゃんとりみちゃんと有咲ちゃんに白金さん・・・?いったい何をしたの・・・?」

 

「それでは検察は罪状を読み上げてください」

 

「はいっ・・・!!」

 

裁判長の瑠唯に言われた通りにましろ検事は封筒を開けて、そこにかかれていた罪状を読み上げる。

 

「えぇっと・・・罪状は・・・同衾・・・?どういうこと・・・?」

 

「静粛に・・・。倉田さん、続きを・・・」

 

その言葉を聞いて周囲にいるメンバーが騒がしくなるが、瑠唯はガベルを打ち鳴らして黙らせるとましろに説明を求めた。

 

「うん・・・。4人は如月さんと一緒に寝た・・・としか書いてないよ?」

 

「そう・・・。でも、犯罪でもないし、こんなことする意味あるのかしら?」

 

「ん~・・・るいるい。ちょっといい~?」

 

「・・・広町さん、何かしら?」

 

瑠唯が首を傾げているところに七深が挙手してから彼女の元へと歩み寄るとそっと彼女にだけ聞こえる様に耳打ちをする。

 

 

「じゃあ、もしもとーこちゃんが流星さんと一緒にベットで寝てたらどうする・・・?」

 

「・・・」

 

七深の言葉を聞いて瑠唯は想像を膨らませ始めると、分かりにくいが怒りの表情を浮かべるとガベルを打ち鳴らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐ヶ谷さん。あなた・・・極刑よ」

 

「はぁ!?なんで!?」

 

「刑場まで連れて行きなさい」

 

「なんでぇえええええええ!!」

 

訳も分からず極刑を告げられた透子だったが瑠唯の言葉によってこころの家の黒服がどこからともなく現れると彼女を抱えて部屋から消える。

 

ただ連れていかれただけで何かをされることはなさそう。

 

そんな甘い考えを浮かべていた彼女達だったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎにゃああああああああああああああああああああああ!!」

 

その淡い期待は外から聞こえてきた透子の悲鳴によって打ち砕かれた。

 

 

「ねぇ!?あれ大丈夫なの?」

 

「まぁ・・・検察と弁護士役なら安全なんじゃない~?」

 

そんな中でモカの発言によってましろとレイヤはほっとした表情を浮かべていたが、悲鳴を聞いて被告席にいる4人を中心に大半のメンバーが恐怖を感じていた。

 

「とりあえず、全員極刑でいいかしら?」

 

「るいるいさいばんちょ~。流石にそれは不味いから証言が必要だと思うな~」

 

「私もそう思うよ・・・?」

 

「・・・それもそうね」

 

暴君になりかけていた瑠唯をモカとましろが意見を聞いてそれなりに話を聞くことになり、裁判が本格的に始まる。

 

「それで、この罪状についてだけど被告人達は容疑を認めますか?」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「・・・沈黙は肯定と捉えます」

 

しかし、4人は未だに透子の悲鳴を聞いて言葉が出なかった。

少しだけ考えた瑠唯が判決を言い渡そうとしたその時―――

 

「待った!!」

 

「市ヶ谷さん。何か?」

 

「確かに如月と寝たっていうと間違いじゃないけど、私とりみは話をしてたら寝落ちしただけだ!!」

 

「・・・そうだよ!!」

 

「証拠はあるんですか?」

 

「・・・」

 

 

 

 

有咲はその時の状況を説明したが、証拠がないと思い撃沈寸前まで追い込まれたがここで傍聴席にいた千聖から手が挙がる。

 

「あの・・・発言いいかしら?」

 

「・・・発言を許可します」

 

「ありがと・・・。有咲ちゃん達は分からないけど、燐子ちゃんならやましいことをしてないって証拠ならあるわ!!」

 

「本当の裁判なら証拠の申請が必要ですが・・・、まぁいいでしょう。証拠の提示をお願いします」

 

「えぇ・・・バガちゃん。あの時の映像を出してくれるかしら?」

 

千聖は手の上にバガミールを乗せて映像を映すように頼むと、バガミールは即座にその時の映像を投影し一同はそれを一通り確認する。

 

「確かにやましいことはしていませんね?」

 

「あ~、そう言えばこの時って紗夜さんの事件の時ですね~」

 

「だったら不安で無意識に手を握るくらいは・・・自然なのかな・・・?」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「ひぃ・・・!?」

 

千聖の流した映像では燐子が保健室のベットで弦太朗の手を握って寝ていただけだった。

それを見て弁護士たちは燐子を擁護するが一部の少女達は憎しみの籠った視線を燐子に飛ばすと燐子はその視線に震えてしまうが、りみは咄嗟に言葉を並べた。

 

 

 

 

「ねぇ、私たちの時の映像もあるんじゃないかな・・・?」

 

「そうだ!!あの時こいつの事も話してたから・・・!!私達の映像はあるか!?」

 

りみの言葉に有咲は慌ててバガミールに詰め寄ると少しだけ時間が空き、バガミールが有咲達の時の映像を流し始める。

 

それを見てガッツポーズを浮かべた有咲だったが、途端に表情が曇りだして映像を見て誰かがポツリと呟いた。

 

「有咲って寝相悪いんだね・・・」

 

「ぬぅ・・・。あの刑の執行に比べたらこの程度・・・」

 

「ねぇねぇ私のは!?」

 

有咲のあられもない寝姿を映されて有咲は泣きそうになるもなんとか堪える。

その横では香澄が自分の映像を映すようにいうがバガミールから映像が出て来ずに慌てる香澄にほぼ確実に極刑を免れたであろう有咲がそっと擁護した。

 

「まぁ、香澄は明日香ちゃんの事件の時だったしな・・・。声が出せなくなるくらいにメンタルやられてた時に寝ぼけてベットに引きずり込んだだけだけど・・・。罪は償って来いよ?」

 

「ありさ~!!」

 

「では・・・判決を言い渡します」

 

香澄の様子を見て

これ以上は何も出てこないと察した瑠唯は少しだけ考えてから判決を言い渡す。

 

 

「被告・戸山香澄は有罪、他の3名はやましい点が全くないため無罪とします。

戸山さんですが精神的に追い詰められていた点を考えて刑はCiRCLEスタジオ清掃の刑に処します」

 

無罪を勝ち取ったりみと燐子は互いに手を取って喜び、寝相の悪さの露見と引き換えの無罪の有咲も複雑そうだが少しだけ嬉しそうだった。

一方で極刑を免れたが有罪を言い渡された香澄は黒服に清掃道具を押し付けられるとトボトボと部屋から去っていくと、室内は再び静まり返る。

 

これで裁判が終わったと思っていた彼女達だったが、瑠唯はそれを見てガベルを打ち鳴らす。

 

 

 

「それでは次の裁判を始めます」

 

「まだ続くの!?」

 

「・・・次の被告人は被告席に」

 

レイヤの言葉も虚しく、裁判が続き今度はパスパレの5人に加えてロックとパレオが出される。

 

「ロックにパレオ・・・?」

 

「ひぃ~!!」

 

「・・・検察側は罪状の読み上げを・・・」

 

「おう、今回の罪状は・・・覗き?あぁ、そう言えばロックのとこの銭湯で男子風呂に突っ込んだって言ってたな」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「パレオは男湯から日菜ちゃんの声と如月様の悲鳴が聞こえてきたから、心配になって番台で店番をしていたロックさんと男湯に行っただけで覗くつもりはありませんでした!!」

 

「・・・ここで裁判するよりも本当に警察に突き出したほうがいいのではないのかしら?」

 

「まぁまぁ・・・。ここで判決決めてからでいいんじゃない?」

 

「判決を言い渡します。朝日六花は無罪。それ以外の被告は全員有罪で戸山さんと同じ刑よ」

 

 

 

 

 

 

「異議あり!!異議ありです!!どうしてロックさんだけ無罪なんですか!!」

 

瑠唯の言葉に冷たい視線が被告人たちに刺さり、瑠唯が正論をぶつけるがレイヤもそれなりに弁護しようとするがまるで意味をなさずにすぐさま瑠唯が判決を言い渡すがその判決に納得がいかなかったパレオが速攻で噛みつく。

 

傍聴していた少女達もこの判決には理解が出来なかったのかパレオに同意するような空気が流れている中で瑠唯が理由を説明する。

 

「番台で店番をしていたっていうことは、店内で起こった問題への対応も業務の一環ではないかしら?それだったら如月さんの悲鳴が聞こえて問題が思ったと考えて男湯に行っても問題はないと思うのだけれど?」

 

「それはそうかもしれませんが!!従業員といえども女の子が男湯に行くなんて!!」

 

「・・・その気持ちは分からなくはないけれど、それを言ったところであなたが男湯に行っていい理由にはならないと思うわ」

 

「流石に、これは無理かな・・・」

 

「パレオ、諦めろ。本当に警察に突き出されても少年法が守ってくれる・・・かもな」

 

「そんな!!レイヤさんもマッスーさん!!ぁぁぁあああああ!!」

 

レイヤとますきにも諦められたパレオは黒服に捕まった。

パレオは推しと一緒にいられる喜びと有罪判決の悲しみが入り混じって複雑な表情と声を出しながらそのまま部屋から引きずり出されていく。

 

それを見てロックは安堵の息を漏らしてそのまま傍聴席まで戻ろうとするが―――

 

 

「待ちなさい。あなたにはまだ別の罪状が残ってるわ。あなた、如月さんと混浴したそうね?」

 

「えっ・・・?」

 

 

 

 

「うらやましい・・・これは極刑だよ!!」

 

「つぐの言う通り!!極刑だよ!!」

 

「羽丘は風紀が乱れてるわ!!」

 

安堵していたのも束の間裁判長自らが罪状を述べる。

その直後傍聴席からつぐみとひまりに紗夜まで声をあげ始め、それを聞いた沙綾はロックへと詰め寄ろうとするがポピパの4人がかりで抑え込むが、騒がしくなり始めてしまい瑠唯が声をあげる。

 

 

「静粛に!!朝日さん。確認するのだけれど場所はあなたの下宿先の銭湯でいいのよね?」

 

「・・・でも!!営業時間が終わってました!!それに女湯はお湯が抜かれた後で・・・それに如月先輩と合意の上です!!」

 

 

ロックの言葉に紗夜は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、つぐみとひまりが飛び出そうとするが即座に巴が2人の首元を掴んで静止されられた。

 

そんな中で瑠唯はロックへ視線を向けると彼女への判決を言い渡す。

 

 

 

「・・・判決、無罪」

 

「しゃああ!!」

 

「では、本日の裁判はここまで。閉廷とします」

 

最後の判決にざわつく中が瑠唯は今日の裁判が全て終わったことを告げるとその場でため息を吐いた。

そんな様子を見て検察と弁護士が歩み寄ってくる。

 

「瑠唯。お疲れ」

 

「るいさんかっこよかったよ!!」

 

「佐藤さん。倉田さんもお疲れ様」

 

「るいるい、しつもーん」

 

「なんでしょうか?」

 

苦労をねぎらい合う中でモカが疑問を口に出す。

 

 

 

「なんで最後のろっかは無罪なの?」

 

「それ私も思った・・・」

 

「同意があった上に、完全にプライベートの時間ですからとやかく言う必要はないと思いました。それに・・・」

 

「それに?どうしたの?」

 

レイヤが瑠唯の言葉の続きを聞こうとすると瑠唯はロックへと視線を向け、彼女達もそれに合わせて彼女の視線の先を見る。

 

 

 

 

「ねぇロック?弦太朗とお風呂ってどんな事したの!?」

 

「あこにも教えてよ!!」

 

「リサ先輩!?あこちゃん!?」

 

「別に話さなくてもいいけど・・・。後ろの人たちが何をするか分からないよ?」

 

「ひぃ!?」

 

リサたちが詰め寄られたロックは驚いていたがその後ろには沙綾とつぐみ、ひまりに紗夜と言う怒りのオーラを身に纏った少女達がロックを威嚇していた。

 

リサはそれを使って面白半分にロックから話を聞きだすべく、あこと2人でロックの腕を掴み怒っている彼女達を引き連れて部屋を出て行く光景が繰り広げられていた。

 

 

「あそこで有罪にしても、あの人たちからの私罪にされそうでしたので・・・」

 

瑠唯の言葉を聞いてその内容に納得し、連れていかれたロックへと同情する彼女達だった。

 

 




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小ネタ解説
小ネタ28
本編であったラバーズ嫉妬しそうなのをジャッジメントですの!!
透子ちゃん?あの子は犠牲になったのよ・・・


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装・備・解・説-S1 商店街から宇宙イッター--!!

投稿です!!
今回は特別編の解説です!!
次回はスイッチ解説してネタ終わり!!
3章の最初のバンドは・・・


母親の代わりに店番していた沙綾。

しかし、余りにも客が来なかったのもあってかレジの前で突っ伏すように居眠りをしてしまっていた彼女だったが、彼女は違和感を感じて目を覚ます。

 

「ん・・・んっ・・・?」

 

 

寝ていた姿勢こそ変わらないが彼女が腕に感じたのは木製のカウンターの感触―――

ではなく、レジャーで使うような堅い質感を腕に感じて違和感を感じたがそれ以上の違和感を身体の全身で感じていた。

 

「・・・風?」

 

ますきの家の八百屋やはぐみの家の精肉店のカウンターとは違い、屋内で締め切った環境であるはずのやまぶきベーカリーでは多少の換気はするもののここまで全身で風を感じることはない。

 

流石におかしい。

そう感じた沙綾は今まで突っ伏していた顔を上にあげた。

 

 

 

 

 

 

「ここ・・・どこ・・・?」

 

そんな彼女の目の前にはサーキットみたいな場所が広がっていた。

困惑する彼女の元には聞き覚えのある声が響く。

 

「あっ!!さーや!!おはよー!!」

 

「あっ・・・起きたんだ!!」

 

「はぐみ?・・・それにつぐみ?」

 

「後はつくしちゃんと巴ちゃん、マスキちゃんもいるよ!!」

 

「みーくんもいたよね!!・・・でも、何でみーくんがいるんだろ?」

 

2人が言うには商店街に関係するみんなが集まっているということにも疑問を感じていたが沙綾は根本的なところが気になっていた。

 

「私達こんなところにいるの・・・?」

 

「なにかやるんだって!!」

 

「何か・・ってなに・・・?」

 

「さぁ・・・?あっ・・・もしかして・・・あれじゃない・・・?如月くんのやつ!!」

 

「あぁ・・・」

 

沙綾の疑問につぐみの言葉を聞いて沙綾は納得していたが、あれならここまでする必要があるのかと

別の疑問が出てきてしまったがすぐにそれはかき消されることになった。

 

 

 

 

「ひぃ~~~~~~!!」

 

「この声!!ロックの!!」

 

「こっちに近づいてきてない?」

 

突如として響いてきたのはロックの悲鳴と共にバイクのエンジン音が響くと1台のバイクが沙綾達の元へと突っ込んでくる。

 

と思ったら、途中にあった縁石に乗り上げてその車体は彼女達の頭上を飛び越えていく。

 

 

 

 

 

 

「やっほー------!!」

 

「あぁぁぁあああああ!!」

 

「マスキちゃん!?六花ちゃん!?」

 

「あれゲンちゃん先輩のバイクだよね?」

 

「ちょっと2人とも!?大丈夫!?」

 

「おもしれぇな!!」

 

「面白くないですよ~!!」

 

 

 

 

 

「あっ・・・意外と大丈夫そう・・・」

 

突っ込んできたのは弦太朗が普段乗っているバイクだったが、それに乗っていたのはますきとロック。

ますきがバイクで飛び上がってそのまま着地して静止すると心配になってそのまま駆け出すもケロッとしたますきと少しフラフラしながら降りてくるロックを見て大丈夫だと勝手に納得したつぐみ。

 

そんな中でますきのバイクと1台のロボットが彼女達の元に近づいてくると、バイクは沙綾達の横で停止する。

 

「凄かった・・・」

 

「つくしちゃん!!」

 

「つぐみ先輩!!」

 

「おっ!!沙綾、起きたのか!!」

 

「弦太朗!!それますきの・・・」

 

「バイク交換してみたんだけど、ますきの奴がテンション上がり過ぎてな・・・」

 

「いや、そうはならないでしょ・・・」

 

「ねぇ?つくしちゃんはいつまで如月くんとくっ付いてるの?」

 

「ん・・・?」

 

「えっ・・・?あっ!!」

 

ますきのバイクに乗っていたのは弦太朗とつくし。

バイクの上で2人はますきについて話すも沙綾とつぐみは弦太朗の後ろに乗っているつくしにしか視線が向いておらず、つくしは2人の圧に耐えかねて早々にバイクから降りる。

 

そんなやり取りを眺めつつバイクの後ろからダイザーがその腕に巴とイヴを乗せてゆっくりと歩いてやってくる。

 

「何、2人はラブコメしてるんですか・・・」

 

「ラブコメ・・・?ミサキさん、どういうことですか・・・?」

 

「お~い!!沙綾!!つぐ!!」

 

「巴!?何てとこ乗ってるの!?」

 

「イヴちゃんも!!危ないよ!!」

 

しかし、そんな2人も後からやってきた巴達の姿を見て危ないと言い出して慌てだす。

そんな沙綾達の言葉を他所に2人は何も無かったかのようにダイザーの腕から飛び降りると美咲もダイザーの操縦席から這い出して来ると不満をこぼす。

 

「あの・・・バイトの予定だったのになんでこんな所であれに乗せられてこんなところにいるんですか・・・?」

 

「・・・私もバイトしてたらここまで連れられたので」

 

「私はツクシさんが連れていかれてたのでバガミールさんと着いてきました!!」

 

「私もGalaxyでのバイト中にますきさんに連れられて・・・」

 

「如月くん、なんとなくは分かるけど一応説明してくれる・・・?」

 

この状況が分からない美咲たちが疑問を口に出す。

それを聞いてなんとなくこの後に行われることの予想がついたつぐみが念のために弦太朗に質問するが、それに答えたのは弦太朗ではなかった。

 

「それなんだけどさ」

 

「話の最初はあたし達なんだよ」

 

「ますきが・・・?」

 

「巴ちゃん、どういうこと・・・?」

 

ますきと巴の言葉に戸惑う沙綾達だったが、2人に視線が向くと巴が口を開いた。

 

 

「ほら、つぐ達が如月のあれの説明を動画撮ってただろ?それをますきと如月と話してたらこころのところの家の人が聞いててな。そしたらこれの修理も終わったっていうから試運転するついでに話でも聞こうと思ってたんだよ」

 

「でも2人だけだと人が少ないからってことで商店街にいたつぐみ達を呼んだって訳だな!!」

 

「沙綾は店で寝てたからそのまま連れてきたんだけどな!!」

 

「あぁ、仕事についてはこころのところの人が代わりにやってくれてるから心配すんなって!!ここもこころの家のもんらしいし!!」

 

巴とますきと弦太朗が笑いながら説明すると、それを聞いた他の全員がその様子に唖然としていたが、

ハロハピ慣れしている美咲にとってこの程度は稀によくある出来事ですぐに我に返った。

 

「それじゃ、これの説明と試運転をさっさとやって帰りましょ・・・」

 

 

 

 

「美咲先輩すごい・・・。すぐに切り替えるなんて・・・」

 

「うん・・・」

 

そんな美咲の様子に1年生の2人はその変わり身の早さに関心を覚えるが、他のメンバーは誰もそれに気が付くことはなく説明は始まっていく。

 

 

 

 

「んじゃ、最初はこっちだな!!」

 

弦太朗は変身することなく最初にダイザーへと歩みを進めるとその表面を軽く叩くと説明を始める。

 

「こいつはパワーダイザーってんだ!!ダチの親父さんが働いてたとこが宇宙での作業用で作ったんだ!!それでこいつは今のロボットの状態以外にも車と発射台に変形するんだ!!」

 

「みーくんが乗る前は車で来てたよね!!」

 

「ニホンの驚異のメカニズムですね・・・!!」

 

「えっ?乗ってたけど発射台なんて知らないんだけど・・・」

 

「イヴ、それ絶対に違う。でも、弦太朗・・・それ変形するの・・・?」

 

「「「「あ~・・・」」」」

 

 

 

 

 

「ちょっと待って?そもそもなんでみんなこんなロボット見て驚きすらしないの!?」

 

目をキラキラさせるはぐみとイヴ、発射台と言う説明に見たことがない沙綾と美咲は疑問を覚え、直接見たつぐみ達と何となく覚えのあるロックは納得の声を挙げる。

しかし、そもそもこんなロボットが目の前にあること自体が驚きのつくしにとっては彼女達の言葉に驚きを隠せなかったが、それをあまり気にする様子もなく弦太朗は説明を続けていく。

 

「発射台については後で話すけど・・・車は車だし、特に説明することはねぇな」

 

「でも如月くん、前はミサイル出してなかった?」

 

「あーそうだったな。それで敵を打ち上げてたもんな・・・」

 

「何で車にミサイルなんて付いてるんですか!?」

 

「そうですよ!!」

 

「ろっか!!つーちゃん!!なんでってついてるからだよ!!それにミサイルは漢のロマンって前ににいちゃんが言ってたよ!!」

 

「はぐみ・・・それは絶対に違うから!!」

 

車―――ビークルモードについての説明を大胆にカットする弦太朗につぐみは前見た時の状況を補足でいれる。

しかし、それを聞いて戸惑う1年生組にはぐみは謎の説明へすかさずにツッコミを入れる沙綾。

 

そしてそのまま、今の状態のダイザーモードの説明をしようとするが―――

 

「んで、今のロボットで天校の時はこれにダチが乗ってたんだけど・・・んー・・・えーっと・・・」

 

「如月先輩?どうかしたんですか・・・?」

 

「いや、その・・・。俺、これに乗った事ねぇんだよ・・・」

 

「えぇ!?そうなの・・・って、如月は変身するから乗る必要もないか・・・」

 

ここで弦太朗の言葉が詰まり始め、それを見たロックが弦太朗に声をかけると「乗ったことがない」と言う回答に驚くが巴の言葉を聞いて一同が納得する。

 

「わりぃ!!美咲、乗った時のことは任せた!!」

 

「えっ!?・・・まぁ、乗ったことあるの私だけだし仕方ないか・・・って言ってもそんな言うことないですよ?」

 

「ミサキさん!!なんでそれ動かせたんですか!?」

 

「あーこれ、動かすのかなり簡単なんだよ・・・正直。ミッシェルの方が・・・」

 

「みーくん?ミッシェルがどうしたの?」

 

「ううん!!ミッシェルも動かせそうって」

 

「ミッシェルも動かせるの!?」

 

「でも!!身体が大きいから入らなかったんだよ!!」

 

美咲は乗った感想を言うが思わず「ミッシェルの方が難しい」と行ってしまいそうになったが、咄嗟に誤魔化す。

そんな光景を微笑ましいものを見る様な視線を送る弦太朗が何かを閃いたように声を挙げる。

 

 

 

 

「なら美咲以外が乗ってみたらいいんじゃねぇか?」

 

「ん~そうですね・・・。すっごい簡単ですし、ここなら迷惑かからないから良いんじゃないんですか?そうですね・・・1年生のどっちかでいいんじゃないか?」

 

「「えっ・・・?」」

 

「美咲先輩!!わたしは運動苦手ですから向いてないと思います!!」

 

「私だって向いとらん!!」

 

「いや、正直運動苦手でも動かすだけなら誰でもできるレベルだから・・・。とりあえずどっちが乗るか多数決で決めましょう・・・」

 

弦太朗の提案に同意する美咲が1年生のロックとつくしは思わぬ言葉に驚きの声を挙げると途端に2人はこの貧乏くじの押し付け合いを始めてしまうが、見かねた美咲は全員で多数決を取った。

そして――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで~~~~!!」

 

「ファイトだよ!!つくしちゃん!!」

 

「ツクシさんなら大丈夫です!!」

 

「全員からの指名だから腹くくれー!!」

 

「こんなの無理ですよ~~~~!!」

 

「とりあえずゆっくり操縦桿前に動かして~」

 

決まったのはつくしだった。

しかも、つくし以外は全員が「運動が苦手そうだから」という理由で指名して、泣きそうになりながらその操縦席に乗り込む。

乗り込んだ後もに不満そうに声を挙げるが、どうしようもなくゆっくりと美咲の指示通りに動かしてみる。

 

「・・・あれ?歩けた・・・!!」

 

 

 

 

「おぉ・・・すげーな・・・」

 

「つくし!!やるじゃねーか!!」

 

「つーちゃん!!すっごーい!!」

 

「つくしちゃん!!大丈夫なの?」

 

「はい・・・。歩くだけなら簡単でした!!」

 

「じゃあ段々速度上げて~!!」

 

ダイザーを歩かせたつくしに一同は驚きの声を挙げると、今度は美咲が速度を上げる様に言うとそれに従うがここで異変が起こる。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「つくしちゃん!?どうしたの!?」

 

「ちょっと動かしただけで体力が・・・」

 

「つくしちゃん止まって!!イヴちゃん、つくしちゃんを救出して!!」

 

「はい!!分かりました!!」

 

速度を上げた途端に急に中に乗っていたつくしの息が上がり始めたことに不安を感じたつぐみがつくしに静止するように伝えるとイヴに救出させる。

そしてダイザーがその場に座り込むと操縦席が開き、中から息の上がったつくしをイヴが引っ張り出して弦太朗達の元へと歩いてくる。

 

「つくし・・・大丈夫か?」

 

「如月さん・・・動かすのだけなら・・・簡単でしたけど・・・疲れました・・・」

 

「ゲンちゃん先輩!!次!!はぐみが乗る!!」

 

息が上がって汗塗れのつくしを見ても、はぐみはダイザーに乗ると言ってダイザーの操縦席まで走っていくと、容易く座り込んでいた機体を立たせて歩かせ始める。

 

「すごーい!!はぐみにも動かせたよ!!」

 

「運動苦手のつくしちゃんにも動かせて・・・」

 

「あのはぐみも動かせるって事は本当に簡単なんだね・・・」

 

「あの・・・つぐみ先輩に沙綾先輩・・・それってどういう・・・」

 

運動が苦手と言っていたつくしにも動かせ、お世辞にも頭が良いとは言えないはぐみにも簡単に動かせている状況を見て本当に簡単に動かせることが分かった沙綾とつぐみは驚くが、その驚き方に思わずロックがツッコミを入れてしまった。

しかし、それに2人は答えることなく目の前ではぐみが乗っているダイザーの行動に驚いていた。

 

「はぐみがあれ走らせてる・・・」

 

「美咲は最初に乗った時から全力疾走してたじゃねぇか・・・」

 

「ミッシェルに比べたら簡単ですよ・・・」

 

「おいおい、ミッシェルの中身ってどうなってるんだよ・・・」

 

「空飛べるからね・・・」

 

「美咲、お前そんなもんも動かせるのかよ・・・って戻って来たな・・・」

 

「でも、なんかちょっとふらついてない・・・?」

 

ミッシェルの事について話し始めた彼女達の元へとダイザーが戻ってくる。

しかし、その足取りはふらついていて不安を覚えていた彼女達の前でダイザーの操縦席が開く。

 

「これ疲れる~・・・」

 

「嘘・・・あのはぐみでもこうなるのってどんだけ疲れるの!?」

 

「でも、あれに乗って美咲先輩は戦ってましたけど疲れたように見えませんでしたよ・・・」

 

 

 

 

「えっ?なにそのおばけでも見るような視線・・・」

 

体力に自信のあるはぐみですら息が上がって操縦する代物。

それを疲れた素振りを見せることなく乗りこなす美咲に彼女達は視線を向けるも、向けられた本人はその視線に驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、とりあえずこのくらいでこっちは終わりで次はバイクの方だな!!」

 

「待ってたぜ!!」

 

とりあえず弦太朗はダイザーの説明兼試乗会を打ち切るとバイクの元へと歩き出し、これをずっと待っていたますきが声を挙げる。

 

「こいつは、マシンマッシグラー!!これもダチの親父さんが働いてたところが作ったんだ!!」

 

「スゲー名前だな・・・如月、これ誰が名前つけたんだ?」

 

「俺だ!!」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

弦太朗のネーミングセンスに脱帽している彼女達だったが、それに目もくれず弦太朗は説明を続ける。

 

「こいつは人が乗ってなくても走ったり、手放しでも運転できるんだ!!そんでダチが言うには地上では時速500キロだ!!」

 

「そんな早く走るの!?」

 

「あの・・・それ、新幹線より早いんだけど・・・」

 

「飛行機だってそんなに早く飛びません!!」

 

「人が乗ってなくても走るって・・・しかも、バイクを手放しで危なくないですか!?」

 

「それにそんな速度出したら捕まりますよ!?」

 

「沙綾、驚くのはまだ早いぞ?」

 

「つくしちゃん、イヴちゃん?これはその程度じゃなんともないよ・・・」

 

「美咲もこれで驚いてたら持たないぞ?こいつはもっとすげーことするもんな・・・」

 

「そうですね・・・。あれがああなるなんて・・・」

 

「あれを至近距離で見るとビビるな・・・」

 

 

 

 

 

 

「何が起こるっていうの・・・?」

 

「如月!!あれ!!見せてやれよ!!」

 

「そうだな!!・・・変身!!」

 

驚愕の説明に驚く沙綾達だったが、あれを見たことがあるつぐみ達は説明を聞いても驚かない。

そして何を思ったか巴は上を指差して弦太朗へと声をかけると、弦太朗は巴の考えを理解すると突然変身するとバガミールがその手の上に乗るとスイッチを抜き取ってマグフォンと一緒につぐみにそれを渡す。

 

「ゲンちゃん先輩?どうしたの・・・?」

 

「いや、最後にとっておきのを見せてやろうと思ってな!!」

 

「みんな!!離れるよ!!」

 

「つぐみ!!どういう事!?」

 

沙綾の声が響くもこの後に起こることが分かっているメンバー達で沙綾達の背中を押して変身しているフォーゼ達から距離を取り、フォーゼはバイクを操縦してダイザーの上へと飛び上がる。

 

「なんでバイクで上に乗ったの・・・?」

 

「待って・・・さっき発射台って言ってたよね・・・」

 

「ははっ・・・まさかね・・・」

 

 

 

 

「ダイザーは発射台になって、このバイクを宇宙に打ち上げれる!!」

 

「「はぁ!?」」

 

「「えっ!?」」

 

驚きの説明を受けて見たことのない沙綾達が驚きの声を挙げるが、フォーゼは上に乗ったダイザーは変形するとカウントダウンが響く。

 

 

 

 

「それじゃ、カメラで宇宙撮るから見てろよ!!」

 

そう言うと同時にカウントが終わるとフォーゼはバイクのスロットルと前回にするとそのまま宇宙へと打ち上っていく。

 

「本当に打ちあがった・・・」

 

「すっご~い!!見たみーくん!!」

 

「驚くのにも疲れた・・・」

 

「ブシドー!!」

 

「えぇ・・・!?」

 

見たことない沙綾達が驚きの声を挙げ、その横では以前に見たことがある彼女達も余りの常識外れにまた驚いていた。

 

そして少し経つとつぐみが受け取ったマグフォンが震え、それを開くとそこには宇宙から撮ったであろう映像が映し出されて彼女達はそこで驚くのを辞めたのだった。

 

 





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ここまで装備解説編不参加リスト
Afterglow
・蘭、モカ、ひまり
Roselia
・あこ
RAS
・レイヤ、パレオ、チュチュ()
モニカ
・つくし以外

おまけ
「巴とイヴならあれ乗れそうだよね?」

「あれには乗ったぞ?疲れたりはしないけど、あんなの全身におもりつけてるのと一緒だろ?」

「ワタシも同じです!!」

「まぁ、あれは慣れだから・・・」

「「「「「「は?」」」」」」





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装・備・解・説-6 魔王様と夕焼け模様

スイッチ解説投稿!!
今回の小ネタ時空篇はここまでデス!!

ここで一気に不参加キャラを消化していくぅ!!


 

ある日の羽沢珈琲店。

 

「えっとね!!げんたろーがやられたと思ったら、その後に立ち上がったら新しいの使ってどーん!!って感じでね!!カッコよかったんだよ!!」

 

「あぁ!!アイツ、ボロボロになってたのに一気に大逆転でな!!・・・ってひまり?」

 

宇田川姉妹は今この場にいるAfterglowのメンバー達にこの間のフォーゼ達の戦いを熱く語っていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・モカ?2人の言ってること分かる?」

 

「ん~・・・モカちゃんにもわかんない。多分まだ来てない蘭も分かんないと思うよ~」

 

「あはは・・・珈琲お待たせ」

 

「サンキュー!!にしても蘭の奴、まだ来ないのか・・・」

 

しかし、熱くなっている2人の感覚的過ぎる会話にモカですら話が理解出来ていない。

そんな中で会話を聞き苦笑いを浮かべながらもつぐみは珈琲を差し出すと巴はそれを勢いよく飲み干していく。

 

 

 

「珈琲ってそんなゴクゴク飲むものだったっけ・・・?」

 

「トモちんは最近はどんどん男前になってますからなぁ~・・・」

 

「女の子としてダメじゃないかな・・・?」

 

 

苦笑いを浮かべる彼女達だったが、そんな中で店のドアが開かれる。

 

「ごめん。お待たせ・・・」

 

「よっ!!」

 

「蘭ちゃん!!それに如月くん!!いらっしゃい!!」

 

「あれ?なんで弦太朗くんが蘭と一緒にいるの・・・?」

 

そこに現れたのは蘭と弦太朗。

2人が一緒にいることに疑問を感じたひまりだったが誰もその声に応えることはない。

 

 

「それで巴とあこは何の話してたの?」

 

「えっとね!!この前のげんたろうのことだよ!!」

 

「この前・・・?あぁ・・・弦太朗が死にかけたって奴・・・?」

 

「らん~あんまり驚いてないね?」

 

「だって・・・こいつが死ぬのが想像できないし・・・」

 

「通じ合ってますな~」

 

「何言ってるの?」

 

 

 

「「ぐぬぬ・・・」」

 

「げんたろー、おねーちゃん。ひーちゃん達は何してるの?」

 

「分かんねぇ・・・」

 

「あこにはまだ早い・・・」

 

蘭をモカが茶化し、それを見て悔しそうな表情を浮かべるひまりとつぐみを見て首を傾げる弦太朗とあこと言う奇妙な状況が繰り広げられる。

そんな中で空気をぶっ壊したのはあこだった。

 

「そうだ!!げんたろう!!」

 

「あこ?どうしたんだ?」

 

「前リサ姉達にやってたみたいにあこ達にもやってよ!!」

 

「・・・なんだ?」

 

「如月くん。それってもしかして前に生徒会室でやったやつのことじゃない?」

 

「あれか!!」

 

「それって、如月くんのあれ?前にグループに動画載せてた・・・」

 

 

 

 

「そんなのもありましたなぁ~」

 

「そういえばそんなのもやってたな~」

 

「あぁ・・・あれか・・・」

 

「如月くん・・・こころちゃん達の続きでもいいからやってあげれば?」

 

「あ~それはいいけどよ・・・」

 

説明を聞いて納得のいく彼女達を見てつぐみは弦太朗に提案を聞こうとするが言葉に詰まる。

 

「げんたろう?どうしたの?」

 

「いや、続きだと場所変えねぇとダメなんだよ」

 

「私は大丈夫!!蘭達もいいよね?」

 

「あたしは別にいいけど・・・」

 

「うん!!」

 

「でも、どこ行くの~?」

 

「そうだよ。どんなところがいいの?」

 

前回の続き、No.26から説明しようとすると場所を移動しなければいけなかった例えば―――

 

 

「海とか・・・?」

 

「そんなの近くにある訳ないじゃん・・・」

 

「それなら学校のプールは?」

 

「簡単には入れねぇだろ?」

 

「大丈夫!!私、これでも生徒会の副会長だからね!!」

 

 

どこから来るか分からないつぐみの自信満々の発言―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その発言は現実のものになる。

 

「マジで学校のプール開けやがった・・・変身・・・!!」

 

つぐみは宣言通り学校のプールを借りたのだ。

弦太朗もそれを見てフォーゼへと変身して準備を始める中、仲間からは賞賛の声が響く。

 

「つぐちん!!凄い!!」

 

「でも、何て言ったの?」

 

「日菜先輩が何か企んでる。って言ったらすぐに借りれたよ!!」

 

「つぐみが凄いのか・・・日菜先輩が酷いのか分かんないね・・・」

 

「まぁ、結果的にはいいだろ?日菜先輩には悪いと思うけどな・・・」

 

 

「よし!!そんじゃ始めっか!!」

 

そしてプールにはフォーゼの声が響き渡り、1つのスイッチを取り出す。

 

 

「まずはこいつだな!!No.26のホイールだ!!」

 

「足に・・・車輪?だよね?」

 

「あっ!!これ前、リサ姉といた時に見た奴だ!!」

 

「リサさんって・・・学校に出た時の・・・?」

 

「うん!!蘭ちゃん追いかけてたよ!!」

 

つぐみの言う通り、足に車輪を付けたフォーゼ。

それを見てふと疑問に感じたことをひまりが声に出していた。

 

 

 

「でも、弦太朗くんって空飛んだりバイクあるのにいるの・・・?」

 

「ひーちゃん、それじゃ狭いところはいけないでしょ~?」

 

「あっ!!そっか!!」

 

「モカの言った通り、バイクとかだと入れねぇ時とかはこれだな!!学校の壁とか走れるぞ!!って事で次行くか!!」

 

「おぉ~!!どんなの?」

 

「次は27番のスクリューだ!!」

 

「スクリュー・・・?だから水って言ってたの?」

 

「おう!!これ着けてると・・・」

 

その言葉と共にフォーゼは盛大な水しぶきを上げてプールへと飛び込むとひまりだけがその水しぶきをモロに被るが、フォーゼはそのままプールの中をスクリューを使って高速で泳ぎ出す。

 

「うえぇ・・・びしょ濡れだよ~・・・!!」

 

「すごい・・・速い!!」

 

「明日香が泳いでたのより速い!!」

 

「全力出すと潜水艦みてぇに速く泳げるけどここだとな・・・」

 

 

 

 

「それが潜水艦並みに速いってどうなってるの?」

 

「スゲーな・・・」

 

「そうだね・・・如月くん!!そろそろ次のを!!」

 

「おう!!それじゃ次行くか!!」

 

 

 

「って!!無視しないでー!!」

 

「ん?ひまりは何でそんなに濡れてんだ?」

 

「弦太朗くんのせいだよ!!」

 

「とりあえずひまり・・・着替えてこいよ」

 

「巴!!流石に着替え何てないよ~!!」

 

「部活での練習服は置いてたりしないの~?」

 

「流石にないよ~!!」

 

「じゃあ、いったんここでやめるか?それともファイヤーで乾かすか?」

 

「乾かして~!!」

 

ずぶ濡れひまりの言葉を受けて解説を一旦止めて、フォーゼはファイヤーステイツに変身して火炎放射を放ち、器用にひまりが着ていた服を乾かす。

その光景にそれを見ていた蘭達は微妙な顔をするが、当事者たちはいたって真面目であり服がある程度渇いたのを確認するとフォーゼはファイヤーのスイッチを切ってベースステイツへと戻る。

 

 

「とりあえず、続けっか!!」

 

「・・・うん」

 

微妙な空気の中で蘭がなんとか声をひねり出し、それに答えてフォーゼは次のスイッチを取り出した。

 

「次がNo.28のハンドだ!!」

 

「足に手が生えてる・・・」

 

「なんかキモイ・・・」

 

「蘭、それは思っても言ったらダメだろ・・・」

 

「お前ら、聞こえてんぞ!!これだけで自転車を解体出来るくらいにはスゲー器用なんだぞ!!」

 

 

 

足から手が生えてる光景に1度見たことがあるあこを除いて全員が微妙な顔をしていた。

流石に説明をしているがインパクトの強い光景に説明が頭に入ってこなかったが、何を思ったのかフォーゼはハンドをあこへと伸ばす。

 

「ちょっと弦太朗!!何やって・・・!!」

 

「見て!!あこちゃんの髪の毛が!!」

 

「すごい勢いでヘアセットしてますなぁ~」

 

「あれ片手でやってんのかよ・・・」

 

 

あこへと伸びたハンドに驚きの声を挙げた蘭だったが、その手は物凄い速さで彼女の髪を編み込んでいき一同はその速さに感心していた。

 

「どうだ!!」

 

「ねぇ?あこの髪の毛どうなって・・・ってすごーい!!」

 

「いいなぁ~・・・」

 

あこは自身の髪のセットを見て驚きの声を挙げる横ではひまりが羨ましそうな表情でそれを見つめていた。

 

「まぁ、こいつの事も終わったし次行くぞ。No.29のスコップ!!」

 

「スコップって言うよりも・・・ショベルカーの先っぽみたい・・・」

 

「確かに蘭の言う通りだね・・・」

 

「そうか?こいつはどんなに硬い地面もサクサク掘れるんだ!!例えば・・・」

 

「如月、ここの地面掘るのはダメだからな?」

 

「いや、やんねぇよ!!ってもこいつは普段は別の使い方するんだけどな・・・」

 

「別の使い方って・・・?」

 

フォーゼの説明にひまりを筆頭にAfterglowの全員が首を傾げるが、その中であことモカは心当たりがあった。

 

「別って友希那さんと一緒にいるのみたいなの?」

 

「そうだな。こいつを動かすためのスイッチだな!!」

 

「パン~!!」

 

「ちょっとモカ!!あれは食べ物じゃないから!!」

 

「う~・・・」

 

そんなやり取りの中でフォーゼはスイッチを切ってからホットドックに差し込みなおしてスイッチを入れる。

 

「こいつはホルワンコフって名前でな。こいつは穴掘るのが上手くてな」

 

「イヌ?でいいんだよね?」

 

「そう言えばモカちゃんあの子をパンと間違えて食べようとしてたよね・・・」

 

「そんなのがあったのか・・・。本当はこいつは人に寄ったりするんだけど・・・最近のこいつらはみんな誰かに懐いてるんだよなぁ・・・」

 

「でも、この子・・・可愛いね」

 

つぐみがそう言った途端ホルワンコフが彼女へと擦り寄ってくると、彼女はホルワンコフを拾い上げて腕に抱える。

 

「つぐ、いいなぁ~パンに好かれてる~」

 

「だからモカ、パンじゃないって・・・」

 

微笑ましいものを見るような視線を送る一同だったが、そんな中でモカだけは元がホットドックの形をしているだけであるがパンに好かれているつぐみへと羨ましそうな視線を送っていた。

フォーゼはそんなやり取りを見つつ、マグフォンを取り出す。

 

 

「まぁ・・・そしたら、今回の最後の奴に行くか・・・!!」

 

「それって・・・前に使ってた・・・」

 

「あこも見たよ!!」

 

「まぁ、そうだな。これが2つで1つのスイッチになってて・・・割って挿す!!・・・そんで同時にスイッチを入れると・・・」

 

「げんたろうが太った!!」

 

「マグネットステイツは一回りデカくなるんだよ!!肩の砲台を支えるために必要なんだよ!!」

 

「ひーちゃんみたい?」

 

「モカ!?私も太ってないよ~!!」

 

あことモカの素っ頓狂なボケに突っ込んでしまう2人。

それを見ていた蘭達も内心太ったと思っていたが理由を聞いて納得していた。

 

「こいつになると磁力を操ってビーム打てるんだけど。見た目の通り動きにくくなっちまうんだよ。まぁ、頑張れば空中浮遊位できるんだけどな・・・」

 

 

 

 

 

 

「飛べない豚はただの豚~」

 

「モカの奴はさっきから何言ってんだ?」

 

「お姉ちゃんも分かんないの?」

 

「さぁ・・・?」

 

「あはは・・・私も分かんないかな・・・」

 

モカの様子がおかしくなっていくが誰もそれを気にしない・・・訳ではないが、あまり深く考えないようにしていた。

 

「んじゃ、これで終わりにすっか!!ここの戸締りもしねぇといけねぇんだろ?」

 

「うん!!如月くんありがと!!」

 

「げんたろう!!楽しかったよ!!」

 

「おう!!」

 

「弦太朗くん!!次も呼んでね!!」

 

「タイミングが合えばな?」

 

今回の説明が終わるとマグネットステイツのまま彼はドライバーのスイッチを何気なく交換していた。

そして他愛ない話を始める彼女達だったが、ふと蘭が時計の時間を確認すると表情が変わる。

 

 

「ねぇ弦太朗。時間大丈夫?」

 

「ん・・・。やっべぇそろそろ行かねぇと・・・」

 

「如月、蘭もどうしたんだ?」

 

「いや、この後予定があって・・・」

 

「「予定?」」

 

「あぁ、この後天校のダチがうちに来るんだよ!!」

 

「でも~、何で蘭も?」

 

「あたしも呼ばれてるから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「は?」」

 

理由を聞いたつぐみとひまりの表情が一気に冷たいものに変わるとカタカタと震えながら笑いだす。

 

「アハハ。ランチャンナニイッテルノカナ?」

 

「ヌケガケハユルサナイヨ?」

 

「弦太朗、逃げるよ!!」

 

「よく分かんねぇけど・・・分かった!!」

 

「「なっ!?」」

 

蘭はフォーゼの腕に捕まるとつぐみ達はそれを見て驚きの声を挙げるが、それを気にすることも無くフォーゼは先ほど紹介したホイールのスイッチを起動する。

 

「それじゃまたな!!」

 

「げんたろう!!らんちゃん!!ばいばーい!!」

 

「蘭~、気を付けて~」

 

「モカ、あこの前でその手の握り方はやめろ」

 

フォーゼはホイールを使って蘭と共にその場から退散し、それを巴達が見送っていた。

 

「つぐ!!どうしよう!?」

 

「ワンちゃん!!如月くんを追って!!・・・ってなんで嫌がるの!?」

 

巴達の横では蘭達を見て慌てるつぐみ達を他所にホルワンコフがそこから動きたくないかの様につぐみの腕の中へと納まり続けるのだった。

 

 




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次からは本編帰ります。
3章の開始はRoseliaさんからです・・・
スイッチャ―どうしよう・・・

ここまで装備解説編不参加リスト
RAS
・レイヤ、パレオ、チュチュ()
モニカ
・つくし以外


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Roselia篇3-歌・姫・独・唱
歌・姫・独・唱-1 ノーブルローズ・インシデント



Roselia篇_3章開幕
これがRoseliaメイン最後だぁああああ!!

期待値高すぎて逃げてぇ・・・




 

 

ピスケスの事件が解決した翌日―――

 

「ゲンちゃーん!!おっはよー!!」

 

「ん?」

 

平和な日常を感じながら弦太朗が1人で学校まで歩いていた。

そんな朝の通学路に弦太朗の呼ぶ声が響き、その声に彼は反応して声が聞こえた方向へと顔を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには香澄が自分のギターを弾きながら弦太朗へと走り出す姿が写っていた。

 

「香澄!!ギター戻ってきたんだな!!」

 

「うんっ!!これであっちゃんの時のことは全部解決だね!!」

 

「後は犯人見つけるだけだな!!・・・でも、香澄はいつギターなんて取りに行ったんだ?」

 

「昨日の夜に直ったって聞いたから!!さっきチュチュちゃんのところに取りに行ったの!!」

 

「さっきってこんな朝からか?」

 

「・・・?そうだよ?」

 

「そうか・・・」

 

弦太朗の問いに香澄はギターをかき鳴らしながら答えるが、流石の弦太朗もこの行動力と目の前の光景を前にして上手く言葉を出せずにいた。

 

そんな状況を遠目で見ていたある少女がそんな2人の間を割り込むように現われた。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗、香澄おはよー」

 

「さーや!!おっはよー!!」

 

「よっ」

 

「香澄、ギター直ったんだ」

 

彼の前には沙綾が何食わぬ表情で現われると香澄が抱えていたギターを見て、嬉しそうな表情を浮かべ自分の事のように喜んでいた。

 

「うん!!それでさっき取りに行ってきたの!!」

 

「さっき・・・?」

 

「受け取りに行ってそのままここまま来たみたいだぜ?」

 

「うん・・・それはいいけど・・・香澄?」

 

香澄の行動力に半ば呆れつつも沙綾は彼女を見てふとした疑問が思い浮かび、思わず香澄に質問してしまった。

 

「ギターはいいんだけど・・・ギターケースはどうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あっ!!チュチュちゃんの所に忘れちゃった!!」

 

沙綾の言葉に理解が追い付かず首を傾げた香澄だったが、冷静に言葉の意味を理解するとすぐに困惑した表情へと変わっていく。

 

今の香澄はギターを持っているがそれを収めるケースがないこと。

 

その事に気が付いて沙綾が聞くと、返ってきた答えに沙綾だけではなく弦太朗も困惑した表情を浮かべていた。

 

「香澄、そのままだと前みたいに没収されるよ・・・」

 

「前・・・?」

 

「うん。去年の事なんだけど、香澄がギター弾きながら学校に来たことがあってその時に校門で没収されたんだよ」

 

「流石に俺もそんな奴は見たことねぇぞ・・・」

 

「弦太朗でも香澄みたいなのは初めてなんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな2人の言葉を聞いて香澄は以前にあった出来事を思い出して顔がどんどん暗くなったと思った途端弦太朗へと泣きついた。

 

「あ~!!ゲンちゃん!!変身してギターケース出して~!!」

 

「そんなこと出来ねぇぞ?」

 

「えっ~!!じゃあギター没収されちゃうよ~!!」

 

「今回は香澄が悪いからなぁ・・・」

 

「さーやまで~!!どうしよ~!!没収されちゃうよ~!!」

 

「もう学校前だぞ・・・」

 

「もう諦めるしかないね・・・。今から家に帰ったり私の家に置きに行ったりしてたら遅刻しちゃうし・・・」

 

「それにあそこに紗夜がいるしな・・・」

 

しかし、香澄が泣きついた場所は校門のすぐ近くで今から自宅や沙綾の家に置きに行く時間もない。

そのうえ校門の前には数名の風紀委員とその中に紗夜がいることを弦太朗が見つけた。

香澄は肩を落として落ち込んで諦めの表情を浮かべて学校へと向かっていくが、紗夜の様子がおかしいことに誰もがすぐに気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜!!おはよう!!」

 

「・・・」

 

弦太朗が最初に挨拶をするも、心ここにあらずといった様子で彼女からの返事がない。

それを不審に感じた沙綾達も思わず声をかけてしまう。

 

「・・・紗夜先輩?」

 

「あの・・・」

 

「・・・如月さんに山吹さん、それに戸山さん。おはようございます」

 

「紗夜?朝からどうしたんだ?」

 

「なんでもありません・・・。皆さんもすぐに授業が始まります。私はもう行きますので・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「嘘・・・。ギター没収されなかった!!」

 

「何で・・・?」

 

「紗夜どうしたんだ?」

 

紗夜は弦太朗の問いに答えると香澄のギターを没収することも無く先に教室へと向かってしまった。

その光景にギターを没収されることを覚悟していた香澄達には驚愕と困惑に包まれる。

その光景を見ていた周囲の生徒達も紗夜の行動に驚きの声が挙がり、学校内では”番犬”とまで言われる紗夜が香澄のギターを没収しなかったことに一緒にいた風紀委員もどうすればいいか対応に困り困惑してしまう。

 

 

不思議に多いながらも彼らはそれぞれの教室へと向かっていき、弦太朗が教室に入ると信じられないような光景が広がっていたが、そんな彼の元へと教室にいた2人の生徒が歩み寄ってくる。

 

「あっ・・・如月くん・・・おはよう・・・」

 

「あら、弦太朗。おはよう」

 

「花音に千聖、おはよう・・・なぁ、あれはなんなんだ?寝てるみてぇだけど・・・」

 

弦太朗が教室にいるある人物を指差す。その指差す先には紗夜が机に突っ伏して完全に動かなくなっている光景が広がっていた。

 

「知らないわよ・・・」

 

「それに紗夜ちゃん・・・さっき来たと思ったらああなっちゃって・・・」

 

「紗夜はさっきまで校門にいた時からおかしかったぞ?香澄がギターを弾きながら来てても注意すらしなかったからな・・・」

 

「なんですって・・・」

 

「それは・・・重症・・・だね・・・」

 

「弦太朗におかしいなんて言われるなんて重症ってレベルを超えてるわね・・・」

 

 

 

弦太朗から校門での出来事を聞いた2人は困惑の表情を浮かべる。

あの紗夜が目の前で校則違反を堂々と見逃したという事実もそうだが、千聖は弦太朗に「おかしい」とまで言わせたと言う事実に驚いていた。

 

「もしかしてバンドで何かあったのかな・・・?」

 

「それ以外ないと思うわ。でも、何でああなってしまったのかしら・・・?」

 

「時間がねぇけど・・・あこにでも聞くか?」

 

「バンドの事だったら本人じゃ誤魔化しそうね・・・」

 

「だったら巴ちゃんかな?あこちゃんのお姉ちゃんだし・・・」

 

「分かった!!」

 

バンドで何かあったのかをあこに電話で聞こうとマグフォンを取り出した弦太朗だったが、千聖達の言葉を受けてあこでは無く巴に電話を掛けるとすぐに巴が電話に出た。

 

『おう。如月か?』

 

「巴、ちょっと聞きてぇことがあるんだけどよ。朝のあこってどんな感じだった?」

 

『あこ?あぁ、起きてきた時からすっげー疲れてた感じだったな・・・。とりあえず学校は休ませたけど・・・』

 

「あこもか・・・」

 

「間違いないわね・・・」

 

どうやら、あこも紗夜同様に朝から疲れている様子だったことを聞いて弦太朗達はバンドで何かあったことを確信したが、その言葉を巴が聞き逃さなかった。

 

『おい。あこ”も”ってどういうことだ?』

 

「あぁ、実は紗夜もなんだよ」

 

『そうだったのか。あこの奴、最近バンドの練習を遅くまでやってるみたいだしな・・・』

 

「とりあえず、なんかあったら教えてくれ」

 

『おう!!』

 

『巴ちゃん、誰と話してるの?』

 

『如月たちだけど?』

 

巴の電話からつぐみの声が聞こえたと思った途端、電話の向こうが突如として騒がしくなる。

その理由が分からない弦太朗は首を傾げると同時に巴との通話が切れる。

 

「・・・こっちも今、薫さんにリサちゃん達の様子を聞いてみたから、分かったら教えるね・・・」

 

「花音もサンキューな」

 

「うん。流石にあの調子だとこっちも調子が狂っちゃうよ・・・」

 

「それに燐子ちゃんが学校に来てないのも気になるわね・・・」

 

 

そんな会話をした少し後に授業開始のチャイムが鳴るが燐子が教室に現われることはなく、その後に現われた教師も紗夜の姿に困惑しながらも授業は進んでいった。

 

 

 

 





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あーこりゃ2章よりも短くなりそうだなぁ・・・(遠い目


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歌・姫・独・唱-2 何が彼女達を追い詰めたのか

投稿です。

さーてとここでバンドリアニメ本編とは違う内容になって来たぞぉ~!!
聡明な読者ニキには突っ込まれそう・・・


 

授業始まったがにも拘らず紗夜が朝からピクリとも動かない光景に教室は異様な空気に包まれていた。

 

朝から紗夜が机に突っ伏して動かない。

そのまま1時間目が終わり、2時間目の授業が始まっても半分ほど経過したが彼女は動く様子はない。

 

「・・・」

 

「おい・・・紗夜。2時間目始まってんぞ・・・?」

 

「・・・」

 

「紗夜?・・・おい!!紗夜!!」

 

「ちょっと静かに・・・って紗夜ちゃんの近くでそんな騒いでも動かないのは不味いと思うわ・・・」

 

心配になった弦太朗が声をかけるが、彼女からの答えは返ってくることはなく声を挙げる。

流石に心配になって声のボリュームが挙がってしまい、余りのやかましさに同じ教室にいた千聖が耐えかねて声を挙げる。

そんな中でもその中心にいた紗夜が動かないことに流石の千聖も驚きを隠せなかった。

 

「ふえぇ~紗夜ちゃん~!!」

 

「保健室か?」

 

 

 

 

 

 

 

「だったら、紗夜ちゃんのお腹にアメフトのタックルをかけるように肩を・・・」

 

余りにも異常な状態に同じクラスの花音を中心に一部の生徒が慌て始め、それを収拾するために弦太朗が紗夜を保健室に運び出そうと彼女の腕を肩に回そうとした。

 

男子が女子を運ぶという出来事を前にして最初は色気づいたクラスメイトが声をあげようとしたが、

そんな中で千聖からの指示が飛び紗夜の姿を見て興奮から一気に冷める。

 

 

 

 

千聖の指示に従った弦太朗は紗夜を”お米様だっこ”―――紗夜の腹を肩に担いで運び出していた。

 

「これって相当きつくねぇか?」

 

「お腹を押されてるんだから当たり前でしょ?行くわよ」

 

周囲の冷たい目が紗夜を中心に弦太朗達に向けられるが彼らは全く気にすることなく保健室へと向こうが、そこには先客がいた。

 

「弦太朗くんに千聖先輩?」

 

「りみ?どうしてここに・・・?」

 

そこにいたのは体操服を着たりみが椅子に座っており、彼女以外にももう1人が何がごそごそと動いていたが弦太朗の位置からはそれが誰なのか分からなかったがすぐにりみから答えが出る。

 

 

「えぇっと体育で足捻っちゃって・・・。大丈夫だって言ったんだけど沙綾ちゃんが連れてきて・・・」

 

「りみ~。とりあえこれで足冷やして・・・って弦太朗!?その肩に担いでるのって・・・」

 

「沙綾、こいつは紗夜だな」

 

「そっか・・・」

 

そんな状態で現われたのはりみと同じ体操服を着た沙綾が彼女の足を冷やすための氷を持って現れたが、いると思わなかった弦太朗がいることに驚きを隠せずりみに氷を渡すとすぐに弦太朗から距離を取る。

 

沙綾の行動を見て笑みを浮かべるりみと千聖を他所に、弦太朗はそのまま紗夜をベットに置くと千聖に後を任せてベットから離れると状況が分かってない2人が弦太朗を見る。

 

「弦太朗くん、紗夜先輩どうしちゃったの・・・?」

 

「教室に着いたらあんな感じで、それでここまで運んだんだよ・・・」

 

「そう言えば、朝から様子が変だったし・・・。香澄のギターを見逃すなんてあり得ないし・・・」

 

「それは・・・重症だよ・・・」

 

「紗夜先輩大じょ・・・」

 

「ちょっと弦太朗!!こっち来て!!」

 

 

 

心配の声をあげた沙綾の声を遮って、千聖が弦太朗を呼ぶ。

それを聞いて弦太朗は急いで千聖の元へと向かうと、千聖は珍しく取り乱していた。

 

「どうしたんだよ!!」

 

「これ見て!!体温計使ってみたら・・・!!」

 

「”39.0℃”・・・ってこれ・・・!!」

 

「普通学校なんて来れないよ・・・!!」

 

「とりあえずは・・・!!」

 

「待って!!保健室の鍵閉めてくる!!」

 

弦太朗が何をするか察した沙綾はすぐに保健室のドアへと駆け出して鍵を掛けると同時に弦太朗はフォーゼに変身するとすぐにメディカルとハンドを使用すると、メディカルで精製した解熱剤をハンドを使って紗夜に打ち込む。

 

「これで大丈夫だろ?」

 

「ねぇ、それでりみのも治せないの?」

 

「でも、冷やしてるだろ・・・」

 

「私は大丈夫だよ?」

 

「なんかあったら言えよ?」

 

りみは”冷やす”という言葉に反応した。

そしてその脳内にはフリーズを使って足を冷やす―――どころではなく、全身を凍結させられるイメージが思い浮かんでしまい即座にその申し出を断る。

 

その言葉を聞いて変身を解くと同時に授業の終了のチャイムが鳴る。

弦太朗はその音を聞きながら紗夜を見る。

 

 

「にしても、そんな熱で良く学校に来れたな・・・」

 

「・・・とりあえず、早退させましょう。流石に心配だし・・・向こうも休み時間だし、私は日菜ちゃんに連絡しておくわね?」

 

「頼む」

 

 

「沙綾ちゃん。私達は教室に戻ろ?着替えないといけないし・・・」

 

「うん・・・。じゃあね・・・」

 

そうしてりみは沙綾と共に保健室を後にすると、千聖はスマホで日菜に電話を掛けるとすぐに日菜が電話に出る。

 

 

 

『もしもし?千聖ちゃん?どうしたの?』

 

「日菜ちゃん、ちょっといいかしら?紗夜ちゃんの事なんだけど・・・」

 

『おねーちゃん?あーそう言えば最近具合悪そうにしてたけど・・・』

 

「その紗夜ちゃんなんだけど、学校でぐったりしてたから早退させるわ」

 

『えぇ~!!だったら私も!!』

 

「あなたは授業受けなさい。仕事で授業出れないんだし、それに紗夜ちゃんに怒られるわよ?」

 

姉が早退する。と聞いた日菜は自分も帰ろうとするが、そんなことは完全に想定内であった千聖は紗夜の名前を出す。

しかし、その言葉に対して日菜からは千聖も想像していなかった言葉が返ってきた。

 

 

 

 

『えぇ~だって、リサちー達も学校来てないしつまんなーい』

 

「そんなわがままを言って・・・ちょっと待って?リサちゃんも来てないの!?」

 

わがままを宥めようとした千聖だったが、日菜から出てきたのは紗夜と同じバンドでもあるリサが学校に来てないという言葉に驚いてしまう。

 

『ん?そーだよー。さっき教室行ったときに聞いたんだよ?でも、友希那ちゃんが学校で寝てたよ』

 

「友希那以外、全員ダウンしてんのかよ・・・」

 

『あれ?ゲンちゃん?・・・燐子ちゃんも学校来てないんだ~』

 

「紗夜ちゃんを運んでもらったのよ・・・」

 

『そっか~。じゃあゲンちゃんと千聖ちゃん、おねーちゃんのことよろしくねー!!』

 

そう言い残して日菜との通話が切れてしまい、そんな日菜に半ば呆れていた。

 

「それじゃ、荷物持ってくるから弦太朗は待ってなさい」

 

「俺が行ったほうがいいんじゃねぇか?」

 

「あなた、紗夜ちゃんの体操服持ってく度胸あるの?・・・まぁ任せたわよ」

 

そう言って紗夜の荷物を纏めるために千聖は一度保健室を離れて行く。

 

 

 

 

 

 

「れ・・・ん・・・しゅ・・・う・・・」

 

「紗夜!!・・・って寝言か・・・夢でまで練習してんのかよ・・・」

 

今までピクリともしなかった紗夜が寝言を言ったが、そこから紗夜は規則正しい呼吸をしているのを眺めながら弦太朗は千聖の到着を待っているのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

「・・・」

 

学校が終わってから私は練習を終えて自室へと戻ってくると、制服のままベットに転がると同時に疲れが襲ってくる。

私は先ほどまでの練習を思い出しながら隣の家を見るがその部屋に明かりは無い。

 

「リサ・・・」

 

最近の練習を詰め込み過ぎたこともあってリサが体調を崩してしまった。

いや、リサだけじゃなく紗夜も燐子もあこも―――

 

スタジオを借りていたため練習はしたが、最近は誰かと共に練習をしていたせいもあって久々の1人きりの練習は充実感なんてものはなく、虚無感を感じる中、私はスマホを取り出して操作する。

 

 

 

「・・・っ!!このままじゃ・・・!!」

 

その画面にはバンドリの順位が映されており、その1位の欄には堂々と”RAISE A SUILEN”の文字が堂々と表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、2位のところにもRoseliaの文字が出てこない。

 

バンドリは紗夜の件もあってエントリーがギリギリまで遅れた。

その後も様々な事件にも巻き込まれ、更にはこの前に行ったRASとの対バンライブでの敗北から投票の伸びが悪くなっていることに私は焦りを感じていた。

 

「このままじゃ・・・」

 

RASに負けてしまう―――

 

その事が頭を過るが、それと同時に部屋のドアが突然開かれる。

 

「友希那?どうしたんだい?」

 

「お父さん・・・」

 

そこに現われたのはお父さんだった。

お父さんはそのままベットに寝ている私のところまで歩み寄ってくるとスマホの画面を一瞥して声をかけてくる。

 

「ノックしたんだけど返事がなかったからね・・・。夕食が出来たのを伝えに来たよ」

 

「ありがとう・・・。すぐにいくわ・・・」

 

そう言って私はお父さんの横を通って部屋を後にするが、私はこの時のお父さんが悲しそうな表情をしていたことに全く気が付いていなかった。

 





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歌・姫・独・唱-3 仕組まれたRest

投稿です。

さーて今回は最近空気だったあの人が登場


月曜に予約投稿する予定の物を設定日時間違ったやつがいるらしい・・・


 

Roseliaダウン事件(弦太朗命名)が発生して翌日、弦太朗はある人物に呼び出されて開店前のCiRCLEへと足を運んでいた。

 

「ふぁ~・・・なんでこんな朝っぱらから・・・」

 

「朝早くからごめんねー!!」

 

「でも、どうしたんっすか?まりなさん。てかどうやって連絡先を・・・」

 

「連絡先は前にモカちゃんが教えてくれてね。それで要件なんだけど・・・ちょっとこっち来てくれる?」

 

弦太朗を呼び出した相手はCiRCLEのスタッフのまりな。

しかし、弦太朗は呼び出された理由もどうやって連絡先を知ったのか分からなかったため思わず聞くとまりなは彼をそのままスタッフルームまで押し込んでいく。

 

 

 

「ここって・・・」

 

「うちのスタッフルーム。本当は部外者立ち入り禁止なんだけど話す内容がちょっとね・・・」

 

「話す内容・・・?それって一体・・・」

 

「あー・・・それなんだけど、Roseliaのことなの・・・」

 

「友希那達・・・?それってどういう・・・」

 

「・・・本当はダメなんだけど、これ見てくれる?」

 

友希那達についてと言われて先日の事を思い浮かべる弦太朗に対してまりなが紙束を差し出してくる。

 

紙の束に一瞬だけ頭がクラクラした弦太朗だったがそれを受け取って中身を見ると、そこには”Roselia”や”Afterglow”など彼の知るバンドの名前が書かれていたがその名前の意味がよく分からなかった。

 

「なんすか?友希那達のと蘭達のバンドの名前が書いてありますけど・・・」

 

「これはね、ここ数週間のスタジオのレンタル状況が書いてあるの。本当は代表者が借りるって形になってるんだけど、分かりやすいように昨日徹夜してバンド名に名前変えたんだよ」

 

「それをなんで俺に・・・」

 

ますます意味が分からない弦太朗。

何気なくその紙を捲っていくと弦太朗の勘が”何かがおかしい”という事を感じ取る。

彼はその勘に従って紙をペラペラと捲って行くとあることに気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で友希那達のバンドだけ全部の紙に・・・!?まさか・・・」

 

「そうだよ。友希那ちゃん達はここ数週間毎日スタジオで練習してるんだよね。使ってくれるのは嬉しいんだけど、ここまで来ると心配で・・・」

 

そう告げたまりなの表情は毎日使ってもらえる嬉しさよりも、彼女達を心配するような表情を浮かべながら彼女の話は続けていく。

 

 

 

「それにこの前はみんな具合悪そうにしてたのに練習してたことがあって声かけたんだけど「大丈夫」の一点張りでその場は終わったんだけど、やっぱり大人としては心配なんだよね・・・」

 

「あの・・・俺も友希那達と同い年ですよ?それにあこには巴に言えばいいんじゃないんすか?」

 

「それも考えたんだけど、ちょうどいい距離感にいる如月くんに頼んだ方がいいかなって」

 

「でも、どうするんですか?」

 

まりなの心配事は理解したがこれからどうするべきか全く分からない弦太朗は首を傾げる。

しかし彼女はどうするかの案を用意していた。

 

 

「Roseliaが借りる予定のスタジオは設備の不具合って言って1日だけ使えなくするから、如月くんはみんなが休めるようになんとかして!!」

 

「なんとかって・・・」

 

「大丈夫!!ちゃんと休ませるための用意はあるから!!」

 

それは余りにも詰めが甘く、休ませるための用意があるとはいえ殆ど弦太朗任せの行き当たりばったりのプランだった。

しかし、ただのライブハウスのスタッフに出来ること言えばこれが限界だった。

 

 

 

 

「流石に大人としてはこれ以上子供が無理するのは見過ごせないからね!!それに・・・折角、男子がいる高校生活だったら楽しまないと!!」

 

「最後の方はよくわかんないっすけど・・・。練習させなきゃいいんだったら、出来る限りなんとかします・・・」

 

「ほんと!?助かるよ~!!」

 

困り顔で答えた弦太朗だったが、彼の言葉にまりなの表情は一気に明るくなっていくと、開店時間が迫っているという理由でまりなと共にスタッフルームから出ると扉の前ではRoseliaの5人が待ち構えていたが、全員いつもに比べて疲れが見えていた。

 

「なんで如月がこんな時間にいるの・・・?」

 

「弦太朗のバイク停まってたからおかしいと思ったんだよね~」

 

「どういう事でしょうか?」

 

「りんりん、なんでか分かる?」

 

「ううん・・・」

 

弦太朗がここにいる理由が分からないRoselia達の前にまりなは正面の扉を開けると同時に頭を下げる。

 

「みんな、ごめんなさい」

 

「ちょっとまりなさん!?」

 

「頭をあげてください!!」

 

まりなの突然の行動に困惑する彼女達だったが、まりなの話を聞いていた弦太朗はこの行動が先ほどの説明のための芝居であることに気が付いた為、何事もなかったように振舞っていた。

 

「実はスタジオの事で連絡しなきゃいけないことがあったんだけどすっかり忘れてて!!」

 

「スタジオ・・・どういうことかしら?」

 

 

 

「えっとね。友希那ちゃん達が借りてたスタジオなんだけど、空調と設備が壊れちゃって貸せなくなっちゃったの!!」

 

「えぇ~!?」

 

「・・・」

 

「あの・・・他のスタジオは空いてないんですか?」

 

「うちはこの後予約で一杯で近くのライブハウスにも聞いてみたんだけど、バンドリの事もあって空いてないって言われちゃって・・・」

 

驚くあことその言葉を聞いて不機嫌になる友希那。

その横では燐子がスタジオが空いてないかと確認を取るがまりなからの答えを聞いて友希那は一層不機嫌になっていく。

 

「本当にごめんね!!明日なら大丈夫だし。明日のレンタル代は割引・・・半額にするから!!」

 

「友希那・・・流石に今日は・・・」

 

「・・・そこまで言われたら仕方ないかと」

 

「そしたら個人練習しか・・・」

 

「あっ!!そうだ!!これ受け取ってくれる?」

 

そう言ってまりなは懐から何かのチケットを6枚差し出すと、代表してリサがそれを受け取った。

 

「これは・・・?」

 

「映画のチケット!!7枚貰ったのは良かったんだけど流石に1人で7枚は使えないし・・・」

 

「あっ・・・それに期限も明日までだ・・・」

 

 

これは彼女がRoseliaを休ませるために身銭を切った代物であるが、本人以外はその事を知らない。

 

 

「そうなの!!だから如月くんも入れてみんなで見てきたら?」

 

「俺は構わねぇけど、どうする?」

 

 

 

「スタジオが使えないなら・・・・いいんじゃないでしょうか?」

 

「それに映画ってモールのとこだし、そこでちょっと買いたい本もあるんだよね~」

 

「私も買い物でしたら、モールではありませんがギターの弦を補充しておきたいですね・・・」

 

「あこもスティック新しいの欲しい~!!」

 

 

比較的肯定的な意見が出るRoseliaのメンバー達、しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は遠慮するわ・・・」

 

「友希那さん!?折角映画のチケット貰ったのに!!」

 

「貰いものを譲り受けたのよ?私が行かなくても誰も迷惑にならないんじゃないかしら?」

 

「そうかもしれませんが・・・。流石に渡した本人がいるのにそれは・・・」

 

「私も・・・そう思います」

 

「友希那~、流石にずっと練習じゃなくて作曲とかするならアイディア集めのために行かない?」

 

「行かないわ・・・。みんなも個人練習忘れないように、それじゃ・・・」

 

「おい!!」

 

メンバーからの提案も断って、友希那は早々にCiRCLEを後にしてしまい、何とも言えない空気が彼女達を包むが早々にまりなが空気を作る。

 

「うん。流石に勿体無いけど5人で行って来たら?如月くんのバイクは置いて行っていいから」

 

「うっす。折角だったら、1枚で日菜か巴でも呼んだらどうだ?」

 

「でも、おねーちゃんは今日バイトって言ってたよ?」

 

「日菜は仕事が無かったはずですから連絡してみます」

 

そうして紗夜が日菜に連絡すると即OKの返事を貰うとモールで待ち合わせの事を伝えて電話を切るとモールへ向けて歩き出す。

 

良い息抜きになっているのかあこを中心に紗夜と燐子も笑みを浮かべながら歩き出すと弦太朗とリサが見守る様にその後ろについて歩き出す。

 

そして少しだけあこ達と弦太朗で距離が開くと前の3人には聞こえない様にリサが弦太朗へと話しかけてくる。

 

「弦太朗、ありがとね?」

 

「ん?なんのことだ?」

 

「今日の事、まぁ・・・友希那は来なかったけど?」

 

「何のことか分かんねぇぞ・・・?」

 

「いや、表情に出過ぎだから・・・」

 

「なら、仕方ねぇか・・・。この前燐子も学校休んでたし、紗夜も学校でうなされてたのを見てたしな・・・。遊ぶのも大事ってまりなさん言ってたぞ?」

 

弦太朗は咄嗟に嘘をつくがすぐに見破られてしまうと観念して隠すことを辞めた。

 

 

「多分、たまには息抜きしろってことじゃない?私はバイトがあったからたまに練習を休んでたけど、紗夜たちは毎日練習だったし・・・」

 

「それで倒れちゃ元も子もねぇだろ・・・みんな心配してたぞ?」

 

「アハハ・・・それはゴメン・・・」

 

「ったく・・・今度からは気をつけろよ?」

 

「うん・・・。気をつけるけどさ、もしダメそうだったら弦太朗が助けてくれるでしょ?」

 

「まぁ、ダチだからな」

 

「だからさ。ちゃんと友希那の事も助けてあげてね?」

 

「・・・?おう」

 

 

「リサ姉~!!げんたろう~!!早く~!!」

 

「あこちゃん・・・他の人が見てるから・・・」

 

「如月さん?なんで今井さんと一緒に子供を見るような視線を向けているんですか・・・」

 

 

 

 

「うん!!今行く~!!ほら行こっ!!」

 

「おいっ!!急に腕引っ張んなって!!」

 

2人の会話を裂くように前にいたあこが声をあげて2人を呼ぶと リサがそれに答えると弦太朗の腕を引いて3人の元へと駆け出していく。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、これからRoseliaを中心に周囲の人間を巻き込んだ大事件が起こること彼女達はまだ知らない―――

 

 





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歌・姫・独・唱-4 怒りと焦りと不吉の音色


投稿です。

今回の敵は・・・この方です!!



 

「ついたー!!」

 

「あこちゃん・・・」

 

「日菜はまだ着いてないみたいですね・・・」

 

弦太朗達一行はショッピングモールへとやってくるが、そこにまだ日菜の姿が見えない。

紗夜はスマホを取り出して日菜に連絡を取ろうしたその時。

 

 

 

「おね~~~~~~~ちゃ~~~~~~~ん!!」

 

「ヒナ!?」

 

周囲の目など気にすることなく日菜が全力疾走で紗夜の元へとかけてくる。

そして紗夜へと日菜が飛び込んでくる。

 

 

 

「・・・っ!?」

 

しかし、余りの速度に紗夜の身体は反射的に日菜を避けてしまった結果―――

 

 

「うわぁ!?」

 

 

 

 

 

「げんたろう!?大丈夫?」

 

「えへへ~」

 

日菜は紗夜ではなくその後ろにいた弦太朗へと飛び込んでしまったが、日菜は全くそのことに気が付いていなかった。

 

 

「ちょっとヒナ!?」

 

「えぇっと・・・その・・・」

 

「おねーちゃん~」

 

日菜は周りの目を気にしないで弦太朗の胸に顔を埋めて頬を擦りつける。

その光景にリサが驚きの声を挙げて燐子が困惑いたが、ようやく日菜は違和感に気が付いて声が漏れる。

 

 

 

 

 

 

「あれ?おねーちゃんのおっぱい・・・こんな堅かったっけ?」

 

「日菜・・・!!」

 

ここで日菜は紗夜の声が自身の後ろから聞こえたことに気が付いて顔を挙げるとそこには紗夜ではなく弦太朗がいたことに彼女は首を傾げていた。

 

 

 

 

「あれ?ゲンちゃん・・・何してるの?」

 

「それはこっちが言いてぇんだけど・・・」

 

「ちょっと2人とも!!いつまでくっ付いているんですか!!」

 

「おねーちゃん!!」

 

ここで日菜は遂に弦太朗から離れると紗夜の腕にしがみ付く。

しがみ付かれた紗夜の表情は先ほどの怒りの表情から一変、柔らかい笑みへと変わっていく。

 

それを見たリサはニヤニヤとした笑みを浮かべて紗夜を弄り始める。

 

「紗夜~。ヒナを弦太朗に取られて嫉妬しちゃったの?」

 

「・・・そんな訳ないじゃないですか」

 

「もしかして・・・嫉妬したのはヒナの方?」

 

「・・・なっ!?何を馬鹿なことを言ってるんですか!!」

 

リサの言葉を聞いて紗夜は途端に狼狽えだすのを見て、リサはそのまま紗夜をからかい続ける。

 

「紗夜も弦太朗の胸に飛び込んでみたら~?」

 

「しません!!バカなこと言ってないでほらさっさと行きますよ!!」

 

「うんっ!!」

 

 

紗夜はリサの言葉に顔を真っ赤にすると、ズンズンと普段の彼女からは想像もできないような足音を立てながら日菜と共にモールの中へと入っていく。

 

「あーちょっとやり過ぎちゃったかな~・・・」

 

「リサ、お前何やってんだよ・・・」

 

「紗夜が可愛かったからつい・・・。じゃあ弦太朗はアタシの胸に飛び込む?紗夜よりは胸あるよ?」

 

「でも、りんりんには負けるけどね!!」

 

「・・・」

 

「如月さん・・・首からすごい音が・・・」

 

「あぁ・・・気にすんな・・・」

 

弦太朗も普段は年頃の男子高校生、リサとあこの言葉を聞いて彼は無言で燐子の顔から下へと視線をズラそうとしてしまったが咄嗟に目を自身の手で塞いで首を思いっきり上へと向ける。

その際に彼の首から接骨院のような骨の音が聞こえたことに燐子は戸惑うが彼は咄嗟に取り繕うと、リサはそれを見てニヤニヤとしていたが弦太朗の目には当然入ってこない。

 

「まぁ、紗夜たち待たせる訳にもいかないから早く行くよ~」

 

「原因はリサじゃねぇか!!てか紗夜はどうすんだよ!!」

 

「だいじょぶだって~!!紗夜にはポテトあげて機嫌とるから~」

 

「確かに氷川さん達も待ってますから・・・私達も行きましょうか・・・」

 

「そうだな・・・」

 

「なにやってるかな~。カッコいいのがいいなぁ~!!」

 

騒ぎの元凶であるリサはしれっとした顔で紗夜たちの後を追い、弦太朗達もリサの後を追ってモールの中へと入っていくのだった。

 

 

 

――――――

 

 

「・・・ダメね」

 

リサたちと別れた私は家に帰ってから1人で発声をした後に1曲歌ってみたが、どこかしっくりこない。

それどころか最近は練習すればするほどに自分の歌を歌えないような気さえしてしまっていた。

 

「どうして・・・」

 

私の頭の中ではバンドリの順位表が頭を過る。

 

このままではRASに負けるどころか決勝まで行くことすらできない。

それどころか―――

 

「このままじゃ”FWF”の予選突破も・・・」

 

私達の目標。

しかし、前よりもその目標は遥か遠くへと遠ざかっているようにすら感じてしまう。

隣の家のリサと一緒に練習を・・・・そういえば―――

 

「リサたちは、今は映画を見に行っているんだったわね・・・」

 

私も少し休憩しようと考えたが、途端に不安が襲ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ダメね。私だけでも練習しないと・・・」

 

私はリサの事を頭の中から追い出して練習へと戻る。

 

しかし、練習すればするほどに歌は私の理想からかけ離れた物になっていっていく。

私は自身の理想と現実のギャップに苦しみながら歌い続けていた。

 

 

 

――――――

 

 

友希那が練習している一方、

モールで映画を見終わった弦太朗達は映画館を出て見ていた映画の感想を話し合っていた。

 

「面白かったね!!」

 

「うん・・・凄かったね・・・」

 

「るんってしたよ~!!」

 

「映画館のポテト・・・侮れないですね・・・」

 

「紗夜だけ感想がおかしい気がするけど・・・って弦太朗どうしたの?」

 

「いや、さっきの映画だけどよ・・・」

 

 

 

「主人公や現代人が江戸時代にタイムスリップして!!まさか主人公がその時のえぇっと・・・偉い人と一緒に悪者倒してたね!!」

 

「あこちゃん、将軍だよ・・・?」

 

「その後、現代に戻ってきて戦ってた時には別の助っ人いたよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

「それな。前になんか似たような事があったような気が・・・」

 

「いやいや!!流石にそれは無いでしょ~。ねぇ!!ちょっとご飯食べてから買物しよっか!!」

 

「さんせー!!」

 

「そうですね。折角ですし・・・」

 

「えぇ」

 

「るんっ♪ってきたー!!」

 

「ねぇねぇ!!新しく楽器屋が出来たみたいだから後で行ってみよー!!」

 

「それだったら先に行ってもいいですか?フードコート行くまでの通り道にありますし・・・」

 

 

 

 

 

 

「紗夜たちは映画見ながらポテト食いまくってたのにまだ食うのか・・・」

 

弦太朗の言葉をリサが否定すると他の彼女達も首を縦に振ってそれに答えると、彼女達は食事の前に新しく出来た楽器屋へと向かう。

しかし、そこに近づくにつれて彼女たちは違和感を感じていた。

 

「ねぇ、新しく出来たばっかりなのに人少なくない?」

 

「今井さんの気にしすぎではないでしょうか・・・?」

 

「白金さんの言う通りです」

 

「街にある店の方が品揃えとかいいからそっちに行ってんじゃねぇか?」

 

 

 

 

「弦太朗の言う通りかもしれないけど少なくない?」

 

「みんなここ知らないのかな?」

 

「とにかく行ってみよー!!」

 

「ちょっとあこちゃん・・・!!」

 

「日菜も待ちなさい!!」

 

不信感を覚えたリサだったがそんな彼女を他所に日菜とあこが真っ先に店内に入るとそれに続いてリサたちも後に続いて店に入る。

弦太朗はよく分かってないが、音楽をしている彼女たちは街中の楽器店程ではないがある程度の物は揃っていることに感心していた。

 

「普段使ってる弦も置いてありますね・・・これだったら、モールへの買い物ついでにこちらに来るのも悪くないわね」

 

「あこが普段使ってるスティックもあったー!!」

 

「ふふっ良かったね・・・」

 

「リサちー楽器も奥にあるんだって!!行ってみよ~!!」

 

「ちょっとヒナ~、私達しかいないとはいっても、店の中なんだから静かに・・・」

 

「は~い・・・」

 

リサが日菜に注意をすると彼女は反省したのか返事をするが、それはすぐに破られる事になる。

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!こっち来て!!」

 

「おい!!腕引っ張んなって!!」

 

「日菜!!いい加減にしなさい!!みんな行きますよ!!」

 

弦太朗の腕を掴んで店の奥へと入っていく日菜を見て、紗夜が怒りながら皆を連れて彼女の後を追うと衝撃的な光景を目の当たりにする。

 

「見て!!」

 

「どうしたんだよ・・・ってアイツ!!」

 

「日菜!!あなた何して・・・っ!!」

 

「なんで・・・こんなところに・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「角生えて悪魔みたい・・・!!」

 

「あこちゃん!!あれはやぎ座だよ!!」

 

「でも、何で店のギターを弾いてるの・・・?横にあるのあいつのギターだよね・・・?」

 

「あぁ、天校の時と一緒だ・・・」

 

「上手い・・・なんて技術なの・・・」

 

そこにいたのはやぎ座の12使徒であるカプリコーン・ゾディアーツが店のギターを弾いている奇妙な光景が広がっていた。

そんな光景にリサがツッコミ入れる横で紗夜がその技術に驚愕していたが、彼女達の存在にカプリコーンが気がつくと”ウルク”自身のギター型の武器を手に取ってRoselia達を見据えていた。

 

「げんたろう!!気づかれちゃったよ!!」

 

「しかも、あいつはやる気みてぇだな・・・!!下がってろ!!」

 

弦太朗の言葉を聞いて彼女達は後ろに下がると弦太朗はドライバーを取り出しながらカプリコーンへと駆け出して行った。

 

 





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――没ネタ もしも最初の相手がリサママだったら・・・
「あれ?おねーちゃんのおっぱいがおっきい・・・」

「ヒナ!!アタシだからね!!っていつまでそうしてるの!!」





「ママァ・・・」

「よしよし・・・。日菜ちゃんいい子だからそろそろ離れて代わりに手を繫ぎましょ~ね~☆」

「うんっ!!」


「「「「・・・」」」」



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歌・姫・独・唱-5 戸惑うC/悪魔のメロディー


投稿です。
さぁてと・・・

これはどうなるんでしょうね?


 

「うぉおおおお!!」

 

「弦太朗!?何やってるの!!」

 

ドライバーを手に持ったままカプリコーンへと駆け出していった弦太朗はその勢いのまま蹴り飛ばす。

そのことにリサが驚きの声をあげてしまうが、驚いたのはリサだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

「・・・!?」

 

「ねぇ!!あのヤギもなんか驚いてない?」

 

「日菜?何を言ってるの?そんな訳が・・・」

 

「げんたろー!!」

 

 

 

 

「あこたちは下がってろ!!」

 

「うん!!」

 

日菜の言葉を否定しようと紗夜がカプリコーンを見ると、彼女の言った通りカプリコーンは焦ったような様子で弦太朗を見ていた。

 

明らかに人間ではない自身に向かって、何かを手に持っただけの男子高校生がそんな自身に怯えるどころから立ち向かってきたと言う事実に驚きを隠せなかった。

 

そんなカプリコーンを他所に弦太朗は手に持っていたドライバーを腰に巻いて構えると同時にカウントダウンが響いてくる。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

その言葉と共に弦太朗はフォーゼへと変身すると先ほど以上にカプリコーンは驚いた様子を浮かべていた。

 

 

「!?!?!?」

 

「宇宙・・・来たぁーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「「きたーーーーーーーーーー!!」」

 

「あこ!!」

 

「日菜もふざけないの!!」

 

 

「何で驚いてるか分かんねぇけど・・・”仮面ライダーフォーゼ”!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

 

――ロケットON――――――――

 

その言葉と共にフォーゼはロケットを起動するとカプリコーンを巻き込んで店の壁を突き破り1階のフロアへと堕ちていく。

そしてその2人を見た周囲の人間は突然現れた異形の姿を目にして恐怖の叫びをあげながら逃げ惑う。

 

「いってー!!でも、演奏される前にやるしかねぇ!!」

 

「げんた・・・!!」

 

「ちょっとあこ!!人がいるからダメ!!」

 

「むっ~!!」

 

「今井さん!?宇田川さんに何を・・・?」

 

「わかんない~」

 

 

 

 

 

「名前を呼ばない様にしてるのでは・・・?一応、正体隠してるつもり・・・ですから・・・」

 

「あ~、そう言えばそうだったね~。すっかり忘れてたけど!!」

 

「でも、どうしてあそこまで焦っているんでしょう?」

 

落下したフォーゼ達を上の階から見下ろしてあこが声を出そうとした瞬間にリサがその口を抑え込む。

そんな彼女達の視線の先では焦る様な様子でフォーゼがカプリコーンに拳を振っていた。

 

「なんとかして、ギターを離させねぇと・・・!!でも、スイッチを入れ替える隙がねぇ・・・!!」

 

「・・・!!」

 

天校のカプリコーンが持っていた”人を興奮状態に陥らせる”能力。

それをここで使われることを恐れていたフォーゼは拳をカプリコーンに振り続けて演奏させる隙を与えていなかったが、流石に通常のベースステイツの拳では決定打はおろか大きなダメージすら入らない。

 

しかし、カプリコーンも戦闘に慣れ始めたのか、フォーゼの攻撃を少しづつだが捌き始めていた。

そんな中で天校でカプリコーンと戦った時の事を不意に思い出すとここである違和感に気が付いた。

 

 

 

 

 

「こいつ、ギターを守ってるのか・・・?紗夜達の前でギターは狙いにくいけど・・・」

 

フォーゼの言うように今のカプリコーンは攻撃を受ける際も、ストラップで自身の前に掛けているギターを守る様に身体で攻撃を受けていた。

 

それに気が付くと先ほど先ほどまで一緒にいた紗夜と日菜の顔が思い浮かび罪悪感を感じたが、すぐにそれを振り払ってギターに攻撃を集中させるとカプリコーンは余裕が無くなり攻撃を身体で受け止める回数が増えていく。

 

それに伴ってカプリコーンは少しだけダメージを追ったような様子を見せていく。

 

「これなら・・・いける・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!」

 

「日菜!?何で!?」

 

カプリコーンを攻撃していたフォーゼだったが、その最中で同じ日菜の声が聞こえてきてしまいフォーゼの意識は少しだけカプリコーンから逸れてしまった。

 

その僅かの隙にカプリコーンはギターの弦の1つを指で弾く。

それと同時にギターからは音符が現われるとフォーゼを巻き込んで爆発する。

 

「のわぁ!?」

 

 

 

「げんたろう!?」

 

「今、ギターから音が出たら爆発しました・・・」

 

「えぇ・・・どうなってるのか気になりますね?」

 

「ちょっと!!みんな!!」

 

「って・・・皆来たのかよ!!アブねぇ!!・・・のわぁ!?」

 

フォーゼが飛ばされるのと同時にRoseliaのメンバーも近くに来てしまい、そんなわずかな時間でカプリコーンはギターを構えて演奏を始めてしまった。

 

その演奏と同時にRoseliaへむけて五線譜と音符が飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

そう思っていたら突如として彼女達から突如として逸れていき、その一部がフォーゼに直撃した。

 

「なんで急にげんたろうのほうに行ったの!?」

 

「これって、賢吾が言ってたチューニングが合ってないって奴か・・・!!」

 

「それって狙いが付けられないこと!?」

 

 

 

「みんな!!なるべくこいつの音を聞かないようにして逃げろ!!」

 

――――ビートON――――――

 

「うんっ!!げんたろう!!頑張って!!」

 

フォーゼがビートを起動しながら叫ぶとあこが燐子を引いて駆け出し、その後ろをリサと日菜が走り出すが―――

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「紗夜!?何やってるの!!」

 

「凄い・・・」

 

紗夜はカプリコーンの技術に心を奪われてその場から動けずにいた。

そんな紗夜に気がついてリサたちが叫ぶが彼女は全く動くことが無く、それを見て日菜が再び戻ってきた。

 

フォーゼもカプリコーンの演奏に対抗してビートを音をぶつけるが、チューニングが合っていない演奏にも関わらずビートの音が少しずつ飲まれていくことに焦りが浮かんでいた。

 

「日菜!!早く行け!!」

 

「おねーちゃん!!行くよ!!」

 

「日菜!!離して・・・!!」

 

しかし、紗夜はカプリコーンの演奏に完全に心を奪われてその場を動こうとしない。

 

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「日菜!!」

 

「ゲンちゃんの邪魔しちゃダメだよ!!」

 

「・・・・・・」

 

日菜の怒気を含んだ声に流石の紗夜もしぶしぶといった様子で離れて行く。

それを見たカプリコーンはフォーゼの足元に向けて音符と五線譜を飛ばすと周囲は土煙があがる。

 

そして土煙が少しずつ晴れていくが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げられたか・・・」

 

煙が晴れたそこにはカプリコーンの姿が見当たらないことを確認したフォーゼは変身を解除してモールの外に出るとその姿を見たあこが彼目掛けて駆けだしてくる。

 

 

「げんたろう!!大丈夫!?」

 

「あこか、わりぃな・・・逃げられちまった」

 

「そっか・・・でも、無事でよかった~!!」

 

「それはいいんだけど・・・あれは何やってんだ・・・?」

 

弦太朗は不思議そうに指を指すその先には不思議な光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「紗夜!!何で危ないのに残ったの!!」

 

「すいません・・・」

 

「謝ってるだけじゃ分かんないよ~!!」

 

「それに謝るのは私達じゃなくて弦太朗でしょ!!」

 

「あの・・・氷川さんも反省してる見たいですし・・・。それに無事だったんですから・・・」

 

「燐子ちゃん!!ダメだよ!!」

 

「そーだよ!!無事だったけど!!それはそれ!!」

 

「ですが、地面に正座させる必要はないんじゃ・・・」

 

「謝罪は形から入るって前に千聖ちゃんが言ってたよ!!」

 

「ちゃんとしておかないと教育上ダメだからね!!」

 

 

 

 

 

 

「なにって・・・紗夜さんのお説教だよ?」

 

「・・・ちょっと止めてくる」

 

彼らの視線の先では先ほどの紗夜の行動に対して妹と母がお説教を行っており、そんな間でオロオロし始めた燐子を見かねて弦太朗がその説教を止めに入った。

 

 

そして弦太朗の言葉を聞いてお説教が終了したが、ふと日菜が気になったことを口にした。

 

「そう言えばゲンちゃん。なんであの時「音聞いちゃダメ」なんて言ってたの?」

 

「あー弦太朗がそう言えばそんなこと言ってたっけ?逃げろってことしか頭に入ってこなかった・・・」

 

「私はあこちゃんに引っ張られて、音なんて聞いてる余裕なかったです・・・」

 

「げんたろう教えて?」

 

そう言って視線が弦太朗に集まると、何て説明しようか考えてからなるべく分かりやすい様に理由を語った。

 

 

 

「あいつ、音楽で人を暴れされることが出来るんだ」

 

「だから、そう言ったんだ~」

 

「でも、アタシ達暴れたりしてないよ?」

 

「まぁ、天校の奴だけかも知んねぇけど・・・」

 

「ですが、姿が一緒だったら同じことが出来ると思います・・・」

 

「あ~。ゲームの敵も見た目一緒だと同じことしてくるもんね!!」

 

「すいませんでした・・・」

 

弦太朗の説明にそれぞれ反応を示し、彼女達は弦太朗に送られながら家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日の夜―――

 

「あの演奏・・・私と比較しても比べ物にならないくらい上だったわね・・・」

 

紗夜はベットに寝転がりながらカプリコーンの短い演奏を思い出して感じていた。

あの演奏の技術はただモノではないと―――

 

「こうは言いたくないけど、いい刺激にはなったわね・・・。明日も練習だからそろそろ寝ないと・・・」

 

 

「おねーちゃん!!」

 

そう言って紗夜がスマホから目を離すと同時にようやく直った彼女の部屋の扉が勢いよく開けられる。

 

「日菜。ノックしてから入りなさい・・・。それでどうかしたの?」

 

「えっとね!!さっき彩ちゃんが動画送られたんだけどね!!この動画のギターすっごくるんっ♪ってするの!!一緒に見よ!!」

 

「・・・もう、ちょっとだけよ?」

 

「わ~い!!」

 

そうして紗夜は日菜と身体を寄せ合ってスマホの画面を覗き込むが、画面が変わることはなかったが代わりにギターの演奏が聞こえ始めると紗夜の表情が変わる。

 

「これって・・・!!」

 

「おねーちゃん達の曲だよね!!」

 

「・・・えぇ、聞いてコピーしたにしては再現度も高いし、とてつもない技術ね・・・」

 

「でしょ~!!」

 

「もうちょっと聞きましょうか?」

 

「うんっ!!」

 

こうして姉妹は仲良くスマホから流れてくるギターの演奏を聞き入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、これが悪魔の音楽であることをこの時の彼女達は知る由もなかった。

 

―――――――

 

楽器屋での彼から逃げて、誰もいない場所でスイッチを切る。

そしてスマホを取り出して自身の姿を確認するとちゃんと人間の姿に戻っていた。

 

「・・・」

 

そして自分の身体を確認するが、彼に攻撃された箇所が多少痛む程度でそれ以外は全く問題がないことを確認した。

 

 

 

 

だけど彼のお陰でこれの使い方が分かった。

後は―――

 

「そろそろ・・・か・・・」

 

 

 

 

 

 

とてつもない罪悪感を感じるが、これも大切な彼女のため―――

 

そう自分に言い聞かせて、そのままの足で家に帰っていった。

 





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歌・姫・独・唱-6 狂奏

投稿です。
今回は現時点でも被害者数トップじゃなかろうか・・・




 

ショッピングモールでの戦闘の翌日。

朝のそれなりに早い時間にも拘らず彼のマグフォンから着信音が響く。

しかし―――

 

 

 

 

 

「zzz・・・」

 

先日に早起きしたこと日曜日ということもあり、弦太朗はその着信音に気が付かずに眠り続けていた。

 

そんな彼の元に1つの影が彼に近づいて声をかける。

 

「・・・起き・・・!!」

 

「zzz・・・」

 

「・・・い!!お・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「起きろってんだろ!!」

 

「のわっ!?」

 

そして声の主はいつまで立っても起きない弦太朗に業を煮やして、布団で寝ていた彼を蹴り飛ばすと、突然の出来事に弦太朗は理解が追い付かないが眠りから覚めるとその声の主を寝ぼけた目で見詰める。

 

「ますきか・・・?」

 

「よぉ・・・。てかお前、いつまで寝てんだよ・・・。まぁ、モールで派手に暴れた後だから仕方ねぇのか・・・?」

 

「それに昨日は朝早かったからな・・・でも、何でいるんだ・・・?」

 

「お前に連絡しても出ねぇからよ、そんで弦太朗の家知ってるレイとあたしとAfterglowのボーカルだけだろ?だからよ・・・」

 

「でもそんな急いでなんかあったのか?」

 

ますきが弦太朗の家に来た理由は分かった。

家を知っている中で唯一バイクと言う足があるますきが選ばれてやってきたのだろうが、何故来たのかが分からずに理由を聞くと彼女は来た目的を思い出す。

 

「ってこんなことしてる場合じゃねぇ!!弦太朗!!」

 

「どうしたんだよ?」

 

ますきが状況を説明しようとした途端、彼女の言葉を遮るようにマグフォンが鳴り響く。

弦太朗がマグフォンと手に取るとますきは「電話に出ろ」と無言で合図をしてくるのをみて、彼は電話に出る。

 

『もしもし!?如月さん!?バガミールさんから連絡しても電話に出ませんでしたけど・・・?』

 

「麻弥さんだ・・・!!」

 

「・・・麻弥か?今、ますきに叩き起こされた・・・」

 

 

その電話の相手は麻弥。

寝起きで頭が普段以上に回っていなかった弦太朗は最初は誰だったか分からなかった。

だが、ますきの言葉で相手が誰か理解したが対照的に麻弥の方が慌てだした。

 

『キング!?なんでですか!?』

 

「いや、こいつ起きないんで叩き起こしに来たんっすよ!!それで麻弥さんはどうしたんですか?」

 

『そうでした!!大変なんです!!彩さんと日菜さんが暴れ出してしまって!!』

 

「なっ!?」

 

「それで麻弥さんが怪我を!?」

 

『いえ、今はイヴさんが日菜さんを取り押さえようとしてます!!彩さんは先ほど足滑らせて気を失ってしまって・・・』

 

「・・・でも何でそんなことになったんすか?」

 

「日菜は昨日一緒にいたけど夜に何かあったのか?」

 

『分かりません。・・・いえ、そういえば昨日彩さんが「凄いギターの動画を見つけた」って言って動画を送って来てましたね・・・。日菜さんを取り押さえた後にイヴさんと確認するつもりですけど・・・』

 

「・・・ダメだ!!ぜってぇに見るんじゃねぇ!!」

 

『ひゃ!?』

 

「はぁ?・・・どういうことだよ?」

 

麻弥の言葉を聞いて弦太朗が声をあげる。

意味の分かってないますきが思わず声をあげ、電話の向こうの麻弥は驚いたような声をあげてしまう。

 

「今回出た奴は、音楽を聞いたやつを暴走させられるんだよ」

 

『なっ!?・・・なら、みんなにその動画を見ない様に連絡しておきます!!』

 

「任せた!!」

 

『では、ジブンはこれで失礼します!!』

 

麻弥は弦太朗の言葉を聞いて自分が出来ることをするために電話を切る。

そして、電話が終わるとますきが考え込みながら呟きだす。

 

「ロック達もおかしくなっちまったのも・・・もしかしてそれが原因か・・・」

 

「とりあえずロック達のとこに行くぞ!!場所はどこだ?」

 

「チュチュんとこだ!!行くぞ!!」

 

そうして弦太朗とますきは部屋を飛び出したが―――

 

 

 

 

 

 

「いや、弦太朗。お前は着替えろよ・・・」

 

「あっ・・・」

 

「ったく・・・先行ってんぞ!!」

 

「わりぃ!!すぐ追いつく!!」

 

ますきの指摘をうけて弦太朗は寝間着から着替えるためにいそいそと部屋に戻って行くと急いで着替えると2人でチュチュのマンションへと2人でバイクで向かうとエレベーターに飛び乗ってチュチュのスタジオに駆け込んだ。

 

 

 

 

 

「でらぁぁぁぁああ!!」

 

「Foooooooooo!!」

 

「騒げぇええええ!!」

 

 

 

 

「チュチュ様!!それにレイヤさんもロックさんも落ち着いてください~!!」

 

飛び込んだスタジオではロックだけではなく、レイヤとチュチュも一緒になって暴れる。

その横では普段の彼女達からは想像の出来ない豹変ぶりにパレオが困惑していたがますきと共にやってきた弦太朗を見た途端に安堵の表情を浮かべていた。

 

「あっ!!如月さん!!マッスーさん!!」

 

「パレオ!!無事だったんだな!!」

 

「はい・・・私が寝た後にチュチュ様の連絡が来ていたのに気が付かなかったんです・・・。それに朝に気が付いて移動中に動画を見ようとしたらイヤホンが壊れてしまって・・・!!」

 

「アタシも昨日はバイトで終わったらすぐ寝ちまってな・・・」

 

「他の方々は大丈夫でしょうか?」

 

「ちょっと連絡してみねぇとな!!」

 

「あたしも連絡してみる」

 

「あ~!!チュチュ様!!レイヤさんも!!スタジオから出ちゃダメです~!!」

 

パレオは他の3人がスタジオ内から出ない様にその入り口に手頃な荷物を積み重ねて封鎖する中で、弦太朗とますきは知り合いのバンドへと片っ端から連絡を取っていき、Roselia以外のバンドへの連絡が終わった。

 

 

「くっそ、友希那達が連絡出ねぇ・・・!!」

 

「仕方ねぇだろ・・・。とりあえず分かってるのだけでも纏めんぞ」

 

「はい!!連絡して全員無事なのがハロー、ハッピーワールド!のみで他が誰かしらが暴れてるんですよね?」

 

「あたしが聞いたとこはポピパがハナと沙綾で、モニカがましろと瑠唯以外の3人だな」

 

「蘭達のとこはモカとひまりだな・・・」

 

「ですが、Roseliaの皆さんは大丈夫でしょうか・・・?」

 

パレオの言葉を聞いて弦太朗はあることを思い出した。

 

 

 

「そう言えば、今日も練習するって言ってたからCiRCLE行けば分かるかも知んねぇ!!」

 

「おい待てよ!!レイ達はどうすんだよ!!」

 

「多分しばらくしたらへばるからそん時に話を聞いてくれ!!」

 

「・・・とりあえずあたし達はレイ達を見ておかねぇとな・・・」

 

「はい!!とりあえずは体力の限界までそっとしておきましょう・・・」

 

ますきとパレオの視線を受けながらチュチュのスタジオを飛び出して、弦太朗はCiRCLEへとバイクを走らせる。

 

 

 

 

 

―――

 

 

「まさか・・・スマホの充電が切れてたなんて・・・」

 

目覚まし代わりのスマホの充電を忘れてしまっており、そのうえ今日はリサがバイトがあったため起してもらえなかった私は急いでCiRCLEまで向かっていた。

 

「流石に疲れたわね・・・」

 

しかし、練習の体力を温存するために私は少しだけ速足で歩いているとその横を物凄い速度でバイクが走っていったけど・・・あの特徴的なバイクは・・・。

 

「如月?」

 

「友希那!!」

 

そう呟いたらバイクが急停止するとやはり、それは如月で彼は私の名前を叫んでいた。

よく分からないけど私は彼に近づいた。

 

「お前は無事だったんだな!!」

 

「一体、何のことかしら?」

 

急に訳の分からないことを言い始めた彼に首を傾げたが、如月はその様子に首を傾げていた。

 

「昨日の事、リサ達から聞いてねぇのか?」

 

「昨日・・・?自主練してすぐに寝たから知らないわね。何かあったの?」

 

「モールでリサたちが襲われたんだよ」

 

「また・・・ ?」

 

「それが厄介な奴でな・・・。とりあえず、後で話すからとりあえず乗れ!!」

 

如月はそう言うとヘルメットを私に押し付けてきたけれど、これは一体どこから出したのかしら?

それに―――

 

 

 

「・・・どう乗ればいいの・・・?」

 

「そっからかよ・・・」

 

如月にバイクの乗り方を教えてもらったけど、スカートだと乗りにくいわね・・・

 

 

ふとそんなことを考えてると如月はバイクを急発進させ、私は反射的に彼の身体にしがみつく。

しがみついてからはあっという間にバイクはCiRCLEに到着していた。

 

「急がねぇと!!」

 

如月はCiRCLEに着いた途端、足を前にあげてバイクから降りると私を置いてスタジオへと駆け出して行ってしまう。

それに遅れて私はよろよろと慣れない様子でバイクの後ろから降りてからCiRCLEへと入ると、まりなさんが慌てた様子だったが私は気にすることなく借りていたスタジオへと足を運ぶとその扉を如月が勢いよく開けて、叫んでいた。

 

「みんな!!無事か!?」

 

如月の叫びと同時にスタジオの中からギターの演奏が聞こえてきたが、これは普段の紗夜の演奏じゃない。

 

私はそのままスタジオの中を覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽってえええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

「・・・げんたろう!!紗夜さんがおかしくなっちゃった!!」

 

「うぅ・・・」

 

「とりあえず外に出ろ!!」

 

そこには奇声をあげながらアンプを通して爆音でギターを演奏している紗夜と、その横では燐子とあこが耳を抑えながらぐったりとしていた。

あこたちが弦太朗の言葉を聞いて紗夜の爆音から逃げるように荷物を抱えてスタジオの外に飛び出してくると、如月がそのままスタジオのドアを閉める。

 

「氷川さん。どうしたんでしょうか・・・?」

 

「それもそうだけど・・・あなた達、昨日は何があったの?スマホの充電が切れてしまって状況が分からないんだけれども」

 

「そうだったんですか?りんりん!!」

 

「私、今日充電器持ってきてますから、どうぞ・・・」

 

私は燐子から充電器を受け取るとスマホを充電するとすぐにスマホの電源が入る。

そして、電源が入ったスマホのメッセージを流し読みしながら如月の説明を聞く。

 

 

 

 

 

とりあえず、ギターを持ってるのは分かったけど・・・それでどうやって戦うのかしら・・・

 

「それで紗夜に変わったことはなかったか・・・?」

 

「そう言えば、昨日の夜に氷川さんから「凄いギターの動画を教えてもらった」って言って動画のURLが・・・」

 

「それだ!!」

 

「げんたろう?どうしたの・・・?」

 

「あぁ、それは・・・」

 

 

 

 

 

「紗夜からの動画・・・これね?」

 

そして話の中で私は話に出ていた動画を再生してしまった。

すると、その動画からは聞き覚えのあるイントロが流れ出すが、私はそれを聞いて固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは・・・”LOUDER”・・・」

 

「ラウ・・・?なんだって?」

 

「前にあこ達が演奏していた曲で、元々は友希那さんのお父さんが作った曲だったんです・・・」

 

「なるほどな・・・」

 

「だけど、何で聞いたらダメなの?」

 

私がその演奏を聞いて固まっているとあこが理由を如月に聞くと彼からは衝撃の答えが返ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の敵は、音楽で人を暴れされられるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

如月の言葉を聞いた私は余りのショックで身体が震えだすのと同時に意識が遠のいていく。

 

 

「・・・・おい!!友・・・・・・!!」

 

「しっ・・・・・・し・・・!!」

 

「・・・・・・・・希・・・さ・・・!!」

 

 

 

―――私のお父さんが作った曲。それがみんなを狂わせている。

 

 

私はその事実に耐え切れず、目の前で叫んでいる彼らの言葉の届かないまま目の前が真っ暗になってそのまま意識を手放した。

 

 

 





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歌・姫・独・唱-7 暴走のCircle

投稿です。
さーてと、そろそろ大人の出番ですよ?




 

「おい!!友希那!!」

 

「友希那さん!!どうしちゃったの!?」

 

スタジオの前で地面に倒れて意識を失ってしまった友希那に弦太朗とあこは戸惑いを隠せなかった。

そんな彼らに襲ったのはそれだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひえぇ~!!」

 

「この声って・・・」

 

「まりなさんだよ!!げんたろう!!」

 

「2人とも・・・待って・・・」

 

突如として受付の方からまりなの悲鳴が挙がると弦太朗は友希那を抱えてあこ達と共に悲鳴が聞こえた受付まで向かうと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たすけてぇええええええ!!」

 

「!?まりなさん!?」

 

2人を待っていたのは受付で興奮している人たちの波にまりなが呑み込まれている光景だった。

 

 

 

「3人とも~!!助けて~!!」

 

「げんたろう!!どうしよ~!!」

 

「燐子は友希那を頼む!!」

 

 

それを見てあこが慌ててる横で弦太朗は抱えていた友希那を燐子に押し付け、その人波に飛び込んでいくとまりなの腕を引いて人波から抜け出してくる。

 

しかし、その人波の人たちはまりながいなくなってることに気が付いている様子がない。

 

 

「くそっ!!これどうすんだこれ!!」

 

「とりあえず!!外に・・・!!」

 

「燐子、友希那は俺が連れてく!!」

 

「おねがい・・・します・・・」

 

 

 

 

 

 

「急に人が来たと思ったら、みんな興奮して話も聞いてくれないし!!もうどうなってるの~!!」

 

そして4人はCiRCLEの外へと飛び出しすと少しだけ落ち着いたまりなは状況を飲み込めず声をあげてしまったが、原因を理解している弦太朗達はまりなの説明をどうするか困っていた。

 

「りんりん~!!」

 

「燐子ちゃん!!知ってるの!?」

 

「えぇっと・・・その・・・」

 

あこが燐子を見詰めるとまりなも彼女へと視線を送ると、視線を送られた燐子は困った様子でオロオロし始めると弦太朗が口を開いた。

 

 

「紗夜さんもですけど音楽聞いたらああなっちゃったんですよ~!!ね!!げんたろう!!」

 

「アイツの音楽聞くとああなるんすよ!!」

 

「いやいや!!そんなアニメみたいなことあるわけないでしょ~!!」

 

「ホントなんですよ!!紗夜さんから教えてもらったのと同じやつでひーちゃん達もああなっちゃったんですよ~!!」

 

「そうなの!?」

 

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・」

 

「燐子?どうしたんだ?」

 

弦太朗とあこが正直に言うものの大人のまりなは信じられずに声をあげて反論していたがここで燐子があることを思い出す。

 

「いえ・・・。私達もその音楽聞いてしまいましたよね・・・?」

 

「あ~!!そう言えば友希那さんが流したの!!あれがきっとそうだよ!!」

 

「それってさっき廊下で流してたやつだよね・・・?受付まで聞こえてたけど?」

 

「だとしたら私達もいずれああなってしまうんじゃ・・・」

 

「「「・・・・」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初はその場にいた全員が言葉を失っていたが、その言葉の意味を理解して―――

 

「「えぇええええええええええええええええ!!」」

 

「それって大ピンチだよ~!!げんたろうも聞いちゃったから戦えないよ~!!」

 

「嘘だよね?私もあんな風のなっちゃうの!?」

 

「変身したら治るとかねぇのか!?とりあえず賢吾たちにも連絡して・・・!!」

 

先ほどまでは信じていなかったまりなも燐子の表情を見て慌てだして弦太朗もあこと一緒になって騒ぎ出す。

そんな状況にも関わらず彼らの混乱はまりなの再びの叫びによって一瞬にして終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!なにあれぇぇぇぇええええ!!」

 

「まりなさん・・・?」

 

「げんたろう!!あれ!!この間のだよ!!」

 

彼女達の視線の先には先日モールで戦ったカプリコーン。

カプリコーンは視線を彼女達に向けるとギターをかき鳴らすと同時に音符と五線譜が弦太朗達の足元で爆発する。

 

「ひぇえええええええ!!どうなってるの!?」

 

「2人とも!!まりなさんを頼んだ!!」

 

突然の出来事に驚くまりなを無視して弦太朗は咄嗟にドライバーを取り出してスイッチを叩くのを見たカプリコーンはギターを弾き、五線譜を弦太朗へ向けて飛ばす中でドライバーからカウントに合わせてまりなの悲鳴が響く。

 

 

 

 

3―――――――

 

「きゃあああああ!!」

 

2―――――――

 

「ひゃあああああ!!」

 

1―――――――

 

「ぎょええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・変身!!」

 

まりなの叫びに緊張感を失いかけてながらも弦太朗はフォーゼへと変身すると同時にカプリコーンへと駆け出しだしながら叫び。

 

「宇宙・・・」

 

「「きたーーーーーーー!!」

 

「えぇぇぇええええええええええええええええ!!」

 

「ひっ・・・!!」

 

「最初から一気に決めるぜ!!」

 

 

――コズミックON――――――――

 

フォーゼとあこはいつも通りの気合の声を挙げるとそれに対して、まりなが今までで一番の驚きの声を挙げるとその声に驚いて燐子が震える。

 

「みんなの絆で宇宙を掴む!!」

 

そんなことを気にすることはなくフォーゼは駆け出しながらコズミックを起動して、コズミックステイツへと変身すると手に持ったバリズンソードで斬りかかる。

 

「・・・ぐっ!!」

 

モールでの戦闘した時と変わらずカプリコーンはギターを庇い攻撃を身体で受けると苦痛の声が漏れるがそのままギターを弾くと五線譜がフォーゼを襲う。

 

「ぐわぁ!?」

 

「げんたろう!?」

 

「こいつ・・・!!前の時よりも強ぇ・・・!!でも・・・やるしかねぇ!!」

 

五線譜によってフォーゼが吹き飛ばされる光景にあこが声をあげるが、そんな中でフォーゼは目の前のカプリコーンがモールの時よりも強くなっていることに思わず声が漏れる。

そして、再びカプリコーンへと再び駆け出すと大振りにソードを振り続けるとカプリコーンは身体で攻撃を受けていたが、ここでフォーゼ達にとっては予期せぬ出来事が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「なっ!?こいつギターを・・・!!」

 

「ギターで防いだ!?さっきまで守ってたのに!!」

 

「どうして・・・?」

 

あこの言った通りカプリコーンはここでフォーゼのソードをギターで受けた。

そのことに一同は驚きを隠せず、フォーゼも一瞬戸惑ってしまったが、受けたままの状態でカプリコーンは再びギターの弦を弾く。

 

演奏とも言えないただの単音にも拘らず、その音は先ほどの演奏と比べても遜色ないほどのダメージをフォーゼに与えていた。

 

「くそっ・・・やべぇな・・・」

 

「・・・」

 

危機感を感じたフォーゼだったが、何を思ったのかカプリコーンはここで再びギターを弾き始めると先ほど以上の五線譜と音符が宙に浮かび上がるとそれは一斉にはじけ飛ぶとあこ達の方へと飛んでいくとあこ達を庇うためにフォーゼは身体をその間に割り込ませた。

 

 

「ぐわぁ!?」

 

「如月さん・・・!?」

 

燐子の驚きの声と共にフォーゼには音符と五線譜を大量に浴びて爆発するが、変身が解けるほどではなくカプリコーンの攻撃を耐えきった。

 

少しだけよろけて視線をあげるとそこには既にカプリコーンの姿は影も形も無くなっていた。

 

「また逃げられた・・・!!」

 

「げんたろう!!大丈夫!?」

 

「私達を庇って・・・」

 

「それは大丈夫だから気にすんな・・・。って友希那は・・・」

 

そう言いながらフォーゼは変身を解くと友希那の事を思い出して彼女の方へと視線を向けると未だに意識が戻ってない友希那の横で目の前の出来事でキャパを超えてしまいに完全に放心状態のまりなが写る。

 

 

 

 

 

「あっ・・・すっかり忘れてた・・・」

 

「ちゃんと説明しないと・・・ですね・・・」

 

「そうだね!!」

 

3人が納得しているがまりながここで我に返ると叫び出す。

 

 

 

 

「もう、みんな暴れたと思ったら変な化け物出た後に如月くんも・・・!!いったい何がどうなってるの~~~~~~~~!!」

 

「とりあえず場所を変えたほうが・・・。中もまだ落ち着いていないみたいですし・・・」

 

「ってもどこいくの?」

 

「有咲のとこの蔵か・・・いや、こういう時はつぐの店だな!!上手い珈琲もあるし!!それにひまり達だったら巴だけで何とかしてんだろ?」

 

「まりなさんも大丈夫ですか・・・?」

 

「りんりん。まりなさんをあそこに戻ってもお仕事できないと思うよ?」

 

「まぁ・・・仕方ないか・・・」

 

「げんたろうは友希那さん!!」

 

 

その言葉に弦太朗は先日の紗夜と同じように友希那を肩に抱えるとまりなたちと共に羽沢珈琲店まで足を運ぶのだった。

 




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感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

ここのまりなさんは間違いなく大杉先生枠

最後ですが、仮に蔵に向かっていたらバーサーヤに捕食()されます。


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歌・姫・独・唱-8 毒の青薔薇

投稿です。

そういえばアニメだと”LOUDER”をバシバシやりまくってたけど、
アプリストーリーだと封印してたよな・・・?

どっちに寄せようかな・・・


 

「そう言えばさっき、リサ姉に連絡したらバイト終わったらすぐにこっちに来てくれるって!!」

 

「リサちゃんも知ってるんだ・・・」

 

カプリコーンによって興奮している人たちがごった返していたCiRCLEから友希那を抱えながら弦太朗達は羽沢珈琲店の前へとやってきた。

 

「・・・わりぃけど店のドア開けてくれ」

 

「はい・・・」

 

友希那を抱えて手がふさがっている弦太朗の言葉を聞いて燐子が喫茶店の扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぱ~~~ん~~~!!」

 

「モカちゃん!!追加のパンだよ!!」

 

「巴、簀巻きにしちゃったけど・・・大丈夫なの・・・?」

 

「これ以上暴れて誰かに怪我させるよりかはマシだろ」

 

「む~!!」

 

 

 

 

「なにこれ・・・」

 

「おねーちゃん!!」

 

「あこ!!無事だったんだな!!」

 

一心不乱にパンを食べ続けているモカと巴と蘭によって簀巻きにされたひまりが床で跳ねている。

そんな奇妙な店内に困惑している弦太朗達だったが、それを見て固まっていた弦太朗達の存在にいち早く気が付いたのはつぐみだった。

 

「如月くん!!それにまりなさんも一緒って・・・」

 

「その湊さん・・・?でいいんだよね?どういうこと?」

 

「CiRCLEで今回の犯人と戦っててな・・・」

 

「その事も話しますのでまずはまりなさんに説明からでも良いですか?」

 

「それはいいんだけど・・・友希那ちゃんはどうするの・・・?」

 

「如月くん。とりあえず友希那先輩は・・・ひまりちゃんの横に転がしておけばいいよ」

 

「床?椅子じゃなくていいのか?」

 

「なんか、つぐみちゃんの顔が怖いんだけど・・・」

 

はっきりと弦太朗に指示を出したつぐみに言われるがままに友希那を暴れているひまりの横に寝かせると気まずそうに席に着く。

 

その際のつぐみの表情に困惑していたまりなだったが、オロオロしながら席に着くと巴と蘭がモカにパンを食べさせ続ける光景から目を逸らしつつも、今までこっていた事件について簡単に説明をしていく。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、それを弦太朗が全部解決してたの!!」

 

「最近、変わった事件が起きてた裏ではそんなことがあったのね~・・・」

 

今までの出来事を一通り聞いたまりなは気持ちを落ち着けるために珈琲を口に含むが、そこでにとって予期せぬ出来事が起こる。

 

「ヤベェ!!パンが無くなった!!」

 

「パ~~~~ン~~~~~!!」

 

「うわぁ!?」

 

 

 

 

 

 

「モカちゃんずるい!?」

 

「弦太朗!?」

 

 

モカに食べさせてたパンが切れてしまい、突如としてモカが弦太朗へと飛び掛かって彼を床に押し倒す。

皆が油断していたため誰もそれを止められず、目の前の光景に一同はそれぞれ抱いた感情が違うが身体は固まって動かなくなっていたがその中でモカが動いた。

 

 

「いただきま~す」

 

「モカ止めろ!!」

 

 

 

その言葉と共にモカが弦太朗の顔へと吸い寄せられるように自身の顔を近づけて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼のリーゼントに噛みついた。

 

「ぱ~~~ん~~~!!」

 

「モカちゃん!!」

 

「おい!!モカ離れろ・・・ってこいつこんなに力あんのかよ!!」

 

目の前の光景に弦太朗と我に返ったつぐみがモカを引き剥がそうとするが、モカは一向に彼のリーゼントから離れない。

 

そんな間抜けな光景に思わずまりなが口に含んでいた珈琲を噴き出してしまったが誰もそれを気にすることも無く、弦太朗の叫ぶが響く。

 

「巴も蘭も見てないで手伝ってくれ!!」

 

「そうだよ!!」

 

「いや・・・そうしたいんだけど・・・如月の髪の毛をパンだと勘違いして食べ続けるならこれ以上暴れることもないしな・・・」

 

「悪いけど、しばらくそのままで・・・」

 

 

 

 

「おいっ!!」

 

しかし弦太朗の言葉を聞いても誰も動くことはなく、彼はモカの暴走を止める生贄にされてしまった。

そんな彼を見捨てた彼女達は今回の事件についての話になっていく。

 

 

「それで青葉さん達がああなったのって・・・」

 

「多分、動画見たからですかね?・・・アタシ達も見ようとした時に麻弥先輩から連絡があったから見てないですけどね」

 

「おねーちゃんどれなの?」

 

「これだよ」

 

「ありがとー」

 

 

「あぁ・・・っておい!!何しようとしてんだ!!」

 

そう言って巴がひまりから送られた動画の画面を見せるとあこが自身が持っていたイヤホンをスマホに挿して動画を確認しようとしたが巴がそれより先にあこからスマホを奪いとり、言い訳しようとしたが巴があこにそれを離すことを許さなかった。

 

「麻弥さん達の話が本当ならあこもああなるんだぞ!!」

 

「でも~!!」

 

「あの巴さん・・・私達はもう聞いてしまったんですよ・・・」

 

 

 

「「「えっ・・・?」」」

 

燐子の言葉を聞いて正気のAfterglowの3人からは声が漏れる。

あの動画を見たと言っているのに正気でいるあこ達に驚きを隠せなかった。

 

「動画見たのに何で平気なんですか?」

 

「多分ですけど・・・聞いてからああなるまで時間がかかるんだと思います・・・」

 

「だからあこ達が聞いて確認しようと・・・」

 

「・・・納得はできないけど・・・分かった」

 

その言葉を聞いて納得はできない巴だったが、あこの言葉を聞いて自身のスマホを再びあこに渡すがあこの手から再びスマホが奪われた。

 

 

 

 

「だったら、あたしが聞くよ」

 

「まりなさん・・・何を・・・?」

 

「あたしも聞いちゃったし、それに子供だけに危ないことはさせられないしね!!」

 

「でも、さっきのは私達がやった曲でしたから・・・」

 

「ほら!!それに私もギターやってたからね!!さっきのもギターの動画だったから同じ人か分かるかも知れないし!!」

 

「でも!!」

 

 

大人(まりな)子供達(あこと燐子)で意見が噛み合わず、時間だけが過ぎていくがその時に店の扉が再び開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごっめーん!!ってあれ?なんでまりなさんがいるの?ってモカ!?弦太朗に何してるの!?それに友希那!?」

 

「リサ姉!!」

 

「今井さん・・・!!実は・・・」

 

後れてきたのはバイト終わってすぐに駆けつけてきたリサだった。

そんな彼女はモカに押し倒されてる弦太朗や床に転がっている友希那とひまりの姿に困惑するが、巴が力技でリサを椅子に座らせると燐子が今までの経緯を彼女に説明する。

 

 

 

 

 

 

「なるほどね~。だったらまりなさんとあこ達 で2人で聞いたらいいじゃんじゃない?」

 

「ちょっとリサ先輩!?何言ってるんですか?」

 

「あことまりなさん達がああなったらもう手掛かりも掴めないんだしさ~。それにギター弾いてたまりなさんが聞けば何か分かるってのもそうだと思うしね~」

 

「でも・・・」

 

「それに私達の曲だったら、Roseliaが聞けば1発でわかるからね~。まぁ、友希那が意識ないから2人だけでってことになっちゃうけど・・・」

 

「大丈夫・・・です・・・!!」

 

「あこも!!」

 

「なら私達はみんなに連絡して聞いた曲を・・・!!」

 

リサの言葉に弦太朗を除いた全員が動き出し、Afterglowが原因と思われる動画を集めだし、あこ達はみんなから離れてからイヤホンで音楽を聴き始めると集まった動画を一通り確認したあこ達がそのことについて話出すと、リサが自分に言い聞かせるように呟く。

 

 

 

「紗夜達と日菜、それに彩が聞いたのが”LOUDER”で、ひまり達とモニカが"BRAVE JEWEL"、

それでRASが"FIRE BIRD"・・・」

 

「さーや達が聞いたのが分からないけど!!全部Roseliaのだよ!!」

 

「多分弾いてる人も一緒だと思うよ?・・・・・・でも、結構昔にどこかで聞いたことあるような気がするんだけど・・・どこだろ・・・?」

 

「ちょっとまりなさん!?それってどういう・・・!?

 

 

 

「わりぃ!!誰か出てくれ!!」

 

そんな呟きをしたまりなにリサが質問しようとしたところに弦太朗のマグフォンから着信音が響くが、モカにリーゼントを齧られている弦太朗が電話に出ることが出来なかったのを見てリサがしぶしぶと言った様子でマグフォンを手に取って電話に出た。

 

「もしも・・・」

 

『ゲンちゃん!!大変だよ~!!』

 

「ちょっと香澄!?どうしたの!?」

 

『えっ!?リサさん!?何で!?』

 

電話口の慌てぶりと予想外の相手が出てきてお互いに驚き合う2人だったが、すぐに香澄が状況を伝える。

 

『えっと急におたえとさーやがぐったりしちゃって~!!』

 

 

「香澄、それって動画見た2人だよね・・・?もしかして疲れて・・・ってこと・・・?」

 

『わかんないよ~!!』

 

「とりあえず、休ませてあげて!!」

 

『・・・はい!!』

 

リサの言葉に香澄は落ち着いたのかしっかりと返事を返すと、今度はリサから話題を切り出していく。

 

「ねぇ香澄?沙綾達が見た動画って知ってる?」

 

リサの問い掛けに香澄からは思いがけない答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

『それなら昨日さーやと一緒に見ましたよ!!』

 

「「「はぁ!?」」」

 

「何で香澄は平気なの・・・!?」

 

「それは後!!それで香澄!!その動画って・・・」

 

『さーやのスマホで見てたので分かんないですけど・・・リサさん達が学園祭で演奏してた曲でした!!それをおたえがレイヤさんと一緒に見たって!!』

 

「そうなんだ・・・」

 

『それじゃあ!!』

 

そう言って香澄は特大の爆弾を投下して電話が切れた。

どうして彼女が大丈夫なのかは分からないが、香澄の行ったことを聞いてまりなが席を立った。

 

「それじゃ!!私もそろそろCiRCLEに戻らないと!!紗夜ちゃん達が倒れてるかもしれないし!!これお会計ね!!」

 

「あこ達もいきます!!」

 

「それでは・・・」

 

「ちょっと待ってよ!!弦太朗!!友希那をよろしく!!」

 

そう言ってまりなは珈琲代を置いてそのまま店を出るとRoseliaが置いていった紗夜が気になってしまい、友希那を置いてその後を追いかけていく。

 

 

「パ~~~ン~~~!!」

 

「良いから助けてくれ~!!」

 

「モカ!!いい加減にしろ・・・!!」

 

弦太朗のリーゼントに噛みついているモカ、その横でまな板の上に乗った魚のように跳ね回るひまりだったが、そんな彼女達も次第に疲れ果てたのか完全に沈黙してしまう。

 

そんな光景にAfterglowの面々と髪の毛がめちゃくちゃにされた弦太朗が頭を抱えていたが、そんな中でも友希那が目を覚ますことはなかった。

 





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歌・姫・独・唱-9 今の私に出来ること

投稿です。
さあてと、そろそろRoselia篇も畳みに・・・イクゾ! デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ




 

目覚まし代わりのスマホのアラームの音が鳴り響くと私はベットの上で目を覚ましてその体を起こしてアラームを止める。

しかし、ここで私はふと違和感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・月曜日?」

 

スマホの表示がおかしい。

 

昨日の土曜日は急にCiRCLEが借りれなかったから自主練習をしてそれから寝て日曜日のはずなのに、どうして平日のアラームの時間になっているのかしら?

 

「・・・それにしてもリアルな夢だったわね」

 

私は不意に寝ているときに見ていた夢を思い出す。

 

寝坊してCiRCLEに向かってる時に弦太朗のバイクに乗せられて、それから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!頭が・・・!!」

 

しかし、ここから先の夢が思い出すことが出来ず、思い出そうとしてもそれを拒否するかのように頭に痛みが走り私はここで思い出すのを諦めた。

 

「とりあえず学校行かないと・・・」

 

モヤモヤした気持ちのまま学校へ行く準備を整えて私は家を出ると1人で歩き出すが、おかしいわね・・・

 

学校に近づいているはずなのに生徒の人数が少ない・・・?

それにみんな疲れたような顔をしているわね?

 

そんな違和感を感じながら私は教室の席に着いたが、やっぱり人の数が少ない上に多くの生徒達が疲れたような表情を浮かべていた。

 

 

 

 

「どういうこと・・・?そうだわ・・・」

 

そういえば昨日の事だったらスマホを見れば何か分かるんじゃないかしら?

 

その考えが浮かんでスマホを見ようとすると急に体の力が抜けていき、スマホを教室の床に落として私はそのまま席に座り込んだ。

 

「友希那!!先に行ってたんだ!!・・・って大丈夫!?これ友希那のスマホだよ?」

 

「リサ・・・」

 

リサが遅れて教室に入ってくると、私が落としたスマホを拾い上げる。

彼女は他の生徒達とは違って疲れている様子も無く私の様子を気にかけていた。

それを見た私はリサに問いかけた。

 

「リサ、ちょっといいかしら?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「昨日の私って何をしていたのかしら?」

 

「・・・はい?」

 

「実は・・・昨日の事、何も覚えてないのよ・・・。思い出そうとしたりしても頭が痛くなるし、スマホを見ようとしたら気分が悪くなってしまって・・・」

 

私のその言葉を聞いてリサは何かを考えてから私の質問に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・私、昨日はバイトが急に伸びちゃって練習に出れなかったから分かんないな~」

 

「・・・リサ?」

 

「友希那!!そろそろ授業始まるからアタシも席に行くね~」

 

「えぇ・・・」

 

 

自分の席に座るとすぐにスマホを弄りだしたリサの姿を見て、パズルのピースが嵌まらなかった時のようなモヤモヤした気分になっていた。

そんな中で先生がやってきて今日の授業が始まるが私は授業に意識を集中させることがそのままズルズルと時間が過ぎて昼休みになり、リサが私の元までやってきた。

 

 

 

「友希那~!!お昼食べよ~!!」

 

「ごめんなさい。行くところがあるの・・・」

 

「ちょっと友希那~!?」

 

 

私はリサを置いて教室を出て目的地へと向かうが、そこに近づいていくにつれて周囲が騒がしくなるが、その事を気にすることも無く目的地の教室へと入るとみんな疲れたような表情を浮かべている。

その中で私は目的の人が友人たちと昼食を取っているのを見つけると彼女に向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・?友希那先輩?どうしたんだろ・・・?」

 

「ここ1年の教室だよ・・・?」

 

 

 

「あこ、ちょっといいかしら?」

 

「・・・?どうしたんですか?」

 

私はあこへと声をかける。

あこも朝日さんも戸山さんの妹さんも私がここに来たことに首を傾げていた。

それに朝日さんが凄く疲れた表情をしていたのが気になったが私は早速本題を切り出した。

 

「昨日の練習についてなのだけれど、どうだったかしら・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

何か変なこと言ったかしら・・・?

私の言葉を聞いてあこが言葉を詰まらせていたがここで戸山さんの妹さんから声が挙がった。

 

「そう言えば!!昨日はCiRCLEでトラブルがあったから練習中止にしたって聞きましたよ?」

 

「そう・・・」

 

妹さんがそう言っているが私には全くその時の記憶はない。

でも、なんで・・・

 

「・・・でも、なんであこじゃなくてあなたが答えてるのかしら?」

 

「お姉ちゃんから聞いたんですよ。お姉ちゃんたちもCiRCLE行くって言ってたんですけど・・・」

 

「そうだったの・・・。それじゃあこ。放課後の練習で・・・」

 

「はい・・・」

 

そう言って私はあこ達の教室を出て自分たちの教室へと戻っていく。

しかし、あこから昨日の事を聞いても朝からのこのモヤモヤが晴れることもなかった。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

友希那が動いていた一方、花咲川でも大勢の生徒達が疲れ切った表情を浮かべていた。

その中には先日暴走していた紗夜も含まれていた。

 

 

 

「紗夜?大丈夫か・・・」

 

「大丈夫・・・です・・・」

 

「机に伏せてそんなことを言われてもな・・・」

 

「本当にみんな音楽聞いただけでああなっちゃったの・・・?」

 

そう言って弦太朗と話していた花音は顔を挙げると紗夜だけではなく、多くの生徒達が彼女同様に疲れて机に伏せていた。

 

「そういや、紗夜は昨日の事とかハッキリ覚えてるか?」

 

「日菜と音楽を聴いて寝たところまでは覚えてますが、そこから先はハッキリとは覚えてませんが・・・」

 

「リサ達から聞いたぞ、ポテト食いながらギター弾いてたって・・・」

 

「うぅ・・・言わないでください・・・」

 

「もうみんな知ってるぞ?」

 

「恥ずかしいですから・・・見ないでください・・・」

 

「ふふっ・・・」

 

紗夜は弦太朗の言葉を聞いて顔を真っ赤にするが、疲れからか腕をあげることが出来ずにその顔を弦太朗達に晒していた。

そんな空気の中で彼らの話を聞いていた彼女は1人で俯いて震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「燐子ちゃん・・・?どうしたの・・・?」

 

「自分もああなってしまうと思うと・・・怖くて・・・」

 

「きっとそれよりも先に如月くんがなんとかしてくれるよ!!それに香澄ちゃんだって聞いても大丈夫だったんだから・・・!!」

 

「・・・」

 

「・・・ふえぇ~!!」

 

そんな彼女に花音が疑問に思って声をかけると、燐子を励まそうとするが、花音の言葉ではどうともならず逆に花音が慌てだして弦太朗がふと考えだす。

 

「でも、沙綾と一緒に聞いてたって言ってた香澄は大丈夫だったんだ・・・?」

 

「聞いてた時間が短いから・・・じゃないよね?沙綾ちゃんと一緒だったんだし・・・」

 

「「う~ん・・・」」

 

 

 

 

 

 

「花音~!!」

 

「あっ・・・こころちゃん・・・」

 

弦太朗と花音は2人でその事を考え出すも全く案が出てこない所へと教室の扉を勢いよく開け放ってこころが颯爽と3年生の教室へと現れる。

 

「さぁ!!花音!!これからライブをするわよ!!」

 

「えぇ!?でも、この後も授業があるよ・・・?」

 

「みんなが笑顔の方が大切よ!!すぐに準備をしましょ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

こころは笑いながら花音の腕を引いて教室から飛び出していくと、教室はいつも以上に静まり返る。

その空気の中で燐子は思い詰めたような表情を浮かべていた。

 

「私も何か出来ることは・・・」

 

「燐子?どうしたんだ・・・?」

 

「いえ、如月さんや弦巻さんみたいなことは出来ないですけど私にも何か出来ないかなって・・・。それに、私達の音楽があんなことに使われるのは嫌ですから・・・」

 

「燐子・・・」

 

「如月さん・・・何かありませんか?」

 

普段の燐子から想像もつかないようなハッキリとした言葉と上目遣いに弦太朗は驚きと焦りの表情を浮かべるが、そこから必死になって何かを考えている弦太朗の姿を燐子はどこか緊張した面持ちで見守っていた。

 

「だったら・・・」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜のこと頼むわ。・・・流石に俺じゃどうしようも無いことも多いかんな・・・」

 

「あっ・・・はい・・・」

 

しかし、弦太朗から返ってきた言葉に意気込んでいた燐子はやる気がから回ったかのような気分を味わって肩を落としてそれに答えることしかできなかった。

 



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歌・姫・独・唱-10 やぎ座症候群


遅くなりましたが投稿です。
さてと、徐々に被害者が増えていく・・・
生き残るのは誰だ・・・



 

授業も終わった放課後、疲れ切っていた多くの学生たちが机に伏せていた。

その中で燐子は机に伏せていた紗夜へと近づいていく。

 

 

「氷川さん大丈夫ですか・・?」

 

「えぇ・・・練習がありますから・・・」

 

「無理しないほうが・・・」

 

「私のせいで練習が遅れてるんですから、これ以上迷惑をかけるわけには・・・」

 

「きゃ!!」

 

そう言って紗夜はふらつきながら席を立つが、しっかりと立てずに燐子にそのままもたれ掛かる。

しかし燐子は紗夜を支えられずに小さい悲鳴を挙げながら2人で仲良く床に倒れる。

 

「白金さん、すいません・・・」

 

「いえ、私は大丈夫ですから・・・立てますか・・・?」

 

 

 

 

 

 

「えぇ・・・あら・・・?」

 

燐子が先に立ち上がって紗夜に手を差し伸べる。

しかし、紗夜がその手を取るが足に力が入らないのか立ち上がることが出来なかった2人に弦太朗が歩み寄ってきた。

 

 

 

「おい。2人とも大丈夫か?」

 

「如月さん・・・。えぇ、問題ありません・・・」

 

「いや、そんな状態で言われてもな・・・」

 

「氷川さん・・・説得力がありませんよ・・・?」

 

「くっ・・・!!」

 

弦太朗と燐子は2人で紗夜へと視線を送るが、彼女はいまだに床から立ち上がるような様子はない。

 

「流石に休んだ方がいいんじゃねぇか・・・?」

 

「そんなことは・・・!!」

 

「ですがその調子じゃ・・・」

 

 

 

 

 

「あれだけ迷惑をかけたから、これ以上は迷惑をかけたくないんです」

 

「紗夜、お前・・・」

 

「氷川さん・・・」

 

その言葉を聞いた2人は複雑な表情を浮かべていた。

紗夜は事件を起こしたことに負い目を未だに感じており、今回もこれ以上迷惑をかけられないという気持ちはあったが身体がその気持ちに追いついてきていなかった。

 

「如月さん・・・氷川さんの事をお願い出来ますか・・・?私だけだと連れていく自信がなくて・・・」

 

「・・・燐子?マジで言ってんのか?」

 

「マジです・・・」

 

「白金さん・・・」

 

「でもよ・・・」

 

 

 

 

 

「お願いします・・・」

 

「ったく、しゃあねぇな・・・・・・紗夜、少し我慢しろよ?」

 

「我慢・・・?って如月さん・・・何を!?」

 

「おい!!暴れんなよ・・・!!

 

燐子の言葉を聞いた弦太朗は困ったような表情を一瞬だけ浮かべるが、彼女の想いを受けて床にへたり込んでいた紗夜へと歩み寄ると彼女を肩に担いで持ち上げる。

抱えられた紗夜は驚きの声と力なく暴れて抵抗するが持ち上げている本人はその抵抗を意に介さなかった。

 

「あの如月さん・・・?氷川さんをどうするんですか?」

 

「何って運ぶんだよ?前もこうしたからな・・・」

 

「前・・・?」

 

「あぁ、あの時は燐子は学校休んでたっけな」

 

「そんなことが・・・」

 

「ちょっと如月さん・・・!!降ろしてください・・・!!苦しいです・・・」

 

紗夜が弦太朗に抗議するがこの抗議に対して燐子が彼女らしからぬ言葉を紗夜へと言い放った。

 

 

 

 

「氷川さん。降りたら練習は休んでもらいます・・・」

 

「なっ・・・!?」

 

思わぬ燐子の言葉に紗夜は狼狽える。

羞恥に耐えて練習に行くか、羞恥から逃げて練習を休むかの間で彼女は揺れていたが―――

 

 

 

 

 

 

「如月さん・・・お願いします・・・。練習に連れて行ってください・・・」

 

 

 

紗夜は練習を取ったが彼女の表情は今にも羞恥で泣き出しそうになっていた。

 

「とりあえずバイクの乗せてそこから押してくからそこまでは耐えろ・・・」

 

「うぅ・・・はい・・・」

 

「それでは行きましょう・・・」

 

その言葉と共に弦太朗達は学校から出ると、近くに停めてあったバイクに紗夜を乗せるとそれを押しながらCiRCLEまで歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

私は如月さんが押しているバイクの後ろを2歩くらい後ろを着いて歩く。

 

「紗夜。お前ハンドルから手を離せって」

 

「なら、どこを掴んでれば?」

 

「ほらシートの前とかで・・・」

 

「そんなところでは不安定です。ハンドルが一番安定しますから」

 

「俺が押しずれぇんだよ!!」

 

「それはなんとかしてください・・・」

 

 

 

 

「ふふっ・・・」

 

「燐子?何笑ってんだ?」

 

「いえ・・・なんか2人の会話がおかしくて・・・」

 

「白金さん、私はいたって真面目です・・・」

 

くだらないことで言い争う2人に昨日までの騒動が嘘のように感じてしまった私は思わず笑ってしまう。

 

そんな私に如月さんが素直に疑問を口にした後に氷川さんから顔を赤くして反論してきましたが、、今の氷川さんはたまに見る自転車に乗せられた子供の様にしか見えません。

 

「氷川さん・・・子供みたいで・・・」

 

「なっ・・・!?白金さん何を言って・・・」

 

「子供をカゴに乗っけて自転車押してるみたいで・・・」

 

「あ~」

 

「私はそんな子供じゃありません・・・」

 

「ふふっ・・・」

 

どうやら、言葉に出てしまったみたいだったのでもう隠すのを辞めて私は思ったことをそのまま伝えると氷川さんがまた顔を真っ赤にして今度はバイクに乗ったまま顔を伏せてしまった。

 

それがまたおかしくて私はまた声に出して笑ってしまうが、そんなことをしている間にCiRCLEに到着すると如月さんは氷川さんを抱えると私達が借りているスタジオに入っていく。

 

「よっ!!」

 

「あっ!!げんたろー!!って紗夜さん!?どうしたの!?」

 

「宇田川さん。疲れが出てしまって足が言うことを聞きませんが、この程度は問題ありません・・・」

 

「いやいや!!流石に米俵みたいに担がれてるの見て問題ないことは無いでしょ!?」

 

「あなた、そんな調子で練習できるの?」

 

「とりあえずやってみりゃいいんじゃねぇか?」

 

 

 

 

 

「・・・そうね。この時間も勿体無いわ。紗夜、すぐに準備して」

 

「分かりました」

 

「とりあえず、あこは椅子用意して!!」

 

「うん!!」

 

 

 

「如月、紗夜をここまで連れてきてもらって申し訳ないのだけれど、練習に集中したいから帰ってもらえるかしら?」

 

「おう。なんかあったら呼べよ?」

 

友希那さんが不満そうな表情を浮かべてましたけど、如月さんの言葉を聞いてとりあえず練習を始めることになりました。

その間にあこちゃんは今井さんの言う通りに椅子を用意して、と如月さんがそこに氷川さんを降ろすと何事もなかったかのようにギターの準備を始めたのを見て、私もキーボードの前に立って準備を始めました。

 

そんな中で友希那さんは如月さんをスタジオから出すと何事もなかったかのように私達へと視線をむけてくる。

 

 

「それじゃ始めるわよ・・・。まずは次のライブのセトリを通すわよ・・・」

 

その言葉と共に私達は演奏するために構えると、あこちゃんが開始のカウントを取る。

そしてそのまま次のセットリストを順番に通していくその途中で違和感を感じる。

 

 

氷川さんのギターが走ってる・・・?

 

普段の氷川さんからは想像の出来ないような演奏に湊さんも顔を顰めながら続けていたが、流石に走りすぎだと感じたのかここで友希那さんが演奏を止めようと声をあげる。

 

「ちょっと紗夜・・・」

 

「・・・っ!!」

 

しかし、氷川さんは友希那さんの言葉が耳に入っていないのかそのまま演奏を続けていた。

 

「紗夜・・・?あなた?聞いてるの・・・?」

 

「・・・!!」

 

友希那さんが声を挙げるが氷川さんから返ってくるのは楽器の演奏だけ・・・

もしかしてこれは―――

 

 

 

そう思っていた私だったが、ここで予想もしていないことが私を襲った。

 

「・・・っ!!」

 

「ちょっと燐子もどうしたのよ?」

 

私も氷川さんを止めようと思って声を出そうとしたが声が出ない。

それどころか身体が勝手に動き出して氷川さんの合わせる様に演奏をし始める。

 

これってもしかして私も―――

 

そう思った瞬間に私の身体は自分の意思とは無関係に動き続ける中で私の意識は少しずつ遠退いて行った・・・

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「紗夜。それに燐子も何をしているの・・・!!」

 

友希那が声をあげるが2人は全く彼女の言葉に耳を貸さずに演奏を続け、それは次第に彼女達らしからぬ激しい演奏へと変わっていく。

 

「もしかしてこれって・・・あこ!!」

 

「リサ姉・・・」

 

 

 

 

 

目の前の光景にリサがあこを呼びながら視線を向ける。

その視線の先にいたあこは自分の意思に逆らって勝手に動こうとしていた身体を抑えようとなんとか堪えていた。

 

辛そうに耐えているあこだったがなんとか口を開いて言葉を出す。

 

 

 

「これって・・・げんたろーが言ってた・・・!!」

 

「ちょっとあこ!!しっかりして!!」

 

「リサ姉・・・あこ・・・もうだめ・・・!!身体が・・・言うこと聞かない・・・!!」

 

「あこ!!」

 

「リサ姉・・・ごめんなさい・・・」

 

その言葉を最後にあこも自身の意思で身体の動きを抑えられず紗夜達に混ざって演奏を始めてしまう。

 

「どうなっているの・・・?」

 

「友希那!!出るよ!!」

 

「ちょっとリサ・・・!!」

 

リサはあこの言葉が聞いて、ベースを抱えたまま友希那の腕を引いてそのままCiRCLEを飛び出した。

そしてそのカフェテラスには弦太朗が1人で珈琲を口にしていたが、2人を見て驚きの表情を浮かべていた。

 

「リサと友希那!?お前らどうしたんだ?」

 

「私も何がどうなっているか分からないわよ・・・。急に演奏が走り出したと思ったら暴れるような演奏を始めて・・・」

 

「これって弦太朗が言ってた・・・」

 

「でも、どうして友希那は何ともなってねぇんだ・・・?」

 

「ちょっとそれってどういう・・・!!」

 

 

 

 

 

友希那が言葉を続けようとしたが、ここで彼女のスマホと弦太朗のマグフォンが同時に鳴る。

弦太朗はすぐに電話にとって話始めると、リサもスマホを取り出して内容を確認する。

そこには日菜やモカが再び暴れ出したという情報が飛び込んでくると同時に弦太朗が通話相手に向かって叫ぶ。

 

「・・・なんだ。みさ・・・ミッシェル達のところでもか?」

 

『そうなんですよ・・・。ライブしてたら急に客が暴れ出して・・・』

 

「それでみんなは大丈夫なのか?」

 

『今、ミッシェルで空飛んで逃げてます~』

 

「ならいいんだけど・・・ってクマが飛ぶか!!」

 

『とりあえず、また後で連絡します~。はぐみ、携帯切って~』

 

『うん!!』

 

どうやら弦太朗は美咲・・・いや、ミッシェルからの連絡でどうやらハロハピのライブ客の中にも被害者がいたようでそちらでも暴れ出したとの連絡だった。

 

「ちょっと2人とも説明して・・・」

 

「ゴメン!!ちょっとアタシまりなさんのとこ行ってくる!!」

 

「おい!!」

 

「すぐ戻るから!!友希那!!家帰ったらちゃんと説明するから!!」

 

そう言ってリサは再びCiRCLEの中へと戻っていってしまった。

 

 

 

「如月、説明して・・・今の出来事と昨日の出来事も・・・」

 

「お前・・・昨日のこと・・・覚えてないのか?じゃあ最初から話すけど・・・」

 

 

不穏な空気の中で弦太朗が今までの流れを説明して始めた一方で、リサはスタッフルームへと駆け込んでいた。

 

「・・・まりなさん!!」

 

リサが声をあげたがすでにまりなも正気ではなく、スタジオの貸しギターを片手に暴れながら演奏していた。

そんな中でリサは机の上に広がっていた物達の存在に気が付いた。

 

「これって・・・CD・・・なんで?」

 

そこには数枚のCDが机の上に広げられていたが、リサはそれを見て先日のまりなが言っていたある言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『結構昔にどこかで聞いたことあるような気がするんだけど・・・ 』

 

「まりなさんが言ってたのって・・・これだったんだ・・・!!」

 

リサはCDへと視線を向けるとそこからの彼女の行動は早かった。

 

「ごめんなさい!!まりなさん借りていきます!!」

 

そう言いながら彼女は机に広がっていたCDを全て持ち出すと暴れている紗夜達がいるスタジオから手早く荷物を回収する。

 

そして、その時にリサは何故かCDから嫌な予感を感じて、弦太朗達がいるであろう正面からではなく、スタッフ用の出入り口からCiRCLEを出る。

 

「何となくだけど・・・。これは友希那に聞かせちゃいけない気がする・・・。それにどっかで見たことあるような・・・。とりあえず、大丈夫だった香澄のところに行かないと・・・」

 

そう呟きながら、リサは弦太朗達から隠れながら香澄の元へと急ぐのだった。

 

 





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歌・姫・独・唱-11 die Wahrheit verschwand in der Dunkelheit

投稿です

1人だけ犯人が分かった時にその人が襲われるのは鉄板ですよね・・・?


 

アタシは弦太朗に隠れてポピパの蔵までやってきたけど・・・

 

「結構な人がおかしくなってたな・・・。それに暴れて怪我した人もいたし・・・」

 

それをアタシは気持ちは落ち込んでいく。

 

今回のは誰かを直接傷つけてる訳じゃない―――

曲を聞いて勝手に暴れてるだけ―――

 

そう思えれば楽だったけどその原因の曲がアタシ達の曲という事実がアタシの罪悪感を刺激する。

 

 

 

 

 

「こうやって1人で来るのは初めて・・・かな?」

 

アタシは香澄の事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

なんで香澄だけは音楽を聴いても無事だったんだろ・・・?

まさか今回の犯人って香澄・・・?

いやいや、香澄はあんなことをするような子じゃない。

それにこの前は妹があれで大暴れしてた直後にそんなことをする訳がない・・・

それに同じポピパの子達を巻き込むようなことをするわけが・・・

 

 

 

「いやいや!!あり得ないでしょ!!・・・ってこうしてる場合じゃない!!早く香澄に会わないと・・・」

 

アタシはあり得ない想像を振り払うと、香澄がいるであろう蔵の中へと入っていく。

そこにはたえと沙綾が紗夜達みたいな状態になっている前で他の3人がオロオロしていたが、突然入ってきたアタシに驚きた様子を見せていた。

 

「リサさん!?どうしてここに!?」

 

「ゴメン。急で申し訳ないんだど香澄にお願いがあって・・・」

 

「あのリサさんが香澄に・・・!?」

 

「どういうこと・・・?」

 

ここでアタシはここに来た経緯を説明すると、香澄が理解できていないような表情を浮かべていたが他の2人が納得してくれたみたいで安心した。

 

 

「それで曲を聞いて正気でいられた香澄ちゃんのところに・・・?」

 

「そういう事~☆んで悪いんだけど・・・」

 

「だったら、ここ閉めて上で聞けばいいだろ?私はCDプレーヤー探してくる・・・確か上にあった気が・・・」

 

「有咲ちゃん。私も探すの手伝うよ~!!」

 

「じゃあ出よっか!!」

 

そう言うと3人は最低限の荷物を持って蔵の地下から出て、アタシが持ってきたCDを再生するために蔵の中にあると言ってたCDプレーヤーを探し始める。

 

 

「そう言えばリサさんがまりなさんから借りてきたCDってどんなのなんですか?」

 

「それなんだけど、何枚かあるからどれが本命か分かんないんだよね~・・・」

 

「バンド名全部聞いたことないですよ・・・?」

 

「だから香澄は聞いたので似てるな~って思ったのを教えてほしくてさ~」

 

「分かりました!!」

 

 

 

 

「おい!!なんで探すって言ったのに私以外探してねぇんだよ!!」

 

「有咲ごめ~ん!!今から探すから~!!」

 

「もう遅ぇよ・・・。リサさん見つけたんでCD貸してください・・・」

 

アタシ達が話してる間に有咲がCDプレーヤーを持ってきてくれたので、アタシはすぐに有咲にCDを渡すと手慣れない手つきで音楽を流し始める。

 

「おぉ~」

 

「聞いたことないバンドだけどスゲェな・・・」

 

「でも、まりなさん・・・よくこんなCDを持ってたね・・・?」

 

 

 

 

「凄いけどこれじゃない・・・」

 

「んじゃ次な・・・。リサさん次の貰ってもいいですか?」

 

流れてきたのは最近の流行とは違う音楽だけどアタシも有咲達もその音に興味津々だったけど、これじゃないらしいので香澄の言葉を聞いた有咲が曲と止めるとアタシも次のCDを渡す。

 

 

 

音楽を聴いてCDを入れ替える。

それを繰り返して手元に残ったCDはアタシが手に持っている1枚だけになっていた。

 

 

 

「リサさん。それで最後ですよ・・・ってリサさん震えてますけど大丈夫ですか・・・?」

 

「えっ?」

 

りみからの突然の指摘に意味が分からなかったアタシは自分の手を見ると無意識ではあったけど確かにその手は震えていた。

 

「えっ・・・?なんで・・・?あれ?それにこのCDどこかで見たような・・・」

 

「リサさん・・・!?」

 

「ゴメンゴメン。ちょっと考え事しててさ~☆」

 

りみがアタシに視線を向けてくるが、そんな彼女を普段のアタシを取り繕って無理やり誤魔化す。

そして手に持っていたCDを有咲に手渡して、そこから流れてくる音楽を待つが嫌な予感と手の震えが止まらないけど、それを必死に誤魔化していたがそのCDから流れてきた。

 

そこからは聞き覚えのあるギターが聞こえてきて最悪の想像が浮かんでしまうが、そんなことはないと自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし現実は残酷だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ!!このギターが一番似てます!!」

 

「・・・ゴメン!!」

 

「リサさん!?」

 

「ちょっと!!他のCD忘れてますよ!!」

 

香澄の言葉を聞いたアタシはプレーヤーから乱雑にCDを回収するとりみと有咲の言葉を無視してそのまま蔵を飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりあのCD・・・!!勘違いじゃなかった・・・!!」

 

まりなさんからCDを拝借した時にあのCDが目に入った時はなぜかそのジャケットに既視感があったことが最初は不思議だった。

 

音楽を聴いた時にアタシがもっと子供だった頃にそれを見た時の記憶が蘇ってきてアタシは自宅の横にある友希那の家に向かった。

 

「鍵がかかってる・・・よし!!」

 

当然の如く玄関には鍵が掛かっていたが、

CiRCLEで自分の荷物と一緒に回収した友希那の家の鍵を使って中に入ると一目散に友希那の部屋へと駆け込むとそのまま友希那の部屋を捜索する。

 

「多分・・・机の横の引き出しに・・・あった!!」

 

そして一瞬でお目当ての物を探し出し、それを見てアタシは確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきのCDは友希那の部屋にもあって―――

その中身は昔プロとして活躍していた友希那のお父さんの物だったから―――

 

その事を弦太朗に伝えようと友希那の家を出た時に、ギターの音が聞こえたと思ったらアタシの意識が一瞬で刈り取られていた。

 

 

――――――――――――

 

「なぁ・・・?リサの奴遅くねぇか?」

 

「・・・」

 

「友希那?」

 

「・・・」

 

「俺だけでも戻って確認しに行ったほうが良いか・・?」

 

リサがCiRCLEへと戻っていったのを見送ってその近くで弦太朗。

その最中で友希那に声をかけるが返事はなく、リサも弦太朗達の元へとやってくる気配がない。

 

それを見て弦太朗は自分だけでもCiRCLEへと戻ろうかと考えていたそんな彼らの元へと1本の電話が掛かる。

 

 

 

 

「もしもし?」

 

『もしもし?弦太朗くん?ちょっといいかな・・・?』

 

「りみか?どうしたんだ?」

 

『えっとね・・・さっきリサさんが蔵に来たんだけど・・・』

 

「はぁ!?」

 

電話の相手はりみだったが、そんな彼女から告げられた言葉に弦太朗は声をあげてしまう。

CiRCLEへと入っていたはずのリサがどうやってそこを抜け出して蔵へと行ったのかが分からない。

 

「どういうことだよ!!だってリサはCiRCLEに入っていくのを見たぞ!?」

 

『えっ!?でも・・・香澄ちゃんに用があるって言ってさっき蔵に来たよ・・・?』

 

「は・・・?」 

 

『えっ・・・?』

 

『あぁ!!りみ!!ちょっと電話貸せ!!』

 

互いが状況が理解できない中でそれを見かねた有咲がりみから電話を半ば強引に奪い取ると先ほどまで蔵であった出来事を弦太朗に分かるように説明していた。

 

「それでリサの奴、どこ行っちまったんだよ!!」

 

『そこまでは分かんねぇよ!!』

 

「リサ・・・」

 

「分かった!!友希那を家に帰してから俺が探す!!」

 

『こっちも沙綾達が戻ったら香澄に近くを探させるから!!』

 

『有咲!?』

 

有咲の言葉に電話の向こうで香澄が驚いた声を挙げるが、そのまま電話が切れてしまう。

弦太朗もマグフォンをしまうと横の友希那へと話しかける。

 

「とりあえず、リサは俺が探すから。友希那は家に帰れ」

 

「・・・そうね」

 

「とりあえず家までは送るからよ・・・」

 

「分かったわ・・・」

 

弦太朗と友希那はその短いやり取りで2人は歩き出し、彼女を送り届けた弦太朗は日付が変わる間際になるまで街の中は駆けまわってリサを捜索を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、弦太朗はリサを発見することは出来ず、暴れ出した人たちも元に戻ることは無かった。

 

 

 

 




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予告する。
次の章が終わったらRASだよ・・・


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歌・姫・独・唱-12 想定外のアンサー

遅くなりましたが投稿です。
リアルが忙しくてなかなか更新できずにすまない。

後2~3話でRoselia篇終わらせたいたいたい・・・




 

2度目のカプリコーンによる人々の暴走が起きた次の日、弦太朗が学校に向かうが昨日に比べて圧倒的なまでに生徒の数が減っていることに気がついた。

 

「どうなってんだ・・・?」

 

「あっ・・・如月くん・・・」

 

「花音。これは・・・?」

 

「わかんないよ~」

 

 

 

「ゲンちゃん!!大変だよ~!!」

 

「香澄ちゃん・・・?」

 

余りの人の少なさに困惑する花音に弦太朗も首を捻るが、そんな時に教室へと香澄がやってくると一目散に弦太朗の元へと飛び込んでくる。

 

「ゲンちゃん!!大変だよ~!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「どうしたんだ・・・?」

 

「えっと!!あのね!!さーや達が学校に来てないの!!」

 

「まだ学校に来てないだけじゃねぇのか?」

 

弦太朗の当たり前の意見を述べるが、それを聞いて香澄は首を横に振って答える。

 

 

「ううん!!りみりんが朝にコロネ買いに行った時にはもう家にいなかったんだって!!」

 

「沙綾達ってことはおたえもいねぇのか?」

 

「そうだよ~!!」

 

「もしかしたら・・・紗夜ちゃん達も・・・?」

 

「羽丘も一緒なのかな・・・?私!!あっちゃんに聞いてみる!!」

 

香澄はそう言うと自身のスマホを取り出して妹の明日香へと電話を掛けると弦太朗にスマホを渡すと同時に明日香は電話に出た。

 

『もしもしおねーちゃん?どうかしたの?』

 

「よぉ明日香!!ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」

 

 

 

『はっ・・・はひっ!!』

 

姉からの電話だと思っていた明日香だったが、弦太朗と言う思いがけない相手の声が聞こえて思わず返事を噛んでしまった。

しかし、そんなことを気にすることなく弦太朗はそのまま本題に入っていく。

 

「今そっちにロック達いるか?」

 

『へっ?六花とあこだったらまだ学校来てませんけど?・・・そういえば学校に来てる人少ないような・・・』

 

「そっかサンキュー!!」

 

『えっ?あの・・・!!』

 

明日香が何かを言おうとするが弦太朗はその言葉を待たずに電話を切ると、すかさず今度は弦太朗のマグフォンから着信音が響くと弦太朗はスグにその電話を取った。

 

「もしもし?」

 

『如月!!大変だ!!』

 

『モカとひまりが学校に来てなくて・・・それに家にも帰ってないみたいだし・・・』

 

「巴に蘭か!!そってモカ達もかよ・・・」

 

『おいモカ達”も”ってなんだ?』

 

「実は・・・」

 

電話の向こうでは蘭からの話を聞いた弦太朗は数少ない分かっていることを巴達に伝えると、電話の向こうからは納得したような頷きが聞こえてくる。

 

 

 

 

『そうなんだ・・・。それならアタシ達は放課後にモカ達探しに行くから・・・』

 

 

 

 

 

 

 

「ならみんなで探しに行きましょう!!みんなで作戦会議するわよ!!」

 

「あっ!!こころんだ!!」

 

「ふえぇ~こころちゃ~ん!!」

 

「てかどっから聞いてたんだよ・・・」

 

電話に乱入してきたのは花咲川の異空間と呼ばれるこころが3年生の教室の入口に仁王立ちしていた。

 

「それなら放課後にうちに集合して作戦会議しましょ!!」

 

『よっしゃ!!任せろ!!』

 

『分かった・・・』

 

「私!!有咲達呼んでくるね!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

こころの宣言にノリノリの2年生組とは対照的に困惑する花音というそんな何とも言えない空気の中で普段よりも少ない人数で授業が始まっていく。

 

 

 

―――――――――――――――

 

「・・・」

 

私は学校に来ていたが今日も授業に全く集中できていなかった。

 

「リサ・・・」

 

机を見るがそこにリサの姿はない。

それに隣のクラスにいるはずの日菜も大和さんもいないし、クラスの人も普段以上にに少ないことにどこか違和感を感じる。

 

 

それにしてもリサはどこに行ってしまったのかしら・・・

音楽を聴いた紗夜達が暴れ出して外に出たと思ったらまたCiRCLEに戻った後に何で戸山さん達のところへ・・・?

後は、如月が言うには私もそれを聴いたはずなのになんで私は平気だったのかしら・・・?

 

疑問はたくさんあっても、考えても頭が痛くなるだけだから考えなくて良いわね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても・・・

リサも日菜もいないし、瀬田さんの周りで声を挙げている人も少ないから今日の学校はいつも以上に静かね・・・・

 

 

 

 

 

 

でも何故かしら・・・?

前までは1人でいても平気だったのに、今ではその光景に少しだけ寂しさを感じてしまう私がいた。

 

「だめね・・・」

 

落ち込んだ気分を誤魔化すように今日の練習の事へと考えを切り替える。

 

でも、リサもいないし紗夜達もあの調子だから今日は練習は無理そうね・・・

家で作曲でもしようかしら・・・

 

そんなことを考えながら私は集中できない授業を聞き流して時間だけを浪費していくのだった。

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「さぁ!!みんな行くわよ~!!」

 

「「「「おぉ~!!」」」」

 

「儚い・・・」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石にあの巴達について行けないんだけど・・・」

 

「どうしてこんなことになったんだよ・・・」

 

「市ヶ谷さん?こころと戸山さんが交わったらに何を言っても無駄だよ・・・」

 

弦巻の屋敷に集まった彼女達はこころの声にハロハピの面々や香澄達が声を挙げるが、その一方で蘭や有咲などの比較的冷静な面々はこころ達のテンションに着いて行くことが出来なかった。

 

「それじゃあみんなで行きましょう!!」

 

「ちょっとこころ待って!!」

 

そんな有咲達を気にすることなくこころは屋敷を出ようとするが、流石に美咲が声をかけた。

 

 

「みーくん?どうしたの?」

 

「ほらみんなで探すよりも別れて色んな所探したほうがいいんじゃない?」

 

「でも、みんなで一緒の方が楽しいわよ!!」

 

「そうかもしれないけど早く見つけたほうがみんな笑顔になれるからね?」

 

「流石美咲だね!!そうしようか!!」

 

「じゃあ何人かに別れて・・・割り振りは市ヶ谷さんよろしく」

 

「はぁ!?」

 

美咲はこころを止めて、効率的な案をそれっぽい理由をでっち上げてこころをコントロールすると、後の面倒ごとをすべて有咲へとぶん投げる。

投げられた有咲は声を挙げるがみんなの視線が刺さり、仕方なしにこの場を仕切りだす。

 

「とりあえず、いるのがパスパレと友希那先輩以外は全員いるんだよな?」

 

「後!!あっちゃんもいるよ!!」

 

「あーはいはい。分かった分かった。とりあえずバラバラになり過ぎてもアレだし基本はバンド毎でいいだろ?」

 

 

 

 

「だったらRASはモニカと一緒に行くぞ。流石に2人だけだとアレだしな・・・」

 

「佐藤さん。よろしくお願いします」

 

 

「なら、香澄達はあたし達と一緒?」

 

「蘭ちゃん!!」

 

「お姉ちゃんが行くなら私も!!」

 

「あっちゃ~ん!!」

 

有咲の簡単な提案でグループに分かれていく彼女達をを見て弦太朗は笑みを浮かべたが、それに気が付いたのはりみだった。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くん?どうしたの?」

 

「いや、なんかライダー部みてぇだなってな。まぁ・・・こんなに人数はいなかったけどな」

 

 

 

「だったら、私達も花咲川の仮面ライダー部よ!!」

 

「こころ、そんな部活ないから」

 

「こころちゃん・・・それに花咲川以外の人もいるよ?」

 

「それならCiRCLE支部とでもしようか?みんなが使うライブハウスだからね・・・」

 

「おっ!!薫さん!!それいいっすね!!」

 

そんな弦太朗の一言で話は一気に脱線し始めてしまい、宇宙仮面ライダー部CiRCLE支部なるものがいつの間にか出来上がってしまっていた。

 

 

 

「部活だったら部長が必要だな!!」

 

「でも、マッスーさん。誰が部長なんですか?」

 

「じゃあ、部長はゲンちゃん先輩だね!!」

 

 

 

「弦太朗に部長・・・?」

 

「に・・・似合わね~・・・!!」

 

「蘭ちゃん!!巴ちゃんも笑ったらダメだよ!!」

 

 

 

「戦うのに部長は負担が大きすぎるんじゃないかな・・・?」

 

「倉田さん?その通りかもしれないけど、そんな部活は無いわ」

 

 

 

「それなら部長はミッシェルにしましょう!!」

 

「儚い・・・」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

 

「じゃあ私がやる!!」

 

「ちょっとお姉ちゃん・・・!!」

 

「香澄ちゃんに明日香ちゃんも落ち着いて~!!」

 

 

 

 

 

「うるせー!!」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

やかましくなる室内だったが有咲の一言によって一気に静まり返る。

そして視線が有咲に集まるとそれを見て美咲が彼女に近寄ってそっと肩に手を乗せる。

 

「流石だね。部長」

 

「有咲部長~!!」

 

「あーちゃんぶちょう~!!」

 

 

 

 

 

 

 

「だぁ~!!もう分かったから!!とりあえずお前らは探しに行ってこい!!」

 

こうして勝手に部長として任命されてしまった有咲の言葉によって彼女達は外に出る準備を始めていくが、有咲はその場を動かない。

 

 

 

「あれ?有咲は何で準備しないの?」

 

「それは・・・あれだよ。誰かしら残ってみんなの連絡係はいるだろ?」

 

「有咲ちゃん?それって自分が動きたくないだけじゃ・・・?」

 

「りみ違うからな?組織のトップってのは動くことも必要だけど、基本はどっしり構えておくもんなんだよ」

 

「有咲~」

 

「うるせー!!香澄はとっとと行ってこい!!」

 

有咲の叫びと共に彼女達は次々と屋敷から外に出て行くが、そんな中で弦太朗も外に出ようとしていた。

 

 

「いや、如月。お前はここで待ってろ」

 

「はぁ?何でだよ」

 

「お前が動きまくってたらすぐに戦いに行けねぇだろ!!探すのは香澄達に任せて少しでも休んどけ」

 

「でもよ・・・」

 

弦太朗は今にも探しに行きたかったが、有咲の言いたいことも分かった彼はしぶしぶといった様子でそれに同意しようとした。

 

しかし、それに待ったをかけた人物がいた。

 

 

 

「弦太朗。それだったら、友希那のところに行ってあげてくれないか?」

 

「薫さん?どうしてですか?」

 

「今日学校で友希那を見たんだけれどね。彼女が暗い表情をしていたんだ。きっと彼女もリサ達がいなくなって不安になっていると思ってね・・・。そういえば家で作曲すると呟いてたよ・・・」

 

「有咲・・・!!」

 

「あぁ~・・・!!分かった!!でも、すぐに動けるようにしとけよ!!」

 

「おう!!薫!!サンキューな!!」

 

「気にしないでくれ。ではこころ達が待ってるから私はそろそろ行くよ・・・」

 

こうして彼女達が学校に来ていなかった生徒達を探し始めると弦太朗も友希那がいるであろう彼女の家に向かってバイクで走り出していくのだった。

 

 




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ピコ見て思うが
ロリさよひなって最っ高やな・・・!!


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歌・姫・独・唱-13 仲間を信じて/全てを賭けて・・・

投稿です。

失踪したい・・・
なんかRoseliaがヒロインしていることに不安感を覚える今日この頃・・・(主に343のせい
37103も大食いキャラネタされたのにこのムーブは一体・・・んごごごごg・・・!!


 

私は自宅で作曲をしていたが、その作業は一向に進まなかった。。

 

「・・・ダメね。一旦休憩しましょう」

 

私は自身のベットに横になって天井を見上げながらフラシェキーを抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサ・・・」

 

そして不意に行方の分からない幼馴染の名前を呟くが、勿論その言葉に返事などある訳がない。

 

「ダメね・・・。このままじゃ・・・FWFどころかバンドリも・・・」

 

FWFの予選に通過するどころかバンドリでRASに完敗してしまう・・・

そんなマイナスのイメージが私を襲う。

 

「このままじゃダメね・・・なんとかしないと・・・でも・・・」

 

 

 

 

リサだけじゃなく、紗夜も燐子もあこもいなくなってしまい、また独りになってしまった―――

 

 

 

 

「なぜかしら・・・。前までは平気だったのに・・・」

 

今は1人でいるのが寂しくて辛い―――

特に弦太朗と出会ってからの私はそれを強く感じるようになっていた。

 

いつも友達の誰かと一緒にいた彼とそれなりの時間を過ごしていた私も彼に感化されていたのね・・・

 

「ダメね・・・とりあえず気分を変えましょう・・・にゃーんちゃんの写真でも・・・・・・?」

 

ここで私はフラシェキーを開放してベットから身体を起こすとその視界にあるものを捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

「お父さんのCD・・・出したつもりはないけれど・・・?」

 

私が目にしたのは父がプロだった頃に出したCDだった。

だが、私にはそれを出した記憶は無いし、少なくとも昨日―――月曜日の朝にそのCDはそんな所にはなかったことは頭痛と共に記憶していた。

 

大事な物だから仕舞わないと―――

 

 

 

 

私は立ち上がってそのCDを手に取って普段そのCDを仕舞っている引き出しを開くが、普段そのCDを収めている場所には既に同じものが収まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんでこれが2枚もあるのかしら?」

 

私はそのCDを1枚しか持っていないのにも関わらず、この部屋に同じものが2枚あることに疑問を隠せなかった。

 

 

しかし、とりあえずCDを仕舞うために引き出しを更に引くと私の目にはそこにあるはずのないものが写る。

 

「・・・なんでここに?」

 

私はそれを手に取って確かめるようにそれを眺めるが、間違いなくそれは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサのスマホ・・・?どうして・・・?」

 

それは間違いなくリサの普段使っているスマホ。

少なくとも私が最後にリサを見たのは昨日のCiRCLEでの出来事の時だったが、その時は間違いなく彼女はそれを弄っていた。

 

 

 

「どうしてリサのスマホが私の引き出しの中に・・・?まさか、昨日あの後ここに来たの・・・?・・・家の鍵かけ忘れたのかしら?」

 

しかし、私は家の鍵をかけたかどうか思い出せない。

もしかしたらお父さんたちがかけ忘れたのかしら・・・?

だけど―――

 

 

 

 

 

 

「・・・鍵を掛け忘れてたとしても、なんでリサは私に黙ってここに・・・?」

 

やっと私がリサがここに来た理由について考え出してすぐに結論に至る。

 

「もしかしてこれ・・・リサが持ってきたの・・・?とりあえず聴きましょうか・・・」

 

 

 

 

しかし、なんでリサがこれを持ってきたかが分からないが私はそのCDをプレーヤーにセットして再生ボタンを押した。

 

 

そしてそこから流れてきた音楽を聴いた私へと突如として頭痛が襲い、それ耐え切れずにその場に崩れ落ちる。

 

 

「うぅ・・・頭が・・・イタイ・・・!!」

 

余りの痛みに頭を抑えるだけで精一杯で停止ボタンに手を伸ばすことすら出来ずにいた。

しかし、その痛みと共に私の中で何かが湧き上がる様な感覚を覚えた。

 

 

そして気が付けば音楽の再生は止まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと共に頭痛は消え去り代わりに忘れていた日曜日について完璧に思い出した。

 

 

 

「私のせいで・・・!!」

 

私はふらつきながら立ち上がったが、力が入らずに床が私に迫ってきていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

「ふぃ~・・・」

 

弦太朗はバイクを走らせて湊家の前へとやってくると、バイクに跨ったままで湊家へと視線を向けるがどことなく嫌な予感を感じていた。

 

「そう言えばリサの家は隣なんだよな・・・。でも帰って来てねぇみたいだけど・・・」

 

そんな彼は不意に横にある今井家へと視線を向けるが。そちらには人がいるような気配は全く感じられない。

 

もしかしたらリサは家に戻ってきているかもしれないと淡い期待をしていた弦太朗だったが、目の前の現実に少しだけ気落ちした彼だったがここである異変に気が付いた。

 

 

 

「何で友希那の家のあそこはあんなに光ってんだ・・・?」

 

弦太朗は光っている友希那の家へと目を凝らしてそれを確認したが突如として光が収まる。

その事に首を傾げた弦太朗だったが彼の元へとその犯人がやってくる。

 

「さっき光ってたのはお前か?」

 

 

 

 

 

 

 

そこに現れたのはフラシェキーは弦太朗の問いに目を光らせて答える。

しかし、弦太朗にはただ点滅しているだけにしか見えなかったが、その体を縦に揺らしていたことからおそらくYESと答えているのだと察していた。

 

「もしかして友希那の奴に何かあったのか!?」

 

弦太朗は最悪の事態を想像してしまい、フラシェキーに聞くと体を縦に揺らし続けていたが先ほど以上に激しく目を光らせてその質問に答えた。

 

「友希那・・・!!」

 

それを見た弦太朗はすぐさまバイクから飛び降りるとインターホンすら鳴らさずに湊家へと駆け込んでいく。

 

「確かリサの奴が友希那の部屋と自分の部屋が隣同士で夜に窓越しに話してるとか言ってたな!!」

 

弦太朗は友希那がどこにいるか分からなかったが勘で自室にいると思ったが場所が分からない。

しかし、以前に話していたリサの言葉を思い出して2階に駆け上がる。

そして彼女の部屋であろう扉を勢いのままに開けると、確かに友希那はそこにいた。

 

 

 

 

しかし、その友希那はまさに地面へと倒れる瞬間だった。

 

「友希那!!」

 

弦太朗はそのまま駆け出して友希那が床に倒れる前に彼女を抱きかかえる。

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

「如月・・・?何で・・・?」

 

「お前の事が気になってきたらお前に何かあったって教えてもらったんだよ!!」

 

「そう・・・」

 

友希那は弦太朗の答えを聞いてふらつきながら立ち上がるとそのまま歩き出す。

弦太朗はそれを静観しようとしていたが、友希那の足はベットでは無く部屋の外へと向かっているのに気が付くと慌ててそれを止めようと肩を掴む。

 

「おい!!どこ行くんだよ!!」

 

「離して・・・」

 

「フラフラじゃねぇか!!」

 

「離して!!」

 

友希那を止めた弦太朗だったが彼女の声量に驚いてしまいそのまま手を離してしまったが、それと同時に彼女も床に力なく座り込んでしまう。

 

「どうしたんだよ?」

 

「全部思い出したのよ・・・。私のせいであこと燐子があんなことになってしまったことを・・・・」

 

「何も知らなかったんだからお前のせいじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

「違うの・・・全部私のせいなの・・・。私のせいでみんな・・・!!」

 

 

 

 

「友希那?お前・・・」

 

「私が悪いの・・・。そのせいでリサも・・・」

 

その言葉と共に友希那はその場で泣き出してしまった。

普段の彼女からは全く想像できない姿に弦太朗もどうすればいいか分からず困惑してしまうが、とりあえず彼女を彼なりに宥め始める。

 

「大丈夫!!必ず見つけてみんな助けるからな!!わりぃのは今回の犯人だからお前は悪く・・・」

 

「そうじゃないの・・・今回の犯人は・・・」

 

「おい・・・。誰か分かってるのか・・・?」

 

友希那は今回の犯人が分かっている様な口ぶりに思わず聞いてしまった弦太朗だったが、そんな彼に彼女は泣きながら答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の犯人は私の・・・私のお父さん・・・」

 

「なっ!?何言ってんだよ!!なんで・・・」

 

このタイミングで友希那がこんな嘘をつく訳がないことは分かっている弦太朗だったが余りにも信じられない言葉に思わず声を挙げてしまう。

そんな彼に友希那は手に持っていたスマホを突き出すと弦太朗は目の色を変える。

 

「それってリサの!!何でお前が!?」

 

「お父さんのCDを仕舞ってる場所に入ってたの・・・」

 

「親父さんのCD・・・?」

 

「お父さんは昔プロで・・・。リサのスマホと・・・この部屋に1枚しか無い筈の物が2枚あって・・・」

 

「もしかしてリサもそれが分かってたのか・・・」

 

「じゃないとCDもスマホもここにあるわけないじゃない・・・!!」

 

その言葉と共に彼女は盛大に泣き出してしまい、それを見た弦太朗は部屋を出ようとする。

しかし、その足を友希那は力なく掴んだのに気が付くとその足を止めてしまう。

 

そしてそのまま友希那が泣き止むのをそのままの状態が続き、泣き止んだと思った弦太朗だったがそこに友希那の思いもよらない言葉が飛び出す。

 

 

「今回は何もしないで・・・」

 

「何言ってんだ?」

 

「これは私とお父さんの問題だから・・・」

 

「でも・・・」

 

「私の親友が・・・バンドメンバーが酷い目に会って・・・それをしてるのが私の大切なお父さんで・・・しかも私の好きな音楽を使ってるのよ・・・」

 

「・・・」

 

「なんでも出来るあなたに・・・・・・!!音楽しかない私の気持ちが分かる!?」

 

「全く分かんねぇ!!」

 

友希那は弦太朗に怒りの感情をむき出しにして声を荒げるが、弦太朗の答えを聞いて彼女は怒りは増し更に声を荒げて彼に食って掛かる。

 

「だったら・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「お前には音楽だけじゃねぇ!!リサ達がいるだろ!!」

 

「っ!?」

 

「それにリサ達だけじゃねぇ!!お前の周りには沢山のダチがいんだろ!!」

 

声を荒げていた友希那は弦太朗のセリフに言葉を失ってしまう。

そんな彼女を見て弦太朗は言葉を続けていく。

 

「それに俺はなんでも出来るわけじゃねぇ・・・。勉強だって苦手だし、絵も上手く描けねぇ!!」

 

「・・・あなた何を言ってるの?」

 

「この世に完璧な人間なんて1人もいねぇ・・・互いに支え合って生きていくのが人生ってゲームだ」

 

「・・・」

 

「それに今の俺もみんなに助けられてるしな・・・」

 

「何を言ってるの・・・?」

 

そんな状況でマグフォンから着信音が鳴り響き、友希那は驚いたような表情を浮かべるが弦太朗は笑いながらそれを手に取って画面を見せるとそこには有咲の名前が写っていた。

 

 

 

 

 

 

「な?言ったろ?今も助けられてるって?・・・もしもし?」

 

『如月!!香澄が紗夜先輩達を見つけたんだよ!!リサさんもいた!!』

 

「マジか!!それでどこだ?」

 

『dubだ!!蘭ちゃん達が言うにはみんな無人のステージに視線を向けて話を聞かねぇみたいだ!!』

 

「・・・天校の時みてぇにライブするつもりか?」

 

『それは分かんねぇけど・・・とりあえず行ってこい!!』

 

「あぁ!!」

 

その言葉と共に弦太朗は通話を切ってマグフォンをしまって友希那を見ると彼女は足をから手を離したのを確認するとそのまま部屋を飛び出そうとするが友希那がそんな彼へと声を挙げる。

 

 

 

 

 

「待ちなさい!!」

 

「なんだよ?」

 

友希那が呼び止める声に弦太朗は足を止めて振り返ると、彼女を見ると予想外の言葉が飛び出した。

 

「私も連れて行きなさい・・・」

 

「何言ってんだよ!!さっきまでふらついてたじゃねぇか!!」

 

しかし、そんな弦太朗に友希那は先ほどとは打って変わってしっかりとした足取りで立ち上がると彼の腕を掴む。

 

 

 

「私がお父さんを止めるわ・・・」

 

「は?どうやって・・・」

 

「決まってるじゃない・・・音楽には音楽・・・私の歌で止めるのよ・・・」

 

「マジで言ってんのか?」

 

「当り前じゃない。それにあこと燐子は私のせいなのだから・・・」

 

友希那の目は真剣そのものでふざけている様子など全く無いのを察するが弦太朗はどうしようかと考えてしまうが、無理にでも着いてきそうな雰囲気を察して早々に彼が折れた。

 

「しゃあねぇ・・・行くぞ」

 

「えぇ・・・」

 

そうして2人で家を出ると家の前に停めていたバイクに弦太朗が飛び乗るとその後ろを慣れない様子で友希那が乗ろうとしながら話しかけてくる。

 

 

 

「如月。聞きたいことがあるのだけれどいいかしら・・・?」

 

「なんだ?」

 

「あなたがさっき言ってた「この世に完璧な人間なんても人いない」って言葉だけれど・・・あれは誰が言ったの?」

 

「仮面ライダーの先輩だけど・・・それがどうかしたのか?」

 

「あなたらしくないと思っただけよ?じゃあ私は自分の言葉で言うわ・・・」

 

なんとかバイクの後ろに乗った友希那は弦太朗にしがみ付きながら誰かの言葉を借りずに自分の言葉で彼へと問いかける。

 

「あなた。Roseliaに・・・・・・いえ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湊 友希那()にすべてを賭ける覚悟はある?」

 

「おう!!ダチの為ならな!!」

 

友希那の問いに弦太朗は答えると同時にスロットルを全開にして紗夜達がいるdubへとバイクを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 




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歌・姫・独・唱-14 センジョウ×ノ×ウタヒメ

投稿です。

ここでようやく申し訳程度のバンドリ要素が入ります。
要素が薄いって?
数%でも入ってたら入ってるんや!!(暴論



 

有咲が弦太朗達へと連絡した直後、dubの前には香澄達が立っていた。

 

「それにしてもどうすっかな・・・」

 

「巴・・・そう言って何でそんなストレッチしてるの・・・?」

 

「もう・・・次に中入るのは如月くんが来てからだよ?それにしても香澄ちゃんもよくここだって分かったね・・・?」

 

「なんとなくここかな~って頭の中で思ったの!!」

 

「その髪の毛ぴくぴくしてたもんね・・・?どうなってるんだろう・・・」

 

「香澄の猫耳レーダー!!すげーな!!」

 

「巴ちゃん!!猫耳じゃないよ~!!」

 

 

 

 

 

「あれ?この状況おかしいって思ってるの私だけ・・・?」

 

緊張感など欠片も無く和気藹々とした様子で話している姉と先輩達を見て一緒にいた明日香はその様子にツッコむが誰もそれに答えない。

 

そんな空気に戸惑っていた彼女だったが、そんな空気の中でバイクのエンジン音が近づいてくるのに気が付くとすぐにそちらへと視線を向けた。

 

「あっ!!如月・・・先輩?」

 

「アレ?ウシロニイルノッテ・・・?」

 

 

 

 

「あ!!友希那先輩もいる!?」

 

「遅くなったな!!」

 

「戸山さん・・・それに美竹さん達もいたのね?」

 

「それで・・・弦太朗のバイクの後ろに乗ってまで?湊さんは何しに来たんですか?」

 

「ソレニ、ユキナセンパイハイツマデソウシテイルンデスカ?」

 

「えっ?何でそんな口調になってるの・・・?」

 

「そうね・・・とりあえず降りるわね・・・」

 

友希那はバイクから降りようと足をあげたが―――

 

 

 

「ふぎゅ・・・」

 

「おい!!大丈夫かよ!?」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

 

 

 

 

「友希那さん・・・痛そう・・・」

 

「・・・今、湊さん尻から落ちたよね?」

 

「あぁ、コント見てぇに綺麗に堕ちたな・・・」

 

「コントなら大丈夫やね・・・?」

 

「りみちゃん・・・そうなの・・・?」

 

 

 

 

「はぁ・・・」

 

可哀そうなものを見るような目で先輩達を見ている明日香だったが、その視線の先では友希那が何事もなかったかのように立ち上がっていた。

 

「如月・・・」

 

「おう。ちょっと中行ってくるわ」

 

「ねぇ?湊さんも行くの?」

 

「えぇ・・・事件の原因だもの。ケジメくらい自分でつけるわ」

 

「ケジメ・・・?それってどういう・・・?」

 

「なんかよく分かんないけど・・・私達は待ってるね!!」

 

 

「ありがとう戸山さん・・・」

 

「なんかよく分かんないですけど・・・なんかあったら呼んでくださいよ?」

 

「えぇ・・・あこもだけど、必ず連れ戻してくるわ・・・」

 

後輩たちの視線を受けて友希那は弦太朗を引き連れてそのままdubへと入っていくが、中に入るとそこは人で溢れかえっていた。

 

「こんなに・・・沢山・・・」

 

「なぁ、2階に客席あったよな?」

 

「そうね・・・普段は関係者席として使ってたはずだから、そっちになら空いてるかもしれないわね・・・」

 

溢れかえっていた人たちを避けて弦太朗達は2階の客席にむかうと、そこには誰もおらず2人は下のフロアを覗き込む。

フロアにいた全員が楽器をセットしてあるステージへと視線を向けており、その中には彼らがよく知る人物の顔も含まれていた。

 

 

 

「リサ・・・紗夜・・・あこ・・・燐子・・・!!」

 

「日菜達もいるな・・・」

 

「それにリサのベースをステージに置いておくなんて・・・見せつけてくれるわね・・・」

 

「でも、あの様子じゃリサたちのとこに行けねぇぞ・・・って友希那?どしたんだ?」

 

「如月・・・」

 

「おう!!」

 

友希那の意図が分かった弦太朗はドライバーを装着して構えると手早くスイッチを叩くその姿を友希那は見守っていた。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

 

「変身・・・!!」

 

弦太朗はそのままフォーゼへと変身するとドライバーのスイッチを交換するが、起動することなくフロアを見下ろし続けていた。

 

 

 

「来たわね・・・お父さん・・・」

 

「やぎ座の野郎・・・出やがったな・・・!!」

 

友希那とフォーゼが視線を向けていたがステージにはカプリコーンが舞台袖から現われると、フロアから歓声が挙がる。

勿論リサたちも歓声を挙げていたことに友希那は一瞬だけ顔を顰めるが、そのまま彼女はフォーゼへと向き直る。

 

「如月・・・覚悟はできたかしら・・・?」

 

「おう・・・そう言うお前はどうなんだよ・・・」

 

「当然よ?・・・それなら・・・行くわよ!!」

 

そう言った友希那をフォーゼが抱えあげると客席を駆け出して―――

 

「宇宙・・・来たぁああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に2階から飛び降りるとバックパックを操作して、リサ達がいるフロアを飛び越えてステージの上へと降り立って並び立つ。

突如としてステージ現れた友希那へとカプリコーンが声を発した。

 

 

 

 

 

 

「何をしにきたんだい・・・?友希那?」

 

「・・・っ!!」

 

「友希那!!」

 

やはり分かってはいたが、自身の父親が事件の犯人であることを実際に突きつけられたことに驚いてしまった。

そんな彼女へとフォーゼが声をかけるとすぐに我に返ってカプリコーンを睨みつける。

 

「何って・・・邪魔しに来たわ・・・」

 

――――ビートON――――――

 

「ほらよ・・・」

 

「えぇ・・・」

 

 

 

 

「・・・」

 

真っすぐな目でそんなことを言われたカプリコーンは驚いた様子を浮かべるとフォーゼがその横でドライバーのスイッチを入れると友希那にマイクを投げると彼女はそれに視線を送ることなく右手で掴みとる。

そしてフォーゼの左腕と友希那の右腕が同時にカプリコーンへと突きつけられる。

 

 

 

 

 

 

 

「Roselia湊友希那・・・」

 

「仮面ライダーフォーゼ・・・!!」

 

「「対バン張らせてもらうぜ(わ)!!」」

 

「・・・」

 

2人の宣言を聴いたカプリコーンは言葉は無く、代わりにギターの演奏で2人に応える。

その演奏は音楽に疎いフォーゼから見ても圧倒的な演奏、そしてフォーゼも聞いた覚えのあるその曲のメロディーに友希那は顔を顰めていた。

 

「この曲って・・・」

 

「”LOUDER”・・・でも・・・!!」

 

尊敬する父親と同じステージに立っている友希那だが、そこに喜びなど微塵も存在しない

あるのは父への悔しさだけだが、それでも彼女は歌い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「”裏切りは暗いまま”・・・」

 

圧倒的な演奏を前にして完全に呑まれてしまい、最初の威勢など消え去ってしまい歌いだしにも関わらずそこで彼女の歌は止まってしまう。

それに関わらずカプリコーンはフロアの熱狂を受けながら演奏を続けていく。

 

「無理よ・・・。私じゃお父さんを超えられない・・・」

 

「おい!!友希那!!しっかりしろ!!お前がリサ達を取り戻すんじゃねぇのかよ!!」

 

「・・・」

 

圧倒的な演奏、リサ達がいない事で心が弱り、”歌う資格なんて無い”という歌詞に心が折れた友希那。

カプリコーンの演奏の中でフォーゼが友希那に話しかけるが、しかし彼女は呆然としており言葉は返ってこない。

それを見かねたフォーゼは突如として彼女の背中に叩いて叫ぶ。

 

「難しい事考えんな!!お前の気持ちを真正面からぶつけてやれ!!」

 

「難しいことは考えない・・・。私の気持ち・・・」

 

普段なら意味が分からずに首を傾げるところだが、今の心が折れた彼女にはその単純さ過ぎる言葉が刺さる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうね・・・。考えるのはやめにするわ・・・」

 

フォーゼからの単純すぎたその言葉は再び友希那の心に火を着けた。

彼女は再びマイクを構え直してカプリコーンへと視線を送ると再び歌いだす。

 

「”Louder…! You're my everything ”」

 

「・・・!!」

 

――コズミックON――――――――

 

「行け!!友希那!!」

 

再び歌いだした友希那だったが、そこには先ほどまるで別人のような姿にカプリコーンが呑まれていく。

それを見たフォーゼはコズミックスイッチをドライバーに装填して起動する。

 

友希那の横でフォーゼがコズミックステイツへと変身すると、ビートからの友希那の歌が今まで以上に力強く会場へと響き渡り、それがカプリコーンの演奏を呑み込んでいく。

 

「”あなたがいたから私がいたんだよ No more need to cryきっと  

 

 

 

 

 

 

 

 

Feel alive… ”」

 

「・・・」

 

そして演奏が終わると会場全体が静まり返り、ステージ上の誰もが動かない。

 

 

 

 

 

自分ではダメだったのか・・・?

 

「友希那!!」

 

「湊さん!!」

 

「「友希那さん!!」」

 

 

 

「リサ・・・!!みんな・・・!!」

 

しかしそんな気持ちはフロアから聞こえてきたリサ達の声によってかき消される。

リサと紗夜はステージへとよじ登り燐子とあこを引き揚げると友希那達の元へと駆け寄ってくるとフロアから声が挙がり始める。

 

 

 

「おぉ~友希那さんたちじゃないですか~」

 

「おねーちゃー--ん!!」

 

「ってモカ!!そんなこと言ってる場合じゃないよ~!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

 

 

 

「よく覚えてないのだけれど・・・いつの間にRoseliaはライブ中にヒーローショーなんてするようになったの?」

 

「あれってきさ・・・ムグゥ!!」

 

「ロック静かに・・・!!」

 

リサ達を皮切りにして次第にフロアにいた客たちが正気へと戻っていく。

しかし、それに友希那は目もくれずステージ上でカプリコーンとのにらみ合いが続いていたのだった。

 





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作者が夏休みになったので3~4日間くらい失踪します。


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歌・姫・独・唱-15 親娘

投稿です(予約

次で完結・・・完結!!




 

フォーゼを引き連れた友希那とカプリコーンがステージ上で向かい合っていたらフロアからステージの上にRoseliaのメンバーがステージへと挙がって友希那の元へと集まってくる。

 

 

「What's・・・?」

 

ごくごく一部の観客以外が状況が呑み込めていない静まり返っていた会場でカプリコーンがギターの弦を弾くと音符がそのままフォーゼの元へと飛んでいく。

 

謎の音符を目にしてチュチュの声を挙げ、フォーゼは身体でそれを受け止ると身体から火花が飛び散る。

 

「きゃ!!」

 

それ自体ではコズミックステイツになっていたフォーゼへとダメージ与えることは無かったが、その火花に燐子が驚きの悲鳴を挙げると事態が一変した。

 

 

 

 

 

 

「「「きゃあああああああああああああああ!!」」」

 

「あれヤバくない!?」

 

「誰か潰れちゃうよ~!!」

 

演者であろうRoseliaのメンバーがこの演出に声を挙げるなんてことはない。

それが目の前の火花に悲鳴を挙げた光景に観客は一気にパニックになると同時にカプリコーンはどこからかダスタードを1体出すと客の足元へと爆弾を投げさせてそのパニックを煽る。

 

 

その光景を前にして客は一目散に出入口へと殺到するがdubのキャパは約1000人。

そのほぼ全員が一斉に出入り口に殺到すれば人波に潰されて怪我をするのは誰の目からでも明らかだったがそう思った瞬間に外から扉が開かれる。

 

「みんな!!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「落ち着いてください!!大丈夫ですから!!順番に外にでてください~!!」

 

 

 

 

 

 

 

「嘘っ!?香澄!?」

 

「それに美竹さんに羽沢さんも・・・」

 

「でも!!」

 

「くっそ!!せめてニンジャさえなんとかなりゃ・・・!!」

 

扉を開けたのは香澄と蘭

その扉の先ではつぐみが大声を張り上げて客を外へと誘導しようとしているが、何も知らない観客からしたら急に火花が挙がり、爆発物を投げつけてくる素顔の見えない危険人物が後ろから迫って来ている。

 

こんな状況でパニックが簡単に収まる訳もない。

 

せめてダスタードだけでもなんとか出来ればなんとかなるかもしれないと考えたフォーゼ。

しかしカプリコーンがどう動くか分からない状況で動き出せないでいたが、そんな状況でもダチと運は彼を見捨てなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として2階席の扉が開くと1つの人影が先ほどのフォーゼ同様に何かがフロアへ向かって飛び降りてくる。

 

「ソイヤ!!」

 

「おねーちゃん!?」

 

「あこ!!無事か!?」

 

その影は巴はダスタードの肩を蹴りつける。

蹴られたダスタードは機材のスピーカー1つを巻き込んで盛大に吹き飛ばされるがすぐに立ち上がって巴へと向かっていった。

 

「巴!!お前どうして・・・!?」

 

「あこが襲われてジッとしれられる訳ないだろ!!こっちは任せとけ!!」

 

しかし、会話しながらも突っ込んできたダスタードの腹部へと前蹴りを食らわせるとダスタードは再び飛ばされると同時に持っていた刀を床に落とし巴はそれを蹴り飛ばす。

 

その光景を見て状況が分かる観客の一人が動いた。

 

 

 

 

「みんな~!!巴ちゃんが変な人やっつけてくれるから大丈夫だよ~!!ほら彩ちゃんも!!」

 

「チュチュ!!行くよ」

 

「No!!Roseliaがいるのに帰れないわよ!!」

 

「早う!!」

 

「ちょっとレイヤ!!ロック!!離しなさいよ~!!」

 

このタイミングで日菜が声を挙げると、流石にアイドルで生徒会長である彼女の言葉はパニックになっている客の耳にも届いたのか先ほどによりもパニックが収まると、日菜は一緒にいた彩も使って客をどんどんと外へと出していく。

若干1名ほど帰ることを拒んだが、それも力技によってそのまま引きずり出されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

そして巴もダスタードとの戦いをフロアから場所を変えてしまったようで会場にはカプリコーンと友希那達のみが残された。

 

「ここまでよ・・・お父さん・・・」

 

「えっ!?」

 

「えぇ~!!」

 

「湊さん!?どういうことですか!?」

 

友希那の言葉にリサを除いた3人は驚きの声を挙げるが、それを気にすることもなくカプリコーンはスイッチを切る。

そこには若々しい見た目をした男性が一人立っていた。

 

「やっぱり・・・友希那のお父さん・・・」

 

「友希那とリサちゃんはなんで分かったんだい?」

 

「アタシはまりなさん・・・知り合いのCD聞いてもしかして・・・って思ったけど・・・」

 

「私がお父さんの演奏を分からないなんてあり得ないわよ」

 

「でも、湊さんのお父さんは何故こんなことを・・・?」

 

「・・・」

 

友希那とリサの言葉を聞いて納得したような表情をした友希那の父に対して、なんとか落ち着いた紗夜がその動機について質問をする。

しかし、その問いに関しては少しだけ言いにくそうな表情を浮かべて無言を貫いていたが父を見て娘は動機を確信した。

 

「それは私のせいね・・・」

 

「友希那さん!?」

 

「それって・・・どういうことですか・・・?」

 

「なんでそうなるんですか?」

 

 

 

 

友希那の発言の意味が分からない。

そんな表情を浮かべていた彼女達だったがそんな事を気にすることなく友希那は自分の考えを口にする。

 

「お父さんは昔、プロで活動していたけれど・・・すぐにあることがきっかけで引退してしまった・・・」

 

「それは友希那さんが前に話してたから知っていますけど・・・?」

 

「好きだった音楽でプロになって辞める・・・私には考えられないけれどそれはとても辛い筈よ・・・」

 

友希那の言葉を聞いたが、イマイチ理由が分かっていないあこと弦太朗は首を捻っていた。

しかし、その言葉を聞いて理由を最初に推測したのは燐子だった。

 

 

 

 

 

「・・・もしかして、その挫折の苦しみを友希那さんに知ってほしくないから・・・?」

 

「傷は浅いうち・・・プロになる前に音楽から湊さんを遠ざけようとした・・・そういう事でしょうか?」

 

「友希那、最近はバンドリの順位で思い詰めてたからね。それを見たからそう考えてRoseliaで一緒に音楽してるアタシ達をってことだと思うけど・・・?」

 

「今の私ならRoseliaが無くなれば音楽を辞めると思った・・・そうよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・よく分かったね」

 

無言を貫いていた友希那のお父さんだったが、友希那達の言葉を聞いて遂に口を開いた。

しかし、その言葉を聞いても友希那は眉1つ動かさない。

そんな彼女を見て彼は語りだす。

 

「音楽が大好きなのはわかっている・・・

だからこそ友希那にはその大好きな物で傷ついてほしくないという親心だよ・・・」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「お父さん・・・」

 

友希那達も好きな物で傷ついた経験はある。

それを自分その道のプロだった人によって言われたことによってその言葉の重みと彼の言葉は紛れも無く本心からのものであるのを感じて友希那達も言葉を失ってしまう。

 

 

「・・・でも!!」

 

「あこ・・・?」

 

「確かに音楽とかバンドで辛いこともあったけど!!でも・・・友希那さんや紗夜さん達と音楽が出来て!!あこ楽しかった!!もっとみんなとバンドしたい!!」

 

 

 

しかし、その言葉を真っ先に否定し始めたのは最年少のあこ。

彼女の真っすぐな言葉を受けて一緒にいた彼女達もその言葉に釣られてか自分の思いも吐き出していく。

 

「あこちゃん・・・私もだよ・・・」

 

「宇田川さん・・・そうですね・・・」

 

「紗夜~。もうちょっと素直に言いなって~」

 

「なっ!?今井さん・・・!!」

 

そんな彼女達の言葉を聞いて友希那は笑みを浮かべて彼女達に視線を送るとすぐに父親と向かい合う。

 

 

「お父さんの言う通り、確かに辛いことも沢山あった・・・でも、どんな時だってこの5人で乗り越えてきた・・・」

 

「次は乗り越えられないかもしれない・・・」

 

その言葉に話を聞いていたあこ以外のメンバー達はの表情は暗くなるが、言われている本人はその言葉を言った父親へとはっきりと言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、私達は折れない・・・。この5人でRoseliaであり続ける限り・・・」

 

「友希那・・・」

 

「それに今は“友達”やら”友情”とやかましい男が一緒にいるもの・・・」

 

そう言って友希那はフォーゼへと視線を向けるがフォーゼはその友希那の言葉に不満がある様に声を挙げた。

 

 

 

「おい!!友希那!!もうちょっと・・・こう・・・言い方あるだろ!!」

 

「本当の事じゃない・・・」

 

「まぁ、間違ってないよね~」

 

「うん!!」

 

「そうですね・・・」

 

「全くもう少し緊張はないのかしら・・・?」

 

 

 

一気に友希那以外は一気に緊張感が無くなってしまったが、

カプリコーンはその中にいる自分の娘の成長に一瞬だけ嬉しそうな表情を浮かべるとスイッチを押し、友希那の目の前でカプリコーンへと再び変身する。

そしてストラップを掛けることなくギターをその手に掴んでいたが、それを見ても友希那は全く怯むことなく目の前の光景を見据えていた。

 

「だけど・・・娘が傷つくくらいなら喜んで娘に嫌われるよ」

 

「こっからはタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

フォーゼはその言葉と共に即座にカプリコーンの背後にワームホールを生成してその中へカプリコーンへと突っ込んで消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月・・・お父さん・・・」

 

「友希那さん!!やりましょう!!」

 

友希那が寂しそうに呟くとそれを見てあこが声を挙げたと思えばステージにあったドラムへと移動するとそれを見てリサと燐子も釣られるように自身の楽器の元へと向かっていく。

 

「あこ?あなた何を考えて・・・」

 

「友希那さんのお父さんに今のRoseliaの音楽を聴いてもらいましょう!!」

 

「ですが、この場にいませんし、それにギターがありません・・・」

 

「紗夜~それならあそこにお誂え向きなギターがあるよ?」

 

そうしてリサが指さしたのはフロアに落ちていたギターケースだった。

先ほどの観客の誰かの落とし物だろうそれは誰かに踏まれるようなこともなくその場に残っていた。

 

以前も学園祭で日菜のギターを借りてライブをしたことはあるが、それとは明らかに状況が違う。

困惑する紗夜だったがリサ達3人の視線が刺さる。

 

「氷川さん・・・」

 

「・・・仕方ありませんね」

 

そうして紗夜は1度ステージから降りてギター拾ってステージへとまた上がるとそれの状態を確かめるように1度弦を弾く。

 

「問題ありません」

 

「ですがどの曲を・・・?」

 

「友希那?」

 

「そうね・・・”Song I am."よ・・・あこ。カウントお願い」

 

「はい!!」

 

友希那の言葉を聞いてあこがカウントを取る。

そして5人は無人のフロアを前にしてこの場にいない人たちへと向けて演奏を始めるのだった。

 

 

 

 





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ダスタードvs巴?
巴がきっと〇が如くのようなヒートアクション連発しまくってるよ・・・


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歌・姫・独・唱-16 "BRAVE JEWEL"は砕けない

Roselia篇・・・完!!
さらば、Roselia・・・

本編でのメインは終わりだけど、彼女達の出番はまだありますので・・・
許してクインティプル☆すまいる
ということで投稿です


 

「ここは・・・!?」

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

フォーゼはカプリコーンをワームホールへと押し込んでそこを抜けると、見たことのない採石場のような場所へと移動しており、自身の視界に広がる光景に驚きを隠せないカプリコーン。

 

そんなカプリコーン目掛けてフォーゼはブーストモードのバリズンソードをフルスイングで叩きつけて吹き飛ばす。

その間にビートスイッチを切ってからバリズンソードを変形させてカプリコーンへと斬りかかるがカプリコーンはギターで受け止めて鍔迫り合いになるとフォーゼは叫ぶ。

 

 

 

「これ以上あいつらの邪魔はさせねぇ!!」

 

「これが友希那の為なんだ・・・」

 

「なに言ってんだ!!」

 

「プロの・・・音楽の世界は友希那が思っている以上に醜いものだ。だからプロになる前に音楽から離れたほうがいい。これが親として娘に出来ることなんだ・・・」

 

カプリコーンは鍔迫り合いの最中でギターを鳴らすと2人を巻き込んで爆発が起こり、土煙が舞い上がる。

 

至近距離の爆発で自身もダメージが入るが、それ以上に不意の攻撃に動揺すると考えていたカプリコーンへと土煙の向こうから突如として腕が伸びて顔面へと突き刺さるとそのまま後ずさりする。

 

「ぐぅ!!」

 

 

 

「俺には親の気持ちってのはよく分かんねぇけど・・・。親が子供の夢を踏みにじっていいもんじゃねぇだろ!!」

 

「・・・子供には分からないことだ!!」

 

殴り飛ばされるとカプリコーンはギターを再びかき鳴らすと五線譜が伸びてフォーゼを拘束する。

動けなくなったフォーゼをカプリコーンは一瞥するが―――

 

 

 

「うらぁああああああああ!!」

 

「なに・・・!?」

 

「おらぁぁあああああ!!」

 

「ぐわっ」

 

フォーゼが力任せにその拘束を引きちぎったことに驚きを隠せずに声を挙げてしまう。

以前と比べて完全に能力を使いこなせていると感覚的に理解しているカプリコーンだったが、それにも拘らずいともたやすく拘束が破られた。

そのことに固まっていたところへと再びカプリコーンの顔面へとフォーゼの拳を叩きこまれて地面へと転がっていく。

 

「まだだ・・・!!」

 

「・・・・・・」

 

地面を転がったカプリコーンだったが転がっていた状態でギターをかき鳴らして、1つの音符をフォーゼへと向けて飛ばす。

 

それを見たフォーゼはその音符を避けることなく受け止めると今まで以上に爆発がフォーゼを包み込んだ。

 

しかし、その中でフォーゼが爆発によってよろけるがダメージを受けていないかのようにカプリコーンへと駆け出していく。

それを見たカプリコーンは五線譜を飛ばすが今度はそれをソードによって切り裂かれてしまい、足止めにすらならなっておらず思わずカプリコーンは呟いてしまう。

 

 

 

「効いてないのか・・・」

 

「あんたの音楽はさっきの友希那に比べても、全然(ここ)に響いてこねぇんだよ!!そんなもんが効くわけねぇねぇだろ!!」

 

フォーゼはソードを投げ捨てながらカプリコーンへと駆け出す。

そしてフォーゼがその勢いのまま殴りつけるとそれに答えるようにカプリコーンもフォーゼへと拳を振るう。

その拳をフォーゼは避けることもせずに受けるとそこから2人は互いにノーガードで殴り合いを始める。

 

 

 

 

 

ノーガードでの殴り合いを始めたが、すぐにカプリコーンが耐え切れなくなる。

徐々にカプリコーンの拳の回数が減っていき、フォーゼの渾身の拳によってそのまま殴り飛ばされてしまう。

 

殴り飛ばすのと同時にフォーゼのドライバーからベルのような着信音が響くとレーダースイッチを入れて、通信を受ける。

 

 

 

 

「悪ぃけど、もうちょっとだけ付き合ってもらうぜ!!」

 

「何を言って・・・」

 

――――ビートON――――――

 

フォーゼは先ほど切ったはずのビートを再び起動するとそこからは流れてきた音にカプリコーンは戸惑いを隠せずにいた。

 

「これは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

『集めた 本当の”歌う意味”を』

 

「そうだ!!これが・・・友希那達の歌だ!!」

 

ビートから流れ出したのはレーダーの通信によって送られてきている友希那達の曲。

その曲を聞いてカプリコーンは完全の静止して頭を抱えだすが、フォーゼはそれに追撃することはなく音楽を聴かせ続ける。

 

『―――私達が在る為の未来へと  振り返らず、迷わず、進むわ Shout to the top!』

 

「これが友希那達の・・・」

 

「・・・」

 

カプリコーンが呟くがフォーゼは答えることはない。

フォーゼもこの音楽を聴いていて答える事が出来なかったのだがそれにカプリコーンは気が付くことはない。

 

『―――義務じゃなく自分の意思のみで I sing a song. 羽ばたくよう』

 

 

通信越しにも関わらず、友希那達の歌はカプリコーンの心を揺さぶっていた。

 

それに比べて自分の先ほどまでの曲は能力だよりで彼女達のような音楽とは程遠いもので、だから先ほどの友希那1人の歌で人々が正気に戻ったことを理解するとそのままその場に膝を突いて崩れると同時に気が付いた。

 

 

自身の考えが間違っていた。

今の友希那()はどんな状況でも仲間と立ち向かっていける―――

 

それを今の曲を聴いてカプリコーンは理解する。

 

『―――強く、熱く、届けよ 果てまで Louder!!!!!Louder!!!!!』

 

「友希那・・・」

 

「相変らずすげぇな・・・」

 

曲が終わり、2人の呟きだけが響く。

その中でゆったりとカプリコーンは立ち上がると、突然フォーゼへ向かって走り出して大振りの拳を振り上げるとフォーゼはそれを真正面から食らった後に一気に後ろへと飛びのくがそのままカプリコーンは追いかけてくる。

 

「・・・」

 

「こうなりゃ・・・仕方ねぇ!!」

 

フォーゼはドライバーからコズミックスイッチを抜き取って向かってくるカプリコーンを見ながらソードへと装填する。

 

―――リミットブレイク―――

 

 

「ライダー・・・超銀河・・・!!」

 

ソードからの音声を聞いてフォーゼもソードを構えてカプリコーンへ向けて駆け出していく。

互いに駆け出してすれ違う寸前にフォーゼが必殺技の名前を叫ぶがカプリコーンの行動にその言葉が止まってしまう。

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ・・・!!」

 

カプリコーンはギターを振り上げたと思ったらフォーゼが横に振り抜こうとしたソードの刀身へと自ら飛び込んでその身体で攻撃を受け止め、それに驚いたフォーゼはソードを振り抜けず胴体に刃が刺さった状態で止まってしまった。

 

 

「な・・・!?」

 

「ぐぁぁ・・・!!」

 

カプリコーンはそのまま自身の身体を刀身へとめり込ませていく。

その光景にフォーゼは戸惑うが痛みに声を挙げているのを見て、全てを察したフォーゼは仮面の奥の顔を歪ませながら一気に腕に力を入れて叫ぶ。

 

「・・・超銀河フィニィィィィッシュ!!」

 

 

 

その言葉と共にソードはカプリコーンの身体を切り裂くとそのままカプリコーンは大爆発を起こし、中から友希那の父がその場に倒れこむのを見たフォーゼはすぐさま倒れた友希那の父へと駆け寄るとその体を起こす。

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

フォーゼが声をかけるとそれに少し後れて友希那の父が意識を取り戻す。

 

 

 

「君は・・・そうか・・・」

 

「あんた・・・最後に何であんなことしたんだ?・・・いや、それだけじゃねぇ。さっきのステージの時も俺へ攻撃も全然効かないのを出してたし、あれを出しても人に直接攻撃させてなかったよな・・・」

 

「・・・」

 

フォーゼの言葉に言葉を詰まらせていたが、そんな状況でもフォーゼは自分の考えをそのままぶつけていく。

 

「あんた・・・ステージで友希那の歌を聴いた時から迷ってたんじゃねぇか?」

 

「・・・どうしてそう思ったんだい?」

 

「あんたの攻撃・・・前にCiRCLEで戦った時よりも全然力が入ってなかったしな」

 

「・・・音楽は出来ても演技はダメみたいだね」

 

そう言って立ち上がると友希那の父だったが途端にふらつき始める。

 

「おいっ!!大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ。君は早く友希那達の元へ行くと良い・・・」

 

「でも、あんた・・・」

 

「大丈夫だよ。それに、友希那への謝罪の言葉も考えないといけないからね・・・」

 

そう言って歩き始めてしまうがすぐにバランスを崩して倒れかけるが、そこにフォーゼが肩を貸すようにその体を支えるとすぐに変身を解除する。

 

「謝る言葉を考えるのは手伝えねぇけど・・・肩位なら貸すぜ・・・?」

 

「なら、そうしようかな・・・」

 

こうして弦太朗は友希那の父に肩を貸してゆっくりと街へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カプリコーンを倒して数日が経った―――

弦太朗はとある人物に呼び出されて羽沢珈琲店に足を運んでいた。

それはいいのだが―――

 

「リサ、何でお前がいるんだ?」

 

「まぁ~気にしない気にしない~☆」

 

「それになんか視線を感じる気がするんだけど・・・気のせいか?」

 

「気のせいでしょ?考えすぎだって!!」

 

「珈琲・・・お待たせしました・・・」

 

弦太朗は何故か横にいるリサへと理由を尋ねるが、彼女はその質問を聞き流して冷たいつぐみの視線を浴びるとそのまま視線を逸らしてしまう。

 

 

 

 

 

 

「(まぁ・・・紗夜達と商店街組のみんながいるんだけどね~)」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

リサの視線の先には紗夜達の他にも沙綾とはぐみとますきの3人がこちらを覗き込んでいた。

つぐみ以外にも沙綾と何故か紗夜の視線がリサへと突き刺さるが彼女はあえてその視線を無視することを決める。

 

 

 

 

「そういえば、2人がいなくなった後5人で演奏したんだよ~☆」

 

「香澄の電話越しだったけど聴いてたぞ?」

 

「あ~誰もいないと思ったけど、香澄がいたのに気が付かなかった・・・。まぁ、あの1曲やった後に全員体力の限界だったんだけどね~」

 

「そうだったのか?まぁ、なんにせよ・・・今回は特に被害出て無くて良かったな」

 

「今回、冷静に考えたら友希那のお父さんはギター弾いてただけだしね~。でも、何で香澄と友希那は何ともなかったんだろ?」

 

「香澄は分かんねぇけど友希那は親父さんのギターだったからじゃねぇか?・・・」

 

「被害出したって言ったら弦太朗達の方が被害出してるよね~?モールの店の壁ぶち抜いてるし、巴もdubの物壊しまくってたからね~」

 

「あ~・・・。まぁこころのとこの人がなんとかしてくれたから大丈夫・・・だよな?」

 

「ん~どうだろうね~」

 

弦太朗がリサの言葉に不安を感じ始めるのと同時に店の扉が開かれる。

 

 

 

 

 

「あっ!!友希那!!」

 

「それに友希那の親父さんも一緒だな・・・」

 

「待たせたみたいだね・・・」

 

「あら?何でリサがいるのかしら・・・?」

 

「なんかたまたま来たら弦太朗がいたから話してたんだよ」

 

「そうだったのね・・・」

 

現われた湊親子が弦太朗達と同じテーブルに着く。

そしてリサいる意味が分からなかった友希菜だったが、彼女の嘘にまんまと騙されてしまった。

 

「でも、友希那はお父さんと仲直り出来たんだ~」

 

「えぇ・・・」

 

「如月くん・・・だったかな?君のお陰だよ。ありがとう」

 

「いえ・・・それなら良かったっす・・・」

 

「おや、あの時みたいな口調ではないんだね?」

 

「いや、あの時は戦った時のテンションだったって言うか・・・」

 

「私は別に構わないけれどね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「なっ!?」」

 

「!?・・・風紀が乱れる匂いがします・・・!!」

 

「あこちん?どういうこと?」

 

「う~ん・・・りんりん、分かる?」

 

「2人にはまだ早いことだから・・・」

 

「これは・・・面白れぇことになって来るぞ・・・」

 

友希那の父から出た言葉に働いていたつぐみと覗き見していた沙綾と何故か紗夜までが驚きの表情を浮かべて、その理由が分からないあこ達を雑に言いくるめた燐子を見てますきはニヤニヤし始めていたが、ますきの言葉通り事態は徐々に面白い方向へと走り始めていく。

 

 

 

「そういえば君は楽器は出来るのかい?」

 

「前に元プロだったダチの親父さんに教えてもらったことが・・・」

 

「その人の名前は・・・?」

 

「神宮って言うんすけど・・・」

 

「!?・・・そうだったのか・・・」

 

「あなた。そんな知り合いがいたのね・・・」

 

「へぇ~。弦太朗って色んな人と知り合いだよね~」

 

「友希那達も親父さんに練習見てもらったらどうだ?」

 

「・・・参考にするわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかお見合いみたいになって来てんぞ?」

 

「確かに、はぐみも前にテレビで見たよ!!」

 

「「おっ・・・お見合い!?」」

 

「つぐちんとさーや息ピッタリだ・・・」

 

「ダメですダメです!!そんなものは絶対に認められません!!」

 

「氷川さん・・・?」

 

覗き見している彼女達が盛り上がり始めたところで、弦太朗達は珈琲を飲んで一息ついていた。

そんな中で友希那の父は娘に視線を向けて話し始める。

 

「・・・そろそろ友希那も音楽と猫以外にも興味を持ってもらいたいんだけどね?」

 

「あの~それってどういうことですか・・・?」

 

「そうだね・・・リサちゃんみたいにオシャレとかでもいいし・・・後は・・・」

 

そう言って少しだけ考えるような素振りを見せると視線を弦太朗へと向けると特大級の爆弾が落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「例えば・・・恋愛かな?」

 

その言葉を聞いてリサが机に手をついて勢いよく立ち上がって声を挙げる。

 

「「「「ダメ(です)!!」」」」

 

「うぉ!?紗夜達、お前らいたのかよ!?」

 

ここでリサ以外にも遂に我慢の限界になってしまい紗夜と沙綾とつぐみの3人が弦太朗達のいる机へと詰め寄っていく。

 

 

 

 

「弦太朗!!どういうこと!?説明して!!」

 

「こんなの許せないよ!!如月くん!!」

 

「そうです!!絶対に認められません!!」

 

「お前らいきなり出てきたと思ったら、急に何言ってんだ!?」

 

 

 

 

「はぐみ知ってるよ!!これが兄ちゃんの漫画に載ってた”はーれむ”ってやつだ!!」

 

「えぇ~!?そうなのりんりん!?」

 

「えぇっと・・・どっちかと言えば修羅場じゃないかな・・・?」

 

「だぁはははははは!!腹いて~!!」

 

乗り込んだ3人とあたふたし始めた弦太朗に他の覗き見メンバーはそれぞれの反応を見せていた。

それを見た友希那の父は目の前の光景を見てリサに視線を向ける。

 

「どうやら彼はとてもモテるみたいだね?ところでリサちゃん・・・もしかして君もなのかい?」

 

「いや~。今のところはそんな気は無いですね~。バンドがありますからね」

 

「今のところ・・・ね?」

 

「まぁ、どうなるかなんて分かんないですしね~」

 

「それもそうだね・・・。ならどうして止めたんだい?」

 

リサが先ほど声を挙げて止めた理由が分からず、思わずその理由を聞くとリサはとある人物を指差すとそれに釣られてその指差された先の人物へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?これ美味しいわね・・・」

 

 

 

「今の状況を見ても、全く状況が分かってないんですよ?心配でそれどころじゃないですよ・・・」

 

「これは・・・流石に・・・」

 

リサが指さした先には今の状況が理解できておらず、いつの間にか注文していたタルトを首を傾げながらも頬張っている友希那の姿があった。

 

「・・・?・・・そうだわ、折角だからこの後5人で練習するわよ?」

 

「「どこで教育を間違えてしまったんだろう・・・」」

 

ただ1人だけ今の状況が分かっていない友希那はこの後に練習することを提案し始める。

その光景に友希那の父とリサは同時に頭を押さえて呟いてしまうが、その声は2人以外は誰も聞いておらず、今回の事件は多大な影響を与えたが結末は一部を除いてはひっそりと幕を下ろすのだった。

 





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前話の紗夜さんが拾ったギターですが、カプリコーンのを使う案がありました。
でも、カプリコーン氏からギター奪ったら何が残るか分からなくなった結果、没になりました。

次章予告:パスパレorハロハピ
小ネタ中に決めておきます・・・
モブに12使徒させたくないので考えます()


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オマケ時空篇9 女子力()の使い方
本・編・裏・側-2 やぎの鳴く頃に―――


小ネタ投稿です
1発目は3章での裏であった出来事です。




 

~~~小ネタ30:やぎの鳴く頃に~序

 

―――Poppin'Partyの場合

 

「一旦、休憩にしよっか」

 

「ありさ~お腹空いた~」

 

「私も・・・有咲、おやつある?」

 

「お前らなぁ~!!」

 

「私、お菓子持ってきたよ~」

 

蔵での練習中、沙綾が休憩を提案するとギター組が有咲におやつを強請るがりみがニコニコしながらお菓子を持ってきたことを告げるとギター組が子供のように喜び始める。

 

「んじゃ、お茶取ってくるか~」

 

「私も手伝う~」

 

「だったら私も・・・」

 

「私はちょっとだけギター弾いてるね」

 

「・・・・・・えへへ~」

 

そして3人は蔵から出るとたえはギターを弾き始めるのを横目に沙綾がソファーへと移動すると自身のスマホを取り出して1枚の画像を見つめると気味の悪い笑い声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女が見ていたのは先日、弦太朗とデートに行った際に隠し撮りした写真。

デート前とデート中とデート後にちょっとした?問題はあったが楽しかった思い出に浸る。

 

しかし、たえはそんな沙綾を気にする様子もなくギターを弾き続けていた。

 

「はぁ・・・」

 

深いため息とともに沙綾はソファーに横になっていた。

 

「えへへへへへへへへ・・・・・・」

 

画像を見ていた沙綾だったが徐々に笑いと共におかしくなっていく。

 

「げんたろ~」

 

何を思ったか沙綾は自身のスマホにキスをすると狭いソファーの上で器用にゴロゴロし始める。

その横ではたえのギターが激しくなっていくが沙綾も気にする様子はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうなってんだこれ・・・?」

 

「沙綾ちゃん?」

 

「おたえすっごーい!!」

 

それからわずかな時間がたった後、3人が蔵へと戻ってきたがそこには奇妙な光景が広がっていた。

 

 

「ぐへへへへへへへへへへへへへへ・・・・・・!!」

 

ソファーの上でジタバタしつつ時折自身のスマホにキスを降らせる沙綾と、その横で歯ギターを始めているたえ。

 

「・・・とりあえず3人でお菓子食べよっか・・・?」

 

「そうだな・・・特に沙綾のあれは見なかったことにしてやれよ?香澄」

 

「よく分かんないけど分かった!!」

 

そんな2人を見て3人はそっと蔵からありさの部屋へと場所を移して現実逃避のお菓子をむさぼり始めるのだった。

 

 

 

―――Afterglowの場合

 

「今度のライブであれやりたい!!最後にみんなで飛ぶ奴!!」

 

「アタシはドラム持って飛べないぞ?」

 

「何で巴も飛ぶつもりなの・・・?」

 

「でも、ともちんならできそー」

 

 

「ふふっ、みんなお父さんがサンドイッチ作ってくれたよ~」

 

「わーい」

 

羽沢珈琲店で集まっていた彼女達は今度のライブでの演出について話していた。

そんな中でつぐみは店主である父が作ってくれたサンドイッチと共に珈琲をテーブルに置いていた。

「みんな~やろ~よ~!!こうやってライブの最後にジャンプしよ~よ~!!」

 

「ひまり、流石にご飯の前でやめなよ」

 

「綺麗にしてるけど服の埃が飛んじゃうからね・・・」

 

「モカちゃんは気にしないけど~」

 

そんな5人はいつも通り話していたが徐々におかしな方向になっていく。

 

「そんなに飛びたいならひーちゃんだけでやれば~。ダイエットになるかも~」

 

「どうやったらいいかな~こうかな?」

 

「それならもっと勢いつけてとんだ方がよくないか?ライブの最後でやるんだろ?」

 

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

巴が何故かひまりの提案に乗り、ひまりが喫茶店の中でピョンピョンし始め、それを見て満足気な表情でモカが自分の持ってきたパンを貪り始める。

 

ひまりが跳ねると同時に彼女の暴力的な胸部も跳ねる。

 

最初は何も思ってなかった蘭とつぐみ。

しかし、次第にひまりの跳ねるのが激しくなっていくとそれと同時につぐみは目の前で暴れるひまりの胸部にイライラし始めたのに加えて、流石に喫茶店の中でこれ以上暴れさせる訳にもいかず怒りと共につぐみがひまりを止めようと彼女の肩へと手を伸ばす。

しかし、その手は肩ではなく、彼女の胸部を鷲掴みにしてしまったがひまりはそれでも止まらない。

 

 

「モカ・・・?どうしたの・・・?」

 

「それになんかモカ達も変じゃないか?」

 

「・・・・・・」

 

 

心配そうに蘭達が声を挙げるが、ひまりの胸を鷲掴みにしたままつぐみの怒りが頂点に達した。

 

「巴ちゃん!!蘭ちゃん!!このおっぱい・・・じゃなかった、ひまりちゃんを縛り上げるよ!!」

 

「つぐ!?」

 

「早く!!」

 

「まぁ様子も変だし、これ以上は店の迷惑になるしな・・・」

 

「これは弦太朗関係かな・・・?じゃあ、つぐみはモカの事よろしく」

 

「とりあえず、簀巻きにしておくか・・・」

 

つぐみの怒りに逆らえず巴と蘭はそのままひまりを簀巻きにするとそのまま床へと転がしておくのだった。

 

 

 

―――Pastel*Palettesの場合

 

「彩ちゃんのダンスって・・・こんな感じかな?」

 

「日菜ちゃんすごい!!」

 

 

 

 

「2人ともちゃんと休まないとダメよ?休むのも仕事よ?」

 

たまたま予定の合ったパスパレは事務所のレッスンルームで自主練を行っていた。

そして休憩中にも関わらず彩のダンスを真似る日菜を微笑ましい目で見始めていた。

 

 

「ヒナさん流石です!!ブシドーを感じます!!」

 

「日菜さん流石の体力ですね」

 

「もう2人とも・・・」

 

「ここで彩ちゃんがバク転なんてどうかな?」

 

「えぇ~無理だよ~」

 

派手なパフォーマンスを提案する日菜に困り顔をする彩だったが、なんだかその様子がどんどん可笑しくなる。

 

「こうババっと!!いいんじゃないかな!!」

 

「るんって来た!!」

 

 

 

 

 

「2人とも・・・?そろそろ練習しましょ?」

 

「るんるんるんっ♪」

 

「あやや~!!」

 

 

 

 

 

 

「彩さんのその鳴き声は一体・・・?」

 

「チサトさんの言葉を無視するなんて・・・」

 

「イヴちゃん?それってどういう意味かしら?」

 

「あの・・・それよりもなんか変じゃないですか?」

 

2人は怒りの混じった千聖の声を聞く様子もない。

千聖は怒りが増していくが、麻弥の言葉を聞いてその怒りが一気に引いたが、それと同時に2人は暴れるように踊り出した。

 

「やっぱり変ですよ!!」

 

「彩ちゃん!?日菜ちゃん!?」

 

 

 

 

「あっアヤさん!!」

 

千聖が慌てた様な声を挙げると、ここで彩が床に落ちた自身の汗に足を滑らせて転んでしまった。

 

「きゅ~・・・」

 

「彩ちゃん!!・・・転んで気絶してるわね・・・」

 

「あっ!?日菜さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

「るるるるるるるるん!!」

 

「日菜ちゃん待ちなさい!!イヴちゃん追うわよ!!麻弥ちゃんは彩ちゃんお願い!!」

 

「はい!!もしかしたら如月さんの関係かもしれないので連絡してみます!!」

 

気絶した彩を麻弥に任せてイヴを連れて千聖は外に出て行った日菜を追いかけ始める。

自身の携帯とバガミールの通信を使って弦太朗へと連絡を取ろうとする麻弥。

その外では―――

 

 

「るるるるるるるるん!!」

 

「イヴちゃん!!化粧で誤魔化せるくらいなら怪我させてもいいわ!!事務所から出る前に日菜ちゃんを止めて!!」

 

「承知しました!!ヒナさん覚悟!!」

 

早々に体力の限界を迎えた千聖はイヴに指示を出すと、イヴはどこからか竹刀を取り出して日菜を全力で追い始めるがその動きは常人には再現不可能な域に達していた。

 

 

 

 

階段を飛び降りる、事務所の机の上を飛び移るのは朝飯前。

更に人の肩を足場にし、挙句の果ては天井を蹴り、壁を足場に事務所内を疾走する。

 

 

その光景を何を思ったのか事務所のスタッフたちが撮影してパスパレのSNSへと投稿すると―――

 

 

芸能界の闇―――

若者の人間離れ―――

最終兵器アイドル―――

アイドルマッスル―――

 

 

そんな言葉が飛び交い、パスパレのSNSがめっちゃバズった。

それを正気になった彩が見てめっちゃくちゃ凹んだのは別の話。

 

 

 

―――RAISE A SUILENの場合

 

「やべぇやべぇ!!遅刻しちまった!!スマホ忘れるなんてな・・・」

 

バイクでチュチュのスタジオへと向かっていたますきだったが、途中でスマホを忘れたことに気が付いて取りに戻ったらすっかり練習開始の時間に後れていた。

謝る言葉を考えながらスタジオに入るが―――

 

「わりぃ遅くなった・・・ってどうしたんだ?」

 

 

 

 

「マッスーさん助けてください!!」

 

聞こえてきたのはパレオの言葉とスタジオ内で暴れるレイヤとロック。

そしてその中で一緒にヘドバンをしていたチュチュの姿があった。

 

「どうなってんだこりゃ・・・?」

 

「私が来たらこうなってたんですよ~!!」

 

「う~ん。まぁ、チュチュも中にいるならいいだろ?流石に外の機材ぶっ壊したら大変だかんな・・・」

 

「ですね・・・。あ・・・これってもしかして如月さんの・・・?」

 

「電話してみっか」

 

ますきはその言葉を聞いて弦太朗へと電話を掛けるが出ない。

何度も何度も掛けるが出る気配はない。

 

「あいつ出ねぇな・・・。そういえば昨日モールで暴れたって沙綾から聞いたけどまだ寝てんのか?」

 

「どうしましょう!?」

 

「アイツの家知ってんの。アタシとレイ・・・後Afterglowのボーカルだけだしな・・・。仕方ねぇからアタシが叩き起こしに行くか・・・。パレオは悪いけど・・・」

 

「はい!!チュチュ様達はお任せ下さい!!」

 

「ならちょっと行ってくるわ!!」

 

そしてますきはスタジオを飛び出すと自身のバイクに跨って弦太朗の自宅へと走り出すのだった。

 

 

 

 

―――Morfonicaの場合

 

「これはどういうことかしら・・・?」

 

「分かんないよ・・・」

 

ましろと瑠唯は時間ピッタリに七深のアトリエにやってきた。

それはいいのだが・・・

 

「なんで七深ちゃん達はあんなに興奮しながら楽器を弾いているの・・・?」

 

「今来たばかりなのだからわからないわ。とりあえず私達も練習しましょう」

 

「えっ?この状態で・・・?」」

 

「時間が無駄になってしまうわ。早速2人で合わせましょう」

 

「うぅ・・・うん・・・」

 

瑠唯は3人を放置してましろと音合わせを始める。

しかし、そんな状況でましろは集中できるわけもなく、弦太朗達からの連絡が来るまでモヤモヤしながら練習を続けるのだった。

 

 

―――ハロー、ハッピーワールド!の場合

 

「空でライブしたから今度は海の中よ!!」

 

「たのしそー!!」

 

「儚い・・・」

 

「クラゲいるかな・・・?」

 

 

 

「いやいや、流石に無理でしょ・・・」

 

こころのいつも通りの暴走に花音も好きなものを思い浮かべ始める。

そんな光景にいつも通り美咲は頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

~~~小ネタ31:やぎの鳴く頃に~巡

 

―――ラス&モニの場合

 

「チュチュ様~どこですか~!!」

 

「透子ちゃーん・・・七深ちゃーん・・・つくしちゃーん・・・」

 

「ダメですよ!!もっと大きな声出さないと!!」

 

「あっ・・・はい・・・」

 

探し始めたはいいものの、年下であるパレオからのダメ出しにましろは意気消沈していた。

そんなましろを怖い表情でますきが見詰めていた。

 

「可愛いな・・・」

 

「佐藤さん?あなた何をいってるんですか?」

 

「お前もあれくらい可愛げがありゃな・・・」

 

「本当に何を言ってるんですか?」

 

「そんなんじゃモテねぇぞ?」

 

 

 

 

「・・・・・・余計なお世話です」

 

「ん?・・・ほ~」

 

いつもならすぐに反論してくるはずの瑠唯がますきの指摘に一瞬言葉を詰まらせた。

当然このわずかな変化をますきが見逃すはずがなく、突如としてニヤニヤし始める。

 

「なんでしょうか?」

 

「いや、瑠唯も可愛いとこあんじゃねぇか」

 

「どういうことですか?」

 

「あれだな。相手は弦太朗のダチって言ってた男だな?」

 

「・・・私も倉田さん達と探しますので」

 

瑠唯は早々に話を切り上げてましろ達の元へと歩き出す。

しかし、その耳は赤くなっているのをますきは見てしまった。

 

「ったく、可愛くねぇな・・・もっと素直になりゃいいのによ・・・」

 

そう呟くとますきも3人に加わって自身のバンドの仲間たちを探し始め、有咲からの報告が来るまで誰も見つけることが出来なかった。

 

―――ハロー、ハッピーワールド!の場合

 

「みんなどこかしら~?」

 

「ふふっ・・・子猫ちゃん達はどこだろうね?」

 

彼女達は屋敷を出ると4人(・・)で街へ向けて歩く。

早々に早速1人いなくなっていた。

 

「あれ?かのちゃん先輩がいないよ!?」

 

「えっ!?この短時間でどこいったの!?」

 

「おやおや、しょうがないね・・・」

 

「それじゃ、花音を探しに行きましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ~!!みんなどこ~!!」

 

開始早々に迷子になった花音。

そんな彼女を探すためハロハピは早々に戦線を離脱するのだった。

 

―――アフグロ&ポピパの場合

 

「う~ん・・・どこかな?」

 

「モカと沙綾ならパン屋ってイメージあるけどいないからな・・・」

 

「うん。朝にチョココロネ買ったけど、その時にはもういなかったよ?」

 

「ちょっとお姉ちゃん!?どこ行くの?」

 

「なんかこっちにさーや達いそうな気がする!!」

 

「は?どういう・・・?」

 

「とりあえず香澄ちゃんに着いて行ってみよ?」

 

 

突如として歩き出した香澄。

彼女は鼻で何か匂いを嗅ぐような仕草を見せると時折、星の形の髪が猫耳のようにピクピク動き出す。

 

「もう恥ずかしい・・・」

 

「明日香ちゃん・・・。香澄ちゃんなりに頑張ってるからね・・・」

 

「あんなお姉ちゃんが恥ずかしい・・・!!」

 

りみが明日香を慰めながら歩くと、次第に彼女達の周りに人が増えていく。

 

 

 

「なぁ、なんか人多くなってないか?

 

「ほんとだ・・・」

 

「ねぇ・・・あれってdubだよね・・・?」

 

「とりあえず行ってみよっか?」

 

 

 

 

 

 

「いたー-------!!」

 

香澄の後を追いかけようとした蘭達だったが、ここで香澄の声が響く。

どうやらお目当ての場所はdubだったようで、彼女達も驚きの表情を浮かべていた。

 

「えっ!?ホント!?」

 

「香澄の奴、すげーな!!」

 

「う~・・・喜んでいいのかどうか・・・」

 

「明日香ちゃんしっかりして?」

 

「りみ、先行くよ?」

 

「うん。私は有咲ちゃんに連絡しておくね?」

 

 

りみはすぐに有咲へと電話を掛けて場所を伝えるとすぐに香澄達へと合流する。

そして弦太朗が来る頃には明日香はいつも通りに戻るが、すぐに先輩達の残念な姿と羨ましい光景を前に呆れた表情とカタコトになってしまうのを彼女はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

~~~小ネタ32:やぎの鳴く頃に~暴

 

巴はダスタードを連れてフロアの外まで移動した。

移動したはいいものの―――

 

「大見得切ったはいいけど、どうすっか・・・」

 

 

彼女はどうしようか悩んでいた。

以前のように蹴り飛ばしてもいいが、その後に逃げられる事を考えるとそれも躊躇してしまう。

 

そう思っていたらダスタードが刀を持って巴へと走り出していた。

 

「危なっ!!」

 

しかし、巴もそれを危なげなく躱すとそのままダスタードの手を蹴り上げる。

宙に刀が舞うとダスタードがその刀に視線を向けたように見えた巴はその無防備な腹を蹴り飛ばす。

 

「あこ達に近づけるわけにはいかねぇからな・・・」

 

ダスタードはそのまま壁まで飛ばされると刀はそのまま床に突き刺さるのを気にすることなく、巴はダスタードへと歩み寄るが、その足は聞きなれた声によって止まってしまった。

 

 

 

「離して・・・!!」

 

「ひ~ちゃ~ん!!」

 

「ひまり!?モカも何やってんだ!?」

 

「入口が渋滞してたから、七深ちん達と隠れてたんだよ~。そしたらひーちゃんが~」

 

「分かった!!モカは隠れてろ!!」

 

悲鳴の先では蹴り飛ばしたのとは別のダスタードがひまりの腕を掴んでいた。

事情を説明するとモカは巴の言葉に従ってそそくさとカウンターの裏へと隠れる。

 

「くそっ!!ひまりを離せ!!」

 

 

 

 

「巴ちゃん!!」

 

「香澄・・・?」

 

「後ろ!!」

 

 

「おらっ!!」

 

声を挙げるもひまりを離す様子はない。

そんな状況で先ほど蹴り飛ばしたダスタードが背後に迫っていたが、香澄がその事を伝えると振り向くこともなくにダスタードへと肘打ちを食らわせると振り返った勢いのまま殴りつける。

 

そこで思いがけない事態が起こる。

 

「きゃああ!!」

 

「・・・ひまり!!」

 

突如として現われた3体目のダスタード。何を思ったのかは分からないが、ひまりの腕を掴んでいたダスタードと共に彼女がが邪魔だと言わんばかりに、突如として突き飛ばす。

 

2体に突き飛ばされたひまりはそのまま床に尻もちをついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時にその光景を見た巴の中で何かが切れた。

 

「いった~!!」

 

「・・・」

 

「うそ!?」

 

「えぇぇぇぇええええええ!!」

 

ひまりの声を聞いても巴は無言になると、フロアに置いてあったソファーを軽々と持ち上げてダスタード達に歩み寄っていく。

 

「おらぁ!!」

 

そしてその怒りをぶつけるようにソファーをダスタードへと振りかぶると1体のダスタードへと直撃するとそのまま床へと倒れて動きが鈍る。

それを見た巴は今度はソファーを頭の上へ持ち上げると―――

 

 

「ソイヤっ!!」

 

 

倒れているダスタード目掛けて渾身の力で振り下ろすとダスタードの頭部と叩きつぶし、塵となって消えると共ソファー自体も粉々に砕け散る。

 

2体になったダスタードが巴から距離を取り、巴も動けるように構えていたが外野から彼女を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

 

「巴ちゃん!!これ!!」

 

「まりなさん!!」

 

「まりなさん!?それギターですよ!?」

 

まりながそう言って巴へ向けてギターを投げた光景に驚きの声を挙げた香澄。

巴もそれを受け取ったはいいが、流石にどうしていいか分からず困惑してしまった。

 

そんな困惑しているのを見たからかダスタードは刀を持って駆け出してくる。

 

「巴ちゃん!!それ使って!!」

 

「使えって言っても・・・」

 

「それはパフォーマンス用のギターだよ!!」

 

「パフォーマンス用?何が違うんですか?」

 

まりなの言っていることが分からない一同、代表してつぐみが質問するとそれにまりなが答えた。

 

「要するにステージの上で壊すパフォーマンスをするためだけのギターだよ!!」

 

「・・・それなら!!」

 

 

破壊するパフォーマンスの為だけに作られたギター。

そうと分かると、先ほどまでの戸惑いが嘘のようにそのギターをダスタードの足元へ向けてフルスイング。

 

それよ避けきれずにダスタードが2体とも倒れるが、そのうちの1体はすぐに立ち上がろうとしていたがその前ではギターのネックを持った巴がバットの要領でギターを振りかぶっていた。

 

「シャァァアアアア!!」

 

その声と共に再びのフルスイングが立ち上がろうとしたダスタードの腹部へと突き刺さるとギターと共にダスタードが砕け散るのを見た巴。

 

しかしそれと同時に最後のダスタードが素手で巴に掴みかかってきたのを見て巴もその手を掴んで取っ組み合いが始まる。

 

「こいつ・・・!!」

 

「巴!!離れて!!」

 

「蘭!!」

 

「巴!!今だよ!!」

 

「ソイヤっ!!」

 

蘭の言葉が聞こえた巴はダスタードへと頭突きを見舞うと言葉通りに後ろに下がるのを見た蘭は備え付けてあった消化器をダスタード目掛けて盛大にぶっ放した。

 

突如として視界が封じられてのた打ち回るダスタードを巴が掴み上げるとその勢いのまま投げ飛ばした。

しかし勢いに任せて投げ飛ばした先は普段ならドリンクを扱っているカウンターであり、不運なことにそこにはモニカの面々が隠れていた。

 

「ひぃ!?」

 

「うおっ!?」

 

「電子レンジに頭が嵌まってるよ・・・?」

 

驚いた様子で透子とつくしは急いで離れるが、不幸中の幸いにもダスタードはそこに備え付けてあった電子レンジに頭が嵌まってしまって身動きが取れなくなっていた。

 

それを見て巴が勢いに任せて叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「温めよろしく!!」

 

「はーい・・・これかな?」

 

巴の声に七深が電子レンジのボタンを感覚で選んで押してしまった。

 

「!?!?!!?!?!!?!?!?!」

 

 

 

 

 

「おぉ~」

 

「ちょっとななみ!?何やってんの!?」

 

「ひぃ~!!」

 

七深がボタンを押すと同時に電子レンジから火花が飛び散るのに合わせて、ダスタードがビクンビクンと身体を振るわせ始める。

 

それを呑気に見てる七深に透子はツッコミを入れる横でつくしは悲鳴を挙げる。

 

そして事切れたかのようにダスタードが動かなくなり、塵となって消えるのと同時に電子レンジからは温めが完了したのを告げるチンという不釣り合いな音が響く。

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ふぃ~」

 

一同が目の前の光景に言葉を失っている中で、巴の安堵のため息だけが静かに響くのだった。

 

 

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
・序
最初のカプリコーン暴走時です。
パスパレ人間卒業してんね・・・
・巡
弦太朗が友希那と部屋で二人っきり(意味深)だった時の彼女達
なお、香澄がいれば解決した模様
・暴
巴さん
あなた背中に龍に墨が入ってませんか?
どこの堂〇の龍ですか・・・
これは羽丘の龍ですかねぇ・・・

次の小ネタはバンロリ!!()をお送りします。
犠牲者はリサだ・・・(ロリになるとは言ってない)


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日・常・風・景11 ばんろりっ!

投稿です!!

やっぱりさーくる幼稚園は最高やな!!

そう言えば8/25はリサ姉の誕生日でしたね?
リサ姉の誕生日記念でいっぱい色んな話があがって幸せそうにしてましたね?


私からは絶望をプレゼントしましょう・・・


 

休日の朝早く、弦太朗は羽沢珈琲店で珈琲を待ち合わせの相手を待っていた、

 

「つぐちん。おっは~」

 

「あっ!!モカちゃん!!」

 

「あれ?なんでげんたろーさんがいるの?」

 

「あこ達に呼び出されてな・・・なんかゲームのコラボイベント?ってのがあるらしくて、そこで貰える特典が欲しいんだってよ。でも、モカも朝早くどうしたんだ?」

 

「えっとね~この後、リサさん達と5人で出かけるんだ~」

 

「リサ達?それに5人って誰だ?」

 

「うん。後はつぐちんと~彩さんと~花音さん~」

 

「文化祭の時に5人でバンド組んだんだよ!!それでみんなで遊びに行こうってなったの!!」

 

「なるほどな」

 

 

 

「げんたろーおはよー!!」

 

「おはよう・・・ございます・・・」

 

「おはよ~!!あれっ?如月くん?」

 

互いの目的が分かると2人でカウンターでダラダラとしていると、羽沢珈琲店に続々と人が集まりだして、弦太朗達のグループの最後の1人が現われる。

 

「お待たせしました。日菜離れなさい!!」

 

「ヤー!!」

 

「紗夜さん!!それにひなちん?なんで?」

 

弦太朗達が待っていた最後の1人―――

紗夜が腰に日菜を纏わりつかせた状態で現われるがそれに真っ先にあこが尋ねた。

 

 

「お姉ちゃんと遊びに行きたかったから、ゲームとかよく分かんないけど着いてきちゃった!!」

 

「気にすんな!!俺もゲームの特典?が欲しいっていうあこに着いて行くだけだしな!!」

 

「なら一緒に行っていいよね?お姉ちゃん!!」

 

「仕方ないわね・・・」

 

「わーい!!ありがとー!!」

 

紗夜が折れると日菜は腰から離れて紗夜へと飛び掛かる様に抱き着くがここで彼女達に不幸が襲った。

 

「日菜っ!!きゃ!!」

 

勢いに負けた紗夜はに床へと倒れこむ。

それだけなら良かったのだが、不幸なことに倒れたのは紗夜だけではなかった。

 

「うわぁ!?」

 

飛び込んだ日菜自身もそのまま紗夜と共に倒れるが、その際にゴツンッ!!という鈍い音を店に響かせる。

 

「「・・・・・・」」

 

そして2人仲良く意識を失った。

 

「あわわわわわ・・・・・・!!」

 

「氷川さん・・・!?」

 

「おい!!2人ともしっかりしろ!?リサはどこだ!?」

 

「リサ姉は迷子の花音さん迎えに行ってるからまだ来てないよ~!?」

 

 

「こういう時って冷やすんだよね~?」

 

「氷取ってくるね!!」

 

「リサに連絡するぜ!!」

 

一瞬で騒ぎ出す弦太朗達だったが、とりあえずぶつけた頭をつぐみが持ってきたぶつかり合った2人の頭を氷で冷やすのを見た弦太朗はリサへと電話するために一旦、店の外に出る。

 

頭を冷やし始めて少し経った頃に頭をぶつけた氷川姉妹は同時に意識を取り戻すとむくりと身体を起こす。

 

それに気が付いた彩は2人に声をかけよう歩み寄ろうとするが――――

 

 

 

 

 

 

 

「「うぇぇぇぇぇぇん!!痛いよぉおおおおお!!」」

 

 

 

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

紗夜と日菜が普段では見せないような子供のような泣き声を上げ始め、その光景に彼女達の思考は完全に停止してしまった。

 

「「うぇええええええん!!」」

 

「わわっ・・・!?」

 

「紗夜さん!?」

 

 

 

「・・・2人とも起きたのか?」

 

再び慌て始める彼女達だったがここで外に出ていた弦太朗が店へと入ってくると、紗夜と日菜は弦太朗へと視線を向けると本人たちはこの空気を破壊する特大の爆弾を投下した。

 

 

 

 

 

 

 

「「ぱぱ~!!」」

 

「「「「「はぁ!?」」」」」」

 

「えへへ~~~ぱぱ~~~~」

 

「ひなちゃんずるい~」

 

「どうなってんだ!?」

 

突如として紗夜と日菜が弦太朗へと子供のようにしがみ付く。

 

普段の彼女達――――特に紗夜からは考えられないような行動に目を白黒させている弦太朗を見た彼女達はそれを見て落ち着いていく。

 

「どうなってるの・・・?」

 

「紗夜ちゃんも日菜ちゃんも・・・子供みたいだよ?」

 

「これって・・・2人とも幼児退行してるのでは・・・?」

 

「燐子?なんだそれ・・・?」

 

「えぇっと・・・」

 

言葉の意味が分からない弦太朗に燐子が説明の言葉を考えるとつぐみが分かりやすく説明を始めた。

 

 

「如月くん。簡単に言うと紗夜さん達は頭の中だけが子供に戻ってるんだよ」

 

「んなアホなことあんのか!?」

 

「ぱぱ~!!」

 

「どなっちゃやー!!」

 

つぐみの言葉に弦太朗が声を挙げると怒ったと勘違いした2人が再び泣き叫び始めてしまう、それを見てモカが何を思ったのか紗夜達へと声をかける。

 

「ねぇねぇ~2人とも~?」

 

「おねえちゃん?だぁれ?」

 

「あたしはパパのお友達でモカっていうんだ~。2人に聞きたいことがあるんだ~」

 

「わたしとひなちゃんにききたいこと?」

 

「なぁ~に?」

 

「おいモカ・・・」

 

「まぁまぁ、げんたろーさん。仕方ないじゃないですか~日菜先輩たちの為ですよ~」

 

モカの言葉に耳を傾けた紗夜と日菜の姿を見た途端に彼女はニヤニヤとしながら2人に問いかけた。

 

 

 

 

 

「2人のママってどんな人~?」

 

「「!?」」

 

モカの質問に過敏に反応を示した彩とつぐみ。

そんな2人を全員が無視して紗夜達に視線が向けられると紗夜達が互いを見合って話し始める。

 

「えっとね~やさしいんだよ~!!」

 

「うん。それでたまにかわいいの!!」

 

 

 

 

「それだったら・・・!!」

 

「あや先輩・・・?」

 

2人のざっくりした言葉を聞いて何を思ったのか彩が何かを決心している様子を見てあこが声をかけるが、それに答えることなく彩は2人へと歩み寄っていく。

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも!!私がママだよ!!」

 

「なっ!?」

 

「はぁ?」

 

「えぇ~?」

 

 

 

 

「「・・・?」」

 

流石の弦太朗すら彼女の行動に理解が出来ず、紗夜と日菜以外の全員が彩の宣言に首を傾げる。

 

そんな彩へと無邪気な2人の言葉が突き刺さる。

 

「ちがーう!!ままはこんなへんなひとじゃない~!!ね~おねえちゃん」

 

「こんなざんねんなひとじゃない~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・!!うわぁああああああああん!!」

 

紗夜達の言葉に何を思ったのか泣きながら店を飛び出してしまった彩だったが、誰も彩を追いかけようとしない。

 

「なら~次は燐子先輩ですね~」

 

「りんりん!!頑張って!!」

 

「あこちゃん・・・私は・・・」

 

「ほら先輩から行くのがいいと思います!!」

 

彩が敗れた今、面白がったモカが次の犠牲者に燐子を選んだ。

本人は乗り気ではないが、あこ達の完璧に乗せられてしまい、2人へと歩み寄っていく。

 

「私が・・・ママだよ・・・?」

 

 

 

 

 

「りんりん!!かわいい~!!」

 

「なんか・・・悪いことしてるみてぇだな・・・」

 

燐子が顔を真っ赤にして言う姿にあこは興奮している一方で、弦太朗はそれを目の前で見て気まずそうにしていた。

しかし、そんな事をお構いなしの言葉が燐子へと突きつけられる。

 

「ままじゃな~い!!ね~?ひなちゃん!!」

 

「うん!!こんなバカみたいなおっぱいじゃないよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカみたいな・・・・・・おっぱい・・・」

 

「りんりんもやられちゃった!!」

 

「どうしよう・・・」

 

日菜の何とも言えない理由に流石の燐子も心に傷をおってその場に崩れ落ち、あこが慌てだす中でつぐみは目の前の光景につぐみは必死に頭を働かせていた。

 

 

 

成功した場合は堂々と弦太朗といちゃいちゃ出来るかもしれないが、失敗した時のダメージが余りにも大きすぎる。

 

リスクとリターンと成功する為の方法を必死に考える彼女だったが次の瞬間にその考えは全て無駄になった。

 

 

 

 

「紗夜!!日菜!!」

 

「リサ姉!!」

 

この暗雲漂う羽沢珈琲店の空気を切り裂くようにリサが花音の腕を引いて現われる。

そして彼女は花音を腕を離すと両手を一杯に広げて高らかに声を挙げる。

 

 

「アタシがママだよ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「「おぉ~」」

 

「流石リサ姉!!」

 

 

 

 

 

「「ままっ!!」」

 

流石彼女達の中で1・2を争う女子力の高いリサの言葉。

 

それは先ほどまでの彩と燐子には無い貫禄を感じた弦太朗達からは思わず声が挙がり、紗夜と日菜はリサへと視線を向けると同時に2人は満面の笑みを浮かべると同時に彼女達は一目散にリサの腕の中へと―――

 

 

 

 

 

 

「は・・・?」

 

「へ・・・?」

 

「「まま~!!」」

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?はっ・・・?」

 

「負けた・・・花音さんに・・・負けた・・・?アハハハハ・・・」

 

 

「ふえぇえええええええええええ~~~~!!」

 

「さて・・・みんなに拡散しないと~・・・」

 

2人は腕を広げているリサの脇を縫ってその後ろにいた花音へと飛び込む。

あこと弦太朗はそんな目の前の光景が信じられずに間抜けな声を挙げていたが、その一方でリサとつぐみは花音に負けたという事実に完全打ちのめされて床にへたり込み、花音の悲鳴が響くという地獄のような空気になっていた店内。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも?お行儀よく座って待ってようね?」

 

「「はーい!!」」

 

「お待たせしました!!こちら珈琲になります!!」

 

「わたし、こーひーにがくてのめなーい・・・」

 

「紗夜せん・・・・・・。紗夜ちゃん・・・ちょっと待ってね!!ミルクと砂糖持ってくるから」

 

「わーい!!つくしおねーちゃんありがとー!!」

 

 

意外にも最初に冷静になったのは花音でハロハピで鍛えられた彼女は最初こそ慌てはしたが、こころ達に比べたら可愛いものですぐに元に戻るのとほぼ同じタイミングでアルバイトのつくしが現われて、自身の姉スキルを最大限に使ったことによってそれが終わりを告げる。

 

そんな大活躍を見せてなお、今も姉オーラを纏って紗夜達の相手をしながらもつくしは弦太朗へと声をかける。

 

「でも如月さんも大変ですね・・・」

 

「花音の苦労に比べたら大したことねぇよ・・・。それにしてもつくし、お前すげぇな・・・」

 

「そんなことないですけど・・・それに中身が子供でも見た目は今まで通りだから違和感凄いですね・・・それにつぐみ先輩達も・・・」

 

 

 

 

「サヨ・・・ヒナ・・・アタシガ・・・ママダヨ・・・」

 

「アハハハハ・・・カノンサン・・・ユルサナイ・・・」

 

「バカミタイナ・・・オッパイ・・・」

 

「りんりんもリサ姉も・・・大丈夫?」

 

 

 

 

「今の紗夜先輩達には見せられないから早く移動したほうが・・・。ここは任せてください・・・」

 

「おう・・・」

 

つくし達が店の隅へと視線を移すとそこには未だに立ち直れないリサ達が虚ろな目で虚空を見つめて何かを呟いている姿とそれをなんとかしようと右往左往するあこ見てつくしは弦太朗達へと店から出るように促すと、それに乗って弦太朗は花音たちを連れて店を後にする。

 

 

「まま~おててつなご?」

 

「えぇっと・・・うん」

 

「ぱぱはひなと!!」

 

「マジか・・・」

 

店を出て早々に困った発言に完全に呆気にとられた彼らは紗夜と日菜を挟むように4人で手を繫ぎだす。

紗夜と日菜の中身は子供とはいえ、傍から見たらいい年をした高校生4人が並んで手を繫いでいるという珍妙な光景は周囲の視線を掻っ攫っていくが、花音と弦太朗はその視線から逃げるためにとりあえず商店街から離れて近くの公園まで逃げてきた。

 

無人の公園で紗夜と日菜は目の前の遊具で遊び始めたのを見て弦太朗と花音は仲良く並んで頭を抱えていた

 

 

「でも、この後どうするの・・・?紗夜ちゃん達を家に送ったほうがいいよね・・・?」

 

「なら俺が送ってくぞ?」

 

「うん・・・如月くん。お願いね?」

 

「任せとけって」

 

「もうおうちにかえるの?」

 

「そうだな・・・」

 

「ひなちゃん~もうおうちかえるって~」

 

「はーい!!」

 

弦太朗達の話が聞こえたのか紗夜は日菜呼ぶと2人で仲良く手をつなぎ合い、弦太朗達は公園を出るとその入口で花音と別れようとする。

 

「それじゃ・・・またね・・・」

「おう!!またな」

 

「ばいばい」

 

 

 

 

 

 

「なんでひなたちとままがちがうおうちにかえるの・・・?」

 

「「えっ・・・」」

 

「ぱぱとままけんかしちゃったの・・・?」

 

「喧嘩なんてしてねぇぞ?」

 

「あっ・・・どうしよう・・・」

 

今後の事をどうしようか考えてたが紗夜達を家に送ろうという花音の提案に乗って弦太朗が2人を連れて行こうとするが、日菜の言葉を聞いて固まってしまう。

 

弦太朗と花音が別々の家に帰る。

 

普通に考えたらそれはごくごく当たり前の事なのだが、今の日菜達にとってはそれはとてつもなく奇妙に写る。

 

今の紗夜と日菜は弦太朗と花音を親と誤認している。

そんな2人からしたら親が別々の家に帰るという複雑な家庭でなければあり得ない事が目の前に繰り広げられているのだ。

 

咄嗟の事で上手い言い訳が思い浮かばない弦太朗と花音の元へと救いの手が差し伸べられた。

 

「花音!!弦太朗!!」

 

「こころちゃん!?」

 

「だぁれ?」

 

「えっと私のお友達だよ。でもいつの間に滑り台の上に・・・」

 

そんな2人の前にこころが滑り台の上に颯爽と登場すると滑り台を滑ってから弦太朗達の元へと駆け寄ってくると満面の笑みを浮かべてくる。

 

「話は聞いたわ!!」

 

「えぇっと・・・どこから?」

 

「最初からよ!!」

 

「ふえぇ~・・・!!」

 

「今の紗夜と日菜は花音の子供なのよね!!だったら一緒にいたほうが笑顔になれると思うの!!」

 

「でもどうすんだよ?」

 

「お泊りよ!!」

 

 

 

 

 

 

「おそとでおとまりするの?」

 

「そうなの、ぱぱ?」

 

「そうよ!!みんなで一緒にお泊りよ!!」

 

「「やったー!!」」

 

「それじゃ行きましょう!!」

 

「「わーい!!」」

 

 

 

「ふえぇぇぇええええ~~~~~~!!」

 

2人はそのまま弦巻邸へのお泊りが決定して怒涛の1日はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな出来事があった翌日の朝―――

 

「・・・っう・・・頭が痛い・・・」

 

 

 

「おねーちゃん~zzz」

 

「ふえぇ・・・zzz」

 

「日菜に松原さん・・・?それに私は何を抱えて・・・」

 

 

毛布を頭から被った状態で紗夜は何かに抱き着いた状態で目を覚ましたが、周りは真っ暗で何も見えずに状況がまるで分からない。

 

そんな彼女は起きたばかりなのに花音と日菜の声が背後から聞こえてきたことに違和感を覚えると同時に抱き着いているものにも違和感を感じて被っていた毛布を退かしてその正体を確認した。

 

「なっ・・・!!なっ!!」

 

「zzz・・・」

 

彼女が抱き着いていた物、それは弦太朗だった。

 

訳が分からないが自分は男と一緒に寝てしまい、あまつさえその体を抱きしめているという事実が受け止められない紗夜の顔はみるみる赤くなるがすぐに限界を迎えてしまい―――

 

「いやぁああああああああああああああ!!」

 

「ごほっ!!」

 

その声と共に全員が起きるが弦太朗の頬には真っ赤な紅葉の跡を作っていた。

何とも言えない空気の中でなぜか用意してあった制服に全員が袖を通すと、泊まっていた弦巻邸で日菜だけが別れてそれぞれの学校へと向かう。

その道中に沢山の生徒達の中から先日の被害者1号である彩が現われた。

 

「丸山さん。おはようございます」

 

「あれ紗夜ちゃん?もう大丈夫なの?」

 

「大丈夫?何のことですか?」

 

「何も覚えてないんだ・・・」

 

彩の様子を不思議そうに見る紗夜だったが、とりあえず彩を放置して学校まで再び歩み出すも誰もその後を着いてきていないことに気が付いて彼女は振り返る。

 

「丸山さん?・・・とりあえず学校に行きましょう。ぱぱ、まま」

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

「ん?」

 

「はっ?」

 

「どうしたんですか?」

 

紗夜のおかしな言葉に誰もが視線を向けるが、本人は全くその意味が分かっていなかった。

 

「どうしたんですか・・・?」

 

「紗夜ちゃん?何で如月くんと花音ちゃんの事をパパ、ママって・・・」

 

「・・・?丸山さん、何を馬鹿なことを言ってるんですか?早く行かないと遅刻しますよ」

 

「えっ・・・。私の聞き間違いだったのかな・・・?」

 

「当り前じゃないですか・・・」

 

本当に言っていたのだが、紗夜自身は言ったつもりがなくその圧に彩は負けてしまい聞き間違いという事にしてしまう。

 

訳の分からないことを言われた紗夜は彩を可哀そうなものを見るような視線を向けてから弦太朗達へと視線を送った。

 

 

「ぱぱ、まま、行きましょう」

 

「紗夜ちゃん!!また言った!!」

 

紗夜は完全には治ってなかったらしく、弦太朗と花音の事を”ぱぱ”と”まま”と呼ぶのが全く治っていなかった。

それから少しの間―――

 

 

「ぱぱ、練習行きますよ」

 

「おう・・・」

 

 

 

「まま、ちょっといい?」

 

「ふえぇ・・・うん・・・」

 

「ごふっ!!」

 

「がはっ!!」

 

「グハァ!」

 

 

 

「さーや!!しっかりして~!!」

 

「アヤさん!!チサトさん!!今こそブシドーですよ!!」

 

呼ばれた2人は完全に目が死んで諦めモードに突入していた。

紗夜達が弦太朗達への呼び方が治るまでに数日間、花咲川ではその光景を見た一部の生徒達が保健室の常連になっていく。

 

その一方で羽丘では日菜の様子を見てリサを筆頭につぐみとひまりが保健室の常連になっていたのを弦太朗達が知ったのは紗夜達が完璧に元に戻った時であった。





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小ネタ解説
やっぱりようじょはさいこうだぜ!!

「パレオが2人のままです!!ふたりはパレオが育てて、立派なアイドルにして見せます!!」

という、ママ自白のところに最初はパレオちゃんも入れてたけど風呂敷畳めなくなった・・・
次回描くことがあったら原因描写はカット確定だなこりゃ・・・




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日・常・風・景12 「「「「3438315(紗夜さんは最高)です!!」」」」「もっと腹の底から声を出しなさい!!」

投稿です。

3438315です


 

~~~小ネタ34:氷川紗夜の日常-4

 

 

事件が終わった後日、紗夜はリサの事を呼び出し、ドリンクバーで確保した飲み物を片手にファミレスで向かい合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「それで紗夜~。なんでアタシだけ呼び出したの?」

 

「今井さんにご相談したいことがありまして・・・」

 

「うんうん・・・。それはいいんだけど何でアタシだけなの?」

 

「・・・・・・あまり皆さんに話すことではありませんし、それに今井さん以外は疎いと思いまして・・・」

 

「ゴメン。それだけじゃわっかんないかな~・・・」

 

「お待たせしました~。こちらご注文のポテトになりま~す」

 

「ありがとうございます」

 

「では、ごゆっくりどうぞ~」

 

話の最中に紗夜の前に山盛りのポテトが現われたが、紗夜は何故かそれに手を付けようとしない。

普段の紗夜からはあり得ないそれを見たリサの背筋に冷たい何かが走る。

 

とてつもなく嫌な予感を感じ取ったリサは身構えると紗夜からの言葉を待つ。

 

「とりあえず話してみなよ?」

 

「えぇ・・・実は・・・・・その・・・あの・・・」

 

「ん・・・?」

 

身構えたリサだったが紗夜の様子がおかしい。

もしかして事件の後遺症では?とリサは感じたがそれは誤りだとすぐに理解した。

モジモジし始めたと思えば顔が赤くなり始める。

 

熱でもあるのか?

それともお手洗いを我慢してるのか?

 

そんなことを考えてたリサだったが、決して口に出さずに紗夜の言葉を待っていると絞り出すような声で彼女は話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その・・・えっと・・・如月さんについて・・・」

 

「ん?弦太朗・・・?もしかして勉強について・・・?」

 

「いえ・・・勉強ではなくて・・・」

 

「だよね~。それだったら燐子だし・・・」

 

どうやらリサの考えが違ってたようだ。

でもそうなると運動の何かと考えたが、それだったらあこでも妹の日菜でも問題はない筈―――

他にはRoseliaでは間違いなく料理は1番出来るけど、紗夜が弦太朗に料理なんて想像できないし、あの紗夜が恋愛なんて考えられない―――

 

 

考えるほどに意味が分からなくなってきたリサだったが、とりあえず考えるのはやめて紗夜の言葉を気長に待つ。

そしてリサは落ち着くために手に持っていた飲み物を口に含むと同時に紗夜は話の続きを始めた。

 

 

 

 

「私は・・・その・・・・・・如月さんを愛しているようです・・・」

 

「ブッー---!!ゴホッ!!」

 

「今井さん?どうしたんですか?」

 

「いや~・・・ごめん。ちょっと変な聞き間違いしちゃって・・・。悪いんだけど・・・もう1回言ってくれる?」

 

紗夜の突然の告白にリサは口に含んでいた飲み物を噴き出して綺麗な虹を作る。

流石に聞き間違いだと思った彼女はもう1度紗夜に聞くとまた飲み物を口に入れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「恥ずかしいですが・・・私は如月さんを愛しているようです・・・」

 

「ブッー---!!」

 

聞き間違いではなかった。

リサは再び口から飲み物を噴き出してしまい汚い2つの虹(ダブルレインボウ)を創造してしまった。

その様子に怪訝そうにリサを見詰める紗夜だったがリサは震える手で飲み物を口に運ぶとそれを勢い任せに飲み干してなんとか落ち着きを取り戻すとリサは彼女に問いかける。

 

「うん・・・。それで紗夜はどうしてそう思い始めたの・・・?」

 

「この間起こった湊さんのお父様の事件の時なんですが・・・その時に如月さんに色々してもらって・・・」

 

「アタシは紗夜がお米様抱っこされてるの見たくらいだけど・・・」

 

「お米様抱っこ・・・?何のことですか?」

 

「紗夜が練習の時に弦太朗の肩に担がれてたでしょ?あれのことだよ」

 

「そうだったんですか・・・ふぅ・・・」

 

リサの説明に納得した紗夜は飲み物と飲むが、全くポテトに手を付ける様子もなく話を続けていく。

 

「実はあの後から変なんです・・・」

 

「変・・・?どういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その・・・最初はあの・・・お米様だっこですか?あれ、最初は苦しかったんですが・・・。段々とあの苦しいのが気持ちよくなって・・・その・・・」

 

 

「・・・」

 

「今井さん・・・?コップ落としましたよ・・・?それに頭を抱えてどうしたんですか?・・・まさかまだ後遺症が!?」

 

「いや・・・違うから・・・。絶対に違うからね・・・」

 

「それで・・・これが恋というものなんでしょうか・・・?」

 

「あーうんうん。そうそう・・・」

 

「やっぱりそうだったんですね!!ポテト冷めてしまうので頂きますね」

 

 

突然の告白にリサは手に持っていたコップを落としてそのまま頭を抱えてしまった。

その様子に紗夜は驚いた表情を浮かべるがなんとかリサはそんな彼女に答えるが、紗夜は首を傾げるがすぐにポテトを貪り始める。

 

 

 

そんな彼女を無視してリサは必死に頭を働かせる。

 

―――音楽と猫にしか興味のない友希那

―――匂いフェチと言う扉を開けた燐子

 

そして今、自身に被虐性愛(マゾヒズム)に目覚めたことを告げた紗夜。

 

 

 

Roseliaメンバーの信じがたい現実に頭を抱えてしまったリサだったが、そんな彼女は1人だけ希望を見つけた。

 

「あこ・・・」

 

リサはここで弦太朗と関わってからあこだけは中二病が改善されてきていることを思い出す。

彼が来る前はよく「闇の力が~」と言っていたが、本当に闇の力を目の前にしてからはそのような発言が格段に減っていた。

 

彼女はこの希望に縋るしかなかった。

 

「あこだけはちゃんと育てないと・・・唯一まともな思考のアタシが―――!!」

 

「今井さん、何か言いましたか?すいません。ポテトおかわりお願いします」

 

 

 

あこに希望を見出していたリサだったが、彼女は自身もまた母性愛が暴走していることに全く気が付いていない。

 

現状としてきわめてノーマルな状態で成長中のあこ。

彼女の未来の結末は―――まだ誰も知らない。

 

 

 

~~~小ネタ35:弦太朗のギター特訓・花咲川篇

 

花咲川の生徒会室。

そこでは燐子と紗夜が生徒会の仕事をこなしている横で弦太朗がポピパと共に昼食を取っている中で、ふと紗夜の言葉が響く。

 

「そういえば如月さん。聞きたいことがあるのですが・・・」

 

「ん?なんだ?」

 

「先日、湊さん達と話していた時に「元プロに教わった」と言っていましたが・・・」

 

「っても、本当に少しだけだけどな」

 

 

 

 

「・・・先輩の知り合いにプロの人がいたの?」

 

「そうなの!?」

 

「へぇ~」

 

「お前の人脈どうなってんだよ・・・」

 

 

「グヌヌヌヌ・・・!!」

 

香澄達が驚きの声を挙げる横で沙綾は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてたが、そこでおたえがあることを思い出す。

 

 

「そういえば、前に先輩のギター弾くのを聴くって言ったけど聴いてない・・・」

 

「あの時は日菜さんをバイクで送りにいっちまったからな・・・。その後は色々あったしな・・・」

 

「そうだね」

 

「でも、おたえ達に比べたら大したもんじゃねぇぞ?」

 

 

 

 

 

「だったら私が教えてあげる!!」

 

「なら私も・・・」

 

「香澄!?」

 

「おたえもそれでいいのか?」

 

「グヌヌヌ・・・・!!カスミィ・・・オタエェ・・・!!」

 

盛り上がるポピパ達だったが、ここで彼女達にとって予期しない人物の言葉が耳に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「面白そうですね。私と白金さんも参加してもいいでしょうか?」

 

「紗夜・・・?お前、練習はいいのか?」」

 

「えぇ、ちょうど今日はRoseliaの練習も休みですからね」

 

「あの・・・私、家でゲームを・・・」

 

「白金さん?」

 

「いえ・・・行きます・・・」

 

 

紗夜の必死な顔を見て、燐子はそんな紗夜が可哀そうになってしまい彼女に着いて行くことに決めた。

そして放課後に、彼女達は有咲の蔵へは昼に集まっていた8人が集結して、ギター組による弦太朗の指導が始まった。

 

 

―――香澄の場合

 

「やっぱり、香澄達みてぇには出来ねぇな・・・それでここからはどうやってやるんだ?」

 

弦太朗は昔JKの父親に教わった内容を思い出しながらギターの弦を弾く。

そして、この後はどうするのか香澄へと聞くが―――

 

 

 

 

 

「ここからはね!!じゃーんってやってバーンってやるとね!!キラキラドキドキするの!!それで」

 

「全く分かんねぇ・・・」

 

「如月、香澄が言ってんのはな・・・」

 

「いや、何で有咲は分かるんだよ・・・」

 

「もう慣れた・・・」

 

 

 

結果:香澄語が理解できない弦太朗、有咲の翻訳サポートがあっても理解できなかった。

 

 

 

―――紗夜の場合

 

「このお菓子堅くて袋が切れないです・・・」

 

「燐子先輩、こいつに頼みましょう。ポテト・・・袋切ってくれ」

 

「あっ・・・ありがとうございます・・・」

 

紗夜達の目の前で燐子と有咲達はお菓子を摘まみながら談笑している所でポテチョッキンが跳ね回る。

 

 

 

 

 

「ここどうすんだ・・・?って紗夜?」

 

「・・・」

 

「お~い。こっち見ろ~!!」

 

「ポテェ・・・」

 

 

結果:目の前で動くポテチョッキンに目が眩んでそれどころではない

 

 

 

 

―――たえの場合

 

「おたえ・・・ここなんだけどよ」

 

「そこはね・・・こうやって・・・そうそう、さっきよりいい感じ」

 

「すげーな。おたえ」

 

「ちっちゃい時からやってるし、たまにさーなん達に教えてるからね」

 

「へぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一番問題だと思ってたおたえのやつが一番教えるのうめぇじゃねぇか・・・」

 

「ああすればよかったのね・・・」

 

「氷川さんはそれ以前の問題かと・・・」

 

結果:一番の問題(と思われていた)人物が一番教えるのが上手いことに外野が驚愕した。

 

 

 

 

そして一通り彼女達からギターを教わった弦太朗は一旦休憩に入ることにした。

 

「弦太朗!!今度私がドラム教えてあげるね!!」

 

「沙綾はバンドに店の手伝いで大変だろ?そんな沙綾に無理させるわけにはいかねぇよ。それにドラムなら賢吾―――天校のダチが出来るからやるならそいつに教えてもらうわ」

 

「キィーーーー!!」

 

「沙綾・・・ドンマイ・・・」

 

沙綾がドラムの練習を提案するが「賢吾がいるから」「沙綾も忙しそうだから」という理由で断るが、それを聞いて沙綾はおかしな声を挙げる。

 

そんな中で申し訳なさそうな表情を浮かべた人物たちがいた。

 

「りみに燐子?どうしたんだ?」

 

「えっとね。さっきの光景をお姉ちゃんに送ったんだけど・・・そしたら・・・」

 

りみが話している最中にも拘らず弦太朗のマグフォンが鳴ると弦太朗はその相手を確認することなく電話に出てしまった。

 

「もしもし・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

『ちょっと弦太朗!!どういうこと!?』

 

「うぉ!?ゆり?いきなりどうしたんだ?」

 

電話の相手はりみの姉であるゆり。

連絡してから行動に起こすその電光石火の様な速さにりみを含めた全員が驚愕していた。

 

 

『「いきなりどうしたんだ?」じゃないよ!!なんで弦太朗がギターやってるの!?』

 

「前にダチの親父に教えてもらってな・・・」

 

『そんなこと!!私!!聞いてない!!』

 

「言ってなかったしな・・・」

 

『今度帰ってきたら私とりみの3人で一緒にやるからね!!ギターちゃんと練習しておいてね!!』

 

「おい!!・・・ってもう切れちまった・・・」

 

 

 

 

 

 

「りみ・・・?どういうことか説明してくれるよね・・・?」

 

「牛込さん・・・?」

 

「お姉ちゃん~!!なんでそんなこと言ったの~!!」

 

 

 

「りみは行っちまったな・・・そんで燐子はどうしたんだ?」

 

海外のゆりからの怒涛の電話が切れると沙綾と紗夜の理不尽な怒りがりみを襲い2人によって外へと連れ出されてしまった。

ポピパにとっては沙綾の行動に慣れてしまった為あまり気にしている様子がないことに燐子は驚かずにはいられなかったが弦太朗の言葉ですぐに再起動した。

 

「えっと。先ほどの出来事をあこちゃんに話してたんですけど・・・そしたらそれが何故か日菜さん達にも伝わってしまったみたいで・・・」

 

「燐子ってメールとかだと顔文字使うんだな・・・」

 

そう言って燐子は自身のスマホの画面を見せるとそこにはあことの履歴が表示されていた。

表示されていたのだが、その内容に弦太朗は思ったことをそのまま口に出してしまう。

 

「いえ・・・そこは重要じゃなくて・・・」

 

 

 

燐子が話している最中にも拘らず再び弦太朗のマグフォンが鳴ると弦太朗は懲りずに相手を確認することなく電話に出てしまった。

 

『もしもし!!ゲンちゃん!!今度は羽丘のみんなとやろーね!!』

 

「日菜か?・・・まぁそれはいいけどよ・・・」

 

『後ね、これ話知った時に蘭ちゃんが怒ってたよ?そんじゃー私これからアイドルの仕事にいくから!!バイバーイ!!』

 

彼女もまた台風の如く用件だけ伝えて電話を切ってしまい静まり返る蔵内。

 

 

「とりあえず、先輩」

 

「ん?」

 

「続きしよっか?」

 

「おう!!」

 

「おたえ!!私も一緒にやるー!!」

 

「それなら有咲達も一緒にみんなでやろ?」

 

「燐子先輩どうぞ?私は見てますんで」

 

「分かりました・・・」

 

 

彼らは静まり返った蔵内で、弦太朗は羽丘組とのギター練習から目を背けるためにおたえ達と共に再びギターを弾き始めるのだった。

 

 

 




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小ネタ解説
小ネタ34
3438315です。

小ネタ35
ゲンちゃん本編でギター弾いてたし、そこに楽器してる子達がいたらそうなるよ・・・
いつかは羽丘篇を・・・

今回の小ネタは次回で終わりです!!



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装・備・解・説-S2 帰ってきた男


投稿です!!

装備解説-フォーゼだと思った?
残念!!
でも、メテオは装備がさっぱりしてるなぁ・・・


 

「おいシロ~!!瑠唯~!!遅いぞ~!!」

 

「透子ちゃん早いよ~」

 

「・・・広町さんのアトリエで練習するのにわざわざ商店街に行く意味がわからないのだけれど?」

 

「るいるい~。とーこちゃんは早くつーちゃんに会いたいんだよ~」

 

「あれ・・・?」

 

「シロちゃん?どうかしたの?」

 

Morfonicaの4人はリーダーであるつくしのバイト先であるへと向かっていた。

しかし、その中で瑠唯だけはその行動に意味が見いだせずに不満の声が漏れていたが商店街に見慣れないものがあることに気がついて声を挙げたことを七深は見逃さなかった。

 

七深の声に答えて、ましろは商店街のある店を指差す。

 

「あそこって沙綾さんの店じゃん。どうかしたの?」

 

「いや・・・お店じゃなくて・・・」

 

「あ~、シロちゃんが指差してるのって弦太朗さんのバイクだけど~・・・あれ?もう1台・・・?」

 

「バイクのことはよく分からないけれど、変わった形してるわね」

 

 

 

 

「もしかして・・・」

 

「シロちゃん・・・?」

 

「あっ!!出てきた!!」

 

やまぶきベーカリーの前には弦太朗のバイクと見慣れないもう1台のバイクが止まっていることに気が付くと同時に店の扉が開くと、そこから弦太朗とその後ろにもう1人―――

 

彼女達にとっては懐かしい顔が現われると透子が2人の名前を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~い!!弦太朗さ~ん!!流星さ~ん!!」

 

「おっ!!ましろ達じゃねぇか」

 

「みんな。久しぶりだね」

 

弦太朗と共にいたのは以前にメテオとしてこの地で戦った流星がパンの袋を抱えている姿だった。

そんな彼を見て透子を先頭に瑠唯まで彼に駆け寄っていくと真っ先に瑠唯が流星に声をかける。

 

「お久しぶりです流星さん。でも、どうしてここに?」

 

「あぁ、この前こっちに来た時にここの店のパンを買い損ねたのを思い出してね。それで弦太朗と一緒に買いに来たんだよ」

 

「そうだったんですね・・・」

 

「一緒にって・・・そのバイクで・・・ですか?」

 

「そうだよ。普段はあんまり乗らないんだけど、たまには動かしてあげないね?」

 

「そ~だったんですね~」

 

ここで流星はつくしがこの場所にいないことに気が付くとその事を質問してしまった。

 

 

 

 

 

「そう言えば・・・つくしちゃんはどうしたの?いないみたいだけど?」

 

「つくしちゃんは今、そこの喫茶店でアルバイトしてて・・・」

 

「今から行く予定でしたので、流星さんも良かったらご一緒しませんか?」

 

「そうしたいけど、ほらこれ買ったばっかりだしね?」

 

瑠唯から折角の誘いだったが、流星は買ったばかりのパンの袋を見せる。

ましろと透子の視線が瑠唯に向けられるが彼女自身は全くそれに気が付かない。

 

誘われた流星も常識的に買ったばかりの食べ物を他の飲食店に持っていくようなことは気が引けたため、やんわりと断ろうとするが七深の咄嗟に援護が入る。

 

 

「あそこのお店なんですけど知り合いの先輩の店なんですよ~。そこで食べなければ大丈夫ですよ~」

 

「そうなの?」

 

「えぇ、広町さんの言う通りですよ」

 

「・・・だったらお邪魔しようかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ透子、俺の事忘れられてねぇか?」

 

「弦太朗さん。瑠唯達も久しぶりに会った流星さんの方が気になると思うんすよね~」

 

流星がましろ達へと囲まれて、羽沢珈琲店へと向かう一方で完全に空気になってしまった弦太朗が透子によって慰められてながらその後を追った。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!!・・・って朔田さん!?それにみんなも!?」

 

「こんにちは・・・」

 

「つくしちゃん、久しぶりだね」

 

「はいっ!!あっ・・・すいません。こちらの席へどうぞ!!」

 

アルバイト中のつくしはすぐに流星たちを席に案内すると、その後に弦太朗と透子が遅れて店へと入ってくると、途端につぐみとイヴが挨拶をすることもなく彼の元へと飛んでくる。

 

 

「如月くん!!七深ちゃん達と一緒にいる男の人って誰!?」

 

「あれは俺のダチだな。ちょっと前に透子たちの学校に行ってたんだよ」

 

「あの方からはブシドーとは違いますが何かを感じます!!」

 

「何かって・・・?如月くんと一緒なの・・・?」

 

「あ~・・・」

 

弦太朗はつぐみの質問を聞くが、彼の頭には不意に”メテオの機密保持”という内容が頭に浮かんでしまったために答えられずに言葉を詰まらせていた。

 

そんな様子に気が付いたのか席に着いていた流星がその問いに答えた。

 

 

 

「多分、思ってる通りで間違いないよ。まぁ・・・弦太朗が使ってるのとはちょっと違うんだけどね」

 

「あっ・・・そうだったんですね。でもそういうのって秘密にしなくていいんですか?」

 

「つくしちゃん達も知ってるから、それに弦太朗はみんなに知られて所構わず変身してるだろ?」

 

「あはは・・・」

 

流星はつぐみの質問にあっさりと答えた上に弦太朗の事を言われたつぐみは苦笑いを浮かべている中で不意にましろが声を挙げる。

 

 

 

 

 

「流星さんのあれって、どんなことが出来るんだろ?」

 

「あ~、あの時は色々あり過ぎてそれどころじゃなかったもんね~」

 

「ちょっとみんな・・・朔田さん困ってるよ?」

 

「そう言ってふーすけも気になってんじゃないの~?」

 

「まぁ・・・気になるけど・・・」

 

「私も気になるわね・・・」

 

意外なことに普段は興味を示さなそうな瑠唯も皆に賛同するとモニカの視線が流星に刺さる。

視線に困惑していた流星が弦太朗へと助けを求めるような視線を向けるが、彼はこの場で助けを求めてはいけない人物だった。

 

 

 

 

「流星、少しくらいなら見せてもいいんじゃねぇか?」

 

「おい!!」

 

「えぇ~ダメなんですか~」

 

「ほら、場所もないしね?」

 

「それなら広町さんの家にあるアトリエでいいんじゃないかしら?」

 

「瑠唯さん・・・流石にななみちゃんの意見も聞かないと・・・」

 

「シロちゃん。広町的には全然問題ないよ~。むしろうちに都市伝説が来るなんて興奮ものだよ~」

 

「でも、弦太朗のと違って、前見た時で殆ど見せてるんだけど・・・?」

 

「私も気になりますね・・・」

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・こうなったら仕方ないか・・・。でも、他のみんなには内緒だよ?」

 

「それならつくしちゃん。ちょっと早いけど先に上がって大丈夫だよ!!」

 

「後はお任せください!!それと後でお話は聞かせてくださいね!!」

 

「はい!!ありがとうございます!!みんな少し待ってて!!」

 

まさかの弦太朗の裏切りによって流星は早々に折れる。

その姿にモニカの面々は少しだけ嬉しそうな表情を浮かべていたのを見ていたつぐみとイヴはつくしを気遣って先にバイトを上がらせる。

 

 

そんな彼女を珈琲を片手につくしが出てくるのを待つと少しして慌てた様子のつくしが裏から顔を出した。

 

「お待たせしました」

 

「ううん。全然待ってないよ?それじゃ、みんなも飲み終わったみたいだし出ようか」

 

「それじゃななみのアトリエに行きましょ!!」

 

そんな透子の声に流星とモニカ、それと弦太朗はモニカの拠点でもある七深のアトリエへと場所を移すとどこからか流星は自身のドライバーを取り出した。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ・・・始めようか・・・」

 

「「おぉ~!!」」

 

「そう見られるとやりにくいな・・・」

 

「2人とも少し落ち着きなさい」

 

「そう言ってるけど、瑠唯さんもそわそわしてるね・・・」

 

「ましろちゃんもだよ?」

 

 

 

 

「じゃあ行くよ・・・変身!!」

 

透子と七深が声を挙げるが他のメンバーもそわそわしている様子に苦笑いを浮かべながら変身すると青い光に包まれてメテオへと変身を完了する。

 

「ん~」

 

「ななみどうした?」

 

「いやー弦太朗さんのと比べるとシンプルっていうか・・・なんかさっぱりしてるな~って」

 

「確かに、如月さんのは色々と切り替えてたものね」

 

「でも、如月さんの持ってたの使ってたよ・・・?」

 

「俺のスイッチでも使えるやつけど、流星は基本は格闘技―――拳法使うからな」

 

「そういえば・・・あの時もそうだったかも・・・」

一同は以前に自分たちが見た光景を思い出す。

そこにはスイッチは使っていたが拳法のような動きをしていたメテオの姿を思い出していた。

 

「そう言えば右手のやつを弄って、火星とか木星とか出てたね~」

 

「火星は熱くて・・・土星はわっかで切ってたけど。木星って・・・?」

 

「私も木星で攻撃された時はよく分からなかったわ」

 

「瑠唯さん・・・意外とすんなり言うんだ・・・」

 

「今更やった事は変わらないもの。皆に迷惑をかけたことも、流星さんを殺そうとしたことも・・・」

 

瑠唯の言葉を聞いた一同は驚き、思わずましろが呟いてしまい、一気に暗くなる室内の空気をメテオがすぐにその空気を変えようとする。

 

 

 

「大丈夫だよ。俺もみんなももう許してるからね?」

 

「そうだってルイ!!今更気にすんなって!!な?シロもそう思うっしょ?」

 

「うん・・・!!」

 

「うんうん!!そうだよるいるい!!」

 

「そうだよ!!」

 

メテオの言葉を発端に室内の空気は先ほどの暗い雰囲気を微塵も感じさせない物へと変わっていく。

それを感じたメテオは仮面の下で笑みを浮かべて変身を解く。

 

「あれ?もう終わりなの・・・?」

 

「あぁ、さっき弦太朗も言ってたけど基本は拳法で戦うからね。そこまで武器は使わないんだよ」

 

「そうなんですね」

 

 

すんなり終わってしまったメテオの説明だったが、それでも表情からお嬢様方はお気に召したようだ。

 

そこから他愛のない話をしている彼女達だったが、流星が乗っていた変わったバイクのことを思い出した透子が声を挙げた。

 

 

 

「そうだ!!流星さんのバイク!!見たことないけどアレもなんですか?」

 

「あぁ、でも普段はあまり使わないんだ・・・」

 

「へぇ~」

 

「でもね、あれは凄いんだよ」

 

「弦太朗さんのは宇宙まで飛べるってひまりん先輩が言ってたな~」

 

「それって朔田さんのバイクも・・・?」

 

変わったバイクなら特別なことが出来る。

何故かそんな発想にいたった彼女達は期待の目を向けている中で、物凄く簡単に説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、宇宙までは飛べないけど・・・・・・ビームが出るんだ・・・・・・」

 

「「「「はぁ?」」」」

 

「本当に出るぞ?俺もそれで攻撃されたしな」

 

「へぇ~」

 

本当はエネルギー弾を撃つのだが、彼女達がイメージしやすいように分かりやすい単語を選んで説明したが理解できない様に声をあげてしまい、弦太朗もその説明を肯定すると七深以外のお嬢様たちは目が点になり固まってしまう。

 

そんな彼女達を笑みを浮かべて視線を送りながら、流星は七深の許可を経て先ほど買ったパンを頬張り始めるのだった。

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

作ったはいいものの殆ど徒手空拳での戦闘だから説明することすくねぇ!!
メテオストームくん?
あぁ、彼は出てきてないからね。
それに切り札は最後まで取っておくものだから・・・

ここまで装備解説編不参加リスト
RAS
・レイヤ、パレオ、チュチュ()


ということで今回の小ネタはここまでです。
次章は・・・遠くない内に・・・


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Pastel*Palettes篇3-未・来・彩・色
未・来・彩・色-1 落日


投稿です。
さぁて唐突に始まりました。
こんな中途半端な時間に予約投稿でパスパレ篇開始ででございやす。






 

Roseliaの事件が解決して弦太朗は珍しく早い時間に自宅に帰ってくると速めの晩飯を取り終えてボーっとしていた。

 

「もう晩飯も食ったけど寝るには早すぎるよなぁ・・・」

 

寝るには早すぎる時間で、彼はそれまでの時間をどう潰すか考えていたが、何気なくテレビをつけるとその向こうには見知った顔が映っていた。

 

 

 

 

 

 

「彩たちじゃねぇか・・・」

 

テレビに映ったのはよくある音楽番組でそこでは彩たちパスパレのメンバー達楽器を片手にライブの準備を行っていた。

 

「アイドルって言ってたけど、今まではそんなイメージなかったな・・・」

 

弦太朗は彩たちがアイドルというのは頭では知っていた。

 

だが実際にはファーストフードや喫茶店でのアルバイトという印象しかなかった違和感しかなかったが、不意に千聖が言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

「そういえば千聖が前に生放送がどうとか言ってたけどこれのことか・・・?」

 

千聖は弦太朗に自身の出る生放送の番組を伝えていたが、多分これの事だったのだろう。

彼は珍しくテレビの張り付いて彼女達の姿を目に焼き付けようとしていた所へと祖父の吾郎から声をかけられた。

 

 

「弦の字、おめぇ・・・そんなアイドルなんて興味なかったろ?」

 

「アイドルに興味はねぇけど、この5人はダチなんだよ」

 

他愛ない会話を繰り広げていたが、テレビの向こうの彩が声を挙げていた。

 

『それじゃあ聞いてください!!"しゅわりん☆どり~みん"!!』

 

 

 

 

 

「彩達のこういう姿を初めて見たけど、こうして見ると・・・本当にアイドルなんだな・・・」

 

楽しそうに歌う彩とその周囲では曲を演奏する千聖達。

普段の彼女達とは違うアイドルとしての一面を見た彼は思ったことをそのまま口に出してしまった。

 

そのまま曲がサビに入るまさにその瞬間、突如としてテレビの中継が切れると放送とは全く関係のない風景だけが写されていた。

 

「なんだ?番組が終わったのか?」

 

呑気な祖父の言葉が響くが、弦太朗の目はハッキリと中継が切れる直前の映像を捉えてていた。

 

不安感が募る中でマグフォンから通知音が響き、弦太朗はそれを手に取る。

送られてきたのは1枚の画像、彼の表情が変えてマグフォンをしまうと同時に立ち上がる。

 

 

 

「・・・・・・わりぃ!!俺!!行ってくる!!」

 

「よく分からんが・・・気をつけてな」

 

呑気な祖父の言葉を背中に受けながらそのまま家を飛び出すとバイクに跨って走り出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少しだけ遡る―――

 

営業の終わった実家の珈琲店だが、閉店後にも関わらず店の中にはますきに、薫、花音につくしが集まって、本来はこの場にあるはずのない大きなテレビが鎮座していた。

 

 

「早く麻弥さん出てこねぇかな・・・!!」

 

「録画は当然してあるが、放送の千聖の雄姿を目に焼き付けなければね」

 

「イヴ先輩はバイトの休憩中も練習してましたからね・・・!!」

 

「彩ちゃんも休憩室で踊りの確認とかしてたけど・・・大丈夫かな・・・?」

 

「期待して待とうじゃないか・・・」

 

「パレオも来れば良かったのによ・・・折角うちに転がってたデケェテレビ引っ張って来たのによ・・・」

 

彼女達はパスパレの生放送を一緒に見るために集まっていたが、そんな彼女達の視線はテレビではなく机の上へと移る。

 

 

 

 

 

 

「にしてもこいつら・・・可愛いな・・・」

 

「如月くんのだけど・・・私も犬は初めて見たよ・・・。普段はちっちゃい子達だけだから・・・」

 

「私は犬以外は初めて見ました!!どうなってるんだろ・・・?」

 

「ワンちゃんは最近私に懐いてよくいるんだよ!!それに今日はイヴちゃん達と一緒にいる子も預かってるんだよ!!」

 

 

 

最近の主な仕事が花音の迷子捜索になっているナゲジャイロイカ、最近つぐみに懐きだしたホルワンコフ、そして普段はパスパレと共にいることが多いバガミールは今日はつぐみの元に預けられていた。

 

みんなパスパレの人と仲のいい人たちがこうして集まって話しながらパスパレの出番を待っているが、彼女達の視線はフードロイド達に視線が向いている。そんな中で店の扉が開かれるとそこには練習を終えてやってきたであろう紗夜とリサの姿があった。

 

「つぐみ~来たよ~」

 

「羽沢さん。すいません・・・こんな時間に・・・」

 

「いえ!!私もみんなとイヴちゃんの生放送一緒に見る約束してたので!!」

 

「まぁ、アタシは面白そうだから着いてきたんだけどね~。つぐみ、これ差し入れのクッキーね。珈琲入れるの手伝おうか?」

 

「ありがとうございます!!珈琲は大丈夫ですから」

 

「んじゃ、薫用の紅茶用意するね~☆」

 

リサから貰ったクッキーを受け取るとつぐみは珈琲を、リサは紅茶をそれぞれに用意するとそれぞれに机に並べていくと彼女達はそれを摘まみ始めていた。

 

「このクッキー・・・うめぇな・・・」

 

「おいしい・・・!!」

 

「リサ、流石だね」

 

「ふふふ・・・でしょ~!!自信あるんだよね~」

 

 

 

「みんな・・・そろそろ始まるようだよ?」

 

クッキーとそれぞれの飲み物を片手に他愛ない話を続けていた彼女達だったが、薫の言葉で話が止むと画面に釘付けになる。

 

「こうやって見るのも楽しいね・・・」

 

「最近は色々あったからね。こういった何気ない日常を大切にしないとね・・・」

 

 

「おっ!!麻弥さん達が出てきた!!」

 

薫がカッコつけたセリフを吐くも、ますきの言葉に全員がテレビに視線を送ると、彩たちパスパレのメンバー達楽器を片手にライブの準備を行っていた。

 

「普通、セッティングはしておくもんなのに何で準備から流してんだ?」

 

「慣れてる人は何とも思わないけど、知らない人はこういうのも見たいんじゃないかな・・・?」

 

「何とも思わないことが珍しい事ということは最近よくありますから・・・」

 

 

 

 

 

「「「「「「あぁ~」」」」」」

 

紗夜の言葉を聞いて、彼女達の頭の中では弦太朗の事が思い浮かぶと声を挙げていた。

そんな中でテレビの向こうではパスパレの一同が準備を終えていた。

 

『それじゃあ聞いてください!!"しゅわりん☆どり~みん"!!』

 

 

「千聖ちゃん!!」

 

「日菜・・・!!」

 

「流石、麻弥さん!!今日のドラムもイケイケだな!!」

 

「イヴちゃん、生放送なのに凄い・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「おや・・・?」

 

「薫先輩?どうしたんですか?」

 

「つくしちゃん。今、上から彩を照らしていた照明が不自然に動いたように見えてね・・・」

 

「生放送だから操作ミスでしょうか?」

 

「そうだろうね・・・」

 

それぞれが思い思いの感想を呟きながらもテレビに熱い視線を向けていた彼女達だったが、最初に異変に気が付いたのは薫だった。

舞台は違えど照明について多少の知識があった薫だから気が付けたわずかな違和感。

彼女はつくしの言葉に答えたはいい物の何かとてつもなく嫌な予感が彼女を襲っていた。

 

 

そして、その薫の予感は的中してしまった。

 

千聖がアップで写されていたその後ろでは彩も顔を上にあげたまま迫ってくる恐怖に身体が固まってしまい、そんな彼女を画面の外にいたであろう日菜が彩を突き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時に中継が切れてしまった。

 

「おい!!どうなってんだ?」

 

「何かあったのかな・・・?」

 

「私には何が起こったのか分かりません・・・。最後に日菜が画面に映りこんでいたのは分かったんですが・・・」

 

「紗夜さんも気が付かなかったんですね・・・」

 

「う~ん・・・機材トラブルかな・・・?」

 

ここにいた彼女達もアップになっていた千聖と演奏にしか意識が向いていなかった為に何が起こっていたのか把握できていなかった。

 

 

 

 

 

薫と話を聞いたつくしを除いて―――――――――

 

「薫先輩・・・もしかして・・・」

 

「あぁ・・・多分・・・そうだろうね・・・」

 

 

 

 

「薫さんは何があったか分かったの?」

 

「薫さん・・・?」

 

「もしかして二葉さんもですか?」

 

 

「えぇ・・・っと・・・その・・・」

 

「いや、ここは最初に気が付いた私が言おう・・・」

 

「薫先輩・・・」

 

全員の視線が2人に刺さり言葉を詰まらせるつくしを見て薫がそっと彼女の肩を叩きながら語りかける。

 

「うぅ・・・!!」

 

「みんな・・・特に紗夜は落ち着いて聞いて欲しい・・・」

 

「私・・・ですか・・・?」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

薫の緊張感を持った表情に全員が息を呑む一方で、薫と最悪の考えが一致してしまったつくしは泣き出してしまったその空気の中で薫から衝撃的な言葉が飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彩の頭上にあった照明・・・・・・あれが落ちたんだよ・・・」

 

「ふえぇ~!?」

 

「あははー・・・薫、流石に信じられないよ・・・」

 

「薫先輩!!何でそう思ったんです!?」

 

薫の言葉に驚きを隠せない一同だったが、流石に信じられないつぐみが皆を代表してそう思った理由を聞くと彼女ははっきりとその疑問に答える。

 

 

「さっきつくしちゃんには話したけど、最初に彩を照らしていたライトの動きが変だったんだ・・・」

 

「なんかライトの照らし方がおかしいって思ってましたけど・・・。パレオに確認しねぇと・・・!!」

 

ますきはその説明に納得したのかパスパレ関係で一番頼れるパレオへと連絡を取り始める。

しかし、薫の説明だけでは分からないことがあった。

 

「瀬田さん。それでしたら何で私に落ち着いてほしい・・・そう言ったんですか・・・?」

 

「確かに同じ学校だけどさ・・・。それだったら花音だって・・・」

 

 

 

「そういえば最後に日菜ちゃんが映りこんでたって言ってたよね?」

 

「松原さん。それはパスパレの生放送なんですから当然では・・・?」

 

 

 

「・・・まさか!!嘘ですよね!?薫先輩!!」

 

「そのまさかだよ」

 

「ちょっと薫とつぐみだけで納得してないでハッキリ言ってよ~!!」

 

ここまでの言葉でつぐみは今回の事故の結論に至り、それを考えただけでその顔から血の気が引いていく。

そんな中でリサが薫に結論を急かし、薫は最後の覚悟を持って残酷な現実を突きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後に日菜が映ったのはたまたまじゃない・・・日菜が彩を助けようとしていたんだよ・・・」

 

 

 

 

 

「嘘・・・ですよね・・・?日菜が・・・」

 

「紗夜!!しっかりして!!」

 

「嘘です・・・信じられません・・・きっと瀬田さんの見間違いです・・・」

 

信じたくない現実を聞いた紗夜はその場に力なく崩れ落ち、リサが紗夜に声をかけるも彼女から返事ではなく嘘だと自分に言い聞かせる様な独り言しか返ってこない。

 

 

 

 

 

その重い空気の中で話しから抜けていたますきが声を挙げる。

 

「パレオから連絡来ました!!中継が切れる直前の動画付きっす!!今テレビに映します!!」

 

ますきはそう言ってテレビに自身のスマホを繫げてパレオから送られてきた動画を流してしまった。

その動画が中継が切れる直前をスローモーションにしたものであり、それにはハッキリと映っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上から黒い何かが彩目掛けて落ちてきている光景と、彩を助けようと彼女を突き飛ばした日菜の姿が―――

 

 

その動画を見て全員が薫の言葉が真実であることを悟ってしまった。

 

「日菜ちゃんが・・・」

 

「大丈夫だよな?」

 

「あの日菜先輩だよ!!きっと彩さん助けて自分も避けてるに決まってるよ!!」

 

なんとか日菜は無事と信じ込もうとして最悪の展開を口に出さずに希望的な言葉を口にする一同だったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜・・・ひな・・・・・・いやぁあぁぁぁぁぁあああああああぁあああああ!!」

 

「紗夜!!しっかりして!!ヒナならきっと大丈夫だよ!!」

 

「いやぁぁああ!!日菜が・・・!!日菜が!!」

 

目の前の現実に耐えられず、紗夜は狂ったような叫び声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜がその現実に耐え切れる訳もなく狂ったように叫びをあげて壊れた。

そんな中でバガミールだけはその光景を写真に収めるとこっそり弦太朗のマグフォンへと送り付けていた。

 




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未・来・彩・色-2 どうする?トラブる!?アイドル!!

投稿です。

この作品は学年が上になるほどにメンタルが弱くなっているように感じる・・・


 

「ひな・・・ひなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜・・・さん・・・・・・?」

 

「ふえぇ~・・・」

 

「おいおい・・・どうなってんだよ・・・」

 

狂ったように日菜の名前を呟き続ける紗夜。

そんな彼女の姿にしばらく言葉を失っていた彼女達だったが、戸惑いながらもつぐみ達が声を絞り出す中でリサが語り始める。

 

 

「みんな紗夜がやった事は知ってるよね・・・?」

 

「あぁ、とは言っても話だけだけどね・・・」

 

「あたしは知らないっすね。・・・もしかしてあの時か・・・」

 

「マスキちゃんの考えてる通りだと思うよ・・・」

 

「その後からヒナに対して過保護気味なんだんなよね・・・。

練習の合間も学校でのヒナの様子を聞いてくるし、この前パスパレが襲われてた時はアタシ達の反対意見を無視してヒナの身代わりになろうとするし・・・」

 

最近の紗夜について語ったリサを見て、薫は自身の軽率な発言を後悔の念を覚えて椅子に力なく座ると申し訳なさそうに顔を下に向ける。

 

「すまない・・・。私のせいで・・・」

 

「も~・・・薫のせいじゃないでしょ?それに薫はこの事知らなかったんだからさ~」

 

「そうだよ!!薫さん・・・!!」

 

 

 

 

「すまない・・・」

 

「でも、どうするんですか?」

 

「流石に・・・このままには・・・出来ないよね・・・?」

 

リサの言葉を受けても薫はそのまま自責の念に苛まれてそのまま力なく椅子へと座りこんだままだったが、とりあえずの紗夜の状況は理解した。

しかし今の彼女達は紗夜をどうするか考え始めたところに店のドアが開かれる。

 

 

「紗夜!!って薫もどうしたんだ?」

 

 

 

 

「えっ!?如月さん!?」

 

「ふえぇ~?」

 

「流石に来るタイミングが良すぎだろ・・・?」

 

「如月くん・・・?どうしてここに?」

 

「紗夜の様子がおかしいのをバガミールが教えてくれてな。それでバイク飛ばしてきたんだよ・・・」

 

「こいつそんなことまで出来んのかよ・・・」

 

 

 

 

 

「如月さん・・・!!日菜が・・・!!」

 

余りのタイミングのいい登場に驚く彼女達に弦太朗はここに来た理由を話すと納得したような様子を浮かべていたが、このタイミングで紗夜が弦太朗の胸の中へと飛び込んで泣き出す。

 

つぐみが羨ましいと思ってしまうが、今の紗夜の気持ちを考えると一瞬それも失せる。

 

弦太朗も紗夜の行動に驚きの表情を浮かべているとここで紗夜のスマホから着信音が鳴り響くが紗夜は未だに泣いていてそれに気が付く様子はない。

それを見たリサは紗夜のポケットからスマホを抜き取って電話に出る。

 

「もしもし?」

 

『紗夜ちゃん!?・・・ってこの声はリサちゃんね?』

 

「千聖!?」

 

「「「「!?」」」」

 

「ヒナは!?ってちょっとますき!?」

 

「・・・すんません。あたしも気になるんで・・・」

 

電話の相手は先ほどまでテレビに映っていた千聖。

まさかの相手からの通話に紗夜以外の全員が驚きの表情を浮かべるも、リサはそのまま電話を続けてたがますきがスマホを取りあげて全員が聞こえるようにスピーカーに設定してからリサへと戻す。

 

『リサちゃん?大丈夫かしら・・・?』

 

「あぁ・・・うん。ちょっとみんなに聞こえるようにスピーカーにしただけだから・・・」

 

『・・・一応聞くけど、紗夜ちゃんとマスキちゃん以外には誰がいるのかしら?』

 

「えぇっと、薫に花音につぐみでしょ?それにつくしと・・・さっき弦太朗が来たってところだけど・・・そんなことよりヒナは!?照明が落ちてきたように見えたんだけど!?」

 

『最初に日菜ちゃんの事についてだけど・・・。あの子は今、彩ちゃんと一緒に病院に行ったわ』

 

「病院!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

病院と言う単語が飛び出したことによって、最悪の事態が頭を過って、彼女達に緊張が走る。

ほんのわずかな時間だったにも関わらず、彼女達は時間が止まったような錯覚と共に次の千聖の言葉を待っていた。

 

 

 

 

 

『えぇ・・・幸い誰にも直撃はしなかったんだけど、落下した破片が日菜ちゃんにね・・・。彩ちゃんは突き飛ばされて受け身を取ろうとしたら手首を捻ったみたいで・・・』

 

「千聖ちゃん!!日菜ちゃん達は無事なんだね!!」

 

「そうよ。花音にも心配かけたわね・・・」

 

 

 

「日菜・・・良かっ・・・」

 

「おい!!紗夜!!」

 

「紗夜は・・・安心して気を失ったみたいだね・・・。ほら薫もいつまでも落ち込んでないの!!」

 

「あぁ・・・」

 

 

 

「如月先輩!!とりあえずこっちに椅子並べておいたんで!!紗夜さんを」

 

「わりぃな・・・!!」

 

 

『そろそろ続けていいかしら・・・?』

 

「まだ何かあるんですか・・・?」

 

日菜が生きている。

 

それを知って安心してしまった紗夜がその場で意識を手放してしまった。

どうしようかと思っていた所につくしが椅子を並べて、弦太朗は紗夜をそこに寝かしておくことにした。

それを電話越しに聞いていた千聖は話を続けようと電話の向こうから問いかけてくる。

 

彩と日菜が怪我をしながらも生きていることを伝える以外に要件があることに疑問を覚えたつぐみが千聖へと聞いてしまうと彼女の口からは驚くべき答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『実はここ最近アイドルが事故・・・いえ、事件が立て続けに起きてるよの』

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

『それにさっきの落下事故の後に私達が襲われたのよ・・・』

 

「それって・・・ゾディアーツか!?」

 

『残念だけど違うわ。あの黒い奴・・・"ダスタード”だったかしら?あれだったけど、それは大したことはなかったわ』

 

 

 

 

「ふえぇ~!?ちょっと待って!!」

 

「後で説明するから!!千聖、悪いけど続きを・・・」

 

アイドルが連続で襲撃されている。

その上、照明が落下した直後に千聖達が襲われたという言葉にその場にいた全員が驚き、流石に理解が追い付かなくなった花音から声が挙がるが、リサが千聖へと説明の続きを求めた。

 

『えぇ・・・。2人が病院に運ばれてから私達も病院に向かおうとしたのだけど、その時にテレビ局の廊下に3体出たのよ』

 

「それ千聖達は大丈夫だったの!?」

 

『イヴちゃんが近くにあった特撮番組の小道具の剣で瞬殺してしまったから怪我も何もなかったのだけれど・・・』

 

 

 

 

 

 

「あの・・・これはどこからツッコめばいいんですか?」

 

「つくしちゃん・・・それは考えたら負けだよ・・・」

 

千聖の説明に思わずツッコミを入れたくなってしまったつくしだったが、その行動はつぐみによって止められてしまう。

そんな中で千聖はそのまま話を続けていく。

 

『それで悪いのだけれど、明日から少しの間弦太朗を借りていいかしら?』

 

「俺は大丈夫だけど・・・。そんな状況でアイドルすんのか?」

 

弦太朗の尤もな意見に千聖は声のトーンを落としながらもその問いに答えた。

 

 

 

 

『この間の暴走事件で若手のアイドル達の評判が軒並み落ちてしまったから、これ以上落とすわけにはいかないし、それに・・・次の仕事はライブなのよ』

 

「それは千聖ちゃんたちのせいじゃないでしょ・・・?」

 

「しかも怪我人をライブにあげんのかよ・・・」

 

『これが開催までに時間があるならまだしも、今度の木曜日なのよ・・・。それに汚い話だけれど、事務所としてもそんな開始直前で中止するわけには行かないって言うのが本音なのよ・・・。仮に日菜ちゃんが怪我で出れない状況でもね・・・』

 

 

 

「なんだよそれ・・・!!」

 

「よく分かんねぇけど落ち着けって!!・・・それで千聖、俺はどうしたらいいんだ?」

 

自身の意思とは関係なく怪我人をライブに出させるという言葉にますきは怒りを覚えるも、弦太朗はそんな彼女を宥めてから電話の向こうの千聖へと問いかける。

 

『あなたには私個人のマネージャーをしてもらうわ!!』

 

「なっ!?」

 

「んっ?」

 

「「はい?」」

 

 

弦太朗が千聖のマネージャーになるという彼女の言葉につぐみは驚きの声を他の一同は不思議そうに声を挙げてしまう。

 

「マネージャーってなにすんだ?」

 

『そんな難しいことはないわ。スケジュールは私自身で管理してるし、移動もタクシーよ。事務所で雇う訳にもいかないから私個人のマネージャー・・・・・・というのは形だけで、実際は私達のボディガードね』

 

「おう!!よく分かんねぇけど・・・任せとけ!!」

 

『それじゃ明日から頼んだわよ』

 

 

その言葉を最後に千聖からの電話が切れると、店の中は何とも言えない空気に包まれる。

 

「よく分かんねぇな・・・」

 

「如月くん。千聖さんに変な気起こしたらダメだからね!!」

 

 

「大丈夫だって!!弦太朗にはそんな甲斐性ないから~☆」

 

「ふえぇ~」

 

「儚い・・・」

 

「その・・・頑張ってください!!」

 

「とりあえず、あたし達もなんかあったら手伝うから言えよ?」

 

「おう!!」

 

各々からの激励?を受けて弦太朗は笑みを浮かべてそれに答えると、ますきが弦太朗へと歩み寄っていく。

 

「ますき?どうしたんだ?」

 

「いやな。麻弥さん達のマネージャーになるってのをパレオに伝えたんだけどよ・・・」

 

「パレオに?・・・あぁ、そう言えばアイツ彩たちのファンだったな」

 

「あぁ・・・その・・・なんだ・・・・・・・・・死ぬなよ?」

 

「は?どういう・・・」

 

歯切れの悪いますきの言葉に弦太朗が首を傾げると、マグフォンから着信音が響くと即座にそれを取った弦太朗。

 

 

 

 

 

しかし、それがある意味では地獄の片道切符だった―――

 

『如月さん!!お話はマッスーさんから聞かせていただきました!!パレオにお任せください!!あなたを一晩で立派なパスパレ信者にして見せます!!』

 

「パレオ?なにいってんだ?」

 

『大丈夫です!!すぐにパスパレ愛に目覚めますので!!まずは彩ちゃんのプロフィールですが・・・』

 

弦太朗は先ほどのますきの言葉を理解した。

彼が彼女に視線を送ると、手を合わせて謝るような素振りを見せていたがその顔はとてつもなく笑顔だった。

 

 

 

その後、羽沢珈琲店で解散するがパレオのパスパレ講義は弦太朗がバイクで家に向かっている間も続いており、翌日の朝日が登るまで延々とその講義は続くのだった。





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未・来・彩・色-3 バッドボーイ メタモルフォーゼ

投稿です。
今回、投稿遅れてしまって申し訳ありません!!

作者(の体調)死亡につき、投稿遅れてました!!
みなさんもこの時節に熱等の病気の症状には気をつけましょう。




 

弦太朗のマネージャー生活1日目―――

 

彼は他の生徒の流れに合わせる様に学校へ向かっていた。

そんな時に弦太朗の後ろから彼を呼ぶ声が響く。

 

 

「あっ!!ゲンちゃん先輩だ~!!」

 

「ホントだ!!お~い!!ゲンちゃん~!!」

 

「おっ、香澄にはぐみ!!おはよう!!」

 

「あれ?ゲンちゃん先輩?その手に持ってるのってなに?」

 

「あぁ、今日からちょっとやることがあって。これはその道具だな・・・っても着替えなんだけどな」

 

「「へぇ~!!」」

 

しかし、弦太朗はその手に普段は持っていないカバンが握られていた。

そのことにはぐみが気が付いて思わず聞くと弦太朗は何事もなかったかのように答えると周囲の生徒達が驚きの表情を浮かべるが聞いた2人は弦太朗の言っていることがよく分かっておらず、何事もなかったかのように相槌を打つ。

 

「よく分かんないけど頑張ってね!!ゲンちゃん!!」

 

「これうちのコロッケだよ!!」

 

「おう!!ってこれどこからだしたんだ・・・?」

 

「えへへ~!!」

 

「はぐ~私も食べた~い!!」

 

3人ははぐみの家のコロッケを食べながら登校し、学校に着くころには弦太朗が持っていた荷物についての疑問は2人からは完全に消えていた。

 

「じゃあ、ゲンちゃんまたね~!!」

 

「ばいばーい!!」

 

「・・・うっし!!」

 

慌しく教室へと向かっていく2人を見送った彼も自身の教室へと向かっていくと、千聖達が彼の席の周りに集まっていた。

 

「あっ!!如月くんだ」

 

「あら、弦太朗。来たのね」

 

「おはよー」

 

「如月さん・・・おはようございます・・・」

 

「みんな、おはよう・・・ん?紗夜はどうしたんだ?」

 

「あれ?紗夜ちゃんがいない?」

 

「ふえぇ?彩ちゃん気が付いてなかったの・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜さんの病院に行ってから学校に来ると・・・。今朝連絡がありましたよ・・・」

 

「昨日も今日も大丈夫だって教えたのに・・・。それにしてもなんで彩ちゃんは今まで気が付かなかったのよ・・・」

 

みんな集まっていたがその中に紗夜がいないことに気が付いた弦太朗へと燐子が応えると、彼は納得した様子を見て千聖が話を切り替える。

 

 

 

「弦太朗、今日から大丈夫かしら?」

 

「おう!!ばっちり準備もしてきたからな!!」

 

「えぇ。期待してるわよ」

 

「・・・?どういう事でしょうか?」

 

「えっとね・・・如月くんが今日からマネージャーやるんだよね・・・?」

 

「えぇ!?千聖ちゃん!!私聞いてないよ!!」

 

「だって言ってないもの」

 

「では、その荷物は・・・・・・。あっもう授業始まりますね・・・」

 

「じゃあ、放課後ちょっとだけ時間あるからその時にでも・・・」

 

「分かりました・・・」

 

 

 

燐子の言葉を最後に全員が自分の席へと戻っていき、その後に遅れてきた紗夜と共に今日も1日授業を消化した。

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後―――

弦太朗との姿は生徒会室にあった。

 

「ごめんなさい。生徒会の仕事中の邪魔して・・・」

 

「・・・大丈夫ですよ?普段から如月さんには助けてもらってますから・・・」

 

「私も大丈夫です。それにしても、白鷺先輩が生徒会室にいるのは違和感あるな・・・」

 

「それにしても・・・どうして関係のない戸山さん達までいるんですか・・・?」

 

生徒会のメンバーと千聖が会話を止めて視線を一点に向けた先には地獄のような光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

「この仕切りの向こうで今、弦太朗が着替えてる・・・!!」

 

「沙綾ちゃん!?ダメだよ!!」

 

「沙綾、先輩覗くのは・・・犯罪だよ?」

 

 

 

「イヴちゃん!!離して~!!」

 

「ダメです!!過ちは繰り返させません!!」

 

 

 

「おもしろそうね!!」

 

「こころ、絶対にマネしたらダメだからね?」

 

「でも、何で着替えてるんだろ・・・?」

 

「ふえぇ~!?」

 

 

沙綾の暴走を止めようとするりみとたえ。

彩を羽交い絞めで押さえつけるイヴ。

いつも通りのハロハピ。

 

目の前に広がった地獄のような光景を前に千聖は頭を抱えて思わず呟いてしまった。

 

「まったく・・・最近の女子高生はどうなってるのかしら・・・」

 

「白鷺さん?あなたもそのうちの1人ですよ・・・」

 

「しかも、以前は白鷺先輩もあっち側でしたよね?」

 

「有咲ちゃん・・・・・・過去は振り返ったらダメよ」

 

「んなわけあるか!!」

 

 

「終わったぞ~・・・って何騒いでんだ?」

 

思わずツッコミを淹れてしまった有咲だったが仕切りの向こうから弦太朗が姿を現すと、先ほどの騒ぎが嘘のように全員が言葉を失ってしまった。

 

そんな中で千聖が最速で復帰して彼に声をかける。

 

 

 

 

「弦太朗・・・それにしてもよくスーツなんて用意出来たわね?」

 

「あぁ・・・これ親父が昔着てた奴なんだよ・・・」

 

「・・・そうだったのね。よく似合ってるわよ」

 

「サンキューな」

 

他愛ない話を繰り広げている2人を他所に次々と正気に戻っていく彼女達だったが、2年生達はどうしてこうなったのか分かっていなかったため、沙綾から声が漏れてしまった。

 

「どうして弦太朗がスーツを・・・?」

 

「ふふん!!如月くんは少しの間パスパレのマネージャーなんだよ!!」

 

 

 

「ハァ・・・?」

 

「先輩がマネージャー・・・?」

 

「弦太朗くんが・・・無理じゃない?」

 

「りみ・・・お前ハッキリ言うのな・・・。私も同じ意見だけど・・・」

 

 

 

「へぇ~」

 

「面白そうね!!美咲!!私達もやりましょう!!」

 

「あ~とりあえずミッシェルと薫さんにも相談してからね~・・・」

 

 

「ゲンちゃんちょっとここ座って?」

 

「香澄?どうしたんだ?」

 

再びワイワイしだす室内で香澄が弦太朗を呼ぶと彼は普通に香澄の元へ向かい、言われるがまま椅子に座ると香澄は彼の首に巻かれたネクタイへと手を伸ばし、彼女は慣れた手つきで弦太朗のネクタイを結び直した。

 

「ネクタイ変だよ・・・?はい!!出来たよ!!」

 

「お前、ネクタイ結べたんだな・・・」

 

「えへへ~あっちゃんが羽丘行くときに覚えたんだ~!!」

 

「香澄ちゃん?ちょっとネクタイずれてないかしら?」

 

「千聖先輩?そうですか?」

 

「私が直すわ・・・」

 

「千聖もわりぃな。普段ネクタイなんて結ばねぇから分かんなくてよ・・・」

 

「仕方ないわね。早く覚えなさい?・・・それと今回は香澄ちゃんに直してもらったから一緒に罰を執行するわ」

 

「何言って・・ぐぇ!!」

 

「ゲンちゃん!?千聖先輩!!首閉まってますよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「「「・・・」」」

 

「氷川さん・・・?」

 

「沙綾も彩先輩も完全に人に見せられない顔してんな・・・」

 

「紗夜先輩だけは表情のベクトルおかしい気がするけど・・・。市ヶ谷さん、私はこれ以上ツッコまないよ・・・」

 

香澄と弦太朗の会話を聞いて沙綾と彩が絶望の表情を浮かべる一方で、紗夜の顔面だけは艶っぽい表情へと崩壊し始め、それを有咲と美咲にツッコまれると彩はふと我に返ったと思った途端にどや顔を沙綾へと向けていた。

 

 

 

「・・・ふふん!!だって如月くんは”パスパレ”のマネージャーしてくれるんだからね!!」

 

「うっわ・・・彩先輩が山吹さんに死体蹴りしてる・・・」

 

「ふえぇ~」

 

 

 

 

 

「後、彩ちゃん?確かにライブまでの間だからパスパレと一緒に行動するけど、弦太朗は"私の"マネージャーよ?」

 

 

 

「うっわ・・・こっちもえげつねぇ・・・」

 

「ってもう時間ね・・・弦太朗。行くわよ。彩ちゃんは首根っこを引き摺って連れてきなさい。それじゃみんな、また明日」

 

「・・・おう、じゃあな」

 

彩が沙綾にマウントを取ったと思ったら、千聖に即座にマウントを取られてそのまま膝から崩れ落ちる。

 

 

醜い女の争いにドン引きしていたが練習の時間を思い出してすぐに部屋を出て行くと弦太朗は千聖に言われたままに彩の首根っこを掴むとそのまま彼女を引き摺っていく。

 

弦太朗達が去った室内は静まり返ったと思ったらすぐに彼女達は解散して、それぞれのバンドの練習へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ・・・確保しました・・・」

 

「白金さん・・・?私達も練習に行きますよ?」

 

「あっ・・・はい」

 

そんな騒ぎの中で弦太朗が忘れた制服を確保し勝者(燐子)は誰にも気づかれることなく笑みを浮かべるのだった。

 




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未・来・彩・色-4 少女心配性

投稿です。

これ前半の奴やばくな~い?


 

千聖を先頭にして彩を引き摺った弦太朗とイヴがその背中を追う。

そんな一行の姿が学内の生徒達の視線を集めるがそれを気にすることもない彼女達は学校の前に止まってるタクシーを視界に捉えていた。

 

 

 

「なんだ・・・?あのタクシー?」

 

「私が呼んでおいたの。ほら弦太朗、彩ちゃんを座席にぶん投げなさい。イヴちゃんは私と後ろに乗るわよ」

 

「おう・・・」

 

「ブシドー!!」

 

 

 

 

 

千聖の威圧感のある笑顔に押されて弦太朗は言われるがままに彩をタクシーの後部座席へと座らせる。

その横にイヴが座るのを見た千聖は弦太朗のネクタイを掴むとそのまま顔を自身の元へと引き寄せた。

 

「ぐぇ!?」

 

潰れたカエルの鳴き声のような声を挙げる弦太朗は千聖を見るが思った以上に顔が近くにあったことに驚きを隠せず、恥ずかしいのか顔は少しだけ赤くなっていたが彼は思ったことをそのまま口にした。

 

 

 

「さっきからネクタイを締めたり、引っ張たりすんなって!!」

 

「弦太朗?さっき香澄ちゃんにネクタイを結んでもらってたけど・・・。一応は私のマネージャーなのだから他の女にデレデレしないで貰えるかしら」

 

「デレデレなんてしてねぇ!!」

 

「傍から見たらそう見えるのよ!!」

 

弦太朗の言葉に千聖も声を荒げると彼女達は周囲の生徒達の視線を集める。

それに気が付いた千聖はすぐに咳ばらいをして落ち着きを取り戻した。

 

 

 

 

 

 

 

「ともかく!!あなたは()のマネージャーなの。つまり、その間はあなたは私のものよ!!」

 

妙に自分のであることを強く主張する千聖。

その言葉は周囲の生徒に聞こえたらしく、周囲が色めき立つのを見た千聖の口角がわずかに上げると現状をよく分からないといった様子で首を傾げていた弦太朗へと視線を送った。

 

「ん?よく分かんねぇけど気をつけるわ」

 

「えぇ、そうして頂戴。そしたらあなたもタクシーに・・・ってそうだ、バイクは大丈夫かしら?」

 

「行きは大丈夫だけど、帰りは麻弥が乗るからその前にはバイク呼べばいいだろ」

 

「バイクを呼ぶって普通に考えたら物凄いパワーワードよね・・・。とにかくあなたも乗りなさい。事務所のスタジオで練習よ」

 

「おう!!」

 

周囲の騒ぎを放置して2人もタクシーへと乗り込むとそのまま学校を後にして、一同はパスパレの事務所へと向かっていった。

 

 

―――――――――――

 

「・・・こんなもんすかね?」

 

ジブンは皆さんが来る前に機材チェックを行ってましたが、今日はちょっと・・・

いやか~な~り気が重いっす・・・

 

「はぁ・・・」

 

ため息と一緒に頭に過ったのは目の前で起こった事故―――いえ、自分たちを狙った事件。

自分たちが最初は事故だと思ってましたが、あの後に襲われたことで確信しました。

 

 

 

今までのは全てただの偶然の事故じゃなくて、その全てに犯人がいてアイドルを狙った事件だったんですね・・・

 

そして昨日はジブン達―――いえ、彩さんを狙ったけど日菜さんが助けて失敗したからその後すぐに直接自分たちを襲わせたけどイヴさんが返り討ちにした。

 

そのお陰でみんな大怪我はせずに済みましたが―――

 

 

 

「本当に昨日だけで終わりなんでしょうか・・・?」

 

「麻弥ちゃん?何独りでブツブツ言ってるの~?」

 

「って日菜さん!?」

 

「麻弥ちゃんやっほ~」

 

そこにいたのは病院にいるはずの日菜さん。

大怪我ではなかったものの、大事を取って数日入院するはずでしたが・・・

 

 

 

「病院はどうしたんですか!?」

 

「えぇ~だってつまんないんだもん。抜けてきちゃった!!」

 

「はぁ・・・」

 

「麻弥ちゃん?頭痛いの・・・?」

 

つまらないと言う理由だけで病院を抜け出してきた日菜さんにジブンは頭痛を覚えて頭を抑えてしまいましたが、その原因から心配されるのは少しイラっとしますね・・・

 

ですが、それ以上に心配なのはこの状況で千聖さん達が来るのが一番危ないですね。

何を言われるか分かったものではありません。

 

 

「あの?日菜さん。とりあえず今日はもう病院に戻りませんか?ジブンも一緒に行きますので・・・」

 

「えぇ~だって~。お姉ちゃんもいないし、やることないしつまんないよ~!!」

 

「ダメですよ!!こんなところ千聖さんに見られたら!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?私がどうかしたのかしら?」

 

「千聖さん・・・!?」

 

しかし、ジブンの心配も無駄だったようで、スタジオの入り口には既に千聖さん達がやってきてしまっていました。

急に胃が痛くなるような感覚を覚えると、胃痛の原因(日菜さん)は何事も無かったかのように声を出し始めました。

 

 

「千聖ちゃんやっほー!!」

 

「ヒナさん!?」

 

「あなた病院にいるんじゃないの!?」

 

「つまんないから抜けてきちゃった!!」

 

 

 

「うぅ・・・」

 

あっけからんとした様子で答える日菜さんを見て、千聖さんは目に見えて怒ってますが日菜さんはそれを気にすることも無くケラケラと笑っている光景にジブンの胃はすぐに限界を迎えてしまい、その場でお腹を押さえ始めてしまった。

 

 

「おい麻弥大丈夫か?」

 

「あぁ如月さんですか・・・ちょっと胃が痛くなっただけなので大丈夫で・・・如月さんっすか?」

 

「麻弥?どう見たって俺だろ?何言ってんだ・・・?」

 

ジブンが視線をあげたその先には如月さん・・・?でいいんですかね?

千聖さんが自分のマネージャーと言う名目でボディガードをしてもらうのは聞いていました。

 

首から上は如月さんでも服がいつもの学ランと違うので思わず聞いてしまいましたが、やっぱり本人で余りの変化に言葉が出ませんでした。

 

 

 

 

「あ~ゲンちゃんがスーツ着てる。変なの~!!」

 

「似合ってねぇか?」

 

「う~ん。それはそれでるんっ♪ってするからいいんじゃない?」

 

「相変らずよく分かんねぇ・・・」

 

「そういえば何でゲンちゃんはここにいるの?」

 

「今度のライブまでの臨時マネージャーってやつだな!!」

 

「そういえば、病院にいたから日菜ちゃんには連絡してなかったわね・・・」

 

「ふ~ん。ところで彩ちゃんは?」

 

「それだったら、イヴが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました!!」

 

興味が無くなったのか日菜さんは如月さんから彩さんへと興味の対象が変わったみたいで、彩さんの事を聞き始めたのと同時にイヴさんがスタジオへとやってきましたが、その手には彩さんの腕を持って引き摺ってやって来たみたいでした。

 

 

 

「あの・・・彩さんは・・・」

 

「マヤさん!!アヤさんはチサトさんに負けたんです!!」

 

「はぁ・・・?なるほど」

 

彩さんの事ですから如月さんがパスパレのマネージャーになるって周りに自慢したけど、実際は千聖さんのマネージャーということを思い出して恥ずかしさで気を失ったといったところでしょうか?

 

それにしても練習のために集まってましたが日菜さんのせいで脱線してしまいましたね・・・

ジブンがそれを指摘しようとするとお腹が痛くなってきてしまって・・・

いったいどうすれば・・・

 

 

 

 

 

 

「皆さん!!練習しましょう!!」

 

 

その言葉を聞いたジブンは感動の余りに泣きそうになってしまいました!!

千聖さんもイヴさんの言葉で我に返って表情を作ってますね・

 

 

「そうね。ライブは今週末で時間も無いから最後に追い込まないといけないわね」

 

「るんっ♪ってきた~!!」

 

「日菜は怪我してたんだろ?今日はやめとけって・・・」

 

「えぇ~!!」

 

「日菜ちゃん・・・?」

 

日菜さんは練習するつもりみたいでしたが、千聖さんの怒りながらの笑顔を見てつまらなそうな表情を浮かべて仕方なく了承してくれました。

 

でも、それと同時に日菜さんが何かを思いついたかのような笑いを浮かべるのを見て嫌な予感がしましたが勿論的中しました。

 

「・・・そうだ!!ゲンちゃん!!こっち来て!!」

 

「なんだ?」

 

「ちょっとそこに屈んで?」

 

「・・・?こうか?」

 

「とぉ!!」

 

「うわぁ!?」

 

日菜さんの言葉に素直に従って如月さんが屈んだ途端、日菜さんはその背中目掛けて飛び乗ってしまいました。

 

・・・ここまで動けるなら練習してもいいのでは?とも思いますが、さっきダメと言われてすぐには言いにくいっすね。

 

「じゃあ、ゲンちゃん!!このまま事務所見て回ろ!!」

 

「降りろって!!」

 

「えぇ~だって怪我人だよ~」

 

「怪我人はこんな飛べるか!!」

 

「弦太朗、とりあえず日菜ちゃんの言う通りにしてあげなさい」

 

「・・・千聖が言うなら仕方ねぇか・・・。ほら行くぞ・・・」

 

「はーい!!」

 

そう言って如月さんは日菜さんを背負ったままスタジオを去っていき、練習を始めようとしました。

でも、彩さんが未だに起きません。

 

 

 

 

 

「彩ちゃん!!練習よ!!起きなさい!!」

 

「あいたっ!?」

 

千聖さんは声を挙げながらいつの間にか手に持った緑色のスリッパで彩さんの頭を叩くと痛みと共に彩さんが起きて練習の準備を始めるのを見て、ジブンもカバンから胃薬と一緒にスティックを取り出しました。

 

 

 

 

 

 

 

それにしても・・・千聖さんの持っているスリッパに書かれている”毛深い”という言葉にはどういった意味があるんでしょうか・・・

 





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"毛深い"とは中の人ネタです。
決して悪口ではありませんので気になる方は自己責任でお調べください。


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未・来・彩・色-5 攻める鉄仮面

投稿です。
さてと、猛攻が始まりました。

(やっべぇ、スイッチャ―決まってるけどゾディアーツ決めてねぇなんて言えねぇ・・・


 

 

日菜を背負ったままの弦太朗は彼女の指示に従って事務所内を歩き回っていた。

 

「日菜達ってやっぱアイドルなんだな・・・。そんな風に見えねぇけど」

 

「ちょっとゲンちゃん?それってどういうこと?」

 

「いや、事務所の中にお前たちのポスターとかいっぱい貼ってあるし・・・」

 

「あ~あれね~。ちょっと前は全部私達のポスターだったよ?」

 

 

 

「軽くホラーじゃねぇか・・・ん?」

 

「どうかしたの?」

 

他愛ない会話の中、ここで弦太朗はふとした疑問が浮かび上がる。

その事に気が付いたのか日菜が弦太朗へと視線を向け、それに答えるように弦太朗は疑問を口にした。

 

「そういえばよ、なんでみんなアイドルやってるんだろうなって思ってよ」

 

「面白いから・・・?」

 

「いや、そうじゃなくてアイドルを始めたんだって思ってな」

 

彼女達がバンド―――アイドルを始める切っ掛けが気になった弦太朗は素直に聞くと日菜は笑いながらそれに答えた。

 

 

 

「――――――それで麻弥ちゃんは千聖ちゃんがパスパレに入れたんだよ」

 

「でも、日菜は何で入ったんだ?アイドルとか興味なかったんだろ?」

 

「う~んとね。私はオーディションがあって面白そうって思って受けたら受かっちゃったんだよね~」

 

「すっげー日菜らしいな」

 

「でも、一番すごいのは彩ちゃんだよ?アイドルに憧れてアイドルになっちゃうんだもん!!」

 

「へぇ~なんか彩らしいな」

 

「だよね~。ゲンちゃんそろそろ練習も休憩だと思うから戻ろ?」

 

「あいよ」

 

「それとちょっと演奏したいな~」

 

「無理すんなよ?」

 

そんな他愛ない話をした彼らは再びスタジオに戻っていくと日菜の予想通り彼女たちはちょうど休憩中であり、彼女達もまた弦太朗達に気が付いた。

 

「ただいま~!!」

 

「ホントに休憩中だったな・・・」

 

「ヒナさん!!キサラギさん!!おかえりなさい!!」

 

「弦太朗、事務所はどうだったかしら?」

 

「お前らのポスターばっかで軽くホラーだったな」

 

「ですよね・・・ジブンも慣れるまでは怖かったです・・・」

 

そんな話の中で彩だけは静かに弦太朗から距離を取っていたが日菜はそれを見逃さなかった。

 

「彩ちゃん?なにしてるの?」

 

「うぇ!?にゃんでもないよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「噛んだな」

 

「噛んだね~」

 

「彩ちゃん・・・」

 

「噛みましたね」

 

「流石彩さん!!ブシドーです!!」

 

若干一名を除いて彩が噛んだことに呆れた様子を見せていたが、それでも構わずに彩は弦太朗から距離を取るその姿に弦太朗は首を傾げていると日菜は弦太朗から降りるとそのまま彩へとにじり寄っていく。

 

「でも、彩ちゃんなんでゲンちゃんから逃げるの?」

 

「逃げてるわけじゃないよ~!!」

 

「アヤさん、逃げてますよ?」

 

「何かあったんですか?」

 

「ふふっ・・・。彩ちゃんったら・・・」

 

彩の行動の意味が理解できた千聖のみで他の全員は未だにその意味が分かっていなかった。

そんな光景に彩が観念したのか顔を赤くしながら理由を語った。

 

「うぅ~!!だって!!練習で汗かいてるし!!」

 

「でも、彩ちゃん汗臭くないよ?」

 

「そうだとしても、恥ずかしいんだよ~!!」

 

「そんなことないよね?ゲンちゃんちょっと来て?」

 

「うぇ!?」

 

「おう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「えいっ!!」

 

「痛てぇ!?何すんだよ!?」

 

「弦太朗?流石に汗かいた女の子の匂いを嗅ぐのは犯罪よ?」

 

「しねぇよ!!てか、なんだよそのスリッパ!!」

 

「”ドすけべ”・・・さっきのとは違いますね・・・」

 

「チサトさんはどこから出したんでしょうか・・・?」

 

「2人とも?気にしちゃだめよ?ほらそろそろ練習に戻るわよ?」

 

「じゃあ、千聖ちゃん。私もやる~!!」

 

「そうね・・・。あんまり激しく動いたらダメよ?」

 

「はーい!!」

 

 

 

 

「さっき如月くんに飛び乗ったりしたのはいいの・・・?

 

日菜に呼ばれた弦太朗はそのまま日菜の元へと行こうとするが、それを見かねた千聖は弦太朗の頭にスリッパを叩きこむ。

いきなり叩かれたことを怒る弦太朗を無視して千聖はイヴと麻弥に笑っていない笑顔を向けると2人はこれ以上の追及を辞める。

そして、日菜も条件付きで練習に加わり、弦太朗もその場に残って5人の練習が終わるまで邪魔にならない隅でそれを眺め続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、もうこんな時間なのね?」

 

「そうですね。もう結構やってましたから今日は上がりましょうか」

 

不意に時計を見上げた千聖が呟くと、麻弥も時間を確認してそれに同意する流れで練習の終了を提案すると全員が賛同して片づけを始めていく。

そんな中で日菜は弦太朗へと向かっていった。

 

「ねぇねぇ!!ゲンちゃんどうだった!?」

 

「ん?・・・良かったんじゃねぇか?」

 

「お姉ちゃんたちよりも?」

 

「如月くん、そういえばRoseliaの練習にも出てるからちょっと気になるかも・・・」

 

日菜の言葉に彩も気になったのか弦太朗へと視線を向けて彼の言葉を待つが、弦太朗は思ったことをそのまま答えた。

 

 

「友希那達とは違うけど、日菜達もスゲーと思うけど?」

 

「う~ん。よく分かんないな~」

 

「そっか!!」

 

日菜は弦太朗の言葉に不満そうな顔を浮かべる一方で彩は満足そうな表情を浮かべながら胸を張る。

その光景に千聖は呆れながらも2人へ声をかける。

 

「はいはい。とりあえず2人とも片付けたら着替えにいくわよ」

 

「はーい」

 

 

 

 

「ゲンちゃん。更衣室まで連れてって~」

 

「「なぁ!?」」

 

「・・・」

 

日菜の爆弾発言に弦太朗と彩は声を挙げて狼狽える。

それを見た千聖は先ほどの"ドスケベ"スリッパを取り出してゆっくりと構えて勢いよく3人へ向けて振り下ろした。

 

「ぐえっ」

 

「あうぅ・・・」

 

「もーあぶないなー」

 

「日菜ちゃん・・・?」

 

「・・・はーい」

 

弦太朗と彩が直撃する横で、その攻撃を日菜だけは身体を逸らして躱して千聖へ文句を言うが彼女の笑顔を見てそそくさと片づけを始め、弦太朗は着替えを終えた彼女達と事務所の入り口で合流することとなった。

 

 

 

「如月くん!!お待たせ!!」

 

「いや、そこまで待ってねぇよ?」

 

「じゃあ、帰りましょうか?」

 

「帰りにどっか寄ってかない?」

 

「そうね・・・。じゃあ、日菜ちゃんが抜けてきた病院に行きましょうか?」

 

「そう言えばそうでした!!ヒナさん!!病院に戻りましょう!!」

 

「えぇ~千聖ちゃん。今それ言うの~?」

 

「さっきジブンが病院に連絡を入れておきました。病院の方も心配してましたから・・・」

 

「・・・はーい」

 

「こころちゃんの家関係の病院だから良かったわね?それじゃイブちゃん、取り押さえて?」

 

「はい!!」

 

突然の千聖の言葉に日菜から不満の声が挙がるがそんな声を千聖は聞き流し、麻弥の追い打ちによって日菜は観念したようで大人しくイヴに腕を掴まれた。

それを見て彼女達は移動しようとするが―――

 

 

「それじゃあタクシーで・・・」

 

「千聖ちゃん、ちょっと待って?タクシーって4人までしか乗れないよね?どうするの?」

 

「俺のバイクは、多分駐輪場に止まってるから取ってくるわ・・・」

 

「えぇ。行ってらっしゃい」

 

「それに日菜さんは一応怪我人ですからタクシーで決定として・・・」

 

ここで日菜を除いたパスパレの全員が顔を見合わせると何を思ったのか拳を前に突き出した。

 

「「「「最初はグー!!じゃんけん!!ぽん!!」」」」

 

彼女達はいきなりじゃんけんを始めると、3人が同じ手を出す中で1人だけみんなと手が違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはは!!千聖ちゃんだけ負けてる~!!」

 

「そんな・・・私が負けるなんて・・・」

 

「それじゃ、負けた千聖ちゃんは・・・」

 

「勝ったみんなは快適なタクシーで行って頂戴。定員オーバーだから私は弦太朗のバイクの後ろに乗っていくわ」

 

 

「うぇ!?」

 

「そうですね。ちょっとこの時期にバイクの風は辛いですからね!!それじゃあ彩さん。行きましょうか」

 

「ブシドー!!」

 

「ちょっと待って~!!」

 

弦太朗の後ろを狙っていた彩と千聖だったが、1人だけ負けた千聖はここぞとばかりにそれっぽい言葉を並べて麻弥とイヴを納得させて彩をそのままタクシーの中へと押し込んで走っていく姿を見送ると弦太朗がバイクで千聖の前に現われる。

 

「なんだ。千聖が残ったのか」

 

「そうなってしまったわね。それじゃ弦太朗、私達も行きましょうか・・・?」

 

「おう。ヘルメットの被り方は・・・」

 

「バラエティ番組にも出たことがあるから知ってるわよ。それにバイクもドラマで後ろの乗るシーンもあったから分かるから大丈夫よ」

 

その言葉通りに千聖は弦太朗からヘルメットを慣れた手つきで被ってからその後ろに跨ると弦太朗の背中に身体を押し付ける。

その行動に驚く弦太朗だったがなるべく表情に出さないように必死になっていた。

 

「千聖、それじゃあ行くぞ?」

 

「安全運転で頼むわね?」

 

「あぁ・・・」

 

千聖の言葉を受けて弦太朗はバイクを病院へ向けて走らせるが、その間に千聖は走り出す時よりも強めに身体を押し付けだす。

弦太朗は顔を赤くするが押し付けている側はそれ以上に顔を赤くしていた。

しかし、その2人の顔はヘルメットに隠れて誰からも見られることはなく、バイクは病院の近くに差し掛かったその時に事件が起きる。

 

 

 

「今、スゲェ音しなかったか?」

 

「病院の方よ!!」

 

千聖の言葉で弦太朗は車の脇を縫って病院へとバイクを走らせる。

病院の入り口に着いた2人の視線の先には彩たちと、乗っていたであろうタクシーが炎を上げて燃え上っていた。

 

それを見た千聖と弦太朗はバイクから降りる声を挙げる。

 

 

「みんな!!」

 

「無事か!?」

 

「千聖さん!!如月さん!!はい!!大丈夫です!!」

 

「タクシーの運転手さんは先に逃げちゃったけどね~」

 

 

「・・・っ!?皆さん下がってください!!」

 

軽口を叩いていた日菜を他所にイヴが炎を向こう側に何かがいるの感じ取って声を挙げる。

日菜は彩と麻弥の手を引いて千聖の所まで下がり始め、イヴも炎の向こう側を警戒しながら弦太朗と場所を入れ替わるように下がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・誰だ?」

 

「・・・・・・」

 

 

 

声をかけるも言葉が返ってくることはなく、炎の向こうの人影が動き出し―――

 

「っ!?マジかよ!!」

 

「嘘!?」

 

「あなたが今回の犯人ね・・・?」

 

弦太朗達の目に飛び込んできたのは人の影は突如として人外の物へと変わる光景だった。

 

 

 

 





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未・来・彩・色-6 ギリギリCHAMBARA!!


投稿です。

イヴちゃんが完全に人間卒業してしまいました。
だが私は謝らない。



 

車から上がっている炎の向こうの影が人外に変わる。

 

明らかな異常事態だったが、彼女達は弦太朗が目の前にいるへの安心からか1名を除いてそれなりに落ち着いた様子を見せていた。

 

「嘘・・・!?」

 

「彩ちゃん落ち着きなよ?ゲンちゃんだっているんだよ?」

 

「でも~!?」

 

 

 

 

 

「チサトさん、最近起こってるアイドルの事故は・・・」

 

「間違いなくあれの仕業ね・・・流石にこんな堂々と襲ってくるのは考えてなかったけど・・・」

 

「見てください!!片手が変ですよ・・・?」

 

「・・・武器を持ってるようには見えないですね?」

 

 

 

 

「片手が変・・・?まさか!?」

 

麻弥とイヴ言葉を聞いた弦太朗の警戒心が一気に高まり、ドライバーを装着するとスイッチを入れいたが、彼の内心は全く穏やかではなかった。

 

 

 

 

 

彼が今まで戦ってきたゾディアーツの殆どが人に似た形で星座の模様と手持ちの武器以外は基本的には左右対称なものが殆どだったが、そんな中にも例外がいる。

 

最近で言えばペルセウス―――

あの左腕は人を石化させる為に人に近い形ではあるがそれは右腕と大きく形が違っていた。

それ以外には―――

 

 

彼はそこまで考えるとすぐにドライバーのスイッチを叩き始めるが、途端に燃え上っていた車が縦に切り裂かれるゾディアーツが炎の中を突っ切ってその姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの腕・・・ハサミ・・・?」

 

炎の中から現れたのは左腕そのものがハサミになっているかに座のゾディアーツ―――キャンサーゾディアーツの姿だった。

 

「やっぱり・・・かに座か!!」

 

その言葉と同時に弦太朗はドライバーのスイッチを入れ終えてカウントが響き始めるのと同時にキャンサーが自身が切り裂いた車へ向かって歩き始める。

 

 

 

3―――――――

 

そのカウントと同時に弦太朗達の前へとダスタードが現われる光景に身構えるも、彼らの前で不思議な行動を取り始める。

 

2―――――――

 

ダスタード達は弦太朗の妨害をするような素振りも見せずに切られた車の横に道を作る様に並び始めた。

光景に弦太朗を含めた全員が疑問を覚えるが、弦太朗はすぐに目の前のキャンサーへと意識を向け直す。

 

 

1―――――――

 

「変身!!」

 

カウントを終えたドライバーの音声を聞いた弦太朗が叫びフォーゼへと変身するが、

キャンサーは自身が切り裂いた車の間を通ってダスタード達が作った道をモデルのような足取りで悠然と歩くが、フォーゼへと変身が完了した姿を見てその歩みを止めた。

 

 

 

 

「宇宙・・・」

 

「「きたぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」

 

 

 

「日菜さん!!急に耳元で叫ばないでください!!」

 

「麻弥ちゃん!!ごめんごめん!!」

 

フォーゼと共に日菜がいつものように拳を空へと突き上げるが、耳元で叫ばれた麻弥からは注意が飛ぶも日菜はそれに平謝りをしてフォーゼへと視線を向けていた。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

その言葉と共にキャンサーとダスタードがフォーゼの後ろにいた日菜達の一歩前にいたイヴ目掛けて一斉に動き出す。

フォーゼはイヴが商店街で巴達と大暴れした件を思い出して、ダスタードだけならなんとかできると考えてキャンサーへと前蹴りを食らわせながらコズミックスイッチを取り出す、

 

 

 

 

 

このまま追撃をしようとフォーゼだったが、ここで1つ誤算があった。

 

「うわぁ!?どうしよう!?こっちきたよ!!」

 

「こっちにはイヴちゃんがいるよ!!イヴちゃん、やっちゃえ~!!」

 

彼女達もイヴなら大丈夫と思っていたが―――

 

 

 

 

 

 

「ダメです!!今は竹刀も木刀もありません!!」

 

 

 

「マジかよ!?」

 

「そんなイヴちゃん!?何でないのよ!?」

 

「そりゃ、楽器の練習直後なんですからもってないですよね!?」

 

楽器の練習をした直後だったため、彼女は武器の類の物を持っていなかったのだ。

 

それを聞いたフォーゼと千聖からは声が挙がるが、麻弥はその言葉に慌てながらもツッコミを入れてしまう。

 

流石の彼女も武器がなければどうしようもない。

なんとかして武器を奪うことも考えたが、奪った武器を出したダスタードが消えると武器自体も消えてしまう事を商店街の時に学んでいた彼女は武器を奪うことはせずに迫ってくる刀を紙一重で躱し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇっとこれは学校の教科書で・・・これがさっきの練習着で・・・。ダメだ~代わりになりそうなのないよ~!!」

 

「彩ちゃん?カバンひっくり返して何をバカなことをやってるのかしら?」

 

「何かないかなって・・・。ねぇ!!あのバス停の看板はどう!?」

 

「彩さん!?あんなもの持てるわけないですよ!!」

 

彩が某未来の猫型ロボットの如く自分の荷物を当たりに撒き散らしながらイヴの武器の代わりをなる何かを探し始めるが、それを千聖に白い目で見られたことで軽くパニックになって想像の斜め上を行くような提案をすると途端に麻弥がツッコミをいれる。

 

そんなバカをやってる横で日菜があることを思いつく。

 

 

 

「ゲンちゃん!!電気のアレ!!イヴちゃんに!!」

 

「そっか!!前の時みたいに!!」

 

フォーゼは日菜の言葉に一瞬だけ悩んでしまった。

 

以前のようにエレキステイツでロッドをイヴに渡すだけなら戦闘経験が豊富なフォーゼにとってはそこまで問題ではないが、今回は相手が悪すぎた。

 

以前それをやった時の相手は十二使徒ではないキグナスで厄介ではあったもののロッドを使用しなくても問題がない相手ではあったが、今回は十二使徒のキャンサーであることを考えるとエレキ戦いを続けるよりもコズミックで一気に力押しをした方がこの場での勝算は高い。

 

ここまで考えた弦太朗はドライバーのスイッチを入れ替えた。

 

 

 

 

――エレキON――――――――

 

フォーゼはこの場の勝算を捨てた。

コズミックステイツを諦めてエレキステイツへと変身するとすぐにロッドとイヴ目掛けて投げつけるとロッドはイヴ目掛けて真っすぐと飛んでくるが、イヴはそれを身体を捻って躱しながらロッドの柄を掴むものの勢いに負けて後ろへと体勢を崩してしまった。

 

「イヴさん!?」

 

「「「あぁ~!?」」」

 

体勢を崩したイヴ目掛けてダスタードが突っ込んでくる。

最悪の想像が思い浮かんで麻弥たちが声を挙げてしまったが、イヴの身体スペックは彼女達の想像を遥かに超えてきた。

 

「・・・っ!!」

 

イヴは投げられたロッドの勢いに負けて後ろに身体をもっていかれたが、その勢いに逆らわずことをせずにそのまま勢いに身を任せて倒れながらダスタードの攻撃をやり過ごすとすぐに体勢を立て直してダスタードの横腹にロッドを叩きつけるとダスタードはそのまま塵になって消えた。

 

相手を倒したことへの感傷に浸る間もなくイヴは残っていたダスタードに視線を向けると、立ち塞がる様に構えるがそれを見たからかダスタードは一斉に距離を取ると爆弾を一斉に投げ始める。

 

「「イヴちゃん!?」」

 

「・・・」

 

しかし、爆弾が迫っているにも拘らず彼女は慌てる様子も見せずに、数歩前に歩きながらロッドを振り回すと彼女の足元や少し離れた位置で小さな爆発が起こる。

彩たちは理解できていなかったが、日菜だけはイヴが何をやったのかを理解して声を挙げた。

 

 

「イヴちゃん!!すご~い!!」

 

「えぇ!?」

 

「日菜ちゃん?あの子が何をしたか分かったの?」

 

「えっとね。自分に当たりそうな奴だけアレで撃ち返してたんだよ!!前に出たのは私達に飛んでこないようにするためじゃないかな?」

 

「「「は?」」」

 

 

 

 

 

 

「みんな見えてなかったの?」

 

「普通見えないわよ・・・」

 

「でも、日菜ちゃんにも出来そうだよね?」

 

「あはは~・・・流石に無理!!」

 

当たり前のように言葉を返した日菜に一同は間抜けな表情を浮かべてイヴへと視線を送る。

そこにはイヴがゆっくりと歩きながらも次第の腕の速度が上がっていき、ダスタードを射程圏内に捉えるとダスタードは爆弾から刀へ持ち替えようとするが余りにも遅すぎた。

 

 

 

 

 

 

「ブシドー!!」

 

イヴが気合いの籠った声と共にロッドを振り抜くと同時にダスタードが地面に倒れると同時に塵になって消える。

そして、全てが片付いたをの確認したイヴは塵が舞い上がる中でロッドを振って塵を払うと彩たちの元へと戻っていく。

 

「イヴちゃん!!凄い!!」

 

「ヒナさん!!ありがとうございます!!」

 

 

 

 

 

 

「あぁ!!如月さん!?」

 

こちらはなんとかなっていたが麻弥がフォーゼの方へと視線を向けると同時に叫びを挙げる。

それを聞いた彩たちも麻弥と同じ方向へと視線を向けるのだった。

 

 

 

 





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オマケ
人間やめた人たちの倒し方
・イヴ
3人の中では比較的容易に倒すことが可能です。

彼女の場合は刀剣類や棒状の武器を持つ前に倒してしまうか、武器を持たれた際は武器破壊を狙って立ち回りましょう。
また、彼女には人質が有効ですが少しでも人質に傷つけると覚醒して移動速度と攻撃速度にバフが掛かり3人の中で最速になり手が付けられません。
いずれの状態でも彼女には圧倒的な回避力+必中攻撃を高確率で回避するスキルがあるため、攻撃が切り払われる心配のない広範囲技を用意する必要があります。


・美咲
平常時の耐久は一般人と同等なのでミッシェルに入るかダイザーに乗り込む前に倒す必要がありますが、ミッシェルの場合は商店街用の無改造品でも手が付けられないので絶対に阻止しましょう。
また、彼女の前でバンドメンバー(特にこころ)への攻撃は厳禁です。
攻撃した場合は発狂モードに突入して生身でも通常のゾディアーツ程度なら余裕で倒すほど強化されます。

または、美咲に会う前にこころ達を洗脳して美咲へと攻撃させる方法も有効ですが、戦いが長期化すると美咲に精神バフが発生して対処不能になります。


・巴
彼女を倒す前の事前準備として必ず妹かバンドメンバーの誰かを人質にしてください。
そして自身は人質を殺さない程度に痛めつけるのを見せつけて精神攻撃をして、巴への直接攻撃は仲間に任せましょう。
しかし、彼女の耐久値は高耐久のリサ姉の3倍以上あるため長期戦は必至ですので仲間を入れ替えながら絶え間なく攻撃を繰り出してください。
万全の準備を整えたとしても彼女の耐久を削り切って倒すのには3日程度かかります。

準備のいずれかを怠った際は
――――――諦めてください。


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未・来・彩・色-7 白鷺千聖はそこから何に気が付いたのか


投稿です。
うーんこの・・・

前回後書きにさらっと人外判定貰ったリサ姉ですが、たぶんそのタフネスが活かされることはない。



 

エレキステイツになるも自身の武器をイヴへと投げつける光景が理解できないキャンサーは首を傾げるが、そんなキャンサーを他所にフォーゼは次の行動へと移っていた。

 

 

――――――ウォーターON――――

 

「食らえ!!」

 

「・・・!!」

 

「マジか・・・。これ当たんのかよ・・・」

 

フォーゼは流れでウォーターのスイッチを起動して左脚を持ち上げるとキャンサーへと放水するが、こんな目に見えた攻撃が直撃したことにフォーゼは驚きながらもそのまま放水を続けるとキャンサーはそのまま勢いに負けて歩いてきた車の間をそのまま後退していくと未だに燃えている車の影に隠れていく。

 

「逃がさねぇ・・・っとその前に消火だ!!」

 

フォーゼはそのまま水流で燃え上っている車を消火するも、その隙にキャンサーを見失ってしまい周囲を見回すとすぐにその姿を捉えたが―――

 

「隠れてる見てぇだけど・・・背中の足が丸見えだぞ・・・?」

 

人間にはついていない背中についているカニの足のような部分が隠れていた別の車の影からはみ出ているのを見つけて力が抜けてしまうがキャンサーは気が付いていないようなのでそのままウォーターを切ってからドライバーのスイッチを交換する。

 

 

――――ステルスON――――――

――――――――ハンマーON――

 

「サテト~ドコイッタンダ~・・・?」

 

ハンマーを構えながらフォーゼは下手糞な演技をしながらキャンサーを探す振りをする。

その言葉が聞こえたのかキャンサーは未だにその場を動こうとしないのを確認したフォーゼは右足を振り上げてステルススイッチによってその姿を完全に消すとキャンサーの背後に回り込んでそのままハンマーで振りかぶって叩きつける。

 

「おらっ!!」

 

「っ!?」

 

突如として聞こえてきた声と背後に現れたフォーゼに驚くキャンサーは咄嗟に左腕のハサミを振り上げるがフォーゼは再びステルスで姿を消すのを見たキャンサーは闇雲に左腕を振り回し始める。

 

近くにあった車や病院の外壁が切り刻まれているが、フォーゼは冷静に距離を取りながら回避をするとステルスの時間切れによってキャンサーから離れた位置にその姿を現す。

 

「すげぇな・・・でも!!これなら!!」

 

 

フォーゼはイヴへと視線を送るとここでイヴが最後のダスタードを倒した光景が映るとフォーゼはコズミックスイッチを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ!!如月さん!?」

 

しかし、目の前のキャンサーの戦闘力が低かったこともあって完全に油断してしまったフォーゼは視線を麻弥へと移してしまったのが完全に仇になってしまった。

 

「ん・・・?うわぁ!?」

 

完全に油断したフォーゼはキャンサーが近づいていたことに全く気が付いておらず、手に持ったコズミックスイッチをキャンサーによって弾き飛ばされてしまう。

 

「こいつ、ここまで動けたのか・・・!!」

 

普段だったらここまで油断することなどありえないが、先ほどまでは戦い慣れていない様子を見せていた事や、先ほどまで慣れない環境にいたことによって見えない疲れが出てきていたのかあり得ないミスをしてしまった。

 

「ちょっと弦太朗!?大丈夫なのよね!?」

 

「心配すんな!!ちょっと気が抜けちまっただけだ!!」

 

千聖から心配の声が挙がるがフォーゼはそれに答えながら気合いを入れ直してキャンサーへと視線を向けるが、そこには壁になる様にダスタード達を出していたキャンサーの姿があった。

 

「ゲンタローさん!!これお返しします!!」

 

「サンキュー!!ってあぶねっ!!」

 

イヴがロッドをフォーゼの足元へ向けて滑らせる。

足元へと滑ってきたロッドをフォーゼは器用に足で持ち手を蹴り上げて構えるが、ソケットがロッドに差し込まれた状態だったことに驚きを覚えつつエレキスイッチをロッドへと装填した。

 

 

 

 

 

―リミットブレイク―

 

「ライダー100億ボルトバースト!!」

 

フォーゼは地面にロッドを突き立てるとダスタード達の足元まで伸びていた水たまりを伝わせて電流を流し込むと盛大にダスタード達は爆発するのを見てすぐさま爆風の向こう側へと走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!!どこにもいねぇ!!」

 

「バガちゃん!!探して!!」

 

爆風の向こうにはキャンサーの姿は影も形もない。

千聖が持っていたバガミールとフォーゼの目視で周囲を探すが見つけることが出来ず、仕方なくフォーゼは変身を解除して不思議そうな顔をしながら麻弥たちの元へと戻っていった。

 

 

「う~ん・・・」

 

「ゲンちゃん?どうしたの?」

 

「いや、アイツ・・・なんだったんだって思ってな・・・?」

 

「なんだったって如月くん。犯人じゃないの・・・?」

 

「いや、そうじゃなくて・・・」

 

「もう、何が言いたいのかしら・・・?」

 

弦太朗の歯切れの悪い言葉に千聖が不満そうな声を挙げると、彼なりに考えてから不審な点を話し始める。

 

「なんつーかよ。戦いには慣れて無さそうなのに動きがよかったっていうか・・・」

 

「あ~・・・それって麻弥ちゃんみたいってこと?」

 

「えっ!?ジブンっすか!?」

 

弦太朗の下手な説明に日菜がピンときたようで例えで麻弥の名前を挙げるが挙げられた本人は驚きの声を挙げてしまうが日菜自身は何事も無いように話を続けていく。

 

 

 

「麻弥ちゃんドラムで身体動かすのは出来るけど、普通の運動は苦手でしょ?」

 

「それはそうですけど・・・どういうことですか・・・?」

 

「なるほどね・・・アイツは麻弥ちゃんとは逆で普通に動くのは出来ても、戦いは専門外だからできなかったってことかしら・・・?」

 

 

「そうそう!!・・・だよね?ゲンちゃん!!」

 

「まぁ・・・そんな感じか?」

 

弦太朗の言いたいことがなんとなく分かった彼女達だったが、ここで彩が来た当初の目的を思い出した。

 

「ならとりあえず、病院の中にいこ?そのために来たんだから!!」

 

「ですね・・・まだ気になるところはありますが・・・」

 

「でも、こんな騒ぎの後で大丈夫でしょうか・・・?」

 

「とりあえず、行きましょう!!」

 

「そうだね~」

 

 

 

 

 

「みんなは先に行ってくれるかしら?私はちょっと弦太朗と話があるから」

 

「そういう事らしいから・・・悪いな」

 

疑問が残るもののそれを口にする前に当初の目的を果たすために一同は病院へと入っていくが、千聖はここで弦太朗をその場に残すと他のメンバーは先に病院の中へと入っていく。

 

「それで何で残したんだ?」

 

「大したことじゃないんだけれど、あなた明日からそのスーツ着るのはやめておきなさい」

 

「お前、急に何言ってんだ?」

 

「あなたのそのスーツ・・・亡くなったお父さんの形見なのよね?」

 

千聖に親の事は1度も話したことはないのにも関わらず、親の事が彼女の口から出てきたことに弦太朗は目を丸くしてしまった。

そんな彼は驚きながらも彼女からの質問に答える。

 

 

「そうだけど、なんでお前がそこまで知ってんだよ?」

 

「りみちゃんと蘭ちゃんから話は聞いてたのよ?大丈夫、この事を知ってるのは私だけで彩ちゃん達は知らないから」

 

「あいつら・・・」

 

弦太朗は自身の知らないところで自分の事が話されていたことに頭を抑えるが、千聖は彼の秘密を知ったことが嬉しいのか小さく笑みを浮かべていた。

 

 

「だから、明日の練習前にスーツ買いに行くわよ?」

 

「おいそんな金急に・・・」

 

「私に任せなさい。それに私達の都合でこんなことさせてるのだからスーツの代は私で用意するわよ」

 

「でもよ・・・」

 

「あなたバイト代のお金を受け取らないんだから、バイト代の代わりに受け取っておきなさい!!」

 

「でもな・・・」

 

「あぁ!!もう明日買いに行くの!!いいわね?・・・それじゃ、私達も行きましょう」

 

「おいっ!!・・・ちょっと待てよ・・・!!」

 

彼の言葉を聞く様子もなく千聖はさっさと日菜達の後を追って病院へと入っていくと、弦太朗もその背中を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

私はみんなと別れて家に帰ってからシャワーを済ませてから、自分のベッドに横になりながら明日の事を考えていた。

 

とりあえず、私の好みと弦太朗の好みで2着は買うとして、他にも靴とかも一緒に買いそろえて・・・

 

あら?弦太朗のスーツを買いに行くけど・・・これってもしかして・・・

 

「これって傍から見たらデートよね?・・・って何を彩ちゃんみたいなことを言ってるのかしら・・・」

 

疲れからか頭が全く回らずに彩ちゃん見ないなことを言ってるわね・・・

でも、まだやらないといけないことがあるから寝るわけにはいかない。

 

「バガちゃん、こっちにいらっしゃい」

 

私は一緒に帰ってきたバガちゃんを呼び、あの時は分からなかったけど何か見落としてる物を探すために襲われた直後の映像を確認し始めると人影が写っていることに気が付いた。

 

 

 

「バガちゃん。ここ拡大してくれるかしら?」

 

バガちゃんにお願いするとちゃんと私が気になった箇所をしっかりと拡大してくれたけれど、でもまだ画像が粗いけど・・・・

 

「この人・・・」

 

私はこの人影の正体に見当がついてしまった。

もしかしたら似ているだけかもしれないけれど・・・。

 

「みんなに教えるわけにはいかないわね・・・。バガちゃん、この悪いけれどこの映像消しておいてくれるかしら?勿論、弦太朗にも送っちゃだめよ?」

 

バガちゃんにそう伝えてちゃんとその時の映像を消してくれたのを確認した私は気持ちを落ち着かせつつそのままベッドで眠りについた。

 





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未・来・彩・色-8 恋愛ブレーキ故障中

投稿です。
作者知りませんでしたが最近の学生向けネクタイは結び目が出来てて後ろのホックで止めるタイプが出回ってるそうですね。
でも、ガルパピコでは結び方覚えてきたって話があったから羽丘はそう言うのじゃないのでしょうね・・・(友希那はリサ姉に結んでもらってそう・・・

それと次回は曇らせたい・・・!!
誰をって?そりゃもちろん・・・


 

 

「千聖ちゃん!!」

 

「おはよう、花音。朝からそんな慌ててどうしたの・・・?それに何でみんな私を見てるのかしら・・・?」

 

先日の騒動があった翌日、千聖は慣れた様子で教室へと入っていくとそれを見た花音が今まで見たことがないような速度で彼女に駆け寄ってくるとクラス中の視線が彼女に集まる。

そして、先ほどまで他の学年の生徒達からも視線を浴びていた彼女は何があったのかを花音へと聞いてしまったのが間違いだった。

 

「千聖ちゃん!!如月くんに告白したって本当なの!?」

 

「あなた!!一体を何言ってるの!?」

 

「ふえぇ?違うの?」

 

「・・・はっ!?」

 

周囲に勘違いされるのは想定内だった千聖。

しかし、”自分から告白した”という話になっていた事が彼女のわずかに残っていたプライドを刺激してしまい、思わず否定するような態度で言い返してしまった。

 

ここで千聖は自分がプライドなんて捨てれば逆転大勝利が確定したはずだったのだが、その事に気が付いた時にはもう遅かった。

 

 

「あっ・・・そう言えば如月くんは今、千聖ちゃんのお手伝いだもんね?」

 

「・・・えぇ、そうよ」

 

「もぅ、びっくりしちゃったよ。みんなが千聖ちゃんが如月くんを「私の物だ!!」って言ってたなんて言ってたから・・・」

 

「まぁ、一応は私のマネージャーってことになってるから・・・」

 

「良かった~。私、みんなに教えてくるね!!」

 

「ちょっと花音!?」

 

花音が千聖から話を聞くとみんなの誤解を解こうと話して回る。

100%の善意で動いている花音に千聖は彼女を止めることが出来ず、心の中で盛大に泣いた。

花音の活躍で事態は急速に鎮火したがここでもう1人の中心人物が現れる。

 

「おはよう!!ってなんだこの状況?」

 

 

「あっ!!如月くん!!おはよう!!」

 

「おはよう!!・・・。それで、なにかあったのか?」

 

「ううん!!みんなの勘違いだっただけだから気にしないで!!」

 

「よく分かんねぇけどな・・・」

 

後から来た弦太朗はクラス内の微妙な空気に疑問に感じていたが、花音の言葉を聞くもイマイチ状況を飲み込めないが気にしないことにした。

しかし、この空気を読まずにとある人物が教室へと入ってくる。

 

 

 

 

 

 

「おはようございます・・・」

 

「よぉ!!燐子。おはよう!!・・・なんか妙にツヤツヤしてる様な・・・」

 

「弦太朗?あなた何言ってるの・・・?でも、確かにすっきりした顔をしてるわね・・・。しかもそれ、弦太朗の制服よね?」

 

ここにやってきたのは妙に肌がツヤツヤした燐子が弦太朗の上着を羽織った姿で教室に入ってくる。

その事を疑問に思った弦太朗と千聖だったがここで燐子は無自覚に燃料を投下してしまう。

 

「如月さん。昨日着替えた時に制服を忘れていったましたよ・・・?」

 

「サンキュー!!今朝に忘れたこと思い出してな!!でも、なんで上着を羽織ってるんだ?」

 

「私は気にしてませんよ?上着は・・・そのにおっ・・・じゃなかった・・・肌寒くて、羽織ればちょうどいいかなって・・・」

 

「そうか・・・今度からは忘れねぇようにもっと気をつけるわ」

 

「いえ・・・気をつけないでいいですから・・・」

 

着替えて制服を忘れるなどと言うとんでもない発言を無自覚に繰り出した燐子に周囲が騒がしくなる。

事情を知っている千聖と花音は兎も角として、何も知らない生徒達があらぬ誤解をし始めるが、ここでこの教室に特大爆弾がやってくる。

 

 

 

「如月さん。おはようございます」

 

「紗夜か・・・って手に何を持っているんだ?」

 

「何って如月さん・・・ネクタイです。」

 

紗夜は何故かネクタイを片手に教室に入ってくると持っていたネクタイをグイグイと弦太朗へと押し付ける。

 

「はぁ?何でこれを俺に渡すんだ?」

 

「ほら、如月さん。昨日はネクタイ結べてなかったんですから練習したほうがいいではないですか?」

 

「いや、でも今じゃなくても・・・」

 

「昨日は戸山さんと白鷺さんに直してもらってたじゃないですか?いつまでもそういう訳にも行きませんよ?」

 

「・・・おう。とりあえず練習しておくわ」

 

「では・・・どうぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

「「「はぁ?」」」

 

そういうと紗夜は何故か弦太朗へと自身の首を差し出す。

その行動が理解できない外野の生徒を含めて一同が声を挙げるも紗夜は毅然とした態度で崩さない。

 

「昨日調べたのですが、ネクタイを結ぶ練習をする際に最初は人のを結ぶ方がいいそうですよ?」

 

「紗夜ちゃん?そんなの聞いたことないのだけれど・・・」

 

「ネットで調べました。結び目を自分の目で見ながら練習できるからそれが理解に繋がるそうです(勿論、嘘ですが・・・)」

 

「そうなのね・・・?」

 

紗夜の言葉に千聖は疑問を覚えるが、紗夜の自信満々の態度と普段彼女が付くわけもない嘘に千聖はまんまと騙されてしまった。

 

 

「と言う訳ですので如月さん。どうぞ?」

 

「でもよ・・・」

 

「ほら、遠慮しないでいいですよ?それに白鷺さんと一緒に行動するということは、日菜と一緒に行動するのと一緒です。それでしたらそれにふさわしい格好くらいはしてください。と言う訳で早速練習です」

 

「分かった・・・」

 

周囲の奇異の目が向けられる中でそう言うと弦太朗は紗夜に言われた通り彼女の首にネクタイを巻いていくが、人に巻くということが今までなかった彼は違和感があるのかなかなかうまくいかない。

なんとか結び目を作り終える直前といった状況にで紗夜は集中している弦太朗へと声をかける。

 

 

 

 

「如月さん、知ってますか?」

 

「今集中してるんだけど・・・」

 

「緊張をほぐすための会話です」

 

「なんだ?」

 

弓道で的を狙うかのように集中を切らす的確なタイミングで声をかけた紗夜はそのまま話を続けていく。

 

「他愛ない話なのですが、ネックレスのプレゼントには”束縛したい”、”一緒にいたい”という意味があるそうですよ?」

 

「へぇ・・・」

 

「ネクタイも同じく首に巻くものです。つまりはネクタイを他の人に巻くとはそういう意味があると思いませんか?」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

 

 

 

 

 

「ぐぇっ!!」

 

「やべぇ!!変に力が入っちまった!!紗夜!!大丈夫か!?」

 

紗夜の思わぬ発言に一同から声が挙がる。

弦太朗も驚きの余り最後にネクタイを締める力加減を間違えてかなり強く締めてしまい、紗夜らしからぬ声が挙がると彼は急いでネクタイを緩めて紗夜へと声をかけるが彼女は何かがおかしかった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・///えぇ・・・悪くなかったですよ?」

 

「なぁ・・・本当に大丈夫か?」

 

「大丈夫ですから///・・・もう1回・・・///」

 

首を絞められてしまった紗夜は息が上がっているが、何故か頬を赤らめて強請るような視線を弦太朗へと向けていた。

そんな紗夜を見て不安になった弦太朗は彼女に声をかけるがここで千聖が吼えた。

 

「させるわけないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

「白鷺さん、今はとても良いところなので・・・」

 

「いい加減にしなさい!!」

 

ここで千聖がストップを掛けるが紗夜が意味不明な理由で続けようとした光景に千聖がキレて、彼女の頭を丸めたノートで叩く。

その事に紗夜が抗議するも、燐子や花音を含めた全ての女子生徒は紗夜を可哀そうなものを見るような視線を向けていた。

 

 

 

 

 

「彩、こんな感じでどうだ?」

 

「うん。結べてると思うけど、ちょっと曲がってない?」

 

そんな中で弦太朗は空気を読んでか読まずか、いつの間にか教室にいた彩と共にネクタイを自分の首に巻く練習をするのだった。

 

 

 

 

そして、授業が全て終ると同時に千聖はすぐに行動を開始した。

 

「じゃあ、弦太朗。行くわよ!!」

 

「帰りの準備が・・・」

 

「もう・・・早くしなさい」

 

行動を開始したが弦太朗の準備が終わってないという事態が発生してしまい、その異変に気が付いた紗夜は朝の失態などなかったかのように毅然とした態度で2人へと話しかける。

 

「白鷺さん?そんなに慌ててどうしたんですか?」

 

「紗夜ちゃん、実は練習前に買物に行くことになってるのよ・・・」

 

「・・・なぜでしょう・・・。風紀の乱れる匂いがします・・・」

 

慌てている様子の千聖に紗夜は何かを感じ取っていた。

 

流石は花咲川の番犬―――

朝の駄犬モードとは打って変わり、今の彼女の嗅覚は冴えわたっていた。

 

「では、丸山さんも呼びましょう」

 

「いいのよ。彩ちゃんは打ち合わせがあるから・・・それじゃあ、紗夜ちゃん。また明日ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

千聖は弦太朗の腕を引いて教室から出るが、その後を紗夜が追跡すると昇降口のところで靴へと履き替えていた2人の会話を盗み聞きを始めた。

 

「なんで本当の事を言わなかったんだ?」

 

「だって、紗夜ちゃん・・・彩ちゃんみたいな感じがしたんだもの・・・」

 

「よく分かんねぇけど、さっさと行こうぜ。それでどこに行くんだ?」

 

「そうね。校門にタクシーは呼んであるけれど近場で済ませましょう。折角だからあなたのスーツを選んであげるわよ」

 

「そうか?悪いな・・・」

 

「じゃあ、2人で行きましょうか。彩ちゃん達を付き合わせるのも悪いものね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「ダメ(です)!!」」

 

流石に我慢の限界だったのか紗夜ともう1人の人影が弦太朗達の前へと現われた。

 

「紗夜ちゃん!?」

 

「沙綾?何やってんだ?」

 

「こっちのセリフだよ!!弦太朗!!千聖先輩とデート!?」

 

「風紀の乱れは許しません!!」

 

もう1人の人影は沙綾だった。

たまたま昇降口にいた彼女もまた2人の会話を盗み聞いていたのだが、奇しくも我慢の限界を迎えたのは紗夜と同じタイミングだった。

そんな2人を見て弦太朗は千聖へと視線を送っていた。

 

 

 

「そんなんじゃねぇよ。ただスーツ買いに行くだけだよな?」

 

「えぇ、仕事前に弦太朗へスーツをプレゼントするのよ?」

 

「「なっ!?」」

 

「弦太朗!!私を抱えて走りなさい!!」

 

「おう!!」

 

千聖は2人へ笑みを浮かべると靴を履き替え終わっていた弦太朗に自身を抱えさせて走らせる。

流石の紗夜達も驚きの余り固まってしまうがすぐに我に返って靴に履き替えることもせずに追いかける。

 

「何で紗夜達から逃げるんだよ!!」

 

「あの子たちの目ヤバいわよ!!捕まったら練習どころではないわ!!ほらもう少し!!」

 

弦太朗は千聖に急かされながら校門の前に停まっていたタクシーへと滑り込むと、沙綾達を置き去りにしてそのままタクシーは走り出してしまった。

 

「逃げられましたか・・・ですが、絶対に逃がしません・・・!!山吹さん!!」

 

「紗夜先輩!!行きましょう!!」

 

「えぇ!!」

 

「もしもし!!ひまり?弦太朗が千聖先輩と買物デートしてる!!近場でスーツ買うって言ってたからつぐみ達とモールに急いで!!」

 

紗夜と沙綾は鬼のような形相を浮かべて走り去るタクシーに背を向けると、靴を履き替えるために昇降口へと戻る最中にひまり達へと連絡を取り共に千聖を妨害するために近場でスーツを買えるモールへと向かうのだったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近場は近場でも”事務所の”近場なのよねぇ・・・」

 

しかし、千聖の方が1枚上手だった。

 

「千聖?何か言ったか?」

 

「いえ。何も言ってないわよ?とりあえずスーツは2着買うわよ」

 

「でもよ・・・2着もいるか?」

 

「何かあった時のために予備は必要よ?1着は選んであげるから、もう1着は自分の好みで選びなさい」

 

「でもよ?バイト代代わりにしちゃ高すぎねぇか?」

 

「あなたは私のマネージャーなのだから今は言うこと聞きなさい。そうだわ。折角だったら私も弦太朗と似たようなスーツ買おうかしら?」

 

そんな会話をしながらも、彼女達を乗せたタクシーは2人の目的地へと向かうのだった。

 

 

 





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未・来・彩・色-9 夢が呪いに変わる時

投稿です。
ふぅ・・・満足・・・

そして1つ皆さんに謝罪フェイズ。
対して気にしてない方もいると思いますが、物語中に日時設定を途中で間違えたせいで日程感が破綻しちまったことを謝罪します。
まぁ、数日後とかが翌日とかに変わる程度ですが・・・、ちょいちょい設定を変えさせてください!!
アニメバンドリ基準の日程で考えると、この話ってちょうどRASがギスドリしてるおたえ誕生日と同じくらいの日程になるんですよねぇ・・・(つまりバンドリ決勝まで2週間ちょっとしかない!!

これで2週間で後最低4バンドをやるって言うのは・・・無理だっぴ!!(2週間で4体の十二使徒連戦はヤバい・・・ヤバい・・・
今後は間違いなく時空が歪みます・・・


 

「あれ!?モール着いたけど・・・如月くん達がいない!!」

 

「どうなってるの!?つぐ!!」

 

「分かんないよ!!沙綾ちゃん達はバンドリの決勝出るためにライブしてるし!!」

 

モールでは沙綾の連絡を受けて弦太朗達を探しに来ていたつぐみとひまりだったが―――

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗。あなた、学ランで黒のイメージが強かったけど、グレーも似合ってるじゃない」

 

「そうか?」

 

「丈も大丈夫そうだし、それにしましょうか。ほら、早く着替えて、次は私のスーツを選ぶわよ!!」

 

「おいおい、ライブすぐなのにいいのか?」

 

「最後にお忍びコーデ選び兼、気分転換よ。もう目星は付いてるから時間すぐに終わるわよ」

 

弦太朗は以前に買物に付き合ったつぐみやハロハピの面々との出来事を思い浮かべて顔を顰めるが、彼の想像とは対照的に千聖はすぐに1着だけを選んで試着室へと入っていくと殆ど待ち時間を感じる間もなく彼女は試着室の扉を開けた。

 

「これなんてどうかしら?スーツに合わせて伊達だけど眼鏡も付けてみたのだけど・・・」

 

「なんか、こう・・・上手く言えねぇけど似合ってるぞ?」

 

「じゃあこれにしましょうか。それじゃ弦太朗の分も会計してくるからあなたは店の前で待ってなさい」

 

弦太朗は千聖に言われるがままに店の外に出るが―――

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?如月くん?なにしてるの?」

 

「ゲンタローさん?チサトさんと一緒ではなかったんですか・・・?」

 

後から学校を出た彩とイヴが店の前を通るタイミングで弦太朗は店の外に出てしまったのだ。

彼は特に考えることも無く今の状況を話し始めた。

 

「昨日着てたスーツが親父のもんだから、バイト代の代わりって言って千聖が買うって言い始めたから今、千聖が会計してんだよ」

 

「そうなんだ」

 

「流石チサトさんです!!」

 

「弦太朗。お待たせ・・・って彩ちゃん!?それにイヴちゃんも!?」

 

そんな他愛無い話をしていたら店から千聖が顔を出したが、この場にいた彩たちの存在に驚きを隠せなかった。

 

「それにしても千聖ちゃん凄いね。バイト代って言ってスーツ買うなんて・・・」

 

「えぇ・・・まぁ、バイトと言っても弦太朗はお金を直接受け取らないし、だからと言ってタダで働かせる訳にもいかないもの。それに女優として働いたお金もあったから・・・」

 

「へぇ~」

 

「流石です!!」

 

 

 

 

 

「・・・?」

 

千聖のイメージでは先ほどの沙綾達のように烈火のごとく不満をぶつけてくると思っていたのに、今の彩はイヴと共に彼女へ尊敬の眼差しを向けていたのだ

そんな光景を見た千聖は目の前の彩からの態度が自分の想像していた物と全然違っていたことに首を傾げてしまったが、すぐに我に返って話出す。

 

「それじゃ事務所へ行きましょうか。本番までもう時間がないのだから」

 

「うん!!頑張ろうね!!」

 

「はい!!」

 

「っとその前に弦太朗はスーツに着替えてきなさい。折角買ったんだから着てもらわないと・・・」

 

「でも、どこで着替えんだよ?」

 

スーツを受け取ったはいいが着替える場所の心配をした弦太朗だったが、そんな彼へ千聖はちゃんと答えを用意していた。

 

「それなら大丈夫よ。さっきお店の人に私のサイン渡してお願いしたら更衣室貸してくれるそうよ?」

 

「芸能人ってスゲーな・・・」

 

「それじゃあ、着替えに行きましょうか?」

 

「・・・じゃあ、千聖ちゃん!!私達はここで待ってるね?」

 

「そうですね。チサトさんが来てから練習したほうがいいですし!!」

 

「・・・分かったわ。すぐに着替えてくるから」

 

本当は先に行っていて欲しかったのだが、昨日の出来事も考えると無理に先に行かせるのを躊躇って千聖は彩の提案に同意すると弦太朗を連れて千聖は店の中へと戻っていく。

 

 

 

「あれ?なんで千聖ちゃんも中に入っていったんだろ?」

 

「ネクタイじゃないでしょうか?昨日もチサトさんに直してもらってましたよ?」

 

「でも、学校でも練習してたし・・・」

 

「そうだったんですね!!」

 

「そうだよ!!私も練習を手伝ったんだから!!」

 

「流石アヤさん!!」

 

自信満々に胸を張る彩をイヴが賞賛の言葉を送ると、表情が一気にだらしないものに変わってしまった彩を微笑みながら見ていたイヴ。

 

そんな空気の中で店の中から弦太朗達が戻ってきた。

 

「2人ともおかえりなさ・・・い?」

 

「あっ!!如月くんに・・・千聖ちゃん・・・?」

 

「なんで私は疑問形なのよ・・・」

 

「まぁ、制服からスーツに着替える意味はねぇよな・・・?」

 

「買ったんだから着たくなるじゃない」

 

「ですが、そのスーツ素敵です!!その赤い眼鏡もあってかとっても恥的に見えます!!」

 

弦太朗はスーツを着て現われた事については納得できたが、何故千聖も弦太朗と一緒にスーツを着ているのかが2人には分からない。

しかし、その姿は魅力的に見えたイヴは千聖を褒めちぎっていた。

 

「なら!!私もスーツ着る~!!」

 

「アヤさん?もう時間がないですよ?」

 

「そうよ。早く練習に行きましょう。それに彩ちゃんはまだ早いんじゃないかしら?」

 

「も~!!」

 

 

そんな緩い空気の中で彼女達は事務所へ向かうが、その入り口には日菜達と共に1人の女性がいた。

 

 

 

「日菜達じゃねぇか・・・それにあの一緒にいるのは誰だ・・・?」

 

「あっ!!」

 

「ちょっとアヤさん!?待ってください!!」

 

「おい待てって!!」

 

彩はその女性目掛けて一直線に駆け出すと慌ててイヴと弦太朗がその後に続いていくが、千聖だけは怪訝そうな表情を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!彩ちゃん達だ!!」

 

「お疲れ様です!!」

 

 

 

「お久しぶりです!!・・・あゆみさん!!」

 

「久しぶりだね?」

 

日菜達と一緒にいたのは彩がアイドルになろうとした切っ掛けになった女性―――あゆみの姿があった。

しかし、彼女の存在について全く知らなかった弦太朗は横にいたイヴへと小声で質問する。

 

 

 

 

「なぁ、イヴ・・・誰だあの人?」

 

「あの人はアヤさんがアイドルになろうとした切っ掛けの人です・・・」

 

「じゃあ、アイドルなのか?」

 

「元・・・がつくけれどね・・・。それに事務所も違うのだけれど・・・」

 

「チサトさん?どうしましたか?体調が悪そうですが・・・?」

 

「イヴちゃん。なんでもないわよ?」

 

「へぇ・・・。でも、そんな人が何でこんなとこにいるんだ・・・?」

 

正体を知った弦太朗だったが、何でそんな人がここにいるのかが皆目見当がつかていないが、そんな中で千聖は嫌な物を感じていた。

 

「今度、ライブをするって聞いてね?」

 

「近くを通ったそうですので、わざわざ激励に来てくださったそうですよ!!」

 

「そうだったんですね!!」

 

「だって会場が会場だもの!!」

 

 

 

 

 

「なぁ、会場って聞いてなかったけどよ・・・」

 

「今度の会場はドームよ?私達も初めてなのよね・・・」

 

「スゲーな!?」

 

初めて聞いたライブ会場に弦太朗は目を丸くしていたが、その言葉と共にこの場の空気がかすかに変わった。

 

 

「彩ちゃん達は本当にすごいよね・・・」

 

「はい!!私も最初聞いたときは驚きましたけど・・・頑張ります!!」

 

「ジブンも精一杯頑張ります!!」

 

「そう・・・」

 

 

 

 

 

「んっ・・・?」

 

 

日菜がこの空気のわずかな変化に気が付いて首を傾げると千聖が感じていた予感が確信へと変わった。

 

だってそれは――――

 

「3人とも!!離れて!!」

 

 

 

 

 

 

「彩ちゃん!!麻弥ちゃん!!」

 

「うん!!」

 

2人の腕を引いて咄嗟に日菜が駆け出すと

この場の空気が揺れて彼らの目の前には信じられないものが広がっていたが、千聖だけは納得していた。

 

先ほどまで彼女が感じていたのは以前の自分が持っていた元と同じものだったから―――

 

 

 

 

「そんな!?」

 

「やっぱりそうだったのね・・・」

 

「千聖ちゃん!?分かってたの!?」

 

「いえ・・・それは後で話すわ」

 

「皆さん下がってください!!」

 

「彩!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・嘘・・・・・・なんで・・・?」

 

「お前が」

 

「あゆみさんがカニだったんですか!?」

 

「うそ・・・なんで・・・えぇ・・・?」

 

目の前で一緒にいたあゆみが先日自分たちを襲ったキャンサーへと変身したことに弦太朗と麻弥から声が挙がるが、彩のあこがれだった存在が目の前で自分たちを襲った存在に姿を変えたことに彼女は耐えられなかったようで皆の言葉が聞こえてずに彩は力なくその場にへたり込んで譫言のように呟き始める。

き始める。

 

「それじゃあ彩ちゃん。今度のライブ見に行くから楽しみにしてるね?」

 

「おい待て!!・・・くそっ!!彩!!」

 

そんな彩の姿を見たキャンサーは彩に言い放つと同時にその場から逃走する。

弦太朗もそれを追おうとするものの、彩たちの事が気になってすぐに彩の元へと駆け寄っていく。

 

「彩ちゃん!!大丈夫!?」

 

「お~い!!あやちゃ~ん!!」

 

「しっかりしてください!!彩さん!!」

 

「アヤさん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・?どうしてなの・・・?」

 

「仕方ないわね!!弦太朗!!とりあえず事務所・・・!!いえ、一旦ここを離れましょう!!」

 

「どこ行くんだよ!!」

 

「後で考えるわ!!」

 

皆が彩へと声をかけるが、今の彼女には仲間の声が届くことは無く、弦太朗に抱えられて彼女たちは目の前の事務所から離れていくのだった。

 

 

 

 

 





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あゆみってだぁれ?
パスパレのイベントストーリー
"あゆみ続けた道、彩られる未来"に出てくるキャラです。

詳しくはアプリで!!


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未・来・彩・色-10 ピンチと奇人とプロ根性

投稿です。

さーてと最後に向かって走り始めるぞぉ・・・!!
後数話かなぁ・・・パスパレ篇・・・



 

事務所から離れた一同。

精神的にダメージでまともに立てない彩を麻弥とイヴの2人が肩を貸して歩かせていたが足取りはおぼつかなかった。

 

「彩ちゃん。フラフラだね・・・」

 

「アヤさん?」

 

「彩さん・・・」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

彩に肩を貸しながら2人は声をかけるが、彼女からの返事はない。

周囲は彼女達から距離を取っているが、それに逆らうようにとある少女達が歩み寄ってきた。

 

「あら!!弦太朗達じゃない!!」

 

「ゲンちゃん先輩ヤッホー!!」

 

「こころ達じゃねぇか!!」

 

「やぁ、奇遇だね」

 

歩み寄ってきたのはハロハピのメンバー達。

状況が呑み込めていないこころ達3人だったが、その後ろにいた美咲達は彩の存在に気が付いたようで―――

 

「ふえぇ~!!」

 

「あぁ・・・。あのー黒服さん、ちょっと・・・」

 

慌てだす花音を他所に美咲は大体の状況を理解すると、こころの近くに控えていた黒服さんを呼んであるお願いをするとすぐに黒服たちが動き出していた。

 

「こころの家の人が車持ってきてくれるので、とりあえずみんなで移動しません・・・?」

 

「そうね!!弦太朗たちも行きましょう!!」

 

「わりぃな・・・」

 

この場を移動することになった彼らだったが、ここで新たなトラブルが発生してしまった。

 

 

 

 

「ちょっと彩さん!!」

 

「アヤさん!!しっかりしてください!!」

 

「おい!!どうしたんだ!?」

 

「彩さんが意識を失くしてしまったみたいで!!」

 

彩は途端に2人の間でぐったりとした様子で意識を失ってしまった。

その事に慌て始める弦太朗達だったが、それを見て千聖が彼らを諭すように声をかける。

 

 

 

「・・・きっと、こころちゃん達にあって安心したのでしょうね?そっとしといてあげましょう?」

 

「ん~・・・?千聖ちゃん・・・」

 

 

 

 

「日菜ちゃん?」

 

「あ~・・・確かにその方がいいかもね~」

 

千聖の言葉に疑問を持ったのは日菜だったが、千聖はそれに気が付いた日菜へと視線を送って威圧すると何となく察したのか日菜も千聖の言葉に乗っかることにした。

 

2人の言葉を聞いて弦太朗達は落ち着いた様子を見せるとそこに車がやってくる。

 

「みんな!!行きましょう!!」

 

 

 

「これ?全員乗れるのかしら・・・?」

 

「大丈夫ですよ?ほら、あそこに2台目が・・・」

 

「流石こころちゃんのうちね・・・」

 

無茶苦茶な弦巻家の行動力に慣れた・・・いや、どこか諦めの表情を浮かべる美咲の言葉に千聖は苦笑いを浮かべながら答えるとやってきた車に乗り込むがそこには―――

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったな千聖」

 

「ちょっと美咲ちゃんと話しててね・・・でも・・・」

 

彼女はそう言いながら車内を見回すとそこには―――

 

 

 

 

 

 

「やぁ・・・千聖」

 

「なんでイヴちゃんじゃなくて薫と花音がこっちにいるのかしら?」

 

「えっとね・・・千聖ちゃん・・・はぐみちゃんが3年生と2年生で分かれようって・・・」

 

「・・・そうだったね」

 

車内にはパスパレの5人ではなく意識のない彩と弦太朗を含めた3年生が集まっており、そのことに対して疑問を感じた千聖だったが花音の説明になっていない説明を聞いて納得した表情を浮かべると空いていた花音の横に座ると、今までの疲れが噴き出してしまったのか先に車内にいた麻弥と同じように座席に深く寄り掛かってしまう。

 

疲れた様子の千聖を他所に車は走り出すと、車内は日菜と薫と弦太朗の空気を読まない会話を聞き流しているうちに千聖もまた意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

「薫くん!!千聖ちゃんが寝てるよ!!写真撮らなきゃ!!」

 

「あぁ・・・心が躍るね・・・」

 

 

 

「ふ・・・ふえぇ~・・・」

 

千聖が寝ていることに気が付いた日菜と薫が自身のスマホを取り出してその寝顔の撮影を開始する。

 

そんな珍しい光景に2人が気を取られているその横で千聖に寄り掛かられて慌てた様子を見せる花音の声と寝ていた弦太朗のいびきは誰の耳にも入ることはなかった。

 

 

 

 

 

――――――――

 

「んっ・・・」

 

私はいつの間にか止んでいた揺れと私の前から聞こえる話し声によって目を閉じたまま意識が戻る。

 

それにしても、いつの間に寝てたのかしら・・・?

まぁ・・・ライブも近いし、最近は色々あり過ぎて疲れてるのね・・・

 

そんなボンヤリした思考の中でハッキリとした違和感を感じた。

 

「(確か・・・車に乗ったのよね・・・。でも、この頭を置いてるこの温かくて柔らかいものは何かしら・・・)」

 

気になってしまった私は頭の下にあるものに手を伸ばすとそれを撫でまわし始めた。

 

「(この感触・・・癖になるわね・・・)」

 

寝ぼけている私はその手に伝わる感触を確かめるようにそれを撫でまわしていた。

 

 

 

 

 

「ふえぇぇぇぇえええ!?」

 

「花音・・・!?あっ・・・」

 

そんな突然聞こえた花音の叫び声に私は顔を上に向けて目を開く。

開いた視線の先には顔を赤くしている花音がいて、頭の後ろには先ほどまで手で感じて柔らかい感覚が伝わってそこで理解してしまった。

 

 

 

寝ぼけていた私の手が撫でまわしていたものは花音の太ももだった。

それに気が付いた私は先ほどまでのだるさが嘘のようにその体を一気に起こした。

 

「花音・・・ごめんなさいね?」

 

「ううん・・・驚いただけだから・・・」

 

すぐに謝ると花音は許してくれたが、何か視線を感じて私はその視線を感じた先を見ると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・。千聖ちゃんおはよー・・・」

 

「やっ・・・やぁ・・・千聖・・・」

 

そこには日菜ちゃんと薫が苦い表情をして声をかけてきた。

私は2人の顔から視線を落とすと2人ともスマホをしっかり握りしめているといる状況に私の脳裏にはあることが思い浮かんだ。

 

 

 

「あなた達、写真撮ったわね・・・?」

 

「「はい・・・」」

 

「消しなさい・・・」

 

「え~・・・」

 

笑みを浮かべながら2人に言うが、2人は全く動かないどころか日菜ちゃんに至っては嫌そうな声を挙げる。

イラってするわね・・・

 

 

 

「もう1回言うけど・・・消しなさい・・・」

 

「「・・・」」

 

流石に日菜ちゃんも今回は声を挙げてこないが、スマホを弄るような行動を起こすどころか日菜ちゃんも薫も私から視線を逸らしてしまう意味が分からないが私は笑みを崩さない。

それに観念したのか日菜ちゃんが話出す。

 

「千聖ちゃん。さっきの写真リサちーたちに送っちゃった」

 

「はい・・・?」

 

今、何て言ったのかしら・・・リサちゃん達に送った・・・?

私はその言葉を聞いてカバンの中から関西人のりみちゃんから譲り受けたスリッパを取り出した。

 

「どうしてなのよ~!!」

 

「いたっ!?」

 

「なんでやねん・・・?うっ!!」

 

「ぐぇ!?」

 

日菜ちゃんにスリッパを叩きこんだ後、文字を読んでいた薫にも日菜ちゃんを止めなかったから同罪と言うことで叩きこむ。

ついでに気持ちよさそうに寝ていた弦太朗にもスリッパを叩きこんだ。

 

「いい加減。降りるわよ?それと日菜ちゃん達は後でしっかり話をするわよ・・・?」

 

「痛い痛い!!千聖ちゃん!!」

 

「ちーちゃん!!放してくれ!!」

 

「ダメよ。ほら、弦太朗も花音も降りるわよ」

 

「うん・・・」

 

 

私は2人の耳を引っ張りながら車を降りる。

2人から声が挙がるがあえてそれを無視して先に降りた麻弥ちゃん達の元へと向かうと、彩ちゃんがベットに寝かされていて周りにみんなが集まっていた。

 

「薫!!遅かったわね!!」

 

「薫くん・・・?」

 

「なんで耳を引っ張られて・・・あぁ、さっきの・・・いえ白鷺先輩なんでもないです・・・」

 

「「・・・」」

 

こころちゃん達は薫がこうなっている理由が分かってないようだけど、美咲ちゃんは写真と言ったが笑みを浮かべて黙らせる。

そんな光景に麻弥ちゃんとイヴちゃんは恐怖の表情を浮かべて抱き合いながら震えていた。

 

・・・この部屋そんなに寒いのかしら?

 

そんな中で空気を読まずに弦太朗が彩ちゃんに視線を送りながら話し始める。

 

「にしても、彩の奴大丈夫か?」

 

「分からないわね・・・。流石にあんなことがあった後だもの・・・」

 

「あんなこと・・・?何の事かしら?」

 

状況が分かっていないこころちゃん達だったが、流石にここまでやってもらって内緒にするのも失礼だと思った私は先ほどまでの事を簡単に説明する。

 

「さっき事務所に行ったときに怪物に襲われたのよ・・・」

 

「そうだったんだ・・・。でも、なんで彩ちゃんがあんな風に・・・?」

 

「目の前で正体を現したのだけれど、それがその・・・彩ちゃんが目標にしてたアイドルの人だったのよ・・・」

 

「そんな・・・!!」

 

「それがショックで気絶しちゃったんだ・・・」

 

説明したのは失敗だったかしら?

彼女達の空気が暗くなるのを感じたけれど、そこで弦太朗が話を変えてきた。

 

「それはいいんだけどよ。あの場所でこころ達は何してたんだ?」

 

「ハロハピと仮面ライダー部の活動よ!!」

 

「みんなでパトロールしてたんだ~!!」

 

「みんな笑顔で危ない話は聞かなかったわ!!」

 

「まぁ、こころとはぐみがすぐにどっか行っちゃうからこっちは大変だったけどね・・・」

 

こころちゃんとはぐみちゃんが楽しそうに話す一方で美咲ちゃんだけは更に落ち込み始めた。

美咲ちゃんも気になるけど、さっきこころちゃんが言ってた"仮面ライダー部"って何かしら・・・?

そんなことを考えてたら薫が私の考えを遮るように話し始める。

 

 

「でも、どうするんだい?千聖達のライブって・・・」

 

「明後日・・・だよね?」

 

そう薫と花音の言ったように明後日がライブの本番。

平日の夜と言うとんでもないスケジュールを組まれた最初は頭を抱えたけど、ここまで来たらやるしかないと息まいてたら彩ちゃんが・・・

 

「とりあえず、ライブはやるわ・・・。アイドルとして、いえプロとしてライブが決まった以上はやるしかないわ」

 

「でも、彩ちゃんはどうするの?」

 

「そうです!!彩さんは・・・!!」

 

「それに去り際に言ってましたが、ライブの時に来るって言ってましたよ!!」

 

確かにあの時あゆみさんはライブに来ると宣戦布告をして去っていたが、あんな自信満々の態度ということは嘘をついているようには思えない。

それだったら話は簡単だった。

 

「イヴちゃん。相手は城を攻めると行ってきたのよ?それだったら万全の準備で迎えればいいのよ!!それに相手は元アイドルなのよ?そんな人が最初から中に入り込んで、大勢の人がいる前で怪物に変身なんてすると思う?」

 

「確かにそれはしない・・・とは言い切れないが・・・」

 

「流石に人目は気にするでしょうね・・・」

 

「でも、千聖ちゃん?どうするの?」

 

私自身もあまり納得できるような内容ではないが、私は勢いで押し切って話を続ける。

 

「入口を絞ればいいだけよ。それに今回の相手はライブの終盤・・・一番盛り上がっている時を襲うと思うのよ?」

 

「なるほど、確かに盛り上がる部分を台無しにすれば・・・!!」

 

「麻弥ちゃんの考えてる通りよライブとしても大失敗ですし、今後の活動にも大きな影響が出るわ。前の生放送の時もそうだったじゃない」

 

「なるほど・・・!!」

 

余りにも都合の良い考えで笑えて来てしまうけれど・・・ 

だとしても、私の方でもなんとか打てる手は打っておきましょう・・・

 

「前の事もあって防犯には力を入れるはずだから、入口を絞って手荷物検査とかを厳重にするように話してみるわ・・・観客の数を考えるとライブ開始前の入口は絞れても3か所が限度だと思うわ」

 

「それだったらゲンちゃんと、美咲ちゃんと巴ちゃんで大丈夫だね!!」

 

「ふえぇ~」

 

・・・流石に美咲ちゃんが可哀そうね。

これが終わったら何かしてあげようかしら?

 

「だったら!!部長の有咲も呼びましょう!!」

 

「あ~ちょっと待って!!ポピパで今ほぼ毎日ライブしてるから厳しいから!!とりあえず連絡だけで!!」

 

「それもそうね!!ライブは大切だものね!!」

 

こころちゃん達は納得したようでとりあえずは明後日の話は終わる。

でも、本当に大事なのはここから・・・

 

「弦太朗。明日の仕事だけれど・・・明日は彩ちゃんと一緒にいなさい」

 

「どういうことだ?」

 

「メンタルケアよ?流石に今のままじゃライブに出れるとは思えないもの・・・」

 

「おう・・・」

 

「弦太朗!!私達も彩の笑顔を取り戻すのを手伝うわ!!」

 

「ふふっ・・・こころちゃん達もお願いね?」

 

「任せてちょうだい!!」

 

大まかな流れが決まってとりあえずは解散という流れになると、彩ちゃんはそのまま寝かせて私達はこころちゃんの家の人に送ってもらうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと・・・

 

「私も頑張りましょうか・・・」

 

そう言って私は先ほどの提案をするために事務所へと電話を掛け始めるのだった。

 





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未・来・彩・色-11 気掛かり×アンダンテ


投稿です。
ここからは・・・彩のステージだ()

後数話で終わるのかな・・・?


 

「う~ん・・・」

 

私は目覚ましが鳴る前に自分のベットで目を覚ますと、ボーっとしている頭の中には事務所での出来事を思い出すがそれを信じることが出来なかった私はそのまま頬を抓った。

 

「いひゃい・・・。やっぱり昨日のは・・・でも、なんであゆみさんが・・・」

 

昨日はショックに耐え切れなかった私は事務所から離れてからの記憶が全くない。

 

何気なくスマホを手に取ると普段起きる時間よりも早い時刻を示していて、麻弥ちゃんが事務所を離れてからの状況を物凄く長いメッセージの通知が表示されていた。

 

 

私はそれに目を通すが憧れだったあゆみさんが事件の犯人だったなんて今でも信じられない。

でも、昨日の記憶と麻弥ちゃんからのメッセージ、それにさっきの頬の痛みが夢だと思っていた昨日の事が現実だったと教えてくれた。

 

それを思えば思うほど胸はどんどん苦しくなって、心に影がさすような感覚と共に暗い気持ちになっていく。

 

こんな状況じゃ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日のライブ・・・歌えないよ・・・」

 

言葉に出すと私の気持ちは更に暗くなっていくが、そんな中で普段私が起きる時間に目覚ましが鳴るとそれを止める。

 

「学校行かないと・・・」

 

とても学校に行くような気分ではないが、学校に行かないと千聖ちゃんに怒られちゃう・・・

 

だるい体を動かして制服に着替えるけど、髪をセットする気力が起こらない。

 

 

 

 

「・・・いってきます」

 

私は朝ごはんも食べないで下を向いたまま家を出るが、それと同時に私は声をかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

「よっ!!彩!!学校行こうぜ!!」

 

「えっ・・・?如月くん?」

 

そこには如月くんが家の前で待っていたことに驚きを隠せなかったけど、私の驚いてることなど気にする様子も見せないで私の手を引いて学校へ向けて歩き出した。

 

 

―――――――

 

弦太朗は彩の手を引いて学校へと向かっているが、朝も速いこともあって周囲には誰もいなかった。

 

「確か最初は迎えに行って一緒に学校に行って・・・次は・・・」

 

「如月くん?何か言った?」

 

「いや、何でもねぇぞ?」

 

「そっか・・・」

 

弦太朗が慣れないことをしているせいか自分の行動を確かめるようにブツブツと呟いてしまったのを彩に聞かれてしまったが彼がそれを誤魔化すと2人の間から会話がなくなってしまい無言になってしまったが、ここでどこからか腹の虫が泣く音が響いた。

 

「あっ・・・」

 

「ちょっと飯食ってこうぜ?」

 

「うん・・・でも、お店空いてるかな・・・?」

 

「沙綾のとこなら空いてるだろ?行こうぜ?」

 

「うん・・・」

 

そんな会話をしながら2人は商店街へと向かうと、弦太朗の言った通りやまぶきベーカリーは開店していたので2人一緒に入っていく。

 

「いらっしゃいま・・・せ・・・?」

 

「さまーせーる」

 

「よっ!!沙綾!!ってモカも何言ってんだ?」

 

「おはよー・・・」

 

「モカちゃんはパンを買いに来たんですよ~。朝ならこれなんてどうですか~?」

 

学校前にもかかわらず店にいたのは沙綾と買物客のモカだった。

朝から店の手伝いをしていることに感心していた弦太朗だったが、沙綾の方はそれどころではなく仲良く2人で店に来たことに戸惑いと嫉妬を隠せていなかった。

 

視線が刺さるのを感じてオロオロしていた彩だったが、弦太朗はどこ吹く風といった様子でモカおすすめのパンを言われるがままにレジに持って行っていた。

 

「サンキューモカ!!」

 

「ありがと・・・ね?」

 

「いえいえ~。パンは一日にしてならずですからね~」

 

「意味わかんねぇな・・・」

 

「あはは・・・」

 

「まぁまぁ~」

 

「それじゃ俺たち行くわ!!」

 

「いってらっしゃーい。ってさーや、ダメだよ~」

 

モカおすすめのパンを買ってそのまま店を出た2人の後ろを追いかけようとした沙綾だったが、モカが初動を潰して彼女の動きを封じていたが先の出た2人はそんなことに気が付くわけもない。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず食べながらでいいか?」

 

「うん・・・」

 

弦太朗の提案を受けてとりあえず道の端へと移動すると2人は朝食代わりのパンを手に取るとそのまま歩きながら食べるが会話はない。

彩は弦太朗が朝からいた理由が気になっていたが、何故かと理由を聞くことはしなかった。

 

そんな状況で2人は学校までついてしまったが、周囲の生徒はまばらで校門で待ち構えいることが多い紗夜の姿すらなく2人で教室の前までやってきていた。

 

「それじゃ、また昼休みな!!」

 

「昼休み・・・?なんで?」

 

何故昼休みか分かっていない彩に弦太朗は理由を聞くと彼女の予想外の言葉が飛び出した。

 

「昼って言ったら飯だろ?」

 

「えっ?うん・・・」

 

「それじゃ!!俺ちょっとやることあっから!!後でな!!」

 

彩の言葉を聞いた弦太朗はそのまま教室に荷物を置くとどこかへ向かうが、彩は教室に取り残されていた。

 

「お昼・・・?」

 

彼女は呟くが答えてくれる弦太朗は教室に入っていってしまい、彼女は既に学校にやってきていたクラスメイトに囲まれてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ・・・」

 

「あら、早いじゃない」

 

彩と一旦別れた弦太朗は教室に入っていくとそこには何食わぬ顔をした千聖が自分の席で彼に向って手を振っていた。

そんな彼女の元へと弦太朗は歩み寄ると弦太朗は彼女に話しかける。

 

「てかよ・・・あれなんなんだよ?」

 

「あれ・・・?何の事かしら・・・」

 

「昨日の夜に連絡してきたじゃねぇか・・・」

 

今朝からの弦太朗は先日に千聖から連絡の通りに動いていたのだ。

朝の彩の迎えに行ったのもその1つで、彼は先ほどまでその行動を確かめるように呟いていたのを彩に聞かれていたのだ。

 

「あれね?・・・あれは女子が思う理想の学生カップルの行動よ?知り合いのみんなに相談して決めたのよ」

 

「それが朝のあれか?」

 

「えぇ・・・それにしても朝に手を繫いで一緒に学校に行って、2人っきりでお昼を食べる事にロマンを感じるなんて可愛らしいことを考えてるわよね・・・?」

 

「あれ誰が考えたんだ?」

 

「それは・・・女の子の秘密よ?」

 

誰の案だったのかを聞こうとするも、千聖は笑みを浮かべて一切答えようとしない。

それを察した弦太朗はモヤモヤしつつもそれを自身の中に抑え込むと千聖は話を続けていく。

 

「とりあえず、上手く行ってるみたいだから今日はこのままお願いね」

 

「でもよ・・・このままで明日までのいつも通りに戻るのか?」

 

「それはあなたと彩ちゃん次第じゃないかしら?それにこころちゃん達が何かするみたいだけれど・・・こういうとなんか心配ね・・・。何が飛び出してくるか分からないもの・・・」

 

「まぁ、美咲がなんとかするだろ?」

 

「美咲ちゃん・・・可哀そうね・・・」

 

そんな千聖の呟きと共に気が付けば朝の予鈴が2人の耳に入ってくると、授業の準備をして今日も授業と彩と2人での昼食と時間を過ごして放課後を迎えた弦太朗。

 

 

 

 

 

 

 

ここまで朝に千聖と話していたこころの行動がないことに気が付く、このまま何もないと高を括っていて何気なく彩のいる隣の教室へと入っていく。

 

「彩、いるか~?」

 

「あっ如月くん・・・どうしたの?」

 

「この後どっかいかねぇか?」

 

「でも・・・」

 

弦太朗は教室に入って早々に彩を誘うが、彼女は昨日の出来事と明日のライブの事で精神的に追い詰められているのが表情にはっきりと表れていた。

 

流石の弦太朗も彩がこの状態ではどうすることも出来ず、打開策を考えるがいい案が思い浮かばない。

完全に手詰まりになってしまったがそんな彼の元へと教室の外から救いの手が差し伸べられた。

 

「弦太朗!!彩!!待たせたわね!!」

 

「ちょっとこころ!!」

 

「こころ!?」

 

「美咲ちゃん・・・?どうしたの・・・?」

 

朝から全く音沙汰がなかったこころが突然現れたことに彩と弦太朗も驚きを隠せなかったが、その後ろからは美咲がこころを止めようと駆け寄ってくるが彼女は3人を気にすることなく話し始める。

 

「2人をハロハピのライブに招待するわ!!」

 

「ハロハピの・・・ライブ・・・?」

 

「えっ?なにそれ・・・私、聞いてないんだけど・・・」

 

「さっき思いついたのよ!!」

 

突然のこころの言葉に彩は兎も角、同じバンドの美咲まで困惑した様子を示すが当の本人は気にする様子もない。

 

「そうよ!!だってライブは楽しいもの!!楽しいことをしてればきっと笑顔になれるわ!!」

 

「ってもどこでやるんだ?」

 

「それは着いてからのお楽しみよ!!早く行きましょう!!みんなが待ってるわ!!」

 

 

 

 

 

 

「分かったからちょっと待てって!!」

 

「ダメよ!!時間がもったいないわ!!」

 

こころはそのまま弦太朗の腕を掴んで教室から引きずり出すとそのまま学校の外へと駆け出していく。

そんな光景を見せつけられた彩は未だに困惑した表情を浮かべていたが、そんな彼女の肩に美咲は手を置いて語りかけた。

 

「彩先輩、こころがああ言ったら聞きませんよ・・・。大丈夫ですよ。こころも彩さんには何もしない筈ですから・・・」

 

「えぇ・・・」

 

「花音さんに連れていかれるのと自分から行くのとどっちがいいですか・・・」

 

美咲の言葉を聞いても困惑した様子を浮かべていた彩だったが、美咲の諦めの表情を見て彼女も諦めた表情のままに先を言ったこころ達の後を追いかけていくのだった。

 





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未・来・彩・色-12 飛び出し?逃げ出し?成果なし!!


投稿です。

皆さんはバンドリチップス購入しましたでしょうか?
私は販売日からの2日過ぎてから買いに走って25個集めて沙綾ちゃん3枚イヴちゃん2枚以外被りなしの成果を得られました。
沙綾のウエディングもイヴちゃんも可愛いのでOKです。

2人ともウエディング系のイベントあったよなぁ・・・!!
まぁ次回の小ネタ枠は1つ決まってますが・・・




 

「それじゃあみんな!!行くわよ~!!」

 

「うんっ!!こころんライブ頑張ろうね!!」

 

「あぁ・・・儚い・・・」

 

ハロハピによってライブ会場に連れてこられた弦太朗と彩。

ライブ会場というが明らかに観客が普段のライブとは大きくかけ離れていた。

 

呆然としている彩の横で弦太朗は周囲を見渡すと場所を確かめるように呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここって・・・幼稚園だよな・・・?それに子供の中に花音が紛れているのは気のせい・・・じゃねぇよな・・・」

 

「・・・」

 

こころによって連れてこられたのは幼稚園。

困惑する弦太朗だったが、彩は横にいる弦太朗が子供たちとそれに混ざっていた花音に怖がられている光景に彼女の理解が追い付いていけずに呆然としていたところへとミッシェルに入った美咲が呆れたような空気を纏ってやって来る。

 

「なにやってるんですか、如月さんは・・・」

 

「みさ・・・「こころと子供達がいるんで・・・」シェルどうしたんだよ・・・」

 

「なんか言葉が変だった気がしますが・・・。まぁ、子供達が怖がらない様に静かにしててくださいね ?」

 

 

 

 

 

 

 

「花音~!!ミッシェル~!!そろそろ始めるわよ~!!」

 

「じゃあ、こころが呼んでるんで行ってきますね・・・」

 

「あぁ・・・頑張れよ」

 

こころに呼ばれてミッシェルは彼女の元へと歩いていく。

しかし、そのわずかな時間でミッシェルは子供に囲まれてしまうがなんとかこころ達の元へと辿り着くとライブが始まる。

そんな目の前の光景を子供たち同様に楽しそうに笑っていた弦太朗の横で彩は呆然と目の前で繰り広げられるライブの光景を終わるまで笑顔になることなく見つめていた。

 

「最後はみんなで一緒に歌えてとっても楽しかったわ!!」

 

「あぁ・・・儚い・・・」

 

「あの・・・薫さん?さっきからそれしか言ってませんよ・・・?」

 

「それじゃあ、この後はみんなで遊ぼっ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

そして数曲を披露してライブを終えたハロハピは勢いもそのままに子供たちを連れて外へと飛び出して行ってしまったが、その中で何故が1人だけ子供が外ではなく弦太朗の横にいる彩の方へと駆け出してくるのに気が付いた弦太朗はその場に座って子供と同じくらいの目線にしてから声を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだ・・・?みんなと外にいかねぇのか?」

 

「・・・?」

 

しかし、弦太朗の言葉を聞いたが、見た目の怖さもあって子供は弦太朗から彩へと視線を向けていた。

 

「おねえちゃん。アイドルのあやちゃんににてる~」

 

「ふぇ・・・?」

 

普段はアイドルであることがバレない彩だったが、目の前の子供からのまさかの一言に目を丸くして驚くことしか出来なかった。

それを見た弦太朗は子供に向けて声をかける。

 

「アイドルの彩が好きなのか・・・?」

 

「うん!!おじさんも好きなの・・・?」

 

「おじっ・・・!?まぁ、最近友達になったんだけどな・・・」

 

「そうなの!?」

 

子供からおじさんと言われたことに驚きの表情を浮かべた弦太朗。

しかし、自身も同じころは似たように思ってたことをふと思い出ていつも通りに話し始めると目の前の子供は先ほどまで怖がっていたのが嘘のようなに嬉々とした表情で一方的に話し始めるのを弦太朗は何気なく聞いていた。

その子供が一旦話を終えると弦太朗は思ったことを聞いてしまった。

 

「アイドルが好きなのか?」

 

「うんっ!!おっきくなったらあやちゃんみたいなアイドルになりたい!!」

 

「だったら、ダチ・・・いや、友達と外で遊んでこいよ。彩もよく友達と遊んでるからな」

 

「うん!!わかった!!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「彩・・・?」

 

「・・・!!」

 

子供は自分が言いたいことが言えて満足したのか弦太朗の言葉に従ってこころ達がいる外へ向かって走り出しいくのを笑みを浮かべながら見送るが、一方で彩は酷く複雑な表情を浮かべていたのに弦太朗はそんな彩に気が付いて声をかけるものの全く返事がないと思ったら、突如として彼女はその場から逃げだしてしまった。

 

「おいっ!!待てって!!」

 

「あっ!!ゲンちゃん先輩も遊びに来たの~!?」

 

「ちょっとはぐみ!!放せって・・・!!」

 

「ちょっとはぐみ~!!」

 

逃げ出した彩を追いかけようとした弦太朗だったが、外に出てきた彼を見つけて状況が分かってないはぐみが勘違いで弦太朗を捕まえてしまった。

引き剥がそうとした弦太朗だったが、なかなか離れない彼女を見たミッシェルも加わってはぐみを引き剥がした時には彩の姿はどこにも見当たらない。

 

「あぁ~!!」

 

「はぐみ~!!」

 

「どうしてミッシェル怒ってるの・・・?」

 

「如月さんは彩先輩を追いかけてたんだよ?」

 

「・・・ごめんなさい。勘違いしちゃった・・・」

 

「知らなかったんだし、仕方ねぇだろ・・・」

 

「とりあえずはぐみは向こうで子供と遊んでて~」

 

「ミッシェル、分かった!!」

 

 

状況が分かってないはぐみにミッシェルは少しだけ怒った様に見えたことに戸惑うが、理由を聞くとハッとした表情を浮かべるとすぐにしょんぼりした様子を見せていた。

そんなはぐみを一瞥したミッシェルはそのまま子供たちの方へと彼女を送り出してから弦太朗へと声を掛ける。

 

 

「如月さん、どうするんですか?」

 

「どうするって・・・探すしかねぇだろ」

 

「でも探すってどこを・・・?」

 

「それは・・・」

 

ミッシェルの言葉に足を止めて答える弦太朗だったが、ミッシェルの追及に弦太朗は言葉を詰まらせてしまった様子に半ば呆れた様な空気を纏う。

そんな中で少しだけ考えたミッシェルは弦太朗にある提案をする。

 

「はぁ・・・、とりあえずみんなにも彩先輩を探してもらえるように、花音さん連絡してもらいましょう」

 

「それはありがてぇんだけどよ。連絡は美咲がやればいいんじゃねぇのか・・・?」

 

「今はミッシェルなんで・・・自分のスマホ使う訳にいかないんですよ・・・」

 

「・・・お前も大変だな」

 

「まぁ、慣れたので・・・」

 

ミッシェルの中にいる美咲からは諦めにも似たオーラが溢れ出しているのを感じた弦太朗だったが、逃げ出した彩を探すためにハロハピ達と別れて街へ向かう。

その背中を見送ったミッシェルはのっそりとした足取りで花音の元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

私達は彩ちゃんが不在の中でライブの最終確認を行っていたのだが―――

 

 

 

 

「・・・ったく!!何考えてるのよ!!」

 

「まぁまぁ。千聖ちゃん落ち着きなよ~。決まっちゃったもんは変えられないんだしさ~」

 

「それを実際にケガしたあなたがそれを言うの!?」

 

「ですが、あんなことがあった後なのに何も対策をしないのはどうなんでしょうか・・・?」

 

 

先日の生放送や病院での1件もあったにも関わらず、事務所としては全く対応する気がないことに憤慨していた。

 

「ですが、世間的には”事故”という事になってますので仕方ありません・・・」

 

「イヴちゃんの言う通りなんだけどさ~、普通に考えたら病院のが事故なのは無理があるよね~。だって車が真っ二つなんだよ?」

 

「それはそうですけど・・・」

 

「まぁまぁ、ですが千聖さんの提案した入口を制限するのは通りましたから・・・」

 

「でも、その理由が人件費削減って言う名目なのよ!?」

 

「だから、千聖ちゃん落ち着きなよ~。理由はともかく目的は達成したんだからさ~」

 

確かに日菜ちゃんが言うように最初の目的だけは達成できたのだけれども、理由がどうしても解せない。

防犯じゃなくて人員削減というメリットに飛びついた運営の偉い人たちに憤慨しながらも、なんとか落ち着こうと努力する。

そんな中でふと自身のスマホを取り出すと何件もの通知が入っていた。

 

「なにかしら・・・?」

 

「ジブンにも来てますね・・・。って彩さんが!?」

 

どうやら彩ちゃん達がハロハピのライブを見た後に弦太朗達から逃げ出したらしいけれど、そこから目撃情報が一切ない。

 

それになんかこの連絡を見てるけど、どうしてこんな違和感を感じるのかしら・・・?

 

「私!!アヤさんが家に帰ってるか聞いてきます!!」

 

「あたしも行く~!!」

 

そういってイヴちゃんと日菜ちゃんは事務所の中へと戻っていく理由が分からなかったが、私はスマホで弦太朗へ電話をかけるとすぐに出てきた。

 

『もしもし!?千聖か?どうした?』

 

「彩ちゃんがいなくなったって一体何があったの!?」

 

『えっと・・・』

 

ここから弦太朗が彩ちゃんを逃がしてしまった経緯を黙って聞いて、一通り聞いて納得してしまった。

 

「こころちゃん達のライブの後ねぇ・・・」

 

色々と気になるけれど、今は彩ちゃんね・・・

そう思っていたら事務所の中に戻った2人が戻ってきた。

 

 

 

「千聖ちゃん。彩ちゃん見つかったよ~!!」

 

「本当!?」

 

『どこにいるんだ!?』

 

「えっとね~。家だって」

 

『家って・・・本当か?』

 

「はい!!事務所の方が自宅に電話して確認してくれました!!」

 

「はぁ・・・」

 

全くうちの事務所の人は有能なのか無能なのか分かんないわね・・・

頭を抱えていたが、電話の向こうの弦太朗にも話しかける。

 

「とりあえず、弦太朗も家に帰っていいわよ?明日が本番だからしっかり休みなさい?」

 

『でもいいのか?お前たちは・・・』

 

「大丈夫かは分からないけれど、イヴちゃんもいるし、バガちゃん達のお友達も来てるから大丈夫よ」

 

そう言いながら私は麻弥ちゃんが抱えているカバンを見るとそのカバンからはバガちゃん達が顔を覗かせていた。

 

弦太朗も納得したのかこれ以上反論することもなく素直に指示に従ってくれた。

 

『なんかあったらすぐに連絡しろよ?』

 

「えぇ。お疲れ様」

 

そう言って電話を切った私は4人で家まで帰っていくが、途中で彩ちゃんの家によってバガちゃんに彩ちゃんを任せて私達も今晩一緒に過ごす子達を連れてライブに備えるためにそれぞれに家に帰っていくのだった。

 





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未・来・彩・色-13 彼方にあったD/夢に向かって飛ぶために―――


投稿です。
あの・・・この彩ちゃん・・・
ましろちゃんクラスの感受性になってません・・・?



 

「今日がライブ当日か・・・。まぁ、バガミール達を渡してあるから大丈夫か・・・」

 

フードロイドを全て千聖達に渡した事を思い出しながら、何気なく呟いて弦太朗は通学路を歩いていた。

 

何かがあれば連絡が入るし、逃げるだけならなんとかなると楽観していた弦太朗。

しかし、そんな彼の背後からは黒いオーラを纏った少女が1人迫って来ていた。

 

「如月さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ!!紗夜・・・?どうしたんだ・・・?」

 

彼の後ろに迫っていたのは笑みを浮かべた紗夜だったが、その笑みにはハッキリとどす黒い怒りが浮かんでいたのを感じ取った弦太朗は身構えてしまう。

そんな彼や周囲にいる生徒達のことを気にすることなく紗夜は弦太朗に歩み寄っていくと声を荒げる。

 

 

 

 

 

 

「どうして昨晩!!日菜がポテトのあれと一緒にいたんですか!?」

 

「は・・・?」

 

紗夜の言葉は周囲にいた生徒達の視線を一瞬だけ集めるが、いつもの事と理解して何事もなかったかのように生徒達は学校へと向かいだす。

一方で弦太朗は何かしてしまったのかと思っていたが、紗夜の口から出てきた言葉に彼の口からは思わず声が漏れてしまう。

 

しかし、紗夜は止まらない。

 

「何でですか・・・!!」

 

「いや、狙われてるから渡したんだけど・・・」

 

「なんて羨ま・・・いえ、どうして日菜と楽しそうにしているんですか・・・!!それに私には全く近づいてきませんし・・・」

 

 

 

 

 

 

「紗夜・・・?」

 

「いえ・・・なんでもありません・・・」

 

「いや、なんでもない訳ねぇだろ・・・」

 

思わず弦太朗は紗夜へと声をかけるが、ふと我に返って紗夜は必死に取り繕って勢いで誤魔化そうとする。

 

「なんでもありません!!そういえば、なんであなたはここにいるんですか?」

 

「なんでって・・・学校だろ?」

 

弦太朗の追及を先ほどまでの勢いのままに誤魔化した紗夜は話題を切り替える。

余りにも強引な話題の切り替えだったが弦太朗はそれを気にしていない―――いや、全く気が付いていなかった。

 

「日菜達はライブの準備で学校を休んでるはずですが・・・?」

 

「朝からリハーサルとかあるらしいな。俺は放課後に行くんだよ」

 

「学校はいいから、日菜達のところに早く行ってきなさい!!」

 

「はぁ!?」

 

「私のポテトのあれを・・・ではなく、日菜達が襲われる可能性があるんですよ?だったら一緒にいるべきではないんですか?・・・決してポテトのあれを貸してくれない事に対して怒っているわけではないんですよ?・・・えぇ!!」

 

 

あの紗夜から学校をサボって日菜の元に行けと言われ、目を丸くして驚く弦太朗。

紗夜は日菜を心配しているのもあるが、それ以上に彼女は昨日の晩から日菜がポテチョッキンと一緒にいたことに妬いていたのだ。

 

「ほら!!早くいってきなさい!!」

 

「止めろ!!ぺちぺちすんな!!」

 

妬いているのを隠すためか弦太朗の身体をぺちぺち叩く紗夜。

全く痛みなど感じないが弦太朗は止めるようにいっても彼女はぺちぺちと叩き続けるとその光景はとある人物に目撃される。

 

 

 

 

「紗夜先輩が弦太朗くんを叩いてる・・・?」

 

「弦太朗が紗夜先輩といちゃいちゃしてる・・・!!そういえばこの前の件について聞かないと!!」

 

「沙綾ちゃん!!待って~!!」

 

この光景を目撃したのはりみと沙綾。

しかし、何を思ったのか沙綾は今の状況を弦太朗と紗夜がいちゃついていると勘違いをしてそのまま邪魔をするために2人の間に突っ込んでいき、りみもその後を追いかける。

 

「弦太朗!!こんなとこで何してるの?」

 

「おっ?沙綾にりみか。おはよう」

 

「弦太朗くん、おはよう・・・。それでどうしてそんなことになってるの・・・?」

 

「なんか紗夜が学校よりも日菜のところに行けって・・・」

 

「えぇ・・・?弦太朗くん・・・流石にそれは・・・」

 

「紗夜先輩?本当なんですか?」

 

「勿論です!!今この瞬間にも日菜達が襲われる可能性がありますから・・・決してポテトが私に懐かないことは全く関係ありませんから!!」

 

「「・・・・・・」」

 

欲望が駄々洩れの紗夜に残念なものを見るような視線が刺さる。

しかし、本人がそれに気が付いていないがとりあえず学校へ向かって歩き出すと、4人はそこで本来ここにいないはずの人間を視界にとらえていた。

 

 

 

 

 

「あれ・・・?彩だよな?」

 

「おかしいですね・・・。今日は学校を休んで朝からリハーサルをすると日菜から聞いてましたが・・・」

 

「でも、なんか様子が・・・?」

 

「お~い!!彩先輩!!」

 

 

「・・・あっ・・・」

 

本来なら学校ではなくライブの会場にいるはずの、彩が制服を着て虚ろな目をして学校へと歩いてた。

流石におかしいと思った沙綾が思い切って彼女の名前を呼ぶと小さく声を漏らして沙綾達の方を向く。

 

それを見て弦太朗は彼女へと駆け寄って肩を掴んで話しかける。

 

「彩!?お前、ライブじゃねぇのか!?」

 

「ライブ・・・あっ・・・」

 

「・・・如月さん。とりあえず丸山さんを頼みます」

 

「流石にこのままライブ会場まではな・・・」

 

「仕方ないか・・・。弦太朗、ちゃんと彩先輩送るんだよ?」

 

「わぁってるよ・・・」

 

「本当は私達も手伝ったりしたいけど、私達も紗夜先輩達も今日はライブがあるから・・・」

 

彩の事を弦太朗に押し付ける形になってしまったことに3人は申し訳なさそうにするものの、弦太朗は事情を知ってるからかそんな3人に笑顔で答える。

 

 

「任せろって!!彩!!行くぞ!!」

 

「ちょっと・・・」

 

彩は逃げるような素振りを見せるが弦太朗は有無を言わさずに彼女の手を掴んで学校から離れていくのだった。

 

 

 

――――――

 

昨日までの出来事が辛くて逃げ出そうとしてた。

そんな私は通学中の如月くん達に見つかってしまい、そのまま如月くんに腕を掴まれてからどれだけ歩いたんだろう・・・

 

正直、今のままじゃライブで歌う事なんて出来そうにない。

そんな気持ちで一杯だった私に如月くんから当然の疑問が飛んでくる。

 

「今日、朝から仕事だったのにどうして・・・」

 

「憧れてた人があんなことしてたのがショックで・・・こんな気持ちじゃ歌えないよ・・・」

 

私は素直に自分の気持ちを言葉に出すと、それを聞いて如月くんは考え込むような表情をしていた。

 

 

この間も友希那ちゃんも今の私みたいな事があったのは聞いたけど、友希那ちゃんは自分でそれを乗り越えて克服したらしいけど、今の私にはそれは出来そうにない。

 

 

辛さを乗り越えるための1歩を踏み出す勇気がでない。

前にも辛いことはあったけど、それを分かってくれて支えてくれた千聖ちゃん達はこの場所にはいない。

―――いや、正しく言うなら私が千聖ちゃん達から逃げてるのかな・・・?

 

 

そんなことを考えても如月くんはそんな私には気が付いておらず、今も必死に考えこんでいた。

 

そんな中で不意に私達の耳には聞き覚えのあるフレーズが飛び込んできた。

 

 

 

「この曲・・・」

 

「確か、彩たちの曲だったか・・・?とりあえず行ってみっか・・・?」

 

如月くんはそう言うと私の返事も聞かずに腕を引いてその音がする方へと歩いていくと―――

 

 

 

 

「ここって・・・昨日のとこだよな・・・?」

 

「・・・っ!!」

 

「あれって彩の真似か・・・?」

 

私達が辿り着いたのは昨日、こころちゃん達によって連れてこられた幼稚園。

そこで、昨日私に話しかけてきた女の子が私の真似をしているのかパスパレの歌を歌っていた。

 

 

 

私が聞いてもとても拙い印象を受ける歌。

しかし、その顔はとても楽しそうな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

私も昔はあんな風にアイドルに憧れて真似してたな・・・

 

 

 

昔の事を思い出してしまった私は過去の自分と目の前の女の子、そして今の自分を比べてしまい余りの辛さに表情が歪む。

 

 

 

 

きっとアイドルに憧れてた昔の私がアイドルになった今の私を見たらきっと後悔するだろうな・・・

 

 

そんな考えが頭を過った途端に私に耳に入ってくる音が消え、表情だけではなく私の視界も歪んで行き一瞬だけ視界が暗転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・?如月くん・・・?」

 

そして視界が戻ると如月くんが・・・いや、如月くんだけじゃなくて、さっきの目の前にいた女の子も含めて周囲から人が完全に消えていた。

周りを見渡しても周囲からは人の気配すら感じられず、不安を感じた私は泣きそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにしてるの・・・?」

 

全く気配を感じなかったのにも拘らず、突然私の後ろから幼い女の子の声が聞こえた。

そして私は声が聞こえた後ろを向くと信じられないものが視界に飛び込んでくる。

 

 

 

 

 

 

「小さい時の私・・・?」

 

そこにいたのは小さい時の私・・・

流石に自分の目が信じられず、目を擦るが紛れも無く小さい私がいた。

 

「なんで・・・」

 

訳が分からなくなっていた私。

あぁ・・・きっと夢の中なんだろう・・・。

 

そんな事を考えている私にはお構いなしに目の前の小さい私の目はしっかりと私を捉えていた。

 

 

 

 

 

 

「わたし!!おおきくなったらアイドルになりたい!!アイドルになってみんなでたのしくおどったりおうたうたいたいの!!」

 

「っ・・・!!」

 

小さい私は私にハッキリとそういったのだ。

アイドルにはなれたけど、楽しく踊ったり歌ったりなんて今の私には出来ない。

 

夢の中のはずなのに私自身の言葉が自分の心を曇らせていく。

 

 

 

アイドルになっても・・・ううん。アイドルにならなくても周りには辛いことや悲しいことが沢山ある―――

 

 

私はそう声を張り上げたくなったが、声が出ない。

そして、また視界が暗転すると場所はさっきの場所から変わっていた。

 

 

 

 

「・・・私の部屋・・・?でも・・・」

 

視界に飛び込んできたのは私の部屋。

でも、その部屋は今の部屋じゃなくて小学生くらいの頃のものだった。

 

 

 

 

「私は・・・アイドルになって夢を与えられるアイドルになりたい・・・」

 

 

 

戸惑う私の背後でまた私の声がする。

振り返るとそこには小学生くらいの私が私を真っすぐ見詰めていた。

 

 

―――夢は与えるのはいい事ばかりじゃない。

 

 

でも、私は声が出せなかった。

そして私は目の前の光景から逃げるために目を閉じた。

 

視界は塞がったが、私の真正面から、あの言葉が入ってきた。

 

 

 

「どんな人でも、努力すれば夢は叶う。だからみんな、『自分なんか』なんて思わないで、夢をみてほしい」

 

 

それは私が勇気をもらって、本当にアイドルを目指す切っ掛けになったあゆみさんの言葉。

でも、その声はあゆみさんの物ではない。

 

 

 

その声の主が気になった私はまた目を空けると、場所がライブのステージの上に変わっていて、声の主は目の前にいた。

 

 

 

「わた・・・し・・・?」

 

声の正体は先日鏡で見た自分自身がそこにいて、私は声を絞り出し、それを聞いた私自身は小さく笑みを浮かべると私に手を差し伸べながら語りかけてきた。

 

 

「パスパレが大好き。大切。みんなのことが大好き。この気持ちがあれば、きっと何度だって立ち上がれる」

 

 

その言葉は以前バラバラになりそうだった私達がまた同じ道をあゆみ始めた時に感じた気持ちそのものだった。

 

 

 

「私はあゆみさんみたいなアイドルになるのを夢だった・・・」

 

「それで私はアイドルになった・・・」

 

「そんな私に憧れてアイドルを夢見てくれる人たちがいる・・・」

 

「そうやって夢は繋がっていく・・・」

 

「・・・先が見えなくたって、しっかりと前に進んでいける・・・・・・私の背中をみんなが押してくれるから・・・」

 

夢の中で私同士の会話と共に私自身の手を取ると胸の中が熱くなり、再び視界が暗転していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――あや!!―――おい!!彩!!」

 

目を閉じて真っ暗な視界。

そんな状態の私を呼ぶ声が聞こえて目を開けると目の前には如月くんの顔が至近距離で写っていた。

 

 

 

「・・・あれ?如月くん・・・?」

 

「彩!!お前急にボーっとし始めたと思ったら急に目を閉じて泣き出すしどうしたんだよ!?」

 

「えっ?」

 

如月くんの言っている意味が分からず、ふと目に手を当てると確かに涙の跡が残っていた。

 

「ねぇ・・・如月くん?私がこうなってからどのくらいたったの?」

 

「はぁ?1分も経ってねぇぞ・・・?」

 

「・・・そっか!!」

 

やっぱり夢だったんだろうけど、ハッキリとその夢の内容は思い出せる。

それにさっきまでの暗い気持ちは全く無く、それどころか胸に火が点いたみたいに熱く、気持ちも高鳴っていた。

 

「如月くんライブに行こ!!」

 

「どうしたんだよ!?」

 

急に変わった私の様子に戸惑っている如月くんを他所に、今度は私がその腕を掴んで千聖ちゃん達が待っているライブの会場へ向かって走り出していた。

 





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未・来・彩・色-14 彩のハートに火を着けて

投稿です。

さてと、来週は戦闘はいるかな?
入るやろ?入れろ!!

ってことでここからアイドルが現場からフェードアウト・・・


 

ライブ会場でパスパレ一同は控室で衣装に着替えてリハーサルが始まるのを待っていたが、その中に彩の姿は無いせいもあって暗い空気に包まれていた。

 

「アヤさん、リハーサルに来るんでしょうか・・・?」

 

「それに、さっき沙綾さんから彩さんが学校に行こうとしていたと連絡は貰えましたけど、精神的に厳しいんでしょうね・・・」

 

「アヤさんが心配ですね・・・」

 

 

 

 

「だけど・・・そんな状況で来て、本番で歌えるかしら・・・?」

 

「う~ん・・・ゲンちゃんがいるから大丈夫でしょ?それにリハまではまだ時間もあるよ?大丈夫でしょ」

 

「そうなのだけれど、やっぱり不安なのよね・・・」

 

千聖が不用意に言ってしまった言葉はこの状況で日菜以外の不安を助長してしまう。

それに気が付いた千聖だったが気が付いた時にはもう遅く、自身の迂闊な発言を後悔し始めてしまう。

 

そんな空気を読んでかは分からないが日菜も黙ってしまい、完全に無言の控室ではただ時間だけが過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうリハーサルの時間ですね・・・」

 

「そうね・・・」

 

麻弥が不意に時計を見て呟くと全員が時計に視線を向ける。

その時刻は予定されていたリハーサル開始時刻を示していたが、未だに彩の姿はない。

 

「ですが、アヤさんはまだ・・・」

 

「う~ん・・・。千聖ちゃん、どうしよっか?」

 

「仕方ないけど・・・彩ちゃんの歌は諦めるしかないわね・・・」

 

表面上は不安を隠そうとしていた千聖すらそれすら出来なくなっていた。

そんな中で彼女達の控室の外が次第に騒がしさを増していくが、それは彼女達が知っているライブ前の騒がしさとは別の物だった。

 

 

 

「ねぇ?なんか外が騒がしくない?」

 

「ライブの準備で何かあったんですかね・・・?」

 

「もしかして・・・敵襲ですか!?」

 

「逃げる準備しないとダメね・・・!!」

 

日菜を言葉を皮きりにして控室は襲撃に対応するために自前の木刀を構えたイヴを先頭にして逃げれるように準備をして身構えて、完璧に準備が整ったタイミングで控室の扉が勢いよく開け放たれる。

 

「ブシドー!!」

 

それと同時にイヴは先手必勝と言わんばかりに扉から入ってくるであろう襲撃相手へと斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな!!遅くなってごめん!!」

 

「彩さん!?」

 

「それに弦太朗!?」

 

 

 

 

 

「わぁ~!?イヴちゃん~!!ストップストップ!!」

 

「・・・っ!?」

 

控室へと飛び込んできたのは弦太朗の腕を引いた彩だった。

 

それが分かると日菜がイヴを必死に静止の声を挙げるとイヴもかろうじて彩に当たる直前でその動きを止めるが、彩はイヴがそんなことをしたにも関わらず彼女は全く怯んだ様子はない。

 

 

 

 

いや―――イヴがそんなことをしたということを全く意識していなかった。

 

 

 

 

流石に先ほど沙綾から連絡を受けた様な不安定さを全く感じさせない彩に一同は流石に不思議に思っていたが、パスパレで一番こういうことに疎い日菜が何事もなかったかのように彩に質問をしようと声を挙げようとしたが彩がそれよりも先に話し始める。

 

「ねぇ?もうリハーサルって終わっちゃった?」

 

「いえ・・・まだ始まってないわ・・・」

 

「あの・・・アヤさん・・・?本当に大丈夫ですか・・・?」

 

「本当に大丈夫だよ!!」

 

「でも、本当にどうなっちまったんだ?落ち込んでたと思ったら急に元気になるし・・・」

 

「彩ちゃん?無理してない・・・?一昨日あゆみさんがあんな・・・あっ・・・!!」

 

皆が心配する声に彩が応えるがそんな時、また千聖が不用意に彩が気にしそうなワードを零してしまう。

彼女も精神的な疲れが出てしまっているのか先ほどから不用意な発言が多くなってしまっていたが、それすらも今の彩にはダメージがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「確かにあのことは辛かったけど・・・、でも私はアイドルだから!!」

 

「アヤさん・・・アイドルだから・・・ですか・・・?」

 

「うん・・・!!私はあの人を憧れて・・・ううん!!あゆみさんみたいなアイドルを目指してた!!

私はあの人に夢をもらったから今度は私が!!ううん!!私達が誰かの夢にならなきゃダメなんだよ!!」

 

「彩ちゃん・・・あなた・・・」

 

「だからファンのみんなに見てもらおう!!私達のライブ・・・ううん!!夢に真っすぐ向かう私達の姿を!!」

 

不安そうな一同の前で彩は胸の中にある思いの熱さを伝えるように力強い口調で語っていた。

そんな彩をみんなが驚いたような表情で見つめたが、彩の熱い思いは先ほどまで消沈していた彼女達にも伝わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あははははは!!今日の彩ちゃん燃えてるね~!!」

 

「ふふっ・・・そうね・・・」

 

「ブシドー!!」

 

「ライブ!!張り切っていきましょう!!」

 

日菜を筆頭に彩の熱に当てられた彼女達は先ほどの落ち込みとは一転していつも以上にライブに向けて燃えていた。

 

 

 

「そうなったら準備しないと!!彩ちゃん!!早く着替えて!!」

 

「日菜ちゃん!!うん!!」

 

「ヒナさん!?アヤさん!?まだゲンタローさんがいますよ!?」

 

「イヴちゃん。余計なこと言わないで。彩ちゃんのモチベーションが下がってしまうわ・・・」

 

 

 

 

 

 

「如月さん!!こっちです!!」

 

「わりぃ、目を閉じてるから分かんねぇわ・・・」

 

「連れて行きますから!!」

 

そう言って日菜に勧められるままに彩はそのまま着替えだそうとするが、まだ部屋の中には弦太朗が残っていたのを完全に忘れていた。

イヴが彩を止めようとするが千聖が彩の高いモチベーションを重視してそれを止めた。

 

 

 

 

その裏では麻弥が咄嗟に目を閉じていた弦太朗を控室の外まで連れ出されていた。

2人だけになって話し始めるが、勿論話題は彩の事だった。

 

「如月さん。彩さんのこと、ありがとうございました!!」

 

「俺は別になにもしてねぇぞ?」

 

「いやいや、それはないですよ。彩さんに何をしたんですか?」

 

「本当に何もしてねぇんだよ・・・。急に泣き出したと思ったら元に戻ってよ・・・」

 

「んっ・・・?急に泣き出した・・・?本当に何があったんですか!?」

 

弦太朗は自身が見たありのままを伝えるものの、「急に泣き出した」という言葉に流石の麻弥も声を挙げて驚くが彼は頭を搔いて困った様子のままありのままを話す。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に俺も覚えがねぇんだよ・・・。しいて言えば学校から離れて気が付いたら昨日こころ達がライブした幼稚園に着いてよ・・・。それで子供を見て泣き出したんだよ」

 

「??よく分からないですが・・・。ライブ終わりに彩さんから聞いてみましょう!!」

 

「だな!!」

 

ここで一旦彩の事についての話を終え、ライブ中のことに話を変える。

 

「でも、あゆみさんはライブ中に来るんでしょうか・・・?」

 

「来るって自分でいったからな・・・。そっちは心配すんな!!俺もいるし、学校終われば巴も美咲もくるからな!!」

 

「ですけど・・・その分巴さん達が危険な目に・・・」

 

「巴の奴なら、「商店街の仲間の活躍を邪魔はさせねぇ!!」ってめっちゃ気合入ってたぞ?沙綾とかますきとかもやる気はあったみてぇだけど、あいつらはみんなライブらしいからな・・・」

 

「あはは・・・巴さん達らしいですね・・・」

 

巴達の心配をしてた麻弥だったが、流石にやる気満々だと聞いてしまい苦笑いを浮かべるしか出来なかった。

彼女達なら問題ないのを頭では分かっていても、自分たちがライブやってる裏では後輩が危険な場所に飛び込むことに彼女の内心はちょっとだけ複雑だった。

 

「心配すんなって!!横にしか歩けねぇカニ野郎に真っすぐ突っ走るお前らの邪魔はさせねぇって!!」

 

「でも、如月さん。カニって進むのが遅いだけで前にも歩けるらしいですよ・・・?」

 

「そうなのか?まぁ細かいことは気にすんなって!!お前らはライブがあんだからな!!」

 

「ふへへ・・・!!ならジブン達はジブン達の戦いをしないといけませんね!!」

 

独特な笑い声を挙げて麻弥は弦太朗に答える。

気合いも十分で今の会話で緊張もほぐれて非常に良い状態になっている麻弥。

しかし最後の最後で彼女に予想外の出来事が襲った。

 

 

「ん・・・?」

 

「うぇ!?如月さん!?」

 

「麻弥お前・・・」

 

突如として弦太朗が何か違和感を感じたのか突如として麻弥の顔に自身の顔を近づける。

それに驚く麻弥だったが彼はその顔を観察し続けてその違和感に気が付いた。

 

 

「麻弥!!お前!!眼鏡どうしたんだ!?」

 

「へ?・・・あ~、自分、パスパレのライブの時は眼鏡じゃなくてコンタクトにしてるんですよ。この前の放送の時もコンタクトだったんですが・・・?」

 

「わりぃ、あの時はな・・・」

 

「まぁ、仕方ないっすね」

 

麻弥の言葉に納得したのか弦太朗は麻弥から距離を取る。

一安心した麻弥だったがこれはただのジャブだった。

 

 

 

「麻弥。お前、眼鏡よりそっちの方が可愛いと思うぞ」

 

「うえぇ!?」

 

「それじゃ、俺はライブ始まるまで色々見てるから頑張れよ!!」

 

彼は爆弾を投下してその場から離れて行く。

それを聞いた麻弥は突然のことに慌ててしまい声を挙げるが、彼はそれを気にするような素振りを見せずに麻弥と別れる。

 

その後に準備を終えた彩たちにその慌てる姿を見られながらも、次第に落ち着いてライブへと意識を切り替える。

 

 

 

リハーサルなどであっという間に時間が過ぎていき、学校が終わった時間が過ぎると巴達や美咲達が合流すると、黒服達と共に準備をしてから会場近くを見回りはじめる。

 

そして―――

 

「みんな~!!今日は来てくれてありがと~!!」

 

会場派にはステージ立つ彩の一言でライブが始まり、盛り上がりを見せ始める。

その一方で、巴達を中心にいつ襲撃かあるか分からない状況に会場外の空気は張り詰めていくが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだろうな・・・これ・・・」

 

『如月くん?何をボヤいてるの?』

 

弦太朗が黒服から渡されたインカムに対してボヤくと突如として弦太朗の耳から巴と一緒に来ていたつぐみの声が響く。

 

どうやら今の言葉が聞こえていたらしく、彼は隠すことなくマイクに向かって話す。

 

「いつも電話とかだから耳になんかつけるってのが違和感がな」

 

『ふふっ。何となくわかるな~。私も最初は生徒会の仕事で使う時があるけど慣れるまでは違和感あったから』

 

「それによ。俺ってみんなのライブを見る機会が全然ねぇな・・・。ちゃんとライブで見たのはつぐんところとこころのところだけだぞ?」

 

『でも、如月はRoseliaとRASのライブにも行ったんだろ?』

 

「あの時は紗夜もいねぇし、ロックも入る前だったからな。カウントするには微妙だろ・・・?てか巴の方は大丈夫なのか」

 

『こっちには巴とミッシェルがいるから大丈夫よ!!』

 

『ライブもあるのに千聖ちゃんが頑張ってくれたんだよね・・・?』

 

『らしいですよ?私達と如月先輩が入口を固めて、黒服さん達が他を見てくれてますから大丈夫ですよ?』

 

『それにゲンちゃん先輩のあれもあるんでしょ?大丈夫だよ!!』

 

「でも、ダイザーに誰が乗ってるんだ?」

 

『誰も乗ってないよ?』

 

『はぐみがのる~!!』

 

『ひーちゃん。あれすっごい疲れるらしいからダイエットで乗ってみれば~?』

 

『モカ~!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『みんな!!どうやら招かれざる客が来たみたいだよ?』

 

巴も弦太朗と同じく落ち着かないのかつぐみとの会話に突如として割り込んでくる。

割り込んできた彼女の質問に弦太朗は答えながら、状況確認するがそれにどんどんと色んな人が応えて緊張感が薄れる中で薫が緊張感を持った声が響くと一気に緊張感が包まれ、弦太朗のインカムからは戦闘音が聞こえてくる。

 

 

 

「そっちかよ!!待ってろ!!すぐ行く!!」

 

『待って!!如月くん!!』

 

「何でだよ!!つぐ!!」

 

『如月くんが言ってたカニ座がいない!!これは多分如月くんを誘ってるんだよ!!』

 

『いるのは前の黒い奴らだけだよ~!!』

 

 

 

 

 

 

『凄いわ!!巴とミッシェルがどんどん倒してるわ!!』

 

戦闘が始まったのは弦太朗がいる入口とは違う入口。

不味いと思った弦太朗はすぐに移動しようとするがつぐみに止められてしまい、すかさず抗議するが理由を聞いて移動を踏みとどまった。

 

キャンサーがいない。

後から来るのかも巴達の方に出たダスタード達に紛れているか分からないかは分からないが、ダスタードだけしかいない。

 

心配はしているがそれ以上に2人を信頼して弦太朗は移動を踏みとどまる。

そして戦闘音をBGM代わりに入口で待っていると、

1人の影がこちらに向かって歩く姿が弦太朗の目に飛び込んでくる。

 

『如月くんどうしたの?』

 

「いや、こっちが当たりみてぇだ・・・!!」

 

「ふふふっ・・・」

 

弦太朗へ向かって歩いてきた影の正体。

それは今回の事件の犯人であり、彩の憧れの人である人物、あゆみその人だった。

 





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未・来・彩・色-15 リハーサルバトル

投稿です。

次回でパスパレ篇終了です。
終了後は予告してたバンド篇を投稿・・・
の前に温泉篇です。

アンケートの結果ですが、
モニカ・・・そして流星くん。
君たちはお留守番よ!!

ーサブタイ入れ忘れた間抜けな私ががいるそうです。
直しましたが


 

『ちょっと如月くん!?そっちにいるの!?』

 

「あぁ。だからそっちは頼む」

 

キャンサーのスイッチャーであるあゆみが現われた。

その事を聞いたつぐみがインカム越しに声を挙げるが、弦太朗は耳につけていたインカムを投げ捨てながら何気ない様子で声をかける。

 

「よぉ・・・」

 

「・・・なんで!?」

 

弦太朗に声をかけられた彼女はその姿に予想外の出来事に驚きを隠せずにいたが、それ以上の驚きが目の前に広がっていた。

 

 

 

 

 

 

「社会人なのに学生服なの・・・?」

 

「そりゃ・・・学生だからな・・・」

 

あゆみは彩達と一緒にいて変身までした弦太朗のことを”見た目が若いマネージャー”として鮮明に覚えていた。

 

問題は彼の服装にあった。

あゆみからしたら見た目が若いとはいえ社会人が学生服―――しかも、改造した学ランなんて絶滅危惧種を身に纏っており、その答えにも驚きを隠せなかったが、芸能界に長くいた彼女はすぐに我に返って別の疑問を叫ぶ。

 

「でも・・・なんでここに・・・!!別の入り口で騒ぎを起こしたのに・・・!!なのに何でここにいるの!?」

 

「そりゃ、あんたがあっちにいねぇんだ。それならあれは罠だろ?・・・まぁ、これはダチの考えだけどな・・・」

 

何気なく答える弦太朗だったが、彼女は古典的な作戦だったがそれに自信があったのに台無しにされたことに不快感を露にして、彼を無視してライブ会場へと向かおうとするが、弦太朗がその道の前に立ち塞がる。

 

 

「わりぃけど・・・こっから先は関係者以外立ち入り禁止だぜ?」

 

「どいてくれる・・・?」

 

「何考えてるかは分かんねぇけど・・・彩たちのところへは行かせねぇ・・・」

 

「そう・・・だったら・・・」

 

「力ずくってことか・・・?そっちがその気なら!!」

 

あゆみがスイッチを取り出すのを見た弦太朗はドライバーを装着して操作をしているが、ドライバーのカウントダウンの途中で先に変身したキャンサーがその左腕を弦太朗に向けて振り下ろしていた。

 

「えっ!?」

 

「・・・ってぇなぁ!!変身!!」

 

キャンサーは弦太朗の身体をハサミで斬るつもりは無かった。

叩きつけて吹き飛ばせばいいと思って振り下ろしたが、弦太朗はハサミが振り下ろされる前にその腕を右腕で止めたことに驚いて身体が止まる。

 

 

 

 

わずかな時間だったが弦太朗にはそれで十分だった。

 

既にカウントダウンを終えていたドライバーを弦太朗は左腕でレバーを引くと、弦太朗はフォーゼへと変身が完了する。

 

「宇宙・・・・・・きたぁ~~~~~~!!」

 

「キャァ!!」

 

「仮面ライダーフォーゼ・・・タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

フォーゼは止めていたキャンサーの腕を振り払い、かけ声と共に渾身の右ストレートをその顔面へと叩きこむと悲鳴を挙げて後ろへと吹き飛んでいくが、それと同時にフォーゼはキャンサーへと飛びながらもスイッチを交換していく。

 

 

 

――コズミックON――――――――

 

「おらぁ!!」

 

「キャァ!!」

 

「まだまだ!!」

 

空中でコズミックステイツへと変身すると、スラッシュモードに変形したバリズンソードを落下の勢いを乗せてそのまま振り下ろすとキャンサーは避けることも出来ずに斬撃が直撃すると、そのまま勢いに任せてバリズンソードで堅いキャンサーの外皮の上から滅多切りにする。

 

ソードで切られたキャンサーが悲鳴を挙げる。

キャンサーの堅い甲羅に弾かれてしまい、その表面に切り傷をつける程度のしか出来ていなかった。

着られているはずなのにもかかわらず痛みを感じないキャンサーは自身の身体を確かめると思わず呟いてしまう。

 

「痛くない・・・」

 

「斬ってダメなら・・・!!ぶん殴るまでだ!!」

 

「キャ!!」

 

「・・・ってぇ!!」

 

斬撃のダメージが通りにくいのが分かるとフォーゼはスラッシュモードからブーストモードに切り替えて殴りつける。

その衝撃はキャンサーの甲羅を伝わってその内部にダメージを伝えるが、そんな堅いものを殴りつけたフォーゼにもその反動は返ってくるがそれでも構わずフォーゼは殴りつける。

 

殴られたキャンサーは再び後ずさると思わず彼女は声を挙げてしまう。

 

「私の邪魔しないで・・・!!」

 

「邪魔・・・?お前の方が彩たちの邪魔してんじゃねぇか!!お前は何が目的なんだよ!!」」

 

 

 

 

 

 

「また・・・また・・・!!アイドルとしてステージに立つためよ・・・!!」

 

「また・・・?」

 

キャンサーの言葉にフォーゼは思わず聞き返してしまうとそれに答えるように彼女は語り始める。

 

 

 

 

「確かに私はアイドルグループとしての活動は終わりにした・・・。でも、芸能界を引退したつもりなんてなかった・・・!!でも、世間は・・・そう思ってなかった・・・!!」

 

「世間って・・・?」

 

「グループは解散しても事務所には所属してた・・・。でも、世間が求めてたのは"Marmalade "としての私で私自身じゃなかった・・・!!」

 

「でも!!それならなんで彩達を襲ったんだよ・・・!!」

 

「ライバルになる相手は少ない方がいいわ・・・」

 

「千聖の奴が言ってたけど、それで仕事がもらえるようなもんじゃねぇだろ?」

 

「分かってる・・・。でも、これしか手段がないのよ!!」

 

 

 

 

フォーゼの言葉を聞いて半狂乱でなってしまったキャンサーはそのままがむしゃらに腕を振り回し始める。

距離もまともに詰めずに大振りの攻撃を繰り出すキャンサーの攻撃は周囲の物を壊すだけでフォーゼに全く当たることはない。

 

「こうなったらこれだ!!」

 

――――ジャイアントフットON――――――

 

 

――――フリーズON――――――

 

 

 

「そらっ!!」

 

右足のスイッチを交換すると同時に胸のパネルとタップしてから右足を振り下ろすと、キャンサーの上空に氷の足が出来るとそれが彼女の頭上へと落ちていくとキャンサーの身体の一部が凍り動きが鈍る。

 

それを見たフォーゼはソードを再びスラッシュモードへと変形させるとドライバーからコズミックスイッチを抜いてソードに装填する。

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー・・・・超銀河フィニッシューー-!!」

 

けたたましい警告音と共にソードからの音声が響く。

フォーゼはキャンサーへと駆け出すと甲羅に覆われていない腹部をすれ違いざまに斬りつける。

 

 

「まだ・・・!!こんな所で・・・!!」

 

「やったか・・・」

 

そんな断末魔と共にキャンサーの身体を中心に爆発が起こるがその炎が消えることはなく、いつの間にか暗くなっていた周囲をその炎に照らされていたフォーゼは呟いた。

 

「如月先輩、お疲れ様です・・・」

 

「・・・そっちも終わったか?」

 

「美咲に巴!?それにみんな来たのか!?」

 

巴と美咲を先頭にわざわざ着いてきたAfterglowとハロハピのメンバーがその後ろに続いてきていた。

 

 

 

「如月くん!!急に返事しなくなって心配したよ!!」

 

「そうだよ!!つぐも私も心配してたんだからね!!」

 

「ん~これはモカちゃんも同意ですな~」

 

「これは弦太朗が悪い・・・」

 

 

 

「凄い爆発だったわね!!」

 

「そうだね!!」

 

「でも、ミッシェルは別の用事があるから帰ってしまったのが残念だね・・・」

 

「ふえぇ~」

 

それぞれのバンドが思い思いの事を口にすると、今日の主役たちがライブをしているドームの方からは漏れてきているライブの歓声が彼らの耳にも響いてきていた。

聞こえてくる歓声を聞いたフォーゼは変身を解こうとしてドライバーに手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くん!!あれ!!」

 

「ひーちゃん?どうしたの~?」

 

しかし、その動作はひまりが挙げた声によって止められ、理由が分からないモカがひまりに聞くと彼女は炎の中を指差す。

 

「カニ野郎・・・!!」

 

 

 

「まだ終わってないの・・・?」

 

「あの爆発でまだ動くのかい・・・?」

 

 

 

「ごめん。ちょっと行ってくる!!」

 

「ちょっと!!みーくん!!どこ行くの~!!」

 

炎の中にはキャンサーがフラフラになりながらも立ち上がっていた。

その光景に驚きを隠せない一同だったがそれ以上の驚きが彼らを待っていた。

 

「おや・・・。胸の星が光っているね・・・?」

 

「薫くん?胸のだけじゃないみたい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら下がってろ・・・!!」

 

「あぁぁぁあああああああああああああああああ!!」

 

カニ座の星が光る―――

その後に起こる最悪に事態が頭を過り、フォーゼが声をかけるとキャンサーが獣のような叫びを挙げると同時にそれは起きた。

 

 

 

 

 

 

「嘘でしょ・・・」

 

「カニがおっきくなっちゃった・・・!!」

 

「マジかよ・・・!!」

 

そこには先ほどまでフラフラになっていたキャンサー・ゾディアーツがキャンサー・ノヴァへと変貌を遂げてフォーゼ達の前に立ち塞がっている光景だった。

 

 

 





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未・来・彩・色-16 When "I" shine,darkness fades.(”アイドル"が輝くとき、闇は消えていく)

パスパレ篇!!完結!!

ライブはイイゾォ・・・!!
はやく昔みたいにライブで声出せる日が戻ってきて欲しいなぁ・・・

真面目エンドだけど、これは・・・




 

 

「嘘でしょ・・・」

 

「カニがおっきくなっちゃった・・・!!」

 

「マジかよ・・・!!」

 

目の前でゾディアーツが巨大化する―――

そんな目の前の光景に彼女達は足を止めてしまうが、フォーゼは以前戦った時の事を思い出して余裕が無くなっていた。

 

「みんな!!早く下れ!!」

 

「如月くん!?どうしたの!?」

 

「あれが相手じゃ余裕がねぇ・・・!!」

 

「うそだよね・・・?」

 

「これで戦ったことはねぇけど、正直通用するか分かんねぇ・・・!!」

 

 

 

 

 

「あぁぁあああああああああああああ!!」

 

「おらぁああああああああああああ!!」

 

フォーゼの余裕のない様子に気が付いたつぐみが彼に声をかけるがその答えにその場にいた全員が驚きの表情を浮かべていた。

そんな彼女達の不安を煽る様にキャンサーは理性を失った獣のような叫び越えを挙げるとそのハサミを振り降ろすが、フォーゼはソードでそれを受け止めてから力任せに払いのける。

 

「・・・弦太朗!!」

 

「ふえぇ~!!如月く~ん!!」

 

「蘭も花音も心配すんな!!下がってろ!!」

 

「みんな、ここは弦太朗の言う通りにするしかなさそうだね・・・。みんな歩けるかい?」

 

「・・・如月!!任せたぞ!!」

 

フォーゼの指示に従うべきと判断した薫はみんなに下がる様に促し、巴も流石に体格差にどうすることも出来ないと判断して一緒に下がっていく。

 

それを見たフォーゼは再びキャンサーへと向き直ると再びハサミを力任せにフォーゼに振り下ろすが、フォーゼもまた再びソードで受け止める。

 

「くそ・・・流星がいてくれりゃ・・・!!でも、1人でやるしかねぇ!!・・・ってやべぇ!!」

 

彼の頭に思い浮かぶのはキャンサーを倒した仲間の姿だったが、その彼はその場にはいない。

フォーゼは弱気になった自分に気合いを入れるように声を挙げると、先ほどの様にハサミを振り払おうとしたが、キャンサーはもう一方のハサミをフォーゼに向けて振り下ろしていた。

 

1本だけならなんとか止められるが2本同時は止められない。

 

 

 

 

「えぇぇええええええええい!!」

 

そんなイメージが頭を過るが、キャンサーとは別の叫びと共にそのハサミの起動がズレると同時に押さえていたハサミもフォーゼから離れていく。

 

「美咲!!なんでお前・・・!!」

 

「みーくん!!どっか行っちゃったと思ったらそれ乗ってるんだ!!」

 

「なんかいや~な予感がしたんでこれ取りに行ってましたけど・・・。嫌な予感ってなんでこんなに当たるんですか・・・」

 

「よく分かんねぇけどとにかく助かったぜ!!・・・いくぞ!!」

 

「腕1本ぐらいならなんとか・・・!!」

 

そして2人は巨大化したキャンサーへ目掛けて駆け出していくのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

「ふぅ・・・」

 

先ほどまでステージ立っていた私達は一旦ステージからはけると普段のメイクさんや衣装さん達が私達のメイクや衣装を整えている。

そして代わりにビビキャンの子達が私達に変わってステージに立っている光景を彩ちゃん達と一緒に眺めていた。

 

 

 

 

 

「外・・・大丈夫でしょうかね・・・」

 

「トモエさん達も来てるとのことですが・・・心配です・・・」

 

「大丈夫でしょ。ゲンちゃんがいるんだし・・・」

 

 

 

 

「でも、どんな状況になってるのかしら・・・?」

 

周囲が慌しくしている中で麻弥ちゃんの言葉に反応する2人を見て、私も外の事が気になって思わず呟いてしまった。

そんな言葉を聞いたのかどこからか黒いスーツの人たちが慌しいスタッフをすり抜けて私達の元へと歩み寄ってくる。

 

「誰かしら・・・?」

 

「ココロさんの家の人です!!」

 

イヴちゃんが言うにはこころちゃんの家の人らしいけど、こんな暗いところでもサングラスはつけたままなのね・・・?

それにも関わらずサングラス越しにでも分かるほどにその表情は暗かった。

 

「あの・・・どうかしたんですか・・・?」

 

 

「外のゲンちゃん達に何かあったのかな~?」

 

意を決して私がこころちゃんの家の人に話を聞こうとするとその横ではいつもの軽い調子の日菜ちゃんが私の言葉に続いてくるが、こころちゃんの家の人がスマホで流れている無音の映像を彩ちゃん以外の全員で覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「はっ・・・?」

 

「どうなってるの・・・?」

 

「なんですかこれ・・・?」

 

その映像に1度は全員から言葉が漏れる。

画面の中では変身した弦太朗と1台のロボットがあゆみさん・・・でいいのよね?

理解できないが多分あゆみさんが変身してたかに座のゾディアーツが完全に人の形を失って巨大なかにとなって戦っていたが、明らかに弦太朗達は劣勢だった。

 

「あのロボットは一体・・・?」

 

「おねーちゃんの時のだ・・・!!」

 

「話だけには聞いてましたが・・・一体・・・誰が・・・?」

 

 

 

 

 

 

「ミサキさん!!」

 

「「!?」」

 

イヴちゃんが言うにはあれに乗ってるのは美咲ちゃんらしいけれど・・・素人目で見ても2対1の状況でも完全に劣勢だった。

 

「・・・っ!!」

 

「イヴちゃん!!どこいくの?」

 

「助けに行かないと・・・!!」

 

「まだライブ中ですよ!!」

 

「そうだよ!!それにイヴちゃんが行っても大きさが違いすぎるって!!」

 

「・・・そうですね・・・。すいません・・・」

 

イヴちゃんがその映像を見て飛び出そうとするが、すぐに日菜ちゃん達の言葉を聞いて思いとどまった。

でも・・・

 

「大丈夫かしらね・・・?」

 

「千聖ちゃんもゲンちゃん達心配してるんだ・・・」

 

「まぁ・・・こんなの見てしまったらね・・・」

 

写された映像に不安を覚える私達は俯いてしまうが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ!!」

 

「彩ちゃん・・・?」

 

「だって如月くんが心配するなって言ってたんだから!!」

 

でも、彩ちゃんだけは違って不安を覚える私達の横で彩ちゃんのどこから来るか分からない自信に満ちた表情を浮かべて答えているそんな彩ちゃんの言葉に呆気に取られていた。

 

 

「あははははは!!彩ちゃんらしいね~!!」

 

「ですね・・!!アヤさんらしいですね・・・!!」

 

「如月さん達も頑張ってますから!!ジブン達も負けてられませんね!!」

 

「ふふっ・・・そうね。ちょうどあの子たちの出番も終わりみたいね・・・みんな!!ここからは私達にステージよ!!」

 

「みんな!!行こう!!」

 

そんな彩ちゃんに釣られてか私もみんなもさっきまでの不安なんては消えていて、私達は彩ちゃんの言葉と共に再び自分たちのステージへと上がっていくのだった。

 

 

――――――

 

彩たちに見られていたことなど知る由もないフォーゼ達はなんとかキャンサーの猛攻を防いでその場に足止めをしていた。

しかし、防ぐだけで反撃出来ていなかった。

 

「如月先輩!!どうするんですか!!」

 

「ソードでも殻に弾かれちまうからな!!この状態だと爆発したら周囲丸ごと吹っ飛んじまうかもしんねぇ!!後ろにこころ達もいるし、彩たちもライブ中だから巻き込んじまう!!だったら宇宙まで連れ出して・・・!!」

 

「にしてもこのままじゃ・・・」

 

2人で対策を話しながら対処しているが体力的なリミットを考えるとそこまでの猶予はない。

 

「とりあえず、他のスイッチで・・・!!」

 

「・・・っ!!如月先輩!!」

 

フォーゼはソードに挿していたコズミックスイッチを別のスイッチに交換しようとするが、その隙をキャンサーのハサミが迫っている間にダイザーが割り込んでなんとかハサミを抑え込むがその衝撃がダイザーの内部を激しく揺らす。

 

そんな中でキャンサーはもう1本のハサミを振り上げようとする。

 

 

「このぉおおおおおおおおお!!」

 

「・・・・・・巴!?」

 

 

 

 

「ぁあああああぁアァァア!!」

 

「うおっ!?」

 

「巴!?」

 

ここで予想外の巴がキャンサーへと叫びを挙げるとその光景に思わずフォーゼとダイザーが止まってしまう。

その声を聞いたキャンサーはハサミの標的をダイザーから巴へ向けて突き刺すべく伸ばすが、巴はそれを飛んで避けるとハサミの上を駆け出していくが、ハサミを振り上げられて彼女の身体は宙を舞う。

 

そのままキャンサーは動きが鈍ってしまったダイザーを突き刺すべく、ハサミを向けるが―――

 

「うぉぉおおおおおおおお!!」

 

「あぁあぁあああ!!」

 

宙を舞っていた巴が空中で体勢を立て直すとその落下の勢いのままキャンサーの頭部に蹴りと叩きこみ、想定外の衝撃にキャンサーから声が挙がって動きが止まった所につぐみから指示が飛ぶ。

 

「如月くん!!ハサミの関節のところ!!」

 

「おう!!」

 

―――ファイヤー ON―――

 

「いっけぇえええええええ!!」

 

「あぁぁぁぁああああ!!」

 

フォーゼはソードにスイッチを装填してそのまま指示を通りに関節部分をソードで斬ると、片方のハサミが斬り落とされて地面へと落ちると同時に巴も落下の衝撃を殺すように地面を転がっていく。

 

「宇田川さん!!無茶しすぎ!!だけど・・・!!」

 

「・・・あぁ!!これなら!!」

 

 

 

 

 

「あぁああああああああ腕がぁああああ!!」

 

ハサミを切り落とされたキャンサーはわずかに理性を取り戻す。

そしてメインの武器であるハサミを1つを斬り落としたことによって防戦一方だったフォーゼ達がお返しと言わんばかりに攻め始める。

 

「それにしても・・・堅い・・・!!」

 

「さっきの攻撃に比べたら大した事ねぇな!!・・・まずはその邪魔な足からだ!!」

 

殆どダメージにならないがダイザーが突っ込んで殴りつけて意識を逸らし、一方でフォーゼが先ほど同様に関節を狙って斬りかかる。

 

 

ハサミに頼り切って戦っていたキャンサーもなんとかハサミ以外の腕でも対応しようとするが、2人の攻撃を抑えられずに徐々にキャンサーの手足を斬り落とされていき、キャンサーは地面へと崩れ落ちると同時にフォーゼによって最後に残っていたもう1つのハサミも斬り落とされる。

 

 

 

 

「やった!!」

 

「動きも鈍ってきたわ!!」

 

「これならそれで打ち上げれるんじゃない!?」

 

「分かった!!美咲!!降りてくれ!!」

 

「よく分かんないけど・・・如月先輩!!後は頼みました!!」

 

キャンサーの動きが鈍り周囲から歓声が上がるとつぐみはダイザーによって宇宙へと打ち上げることを思いつく。

それを聞いた美咲はダイザーですべての手足を失ったキャンサーに体当りをかまして吹き飛ばしてからダイザーを飛び降りるとダイザーからはミサイルが発射されてキャンサーの身体を宙へと打ち上げる。

 

それを見たフォーゼはベースステイツへと戻り、どこからかやってきた自身のバイクに乗って変形中のダイザーの上に飛び乗るとカウントダウンが響く。

 

 

 

3―――――――

 

2―――――――

  

1―――――――

 

 

―――Blast off!!

 

「とっべよぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

「バイクが空を飛んだわ!!」

 

「凄~い!!」

 

「儚い・・・」

 

「ふえぇえええええ!?」

 

「うっわ・・・本当に飛んだ・・・」

 

初見のハロハピは思い思いの事を述べる横でAfterglowの面々のそれに同意するかのように首を縦に振る。

そんなことを知らずにフォーゼはキャンサーと共に宇宙へと打ち上っていた。

 

 

 

「打ち上げちまえば出し惜しみはしねぇ!!これで終わりにしてやる!!」

 

フォーゼはバイクから飛び降りて宇宙空間へと飛び出すとそのまま打ち上げたキャンサーを飛び越えながらスイッチを起動してドライバーのレバーを押し込んだ。

 

 

 

 

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 ―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

 

「食らえ!!ライダーロケットドリル宇宙キィィィィィック!!」

 

「まダだァアアアアアああああ!!」

 

フォーゼのドリルはそのままキャンサーへと突っ込んでいくが、キャンサーは胴体に残っていた巨大な口でドリルごとフォーゼの左脚へと食らい付く。

 

 

 

 

 

「「がぁああああああああああああ!!」」

 

フォーゼに変身しているにもかかわらず、足を噛まれたダメージはそれを纏っている弦太朗へと伝わり、キャンサーもまた堅い甲羅に覆われていない口内で回転するドリルの攻撃に互いに痛みに絶叫するが、

その痛みに耐えながらフォーゼは再びドライバーのレバーを押し込むと起動していたロケットとドリルが巨大していく。

 

「ライダーロケットドリル大宇宙キィィィィィック!!」

 

「ぁあぁぁぁああああああああああ!!」

 

痛みに耐えながら、巨大なロケットの勢い任せてフォーゼはキャンサー諸共、地球へ向かって突っ込んでいく。

 

そして街が見え始めた頃に2人の勝負が決着した。

 

 

「わたしは・・・また・・・アイドルに・・・!!」

 

ドリルの攻撃と大気の摩擦熱でキャンサーの身体は限界を迎えると、自信の願望を叫びながら爆散する。

その爆発は夜の暗闇を消して昼間のような明るさで街を照らすが、それは本当に瞬間の出来事だった。

フォーゼは爆発の中でキャンサーの変身が解けて空に生身で投げ出されていたあゆみを見つけるとその腕を掴む。

 

「彩たちのところに戻るか・・・」

 

――――――――パラシュートON――

 

そう呟くとフォーゼはそのままスイッチを起動して彩たちのライブ会場へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

「「「「アンコール!!アンコール!!アンコール!!」」」」

 

 

 

如月くん達が頑張ってくれている中で私達のライブが終わって舞台からはけた私は心の底からやり切ったと笑みを浮かべていた。

そんな中でお客さんからのアンコールの声が止まない事が嬉しくって私は泣きそうになってた。

 

「彩ちゃ~ん!!・・・何で泣いてるの?」

 

「日菜ちゃん・・・えっと・・・こんなにお客さんが喜んでくれてる光景がなんかうれしくって!!」

 

「あら、彩ちゃん。でも、泣くのはまだ早いわよ?」

 

「そうですね!!まだお客さんのアンコールに答えないと・・・!!」

 

「私もまだいけます!!」

 

みんなのやる気が伝わってくる。

やりきったと思って身体から力が抜けそうになってた私だったが、それを千聖ちゃんが手を差し伸べてくれた。

 

 

 

「彩ちゃん。アンコール・・・行けるわよね?」

 

「うん!!」

 

「それじゃ行きましょう!!」

 

そう言って私達はアンコールに答える為にステージへと戻る。

 

 

 

 

「みんな~!!ありがと~!!」

 

ステージに戻った私は余りの嬉しさに思わず声を挙げてしまったが、お客さんたちもそれに答えるように声を返してくれる。

 

私はそんなステージの上からお客さんたちの顔を見ようと客席全体を見渡した。その視線の先には如月くんや花音ちゃん達がステージにいる私達を見ていた。

 

「あっ・・・」

 

私はマイクにも乗らないような小さな声を上げ、その光景に私は全てを察した。

 

 

 

―――終わったんだ・・・

 

ステージ上で私はお客さんに背中を見せて、周りにいた千聖ちゃん達の表情を見てしまう。

でも、みんなも同じように如月くん達を見つけて同じことを思ってたみたいで笑みを浮かべていた。

 

「彩ちゃん?いつまでお客さんに背中を向けてるのかしら・・・?」

 

「えっ・・・?あっ!!」

 

千聖ちゃんの言葉に我に返った私。

そんな光景に如月くん達もお客さんもみんなが笑っていた。

 

「うぅ~・・・!!」

 

「彩ちゃん~。そろそろやろーよー」

 

「ですね!!お客さんも待ってます!!」

 

「彩さん!!」

 

「も~みんなも~!!それじゃ・・・本当に今日最後の曲!!聞いてください!!"ゆら・ゆらRing-Dong-Dance"!!」

 

そしてみんなに答えるために私達はこのライブで本当に最後の曲を始めた。

 

―――――――――――――――――

 

 

「凄かったね!!」

 

「そうだね~つぐ!!」

 

「薫くん!!本当に凄かったね!!」

 

「なんて儚いんだ・・・」

 

「う~!!私達もライブしたいわ!!」

 

「それはいいけど明日は休ませて・・・」

 

 

「「いってぇ~!!」」

 

「巴も弦太朗も無茶しすぎだよ・・・。足引き摺ってるし・・・」

 

「蘭は素直じゃないな~」

 

「モカ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

思い思いに彼女達は最後にパスパレの演奏について盛り上がる一方では弦太朗達は先ほどの戦闘で負った怪我の痛みに悶えていた。

 

「とりあえず、みんなで帰ろっか!!」

 

「そうだなつぐ!!・・・でもその前に、今日の打ち上げでもすっか!!」

 

「面白そうね!!美咲!!私達も行きましょう!!」

 

「あぁ・・・うん。・・・・・・休みたい・・・」

 

「美咲ちゃん・・・」

 

「巴?でもどこで・・・?」

 

帰る前に打ち上げをするという提案をするが巴、それを聞いて首を傾げる蘭だったが、思わぬ乱入者がこの場に現れる。

 

 

 

 

 

「今夜は焼肉だよ~~~~!!」

 

「焼肉!!はぐみもお肉食べたい!!」

 

「打ち上げなんていいわね。それにしても、みんなして私達を置いていくなんて酷いんじゃない?」

 

「日菜先輩に千聖さん達まで!?」

 

「おや?千聖達はどうしてここにいるんだい?事務所の人たちとはそういうことはしないのかい?」

 

「事務所でもやる予定だけれど、それは後日やることになってるのよ・・・」

 

そこに現れたのは先ほどまでライブをしていたパスパレ。

思わぬ人物の登場に彼女達は驚くが、1人だけ冷静に薫がそのことを質問するが、何事もなかったかのように千聖が応えると納得したような表情を浮かべていた。

しかし、その中で彩だけは浮かない顔をしていた。

 

「ねぇ・・・如月くん?あゆみさんは・・・?それにその足は・・・?」

 

「足は倒した時にやられてな。・・・でも、倒したんだけど意識が戻ってねぇ・・・」

 

「大丈夫だよ!!こころちゃんの家の人が病院まで運んでくれたから!!」

 

「如月くん、花音ちゃん・・・。なら、起きたら一度話してみるね!!」

 

「それでいいんじゃねぇか?」

 

「そうだね・・・」

 

「じゃあ如月くんもその時はついてきてよ!!」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「3人とも~早く行くよ~!!」

 

「うん!!行こっ!!」

 

2人の言葉を聞いて安心したのか彩は笑みを浮かべ、そんな3人を先に歩いていた日菜が急かすように声をかける。

そんな風景にいつも通りの日常に戻るとそう思っていた。

 

しかし、そんな考えも一瞬で吹き飛んでしまう出来事が起こってしまう。

 

「弦太朗?電話なってるわよ・・・?」

 

「あぁ・・・レイから・・・?もしもし?」

 

『もしもし!!弦太朗!!』

 

少しだけみんなとは離れた位置を歩いてた弦太朗と千聖。

千聖の言葉に弦太朗はマグフォンを取り出してその電話に出るが、電話の向こうのレイヤが焦った様子に弦太朗は嫌なものを感じ取る。

 

「どうした!?ライブって聞いてたけど、なんかあったのか・・・?」

 

『急いでこっちにきて!!ロックが襲われてる!!』

 

「・・・分かった!!どこだ?」

 

『dub!!』

 

「待ってろ!!」

 

弦太朗は電話を切ると横で不安そうな表情で千聖が彼を見つめていた。

 

 

 

「その足で行くのね・・・?」

 

「ヤバいけど・・・行くしかねぇ・・・!!」

 

「本当だったら「行かないで」と言いたいところだけれど、仕方ないわね。みんなには私がうまく誤魔化しておくわ・・・」

 

「悪いな・・・それじゃ行ってくる!!」

 

「えぇ、行ってらっしゃい・・」

 

千聖に見送られながら弦太朗は先ほどの戦闘で酷使した身体を引き摺って、バイクに跨るとレイヤが言っていた"dub"へ向かってバイクを走らせるのだった。

 





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次章予告:RAS
今回コズミックで決めろって?
いや、大宇宙キックしたかったんや・・・!!
そして"通常の"ロケットとドリルくんは次章は完全お休み決定しましたね!!

本編前に小ネタ篇として
・アニメ伝説の温泉回
・焼肉のお姫様
・+α

でお送りする予定です。


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オマケ時空篇10 温・泉・客・旅
温・泉・客・旅-1 恋愛バトル!?・トラブるトラベル


小ネタ篇開幕
最初は・・・バンドリアニメにあった温泉回です・・・
アニメだと多分11月半ばくらいですが、本作品だと11月末くらいまでズレ込んでいます。

まぁ、半ばでも本作品の時系列的にはポピパ2章開始前くらいになるのでそこまで問題はありませんが・・・



 

「っしゃ~!!今週も終わった~!!」

 

1週間の授業が終わり、弦太朗はここ数週間での連戦によって疲れが体に溜まっていた。

そんな状態を見かねて同じクラスにいる彼女達が彼の周りに集まりだした。

 

「如月くん・・・?大丈夫?」

 

「花音か・・・。今週めっちゃ疲れちまってな・・・」

 

「なら今週末はちゃんと休まないとね?」

 

「だとしても、如月さんは授業中にもう少ししっかりできないんですか?」

 

「氷川さんはその・・・友希那さんのお父さんの事で・・・色々ありましたから・・・」

 

「それはそうですが・・・皆さん甘やかしすぎでは?」

 

疲れている弦太朗に厳しく言葉を送る紗夜に対して、燐子を中心として他のメンバー達は紗夜を宥めていた。

そんな中で弦太朗は何げなく呟いてしまう。

 

「でも、ただ家で休んでるのもなぁ・・・」

 

「・・・そう言えば、千聖ちゃんは今日は温泉の生中継のロケするっていってたから温泉に行くのはどうかな?」

 

「いきなり温泉っていわれてもなぁ・・・。ロックのとこの銭湯にでもいくか・・・」

 

「気分転換にはいいんじゃないでしょうか・・・」

 

「もう、白金さんも松原さんも話を聞いてたんですか?」

 

呑気な会話を繰り広げる3人呆れる紗夜。

しかし、彼女は先日までの事件では自身も彼に迷惑をかけていたことを思い出してこれ以上の追及を辞めた。

 

そんな中で彼のマグフォンからは着信音が鳴り響く。

3人はそのままでいいから電話に出るようにいうと弦太朗はそそくさとマグフォンを取り出す。

 

「つぐから・・・?もしもし?」

 

『もしもし!?如月くん!!急なんだけど今日と明日って空いてる?』

 

「まぁ・・・特に予定は入ってなかったけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

『よかった・・・なら・・・これから一緒に温泉に行かない!?』

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

ちょうど温泉の話題が出ていたこのタイミングでつぐみからの誘いに思わず声を挙げてしまった一同。

それが聞こえたのか電話の向こうのつぐみも紗夜の声が聞こえたことに思わず戸惑ってしまった。

 

『どうしたの!?それに紗夜さん達の声が聞こえたけど・・・?』

 

「いや、学校終わってまだ一緒の教室にいるんだよ・・・」

 

『そうだったんだ・・・』

 

「羽沢さん・・・?それで温泉とはどういう事でしょうか?納得いくように説明してもらえますか・・・?」

 

男女で一緒に温泉に行くということ―――というよりも弦太朗がつぐみと温泉に行くということが許容できない紗夜は威圧感のある声色で説明を求めると、彼女はそれに怯むことなく説明をしていた。

 

「そういうことだったんだ・・・」

 

『はい・・・。それでそのツアーがキャンセルが出来ないのでそれだったら・・・ってことでさっき連絡があって・・・』

 

「あっ・・・私もはぐみちゃん達から連絡が来てる・・・」

 

「氷川さん・・・私達もあこちゃんから温泉に行こうって連絡が来てますよ・・・?」

 

「確かに全体での練習予定はありませんが・・・個人で練習をしようかと思ってたんですが」

 

説明を聞いて状況は理解できたが納得が出来ない紗夜。

彼女の発する空気は冷え切っていたが話を聞いてその中で空気の読まない発言が飛び出す。

 

 

 

 

 

 

「俺はいいぞ!!」

 

「如月さん!?あなた、何を言って・・・!!」

 

『ホント!?良かった~!!つくしちゃん達は急な外泊はダメらしくて断られちゃったけど・・・これで人数はある程度は大丈夫そうかも・・・!!』

 

弦太朗の答えに電話の向こうでは誘いに乗ってくれたことに安堵の声を挙げるつぐみ。

しかし、それに反対するのもがここに1人―――

 

「待ってください!!羽沢さん!!出発この後何ですよね?如月さんは着替えを取りに行く時間がないと思います!!」

 

『大丈夫です!!前にお父さんの服着れてたから私が持っていきます!!』

 

「そうか?わりぃな・・・」

 

『それじゃ・・・この後・・・』

 

「待ってください!!そもそも男女で温泉なんて風紀が・・・!!」

 

『そもそも一緒に温泉に入る訳じゃないんですから大丈夫です!!』

 

「んっ・・・」

 

紗夜の追及を悉く躱すつぐみに紗夜は言葉を詰まらせてしまった。

そして、少し考えた様子を浮かべた彼女からはある発言が飛び出した。

 

「でしたら、私も同行します!!」

 

「氷川さん・・・!?」

 

『本当ですか!!では、時間までには来てくださいね!!』

 

先ほどまで練習と言っていたのにも関わらず、突如の紗夜の参戦宣言に驚きを隠せない燐子。

つぐみは燐子とは対照的にその言葉に思わず嬉しそうな声を挙げてそのまま電話を切ってしまった。

何とも言えない空気の中でなんとか花音が声を絞り出した。

 

「紗夜ちゃん・・・?練習と言ってたのに・・・どうして行こうと思ったの・・・?」

 

「風紀が乱れる匂いがします!!これは見過ごせません!!」

 

「ふえぇ~・・・」

 

「・・・ほら、白金さんもなにをぼーっとしてるんですか?」

 

「えっ・・・?」

 

「あなたも生徒会長として同行するんですよ!!」

 

「氷川さん・・・!?」

 

「じゃあ如月くん・・・後でね・・・」

 

「おう・・・!!」

 

紗夜に引き摺られるように連行される燐子。

その後を追うようにして花音も教室を後にするのを見送った弦太朗は疲れた体を引き摺ってそのままつぐみが言っていた集合場所へと向かおうと教室を出る。

 

それと同時にかかってきた電話に弦太朗はほぼノータイムでマグフォンを手に取ってそれに出た。

 

『弦太朗!!温泉行くよ!!』

 

「沙綾。それさっきつぐから聞いたから。後でな・・・」

 

『ちょっと弦太朗!?』

 

弦太朗は沙綾からの電話をスグに切ると再び待ち合わせの場所を目指して歩き出すのだった。

 

 

 

 

 

―――――――

 

弦太朗達が温泉の話を電話で聞いたのと同じ時刻、パスパレのメンバー達の姿はある温泉旅館の1室にあった。

 

「全くうちの事務所は何考えてるのかしら・・・」

 

「でも、これが終わって帰ったら生放送でライブして、次はドームなんて大変だけど・・・ワクワクするね!!」

 

「ジブンも楽しみです!!」

 

「ブシドーの心で頑張ります!!ですがその前の温泉の収録ですが・・・ヒナさんはどこに・・・?」

 

話していた彼女達だったがいつの間にか日菜の姿は消えていたことに疑問を感じていたが突如として部屋の扉がどこかに行っていたヒナによって開かれる。

 

「ねぇねぇ!!」

 

「日菜ちゃん・・・!!仕事前なのにどこ行ってたの!!」

 

「そんなことより聞いてよ!!今日ねここにおねーちゃんとつぐちゃん達が来るんだって!!」

 

「そうだったんだ・・・」

 

「へぇ・・・面白いことが起きそうね・・・。それじゃあ、仕事の打ち合わせでもしましょうか・・」

 

何か面白いことが起こる予感を感じた千聖は日菜をそのまま捕まえるとこの後に行うロケの打ち合わせを始めるのだった。

 

――――――

 

「ここだよな・・・?まだ集まってねぇのか・・・?ってあのキョロキョロしてるのっは・・・」

 

「あっ!!如月先輩!!」

 

「やっぱりロックか!!」

 

1人でつぐみに言われた集合場所へとやってきた弦太朗。

そこには集合時間よりも早く来ていた捨てられた小犬のような表情を浮かべていたロックがオロオロとしていたが弦太朗を見つけた途端に人が着た安心感からか満面の笑みを浮かべて彼の元へとかけで出していく。

 

「お前も来てたのか?」

 

「はい!!叔母さんに言われて来たんですけど・・・誰も来なくて心配だったんですよ~!!」

 

「まぁ、みんな準備してるだけだろ・・・?」

 

「それでも1人だと不安だったんですよ~!!」

 

 

 

 

 

「よぉロック。なんだ、弦太朗もいたのか」

 

「ますきさん!!」

 

「おっす・・・って・・・」

 

そこに現れたのはますきだったが、、その姿は弦太朗にとっては見慣れない格好に驚きを隠せなかった。

 

 

「・・・なんだよ?」

 

「お前も制服なんだな・・・」

 

「わりぃかよ?」

 

「いや、ますきに制服ってイメージが出来なくてな・・・」

 

「そうか・・・?」

 

 

 

 

「お~い!!ゲンちゃんせんぱ~い!!」

 

そんな話を繰り広げているうちに次第に見知った顔が続々と集まっていき、最後には私服のレイヤが集合場所に集まるとメンバーを代表してつぐみがその場を仕切り始める。

 

「六花ちゃん。悪いんだけど温泉についたらこの紙に書いてある部屋割りを説明してくれるかな?私はその間に旅館で手続きとか済ませるから!!」

 

「はいっ!!分かりました!!」

 

「よろしくね?・・・それじゃ、みんな荷物を積んでバスに乗ってくださ~い!!」

 

「「「は~い!!」」」

 

その言葉を聞いてぞろぞろとバスの中に乗っていく彼女達だったが・・・

 

 

 

 

 

「「「「「(如月さん(弦太朗)の隣の席は譲れない・・・!!)」」」」」

 

少女達の小さすぎる争いが始まろうとしていた一方で―――

 

 

 

「あれ・・・?この部屋数と部屋割りって・・・あぁ!?」

 

「ロック?何してんだ?早く乗れよ」

 

「あっ!!ますきさん!!すぐ行きます!!」

 

その裏ではそれ以上に重大な問題が発生していたことにロック以外気が付いていなかった。

 

 





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温・泉・客・旅-2 彼女達の戦いはクライマックスを迎える前に決着する

投稿でぇす。

やっと温泉ついた・・・(2話目
あと1~2話くらいで温泉回が終わるかな?

次は入浴するから・・・!!


 

楽しいはずの温泉旅行。

 

「温泉楽しみ~!!」

 

「香澄はしゃぎすぎて迷惑かけんなよ~」

 

 

「リサ姉!!楽しみだね!!」

 

「ん~温泉も楽しみだけど料理もあるんでしょ?アタシはそっちも楽しみだな~」

 

 

「温泉なんて楽しみだな~蘭!!」

 

「巴・・・分かったから」

 

 

「ミッシェルはいつ頃来るのかしら?」

 

「そこまでは分かんないな~・・・」

 

 

「楽しみだねレイ!!」

 

「ふふっ・・・そうだね花ちゃん」

 

 

 

 

 

「zzz・・・!!」

 

 

バスの中では楽しい会話に花を咲かせる一方で、日頃の疲れからかバスの座席で呑気にいびきをかきながら寝ている弦太朗の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

「「六花(ちゃん)・・・ずるい・・・!!」」

 

「アハハ・・・ロック・・・ナンデソコニイルノカナ・・・カナ・・・?」

 

「如月さんが彼女の肩に頭を・・・!!・・・風紀が乱れてます!!」

 

「・・・(あんな近くに如月さんが・・・いい匂いしそう・・・)」

 

 

 

「ひぃ~~~~!!」

 

 

 

「有咲!!ほら!!旅館が見えてきたよ!!」

 

「「「うわぁ!!」」

 

 

 

「香澄ぃ!!はしゃぐな!!」

 

その呑気な彼の横を陣取っていたのは横の席を狙っていたつぐみや燐子達ではなくたまたま乗るときに近くにいたロック。

そんな彼女はつぐみ達の嫉妬の視線と燐子からは羨望の視線を受けて悲鳴を上げるがその声は今日の目的地である旅館を見つけた香澄の声にかき消されていく。

 

「あっ・・・!!みんなそろそろ降りる準備してください!!降りたら六花ちゃんが部屋の案内するのでそれに従ってください!!」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

香澄の声に我に返ったつぐみは皆に声をかけてからわずかな時間でバスは旅館前に停止すると、ぞろぞろとバスからみんなが降りてくる。

 

「それじゃ私はチェックインの手続きしてくるので、六花ちゃん後よろしくね」

 

「じゃあアタシ達も一緒に行くか」

 

「そうだね~ツグってるとこを見届けないとね~」

 

 

 

「ちょっとつぐみ先輩・・・!!」

 

バスを降りて早々につぐみはロックの静止を無視して、バンドメンバーと一緒にその場を離脱して旅館の中へと消えていく。

 

そんな中で全員の視線がロックに刺さるが彼女はこの事、そしてロケを終えたであろう日菜が紗夜を探して自分たちの輪に混ざっていることに対してなんとか表情を作ってその場をやり過ごすことに決めた。

 

「ポピパさん。ハロハピさん・RASは本館で~す!!」

 

 

 

「あこ達も南館だろ?」

 

「うん!!」

 

「あっ!!おねーちゃん!!」

 

「日菜!!」

 

「おねーちゃん!!一緒に温泉入ろ!!」

 

 

「あっ!!日菜さんここにいたんですね?」

 

「日菜ちゃん。早朝ロケの段取り確認が終わってからよ」

 

「えぇ~」

 

彼女達はそんな話をしながら彼女達は指定された自分たちの部屋へと移動しようとするが、ここで日菜が爆弾を落とした。

 

「ねぇねぇ!!ゲンちゃん!!」

 

「ん?・・・」

 

「ゲンちゃんの部屋ってどこ?後で千聖ちゃん達と遊びに行くね!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

「「「・・・!!」」」

 

日菜の言葉に沙綾とひまり、そして紗夜が過敏な反応を示す。

確かに今まで誰も弦太朗の部屋の事について話し者はいなかった。

 

みんなの中でどうせ1人部屋だろうという認識があったが、彼女達もこの場所まで部屋割りについては話されてなかったので当然彼の部屋の事も話には上がってなかった。

 

「そうだな・・・アタシ達が貰ってる部屋割りの紙には特に書かれてないぞ?」

 

「巴さんの方でもですか?こちらにも特に書かれてませんね。商店街の方々のイベントですから山吹さんと・・・北沢さんは話は聞いてますか?」

 

「いいえ・・・。実はつぐみがメインでやってくれてて私も何も聞いて無くて・・・」

 

「はぐみも聞いてないよー?でもろっかは?さっきつぐに部屋割りの話聞いてたよ!!」

 

 

 

「どうなのロック・・・?」

 

「えぇ・・・っと・・・その・・・」

 

彼女が今絶対に触れたくない内容について死んだ目で笑みを浮かべながら問いかける沙綾。

質問をしたのは1人だけだったが多くの者が興味ありげにロックへと視線を向ける中で、ロックは声を震わせながらその質問に答えた。

 

 

「えっと・・・如月先輩は・・・・・・と・・・しょの・・・」

 

「聞こえないんだけど」

 

「山吹さんの言う通りです」

 

「それで!!ロックどこなの!!」

 

 

 

「ひえぇ~!!」

 

「も~紗夜も沙綾達も落ち着きなって~☆ロックが困ってるよ~?・・・ってこれはダメそうだね~。レイヤさん悪いけどロックの事お願~い」

 

リサはロックを威嚇する3人を抑えるが時すでに遅し。

完全に彼女は委縮してしまっており、会話が出来そうにないことを察したリサは同じバンドのレイヤを呼んでロックの事を任せるとロックが持っていた紙をつまんで確認し始める。

 

「ふんふん・・・へぇ~・・・」

 

「リサ先輩!!六花の持ってる紙にはなんて書いてあるんですか!!」

 

「ひまりは落ち着きなって~」

 

「今井さん!!時間が勿体無いので早くお願いします!!」

 

「も~紗夜はせっかちだなぁ~。えっとね弦太朗の部屋は・・・」

 

 

 

 

「「「「部屋は・・・」」」」

 

リサは慌てる3人を他所にゆっくりと弦太朗の部屋について時間を使って焦らす様に発表すると、3人以外にも多くの人がリサの発表を固唾を飲んで見守っていた。

 

「弦太朗の部屋は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Afterglowと同室だって~」

 

「やった~~~~!!」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

「「「「「えぇ~~~~~~~~!!」」」」」

 

 

 

まさかの部屋割りに彼女達の反応が割れる。

完全勝者となっているひまりは歓喜の声を挙げ、弦太朗と蘭や麻弥を始めとした常識的な思考を持つ人物たちは理解できなかったのか間抜けな声を挙げるものや、純粋に驚きの声を挙げるものに別れていた。

 

そんな中で手続きを終えたつぐみがみんなの元へと戻ってくる。

 

「ちょっとみんな?どうしてそんなに騒いでるの?」

 

 

 

「っ羽沢さん!!これはどういうことですか!!」

 

「つぐ!!ちゃんと説明して!!」

 

「つぐみ!!」

 

「紗夜さん?沙綾ちゃんに蘭ちゃんも何を騒いでるんですか・・・?」

 

 

 

 

「なんで弦太朗がつぐたちと同じ部屋なの!?」

 

「ふしだらです!!風紀が乱れてます!!不純異性交遊です!!」

 

つぐみは彼女達が慌てて自身に詰め寄ってくるが、そのことは想定済みで理由も分かっているので彼女は落ち着いた様子でとぼけるがすぐに沙綾が声を挙げる。

その横では紗夜が意味不明な言葉を放つがあえて無視してつぐみは語った。

 

「だって、流石にみんなの部屋に如月くんは泊められないでしょ?何かあったら大変だもん」

 

「羽沢さん達になんかあったら・・・!!」

 

「紗夜さん。私も如月くんがそんなことする人じゃないのは知ってますけど、もしもがあっても私達の部屋なら巴ちゃんがなんとかできますから。他の部屋だと弦太朗くんが何かあっても止められないでしすよね?」

 

「つぐみ、私は・・・「蘭ちゃんは一緒に暮らしてたんだから今更でしょ・・・?」いや・・・確かにそうだけど・・・「なら、一緒の部屋でも問題ないよね!!」・・・はい・・・」

 

つぐみは紗夜の反論を巴を盾に反論して、蘭は意見を言う前に以前の出来事を引き合いにして完全に黙らせた。

 

しかし、この話を聞いて黙っている沙綾ではなかった。

 

「それだったらポピパは弦太朗と蔵で一緒に泊まってた事もあるから大丈夫だよね!!」

 

 

 

「沙綾!!それただの寝落ちだからな!!」

 

「有咲!!一緒に寝たことには変わらないから大丈夫!!」

 

「大丈夫じゃねぇ!!」

 

「それだったら弦太朗は私のうちにも泊ったことがあるから!!私達も大丈夫だわ!!」

 

「こころ。ややこしくなるから黙ってて・・・」

 

 

 

「ふしだらです!!風紀が乱れてます!!こんなのは認められません!!如月さんは今晩は生徒会長の白金さんと風紀委員の私がRoseliaの部屋で見張ります!!」

 

「氷川さん・・・巻き込まないで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうなったら弦太朗がどの部屋に泊まるか勝負で決着をつけましょう!!」

 

「山吹さん・・・いいでしょう!!Roseliaが頂点であることを見せてあげます!!」

 

「いや、だから如月くんは私達の部屋で決まったんで・・・」

 

沙綾が突如として勝負を挑むと紗夜がそれに乗っかってくる。

しかし、もう決まった事とつぐみはそれを拒否しようとするが、ここでつぐみにとって想定外の出来事が起こってしまった。

 

「乗った!!」

 

「ちょっとひまりちゃん!?」

 

「大丈夫!!2対1対1だよ!!」

 

「なんでそうなるの!?」

 

 

つぐみは彼女は利害の一致で仲間になると考えていたひまりが勝負に乗ってしまったことに彼女は驚きをながらも彼女に呆れていた。

 

「面白そうね!!美咲!!私達も・・・!!」

 

「こころ~花音さんが恥ずかしがってるからそれは今度ね~」

 

「千聖ちゃん!!」

 

「アイドルが男と泊まりなんて・・・ってここは私達以外いないのよね・・・?日菜ちゃん行ってきていいわよ。その代わり確実に勝ってきなさい」

 

「千聖さん!?」

 

「でしたら、また後でここに集合しましょう・・・」

 

こうしてRASとハロハピを除いた4バンドで弦太朗を取り合う醜い戦いを行うべく、沙綾を筆頭にひまりや氷川姉妹、その後を追うようにしてつぐみがこの場から立ち去って自分たちの部屋へと向かっていくと残った彼女達も自分たちの部屋へと向かい始めるが、ここでますきは当たり前のことに気が付いた。

 

 

 

 

 

 

「あたし達の他に客がいねぇなら部屋増やしてもらえねぇか頼んだ方がいいよな?・・・それがダメなら人数すくねぇRASがどっかの部屋に混ざった方がいいんじゃ・・・ってレイ、肝心の弦太朗はどこ行ったんだよ?」

 

「疲れたし、荷物も少ないから先に温泉入りに行くって・・・。部屋は後で聞けば大丈夫って言ってたけど・・・」

 

「とりあえず部屋の件は旅館の人に言ってくる・・・」

 

「ますきおねがい。ほらロック?部屋行こっか?」

 

「はいぃ・・・」

 

ここでRASも一旦別れて部屋と受付へとそれぞれ向かっていく。

そしてますきの交渉の結果、弦太朗用の1部屋を確保して沙綾達が繰り広げる不毛過ぎる戦いを止めることに成功した。

ますきは弦太朗に部屋の場所と他のメンバーには部屋を追加出来たことだけをスマホで連絡するとRASの部屋へと向かうのだった。

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

ちなみにここでますきが部屋の確保に失敗したらRASが分散して別部屋ルートでした。
そして対決方法は・・・どっかのSFラノベの温泉回でやったダイナミック覗きを予定してました。

オマケ
変身ゾディアーツ設定Roselia/パスパレ版(初期設定含む)
紗夜:リンクス(山猫
リサ:アンドロメダ
燐子:アルター(祭壇
日菜:カニスミノル(小犬
千聖:カメレオン

初期設定含むなので今後出すので被る人も出ます。

もしここに名前がない人が押したら?
二郎ルートです


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温・泉・客・旅-3 旅先で少女達は何を思うのか

投稿です。
リアル忙しくて小出しにしかできない私を許してくれメンス・・・




 

私達は温泉ロケのために学校を早退してロケ地の温泉宿までやってきた。

のはいいのだけれど・・・

 

「まさか機材トラブルでロケが遅れるなんて・・・」

 

ついて早々に機材のトラブルでロケの開始が遅れることになってしまった。

折角の機会だから旅館の中を散策していた私達だけれども、そんな中で思わずボヤいてしまった私に彩ちゃんが話しかけてくる。

 

「それは仕方ないよ・・・。でも最近多いよね?他の人たちもトラブルが多いって聞くし・・・」

 

「全くどうなってるのかしら・・・」

 

ここ最近女性の芸能人―――いいえ、アイドルのお仕事でトラブルが頻発するという事態が発生している。

これって・・・いえ、ただの偶然よね・・・?

 

「でも、こうやって旅館を見て回るのも楽しいね!!」

 

「えぇ・・・そうね・・・」

 

色々考えてたけれど、目の前の彩ちゃんを見ていたらなんだか考えるのが馬鹿らしくなってしまい、偶然ということで納得した。

それと同時に私はあることに気が付いた。

 

「あら・・・?彩ちゃん。他のみんなは・・・?」

 

「あれっ・・・?いない・・・?」

 

どうやら麻弥ちゃん達といつの間にかはぐれてしまったらしい。

一瞬慌てるが同じ旅館にいるならすぐ見つかると思い、このまま2人で散策を続けていたら彩ちゃんは何かを見つけらたらしい。

 

「千聖ちゃん!!見て見て!!カラオケだって!!それにその奥にゲームもおいてある!!行ってみよ!!」

 

「えぇ・・・」

 

 

子供のように目をキラキラさせている彩ちゃんに気圧されてしまい、彩ちゃんに同意してまずはカラオケの部屋を覗き込んだ。

 

「流石に街にあるカラオケとは違ってちょっと小さいね・・・」

 

「旅館にあるってだけでも十分じゃないかしら・・・?」

 

「後でやろうよ!!」

 

「・・・彩ちゃん。今度ライブがあるんだから・・・」

 

「じゃあ、また今度で・・・。なら次はゲーム見てみよ!!」

 

「・・・・今の彩ちゃんってなんか日菜ちゃんに似てるわね」

 

どうでもいいことを呟きながら彩ちゃんと共にカラオケの横にあったゲームコーナーへと向かう。

よく分からないのだけれど、そこには一昔前位のゲームやクレーンゲームが置いてあった。

街のゲームセンターなんて行ったことがないのだけれどこんな感じなのかしら?

 

 

 

「千聖ちゃん!!これ見て!!」

 

「今度は何・・・?」

 

「占いだって!!」

 

「・・・彩ちゃん。あなた占いなんて興味あったの・・・?」

 

そこにあったのは妙な雰囲気を放っている占いのゲーム機が置いてあった。

なんで彩ちゃんがこれに目を輝かせているのか分からないけれど、私もそれを覗き込んだ。

 

「へぇ・・・。色々見れるのね・・・」

 

「仕事運とか恋愛運とか選んで占えるんだって!!千聖ちゃん!!やってみようよ!!」

 

「・・・興味ないわね。名前と生年月日と血液型で何がわかるのかしら・・・?」

 

「じゃあ私だけでもやる!!」

 

彩ちゃんはそう言って自分のポケットを確認するがいつまでたっても財布が出てこない。

 

 

 

 

 

―――だって彩ちゃん。お財布を自分のカバンに入れてたのを私は見てたものそこにないのは当り前じゃない・・・

 

「彩ちゃん。お財布さっき、カバンに入れてたわよ?」

 

「そうなの!?私取ってくるね!!」

 

「ちょっと彩ちゃん!?」

 

「千聖ちゃんは待ってて~!!」

 

そう言い残して私を置いて彩ちゃんは自分のカバンの元へと戻ってしまい、見事に私は取り残されてしまった。

 

 

「はぁ・・・占いねぇ・・・」

 

正直、全く信用できない。

こんな機械に名前とかを入れるだけで何が分かるのかしら・・・?

 

「占いなんて信用できないわね・・・」

 

私はそう呟いてそっぽを向いた。

 

 

 

 

 

 

 

―――恋愛運とか選んで占えるんだって!!

 

そっぽを向いた途端、頭の中で先ほどの彩ちゃんの言葉が蘇ると、私は再び機械へと向き直った。

 

「占いなんて・・・」

 

そう言って私は周囲を見て、誰もいないことを確認する。

 

「占いなんて・・・!!」

 

そう言いながら私はポケットからお財布を取り出して100円玉を素早く機械へと入れると素早く自分の情報を入れると機械には占う項目が出てきた。

 

「・・・これ!!」

 

私は素早く”恋愛”の項目を選ぶ。

そうすると特に何か音が鳴る訳でも、画面の表示が変わる訳でもなく1枚の紙きれが機械から吐き出される。

 

とてつもなく損した気分になりながらも私はその紙を拾い上げて目を通す。

 

「恋愛運―――イケイケドンドンが吉・・・プレゼントを送ると激熱!!・・・」

 

書かれていた結果は訳が分からなかった。

とりあえずその場に捨てるわけにもいかず、財布の中にその紙を押し込む。

それと同時に彩ちゃんが財布を握りしめて戻ってきた。

 

「千聖ちゃん!!お待たせ!!って財布持ってどうしたの?」

 

「・・・えぇ、折角だから何かやってみようかと思って・・・占い以外で・・・」

 

「へぇ~!!」

 

彩ちゃんはそう言って私がさっきやった機械へと向き合った。

 

「どれにしようかな~やっぱり恋愛・・・」

 

「ライブも近いし、この後ロケもあるから仕事なんてどうかしら?」

 

「う~ん・・・でも・・・」

 

「どうかしら・・・?」

 

私は笑みを浮かべて彩ちゃんに話しかけると、彩ちゃんはあたふたしてしまい気が付けば時間切れみたいで1枚の紙が出てきた。

 

「あっ!!いろんなことが書いてある!!・・・う~ん」

 

「へぇ・・・そんなことも出来るのね・・・。それで何が書いてあったのかしら?」

 

「あんまりいい事じゃない~!!」

 

そう言って彩ちゃんは私にそれを見せてくれると思わず声に出して読んでしまった。

 

 

 

 

 

「・・・空から恐怖と信じてた人に裏切られて絶望的な状況に追い込まれそう。過去の自分と小さなきっかけが絶望を希望に変えてくれる。・・・・・・まるで意味が分からないわね・・・それに占いと言うよりも予言ね・・・」

 

「こうなったら・・・みんなの分もやろう!!まずは日菜ちゃんか・・・「お~い!!彩ちゃ~ん!!千聖ちゃ~ん!!」って日菜ちゃん!?」

 

彩ちゃんが意気揚々とみんなの分もやろうとするとそこに日菜ちゃんが大声で私達を呼びながら渡したとの方へ向かってくる。

 

「ここにいたんだ~。そろそろロケ出来そうだから準備してだって~!!」

 

「そうなんだ!!分かった!!千聖ちゃん!!」

 

「そうね・・・行きましょうか」

 

日菜ちゃんからの連絡を聞いて私達はロケの準備をするために自分たちの部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

後日。

この予言が見事に的中したことを思い出して、驚愕することにこの時の私は知る由もなかった。

 

――――――――――――

 

ロックもますきが部屋を出て行ったのを見送った私は気分転換も兼ねて旅館の中を散策していると、ベンチに座って外を眺めている今井さんがいた。

 

同じ楽器をしているけど普段話したりする機会もないし、折角の機会と思って私は声をかける。

 

 

「今井さん」

 

「レイヤさん。1人?」

 

「えぇ」

 

どうやらRoseliaもみんなバラバラになって旅行を満喫しているらしい。

そんな他愛ない話をしていたら手招きをしてベンチに座る様に催促するリサさんの横に座るがやっぱり落ち着かない。

 

私の様に不思議そうな視線を送るリサさんに私は今の気持ちを正直に打ち明けた。

 

「なんか落ち着かなくて・・・」

 

「どうして?」

 

「同年代の子と一緒にいるの、あんまり慣れてないんです」

 

「そうなんだ~」

 

「・・・私、修学旅行とかも行ったことなくて・・・。転校もあって音楽ばかりやってたから・・・」

 

「あっ!!枕投げやる?みんなでさ!!・・・あ~でも、弦太朗はどうしよっか・・・流石に仲間はずれはなぁ~・・・」

 

弦太朗の事だし・・・だったら誘えば喜んで参加しそうだけど、女子相手だと流石に遠慮するようになったのかな・・・?

でも意外だな・・・

 

「今井さんもやるんですか?」

 

「もちろん!!後、リサでいいよ。タメなんだし!!」

 

えっ・・・?

タメってリサさん。私の年勘違いしてる・・・?

 

 

「あたし・・・2年です・・・」

 

「えぇ!?年下じゃん!!・・・大人っぽいし同い年だと思ってた!!」

 

「よく言われます・・・あはは・・」

 

「いやいや~。落ち着いててカッコいいからさ~。それに弦太朗ともタメ口じゃん?」

 

大人っぽいとはよく言われるけど、弦太朗ともタメ口だから勘違いされたのは考えてなかったな・・・

 

 

 

 

「・・・実は引っ越してすぐに弦太朗と出会ってこっちで再開したんですけど・・・花ちゃんが弦太朗の事を先輩って言うまで年上って知らなくて・・・。それに今から治すのも違和感があるので・・・」

 

「あははっ!!そうだったんだ~。でも、よく考えればみんな弦太朗にタメ口だよね~。ていうかさ、年下で弦太朗に敬語使ってる方が少ないんじゃない?」

 

「確かにRASもロックとパレオくらいですね」

 

「Roseliaはあこ以外タメだけど、あこはあれだしね~。紗夜と燐子は普段から敬語だからさ~」

 

「へぇ~」

 

「それにしてもこっちから引っ越した先で出会った後に別れて再開する・・・なんて、恋愛小説にありそうな運命的な出会いだね~」

 

恋愛・・・?

リサさんが何を言ってるのか分からないけど、こんな偶然もあってもいいかもしれない。

でも、1つだけ言うことがあるとしたら―――

 

「まぁ、再開してすぐに酷い目に会いましたけど・・・」

 

「あ~あれね~。アタシも最初に会ってすぐにえらい目にあってさ~」

 

「そうだったんです?弦太朗、私をバイクの後ろに乗せたまま体当りしたんですよ?」

 

「アタシはヒナが目の前で怪我して制服が血まみれになったり、投げ飛ばされてゴミ捨て場にツッコんだり・・・。この前は犯人が分かったらすぐに襲われて正気失ってたし・・・」

 

「最後のは私もですね・・・。それにしてもリサさん・・・その・・・凄いですね・・・」

 

「そうだね~。正直、アタシの場合は制服と財布へのダメージが大きかったな~・・・」

 

「ふふっ・・・」

 

音楽以外の話題でこんなに人と話したのは久々で、それが余りいい思い出でもないけれどこうやって話すのも楽しくて気が付けば笑っていた。

その後は星のシールの子が来たけど恥ずかしがってすぐにいなくなっちゃったけどそれも話のネタにして私はリサさんとそのまま会話を続けながら2人で温泉へと向かっていた。

 

 

――――――――――――

 

「・・・こんなにのんびりしていて良いのでしょうか・・・」

 

「だからこそよ」

 

「「・・・」」

 

温泉に浸かりながら思わずつぶやいてしまった私の言葉に近くにいた湊さんが答える。

その言葉と互いに沈黙してしまったがそれを破ったのは湊さんだった。

 

「紗夜。あなた、日菜と一緒に入るのではなかったの?」

 

「確かに誘われましたが・・・」

 

確かに旅館について早々に日菜に誘われたが、私はそれに答えずに逃げてしまった。

その理由は―――

 

「一緒に入ったらあの時の傷が見えてしまうから・・・かしら?」

 

「・・・・・・えぇ」

 

湊さんに理由を言い当てられてしまった私は驚きの表情を浮かべながら、なんとかその言葉に答える。

その間湊さんは私の方を一切見ていない。

この表情を見られたくないということを察してくれてるのね・・・

 

「日菜はもう気にしてないのかもしれません。許してくれるとも言ってくれましたが、その時の傷を見たら私は罪悪感でおかしくなってしまう気がします」

 

「そう・・・」

 

「湊さんは何とも思わないんですか?」

 

「なんのことかしら?」

 

「この間のお父さんの事を・・・」

 

「何も思ってないと言ったら嘘になるわね」

 

「では・・・?」

 

私は湊さんにこの間のお父さんが起こした事について思わず聞いてしまった。

しかし、そんな私の言葉に湊さんはハッキリとした口調で答えるとそのまま彼女の言葉が続く。

 

「演奏をしただけとは言えお父さんは結果的に多くに人に迷惑をかけたわ。それも巻き込んだ人数だけで言えば一番多い・・・」

 

「それは・・・そうですね・・・」

 

確かに湊さんのお父さんは基本的にはギターを弾いていただけ。

それが人を狂わせることを知ってたのか知らなかったのかは分からないが、配信サイトに音楽を流した時点で巻き込んだ人数は途方もない数なのは容易に想像がついた。

 

「なら・・・」

 

「だからそこ向き合い続けないといけない。娘であり、音楽を教わった者として・・・」

 

「湊さん・・・それはとてもつらいものではないですか?」

 

そうに決まってる。

自身が音楽をやっている限り、そのことは彼女の頭に容易に思い浮かぶのはわかる。

 

―――そんなのは苦行意外の何物でもないはず・・・

 

「きっと何度も辛い思いを味わうことになるかもしれない。でも、私はあの時の気持ちは変わらないわ」

 

「あの時の気持ち・・・?」

 

「5人でRoseliaであり続ける限り私達は折れない・・・」

 

「・・・」

 

「だから、あなたいつか自分のしたことと向き合うべきじゃないかしら・・・?」

 

その言葉を聞いて私は決心して湯舟から出るとそのまま脱衣所の方へと歩き出す。

 

「もう出るの・・・?」

 

「えぇ・・・。でも、すぐ戻ってきますよ。日菜と一緒に・・・」

 

「そう・・・」

 

私は日菜を迎えに行くために温泉から上がった。

その間に湊さんに視線を向けるが彼女は真っすぐ何かを見つめて、脱衣所に入る際に何かを呟いていたがその言葉を聞き取ることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃーんちゃん・・・」

 




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次はここで書かれなかったバンドメンバー視点書いてフィニッシュです・・・


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温・泉・客・旅-4 この素晴らしい旅行で安らぎを!

投稿です。
温泉篇終わり!!

後は小ネタ1ページ挟んで本編にReturnします
(今回のスイッチ解説はおやすみします。何も感もマグネットが悪い



 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「御意」

 

「「うっとり~」」

 

 

 

「ただいま~」

 

「おかえり、お姫様」

 

「お姫様のおな~り~~」

 

ハロハピの部屋でイヴとりみと私は薫先輩の芝居を見ているんだけど、凄くかっこいい!!

そんな中でこころちゃんとはぐが帰ってくると薫先輩にお姫様って言われてたのがちょっと羨ましいと思っちゃったけど、イヴの言葉で現実に引き戻される。

 

「ねぇ、ミッシェルを見なかった?」

 

「道に迷ってるのかも~?」

 

「それならミッシェルを一緒に探しに行こうじゃないか!!」

 

ミッシェルの着ぐるみはここにはない筈、だって美咲が持ってきてないから!!

 

でも、乗るしかない。

このビックウェーブには・・・!!

 

「私も行きます!!」

 

「わっ・・・私も!!」

 

「さぁ行こう!!ミッシェルを求めて湯煙の旅へ・・・!!」

 

 

 

「ハッピー!!」

 

「ラッキー!!」

 

「スマイル・・・」

 

「「「「「いぇーい!!」」」」」

 

「ぶしどー!!」

 

掛け声を共に薫先輩と一緒にいるはずもないミッシェル捜索が始まるけど、薫先輩と一緒に入れるだけで楽しいからミッシェルがいないのはまぁ、仕方ないよね!!

 

6人で散策をしていたが、早々にイヴが鍛錬と行ってどこかへ消えてしまい人数が減ってしまった私達だったけど、ここではぐが何かを見つけた。

 

「ねぇ!!アレ!!」

 

「おや・・・あれは・・・」

 

「弦太朗くんのやつだよね・・・?」

 

私達の前に現れたのは弦太朗くんが持っているロボットが6体全員集合していた。

ミッシェルではないが新しい発見に喜ぶ私達にこころちゃんがそのままこのロボットたちに話しかけ始めた。

 

「あなた達!!ミッシェルを見なかったかしら!!」

 

こころちゃんの言葉を聞いてロボットたちはいっせいに動き出した。

 

「ねぇこころん!!みんな知ってるみたいだよ!!」

 

「みんな!!行くわよ!!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

私達はそのまま後を追うと廊下で外を見て黄昏ている美咲ちゃんがいた。

この子達はミッシェルの中が美咲と言うことが分かってるみたいで、こころの言葉を聞いて美咲ちゃんの元へと案内したみたい。

どうやら2人で何か話してるみたいだけど・・・

 

 

「美咲ー!!げんたろー!!」

 

「こころ?それにみんなも・・・」

 

「なにやってんだ?」

 

「ミッシェルを探してたのだけれど!!」

 

「そしたらね!!みんながみーくん達の所まで連れてきてくれたの!!」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

「あ~・・・。そう言うこと・・・。さっきまでいたけどどこか行っちゃったみたい・・・」

 

「そうなのね!!」

 

「はぐみ!!ミッシェルとお風呂入りたい!!」

 

「美咲達も一緒に行きましょ!!」

 

「あ~・・・今から温泉行こうと思ってたんだけど・・・」

 

「俺は香澄達に呼び出されててな・・・」

 

「そうだったのかい?折角だからゆっくりするといい。こころ、行こうか」

 

「分かったわ!!」

 

状況を理解した美咲ちゃんは誤魔化した。

それを聞いたこころちゃんは美咲ちゃん達も連れて行こうとするが、最近の事で疲れている2人を気遣って薫先輩はそのままこころちゃんを連れて行ってしまった。

 

私は2人でいたことが気になってその場に残って2人に思わず聞いてしまった。

 

「ねぇ・・・?なんで2人で一緒にいたの?もしかして・・・」

 

「想像してるのとは絶対に違うからね。ほら、この間如月さんのロボット壊しちゃったんだけど、こころの家の人たちが修理し終わったって私のとこに連絡きてさ。それをたまたまあって話してただけだから」

 

「それにしても、スゲーな!!すぐあれをすぐに直しちまうんだからよ!!でも、明日香の時は普通に乗ってたよな?」

 

「その辺はよく分かんないですけど・・・この前乗った時は片腕取れたままだったし、最低限動かせるかも?みたいな状況で乗ってましたからね・・・」

 

「かなり無茶してんな・・・」

 

「如月先輩だけには絶対に言われたくないですね・・・」

 

なんか仲よさそうな2人に嫉妬してしまうが、全く恋愛的な雰囲気を感じない。

それが分かったらなんか何とも思わなくなってしまった。

 

「それじゃ私達はこころちゃんと一緒にいるからじゃあね!!」

 

そう言って私はりみと薫先輩達を追って2人と別れてミッシェル探索を続けるのだった。

 

 

――――――

 

 

 

「ですから!!バンドのために出来ることなら全部やってですね―――!!」

 

「流石っす!!」

 

 

 

 

「テンション高いな~」

 

「全部ジュースなのにね・・・?」

 

彩ちゃんと千聖ちゃんと温泉に入るつもりだったけど、たまたま旅行に来たドラムが全員集合して私達はドラム会議として麻弥ちゃんとマスキちゃんを中心に盛り上がっていく。

 

「うちはみんなわがままだからさ~。アタシがなんとかしてやんないとダメなんだよな~!!」

 

「かっこいいね~」

 

「ハロハピもカッコいいですよ!!」

 

巴ちゃんに思ったことを言ったら、私達のことを褒めてくれて嬉しくなる半面でちょっとだけ気恥ずかしい気持ちになって笑みを浮かべて誤魔化す。

 

でも、その話を聞いたマスキちゃんの表情が少し曇る。

 

 

 

 

 

「RASは・・・目指すもんは一緒だと思うんすけど・・・」

 

「ますきさんはメンバーの事、好きですか?」

 

「うっす!!」

 

「だったら大丈夫です。ジブン達も色んな事ありましたけど、正直あのメンバーだったから踏ん張れたとこありますから!!ふへへ・・・」

 

「同じ」

 

「「ん?」」

 

麻弥ちゃんがそう言って恥ずかしそうに笑うとそれを聞いて沙綾ちゃんも麻弥ちゃんの言葉に賛同する。

 

「私も前はちょっと引いたとこがあったんだけど・・・今はわがままも言っていいんだって・・・ポピパのみんなだからなのかなって?」

 

その言葉に私もみんなも頷くとマスキちゃんの表情は柔らかいものに変わる。

でも、そんなタイミングで沙綾ちゃんは何かを思いついたように笑うと巴ちゃんへと話しかける。

 

 

「でも、最近は巴がみんなを心配させてるんじゃない?ほらこの前だって5人でボロボロになってたし・・・」

 

「あれは蘭達のための名誉の負傷って奴だよ!!」

 

「それに・・・この間もものすっごく強いあすかと戦ってたもんね~」

 

沙綾ちゃんとあこちゃんの言葉に巴ちゃんは困ったような表情だったけど、私と麻弥ちゃんを見て思い出したかのように話し始める。

 

「アタシもだけどそれを言うなら美咲とイヴも大概だろ?」

 

「まぁ・・・そうかもしれないけどさ~」

 

その言葉に沙綾ちゃんも納得して私達を見るけど、どう答えたらいいのかな・・・?

 

「イヴさんは一応武器使ってますから・・・」

 

そうだよね?

イヴちゃんは竹刀とか木刀とか使うもんね・・・そうだ!!

 

「美咲ちゃんもほら!!如月くんのロボット乗ったり!!ミッシェルに入ったりしてるから!!」

 

「前半はいいとしても、後半のはおかしくねぇか・・・?」

 

「この前商店街にいた時はただの着ぐるみだったし・・・。それは無理があるんじゃ・・・」

 

「ふえぇ~!!」

 

さっきの麻弥ちゃんの言葉を聞いて咄嗟に出た言葉だったけど、マスキちゃんと沙綾ちゃんからの追及が止まらずに思わず声を挙げてしまうが、麻弥ちゃんがそんな私を見て助けてくれた。

 

「でも、それ以上に素手で戦う巴さんの方が凄いんじゃ・・・?」

 

「そうだよ!!おねーちゃんこの前の事件でも1人で戦ってて、その時にベンチ振り回してたって聞いたよ!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

「まぁ、そうなんだけど・・・誰から聞いた?」

 

「ひーちゃん!!」

 

「ひまりの奴・・・」

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

私達は姉妹の会話を聞いて思わず声を挙げてしまった。

 

「ベンチって・・・ふええ・・・?あんなのを1人で持ち上げて振り回したの・・・?」

 

「美咲さんとイヴさんも凄いと思ってましたが・・・」

 

「確かに凄すぎるよね・・・」

 

「でも、どうしてそんなこと出来るんだ・・・?」

 

マスキちゃんはここで当然の疑問を口にしていた。

それなら確か前に美咲ちゃんが言ってた!!

 

「えっと、美咲ちゃんが言ってたんだけど・・・。ミッシェルに入ってたり、ロボット乗ってると調子がいいんだって・・・!!」

 

「そう言えばイヴさんも如月さんに会ってから木刀とか竹刀を持つと集中力が上がる様になったって言ってました!!」

 

「アタシもなんていうかな。”蘭達のため”とか”友達のため”って考えると・・・こう・・・力がみなぎるっていうか・・・」

 

「3人とも理由になってないよね・・・?」

 

私達の言葉に納得できない沙綾ちゃん。

それを聞いてどうしようかと思ってたけど、あこちゃんが何かを思い出して声を挙げた。

 

 

 

「そういえばキングもげんたろうのバイクを借りて乗ってたよね!!あの時凄かったよ!!」

 

「あれって借りたっていうか・・・。勝手に持ち出してたよな・・・。でも、あん時は森の中を平然と走っていくし、突っ込んでいってもこけたりしなかったもんな」

 

「細かいことはいいんだよ!!でも、あれはバイクがすげーんだよ?」

 

「確かにあれで宇宙まで・・・」

 

ますきちゃんもどうやらやんちゃなことをしていたみたいだけど、全部バイクのせいにして誤魔化そうとしていた。

巴ちゃんが何かを言おうとしたけどここで突然言葉を止めた。

 

 

なんだろうと思ってたら、突如としてますきちゃんと麻弥ちゃんが身体をピクリと動かすのと同時に巴ちゃんも扉の方へと視線を向けたけど、私は何があったのか気が付かなかった

 

「ん・・・?」

 

「おねーちゃん?」

 

「巴?どうかしたの?」

 

「今、部屋のドアが空いた音が聞こえたと思ったんですけど・・・?」

 

「あたしもだ・・・」

 

「ジブンもっす」

 

そんな私の気持ちを代弁するみたいにあこちゃんと沙綾ちゃんは巴ちゃんに聞く。

 

1人だったら気のせいで2人がそれに同意すると全員が扉の方へと視線を向けると再び扉が開かれたが、その幅は人が通れないほどのわずかな隙間。

 

そこに視線を向けていると―――

 

「んっ?なんだ!?」

 

「ふえぇ~」

 

突如としてマスキちゃんの顔が怖い顔をし始める。

私の角度からだと何も見えないけどマスキちゃんには何かが見えたらしい。

 

「ちっちゃくて・・・可愛いな・・・。でも何だ・・・?」

 

「あっ・・・!!」

 

マスキちゃんのその言葉と共に如月くんのロボットたちがわずかな隙間から部屋の中へと入ってくる。

何がなんだか分かってないマスキちゃんだったけど、そんなみんなを見て声を挙げたのは麻弥ちゃんだった。

 

「あっ!!皆さんも来てたんですね!!」

 

「わ~!!みんな揃ってる~!!」

 

 

 

「麻弥さん!!あれが何だか知ってるんですか!?」

 

「あぁ!!如月さんの持ってるロボット?ですよ!!見たことなかったんですか・・・?」

 

「ますきも前に見ただろ?この間のポピパの事件の時」

 

「くそっ!!バイクにしか目がいってなくて見逃してた・・・!!」

 

話を聞いたますきちゃんは悔しそうに床に叩いてたけど何があったんだろ・・・?

そう思っていたらみんながそれぞれのバンドのところへと近づいてくるとそれぞれの手や膝の上に収まる。

 

「なっ・・・なんで・・・?」

 

その光景にますきちゃんはショックを受けたみたいな表情をして麻弥ちゃんに視線を向けると麻弥ちゃんは嬉しそうに答えていた。

 

 

 

「この子、バガミールさんって言うんですけど、パスパレのみんなと一緒にいることが多いんっすよね!!たまにみんなの家にお泊りもするんすよ!!」

 

「このワンコは最近はつぐと一緒にいるぞ?」

 

「うちは有咲がほとんどかな~。この前なんて一緒に盆栽の枝の手入れしてたし・・・」

 

「あこが持ってるこのペンギンは友希那さんとが多いよね~?」

 

「私は・・・この子達に道案内してもらったりしてるから・・・」

 

みんなは楽しく一緒にいるみたいだけど、それに比べて私はこの子達にお世話してもらってると思うとなんか恥ずかしくなってくる。

でも、それ以上にマスキちゃんはショックが隠せていなかった。

 

「うちには・・・いねぇ・・・!!」

 

「チュチュが知らないんでしょ?それだったら仕方ないんじゃない・・・?」

 

「でもよ~!!冷たっ!?」

 

沙綾ちゃんの言葉に納得出来ない様子のマスキちゃんに残っていた子が何か吹き付けた。

あの子って如月くん以外と一緒にいるのをあんまり見ないような・・・

そんな中でマスキちゃんはその子を手に取って怖い表情に戻っていた。

 

 

 

「お前・・・あたしのとこ、来ないか?」

 

でも、現実は非常でそのままその子は手から降りると部屋を出て行ってしまった。

 

「嘘・・・だろ・・・」

 

その事に落ち込みを隠せないマスキちゃんにかける言葉が見つからずに困っていた私達だったがちっちゃい子達が私に何かを伝えてきた。

普段は何となくしか分からないけど、今のははっきりと分かった。

 

「えっ・・・?「今はまだ早い?」・・・?」

 

それがどういうことか分からなかったけど、外からこころちゃん達の声が聞こえた途端にみんなはこころちゃんの声がした外へと出て行ってしまう。

 

何とも言えない空気になってしまった室内で、みんなでマスキちゃんを励ますべく必死に声をかけるのだった。

 

 

―――――

 

ドラマー会議が終わって自室に戻る途中に美咲にあって、流れでポピパの部屋に遊びに来ることになり扉を開けると、布団で寝かされているおたえ・有咲・ロックとそれを見ている香澄とりみにイヴ言うのぼせている人数と大丈夫な人の数が同じというとんでもない状況になっていた。

 

「みんな・・・大丈夫・・・?」

 

 

 

 

「「「うぅ・・・」」」

 

「有咲ちゃん達。ずっとお風呂に入ってたみたいで・・・」

 

「そりゃ、ずっとお風呂に入ってたらのぼせるでしょ・・・」

 

 

私が心配になって声をかけるとうめき声しか返ってこない。

みんなして温泉に入っていたらのぼせてしまったらしく、とりあえずこの部屋に運んで面倒を見ているらしい。

 

「もう・・・みんなはしゃいで・・・。有咲も・・・」

 

「イヴちゃん達がいて助かったよ~!!」

 

「まぁ、それはいいんだけど・・・。どうしよっか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔するぞー!!」

 

この後どうするか考えていたら、おもむろに部屋のドアが開かれる。

そこには弦太朗と巴がのぼせている様子の蘭とモカを連れてきていた。

 

「って2人ものぼせたの?」

 

「みたいでな。それで有咲達ものぼせてるって聞いたから一緒にいたほうが状況が分かりやすいと思って如月呼んで連れてきたんだよ」

 

「悪いな・・・」

 

「とりあえずこっち・・・」

 

私はとりあえず新しく布団を敷いて蘭とモカを寝かせることにした。

ポピパの部屋のはずなのに寝ている半数はポピパではないというよく分からない状況に困惑していたが、ここで香澄があることに気が付いた。

 

「ねぇ、みんなの氷がもう溶けてるよ?」

 

「ほんとだ・・・?でも、まだ冷やしたほうがいいかな・・・?」

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!」

 

「おう!!」

 

 

「あ~!!ちょっと待って!!」

 

私の言葉を聞いて香澄と弦太朗は顔を見合わせると弦太朗はベルトを取り出すが、私は何をするか分かって必死にそれを止めた。

 

「どうしたんだ?」

 

「一応聞くけど・・・どうするつもり・・・?」

 

「冷やすんだろ?だったら・・・」

 

「それでやったら冷えるどころか全身凍るでしょ!?」

 

「大丈夫だって・・・」

 

「ダメ!!」

 

弦太朗は大丈夫っていうけど、流石に見てるこっちの心臓に悪い。

そんな私の言葉を聞いてくれた弦太朗はベルトをしまうと入口から何かが入ってくると弦太朗がそれを掴む。

 

その手には弦太朗が使ってるソフトクリームが握られていた。

 

「こいつならいいんじゃねぇか?」

 

「そうだよね?沙綾ちゃん、この子なら大丈夫だよ・・・?」

 

「そうなの?なら・・・お願いしてもいいかな?」

 

私の言葉が分かったのかソフトクリームが弦太朗の手から飛び出すとのぼせた5人に冷風を送っている。

それをみんなで眺めていたら、寝ていた5人は落ち着いたのか静かに寝息を立て始めてしまった。

 

とりあえず一安心出来た私は身体から力が抜けるのを感じると、弦太朗は寝ている5人を見ながら声を出していた。

 

「それにしても・・・温泉でのぼせるまで入るなんてな・・・」

 

「まぁ、なんだかんだ言っても有咲も自分のタオルを持参するくらいには楽しみにしてたから」

 

「そうだよね有咲ちゃん。楽しそうだったよね」

 

 

 

「も~有咲は素直じゃないんだから~」

 

「今度はお仕事ではなくてみんなで旅行に行きたいです!!」

 

「だな!!!」

 

「私は・・・こころの思い付きで土日で海外に行くとかもあったから・・・。こうゆっくりできるのはいいですねぇ・・・」

 

みんなが思ったことを口にするが、みんなどことなく楽しそうだった。

 

それを感じてた所の部屋の扉がノックされる。

 

「ポピパ~いる~?」

 

「リサさん・・・?はーい!!どうぞー!!」

 

「お邪魔しまーす!!」

 

「えっと・・・お邪魔します・・・」

 

「えっ!?レイヤさんも一緒だったの!?」

 

私が答えるとリサ先輩が扉を開けて中に入ってくる。

でも、その後ろには何故かレイヤさんも一緒にいたことに香澄が声を出して驚いていたが、本人たちは特に気にして無さそうだった。

 

「・・・って弦太朗もここにいたんだ~」

 

「よっ!!それでどうしたんだ?」

 

「あーうん。ちょっとのぼせたみんなの様子を見に来たんだよね~」

 

「えぇ・・・ロックがのぼせたって聞いたので・・・」

 

「でも、見た感じ大丈夫そうだね~☆」

 

心配になって見に来たらしいけど、リサさんは寝てる5人の様子を見てすぐに大丈夫と判断した。

そしてリサさんの口角が上がる。

なんかあるのかな?と思った私はリサさんの言葉を待っていた。

 

 

 

 

 

「よし!!みんなで枕投げしよう!!」

 

「はい!!やりましょう!!」

 

「アタシもやりたい!!」

 

「ブシドー!!」

 

「リサさんがさっき言ってたけど、弦太朗も参加だから・・・」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

「「えっ?枕投げ?」」

 

「ますきはともかく、レイヤも枕投げするんだ・・・」

 

リサさんの宣言に乗り気の弦太朗や香澄達の横でりみと美咲が困惑している中で私はぼそりと呟てしまった。

 

「それじゃ宴会場に集合ね~!!!さっきこころの家の人が借りてたから!!」

 

「ちょっと待って・・・。何で黒服さん達がいるの?」

 

話を聞いて困惑する美咲だったけど、こころの家の人がいることには私も驚いていたが、枕投げに参加する気満々な人たちはそんなことを気にしてはいなかった。

 

 

 

 

 

「リサさん!!誰が来るんですか!?」

 

「香澄ちゃん、やる気満々だね」

 

「来ない方が少ないかな~。友希那以外は参加するって!!まぁ、紗夜は来ないって言ってたけどヒナが来る時点で紗夜も参加させられるだろうからさ~」

 

「それなら気合い入れないとだめだな!!」

 

「巴、めっちゃやる気だな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~し!!今夜は寝かさないぞ~☆」

 

最後のリサさんの言葉を聞いて私はそのまま立ち上がるとその横では美咲も一緒に立っていた。

 

「沙綾ちゃん?美咲ちゃん?」

 

「私も行ってくる!!」

 

「まぁ・・・今行かなくても後でこころに連れてかれるだろうから・・・大人しく行くしかないか・・・」

 

「えっ?」

 

「ほらりみも行くよ!!」

 

「えぇ~!?」

 

そう言って私もリサさん達と共に宴会場まで向かうと、朝までそこでめちゃくちゃ枕投げで大乱闘した。

 

 

――――――――――

 

そして朝になってロケがあるパスパレが一同と別れたが、日菜以外は疲れからがゲッソリしているが誰もそのことを言うことが出来ずに帰りのバスに乗り込むとバスはそのまま出発していく。

 

疲れを癒すための旅行にも関わらずそのバスの中は出発早々に殆ど無音になっていた。

バスの中はのぼせてたせいで枕投げに参加できなかったメンバー達しか起きておらず、状況が分かってない友希那が首を傾げていた。

 

「みんな・・・寝てるわね・・・。どうしたのかしら?」

 

「湊さん。私達がのぼせて寝てた時にみんなで枕投げしてたらしいですよ?」

 

「え~いいなぁ~。モカちゃん達もやりたかった~」

 

「レイと枕投げしたかったなぁ・・・」

 

 

 

 

「それも随分と夜遅くまでやってて気が付けば全員がその場所で寝てたみたいです・・・」

 

「そうだったのね?朝起きたら部屋に誰もいなかったのはそういう事だったのね・・・」

 

「温泉で疲れを取るはずだったのに逆に疲れてる様な・・・」

 

「ロック。気分転換出来たらいいんだよ・・・」

 

「有咲・・・そうなの・・・?」

 

 

そう言って私達6人はバスの座席を見渡すと満足気に眠っているみんなの顔があり、それを見た彼女達は有咲の言葉を何となく理解すると、そこで会話を辞めて彼女達もその寝顔に釣られるように夢の世界へと旅立っていくのだった。

 

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

次回はパスパレ3章で話に上がっていた焼肉回をお送りします。




ぼちゅネタ

「あっ!!PVの再生数1万超えてる!!」

「ねぇこれ見て!!再生数10万だって!!」

「”がんばれ、はやぶさくん”・・・?」

「それ、ユウキの・・・ダチの歌だな・・・」

「「「「「「えっ・・・」」」」」


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本・編・裏・側-3 密着!!アイドル(大体)24時

小ネタ投稿!!

次からは本編・・・RAS篇開始です
パスパレ篇の終わりから大体開始が分かる模様・・・


 

~~~小ネタ41:ライブ前夜のアイドル達

 

―――千聖の場合

 

「ふぅ・・・」

 

家に帰ってシャワーを浴びた千聖は髪の手入れを終えてそのままベットに横になっていた。

 

「彩ちゃん大丈夫かしら・・・」

 

彼女が不安を口にするとそんな彼女の元へ今日だけの相棒がやってくる。

 

 

 

「そう言えば普段はあなた達は花音と一緒なのよね?よく道を教えて貰ってるって聞いたけど・・・。今日は出番がなくてごめんなさいね・・・」

 

今日の千聖が一緒にいるのは普段は花音と一緒にいるナゲジャイロイカだった。

しかし、千聖の言葉にツナゲット達は妙に落ち込んでいる様な素振りを見せていたことに千聖は不思議そうにナゲット達を見つめていた。

 

「ほんと・・・どうやって浮いてるのかしら・・・?」

 

この手の知識がない千聖は疑問に思ったところで答えが出てくることはない。

 

「今日は仕事がなかったけど・・・。明日は頑張ってもらうわよ・・・」

 

 

千聖の言葉を聞いてから先ほどとは一転してやる気に満ち溢れている様な雰囲気で細かく動き回っていたナゲット達に彼女は笑みを浮かべていた。

 

「さてと、明日は早いからもう寝ましょうか。ほら、あなた達も休みなさい」

 

千聖の言葉にナゲット達はそそくさと容器の中へと戻っていく。

それを確認してから千聖は部屋の電気を消して眠りにつくのだった。

 

 

 

 

―――イヴの場合

 

「本日の鍛錬もこれで終わりです!!」

 

イヴは仕事が終わった後にもかかわらず、部屋の中で竹刀の素振りを行っていた。

 

「少し熱いですね・・・。そうです!!スイマセン!!少しだけお願いします!!」

 

その言葉を聞いてイヴが連れて帰ってきたソフトーニャが彼女に本当に弱い冷気をかける。

 

「ふぅ・・・これで涼しくなりました!!アッパレです!!」

 

イヴに褒められて嬉しそうにするソフトーニャを見て彼女も笑みを浮かべていたが、イヴは疑問を口にしていた。

 

「そういえば、あなたは誰かと一緒にいるのをあまり見ないですが、普段は誰と一緒にいるんですか?」

 

しかし、ソフトーニャはその質問にうなだれて答えた。

 

「もしかして、普段はゲンタロウさんと一緒なんですか?・・・それでしたら今日は一緒に楽しみましょう!!まずはお風呂からです!!」

 

そう言ってイヴは逃げ出そうとするソフトーニャを捕まえるとそのまま風呂場へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

―――麻弥の場合

 

「明日はライブの本番ですからちゃんと使う物を確認しておかないと!!」

 

そういって麻弥は明日のライブで使うスティックの確認を始める。

いつも通りで変わらないはずなのだが、大きい舞台と言うこともあって、彼女はいつも以上に神経質になっていた。

 

「・・・こうなったら全部確認しないとダメですね!!・・・あれ?」

 

そう言い始めて彼女は向かっていた机から立ち上がろうとした途端、何かに引っ張られて立ち上がれなかった。

 

「えっとホルワンコフさんでしたっけ・・・?どうしたんですか?」

 

何かを伝えようとしているホルワンコフに尋ねる麻弥。

それを聞いてかホルワンコフは麻弥から離れると口に麻弥のスマホを口に加えてやってくる。

 

「スマホ・・・?ってもうこんな時間なんですか!?」

 

彼女がスマホを確認すると既に日付が変わっていたことに驚きを隠せなかった。

それを見て麻弥は寝るために自身のベットへと向かおうとするが再び彼女はホルワンコフに止められた。

 

「今度はどうしたんですか?」

 

今度は何事かと思った麻弥だったが、そんなホルワンコフは何かを引っ張ってきた。

 

 

 

「それって千聖さんがくれた化粧品ですね・・・。ですが、それがどうしたんですか・・・?」

 

その言葉に答えるようにホルワンコフは化粧品を口にくわえて麻弥へと迫ったことで、麻弥は理解した

 

「そういえば・・・千聖さんが帰る前に何かを伝えてたと思ってましたが・・・。いえ、今日はもう遅いですし・・・。千聖さんたちには秘密ということでどうか・・・」

 

「ワン!!(ダメです!!)」

 

「あはは・・・。何言ってるかわかりました・・・ダメですよね~・・・」

 

そう言って麻弥はホルワンコフの監視の下で、千聖から貰った化粧品で教わった肌の手入れを行ってから寝ることになるのだった。

 

 

 

―――日菜の場合

 

「ただいまー!!」

 

日菜はフラシェキーと

 

「日菜、おかえりなさ・・・」

 

日菜の帰りを紗夜が出迎るが彼女の腕の中に会ったものに紗夜は言葉を最後まで言い切ることが出来なかった。

今の日菜の腕の中にはフラシェキーとポテチョッキンが抱えられており、紗夜はそのまま身体を震わせながら腕の中のポテチョッキンを指差しながら呟いた。

 

 

 

 

「ひな・・・それは・・・」

 

「えへへー。今日はこの子達と一緒に過ごすんだ~!!それじゃ私お風呂入ってくるね~!!」

 

「ちょっと日菜!!まだ話は・・・!!」

 

日菜は紗夜との話を早々に切りあげてそのまま自身の部屋に消えていく。

少しの間固まっていた紗夜だったが再起動と同時に彼女は暴走を開始していた。

 

 

 

「あ~~~~」

 

「日菜!!一緒にお風呂に・・・いえ、なんでもありません」

 

「おねーちゃん一緒にお風呂入ろ!!」

 

「ちょっと日菜!!」

 

日菜がポテチョッキンと一緒に風呂にいると思っていた紗夜が風呂の扉を開けるがポテチョッキンがいないことを確認してその場を後にしようとするが、日菜によってそのまま風呂場へと引きずり込まれ―――

 

「ご飯おいしー!!あれ?おねーちゃん?どうして横にいるの?」

 

「いえ、気にしないでください」

 

「そっかー。あたし、これからご飯だからポテちゃん達はちょっとあっち行ってて~。っておねーちゃんはいかなくていいよ~!!」

 

「日菜!!」

 

ご飯を食べようとした日菜の近くにいたポテチョッキンに引き寄せられた紗夜だったが、そのまま紗夜から離れて行く。

 

そして―――

 

「ん~そろそろ寝よっかな~」

 

「日菜・・・起きてますか・・・?」

 

「おねーちゃん?どうしたの・・・?枕なんて持って・・・?」

 

日菜が寝ようとしたタイミングで彼女の部屋には枕を抱えた紗夜がやってきた。

 

「折角ですから一緒に寝ようかと思いまして・・・」

 

「うん!!いいよ!!」

 

日菜の部屋に入る紗夜だったが、その室内にはフラシェキーとポテチョッキンが机の上で戯れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、寝よっか!!ポテちゃん。フラちゃんおいで~!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

日菜の言葉を聞いてポテチョッキン達が日菜の元へとやってくる光景に紗夜は恍惚の表情を浮かべていたが、ポテチョッキンが日菜から一向に離れようとしなかった。

 

「ちょっと待ってください。なんで日菜にしかその子がいかないんですか?」

 

「ん~わかんない~とりあえず寝よ~!!」

 

「ちょっと日菜!!」

 

そう言って紗夜は日菜にベットに引きずり込まれて一緒に寝ることになったが、その最中にフラシェキーとポテチョッキンが2人の間からそっと離れて行くのを紗夜の目は捉えていた。

 

「待って・・・!!」

 

「おねーちゃ~~~ん・・・」

 

「日菜!!」

 

紗夜はそのまま日菜に抱き着かれてポテチョッキン達を取り逃してしまい、そのまま眠りにつくことしかできなかった。

そして翌日、ポテチョッキンと戯れられなかった不満を弦太朗にぶつけてしまうことになるのだった。

 

 

 

 

 

~~~小ネタ42:焼肉のお姫様

 

商店街のあるとある焼き肉屋。

今この場所でガールズバンド同士の熱い戦いが幕を開けようとしていた。

 

「さーて!!突如として始まりました!!バンド対抗の焼肉勝負!!本日の実況は私!!Poppin'Party

の戸山香澄です!!そして・・・!!」

 

「バイトの帰りに捕まってしまった解説の双葉つくしです・・・それで、あの香澄先輩・・・どういう状況なんでしょうか・・・?」

 

 

 

 

 

「えっとね!!彩さん達のライブの打ち上げすることになったらしいんだけど。それでなんか普通にやっても楽しくないから競争しようってなったらしいの!!」

 

「そ・・・そうなんですか・・・?」

 

ノリノリで対応する香澄の横で未だに困惑するつくし。

余りにもアンバランスな2人だったが香澄は気にすることなく話を続けていく。

 

「さてと、説明も終わったところで!!本日の対戦するのは~~~~本日の主役!!パス~~~~パレェ~~~~~!!」

 

「そういえばライブの打ち上げでしたよね!!えっと・・・頑張ってほしいです!!」

 

「それじゃ意気込みを聞いてみましょう!!」

 

 

「えっと・・・!!まん丸お山に彩を!!丸山彩で~す!!頑張ります!!」

 

「白鷺千聖です。今日は彩ちゃんのお腹をまん丸にするつもりで頑張ります」

 

「るんってしよー!!」

 

「ブシドーのこころで頑張ります!!」

 

「今日はジブン!!イケそうな気がします!!」

 

 

 

 

「おぉ~彩先輩達やる気だ~!!」

 

「ライブで体力使った後ですから沢山食べれそうですね・・・」

 

「なんか楽しくなってきちゃった!!」

 

「香澄先輩!!時間も無いですから・・・次に・・・」

 

「そうだね!!」

 

主役と言うこともあってか妙にやる気満々のパスパレ一向に無難なコメントを残すつくし。

それを聞いて楽しくなってきた香澄だったがつくしの催促を聞いて次に移っていく。

 

「次のバンドは・・・今日凄かったらしい巴ちゃんを擁するAfterglowだぁ~~~~!!」

 

「そうですね。モカ先輩も沢山食べますから、それに甘い物が好きなひまり先輩がどこまで食べれるのかも気になりますね!!今の気持ちはどうですか・・・」

 

 

 

「勿論!!アタシ達が勝つ!!」

 

「ん~いつも通り食べるだけかな~。ね~蘭~」

 

「ちょっとこっちに振らないでよ・・・」

 

「えっと・・・頑張ります!!」

 

「頑張るぞ~・・・えいえい!!おー!!・・・ってやってよ~!!」

 

 

「仲いいですね~。一番優勝候補だと思う!!」

 

「優勝って・・・。それより香澄先輩!!次行きましょう!!」

 

気合十分な3人となんとかノリに着いて行こうとするつぐみと困り顔の蘭だったが、よく食べるメンバーが揃っているバンドなので一番競うのに向いてそうという感想を抱いた実況解説組だったがつくしがドンドンと進行していく。

 

 

 

「えっとね!!次はハロハピ!!」

 

 

「みんなでご飯!!楽しみましょう!!」

 

「はぐみ!!お肉楽しみ!!」

 

「ふっ・・・儚い・・・」

 

「ふえぇ~」

 

「楽しく食べれなさそう・・・・」

 

 

 

 

 

「はぐ以外食べるイメージないけど・・・大丈夫かな?」

 

「そうなんですか・・・?美咲先輩さっきまでロボット乗ってたからお腹空いてるんじゃないでしょうか?」

 

こんな場所でもこころとはぐみは楽しそうにしている。

それを見て花音と美咲は不安を募らせるがこの場から逃げられないのが分かっているので覚悟を決めるしか道が残されていなかった。

 

「そして突如として参戦!!Roseliaだぁ~~~!!」

 

 

 

 

「頂点は私達よ!!」

 

「・・・ポテトはあるんでしょうか?」

 

「頑張ろうね!!りんりん!!」

 

「えっと・・・その・・・うん・・・」

 

「大丈夫!!焼くのはアタシに任せといて!!」

 

 

 

「友希那先輩以外は食べるイメージないですけど、調理のリサ先輩がどうやってみんなに食べさせていくのかが気になりますね・・・」

 

「今日はこの4バンドでお送りします!!それじゃルールをつくしちゃん!!これ読んで!!」

 

唐突に香澄から渡された紙を受け取るとつくしが今回のルール説明を始める。

 

「最後まで食べ続けたバンドの中で制限時間90分以内で食べたお肉のお皿の枚数が多かったバンドが勝利です!!なお、お肉については公平性を考えてこちらであらかじめ決めたお肉の順番になります!!また、サイドメニューについてはご自由に頼んでいただいて結構ですが、そちらは勝負のカウントには含まれませんので注意してください!!また、一番食べた枚数が少なかったバンドは罰ゲームとして特製のドリンクを用意してます!!」

 

 

 

「楽勝だな!!モカ!!」

 

「よゆ~」

 

 

 

「紗夜、勝負に関係ないポテトは禁止よ」

 

「えっ・・・」

 

 

 

 

「どんなお肉が出るのかな~!!」

 

「はぐみちゃん・・・楽しみだね・・・」

 

 

 

「焼肉にはお米だよね!!彩ちゃん!!」

 

「今日は頑張ったから・・・いいよね!!日菜ちゃん!!」

 

1名を除いてルールを聞いてテンションが最高潮まで高まりかけた彼女達だったが、この後の説明で彼女達のテンションは地の底まで叩き落されることになる。

 

「それと今回は特別ルールがあります!!」

 

「「「特別ルール・・・?」」」

 

「えっと・・・。食事前にこちらで用意した飲み物をバンドの”全員”で乾杯してもらいます!!それと5皿ごとに各バンド1杯ずつ飲み物を飲んで頂きます・・・・・・ちなみに殆どの物はたえ先輩達が試飲して気絶する程度には味は最低です・・・」

 

「「「・・・」」」

 

つくしの説明に絶句する一同にそんな彼女達を見て表情が固まるがここで進行が香澄へと変わる。

 

 

 

「それでは、最初のお肉と飲み物をお願いします!!最初のお肉は~~~牛カルビだぁああああああああ!!そしてぇ~~~最初のドリンクはつくしちゃん特製の野菜ジュースだぁああああああああ!!」

 

「はい!!お肉ばかり食べると思ったので栄養バランスを考えてみました!!ちゃんと言うんだったら野菜ジュースではなくてゴーヤとニンジン、ピーマンとセロリで作ったグリーンスムージーです!!」

 

 

 

 

「「「「えっ・・・」」」」

 

「あの・・・これ誰かに飲ませるのは・・・」

 

「ダメです!!全員で飲んでもらいます!!」

 

「そんな・・・」

 

そういって運ばれてきたお肉と全員分の野菜ジュースもといグリーンスムージー。

青々としたジュースに一部のメンバーが顔を顰めるがここで制作者のつくしが中身の発表を告げた内容に声を挙げたのはRoseliaのメンバー達で紗夜だけは逃げようとしたがそれをつくしに止められて絶望の表情を浮かべていた。

 

そんな彼女達を他所に全員にそれが行き渡ったのを確認すると香澄が乾杯の音頭を取るために立ち上がった。

 

 

「それじゃあ乾杯の声と一緒にスタートです!!・・・乾杯!!」

 

「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」

 

 

 

「にっが・・・」

 

「うえぇ・・・でも、飲んだからお肉食べよ!!こころん!!」

 

「ジブンは全然いけますね!!」

 

 

「うえぇ・・・みんなでジュースを飲んでお肉を焼き始め・・・あれ?友希那先輩達が飲んでない・・・?」

 

香澄と音頭と共にみんなでグリーンスムージーを飲み始めるが味の感想が挙げながら肉を焼き始める中でRoseliaだけはコップを片手に動けずにいた。

 

 

「ここままでは負けてしまうわ・・・みんな、一緒に行くわよ・・・」

 

「「えぇ・・・」」

 

「うぇ~・・・」

 

「仕方ないか・・・」

 

 

「乾杯・・・」

 

友希那の一言に覚悟を決めたRoseliaのメンバーは他のバンドに遅れて飲み物を飲み干すと同時に異変が起きる。

 

「おや~!!Roseliaのみんなが動かなくなっちゃったぞ~!!」

 

「おかしいですね・・・?野菜以外入れてないんですけど・・・」

 

原因不明のダウンをしてしまったRoseliaに首を傾げる実況解説組に参加者たちから声が挙がる。

 

 

 

「おねーちゃん、ニンジン嫌いなんだよ~。それにリサちーはグリーンスムージーが苦手って言ってたよ~」

 

「それにあこはピーマンがダメだな」

 

 

 

 

「もしかして他の2人もゴーヤとセロリが苦手だった・・・?」

 

「まさかつくしちゃんが用意したのが対Roselia決戦兵器だった~!!」

 

 

Roselia―――5名脱落

 

 

つくしが用意したものはRoseliaの苦手な物を寄せ集めて―――対Roselia決戦兵器を意図せずに精製してしまったことに若干の気まずさを覚えるがそれを彼女は机の伏せて昇天しているRoseliaから目を背けるために他のバンドへと視線を変えると各バンドは全く同じ作戦を取っていたがその中でも1つの卓は同じ作戦でも明らかに異質な光景だった。

 

 

 

 

 

「おっと?これは・・・?各バンドごとにお肉を焼く係と食べる係に分かれてますね・・・。つぐみ先輩に麻弥先輩はイメージが付きますけど・・・」

 

「はぐが焼いてるのはお肉屋さんだからかな~」

 

「全くの予想外でしたね・・・花音先輩か美咲先輩がやると思ってましたけど・・・あれ?」

 

そう彼女達の視線の先にははぐみが率先してお肉を焼いている光景が広がっていたが、その違和感が更に加速する出来事が発生する。

 

「そろそろ焼けたと思うから食べましょう!!」

 

「ふふっ・・・そうだねこころ!!」

 

 

 

 

 

 

「ダメだよ!!」

 

「ふえぇ!?」

 

「はぐみ・・・?」

 

こころが肉を取ろうとしたその瞬間にはぐみが声を荒げる。

そのことにハロハピの一同は驚きを隠せなかったがはぐみの表情はまさしく真剣そのものだった。

 

 

「焼肉は肉汁が大事なんだよ!!肉汁を出したほうがおいしいんだよ!!」

 

「そうなのね・・・」

 

「流石はぐみだね・・・。ではこれなんかはどうだろう・・・」

 

「薫くん!!それもダメだよ!!こころんさっき取ろうとしたお肉。後10秒くらい経ったら食べごろだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぐみ先輩・・・焼肉奉行だったんですね・・・」

 

「知らなかった・・・」

 

 

 

「お奉行!?」

 

「イヴさん例え話ですよ・・・?」

 

はぐみがまさかの焼肉奉行と化してしまったことに周囲はおろか、同じハロハピのメンバー達もその光景に目を丸くしていた。

 

奉行によってスローペースを余儀なくされたハロハピだったが、ここで勝負が動き出す。

 

「よっし!!5皿目完食だな!!」

 

「よゆ~よゆ~!!」

 

「いい感じだね・・・」

 

「ほら!!つぐも食べなよ!!あ~ん!!」

 

「ありがとうひまりちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

「彩ちゃん!!気合い入れて食べなさい!!」

 

「これ以上早く食べるのは無理だよ~」

 

「ヒナさん!!お水です!!」

 

「イヴちゃんももっと食べよ~!!」

 

「今から5皿目ですよ!!」

 

 

「気が付いたらパスパレが5皿目入ったと思ったら、つぐみ先輩達はもう5皿目も終わりそうですね!!」

 

「それじゃ、そろそろ次のドリンクを発表しま~す!!つくしちゃん!!」

 

「えっとつぎは・・・”ペナル茶”・・・なんですかこれ?」

 

「有咲が用意したからわかんない!!でも、これ飲んださーやが「赤くて辛くて不味い」って言って倒れちゃった奴だ!!」

 

 

沙綾を打倒したドリンクと聞いてAfterglowの5人は一同が固まってしまうが、真っ先にそれに手が伸ばされた。

 

「「「「蘭(ちゃん)!?」」」」

 

「あたし・・・いくよ・・・」

 

「ら~ん~・・・」

 

「おい待て!!蘭!!考えなおせ!!」

 

「そうだよ蘭!!」

 

「きっと何か対策が!!」

 

 

 

「いや、これ以上不味くなる前に湊さん達みたいに離脱したいだけだから・・・」

 

「おい待て!!」

 

「逝ってきます・・・」

 

「「「「ら~ん(ちゃーん)!!」

 

蘭はそう言い残してから赤い液体を一気に飲み干した姿にメンバー達は悲痛な叫び声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うえっ・・・不味いけど・・・辛くない・・・」

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

しかし、不味さがあるが辛みを感じなかった蘭に一同は首を傾げる。

そして何を思ったのかつぐみが飲み干したコップに顔を近づけると一瞬でその顔が歪む。

 

 

 

「けほっ!!これ・・・匂いだけでも辛いって分かるのに・・・何で平気なの・・・」

 

「弦太朗の家で食べた宇宙鍋に比べたら、全然辛くないし・・・」

 

「それどんだけ辛いの!?」

 

「それは後でいいから~次食べよ~?」

 

「次はタン塩だってよ!!」

 

 

 

 

「うわっ・・・こっちはまだ2皿目の途中なのに・・・」

 

「はぐみ!!勝負に負けてるわ!!」

 

「ダメだよこころん!!ちゃんと美味しくお肉を食べないと!!かのちゃん先輩の前のお肉後5秒だよ!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「けほっ・・・煙たい・・・」

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ジュース飲んで倒れるこの人達は何しに来たんだろう・・・?」

 

「ちょっとつくしちゃん!?」

 

蘭の何気ない感想に驚きを隠せないひまりだったが、他の3人は気持ちを切り替えて次のお肉であるタン塩を焼き始める一方ではつくしからの冷たい言葉を浴びせられるRoseliaとスローペースでお肉を食べるハロハピ、そして、アイドル達は目の前のドリンクを睨みつけていた。

 

 

 

「辛いの行ける人いるかしら・・・」

 

「アヤさん!!どうでしょうか?」

 

「いや!!ここは麻弥ちゃんが!!」

 

「いやいや!!ジブンはちょっと~!!」

 

 

 

「あたし、お米と一緒に食べて飲み物欲しいから貰うね~!!」

 

醜く押し付け合うアイドル達だったが、ここで日菜が誰の了承も得ずにドリンクを掴むとそのまま一気に飲み干してしまった。

辛いと言われたそれを一気飲みした彼女には一同の視線を一気に集めていた。

 

「日菜ちゃん・・・?」

 

「ねぇ・・・大丈夫・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁああああああああああああああ!!」

 

心配した彩と千聖が彼女へと声をかけるが、彼女から返ってきたのは絶叫だった。

 

 

「ヒナさん!?」

 

「どうしたんですか!?」

 

「かっらぁぁあぁぁぁぁぁああああああああ!!」

 

コップを片手に床でのた打ち回って苦しむ日菜だったが、彼女の手からコップが滑ってハロハピの方へ向かって飛んで行ってしまった。

それだけで終わればよかったのだが不幸はこれだけでは終わらなかった。

コップにわずかに残っていたドリンクがコップから離れてとある人物の目へと入り込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁああああああ!!目がぁぁあああああああぁぁぁぁ!!」

 

「「「「「お奉行~~~~~~~!!」」」」」」

 

不運にも激辛の汁が直撃してしまったのは焼肉奉行だった。

彼女も余りの激痛にそのまま床でのた打ち回るが、余りの激痛に日菜と揃ってそのまま意識を手放してしまった。

 

 

Pastel*Palettes―――氷川 日菜 脱落

ハロー、ハッピーワールド!―――焼肉奉行 脱落

 

 

「さてと、はぐみもいなくなっ・・・寝たみたいだから、後は自分たちのペースで食べましょうか」

 

「そうね!!はぐみには悪いけどそうしましょう!!」

 

「うん。そうだね・・・」

 

「あぁ・・・ウェルダンで焼こうか・・・」

 

 

 

 

「権力者が倒れるとガラっと空気が変わるのは歴史と一緒ですね・・・香澄先輩」

 

「つくしちゃん?難しくてよく分かんない・・・」

 

はぐみが脱落して悲しむどころか美咲を筆頭に自分のペースで焼肉を楽しみだすハロハピ。

この何とも言えない空気を分かりにくい例えで誤魔化したつくしに思わず香澄がツッコんでしまった。

 

脱落者が出たバンド達は勝手に思い込んでいる仲間の無念を胸に秘め、かたや自分たちの好きなペースで食事を楽しめる喜びを肉と共に噛み締めながら食べるペースを上げていく。

 

「蘭ちゃん・・・大丈夫・・・?」

 

「口が痛い・・・」

 

 

 

「よっし!!次はなんだ!!」

 

「辛いのきたから~次は苦いのかな~」

 

「えぇ~やだな~」

 

他のバンドが追い上げていくが、5人揃っているAfterglowは焼けるのが早い肉と言うこともあって、蘭にダメージが入っているにも関わらず早々に10皿目へと到達すると、そこには新たなドリンクが運ばれてくる。

 

「次のドリンクはなんだっけ?」

 

「えっとメモに書いてあるのは・・・"いわしみず"って書いてあります」

 

 

「石清水って岩の間から出てくる水の事だよな・・・?」

 

「あたしがさっき飲んだのに比べてぬるくない・・・?」

 

 

 

 

「そんなのただのお水じゃん!!私が飲むね!!」

 

「おぉ~。ひーちゃんがんばれ~」

 

「なんか嫌な予感がする・・・ちょっと待って!!」

 

つぐみは嫌な予感がしてひまりを止めようとしたが既に手遅れだった。

 

「おえぇええええええええええ!!」

 

 

 

Afterglow―――上原ひまり 脱落

 

 

「ひまり!?」

 

 

 

 

 

 

突如としてひまりが奇声を挙げてそのまま意識を手放す。

ただの水と思ってた彼女達だったが、目の前の光景に他のバンドメンバー達も視線を釘づけにされていた。

 

「ねぇ・・・ひーちゃんが飲んだのって石清水じゃないの~?」

 

「そう言ってたよね・・・」

 

「ただの水ならこうなんないだろ!?」

 

 

 

 

「それは違うよ!!」

 

ひまりが倒れて慌てるAfterglowのメンバー達だったが1人だけそれが勘違いであることに気が付いていた。

 

「違うって何が違うんだよ!!」

 

「”いわしみず”だけどみんなの考えてるのじゃないんだよ!!」

 

「どういうこと~?」

 

「”石清水”じゃなくて"鰯水"・・・つまり魚のイワシで作ったんだよ!!」

 

「「なっ・・・なんだって~!!」」

 

「ただの駄洒落じゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

「つぐみ先輩、その通りです・・・因みにこれ飲んだりみ先輩はお姉さんの幻覚を見ながら気絶してました・・・」

 

「因みにここからはこれと同じくらいの不味い物しか出てこないよ~」

 

「でもそれ以上に罰ゲームのジュースは不味いです・・・。あのるいさんも意識を飛ばしてましたから・・・」

 

「「「「「はっ・・・?」」」」」

 

 

これクラスの物しか出てこないと言う香澄からの死刑宣告に一同は固まってしまい、つくしの説明など耳に入らなかった。

 

あの瑠唯が気絶するほどに不味いジュースを飲む―――

 

そう考えて戦々恐々としていた彼女達だったが、つぐみがあることを思いついた。

 

 

 

「でも、Roseliaは1枚も食べてないから大丈夫だよ!!ジュースはビリが飲むんだから!!」

 

「そうですよね!!ツグミさんの言う通りです!!」

 

「だったら、みんながここで食べるのを止めて時間まで紗夜ちゃん達が起きなかったら、今起きてるメンバーが地獄を見ることはないのね・・・?」

 

このまま誰も食べずに時間切れまで過ごせば、今生存しているメンバーたちは地獄を見ないですむ。

そんな希望的な状況が見えてきたが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この勝負はそんなに甘くなかった。

 

 

「千聖先輩?何を言ってるんですか・・・?」

 

「だってつくしちゃんはビリが飲むって言ってたじゃない?」

 

「千聖先輩、私は”ビリ”が飲むなんて言ってませんよ?一番”食べた枚数が少なかった”バンドとはいいましたから」

 

「それってつまり・・・Roseliaは1枚も食べてないから」

 

「美咲先輩の言う通りです!!Roseliaはお肉を"1枚も”食べてないので対象外です!!」

 

「次のお肉はハラミだよ~!!」

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・!!」」」」」

 

つくしが言ったのは「一番食べた枚数が少なかったバンドが罰ゲーム」であり、確かに「ビリのバンドが罰ゲーム」とは一言も言っていなかった。

その言葉を思い出して、彼女達は地獄が見えている食事へと戻っていくがそこから先はただの地獄だった。

 

 

 

 

 

 

「もうお腹いっぱいだから・・・次は私が・・・。みんな・・・ゴメンね・・・?」

 

「「つぐ~~~~!!」」

 

 

 

 

「心頭滅却すれば火もまた涼し・・・行きます・・・!!・・・・・・うへぇぇえええええ!?」

 

「イヴさん。それで味覚がなくなったら苦労しないです・・・!!」

 

 

 

 

「はか・・・な・・・い・・・」

 

「薫さん・・・コップ持ったまま気絶してる・・・!!」

 

 

さっきまで命だった仲間たちの屍を踏み越えながら彼女達は戦い(食事)を続けていき、そして―――

 

 

「制限時間後5分です!!」

 

制限時間も残り僅かになったこのタイミングで勝負は完全に分からなくなっていた。

 

 

 

 

「くっそ・・・まさかこころが2回も耐えるなんて・・・!!」

 

「こころがくれたこのチャンス・・・逃すわけにはいかない・・・」

 

「くっ・・・くるしい・・・。折角みんなが残してくれて、その上で復活した日菜ちゃんを犠牲にしたのに・・・!!」

 

 

 

「おっと~!!ここでパスパレが1皿遅れた~!!」

 

「これは・・・厳しいですね・・・」

 

「どうすれば・・・」

 

 

 

 

 

最後まで残っていたのは巴と美咲、そして千聖だった。

しかし、ここで千聖は腹の限界を迎えてしまい、完全の1歩遅れてしまったことに実況解説組が盛りあがる中で千聖は逆転する術が思い浮かばずに絶望するが時間だけは無情にも過ぎていく。

 

「残り2分~!!」

 

「そうだ!!これだわ!!」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

残り時間2分で逆転の手を思い浮かんだ千聖は更に残った肉を焼き始める。

その行動には巴達はおろか香澄達からも驚きの声が挙がる。

 

「残り10秒!!9・・・8・・・」

 

「よし!!」

 

つくしがカウントを告げると同時に千聖は焼けた肉を皿へ移すとおもむろに立ち上がった。

そして歩み寄ったのは気を失っている友希那の元だった。

そして千聖は意識のない友希那の口の中へ肉を詰め込んだことに一同は驚きを隠せなかった

 

「おねがい・・・!!」

 

「5・・・4・・・っ!!」

 

「・・・んっ・・・」

 

「・・・きたわっ!!」

 

「「なっ!?」」

 

口に肉を詰め込まれた友希那は”無意識”に口に入った肉を呑み込んだ。

 

 

 

確かにつくしは一番”食べた枚数が少なかった”バンドが罰ゲームと言い、Roseliaはお肉を"1枚も”食べてないので対象外ともいった。

 

そして自分がもう食べられないならば、参加しているRoseliaの誰かに無理やり食べさせて対象にして自分たちは回避するという奇策だった。

 

千聖が土壇場でこの策を思いついて即座に実行したの敗北を回避する執念が奇跡を起こしたのだった。

 

「1・・・!!終了~!!」

 

「勝ったわ・・・!!」

 

 

 

 

「「いや、私達には負けてますよ・・・?」」

 

 

つくしが終了を告げると同時に千聖がそう呟いて拳を突き上げた。

冷静に後輩にツッコまれるが、そんなことを気にすることはなかった。

 

「えっと・・・一番食べてないのはパスパレ・・・です・・・」

 

「違うわ。Roseliaよ!!」

 

「だって、一番食べてないのは・・・パスパレでは・・・Roseliaは・・・お肉を焼いてないですし・・・」

 

「つくしちゃん・・・あなたは罰ゲームの話をした時に一番”食べた枚数が少なかった”バンドが罰ゲームと言ったわ。でもあの時はこうも言ってたのよ「Roseliaはお肉を"1枚も”食べてないので対象外」ってね」

 

「確かに・・・いいましたけど」

 

「それにルールには人のテーブルで焼いたお肉を食べたらダメなんて言ってないわ!!そして最後に友希那ちゃんがお肉を食べたのはあなたも見たわよね?」

 

 

 

「ってことは・・・無意識とはいえ、最後に湊さんが千聖先輩の焼いた肉を食べたから・・・」

 

「Roseliaは罰ゲームの対象ってこと・・・?」

 

「そういうことよ!!」

 

 

 

「千聖先輩・・・流石に常識的に考えて無意識の人間に肉を詰め込むのはダメでは・・・?」

 

「つくしちゃん!!戦いに常識は通用しないわ・・・それにルールに明記してないほうが悪いわ!!」

 

「常識ない行動なのに何も言い返せない・・・!!」

 

「そういうことよ!!それじゃ、私達の打ち上げだからここの会計は私が持つわ!!大丈夫よ!!打ち上げ代は事務所の経費で落とすから!!」

 

「「「「ごちになりまーす!!」」」」

 

 

勢いに負けたつくしは自身のミスを認めた。

こうして千聖は勝利を手にし、Roseliaに敗北を押し付けることに成功し、転がっているメンバーを放置してそのまま家路についた。

 

そして後日、罰ゲーム-対ガールズバンド決戦兵器-が執行されたRoseliaと、とてつもない金額になっていた打ち上げ代の請求書を見た事務所のスタッフからは悲痛な叫び声が響くのだった。

 





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誤字報告は非常にありがたいです!!

以下ネタ説明
41
本編で彩ちゃんが曇りに曇ってた夜のお話
ポテトは狙われるんですねぇ・・・

42
焼き肉っしょ~の日菜の発言の後
この裏ではRAS篇が始まってると思うと・・・


-対Roselia決戦兵器とは?
Roseliaのメンバーが嫌いな野菜で作られたグリーンスムージー
苦いけれど飲めなくはない(体験談

対ガールズバンド決戦兵器とは?
対Roselia決戦兵器をベースにして他バンドのキャラが嫌いな物(魚介類除く)を混ぜ込んだ決戦兵器
納豆の粘り気がのどに絡み、納豆の匂いと野菜に匂いが混ざってとても複雑怪奇な代物。
覚悟があっても飲むのに苦労する(実体験


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RAISE A SUILEN篇2-本・心・不・通
本・心・不・通-1 アンバランス・ロック



はい。
RAS篇2章・・・投稿です。

2章がRAS篇最終章になる予定です・・・


 

不満からチュチュのマンションを飛び出したますき。

普段ならバイクに乗っている彼女だが、今日ロックとレイヤの3人で行動していたため電車で移動していた。

普段は使わない駅までの道を歩いてはずだが、最短ルートを走ってきたロックとレイヤが先回りされており、彼女はそのまま3人で電車で家路についていた。

 

「ったくなんなんだよ!!アイツは!!」

 

「でも、バンドリはこのままで大丈夫でしょうか・・・」

 

「・・・」

 

スタジオと言う閉鎖空間から出たからか分からないが少しだけ空気は軽くなるが、ますきのチュチュに対する愚痴が止まらない。

そんな彼女を見て気を使って、愚痴を吐き出させるためにロックとレイヤは少し遠回りになるが"dub"方面へと歩いているとますきの勢いが突如として停まることになった。

 

 

 

 

 

 

「一回ハッキリと―――!!」

 

「なんで・・・?」

 

「うそ・・・」

 

道を歩いていた彼女達の目の前には、彼女達が見たことがないゾディアーツが立ち塞がっていた。

 

「逃げんぞ!!」

 

「うん!!」

 

「ひぇぇえぇえ!!」

 

そして彼女達は危機感からこの場からの逃亡を開始すると、異形もその後ろを追いかけてくるが、ここで不運がレイヤを襲った。

 

 

 

 

 

 

 

「うそっ!?靴ひもが・・・!!」

 

「レイ!!」

 

「レイヤさん!?」

 

「・・・先行って!!」

 

突如としてレイヤのブーツの靴ひもが千切れてしまいレイヤの速度が落ちてしまう。

それを2人が心配するもレイヤは先に2人を逃がそうと声を挙げる。

 

しかし、ここで不思議なことが起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃぃいいいいい!!」

 

「なんでだよ!?」

 

「えっ・・・?そうだ・・・!!弦太朗に電話しないと・・・!!」

 

ゾディアーツは動きが遅くなったレイヤ無視して追い抜かして行くとそのまま先を走るロック達を追いかけ続ける。

予想外の展開にレイヤの頭の中は疑問しか浮かばなかったが、とりあえずこのまま弦太朗へと電話をかけ始める。

 

レイヤを無視していたゾディアーツが腕を振るう。

その腕によって振るわれた何かは並んで走っていた2人の間へと潜り込むと容易に2人を分断してしまった。

焦るますきだったが、ゾディアーツはそんな様子のますきも無視してロックだけへと狙いを着けていた。

 

 

再びゾディアーツの腕が振るわれてロックの横の地面が抉れるが彼女はそんなことに気にする余裕などなく必死だった。

 

「ロック!!」

 

「なんでぇ~~~!!」

 

ライブ直後で消耗しているにもかかわらず、ロックは自身を狙う異形から全力で逃げていた。

そんな中でレイヤはロックへ向けて叫ぶ。

 

「今、弦太朗呼んだから!!」

 

「でもアイツ!!麻弥さん達のライブ会場だろ!?・・・ダメだ!!遠すぎる!!」

 

ますきの言う通り、パスパレがライブをしている会場からここまではかなり距離

 

 

例え今から向かっても彼が着く前にはロックは既に手遅れなのは容易に想像がついたレイヤ達だったが、予想外の出来事が再び彼女達の目の前で起こる。

 

 

 

「何これ!?急に白いのが!?」

 

「これって・・・まさか!?」

 

突如として彼女達の真横には白い何かが現われて戸惑うレイヤの横ではますきはそれに見覚えがあるそれを注視するとそれは突然飛び出してきた。

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」

 

「弦太朗!?」

 

「やっぱりか!!」

 

 

 

 

レイヤ達が見たのはコズミックステイツに変身したフォーゼが作り出したワームホール。

そこからフォーゼが飛び出すとそのままロックに迫っていたゾディアーツへと突っ込んでその勢いでゾディアーツを吹き飛ばしてロックの正面へと立つのも束の間、フォーゼは左脚から崩れるように地面に倒れると痛みに耐える声と共にコズミックからベースステイツへと戻ってしまう。

 

「ぐぁあああああ・・・」

 

「如月先輩・・・っ!?」

 

苦痛から声が挙げるフォーゼに驚くがそれ以上に彼がここに来た安心からか彼女達には少しだけ余裕が生まれ、ここでようやく今回の襲撃してきたゾディアーツの姿を冷静に捉えることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「肩に何かが付いとる・・・。壺・・・?」

 

「でも、弦太朗が片方を割ってる・・・」

 

「壺っていうか・・・瓶だな・・・ってことは水瓶座で間違いねぇだろ?」

 

 

 

「ますきの言う通りじゃねぇか・・・!!仕方ねぇ・・・」

 

ロックが見た感想からますきがそれの星座を言い当て、フォーゼは言葉で確信した。

今回のゾディアーツの星座は水瓶座―――アクエリアス・ゾディアーツであることを示していた。

 

フォーゼの言葉を聞いたますきは何かを思い出すかのように呟き始める。

 

ベースステイツでは太刀打ち出来ない。

しかし、対抗しうるコズミックの変身が解除されてしまったフォーゼは咄嗟にマグフォンを取り出した。

 

「割って・・・挿す!!」

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

 

 

 

「食らえっ!!」

 

ここでフォーゼはマグネットステイツへと変身すると同時に背部のブースターを出力に任せて無理やり身体を立たせるとそのままマグネットキャノンを連射して、肩を狙おうとするが今までのダメージの影響もありその照準が定まらず、肩の瓶をはないすることが出来なかった。

 

現状でまともに狙いが付けられず、碌に自身が動けない事が分かっているフォーゼはドライバーのスイッチへと手を伸ばす。

 

――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

「これでっ!!」

 

スイッチの起動するためにわずかに砲撃を止めるがその後には、足のスイッチも使用した弾幕をアクエリアスへ向けて叩きこんでいく。

 

爆発でアクエリアスの姿が見えにくくなるが、その爆発音に混ざって何かが割れる音が”1回”響いてきた。

 

しかし、フォーゼはここでダメージの蓄積による焦りからか大きなミスを犯してしまう。

 

「・・・これで決める!!」

 

― リミットブレイク―

 

「ライダー・・・超電磁ボンバー!!」

 

フォーゼは爆発の中にいるアクエリアスへとマグネットステイツのリミットブレイクを発動して一清掃射をアクエリアスに叩きこむとアクエリアスの方から爆発が聞こえてくると、そのままフォーゼも地面へと倒れこみ変身が解けてしまった。

 

「如月せんぱ・・・っ!?」

 

 

変身が解けてしまった弦太朗のもへとロックが駆け寄りながら声をかけようとするが、目の前に転がる彼の姿に彼女は言葉を失ってしまった。

 

弦太朗はボロボロになり着ている制服の至る所が破けており、怪我のない箇所を探す方が難しい程に全身が傷だらけになっていた。

特に左脚は膝から下に至っては変身していたとは言え何故立っていられたのか分からない程の大きな怪我を負っていた。

 

 

「弦太朗・・・!?その傷・・・」

 

 

 

 

 

 

「マジかよ・・・!!」

 

しかし、そんな状況にもかかわらず爆発の中からアクエリアスがダメージによってフラフラの状態で立ち上がっている姿にますきから声を挙げると弦太朗もそれに答えるようにふらつきながら立ち上がろうとしていた。

 

「ちょっと弦太朗!?そんな怪我なのに大丈夫なの・・・!?」

 

「・・・やるしか・・・ねぇ・・・!!」

 

レイヤが声をかけるが、弦太朗は答えになってない言葉を返すと気力だけで立ち上がるとアクエリアスへと身体を向けていた。

 

 

 

 

 

そんな中でますきは嫌な予感を感じて、何かを思い出す様に呟き始めた。

 

「確か水瓶座の神話だと・・・その瓶の中身は神が飲む酒だったか・・・?」

 

「神様が飲む酒・・・?凄そうだけど・・・」

 

ますきの呟きに横にいたレイヤが質問するとますきはそれに答え始める。

 

 

「確か、ネクタルとかアンブロシアって名前なんだけどよ・・・」

 

「ますき・・・名前は今はいいんだけど・・・それが今の状況と関係あるの・・・?」

 

「・・・その酒は不老不死の薬とか傷に塗ると治るとか言われてるんだよ」

 

「だから・・・?」

 

 

 

 

レイヤからの疑問の言葉と共にフラフラのアクエリアスの肩から水が溢れ出して自身の身体を包み込むと直ぐにそれが弾け飛ぶ。

 

はじけ飛んだ水の中から出てきたアクエリアスの姿にますきは自身の嫌な予想が的中してしまった事に表情が険しくなる一方で2人は驚きの表情を浮かべていた。

 

「やっぱり・・!!」

 

「なんやこれ・・・!?」

 

「なんで・・・!?どういうこと!?」

 

 

 

 

 

水の中から出てきたアクエリアスは先ほど弦太朗によって割られた瓶が完全に元に戻っており、アクエリアス自身も先程ふらついていた事を感じさせずにいた。

信じられない光景にレイヤは何かを知ってそうなますきへと視線を向けると、彼女はそのまま説明を続ける。

 

「言ったろ?傷に塗ると治るって・・・。まさかとは思ったけど、此処まで出来るとか・・・なんでもありかよ・・・!!」

 

「嘘・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「さがってろ・・・!!」

 

復活したアクエリアスとは対照的に傷だらけの弦太朗は気合いだけで立ち上がっている状態。

傍から見ても今すぐにでも倒れそうな彼はドライバーのスイッチを叩いていた。

 

ドライバーのカウントが響く中で弦太朗はそのカウントが終わってもふらついていたが、ドライバーのレバーに手を掛ける。

 

「へんし・・・!!ぐっ・・・!!」

 

「っ!?如月先輩!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「どうしたんだろ・・・?」

 

「アイツ・・・弦太朗の奴にビビってんのか・・・?」

 

その言葉と共にフォーゼへと変身しようとするも、ドライバーのレバーを押し込む前に左足から地面に崩れ落ちる。

危機的な状況に恐怖を覚えたロックが声を挙げるが、それ以上に対峙していたアクエリアスが傷だらけでも立ち向かってくる弦太朗の姿に恐怖を覚えたのかそのまま彼から後退りで離れて行き、アクエリアスは弦太朗の近くにいたロックを指差しながら彼女に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは相応しくない・・・」

 

「へっ・・・?」

 

「どういうこと・・・?」

 

意味の分からない行動に疑問を覚えたが、アクエリアスが言い放つとそのままこの場から消えてしまう。

それを追いかけようとした弦太朗だったがそのまま地面に倒れてしまう。

 

「如月先輩!!」

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

「ちょっと弦太朗!!」

 

「わりぃ・・・ちょっと疲れた・・・」

 

戦いが終わった彼はそう呟きながら意識を手放した。

 





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ここのロックはゾディアーツに愛され過ぎでは・・・?


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本・心・不・通-2 フキゲン×ナ×キョウケン


ギスギスドリドリがしたい・・・!!
と言うことで投稿です。

アニメ版と日程感がズレてますが・・・
すまん!!




 

意識を失って倒れた弦太朗が意識を取り戻したのは柔らかいベットの上だったが、病院とは違う部屋の天井が彼の視界に飛び込んできた。

 

「ってぇ・・・!!」

 

まずは状況を確認する為に身体を起こす。

自身の不格好ながら身体中には包帯が巻かれているのと、部屋に数本のギターらしきものが立てかけられていたのを確認すると同時に痛みに声が漏れる。

 

その漏れた声に気が付いて部屋にいた少女達が慌てた様子で彼へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「如月先輩!!」

 

「弦太朗!やっと起きたんだ」

 

「ってお前らこそ大丈夫か!?それにここは!?・・・っいってぇ・・・!!」

 

「とりあえず説明するから・・・」

 

 

部屋にいたのは彼が意識を失う前にそばにいたロック達。

そんな彼女達の無事と状況を聞こうと弦太朗は身体を起こそうとするが身体に走る痛みによって起き上がれない。

それを見た家主のレイヤが弦太朗を静止させると、彼はそのままの状態で質問を始めた。

 

「じゃあ・・・戦いはどうなったんだ・・・?」

 

「・・・それよりも弦太朗、お前はどこまで覚えてんだ?」

 

「実はマグネットに変身した辺りから全然記憶がねぇ・・・。水瓶野郎の壺をぶっ壊したような気はしたんだけどな・・・」

 

「マグネット・・・?携帯の奴ですか・・・?」

 

「あぁ・・・。それに何で3人が一緒にいたんだ?」

 

「じゃあ、先に弦太朗が覚えてないところからだけど・・・」

 

彼の記憶がなくなった場所を確認してレイヤはそれを聞いて丁寧に説明しようとするが横からますきが大雑把に説明を始めた。

 

 

 

 

 

「あの後、お前がぶっ放したら変身が解けて、アイツが吹っ飛んだけどすぐにダメージ回復して帰っちまったんだよ・・・」

 

「ますきさん・・・大雑把過ぎでは・・・?」

 

ますきの大雑把過ぎる説明だったが、今の弦太朗に詳細な説明よりは理解が早かった。

しかし、ここで彼との記憶の食い違う。

弦太朗はアクエリアスの瓶を壊したつもりでいたのに、変身したまま去っていたと言うことが引っかかる。

 

 

「回復したってアイツの壺ぶっ壊したろ・・・?」

 

「確かに壊れたけど・・・その・・・片方は無事だったんだよ」

 

「・・・そうだったのか。わりぃな・・・」

 

彼はますきとレイヤの言葉を理解して謝罪するが、3人は激しく首を横に振る。

それを見て申し訳なさそうにするが、再び彼の頭には疑問が生まれた。

 

「・・・でも、それなら何で帰ったんだ?こっちはもう戦えねぇって状態だったのによ」

 

「あぁ・・・それなんだけどよ。なんかお前にビビってたみたいだったぜ?」

 

 

 

 

 

 

「うん・・・見てるこっちもちょっと怖かったです・・・」

 

「そんな傷だらけなのに立ち上がって戦おうとしてたからね・・・」

 

弦太朗はレイヤに指を指されてそのまま自身の身体を確認するとそこには不器用な包帯を巻かれた自身の身体があった。

それを見て思わず弦太朗から声を漏らしてしまった。

 

「これ・・・」

 

 

 

 

 

「その包帯、レイとロックがやったんだぞ?」

 

「わりぃな2人とも・・・」

 

「いえ!!こちらが助けてもらったんですから!!」

 

「それに、そんな怪我した弦太朗を病院に運んでも、その・・・何て言えばいいか分からなかったから・・・。まぁ・・・ここじゃそのくらいしか出来なかったんだけどね」

 

弦太朗からの礼の言葉にロックが首と手首を引きちぎるような勢いで横に振り、レイヤもいつも通りのクールな印象を与えるような言葉を返す。

 

しかし、ここでますきが笑いながらある事実を言い放った。

 

 

 

「でも、そん時に弦太朗の上着脱がせた時にレイが顔赤くしてたぜ?」

 

「ちょっとますき!?」

 

「~~~///」

 

突然の暴露を受けてレイヤが取り乱し始めるとそれに釣られるようにロックも取り乱す。

そんな光景を見たますきは笑い始めるが、そんな中で空気を読まずに弦太朗が残っている疑問を口にした。

 

 

「大体、分かったけど・・・ここどこなんだ?」

 

「レイの家、あそこから一番近かったのがここだったんだよ」

 

「そっか・・・。ぐっ・・・」

 

「いいから。怪我人は休んでて!!」

 

「ぐぉ!?」

 

 

 

 

「ひゃぁああああ~///」

 

「ひゅ~レイやるなぁ~」

 

「・・・?~~~~!?」

 

弦太朗はますきの言葉を聞くと痛みを押し殺してそのまま起き上がろうとするのを見て、レイヤがそのまま彼をベットの上に強引に押し倒す。

 

そんな光景にロックが声を挙げる横でますきがレイヤを揶揄い始める。

最初は意味が分からなかったレイヤだったが、状況を把握するとすぐに弦太朗から飛び退いた。

 

「~~~シャワー浴びてくる!!」

 

「それじゃ、私もちょっと叔母さんに電話してきます~」

 

レイヤが普段とは違って怒ったような様子で部屋から出て行くのを見送ると、ロックも下宿先の叔母に連絡するために一度部屋から出て行く。

 

 

「ますき、レイの事揶揄いすぎだろ・・・」

 

「あんな事があった後だぞ?意識しねぇようにした方がいいだろ」

 

そんな2人を見送ると先ほどまで揶揄って笑っていたますきだったが、今は表情が一転して真面目な表情に変わっていた。

 

「弦太朗。お前、そんな怪我で戦えんのか?」

 

「・・・かなり厳しいけど、やるしかねぇ」

 

「そっか」

 

「相手の狙いが分かればなんとかなると思うんだけどよ・・・」

 

弦太朗が言った相手の狙いという言葉にますきは少しだけ考えるとすぐに結論が出る。

 

 

 

 

「あたしとレイの事は無視してたってことは 今回の狙いもロックか・・・?」

 

「ってことはお前らのオーディションの事で恨んでる奴いんのか・・・?」

 

「ロックがそんな風に言われてるのなんて聞いたこともねぇけどな」

 

「それにチュチュとパレオは大丈夫なのか?」

 

「チッ・・・。チュチュか・・・」

 

「ん・・・?どうしたんだ・・・?」

 

「パレオなら大丈夫だろ?チュチュは知るか・・・」

 

「おい。どうしたんだよ・・・?」

 

「うっせぇ」

 

 

 

 

「すいません~戻りました~ひゃぁ!!」

 

弦太朗がチュチュの言葉を出した途端にますきが不機嫌な表情を隠すことなく浮かべたタイミングでロックが電話から戻ってくるが、ますきの表情に驚きの声が漏れるが声を挙げられた彼女はそれを気にすることなくどこかイライラしているように見えた弦太朗は戻ってきたロックに話を振った。

 

 

「なぁ、ロック」

 

「はい・・・?」

 

「チュチュの名前出たらますきの奴が怒っちまったんだけど、なんか知ってるか?」

 

「えっと・・・その・・・」

 

「ちっ・・・」

 

 

 

「ますきさん・・・」

 

「なんなんだ・・・?」

 

「戻った・・・よ・・・?なにこれ・・・」

 

ますきはチュチュの話題になるとロックも言葉を詰まらせ、ますきはどこかイライラしたような様子を見せる。

原因が分からない弦太朗だったが、そこにシャワーを浴びたレイヤが戻ってくると部屋の重苦しい空気に困惑した様子を見せていた。

 

「レイ」

 

「弦太朗、ますきに何かしたの?」

 

「なんもしてねぇよ。ただ、チュチュとパレオの話をしたらああなっちまってな」

 

「あぁ・・・」

 

「えっと・・・その・・・」

 

 

 

「帰るわ・・・」

 

「ますき!?」

 

「ますきさん!?」

 

弦太朗の言葉を聞いてその理由が分かったレイヤも浮かない表情を浮かべ、ますます状況が分からない。

そんな中でロックが何かを言いだそうとするとそれから逃げるようにますきは部屋を出て行ってしまった。

 

 

重苦しい空気を放っていたますきがいなくなって、ロックは意を決して声を挙げた。

 

「えっと・・・チュチュさんとますきさんとで揉めてしまって・・・」

 

 

「喧嘩してああなったとしても、なんで喧嘩なんてしたんだよ?」

 

「実は・・・」

 

 

 

「ちょっと待って、ここからは私が話すから・・・」

 

「レイヤさん・・・?」

 

ロックが説明しようとした所にレイヤが割り込んでくる。

不思議に思ったロックだったが、言われた通りにレイヤに役割を譲ると、彼女はそのままチュチュとの間に起こった出来事を語り始めるのだった。

 

 





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本・心・不・通-3 革命家とは得てして理解されがたいものである

投稿です。
これで大体どの辺かは時系列ははっきりとわかる・・・よね?
よね・・・?


 

今回の出来事が始まったのは・・・いや、多分もっと前から始まっていたんだけど、問題が表面化したのはちょうど昨日。

花ちゃんの誕生日で私達は3人でライブを見た後に控室に入れてもらって―――

 

 

 

 

 

「オッちゃんだ~!!」

 

「これすげーな・・・」

 

「マッスーが作ってくれたんだよ」

 

 

「オッちゃんのアイディアはレイだけどな」

 

「へへへ・・・」

 

 

「後でプレゼント渡すね~」

 

「おたえ~ケーキ持って~写真撮ろ~」

 

「うん!!」

 

目の前ではますきが作ったオッちゃんの形のケーキに嬉しそうな表情を浮かべてる花ちゃん。

そんな花ちゃんの誕生日をポピパとロックがはしゃいでるのをますきと2人で眺めてた。

 

「次はチュチュの番だね・・・」

 

「でっけぇ苺用意してっから楽しみにしとけ」

 

そのままお祝いムードの中だった私達だったけどロックのスマホが鳴るとそれを手に取った。

 

「ランキング更新されてます!!」

 

ロックの言葉を聞いて私達も自分のスマホを手に取ってランキングを確認すると、考えてもない出来事が起こっていた。

 

 

 

 

 

「RAS・・・2位に落ちてる・・・」

 

「「「「「えぇ!?」」」」」

 

「じゃあ1位は・・・?」

 

みんなが驚いてたけど有咲ちゃんだけはRASを抜いて1位になったバンドの事を話にあげると私はまたスマホへと視線を向ける。

 

「Roselia・・・。友希那先輩達だ!!」

 

「エントリーがギリギリで出遅れてたのに・・・凄いね・・・」

 

「それに1週間くらい前は確か8位とかだったよね・・・」

 

「それなんだけど、この間のdubでの1件がかなり話題になってるって夏希達から聞いたよ」

 

「それが話題性を呼んだってこともあるけど、この1週間であたし達みたいにライブ詰め込んでるって燐子先輩に聞いたぞ」

 

 

「dubのって・・・」

 

「確か・・・」

 

「レイとロックが大暴れしてた時のアレだな・・・」

 

たしか怪物の曲を聞いたら暴れ出すって言うものらしくて私もそれに巻き込まれて―――

それで正気に戻った時にはdubのフロアで湊さんと変身した弦太朗が並んで怪物を向き合っている光景で・・・

 

その後は急にステージで爆発が起こってパニックになったフロアでAfterglowでドラムをしているあこちゃんのお姉さんが2階から降ってきたり、Roseliaが怪物相手に立ち向かったり、ロックと2人で逃げようとしないチュチュを引っ張って逃げた事が頭の中に蘇ってくる。

 

正気に戻った誰かが話したのだろう。

噂話は私も耳にしていたが、SNSでは投稿があってもすぐに消され、それでも人の口は塞げなくて話に尾ひれがついて行ってしまって話題になっていた。

 

それを思い出していたら私のスマホが震える。

 

 

 

 

 

 

 

いや、私だけじゃなくてRASの3人のスマホだった。

差出人はチュチュでその内容をロックが読み上げてくれるのをポピパを含めた全員で聞いていた。

 

「チュチュさんからです・・・。全員今から集合だそうです・・・」

 

「今から・・・?これのことか?」

 

「だろうね・・・」

 

RASの3人は顔を見合わせる。

今回の理由は当然このランキングの事で何かあるのだろう。

 

何があるか分からないけど今から向かおうと思った、その時に有咲ちゃんが声を挙げた。

 

「ちょっと待て!!」

 

 

「んっ?どうした?」

 

その声に振り返るますきに有咲ちゃんが説明してくれた。

 

 

怪物が出てて、パスパレのドームでのライブを中止にさせるために動いていること。

今は弦太朗がパスパレを守っていること。

 

 

「それで前に麻弥さんがマスキングの事を尊敬してるって雑誌の取材で言ってたらしいんだよ・・・」

 

 

 

 

「それであたしが狙われるかもってことか・・・?」

 

「まぁ・・・確率自体はかなり低いけど・・・用心に越したことはないだろ?」

 

「なるほどな・・・」

 

それだけで意図が伝わったのかますきはすぐにチュチュに連絡を入れていた。

 

「とりあえず、今日は用事でいけねぇから明日行くって言っておいたわ」

 

「ますき・・・ごめんね?」

 

 

 

「ハナが気にすることじゃねぇって。ロックも今日はバイトで遅くなるからいけそうにないって連絡してくれ」

 

「はっはい!!でも・・・なんで明日なんですか・・・?」

 

「麻弥さん達を襲ってライブを中止に追い込むなら、もうライブに乗り込むくらいしか出来ねぇだろ?・・・申し訳ないけどそうなりゃこっちが安全だからな・・・」

 

「ますきさん・・・」

 

頭では納得しているが内心では不満だらけなのがますきが不満げな表情を見たロックもますきに言う通りにチュチュへ連絡を入れると、チュチュから「明日に集合」とだけの短い文章が送られてくるのを見て私達はそのまま花ちゃんの誕生日を祝ってからすぐに家に帰っって次の日、私達は学校とかが終わってチュチュのスタジオに集まっていた。

 

 

 

「チュチュさん怒っとるんかな・・・。すぐに集合なんて・・・しかも、昨日集まらんかったから・・・」

 

「怒るっつうか拗ねてんだろ。・・・甘いもん作ってくりゃ良かったな・・・」

 

 

 

 

 

「必要ないわ」

 

私達の会話を割る様にチュチュがパレオと一緒にスタジオに入ってくるけど、パレオの表情が浮かない顔をしている。

 

その中でチュチュが自身で考えたここからの逆転の手段話し始める。

 

 

 

 

 

 

「他のライブハウスに殴り込みをかける。RASの実力はすでに知れ渡っているわ・・・。私達が仕掛ければ他のバンドは出演を辞退する・・・いえ、させてみせる」

 

「・・・物騒だな」

 

私もdub以外のライブハウスに行ってライブこと事態はいい。

むしろ機会が増えるのは悪い事じゃないけれど、そのために他のバンドの出演を辞退させようとするという事には賛同できなかった。

 

ますきが私達が思っていたことを代弁するように声を挙げるけど、チュチュの言葉は止まらなかった。

 

「それから・・・ここからは私の命令に全て従ってもらうわ。あなた達のスケジュールも私が管理する。他のバンドとの接触も禁止。時間の無駄だから」

 

「「えっ・・・?」」

 

「なんだそりゃ・・・」

 

そこから先は流石の私も不満を覚えた。

1位のために行動を起こそうとするのは悪いことではないけれど、その手段もそのために私達を物みたいに扱おうとするその姿勢が許せなかった。

 

そんなチュチュにますきは食って掛かる。

 

「マジで言ってんのか?」

 

「・・・これは戦いなのよ!!」

 

戦い・・・

確かに順位をつけて争っているからチュチュが今回のイベントの事を”戦い”と言うのも理解が出来る。

 

 

 

 

 

 

でも、チュチュ以外の全員は弦太朗が命がけで戦いをしているのを知ってしまっていた。

 

そんな私達にはチュチュが今言っている”戦い”は酷く自分勝手で薄っぺらで、全くその言葉の重みを感じられなかった。

 

そんな彼女にますきが反論し始めた。

 

「ちっちぇな・・・だからRoseliaに負けんだよ・・・」

 

「はぁ!?負けてない!!この間だって勝ったじゃない!!それに普通に音楽やってたら勝てないからってRoseliaは音楽からヒーローショーに逃げる様なバンドに成り下がってた!!そんな連中に私達が負けるはずがない!!もう1度・・・いえ、何度やっても絶対に私達が勝つわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そうかな?」

 

「えっ・・・?なに・・・?何言ってるの・・・?」

 

チュチュの言った言葉を聞いた私は無意識に思っていたことを口にしてしまっていた。

それを聞いたチュチュが私に視線を向けてくるけど、漏れてしまった言葉の気まずさも会ってチュチュから目を逸らしてしまった。

 

 

 

 

 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

 

 

 

 

「そんな気持ちじゃ勝てる物も勝てない!!あなたRASの自覚あるの?他の2人もそう!!ポピパのライブに行く時間も遊んでる時間もない!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「そんな気持ちで私のバンドに参加しないで!!」

 

チュチュは遂に”私達”では無く”私”と言い始め、そんなチュチュに呆れてしまって背けてた顔を挙げるとますきがチュチュを宥めようと手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

 

でも、チュチュはそれを振り払っていた。

 

「逆らう気!?私はプロデューサーよ!!」

 

「そうかよ」

 

ますきがそうチュチュに冷たい視線を向けながら呟くとスタジオを出て行く。

そんなますきの行動にみんなが固まってしまったが、ロックが最初に我に返るとますきを追いかけ始めて、泣き出したチュチュとそれを追いかけてパレオがスタジオを飛び出していくと私は1人、スタジオに残されてしまった。

 

いつも練習しているスタジオを見渡すが、自分の呼吸音くらいしか聞こえないそこは以上に広く感じてしまった。

 

私はどうしていいかわからずに俯いた時にあるものが目に入った。

 

「これ・・・ますきのスマホ・・・」

 

スタジオの扉の前にはますきの使っているスマホが落ちていた。

私はそれを拾い上げ、自分の荷物を手に取るとますき達が向かっているであろう駅に最短ルートで走り出すと、駅前ではロックがますきを捕まえている光景が飛び込んできた。

 

「レイ・・・」

 

「これ、落としてたよ」

 

「わりぃ・・・」

 

ますきは私からスマホを受け取るとそのまま電車のホームへと向かってしまい、それを見て私とロックもそれを追いかけて同じ電車に乗って同じ駅で降りる。

 

その間無言だったけど、ロックが電車を降りると私達に声をかけてきた。

 

 

「あの!!・・・ラーメン行きませんか?」

 

「おう・・・」

 

「うん・・・」

 

 

 

――――――

 

「それでラーメン食べることになったんだけど、ラーメン屋に向かってたら・・・」

 

「なるほどな・・・」

 

 

「これからどうなってまうんやろ・・・」

 

ここで弦太朗が合流するまでに起こった出来事を話し終えたレイヤはどこか複雑そうな表情を浮かべていたが、それでも先ほどよりかは表情は明るくなっていたが、一方のロックは今後が不安になってしまって表情が暗くなっていく。

 

そんな2人を見て、痛みに耐えながらも弦太朗は傷だらけの身体でベットから立ち上がると2人は驚きを隠すことが出来ずに声を出してしまった。

 

「っう・・・!!」

 

「弦太朗!?」

 

「なら、早く寝て明日にでもチュチュと話せばいいだろ」

 

「如月先輩!?まだ痛むんじゃ!?」

 

「大丈夫だから気にすんなって・・・!!」

 

「でも・・・」

 

「ロック送んねぇとダメだろ?それに俺がここで寝てたらレイが寝れねぇだろ?」

 

弦太朗はそう言うとボロボロになっていた自分の上着を手に取ると部屋の外へ向かう。

そして部屋を出る直前に弦太朗はレイヤの方へと振り向いた。

 

「じゃあな!!また明日!!それと今日はあんがとな・・・」

 

弦太朗はレイヤに別れの言葉を言って部屋を後にする。

そんな様子に2人とも固まってしまったが、不意にレイヤが笑みを浮かべて呟いた。

 

 

 

「やっぱり、凄いな・・・」

 

「えっ?レイヤさん?今なんて・・・?」

 

「なんでもないよ。ほら弦太朗が待ってるから早く行かないと。花ちゃんから聞いたけど、明日テストなんでしょ?」

 

「えっ!?・・・はい!!」

 

レイヤに急かされたロックは自分の荷物を掴むと急いで弦太朗の後を追う様に部屋を出て行く。

そんな2人を見送ったレイヤはそのままベットに横になって精神的に疲れていたのかそのまますぐに意識を手放してしまった。

 

 





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本・心・不・通-4 狼狽マイハート

投稿です。

BlackSunはどうしてああなった・・・
あれはR18になるもの納得の出来です・・・

色々思うところもあるけれど、アクションは好きでした○


 

「はぁ~・・・」

 

気だるさを覚える早朝にロックは下宿先の布団で目を覚ますと同時にため息をこぼした。

今日は羽丘では定期テストがあったが、今の彼女は昨日の出来事で頭が一杯になっていたが、そんな中でも下宿先である旭湯の手伝いはある。

 

彼女はそそくさと銭湯へと顔を出していつもと同じように手伝いをするのだが・・・

 

 

「うわぁ!?」

 

慣れたはずの銭湯の手伝いだが、彼女は普段からやっている作業にも関わらずあり得ないミスを繰り返してしまう。

それを見た叔母は手伝いと切り上げさせるとそのままロックは自室に戻って制服に袖を通すとそのまま学校へと向かうものの、その道中でも幾度となくため息が零れる。

 

今まで何度も通っている通学路を何度もため息をつく。

そして教室入って自身の席に着くと同時に再びのため息をついた所にクラスメイトの明日香が彼女の元に歩み寄って来る。

 

「おはよ」

 

「おはようございます・・・はぁ・・・」

 

明日香の挨拶を返してすぐにため息をこぼしたのを見て明日香はそれ以上話すことはなく彼女を見ていたが、しばらくするとあこが教室に入って荷物を置くとすぐにロックの席へと歩み寄ってくるがその目には涙が滲んでいた。

 

「うぅううう・・・はぁ・・・」

 

「はぁ~~~~~~・・・・・・・・・」

 

 

「ふぇ?あこより凄いため息・・・」

 

「朝からずっとこんな感じ」

 

あこの涙交じりのため息に、意図せずロックはそれ以上に大きなため息で返していた。

そんな様子に驚いたような表情を浮かべたあこに明日香がロックの様子について語るが、彼女は思い当たる節があったのか満面の笑みを浮かべていた。

 

「あ~!!ろっかもテスト勉強してない仲間だ~!!テスト終わったら予選ライブだもんね~!!頑張らないと~!!」

 

「あぁ・・・うん・・・」

 

生返事を返すロックだったが、あこはそれを聞かずに話を続ける。

 

「ふっふっふ・・・。国語の試練より解き放たれし時・・・。あこの自由が約束されるのだ!!」

 

「それ・・・最近見てなかったけど・・・」

 

「本物の闇の力見たからね~。でね!!あこの山勘だと65ページの・・・」

 

「・・・・・・そこ、中間で出たよ」

 

「えぇぇえええええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「はぁ・・・・・・」」」

 

山感がこの前の試験範囲であることを指摘されたあこは驚きの声を挙げて不安そうな表情を浮かべ、あこの言葉を聞いて以前の出来事が頭を過り気分が沈む明日香、そして先日のバンドでの問題とまた自分が狙われて弦太朗に多大なる迷惑をかけていると思い込んでいるロック。

 

3人は全く別のことを考えていたのにも拘らず、同じタイミングでため息を零した。

 

 

そんな空気をあこが感じると咄嗟に空気を変えようと声を挙げる。

 

「大丈夫!!あすかの事はもう終わったことだし!!ロックも!!あこもテスト勉強やってないから~!!」

 

「はぁ・・・大丈夫じゃないでしょ・・・」

 

あこの言葉を聞いた明日香は今度はあこの言葉に呆れながらため息をつく。

今でも自分は気にしていたのに、相手に気にしてないと言われてあこが気楽過ぎることに呆れてため息をついてしまう。

 

「大丈夫や・・・ないんや・・・」

 

「「んっ・・・?」」

 

ロックの言葉を聞いて首を傾げる2人。

すこしだけ考えた明日香はここでようやく彼女の悩みがテスト出ない何かであることが気づくがこれを直接本人に聞いていいか考えているとあこが動いた。

 

「ろっか?さっきから独り言ばっかりだけど・・・・・・テスト以外に何かあるの?」

 

「ふぇ?」

 

 

 

 

 

「ちょっとあこ・・・いきなり聞く・・・?」

 

「もしかして・・・私、何か言ってた・・・?」

 

「うん・・・」

 

あこが何も考えずにロックへと質問するとその事に明日香が声を出して呆れるものの、ロックはほとんど無意識に言葉を返していたことを2人に聞き返す。

 

それを見て明日香は少しだけ戸惑いながらも答えるとロックは昨日の出来事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?そうだったの~!?」

 

「ちょっと!!声が大きいから!!大丈夫。なんでもないから~!!」

 

一通りの話を聞いたあこは大声をあげるとクラス中の視線が集まってしまうが、すぐに横にいた明日香があこに注意して止めてクラスのみんなを誤魔化し始めるとすぐに視線はあこ達から外れていく。

 

「それで・・・大丈夫なの・・・?狙われてるんでしょ・・・?」

 

「大丈夫だよ!!だって弦太朗がいるんだよ?」

 

「でも・・・大怪我してるんでしょ・・・?大丈夫・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「ゴメン・・・」

 

明日香はあこの言葉に現実な意見を述べるが、それを言ってしまった明日香はふとロックに視線を向けるとそこには不安に表情を曇らせているロックの姿を見て表情を曇らせながら謝罪の言葉を述べて彼女もまた俯いてしまった。

 

「でも!!バンドの方はきっと大丈夫だよ!!キングもいるし!!」

 

「うん・・・」

 

「そうそろ時間になるから席戻ろ?」

 

「ロック!!がんばろーね!!」

 

そう言い残して2人はロックの席から離れて行くが、その2人の行動が昨日のますきの行動と被って見えてしまい身体が固まってしまい身体がうまく動かせなくなってしまったロックは身体同様に上手く動かなくなってしまった思考と共にテストへと向き合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ロックはかろうじでテストを乗り気ることに成功した。

自己採点では点数事体は前回よりも下がってしまったものの、勿論補修になるような点数ではない。

それに今回のテストだけで特待生の条件から外れることもないだろうと胸を撫でおろしていた。

 

ロックは首を動かしてあこと明日香へと視線を向ける。

そこには机に突っ伏して動かなくなっているあこと、多少の手ごたえを感じて安堵の表情を浮かべている明日香と言う両極端の姿が映る。

 

2人はロックの視線に気が付くと、今朝同様にそのまま彼女の元へと歩み寄る

 

「ろっか~。どうだった~?」

 

「うん・・・。補修はないと思うんやけど・・・」

 

「まぁ、特待生だからそこは大丈夫だと思うけど・・・あこは大丈夫だったの?」

 

「あすか~。補修になったらどうしよ~!!」

 

「まぁ、勉強なら教えてあげるから~」

 

「うぅぅ~・・・」

 

補修になるとバンドリの決勝に出れなくなる可能性があるため、あこは補修の心配をするが、明日香の言葉を受けてあこが唸る。

流石によほどの成績でない限りは補修なんてことにはならないだろうが、あこは不安そうな表情を見て明日香が咄嗟に話を切り替える。

 

「そう言えば2人ともこの後ライブでしょ?準備はしなくていいの・・・?」

 

「そうだった!!ろっかいこ!!」

 

「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんみたいで扱いやすい・・・」

 

「あすか~?何か言った?」

 

「なにも~」

 

ライブの話に話題を変えると途端に元気を取り戻すあこにの姿に明日香は姉のことを思い浮かぶと呟いてしまうと、聞こえたようで咄嗟に誤魔化す。

 

 

 

そんなやり取りを前にしてロックは2人と共に学校を出ようとすると、他の生徒達が何かを避けるように歩いている光景が視界に入ってくる。

彼女達はその生徒達が避けているであろうものを見ようと視線を向けると、見覚えのある人物がいた。

 

 

 

「あれって・・・?」

 

「げんたろうだ!!」

 

「そう言えば花咲川も今日テストで早かったんだ・・・」

 

「お~い!!げんたろう~!!」

 

校門の前にいたのは弦太朗だった。

彼女達はすぐに弦太朗に歩み寄るが、彼の姿を見たあこと明日香の表情が固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制服はいつも通りの改造した学ランであり、そこにはもう何も言うことはない。

しかし、問題は弦太朗が頭や腕などの部分に昨日負った怪我がハッキリと残っていた。

固まる2人を他所にロックだけは弦太朗の姿では無く別の事に驚いていた。

 

「如月先輩!?普通に立っとるけど足は・・・?」

 

「・・・歩く分なら問題ねぇから気にすんなって!!」

 

 

 

彼は昨日あんなに大怪我をしていたのにも関わらず普通に立っているという事実に驚きを隠せなかったが、そんな中で明日香はすぐに我に返ると率直な疑問をぶつけようとするが、ここで別の知り合いがこの場に現れる。

 

「弦太朗・・・?なにしてんの・・・?」

 

「蘭達じゃねぇか!!」

 

「ど~も~・・・」

 

「ってあこ達も一緒か!!」

 

「おねーちゃん!!」

 

「って弦太朗くん・・・!?」

 

「如月くん・・・その傷どうしたの・・・!?」

 

そこに現われたのはAfterglowの5人。

目に見える怪我に驚くような表情を浮かべる5人だったが、どこか様子がおかしい彼女達に弦太朗は思わず声をかけた。

 

「なんで巴以外ゲッソリしてるんだ?そんなにテストヤバかったのか・・・?」

 

「あぁ、実は如月の帰った後に焼肉行ったんだけどさ・・・」

 

 

 

「巴!!それ以上言わないで!!」

 

「そうだよ・・・思い出したくない・・・」

 

「モカちゃんも・・・」

 

「あれは・・・うん・・・」

 

「あこも!!」

 

巴が昨日会ったことを説明しようとするが、若干のトラウマになっているあことバンドメンバー達が彼女の説明を阻止しようとする。

 

それを見て巴もそれ以上に説明を辞めた。

 

「まぁ・・・大体はこんな感じだ・・・」

 

「いや、分かんねぇよ・・・」

 

これを見ても全く状況が分からない弦太朗だったが、空気を読んだ明日香が再び話を戻そうと彼に質問をする。

 

 

 

「そう言えば、如月さん?何でここにいるんですか?」

 

「今日の香澄達のライブ見に行くから、有咲とりみと3人でいたんだけどよ。怪我の事を2人に聞かれて話したら、「ロックが狙われてるんだから一緒にいろ」って有咲の奴に言われてな・・・」

 

「そうだったんですね・・・」

 

その怪我でどうするんだとも思ったが、流石にこれ以上の質問はロックを不安にさせるだけと感じて明日香はこれ以上の追及を辞める。

 

「それじゃ。私達はここで・・・」

 

「ばいば~い!!」

 

「またな!!」

 

 

 

 

「んじゃ、アタシ達も帰るぞ~」

 

「「「「うん・・・」」」」

 

「よく分かんねぇけど・・・またな・・・」

 

 

明日香はそのままあこと共に2人で帰っていくと、巴の言葉に他のメンバーもゲッソリとした顔で巴の後ろを歩いていく姿を見送ると、弦太朗はロックへと視線を送る。

 

「まずはギター取りに帰るのか?」

 

「はい・・・」

 

「んじゃ、行くか」

 

そして皆を見送ってからロックは一旦帰宅するために歩き出す。

その後ろを弦太朗が怪我した左脚を庇いながら後れない様にその背中を追いかけていくのだった。

 




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本・心・不・通-5 この思い、胸に宿して

投稿です。

うごごごごご・・・
RAS篇の筆が進まない・・・

でもやらねば・・・



 

「なぁ、ロック・・・」

 

「・・・」

 

弦太朗とロックが羽丘から2人で並んで歩いている最中、弦太朗がロックへと話しかけるが彼女は俯いたまま返事がない。

 

そして商店街にあるますきの実家である八百屋の前でロックは立ち止まる。

明らかに落ち込んでいるのが分かっている弦太朗だったが、流石に気になってしまい彼女と話すべく声をかけながら肩を叩く。

 

「ロック?」

 

「わひゃ~!?如月先輩!?」

 

「うわぁ!?なんつー叫び声挙げてんだよ!?」

 

「あわわわわ・・・!?」

 

「落ち着けって!?」

 

肩を叩いた途端ロックからなんと形容していいか分からないが驚いたような声を挙がると、叩いた側である弦太朗も驚きの声を挙げてしまう。

 

しかも、商店街で声を挙げてしまったために周囲の視線が刺さっていることにロックが焦り始め、弦太朗が何とか宥めようとするが彼女は一向に落ち着かずにヒートアップしていく。

 

 

 

 

そんな時に弦太朗の持っていたカバンの中からソフトーニャがロックの前に飛び出して、その顔面に冷風を吹き付ける。

 

「冷たっ!?ってなんやこれ・・・?」

 

「前も見ただろ?ほら・・・」

 

「あの時ってこれだったんですか!?」

 

ロックは突然の冷気を感じて驚くが、その冷たさもあってかなんとか落ち着くが次はソフトーニャの存在に驚きを隠せずにいた。

しかし、先ほどよりは落ち着いているのが分かった弦太朗はすぐ彼女に話しはじめる。

 

 

 

 

 

「ロック、さっきから呼んでたんだけどよ・・・」

 

「えぇ!?・・・すいません・・・」

 

「それは気にしてねぇけど・・・。何で急に止まったんだ?」

 

弦太朗の言葉にロックは申し訳なさそうな表情を浮かべるも、彼は気にするような事も無く疑問を口にしながらロックが視線を向けた方へと視線を向ける。

そこには普段ならますきのバイクが停まっているはずの駐輪場なのだが今はそのバイクが無く、あるのは弦太朗のバイクだけだった。

 

「そういえば、ますきのバイクがねぇな・・・」

 

「ますきさん・・・もう会場に行ったのかな・・・?」

 

「でも、アイツも学校だろ?」

 

「私、ちょっと聞いてきます」

 

「俺も行くぜ」

 

そう言ってロックは八百屋の方に向かって店番をしているますきの父に話を聞くが、まだ帰ってきていないらしい。

 

ロックと弦太朗はそのまま頭を下げてまた歩き始めると目の前には沙綾の店の袋を抱えている香澄がいた。

 

「ロック・・・?それにゲンちゃん?」

 

「よっ」

 

「香澄先輩・・・」

 

「・・・」

 

先日の話を聞いていた香澄は最初に弦太朗へと視線を向ける。

包帯で怪我を隠しているものの以外と元気そうで安心していたが、そんな彼とは対照的にロックの落ち込んでいる様子が気になってしまっていた。

 

「ゲンちゃん、ロックとお話してきてもいい?」

 

「おう、それなら俺は沙綾の店で昼飯買ってくるから」

 

そう言い残して弦太朗がやまぶきベーカリーへと入っていくのを見送った。

 

 

 

 

 

香澄はソフトーニャを抱えたロックの腕を引いて近くの公園まで移動すると、ベンチに座ると無言でさっき買ったパンを1つロックへと手渡す。

 

「・・・いただきます」

 

「ロック、元気ないね・・・?」

 

「元気です!!・・・わぁ・・・私、粒あん好きなんです!!」

 

ロックは不安な気持ちを押し殺して取り繕うも香澄はその嘘を見破っており、香澄はそれを指摘することなくただロックに笑みを浮かべている。

ロックは受け取ったパンを二つに割って中身の話で誤魔化そうとするが、すぐにばれてしまったので隠すのを辞めた。

 

「すいません・・・背中押してもらってばかりなのに、気まで使わせてしまって・・・」

 

「そんなことないよ~!!私もポピパもロックには一杯助けてもらって・・・!!」

 

「いえいえ!!そんなこと!!」

 

「どうしたの・・・?」

 

香澄に気を遣おうとしていることが見透かされているロックはどうしようか考え始め無言になってしまうが、その間も香澄はずっと彼女の言葉を待っていると決心した彼女はその重い口を開く。

 

「わやになってしまって・・・」

 

「わや・・・?」

 

「あっ・・・めちゃくちゃって意味で!!」

 

思わず出てしまった方言、その意味を香澄に説明しながらもロックは話を続けていく。

 

「RASの方で色々あって・・・私、RASもポピパさんみたいな素敵なバンドになれるって思ってたんです・・・全員仲が良くて楽しそうな・・・」

 

「わや・・・」

 

「それにまた私が怪物に狙われてるみたいで・・・そのせいで如月さんも・・・」

 

先日のチュチュとますきの喧嘩に始まり、その帰り道にはまた襲われてしまったせいで弦太朗が怪我をしてしまったと思い込んで罪悪感を感じたロックの言葉が詰まるのを見て香澄が声をかける。

 

 

 

「諦めない!!」

 

「へっ・・・?」

 

「出来ることをやって、みんながどうしたいか聞いて、ゲンちゃんも前に言ってたんだけど自分の気持ちをみんなに話せばいいんだよ!!」

 

「聞く・・・気持ちを話す・・・」

 

「うん!!バンドはみんなでバンドだから!!」

 

 

「ポピパもね。喧嘩することもあって・・・でも、それはポピパが大事で大好きだから!!どうすれば良いかいつも考えてるからポピパはポピパなんだって思うんだ!!」

 

「そうなんや・・・でも・・・・私のせいでみんなが危ない目に・・・」

 

 

 

 

 

「それも大丈夫!!ゲンちゃんがね前に言ってたの!!ピンチの時に助け合うのが友達だって!!ロックもゲンちゃんと友達でしょ?」

 

「えっと・・・そうですね・・・」

 

「だったら今度ゲンちゃんが困ってる時に助けてあげればいいんだよ!!・・・って言っても私もゲンちゃんには助けてもらってばっかりだけどね?」

 

「如月先輩・・・」

 

照れながら会話する香澄だったが、ロックはその会話の最中に弦太朗と2人きりで話していたことが頭に浮かび、その時に言われた言葉が声に出してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する・・・」

 

「ロック・・・?」

 

「いえ!!前に如月先輩にそう言われたんです!!」

 

「そうなんだ!!だったらロックも手を伸ばさないとね?」

 

ロックの話を聞いた香澄は以前のように彼女の背中を押すために優しく微笑みながら彼女に語りかける。

その言葉にロックはすぐに応える。

 

 

 

 

「・・・私、行かんと!!」

 

「ロック?」

 

「ありがとうございました!!」

 

例の言葉をいったロックは自身のカバンを手に取る。

しかし、片手が香澄から貰ったパンで埋まっていることを思い出したロックは―――

 

 

 

 

 

「ふがっ!!」

 

「ロック!?」

 

自身の口の中に強引のパンを押し込んだ。

しかし、無理やり入れたせいか口の周りにはパンの中に詰まっていた粒あんが盛大にくっ付いているが、彼女自身はそれを気にすることなくソフトーニャを手に取り直して弦太朗がいるであろう商店街へと駆け出そうとするが一度立ち止まって香澄の方へと振り返る。

 

 

「ふぁん!!ふぉちふぉうふぁまふぇす!!(パン!!ごちそうさまです!!)」

 

「ふふっ・・・何言ってるか分かんないよ・・・?」

 

感謝の言葉を伝えると再び駆け出すロックだったが、香澄はそんな彼女を笑みを浮かべながら見送っていく。

 

 

 

 

 

そしてロックが商店街へと戻るとちょうど弦太朗がやまぶきベーカリーから出ようとしていた。

 

「そろそろ行かねぇとな・・・」

 

「うん・・・。また後でね?それとまた店にも来てね?」

 

「おう!!それじゃ後でな!!」

 

 

「如月先輩!! 」

 

「ロック。香澄との話は・・・?」

 

「大丈夫です!!」

 

「そんじゃ・・・ロックの家に・・・」

 

 

「待ってください!!」

 

先ほどよりも表情が明るくなったロックを見た弦太朗はパンを抱えながら当初の目的地であるロックの家へと向かおうとするが彼女自身がそれを静止させた。

 

彼はどういうことか分からずに振り返ってロックへ視線を向けると彼女はそのまま話し始めた。

 

「ん?ギター取りに行かなくていいのか?」

 

「えっと・・・ギターはチュチュさんの家にも同じのがあるので大丈夫です!!」

 

「だったらチュチュのとこか・・・」

 

「それより先に行きたい場所があって・・・」

 

「どこだ・・・?」

 

自宅でもチュチュのマンションでもない場所に行きたがっているロック。

そんな彼女を見て弦太朗は彼女の目的地が全く見当がついておらず首を傾げてしまうが、ロックははっきりと目的地を告げた。

 

 

 

 

「ますきさんの学校です!!迎えに行きましょう!!」

 

「なるほどな!!なら行くか!!・・・って場所どこだ?」

 

「一旦、調べます!!」

 

ロックがますきの学校の場所を調べると弦太朗のバイクの後ろに跨る。

それを確認した弦太朗はロックの指示にしたがってますきの通っている学校までバイクを飛ばしていくのだった。

 

 

 





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本・心・不・通-6 不良と庶民とお嬢様


投稿です。

仕事がなければ、ライブ行きたかった・・・
ぐぬぬぬぬぬ・・・・・・


 

「ここみたいです・・・!!」

 

「でけぇ・・・ましろ達のとこといい勝負してんな・・・。とりあえず、近くにバイク停めてくる・・・」

 

「分かりました」

 

弦太朗達はますきが通っている学校の前までやってきていたが生徒が出てきている様な気配はなく、弦太朗は近くにバイクを停めて校門の前に戻ってきてすぐに、学校から修道女の様な服を着た職員が門へと近づいてくる。

 

「あわわわ・・・!!隠れましょう!!」

 

何を思ったのかロックは弦太朗の身体を引いて校門の柱に身を隠し、それに気が付かずに職員が門を開けてその門の前に直立し始める。

 

そして学校の方から少しだけ声が聞こえてくると生徒が少しずつ校門へ向かって来る。

ロックと弦太朗は校門に隠れながらますきを探すがなかなか見つからない。

 

「どうしたんやろ・・・」

 

「なにしてんだ・・・?」

 

小さな声で会話をする2人だったが、そのまま待っていると見覚えのある顔が校舎から歩いてくるのが見えてくる。

 

「ますきさ・・・」

 

ロックは校門から声を挙げようとしたが、目の前で起こった出来事に言葉を詰まらせてしまった。

 

 

 

 

 

 

「ごきげんよう・・・」

 

「ごきげんよう」

 

 

 

 

 

 

「なんやこれ・・・」

 

「なんだこれ・・・?」

 

大きな声ではないが狂犬とまで言われていたますきの挨拶をロック達の耳はハッキリと捉えてしまった。

 

あのますきがあんなに上品な挨拶をしたということに驚きを隠せなかった2人からは思わず声が漏れてしまうが、ますきはそんな2人に気づかずにすれ違う生徒達に同じ挨拶をしながら歩いていた。

 

しかし、2人の前には木陰からますきの後輩と思われる生徒達が出てくる。

それだけでは特段気にするようなこともないが、彼女達の口からは外野の2人からは考えられない言葉が飛び出してきた。

 

「ますきお姉様!!」

 

「ますきお姉様!!」

 

「ますきお姉様!!」

 

「ん?」

 

「本日の演奏会、お花をもって伺いますね!!」

 

「楽しみにしております!!」

 

「うっ・・・おぉ・・・。あっ?」

 

後輩たちの言葉にたじろいで視線を逸らしたますき。

しかし、その視線の先には―――

 

 

 

 

 

 

「ますき・・・お姉さま・・・」

 

「うぉ!!ロック!?なんでここに!?」

 

校門からこの光景を見ていたロックがいた。

思わずますきは駆け出すが、そんな彼女にロックは声を張り上げた。

 

 

 

「ますきさん!!やめないでください!!私達このままじゃダメになります!!」

 

「はぁ?」

 

急なロックの叫びに意味が分からずに首を傾げるますきだったが、ここでもう1人の外野が声を挙げた。

 

「いいぞロック!!そのまま自分の考えをぶつけてやれ!!」

 

「はいっ!!」

 

「げっ!!弦太朗!?」

 

 

ロックがいることだけでも驚いていたのに、この場に弦太朗がいることなど完全に想定していなかった。

彼を見た途端に嫌な予感を感じたますきだったが彼女の勘は当たっていた。

 

 

 

「「「「「いやぁああああああああああああああ!!」」」」」

 

 

 

「うぉっ!?」

 

校内にいた生徒達が弦太朗の姿を見て叫び出す。

ますきとロックからしたら怪我をしていることを除けば弦太朗の姿は見慣れたものであったが、ますきの学校の生徒達からしたら明らかに素行の悪そうな見た目の男子が校門の前にいるという状況に恐怖しか感じていなかった。

 

叫び声に驚いた弦太朗が次に感じたのは校門にいた教員の冷たい視線。

そして、その叫び声を聞いた学内から警備員と思われる人間達が弦太朗へと殺到していく。

 

「なんだっ!?」

 

明らかな異常事態に驚きを隠せない弦太朗だったが構うことなく警備員は不審人物と思われる弦太朗へと飛び掛かる。

 

しかし、彼もただの不良高校生と言うだけではなく、裏では仮面ライダーとして戦いを続けている。

足を怪我しているというハンデがあろうが、ただ警備員を捌くだけだったら今の彼でも十分だった。

 

「あぶねっ!?ちょっと待てって!!こっちはますきに用があって来ただけ!!って話聞けよ!!」

 

「如月先輩!?」

 

 

 

 

「話くらい聞けって!!おい!!ますきからも何か言ってくれよ!!」

 

飛び掛かってくる警備員たちを躱しながらここに来た目的を言うが誰一人として聞く耳を持たず、弦太朗を取り押さえようと鬼のような形相で向かってくる。

 

「ちょっと本当に話聞けって!!」

 

「えっと・・・!!その・・・!!」

 

弦太朗も流石に何もしていないただの人間相手に暴力を使う訳にも行かないのでなんとか避けてやり過ごす光景を前にロックは慌てて言葉が纏まらない。

 

 

 

そんな光景を前にして周囲の生徒達からは恐怖と困惑の表情が入り混じりながらも、ヒソヒソと話し声が漏れてくる。

 

 

 

「あの方たちどなたでしょう・・・?」

 

「ますきお姉さまとどういったお知り合いなの・・・?」

 

「あれが噂に聞く三角関係というものかしら?」

 

「・・・嫌いじゃないわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 

周囲の生徒達の言葉が聞こえ、呆然としていたますきは我に返った。

そして目の前を見ると痛みを抑えながら警備員の猛攻を躱している弦太朗を視界にとらえるとますきは慌てながら弦太朗と警備員の前に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ってください!!そいつ、私の親戚っす!!」

 

「「「「「「えっ・・・?」」」」」」

 

まさか過ぎるますきの言葉に弦太朗や警備員を始めとして、この場にいた全員が動きを止めてしまった。

勿論その言葉は全くの嘘なのだが、全くの斜め上の解凍にその場の空気が凍り付くとその間にますきは弦太朗とロックへと歩み寄るがすぐに2人が再起動した。

 

 

 

 

「はぁ?お前何言って・・・」

 

「ちょっとますきさ・・・」

 

「うっせぇ、話合わせろ・・・」

 

驚きを隠せない弦太朗達が声を挙げようとするが即座にますきが2人を黙らせる。

それを見てますきは2人の後ろに回りこむとこれ以上余計なことを言わない様に片手ずつで2人の口を抑え込む。

 

 

 

「・・・それではごきげんよう」

 

「「ん~!!」」

 

「暴れんなっ!!」

 

余計なことを言う前にここから離れるべきと判断したますきは2人をそのまま引き摺ってそのまま学校から離れて行く。

その行動は周囲の視線を集めてしまうが今の彼女はそれどころではなく、一刻も早くこの場所を離れることを優先した。

 

そして周囲の目が無くなったがますきは自身のバイクが停めてある場所までそのまま連れて行くと2人を解放した。

 

「・・・ついて来い」

 

「俺もバイク取ってくる」

 

弦太朗もそう言うと自身のバイクを取りに戻り、ロックを再び後ろの乗せて目的地も知らないままに彼女の後を追う。

そして、彼女のバイクはバンドリの決勝会場でもある武道館の前でバイクを停めると車止めに腰を下ろした。

弦太朗はバイクから降りるとロックを車止めに座らせてから、自分は地面に座り込むとロックは自身が思っていることを口に漏れ出してしまった。

 

 

 

 

「あの・・・お姉さまって・・・」

 

「先輩って意味だ。妹じゃねぇ・・・」

 

「にしても、ますきが「ごきげんよう」なんて挨拶するなんて思わなかったぜ?」

 

「私もです・・・」

 

「あっ?」

 

「ひっ!!」

 

「ロック落ち着けって」

 

学校でもますきの姿を見た感想が最初に漏れてしまい、揶揄われていると思ってしまったますきは2人を睨む。

その姿に怖がるロックを弦太朗が宥め始めると、呆れてしまったのかますきは肩を落としてため息を零しながら2人に問いかけた。

 

 

 

 

 

「・・・ったくお前ら何しにうちの学校まで来たんだよ」

 

「ロックがお前に言いてぇことがあるんだってよ」

 

「あっ?」

 

「ロックが思ってること言えばいいんだよ」

 

ますきに視線を向けれてロックは急な展開に慌ててしまうが、弦太朗の言葉を聞いて一旦落ち着こうと深く息を吸い込むとありったけの思いを込めて言葉を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バンド辞めないでほしいんです!!」

 

「はぁ?」

 

「私、ますきさんがドラムしてくれてるから思いっきり演奏が出来るんです!!だから!!」

 

「待て待て!!ロック!!」

 

「だから!!あの!!」

 

「だぁ~!!だからあたしの話を聞け~~~!!」

 

ロックの言葉の意味が分からかったますきは彼女の話を止めさせようとするがロックは全く止まらず、仕方なく無理やり口を手で塞いで物理的に話を止めにかかった。

 

「むっ~~~!!」

 

「ますき何やってんだ?」

 

「いや、それこっちのセリフだかんな?てか、何であたしがバンド辞めるみたいなことになってんだよ?」

 

「ロックに聞いてくれよ・・・」

 

ますきの疑問に弦太朗が答えると彼女はロックの口を抑え込んでいた手を退かす。

口が自由になったロックだったが、彼女自身困惑した様子を浮かべていた。

 

「えっと・・・昨日、怒ってチュチュさんのとこ飛び出してまったし・・・、その後にレイヤさんの家からも・・・」

 

「それは・・・悪かったよ・・・。色々あって気持ちの整理っていうか・・・頭冷やしたくてよ・・・」

 

ますきは昨日の行動の理由を話す。

そして、少し無言になると途端に頭を抱えて叫び出す。

 

「あ~~~~~~!!今日のライブ!!顔合わせずれぇ~~~!!」

 

そして叫び終えると2人から見えない様に顔を腕で隠そうとするが、耳まで赤くなっているのがハッキリと見えていたがロックがそんなますきに声をかける。

 

「だったらなおさら行きましょう!!」

 

「・・・チュチュから連絡ねぇし・・・」

 

「大丈夫です!!」

 

顔を伏せるますきだったが、その横でロックが立ち上がるとますきのバイクからヘルメットを彼女へと突きつける。

 

「行きましょう!!」

 

「・・・ったく、しゃあねぇなぁ。弦太朗も来いよ」

 

「おう」

 

「ロック、次はあたしの方に乗れよ」

 

彼らはロックの勢いに流されるように再びヘルメットを手に取るとバイクに跨ってチュチュのマンション目指してバイクを走らせるのだった。

 





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本・心・不・通-7 少女は何をレイヤに伝えようとしたのか

先日はライブお疲れ様でした。
私は仕事(接待)が急遽中止になったので、運よく買えた当日券を購入して急遽参戦しました。
勿論ブレード等は現地で揃えました・・・

物販並んでしまったせいでOA逃したのと、直前で蘭の法被が売り切れてしまったけど・・・
香澄の法被を買ったのでよし!!

ってことで投稿です。



 

私は学校を終えてからライブのためにチュチュのマンションに向かっていた。

今朝まではなんてことは無かったのに、今はパフォーマンスに影響があるのではないかと思うくらいに私の気分は沈んでいた。

 

そんな私はある店の前を通りがかった時にある光景を目撃した。

 

「あっ・・・」

 

 

 

 

「・・・」

 

店の中にいたのはバイト中にお店の物らしきギターを弾きながら接客をしている花ちゃん。

なんで弾いてるのかは分からないけど、それでも楽しそうにギターを鳴らしている花ちゃんが羨ましくなって私は花ちゃんから視線を逸らしてまた歩き出して店を離れた時にその扉が開くわずかな音と、店内から響く楽器の音が私の耳に届いた。

 

 

 

「レイ・・・」

 

「あっ・・・」

 

そして、私は店から出てきた花ちゃんに呼び止められるとそのまま声のした方へと振り返った。

 

「お困りですか?」

 

「花ちゃん・・・」

 

花ちゃんの名前を呼ぶと私はそのまま腕を掴まれて店内の椅子に座らされたと思ったら、花ちゃんは仕事に戻ったのかギターのチューニングを始めてしまった。

 

最初はこの行動の意味が分からかったが、きっと花ちゃんは相談に乗るために私が話し出すのを待っているんだ。

だから、今もギターを触りながらもこちらに意識を向けているのはよく分かるし、花ちゃんからも何も言ってこない。

 

ギターのチューニングをする音が2人の間に響くが私は今の気持ちを素直に話してみることにした。

 

 

 

「私ね・・・チュチュに「RASの自覚あるの?」って言われて・・・正直ショックだった」

 

「・・・」

 

「歌も演奏も本気でやってきたつもりだったんだけど・・・私には何か足りない気がして・・・」

 

私の呟くような言葉を聞いた花ちゃんは何かを考えるような素振りをし始め、私は花ちゃんからの答えを待っ。た

 

 

 

「ボーカルは・・・星・・・」

 

「星・・・?」

 

座っていた花ちゃんそう言うとギターを置いてち上がり、私に拳を突き出してくると私も答えるように自分の拳を軽く触れ合わせると花ちゃんは笑った。

 

そして、花ちゃんの拳に何かを握っているのが分かった私は手を広げると、花ちゃんはそこに握っていた星型のアメを落としてきた。

 

私はアメを見つめていると花ちゃんが話し始めた。

 

「真っ暗になって自分がどこにいるか分からなくなりそうな時も、見上げたら必ずそこにいて目印になってくれる」

 

「目印・・・?」

 

「レイの光はレイの物だから。レイの選んだ道がRASの道になるんだよ・・・」

 

「・・・・・・でも・・・」

 

私は花ちゃんが言う星として目印になれているのかが分からなくて、思わず俯いてしまうと花ちゃんは更に私に語ってくれた。

 

 

 

 

 

 

「ポピパも香澄が引っ張ってくれて目印になってくれる・・・。それに・・・もし星が自分の場所が分からなくなったら今度は周りの私達が光って星に場所を教えてあげるんだ」

 

「周りが・・・?」

 

「それに今なら私達の周りにはロケットが飛んでるから・・・」

 

「ロケット・・・?」

 

「うん。一生懸命で、いっつも困ってる私達を助けてくれて・・・」

 

「でも、助けてもらってばかりで・・・」

 

花ちゃんが言ってるのは弦太朗の事だ。

確かに弦太朗は友達が困ったりしてたら自分がボロボロな状態でも駆けつけてくれて助けてくれる。

 

助けてもらってばっかりで私は弦太朗に何か返せているのかが分からないが、それを見て花ちゃんは真面目な表情をしていた。

 

「大丈夫だよ。そのロケットは友情パワーで飛んでるから」

 

「ふふっ・・・随分と型破りなロケットだね」

 

大真面目にそう言っていた花ちゃんを見て私は思わず笑いながら答えると花ちゃんも笑うと、自然と気持ちが軽くなる。

 

ひとしきり笑い合うと花ちゃんは私に真剣な表情を向けてくるが何も言わない。

でも、私は花ちゃんが何を思っているのかがハッキリと分かった。

 

 

 

―――レイはどうしたいの?

 

そう視線で訴えてくるけれど、私はそんな花ちゃんに答えられず俯いたまま立ち上がって自身のベースを背負った。

 

「・・・レイ、いってらっしゃい」

 

「・・・いってきます」

 

心配そうな花ちゃんに返事をして私はチュチュのマンションへと向かった。

時間がかかってしまったけど、マンションのロビーの扉が開くと、目の前には奇妙な光景が広がっていた。

 

 

「くっそ・・・開かねぇ・・・。カメラそことあそこって言ってたよな?」

 

「えっと・・・開けゴマ!!」

 

「何やってんだおめぇ・・・?」

 

「えっ?やれることをやろうと思って?」

 

「真面目にやれよ!!」

 

「ロック!!気合いが足んねぇんだ!!」

 

「弦太朗もバカ言ってんじゃねぇよ!!」

 

訳の分からない行動をしているロックに訳の分からないことを言っている弦太朗、そしてその2人に怒っているますきがいた。

 

正直、今のあの3人―――いや、弦太朗と合流するのはちょっとだけ嫌だったが、見ているだけではどうしようも無かったので仕方なく私は3人に合流することにした。

 

「・・・どうしたの?」

 

「あっ!!レイヤさん」

 

「よっ!!」

 

「全然開かねぇんだよ!!顔認証システム壊れてんのか?」

 

「怖い顔するからでは?」

 

「あぁ?」

 

「ますき落ち着けって!!」

 

「お前に言われたくねぇ!!」

 

子供の考えるようなことをそのまま言い出したロックにますきは苛立ちを隠さずにいたが、弦太朗がそれを宥めようとしてますきは更に声を荒げる。

 

これってコンシェルジュに話せばなんとかなるんじゃ・・・

 

そう思っていたけど、ここでロックから斜め上の答えが飛び出してきた。

 

 

「そうです!!如月先輩が開ければ・・・!!」

 

「俺が?」

 

「ほら!!変身して扉を直せないんですか?」

 

「分かんねぇし、そもそも本当にぶっ壊れてんのか?」

 

「・・・だったら空飛んで私達を運んで外から・・・!!」

 

「ロック、さっきから無茶苦茶言ってるぞ?」

 

「ますきさん!!だって~!!」

 

本当に壊れてたら直せるかもしれないし、確実に外から飛んで行けるのは知ってるけども、流石にそれだけのためにロックの言う通りにするのかは疑問だったけど、やはり弦太朗も予想の斜め上を行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ!!そういうことなら・・・!!」

 

「ちょっと待って!!」

 

人目的にも弦太朗以外の安全的にも流石にそれはまずいと思って私は本気で変身するつもりだった弦太朗を止めたことに全員が首を傾げている。

 

ロック達はチュチュ達がもうライブ会場へと向かったのではと話し始めるが、私はそれを聞きながら振り返った。

 

「どうすんだレイ?」

 

「よろ・・・えっと、コンシェルジュの人に聞いてみる」

 

 

 

「コンシェル・・・?シェル・・・?」

 

「ってなんだ・・・?」

 

「コンシェルジュだろ・・・。まぁ・・・管理人みたいなもんだ・・・」

 

名前を出しても弦太朗は誰か分からないと思ったから、名前じゃなくて役職を言って説明したけど、ロックと弦太朗はコンシェルジュの意味が分かってなかったみたいでますきが説明していた。

私はそれを聞き流してコンシェルジュの元に行って事情を説明するとコンシェルジュの人が入口を空けてくれたので私達はそのまま中に入ってエレベーターに乗り込んだ。

 

でもますきの様子がおかしい・・・

 

 

「ますき?どうしたの・・・?」

 

「なんでコンシェルジュに頼むって案が出せなかったんだ・・・」

 

 

「大丈夫ですよ!!私なんてそのコンシェルジェ?っていうのも知らなかったんですから!!」

 

「もう終わったんだからいいだろ?」

 

「くっそ・・・いつの間にか考え方が弦太朗に寄ってきちまってんのか・・・?」

 

「あはは・・・」

 

どうやら、こんな単純なことが思いつかなかったこととそれについて2人から慰められていることにおちこんでしまっているみたいで、そんなますきの言葉に私は乾いた笑いしか返せなかった。

 

 

そうこうしているうちに私達はスタジオの前までやってくるとロックが先頭に立ってスタジオの扉に手を掛けた。

 

「・・・鍵かかってへん・・・」

 

「ロック、とにかく入ろうぜ?」

 

 

「えっと・・・失礼しま~す・・・」

 

弦太朗に言われるがままロックは扉を開けると―――

 

「「「っ!?」」」

 

「チュチュ!?」

 

部屋の中にいたチュチュはソファを背にして床に座り込んで動かなくなっていた。

 

 





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本・心・不・通-8 不信

ブシロード15周年ライブ・・・

ライブ参加だとバンドリとミルキィしか履修してないので断念
ミルキィ見たかった・・・!!
そんな思いで投稿です


 

「チュチュ!?」

 

「ひぃ~!!死んでる~!?」

 

部屋で倒れているチュチュにレイヤとロックが声を挙げてしまう。

しかも、ロックの言った言葉は先日に自身が襲われたという状況もあってそれを真に受けてしまった弦太朗とますきが先頭にして全員がチュチュへと駆け出す。

 

「おい!!」

 

「チュチュ!!何があったんだ!?」

 

「チュチュ!?」

 

緊迫した空気が周囲を包むが・・・

 

 

 

 

 

グゥゥ・・・・・・キュルルルル・・・グルッ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「「「「んっ・・・?」」」」

 

室内に―――

正確に言えばチュチュの腹部から響いた音によって緊迫した空気がぶち壊された。

 

「ゔっ・・・ジャーキー・・・・ゔぅ・・・」

 

「おい!!チュチュ!!」

 

そんな音を響かせた張本人は自身の好物を呟いて再び項垂れてしまい、弦太朗は彼女の肩を掴んで身体を強く揺さぶり始めた。

 

「私!!買ってきます!!」

 

「「あっ・・・」」

 

「ロック待て!!」

 

「如月先輩?どうして?」

 

チュチュの言葉を聞いてロックは勢いよく立ち上がってスタジオから飛び出そうとするが、弦太朗の言葉に動きを止めるとそのまま弦太朗に視線を向けると彼はロックのカバンを指差した。

 

 

「さっき、俺が買ったパン預けたろ?とりあえずそれ食わせりゃいいだろ?」

 

「えっ・・・?あっ!!はい!!」

 

「パンだけだとアレだし・・・あたしのお茶まだ飲んでないから飲ませとけ」

 

「ますき!!」

 

「んじゃ、あたしはロック追っかけてくる」

 

ロックは弦太朗から預かったパンの袋を何故かレイヤに渡すとジャーキーを求めて外へと飛び出してし、そんな彼女を見えてますきはお茶を渡すとロックの後を追ってスタジオを飛び出してしまった。

 

そんな2人を見送るとレイヤが袋からパンを1つ取り出してからチュチュへと歩み寄る。

 

 

 

 

 

 

 

「チュチュ!!とりあえずこれ食べて」

 

「おい・・・レイ・・・」

 

流石の彼女もチュチュにこんな状態になるまでジャーキー以外を食べてなかったことに呆れてしまい、弦太朗が止めているにも関わらず彼女は強引に口の中に弦太朗が買ったパンをねじ込んでからますきのお茶を使って無理やり空の胃に流し込んでいく。

 

「・・・」

 

「チュチュ・・・?」

 

 

レイヤが無理やりパンを食べさせた後、チュチュはゆっくりと身体を起こすとレイヤが持っていたパンを受け取るとそのまま齧りつき始めた。

 

それを見たレイヤは袋をチュチュの前において一旦弦太朗の元まで戻って話し始めた。

 

「良かった・・・。それにしても弦太朗パンが3つしかなかったけど1つあげちゃってよかったの?」

 

「まぁ、あの状態で放ってなんて出来ねぇだろ?・・・にしても、チュチュの奴何で飯食ってなかったんだ?」

 

 

 

 

「チュチュ、普段はジャーキーしか・・・。あっ、でもたまにはぐみちゃんの所のコロッケ食べてたかも・・・」

 

「ん・・・?」

 

「弦太朗?どうしたの?」

 

ここでレイヤの話を聞いた弦太朗は当然の疑問が頭に浮び、何気なくそれを口に出していた。

 

「なんでチュチュはそんなのばっか食ってんだ?親とかは・・・」

 

「弦太朗知らないの?チュチュ、ここに独り暮らしだよ?」

 

「それってまさか・・・」

 

「えっと、チュチュの親って普段は海外で仕事してるから・・・」

 

「そうだったのか・・・、でもチュチュ1人にするのってどうなんだ・・・?まだ中学生だろ?」

 

「それはそうかもしれないけど・・・」

 

チュチュの家庭事情を初めて聞いた弦太朗だったが、彼はそれに納得が出来ていなかった。

レイヤやロックもら親から離れて暮らしている。

高校生である2人が独り暮らしをしていることについては天校にいる彼の友人と同じであることもあるが、それ以上に自分の目標のために自分で選んだ結果だから納得も理解も出来る。

 

しかし、チュチュに関しては確かに学年でいえば高校生かもしれないが、実際はまだ中学生と同じであり、彼女が親から離れて独り暮らしをしていた。

それに死別してしまった弦太朗の両親と違って、親は普段は海外で仕事をしているということも彼には理解しがたいものだった。

 

「でも、チュチュも納得してるからいいんじゃないかな・・・。なんだかんだ言って賢いし・・・」

 

「でもよ・・・」

 

「それに普段はパレオが世話焼いてるし・・・」

 

「あいつも中学生だよな・・・?」

 

ここで2人でチュチュに視線を向けていたが、ここで彼は自分も昼食を食べてないことを思い出した。

 

「まぁ、本人がいいならいいのか・・・?それじゃ、俺も昼飯のパンを・・・」

 

そう言って弦太朗はレイヤから視線を外して、パンが入っている袋を取ってそこから自身の昼食を取り出そうとするが――――

 

 

 

「ん?」

 

「弦太朗?どうしたの・・・?」

 

 

 

 

 

「パンがねぇ・・・。まさか!?」

 

言って2人がチュチュの方へと視線を向けると、彼女はパンを口に運ぼうとしていた。

それもレイヤが最初に渡したのとは別のパンであった事もあって2人はそれが弦太朗が買っていた最後の1つであることは容易に想像が出来てしまった。

 

「ちょっとチュチュ待って!!」

 

「チュチュ!?待て!!俺の昼飯!!」

 

2人の説得も虚しく、チュチュは最後のパンをその口に運んでしまった。

 

「戻りまし・・・」

 

「「あ~~~~~~~~!!」」

 

「ひぃぃ~!!」

 

 

 

 

「戻ってきて早々に何叫んでんだ・・・ってなるほどな・・・」

 

しかし、その叫びと同じタイミングで買物に出ていたロック達が戻ってきてしまう。

2人の声に驚くロックを後目にしてチュチュの方へと視線を向けたますきは先ほどとは違い現状を完璧に理解した。

 

「ロック、とりあえず弦太朗にもジャーキー渡してやれよ。弦太朗もとりあえず何も食わないよりはいいだろ?」

 

「わりぃな・・・」

 

「・・・」

 

そう言って弦太朗はロックからジャーキーを受け取るとそのまま口にすると、パンを食べたチュチュも彼と同じようにジャーキーを口に運ぶ。

弦太朗も何も食べないよりはマシだと思ったが、口に入れると物足りなさを感じてしまい逆に空腹感が目立ってしまう。

一方で弦太朗のパンとジャーキーを食べたチュチュは完全に復活して、いつもの調子を取り戻していた。

 

 

「ご馳走様。10分で支度よ。・・・それとBadBoyを呼んだつもりはないのだけれど?」

 

「ねぇ。本気で言ってるの・・・?」

 

「・・・」

 

「レイ、落ち着けって。俺は気にしてねぇから・・・」

 

「でも・・・」

 

「こいつが良いって言ってんだからいいだろ」

 

レイヤはチュチュの態度が流石に許せなくて彼女を問い詰めようとするが弦太朗がそれを止め、ますきもこの後のライブの事を考えてこれ以上の問題を起こさない方がいいと判断して弦太朗に乗っかる。

 

本人が気にしてないと言っているのに自分が怒るのもおかしいと思ったレイヤはなんとか自身の気持ちを沈める。

 

しかし、ここでパレオがいないことについて思わずロックがその事を質問してしまう。

 

「あの・・・パレオさんは・・・?」

 

「来なかったら打ち込みで行く」

 

「来ないってなんだよ!!アイツ、連絡も無しにライブに穴開けるような奴じゃないだろ?」

 

「・・・行くわよ」

 

 

 

 

 

 

「なんで、パレオに連絡しねぇんだ?」

 

「煩い!!部外者は黙ってて!!」

 

パレオに連絡をするような素振りも見せないチュチュに弦太朗がその事を聞くが、彼女から返ってきたのは怒りの籠った叫びだった。

 

流石にそれを聞いたますきは怒りを隠せず、チュチュへそれを向ける。

 

「おいっ!!チュチュお前!!」

 

「ますきさん!!先に行きましょ!!」

 

「ロック!!弦太朗も放せって!!」

 

 

今にも掴みかかりそうなますきを見て、ロックは無意識に彼女の腕を掴むと抵抗されるがそこに弦太朗も加わってなんとかスタジオの外へと引っ張り出していく。

 

レイヤも先に出た3人を追ってそのままスタジオを後にするが、その時に一瞬だけチュチュのいるほうへと視線を向ける。

 

遠目だからレイヤにはハッキリとは分からなかった。

しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤにはチュチュがポケットに黒い何か(・・・・)を入れているように映っていた。

 





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本・心・不・通-9 激情・友情・義理人情

投稿です。
バンドリの3期見直したけど・・・

バイクで鴨川行くシーン、橋のデザイン的にゲートブリッジ通ってるよなこれ・・・
このルートだとアクアライン通るルートになるんだけど・・・あっ・・・(何も見なかった。いいね?アッハイ



 

RASが普段からライブを行っているライブハウスdub。

先日騒ぎがあったにもかかわらず、今まで通りにライブが開催されるこのライブハウスの中で傷だらけの弦太朗が先ほどロックから受け取ったジャーキーを片手に空腹に耐えていた。

そんな彼の周りを人が避けて通る状況で彼はボソリと呟いた。

 

「くっそぉ・・・腹減った・・・」

 

 

 

 

 

 

「あっ、先輩だ・・・」

 

「おーい」

 

「弦太朗くん・・・?なにしとんの・・・?」

 

「おたえにりみに沙綾か・・・」

 

そんな彼の前にやってきたのはたえ達だったが、彼女達はこんな所でジャーキーを齧っている弦太朗の姿に疑問しか覚えなかった。

 

 

 

「なんでジャーキー・・・?チュチュみたい・・・」

 

「腹減ったからとりあえず食ってたんだ・・・」

 

「腹減ったって・・・さっきうちでパン買ってたよね・・・?」

 

「実はパンがジャーキーに化けたんだ・・・」

 

「・・・?どういうこと・・・?」

 

「チュチュちゃんとパンとジャーキーを交換したのかな・・・?」

 

「・・・」

 

弦太朗の言葉を聞いてまるで意味が分かってない沙綾とりみは首を傾げていた。

それを見たたえは何を思ったのか先ほどレイヤに渡したのと同じ飴をポケットから取り出していた。

 

「先輩・・・これ食べる・・・?」

 

「いいのか?」

 

「だって、パンをチュチュに食べられちゃったんでしょ?」

 

「まぁそうなんだけどよ・・・」

 

「それじゃ・・・」

 

それを聞いたたえは何を思ったのか個包装されていた飴を自身の手に取りだす。

あげると言ってなぜ袋から出したのか分からない弦太朗だったがその飴はたえの指につままれてそのまま弦太朗の顔へと向けられた。

 

「先輩・・・はい・・・」

 

「おう・・・」

 

弦太朗はたえの手の下に自身の手を差し出すが、彼女はそこに飴を落とすことはなく彼の顔に突き出してくる。

 

「おたえ・・・なにしてんだ?」

 

「あーん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!?」

 

「えっ?おたえちゃん・・・?なにしとんの・・・?」

 

「餌付け。おっちゃん達にもこうするから」

 

「俺はうさぎと一緒の扱いかよ・・・」

 

突然の出来事に言葉を無くした沙綾とりみは関西弁が飛び出すほど驚いているが、そんな2人に対してたえからうさぎの世話と同等に扱っていると宣言された弦太朗は非常に複雑な心境になっていた。

 

「先輩・・・はい。あーん」

 

「いや・・・その・・・流石に・・・」

 

流石の弦太朗もこれには恥ずかしさから抵抗感を覚えて戸惑っていたが、そんな中で彼女は動いた。

 

 

 

「・・・!!」

 

「うおっ!?」

 

「沙綾ちゃん!?」

 

 

「沙綾・・・私の指ごと食べないで?」

 

「もう、バカなことしてるからでしょ?」

 

ここで何を血迷ったのか弦太朗に差し出されていた飴へと沙綾の口が迫り、たえの指諸共彼女は飴を口に入れてそこから飴だけを回収した。

 

たえは指を咥えられたことを沙綾に言うが、彼女はそれを聞き流す様に口の中で飴を転がしていた。

 

そしてたえは別の事が気になって弦太朗の空腹の話とは全く関係ない話へと話題を変える。

 

「先輩、レイ達は?」

 

「控室に行ったぞ?俺は着替えるからって言われて追い出されたからここにいるけどな・・・」

 

「そっか・・・レイ・・・」

 

 

 

「それに今日は・・・「あっゲンちゃんだ!!」香澄達も来たのか」

 

「なんでジャーキー?」

 

「有咲、それはもうやったよ?」

 

「私は知らねぇんだよ!!」

 

「とりあえず控室行こ~!!ゲンちゃんも!!」

 

「ちょ!!勝手に決めんな!!」

 

「有咲ちゃん・・・準備しないと・・・それに・・・」

 

「・・・覗くなよ?」

 

弦太朗がたえにRASの事を伝えようとするが、ここで香澄達が遅れてやってきたことによってその事を伝えそびれてしまい、香澄に連れられて弦太朗はポピパの控室前まで連れてこられた。

中で準備をしているポピパを他所に、今のRASの現状について話そうかと考えいたらすぐに準備を終えた彼女達に連れられた。

そこでRASの演奏を見ていたらいち早く香澄がRASの異変に気が付いた。

 

 

「パレオちゃんがいない・・・?」

 

「本当だ・・・。打ち込みの音があったから気が付かなかったわ・・・」

 

「パレオちゃん、どうしちゃったんだろ?・・・風邪ひいちゃったのかな?」

 

「だったら最初に説明するだろ?」

 

「そう・・・だよね・・・?それにパレオがいないこともそうだけど、なんか違和感が感じるけど・・・弦太朗は何か知ってるの?」

 

「来てねぇことしか分かんねぇな・・・っておたえ?」

 

ここまでポピパ達が話している中でたえだけは無言で舞台に立っているRASを見つめていた。

 

 

「みんな上がってるだけに見える・・・」

 

「おたえ、どういうことだ?」

 

「チュチュ達、ライブに全く集中してない・・・」

 

たえの言葉の意味が分からずに、たえの説明を聞き直した弦太朗。

しかし、彼からしたらそんなことは全く分からないが彼女達はたえの言葉を聞いて違和感の正体に納得したような表情を見せているとRASの演奏を終えていた。

 

演奏の終わると同時にフロアからのアンコールを求める声が聞こえてくるがチュチュはそれを無視して早々に舞台から降りていき、他のメンバーもその後に続いて舞台から降りる。

 

しかし、その行動に不満があったますきから声が挙がる。

 

 

 

「待てよ!!おいチュチュ!!」

 

「ますき・・・」

 

 

 

「あっ・・・レイ・・・」

 

「・・・」

 

ますきからの声を無視してチュチュはポピパ達を無視して控室へと向かってしまい、それを追ってますきやレイ達も視線を向けたり軽く会釈しながらポピパ達の横をすり抜けていく。

 

 

 

「先輩・・・レイ達のところ行ってあげて・・・?」

 

「でも・・・いいのか?」

 

そんなRASを見てか、たえが弦太朗に懇願するような言葉を聞いた彼は、その横にいた香澄達に視線を向けてしまった。

 

 

「おたえちゃんはレイヤさんと幼馴染だし、RASでギターもしてたことがあったから他のみんなより心配してるんだよ・・・?」

 

「しかもRASもあんな状態でロックが狙われてんだ・・・。正直、こっちのライブ見てる状況じゃないだろ」

 

「残念だけど・・・これは仕方ないか・・・」

 

「ゲンちゃん!!頑張って来て!!」

 

「悪い!!行ってくる!!」

 

視線を向けた彼女達から返ってきたのはたえの意見に賛同する意見だった。

それを聞いた弦太朗はステージに背を向けてRASの控室へと向かうと、ちょうどロックが控室へ入る直前で追いつくことは出来たが着替えがあるため彼は控室の前で彼女達を待っていると―――

 

 

「もうちょっとメンバーの事、考えろよ!!」

 

「ますき・・・?なんかあったのか?お~い入るぞ!!」

 

控室からますきの怒声が響いてきたことに心配になった弦太朗は控室の扉を開けようと手を掛けようとしたが、それと同時に内側から扉が開かれると同時にチュチュが弦太朗にぶつかりながらそのまま部屋から飛び出してきた。

 

「うおっ!?・・・ってぇ・・・!!」

 

チュチュとぶつかってしまった弦太朗は倒れないように踏ん張ろうとしたが、怪我した足で踏ん張ってしまったしまい足に痛みが走る。

しかし、彼はそれを押し殺してそのまま控室へと入っていく。

 

「仕方ねぇ!!行くぞロック!!」

 

「えっ・・・はい!!・・・ってあの・・・どこに・・・?」

 

 

 

「弦太朗・・・」

 

「レイ・・・何があったんだ?」

 

彼が控室に入るとすぐにますきとロックが部屋から飛び出してくるとレイヤと弦太朗だけが控室に残されてしまった。

そんな中でレイヤはこのわずかな時間に起こった出来事を弦太朗に伝える。

 

「パレオの事で・・・ますきの言葉聞いてチュチュは帰っちゃって・・・」

 

「それでますき達はどうしたんだ?」

 

 

 

「・・・多分だけど、ますきとロックでパレオを迎えに行ったんだと思う。・・・ってバイクの2人乗りで行ってどうするつもりなんだろ・・・?」

 

「・・・」

 

しかし、ますき達が”2人”で迎えに行ったことを思い出した。

バイクの定員は2人なのに2人で向かってどうするつもりだったのか疑問を覚えてしまったレイヤだったが、ここで弦太朗はあっさりと答えを出した。

 

「うっし、なら俺も行ってくる。それなら大丈夫だろ?」

 

「弦太朗・・・いいの?」

 

「レイ達の為だ!!気にすんなって!!」

 

「ふふっ・・・」

 

「そんでパレオの奴はどこにいんだ?」

 

「千葉の鴨川だって・・・。そこまでしかチュチュから聞いて無くて・・・」

 

「鴨川・・・って千葉のどこだ?」

 

「えっと・・・ここかな?パレオは電車出来てるからこの駅に行けばわかるかも・・・」

 

想像通りの弦太朗の反応を見て、レイヤは笑みを浮かべるとそのまま自分のスマホで地図を見せる。

 

「ここからなら高速道路で2時間くらいだけど・・・」

 

「任せとけって!!そんでレイはどうすんだ?」

 

「・・・チュチュのところに行って話してくる。そこから先は・・・何も考えてないかな?」

 

「そっか。そんじゃ行ってくるぜ!!」

 

弦太朗はレイヤの言葉を聞いて笑みを浮かべると控室を飛び出して、ますき達の後を追いかけ始めた。

そして1人になったレイヤはつい先ほどの自分の言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「何も考えてない・・・か・・・。ふふっ・・・私もますきみたいに考え方が弦太朗に似てきたのかな・・・?」

 

そう呟くと彼女もチュチュの後を追いかけて控室を飛び出していくのだった。

 

 





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本・心・不・通-10 Rebirth,My world

投稿です

この話の裏ではますきと弦太朗はそれぞれ鴨川向かってるんやろなぁ・・・




 

マスキングの言葉から逃げるようにdubを飛び出して自宅へと戻ってきた。

 

誰もいない室内で私はソファに顔を埋めていたが、そんな中でスマホからはMomからのビデオレターが届いた通知が響く。

 

その通知を聞いた私は顔を伏せたままMomからのビデオを聞いていた。

 

『Hey!ちゆ。日本はもう雪降ってる?ママはこの間のコンサートも大成功!!最後はまたスタンディングオベーションで何度もカーテンコールを受けたわ!!誕生日はどこで過ごすの?プレゼントを送ったわ!!他に欲しい物があったらリクエストして!!じゃあね!!』

 

 

 

 

 

「何も分かってない・・・」

 

それでビデオが終わると私はスマホを掴んでそのままスタジオのあるフロアに繋がる階段を下りるとそこに置いてある楽器を見つめていた。

 

「MomのDadも・・・・どんな楽器でもくれるし、どんな演奏だって褒めるけど・・・」

 

過去に演奏をしていた時、コンクールでの私の演奏に審査員が苦い表情を浮かべているその後ろではMomだけが褒めてくれていた。

 

でもそれは幼かった自分でもハッキリと理解できるほどに惨めな思いを味わったのとは対照的にMomのコンサートはいつも満員で、観客も最後はスタンディングオベーションで賞賛されていた。

 

 

 

 

どんなコンテストでも皆が私を私としてではなくMomの子供としてしか見ていない。

そしていつも私の演奏を聞くと皆が期待外れとでもいいたそうな視線を向けてくる。

 

―――だから私は心に決めたはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「可愛がるだけの誉め言葉なんていらない・・・。自分で奏でることが出来ないなら最強のメンバーを集めようって・・・。演奏以外の全てで認めさせてやるんだ!!って・・・なのにどうして・・・!!」

 

だから私は自身が思う最強のメンバーを集めてRASを作った。

 

最初は間違いなく順調だった。

周囲からも認められ、バンドリでも最近まではライバルと思っていたRoseliaすら圧倒してランキングもTOPを独走していたのに、それが今はどうだ?

 

 

1週間前には10位程度だったRoseliaが今ではRASを追い越しただけではなく票数もドンドン離され、ポピパも今のペースで票数が増えれば私達を追い越しかねない。

 

 

 

そんな中で私はTOPを取り戻すために必死に考えた。

 

メンバーのスケジュールを管理して他のライブハウスに殴り込み他のバンドを辞退させてでもRoseliaに勝とうと思った。

でも、それを伝えた大半のメンバーは私に否定的で、マスキングは怒って帰ってしまい、レイヤもロックも否定的な表情を浮かべて、ただ1人だけ私を肯定してくれたパレオには酷いことを言ってしまった。

 

どうしていいか分からない私は階段を戻って力なくソファに座り込むと呆然とバンドの事を考えていた。

 

RAISE A SUILEN―――

タエ・ハナゾノがいた頃に”表舞台に立ち続ける”という意思を現したはずなのに、その私がアンコールを無視して真っ先に舞台から降りた。

 

「あっ・・・」

 

 

 

 

そこで私は気づいてしまった。

他の誰でもなく、私自身がバンドを・・・RASをぶっ壊したと言う事実を・・・

 

今までで感じたことがない惨めさに私は唇を震わせて無意識にスマホを握りしめてしまうと、そこからは先ほどのMomからのビデオレターが再生されてしまった。

 

『――――他に欲しい物があったらリクエストして!!じゃあね!!』

 

「リクエストしても・・・・・・私の欲しいものはもうどこにもない!!」

 

その言葉に私は握っていたスマホを怒りを込めて投げた。

スマホは窓ガラスを突き破って外に投げ出され、スマホからは割れる音が響く。

 

 

その割れた音と一緒に私の全てが壊れてしまったような錯覚を覚えた私はクローゼットの中にあるベッドスペースに閉じこもり―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無意識にポケットに入れていたスイッチの様なものを取り出して握りしめていた。

 

 

――――――――――――

 

「・・・」

 

チュチュのマンションを前にレイヤがただ一人で屋上を見上げてこの後そうするか考えていた。

 

「よし・・・」

 

しばらく考えて考えを纏めた彼女はそのまま中へと入って最上階の部屋に向かうためにエレベーターへと乗り込んでそのまま部屋へと入ってチュチュを探す。

 

「チュチュ。いるんでしょ・・・」

 

内側から割られたガラスが目を引く室内にはチュチュの姿は見当たらないが、レイヤは真っすぐにベットスペースになっているクローゼットへと歩み寄ると、中にいるであろうチュチュへと話しかける。

 

 

 

「ますき達がパレオを探しに行ったよ。チュチュも行こう」

 

「・・・」

 

「パレオを見つけても、私達の心は離れたままだよ」

 

レイヤはクローゼットに話しかけるが答えは返ってこない。

でも、その中には確かに人の気配を感じた彼女はそのまま中のチュチュへと語りかける。

 

「ずっと考えてたんだ。ますきとロックにはバンドをやりたいって強い思いがあって、パレオはいつもメンバーを気遣ってくれたけど、私は誘われるままにRASに入って・・・ただ歌うことしかしてこなかった・・・」

 

「・・・」

 

「でも、それだけじゃダメなんだって・・・。バンドのフロントは勤まらないってそう思った」

 

ここまで語っても中のチュチュからは一向に返事がないが、間違いなくそこにいるはずの彼女にレイヤは語り続ける。

 

「香澄ちゃんや湊さん達みたいなバンドを引っ張る役目は全部チュチュに任せてた・・・だから、もう辞めようと思って」

 

「・・・っ!?」

 

レイヤから出た「辞める」という言葉にチュチュの呼吸が詰まって身体が震えがかすかにベッドスペースに伝わったのをレイヤは確かに感じ取った。

 

 

 

「それにますき達と一緒に、バンドに全く関係ない弦太朗も友達のためって言ってあんなボロボロになった身体でパレオを探しに行ってくれてる!!

・・・だから私も今の大人ぶった関係も、言われた事だけやってるボーカリストも終わり。これからはRASのために必要なんだったら喧嘩だってしようと思う」

 

「は・・・?」

 

レイヤの言葉に中からチュチュの声が漏れだした。

彼女もdubで傷だらけで痛々しい姿になっていた弦太朗の姿を見ていた。

 

その時は全く気にも留めていなかったが、そんな彼が今自身の事を顧みずにレイヤ達のために行動をしているという事実に困惑の声が漏れてしまった。

 

 

 

 

 

「だからチュチュ。RASの一員として言うよ。このままだったらRASは終わる。チュチュはそれでいいの!?」

 

レイヤは普段からは考えられない感情剥き出しの言葉をチュチュにぶつけ、彼女からの答えを待った。

 

きっと彼女もこのまま終わりたくないはず・・・

そう思っていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ってるのよ・・・」

 

「えっ・・・?」

 

「もう終わってるのよ!!」

 

「チュチュ・・・!!」

 

そんなチュチュからの答えはレイヤの答えとは全く異なるものだった。

その答えに我慢できなかったレイヤはそのまま彼女をベットスペースの扉を強引にこじ開けて、チュチュを見ると彼女は虚ろな表情で淡々と話し始めた。

 

「表舞台に立ち続ける・・・そう言ったのに私が一番最初に舞台から降りた・・・そんなミスをした私は・・・RASはもう終わってるのよ・・・

 

 

 

だから・・・私はRASから降りる・・・」

 

「チュチュ・・・!!」

 

チュチュの言葉に我慢の限界を向かえてしまったレイヤはベッドスペースからチュチュを引きずり出してその肩を掴んで立ち上がらせると思いのたけをぶちまけた。

 

「たった1回の失態がどうしたって言うの!!それでRASから降りる・・・?散々私達を焚きつけた挙句に真っ先に舞台から降りるなんて・・・

 

 

 

 

 

私は・・・私は絶対にそんなの許さない!!」

 

「なら・・・なら・・・どうすればいいのよ・・・」

 

「チュチュの言いなりになるRASは終わらせる!!それでパレオを見つけて・・・!!新しいRASに生まれ変わればいい!!」

 

「でも・・・だけど・・・」

 

レイヤの言葉にチュチュはその場に力なく座り込んで譫言のように否定的な言葉を繰り返し始めた。

そんな彼女に視線を合わせる様に座りこんだレイヤは再び彼女に声をかける。

 

 

 

 

「私はRASを・・・今の居場所を守りたい・・・だから、チュチュ・・・もう一度聞くよ。本当にこのままRASを終わらせていいの?」

 

「でも・・・私、パレオに・・・「あんただけいても、しょうがない」って言った・・・」

 

「チュチュ・・・!!」

 

「だって・・・」

 

「私は嫌だ!!このまま終わりたくない・・・!!チュチュは・・・チュチュ自身はどうしたいの・・・?」

 

でも・・・だって・・・と繰り返すチュチュを力任せに立たせるが、再びそのまま座りこもうとする彼女をレイヤはクローゼットへと身体を押し付けて強引に彼女を立たせて彼女に最後の質問をすると、チュチュからは呟くような小さな声で答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・い・・・」

 

「・・・」

 

「パレオに会いたい・・・。これからも一緒にいたい・・・」

 

「なら行くよ!!」

 

彼女の言葉を聞いてチュチュの腕を取って、レイヤは部屋を飛び出してエレベーターへと乗り込む。

そのエレベーターの中でチュチュが何かを握っていることに気が付いたレイヤだったが、それを特に気にすることなく待っているとエレベーターが1階について扉が開き始めるとわずかな隙間からレイヤは抜け出るとそのまま外へと走り出す。

 

 

 

 

 

そしてエントランスと出たところには彼女達が気になってしまったポピパの5人が駆け出してくる2人に視線を向けて、たえがレイヤへ向けて声を挙げていた。

 

「レイ・・・!!」

 

「ゴメン!!後で・・・!!」

 

たえの言葉を半ば無視するかのようにレイヤはチュチュの腕を引いてその横を抜けていく。

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!?」

 

「香澄ちゃん・・・?」

 

「香澄、どうかしたの・・・?」

 

が、そのすれ違いざまに何かを感じた香澄が震える。

それに気が付いたりみ達が香澄に理由を聞くと、彼女はゆっくりとチュチュへ――――

正確にはチュチュの手に握られていたスイッチを指差していた。

 

「香澄ちゃん、チュチュちゃんがどうしたの・・・?」

 

 

 

 

 

 

「チュチュちゃん・・・スイッチ持ってた・・・・」

 

「はぁ!?何言ってんだ!?」

 

「私には黒いのがちょっとだけ見えたけど・・・そうなの?」

 

「・・・レイ!!」

 

「おたえ!!待て!!」

 

香澄の言葉に驚く有咲だったが、沙綾も香澄まで正確には分かってなかったが黒い何かを握っているのが見えていた。

 

その言葉を聞いてたえは有咲の静止を無視してそのままレイヤ達の後を追いかけてしまう。

 

「でも、なんでレイヤちゃんは分かんなかったの・・・?」

 

 

 

 

「多分、レイヤはスイッチ見たことねぇんだよ!!それになんか急いでたっぽいから弦太朗から話を聞いててもその事が抜けてんだろ・・・!!」

 

りみの当然の疑問に有咲は考えられる理由を予想するが、その横で沙綾はどうするべきかと慌てだしていた。

 

「でも、どうするの!?それにこの間ロック襲ったのって・・・!?」

 

「落ち着け!!とりあえず沙綾は如月とマスキング達!!りみは奥沢さん達に連絡入れとくぞ!!香澄!!ギター預かっとくからおたえ達を追いかけてこい!!」

 

「うん・・・!!」

 

有咲はそのまま指示を出すと沙綾達はすぐにみんなに連絡を回し始め、香澄も有咲にギターを預けてたえを追いかける。

 

走り出した香澄はたえと合流することが出来たが、レイヤ達を見失ってしまう。

レイヤ達の目的地が全く分からなかった彼女達は仕方なく有咲達の元へと戻っていくのだった。

 

 





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本・心・不・通-11 遠方K/仲間をとりもどせ

投稿です。
1話挟んで鴨川サイドです。(本話では違反行為【事後】が出てきます。
皆さんは、法律を守りましょう。

お気に入り人数が初めて343(紗夜さん)超えたぜ・・・(なお、本章には出てきてない模様


 

レイヤがチュチュを連れてパレオが住んでいる鴨川を目指している最中―――

 

「パレオ~!!パレオ~!!・・・いねぇな!!」

 

ますきはロックを後ろに乗せたままパレオの名を呼びながら街中をグルグルと回っていた。

しかし、その行動は全く効果が見られなかった。

 

 

 

「ったくチュチュの奴・・・鴨川のどこだよ!!ロック!!もう1回回んぞ!!」

 

「えっ・・・?駅の方ですか?」

 

「全部だ!!全部!!」

 

「ゔぇ・・・」

 

流石のロックも数時間ずっとバイクの後ろに跨っているのに疲れたのか嫌そうな声を挙げてしまう。

しかし、その声はますきには聞こえなかったのか彼女はスロットルを回してバイクを加速させようとした所でロックは声を張り上げた。

 

「ますきさん!!一旦、停まって探しましょう!!」

 

「あっ?聞こえねぇよ!!なんだって!!」

 

「だからバイクから降りて探しましょう!!」

 

「なんでだよ!!こっちの方が早いだろ!!」

 

エンジンを響かせているバイクの上で2人が声を張り上げながら会話をするが、互いの声はエンジン音によって聞き取りにくくなっていたためドンドン声が大きくなっていく。

 

「今もこんな近くで叫んでるのに聞こえないんですよ!!パレオさんにも聞こえてないかもしれないでしょ!!」

 

「じゃあどうすんだよ!!」

 

「聞き込みです!!パレオさんも学生なんですから駅とかで話聞けば何か分かるかもしれゔぇ!?」

 

ロックの叫びが聞こえたますきは後ろのロックの事を気にすることなくブレーキをかけると、急ブレーキによって身体が前に押し出されて前で運転していたますきに背中に身体を打ち付けながら汚い声を挙げる。

そして停まったのが分かったロックはますきへと視線を向けると彼女は後ろを振り向いていた。

 

 

 

 

「お前・・・頭いいな・・・」

 

「・・・」

 

 

ロックはますきの事を妙に難しいことを言ったり、弦太朗が戦っていた相手の事を神話とかの伝承から能力を見抜いたりしていたことからかなり頭がいいと思っていた。

 

しかし、今日の反応を見ると頭はいいのだろうが熱くなるとかなりポンコツ―――もの凄く抜けていて、自身が言われるまで今までの行動の効果がとてつもなく低いということに気が付かなかった彼女にロックは言葉を失ってしまった。

 

「ふぅ・・・」

 

「ますきさん・・・?」

 

「とりあえず、学校が分かんねぇからデケェ店とか・・・・・・いや、駅だな!!あいつ普段から電車で来るから誰かしら見覚えある奴位いるだろ・・・。ロック行くぞ!!」

 

「・・・はい!!」

 

一旦深呼吸してわずかに冷静さを取り戻したますきはほんのわずかに考えると、現状で一番情報が得られそうな場所の目星をつけてそのままバイクを走らせて、現在地から尤も近いであろう駅にたどり着くとそ彼女達には予想外の人物が既にその場に居座っていたのを見て2人はバイクから降りてその人物へと駆け寄っていった。

 

 

 

 

「んっ・・・?ますき達じゃねぇか!!」

 

「如月先輩!?どうして!?」

 

「レイの奴にパレオの住んでる場所を聞いてな!!そんで高速ぶっ飛ばしてきたんだけど、それにしても・・・・・・来るの早くねぇか?」

 

「んぁ?別に普通だろ?こっちも高速を使って・・・・・・あっ・・・」

 

「ますきさん・・・?」

 

駅にいたのは弦太朗がバイクに跨りながら周囲を見渡していた。

そんな中で弦太朗はパレオではなくますき達を先に見つけるとそちらに向かって手を振って彼女達を呼び寄せるが、ロックからはここに来た理由を聞かれたので素直に答え、弦太朗もますきへ疑問をぶつけると彼女はその答えを言ってあることを思い出す。

 

その事に彼女は冷や汗を流し始めたのをロックは不思議そうに見ていたが、ますきはゆっくりとロックに視線を向けて話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

「やっべ・・・2人乗りで高速乗っちまった・・・」

 

「・・・?どうしたんですか・・・?だって来る時だって他にもしてる人いましたけど・・・?」

 

ロックはますきの言葉の意味が分かってなかった。

自分たち以外にも高速で2人乗りしていたのを途中で見かけたのに何故ますきがそんな顔をしているのかが分からなかったが、それを見てますきはゆっくりと説明した。

 

「えっと・・・免許取って1年で基本は2人乗りしてもいいんだけどよ・・・。あ~・・・その・・・えっと・・・」

 

「ん?基本・・・?」

 

ロックはますきが”基本”と言った意味が分からない。

しかも言葉を濁し始めて説明を停めてしまったので、ロックはますきと同様に普段からバイクに乗っている弦太朗に視線を向けた。

弦太朗は天校では親友から”前人未到の馬鹿”と言われた程には勉強は出来ないが、実家がバイク屋ということもあってバイクなら詳しいだろうと思ったロックの行動だったが、それは正解だった。

 

弦太朗はますきから視線を外しながら気まずそうにロックに話し始めた。

 

 

 

「えっと・・・高速道路は大人じゃねぇとバイク2人乗りしたらダメなんだよ・・・」

 

「えぇ~!?じゃあますきさんは犯罪者に!?それに一緒に乗った私も!?」

 

「だぁ~!?ロックは大丈夫だから少し黙ってろ!!そんなことよりも、今はそれよりもパレオ探さねぇとダメだろ!!」

 

「「・・・・・・」」

 

「とりあえず、写真見せて探す方がいいか?な?ロック!!」

 

弦太朗の説明を受けたロックは途端に目を見開いてあたふたしながら声を挙げ始めたが、ますきは彼女の口を塞いで強引に話をパレオの事へと切り替えてようとした彼女に声をかけることが出来ずに2人ともそれ以上、その事に言及するのを辞めてますきを立てることにした。

 

「えっと・・・そうですね・・・」

 

「じゃあアタシとロックがこの辺で聞いてくるから、弦太朗は他の方を探してこい!!」

 

「おう!!見つけたら教えろよ!!こっちはちょっと遠くで探してくる!!」

 

そう言って弦太朗は駅から離れて行く、駅に残った2人はパレオの写真を片手に聞き込みを始めるのだった。

 

―――――――――

 

RASのライブが終わる予定の時間に学校の廊下でスマホを取り出していた。

 

昨日から全く見ていないそれには大量の着信履歴やチャットの通知が来ていたがそれを全部無視してSNSからチェックする。

 

 

 

 

そこにはライブの感想が大量に流れていたのでそれを追っていくがパレオがいないことについて触れる人は殆どいない。

それどころか”いつも通りカッコよかった”と言うようなコメントが目について自分の気持ちが分からなくなって―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かった・・・ライブ出来たんだ・・・(パレオ)がいなくても・・・・・・」

 

『―――あんただけいてもしょうがないのよ!!』

 

「・・・」

 

ほとんど無意識の呟きと共に、昨日チュチュ様―――ちゆから言われた言葉が頭を過るとその言葉が頭の中で延々と繰り返される。

別の事を考えようとしてもその言葉は頭を離れない。

 

 

 

 

「はぁ・・・!!はぁ・・・!!はぁ・・・!!」

 

ちゆの言葉が繰り返されるたびに胸が苦しくなり、呼吸が荒い物へと変わっていく。

そんな私には周囲からの視線が向けられていたが、視線から逃げるように私は人気の少ない階段へと向かっていく。

 

「はぁ・・・!!はぁ・・・・・・!!はぁ・・・・・・・・・!!」

 

そして、周囲の目が無くなった途端に私はそのまま壁にもたれ掛かりながら座り込むと、必死に乱れた呼吸を整えようとするがちゆの言葉が呪いの言葉のように頭の中に響いてくる。

 

ちゆもRASも・・・もう(パレオ)の事を誰も必要としていない。

だから私は(パレオ)であることを辞めないといけない。

 

頭ではそうだと分かっているはずなのに、それを考えると苦しくなる胸を必死に抑え込む。

 

 

 

「ははっ・・・どうしちゃったんだろ・・・?RASは・・・もう私には関係ないのに・・・」

 

その呟きと共にスマホからはロックさんからの着信を伝えてくるが私はそのままスマホの電源を落とす。

 

 

 

 

「パレオはもうどこにもいない・・・ううん・・・。いたらダメなんだ・・・」

 

そう自分に言い聞かせながら、私はなんとか立ち上がる。

 

「・・・うん。大丈夫・・・」

 

私は優等生の仮面を被ってから所属する手芸部の活動へと参加するが小さなミスを連発してしまうが、周囲はそんなミスをしていたが誰も私の事を見ていない。

そんなモヤモヤした状態で部活が終わると私はそのまま帰路に着くが、何をなんでそうしたのか分からなかったけれど普段の通学路とは違う道を歩いていた。

 

 

 

普段とは違う道の上で私は空を見上げていた。

その視線の先には普段から見慣れた空があるはずなのに、私にはそれがいつも以上に暗いものに写っていた。

 

 

「これのせいかな・・・」

 

私は誤って持ってきてしまった"黒くて丸いそれ”をポケットの上から触れる。

きっとこれのせいでこんな気持ちになっているんだろう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていたら私の耳には突然何かが倒れるような音が飛び込んできた。

私はその音の原因を探すために周囲を見渡すが私以外の影は見えない。

 

不審に思った私だったがふと視線を足元の方へと落とすと不思議な物が足元にあった。

 

「なに・・・?これ・・・赤い・・・?あっちにも・・・」

 

私は足元にあったのは赤い液体が落ちたような跡を見つけた。

しかもハッキリ見ないと分からなかったがそれは1つだけじゃなくて、それなりに離れた間隔を開けて続いていたので私はその跡を音が聞こえた方向へ向かっていく。

 

その跡は橋のたもとに続いていて、跡の先にはここにいるはずのない人物がボロボロの身体で座り込んでいた。

 

 

 

「うそ・・・なんで・・・ここに・・・?」

 

「その声・・・ようやく見つけたぜ・・・パレオ」

 

さっきの倒れた人の正体はこの場にいるはずのない如月さんだった―――

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

高速道路のバイク二人乗りは20歳以上で免許取得から3年経過が条件だぞ!!(ガチ

多分あのカーブの感じだとゲートブリッジを川崎方面に爆走してからアクアライン乗らないと鴨川方面へはいけません。
高速乗らないと舞浜方面戻る羽目になって、それだとガチで3時間半以上かかるのでそうしたら下手すりゃチュチュ達の方が早く鴨川につくので・・・

(一応高速乗らなければ久里浜からフェリーで東京湾横断が出来るみたいですが、時間とか調べてませんがそれこそあり得へんやろ・・・


没ネタ

「ひとっ走りしたくなるのは分かるけど、高速道路は20じゃないと2人乗りできないから免許出して・・・」

「うっす・・・」

「ひゃぁぁああ」

といった感じで
脳細胞がトップギアになる刑事にますきがお世話になる案が思い浮かんだ。(あの人捜査一課だっていうのは見なかったことにする。


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本・心・不・通-12 少女はパレオで何を隠したのか

投稿です。
そろそろRAS篇も終わりですかねぇ・・・


Poppin'Party・Afterglowは構成が出来てるけど
ハロハピ・・・


 

「・・・っ!!いえ、私はパレオじゃありません・・・」

 

「いや、間違いねぇ!!お前はパレ・・・って待てっ!!」

 

声を聞いただけで弦太朗は目の前の黒髪の少女がパレオであると判断した。

しかし、パレオがしていない眼鏡をしていて髪も黒くしていることで誤魔化そうとするが、座り込んでいる弦太朗は自信満々の表情で少女を見ていると少女は弦太朗に背を向けて彼から逃げ出す。

 

それを見た弦太朗もすぐに立ち上がって彼女を追いかけようとするが、足の怪我によって上手く立てずそのまま地面へと倒れて苦悶の声を挙げる。

 

 

 

「ぐっ・・・!!」

 

「・・・」

 

彼を無視すればなんの問題もなく逃げ切れたのだが、目苦悶の声を聞いた少女は立ち止まって弦太朗へと視線を向ける。

 

 

「これは・・・」

 

少女が見た弦太朗に彼女は言葉が出なかった。

 

顔や手などの肌が見える部分には包帯が巻かれ、左脚からは若干の血が制服のズボンに滲んていた。

少女の善性は目の前の彼を放置することなど出来ず彼女は再び彼の元へと戻っていく。

 

「パレオ・・・」

 

「じっとしてください。えっと・・・確か教科書だと・・・」

 

 

弦太朗の言葉を無視して少女は弦太朗の前に座ると左脚の裾をあげて、以前に教科書で見たのを思い出しながら怪我している箇所にタオルを巻く。

 

タオルを巻いた後少女は立ち上がったその時にポケットから丸い何かが零れ落ちるが彼女は気が付いた様子がない。

 

「・・・ではこれで・・・」

 

「待てよ・・・。落とし物だぜ、パレオ・・・」

 

「だからパレオじゃ・・・っ!?」

 

 

彼女は弦太朗の言葉を聞いて振り返ると彼の手には丸い装飾のついたヘアゴムが握られていた。

それを見た彼女は自身のポケットに手を入れるが、先ほどまであった丸い感覚がポケットの中から無くなっていた。

 

「・・・・・・私のではないですから、では・・・」

 

「待てよ。今、あいつらもこっちで探してるから下手したら鉢合わせになるぞ?」

 

「ロックさん達が・・・?あっ・・・」

 

「やっぱりパレオじゃねぇか。とりあえず隠れてろよ」

 

「・・・はい」

 

精神的に追い込まれていた彼女は自分からボロを出して、自分がパレオであることをバラしてしまった。

 

しかし、そんな彼女に弦太朗は隠れるように言い出した事に驚きながらも彼の横に座って隠れると同時に、マグフォンからの着信音が響くと弦太朗はそれに出た。

 

「もしもし?」

 

『如月先輩!?パレオさん見つかりましたか?こっち、全然見つからなくて~!!』

 

電話の相手はロックであったことに横に座ったパレオは震え始めるが、弦太朗はそれを見て電話の質問に答えた。

 

「・・・わりぃ、こっちもまだなんだ」

 

「・・・!?」

 

『分かりました!!』

 

「ロック、なんかわかったら連絡するから!!」

 

『ちょっと待ってく・・・』

 

弦太朗はロックが何かを伝えようとしていたが、それを聞く前に電話を切ってしまう。

一方でパレオは自身を探しているはずのロックに嘘を伝えるという弦太朗の行動に目を丸くしながら、その理由を尋ねる。

 

 

 

 

「なんで・・・嘘をついたんですか・・・?」

 

「・・・俺にも分かんねぇ・・・」

 

「はい・・・?」

 

彼からの答えが全く理解できずに唖然としてしまったパレオだったが、彼はそんな彼女に話を続ける。

 

「よく分かんねぇけど、パレオは今、ロック達に会いたくねぇんだろ?」

 

「だから、私はパレオじゃ・・・・・・」

 

「「・・・」」

 

自分でボロを出した後でも自身がパレオであることを誤魔化そうとするが、流石に弦太朗相手でも誤魔化せないので早々に諦めた。

 

「それにしても、チュチュのところと今じゃ全然雰囲気ちげーな!!・・・でも、安心したぜ。ロック達はパレオが病気とかになってんじゃねぇかって話して心配してたからな」

 

「そうだったんですね・・・」

 

「なぁ・・・。何があったんだ?」

 

「・・・えっ?何も知らないのにそんな体で・・・?」

 

パレオは弦太朗に何を言われるかと身構えていたが、出てきた言葉は予想の斜め上に突き抜けた言葉だった。

何も状況が分かっていないのにも拘らず、動き回っていたという現実が理解できなかった。

 

 

「実は、ますきとチュチュが喧嘩したってのは聞いたんだけどよ。それ以外にお前らに何があったかなんて全然聞いてなかったんだよ。だから教えてくれねぇか?」

 

「・・・」

 

弦太朗は気まずそうな表情を見て、パレオは考え込んだ。

バンドに全く関係のない弦太朗に自身にあった出来事を話していいのかどうかを考えるのを見て、弦太朗はそれを急かすことなくただ無言で待っていた。

 

 

「・・・場所を変えましょう。そこで話しますから・・・」

 

「おう・・・」

 

弦太朗はその提案に乗ってバイクに乗るとパレオの言われた場所へと向かう。

指定された場所は堤防の上、しかもバイクで入れない場所だったため手前にバイクを停めると彼はつけられていた手すりにつかまりながら移動してパレオを待つと、後れてパレオがその場にやってきた。

 

「なんでここなんだ・・・?」

 

「ここ、好きなんです。海の風が吹いて・・・それにここなら落ち着いて話せると思って・・・」

 

「そっか・・・それで昨日は何があったんだ?」

 

「あの・・・その前に聞いてもいいでしょうか・・・その怪我の事・・・」

 

パレオが場所を移した理由を聞くだけ聞いた弦太朗は、彼女達に起こった出来事について質問するがその前に弦太朗の傷の事を聞かれたので彼はそのまま昨日の出来事を語った。

 

「昨日、パスパレのライブだったのは知ってるか?」

 

「えぇ・・・。私はチケットが手に入らなかったのでいけませんでしたが・・・」

 

「実はそのライブ会場が狙われてたんだ。・・・んで倒したはいいけどその代わりにケガしちまってな・・・。しかも、倒してすぐにチュチュのとこから帰ってたロックが襲われたから連続で戦ってな・・・」

 

「そう・・・だったんですね・・・」

 

スタジオを出た3人が自分の知らなかった―――いや、連絡自体はしてたのだろうがパレオはチュチュの事があったため、通知に全く目を向けてなかったため、その事実を知らなかったのだ。

しかし、それを聞いたパレオは驚きを隠せなかったが、なんとか落ち着くと今度はパレオの方から自身に会った事を話し始めた。

 

 

 

 

「実は・・・昨日、ちゆと・・・」

 

「ちゆ・・・?」

 

「えっと・・・チュチュ様の名前です」

 

「昨日ってますきが怒ってスタジオ飛び出したってあれか・・・?」

 

「はい。その時ちゆに言われたんです・・・「あなただけいてもしょうがない」って・・・。その時に分かったんです・・・。もうパレオは必要ないって・・・」

 

 

 

 

「!?マジか・・・。あいつ・・・」

 

彼女から語られた言葉に弦太朗は足の痛みも忘れて、パレオの腕を掴んでいた。

 

「如月さん!?何を・・・」

 

「チュチュんとこ戻るぞ!!流石にガツンと言わねぇと気がすまねぇ!!」

 

「いいんです!!パレオは・・・感情や欲望を覆い隠すものだから・・・」

 

「何言ってんだ?お前は・・・」

 

パレオの言葉に意味が分からなかった弦太朗。

そんな彼の目の前でパレオは呟くように話し出す。

 

 

 

 

「私は皆さんみたいな演奏技術なんてありません・・・。でも、特別じゃなくてもパレオだったからあそこにいられたんです。・・・だから、パレオじゃない私はあそこにいられない・・・」

 

「お前・・・・・・」

 

「如月さんには分からないと思います。あんな凄いことをしてる特別な人なんです。私は・・・」

 

「そんなことはねぇだろ・・・。RASの奴らにとっては・・・」

 

「RASはちゆの物だから。そこにもう私は必要ないならパレオはもう存在価値なんてないんです・・・」

 

パレオの表情を見て、何て声をかければいいか分からなかった弦太朗は必死に言葉を考えていたがこちらに向かって誰かが走ってくる音が聞こえてくる。

 

 

 

 

「見つけました!!」

 

「ようやく見つけたぜ!!って弦太朗もいんのかよ!!」

 

「ロックさん・・・マッスーさん・・・」

 

足音の正体はロックとますきで、彼女達はパレオ達の元へと向かってくる。

こうして彼女達は1日ぶりの再開を果たしたのだった。





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本・心・不・通-13 狂人の叫びは人の心を変えれたのか

投稿です。

ふぃ~
ようやくここまで・・・


勘違いされてたかたもいましたが、令王那がポケットに入れていた丸いものは”パレオのヘアゴム”です
彼女はそれを誤って学校に持ってきてしまったんですね
決してスイッチではありません。



 

「はぁ・・・はぁ・・・。クッソ・・・ロック早えぇな・・・」

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。パレオさん!!」

 

「・・・っ!!違います・・・!!離してください!!」

 

 

 

「ここまで来たんだから・・・話くらい聞いてやれよ」

 

「・・・でも、私はパレオではないですから」

 

弦太朗達の前に立つロックとますきだが、走るのと止めると同時に息が乱れ始める。

弦太朗の横に立つ彼女も今の姿を見られたことに同様していたが、ここで息を整えたロックに呼ばれて咄嗟に否定するとその場から逃げ出そうとするが、彼女の腕を咄嗟に掴んで静止させる。

腕を掴まれた彼女は逃げるのを諦めたがますき達から背を向けてしまう。

 

そんな状況の中で最初に声を挙げたのはますきだった。

 

「お前はパレオ・・・。いや、鳰原(にゅうばら) 令王那 (れおな)じゃねぇのか・・・?」

 

「!?」

 

ますきから突然出てきた名前に驚きを呼ばれた本人は驚きと疑問の混ざった表情を浮かべていたが、それを見て名前を呼んだますきが理由を話し始めた。

 

 

 

 

「学校の奴らに聞いたんだ。パレオの写真見せたら多分そうだって・・・」

 

「鳰原・・・令王那・・・?」

 

「パレオの本名だ・・・!!それと弦太朗、これは私達の問題だから少し黙ってろ」

 

「でも・・・勝手にすいません・・・」

 

「いえ。・・・何か言ってましたか?」

 

 

「え?はい、可愛いって・・・みんな言ってましたよ・・・」

 

「うんうん・・・!!」

 

ここで少女が自身が令王那であると認めたが、令王那は学校の人間がパレオの写真を見たことについて聞かれたロックは聞いたままを答えると、その横ではますきがロックの言葉に同意するかのように力強くうなずいていた。

 

 

 

 

「そうですか・・・それならよかった。パレオは可愛いですから・・・私と違って・・・」

 

「はぁ?何言ってんだ?帰るぞ、パレオ」

 

「帰りません。パレオはもういません・・・」

 

令王那はますきの提案を真っ先に拒否した。

それを見てますきは思わず、自身の中で最悪の考えをそのまま口に出してしまった。

 

 

 

 

「お前・・・もしかしてRAS辞める気か・・・?」

 

「えっ・・・」

 

「何、訳わかんねぇこと言ってんだよ。お前がいねーと困るんだよ」

 

「パレオがいなくてもライブは出来ます・・・」

 

 

 

 

 

 

「ライブは出来るけど・・・・・・・・・可愛さが足んねぇだろ!!」

 

「は?」

 

「へ?」

 

「・・・」

 

パレオの言葉にますきは訳の分からない言葉が出てしまい、ロックとここまで殆ど黙っていた弦太朗からも声が漏れてしまう。

しかし、令王那はそれに反応しなかったのを見てますきは更に熱弁を始める。

 

「RASはチュチュの曲とレイの歌にお前らの可愛さが浮いてて・・・それが可愛いんだ!!」

 

「あの・・・ますきさん・・・それで・・・?」

 

「んっ・・・そうだな・・・。まぁ・・・その、とにかく可愛いんだよ!!それに私もかわいいもんが好きだからさ、お前がいなくなるとすげー寂しい」

 

「ですから、パレオはもう・・・」

 

 

 

「・・・おいロック。どうする?」

 

「どうするって・・・説得するって言ったじゃないですか・・・」

 

勢いに任せたますきの説得だったが令王那には全く届いておらず、それを見てたまらずロックへと助けを求めるように視線を送るが、ロックもどう説得していいかわからずにますきに説得を任せることしか出来なかった。

 

 

 

「お前が辞めたらみんな悲しむぞ。レイも心配してた。チュチュも待ってんぞ」

 

「・・・嘘は嫌いです。ちゆは待っていません」

 

「そんなことないです!!パレオさん、辞めないでください!!」

 

「それは無理です」

 

「なんでだよ!!」

 

全く説得を聞こうとしない令王那にたまらず声を挙げてしまうますきだったが、それを見た彼女はまるで他人事のように淡々とその理由を語り始めた。

 

「ちゆが一人ぼっちになっても、パレオが近くにいられたらそれでいいと思ってました」

 

その言葉と共に一瞬だけ令王那の言葉が停まり、彼女の頭の中では先日のパレオがチュチュから言われた言葉が頭を過る。

しかし、令王那はその言葉を飲み込んで再び語りだす。

 

「パレオは存在意義を失ってしまった・・・だから―――」

 

パレオはもうどこにもいない。

彼女がそう口にしようとしたその時―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとまちゃあ!!」

 

「「「!?」」」

 

感情を爆発させたロックが吼える。

その様子に一同が驚きの表情を浮かべていたが彼女は止まらない。

 

「RASは5人でRASやんか!!レイヤさんとますきさんとチュチュさんと私とパレオさん!!1人でも欠けたらRASやあらへん!!」

 

「ロック・・・お前・・・」

 

「パレオさん・・・私達とのバンド楽しくないんか?」

 

「・・・っ!!・・・・・・それは・・・」

 

ますきは普段からは感じられないロックの様子に未だに驚きを隠せず、令王那もその言葉に一瞬だけ心が揺れる。

その心の揺れなどお構いなしにロックはそのまま畳み掛けていく。

 

「私はこの5人が最強やと思う。1人でもやっていける力を持った人たちやけど、5人が揃ったら、でら凄いバンドで―――!!全員が真剣やからえらい熱量でやれるんや!!それはでらすっごいことやし、幸せやって思う!!」

 

「・・・・・・」

 

「RASはそんなバンドなんやと思う・・・だからもっともっとって走っていける!!わやになってもみんながRASのこと、大事に思っとったら大丈夫や・・・!!これでお別れはイヤや・・・・・・」

 

「ロックさん・・・だったら・・・どうしたらいいんですかぁ・・・!!」

 

ロックの言葉を聞いた令王那だったが、その言葉に激しく心を揺さぶられてもはや今の自身が考えが全く纏まらずどうしたら良いのかが全く分からず、泣き出しながらその場に崩れ落ちるのを見たますきはロックの肩に手を置きながら、彼女も自身の思いを口にする。

 

「私もロックと一緒だ。ロック達とRASでバンドがしたいんだよ。パレオはどうなんだよ?」

 

「でも・・・だって・・・!!ちゆがぁ・・・。うわぁぁぁ・・・!!」

 

ますきの言葉を受けて令王那は人目を気にすることなく泣き声をあげる。

それを見たロックはおもむろに自身が付けていたシュシュを外して握りしめると令王那に向かって声を挙げた。

 

 

 

「でも、やない!!チュチュさんがなんて言っとったかなんて事はどうでもええ!言い訳もいらん、聞きたいのは1つだけや!!――――パレオさんはRASでバンドやりたくないんか?私はずっと夢見とったんや!!

仲間と一緒に夢中になれるバンドを!!それでやっと見つかったんや!!こんな素敵な居場所を!!

手が届くのに手を伸ばさなんだら死ぬほど後悔する―――

如月先輩にそう教わって!!それでやっと夢に手が届いたんや!!チュチュさんが!!・・・ううん。チュチュさんだけやない。レイヤさんが、ますきさんが・・・そしてパレオさんが私をただの朝日六花からRASのロックに変えてくれた・・・やから!!私はその夢をまだ終わらせたくない!!」

 

 

 

 

 

「でも、もう・・・パレオは・・・私は・・・どうしたら・・・?」

 

ロックの言葉に自分でもどうしたらいいのか完全に理解できなくなって、パレオとして令王那としてどうしたいのかが全く纏まらない。

そんな彼女を見てロックはますきに言われた通りに無言を貫いていた弦太朗を指差して言い放った。

 

 

 

 

 

「変身や!!」

 

「へっ・・・?」

 

「私はみんながいたから変われたんや・・・。やから!!パレオさんも・・・いや、令王那さんも!!」

 

「!?・・・でも、私は・・・」

 

初めてロックから本名を呼ばれて困惑する令王那。

説得まで後1歩と言うところにもかかわらず、令王那としての自身の無さによって最後の最後がうまくいかない。

それを見て無言だった弦太朗も我慢の限界を迎え、崩れ落ちているパレオに目線を近づけるようにその場に屈むと彼女に語りかける。

 

 

 

 

「俺のダチにパレオと似たような奴がいてな・・・。でもよ、チュチュの世話してたパレオも、今の令王那も俺からしたらどっちもパレオだし令王那だ!!」

 

「そうだ!!弦太朗の言う通りだ。前のお前も今のお前も私達からしたらどっちもパレオだ!!もっと自信持てよ!!」

 

「でも・・・」

 

自信なさそうに呟く令王那を見て弦太朗はそんな彼女に向けて手を差し出した。

 

 

 

 

 

 

 

「だったら、ダチになってくれ。今度はパレオとしてじゃなくて令王那としてな?」

 

「如月さん・・・・・・・・・はいっ・・・!!」

 

弦太朗の手を取った令王那。

それを見て弦太朗はいつものように友情のシルシをかわして2人は笑うと、遠くから2つの足音が響てくる。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ・・・・・・・っ!!パレオ~~~~!!」

 

「・・・っ!!」

 

足音と共に現われたのはチュチュとレイヤ。

2人は防波堤を走ってこちらに向かって来ていたが、令王那はチュチュの姿を見て逃げ出そうとしてしまうものの弦太朗がそれを腕と握って止める。

 

「ここまで来たんだから逃げんなって」

 

「でも・・・」

 

「大丈夫だ!!ロックも言ってたろ?変身だ!!今までの自分が嫌なら新しい自分に変わればいいんだ」

 

そう言って弦太朗は制服の裏に隠し持っているドライバーを見せてから、先ほど彼女が落としていたヘアゴムを彼女の手に握らせてから腕を離す。

それと同時にチュチュはその場に転ぶと令王那はそのままチュチュの元へと駆け出してチュチュの身体を起こす。

 

 

 

 

「パレオ・・・っ!!パレオ・・・っ!!パレオ・・・っ!!この前は言いすぎた・・・ごめんなさい・・・!!」

 

「うっ~~~~~~~~!!チュチュ様~~~~~~!!」

 

「パレオ!!苦しいっ!!」

 

「勝手に休んですみませんっ!!ご迷惑をおかけしてすいませんっ~~~!!」

 

「パレオ~~~っ!!」

 

「「うわぁ~~~~~~っ!!」」

 

 

 

 

 

「うぅ~~~~~!!良かったです~~~!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

「あれ・・・・?ますきさんも泣いてます?」

 

「ばっ!!泣いてねぇ!!これは・・・海の風が目に染みるだけだ!!」

 

互いに泣きながらも互いに謝り続ける。

そんな光景を見てロック達も貰い泣きしている様子を見ていた弦太朗の横にチュチュともに走ってきたレイヤが静かに横に立って話しかけてきた。

 

 

「弦太朗、ありがとう」

 

「俺は何もしてねぇよ」

 

「ううん。多分だけど、弦太朗がいなかったらこんな結末になってなかったと思う」

 

「いや、これはレイ達の・・・まぁ、なんだ。丸く収まったならいいじゃねぇか」

 

「ふふっ・・・そうだね」

 

そういってレイヤは弦太朗に手を差し出すと弦太朗はそれを取る。

そしてレイヤから弦太朗に対して友情のシルシを行うと彼女はわずかに笑みを浮かべると、ここで何かを思い出し方のようにポケットからスマホを取り出した。

 

「どうしたんだ?」

 

「明日、チュチュの誕生日なんだ。マンションの方で誕生会の準備してるんだけど。折角なら日付変わる時刻は一緒にいようってますきがね・・・。電車もだけど、バイクも早めに出ないと日付変わっちゃうからね・・・・・・えっ?何これ・・・?」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

ここでレイヤはスマホの画面を弦太朗へと向けると、そこにはとてつもない数の通知が表示されていた。

それに驚く弦太朗だったが、レイヤのスマホがたえからの着信を告げるとすかさずにレイヤは通話に出た。

 

「もしもし花ちゃん?どうし・・・」

 

『レイ!!無事!?』

 

「ちょっと花ちゃん?無事ってどういうこと?」

 

『あっと・・・えっと・・・その・・・!!』

 

『あ~おたえ!!ちょっと電話変われ!!もしもし?』

 

「その声・・・有咲ちゃん」

 

『あぁ・・・』

 

たえの電話から突然出てきた有咲にレイヤは状況が分からずに首を傾げるが、この後の有咲の言葉はレイヤに更なる混乱を招いた。

 

『突然なんだけど、そこに他のRASと如月いるか?』

 

「えっ・・・?他のメンバーも弦太朗も全員いるけど・・・」

 

「どうした?」

 

「えっと・・・有咲ちゃんが・・・」

 

そう言うと弦太朗はレイヤのスマホに耳を近づけるが、レイヤは気を利かせてスピーカーにすると有咲はそのまま話始めた。

 

『如月!!お前さっきから連絡してんのに・・・!!ってそれどころじゃねぇ!!』

 

「なんかあったのか!?」

 

 

 

「ん・・・?レイ・・・?」

 

「どうかしたんやろか・・・?」

 

スピーカーにしていたこともあってレイヤ達が話しているのが聞こえたロック達は未だに泣いている2人の邪魔をしない様に弦太朗達の元へと近づく。

 

しかし、電話の向こうから告げられたのは誰もが想像していない言葉だった。

 

『さっきチュチュのところのマンションでレイ達にすれ違った時に香澄と沙綾の奴が見たんだよ!!』

 

「見たって・・・?何をだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スイッチだ!!』

 

「「なっ!?」」

 

「ん?」

 

「それって・・・前に言ってたやつか!?」

 

『とりあえず本当か分かんねぇけど昨日戦ったやつかもだから気をつけろ!!』

 

そう伝えると早々に有咲は電話を切ってしまうが、それを聞いた一同は流石にその言葉を信じられなかった。

しかし、そのまま放置するわけにもいかないと思った弦太朗はチュチュの元へと行こうとするがそれをレイヤが静止した。

 

「待って!!」

 

「なんでだ?」

 

「チュチュが襲ったなんて信じらんねぇんだよ。悪いけど一旦は私達に任せてくれ」

 

「・・・でも」

 

「お願い・・・!!」

 

 

 

「・・・分かった」

 

彼女達の意思に負けてしまい、弦太朗はこの場をレイヤとますきに任せてしまった。

それを見てロックは弦太朗へと近づくとこそこそと話し始める。

 

 

「スイッチって明日香ちゃんが持ってた・・・」

 

「あぁ、水瓶だったらホロスコープスの・・・明日香が使ってたのと似たような赤いスイッチだ」

 

そんな不安を他所にますきが申し訳なさそうに泣いていた2人に歩み寄っていくと、そのままチュチュ達へと話しかける。

 

「あ~~~。そう言えばよ。明日チュチュの誕生日だろ?折角だから日付変わる時にチュチュのマンションで祝おうぜ?」

 

「・・・忘れてたわ・・・」

 

「はっ!?そうでした!!今から準備を・・・」

 

「いいからすぐ行くぞ!!それとチュチュ、ポケットの中のもん見せてくれ」

 

「はぁ?・・・別に大したものは入ってないからいいけど・・・」

 

ますきの言葉にチュチュは不信感を覚えながらもポケットに手を突っ込んで中の物を取り出して見せた。

そこには有咲が言った通り、ポケットからはスイッチが出てきた。

スイッチについては話だけしか聞いていなかったがますき達。

 

「これか・・・」

 

「えっ?マッスーさん・・・?これって・・・確か・・・!?」

 

 

 

「なっ!?」

 

「えっ・・・?」

 

不思議そうに眺めているますき達を他所に弦太朗とロックはチュチュから出てきたスイッチに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュが出したスイッチ、それは間違いなくゾディアーツに変身するためのスイッチだったが、その色は夜空のような”黒色”だった――――

 

「これがなんなのよ・・・」

 

「なぁ、チュチュこれお前どこで・・・?」

 

「マスキング・・・これは・・・」

 

彼女がますきの問いに答えようとしたその時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如としてますき達の周囲で小さな爆発が起こる。

 

「うわぁ!?」

 

「「キャ!?」」

 

それに驚き悲鳴を挙げる彼女達だったが、その爆発の後で夜の闇から複数の足音が夜の闇に紛れて防波堤の上を歩いてくる。

 

彼女達に近づいてくる人の気配に構える彼女達だったが夜の闇から女性が1人、ダスタードを引き連れて姿を現す。

その姿に全員がどこか既視感を覚えていたが、確実に1人だけその正体に気が付いて動揺を隠せずにいた。

 

「なんで・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでMomがここにいるのよ!?」

 

そこに現れたのはここにいるはずのない人物―――

チュチュの母親である”珠手美羽 “が彼女達の前に飄々とした表情で現われた。

 

 





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本・心・不・通-14 Indomitable Fighter

投稿です。
RAS篇は後1~2話かな・・・

ハロハピから逃げたい。
あなた達6人で話が完結してる・・・
流石に3章でリベンジマッチは無理やぞ・・・


 

「―――なんでMomがここにいるのよ!?」

 

「チュチュ様・・・!!」

 

「それにその一緒にいるのは誰なのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも!!」

 

「ちょっとレイヤ!?どうしたのよ!?」

 

ここにいるはずのない人物の登場に困惑を隠せないチュチュをパレオが心配するような素振りを見せていた。

その中で目の前の危機的状況が理解できたレイヤが2人へと駆け寄ろうとするが、チュチュの母の横に立っていたダスタードがレイヤに向かって何かを投げるのをますきにはハッキリと捉えていた。

 

「レイ!!停まれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?きゃ!!」

 

「レイヤさん!!」

 

「また爆発!?どうなってるのよ!?」

 

ますきの叫びにレイヤの速度が遅くなると、2人とレイヤの間で再び小さな爆発が起こる。

たまらずレイヤもその爆発に怯んでしまって2人と再び距離を取ってしまうが、レイヤを心配するパレオの横でこの状況が全く理解できていないチュチュは声を挙げてしまうが、それに答えたのは彼女の母親だった。

 

「ふふっ?凄いでしょ?ちゆも練習すれば大丈夫よ!!」

 

「何を言って・・・?」

 

「あら?プレゼントは使ってないの?」

 

「・・・・・・・・・」

 

チュチュは今だに手に握っていたスイッチへと視線を向ける。

反応を見て未だにスイッチを使っていないと判断したチュチュの母の視線は彼女からロックへと視線を移していた。

 

「あなたね?ちゆの邪魔をしているのは・・・」

 

「邪魔・・・?何を言って・・・」

 

「だって、あなたはちゆに”相応しくない”もの・・・」

 

「!?」

 

「その言葉・・・!!」

 

「じゃあ、昨日ロックを狙ったのはあんたか・・・!!」

 

「でも・・・なんで・・・相応しくないって・・・?」

 

その言葉を聞いてレイヤは驚愕の表情を浮かべ、ますきは仲間を狙われたことに怒りを覚えるが、当の本人はそれ以上に理由が理解できていなかった。

 

 

「だって、あなたはそっちの2人はプロとして活動してるのに、あなたは何もしていないじゃない」

 

「・・・それがなんだってんだ・・・?」

 

「ちゆと一緒に音楽やるなら、最低でもプロが相手じゃないと」

 

「ちょっと待って!!それだと・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ・・・だから、あなた達は相応しくないわ」

 

彼女の視線はロックからパレオへと移っていく。

ロックだけではなくパレオも彼女の標的にだったことが分かって驚きの表情を浮かべる一同を他所に彼女は淡々と話を続けていく。

 

「でも、そっちの子は探しても見つからなかったから・・・あなた達が場所を教えてくれて助かったわ」

 

「じゃあ、もし私達が来なかったらパレオは・・・!!」

 

「レイ!!今、その事を考えても仕方ねぇだろ!!」

 

レイヤは自分たちがパレオを危険に巻きこんでしまったと思ってしまい、、ますきがそれを真っ先に否定する。

2人のやり取りを見て、ただ淡々と作業をこなすかの様な様子で彼女はロックとパレオへと問いかけた。

 

「今なら・・・ちゆと音楽をやらないというんだったら見逃してあげるけど・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この5人でRASなんや!!やから・・・・RASを抜けるなんて・・・そんなのありえへん!!」

 

「・・・っ!!待ちなさい!!」

 

ロックが答えると同時にチュチュ達の元へと駆け出したのを見てダスタード達が再び爆弾を投げていくと爆発がロックの周りで起こるが彼女はその爆発の中を走り抜けるとチュチュ達の元へと辿り着くとチュチュの腕を掴む。

 

「2人ともこっち!!」

 

「・・・はい!!チュチュ様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!!どういう事よ!!」

 

訳の分かっていないチュチュを無視してパレオが立ち上がるとロックとは反対の腕を掴んで立ち上がらせると2人で腕を引いて、レイヤ達の元へと戻っていく。

 

「これ以上は仲間に手を出させるわけにはいかねぇ・・・!!」

 

「流石にこれ以上は見過ごせない・・・」

 

「レイヤ!!マスキング!!あなた達まで!!」

 

流石にチュチュが近くにいるからか攻撃を止めてきたがダスタード達は彼女達の元へと近寄ってくると、今度はレイヤとますきが彼女達を庇うように立ち塞がった。

その光景にはチュチュも驚いている様子だったが、その一方で彼女の母は怒りの表情を浮かべていた。

 

「何のつもりかしら?」

 

「・・・ますきが言った通りです」

 

「親かも知んねぇけど、だからって子供の邪魔して良い訳じゃねぇだろ・・・!!」

 

 

 

 

「ちゆ・・・今のお友達はあなたに相応しくないわ・・・!!」

 

ますきが何気なく放った言葉に彼女の琴線に触れてしまい、彼女はそのままスイッチを押してアクエリアスへと変身した。

その光景に今まで変身するのを見たことがない面々は驚きの表情を浮かべていた。

 

「花ちゃん達から話だけは聞いてたけど・・・!!」

 

「マジで・・・人がなるんだな・・・」

 

「・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何よ・・・どうなってるの・・・?」

 

「ちゆには新しいお友達探してあげるわ・・・」

 

「うぉおおおおお!!」

 

アクエリアスの言葉と共にダスタードがゆっくりと5人へと近づいてくる。

その様子に得体の知れない恐怖に襲われたチュチュだったが、ここでRAS達の影から1つの影が飛び出してダスタードを体当りで弾き飛ばしながら地面を転がっていた。

 

 

「弦太朗・・・!!」

 

「如月先輩・・・!!」

 

「ちょっと!!BadBoy!!あんた!!そんな怪我で何してんのよ!!」

 

「如月さん・・・その傷で・・・」

 

「弦太朗!!お前それでやれんのか・・・?」

 

彼女達は既にボロボロになっている弦太朗に声を挙げるが、彼はやせ我慢で痛みを抑え込んで何事もなかったかのように立ち上がって彼女達へと振り向きながら答える。

 

 

「・・・レイとロックが根性見せたんだ・・・!!だったら俺も根性見せねぇとな!!」

 

「・・・如月先輩!!・・・・・・お願いします!!」

 

「おう!!」

 

やせ我慢であるのを見抜いたロックはそれを指摘することはなく弦太朗に声をかけると、彼は笑みを浮かべてそのままダスタード達へと視線を向けると懐からドライバーを取り出していた。

 

「これが終わったらマンションでチュチュの誕生会だ!!」

 

「What's・・・?」

 

得体の知れない何かを取り出した様にしか見えなかったチュチュの怪訝そうな視線を他所に弦太朗はドライバーを装着するとそのままスイッチを押してドライバーからのカウントが響いていく。

 

 

3―――――――

 

「何よ?このカウント」

 

2―――――――

 

「そんなん気にすんなよ」

 

1―――――――

 

「マスキング!!何を言って・・・!!」

 

 

チュチュとますきがカウントが響く中で会話をしていた中でカウントダウンが終わる。

カウントが終わると怪我していることなど感じさせずに弦太朗は構えて、いつもと同じ言葉を叫ぶ。

 

 

「変身・・・!!」

 

ドライバーのレバーを押し込み、夜空に向かって手を伸ばすと彼を白い煙が包み込み、その中で彼はフォーゼへと変身を完了すると腕を振って振り払うと煙が霧散してその姿を現した。

 

 

 

「ちょっと!!何がどうなって・・・!!」

 

弦太朗も急に姿を変えた現実にパニックを起こしているチュチュだったが、誰もそれを気にすることはない。

そしてパニックを起こしたチュチュを他所にフォーゼは身体を縮こませていき、それが更に彼女のパニックを大きくさせていく。

しかし、それを気にすることなく―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙・・・・・・来たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

「はぁ・・・?」

 

「変身・・・そっか・・・!!」

 

「ちょっとパレオ!!何がどうなってるのよ~!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・来たーーーーーーーーーーー!!」

 

「ちょっとパレオ!?」

 

 

 

「かわいいな・・・」

 

フォーゼの言葉に困惑するチュチュだったが、その横では先ほどロックに言われたことを思い出したパレオがフォーゼと同じように声を挙げたことに彼女は更に混乱し、そんなチュチュに視線を奪われたますき。

 

 

 

 

「”仮面ライダーフォーゼ”、タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

そんなカオスな状況を差し置いてフォーゼはいつも通りに腕を突き出して宣言すると共にバックパックで跳躍してダスタード達へと向かっていくのだった。

 





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本・心・不・通-15 逆境からのBlast Off!!

如月弦太朗ゥ!!何故君が前章から怪我を引き摺って変身しているのか。
何故前回でフォーゼがロケットとドリルをあそこまで酷使したのか、なぜコズミックで戦えない状況になったのか

その答えはただ一つ・・・!!ハァァ・・・!!

如月弦太朗ゥ!!
君が!!ここで最後のとっておきを使うからだぁぁぁあ”ーーーッハハハッ!!

ア゛ーーッハーッハーッハーッハッ!!

と言う訳で投稿です。


 

目の前で繰り広げられている光景に私は目を疑っていた。

 

 

―――MomとBadBoyが化け物になった。

 

しかも、白い方は前にRoseliaの所で見た青い奴の面影があったが、訳の分からない私を他所に彼らは動いていた。

 

「いくぜ!!」

 

――――ランチャーON――――――

 

BadBoyの声と共に白いのが足に何かが付いたと思ったらそこからミサイルが飛んでいくと、それはMomと一緒にいた連中に当たって先ほどよりも大きい爆発を起こしていた。

 

この前のもさっきのも、目の前の出来の悪い夢だと思っていた。

 

 

ミサイルの爆発から起こった熱と風、それと爆発で舞い上がった小さな石のような何かの破片が確かに私の肌を叩き、それが目の前の出来事が現実であることをハッキリと認識させられた私は乾いた声しか出なかった。

 

「ははっ・・・なによこれ・・・」

 

「チュチュ様!!大丈夫ですか?」

 

 

 

 

「ますきさん、この横とか抜けられないですか・・・?」

 

「5人全員無事には逃げれる確率は相当低いだろ・・・」

 

「それに弦太朗の邪魔になりそうだし・・・」

 

しかし、そんな私とは違って他のメンバーはどこか落ち着いていた。

まさか・・・・

 

 

 

 

「あんた達!!知ってたのね!!」

 

「まぁ・・・そう言えばチュチュは知らなかったんだ・・・」

 

「あんた達・・・みんな知ってて・・・・・・・・・私だけに黙ってたのね・・・・・・・・・」

 

 

私の言葉にレイヤが答えたが、その答えを聞いた途端に私の中で黒い何かが湧き上がってくる。

その黒い何かに突き動かされるように私はMomから貰ったこのスイッチを見つめていた。

 

「そんなに私だけをのけ者にしたかったのね・・・」

 

「ねぇ・・・どうしたの・・・?」

 

「おいチュチュ?何言ってんだ・・・?っておい!!」

 

 

 

 

 

「・・・あかん!!」

 

レイヤはよく分かっていなかったけど、マスキングとロックは私の行動を見て何かを察していたけど2人の位置からじゃ間に合わない。

私はその衝動に駆り立てられるままにスイッチを握る手に力を込めて押そうとした時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!ダメ!!」

 

私のそばにいたパレオが私に―――

正確に言えばスイッチを持っている私の腕に飛び掛かってきた。

 

「パレオ!!離しなさい!!」

 

「ダメ!!」

 

 

私の親指を握って押させまいと抵抗してくるパレオを引き剥がそうとするが私の抵抗ではパレオを止められず、パレオは私から強引にスイッチを奪い上げるが私は咄嗟にパレオに飛び掛かっていた。

 

「返しなさい!!」

 

「ダメ!!・・・・・・・・・あっ!?」

 

普段の私からは想像が出来ないほどの強い抵抗にパレオはスイッチを落としてしまって、スイッチは転がっていく。

そしてそれはロックの足元まで転がっていき、彼女はそれを拾い上げると私はロックに怒りの視線を向けていた。

 

 

 

「ロック・・・返しなさい・・・!!」

 

「っ!!あかん!!」

 

「また私に逆らう気!?」

 

「・・・っ!!」

 

ロックは私の言葉に若干驚いていたように見えたが。私を見てロックはそれを持った手を持ち上げていた。

でもスイッチを押す様に持っていない・・・

まさか―――!!

 

「Stop!!・・・マスキング!!離して!!」

 

「ロック!!やっちまえ!!」

 

「ロックっ!!」

 

私はロックを止めようと動き出していたが、すぐにマスキングに抑えられてしまい、そしてロックは――――

 

 

 

 

 

「こんなもの・・・!!」

 

その言葉と共に私のスイッチを海へと向かって投げ捨てると、戦闘の音に混ざって水に何かが落ちる音が響いてくる。

 

ロックが投げたスイッチが水に落ちる音が響いてきたのを聞いたマスキングは私を開放する。

 

 

 

 

―――私の邪魔をした!!

 

それが許せなかった私はこうなってしまった原因であるパレオへと向かっていくのをレイヤ達がそれを止めようとしたがパレオは真っすぐに私に視線を向けていた。

 

「チュチュ様・・・」

 

「おいチュチュ!!」

 

 

 

「パレオ!!あんた!!私のじゃ・・・!!」

 

しかし私の言葉は最後まで言い切ることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「「はぁ!?」」

 

「なっ!?」

 

「・・・」

 

レイヤ達が声を挙げていたが、最初は何が起こったのかが分からなかったが、気が付いたらパレオを見ていたはずの視線が突如として横を向いていた。

 

それ後れて私の頬が次第に熱と痛みが広がっていくことでようやく何をされたのかが理解できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――パレオが私の頬を叩いたのだ。

 

DadやMomにだってされた事のないビンタ。

それをパレオがするというのが信じられずに私も理解するまでに時間がかかったし、レイヤ達も声を挙げたのだろう。

 

私は頬が訴える痛みを感じながらパレオに向かって叫んでいた。

 

「あんた!!何のつもりよ!!」

 

「・・・」

 

「あんたもそうやって何も知らない私を馬鹿にしてたんでしょ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前!!いい加減にしろよ!!」

 

「マスキング!!」

 

パレオは泣くのを我慢しているようで何も答えない。

それでも構わずパレオに声を挙げていたが、それを見て耐え切れなくなったマスキングが私の胸倉を掴んで叫んできた。

 

「何よ!!あんただって知ってたんでしょ!!それで私なんてどうでもいいから黙ってたんでしょ!!」

 

「そんな訳ねぇだろ!!」

 

「だったら・・・!!なんで・・・・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなアブねぇことに巻き込みたくなかったってことに気が付かねぇのかよ・・・!!」

 

「・・・っ!!」

 

「そうです!!私なんて今回で3回目ですから!!」

 

「ロック・・・そうじゃないからね・・・。それにチュチュ、パレオの顔見なよ・・・」

 

マスキングの言葉にロックが続き、そしてレイヤの言葉を聞いて私はパレオへと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「・・・っ!!・・・ちょっとパレオ・・・!!」

 

パレオは泣いていた。

その姿に完全に言葉に詰まってしまった私にパレオは何を思ったのか抱きしめてきた。

 

「うぅ・・・・うわぁぁぁあああああああ!!」

 

そこで私の中で何かが溢れ出して、周りの目など気にすることなく先ほどよりも大きな声で泣き出していた。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

「いくぜ!!」

 

――――ランチャーON――――――

 

フォーゼはランチャーを起動して即座にダスタードとアクエリアス目掛けて乱射する。

乱射して対行為していたが突如としてランチャーを出していない左脚に痛みが走る。

 

「くっそ!!足が・・・!!」

 

歩く程度の痛みなら耐えられたが、その足は戦闘に耐えられるほど回復していなかった。

 

「ロケットとドリルも使えねぇし・・・!!くっそ・・・!!これならメディカル使っておきゃ良かった・・・!!」

 

コズミックには変身できたが、左脚のダメージがあるため剣をまともに触れるかすら怪しく、キャンサーとの戦闘で無理をした影響で天校のスコーピオンと戦った時と同様にロケットとドリルが全く動かない。

その事に加えてメディカルで治療を後回しにしたことを後悔しながらもフォーゼはランチャーでダスタードを倒していく。

しかしその爆炎の中でダメージを受けているが、即座に回復するアクエリアスにフォーゼは対処法を必死に考えていた。

 

 

「仕方ねぇ・・・それならこいつで・・・!!」

 

――――――――ジャイロON――

 

対処法が思い浮かばないがフォーゼはジャイロを起動して空へと上がる。

空に逃げたことによって立っていただけで痛みが走っていた左脚が少しだけ楽になるが、それは根本的な解決にはなっていないことに焦りながらランチャーでの攻撃を続けていくが、全くダメージが入らない。

 

「倒せねぇなら海に叩き落してやる!!」

 

フォーゼはランチャーのスイッチを切るとそのまま右足のスイッチを交換していく。

 

――――ビートON――――――

 

即座にビートの大音量をアクエリアスに叩きこんでいくと先ほどの爆発と違ってアクエリアスは回復する様子がない。

肉体的な回復は出来ても、音による攻撃に上手く対応出来ていないのが分かったフォーゼはまたドライバーに手を伸ばした。

 

――マジックハンドON――――――――

 

「おらぁああ!!」

 

ビートの音に怯んでいるアクエリアス目掛けて気合いを込めたマジックハンドでぶん殴る。

ダメージはないが勢いに負けたアクエリアスはそのまま海へと沈んでいく。

 

「うっし!!今のうちに・・・!!」

 

フォーゼはジャイロを使ってそのまま地面に降りるとジャイロのスイッチを切る。

そのままチュチュ達へと視線を向けると彼女達も丸く収まったのを確認すると、メディカルスイッチをドライバーへと入れようとしたその時―――

 

 

 

 

 

「これはっ!?うわぁ!?」

 

突如としてフォーゼの左腕に何かが絡みつき動きが止まる。

フォーゼが視線を向けると左腕にはアクエリアスが使う鞭が絡みついていたことに気が付くと取る序として海へと身体が引っ張られ、転落防止の柵に身体を叩きつけられる。

 

叩きつけられたこと自体には大したダメージはないが、それと同時に左脚も強く打ちつけてしまい仮面の下で苦痛の表情を浮かべていた。

それと同時にフォーゼに絡みついた鞭をたどってアクエリアスが海から這い上がってくると勝ち誇ったかのような態度でフォーゼ達に視線を向けていた。

 

「あら・・・危ないじゃない・・・」

 

「ロック達狙っておいてよく言うぜ・・・!!」

 

アクエリアスの言葉にふらつきながらもフォーゼが立ち上がるがその光景に後ろのいたロック達から声が挙がる。

 

「如月さん・・・!!」

 

「心配すんな・・・!!そっちはもう解決したのか?」

 

「大丈夫ですけど!!こっちの心配してる場合じゃないですよ~!!」

 

「だからとっとと終わらせて帰るぞ!!」

 

「でも・・・その足だと・・・!!」

 

フォーゼの姿に不安を覚えていたのはレイヤだった。

先日からボロボロの状態なのに今でもフラフラで、話を聞いただけだが一番強いと言っていたコズミックでの戦闘をまともにすることが出来ない状況で安心するというのが無理だった。

アクエリアスは満身からかその状態のフォーゼに何もすることなく視線を向けている中で、不安そうなレイヤを安心させる様にフォーゼは声をかけた。

 

「心配すんな!!とっておきの切り札はコズミックだけじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

「何あれ・・・?」

 

「見たことねぇな・・・ロックは?」

 

「私も無いです・・・でも、なんやあれ・・・?」

 

フォーゼはその言葉と共にとっておきのスイッチを取り出す。

一番フォーゼの事を見ていたロックでも見たことがないそれを見つめながらフォーゼは誰にも聞こえない様な小さな声で呟いた。

 

「頼む・・・力を貸してくれ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なでしこ・・・」

 

――――ロケット スーパー――――――――――

 

フォーゼはその呟き共にスイッチをドライバーへ装填するとドライバーからはその思いに答えるかのようにいつも以上に力強く音声が挙がる。

 

海からの波音のみが周囲に響く中で力強い音声に答えるようにフォーゼも力を込めてスイッチを起動する。

 

――――ロケットON――――――――――

 

普段から使うロケットと同じ音声が響くがフォーゼの全身の色が白からオレンジへと変わっていくのだった。

 

 





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次回でRAS篇最終回ですかねぇ・・・


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本・心・不・通-16 We're "RAISE A SUILEN"!!

投稿!!
そしてRAS篇終わり!!



 

「色が変わった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・?でも・・・」

 

「あら?色以外分かってないわね?」

 

「両手が塞がってる・・・」

 

ロケットスイッチスーパーワンを使用してフォーゼはロケットステイツへと変身し、ステイツチェンジを始めて見たパレオは思わず声が零れる。

しかし、両腕にロケットが出ただけで他には色しか変わっていない様に見えたレイヤからは疑問の言葉が口から漏れてしまい、アクエリアスもその姿に明らかに油断していたがそれを気にすることなくフォーゼはロケットを構えていた。

 

「ライダー・・・」

 

その呟きと共にフォーゼは皆の視線から消える。

 

「ダブルロケットパァンチ!!」

 

 

 

 

 

「ぐぁ!?」

 

「何が起きたんだよ!?」

 

「如月先輩が消えてもうた!?」

 

小学生がとってつけたかのような技名を叫ぶとともに目の前フォーゼの姿が消えると、それと同時にアクエリアスが吹き飛ばされていく。

 

目の前で起こった状況が理解出来ていなかった彼女達だったが彼女達の耳には何かが燃えているような音が空から響いてきて全員が見上げるとフォーゼは2つのロケットを使って空を飛んでいた。

 

「いつの間にあんな所まで・・・!?」

 

「まさか・・・あのくそダセェ名前叫んだ時にあそこまで行ったのかよ!?」

 

いきなり空に現われたフォーゼに驚くパレオ達から声が漏れる。

そんな彼女達を他所にアクエリアスは立ち上がって自身のダメージを回復しようとしたがここで想定外の出来事がアクエリアスを襲った。

 

 

 

 

 

 

 

「あら・・・?」

 

「どういう事だ・・・?さっきまで回復してたのによ・・・」

 

「あっ!!ますきさん!!あれ見てください!!」

 

アクエリアスはダメージが回復しない事実に声が漏れ、理由が分からないますきから同じように声が漏れるがロックは何かに気が付いてアクエリアスを指差した。

 

そのロックの行動にチュチュとフォーゼ以外の全員の視線がアクエリアスに視線を向けると突如としてアクエリアスの身体がふらつくと同時に何かがひび割れるような音が聞こえてくる。

 

 

 

ひび割れる―――そこから連想されるのはただ1つ。

全員がそこに視線を向けると衝撃的な光景が広がっていた。

 

 

 

「如月さん・・・!!」

 

「嘘・・・まさか・・・」

 

レイヤ達が声が挙がる中でアクエリアスの肩の瓶が罅が全体に広がっていき、そして最後には音を立てて割れた。

 

「割れた・・・!!」

 

「いつの間に・・・!?」

 

「最初の奴か!!」

 

 

 

 

「いっくぜぇええええええええええ!!」

 

アクエリアスも自身に起こった出来事が理解できていないが、何も特別なことはない。

最初の言葉と共にフォーゼは両腕のロケットで最大まで加速して瓶を同時に殴りつけてから空へと飛んだだけ―――

 

ただそれだけでアクエリアスの回復を完全に無力化してしまったのだ。

 

しかし、フォーゼはそこから止まることなく両腕のロケットを駆使しながら予想不可能な軌道を描きながらアクエリアスへと体当りを繰り返していく。

 

 

 

「・・・このっ!!」

 

「うぉぉおお!!まだまだぁ!!」

 

怒りに身を任せながらアクエリアスは空中に向けて自身の武器の鞭を振り続けると、運よくその鞭はフォーゼの右足に絡みつかせることに成功するとフォーゼを地面に叩きつけようと鞭を握る腕に力を籠め始める。

 

しかし、その事を意に返さずにフォーゼは2つのロケットの力に物を言わせて鞭を掴んでいたアクエリアス諸共空へと上がる。

 

突如の出来事に鞭を離すタイミングを誤ってしまい、鞭を握りしめたままのアクエリアスを引きながらもフォーゼはロケットで出鱈目な軌道で空を飛ぶ。

 

「くぅ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「これで・・・!!」

 

フォーゼは何を思ったがそのまま地面に急降下して地面すれすれを飛び、連れていたアクエリアスをそのまま地面へと叩きつけるとアクエリアスは自身の武器である鞭を手放してしまった。

 

地面に倒れたアクエリアスを他所にフォーゼは一度レイヤ達の元へと降り立つ。

 

「へへっ!!どうだ!!俺のとっておきは・・・?」

 

「うん・・・正直、驚いた・・・」

 

「でも、あのくそダサい技の名前は何とかなんなかったのか・・・?」

 

「ダサくねぇだろ!!そうだ!!ロック足のこれ取ってくれ・・・」

 

「えっ!?・・・はいっ!!」

 

自信満々にとっておきのロケットステイツについて話したフォーゼはロックに足に絡みついていた鞭を外してもらい、ロックは何を思ったのか外した鞭をそのまま海に投げ捨てると倒れていたアクエリアスがゆったりと地面から立ち上がっていた。

 

「弦太朗!!後ろ!!」

 

「レイヤ達は下がってろ・・・」

 

ふらついていたアクエリアスを前にしてフォーゼはレイヤ達の前に立って構えるが、ここで予想外の出来事が襲った。

 

 

 

 

 

 

「ちゆ!!待って!!」

 

「チュチュさん!?」

 

「おい!!チュチュ!!お前下がれって言っただろ!!」

 

 

 

 

「・・・」

 

フォーゼの前にパレオの静止を無視したチュチュがフォーゼの横に立ってアクエリアスへと視線を向けていた。

娘に視線に気が付いたアクエリアスは彼女へと視線を返していた。

 

「ちゆ」

 

「Momなんでこんなことをしたのよ・・・」

 

そこから放たれたのは当然の疑問。

娘からの質問にアクエリアスは答えた。

 

「ママのやってる音楽とは違うけれど、ちゆと一緒にやるメンバーは良い人たちを集めるのは当然でしょ?」

 

「・・・」

 

「背の高い2人はちゆと同じくらいの年なのにお仕事で音楽してるけれど、そっちの2人はちゆには相応しく・・・」

 

Shut up(うるさい)!!」

 

 

 

 

「ちゆ・・・!?」

 

娘からの言葉にアクエリアスは動揺を隠せなかったが、それに構わずチュチュは自身の思いを口にした。

 

「Mom!!知らないみたいだからハッキリ言ってあげる!!私達は"RAISE A SUILEN"!!最強の音楽を奏でるガールズバンドよ!!」

 

「何を言ってるの?ママには分からないわ・・・?もっとあなたには相応しい人が・・・」

 

「誰が何と言おうと関係ない!!私が集めた・・・いいえ、ここに集まったこの6人で最強なのよ!!」

 

 

 

 

 

 

「ちゆ・・・!!」

 

チュチュはハッキリと自身の思いをハッキリと言い切った。

まさかの娘の反抗にスイッチによる精神汚染と合わさってアクエリアスはチュチュ目掛けて突っ込んでくるが、それでも彼女は動じることなくアクエリアスを指差した。

 

ゲンタロウ(・・・・・)!!Finishよ!!」

 

 

「っ!!おう!!」

 

フォーゼはチュチュの言葉に答えて彼女の横からロケットを全力で吹かしてアクエリアスの身体を自分事空へと打ち上げる。

 

 

「これで決める!!」

 

フォーゼは空中でアクエリアスを蹴り飛ばすと、アクエリアスだけが地面へと落ちていく。

その姿を見ながら一時的に左腕のロケットを消してドライバーのレバーを押し込む。

 

―ロケット リミットブレイク―

 

 

 

ドライバーからの音声が響くとフォーゼはロケットモジュールを全力で噴射すると自身の身体を錐もみ回転させながらアクエリアス目掛けて急降下していく。

 

 

 

「ライダー・・・きりもみクラッシャー!!」

 

 

その言葉通り錐もみ回転しながらアクエリアスに突っ込んでいく。

しかし、2つのロケットモジュールの加速力が加わった回転はとてつもない破壊力を持って、アクエリアスを襲った。

 

 

「ぐぅぅ・・・・・・・・・ぁぁぁあああ!!」

 

フォーゼの破壊力の前ではアクエリアスも耐えきることが出来ず、そのまま空中で爆散してしまう。

その爆発の中から意識を失ったチュチュの母親を回収するとフォーゼはそのままRASの元へと降りていく。

 

 

 

 

 

「終わったぜ・・・」

 

「良かった~・・・!!」

 

フォーゼの言葉を聞いてロックからは安堵の声が漏れだし、それに釣られるように周囲からも安堵した様子を見せていた。

 

その中でフォーゼはロケットステイツからベースステイツへと戻ってそのまま地面に座り込む。

 

「だぁ~!!疲れた~!!」

 

「弦太朗、おつかれ」

 

「レイ・・・おう!!」

 

「でも、なんでチュチュのお母さんがあれ持ってたんやろ・・・?」

 

「確かにロックさんの言う通りですけど・・・。どうしてですか?」

 

「前にリサ先輩から聞きましたけど使った時の記憶がなくなってた人もいたっていうから・・・」

 

「んな事は後で聞けばいいだろ?正体割れてんだから逃げらんねぇだからよ・・・」

 

「ちょっと待ってください!!起きそうですよ!!」

 

レイヤはフォーゼに拳を突き出すと彼の腕のロケットに軽く打ち付けるのと同時にロックが思っていた疑問をフォーゼにぶつけたが、当の本人にしか結論を出せないその話をますきが強制的に打ち切らせせようとする。

しかし、その時意識を失っていたチュチュの母親が意識を取り戻した。

 

「ちゆ?・・・それに何で日本にいるのかしら・・・?」

 

 

 

 

 

「「「へっ・・・?」」」

 

「Mom・・・さっきのこと・・・覚えてないの・・・?」

 

「さっき・・・?何の事かしら?」

 

 

 

「本気で言ってんのか・・・?」

 

「でも、嘘ついてるようには見えませんけど・・・」

 

「Mom・・・質問を変えるわ・・・最後に覚えてるのは・・・?」

 

「確かファンの人からプレゼントを確認して・・・って、そうだわ!!明後日には大切なお仕事があるんだったわ!!ちゆ、また今度ゆっくりしましょう!!」

 

意識を取り戻したのはいいが、彼女は先ほどまで―――正確にはアクエリアスとして活動していた頃の記憶が完全に抜け落ちていた。

しかも彼女にはチュチュの事しか目に入っておらず彼女はそのまま何事もなかったかのようにこの場を去ってしまう。

 

その光景に呆気に取られていた彼女達だったがレイヤが早々に我に返った。

 

「・・・って帰っちゃったけどどうするの!?」

 

「Mom・・・本当に覚えてないみたいだったわ・・・」

 

「レイ、チュチュがそういうならそうなんだろ?んなことより、とっとと帰ろうぜ!!」

 

レイヤが慌てだすが、本当に何も覚えてない様子の彼女をこれ以上詰めても何も出ないと判断したますきは気持ちと共に話を切り上げて帰ることを提案すると、パレオがここで何かを思い出したかのような表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

「そうでした!!チュチュ様の誕生会をやらないと・・・!!」

 

「そうだった・・・。チュチュさんのためにますきさんががケーキも用意したんですよ・・・」

 

「自分でも忘れてたわ・・・」

 

「ふふっ・・・だったら早く帰んないとね。ちょっと待って、今から時間調べるから・・・」

 

レイヤは彼女達の様子を見るとスマホで時間と帰路を調べるが、途端に彼女の表情が固まってしまった。

 

一同は何事かと思って首を傾げるとレイヤは絞り出すような声で挙げていた。

 

「終電・・・終わってる・・・。ここってこんなに早いの・・・?」

 

 

 

「はぁ~!?」

 

「えぇ~!?どうするんですか~!?」

 

「バイクで3人乗りなんて出来ねぇぞ!?」

 

「あわわ!!皆さん落ち着いてくださ~い!!」

 

「そうや!!如月先輩が飛ぶのにしがみ付けば・・・!!」

 

「それではチュチュ様が死んでしまいます~!!」

 

 

 

 

 

「・・・行けるか?」

 

レイヤからの言葉に一同は驚きの声を挙げてしまうが、そんなことをしても事態が変わるわけではなく、チュチュの誕生日をマンションで祝うという計画が早々に頓挫してしまった。

しかし、その中でフォーゼだけはあることを思いついて立ち上がったその姿をパレオが疑問に持つが、フォーゼはそのままスイッチを切ってベースステイツへと戻っていく。

 

「如月さん・・・?どうしたんですか・・・?」

 

「まさかゲンタロウ!!あんた、本当にロックの案を使うつもり!?」

 

「弦太朗!?待って!?」

 

「・・・それだったら私は自分のバイクで帰るからな」

 

「ちょっとますきさん!?逃げないでくださいよ~!!」

 

混沌とした状況の中でフォーゼだけは何事もなかったかのようにコズミックスイッチを取り出して、そのままコズミックステイツへと変身した。

 

「また色が変わりました!?」

 

「今度はRASと一緒のカラーじゃない」

 

「ますき、バイク持って来いよ」

 

「ん?よく分かんねぇけど・・・分かった。レイ、弦太朗のバイク頼んでいいか?」

 

「押すだけでしょ?それだったら・・・」

 

彼に言われるままにますきはレイヤを連れて2台のバイクを運ぶために一旦この場を離れるが何をするかの分かってないロックが皆の意見を述べていた。

 

「あの・・・それで如月先輩・・・どうするんですか・・・?」

 

「これで帰るんだよ。・・・抜いて・・・挿すっと・・・」

 

 

 

 

 

 

「今度は何!?」

 

「白い・・・なんでしょうか・・?」

 

「それって・・・!?」

 

フォーゼはそのままコズミックでリミットブレイクを発動して彼女達の前にワームホールを生成する。

それがなんなのか分かってないチュチュ達だったが、唯一見たことがあるロックだけは何をするのかが分かってしまった。

そんなロック達の元へとますき達が戻ってくると、一度見た彼女達もフォーゼの意図が分かったようだった。

 

「それって確か・・・宇宙まで飛んだり、麻弥さん達のライブ会場から私達のとこまで来た奴だよな・・・?

 

「弦太朗まさかだけど・・・それで帰るの・・・?」

 

 

「凄いですねチュチュ様!!」

 

「よく分かんないけど、凄い無駄遣いなのだけは分かるわ・・・」

 

「んじゃ、行こうぜ!!」

 

「ひぃぃいいいい!!」

 

フォーゼはそう言うと近くにいたロックの腕を掴んでワームホールの中に入っていく。

その後にチュチュ達が続いて最後にますき達がそこの中に入ると彼女達の目の前には信じられない光景が広がっていてレイヤから思わず声が漏れてしまった。

 

 

 

 

「本当にチュチュのマンションだ・・・」

 

彼女達がいたのは数時間前までいたはずのチュチュのマンションだった。

宇宙の力の無駄遣いによって時間的にはかなり余裕をもって目的地まで到着したことで変身を解除した弦太朗は自信満々の表情をしていたが、マンションはマンションでも場所が問題でそれにキレたのはますきだった。

 

「弦太朗!!お前!!マンションにワープするのはいいけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで室内なんだよっ!!」

 

弦太朗がワームホールの出口に設定してしまったのはチュチュのマンションでもチュチュの居住スペースの中、ますきは自身のバイクごとマンションの屋内にワープしてしまったのだ。

 

流石のますきも時間的な問題を解決してくれた弦太朗へと掴みかかってそのままその体を揺さぶりながら文句を言い始める。

 

「お前なぁ!!バイクどうすんだよぉ!!」

 

「ぐえっ!!ますき!!離せ!!」

 

「エレベーターで一緒に降りろってか?あぁ!?」

 

 

「ちょっと・・・ますきさん止めてくださ~い!!」

 

ますきは弦太朗の言葉を聞くことなく身体を揺さぶり続けるが、弦太朗の異変に気が付いた流石にロックがますきを止めに入る。

 

「ロック止めんなよ!!」

 

「如月先輩!!意識ないですよ~!?」

 

「はぁ!?・・・あっ・・・」

 

ロックの指摘にますきが視線を向けると本当に弦太朗は意識を失っており、ますきも今日までの彼の行動を思い出して流石に顔を青くして呟いてしまった。

 

 

 

 

「・・・やべぇ、やりすぎた・・・」

 

「流石に連日あんなことしてたのにこれはちょっとやりすぎでは・・・?」

 

「そう言えば誕生会で思い出したけど・・・弦太朗、花ちゃんの誕生日祝ってない・・・それどころじゃなかったのは知ってるけど・・・」

 

 

 

「・・・あぁ~!!もう!!こいつ隅っこに寝かせてチュチュの誕生会の準備すんぞ!!ロック手伝え!!」

 

「えっ!?はい!!」

 

 

「チュチュ様はこちらへどうぞ!!」

 

「あんた達誕生会はいいけど、後でちゃんと説明しなさいよ!!」

 

「とりあえず知ってる範囲で教えるね・・・」

 

こうして弦太朗が連日の戦闘と疲れによって意識を手放している中でRASを巻き込んだ2度目の事件は幕を閉じていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ・・・あれ・・・?」

 

「ようやく起きたのね・・・。もう朝よ・・・」

 

「やっべぇ!?チュチュの誕生会寝て過ごしちまった!!」

 

「とりあえず、マスキングの作った料理が少し残してあるから食べなさい・・・」

 

 

 

「わりぃな・・・それと、誕生日おめでとう・・・チュチュ」

 

「んっ・・・」

 

事件解決後に疲れで意識を飛ばしていた弦太朗が次に目を覚ました時には完全に誕生会が終了していたのはRAS達の問題に比べればとてつもなく些細な問題である。

 





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次章予告:未定!!
決めてないけどポピパ以外なのは決まってます。
それまでは本編(小ネタ)で・・・

オマケ
変身ゾディアーツ設定RAS+α版
レイヤ:ドラゴン
ロック:こと
マスキング:ハウンド
パレオ:コーマ
ハナゾノ:うさぎ/???

チュチュさん、あなたが押したら二郎√
そしてMomの前で押したら
昏睡→アクエリアス治癒→昏睡→・・・
の地獄無限ループが発生した模様


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オマケ時空篇11 混・沌・襲・来
日・常・風・景13 Type-34


小ネタ投稿です

今回はお気に入り人数が343(紗夜さん)を超えたので記念です。
なお、何が何だか書いた人間が理解できていない模様


 

~~~小ネタ43:バンドリ/ステイ無いと

 

七人の少女(マスター)に七騎の英霊(サーバント)―――

彼女達はたった1つの大トリ(聖杯)を巡って戦い合う―――

 

 

 

「Go!!ライダー!!あなたの狂犬ぶりをみせてやりなさい!!」

 

「よっしゃ~!!行くぜ!!行くぜ!!行くぜ~!!」

 

 

 

「頂点に立つのは・・・私達よ!!アーチャー!!」

 

「勿論です。・・・ですがその前にあれ(ポテト)倒して(食べて)しまっても構わないのでしょう?」

 

 

 

「いつも通り・・・いくよ!!キャスター!!」

 

「ニンニクマシマシ~、ヤサイマッタンホルン~」

 

 

「いこう!!イヴちゃ・・・セイバー!!」

 

「ブシドー!!」

 

 

 

「行きましょう!!ミッシェル!!」

 

「こころ~・・・せめてクラス名で・・・」

 

 

 

「えぇ・・・っと。がんばろう・・・!!七深ちゃん・・・じゃなかった・・・アサシン」

 

「うんうん!!頑張ろうね!!シロちゃん!!」

 

 

「やっちゃえ!!バーサーヤ!!」

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ねぇ千聖ちゃん。この台本、厳しくない・・・?」

 

ここで日菜がノートに向かっていた千聖にダメ出しをしながら、珈琲を啜っていた。

 

「そうね・・・。槍の要素が足りないわね・・・」

 

「おねーちゃんのセリフもるんっってしないし!!それに彩ちゃんには荷が重くない?」

 

「そうね・・・。この案は没にしましょうか・・・」

 

「それじゃあ!!今度はお姉ちゃんが主役でゲンちゃんと付き合うラブコメ"アイドル姉、不良と付き合うってよ"を・・・」

 

「そんな僧○枠書けるわけないじゃない!!それなら私が主役をやるわよ・・・。そうね・・・リサちゃんが主役で料理ドラマを・・・」

 

「それってリアクションする方も大変じゃない?口からビーム出さなきゃいけないし・・・それにリサちーの料理で服は弾けないよ?」

 

「もう少し案を出しましょうか・・・」

 

「そだね~。それで出なかったらまたロゼキュア考えよ~」

 

 

 

 

 

 

 

それを遠目からリサとあこと巴、羽丘でダンス部に所属している面々がそれを眺めていた。

 

「ロゼキュアって前にあこ達がやってた・・・でもなんで台本書いてるんだ?」

 

「また新しいのやるらしいよ~」

 

「・・・ほどほどにな?」

 

「うん!!」

 

「リサさんは何も思わないんですか?」

 

微笑ましい姉妹の会話を聞いて表情を緩ませていたリサだったが突如として話を振られた彼女は途端に笑みに怒りが浮かぶ。

 

 

「う~ん。アタシの料理だったらビームとか服をはだけさせるのは”まだ”出来ないけど・・・少しの間昇天させるくらいなら出来るよ・・・?」

 

 

「「へっ?」」

 

「お~い。巴~あこ~」

 

リサから出た予想外の言葉に姉妹は彼女からの問いかけに答えることが出来ずに固まってしまうのだった。

 

 

 

 

 

~~~小ネタ44:無限の揚芋

 

「ふぅ・・・。今日の自主練はこの辺にしておこうかしら・・・」

 

私は自宅の部屋で自主練を切り上げるとそのままベッドに横になると、ふとバンドリの順位の事が頭を過る。

 

「バンドリも1位になったけれど気は抜けないわね・・・。何か出来ることはないかしら・・・」

 

順位は1位でも今後に何が起こるか分からないと言うことは自分達が一番身に染みて実感していた。

 

だから今のままではいけない。

私も何かしなければと思っていたらふと以前の出来事を思い出した。

 

「そう言えば・・・今井さんが前に作詞をしていたわね。私もやってみようかしら・・・。そうなれば何かアイディアを探しに外に出ましょうか・・・」

 

そう思い立った私はそのまま家を出るとアイディアを求めて散歩を始めるのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「難しいものですね・・・・・・。なにもアイディアが浮かびません・・・」

 

しかし、見慣れた街の風景があるだけで目新しいアイディアの収穫はない。

湊さんは凄さを実感しながら私は運動も兼ねて少しだけ遠回りで家へと向かうが、そこで私は運命的な出会いをしてしまった。

 

 

 

 

「これは・・・誰かの落とし物でしょうか・・・?」

 

私の目の前に落ちていたのは1冊の黒いノートだった。

そう言えば何かのドラマだったか映画だったか忘れてしまったけどノートを拾う物語があったような・・・

 

 

「名前とかは書いてないわね・・・。少し気が引けますが中を見れば誰の持ち物か分かるかもしれないわね・・・」

 

そう呟いてから私はそのノートを開く。

 

「これは・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

その中身には私が今まで触れたことのない新世界が広がっていた。

私は夢中になってそのノートを読み進めていくと周囲の視線が刺さるような感覚を感じるがそんなことは気にならないほど私はそれを食い入るように見ていた。

 

 

「ブラッディ・ラビアンローズ。世界にはこんなものがあるのね・・・・・・!!」

 

「あの~・・・」

 

誰かに声をかけられた気がしたが今はそれどころではない。

このノートの世界を理解しなければ・・・

 

「なるほど・・・」

 

「あの~・・・すいません・・・」

 

「素晴らしい・・っ!!」

 

「あのっ!!」

 

「邪魔しないでください!!私は今!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ!!」

 

「・・・ってあなたは確か桐ヶ谷さんのバンドの・・・」

 

私はこのノートの理解の邪魔をしてくる人物に若干の怒りを覚えながら視線を向けると、そこには桐ヶ谷さんのバンドのボーカルの・・・倉田さんが立っていた。

 

「すいません。でも、今私は忙しいんです・・・」

 

「あの・・・そのノート・・・」

 

「そうです。私は自身のレベルアップのためにこのノートに書かれている世界について理解をしなければいけないんです」

 

倉田さんの顔面が蒼白になっていたが私は拾ったノートを見せつけながら話しかける。

 

若干の申し訳なさを感じるがそれ以上に私の興味はこのノートに向いている。

早くこの世界を理解して自分の物にしなければ―――!!

 

そう思っていたのだが、彼女からは信じられない言葉が返ってきた。

 

「それ!!私のです!!」

 

 

 

「なんですって・・・?ですが・・・」

 

「だって表紙に私のイニシャルが入ってますよね・・・?M・Kって・・・」

 

私は一度ノートを閉じて表紙を確認すると確かに倉田さんが言った通りのイニシャルが書かれていたけれど―――

 

「これだけでは説得力に欠けますね・・・」

 

「そんな・・・!?」

 

ダメです。

倉田さんが何と言おうと少なくとも私がこれを理解するまでは渡すわけには・・・

でも、本当に彼女の物だったらと考えていたら彼女は持っていたカバンから別のノートを取り出していた。

 

「ほら!!私の字と一緒ですよね!?」

 

「・・・確かに似てますね・・・」

 

「だったら・・・」

 

 

 

 

 

「だったらこれに書かれている”漆黒のラヴィアンローズ”の1節を言ってみてください。本当に持ち主でしたら分かりますよね・・・?」

 

確かに字が似てますが、本当に彼女の物かは分かりません・・・

だったら本人にしか分からないことを聞けば、我ながら冴えていますね。

 

 

「心を蝕む重力(グラビティ)の・・・」

 

「・・・スイマセン。もう少し大きな声でお願いします」

 

彼女が何かを呟き始めたけれど声が小さくて全く聞こえなった私は彼女にそう告げると聞き逃さない様に彼女に集中した。

 

「愛の迷宮―ラブラビリンス。お前と私の魔導書(グリモワール)・・・」

 

「なっ!?まさか・・・でも・・・」

 

彼女の言葉を聞きながら私はノートの文を確認すると間違いなく言葉は一字たりとも間違えていない。

まさか本当に―――

 

「我が背に芽吹きし羽根は漆黒の闇を伴う―――!!」

彼女はここで目を見開いて私に向かって最後の言葉を言い放った。

 

 

「ブラッディラヴィアンローズ!!」

 

「っ!?」

 

その言葉と共に私は彼女の背から伸びる黒い薔薇の蔓に襲われるイメージを受ける。

間違いない―――

 

 

「あなたがこれの持ち主だったんですね・・・!!」

 

「へっ・・・はっ・・・!!」

 

「倉田さん!!いえ、師匠!!私にこのノートの世界についてご教授を!!」

 

「いやぁああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・出来た・・・!!」

 

あの後、ちょっとした問題がありましたが、師匠に手ほどきを受けてなんとか1節だけですが詩が出来た。

 

ですが、何故顔を真っ赤にしていたんでしょうか・・・

 

大切なのは自分の中の物をカタチにすること―――

それを教えてくれた師匠には感謝しかありません・・・!!

 

私はギターを片手に出来た詩を読み上げていた。

 

 

 

 

 

I am the bone of many potatoes. (身体はポテトで出来ている)

 

potato is my body, And oil is my blood.(血潮は油で、身体はじゃがいも)

 

I have ate over a thousand potatoes.(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

Unaware of leftovers. (ただ一度の敗走もなく)

 

Nor aware of gain. (ただ一度の勝利もなし)

 

Withstood hunger to eat potatoes,(担い手はここに孤り) waiting for one's arrival.(ポテト畑でポテトを食う)

 

I have no regrets.This is the only path. (ならば、我が生涯に後悔は不要ず)

 

My whole life was(この身体は、)"unlimited potato works" (無限のポテトで出来ていた)

 

 

 

 

 

 

 

詩を読み上げた私は感涙の涙を流していた。

私の心象を現した完璧な詩です・・・!!これならきっと・・・!!

 

私は満足感に浸りながらそのまま眠りにつき、後日Roseliaと日菜の目の前でこの詩を歌った。

しかし、私の手ごたえとは異なり、日菜以外から猛反対を受けてお蔵入りになってしまった。




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小ネタ解説
小ネタ43
不意にFa○eのDe○n版を見ることがあったので思い付いてつい・・・
最初のPC版はやりましたが、F○Oについて行けません・・・

小ネタ44
F○te見たなら一度は聞いたことがあるあのカッコいい演唱
なお343がやると途端にギャグに・・・





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日・常・風・景14 素晴らしいッ!!ハッピバァァァァァァスデイ!!

投稿です。
投稿日はおたえの誕生日・・・

普段なら書かないけど、作中で誕生日について触れてしまったから書いてみたした。
もう一つは・・・うん・・・


 

~~~小ネタ45:花園ランドへようこそ

 

RASの事件も解決した翌日―――

弦太朗は1人の少女を連れてとある少女の家の前に立っていた。

 

「ここか・・・」

 

「ほら、弦太朗。いくよ」

 

「休めって言ったのに何で・・・そういやレイはなんで一緒にいんだ?」

 

「ポピパのライブまで時間があるからそれまで花ちゃんと一緒にいようと思って。それに花ちゃんの家だよ?普通に考えていくでしょ?」

 

 

 

彼らが今いるのはたえの家の前、この状況になった原因はたえの誕生日まで遡る。

 

――――――

 

ポピパがライブを終えてその控室でたえへ誕生日のケーキを持ってきたますきがあることに気が付いて、思わずたえに聞いてしまった。

 

 

「なぁ、弦太朗はどうしたんだ?アイツ、ダチの誕生日なのに何でいねぇんだよ」

 

「えっとね。先輩はパスパレの人と一緒にいるよ?」

 

「はぁ?なんで・・・」

 

「えっと・・・マネージャーだって」

 

「アイツに出来んのか・・・?」

 

「ねぇ、弦太朗から何か誕生日プレゼントもらったの?」

 

「ううん・・・。でも、大変だから・・・」

 

「折角ならなんか言ってみたらどうでしょうか!!きっと如月先輩も・・・!!」

 

ロックから出たその言葉にたえは唸りながらも考えて、ある1つの案が浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったらうちに来て飼ってるうさぎ見てもらいたいかな・・・」

 

――――――

 

たえの誕生日プレゼントを全く用意していなかった弦太朗は、そのプレゼント代わりに家に招待されていた。

普通に考えたら祝われる側の家に行ってペットと戯れるというのは傍から聞いたらおかしいが、ここにいるのは弦太朗とたえのことになると途端に頭の回転が鈍るレイヤだけしかおらず、2人とも不思議に思うことはなかった。

 

 

 

「ほら、花ちゃんの誕生日にしてもらいたいことなんだから・・・」

 

「おう・・・、んじゃ行くか・・」

 

弦太朗は意を決してインターフォンを鳴らすと途端に家の中からたえが出てくる。

 

「先輩・・・!!レイ・・・!!」

 

「よぉ」

 

「きちゃった」

 

「2人とも上がって!!」

 

うさぎ自慢が出来ることにたえはいつも以上に上機嫌になっていた。

そんな彼女は2人を家にあげると目の前の光景に弦太朗は驚きを隠せなかった。

 

「すげぇ・・・こんなにいんのかよ・・・」

 

「ホント凄いよね・・・」

 

驚いている2人の元に1羽のうさぎが一目散に弦太朗の元へと寄ってくる。

正直うさぎの判別なんて出来ないが、彼はそのうさぎの特徴的な目を見てそのうさぎの名前を思い出していた。

 

 

「たしかこいつは・・・オッちゃんだったか・・・?」

 

「そうだね。オッドアイだから・・・、それであの子がしろっぴーで・・・あっちの子がパープルちゃん・・・」

 

「レイもよく覚えてるな・・・」

 

「・・・花ちゃんは全部見分けれられるけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう!!皆可愛いでしょ!!」

 

「かわいいって言うか数がすげぇな・・・」

 

「ふふん!!」

 

 

 

「花ちゃん・・・かわいい・・・」

 

自慢のウサギを見てもらえて大満足のたえは胸を張っている光景にレイが思わず呟くが弦太朗の意識はうさぎに完全に引っ張られていた。

 

「先輩、おやつあげてみる?」

 

「いいのか・・・?」

 

「うんっ!!」

 

弦太朗は上機嫌のたえからおやつとして用意していた野菜を受け取ると一番近くにいたオッちゃんの口元に持っていくと勢いよく食べ始める。

 

「こいつかわいいな・・・」

 

「でしょ!!レイも!!」

 

「うん。・・・ってみんな寄って来たね」

 

気が付けば他のウサギたちも弦太朗達の周りに寄ってくると3人でそれぞれうさぎにおやつを与えていく。

 

慣れているたえとは違い、弦太朗とレイヤは慣れない様子でおやつを与えていくとおたえが2人の横に屈んだ。

 

「あら~」

 

 

 

 

「おたえ・・・?じゃない・・・」

 

「花ちゃんのお母さんだよ」

 

「紹介するね。お母さん」

 

「たえちゃんのお母さんで~す。レイちゃんは久しぶりだけど・・・そっちの男の子は始めてね?」

 

2人が視線を向けるとたえだと思っていた人物はたえではなく、たえの母親だった。

そっくりな親に驚いていたが、たえの母はニコニコした表情のまま2人を見ていた。

 

 

 

 

 

「それで、どっちがその子の彼女さんなのかしら~?」

 

「ふふっ・・・違いますよ」

 

「だったらたえちゃんの彼氏さんなのね~。なら結婚は何時かしら~」

 

「お母さん、天然だよね」

 

「おたえが言えねぇだろ」

 

「弦太朗もね・・・」

 

「でも、たえちゃんはどうなのかしら~?」

 

たえの母の言葉にレイヤはすぐに笑いながら答える。

いや、口元は笑っていたが目は完全に笑っていなかったがそんなことはたえの母には全く関係なかった用で、彼女は自身の娘に視線を向けるとたえは何かを考えていた。

 

 

 

 

「ん~よく分かんないけど・・・。先輩、結婚する・・・?」

 

「お前も何言ってんだ・・・?」

 

「花ちゃんにはまだ早いよ!!」

 

天然親子の発言に弦太朗も何を言っているのか分からない様子だったが、レイヤだけはその事に驚きながら反論する。

しかし、その言葉は3人に聞き流されてレイヤが花園家を出る時には疲れ果てた表情を浮かべることになることを彼女自身はまだ知らない。

 

 

 

 

~~~小ネタ46:チュチュっとバースデー

 

フォーゼによって予定よりもかなり早い時間にマンションに戻ってきたRAS。

時間が早いことは彼女達にとっては嬉しい誤算だったが、逆に時間が早くてどうしようかと考えていた。

 

 

 

「誕生日にはちょっと早いけど・・・どうする?」

 

「だったら飯でも食おうぜ!!・・・ライブの後から飯食ってねぇから、腹減っちまってよ・・・」

 

 

 

「そうですね!!それに如月先輩も寝てますけど・・・起きたらきっとお腹空かせてると思います!!」

 

「それじゃみんなの分も用意すっから待ってろよ!!」

 

「ますきさん手伝います~!!」

 

 

 

「ではチュチュ様は先ほど汚れてしまったと思いますので、シャワーで綺麗にしましょう~!!」

 

「パレオ~離して~!!」

 

 

 

「えっと・・・うん・・・」

 

それぞれがますきとロックが料理の準備を、チュチュもパレオに連れられてシャワールームに消えてしまい完全に取り残されたレイヤ。

 

 

彼女は独り暮らしはしているがそこまで家事の能力は高くない。

そんな彼女が部屋の隅で寝ている弦太朗のそばへと歩み寄るとその横に座りながら擦り寄ってきたソフトーニャ戯れ始めるという珍妙な光景が繰り広げられると言った出来事があったが、準備が終わるとRASの5人が料理の前に集まっていた。

 

「そんじゃ・・・ちょっと早いけど・・・」

 

「「「「誕生日!!おめでとう!!」」」」

 

 

 

「Thank's・・・」

 

「チュチュ様、顔が赤くなってます~!!」

 

「なんだ?照れてんのか~?」

 

「うっさいわね!!マスキング!!」

 

 

 

 

 

「喧嘩しないでくださいよ~」

 

「ロックさん。あれは照れ隠しですから大丈夫ですよ」

 

「パ~レ~オ~!!」

 

主役であるはずのチュチュが揶揄われるという状況に皆が笑いだすが、ここで彼女は先ほどまでの出来事を思い出す。

 

 

 

「そうだった・・・。さっきの事とかちゃんと説明しなさいよ!!」

 

「それだったら如月先輩が・・・。ってまだ寝とる・・・」

 

「あんな状態で動いてたんだから仕方ないんじゃない・・・?」

 

「パレオ。話しなさいよ」

 

 

 

「はい!!・・・っと言われても私もあまり詳しくないんです・・・」

 

チュチュの言葉にパレオは反応するが、パレオもほとんど話を聞くだけでフォーゼの事についてはあまり詳しくはないので肩を落とすとそれを見てレイヤも気まずそうな顔をしていた。

 

 

「私も・・・かな?多分ロックとますきの方が詳しいと思うよ?」

 

「私だって基本は狙われてるだけですよ~!!」

 

「まぁ・・・知ってるなら・・・」

 

そう言ってますきが自身が知っているだけだが弦太朗の事を説明し始め、一通り話し終えるとチュチュは頭を抱えていた。

 

 

「未だに信じられないけれど・・・そんなことが起こってたのね・・・」

 

「って言ってもRoseliaの時は一緒にいたよね・・・?」

 

「正直Roseliaもそうだけど、あの時には2階からトモエが降ってきた方がインパクトあったわよ・・・」

 

 

 

 

 

「確かに・・・って皆さん!!もう時間ですよ!!」

 

「アブねぇな・・・危うく、時間が過ぎちまう所だったぜ・・・」

 

 

 

 

「ちょっと何をするのよ・・・」

 

「誕生日プレゼントだよ・・・」

 

レイヤたちはスタジオに移動すると4人は楽器の前に立ち、Beautiful Birthday(チュチュのための歌)を演奏する。

 

その演奏に言葉が出ないほどに感銘を受けていたチュチュだったが、一方ではロックが少しだけ慌てた様子で見せていた。

 

 

 

「すいません。明日も銭湯のお手伝いがあるのでもう帰らないと・・・」

 

「仕方ねぇから私達も帰るか・・・。今なら誰もいねぇだろうからバイクをエレベーターに乗せれんだろ・・・」

 

「そうだね。パレオ、折角だからうちに泊まる?」

 

「レイヤさんのおうちですか!?」

 

 

 

 

 

「ちょっと待ちなさいよ!!ゲンタロウはどうすんのよ!?」

 

「寝かせといてやれよ。ありゃ朝まで寝てるぞ?」

 

「ご飯も残ってるから・・・」

 

4人が盛りあがるがここでチュチュが声を挙げた。

流石に弦太朗をチュチュにはどうすることも出来ないと思ったが、まぁ彼が起きればその後は何とでもなると思った彼女達はそのままにすると告げるとチュチュの顔が赤くなる。

 

 

 

「ちょっと本気で言ってるの!?」

 

「本気だけど・・・ってチュチュ?」

 

「顔が赤くなってますよ・・・?」

 

「なんか問題あるか?」

 

「だって・・・!!

 

「「「「だって・・・?」」」」

 

チュチュの顔が真っ赤になっていることに疑問を覚えた彼女達はチュチュの言葉を待っていると今まで以上に顔が赤くなった彼女からは信じられない言葉が飛び出してくる。

 

 

 

 

 

 

 

「だって・・・男と一緒の部屋で寝たらBabyが出来るってMomが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、帰るぞ~」

 

「チュチュさん!!おやすみなさい!!」

 

「チュチュ様!!大丈夫ですよ!!」

 

「おやすみ」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ちなさいよ~!!」

 

チュチュから出た言葉に全員がニヤニヤし始めると、チュチュ以外の思惑が完全に一致して彼女を放置して早々に部屋から飛び出していくが、彼女の考えを誰も指摘しなかったため彼女は慌てるが疲れからがすぐに意識を飛ばしてしまい、彼女が次に目覚めるのは弦太朗が起きる数分前の時だった。

 

 




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小ネタ解説
小ネタ45
おたえとガチ勢の話。
誕生日と聞いて思い浮かんだのを・・・

小ネタ46
正直に言うと没ネタENDです
チュチュさんはきっとそう言った最低限の知識はありそう・・・


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日・常・風・景15 恋愛裁判!!天才たちの法廷?頭脳戦


投稿です。
帰ってきました。
比較的平和な裁判?でしたねぇ・・・


 

~~~小ネタ47:恋愛裁判2 ~蘇る逆転~

 

「Sorry遅くなったわね・・・って何よこれ・・・?」

 

「「っ!?」」

 

CiRCLEに呼び出されたRASの面々は言われるがままにとある1室に入っていく。

そこに広がる光景はまさしく裁判所。

理解できなかったチュチュだったが、その一方で前回植え付けられたトラウマにロックとパレオが身体を振るわせ始める。

 

「来ましたね・・・。早く準備を・・・」

 

「しゃあねぇか・・・。前のとこに行くぞ・・・」

 

「そうだね・・・じゃあ3人ともまた・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ってください。今回、和奏さんと佐藤さんはあちらですよ」

 

「「えっ・・・?」」

 

「パレオさん。今日のパレオさんはこっちっすよ!!」

 

「麻弥さん!?はいっ!!」

 

またしても裁判長の席に座る瑠唯に急かされてRASの面々だったが、瑠唯はますきとレイヤの2人を前回の席ではなく被告人席に座るように指示を出す。

 

今回は弁護する側ではなく裁かれる側だということを察した2人は意気消沈した様子で前回とは違う席に座るが、その一方ではパレオは先にいた麻弥に呼ばれてこの裁判に置けるほぼ絶対的な安全地帯である検察席にルンルン気分で座って相手を見るとその表情は固まってしまう。

 

 

 

 

 

「麻弥ちゃんとパレちゃんかぁ~。やろっか七深ちゃん」

 

「日菜先輩、頑張りましょ~」

 

弁護側としてパレオと麻弥が座る反対側には日菜と七深という圧倒的に能力値がバグっている2人が弁護側として座っているが、誰ももうそこにツッコミを入れることはなく瑠唯がガベルを振り降ろす。

 

「裁判を始めます。それでは最初の被告人達は前に・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「「「「ふしゅ~~~!!」」」」

 

「ひまり達落ち着けって・・・」

 

「トモちんの言う通りだよ~」

 

 

 

「チュチュ様!?」

 

「No!!私は何もしてないわよ!!」

 

最初の被告として呼び出されたのは蘭とチュチュであり、しかも幼馴染の2人を含めた数人が殺気立っている。

そんな状況の中で瑠唯は淡々と進行していく

 

「検察側は罪状の読み上げを・・・」

 

「えっと・・・同衾・・・って書いてありますね・・・」

 

「またこれっすか・・・」

 

「あーそう言えば蘭ちゃんは前にゲンちゃんの家に住んでたもんね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」

 

「風紀が乱れてます!!」

 

「さーや!?彩先輩!?落ち着いて~!!」

 

「紗夜~。ポテトあげるから黙っててね~」

 

 

 

「・・・確かに日菜先輩の言った通り弦太朗の家に一時期泊ってたけど・・・」

 

「・・・とりあえず、簡単にそうなった経緯を説明してもらえますか・・・?」

 

傍聴席からは沙綾と彩が暴走し、とんでもない暴言を吐きまくるが裁判長はその光景に呆れながらも改めて事の経緯を聞いていくことにした。

 

「えっと、巴と喧嘩して・・・その後に親とも喧嘩して家飛び出したんだけど、そこで弦太朗の家でご飯を食べてたら弦太朗のお爺さんに気に入られたから泊り始めて・・・まぁ、喧嘩した後だからモカ達のとこには行きにくかったしそのまま・・・」

 

「美竹さん。それって相手側の家族から同意があったってことっすか?」

 

「えっ!?家族公認なんですか!?」

 

「公認って・・・まぁ、お爺さんから言い出したからそうなのかな・・・?」

 

「因みにどんな生活を・・・?」

 

もはや裁判には関係なさそうな内容だが、瑠唯はそこでの生活を聞くことにした。

その質問に何事もなかったかのように蘭は話し始める。

 

「えっと、普通に向こうで家事をしてたけど・・・?」

 

「蘭ちゃん~例えば~どんなことを~?」

 

「えっと・・・ご飯出すの手伝ったり、後は掃除と洗濯を交代で・・・」

 

「あのっ!!洗濯ってもしかして如月さんと一緒に?」

 

「?当たり前じゃん。洗濯の回数増えるから手間増えるし・・・」

 

 

 

 

 

 

「「きぃいいいいいいい!!」」

 

「(後で美竹さんの匂い嗅いでおこう・・・)」

 

「お~い、燐子~?」

 

「あの・・・それでらんらん先輩は弦太朗さんと一緒に寝てたんですか~?」

 

「はぁ?寝る部屋は別々に決まってんじゃん。昼寝とかしても自分用の部屋だったし」

 

「そうだよね~。昼寝程度で有罪ならおねーちゃん達全員ダメだしね~」

 

「・・・もういいですか?」

 

蘭の言葉に瑠唯は考えを纏め始め、結論を出すと次はチュチュへと視線を向け始める。

 

 

 

「分かりました。次はチュチュさんについてですか・・・。聞く話だとつい最近みたいですね」

 

「最近って・・・あぁ、パレオのところから帰ってきてうちについたら疲れて寝たのよ」

 

「それで?」

 

「あの時は戦った直後ってこともあったし、聞けば前の日はパスパレのライブで戦ってたって聞いたわ。流石にそんな状態で寝た人を外に出すわけにもいかないから人道的な対応をしたまでよ」

 

「・・・そうですね」

 

瑠唯は少しだけ考えてチュチュの言ってることは間違ってなくここまで体格差があってはどうしようもない、と結論付けてから判決を言い渡した。

 

 

 

 

「判決を言い渡します。2人とも無罪です」

 

「ふんっ!!トーゼン!!」

 

「はぁ・・・」

 

安堵の様子を浮かべる2人に傍聴席からは何故と言った様子が伝わってきたので瑠唯はその理由を話し始める。

 

「美竹さんの方は相手の家族も同意している時点で問題ないでしょう。そんなことを言ったらみんなで温泉に行った時なんて大半の人が有罪になってしまうわね。

チュチュさんの方ですが、流石に怪我人を寒空の下に放り出すわけにはいかないでしょう・・・」

 

瑠唯の言葉に全員が押し黙る。

温泉の時は全員で枕投げをして寝落ちしたのが有罪など溜まったものではない。

それと一緒にされる不満はあれど、流石にこれ以上噛みつくような行動を起こすものはいなかった。

 

 

「ではチュチュさんは戻っていただいて結構です。では次の容疑者は前に・・・」

 

蘭が被告人席に取り残されるとチュチュと入れ替わるようにして大量の人が被告人席になだれ込んでくる。

 

明らかに人数がおかしなことになっているが、瑠唯はもう気にすることを辞めて淡々と勧めることにした。

 

「「あっ!!おねーちゃんだ!!」」

 

 

「罪状の読み上げを・・・」

 

「はい!!罪状は・・・覗き・・・・・・」

 

「またですか・・・。最近は覗きが流行っているんですか?神経を疑いますよ」

 

 

 

「異議あり!!少なくとも私とりみ、それと紗夜先輩と燐子先輩は無罪だ!!」

 

妹たちが声を挙げるのを無視して罪状を読み上げたパレオ。

しかも、その罪状は自身が裁かれた内容を同じであったことの肩を落とすが瑠唯はまた同じ罪状が来たことに頭を抱えてしまった。

 

しかも、その中には彼女もそれなりに知っている燐子の姿もあったことが頭を悩ませていたが、そこに被告として呼び出された有咲から出てきた異議の言葉に我に戻ってなんとか進行へと戻っていく。

 

「全員もう有罪にしたいけれど、状況の確認はしておきましょう・・・」

 

「あたし達の時は学校で襲われた時に爆弾から出た火が如月の上着に点いたからそれでアイツが脱いだんだよ!!」

 

「そうや!!そうや!!」

 

「そっからはそのまま変身して燐子先輩達は変身を解いたときに見たんだ!!むしろこっちが被害者だ!!」

 

「変身するというのも普通からしたらおかしいですが、そこから上半身裸の男の人が出るなんて想像できるわけないです」

 

「・・・そうです」

 

 

 

 

「確かに・・・あれなら火が付く可能性もありますし、その状況だったら被害者と言われても納得出来るわね・・・」

 

物的証拠などないがダスタードの事は瑠唯も知っているので彼女は有咲達への追及を辞めると、瑠唯はまた蘭達へと視線を向けるとその中の1人を見て彼女から眼の光が消えていた。

 

「なんで前回と同じ罪状でまた裁かれているんですか?」

 

「うぅ・・・」

 

瑠唯が光のない眼で見つめる先にいたのはイヴ。

前回も覗きで裁かれていたのにも関わらずまた同じ罪状で審理にかけられている彼女に、淡々と正論を浴びせ始めた。

 

「痴女なんですか?それともアイドルにとって覗きなんて・・・」

 

「るいるい~。流石に言いすぎだよ~。ちゃんと話聞いてからにしなよ~」

 

「・・・そうね。ありがとう広町さん」

 

しかし、早々に七深が暴走を止めるとそのまま無言で他のメンバー達に視線を向けると、彼女たちは弁明を開始した。

 

「私達も有咲達が学校で襲われてた直後だったから弦太朗の状態がああだったなんて知らなかったんだよ!!」

 

「沙綾の言う通りだよ!!それにまた襲われるか分かんないのに弦太朗くんのそばから離れるほうが危ないよ!!ね?つぐ!!」

 

「うんっ!!」

 

「そのと~り~」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ・・・。私は弦太朗の家に住んでた時に弦太朗が上に何も着ないなんてことはそれなりに見たから慣れて何とも思わないけど・・・」

 

「「「「は?」」」」

 

「らんらん先輩~。それはつぐ先輩達に言ったらまずいんじゃないですか~?」

 

沙綾達が早々に言い訳を始め、それにひまりが乗っかってつぐみがそれに賛同する。

最近は弦太朗絡みで協力することもある彼女たちの流れるような連係プレーが繰り出され、モカがそれに乗っかる。

その中で蘭が思ったことをそのまま口にしてしまい、3人と一部の外野から怒りの乗った感情を向けるといった完璧な連携を見せていた。

 

 

しかし、この連携に水を差すような爆弾が寄りにもよって同じ被告人席から飛び出してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、モカちゃんと羽沢さんは如月に服の用意を頼まれてたから大体は察せるよな?それに上原さんと沙綾はあたし達が商店街についたときには鼻血出して欲情してたよな・・・?」

 

「「「うっ・・・!!」」」

 

「うっ・・・でも!!それだったら!!弦太朗くんが最初に着てた服はどうなったの!?」

 

有咲に言葉に全員が痛いところを突かれて言葉に詰まるが、ここでひまりが苦し紛れの反論をすると裁判長が目を光らせた。

 

「確かに、最初に来てた服はどうなったか聞いてませんでしたね・・・どうなったんですか?全員が黙ってるなら連帯責任として同じバンドの全員を有罪にしますが?」

 

 

「・・・」

 

瑠唯の言葉に燐子が縋るような視線をメンバー達に向けるが、現実は非常であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「こいつがやりました」」」」

 

「みんな・・・酷い・・・」

 

「燐子ちゃん~さすがにこれは弁護出来ないかな~」

 

Roseliaのメンバーは前回の裁判の事を思い出して即座に仲間を突き出した。

その光景に瑠唯は頭を抱えだすがもはや審議するのも馬鹿らしくなったのかここで判決を言い渡した。

 

「判決を言い渡します。花咲川は白金さん、商店街は青葉さん、羽沢さん、若宮さんを有罪。他は無罪とします。」

 

「「「異議あり!!」」」

 

「なんでしょうか?有罪の判決が出ましたよ?」

 

瑠唯の判決に商店街側が異議を唱えると瑠唯はめんどくさそうな表情を浮かべながら彼女達を見るが、有罪判決を受けた面々が騒ぎ始める。

 

「なんで同じことした美咲ちゃんとか沙綾ちゃん達は無罪なの!?」

 

「モカちゃんもちゃんと理由が知りたいで~す」

 

「そうです!!ブシドーに反します!!」

 

「今、ブシドーは関係ないと思いますが・・・?」

 

「るいるい、ちゃんと理由は説明しないとダメじゃない?」

 

「はぁ・・・」

 

七深の言葉に瑠唯はため息を零すとそのまま理由を話し始めた。

 

「花咲川は・・・言う必要はないわね。正直全員被害者だけれど、白金さんは着れなくなったとはいえ服を無断で持ち出すのはダメだと思います」

 

「うぅ・・」

 

「商店街は先ほど上原さんが言ったように如月さんから離れるのは危険と言うのは分かりますが、着替えを用意しているのを知っていた青葉さんと羽沢さんは状況が分かったはずですし、若宮さんは前科があるので問答無用です」

 

「でも・・・!!沙綾ちゃんとひまりちゃんは?」

 

「状況を知らなかったので今回は無罪でいいかと・・・まぁ、裸を見て性的興奮を覚える痴女ではあるというのは疑いようのない事実だとは思いますが・・・」

 

「「ち・・・痴女・・・」」

 

「・・・では有罪の人達を連行してください。他の方は傍聴席へ・・・」

 

瑠唯からの痴女認定にひまりと沙綾は有罪判決を受ける以上のショックを受けていたが誰もそれにツッコミを入れることはなくそのまま席へと戻っていき、有罪判決を受けたメンバーはズルズルと部屋の外へと出されて―――

 

 

 

「「「あぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」」」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

 

外に出ると同時に外から悲鳴が挙がる。

しかも、悲鳴が聞こえるだけで何をされているのか分からないと言うのが彼女達の恐怖を煽る。

 

「では・・・最後の審理です。被告人たちは前に・・・」

 

「誰だよ?」

 

「キング、RASの3人です」

 

「えっ・・・?」

 

「チュチュ様以外の3人です!!」

 

「「「えっ・・・?」」」

 

 

なんの覚えもない3人は仕方なく被告人席へと向かうと瑠唯からはゴミを見るような視線が向けられ、瑠唯が何かを言うまでもなくパレオが今回の罪状が書かれた紙を見る。

 

「えっと・・・はっ・・・?えっ!?」

 

「パレオ?どうしたの?普通じゃなさそうだけど・・・?」

 

「おいパレオ!!なんて書いてあんだよ!!」

 

「パレオさん!!」

 

 

「被告人は静粛に、大和さん」

 

「はいっす!!罪状は・・・へぇ?」

 

「大和さん」

 

「えっと・・・強姦未遂・・・って書いてあります・・・」

 

「「「「はっ・・・?」」」」

 

先ほどまでの物が可愛く見える程の内容にレイヤ達はおろか傍聴席からも声が挙がる。

しかし、レイヤ達には全く思い当たる節がなく困惑する。

 

「待て待て待て!!何でそうなってんだよ!!」

 

「ありえへん!!」

 

 

「この資料によると・・・ジブン達のライブ会場からそのままキング達のところへ行って戦った後に意識を失ってしまった如月さんをレイヤさんの家に連れ込んだ。と書いてありますが・・・」

 

「くっそ・・・書き方に悪意があるけど、やっとことは間違いねぇ・・・」

 

「でも!!あれは如月先輩が怪我してたから手当てのために上着を脱がせただけで・・・!!」

 

「今回もさっきのチュチュが言ってた人道的な対応って奴だと思うけど・・・?」

 

「「「「ギルティー・・・!!」」」」

 

「なんでや!!」

 

やたら悪意のある書き方だが確かに彼女達は弦太朗を家に連れ込んだが治療をしただけでやましいことなど何もない。

しかしそんなことは関係ないといった様子で弦太朗に好意を抱いている一部のメンバーからは批判が飛ぶと思わずロックがツッコんでしまう。

 

「ベッドの上で服を脱がせたんですよ!!何も起こらない訳がないじゃないですか!!」

 

「紗夜さん!?何言っとるんや!?」

 

「マッスーさん達・・・大人ですね・・・!!」

 

「あたし達は沙綾達みたいになってねぇ!!100%善意でやったに決まってんだろ!!」

 

 

 

「広町的には怪我してるのを手当てしたなら悪い事じゃないんじゃないですか~?」

 

「あたしもそう思うよ!!」

 

「でも、日菜さん?ジブンもこう言いたくはないですが・・・証拠は・・・?」

 

「う~ん。そう言われると困りますけど、さっきまでも物証無くて話しだけで判決してるのに今回だけ物証用意しろって言うのもおかしくないですか~?」

 

「それは・・・先ほどまでは目撃者が多かったから・・・」

 

「パレちゃん。でもチュチュちゃんの時は証人いなかったよ?」

 

「それはチュチュ様が小さいから・・・」

 

「怪我してたなら何とでも出来そうだけど・・・でも、今回だけ証拠固めろって言うのも不平等だよね~?」

 

そう言って天才2人の口角が挙がり、検察側の2人は今までの流れは全て2人の想像通りであったと理解したのだ。

その事を理解すると同時に麻弥とパレオの背筋に冷や汗が垂れ、2人の何も反論できずそのまま肩を落とした。

 

「・・・判決、無罪」

 

「よっしゃ!!」

 

「まぁ・・・当然だよね・・・」

 

「良かった~!!」

 

 

 

 

「では、本日はこれにて閉廷します」

 

瑠唯の言葉に室内は緊張感から解放される。

しかし、彼女達の会話に混ざって外からは先ほどの有罪判決を受けた面々の悲鳴が聞こえ出し、室内にはまた緊張感が走るがその中で麻弥が恐る恐る瑠唯へと話しかけた。

 

 

「あの~八潮さん・・・外では何をされてるんですか・・・?」

 

「確か、前回はCiRCLE掃除が罰でしたけど・・・」

 

そう言うと瑠唯は部屋の扉を開けて外を見せると絶叫しながら黒服に身体を押さえつけられていた。

 

 

 

「何これ・・・」

 

「悪いことをするのは身体のどこかが悪いから・・・と湊さんがおっしゃってたのでそれを改善するためにマッサージです。物凄く痛いらしいですが・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

何事もないかのような瑠唯の言葉とその外から響く絶叫と言うミスマッチな状況に一同は言葉を失いながら罪人たちの刑の執行をただただ見守るのだった。

 

 

 

 






誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

小ネタ47
恋愛ネタで嫉妬されそうなのをピックアップ
お陰で一部が大変なことに・・・

次は
ギター特訓羽丘篇と+α
その後はスイッチ解説で今回の小ネタ終わりです



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日・常・風・景16 困ってるときはフルスロットル。それで大体事故ってる

投稿です!!

恋愛感情ないやつがヒロインっぽいムーブする。
この作品じゃそうだから


 

~~~小ネタ48:弦太朗のギター特訓・羽丘篇

 

以前花咲川のギター組が弦太朗にギターを教えていた事を聞きつけた日菜が弦太朗を羽丘の生徒会室に呼び出すとそこには羽丘に通っているギタリストが集結していた。

 

 

「それじゃ!!みんな行っくよ~!!」

 

「おっ・・・おぉ~!!」

 

「儚い・・・」

 

「いきなり呼び出されたから用意なんてねぇぞ?」

 

「大丈夫!!蘭ちゃんのがあるから!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「蘭~どしたの~?」

 

「なんでもない・・・」

 

「もしかしてギター貸すのが嫌だった?」

 

「そうじゃないけど・・・」

 

楽しそうな雰囲気を出す日菜達の一方で蘭だけは不機嫌そうな表情を浮かべていた。

モカはギターを貸すことになったのが嫌だったのかと思ったが、予想とは違う答えが返ってきたことに不思議そうに首を傾げている中で弦太朗の特訓が始まるのだった。

 

 

 

 

―――ロックの場合

 

「なぁロック・・・」

 

「はい?どうかしましたか?」

 

弦太朗はロックが構えているギターに視線を向けて思ったことをそのまま聞いてしまった。

 

「なんかみんなと使ってるのと形がちげーんだな・・・」

 

「・・・!!」

 

弦太朗は何気なくその事を言った途端、彼女は肩を震わせる。

何か言ってはいけないのかと思って困惑し始めた弦太朗だったが―――

 

 

「そうなんですよ!!」

 

「うおっ!?」

 

返ってきたのはロックの満面の笑みだった。

突然の豹変に驚いていたが、そんな彼を気にする素振りすら見せずロックは自身のギターを抱いて語り始める。

 

「このギターはですね!!人間工学に基づきデザインされているのが特徴でして・・・

また、この形状はヘッドレス・ギターと呼ばれてる従来のギターの形状とは異なるヘッドを取り払った構造で、ヘッドを取り払ったことによって軽量のボディによって長時間に亘る演奏にも向いていてクリアなサウンドが―――」

 

 

「だぁあああ!!もう十分分かったから!!」

 

「それにこのネックなんですが!!実は―――!!」

 

「勘弁してくれぇ~!!」

 

 

結果:OTAKU modeが止まらない

 

 

 

―――薫の場合

 

「さぁ・・・始めようか・・・」

 

「おう!!ってなんで薫はギター持ってねぇんだ?」

 

「まず楽器を弾く前に重要なことがあるんだよ」

 

弦太朗の前に立つ薫だったがその手の中にギターは無く、手ぶらで彼の前に立っていた。

薫は自信満々で立っているので弦太朗も彼女の話に耳を傾けていた。

 

「弦太朗、ギターを弾くのに大事なのは心の在り方だよ」

 

「どういうことだ?」

 

「じゃあ、まずは目を閉じて・・・」

 

意味が分からない弦太朗だったが、言われるがまま薫の指示にしたがって目を閉じる。

少しだけ時間が経った頃、弦太朗は薫から声をかけられる。

 

「落ち着いたようだから次に行こう。では次に自分がどんな風に演奏するのかを強くイメージして・・・」

 

「ちょっとどんなイメージかよく分かんねぇ・・・」

 

「ふふっ・・・大したことじゃない。イメージするのは常に最高のパフォーマンスをする自分さ・・・」

 

「よく分かんねぇけど・・・やってみっか!!」

 

 

 

 

 

 

 

「これって楽器関係ないよね・・・?」

 

「蘭~思ってても言っちゃだめだよ~」

 

結果:イメージするのは常に最高の自分。でもそれは今じゃない・・・

 

 

 

 

 

―――日菜の場合

 

「じゃあゲンちゃん!!弾いてみて!!」

 

「おう!!じゃあダチの親父に教わった曲だ!!」

 

弦太朗はそう言いながら特に歌う訳でもなく、ただ1曲分を弾き終える。

 

 

 

 

「儚い・・・」

 

「おぉ・・・」

 

弦太朗が弾き終えると率直な感想が漏れ始めるが、日菜は何故かニコニコしながら弦太朗へと声をかける。

 

「じゃあゲンちゃん!!次は私達の曲やろ!!」

 

「でもよ・・・」

 

「大丈夫!!ゆっくりやるから!!」

 

そう言って日菜もギターを弾き始めると弦太朗もその後に真似るように音を出す。

テンポはかなり遅いがそれでも弦太朗がパスパレの曲を弾くというのがとてつもない違和感を生み出していた。

 

気をよくしてしまった日菜は次第にテンポを上げ始め、なんとかついていく弦太朗だったがそれもすぐに限界を迎えてしまった。

 

「ちょっと日菜!!」

 

「るんっってきたーーーーーーーー!!」

 

そう言っていつもよりもアップテンポで自分たちの曲を弾き始める日菜をもはや誰も止めることが出来なかった。

 

 

結論:しゅわっと弾けるはずが勢い余って大爆発!!

 

 

―――モカの場合

 

「じゃ~いっちょやっちゃいますか~」

 

「おう!!で、どうすんだ?」

 

「ん~。ど~しましょ~」

 

「じゃあ、日菜先輩の時みたいにやりましょ~。あたし達のバンドの曲をゆっくりやるので真似してみてください~」

 

「モカ達の曲って・・・」

 

「それじゃ~"That is How I Roll!"~」

 

モカは何も考えてなかったのでとりあえず日菜と同じように弦太朗の真似をさせる手法で演奏をさせることにした。

 

「(お~、いい感じに弾けてる~)」

 

 

ミスもそれなりにあるもののなんとかついて行けていることに感心しながらもモカはそれを声に出すことなくそのまま演奏を続けていく。

 

「よっし!!どうだ!!」

 

 

「すっごい!!ゲンちゃん!!」

 

「初めて曲でここまでなら凄いと思います!!」

 

「先生が優秀ですからな~」

 

「・・・・・・」

 

結論:モカちゃんは天才ですから~・・・おや?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ~最後は・・・あれ?蘭?」

 

 

「どうしたんでしょうか・・・」

 

「なんか怒ってるね~?薫くん分かる?」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

 

最後の順番になっていた蘭だったがその表情からは不満が駄々洩れなのは誰が見ても明らかだった。

周囲は蘭の事が気になり彼女の言葉を待っていると思わぬ言葉が飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、なんで前に教えたところ出来てないの?」

 

「「「えっ・・・?」」」

 

「蘭~どういうこと~?」

 

「こいつの家に泊ってた時に私達の曲で練習させてたんだけど・・・」

 

ここまで蘭が説明すると周囲は状況を理解し始める。

 

「つまり、前の時より出来てないってこと~?」

 

「でもそれは・・・!!最近ずっと大変だったからで・・・」

 

「少しくらい大目に見ても・・・」

 

「・・・」

 

ここまで日菜達が弦太朗の事を庇ったものの、彼女は迷わず弦太朗の腕を掴む。

その様子に驚いていた彼女達を他所に蘭は弦太朗を生徒会室の外まで連れ出そうとする。

 

「蘭!!なにすんだ?」

 

「今から家で練習するよ」

 

「家って・・・蘭の家か?」

 

「はぁ!?弦太朗の家に決まってんじゃん」

 

「うちか!?」

 

「だってお爺さんは今日飲み会でいないって連絡貰ってるから」

 

「俺には来てねぇぞ!?」

 

「うるさい。とにかく今日は出来るまで寝れると思うな!!」

 

「おいっ!!ちょっと・・・!!」

 

弦太朗が反論しようとするものの蘭はその言葉に耳を貸すことはなく、弦太朗を引き摺って生徒会室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「・・・・・・はっ!?」」」」

 

余りの衝撃的な展開にモカや日菜ですら着いて行くことが出来ず、彼女達が再起動したころには弦太朗達の姿は羽丘の敷地内から完全になくなっていた。

 

「蘭・・・眠いんだけど・・・」

 

「ほら、また間違えた。やり直し」

 

「眠いからミスんだよ」

 

「言い訳しない」

 

そして、蘭の言った通り弦太朗は本当に出来るようになるまで眠らせて貰えることはなかった。

 

―――蘭の場合

 

結論:今夜は寝かさない・・・

 

 

 

~~~小ネタ49:焼きたて!!ポッピンパン

 

―――イギリスパン・ドイツパン・フランスパンはあれど、Poppin'Partyのパン”ポッピンパン”はない。

いや、正確に言うならば以前に一度ポッピンパンと言う名のハンバーグ定食は作ったが・・・

 

ともかく、ないならこれから作るしかない!!

この物語はそんな熱い思いが秘めた少女・山吹沙綾が世界に誇れる。Poppin'PartyのPoppin'PartyによるPoppin'Partyのためのパン・ポッピンパンを作っていく。

 

一大叙情詩である。―――

 

 

 

 

 

「と言う訳で!!ポッピンパンを作ります!!」

 

やまぶきベーカリーに沙綾の声が響き渡るがその言葉に集まっていた他のバンドメンバーは首を傾げていた。

 

「沙綾?前に作ったよ・・・?」

 

「じゃあ、おたえ。この写真見てどう思う?」

 

そう言って沙綾は以前に作ったポッピンパンの写真を見せる。

最初に作った時は勢いと謎の達成感からか何も思わなかったが、冷静になった一同が抱いた感想はみな同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ハンバーグ定食だ・・・」」」」

 

「でしょ?」

 

「でも沙綾ちゃん・・・どうするの・・・?」

 

このハンバーグ定食からどう軌道修正をするのか不安になっていたりみに沙綾は自信満々に答える。

 

「私、考えたんだけどさ。別に一個だけじゃなくてもいいんじゃないかな?」

 

「さーや、どういうこと?」

 

「このハンバーグ定食をポッピンパン0号として・・・1号2号・・・って増やしていくの!!」

 

「「「「おぉ~・・・」」」」

 

「まずこれが試作のポッピンパン1号!!香澄パン!!」

 

 

 

 

 

 

 

「沙綾・・・普通の食パンだよな・・・?」

 

「とりあえず食べてみてよ!!」

 

沙綾の考えに関心の声が零れる中で沙綾はどこからかパンを取り出した。

しかし、何の変哲のない普通の食パンに一同は再び首を傾げてしまうが自信満々の沙綾の姿に疑問を覚えながら彼女達はそれを口に運んだ。

 

「普通の食パンだよね・・・?」

 

「でも・・・何か違うような・・・?」

 

 

「もしかして・・・米粉か・・・?」

 

有咲が漏らした言葉に沙綾が驚きの表情を浮かべると香澄が持っていたパンに驚いていた。

 

「えぇ!?これお米なの!?」

 

「香澄がご飯好きだしね~それにしても有咲よく分かったね・・・」

 

「たまたまだって・・・。それでこれ以外もあるのか?」

 

「そうだね。次は2号のおたえパン!!」

 

 

 

 

 

「中にお肉が入ってる・・・ボリューム感あるね・・・」

 

「「そう・・・?」」

 

「てっきりうさぎ型のが出ると思ったけど・・・」

 

「あはは・・・うさぎ型で中身お肉だと絵面的にやばいかな~って・・・」

 

 

その言葉に一同はうさぎ型のパンの中から肉が溢れ出てくる光景をイメージしてしまう。

流石に動物型の食べ物から肉は危ないと思った彼女達は何も考えなかったことにしてそのまま次に行く事にした。

 

「次は流れで言えばりみの番だけど・・・」

 

「「「コロネだよね?」」」

 

「あはは・・・流石に分かっちゃうか~・・・」

 

しかし、彼女が取り出したコロネは普通のコロネではなかった。

 

 

 

 

 

「これイチゴのチョコや!!」

 

「凄い!!りみりんっぽい色になってる!!」

 

「おいしい・・・」

 

「見た目もかわいいし良いんじゃねぇか?」

 

「ふふんっ!!かなり自信作なんだ!!」

 

りみをイメージしたコロネはかなりの好感触に沙綾は嬉しそうな表情を浮かべていると、たえが何気なく呟いた。

 

「最後は有咲・・・?オチ担当だね・・・」

 

「勝手にオチ担当にすんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ実際にオチっていうか・・・」

 

「えっ・・・」

 

たえが冗談半分で言った言葉に沙綾が同意すると一瞬で空気が固まる。

あの沙綾がオチと言ったのを否定しなかったことに一同は身構えると出てきたのはなんの変哲もないカレーパンだった。

 

「有咲パンは甘辛カレーパン・・・!!」

 

「勝手につけられた二つ名ネタじゃねーか!!」

 

「みんな食べよ?」

 

そう言って4人はカレーパンを口にすると不思議なことに反応が2パターンに別れていた。

 

「辛っ!!なんだよこれ!?」

 

「さーや!!水~!!」

 

 

「辛い・・・?これ物すっごく甘口のカレーだよね・・・?」

 

「ハチミツ入りかな?」

 

 

 

「こんな馬鹿みたいに辛いんだぞ!!りみもおたえも舌が馬鹿になってんじゃねぇのか!?」

 

「えっ・・・だって本当に甘いし・・・」

 

「なんで香澄があんなに暴れてるのか分かんない・・・」

 

 

 

 

「それ・・・カレー2種類で別れてるから・・・」

 

「「「はっ・・・?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「みじゅ~~~~~~~~!!」

 

香澄がのた打ち回ったのにも関わらず、何を思ったのかその翌日にはその4つ共が販売される事になっていた。

その事を普段通りコロネを買いに行った時のりみは驚いていたが、それ以上に一番の人気は有咲パンだったという事を沙綾から伝えられた彼女は驚きの余りコロネを4つしか食べることが出来なかったのだった。

 

 

 

 

~~~小ネタ50:ばんメモ!!~ばんどりメモリアル

 

山吹沙綾、上原ひまり、羽沢つぐみ、丸山彩、白鷺千聖―――

 

とある共通点をもつ少女達はCircleのとある1室の少女達が集まって無言で視線を送り合い、最後の1人を待っているが一向に現れる気配がなく徐々にイライラを募らせていた。

 

 

「初回から遅いですね」

 

「時間守りそうな人なのに・・・」

 

「普段は時間前には来るのに・・・」

 

「何かあったのかな・・・?」

 

「もう少しだけ待ちましょう・・・」

 

千聖の言葉に同意して待つこと数分。

締められたドアが開かれ最後の1人が入ってきたと思った彼女達は視線を入口に向けるが―――

 

 

 

「ごっめ~ん!!おまたせ~☆」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

「なんでリサちゃんがここに!?紗夜ちゃんはどうしたの!?」

 

「さっき日菜がどこかに連れて行っちゃったよ?それで面白そうだから来ちゃった」

 

 

 

「まぁ・・・いいでしょう・・・。外野も意見を聞くべきだわ・・・」

 

「外野・・・?千聖?どういうこと・・・?それにこのメンバーって・・・あっ・・・」

 

リサはここに集まっていたメンバーを見てあることを理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではこれより!!弦太朗淑女協定会議を始めるわ!!」

 

弦太朗に好意を持った彼女達、誰が呼び始めたか”ラバーズ”であるということを―――

 

 

 

「それでは最初の話ですけど・・・最近、如月くんへ対する好感度が軒並み上がってきている件についてです」

 

「つぐみちゃん。どういうこと?」

 

「ここからは千聖さんにお願いします」

 

「うわぁ・・・」

 

生徒会で培った会議の進行能力が無駄に発揮されているつぐみに外野のリサは思わず声が漏れるが誰も気にすることなく進行が千聖へ変わっていく。

 

 

「・・・まずこれを見てもらえるかしら?」

 

「なんですかこれ・・・」

 

「調査担当・・・ラブ探偵パレオ・・・?なんかIQ低そうな探偵だなぁ・・・」

 

「探偵を雇って調べた。みんなの弦太朗に対する好感度よ!!」

 

千聖の言葉に一同は食い入るように資料に目を通し始め、その流れに逆らえなくなったリサもしぶしぶ渡された資料に目を通し始め、リサもアホらしく感じてしまうが恋愛には興味があるのか資料に目を通していく。

 

「さて・・・資料を見たのだけれど・・・リサちゃん?どういう事かしら?」

 

「へっ?」

 

「この資料によれば、Roseliaのみんなが弦太朗に恋愛感情を持ってるとあるんですけど・・・?ドウイウコトデスカ?」

 

「ショス?ショス?」

 

「もう沙綾ちゃんもひまりちゃんも落ち着いて。話を聞いてからでも遅くないから」

 

「じゃあリサちゃん!!説明して!!」

 

急にカタコトになった沙綾とひまりをつぐみが止めると彩がリサに詰め寄っていく。

ゾディアーツに襲われるのとは別の恐怖を感じた彼女だったが、資料を見ながら話し始めた。

 

 

 

「えっと・・・まず、Roseliaだけど・・・少なくとも誰も恋愛感情は無いから!!」

 

「ふ~ん。で?」

 

「紗夜はただのドMだからどうでもいいとして・・・。あこは変身する弦太朗がカッコいいって言ってるだけだし。燐子は前に話を聞いたけど”匂い”が好きなだけで弦太朗には何とも思ってないから!!友希那は恋愛とかまるで分ってないから!!」

 

「それでリサさんは?」

 

「友希那の育児があるのに恋愛なんて余裕ないよ!!」

 

 

 

「「「「「確かに・・・!!」」」」」

 

リサの言葉に全員が納得する。

今いないRoselia―――特に燐子は怪しいが、少なくともリサについては今のところは弦太朗に何も思っていないのだろう。

 

それが分かると彼女達はリサから他のメンバーへと興味を移していく。

 

「では、ここにいないメンバーね。Morfonicaの子たちは弦太朗には先輩程度の認識しかないみたいね」

 

「そうですね。つくしちゃんから話聞きましたけど!!瑠唯ちゃんは弦太朗くんの友達に興味があるみたいです!!」

 

 

 

「「「「ならばよし!!」」」」

 

弦太朗に興味がなければ彼女達は邪魔はしない。

それが”ラバーズ”の掟なのだ。

掟を知らないリサはこの空気について行けず呆けた表情を浮かべていたが誰も気にすることはなく、話を続ける。

 

「次はRASですけど、パレオちゃん資料によればチュチュさんが態度が柔らかくなったって!!」

 

「でも、名前呼ぶようになっただけでしょ・・・?」

 

 

 

 

 

「リサちゃん!!甘いわよ!!」

 

「人間どう変わるかなんて分からないんですよ!!」

 

「あぁ・・・うん・・・」

 

リサの意見を言うとすぐに千聖とひまりから反論が飛ぶと、そこで彼女は紗夜の変化を思い出して反論するのを諦めた。

 

「それにロックも弦太朗と一緒のお風呂に入ったこともあるし・・・」

 

「RAS、やっぱり強敵だね・・・」

 

「えぇ・・流石最強と名高いガールズバンドだけはあるわね・・・」

 

音楽とは全く関係ないとこで最強バンド認定されているRAS。

流石にこれにはチュチュも不服だろうが残念ながら彼女はこの場にいないため、誰もツッコむことなく会議は進行していく。

 

「じゃあ次は、パスパレね・・・」

 

「そうだよ!!千聖ちゃん!!この前如月くんと買物デートしてたよね!!」

 

「千聖さん!!抜け駆けですか!!」

 

「しかも、プレゼントを贈るなんて・・・!!協定違反ですよ!!」

 

 

 

「違うわよ!!バイト代を現物支給しただけよ!!バイト代を現物支給したらダメなんて規定はないわよ!!」

 

「それはうちもパン屋手伝ってもらったことあるから何も言えないかな~・・・」

 

「じゃあ今度、うちのお店も手伝ってもらいます!!」

 

「「どうぞどうぞ」」

 

仕事を手伝ってもらうなどと言う三番煎じはもはや何も思うことはない。

余裕そうにOKを出す2人につぐみは悔しそうな表情を浮かべているがそのまま話は続いていく。

 

「後、日菜ちゃんは・・・まぁ、日菜ちゃんだし。他はイヴちゃんは戦友って感じだから大丈夫ね」

 

「パスパレは終わりだよ!!次はAfterglow!!」

 

「はいっ!!また蘭が弦太朗くんの家に行きました!!」

 

「話を聞くと弦太朗くんとその友達と一緒にご飯食べてそのままお泊りしたそうです・・・!!」

 

 

 

 

「・・・へぇ」

 

「「「「「(羨ましい・・・!!)」」」」」

 

5人の心は揃っていた。

羨ましいが自分たちが抜け駆けをしたら何をされるか予想もつかない。

 

互いが互いを押さえつける役割を果たしていたため、蘭を羨ましがることしか出来なかった。

 

「でも、蘭ちゃんは弦太朗くんのことは何とも思ってないみたいです。弦太朗くんのお爺さんに気に入られてるから顔見せに行くくらいに感覚みたいです」

 

「・・・ふぅ。ひまり、この話はいったん辞めよう。私の中で何かが切れそうになるから」

 

「じゃあ沙綾ちゃん。ポピパはどうなの?」

 

沙綾の提案に全員が同意すると蘭の話がここで終わってポピパの話になると沙綾は淡々と報告を始める。

 

「香澄も有咲もりみも今まで通り。でもみんな距離が近いかな~って思うけど。後おたえだけど・・・」

 

「「「「だけど・・・」」」」

 

 

「誕生日のプレゼントと言って弦太朗を家に招待してた・・・!!」

 

「「「ギルティー!!」」」

 

「待ってください。おたえちゃんの事をもうちょっとだけ聞きましょう!!それで?」

 

「家のウサギを見せて餌をあげてたりしてたみたい。そこまではいいんだけど・・・」

 

「「「「だけど・・・?」」」」

 

 

 

「レイヤが言うにはおたえのお母さんは弦太朗がおたえの彼氏だと思ってるらしくて、おたえも弦太朗に「結婚する?」って聞いたみたい・・・」

 

 

 

 

 

「「「「「ギルティー!!」」」」」

 

親の天然ボケを真に受けて結婚の誘いをしたたえに対するただの嫉妬だが、彼女達の気持ちは再び一つになった。

 

「では・・・ここからはたえちゃんと蘭ちゃんに対する制裁について決めましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ハロハピは・・・?」

 

ここでずっと黙っていたリサが口を開いてしまった。

リサからしたら特に美咲なんてイヴと同じ戦友みたいな感じで気をつけるべきなのではないかと感じたが、彼女達は何故ハロハピについてだけ何も話さないのかが分からなかった。

 

そんが疑問に彼女達は答えた。

 

「だってハロハピと弦太朗は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ズッ友だもんね!!」」」」」

 

「・・・」

 

一同の言葉にリサは本当に呆れて物が言えなかった。

その状態になってしまった彼女はたえ達の対策の話になると部屋からつまみ出されると、周囲に恋愛事情が気になったのがずっと握りしめたままの資料に再び目を通し始めるのだった。

 

 

 

 

 





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以下ネタ説明
小ネタ48
前に花咲川でやったのの羽丘版
蘭ちゃんが強かった

小ネタ49
ポッピンパン。
作り直そうってなったらふと・・・

小ネタ50
恋愛関係とその周囲の確認をば・・・
ちなみに
好感度5段階評価だと・・・

5(恋愛振り切りった勢)・沙綾、ひまり、つぐみ、彩、千聖
4(友達として大好き)・香澄、りみ、蘭、巴、ハロハピ、日菜、イヴ、レイヤ、ますき
3(普通よりも好き)・たえ、有咲、モカ、リサ、あこ、ロック
2(普通)・友希那、パレオ、チュチュ、モニカ、麻弥
EX(特殊な感情)、燐子・紗夜


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装・備・解・説-7 御簾(にスイッチ)を(教えて差し)上げろ

投稿です!!
これで今回の小ネタは終了で、次回更新は本編()へと帰還します。

次回バンドは―――決まりました。が更新まで待っててくれメンス
なおもう1方はスイッチャーが決まらず・・・


 

「ゲンタロウ!!よく来たわね!!」

 

「「はぁ・・・」」

 

「チュチュ いきなり呼び出して・・・って全員揃ってるのはいいけど、ロックとますきの奴はどうしたんだ?」

 

「あはは・・・」

 

とある休日、弦太朗はチュチュに呼び出されて彼女のマンションに向かうとそこにはRASの5人が待ち構えていたが、何故かロックは疲れたような表情を浮かべる横でますきもなんだか申し訳なさそうな表情を彼に向けていた。

そんな状況にレイヤは渇いた笑い声を出してしまうが、ここで何があってこれから何が起こるのか全く予想がついていない彼を他所に家主が声を挙げた。

 

「パレオ!!」

 

「はいっ!!」

 

チュチュの言葉にパレオが手元のタブレットを操作すると、天井からスクリーンが降りてくると何か動画が再生される。

 

 

 

 

 

「俺と練習中の友希那達じゃねぇか・・・」

 

「本当にあれ使って練習してたんだ・・・」

 

そこにはフォーゼの姿、そしてRoseliaの楽器は全てがフォーゼのビートと繋げて、彼女達はそれを聞きながら練習しているという奇妙な光景だった。

 

レイヤもその動画は始めて見るようで、映っている光景に驚いている中で動画は別の物に切り替わっていく。

そこに映っていたのはフォーゼと友希那達の姿や、ロックやますき達と言った商店街でバイトしている皆の姿。

場所もメンバーもバラバラで一見すると共通点がないようにも思えたが、彼にはその光景に覚えがあった。

 

「これは・・・友希那達にスイッチとかの説明してた時だな・・・」

 

「アナタ、随分と面白いことしてるじゃない」

 

「面白いって・・・」

 

 

 

 

 

 

「チュチュ様も実際に見たいんですけど、恥ずかしくて素直に言えないんですよ?」

 

「それでさっきロックとますきに質問してたもんね・・・」

 

「だから疲れた顔してんのか・・・」

 

「ちょっと!!パレオもレイヤも余計なこと言わなくていいのよ!!」

 

思っていることをレイヤとパレオに言われたチュチュは顔を真っ赤にして反論するが、弦太朗は彼女の考えを理解してしまった。

 

「弦太朗に同じことをやれって事だろ?」

 

「No!!同じじゃダメよ!!」

 

「チュチュの奴、子供みたいで可愛いな・・・」

 

「はい!!」

 

「マスキング!!パレオ~!!」

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・さっきからずっとこんな感じで・・・悪いんだけど・・・」

 

「如月先輩・・・」

 

「やるか・・・!!」

 

目の前のますき達にレイヤはため息を零し、ロックも弦太朗へと視線を向けると、彼はその視線に耐えかねてチュチュの要望に応えることにした。

 

 

 

 

そしてフォーゼへと変身すると、部屋の外へと移動していく。

 

「んじゃ・・・今日は・・・」

 

「確かあこちゃんは31まで話を聞いたって言ってましたよ」

 

「じゃあ、最初はこいつだ!!35のジャイアントフット!!」

 

「右足が大きくなりましたよ!!チュチュ様!!」

 

「分かってるわよ!!」

 

 

 

 

「でも、名前からは何するのか分かんないね・・・」

 

「どうするんでしょうか・・・」

 

右足に出てきたフリーズに驚きの表情を浮かべるチュチュとパレオだったが、慣れてしまったのか3人はまんまの見た目の感想が漏れてしまっていた。

 

「それって・・・確か、ロックが入る時に使ってた・・・」

 

「ますき以外見たことねぇか・・・こいつはこう使うんだよ!!」

 

フォーゼはそのまま足をその場に振り下ろす。

見たことのない4人はその行動の意味がまるで分かっておらず首を傾げるが、足が振り下ろされると同時に屋外にあるプールから突如として水柱が上る。

 

その光景に目を丸くしているとフォーゼは再び足を振り下ろすと、透明な何かが水柱を押し退けて再びプールから水柱が上る。

 

「何が起こってるのよ・・・」

 

「チュチュ様!!今、透明な・・・足?みたいなのが見えました!!」

 

「でも・・・なんなのアレ・・・」

 

「俺もよく分かんねぇけどでっけぇ足が出来て、押しつぶすんだ」

 

「如月先輩・・・よく分かんないって・・・」

 

「でも、見えるってことは空気を足の形にを固めてんのか・・・?」

 

 

 

 

「よっし!!次行くぞ!!次!!」

 

「弦太朗・・・」

 

「如月先輩・・・」

 

「誤魔化しやがった・・・」

 

最初は何が起こってたのか分からなかった彼女達だったが、おぼろげに見えた足に色々と考え始めるがフォーゼは原理なんて全く理解出来ていないので明確な答えが出せず、誤魔化す様に次のスイッチへと移る。

 

「次は34の・・・ボードだ!!」

 

「スノボーの板・・・だよね?」

 

「なんかパっとしないわね・・・」

 

「これもよく分かんねぇけど地面の上とかどんな場所でも滑れる!!」

 

「どんなとこでも・・・?」

 

「前はこれとウインチのスイッチ使ってバイクに引っ張って貰ってな」

 

「バイクもあって、確か車輪も前に出してましたよね?」

 

「それにロケットもあってプロペラも出してたよな・・・?」

 

 

 

「「「それいつ使うの・・・?」」」

 

「次だ!!次!!33のクローだ!!」

 

素直に話を聞いてくれるパレオとチュチュに対して答えにくい質問ばかりする高校生組を無視してフォーゼは解説を続けていく為にスイッチを起動する。

 

「大きいです!!」

 

「爪ね・・・」

 

 

 

「いや、見たまんまだろ・・・」

 

「こいつ使いやすいんだけど、戦い以外だと使えねぇしなぁ・・・」

 

「さっきからクセが強すぎない・・・?」

 

「そうですね!!如月先輩の出してるのって戦いに使いそうなのと使い方が分かんないのでごちゃごちゃですね」

 

「でも、器用に使ってんだよな・・・」

 

「褒めんなよ・・・」

 

唐突にますきに褒められたフォーゼは何故か照れくさそうな様子を見せるとそのままスイッチを変えていく。

 

 

「それでこいつは32番のフリーズだ!!」

 

 

 

「「「まんま冷蔵庫・・・」」」

 

「これは冷たい風で相手を凍らせたりできんだ!!」

 

「見たまんまね・・・。それにどの程度の物なのよ・・・?」

 

 

「見てろ!!」

 

名前通りの見た目だが、正直見た目だけではどの程度の物か分からないチュチュ。

そんな彼女の様子にフォーゼは再びプールへ向き合うとフリーズをプールに向けて放つとプールの表面が徐々に凍り付いていく。

 

「どうだ!!」

 

 

 

「Unbelievable・・・」

 

「うっそ・・・」

 

「プールが凍ってますよ!?」

 

「でらすっごい・・・」

 

 

 

 

「・・・おらっ!!」

 

「ひゃ~!?」

 

「「冷た!?」」

 

フォーゼは自信満で振り返ると目の前の光景が信じられない彼女達は間抜けそうに口を開いていた。

そんな彼女達はフォーゼに反応を示さなかったのでフリーズの冷気を抑えて彼女達に浴びせると急な寒さに声が挙がる。

 

 

「ちょっと何してるのよ!!」

 

「何って・・・反応無かったからな・・・」

 

「それでもやっていいことじゃないですよ~!!」

 

「それになんでパレオさん達だけじゃなくて私まで~!!」

 

チュチュとパレオ、オマケにロックから声が挙がるが、フォーゼはかなり出力を抑えたから大丈夫と汚判断してそれを聞き流すとそのまま変身を解除する。

 

「んっ・・・?もう終わりか?」

 

「まぁ、こいつの事話すだけだしいいだろ・・・」

 

そう言って変身を解除した弦太朗はソフトクリームを手に持ってそこにフリーズスイッチを入れて起動していた。

 

「フリーズはこいつ動かすためのスイッチだからな・・・」

 

「ホントこいつ可愛いよな・・・」

 

弦太朗の手から離れたソフトーニャはそのままロックへと近寄っていくと、そのまま彼女の手の中に納まるとそのうえで何かもそもそと動き出す光景にますきからは思わず声が漏れる。

 

「あいつ、誰にでも愛想良いから可愛くて仕方ねぇんだよ・・・。ロックと一緒に帰ったり、あたしがケーキ作ってる時にも来るし、パレオと一緒にチュチュの世話したりしんぞ・・・」

 

「そんな奴だったか・・・?」

 

RASが気に入ったのかソフトーニャは随分と活発に動いていることに弦太朗は首を傾げるも、すぐに気にしないことにした。

 

「可愛いっていえば・・・。弦太朗、面白い話があんだけどよ・・・」

 

「面白い話・・・?」

 

「あぁ!!ロック言ってやれよ」

 

「えっ?もしかしてレイヤさんの事ですか・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「へっ?私・・・?」

 

ソフトーニャを見て、何かを思い出したますきはニヤニヤしながら弦太朗へと話しかけ、話題にあげられたレイヤは声を挙げる。

全く何のことか分からないレイヤだったが、ますきに言われるままにロックは特大の爆弾を投下し始めた。

 

 

 

「レイヤさん。誰もいないスタジオでこの子に話しかけてたんです・・・」

 

「・・・はぁ?」

 

 

 

「しかも、ただ話しかけてるんじゃなくてよ。音楽以外の話が出来るように会話の練習みたいなことしてたんだよ・・・」

 

「マジか・・・?」

 

余りの発言に弦太朗はレイヤへと視線を向けるが、彼女は両手で顔を隠してしまう。

しかし、彼女の耳は真っ赤に染まっていたことが2人の話が事実であることを物語っていたが、流石の弦太朗もこんな状況のレイヤにかける言葉が見つからない。

 

 

そんなレイヤを無視する形でロックはふとした疑問を口に出していた。

 

「如月先輩・・・そういえば、この前のあれはやらないんですか・・・?」

 

「んっ・・・これか・・・?」

 

そう言って弦太朗はロケットスイッチスーパーワンのスイッチを取り出すとロックは無言で頷く。

気が付けばレイヤ以外の全員が弦太朗へと視線を向けており、彼はスイッチに視線を向けていた。

 

 

「こいつは、特別なんだよ・・・」

 

「特別・・・ですか・・・?」

 

「俺のダチが託してくれた大事なもんなんだ」

 

「それって学校の奴とは違うのか?」

 

「あぁ・・・」

 

「あの・・・如月さん、その友達って・・・?」

 

パレオからの言葉に弦太朗は無言で宙へと視線を向ける。

その反応と彼に似つかわしくないしんみりした表情から彼女達はあらぬ誤解をしてしまっていた。

 

「パレオ・・・」

 

「はっ・・・!!如月さんすいません・・・!!」

 

「ん?何謝ってんだ?」

 

「だってそんな深刻そうな表情で空を見てたから・・・もしかして・・・もう会えない方なのかと・・・」

 

「私もそう思ってしまいました・・・」

 

「まぁ、すぐには会えないだろうな・・・」

 

 

 

 

 

「まさか・・・っ!?本当に・・・!!」

 

「なぁ、本当にどうしたんだ?」

 

彼の地雷を踏み抜いたと思った彼女達は必死に謝るが、彼はその行動の意味がまるで分かっていなかった。

流石に彼女達にそんなことを言わせられないと思ったますきは代表して彼女達が考えたことをそのまま彼に伝えた。

 

「それ渡したやつ・・・死んじまったんじゃねぇのか?」

 

「はぁ!?何言ってんだ?死んでねぇって!!」

 

 

「えぇ!?でもアンタ言ったじゃない「すぐには会えない」って!!」

 

「そりゃそうだろ・・・だって・・・」

 

「「「「だって・・・?」」」」

 

弦太朗は彼女達の勘違いを正すべく、本当の事を彼女達に話し始めた。

 

 

 

 

 

「だって・・・。こいつを託してくれたのは・・・。地球の人間じゃなくて、今は宇宙のどっかにいるからな!!」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

流石の彼女達もこの答えは全く想像していなかったのか言われた言葉を理解しようと必死になるものの、全く理解することが出来ず気が付けば全員の思考はエンストしてしまう。

 

そんな彼女達を前に彼もまたどうしようかと考えを巡らせてしまうのだった。

 





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これで特別な奴らの解説含めても、全員出たね(白目)
36-40は誰にするか全く決めてませんが・・・
まぁ、近くなったら考えます・・・


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Afterglow篇3-祭・狂・騒・曲
祭・狂・騒・曲-1 懐疑的なストリート


投稿です。
唐突ですがAfterglow篇最終章です。
今回は誰が変身するんでしょうねぇ・・・



 

学生としての一大イベント―――定期試験を終えた弦太朗はGalaxyでのライブを控えたりみと有咲と共に商店街のやまぶきベーカリーへと向かっていた。

 

「テスト返ってきたし、もう冬休みだな~!!」

 

「お前、冬休み明けにはもういないだろ・・・。でも香澄達も補習になんなかったからバンドリの決勝は大丈夫そうだな」

 

「でも、まだ出れるか分かんねぇだろ・・・?」

 

「うっ・・・うっせぇ!!出るつもりだからこうやって毎日ライブしてんだよ!!」

 

「まぁまぁ有咲ちゃん・・・。でも、私は弦太朗くんが補習じゃないことの方がびっくりだよ~」

 

「紗夜達にめちゃくちゃ搾られたからな・・・。まぁ、殆ど分かんなかったからギリギリで赤点回避だったけどな・・・」

 

「それでも、今までの成績からなら凄いと思うよ・・・。中学の時はいつも1桁くらいだったし・・・」

 

「だよな!!」

 

 

 

「いやいや!!それはそれでヤベーだろ!!よく高校に入れたな!?」

 

「それ、レイにも言われたな」

 

弦太朗の成績の話を聞いて思わずツッコミを入れてしまう有咲だったが、本人はその事をさして気にする様子も見せなかった。

しかし、レイヤの名前が挙がったことで有咲は先日まで起こっていた事件について思い出した。

 

「そう言えば・・・如月。お前、怪我は大丈夫なのか?」

 

「千聖先輩から聞いたけど・・・パスパレの後すぐにRASの方でもって・・・」

 

「それなら心配すんなって!!見てろよ!?」

 

2人の心配を他所に彼は少し彼女達から離れるとそのままバク転を見せつける。

突然の行動に驚いた表情を浮かべた2人を他所に彼はしっかりと着地してみせるとそのまま彼女達の元へと戻る。

 

「なっ?大丈夫だろ」

 

「お前!?やるならやるって言えよ!?心臓に悪いわ!!」

 

「パレオちゃんから聞いたけど、金曜に見た時は歩くのも辛そうって聞いてたけど・・・」

 

「土日にメディカルの注射を使ってたら治ったぞ!!」

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

弦太朗からの思わぬ回答に2人は完全に返す言葉を失ってしまった。

そんなにポンポンと使っていいのか?と疑問に思ってたがこれ以上は聞いてはいけない気がした彼女達はこの話をこれで切り上げた。

 

「そう言えば、ライブの後にRASが蔵に来るって言ってたな・・・」

 

「レイ達が・・・?」

 

「なんでも、迷惑かけたから謝罪しに来るんだってよ。・・・香澄がロックを焚きつけただけで、こっちはなんもしてねぇんだから気にしなくていいのによ・・・」

 

「有咲ちゃん?照れてる・・・?」

 

「照れてねぇ!!」

 

有咲は香澄の事を話すと少しだけ恥ずかしそうな表情を浮かべたが、その事ををりみから指摘されると彼女は真っ赤になりながら否定する。

 

そんな他愛ないやり取りを続けながら彼は商店街までやってきていたが―――

 

 

 

 

「んっ・・・?」

 

「如月?どうかしたのか?」

 

「有咲ちゃん・・・なんか変じゃない・・・?」

 

「ってりみもか・・・?それでどうかしたのか?」

 

 

 

 

「なんつーかよ。みんなピリピリしてねぇか・・・?」

 

「・・・そうか?」

 

「「「んっ?」」」

 

2人は商店街に入ってから何故か警戒心を向けられている様な感覚を覚え、一緒にいる有咲は全く気になっていないようで互いが自分の感覚に違和感を覚えていたが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・」」

 

「いや、私の方が間違ってた・・・」

 

間違っていたのは有咲の方だった。

 

最近はGalaxyでのライブで頻繁に来ていたが、それ以前は商店街に来ること自体は多くなかった。

そんな彼女や弦太朗はともかく、ほぼ毎日パンを買いに来ているりみにすら商店街の人々は警戒心を向けていた。

 

そんな状況が不思議だったが、流石にりみと有咲は居心地の悪さを覚えたのか弦太朗を連れて足早に商店街の中にあるやまぶきベーカリーへと入っていく。

 

「あっ・・・いらっしゃい!!」

 

「よっ!!沙綾」

 

 

 

 

 

 

「なぁ。沙綾の奴なんか変じゃねぇか?お前を見るまで警戒してたぞ?」

 

「なんか変だった様な気がしたよ・・・?」

 

「確かに・・・」

 

しかし、沙綾が弦太朗の姿が見えるまで少しだけ警戒心を見せていたという事態に2人は驚いてすぐに弦太朗へと小声で話しかける。

 

前に商店街でダスタードに狙われたことはあったが、あの沙綾がそこまで警戒すると言うのが分からなかった。

弦太朗もRASの事件の時に店番しているときにはそんな素振りを見せていなかったことを思い出すが、あの時とは明らかに違った態度に疑問を持たずにはいられなかった。

 

 

「沙綾、お前・・・なんかあったのか?」

 

「えっ?」

 

「えっ?じゃねぇって・・・沙綾、如月が入ってくるまでなんか変だったぞ?」

 

「そうかな・・・?」

 

「うん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗達ならいいかな・・・?」

 

沙綾の様子がおかしいと切り込んだ有咲にりみと弦太朗は2人で頷いて答えると、沙綾は少しだけ考えるような素振りを見せながらボソリと呟くと彼女は事情を話し始めた。

 

「えっとね・・・今度、商店街でお祭りやるんだけど、知ってる?」

 

「それって確かバンドリの決勝と同じ日にやる奴だったよな?」

 

「確か蘭達がバンドで演奏するって言ってた奴か・・・?」

 

「うん。私はバンドリの予選であんまり手伝えてないけど、商店街のみんなで準備してるんだけど・・・」

 

「だけど・・・?」

 

ここまで言った沙綾の表情は少しだけ暗くなり、再び考えてしまったが今起こっていることをありのまま伝えることにした。

 

 

 

「実は・・・祭りの準備を邪魔している人がいるみたいで・・・」

 

「はぁ?なんでだよ?」

 

「それが分かんなくてさ・・・。実際に祭りで使うテントとか置いてある倉庫で備品確認してたら人が閉じ込められたらしいんだ・・・」

 

「はぁ?たまたまじゃねぇか・・・?なぁ?有咲」

 

「んなわけあるか。扉が閉まるくらいならともかく閉じ込められるなんて早々ねぇだろ」

 

「それだけなの・・・?」

 

「ううん。それが段々エスカレートしてるみたいでこの前は準備のための会議してたら急に外で癇癪玉みたいな爆発音がしたとか外に出たみたいなんだけど・・・」

 

「爆発・・・?」

 

「なぁ・・・それって・・・」

 

なんでそんなことをされているのかが分からないと言った様子で3人は首を傾げていたが、その説明で3人は嫌な予感を感じていたが沙綾はそのまま話を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「見た人は黒い服の覆面してたって言ってたから多分・・・」

 

「また・・・?」

 

「それで商店街のみんなも犯人見つけるために警戒してたってことか・・・?」

 

「・・・うん」

 

そしてその悪い予感は的中していた。

ここにいる誰も直接その現場を見たわけではないが、犯人の見た目の特徴は間違いなくダスタードと一致していた。

状況を理解した彼らはそれと同時に商店街の雰囲気がおかしかった理由も理解できた。

 

ダスタードの事を知る由もない商店街の人々は誰か分からない犯人を見つけようとして警戒心をむき出しにしていたのだ。

納得は出来た彼女達だったがここで別の疑問が浮かんでくる。

 

 

「でも、なんで商店街の祭りを狙ってんだ?」

 

「如月の言う通りだな・・・。昔、ばぁちゃんと行ったことあるけどただの祭りだぞ?」

 

有咲は以前の祭りの事を思い出すが、狙われている理由が全く見当もつかなかった。

彼女からしたらどこにでもあるようなただの祭りだが、犯人からしたら特別な何かがあるのだろうか?

 

しかし、有咲がいくら考えても全く見当がつかない。

勿論他のメンバーも考えはするが結果は有咲と一緒だったが、そんな中で急に店の扉が開かれる。

 

 

 

 

 

「お~い、沙綾・・・。って如月!?」

 

「お!?っ巴じゃねぇか」

 

店の扉を開けて外からやってきたのは巴。

そんな彼女は弦太朗を視界にとらえると驚いたような表情を浮かべるが、すぐに彼に歩み寄ってくる。

 

「如月!!ちょっと来てくれ!!」

 

「おいっ!?どういうことだよ!!」

 

「頼む!!手伝ってくれ!!有咲達はライブだったよな!!頑張れよ!!」

 

「ちょっと説明しろって!!」

 

「如月~。みんなの邪魔すんなよ~・・・って沙綾、お前は店番だろ?」

 

「・・・・・・っ!!」

 

「弦太朗くん・・・!!頑張ってね・・・」

 

巴に腕を掴まれた弦太朗は3人に見送られてそのまま店を後にすると彼女に言われるがままその後ろを着いて行くだった。

 

 

 





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祭・狂・騒・曲-2 分れる街

投稿です。
さて、久々の展開です。

やっぱ日常でもこうでなきゃ・・・


 

巴に連れ出され、弦太朗は商店街の一角にある建物の中へと連れていかれた。

状況も目的も分からなかった彼だったがそんな彼は今―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月くん!!右手であの上にある荷物降ろして!!」

 

「ゲンタローさん。足のペンの色変えて~」

 

「弦太朗、換気したいから風送って」

 

「弦太朗くん!!これ撮って!!」

 

 

「だぁあああああああ!!いっぺんに言うなって頭ん中がこんがらがってくる・・・!!」

 

彼は今、フォーゼに変身してAfterglowのメンバーと共に祭りの準備を行っていた。

しかし、余りの注文の多さに彼の処理能力は完全に限界を迎えていたが、それを見て巴は苦笑いを浮かべて彼に話しかける。

 

「いやぁ・・・悪いな。手伝ってもらって・・・」

 

「ってか巴が連れてきたんだろ・・・」

 

「後でラーメン奢ってやるから許せって」

 

 

 

「トモちん。ゲンタローさん叩かないでよ~。ペンがズレちゃう~」

 

「悪いなモカ!!」

 

「謝るのは弦太朗くんにじゃない・・・?」

 

荷物を運んでいた巴はフォーゼに近づくとバシバシとその肩を叩くが、ペンがズレるとモカに注意されひまりにまでツッコまれた巴だったが、彼女自身は気にしてない様子で他のみんなに視線を向けていた。

 

 

「にしても、だいぶ進んだな!!もう終わるんじゃないか?」

 

「あたしの方はもう終わるかな~。あっゲンタローさんどーもで~す」

 

「巴ちゃん!!荷物の確認もも終わったよ!!」

 

「巴、使うものの整理は終わってるよ」

 

「じゃあ、後は大丈夫そうだな!!」

 

作業も一段落といった所で弦太朗は変身を解くとふとした疑問を彼女達に投げかけた。

 

 

「でも、何で巴達が祭りの準備なんてしてんだ?」

 

「なんでってそりゃ商店街の祭りだからな!!」

 

「私達も出るんだから手伝わないとね!!それに昨日ははぐみちゃんとか沙綾ちゃんもライブとかの合間に手伝ってくれたんだよ!!」

 

「それに準備の時も大変だけど楽しいし!!」

 

 

 

「そういえば・・・燐子も前に同じこと言ってたな・・・」

 

楽しそうに話す彼女達を見て弦太朗は以前に燐子も同じことを言っていたことを思い出していたが、そこでつぐみから言葉が漏れる。

 

 

「これ以上、準備の邪魔をされなければいいんだけど・・・」

 

「大丈夫だって!!弦太朗くんだっているんだし!!」

 

「でも、ここ最近ずっとで大変なんじゃ・・・」

 

 

 

「ダチが困ってんだ。気にすんなって!!」

 

つぐみも心配そうな様子で弦太朗を見るが、彼からの答えに笑みが零れると皆がそれに釣られて笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな状況もある人物の登場によってもろくも崩れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変!!大変!!大変だよ~!!」

 

「はぐみ!?」

 

慌てた様子で彼らの前に現われたのははぐみだった。

普段から慌しい彼女だったが、流石に今回はいつもと違う様子に彼女達に緊張感が走るがすぐにはぐみから状況が伝えられた。

 

「今!!商店街で黒い人が暴れてて!!ミッシェルが~!!」

 

「「・・・っ!!」」

 

「ちょっと巴ちゃん!!」

 

「弦太朗くんも!?」

 

 

 

 

 

 

「・・・みんな、追うよ!!」

 

「ダ~ッシュ~!!」

 

はぐみの話を聞いてすぐに弦太朗と巴は建物を飛び出して駆け出していく。

その様子に驚いた表情を浮かべて呆気に取られていた彼女達だったが、すぐに我に返った蘭の言葉に全員が走って巴達の後を追いかけ始めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうっ!!何でバイト中に・・・」

 

「ブシドー!!」

 

そんな彼女達を置き去りにして弦太朗は巴と商店街へと戻るとミッシェルの中に入った美咲とイヴが商店街の人たちを庇いながらダスタード達を相手取って大乱闘を繰り広げている光景が飛び込んできた。

 

「イヴ!!美咲!!こうなりゃ一気に・・・!!」

 

「如月止めろ!!こんな状況で変身すんな!!アイツらと一緒の扱いされんぞ!!」

 

「じゃあどうすんだよ!!」

 

ドライバーのスイッチを入れようとした弦太朗だったが巴の言葉を聞いて動きが止まってしまう。

確かに状況を知らない人からしたらダスタードもフォーゼも一緒に見えてしまうかもしれない。

それを危惧して巴は彼を止めるとどうするのかと反論が飛ぶと2体のダスタードが弦太朗達の元へと駆け出してくると、巴からの答えと弦太朗の考えは一致していた。

 

「「おらぁ!!」」

 

「トモエさん!!」

 

「如月さん!!」

 

2人揃ってダスタード相手に前蹴りを叩きこんで蹴り飛ばす。

その声に気が付いた2人も彼女達の方へと視線を一瞬だけ向けるがすぐにダスタードの相手へと戻ってしまう。

 

「とりあえず・・・止めるぞ!!」

 

「巴!!無茶すんなよ!!」

 

 

 

 

 

「巴ちゃん!?如月くん!?2人ともちょっと何やって・・・!!」

 

「つぐ!!みんなを任せた!!」

 

弦太朗と巴は生身でダスタードへと向かっていき、そのままダスタード達を生身で蹴散らしていく。

その光景に後れてきたつぐみ驚きの声を挙げていたが、巴からの言葉を聞いて商店街にいた人たちを避難させようと動き出し、そんなつぐみ達や商店街の人達へと向かってきたダスタードは美咲とイヴによって次々と行動不能になっていく。

 

 

商店街の人達に見られながらも大乱闘を繰り広げていたが、ダスタード達は一方的にやられたからかすぐに彼らの目の前から逃げ出して行ってしまうと、先に暴れていた美咲たちが地面へと座り込んでしまった。

 

 

「大勝利です!!」

 

「終わった~・・・」

 

「あぁ~・・・2人とも、遅くなって悪いな」

 

「まぁ、2人が来なかったら時間かかってましたから・・・」

 

「ですが、どうしてゲンタロウさんは変身をしなかったんですか?」

 

 

 

「巴に止められたんだよ。勘違いされるかもしれねぇって言われてな・・・」

 

「なるほど・・・」

 

 

 

 

 

 

「巴!!」

 

「ゲンちゃん先輩~!!ミッシェル~!!」

 

「おう!!ってあれ?つぐみは?」

 

「えっと、つぐは商店街の被害があったか確認しに行っちゃったよ!!」

 

「とりあえず、つぐの店で待ちましょ~」

 

イヴからの当然の疑問に弦太朗が答えると美咲が納得した様子で頷いていた。

しかし、傍から見たらミッシェルが頷いているのでとてつもなく奇妙な光景なのだが、それを指摘する者は誰もいない。

そんな中で彼らの元へと蘭達が駆け寄ってくるがつぐみの姿が見えないことを弦太朗に指摘されるとすぐにひまりが答えるとモカの提案に従って、一同は羽沢珈琲店の中へと入っていくのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

「とりあえず、怪我とか物が壊れたとかは無いんですね!!」

 

私は商店街の人たちと一緒に被害の状況を確認していたが、誰も怪我もしていなく、大きく物が壊れているなんて言うことがないということがもの凄く引っかった。

 

「騒ぐだけ騒いで何も壊したりもしてないなら・・・なんで出てきたんだろ・・・?」

 

当然の疑問が出てくるが勿論その答えが出るわけもない。

しかし、答えとは別の問題が出てきてた。

 

「えっ・・・?」

 

小さな声だったが、私の耳にははっきりと聞こえていた。

しかもそれは私にとって絶対に受け入れることが出来ないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――この騒動を呼び寄せているのは如月くんや巴ちゃんなのではないか?

 

 

 

 

 

 

そんなことはないのは私も知っているし、如月くんや巴ちゃんがみんなを守っていたことを見ていた人たちも信じていなかったが、悪い話は止める間もなくすぐに広がってしまう。

一度悪いように思った事を考え直させるのが難しいのは今までの事もあって分かっていた。

 

でも、何もしない訳にはいかなかった私もすぐにその事は否定すると、さっきまでの巴ちゃん達の事を話すが信じる人とそうでない人達で完全に分かれてしまい、気が付けば商店街は完全に二つに割れてしまっていた。

 

 

「どうしよう・・・!!とりあえずみんなに伝えないと・・・!!」

 

そう考えた私は早々にこの場を立ち去ると実家の喫茶店で待っているだろうみんなの元へと戻っていくのだった。

 





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祭・狂・騒・曲-3 ドラマーが運んできたものは何か?

完全分業のAfterglow
肉体の巴・頭脳のモカつぐ・メンタルの蘭・お笑いのひまり

ソイヤの肉体が攻められないなら精神を攻めろ。
ってことで投稿です。
(なお作者の身体はボドボドの模様



 

「ふぅ・・・」

 

「何であんなとこに出てんだ?」

 

「分かんないんですけど急に出てきたんですよね。若宮さんがすぐに喫茶店から飛び出してきてくれたからなんとかなったんですけどね・・・」

 

「あれ?みーくんいたの?それにミッシェルはどこいっちゃったの?」

 

「あー・・・用事があるから帰ったよ・・・」

 

「そっか~・・・」

 

「珈琲お持ちしました!!」

 

喫茶店で一息ついていた弦太朗達。

そこにはいつの間にかミッシェルの着ぐるみを脱いでいた美咲がいたが、はぐみ以外誰も気にする様子はなかった。

そのまま珈琲片手に寛いでいた彼らだったが、ここで店の扉が開かれる。

 

 

「みんな・・・」

 

「つぐ!!・・・ってどうしたんだ?」

 

「つぐみ、なんか嫌なことでもあったの?」

 

「えっと・・・実は・・・」

 

 

その正体はつぐみ。

しかし店の中に戻ってきた彼女の暗い表情を巴達が見逃すはずがなかった。

理由を聞かれ、外に出た後の事を考えて隠すのは不可能と判断したつぐみは先ほど外で起こってしまった出来事を伝え始めた。

 

 

 

「なにそれ・・・酷過ぎない・・・?」

 

「みーくんの言う通りだよ・・・!!」

 

「トモエさん達に対して酷いです・・・!!」

 

 

 

「あんまりだよ!!」

 

「つぐみ・・・本気で言ってんの?」

 

「ひーちゃんも蘭も、つぐに言ってもしょうがないよ?」

 

「ゴメン・・・」

 

「ううん。私も蘭ちゃん達と同じ気持ちだから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

余りの突拍子もない話に次第に店内の空気が悪くなっていき、蘭に至ってはつぐみが言い始めたことではないのは分かっているのに思わずつぐみに詰め寄ろうとしてしまったが、モカによって止められてしまう。

皆がやりきれない気持ちを覚えた一方で巴はショックでいつもの覇気を完全に失っていた。

 

 

「巴のやつ、どうしたんだよ・・・?」

 

「商店街のみんなの為にあんな無茶までしたのに感謝じゃなくて悪口まで言われたんですから・・・」

 

「それも相手が商店街の人たちってだけでもショックだったんだよ・・・」

 

「大丈夫だよ!!巴が商店街の為に色々やってるのはみんな知ってるんだから!!」

 

「そうです!!ヒマリさん!!みんな分かってくれますよ!!」

 

「そうか・・・そうかな・・・」

 

流石に普段の巴からは考えられないほどの落ち込み方に周囲も彼女を励まそうとするが、巴にはその言葉は届いてはいたが彼女の覇気は戻らない。

 

 

「・・・とりあえず今日は帰らない?」

 

「うん。巴も今日は帰って休も?大丈夫だって明日になればみんな分かってくれるよ!!」

 

 

 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

ひまりは巴を連れ出して店を後にすると少しだけ空気が軽くなったような気がするが、それでもまだ重たい空気が流れていた。

しかし、この男は最短でこの空気をぶち壊した。

 

 

 

「んじゃ俺らも帰るか!!」

 

「如月くん・・・大丈夫なの?」

 

「誤解してんなら、分かってもらえるまでぶつかってくだけだ!!」

 

「あはは・・・」

 

「ま~ま~つぐ~。難しく考えるよりもその方がいいんじゃない~」

 

「とりあえず珈琲飲んでから考えよ・・・」

 

「ちょっとランさん!?一気の飲むのは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「何やってんだか・・・」

 

弦太朗の単純な思考に呆れるつぐみをモカが宥めると、蘭も落ち着くために珈琲に手を伸ばしたがそのまま勢いで全部飲み干し、イヴが思わずツッコみだす。

 

そんなカオスな状況を冷静になっていた美咲はただただ呆れるだけだったが、再び店の扉が開かれると2人の人影が中に飛び込んでくる。

 

「弦太朗!!いる!?」

 

「沙綾、落ち着けって!!あんなの出鱈目だってわかってんだろ?」

 

 

 

 

 

「沙綾にますき?」

 

「2人ともそんなに慌ててどうしたの~?」

 

 

「巴が大変なの!!」

 

飛び込んできたのは沙綾とますきの商店街のドラムコンビ。

しかも、2人ともバンドでのステージ衣装のままで明らかに様子がおかしい沙綾に弦太朗とはぐみの2人が聞くと沙綾から巴の名前が出ると全員の視線が沙綾へと向けられる。

そんな中で沙綾が話し始めた。

 

「えっと、さっき商店街で起こったことは聞いたんだけど・・・!!」

 

「・・・それで?」

 

「ラン~。落ち着きなよ~」

 

敵意剥き出しで今にも沙綾に食って掛かりそうな蘭をモカが懸命に静止させ、沙綾もまた自身が聞いた話について語った。

 

 

 

 

 

「私達は信じてないけど、商店街で騒動の原因が巴だなんて・・・」

 

「そうだよ。2人が悪い訳じゃ・・・」

 

「「んっ?」」

 

「あっ?2人?どういうことだ?」

 

しかし、最初から話しが食い違い、首を傾げる沙綾と蘭に加えてますきも首を傾げていた。

どうやら後から来た2人と弦太朗達で認識が違っているのを察したつぐみはとりあえず状況を整理しようと動き出した。

 

 

 

「ねぇ、沙綾ちゃん達はどういう風に聞いてるの?」

 

「えっ?えっと・・・さっき商店街で喧嘩があって、巴が相手を一方的にボコボコにしたって・・・。それでCiRCLEから急いで戻ってきたんだけど・・・」

 

「あたしもRASのライブ前に客が話してたのを聞いたからよ。チュチュに頼んで、ライブ終わってすぐに戻ってきたんだよ。っても喧嘩っていうかこの前のロックとあこが誘拐された時と一緒の奴らだろ?」

 

「ポピパのみんなもそう思ってたけど・・・」

 

 

 

 

ここまでの話を聞いたつぐみ達だったが、明らかに不自然な点が2つがあった。

一応その不自然な点について確認を取ろうと2人へ質問したがその前に蘭が疑問を口にしていた。

 

「ねぇ・・・、なんで巴だけなの・・・?」

 

「さっき商店街の人たちは如月くんも悪者にしてたのに・・・」

 

「んぁ?理由なんて知らねぇよ・・・。でも、弦太朗の事なんて誰も言ってなかったぞ?」

 

「それにそれがあったのもついさっきなのに、沙綾ちゃん達がそれを知るのも早すぎない・・・?1時間も経ってないよ?」

 

 

 

「はぁ?あたし達のライブが始まったのは2時間くらい前だぞ?まぁ、RASの出番はついさっきだったけどな」

 

「私も話聞いたのは1時間前くらいだったよ?」

 

ますき達は弦太朗が悪く言われたということを知らないらしい。

その事も気になりはしたが、それ以上につぐみは気になっていたのは彼女達が情報を入手した時間が明らかにおかしかった。

 

巴達が商店街で事件に遭遇してから1時間も経っていない。

しかし、彼女達が事件があったと知ったのはライブの始まる前―――もっと詳しく言えば、事件が発生する前にはこの事態が起こったと聞いていたのだ。

 

「ねぇねぇ、何でトモちん達の事を早く知ってるの?」

 

「はぐみ・・・そう言われてもライブのお客さんが言ってたとしか言えないかなぁ・・・」

 

「あたしのとこもだな・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

「つぐみ?」

 

「これはつぐの名推理の予感~」

 

「・・・今回は巴ちゃんを狙ってるのかな?」

 

 

 

「つぐ?なんで?」

 

沙綾達の話を聞いてつぐみはモカの冷やかしの言葉をスルーして今回の事件の標的を考察して、導いたのは今回の標的は巴という結論だった。

全く理由が分からないはぐみが質問すると、彼女は分かりやすいように説明を始めた。

 

 

 

「だって、商店街の人は如月くんも悪いって言ってたのに沙綾ちゃん達からは如月くんの名前が出てこないし、それにライブ前に2人がこのこと聞いたのが本当だったら巴ちゃんに対する嫌がらせが理由かなって・・・」

 

「確かにそれが一番それっぽいな・・・」

 

「巴に嫌がらせ?何のために・・・?」

 

「ごめんね蘭ちゃん、流石にそこまでは分かんないけど・・・。この前の時とは違うとしか・・・」

 

 

つぐみの考察にますきが賛同するとそれが理由だと思い込んだみんなだったが、理由が全く分からない。

以前の事件の時は巴への復讐心があって周囲の人間を巻き込むことも厭わなかったが、今回は周囲の人間はおろか物にすら大きな破損もないのが一番の疑問だった。

 

「ん~・・・。頭脳労働はつぐと私で頑張るのでみんなでトモちんの事を気にしてあげて~」

 

「それしかないね・・・」

 

「モカちゃん!!頑張ろうね!!」

 

しかし、いくら考えても結論は出ず、モカとつぐみが頭脳労働をする一方で巴の事を気にかけることしか決まらずこのまま集まりは解散してしまうのだった。

 

 





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祭・狂・騒・曲-4 マワタ×ノ×クビワ

投稿です。
この章の着地点だけは考えてるのに繋ぎがうまくいかない・・・!!
(なおハロハピ3章だけはプロットは完全に白紙!!)



 

「つぐ!!おはよう!!」

 

「・・・巴ちゃん!!おはよう!!」

 

「昨日は大変だったな~!!ってどうしたんだ?」

 

「・・・なんでもないよ!!」

 

商店街の事件が起こった翌日、巴とつぐみは学校の通学路で鉢合わせた。

巴からの声に振り返ったつぐみは巴の表情を確認するが、昨日の事はあまり気にしている気配が感じられなかったので笑顔で彼女の言葉に答えるとそのまま並んで学校まで向かっていく。

その中で巴の方から昨日の話題が出てきたとこにつぐみは目を丸くしたが取り繕って答えるが、彼女は笑みを浮かべていた。

 

「巴ちゃん。あの時は心配したんだから・・・」

 

「悪かったって・・・」

 

「でも、どうして祭りの邪魔なんて・・・」

 

「理由はよく分かんないけど、如月もいるしなんとかなるだろ!!」

 

「そうだね・・・!!」

 

巴から弦太朗の名前が出ると、今までの事件を解決してくれている彼の事を思い出してつぐみは笑みを浮かべていた。

そんな中で学校へと近づいてく2人の周りには同じ制服を着た生徒達の姿が見えてくるが、その大半は2人―――いや、巴に視線を向けていた。

しかも、それは好意的な視線ではなく恐怖感や不安感と言った負の感情が籠ったもので、生徒が増えるたびに彼女は生徒達からの視線を浴びていた。

 

 

「なんだ?アタシなんかしたか?」

 

「・・・さぁ?」

 

つぐみは昨日の商店街での出来事が頭を過ったが、視線を集めている巴は視線には気が付いていたが理解できていないようで、それを見た彼女は口から出そうになった言葉を飲み込んで誤魔化した。

そんな時につぐみの考えを全く考えない彼女達の先輩が後ろから彼女達へと駆け寄ってきた。

 

「お~い!!つぐちゃ~ん!!巴ちゃ~ん!!」

 

 

 

 

 

「日菜先輩!?」

 

「おはようございます」

 

「イヴちゃんから聞いたけど、昨日から大変だね~」

 

「えぇ・・・まぁ・・・。って昨日・・・から・・・?」

 

「日菜先輩?昨日からってどういう事ですか?」

 

「えっ?巴ちゃん。今凄いことになってるんだよ?知らないの?」

 

「「・・・?」」

 

確かに昨日"は"商店街にダスタードが出てきたので大変だったが、もうそれは昨日で終わっている。

そのはずなのに目の前にいる日菜は昨日”から”と言っていた。

その言葉に2人は違和感を覚えて顔を見合わせていたが、そんな様子を見た日菜は状況を知らない彼女達に驚くが状況を伝えることにした。

 

 

 

「えっと、巴ちゃんが商店街で暴力沙汰を起こしたって話になってるんだよ!?」

 

「日菜先輩!!それってどういうことですか!!」

 

「つぐ落ち着けって!!」

 

「巴ちゃん!!・・・ごめん・・・」

 

「いや、アタシも気になるし・・・」

 

衝撃的な内容に2人は混乱していたが、つぐみは急に日菜に向かって怒った様子で詰め寄ろうとしていた。

しかし、自分以上に怒っているつぐみを見て巴は怒るタイミングを完全に見失ってしまったのでなんとかつぐみを宥め、彼女が少しだけ落ち着くのを見た日菜はそのまま話を続けていく。

 

「実はね。イヴちゃんから説明を聞いた後に、リサちーが学校の友達から連絡が来たんだって~」

 

「そんな・・・!?」

 

「ゲンちゃん関係でしょ?知らないんなら仕方ないんじゃない?」

 

「でも・・・」

 

 

「あはは・・・!!つぐ、大丈夫だからさ」

 

「ほら、巴ちゃんもこう言ってるんだし!!」

 

「そう・・・ですね・・・」

 

 

「そういえばね~!!―――」

 

巴は笑っていたが、つぐみにはそれが作り笑いであることを見抜くがあえてその事を追及することはせず、日菜もそれに気が付いているのかは分からないが、そのまま自分の話を聴かせ始める。

 

その言葉に耳を傾け始めた2人は一時だけとはいえ、周囲の視線から意識から消えていた。

しかし―――

 

 

 

 

 

 

「「「「きゃあああああああああああああ!!」」」」

 

「うわぁあああああああああああ!!どいてどいて~~~~!!」

 

「リサ・・・!!」

 

「友希那~~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサちー!!友希那ちゃん!!」

 

「・・・っ!!」

 

「ちょっと巴ちゃん!!待って!!」

 

突如として聞こえた悲鳴。

 

その後にリサ達の声が聞こえてくるが、詳しい場所が分からずにいたところに友希那の手を引いて全速力で駆け出すリサの姿とその後ろには昨日も商店街に現れていたダスタードが2体で2人を追いかけている光景が目に飛び込んできた。

 

事情を知らない周囲の生徒達も同じ学校の生徒が武器を持った不審者に襲われている光景にパニックを起こし始め学校へ向けて逃げようとする中を巴だけはつぐみの静止を振り切ってその流れに逆らって走り出してすぐに目の前の事態に変化が起きた。

 

 

 

「きゃ!!」

 

「友希那!!」

 

リサが手を滑らせて友希那の手を離してしまうのと同時に友希那が顔面から地面へと転んでしまう。

そんな彼女にダスタードが追いついて手に持っていた刀を振り下ろそうとした時、巴は友希那の頭上を飛び越えると同時に拳を固く握りしめていた。

 

 

 

「ソイヤっ!!」

 

「宇田川さん・・・」

 

「大丈夫ですか!!」

 

「巴!!後ろ!!」

 

巴はその勢いのままダスタードを殴りつけて吹き飛ばして、心配の声をかけるがリサが巴の後ろから迫るダスタードの姿に声を挙げる。

 

リサの言葉を受けた巴だったが、彼女は反応が遅れてしまい気が付けばダスタードは刀を振り下ろしていた。

 

「「「巴(ちゃん)!!」」」

 

「宇田川さん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ってぇなぁ!!」

 

巴の身体は反射的に避けようとするが躱しきれずにその刀は腕を掠める。

制服が斬れてそこから若干の血が滲みだすのも構う事なく巴はそのままダスタードに前蹴りを見舞って先ほど同様に吹き飛ばすと巴はそのままダスタードへと視線を向ける。

 

しかし、その巴の姿を見てかダスタード達はそのまま彼女に背を向けて逃亡を開始していた。

 

「待てっ!!」

 

「巴ちゃん!!ダメ!!」

 

「つぐ!!」

 

巴もダスタードの後を追いかけようとするがつぐみが彼女にしがみ付いてそれを止める。

その行動に巴は不満そうに声を挙げるがそこにリサがつぐみの援護を始める。

 

「羽沢さんの言う通りよ・・・」

 

「湊さん!!でも・・・!!」

 

「そうだよ!!その腕で行ってやれるの!!」

 

「腕・・・?」

 

巴は自身の腕を見ると制服の袖からは血が滲んでいた。

先ほどまでは軽く痛みを感じた程度で大したことはないと思っていたが、自身の腕を見ると怪我の状態を理解したのか先ほどよりも痛そうな素振りを見せていた。

 

 

「とにかく!!一旦腕をなんとかしてから!!」

 

「・・・すいません。つぐも悪かったな・・・」

 

「大丈夫だよ!!」

 

巴はきつく当たってしまったリサとつぐみに申し訳なさそう表情を向けるが、つぐみは笑顔を作って彼女に答える。

そんな2人にリサも口角をあげて視線を向けるがすぐに彼女は動き出した。

 

 

 

「とにかく!!まずは学校の保健室行くよ!!友希那はさっさと立つ!!つぐみはタオルで傷口抑えてあげて」

 

「はいっ!!ほら友希那先輩も早く立ってください!!」

 

「・・・はい」

 

「みんな~!!どいてどいて~!!」

 

こうしてリサの指示が飛ぶと若干1名だけは落ち込んでいることを気にすることなく彼女達は周囲の視線を集めながらそのまま学校の保健室へと向かっていく。

 

 

そして学校について早々にリサが慣れた手つきで巴の腕の処置をしながら話しかける。

 

「巴、さっきは助けてくれてありがとね・・・」

 

「巴ちゃんもだけど、リサちー凄いよね~。あたしの時もやってくれてたんでしょ?」

 

「えぇ・・・そうよ」

 

「なんで友希那先輩が偉そうなんですか・・・」

 

「つぐみ~友希那が馬鹿なこと言ったら無視した方がいいよ~。よしっ!!これで終わり!!」

 

「・・・ありがとうございます」

 

巴は怪我した腕を見つめながら、手を握ったり開いたりを繰り返して感触を確かめる。

若干の痛みは走るが大して動きに問題がないことを確認してからリサへと感謝を伝えるとリサは微笑みを返すとそのままつぐみは気になっていたことを話し始めていた。

 

「リサ先輩。どうしてさっきはあんなことに・・・?」

 

「う~ん・・・分かんないんだよねぇ・・・」

 

「分かんないってどういう事ですか?」

 

「リサが私の家で朝ごはん作ってから学校来る途中で急に出てきて追いかけられたのよ・・・」

 

「でもさ~。変だったよね?友希那なんてすぐ捕まりそうなのに全然追いついてこないしさ~」

 

「ん・・・?それってどういう・・・?」

 

 

 

 

「ねぇ?みんな~。そろそろ授業始まっちゃうよ?」

 

「そっか~。それじゃあみんな、教室行こっか!!」

 

「えぇ~。リサち~みんなでサボろうよ~」

 

「ダメです!!」

 

「ちぇ~」

 

つぐみは気になったことがあったのだが、授業が始まるということでしぶしぶここで聞くのを諦めた。

そして、つぐみは巴の後を着いて行って教室に入るとその中に広がっていた光景に彼女は目を丸くしてしまった。

 

「これは・・・」

 

「どうなってるの・・・?」

 

教室の中あったのは不快感を隠そうとしない蘭と、心配そうに2人を見るひまりとモカ。

そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

巴に不安と恐怖が籠った視線を送ってくるクラスメイト達の姿だった。

 





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祭・狂・騒・曲-5 ひとのめ、よわりめ

短いですが投稿。
黒幕視点入れようかと思たけど、諦めた。
まぁ、黒幕は誰か薄々察してる人はいるだろう・・・


 

騒動があった後にも関わらず、羽丘ではいつも通りの授業が行われていたが―――

 

「「「「・・・」」」」

 

 

 

 

「巴・・・。大丈夫?」

 

「ひまり・・・。いやぁ、流石にやりずらいな・・・」

 

「無理しちゃだめだよ?」

 

 

 

「・・・チッ」

 

「蘭~、気持ちは分かるけど~」

 

流石の巴も授業中や休み時間を問わず、負の感情が乗った視線に神経をすり減らしていたが、そんな中でも幼馴染達は巴の周りに集まって彼女へ心配する言葉を掛ける一方で蘭は巴に視線を送る生徒達を目で威嚇し始める横ではモカが蘭を宥めつつも周囲の生徒達を観察していた。

 

「それにしても・・・トモちんへの視線が凄いね~・・・」

 

「モカちゃん・・・。事情を知らない人たちからしたら・・・」

 

「ステージとかで視線には慣れてたつもりだったけど・・・この感じは慣れないな・・・」

 

「ホントにムカつく・・・。巴に助けてもらった人もいるのに・・・!!」

 

「蘭!!そうだよね!!」

 

 

 

 

「みんな、気持ちは嬉しいけど・・・。あんまり気にすんなよ?」

 

「巴はもっと気にした方がいいよ!!」

 

「ちょっとひまりちゃん。巴ちゃんがいいって言ってるから・・・だから今は・・・」

 

巴の言葉にひまりは声を挙げると、つぐみによってそれを止めると彼女は物凄く不満そうだった。

そんな彼女達を見てモカが話題を強引に変え始めた。

 

「ねぇ~放課後にラーメンでも食べに行かない~?」

 

「私はいいよ」

 

「さんせー!!」

 

「そうだな・・・!!」

 

「私も生徒会も無いから大丈夫だよ!!あっ!!そろそろ次の授業始まるから席に戻ろ!!」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「トモちん・・・」

 

放課後の予定も決まった彼女達はつぐみの言葉を聞いて自分の席へと戻る。

それと同時に周囲の生徒達は再び巴に視線が向け、向けられた彼女も再び居心地の悪そうな表情を浮かべ始めていたのをモカは不安そうな表情で見守ることしか出来なかった。

 

 

 

周囲からの視線を耐えに耐えた放課後―――

彼女達はいつも通りに教室から出て行くと約束通りにラーメンを食べるために歩き始めていた。

 

「それで~どこのラーメンにする~?」

 

「どこでもいいけど・・・?」

 

「それにしても、みんなでラーメンって久々だよね!!」

 

「うんっ!!」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「巴・・・?どうかしたの?」

 

「んっ・・・あぁ、そうだな・・・醤油豚骨だよな・・・」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

幼馴染5人が会話をしながら歩いているが、巴は学校での疲れが出ているのか他の4人と全く会話が噛み合わない。

そんな彼女を心配そうに見つめる4人だったが、今の彼女にかける言葉が思い浮かばずに困惑したが、そんな彼女達の向かい側からは見覚えのある顔が向かって来ていた。

 

「如月さん!!あなたは一体何をして・・・って、あら?」

 

「あっ!!」

 

「蘭達じゃねぇか」

 

「こんにちは・・・」

 

「紗夜さんに燐子先輩!!」

 

「こんにちは!!」

 

「どうも・・・。それで今回弦太朗は何をしたんですか・・・?」

 

「ってなんで俺が何かやったってことになってんだよ・・・」

 

向かいから現われたのは弦太朗と花咲川に通っているRoseliaメンバー達。

しかも、紗夜が弦太朗へと説教をしている光景が気になったのか蘭が紗夜に尋ねると彼女からではなく燐子から答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

「それが分からないんです・・・」

 

「分からない・・・?燐子さん、それってどういう・・・?」

 

「実は先ほど商店街の方に買い出しに行ったのですが・・・如月さんが商店街の方々から避けられてるといいますか・・・冷たい態度を取られているような感じで・・・」

 

 

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「白金さん。あれは避けてるというよりは、警戒されていると言った方が正しいと思います。まともに相手してくれてたのは羽沢さんや山吹さん達の店だけじゃないですか・・・」

 

「昨日、騒ぎがあったのは聞いてましたけど・・・。みんな如月さんを悪者みたいに・・・」

 

 

 

商店街の皆が急に弦太朗に対しての当たりが厳しくなったと言うのがよほど信じられなかったのか、

紗夜達から告げられた言葉に彼女達は目を丸くしていた。

 

流石に信じたくはないが、この事を伝えた紗夜達の表情がこれが事実だというのを強く感じさせられたが、つぐみは彼女達に簡単に学校での出来事を話すことにした。

 

「巴さん・・・学校でも・・・」

 

「リサと日菜から連絡があったけど・・・そんなことがあったのか・・・」

 

 

 

 

「大丈夫だって!!誤解なんだからすぐに解けるだろ・・・!!」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

心配されているのが分かった巴は必死に元気そうな声を挙げるが、それがから元気であるのが丸分かりなことを誰も指摘する者はいなかった。

 

 

 

 

 

「紗夜さん!!これからラーメンを食べに行くんですけど!!良かったら!!」

 

「そうだったんですか・・・。ですが、私達はこれから練習が・・・。それに湊さん達も待ってると思いますので・・・」

 

「如月さんは巴さん達の着いて行った方がいいんじゃないでしょうか・・・?」

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

 

 

 

燐子からの提案が出ると紗夜は弦太朗の腕を引くとそのまま燐子と3人で小声で話し始めていた。

 

「でも、行ったら友希那の奴なんか言わねぇか?」

 

「そうかもしれませんが、今の巴さんを放っておく方があこちゃんが心配するから・・・」

 

「・・・白金さんの言う通りですね。行ってあげたほうが・・・」

 

「友希那さんには私達から言っておきますから・・・」

 

 

「・・・分かった」

 

3人はすぐに会話を終えると、そのまま彼女達に向き直っていた。

 

 

 

「では、私と白金さんはこれで・・・」

 

「さようなら・・・」

 

「おう!!また明日な!!」

 

そう言って紗夜達はこの場を離れて行くと弦太朗とAfterglowの5人がこの場に残されていた。

何とも言えない空気の中で最初に声を出したのは弦太朗だった。

 

「よっし、それでどこまでいくんだ?」

 

 

 

「なら、マスキングのラーメン屋は?みんなで行ったことなかったし!!」

 

「私はいいよ」

 

「さんせ~」

 

「巴ちゃん!!行こ!!」

 

こうして弦太朗を加えた6人はますきのバイト先でもあるラーメン銀河へ向けて歩き始めるのだった。

 





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祭・狂・騒・曲-6 Tへの策略/Sheep Sleep Scream

投稿です。
ドンドン人間やめてる・・・(ドンドン


 

「いやぁ~食ったなぁ~」

 

「そうだね!!久々だから美味しかった!!」

 

「つぐみの言う通りだと思うけど・・・弦太朗、みっともないからお腹さするのやめて・・・」

 

「ひーちゃんみたい~」

 

「モカ!!そんなことしないよ~!!ね~巴~」

 

「あぁ・・・そうだな・・・」

 

弦太朗達はラーメンを食べ終えて店の外に出るてから皆で他愛ない話をしながらも商店街の羽沢珈琲店へと向かっていくが、商店街に近づくに連れて弦太朗へと向けられる負の感情が強まっていく。

周囲の彼女達もそんな彼へも視線に気が付くが当の本人は何食わぬ顔で歩みを続けていた。

 

しかし、この視線が気になってしまい思わず弦太朗に聞いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・如月くん・・・」

 

「えっと・・・大丈夫なの・・・?」

 

「悪いことはしてねぇからな。気にすることもねぇだろ?」

 

「いや~・・・それはちょっと~・・・」

 

「ホント・・・単純・・・」

 

「そうだ!!弦太朗くん!!・・・っ!?」

 

「ひーちゃん・・・?」

 

「あれ!!」

 

しかし、当の本人はそんなことを気にすら止めていなかったことに半ば彼女達は呆れていたが、もはやこの話をするのは止めていた。

ここで明るい話題へと変えようとしていたひまりが言葉に詰まる。

急に言葉に詰まった彼女を心配したモカが声をかけるとその視線の先には、力なく倒れている人と一緒に最悪のものが映っていた。

 

「えっ・・・!?あの人・・・商店街のお得意さんだよ・・・!!」

 

「角に・・・杖・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は羊か・・・!!」

 

「・・・っ!!」

 

「ちょっと巴!?」

 

ひまりが指差すその先には特徴的な角を生やしたアリエス・ゾディアーツが倒れた人を見下していた。

周囲の人間たちは目の前の異形を見て一目散に逃げだしてその場には弦太朗達だけが残る。

 

弦太朗もアリエスを見てドライバーを取り出すが、つぐみはその倒れている人物が商店街の人物と聞いた巴がそれよりも先に飛び出していたが、突如として彼女の身体に異変が起きる。

 

「巴ちゃん!!」

 

「急にふらつきだしたけど・・・!!」

 

 

 

 

「下がってろ!!・・・変身!!」

 

走り出していた彼女の膝が折れて体勢が崩れかける姿に声を挙げる彼女達の横を駆けながら弦太朗はフォーゼへと変身していた。

 

「宇宙・・・きたぁーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くん・・・走りながらでも言うんだ・・・」

 

 

――コズミックON――――――――

 

いつものセリフを叫ぶフォーゼに苦笑いし始めたひまりを他所にフォーゼは巴を追い越してアリエスへと向かっていく中で相手の能力を警戒してすぐにコズミックステイツへと変身したフォーゼはバリズンソードを構えていた。

 

 

「タイマンはらせて・・・なぁ!?」

 

 

 

しかし、その瞬間に突如として現われたダスタードが後ろからしがみ付いてきたが、それをすぐに振り払ってフォーゼは改めて拳をアリエスに突き付けていたが、ここで彼は不信感を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

「全く反応しねぇなんて、なんか気味わりぃな・・・」

 

フォーゼになってから変身した後には、どんな相手でも多少の反応はあった。

しかし、目の前のアリエスはフォーゼに全く反応することも無く淡々とした様子を見せていたことに不気味さを感じてしまったが、すぐにその考えを振り切ってソードで殴りつけようとするその前にアリエスは自身の杖を掲げていた。

 

 

「えっ・・・?」

 

「なに・・・これ・・・」

 

「眠く・・・なっ・・・て・・・」

 

「力が~・・・抜ける~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蘭っ!!って邪魔すんな!!」

 

「逃げれない・・・」

 

蘭達は突然自身の身体から力が抜けて地面にへたり込んでしまった。

フォーゼはそれを見て蘭達の元へと戻ろうとすると、それを妨害するためにアリエスがフォーゼへと襲い掛かる。

 

彼女達へとゆったりとした足取りでダスタード達が迫るが、力が抜けた彼女達の身体は思うように動かせずに迫ってくるダスタードから逃げ出すことが出来なかった。

 

「ぐっ・・・ぉぉおおおおおおおお!!」

 

「とも・・・え・・・」

 

「後は任せろ!!」

 

しかし、力を奪われた巴が声を張り上げながらダスタードを蹴り飛ばすと彼女はまたふらついてしまうがその間にアリエスと巴達の間にフォーゼが割り込むとアリエスへと駆け出す。

 

それを見たアリエスはフォーゼへと杖を掲げるが、フォーゼの身体には何ともなくそのまま無防備にソードで殴りつけられていた。

 

「そんなもん効くかよ!!」

 

「ははっ・・・すげーな・・・」

 

 

 

「ぐっ・・・、数が多い!!」

 

自身の技が通用しなかったが、アリエスは未だに淡々とした様子で今度は杖から光弾をフォーゼに向けて飛ばし始める。

フォーゼはそれを避けることも出来たが、後ろの蘭達の攻撃がいかない様に自身の身体で全ての攻撃を受け止めていた。

 

1つ1つのダメージは小さくても、数が増えればそれも無視できない。

しかし、後ろの蘭達も動けそうにないことにフォーゼも迂闊に動けない状況下でアリエスが突如として杖を明後日の方向に向け始めた。

 

「なっ・・・!?」

 

「嘘・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「沙綾・・・ちゃん・・・」

 

「えっ・・・なに・・・これ・・・」

 

「アイツ!!動けねぇ沙綾に・・・!!って邪魔すんな!!」

 

アリエスが杖を向けた先、そこには幼い弟妹と共にいた沙綾が地面へと倒れていく姿

沙綾と一緒にいた弟妹は意識を手放していたが、その中で沙綾だけは蘭達同様に意識を保ったまま身体が動かなくなっていた。

 

 

 

 

 

そんな状態の沙綾達にアリエスは以前として杖を向けたまま、そしてその杖の先に光が集まり始める。

アリエスは動けない沙綾に攻撃をするつもりであるのが分かったフォーゼはアリエスへと向かおうとするがダスタードがそれを妨害され、フォーゼは声を張り上げることしか出来なかった。

 

「沙綾!!逃げろ!!」

 

「動け・・・ない・・・」

 

 

 

フォーゼがダスタードに抑えられ、思うように身動きが出来ないを前に沙綾は絶望の表情を浮かべていたそんな危機的な状況の中、アリエスの杖から沙綾へ向けて光弾が打ち出されたその瞬間、沙綾の前には信じられない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁああアアアァァああ!!」

 

「え・・・?巴・・・?」

 

 

「巴!?・・・っておい!!逃げんな!!羊野郎!!」

 

フォーゼ以外で立ち上がっていた巴が沙綾達の前に立つとそのまま彼女達を抱え込み、その攻撃が彼女の背中に直撃すると耐えがたい痛みに叫びを挙げ、沙綾も目の前の光景が信じられないといった表情を浮かべていた。

 

巴の行動に驚きながらもフォーゼは自身を抑えていたダスタード達を倒して、これ以上暴走させないためにアリエスへと駆け出そうとするが、アリエスはそんなフォーゼ達を後目に既にフォーゼ達の遥か彼方へと逃げ出していた。

 

フォーゼはアリエスを追いかけるのを早々に諦めると巴の元へと駆け寄る。

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

「なぁ・・・、沙綾達は・・・?」

 

「お前は人の心配してる場合じゃねぇだろ!!」

 

 

 

 

「巴ちゃん・・・沙綾ちゃん達は大丈夫だから・・・」

 

「つぐ!?それにみんなも大丈夫なのか?」

 

「少しだけなら動けそう・・・」

 

「なら、沙綾達と少し離れてろ」

 

なんとか動けるようになったつぐみ達がフォーゼへと歩み寄ると心配そうな表情を浮かべて沙綾達を4人がかりでフォーゼ達から離す。

 

それを見たフォーゼはメディカルスイッチを手に持つ。

 

しかし、それは不意にフォーゼの手から弾き飛ばされて地面へと堕ちていく。

 

 

「んっ?」

 

何が起こったか分からなかったフォーゼは何かにぶつかった様な気がした。

最初は気のせいと思って彼は地面に落ちたメディカルスイッチを掴むと再びに体に何かがぶつけられた様な感覚に襲われる。

 

流石に気になったフォーゼはぶつけれられた何かが飛んできたであろう方向へと顔を挙げると、蘭達の同じように視線をあげると信じたくない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「えっ・・・・・・」」」」」

 

彼女達の視線の先には商店街の人たちが集まっていた―――

 

その全員がフォーゼと巴に不信感の籠った視線を向けていた。

商店街の視線が気になるフォーゼだったが彼は再び身体に衝撃を受けた。

 

「いてぇ!?・・・んっ・・・?」

 

彼は痛みと共に何かが地面に落ちる音を聞いて視線を下に向ける。

 

「石・・・?」

 

彼にぶつけられていたのは石。

しかもそれは商店街の人たちが集まっていた方から飛んできて―――

 

それを理解して顔を挙げた途端に状況は最悪になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「うぉ!?痛っ!!待てよ!!巴がいんだろ!!」

 

「待って・・・!!」

 

大半が視線を向けてきていただけだったが、誰かがこれまでの騒動の原因がフォーゼであると勘違いして彼に石を投げたのを理解すると数名がそれに倣ってフォーゼへと物を投げ始めていた。

 

つぐみを始めとしてそれ以外の多くの人がそれを止めようとするが、一度暴走を始めた集団がその程度で止まる事はなく、次第にそれは激しさを増していった。

 

「にげて・・・」

 

 

 

――――スモークON――――――

 

「・・・悪い!!」

 

何もしていない街の人を傷つけるわけにもいかず、つぐみの呟きを聞き取ったフォーゼは目の前の状況から逃げ出すためにスモークを起動してそのまま周囲に撒き散らし、スモークが晴れるとそこにフォーゼと巴の姿は消えていた。

 

2人の姿が消えると街の人々もその場から離れて行き、その場には蘭達だけが取り残されていた。

 





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祭・狂・騒・曲-7 新たなるQuestion

ベリークルシミマス
仕事を片付けてから、リアルでツグミ13の如く知人のデートを妨害してた作者です。

無事に任務完了したので投稿です。


 

 

「くっそ・・・どうすんだよ・・・」

 

戦闘のあった場所から逃げてきた弦太朗。

彼だけならこのまま商店街へと戻っても特に気にしないが、彼が背負っている巴の事を考えるとこのまま戻るのは不味いのは彼の直感が告げていたが、今はあの場にいたつぐみ達とは連絡が取れず途方に暮れていた。

 

「あっれ~?弦太朗じゃん☆」

 

「リサに友希那!?なんで・・・」

 

 

 

 

「いや~練習中に休憩で外のカフェテリアで休んでたら、弦太朗の声が聞こえたからさ~」

 

「それに「なんで」ってこっちのセリフよ。あなた、私達の練習に来ないでこんな所で何をしているの・・・?」

 

「マジか・・・」

 

弦太朗は巴と共に逃げてきたが、気が付けば彼らはCIRCLEの近くまで移動していたことに気が付くと、彼女達も弦太朗の背中に背負っている者のことにようやく気が付いた。

 

「って巴!?それにその怪我!?」

 

「あなた・・・本当に何をしていたの!?」

 

「友希那!!そんなのいいからとりあえずスタジオでいいよね?」

 

「仕方ないわね・・・」

 

弦太朗はそのままRoseliaが練習しているスタジオに入ると、中には他の3人が談笑していたが突然の弦太朗の登場に目を丸くしていた。

 

「如月さん・・・どうしてここに・・・?」

 

「あなた、巴さん達と一緒にいたはず・・・っ!?ってどうしたんですか!?」

 

「おねーちゃん!!どうしたの!?」

 

「あこ落ち着いて!!弦太朗、とりあえずそこに寝かせておいて」

 

「おう!!」

 

弦太朗はリサに言われるままに巴を降ろすと、彼も疲れたのか少し離れた位置まで行くと床に座り込む。

 

巴の様子を見た彼女達は緊張感に包まれていくが、突如として誰も意識していなかった扉の方から聞き覚えのある声が飛んでくる。

 

「Hello.随分と大変な状況みたいね」

 

「「「!?」」」

 

「チュチュ!?それパレオも何でここに!?」

 

「皆さん。お久しぶりです!!実はこれからマッスーさんの実家のライブハウスに向かってる途中でここを通ったのですが、皆さんの姿が見えたので来ちゃいました」

 

「ちょっとパレオ!!」

 

「チュチュ様だって気になってたじゃないですか~!!そうでした。これさっきスタッフさんに言って救急箱借りてきました!!」

 

そんな中でスタジオの扉を開けた先にはチュチュとパレオが立っていた。

声をかけられるまで2人の事は誰も気が付かなかったが、そのまま救急箱を巴の元へと持っていくパレオの姿を目で追いながらチュチュはそのまま話し始めた。

 

 

「それよりも・・・トモエは一体どうしたのよ・・・」

 

「さっきなんだけどよ・・・」

 

「ちょっと待って、それする前に巴のこと診ないと!!」

 

「来る前にメディカルは使ったけど・・・」

 

 

 

「如月さん、違いますよ!!怪我はよくても女の子にはそれ以外にもいろいろとあるんですよ!!」

 

「パレオまで何言ってんだ?」

 

「って事だから・・・燐子、弦太朗の目を塞いでおいて~」

 

「えっ・・・では、失礼して・・・」

 

「おい!!燐子!?」

 

「・・・」

 

弦太朗はここまでにあったことを話そうとするが、リサとパレオによって止められてしまった。

 

メディカルを使って怪我の処理はしたのに彼女達が巴に何かをしていることもその理由が分からなかった弦太朗の事を無視しつつ、燐子はリサに言われるがまま弦太朗の背後に回って彼の目を塞ぎながら彼の髪に顔を埋め始め、紗夜はそれ羨ましそうな視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・なんなのよ・・・」

 

「いつもの事じゃない・・・」

 

「ワタシだけがおかしいのかしら・・・」

 

巴を囲んでいる少女達と弦太朗の周りで明らかな温度差を感じる状況に困惑するチュチュを友希那が首を傾げながら答える様子に、彼女は彼女達について行けずに頭を抱えてしまう。

 

「それにしても・・・服がボロボロでしたね・・・とりあえずジャージ着せたから大丈夫でしょうか?」

 

「まぁ、アタシのだしサイズはあってないけどね~。燐子~弦太朗のこと離していいよ~」

 

 

三者三様の空気の中でそのまま時間が流れる中でリサ達はやることをやって巴から離れると燐子は名残惜しそうな表情で弦太朗を開放すると、今度は彼に視線が集まり始める。

 

「それで、如月さん。一体何があったのか話してもらいましょうか・・・?」

 

「昨日と今日で戦ってたのは知ってるのか?」

 

「連絡が来たから知ってるわよ。・・・それでそれがどうかしたの?」

 

「あの時は色々あって、変身しないで巴達と生身で戦ってたんだ」

 

 

 

 

 

「あれを・・・素手で・・・?」

 

「・・・」

 

「まぁ・・・、驚いてるパレオは置いておいて戦ったのは分かったから」

 

「ゲンタロウ、それで何でお姉ちゃんは・・・」

 

昨日の出来事にパレオは目を見開いて驚いている横でチュチュは何かを考え始めるが、そんな2人を無視して話を続けさせようとする。

 

「あぁ、さっきまで戦いで敵の攻撃から沙綾達を庇ってたんだよ・・・」

 

「「はぁ!?」」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

 

 

「何を驚いているの?リサも生身で攻撃されて壁に叩きつけられたりされてたじゃない」

 

「それは叩かれただけだったし!!この前のはちゃんと意識がなくなる程度に加減されてたから!!」

 

「「「「・・・」」」」

 

弦太朗の言葉に思わず1人を除いて驚きの声を挙げて彼を見るが、彼が言っていることが事実であるのが分かると言葉が出なくなってしまっている中で、友希那がすぐに空気をぶち壊した。

重くなるだけの状態だったがここで1人が感情を爆発させてしまった。

 

「・・・ゲンタロウ!!どうしてお姉ちゃんを守ってくれなかったの!?」

 

「あこちゃん・・・」

 

「宇田川さん・・・」

 

「ゲンタロウが一緒にいたのにどうして・・・!!」

 

「わりぃ・・・」

 

目の前で()が意識を失うほどの怪我を負っているのを見た(あこ)が涙を貯めながら弦太朗へ思いをぶつける。

しかし、弦太朗はあこの言葉に何も言い返すことが出来ずただ謝罪の言葉しか返すことが出来なかった。

 

「仮面ライダーなんでしょ!!だったら・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あこ。如月を責めるなよ・・・」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「ほら、アタシは平気だから気にすんなって・・・!!」

 

「「「「!?」」」」

 

「・・・巴、本当に大丈夫か?」

 

「まぁ、沙綾達を庇って食らった時は痛すぎて意識飛んだけどさ・・・っと!!」

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!?」

 

「ははっ・・・疲れたな・・・。それに攻撃食らってちょっと背中がビリビリする・・・」

 

あこが弦太朗を責めようとしたその時に巴が意識を取り戻して言葉で彼女を止める。

そんな巴に全員が心配そうな視線を受けるが、それに答えるかのように巴は普通に立ち上がって見せたがすぐに体勢が崩れてしまい、あこがそんな巴を支えていた。

それを見た友希那はあこへと話しかけた。

 

「あこ、今日は先に帰りなさい」

 

「えっ?」

 

「そうだね~巴がそんな様子じゃ集中できないでしょ?」

 

「でも・・・」

 

「明日も明後日もライブがあるんですから。少しでも調子を戻すためにも必要ですよ・・・」

 

 

「もう、スタジオの時間も終わりだから・・・ね?」

 

「りんりん・・・。それなら・・・」

 

「皆さん。邪魔しちゃってすいません・・・」

 

 

 

「宇田川さんは気にしなくてもいいわ・・・。あこの演奏に影響が出るほうが困るもの」

 

「も~。友希那は素直じゃないなぁ~」

 

「ちょっとリサ・・・」

 

 

 

友希那達の言葉を受けてあこは巴を共にスタジオを出て行く。

スタジオのレンタル時間も迫っていたこともあってRoseliaと共に弦太朗とパレオはスタジオを片付ける。

それが終わるとチュチュは皆がいる前でとんでもない言葉を口に出した。

 

「ゲンタロウ」

 

「チュチュ?どうしたんだ?」

 

「アンタでも分かるようにはっきり言っておくけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トモエには気をつけなさい」

 

「・・・どういう意味だ?」

 

「はっきり言ったらどうかしら?」

 

チュチュの言葉が全く理解できない弦太朗と一緒に聞いていた友希那も彼女に聞き返してしまう。

友希那から聞かれると思っていなかったのかチュチュは驚いた表情を浮かべるが、すぐに彼女が考えた理由を話し出した。

 

「だって!!あれの攻撃を生身で受けてすぐに立ち上がれるなんて普通だったらあり得ないわよ!!」

 

「・・・リサだって生身よ?」

 

「加減されてたかもしれないって言ってたじゃない。・・・まぁ、そっちもただのHigh-School girlとは思えないけれど、トモエはハッキリ言っておかしいわ」

 

巴がおかしい。

そうハッキリ言われたことに食って掛かったのはあこと一緒で姉妹がいる紗夜だった。

 

「その言い方は余りにも失礼じゃないですか?まるで彼女達がおかしいみたいに言うのは・・・」

 

「なら、あんなのの攻撃を食らって半日も待たずにあそこまで動けるのかしら?」

 

「それは・・・。ですが、巴さんだけではなく若宮さんや奥沢さんも戦ってるじゃないですか?」

 

 

「イヴちゃんはブシドーがありますから!!」

 

「パレオ!!」

 

駄犬(パレオ)がイヴの名前に反応するが、即座に黙らせたご主人様(チュチュ)は当たり前のことに気が付いていない紗夜にハッキリと言い放った。

 

「剣道をやってるイヴが戦えるのは100歩譲っていいとしても、なんの訓練も受けてないトモエやミサキがあんなのとまともに戦える方がおかしいとは思わないのかしら?」

 

「それは・・・」

 

「片方は生身。もう1人に至ってはキグルミよ?ハッキリ言ってこんなのおかしいわよ」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ゲンタロウのあれを見た後だったとしても、普通そう思うでしょ・・・」

 

チュチュが言ったことはハッキリ言えば当たり前すぎることだった。

普通に考えたらただの女子高生があんな怪物達とまともに戦えている方がおかしいのだが、それ以上に超常なフォーゼという存在に触れる機会が多かった彼女達はその事が頭から完全に抜けていた。

 

しかし、フォーゼの事を知ってから日も浅く、弦太朗や彼女達とも親密すぎないチュチュだからこその疑問だった。

 

「そういえば・・・そうですね・・・」

 

「弦太朗のアレの衝撃が大きすぎて完全に抜けてた・・・」

 

 

 

 

 

「・・・とにかく、トモエ達はSpecialかもしれないって事は覚えておきなさい。パレオ、行くわよ」

 

「・・・はいっ!!では失礼します!!」

 

 

「スペシャルって・・・どういう意味だ?」

 

言いたいことだけを言い残してチュチュはパレオと共にスタジオを後にするが、残った彼らは彼女の言葉の意味が理解できずスタジオを出てから考えるが答えが出ることはなかった。

 





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祭・狂・騒・曲-8 ランチタイム・ミーティング

投稿です。
前話との温度差・・・
確実に最終に向けて動き出してはいるのですが・・・


 

「う~ん・・・」

 

「やっぱ分かんねぇ・・・」

 

 

 

 

「先輩、ご飯食べないの・・・?」

 

「それに如月も燐子先輩も、さっきからなんでずっと唸ってんだ?」

 

アリエスの戦闘があった翌日、生徒会室に呼ばれた弦太朗は紗夜達やポピパと共に昼食を取っていたが、彼は燐子と同じように唸りながら昼食すら取らずに何かを考えていた2人に一緒にいた紗夜は呆れた表情を浮かべていた。

 

「市ヶ谷さんの言う通りです。今は食事中ですよ・・・?」

 

「あっ・・・すいません・・・。でも・・・昨日言われたことが気になってしまって・・・」

 

「昨日・・・?もしかして・・・2人が考えてるのは・・・巴さん達の事ですか?」

 

「はい・・・」

 

「そうなんだけど・・・ちっとも分かんねぇんだよ・・・」

 

 

 

 

「巴ちゃん達って・・・?Afterglowのこと・・・?」

 

「なら、燐子先輩達が考えてるのも変だろ?おい、如月。昨日の戦いの後の事話せ・・・」

 

「でしたら・・・私から・・・」

 

 

 

有咲達は話が理解できなかったが、そこで燐子が昨日の戦闘の後に起こった出来事―――

CiRCLEでの話を彼女達に伝えるとここまで聞いて燐子と弦太朗は唸りながら考えていたことを理解したが有咲もまた頭を抱え出してしまった。

 

 

 

「そう言われればそうだよな・・・何でこんな当たり前のことに気が付かなかったんだ・・・」

 

「弦太朗くんの方が凄くてそこまで考えられなかったよ・・・」

 

「だからチュチュさんが巴さん達のことを"特別"と言ったんだと思いますが・・・」

 

「その理由がちっとも分んねぇんだ・・・」

 

「そもそも如月は頭使うのがダメだろ・・・」

 

「頭使うのは有咲の役目だから・・・」

 

「おたえも少しは考えろ!!」

 

「分かんない・・・」

 

 

唸る理由は分かっても答えが出てこない。

そこで速攻で思考を停めたたえ以外の全員が昼食の手を停めて有咲達も彼らと一緒に考え始めていた。

 

「達って事は1人じゃないんだよね・・・?誰の事?」

 

「香澄ちゃん、多分だけど巴ちゃんに美咲ちゃんにイヴちゃんのことだよ・・・」

 

「それと3人ほどではないですけど今井さんも・・・と言ってました・・・。攻撃されてからの復帰が早すぎると・・・」

 

「確かにあの人もぶん殴られたり、2階位からの高さから落ちても案外大丈夫そうだったし・・・」

 

「でも、普通に戦ったり出来てる3人はやべーだろ・・・」

 

「ますきも前にバイクで突っ込んでたけど、あれはバイクが凄いからって言ってたから・・・」

 

ここで、考えていた全員が唸り始める。

結果だけで見れば彼女達は特別と言われたことは納得できるが、その原因の全く共通点が見えてこない。

それを確かめるようにりみが声に出し始める。

 

 

 

 

「学年も違うし・・・誕生日とか血液型も違うもんね・・・?」

 

「分かった!!みんなバンドやってる!!」

 

「戸山さん・・・。如月さんもさっきそう言ってましたが・・・、そんな単純なものではないと思いますよ・・・」

 

「・・・これは流石に情報が少なすぎるな。他に特別なのがいるのかも知れないけど・・・」

 

 

 

 

 

「それなら・・・最近変わった人を探せばいいってこと?」

 

「おたえがまともなことを・・・」

 

「じゃあ、みんなで考えよ!!」

 

 

 

 

「(沙綾、羽沢さん、上原さん、それに花音さん以外の花咲川の3年生・・・って思ったけど、これは明らかに方向性がちげーな・・・」

 

「有咲?何か言った・・・?」

 

「沙綾!?いや!?なんでもねぇよ!?」

 

たえから出たまともすぎる提案に驚く有咲を他所に香澄の号令で皆が最近変わったと思う人を思い浮かべる。

しかし、皆が思い浮かべる人物はバラバラだったがただ共通点があるとしたら―――

 

 

 

 

 

「みんなバラバラだったけど、時期は弦太朗くんが来てからって事くらいしか共通点が無さそうだよ・・・」

 

「俺?」

 

「多分、正確に言うならスイッチ――コズミックエナジー?だったか?それに関わり始めてからってとこだけど・・・」

 

「そう言えば、天校でも特異体質?だったかそんなのがあったな・・・」

 

「もしかしたら、巴達もその特異体質?って奴なのかも・・・」

 

「ですが・・・それはもう調べようがありませんね・・・」

 

弦太朗から出た"特異体質"という言葉がどんなものか余り分からないが、彼女達には本当にそうなのかは調べる術がなく話はここで完全に止まってしまった。

そんな中で有咲がすぐに話題を次に切り替えていく。

 

 

 

 

 

 

「なら巴さん達は一旦置いておいて・・・。商店街の邪魔は・・・巴さんへの嫌がらせか?」

 

「それだったら宇田川さんや同じバンドのメンバーを襲撃する方が効率的だと思いますが・・・」

 

「それは・・・「将を射んとする者はまず馬を射よ」って奴じゃないですか?」

 

「なるほど・・・ゲームでもボスの前に周りから倒しますからね・・・」

 

「流石ですね。市ヶ谷さん・・・」

 

有咲の考えを述べると即座に紗夜が疑問を投げるが、すぐに有咲は自分の考えを述べると燐子も紗夜もすぐに納得の表情を浮かべていた。

そんな光景に何故かたえが満足そうな表情を浮かべて頷きながら呟いた。

 

「ライダー部の部長は伊達じゃないね・・・」

 

「おたえ!!だから部長じゃねぇ!!」

 

 

 

「だったら商店街と巴ちゃんを守ればいいってこと?」

 

「それが出来ればいいけど・・・」

 

「今、商店街の一部は巴への当たりが酷いから・・・」

 

「でも、沙綾ちゃん。バラバラだと危ないよ?」

 

 

 

 

 

 

「せめて、いつ来るかが分かれば如月くんと巴ちゃんも・・・」

 

「弦太朗!!それだったら心当たりがあるよ!!」

 

巴に商店街にいてもらえればいいのだが、今の商店街の一部からの当たりが厳しい彼女が長い時間商店街にいるのは危ないかもしれない。

 

せめて商店街が襲われる可能性が高い時が分かれば―――

そんな希望的な意見を言うりみだったが、沙綾はそれを聞いて心当たりを思い出して声を挙げていた。

 

「いつだ?」

 

「明日の夜だよ!!お祭りの準備のために集まりがあるんだけど・・・直近で商店街を狙うならそこかも!!」

 

「流石だな!!沙綾!!」

 

「うんっ!!」

 

思い当たることを弦太朗に伝えて礼を言われた沙綾がニヤニヤし始めるが、有咲はその事にツッコむことはなく今後の対応をどうするかを考え始めていた。

 

 

相手の目的は全く見当がつかないが、次の襲撃時間の予測が出来たこと―――

部屋に走っていた緊張感が少しだけ緩むが、神妙な面持ちを崩さない有咲に全員の視線が集まる。

 

「ポピパはGalaxyでライブがあるから商店街にはいるけど・・・商店街の人の説得・・・は厳しそうだな・・・」

 

「Roseliaは明日はCiRCLEで予選ライブですね。最悪の場合、宇田川さんが狙われる可能性もありますが・・・何かあればすぐに連絡します」

 

「北沢さん・・・いや、説得できるような奴じゃないから期待できねぇし・・・。ますきはRASで多分動けねぇだろうから羽沢さん達がどうにかするしかないないか・・・」

 

 

最終的にはここに集まっているメンバーではどうすることも出来ず、羽沢さん達に完全に任せてしまうことになることに内心申し訳なさを浮かべる有咲だったが、彼女はもうこれ以上どうすることも出来ないと察した。

 

そして彼女はあることに気が付いて表情を変えると、全員の視線が彼女へと集まっていく。

 

「有咲どうしたの?」

 

「いや、もうここでどうすることも出来そうにねぇなってなっただけだから・・・」

 

「では、この話は終わりですか・・・?」

 

「そうですね・・・後、最後に言っておかないといけないことがあって・・・」

 

「「「「「「・・・?」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな!!急いで飯食うぞ!!もう10分も昼休みが残ってねぇ!!」

 

「「えっ!?」」

 

「「「あっ・・・」」」

 

「えっ?皆食べてなかったの・・・?」

 

そして有咲の一言によって全員が急いで昼食を取り始めるが、燐子だけは時間内に食べきることが出来ずに可愛らしい腹の虫を鳴かせながら午後の授業を受ける羽目になるのだった。

 

 

 

 

 





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祭・狂・騒・曲-9 地獄、それは他人である。

2022年最後(予定)の投稿です。
2022年終わっちゃったよ・・・

バンドリ新章始まる前に終わらせられるかな・・・




 

弦太朗達が昼休みに話し合いをしていたことなど露知らず、羽丘では午後の授業が始まっていた。

 

しかし、その中で2年A組にいる多くの生徒達は授業へと集中できておらず、チラチラと巴へと視線を送っているがその多くは恐怖心が籠っていた。

 

 

 

「「「「・・・・・」」」」

 

「zzz・・・パン~~~・・・」

 

流石に授業中ということもあって蘭達もクラスメイト達に声を挙げるようなことはしなかったが、そんな中でモカはすっかり居眠りして幸せな夢の世界に旅立ってしまっていた。

 

普段なら注意の1つもしたくなるが、いつも通りの平和な日常を想起させるその姿を巴は何気なく見つめていた。

 

 

 

 

 

「大丈夫だよな・・・?」

 

「う~ん・・・」

 

突然の不安感を感じた巴が授業中にも関わらず小さな声が漏らすとそれに答えるかのようにモカが目を覚まして口元から垂れたよだれを手で拭うその仕草に巴は声に出さないものの苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その笑みも長く続くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――バコン!!

 

「キャ!!」

 

 

 

突如として教室の前方にある扉が破壊されると近くに生徒達から悲鳴が挙がり、全員がその音源へと視線を向ける中で、巴も遅れて視線を向けるが―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ・・・」

 

 

 

 

その視線の先には扉を突き破って教室に入ってくる1体のダスタード。

突如の出来事に最初は巴達以外は誰も状況を理解できていなかったが、ここで近くにいた数人の生徒と教師がダスタードの手に持っている刀の存在に気が付いてしまった。

 

「「「きゃあああああああああああ!?」」」

 

蘭達はすぐに巴の近くへとよる一方で、彼女達はパニックを起こして叫び声を挙げた途端に教室中はパニックに襲われて一斉に教室の外へと逃げ出そうと後方の扉へと殺到してしまい、出口で詰まり始めるが不幸はこれだけでは終わらない。

 

「・・・何やってんだ!!」

 

「早く逃げて!!」

 

 

 

 

 

「ひぃ・・・!!」

 

「くそっ・・・!!」

 

彼女の視線の先ではダスタードの目の前に現われた近くにいた数名のクラスメイトが尻もちをついたまま完全に恐怖で身体が動かなくなってしまっていた。

巴とつぐみがその生徒に声をかけるがその生徒は言葉が全く耳に入っておらず、目の前ではダスタードがその生徒へ向けて刀を振り降ろそうとした光景に巴は机の上を駆け出してダスタードへと飛び出していた。

 

 

 

「おらぁ!!」

 

机の上を駆け出していた巴は尻もちをついていた生徒達の頭上を飛び越えてそのままダスタードへと体当りを見舞うとその勢いでそのまま廊下まで押し出していく。

 

「おいっ!!早く逃げろ!!・・・っておい!!聞こえてんのか!!」

 

巴は廊下から声を張り上げるがその生徒は固まったまま動く様子はなく、再び声をかけようとするがダスタードは左手で持った刀を巴に振り下ろそうとしていたが、彼女はそれを右手で左腕を掴んで耐えていた。

 

 

 

「みんな!!今のうちに・・・!!」

 

「ほら!!立って!!」

 

 

 

「ぐぉぉおおおお!!きっつい・・・!!」

 

巴が耐えている間にひまりとつぐみが逃げ遅れていた生徒に歩み寄ってそのまま立たせて逃がし始める。

しかし、巴はいつもの力が出ないのかダスタードを押し返すことが出来ない。

 

その騒ぎが聞こえたのか他のクラスから教師や生徒達が顔を出すと目の前の光景に恐怖を覚えて即座に教室に閉じこもってしまう。

 

「このままじゃ・・・!!」

 

巴はクラスメイト達が逃げる時間を稼ごうと必死に耐えるが次第にダスタードに押され始めてしまい、そしてその刃は巴の右肩へと触れようとしていたその時―――

 

彼女が気が付かないうちにダスタードに回り込んでいた彼女達が動いた。

 

「このっ・・・!!」

 

「蘭っ!?モカ!?」

 

「え~い!!」

 

「巴・・・!!」

 

 

「ソイヤっ!!」

 

突如として現れたのは蘭とモカ。

しかし、2人が出てきたことにも驚いたがそれ以上に巴は彼女達の行動に驚かされた。

 

蘭はダスタードの頭にどこからか持ってきたバケツを被せ、モカはその状態になったダスタードの足をモップで引っ掻けてバランスを崩す。

 

流石に出来事に巴も驚いたが、蘭の声に我に返ると彼女はダスタードの左腕を離すと同時に前蹴りでダスタードを蹴る。

 

全開ではない巴の蹴りだったが、それでもダスタードを数m飛ばす。

2人の距離が開いたが巴はダスタードへと詰め寄ろうとするが、それと同時にダスタードは彼女達の足元へと爆弾を投げつける。

 

「うわっ!?」

 

「蘭っ!!」

 

「行って!!」

 

蘭の声に止まりそうになるが、彼女の答えを聞いて巴はダスタードを追いかけるとダスタードはバケツを被ったままの状態でそのまま別の教室の扉を破壊して中に入っていくと巴もそれを追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

「待てっ!!・・・逃げられた・・・!!」

 

しかし、巴が見たのは突き飛ばされたで事で倒れたであろう教師と、そのまま窓から逃げ出していくダスタードの姿だった。

 

「あっ!!巴ちゃん!!つぐちゃん達は・・・?」

 

「麻弥先輩に日菜先輩!?えぇ・・・みんな怪我はないです」

 

「宇田川さん!?」

 

「急に教室に入ってきて逃げたから追いかけたんですよ・・・」

 

 

「トモち~ん」

 

「巴!!大丈夫!?」

 

「おう・・・」

 

ダスタードを追いかけるのに必死で気が付かなかったが、巴が突入したのは別の学年である麻弥と日菜がいる教室だった。

 

2人共は逃げるダスタードは見えていたが、いまいち状況が呑み込めない。

しかし、巴もなんで出たかなんでことは分からないのでそのままの事を説明すると巴の後を追って蘭とモカも教室へと駆け込んで来るがそんな彼女達に返事を返すと未だに倒れている教師へと歩み寄っていく。

 

「えっと・・・大丈夫ですか・・・?」

 

彼女はそう言って教師へと手を差し伸べる。

しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ!!」

 

「えっ・・・?」

 

彼女に返ってきたのは小さい悲鳴と差し伸べられた手を払いのけられて響いた渇いた音。

明確な拒絶を示したその答えには流石の巴も戸惑いの表情が浮かぶ。

 

そんなタイミングでに廊下からは別の教師や警備員達が巴達のいる教室へとなだれ込み、状況を見るとすぐに行動を起こした。

 

「ちょっと・・・!!」

 

「待ってください!!宇田川さんは何も・・・!!」

 

 

 

 

「ちょっと待ってよ。それはるんってしないな~」

 

「日菜さん!?」

 

何を思ったのか倒れている教師の前に立っていた巴を取り押さえようと動き出し、その行動を見て麻弥が声を挙げるも誰も彼女の声を聞かずに巴は抵抗する間もなく取り押さえられるとそのまま教室の外へと連れていかれそうになるがここで教師たちの前を日菜が塞いだ。

 

更にこの騒ぎを聞きつけて別の教室からは見知った生徒達が顔を出してきた。

 

「煩いわね・・・」

 

「何があったの!?って巴!?ヒナ!?」

 

「これは・・・どういうことだい・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず巴ちゃんを離して・・・」

 

生徒達が見守る中で日菜は教師たちにいつもの明るい様子とは打って変わって冷たい表情で教師たちに言い放つ。

そんな彼女に驚いたのか教師たちも固まってしまうが、そんな中で日菜はモカに視線を向けるとモカがダスタードの正体をぼかして最初に起きた出来事を伝え始める。

 

「えっと~・・・。昨日、トモちんが追い払った不審者が刃物を持って教室へと入ってきたんですよ~。それに驚いてみんなが逃げ出してる中で逃げ遅れてたのをトモちんが助けて~。それで、トモちんが犯人追いかけてたらこの教室にいたんですよ~」

 

「教室に入ってきてせんせーを倒して逃げたのはこのクラスの人たちも見てるから。それなら巴ちゃんは悪くないよね?むしろ不審者を学校内に入れてしまう方がよっぽど問題だと思うんですけど・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかも、うちのクラスに出て真っ先に教師が逃げ出してたし・・・」

 

「教師が逃げたのね・・・」

 

モカの説明に日菜は笑みを浮かべて大人たちへと視線を向けるとそこに追撃するかのように蘭の言葉が言い放つと、一様に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

話だけを聞けば、確かに不審者を入れてしまった学校の警備側にも、最初に出た時に教師が真っ先に逃げ出したのも大問題である。

 

その説明を聞いて他の生徒達が教師たちへと不信感を持った視線を向け、圧倒的に状況が最悪の中で説明に疲れて一息ついていたモカがそんな教師達に1つ提案を出す。

 

 

 

 

 

 

 

「けが人も出てないし~、ここは何もなかったことにしちゃうのがいいと思いますよ~?トモちんもそれでいい~?」

 

「アタシはいいけど・・・」

 

「せんせー達はどうですか?」

 

これ以上大事にしたくない教師たちはモカの甘い誘惑には飛びついて、巴は結局軽い注意を受けただけで済まされると2年生3人はそのまま自分たちの教室へと戻っていくがその教室には数人の生徒達を除いて全員が戻ってきていた。

 

しかし―――

 

「巴!!大丈夫!?」

 

「今日の授業は中止だって!!」

 

 

 

 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

そんな巴を待っていたのは何気なく話しかける幼馴染とクラスメイト達の冷え切った視線だった。

 




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祭・狂・騒・曲-10 守るぜ!!商店街防衛線

あけましておめでとうございます(盛大に遅刻している模様
リアルで少々あったのと、モチベが・・・
ここで不定期更新という言い訳が活きてくる!!

ってことで今年もあばよ涙!!よろしく勇気!!ってことで初投稿です



 

先日の騒ぎがあった翌日、いつも通りに学校へと登校してきたひまりはカバンを置くと幼馴染達の元へと向かう。

 

「みんな~おっはよ~」

 

「ひーちゃん、おっは~」

 

「ひまり、おはよ・・・」

 

「ひまりちゃん。おはよう!!」

 

「あれ・・・?巴は・・・?」

 

「・・・?まだ来てないけど・・・?ひまりちゃん・・・?」

 

ひまりはその場に巴がいないことが気になってしまった。

たまには巴が遅くなる日もあるだろうと気にしてなかった彼女達も首を傾げてひまりへと視線を向けていた。

 

「・・・ううん!!なんでもない!!巴の寝坊なんて珍しいね~!!そろそろ授業始まるから準備しよっか!!」

 

「そうだね!!それに放課後には商店街でお祭りの会議だもんね!!」

 

「ほら、とりあえず授業の準備でしょ?もうすぐ先生来ちゃうよ?」

 

「そうだね・・・」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「ひーちゃん・・・?」

 

ひまりの言葉を聞いて少しだけ早いが彼女達は自分の席へと戻ってから授業の準備を始めるとすぐに教師が来て授業が始まる。

しかし、授業中にも関わらず時折心配そうな表情を浮かべて巴の机に視線を送るひまりの姿をモカはハッキリと捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巴は登校したが授業に出ることなく、以前に蘭と喧嘩した時に起こった事件なんて無かったかのように修理されていた屋上に逃げこんで、冬にしては温かい気温の中で彼女はただ呆然としていた。

 

「はぁ・・・何やってんだろ・・・アタシ・・・」

 

授業をサボった彼女は放課後まで誰にも見つかることなく、今は屋上で雲のかかった夕日に照らされながら楽しそうな笑みを浮かべて下校する生徒達をどこか羨ましそうな視線を送っていた。

 

「これからどうすればいいんだよ・・・」

 

そんな光景を見て思わず呟くが、誰も来るはずのない屋上から答えが返ってくるわけがない。

そう思っていた―――

 

 

 

 

「巴!!」

 

「ひまり・・・!?どうして・・・!?」

 

「あこちゃんから学校には来てるって聞いて心配したんだよ!!もうみんな商店街に行ってるよ?」

 

しかし、巴の呟きに答えるかのように屋上にはひまりが屋上の入り口から突如として姿を現したことに驚いていたがひまりは心配そうな表情を浮かべて巴へと近寄ってくると手を差し伸べてくる。

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「あっ・・・。えっ・・・?はっ・・・?」

 

しかし、巴は無意識にひまりの手を跳ねのけてしまう。

自身の行動に戸惑いを隠せない巴を見て、ひまりも最初は戸惑ったものの自分以上に戸惑っていた巴を見ると返って冷静さを取り戻してそんな彼女に声をかける。

 

「・・・巴」

 

「ごめん・・・」

 

「やっぱり・・・昨日の事を気にしてるの・・・?」

 

「・・・」

 

ひまりからの心配そうな視線を向けられる巴と彼女は力なく、フェンスにもたれ掛かって地面に座り込んでしまう。

普段の巴からは考えられない行動にも関わらず、ひまりは何もなかったかのように巴の横に並んで座ると彼女からの言葉をただ待ち続けると巴はポツリと言葉を零し始めた。

 

 

 

 

 

 

「・・・怖いんだ」

 

「怖い・・・?」

 

「・・・最初はよく分かんなかったけど、でもアタシがなんとかしないとって思って今までやってきたけど・・・でも、今はそのせいで学校とか商店街でアタシの居場所が無くなっていくみたいで・・・それがどうしても怖いんだ・・・」

 

「巴・・・」

 

巴の言っている”最初”とは間違いなく自身が起こした事件のことだと察してしまったひまり。

そんな彼女は以前の自分の行動が今の巴を苦しめているという事実に何も答えることが出来なかったがそんな彼女を気にする様子もなく巴は顔を伏せたまま言葉を吐き出していく。

 

「みんなどんどんアタシの周りからいなくなって・・・」

 

「・・・」

 

「いつか・・・ひまり達も・・・って・・・」

 

「・・・っ!!」

 

 

 

 

 

「そんなことないよ!!」

 

「ひまり・・・?うわっ!?」

 

余りにも悲観的な言葉が並ぶが、巴の最後の言葉を聞いてしまったひまりの中で何かが切れると同時に声を挙げる。

そんなひまりに驚いた巴は視線をあげたその瞬間、彼女の顔はひまりの胸の中に埋まっていた。

 

 

 

 

 

「大丈夫!!周りの人たちがなんて言っても関係ないよ!!私達はいつも通りの私達だから!!」

 

「ひま・・・り・・・」

 

「それに、私の時だって巴達は私に居場所をくれたんだから・・・この先どうなっても、巴の居る場所はなくなったりなんてしないから!!」

 

 

 

「ひま・・・り・・・くる・・・し・・・っ・・・!!」

 

巴はひまりの胸に顔を埋められて完全に息が止まって力が入らないのだが、そんなことを知らないひまりは自分の言葉に安心したのかと錯覚したまま彼女の顔を胸に埋め続け、遂に巴は完全に酸欠になってしまう。

 

そして巴がひまりから解放されたが、彼女の意識は完全に途絶える寸前だったが、ひまりからの声はハッキリと聞こえていた。

 

「だから、これから商店街の人たちに巴の事ちゃんと話してくるから!!巴はそのまま待っててね!!」

 

ひまりはそう言って屋上を飛び出すと、それと同時に巴は酸欠によってその場で意識を失うのだった。

 

 

 

そんな屋上での一幕があったことなど知らず、商店街では蘭達が羽沢珈琲店で弦太朗達と顔を合わせていた。

 

「巴の奴は大丈夫なのか・・・?」

 

「・・・それあんたが言えることじゃないでしょ?」

 

「まぁ~、げんたろーさんの事を商店街のみんなが目の敵にしてるもんね~。それに美咲ちん達も・・・」

 

「モカちゃん・・・!!うちはそんなことないからね!!はい。これみんなの珈琲だよ!!」

 

「おっ!!サンキューな」

 

「羽沢さん・・・それはみんな分かってるから・・・」

 

「そうです!!ミサキさんの言う通りです!!」

 

そう言いながら、皆はつぐみから珈琲を受け取って飲み始めるが、ここでつぐみは空気に耐え切れずに誰もツッコまなかったことに思わずツッコミを入れてしまう。

 

 

 

 

 

「ところで・・・何で美咲ちゃんはミッシェル着てるの・・・?」

 

「えっ・・・?襲われるんでしょ?それに商店街だったらこっちでしょ?それに・・・バイト先がめちゃくちゃにされたら私も困るし・・・」

 

「私は先日は皆さんに助けてもらったのでそのホーコーです!!」

 

 

 

「なんでそんなに2人ともやる気満々なの・・・」

 

「まぁ~まぁ~、つぐも落ち着いて~」

 

美咲とその後に続いたイヴの態度に半ば困惑してしまうつぐみをモカが宥め始めると、なんとも微妙な空気が流れる店内で突如として店の扉が開かれる。

 

「みんな~!!そろそろ始まるよ~!!ってミッシェルだ~!!これからお祭りの話合いだから一緒に行こ!!」

 

「あはは・・・。これから如月さんと用事があるんだ~」

 

「そうなんだ!!」

 

「えっと・・・こんばんは・・・」

 

「はぐみに六花だ~・・・って、あぁ~もうそんな時間だったんだ~」

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・いつの間に被ったの・・・」

 

「俺にも見えなかった・・・」

 

「ブシドーです・・・!!」

 

店の扉を開けて顔を出したのははぐみとロック。

どうやら、もう祭りの話の時間が迫っているので呼びに来たらしいが、店内にいたほとんどははぐみ達の登場よりも扉を開けてからのほんのわずかな時間でミッシェルの頭を被った美咲の行動に驚きの表情を浮かべていたが、気にするのを辞めて全員で店の外に出るとつぐみが店の看板を閉店へと変える。

 

「それじゃいこっか!!」

 

「「お~!!」」

 

「えっ・・・?お~・・・!!」

 

 

 

「弦太朗・・・」

 

「蘭?どうしたんだ?」

 

「巴の事はこっちでなんとかするから・・・」

 

「おう!!商店街は俺たちがなんとかしてやる!!」

 

「・・・頼んだよ」

 

つぐみははぐみ達を連れて商店街を歩き出し、それに少しだけ遅れた蘭もその背中を追いかける光景を弦太朗達は見送った。

 

そして彼女達の背中が見えなくなって少し経つと、街の空気が張り詰めた空気が街を覆いはじめ、最悪の予想が的中したことを彼らは感じ取っていた。

 

「来ました・・・!!」

 

「若宮さん・・・何言って・・・って、本当に来ちゃったよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・変身!!」

 

イヴが呟くと彼女が見ている方向に2人とも視線を向けると、そこには複数のダスタードを壁にしてアリエスがゆっくりと商店街の中を歩いてくるが、それを見た弦太朗もフォーゼに変身するとすぐにコズミックスイッチを取り出す。

 

そして両者は商店街の中心で足を止めて睨み合う。

 

「羊野郎の攻撃は食らうと眠くなるからな・・・」

 

「それは如月先輩の担当なんで・・・、宇田川さんがいないけど・・・なんとかしないと・・・」

 

「任せたぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いざ・・・ブシドー!!」

 

そんなイヴの掛け声とともに彼らはダスタードの中へと突撃していくのだった。

 





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祭・狂・騒・曲-11 変わらない街・彼女は大マジ

投稿です。
更新頻度落ちてる・・・

今回は大きく話を動きそう・・・
(最終回間近なのに終わる気配が見えない戦隊から目をそらしつつ・・・


 

「おらぁ!!」

 

「・・・!!」

 

「ホント・・・気味が悪りぃな!!まるで杉浦の時みてぇだな・・・!!いや!!そんな訳ねぇ・・・!!それよりも今は羊野郎だ・・・!!」

 

フォーゼが接近してアリエス目掛けて斬りかかるが、アリエスから反応はほとんどないことに気味の悪さ覚える。

その光景はまるで天校でタウラスの事件の時に会った時と被って見えたが、彼は首を横に振ってその思考を振り払って再び斬りかかろうとするがダスタードがフォーゼへ襲い掛かる。

 

しかし、フォーゼは迫るダスタードをソードで切り払いながらも必死に考えていた。

 

「邪魔すんな!!・・・すぐに終わらせてぇけど、商店街をぶっ壊す訳にもいかねぇしな・・・」

 

アリエスだけを移動させようにもフォーゼがリミットブレイクを発動しようとする絶好のタイミングでダスタードが迫るために使うことが出来ず、この場所でダスタード諸共倒そうとしても商店街への被害を考えてしまい行動に移せない。

 

「街が壊れませんように・・・!!」

 

――――――ウォーターON――――

 

フォーゼはそんな神頼みのようなセリフを吐きながら、スイッチを起動する。

 

「食らえ・・・!!」

 

フォーゼはウォーターでアリエス諸共ダスタードへと水を浴びせて、水圧でそのまま吹き飛ばすと、代わりに詰め寄ってきたダスタードを倒しながら再びアリエスへと近づいていく。

 

「くっそ・・・!!どっから沸いてんだよ・・・!!美咲達は大丈夫か・・・?ってこっちもそこまで余裕がねぇけどな・・・!!」

 

フォーゼが悪態をつきながらもダスタードとアリエスを纏めて相手をするが、次第に状況はフォーゼの振りへと傾い始めていく。

 

 

 

 

 

 

「・・・ブシドー!!」

 

「もうっ!!突っ込みすぎだって・・・!!」

 

フォーゼがアリエスと戦っている一方、残された2人はダスタードの大群相手に立ちまわっていた。

 

「若宮さん!!さっきから飛び込んでいってるけど、大丈夫?」

 

「身体は・・・大丈夫です!!」

 

「身体・・・?あぁ・・・もう木刀が限界ってこと・・・ね・・・!!でも何で刀しか使わないんだろ・・・?」

 

イヴが飛び込んで相手を掻き乱しながら倒して、漏れた相手を美咲が打ち倒すというパターンを繰り返していた。

その中で美咲がイヴを見るが既にイヴは呼吸が乱れ、得物は今にも根元から折れそうなほど限界寸前であった。

幸いなことにダスタード達は爆弾を投げてくることなく、手に持っている刀だけしか使ってこないことに疑問を覚えた美咲だったが、幸運ということですぐに考えを止めてイヴへと声をかける。

 

「若宮さんは木刀の予備は・・・あるわけないよね・・・?どうする・・・?木刀取りに下がる?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・行きます!!」

 

「ちょっと!?若宮さん!?」

 

美咲はイヴに退く提案をしたが、イヴはそれに反して突っ込んでいく姿に自棄になったのかと思ってしまったが、彼女の眼は死んでいなかった。

 

「ブシドーーーーーーーー!!」

 

「あぁ・・・そういうこと・・・か!!」

 

イヴがダスタード目掛けて木刀を振り上げると共に木刀が根元から折れるのと同時にダスタードが持っていた刀が宙を舞うとイヴはそれを奪い取る。

美咲はイヴの行動に驚きながらも向かってくるダスタードを全力で突き飛ばし続けて、次々にダスタードを塵にしていく。

 

斬って、倒してを繰り返しを幾度となく続けていた彼女達だったが―――

 

 

 

 

「それにしても・・・どんだけいるの・・・?倒してもキリがないんだけど・・・」

 

「まだ・・・まだです・・・!!」

 

戦闘が始まってどれほどの時間が経ったか分からないが、フォーゼ含めてかなりの数のダスタードを倒している。

それにもかかわらず、彼女達の視界からダスタードが減っている様子はない。

思わず美咲の口から弱音が零れてしまうが、それでもまだ2人は立ち上がってダスタードの前に立ち塞がっていた。

 

「どうする・・・?こっちも体力あんまし残ってないけど・・・」

 

「ブシたるもの・・・退くわけには・・・いきません!!」

 

「私は武士じゃ・・・でも、若宮さんが頑張るんだったら・・・1人だけ帰るわけにはいかないか・・・。それで何か考えは・・・?」

 

「真正面から・・・突撃です!!」

 

「全く猪武者じゃないんだから・・・!!」

 

「正々堂々・・・!!ブシドーです!!」

 

「いや、侍って奇襲とかしてるから正々堂々とはかけ離れてるんだけどなぁ・・・」

 

イヴのとんでもない発言に美咲は頭を抱えだす。

今はミッシェルを着ているので頭を抱える光景もとてつもなくシュールすぎるが誰もツッコむ余裕もなく、美咲も腹をくくった。

 

「仕方ない・・・やれるとこまでやるか・・・」

 

「行きま・・・っ!!」

 

 

 

「のわぁ!?」

 

意を決した2人だったがその2人の間を誰かが通り過ぎる。

それと同時に近くにいたダスタードが綺麗な弧を描いて吹き飛んでいき、それはアリエスとフォーゼの間へと落下すると視線はその侵入者へと視線が集まっていく。

 

 

 

「ったく・・・まさかひまりの奴に気絶させられるとは・・・お陰で学校からここまで全力疾走する羽目になったぞ・・・」

 

 

 

 

 

 

「遅刻ですよ・・・!!」

 

「ヒーローは遅れてやってくるって奴・・・?いや、この場合はヒロインかな・・・?」

 

「大丈夫なのかよ!?巴!!」

 

 

 

 

「おう!!」

 

乱入者の正体は巴。

彼女は学校で意識を取り戻してすぐに駆けつけるとそのままダスタードを殴り飛ばしていた。

しかし、ダスタードの刀が彼女の頭を掠めていたらしく頭から出血をしていたがゆっくりと息を吐きながらそれを拭いながら言葉を吐き出して始める。

 

 

 

 

「お前らがなんの為に商店街とアタシを襲ったのかなんて全く分かんないし・・・そんなことはもうどうだっていい・・・」

 

彼女は視線を真っすぐにダスタード達へと向けて言い放つ間、誰もその場を動かない。

 

「ここにはもうアタシの居場所なんて無いかもしれないけど・・・アタシは変わらないものを・・・つぐ達の店・・・この商店街(まち)を守るって決めたんだ・・・」

 

そう言って彼女はゆっくりと拳を握り直して、目の前をしっかりと見据えていた。

 

 

 

 

「この商店街()を・・・ナメるなよ・・・!!」

 

言い切った巴はそのままダスタードの中へと突っ込んでいく。

美咲とイヴは驚いた表情を浮かべたが彼女はその間をすり抜けていき、アリエスの目の前まで迫っていた。

 

 

 

「ソイヤッ!!」

 

その掛け声とともにアリエスの顔面に巴の拳が突き刺さると、アリエスの身体は大きく後ずさる。

驚きの光景にフォーゼすら言葉を失ってしまったがそんな彼に巴が声を挙げた。

 

「こっちは気にすんな!!行ってこい!!」

 

「おう・・・!!」

 

 

「若宮さん・・・いける?」

 

「勿論です・・・!!」

 

巴が加わった事で一気にフォーゼ達の士気があがる。

そして彼女に釣られるようにして彼らも再び自身の敵と対峙するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ仕上げってところだね」

 

建物の上から下で繰り広げられてる戦闘を見ていた異形がいた。

全く正体が分からないそれはアリエスを一瞥すると後ろを振り向いた。

 

異形の後ろに控えていたのは1人の女性。

その女性はニコニコとした柔らかい表情を浮かべていたが、その瞳は不気味な赤色の光を放っていた。

 

「まぁ、不完全でも人を操れるのはたいしたもんだけど、やっぱり無理があったか・・・とりあえず、手を貸してきな・・・」

 

その言葉に答えるように控えていた女性は柔らかい笑みを浮かべてスイッチを押して、変身するとフォーゼ達もよく知る少女(・・)を抱えて地上へと向かっていくのだった。

 

 





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祭・狂・騒・曲-12 Like a Torrent


投稿です。
さてと、前話の最後は・・・投げる!!
次に回収すっから・・・(震え声


 

「「・・・・・・」」

 

「う~・・・空気が重い~・・・」

 

 

 

 

「ろっか、みんなどうしちゃったんだろう?」

 

「えっと・・・」

 

 

弦太朗達を分かれて商店街の集会に参加しようとしていたつぐみ達だったが、つぐみの親やバンド仲間の家族たちを除いた大人達からの敵意や不安感の籠った視線が彼女達に突き刺さる。

 

 

 

さながら魔女裁判の様な空気に包まれた中、2人の少女が遅れてやってきた。

 

「すいません・・・!!」

 

「遅くなりました!!」

 

「沙綾先輩・・・!!ライブお疲れ様です!!」

 

「あ!!ひーちゃん!!やっほー!!」

 

「ロック・・・?叔母さんの代わりに来てたんだ・・・」

 

「はい・・・!!」

 

「でも・・・どうなってるの・・・?」

 

遅れてきたのはライブを終えてきた沙綾とひまりだったが、彼女達もこの場にやってきてすぐにこの場の空気の異常さに気がついてしまった。

 

そしてすぐに会議が始まるが、最初に出た言葉がこの場の空気をぶち壊した。

 

 

 

 

 

「祭りを中止しよう―――」

 

その提案に少女達は目を丸くするが、そんな彼女達を無視して心無い言葉が続いた。

 

「妨害が入るのは巴ちゃんのせいだ―――」

 

「彼女がいなくなれば邪魔されるようなことはなかった―――」

 

 

 

 

 

 

「ふざけないで!!」

 

しかし、友達に責任を擦り付ける様な大人達の言葉にひまりが声を挙げた。

 

「巴が何をしたのか?ハッキリ言ってくださいよ!!」

 

 

 

 

「巴ちゃんがいなかったらあんな邪魔なんて入ることはなかった―――」

 

「「そうだそうだ!!」」

 

 

 

 

「そんなのが理由になると思ってるんですか!!」

 

「つぐみの言う通りだよ!!何を根拠に!!」

 

 

 

 

 

「つぐみ先輩!!落ち着いてくださ~い!!」

 

「らんらんも落ち着いてよ~!!」

 

「ロック!!」

 

「ちょっと・・・!!」

 

余りの言葉につぐみと蘭も同調して声を挙げるがそこにロックとまさかのはぐみが止めに入る。

普段からは信じられない光景が目のまえで繰り広げられており―――

 

「流石にそれは・・・」

 

「言いがかりではないですかね・・・」

 

 

 

 

「「お父さん・・・」」

 

その言葉に止めようとしたのはつぐみと沙綾の親だった。

少し前までは商店街の為に頑張っていたのをよく知っていた彼らの言葉なら耳を貸すと蘭達も信じていたが―――

 

 

 

「娘さん達に誑かされたんですか・・・?」

 

「「「・・・」」」

 

 

 

 

「それとも巴ちゃんか牛みたいなお仲間にですかね?」

 

「んっ・・・・・・!!」

 

「これって・・・」

 

返ってきた言葉には流石に呆れて大勢の人間が言葉を失ってしまうが、そんな中でも巴のせいにしようとしている大人たちの言葉は止まることは無かった。

 

しかし、最後の言葉が完全に失言だったのを今まで無言を貫いてたモカとつぐみが見逃さなかった。

 

「あの!!牛みたいってなんですか?」

 

「だって巴ちゃんが一昨日、そいつらと一緒に山吹さんのとこの子供たちに暴力を・・・」

 

「「何を言って・・・!!」」

 

 

 

 

 

「「「・・・!!」」」

 

大人の言葉に感情的に答える蘭とひまりを他所に現場にいた3人は明らかにおかしい事に気が付いて最初にモカが声を挙げた。

 

 

「それはおかしいですね~。実際に会ったことと言ってることが全然違いますよ~?」

 

「あの時の巴は襲われてた私達を庇って気絶したんですよ!!そんな巴が私達に暴力なんてすると思ってるんですか!!」

 

「それにあの時あそこにいたら巴ちゃんが背中を怪我してたのを見えてるはずですよね?商店街の事を思っている巴ちゃんが商店街の人間に無意味な暴力なんて働くなんてよほどのことがないとあり得ないですよ!!」

 

モカから始まった反論に当事者である沙綾とつぐみの言葉に周囲は困惑しながらも彼女達の言葉を聞いて今までの事を考え直して始めていた。

 

 

 

確かに巴は以前のピスケスの事件時にダスタードが商店街で暴れたのを美咲達と共に大立ち回りをしていた。

しかし、それはダスタード達が商店街で暴れるのを止めるためだったのをそれなりの人数が見ていた。

 

 

 

今のつぐみ達の言葉を聞いて一昨日の戦闘があった後に巴が意識を失った場面を見ていた数人がおかしいことに気が付くと若干だが室内の空気が変わったのをモカが見逃さず、ここでモカは畳み掛けるべく普段の彼女では信じられない速度で室内を見渡して巴の事を悪く言っていた人物たちの顔を確認するとある共通点を見つけ出した。

 

「それになんかトモちんを悪者にしようとしてるのは分かったんですけど~・・・」

 

ここでモカが一旦言葉を止めると周囲の視線が集まり、周囲の関心が高まったタイミングを見計らって彼女は言葉を続けた。

 

「あれれ~?トモちんのことを悪く言ってるみなさん~。目のクマが凄いことになってますけど~、なんかあったんですか~?」

 

「ホントだ!!パンダみたい!!」

 

「ちょっと!!はぐみ先輩!?」

 

モカの言葉に反応したはぐみの言葉に思わず周囲の空気がぶち壊される。

その事に一部は返って苛立ちを覚えて反論しようとした途端、予想外の乱入者によってその目論見は早々に瓦解してしまうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、やっぱりここにいたのか・・・。ってなんだこの空気・・・」

 

「ますきさん~!!」

 

「マスキンだ!!どうしたの?」

 

「あんた・・・なんでここに・・・」

 

「んぁ?んなことは今はどうでもいいだろ・・・ってそうだ。花音さんのとこの奴から渡されたんだけどこれ見ろよ・・・」

 

乱入者の正体はますきだった。

しかも、普段はほとんど見ない学校の制服姿であることが彼女が急いでこの場に来たことを察するには十分だったが、彼女が取り出したのは1つのタブレットを受け取った蘭はそこに映し出された物を見始めると横からはぐみ達が覗き込み始める。

 

「これ・・・商店街・・・っ!!」

 

「イヴちんにミッシェルだ!!」

 

 

 

 

 

『若宮さん・・・!!』

 

『はぁ・・・はぁ・・・!!トモエさんに・・・比べたら・・・まだ・・・まだです・・・!!』

 

そこに映っていたのは商店街で暴れているダスタード達を止めている巴達の姿。

イヴが奪った刀を杖代わりにして立ち上がろうとしている所にミッシェルが表面には焼け焦げた跡をつけながら声をかける様子が映っていたが、彼女はイヴの言葉を聞いて画面の中にいる巴に絶句した。

 

巴は全身の至る所に傷を作り、そこから滲む血で制服を赤く染めながら立ち上がっていた。

 

『つぐたちの居場所は・・・アタシが守るんだよ・・・!!』

 

「巴・・・!!」

 

彼女は自身の血で濡れた顔を制服の袖で拭うと自分に言い聞かせるように声を挙げると再びダスタードの中へと突っ込んでいく。

まだ動画は続いていたが、蘭は全部見終える前に席を立つとすぐに出口へと歩き出していた。

 

「ってちょっと蘭!!どこ行くの?」

 

「商店街の巴のところ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

 

答えた行先にこの場にいる全員が驚きの表情を浮かべるが、その言葉に巴を責めていた大人たちは汚い笑みを浮かべて彼女に心無い言葉をぶつけていた。

 

「高校生ならもっと大人になって・・・!!これだから不良の子供は・・・!!」

 

 

 

 

「アンタらの言う大人になるってのが友達を見捨てる事なら・・・私は子供と言われて笑われてる方がましだよ」

 

「・・・待てよ」

 

「なに?アンタも止めるつもり?」

 

蘭の言葉に大人が固まってしまうが、彼女はそれを無視して部屋を出ようとするが、ますきがそれに待ったをかけると蘭がますきを睨みつけるが、ますきは睨んでくる彼女の肩に腕を回して笑いだした。

 

 

 

「んなこと言うかよ。アタシも一緒に行くんだよ」

 

「はぁ?アンタ・・・何言って・・・」

 

「確かにお前らみたいに商店街でなんかやってた訳じゃねぇけど、あそこはアタシの住んでる街だしな!!・・・それによ、商店街に関係ない奴まで身体張ってのを見て黙ってる訳にもいかねぇだろ?」

 

「ならはぐみも行く!!」

 

「蘭が行くなら私も行くよ!!」

 

「何かできるわけじゃないけど・・・私も!!」

 

「沙綾先輩が行くなら・・・私も・・・!!」

 

 

 

「みんな・・・行くよ・・・!!」

 

「そういう事だから親父、行ってくるぜ!!」

 

「モカちゃんも行って・・・!!」

 

「つぐ~!!先行ってるね~!!」

 

蘭の言葉を聞いてぞろぞろと少女達が部屋を飛び出していく姿を見送ったつぐみは1人で大人たちと向かい合うと彼女は自分の思っていることをそのまま言葉に出し始めた。

 

 

「今・・・巴ちゃん達が商店街のために必死になって頑張ってます・・・」

 

「~~~~!!」

 

つぐみの真っすぐな視線に巴を責めていた者たちが何を言ってるのか分からないが喚きながら暴れ始める。

流石に異常だと判断したのかつぐみ達の言葉を信用し始めていた大人がそれを止めようとするが、止めるのが少しだけ遅れてしまい、つぐみへと湯のみが飛ぶがそれは彼女の顔の横を通り過ぎると壁にぶつかって砕け散っていた。

 

普段だったら悲鳴を挙げているかもしれないが、巴の言葉に力をもらった彼女は全く動じることなく言葉を続けていく。

 

 

 

 

「・・・少なくとも子供の頃に見ていた商店街の大人の人たちはもっとすごくて・・・カッコよくて・・・街のために頑張ってて・・・そんな背中がカッコいいなって思ってて・・・そんな大人になりたいって思ってました・・・」

 

 

 

 

 

「私も・・・巴ちゃんも・・・この商店街が好きだからこの街を大切にしたい。ここでみんなと笑い合っていたいんです・・・!!今、巴ちゃんは商店街のために色々頑張ってくれてたのに・・・そんな街の人達に後ろ指をさされてた巴ちゃんがボロボロになって頑張ってるのに何も思わないんですか?」

 

つぐみの様子が周囲にはいたたましく見えて言葉が出なかった。

何も答えが返ってこないことにつぐみは内心では嫌な気持ちになるが表に出さない様にしてそのまま部屋を出ようと出口へと歩み出す。

 

しかし、そんな彼女の背を見た大人たちは先ほどのつぐみの言葉を思い出して動き出すのだった。

 

 





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祭・狂・騒・曲-13 爆発!!大号令

投稿です。

一部の読者さんが前話の誤字報告してくれたけど・・・
誤字じゃないんだよなぁ・・・!!



 

「こいつらもどっから沸いてくんだよ・・・!!巴達のとこにもいけねぇし・・・!!」

 

アリエスと戦闘を繰り広げていたフォーゼだったが、どこからともなく現われ続けるダスタードの存在に焦りが隠せずにいた。

 

焦りに加えて商店街を傷つけないようにアリエス達と戦わなければならず、アリエスを自由にして巴達を眠らされた時点で完全に手が足りなくなってしまうのが分かっているため無理にでもアリエスの攻撃を防がなければならないという状況が彼の疲労感を加速度的に増大させていき、彼の攻撃は次第に荒くなっていくとダスタードの攻撃を食らい始めていた。

 

「うわぁ!?・・・羊野郎!!後ろに隠れてばっかで汚ねぇぞ!!」

 

「・・・」

 

「また無視かよ・・・」

 

フォーゼはダスタードに隠れるアリエスを挑発するが、アリエスはまるで反応を示さないことに不信感だけが募っていく中で状況が動く。

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁ!!」

 

「美咲!?」

 

フォーゼは思わず声がした方向へと視線を向けると美咲達が対応していたダスタード達がイヴ目掛けて放った爆弾を美咲が割り込んで、キグルミごと爆発に包まれていた。

 

「ミサキさん・・・!!」

 

「こっちは大丈夫・・・!!」

 

爆発が晴れるとミッシェルの至る所に焦げ跡がその衝撃を物語っていた。

流石に中に入っている美咲もその衝撃と今までの戦闘の疲労によって若干足元がふらつく状態にも関わらずイヴに言葉を掛けていた。

 

「若宮さん・・・!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・!!トモエさんに・・・比べたら・・・まだ・・・まだです・・・!!」

 

 

 

 

 

「つぐたちの居場所は・・・アタシが守るんだよ・・・!!」

 

1番遅れてやってきた巴だったが、彼女は既に怪我していない箇所を見つけるほうが困難な状態にも関わらず、自分に言い聞かせるように声を挙げながらと再びダスタードの中へと突っ込む。

 

「っ・・・!!らぁあああ!!」

 

突き出されたダスタードの刀を避けるが、その刃先は巴を捉えて新たな傷を作るがそんなことに構うことなく彼女は刀を突きだしてきた1体を蹴り飛ばすが、周囲にいたダスタード達がそんな巴へ向けてと拳を打ち付けてくる。

 

 

 

「がぁっ!?・・・このっ・・・!!」

 

流石の巴も今の状態では避けられず拳と打ち込まれると彼女は殴ってきた腕を返して殴り返していたが、元々万全の状態ではない巴の動きはドンドン鈍っていく。

 

「トモエさん・・・。後は・・・私達が・・・!!」

 

「何言ってんだよ・・・。この街はアタシ達が育ってきた場所なんだ・・・」

 

「宇田川さん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「アタシはどうなってもいい・・・街を・・・みんなを守るんだよ・・・!!」

 

巴は自身の気持ちを叫びながらダスタードを殴り飛ばして消滅させるが、彼女はそれと同時にふらついて地面に膝を着くとそれを見たダスタードがそんな彼女に刀を突き立てようとしているのを見た3人は巴の元へと行こうとするがアリエスや他のダスタードが目の前に立ちはだかる。

 

「宇田川さん・・・!!」

 

「・・・トモエさん!!」

 

「巴!!くそっ・・・!!間に合わねぇ・・・!!」

 

妨害によって巴の元へと近寄れず、巴に刀が迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その刀は飛んできた何かとぶつかってダスタードの手から零れ落ちて巴に突き刺さることはなかった。

 

「このっ・・・!!」

 

巴はそのままダスタードへと体当りを見舞うとそのまま転倒してしまうが、ダスタードも後ろによろけたと思ったら何かに足を取られてそのまま転倒してしまった。

目の前の事が呑み込めない巴だったがダスタードが足を取られたものに気が付くとそれに視線を向けて呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソフトボール・・・?・・・まさか!?」

 

商店街でソフトボール―――

その組み合わせで思い浮かぶのはただ1人―――

 

「トモちん~!!ミッシェル~!!」

 

「はぐみ!?お前ら話合いしてたんじゃねぇのか!?」

 

「へへっ・・・みんなで手伝いに来たよ!!」

 

彼女達の想像通り、姿を現したのははぐみが笑顔で手を振っていた。

その光景にアリエスにソードを振り下ろしながらフォーゼが聞くが、その間にもダスタードがはぐみへと

迫っていた。

 

 

 

 

「逃げてはぐみ!!」

 

「待ってください・・・!!みんな・・・?」

 

寄ってくる光景に美咲は叫ぶが、はぐみの言葉にイヴから疑問の声が挙がると同時に近づいてくるバイクのエンジン音が響く。

 

「いっくぜ~!!捕まってろよロック!!」

 

「ひぃ~~~!!」

 

ますきはフォーゼのバイクを無断で走らせてダスタードへとそのまま体当りを見舞うと、何故後ろに乗せているのか分からないが泣き叫んでいるロックに構うことなく前輪に急ブレーキをかけて後輪を持ち上げるとそのまま車体を回転させて別のダスタードの顔面に後輪をめり込ませていた。

 

「ますき!!また勝手にバイク乗りやがって!!」

 

「あぁ!?聞こえねぇよ!!」

 

「ますきさん~!!なんで私まで~!!」

 

「ロックとりあえず・・・降りろ」

 

「なら最初から乗せないでください~!!」

 

 

 

 

 

 

「はぐ~!!とりあえず投げれそうなの持ってきたよ!!」

 

「まだまだ沢山あるよ!!」

 

「ひーちゃん!!さーや!!ありがと~!!モカちーいっくよ~!!」

 

「お~!!」

 

「ヒマリさんにモカさん、サアヤさん・・・」

 

 

 

 

 

 

「巴・・・!!」

 

ひまりと沙綾がはぐみが投げれそうなもの持ってくると、はぐみとモカでそれを全力でダスタードへと投げつけ始める。

そんな状況の中を蘭がダスタードの群れの中で倒れていた巴の元へと駆け寄ると、彼女の手を引いて立ち上がらせようとしていた。

 

「蘭・・・!!お前らなんで・・・?」

 

「友達を助けるのに理由なんていらないでしょ!!」

 

「でも・・・商店街は蘭達の大切な場所だろ・・・アタシと一緒にいたら・・・!!」

 

 

 

 

「そこに巴がいなかったら意味ないでしょ!!」

 

「・・・!!」

 

蘭達の行動に戸惑う巴だったが、蘭の言葉に巴は目を丸くして驚いているとそんな2人にダスタードが迫る。

 

「巴!!蘭!!」

 

 

 

「おらぁああああああ!!」

 

ひまりが声を挙げると巴は蘭を守るためにダスタードを殴り飛ばすその姿は先ほどまでふらついていたとは思えない程力強いものだった。

 

「巴・・・」

 

「ありがとな・・・。蘭の言葉を聞いてみんなを守る気持ちが5倍になった・・・!!後は任せて、ひまり達のとこまで走れ・・・」

 

「うん・・・!!」

 

 

 

 

 

「若宮さん・・・私達は・・・」

 

「ハグミさん達をお守りします・・・!!」

 

「行くぜ!!行くぜ!!行くぜ~!!」

 

巴は再びダスタードへと突っ込んでいくが、その動きは先ほどまでのダメージを全く感じさせる様子はない。

その姿に美咲とイヴもはぐみ達を守るべく再び立ち上がり、ますきはバイクでダスタードに体当りを食らわせて倒していく。

 

その時何かに気が付いたロックは後ろを指差していた。

 

「みなさん・・・!!アレ・・・!!」

 

「あれは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つぐ~!!」

 

「それに商店街のみんなも・・・!!」

 

「みんな!!遅くなってゴメン!!みなさん!!」

 

彼女達の後ろではつぐみと商店街の大人たちを引き連れて現われたその光景に彼女達はつぐみが大人たちを説得したことを確信して笑みを浮かべていた。

しかも、大人たちはそれぞれが何かしらを手に持っていたが、つぐみはそれを気にすることなく声を挙げた。

 

 

 

 

 

「あの羊みたいなのは宇宙服の人に任せて、黒い人をお願いします!!」

 

「う~・・・!!」

 

まだ全て解決した訳ではないが、その光景に感極まってしまったひまりが泣きそうになる。

その姿に幼馴染達はこの後の行動が容易に想像がつき、巴がダスタードを殴り飛ばして塵にしながら声をあげていた。

 

「これは・・・あれだな・・・!!」

 

「だね・・・」

 

「・・・ひまりちゃんらしいね!!」

 

「それじゃ~みなさん。ご一緒に~・・・」

 

ここ一番のタイミングでひまり十八番の掛け声が響く。

 

 

「えいえい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「お~~~~~~~!!」」」」」」」」

 

「とつげき~」

 

街のために立ち上がった全員の気持ちが1つになってひまりの大号令が決まるとモカの指示に従ってダスタード達に突撃すると、お玉やら鍋やらモップやら武器になりそうなものを使って複数人でダスタードを袋叩きにし始める。

 

 

 

「ははっ・・・。馬鹿ばっかり・・・!!」

 

「確かに馬鹿ばっかりだけど・・・最高っだな!!」

 

「少しずつ数が減ってます!!」

 

「如月さんの方も・・・数が減ってきてる・・・」

 

 

 

「よっしゃ・・・行こうぜ!!」

 

目の前の光景に思わず美咲は苦笑いを浮かべると、巴は笑みを浮かべて同意しながら声を挙げるとい数が減ってきたダスタードへと再び突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん・・・」

 

建物から降りてきていたゾディアーツは商店街の状況を影で確認しており、想定とはかなり違う状況になってしまった状況をどうするべきか考えを巡らせていた。

 

「あの人も一昨日から人を傷つけようとする行動を取らなくなったし・・・。操れる人も少ないし、やっぱり上手く使えてないなぁ・・・」

 

アリエスのスイッチャーも最初はゾディアーツの能力を使って操っていたが、一昨日から何故か人を直接傷つけるような行動をしなくなってしまった。

その原因は操っている人間の数だとも思ったが、数を減らしてもアリエスの行動に変化がない。

 

別の理由を考えながらゾディアーツは自身のスイッチを手に持ちながら呟いてしまう。

 

しかし、いくら考えても答えは出てこないため考えるのを辞めて連れてきてからまだ意識が戻っていない少女へと視線を向ける。

 

「人質も用意したし・・・あの人のために・・・やらなくちゃ・・・まずは・・・。うん・・・いけるかな・・・」

 

目的のためにまずはフォーゼに狙いをつけた。

ゾディアーツの目の前ではアリエスへの攻撃が直撃して後ろによろめいたのを見て少しだけ油断してしまったフォーゼが映った。

 

 

「今・・・!!」

 

今が好機と察したゾディアーツは人質として連れてきた少女を抱えて、フォーゼへと力任せに突進していく。

 

その姿は正しく荒れ狂う猛牛のそれだった。

 





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祭・狂・騒・曲-14 誰が絶望への引き金をひくのか

投稿です。
商店街の皆さん前話で勇ましく動き始めましたが・・・
ここで出番終了です・・・!!


 

「ったく!!商店街のみんなも無茶しやがって・・・!!」

 

「それ!!お前にだけは言われたくないな!!」

 

「巴が一番言えることじゃねぇだろ!!」

 

最初は3人だけで始まった戦いも巴が加わっても数の暴力に押されていたが、そこにはぐみ達が加わり、最終的には商店街の皆までもが自身の街を守るために立ち上がった。

 

その姿にフォーゼからは言葉が漏れるとそれに答えるように巴がダスタードを蹴散らしながら寄ってきていた。

 

「あっちはかたが付きそうだからな・・・!!」

 

「あの羊は相手を眠らせちまうから気をつけろよ!!」

 

「分かってるよ!!こっちは任せとけ!!」

 

巴の言葉にフォーゼはダスタードを無視してアリエスへと詰めていく。

その背中を追いかけようとしたダスタードは巴によって殴り飛ばされて足が止められ、フォーゼは完全にアリエスだけに集中し始めた。

 

「こいつで行ってみるか!!」

 

―――クロー ON―――

 

ダスタードへと意識を割かなくて良くなったフォーゼにはスイッチを使用する余裕が生まれた。

それを活かすためにアリエスへと詰める最中にバリズンソードへとスイッチを装填して起動するとそのまま振り下ろす。

 

「・・・っ!!」

 

アリエスは今までの攻撃と同じように横にずれて躱そうとするが、ソードの先から3本に別れた爪の1つがアリエスに直撃して後ずさる。

 

そのまま畳み掛けるようにフォーゼはアリエスへと詰めようとすると―――

 

「屈め!!」

 

「・・・巴っ!!」

 

 

 

「しゃぁ!!」

 

突如として巴の声が響くとフォーゼは言われるままに素早く屈むとフォーゼの頭上にダスタードの刃が通り過ぎると、屈んだフォーゼを足場にして巴がそのダスタードの顔面に飛び蹴りを叩きこむ。

 

「わりぃ!!」

 

「巴!!助かったぜ!!」

 

――――――ホイールON――――

 

巴に礼を言いながらフォーゼはホイールを起動して全速力でアリエスへと突っ込むとその勢いに任せてソードを突き刺すが、その突きはアリエスの杖に阻まれてしまい両者の動きが一瞬だけ止まるがフォーゼはそのまま前へと突き進むのを止めようとしない。

 

 

「いっけぇえええええええええええ!!」

 

「・・・!!」

 

 

 

「やっべ・・・!!」

 

「気にすんな!!多少だったら後でみんなで直す!!こっちはすぐに終わるから決めろ!!」

 

「・・・行くぜ!!」

 

ホイールの回転を全開まで上げて勢いをつけてからの急ブレーキでそのままアリエスを押し出しすとアリエスはそのまま近くの壁に叩きつけられる。

しかし、その衝撃で壁の一部が崩れてしまうもフォーゼは先にアリエスを倒すことが優先してソードをブーストモードへと変形させてからドライバーからコズミックスイッチを抜いた。

 

「抜いて・・・挿す!!」

 

―――リミットブレイク―――

 

ソードからの言葉と共にアリエスの背後には白いワームホールを生成すると、フォーゼはソードを構えてアリエス目掛けて飛び出すが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぐはっ!!」」

 

しかし、アリエスへ向かうフォーゼに何かがぶつかり、今度はフォーゼが巴も巻き込んで建物の壁へと叩きつけられる。

少女達はその事態に驚いてフォーゼを襲った正体へと視線を向けた。

 

 

 

 

「牛・・・!!ってことは牡牛座ってことだよね・・・?」

 

「やっぱり・・・さっきのは言い間違いじゃなかったんだ・・・!!でも・・・なんで・・・?」

 

その正体はタウラス・ゾディアーツ。

牛のような角を見て沙綾はすぐにその正体を言い当てるが、つぐみは羊と牛を見間違えたことに疑問を持っていると街に異変が起きる。

 

「うっ・・・眠気が・・・」

 

「zzz・・・」

 

 

 

 

 

「お父さん!!沙綾ちゃんのお父さんも・・・!!」

 

「力が入らない・・・」

 

「若宮さん・・・動ける?」

 

「少し力が入りにくいですが・・・動けます・・・!!」

 

次々と商店街の人々がその場に倒れて眠っていき、次第にその場にいた蘭達も身体から力が抜けていく中でイヴと美咲は皆より程度が軽かったことが今はそんなことを気にしている余裕は無かった。

 

 

 

1体はダメージを負っているとはいえ、強敵が2体も目の前にいる状況―――

緊張感が増すが、ここで2人はようやくタウラスが少女を抱えていることに気が付くが、その少女の正体に2人は目を丸くして驚いていた。

 

「何で・・・!?」

 

「確かライブがあったはずでしょ・・・!?」

 

 

 

 

 

「ってぇ・・・大丈夫か巴・・・」

 

「なんとかな・・・っ!!」

 

2人が驚いている最中にフォーゼと巴は急に現れたタウラスへと視線を向けるが、すぐにタウラスが抱えている少女の存在に気が付いた。

 

その少女は特徴的な衣装に身を包んでおり、誰もがよく知っていた―――

 

「あこ!!」

 

タウラスが抱えていた少女の正体は巴の妹のあこ。

妹が捕まっている光景に巴は、気持ちが抑え切れずにタウラスへと突っ込んでしまう。

しかし、相手が悪かった。

 

「がはっ!!」

 

「巴!!」

 

「宇田川さん!!」

 

12使徒の中でも、純粋な力ではトップのタウラスが巴を捕まえると巴を地面へと叩きつけ、余りの痛みにタウラスへの怒りを抱いたまま意識を薄れていく。

そんな巴はタウラスが出したダスタード達によって抑え込まれたのを見たフォーゼもタウラスの元へと向かおうとする。

 

「動かないでください・・・」

 

 

 

 

 

 

「くそっ・・・!!このままじゃ巴が操られちまう・・・!!」

 

宇田川姉妹にダスタードの刀が突き付けれ、2人を完全に人質に取られてしまい動けなくなってしまった。

しかも、タウラスは人間を操る能力があることを覚えているフォーゼは最悪に事態を呟いてしまうがその言葉にタウラスが応えた。

 

 

 

 

 

 

 

「この人たちを出すのに力を使いすぎてしまったのもあるけど・・・実は人を操るのが上手くできなくて・・・」

 

「は?」

 

「自分から・・・弱みを言うなんて~・・・嘘・・・?」

 

「モカの・・・言う通りだよ・・・」

 

「でも・・・なんで巴ちゃんや商店街を・・・狙って・・・?」

 

「実験かな?」

 

フォーゼの言葉に答えてしまったタウラスの言葉に思わず、間抜けな声が出てしまうフォーゼ。

しかし、相手の言葉が信用できないモカ達はそれが嘘だと警戒しているが、そんなタウラスへと思わずつぐみが質問すると何事もないかのようにタウラスが答えると、フォーゼへと視線を向けてそのまま話を続けていく。

 

「そうだよ?この羊も今は私が操ってたんだけど・・・。ちゃんと操るのは1人が「あこ!!」・・・あら、来たんですね~」

 

 

 

 

「なんでみんな寝てるのかしら・・・?」

 

「友希那さん・・・今はあこちゃんが・・・」

 

「湊さん・・・?それに皆さんも・・・」

 

「ライブ直後に眠らされたけど、すぐに起きて急いできたんだよ!!」

 

「如月さん!!羊の正体ですが「ダメですよ?」・・・!!」

 

タウラスの話を遮るようにこの場に駆けつけたのはあこが所属しているRoseliaのメンバー達だった。

しかも、アリエスの正体を見た様で紗夜が正体を言おうとしたがそれはタウラスによって遮られてしまった。

 

「誰なんだよ・・・」

 

「ますきちゃんは気になるのね?・・・だったら姿見せてあげないと・・・」

 

 

 

 

タウラスの言葉にアリエスはスイッチを切るとそこにいた人物が信じられず、全員が驚きの表情を浮かべて固まってしまった。

 

「うそ・・・」

 

「なんで・・・?」

 

「なんでや・・・」

 

 

 

 

 

 

「まりな・・・さん・・・?」

 

「・・・」

 

「あのパンダみたいな顔・・・さっき商店街の人と一緒・・・!!」

 

「本当に操られてんのか・・・!!」

 

 

 

「操ってるんだけど、一昨日から言う事聞かない時があるんですよ~?」

 

「・・・っ!!」

 

あこと人質にとり、まりなを操って、あまつさえそれを何気なく実験を言いのけるタウラスはまりなを操って再びアリエスへと変身させると今度はRoseliaへと杖を向けてさせていた。

 

 

 

 

「うっ・・・」

 

「なんですか・・・これは・・・」

 

「力が・・・抜け・・・zzz」

 

「立て・・・ない・・・zzz」

 

 

 

「なんで商店街でこんなことを!!」

 

アリエスによって友希那と燐子が眠ってしまい、意識が残っているリサと紗夜もその場にへたり込んでいく光景にフォーゼはタウラスへと声を挙げると、何事もないかのように語りだす。

 

「あの人が言ってたけど・・・花咲川とかのこの辺りは”これ”と”君”の力―――宇宙の力が溜まりやすい特別な場所なんだって・・・」

 

「あの人・・・ですか?」

 

「何・・・言ってんだ・・・?」

 

全員がタウラスが何を言っているのか理解することが出来ない様子だったが、話を聞いていたつぐみは以前に弦太朗から聞いた話を思い出した。

 

「そういえば如月くんは言ってた・・・。変身に使ってる力は強い気持ちに応えるって・・・」

 

「ツグミさん。どういう事ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その力っていうのに影響されて・・・3人はそれが身体に出てるってことだと思う・・・」

 

「まぁ・・・こころも人間離れしてるから何となくわかった・・・」

 

つぐみが結論を出すとタウラスは驚いた様子を見せるとタウラスが自身が使うのとは別のスイッチを取り出してアリエスへと持たせる。

スイッチを受け取ったアリエスはとのまま巴へと近づくと能力を使ってあこを目覚めさせる。

 

「トモちんに・・・何をするつもり?」

 

「まさか・・・!!止めろ!!」

 

モカの言葉を聞いてフォーゼは最悪の事態が頭を過り、声を挙げて止めさせようとするがその言葉に動きを止めるようなタウラス達ではない。

むしろ好奇心を持った子供のような態度を見せながらタウラスは悪魔的な言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「既に力に影響された―――そんな人間があれを使ったらどうなるのかしら?」

 

「止めろーーーーー!!」

 

「んっ・・・?げんたろー?おねーちゃん・・・?」

 

意識を徐々に取り戻していたあこがにフォーゼは叫びとダスタードに抑えられている巴の姿が写る。

そして次の瞬間――――

 

 

 

 

意識を失っていた巴に無理やりスイッチを起動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁあああああああああああ!!」

 

「おねーちゃん・・・?おねーちゃん・・・!!」

 

「巴!!」

 

起動と同時に巴から絶叫が響くと彼女を黒い靄が包み込むと周囲には風が吹き荒れていき、彼女を抑えていたダスタード達が吹き飛ばされて塵となる。

 

吹き荒れる風の中であことフォーゼが巴に声をかけても巴からの答えが返ってくることはない。

そして、次第にそれ風と靄が収まるがそこに巴の姿は無かった。

 

「トモちんが・・・変身した・・・」

 

「すごい・・・!!」

 

「マジかよ・・・」

 

巴が変身したゾディアーツを見たタウラスは嬉々とした声を挙げる、一方でフォーゼは巴が変身したその姿に驚きを隠せない様子で変身したゾディアーツの名前を呟いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴァルゴ・・・!!」

 

「・・・」

 

「あこ!!」

 

「邪魔をしないで・・・!!」

 

 

「まりなさん・・・!!どいてください・・・!!」

 

「マリナさん・・・参ります・・・!!」

 

巴は無理やり起動させられたスイッチによってヴァルゴ・ゾディアーツへと変身してしまった。

驚きを隠せない一同だったが、ここでタウラスがあこをヴァルゴへ向けて投げ捨てると、タウラスの杖からヴァルゴの頭に向かって黄色い輪が飛んで弾けた。

 

それを見たフォーゼは3体のゾディアーツの中にいるあこを救おうと飛び出すがタウラスが立ち塞がり、

イヴと美咲も動くがアリエスによって妨害されてしまい、他にあこのために動ける者はいない。

 

そんな危機的な状況でヴァルゴはその腕をあこに向かって伸ばし始めていた。

 





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巴(TOMOE)→江本(EMOTO)→乙女(OTOME)
つまり・・・そういうことさ・・・


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祭・狂・騒・曲-15 逆天

ゆゆうじょうパパワー!!

巴ヴァルゴさんで驚かれてる方もいらっしゃったようですが
これは初期案からそのままなんです・・・(これがやりたかった・・・
ってことで投稿です。


 

「宇田川さん・・・!!やっぱり動けない・・・」

 

「あこ・・・逃げて・・・!!」

 

 

 

「・・・」

 

「ひっ・・・!!」

 

アリエスによって動けなくなった紗夜とリサはあこへと逃げるように声を挙げることしかできなかったが、

その言葉にあこは応えない。

 

ピスケスやカプリコーンの時はロックやRoseliaの皆が横にいて、そしてどちらの時もフォーゼと巴が彼女達の前に立っていてくれた。

 

しかし、今は違う。

 

 

あこから離れたところでフォーゼや戦える美咲達はタウラスとアリエスとの戦闘を行っており、Roseliaの皆もアリエスによって動けず、いつもは自分を助けてくれていた巴が自分へと腕を伸ばしている。

 

 

誰も助けに来ない状況を前に尻もちをついた状態で足が動かなっているあこ。

そんな彼女の首ヴァルゴが掴んだ。

 

「おっ・・・ちゃ・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

「巴!!あんた・・・妹のあこになにしてんの・・・!!」

 

「ら・・・ん・・・ちゃ・・・。みん・・・な・・・」

 

ヴァルゴは腕に力をいれてはいないが、恐怖によって次第に息が苦しくなるあこは巴の事を呼ぼうとするが上手く言葉に出せなかった。

そんな状況で蘭がヴァルゴになった巴に向けて叫ぶとあこは目線だけを蘭達の方へと向ける。

 

そこにはアリエスによって動けなくなっていたはず、巴の幼馴染達が互いを支え合うようにして立ち上がっていた。

 

「巴ちゃん・・・!!」

 

「巴!!目を覚まして・・・!!」

 

「トモちんらしくないよ~・・・!!」

 

「しっかりしなよ・・・!!」

 

 

「・・・」

 

幼馴染達の声を聞いてもまだあこの首から腕は離れないがそれでも幼馴染達は声を挙げ続けるとヴァルゴへ向けて歩き出していた。

 

「トモちん・・・今のトモちんはトモちんらしくないよ~・・・!!」

 

「そうだよ!!私が間違えた時は全力で止めてくれた!!それなのに・・・巴がそうなっちゃうなんて・・・私!!やだよ!!」

 

「ひまりちゃんの言う通りだよ!!それに巴ちゃん言ってたよね!!居場所を守るって!!」

 

「それなのに!!それを言ったアンタがそんなんでどうするの!!」

 

 

 

「・・・」

 

幼馴染達の言葉にヴァルゴは完全に動きを止めるが、あこの事は離していない。

それを見たタウラスはフォーゼとの戦闘中にもかかわらずヴァルゴへ向けて声を挙げていた。

 

「なにをしてるの?早く妹を・・・!!」

 

「・・・」

 

「動かない・・・!!なんで・・・?操ってるはずなのに・・・」

 

「どうなっても巴がそんなことする訳ねぇだろ!!」

 

「何をいって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「巴・・・!!今が踏ん張り時だろ!!」

 

「そうだよトモちん・・・!!マスキンの言う通りだよ!!」

 

「巴!!私の知ってる巴はどうなってもあこに・・・妹にそんなことする人じゃないでしょ・・・!!」

 

「今こそブシドーです!!」

 

「若宮さんの言ってる意味が分からないけど・・・!!今が正念場だよ・・・!!」

 

フォーゼとタウラスの戦いながらのわずかな問答が繰り広げられるが、その意味が分からないタウラス。

そんなタウラスの疑問に答えるかのように商店街の仲間たちがヴァルゴへと声をあげたことにますます

理解が追い付かないがそれだけで終わらない。

 

 

 

「それにあこちゃんがいつも言ってました・・・!!巴先輩はかっこよくて自慢のお姉ちゃんだって・・・!!」

 

「えぇ・・・練習中も「お姉ちゃんはカッコいい」ってよく言ってました」

 

「アタシもあこから「リサ姉」って呼ばれるけど・・・!!あこが1番自慢してる本当のお姉ちゃんがそんなのでカッコが付かないでしょ・・・!!」

 

商店街の仲間たちに続いて、あこの友達であるロックや、あこのバンドのメンバー達が続くと、その言葉にヴァルゴはタウラスの命令に反して込めていた力が若干弱まるが、それでもあこを離さない。

 

 

 

「そうだよ!!私達の知ってる巴ちゃんは・・・!!商店街やみんなのために一生懸命で・・・!!」」

 

「困ってる時にはいつも助けてくれて・・・!!」

 

「でも、おばけとか怖いのが苦手で~」

 

「それで負けず嫌いで熱いのが巴でしょ・・・!!」

 

「・・・」

 

そうしているうちに支え合って歩いていた彼女達はヴァルゴの元へと辿り着くが、未だにヴァルゴは動く様子はない。

そんな様子を前に蘭はヴァルゴを睨みながら言い放つ。

 

 

「あたし達だけじゃなくて、あこや他のみんなに心配してるんだから・・・」

 

蘭が―――いや、蘭だけではなくモカが、ひまりが、つぐみまでもが蘭の言葉を聞いて拳を握っていた。

 

「だから早く戻ってきなよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「巴!!(ちゃん!!)(トモちん)・・・!!」」」」

 

彼女達は巴の名前を叫びながらヴァルゴを殴りつける。

いや、殴るというには余りにも弱弱しく、傍から見たらただ拳を当てただけにしか見えない。

でもこの行動によって状況が動き出した。

 

「・・・」

 

「かはっ・・・!!はぁ・・・!!はぁ・・・!!」

 

 

 

「何が・・・!?」

 

「やったな・・・!!」

 

突如としてヴァルゴがあこから手を離す。

解放されたあこは恐怖で未だに足が動かないが、それでも乱れていた息を必死に整えていた。

 

その状況に驚きを隠せなかったタウラスを他所にフォーゼは状況が少しだけ良くなったことに安堵していた。

しかし、その一瞬だけ気が抜けてしまった彼の事をタウラスは見逃さなかった。

 

「なら・・・!!」

 

「なっ!?こいつ・・・!!うわぁぁあ!!」

 

タウラスが杖を振るう。

それと同時に複数の光弾が蘭達目掛けて飛んでいく。

しかし、フォーゼが間に入って身体で受け止めるが大量に直撃したダメージによって変身が解けてしまい、最後の1つは止められず蘭達へと飛んでいき大きな爆発を起こす。

 

 

 

 

「あこ・・・!!みんな・・・!!」

 

「嘘・・・だろ・・・?」

 

「そんな・・・嘘だよね・・・?らんらん達が・・・」

 

「あこちゃん・・・!!そんな・・・!!」

 

ヴァルゴに変身していた巴はともかく生身のあこや蘭達があの爆発で無事なはずがない。

未だに炎が止まらず状況が分からないが最悪の考えだけが少女達の頭を過るが、次第に炎が小さくなっていくのと同時に彼女達の目には不思議な光景が映る。

 

「なんですか・・・あれは・・・白い翼・・・?」

 

紗夜が呟いた通り、炎の中からは白い翼の様なものが現れ、それがヴァルゴの身体を覆っていた。

しかし、パッと見では蘭達の姿が見えない。

 

蘭達は消し飛んでしまったのか?と最悪の考えが浮かんだが、その考えを払う様にヴァルゴはその翼を広げると、翼の内側からは蘭達5人が無傷の姿で現れる。

 

「あっ・・・!!あこ・・・!!それにみんなも・・・!!」

 

「でも、どうなってんだよ・・・!!」

 

「沙綾先輩、ますきさん・・・!!みんな大丈夫そうですよ・・・!!」

 

皆が無事であることを確認したが、何がどうなっているのか分からない。

そんな中であこは不安そうにヴァルゴへと視線を向けると再び彼女へとヴァルゴの腕が伸びる。

 

「・・・っ!!」

 

先ほどの恐怖であこの身体は再び震えるが、今回はヴァルゴの手があこの首―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ・・・?」

 

ではなく、あこの頭の上に置かれる。

いまいち状況が分からないあこは思わず声が漏れてしまうがそのまま頭を撫でられた。

その手の感触は以前と違うがこの感覚には覚えがあったあこは再び言葉が漏れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう!!アタシだ・・・!!」

 

 

 

「おねーーーちゃぁぁぁん!!」

 

「うわっ!?あこ、悪かったな・・・」

 

ヴァルゴは先ほどまでの無機質な対応と違い、完全に普段の巴そのものになっていたことにあこは思わずヴァルゴに飛びついた。

しかし、今のヴァルゴの状態を不安に思ったのは以前にゾディアーツになったひまりだった。

 

「巴・・・?本当に大丈夫なの・・・?なんともないの・・・?」

 

「あぁ、さっきまではなんか自分で身体を動かせなかったけど・・・今はもう大丈夫だ!!」

 

「でも・・・」

 

「蘭も心配すんなって・・・!!それに身体を動かせなかったけど、状況は大体分かってるからな!!」

 

「良かった・・・巴ちゃん・・・!!」

 

「も~・・・」

 

「つぐもモカも悪かったな・・・」

 

完全に解決したような雰囲気を出始めた幼馴染達だったが、そこに余計なおせっかいが入る。

 

「このっ・・・!!」

 

「邪魔すんな・・・!!」

 

「なっ・・・!?」

 

 

 

 

 

「隙アリ・・・!!」

 

「ぐっ・・・!!杖が・・・!!」

 

「それでは・・・三十六計逃げるに如かず・・・!!」

 

 

タウラスが杖を振るって複数の光弾をヴァルゴへ向けて放つが、ヴァルゴも自身へ向けて放たれた光弾へと自身も重力弾を生成して全て撃ち落として見せた。

この光景に思わずタウラスも驚愕してしまったが、その隙を見てアリエスと戦闘をしていたイヴがタウラスの杖を叩き落すと杖を拾い上げて走り出すとタウラスはそんなイヴを追いかけ始めていた。

 

「みんな、もう少しだけ歩け・・・そうにないな・・・。よしっ!!だったら・・・!!」

 

ヴァルゴは限界そうな皆の姿を見るとそのまま杖を持ち上げる。

すると目の前には黒い穴のような何かが浮かび上がるが蘭達には見覚えがない。

しかしあこは色は違えどこの光景に見覚えがあった

 

「これってげんたろーが前に出してたやつだ・・・!!」

 

「よく分かんないけど・・・」

 

ヴァルゴはそのままあこを抱えて穴の中へと入っていき、蘭達もそれに続いて恐る恐る入っていく。

 

「えっ?なんで?」

 

「リサさんやっほー・・・」

 

「モカ!?それにみんなも・・・!?どうなってるの・・・?」

 

 

 

「ワープ・・・?」

 

「つぐ~映画じゃないんだから・・・ってうそぉ・・・」

 

穴を抜けた先は自分たちの後ろにいたはずのリサ達が目の前に現れる。

驚きを隠せない彼女達だったがそんな中でヴァルゴはスイッチを取り出して押すと、ヴァルゴの姿は巴の元へと戻っていく。

 

「リサさん、あこ達の事頼みます・・・」

 

「えっ・・・?うん・・・」

 

巴は抱えたあこをリサへと押し付ける。

押し付けられたリサはあこを押し付けられたことよりもスイッチを使ってもいつも通りの彼女に驚いていたが、そんなことを気にする様子もなく巴は歩き出すとその背中を見て皆が声をかけてくる。

 

 

「巴、ちゃんと戻ってきなよ・・・」

 

「そうだよ~。トモちんの事待ってるからね~!!」

 

「帰ってきたら言いたいこともあるんだから!!」

 

「巴ちゃん・・・ファイトだよ!!」

 

「おねーちゃん頑張ってね!!」

 

 

 

 

「任せろっ!!」

 

巴はそのままタウラス達がいる戦場へと力強く歩き出し、そのまま声を張り上げた。

 

「如月、いつまで寝てんだよ」

 

「ってぇ・・・。って巴。お前・・・大丈夫なのか?」

 

「それ蘭達にも言われたけどアタシはもうなんとも無いからな!!だから・・・いくぞ・・・!!」

 

「・・・しゃあ!!」

 

巴の言葉を聞いて変身が解けたが再び立ち上がった彼の姿を見て、今度は巴が声を挙げた。

 

 

「イヴ!!美咲!!後は任せとけ・・・!!」

 

「宇田川さん・・・!!よろしく・・・!!」

 

「お任せします!!ランさん達はお任せください・・・!!」

 

巴の声を聞いたイヴは抱えていた杖をその場に捨て、美咲もアリエスを突き飛ばすと蘭達の集まっている場所まで駆け出していた。

 

タウラスも自身の杖を拾い直すとアリエスと共に弦太朗達の前に立ち塞がったが、そんなタウラスに巴が吼える。

 

 

 

「この牛・・・!!アタシだけじゃ無くて、蘭や商店街のみんな、それにあこやまりなさんまで・・・お前だけはぜってぇに許さねぇ・・・!!」

 

「牛野郎・・・!!まりなさんは返してもらうぜ・・・!!」

 

「負け戦なのに・・・無駄なことを・・・」

 

弦太朗も変身するためにドライバーのスイッチを入れるが、タウラスが完全に2人を見下したように呟く。

しかし、それに反論するようにカウントが響く中で巴が吼える。

 

 

「お前知らないのか?」

 

3―――――――

 

「勝負事ってのはな・・・!!」

 

巴は呟きながらスイッチを握り直し―――

 

2―――――――

 

「ノリのいい方が勝つんだよ・・・!!」

 

スイッチを構えて吼える。

 

1―――――――

  

 

ドライバーのカウントダウンが終わる。

そして弦太朗がいつもの言葉を言うのを知っている巴はそのノリに乗る様に声を合わせて叫んでいた。

 

「「変身!!」」

 

弦太朗がドライバーのレバーを押し込んで手を宙に伸ばしているその横で巴は相手を見据えながら、今度は自分の意思でスイッチを押し込む。

 

弦太朗の白と巴の黒。

色の違う煙が互いを包むとその中で2人は姿を変えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「しゃああ!!」

 

「何ともない・・・いける・・・!!」

 

そして弦太朗が宙に伸ばした腕を振り、自身と巴を包んでいた物を振り払う。

振り払ったその中から本来並び立つはずのないフォーゼとヴァルゴが並び立って現れた。

 

 





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祭・狂・騒・曲-16 SWITCH ON NOW

投稿です。
そして唐突にAfterglow篇最終話です・・・!!
巴が変身するための章・・・


 

フォーゼとヴァルゴが並び、相手を睨んでいた。

しかし、その中でヴァルゴが相手を睨みながら後ろにいた少女へと声を挙げていた。

 

「つぐ!!」

 

「巴ちゃん!?どうしたの?」

 

 

 

 

 

「なんかいい作戦ないか?」

 

「えっ・・・?えっと・・・!!」

 

いきなり声をかけられたつぐみは最初は戸惑うが、巴の期待に応えるべく頭を必死に回していた。

今回の事件で起こった戦闘を思い出してた彼女にある案が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも!!まりなさんは無視して!!牛の方を狙って!!」

 

「ちょっとつぐ!?それでいいの~!?」

 

「ひまりちゃん!!まりなさんは前みたいな攻撃しないから大丈夫!!」

 

「つぐみ?どういうこと?アタシには分かんないんだけど・・・」

 

つぐみが出した案―――

アリエスを無視してタウラス1体を集中して攻撃するという案に思わずひまりから声が挙がるがつぐみは自身をもって答えるが、それを聞いていたリサからも思わず疑問が零れると納得させるように説明していた。

 

 

「だって、まりなさんが前に沙綾ちゃん達を攻撃した時みたいにすればいいのに、今回は眠らせるか杖で叩いてくるだけで何もしてこないですよね?」

 

「確かにつぐみの言う通り、お父さんとか街の人を眠らせただけで後は守ってるだけだもんね・・・」

 

「それにさっき「人をうまく操れない」って言ってたのが本当だとしたら・・・巴ちゃんの事もだけど、まりなさんにも上手くできてないんだと思います!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな・・・!!」

 

「分かった!!」

 

「ふふっ・・・」

 

つぐみからの作戦をもらったフォーゼ達は気合いを入れるがその光景をタウラスは鼻で笑う。

しかしタウラスのその態度を見てヴァルゴも鼻で笑い返していた。

 

「はっ・・・!!牛、何がおかしいんだよ」

 

「あれだけボロボロにされてたのに、よくそんな虚勢を・・・」

 

「はっ・・・何言ってんだよ・・・」

 

「虚勢かどうか・・・」

 

ヴァルゴはその言葉と同時に自身の翼を広げる。

その光景にタウラスは先ほど自身の攻撃を撃ち落とした重力弾による攻撃に備え、フォーゼもその攻撃で出来た隙にタウラス達に詰め寄ろうと身構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・試してみればいいだろ!!」

 

「巴!?」

 

「なっ!?」

 

しかし、全員の予想に反してヴァルゴは地面を蹴り、地面を滑るように飛びながらタウラスへと肉薄しながら杖を強く握りこんでいた。

 

「おらぁ!!」

 

「がぁ!?・・・このっ!!」

 

ヴァルゴはその勢いのままタウラスの顔面を杖ではなく拳で殴りつけて、タウラスを後ろへと吹き飛ばしていたが、タウラスは吹き飛ばされながらも光弾をヴァルゴに向けて放っていた。

 

「そんなもんに当たるかよ・・・!!ってやばっ!?」

 

 

 

 

 

 

「宇田川さん!?・・・身体で止めるしかない・・・!!」

 

――――――――シールドON――

 

「ぐぅううううう!!」

 

「如月さん!?」

 

「だぁああ!!」

 

ヴァルゴは翼を広げて空へと飛んで光弾を全て回避する。

しかし、その光弾の軌道上にはアリエスによって避けるほどの余裕がない蘭達がいた。

それを見た美咲は自身が身体で攻撃を受け止める覚悟を決めるがフォーゼがその間に割り込むとシールドで光弾を全て受け止めていた。

 

「おいっ!!巴!?いきなり避けんなよ!!」

 

「わりぃ!!わりぃ!!」

 

「なら・・・こっちもいくぜ・・・!!」

 

平謝りをするヴァルゴを他所にフォーゼはドライバーを叩いていた。

 

――ロケットON―――――――――

 

「ライダー・・・!!」

 

起動と共に右手に現れたロケットを構えて声を挙げるが、タウラスはそんな隙だらけのフォーゼの行動がヴァルゴが攻撃をするために囮だと思い込み上空のヴァルゴへと意識を向けていたが、それは大きな間違いだった。

 

「ロケットパーンチ!!」

 

「がっぁああ!!」

 

その言葉と共にロケットに火が入ると凄まじい速度でタウラスへと突っ込むと、タウラスを押し倒してそのまま地面を抉っていく。

しかし、タウラスも視界が塞がっているがなんとか反撃をしようと自身の杖を強く握りしめていた。

 

「このっ!!」

 

「よっと!!」

 

タウラスはフォーゼへと杖を振るうが、フォーゼはそのままタウラスから離れると杖は虚しく宙を切る。

杖を振ったタウラスはフォーゼが目の前からいなくなった事によって視界が開けたがそこにヴァルゴが大量の弾を展開して待ち構えていた。

 

「これでも・・・食らえ!!」

 

その言葉と共にヴァルゴはタウラス目掛けて弾を発射する。

いくつかの弾はタウラスに直撃していたが、殆どはタウラスから外れて周囲の地面を抉って広い範囲に土煙を広げてしまっていた。

 

「よっと・・・!!」

 

――――――――カメラON――

 

土煙を前にしてもフォーゼは冷静にカメラを起動して土煙の中のタウラスを探すが、見つけることが出来ない。

しかし、カメラは不自然な土煙の揺らぎを捉えていた。

 

 

 

 

 

「来いっ!!」

 

――――――ガトリングON――――

 

フォーゼの勘がその正体がタウラスだと告げ、その間に従ってフォーゼはタウラスを迎え撃つためにガトリングを起動して待っていると、フォーゼの声が聞こえたタウラスが土煙の中から飛び出してくる。

 

「なっ!?」

 

「食らえ!!」

 

土煙から飛び出したはいいが、出た先でガトリングを構えて待ち構えていたフォーゼの姿に思わずタウラスは速度を落としてしまったが、フォーゼはそんなタウラス目掛けてガトリングを発射すると、凄まじい精度でタウラスに全弾命中させていくがガトリングの攻撃もタウラスの速度を落とすだけで足を完全に止めるには至らない。

 

じりじりと迫るタウラスにフォーゼはガトリングを止める。

ガトリングの攻撃が止んだタウラスは再び地上のフォーゼに迫ろうとしていたが、これはフォーゼが良く言っている1対1(タイマン)ではない。

 

まだ上空に残っていたタウラスの敵(ヴァルゴ)は―――

 

「ソイっ!!」

 

 

 

 

 

 

「くっ!!」

 

タウラス目掛けて自身の杖を投げつけるが、タウラスもヴァルゴの声でその存在に気が付いたのか自身の杖でヴァルゴの杖を弾くが―――

 

 

 

 

 

 

杖を弾いたその直後、タウラスの目の前にはヴァルゴが迫っていた。

 

「ソイヤっ!!」

 

そのヴァルゴの言葉と共にタウラスは再び殴られて吹き飛ばされると、たまらずタウラスはアリエスをフォーゼ達へと突撃させるとヴァルゴは一瞬動きを止めてしまった。

 

「まりなさんっ・・・!!」

 

「巴!!」

 

「おらぁ!!」

 

 

 

 

 

突如として彼女の動きを鈍らせてしまうが、フォーゼの言葉に応えるようにアリエスに前蹴りを見舞うとタウラスの横まで飛ばされる。

それを見たタウラスが憤慨して声を荒げていた。

 

「さっきから・・・!!殴ったり蹴ったりばっかりして・・・!!そんな乙女がいるか!?」

 

 

「・・・知るかよ!!」

 

タウラスの言葉にヴァルゴは言葉を返して再びタウラスへと突っ込んでいき、拳を振り上げる。

しかし、それはタウラスがヴァルゴを呼び寄せるために考えてた作戦だった。

 

 

 

 

 

「ここだっ!!」

 

「なっ!?」

 

突如としてタウラスがヴァルゴの振り上げた腕を押さえつける。

それに驚いたのも束の間、タウラスがアリエスに指示を飛ばしていた。

 

 

 

「アリエス!!眠らせろ!!」

 

「・・・」

 

アリエスはタウラスの指示のままにヴァルゴに杖を当てると杖が光り出す。

―――が、ここでタウラスの作戦が根底かひっくり返す出来事が起こる。

 

 

 

 

「・・・なっ!?杖を!?」

 

「如月!!」

 

「牛は任せろ!!」

 

ヴァルゴはアリエスの杖を握りしめて声を挙げると、それに応えるためにフォーゼはタウラスをヴァルゴから引き剥がしてタウラスへと拳を振るう。

 

フォーゼの攻撃に少しずつダメージを負っていくタウラスの前では、アリエスがヴァルゴを眠らせようとしているが、一向に眠るような気配はない。

 

「体力を奪って眠らせるはずなのに・・・なんで眠らない・・・!?」

 

「・・・平気なんだ?」

 

 

 

 

むしろ、気合いを入れるかのように声を張り上げながら杖を握る手に力を込めていく。

 

アリエスの攻撃を受けても何ともなっていないヴァルゴにフォーゼは疑問に思うが、タウラスを攻撃する手を緩めることない。

 

 

 

 

 

 

 

「今のアタシはな・・・商店街のみんなの気持ちも背負ってんだよ・・・!!」

 

ヴァルゴはそう言いながら杖に込める力を強めていく。

すると、アリエスの杖から徐々に鈍い音が広がっていき、それは戦いを見ていた少女達の耳にも届いていた。

 

「ロック・・・この音なんだ・・・?」

 

「何の音やろ・・・?」

 

「マスキン!!ろっか・・・!!アレ見て!!杖が・・・」

 

 

 

 

 

 

「杖にヒビが入ってんぞ・・・もしかしてあの音か・・・!?」

 

「あたしには見えないんだけど・・・」

 

少女達はヴァルゴが握っていたアリエスの杖に視線を向けると、1人()を除いた全員杖にヒビが入っているのを見るが、そのヒビは次第に広がっていき――――

 

「それがてめぇみたいな奴がどうこう出来るもんじゃねぇんだよ!!」

 

 

その叫びとヴァルゴは渾身の力で杖を握りしめた結果、”バキッ”という音が響き、アリエスの杖は光を失って2つに折れるとヴァルゴによってタウラスの元まで殴り飛ばされていた。

 

 

 

 

 

「化け物が・・・!!」

 

その光景にタウラスはヴァルゴを見て呟くが、その言葉に真っ先に食って掛かったのはそれを遠くで聞いていた彼女の幼馴染達だった。

 

「うっさい!!アンタと一緒にすんな!!」

 

「誰がなんて言っても巴は巴だよ!!」

 

「これからもずっとそうだよ!!」

 

「そういうこと~」

 

 

 

 

 

「よっしぁ!!如月!!決めるぞ!!」

 

「おう!!」

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 

ヴァルゴはその言葉と共に翼で空に飛び上がり、フォーゼもドライバーのスイッチを起動するとその後に続いて空へと上がりヴァルゴの横でドライバ―のレバーを押し込んだ。

 

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

「ライダー・・・・ロケットドリルキッーーーク!!」

 

 

 

そのフォーゼの言葉と共に2人は足を突き出してタウラスへと急降下していく。

しかし、ここで2人にとっては想定外の出来事が起こった。

 

「「なっ!?」」

 

 

 

 

 

「まりなさんを身代わりにして巴ちゃん達の攻撃を・・・!?」

 

「なら、最初はまりなさんからだ・・・!!」

 

「分かった・・・!!」

 

タウラスはキックが当たる直前でアリエスを自身の前に立たせて身代わりにしていた。

しかし、フォーゼは先にアリエスを倒してまりなを解放することを選ぶとヴァルゴもそれに答えて翼を広げていた。

 

「ぉおおおおおお・・・・!!」

 

「ソイヤーーーーーッ!!」

 

 

そして2人はその言葉と共にアリエスの身体を貫くとアリエスの身体は爆発した。

その爆発の中で生身のまりなが地面に倒れ、その爆炎の向こうではフォーゼとヴァルゴが並んでいた。

 

しかし、すぐ2人は周囲を見回してタウラスの姿を探す。

 

「くそっ!!牛はどこ行った!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?牛もミッシェルもいなくなっちゃった・・・!!」

 

「もしかしたら身代わりにした時に逃げちゃったのかも・・・」

 

「なら仕方ねぇか・・・」

 

タウラスがこの場から逃げたと聞いて2人は変身を解除すると、集まっている蘭達の元へと戻っていく。

 

 

「巴・・・おかえり」

 

「あぁ・・・ただいま・・・」

 

「いや~トモちん大活躍でしたなぁ~」

 

「最初はびっくりしちゃったけどね・・・」

 

「一時はどうなるかと思っちゃったよ~!!」

 

 

「アタシも最初は驚いたけどな・・・。まぁ・・・なんとかなったよ」

 

 

 

 

「おねーちゃん!!凄かったね!!」

 

「あこ!!怪我はないか?」

 

「うんっ!!」

 

巴を最初に出迎えたのは安堵の笑みを浮かべた幼馴染達に彼女も笑みを浮かべて答えると、妹のあこが割って入ってくるとその頭に手をわしゃわしゃと撫でまわしていた。

 

しかし、そんな巴にとある人物が不安そうに声をかけてきた。

 

「巴さん。本当に大丈夫ですか・・・?」

 

「紗夜さん。本当になんともないですよ?」

 

「そうだよ!!巴!!あれ使って何ともないの!?」

 

「ひまりも心配性だな~・・・。何ともないって」

 

スイッチをどうなるか―――

それを身をもって体験している2人から声をかけられるが、巴自身は至っていつも通りだと告げるが疑惑の目が止まらない。

 

「こうは言いたくないですが・・・信じられませんね・・・調べましょう・・・」

 

「ちょっと紗夜さん?」

 

「はぐみもやる~!!」

 

「ちょっとはぐみも何言ってんだよ!?ってそこはくすぐったいからやめろ!!」

 

心配性の紗夜は巴の身体を弄り始めると、何故かそれに便乗してはぐみも巴を触り始めてしまう。

そんな光景を前にミッシェルを脱いできた美咲が合流してくる。

 

 

 

 

「お疲れ様です・・・ってどうなってるんですか・・・?」

 

「えっと、トモエさんを調べてます・・・!!」

 

「・・・大体分かった。私も若宮さんもあれを止めるような体力残ってないですからね・・・?」

 

「そうなったらますきとかリサが止めんだろ・・・?」

 

「ん~アタシは面白そうだから止める気ないしー・・・。それにますきは・・・」

 

リサは紗夜達を止めるつもりはないと言い切ってからますきの方を指差す。

そこには―――

 

「ロック~お前も大丈夫か~?」

 

「ひゃあああ!!ますきさんやめてくださ~い!!」

 

 

 

 

 

「ダメだありゃ・・・」

 

「因みに弦太朗は・・・」

 

「山吹さん。面倒ごと増やさないで・・・」

 

「うぅ・・・」

 

視線の先ではますきがロックを撫でまわしていた。

その光景に呆れる美咲だったが、それに便乗しようと弦太朗に手を出そうとしていた沙綾を牽制し、流石の沙綾も諦めたのか肩を落としていた。

 

戦闘の緊張から解放されたのか彼女達は先ほどアリエスに眠らされそうになっていたのを忘れているかのような様子を見せていた。

 

しかし、それも段々と怪しくなってくる。

 

「ちょ・・・!!2人とも・・・!!やめ・・・!!」

 

 

 

 

 

「ちょっと紗夜さん。そろそろ巴ちゃんを・・・」

 

「いいえ。もしかするかもしれません!!徹底的に調べないと・・・!!」

 

「おもしろーい!!」

 

「はぐ~そろそろ巴が怒るから止めなよ~!!」

 

「ん~。流石にこれは止めないとダメそうかな~・・・」

 

つぐみとひまりが2人に止めるように言うが、紗夜達は止まる気配が見えない。

流石に雲行きが怪しいと感じたリサはようやく重い腰を挙げようとしたが―――

 

「2人とも・・・いい加減に・・・」

 

 

 

 

 

 

「これは・・・」

 

「ダメそうだね~・・・」

 

「蘭?モカ?えっ・・・?」

 

どうやら動くのが遅過ぎたらしい。

巴の声が聞こえた蘭達の反応に首を傾げたリサだったが、それと同時に巴が動いていた。

 

「しろっ!!」

 

「うわっ!?」

 

巴は2人を振りほどこうを腕を振るが、はぐみ()これを避けることに成功したが―――

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぇっ!?」

 

「紗夜!?」

 

しかし、紗夜は巴が腕を振った際に肘が腹に刺さりうめき声をあげていた。

その声に皆が動きを止めると今までのおふざけが無かったかのように空気が締まる。

 

 

 

「ありゃ綺麗に入ったな・・・」

 

「ちょっと如月先輩。感心してる場合じゃないでしょ・・・」

 

「でも・・・街の皆さんはどうしましょうか・・・?ゲンタロウさんとトモエさんだけではこの人数は・・・」

 

「はぁ・・・とりあえず黒服さん達にお願いして商店街の人と・・・湊さん達はみんな病院に運んでもらうんで・・・」

 

 

それから少し経ってから黒服が商店街で寝ていた人物たちを病院へと運んでいくのを見送ると、商店街での戦いは一旦の終わりだと感じた彼女達はそのまま家に帰っていく。

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

そんなことが起こっていた一方で、フォーゼ達から逃げたタウラスは先ほどの場所まで引き返してきていた。

 

「タウラス。とりあえず、アンタが言ってた実験は終わりってとこかね?」

 

「申し訳ありません・・・」

 

「あんな予想外は仕方ないね。それじゃ戻ろうかね・・・」

 

「ちょっと待ってください」

 

「・・・なんだい?」

 

そう言って2つの異形は人間へと戻っていき、その場を去ろうと歩き出すが、、それをタウラスだった人間が声をかけて止めさせるともう1方の人間にあるものを渡していた。

 

「これ。忘れてますよ?」

 

「・・・すまないね」

 

そう言ってその人物は受け取った杖をついてその場を離れて行く。

こうして彼女達が知らない内に商店街を狙った事件はひっそりと幕を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

事件が終わった―――

それを知らない彼女達は戦いのあった翌日、臨時休業中の羽沢珈琲店にはガールズバンドの35人と香澄の妹の明日香が集まって弦太朗を待っていた。

 

「狭いわね・・・。それに美竹さん達はどうして疲れた顔をしてるのかしら?」

 

「友希那さん・・・私達は・・・あの時は寝てただけですから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「珈琲入ったよー」

 

「それに紅茶と一緒にアタシ特製のクッキーもあるからね~」

 

つぐみとリサが店の奥から出てくると店内は一気に騒がしくなる。

そんな中で巴はふと疑問に思ったことを口にしていた

 

「そう言えば・・・香澄とかチュチュとかは大丈夫なのかよ?予選明日までだろ?」

 

「ポピパはGalaxyでライブだから問題ねぇよ・・・」

 

「Roseliaもライブまではまだ時間があるから大丈夫よ・・・」

 

「RASはdubだけどまだ時間があるわ」

 

「はいっ!!チュチュ様は昨日のRoseliaの皆様の話を聞いてとても心配されてましたから!!」

 

「パ~レ~オ~!!」

 

「きゃ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ってそうだよ!!巴!!昨日すっかり忘れてたけど・・・!!アレ早く壊しちゃおうよ!!」

 

「STOP!!その前に昨日までの話を聞かせない」

 

やかましさを増していく店内だったが、ひまりの言葉に緊張感が走る。

ひまりの気持ちを抑えてチュチュが空気を読んでか読まずか今までの状況の説明を求めると、Afterglowは昨日までの説明を簡単にしていた。

 

「確かに前にトモエ達はSpecialとはいったけど・・・本当だったとは・・・」

 

「じゃあそろそろ・・・」

 

「ねぇねぇ!!巴ちゃん。1回そのスイッチ見せて?」

 

「日菜先輩?いいですけど・・・?」

 

説明も終わっていざ本題に入ろうとしたひまりだったがそれを遮って日菜が好奇心から巴のスイッチを見てみたいと言い出した。

巴も特に断る様子もなく、スイッチを取り出すと巴が握ったままのスイッチを日菜に見せ始めると興味深そうにそれを眺め始めた。

 

「へぇ~・・・千聖ちゃんの時とは違うねぇ~。それによく見るとおとめ座のマークが入ってる~・・・」

 

「面白いわね!!」

 

 

「私の時のと似てる・・・」

 

「私が使った時と星座のマークくらいしか差がないですね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・日菜先輩?ってちょっと!?」

 

「日菜!?何してるの!?」

 

「えぇ~だって気になったし~」

 

「日菜先輩・・・そろそろ・・・」

 

思い思いの感想を口にする中で日菜の目が得物を狙う猫のような目に変わる。

その視線に嫌なものを感じた巴は日菜に声をかけると、その手に持っていたスイッチはいつの間にか日菜の手に移動していた。

流石紗夜が日菜を起こるが、本人はそれをあまり気にしている様子はなく、巴も何か嫌な予感を感じたのか日菜に返す様に促していたが―――

 

「えいっ!!」

 

 

「「「「「「「「あぁ~~~~~~!!」」」」」」」」

 

日菜は好奇心に負けて巴のスイッチを押してしまい、全員がその行動に驚きの声を挙げてしまう。

そして、日菜が変身するのではないかと言う、緊張が店内を包むんでいた。

しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ・・・?何にもないよ・・・?」

 

「えっ・・・?」

 

しかし、日菜の身体には何も変化が起こっていなかった。

殆どの面々がその光景に安堵していたが、千聖は怒りの形相を浮かべて日菜に迫っていた。

 

 

 

 

 

 

「このおバカ!!」

 

「いたっ!?千聖ちゃん痛いよ~!!」

 

「出ました!!チサトさんのスリッパ!!・・・今回は"あほんだらっ”ですか・・・?」

 

 

 

 

「うちが渡したの使ってくれとるんや・・・」

 

スリッパで日菜の頭を叩くと日菜から抗議の声が挙がるが、勿論いきなりそんな危険な行為をした彼女を庇うものはいない。

叩かれた日菜は頭を抑えながら巴のスイッチを見つめていた。

 

「でも、なんにも起こらないってことは壊れてるんじゃないの・・・?」

 

「日菜ちゃん。それ貸しなさい」

 

「あっ!!やっぱり千聖ちゃんも押しt・・・いたっ!!」

 

日菜はあらぬことを言ってしまい、再び彼女の怒りを買ってしまいスリッパが直撃する。

しかし、自業自得の日菜を皆が無視すると千聖は日菜からスイッチを取りあげていた。

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿言わないの!!・・・以前に使ったことある人が実験台になったほうがいいだけよ・・・って本当に反応しないわね・・・」

 

「チサトさん?本当に壊れてるのでは・・・?」

 

「まだ決めつけるのは早いわ・・・。次、こころちゃんお願いできるかしら?」

 

「・・・えぇ!!任せてちょうだい!!」

 

 

千聖の言葉に以前のスイッチャーたちは罪悪感を感じながらスイッチを押していくが、誰も巴のスイッチを起動することが出来ずにいた。

そして、スイッチを使ってはいないが所持をしていたチュチュも押してみるがやはり反応することはなかった。

 

「・・・やっぱりダメね。それにルイやロックの元マネージャーでもダメなら壊れてるんじゃないかしら?」

 

「いや・・・明日香ちゃんはマネージャーじゃないですよ~!!」

 

 

 

「あっちゃん!!次!!私がやる~!!」

 

「はぐみもやりたーい!!」

 

「香澄!!やらんでいい!!」

 

「はぐみも変なこと言わないの~」

 

「「えぇ~・・・」」

 

 

 

 

「・・・麻弥ちゃん、壊れてるの?」

 

「いやいや!!日菜さん!?流石にジブンに分かるはずないですよ!!」

 

「あの~・・・一旦返してくれますか・・・?」

 

誰にも反応しなかったスイッチを香澄とはぐみが押したがるのを保護者(有咲と美咲)が止めると、ようやく本人の手元にスイッチが戻ってくる。

 

巴は受け取ったスイッチを眺めるが、当然それが壊れているのかなんて彼女に分かる訳もなかった。

 

「とりあえず、押せばわかんだろ・・・」

 

 

 

 

 

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「普通に動くぞ・・・?」

 

「わりぃ、遅れたな・・・っ!!」

 

「如月、アタシだよ!!」

 

誰にも反応しなかったスイッチを巴が押すとすると巴の姿は一瞬でヴァルゴに変身していた。

突然のことに一同が驚くが、そこにようやく弦太朗が姿を見せるが、ヴァルゴを見て反射的に戦闘態勢に入るが、巴の声を聞くと弦太朗は警戒を解くのと同時にヴァルゴは巴へと戻っていた。

 

「如月くん。さっきまでこれをみんなが押したんだけど・・・」

 

「巴だけしか動かせなかったんだろ・・・?」

 

「弦太朗、アンタ何でわかるの・・・」

 

「だって天校の時もそうだったからな・・・」

 

 

「「「「ふふふっ・・・」」」」

 

「なっなんだ・・・!?」

 

弦太朗の登場に先ほどまで罪悪感に襲われながら、覚悟を決めて押したにもかかわらず遅れて現れた彼のしれっと言った言葉に苛立ちを覚え弦太朗へと迫っていた。

 

「弦太朗・・・どういう事かしら・・・?」

 

「如月さん・・・あなた、こうなることを知ってたのに皆には言ってなかったんですね・・・?」

 

「酷いよねぇ・・・?」

 

「本当ですよね・・・?」

 

 

 

「おい、千聖・・・瑠唯、ひまりに明日香まで・・・ちょっと待てって・・・おい、誰か・・・」

 

彼女達は笑みを浮かべているが、目は完全に笑っていない。

そんな形相で迫られていた弦太朗は彼女達を制止しようとするが止まることはなく、思わず助けを求めるが誰もそれに応えない。

 

「大丈夫ですよ・・・」

 

「紗夜・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「痛いかもしれませんが段々良くなりますから・・・」

 

「ぎゃあああああああああああああああ!!」

 

そこから弦太朗は怒りを思えた少女達に詰められるが、そんな中でひまり以外のAfterglowのメンバーは巴の元に集まっていた。

 

 

 

 

「それで、巴・・・。それどうするの・・・?」

 

「アタシしか使えないらしいし、このまま持ってるよ」

 

「巴ちゃん、いいの・・・?」

 

「これがあればみんなを守りやすくなるからな・・・。危ないかもしれないけど、みんなのためだからな・・・」

 

「トモちんらしいね~」

 

 

 

「巴が私達を守るなら、あたし達は巴が帰ってくる場所を守るからね」

 

「おう・・・!!頼んだ・・・!!」

 

後ろでは弦太朗を中心に未だにやかましく騒いでいる。

それを周囲が距離を取って眺めている中で彼女達は自分たちの決意を口にしながら笑いあって拳を突き合わせるのだった。

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

次章は
ハロハピ・・・っ!! その前に小ネタ篇(本編)じゃ・・・

オマケ
変身ゾディアーツ設定Afterglow篇
モカ:アリエス
巴:ヴァルゴ
ひまり:ハウンド
つぐみ:タウラス

設定だけはヤベー奴ら
まぁ、羽丘スタートで構想してた時のメインだから仕方ないね・・・


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オマケ時空篇12 邁・進・乙・女
日・常・風・景17 女子力(物理)とは・・・


小ネタ篇投稿です。

まぁ最初は軽いジャブで・・・


 

~~~小ネタ51:変身ポーズ討論会

 

今日も二葉つくしは羽沢珈琲店でバイトに精を出していた。

 

「珈琲お待たせしました~・・・」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

しかし、そんな甲斐甲斐しく働いている店の客席では何故か少女達が顔を突き合わせて不穏な空気が流していたがと、つくしがそこに珈琲を持っていくと不意にその火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからね!!おねーちゃんにもゲンタロウみたいにカッコいい変身ポーズが必要だと思うの!!ロックもそう思うよね!!」

 

「いえ!!ここは女の子らしく可愛いのがいいと思います!!チュチュ様もそう思いませんか!?」

 

 

 

 

「えっと・・・その・・・あこちゃん・・・?」

 

「どうでもいいわよ・・・」

 

 

そこには何故かガールズバンドの1年生組や中学生が集まって、巴について言い争って盛りあがる3人を他所にチュチュは頭を抱えていた。

 

「ロック。どうしてこうなってるのよ・・・」

 

「はい。あこちゃんに呼ばれて来たらこの話になって、それで後から皆さんがここに来て・・・」

 

「それで・・・ルイはツクシの所に来てた所に巻き込まれたって事ね・・・」

 

「えぇ、チュチュさんの言う通りです。でも・・・」

 

「何よ。ルイ、ハッキリいいなさいよ・・・」

 

この場にいてしまったせいで巻き込まれてしまった瑠唯はちょっとだけ迷惑そうな表情を浮かべていたが、目の前の話に何か考えている様な表情を浮かべているとチュチュにその事を指摘される。

 

そんな瑠唯を見たチュチュはそのまま彼女に思ったことを言うように勧めたが、彼女はこの言葉を後悔することになった。

 

 

 

 

 

「あれを使うのにポーズを取る必要なんてないのに、そんなのを考える必要はあるのかしら?」

 

「「えぇ!?」」

 

 

 

「ははは・・・」

 

「Oh・・・」

 

しかし、瑠唯は変身時にポーズを取ること自体に否定的な意見を出してしまった事にチュチュとロックは呆然としてしまい、カッコいいポーズ派・可愛いポーズ派・ポーズ不要派の3つに分かれて混沌を極めそうな空気が漂っていた。

そんな中でポーズ必要派の2人が瑠唯に噛みつき始める。

 

 

「ありますよ!!大ありですよ瑠唯さん!!」

 

「そうだよ!!るい!!こういうのはお約束だよ!!」

 

「それもありますが、こう気持ちを切り替えるのに必要だと思います!!」

 

 

 

 

 

「・・・一種のルーティーンと言うことかしら?」

 

「るーてぃーん?」

 

「宇田川さん。ルーティーンというのは決まった動作と言う意味で、例えばライブ前に円陣を組んだりするのがそれよ?」

 

「・・・そうだよ!!それだよ!!」

 

「だから必要だとは思いませんか?」

 

「はぁ・・・」

 

何故か説得される側が言葉の意味を説明するという可笑しな場面があったが、あことパレオは瑠唯に力説するが、瑠唯はため息をつくと反撃を繰り出していた。

 

 

 

「ルーティーンなら動作の流れに自然に組み込めるものが望ましいわね。でも、あれは押すだけなのだからそこにポーズなんて差し込む余裕はないわ。それにあれを使うのは基本的に緊急時なのだからなおさらよ・・・」

 

「うぅ~そうだった・・・」

 

「でも~・・・!!」

 

 

 

 

 

「あっ・・・あの・・・」

 

完全に論破されそうになった2人だったが、ここでまさかのロックが会話に割って入ろうとしてきたことに2人は期待感に目を輝かせていた。

 

「ろっか?ろっかもポーズはいるよね!!」

 

「ですよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・そのですね・・・。それを決めるのも、考えるのも巴先輩だと思うんですけれど・・・」

 

「「「あっ・・・」」」

 

ここでいくら話したところで本人がいないここでそれを決めるのは巴自身。

正論をロックから告げられたに3人は思わず声を挙げていた。

 

「とんだ無駄だったわね・・・苦っ!?」

 

「チュチュさん。これ、砂糖です・・・!!」

 

「ツクシ、Thank you・・・」

 

そんな締まらない空気の中でチュチュは珈琲を飲もうとするが、余りの苦さにその場にあった砂糖を彼女の意識しているボーカルと同じように大量に入れ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~小ネタ52:乙女レッスン

 

 

「悪い!!遅くなった!!」

 

「あっ・・・!!巴ちゃんいらっしゃい!!」

 

「巴~!!おっそ~い!!」

 

 

 

 

「全く・・・お店の中なのですからもう少し静かに出来ないんですか?」

 

「まぁ、私達しかいないのだからいいじゃない。ね?花音」

 

最初は静かだった羽沢珈琲店だったが、そこにやってきた巴達が騒がしくしている光景を先客の紗夜達はそんな彼女達に呆れた表情を浮かべていた。

 

「う~ん・・・」

 

「巴・・・?」

 

「これをちゃんと使えるようにならないとなって・・・」

 

 

 

「「・・・」」

 

「ふえぇ・・・千聖ちゃん・・・」

 

そう言って巴は自身のスイッチを手の上で転がしながら話し出す。

流石に見知った顔しかいない店内だが、紗夜達の前ではそれは余りにも軽率な行動だった。

 

呆れていた先ほどとは一転して紗夜と千聖の表情が曇ると花音が慌てふためき始めたのをつぐみにみられてしまった。

 

「ちょっと巴ちゃん・・・一旦それしまって・・・」

 

「ん?・・・あぁ・・・。すいません・・・2人とも・・・」

 

 

 

「いえ・・・かなり方向性が違うけれど、むしろ巴ちゃんの向上心は見習うべきだと思ったのよ・・・」

 

巴は紗夜達の事に気が付いてすぐにスイッチをしまって謝罪するが、咄嗟に千聖が表情を作って誤魔化す。

それに遅れて紗夜が再起動するとふと疑問に感じて首を傾げていた。

 

「ですが、巴さん・・・先日の時は使いこなしているように見えましたが・・・」

 

「いや、あの時はその場の勢いで使ってただけで・・・」

 

 

 

 

 

「ふえぇ・・・勢いで使えるものなの・・・?」

 

「それに、どうして・・・すいません・・・無神経に・・・」

 

「ふえぇ・・・ゴメンね・・・」

 

 

 

 

「いいのよ・・・」

 

巴の言葉に疑問を持ったのはスイッチを使ったことがない花音とつぐみ。

2人はその疑問を声に出すと思わず周囲を見てしまうが、巴以外は気まずそうな顔を浮かべていたのを見るが、状況を察して即座に謝罪する2人に千聖は答えるとそのまま何かを考え出し、そして覚悟を決めたような表情を浮かべていた。

 

「巴ちゃん・・・参考にならないかもしれないけれど、私達が話くらいなら聞いてあげるわ・・・」

 

「千聖さん・・・?」

 

「ひまりちゃん、罪滅ぼしって訳じゃないけど、使ったことがある人から何か切っ掛けがあるんじゃないかしら?だから紗夜ちゃんも覚悟を決めなさい?」

 

 

「巴の為だったら・・・分かりました・・・!!」

 

「えぇ・・・」

 

千聖の言葉にひまり達も苦々しい表情を浮かべながら同意すると、千聖はつぐみ達へと視線を向けていた。

 

「それで・・・つぐみちゃん・・・?」

 

「えっと、気になったのは、人間じゃ出来ないようなこと・・・例えば、ビーム?出したりとかってどうしてわかるのかなって・・・?」

 

「えっと・・・何となく頭の中に浮かんでくるっていう感じ・・・?」

 

「アタシもそんな感じだったな・・・。あの時上手くできたのは、運が良かっただけだな!!」

 

「ひまりちゃん達の言う通りよ・・・。使い方だけは分かるって感じかしら・・・」

 

 

 

 

 

「「「へぇ・・・」」」

 

「「「えっ・・・?」」」

 

納得したように声を挙げた3人(・・)

しかし、スイッチを使ったことがないのは2人だけなのに、声が1人多いことに千聖達が疑問に思って周囲を見ると、その正体は紗夜だった。

 

 

「紗夜ちゃん・・・?なんであなたもそっち側なのかしら・・・?」

 

「私の時はそんな特殊なのはありませんでしたから」

 

「でも、紗夜さん・・・黒いの出してましたよね・・・?」

 

「正直に言うと、最初にやられた後から人間に戻るまでの間で殆ど覚えてないんです・・・」

 

 

紗夜の言動で空気が凍るが、何故か最初に復帰した花音が咄嗟に話を出していた。

 

「えっと・・・そうだ!!みんなの時はどんなことが出来たの?私が見たのは人を石にしたりだったけど・・・」

 

 

 

「身体についてたチェーンが伸ばせました・・・」

 

「舌が伸ばせて、後は姿を消せたわね・・・」

 

花音の問いに答えた2人は紗夜ではなく巴へと視線を向けていた。

そんな視線を感じた巴は自身の出来ることを思い出しながら話し始めた。

 

「えっと・・・。まず羽が生えて空飛べるのと・・・後は重力を弾にして飛ばしたり、それを上手い事やると空間が歪ませてワープが出来ますね・・・」

 

 

 

「ふえぇ・・・」

 

「盛りすぎじゃないかしら・・・」

 

巴の出来ることにそれを見たことない千聖達は驚きの表情を浮かべていたが、それを実際に見ていたひまり達は苦笑いを浮かべてしまっていた。

 

「でも、なんか黒いのも出せるらしいんですけど・・・。なんか上手く出せないんですよね・・・」

 

「そうなんだ・・・」

 

「でも、何でうまく出せないって分かるの?」

 

「昨日あこと練習したからな」

 

 

 

「「「「はぁ?」」」」

 

「実は―――」

 

巴の練習をしたという爆弾発言に一同が凍り付く。

何をどうしたらそうなるのか全く理解が出来ない様子の彼女達に巴が説明を始めようとしていた。

 

 

 

―――――――――

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「あこ?」

 

「おねーちゃんの奴、見せて!!」

 

「どうしたんだ?」

 

自室にいた巴だったが、突如としてそこに妹のあこが突入して変身しろとせがんでくる。

流石に唐突過ぎて意味が分からない巴はあこに事情を求めるとすんなりと彼女は答えていた。

 

 

「えっとね!!りんりんが今度の衣装のデザインに困ってるらしいから参考になるかなーって!!」

 

「そういうことなら・・・よっしゃ任せとけ!!」

 

理由を聞いて巴は即座に変身すると、あこはとりあえず写真を撮るとすぐに燐子に送り付けていた。

そして写真を撮ったあこはヴァルゴに変身した彼女に提案していた。

 

「おねーちゃん!!それの練習ってしてるの?」

 

「練習?って言っても出来ることないだろ?部屋の中を飛ぶわけにもいかないし、それに攻撃をぶっ放す訳にもいかないだろ?」

 

「ほら!!ワープしたのとか、あすかみたいに黒いの出したりとか・・・!!」

 

「あー・・・じゃあ黒いのやってみるか・・・!!」

 

「うん!!」

 

「よっしゃ!!でろ~~~~~~!!」

 

 

 

「・・・あれ?」

 

あこに乗せられてヴァルゴはダスタードを出そうとしてみるが、何も起こらない。

そんな光景にあこは思わず首を傾げていた。

 

「出てないよ?」

 

「あれ?おっかしいな~・・・何がダメなんだ?」

 

「う~ん・・・とりあえずやってみよ!!」

 

こうして姉妹でポーズを変え、掛け声を変えて試行錯誤を繰り返し始めるが一向に成果が出なず、早々に行き詰った2人はダスタードの召喚を諦めていた。

 

「んじゃ、次はワープの方だね!!」

 

「とりあえず、あこの部屋にでも・・・。あこは自分の部屋にいてくれ」

 

「分かった!!」

 

そう言いながらヴァルゴは杖を掲げると部屋の中に黒いワームホールを形成して潜り抜けると、その姿はあこの部屋の中に移動しており、それに遅れてあこが部屋に姿を現していた。

 

「おねーちゃん!!すごーい!!」

 

「こっちはなんとなく分かった・・・よし!!」

 

「おねーちゃん?」

 

「今から蘭のとこ行って脅かしてくるか!!」

 

「面白そう・・・!!」

 

 

ヴァルゴの子供のような思い付きにあこは目を輝かせる。

そのあこを見たヴァルゴは再び杖を掲げると再びワームホールを生成して、今度はあこと共に飛び込んだ。

 

結果から言えば蘭の元にいくことには成功した。

成功したが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~~~~!?」

 

「よぉ蘭!!ってお前、服脱いで何やってんだ?」

 

「おねーちゃん!!ここ!!お風呂だよ!!」

 

蘭がいた場所は自宅の風呂場。

入浴中の彼女の元に宇田川姉妹は意図せずに飛び込んでしまったのだ。

状況を理解するとヴァルゴは気まずい空気を感じ取るとあこを脇に抱えて即座に振り返った。

 

「悪い。邪魔したな・・・!!」

 

「ちょっと巴!!アンタ・・・!!」

 

こうして姉妹揃って蘭の元から逃げ帰ると、その後はスイッチを切って何事もなかったと互いに言い聞かせてそのままそれぞれの部屋へと戻っていった。

 

 

 

―――――――

 

「ってこんな感じで・・・って、お~い?」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

思わずカミングアウトを受けて流石の彼女達も話について行けず言葉を失ってしまう。

そんな彼女達に巴は声をかけるが、しばらくの間言葉が返ってくることはなかった。

 

 

 

 





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以下ネタ説明
51
特撮あるある。
ポーズを決めるのも一苦労・・・

52
何で最初から能力使えるの?
ってところの自己解釈。
なお、使い方は分かっても大失敗しそう・・・



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日・常・風・景18 不味い飯屋と悪が栄えた試しはない。ってリサが言っていたわ・・・

小ネタ篇投稿です。

さてと・・・
久々に書いたら胃もたれした・・・


 

~~~小ネタ53:腹ペコ友希那ちゃんどらいっ!!:拉麺大決戦

 

都内某所のラーメン。

その目の前にはラーメン好きのアタシとますきが2人で並んでいた。

 

「いやー、ここがますきが行きたいって言ってたラーメン屋か!!」

 

「おう!!この前たまたま見つけたんだよ!!それで折角なら一緒に行こうと思ってよ!!」

 

「アタシ達が最後だからそんな急ぐ必要も無さそうだしちょうどいいな!!」

 

「おっ?順番来たみたいだから入ろうぜ!!」

 

ますきに言われてアタシは店の中に入っていくと、店の入り口には雑誌で紹介されたページの切り抜きが張ってあった。

それに何気なく目を通してから席に着くと、すぐにメニューを開いて中身を確認するとアタシ達は頭を悩ませてしまった。

 

「他の店に比べると結構高いけど・・・種類がこうだと・・・迷うな・・・」

 

「醤油か塩か・・・。おっ!!見ろよ。チャレンジメニューだってよ!!20分以内に食いきれば料金無料で追加で賞金3万だってよ!!」

 

「でも、総重量2キロって・・・流石にこれはな・・・」

 

「だけどよ1回は見てみてぇな!!」

 

そんな他愛ない会話をしながらメニューを見つめていたが、そんな中でアタシ達の後に客がやってくるが、余りにもこの場に不釣り合いな人物にアタシは目を疑ってしまいますきと互いに目を合わせてしまった。

 

 

 

 

 

 

「なぁ・・・あれって・・・」

 

「湊先輩・・・だよな・・・?あの人もラーメン食うんだな・・・」

 

やってきたのはやっぱり湊先輩だった。

正直に言うと、あの人が1人でラーメンなんて食べる印象がない。

 

そんな事を考えていたが、湊先輩はアタシ達には気が付いてないようでメニューを見始めてたが、急にあたふたし始めていた。

 

もしかして・・・

 

「金が足んねぇのか・・・?」

 

「いやいや、まさか・・・」

 

ますきが変なことを言うがアタシはそれを否定したが、湊先輩は自分の財布の中身を見始めていた。

 

「・・・もしかして金はあるけど予算オーバーって感じか?」

 

「確かに普通の店よりたけぇかんな・・・」

 

「最悪、少しくらいなら金を貸してもいいか・・・リサさんに報告してからだけど・・・」

 

そんなくだらないことを考えていたアタシは自分の注文を考えながらあたふたしていた湊先輩を眺めていたが、先輩は急にメニューの1点を見始めて止まっていた。

 

「巴決まったか?ってどうしたんだ・・・?」

 

「あれ見て見ろよ・・・」

 

「んぁ?・・・メニューの隅っこ見てる・・・ってまさか・・・」

 

あの辺りはさっきますきが言ってたチャレンジメニューが書いてあった辺りだけど。

もしかして―――

 

「すいません。このチャレンジメニューを1つ」

 

 

 

 

 

「マジか・・・」

 

「行きやがった・・・!!ダメだったら金くらい出してやるか・・・!!」

 

湊先輩からの言葉に店内には緊張感が走る。

まぁ、湊先輩の見た目であれを頼むなんて正直信じられないし、店員たちも同じ反応で注文を確認し直していたが湊先輩は注文を変えない。

 

そんな中であたし達は普通に1杯頼むと、未だにこちらに気が付かない湊先輩を観察する。

マジであの体に入るのか・・・?

 

そんな疑問を感じたアタシ達だったが、そんな事を他所に湊さんのラーメンが運ばれてきた。

 

「「でけぇ・・・」」

 

「大きいわね・・・」

 

思わずアタシ達が呟くと周囲の客もそれに同意するように頷いて、湊先輩自身も同じことを口にしていた。

そんな先輩の前に店員がストップウォッチを片手に立つ。

 

「それでは・・・よーい・・・!!スタート!!」

 

「・・・頂きます」

 

店員の掛け声とともに湊さんはラーメンに箸をつけるとまでに見たことがない物凄い勢いで食べ始める。

 

「すげぇ・・・あれモカとかアタシ達よりも早いぞ・・・!!」

 

「でも、このペースが続くのか?」

 

 

 

「イヤ!!あれは短期決戦を仕掛けているんだ・・・!!」

 

「「「なっ!!なんだってー!!」」」

 

湊さんの様子を気になっていたアタシ達は目が離せず、周囲の客に至っては湊先輩の状況を解説し始める奇妙な光景が繰り広げられていた。

 

しかし、そんな周囲の言葉など関係ないと言わんばかりに湊先輩は食べていき―――

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま・・・」

 

「マジで食いやがった・・・!!」

 

「しかも、5分以上時間を残してやがる・・・!!」

 

 

 

「なんて嬢ちゃんだ!!」

 

「大番狂わせだ!!」

 

「あれは正しく・・・ラーメン食いだ・・・!!」

 

周囲の予想を大きく裏切って湊先輩は問題なく完食し、その光景に周囲の客から歓声が上がる。

そんな声に澄まし顔の湊先輩が店員にどんぶりを見せて席を立とうとしたが、店の奥から何やらガタイのいい店員が現れると湊先輩を止めると信じられない言葉を言い放った。

 

 

 

「いけませんねぇ・・・食い逃げは・・・」

 

「店長!?」

 

この言葉に他の店員も含めた全員が凍り付いた。

周囲が見ていた状況でこんな出鱈目を言ったのはこの店の店長らしいが、そんな中で湊先輩は首を傾げていた。

 

「何を言ってるのかしら?時間以内に完食すれば無料のはずでしょ?」

 

「不正してたらダメに決まってるじゃないですか?」

 

「不正?なんの事かしら?」

 

「どこにラーメン捨てたんだ!!」

 

そう怒鳴り上げて店長と言われた人は湊さんの腕を掴もうとしていたが、それを見たアタシは咄嗟に席を立つと湊先輩に掴みかかろうとした腕を掴んで声を挙げていた。

 

 

 

「おいっ!!あんた。何やってんだよ!!」

 

「宇田川さん!?それに佐藤さんもどうしてここに・・・?」

 

「アタシ達もラーメン食いに来たんすよ。それで友希那さんの食ってるとこ見てましたけど。アンタの言う不正なんてしてなかったぞ?」

 

 

 

「うるせぇ!!いたたたたっ!!」

 

「あぁ?」

 

ますきの言葉を聞いて暴れようとした店長だったがアタシが力を込めて掴むと痛がる声を挙げるが、ますきが睨みつけた途端に大人しくなっていた。

 

「それにアタシ達以外にも、他の客も店員も見てんだから。んなこと出来るわけねぇだろ?」

 

「うるせぇ!!認めねぇぞ!!」

 

 

 

「・・・・・・よ」

 

「あぁ?なんだって?」

 

喚き散らす店長を前に湊先輩が何かを呟いたが、よく聞こえず思わず聞き返す。

すると、今度はハッキリと店内に通る声で衝撃の一言を言い放っていた。

 

「おかわりよ・・・!!」

 

 

 

周囲が目を丸くする中で湊先輩は先ほどまで自分が座っていた席に戻っていく。

 

「聞こえなかったのかしら?おかわりを持ってきなさい」

 

「ちょっと友希那さん本気で言ってんですか!?」

 

「当り前よ」

 

 

 

「はっ!!食いきれなかったら2杯分払ってもらうからな!!」

 

「いいわ」

 

「・・・なら、食いきれたらそっちは迷惑料も兼ねて食った分の倍、賞金出せよ」

 

「乗った!!でも、そんな嬢ちゃんが食いきれるわけねぇだろ!!」

 

言い争っている光景を面白がってスマホで撮影している客に気が付いたますきはさらっと倍の賞金を要求していた。

それに乗った店も問題だけど・・・これ大丈夫なのか・・・?

 

「宇田川さん。心配しないでいいわ・・・」

 

「湊先輩・・・?」

 

 

 

 

「さぁ・・・行くわよ・・・ラーメンの用意は十分かしら?」

 

アタシの心配を他所に湊先輩は店長に向けて言い放つと、そこから先は最近のアタシ達の状況とは別方向に現実離れした光景が繰り広げられていた。

 

 

 

 

 

 

それから数日後―――

 

「うぅ・・・」

 

「モカ?どうしたんだ?」

 

「モカちゃんが行きたかったラーメン屋がいきなり閉店してショックなんだよ~」

 

「ラーメン?」

 

「そーそー。チャレンジメニューってのがあったんだけど~。なんでも、ズルしてた店長がいたらしくて、それを女の子が懲らしめたせいで閉店しちゃったんだって~」

 

「・・・あぁ。そうなのか・・・」

 

モカがなんか落ち込んでいたから話を聞いたが、その話で思い浮かんだのは湊先輩の一件。

あの後、おかわりしたチャレンジメニューを店長の前で完食した挙句、それを何杯もおかわりしてその悉くを完食してみせた。

 

 

再び店長が癇癪を起こしそうになっていたが周囲の客が最初のますき達の面白半分で動画を生配信していたのだ。

 

 

 

 

しかも、配信が始まったのはちょうどますき達の賞金の件からだったらしく、完全に逃げ場を失った店長は暴れ出しそうだったのを他の客と一緒に止め、他の店員も店長に不満があったらしく店長が止めても湊先輩にラーメンを出し続けて、気が付けば店の在庫全てを食い尽くしていたのだった。

 

在庫がなくなったと聞いた途端にますきがラーメンの器を数え始めて、満面の笑みを浮かべながら

 

「ひーふーみーよー・・・・・・じゃあ、言った通り通常の倍額の賞金っすね!!出さなくてもいいっすけど動画も残ってるから、それしたら信用がた落ちっすね!!」

 

と無慈悲に店長に言い放つが、店長がそれでもいちゃもんをつけ始めるとバイトが店長の宣言通りに倍額の賞金と店の奥の金庫から引っ張り出して友希那に渡しているのをみて店長が崩れ落ちていたが、アタシ達はそのまま自分たちの分の代金を払って店から逃げてきた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな事を思い出していたら、後ろの方から声が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

「ほら友希那も紗夜も!!あれだけ食べたんだからもっと運動しろー!!走れーっ!!」

 

「「うっ・・・」」

 

「2人とも!!ウエストがきつくなって燐子に衣装直しを頼んだのは知ってるんだからね!!」

 

 

「痛っ・・・リサ・・・やめ・・・」

 

「ほら!!イヴから借りてきた竹刀で叩かれたくないならもっとしっかり走る!!」

 

 

 

「どうして湊さんにだけ・・・」

 

「紗夜にはビシバシいかない!!喜ばすだけだから!!紗夜は痩せるまでポテト禁止だからね!!」

 

「そんなっ・・・!!」

 

振り返るとリサさんが竹刀を片手に湊先輩と紗夜さんを追いかけまわしていた。

 

ダイエットのために走ってるみたいだけど、リサさんが遅れた湊先輩の尻を竹刀で叩き、それを熱い視線を送っていた紗夜さんなんて見たくなかったよ・・・

 

残念なものを見る様な視線を送っていたアタシの存在に湊先輩は気が付いたのか助けを乞うような視線を向けてくるが、アタシは即座にその視線から目をそらしてから逃げるようにして歩き出す。

 

「あーリサさん達だ~。ってトモちん?」

 

「モカ、あれは気にしたらダメな奴だ・・・とりあえず蘭達が待ってるから行こうぜ!!」

 

「・・・どゆこと?」

 

モカがアタシに聞いてくるが、それをスルーして蘭達が待っている場所まで向かうのだった。

 

 





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以下ネタ説明
53
不意に思い浮かんだ大食いチャレンジ
店員のいちゃもんは実体験()
なお友希那さんは全てをひっくり返した模様


後1回挟んで最後のスイッチ解説をしますが・・・
誰が出るかはアンケートにしましょうか・・・
ヒント1・姉妹の共演はありえません。
ヒント2・幼馴染同士の共演もありえません
ヒント()・6周年


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日・常・風・景19 これはゲームでも、遊びではない・・・

投稿です。
全力で遊びたかったけど、後半はギスギスドリドリしたかった・・・



 

 

~~~小ネタ54:仁義?なきBATTLE GAME(弦太朗争奪戦)!!

 

少年少女達はとある場所に集まっていた。

その中の1人である透子が勢いよく立ち上がるとこれから始まるゲーム名を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王様ゲーーーーーームっ!!」

 

「「「「「「「いぇぇええええええい!!」」」」」」」

 

「「い・・・いぇーい・・・?」」

 

「どうしてこうなったんだろ・・・」

 

 

「って!!ちょっと待て!!どうしてうちの蔵でやってんだよ!!」

 

「まぁまぁ有咲・・・落ち着いて・・・」

 

集まった少女達が盛りあがるが、自宅を会場にされてしまった有咲だけはそれに抗おうとして声をあげるが、それを横にいた沙綾によって宥められるがその程度では今の有咲は止まらない。

 

 

 

「沙綾がここに連れてきたんだろうが!!てか何でこんなことになってんだよ!!」

 

「それはななみが「王様ゲーム」やってみたいって言うからあたしが声かけたら集まってくれたんですよ!!」

 

「だとしても多すぎるだろ!!何で如月と各バンドから参加者が揃ってんだよ!!」

 

こうなった理由を聞きながら彼女はこの場に都合よく集まったメンツに頭を抱てしまっていた。

 

 

 

 

この場には家主の有咲以外に、元凶の七深と透子。

沙綾、つぐみ、ひまり、彩、千聖、ドMポテト狂い(紗夜)という危険人物とその餌である弦太朗。

 

完全に悪ノリで来てしまった保護者(リサ)、そして完全に巻き添えになってしまったロック、パレオ、美咲という訳の分からないメンバーが集合していたが、透子はとりあえず空気を読まずに説明を始めていた。

 

 

 

「くじを引いて王様を決めたら、王様は番号で命令を出します!!それでルールは・・・」

 

「「「「「王様の命令は絶対!!」」」」」

 

「ってことで・・・。まぁ後は常識の範囲内での命令ってことと、1回だしたら命令の撤回はなし!!」

 

「桐ヶ谷さん、もう少ししっかりと説明を・・・」

 

「あぁ、そうだ!!王様が全員の番号言って命令するのは無しで!!1回の命令で人数は3人までにしましょう!!ってことで紗夜さん!!後は流れ行きましょう!!そんじゃ・・・どうぞ!!」

 

 

 

 

 

 

「って私も参加確定かよ!?」

 

「ほら~有咲~」

 

「しゃあねぇな・・・」

 

余りにも簡単すぎる説明を終えた透子はくじを差し出すと有咲以外の全員がくじを引き、有咲も諦めた表情で残りのくじを手に取ってしまった。

 

「それじゃ行きますよ~・・・」

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私です・・・!!」

 

「ロックが最初か~・・・」

 

全員がロックに視線を向けて身構え始めるが、そんな彼女達を見たパレオは最初と言うこともあり慎重に考えていた。

 

 

 

「そうですね・・・では最初は軽い物からですよね!!・・・と言うことで次の・・・だと短いですから、今から3回命令が終わるまで2番が6番と手を繫ぐ・・・と言うのはどうでしょう」

 

「パレオが6番です!!」

 

「私が2番だよ!!」

 

「はわわ!!彩ちゃんが隣に~!?」

 

余りにも軽い物で一同は安堵し、パレオは横に推しが来るという僥倖に巡りあえていた。

誰も傷つかない平和的な初手からゲームが始まっていく。

 

 

「王様は私か、なら・・・」

 

「有咲・・・王様だからってゲーム終わらせるのはなしだからね・・・!!」

 

「はぁ・・・じゃあ3、5、12番は王様ゲームが終わるまで、この前おたえが持ってきたうさ耳のカチューシャを黙ってつけろ」

 

「「「・・・」」」

 

「つぐ~!!似合ってるよ!!」

 

「えへへ~そうかな?」

 

 

「リサちゃんも似合ってるわよ?」

 

「アハハ・・・流石にこれは千聖に褒められて、素直に喜べないかな~」

 

 

「奥沢さんはつけるのに躊躇わないんですね・・・」

 

「まぁ、ミッシェルの頭よりは軽いんで・・・。でも、これ以降はゲーム中ずっとの命令はなしにしましょう・・・」

 

王様の命令に従って、リサと美咲がうさ耳カチューシャをつけるも、2人のリアクションが薄かったせいもあってか早々に次へと進んでいく。

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!今度はパレオが王様です!!」

 

「パレオ~そろそろキツいのいっちゃいなよ~」

 

「では!!4番と8番がこれを顔に張り付けて写真を撮られてください!!」

 

「俺だ・・・ってこれなんだ?」

 

「弦太朗。それは顔パックよ?私がつけてあげるからじっとしてなさい。全く・・・こういう身体を張るのは彩ちゃんの担当なのに・・・」

 

「千聖ちゃん!?」

 

命令に当たってしまったのは千聖と弦太朗だったが、使い方が分からない弦太朗に千聖がパックをつけると2人は写真を撮られるが、顔に貼ってあるパックのせいで何とも間抜けな絵面になっていた。

 

 

 

「あはははっ!!千聖!!弦太朗とそれで並ぶの面白っ~!!ヒナ達に送っちゃお~!!」

 

「千聖さん!!これSNSにあげていいですか?」

 

「透子ちゃん。ダメに決まってるじゃない・・・!!それにリサちゃんも何してるの!?」

 

 

「これは・・・」

 

「あんまり・・・」

 

「羨ましくない・・・」

 

リサと透子が面白がっている一方で、沙綾達は千聖を可哀そうなものを見るような視線を送っていた。

そんな中で撮影が終わると2人は早々にパックを剥がして次のゲームに移るために再び全員がくじを引くが、ここから次第に皆が壊れていく。

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシだ~。ん~・・・11番が13番に勝ってると思うところを言う!!」

 

「また私・・・?つぐみちゃんに勝っている場所・・・?」

 

「なんですか?」

 

「私の方が・・・・・・わ・・・」

 

「千聖?ちょっと聞こえなかったんだけど・・・」

 

 

「私の方が!!おっぱいおっきいわ!!」

 

「千聖さん・・・しばらく出禁にしますよ?」

 

先ほどに続いてまた命令が飛んできた千聖が壊れた。

巻き込まれたつぐみは思わぬマウントの取られ方に怒りを覚えて笑みを浮かべて千聖を脅すが、その目は全く笑っていない。

 

周囲のメンバーはつぐみの豹変に驚くがゲームは続き、遂に問題がありそうな人物へと王様の番が回ってきてしまった。

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっし!!あたしだ!!」

 

「桐ヶ谷さん?分かってますね?」

 

「紗夜さん。そんな心配しなくても大丈夫ですって・・・!!」

 

ここで王様になったのはこのゲームの元凶である透子。

彼女が繰り出すであろう命令に嫌なものを感じた紗夜が催促で釘を刺しに行くが、それをのらりくらりと躱して透子が命令を繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ次の命令が終わるまで3番が10番に膝枕で!!」

 

「桐ヶ谷さん!!風紀が乱れてるわ!!如月さんが誰かにしてもらうようなことになったら・・・!!」

 

「紗夜~。落ち着きなって~この人数だよ?早々・・・」

 

透子の命令に紗夜が怒るが流石にこの人数だ。

早々弦太朗にそんな事が起こる訳がないと高を括っていたが―――

 

「って俺かよ・・・」

 

「「「「「えっ・・・?」」」」

 

彼の言葉に弦太朗に好意を持つ少女達が自分の番号と呼ばれた番号を比べるが全く一致しない現実のせいで目から光が消えると、彼女達は幸運な相手(今後の標的)を探し始めるがすぐに名乗りを挙げた。

 

「あっ!!相手は広町ですね!!」

 

「七深か・・・」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「それじゃお願いしまーす」

 

弦太朗に膝枕が出来ることを羨ましそうな視線を送っていた彼女達だったが、彼女達の視線を気にすることなく七深の方が弦太朗の膝に頭を乗せ始めた。

 

「う~ん。膝枕って初めてですけど、ちょっと固いですね~」

 

「そうか・・・?」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

 

 

「みんなも自分が王様になった時にそうすればいいじゃん~」

 

「リサさん、あんまり山吹さん達を煽らないで・・・」

 

弦太朗と七深の光景に沙綾達は狼狽え始めたが、そんな彼女達にリサは口元を緩ませて笑みを浮かべて彼女達を唆すが、美咲がそれを止めようとするが・・・

 

「「「「「それだ!!」」」」」

 

 

 

 

 

「だめだこりゃ・・・」

 

彼女達の反応を見て美咲は考えるのを辞めてしまい、そこから先は少々過激な内容へと移り変わっていく。

 

「よっし!!私が王様だ!!4番は3回目の命令が終わるまで私を膝の上に乗せる!!」

 

「4番は・・・げっ!!私だよ・・・沙綾!?マジで乗るのか!?」

 

「有咲かぁ・・・胸が邪魔だな・・・」

 

「はぁ!?」

 

 

「あっ・・・今度は広町ですね。じゃあ~8番と10番が7番をマッサージで~」

 

「いくよ・・・ロック・・・?」

 

「そういう事だから六花、加減はするから」

 

「あの美咲先輩、沙綾先輩の目がコワ・・・いたぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 

 

 

「次の王様は私だね!!じゃあ、11番が王様を後ろから抱きしめる!!」

 

「彩先輩!!私です!!」

 

「ひまりちゃんかぁ・・・」

 

次々とゲームが行われるが、欲望を丸出しにして弦太朗を狙った彼女達の命令は悉く外れていった。

落ち込んでいく彼女達だったが、ここで再びゲームが大きく動き出していく。

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「私ですね・・・。やっとゲームに参加できます・・・」

 

「紗夜だったら変なのは来そうにねぇな」

 

「でも、紗夜だよ?何しでかすか分かったもんじゃ・・・」

 

ここで遂に今まで命令に当たることなく、ただ座っていただけの紗夜に王様が回ってくる。

弦太朗は紗夜の事だから変化球が来ることはないと考えていたが、一方でリサは若干彼女に不安を覚えていた。

 

「そうですね・・・お金は後で渡しますから2番と13番の人は手を繫いで丸山さん達のバイト先に行ってハンバーガーセットを買ってきてください・・・他の皆さんも昼食それでいいなら纏めて買ってきてもらいましょう・・・」

 

「「「「さんせー!!」」」」

 

紗夜はここでまさかの買物に行かせる命令を下した。

それなりに距離があるので少しの間はゲームから離脱することになってしまうが、ゲーム中に昼食を確保できるならその方が効率がいいと判断し、若干の罰ゲーム要素を加えたが、それは1つの悲劇の始まりだった。

 

「それで・・・誰でしょうか?」

 

 

 

 

 

「・・・また俺だ」

 

「アタシ・・・」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「風紀が乱れてしまいます・・・!!認められません!!」

 

「紗夜先輩。ダメですよ!!命令の撤回は!!」

 

ここで当たってしまったのは弦太朗とリサ。

まさか男女で手を繫いで買物に行くことになってしまい、紗夜は命令を撤回しようとするが透子がそれを阻止していた。

 

弦太朗が立ち上がるとリサも頭に乗せているうさ耳へと手を伸ばそうとするが、その手は別の人間によって止められてしまった。

 

「え?沙綾?」

 

 

 

 

 

「リサさん。勝手に外したらダメですよ・・・?」

 

「そうですよ。その命令を出した有咲ちゃんはゲーム中って言ってましたから・・・」

 

「つまり買物中もゲームです!!」

 

「バガちゃん。2人が手を離さないか見張ってなさい。それとリサちゃんが耳を外させちゃだめよ」

 

「うっそ・・・」

 

彼女達が言うにはこの買い物もゲームの一環。

そのためリサが耳を外すことは禁止だという沙綾の主張に他の全員が賛同してしまい、彼女は肩を落として落ち込んでいた。

 

「うぅ・・・」

 

「リサ、さっさと買いに行こうぜ・・・」

 

「なるべく人がいない通りですぐに行くよ・・・!!」

 

「リサ!!腕引っ張んなって!!」

 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

リサは恥ずかしい姿を見られたくない気持ちが出て、弦太朗の腕を引いて蔵から出て行くとバガミールがその後を追いかけだす。

その光景に一同が無言になってしまうが、そんな中で沙綾達は邪な考えを巡らせていた。

 

「(あれ?弦太朗達が買物行ったってことは人数が減ったって事だよね・・・?)」

 

「(人が減ったら自分が王様になりやすくなるってことだから・・・)」

 

「(狙った人に命令を出しやすくなるってことだよね・・・?)」

 

 

 

 

弦太朗とリサが一時的に離脱して、参加人数が減った事によって王様になれる可能性が高まり、命令を狙い撃ちしやすくなり自身の欲を満たしやすい状況になっていた。

 

なお、命令を受けやすくなると言ったデメリットもあるのだが、今の彼女達にそんなものは見えていない。

 

「(つまり・・・ここからやるべきことは・・・自分以外の全員を・・・)」

 

「(沙綾達(色ボケ共)を・・・)」

 

「あの・・・?皆さん・・・?どうしたんですか・・・?」

 

「とーこちゃん。何か考えてるみたいだよ・・・?」

 

沙綾達と有咲達が弦太朗達が出て行った姿を見て、ラバーズと有咲は思考を巡らせると最終的には同じ結論へと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「全員K.O.するしかない・・・!!」」」」」」

 

「なんでや・・・!!」

 

「みなさん!?どうされたんですか?」

 

「とーこちゃん・・・どういうこと?」

 

「いやいや!!そもそも王様ゲームにK.O.なんて無いから!!」

 

「・・・あぁ~。そういう事か・・・・・・」

 

こうしてこの王様ゲームはただの遊びからデスゲームへと様変わりしていくことになってしまった。

 

「「「「「「「王様だ~れだ!!」」」」」」」

 

「私だよ!!じゃあ1番と4番は二人三脚で20分以内に町内1周!!20分切れなかったらやり直しだからね!!」

 

「ちょっとつぐさん!?」

 

「つぐ~!!」

 

「ほらひまりちゃん達!!早く!!」

 

まず最初にひまりと巻き添えを食らった透子が脱落し―――

 

 

「よっし!!4番と5番は私達がゲームを続けてる横で、この一昔前に流行ったブートキャンプ風のエクササイズを完走しなさい!!」

 

「・・・千聖さん!?それって確か物凄くキツイ奴ですよね・・・」

 

「えぇ・・・でも、パレオちゃんなら出来るわよね?」

 

「・・・彩ちゃん!!気合い入れていきましょう!!」

 

「ひぇぇ~!!」

 

彩とパレオが過酷すぎるエクササイズへと飛び込み―――

 

 

「あたしかぁ・・・じゃあ1番から3番は青葉さん達のコンビニまで行ってジュース買ってきて。あぁ、蔵出た後は3歩進んだら2歩下がってくださいね」

 

「えぇ!?ここからでも普通に行ったら20分くらいかかるよ・・・」

 

「ちょ!!奥沢さん!?そんなので言ったら1時間以上はかかるぞ!?」

 

「あ~・・・市ヶ谷さん。ゴメン・・・」

 

「有咲先輩、ゲームなんですから~」

 

「なんで七深ちゃんはなんでそんな乗り気なんだよ!?」

 

美咲は有咲を誤爆しなが沙綾を打ち取り、七深が2人を連れて旅立つと遂に勝負は最終局面へと進んでいた。

 

「「後4人・・・」」

 

「市ヶ谷さんを落としちゃったのがキツイ・・・!!」

 

「ひぃ~!!」

 

 

 

 

「如月さんと今井さんはいつになったらポテトを持って帰ってくるんでしょうか・・・?」

 

現在残っているのはつぐみ、千聖、美咲、紗夜、ロックの5人。

その中でもつぐみと千聖の目が完全に血走っており、その光景に冷や汗を流す美咲に空腹でポテトのことしか頭にない紗夜の事を頭数に入れていない。

 

 

 

―――次が事実上のラストゲーム可能性が非常に高い。

運悪くここまで生き残ってしまったロックは目に涙を浮かべ、紗夜も空腹の余りポテトの事で頭の中だ支配されていた。

そんな可哀そうな2人以外の3人は緊張感からか冷や汗が流れるがその手にくじを握りしめていた。

 

 

「「「「王様だ~れだ!!」」」」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

しかし、掛け声の後も誰も動きがない。

皆が自身のくじを確認していたが、そのうちの一人が拳を握りしめて上へと突き上げていた。

 

 

 

「私よ・・・!!」

 

「そんな・・・」

 

「最後に千聖さんが・・・!!」

 

 

「私は女優よ?芸能界で生き残ってた私がこれで負けるなんてありえないわ!!」

 

最後の勝者は千聖だった。

そんな彼女は自信満々に勝利宣言をしていたが、ここで彼女に悲劇が襲った。

 

 

「もう・・・ダメ・・・」

 

「彩ちゃん・・・!!あっ・・・」

 

彼女達の横で今まで動き回っていた彩とパレオだったが、彩が先に体力の限界を迎えて倒れこむ。

しかし、その倒れた先には・・・

 

「「あっ・・・」」

 

 

 

 

 

 

「やっぱり最後の敵はあやちゃ・・・」

 

「きゅ~・・・」

 

「千聖さん・・・」

 

彩の倒れこもうとした先にいたのは千聖。

突然の出来事に千聖は躱すことが出来ず、彩と千聖は互いの頭をぶつけ合うとそのまま意識を飛ばしてしまう。

 

流石に心配になったのかつぐみが千聖の元に近づこうとするが―――

 

「彩ちゃ・・・あっ・・・」

 

「パレオさん!?」

 

「よしっ・・・試合に負けたけど、勝負に勝った・・・!!」

 

「ちょっと!?そんなこと言ってる場合ですか!?」

 

彩と千聖の事に意識を持っていかれたパレオが床に滴っていた汗に足を取られてつぐみへ向かって倒れると仲良く意識を飛ばしてしまっていた。

そんなタイミングで蔵の扉が開く。

 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・みんなに見られた・・・・・・」

 

「リサ気にすんなって、みんな飯買ってきたぞ~。ってどうなってんだ?」

 

「リサ先輩!!如月先輩!!」

 

 

「ポテっ!!」

 

「うおっ!?」

 

「ふごっ・・・!?」

 

「紗夜!?」

 

このタイミングで弦太朗とリサが2人で戻ってくると同時に紗夜が弦太朗が持っていた持っていたポテト目掛けて飛び込んでくるが、咄嗟に弦太朗が紗夜を躱すと彼女は顔面から壁に激突してそのままズルズルと床へと崩れ、尻を突き出す形で動かなくなってしまった。

 

「にしてもどうなってんだ・・・?」

 

「苦しい戦いでしたけど勝負に勝ったってことで・・・とりあえずご飯にしません?」

 

「それはいいけどみんなはどうすんだ?」

 

「バカやった反省で寝かせておきましょう・・・」

 

「・・・?よく分かんねぇけど美咲が言うならそうすっか・・・ってリサも気にすんなって・・・」

 

美咲に説明にいまいち理解が出来ない2人だったが、とりあえず先に食事にすることに決めた。

弦太朗は落ち込んでいたリサを慰めながら紗夜へと視線を向けていた。

 

「紗夜の奴大丈夫か?」

 

「紗夜だったら体中の穴にポテト突っ込んどけば治るよ・・・」

 

そう言ってリサは落ち込みながらも袋からポテトを取り出し、紗夜の口や挙句の果てには鼻や耳にまでポテトを刺し始める。

 

 

 

 

 

 

「なんやこれ・・・」

 

「六花、あれが理性を失った人たちの末路だよ・・・」

 

「美咲?本当に何言ってんだ?」

 

「まぁ、後で話しますよ・・・」

 

そう言いながら美咲は買ってきてもらったハンバーガー(勝利の味)を噛み締めるのだった。

 





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以下ネタ説明
54
全力でお遊びさせた
昨今では格闘技以外にもテニヌやらサッカーでもK.O.勝利ってのがあるから多少はね・・・

次回はスイッチ解説の予定です。
アンケの結果
最後のメンバーは6周年メインキービジュアルの右から5番目のキャラ達でお送りします・・・


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装・備・解・説-8 友・情・日・常

投稿です!!
これで今回の小ネタは終了で、次回更新は本編です・・・

ハロハピ篇なぁ・・・




 

「はぁ~。薫先輩凄かったね~」

 

「うん!!薫さんめっちゃカッコよかった~」

 

「俺は・・・すげぇとは思ったけど、話がよく分かんなかったな・・・」

 

「そうだね・・・薫さん凄かったね・・・」

 

「花音さんもそう思いますよね!!」

 

「でも、私は劇もだけど・・・」

 

弦太朗はりみやひまり達と共に薫の演劇を鑑賞し終え、感想を語りながら会場を後にする。

しかし、一緒に演劇を鑑賞していた花音は不意に自身の後ろにいる人物たちへと視線を向けていた。

 

 

 

「それにしても、千聖ちゃんとパレオちゃんが薫さんの舞台を見に来たのには驚いちゃったよ・・・」

 

「えぇ、高校生最後の演劇に誘われたのだから、流石に断るわけにはいかないわ・・・」

 

「はいっ!!高校生の麻弥さんが裏方をやる最後の舞台なんですよ!!パスパレファンとしては見逃せません!!」

 

「流石にパレオの言ってる意味がまるで分かんねぇ・・・」

 

「弦太朗、大丈夫よ。パスパレの私ですら意味が分からないもの・・・。まぁ感想はこの後ご飯を食べながらでも話しましょう?」

 

 

 

 

 

 

 

「おや・・・?皆さん、こんな所で何をしてるんですか?」

 

目をキラキラさせて語るパレオに弦太朗と千聖は背後から声をかけられると、その方向へと振り返るとギターを背負った2人の少女の姿があった。

 

 

「あら紗夜ちゃんに透子ちゃん。こんにちは」

 

「どうもです!!」

 

彼らの背後にいたのはギターを背負った紗夜と透子が、特に共通点が見当たらないこの集まりを不思議そうに見つめていたがそんな彼女達に弦太朗が声をかける。

 

「それで・・・2人はこんな所で何してるんだ?」

 

「如月さんは質問に質問で返さないでください・・・」

 

 

 

「実はさっきまで紗夜さんにギターの練習見てもらってたんですよ」

 

「そうだったのか。こっちは薫の演劇見終わって飯食いに行くんだよ」

 

「そうでしたか。でしたら私と桐ヶ谷さんも同席してもいいでしょうか?」

 

「パレオは大丈夫ですよ!!」

 

「せっかくですし!!みんなで行きましょう!!」

 

「この人数ならファミレスやね?」

 

食事に紗夜達も加わることになって大所帯になった一向はファミレスへと向かう最中、更に合流するものが現れる。

 

「あの・・・なんすかあれ・・・?」

 

 

 

 

「あらバガちゃんじゃない?」

 

「あっ・・・みんなも一緒なんだね。他のみんなは・・・?」

 

そこに現れたのはバガミールとナゲジャイロイカが仲良く彼女達の前に現れるが、それが初見の透子はなんなのか全く分からずに周囲に聞くが皆がさも当たり前のように受け入れていた光景に首を傾げる。

 

「犬の子はつぐ達と一緒にお店にいると思いますよ」

 

「ソフトクリームさんにはチュチュ様のお世話をお願いしてます!!」

 

「ペンギンは今日も湊さんと一緒にいると思いますが・・・牛込さん!!ポテトの子がいません!!」

 

「多分有咲ちゃんと一緒に盆栽の手入れをしてると思いますよ・・・」

 

 

 

 

「・・・」

 

「透子?どうしたんだ?」

 

千聖と花音がフードロイドを手の中に収めると他のフードロイド達の行動をりみ達が話していたが、その光景に驚いた表情を浮かべている透子に弦太朗は疑問を感じていた。

 

「いやいや!!なんでみんな当たり前みたいな顔してんですか!?」

 

「だって・・・これ如月くんのだし・・・」

 

「慣れちゃったよね・・・?」

 

「うん・・・」

 

「あたしは初めてですよ!!」

 

慣れた様子の皆に透子が思わずツッコむが、そのツッコミに思わず紗夜が目を丸くして驚いていた。

 

 

「桐ヶ谷さんそうだったんですか?」

 

「そうですよ紗夜さん!!モニカにも欲しい!!空いてる奴ないんですか!?」

 

「空いてる子はいないよ・・・?」

 

「えぇ~!?りみさんホントですか!?」

 

りみの言葉に透子は肩を落として落ち込んでいたが、そんな中でナゲジャイロイカを見たパレオが反応を示していた。

 

「お話には聞いてましたが、この子は始めて見ましたね・・・」

 

「そういえば・・・弦太朗くんが説明してくれてる動画にも出てきてないよね・・・?」

 

「まぁ、最後までやってねぇしな・・・」

 

「でしたら今からやりましょう!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

 

 

「弦太朗くん、本当に今からやるの?」

 

「飯の後にしてもいいんじゃねぇか?」

 

「だったら今からやりましょうよ!!」

 

「桐ヶ谷さん?」

 

「紗夜さん!!大丈夫ですって!!それに見た後だったら食事の時の話のネタにもなりますし!!」

 

「いえ・・・大丈夫とかそういう問題では・・・」

 

 

 

 

「うっし!!やるか・・・!!」

 

「そうね・・・でも、場所はどうするのかしら?」

 

「う~ん・・・こころちゃんの家の人に頼む?」

 

「今まりなさんに連絡したらCiRCLEのステージが空いてるから貸してくれるって言ってましたよ!!」

 

「流石ひまりさんっ!!そんじゃ行きましょ~!!」

 

 

「ちょっと!!ポテ・・・!!」

 

紗夜の言葉は皆に届くことは一同はCiRCLEへと足を運んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ行くぜ・・・!!変身!!」

 

 

「ひっさびさに見たけど、未だに信じらんないっすね・・・」

 

「パレオも慣れませんね」

 

 

 

「私達はもう慣れたよね?りみ」

 

「うん・・・」

 

「本来見慣れたらいけない物だと思うんだけど・・・」

 

「花音の言う通りね・・・」

 

「全くです・・・」

 

CiRCLEへと移動した弦太朗はフォーゼへと変身する姿が未だに新鮮に映るような反応を示す透子とパレオ、慣れたのか何とも思わない2年生、そんな後輩たちの反応にやれやれと言った様子で見ている3年生。

 

そんな反応を示す彼女達を他所にフォーゼはスイッチを取り出していく。

 

「まずはNo.36のエアロスイッチだ!!こいつは空気を吸い込んだり出来るんだ!!」

 

 

「でも、何で下向きについているのでしょうか・・・?」

 

「そうですね・・・。あれだと足を上げないと使えないですし・・・」

 

「弦太朗さん!!それってどんくらい強いんすか!!」

 

「全開だったら、敵を吹っ飛ばすことも出来っけど・・・」

 

「こっちに向けてくださいよ~!!」

 

「「「桐ヶ谷さん!!ちょっと!!待ちなさい!!」

 

 

 

 

 

「なら、加減して・・・おらっ!!」

 

「「「「「きゃああああ!!」」」」」

 

「あっ・・・!!」

 

「弦太朗くん!!早く止めて~!!」

 

フォーゼは透子に乗せられてエアロを彼女達に向ける。

そして彼女達が吹き飛ばない程度に調整して風を送り込むと、彼女達のスカートが捲りあがり透子以外から悲鳴が上がり始めるとすぐにフォーゼはエアロを止める。

しかし、千聖と紗夜は怒った様子でフォーゼと透子に詰め寄っていた。

 

「弦太朗!!あなたね・・・!!少し考えればわかるでしょ!!」

 

「桐ヶ谷さんもです・・・!!」

 

 

 

 

 

「「スイマセン・・・」」

 

「ふえぇ・・・」

 

「まぁまぁ・・・紗夜さんも千聖さんも落ち着いて・・・」

 

「・・・そうですね。とりあえず次に行きましょうか・・・」

 

「そうね・・・でも終わったらお話があるから、覚えておきなさい」

 

「はい・・・」

 

「おう・・・次は・・・花音。一旦そいつを・・・」

 

「ふえぇ・・・うん」

 

ひまりの言葉に紗夜と千聖は一旦は怒りを抑え込んでそのまま次へと進めようとする様に命令すると、フォーゼは花音からナゲジャイロイカを回収して次へと進もうとしていた。

 

「次はNo.37のジャイロスイッチだ・・・」

 

 

 

「プロペラやね・・・」

 

「見たまんま・・・飛ぶのね・・・」

 

「そうですよ千聖さん!!パレオが見た時はあれで飛んでました!!」

 

「って俺が言う事言うなよ・・・」

 

フォーゼがジャイロで出したプロペラを見た途端に使用用途を速攻で言われてしまうと彼はそのままジャイロを回して地面から若干浮いて見せる。

しかし、それを見てふとしたことに花音が気が付いた。

 

 

「あれ?スイッチの方は羽が3つなのに・・・出た奴の羽は2つなの・・・?」

 

「それに飛ぶのだとロケットもあったよね・・・?なんで飛ぶのが2つもあるんだろ・・・?」

 

「弦太朗さん、どうしてなんですか?」

 

「羽の方は・・・なんでって言われても分かんねぇな・・・。でも、こいつは普段はこいつを動かすスイッチだからな」

 

フォーゼはそう言いながらジャイロのスイッチをドライバーからナゲジャイロイカにセットし直してスイッチを入れるとゆっくりと花音の元へと向かっていく。

そんな様子を見ていたがそこから勢いよくナゲットが飛び出してくると一目散に花音の元へと飛んでいき、それを見たひまりが驚きの声を挙げてしまう。

 

「うわぁ!?」

 

「ひまりちゃん大丈夫?」

 

「花音さん、大丈夫です。いきなり飛び出してきたら驚いちゃって・・・」

 

 

 

 

「こいつはナゲジャイロイカって言うんだ!!まぁ、このちっこいのの親玉だな!!」

 

「そんなにいるならモニカにも半分くらい分けてくださいよ~」

 

「透子ちゃん。前におっきい子に入って充電みたいなことしてたから残念だけど無理よ・・・?」

 

「えぇ~そんな~」

 

透子はツナゲットの数匹をモニカにと思ったが、千聖の言葉を聞いて残念そうに肩を落としてしまう。

それを見て見ぬふりをした紗夜はツナゲット達を凝視していた。

 

「この子達おいし・・・ではなく、この小さいのは目の形が違いますね・・・」

 

「ホントだ!!」

 

「そんでこいつらがナゲイオ、ナゲロパ、ナゲメデ、ナゲストだ!!」

 

フォーゼがツナゲット達の名前を呼ぶとそれに応えるように動き出す。

その名前を聞いたりみは名前に思い当たることがあったのかフォーゼへと思わず質問していた。

 

「弦太朗くん。それって木星の衛星の名前だよね?」

 

「そうなの?りみ詳しいね!!」

 

「おう!!ダチが名前をつけたんだ!!」

 

 

 

 

「紗夜さん、衛星ってなんですか・・・?」

 

「桐ヶ谷さん、えっと衛星と言うのは・・・」

 

「衛星って言うのは星の周りを回ってる物ですよ。地球だと月が衛星ですね!!」

 

「今調べたのだけれど、パレオちゃんの言う通りね・・・それに、確かに木星の衛星の名前と似てるわ・・・りみちゃんもパレオちゃんもよく知ってたわね・・・」

 

 

「えへへ、弦太朗くんに会ってから勉強したんですよ~」

 

りみとパレオは千聖に褒められた事に嬉しそうな表情を浮かべていた。

彼女達を見ていたが、フォーゼはそのまま次へと進んでいく。

 

「次はNo.38!!ネットだ」

 

「見たまんまだ・・・」

 

「それに小さいわね・・・使えるのかしら・・・?」

 

「これはこうやって足を振ると・・・!!」

 

 

 

「すっげー!!デカい網が出てきた!!・・・でも戦う時に使えるんすか?」

 

「前は分裂する相手を捕まえてたわね・・・」

 

「確か最初に見た時に暴れてる人たちを捕まえてたよ・・・」

 

「そう言えば日菜ちゃんが弦太朗の網に捕まったって言ってたけど、これだったのね・・・」

 

「日菜が・・・!?どういう事ですか!?白鷺さん何か知ってるんですね?」

 

「引きこもり・・・」

 

「・・・分かりました。もう結構です・・・」

 

 

 

「弦太朗さん!!次行きましょう!!次!!」

 

「うん!!」

 

「そうやね!!」

 

「はい!!」

 

 

「・・・うっし!!とりあえず次だ!!次!!」

 

紗夜はネットで日菜が捕まったというのを聞いて驚いていたが、千聖からの一言で全てを察してしまい途端に落ち込み始めたのを見た透子が空気を読んでフォーゼへ次を急かし始めると、後輩たちがその空気を感じて便乗するとフォーゼもその勢いに任せて次のスイッチを取り出していた。

 

「次はNo.39の・・・スタンパーだ!!」

 

「スタンパー・・・ってはんこですか?」

 

「紗夜ちゃんは前に・・・」

 

「前・・・?」

 

「ううん・・・多分、気のせいだったかも・・・」

 

「そうですか・・・?」

 

以前に見たはずの紗夜が見せた始めて見るような態度に花音は思わずツッコもうしてしまったが、その時の状態を思い出して紗夜をなんとか誤魔化した。

しかし、余りにも強引な誤魔化し方に疑問を持った紗夜だったが、そんな彼女に気が付いていないひまりが思わずフォーゼに声を挙げていた。

 

「でもハンコなんて何に使うの?」

 

「こいつはスタンプ押すとだな・・・」

 

「「「「「「押すと・・・?」」」」」」

 

 

 

 

 

「爆発する!!」

 

「なんでや!!そうはならんやろ!!」

 

「でも、本当に爆発するんだよ・・・」

 

「「「は?」」」

 

「確か押す強さで爆発するまでの時間が変わるんだよね?」

 

「そうだな!!」

 

「・・・流石に信じられません」

 

「でも紗夜さん、どうするんですか?」

 

信じられない答えに関西仕込みのりみのツッコミが入るが、花音はフォーゼの説明を肯定すると思わず声が挙がるが、それでも紗夜は信じられずにある提案をした。

 

 

 

「実際に見たほうが早いですね・・・」

 

「でも紗夜ちゃん?見るって言っても・・・」

 

「どうするんですか・・・?」

 

「私にいい考えがあります・・・」

 

実際に見せろという紗夜。

しかし、見せようにもスタンプを押す場所がないのにどうするのか疑問に思った花音とパレオだったが紗夜は自信満々な様子でフォーゼへと近づくと自身の両手を広げて構えた。

 

「さぁ如月さん!!キツメにお願いします!!」

 

「このおバカ!!」

 

「出ました!!最近噂の千聖さんのスリッパツッコミ!!」

 

 

 

 

「うわぁ・・・こんな紗夜さん見たくなかった・・・」

 

「透子ちゃん・・・しっかりして・・・!!」

 

「紗夜さんはその・・・最近おかしいけど・・・その・・・平気だから!!」

 

「そうだよ・・・紗夜ちゃんはその・・・変になっちゃったけど大丈夫だよ・・・」

 

「それなんの慰めにもなってないっすよ~!!」

 

「弦太朗くん!!次や次!!」

 

紗夜の馬鹿な行動に今度は千聖が最速でツッコミを入れるのを見て興奮するパレオ。

しかし、透子は目の前にいるギターの師匠の奇行に頭を抱え、それを他のメンバーが慰めるという光景が繰り広げられていたが、すぐにりみが次と言うとフォーゼは最後のスイッチを取り出した。

 

「おう!!これが最後の番号のスイッチ!!No.40のコズミックだ!!」

 

フォーゼはそういって最後のNo.のスイッチを起動するとスイッチを取り込んでコズミックステイツへと変身した。

 

 

 

「色が変わった!?」

 

「始めて見ました・・・!!」

 

 

「2人はそうだったんだ~!!」

 

「それで何が出来るんですか!?」

 

透子は目をキラキラさせてフォーゼへと声をかけるとそんな彼女に自信満々にフォーゼは答えた。

 

「ワープだ!!宇宙までいけるぞ!!」

 

「やっば!!」

 

「それと・・・」

 

フォーゼはそう言いながら右足を35番のジャイアントフットへと交換すると、続いて胸のパネルからフリーズのスイッチを押してから足を振り上げる。

 

すると彼女達の目の前には巨大な氷の足が出現した。

 

「氷の足が出てきた!?」

 

「如月さん?前にチュチュ様達と見た時は透明で良く見えなかったと思いますし・・・それに確かフリーズって冷蔵庫出して凍らせる奴でしたよね?」

 

 

 

 

「こいつはスイッチを組み合わせて使ったり出来るぞ!!例えば・・・35番と32番で氷の足を出したり。32番と2番でミサイルの爆発が氷になったするぞ!!」

 

「爆発が氷ってどういう事よ・・・」

 

「ふえぇ~」

 

出来ることのスケールの違いに驚く一同。

そんな中でまたしても花音がスイッチで気になったことを口にしていた。

 

 

 

「でも如月くん。それ他のと全然形が違うよね?」

 

「松原さんの言う通りです。それに出来ることも他のとは桁違いですね・・・」

 

「そうだな・・・。1回死んだときにこいつ使って復活したしな・・・」

 

「ちょっと待ちなさい?1回死んだ・・・?」

 

「・・・それって流星さんが言ってたやつですか?」

 

「おう。その時だ」

 

1回死んだというフォーゼの言葉に大半のメンバーが理解が追い付かない。

そんな中でその事を以前に聞いたことがあったりみはスルーして最初の頃を思い出していた。

 

「でも、最初は使えなかったんだよね・・・」

 

「ふぇ・・・?使えなかったってどうして・・・?」

 

 

 

今は問題なく変身しているし、天校にいたから使っていたはず。

それなのに最初は使えなかったというりみの言葉に花音が疑問を持ったが、フォーゼがそれに答える。

 

「こいつは天校のライダー部との絆で変身するんだけど・・・」

 

「ですが、今の如月さんはそれを問題なく使えるんですよね?」

 

「何かあったの・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ・・・パレオちゃん、ひまりちゃん。きっとそれは・・・みんなが弦太朗くんと友達になったからだよ?」

 

「牛込さん?どういう事でしょうか・・・?」

 

「天校の人たちと離れて花咲川に来たとき、最初は私しか友達がいなかったけど・・・。そこから香澄ちゃん達やみんなとドンドン友達になっていったからかなって・・・」

 

「今はあたし達との友情で変身してるってことっすね!!」

 

りみの言葉を聞いて透子が物凄く簡潔に今の状況をまとめたが、それを聞いた千聖は思わず笑みを浮かべるとそれをフォーゼに向けながら最初に変身できない理由を口にしていた。

 

 

 

 

「・・・もしかして弦太朗は天校の人たちと離れたのが寂しかったの・・・?案外かわいいところがあるじゃない」

 

「なっ!?」

 

千聖の言葉にフォーゼが狼狽えると、一同はそれを聞いてニコニコした笑みをフォーゼに向けていた。

フォーゼはそんな状況が恥ずかしくなっていったのかフォーゼは自身の後ろにワームホールを生成していたが、大半はそれが何か分からないため首を傾げるも見たことがあるりみと紗夜は驚きの表情を浮かべていた。

 

「ちょっと弦太朗くん!?なにしとんの!?」

 

「如月さんはあの穴に入って逃げるつもりです!!」

 

「じゃあ、これで今日は終わりだ!!じゃあな!!」

 

 

 

 

 

「みんな!!捕まえるわよ!!」

 

「ちょっと待ってくださいよ!?あれって宇宙までいけるって言ってましたよ!?本当に宇宙までつながってたらどうするんですか?」

 

「弦太朗は馬鹿だけど、私達が追いかけて来るかもしれないのに宇宙まで逃げるわけないわ!!」

 

「あっ!!穴がなくなっちゃった!!」

 

フォーゼがワームホールに飛び込むと千聖達は彼の後を追ってそれを追いかけようとするも、透子がそれを止めると口論になりそうになるが、そのわずかな時間でワームホールは消滅していた。

 

「桐ヶ谷さん!!なんで止めたんですか!!」

 

「ちょっと紗夜さん!?どこ繋がってるか分かんないんですよ!!普通止めますって!!」

 

「仕方ないわね!!みんな!!弦太朗を探しに行くわよ!!」

 

「「「「おぉ~!!」」」」

 

「ふえぇ~~~~~~!!千聖ちゃん腕引っ張らないで~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか弦太朗くんらしいなぁ・・・」

 

こうして逃げ出したフォーゼを捉えるために少女達はCiRCLEを飛び出すと驚いている花音の悲鳴を聞きながらりみも彼女達の後ろを追いかけていくのだった。

 





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スイッチ解説編・・・完!!
本編終了までに終わったからよし!!

フュージョンくん?
彼は本編出ないから・・・


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ハロー、ハッピーワールド!篇3-牛・熊・相・搏
牛・熊・相・搏-1 アンシンカブル ビジター


皆さん。おはこんばんちは
ふわっふわのハロハピ篇スタートです・・・()

ドウナルンダロウナー


 

「ふんぬ~!!」

 

商店街での事件が終わって土曜日の朝方に商店街には荷物を抱えた少女の何とも気の抜けた声が響いていた。

その声の主は荷物を運んでいるが、彼女の前にいる人物たちへと視線を向けていた。

 

「巴~!!弦太朗くんも手伝ってよ~!!」

 

 

 

「今はこれ以上は持てねぇよ・・・」

 

「ほらひまり。あと少しだぞ~」

 

しかし、彼らも大量の荷物を抱えているのでどちらもひまりに手を貸すことが出来ない。

そんな状況でひまりは不満そうな表情を浮かべるが、巴がそんなひまりを説得しようと声をかけていた。

 

「壊れちゃった商店街の為に如月もこうやってるんだから、あたし達が頑張んないでどうするんだよ」

 

「でも、これすっごい重いんだよ~!!蘭達もいないし・・・!!」

 

「仕方ないだろ。空いてるのアタシ達だけなんだから」

 

「確か、蘭が華道の稽古で・・・モカとつぐがバイトだろ?」

 

「あぁ、だから空いてるのはアタシ達だけなんだよ」

 

「でも、巴は大丈夫なのか?」

 

「アタシ?あぁ、商店街のみんなは分かってくれたからな。それに学校の方は蘭達もいるし、日菜先輩達や薫先輩がみんなに話してくれてるおかげで少しずつ分かってくれてるからな」

 

弦太朗の疑問に巴は笑みを浮かべて答える。

そんな彼女に安心した弦太朗は荷物を持ち直して気合いを入れ直す。

 

しかし、その後ろではひまりが荷物の重さに文句を言っていたが、ここで巴があることを思い出して呟いた。

 

 

 

「そういえば如月、手伝い終わったらつぐが店でケーキ出してくれるってよ」

 

「マジか?」

 

「ケーキ!!うん!!2人とも早く行こ!!」

 

 

 

「ひまりには出すって言ってなかったんだけど・・・」

 

「つぐの事だからみんなの分はあるだろ?」

 

文句を言っていたひまりだったが、巴が言った一言に釣られて彼女はキビキビとした様子で動き出した。

そんな様子に巴は呆れた視線を向けながらその後に続いていくが、荷物を運ぶ最中にひまりがあることを思い出していた。

 

 

 

「そう言えばバンドリの予選って今日が最終日なんだよね?」

 

「だな。あこのやつ気合い入ってたからな。そう言えば如月は誰かのライブに行かなくていいのか?」

 

「あ~・・・それなんだけどよ・・・」

 

「?何かあったの・・・?」

 

巴の質問に弦太朗が罰の悪そうな表情を浮かべていた。

その事にひまりが追及すると弦太朗は彼女達に言われたことをそのまま彼女達に伝えることにした。

 

 

「実は行こうとはしたんだけど・・・「ライブに来ないでくれ」って言われちまってな・・・」

 

「えぇ!?みんながそんなこと言うわけないよ~!!」

 

「アタシもそう思うけど・・・。他には何て言われたんだよ」

 

流石に納得がいかない様子の2人に弦太朗が言われたことをそのまま話し出す。

 

 

 

「誰のを見に行くか悩んでたらよ。チュチュの野郎が、ライブハウスじゃなくて決勝の武道館まで楽しみにしてろって言ってきて。それを香澄とか友希那に言ったら全く同じこと言ってきてよ・・・」

 

「見せるなら最高の舞台で・・・ってことか・・・熱いな!!」

 

「折角ならおっきいステージで見てもらいたいもんね!!私達のステージに来れないのは残念だけど・・・」

 

「悪いな・・・」

 

「先に約束してたんだったら仕方ないよ!!ほら早く行こ!!」

 

弦太朗の言葉に納得したの様子の2人はそのまま商店街の手伝いに戻り、気がつけばあっという間に時間は過ぎていた。

 

「やっと終わった~!!」

 

「アタシ達が出来るのはここまでだな・・・」

 

「でも、2人が変身したらすぐ終わったんじゃない?」

 

「あれをそんなにポンポン使ったらダメだろ・・・。そんなことよりつぐの店に行ってケーキでも食いに行こうぜ!!」

 

「そうだよ!!早くつぐの所に行こーよ!!」

 

「でもひまり、太るぞ?」

 

「巴~!!でも、今日は沢山動いたから大丈夫・・・!!ってあれは・・・」

 

巴が先頭に立って羽沢珈琲店へと向かおうとすると、商店街の入り口に見知った顔が立っていた。

そこにいた彼女の様子は彼らにはどこか不自然に映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「花音じゃねぇか・・・でも、なんでキョロキョロしてるんだ・・・?」

 

彼女達の視線の先にいたのは花音。

しかし、目の前の彼女は異常に周囲をキョロキョロと見まわしていた。

 

「迷子・・・じゃないよな・・・?」

 

「流石に違うだろ・・・。商店街だったら花音さんもよく来るんだから、目的の店位すぐにわかるだろ・・・」

 

「もう!!そんなの呼べば分かるよ!!お~い!!花音さ~ん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「って無視!?」

 

「もしかして・・・聞こえてねぇのか・・・?」

 

「いや、ひまりのあの声で聞こえてないってことはないだろ・・・きっと花音さん考え事でも・・・ってキョロキョロしててそれはないか・・・」

 

「こうなったら直接行こっ!!」

 

ひまりの言葉に花音はまさかの無視に弦太朗と巴は驚いていたが、そんな態度を見せていた花音にひまりはズンズンと音がしそうな足取りで歩み寄っていく。

 

 

「・・・花音さん!!」

 

「えっ・・・」

 

「もう!!さっき呼んだのに無視なんて酷いですよ~!!」

 

「よぉ、花音。何してんだ?」

 

「そういえば今日は千聖さんと出掛けるって言ってませんでしたっけ?」

 

 

 

「えっと・・・その・・・」

 

「・・・花音!!ここにいたのね・・・!!連絡もないから心配したのよ!!」

 

「千聖か!!」

 

彼らの問いに目の前の花音は狼狽え始めると、このタイミングで彼女を探していた千聖が彼らの前に現れた。

 

「やっぱり迷子だったのか・・・?」

 

「カフェに行こうって約束して、それで待ち合わせ場所に来なかったから探してたのよ・・・」

 

「そうだったのか・・・」

 

「もう・・・折角商店街に来たんだから、今日はつぐみちゃんのお店でいいかしら・・・?」

 

「あの・・・えっと・・・」

 

「花音・・・?」

 

「えっと・・・千聖・・・さん・・・?」

 

 

 

「えっ・・・?」

 

「「「はぁ・・・!?」」」

 

「えっと・・・あの・・・?どうかしましたか・・・?」

 

「すいません。ちょっと待ってくださいね」

 

「えっ・・・?はい・・・」

 

千聖の言葉に花音が答えた。

しかし、千聖は花音に「さん」付けで呼ばれたことに千聖は口を開けて呆然としてしまい、他の面々も驚きを隠せなかった。

この状況に目の前の花音は戸惑ってしまうが、そんな中で巴は千聖を回収して彼女から少し離れたところに移動して小声で話し始める。

 

「なぁ・・・花音さんだけど・・・なんかおかしくないか?」

 

「そうだよね・・・普段と千聖さんの呼び方も違うし・・・。千聖さん・・・」

 

「・・・」

 

「ダメそうだな・・・」

 

「白鷺さんが花音さんに何かした・・・ってのはないよな・・・。何かしても白鷺さんだったらすぐに謝ったりするだろう・・・そうなると・・・」

 

「前みたいに操られて・・・って訳じゃなさそうだけど・・・弦太朗くんは他に心当たりはある・・・?」

 

「あるな・・・1人が2人に分裂するってのが・・・」

 

「それか?」

 

「分かんねぇけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・?どうかしましたか・・・?」

 

「花音さん!?いえ!!なんでもないです!!」

 

「そうですか・・・?急に集まって話し始めてたので・・・」

 

話合っていた彼らだったが、流石に花音が気になって彼女達に声をかけるとそこで会議は中断されてしまった。

結論が出せずにどうすればいいか分からない状況になってしまったが、ここで千聖が復活したが、彼女の目が明らかにおかしい。

そんな千聖を止めようと考えたが、行動に移す間もなく千聖は花音の肩を掴んでいた。

 

「あなたどうしちゃったのよ~!!急にさんなんて呼ぶなんて~!!」

 

「えっと・・・あの・・・!!」

 

「具合でも悪いの!?それとも何か変な物でも食べた?・・・もしかして・・・」

 

「だから・・・その・・・話を・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなこんな所で何やってるんですか・・・?」

 

「「「美咲(ちゃん)!!」」」

 

「あっ・・・!!」

 

 

 

混乱している千聖に困惑する弦太朗達と花音。

そんな収拾がつかなくなってしまったこのタイミングで美咲が呆れながら姿を見せると、弦太朗達と一緒に花音の表情が一気に明るいものに変わっていく。

しかし、未だに千聖は慌てた様子から戻ることはなかった。

 

「美咲ちゃん!!花音が変なのよ!!」

 

「はい・・・?花音さんが・・・変?」

 

「もしかしてあなた・・・!!花音の偽物ね・・・!?」

 

「いやいや、白鷺先輩の方がよっぽど変ですって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてください~美咲”さん”・・・!!」

 

「美咲”さん”・・・?んっ・・・?えっ?はぁ!?」

 

「おい!!今度は美咲かよ!?」

 

「美咲ちゃん!!落ち着いて~!!」

 

「はっ!?」

 

花音が美咲へと助けを求めるが、今度はその声を聞いた美咲が慌てだすと弦太朗とひまりが声をかけるとその声で一気に美咲は我に返った。

 

「まずい・・・!!みんなで白鷺先輩を花音さんから引き剥がしてください!!」

 

「よく分かんねぇけど・・・任せろ!!」

 

「ちょっと弦太朗!!離しなさい!!私は花音に話が・・・!!」

 

「白鷺さんの方がとりあえず落ち着いてくださいよ・・・」

 

 

 

 

 

「助かりました・・・」

 

「あ~・・・いえ、こっちの方がご迷惑を・・・。それでいつこっちに来たんですか?」

 

「昨日です。お父様がこちらに来る予定があったんですが。私がみんなに会いたいから無理を言って着いてきたんです」

 

「あはは・・・それでここを歩いてたら花音さんを間違えられたと・・・」

 

「そうなんです・・・。周りにはこころさんの家の方がついてくれてたんですが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「もしかして花音のそっくりさん・・・?」

 

「みたいだけど・・・似すぎてわかんないよ・・・!!」

 

弦太朗が花音?から千聖を引き剥がすとそれと入れ替わる様に美咲が歩み寄って話し始める。

それを傍から聞いていた彼らはようやく目の前の彼女が花音ではないと理解し始めるが、彼らが気になったのは目の前の彼女と美咲の関係性だった。

 

「あの・・・」

 

「えっと、私・・・ハロハピとこの人は知り合いでして・・・」

 

「はい。皆さんとはお友達です」

 

「それは・・・いいんだけどよ・・・」

 

「それでそこの花音モドキは誰なのよ~!!」

 

「だから千聖さんは落ち着いてくださいよ~!!」

 

 

 

 

 

「どうしよう・・・」

 

「美咲さんのお友達なんですよね?」

 

「まぁ・・・一応・・・?」

 

「でしたら大丈夫ですよ」

 

「分かりました・・・」

 

彼女の言葉を聞いて美咲は覚悟を決めて弦太朗達に彼女の事を話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この人は二コリーナさんって言って・・・物凄く簡潔に言うとある国のお姫様です」

 

「えっ?」

 

「はっ?」

 

「美咲。マジで言ってるのか?」

 

「如月先輩。マジです・・・」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

美咲がこんなくだらない冗談など言うはずもなく、本当にお姫様を何気ない態度で紹介している美咲に、された側は余りの衝撃に言葉を完全に失ってしまった。

しかし、こんな状況で遂に紹介された側が動いた。

 

 

 

 

「花音がお姫様・・・?あばばばばばばb・・・!!」

 

「うおっ!?千聖!?」

 

「千聖さんが壊れた!?」

 

「しっかりしてください!!とりあえずつぐんとこだ!!」

 

 

 

「ふふっ。楽しいお友達ですね・・・」

 

「あはは・・・とりあえず、こころやみんなには連絡しますから・・・それまでは近くの喫茶店で待ってましょうか?珈琲とデザートはおすすめですよ?」

 

「わかりました。行きましょう」

 

目の前で慌てふためく少女達を目に花音に似た少女は美咲に提案を聞いて笑みを浮かべて答えるのだった。

 

 





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二コリーナさんってだぁれ?
ハロハピのバンドストーリー3章に出てくる花音そっくりのお姫様。
イベスト”旅立つ人へ”にも登場してる模様


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牛・熊・相・搏-2 いきなり!!国際交流会

投稿です。

千聖さんが気づかなかったのはおかしいって?
そら花音を探して焦ってたところに、本来いることがあり得ないそっくりさんと入れ替わってたらそうもなるよ・・・
ってことで1つ


 

「今、他のメンバー達に連絡もして、花音さんにはお迎えを送ったのですぐに来ると思いますよ・・・」

 

「よかった・・・!!」

 

「それにしてもよくここまで来れましたね・・・」

 

「こころさんの家の人に道を教えてもらってなんとか来られたんですよ?」

 

「なるほど・・・花音さんも道教えたらちゃんと来れるようになってくれたらいいんですけどね・・・」

 

「ふふっ・・・」

 

 

 

 

「にしても、美咲の奴すげーな・・・」

 

「あぁ・・・やっぱハロハピってとんでもないな・・・」

 

「うん・・・お姫様とあんなに・・・」

 

美咲は何気なく1国のお姫様と話している光景には流石の弦太朗も驚愕していたが、それ以上にこの空気に耐え切れなかったものがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ・・・お・・・おま・・・おまた・・・!!たたせ・・・・せしし・・・まま・・・!!こっここーひーでっでひゅ・・・!!」

 

「こっこちらが・・・!!ケッケッケーキになりましゅ・・・!!」

 

「あー・・・羽沢さん達もそんな緊張しないでいいから・・・」

 

「で・・・でも・・・美咲ちゃん!!」

 

「美咲さんの言う通りです。普段通りで大丈夫ですよ?」

 

羽沢珈琲店は商店街にあるただの喫茶店なのだが、そこを突如として1国の姫という国賓クラスのVIPをもてなす為の会場にされてしまった従業員はたまったものではない。

 

そして、そんなVIPへと商品を出すことになってしまったつぐみも、月ノ森のお嬢様であるつくしすらも目の前のお姫様オーラを前にして完全に緊張で固まってしまっていたが、そんな彼女達に当の本人は笑みを浮かべながら話しかけていた。

 

「いえ・・・ですが・・・」

 

「今は美咲さんのお友達ですから・・・」

 

「って事なんで・・・羽沢さん達・・・」

 

 

 

 

「えっ・・・その・・・分かりました・・・ごゆっくりどうぞ!!」

 

そんな緊張でガチガチになっていた2人に美咲と二コリーナの言葉が届くと、そのまま店の裏へと姿を消してしまうと、そんな2人に美咲が声を漏らしていた。

 

「あぁ・・・うん。やっぱり緊張するよね・・・」

 

「スイマセン・・・」

 

「いえ、二コリーナさんが悪い訳じゃないですから・・・」

 

2人の様子に落ち込んでしまったような表情を浮かべてしまう二コリーナを見た美咲は弦太朗達へと一瞬視線を送るとそのまま手招きをして彼らを呼ぶと彼らは視線とボディーランゲージで会話を始めていた。

 

 

 

 

 

「(美咲の奴。俺を呼んでるのか?)」

 

「(多分、アタシ達を・・・だと思うけど・・・。ほら如月、行って来いよ!!いつもの威勢はどうしたんだよ!!)」

 

「(でも、お姫様なんてどうしたらいいんだよ!!)」

 

「(いつも通りでいいんだよ!!)」

 

「(だったらひまりがいくか?得意だろ?)」

 

「(荷が重いよ~!!)」

 

「(後でますきのところでバナナ買ってやるから)」

 

「(やった~!!バナナだ~!!ってそんなんじゃ釣られないよ!!)」

 

「(仕方ない・・・こうなったら3人で行くぞ!!)」

 

「(千聖はどうすんだ?)」

 

「(千聖さんは・・・寝てるからそっとしておこう・・・!!)」

 

彼らはそのまま会話を終えると意を決して美咲達がいる席へと歩み寄っていくと、最初に弦太朗が話しかけ始めていた。

 

 

 

「あー・・・その・・・さっきは悪かったな・・・話も聞かないで」

 

「って言っても最初はひまりのせいだけどな・・・」

 

「ちょっと巴~!!」

 

「気にしてませんから・・・大丈夫ですよ?でもあちらの・・・千聖さん?は大丈夫ですか・・・?」

 

「そりゃ・・・迷子の花音だと思って話しかけたら他人みたいな態度をされた挙句、そのそっくりさんが実はお姫様だったんだから驚きもするだろ・・・」

 

「アタシ達はそれ以上に美咲が普通に話してる方に驚いたけど・・・」

 

「色々あったからねぇ・・・最初は花音さん見て向こうの人たちが驚いてたし・・・」

 

「そう思うと私はあの時の花音さんと一緒の体験が出来たってことですか・・・?」

 

「あ~・・・まぁそうですけど・・・」

 

 

 

「見た目一緒でも・・・やっぱり別人だな・・・」

 

「そうだな・・・花音さんと違って凄い落ち着いてるし・・・」

 

「ていうかそれ以上にメンタル強すぎない・・・?」

 

彼らの会話で一気に笑顔を取り戻すが、それを見て巴達は驚いた表情を浮かべながら思わず呟いてしまっていたが、ここで店の扉がいきなり開かれると同時に声が響き渡った。

 

 

 

「あっ!!本当にニコリンだ!!やっほー!!」

 

「やぁ・・・久しぶりだね・・・」

 

「はぐみさんに薫さん!!お久しぶりです!!」

 

薫とはぐみが店に現れると美咲と共にいた二コリーナへと歩み寄ると彼女は先ほど以上に笑顔を浮かべると、そのままはぐみ達の話がどんどん膨らんでいく。

 

「二コリーナも元気そうだね」

 

「はい。みなさんも元気そうで安心しました」

 

「うん!!こっちに戻ってからもいろんなことがあったんだよ!!」

 

「あぁ・・・ハピネールから帰って来てから、新しい友達も出来たからね・・・」

 

「新しい友達・・・?」

 

「そこにいる弦太朗さ・・・」

 

「そうだよ!!ゲンちゃん先輩はかめ・・・!!」

 

「はーい!!はぐみ~ちょっと静かにしようね~!!」

 

 

 

「かめ・・・?」

 

「あ~!!カメラ!!カメラ!!今は手元にないけど変わったカメラとか持ってるの!!」

 

「そうなんですか・・・?」

 

 

 

 

「ふえぇ~ごめんなさい~!!」

 

「花音さん・・・!!」

 

「二コリーナさん!!」

 

 

「わぁ・・・本当に花音ちゃんとそっくりだ・・・」

 

「花音!!それに彩も一緒か」

 

話が盛り上がる彼女達だったがはぐみが弦太朗の事をバラシてしまいそうになったのを見てすぐさま美咲がそれを止めに入る。

 

そんな行動に不審がった二コリーナは首を傾げるが即座に美咲がそれを誤魔化すと店の扉が再び開かれて、そこから花音が彩に連れられてやってくると再び笑みを浮かべて再開出来たことを喜び合っていた。

 

そんな中で彩は弦太朗達の方へと歩み寄るとその近くに寝ていた千聖の存在に驚きの表情を浮かべていた。

 

「如月くん・・・!!って千聖ちゃんはどうしたの?」

 

「花音と二コリーナの事を間違えてな・・・」

 

「そうだったんだ・・・。でも、こんなに似てるなんて・・・知らなかったら間違えちゃうよ・・・」

 

「2人が並んでると間違えちゃいそうですよ~・・・」

 

 

 

 

「う~ん・・・」

 

「あっ!!千聖ちゃん!!」

 

弦太朗から理由を聞いた彩は苦笑いを浮かべると、一同の気持ちをひまりが代弁するとそれに同意するように頷き、次第に騒がしくなる店内で千聖がうめき声を上げ始めていた。

 

 

 

「あ・・・ちゃ・・・?」

 

「千聖ちゃん・・・!!」

 

「・・・!!」

 

千聖は未だに混乱しているようでハッキリとしない言葉出すことが出来ていない。

そんな彼女を心配する一同だったが、千聖は先ほどまでの出来事を思い出して顔が青くなっていくと目の前にいた彩の肩を掴んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かっ・・・!!かののがおひなさまで!!(かっ・・・!!花音がお姫様で!!)こっけっここおよ~!!(国際問題よ~!!)

 

「「「「はい?」」」」

 

「何言ってんだ?」

 

「「えっと・・・千聖ちゃん(さん)?」」

 

「花音・・・!!」

 

混乱している千聖は完全に呂律が回っておらず、言いたいことがハッキリと口に出せない。

皆が彼女の言葉に首を傾げていたが、花音と二コリーナは同じタイミングで千聖へと声をかける。

 

 

 

花音の声が耳に届いた千聖は勢いよくその方向へと顔を向けると、2人は気まずそうな表情を浮かべながら千聖に右手を振っていた。

 

 

 

 

―――顔が、声が、挙句の果てには振る腕の動きから何までが完璧に一致する。

 

そんな目の前に光景を彼女の頭は処理出来ずに完全に目を回し始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かのんがいっぱいよぉ~・・・」

 

そんな言葉を残して千聖は再び意識を飛ばしてしまった。

 

「千聖ちゃん!?しっかりして!!」

 

「「ふえぇ~!?」」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと3人でナチュラルに面白いことしないでくださいよ・・・」

 

意識を失った千聖に声をかける彩に、何故か花音の口癖を口にしながら慌てる花音と二コリーナ。

そんな面白過ぎる光景に美咲は思わずツッコミを入れずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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牛・熊・相・搏-3 予感


さーてと・・・そろそろヤるか・・・

と言うことで投稿です。


 

千聖が再び意識を失ってから遅れる数分。

ここでハロハピで遅れていた最後の1人が勢いよく店の中へと入ってきた。

 

「二コリーナ!!」

 

「こころさん・・・!!お久しぶりです!!」

 

「おや、こころ。いきなり抱き着いたら危ないよ」

 

「それもそうね!!」

 

「ミッシェルはまだかな~?」

 

 

 

 

 

 

「そうだ!!いつまでもここに居るわけにも行かないだろうし!!ハロハピのみんなで街を案内するのはどうでしょうか?はぐみちゃんのお店とかこころちゃんが通っている花咲川とかがいいんじゃないかな!!」

 

こころの登場に完全に暴走寸前のハロハピへとつぐみが提案をしていた。

その言葉を聞いてこころ達(3バカ)は少しだけ考えるような素振りを見せるとすぐに笑みを浮かべていた。

 

「つぐみ!!素敵な考えよ!!」

 

「さっすが~!!」

 

「儚い・・・!!」

 

「学校・・・!!それは素敵ですね!!」

 

 

「ちょっと!?」

 

「ふえぇ~!?」

 

つぐみの提案に3人だけではなく二コリーナも賛同すると、彼女たちは完全に店を出る空気になっていた。

まさかに二コリーナまでもがこころ側についてしまったことに残された美咲と花音も驚きを隠せなかった。

 

「それはいいけど・・・羽沢さん・・・」

 

 

 

「美咲ちゃん!!私まだ仕事があるから・・・!!それに折角なら6人で行ったらいいんじゃない!?」

 

「そうですね・・・!!私もバイトが終わったらましろちゃん達と香澄先輩達のところに行く約束があるので!!」

 

「アタシもこの後にRoseliaのライブを見に・・・ってそろそろ行かないと遅れそうだな・・・悪いな!!」

 

「私はこの後バイトが入ってるから・・・!!」

 

 

 

「私も・・・夕方からパスパレのみんなとパレオちゃんのライブを見に行く約束があるから・・・!!」

 

つぐみは苦笑いを浮かべて答えてから視線を横にいたつくし達へと向けると、彼女達もこの後の予定を嬉々として語り始めていた。

 

「せっかくの再会なんだから・・・俺が邪魔するわけには・・・「如月先輩?流石に後輩が困ってるのを見捨てたりなんてしないですよね?」美咲・・・?」

 

 

 

 

 

 

「し!!な!!い!!で!!す!!よ!!ね!!」

 

「おう・・・」

 

「それじゃ行きましょう!!」

 

全員に裏切られたかのような感覚を覚えた美咲だったが彼女はなりふり構わず弦太朗の言葉を遮ってまで彼に笑みを浮かべて道連れにしようとしていたが、弦太朗も必死過ぎる美咲を見て早々にが折れてしまった。

 

弦太朗が折れたのとほぼ同じタイミングでこころが二コリーナの手を引いてはぐみと薫と共に店を飛び出していくと、その後ろではそそくさと黒服が出てきてはぐみ達の分の会計を済ませていた。

 

そんな光景に半ば呆れながら美咲達もその後を追って店を出て、こころ達を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「これがうちのコロッケだよ!!」

 

「これがはぐみさんの・・・!!」

 

「えぇ!!とっても美味しいのよ!!」

 

「ふふっ・・・熱いから気をつけて食べるんだよ?」

 

店を出てすぐにこころ達ははぐみの実家のコロッケを手に持っていた。

そんな彼女達を見て思わず美咲からは黒い感情がにじみ出てしまっていた。

 

 

 

「羽沢さん達め・・・逃げたな・・・」

 

「美咲、落ち着けって・・・」

 

「如月先輩?私は落ち着いてますよ・・・?こころも加わった特大の面倒ごとを押し付けられたなんて思ってませんからね?」

 

「あはは・・・」

 

「まぁ・・・無いとは思いますけど、二コリーナさんが狙われたりするかもしれないですからね?その時は如月先輩がなんとかしてくださいよ?」

 

「そん時は・・・任せとけ!!」

 

「それと如月先輩は面倒ごと起こさないでくださいよ?これ以上負担が増えたら・・・」

 

「「増えたら・・・?」」

 

 

少しだけ毒を吐きながら4人へと視線を向けて、最初は面倒くさそうな表情を浮かべていたが、そんな彼女は目の前で楽しそうにしているこころ達を見ると小さい笑みを浮かべていたと思った途端に彼女の表情が曇る。

そんな美咲に花音と弦太朗が声を揃ってしまうが、美咲は曇ったままの表情を浮かべながら彼らにボソリと呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ以上面倒ごとが増えたら、私の胃が死ぬんで・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

「おう・・・」

 

 

 

「美咲~!!花音~!!弦太朗~!!」

 

「こころ、分かったから・・・ほら行きますよ・・・」

 

美咲の表情に何も言うことが出来ない弦太朗はただただ彼女の言葉に頷くことしかできず、弦太朗達は先を行くこころ達の後に続いて街を回っていく。

 

 

 

 

―――商店街を回った後に薫の通う羽丘を見て、こころ達が通う花咲川を見終わった彼女達は楽しそうに笑っていた。

 

その光景に弦太朗はこちらの学校に来た当初、香澄達に案内されていたことを不意に思い出して感傷に浸っていたが―――

 

「如月くん・・・?電話なってるよ・・・?」

 

「ん・・・?誰だ?」

 

―――それは1本の電話によって一瞬にして破壊されることになる。

 

 

「・・・もしも・・・『如月くん!?』・・・まりなさん!?もう起きて大丈夫なんすか!?」

 

『うん・・・ちょっと体がだるいけど・・・ってそんなこと言ってる場合じゃなくて・・・!!』

 

その電話は先日の事件で倒れたはずのまりなだったが、そんな彼女からの電話に弦太朗は驚きを隠せなかった。

 

「なんかあったんすか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『CiRCLEにこの前のが出たんだよ~!!』

 

「なっ!?またあこが狙いか!?」

 

まりなの言葉を聞いた弦太朗は、CiRCLEに現れたのがこの前逃がしてしまったタウラスの事だろうと察して驚愕の表情を浮かべていた。

 

CiRCLEにいるのはRoselia―――

先日の件で巴をおびき出すためにタウラスが再びあこを狙ったと考えた弦太朗はそのままCiRCLEへと駆け出そうとするが―――

 

『せいっ!!』

 

「・・・巴!?」

 

『巴ちゃん!?なんでいきなり蹴り飛ばしてるの~!?』

 

『まりなさん、ちょっと電話借りますね~?もしも~し、弦太朗?』

 

 

 

 

「・・・!!リサか!?」

 

『えへへ~当たり~』

 

彼が駆け出す前に電話の向こうでは巴の声が聞こえてきてその足を止めてしまった。

どうやら巴が相手を蹴り飛ばしているらしく、その光景に慌てだしたまりなからリサがスマホを奪っているらしい。

が、弦太朗はそんなことよりも向こうの状況の方が気になっていた。

 

「それでまたウシが出たのか?」

 

『牛?ううん。それはいないかな~?』

 

「分かった!!すぐ行くから・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ~!!如月く~ん!!」

 

「花音さん。とりあえず落ち着いて・・・!!何があったんですか?」

 

「えっと!!今、麻弥ちゃんから連絡があったんだけど・・・dubにも出たんだって・・・!!」

 

「「はぁ!?」」

 

状況を聞いて弦太朗がCiRCLEへと駆け出そうとするが、その背後では花音がもう1か所で起きている状況を伝えると弦太朗だけではなく美咲からも声が挙がってしまっていた。

 

「それで花音さん?どうなってるんですか?」

 

「えっと今イヴちゃんが頑張ってるみたいだけど・・・」

 

「如月先輩は若宮さんの方に・・・!!宇田川さんには最悪あれがありますから・・・!!」

 

「・・・おう!!」

 

美咲は弦太朗にイヴの方へ行くことを提案するとすぐに彼はその提案を呑んだ。

巴には最悪スイッチがあるので時間位は余裕で稼げると踏んだが、あまり使うべきではないというのは以前に話していたので、弦太朗は電話に向かって声を挙げていた。

 

「リサ!!巴にスイッチはあんまり使うなって伝えてくれ!!」

 

『うん・・・!!巴!!スイッチは・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

『スイッチ・・・!!分かりました!!』

 

『うん・・・っていきなり使わないの!!・・・また何かあったら連絡するから!!』

 

「おい!!ちょっと!?・・・って切れやがった・・・」

 

「宇田川さんがその状況なら大丈夫ですよ」

 

「ならイヴの方に行ってくる!!」

 

「如月先輩!!その前に携帯貸してください」

 

「そっか・・・今はミッシェルがねぇのか・・・。ほらよ」

 

「如月くん。気をつけてね?」

 

 

 

「・・・すぐ戻るからな!!」

 

弦太朗はスイッチを使うなと言ったが、リサの電話の反応を聞くに巴はそれを即座に使用したらしいが確認する前に電話が切れてしまったが、巴がヴァルゴのスイッチを使った状況なら余程の事が起こらない限り問題はないだろう。

 

本来ならミッシェルがないと言う理由にもなっていない言葉だが、今の彼らはそれを不思議とすら思うことなく、弦太朗は美咲にマグフォンを投げてからそのまま駆け出していく。

 

 

そんな光景を見ていたこころ達は不思議そうに彼らに視線を送っていた。

 

「花音さん・・・?あちらで何かあったのでしょうか?」

 

「弦太朗も電話していたわね?」

 

「二コリーナ、こころも大丈夫さ。あっちは彼らに任せてこっちを楽しもうじゃないか・・・。美咲、次はどこに行こうか・・・?」

 

そんな光景に見た薫は咄嗟に美咲に話を振っていた。

ここでいつものようにこころやはぐみに話を振っていたら、十中八九弦太朗を追いかけようとするであろうことを察してあえて美咲に話を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん・・・あっ!!そう言えば戸山さん達がライブするから行ってみようよ!!」

 

「でも、美咲??友希那やレイヤ達も別のところでやってるわよ?」

 

「チケットもあるかな~?」

 

「・・・香澄ちゃん達のところでいいんじゃないか?ライブ見てすぐにはぐみちゃんのお店に戻って休めるからね?チケットなら当日券があるから大丈夫さ・・・それに、Galaxyの店長だったらきっと入れてくれるさ・・・」

 

「そうね!!だったらそうしましょう!!」

 

「ライブですか・・・?」

 

「うん!!はぐみ達の友達なんだ~!!ニコリンにも紹介するね!!」

 

「はい・・・!!」

 

弦太朗の事が気になったが、それ以上にはぐみ達の友達が気になった二コリーナは笑みを浮かべて答えると一同はそのまま商店街へと歩き出していく・・・

 

 

 

 

 

―――しかし、そこには悪意が待ち構えていることを彼女達は知る由もなかった。

 





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牛・熊・相・搏-4 2/3の不明瞭な闘争

投稿です。
さーてと・・・
バチバチドリドリ・・・?
まぁタイトル見れば残ったのは分かるよね・・・?


 

「ソイヤッ!!」

 

ヴァルゴに変身した巴が手始めにダスタードを殴り飛ばして塵に返すと、残っていたダスタード達を指差しで数えていた。

 

「残りが1,2,3,4,5か・・・」

 

「巴!!」

 

「巴ちゃん!?」

 

 

「まりなさん・・・リサさんもすぐに片付けますから・・・」

 

リサに声をかけたヴァルゴは地に足を着けたまま翼を広げて構えてから翼を羽ばたかせた。

 

 

 

 

「「きゃあああああああああ!!」」

 

ヴァルゴの羽ばたきと共に風が吹き荒れ、CiRCLEの扉を激しく揺らし、カフェテリアの机といすをなぎ倒す。

その風に巻き込まれたリサとまりなが声を挙げたのと同時にヴァルゴが突如として姿を消した一瞬で1体のダスタードへと距離を詰めていた。

 

「らぁ!!」

 

声と共に振るわれたヴァルゴの拳はダスタードの腹を突き破るとダスタードの姿が消えるが、ヴァルゴは止まることなく手に持っていた杖を両手で握りしめるとバットのように構えて―――

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

下から上へと振り上げるような全力全開のフルスイング。

それが腹部に直撃したダスタードは上下で身体が二つに割れ、頭部に直撃したダスタードの頭が弾け飛ぶと塵になって消える。

 

 

 

 

「リサ、あなた何をして・・・ってこれは・・・!?」

 

「おねーちゃん・・・!!」

 

 

「あこちゃん・・・」

 

「湊さんも宇田川さんも危険ですよ!!」

 

「ちょっとみんな!?なにしてんの!?ってやばっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「こっちに・・・来てる・・・」

 

 

そんな戦闘中にもかかわらず、騒ぎを聞きつけたRoseliaの面々がCiRCLEから出てきてしまっていた。

そんなRoselia達の元へと残ったダスタード達が駆け出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい・・・なにしてんだ・・・」

 

その行動にヴァルゴの怒りが爆発した。

ダスタードとの距離が開いてしまったがヴァルゴは即座にワームホールを生成し、そこへ自身の腕を突っ込むとその腕はダスタードの背後から首を正確に捕まえていた。

 

「逃げんなよ・・・!!」

 

その言葉と共にダスタードはワームホールに引きずり込まれて、ヴァルゴの目の前へと引きずり出される。

 

 

 

「せいやっ!!」

 

ヴァルゴはダスタードを捕まえたまま再び翼を広げると今度は空へと飛び上がるとそのまま上へとめげけてダスタード達を投げ捨てると、ヴァルゴは上空へ投げられたダスタードと同じ速度で落ちていくが、その最中にヴァルゴは自身の周囲に重力弾を浮かび上がらせていた。

 

「吹っ飛べ・・・!!」

 

ヴァルゴの声に合わせて弾が発射されると、自身より上にいるダスタード達へと直撃すると爆発を伴って後肩も無く消滅させると、ヴァルゴはゆったりと地面へと着地すると同時にスイッチを切って巴の姿へと戻っていく。

 

「本当に・・・変身するんですね・・・」

 

「何度見ても、信じられませんが・・・」

 

「そうね・・・」

 

「おねーちゃん!!」

 

「あこ!?」

 

「如月くんだけじゃなくて、巴ちゃんもそうなるのはね~」

 

「ってまりなさんももう大丈夫なんですか?」

 

「あはは~。私は1日休んだから~・・・」

 

一旦は戦闘が終わって驚きつつも安心した彼女達だったが、その中で1人だけは安心とは全く違う表情を浮かべていた。

 

「と~も~え~!!」

 

「えっと・・・リサさん?・・・どうしたんですか・・・?」

 

「あはは~・・・」

 

そこにいたのは満面の笑みを浮かべていたリサだったが、目だけは全く笑っておらず流石の巴もそんな彼女に怖気づいていたが、リサはそんな巴に笑い声で答えたが、その笑い声はすぐに怒声に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「巴!!人の話を全く聞かないで!!」

 

「えっと・・・あの~・・・」

 

「言ったよね?使うなって・・・!!」

 

「えっと・・・そうでしたっけ・・・?ねぇ、まりなさん?」

 

「えっ・・・っと、言ってたような・・・?」

 

怒られた巴は思わずまりなに助けを求めたが、速攻でまりな見捨てられたことに巴は冷や汗を流してリサを見るが、未だに彼女は笑みを浮かべていた。

 

「とりあえず・・・楽屋・・・行こっか?」

 

「えっと・・・ライブ前ですし邪魔に・・・」

 

 

 

「いこっか?」

 

「・・・はい」

 

 

「リサのお説教が終わるまで・・・私達はカフェで休んでましょう・・・」

 

巴は逃げ出そうとするがリサの圧に押されてしまい、そのままライブ直前までお説教を食らう羽目になってしまっていた。

 

 

 


 

「も~!!彩ちゃん達おそーい!!」

 

「ヒナさん。落ち着いてください~!!」

 

「仕事でRoseliaのライブのチケットが買えなかったし~!!」

 

ジブン達はdubの入口で彩さんと千聖さん達を待っていますが、日菜さんがもう待ちくたびれたみたいでさっきから文句を言ってイヴさんが宥めるのを繰り返しています。

 

それにしても・・・

 

「あの千聖さんが松原さんのそっくりさんを見て倒れたなんて聞いたときは驚きましたね・・・」

 

 

 

 

「そうだよ!!私も花音ちゃんにそっくりのお姫様見たい~!!」

 

「確か・・・ハピネールのお姫様ですよね?」

 

「イヴちゃん知ってるの!?」

 

「いえ、国の名前だけしか知らなくて・・・私も会ってみたいです!!」

 

2人の関心が彩さん達から松原さんのそっくりさんの方に向いたのはいいんですが、あっさり忘れられる彩さん達に若干同情しそうになってしまいますが、そんなことを考えてたら急にdubの中が騒がしくなってきました。

 

 

 

でも変ですね・・・

まだライブまで時間があるはずですが・・・

 

「ん~?なんか中が騒がしいね~」

 

「何かあったんでしょうか・・・?」

 

 

「・・・!!」

 

「ちょっとイヴさん!?」

 

「麻弥ちゃん、いくよ~」

 

日菜さんの言葉に軽いノリで返していたんですが、ライブが終わったわけでもないのにdubから人が飛び出してくる。

それを見て流れに逆らうようにイヴさんがdubへと入っていき、日菜さんもジブンの腕を掴んでイヴさんの後を追いかける。

 

「どこでしょうか・・・」

 

「ステージじゃない?」

 

dubの中ではイヴさんが周囲を見てましたが、後から来た日菜さんの言葉に従ってステージへ入っていく。

 

 

 

「うっそぉ・・・」

 

「どうしてですか・・・!?」

 

「とりあえずゲンちゃんに連絡しないと・・・!!」

 

「ジブンは・・・とりあえず一緒にいるはずの松原さんに連絡してみます!!」

 

目の前には以前にも見た黒い人達がフロアで刀をチラつかせていたのを見て全てを理解して、日菜さんは如月さんに連絡をとろうとしているのを見た。

 

でも、RASだけじゃなくてRoseliaやポピパのところにも出てるかもしれないという不安が頭を過ったジブンは如月さんと一緒にいるはずの松原さんへと連絡を入れる。

 

「でも・・・みなさん。これに驚いて逃げたんですね・・・!!」

 

 

 

 

 

「ちょっと!!なんの騒ぎよ・・・って!?」

 

「マジかよ!?」

 

「チュチュ!!ますき!!どうし・・・!?」

 

「キング!?それにみなさん!?」

 

そんな中でステージの袖から騒ぎを聞きつけたキング達が出てくると、フロアを見て驚いた表情を浮かべていた。

 

しかし、そんな状況がすぐに変わっていく。

 

「ってこっち来たぞ!?」

 

「とりあえず!!逃げるよ!!」

 

「チュチュ様!!逃げましょう!!」

 

「ちょっとパレオ!!」

 

 

黒い人のうちの1人がRASの目掛けて駆けだしていくと、みんながステージの袖から逃げようとしてましたがロックさんが追いつかれてしまい、背後から斬りかかろうとしていました。

 

「やっべ!!ロック!!」

 

「うわぁ!?」

 

 

 

キングが声を挙げるのと同時にロックさんは足元にあったケーブルに足を取られてその場で転ぶと刀はロックさんの頭の上を通り過ぎていきました。

でも、転んですぐに起き上がれないロックさんはそのまま後退りをするが、確実に追い詰めようとしたのは黒い人はロックさんににじり寄って、再び刀を振り下ろすがそこに素手のイヴさんが割り込んでいた。

 

「・・・!?」

 

「イヴちゃん!?」

 

「いやぁああああ!!」

 

 

 

割り込んだイヴさんが斬られた様に見えたロックさんとパレオさんが声を挙げ、ジブンも全く声が出せなかった。

でも刀はイヴさんの身体を傷つけるようなことな白イヴさんが腕を伸ばしていた当たりで完璧に停止していた。

 

寸止めだと思いましたが、そんなことをする理由が分からないジブンの頭はパンクしそうになりましたが、その寸前でイヴさんの手元で何かが光るのを見つけた。

 

「何か持ってますね・・・?」

 

 

 

 

 

「あれって・・・イヴちゃんの家の鍵?」

 

「鍵?」

 

「うん・・・!!あれで刀の根元を抑えてるんだよ!!」

 

「そんな!?日菜さんじゃあるまいし!?」

 

「麻弥ちゃん!?あたしにも出来ないよ!?」

 

どうやらイヴさんの手元で光っていた物の正体は家の鍵。

ジブンではよく分かんなかったですが、横にいた日菜さんですらイヴさんの手元を見て状況を解説してくれましたが、流石に驚きが隠せませんでした。

 

あんな5cmにも満たないような物で刃を止めるなんて人間業では信じられず、ジブンから思わず漏れた言葉に日菜さんがツッコんでますがそんなのを気にするほどの余裕はない。

 

「はぁ!!」

 

 

 

「イヴちゃんが巴ちゃんみたいに蹴った!!始めて見た!!」

 

そんな中でイヴさんは刀を抑えたまま横腹を蹴りこんでステージから叩き落しましたが、それだけ。

全くダメージが入っている様な様子はないですが、イヴさんはステージを降りると相手がイヴさんに目標を定めたように動き出して周囲を囲み始める。

 

「イヴちゃん!!」

 

 

 

 

「武器はありませんが・・・避けるだけなら!!」

 

黒い人たちがイヴさん目掛けて刀を振り始めますが、イヴさんは前後左右から飛んでくるその全てをひたすら避け続けるのを繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな時にイヴさんの正面にいた黒い人がいきなり地面に倒れて消える。

 

訳が分からなかったが倒れた背後の風景が突如としてブレると、そこから変身した如月さんが姿を現した。

 

 

「如月さん!?どこから出てきたんですか!?」

 

「遅れて悪いな!!これ使ったんだよ」

 

如月さんは黄色い姿で出てくると、その場で手に持っていた武器を振って黒い人を追い払う。

驚いていたジブンに如月さんは自身の右足を見せると、そこには最初に見た時に使っていた姿を消せるやつがついていた。

 

「にしても・・・よく無事だったな・・・」

 

「これがブシドーです!!」

 

 

 

 

 

「ゲンタロウ!!ライブまで時間がないわ!!とっととFinishよ!!」

 

「おう!!イヴ!!」

 

「はい!!」

 

2人が会話していた中でチュチュさんが如月さんに指示を出すと、それに答えるように如月さんが動き出し武器にスイッチを入れようとしていて、イヴさんは全速力でジブンの方へと走るとフロアから飛び出す勢いで如月さんから距離を取る。

 

 

―リミットブレイク―

 

 

 

「ライダー100億ボルトバースト!!」

 

武器からの声を共に如月さんはフロアの床に武器を突き立てるとその周囲には元気が流れ始めると、次々と黒い人たちを爆発させていく。

 

その爆発が止むと、そこには如月さんだけが立ちすくんでいた。

 

「ふぅ・・・」

 

 

 

「ゲンちゃ~ん!!」

 

「如月せんぱ~い!!」

 

「うおっ!?日菜!?ロック!?」」

 

戦いが終わった安心からか日菜さんとロックさんが如月さんにしがみつき始める。

 

流石にこれは彩さんと千聖さんには見せられない。と考えながら前の3人を笑いながら見ていたが他のRASのメンバーも如月さんの元へとやってくる。

 

「弦太朗・・・そのありがとう・・・」

 

「ありがとうございました!!」

 

「レイもパレオも気にすんなって。でも、何でお前らも襲われてんだ?」

 

 

 

 

 

 

「お前ら”も”・・・?」

 

「ゲンタロウどういうこと?」

 

如月さんの言葉に引っかかりを覚えたジブンは思わずそれを言葉にすると、チュチュさんがすぐに如月さんへと聞き返していた。

 

それを聞いて如月さんも答えていた。

 

「よく分かんねぇけど、友希那達のところにも出たんだってよ」

 

「ミナトユキナ・・・って事はRoseliaね?」

 

「あぁ、でも巴がいるから問題ねぇだろ?」

 

「そう・・・」

 

本来なら大丈夫には思えないが、宇田川さんがいるから問題ない。

その言葉に納得したジブン達、でもその中でロックさんだけは不安そうな表情を浮かべていた。

 

「ロックさん?どうかされました・・・?」

 

「ポピパさん達は大丈夫やろか・・・?」

 

 

 

 

「香澄達?なんでだ?」

 

「いえ、今日ポピパさん達もライブするはずですし・・・」

 

「でも、大会の予選って今日までだし、他のところでもライブするよね?」

 

 

 

 

「そうよ・・・今日が最終日なのよ!!」

 

「チュチュ?どういう事?それが花ちゃん達に関係あるの?」

 

「もうちょいあたし達に分かるように説明しろよ」

 

ロックさんの不安に如月さんと日菜さんが疑問を持っている様な表情を浮かべていましたが、チュチュさんだけはハッキリと思い当たる節があるようでハッとした表情を浮かべていたが、その理由はチュチュさんだけにしか分からない。

 

全員の視線が集まったがチュチュさんが口を開いた。

 

「今日が予選最終日でもう殆どのバンドはライブを終えて、これからライブする方が少ないはずよ・・・」

 

「今までの投票数で考えると決勝はRASとRoselia。票の伸び方を考えるとPoppin'Party も可能性がある・・・ってチュチュ言ってたよな?」

 

「マスキング、その通りよ。まぁ・・・RASの決勝は確定だとしてRoseliaも決勝の進出の最有力よ?そこも襲撃されたとなると・・・。妨害するために決勝出る可能性がありそうなPoppin'Partyをターゲットになる可能性は高いわね」

 

「なんでそんなことすんだよ!?」

 

「知るわけないでしょう!?それに妨害するにしては遅すぎよ!!なんで最終日なのよ!!やるならもっと前からやならきゃ効果が薄いわよ!!」

 

「はいはい。チュチュも弦太朗も落ち着いて・・・」

 

口論になりそうな2人の間にレイヤが颯爽と割り込むと、頭が冷えたのか2人は若干だが冷静になるのを見たレイヤが笑みを浮かべて弦太朗へと向き直った。

 

「だから弦太朗はすぐに花ちゃんのところに行って?」

 

「レイ、お前も弦太朗のこと言えねぇぞ?」

 

「目が笑ってへん・・・」

 

 

 

 

「おう・・・」

 

「早く・・・!!」

 

「分かったから!!じゃあ、またな!!」

 

そう言い残して弦太朗はレイヤから逃げるようにdubを飛び出していくと、残された彼女達は物が散乱した会場をそそくさと掃除し始めるのだった。

 





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牛・熊・相・搏-5 どうして奥沢美咲は駆けたのか

投稿です。

残された1/3は・・・分かるよね?
と言うことで場面がいきなり切り替わる特撮あるあるからスタートです・・・




 

弦太朗と別れたハロハピ一行はゆったりとした足取りで商店街へと向かっている最中、二コリーナは笑みを浮かべていた。

 

「ふふっ・・・」

 

「とっても楽しそうね!!」

 

「えっと・・・どうかしましたか?」

 

「いえ、普段の美咲さん達が通っている学校が見れたのが嬉しくて・・・」

 

「まぁ、今日は休みでしたから誰もいませんでしたけどね・・・それにこころみたいに煩い・・・賑やか人がたくさんいますから大変ですよ・・・。特に今は如月先輩もいますからね・・・」

 

美咲は頭の中にはポピパの面々や弦太朗達一部の3年生の顔が浮かぶと苦笑いを浮かべていた。

でも、そんな美咲を見ても彼女は未だに笑みを浮かべてると、話を弦太朗の事へと変えていた。

 

「・・・それにしても日本の男性の方って・・・その・・・変わった人が多いですね?」

 

「いやいや、如月先輩が特別なだけで・・・」

 

「そうなんですか?私の聞いた日本人の男性は皆さん特徴的でしたけど・・・」

 

「特徴的・・・?それはとても気になるね?」

 

「とっても気になるわね!!」

 

「二コリン!!どういう人だったの?」

 

期待感でいっぱいのこころ達の視線を受けて二コリーナが思い出す様にして話し始める。

 

 

 

 

「えっと・・・私が子供の頃には得意なことが2000個以上あると言っていた日本の方が滞在していたらしくて・・・」

 

「2000・・・それはとてつもないね・・・」

 

「ふえぇ・・・他にはどんな人がいたの・・・?」

 

「他には洋服みたいな着物を着てトーフ?という物をボールに入れて歩いていたとか、最近はその・・・男性用の下着を木にぶら下げて歩いているのを見たと聞きましたよ・・・?」

 

「ふえぇ~!?」

 

「洋服みたいな着物・・・ひょっとして作務衣の事だろうか?」

 

「でも話を聞く確かに日本の男性が誤解されそうな感じですね・・・」

 

「とっても素敵な人たちね!!」

 

「はぐみ達も会ってみたいね!!ってそろそろ商店街に着きそうだよ!!」

 

「早く行きましょう!!」

 

そんな話をしていたら商店街の近くまで来ていた彼女達だったが、突如としてこころとはぐみが二コリーナの腕を引いて歩く速度を上げ始める。

ライブハウスが近づいてくると同時にCiRCLE、dubそれぞれで戦闘が起こっていることを知っている美咲達だったが、花音が若干不安そうな表情へと変わっていく。

 

 

 

 

 

「でも大丈夫かな・・・」

 

「花音さん。それフラグですよ・・・」

 

「なに、弦太朗の事さ。すぐに何食わぬ顔をして戻ってくるさ」

 

花音はこっちにもやってくるんじゃないかと内心ではビクビクしていたが、薫と美咲がフォローに入っていた。

実際は花音だけではなく美咲も嫌な物を感じてはいたが、目の前にいる3人に視線を向けて呟いていた。

 

「まぁ、なんとかなります・・・ってと言うよりなんとかしないと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二コリン!!こっちだよ!!」

 

「はぐみさん・・・!!」

 

「今から楽しみね!!」

 

美咲達の目の前ではこころ達が楽しそうな表情を浮かべながら、地下にあるGalaxyへと降りる階段の前で手を振っているのを眺めていたが、その表情は普段に比べて暗くなっているのを花音達は察していた。

 

「美咲ちゃん・・・?」

 

「花音さん?どうかしました?」

 

「えっと・・・その・・・暗いけど大丈夫?」

 

「えっ?」

 

「美咲、私達もいるのだから1人で抱え込まなくてもいいさ」

 

「辛かったら私達に頼ってもいいんだよ・・・?」

 

「薫さん・・・花音さん・・・」

 

「もっとも、弦太朗に比べたら頼りない物だがね・・・」

 

「あはは・・・ありがとうございます・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「美咲~!!花音~!!薫~!!」

 

「もう始まっちゃうよ~!!」

 

先ほどまでは美咲が花音を慰めていたはずなのに、今度は花音と薫の2人から慰められてしまう。

彼女は気恥ずかしさを覚えるが、こころ達がGalaxyを背にしてこちらに手を振っている光景を前に彼女はスマホを取り出して時間を確認し始めた。

 

「あっ・・・そろそろライブ始まる時間だ・・・」

 

「おや、もうそんな時間だったのかい?でも、本当に当日券があるのだろうか・・・」

 

「さっき市ヶ谷さんに聞いたらまだ残ってるって言ってたので・・・」

 

 

 

 

 

大丈夫―――

 

 

 

 

 

 

美咲がその言葉を口にしようとしたが、突如としてこころ達の背後―――Galaxyから光が漏れる。

 

ライブハウスから漏れ出たのとは違うその光は彼女達にとっては見たくないものだった。

 

「これはっ・・・!?」

 

「ふえぇ~!?」

 

「最悪だ・・・本当に花音さんの言葉がフラグだった・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・みんなどうしたの?」

 

「行ってみましょう?」

 

「えぇ・・・」

 

しかし、こころ達はその光に気が付かなかったのか不思議そうな表情を浮かべて美咲達へと駆け寄っていくが、その背後では光を放っていた張本人が姿を現していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれはこの前のだ・・・!!」

 

「話には聞いてたけど・・・本当に牛ね!!」

 

「なんでここに・・・!?」

 

 

 

 

「ふえぇ~!?二コリーナさん!!」

 

「なんですか・・・!?これ・・・」

 

「って考えてる場合じゃない・・・!!」

 

正体は先日商店街に現れたタウラス。

それが何故Galaxyから飛び出して来たことに驚き、状況が分かっていない二コリーナは完全に動きが止まってしまったのを見て美咲は光景を見て駆け出すのと同時にタウラスは杖を振り上げていた。

 

 

 

 

「二コリン!!」

 

「きゃああ!!」

 

「うわぁぁぁあああああ!!」

 

しかし、そのタイミングではぐみが動けなくなった彼女の腕を引っ張って杖は虚しく空を切ると今度は美咲が叫びながらタウラスの杖目掛けて飛び掛かるとバランスを崩してそのまま地面を転がり始める最中で美咲はタウラスから杖を奪いとっていた。

 

「美咲ちゃん!!」

 

「花音さん!!私は大丈夫ですから!!」

 

 

 

 

「狙いは・・・私か・・・。まぁこの前も今も散々邪魔してるしね・・・」

 

花音の言葉を受けて美咲はすぐに立ち上がる。

気が付けば美咲とこころ達の間にタウラスを挟むような立ち位置に変わっていたが、タウラスは標的を無防備な5人ではなく美咲へと定めていた。

 

「美咲・・・!!」

 

「薫さん!!みんなを頼みます・・・!!」

 

「だが・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「頼りにしてますよ・・・!!」

 

「・・・!!」

 

先ほどの頼れと言ったが早々に機会が来ることになるとは思っていなかった薫は美咲からの言葉を聞いて目を見開く程に驚いていたが、美咲は弦太朗から預かったマグフォンを操作するのを見て笑みを浮かべていた。

 

「・・・分かった!!みんな。ここは美咲に任せよう・・・」

 

「薫!?」

 

「薫くん!?みーくん置いていくの!?」

 

「ここに私達がいたら美咲の邪魔になってしまうからね!!」

 

 

 

 

 

「二コリーナさんも後で説明しますから!!」

 

「えっと・・・はい・・・」

 

薫と花音はそれぞれこころ達の手を掴むとそのまま商店街から離れて行くが、その最中でこころは美咲へと声をかけていた。

 

「気をつけてね~!!」

 

 

 

 

 

「はいはい・・・」

 

「逃げるっ・・・!?」

 

美咲はこころ達の言葉に答えるとそのままタウラスに背を向けて走り出すと、タウラスも声を挙げると美咲を追いかけるために走り出す。

 

流石に美咲も逃げられるとは思ってもいない。

ただこころ達から離れるための時間を稼ぐため、それと商店街よりも広い場所へと移動するために美咲は走るが、杖を持ったままだったこともあって距離が詰まっていくと、美咲は突如として杖を構えて振り返る。

 

「このっ・・・!!」

 

「こんなもの・・・!!」

 

 

 

 

「杖を弾いた!?・・・まぁ、素手でも余裕ってことか・・・!!」

 

美咲は奪った杖を投げつけるが、彼女の予想に反してタウラスはその杖を自ら弾いた。

 

タウラスの予想外の行動に驚いた美咲だったがそれでも彼女は走り続け、自身が通う花咲川の校庭まで辿り着くと突如として足を止めると、追いかけてきたタウラスもそれに合わせる様に足を止めていた。

 

 

「・・・鬼ごっこは終わり?」

 

「まぁ・・・こころ達とも離れられましたからね・・・」

 

「そう・・・」

 

 

 

 

 

 

「でも、なんでさっきは杖を弾いて・・・って冷静に考えれば普通の人間相手なら力任せで何とでもなるか・・・」

 

「そういう事よ・・・」

 

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

質問をしようとしたが、その前に納得のいく理由を言った美咲にタウラスが応えると彼女は相手を見て深く息を吐く。

その行動が諦めと認識したタウラスはゆっくりと美咲へと歩み寄っていくが、美咲は全く動かない。

 

「・・・諦めがいいのね?」

 

「はい・・・?」

 

「そのまま大人し・・・!!」

 

「うわぁ!!」

 

意味が分からず言葉が漏れるがその言葉を言い切る前にタウラスの至近距離にミサイルが着弾して爆発が起こる。

 

土煙に包まれたタウラスは足を止めるが、美咲はその爆風に飛ばされるがタウラスとの距離が大きく開く。

 

咄嗟にタウラスは自身の周囲にあった土煙を振り払うが、開けた視線の先には吹き飛ばされてダメージを負った美咲がミサイルを放ってから人型に変形していたダイザーのコックピットへと乗り込み終えた光景だった。

 

「痛ったぁ・・・でも、上手くいった・・・!!」

 

「なっ!?諦めたんじゃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「諦める・・・?悪いですけど、こころ達のせいで私も諦めが悪くなってるんですよ・・・。だから、これが動かせる場所まで逃げてきたんですよ・・・!!」

 

タウラスの予想に反して、美咲は全く諦めてなどいなかった。

 

以前につぐみが言っていた"力に影響された"側である美咲も、流石に生身では到底勝ち目はない。

 

―――そう"生身"なら

 

 

 

だから、彼女は逃げるふりをしてダイザーが動かせる自身に都合の良い舞台までタウラスを引きずり込み、挙句の果てには自身を囮にしダメージを受ける覚悟で時間を稼いでいたのだ。

捨て身に等しい策を実行した美咲にタウラスは驚きを隠せない。

 

「普段からこころ達の無茶苦茶に付き合ってるんだからこれくらい・・・」

 

「狂ってる・・・!!」

 

「アンタが・・・言うな・・・!!」

 

その叫びと共にタウラスへ向けて美咲はダイザーを走らせるのだった。

 





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牛・熊・相・搏-6 鋼鉄ブルファイト

投稿です。

久々登場ダイザーくん。(なお、一番空いたのはRAS1章~ハロハピ2章の間の模様・・・
多分・・・最後の活躍でしょうねぇ・・・



 

「このぉ!!」

 

「この程度・・・!!」

 

「うわぁ!?・・・でも!!」

 

美咲はダイザーの腕をタウラスに振り下ろすが、タウラスは容易くダイザーの腕を両手で掴むとそのままダイザーを投げ飛ばす。

投げ飛ばされるダイザーは片腕を地面につくとそのままバク転の様な動作で地面へと着地する。

 

「まだっ・・・!!」

 

「無駄なこと・・・!!」

 

美咲は再びタウラスへと接近して腕を振り下ろすが、先ほど同様にタウラスの両手がダイザーの腕を掴む。

全く同じ行動にタウラスは呆れからか声が漏れるが、そうではなかった。

 

「両手で片腕を抑えてるけど、腕は2本あるんですよ!!」

 

「何を・・・ぐぅ・・・!!」

 

タウラスは両手を使って片腕を抑えた。

それが見えていた美咲はわざとタウラスに片腕を掴ませてから空いている腕をタウラスに叩きつける。

 

巨体から放たれた一撃はタウラスを吹き飛ばすが、タウラスからは声が漏れるだけで大したダメージは見られないのを見た彼女は次の手を考えていた。

 

「流石に同じ手は通用しないよね・・・」

 

「よくも・・・!!」

 

「やばっ!?」

 

思案していた美咲の元へと今度はタウラスが突進してくる。

体格差を考えればダイザーの方が圧倒的だが、相手はそのダイザーを投げ飛ばすほどの怪力。

その突進を真正面から受け止めることなど不可能だと判断した美咲はほぼ反射的にダイザーの巨体を横にズラしてタウラスの突進を避けていたが、彼女の目に写った光景に冷や汗が噴き出してくる。

 

 

 

 

「校舎にあんなデカい穴が・・・あんなの当たったらタダじゃすまない・・・!!」

 

「・・・」

 

「また来る・・・っ!!」

 

美咲が避けたタウラスはそのまま校舎に激突すると巨大な穴を作り出すが、その穴をあけた張本人は何事もなかったかのように穴から這い出ると再びダイザー目掛けて突進してくる。

 

しかし、タウラスの攻撃は直線的で美咲はダイザーの機動力を活かしながら回避していくものの完全に防戦一方になっていく中で考えていた。

 

「如月先輩が来るまでは・・・でも、避けるだけじゃ・・・」

 

 

 

―――やられてしまう。

 

マイナスなイメージが美咲に頭に浮かぶが、それと同時に何故かこころのイメージが頭を過る。

 

全く結びつかない2つのイメージ。

しかし、美咲はこころの姿が過った美咲はマイナスのイメージを完全に振り切って1つの考えに行きついた。

 

「守ったら負ける・・・!!」

 

「これで・・・!!」

 

美咲は再び襲ってくるタウラスの突進を躱すと、美咲はタウラスの背中を捉えた。

 

「・・・攻めろ!!」

 

「ぐぅ・・・!!」

 

「体格と重さの差を・・・そのまま叩きつける・・・!!」

 

その言葉と共に今度は美咲がタウラスの背後に迫っていく。

タウラスにとっては想定外の動きにタウラスは動きを止めて振り返ってダイザーを真正面から抑えようとするが、攻撃は真正面ではなく横から迫っていた。

 

 

 

 

「がぁ!?」

 

「1発でダメなら・・・何発だって・・!!」

 

真正面に構えたタウラスは横からの攻撃を頭にモロで食らうが流石に1発では大したダメージにはなっていない。

しかし、若干体勢が崩れたのを見て美咲は今度は攻撃の反動を利用して何度も横殴りに殴りつけていた。

 

左右からの攻撃を耐え続けてしまったタウラスだったが、遂に姿勢が崩れ、ダイザーの重量の乗った打撃を受け止めきれず吹き飛ばされる。

 

吹き飛ばされるタウラスの姿を見た美咲は、そのままダイザーでタウラスを地面へと押し付けていた。

 

 

 

「この・・・っ!!」

 

「とりあえず・・・このまま押し潰す・・・!!」

 

タウラスは力任せに抵抗するが、崩れた体制では力を入れることが出来ない。

一方で美咲はダイザーの力と巨体の重さを活かしてそのまま押し潰そうとタウラスへと力を籠める。

 

流石にこれでは倒すことなど出来ないとは分かっているが、弦太朗が来るまでの時間くらいなら稼げると踏んでいたが、ここで美咲にとって想定外の出来事が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このまま・・・って何か飛んで・・・うわっ!?」

 

「・・・!!」

 

「爆発した!?でも、あの爆弾とは違う・・・ってヤバい!!」

 

「これで・・・!!」

 

 

「来る・・・!!うわっ!?」

 

タウラスを押し潰そうとしていたダイザーへ向かって何かが飛んでくるとそのまま弾けると爆発によってダイザーが吹き飛ばされてしまうもなんとか着地する。

しかしそんなダイザーの状況を見逃さずにタウラスは再び突進してくる。

 

美咲は先ほど同様に躱そうとするが、そのタイミングでどこからか飛んできた攻撃がダイザーの足元に命中し、爆発を起こす。

しかし、美咲は転倒しない様に辛うじてバランスを取るが、そこにタウラスが突っ込んでくると今度はダイザーの装甲を掠めると再び向かい合う。

 

 

 

一見すると事態は完全に振り出し・・・いや、て美咲にとってはマイナスな状況に変わっていた。

 

ダイザーとタウラスで向かい合っているのは最初と変わらないが、美咲はダイザーを吹き飛ばした予想外の攻撃がどこから飛んでくるかも分からないという状況が彼女の集中力を削いでいく。

 

「これで・・・とどめ!!」

 

そんなことを知ってか知らずかタウラスはダイザーに向かってくるタイミングで空から何かが向かってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「ぉぉぉおおおおおおお!!」

 

「ぐぁあああああああ!!」

 

「如月先輩!!」

 

雄たけびと共に現れたフォーゼはタウラスへとロケットドリルキックを叩きこむがタウラスが頭の角でそれを受け止めていた。

堅いものがぶつかり合う音を響かせてフォーゼとタウラスの押し合いが続くが、それに勝ったのはタウラスだった。

 

 

「うわぁ!?美咲おい!!」

 

「これで・・・!!」

 

 

 

フォーゼはダイザーの方向へと飛ばされるが、美咲はそのままフォーゼの右腕のロケットを掴むとそのまま左脚のドリルとタウラスの角目掛けて叩きつけると周囲には再び音が響いていく。

 

しかし、ドリルがぶつかり合う音が次第に変わっていく。

 

 

 

 

 

「・・・これは!!・・・だったら!!」

 

――――チェーンソーON――――――

 

「いっけぇええええ!!」

 

 

 

「あぁぁぁああああああああああ!!」

 

フォーゼはドリルを起動したままチェーンソーを起動すると、それと同時に美咲はフォーゼを再びタウラスの角へと振り下ろすとそれに合わせてフォーゼはドリルとチェーンソーをタウラスの足へと叩きつけるとドリルとチェーンソーを食らったタウラスは身体から火花を散らせると頭を抑えてそのまま後退る。

 

それと同時に地面に何かが落ちる音が静かに響くと美咲はフォーゼを地面へと降ろしていた。

 

「美咲!!お前!!」

 

「如月先輩。すいませんでも・・・」

 

「あぁ・・・牛の角を片方叩き折ってやったな!!」

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁああああ!!」

 

「これで・・・!!」

 

地面に落ちた音の正体はタウラスの角。

先ほどまでのダイザーからの攻撃とフォーゼの必殺技、そしてフォーゼそのものを武器のように振り下ろした予想外の攻撃を立て続けに受けたそれが遂に限界を迎えて中ほどから折れてしまっていた。

 

絶叫が響くがそれを見てフォーゼは勝負を決めようとドライバーに手を伸ばしたその時、先ほどダイザーを襲った攻撃が今度はフォーゼとタウラスの間に着弾して爆発を起こし、土煙が周囲を包んでいた。

 

「なんだ!?」

 

「また・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「また?・・・って牛野郎がいねぇ!?」

 

次第に土煙は晴れていくが、そこからタウラスの姿は無くなっていた。

周囲を探すフォーゼだったが、美咲はそんなフォーゼの身体を掴んで持ち上げていた。

 

「おい!!美咲!!何すんだよ!!」

 

「さっきから遠くから攻撃が飛んでくるんですよ!!」

 

「なんだって!?」

 

「多分さっきのも・・・とりあえず逃げますよ!!」

 

美咲は先ほどまでの状況を伝えるだけ伝えると、フォーゼを持ち上げたまま学校から離れて行く。

 

そして少し離れた場所まで移動して攻撃が事を確認してから、美咲はダイザーから降りてフォーゼも変身を解いた。

 

 

 

「牛野郎はなんで・・・って、他のみんなは?」

 

「あぁ・・・アイツ、今まで散々邪魔してきたあたしを狙ってたみたいだったんで別れて逃げたんですよ・・・」

 

「よく無事だったな・・・」

 

「まぁ、乗る前に危ない橋を渡りましたけど・・・とりあえずこころ達に連絡しないと・・・。いや、薫さんにするか・・・」

 

美咲は軽く今までの事を説明すると今度は薫へと電話をかけると、心配していたのか数コールで彼女は電話に出る。

 

『美咲!!無事だったのかい!?』

 

「あ~・・・なんとか・・・それに今は如月先輩もいるので・・・」

 

『それは良かった。こっち・・・いや、友希那ちゃんや千聖達も全員無事さ・・・。』

 

「・・・そうですか」

 

安心したのか美咲の口角が上る。

しかし、言葉に電話の向こうが騒がしくなるのが聞こえてくると厄介ごとが来ると思って次第に口角が下がり始めると予想通りの声が電話から聞こえてくる。

 

『美咲!!』

 

「こころ?どうしたの?」

 

やはりと言うか、電話から聞こえてきた声の主はこころ。

美咲は嫌な予感がしたがその嫌な予感は的中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『美咲!!明日はスマイル号でパーティーよ!!』

 

「「はい?」」

 

突然の事態について行けず、弦太朗と美咲は思わず声を漏らしてしまうのだった。

 


 

 

 

 

 

「ぐぅ・・・・・・あぁ・・・・・・!!」

 

「・・・・・・」

 

こころの突拍子のない提案をしている頃、商店街の近くまで移動したタウラスはスイッチを切る。

タウラスから人間の女性へと姿を変えるが、頭から痛みが消えず頭を抑え続けている所へと歩み寄る人影が1つ。

 

その人影はタウラスだった女性へと声をかける。

 

「なんとか目的は達成したけど、ちょっと面倒なことになってね・・・」

 

人影は女性へと話しかけるが、相手を気にする様子はあまり見られない。

しかし、女性の方はなんとか声を聞こうと顔をそちらに向けると人影は淡々と指示を出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1位がRoselia・・・2位がPoppin'PartyとRAISE A SUILENが同率。どっちでもいいから片方を棄権させな」

 

そう女性に言い残して人影は街の雑踏の中へと消えていくのだった。

 





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牛・熊・相・搏-7 うたげはみちづれ


ドンブラが終わる・・・(ドンドン・・・
こうなりゃこの作品のMBPを決めるぞ!!(大嘘
でも、アンケで別の事を決めてもらいましょうか・・・


投稿です。


 

薫との電話を終えた美咲は弦太朗と共に商店街へ向けて歩き出していた。

 

「どうしたんだよ」

 

「いや、何でGalaxyに出てきたのかが分かんなくて・・・」

 

「友希那達のとこにも出たんだから・・・アイツらが出てる大会の事じゃねぇのか?」

 

「いやいや、そもそも妨害するんだったら最終日じゃなくてもっと前からしますよね?」

 

「確か、チュチュの奴もそう言ってたような・・・」

 

「それに戸山さん達のライブじゃなくてあたしを狙ってきたのも分かんないですし・・・」

 

「・・・俺にも分かんねぇ」

 

「はぁ・・・」

 

美咲は戦闘が終わってからタウラスの目的を考えていた。

しかし、弦太朗の言葉を聞いて考えるのがバカらしくなったのかため息を零すと彼女は先ほどのこころが言った言葉を思い出して頭を抱え始めると、彼は先ほどのこころが言っていた言葉が気になってしまっていた。

 

「美咲・・・?」

 

「あぁ・・・大丈夫です。如月先輩とこころのバカみたいな言葉に頭が痛くなってるだけですので・・・」

 

「そういや・・・こころが電話でパーティーするって言ってたけどよ。その・・・スマイル号?だったか?なんなんだ?」

 

 

 

 

 

「えっと・・・こころの船です・・・」

 

「船か・・・魚でも釣るのか?」

 

「はぁ・・・もういいです。明日まで待っててください・・・。とりあえず商店街の状況を確認しますよ・・・」

 

美咲に言葉に弦太朗は何故か以前パレオを探しに行った時に彼女の地元で見た漁船のイメージが頭に浮かんでいた。

 

バカみたいな勘違いをしている弦太朗に美咲はツッコむ気すら失せてしまい、話を切り上げて商店街へと向かうと弦太朗達の見知った顔が集まっていた。

 

そんな彼女達の姿を見ると相手も弦太朗達の事を見つけ手を振りながら声をかけてくる。

 

「ゲンちゃーん!!」

 

「弦太朗!!」

 

「おい香澄も沙綾ももうちょい静かにしろって!!」

 

「有咲もだよ?」

 

「あはは・・・」

 

「えっと・・・その・・・お疲れ様です・・・?」

 

「シロ~ほらもっとハッキリ言わないと~」

 

「も~」

 

商店街に集まっていたのはGalaxyでライブをしていたポピパとそれを見に行っていたモニカの面々。

そんな彼女達は弦太朗と美咲の姿を見て笑みを浮かべていたが、その中で一緒にいた瑠唯だけは真剣な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「如月さん。また出たそうですね・・・」

 

「もう知ってんのか・・・?」

 

「まぁ!!あたしのとこに情報来るのは早いんですよ!!」

 

「もう透子ちゃん!!巴先輩とイヴ先輩達から連絡が来てただけでしょ!!」

 

「CiRCLEとdubには出たのに何でここだけ来なかったんだろ・・・?」

 

「まぁまぁシロ、細かいことはミクロンミクロン!!」

 

「・・・確かに最初にその連絡に気が付いたのは、桐ヶ谷さんだったわね」

 

自信満々に胸を張る透子に若干呆れた表情を浮かべるモニカの面々だったが、七深は弦太朗に視線を向けていた。

 

「それで~・・・弦太朗さん?どうだったんですか?」

 

「・・・実は牛の野郎には逃げられちまってな・・・」

 

 

 

 

「本当のことですけど、如月先輩。怖がらせてどうするんですか・・・」

 

―――逃げられた。

弦太朗の言葉に全員の表情に恐怖が浮かぶ。

それを見た美咲は弦太朗に指摘すると、彼は申し訳なさそうな表情を浮かべてしまうが、その中でタウラスを見たことがある沙綾が2人に尋ねていた。

 

「美咲、弦太朗・・・それってこの前のだよね・・・?」

 

「あぁ。この前商店街に出た奴だけど、今回でかなりダメージ与えてたからな・・・」

 

「片方だけですけど、角を叩きおりましたからね。あれだけ痛がってたって事はしばらくは襲ってこないと思いたいですけどね・・・」

 

タウラスが大ダメージを受けて襲ってこないかもしれないという美咲の希望的な言葉に周囲からは安堵の表情が浮かぶ。

 

それを見た美咲は先ほどのこころの言葉を思い出してある提案をした。

 

 

 

 

 

「そうだ・・・みんな明日って空いてる?」

 

「ポピパは全員空いてるぞ。明日の結果発表を一緒に見る予定があるくらいだな・・・」

 

「モニカは全員空いてます!!」

 

 

 

 

「桐ヶ谷さん・・・ちゃんと確認してからいいなさい」

 

「ルイ、空いてるっしょ?」

 

「・・・確かに取り急ぎの用事はないけれど」

 

「美咲先輩。どうかしたんですか?」

 

「実は・・・」

 

 

美咲は先ほどのこころが言っていたパーティーに彼女達を誘い始めた。

 

パーティーと言っても、みんなにニコリーナの事を紹介するための物で誰かが傷つくものではない。

それだったら参加者―――もとい、こころの思い付きの犠牲者を増やしてしまおうと言う美咲の魂胆に気が付いていない大半のメンバーは目を輝かせていた。

 

 

「美咲ちゃん!!それって・・・あの時のだよね?」

 

「マジか・・・また船かよ・・・」

 

「「行きたい!!」」

 

「ちょっと香澄ちゃん?おたえちゃんも・・・」

 

 

 

「なにそれ!!面白そうじゃん!!」

 

「私も行ってみたいかな~。

 

「船・・・そんな・・・大丈夫かな?」

 

「弦巻さんの船・・・凄そうね・・・」

 

「・・・」

 

「つーちゃん?どうしたの?カタカタ震えてるけど・・・寒い?」

 

盛りあがる一同の中でつくしは先ほどのバイトの事を思い出して、緊張でカタカタを振るえ始めてると七深に指摘されるのに気が付いていないのか美咲に顔を向けて訪ねていた。

 

「あの・・・美咲先輩・・・それって、さっきの人も来るんですよね・・・?」

 

 

 

「あぁ・・・うん。ニコリーナさんも来る・・・ていうか。こころの友達を紹介するためのパーティーだから・・・」

 

 

「それって花音先輩そっくりのお姫様だよね!?会ってみたい!!」

 

「香澄さん!!そうですよね!!」

 

「透子ちゃん!!明日楽しみだね!!」

 

 

 

 

「桐ヶ谷さんをこのままにしてしまったら、このまま国際問題に発展するような状況になってしまいそうね・・・」

 

「瑠唯ちゃん・・・うちの香澄も似たようなもんだよ・・・」

 

香澄と透子と言う2バンドの暴走車に火が入ってしまってはもうどうしようもないことを知っているストッパー組は頭を抱えてしまっていた。

 

しかし、そんな彼女達を見て美咲は仲間が増えたことに喜びを感じていた。

 

「じゃあ、詳しいことは後で連絡・・・多分、こころの家の人が迎えに行くと思うから・・・」

 

 

 

「分かった!!」

 

「服・・・どうしよう・・・」

 

「制服でいいのか!?それともドレス・・・でも、んなもん持ってねぇよ」

 

「じゃあ、みんなでライブの衣装着る?」

 

「おたえちゃん。それはちょっと・・・」

 

 

 

 

「つくしちゃん・・・どうしよう・・・」

 

「ましろちゃん大丈夫だよ!!月ノ森の生徒として・・・!!」

 

「外国のお姫様相手だったらここは着物っしょ!!シロもふーすけ達もあたしに任せとけって!!」

 

「ルイルイ・・・そうなの・・・?」

 

「・・・確かに外国の方相手だったら物珍しいからいいかもしれないわね」

 

 

 

 

彼女達の頭からはタウラスの事がすっかりどこかへ行ってしまい、パーティーの事に考えが完全に切り替わってしまっていた。

それを見て美咲は笑みを浮かべていた。

 

「・・・とりあえず、如月さん。いつもの制服でいいんですから・・・あんまり変な恰好はしないでくださいよ?」

 

「親か・・・。でも、勝手に誘っちまってよかったのか?」

 

「あぁ、あの船だったら10人だろうが40人だろうが増えても誤差ですよ。誤差」

 

「どんなもん用意するつもりだよ・・・」

 

「まぁ、明日までのお楽しみってことで・・・如月先輩は友達誘います?」

 

「・・・受験だしな。空いてるか分かんねぇ・・・」

 

「それ言ったら如月先輩も受験ですよね・・・」

 

「それじゃ、また明日な!!」

 

 

「あっ・・・逃げた・・・」

 

弦太朗は美咲の追求から逃げるようにこの場を離れ、それに習うようにして他の彼女達もそれぞれが帰路について明日の事を考え始める。

 

 

 

 

 

 

―――しかし、この時の誰もがこのパーティーが行われる船が戦場に変わることを誰も知る由はなかった。





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牛・熊・相・搏-8 ないすみちゅっ!は唐突に

投稿です。

ライダー側から出張してきてくれました・・・
少数なのは許してくれ・・・
ユルシテ・・・



 

タウラスとの戦闘があった翌日、ハロハピの姿は港にあった。

 

「楽しみね!!」

 

「儚い・・・」

 

「やっぱりおっきいね!!みーくん!!」

 

「またこの船か・・・」

 

「ふえぇ・・・」

 

彼女達の目の前にはこころの所有する船"スマイル号"が目の前に鎮座していた。

 

「二コリーナさんもすぐに来るんだよね?」

 

「えぇ!!最高の笑顔にしてあげましょう!!」

 

こころの考えに美咲達も笑みを向けてそれに答える。

どうせなら楽しまなければと皆が考えていたが、思っていたがここでこころがいつも通り急に話を変えていく。

 

 

 

 

「みんなは誰を誘ったのかしら?あたしは香澄達を招待したわ!!」

 

「ふえぇ・・・あの時につぐみちゃんのお店にいた人は来てくれるって言ってたよ・・・?」

 

「はぐみもマスキン達を誘ったよ!!」

 

「そう言えば千聖達やリサちゃん達も来てくれるそうだよ」

 

「はぁ!?」

 

バンドリに出場して決勝進出を争っていた3バンドが同じ船に乗り込むという事実に美咲の笑みは早々に打ち砕かれてしまった。

 

 

 

―――決勝に残るのは2バンドで、最低でも1バンドは完全に笑顔が消える。

 

 

尤も同率2位でRASとポピパが並んでいるのだが、その事など今の美咲には知る由もなく、その事が美咲の笑顔を完全に崩壊させていた。

 

 

「ちょっと待って。それ絶対にどこかのバンドが落ち込むやつだよ・・・」

 

「きっと大丈夫よ!!」

 

「そうだよ!!きっと楽しいから大丈夫だよ!!」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「この人たちは・・・」

 

「ふえぇ~・・・」

 

 

 

「ねぇ!!車が来たよ!!」

 

「おや・・・3台も・・・」

 

美咲の心配をこころ達(3バカ)は一蹴する。

花音がそんな美咲に声をかけようとするも、はぐみが近づいてくる車に気が付くと全員がそちらに視線を送ると車が3台現れると、そこからは最悪のメンバー達が降りてきた。

 

「湊友希那!?それにポピパもいるの!?」

 

「友希那さんにチュチュちゃんだ!!」

 

「あら、戸山さん達も呼ばれたのね?」

 

「はい!!」

 

「ちょっとワタシの事を忘れてんじゃないわよ!!」

 

 

 

「前に乗った時も思ったけど・・・おっきいね・・・」

 

「私服で来ちまったけど・・・場違いな気がしてきたな・・・」

 

「あはは・・・今は友希那とか燐子の落ち着いてた感じの私服が羨ましいと思っちゃった・・・」

 

 

 

 

 

「ちょっと!?なんでよりにもよって最初に来たのがこの3組なの!?」

 

最初に来てしまったのはバンドリに出場していた3バンド。

普段通りのRoseliaとポピパに反して、チュチュが噛みつきだしそうな空気を出し始めるも他のメンバーは目の前に鎮座している船の存在感に呆気に取られる中で、残りのバンド達も続々と集合していく。

 

 

「・・・おね~~~~~~~ちゃ~~~~~~~~~~ん!!」

 

「日菜!?急に抱き着かないで!!それにそんな服どうしたのよ!?」

 

 

 

「えへへ、遅くなってごめんね?・・・話には聞いてけど・・・おっきい船だね~」

 

「今日のゲストを相手にするのに相応しい服装で来たつもりだったけど、正解だったわね・・・」

 

「ジブンにはこんなの似合わないですよ~!!」

 

「マヤさん!!とってもお似合いですよ!!」

 

 

 

 

「制服できたけど・・・気後れしちゃうよ・・・」

 

「それに昨日のお姫様も来るんでしょ!?緊張しちゃうよ~!!」

 

「つぐもひーちゃんも落ち着きなよ~。そもそもこんな所に着ていく服なんてないでしょ~?」

 

「あたしは華道で使う着物でも良かったかも・・・」

 

「蘭、今更言っても仕方ないだろ・・・」

 

 

 

 

 

「モニカ!!とーちゃーく!!みんなの分の着物の着付けに時間かかっちゃって~」

 

「私達が最後みたいね・・・」

 

「うぅ・・・私こんな所にいていいのかな・・・?それにこんな高そうな・・・」

 

「ましろちゃん!!大丈夫だよ!!ね?ななみちゃん!!」

 

「うんうん~」

 

 

完全な私服と、正装で完璧に分かれた彼女達。

”女三人寄れば姦しい。”とは言うが、35人もの女子学生が集結しているこの場はとてつもなく騒がしくなる中で、新たに車が1台―――

 

 

 

 

 

 

そこから降りてきたのは本日の主役ともいえる人物だった。

 

「皆さん。こんにちは」

 

「二コリーナさん、こんにちは」

 

「二コリン!!」

 

「二コリーナ!!よく来たわね!!」

 

「まぁ・・・。今日はあたし達の友達も来てくれたので・・・」

 

「昨日のことは忘れて・・・ね・・・?」

 

「えっと・・・そうですね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれがお姫様・・・マジで花音さんにそっくりだな・・・」

 

「あはは~!!ホントそっくり!!ね?おねーちゃん!!」

 

「ちょっと日菜!!相手は国の偉い人なんですから・・・もっと礼儀を・・・!!」

 

「おい!!香澄もおたえももっと礼儀良くしろ!!モニカの子達を見習え!!」

 

現れた二コリーナに笑みを浮かべて話し始めるハロハピの一向に、周囲はそんな状況にどうしたらいいか分からなくなっていたがここで二コリーナが周囲を見渡して呟いていた。

 

「あの・・・昨日いた如月さんは、今日は来られないんでしょうか?」

 

 

 

「あれ?そういえば弦太朗は?姿が見えないけど・・・」

 

「さーや、ゲンちゃんはまだだよ?」

 

「全く、如月さんは遅刻ですか・・・」

 

「おねーちゃん?集合時間にはまだ早いよ?」

 

楽しみすぎて1番最初に来てもおかしくない弦太朗がまだ見えない。

一同は若干疑問に思ったが、ここでとある人物が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、弦太朗も友達を誘ったって・・・」

 

「らんらん、ほんとーなの?」

 

「用事が入ってたから来れない人が多かったけど・・・来る人達は昨日、あたしにも連絡してくれたから」

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「・・・!!」

 

蘭がこの場で投下したのは弦太朗の友達を連れてくるというとんでもなく巨大な爆弾。

弦太朗の友達に会ったことのない面々は頭なの中で彼の友達について妄想を膨らませ始めていた。

 

「リーゼントのゲンちゃんだから・・・友達はアフロとかモヒカンかな!!それで世紀末な感じで”ヒャッハー!!"って感じかな~」

 

 

「ひぃ~!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

「花音!?それに六花ちゃんも落ち着いて!!いるかもしれないけど大丈夫よ!!」

 

「でも~千聖さん~?挨拶が”夜露死苦”みたいな人かもしれませんよ~?」

 

「モカ~、流石にそれは無い・・・って言い切れないのが弦太朗だよねぇ・・・」

 

「あの・・・アフロとかモヒカンと言うのはなんですか?それに世紀末でヒャッハー?というのは?」

 

「あ~二コリーナさんは知らなくてもいい事ですから」

 

「あの如月のことよ。きっと人間じゃないのを連れてきて友達と言いそうね・・・猫とかがいいわね・・・」

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くんならそういう友達もいそうだけどね・・・」

 

「まぁ・・・弦太朗だしね・・・」

 

「なんかりみりんとレイヤさんが通じ合ってる!!」

 

「あ~・・・らんらん先輩?何人来るって言ってました?」

 

「・・・えっと2人だって、1人は香澄とか透子達とも会ってるって言ってたけど・・・」

 

弦太朗の友人に会った事のない面々はとんでもない妄想を繰り広げ始めている。

そんな様子を見てこの街で出会う前から知り合いにりみとレイヤは呆れた表情を浮かべていたが、「透子たちとも会っている」と言う話を聞いた1人だけ車に向かっていくと、サイドミラーを睨みながらしきりに髪型を気にし始めていた。

 

 

 

「ルイ?どうした?」

 

「・・・いえ、なんでもないわ。ところで二葉さん達から見てどこかおかしいところないかしら?」

 

「えっと・・・服も大丈夫だと思うけど・・・?」

 

「そうだって!!髪はふーすけがやって、着物はあたしがやったんだから問題ないって!!」

 

「しいて言えば・・・るいるいの行動かな・・・?」

 

「ちょっと七深ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「1人はこの前のあの人だろうけど・・・でも、瑠唯ちゃん、どうしちまったんだよ?」

 

「「「「さぁ・・・?」」」」

 

瑠唯の急な行動の変化にモニカや有咲達は驚きの視線を向けていたが、当の本人はそれを気にする様子など全くなく身だしなみを整え始める。

 

彼女達の意識は完全に目の前のお姫様ではなく、殆どの人物が見たことがないの弦太朗の友人に興味が完全に持っていかれてしまっていた。

 

そんな混沌とした空気の中、皆の興味を引いていた弦太朗とその友人を乗せたと思われる車が到着すると視線が一気に集まり、そこから最初に降りてきたのは―――

 

ポピパやモニカが会った事のある人物だったが、そんな彼の元に最速でモニカが取り囲んでいた。

 

「あっ・・・流星さん・・・!!」

 

「お久しぶりです・・・」

 

「やぁ、ましろちゃんに瑠唯ちゃん。遅くなってゴメンね?」

 

「大丈夫ですよ!!朔田さん達は遅刻してきたわけじゃないですから!!」

 

「いや~それにしても、流星さんも呼ばれたんですね!!」

 

「うん。それに"これ”の事もあるからね?」

 

「なるほど~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に現れたのはもう1人の仮面ライダーでもある流星だった。

彼はモニカに質問攻めにあいそうだったがそれを察してか自身の持っているスイッチをさりげなく見せてその場を収めたが、周囲は彼に意識が言っていた。

 

「誰?あのイケメン?誰、あのイケメン!?」

 

「如月さんに比べると・・・随分と普通ですね・・・」

 

「千聖先輩、紗夜先輩!!あの人がゲンちゃんのお友達ですよ!!」

 

「でも、モヒカンでもアフロでもないよ~!?」

 

「ひまり・・・流石に日菜さんの言うことを信じないでよ・・・。でも、弦太朗が出てこないね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「―――!!」

 

「うわっ!?」

 

「「「!?」」」

 

初見のメンバーの多くが流星の登場に驚いているが、当の弦太朗本人は未だに出てこないと思っていたが、突如として車の中から怒鳴り声にも似た声が響くと弦太朗が転げ落ちるように車から降りてきていた。

 

「げんたろー!!・・・って、顔が・・・」

 

「もしかして如月先輩・・・車の中で涎たらして今まで寝てたんですか・・・」

 

「それも気になったけど、アタシは弦太朗の連れてきた友達が気になるかな~」

 

「今井さんの言う通りです・・・!!」

 

 

 

 

「寝るのはいいが何ですぐに起きないんだ!!それにパーティーに招待すると言われてこんな高級車が来る意味も分からないし!!急いで制服に着替えたせいで・・・!!」

 

そして、弦太朗が連れてきたもう1人の友人は彼に文句を言いながらも車から降りて来る。

 

その姿は以前に彼女達が見たこともある天ノ川学園の青いブレザーを身に纏っていて、その手には―――

 

 

 

「先輩の顔だ・・・」

 

フォーゼのシールが張られている真っ黒なカバンが握りしめられていた。

 






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牛・熊・相・搏-9 会合!!化学反応ビックバン!!

物語の結末はもう決まってるけど、
そこまでの間がしっくりこなくて難産です。
ってことで投稿です。



 

「「「ふっ・・・普通だ・・・!!」」」

 

 

 

 

「いきなり失礼じゃないか・・・?大方、弦太朗と似たようなのを想像していたんだろうが・・・。美竹は説明してないのか?」

 

一同が最後の1人を見て思わず思ったことがそのまま口に出てしまう。

その言葉を聞いた本人は怪訝そうな表情を向けてから、この中で唯一面識があった蘭へと視線を向けると向けられた彼女も呆れたような表情で答え始めた。

 

「えっと、説明しようとはしてたんですけど・・・。朔田さんの話をしたら収拾が・・・」

 

「そうか。それはすまなかったな・・・。」

 

「いえ、悪いのはこっちですから」

 

「それはいいが、どこまで知ってるんだ?」

 

 

 

「・・・とりあえず、弦太朗についてはあのお姫様以外はみんな知ってます。朔田さんの方は・・・」

 

驚いている彼女達を他所に蘭だけは普通に対応し始め、その際に賢吾も皆がどこまで知っているのかを改めて確認し直していたが、ひまりが空気を読まずに蘭に声を挙げていた。

 

「ちょっと蘭!!その人が弦太朗くんの友達なの!?いつ会ったの!?」

 

「えっと・・・弦太朗の家にいた時にだけど・・・?」

 

「今日は弦太朗に呼ばれた時に予定が空いてたのもあるが、一番の目的は・・・」

 

そう言って彼は集まっている少女達の中にいた目的の人物へと警戒心をむき出しで視線を向けていた。

 

 

 

 

「トモちん~?見られてるよ~?」

 

「アタシ・・・?」

 

「おねーちゃん?何かしたの?」

 

「いや何も・・・ってそうか・・・。”これ”ですよね?」

 

「・・・理解が早くて助かる」

 

賢吾がこの場に現れたのは弦太朗に連れてこられたというのもあるが、一番は自身の目でこの街に出回っているスイッチを調べること。

 

それを理解した巴は制服の上からポケットに入っているスイッチを軽く叩いて、それがあることを賢吾に示すと彼女はそのままポケットから手を離して頭の後ろに手を組んでみせる。

 

「友達が襲われたりしない限りは使うつもりはないんで」

 

「話だけは聞いていたが・・・本当に影響がないのか・・・?」

 

「その話は後にしませんか?2人から警戒され続けるのはちょっと・・・」

 

「そうだな・・・。それにしても・・・」

 

巴の提案を呑むと賢吾は流星を一瞥して2人は警戒を解くと、今度は別のもの視線が向けられていた。

 

「どうしてフードロイド達がこんな個性的になっているんだ・・・?朔田、君は知ってるか?」

 

「いや、天校で見た時もそれなりに個性的なものはあったが・・・更に磨きがかかってるな・・・。弦太朗は・・・いや、何か出来る訳はないしな・・・」

 

「まぁ、俺も使ってるだけだしな・・・」

 

 

 

 

 

「弦太朗。あなた、さりげなく馬鹿にされてるわよ・・・」

 

「でも、弦太朗くんがこれに何かするようなのは出来ないと思いますよ・・・?」

 

「そうだよね?先輩だもんね?」

 

「そうっすね!!如月さんですもんね!!」

 

「それじゃ、みんなで船に乗りましょう!!出港よ~!!」

 

「「「お~!!」」」

 

「ゲンちゃん先輩のお友達の話は船の中で聞こ~!!」

 

弦太朗の友人たちの言葉に千聖は思わずツッコミを入れるが、その2人の言葉にりみ達が同意を示すと何とも言えない冷たい空気が流れ始める。

しかし、この状況でこころが空気をぶち壊すと一同は船に乗り込んでいくが、見た目同様に船内も現実離れした豪華さに大半のメンバーが目を疑っていた。

 

「すっげー!!」

 

「一体・・・どうなってるんだ・・・!!」

 

「弦太朗も朔田も少しは落ち着け・・・と言いたいが、これは・・・」

 

 

 

 

「あーこころの事は気にしたら負けですからね・・・」

 

「月の部室や、宇宙船に乗り込んだことある方が驚きですからね?」

 

「有咲・・・お前、何で変な口調使ってんだ?」

 

「うっせー!!あっ・・・」

 

驚いていた男性陣に美咲と有咲が宥めるが、お嬢様口調の有咲の擬態は弦太朗によって速攻で剥がされてしまうとそんな光景に既視感を覚えた流星たちは笑みを浮かべていた。

有咲は顔を背けてしまい、そんな彼女を他所に食堂と思われる場所まで案内されるがそこにいたのは弦太朗達にとって予想外の人物たちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!あっちゃん!!まりなさん!!」

 

「ちょっとおねーちゃん!!いきなり抱き着かないで!!」

 

「あっ!!みんな!!それに如月くんも来たんだ!!」

 

「なんで2人はここに・・・?それにまりなさんはバンドリの準備をしなくてもいいのかしら?」

 

「あはは~・・・巴ちゃんがいたからなんとかなったんだけど、周りに昨日の事を話したら無理やり休みにされちゃって・・・」

 

「それに、もう出来ることはやっちゃってボランティアの方もやることなかったら声をかけられて、お手伝いを・・・」

 

「そう・・・」

 

明日香はともかく、まりなに至ってはバンドリの決勝に向けての準備があるはずにもかかわらず、こんな

所にいる事を友希那が質問するが、困ったような表情で答えるまりなに続くように明日香も答えていた。

 

それに納得したのか友希那は言葉を止めるが、すかさずチュチュがまりなに声をかける。

 

「マリナ、あなた予選の結果を知ってるなら教えなさいよ」

 

「ちょっとチュチュ様!?」

 

「それはちょっと無理を言いすぎでは?」

 

「サヨ、決勝争いはここの3バンドでほぼ決まりよ。それに結果も分からないのにおちおち楽しめないわよ。数時間後には結果が出るのだから今聞いても変わらないわよ」

 

チュチュの言い分も分かると言った様子で大半のガールズバンドの面々はまりなに視線を向けると、彼女はため息をついて語った。

 

「まりなさん!!それでどこなんですか・・・!!」

 

「本当はダメなんだけど。決勝出るのはこの3バンドの~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まりなさん!!私達以外にもいるんですからこれ以上はダメですよ。それにもう船出ちゃってますから帰れませんよ・・・?」

 

「What's!?」

 

香澄を先頭にまりなに迫っていくが、そこにすかさず明日香が割り込んで止めに入る。

その行動に香澄は不満そうに唇を尖らせるが、まりなは明日香の言葉を聞いてなんとか踏みとどまっていた。

 

「あっ・・・そうだった!!今ここにいないけど美子ちゃんもいるんだった・・・!!」

 

「店長もいるんですか!?」

 

「そうよ~。それはいいんだけど・・・後ろのお客さんを放置しちゃダメじゃないかな~?」

 

まりなの言葉にロックが驚くが、彼女はそっと彼女達の後ろに置いてけぼりを食らっていた本日の主役や弦太朗達に視線を向けて固まってしまう。

 

「ふふっ・・・楽しそうですね・・・」

 

「だな!!」

 

「いや、その考えにはならないだろ・・・」

 

 

 

 

「それじゃ!!二コリーナの歓迎会を始めるわよ!!そういえば、弦太朗のお友達と二コリーナの自己紹介がまだだったわね!!」

 

「あっ!!そう言えばそうだねこころん!!」

 

「儚い・・・」

 

「そうだよゲンちゃん!!流星さんは知ってるけど!!もう1人の人は・・・?」

 

 

 

 

 

 

「何で君の周りはこう・・・」

 

「「あぁ・・・うちのバカ共がスイマセン・・・!!」」

 

「「「・・・・・・」」」

 

こころのせいで再び話題が変わったことに賢吾は呆れた表情を浮かべてしまい、それを見て有咲と美咲は全く同じ言葉を賢吾に言い放つと、3人は何故か見つめ合っていた。

 

 

「「(あぁ・・・この人も如月(先輩)達に・・・)」」

 

「(弦太朗だけじゃなくて他の友達に・・・)」

 

「「「振り回されてるのか・・・」」」

 

 

 

「どうしたんだ・・・賢吾の奴・・・?」

 

「ミサキさん達が視線だけで会話しています・・・」

 

「あれが三角関係・・・チュチュ様にはまだ早いです~!!」

 

「ん~?三角関係・・・とは違うかな~・・・どっちかって言えば、被害者の会・・・?」

 

「リサ姉どういうこと・・・?」

 

「Roseliaでいうアタシってことかな~」

 

 

 

「流星さん、大丈夫ですか?」

 

「瑠唯ちゃん大丈夫だよ。理解が追い付かなくて頭が痛くなってきただけだから・・・」

 

完全にこころ達のペースに呑まれてしまい、再び船内は混沌とした空気になりながらも二コリーナの歓迎会と言う名目のパーティーは幕を開けたのだった。

 





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牛・熊・相・搏-10 考察はShowtimeの後で・・・

ようやく投稿です。

さーてと・・・
芸人枠の皆さん。出番ですよ・・・


 

こころの一言で始まった歓迎会。

最初こそ1国の王女がいるという緊張感が会場の空気を重苦しくしていたが、今では―――

 

「ふっ・・・!!ほっ・・・!!」

 

「すまない・・・歌星が早々にスイッチを調べるために席を外してるからな・・」

 

「まぁ、身長で考えたらレイかあたしなんでまぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

「「「おぉ~!!」」」

 

「先ほどの華道?も凄かったですが、今のも凄いですね・・・!!」

 

今では完全に堅い空気は無くなり、何故か各々が特技を披露する流れになってしまっていた。

その中で弦太朗は流星とますきが回している縄の間を飛び続け、そして縄を回すのを止めると周囲から歓声が上っていた。

 

この歓迎には二コリーナも思わず笑みを浮かべていた。

 

「二コリーナさん。如月先輩が言うにはダブルダッチって言うらしいですよ?」

 

「ふふっ・・・二コリーナが喜んでくれて何よりだ・・・」

 

「楽しそうだったね!!今度ミッシェルと一緒にやろ~!!」

 

「あーはいはい。ミッシェルに話してからね~」

 

美咲は自身の危機をなんとか回避していると、次の事を思いついたこころはRoseliaの方へと視線を向けて言い放った。

 

 

「次は紗夜が弓道をするわよ!!」

 

 

 

「弦巻さん!!聞いてませんよ!?それに道具も・・・!!」

 

「紗夜さーん、こころの家の人たちが用意してくれたみたいですよ!!」

 

「氷川さん・・・頑張ってください・・・」

 

「はぁ!?」

 

「紗夜さん、私もやったんですから諦めましょうよ」

 

「美竹さんも何を・・・!?」

 

「そうよ。Roseliaがステージから逃げるなんて許されないわ」

 

「紗夜~いいとこ見せてよ~」

 

「湊さんも今井さんも他人事だと思って・・・!!」

 

楽しそうにしているハロハピや騒いでいるRoseliaの横をすり抜けて弦太朗達はそのまま会場から抜け出すと、疲れたのか壁に寄り掛かって脱力していた。

 

 

「弦太朗、変わってもらえて助かった」

 

「気にすんなって流星!!にしても久々にやったけど、結構出来るもんだな!!」

 

「あたしも最初、いきなり巻き込まれた時は何かと思ったぞ」

 

「悪かったって!!」

 

「まぁ、気にしてねぇからいいけどよ・・・」

 

 

「そうか?・・・じゃあ、俺はこのまま賢吾達のところ行ってくる」

 

「待て弦太朗、俺も行こう・・・」

 

「んじゃ、あたしは少し休んでからみんなのとこに戻ってるわ」

 

「ますき、ありがとな!!」

 

「おう!!」

 

ますきと別れてから弦太朗は流星共に離れて賢吾達がいる部屋まで移動すると、彼はそのままノックもすることなく賢吾たちのいる部屋と乗り込んでいくとバガミールが送ってくる巴の情報をカバンとにらめっこして何かを調べている賢吾の姿が飛び込むが、彼が声をかけられたのは2人とは別の人物だった。

 

 

 

 

「あれ?如月くんも呼ばれたの?」

 

「んっ?まりなさんに明日香も・・・どうして?」

 

「えっと、明日香ちゃんと一緒に呼ばれてきたんだけど。正直何してるのかさっぱり分かんなくて・・・」

 

「本当です・・・専門的過ぎて全く分かりませんよ」

 

部屋に入って早々に声をかけてきたのは明日香とまりなだった。

しかし、彼女達は自分たちが調べられてるということが分かったが、何を調べられているのかさっぱり理解できていない中で彼女達に遅れて巴達が彼の存在に気が付いて声をかける。

 

「弦太朗に朔田か・・・」

 

「如月。向こうはもういいのか?」

 

「とりあえずは大丈夫だろ?それで賢吾、何か分かったのか?」

 

「ヴァルゴスイッチのデータも取ったが、覚醒前のピスケス以下のエナジーしかない・・・」

 

「ピスケスって・・・?いえ、そっちの学校で出たのですよね?それ以下ってことは、こっちの方が弱いって事ですか?」

 

ピスケスの名前が出て反応をした明日香だったが、話の流れで自分のことではなく天ノ川学園で出ていた方という事を確認すると、賢吾もそれに答える様に彼なりの考えを語っていく。

 

「あぁ・・・。弦太朗に宇田川、それから月島さんから聞いた話にはなるが、こっちのタウラスは完全に人間を操ることが出来ていないらしい。それに宇田川もダスタードが出せていない」

 

「そうそう!!最初は何もできなかったけど、途中からだけど少しずつ命令に抵抗しようとは出来たから・・・」

 

「タウラスも宇田川もスイッチの出力が低いから能力を使いこなせてないのか、それとも能力を使うスイッチャー自身の能力が足りないのか・・・いや、ただ単にスイッチを使いこなせていないだけかもしれないがそれは今は分からないな」

 

「あ~・・・確かに飛ぶのも弾出すのも頭使ってる様な気がしますね・・・」

 

賢吾は自身の考えを述べるとそれを聞いて納得した流星だったが、弦太朗は自身の経験からその話の一部に納得が出来ずに思わず彼に質問してしまっていた。

 

 

 

 

 

「ちょっと待てよ賢吾。明日香の奴も地面の中を潜ったり、山羊も最初から五藤よりも凄かったぞ?」

 

「そこはスイッチャー自身の能力によるものだろう」

 

「歌星、それは一体どういうことだ?」

 

「こっちのカプリコーンは元ミュージシャン。五藤はレオにスイッチの扱いを指導されてたらしいが、その差を覆すほどのスイッチャー側に大きな差があったんだろう。それにピスケスを比べても黒木の方は彼女がやっていた空手を使っていたが、こっちでは接近戦をしてなかったんだろ?」

 

「そう言えばそうだな・・・。戦ってる時もスコップで地面ごと掘り起こして捕まえてたからな・・・」

 

「確かに地面に潜ってる時は水泳しているのと感覚が似てたような気が・・・」

 

「それに明日香は水泳の選手に選ばれるくらいスゲーって言ってたからそれが理由なのか?」

 

「自身からエネルギー体を生成するなんてことは人間に出来ることではない。それに比べればギターを弾くのも、泳ぐのもそれ自体は人間にも容易に出来ることだし、スイッチを使う前にそれを鍛えぬいてた人間がゾディアーツの強靭な身体を手に入れたならばスイッチの出力なんて・・・」

 

弦太朗の質問に賢吾が答えている途中にもかかわらず、賢吾はカバンをそっと閉じて話し始めた。

 

「・・・とりあえずはこれで終わりにしよう」

 

「えっと、歌星さん?いいんですか?」

 

「これ以上の事はここでは調べられないし、折角のパーティーを楽しめないのも勿体無い。それに・・・あの状態じゃこれ以上の話も出来ないな」

 

「そうですね・・・」

 

急に調べるのを止めた賢吾に巴は疑問に感じてしまったが、賢吾が指差す方向を見るとすぐに納得した。

 

 

「如月さん?水泳の事、誰から聞いたんですか?」

 

「ゆりからだな」

 

「ゆり先輩とどういう関係なんですか!?」

 

 

「やっと見つけましたよ。流星さん」

 

「瑠唯ちゃん?」

 

「折角のパーティーなんですから戻りましょう?エスコートしてくれますか?」

 

「えっ!?」

 

 

 

「えっと・・・右も左も甘酸っぱい恋愛の空気だしてる・・・!?どうしよう・・・!!」

 

 

「あはは・・・」

 

「・・・君たちはいつもこうなのか?」

 

「そんなことは・・・ないと思うんですけど・・・。とにかくアタシ達も行きましょうか・・・」

 

「そうだな。流石に来ておいてパーティーに顔を出さないのは問題だな・・・」

 

「まりなさん。行きますよ!!」

 

「巴ちゃん!!待ってよ~!!」

 

先ほどの弦太朗のの失言について問い詰める明日香に、流星を見つけ出してエスコートを要求し始める瑠唯。

そしてその間に独りで挟まってしまって右往左往しているまりなと言う何とも言えない構図に巴はまりなと賢吾を連れて会場へと戻っていくのだった。

 





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牛・熊・相・搏-11 フードとバッドとアクシデント

投稿です
変身は次回に持ち越し・・・


 

二コリーナの歓迎という名目でひとしきりの芸を見せ終えた彼女達は、様々な反応を見せながら食事を取り始めていた。

 

「見て見て!!お汁粉もあるよ・・・!!」

 

「コロネ・・・コロネ・・・」

 

「さーや!!あれ欲しい!!」

 

「はいはい。ご飯ね。取ってあげるから待って?」

 

目を輝かせ興奮が抑えられないポピパ。

 

 

 

「・・・おいしい」

 

「そうだね!!蘭ちゃん!!」

 

「おい、モカ。そんなに食って大丈夫か?」

 

「トモちん大丈夫だよ~。カロリーはひーちゃんに送ってるから~」

 

「も~!!モカ~!!」

 

食べるものが普段以上に豪勢でもいつも通りの空気で食べるAfterglow。

 

 

 

「このポテト!!るんっってするくらいおいし~!!」

 

「ポテ・・・!!ポテ・・・!!」

 

「・・・ふぉいふぃいふぁね。りふぁもたふぇる?(美味しいわね。リサも食べる?)」

 

「こら!!友希那!!食べるか話すかどっちかにしなさい!!それに紗夜もヒナもポテトばっかり食べてないで!!」

 

「日菜ちゃん。羽目を外しすぎよ?もっと落ち着いて食べたらどうかしら・・・?そんなに急いでも紗夜ちゃん以外はポテト盗ったりしないわよ」

 

 

 

 

 

「楽しそうだね!!あっ、りんりん。これ食べる?」

 

「ありがとう・・・あこちゃん・・・。でもちょっと量が多いかな・・・」

 

「スシ・・・テンプラ・・・ブシドーですね!!」

 

「あれ?麻弥ちゃん?どうしたの?」

 

「うぅ・・・彩さん。どれもこれも高そうでジブン食べれませんよ~!!」

 

 

 

「パ~レ~オ~!!何であんたが取ってきた料理に野菜が入ってるのよ~!!」

 

「チュチュ様!!ちゃんとバランスよく食べないとダメですよ!!」

 

「なによ!!こういう機会なんだからいいじゃない!!」

 

「ダメです!!」

 

「チュチュみたいな好き嫌いじゃないけど・・・高そうなものばっかりで、これはちょっと委縮しちゃうね・・・」

 

「あたし達だけしかいねぇんだから、そんなに気を遣う必要ねぇだろ?ロック、飯取りに行こうぜ!!っておい、ロックはどこに行ったんだよ?」

 

「えっ?香澄ちゃんの妹の明日香ちゃんと一緒に外の景色見るって・・・」

 

問題児が保護者達にお説教を受けるのを遠くから見守っているRoseliaとパスパレにRAS。

 

 

「よっし、とりあえずご飯食べるっしょ」

 

「ちょっと透子ちゃん、もう少し月ノ森生としての・・・」

 

「まぁまぁ、つーちゃん。あんまり怒んなくてもいいんじゃない~って、あれ・・・流星さんどうしたんですか?」

 

「・・・実はテーブルマナーに自信がなくてね。一応覚えてるつもりではいるんだけど・・・」

 

「実は私もそこまで自信がなくて・・・」

 

「流星さん、私で良ければその位でしたら教えますよ?」

 

「ましろちゃんには私が教えてあげる!!」

 

テーブルマナーに厳しいお嬢様のモニカとそんな彼女達に囲まれてしまった流星。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこれは・・・まるで意味が分からん・・・」

 

「歌星さん?気にしたらダメですよ・・・」

 

「いつもこんな感じだぞ?ってなんで有咲がここにいんだよ?」

 

「うっせぇ、お前らがいない間の香澄とおたえ達の相手に疲れたんだ・・・。少しくらい休ませてくれ・・・」

 

弦太朗の横には、香澄達の相手に疲れて彼に隠れて休んでいる有咲と、目の前で繰り広げられている状況に理解が追い付かずに頭を押さえて何故か一緒にいた呟いてしまったが、そんな彼に魔の手が迫る。

 

「弦太朗!!あら?あなたは賢吾だったかしら?」

 

「お~い!!あっ!!あーちゃんもいたんだ~!!」

 

「おや?賢吾も有咲ちゃんもそんなに浮かない顔をしてどうしたんだい?」

 

 

 

 

「私はちょっと如月と話してただけですから」

 

「君達は弦巻に北沢、それに瀬田だったか・・・いや、楽しくないと言う訳でなくて余りにも豪華で気後れしていただけだ」

 

「なに、気にすることはないさ。自分の思うように楽しんでくれればいいさ」

 

「薫の言う通りよ!!楽しんで頂戴!!」

 

彼らの元にやってきたのはハロハピの3、彼女達を勢いに呑まれない様に賢吾は当たり障りのない返事でこの場を乗り切ろうとしたが、3人しかいないことに疑問を覚えた弦太朗は思わずそれを声に出してしまっていた。

 

 

「・・・なぁ、花音達がいねぇけどどうしたんだ?」

 

「ゲンちゃん先輩!!かのちゃん先輩はさっき二コリンと一緒に海を見るって言って外に出て行ったよ!!」

 

「そういえば・・・ミッシェルも戻ってきてないわね?」

 

 

「ミッシェル・・・?あぁ、奥沢のことか・・・」

 

「賢吾?何を言っているんだい?ミッシェルはミッシェルさ・・・」

 

「そうだわ!!2人も一緒にミッシェルと美咲を探しに行きましょう!!」

 

「でも、こころん。2人ともご飯食べてなかったよ?」

 

 

「あら?そうだったのね?だったらわたし達は先に探しに行ってくるわ!!」

 

「2人とも、ゆっくり楽しんでくれ」

 

「あとでね~!!」

 

彼女達は言いたいことだけを言い残して会場を飛び出していく背中を見送ると、賢吾は再び頭を抱え始めていた。

 

「あの3人はミッシェルとか言う着ぐるみに奥沢が入っていたことに気が付いてなかったのか?」

 

「気が付いてないどころか、ミッシェルの事を本当の熊だと思ってますよ・・・」

 

「・・・彼女達は本当に高校生か?」

 

「一応・・・高校生なんですよね。しかも、薫さんに至っては3年生ですからね・・・。あの如月ですら空気読んで3人の前だとミッシェルと奥沢さんの事を別人?として扱ってるのに・・・」

 

「本当に苦労してるな・・・」

 

「まぁ、ミッシェルの中に入ってる奥沢さんが一番の被害者ですけどね・・・」

 

 

 

 

「お~い!!賢吾!!飯無くなっちまうぞ!!」

 

「有咲~!!」

 

「香澄に見つかったから・・・。はぁ・・・私の休みも終了か・・・」

 

「俺も行くか・・・」

 

最初の邂逅から謎のシンパシーを感じていたが、今話してみて苦労人同士であることを理解した2人は互いを労い合うと原因である彼らに呼ばれると、すぐに周囲に人が集まりだして、気が付けばほぼ全員が集まると弦太朗の話題を中心に話が盛りあがっていく。

 

「卒業式の後にプロムって・・・アタシがいたアメリカの学校でもあったわね・・・」

 

「と言っても朔田以外は裏でゾディアーツと戦っていたから出ていないがな・・・」

 

「ねぇねぇ!!つぐちゃん!!面白そうだからうちと花咲川でも合同でやろうよ~!!おねーちゃんと踊るからさ~」

 

「えぇ~!?そんな急に言われても!?」

 

「日菜。何無理を言ってるんですか・・・?それにダンスなんて出来ないわ」

 

「えぇ~!?食事にポテトでも用意してもらおうと思ったのに~」

 

「市ヶ谷さん。是非ご一考を・・・」

 

「紗夜先輩。絶対に嫌です」

 

 

 

「なんだかんだで賢吾もすぐ慣れたな・・・」

 

「弦太朗、君に比べたら大したことはない」

 

「そうか?」

 

「それに、ここでは朔田の方が大変そうだ?」

 

 

 

「それで流星さん。誰と何でそのプロムに出たんですか?」

 

「とーこちゃんじゃないけど広町も気になりますね~」

 

「えっと、弦太朗の代役・・・かな?って瑠唯ちゃん怒ってる・・・?」

 

「・・・怒ってません。気になっただけです」

 

なんだかんだすぐにこの状況に慣れた賢吾だったが、流星が瑠唯に問い詰められてるのを視界にとらえると全身に寒気を感じて即座に視線を彼らから外す。

そしてそれから逃げるようにして彼は即座に話題を切り替えた。

 

「それにしても・・・主催者の弦巻と主賓はいつになったら戻るんだ・・・?」

 

「ロックも戻ってこねぇな・・・でも、こころ達だったらふらっと戻ってくるだろ・・・?」

 

「先輩・・・外が騒がしくなってるよ?」

 

「ゲンちゃん!!こころん達じゃない?」

 

こころ達が戻ってこないことを不思議に思っていたが、たえが外が騒がしくなっていることに気が付くと一同が入口に視線を向ける。

 

そして扉が開かれると―――

 

 

 

 

 

 

中に入ってきたのは完全に招かれざる客たちだった―――

 





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牛・熊・相・搏-12 Battlefield on Board

投稿です。

2人でたってことは・・・その後は・・・(ニッコリ


 

「嘘・・・なんで・・・?」

 

「紗夜!!しっかりして!!」

 

 

 

外からから入ってきた存在を目にして一同は驚きを隠せない。

しかも、紗夜や他の一部のメンバーに至っては恐怖で身体が震えだしてしまっている中で流星が声を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハウンドにリンクスにカメレオン、ペルセウスまで・・・!!それに天校では見たことないゾディアーツも・・・!!」

 

「あれが弦太朗が言ってたこっちで初めて見たゾディアーツ達か・・・」

 

「どうなってるの~有咲~!?」

 

「香澄!!私が知るわけないだろ!?」

 

「こっちで見たことないのもいるわね・・・、リサあれは何かしら?」

 

「アタシにも分かんないよ~!!」

 

「リサちー、あれはいっかくじゅう座にりゅう座、それとさいだん座だよ」

 

「うちらの見たことない奴や・・・!!」

 

「でも、瑠唯とか友希那の親父さんのホロスコープス連中がいねぇぞ?」

 

入口から現れたのは天校や花咲川で今まで出てきていたゾディアーツ達、不幸中の幸いと言うべきか12使徒のゾディアーツの姿はない。

 

それでもゾディアーツの総数は15体―――

 

しかも、そのゾディアーツ達がどこから来たのか分からない上に、こころ以外のスイッチャーがこの場に揃っていた事が周囲の混乱していく中で思わず彼女達から声が挙がる。

 

 

 

 

 

 

 

「でも、なんで!?私もひまりちゃんもあれを使ってないわよ!?」

 

「もしかして・・・来い!!バガミール!!」

 

「賢吾どうしたんだよ!?」

 

「こっちでのスイッチャーが揃ってるのに目の前にいることが引っかかったんだ。それでバガミールでデータを取って・・・」

 

しかし、皆が混乱する中で賢吾だけはその空気に呑まれることなく冷静に行動を起こしていた。

賢吾はその場に屈んでカバンを開きながらバガミールを呼び出して、ゾディアーツ達のデータを測定し始める。

弦太朗は戦いながらも賢吾の説明を聞着始める。

そんな最中で殆どのものが気が付かなかったが、そんな彼の横の景色がほんの僅かに歪んだ。

 

 

 

 

 

 

「!?・・・ゲンタロウさん!!右です!!」

 

「イヴ!?・・・おらっ!!ってカメレオンがいたのか!!」

 

「ホァタ!!それにしても数が多・・・っ!?しまった!!ペガサスが・・・!!」

 

大半のゾディアーツが止まっていた中でカメレオンが弦太朗に迫るがすぐに対応されてしまい、それに続くように他のゾディアーツが動き出すと流星も加わってゾディアーツへと立ち向かうが、彼らの横を縫ってペガサスが少女達へと迫るのに反応して巴が飛び出していた。

 

 

「ソイヤっ!!」

 

「おねーちゃん!!」

 

「弦太朗に聞いてはいたが、本当にスイッチも使わず生身で戦ってたのか・・・」

 

「うぅ~・・・この服ではうまく動けません・・・!!」

 

「イヴちゃんはその服じゃ動けないだろうし、今日はお休みだね~」

 

 

 

 

 

「・・・全く本当にこっちの女子は血の気が多すぎるな・・・。ん・・・おかしい・・・ゾディアーツ達から人間の反応もスイッチの反応すらない・・・」

 

巴が飛び出したことに加えて賢吾の後ろでは着飾っていた動きにくそうな服装を恨めしそうに見つめるイヴの声を聞いて彼も困惑し始めていたが、バガミールからのデータが纏まったことによって目の前の状況が分かってきた。

 

 

 

 

 

「よしっ!!如月!!朔田!!そいつらの正体が分かったぞ!!そいつら全員、エナジーによって作り出された複製体だ!!」

 

「歌星、それって宇宙鉄人の事件のと一緒か・・・!!」

 

「なるほど!!あの時みたいなやつね・・・!!」

 

「・・・アタシはよく分かんないけど、とりあえずぶん殴ればいいんだろ!!」

 

賢吾の言葉に弦太朗達は納得しつつ生身でゾディアーツ達をやり過ごすその横では彼らに倣って巴も生身でゾディアーツを殴りつけていた。

しかし、彼の後ろではその言葉の意味が分かっておらず頭の上に疑問符が浮かんでいたが、代表して有咲がそれを質問していた。

 

 

 

 

 

「あの・・・複製体ってのは・・・?」

 

「ゾディアーツはアストロスイッチでコズミックエナジーのチャネルを開き、そのエネルギーをマテリアライズしてニュークリーチャーに―――」

 

「ちょっと待って!!弦太朗じゃないけど・・・カタカナばっかりで・・・何言ってるかさっぱり分からない・・・」

 

「レイ。とりあえず使うと変身するって事だろ?悪いんっすけどもう少し簡単に説明してもらえます?」

 

賢吾の説明し始めたものの、聞きなれないカタカナの多さに誰も理解することが出来ずに思わずレイヤが声を漏らすのを聞いてますきが賢吾に簡潔な説明を求めると、彼は一瞬だけ考えてから改めて説明をし直していた。

 

 

 

「・・・普通は人間がスイッチを押すとゾディアーツに変身するが、アイツらからは人間の反応もスイッチの反応もない」

 

「でも・・・それって変身するときに人の身体が抜け出すあれじゃないんですか・・・?」

 

「ラストワンなら美竹が言う通り人間の反応が出ることはないが、それでもゾディアーツの体内にスイッチの反応が残るんだが・・・やつらからはその反応すらない」

 

「もしかして・・・人が入っていないただの偽物・・・って事でしょうか・・・?」

 

「なんだ~ただの偽物か~!!」

 

「あぁ、そういうことだ」

 

「流石!!りんりんとひなちん!!」

 

ようやく全員が目の前のゾディアーツの正体について分かったものの、それが分かったところでこの状況が変わることはなく彼女達の多くは依然として危機を感じていた。

 

「まともに戦えるゲンタロウとトモエだけだし・・・数が違いすぎるわ・・・!!」

 

「チュチュさん。それは違うわ・・・」

 

「What's?」

 

「瑠唯ちゃん?どういうこと?」

 

「ひまりん先輩~。変身するのは2人(・・)だけじゃないってことですよ~?」

 

「へっ?」

 

 

 

 

 

 

 

「如月!!早く変身しろって!!」

 

「おう!!行くぜ・・・流星!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

巴の言葉に応えるように弦太朗達はドライバーを懐から取り出すが、殆どのメンバーは流星がドライバーを取り出したことに驚きを浮かべていた。

 

「あれって・・・如月のとは違うけれど・・・ベルト・・・よね?」

 

「えぇ~あの人もなの!?ましろちゃんは知ってる!?」

 

「友希那さん、彩さん・・・そうですよ・・・?」

 

「るんってキター!!」

 

困惑する彼女達を背にしながら弦太朗と流星はドライバーを装着すると、いつものように変身の動作に入っていた。

 

―――メテオ レディ?―――

 

流星のドライバーから音が響く。

その横では弦太朗もリズミカルにドライバーのスイッチを入れて構えるとカウントダウンが響く。

そんな彼らの前では時間稼ぎのために巴が生身でゾディアーツに向かっていた。

 

 

3―――――――

 

巴が声を挙げて迫っていたリンクスにカウンターで拳を叩きこみ―――

 

2―――――――

 

 

巴の伸ばされた腕にカメレオンが舌を絡みつかせるが―――

 

1―――――――

 

「らぁ!!」

 

絡んだ舌を力任せに引いてカメレオンを転倒させると、伸びた舌に足を取られたゾディアーツ達がドミノ倒しのように倒れる中、巴は舌を力任せに引き剥がすと同時にフォーゼドライバーのカウントダウンが終わっていた。

 

「「変身!!」」

 

2人の声をあげながらドライバーのレバーを叩く。

弦太朗が白い煙に包まれる見慣れた光景の横では見慣れない青い星が輝く。

 

そして2人は変身を完了するとその中から姿を現した。

 

「宇宙・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たーーーーーーーーーーーー!!」

 

「「「「「キターーーーーーーーーー!!」」」」」

 

「うるせー!!」

 

フォーゼと一緒に香澄とたえ、モカ、日菜、あこが声を挙げると、皆の思いを代弁するかのように有咲が最速でツッコミを入れていた。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「仮面ライダーメテオ・・・お前らの運命(さだめ)は・・・俺が決める・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「弦太朗!!それはタイマンじゃな~い!!」

 

「リサさん!!細かいことは気にしちゃダメですって!!いっけー流星さん!!」

 

「しゃあ!!」

 

「フォオオオオ!!」

 

いつものセリフを言い終えると2人のライダーはゾディアーツ達へと向かっていくのだった。

 





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牛・熊・相・搏-13 大乱闘Z/ベストマッチな奴ら

投稿です。

さらっと戦い。(ドンドン・・・
しれっとぶっこむ(ドンドン・・・


 

「そらっ!!」

 

「アタァ!!」

 

「・・・なんでどっちも変身した後に決め台詞言ってるんだ?」

 

メテオと共に飛び込んでいったフォーゼは数の差など物ともせず、そのまま一方的に攻め立て始める光景に目を奪われていた巴だったが、そんな彼女にゾディアーツ達が迫っていたがそれに合わせる様に彼女は足を振り上げていた。

 

「おらっ!!」

 

掛け声とともに巴の回し蹴りが迫っていたペガサスの脇腹へと突き刺さるとそのまま後ろへとよろめくが、その横を通って別の馬の頭をしたゾディアーツ達が巴に迫っていた。

 

「おねーちゃん!!」

 

「って何で馬ばっかり寄ってくるんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?なんで角が武器になるんだよ!?一角獣から角がなくなったらただの馬じゃねーか!?」

 

「アリサさん!?」

 

「巴!!」

 

「如月!!アタシは平気だ!!とりあえずアタシも・・・!!」

 

「宇田川!!」

 

愚痴を零す巴へとユニコーンは自身の角を剣に変えながら向かってくる姿に思わず、外野からツッコミが入ると同時にユニコーン達は横から割り込んできたフォーゼに殴り飛ばされる。

そのやり取りしながら巴はポケットからスイッチを取り出そうとするがここで後ろにいた賢吾が声を挙げた。

 

「「ん?」」

 

「違う!!姉の方だ!!君は下がれ!!そのスイッチをむやみに使うべきじゃない!!」

 

「・・・分かりました!!」

 

賢吾の言葉に納得した様子はないが、仕方なく巴が後ろに下がるのをフォーゼは見送っていた。

 

 

 

 

 

「巴が下がったなら・・・一気に決めるぜ!!」

 

「待て!!ステイツチェンジはするな!!」

 

この流れの中でフォーゼはコズミックスイッチを取り出すが、ここで賢吾から指示が飛ぶ。

フォーゼはその指示を聞いてコズミックスイッチを使うことなく再びダスタード達へと向かっていくが、その指示に他のメンバーは疑問が浮かんでいた。

 

 

 

「歌星さんでしたか?どうして如月さんを止めたんですか?」

 

「紗夜さんの言う通りだよ!!強いので一気にばーんってやっつけた方がいいんじゃないの!?」

 

紗夜とあこが直接的に疑問を口にすると、止めた理由が分かったつぐみがその疑問に答えた。

 

 

 

 

 

 

「そっか!!今、ワンちゃん達にこころちゃん探して貰ってるからだ!!」

 

「そういえば、バガミールさん以外いないっすね!!」

 

「ちょっとつぐ~?どういうこと~?」

 

「あれ使う時にスイッチが如月くんの身体に吸い込まれてるから、今そうしちゃうとワンちゃん達が全員止まっちゃうんだよ!!」

 

 

 

「ねぇ?だったら別のでもいいんじゃないかしら・・・?」

 

「友希那さん。さっき美咲の奴が言ってたんですけど、ここの真上には操舵室があるらしいんすよ。んなもんがあるのに電気やら磁力やらを下手にぶっ放したら、船が止まるかもしんないですし、火の奴なんて屋内じゃ論外でしょ」

 

「弦太朗みたいな見た目の割には頭が回るな・・・」

 

 

つぐみとますきの言葉を聞いて驚いた様子を浮かべた賢吾を他所に、大半のメンバーが疑問が解消した。

確かに小さい可能性とは言え船が動かなくなるのは不味い。

 

しかも、数の上では完全に不利な現状に危機感を覚えたのか表情が曇りそうになるが、それに気が付いたのか賢吾は一番分かりやすく顔に出ていた彩に声を掛ける。

 

「大丈夫だ。ステイツチェンジをしなくても、状況を打破することは出来る」

 

「えっと・・・歌星くんだっけ?でもどうやって・・・?」

 

「スイッチのコンビネーションだ」

 

「こんび・・・ねーしょん・・・?」

 

自信満々と言った様子で言い放った賢吾の言葉に思わず聞き返してしまう彩。

しかも、理知的な彼から出たとは思えないその言葉に彩から他のメンバーへと不安の表情は伝播していくが、それでも彼の自信は揺らがない。

 

「フォーゼシステムの最大の特徴は数あるアストロスイッチを戦術に合わせて換装出来る柔軟性だ。それをフルに発揮すれば複製体程度に弦太朗は・・・いや・・・」

 

ここで賢吾は言葉を止めると、言葉を変えて彼女達に言い放った。

 

 

 

 

 

 

「"俺たち"が負けることなんてない!!弦太朗!!」

 

「賢吾!!いい作戦があんだな?」

 

フォーゼは賢吾の方へと顔を向けることはなかったが、ディアーツ達を捌きながら彼の言葉を待っていた。

 

「複製体とはいえペルセウスの石化能力が厄介だ!!まずは25番で左腕を封じろ!!その後は船にダメージを与えない様に15番と22番で接近戦に持ち込め!!まだ他にも敵がいるかもしれないから朔田も"切り札”は温存しておけ!!」

 

「おうっ!!へへっ・・・なんか懐かしいと思っちまうな・・・!!」

 

「分かった!!」

 

 

――――――――ハンマーON――

――――――スパイクON――――

――――ペンON――――――

 

 

―――ジュピター、レディ? OK!!ジュピター!!―――

 

 

 

 

 

2人のライダーは賢吾の指示に全く疑問を持つ様子も無く、ゾディアーツ達へと飛び込んで接近戦を挑み。

賢吾もいまだにバガミールからの情報を元に指示を出していく。

 

 

 

「朔田!!そのドラゴンの装甲ならギャラクシーのリミットブレイクで破れる!!」

 

「任せろ・・・!!」

 

「弦太朗!!ここのアルターは周囲のものを飛ばす程度の念動力しかない!!エアロで弾き返せ!!」

 

「おう!!」

 

 

―――リミットブレイク!!―――

 

――――――エアロON――――

 

 

 

賢吾からの的確な指示とそれを実行するライダー達の姿。

そして、時折起こる爆発と共にゾディアーツが数を減らしていく光景を前に一同から完全に不安など消え去っていた。

 

「すご~い!!ここまで息が合うなんて・・・るんって感じ!!」

 

「あっ!!またやっつけたよ!!」

 

「彩ちゃん、ちょっと落ち着いて・・・!!」

 

 

 

 

「だから、さっき"俺たち"とあんなに自信満々に言ったのね・・・流星さんも、如月さんも完全に歌星さんの事を信じ切ってるわね・・・」

 

「そうだね~るいるい」

 

彼女達の前ではゾディアーツ達が2人のライダーによって次々と倒されて行く中で、ここでメテオがフォーゼに声を掛けていた。

 

「弦太朗!!後は任せて他のみんなを探しに行け!!」

 

「でもよ!!大丈夫か?」

 

 

 

 

 

「弦太朗!!ペルセウスみたいな厄介な奴らはもう倒しているからメテオだけでも問題はない!!それに船内ならメテオよりもフォーゼのホイールの方が速い!!」

 

「歌星の言う通りだ!!それに他のところで12使徒が出てきているかもしれない!!そっちの方がよっぽど危険だ!!」

 

「分かった!!流星!!みんなは任せたぜ!!」

 

「あぁ!!早く行け!!」

 

――――――ホイールON――――

 

メテオと賢吾の言葉を受けて、フォーゼはホイールを起動するとそのまま部屋を飛び出していく。

それを見送ったメテオは僅かに残っていたゾディアーツに視線を向けて再び駆け出していくのだった。

 

 


 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・大人なのに迷子になっちゃった・・・。それに一緒にいたはずの美子ちゃんもいないし・・・そう言えば・・・頭痛がするって言って頭抑えてたけど・・・大丈夫かな・・・?」

 

 

お手伝いを終わってみんなの元へと戻ろうとしたが完全にこの船内で迷子になってしまい、それに気が付けば一緒に手伝いをしていたはずの美子ちゃんの姿もない。

 

手伝っている際にも時折、頭痛で頭を抑えるようにしていたのを思い出したけど、今はなんとかして戻らないと・・・

 

「あれ?まりなさん・・・?」

 

「こんな所で何してるんですか?」

 

「あっ!!六花ちゃんに明日香ちゃん!!」

 

迷っていた私の後ろから六花ちゃんと明日香ちゃんが声を掛けてきたけど、多分さっきまでの私は周りを見渡してばっかりでかなり挙動不審だった。

その事を真っ先に疑問に思ったのか明日香ちゃんがその事を聞いて来た。

 

 

「もしかして・・・迷子・・・?」

 

「うっ・・!!」

 

完全に図星で心が痛い。

思わず声が漏れると明日香ちゃんは困ったような表情を浮かべたがすぐに彼女なりにフォローを入れてくれた。

 

 

「そうだ、まりなさん。これから外に出て海を見ようと思ったんですけど一緒にどうですか?」

 

「うん。いいよ。でも、こんな大きな船から海を見るなんて・・・映画を思い出すなぁ・・・」

 

「あっ!!それって船の先でポーズするアレですか?」

 

「そうそう!!六花ちゃん知ってたんだ~」

 

「はい!!有名ですし、地元にいた頃に家族で見たことがあります!!・・・途中で寝ちゃいましたけど・・・。折角ですし前のほう行きましょう!!」

 

 

 

「それはいいけど、その映画って確か最後に船が沈没してましたよね・・・」

 

「あはは~大丈夫だって。こころちゃんの家の船だし、それに何かあっても如月くんが何とかしてくれるよ~」

 

私は明日香ちゃんの言葉に笑いを返すと2人と共に船の先を目指したけど、そこにはすでに先着がいた。

 

 

 

「あれって・・・美咲先輩だ・・・」

 

「それに、花音ちゃんとお姫様も一緒にいるわね」

 

「移動します?楽しそうに話してるところを邪魔するのも悪いですし・・・」

 

「話に割り込んだりしなかったら大丈夫じゃないかな・・・?」

 

そこにいたのはミッシェルのままの美咲ちゃんと花音ちゃん、それに二コリーナちゃんがこちらに背を向けて海を眺めていた。

 

この状況を前に六花ちゃんが移動しようと提案するが、明日香ちゃんがそれをやんわりと断る。

 

こういう所はどこか香澄ちゃんと明日香ちゃんが姉妹だというのを感じさせる。

その事を口に出すことはしないけど、笑みを浮かべてそれをみていた所に別の人物が姿を現した。

 

 

 

「あれって・・・店長さん・・・?でも、ふらついてる・・・」

 

「そう言えば、手伝ってる時に頭を抑えてたけど・・・大丈夫かな・・・?」

 

「店長さんが心配だから行ってみましょう」

 

その人物の正体はGalaxyの店長で私の友人でもある美子ちゃん。

でも、彼女は頭を抑えながら美咲ちゃん達へと向かうが、私はそんな様子が心配になってしまった。

 

六花ちゃんも心配しているのか美子ちゃんの元へと行こうと提案してくれた。

それを拒否する理由なんてない私と明日香ちゃんは首を縦に振って―――

 

 

 

 

 

 

 

「うん。いいよ・・っ!?」

 

「明日香ちゃん?どうしたの・・・?ってあれ・・・もしかして・・・!?」

 

「明日香ちゃん・・・?まりなさん・・・?」

 

 

答えようとした私たちは突如として言葉に詰まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――私はおぼろげにしか覚えていないけど、明日香ちゃんの様子を見て確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前に私が使わされたスイッチ。

それと同じものが美子ちゃんの手の中で赤く、怪しい光を放っていた―――

 





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牛・熊・相・搏-14 野獣

投稿です。
ここでタイトル回収?
竜虎相搏とはいうがここでは力量の差があり過ぎる模様


時はフォーゼ達の戦闘が始まる前まで遡る―――

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・疲れた・・・」

 

こころ達に振り回された美咲は先日からの疲労も相まって、ミッシェルに入ったまま彼女達から離れて廊下で1人休んでいた。

 

 

 

 

 

「昨日あんだけ働いてこれはきついなぁ・・・」

 

「あっ・・・美咲ちゃん・・・!!」

 

「こんな所でどうかされたんですか?」

 

「花音さんに二コリーナさん?いえ、ちょっと疲れたから休んでただけですよ?」

 

「そうだったんですね。確かに大変そうですね・・・」

 

思わず美咲から本音が零れたその時、廊下の向こうから顔のそっくりな2人が彼女へと話しかけてくると美咲は何事もなかったかのように振舞っていた。

 

 

「それよりも・・・2人ともこんな所で何してるんですか?」

 

「実はちょっと外から海が見たくなってしまって・・・」

 

「それで2人で見に行こうとしてたんだけど、美咲ちゃんもどうかな・・・?」

 

「いいんですか・・・?」

 

「はいっ!!」

 

「それなら・・・」

 

美咲は2人と共にデッキに出ると船首の方へと二コリーナを挟んで3人で外に広がる暗闇に包まれた海を眺めていた。

 

「日が落ちて暗くなってしまってましたね・・・」

 

「そうですけど、暗くてもこうやって波の音を聞いてると落ち着きますね・・・」

 

「美咲ちゃんはミッシェルに入ったままで落ち着くの・・・?」

 

 

「下手に頭だけ外して、こころ達が来た時に被り直すことを考えなきゃいけないよりはいいかな~って」

 

「そっか・・・」

 

美咲の感覚が理解できずに花音は苦笑いを浮かべていたが、そんなことを気にすることなく美咲はリラックスしていた。

 

「最近色々あったから抜ける時に力を抜いておかないと・・・」

 

「色々・・・そうだね・・・」

 

「それって昨日の・・・ですよね?」

 

「ああいう時の如月先輩は頼りになりますし、それに連れてきた友達も頼りになるって言ってましたから大丈夫ですよ。まぁ、昨日は他のところで問題があったから遅れてきましたけどね」

 

二コリーナの言葉に美咲は笑みを浮かべて答えていたが、ミッシェルの中で見えなかったはずなのに2人ともそれを感じ取ると二コリーナの口からあらぬこと事が飛び出してきた。

 

「もしかして・・・美咲さんは如月さんの事を・・・その・・・お慕いしているんでしょうか?」

 

「ふえぇ~!?」

 

「いやいや、あり得ないですって」

 

「でも、如月くんって意外と女の子から人気なんだよね」

 

「誰とでも仲良くなろうとする性格ですからね。まぁ・・・学校に女子しかいなくて男子と関りがないってのもありますけどね」

 

「ふふっ・・・そうなんですね」

 

「あの・・・絶対に勘違いして・・・じゃないですね。2人して揶揄ってます?」

 

 

 

 

 

「ふふっ・・・そんなことは無いですよ?でも、そういうのは学生の憧れだと本に書いてありましたからそうなのかと思ったんですよ?」

 

美咲は二コリーナの表情を見て、完全に揶揄っているのを察して指摘するが、彼女はその追及をさらっと受け流す。

 

そんな2人を見て今度は花音が笑いながら二コリーナに伝えていた。

 

 

「お話の中だとよくあるかもしれないけど、わたし達は如月くんとは友達だよ?」

 

「まぁ、友達・・・でいいんですかね?普段はこころ達と一緒になって振り回されますけど・・・」

 

「ふふっ・・・そうなんですね」

 

「でも、その時のこころちゃん達は楽しそうにしてるし。美咲ちゃんも楽しいと思ってるよね?」

 

「・・・まぁ、退屈はしてないですね」

 

 

 

 

「「素直じゃないなぁ(ですね)美咲ちゃん(さん)・・・」」

 

「だから・・・そうやって面白いことするのやめてくださいよ・・・」

 

普段はこんなことを言わない花音ですら二コリーナと一緒だからか、美咲をからかう様な事を言ってくる。

そんな彼女達に美咲は困ったような表情をミッシェルの中で浮かべるがそれを誰にも見せず、彼女は2人に顔を向けた。

 

「まぁ・・・最近は昨日みたいな大変な事とかも色々ありますけど・・・花音さんやこころ達が笑って過ごる様になればいいかなぁ・・・って・・・」

 

「「ふふっ・・・」」

 

こころ達がおらず普段以上に静かだが、それ以上に楽し気な空気が彼女達を包んでいたが―――

 

 

 

「3人とも!!危ない!!」

 

「ん・・まr・・・」

 

突如としてデッキにはまりなの声が響く。

美咲はそれに答えようと振り返ろうとするが、彼女の目に写ったのは、先日襲ってきたタウラスが美咲へ向けて杖を振り抜いている姿が映り―――

 

 

 

 

 

 

「がはっ!?」

 

「「美咲ちゃん(さん)!?」」

 

タウラスの杖は美咲―――ミッシェルの頭部を的確に捉える。

叩きつけられた美咲の身体は軽々と吹き飛ばされ、デッキの手すりへと激突すると、手すりに身体を預けて動きを止めるが、タウラスは動けなくなっていたミッシェルへと一気に詰め寄るとミッシェルの腹部を足で抑え込み、手すりに磔にすると再び杖を振り下ろしていた。

 

「このっ!!このっ!!」

 

「うっ・・・!!がぁ・・・!?」

 

「頭が・・・痛い・・・!!お前のせいで・・・!!」

 

 

 

「あぁ・・・うあぁ・・・!!」

 

タウラスは先日折られた角を抑えながら何度も杖を頭部へと振るう。

その度にミッシェルの頭部は嫌な音を立てながら左右に揺れ、ミッシェルの中にいる美咲からは苦悶の声が漏れる。

 

その凄惨な光景を前に誰もが恐怖で動けずにいたその時、今までとは違う音と共にミッシェルの顔の一部が抉り取られ、その箇所からは左半分だけではあるが美咲が顔をのぞかせていた。

 

 

 

 

 

「美咲ちゃ・・・!?」

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・」

 

「嘘・・・!?」

 

「お前のせいで・・・!!」

 

しかし、そこから見えたのは頭から血を流し、虚ろな目で今にも意識が途絶えてしまいそうな美咲の顔。

 

身体が上手く動かなくなってしまっていた彼女達の前でタウラスは美咲の息の根を止めようと再び杖を振り上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「美子ちゃん!!止めて!!」

 

「まりな・・・さ・・・・・・」

 

「邪魔しないで・・・!!」

 

「きゃあ!!」

 

操られてたとはいえ人を傷つけた罪悪感か、ただの大人としての意地か、友人を止めようとした思いなのかは分からないが、皆が恐怖で動けなくなっていた中でまりなはタウラスを止めようと振り上げられた杖にしがみ付く。

 

その行動にタウラスはミッシェルの腹から足を退かしてから腕を振るうと、腕にしがみついていたまりなは容易く振りほどかれてしまい、そのままデッキの上を転がっていく。

 

 

美咲がデッキを転がるまりなの姿を捉えると薄れていた意識が一気に現実へと引き戻される。

 

 

「・・・ぅあぁあああああああああああ!!」

 

「!?」

 

「うわぁ!?」

 

「返せ・・・!!」

 

美咲はがむしゃらにタウラスの腹へと体当りを決めると、運のいいことにまりなを振り払った直後で姿勢が崩れていたタウラスは美咲と共にデッキへと倒れると手に持っていた杖を手から落とすとそれはロックを足元へと転がっていくと、タウラスはロックから杖を取り返そうと彼女に歩み寄ろうとしたが突如としてタウラスは動きを止めると自身の左足へと視線を向けた。

 

「行かせ・・・ない・・・!!」

 

「この・・・!!離せ・・・!!」

 

「がっ・・・!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

そこには既に満身創痍の状態の美咲がタウラスの足にしがみついていた。

しがみ付かれたタウラスは空いている右足でミッシェルの後頭部を踏みつけると美咲からは苦悶の声が漏れるが彼女はタウラスから手を離さない。

そのタイミングでタウラスは再び頭の痛みに耐えられず自身の頭を抑え始めていた。

 

 

 

 

 

「美咲ちゃん!!」

 

「ぐっ・・・!!逃げ・・・!!はや・・・く・・・」

 

「・・・うん!!二コリーナさん!!」

 

「花音さん!?」

 

 

 

「六花ちゃん・・・!!」

 

「まりなさん!?大丈夫ですか!?」

 

「うん・・・美子ちゃんはそれ使って人を操っちゃうの!!」

 

「六花!!」

 

「「捨てちゃえ!!」」

 

「まりなさん!?明日香ちゃん!?・・・はい!!」

 

美咲が時間を稼いでいる間に花音と二コリーナはロック達の元へと駆け出すと、まりなと明日香は海を指差しながら声を挙げるとそれを聞いたロックはタウラスの杖を拾い上げてそのまま大海原へと放り投げた。

 

これでタウラスが人を操ることはないと安堵した彼女達だったが―――

 

 

 

 

 

「あぁああああ!!」

 

 

それとは対照的にタウラスが激昂し、その場にいた美咲へと掴みかかると頭部を力いっぱい殴りつけるた後にデッキの床に叩きつけると、一部が抉れたミッシェルの頭部は美咲の頭から外れ、美咲はデッキの上で動きを止める。

 

しかし、タウラスはそんな美咲をキグルミの胴体から引きずり出してから再びデッキに叩きつけてから光弾で追撃をかけると爆発と同時に火が挙がる。

 

「ミッシェルが燃えてる・・・」

 

「嘘・・・!!美咲さん・・・そんな・・・」

 

 

 

 

「・・・!!美咲先輩!!」

 

「美咲ちゃん!!」

 

追撃をかけたはいいが、タウラスの放った光弾はミッシェルに直撃してそのキグルミが燃やしていた。

それに気を取られて最初は気が付かなかったが、美咲自身はその爆風によってタウラスとロック達の間の床に転がっていたが、花音の声に答えたのか美咲はフラフラとしながらも立ち上がってた。

 

 

「ってそうだ!!如月くんを呼ばないと・・・!!」

 

「あの子はいま別のと戦ってるから来ないよ・・・」

 

「嘘・・・!?」

 

今までの出来事で完全に弦太朗を呼ぶという事が頭から抜けていた彼女達だったが、タウラスから告げられた言葉によって皆の顔が恐怖に染まる。

 

その状況の中でタウラスは美咲にとどめを刺そうと足に力を込め始めていた。

 

「あの時みたいに押し潰してあげる・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「美咲!!」」

 

「みーくん!!」

 

タウラスが美咲を押し倒そうと駆け出したのと同時に、この場に遅れてやってきたこころ達の声がデッキの上に響くのだった。

 





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牛・熊・相・搏-15 変奏曲・二面性Joker

投稿です。

あの・・・
途中の美咲さんのセリフなんですが、あなたがそれを言っても説得力が皆無なんですけど・・・



「「美咲!!」」

 

「みーくん!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「美咲ちゃん・・・!!どうしたの!?」

 

「美咲・・・もしかして無意識に立っているのかい・・・?」

 

こころ達の声が響く中で美咲はふらつきながら立ち上がるが、彼女はこころ達へと何も反応を返すことはない。

普段の彼女からはあり得ない様子に思わず薫からは驚愕の声が漏れる。

 

今の美咲の目に光はないにも関わらずタウラスの前に立ち塞がろうとするが、それをなぎ倒そうとタウラスがデッキの床を踏み抜きながら美咲へと体当りを決めると彼女を船の壁面へと叩きつけると、そのまま彼女を壁へと押し付け始めた。

 

「昨日やられたことを返してあげる・・・!!潰れろ!!」

 

「ぅぅ・・・」

 

「返事も出来ないのね・・・」

 

タウラスは先日ダイザーにやられた借りを返そうと美咲を壁に押し付ける力を籠め始めるが、美咲からは肺から空気が漏れる音しか返ってこない。

そんな彼女を見てタウラスは呆れた様子で美咲を見るが、ここで信じられない出来事がタウラスを襲った。

 

 

「美咲を離してちょうだい!!」

 

「そうだよ!!みーくんを離して!!」

 

 

 

「こころちゃん!?はぐみちゃん!?」

 

「邪魔しないで・・・!!」

 

「「うわぁ!?」」

 

こころとはぐみは美咲を助けようとタウラスの腕にしがみつくもののタウラスは押さえつけていた美咲諸共3人を花音たちの足元へと弾き飛ばす。

 

「こころちゃん!!はぐみちゃん!!大丈夫!?」

 

「お2人とも大丈夫ですか!?」

 

 

「えぇ!!平気よ!!」

 

「うん・・・!!」

 

 

「美咲!!しっかりするんだ!!美咲!!」

 

「・・・」

 

転がってきたこころ達へと花音とロックが声を掛けると、何もなかったかのような態度で答える。

しかし、その一方で薫に抱きかかえられた美咲は全く返事を返すことはなく、それを見て薫がゆっくりと何かを決心すると美咲を床に寝かせるとゆっくりと立ち上がった。

 

「みんなは美咲を頼んだよ」

 

「「薫さん!?」」

 

「薫!!」

 

「薫くん!?どうするの!?」

 

 

 

 

 

「今度は私が牛と戯れるのさ」

 

「薫先輩!?」

 

「薫さん!?そんな危ないよ!!」

 

「なに・・・こう見えても闘牛は芝居でもやったこともあるし、それに前にも千聖と一緒に逃げたこともあるから逃げ足にも自信があるからね。だから六花ちゃんもまりなさんも心配しない欲しいな」

 

薫はジェスチャーをするように自身の足に触れながらこころ達へと自身の考えを伝えると一同は驚いた表情を浮かべていたが、そんな中で花音は薫が自身の足を触れていた本当の意味を理解してしまっていた。

 

 

 

「(薫さん・・・怖いんだ・・・)」

 

 

 

薫が自身の足を触ったのは自信の表れをジェスチャーで示すためではなく、今にも恐怖で震えそうな足を誤魔化すためだった。

 

こころや美咲達が逃げるための時間を作るために、薫は恐怖の感情を押し殺し、普段通りの自分を演じてながらゆっくりと前へと歩み出そうとするが彼女の足は急に止まってしまう。

 

 

 

「美咲ちゃん!?」

 

「美咲!?何を・・・!?」

 

 

 

「もう茶番はいいかしら・・・!!」

 

薫が歩み出そうとしたその途端、美咲が無意識のまま立ち上がってそのまま薫の前に歩み出していた。

皆が驚いていた中で、タウラスは痺れを切らして美咲へと突っ込むとそのまま今度はデッキの手すりへと叩きつけると、美咲からは今にも途絶えそうな呼吸音しか返ってこない。

 

そんな彼女を見てタウラスは彼女に最後の怒りをぶつけるべく構えを取っていた。

 

「このまま海に突き落としてあげる・・・!!その後はあの子達よ・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

タウラスの言葉に動かないはずの美咲の身体が僅かに動くが、誰もそれに気が付かず、タウラスは足に力を籠め始めていた。

 

「死ね・・・!!」

 

 

 

「「「美咲(みーくん)!!」」」

 

「「「・・・っ!!」」」

 

タウラスは自身の中で膨れ上がっていた怒りを爆発させ、その言葉と共に両腕を突き出して美咲へと突っ込んでいくと、こころとはぐみは美咲の名を叫ぶ中で他のメンバーはこの後に起こる悲劇から目を背けようと目を閉じてしまった。

 

しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

 

 

そこに響いたのはタウラスの驚きの声。

その声が不思議に思った彼女達はタウラスの声がしたその方向へと視線を向けると、信じられない光景が広がっていた。

 

 

 

 

「「「「嘘・・・!?」」」」

 

「美咲さん・・・!?」

 

 

 

「みーくんが・・・!!」

 

「牛と掴み合ってるわ!!」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「あっ!!みーくんが!!」

 

「美咲!!頑張って!!」

 

彼女達の目の前では、意識のない美咲がタウラスを抑えていた。

驚いたタウラスだったが手を振り払ってから美咲に掴みかかろうと両手を伸ばすが、その手を美咲が掴み返すと互いの身体を押し合い始めたが、すぐに美咲の方が押し込まれていく姿にタウラスは侮蔑の笑みを零す。

 

「所詮は・・・道化ね!!」

 

 

「花音さん・・・道化ってどういう意味なんでしょうか?日本語だと意味が分からなくて・・・」

 

「えっと・・・Jokerって言えば分かるかな・・・?」

 

「・・・そういう事なんですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっ・・・・あっははははっ!!」

 

タウラスの放った言葉の意味が分からなかった二コリーナは花音に意味を聞いてしまった。

しかし、その言葉を聞いて薫からはこの場に不釣り合いな笑い声が響き渡っていく。

 

「仲間がやられてるのに・・・何がおかしいの?」

 

「あなたが言ったJokerの例えがピッタリで思わず笑ってしまったのさ」

 

 

 

「薫さん!?どういう事・・・!?」

 

「酷すぎですよ!!」

 

「あはは!!仲間からも同じように見られているのね!!」

 

薫がまさかタウラスの発言に同意するという事態にロックや明日香から批判の声が響き、タウラスはそんな彼女の発言に笑ってしまい、若干美咲へとかける力が抜けてしまう。

しかし、薫はタウラスをあざ笑う様な表情を向けて静かに言い放っていた。

 

 

 

 

 

 

「何を勘違いしているんだ?」

 

「「「「「はっ?」」」」

 

薫は先ほどまでタウラスの言葉に同意していたのにも関わらず、勘違いと言い放った。

その事にタウラス以外の面々からも疑問の声が挙がるが彼女は構わず言葉を続けていく。

 

「確かに確かに"Joker"は道化と言う意味もあるが・・・少なくとも私にとっては違うのさ」

 

「何を言ってるの・・・っ!?」

 

薫の言葉に答えるかのように美咲はタウラスを徐々に押し返し始めていくことに驚いたタウラスは力を入れ直すが、美咲を押し返すことが出来ない事に動揺し始める。

 

その光景を前に薫は笑みを浮かべて動揺し始めたタウラスへと言葉をぶつける。

 

「あなたが思ってる美咲(Joker)はただの道化なんかではない。 私・・・いや、わたし達が頼りにしている美咲(Joker)は・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――最高の切り札なのさ!!」

 

「何を・・・っ!!」

 

薫の言葉に更に動揺したタウラスだったが、美咲からとてつもない力を感じて思わず薫から目の前の美咲へと視線を向ける。

 

そこには、先ほどまで完全に無意識だった彼女が意識を取り戻し、その目には強い光を灯して自身へと抗っている光景にタウラスの思考が鈍って力が緩むと美咲が吼えた。

 

 

 

 

 

「・・・っぁぁぁああ!!」

 

「なっ!?アンタはなんなのよ!?」

 

美咲は声を挙げながら渾身の力を籠めると、徐々にタウラスを押していく。

しかし、タウラスは負けじと力を入れるもののタウラスの後退が止まらないことに思わず絶叫してしまう。

 

 

 

 

タウラスが組みあっている美咲は、フォーゼ(弦太朗)ヴァルゴ()みたいな戦うための力を手にしている訳でもなければ、イヴの剣道のような戦いへの研鑽を積んでいた訳でもない。

 

普段こそ改造されているミッシェルやパワーダイザーを使ってはいるものの、美咲は根性だけで他に食らい付いていた。

 

それがハッキリと分かっていた彼女はタウラスの問に対して答えを出していた。

 

 

「―――――だ・・・」

 

「何よ!?」

 

「私はただの―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間だぁぁぁああああああああ!!」

 

「美咲!!」

 

美咲はその叫びと共にタウラスを全力で突き飛ばす。

しかし、それと同時に美咲の身体からは力が抜け、こころの叫び声が響く中でデッキに倒れそうになるが、彼女の身体は何者かに支えられデッキに身体を打つことはなかった。

 

「ったく、遅いですよ・・・如月先輩」

 

「如月くん!!」

 

 

「えっ?あれが・・・如月さんなんですか・・・?」

 

「そうよ!!あれが弦太朗よ!!」

 

「うん!!ゲンちゃん先輩は仮面ライダーなんだよ!!」

 

「仮面・・・ライダー・・・?」

 

彼女の身体を支えたのはこの場に駆けつけたフォーゼだった。

思わぬ人物の登場に盛りあがるこころ達を他所にタウラスは再び声を荒げていた。

 

 

 

 

「なんで!!あのRoseliaとRASを襲わせたあの分身達はどうしたの?」

 

「あぁ・・・?あれなら俺のダチが戦ってたけど、もう全部倒したからもうすぐこっちに来るぜ!!」

 

「なっ!?」

 

フォーゼの言葉に驚きを隠せないタウラスだったが、フォーゼは離れていたこころ達へと視線を向けるとまりなが彼に向かって叫ぶ。

 

「如月くん!!それの正体は美子ちゃんよ!!」

 

 

 

 

 

「誰だ?」

 

「Galaxyの店長です!!」

 

「サンキュー!!ロック!!まりなさん!!美咲は頼んだぜ!!」

 

「うん!!任せて!!」

 

「はい!!」

 

「・・・後はお願いしますね・・・」

 

フォーゼは美咲をロック達へと任せ、タウラスへと拳を突き付ける。

 

「こっからは俺が・・・タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

 

 

「ふふふふふっ!!」

 

「何がおかしいんだよ!!」

 

 

「誰もタイマンなんてしないわ・・・!!こっちにも切り札はあるのよ!!」

 

 

美咲の事もあってかフォーゼは突如として笑い始めたタウラスに、若干の怒りを向けるがタウラスは自身のものとは別のスイッチを取り出しながら叫ぶと同時にスイッチを入れる。

 

 

 

 

 

 

「ヴァルゴ以外のこっちで戦ったホロスコープスが全員集合か・・・だったら纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

そして、そのスイッチの起動と同時に現れたのは先ほど船内で見ることのなかった12使徒のゾディアーツ達が現るが、フォーゼはそんな状況に怯むことなくタウラス達目掛けて突っ込んでいくのだった。

 





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牛・熊・相・搏-16 吹き荒べ嵐よ

ガルパの卒業イベスト見終わったので投稿です。
見終わってからドキドキしすぎて心臓が痛い

次回でハロハピ最終回・・・かな?



 

「・・・だったら纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

フォーゼは標的を複製体を作り出したタウラスに定めてゾディアーツの集団へと突っ込んでいくが、タウラスの前には他のゾディアーツ達が立ち塞がるが、フォーゼはスイッチを起動するためにドライバーに手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

「・・・まずはこいつだ!!」

 

――クローON―――――――――

――――ビートON――――――

 

数的に圧倒的に負けているフォーゼはコズミックではなく、クローで素早さ重視の接近戦を挑みながら離れた距離にいる相手にはビートを使って牽制していた。

 

「こころ達のとこには行かせねぇぞ!!」

 

 

「弦太朗!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!いけ~!!」

 

フォーゼはこころ達の声に応えながらゾディアーツへと立ち向かっていく。

ダメージを与えることよりもメテオが来るまでの時間を稼ぐことを優先していたフォーゼだったが、それに気が付いたのかタウラスが声を挙げていた。

 

「時間稼ぎね・・・!!」

 

「それを教えるわけねぇだろ?」

 

 

「ふざけるな!!」

 

答えを聞いたタウラスは怒りながらフォーゼへと突進するが、フォーゼはそのタウラスに接触する直前で自身のバーニアを吹かして飛びあがるとそのまま足を持ち上げていた。

 

 

 

 

「食らえ・・・!!」

 

「ぐぁあぁあああ!!」

 

足を持ち上げたフォーゼは床へと落下する勢いを乗せた踵を角の折れた頭部へと振り下ろす。

タウラスはそれを避けることが出来ず、痛みの余り絶叫するがフォーゼはタウラスから視線を外すと複製体たちへと視線を向けたが、一瞬だけ目を離したのが不味かった。

 

 

「蟹がこっちに来るわ!!」

 

「あわわ~!?どうしよ~!?」

 

「美咲ちゃん!!逃げないと・・・!!」

 

「動けない・・・」

 

 

 

「ダメ・・・!!」

 

「明日香ちゃん!?」

 

フォーゼがタウラスを相手にしていたわずかな隙にキャンサーはこころ達へと迫る。

それを見てから彼女達は逃げ出そうとするが、美咲は未だに動けない。

そんな中で明日香が彼女達の前に飛び込んできたことにまりなが声を挙げるが、そんな彼女達の後ろから別の影が飛び出してきた。

 

「アタァ!!」

 

「あら!!見たことない人が来たわ!!」

 

「2人目だ~!!」

 

「もしかして弦太朗の友達の・・・流星かい?」

 

 

 

彼女達の後ろから飛び出したのはメテオ。

メテオはこころ達の頭上を飛び越えるとそのままキャンサーへと飛び蹴りを食らわせるとフォーゼの元へと着地するとゾディアーツ達はタウラスの元へと戻っていくと互いに睨み合い始めると、賢吾を先頭に他の人たちもこの場所にやってきていた。

 

 

 

「流星!!それに賢吾たちも来たのか!!」

 

「遅くなってすまない!!やはり、12使徒の複製体もいたか・・・」

 

「でも、牛は本物で正体は・・・」

 

 

 

 

 

 

「月島さん。タウラスのスイッチャーについては佐藤がもう知っている」

 

「・・・能々美子。あんただろ?」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

「えっ!?ますきさん!!何で分かったんですか?」

 

まりなは遅れてきた賢吾たちにタウラスの正体を伝えようとしたが、賢吾達がそれを聞く前にますきがその正体を言い当てた事をまりな達は驚きの声を挙げて、ロックが彼女に理由を聞くと彼女は苦々しい表情を浮かべながら答えて始めた。

 

 

 

 

 

「実は商店街で会った時、あたしのことを"ますきちゃん"って呼んでたろ?」

 

「あっ!!そういえば、ますきさんの事をそう言ってました・・・!!」

 

「あたしのことを”ちゃん”なんて呼ぶのは殆どいないから、そっから先は消去法だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ますきちゃんの言う通りよ!!」

 

「わたし達は変身するところを見てましたから!!」

 

「あぁ・・・ますきちゃんにはもうバレちゃってたのかぁ・・・」

 

ますきの言葉を聞いてタウラスは観念したような声を挙げると、ますきはそんなタウラスへと当然の疑問を口にしていた。

 

「何でこんなことをしたんですか?」

 

「これが・・・あの人の望んでることだから・・」

 

 

「あの人?それはいったい・・・・・・?」

 

「あなた達が知る必要はないわ」

 

 

 

 

 

「だったら、お前をぶっ倒してから商店街を襲った理由と合わせて聞いてやるよ・・・」

 

「「巴!?」」

 

タウラスの言葉を聞いた巴は内に秘めた怒りと身体を解すように首や肩を回しながら、賢吾達の前に出ると静かにタウラスを睨みつけていた。

しかし、タウラスはそんな中でも巴を静かに指差すと彼女達からしたら予想外の出来事が起こる。

 

「ふっ・・・」

 

「っ!?ピスケス!?いつの間にデッキの床に潜っていたんだ!?宇田川避けろ!!」

 

 

 

 

 

「有咲~!!こっち来てるよ~!?」

 

「あぁ~!?このタイミングでくっつくな~!!」

 

「巴!!賢吾!!」

 

フォーゼ達の背後から床に潜っていたピスケスが飛び出すとそのまま巴へ向けて襲い掛かろうと飛び上がる。

賢吾の後ろで慌てふためく香澄達を他所に賢吾は巴に逃げるように指示を出すが、巴の行動は彼の想像を超えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・邪魔だ!!」

 

巴は飛び掛かるピスケスの顔面へ左拳を叩きこむと、利き腕ではないのにも拘らずピスケスは数m吹き飛ぶとそのまま船上から海へと落下していく。

 

「うっそぉ・・・」

 

「巴先輩・・・」

 

「おねーちゃん!!すごーい!!」

 

 

 

「巴さん?うお座を水の中に落としたら不味くないか・・・?」

 

「んなこと言っても、しゃあないだろ!!」

 

 

 

「よくも・・・!!」

 

「くそっ・・・!!」

 

巴がピスケスを海に叩き落したことに驚きを隠せないタウラスだったが、意識が自分たちから外れている今のタイミングで他のゾディアーツ達と共に光弾などの遠距離攻撃を一斉に巴達目掛けて放つ。

 

余りの弾幕に巴はポケットに手を伸ばしてスイッチを押してヴァルゴへと変身すると後ろにいる賢吾たちを守るために翼を盾代わりにして防ぎ始める。

 

「ひぃ・・・!?」

 

「二コリン、トモちんは大丈夫だよ!!」

 

「えぇ!!わたし達の友達よ!!」

 

 

 

 

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

「おねーちゃん!!」

 

「歌星!!あれを使うぞ!!」

 

「あぁ!!」

 

 

 

 

「・・・!?流星さん!?」

 

「攻撃に割り込んだ?なんで!?」

 

巴がいきなり美咲を襲ったタウラス達と同じような姿になったことに二コリーナは小さく悲鳴を挙げるが、こころ達がそんな彼女へと声を掛けて落ち着かせていたが、賢吾達の盾になっているヴァルゴはそんな声を気にする余裕がなく、弾幕をひたすらに耐える。

 

しかし、メテオが突如として射線上へと割り込むと彼は大きな爆炎に包まれて、周囲からは声が挙がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――しかし、その爆炎は突如として不自然な挙動を見せる。

 

 

「みんな、あれを見て・・・」

 

「ルイルイ、どうしたの・・・?」

 

「七深ちゃん、なんか変だよ?」

 

「なんか変な動きしてね?」

 

 

 

 

 

 

「まるで・・・爆発が・・・渦を巻いて・・・あっ!!あれ!!」

 

モニカの面々が爆炎の挙動がおかしいことに声を挙げていたが、ましろは爆炎の巻き込まれたメテオの方へと視線を向ける。

 

そこにはメテオを中心に何かが渦を巻き、爆炎はその渦の中へと巻き込まれていく光景が広がっていた。

 

 

 

 

次第にその渦は小さくなるのに合わせてメテオの身体が青と金へと変わっていき、渦が消えると共に彼の身体は先ほどとは別の物へと変わっていた。

 

「すっごーい!!派手派手だ~!!」

 

「うんうん!!そうだね!!はぐ!!」

 

「それに・・・モニカ色だね~ルイルイ!!」

 

「えぇ・・・そうね・・・」

 

メテオの姿が変わったことに思い思いの感想を言い合う中で、賢吾が数瞬だけ思考すると前にいる面々にそれぞれ指示を飛ばし始める。

 

 

 

「スイッチを使ったなら仕方ない・・・弦太朗達は一気に複製体を片付けろ!!宇田川はタウラスの足止め!!だが無理はするな!!」

 

「巴ちゃん!!弾を船に当てちゃダメだからね!!」

 

「分かった!!」

 

賢吾の指示以外にもつぐみからの言葉を聞いたヴァルゴは無言で杖をイヴへと放り投げると、フォーゼ達を飛び越えてそのまま突撃によって決戦の火蓋が切って落とされる。

 

それを見たフォーゼも温存していたコズミックスイッチをドライバーにセットして起動する。

 

 

――コズミックON――――――――

 

コズミックの起動と共に40個のスイッチはフォーゼの身体へと取り込まれ、コズミックステイツへと変身すると、メテオを並んで互いに武器を構えていた。

 

「こんなはずじゃ・・・こんな・・・!!」

 

「よそ見してる余裕なんてないだろうが!!」

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダーメテオストーム・・・!!俺の運命(さだめ)は嵐を呼ぶぜ!!」

 

「あぁ・・・!!みんなの絆で宇宙を掴む!!」

 

完全に想定外な出来事にタウラスは声を漏らすが、そんな言葉を遮るようにヴァルゴがタウラスの顔面を全力で殴りつける光景を他所に2人のライダーは並び立ち、彼らもまた決戦のステージへと上がっていくのだった。

 





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牛・熊・相・搏-17 世界中が笑顔()を待っている


投稿です。
ハロハピ篇・・・完!!
中途半端と言われようがこれで完結なんや・・・!!


 

「・・・はぁあああ!!!!」

 

ライダー達の戦闘で先陣を切ったのはフォーゼ―――ではなく、メテオ。

彼はシャフトを構えると最初の標的を定めて突撃すると、その1体は固まっていたゾディアーツの中から分断されてしまう。

 

ここまではメテオの狙い通りであり、この後に起こる出来事までも完全に彼の―――いや、彼らの想像通りだった。

 

「弦太朗!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――クロー ON―――

 

「いっけぇええええ!!」

 

「・・・弦太朗!!」

 

賢吾もフォーゼもこうなる事が分かっていたのか、賢吾の合図とともにフォーゼは構えていたソードに素早くスイッチを装填して起動すると同時にアクエリアスへと振り下ろし、アクエリアスの肩の瓶を両断すると、即座に賢吾がフォーゼを呼ぶ。

 

そこで隙を晒したフォーゼに攻撃を仕掛けようとアリエスとキャンサーが自身の武器を構えて迫っていた。

 

「あ~!!ゲンちゃん先輩!!右から来てるよ~!?」

 

「如月くん!?もしかして気が付いてないの!?」

 

「アヤさんじゃないんですからそんなこと無いですよ!?」

 

 

 

 

「・・・」

 

思わずはぐみと彩が声を挙げる。

 

当然その声はフォーゼにも聞こえているはずだが、彼は迫ってくるアリエス達を気にする様子も見せずにドライバーのスイッチを交換していく様子に一同は驚きの様子を浮かべていた。

その行動が理解できなかった彼女らに淡々とした様子で賢吾が声を掛けていた。

 

「あぁ、弦太朗は勿論気が付いている」

 

「じゃあ・・・なんで・・・?」

 

「見ればわかる」

 

 

 

 

 

 

「アチャー!!」

 

賢吾はフォーゼの行動の理由を語らなかったが、代わりにメテオは行動で示していた。

彼はフォーゼに迫っていたゾディアーツに立ち塞がるとシャフトを振るい、アリエスの杖とキャンサーのハサミを弾く。

 

フォーゼは迫ってくるゾディアーツに気が付いていなかったわけでも、対応出来なかった訳でもない。

 

フォーゼは先ほど賢吾が呼んだ意味を理解し、メテオがどう動くか分かっていた。

だからこそ迫るゾディアーツ達の対処を完全にメテオに任せて自身の仕事をこなす為準備を優先していた。

 

「アリエスの睡眠攻撃は大した影響はない!!こっちは任せろ!!」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

――――ペンON――――――

 

「・・・次はおま・・・ってアブねぇ!?」

 

メテオの言葉を聞いたフォーゼは次の標的に定めるが、カプリコーンは五線譜を飛ばして攻撃を仕掛けてくる。

それを見てフォーゼはは空中へ向けてペンを振って、そこから溢れるインクを実体化させて五線譜を弾くと彼はそのままカプリコーンへと突っ込んでいくと、カプリコーンの攻撃を防ぐようにペンを数回振るう。

 

 

 

「みんなの前でやりにくいけど・・・仕方ねぇ!!」

 

フォーゼはそう呟くと攻撃を防ぐのを辞め、カプリコーンの五線譜を受けながら再びペンを振るうと異変が起きる。

 

 

 

「おや・・・?山羊からの攻撃が止まったみたいだね・・・?」

 

「どうしてかしら?」

 

「あっ!!あれ!!ギターが!!」

 

 

 

「先輩・・・あれじゃギターが弾けない・・・。弾きたかったな・・・」

 

フォーゼはカプリコーンの攻撃を1回食らう代わりに、ペンによる攻撃をカプリコーンへと放つ。

しかし、彼の狙いは本体ではなくカプリコーンのギター。

 

カプリコーンのギターにはフォーゼのペンから放たれたインクがべっとりと弦に付着し、ギター本体に張り付いてしまう。

フォーゼの1撃でカプリコーンのギターは楽器としての機能を完全に失っていた。

 

数の不利を物ともしない2人。

そんな彼らは一瞬だけ離れた場所で時間を稼いでいるはずのヴァルゴに視線を向けて、状況を確認し始めていた。

 

「街をめちゃくちゃにしたみんなの怒りは・・・こんなもんじゃねぇぞ!!」

 

「ぐっ!!このっ!!あの人の邪魔ばかりして・・・!!」

 

「いってぇ・・・!!これどうやって倒せばいいんだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「あのままでもいいんじゃねぇか・・・?」

 

「弦太朗。とりあえずこっちも決めるぞ・・・!!」

 

時間を稼ぐと言っておきながら圧倒的なパワーを持つタウラスに肉弾戦を挑んで、押しているという光景を見て、2人は早々に勝負を決めようとしていたが、ここで舞台が大きく動いた。

 

 

「うおっ!?」

 

「なんだ!?」 

 

 

 

 

 

 

「「「「きゃああああああああ!!」」」」

 

「船が揺れてる・・・!!みんな何かに捕まれ!!」

 

 

 

 

「ねぇ!!あれを見てちょうだい!!」

 

突如として船が揺れたことに流石の賢吾も声を張り上げ、皆がその言葉にしたがってデッキの手すりや壁を掴むが揺れが止むことはない。

 

そんな中で薫と共に手すりに捕まったこころが何気なく船外に視線を向けると、その原因を海面から顔を出していた。

 

 

 

 

「おや・・・あれは確かうお座だね・・・」

 

「ちょっと!?この船に攻撃してるよ!?」

 

「ねぇ・・・有咲ちゃん・・・」

 

「羽沢さん、多分そうだと思う・・・!!」

 

「あぁ・・・羽沢、市ヶ谷。これは間違いない」

 

 

 

 

 

 

「「「船諸共、私(俺)達を沈めるつもりだ!!」」」

 

ピスケスが船を攻撃しているというのを聞き、最悪の展開が頭を過り、その考えを聞いて一同は彼女達の背筋が凍り始める。

 

 

「どうしよう~!?あたし泳げないよ~!?」

 

「香澄先輩!!元水泳部の明日香ちゃんがいますから!!」

 

「海とプールじゃ全然違うからね・・・」

 

泳げない香澄が慌てふためき始めるがそれを見て、返って冷静さを取り戻して即座に指示を出す。

 

 

 

 

「弦太朗!!君はピスケスを!!」

 

「賢吾!!」

 

「ピスケスを放置したらいつこの船が沈むか分からない!!それに、メテオでは水上戦は無理だ!!」

 

「ここは俺に任せろ!!」

 

 

 

「・・・分かった!!」

 

フォーゼはソードをブーストモードに変形させると、この場をメテオに任せて船外へと飛び出す。

 

 

――――――ボードON――――

――――――――ウインチON――

 

 

「一本釣りだぁぁあああ!!」

 

フォーゼはウインチを起動してピスケスを捉えて、ボードで海面に着地する。

捕まったピスケスはフォーゼを海中に引きずり込もうとするが、ブーストモードに変形させたソードの推進力に負けてピスケスは成す術もなく海面を引き摺りまわされる。

 

 

――――ランチャーON――――――

 

「こいつも食らえ!!」

 

フォーゼはランチャーからミサイルを海面に落とし始める。

成す術もなく引き摺られていたピスケスは海面に落とされたミサイルに衝突し、その度に海面は大きな水柱を作っていき、次第にピスケスの抵抗も弱まっていく。

 

「うぉおおお!!」

 

 

 

フォーゼはそれをチャンスと見ると即座にソードを変形させながら、背面のバックパックとボードを横にして急制動をかけながらコズミックスイッチをソードへと装填する。

 

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー超銀河フィニィィィッシュ!!」

 

ソードからの音声が聞こえると同時にフォーゼはウインチを一気に巻き上げてピスケスを自身の元へと引き寄せるとその勢いのまま向かってくるピスケスの胴体をソードが突き刺さると同時にピスケスの身体は爆発する。

 

「いつの間にかかなり離れてんな・・・早く戻んねぇと・・・!!」

 

フォーゼは爆発する光景を見るや否や、ソードに装填したとロケットを起動して離れていた船へと戻っていくのだった。

 

 


 

 

 

 

フォーゼがピスケスとの戦闘を終えた頃、船上に残って戦っていたメテオ側にも終わりが近づいていた。

 

「フッ!!アタァ!!ホアタァァァ!!」

 

 

 

「すげぇ・・・圧倒的だな・・・。相手の武器とか全部ぶっ壊してる・・・」

 

「市ヶ谷、フォーゼとは違って戦闘をメインに作られているメテオならこの位なんてことはない」

 

数の差など物ともせず、船上ではメテオが残っていた4体のゾディアーツの武器を粉砕するほどにゾディアーツ達を圧倒していた。

 

その光景に有咲から声が漏れるが、そこに賢吾が簡単に捕捉で説明を入れる。

しかし、そんな事よりも別の事を思っていた彼女達の多くの気持ちを代弁するかのようにチュチュと友希那が声を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「「うるさいわね・・・」」

 

「ちょっとチュチュ様!?」

 

「友希那も何言ってんの~!?」

 

 

 

 

 

「・・・朔田!!」

 

「あぁ!!・・・これで止めだ!!」

 

「「「「おぉ~!!」」」」

 

しかし、彼女達の言葉を賢吾は聞き流して、メテオはシャフトを振るってからドライバーに刺さっているスイッチを外すとシャフトに装填する。

 

どんなことが起こるのかと一部がその光景にキラキラした表情を浮かべていたが、メテオがその後に取り出したものを見て表情が固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ヒモ・・・?」」」」

 

「少し堅そうだけれど、ヒモの様だね・・・」

 

 

彼は今取り出したのはストームワインダーと呼ばれるメテオの必殺技を発動させるのに必要なアイテムだが、事情を知らない彼女達にとってはただの硬いヒモにしか見えずに二コリーナと美咲以外のハロハピのメンバー達から困惑するような声が漏れるが、そんな彼女達の声を他所にメテオは動く。

 

「流星さんがヒモをスイッチに入れたわ・・・」

 

「そう言えば妹たちとテレビ見てた時、似たおもちゃのCMを見たような・・・」

 

「ふーすけ?マジで?」

 

「あっ・・・ヒモを引いたら回り始めたよ~・・・」

 

メテオの一連の動作を見て、おもちゃで遊ぶような動作だとモニカ達が言い始めたことに、彼女達は若干の不安を覚え始める中でメテオ最大の必殺技が放たれる。

 

「食らえ!!メテオストームパニッシャー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「は?」」」」」」」」

 

「ふえぇ~本当に独楽だよ~!?」

 

「そうね花音。本当に・・・あれで倒せるのかしら・・・?」

 

「こんな時に遊んでんじゃねぇーよ!!」

 

メテオが技名を叫ぶと共にそれは放たれた。

 

しかし、”パニッシャー”―――”罰を与える物”という意味を持つ仰々しいその技名に反して、起こったのはメテオストームスイッチから独楽状の武器であるメテオトッパーが回転しながらメテオの足元に放たれるだけ―――

 

今までのフォーゼの技を見ていた彼女達にとってはこれが必殺技だと言うことに首を傾げ、思わず有咲がツッコミを入れるその後ろではましろが何かを感じていた。

 

「ねぇ・・・あれ・・・変だよ・・・?」

 

「シロちゃん・・・?それって・・・」

 

 

 

どういう事?―――

そう言葉を続けようとした途端、異変は突如として起こった。

 

 

 

「すっごーい!!」

 

「独楽が急に動き出したわ!!」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

メテオの足元に落ちたメテオトッパーが急加速するとそのままキャンサーへ向けて走り出すとその身体に風穴を開けて抜け、対峙していたゾディアーツ達をズタズタにしていく。

 

 

そして、一通り暴れたトッパーはメテオのシャフトへと収まると同時にゾディアーツ達は爆発を起こしてその姿は完全に消え去っていた。

 

「「「「「うっそぉ・・・」」」」

 

 

 

 

 

 

「悪い!!遅くなった!!」

 

「弦太朗!!こっちも今終わったところだ」

 

「弦太朗!!タウラスの方に止めを刺せ!!」

 

「そうだ!!牛野郎は・・・」

 

一同が唖然としているこのタイミングで船外で戦闘していたフォーゼが戻ってくると、ヴァルゴが相手しているタウラスの事を聞くと、2人はそのままタウラス達へと視線を向けていた。

 

 

「さっきからボカボカ殴りやがって・・・!!いてぇんだよ!!」

 

「ぐぅ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「あれは本当にヴァルゴなのか・・・?」」

 

「てか、これ俺らが手を出す必要あるのか・・・?」

 

ヴァルゴは時折反撃を受けるものタウラスと肉弾戦で圧倒していた。

そんな状況に先ほどまで少女達を唖然とさせ続けていたメテオを賢吾、それにフォーゼまでもがが唖然としてしまうが、ヴァルゴは集まっていた男たちを見て声を張り上げた。

 

「如月!!」

 

「んぁ?」

 

「任せた!!」

 

 

 

 

 

 

「がぁぁ!?」

 

ヴァルゴは今までタウラスを攻撃し続けていたが、最終的にどうしたらいいか分からなかった。

しかし、このタイミングでフォーゼ達が相手を倒したのが分かると、ヴァルゴはその言葉と共に翼で浮き上がるとタウラスの顔面に蹴りを叩きこんでデッキの床に転がした。

 

「さっきからやりずれぇことばっかりだな・・・」

 

「だったら俺がやるか?」

 

「いや・・・俺がやる・・・」

 

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「これ以上・・・邪魔をするなぁぁぁ!!」

 

自身もスイッチャーである美子の事はロックの繋がりで見覚えがあった。

流石にこれをメテオにさせる訳にも行かないと考えたフォーゼは前に出るとコズミックスイッチをソードに装填するのを見たタウラスは自棄を起こしてフォーゼへと向かっていく。

 

しかし、フォーゼもまたタウラス目掛けて駆けだし―――

 

 

 

「ライダー超銀河フィニィィィッシュ!!」

 

「・・・ぁぁああああああ!!」

 

 

すれ違いざまにソードで斬りつけると、タウラスの身体から火花が飛び散り始める。

そんな状態でタウラスは視線をRoseliaとRAS、そしてポピパへと視線を向けると共に絶叫を挙げて爆散すると、そこにはスイッチャーである美子が意識を失った状態で倒れていた。

 

「終わったな・・・」

 

「あぁ・・・」

 

「ふぅ・・・」

 

 

「あの・・・終わったんでしょうか・・・?」

 

「そうだよ。二コリーナさん・・・」

 

「はぁぁ・・・」

 

ライダーとヴァルゴはそれぞれが変身を解くと、全員が戦闘が終わったのだと理解して安堵の表情を浮かべていた横で、初めての体験をした二コリーナは完全に状況を花音に確認すると完全に力が抜けてしまっていた。

 

しかし、戦闘が終わったが巴は視線を倒れていた美子へと詰め寄ると、その胸倉をつかんで声を挙げていた

 

「おい!!起きろよ!!何で商店街で暴れたり、美咲を狙ったりしたんだよ!!」

 

「ちょっと巴~!!」

 

「巴ちゃん~落ち着いて~!!」

 

「ちょっとひまり!!まりなさん!!離してくださいよ!!」

 

「宇田川さん。気を失ってる人に言っても無駄だよ・・・」

 

 

 

「美咲!?でも!!」

 

巴は意識のない美子を掴み上げるが返事はない。

それを見てひまりとまりなによって巴が引き剥がされ、ロックに支えられてもまだフラフラしている美咲が巴に声を掛けるが、それでも彼女は声を挙げ続けた。

 

「それにさっき言ってた"あの人"ってのは誰なんだよ!!起きないんだったら無理やりでも・・・っ!!」

 

「巴!?どうしたの!?」

 

「巴ちゃん!!大丈夫!?」

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「まさか・・・スイッチの影響が・・・!?」

 

巴はスイッチャーであった美子から今までの事を聞き出そうとするが、突如として彼女の身体から力が抜けてその場に崩れていく。

 

その巴の様子を見て、あこを先頭に皆が彼女を心配して周囲に集まっていくと、賢吾の頭には最悪の考えが浮かぶがそれはすぐに否定されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐぅぅぅぎゅるるるるるる―――――

 

 

「弦太朗。お前どれだけ腹が空いてたんだ・・・」

 

「流星!!俺じゃねぇよ!?」

 

 

ぐぅぅぅぎゅるるるるるる―――――

 

 

突如として腹の虫が大音量で鳴り響く。

一同は何故か弦太朗へと視線を送るが即座に本人は否定すると、弦太朗とは別のところから音が響き始めると全員がそちらに視線を向けていた。

 

「巴ちゃん・・・」

 

「・・・だぁあああああ!!腹減った!!さっきまで戦ってたから仕方ねぇだろ!!」

 

 

 

 

 

 

「だったら、みんなで行ってきなよ・・・」

 

「美咲ちゃん!?」

 

音の発生源は巴からだった。

彼女は顔を赤くしながら声をあげると、美咲が思わぬ提案に花音が驚いた表情を浮かべていた。

 

 

「もう敵は倒しましたし・・・。あたしはとりあえず休んでますし、何かあっても黒服さん達に如月先輩もいますから、それに・・・どうせなら楽しくて笑ってる方が良いじゃないですか・・・」

 

「・・・そうね!!美咲!!」

 

「こころん!?みーくんはいいの!?」

 

「ここは美咲の意思を尊重しようじゃないか」

 

皆が美咲を心配するが、そんな中で薫は美咲の意思を尊重すると言い始めたことに驚いてたが、美咲はそんな彼女に笑みを返していた。

 

「薫さん、ありがとうございます・・・それに、もうバンドリの決勝進出の結果が出たんじゃ・・・」

 

 

 

 

 

「「「「「あっ!?」」」」」

 

「今までの騒動のせいですっかり忘れてたわね・・・」

 

「湊友希那の言う通りね・・・」

 

バンドリの結果発表―――

今までの戦闘が会ったせいでその事が完全に頭から抜けてしまっていた彼女達は思わず声を挙げたが、そんな中で香澄が思わぬ提案をした

 

 

「じゃあ、みんなで見よう!!」

 

「みんなで・・・?」

 

「はい!!ここでみんなで確認しましょう!!」

 

「私達は構わないわ」

 

「RASも問題ないわ!!」

 

「だったら、全員に見えるほうがいいな・・・バガミール!!」

 

香澄の思わぬ提案に友希那とチュチュが乗ると、賢吾が空気を読んでバガミールを起動してそこから空中に結果を投影し始める。

 

その技術に驚くものもいたが、賢吾は淡々と作業をすると、そこにはバンドリ予選の結果が表示されていく。

 

「やった~!!やったね!!りんりん!!」

 

「うん・・・そうだね・・・」

 

「当然です」

 

「えぇ・・・」

 

「友希那も紗夜も、もうちょっと嬉しそうにしなよ~」

 

予選1位にはハッキリと”Roselia"と記載されていた。

しかし―――

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

 

 

「おいおいおい・・・!!どうなってんだこりゃ・・・」

 

「ちょっと待って・・・私達とRASが・・・全く同じ票数になってる・・・」

 

「どうなっとるんや!?」

 

2位には"Poppin'Party”そして"RAISE A SUILEN "の2バンドの名前が載っていたが、流石にこの結果は誰もが想定外。

 

思わず彼女達はその場にいたまりなに詰めていた。

 

「まりなさん!!」

 

「マリナ!!これはどういう事よ!!」

 

「どういうって・・・そういう事だけど・・・」

 

あっけからんとした様子で答えるまりなに最初にチュチュが噛みつき始める。

 

 

 

「NO!!そうじゃないわよ!!決勝は2バンドのはずよ!!それなのに2位が2バンドもあることについてよ!!」

 

「それでまりなさん。これってどうなるんですか?今から予選の延長戦やるにしても時間がないですよね?」

 

「えっとね。有咲ちゃん。そのね・・・?」

 

「あっ・・・。どうなるの?レイ?」

 

「花ちゃん・・・私にも分かんないかな・・・」

 

次第に喧しくなる彼女達だったが、その中でとある一言によって状況が一気に変わる。

 

「月島さん。もうどうするのか決まってるんですよね?」

 

「おい賢吾。どういう事だよ?2位までが3つあんだろ?」

 

「・・・そういえばまりなさん、船乗った時にチュチュが聞いてたのに答えようとしてましたよね?」

 

「確か「決勝出るのはこの3バンドの~」とか言ってたような・・・」

 

「確かに・・・それってもうどうするか決まって無いと答えられないよね・・・?それに明日香ちゃんがそれを止めようとしてたから明日香ちゃんも知ってるんじゃ・・・」

 

 

 

「まりなさん。今日の最後の仕事ですよ・・・」

 

その言葉にまりなと明日香に視線が集まると、明日香は観念したような表情を浮かべてまりなの声をかけると、まりなはRASとポピパを交互に見てから静かに息を吐いて彼女達に告げた。

 

「決勝出るのはこの3バンドの―――

 

 

 

 

 

 

全部だよ」

 

まりなからの言葉にRASとポピパの面々は喜びを分かち合う。

そんな光景に他の面々は笑みを浮かべると、船が港へ戻るまで3バンドの決勝進出の宴が続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 


 

「どうやら・・・タウラス―――美子は失敗したみたいだね・・・。学校で逃げる時に手を貸したのは無駄だったね」

 

夜の闇に紛れた人外は懐からスイッチを取り出して起動すると、その姿を女性へと変える。

 

「それに決勝が23日だけど・・・”あの日”はそれよりも3日くらい早いか・・・仕方ない・・・」

 

そして女性は自身のとは別のスイッチを取り出すと夜空に晒しながら呟いた。

 

「予定よりも早いけど、これをあの子に使わせるしかないね」

 

そう呟きながらスイッチを懐にしまうと、夜の雑踏に紛れていくが、その影は”3本の足”が伸びていた。

 


 

 

 

船上での騒動があった翌日の朝、弦太朗は独りで通学路を歩きながら不意にある頃が思い浮かぶ。

 

「そういや、もう少しでここともお別れか・・・」

 

 

 

 

「如月くん?どうしたの?」

 

「花音さんの言う通りですよ。何、らしくもなく黄昏てるんですか?」

 

「花音!?それに美咲!?お前その怪我で大丈夫なのかよ!?それに確か二コリーナが帰るのを見送るんじゃ!?」

 

弦太朗の背後から声を掛けたのは普段通りの花音と至る所に包帯を巻いている美咲、しかも今日は帰る二コリーナを見送ると聞いており、この場にいないはずの彼女達に弦太朗は驚きの声を挙げてしまった。

 

「本当はそうするつもりだったんですけど・・・」

 

「二コリーナさんに「見送りに来なくてもまた会えるから」って言われたから今回は辞めたんだよ」

 

「そうだったのか・・・」

 

弦太朗はそう言いながら怪我をしている美咲に歩幅を合わせると、そんな彼を見て美咲は彼に荷物を押し付け、彼は何も言わずにそれを受け取って歩き出すと静かな時間が流れる。

 

が、それも長くは続かなかった。

 

「美咲~!!花音~!!」

 

「みーくん!!あっゲンちゃん先輩も一緒だ!!」

 

「美咲、どうやら怪我は大丈夫そうだね」

 

 

 

 

 

 

「うわ出た・・・」

 

静かな時間をぶち壊したのはこの場に現れたこころ達と学校が違うにも関わらずこの場に来た薫だった。

 

 

「よっ!!こころにはぐみじゃねぇか!!それに薫は何でここにいるんだよ?」

 

「ふふっ、美咲の事が気になってね。大丈夫さ。遅刻をするようなことにはならないさ」

 

「まぁ、美咲が心配ってんだったら仕方ねぇか?」

 

「弦太朗。そういえば二コリーナからの伝言を預かっているよ」

 

「ん?」

 

「あぁ、「今回は色々あって余り話せなかったけど、今度は友達としてゆっくりと話しましょう」・・・こう言ってたよ」

 

「そうか・・・」

 

薫の言葉に納得した弦太朗はふとこころ達の方へと視線を送るといつも通り元気すぎる彼女達の姿が写っていた。

 

 

 

 

 

「美咲~早く学校に行きましょう!!」

 

「そうだよみーくん!!」

 

「2人とも、美咲ちゃん怪我してるから・・・」

 

「ならゲンちゃん先輩に載っていけばいいよ!!」

 

「はぁ!?こころ何言って・・・!!」

 

「ふふっ・・・美咲ちゃん。折角ならいいんじゃない?」

 

「ちょっと花音先輩も笑ってないで2人を止めてくださいよ!!」

 

 

 

「弦太朗。私はそろそろ自分の学校に行くが、今は目の前の友達の事を大切にすべきじゃないかな?」

 

「おう!!」

 

弦太朗の言葉を聞いて薫は満足そうな表情を浮かべる。

彼もその顔を見ると美咲達の方へと駆け寄っていく。

 

 

「よっしゃ!!美咲!!行くぞ!!」

 

「ちょっと如月先輩!?」

 

「それ紗夜ちゃんにやってたやつだよね・・・?」

 

「弦太朗!!美咲を連れてそのまま行きましょう!!」

 

「おろしてー!!」

 

 

 

「やっぱり弦太朗は面白いね。それに私達はこの位賑やかな方があっているね」

 

「薫さん。ふふっ・・・そうだね」

 

3年生は2人は目の前にいる弦太朗と2年生達に視線を向けると、1名を除き楽しそうにしている光景に笑みを浮かべて見届けながらそれぞれの学校へ向かって歩き出すのだった。





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本当はヴァルゴvsタウラス書こうとも考えたけど
ただただ殴り合うだけだからね・・・?許してクレメンス

まぁ、ハロハピさんは安定の別エンドも考案してたけど
それだと最終章まで美咲さんリストラされるので却下しました・・・


次章はもう・・・分かるね?

オマケ
変身ゾディアーツ設定 ハロハピ&モニカ篇
こころ:ペルセウス/ピクシス
薫:キグナス
花音:ピクシス/アクエリアス
美咲:大熊、小熊、ジェミニ

ましろ:ユニコーン
七深:カメレオン
つくし:コーマ
ルイ:スコーピオン


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オマケ時空篇13 ふぃーばー!は続くよ。どこまでも
日・常・風・景20 大宴会!!これでええんかい?


投稿です。
全力でボケたかった。
後悔はしてない。



 

~~~小ネタ55:キラキラ愉快な最強商店街、狂乱のラヴィアンブシドーパーティー!!

 

事件が終わった直後、美咲を除いた彼女達は再び船内へと戻るとそれぞれグラスを片手に持つと視線を彩へと送っていた。

 

「それじゃ~、3バンドのバンドリ決勝進出を祝って・・・」

 

「かんぱ~~~い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

「ちょっと日菜ちゃ~ん!?」

 

しかし、彩の号令に日菜が割り込み、中断されたパーティーが再開されると、途端に場内は騒がしさを増していく。

 

 

「おねーちゃん!!おめでと~!!」

 

「日菜・・・ありがとう・・・」

 

「あこも頑張れよ!!」

 

「うん!!Roseliaが優勝するからね!!」

 

 

「ろっか!!頑張ってね」

 

「はぐみ先輩!!はい!!」

 

「マネージャー。あなたはRASが優勝するのをスタッフとして見てなさい」

 

「だからマネージャーじゃないって・・・」

 

 

 

「香澄・・・その・・・頑張って・・・」

 

「蘭ちゃん!!うん!!」

 

「あわわ・・・香澄先輩が武道館・・・チケット取れるかな・・・」

 

「シロちゃん落ち着きなよ~」

 

話題の中心はバンドリの決勝へと駒を進めた3バンド。

皆が彼女達を応援する横で男子たちは若干気まずそうな表情を浮かべていた。

 

「あいつら本当に決勝まで行っちまったな・・・」

 

「調べたが凄い競争だったらしいな」

 

「あぁ、決勝まで行けば犯人に会えるかもしれないって言って気合い入れてくれてたからな・・・」

 

「そうだったのか・・・。俺も久しぶりにドラムを叩きたくなったな。朔田、君はどうだ?」

 

「俺は音楽はさっぱりだからな・・・」

 

 

 

 

 

「でしたら、私が教えましょうか?」

 

流星のその言葉に答えるかの如く、彼の背後から突然聞こえた声に驚きながら振り返る。

 

 

「瑠唯ちゃん、いつの間に来たんだい?」

 

「・・・最初からでしたが?」

 

「えっ!?流星さん、楽器やるんですか!?」

 

「透子ちゃん?えっと・・考えておくよ・・・」

 

瑠唯の声を聞きつけたのか透子がこの輪に乱入し始めると、彼女のコミュニケーション能力の高さによるものか彼らも周囲の空気に馴染み始める。

しかし、古今東西、宴と言うものの空気を破壊するのは何気ない出来事である。

 

 

 

 

「ふふふっ。そうなんですね」

 

「そうなのよ~。こころちゃん達のバンドはね~。って如月くん~!!」

 

「まりなさんに、二コリーナ?珍しい組み合わせだな」

 

「ふふふ~。実はね~普段のこころちゃん達の事を話してたのよ~」

 

「ハピネールに来た時と変わらないんですね」

 

「そうだったん・・・ん?」

 

弦太朗達は近づいてくるまりなに何かを感じるが、それに気が付いたときにはまりなは完全に弦太朗の絡み始めていた。

 

 

 

「まりなさん、って酒臭いっすよ?」

 

「もー、この間は私が操ってた人の正体が美子ちゃんで、まだ目が覚めないしこのままじゃ美子ちゃんの仕事こっちに全部来るからやってらんないわよ~」

 

「ちょっとまりなさん?」

 

「それにこころちゃんの家の人もなんでも飲み放題って言ってたから、も~やけ酒よ~」

 

そう愚痴りながら弦太朗の肩を抱いて手に持っていたグラスを一気に飲み干して、背中から新しい酒瓶を出すとグラスに注いで飲み始めるが、突如としてグラスを弦太朗へと押し付け始める。

 

「ほら、如月くんも飲みなさいよ~」

 

「俺、未成年っすよ!!」

 

「なによ~おねーさんの酒がのめないっていうの~?」

 

酔っ払い(まりな)に絡まれ始めた弦太朗を無視するように賢吾たちは二コリーナへと話しかける。

 

 

「さっきも軽く話したが、さっき見たことは・・・」

 

「ふふっ、大丈夫ですよ。内緒・・・ですよね?」

 

「すまない・・・」

 

「いえ・・・。でも、良かったらお2人のお話を聞かせてくれると嬉しいです」

 

「あぁ・・・」

 

 

「それは構わないが、君は一体何を飲んでいるんだい?」

 

「えっと朔田さんでしたよね?気になるなら同じものをお願いしましょうか?」

 

「あぁ・・・すまない」

 

「でしたら、私も同じものを・・・」

 

「はい」

 

何を思ったのか流星は二コリーナが飲んでいた物が気になったのかそれについて話題にあげる。

それを聞いた彼女は笑みを浮かべると近くにいた黒服に流星と、ついでに瑠唯の分の飲み物を頼むと、黒服は二コリーナが持っていたものと全く同じものをすぐに用意して現れる。

 

それを受け取った2人はグラスを手に取る。

 

「それでは・・・乾杯です」

 

「あぁ・・・」

 

「頂くわ・・・」

 

二コリーナの言葉を聞いて流星たちはそのグラスの飲み物を飲み始めるが―――

 

「ん・・・?」

 

「・・・・・・」

 

「朔田?どうしたんだ?顔が赤いぞ?」

 

 

 

 

「あの~・・・?」

 

「・・・・・・」

 

流星の顔が突如として赤く染まると黙ってしまう。

そんな彼が気になった二コリーナと賢吾は人に声を掛けるが、全く反応がない。

 

そう思っていたが・・・

 

「・・・ゃ・・・」

 

 

「朔田・・・?どうし―――」

 

 

 

 

 

 

 

「ホアッタァァアアアア!!アチャ!!ほあっちゃああああああああああああああああ!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

「ふえぇ~!?」

 

グラスを呑んだ流星が突如として声を挙げる。

その声に驚いた表情を浮かべた彼女達は流星の方へと視線を向け始めると、不意に日菜が声を掛ける。

 

 

「ねぇねぇ、りゅーちゃんがどうかしたの?」

 

「りゅーちゃん?朔田の事か?八潮と一緒に飲み物を呑んだら急にこうなって・・・」

 

 

 

「あはは、そんなのありえないって~。瑠唯ちゃんちょっともらうね~」

 

「二コリン!!はぐみも飲みたい!!」

 

「だったらみんなで飲みましょう!!」

 

こころの言葉を聞いてその場にいた女子全員が二コリーナの飲んでいた物と同じものを飲み始める―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「あははははははは!!」」」」」

 

しかし、周囲は完全にそれに呑まれてしまっていた。

明らかにおかしいと思った賢吾は流星からグラスを取りあげると、それを自身の鼻に近づけるとその刺激臭が彼の鼻を襲った。

 

既に出来上がって強烈なアルコール臭を漂わせていたまりなのせいで気が付かなかったが、二コリーナの飲んでいたそれからもしっかりとしたアルコールを賢吾は感じ取ると途端に目の色を変えて彼女へと声を挙げてた。

 

 

 

 

「うっ!?・・・これは・・・アルコールだぞ!?」

 

「えっ?そうですが・・・?いけなかったんでしょうか・・・?」

 

「君の国では分からないが、日本では20歳以上からだ・・・」

 

「えぇ!?そうだったんですか?ハピネールでは18歳からですし、それに月島さんも勧めてきたから良いものだとばかり・・・」

 

「国が違えば、法も規制も違う。あなたはそういうのに人一倍気をつけないといけない自覚が・・・。ってすまない、言い過ぎた」

 

「いえ、私が無知だったばっかりに・・・」

 

「それにしてもこれはどうするべきか・・・」

 

ちょっとした文化の違いと、勘違いから賢吾たちの目の前では大惨事が発生していた。

 

 

 

「「「zzz・・・」」」

 

「そういうこ・・・儚い・・・吐かない・・・うぅ・・・!!・・・zzz」

 

美咲を除いた4人で仲良く寝始めるハロハピ。

 

 

 

「zzz・・・」

 

「ひまり~。ともえねちゃった~」

 

「蘭~休ませてあげよ?」

 

「は~い」

 

「ひーちゃんママみたい~。・・・バブ~」

 

「ひゃ!?モカ!?どこ触って!?つぐ~たすけて~!!」

 

 

 

「・・・ゴメン。私にはおっぱいを助けるのは無理だよ・・・」

 

「ちょっとつぐ!?目が怖いよ~いやぁああああ!!」

 

幼馴染達に完全におもちゃにされるひまり。

 

 

 

 

「さよさん~。こういうときは”野球拳”らしいっすよ~。師匠には負けないですよ~!!

 

「とーこちゃーん。ひろまちもやる~」

 

「きりがやしゃんたちにはまけましぇん・・・」

 

「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!お゛ね゛ーち゛ゃ゛ん゛を゛と゛ら゛な゛い゛で゛~!!」

 

「なら、ひなさんたちもいっしょにやりましょ~!!」

 

「えへへ~!!おねーちゃんといっしょ~!!」

 

「ふへへ~。ジブンとあやしゃんもまぜてください~」

 

「わたしはあいどるだからまけないもん・・・!!」

 

 

 

「みんな!!やめなさい!!紗夜ちゃんもしっかりして!!イヴちゃん助けて!!」

 

「ぶしど~・・・!!」

 

「って、イヴちゃんもふにゃふにゃになってる・・・!?それに透子ちゃん!!あなた素面ね!!」

 

「げっ!?バレた!?」

 

思考回路がショートしてしまった紗夜が透子に唆されて、野球拳を始めようとする所に混ざろうとするアイドル。

 

 

 

「あちゅい・・・」

 

「服なんて邪魔や!! こんなんロックやない!!」

 

「あ~!!りんりんとろっかがぬごうとしてる~!!あこも~。ありさもやろ~」

 

「えへへ~!!しゃーねーなー!!」

 

「待て待て待て!!弦太朗達もいるんだからダメ~!!」

 

突如として服を取り払おうとする4人を必死に抑え始める母親(リサ)

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!?抱き着かないで~!!」

 

「にゃー」

 

「にゃ?にゃー?」

 

「うにゃ~!!パレオ~助け!!ひゃ!?何、顔を舐めて・・・ニ゛ャ゛~!!」

 

「ハァハァ・・・ワンワン!!」

 

「パレオもチュチュも・・・きゃわいいな!!そう思うだろさあや!!」

 

「ますき!!そんなこと言ってる場合じゃないよ!?香澄!!それに友希那さんも何で猫の鳴きまねしてるんですか!?」

 

「じゃますんなよ~!!」

 

「ますき!!・・・酔ってる!?」

 

明日香とチュチュを抱きしめて突如として猫言葉で会話を始める香澄と友希那。

この状況を打破しようしたチュチュはパレオに助けを求めるも、犬の如くパレオに顔を舐められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべーよ賢吾・・・!!」

 

「ソフトーニャの冷気で目を覚まさせるか・・・」

 

賢吾が思案する所へと、惨事を巻き込まれることなくやり過ごせてしまった面子が集まり始める。

 

「香澄と有咲・・・2人の行動は忘れないよ・・・」

 

「弦太朗くん・・・。これはあかんって・・・」

 

「被害出そうなところをなんとかしないとかな~・・・?」

 

沙綾の言葉に面々は自身のバンド達の被害報告をし始める。

 

「蘭ちゃん達はひまりちゃんをおもちゃにしてるから大丈夫・・・!!」

 

「薫たちも寝てるから被害は少ないけれど・・・彩ちゃん達には後でお説教ね!!」

 

「Roseliaは・・・リサさんが大変なことになってるね・・・。RASはますきは無害そうだけど、チュチュはごめん・・・」

 

「モニカは透子ちゃん達2人だけです・・・!!私もちょっと頭がくらくらしますけど・・・」

 

「うぅ・・・。つくしちゃんが止めてくれなかったらああなっちゃってたのかな・・・?って瑠唯さん」

 

「すみません・・・私のせいで・・・」

 

「知らなかったんだから二コリーナのせいじゃねぇって・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・いけるわね・・・」

 

「・・・瑠唯さん・・・?」

 

被害報告が終わったが、ここまで一切話すことがなかった瑠唯の存在を不思議に思ったましろは思わず声を掛けるが、彼女から答えの代わりに独り言が返ってくる。

 

不思議に思ったましろ。

そんな彼女の前で普段の彼女から考えられない行動を起こし始める。

 

 

「・・・いけるわ!!」

 

「わっ!?ちょっと瑠唯さん!?」

 

「ちょっと瑠唯さんストップストップ!!なんで帯を緩め始めてるの!?ましろちゃんも止めて~!!」

 

「うん・・・!!」

 

「2人とも何をしてるのかしら・・・?」

 

「それはこっちのセリフだよ!!」

 

「瑠唯さんこそ何を考えて・・・って瑠唯さんも・・・」

 

突如として瑠唯は着物の帯を緩め始めたのを見たつくしは慌ててましろと一緒に彼女を止めるが、止められた瑠唯は普段と変わらない様に見えていたが瑠唯も完全にやられていた。

 

 

そんな彼女からとんでもない言葉が飛び出してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朔田さんを開眼させた後にフルスロットルでスパーキングさせて、私がクリティカルなボルテックフィニッシュを受けてサイコーなるのよ!!」

 

「「意味わかんないよ~~~~!!」」

 

「賢吾!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「流星くんもいいけど、賢吾くんもカッコいいわよねぇ~」

 

「「「そっか・・・アルコールのせいにすれば・・・っ!!」」」

 

瑠唯の訳の分からない言葉を発した途端、素面だった沙綾達は既に出来上がっていたまりなが隠し持っていた瓶を奪いっとって飲み始めた。

 

男子2人の背筋に冷たいなにかを感じたと2人は通じ合い、沙綾達よりも先に行動を起こし始めた。

 

 

「朔田!!」

 

「ほぁたぁぁああああ!!」

 

「っう・・・!!弦太朗!!メテオドライバーは取りあげた!!」

 

「おう!!変身!!」

 

賢吾は流星からメテオドライバーを取りあげていた裏で弦太朗はドライバーを身に着けてフォーゼに変身すると近くにいた二コリーナに顔を向けたと同時に沙綾たちはフォーゼの存在に気が付いた。

 

「あっ!!如月くんが逃げる!!」

 

「弦太朗!!」

 

「待ちなさい!!」

 

 

「流星さん・・・逃がさないわ!!」

 

「捕まえて寂しい独身から卒業よ~!!」

 

――マジックハンドON――――――――

――――ハンドON――――――

――――――ホイールON――――

 

沙綾たちはフォーゼを捕まえようとするがアルコールと、素面のりみ達による妨害のせいで上手く動けずにいたが、、フォーゼはそんな彼女達には目もくれずにスイッチを起動しながら横にいた二コリーナに顔を向けていた。

 

「二コリーナ!!」

 

「はい・・・!!」

 

「またな!!」

 

「・・・!?はいっ!!また会いましょう!!」

 

二コリーナの言葉を聞くと、フォーゼはハンドとマジックハンドで賢吾と流星を確保するとホイールを使って船内から脱出すると、そのままロケットで夜の海上へと飛び立っていくのだった。

 

 

 

数時間後、ハロハピと素面だった面々以外は酷い頭痛に悩まされる事になるのをこの時は誰も予期していなかった。

 





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以下ネタ説明
55
宴と言ったらこうでしょ?
※海外では飲酒可能年齢は異なるので気をつけましょう

酒精生還組
おたえ・りみ・レイ・透子→強そう(小並感)なお、1名は悪乗りしてる模様
リサ・ひまり・チュチュ・明日香→人柱
つくし→変化球
ましろ→中の人18歳(執筆時)
沙綾・千聖・つぐみ→オチ担当


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日・常・風・景21 人に会う時はまずアポを

投稿です。
さーて・・・みんな大好きな先輩・・・
後輩の面倒見てもろて・・・



 

「ここだな・・・」

 

花咲川近辺にある地蔵通り商店街―――

最近の事件が舞台になっているこの街に見慣れない男がやってくる。

商店街の入口に立ったその男は被っていたソフト帽を被り直すとその中へと入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――男の正体は、弦太朗に事件の解決を依頼した先輩・左翔太朗。

 

何故、彼がこの街にやってくることになったのか、それは昨日の夕方まで遡る。

 

 

~~~小ネタ56:左のS/商店街のフルコース

 

――――――

 

「ふっ・・・」

 

今日も相棒と共にハードボイルドに事件を解決し、報告書を書き上げた俺は依頼を達成した充実感を感じながら愛してやまないこの街の象徴を――

 

 

パコッ―――

 

「いてっ!!」

 

しかし、そんなハードボイルドな俺には似合わない音と共に、頭に痛みを感じると俺は振り返っていた。

 

「何すんだ!!亜希子!!」

 

「何、いつも通りイグちゃんを捕まえてきただけで何カッコつけてるのよ!!」

 

 

 

 

「あの~・・・ちょっと・・」

 

何か聞こえた気がしたが、俺は亜希子に詰め寄っていた。

 

「だからっていきなり叩くことはねぇだろ!!」

 

「ほらほら!!まだ仕事はあるんだから!!」

 

「全部ペット探しじゃねぇか!!」

 

「仕事の選り好みなんていい御身分じゃない。ほら!!所長命令よ!!」

 

「っせぇな!!」

 

 

 

 

「あの~・・・お取込み中で、申し訳―――」

 

さっきからなんなんだよ!!

ちょくちょく亜希子との会話に割り込もうとしやがって・・・!!フィリップか?

 

そう思った俺は奇しくも亜希子と同じタイミングでその声が聞こえた方向へと顔を向けると、声を揃えて同じ言葉を投げていた。

 

 

「「ちょっと待ってろ(て )!!」

 

「えっ!?・・・はい」

 

「「あっ・・・」」

 

しかし、俺たちの視線の先にいたのはフィリップではなく、黒い長髪に楽器を背負った1人のレディー。

でも、問題はねぇ・・・俺たちはハードボイルドに対応してみる。

 

「依頼人ね!!はいはい!!こっち座って・・・!!」

 

「えっ!?ちょっと・・・!!」

 

「はい、まず名前は?」

 

「えっと・・・和奏レイです・・・」

 

「それで今日はどんな依頼で?レディ・・?」

 

ふっ・・・決まったな・・・

俺は依頼人を不安を解消させようと目の前のレディに対して紳士的な態度を保ちながら、今回の依頼内容の聞くために彼女の前のソファーへと座るが、どこか彼女は気まずそうな表情を浮かべて口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・依頼とかじゃなくて・・・。それに私、高校生です・・・」

 

「はぁ!?」

 

「ぶふぉ!?・・・それじゃあ、レイちゃんはどうしてここに?」

 

亜希子の奴が俺を見て噴き出しながら、目の前の彼女―――レイにここに来た目的を尋ねると、彼女は背負っていた楽器ケースの中から何やら1枚の封筒を取り出して、俺たちへと差し出してくる。

 

「・・・これは?」

 

「えっと・・・弦た・・・いえ、如月くんに頼まれたんです。「風都に行くなら、ついでに”鳴海探偵事務所”に届けてほしい」って・・・報告書?だって言ってましたけど・・・」

 

「・・・アイツが報告書だぁ?いでっ」

 

「あんた!!仕事を任せておいて、状況を聞いてないんかい!!」

 

「アイツに任せときゃ、大丈夫だっ・・・いでっ!!亜希子ー!!」

 

「何言ってるんじゃわれぇ!!・・・えっとレイちゃんだっけ?とりあえず預かっても?」

 

「えぇ・・・」

 

亜希子は居心地の悪そうな表情を浮かべているレイから封筒を受け取ると、亜希子がそれを確認している報告書とやらを覗き込む。

 

「って・・・なんじゃこりゃー!!」

 

あったのは事件ごとに形式も文の書き方もバラバラなものの、紛れも無く報告書。

殆どが手書きでしかも、この字は女の字で書いている人物は全部違っていることに俺は1つの結論にたどり着いた。

 

「あの野郎ー!!事件の解決を頼んだが、女を落とせなんて言ってねぇぞ!!」

 

「うわっ。モテない男の嫉妬だ・・・」

 

「あはは・・・とりあえず、私はこれで・・・」

 

――――――

 

「ふぅ・・・落ち着くために、喫茶店でも入るか・・・」

 

こんなことがあった翌日、翔太朗は愛車に跨って事件の中心になっているこの街に乗り込んだ。

 

しかし、ハードボイルドを自称している彼は何時までも熱いままでは居られない。

一旦落ち着こうと彼は目に留まった喫茶店"羽沢珈琲店"の扉を開くが、その中は異様な空気に包まれていた。

 

「どうなってんだこりゃ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「店のパンが・・・雑草以下・・・?アハハ・・・」

 

「うちのコロッケが・・・死霊のはらわた・・・」

 

「アタシの賄いチャーハンが・・・残飯・・・」

 

「あっ・・・いらっしゃいませ・・・。ご注文は・・・」

 

 

 

 

「あぁ、お勧めの珈琲をBLACKで・・・」

 

「かしこまりました・・・珈琲・・・お願いします」

 

翔太朗が入った喫茶店では少女達が譫言を呟いており、そこの店員であるつくしとつぐみも何故か辛そうな表情を浮かべていた。

注文をした彼はさりげなく店内を観察してから、カウンターに腰掛けて目の前でつぐみが珈琲を入れる姿を眺めていた。

 

彼の目の前で入れられる珈琲。

気落ちして仕事に集中できていないにもかかわらず、その手際は照井竜の入れるよりも洗練された正しくプロの仕事―――

 

「お待たせしました・・・珈琲です」

 

「どうも・・・」

 

そんな観察を続けた翔太朗の前に珈琲が差し出されると、彼を味わうようにそれを口に含む。

 

「・・・っ!?美味い・・・」

 

「あっ・・・ありがとうございます・・・」

 

 

彼が口に入れた珈琲は明らかに照井以上の1品だが、残念なのは彼女の気持ちが一部がこれに入っていない。

それを感じた彼はハードボイルドに努めていた。

 

「・・・でも、お嬢ちゃんが落ち込んで入れてたせいか。なんかが足んねぇな・・・」

 

「えっ?」

 

「美味い珈琲の礼だ。良かったら・・・この、ハードボイルドたん―――アダッ!?・・・っ!?」

 

つぐみに声をかけていた彼は後頭部に慣れ親しんだ感触を感じたと思った途端、顔の横には見慣れた緑色が彼の視界に入ってくると同時に振り返りながら、その持ち主の名前を叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「ってぇな!!亜希・・・って誰だ?あんたら?」

 

「それはこちらのセリフです。つぐみちゃ・・・店員をナンパしようとしてるあなたこそ、何様ですか?」

 

しかし、そこにいたのは亜希子ではなく、2人の少女の内の1人である金髪が見慣れたスリッパを持っていたことに彼は化けの皮―――ハードボイルドが崩れ、警戒し始めていた。

 

 

「ナンパじゃねぇ・・・それにそのスリッパ!!何で亜希子以外のやつが・・・」

 

「あの!!亜希子って・・・鳴海亜希子さんですか?」

 

「あぁ・・・そうだが・・・」

 

 

 

 

「実は大阪にいた頃にお世話になって・・・こっちに引っ越す前にこれを・・・貰ったんです・・・。それであなたも知り合いなんですか・・・?」

 

「あいつは今、うちの事務所の所長だ・・・。それともう結婚して鳴海は旧姓だけどな」

 

「そうだったんですね・・・!!」

 

スリッパを持っていた少女の連れと翔太朗の間に共通の知人がいたことによって若干だが警戒を緩めるが、以前としてスリッパへの警戒を止めることはなかった。

 

 

「それで・・・そっちのお転婆娘は誰なんだ?」

 

「お転婆ですって・・・?アイドルに向かって・・・」

 

 

「アイドルがそんな・・・。いや、スリッパのせいでお転婆になっちまったのか?」

 

「ムッキー!!」

 

「あの・・・!!千聖先輩落ち着いて・・・!!それで・・・その亜希子さんの知り合いが何でここに?」

 

千聖は目の前の男の態度に怒りを覚えてスリッパを構えるが、りみがそれを抑えながらここに来た目的を尋ねると、翔太朗は一瞬考えるような素振りをしてからそれに答える。

 

「実はある人物を探しててな・・・」

 

「ある・・・人物・・・?それってどんな・・・」

 

「高校生の男子だ・・・。いい奴なんだが―――」

 

彼が探している人物の特徴を話そうとすると店の扉が開き、そこから入ってきたのはギャル風の女子が誰かを連れてやってきた。

 

「お~い!!早くー!!」

 

「おい!!ちょっと待てってリサ!!」

 

 

 

 

 

 

 

現れたのはリサと彼がこの街に来た目的の人物である弦太朗。

翔太朗は弦太朗の姿を見た途端、完全にハードボイルドの化けの皮が完全に剥がれ落ちて弦太朗に詰め寄っていた。

 

「弦太朗ぉー!!この野郎~!!」

 

「ちょっ!?翔太朗先輩!?何でここに居るんすか!?」

 

「お前こそ、なにしてんだぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーフボイルドを見せつけた翔太朗に少女達は呆然としていたが、なんとか弦太朗が宥めるとそのまま彼は翔太朗の事を紹介し始めた。

 

「この人は、左翔太朗先輩!!探偵やってんだ!!」

 

「どうも、ハードボイルド探偵の左翔太朗です」

 

 

「ハードボイルド?どう見ても半熟のハーフボイルドじゃない・・・」

 

「・・・てめぇ!!このお転婆アイドルが・・・」

 

「なんですって・・・!!」

 

 

 

 

 

「千聖も気持ちは分かるけど落ち着きなよ~!!それよりもつぐみ達の方でしょ!!沙綾達がこんなになってるってことはただ事じゃないんでしょ?」

 

「あぁ~!!翔太朗先輩!!」

 

しかし、紹介が終わっても初対面の印象が最悪だった2人はいがみ合っていた。

そんな2人を抑えながらリサはつぐみの方へと話を振ると、彼女は今回の出来事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「実は昨日・・・変な人が来て、どんどん飲食店に乗り込んで料理勝負を挑みはじめて・・・」

 

「「変な人だぁ?」」

 

「はい・・・」

 

「それはどんな奴・・・後、弦太朗はそろそろ離せ」

 

「うっす・・・」

 

弦太朗は今になって抑えていた翔太朗を開放すると、彼は着ていたスーツを整えながらつぐみの話に耳を傾けていた。

 

 

「えっと・・・その人は顔を隠してたらしいんですけど。見てた人が言うには変なタトゥーが見えたらしくて・・・」

 

「変なタトゥーだぁ?」

 

「それでもしかして負けたから沙綾ちゃん達は・・・」

 

「千聖さんの言う通りです・・・」

 

千聖の言葉につぐみは肩を落としたのを見た翔太朗は予想をそのまま口にしていた。

 

「それで、次はこの店が・・・ってことか?」

 

「はい・・・。それでお父さんが色々考えてたんですけど・・・。倒れちゃって・・・」

 

 

 

 

 

 

「なるほどな・・・。美味い珈琲の礼もあるし、乗り掛かった舟だ。手伝ってやるぜ」

 

「そうだったのね・・・。この人と同じ考えなのは癪だけど、私も゛っ゛!?」

 

「千聖!?それにリサもどうしちまったんだ?」

 

千聖がつぐみの為に手伝おうと言おうとしたところでアイドルらしからぬ声が挙がる。

それに驚いた弦太朗は千聖へと視線を向けたが、話を無言で聞きながら千聖をを後ろから羽交い絞めにしていたリサによって彼女の肩が曲がってはいけない方向へと曲がり始めていた。

 

「許せない・・・!!」

 

「リサちゃん・・・離して・・・」

 

「おいリサ・・・!!」

 

弦太朗達がリサを止めようと声を掛けるが、料理をすることが好きなリサにその言葉は届かず、リサは無意識のうちに力が籠っていくが誰もそれを止めることが出来なかった。

 

「料理って言うのはいつも人を幸せにするものだよ・・・それを使ってこんなことをするなんて・・・」

 

「分かったから離し・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシは絶対に許さない!!」

 

ガコン―――

 

「あ゛っ゛!!」

 

 

 

 

 

 

そしてリサの怒りが千聖の肩から鳴ってはいけない音と共に爆発した。

 

「・・・つぐみ、その勝負アタシが出るね?」

 

「えっ・・・でも・・・、リサ先輩・・・」

 

「可愛い後輩たちをこんな目に会わせたのもそうだし、次はつぐみ達ってのもでしょ?でも、それ以上にアタシの好きな料理でこんなことをしたのが許せない・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「おっと・・・どうやら、その言ってた相手ってのが来たみたいだぜ?」

 

「ホントに顔隠してんな・・・」

 

翔太朗が入口を指差すと、そこにはつぐみが言った通りの顔を隠した人物がいた。

 

 

「店の看板を掛けて勝負だ・・・」

 

「その勝負、アタシが受ける・・・!!」

 

その人物を見たリサは羽交い絞めにしていた千聖を放り投げるとその人物の目の前まで歩み寄ってメンチを切り始めると、相手は顔を隠している状態でもはっきりわかるような不快感をあらわにしていた。

 

「小娘が生意気な・・・。そっちの条件を全て飲んでやる・・・」

 

「ふーん。ここじゃ店の迷惑になるから、今から1時間後に食材と調理道具揃えてCiRCLEのカフェテリアで勝負ってことでどう?流石にこっちも「慣れない調理道具のせいで負けた」なんて言われたくないしねぇ・・・」

 

相手は完全にリサを舐めて挑発するが、リサも同じように挑発で返すと、あからさまに不機嫌な態度を取っていた。

 

 

 

 

 

「構わない・・・それで助っ人は何人用意するんだ?」

 

「正直いなくてもいいけど・・・じゃあ、折角だからつぐみに珈琲でも入れてもらおうかな?」

 

「えっ・・・!?」

 

突如として飛んできた流れ弾に驚きを隠せないつぐみだったが、相手はそれを聞いて今回の勝負内容を勝手に決めつけていた。

 

「ということは・・・勝負の料理は珈琲に合う料理か・・・」

 

「はっ?何勘違いしてるの?」

 

「何・・・?」

 

しかし、そんな相手の考えをリサは真っ先に否定すると、完全に舐めた態度で相手に言い放った。

 

「料理はあんたの得意なものでいいよ?その代わりこっちはそれを真っ向から打ち負かしてあげるから・・・」

 

「ふんっ・・・。だったらなら1時間後に互いの得意な料理で勝負だ・・・」

 

「オッケー・・・。負けたらあんたのその顔拝んでやるからね・・・」

 

互いに勝負に合意すると相手はそのまま店の外に消えるのを見送った彼らだったが、相手が消えた途端つぐみが取り乱し始めていた。

 

「えっとリサ先輩!?さっきのはどういう!?」

 

「どういうってそういう意味だよ?」

 

「リサの得意料理って言ったら・・・クッキーか?」

 

「おいおい、お菓子で勝てんのか?」

 

「リサ先輩!!お菓子だったら私も・・・!!」

 

リサの得意な料理と聞いてお菓子が真っ先に思い浮かんだ一同に、翔太朗は怪訝そうな表情を浮かべると、同じくお菓子作りが得意なつくしが声を挙げるとリサは笑みを浮かべてそれに答え始める。

 

「今回はお菓子じゃないけど・・・まぁ、作るものは決まったよ。弦太朗はちょっと荷物持ち手伝って?」

 

「それはいいけどよ・・・」

 

「他のみんなは先に行って待ってて!!つぐみは珈琲だけヨロシク~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず・・・このお転婆アイドルをなんとかしねぇとな・・・。こりゃ肩の関節が外れただけだけど救急車呼ぶか・・・」

 

「「そうですね・・・」」

 

そう言ってリサは弦太朗の腕を引いて店を飛び出してしまい、残された面々は店の中に悲惨な光景へと視線を向けると、リサによって肩を外されてしまった千聖のために救急車を呼んでからCiRCLEへと向かうと20分程度で目的地までたどり着くが明らかにその場所の様子はおかしかった。

 

 

「ここか・・・?」

 

「はい・・・でも、なんで誰もいないんだろ・・・?」

 

「普段なら誰かいるはずなんだけど・・・」

 

「なんか不吉ですね・・・」

 

普段ならどこかしらのガールズバンドが練習に精を出し、カフェテリアにも人がいるはずにも関わらず、今この場所には相手の姿しかない。

 

 

「どうやらお相手さんは随分と余裕みたいだな・・・」

 

「弦太朗くん達、大丈夫かな・・・」

 

「さぁな・・・でも、今回の勝負のカギになるのは珈琲の方だろうな・・・」

 

「えっ?」

 

つぐみから出た不安の言葉に翔太朗が落ち着いた様子で答えると、彼女は驚いた表情を浮かべて固まってしまった。

しかし、翔太朗はそんな彼女に言葉をかける。

 

 

「ギャルの姉ちゃんがあそこまで大見得切ったってことはなんか勝算があったんだろうよ。その上で珈琲を店員のお嬢ちゃんに任せたってことは重要なのはそっちってことだ」

 

「わたしが・・・?」

 

「それとなんの慰めにもなんねぇかも知れねぇけど、不安な気持ちを抱えて集中力が欠けた状態で入れた珈琲があんだけ美味かったんだ。集中して出来ればもっといいもんになるさ」

 

「でも、私じゃリサ先輩の邪魔に・・・」

 

「つぐみちゃん・・・!!大丈夫だよ!!」

 

「そうですよ!!つぐみ先輩なら大丈夫ですよ!!」

 

 

「互いに支え合っていくのが人生って言うゲームだ。何かあってもギャルの姉ちゃんや弦太朗がなんとかしてくれるさ」

 

「・・・はい!!」

 

翔太朗は大人の余裕を浮かべてつぐみを励ますと、彼女の表情は先ほどと比べてだいぶ明るいものになる。

 

そんな中で食材や道具を抱えた弦太朗を引き連れてリサがCiRCLEに姿を現した。

 

「お待たせ~」

 

「リサ・・・行ってこい!!」

 

「おっけ~。つぐみも珈琲よろしくね?」

 

「はい!!」

 

気合いが入る彼女達を他所に、この場に第三者が両者の間に立つが、、その人物にリサ以外の一同は目を丸くして驚いていた。

 

 

 

「これより、闇キッチンルールによる料理勝負を始めます!!」

 

「「「「まりなさん!?」」」」

 

「闇キッチン?なんだそりゃ?」

 

「テーマは”自由”。負けた方は料理人としての地位と名誉を剥奪されます」

 

 

「よし・・・」

 

リサは自身のエプロンをつけて袖を捲り、完全に料理(戦闘)モードへと切り替えていくのを見たまりなは手を天に伸ばし―――

 

「始め!!」

 

それを振り下ろして勝負の開始を告げた。

 

リサはその言葉を聞くと真剣な表情をしながら弦太朗が持っていた荷物を漁り始め、その反対では相手は机の上に自身が用意した食材を並べ始めるが、それと同時にどんどんとつくしの目の色が変わっていく。

 

 

「あれって・・・クレープ!?でも、嘘・・・そんな・・・」

 

「つくしちゃん?どうかしたの・・・?」

 

「りみ先輩・・・相手の机に並べてる食材ですけど、どれも最高級の果物ですし、それにあのバターも牛乳もチョコだって全部が高級品ですよ」

 

「そんなもん分かるのか?」

 

「はい!!あのバターは国産で10gで300円くらいですし、牛乳なんてあの量で1000円以上しますよ!?あんなのでクレープなんて作ったらどうなっちゃうんだろ・・・!!」

 

 

 

「マジかよ!?そんなもん用意してんのかよ!?ずるいだろ!?」

 

「弦太朗。食材を用意するって言ったのはこっちの方だからなんもずるくねぇ・・・それに、こっちの目はそんなの気にしてる様子すらねぇぞ?」

 

最高級の食材を見て弦太朗達は驚いていたが、リサの表情は何一つ変わることなく机の上にまな板やボウルなどの器具を並べていく姿を瞥して相手はドンドンと調理の工程へと入っていく。

 

「相手がクレープの生地を混ぜ始めた・・・!!」

 

「おい!!リサの奴、道具並べただけで何も動いてねぇぞ!?」

 

つくしが相手の動きに、弦太朗は全く動いてないリサに驚きの声を挙げる中で、リサは相手の動きを見ておもむろに口を開いた。

 

 

「その動き・・・。あんた、ちょっと前まで駅前の移動販売でクレープ焼いてた女の人だよね?」

 

「へぇ・・・よく分かったね・・・」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

リサはクレープの生地を混ぜるそのアクションだけで顔を隠していた相手の正体を見破ったことに外野の全員が驚きの声を挙げていたが、言い当てられた相手はそれに多少の驚きを見せるとその隠していた顔を晒すが、未だに余裕の態度を見せていた。

 

 

「それだけで勝ったつもり?正体見破っても、料理で勝てるわけじゃないのよ?今回は生意気なあんたを全力で叩きつぶすために最高の素材と道具も準備したから」

 

「それは楽しみだね~。それじゃ、こっちも行こうかな・・・」

 

そう呟くと彼女は用意した食材を手に持って調理を始め、そして時は過ぎ――――

 

 

 

 

 

 

 

「完成よ!!」

 

「こっちもつぐみの珈琲と一緒に料理も出来たよ~」

 

互いに料理を完成させると、クローシュを被せた料理を審査員であるまりなの元へと持っていく。

 

「私からよ!!こっちの料理はフルーツをふんだんに使ったクレープよ!!」

 

相手はクローシュを外して自身が作った料理を披露すると、弦太朗達からは驚いた表情を浮かべていた。

 

 

 

「すっげぇ・・・」

 

「なんだありゃ・・・」

 

「「おいしそ~!!」」

 

 

「では・・・頂きます・・・」

 

相手が出したのはつくしの予想通りした通りのクレープだったが、普通のとは違ってそのクレープは圧倒的な高級感と存在感を放つそれを見てまりなは驚くが、すぐに表情を戻してその手にフォークとナイフを持って食べ始めた。

 

「すごい・・・この圧倒的なフルーツの量なのに、それぞれが存在感を失っていない。使っているクリームも口の中で溶けるような感覚がたまらないわ!!」

 

「当然でしょ?全てにおいて最高の素材を使ったんだから・・・」

 

「ふーん」

 

「ムカつくわね・・・」

 

自信満々に答える相手だがリサは全く動じた様子もないことに苛立ちを隠そうともせずにギスギスした空気が流れるが、一通り食べ終えたまりなは次はリサの作った料理に視線を向ける。

 

「そんじゃアタシの番だねー」

 

「ふん。どうせ勝てないんだからさっさとしてよ」

 

「それで、料理は・・・?」

 

完全に勝利を確信している相手を他所に、期待と不安の入り混じった視線がリサに突き刺さるが、そんなものを物ともせずにリサは自身の料理を覆っていたクローシュを取り払った。

 

「アタシの料理は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珈琲とサンドイッチのセットだよ」

 

「「「「「はぁ!?」」」」」

 

「あはははっ!!よくもそんなお粗末なもので勝負なんて挑もうとしたわね!!」

 

「とりあえず、文句は食べてから聞くよ。ほらまりなさん、右から照り焼きチキン、卵サンド、BLT、それといちごのフルーツサンドだよ」

 

「えぇ・・・頂きます・・・」

 

リサが作った料理は喫茶店だったらどこにでもありそうなただのサンドイッチ。

 

先ほどのクレープの高級感には遠く及ばないそれを見た相手は彼女を馬鹿にしたような笑い声を挙げ、審査員のまりなですら目の前の料理に疑問を感じずにはいられなかったが審査をする上で食べない訳にもいかずまりなはサンドイッチを手に取って口に運ぶが一口食べるとその手が止まる。

 

 

「あははは!!ほら見なさい!!手が止まったわ!!あんたの料理なんて食べるまでもないのよ!!」

 

「ふーん・・・言いたいのはそれだけ?」

 

相手の言葉が響くが未だにリサは余裕の表情を浮かべていたが弦太朗達もリサの気が狂ったようにしか見えない。

そう思っていた時、まりなは再起動すると一度珈琲を口にしてから今度は別の種類のサンドイッチへと手を伸ばて口に運ぶとまた手が止まる。

 

それをサンドイッチの種類だけ繰り返し、全種類と食べてからまりなは珈琲を飲む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのクレープよりも断然おいしい・・・!!」

 

「なんですって・・・!!じゃあ何で試食の時に手を止めたのよ!!」

 

「さっきのクレープとは違って高級な素材なんて全く使ってないけれど、それぞれの食材が互いを高め合ってる・・・。リサちゃん!!この食材は・・・」

 

まりなは味の評価をするが、リサが使った食材について聞くと彼女はハッキリと答えた。

 

 

 

「肉も野菜もパンも全部、商店街で買った食材ですよ?」

 

「それでこんなに・・・」

 

「あんな安物で!!あり得ない!!」

 

あっけからんとした表情で答えるリサに相手はこの結果に全く納得していないといった表情を浮かべたが、リサはそんな相手に向かってハッキリと言い放った。

 

 

 

「確かにそっちの食材に比べたら安物だけどさ。そっちの料理ってさ高い食材を詰め込んでるだけじゃないの?」

 

「何を言って!!」

 

「・・・そうね。リサちゃんの料理は例えるなら互いを支え合うバンド。でも、これを食べた後だったらハッキリわかるわ。あなたのはそれぞれが自分勝手に主張し合ってるだけ・・・豚の餌ー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ってことは・・・この勝負」

 

翔太朗は今までの言葉を聞いて結果を察したが改めて、審査員の口から今回の結果を聞き出す

 

 

「文句なし!!リサちゃんの勝ちよ!!」

 

「「「やったー!!」」」

 

「それじゃ・・・」

 

審査員のまりなは勝者の名前を口にするとその場を離れて行き、リサを応援していた後輩たちは喜び合っていた。

 

 

しかし、そんな空気は即座にぶち壊されることになる。

 

 

「認めない・・・!!認めない!!認めない!!認めない!!認めない!!」

 

「何言ってんだ?勝負はもう着いただろ?」

 

「私はこんな勝負絶対に認めない!!」

 

「やれやれ、聞き分けのない女だ・・・」

 

「煩い!!煩い!!煩い!!こうなったら全部・・・ぶっ壊してやる・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?いきなり何してるの!?」

 

「それに何やあのタトゥー?」

 

「おいおい!!変なタトゥーってコネクタのことかよ!?」

 

 

 

 

「それに・・・USBのメモリ・・・?なんで?」

 

「ガイアメモリまで・・・!!」

 

―――チキン!!

―――エッグ!!

 

「何この声!?鶏肉に卵!?」

 

呆れる弦太朗と翔太朗の2人だったが、突如として相手は自身の服の首元を開くと、そこからは翔太朗にとって見慣れてしまったものが露出する。

 

確かにあれは知らない人からしたら変なタトゥーと奇妙な形のUSBメモリにしか見えない。

 

 

不思議そうに思っていた彼女達だったが、突如としてメモリからウィスパーが響かせてからそれをおもむろにコネクタに突き刺すと、突如として目の前には地球の記憶を持った怪人―――ドーパントが姿を現した。

 

「何あれ・・・如月くんの戦ってるのとは違う・・・!!」

 

「弦太朗・・・!!」

 

 

 

「風都で見つけたこれで・・・お前らをぶっ壊してやる!!」

 

彼女達は不安そうな表情を浮かべるがここで弦太朗と共に翔太朗が彼女達の前に立つ。

 

「任せろ・・・」

 

「お嬢ちゃん達は下がってな・・・」

 

 

 

「ちょっと!?」

 

「行くぜ後輩。あいつにお熱いのかましてやろうぜ?」

 

「うっす・・・!!」

 

弦太朗はいつも通りドライバーを取り出し、ファイヤースイッチをドライバーに装填する横で翔太朗も何かを取り出すといきなり話を始める。

 

 

 

「フィリップ!!風都の外でドーパントだ・・・!!っておい!!まだ検索してんのかよ!!・・・あぁ、お前の検索中のガールズバンドの奴も一緒だ!!・・・使うメモリはヒートだ!!」

 

 

 

 

 

「何で急に独り言・・・?」

 

傍から見たらいきなり独り言を話出してるようにしか見えないが、そんなことを気にすることもなく翔太朗は会話を終えて懐からメモリを取り出した。

 

「あれってさっきのと一緒の・・・」

 

「「変身!!」」

 

そうして弦太朗と翔太朗は同じ言葉を口にするとその姿を変えて―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったぜ」

 

花咲川で弦太朗の様子を見に行った翔太朗は自身の職場である探偵事務所へと戻ってきていた。

 

 

 

「あっ!!翔太朗君!!フィリップ君から聞いたよ~風都の外にドーパントが出たんだって?」

 

「あぁ、風都に来た時に持ち出したらしいけど、メモリブレイクしたし大丈夫だ」

 

「ほー。それで、任せてた仕事の方は?」

 

「・・・あのまま任せて大丈夫だろ」

 

「そっか」

 

「そういや、向こうでお前の知り合いだって女の子に会ったぜ」

 

「えっ?誰々!?」

 

「それは報告書書き終わってからな」

 

そう言いながら翔太朗はデスクに座り、いつも通りのローマ字で今日の報告書を作り始めるのだった。

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。


以下ネタ説明
56
先輩、後輩に頼んだ仕事を完全の放置するのはよくないよ・・・

※オマケ時空は基本的に本編に関係ないので、本編では翔太朗とあった記憶はない模様


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日・常・風・景22 パスパレDISH特別編-パスパレ下剋上の乱 前編

投稿です。
えぇ~!!
アイドルって農業したり、料理したり、建築するもんじゃないんですか!?


―――拝啓、モニカの皆さん。

お元気でしょうか?広町です。

 

そちらは今では、クリスマス目前で街もにぎわっていると思います。

私は今、アイドルの先輩達やモカ先輩と一緒ですが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

みんな目が死んでいます。

それなのに―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「折角の南の島だ~!!遊ぶぞ~!!」

 

「ヒナさん達も呼んで、一緒に遊びましょう!!」

 

「みんな~。遊ぶのもいいけど、もうそろそろご飯できるよ~!!」

 

「やっぱ、知識で知ってるのと実際に試すのはちげーな・・・」

 

「一歩間違えてたら私もあっち側にいたのね・・・良かったわ・・・」

 

 

 

「向こうは大丈夫かな・・・」

 

美咲先輩も遠くにいる私達の存在には気が付いていないのに心配してくれていますが、私達の周りは呪詛のような言葉しか聞こえてきません。

 

 

 

 

 

 

「アイドルなのに・・・アイドルなのに・・・」

 

「おねーちゃん・・・おねーちゃん・・・」

 

「ふへへへへ・・・・・・」

 

「チュチュ様~・・・」

 

「ぱ~ん~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「透子ちゃん・・・絶対に許さない・・・」

 

そんな空気に呑まれて私からも、こんな事態に巻き込んだ透子ちゃんへの恨みの言葉が漏れる。

私がこんなことに巻き込まれてしまったのは今から数日前に遡る。

 

 


 

 

「―――でね!!透子ちゃん!!モカが凄かったんだよ~」

 

「やばっ!!でも、うちの七深だってもっとすごいんですからね!!」

 

「あはは・・・とーこちゃん。はずかしいよ~」

 

羽沢珈琲店でひまりと透子が互いのバンドメンバーについて話し、その横では話を聞かされていた七深は恥ずかしそうな表情を浮かべていたが、そんな中で喫茶店の扉が開く。

 

「いらっしゃいませー!!ってモカちゃんに日菜先輩」

 

「つぐちゃん!!やっほーって。透子ちゃんたちだ!!」

 

「どーもです!!」

 

店にやってきたのはモカと日菜の2人。

2人は透子たちを見ると当たり前のようにそこの席に混ざっていく。

 

「それで!!みんなで何話してたの?」

 

「実はモカ先輩と七深がマジで天才じゃね?って話してて・・・あっ日菜先輩も天才でマジヤバいですよね!!・・・って2人ともどうかしたんで・・・うわぁ!?」

 

透子が遅れてきた2人に今までの話をした途端、2人の表情が曇ったのを見て透子が声を掛けると、2人はその肩を持つと普段からは全く考えられないような覇気のない声を漏らし始める。

 

「あたしの天才って言うけどさ・・・」

 

「でも~とーこちゃんが言ってるのって~・・・」

 

「「人間レベルでの話だよね?」」

 

 

 

 

 

 

 

「はい?・・・ってなるほど~」

 

モカと日菜が言った言葉が分からず、思わず首を傾げてしまう。

人間レベルと言ったが、もしかして2人は弦太朗の変身する姿とでも比較していると勝手に納得してしまった七深は声を漏らす。

 

「へぇ・・・そうだったんだ~・・・ってそうだ!!」

 

「ちょっと日菜先輩!?どうしたんですか?」

 

そのまま2人が加わって何気ない話をしていた所に日菜が何かを思い出したかのような声を挙げながら机をたたく。

 

 

 

「みんな!!来週1週間空いてる?」

 

「ん・・・?1週間?どうしてそんな・・・?」

 

「ん~とね。今度の撮影で あたしと彩ちゃんと麻弥ちゃんvs千聖ちゃん、イヴちゃんのチームで対決するの!!」

 

「へ~。でもなんでモカちゃん達にそれを~?」

 

「んとね~。実は助っ人で友達を探してくることになっててさ~。何人でもいいから良かったらどうかなって!!学校には話してくれるって言ってたから大丈夫だよ!!」

 

 

 

「モカちゃんは空いてるからOKで~す」

 

「広町は・・・バイトが1日だけ入ってますね~・・・」」

 

「やっば!!面白そう!!・・・ってあっちゃ~・・・来週実はブランドの打ち合わせとか入ってて無理でした・・・」

 

「ん~モカちゃんだけかぁ・・・」

 

「申し訳「七深!!行ってきなよ!!」・・・透子ちゃん?」

 

「バイト1日だけなら誰かに変わってもらえば行けるっしょ!!ほら!!前に1回バイト代わりに出たって言ってたじゃん!!」

 

「う~ん・・・確かにそうだけど~・・・」

 

 

 

「いけるって!!ミクロンミクロン!!」

 

「分かった!!これで後はパレちゃんも来てくれるから・・・。この勝負は貰ったよ千聖ちゃん!!じゃ~!!2人とも!!後はヨロシクね~!!」

 

そう言い残して日菜は喫茶店を飛び出していき、七深は透子に期待に応えようとバイトのシフトを変えてもらい参加を決意して指定された日に荷物を持って集合場所に集まり日菜に言われるがままバスに乗り込み―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目が覚めたら見たことのない無人島だった。

 

「へっ・・・?なにこれ・・・」

 

「あっ!!七深ちゃん!!やっと起きた~!!」

 

「彩先輩・・・?それに・・・ここは・・・?」

 

「これで全員無事ですね!!麻弥さん!!」

 

「多分ですが、これに書いてあると思います!!読みますね!!」

 

周囲には話に聞いていたメンバーの6人が座っており、そん中で麻弥は懐から1枚の手紙を取り出すとそこに書かれていた内容を読み始める。

 

 

「え~何々?『パスパレの皆さん。今回の”パスパレDISH特別編-パスパレ下剋上の乱”の企画ですが、先日話した”1週間をかけて色々な対決をしてもうらう”と言いましたが―――

 

あれは嘘だ。』へっ・・・?」

 

「「「「「へっ・・・?」」」」」」

 

事前に説明を受けたがそれが全くの嘘と言うことが告げられた彼女達は、唖然とした表情を浮かべてしまうが、なんとか正気を取り戻した麻弥は手紙の続きを読み進めた。

 

 

 

 

 

「続けますね・・・『色々な対決をするのではなく、今回の勝負はただ一つ。"1週間以内にチームの誰かが無人島から脱出すること”―――撮影用の小型カメラ3台と最低限のサバイバルの道具、この島の周辺と脱出する先が書かれた地図、それと緊急用の衛星電話を用意した。1週間頑張ってください。』だそうです・・・。それに相手のチームの人数と名前が書いてありますよ!!人数は一緒見たいっすけど・・・うわっ・・・」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「とりあえず・・・荷物を確認しましょうか・・・」

 

相手のメンバーを見た彼女達は絶望感が襲ったが、麻弥の一言にみなは近くにあった支給品の荷物を確認していく。

 

 

 

「お~、包丁代わりのナイフとまな板に鍋!!それに調味料もありますよ!!」

 

「それにこれは本当にサバイバルセットですね~。広町、映画で見たことありますよ~」

 

「なんとかなりそうかも!!」

 

こうして優秀なのか無能なのか分からないスタッフ達の手によって七深は彩たちと共に理不尽極まりないサバイバル生活が幕を開ける。

 

その一方で千聖達のチームは―――

 

「―――1週間頑張ってください。』ですって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁ!?あたし達まで騙すとかあり得ねぇだろ!?リサさんもそう思いますよね!!てか脱出するのは1人でもいいってなんだよ!?」

 

「有咲~。気持ちは分かるけどさ~仕方ないでしょ~。でもさ~正直、他のメンツ見たら楽勝じゃない?」

 

「うわぁ・・・」

 

千聖達のチームも同じ頃に同じ手紙を読んでいた。

それを聞いて完全にキレている有咲をリサが若干の不満を覚えながらも他のメンツを有咲と見ると、有咲の口から思わず声が漏れてしまった。

 

 

 

 

 

 

「楽勝だな!!」

 

「トモエさん!!ブシドーの心で頑張りましょう!!」

 

「うわっ・・・これ、向こう大丈夫かな・・・」

 

「ヌルゲーでしたね・・・」

 

チーム千聖のメンバーにはイヴと有咲とリサに加えて、人間卒業組(巴と美咲)が揃っていた。

それを目の当たりにして、有咲は納得するとリサは笑みを浮かべていた。

 

 

 

「でしょ~?肉体労働イヴ達3人と料理担当のアタシ。そんで頭使うのは有咲にお荷物の千聖―――ある意味で最強メンバーだから大丈夫だって~」

 

「あの・・・リサちゃん・・・?怒って・・・その・・・ごめんなさい・・・」

 

「まぁ~。千聖が謝ることじゃないしいいって~。まぁとりあえず紙は何かに使えそうだし、有咲に渡しておこっか」

 

「そうね・・・」

 

この中で一番落ち着いていたリサは千聖に若干の毒を吐きながら答えると、有咲は手紙に目を向けると、書かれていた禁止事項が目に入った。

 

「禁止事項が書いてある・・・。ん?『海の上を走ってはいけません』・・・?そんなこと出来る訳・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「へっ・・・?」」」

 

「えっ・・・」

 

―――バッシャーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「「へっ・・・?」」

 

有咲が禁止事項を読み上げると海の方向から声が間抜けな声が響くと、それが聞こえた有咲達からも声が漏れる。

 

そして次の瞬間、海の方から何かが水面へ落ちる音が聞こえると思わず3人は海の方へと視線を向けると巴達が海に沈んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水面に落ちる音の正体―――

それは水面を”走っていた”3人が海に落ちる音だった。

 

3人はいそいそと海を泳いで有咲達の元へと戻ってくると、申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

 

「いやぁ~悪い悪い!!でも、まだ始まってないしノーカンだよな!!」

 

「ここから取り返しましょう!!」

 

「まぁ、こういうのは楽しんだもの勝ちかな~」

 

「リサさんの言う通りですね・・・。とりあえず支給品とやらを確認・・・あっ、ペットボトル落ちてるから拾っておこ・・・」

 

海を走った3人とリサは若干楽しむ様子を見せながら支給品とやらを広げ始めた光景に有咲は頭を抱え始めた。

 

 

 

「いや、これは反則だろ・・・。てか、白鷺先輩はどうしてこのチームに・・・?」

 

「リサちゃんが言ってた通りね。最初の企画だと運動系が多いって聞いてたからイヴちゃん以外にあの2人を呼んで・・・後は頭がいい有咲ちゃんと、料理系もあるって聞いたからリサちゃんで勝ちに行こうとしたらこうなったのよ・・・」

 

「そもそも、頭が良いなら燐子先輩の方が適任・・・あぁ、あの人だとテレビって事でテンパって使えないってことか・・・。そんじゃ、さっさと方針決めて動くしかねぇか・・・」

 

流石はポピパと言う魔境で振り回され続けた有咲。

彼女は諦めモードに入って自身を無理やり納得させると、めんどくさそうに4人の方へと歩き出す姿に千聖は危機感を覚えながら呟いてしまった。

 

 

 

「有咲ちゃんも順応早いわね・・・これじゃ、本当に私がお荷物じゃない・・・」

 

こうして過酷?な1週間がそれぞれ幕を開けた。

 

 





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ネタ解説?
電波少年だ・・・


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日・常・風・景23 パスパレDISH特別編-パスパレ下剋上の乱 後編

投稿です。
えぇ~!!
アイドルって農業したり、料理したり、建築するもんだったじゃないですか!!
ってことで後編です。

この話に書かれていることを無許可でやろうとするとしょっ引かれます可能性が非常に高いです。
創作物内だから出来ることなので良い子も悪い子も絶対にマネしないでください。




こうして2つのグループは活動を開始した。

 

―――日菜チーム拠点決め

 

「麻弥ちゃん。テントここに立てようよ!!」

 

「日菜さん、水とかが近くにあったほうがいいんじゃないでしょうか・・・?」

 

「・・・海じゃダメなの?」

 

「彩ちゃん!!海の水は塩分が高いから飲めませんよ!!それにべたついたりしますし、髪の毛のダメージも心配です!!」

 

「パレちゃんの言う通りかもしれないけど~。でも、お水は沢山入ってたし大丈夫じゃない?」

 

「でも、広町的には川とかがの近くにあったほうがいいと思いますよ~。飲む以外にも使うと思いますし~」

 

「モカちゃんもそう思います~。でも~早く食べられそうなのを取らないとご飯無くなっちゃいますよ~?」

 

 

「う~ん。とりあえず、今日はここにテントを張って明日移動したらいいんじゃない?モカちゃんの言う通り、お腹空いたら動けなくなっちゃうし」

 

「「「さんせー」」」

 

若干お気楽な彩と日菜に対して麻弥達が意見をするが、モカの"ご飯"という単語が彼女達の思考を鈍らせてしまい、この場所にテントを設営し始めていた。

 

「それにしてもおっきいですね~!!」

 

「うんうん!!1つでもみんなは入れそうなのが2つもあるなんて~すごいね~」

 

「1個は荷物置きにして、もう1個のほうにみんなで入って寝よっか!!」

 

「日菜ちゃん!!それ楽しそうだね!!」

 

「モカちゃんは食べられそうなの探してきます~。貝とかとれるかな~」

 

「パレオも一緒に行きます!!」

 

各々が作業を勝手に分担し始めて、彼女達は食料調達と拠点づくりに別れて活動し始める。

そんな中で作業をするための道具を確認すると、ある疑問が思い浮かんだ。

 

 

 

 

 

「あれ・・・?1個で十分な広さなのにテントが2つ・・・?それにこの水も1ダースはありますし、火おこしの道具と釣り竿が2つ・・・?まさか・・・向こうのチームの分もこっちに紛れてるんじゃ・・・!?」

 

「麻弥ちゃん!!こっち手伝ってよ~!!」

 

「・・・でも、すぐに会える様な状況じゃないし仕方ないっすかね・・・彩さん、すぐ行きます!!」

 

麻弥がそんな心配をしている中、一方のチーム千聖()は―――

 

 

 

「幸い川はすぐに見つかったけれど、この近くに拠点に出来そうなところがあるかしら・・・?」

 

「そうですね・・・木の下で雨とか日光は防げても風がきつそうですね・・・。テントはおろか、水すら碌にないですからね」

 

「チサトさん!!アリサさん!!ないならここに作りましょう!!」

 

「イヴちゃん・・・家を建てるための道具も材料もないじゃない・・・確かに木ならそこら中に生えてたけど、のこぎりなんてなかったわよ・・・」

 

こちらのチームは麻弥が心配していた通りの状況になっていたが、それをこちらのチームが知る由もなく、雨風を凌ぐための拠点を探していたのだが、ないなら作ればいいと言う脳筋思考で提案するイヴに千聖は呆れてしまっていた。

確かに周囲には大量の木が生えているが、それを伐採できるような道具も手段もこの場には存在する訳も―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「チサトさん!!調理用のナイフとは別に1本ナイフがありましたから・・・これならこんな感じで切れますね!!」

 

「イヴちゃん?明らかに切った木の太さとナイフの長さが合ってないのだけれど・・・」

 

しかし、そんな千聖の考えを裏切る様に明らかに長さが足りないナイフを使って、イヴは目の前の木を一振りで伐採して見せると、その行動に巴達も信じられない行動を起こしていく。

 

「それだとナイフの本数足りないだろ?それに切れないなら根元から叩きおればいいだろ?・・・ソイヤっ!!」

 

「ん~・・・この木を3人で何十本もやるのはしんどいなぁ・・・それに、枝も落としたりしないとダメじゃない?」

 

「そう言えば!!少し手前に竹林がありましたね!!そっちの方が使いやすいんじゃないでしょうか!!」

 

「ていうか巴達・・・木を3本折っちゃったけど、番組的にOKなの・・・?」

 

 

 

 

 

「・・・あ~・・・うん。考えるのがアホらしくなってきた・・・肉体労働は全部あいつらに任せるか・・・」

 

「・・・なんで、拠点を”探す”から”作る”に変わってるのかしら・・・」

 

何食わぬ顔で美咲と巴はイヴの後に続くようにそれぞれが木を根元から叩き折って見せた。

 

千聖はいつの間にか拠点探しから拠点作りに作業が変わってしまったことに頭を抱えるが、有咲は若干の頭痛を覚えながらも若干吹っ切れてしまい、有咲は近くに落ちていた枝を拾って簡単に図を書き始める。

 

「・・・巴さんの身長が確か170くらいだから・・・まぁ、この位の広さがあればみんなが寝ても多少の余裕は出来るかな・・・?」

 

「あの・・・有咲ちゃん・・・?」

 

「白鷺先輩はさっさと電話で木を使っていいか確認してください」

 

「あっ!!それと魚とか海の貝とか取っていいかも聞いて~」

 

「えぇ・・・」

 

有咲やリサに言われるがまま、千聖は荷物と一緒にあった電話を手に取っていた。

 

 

 

 

 

「千聖です・・・いえ、リタイアと言う訳ではなく、確認したいことが―――分かりました。それでは失礼します。・・・火事とか起こさなければ何しても大丈夫だそうよ!!」

 

千聖はスタッフに確認した結果をそのまま伝えると、有咲以外の4人の目の色が変わった。

 

「それじゃ、アタシは食材確保してくるから~。ここ来るまでにちょっと見た感じ毒があるのも無かったしそこそこには食べれると思うから~」

 

「家の方はこっちで何とかします。3人とも、とりあえず竹の方が使いやすそうだからそっちを取りに行くぞ~・・・」

 

「「「わかった(分かりました)!!」」

 

有咲の言葉を聞いて3人が楽しそうにその後を追い始めると、千聖もその後ろについて来ようとしたがそれを有咲が静止した。

 

「白鷺先輩には別にお願いしたいことが・・・」

 

「・・・何かしら?」

 

「落ち葉とか集めて火を起こしておいてください。火を起こす道具がなかったですけど、さっき奥沢さんが拾ってたペットボトルに水入れて、虫眼鏡みたいに光を集めれば火が付くはずなんで・・・。それじゃあたしは3人に指示出さないといけないんで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「本当に私、ヒエラルキー最下層ね・・・。撮れ高大丈夫かしら・・・?」

 

有咲達に置いて行かれて完全に1人になってしまった千聖は有咲に言われた通りに火の準備を始めるのだった。

 

 

 


 

有咲達に肉体労働を任せたアタシは荷物にあった銛を持って海岸に立っていた。

 

「う~ん。水着が入ってたのはこのためだったのかな?・・・でも、気温は暖かいとは言え冬なんだよなぁ・・・」

 

アタシはそんな考えが浮かんでしまい肩を落とすが、なんとか気を取り直して海へと歩いていく。

 

「あ~・・・案外冷たくない?・・・でもさっさと採って帰ろう・・・。そうだ・・・カメラカメラ・・・」

 

足を海水につけるが意外と暖かいことに安堵したアタシは撮影用のカメラを片手に海に飛び込む。

 

 

 

「(確かアレって暖かいところにいる魚だよね?それにタコもいるじゃん!!それ以外にも意外と食べられるのばっかりだけど・・・食べる分だけ・・・)」

 

海の中の魚達(食材)に高鳴る気持ちを抑えて、アタシは一気に海に潜って銛を構える。

 

「(ゴメンね・・・)」

 

内心で魚に謝りつつ、アタシは銛で魚を突くとそのまま上がっていく。

 

「ぷはっ!!」

 

海面に顔を出して大きく息を吸って、昔テレビで見たこのシーンに相応しい言葉を口に出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「捕ったど~☆なんてね。でも、これじゃ足りないよね~・・・」

 

一応テレビだから、慣れないカメラ映りだったりを気にするが、すぐに意識を切り替えてから再び海に潜って魚に謝罪の気持ちを持って突くのを繰り返し、人数分は確保することに成功した。

 

「最後に1匹・・・みんなで分けられるくらいの大きさのが欲しいけど・・・ちょっとだけ見てみよっかな・・・」

 

そして最後と自分に言い聞かせてアタシは再び海に潜ると、特徴的な見た目のそれはアタシから隠れようと海底に潜んでいたけど、アタシにはお見通しだった。

 

「(あれは・・・最後にちょうどいいかな・・・!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして私は素手でそれを捕まえてからそのまま陸に上がると、岩場で食べれる貝類とある物を見つけてから有咲達が作ってくれているはずの拠点に戻ってきたが―――

 

「ただいま・・・?」

 

「あっリサさん。おかえりなさい」

 

「えっ・・・?何これ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「竹小屋です・・・」

 

「いやいや・・・!!竹はともかく他の材料なんて・・・」

 

「頑張りました!!」

 

「本当は4方を囲いたかったんですけど、ほら・・・撮影とかを考えるとコの字型の方がいいかなって・・・」

 

「いや~・・・市ヶ谷さんが作り方知ってて驚いたけどね・・・」

 

「昔ネットで見たんだよ・・・」

 

「いや・・・あぁ・・・うん」

 

そこには公園にあるようなご立派な竹製の小屋が立っていた。

あっれ~、アタシの体感で2時間くらいしか経ってないと思ってたんだけど・・・あれだ、巴達が絡むと大体ぶっ飛んだ方向に行くから考えるだけ無駄だ・・・でも、あれ?

 

「そう言えば千聖は?」

 

「あそこです・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お水を沸騰させて入れ替える・・・お水を沸騰させて入れ替える・・・」

 

「何してんの?」

 

「とりあえず火の番ついでに川の水を煮沸してから、若宮さんが作った竹筒に詰めさせてます」

 

「あ~、飲み水足りないもんね・・・でも、あれ映像的に大丈夫?」

 

「あの映像はスタッフがきっとカットするから大丈夫ですよ・・・」

 

「ん~じゃあちょっと待ってね・・・。今から面白い場面作るから~☆」

 

そう言ってアタシは最後潜って採った得物を片手に千聖の後ろへと回り込んだ。

 

「ち~さ~と」

 

「あら、リサちゃん。戻っt・・・っ!?」

 

 

 

 

 

 

「タコ~☆」

 

「ひぃぃいいいいいいいい!?」

 

「あらら・・・気絶しちゃった・・・」

 

「いやいや、リサさん何やってんですか・・・」

 

「えぇ~だって~、こうしたら面白いかなって・・・。まぁいいや、とりあえず今日のご飯作る前に・・・さっき海でいい物見つけたんだ~」

 

「「「「いい物・・・?」」」」

 

「ふふ~ん。明日からはドラム缶風呂だよ!!」

 

「「「「・・・やったーーー!!」」」」

 

こうして始まった無人島生活の初日を終える。

 

ここからはダイジェストで振り返っていく―――

 

 

 

 

 

「ドラム缶風呂・・・あたしからでいいのかしら?」

 

「「「「「どうぞどうぞ」」」」」

 

「それじゃ・・・あっつ!!」

 

「チサトさん!!アヤさんに負けないリアクションですね!!」

 

ドラム缶風呂を楽しんだり―――

 

 

 

 

「ん~3日目も坊主ですな~・・・」

 

「うぅ~・・・皆さん。申し訳ありません~・・・」

 

「それは青葉さんとパレオさんのせいじゃないですから・・・そうだ、ジブンさっき海岸で海藻拾ったのでこれでも食べて空腹を誤魔化しましょうか・・・」

 

「広町、火をつけてきます~・・・」

 

3日連続坊主だった日菜達は拾った海藻で空腹を満たしたり―――

 

 

 

 

 

「3日目だけど、そろそろ魚に飽きると思ったから今日は野草で作った味噌汁だよ~」

 

「あったけぇ・・・。あれ?無人島生活ってこんな快適だったっけ・・・?」

 

「市ヶ谷さん。細かいことは気にしたら負けだよ~」

 

「リサさん!!たけのこはないんですか?」

 

「あ~イヴ?残念だけど、たけのこは春頃の旬だから今の時期はないかなぁ~」

 

無人島で山の幸を堪能したり―――

 

 

 

 

 

「日菜ちゃん!!やったよ!!1匹釣れた!!」

 

「でも・・・1日かけて1匹だけだけどね・・・みんなで分けよっか~・・・」

 

「貴重なたんぱく質・・・貴重なたんぱく質ですから・・・」

 

1匹の魚をみんなで分け合ったり―――

 

 

 

 

「リサさん!!猪!!猪とってきました!!」

 

「トモエさん!!ミサキさんも流石です!!」

 

「どうやって捕まえたのかしら・・・?」

 

「えっと・・・飛び出してきたのを美咲が1発ガツンと殴って!!」

 

「やばっ・・・もう驚かないぞ・・・」

 

「あはは~。とりあえず4日目のご飯は牡丹鍋にしよっか~」

 

「リサさんに飯作ってもらってばっかりでなんか申し訳ないな・・・」

 

「大丈夫だって~。こういうところでご飯作るのも楽しいし!!」

 

素手でイノシシを狩って堪能したりした。

 

 

 

 

 

 

そして5日目―――

 

「とりあえず脱出の目途も経ったし、有咲!!今日くらい羽を伸ばして海で遊ぼうぜ!!」

 

「いいですね!!アリサさん!!いいですよね!!」

 

「まぁ、息抜きは大事だからな・・・。いいんじゃねぇか?とりあえず、水着に着替えてから行くか~・・・」

 

千聖がリーダーであったはずのチームは完全に有咲に乗っ取られていた。

 

完全にOFFモードで海に遊びに繰り出す有咲達だったが―――

 

 

 

 

 

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

その姿を死んだ魚の様な目をした日菜達が見詰めていたが、有咲達は気が付く様子はない。 

 

「折角の南の島だ~!!遊ぶぞ~!!」

 

「ヒナさん達も呼んで、一緒に遊びましょう!!」

 

「でも、どこにいるかわかんなしな・・・。帰ったらでいいだろ・・・ってことで全力で泳ごうぜ!!」

 

イヴと巴が全力で海を泳ぎ始め―――

 

 

 

「みんな~。遊ぶのもいいけど、もうそろそろご飯できるよ~!!」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

「やっぱ、知識で知ってるのと実際に試すのはちげーな・・・」

 

「有咲?そう言えば料理してる横で何してたの?」

 

「折角だから海水から塩を・・・」

 

「なんで?」

 

何を思ったのか料理をしていたリサの横で塩を作っていた有咲。

 

 

 

 

「一歩間違えてたら私もあっち側にいたのね・・・良かったわ・・・」

 

「向こうは大丈夫かな・・・」

 

「ところで・・・何で美咲ちゃんは私の事埋めてるのかしら?」

 

「えっと・・・ノリで・・・?」

 

海岸で寝そべっていた千聖を顔だけ出した状態で埋める美咲と思い思いに楽しんでいた。

千聖ももう埋められたことにツッコむことすら放棄して、そのままの状態で美咲に話しかけていた。

 

 

 

「美咲ちゃんが心配するのも分かるけれど、麻弥ちゃんがいるから危なくなったらリタイアするでしょう・・・」

 

「そうですよ・・・あれ?あそこにいるのって彩先輩達じゃ・・・」

 

ここで遂に美咲が遠くにいた彩たちの存在に気が付くと、他の面々もその声を聞いて同じ方向を向くが明らかに彼女達の様子はおかしかった。

 

「美咲ちゃん。埋められてるから顔を動かせないのだけれど・・・」

 

「ホントだ・・・モカ達がいるな」

 

「でも、様子が変ですよ?」

 

「ひぃ~何あれ~!?」

 

 

 

 

 

「アイドルなのに・・・アイドルなのに・・・」

 

「おねーちゃん・・・おねーちゃん・・・」

 

「ふへへへへ・・・・・・」

 

「チュチュ様~・・・」

 

「ぱ~ん~・・・」 

 

「透子ちゃん・・・絶対に許さない・・・」

 

 

 

「軽くホラーじゃねぇか!?」

 

「ホラー?ちょっとどうなってるの!?」

 

皆が皆、物々と恨み事を口にしているその光景はまさにホラー。

こんな光景では苦手なリサが震え上がるのも無理はないが、有咲も驚きの声を挙げていたが彼女は彼女達を見て何かに気が付いた。

 

「リサさん。ちょっと失礼します」

 

「ひぃぃぃ~」

 

「・・・はぁ、宇田川さん。これ向こうの人たち目掛けて投げてくれ・・・」

 

 

「それリサさんに怒られるやつじゃ・・・。まぁ、落ちたら洗って白鷺さんが食うか・・・」

 

「えっ?ちょっと!?」

 

「チサトさん!!完全に扱いがアヤさんと一緒ですね!!」

 

「それ・・・不名誉なことじゃ・・・」

 

有咲はリサが手製の串に刺さった焼魚を1匹手に取ると、それを巴に渡して指示を出す。

その指示に巴は拒否しようとしたが、形だけのリーダーである千聖に全責任を擦り付ける宣言をしてから彼女は魚を振りかぶった。

 

「いっけぇええええええ!!」

 

 

「「「「「「・・・!!」」」」」」

 

巴の手によって焼き魚は空を泳ぐ。

その光景を前に彩たちのチームは空飛ぶ魚目掛けて一直線に駆け出して―――

 

 

「ワオーン!!」

 

「パレオさんが空中でお魚を咥えましたよ!!」

 

「やっぱりか・・・若宮さん。1人1匹づつ渡してくれ・・・」

 

「承知しました!!」

 

「えっ?ヒナ達?・・・それにしても、ヒナ達の事よく分かったね・・・?」

 

「まぁ、極限まで腹減った時の香澄達に似てたからもしかしてと思って・・・」

 

 

 

「皆さん。ご飯ですよ!!」

 

「「「「「はふっ・・・はふっ・・・!!」」」」」」

 

「あの麻弥ちゃんですら殆ど野生化してるわね・・・」

 

彼女達の目の前にはイヴが渡した食事を一心不乱に食べ始める彩達から視線を逸らした有咲は一瞬だけ考えると、

 

「今日はとりあえず遊んでから明日にみんなで脱出しようって話してたけど予定変更するしかねぇな・・・。とりあえず、宇田川さんと奥沢さんの2人は飯食ったら、壁代わりにしてた筏を使って先に脱出

。そんで2人が呼んだスタッフで他のみんなは後から脱出ってことで」

 

「「「「「異議なし・・・!!」」」」」

 

「そんじゃそういう事で・・・。残りは残ってる食料であっちの餌付けってことで・・・。その前に奥沢さんは白鷺先輩を掘り起こして・・・」

 

そうして有咲の指示を受けて巴と美咲は島を脱出して、勝負を終わらせて残ったメンバーを回収するためにスタッフが島にやってくると、変わり果てた状態に頭を抱えた所で撮影が終了するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後、参加者同士の生活をほとんど知らないまま、その無人島生活の放送をガールズバンドの皆で集まって視聴していた。

 

「マジか・・・そっちにテントとかの荷物が混ざってたのかよ・・・」

 

「全く・・・うちのスタッフたちは・・・」

 

「ですが、あの生活も楽しかったですね!!」

 

「だな!!あの小屋とか作るのも楽しかったな!!」

 

「楽しかったけど・・・もう少しのんびりできたら良かったかな~」

 

「うーん。もうちょい料理凝りたかったかな~」

 

 

VTRを見て楽し気に思い出を振り返る有咲達だったが、その一方で―――

 

 

 

 

「嘘・・・頑張ったのに・・・こんなのって・・・ないよ~」

 

「無人島コワイ・・・るんってしない・・・無人島コワイ・・・るんってしない・・・」

 

「恥ずかしい・・・穴があったら入りたいです・・・」

 

「あわわわわ・・・」

 

「うぅ~・・・頑張ったのにショック~」

 

「あはは~・・・普通って何だっけ・・・?」

 

 

 

「ふえぇ~彩ちゃんしっかりして~」

 

「日菜・・・あなたはもう少し計画性をもって・・・!!」

 

「麻弥・・・これは・・・儚くない・・・」

 

「パレオ・・・あんた・・・」

 

「モカちゃん・・・その・・・頑張ったね!!」

 

「ななみ!!すっげークールじゃん!!」

 

彩たちの表情は完全に沈んでしまっていたのを、姉や、同じバンド、仲のいい友達がそれぞれフォローしていたが、最後の透子の言葉に七深はあの時に覚えた苛立ちが蘇ってしまっていた。

 

 

 

 

「とーこちゃん・・・許さない・・・」

 

「ちょ!?ななみ!?やめっ!!あぁああああああ!!」

 

 

 

七深に襲われ悲鳴を挙げる透子。

そんな2人を放置して、他のメンバーの視線は楽し気に話していた6人に向かって全く同じ感想を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「千聖(先輩・さん)以外、人間じゃねぇ・・・」」」」」」」」

 

「おいちょっと待て!!私もそこに含めんな!!」

 

「市ヶ谷さん。ようこそこっち側へ・・・」

 

「奥沢さんも認めんな~!!」

 

皆の感想に思わず有咲はツッコミを入れるが、それは誰にも聞き入れてもらえることはなく、そんな有咲を慰めるかのように美咲は諦めたような表情を浮かべながら彼女の肩に手を置いて諭すのだった。

 

 





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次からは本編ポピパ3章をお送りする予定です。


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Poppin'Party篇3-悪・戯・煌・星
悪・戯・煌・星-1 こうして彼女は逆鱗を撫で回す


待たせたな・・・
と言う訳で・・・

ポピパ3章はっじまるよー!!()



 

期末テストの返却も終わり、午前だけの授業になった花咲川。

その放課後にポピパは弦太朗と共に生徒会室に集まっていた。

 

「ふんふんふ~ん」

 

「香澄・・・ご機嫌だな・・・」

 

「だってゲンちゃん!!武道館だよ!!武道館!!」

 

「そうだよ先輩!!武道館!!」

 

「分かったから落ち着けっての・・・」

 

弦太朗は上機嫌に鼻歌を歌っていた香澄に声を掛けるとおたえもセットで反応が返ってくる。

その3人の姿にりみ達は笑みを浮かべながらそれを眺めていた。

 

「おたえちゃんも香澄ちゃんも赤点回避したのが嬉しかったんだね~」

 

「有咲もライブとかの合間に勉強教えてたもんね」

 

「まぁな・・・。それで如月は・・・テストどうだったんだ?」

 

「・・・それで武道館でどうするんだ?」

 

「おい・・・」

 

「そんなことはいいだろ?それで武道館ではどの曲やるんだ?」

 

有咲の指摘に弦太朗はばつの悪そうな表情を浮かべて必死に話題を逸らそうとするが、その様子から有咲は彼の状況を察していた。

 

「お前・・・赤点採ったな?」

 

「やめろって!!さっき紗夜に絞られたばっかりなんだよ!!」

 

「あはは・・・」

 

「簡単に想像がつくなぁ・・・でも、弦太朗の言う通り、バンドリ決勝について考えないといけないよね・・・」

 

 

 

 

 

「そうだよね!!それにみんなとの・・・!!」

 

「わー!!香澄~!!それ言ったらダメな奴だから!!」

 

弦太朗の言葉にりみ達は苦笑いを浮かべる横では、香澄が何か言ってはいけないことを漏らしそうになっているのを沙綾が止めに入っていたが、そんなことはお構いなしにたえは思い付きである提案をしていた。

 

「とりあえず、蔵行く?」

 

「うん!!ってあっ!?」

 

「香澄ちゃん・・・?どうかしたの・・・?」

 

「歌詞書いてたノート!!教室に忘れちゃった!!」

 

「だったらさっさととって来い。その間に私は生徒会室の戸締りするから、昇降口で待ってるからな」

 

「うん!!分かった!!」

 

ここで香澄が教室にスマホを忘れたことに気が付くと、勢いよく生徒会室から飛び出していく姿を見送ると有咲は生徒会室に鍵を掛けて昇降口へと向かっていく途中で考えていた事が口から漏れてしまっていた。

 

 

 

「・・・マジでバンドリの決勝が狙われんのか・・・?」

 

「・・・有咲ちゃん?急にどうしたの?」

 

「だってよ・・・この間までの事件の犯人がGalaxyの店長だっただろ?それにまりなさんと明日香ちゃんの事も考えるとやっぱり事件の黒幕はやっぱりバンドリの関係者だろ・・・?」

 

「犯人は分かんないけど・・・。でも、有咲の言う通り・・・やっぱり不安だよね・・・」

 

 

 

 

 

「「でも、弦太朗くん(先輩)がいるから・・・」」

 

「ははっ・・・なんか考えてたのが馬鹿らしくなってきたな・・・」

 

有咲から漏れたのは決勝に対する不安に実際に襲われたことのある沙綾も同意するが、それを聞いたりみとたえは同じタイミングで有咲達に答える光景に心配してたのがバカバカしくなってしまったのか渇いた笑い声をあげると彼女達は昇降口まで辿り着くがそこに香澄の姿はない。

 

 

「あれ・・・?香澄がいない・・・?」

 

「香澄が戻ったのって教室だろ?なんで俺たちより遅いんだ・・・」

 

「どうするの・・・香澄ちゃんの教室まで見に行く?」

 

「入れ替わりになるかもしれないし・・・待ってようよ」

 

「沙綾の言う通りだな・・・」

 

沙綾の提案に乗って、決勝戦について話しながら昇降口で香澄を待つが一向に香澄が現れる気配がない。

 

「香澄ちゃん・・・どうしたんだろ・・・?」

 

「ノート探してるとか・・・?」

 

「こうなったら探しに行くか・・・?」

 

「先輩。香澄もこの後に蔵行くんだったら先行って練習しててもいいんじゃない・・・?」

 

「そうか?」

 

「・・・確かにおたえの言う通りだな。どうせ蔵に来るんだから連絡入れて先に行ってるか・・・」

 

「そうだね・・・」

 

「あっ・・・私、沙綾ちゃんの家でコロネ買いたい・・・!!」

 

「あはは・・・それじゃあ、私が香澄に連絡入れておくね」

 

彼女達は余りにも遅い香澄に痺れを切らして先に蔵へと行くことを決めると、沙綾が香澄に連絡を入れたのを確認してから蔵へと向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はどの曲やろうかな~」

 

「おたえ、それはいいけど・・・。とりあえず楽器弾きながら歩くのはアブねぇぞ・・・?」

 

「弦太朗くん・・・?普通におたえちゃんを止めようよ・・・それにしても弦太朗くんも随分と学校に馴染んだよね・・・」

 

「でも、如月ももう少しで戻っちまうんだろ?」

 

「有咲?寂しいの?」

 

「そんなんじゃねぇって・・・!!」

 

年が変わった後にはもう弦太朗が学校に来ることはない。

それを思うとセンチメンタルな空気が流れるが、当の方ん人はそんな事を気にする様子もなかった。

 

「でも、会おうと思えばすぐに会えるだろ?蘭の奴も家に顔見せに来るからな・・・」

 

「私も行ってみたいかな・・・お爺さんには挨拶してないかったし・・・」

 

「りみが行くなら私も!!」

 

「おう!!だったらライブが終わったらみんなで来いよ!!」

 

当の本人によって空気が壊され、彼女達はそのまま他愛ない話をしながら蔵へと向かっていくが、有咲の家の前には何故か人だかりが出来ていた。

 

「なんだあれ・・・?」

 

「あれって・・・蘭達じゃねぇか・・・」

 

「それにRoseliaとかRASもみんないるよ・・・?」

 

 

 

 

「あっ!!ポピパがいたよ!!」

 

「「「「「香澄(ちゃん)~!!」」」」」

 

「なんか・・・怒ってねぇか?」

 

「香澄何したの・・・?」

 

彼女達は何故か香澄にご立腹の様子。

その原因が分からないが、有咲達はそんな状態の面々の囲まれてしまった。

 

 

「ちょっと有咲!!香澄はどこ!!」

 

「そうだよ!!香澄はどこかな~。流石のアタシも今回は許せないかな~☆」

 

「なんで怪我が治ってない美咲ちゃんにあんなことしたの・・・?私だって・・・怒るんだからね・・・!!」

 

「蘭ちゃん!?それにリサさんも花音先輩もどうしたんですか!?」

 

 

 

「おねーちゃんの事もだけど・・・何で千聖ちゃんにあんなことしたのか教えて欲しいなぁ~」

 

「いきなりロックさんにあんな破廉恥なことを・・・パレオも今回は許せないです!!」

 

「流石に、さっき倉田さんにしたことを冗談で済ませることは出来ないわね・・・」

 

 

「何言っとるんや!?訳が分からへん・・・」

 

「あの~ちょっと蔵で話しませんか?流石にここだと店の前ですし・・・」

 

詰め寄られるが、どうしてこうなっているかまるで話が見えてこない。

あたふたし始める有咲達だったが、なんとかこの場を収めようと沙綾が咄嗟に声を挙げると、その言葉に怒りを隠せない様子だったが、彼女達をそのまま蔵へと案内すると彼女達をソファーに座らせてからポピパの面々の床に座り、沙綾が話を切り出した。

 

 

 

「すいません・・・もしかして香澄が何かしたんですか?」

 

「何かって・・・沙綾の言う通りだけど?それで香澄はどこなの?」

 

「うんうん。流石のアタシも今回は堪忍袋の緒が切れそうだよ・・・?」

 

「でもよ。香澄の奴が何したんだ?」

 

「だな・・・。蘭ちゃんから聞いてもいいか・・・?」

 

ここで出てきたのは香澄が彼女達に何をしたのか?という当たり前の質問が弦太朗から飛び出すと有咲が順番に話を聞き始めることにした。

 

 

 

「なにって、商店街でモカがパンを香澄から貰ったんだけど、その中にあったカレーパンになんか凄い辛いの混ぜてたんだよ・・・そのせいでモカが倒れちゃったし・・・!!」

 

「うちの紗夜もだよ!!こっちはポテトのフレーバーとか言って渡してたけど!!」

 

 

「千聖ちゃんにはね。いきなり虫のおもちゃを投げてきたんだよ!!それで千聖ちゃんと彩ちゃんが慌てて大変だったんだから!!」

 

「こっちは・・・美咲ちゃんの怪我をいきなり突いて来たよ・・・!!」

 

 

「ロックさんには先ほど駅前でいきなり抱き着いたと思ったら頬にチューして消えちゃったんですよ!!」

 

「倉田さんもさっき、月ノ森の前で同じことをされてたわ・・・」

 

 

 

「あの・・・因みに何時頃でしたか・・・?」

 

「大体30分くらい前かな?こっちはそれされてからすぐに飛んできたから」

 

「アタシもそうだよ~」

 

彼女達は怒りを隠すことも無くそれぞれの仲間の被害を伝える。

しかもそれが起こった時間を聞いたが明らかにおかしいかった。

 

 

 

「ちょっと待てよ。香澄の奴、さっきまで学校で一緒だったぞ?」

 

「はぁ?そんな訳ないでしょ?だってあたし達もリサさん達だって見たって言ってるでしょ?」

 

「でも。商店街から駅前行って、月ノ森まで行くって順番は分かんねぇけど流石に香澄ちゃんには無理やろ・・・?」

 

「タクシーでも使えば行けると思いますが?」

 

「でも・・・香澄ちゃんがそんな・・・」

 

 

 

 

「流石にこんなんじゃ・・・昨日言われたアレは断るしかないかな・・・」

 

「RASも同じです!!」

 

彼女達の言っている時間的に無理があるが、皆が香澄からの被害を訴えている様子には嘘を全く感じることが出来ない。

 

そんな状況の中で不意に蔵の外が騒がしくなっていることに気が付くと、それと同時に蔵の扉が勢いよく開かれた。

 

「うぇぇえええ!!ちょっと待ってよ~!!あこちゃん離して~!!」

 

「ダメ!!かすみ逃げるでしょ!!」

 

「ルイ!!香澄さん捕まえてきた!!」

 

 

 

 

「あこ!!それに透子もよくやった!!」

 

この場に現れたのはあこと透子の1年生コンビと、2人に捕まって連れてこられた香澄の姿だった。





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悪・戯・煌・星-2 喪失までのカウントダウン

この間ガルパはシーズン3で学年が上がりました。

メッセで指摘されたんですが・・・
この作品はアニメがメインストリームになっていますので香澄達は"2年生”です(←ここ超重要
それを周知し終えたので投稿です。


 

「ちょっと~!!どうなってるの~!?」

 

突如としてあこと透子に捕まって蔵まで連行された香澄は今の状況が理解できていないような声を挙げるが、その反応を見た蘭達の怒りは増していく。

 

 

 

 

 

「はぁ?香澄。ふざけてんの?」

 

「香澄~・・・もしかしてふざけてるのかな~☆」

 

「そこまでふざけてると・・・流石にあたしもリサちーもプッツンしちゃうよ~?」

 

「ふ~ん。とぼけるんだ~?」

 

「ロックさんは顔を赤くして嬉しそうでしたけど!!お2人にそういうのはまだ早いです!!」

 

「倉田さんも顔を赤くしていたわね。・・・でも、学校前でそういうことをされるのは・・・」

 

 

 

「かすみ!!」

 

「香澄さん!!」

 

ここに居るポピパ以外のバンド達に責められる香澄。

そんな香澄は泣きそうになりながら有咲に視線を送って助けを求めようとするが―――

 

 

「香澄!!お前、学校で来ないと思ったら何してんだよ!!」

 

「有咲~!!だから何のこと~?」

 

 

「「「「「「は?」」」」」

 

「・・・覚えてないなら何をしたか、私から言ってあげるね?」

 

「花音先輩まで~!?」

 

香澄のヘルプは有咲はバッサリと一刀両断してしまう。

それでもまだ、知らないふりをする香澄に、花音は今までここで語られた被害報告を千聖譲りの目が笑っていない笑みと共に彼女に叩きつけるが、香澄はそれを聞いて驚きの表情を浮かべていく。

 

 

 

「何それ!?本当に私知らないよ~!?」

 

「香澄さん!!あたしもシロにやってるのを見たんですよ!!」

 

「あこもだよ!!かすみ!!紗夜さんにしたのあこも見たもん!!」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと有咲ちゃん・・・?やっぱりに無理じゃないかな・・・?」

 

「りみの言う通りだって。香澄が1人でタクシー乗って移動するなんてするとは思えないし・・・」

 

「そもそも、香澄にそんなお金ある・・・?」

 

本当に知らないような表情を浮かべている香澄にあこと透子までも加わって責めていくが、ポピパのメンバーはそんな有咲に香澄の無実を訴えだす。

―――たえは香澄の擁護しているのかは分からないその言葉を聞いて香澄の事を考えるが、現場を見てない有咲には困った表情を浮かべていた。

 

 

 

「・・・おたえの言うことも分かるけど、みんなが見てるんだから。認めるしかねぇだろ?それにタクシーじゃなくても弦巻さんのところに頼めば・・・でも、奥沢さんにもやってるんだからそれはねぇのか・・・?」

 

「有咲?何ぶつぶついってんだ 」

 

「如月!!今、色々考えてるんだから邪魔すんな!!」

 

有咲が声を出しながら色々と考え始めた所に弦太朗が声を掛けると、彼女は声を挙げて彼を黙らせる。

 

しかし、その様子には誰も納得していない。

 

 

「ふーん・・・。言いたいのはそれだけ?」

 

「とりあえず・・・香澄?覚悟は出来てるよね?アタシは出来てるよ~?ね?ヒナ?」

 

「おねーちゃんの事もだけど、羽丘の生徒会長だからね~。ちゃんとケジメはつけないとね~」

 

「香澄ちゃん?言い残すことはあるかな・・・?」

 

「イヴちゃんに変わって・・・天誅です!!」

 

「・・・とりあえず、みんなに頭を下げさせるくらいはしてもらうつもりですから・・・」

 

 

 

「なんでぇ~!!」

 

「全部香澄の自業自得のせいだろ!!」

 

「知らないよ~!!」

 

 

 

 

「ちょっと待てくれ!!、もしかして・・・!!」

 

彼女達の怒りが爆発寸前になっているタイミングで弦太朗は以前の事件の事を思い出してその事を伝えようと声を挙げるが―――

 

 

「「「「「「弦太朗(如月くん)(ゲンちゃん)(如月さん)は黙ってて(ください)!!」」」」」」

 

「だから・・・!!」

 

「弦太朗・・・」

 

「蘭!!もしかして・・・」

 

爆発寸前の彼女達は弦太朗の言葉を一蹴するが、それでも声を挙げると蘭がそんな弦太朗の元へと歩み寄ってくる。

話を聞いてくれるものだと思ってしまった弦太朗は蘭に思い当たる事を伝えようとするが―――

 

 

「黙れっ!!」

 

「ぐほっ!?」

 

「弦太朗くん!?」

 

そんな彼女から返ってきたのは腹への強烈な1撃が炸裂する。

弦太朗は予想外の攻撃を受けて腹を押さえて蹲るところへと心配したりみが寄っていく。

 

 

 

 

 

そして突如として蔵の中に黒い穴が現れると、そこからヴァルゴが飛び出してくる。

 

「みんな!!捕まえてきた・・・ぜ?」

 

「巴!!」

 

そこからヴァルゴが飛び出してきたが、表情が見えないはずなのに驚いた様子がはっきりと見て取れる。

 

「巴!?いきなり出てこないでよ!?」

 

「沙綾・・・これは何してんだ?」

 

「何って香澄を・・・ってそうだ!!巴!!みんなを止めてよ!!」

 

 

 

 

「いや、アタシもモカがやられたのは見たんだけど・・・どうなってんだ?」

 

目の前で繰り広げられている光景に妙に歯切れが悪くなるヴァルゴだったが、それは穴からは別の人物達によってハッキリとした。

 

「不思議な感覚だね・・・やぁみんな」

 

「薫さん!!なんで穴に腕をいれてるんですか?」

 

そこから現れたのは薫に驚きを浮かべていたが、彼女は片腕を穴の中に突っ込んだままの状態にたえが疑問を感じて思わず声に出して質問すると、薫も困惑した様子を浮かべてしまう。

 

「たえちゃん。ここに来る途中でいたずら猫を捕まえてきたを思ったんだが・・・」

 

そう言いながら彼女は穴に突っ込んでいた腕を引っ張るとそこには―――

 

「うわぁ!?あっ!!ゲンちゃんにみんなも!!」

 

「これは・・・どういうことだい・・・?」

 

 

 

 

 

 

「は?香澄・・・?」

 

「「「「「「は?」」」」」」」

 

「なんで!?香澄さんはここに・・・!!」

 

「そうだよ!!あこ達がずっと捕まえてたよ!?」

 

蔵にいたはずの香澄が穴から引きずり出されてくる。

しかし、蔵にいたはずの香澄はあこと透子に腕を掴まれて身動きが取れる状況ではないはず―――

皆が理解が出来ない状況で蔵は完全に静まり返る。

 

 

 

 

 

 

 

「「あ~!!私が捕まってる~!!」」

 

香澄達の言葉が蔵に響くと、周囲はパニックと共に再起動が掛かる。

 

 

「香澄ちゃんが2人おる!?」

 

「これは・・・どうなっているのかしら・・・?」

 

「ふえぇ~!?香澄ちゃんはあこちゃん達が捕まえてるよ!?」

 

「だが、花音。こっちが捕まえたのも香澄ちゃんに見えるが・・・?」

 

 

 

 

「もしかして・・・どっちかが妹の明日香さんでしょうか?」

 

「パレオ、2人は似てるけどアタシがどう見てもどっちも香澄だよ!?」

 

「そうだよ!!あすかはかすみを連れてくるときにCiRCLEに向かってるの見たよ!!」

 

「そうそう!!アタシも見たから間違いないですって!!」

 

 

 

 

「ん~これってもしかして・・・ゲンちゃん関係・・・?」

 

「起きろ弦太朗!!」

 

「ぐぇ・・・!!蘭・・・やめ・・・!!締まる・・・!!」

 

この状況に日菜は弦太朗関係だと言うと、ダウンさせた蘭が弦太朗の胸倉を掴んで身体を掴んで彼を起こそうとするが、苦しそうな声を漏らすだけ。

しかし、その日菜の言葉を聞いて有咲は冷静さを欠いた状態のまま、先日聞いた話を必死に思い出そうとしていた。

 

「そういえば・・・この前の・・・歌星さんが話してたこんなようなの話してけど、なんだったっけ・・・!!」

 

 

 

「今回の・・・ゾディアーツは・・・ジェミニだ・・・!!」

 

「それだ!!って如月・・・!?」

 

「先輩・・・大丈夫?」

 

有咲が思い出そうとしたところに弦太朗は苦しそうな状態のまま彼女が言おうとした言葉を代わりに言うが、そんな状態の弦太朗をたえは心配そうな視線を向け始めていた。

 

 

「大丈夫だ・・ったく蘭、めっちゃ強く締めやがって・・・!!」

 

「うっさい。それで・・・どうなの?」

 

「聞いた話だと、ジェミニって使ったら2人に分身するんだったよな?今までのを見てて自分から押すとは・・・思いたくないけど・・・香澄なら前の日菜先輩みたいに押しちまいそうだよなぁ・・・」

 

「それでどっちが犯人か分かんないの?」

 

「流石に分かんねぇな天校は分身の方がやってたな・・・」

 

「って、早くしねぇとヤバいんじゃないか!?」

 

「あっ!!そう言えば・・・!!」

 

「有咲も弦太朗も?どうしたの・・・?」

 

天校の事を思い出していた弦太朗だったが、彼はジェミニスイッチの特製を思い出して1人で慌て始めると、沙綾が不思議そうに尋ねると弦太朗がそれに答えた。

 

 

 

今回のゾディアーツはジェミニでスイッチャーは香澄―――

そして、ジェミニスイッチが天校と同じ特性を持っていると考えると―――

 

「どっちが分身か分かんねぇ・・・でも1つだけ分かるのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日の今頃には本物か分身のどっちかは消えちまうってことだ・・・!!」

 

弦太朗が告げたこの言葉に蔵の空気は完全に凍り付いてしまうのだった。

 






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感想勢のネタバレが半端ねぇな・・・
(なお、それを避けることもせずに突っ込んでいく模様


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悪・戯・煌・星-3 Looking for the real thing

ジェミニってことはここから24時間以内に解決するんだよな・・・?
スゲースピード解決だな・・・って思いながら初投稿です。


 

 

香澄が消える―――

 

それが起こるのは"ジェミニ誕生の儀式 "と呼ばれていた物によるものが原因であるが、弦太朗はその事を完全にド忘れしてしまっていた。

しかし、弦太朗が忘れてしまっているためその事をここに居る誰も間違いを指摘することはできなかった。

 

 

 

 

「香澄ちゃんが・・・消える・・・?」

 

「うそだよね・・・?」

 

静まり返った蔵にりみと沙綾の言葉が響くと、その言葉によって先ほどまでの事を香澄を責めていた空気は一転した。

 

「ふえぇ~」

 

「かすみが2人いるけど、どっちが本物か分かんないよ~!?」

 

「そうなるとさ~・・・本物の香澄ちゃんを見分けないといけないけど・・・うん!!これはわっかんないねー」

 

「日菜ちゃんの言う通りです!!・・・でも、パレオも全く分かりません・・・!!」

 

「しかもどちらも制服着ているから外見的な差も無いですし・・・かなり不味い状況じゃないでしょうか・・・?」

 

 

 

 

 

 

「スイッチで分身してるんだったら・・・もしかしたら身体の方が丈夫だったりしないのか・・・?叩いてみれば案外分かったり・・・」

 

「ちょいちょい!!巴、気持ちは分かるけどそれはダメだって!!」

 

「巴ちゃん、それは本物の香澄ちゃんが相手だったら危険だよ・・・。それと逃げられる前に穴を消した方がいいんじゃないかな・・・?」

 

「そうだよ巴。瀬田さんの言う通りだって・・・何時までそれでいるの?」

 

「そうですよ!!それに何時までも香澄さん捕まえるの辛いんですよ!!」

 

香澄が消える―――

その言葉だけにどうしたらいいか分からずに取り乱すものとどうにかしようと考えようとする者で別れていたが、そんな中で有咲は落ち着いて弦太朗へと視線を向けていた。

 

「とりあえず簡単なもので2人に質問してみるのはどうでしょうか?」

 

「それ!!るんって来たからやってみよ!!」

 

「相変らず、その擬音の意味が分かりませんが・・・」

 

瑠唯の提案に日菜が乗っかるとまずはジャブと言わんばかりに簡単な質問をし始めた。

 

 

 

 

「えっっとね~・・・じゃあ、好きな食べ物は~?」

 

「「ご飯!!」」

 

「即答ですね・・・」

 

日菜の質問に2人の香澄は即答してみせると、それを見た瑠唯は呆れた様子を見せると次はリサが動き出した。

 

「ヒナ、ちょっと簡単すぎるんじゃない?じゃあ・・・さっき、モカが食べてたパンは・・・?」

 

「そうですよ!!さっきまでの事を聞けばわかるじゃないですか!!」

 

「まぁ~悪事したことの時を聞いたら少なくとも偽物は確実に嘘つくかな~って」

 

彼女が香澄に問いかけた質問はジェミニのスイッチを押した後にしたであろう出来事。

 

確実にいたずらをした方は自身が犯人であることを隠そうとわざと間違った答えを出すはずだし、仮に片方が正解をまぐれで言い当てたとしたらそこから判断材料に出来ると踏んだリサだったが―――

 

 

 

 

 

「「う~ん・・・」」

 

「ちょっとリサちー・・・2人そろって悩み始めたんだけど・・・?」

 

「あはは~・・・これは予想外だな~・・・」

 

「それじゃ!!かすみ達に321で一緒に言わせればいいんじゃない?かのん!!カウントして!!」

 

「ふえぇ~・・・それじゃあ・・・3、2、1!!」

 

 

 

「「メロンパン!!」」

 

「ちょっと・・・2人とも正解なんだけど・・・」

 

「うっそ~・・・これは予想外だったな~・・・」

 

しかし、リサの予想に反して2人の香澄は共に正解を言い当てたことに彼女は頭を抱えてしまうが、周囲はリサをフォローし始めた。

 

「いやいや!!リサさんの考えは間違ってないですって!!じゃあ、シロにチューしたのはどこでした?はい!!3,2,1!!」

 

「「おでこ!!」」

 

「・・・正解ね」

 

 

 

「では、ロックさんにはどちらに?」

 

「かすみ!!3,2,1!!」

 

「「右のほっぺ!!」」

 

「っ!!こっちもあってます~!!」

 

 

「じゃあ、美咲ちゃんの怪我を突いた場所は・・・?」

 

「「お腹!!」」

 

「ふえぇ~!!あってる~!!」

 

「・・・じゃあ、モカに渡したパンは?」

 

「「カレーパン!!」」

 

「・・・正解」

 

「じゃあ、千聖ちゃんに投げてきたおもちゃの虫の種類は?」

 

「「蜘蛛!!」」

 

「うっそー・・・」

 

どちらの香澄も正解しか言わないという予想外過ぎる展開に思わず皆が頭を抱え始めてしまっていた。

しかも、いたずらについては聞いてもどうしようもない紗夜についてだけを残ってしまい、もはやこの質問は完全に意味をなさなくなってしまっていた。

 

「なんでどっちの香澄も正解しか言わねぇんだよ・・・!!」

 

「弦太朗、どうにかなんないの・・・?」

 

 

 

「仕方ない・・・こうなったら・・・」

 

「有咲ちゃん?どうするの・・・?」

 

質問が意味をなさなくなった今、有咲はとんでもないことを口走り始めた。

 

「香澄を脱がせる!!香澄をひん剥いて荷物漁れば、偽物だったらスイッチ持ってんだろ!!」

 

「「「「「なるほど!!」」」」」

 

「「ちょっと待って!!」」

 

有咲の提案に一同は納得するが、香澄達はそんな有咲を止めようとしたが全く聞く耳を持ってもらえなかったが、沙綾も香澄達に加わってそれを止めようとする。

 

「有咲、弦太朗がいるんだよ!?」

 

「俺、外に出てからでも・・・有咲、袖掴むなって!!」

 

「もしかしたら剥いてる最中に変身して暴れるかもしんねーからダメだ!!」

 

「有咲!!巴だけでも・・・!!」

 

沙綾の言葉を聞いて弦太朗が外に出ようとするのを有咲は制服を掴んで静止させるのを見た沙綾は有咲に声を挙げるが、彼女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かながら声を挙げていた。

 

 

 

 

 

「私だってこんなことしたくないけど、このまま何もしなかったら本物の香澄が消えちまうかもしれねぇんだぞ!!」

 

「有咲、そうかもしれないけど・・・」

 

「香澄ちゃんが可哀そうだよ・・・!!」

 

「りみ、沙綾。悪いけど偽物を見つけるため・・・本物の香澄のためだ!!香澄!!如月のことは野良犬にでも見られたと思って諦めろ!!」

 

「香澄ちゃんの為なら・・・仕方ないね・・・。有咲ちゃん、このままだとどっちか分かんなくなっちゃうんじゃ・・・」

 

「分かりやすいように薫さんが捕まえてきた方のヘアアクセを右から左に付け替えておくか・・・」

 

「「「りみ!?ちょっと待って!!」」」

 

本物の香澄の為―――

そう言われた途端にりみは完全に有咲側についてしまったことに沙綾達は声は驚きの表情を浮かべて、偽物の香澄に仲間をやられたバンドの面々も先ほどまでの怒りのせいもあって目は完全にヤル気だった。

 

「問答無用!!かかれー!!」

 

「「「「「「「おぉ~~~~~!!」」」」」」」

 

「「いやぁああああああああ!!」」

 

 

 

 

「弦太朗は見ちゃダメ!!」

 

「いってぇ~!!沙綾、目潰しすんな!!」

 

有咲の号令により少女達は一斉に2人の香澄へと飛び掛かり、香澄が身に着けていた物を剥ぎ取り始めると、香澄が身に纏っていた衣服が宙を舞い始めると彼女の持ち物が晒されていく。

 

そんな中で沙綾は咄嗟に弦太朗の目と潰し、彼が痛みによって悶絶している中で香澄は完全に生まれたままの状態まで剥かれたのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで、どっちもスイッチ持ってねぇんだよ!?」

 

 

「カバンの中を見落としてたのかも!!」

 

「リサ姉!!もう一回探そ!!」

 

「もしかして制服のどっかに隠してるのかも・・・!!ルイ!!」

 

「分かったわ・・・。でも、その前に下着は返してもいいのでは・・・?」

 

有咲の予想に反して、どちらの香澄もジェミニのスイッチを持っていなかった。

あり得ないと有咲は声を挙げるが、他の面々じゃもう一度香澄の持ち物を探り始めるなかで、流石に下着だけは香澄達に返すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中で突如としてギターの音が蔵の中に響く。

一同はその音源へと視線を向けると、その音を出した正体は案の定、ここまで話に入ってこなかったたえだった。

 

「おたえ、お前!!さっきから会話に入ってねぇって思ったら何で呑気にギター弾き始めてんだよ!!」

 

「何って・・・?」

 

「ちょっとおたえ、真面目に考えてよ!!」

 

「沙綾。私、真面目だよ?」

 

「おたえちゃん!?」

 

流石のたえの行動にポピパの面々からすらも反感を買うが、たえはいつも通りに楽器を準備しながら

何食わぬ顔でその訳を話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どっちが偽物かなんて・・・音を合わせたらわかるでしょ?」

 

「「「「「「それだ!!」」」」」」

 

「急いで準備すんぞ!!」

 

たえの提案に全員が声を挙げると、有咲達は急いで準備に取り掛かる。

そして、有咲達の準備が終わると未だに下着姿の香澄は自身のギターを渡される。

 

「うぅ・・・こんな恰好でやるのやだよぉ~・・・」

 

「じゃあ、1曲通しでいくぞ!!沙綾、カウント!!」

 

「オッケー!!それじゃ・・・いくよ・・・!!」

 

そして沙綾のカウントと共にポピパは楽器を弾いて音を合わせていくが、最悪な状態の香澄はミスを連発するがそれでもなんとか1曲通し終える。

 

「すっごいガタガタだね・・・。全然もやもや~って感じがするねリサちー」

 

「まぁ、下着で演奏させてる時点でね・・・?」

 

 

 

「ほら、次、やりな・・・こっちが巴が捕まえてきた方だっけ?」

 

「だな・・・」

 

「うぅ~・・・蘭ちゃん達の意地悪~・・・」

 

そして、香澄が香澄と入れ替わり再び同じ曲を通すが、こちらも先ほど同様にミスを連発しながら1曲を通すと香澄はギターをスタンドに立てて座り込んでしまった。

 

「その・・・なんだ・・・」

 

「通しても分かんなかった・・・」

 

「香澄ちゃん・・・ゴメンね・・・」

 

「パレオ達もみんな分からなくて・・・」

 

「「酷いよ~!!」」

 

「・・・・・・」

 

「おたえ、どうしたんだ?」

 

殆ど差がなく皆が見分けをつけられていない。

その中でたえだけは無言で最初に演奏した香澄へと歩み寄っていく。

 

2人の香澄を演奏で比べても誰も本物かまるで分からなかったが、たえだけは確かな確信を持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた、香澄じゃないね・・・誰?」

 

「・・・」

 

たえの目からは光は消えて、完全に冷めた表情を浮かべながらあこ達が捕まえてきた香澄へと言い放つのだった。

 





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悪・戯・煌・星-4 脱走!!絶対零度の花園ランド

書いてたらたえちゃんが壊れた・・・
壊れたことから目を背け(その間に劇場版(仮)を構想し)ながら初投稿です。



 

「あなた、香澄じゃないね・・・誰?」

 

「・・・」

 

目から光が消えているたえに詰められた香澄は俯いたままの状態で彼女の言葉を否定し始める。

 

「おたえ~・・・私が本物だよ~・・・!!」

 

「嘘・・・あなたは本物じゃない」

 

「なんで信じてくれないの~!!」

 

「ちょ!?おたえ!!何でそっちが偽物だって分かんだよ!!合わせたけど殆ど一緒だったぞ!!」

 

「・・・ねぇ?あなたは誰なの・・・?」

 

「私が戸山香澄だよ~!!どうして信じてくれないの~!?」

 

「だったら、なんで私の顔を見ないの・・・?ねぇ?こっち見てよ・・・」

 

今のたえには香澄からの反論も有咲からの言葉も完全に耳に入っていない。

たえの言葉を聞いた香澄は言われるがままにたえの顔を見ようと顔を上げ始める。

 

「ほら!!私がかすっ・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ひっ!?」」

 

香澄が顔を上げるのに合わせる様に皆がたえの顔に視線を向けると、香澄の言葉は言葉を詰まらせる横で一緒に顔を上げたあこと透子は小さな悲鳴を挙げる。

 

たえが香澄に対して向けているのは冷めるという表現では生ぬるい―――正に絶対零度ともいえるような視線でたえは香澄を見下ろしていた。

 

 

 

「ねぇ?なんで香澄じゃないのにそんな嘘つくの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なンデ?何で?なんで?何で?なんで?ナンデ?何デ?ナンデ?何デ?なンで?ナンデ?なンで?何デ?なンで?ナんで?ナnデ?naんデ?なんデ?ナんde?naんde?ナンデ?何デ?なンで?ナンデ?なンで?何デ?なンで?ナんで?ナnデ?naんデ?なんデ?ナんde?naんde?naんデ?―――!!」

 

「おたえちゃん!!落ち着いて・・・!!」

 

「りみ・・・うん・・・」

 

 

 

「おたえ・・・私が本物なのに・・・酷いよ・・・!!」

 

 

 

「大丈夫・・・?」

 

「さーやー・・・」

 

目の前の香澄に対して暴走寸前になってしまうが、それをりみがしがみ付いて止めようとする。

そんな視線や態度を向けられた香澄は、一瞬だけたえの後ろで沙綾に慰められていたもう一人の香澄へと目を向けてから視線を下に落としていた。

 

「待ってください!!ハナさんはどうしてそちらが偽物だと分かったんですか!?」

 

「うんうん!!パレちゃんの言う通りだよ!!どっちも聞いてももやもや~ってしたけど?ね!!リサちー!!」

 

「正直、アタシもどっちも同じように聞こえてたけど・・・」

 

「えぇ、どちらもミスを連発していたから余り参考になったとは思えないですが・・・?」

 

「おたえ~・・・私が・・・本物なんだよ~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・気持ち悪い。触らないで」

 

「「「「!?」」」」

 

「おたえちゃん!?」

 

「あなたのギターからはキラキラもドキドキも何も感じない。気持ち悪い音にしか聞こえなかった・・・」

 

たえの言動に流石に他の皆からも疑問の声が挙がる中で偽物と言われた香澄がたえの足に縋りつこうとするが、たえは香澄を足から振り払う。

 

その光景に一同が驚いている中でたえは振り払った香澄に歩み寄ると彼女の顔に自身の顔を突き出して、感情がまるで感じられない口調で言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・あなたは誰なの・・・?」

 

たえが言い放ったその言葉に答えるように―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ・・・バレちゃったんだ~♪さっすがおたえ~」

 

「きゃ!!」

 

「「おたえ!!」」

 

「「うわぁ!?」」

 

「あこ!!透子!!」

 

香澄は狂気を孕んだ笑みを浮かべながら、たえを突き飛ばしてから横にいたあこと透子も同じように突き飛ばすが、たえは偽物と自白した香澄に視線を向けていた。

 

 

「・・・気持ち悪い。これ以上香澄の声で話さないで・・・」

 

「残念だな~。明日にはそっちの私は消えちゃうんだから~。おたえもみんなも私に乗り換えたほうがいいよ~?」

 

「ふざけないで・・・!!」

 

「そっか~。残念だな~」

 

 

 

 

「待ちたまえ!!」

 

「「逃がすかよ!!」」

 

 

「じゃーね!!」

 

偽物はそう言うと同時にその場から地上への入り口まで飛び上がって外へと出て行き、それを追いかけようと弦太朗と巴、そして薫の3人が入口から外へ出ようとした途端、外から何かが倒れる音が地下に響き渡った。

 

「くっそ!!偽物の奴!!扉塞ぎやがった!!」

 

「アタシが出口を出す!!」

 

弦太朗の言葉を聞いた巴はすぐにヴァルゴへと変身すると入って来た時と同様の穴を作り出して飛び込むと、弦太朗と薫もその後に続いて外へと出るが、既に偽物の姿と彼らが出てきた穴は消えてなくなっていた。

 

「入口の上に物が・・・!!」

 

「それにジェミニの奴が見当たんねぇ!!」

 

「どこ行ったんだよ!!それにリサさん達も助けないと・・・!!」

 

 

 

 

「・・・如月!!」

 

「その声・・・!!有咲か!!」

 

完全に見失って焦っているタイミングで、蔵の入り口の方から有咲の声が漏れ聞こえてくると3人はそれに耳を傾けてた。

 

「空から偽物を探せ!!あんな下着姿なら嫌でも目立つからすぐ見つかるはずだ!!」

 

「先行ってるぞ!!如月はみんなを!!」

 

「弦太朗。私も探してくる・・・!!」

 

ヴァルゴはそのまま蔵の外へ出ると翼を広げて空へと飛びあがり、薫もそのまま蔵の外へと走り出す。

その背中を見ながら弦太朗もドライバーを装着してスイッチを叩き始めていた。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月!!蔵の中には貴重なもんもあるから風で吹っ飛ばすなんてことはすんなよ!!」

 

「・・・だったらこいつだ!!」

 

弦太朗もそのままフォーゼに変身すると、スイッチを起動しようとしたタイミングで地下から有咲の声を聞くと、フォーゼは意気揚々と取り出したエアロスイッチをしまうと別のスイッチを取り出して起動する。

 

――マジックハンドON――――――――

 

 

 

「おらよっ!!」

 

フォーゼは右腕と右足の手で入口を塞いでいた物をドンドンと撤去―――

何てすることなく、塞いだものをそのままに蔵の入り口をこじ開ける。

 

「早く出てこい!!」

 

「全部開けてないってことは・・・無理やり開けたな・・・とりあえず出れる奴らだけでも出るぞ!!」

 

有咲はフォーゼが扉を全開にしていないことに状況を察すると、少しの隙間から有咲を含めた何人かが外へと這い出てくると、有咲の指示を聞いてフォーゼは入口を閉める。

 

「ここは任せて、如月は偽物捕まえてこい!!」

 

「香澄は大丈夫なのかよ?」

 

「香澄のフォローは沙綾とリサさんがしてるから心配すんな!!それよりも偽物が何かやらかす方がダメージがデカいんだよ!!」

 

「弦太朗くん!!任せて!!他の人たちには透子ちゃんが連絡してくれたから・・・!!」

 

「そーいう訳なんで!!ビシッと決めてきちゃってください!!」

 

 

 

 

「りみ・・・透子・・・わりぃ!!」

 

 

――ロケットON――――――――

 

「おまえ!?壁ぶち抜くなよ!!」

 

「分かってるよ!!」

 

フォーゼはこの場を有咲やりみ達に任せると、蔵の中でロケットスイッチを起動する姿に有咲は声を挙げるが、その心配を他所にフォーゼは何も壊すことなく器用に入口から飛び出すとそのまま空へと上がっていくのだった。

 


 

 

「戸山さん・・・!!先ほどの事は許せません!!万死に値します!!」

 

「そ~ですね~。流石のモカちゃんもプンプンですよ~!!」

 

「紗夜さんも、モカちゃんもきっと香澄ちゃんも悪気があったわけじゃ・・・」

 

 

 

「羽沢さんには申し訳ありませんが・・・こればかりは譲れませんね・・・ポテトへの冒涜です・・・」

 

「つぐ~ごめんね~。モカちゃんもこれは許せないな~」

 

私はついさっきまで倒れていたモカちゃん、それとモカちゃんみたいな事をされた紗夜さんと共に香澄ちゃん達がいるであろう有咲ちゃんの家の蔵まで向かっていた。

 

 

「どうやって折檻しましょうか・・・」

 

「ここは目には目を・・・と言うことで・・・」

 

「奇遇ですね・・・私も青葉さんと同じことを考えてました」

 

その道中は今のような香澄ちゃんへと怨念の籠った言葉が漏れるが、私はこれを止めることが出来ずにいたが、そんな私達の耳には聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

「あははははは!!ここまでおいで~!!」

 

「待ちたまえ!!なんて早さだ・・・!!」

 

「このっ!!逃げんなっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今、戸山さんと瀬田さん達の声が聞こえましたね」

 

「そうですね~ってトモちんが飛んでる~」

 

「って巴ちゃん!?何で変身してるの!?」

 

私達は香澄ちゃんと瀬田先輩の声と変身して空を飛んでいる巴ちゃんの姿を見つける。

どうやら2人は香澄ちゃんを見つけて追いかけているようだけど、巴ちゃんが変身するなんてただ事ではない。

そう思ったら巴ちゃんが予想外の行動に出ていた。

 

「いい加減に・・・捕まれってんだよ!!」

 

「当たんないよ~!!」

 

「土煙で・・・見えない・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「巴さん!?」

 

「一体何してるの!?」

 

「こっちに来てますな~・・・」

 

突如として巴ちゃんが地上にいる香澄ちゃんへと弾を撃ち始めるが、香澄ちゃんはどうやら全て避けているようで揶揄う声が徐々に大きくなってくる。

 

どうやらこっちに来ているようで紗夜さんとモカちゃんは来るであろう香澄ちゃんを捕まえようとその場に構えるが、香澄ちゃんの予想もしていない格好に私達は完全に固まってしまっていた。

 

 

「えぇ~どういうこと!?」

 

「なんでこんな街中で下着姿なんですか!?」

 

「意味わかんないよ~」

 

そう、今私達の目の前に現れた香澄ちゃんは下着姿で瀬田先輩と巴ちゃんから逃げていた。

 

 

 

理解が追い付かない私達を他所に香澄ちゃんは私達の頭上を飛び越えてそのまま逃走を続けていく。

 

「モカ!!つぐ!!」

 

「紗夜ちゃん!!」

 

「「偽物を追え!!」」

 

私達は瀬田さんと巴ちゃんの言葉を聞くと、言われるがまま2人が偽物と言っていた香澄ちゃんを追いかけ始める中で紗夜さんが瀬田先輩に話しかけていた。

 

 

「瀬田さん!!これはどういうことですか!?」

 

「香澄ちゃんが2人に分かれてしまって・・・あの香澄ちゃんが今回の犯人ということさ!!」

 

「分かれる?薫先輩~それってどういう・・・っ!?」

 

モカちゃんが曲がり角を曲がりながら、その言葉の意味を聞こうとしたが突如として言葉に詰まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはっ!!つーかまえた♪」

 

曲がり角のその先には黒いニンジャを従えて、巴ちゃんと同じ形のスイッチを持っている香澄ちゃんが待ち構えていた。

 

 

 





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カラーコードの使い方が分かったから時間があったらスイッチ軌道のところをイメージカラー文字に変えておきたいなぁ・・・(願望
でも量が多すぎんよなぁ・・・(絶望


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悪・戯・煌・星-5 星の悪魔


うわぁ・・・このジェミニ・・・強すぎというか盛りすぎでは・・・?
って感じながら投稿です。




 

ダスタードと偽物の香澄の前に立つ薫達。

追い詰められたのは偽物の筈なのに何故こちらを追い詰めたかのような事を言っている意味が薫達には分からずにいた。

 

「捕まえたというのはこちらのセリフではないかな?巴ちゃんも弦太朗もすぐに来る・・・諦めたまえ」

 

「あははっ!!薫さんも面白いですね~!!」

 

 

 

 

 

「見つけたぜ!!」

 

「ツグ!!モカ!!」

 

「あっ!!巴ちゃんだ!!それにゲンちゃんもよく分かったね~」

 

薫と偽物の問答に割り込むようにヴァルゴとフォーゼが空から降りて来るながら偽物を睨みつける。

 

「如月!?なんで分かったんだ?」

 

「あんだけ派手にぶっ放したら分かるだろ・・・。ジェミニ!!いい加減諦めたらどうだ?」

 

「ゲンちゃん~そんなことしないよ~・・・だからさ・・・」

 

フォーゼの言葉を聞いた偽物はそのまま手に持っていたスイッチを押すと、香澄と同じ見た目をしていたその体はジェミニ・ゾディアーツへと姿を変える。

 

「も~~~~~っとキラキラドキドキしよ!!」

 

 

 

その言葉と共にジェミニの周囲にいたダスタード達とフォーゼ達に突撃するのを合図に本格的な戦闘が始まっていく。

 

「近づく前に撃ち落としてやるぜ・・・!!」

 

 

 

――ファイヤーON――――――――

 

「こいつらも・・・もってけ!!」

 

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

ファイアーステイツに変身したフォーゼは合わせて起動したランチャーとガトリングまでも起動すると、

全ての火器をジェミニとダスタード目掛けて放つ。

 

 

「ふっ!!ほっ!!えーい!!今度はこっちからも行くよ~」

 

「やべぇ!!」

 

しかし、ジェミニはフォーゼの攻撃をダスタード達を盾にしながらフォーゼの攻撃を全て避けながら、ジェミニは2色のカードをフォーゼの背後にいるモカ達目掛けて投げ始める。

 

その姿を見たフォーゼはジェミニが放つカードを火炎放射で焼き尽くそうとするが、数枚がその火炎の中を抜けてフォーゼに接触した途端にカードは爆発をしながら燃え尽きる。

 

「ぐわっ!?この野郎・・・!!」

 

しかし、ジェミニの攻撃を気合いで耐えながら、フォーゼはダスタードと倒していく。

 

 

「なんでカードが爆発するの~?」

 

「モカちゃん!?そんなこと言ってる場合じゃないよ!?」

 

「羽沢さんの言う通りですが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あははっ!!すっごーい!!ゲンちゃんみんな倒されちゃったよ~」

 

「ジェミニ!!後はお前だぜ!!」

 

 

 

 

「あの香澄ちゃんはなんで笑ってるんだい・・・?」

 

「追い詰めてるのは間違いなく如月くんの方なのはずなのに・・・」

 

「あの余裕は少々不気味に見えますね・・・」

 

 

今の攻防に巻き込まれて、ジェミニが出したダスタードは全て消滅してしまっていたのにも関わらずジェミニは子供のような笑い声を挙げるその姿にフォーゼの後ろに不気味の悪さを覚えずにはいられなかった。

 

「一気にコズミックで・・・!!」

 

「じゃあ、私のとっておきのキラキラを見せちゃうよ~!!」

 

「それは!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白い・・・星・・・ですか・・・?」

 

「あれってパスパレのライブの時の!?」

 

「アイツもデカくなるのか!?」

 

その球体の意味が分からない紗夜が不思議そうに呟くが、フォーゼはコズミックスイッチを取り出したまま目の前の光景にその動きが止まってしまった。

ジェミニはとっておきと言うとゾディアーツ体に刻まれた星座の星々が光り出し白い惑星のような球体を作り出す。

 

ジェミニのとっておき―――それは先日のキャンサーが使用した超新星だった。

 

その力の事を知らないモカ達は身構え、そして―――

 

 

 

 

 

「「あははははっ!!」」

 

「偽物の香澄ちゃんが分身した・・・!?」

 

「そんなのありかよ!?」

 

 

「「いっくよ~!!」

 

「っ!?・・・こっち狙ってますよ!?」

 

「かな~りピンチ・・・」

 

 

「くそっ!!巴!!」

 

「モカ達を・・・やらせるかよ・・・!!」

 

そんな彼女達の目の前でジェミニが2人に別れた。

衝撃的な出来事に目を丸くしていたがそんなジェミニ達は狙いをモカ達に定めると、同時にカードを投げつけ始める。

 

「うわぁ!!」

 

「いってぇ・・・!!」

 

 

 

「弦太朗!!」

 

「巴さん!!大丈夫ですか!?」

 

「アタシ達は大丈夫ですけど・・・このままじゃ・・・!!」

 

「まだだ・・・!!まだ負けてねぇ・・・!!」

 

――コズミックON――――――――

 

「「すっご~い!!あれでもまだ動けるんだ~!!」」

 

フォーゼカードを撃ち落とし始めるのに変身したままのヴァルゴが加わるが、単純に2倍になった攻撃を撃ち落とすことを出来ず、モカ達を守るために撃ち落とせない攻撃を身体で受け止め、攻撃が止むと同時に2人は片膝をつく。

 

しかし、このまま負ける訳にはいかないフォーゼはコズミックに変身して立ち上がると、ヴァルゴも杖で身体を支えて立ち上がる姿を見たジェミニ達は互いの姿を見合わせていた。

 

「ねぇ?アレ(・・)使ってもいいかな?」

 

アレ(・・)・・・?あぁ!!楽しそうだね!!」

 

「じゃあ・・・やっちゃう?」

 

「うんうん!!」

 

 

 

「アレ・・・って何のことだか分かる如月くん?」

 

「ジェミニにあれ以外に出来ることなんて知らねぇぞ?」

 

「では、アレとは一体・・・?」

 

超新星による分身が奥の手と思っていたフォーゼだったが、ジェミニの言うアレ(・・)に全くの心当たりがないが、ジェミニは動いた。

 

「「じゃ~ん!!」」

 

「・・・スイッチ?何で・・・?」

 

「変身を解く・・・訳ではなさそうだが?」

 

「何で出したんだろ~?」

 

「そういえば・・・以前に如月さんが・・・何か話していたような・・・」

 

 

 

 

 

「まさか!?マジかよ!!」

 

「如月!!何が起こるんだよ!?」

 

ジェミニがこのタイミングで出したのは12使徒に変身するためのホロスコープススイッチ。

紗夜は以前に何かを離していたことを思い出そうとしていたが、フォーゼはこの後起こる最悪の展開が頭を過っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「へ~んしん!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘・・・!?」

 

「あれは確かアクエリアスにアリエスだったね・・・どういうことだい?」

 

「別のに・・・変身した!?」

 

「アタシので試した時は動かなかっただろ!?」

 

「以前に生徒会室で・・・確か、特異体質でしたか・・・?もしかして・・・」

 

 

ジェミニがスイッチを押すと、それぞれアクエリアスとアリエスへと変身していた。

以前に巴のスイッチ試したがスイッチを起動させることが出来なかったのにも関わらず、目の前のジェミニはそれを否定するように別の姿に変身していた。

 

戸惑いを隠せない彼女達だったが、ジェミニが変身したアリエスは杖を構えていた。

 

「いぇ~い!!」

 

 

 

 

 

 

「なんだこれは・・・!?」

 

「あの時よりも・・・力が抜けて・・・!?」

 

「不味いですね・・・」

 

 

「うぉぉぉらっ!!」

 

アリエスからは何とも気の抜けた声が響くが、その能力は以前に操られていたまりなが変身した時以上。

一気に力が抜けて行く中でその能力が効かないフォーゼはそのままアリエスへ向けて斬りかかり、そのままヴァルゴへ向けて叫ぶ。

 

「巴!!みんなを連れて逃げろ!!」

 

「如月!!何言ってんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

「巴ちゃん・・・逃げなきゃ・・・!!」

 

「ツグ!?でも・・・!!」

 

「つぐみちゃんの言う通りだよ・・・」

 

「もし、巴さんのが奪われたら・・・危険です・・」

 

「トモちーん・・・」

 

「クソっ!!分かったよ!!」

 

ヴァルゴ自身は全く納得できない様子で声を挙げるが、周囲の言葉を聞いて悔しそうな声を挙げながら自身の後ろにワームホールを作るとそこにみんなでその中に入るとすぐに消滅していた。

 

 

「こっからはタイマンはらせてもらうぜ・・・!!」

 

「ゲンちゃん大丈夫~?」

 

「お前に心配されることじゃねぇ・・・!!」

 

「うわぁ!?」

 

「こっちもいるよ~!!いぇ~い!!」

 

守るものがこの場から居なくなったフォーゼは先ほどまでの防戦とは打って変わってソードをアリエス目掛けて振り下ろすも杖で受け止められてしまう。

 

そんなフォーゼの背中にアクエリアスが鞭による攻撃を浴びせる。

 

「ぐわぁ!!・・・このっ!!」

 

「「きゃ・・・!!」」

 

 

 

「でも、だいじょーぶ!!」

 

「食らえ~!!」

 

しかし、フォーゼもやられるだけではない。

アリエスの身体を足場に後ろに向かって飛び、アクエリアスの頭上を過ぎる瞬間にソードで身体を切りつけるが、そのダメージは瞬時にアクエリアスの能力によって回復されて与えた以上のダメージを与えられる。

 

 

 

生半可なダメージを与えてもアクエリアスの能力ですぐに回復される。

そうなればフォーゼにもう選択肢は残されていなかった。

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー・・・超銀河フィニィィィッシュ!!」

 

「きゃああああああ!!」

 

 

 

 

「あ~!!やられちゃった~!!でも、こっちは無事でよかった~!!」

 

「スイッチが残っちまったのか・・・!!・・・でも一気に・・・」

 

フォーゼはアクエリアスを両肩の諸共切り裂くとアクエリアスがその場で爆散する。

しかし、不幸なことにスイッチは壊れることなくアリエスの足元へと転がるとそれを拾い上げた姿にフォーゼは悔しそうな声が漏れるが、フォーゼは再びソードに装填されていたコズミックスイッチを装填し直していた。

 

―――リミットブレイク―――

 

ソードから音声が響くと、距離があったアリエス目掛けてフォーゼは一直線に駆け出していく。

それを見たアリエスは懐から別のスイッチを取り出して別の姿に変身しようとしていたが、フォーゼはそれに構うことなくソードを振りかぶっていた。

 

「ライダー超銀河・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん・・・!!」

 

「なっ!?」

 

しかし、相手はゾディアーツへと変身するのではなくその場で変身を解いて香澄の姿に戻っていた。

 

 

フォーゼは頭では相手が分身だと分かっていても、見た目は香澄のそれを斬ることが出来ずにソードを彼女の寸のところで止めてしまった。

 

その行動には彼の本質的な優しさが出てしまった行動だったが、今回は―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひひっ・・・!!」

 

「うわぁあああ!?」

 

―――完全に裏目に出てしまった。

 

ジェミニはそのままスイッチを押すと、香澄の姿からカプリコーンへと姿を変えてギターをかき鳴らして自身諸共フォーゼと共に爆発した。

 

両者ともに変身が解けて互いが持っていたスイッチをばら撒きながら地面を転がるが、その中でジェミニは近くに転がっていたアクエリアススイッチを起動してダメージを回復すると、その場に立ち上がって背筋を伸ばすようにストレッチをし始めていた。

 

 

「あ~楽しかった!!あれ?ゲンちゃんもう動けないの~?」

 

「ぐっ・・・ぅぁ・・・」

 

ダメージが大きい弦太朗はその場から立つことが出来ずに地面に伏せていた。

アクエリアスに変身したジェミニは弦太朗を観察すると、そのまま変身を解除して香澄の姿に戻ってしまった。

 

 

 

 

 

「う~ん。ゲンちゃんボロボロで今のままじゃつまんないから、私は別のところで遊んでくるね~」

 

「待て・・・!!」

 

ジェミニはそのまま自分のスイッチだけを拾い上げるとその場から立ち去ろうと歩き出す。

その背中を目で追う事しか出来ない弦太朗は振り始めた雨を身体に感じながら意識を手放してしまうのだった。





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悪・戯・煌・星-6 戦慄

ガルパ6周年の200連ガチャ
完全勝利Daylightを決めたので星5ましろ完凸までいけたので初投稿です。

これでヴァルゴは封印だな・・・!!


 

「とりあえず・・・出れるくらいには片付いたな・・・」

 

「んじゃ、開けましょ!!ルイ~!!」

 

ジェミニによって塞がれた蔵の地下への入口を解放した有咲達。

ライブ以外では身体を動かすことが少ない彼女達は疲労を隠せずにいたそのタイミングで蔵の中に黒い穴が突如として現れる。

 

「「「うわぁ!?」」」

 

「いたたたた・・・」

 

「みんな!?いるか!?」

 

 

 

 

「巴ちゃん!?それにつぐみちゃん達も・・・!?」

 

「紗夜さん!?どうしたんですか!?」

 

「羽沢さん!!何があったんだよ!?」

 

「実は―――」

 

穴から出てきたのはフォーゼに言われるがままに逃げ出したヴァルゴ達。

いきなり目の前に現れた彼女達に驚きの表情を浮かべていたが有咲は尋常じゃない様子に気が付いて疲労困憊な彼女達の中で一番落ち着いていそうなつぐみからフォーゼとジェミニとの戦闘について聞き出していく。

 

 

 

「マジか・・・。分身した上に、別のにまで・・・特異体質ってのは前に聞いてたけど・・・香澄がそうだったなんて・・・。信じらんねぇ・・・」

 

「市ヶ谷さん。ですが・・・」

 

「私達も見たんだよ・・・だが、香澄ちゃんで試すわけにもいかないからね・・・」

 

 

 

「てか!!それ弦太朗さんは大丈夫なんすか?」

 

「だったらすぐに戻って・・・!!」

 

「待て巴さん!!」

 

今までの話を聞いて駆け出そうとする巴に有咲は待ったをかけるが、かけられた巴は不満そうに有咲を睨み始めた。

 

 

 

「なんだよ・・・」

 

「もしもそれ盗られてみろ!!どんだけ被害がデカくなるかわかんないだろ?だから如月くんは逃げろって言ったんだよ・・・」

 

「・・・くそっ!!じゃあどうすんだよ?」

 

頭では有咲が言っていることは理解出来るが、心情的には全く納得出来ない巴は有咲に食ってかかる。

 

「・・・如月に任せるしかねぇ」

 

「おい!!」

 

「巴ちゃん・・・有咲ちゃんの言う通りだよ・・・」

 

「つぐまで・・・!!」

 

「トモちん・・・。だからげんたろーさんは・・・」

 

 

「あぁ~!!もう分かったよ!!」

 

有咲だけではなく、疲労感を隠せていないつぐみとくモカからも同じことを言われてしまった巴はなんとか自分を抑えて、彼女達の意見を受け入れ酔うとした瞬間、彼女達の元に最悪の知らせが舞い込んできた。

 

 

 

「電話・・・ふーすけから・・・もしもし?」

 

『透子ちゃん!!商店街が大変だよ~!!』

 

「ちょ!?ふーすけ!?」

 

『また出たんだよ~!!今イヴ先輩が・・・!!」』

 

 

「アイツ!!」

 

「巴ちゃん・・・!!きゃ!!」

 

透子のスマホにつくしからの着信。

しかし、つくしから告げられたのは商店街にジェミニがイヴと戦い始めてるという知らせに巴は冷静さを失ってしまった様子でなんとか止めようとした立ち上がったつぐみを突き飛ばすようにして蔵から飛び出してしまった。

 

しかし、冷静でなかったのは巴だけではなかった。

 

 

 

「弦太朗くん・・・!!」

 

 

 

「牛込さん!!どこへ・・・!!」

 

「おい!!りみ!!待て!!」

 

巴に続いてりみもそのまま蔵から飛び出してしまう。

しかし、そんな彼女を捕まえようとしたが誰も彼女を捕まえることが出来なかった。

 

「市ヶ谷さん!!桐ヶ谷さん!!追いかけましょう!!」

 

 

 

 

 

「・・・いや、ここで待ちましょう」

 

「何故ですか!?瀬田さんも含めた4人で追いかければ!!」

 

紗夜がこの場にいた2人に提案するが、すぐにその提案は有咲によって却下されてしまう。

それに納得がいかない彼女は有咲に声を挙げるが、冷静に有咲は答えを返した。

 

「紗夜先輩とそれと薫さんも、正直に言うと立つのもしんどいんじゃないんですか?」

 

「・・・いえ、そんなことは・・・」

 

「だったら運動が苦手のりみの事をさっきの時点で捕まえられますよね?」

 

「それは・・・」

 

 

 

 

 

「その通りさ。正直私も立ってるだけでやっとでね・・・紗夜ちゃんもそうではないのかい?」

 

「・・・えぇ、そうですね」

 

紗夜は薫の言葉を聞いて観念したように声を挙げるとそのまま地面に座り込んでしまった。

それを見た有咲達もまた同じように地面に座り込んでしまう。

 

「さっきここに居た香澄の偽物が地下の入り口を塞いじまったんでそれをどかすのに私達も疲れちゃったんですよ・・・。正直頭ももう回りそうにないんで、後は正直みんなに任せるしかないですね・・・」

 

「そうだね・・・」

 

有咲の言葉を聞いたつぐみは突き飛ばされた際に押された胸を抑えて呟くのだった。

 


 

 

 

 

商店街でのアルバイトが終わってお店を出た。

雨が降り始めた空から見て傘を差そうとした途端、見たことのないカードが降ってきて私の足元で破裂すると目の前にはピエロのような外見をした怪物が立っていた。

 

それを見た私は身構えていましたが―――

 

「イヴちゃん!!」

 

「その声は・・・カスミさん・・・!!」

 

「あ~そ~ぼ~!!」

 

その声を聞いて思わず私は目を見開いてしまいましたが、それに合わせる様に目の前の怪物は先ほどと同じカードを投げつけてくる。

 

「っ!?」

 

後ろにはツグミさんのお店。

避けたらお店に被害が出るのを理解した私はそのまま持っていた傘でカードを叩くと、先ほどと同じようにカードが爆発して一瞬で傘は原型が無くなってしまっていた。

 

「あはは!!すごいすごい!!」

 

「何でこんなことを・・・!!」

 

「じゃあ・・・これはどうかな!!」

 

そう言って今度は私の足元目掛けてカードを投げつけ始めるが、私は雨が振っている事に構うことなくカードから逃げるように走り出す。

 

「ほら!!もっと走って逃げないと当たっちゃうよ~!!」

 

「くっ!!」

 

悔しいですが、私の手元には武器になるようなものはない。

出来るとしたらこのまま逃げることだけ―――

 

 

 

「イヴちん!!これ!!」

 

「ハグミさん!!」

 

そう思っていたタイミングでハグミさんの声と共に私の方に何かが飛んでくると、反射的にそれを掴み取っていた。

 

「バット・・・」

 

「本当はダメだけど・・・!!イヴちん!!」

 

「はい!!」

 

ハグミさんが投げてきたのはソフトボール用のバット。

投げたハグミさんは物凄く嫌そうな顔をしていたのを見て、ハグミさんなりの葛藤を感じると私は手の中の確かめるように握ると逃げるのを辞めて突撃を始める。

 

「ブシドー!!」

 

「へへっ~!!」

 

振り下ろされた私の攻撃は容易く回避されてしまいましたが、この得物は刃の向きを気にする必要がないという利点を生かしてそのままVの字を描くようにバットを振り上げると、今度は回避しきれずに相手の右腕にバットが当たる。

 

 

「いった~い!!」

 

「まだです・・・!!」

 

 

 

痛がってはいますが大したダメージにはなっておらず、それに比べてこちらは1撃でも当たれば致命傷になってしまうヒナさん曰く"理不尽ゲー"という状況。

 

 

ならば攻撃を受ける前に攻め立てることだけ―――

 

「ブシドー!!」

 

「痛い!!・・・痛い!!」

 

「っ!!」

 

小さな振りで攻撃を続けていくが、相手は攻撃が当たるたびにカスミさんの声で痛みを訴えてくる。

でも、私はそれを心を鬼にして聞かない振りをして攻撃を続けても大したダメージはなく、それどころか攻撃をする度にこちらの精神がすり減っていくような感覚に襲われていく。

 

それが焦ってしまったのか私は大きく振りかぶってしまったそのタイミングで相手の身体が光りだして、その姿を見て再び目を見開いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これなら痛くないね!!」

 

「その姿・・・っ!!」

 

「カニだ~!!」

 

攻撃が当たる直前に道化の姿から突如として以前にアユミさんが変身していたカニに姿が変わっていた。

 

このままでは不味いと頭に思い浮かんでも身体は急には止まらず、バットはカニの甲羅を叩いてしまうと、その反動が私の手首に跳ね返ると一瞬だけ左手首に鈍い痛みが走る。

 

でも、止まる訳にはいかない。

と思ったその時―――

 

 

 

 

 

「だらぁあああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「トモエさん!!」

 

「トモちん!!」

 

トモエさんが敵を全力の蹴りを入れて私から引き剥がして、仕切り直しになった状態で相手は突如として笑い出した。

 

 

 

 

 

 

「あははっ!!巴ちゃん来たんだ!!待ってたんだよ~!!」

 

「いい加減にしろよ!!この偽物野郎!!待ってたのはアタシじゃなくてスイッチだろうが・・・!!」

 

「偽物・・・?」

 

「どういうこと・・・?」

 

「あぁ、本物は有咲達と一緒にいる・・・」

 

「そうだったんですね・・・!!」

 

トモエさんから説明を聞くと今の状況を何となく理解できた。

 

カスミさんの真似をして暴れている偽物―――

 

偽物、そう聞いただけで私は湧き出てくるような怒りを覚えて再び、バットを持って構え直すと、その偽物は笑いながらトモエさんに視線を送っていた。

 

「ほら巴ちゃん!!早く!!」

 

「うっせぇな・・・!!」

 

そう言ってトモエさんが飛び出すと、比較的に殻の薄そうな関節に殴りつけると、偽物はその姿に驚いた様子を浮かべて疑問を思わず口にしていた。

 

「何でスイッチを使わないの?」

 

「なんで・・・?何故なら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシはスイッチを置いてきた!!」

 

「「「・・・」」」

 

雨に濡れながらも自信満々に答えるトモエさん。

それを聞いて偽物も私達も言葉を失ってしまいましたが、状況を理解した偽物は急に冷めてしまったような態度を取り始めると、先ほどの道化師の姿に変わっていた。

 

「はぁ・・・なんかつまんなくなっちゃったから帰るね・・・」

 

「逃がすか!!・・うおっ!?」

 

トモエさんが偽物を追いかけようとしましたが、突如としてトモエさんの目の前で爆発が起こって偽物の姿が一瞬見えなくなると、次の瞬間にはそこには誰もいなくなっていた。

 

 

「くっ・・・」

 

 

 

「イヴちん!!」

 

「イヴ!!大丈夫か!!」

 

 

偽物が逃げた事を理解したのと同時に私の左手首は限界を迎えてしまい、痛みのせいで持っていたバットを地面に落としてしまう。

 

「痛そう・・・!!うちにお肉買ったとき用の氷があるから取ってくるね!!」

 

「頼んだ!!」

 

それを見たハグミさん達が私に駆け寄ってくると、手首を見てすぐに自分のお店へと駆け出すのを見た後、手首を抑えながら私は痛みから目を背けるように雨空を見上げていた。

 

 

 





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悪・戯・煌・星-7 輝く未来を目指すため・・・

う~ん・・・
か~な~り短いですが投稿です。


 

商店街での騒動が収束してから少し経った頃、ジェミニとの戦闘で意識を失っていた弦太朗は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っう・・・!!」

 

「弦太朗くん!!」

 

りみの声に答えるように弦太朗は意識を取り戻した。

しかし、未だに意識が完全に戻っていない彼だったが、その身体は腰の巻かれたままのドライバーの感覚と共に違和感を覚えていた。

 

 

 

「りみ・・・ここどこだ・・・?それになんで揺れて?」

 

「えっとね・・・」

 

彼が意識を失ったのは街の路上で雨が降っていたのにも拘らず、それが意識を取り戻した時には雨の音は聞こえるのにそれが当たる感覚も無ければ、身体は揺れるような感覚に襲われていると、それに答えるようにりみ以外の声が聞こえてくる。

 

「なんだい?少年は起きたのかい!!」

 

「うるせぇ!!」

 

 

 

「ちょっと2人とも・・・!!」

 

弦太朗の声を聞いて、彼の視界の外から馴染みのない声が響くが、りみはその声に怒る様に声を挙げていたが、1人は余り反省した様子も見せずに呟いた。

 

「・・・全くただの買い出しのだったはずがとんでもない拾い物しちまったみたいだな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぁ、デベコ?」

 

「ひなちゃん求めるところにひなちゃんあり!!だからりみちゃんのところに現れたんだぜ~?嬉しいだろ~?」

 

弦太朗はそんな会話を聞きながら身体を起こすと、周囲を見るとりみの姿と先ほどの声の主であろう2人に視線を向けていた

 

「車・・・?それにあんたは・・・どっかで・・・?」

 

「弦太朗くん!?寝てないとだめだよ!?」

 

弦太朗の声が聞こえるとりみは目を丸くして驚きながら彼を寝かせると、彼はそのうちの1人について思い出した。

 

「思い出した・・・そういえばあんた、楽器屋で・・・」

 

「えぇ!?りみちゃんだけじゃなくてリィちゃんも知ってるのマジで・・・!!」

 

「うるせぇ!!少し静かにしてろ!!」

 

「ちぇ~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「なんだんだ・・・こいつら・・・」

 

弦太朗は目の前の2人の漫才のようなやり取りに首を傾げるとりみが2人のことを簡単に説明を始めていた。

 

「えっとね。2人はお姉ちゃんと同じバンドをやってた友達で・・・」

 

「私がリィ。そんで助手席にいるのがひなこ」

 

「・・・あんたらがゆりの・・・」

 

「へいへい!!少年はりみちゃんやリィちゃんだけじゃないて、ゆりりんの事まで落としてるのかい?」

 

「ひなちゃん。弦太朗くんとはお友達だよ?」

 

「ただ前に店で見た客だよ」

 

 

 

「えぇ~!?ラブリーな感じしたのに~。りみちゃんも照れちゃって~!!」

 

「そうだよ・・・。ただ私もお姉ちゃんとも友達だよ~」

 

 

 

 

 

 

 

「訳が分かんねぇ・・・」

 

目の前の光景に意識を取り戻した直後で普段以上に頭の回らない弦太朗は状況を飲み込めなかったが、そんな彼にりみがこれまでの事を語り始めた。

 

「えっとね。巴ちゃん達から話を聞いて弦太朗くんのところまで行ったら倒れてて・・・荷物を拾ってから弦太朗くんを運ぼうとしたらリィちゃん達の車が来たから乗せてもらって・・・」

 

「うんうん!!こ~んな雨の中で傘もささないでりみちゃんが少年を運ぼうとしてたのを見た時は流石のひなちゃんもびっくりちゃったからね~!!」

 

「明らかにヤバそうな見た目の男を運ぼうとしてたんだ。そんな状況でゆりの妹を放っておく訳にもいかないからな」

 

「リィちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ちょいちょい!!ひなちゃんの事は!?」

 

「ひなこ。ステイ!!」

 

今の状況に完全について行けない弦太朗だったが、このタイミングでひなこと呼ばれた少女は先ほどまでのハイテンションが嘘のような冷静な様子で彼へ視線を送っていた。

 

「で。実際、そこんところどうなんだい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近噂になってる正義のヒーローさん?」

 

「ひなこ、何言ってんだ?」

 

 

 

 

 

「ひなちゃん!?どうして!?」

 

「・・・っ!!」

 

ひなこから発せられた言葉にリィは赤信号で車を止めると同時に首を傾げる。

一方でフォーゼの事を言っているであろうことが分かったりみからは警戒心向けられ、弦太朗に至っては怪我したままの状態でりみを庇おうとしていることに気が付いた張本人は必死にそれを解こうとし始めた。

 

 

 

「タンマタンマ!!前に見たんだよ~!!1か月くらい前にショッピングモールで~!!

あの時、Roseliaちゃん達を見かけたから声かけようと思ったら、いきなり店の壁を突き破ってなにか出てきた時はびっくりドッキリでマジピンチ~って思ってたらRoseliaちゃん達が店からでてくるじゃん。それで声かけようとしたらそのまま人波に呑まれたら見失っちゃってさ~」

 

「それは夢だって言ったろ?なぁデベコ?・・・うん。そうだよ。そんなのあるわけないだろー」

 

ひなこの言葉を聞いたリィは運転しながら自身がいつも持っている"デベコ"と名付けた人形で腹話術をしながら彼女の話を切り捨てるが、弦太朗達にはその話には覚えがあった。

 

 

「弦太朗くん・・・それって・・・」

 

「この前の親父さんの時だな・・・」

 

 

 

 

 

 

「・・・まさか、あの話がマジだったのか?」

 

「リィちゃん信じてくれないのショック~」

 

若干1名は完全に置いてけぼりになっているが、2人は今の話から以前の事件を思い出し、起こった事と話で間違っていないことを確認してから警戒を解く。

それと同じタイミングでりみは蔵で聞いた話を思い出していた。

 

 

 

 

「そうだ、弦太朗くん!!商店街で―――!!」

 

しかし、そのタイミングで弦太朗のマグフォンから着信音が鳴り響くと、それを聞いたりみがそれをとっていた。

 

「もしもし・・・?」

 

『如らっ・・・!!ってりみ!?如月は?』

 

「有咲ちゃん!!うん。今は一緒にいるよ!!」

 

「むむっ!!その声は!!蔵弁慶の有咲ちゃんだ~!!」

 

『はぁ!?その声!!ひなこ先輩!?どうなって・・・って!!今はそれどころじゃねぇ!!』

 

 

電話の相手はかなり鬼気迫った様子の有咲。

りみも緊張した表情を浮かべてしまうが、その空気を近くにいたひなこが速攻でぶち壊すとりみは苦笑いを浮かべて状況が呑み込めない有咲に声を掛けていた。

 

「有咲ちゃん?どうしたの?」

 

『商店街の次はCiRCLE出やがった!!それで奥沢さんが狙われてるらしい!!しかもそれを聞いて怪我してんのに若宮さん達まで向かっちまったらしい!!』

 

「・・・伝えておくね!!」

 

『あぁ!!頼んだ・・・!!こっちはもうなんとか持ち直したから・・・任せろ!!』

 

「うん・・・!!」

 

りみは状況を聞くとすぐに電話を切ると、弦太朗はその電話を聞いて痛みに耐えながら車から飛び出そうとしたが、りみがそれを止めようとしていた。

 

「弦太朗くん!!」

 

「りみ・・・!!でも、行かねぇと・・・っ!!」

 

 

 

 

 

「待ちな少年!!」

 

「ひなちゃん?」

 

「ここはひなちゃんに任せて!!」

 

「任せるって・・・?」

 

「・・・リィちゃん!!」

 

任せろと自信満々にしていたひなこだったが、彼女は即座に運転席にいるリィに視線を向けると、彼女はハンドルを握り直していた。

 

 

「正直、訳が分からない・・・けど、ゆりの妹がピンチなんだ。手を貸さない訳にはいかないよな。デベコ?」

 

「ってことで、少年はそれまでおねんねしてな!!そんじゃ~CiRCLEまで・・・レッツゴーゴーゴー!!」

 

そのひなこの言葉と共に車を止めていた信号が青に変わると、車は勢いよくCiRCLEへ向けて走り出していくのだった。

 

 





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ゆりさんが出た時からグリグリさんたちまだと言われ続けた結果です。反省はした
(キーボード担当からは目を背けつつ・・・


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悪・戯・煌・星-8 円の危機には縁が集う

投稿です。
この作品の女の子が痛い目見すぎと言われましたが・・・
ここでは平常運転です。(よほどのことがなければメディカルと特撮由来の超回復で解決すっから・・・


 

「うちのお姉ちゃんがスイマセン・・・」

 

「あぁ~・・・大丈夫だから、ほら頭上げて・・・」

 

「明日香ちゃん、美咲ちゃんも困ってるから・・・でも、美咲ちゃんは本当に大丈夫・・・?」

 

「まりなさん・・・まぁ、痛いことは痛いですけど大丈夫ですよ・・・」

 

「とりあえず、みんなが戻るまで休んでて」

 

「そうしますね・・・」

 

事件が起こっていることを把握できていないCiRCLEでは偽物が起こした出来事を姉がやったと勘違いしている明日香が美咲に対してただひたすらに頭を下げて謝罪し始める姿に流石のまりなも明日香を止めに入る。

 

そんな光景を見ていた美咲から不意に思ったことが口からこぼれてしまった。

 

 

 

 

 

 

「でも、戸山さん・・・何であんなことしたんだろ・・・?」

 

「美咲ちゃん?どうしたの?」

 

「いや、こころ達が戸山さんを追いかけてるのに逃げてるのって凄いなぁって・・・」

 

「確かに・・・すごいわよねぇ・・・」

 

「まぁ、それは今度聞くとして・・・今は休みますよ・・・」

 

美咲はソファーに横になると、今までの疲れが出てきたのすぐにうつらうつら とし始めるが、それを見たまりなと明日香の2人は先日から全く目を覚まさない美子の分も含めてバンドリ決勝についての資料を睨み始めはじめる。

 

そして作業を進めていたそのタイミングで不意にCiRCLEの扉は開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちゃーん!!まりなさーん!!」

 

 

 

「あっ!!かすみちゃ・・・!?」

 

「おねーちゃ・・・!?」

 

「何・・・戸山さんが来た・・・の・・・?」

 

働いていた2人があげた声に美咲も身体を起こして扉の方に視線を向けると、その場にいた香澄の姿に全員が凍り付いていた。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!?何て格好してるの!?」

 

「あっちゃ~ん!!」

 

「話は後!!とりあえずこっち来て!!」

 

入口にいたのはあられもない姿の香澄。

その中で明日香がすぐに我に返ると事情を聴くよりも先にスタッフルームまで引っ張っていくのに遅れて、美咲達も我に返るとソファーから起き上がると、痛みを堪えながら立ち上がろうとしていた。

 

「とりあえず・・・話だけでも聞きますか・・・」

 

「美咲ちゃん、肩貸すよ」

 

「まりなさん。大丈夫ですよ」

 

 

そう言って美咲はまりなと共にスタッフルームまで行くと、明日香がスタッフ用にシャツを着せて自身の姉を叱りつけていた。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「有咲達に無理やり~!!」

 

「何言ってるの!!有咲さん達がそんなことするわけないでしょ!!」

 

「ホントなんだよ~!?」

 

 

 

 

 

「何これ・・・?」

 

「とりあえず、市ヶ谷さんに聞いた方がいいんじゃ・・・。ってあたしのスマホ、カバンの中だった・・・」

 

「それじゃ私の方でかけるよ。えっと本当はダメだけどレンタルの時にかいてくれた連絡先に電話を・・・っと」

 

そう言ってまりなは以前にポピパでスタジオを借りた時の書類を探すとそこから有咲の番号を探して彼女に確認の為に電話をかけるとすぐに有咲と繋がった。

 

 

 

『もしもし・・・?』

 

「有咲ちゃん。まりなだけど・・・」

 

『まりなさん?すいません。今はちょっと忙しいから後に・・・いや、用件だけ先に教えてもらってもいいですか?』

 

「えっとね。香澄ちゃんのことなんだけど・・・」

 

『・・・香澄?』

 

「うん。香澄ちゃんがついさっき店に来たんだけど・・・その・・・」

 

『まりなさん!!本当ですか!?』

 

「うん。今、明日香ちゃんが香澄ちゃんと話を・・・」

 

まりなが今の店内の状況を説明しようとした途端、それを遮るように電話の向こうにいる有咲が大声を挙げていた。

 

 

 

『まりなさん!!絶対のその香澄を絶対にCiRCLEから出さないで下さい!!』

 

「えっ!?どういう事!?」

 

『簡単に説明すると香澄の姿をした偽物が色々悪さして・・・って羽沢さん一体どうした?・・・はぁ!?巴さんが怪我した若宮さんと一緒にCiRCLEに向かっただぁ!?・・・あぁ!!どいつもこいつも好き勝手動きやがって!!

まりなさん!!巴さん達が来るまで絶対(・・)に外に出さないでください!!お願いしますよ!!』

 

「有咲ちゃん!?・・・切れちゃった・・・」

 

一歩的に電話を切られて唖然とするまりなだったが、電話の内容が漏れ聞こえてきた美咲は信じられないと言った様子で思わず声が漏れてしまう。

 

「偽物・・・?」

 

「偽物?なんですか?・・・まりなさんも美咲先輩も何かあったんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「ひひっ・・・」

 

「っ!!離れて!!」

 

「えっ・・・?」

 

「明日香ちゃん!!」

 

「まりなさんも・・・?」

 

 

 

 

「あ~あ・・・。みんなにバレちゃった~」

 

「お姉ちゃん・・・?」

 

美咲から漏れた言葉は偽物の耳にも入ってしまい、彼女から気味の悪い笑い声が聞こえた途端、美咲は嫌な予感を感じ取ると明日香へ向けて声を挙げる。

声を掛けられた明日香は状況が呑み込めていない中で彼女は動き出そうとしていた。

 

「それじゃあ・・・。みんなが来るまで遊ぼうかな・・・!!」

 

「えっ・・・?」

 

 

 

「させない・・・!!」

 

偽物はどこからか取り出したスイッチを押そうとしたその瞬間に美咲が偽物の腕に飛びつく。

 

「美咲ちゃん・・・!!やっぱり邪魔するんだ~」

 

 

 

「・・・美咲ちゃん!!」

 

「お姉ちゃん!?美咲先輩!?」

 

目の前の光景に声を挙げて固まっている明日香を他所に、偽物と美咲は組み合いながらスタッフルームからロビーまで飛び出すと、偽物を床に押し倒していた。

 

「美咲ちゃん!!」

 

「ぐっ・・・!!させない・・・!!」

 

先日の怪我による痛みにも耐えながら偽物を押さえつける美咲だったが、偽物は美咲の下で暴れ始める。

 

 

 

「つぅ・・・!!」

 

「美咲ちゃん!!早く離さないと・・・もっと怪我が痛んじゃうよ~!!」

 

「うる・・・さい!!」

 

偽物が腕を動かそうと力を入れ、拘束から抜け出そうと身体を捩る。

それが繰り返されるにつれて美咲が感じる痛みは増していき、そして痛みに負けた美咲の力が若干弱まった途端、偽物はスイッチを持っていなかった側の腕を力任せに振り払うと出鱈目に腕を美咲に振るう。

 

「やばっ・・・ぐっ!!」

 

「へぇ~・・・!!」

 

偽物の腕がある場所に当たった途端、今までで1番と言えるほどに美咲の顔が痛みに歪む。

その美咲の表情を見て偽物は邪悪な笑みを浮かべるとそこに何度も腕を振り始めた。

 

 

 

「やっぱり!!お腹が・・・一番痛いんだね!!」

 

「ぐふっ!!がはっ!!」

 

そして、偽物は美咲が一番痛がる様子を見せていた腹部を集中して殴りつける。

その度に美咲の顔が苦痛に歪歪ませながら拘束が弱まっていき―――

 

 

 

 

 

「はっ・・・がはっ・・・!!」

 

「も~・・・美咲ちゃんも頑固なんだから~」

 

偽物は遂に美咲の拘束を振り払うことに成功して、彼女を見下しながら立ち上がった。

 

「美咲ちゃん・・・痛い?」

 

「当たり前・・・でしょ・・・」

 

 

 

「美咲先輩!!」

 

「美咲ちゃん!!」

 

 

 

 

 

「今の美咲ちゃんすっごいキラキラしてるよ!!だからもっとそのキラキラをあっちゃんとまりなさんにも見てもらおうよ!!」

 

そう言って彼女は持っていたスイッチを起動すると香澄の姿からジェミニへと姿を変えると、美咲の首をそのまま掴むとそのままガラスへと投げつける。

 

「凄い!!美咲ちゃん投げたらガラスが割れちゃった!!」

 

「がぁ!!」

 

「でも、まだ遊べるよね?だって美咲ちゃんはミッシェルなんだから!!」

 

 

 

「あぁぁあ!!」

 

痛みに耐える美咲へとジェミニは自身の武器でもあるカードを彼女の周囲に投げつけると彼女の周囲で爆発が起こり、爆風で美咲は吹き飛ばされるがそれでも美咲は立ち上がろうとしていた。

 

「美咲ちゃん!!まだ動けるんだ!!じゃあ・・・これで・・・」

 

ジェミニはそう言って別のスイッチを手に取ったその瞬間、彼女の前には赤い影が写りこんでいた。

 

 

「どらぁああああ!!」

 

「きゃあああ!!」

 

 

 

「宇田川さん・・・!!」

 

「見つけたぜ!!この偽物野郎!!」

 

ジェミニに飛び込んだのは商店街から駆け付けた巴。

彼女はジェミニの腕を殴りつけると、ジェミニの腕から持っていたスイッチが零れ落ちる光景を他所に美咲の元へは彼女と一緒に来たイヴが駆け寄っていた。

 

「ミサキさん!!」

 

「若宮さん・・・っ!!その手は?」

 

「少しだけ痛いですが・・・大丈夫です!!立てますか?」

 

 

 

 

「美咲ちゃん痛いんでしょ?ほらほら、頑張って!!」

 

「煽ってんのかよ!!」

 

 

 

 

「女は度胸・・・クマはド根性だぁあああ!!」

 

巴を相手にしながら美咲を煽るようなジェミニの言葉に美咲は声を張り上げて答えながら、立ち上がる。

 

そして、それと同時に主役が遅れてやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たんかい!!」

 

「「「っ!?」」」

 

 

 

「ケリをつけに来たぜ・・・ジェミニ!!」

 

「あっ!!ゲンちゃん!!それにりみりんも一緒なんだ!!」

 

そこに現れたのがりみと弦太朗。

しかし、弦太朗はりみの肩を借りて立っているような身体は限界の状態にも関わらず、その目は全く死んでいなかった。

 

「りみ・・・サンキューな?」

 

「気にしてへんで。頑張ってな!!」

 

「おう!!離れてろ!!」

 

 

弦太朗はりみから離れるとジェミニを睨みつけるが、ジェミニは余裕そうに笑いだす。

 

「あはは!!ゲンちゃん!!そんなボロボロなんだから無理しないほうがいいよ~!!」

 

「ジェミニ!!ダチが応援してるんだ・・・!!さっきみたいにはいかねぇぞ!!」

 

 

 

ジェミニを睨みながら弦太朗はドライバーのスイッチを叩いて構えを取っていた。

 

3―――――――

2―――――――

1―――――――

 

「変身!!」

 

弦太朗はその言葉と共にドライバーのレバーを力強く押し込む。

そして、周囲の雨諸共自身を覆っていたエナジーを振り払うと、そこには先ほどまでのダメージなど無かったかのような様子のフォーゼが力強く立っているのだった。





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悪・戯・煌・星-9 立ち塞がるStrong Enemy

遅くなりましたが、投稿じゃい

これは・・・ラスボスの風格ですねぇ・・・!!


 

変身を完了したフォーゼはいつも通りの声を挙げようとポーズを取ろうとしたその瞬間、フォーゼ目掛けてジェミニは武器であるカードを投げつけるが、彼はそれに構う様な素振りすら見せなかった。

 

 

「隙だらけだよ!!」

 

 

 

「如月!!」

 

「アブナイ!!」

 

「マジで・・・?」

 

 

 

 

「弦太朗くんなら大丈夫だよ・・・!!」

 

周囲からは彼へ無遭って叫ぶ声が聞こえるが、その声も虚しくフォーゼは爆炎に包まれてしまい彼女達は声を挙げてしまう。

 

しかし、りみだけは彼なら大丈夫と確信しており、その予想通りにフォーゼはスイッチを起動しながら爆炎の中から飛び出してくる。

 

 

――コズミックON――――――――

 

「みんなの絆で宇宙を掴む!!」

 

フォーゼはコズミックへと変身して、そのまま生成したソードで斬りかかるが、ジェミニはそれを容易く回避されるが、それでもかまわずフォーゼはソードで斬りかかり続けていた。

 

「ゲンちゃん凄い!!あんな怪我しててもこんなに動けるんだね!!」

 

「ダチの前でかっこ悪いとこ見せるわけにはいかねぇからな!!」

 

 

「じゃあ、こんなのはどうか・・・いったぁ!!」

 

攻めてかかるフォーゼを見てジェミニはダスタードを出そうと、フォーゼから距離を取ろうとした後ろを見ることなくそのまま飛ぶがその先でジェミニは何かにぶつかる感覚を覚えるとジェミニはゆっくりと後ろを振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

「たしかこうだっけか・・・?つ~かまえたっ・・・!!」

 

「きゃあ!!」

 

ジェミニが飛んだ先でぶつかったのはいたのは巴。

巴は先ほどの言われた言葉をそっくりそのまま返すとジェミニの胸倉をつかんでバランスを崩していた。

 

「・・・2人とも!!行くぞ!!」

 

「はいはい・・・」

 

「行きます!!」

 

 

 

 

 

「「「せーの!!」」」

 

「うわぁ!?」

 

バランスが崩れたジェミニに向かって巴達は3人で体当りを見舞う。

流石のジェミニも雨で濡れた地面と3人の同時の体当りの勢いに負けて後ずさると、そこにはソードを構えたフォーゼが待ち構えていた。

 

 

「よっしゃ!!」

 

「・・・・・・いったぁあああい!!」

 

フォーゼの攻撃が直撃したジェミニは痛がるような素振りを見せるが、フォーゼは一瞬だけ動きが止まるが、先ほどの戦闘を思い出して再びソードで切りつけていく。

 

 

 

 

 

 

「痛いよぉ!!助けてりみりん・・・!!」

 

「りみ!!」

 

「えっと・・・」

 

 

 

 

「りみりん・・・!!私達・・・友達でしょ・・・!!」

 

「っ・・・!!」

 

ジェミニはあろうことかりみに向かって助けを求め始める。

流石のりみも香澄と全く同じ声で助けを求められたのとフォーゼの言葉に彼女は頭を抱えるが、その後にジェミニが放った言葉が彼女に琴線に触れてしまった。

 

「香澄ちゃんが傷つけられるのはつらい・・・」

 

「りみりん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「せやけど、香澄ちゃんはみんなを傷つけるようなことせえへん・・・!!うちらはほんまの香澄ちゃんと一緒にライブがしたいさかい・・・。うちは香澄ちゃんのせいにして悪いことするあんたが許されへんよ・・・!!」 

 

「うそっ・・・?なんで・・・!?」

 

「くらえ・・・っ!!」

 

「きゃあ!!」

 

ジェミニが持つ香澄の記憶ではりみは助けを求められた時にはいつも助けてくれていたが返ってきたのはハッキリとした拒絶の言葉。

その言葉にジェミニは戸惑いを隠せずに狼狽えているとそこにすかさずフォーゼが再び切り込んでくる。

 

「私は本物になるの・・・!!あっちが偽物になるんだよ・・・!!」

 

「ふざけたこと言わんといて!!」

 

 

 

 

「私はそんなりみりんは知らない!!・・・このりみりんは偽物だね!!だったら・・・消えちゃえ!!」

 

「リミさん!!」

 

ジェミニは子供が癇癪を起こしたかのような態度を見せたと思えば、途端に攻撃の目標をり

みへと切り替えてカードを投げつけるが、すかさず彼女の元へイヴが駆け出すとその腕を掴んで走り出すと、カードは虚しく宙を切っていく。

 

「なんで!!私が香澄なの!!私が・・・」

 

 

 

「うるせぇんだよ!!」

 

「巴ちゃん・・・!!」

 

「アタシが知ってる香澄はな!!お前みたいに自分勝手なことしねぇんだよ!!」

 

「まぁ・・・こころと一緒になって訳わかんないこともするけど・・・。悪気があってやってる訳じゃないからね・・・」

 

「そうです!!カスミさんはあなたと違っていい人です!!」

 

「煩い!!煩い!!うるさーい!!」

 

周囲の言葉にジェミニは半狂乱になり、超新星で分身を作ると即座にフォーゼに突っ込ませるが、その分身はフォーゼによって両断されて爆発を起こすが、フォーゼはその爆発をソードで振り払うとジェミニを睨みつけて叫んでいた。

 

「だから、これで決めるぜ!!ジェミニ!!」

 

 

 

 

「やだ!!ヤダ!!消えたくない!!」

 

「今更、ニンジャ共に構うかよ!!」

 

終わりを悟ったジェミニはそのままダスタードを出して壁にしようとするが、ダスタードの壁は巴達によって穴が開いた。

 

 

 

 

 

「リミさんのことはお任せあれ!!」

 

「あぁ!!若宮さんも私も怪我してるんだから・・・無茶しない!!」

 

 

 

「こいつらは任せろ!!如月、行け!!」

 

「弦太朗くん!!」

 

 

「おう!!抜いて・・・挿す!!」

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー超銀河 ・・・!!」

 

彼女達の言葉に答えるようにフォーゼはドライバーのスイッチをソードに装填すると、ソードからの音声が響くとそのままフォーゼは巴達が開けた穴を通ってジェミニへ肉薄してソードを振りかぶったその時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「きゃああああ!!」」」

 

「「「うわぁあああ!!」」」

 

ソードがジェミニに当たる直前に、ジェミニも巻き込んだ爆発が起こり、その場にいた彼らは叫び声を上げながら爆風によって吹き飛ばされると、フォーゼはジェミニよりもその場にいたりみ達に無事を確認し始めていた。

 

 

「みんな!?無事か!?」

 

「うん・・・!!」

 

「なんとか生きてますよ・・・」

 

「ってぇ・・・なんの爆発だ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「良かったです・・・みなさん!!あれを見てください!!」

 

イヴが何かを見つけると、全員がその指差す方へ視線を向けると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの偽物?と一緒にいるの何・・・?」

 

「見たことない奴だな・・・」

 

彼女達の視線の先にいたのはジェミニと彼女達が見たことないゾディアーツ。

しかし、りみはその姿からその正体の予想がついてしまい、フォーゼへと視線を向けていた。

 

「弦太朗くん・・・あの腕についてる奴・・・あれってもしかして・・・」

 

「いて座・・・!!」

 

 

 

 

ジェミニと一緒に立っていた天校で最後に倒したゾディアーツの王であったサジタリウス。

思わぬ敵の登場にフォーゼは身構えるが、サジタリウスはそのままジェミニへと視線を向けていた。

 

 

「何やってんだい。帰るよ」

 

「はーい。オ・・・」

 

「やめな・・・!!」

 

 

 

「この野郎!!待ちやがれ・・・!!」

 

サジタリウスはジェミニが何か言おうとしたのを遮ると地面へ向けて矢を放ち、爆発によってフォーゼ達から視界を奪う。

 

しかし、フォーゼは立ち上がってそのまま2体がいた方向へと走り出すが、走り出したその先には誰も姿も無かった。

 

 

 

「いて座までいるのか・・・」

 

「弦太朗くん・・・」

 

「心配すんなって!!でも、少し休みてぇな・・・」

 

「蔵に戻ろっか・・・。みんなも・・・」

 

 

「あぁ・・・うん。話も聞きたいし・・・とりあえずまりなさん達も呼んだ方が・・・」

 

「私がマリナさん達を呼んできます!!」

 

「そうだな・・・。つぐに押し付けたスイッチも返してもらわないとな」

 

新たな敵の出現に驚きを隠せない彼女達だったが、とりあえず今の戦いが終わったと感じると疲れた表情を浮かべるのだった。

 

 

 

 


 

フォーゼ達から逃げてきたゾディアーツ達。

サジタリウスはそのままジェミニに視線を向けると、ジェミニはそのままスイッチを切って香澄の姿に戻ったことに呆れた様子を見せていた。

 

 

「今のあんたに消えられたら困るんだよ」

 

「やっぱりオ―――」

 

「やめな!!バカタレ!!・・・それとあんたに預けてたもん返しな」

 

「・・・はーい」

 

ジェミニは何かを言おうとするがサジタリウスによって遮れると、言われるがままジェミニは自身のではないスイッチをサジタリウスに渡すとそれを受け取ったサジタリウスはジェミニに指示を出す。

 

 

「明日までに、もう1人のあんたをなんとかしな・・・その後にあんたにはやってもらうことがあるからね」

 

「はーい。それじゃーねー」

 

指示を聞いたジェミニは香澄の姿でそのまま姿を消す。

それを見送ったサジタリウスは自身のスイッチを押して人間の姿に戻っていくと、杖と突きながら街の雑踏に紛れていくのだった。

 

 

 





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悪・戯・煌・星-10 フリーティング

投稿です。
遅くなってしまいました。
理由はゲームに浮気してたからですが、私は謝らない。


 

サジタリウスの介入によってジェミニが撤退してその場に残された弦太朗達はCiRCLEにいた明日香も引き連れて有咲の蔵へと向かっていく中で、今起こっている出来事をりみが簡単に説明していた。

 

「―――ってことになってて・・・」

 

「それで・・・お姉ちゃんが2人・・・」

 

「戸山さんが2人・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「すごい喧しそう・・・」」

 

「2人とも!?」

 

話を聞いて頭を抱える明日香と美咲に思わずイヴがツッコむ。

そんな姿を実際に2人の香澄を見ていた面々は苦笑いを浮かべていた。

 

「アタシも見た時は驚いたしな!!それに新しいのもでたし・・・」

 

「よりによってあいつが・・・ってて・・・」

 

「弦太朗くん・・・大丈夫・・・?」

 

「とりあえず、有咲達にも何て言えばいいか考えねぇとな・・・」

 

「弦太朗くんが考えても・・・」

 

 

 

 

「おいおい・・・って、有咲の家の前に・・・誰だ?」

 

「反対側から走って来てるな・・・」

 

りみが手厳しい言葉に弦太朗がボヤきながら歩くと、彼らの視界には有咲の家の蔵が映るが、彼らが向かう反対側から誰かが蔵へ向かって走ってくるのを見つけるとその場に止まってその人物達を観察し始める。

 

「あのサイズは・・・」

 

「あこ!?それに・・・」

 

「透子ちゃんに瑠唯ちゃん・・・それにパレオちゃんまで・・・?」

 

 

 

「あっ!!おねーちゃん!!それに、あすかもいる!!」

 

「皆さん!!どうもっす!!」

 

「皆さん!?大丈夫でしたか?」

 

「3人とも少しは落ち着いたらどうかしら・・・?」

 

 

 

 

「でも、なんだ?その荷物・・・?」

 

彼らの向かいからやってきたのは蔵にいた年下組。

しかも、その手には袋に入った大量の食糧が詰まっていたのを見て思わず、声が漏れてしまった弦太朗に、あこはニコニコと笑みを向けていた。

 

「えっとね!!パーティーだって!!」

 

 

 

 

「「はぁ?」」

 

「パーティーですか・・・?」

 

「宇田川さん。その表現はちょっとズレていると思うのだけれど?」

 

「ルイ!!まぁ似たようなもんでしょ!!細かいことは気にすんなって!!」

 

 

 

 

 

「えっと・・・?」

 

「どういう事?まるで意味が分からないんだけど・・・」

 

あこの言葉に事情が呑み込めない弦太朗達は首を傾げるが、他の面々がそれを補足するように状況を話し始めていた。

 

「えっと、私達がCiRCLEでの話を聞いた少し後に有咲さんのおばあ様が蔵までいらっしゃったんですが、そしたら御婆様が”孫が友達を沢山連れてきた”と思ってしまったようで、そしたらみんなで食事をと提案されたんですよ」

 

「それでね!!リサ姉がおばーちゃんと話したら一緒に料理するって事になったんだよ!!何て言ってたっけ・・・?」

 

 

 

 

「確か・・・「病は飯から。食べると言う字は人が良くなると書く」・・・だったかしら?でも、今回は病ではないのだけれど・・・」

 

「それでで2人で一緒になってすっごい勢いでご飯作り始めたのはいいんすけど・・・」

 

「・・・そしたら食材が足りないとのことでしたので、一番年下のパレオが買い出しを・・・と思ったのですが、そしたら皆さんが手伝ってくださったんです!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そうだったんですね!!」

 

「みんなで飯か!!」

 

 

 

「「「「どうしてそうなった・・・?」」」」

 

 

「とりあえず、早く荷物を渡したほうがいいんじゃないかしら?早く行きましょう」

 

「そうっすよ!!とりあえず、難しい話はご飯食べた後ってことで!!」

 

彼女達の説明を聞いて納得したのはイヴと弦太朗のみで、他の面々は状況が呑み込めずに頭を抱えだすが、そんなことを気にもかけずに瑠唯と透子が全員を急かして市ヶ谷家へと向かっていくのだった。

 

 


 

 

普段以上に豪勢すぎる夕食をみんなで食べた後に全員で蔵の地下に戻って如月達が見た話を聞くと私の横にいた羽沢さんが呟いていた。

 

「如月くんの時の敵の親玉が香澄ちゃんの偽物を助けた・・・」

 

「その人が・・・あの時、私に・・・」

 

 

羽沢さんに釣られるように紗夜先輩も声を漏らし始めるが、私も今の話を聞いて思ったことを口にしていた。

 

 

 

「紗夜先輩の方は正直分かんないですけど・・・。香澄の偽物を助けたいて座の奴が最近の事件の首謀者かその人物と距離が近い人間だろ・・・」

 

「「「・・・」」」

 

私の言葉に誰も返事を返さない。

この沈黙は私が的外れなことを言ってるのか、正しいことを言ってて反論がないだけなのか正直不安だったが、その沈黙は如月がすぐにぶち壊してくれた。

 

 

「確か・・・ジェミニのやつがいて座のことをなんか言ってたよな・・・?」

 

「そう言えば・・・」

 

「あぁ!!そういえば言ってたな!!」

 

ここで如月達から新しい話が出てくると、全員が視線を向けて息を呑む。

 

 

「”お”って言ってたよな?」

 

 

「「「「お・・・?」」」」」

 

そんな中で如月の奴は意味不明なことを言い出すと、私達はその言葉をそのまま返していた。

 

 

 

 

 

「うん。確かに”お”って言ってたよね・・・でも、どういう意味だろ?何かの暗号みたいなのかな・・・?」

 

「アタシにはさっぱりだ・・・」

 

「確かに言ってたような・・・気がするけど・・・あたしも分かんない・・・」

 

「もしかして・・・人の名前でしょうか・・・?」

 

「いやいや”お”から始まる名前なんて・・・美咲くらいだろ?」

 

「流石にあたしとあれを呼び間違えないでしょ・・・?」

 

「おたえ・・・?」

 

「弦太朗くん・・・それはないよ・・・」

 

 

如月だけなら聞き間違いって線もあったがりみや巴さん達も同じことを聞いてたみたいでそれが私達をかえって混乱させていく。

 

「正直、訳が分からん・・・」

 

「あ~!!訳わかんないこと言うのは本物も偽物も一緒か~・・・」

 

「ちょっと有咲?沙綾まで・・・」

 

 

 

 

 

 

香澄は私達の言葉を聞いて落ち込むが私はそれを流していると、日菜さんがつまらなそうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

「うーん。正直、今考えても犯人の正体なんて分からないんじゃないかな~」

 

「日菜の言う通りだね。流石にヒントが一文字だけではどうしようもないさ」

 

「そうだよ!!それよりもかすみのことだよ!!偽物と区別がつかないんだよ!!」

 

「私も、最初見た時お姉ちゃんだと思いましたからね・・・。この後どうするんですか・・・?」

 

そして、話が事件の犯人から香澄のことへと変わっていくが、みんなはともかく妹の明日香ちゃんだって間違えるほど似ている偽物のことに頭を悩ませていたが―――

 

 

「偽物については大丈夫だろ」

 

 

 

「有咲ちゃん?」

 

「お前!?何言ってんだ!?」

 

「ありさ!!かすみが消えちゃうんだよ!?」

 

 

 

「有咲、どういうこと・・・?」

 

私の言葉にみんなが驚いたような言葉を挙げるが、その中で私の言葉に意味が分かっていないおたえが疑問を口にしてくれると、私はその疑問に答えた。

 

 

 

「如月の学校の時は本物が分かんなかった上に、偽物から奪ったスイッチ使っちまって状況がめちゃくちゃになったからかなりヤバかったけどさ」

 

 

「あっ!!有咲ちゃん!!」

 

「あ~・・・そっか!!」

 

「つまり・・・そういうことさ・・・」

 

 

 

「つぐ?なんかわかったのか?」

 

「ヒナも薫も分かったの?」

 

 

ここまで言うと察しのいい羽沢さんや日菜さんは私の言葉が理解できたような態度を示していた。

ぶっちゃけ、薫さんはいつも通り過ぎて分かってるのかどうかさっぱり分からないけど・・・

 

そう思ってたら私の考えを日菜さん達が話してくれていた。

 

 

 

 

「今回についてはゲンちゃんの学校の時とは違って、本物が分かってるんだよ!!」

 

「だから、有咲ちゃんはこの香澄ちゃんが連れ去られたりしない限りは偽物と本物が分かるってことだよね?」

 

 

 

 

 

「2人の言う通りですね・・・。まぁ、偽物を見つけて倒さなきゃ香澄が消えるかもしれない問題は解決できないですけどね・・・」

 

「ですが、それでは問題解決を先延ばしにしてるだけにも聞こえますが?」

 

「ルイ。それでも本物が分かるだけでもまだマシっしょ?」

 

「・・・」

 

瑠唯ちゃんは今の話を問題解決の先延ばしだと言う正論をぶち込んできたが、それを透子ちゃんに反論されると完全に沈黙した。

 

 

 

「って事だから香澄。お前は風呂だろうとトイレだろうと絶対に1人きりになるなよ?」

 

「うん・・・!!」

 

「ポピパは全員ここに泊りな?それじゃ、とりあえずは今日はもう解散して休むってことで・・・」

 

若干名はしぶしぶといった様子だが私達の言葉をみんなは理解してくれた。

それを見た私はこの話を切り上げると、ポピパ以外の面々を家に帰らせるのだった。

 





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悪・戯・煌・星-11 寄せては返すW/友の心は青臭い

遅くなってすまない・・・
すまない・・・

筆が進まないないってことで投稿です(決してゲームに逃げてるって事だけではないはず・・・


 

「ねみぃ・・・zzz・・・」

 

「おーい!!って如月くんが寝てる・・・。写真撮っちゃお!!」

 

蔵での出来事があった翌日、弦太朗は学校で疲れから来る睡魔と戦いを繰り広げて―――惜敗してしまい、その寝顔を隣のクラスの彩に激写されてしまう。

 

 

 

 

しかし、そんな弦太朗に風紀委員の紗夜は目を見開いて彼を威嚇していた。

 

「如月さん・・・!!冬休み前の短縮授業の全てを寝て過ごすなんて・・・!!」

 

 

 

 

 

「紗夜ちゃん。気持ちは分からなくはないけれど、流石に休ませてあげましょう」

 

「その如月くんは昨日もだったんだから・・・」

 

「白鷺さんも松原さんも前にも言いましたが、あなたは如月さんに甘いんじゃないですか?」

 

そんな不満そうな紗夜を千聖と花音が宥めると言う最近ではお決まりの流れが繰り広げられる。

ここでいつもなら紗夜の肩を持ちつつ、そのまま空気に徹しようとする燐子だが、そんな彼女が紗夜に反旗を翻した。

 

 

 

 

「氷川さん・・・。その・・・今月ですが、如月さんが休んでる日の方が少ないですから・・・」

 

「白金さん・・・!?」

 

 

「そうだよ。ここんところいっつも事件が起こってるし・・・」

 

「確かに彩ちゃんの言う通りね。今月なんて戦ってないって聞く日の方が少ないわよ」

 

「それに、戦ってない時も色々としてたみたいだし・・・」

 

燐子の言葉に続いて彩達までもが紗夜を言いくるめようとし始めると、早々に彼女は折れた。

 

 

「確かにそうですね・・・。怪我してるのに無茶してるものね・・・」

 

「それに、勉強だったら紗夜ちゃんと燐子ちゃんが教えてあげればいいじゃない」

 

「えっと・・・その・・・出来るところだったら・・・」

 

「白金さん!!生半可な気持ちで彼に勉強を教えるなんて言わないでください!!」

 

「んぁ・・・。何騒いでんだ・・・?」

 

「・・・全く」

 

 

「そう言えば、如月くん・・・香澄ちゃん達のところに行かなくてもいいの・・・?」

 

「・・・やっべ!!」

 

彼女達の騒ぐ声に話のネタにされていた弦太朗も目を覚ます。

気の抜けた弦太朗の様子を見て紗夜はついに怒る気力すら無くなって呆れた表情を浮かべるが、そんな彼は花音の言葉を聞くと荷物を纏め始めていた。

 

「サンキュー花音!!」

 

「ううん。私もこころちゃん達のところに行くから一緒に行こっ?」

 

「おう」

 

弦太朗は花音と共に教室を後にしようとしたそのタイミングで、この教室の扉が勢いよく開かれた。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗!!大変よ!!」

 

「うわぁ~!!ゲンちゃん先輩~!!」

 

 

「先輩・・・!!」

 

 

 

「ふぇ!?こころちゃん!?はぐみちゃん!?」

 

「おたえまでそんなに慌ててどうした!?」

 

 

「他の方もいるんですから静かに!!」

 

「紗夜ちゃん・・・でも、花音が言うにはいつもとは様子が違うみたいよ・・・?」

 

 

 

「弦太朗!!大変!!」

 

「沙綾落ち着けって!!」

 

「市ヶ谷さん達まで・・・」

 

教室に勢いよく飛び込んできたのはこころ達2年生。

余りの騒がしさに紗夜から小言が飛び出すが、目の前の彼女達の様子は普段の騒がしさとは違うものを感じて嫌な物を感じると、彼女達に遅れて有咲達までが慌てた様子で教室に駆け込んできた。

 

「何があったんだよ!!」

 

 

 

「香澄ちゃんが偽物に攫われちゃったんだよ!!」

 

「「「「!?」」」」

 

 

「だぁああああああ!!一旦落ち着けぇええええええ!!」

 

「有咲ちゃんがまずは落ち着きなさいよ!!」

 

りみからの言葉に教室の空気が凍ると、途端に皆が慌てだすと有咲が声を張り上げて落ち着かせようとするが、その有咲も千聖に大声でツッコまれるとすぐに我に返った。

 

「・・・そうだった!!ありがとうございます。白鷺先輩」

 

「いいわよ別に・・・。でも、聞いた話だと昨日から泊まりでずっと一緒にいたのよね?」

 

 

 

「そうですね。昨日ポピパ全員で本物の香澄と一緒にいました」

 

「お風呂とかトイレにまで着いて行こうとしたもんね・・・」

 

「おたえ!!今はそこはどうでもいいんだよ!!」

 

我に返った有咲は千聖に今までの事を聞かれると素直に答え始める。

若干、たえの横やりが入るが有咲はそれを黙らせると再び話を戻していく。

 

「そんで放課後になったタイミングで奥沢さんや若宮さん達が来た時に香澄がトイレに行くって言いだしたんでみんなでトイレまで行って外から香澄を待ってたんですけど・・・」

 

 

「そしたらね!!かーくんの声が聞こえてきたからはぐみ達がおトイレに入ったの!!」

 

「入った時には香澄がピエロみたいな人に捕まってたのよ!!」

 

「・・・それを見て奥沢さん達が飛び出したんですけど、爆発で目が眩んだ隙に攫われた・・・って感じですね。今は奥沢さん達以外に弦巻さんの家の人達と蘭ちゃん達が香澄の事を探してくれてます」

 

 

 

「だったら、俺も香澄を・・・!!」

 

「弦太朗くん待って!!休んでなきゃだめだよ!!」

 

有咲の説明中にこころとはぐみは状況を話すと、彼女は説明を切り上げて、今の状況を話すとそれを聞いた弦太朗が教室を飛び出そうとするがりみがそれを静止していた。

 

「りみ?何でだよ」

 

「如月、昨日戦いの後にぶっ倒れてりみとひなこ先輩達に助けられたんだろ?」

 

「大丈夫だって!!」

 

「大丈夫じゃねぇ!!偽物ぶっ倒せるのはお前しかいねぇんだ!!探すのはみんなに任せて出来るだけ休んでろ!!」

 

 

 

「弦太朗くん。有咲ちゃんの言う通りだよ?」

 

「りみ・・・」

 

弦太朗の言葉を有咲は切って捨てると、一気に気まずい空気になるがここでりみが弦太朗に声を掛けるとその言葉に彼は驚いたような表情を浮かべていた。

 

 

 

「弦太朗くん。こっちで最初に会った時に「私も手伝う」って言ったよね?」

 

「確かにそう言ってたけどよ・・・でもよ・・・」

 

「それに有咲ちゃんにも「互いに支え合って助け合う、それがダチってもんだ」って言ってたよね?私は弦太朗くんと友達だと思ってるから・・・助けようとしてるけど、ダメなのかな?」

 

「そうだけどよ・・・でも・・・」

 

りみは真剣な眼差しが弦太朗に向けられると、弦太朗が反論する言葉が全く浮かんでこずに困ったような様子を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗。諦めてりみちゃんの言う通りにしなさいよ」

 

「そうですね・・・。それに友希那さんに「この世に完璧な人間なんて1人もいない。互いに支え合って生きていくのが人生というゲームだ」って言ったって聞きましたよ・・・?」

 

「人生がゲーム・・・と言うのは頂けませんが、互いに支え合うという点は同意できますね・・・」

 

「えぇっと・・・その・・・そうだよね!!」

 

「彩ちゃん・・・。でも、友達のために何かしたいって言うのは私も分かるかな・・・。如月くんも薫さんが攫われた時に一緒に助けてくれたでしょ?」

 

 

 

「お前ら・・・」

 

「・・・ってことだ。如月、お前しか偽物を倒して香澄を助けてくれるってダチの私達は信じてんだ!!だったらお前もダチの私達が偽物を見つけるのを信じろよ!!」

 

ここで3年の面々がこぞってりみの側につくと完全に弦太朗は言葉が出なくなっていた。

 

彼女達が言っていたことの大半は以前に自分が言ってきた物がこのタイミングになって自身に返ってくる。

それに畳み掛けるように有咲からトドメの一撃ともとれる言葉に彼は完全にノックアウトされてしまっていた。

 

 

「・・・分かった!!ジェミニ探すのは任せた!!」

 

「・・・任せとけ!!みんな!!」

 

弦太朗がりみの言葉に従うと、有咲はそのまま2年生の方へと視線を送ると皆は有咲に頷いて答えると、ここで3年達も声を挙げる。

 

「・・・ここまで言ったんですから。私も白金さんも手伝いますよ」

 

「はい・・・!!力になれるか分かりませんが・・・」

 

「千聖ちゃん。日頃のレッスンの成果を出す時だよ!!」

 

「そんなレッスンはした記憶がないのだけれど・・・」

 

「私も・・・頑張るよ!!」

 

 

 

「それじゃ、とりあえず蘭ちゃん達が探してる場所を聞いてから、みんなに割り振るから・・・行ってこい!!如月はどっかで休んでろ!!」

 

「じゃあ、つぐの店にでも行くか・・・」

 

有咲の指示に従って、皆がそれぞれ動き始める。

そんな中でりみは笑みを浮かべながら有咲の事を見つめていた。

 

 

 

 

「りみ?なんだよ?」

 

「ふふっ・・・。有咲ちゃんが弦太朗くんの事をハッキリと友達って言ったのが・・・ね?」

 

「なっ!?うっせー!!とっとと行ってこい!!」

 

そんな有咲の言葉を受けてりみも他のみんなに少しだけ遅れて教室から出て行くのだった。

 





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悪・戯・煌・星-12 友のために走れ

短いですが・・・投稿です。
やっぱりメイン張れないとこの人はネタ枠なんだな・・・


 

弦太朗は有咲に言われた通り、少しの休憩を取るために羽沢珈琲店に足を運ぶとそのまま店の扉を開けて中へと入っていく。

 

「あっ!!如月くん!!いらっしゃい!!有咲ちゃんから話は聞いてるよ!!」

 

「悪いな・・・」

 

「ふふっ気にしないで」

 

店に入って早々につぐみに迎えられた弦太朗はカウンターに座り、珈琲を待ちながら店の中を眺めるとその一角に視線を向けていた。

 

「あれは・・・」

 

 

 

 

 

『麻弥!!羽丘の周り見てみたけどいなかったよ!!あこも校内をもう1回探してもらってるけど多分いないと思う」

 

『麻弥ちゃん!!モールを探したけどいないよ~。あっ!!千聖ちゃん達が来たからもう1回探してくるね!!』

 

『麻弥、まりなさんにも聞いてみたがCiRCLEにもいないみたいだね・・・。こころの家の人達が言うにはそこまで遠くまでは言ってないみたいだが・・・』

 

『麻弥先輩!!商店街周辺もみてみたけどいないですね!!Galaxyももぬけの殻だったし・・・どこ行ったんだ・・・?』

 

『大和さん。月ノ森周辺も探してみましたが・・・やはり見つかりません』

 

 

 

 

 

 

「あぁ!!一辺に話されても分かんないですって~!!ジブンには荷が勝ちすぎてますよ~!!」

 

「みんな・・・」

 

店の一角では麻弥が様々な場所からの伝えられる電話の情報にてんやわんやと言った様子を見せていると弦太朗へとつぐみはカウンター越しに話しかけてくる。

 

「いつもなら有咲ちゃんがああやって色々してくれるんだけど、香澄ちゃんの事だから自分でも探しに行っちゃって・・・」

 

つぐみは申し訳なさそうな声を挙げると、その横からは何かが水面を叩く小気味よい音が響く中で麻弥が頭を抱えだすと彼女のスマホからは着信音が鳴り響くと、普段からは想像もつかないような態度でスマホと手に取っていた。

 

「誰っすか!?こんな時に!?」

 

『Hello!!マヤ』

 

「チュチュさん!!忙しいので切りますよ」

 

『ちょっと!!落ち着きなさいよ!!』

 

着信の相手はチュチュ。

しかし、麻弥はそんな彼女を軽くあしらおうとするが、電話の向こうではチュチュが声を張り上げてそれを静止させる。

そして再び何かが水面を叩く音が響くと電話の向こうのチュチュが話し始めていた。

 

 

 

『大体の状況はロックから聞いてるわ。スマホに捜索個所をまとめたMapを送ったから確認しなさい』

 

「・・・チュチュさん!!助かります!!」

 

『RASの方もレイヤがdub周辺を、マスキングが武道館周辺、ロックとパレオも駅周辺を探しまわってるけど・・・、こっちも今んところ空振りよ』

 

「そうですか・・・」

 

『それとこっちでデータを纏めるわ。そうすればそっちのリソースはある程度確保できると思うわ。だからマヤはカスミがいそうなところを考えなさい』

 

「はい!!」

 

チュチュの提案に飛びついた麻弥は未だに捜索範囲から漏れていそうな所を考え始めると、再び小気味のいい音が響くと、麻弥は不意に思ったことを口にしていた。

 

「でも、RASの皆さんが練習よりも如月さんの手伝いをするなんて予想外でした。」

 

『RASがポピパとRoseliaを打ち負かすのよ。それをカスミの偽物だかに潰されるなんてナンセンスよ。それに二つとも練習してないのにRASだけ練習して勝ってもその勝利に意味なんてないわ』

 

「チュチュさん・・・」

 

『それとゲンタロウにはロックとパレオの事で借りもあることだし・・・ってこんな無駄話はいいのよ!!とっとと見つけるわよ!!』

 

「そうっすね・・・!!皆さん!!今まで助けてもらった如月さんのために・・・もうひと頑張りですよ!!」

 

 

 

『『『『『はい!!』』』』』

 

「みんな・・・」

 

そう言って麻弥はスマホとにらめっこし始めると再び小気味よい音が店内に響くと、カウンターの向こうにいたつぐみがカップを弦太朗へと差し出していた。

 

 

「私も向こうを手伝いたいんだけど、お店もあるからこれくらいしか出来ないんだけど・・・如月くん。どうぞ」

 

「・・・っ!!これって・・・」

 

「えへへ・・・。如月くん書いてみたんだけど・・・ちょっと失敗しちゃった・・・」

 

つぐみが差し出したカップには、若干不格好だがフォーゼの顔がかかれたラテアート。

それを見た弦太朗は驚いた表情を浮かべていたが、つぐみは失敗したと言って恥ずかしそうな表情をしていた。

 

「なんか飲みにくいな・・・」

 

「えぇ~せっかく作ったのに!?」

 

「なんか悪いな・・・みんなにここまでしてもらって・・・」

 

「ううん!!何時も助けてもらってるんだから!!だから如月くんはゆっくり休んで!!」

 

 

 

「そうよ如月。あなたは今自分がやるべきことをしなさい」

 

その言葉と共に再び小気味いい音が店内に響くと、弦太朗はその音が聞こえる方向に視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「友希那・・・砂糖入れすぎだろ・・・」

 

「・・・普通よ」

 

「いや、普通は珈琲からゴリゴリなんて音しねぇだろ・・・」

 

そう言いながら友希那はカップの中の珈琲へと角砂糖を落とすと、先ほどから響いていた小気味いい音を店内に響かせて彼女はカップの中の珈琲をゴリゴリと音を立てながらスプーンでかき混ぜ始めると弦太朗は可哀そうなものを見るような視線を友希那に向けると、それに気が付いた彼女が声を挙げていた。

 

「なにかしら?」

 

「友希那、お前は何してんだ?」

 

「見ての通り珈琲を・・・」

 

「リサと一緒に行かなかったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサが大和さんに私を預けて・・・その・・・置いて行かれたのよ・・・」

 

「麻弥先輩が友希那先輩を連れて来た時、迷子の子供を連れてきたみたいに見えたよ・・・」

 

「・・・」

 

友希那の言葉につぐみはその時の光景を思い出すと、弦太朗同様の視線を友希那に向けると、彼はなんダメな気がしてその事に触れるのを辞めた。

 

「でも、見つかるか・・・」

 

「大丈夫だよ!!みんな頑張ってるし・・・!!」

 

「そうよ。みんなを信じてあなたはそれまで休んでなさい」

 

「・・・おう」

 

友希那の言葉に弦太朗は釈然としない表情を浮かべるが、彼はそのまま珈琲を口に運ぶ。

 

 

「美味い・・・」

 

「私が入れたんだよ?」

 

「サンキュー」

 

「えへへ」

 

 

 

「美味しいわね・・・」

 

「「・・・」」

 

そんな空気の中で彼はぼーっとして時間を過ごし、そして不意に麻弥の声が店内に響くと遂にその時はやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「戸山さんが見つかった!?市ヶ谷さん、本当ですか!!」

 

「きたか・・・!!」

 

香澄を見つけたという言葉に弦太朗は意識を覚醒させてその会話に耳を傾ける。

 

 

 

 

『香澄本人じゃないですけど・・・まりなさんがふたご座っぽいのを見たって!!』

 

「分かりました!!みんなで行きましょう!!場所は・・・」

 

有咲の言葉に麻弥の声のトーンが上がり、皆でそこに行こうとしたが、そんな彼女に有咲の言葉が突き刺さる。

 

 

 

『いや、私達と如月だけで行きます・・・』

 

「市ヶ谷さん!?」

 

『みんなで行っても動きにくいだけですし・・・。でも、私達と明日香ちゃんは結果を見届けないといけないと思って・・・』

 

 

 

 

「分かりました・・・戸山さんのことはお願いしますね」

 

有咲の言葉を聞き、麻弥は一瞬考えるが有咲の意志を尊重することを決めると笑みを浮かべて答えた。

 

『じゃあ、如月に伝えてください。場所は明日香ちゃんの時と一緒の場所だって』

 

「分かりました!!」

 

そう言うと有咲からの電話は切れるとそれと同時に弦太朗はカウンターから立ち上がっていた。

 

「行くのね?」

 

「おう・・・!!」

 

 

「如月さん!!後はお任せしますね!!」

 

「そんじゃ・・・行ってくるぜ!!」

 

 

「いってらっしゃい・・・!!」

 

カウンターを立った彼は彼女達の言葉を受けてからそのまま店を出てからバイクに跨ると、有咲が言っていた場所まで走っていくのだった。

 

 

 

 





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悪・戯・煌・星-13 想いと絆ときらきら星

投稿です
大変遅くなったことは反省しています・・・(後悔はしていない)
でも、もう少しでエンディングって考えると・・・うぅ・・・


 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

先日、明日香の事件が解決した丘への近くで弦太朗を待っていたがポピパ達。

しかし、ジェミニが現れてからもうすぐ丸1日というタイムリミットが迫っていることもあり、香澄を欠いた4人の間に流れる空気は重く、皆が口を噤んていた。

 

 

そのタイミングで彼女達の方へ向かって何かが迫ってくるのを感じて一同がそれが向かってくる方向へと視線を向けると――――

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・お姉ちゃん!!」

 

 

「明日香ちゃん・・・!?」

 

「って。ちょっと待て!!」

 

彼女達の方へと向かって来ていたのは弦太朗と一緒に連絡を受けていた明日香だったが、彼女は有咲達の事など目に入っていない様子で彼女達の目の前を通り過ぎて、丘へと続く森の中へと突撃してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・いっちゃった」

 

「って感心してる場合じゃねぇ!!追うぞ!!」

 

「有咲ちゃん・・・うん・・・!!」

 

明日香の余りの勢いに呆気に取られてしまっていた彼女達だったが、有咲が我に返るとすぐにみんなとその後を追いかけるとすぐに明日香の姿と―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねえちゃん・・・?」

 

「これ・・・沙綾、どうなってるの・・・?」

 

「分かる訳ないでしょ・・・」

 

「でも、どうして・・・」

 

「なんで偽物も一緒に捕まってんだよ!?」

 

彼女達の目に飛び込んできたのはダスタード達によって並んで捕らえられた2人(・・)の香澄の姿だった。

 

本物の香澄と入れ替わるために片方が捕まっているのだったらまだ理解は出来る。

しかし、彼女達の目の前では何故か2人とも捕まっているという光景が彼女達を悩ませていたが、有咲はすぐにたえへと視線を向けていた。

 

「おたえ、右と左・・・どっちだ・・・?」

 

「・・・?私が分かる訳ないよ?」

 

「お前さっき言い当ててただろう?」

 

「・・・勘?」

 

「勘かよ!?」

 

「ちょっと有咲、静かにしなって!!」

 

「ちょっと2人とも・・・・・・ってバレちゃいましたよ!?」

 

先ほど正体を見破ったたえならば分かると思った有咲だったが、たえから返ってきた言葉に有咲と沙綾が声を挙げてしまうとダスタード達に完全の捕捉されてしまった。

 

 

 

 

「「あっちゃん!!みんな!!」」

 

「マジでどっちか分かんねぇ!!どうする・・・!?」

 

「でも、香澄置いて逃げれないよ」

 

「おたえの気持ちも分かるけど・・・、って明日香!?」

 

「お姉ちゃん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「でも、香澄のとこまで行っちまったぞ!?」

 

 

 

 

 

 

「ダメ・・・やっぱり分からない・・・!!」

 

しかし、ダスタードに狙われたと分かった途端、明日香はそのままダスタードの向こう側にいる姉の元へと駆け出すと、容易く香澄の前までたどり着くが、それでもどちらが本物かまるで分らずにいた。

 

ダスタードは明日香の放った"分からない"という言葉に反応を示した途端、一斉にポピパの4人から明日香へと標的を変えて襲い掛かろうとしていた。

 

「明日香ちゃん!!」

 

「逃げて!!」

 

 

 

「・・・っ!?」

 

明日香は有咲達の声に気が付いて振り返るが、迫っていたダスタードに反応することが出来ずに固まってしまい、最悪の結果が脳裏に浮かんだその瞬間―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「バイクの音・・・?」

 

「先輩だ!!」

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおおおお!!」

 

バイクのエンジン音を響かせながら弦太朗は彼女達の横を通り抜けると、そのまま明日香に迫っていたダスタード達を纏めて吹き飛ばしていた。

 

「有咲、どっちが本物だ!?」

 

「分かんねぇからこうなってんだよ!!」

 

「だったら香澄は任せたぞ・・・!!」

 

そう言った途端弦太朗はバイクを降りてから有咲の答えを聞くと、迫ってくるダスタード達と生身で戦い始めるが、その一方では―――

 

 

 

 

「多分、一緒にギター弾けば分かるよ?」

 

「ギターなんてねぇだろ!!」

 

「でも・・・もう、1時間しかないよ・・・!!このままじゃ香澄は・・・!!」

 

「お姉ちゃん・・・!!どっちが・・・本物なの・・・!!」

 

本物の香澄を判断する物がない彼女達は完全にパニックになり始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香澄ちゃん・・・」

 

ただ1人、りみだけを除いて―――

 

「ちょっとりみりん!?なんでそんなに落ち着いて・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「”きらきらひかる おそらのほしよ~”」

 

「「「「!?」」」」

 

りみの様子がおかしいと思って沙綾が声を掛けた途端、りみはいきなり”きらきら星”を歌いだす。

その姿に彼女達は驚きの表情を浮かべ、歌声は弦太朗の耳にも届いていた。

 

「・・・ってこれってきらきら星・・・?有咲!!何でりみが歌ってんだ・・・?」

 

「知るかよ!!」

 

「そっか・・・」

 

「おたえ・・・?もしかしてりみが何を考えてるか分かっ・・・」

 

 

 

 

 

「「"まばたきしては~ みんなをみてる”」」

 

 

 

 

「っておたえも歌うのか!?マジで訳わかんねぇ!!」

 

りみが歌いだしたと思ったら、それに合わせてたえも歌いだす。

その光景に有咲は頭を抱えだすとそれを見た沙綾は有咲と明日香に声を掛ける。

 

「よく分かんないけど!!有咲・・・やるよ!!」

 

「ちょっと沙綾まで!?あぁ~もう!!分かったよ!!やればいいんだろ!?」

 

 

「「「「”きらきらひかる おそらのほしよ~”」」」」

 

「「「「「「”きらきらひかる おそらのほしよ”」」」」」

 

沙綾に言われるがまま弦太朗が戦っている方から聞こえてくる爆発音をバックに沙綾達も歌いだす。

そして、香澄もそれを聞いて歌いだすと、1小節遅れてもう1方の香澄も歌い始めていた。

 

「「「「「「”みんなのうたが とどくといいな~ きらきらひかる おそらのほしよ”」」」」」

 

 

そして少女達が歌い終わったのと同じタイミングで弦太朗もダスタードを生身で全て倒し終えると、2人の香澄が残されるが、弦太朗にはどちらが本物かなど分かる訳もなく、歌っていた彼女達に視線を向けると彼女達の顔は清々しい表情を浮かべていた。

 

「お前ら・・・」

 

 

 

 

「弦太朗くん!!分かったよ!!本物の香澄ちゃんが!!」

 

「先輩、私も分かったよ・・・」

 

「お姉ちゃん!!」

 

「うわぁ!?」

 

りみとたえが声を挙げるのと同時に明日香は後から歌い始めた方の香澄と共にそのまま有咲達の元へと駆け出していく。

 

「弦太朗!!」

 

「如月!!今、こっちにいるのが本物だ!!」

 

 

 

「何でわかんだよ!?」

 

「何でって言われると、上手く説明出来ねぇ!!けど・・・」

 

「しいて言えば・・・一緒に歌ったから・・・かな?」

 

「みんな・・・!!」

 

 

 

 

 

「なんでよ・・・!!私が本物だよ・・・!!」

 

「うっさい!!」

 

自信満々で一緒にいる香澄の方が本物と言い始める彼女達に弦太朗は理由を聞くと返ってきたのhじゃハッキリとしない答えに偽物と言われた方の香澄は声を挙げるがりみが大阪弁でその言葉を突っぱねていた。

 

 

「昨日の蔵で音合わせた時はミスが多すぎて判断できなかったけど、今はハッキリわかったよ」

 

「あなたが一緒に歌った時は全然キラキラしなかった・・・」

 

「感覚的過ぎてあれだけど・・・おたえの言う通りだな・・・」

 

「私も聞いてて何となくって感じですけど・・・こっちが本物のお姉ちゃんです!!」

 

「何回も騙されると思わんとって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ・・・。またバレちゃった~・・・」

 

そう言うと偽物と言われた香澄は薄気味悪い笑みを浮かべながら、自らがジェミニだと白状しながらゆっくりと立ち上がるが彼女自身はまだ余裕そうだった。

 

 

「お前がジェミニ・・・!!」

 

 

 

「ゲンちゃん!!あったり~!!でも、もうすぐそっちは消えちゃうんだよ?」

 

「うっせぇ!!如月がお前を倒せば本物が消えることはないだろ!!」

 

「倒せるの~?倒せなかったら香澄()ジェミニ()で強い方が残るんだよ~?どっちが強いかなんて・・・」

 

「んなもん知ったこっちゃねぇんだよ!!」

 

「有咲・・・?」

 

弦太朗とジェミニが向かい合うとジェミニが長々と話始めたとおもったが、それを有咲が怒りながら割って入ってくるとジェミニが有咲の名前を呟くと、沙綾も話に割り込み始める。

 

 

「確かに私もいたずらとか考える時もあるけど・・・。でも、それで人を傷つけていい理由にはならないでしょ?」

 

「香澄はあなたみたいに人を傷つけようなんてしないよ・・・?」

 

「確かに香澄ちゃんはおたえちゃんと一緒になって有咲ちゃんが困らせてるけど、それでも本気で嫌がるようなことはしないんだよ!!」

 

「それにさっきから本物本物って・・・てめぇが偽物で劣等感覚えてずっと言ってんだろうが!!」

 

「確かに、私もあなたみたいな黒い気持ちをもったことはある・・・でも、お姉ちゃんはそれでも受け止めてくれるんだよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさい!!うるさい!!うるさ~い!!」

 

彼女達の言葉を聞きたくないと言うように、ジェミニは首を横に振るとそのままスイッチを押してゾディアーツへと変身するが弦太朗がその前に立ち塞がっていた。

 

「誰の心にだって・・・そりゃ黒い部分はある。でもな・・・それをお互い乗り越え合うためにダチはいるんだ」

 

「ゲンちゃん・・・。それで私を止められると思って・・・っ!?」

 

しかし、弦太朗は連日の戦闘でダメージはずなのにも関わらず、何故かジェミニが最初に戦った時以上に力に満ち溢れているような姿に戸惑いを隠せずにいたが、弦太朗はそのままドライバーをつけてスイッチを叩き始めていた。

 

「止めてやるぜジェミニ・・・香澄達との・・・ダチの絆で!!」

 

 

3―――

2―――

1―――

 

「変身!!」

 

 

そして、弦太朗は香澄達(ダチ)に見守られながら、いつも以上に力強くドライバーのレバーを押し込むとその手を宙へと向けて伸ばしていた。

 





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悪・戯・煌・星-14 戦術を隠すのにも卓越した戦術がいる。

投稿です。
遅くなって・・・すまない・・・すまない・・・


 

「しゃ!!」

 

掛け声と共に宙に掲げた手を振り払ってフォーゼへと変身を完了すると、いつものように身体を縮めるてから今度は両腕を宙へと突き上げる。

 

「宇宙・・・・・・きたぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話では聞いてたけど・・・」

 

「マジで偽物が分身した!?」

 

フォーゼが声を挙げている中でジェミニは超新星で分身を作り出す姿に彼女達は驚きを隠せずにいたが、フォーゼは全く動じた様子を見せずに拳と突き出していた。

 

「仮面ライダーフォーゼ!!「「いっくよ~!!」」・・・纏めてタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

――――――ホイールON――――

――――――――シザースON――

 

「食らえっ!!」

 

「「きゃ!!」」

 

 

 

 

「・・・まだまだ行くぜ!!」

 

フォーゼの言葉の遮るようにジェミニが赤と青のカードを投げつけ始めていたが、それに構わずフォーゼは爆発の中を駆け抜け、すれ違いざまにシザースでジェミニを切りつけるとジェミニからは香澄と同じ声色の悲鳴を挙げる。

 

 

「ゲンちゃんっ・・・来ないで!!」

 

「何度も同じ攻撃が当たるかよ!!」

 

 

――――チェンソーON――――――

 

「おらぁ!!」

 

 

「きゃ!!」

 

 

香澄と同じ声をした悲鳴をフォーゼは気にしない様にして、ホイールの小回りの利く機動性を活かしながら何度もジェミニを切りつけていくが、その戦闘に外野は違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗・・・何であれ使わないんだろ?」

 

「沙綾、それって40番の奴か?」

 

「うん・・・。あれって一番強いって言ってたのになんでだろ・・・?って思って・・・」

 

「それに・・・右腕には何もつけてないですよ?」

 

「沙綾と明日香ちゃんの言う通り、何で使わねぇんだ・・・?」

 

「それに、偽物の方は別のにも変身できるってつぐみ達が言ってたのに何でやらないんだろ・・・?失くしちゃったのかな?」

 

「おたえちゃん、それは無いと思うけど・・・」

 

 

 

 

 

「弦太朗!!時間がないよ!!早く・・・!!」

 

フォーゼは自身の切り札ともいえるコズミックスイッチはおろか右腕用のスイッチを全く起動する様子がなく、ジェミニも最初の戦闘で紗夜達の前で見せた別のゾディアーツへと変身する能力を見せていない。

 

もっとも、彼女達は今のジェミニが他のスイッチを持っていないことなど知る由もないが、目の前の2人の行動が全力で戦闘を行っていない様に感じて沙綾が挙げたその声を聞いたジェミニが先に仕掛ける。

 

「こうなったら・・・こうだよ!!」

 

 

 

 

「うわっ!?」

 

「明日香ちゃん、大丈夫!?」

 

「土が飛んできただけですから・・・でも、何で?」

 

「あいつ!!地面を爆発させて如月の目を潰すつもりだ!!」

 

ジェミニは突如として地面にカードを投げつけ始めると周囲に土煙が舞う。

その行動の意図を有咲が叫ぶが、離れていた彼女達ですら土煙の中にいるフォーゼ達の姿を完全に見失ってしまい、彼女達は状況がまるで理解することが出来ずに飛んでくる土から目を守るためにその場で目を閉じることしか出来なかった。

 

 

 

「如月さん達がどうなってるのか見えない・・・!!」

 

「うえっ・・・口の中に土が入っちゃった・・・」

 

「おたえ!!そんなの気にしてる場合じゃねぇだろ!!」

 

「弦太朗くん・・・!!」

 

「ちょっと・・・どうなって・・・」

 

 

 

「うぉっ!?」

 

状況が分からず、沙綾が声を挙げたその時、フォーゼの声が聞こえたと思ったら―――

 

 

 

 

 

 

「「「「「「きゃあああああああ!!」」」」」」

 

先ほどまで周囲に舞い上がっていた土煙が一瞬で吹き飛ぶほどの爆発が起こる。

たまらず彼女達も悲鳴を挙げながらそれに耐える、すぐに爆発の風が収まったのを感じると彼女達はフォーゼの声がした方へと目を向けていた。

 

 

 

 

「なんで・・・!?あの爆発で・・・!!」

 

「やっぱりな!!そう来るって思ってたぜ!!」

 

彼女達の視線の先には驚いていた様子を見せているジェミニに対して、フォーゼが余裕そうな態度を見せていた。

 

先ほどと状況が変わっていない様にも思えたが、ハッキリと先ほどまでとは状況が違っていた。

 

「偽物の片方がいなくなってる・・・!!」

 

「さっきの爆発って・・・もしかして・・・!!」

 

「偽物の爆発だろ・・・!!」

 

「でも、何で先輩は無事なの・・・?」

 

 

 

「そうだよ!!何でゲンちゃんは何ともないの!!」

 

彼女たちは当然の疑問を口にするとジェミニも目の前のフォーゼの様子がまるで理解できずに声を挙げると、フォーゼは起動したままのホイールでジェミニに接近しようと構えながら話していた。

 

 

 

 

「前に戦った時は偽物を爆発させられたからな!!天校の時は流星から借りたスイッチで爆発を吸い込んだけど・・・」

 

「なっ!?でも今回はスイッチなんて借りてねぇだろ・・・!!」

 

フォーゼは天校でジェミニと戦闘を行った際に分身の自爆による攻撃メテオストームスイッチの力で切り抜けた。

しかし有咲の言う通り、今回はメテオストームのスイッチを借りてなどいない。

それでもフォーゼはジェミニの分身の自爆攻撃に対処して見せたその光景に、勝負を決めに行ったジェミニは焦りを覚え始めていた。

 

「だったら・・・これでどう!!」

 

 

 

「自分で出した黒い奴にカード投げ始めたけど・・・」

 

「それにさっきと違って青いし・・・すぐに爆発しないよ・・・?」

 

「時限式か・・・?」

 

 

 

「有咲~そうだよ~!!それじゃ~・・・いっけ~!!」

 

 

ジェミニはダスタードを召喚するとそれに青いカードを張り付け始める姿に有咲は考えていたことがそのまま口に出てしまったが、ジェミニはそれに答えると、ダスタード達をフォーゼに突っ込ませる。

 

分身体ほどではないがこれでもフォーゼにはダメージを与えられると思っていたがフォーゼはドライバーに手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

「そんなの爆発する前に投げ飛ばしちまえばいいだろ!!・・・こんな感じにな!!」

 

――マジックハンドON――――――――

 

 

 

フォーゼはマジックハンドを起動して爆破直前のダスタードを掴むとすぐに遠くへと投げ飛ばす。

そして、投げ飛ばされたダスタードはそのまま何もないところで盛大に爆発していくその姿にフォーゼが無事だった理由して声を挙げていた。

 

 

 

 

「まさか、さっきの私の分身もそうやって投げたの・・・!?」

 

「おう!!爆発する前に遠くに投げりゃいいだろ!!」

 

 

 

 

 

「だから、弦太朗は今までそのまま戦ってたんだ・・・」

 

「あいつ、戦いのときは頭使うよな・・・」

 

だから彼はその対処をするために今までステイツを変えることをせずにマジックハンドをいつでも起動できるベースステイツで今まで戦闘を耐え続けて、しびれを切らしたジェミニは分身の自爆と言う切り札を先に使用するのをひたすら待っていた。

 

そして、ジェミニは最初に切り札を切ってしのぎ切ったフォーゼは一転して攻勢を仕掛けるべくコズミックスイッチを取り出す。

 

「こっから一気に攻めるぜ!!」

 

「させないよ!!」

 

「あぶねっ!!」

 

 

――コズミックON――――――――

 

フォーゼがコズミックスイッチを取り出すのを見た途端ジェミニはカードを投げるが、フォーゼはそれを地面を転がるように躱しながらコズミックスイッチをドライバーにセットしてスイッチを起動していた

 

「みんなの絆で宇宙を掴む!!」

 

 

 

 

「きゃああ!!」

 

フォーゼは地面を転がりながらコズミックステイツへと変身すると、転がった状態からブーストモード状態のソードでそのままジェミニへと突進していくとジェミニは回避しきれず、吹き飛ばされて地面を転がっていく。

 

 

 

 

「如月!!もうそろそろ時間がやべぇ!!もう30分もねぇぞ!!」

 

「それに、昨日のいて座のきちゃうかも・・・!!」

 

 

 

 

「でも・・・まだだよ・・・!!もう少しで・・・私が本物になるんだよ!!」

 

「おう!!・・・いて座の野郎が来る前に決めてやる・・・!!」

 

ジェミニが現れてもう少しで24時間。

香澄のタイムリミットが迫り、フォーゼは焦りを覚えながら再びジェミニへと向かって突っ込んでいく。

 

 





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悪・戯・煌・星-15 星との約束

ポピパ篇・・・最終話投稿です。
忙しくて投稿遅れた+かなり難産でした・・・

まぁ、ここで1回区切って最終章で本編フィニッシュです・・・!!


 

「きゃぁ!!」

 

「ぐわっ!!」

 

 

時間が迫っていることを告げられたフォーゼは完全に防御を捨てて、カードの爆発による反撃を食らいながら大振りの攻撃でジェミニを攻め立てていく。

 

「弦太朗・・・!!」

 

「弦太朗くん!!」

 

「先輩・・・」

 

 

 

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「如月!!時間がねぇ!!一気に責めろ!!」

 

「・・・分かってるよ!!」

 

フォーゼの心配する声が挙がる。

しかし、その声には時間が迫っていることに対しての焦りが混ざり、その焦りがフォーゼにも伝わるとそれが攻撃にも表れていた。

 

 

――――チェンソーON――――――

――――――スパイクON――――

 

「まだまだ・・・っ!!」

 

「きゃ!!」

 

「どうだ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「お姉ちゃん・・・?」

 

フォーゼはソードに加えて足のモジュールも加えて攻め立てていく中で、香澄は自分と同じ声の悲鳴が挙がる度に表情が歪んでいくのを明日香は横で心配そうな視線を向ける。

しかし、目の前のフォーゼはそんな香澄の事を気にする様子もなく、目の前のジェミニへ攻撃を続けていく。

 

「これで・・・どうだ・・・!!」

 

「ぐぅ・・・!!」

 

 

 

 

 

「これなら・・・間に合うかも・・・!!」

 

「おたえの言う通りかも・・・!!」

 

「弦太朗くん・・・頑張って・・・!!」

 

フォーゼの捨て身の攻撃によって大ダメージを受けたジェミニが大きく吹き飛ばされる。

その姿に彼女達は香澄が助かるという希望が見えると彼女達の声色が明るくなっていくと、それを受けてフォーゼの攻撃も苛烈になっていく中でジェミニは彼女達の想定外の行動をとっていた。

 

「いくぜ・・・!!」

 

「・・・ゲンちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ!!お姉ちゃんの姿に・・・!!」

 

「不味いよ!!弦太朗くん、前にあれで攻撃止めてやられたって・・・!!」

 

「弦太朗・・・!!」

 

「先輩・・・!!」

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「アハッ・・・!!」

 

ジェミニが突如として香澄の姿に変える。

その行動に彼女達は困惑しながらフォーゼへと視線を送ると、そこには香澄の姿に攻撃を止めてしまってしまったフォーゼと、その隙をついて攻撃しようとしているジェミニの姿に最悪の考えが浮かんでいたが―――

 

 

 

 

 

「・・・らぁ!!」

 

「キャ!!」

 

 

 

「同じ手に引っかかるかよ!!」

 

「如月!!決めちまえ!!」

 

「おう!!ジェミニ!!これで決まりだ・・・!!」

 

ジェミニは攻撃を繰り出す前にフォーゼに蹴り飛ばされて、不意打ちは不発に終わっていた。

有咲もそんな姿を見てフォーゼを呼ぶとそれに彼はドライバーからコズミックスイッチをソードに装填しながら応えた。

 

―――リミットブレイク―――

 

スイッチが装填されたソードからの音声が響かせながらフォーゼはソードを構えてからジェミニへ向かって走り出す。

 

「ライダー・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやだ・・・消えたくない・・・」

 

ソードからの音声とフォーゼが駆け出すその姿を見て、ジェミニは香澄の記憶からこの後の結末が思い浮かび、身体を震わせながらその口から言葉が漏れるが、その声は誰の耳にも届かなかった。

 

ただ1人を除いて―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「おい!!ちょ!?香澄!?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「「「えっ!?」」」

 

ジェミニの声が聞こえた香澄は何を思ったのかフォーゼ達の元へと駆け出してしまう。

流石の有咲達も予想の斜め上の行動には反応が出来ず、香澄はそのままフォーゼの背中へと飛びついていた。

 

「ゲンちゃん!!待って!!」

 

「香澄!?」

 

「何やってんだ!!香澄~!!」

 

「私!!この子と話したい!!」

 

「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」

 

「・・・えっ?」

 

飛び出した香澄が放った言葉にフォーゼ達から思わず声が挙がり、ジェミニからすらも言葉が漏れていた。

 

 

「香澄!!自分が何言ってるのか分かってるの!?」

 

「沙綾ちゃんの言う通りだよ・・・!!香澄ちゃんが消えちゃうかもしれないんだよ・・・!!」

 

「でも!!まだ時間があるんでしょ?」

 

「後、20分くらいだよ・・・?」

 

「バカ!!おたえが言ってるその時間もおおよその時間だから、いつ時間になってもおかしくねぇんだよ!!」

 

「でも、有咲?さっきのあっちの言い方だとこのままいけば自分がいなくなるみたいなことを言ってなかった・・・?」

 

「おたえ、それはアイツが私達を油断させたり揺さぶろうとしてただけかもしんねぇだろ!?・・・如月!!香澄を引き剥がしてでも・・・ってなぁ!?おい香澄!?」

 

「うおっ!?何してんだ香澄!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、あっちも変身止めちゃったよ・・・?」

 

「如月の奴もあれだし・・・見守るしかねぇ・・・!!」

 

言い争いになる彼女達。

そして時間がないことも会って有咲はフォーゼにしがみ付いている香澄を引き剥がすように言うが、香澄はソードに装填されていたコズミックスイッチを抜き取ってジェミニへと歩み寄っていた。

 

流石のこの行動に皆が目を丸くしていたが、香澄はそのままジェミニに歩み寄るとジェミニもそれにあてられてしまったのか香澄の姿になって向かい合うのを彼女達は遠巻きから見守ることしかできなかった。

 

「えへへ・・・。なんか自分と一緒の顔に話すのも変な感じだな~・・・」

 

「・・・で・・・」

 

香澄はいつも通りの様子で話し始める姿にジェミニは理解が追い付かず、自身が思う様な声が出来ずにハッキリと声を出せずにいたが、それでも香澄はお構いなく話を続けていく。

 

「あれ?もしかして、私から生まれたってことは・・・私があなたのお母さんってことになるのかな・・・?」

 

「なんで・・・?」

 

「んっ・・・?」

 

「なんで笑ってるの・・・?自分が消えちゃうかもしれないのに・・・」

 

ジェミニは戸惑いながらも香澄に問いかけると、彼女は笑みを浮かべたままその質問に答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分と似た自分がいるってなんかワクワクしない?」

 

「ワクワク・・・?何を言って・・・同じ私なのに・・・」

 

「同じじゃないよ!!確かに見た目も中身も私と全く一緒なのかもしれないけど・・・!!今の私とあなたは別々の人だよ!!」

 

「・・・っ!!」

 

「沙綾・・・どうなってるの・・・?」

 

「おたえ・・・流石に分かる訳が~・・・」

 

「香澄ちゃん・・・」

 

「こうなったら変身して、無理やり引き剥がすか・・・」

 

「待て!!香澄が近くにいるんだから下手に偽物を刺激すんな・・・!!」

 

香澄の答えを聞いたジェミニは彼女の言葉が完全に理解できずに半ばパニック状態に陥っていた。

そんな中で彼らはジェミニを刺激しない様に見守ることしか出来ずにいたが、香澄は止まる様子すら見せていなかった。

 

 

 

 

 

「私ね!!もっと色んな事がしたい!!

有咲達やみんなと一緒の遊びに行ったり、ご飯食べたり、星を見たり・・・それから!!蘭ちゃんとかこころん達と一緒にライブしたり・・・!!勿論、あなたも一緒だよ!!」

 

「私・・・も・・・・・・?」

 

「・・・だってもう友達だもん!!」

 

「友達・・・?」

 

「うん!!あなたは何かやりたいことない事はないの・・・?」

 

「やりたいこと・・・」

 

完全に思考が破壊されていたジェミニは、香澄の問いに答えようと殆ど止まりかけた頭で時間をかけて考えるのを、香澄は黙って見守っているとしばらくの時間が経っていた。

 

「・・・・・・たい」

 

「うん・・・!!」

 

「なんて言ったの・・・?」

 

「おたえちゃん・・・静かに・・・」

 

長い時間をかけて考えたジェミニは何かを呟くがその声は近くにいた香澄以外には届いておらず、たえが口を開くがりみが即座に黙らせる。

そんな中でジェミニは改めて声を挙げて答えを言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またみんなと音楽がしたい・・・!!みんなとやったのはそれしかないから・・・!!」

 

「うん!!そうだよ!!みんなでやろう!!」

 

「でも・・・!!みんなに・・・」

 

「大丈夫だよ!!きっと謝れば許してくれるよ!!」

 

ジェミニの言葉に対して香澄はあまりにも楽観的な言葉を返していた。

香澄の記憶を持っているジェミニも確かに香澄の言葉には納得出来ていたが、彼女達にはどうしようもない問題が残っていた。

 

「それに・・・あと少しでどっちかが消えちゃうんだよ!!」

 

「・・・香澄!!もう10分切ってる・・・!!」

 

「先輩・・・!!香澄・・・!!」

 

「弦太朗くん・・・!!」

 

「如月・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・分かった」

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

「・・・待って!!」

 

「香澄・・・お前・・・!!」

 

「「えっ!?」」

 

「お姉ちゃん!?なにやってんの!?」

 

「何やってんだ!!香澄ぃ!!」

 

「香澄が偽物からスイッチを奪った・・・!!」

 

彼女達の言葉を受けてフォーゼは無言でマグフォンを割ってマグネットステイツへと変身してドライバーに刺さったスイッチを握りしめるが、香澄がそれに気が付くとジェミニが握りしめていたスイッチを奪いとってフォーゼ達の前に立ち塞がったことに流石のフォーゼも驚いた表情を浮かべたが有咲が我に返って叫ぶとそれに彼女達も続いて声を挙げ始める。

 

「ちょっと何してるか分かってるの!?」

 

「さーや・・・この子は生まれてから1日しかたってないんだよ・・・?それなのに見捨てるなんて出来ないよ!!それに反省してるみたいだし・・・!!」

 

 

 

 

「香澄・・・!!でも・・・!!」

 

「沙綾の言う通りだよ・・・。このままだと・・・香澄が・・・」

 

「香澄ちゃんが消えちゃうかもしれないんだよ!?」

 

「おたえ・・・りみりん・・・でも・・・!!」

 

 

 

「お姉ちゃん・・・!!」

 

「あっちゃん!!・・・もしかしたら2人とも残るかもしれないし・・・!!」

 

「・・・もし、お姉ちゃんがいなくなっちゃったらどうするの!!それにバンドリだって、みんなを散々、焚きつけておいて、全部ほっぽり出そうっていうの!!」

 

「そんなことないよ!!でも、もし私がいなくなっても・・・この子が・・・」

 

 

 

 

 

「・・・っざっけんな!!」

 

「「・・・っ!!」」

 

香澄は皆からの言葉の反論していたが、余りにも楽観的な言葉の数々が返す彼女に有咲の我慢が限界を迎えて思ったことがそのまま口に出すと、香澄とジェミニは覚えがないほどに怒っている有咲に身体を震わせてしまうが、彼女も先ほどの香澄と同様にその程度では止まらなかった。

 

「お前もさっき自分で言ってただろうが!!香澄とそいつは元は一緒でも別人だって!!香澄と殆ど一緒かも知れねぇけど!!もう私達にとっての―――

Poppin'Partyの”戸山香澄”はお前だけなんだよ!!」

 

「・・・香澄ちゃん!!」

 

「「香澄(お姉ちゃん)!!」」

 

 

 

「みんな・・・」

 

「如月!!香澄を引き剥がしてでも・・・!!」

 

「有咲・・・」

 

「お前は本物の香澄が消えちまってもいいってのかよ!!」

 

皆の言葉を聞いてもその場から動こうとしなかった香澄に有咲は彼女の説得を諦めると苦悩の表情を浮かべながらフォーゼに力技で解決するように言うとフォーゼもその言葉を聞いて彼女達の方へと視線を向けると有咲だけではなく、他の皆も同じような表情をしていたのを見てフォーゼも覚悟を決めた。

 

「くっそ・・・!!」

 

「ゲンちゃん・・・!!」

 

フォーゼはヤケクソの様な声を挙げてドライバーに刺さっているマグネットスイッチを握り直し、それを見た香澄が声を挙げたその瞬間。

 

「・・・っ!!危ない!!」

 

「きゃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「香澄(香澄ちゃん)(お姉ちゃん)!!」」」」」」

 

突如としてジェミニが背後から香澄を突き飛ばすと、香澄はそのまま地面へと倒れる。

その場の全員が香澄に目を奪われてジェミニから視線を外してしまったが、彼らからしたら改心したような素振りを見せて油断を誘ったジェミニが香澄を襲ったように思ってしまい、怒りを抱きながら視線を香澄からジェミニに移したが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごほっ・・・!!がふっ・・・!!」

 

「「「「「「えっ・・・?」」」」」」

 

「嘘っ・・・胸に・・・穴が・・・」

 

そこにいたのは胸に風穴を開けて口から大量の血を吐き出していたジェミニが写っていた。

一瞬の隙に何があったか分からなかった彼女達だったが、香澄は立ち上がってジェミニに向かって歩み寄っていくのを見て、たえがその胸を見てあることに気が付いた。

 

「ねぇ・・・有咲・・・もしかしてだけど・・・」

 

「・・・っ!?、まさかアイツ!!香澄を庇うために突き飛ばしたのか!?」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

 

「えへへ・・・」

 

「・・・まさか!!これやったのって・・・!!」

 

たえの言葉から有咲がジェミニの行動の理由を推測すると、皆が戸惑いの声をあげるとジェミニはその言葉に笑い声で答え、フォーゼはそれを行った犯人の心当たりを言おうとした。

 

その時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にアンタって子は・・・予想外の事をしてくれるねぇ・・・」

 

「やっぱりてめぇか!!いて座野郎!!」

 

 

「いきなり攻撃なんてどういうつもりだい?」

 

その犯人であるサジタリウスは腕を突き出しながら、悠々とした足取りでその場に現れると、フォーゼは香澄達から離れながらキャノンでサジタリウスを攻撃するがその全てが撃ち落とされていく。

 

しかし、彼女達はそんなフォーゼ達の事など全く眼中に入っておらず、皆が香澄とジェミニの元へと駆け寄っていく。

 

 

「・・・おい!!しっかりしろ!!」

 

「「うっ・・・!!」」

 

「沙綾ちゃん!!明日香ちゃん!!」

 

 

 

「酷い・・・」

 

駆けつけた彼女たちに声を掛けられたジェミニは覇気のない笑みを浮かべてそれに答えると、ジェミニは香澄へと手を伸ばし、香澄もそれに答えるようにジェミニの手を取っていた。

 

「なんで・・・!!どうして私を庇って・・・」

 

「えへへ・・・だって、初めての・・・友達・・・・・・だから・・・」

 

「だからって・・・こんなのって・・・ないよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・お願い・・・。あの人を・・・助けてあげて・・・?」

 

「うん!!だって友達だもんね・・・!!ね!!」

 

「・・・うん。そうだね・・・私達も友達やからね・・・!!」

 

 

 

「最後に沢山・・・友達が出来て良かった・・・。うぅ・・・!!」

 

「おい!!何してんだ!?」

 

泣き出してしまう香澄にジェミニは香澄の手に握られていたスイッチを手に取りながら、ジェミニは香澄に最初で最後の頼みごとにする。

ジェミニの願いを聞いて彼女は泣きながらそれに答えると、それに釣られるようにりみも答えた。

 

それを聞いて安心したのかジェミニは最後の力を振り絞って立ち上がるとスイッチをそのまま押してゾディアーツの姿へと変えるが、穴が開いていた胸からは光が漏れ出していた。

 

ジェミニの目的がまるで分からなかった彼女達だったが、香澄だけはジェミニがこの後何をするか分かってしまった。

 

「っ!?待って・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・バイバイ」

 

ジェミニはそう呟くとフォーゼと打ち合っているサジタリウスへと向かっていく。

 

しかし、向かっている途中で気が付いたサジタリウスは途端に腕をフォーゼからジェミニに向けていた。

 

「何のつもりだい・・・」

 

「ぐぅ・・・!!」

 

「なっ!?」

 

そしてサジタリウスの躊躇もなくジェミニを打ち始めたその姿にフォーゼは思わずその動きを止めてしまった。

サジタリウスの攻撃が当たるたびにジェミニの身体には穴が開いていくが、それでもジェミニは歩み続けてそのままサジタリウスへと抱きつくと、サジタリウスは初めて焦ったような声を挙げていた。

 

 

「まさか・・・自爆するつも―――!?」

 

 

 

 

 

しかし、サジタリウスがその言葉を言い終える前にジェミニの身体は爆発を起こして爆風が周囲を襲う。

彼女達はそれをただ遠目から眺めていることしか出来ず、そして爆風が晴れるとそこにはジェミニの姿はどこにもなく多少ダメージを負ったサジタリウスの姿だけが残っていた。

 

「うそ・・・!!」

 

「偽物・・・ううん。ふたご座があそこまでやったのに・・・何ともないの・・・?」

 

 

 

 

「っう・・・!!」

 

「香澄ちゃん!?」

 

「おい香澄!!しっかりしろ!!」

 

「頭が・・・痛い・・!!」

 

ジェミニが自爆したことにショックを受けていた彼女達だったが、それを見たせいか突如として香澄が頭痛を覚えて頭を抑えるのを見て、心配そうにりみと有咲が声を掛けるが香澄はフラフラとして有咲にもたれ掛かると、突如としてハッとした表情を浮かべて呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「思い出した・・・」

 

「香澄ちゃん・・・?何を思い出したの・・・?」

 

香澄はりみの言葉が耳に入っていないのか、その問いには答えずサジタリウスへと顔を向けるとそのまま思い出したことを呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人・・・オーナーだよ・・・!!」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

その言葉にフォーゼ以外の全員が目を丸くして驚いているのを尻目にサジタリウスはそのままスイッチを取り出していた。

 

 

 

 

 

「計画の最後で・・・本当にアンタは思い通りに動かないね・・・」

 

サジタリウスは呟きながらスイッチを押して人間の姿へと戻ると、そこには香澄の言った通りの人物が現れるのだった。





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次章:最終章

オマケ
変身ゾディアーツ設定Poppin'Party篇
香澄:ジェミニ/サジタリウス(特異体質)
たえ:うさぎ/カプリコーン
沙綾:レオ
有咲:リブラ

主に沙綾は羽丘√ではある理由から元凶側の人間になり、
有咲ちゃんは自分と周囲に幻惑をかけるヤベーヤツになってました・・・
今回は闇堕ちは無かったね!!やったね!!


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最終章-環・情・音・楽
環・情・音・楽-1 はじまる、終末への序曲


遅くなりましたが、投稿です。
本日から最終章です・・・
終わるのかぁ・・・


 

「全く・・・アンタは本当に予定外の事ばっかりしてくれるね・・・」

 

 

 

「嘘・・・」

 

「香澄の言った通りじゃねぇか・・・!!」

 

「2人とも!!きっと、さっきの香澄ちゃんみたいに見た目だけが・・・」

 

「そうだよ!!みんな!!落ち着いて・・・!!それにほら!!オーナー杖ついてたけど、あの人は杖ないよ!!」

 

「ううん!!学校で見た時も杖してなかったよ!!きっと・・・!!」

 

 

サジタリウスが人間に戻ったたの姿に彼女達は驚きを隠せずに目を丸くしていた。

しかし、目の前の人物は彼女達が知っている人物とは決定的な違いを見て、目の前の彼女が自分たちが知っている人とは別人だと思い込もうとしていたが、この中で一人だけ状況について行けなかった人物がいた。

 

「誰だ・・・あの婆さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「婆さんはやめな!!」

 

「あの感じ・・・本物だ・・・」

 

「おたえ!?お前何言ってんだよ!?」

 

「でも、あれは前に香澄ちゃんも同じように言われてたよ・・・?」

 

フォーゼは目の前の人物を老人扱いしたがその言葉に答えた姿を見て、彼女達は目の前の人物がジェミニのような分身ではなく本物であることを確信して落ち込む様子を見せる彼女の中で1人は怒りを滲ませていた。

 

「どうして・・・」

 

 

 

「沙綾・・・」

 

「どうしてこんな事を・・・!!なんで香澄やみんなにあんなことしたの!!・・・答えて!!」

 

「そうだねぇ・・・」

 

声を挙げたのは沙綾。

最初の事件で特に理由もなく襲われた彼女はその元凶だと思われる人物を前にして、以前に世話になった恩よりも、この騒動を起こした事に対する怒りが先に出てしまっていた。

 

それを見てオーナーはそんな彼女を見てからフォーゼへと視線を向けて言い放った。

 

「アンタは大体の見当はついてるんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうなんだい?正義の味方(人殺し)

 

「「「「「「えっ・・・?」」」」」」

 

 

「こいつはね。自分の学校の校長を生きて帰れない場所に叩きこんで殺して、理事長にも致命傷を与えてるんだよ」

 

「・・・」

 

「まぁ、放っておいたら日本が消し飛んでたらしいけどね。それに比べたら私の方は日本が消えることなんてないから大したことはないね」

 

「なら・・・オーナーは何のために・・・?」

 

オーナーはフォーゼをハッキリと人殺しと言うと、その言葉に思わず彼女達はフォーゼへと視線を送るが彼はその言葉に何も返さなかったが、オーナーはそんな彼女達を前にして話を続けいた中でたえが声を震わせると、オーナーはやっと目的を語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界中に私の音楽を響かせる―――。それだけだ・・・」

 

「「はぁ?」」

 

「音楽をやってる人間なら一度は夢に見る。そうだろ?Poppin'Party?」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

世界中に音楽を響かせる―――

 

そんな不明瞭な目的を語られて思わず音楽をやっていないフォーゼと明日香はそれが全く理解できずに声を挙げる一方で、ポピパの面々はオーナーが語った夢について全く否定することが出来ずにいた。

 

オーナーはそれを見ると淡々と語りを続けていく。

 

「プロとして舞台に上がって、ライブハウスで音楽を育ててきた。私はそれでやり切ったと思ってた・・・。そんな時に出会ったのが我望だよ」

 

 

 

「理事長・・・!?」

 

「その時は学園で音楽講師のスカウトされたけど断って、それから少し経った頃に我望の使いとか言う白い服の連中がこれを持ってきてね。

使ってみたら杖も必要ない。身体だってプロとしての全盛期以上に演奏だって出来るようになった。

そうなったら、どんなことをしても昔に考えてたデカい夢ってのを叶えたくなったってことだね」

 

「だったら、ライブを配信したりすれば出来るんじゃ・・・。それに街で事件を起こすことに繋がらないんじゃ・・・?」

 

オーナーはスイッチを見せながら淡々と語るが、それを聞いていたフォーゼは思わぬ人物名が出たことに驚きを隠せない彼だったが、明日香は今の話を聞いてもこれまでの事件を起こす理由が分からずに聞き返してしまうとオーナーの視線はフォーゼから明日香へと移っていた。

 

「戸山の妹だったね・・・。あんたも私の目的の為に役に立ってくれて助かったよ」

 

「私が・・・?それってどういう・・・」

 

「これだよ。これ・・・」

 

「それって明日香が使ってたうお座のスイッチ・・・!!」

 

「それを集めるために・・・?でも・・・なんで?」

 

そう言いながらオーナーが取り出したのは、サジタリウスのスイッチとは違う12使徒が使う赤いスイッチ。

スイッチを見た彼女達は目的の役に立ったと言われた意味が理解できたが、オーナーの目的とそれを集める理由が全く結びつけられずにいた。

 

「この場所は大体10年に1回の周期で宇宙に向かってこれに使うのと同じエネルギーを吐き出すらしい。確か戸山はそれを星の鼓動って言ってたね」

 

「マジか・・・!?」

 

「私は集めたスイッチを使って、星の鼓動に音楽を乗せて地球上に私の音を響かせる。

そのために私は音楽に関係した人間を中心にスイッチを街に広めて集めてたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっとも、我望の使いが言うには、これをすると中心になる場所―――少なくとも東京近辺は跡形も無く消えるらしいけどね。後数日、アンタたちが武道館に立つ前にはその場所は消えてなくなってるってことだ・・・」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

香澄が今まで言っていた星の鼓動の正体と、オーナーの絵空事のような計画。

それらを聞いた彼女達はその目的も言われた被害の大きさもとても嘘には思えなかった。

 

全てを語り終えたといった様子で彼女はスイッチを押してサジタリウスへと変身して、その腕を彼女達へと向けるとフォーゼは反射的に彼女達の前に立っていた。

 

「こいつ・・・!!」

 

「これで話は終わりだよ。アンタたちは武道館に立つことはないってことさ。残された時間を楽しむんだね」

 

そう言い残すとサジタリウスはフォーゼ達の目の前に向けて矢を放つと、それは地面に触れた途端に爆発すると周囲に土煙が上り、それが晴れるとそこにサジタリウスは姿を消していた。

 

フォーゼは辺りを見回すがサジタリウスを見つけることが出来ず、そのまま彼はドライバーに手を伸ばして変身を解除すると、それを見た彼女達はその場にへたり込むと彼は彼女達に歩み寄っていく。

 

「大丈夫か・・・?」

 

 

そう言って弦太朗は近くにいた沙綾に手を伸ばすが―――

 

「・・・っ!!」

 

 

 

 

「はっ・・・?」

 

「あっ・・・」

 

彼女は無意識にその手を振り払ってしまい、やってしまったという様な後悔の表情を浮かべる沙綾。

それに対して弦太朗はその行動に呆気に取られて固まってしまったが、それを咄嗟に有咲がフォローに入っていた。

 

 

「如月、沙綾はさっきオーナーが言ってた”人殺し”ってのが頭に浮かんじまったんだよ。許してやってくれよ」

 

「・・・そうか。悪いな」

 

「ううん・・・こっちの方が悪いし・・・」

 

 

 

何とも言えない重い空気を感じてりみは、空気を読んで強引ではあるものの話の話題を沙綾のことから先ほどまでオーナーから語られたことについて切り替えていく。

 

「それにしても・・・色々と分かったね・・・」

 

「りみの言う通りだな・・・。多分もう如月にも止めらんねぇと思ったからぶちまけたって感じがするけどな・・・」

 

「それにしても香澄が言ってた”星の鼓動”ってのが本当だったとは思わなかったぜ・・・」

 

「如月くんが40番のを使った時に同じようなことを言ってたよ・・・?」

 

「私も聞いたぞ?」

 

「マジか・・・」

 

 

 

 

 

「スイマセン・・・私のせいで・・・」

 

有咲を中心に現状分かっていることを確認し始めるが、そんな中でより一層重い空気を放っている明日香が突如として口を開くと即座に有咲がフォローに入っていく。

 

「結果的には向こうに手を貸したかも知んねぇけど、明日香ちゃんはなんも悪くねぇよ」

 

「でも、私のせいで街が消えるって・・・」

 

「向こうの脅しのデマかもしれないし・・・!!それに弦太朗くんがいるから・・・!!」

 

「・・・ありがとうございます」

 

2人のフォローを受けて明日香は苦々しい表情だがなんとか笑みを浮かべて答えると、有咲は今まで無言だった香澄とたえへと視線を向ける。

 

「・・・おたえも香澄もオーナーが元凶だってのがショックがデケェな・・・。とりあえずはここに居てもどうにもなんねぇから連れて帰るぞ・・・。今後の事は帰ってから決めるしかねぇな・・・。如月はとっとと帰って休めよ」

 

彼女達は最終決戦が近いというのを感じながら、疲れ切った身体を引き摺りながらこの場を離れて行くのだった。





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環・情・音・楽-2 the words of a predecessor


遅くなりましたが、投稿です。

筆が重い・・・
ギャグがしたい・・・


 

「・・・・・・はぁ・・・」

 

香澄達と別れた弦太朗は近くにあった公園のベンチに座り込み、彼らしくもないため息をつきながら夜空を見上げていた。

 

―――どうなんだい?正義の味方(人殺し)

 

 

 

 

 

「どうって・・・考えたことなかったな・・・」

 

フォーゼとして戦いを続けてきた弦太朗の頭に過るのは先ほどのサジタリウスに答えた言葉。

 

確かに彼女が言う通りだった。

理事長の野望を止めるために、意図せずホロスコープスとして活動していた校長をダークネビュラへと叩きこみ、自業自得と言っていたが理事長が消える引き金を引いた。

 

今までは余り考えない様にしていた彼だったが、改めてそれを言葉にされるとさすがの彼でも考えずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは・・・如月くん・・・?どうかしたのかしら?」

 

そんな姿を公園の外から見てしまった彼女は今まで見たことのない弦太朗の事が気になってしまい彼の元へと歩み寄っていくが、弦太朗はそんな彼女に気が付いた様子も見せなかったのが心配になってしまっていた。

 

「「如月くん」」

 

「うわぁ!?」

 

 

 

 

 

「おや・・・?」

 

「え・・・!?えっと・・・どこかで・・・?」

 

その声に弦太朗は驚いて思わずベンチからひっくり返ってしまっていたが、弦太朗に声を掛けたのは1人だけではなかった。

彼女もその存在に気が付かず、驚いた表情を浮かべてその方向を向くが彼女はその姿に誰かの面影を感じていた。

 

何とも言えない空気になってしまったが、弦太朗は起き上がるとその人物たちの顔を見ていた。

 

 

 

 

 

「まりなさんに・・・友希那の親父さん・・・?」

 

「久しぶりだね。如月くん・・・」

 

「えぇ!?友希那ちゃんの・・・!?通りで・・・!!友希那ちゃんにはいつもうちのライブハウスを贔屓にしてもらって、お父さんがインディーズ時代に出したCDも持ってますよ」

 

「いつも友希那達がお世話になってます。未だにあの頃にCDを・・・っと、その話はまた今度にでも・・・」

 

 

「それで如月くん?どうかしたの・・・?」

 

「君ほど濃密な体験をしてきた訳ではないけれど、こう見えても私達は君の倍近く生きているんだ」

 

「あの~・・・私は如月くんの倍なんて生きてないんですけれど・・・」

 

 

 

「えっと・・・」

 

2人は脱線しそうになった会話を切り上げて弦太朗の方へと視線を向けて語りかけると彼の表情が若干曇るが、妙に説得力を感じさせる友希那の父の言葉に弦太朗はどうしたらいいか困ったような表情に変わると、まりなはその様子から彼が悩んでいる思い当たることを口にしていた。

 

「あっ・・・もしかして・・・オーナーの―――事件のこと・・・?」

 

「事件・・・?もしかして・・・あなたも・・・?」

 

「えっと・・・まぁ・・・。被害者でもあるというか・・・自分の意思じゃなかったんですけど加害者になってしまったというか・・・」

 

「なるほど・・・。私では余り助けになれなさそうだ・・・」

 

「でも、話せば少しは楽になる時もありますし・・・」

 

「それもそうだね・・・」

 

そう言うと2人の大人に視線を向けられた弦太朗は天校であった我望達の事、そして先ほどのサジタリウス―――オーナーに言われたことを彼なりの言葉で話し始めると2人はそれを最後まで黙ってそれを聞いていた。

 

 

 

 

 

「―――って言われて・・・」

 

「・・・そうだったんだ。みんなのために・・・そんな・・・」

 

事件で困っていると思って身構えていた2人だったが、弦太朗から出た話は予想以上に重すぎるその内容にすぐに言葉を返すことが出来なかったが、2人は少し考えてから彼の話に答えようとしていた。

 

「ふむ・・・。如月くんはその事で後悔はあるのかい?」

 

「その時は必死だったんで・・・」

 

 

 

 

 

 

「如月くん・・・さっき君達は夢を託されたと言っていたね?なら君は多くの人を助けたと言うことを誇るべきだと思うよ」

 

「そうだよ!!如月くんは自分の学校の人達を救ったんだよ!!それにほら!!この前のやぎの事件とか、私が操られて暴れた時だって助けてくれたでしょ」

 

友希那の父が言った言葉を聞いて弦太朗は顔を上げるとまりながいきなり顔を近づけて彼の肩を掴んで語りかける。

そんな姿を見て友希那の父は苦い顔を浮かべて話を続けていた。

 

「・・・少し耳がいたいが、君は多くの人を助けた言うことは変わらない。勿論、私もそのうちの1人さ・・・」

 

「私もだよ!!如月くん、結果的には残念なことになったかもしれないけど・・・きっと助けられて感謝してる人は沢山いるよ!!」

 

「助けて感謝されているんだ。その事を誇るか、それとも後悔に嘆くかは自分で考えてみるしかない」

 

 

 

 

 

「そうっすね。少し1人で考えてみます」

 

 

「・・・今の私に言えるのはこれくらいしかないが、また何かあったらいつでも頼りなさい。・・・とは言っても少し頼りないかもしれないがね・・・」

 

「そうそう!!何かあったら連絡してね!!」

 

2人に話を聞いてもらった弦太朗は少しだけ気が軽くなると表情が和らぐのを見た友希那の父は笑みを浮かべると、まりなと共に弦太朗の元から離れて行くと彼は再び1人になると再び夜空を見上げてボーっとし始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・い・・・」

 

ボーっとしている彼の元へと別の誰かがやってきて声をかけるが、弦太朗はまた気が付いていない。

そんな彼にその人物は怒りを露にしながら声をかけ直す。

 

 

「・・・い・・・おい!!」

 

「・・っ!!って蘭の親父さん・・・何で怒ってるんすか・・・?」

 

「お前が無視するからだ!!・・・それに、お前に親父と言われる筋合いはない!!・・・全く、子供がこんな夜中まで外を出歩くんじゃない」

 

彼の前にいたのは蘭の父親がいた。

しかし、弦太朗は目の前にいる彼が怒っている理由が分からずに困惑してしまうが、そんな彼を他所に蘭の父親はそのまま彼の横へと座り込むとそのまま話始めると、弦太朗は公園に設置してあった時計に視線を向けて時間を確認していた。

 

「夜中って・・・もう9時回ってたのか・・・」

 

「最近は物騒だって言うのに危機感もないのか・・・これだから・・・!!」

 

「・・・っすね」

 

弦太朗は物騒だということを肯定するが、横に座っていた彼は違和感を感じていた。

 

 

 

 

「何かあったのか?」

 

「えっ・・・?いや・・・特には・・・」

 

「子供が遠慮なんてするんじゃない」

 

「いや、まぁ・・・なんていうか・・・昔やったことで痛いところを突かれて、口喧嘩に負けたっていうか・・・」

 

 

 

弦太朗は事件の事など微塵も知らない彼に悟られない様になんとか誤魔化そうとするが、弦太朗の言葉を聞いて蘭の父は目を細めて彼を睨みだした。

 

「相手は蘭達か?」

 

「いや・・・」

 

「そうか・・・。」

 

喧嘩の相手は自分の娘その友達でないと聞いた彼は弦太朗を睨むのを辞めると蘭の父は話し始めた。

 

「昔、私が家元になるのが決まった時の話だ・・・」

 

「どうしたんすか?」

 

「いいから聞け・・・」

 

蘭の父は何を思ったのか急に昔話をし始めるが、弦太朗にはその意味がまるで分からず声を挙げるが、蘭の父はそのまま彼を黙らせて話を続けていく。

 

「そうっすか・・・」

 

「今ではそれなりに認められているが、確かにそのころは今に比べたら未熟だった。それで先代の家元が私が次の家元だと皆に伝えた時、一部は私の事を「若くて未熟」と言い始めて反対していたんだ」

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

 

「・・・私は先代にに華道を教わったが、その時にもっともこの世の中で強い言葉って言う物を教えてもらった」

 

「なんすかそれ・・・」

 

「それはなどんな正論も雄弁にも勝てる最強の言葉で・・・」

 

弦太朗は昔話に雑に相槌を入れると、蘭の父は不敵な笑みを浮かべて彼にハッキリとその言葉を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまりな・・・「それがどうした!!」と言うんだ」

 

「開き直ってるだけじゃ・・・」

 

「そうかもしれないが、芸術と言うのはどれだけ美しい物でも賛否両論が出るものだ」

 

伝えられたその言葉に弦太朗は思ってしまったことを口にしてしまうが、それを聞いて蘭の父は途端に真面目な顔をしていた。

 

「実際に何が正しいのかなんてその時に分かることなんて殆どない。今のお前が何に悩んでいるかは知らんが、自分が納得する方を選んだ方を選べ」

 

「親父さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・君の親父ではない!!では家で蘭が待っているから帰るが、私はお前と蘭が交際することは絶対に認めんからな!!」

 

蘭の父はカッコよく決めるとそのままベンチから立ち上がると、彼は弦太朗の方へと振り返るとそのまま指を突きつけると捨て台詞を吐いてそのままスタスタと歩き出すのを見送ると、弦太朗は再び空を見上げると大人たちが言っていた共通していた内容を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分が納得する方・・・か・・・。だったら・・・!!」

 

彼はそう呟くと少しだけ考えると、彼は自分で結論を出すとそれを胸に秘めながら彼はバイクに跨って帰路につくのだった。

 

 

 





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没ネタ
「友希那さん!!あれ見てください!!」

「あれは・・・お父さんにまりなさん・・・?」

「「・・・不倫?」」

「紗夜も燐子もなんてこと言うの!?」



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環・情・音・楽-3 少女ではいられない


追い込まれるのは主人公サイドの必死条件よね!!

ということで遅くなりましたが投稿です。
短くて申し訳ありませんが・・・



 

「よっ!!」

 

昨日のジェミニ事件とサジタリウスの登場といった出来事があったにも関わらず、弦太朗はいつも通りに通学して教室へと入ろうとした時、背後から彼を呼ぶ声が響いてきた。

 

 

 

 

「如月さん・・・」

 

「あら、弦太朗おはよう」

 

「紗夜に千聖・・・。それにしても・・・珍しい組み合わせだな?」

 

「えぇ・・・。そこで偶然会ったので・・・」

 

彼に声をかけたのはは紗夜と千聖の2人。

そんな彼女達は弦太朗からの挨拶にいつも通りの様子で返すと彼の元へと歩み寄っていた。

 

「・・・如月さん。市ヶ谷さん達から話は全て聞きました・・・」

 

「全く・・・昨日は大変だったわよ」

 

 

 

 

 

 

「大変だった・・・?千聖、なんか違くねぇか・・・?」

 

確かに千聖達もジェミニの事件の時に動き回っていたが、普通に考えたら大変だったのは連日の戦闘を行っている弦太朗の方にも関わらず、彼女が言った「大変だった」という言葉に違和感を覚えたが、そんな彼らの元に別の人物が会話に割り込んでくる。

 

「いえ・・・、白鷺さんの言う通り大変でしたよ・・・・」

 

「燐子・・・?どういう事だ・・・?」

 

「えっと、実は―――」

 

燐子が説明しようとしたその瞬間。

その会話を引き裂くように燐子のスマホがけたたましい着信音を響かせると、彼女はそれを覗き込む。

 

「あこちゃん・・・?どうしたんだろう・・・?」

 

「・・・とりあえず、出たほうがいいんじゃないかしら?羽丘の方で何かあったのかもしれないし・・・」

 

 

 

 

「そうですね・・・。・・・もしもし、あこちゃ『りんりん!!大変だよ!!』ひっ・・・!?」

 

「アブねっ!!」

 

燐子は千聖に言われた通りに着信を取るが、いきなりの大声で燐子は思わず驚いてしまってその手からスマホを離してしまったが、それは床に落ちる前に弦太朗の手によって掴まれると弦太朗が代わりに電話に出た。

 

「もしもし・・・?」

 

 

 

『げんたろう!!大変なの!!おねーちゃんが・・・!!その・・・!!あのね・・・!!』

 

「あこ?どうしたんだ!!」

 

「とりあえず、如月さんも宇田川さんは落ち着きなさい!!」

 

「紗夜ちゃんも落ち着きなさいよ!!・・・もう!!」

 

 

「いたっ!!」

 

「いてっ!!・・・わりぃな・・・」

 

尋常ではないあこの言葉を聞いて弦太朗と紗夜が慌て始めると、見かねた千聖が2人の頭をどこからか取り出したスリッパで引っ叩く。

それを受けた2人は若干の冷静さを取り戻すと、あこの言葉を待っていると電話の向こうが静かになったと思っていたら、あことは違う人物が電話に出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

『・・・もしもし?如月か・・・?」

 

「巴!?何があったんだ!?」

 

「様子が変ね・・・?いつもより元気がないように思えるのだけど・・・?」

 

『あはは・・・。白鷺先輩、よく分かりましたね・・・?』

 

「女優だから・・・って所かしら?それで・・・何があったのかしら?」

 

電話から聞こえてきた声はあこの姉である巴の物だったが、その声は普段の彼女らしくもない落ち込んだような声色に気が付いた千聖はそれを諭すような口調で説明を求めると、巴から伝えられたのはとてつもなく衝撃的な内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わりぃ・・・。アタシのスイッチ、ぶっ壊しちまった・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「はぁ!?」」」

 

「あの・・・どうしてそうなったんですか・・・?」

 

 

『実は―――』

 

衝撃的なニュースを告げられた弦太朗達は思わず声を挙げてしまうが、燐子も驚いてはいたがそうなった経緯を聞こうと質問すると、巴もそれに答えようとしたその時―――

 

 

 

 

 

『こら~!!巴~!!怪我したんだからこっち来る!!』

 

『リサさん。今如月達に報告してるんで・・・!!後で保健室に行きますから・・・』

 

『学校どころじゃないでしょ!!いいから』

 

『ちょっとリサさん!!悪いけど後で詳し―――』

 

 

 

 

 

 

「どういうことですか・・・?」

 

「私が知る訳ないでしょ・・・って、弦太朗?」

 

「とにかく巴のとこに行くしかねぇ・・・!!」

 

巴が何かを伝えようとしたが、リサの乱入によってそのまま電話が切れてしまうと、弦太朗はそのまま身体を反転させて彼女達に背を向け、千聖と紗夜も彼と同じように教室に背を向けていた。

 

 

「そうですね!!日n・・・宇田川さん達が心配ですから・・・」

 

「紗夜ちゃん隠せてないわよ・・・でも、かおちゃ・・・日菜ちゃんと麻弥ちゃん達も心配ね・・・」

 

「白鷺さんも隠せて・・・・・・ではなくて、もうすぐ朝のホームルームが・・・」

 

 

 

 

「「欠席します(するわ)!!」」

 

「即答・・・」

 

紗夜と千聖も羽丘が気になるのか、弦太朗と共に学校を無断欠席すると言い始めたことに燐子は頭を抱えてしまうが、ここでトラブルの匂いを感じさせる人物が現れる

 

 

 

 

「ふぇ~ん!!如月く~ん!!」

 

「弦太朗~!!」

 

「彩?それにこころも・・・?」

 

 

 

 

 

「えっとね!!さっき先生が言ってたんだけど、羽丘で何かあったらしいんだけど、こっちも休校にするんだって!!」

 

「私も彩と同じことを聞いたわ!!」

 

「彩ちゃん!!よくやったわ!!」

 

「では、何も心配することはありませんね!!行きましょう!!」

 

「みんなしてどこに行くのかしら!!」

 

「実は・・・」

 

彼らの元に現れたのはこころと彩。

今の彼らにとっては朗報ともいえる情報とそんな彼女達が告げられると、今にも駆け出そうとする3人の事が気になったこころへと燐子が電話で聞いた内容を簡単に説明すると彼女は目を輝かせていた。

 

 

 

「みんな!!私の家に集まりましょう!!」

 

「こころの・・・?」

 

「えぇ!!みんなで集まりましょう!!」

 

 

 

「そうですね・・・弦巻さん・・・日菜さん達も呼んでいいでしょうか・・・?」

 

「えぇ!!みんなで行きましょう!!」

 

こころが自分の屋敷に皆を集めると言った途端に彼女の近くにいた黒服たちは即座に動き始め、学校の前にはこころがいうみんな―――ガールズバンドの全員が乗れるほどのサイズの車が学校の前に止まると、弦太朗達が最初に飛び込む、それに遅れてポピパ達2年生組が乗り込むとその車は弦巻邸を目指して発進していくのだった。

 

 





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実は
Afterglow3章で巴がヴァルゴスイッチを破壊しながらタウラスを生身で討伐する√も存在してました・・・


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環・情・音・楽-4 極限の刻限

投稿です。
なんで巴のスイッチはぶっ壊れたんでしょうねぇ・・・?
どうせ大した理由じゃないんでしょ?()


 

「何回来ても、デカくて慣れねぇな・・・」

 

「如月先輩。いい加減慣れたほうが楽になりますよ・・・。まぁ、慣れるのもどうかと思いますけど・・・」

 

「それにしても・・・普段からしたら考えられないくらい静かだよね・・・」

 

「あのこころ達ですら静かにしてますからね・・・」

 

 

 

 

 

「遅くなりました~!!ってあっちゃ~・・・」

 

「桐ヶ谷さん。少しは静かにしたらどうかしら?」

 

 

 

 

「遅れてしまって申し訳ありません・・・!!チュチュ様の準備に手間取ってしまいまして・・・!!」

 

「遅くなった・・・ってロック達はまだなの?」

 

「レイ、そう言えば・・・まだ来てねぇな・・・。ってそれに有咲も消えてんな・・・」

 

屋敷についた一行は一室に通されるが、未だにこの部屋の豪華さになれない弦太朗へ美咲は諦めの表情を浮かべながら語りかける横で、花音は考えられないほど静まり返っている部屋の状況に困惑している中で、モニカやRASの面々までが集まる中で未だに羽丘の面々が姿を見せないことにこの場にいた全員が不思議そうにしていたその時、最後の面々が部屋の扉を開いていた。

 

「やぁ、子猫ちゃん達」

 

「どうやら私達が最後の様ね・・・」

 

「湊さんの言う通りみたいですね・・・」

 

 

 

 

 

「その・・・悪い・・・。遅くなっちまったな・・・」

 

ようやく羽丘の面々が現れると、部屋の中にいた皆は巴へと視線を向けると、彼女は最後尾で申し訳なさそうな表情を浮かべていたが、その右拳に血の滲んだ包帯を巻いているのに気が付いて一部の面々は驚きを隠せなかった。

 

 

「トモエさん!!その手はどうしたんですか!?」

 

「そうっすよ!!それに何がどうなって・・・!!」

 

 

 

 

「桐ヶ谷さん。少し落ち着いたらどうかしら?」

 

「そうだよ透子ちゃん・・・1回話を聞いた方が・・・」

 

 

「イヴちゃん。気持ちは分かるけど落ち着きなって~・・・」

 

「日菜さんみたいに・・・とは言いませんが・・・」

 

 

「ルイとシロがそう言うなら・・・」

 

「申し訳ありません・・・」

 

 

 

「席外して悪かったな」

 

「有咲?いつの間に・・・」

 

「さっきだよ。・・・それで巴さん、そっちで何があったんだ?」

 

驚いていた面々は即座に黙らせられると、その中でいつの間にか部屋に戻ってきていた有咲は羽丘で起こった件についてに話がかわると、巴は苦々しい表情を浮かべて語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「何って、オーナーが変身した奴に学校で襲われたんだよ。「スイッチを渡せ」って言ってきてな・・・」

 

「まさか・・・みんなの前で変身したのか!?」

 

「最初はそうしようと思ったんだけど、つぐが止めたからしてない・・・。でも、そしたらアタシに向かって攻撃してきてな」

 

「もしかして!!トモちんやられちゃってそうなったの・・・?」

 

「はぐみ・・・やられたって言うか・・・その・・・」

 

オーナーが巴のスイッチを標的に攻撃してきた。

それで怪我をしたと思ったはぐみに心配される巴はバツの悪そうにし始めると、ここで何食わぬ顔をした日菜が巴に代わって結果を語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「えっとね~!!私も見てたんだけど。巴ちゃんはね!!そのままオーナーに向かって走って顔を殴りつけたんだけど。そしたら巴ちゃんの手から血がダラダラ~って出たと思ったらオーナーが帰っちゃったよ!!」

 

日菜が起こった出来事を物凄く簡潔に纏めると、全員が言葉を失っていたがなんとか紗夜が再起動して声をあげていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかだけど・・・巴さん・・・自分で握りつぶしたのかしら・・・?」

 

「紗夜さん・・・まぁ・・・その・・・その通りって言うか・・・」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

スイッチを握りつぶした―――

その事実に皆が再び言葉を失ってしまうが、それを見て咄嗟に巴は言い訳を始めていた。

 

「でもよ!!オーナーに奪われるよりマシだろ!?・・・それに、あれはない方がいいって言ってぶっ壊すつもりだったんだから。それが早くなったってだけで・・・!!」

 

「まぁ、トモエの言う通りだけど・・・。流石にないわ・・・」

 

「うっ・・・!!」

 

 

 

「・・・巴さんの話が終わったんならこっちの話をしていいか?」

 

しかし、その言い訳もチュチュによってバッサリ切り捨てられてしまい彼女は苦々しい表情を浮かべているのを他所に話が終わったと思った有咲は次の話を始めようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、悪いニュースと、とんでもなく悪いニュースがあるんだけど・・・どっちから聞く?」

 

「有咲。いいニュースはないの?」

 

「蘭ちゃん。いいニュースはないな・・・」

 

「だったら悪い方からにしましょう」

 

「友希那と同意見かな~。いきなり最悪なのを聞いちゃうと後の話が入らなそうだしね~☆ってことで、有咲よろしく~」

 

「リサさん。分かりました。・・・じゃあ、ハンバーガー。出てこい」

 

リサに言われた通りに最悪のニュースから告げようとした有咲はバガミールを呼ぶとそこから皆に見えるように画面を見せていた。

 

 

 

 

「如月の友達の歌星さんっていただろ?その人にオーナーが言ってた「東京近辺が消える」って言うのを伝えたらこいつらが集めた情報を纏めてたんだけど、東京近辺っては間違いだってよ」

 

 

 

「有咲先輩。広町的にはそれっていいニュースだと・・・」

 

「ちょっと待って・・・もしかして・・・有咲ちゃん・・・!!」

 

「羽沢さんが考えた通りだよ。東京近辺―――だけじゃない(・・・・・・)んだ」

 

「市ヶ谷さん・・・ちなみにどれくらい・・・なんでしょうか・・・?」

 

有咲の告げた言葉に息を呑む全員だったが、なんとか燐子がその中でどのくらいになるのかと言うことを聞くと、有咲は一呼吸つくとバガミールが予想被害の範囲を示した地図を表示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい・・・東京湾が埋まってんぞ・・・!!」

 

「マスキングの言う通りだ。最低でもこの辺から大体半径50km・・・最悪の場合は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関東全体が消えてなくなるらしい・・・」

 

「ちょっとそれ本当なの!?街が消えちゃうって!!」

 

「上原さん。私も詳しくないから分かんないけど・・・」

 

「賢吾が言うなら間違いねぇ・・・!!」

 

「そんな・・・!!」

 

ひまりは信じられないといった表情だったが、有咲だけではなく弦太朗までもがその話に間違いがないと言うと、彼女の表情が曇る。

しかし、そんな中ではぐみがあることを思いついていた。

 

 

 

「ひーちゃん!!だったらみんなでここから逃げちゃえばいいんだよ!!こころんの家の人達が手伝ってくれればなんとかなるよ!!」

 

「いやいや、いきなり「街が消えるから逃げてください」なんて言っても誰も信じないでしょ・・・。はぐみだってこころが変身したのを最初は信じられなかったでしょ?」

 

「みーくん・・・それはそうだけど・・・!!」

 

「確か・・・東京だけで1000万人以上いると思いますし~周りもふくめたらもっと沢山いるはずですよ~?」

 

「青葉さんの言う通りっすね・・・仮に全員が移動するにしたって何十日もかかりますよ?」

 

「でも、時間をかけりゃ・・・!!」

 

 

弦巻の家の力があれば時間があればなんとかなる。

そう思いだした彼女達だったが―――

 

 

 

 

 

 

「ロック。残念だけどそりゃ無理だ・・・」

 

「有咲さん!?どうして・・・!!」

 

有咲はそれにNOを突き付けていたことに全員の視線が集まると、この話で彼女が言おうとした言葉を察した人物がいた。

 

 

 

 

 

 

「つまり、タイムリミットがもう分かって、全員が逃げ出せないのが分かってるってことね?」

 

「白鷺先輩。そうですね・・・」

 

「やっぱりね・・・それがとんでもなく悪いニュースってことね?・・・2週間くらいかしら・・・?」

 

有咲が言っていた悪いニュースとはタイムリミットがあるという事。

最悪と言っていたこともあって千聖は何となく思い浮かんだ中で一番短い時間を口にして有咲に確認を取ったが、彼女はそれを聞いて首を横に振ると静かに答えを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――長くても2日(・・)だそうです」

 

有咲が告げた余りにも短すぎるリミットに、その場にいた誰もそれに反応することは出来なかった。

 





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環・情・音・楽-5 Girl's Decision

遅くなりました。
投稿です。
多分、バッチバチの戦闘はそろそろやりたい・・・たい・・・



 

「それも、おおよその時間何で正しいかも分かんないですけど・・・」

 

2日という余りにも短いリミット。

しかもそれが正しいのかも分からないと告げられた彼女達だったが有咲の言葉はまだ続いていく。

 

「こんな状況だからみんなに何か手伝ってもらいたいこともあるかもしれないけど無理にとは言わない。それにこの街から離れるんだったら弦巻さんの家の人が手を貸してくれるってことになってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

「有咲は・・・どうするの・・・?」

 

「沙綾・・・。私はまだ決めてねぇ・・・。でも、誰かに合わせて残ろうとすれば後悔すると思うから、みんなは自分が後悔しない方を選んでくれ。街から離れる人はここに残って、残るのは食堂の方まで行ってくれ」

 

有咲はこの後の事を話し終えるが、部屋にいる誰もが彼女の言葉に答えることが出来ていなかった。

ただ1人を除いて―――

 

「任せとけって・・・!!」

 

「・・・如月、お前はちょっと来い。色々話すことがあるからな・・・。・・・扉は閉めておけよ」

 

「ん・・・?分かった・・・」

 

弦太朗は有咲に答えると、その後に続いて部屋を出るとそのまま扉を閉める。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~~~・・・」

 

「有咲!?」

 

扉が完全に閉まったのと同時に有咲はそのまま床にへたり込んでしまうと弦太朗はその体を支えるようにして立ち上がらせた。

 

「・・・あんな話をし終わったから緊張が解けて力が入らないんだよ」

 

「悪いな・・・」

 

「・・・気にすんな。明日香ちゃんの時も、昨日の香澄の時も肝心な時に役に立ってねぇんだ・・・。こんくらいはしねぇとな・・・」

 

彼女はいつも通りに振舞おうとするがいつもの彼女らしくないのを察した弦太朗は思わず彼女に聞いてしまった。

 

「お前は残るんだな?」

 

「・・・正直逃げてぇとも思ったけど、ばあちゃんはきっと店を離れねぇだろうし・・・そんなばあちゃんを1人になんて出来ねぇからな・・・」

 

「それでいいのか・・・?」

 

「正直、めっちゃ怖い・・・。でも、お前を手伝ってみんな達が助かるんだったらそっちの方がいいに決まってんだろ?

まぁ、オーナーは黒服さん達が探してくれてるからそれを手伝うのと、戦う時になったら人払いをするくらいしかやることはねぇと思うけどな・・・」

 

有咲は顔を真っ赤にしながらそう弦太朗に語って視線を逸らしていた。

彼はそんな彼女を見て笑っていたが、有咲は恥ずかしさも相まって更に顔を赤くしていく。

 

「有咲・・・」

 

「うっせぇ!!いいからさっさと運べ!!何時までもここに居たらみんなが出てこれねぇだろ!!」

 

「おう・・・」

 

2人はそんなやり取りをして部屋から離れて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人がそんなやり取りをしていたことなど知らず、部屋に残された彼女達の多くの表情は暗くなっていた中である人物が突如として立ち上がっていた。

 

「ちょっと香澄・・・!!」

 

最初に動いたのは香澄。

彼女は静まり返っていた部屋から出ようと扉へ向かおうとするが、その行く手には沙綾が立ち塞がっていた。

 

「さーや・・・」

 

「私・・・行かなきゃ・・・!!」

 

「香澄!?どうして!?なんでもしかしたら街と一緒に消えちゃうんだよ!!」

 

「だって・・・あの子とした最初で最後の約束だから・・・!!」

 

「ちょっと香澄!!待って・・・!!」

 

しかし、香澄は沙綾の静止を振り切って早々に部屋から飛び出していくと、その後に続いたのは完全に思いもよらぬ人物たちだった。

 

 

 

 

 

 

「レイ・・・りみ・・・?」

 

「おたえちゃん・・・えっと・・・弦太朗くんのところに行こうと思って・・・」

 

「ハナちゃん。私も弦太朗のところに行くよ・・・」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

完全に予想外と言った様子で皆は声を挙げていた。

レイヤはともかくとして、周囲に流されやすいりみが一番最初に残るといったことに彼女を知る面々は驚かずには居られなかった。

 

「りみりん・・・レイヤもなんで・・・?」

 

「沙綾ちゃん。なんでって言われても・・・。弦太朗くんが任せろって言ったから・・・かな?それにみんなを守るって言ってくれたし・・・」

 

「弦太朗はなんだかんだ言ってても、最後には約束を守るのは知ってるから・・・かな?それじゃ、りみちゃんと行ってくるから」

 

そう言って早々にりみとレイヤは香澄の後を追うように部屋から出て行くと、部屋の雰囲気はどんどんと変わっていく。

 

 

 

 

「香澄もそうだけど・・・まさか、りみとレイヤにまで先を越されるとはなぁ・・・」

 

「巴、私も残るよ・・・アイツには色々世話になったし・・・。この街は私達の街なんだから・・・」

 

「そうだよ!!それに商店街がなくなったらイヤだもんね!!」

 

「そ~そ~。つぐの店もさーやのパン屋も無くなるのは嫌だな~」

 

「って巴はもう変身も出来ないし、それに怪我してるんだから無理しちゃ・・・!!」

 

「ひまり、変身出来る出来ないなんで関係ないだろ?生身で右拳がダメだとしても、左も足もあるしな!!街がヤバいんだったら最後の最後までやってやるさ!!」

 

「・・・頼りにしてる」

 

「蘭にしては素直ですな~」

 

「モカうっさい・・・!!早く行くよ・・・!!」

 

 

 

 

「あこも!!おねーちゃん達と一緒に過ごした場所だもん!!」

 

「私も行きます!!今こそブシドーですよ!!ミサキさん!!」

 

「意味わかんないけど・・・まぁ、職場が無くなるのはちょっと困るし・・・」

 

「私も、つぐみ先輩のお店の従業員ですから・・・!!」

 

「つーちゃん!!はぐみもいくー!!とーちゃん達のために頑張んないと!!」

 

「アタシもバイクで探すくらいならやってやんぜ・・・!!」

 

「私も行きます・・・!!旭湯を守らんと・・・!!」

 

 

 

 

「待てよ、ロック」

 

次に立ったのはAfterglowを始めとして、沙綾以外の商店街との関りの深い面々が立ち上がって弦太朗達の元へと向かおうとするが、ますきは部屋を出ようとしたロックを止めるとそのまま残っていたチュチュ達へと視線を向けていた。

 

「ますきさん・・・?どうしたんですか・・・?」

 

「マスキング?どうしたのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らは逃げたほうがいいだろ?街の外に家族がいんだろ・・・?」

 

「「えっ・・・?」」

 

「はぁ・・・!?だからマスキングは私達に尻尾撒いて逃げろって言うの?」

 

「そうは言ってねぇけどよ・・・」

 

「一緒よ!!」

 

「でも、無理に残る必要はねぇかんな・・・」

 

ますき以外の達は下宿や一人暮らしで家族は被害に遭う可能性はかなり低い。

それだったら安全な場所にいたほうがいいと考えた彼女はメンバーを街から遠ざけようとしたが、それが裏目に出てしまいチュチュが熱くなってしまうのが分かったますきはあえて彼女を無視してそのまま部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

「白鷺さん。氷川さん」

 

 

 

「・・・なんでしょうか?」

 

「ん~?どうしたの~?」

 

「日菜ちゃん。多分呼んだのは紗夜ちゃんの方よ?」

 

「白鷺さんの言う通りです・・・。あなた方はどうするかもう決めてるんじゃないでしょうか?」

 

「私、紗夜ちゃんみたいに分かりやすかったかしら?」

 

「・・・そうですね。問題を起こした側にいた人間として、逃げ出すわけにも行きませんね・・・」

 

「・・・弦巻さんはいつの間にかいなくなってましたね・・・」

 

 

 

 

 

「そういう事だったら私も行くわ・・・。父さんは私が原因で事件を起こしたのだったら、私も紗夜達と一緒よ」

 

「・・・!!ミナトユキナがそういうなら、私も同じよ」

 

次に立ち上がったのはゾディアーツとして暴れた本人たちとその娘たちだったが、張本人ではない2人の方は何故かバチバチに睨み合っていた。

 

「チュチュ。あなたは子供なんだから、無理しなくていいのよ・・・?」

 

「私はRASのプロデューサーよ?メンバーの面倒を見るのも仕事よ・・・それに、少なくともアンタよりは役に立つ自信があるわよ!!」

 

 

 

 

 

「どういうことかしら・・・?」

 

「この間、私が拾った英語の小テスト・・・」

 

「いいわ・・・決着をつけましょうか・・・」

 

 

「あの2人は何をしてるのかしら・・・?」

 

「私達も行きましょうか・・・」

 

2人は周りの言葉を聞かずにどっちが役立てるかという非常に低レベルの争いを繰り広げながら部屋を出て行くと、それを追いかけようとした3人が外へ出ようといしていた。

 

「って!!ちょっと待った!!紗夜さんもルイもらしくないっすよ!!特にルイ!!」

 

「お姉ちゃん!!それに千聖ちゃんもだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「日菜・・・」

 

「桐ヶ谷さん?どういう意味かしら?」

 

3人の待ったをかけたのは日菜と透子。

2人は紗夜達が明らかにおかしいと感じて声を挙げずにはいられなかったが、それに瑠唯が反応を示すと透子はそのまま彼女に詰め寄っていく。

 

「だってそうだろ!?ルイだったら絶対に街から離れてるだろ!!」

 

「・・・そうかしら?」

 

「普段ならアタシ達の行動を止める側なのに。ふーすけを止めないし、こんな積極的なのはおかしいでしょ!!シロとななみもそう思うっしょ!?」

 

「うん・・・」

 

「とーこちゃんの言う通りかな~」

 

 

 

「透子ちゃんの言う通りだよ!!おねーちゃんも千聖ちゃんも変だよ!!」

 

 

 

 

 

「あの・・・もしかして・・・」

 

「燐子・・・?どうしたの?」

 

「今井さん。あの3人は・・・」

 

「3人とも・・・事件を起こした側だったんだ・・・」

 

「ルイ!!あの時のはもう終わった話だろ!!」

 

「そうね・・・終わった話よ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなた達の中では―――ね」

 

「は?何言って・・・!!」

 

「おねーちゃんがやった事はもう気にしてないから!!」

 

「日菜・・・。私達は事件を起こした側にいたのよ?少なくとも他のみんなが逃げるまでは先に逃げるわけにはいかないわ」

 

「・・・少なくとも私達はこの事件の結末を見届ける責任があるわ」

 

3人の言葉にその場に残っていた全員が3人のしたことを思い出していたが、その中で瑠唯はトンデモない爆弾を投下し始めた。

 

 

 

 

 

「・・・それにどこに逃げるのかしら?」

 

「ちょっとルイ!!どういう事?意味わかんないんだけど!!」

 

「さっきの市ヶ谷さんは街が消える可能性を話していたわね?」

 

「だから逃げる逃げないの話になってんでしょ!?」

 

「でも、それ以外の被害については全く触れていなかったわ・・・」

 

「はぁ・・・?だって街だけの話じゃ・・・!!」

 

 

有咲が語ったのは街が消えるということだけでそれ以外については彼女は全く話していなかったが、オーナーが言っていたという目的は街を消すことではない。

 

頭の中でそれが思い浮かんだのはごく一部は瑠唯が言わんとしていた事を理解してしまっていた。

 

「もしかして・・・八潮さんが考えてるのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「八潮さんはあのやぎ座の時みたいな事が世界中で起こると思ってるんですよね?」

 

その場に残っていた面々は麻弥の考えを聞くと、驚愕の表情を浮かべて固まってしまうのだった。

 

 


 

 

 

 

「如月、そろそろ行くぞ・・・」

 

屋敷を回って時間を潰していた弦太朗と有咲だったが、彼女はいい時間だと思ったのか彼に声をかけると集まる様に言っていた食堂へとゆっくりと向かい、その扉の前に立っていた。

 

 

 

 

 

 

「でも、何人残ってんだろうな・・・」

 

「さぁな・・・。私と商店街の何人が残るだろうし、後は事件起こした組が残って・・・10人行けば万々歳ってとこだろうな・・・。

まぁ、これでもかなり希望的な数字だから1人も残ってねぇってことも全然あるから期待はすんなよ」

 

「おう・・・じゃあ行くか・・・!!」

 

有咲の前で弦太朗は閉まっていたその扉を勢いよく開くと、そこに広がっていた光景に2人は目を見開いていた。

 

「おいおい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ・・・?ほぼ全員じゃねぇか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンタロウ!!あんた達、何時まで待たせんのよ!!マスキングなんてアンタたち待たずにオーナーを探しに行ったわよ!!それと・・・ほぼ(・・)じゃなくて全員よ!!」

 

「2人とも遅かったじゃない・・・。美竹さん達も一緒に探しに行ったわよ」

 

「友希那・・・チュチュまで・・・」

 

何名かは残ると思っていたが、既に自分で動き出していると言うことに驚きを隠せなかったが、彼女は冷静を装って、話しだしていた。

 

 

 

 

 

 

「蘭ちゃん達・・・商店街組は残るとは思ってたけど・・・他のみんなは本当に良いのか?りみとRASの3人はこの街で育ったって訳でもないのに・・・」

 

「確かに、この街で育ったと言う訳ではありませんが・・・パレオにだってこの街に大事な思い出くらいはあります!!」

 

「有咲ちゃん。この街はみんなやお姉ちゃんと一緒に過ごした大切な場所だよ!!」

 

 

 

 

「白鷺先輩達も・・・今更、責任を感じる必要だってないし・・・!!」

 

「周りが何と言おうと、私達はこの事件の結末を見届けるつもりよ」

 

「有咲ちゃん。昔から千聖はこうなったらテコでも動かないよ?それに、私達も友達を見捨てて逃げれるほど人間が出来てはいないさ」

 

 

 

「でも・・・!!」

 

「アリサ!!リーダーだったらいい加減に覚悟を決めなさいよ!!なんだかんだ言って自分が一番迷ってんじゃない!!」

 

「なっ!?」

 

有咲はなんとか皆を改心させようと考えていたが、自分が一番覚悟が決まっていないとチュチュに指摘されて狼狽えてしまう。

 

 

「有咲、大丈夫だよ。先輩がいるんだよ?」

 

「そうだよ!!ね?弦太朗くん!!」

 

そう言ってりみとたえの2人から問いかけられた弦太朗はいつも以上に真剣な表情を浮かべてから、皆に笑みを向けていた。

 

「おう・・・!!言ったろ?任せろって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・だぁああああ!!どいつもこいつもバカばっかりかよ!!これじゃ今まで真剣に考えてたのがバカみたいじゃねぇか!!」

 

「確かに、市ヶ谷さんの言う通り。どうしようもないバカみたいね?」

 

「ミナトユキナ・・・あんたと一緒にされるのは癪なんだけれど・・・」

 

有咲が頭を抱え始め、そんな中で友希那とチュチュのコントみたいなやり取りに部屋の空気が軽くなると、運が向いてきたのか突如としてチュチュのスマホが震え始める。

 

「・・・マスキングからメッセージよ。spaceで気になるものがあったらしいわ・・・」

 

「スペース・・・?」

 

「オーナーが少し前まで運営してたライブハウスだよ。そういえばライブハウスは閉店したけどお店自体は倉庫代わりに使ってるって聞いたような・・・」

 

「マスキングがGalaxyの店長が持っていた鍵を拝借して入ってみたら、いくつかの機材と・・・ギターが1本無くなっていたみたいよ?」

 

「おたえ、なんのギターか分かるか?」

 

 

 

 

 

 

 

「うん・・・。オーナーがプロの時に使ってたって言ってたやつだ・・・!!」

 

しかし、どれだけ探してもこれ以上オーナーに関する情報を掴むことは出来ず、彼女達はそれぞれの思いを胸に秘めて、最後の決戦の日を迎えるのだった。

 

 





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環・情・音・楽-6 危機の知らせ・思いを重ね

近づいてくる最終話の足音に不安からかキラキラ(幻覚)ドキドキ(動悸)してきた・・・

ってことで投稿です!!




 

「・・・」

 

弦太朗は1人で何かを考えながら通学路を歩いていたが、その顔にはいつもの様な明るい表情ではなく、何か張り詰めたような雰囲気を放っていた。

 

周囲の生徒は普段とは違った彼の様子に距離を空けていたが、そんな中で空気を読まずに声をかけていく勇者達がいた。

 

「先輩・・・?」

 

「よぉ・・・」

 

「おたえ・・・それに有咲も・・・」

 

弦太朗が振り返るとそこにいたのはおたえと有咲の2人。

彼女達は振り返った弦太朗の顔を見ると若干表情を強張らせながら彼に話しかけていた。

 

「先輩?顔が怖いよ・・・?」

 

「まぁ、如月がそうなる理由は分からなくもないけどな・・・。昨日の話を考えたらそうもなるだろ」

 

「・・・それにしたら有咲はいつも通りだな?」

 

「うっせぇ・・・これでもいつも通りにしようとしてるだけだよ・・・。昨日までは平気だったんだけどな・・・」

 

 

 

 

 

 

「あら!!弦太朗達だわ!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!おはよー!!」

 

「あぁ・・・!!もう2人とも急に走らないの!!」

 

何とも言えない暗い空気感の3人だったが、そこへ走ってきたこころとはぐみは完全にいつも通りの様子に弦太朗達は呆気に取られていた。

 

「あれ?戸山さん達は?」

 

「あいつらは沙綾の店にパン買いに行ったよ・・・」

 

「それにしてもよく美咲達はいつも通りにしてられるね・・・」

 

 

 

 

 

「たえ!!だって、世界中を笑顔にする私達が笑顔じゃないといけないわ!!」

 

「それに、ゲンちゃん先輩やこころんの家の人達が頑張ってるんだからきっとなんとかなるよ!!」

 

「まぁ・・・それに、如月先輩や黒服さん達の事は信頼してるって言うのは私も同意見なんで・・・」

 

「そうだね・・・。私達の武道館もあるし」

 

 

 

 

「はぁ・・・なんかこう見ちまうと大丈夫なような気がしてきちまうな・・・」

 

たえは思わずハロハピがいつも通りにしていることを聞くと各々の答えに空気が和らいだが、弦太朗は若干表情が暗いままなのを見て有咲はあることを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば・・・如月は今日最後だったな・・・」

 

「そうだな・・・。最後に挨拶を言うことになったんだけど・・・全っ然思い浮かばねぇ・・・!!」

 

奇しくも、彼は花咲川に生徒として通う最後の日。

事件の事もあったが、弦太朗はその事も十分に気になっていたのだった。

 

「学校付いたら生徒会室で考えよ・・・」

 

「何でおたえが生徒会室の許可出してんだよ・・・」

 

 

 

「この時間だったら学校着いてからでも考える時間はあるかな・・」

 

「待て。奥沢さん。それフラグだぞ・・・」

 

「はははっ・・・まさかフラグなんて、市ヶ谷さんの考えすぎ・・・」

 

そんな軽口を叩きながら学校まで歩いていた彼らは昇降口までたどり着き、各々が靴を履き替えてから全員で生徒会室向かい、有咲がその扉を開けると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ちょっと待て・・・」

 

「市ヶ谷さん・・・?どうし・・・なにこれ・・・」

 

 

 

「みんな!!」

 

「おはよう・・・ございます・・・」

 

「ふえぇ~!!」

 

「ゲンタロウさん!!アリサさん達もはようございます!!」

 

 

 

 

 

 

 

「何で全員集合してんだよ!?」

 

「それに黒服さんもなんで・・・!?」

 

「私達も連れてこられた理由が分からないのだけれど・・・。やっぱりこの人数は狭いわね・・・」

 

「机と椅子を退かしておいて正解でしたね」

 

 

 

 

 

「ちょっと待って!!何で鍵を・・・!?・・・これを私にですか・・・?ってマジかよ!?」

 

「有咲ちゃん・・・?どうしたの・・・?」

 

生徒会室には花咲川に通うガールズバンドの面々が全員集合していた。

それに戸惑いを隠せない全員だったが、黒服たちによって弦太朗達が生徒会室内に押し込められた途端に鍵を掛けられると、緊張感が室内に漂うとその中で黒服は険しい表情をサングラスで隠しながら有咲にタブレットを渡すと、それを見始めた彼女は一気に戸惑いの表情から驚きの表情へと変わっていく。

それを見たりみが有咲に声をかけると彼女は震えるような声でその疑問に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーナーが・・・・・・見つかった!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

「本当にフラグだったとは・・・」

 

有咲から告げられた言葉に全員が息を呑む。

リミットを告げられてからそれなりに覚悟はしていたが、オーナーが見つかったと言う知らせはそれが目の前に迫っているということを意味していた。

その衝撃に襲われていた彼女達だったが、いつの間にかバガミールが飛び出して有咲が見ていた画面をそのまま空中に投影し始める。

 

そのオーナーが写るその場所は一部の面々には見覚えのある光景だった。

 

 

 

 

 

「有咲・・・それってもしかして・・・昨日の・・・?」

 

「正直、画像事体は荒いけど・・・位置情報的にはそこしかねぇな・・・」

 

「それにあそこに置いてあるの・・・spaceから無くなってたのと一緒だよ!!」

 

オーナーが昨日現れた場所にいるのが分かった途端、一部の目の色が変わっていた。

そしてその中でイヴが代表するように言い放った。

 

「でしたら・・・」

 

 

 

 

 

「乗り込みましょう!!」

『『乗り込もうぜ!!』』

 

「その声は・・・巴さん!?」

 

『おねーちゃん!!巴ちゃん以外にも友希那ちゃんとかみんないるよ~!!』

 

『RASもロック以外は私のマンションに揃ってるわ!!』

 

『モニカも今学校で揃ってますよ!!』

 

「いつの間にビデオ通話なんて・・・」

 

 

 

イヴの声に合わせる様にいつの間にか始まっていたビデオ通話から巴とますきが同じ声を挙げていた。

一部はオーナーのところへと向かおうと盛り上がり始めたところに、思いもしない一言が飛び出していた。

 

 

 

 

「いや、オーナーのとこに行くのは俺だけでいい」

 

「ゲンタロウさん!?」

 

『如月!!何、言ってんだよ!!』

 

『そうだぜ?あたし達だってよ・・・!!』

 

彼女達を止めたのは弦太朗。

しかし、彼女達はその言葉が信じられないといった様子で彼を見ていたが、ここで彼の言葉に賛同する意見が上っていく。

 

「・・・、如月の言う通りにした方がいいかもな」

 

「アリサさんもですか!?」

 

『有咲。何でだよ!!』

 

『学校で姿を見られているのに、急にいなくなるのは周囲の不信感与えるだけだと思いますが?』

 

「市ヶ谷さんと八潮さんの言う通りです・・・。それに・・・下手にみんなで行くと、かえって邪魔になってしまうかと・・・」

 

『それにRASのみんな以外は学校で・・・生徒会長の2人は終業式の挨拶があるおもいますし、もしもみんなで行ったとしてその間に学校が襲われたりしたら・・・』

 

『でも、オーナーの目的考えたら弦太朗が戦ってる最中に他の連中が機材を使えなくしちまえばいいんじゃねぇか?』

 

『キング。機材を壊しちゃうんですか!?』

 

 

 

 

 

 

 

「ダメ!!」

 

「香澄・・・!?」

 

それぞれが思い思いの事を言い始めるこの状況で香澄がNoを突き付ける。

その言葉全員が言葉を失うが、その中で香澄は吼える。

 

 

 

「演奏できなくなればいいかもしれないけど・・・それじゃオーナーを助けてあげられない・・・!!」

 

『確かにトヤマカスミの言う通り、ここまでやってるオーナーが機材を破壊された程度で止まるとは思えないわね・・・。But何か案があるのかしら?』

 

香澄の言葉にチュチュは何か案があるのかと問い質すと、彼女はハッキリと自分の考えを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「届けよう・・・音楽を!!」

 

『『『『『・・・・・・』』』』』』

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

 

 

 

 

 

『香澄の言う通りだね・・・』

 

『そうね・・・私達はバンドマンよ?だったら戸山さんの言う通り、音楽で相手に伝えるしかないわ』

 

「香澄!!いいアイディアだわ!!」

 

「香澄ちゃん・・・!!それいいね!!」

 

『香澄先輩・・・凄いなぁ・・・』

 

『でも、香澄ちゃんらしいね』

 

全員が香澄の言葉に一瞬だけ言葉を失ったが、すぐに彼女達の考えは一つになり始めたのを見て、それを見た弦太朗はそんな中である提案をした。

 

「だったらやろうじゃねぇか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダー部流の卒業式・・・いや卒業ライブってのをよ!!」

 

「「「「おぉー!!」」」」」

 

『『『『『おぉー!!』』』』』』

 

弦太朗が言ったその言葉に彼女達の想いは完全に一つに重なっていた。

 





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大半の読者アニキたちはアンケの意味わかっているね・・・?


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環・情・音・楽-7 Gに伝えて/たとえどんなに離れていても・・・

遅くなりました・・・
次回こそはばっちり戦いますので許してクレボンス・・・




 

 

それぞれに出来ることをするために皆がぞろぞろと部屋から出て行く後ろを弦太朗が追いかけようとしたが―――

 

 

 

 

『ゲンちゃん、待ってよ!!』

 

「日菜?」

 

『なんでまだの話は終わってないよ!!』

 

「ん・・・?」

 

画面の向こうにいた日菜が話が終わってないと言って引き留めると、彼女が気になった彼はそのまま生徒会室へと引き返していく。

 

「なんだ?」

 

『弦太朗くん!!こういう時はみんなからのメッセージ的なのは鉄板だよ!!』

 

『だな!!マンガじゃよくある奴だな!!』

 

『上原さんと佐藤さんの言う意味が分からないのですが・・・?』

 

『るいるい!!こういう時は乗っておくのが普通じゃないかな~?』

 

『よく分からないけれど・・・。とりあえず時間も無いから手短に済ませなさい』

 

『んじゃ、あたし達からってことで!!』

 

チュチュが仕切り始めると、それに空気を読んでか読まずか透子が真っ先に名乗りを挙げていた。

 

 

 

 

『弦太朗さん!!ビシッと決めちゃってくださいよ!!んじゃ、ルイ、次な!!』

 

『桐ヶ谷さんもう少し考えて話を・・・如月さん、見届ける。と言っておいてこうなってしまったのは残念ですが・・・お願いします・・・』

 

『るいさんやみんなで待ってますから!!ね!!ましろちゃん!!』

 

『えっ・・・?あの・・・その・・・頑張ってください・・・!!』

 

『広町はそこまで心配してませんけどね~。仮面ライダーは負けるとは思ってないですからね~』

 

「おう。任せとけ」

 

『本当はもっと言いたいことはありますが、そろそろホームルームが始まる時間なので・・・』

 

モニカ達は弦太朗に自分の想いと伝えると早々に彼女達は通話を切ると、それに入れ替わるように別のチュチュのところに集まっていた彼女達が顔を出していた。

 

『最後の最後で留守番っていうのはモヤモヤすっけど・・・あたし達の分まで暴れてこいよ!!』

 

『ゲンタロウ!!これは私達の武道館の前座なんだから!!チャチャっと終わらせてきなさい!!』

 

『チュチュ様!!素直に言わないとダメですよ~!!パレオも心の底から如月さんの無事を祈ってますよ!!』

 

『弦太朗・・・。引っ越す前に言った「また会う」って約束を守ってくれたみたいに、みんなを守るって約束も守ってくれるって信じてるから・・・』

 

 

 

 

 

「あぁ!!言われなくてもダチとの約束も街も一緒に守ってやる!!」

 

『ふふっ・・・それじゃロック達が待ってると思うから私達はここまでかな。武道館での私達・・・楽しみにしててね』

 

「おう・・・!!」

 

 

 

『レイと弦太朗、なんか傍から見たら―――』

 

『マッスーさん・・・それは言っちゃ―――』

 

『ちょっとレイヤ!!何で勝手に締めてんのよ・・・!!締めるのはわた―――』

 

レイヤとの弦太朗のあまりにも通じ合っているやり取りに、ますき達はざわつく横ではチュチュが何かを言いたそうだったが、それを無視してレイヤはそのまま通話を切ると、羽丘組だけが通話に残っていた。

 

 

『なんか凄かったね・・・!!ろっか!!』

 

『レイヤさん・・・大人やわぁ・・・!!』

 

『ちょっと2人とも言う事それでいいの・・・!?』

 

「ん・・・?あこ達か・・・?」

 

RASの次に来たのは羽丘の1年組。

弦太朗はてっきりバンドごとになってくると思っていた上、訳の分からないことを言っていたことも相まって彼は首を傾げていた所に唯一の落ち着いている明日香が彼の疑問に答えていた。

 

 

 

『学年ごとに纏まろうってなって・・・。ほら、あこ達は何か言うことないの?』

 

『げんたろう!!あこ達もみんなと一緒に応援してるからね~!!』

 

『如月先輩には・・・その・・・色々してもらってばっかりですけど・・・その・・・旭湯で待ってますから!!』

 

『六花・・・。その言い方は誤解を生むと思うよ?・・・ほらあそこの2年生組が・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

『『六花~(六花ちゃ~ん)!!』』

 

『ひぇええええ!!』

 

ロックの発言に明日香が思わずツッコミを入れると、その後ろではひまりとつぐみの2人が鬼の形相を浮かべながら彼女を引き摺っていく光景に明日香は呆れてしまっていた。

 

『全く、こんな非常時に何やってんだか・・・』

 

「何があったんだ?」

 

『如月さんは別に気にしなくていいですよ。六花達がお姉ちゃんみたいな馬鹿やってくれたせいで何言うか忘れちゃいましたよ・・・。その・・・お姉ちゃんたちをお願いします・・・!!』

 

 

 

『はいはい!!じゃあ次はあたし達だね~!!』

 

『あ~日菜さん!!まだ話してる途中ですって~!!』

 

『あ~大丈夫なんで・・・』

 

『ちょっとヒナ!!』

 

 

 

『リサちー酷いよ~』

 

『ほら!!あんまり時間かけてもアレだからさっさとやる!!』

 

ロックが作った微妙な空気をぶち壊してながら日菜が突如として乱入し、画面いっぱいの日菜の顔。

そんな中で明日香が空気を読んで3年生に順番を譲ると、リサが日菜の首を掴んで後ろに引き摺りながら一喝すると、彼女達は思い思いに話し始めていく。

 

 

 

 

 

『弦太朗、君は世界の命運を分ける大舞台の主役だ。今回は裏方は私達に任せてくれ』

 

『街が無くなるなんて全然るんってしないもんね!!ゲンちゃん!!ファイトだよ!!』

 

『何かあってもジブン達が出来ることをやるので任せてください!!』

 

 

『如月、これは私達の武道館の前座よ?最高の舞台で私達のライブを見せてあげるわ』

 

『友希那ちゃん~。それじゃあチュチュちゃんと言ってること一緒――って顔真っ赤にしてどこ行くの~?』

 

日菜に指摘された友希那は顔を真っ赤に染めるとそそくさと画面から消えていくと、リサはそんな友希那を見て乾いた笑いを零していた。

 

 

 

『アハハ~・・・。でも、なんだかんだ言って弦太朗ってちゃんとしたRoseliaのライブって見たことないんだよね~』

 

「前に見た時は紗夜がいなかったからな・・・。そういえば、チュチュの時もロックとパレオが居なかったり、香澄達はなんだかんだで蔵でしか見てねぇな・・・」

 

『そうだったのかい?私達は何度かあったから知らなかったよ』

 

『パスパレはライブのアンコールだけでしたけど・・・』

 

『それもあってみんな気合入ってるんだよね~。だから、アタシ達の努力を無駄にさせないでよ~。ってことで最後はモカ達ヨロシクね!!』

 

『あいあいさ~』

 

リサ達3年との話が終わるとそれと入れ替わるようにして蘭を除いたAfterglowの面々が画面に映し出されていた。

 

『げんたろーさん。こっちはモカちゃん達にお任せあれ~!!』

 

『商店街でみんなと待ってるからね!!』

 

『こっちはアタシに任せとけ・・・みんなのことくらい守ってみせるさ!!』

 

『弦太朗くん!!頑張ってね!!ほら蘭もなんかいいなよ!!』

 

『ちょっとひまり・・・!!特にいう事ないんだけど・・・』

 

『ちょっと蘭~!!何言ってんの~!?』

 

そんな中で画面に映っていなかった蘭がひまりによって画面の前まで引きずり込まれるが、彼女は弦太朗に話すことなど全く考えていなかったことをひまりにツッコまれると、彼女はとりあえず話をは陣てた。

 

『あんたならどうにか出来るって分かってるから特に心配もしてないけど・・・あたしはどんな結果になっても後悔しないから弦太朗も全力でやってきなよ』

 

「んっ・・・」

 

『何?なんか言いたいことでもあるの?』

 

蘭の言葉を聞いた弦太朗は不意に何か考え始めるとその事を指摘されるが、彼はそのまま唸ると思い出したかのように呟いた。

 

「蘭の親父さんに礼をしねぇとなぁ・・・」

 

 

 

 

『はぁ・・・?』

 

『蘭!!それどういうこと!!』

 

『どういうことなの!?蘭ちゃん!!』

 

『ちょっと待って!!弦太朗!!アンタも何言って・・・!!』

 

 

 

「じゃあ、行ってくるぜ!!」

 

『いってらっさ~い』

 

『如月!!頼んだぜ!!』

 

 

 

『ちょっと待て!!話はまだ―――!!』

 

「・・・しゃ!!」

 

最後の最後で蘭が何かを言おうとしたが、モカがそのまま通話を切ると室内は静まり返る。

そんな中で自身に気合いを入れるための声を出すとそのまま生徒会室から出て、決戦の場所に向かおうとするが―――

 

 

 

「あら?日菜ちゃん達とあんなことやってたのに私達とはしないなんて薄情じゃないかしら?」

 

「全くですね・・・」

 

「弦太朗!!」

 

「お前らまで・・・って・・・」

 

彼が生徒会室を出たのと同時に声をかけてきたのは花咲川に通っている面々だったが、そこにポピパの姿は無い。

 

「香澄達は・・・」

 

「あの子達なら大丈夫よ。とりあえず何か言いたいことがあったら手短に済ませましょ」

 

そう千聖が行った途端に真っ先にハロハピの2人が彼の元へと飛び出してくる。

 

 

 

「弦太朗!!」

 

「ゲンちゃん先輩!!」

 

「こころにはぐみか。そっちは任せたぜ?」

 

 

 

「まっかせといてよ!!」

 

「えぇ!!みんなを笑顔にして見せるわ!!」

 

「えっと・・・如月くんも無理しちゃだめだよ・・・?」

 

「花音さん?流石にこの状況で無理しなかったら後がヤバいんで・・・」

 

「っていうか美咲も無理すんなよ?」

 

そう言って弦太朗は美咲へと視線を向ける。

今は平然と立っているが実際にはダメージがまだ残っているのが分かっている彼は心配そうな視線を向けるが、彼女からは笑顔が返ってくる。

 

「本当は楽したいですけど、流石に今回は無茶しないとダメですからね?まぁ、こっちはこっちでなんとかしますよ・・・。それじゃ私達は戻って準備するよ~」

 

「えぇ!!弦太朗また後で会いましょう!!」

 

「ばいばーい!!」

 

 

 

 

 

「如月くん!!えっと・・・その・・・ぎゃんばっ!!あうぅ・・・噛んじゃった・・・」

 

「彩ちゃんったら・・・」

 

「おいおい・・・。でも、なんか肩の力は抜けたな」

 

「えへへ~」

 

「アヤさん!!褒められてないと思います!!」

 

そう言って嵐の如くハロハピが去っていくと入れ替わるように、今度はパスパレのアイドル達が彼の元へと向かってくるが、早々に彩がいつも通り噛んでしまい、彼らの肩の力は抜けてしまっていた。

 

「皆さんは私とミサキさんでお守りします!!武士に二言はありません!!」

 

「あなたは武士じゃなくてアイドルよ・・・。とりあえずケガするなとは言わないけれど、あなたは私のマネージャーなんだから何が何でも帰ってきなさいよ?」

 

「ってまだ続いてんのかよ・・・」

 

「少なくとも私はあなたを解雇した覚えはないわよ?そうね・・・帰ってきたら・・・キス位はしてあげましょうか?」

 

「千聖ちゃん!!ずるい!!」

 

「彩ちゃん、何を言ってるの?芸能人は僅かチャンスを物にするものよ?」

 

「なら私も―――!!」

 

「ダメよ」

 

「なんでさー!!」

 

イヴ達を放置して盛り上がり始める彩と千聖。

危機的な状況にも関わらず、いつも以上にバカみたいなことをし始めていたがそれを見て遂に紗夜の怒りが爆発した。

 

 

 

 

 

「こんな時に何を言ってるんですか!!若宮さん!!2人を連れて行ってください!!」

 

「分かりました!!ではご武運を!!」

 

「イヴちゃん!!離してぇえええええ!!」

 

「紗夜ちゃん!!待って!!話せば分かるわ!!ちょ!!あぁぁあああああ!!」

 

そう言ってイヴに引き摺られるようにしてアイドル達が退場していくのを弦太朗と紗夜燐子の3人は見送ると、呆れたように紗夜はため息交じりに呟いた。

 

 

 

 

「全く、こんな状況なのになんであそこまでふざけてられるのかしら?」

 

「氷川さん・・・。多分、こういう状況だから肩の力を抜こうとしたんじゃ・・・」

 

「そうかもしれませんがやりすぎです!!全く・・・これから生きるか死ぬかの状況・・・なのに・・・」

 

 

 

紗夜は呟きながら弦太朗と向かい合うと自分がしたことを思い出してしまい表情が暗くなる。

それを察してか燐子が先に言葉を出していた。

 

「如月さん・・・氷川さんが生きるか死ぬか・・・と言ってましたが、必ず生きて帰ってきてくださいね・・・?それに・・・

 

 

 

 

死ぬのは校則違反ですから・・・」

 

「っ!!燐子・・・それ・・・」

 

弦太朗が天校でのライダー部の顧問である教師から言われた言葉と全く同じことを燐子から言われて目を丸くして驚いていたが、そんな燐子の横では訳が分からないといった表情をした紗夜が彼女に視線を向けていた。

 

「白金さん・・・そんな校則はありませんが・・・?」

 

「・・・今、作りました・・・。私は生徒会長・・・ですから・・・。だから氷川さん。風紀委員として・・・お願いしますね・・・?」

 

そう言って燐子は紗夜に笑みを浮かべると、彼女はハッとした表情を浮かべたと思ったら目を白黒させて驚き、表情がコロコロ変えていた紗夜が落ち着いたのか弦太朗へと視線を向けていた。

 

 

 

「事件を起こした側にいた私が偉そうに言える立場ではありませんが・・・こう生徒会長である白金さんも言ってますから必ず校則は守ってくださいね?」

 

「おう!!天校にも同じ校則があるからな!!」

 

弦太朗は紗夜の言葉に笑顔で答えると、それに釣られて紗夜も燐子も笑みを零していた。

 

「・・・では、私と白金さんもそろそろ弦巻さん達のところに行かないと・・・」

 

「私達もその・・・如月さんの帰りを・・・待ってますから・・・」

 

 

 

 

 

「俺も行ってくるぜ・・・!!」

 

そう言って紗夜達と弦太朗は互いに背を向けるとそれぞれが覚悟をもった表情で別々の道を歩き始めるのだった。

 

 





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環・情・音・楽-8 Noヒーロー!!I'm a 仮面ライダー

投稿です。
さてと、ライダー最終回にありがちなレスバトル。
どっちの主役も苦手そうですが・・・

話には全く出てないですがMyGOちゃん達の情報が解禁されてきましたね
制作発表の時にMyGOのキャラ名の頭文字で”STAR”、”START”になるというお話がありましたが、
ポピパは”STAR”と”STARK"が出来ます。
starkの意味は・・・うん、エボルトォオオ!!って感じですかねぇ・・・


 

「・・・」

 

先日、ジェミニとの戦闘があった丘は静寂に包まれていた。

その中心でオーナーは雲一つない空を見上げてから自身のギターを構えると、懐から先日ジェミニから回収したスイッチを取り出すとスイッチは彼女の周囲に浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

それが彼女が待っていた瞬間を告げる合図だった。

 

 

 

 

 

「それじゃ・・・・・・いこうかね・・・」

 

そう呟くと同時に彼女がギターを鳴らそうと腕を振り下ろそうとしたその時、彼女の耳には明らかな異音が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

「近づいてくるこの音は・・・・・・?っ!!あれは・・・!!」

 

それが何かが最初は分からなかったが、近づいてくる音とそこから聞こえてきた言葉に彼女はその正体を理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――変身!!」

 

「・・・やっぱりきたかい」

 

その正体は自身のバイクに跨った弦太朗。

彼はバイクに跨ったままドライバーに手を掛けてフォーゼに変身すると、それを見たオーナーは若干慌てながらもギターを構えた状態でサジタリウスへと変身するとバイクへ向かって矢を放つ。

 

しかし、それがフォーゼに当たらず矢は彼の周囲で爆発を起こしていく中をフォーゼはバイクでサジタリウスの横をすり抜けてUターンして再び突撃するが、このわずかの間にサジタリウスは冷静さを取り戻していた。

 

 

 

 

「近づけば当たりやすくなるなんて馬鹿にでも分かるよ・・・!!」

 

馬鹿の一つ覚えの様に再び突撃してきたフォーゼに矢を放つと、今度はフォーゼを巻き込んで爆発を起こす。

 

その光景を見たサジタリウスはこれで倒せたと油断してしまったが、爆発の中からバイクが飛ぶとサジタリウスへ落下するように突っ込んでくる。

 

 

 

 

「懲りずにまた・・・!!なに・・・?」

 

しかし、突っ込んでくるバイクにサジタリウスは再び矢を放つとバイクはその矢に当たって弾き飛ばされるがそれを見たサジタリウスは声を出さずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「誰も乗っていない・・・?爆発の中で振り落とされたのかねぇ・・・」

 

爆発から飛び出してきたバイクの上にフォーゼの姿はない。

サジタリウスはそう決めつけてそのまま変身する前に構えていたギターに手を掛けようとした。

 

「っ!!」

 

しかし、その瞬間サジタリウスは長年の経験から来たものかは分からないが、その体を後ろに逸らすと突如として見えた爪がその場所を通り過ぎ、サジタリウスはその爪の根本に視線を向けていた。

 

 

 

 

「こいつ・・・!!いつの間に!!」

 

「よっと!!」

 

そこにいたのは爆発の中でバイクから振り落とされたと思っていたフォーゼがいた。

起動していたクローをサジタリウスに振り抜いていた姿にサジタリウスはまたも反射的に腕を払うように振るが、フォーゼはそのまま飛び退くと右足をそのまま地面に振り下ろした瞬間にその姿を消す。

 

サジタリウスが周囲にいるであろうフォーゼを探そうとするが、姿が消えている状態でフォーゼが爪を振るうと今度はサジタリウスの身体を掠めただけで全くダメージがない。

そう思っていたがフォーゼはサジタリウスから再び距離を取ると仮面の下で隠れているが得意気な声を挙げていた。

 

「うっし!!作戦は上手くいったな!!」

 

 

 

 

 

「何言ってんだい?」

 

「よーく見てみな!!」

 

フォーゼから放たれた言葉をサジタリウスが分かっていなかったが、そんな状況でフォーゼはドライバーのスイッチを交換しながらサジタリウスの手元を指差すとそれに釣られるようにサジタリウスは自身の手元に視線を送ると驚愕の声を挙げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつ・・・ギターの弦だけを・・・!!」

 

「有咲が立てた作戦だ!!ギターが使えなきゃ婆さんのやりてぇことは出来ねぇだろ?」

 

「・・・っ!!このガキ・・・!!」

 

サジタリウスが変身前から構えていたギターだったが、今は弦だけが綺麗に両断されたギターの姿にサジタリウスは我を忘れて怒りだす。

彼の―――有咲が立てた作戦が綺麗にハマっていたが、まだ戦いは終わっていない。

 

 

ここでフォーゼが倒されればギターが直されて、彼女の目的は達成してしまう。

ギターを使えなくしたがそれはあくまでも時間稼ぎでしかなく、サジタリウスを倒さない限りは彼女を止めることが出来ない。

 

それが分かっているフォーゼはそのままスイッチを入れ替えていた手を止めると、フォーゼはサジタリウスに視線を向けるとサジタリウスはその場に自身のギターを置いてフォーゼを睨みつけていた。

 

「みんなが街を守ってくれって・・・!!だから俺達はあんたを止めて街を消させねぇ!!」

 

「人殺しがヒーロー気取りかい?ヒーローごっこは他所でやんな・・・!!あんた・・・それで人の望みを踏みにじっていいって思って―――!!」

 

フォーゼの言葉にサジタリウスが食って掛かっていくが、それを遮ってフォーゼは先日聞いた言葉を思い出してそれを口にしていた。

 

 

 

 

 

 

「それがどうした・・・!!」

 

「なっ!?」

 

「俺はヒーローじゃねぇ。確かにあんたの望みをぶっ壊すかもしれねぇ・・・。だけど、俺はダチの為にあんたを止める!!そんでアンタともダチになる!!」

 

「ふざけるのも大概にしな・・・!!」

 

フォーゼの言葉にサジタリウスは絶句してしまった。

先日は自身の言葉で精神的にダメージを受けて、今回も前回ほどではないにしてもダメージがあるだ

ろうと思っていたが全くダメージがない。

それどころか、完全に開き直ってサジタリウスの理解が及ばない言葉をぶつけられて逆にサジタリウスがその言葉に怒りを爆発させてるとその体に異変が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

「ガキが大人の邪魔するんじゃない・・・!!」

 

「俺はダチの自由と平和を守る・・・仮面ライダーだ!!」

 

突如としてサジタリウスの身体からフォーゼからもハッキリ見えるほどのエナジーが噴き出すが最終決戦が一筋縄ではいかないことは分かっていたフォーゼは落ち着いた様子でいつも通りに拳を相手に突き出していた。

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダーフォーゼ・・・最後の・・・タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「ふざけるんじゃないよ・・・!!」

 

「行くぜ!!」

 

 

 

 

――エレキON――――――――

 

その言葉を聞いたサジタリウスは矢をフォーゼに向けて放つが、フォーゼはエレキステイツへと変身するとロッドで矢を打ち払いながら駆け出していく。

 

「っう!!・・・らぁああ!!」

 

「こいつ・・・!!」

 

「これはアイツらから受け取った青春のバチバチの気持ちだ!!」

 

 

 

 

 

―リミットブレイク―

 

「ライダー100億ボルトブレイク!! 」

 

「ぐっ・・・!!この・・・!!」

 

「ぐわっ!!」

 

フォーゼは矢を撃ち落としてはいるものの、いくつかの矢はフォーゼの直撃するがそれでも構わず前に出ながら、ロッドへスイッチを装填して即座にリミットブレイクを発動してロッドをサジタリウスの胴へと叩きつける。

ダメージを受けたサジタリウスだったが彼女も至近距離にいるフォーゼへと零距離で矢を放つと爆発が起こり、フォーゼがダメージを受けて後ろへと吹き飛ばされていく。

 

 

 

 

 

「ガキのアンタには計画の―――夢の大きさが分からないだろ!!」

 

「夢の大きさに大小なんてねぇ・・・!!アンタのその夢のために香澄達の・・・ダチの青春を奪わせるわけにはいかねぇ!!」

 

「アタシを止められると思ってんのかい?」

 

「止めてやる!!・・・青春に不可能はねぇからな!!」

 

――ファイヤーON――――――――

 

フォーゼとサジタリウスの間で再びの問答が繰り広げられるが、フォーゼはその間にファイヤーステイツへと変身するとサジタリウスが互いに撃ち合い始めると中間点でぶつかり合って爆発する。

 

その中でフォーゼはサジタリウスへと近づいていき、爆発によって互いの姿が完全に姿が見えなくなったその瞬間にフォーゼは動いた。

 

「・・・これはアイツらの青春の熱さだ!!」

 

「なに?」

 

―リミットブレイク―

 

 

 

 

 

 

フォーゼは途端に射撃を辞め、サジタリウスの矢を前に向かって転がりながら回避するとスイッチを銃へと装填してその銃口を零距離で突き付けていた。

 

 

 

 

「ライダー爆熱シュート!! 」

 

「がぁ!!」

 

流石のサジタリウスも2回目の大技には堪え切れず、よろめきながら後ろへと下がっていく。

そして、距離がすこし広がったタイミングで反撃の矢を放つが今度はフォーゼが後ろに飛び退いて避けていくと、サジタリウスは半ば自棄気味に矢をフォーゼに向かって放ち始めていた。

 

「・・・俺はアイツらの青春も!!街も、理事長たちから託された夢も守る!!」

 

「っ!!・・・気持ちでどうにかなると思ってんのかい!!」

 

「どうとでもなるもんだ!!・・・アストロスイッチってのは!!・・・気持ちのスイッチだからな!!」

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

―――マグネットON ―――

 

 

 

 

―――リミットブレイク ―――

 

 

問答の最中に突如としてサジタリウスの攻撃が止まった瞬間にフォーゼはマグネットステイツへと変身して即座にリミットブレイクを発動し、肩のマグネットキャノンがサジタリウスの至近距離に迫るが彼女は全くそれに反応することが出来ていなかった。

 

 

「食らえ!!これが俺とアイツらの青春の磁力!!ライダー超電磁ボンバー!!」

 

「ぐわぁああ!!」

 

「・・・なんか来るな・・・それでも関係ねぇ・・・!!」

 

 

 

 

――コズミックON――――――――

 

3連続のリミットブレイクが直撃し、遂に耐え切れなかったサジタリウスはそのまま地面を転がっていく。

しかし、その時フォーゼの勘が悪いものを感じ取っていたがフォーゼはマグネットステイツを解除してコズミックステイツへと変身が完了するのと同時にサジタリウスの方でも変化があった。

 

 

「これ以上・・・邪魔させない・・・!!」

 

「赤くなりやがったか・・・!!それでも・・・みんなの絆で宇宙を掴む!!」

 

スイッチャーのオーナーの気持ちの反応したのか定かではないが、サジタリウスがこのタイミングで今まで使用していなかった超新星を使用して天校で我望が変身したのと全く同じサジタリウス・ノヴァへと変身していた。

 

目の前のサジタリウスを警戒はしているが、今のフォーゼは今までの戦闘のダメージを与え続けていることと、戦いに赴く前に受け取った彼女達の言葉がその背中を押していることもあってかその姿に怯む様子はなく、手早くソードをスラッシュモードに変形させてからドライバーのコズミックスイッチをソードに装填していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタの気持ちと俺たちの気持ち―――どっちが強いか勝負だ・・・!!」

 

―――リミットブレイク―――

 

フォーゼはその言葉と共にソードにコズミックスイッチを装填し直すとソードにエナジーが溜まり始めるのと同時にサジタリウスの矢もソードと同じようにエナジーが溜まり始める。

そして互いのエナジーが同じタイミングで最大まで溜まり、全く同じタイミングで互いの必殺技が放たれた。

 

「いい加減にしな・・・!!」

 

「ライダー超銀河フィニィィィィッシュ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに隠れたんだ・・・っ!!この音は・・・!!」

 

エナジーが込められた矢が、ソードから繰り出された斬撃が先ほどの打ち合いと同じように彼らの間でぶつかり合った瞬間、彼らを巻き込むほどの爆発が発生した。

それによって完全に視界が潰されて互いが見えなくなっていた中でサジタリウスはフォーゼを探すが、その姿を見つける前に彼女の耳には先ほどから何度も聞いた言葉が耳に飛び込んできた。

 

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

 

 

 

「来るかい・・・!!」

 

フォーゼの技の発動音が聞こえてきたサジタリウスはフォーゼから放たれるであろう斬撃を迎え撃つために弓を引いて構えるが、攻撃が飛んでくることがなかった。

 

 

「どこから・・・!!」

 

 

 

 

 

「うぉおおおおおおおおおお!!」

 

「ぐぅ!!真っすぐ・・・!!」

 

「アンタには一緒に来てもらうぜ!!」

 

「何・・・!?」

 

しかし、飛んできたのは斬撃―――ではなくフォーゼ自身。

爆発の間にフォーゼはスラッシュモードからブーストモードに変形させて、リミットブレイクを発動してサジタリウスへと突撃していた。

予想外の攻撃にサジタリウスは迎撃することも回避することも出来ず、フォーゼの突撃を真正面から受けるとそのままフォーゼはその背後にワームホールと生成してサジタリウス諸共飛び込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらっ!!」

 

「ぐぅ・・・!!」

 

そしてそこから出た途端、フォーゼはサジタリウスと突き飛ばすとサジタリウスはそのまま床に転がると力を使い果たしたのかサジタリウス・ノヴァから通常のサジタリウスの姿に戻ってしまう。

しかし、サジタリウス自身はその事に全く気が付いておらず、周囲を見渡してフォーゼによって連れてこられた場所を確認し始める。

 

だが、彼女自身にはその場所に見覚えが全くないがそこにいた人物達のことは知っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・花咲川かい・・・それになんで戸山たちがここにいるんだい・・・!!」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

フォーゼがサジタリウスを連れてきた場所は花咲川の体育館―――

そして、体育館の壇上にはPoppin'Partyの5人が楽器を構えて立っていた。

 

 





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感想評価は気分次第でお願いします。

ウインチ&ボードを使用したフォーゼがマスキングの運転するバイクに引っ張られて登場するというネタもありましたが、
みんな来ないのに1人だけ来るのもあれだから没ネタにしました。



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環・情・音・楽-9 なぜ彼女達は舞台に上がったのか

投稿です。
今回はクライマックス!!

―――の前ですね。
壇上に立つまでの彼女達のお話ですね・・・


 

「ここは・・・花咲川かい・・・それになんで戸山たちがここにいるんだい・・・!!」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

サジタリウスは壇上にいるPoppin'Partyの5人に向けて声を挙げるが彼女達は真剣な眼差しをサジタリウスへと向けていた。

 

それは少し前に遡る―――

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったらやろうじゃねぇか・・・

ライダー部流の卒業式・・・いや卒業ライブってのをよ!!」

 

「「「「おぉー!!」」」」」

 

『『『『『おぉー!!』』』』』』

 

弦太朗の言葉に一同は勢いのままに声を挙げる。

しかし、そんな空気の中で空気をぶち壊す発言が飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『盛り上がっているところで言いにくいのですが、どうするんですか・・・・?場所は・・・?それにライブって言っても誰が演奏を・・・?』

 

「確かに・・・そんなすぐに抑えられる場所なんてねぇぞ?」

 

「まぁ、オーナーを連れてくるのは如月さんがやることになると思いますけれど・・・」

 

『紗夜さんもさっき一緒に声挙げてましたよね?ね?リサ姉?』

 

『ね~。それなのに急に真面目になっても・・・』

 

「今井さんも宇田川さんもさっきのは忘れてください!!」

 

『ルイの言ってることは何も間違ってないわよ。ライブハウスを今すぐ借りれると思う?』

 

瑠唯の指摘に有咲と紗夜が冷静になるが、一番最初の問題は場所だったが、真っ先に場所を思いついたのは以外にも彩だった。

彼女は自信満々に意見を出していた。

 

「チュチュちゃん!!まりなさんのとこはダメかな?事情も知ってるし・・・!!」

 

「彩ちゃんダメよ。もしも戦うことになったらあそこでは広さが足りないでしょう?それに移動して準備して時間が間に合うか分からないわね・・・CiRCLEのフロアじゃ戦いなったら確実に周囲への被害は免れないからダメよ」

 

しかし、彩の意見は千聖によってバッサリと切り捨てられる。

落ち込む彩だったが、彼女の意見からある程度の場所の条件が出てきた。

 

『纏めると・・・すぐに場所と機材が用意出来て、戦いになっても大丈夫な広い場所・・・そんな都合の良い場所・・・』

 

 

「ゲンちゃん!!それって!!」

 

「あぁ・・・あるじゃねぇか・・・。とっておきの場所がな・・・!!」

 

「ねぇ。香澄?弦太朗?それって・・・・・・?」

 

電話の向こうでつぐみが場所の条件について話した途端、弦太朗と香澄が何かを思いついて互いの顔を見合わせる。

そんな2人に沙綾が問いかけると、2人は笑みを浮かべて全く同じ場所を言い放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「学校!!」」

 

「ちょっと待ってください!!学校でやるって・・・!!」

 

「紗夜先輩!!ちょっと待ってください!!・・・確かに場所の条件的にはいいかもしれないです!!」

 

「市ヶ谷さんまで!!」

 

2人の発言に真っ先に紗夜が反論しようとするが、有咲が2人の援護に入ったことに驚きの表情を浮かべるが援護は彼女だけではなかった。

 

『紗夜さん・・・学校の体育館だったらある程度の広さもあります!!それに―――』

 

『ツグちゃんの言う通りだよ!!前に合同で文化祭をやった時にステージで使ってた機材はそれぞれのところのだったよね!!』

 

「確かに・・・お2人の言う通りですね・・・」

 

「白金さんまで!!ですが、機材のセッティングに時間が・・・」

 

『紗夜さん!!学校で使う機材ですからそんな複雑なものではないはずです!!写真さえ見せてもらえればジブンやキング達で教えられます!!』

 

『麻弥さん!!自分も出来る限りは頑張るっす!!』

 

『あの・・・ライブって言ってましたけど・・・誰が演奏を・・・?』

 

場所の議論が進む中で、ましろがこの空気をぶち壊して演者についての話を挙げてしまった。

しかし、そちらの方は真っ先に反応を示した人物がいた。

 

 

 

 

 

 

『私達、Roseliaがやるわ・・・』

 

「あの・・・友希那さん・・・」

 

ましろの言葉に真っ先に反応したのは友希那だったが、燐子はその反応を示した友希那に何かを伝えようとするも彼女は燐子の言葉を聞かずに名乗りを挙げた理由を話始める。

 

『・・・こんな失敗は許されない状況よ。それにRASとは違って私達はオーナーのライブハウスでライブもあって接点もあるわ。それに―――』

 

「あの・・・湊さん。それはかなり難しいと思うんですけど・・・」

 

『奥沢さん。どういう事かしら?』

 

『友希那~。燐子は花咲川の生徒会長だよ?終業式で挨拶とかがあるから流石に無理だと思うな~・・・』

 

 

 

「今井さんの言う通り・・・です・・・」

 

『・・・・・・』

 

『ふっ・・・』

 

『チュチュ、あなた笑っているけれど何か考えがあるのよね?』

 

『Yes・・・!!』

 

意気揚々と理由を語っていた友希那だったが、燐子は生徒会長としての仕事があるから抜け出すのは難しいということを告げられた途端に言葉を失ってしまった。

チュチュはそんな友希那を見て笑ってしまったが、友希那はむすっとした表情で彼女に聞くとチュチュは若干だが不満そうな表情を浮かべたチュチュから出たのは周囲からしたら余りにも予想外の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

『Liveをするのは・・・Poppin'Party・・・アンタ達よ』

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

「私達・・・?」

 

『チュチュ様どうされちゃったんですか!?はっ!?もしかして体調がすぐれないんですか!?』

 

『らしくねぇなチュチュ。お前だったらこんな舞台譲らねぇだろ?・・・ぶっ壊れちまったのか?』

 

全員がチュチュの言葉を信じられないといった表情を浮かべ、パレオとますきにとんでもない言葉を口にし始めていた。

 

『No!!・・・街の―――いえ、世界の命運がかかるライブよ?バンドとしての完成度だけで言えばRASかRoseliaが出るべきだけれどよ。・・・このビデオ通話で状況が分かるわよね?アリサ』

 

「まぁ、燐子先輩と日菜さんは生徒会の仕事で動けないし、終業式中に部外者のRASが入れる訳がねぇからな・・・」

 

『そうなるとバンドの全員が同じ学校じゃないとダメだけど・・・巴ちゃんは羽丘での荒事要員だからモニカとポピパのどっちかになるけど・・・』

 

『・・・月ノ森は難しいでしょうね』

 

『そういうことよ。やるかやらないかすぐに決めなさい。無理なら別のプランを―――』

 

 

 

「やる・・・!!」

 

「どの曲やろっか?」

 

「私もやる・・・!!」

 

「ちょっとりみまで!!」

 

チュチュに名指しされたポピパ。

香澄とたえが真っ先に名乗りを挙げるとその後にりみが続くが、沙綾はそんな3人の姿に戸惑いを隠せずにいたが、そんな彼女に有咲が話しかけていた。

 

「・・・沙綾、どうするんだ?」

 

「世界の危機とか入れても・・・正直、私には荷が重すぎるよ・・・」

 

 

 

「沙綾!!大丈夫だよ!!」

 

「世界がどうこうって言うのはよく分かんないけど・・・ライブはしたいかな」

 

「うちも・・・友達の為やから・・・!!」

 

「おたえと同意見ってのはちょっとあれだけど・・・実際、どうこう言われても実感が沸かねぇ・・・。でも、香澄とかばーちゃんとかみんなの為だったら・・・私もやるぞ」

 

「・・・わかった。やる・・・!!ポピパのみんなとなら行けそうな気がする・・・!!」

 

ポピパの全員がやると決めた姿にチュチュは愉快そうな笑みを浮かべていた。

 

『OK!!アンタ達の出来る最高の音楽をぶつけてやりなさい!!そうなると場所は花咲川になるけれど・・・会場に関してはこっちでは何も出来そうにないわね』

 

「やるにしても・・・他の生徒達はどうするんですか?」

 

「それなら任せてちょうだい!!」

 

「ふえぇ?こころちゃん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「あ~・・・大体分かった・・・。黒服さーん」

 

バンドの問題は解決したが、最初に出た場所の問題と事件に関係のない人たちについての問題が出てきたがこころの一言で美咲が全てを察して即座に黒服を呼び出すと即座に黒服は彼女達の前に姿を現していた。

 

「学校のみんなが一緒にいられる場所はないかしら?私達も学校のみんなの前でライブよ!!」

 

「それと、山吹さんと市ヶ谷さんの楽器もですけど・・・・・・どうにかなります?ってちょっと待ってこころライブ?私達も?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・こんなこともあろうかと準備していました」

 

「ふえぇ~!?」

 

突然の無茶ぶりだったが、普段からこころに鍛えられている黒服にとってその程度の事は造作もない。

むしろこの状況を察して裏で準備を進めているとまで言ってのけた。

とてつもなく心強いその言葉に彼女達は安堵していたがこころはその程度では満足することはない。

 

「香澄達がやってるのを離れている場所からでも届くように音楽で応援するのよ!!」

 

「こころん?でも、薫くんもミッシェルもいないし、他のみんなのところだって揃ってないよ?」

 

 

 

『紗夜なら大丈夫よ。瀬田さん程の完成度は難しいけれど、譜面に沿って弾くくらいならなんとかしてくれるはずよ』

 

『彩ちゃん!!千聖ちゃん!!おねーちゃんはパスパレの曲を家で弾いてたから大丈夫だよ!!』

 

「日菜!?」

 

「日菜ちゃん・・・でも、麻弥ちゃんもいないし、イヴちゃんも・・・」

 

「千聖ちゃん!!あのね・・・私、千聖ちゃんと演奏できるかなって思って少しなら出来るよ!!」

 

「花音ちゃん!!凄い!!」

 

「リンコさん!!私、キーボードの楽譜なら持ち歩いてます!!」

 

 

 

 

 

「・・・分かりました。若宮さんの分も・・・頑張りますね・・・」

 

「全く・・・ここまで言われたら引き下がる訳にも行きません!!」

 

まさかのこころ達まで香澄達とは別の場所でライブをするといいはじめ、紗夜と燐子に至っては完全に外堀を埋められて逃げ場を無くしてブレーキなど掛けずに突っ走ることを決めると彼女達は動き出すためにライブの事に集中し始めた有咲に変わってつぐみ達が意見を出していた。

 

 

『紗夜さんと燐子さんはこころちゃんの家の人達と一緒に職員室に行って、先生たちに体育館の機材が壊れたとか言って誘導を・・・!!』

 

『その間に空いてるメンバーは機材のセッティングね・・・。大丈夫よ。学校の機材は複雑なセッティングは必要ないでしょうから分からなければ私とマヤ、マスキング達でやり方は教えるわ!!ポピパはさっさとライブの曲を決めてきなさい!!』

 

『有咲ちゃん達はライブの方に集中して!!』

 

「後は・・・こちらでなんとかしますから・・・」

 

 

 

「分かりました・・・。おい!!とりあえず香澄達は楽器持って体育館に行くぞ!!沙綾は私と先に体育館だ!!」

 

そうしてポピパは後の事を任せて、楽器を持って体育館へと向かうと彼女達に遅れて紗夜達と有咲達の楽器を持ってきた黒服の力を借りて壇上に楽器をセットし終えると、ポピパの5人だけが残されてると彼女達は体育館のステージの上で誰もいない体育館の中を見渡していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても・・・いつ来るんだ・・・」

 

「有咲?もしかして緊張してる?」

 

「おたえ、当たり前だろ・・・。みんなとかばーちゃんのためって言って考えない様にはしてたけど、こういざってなったらつい考えちまうんだよ。失敗したら街と一緒に仲良く吹っ飛んで、世界がめちゃくちゃになるって言われるとな・・・」

 

「有咲、震えてるよ?でも、私も有咲と一緒かな・・・」

 

 

 

「大丈夫だよ!!ゲンちゃんやみんなが私達のためにここまでしてくれたんだから!!」

 

「香澄ちゃんの言う通り・・・。弦太朗くんはこういう大事な約束は必ず守ってくれるから、私達も・・・!!」

 

ここまで勢いでやってきた有咲と沙綾。

しかし、失敗すれば世界規模の影響が出るかもしれないというとてつもないプレッシャーに2人は緊張で指先が震え始めてしまっていたが、そんな状況で香澄とりみの2人はここまでやってくれた皆や弦太朗の事を信じて、この後のことに向き合っていた。

 

「・・・とりあえず、いつものあれしておく?」

 

「お~!!おたえ~!!いいねぇ!!」

 

「有咲ちゃん。沙綾ちゃんも・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「あはは・・・。なんか難しく考えることがバカバカしくなってきた・・・」

 

「そうだよね。いつも通りやればいいんだもんね」

 

何も考えていないおたえの言葉とそれに乗っかる香澄とりみを見て、有咲と沙綾は完全に肩の力が抜けてしまい、それと一緒に緊張もほぐれていた。

 

「それじゃ・・・いくよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ポピパ!!ピポパ!!ポピパパ!!ピポパー!!」」」」」

 

いつものようにライブ前の円陣を組んでから楽器を構え直す。

その数分後に彼女達の目の前にはフォーゼとサジタリウスが姿を現すのだった。

 

 

 





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因みに、羽丘篇だったら―――
RASとRoselia。
そしてポピパとアフグロの立場が入れ替わる予定でした。


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環・情・音・楽-10 セイシュンノウタ

まことにいちゃん申し訳ない。
ネット回線が無事死亡故に遅くなり申したが、なんとか投稿です。

最終話も近いのにお気に入りとか増えて驚きです・・・
(まぁ、終わっても小ネタとかバンドごとエピローグ、多分劇場版篇とかやるかもだからもう少し続くんじゃ・・・)


 

「戸山、一体何つもりだい・・・そんな楽器なんて構えて」

 

サジタリウスに対して香澄は壇上にいる香澄に向かって言葉を掛けるが、彼女はそんなサジタリウスに対して悲しみの籠った笑みを浮かべていた。

 

「オーナーに聞いてもらうためです・・・」

 

「聞く?アンタたちの演奏をかい?こんな状況で何を今更・・・」

 

 

 

「今更なんかじゃありません・・・!!これから聞いてもらうのは私達の演奏じゃなくて、友希那さんや蘭ちゃん達・・・この街のみんなの想いです・・・!!」

 

「想いだって?そんなもんだけでどうこうなるもんじゃないだろ?・・・折角あんた達は逃げれるように忠告したのに無駄だったね・・・」

 

サジタリウスは香澄の言葉を鼻で笑いながら左腕の弓を彼女達へと向ける、しかし弓を向けられた香澄は真剣な表情を浮かべながら自身のギターを強く握りながら自身の胸に手を当てていた。

 

 

 

 

 

「この胸のキラキラに―――青春に不可能はないって教えてもらったから・・・!!だから・・・!!」

 

「・・・先に行ってな」

 

「香澄達の邪魔させねぇ!!」

 

 

 

 

 

「・・・最初から狙いはお前だよ」

 

その言葉と共に彼女達は揃って楽器を構えて演奏しようとするが、サジタリウスは彼女達から突如としてフォーゼに腕を向けてそのまま矢を放つと、フォーゼを中心に爆発が起こる。

 

しかし、彼女達はその爆発の音を合図に彼女達は楽器演奏し始める。

 

「無駄なことを・・・アンタらの頼みももうやられて―――」

 

演奏を始めた彼女達にサジタリウスは身体を向けるとそのまま弓を構えるが、彼女達は演奏を止めようとすらしない。

 

その時、サジタリウスにとって予想外の出来事が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおお!!」

 

「アンタ・・・!!生身でどうにかなるとでも・・・!!」

 

フォーゼが爆発に巻き込まれたその場所から変身が解けた弦太朗が爆風に乗って生身でサジタリウスの元へと飛んでくる。

 

しかし、変身もしていない彼は今のサジタリウスにとっては全く障害になり得ない。

そう思っていたが―――

 

 

 

 

「がっ!!」

 

「ってぇ・・・!!青春に限界はねぇって言ったろ!!それに・・・香澄達の想いの籠った歌を聞いて負ける訳にいかねぇからな!!」

 

弦太朗は爆風に乗った勢いに任せてサジタリウスの頭目掛けてヘッドバットを見舞う。

しかし、先ほどまでのダメージが残っているのか生身の弦太朗の攻撃にも関わらずサジタリウスはよろめくと先に回復した弦太朗は彼女達の歌を背にして再び駆け出していた。

 

「”教室の窓の外 はしゃぐ声 木漏れ日は キラキラ降り注いで ――― ”」

 

「らぁ!!」

 

「ぐぉっ!!どうして・・・!!」

 

 

香澄達の演奏を背に受けた弦太朗は再びサジタリウスへと駆けるとそのまま自身の拳を振り抜くと、サジタリウスはその拳を受けて後ろによろめく。彼女は身体にダメージを受けたということに驚きを隠せなかった。

 

 

以前にも生身の拳で巴がハウンドやペガサスを相手にダメージを与えていたが、今のオーナーはゾディアーツの中でも最上位の強さを持っているはずのサジタリウスへと変身しているにも関わらず、ドライバーを巻いているだけの弦太朗から受けたダメージは変身した時と同等・・・否、精神的なものも含めれば変身時以上にダメージに思わず彼女は声を挙げると弦太朗は香澄達の演奏を受けながらその問いに答えていた。

 

「"毎日が特別だった場所に みんな また集まってた ”」

 

「アストロスイッチは・・・いや、コズミックエナジーってのは気持ちのエナジーだからな!!今の俺は香澄達の気持ちと一緒だからな!!」

 

「訳の分からないことを・・・!!」

 

 

 

 

「”わたしたちが つながってる意味 ――― ”」

 

サジタリウスの言葉に答えた弦太朗は再び得意の喧嘩殺法を用いて全力で立ち向かっていく。

そんな彼の様子を視線に入れながら演奏を続ける彼女達はそれぞれが、演奏とはそれぞれの想いを胸に秘めていた。

 

 

「(ゲンちゃんに出会ってから、辛いことや悲しいことが沢山あったけど・・・。でも、それがあったから新しいキラキラドキドキを見つけれた気がする!!)」

 

「(普段の私だったら怖いと思っちゃうのに・・・!!みんなや弦太朗くんが一緒だからかな・・・?全然怖くない・・・!!)」

 

「(この後もこの5人・・・いや、ちげーな。きっと友達のみんなと一緒に乗り越えていけるって思える・・・!!)」

 

「(もう、こんな状況だっていうのに・・・有咲も後ろから見てる香澄達も・・・ううん。私だってきっとこの気持ちは一緒・・・!!)」

 

「(不思議・・・。やっぱり音楽って―――)」

 

 

 

 

「”たぶん…偶然じゃない だって音を合わせたら――”」

 

今までのことやこれからの事を想う彼女達のそれぞれの想いが曲に乗っていく。

そして、彼女達の思いは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「(音楽って・・・楽しい!!)」」」」」

 

「こいつ・・・!!諦めな・・・!!」

 

「ぐわっ・・・!!うぉぉおおおおお!!」

 

 

5つの想いが完全に1つに重なる。

弦太朗はサジタリウスに殴りつけられて床を転がるが、その想いを受けて再び立ち上がるとサジタリウスへ駆け出してその勢いを乗せて蹴りと叩きこむ。

 

 

「”キズナミュージック♪  ただひたむきに 追いかけていた 胸の奥の思い”」

 

「らぁあああ!!」

 

「ぐっ!!こいつ・・・急に強く・・・!!」

 

弦太朗もその歌の力を受けているのかサジタリウスと生身で対等以上に渡り合う。

演奏と共に想いは大きくなり、以下の彼女達は今まで以上に通じ合っていた。

 

「(今のこの気持ち・・・先輩やオーナーだけじゃなくて・・・)」

 

「(お姉ちゃんみたいに遠くにいる人たちや・・・・世界中の沢山の人たちに伝えたい・・・!!)」

 

「(だから、私達が音楽をしているこの街を消させるわけにはいかねぇ・・・!!)」

 

「(そのためにも・・・今は全力でこの曲をやり切る・・・!!最後に・・・ぶちかませ・・・香澄!!)」

 

 

 

 

 

有咲はそんな想いを込めてほんの一瞬だけ香澄へと視線を向けると、その視線に応えるために、自身や演奏している有咲達やこの場にいない友希那達全員の想いを込めるかのように彼女は歌っていた。

 

「”届けよう! わたしたちいつだって 精一杯! Forever for dreaming! 夢の向こうへ―― ”」

 

 

 

「だぁあああらぁあああ!!」

 

「がぁっ!!」

 

そして、歌が終わるのと同じタイミングで弦太朗も渾身の力で蹴り飛ばされたサジタリウスは床に転がっていくようにして倒れる。

 

 

「オーナー・・・!!これが・・・今の私達です・・・!!」

 

「1番だけの演奏でしたけど・・・前にオーナーに教えられたみたいに・・・私達、やりきりました・・・!!」

 

「戸山・・・花園・・・」

 

名前を呼ばれたサジタリウスは倒れたままの状態で壇上の彼女達へと視線を向ける。

そこにはワンコーラスの演奏にも関わらず、まるで何時間も演奏をしたかのように消耗していた彼女達の姿があった。

 

「世界中に自分の音楽を聴かせたい・・・そんな馬鹿みたいな夢は香澄やおたえじゃなくたって、音楽をやってたら誰だって1回は考えると思います ・・・それにオーナーの目的が果たされた後、どうなるか分かってるんですか!!」

 

 

「市ヶ谷、アンタが言うみたいに聞いた人間がまともな状況でいられないね」

 

「だったら!!それをspaceがあったこの街を失くしたり、人を傷つけたらダメだと思います・・・!!」

 

「ならアンタ達にわかるってのかい!!夢を―――音楽を諦める辛さってのが!!」

 

彼女達は目の前のサジタリウスへと自分たちの考えを語る。

しかし、彼女達の言葉に対してサジタリウスは激昂するがその言葉に反応した人物がいた。

 

「オーナーみたいに長い間じゃないですけど、私もお母さんの・・・家族の為って言って自分を誤魔化して音楽から離れたことがあったから好きな音楽から離れる辛さを少しくらいなら分かります!!」

 

「沙綾以上にそのことを知っているのに!!オーナーは自分の音楽のために周りがどうなってもいいんですか!?」

 

 

 

「・・・だったら、そこの男みたいに人を傷つけて夢をぶち壊すのがいい事なのかい?」

 

 

オーナーが言う事自体には表面的には全く間違いはない。

その意見に同意することは簡単だが、それは彼女達の目の前にいる弦太朗が今までやってきたことを完全に否定することになる。

でも、だからと言って人を傷つけていい理由だとどこにもないが、その問いに答えを出すものがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かにアンタの言う通りかもしんねぇ・・・」

 

「如月!!お前・・・!!」

 

「まさか、アンタ本人が答えるとは思わなかったね」

 

その問いに答えを出したのは弦太朗だった。

まさか話の引き合いに出していた本人が自分に同意するなど微塵も考えていなかったサジタリウスは

驚きを隠せずにいたが、彼はそんな彼女に語っていた。

 

 

「でもな・・・。俺は理事長が作った天校で、互いに譲れねぇもんのために全力でぶつかった!!」

 

「それでいいとでも思ってるのかい?」

 

「そんなことは今も分かんねぇ・・・でもな・・・!!」

 

弦太朗はオーナーの言葉に答えながらドライバーに手を伸ばしてスイッチを入れ始めるのを見たサジタリウスは彼に抵抗しようと立ち上ると左腕を挙げていたが、目の前の弦太朗は自慢のリーゼントも崩れ身体の至る所に傷が出来ていたボロボロ身体を見てサジタリウスは呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そんな体でやろうってのかい?」

 

「関係ねぇ・・・!!オーナー!!俺は香澄やりみ達・・・それにこの街で出会った新しいダチの為にもな・・・アンタと全力でぶつかって止める!!」

 

「そんなもんでやれるなら・・・やってみな・・・!!」

 

サジタリウスはそう言いながら弦太朗に矢を放つが、その矢は彼の遥か頭上を通り過ぎて彼の真上の天井に特大の穴を開け、そして弦太朗が構えるとドライバーのカウントと一緒に、後ろにいた香澄達の大きな声でカウントを取っていた。

 

 

「「「「「3!!」」」」」

 

 

 

「「「「「2!!」」」」」

 

 

 

 

「「「「「1!!」」」」」

 

 

 

 

「変身!!」

 

 

香澄達のカウントを聞いた弦太朗はこれが最後と言わんばかりに力を込めてドライバーのレバーを押し込んでその手を宙へと伸ばすと、その体はコズミックエナジーに包まれると、彼は宙へと伸ばした手を振り払うと彼はフォーゼへと変身を完了するが、彼はそれで止まらない。

 

「しゃ!!」

 

――コズミックON――――――――

 

全力でオーナーとぶつかる。

それをするためにフォーゼは即座にコズミックスイッチを起動して、コズミックステイツへと変身する。

 

「宇宙・・・」

 

「「「「宇宙・・・」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「キタッーーーーーーー!!」」」」」」

 

フォーゼと香澄達は皆の想いを重ねるように、皆が両腕を宙へと突きあげながら叫ぶと、その想いを受けたフォーゼは空いていた左腕をサジタリウスへと突きだした。

 

「これからも私達は音楽でこの胸の中にある・・・星みたいにキラキラした想いを伝えていきます・・・!!」

 

「戸山、この状況で言葉だけでどうにか出来ると思って・・・」

 

「言葉だけじゃ伝わらないし、あの子としたオーナーを助けるって約束も守れない・・・だから、ゲンちゃん!!お願い!!」

 

 

 

 

「あぁ!!香澄達の気持ち・・・受け取ってもらうぜ!!オーナー!!」

 

「そんなこと・・・させる訳ないだろ・・・!!」

 

サジタリウスも自身の感情を爆発させると、先ほど変身していたサジタリウス・ノヴァへとその姿を変えると彼女はソードを構えようとしていたフォーゼに腕を向けると即座にある箇所目掛けて矢を放った。

 

 

 

先ほどと同じようにソードで決めに来るならば、ソードを腕から叩き落せばいい―――

この考えに至ったサジタリウスはフォーゼの身体では無く、その手に持っていたソードに狙いを定めた。

 

サジタリウスから放たれた矢は間違いなく、構えた先に来るであろう腕への直撃コースを飛んでいたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外れた!?・・・なんだいそれは・・・!!」

 

サジタリウスの矢はフォーゼに当たることはなかった。

たしかにフォーゼは構えを取ってはいたが完全に剣の構えから外れた想定外のものだったせいでサジタリウスの狙いは外れていた。

 

 

 

今のは偶然―――

そう考えていたサジタリウスは再び矢を放とうとしたが、想定外はそれだけでは終わらない。

 

「おらっ!!」

 

「投げるだって・・・!!」

 

フォーゼはあろうことか手に持っていたソードをサジタリウスを投げる。

自分から武器を投げるという余りにも異質な行動にサジタリウスは若干行動が遅れてしまったがその腕を振って迫ってくるソードを叩き落す。

 

 

 

サジタリウスが自身に迫っていたソードを腕を振って叩き落したが、彼はそんな彼女を他所に天井近くまで飛び上がると左脚を前に突き出した構えを取っていた。

 

武器を手放さざるを得ないといった状況以外では装備を捨てることなど無かったフォーゼ。

しかし、そんな彼が今は武器を投げ捨てた上に他のスイッチも使用せずに構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼からしたら余りにも異質な戦いだったが、そうではない―――

 

 

 

 

むしろ今のこの状態こそが今までの仮面ライダーとしての正統派であり、その構えは歴代の先人たちやこの後に続く後進達へ脈々と受け継がれていく仮面ライダーの代名詞である必殺技―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダーーーーキッーーーーク!!」

 

フォーゼはその技の名を叫ぶと眼下の敵目掛けて一直線へと向かっていく星になった。

 





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環・情・音・楽-11 青春をススメ!!

遅くなりました・・・
ライダーキックを繰り出して・・・再開です。
やっぱりこの技で締めないとダメよ・・・ってことで投稿です


 

「ライダーーーーキッーーーーク!!」

 

 

 

「これ以上させないよ!!」

 

天井まで飛び上がったフォーゼがサジタリウス目掛けてライダーキックを放つ。

それに対してサジタリウスはフォーゼを―――

香澄達の想いを打ち砕くために残った力を込めた矢を放って迎え撃つ。

 

サジタリウスはその矢でフォーゼを倒せなくても技を止められる―――

そう考えていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

「ぉぉおおおおおお!!」

 

「なっ!?」

 

自身では把握していないが今のサジタリウスの姿は普通のゾディアーツよりも遥かに強大な力を持っているサジタリウス・ノヴァ。

それが渾身の力を込めて放った矢にも関わらず、その矢は雄たけびを上げていたフォーゼのキックが互いを貫かんとぶつかり合って激しい火花を散らしていた。

 

 

 

サジタリウスが渾身の力で放った矢がただの飛び蹴りと競り合っていたが、今のフォーゼは競り合っていた矢以外に完全に無防備になっていることに気が付いた。

 

 

 

 

「これでアンタもおしまいだね・・・!!」

 

「弦太朗!!」

 

サジタリウスはフォーゼ目掛けて再び矢を放つと今度はフォーゼを中心に爆発を起こしていた。

完全に勝負が決まったと確信した彼女は壇上の香澄達に視線を向けると、その表情は全く死んでいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――N―――――――

―――――――S―――

―――マグネットON ―――

 

 

「ぉおおおお!!」

 

「・・・姿を変えた程度でどうにかなると思ってんのかい!!」

 

 

 

「如月!!」

 

爆風の中からフォーゼがマグネットステイツに姿を変えると全く同じキックのポーズと取った状態で今度は磁力の力で加速して、フォーゼはその矢から起こった爆発を突っ切ってサジタリウス目掛けて一直線に飛んでいくが、サジタリウスも残っている力を使ってフォーゼに矢を放って抵抗し始める。

 

 

 

 

――ファイヤーON――――――――

 

「弦太朗くん・・・!!」

 

「だったら・・・・・・!!」

 

再び爆風で姿が消したフォーゼは今度はファイヤーステイツに変身して足に炎を纏わせて迫る矢を焼き尽くしたが、サジタリウスは今度は壇上の香澄達に狙いを定めた。

 

――エレキON――――――――

 

「・・・先輩!!」

 

 

 

 

 

「この威力・・・でも・・・」

 

しかし、サジタリウスの矢はエレキステイツから放たれた電撃によって彼女達に届く前に全てが打ち消すが、フォーゼは力を使い果たしてしまいベースステイツに戻ってしまい、肝心のキックもサジタリウスが

腕での防御が間に合ってしまい、フォーゼのキックを受けて後ろに押し込まれてながらもキックの衝撃には耐えていた。

 

「これを止めればアンタはもう手づまりだね・・・!!」

 

「ゲンちゃん!!」

 

「ふっ!!」

 

「のわっ!!」

 

 

 

 

「これで・・・!!アタシの勝ちだ・・・!!」

 

そして、香澄の叫びと共にサジタリウスが左腕の弓を犠牲にしながらもフォーゼのキックが弾く。

キックの防御に武器と殆ど力を使い果たしてしまったが、彼の最後の攻撃を防ぎ切ったことで勝利を確信していた。

 

 

 

 

 

 

今まで何度もオーナーに音楽を見せていた彼女達は最初のキックだけでは終わらないことは分かっていた―――

 

 

「まだっ!!」

 

「あぁ!!これが・・・本当の最後だ!!」

 

――ロケットON――――――――

――――――ドリルON――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ロケット・ドリル・リミットブレイク―

 

「ライダーロケットドリルキーーーック!!」

 

 

 

 

 

香澄の叫びに応えるようにフォーゼは弾き飛ばされた状態でドライバーに手を伸ばして、スイッチを起動すると最後にドライバーのレバーを押し込むとドライバーからの音声を響かせながらフォーゼは空中で体勢を立て直し、今度は自分だけのキックでサジタリウスへと向かっていく。

 

 

 

 

 

「ぐぅうううう!!」

 

「おぉぉおおおお!!」

 

フォーゼのキックはダメージを受け続けていたサジタリウスに突き刺さるも、サジタリウスのスイッチがスイッチャーであるオーナーの気持ちに反応して最後の力を振り絞るかのようにしてフォーゼの攻撃に抵抗していた。

しかし、これが最後と言う想いはフォーゼ側も同じ。

変身者である弦太朗も気持ちの強さに答えるようにロケットの炎とドリルの回転が増してサジタリウスの身体を撃ち抜けない。

 

 

 

「如月!!」

 

「弦太朗!!」

 

「先輩!!」

 

「弦太朗くん!!」

 

「ゲンちゃん!!」

 

 

今の2人の力が完全に拮抗していた。

しかし、今のフォーゼの後ろには同じ気持ちの香澄達5人がその想いを届けようと弦太朗のことを呼ぶと、フォーゼはその想いを受けて再びドライバーのレバー押し込むとロケットとドリルが肥大化する。

 

 

 

「まだだ・・・!!」

 

「ぐぉぉおおおお・・・!!」

 

「これが・・・青春銀河大大大ドリルキックだ!!」

 

しかし、フォーゼはそれでは止まらずレバーを”5回”連続で押し込むと、ロケットとドリルはその分だけ大きさと増していくと、それに伴ってサジタリウスは苦悶の声を挙げながらじわじわと後ろへと押し込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「いっけぇえええええええええ!!」」」」」

 

そして、最後に彼女達の想いの乗った叫びが響くと遂に――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁああああ!!」

 

 

 

「ぐぁああああああああああ!!」

 

フォーゼのキックがサジタリウスの身体を突き破った―――

 

体中から火花を散らし始めるサジタリウスの背後ではキックを放ったフォーゼが床にドリルを突き刺した状態で静止すると、フォーゼはサジタリウスに背中を向けた状態でドライバーのスイッチを上げて変身を解除すると、現れた弦太朗が無言のまま自身の髪をかき上げると同時にサジタリウスの身体は爆発を起こして粉々に砕け散る。

 

 

「くっ・・・」

 

「大丈夫か?」

 

そして、爆発が収まったその場所にはオーナーが床に倒れこんでいるのを確認して弦太朗がそんなオーナーに向かって歩み寄る。

オーナーは弦太朗が歩み寄ってきたのを見て身体を起こして座り込むが、そんな彼女は弦太朗から差し伸べられた手を見て苦々しい表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「・・・どういうつもりだい?」

 

「どうもこうもねぇ。ダチになってくれ」

 

「アタシとかい・・・?」

 

「あぁ。・・・香澄達やここに居ない友希那達だってそう思ってる・・・だろ?」

 

 

 

 

 

 

 

弦太朗の言葉にオーナーはそのまま後ろを向くと、壇上から楽器を置いて降りていた香澄達を見つけると香澄達はオーナーへと視線を送っていた。

 

 

「オーナー・・・ゲンちゃんの言う通りです!!」

 

「・・・何とも思ってないのかい?特に戸山、アンタは」

 

 

 

 

「・・・何とも思ってない訳じゃないです・・・でも、約束通りにオーナーを助けられたから・・・!!」

 

「・・・」

 

オーナーに質問された香澄。

彼女は自身にされたこと、妹の明日香にしたこと、そして自身から生まれたジェミニのことを思い出して

悲しそうな表情を浮かべた後に、消える直前のジェミニとした約束を守れたと言って涙を流していたが笑みを浮かべて答える。

 

呆気にとられるオーナーは香澄から視線を逸らして有咲達に視線を向けると、その視線を感じた有咲は言葉を選ぶことなく思っていたことを語る。

 

「正直、色んな人に傷つけたのが許せないって気持ちがないって言ったら嘘になりますけど・・・。一番被害を受けてた香澄が許そうとしてるんだったら・・・だろ?」

 

「だね・・・」

 

「うん・・・有咲ちゃんの言う通りかな・・・」

 

「私もオーナーのやりたかった夢は分かるから・・・」

 

 

 

 

「アンタも馬鹿になったね・・・にしても・・・」

 

許そうとしていたポピパの5人に呆れていたオーナーだったがそんな彼女はそれ以上に理解が出来なかった男に視線を戻して呟いていた

 

 

 

 

 

「街を消し飛ばそうとした上にさっきまで殺し合っていた人間と友達になろうとする戸山以上に馬鹿言ってるアンタは何者なんだい?」

 

「俺は如月弦太朗。この学校の―――いや、この街の全員と友達になる男だ!!」

 

 

 

「こいつは戸山以上の・・・とんでもない大馬鹿だね・・・」

 

オーナーの言葉に弦太朗はいつものように自身の胸を叩いてから拳を突き出しながら答えると、突き出した拳を開くと、オーナーも呆れながらその手を取ると弦太朗によって無理やり”友情のシルシ”を交わした途端、完全にオーナーに呆れられていた。

 

「・・・全く最近のガキは・・・」

 

「立てるか?婆さん?」

 

「婆さんはやめな・・・!!」

 

オーナーは呆れた様子で呟きにガキ扱いされた弦太朗もあえてオーナーのことを”婆さん”と呼ぶといつも通りの言葉を返して弦太朗の手を取って立ち上がった。

しかし―――

 

 

「うぉっ!!大丈夫かよ」

 

「あっ・・・オーナーの杖がない・・・」

 

「そっか・・・また杖が必要に・・・」

 

「・・・花園、山吹。アンタたちが気にすることじゃないよ・・・」

 

スイッチを失ったオーナーは立ち上がった途端にバランスを崩して弦太朗に支えられてしまい、それを見てたえ達はオーナーの杖をついていたことを口にするとオーナーは弦太朗の腕から離れると、とても不安定な足取りで体育館の外に向かって歩き出す。

 

「おい!!無理すんなよ!?」

 

「・・・アンタに立たせてもらったんだ。最初の一歩は自分の足で歩くさ・・・」

 

 

 

 

「ゲンちゃん・・・!!行かせてあげて!!」

 

「香澄と違って他のを使えねぇみたいだし、弦巻さんの家の人がいるんだ・・・大丈夫だろ」

 

弦太朗はオーナーを止めようとするが、香澄と有咲に止められてしまい、6人でオーナーがゆっくりと歩いて体育館から歩いていくのを黙って見守っていた。

そして彼らからオーナーが見えなくなって静まり返った体育館の中で誰かがポツリと呟いた。

 

 

 

 

「終わったんだ・・・」

 

「あぁ・・・!!」

 

誰の呟きかも分からないが、その言葉に弦太朗が答えて、香澄達へと振り返ると―――

 

 

 

 

 

 

「「「「「やったー!!」」」」」

 

「うおっ!?痛ってー!!」

 

感極まった彼女達は何を思ったのか弦太朗の元へと飛び込むが、流石の弦太朗も女子5人を同時に受け止められず彼女達諸共床に倒れこんでいた。

 

「やった・・・!!やったよー!!ゲンちゃん!!」

 

「なんだろう・・・。よく分かんないけどすっごいドキドキしてる・・・!!」

 

「おたえちゃん私もドキドキしてる・・・!!それにしても街を救ったって言われても・・・夢みたい・・・」

 

「りみりん!!夢じゃないよ!!街もみんなも・・・助かったんだよ!!」

 

「よっしゃー!!どうだ!!やってやったぞー!!」

 

 

「分かったからとりあえず降りろって!!って何で沙綾は体重かけてくるんだよ!!」

 

そんな彼女達の下には弦太朗が声を挙げるが全くの逆効果。

彼女達は体力が底をつくまでのほんのわずかな時間の間、喜びを爆発させ続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

そして、フォーゼ達の勝利は少し遅れて現場にいなかった面々にも伝わっていく。

 

 

 


 

月ノ森学園―――

 

 

 

 

 

「終わったって~」

 

「そう・・・」

 

事件が全て終わったことに安堵していた表情を浮かべるモルフォニカの面々。

しかし、瑠唯はいつも通りの表情が顔に張り付いていた。

 

「ルイ軽くね?」

 

「私達が何かしたわけではないもの・・・」

 

「あはは・・・確かにるいさんの言う通りだけど・・・」

 

「もっとこうあるでしょ・・・」

 

「もー!!透子ちゃんも静かにしなよー!!」

 

「そうよ。それにこれから練習なのだから・・・」

 

「でも、こんな日常に戻ったのは嬉しいかな・・・」

 

ようやく今まで通りの日常が戻ってきたことをモルフォニカの面々が感じ取って笑みを浮かべだしていた。

 


 

チュチュのマンション―――

 

 

 

 

 

 

「如月さん達・・・無事の様です!!」

 

「そんなの知ってるわよ・・・それじゃあ、練習の準備よ」

 

「おいおい。いきなりだな」

 

弦太朗達の勝利の連絡が届くが、チュチュは分かっていたかのような表情を浮かべるとすぐにその場にいた面々に指示を飛ばす。

そんな姿にますきは呆れ顔を浮かべるが、チュチュはさも当然と言った様子で話し出す。

 

 

「当然よ!!ポピパとゲンタロウ達が最高の仕事をしたんだから、今度はRASが武道館っていう舞台で最高の仕事を見せる番よ!!」

 

「チュチュらしいかも・・・、そっちの方が私達に合ってるよ」

 

「だな・・・!!」

 

「パレオ!!ロックに学校終わったらすぐに来るように連絡しておきなさい!!」

 

「はい!!チュチュ様!!」

 

弦太朗達が自分たちの役割を果たした。

それに火が付いた彼女達は数日後に控えたバンドリ決勝へ向けて練習に熱を上げていく―――

 


 

羽丘学園―――

 

「如月さん達、勝ったそうですよ・・・!!」

 

「ふっ・・・流石、弦太朗だ」

 

「あすか!!ろっか!!やったね!!」

 

「そうだね!!あこちゃん!!」

 

「お姉ちゃんたち・・・そっか・・・よかった・・・」

 

「るんってキター!!今日はみんなでお祝いしよー!!」

 

「おー!!りんりん達も呼んでみんなでやりましょう!!友希那さん!!」

 

「すいません・・・!!RASも練習があるってパレオさんが・・・!!」

 

「日菜、申し訳ないけれど、バンドリの決勝のための練習があるからまた今度にしましょう」

 

「ちょっと友希那~!?ってモカ達はなんかいつも通りだね?」

 

弦太朗達の勝利に喜んでいた3年生と1年生だったがそんな彼女達とは対照的に2年生達は他の面々と比べると余り喜びが表に出てきていなかった。

 

 

 

「まぁ、アイツが負けるとか思ってなかったんで・・・」

 

「ですね~。っておやおや~蘭が素直だ~」

 

「うっさい」

 

「でも、こっちは何にもなかったな」

 

「巴、ちょっと残念がってない?」

 

「ひまり?何言ってんだ?」

 

「あはは・・・私もそう見えたかな・・・」

 

「なるほどね~そっかそっか~」

 

2年生達の弦太朗への信頼感にあらぬ勘違いを浮かべてリサはニヤニヤし始め―――

 

そして―――

 


 

「ゲンタロウさん達の大勝利です・・・!!」

 

「そうみたいだけど・・・。でも、ライブ中のメンバーには・・・伝わってないね・・・」

 

弦巻の家の力で抑えた会場で香澄達を除いた全校生徒達を前にライブを繰り広げていた花咲川の面々。

しかし、壇上の彼女達はそれに気が付いている様子はない。

 

 

 

「それじゃあ最後の曲・・・行くわよ!!彩!!」

 

「おー!!」

 

「うん!!頑張ろうね!!」

 

「花音も紗夜ちゃんも・・・ずっと演奏し続けてるけど大丈夫?」

 

「大丈夫・・・!!みんな頑張ってるんだから・・・!!」

 

「えぇ・・・自分の役割はやり切って見せます・・・!!」

 

「私も・・・です・・・!!」

 

体力のない燐子と花音が体力的に限界寸前で周囲もそれを気にしている様子に会場の警備として舞台に上がっていない2人は肩をすくめていた。

 

「とりあえず・・・終わったみたいだし、最後の曲位は出ますか・・・」

 

「皆さんのブシドーに答える時です!!」

 

そうしてイヴは得物を木刀からキーボードに変え、美咲はミッシェルに入ると最後の曲に割り込むように舞台へと上がっていく。

 

 

 

 

 

 

そして、街の事件が解決し―――

彼女達の大舞台である、バンドリ決勝の日付を迎えるのだった。

 





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次回、最終回---


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環・情・音・楽-12 青・春・終・幕

大変遅くなりましたが、【本編】最終話です・・・

最後って考えると筆が重くなってしまいましたが・・・
最後の最後まで・・・ぶっちぎるぜ・・・!!



 

バンドリの決勝戦当日―――

 

「ここが・・・武道館・・・でけぇ・・・」

 

弦太朗は香澄達がライブをする武道館の前にやってきていたが、目の前の舞台の大きさに思わず言葉を漏らしてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

「全くその通りだね・・・」

 

「って友希那の親父さん・・・いつの間に・・・」

 

「と言っても今来たばかりだが?一人かい?」

 

「そうっすけど、ダチと待ち合わせしてるんで・・・」

 

「ふむ・・・それにしても友希那がここでライブを・・・」

 

「そうっすね。もう中で準備してるみたいっすけど」

 

「友希那とリサちゃんから話は聞いたよ。こうしていられるのも君のお陰だ・・・ありがとう」

 

「いや・・・俺だけじゃなくて、ダチのみんなのお陰なんで・・・」

 

「・・・そうかい」

 

弦太朗から漏れた言葉にいきなりの現れた友希那の父親に驚いていたが、それ以上に娘が自分が経験したことのない大舞台に立つという感動とここに辿り着くまでの弦太朗の行動にたいする感謝の言葉を口にする。

しかし、返ってきた言葉に弦太朗らしさを感じて納得した表情を受けべて2人で会場を眺める。

そしてライブが始まる前にも様々な出来事が起きた。

 

 

 

 

 

「「あっ~!!げんたろうだ~!!」」

 

「おっ・・・沙綾のとこの、純と紗南ってことは・・・」

 

「あら、如月くん。こんにちは」

 

「あら~たえちゃんは一緒にいないのかしら~?」

 

「あら?たしかはあなた・・・ちゆちゃんのお友達の~!!」

 

 

 

「沙綾とおたえ・・・それにチュチュのおふくろさん・・・!?」

 

 

 

「―――そういえば、最近は妙な事件とかの噂がありましたけど~無事に出来て良かったですね~」

 

「そうですね~。うちのお店がある商店街でもあったんですよ?」

 

「普段は海外で活動してるんですが、今日のために帰ってきたので知らなかったですね~」

 

「如月くん、確か珠手氏は・・・」

 

「そうっすけど、記憶がないらしくて・・・」

 

「そうなのかい?そう言えば・・・」

 

 

 

 

「最近、うちの友希那とはどうなんだい?」

「最近、たえちゃんとはどうなのかしら?」

「最近、沙綾とはどうなのかしら?」

「最近、ちゆちゃんとはどうなの?」

 

 

 

 

「「「ん・・・?」」」

 

「とりあえず・・・一旦、移動しましょうか・・・」

 

弦太朗の近くには彼が知っているバンドメンバーの家族が集まり始めていたと大人達は空気を読んで社交辞令的に挨拶と会話を繰り広げていたと思っていたら、一変して地獄に様変わりして友希那父のサポートで逃げることに成功し―――

 

 

 

「あっ・・・如月さん」

 

「明日香じゃねぇか!!ボランティアはいいのか?」

 

「えっと・・・これからお客さんの誘導の手伝いをするんですが・・・」

 

 

 

 

 

 

「へい!!マイシスター!!」

 

「だからあなたの妹じゃないですって!!」

 

「香澄ちゃんの妹ならひなちゃんの妹だぜー!!っておやおや?そこにいるのはマイブラザーではないか~」

 

「あんたはひなこ先輩・・・ってブラザー?」

 

「そうそう!!街を救ったヒーローで私より年下で、それに車載せてやったろ?ブラザー!!」

 

 

 

「おい!!仕事中に何してんだ!!・・・って君はあの時の・・・」

 

「確か・・・りぃちゃん先輩だったか・・・?どうも・・・」

 

「無理に敬語じゃなくていいぞ?それから話はりみちゃん達から聞かせてもらったよ。ありがとうこうしていられるのも君たちのお陰だから今日は楽しんでいってくれ・・・」

 

「おう」

 

「それじゃゆりによろしく・・・って何時までやってんだ!!いくぞ!!」

 

「リィちゃん怒んないでよ~!!シーユー!!マイブラザー!!」

 

「それじゃあ・・・」

 

ボランティアとして参加している明日香とゆりの友人のひなこ達が嵐のように現れて彼に絡まれ、そして―――

 

 

「よう!!久しぶりだな、ゆり!!」

 

「弦太朗の・・・」

 

「・・・ってなんだ?」

 

 

 

 

「弦太朗の・・・バカぁー!!」

 

「ぐほっ!!・・・いきなりグーってなんだよ!?」

 

「弦太朗のバカ!!アホ!!女ったらし!!」

 

「久々に会ってどうしたんだよ!!」

 

「何よ!!この前久々に電話してきたと思ったら明日香ちゃんの事を聞いてくるし!!こんな公共の場で相手の親公認で私以外の女の子達といちゃいちゃして!!」

 

「そんなのしてねぇ!!」

 

「私が何のためにこんなに頑張ったと思ってるのよ~!!」

 

「ちょっとゆり!!やめっ!!」

 

「煩い!!」

 

 

 

 

「ちょっとゆり!?久々に帰って来たと思ったら何してるの!?」

 

「七菜 !!離して~!!」

 

久々に再会した友人のゆりからの余りにも理不尽な怒りを受けるという事件に巻き込まれながらも、彼はなんとか関係者席へと辿り着くとすぐに彼女達のライブが始まるが―――

 

 

 

 

 

「スゲェ・・・!!」

 

弦太朗はライブをしている彼女達のライブが始まって早々に、語彙を完全に失ってしまうほどに完全に心を持っていかれていた。

 

そして、3バンドのそれぞれが演奏を終えて舞台から姿を消したが、彼はそんな中でふとあることをある言葉を思い出していた。

 

 

 

「んっ・・・?」

 

「弦太朗・・・?どうかしたの?」

 

「ゆり、この前にリサとパレオの奴が・・・ってどうした?」

 

「また女の子の名前・・・」

 

「目が怖ぇよ・・・」

 

『ただいまを持ちまして、投票を締め切らせていただきます。これより”BanG Dream! Girls Band Challenge! ”決勝!!結果を発表を行います!!』

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ?この声って・・・?明日香ちゃん・・・?それになんでまりなさんが・・・?オーナーがやるって思ってたけど・・・」

 

 

弦太朗は先日、リサ達が言っていたことは決勝での何かだと思っていたが未だにそれが分からず、その横では別の女の名前が出たことにゆりの目からハイライトが消えるが、その後すぐに会場内に明日香のアナウンスが響くと演奏を披露したバンドの全員がまりなと共に壇上へと上がってくる。

 

ゆり以外にも結果発表は元プロで大会の運営に関わっていたオーナーが発表するものだと思っていたが、そんな多くの予想に反してそんな大役をまりなが務めることになったことに違和感を覚えていたが、事情を知っている弦太朗や壇上に上がっているメンバー達はその事に対して何も反応することはない。

 

 

 

 

「それでは・・・グランプリを発表します・・・!!グランプリは・・・Roselia!!」

 

Roseliaの名が呼ばれた会場では一気に歓声が響き渡る。

そして、その歓声の中でベストパフォーマンス賞・ベストバンド賞として他の2バンドの名前も呼ばれると会場の歓声は一際大きくなっていく。

 

 

 

「そんな賞のことなんてどこにも書いてなかったけど・・・?」

 

「でも、どれも良かったんだしいいんじゃねぇか?」

 

「それもそっか・・・」

 

ふとした疑問が浮かんだゆりだったが、弦太朗の言葉を聞いてそれ以上の追及を辞めて壇上に視線を戻すと、3バンドのメンバー達がそれぞれの楽器を手に取っていた。

 

「もう1曲聞いてください!!」

 

 

 

 

 

「”アレ”ってこれのことだったのか・・・!!!」

 

弦太朗はようやく彼女達が言っていた”アレ”が全員で演奏するこの曲の事だと言うのを察したタイミングで壇上では最後の曲の演奏が始まり、彼は演奏する彼女達の姿を目に焼き付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその翌日―――

弦太朗と花咲川学園のバンドメンバー達は冬休みの2日目に学校の職員室に呼び出されていた。

その内容は勿論―――

 

 

 

「それでは失礼します・・・。・・・まぁ、あの時はせっぱ詰まっててそこまで考えてなかったけど・・・」

 

「市ヶ谷さんの言う通り・・・冷静に考えたらそうだよね・・・」

 

 

 

 

「くっ・・風紀委員の私が如月さん達諸共、休日に呼び出されて説教を受けるなんて・・・」

 

「結果的には弦太朗とポピパのみんなは終業式すっぽかさせて、私達は先生方に無断でライブしてたもの・・・こうなるのは仕方ないわよ」

 

「氷川さん・・・ああしてなかったらこうしていられなかったですし・・・。それにバンドリの決勝戦のことを考えてその日には呼ばないでくださったんですから・・・」

 

「でも、楽しかったわね!!」

 

「うん!!そうだねこころん!!」

 

彼らは先日のことで盛大に教師から説教を受けていた。

紗夜に関したは怒られたという事実を気にしてはいたが、怒られた内容については誰もこまで気にしてはいなかった。

 

「でも、こうしてみんなで怒られるのもなんか学生みたいじゃない?」

 

「ふえぇ~!?でも・・・彩ちゃんの言う通り・・・なのかな・・・?」

 

そんな話をしながら彼女達は学校を出ると校門の前には見覚えのある人々が集まっていた。

 

 

「蘭ちゃんに友希那さん!!」

 

「レイ!!ロックも!!」

 

「ましろちゃん達もいるね」

 

 

「全くなんで私が・・・」

 

「チュチュ様、如月さんがこちらの学校に来るのが最後だからみんなで見送るって言ったじゃないですか~」

 

花咲川の前には他の学校のガールズバンドの面々がこの学校を離れる弦太朗を見送るためにわざわざ集まっていた。

そんなことを聞いた弦太朗は転校続きで慣れていたはずの別れだったがなぜかむずかゆい感覚を感じていた。

 

 

「別にもうずっと会えない訳じゃねぇんだからよ」

 

「あはは~弦太朗言う通りかもしれないけど・・・やっぱり色々あったからいざってなったら寂しいよね・・・」

 

「リサちーの言う通りだよ~。それにゲンちゃんがいたからるんってすることいっぱいあったもんね!!」

 

「あぁ・・・儚いことの連続だったね」

 

「あはは・・・。でも、弦太朗くんが来てから色んな事があったよね!!」

 

そうして彼女達は思い出話に花を咲かせ始めてそれなりに時間が経った頃―――

 

「そろそろ行かねぇとな」

 

 

 

「如月、たまにはRoseliaの練習には来なさいよ」

 

「ミナトユキナと同意見ね。それに・・・あなたの住んでる場所からだったらうちの方が来やすいでしょうし・・・」

 

「その・・・今度モニカでライブやるときはその・・・流星さん達と一緒に来てくださいね・・・?」

 

「如月くん!!テレビに出る私達も見て欲しいけど・・・たまには連絡してよね!!」

 

「そうだわ!!今度みんなで弦太朗の学校に遊びに行くわね!!」

 

「ちゃんと生活出来てるか、たまに見に行くからね」

 

「ゲンちゃん・・・またね!!」

 

 

「おう!!またな!!」

 

別れの挨拶を済ませた弦太朗は彼女達に背を向けるとそのままゆっくりと歩き出し、彼女達はその背中が見えなくなるまで見届けると、何とも言えない寂しさを感じていた。

 

 

 

「如月の奴・・・行っちまったな・・・」

 

「もー!!弦太朗くんには感傷に浸ったりする気持ちはないの~!?」

 

「上原さん。あの人はそんなことを気にするような人ではないと思いますが・・・」

 

「多分、弦太朗は引っ越しとか多かったから慣れちゃったのかもね?」

 

 

 

「香澄・・・?なんで笑っているの・・・?」

 

「香澄ちゃん?その・・・寂しくないの?」

 

「どうしたの香澄?」

 

「なんか変だぞ?」

 

彼が特に感傷に浸る様子もなく歩いていく姿に一部の面々は若干だが不満そうな表情を浮かべていた中で1人だけは笑みを浮かべていた香澄に気が付くと同じバンドのメンバーはそんな彼女に問いかけると思わぬ答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって!!ゲンちゃんには私達の音楽と一緒だから!!・・・よーし!!ゲンちゃんに負けない様に今日も一杯練習しよ!!」

 

その言葉に彼女達は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべるが、その言葉に納得したのか笑みを浮かべ始めてると、彼女達は音楽と共にいつも通りの平和な日常へと戻っていくのだった。

 

 

 

 





以上で【本編】は終了になります。
ご愛読ありがとうございました。

誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。





最終話とは言ったが【本編】のですので
小ネタ・後日談、後は時を見て劇場版・・・を投稿したいと思います。
最初は小ネタかなぁ・・・


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オマケ時空篇14 クライマックスが終わらない
日・常・風・景24 どうして高校生たちが式を挙げたのか?


お疲れ様です。
休めと言われましたが、それ以上にボケたかった・・・
ので小ネタ篇投稿します。


 

~~~小ネタ58:その鐘を鳴らすのは誰か?

 

「うーっす・・・って、友希那達もいるのかよ」

 

「如月さん。なんですかその挨拶は・・・」

 

「ちょっと紗夜~。なんでそんなにカリカリしてるの~?まぁまぁ弦太朗も座って」

 

「してません!!そういえば、何で如月さんはここに?」

 

「珈琲を飲みに来たんだよ」

 

「呼ばれたから来たのだけれど、何で呼び出されたのか分からないのよ」

 

 

 

 

 

「テスト前だけれど勉強はしてるかしら?」

 

たまたま休日に珈琲を飲むために羽沢珈琲店にやってきた弦太朗だったが、店内には既にRoseliaの面々が座っていた。

彼はリサに勧められるがまま席に座るが、横にいた友希那と一緒でその理由が全く分からずに首を傾げるが、他紗夜が放った言葉を聞いて2人は即座に立ち上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・用事を思い出した」」

 

「ちょっと友希那~それで逃げれると思ってるの~」

 

「リサ、離して・・・」

 

「ちょっと燐子も放せって・・・!!」

 

しかし、逃げ出そうとした友希那はリサに、弦太朗は燐子によって捕まってしまい、友希那は席に座らされる一方で燐子は様子がおかしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スーハー・・・スーハー・・・!!」

 

「・・・でも、なんで友希那が勉強なんだ?」

 

 

 

 

「如月さんも勉強する必要があると思いますが、今は湊さんです・・・」

 

「あーそれなんだけど・・・ってそろそろ燐子は弦太朗から離れようね~」

 

「あうぅ・・・」

 

弦太朗の野生の勘が燐子については触れてはいけないと感じて、そのまま彼女を無視して理由を聞くと、リサが燐子を弦太朗から引き剥がしながら説明し始めた。

 

「うちの学校さ~、赤点の補修がバンドリの決勝と被っちゃってて。だから友希那に何としても赤点回避させないといけないんだよね~」

 

「如月さんも勉強すべきですが・・・。私と今井さんで湊さんを、白金さんは宇田川さんの勉強を見ることになってますから手が足りません。羽沢さんは生徒会の仕事みたいですし、流石にバイト中の若宮さんに見てもらう訳にも行きませんから・・・」

 

「如月、あなたも勉強しなさい。死なば諸共よ・・・」

 

 

 

「皆さん!!珈琲お持ちしました!!」

 

「・・・とりあえず飲もうぜ?」

 

友希那は弦太朗を巻き込もうとし始めた所にイヴが最高のタイミングで珈琲を運んできた。

とりあえず勉強は置いておいて持ってきた珈琲を口に含んだそのタイミングで―――

 

「弦太朗!!」

 

「ごほっ!!・・・沙綾?どうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勢いよく店の扉を開けられ、そこから沙綾が弦太朗に向かって一直線に向かってくる。

いきなり名前を呼ばれた弦太朗は思わずむせてしまったが、なんとか彼女の言葉に反応する。

 

「弦太朗・・・!!」

 

「なんだよ・・・」

 

 

「全く、山吹さん・・・店の中ですよ・・・」

 

慌てた様子の沙綾に紗夜は落ち着くように注意をし始めると、他の面々は紗夜の怒りが飛んでこない様に黙って珈琲を口に含むが―――

 

「弦太朗・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――結婚しよう!!」

 

「「・・・はぁ!?」」

 

「「「「ブッーーーーー!!」」」」

 

 

 

「弦太朗!!いいから来て!!」

 

「うぉっ!?」

 

沙綾の爆弾発言に言われた本人と紗夜は思わず声を挙げ、他のメンバーは口に含んでいた珈琲を思わず紗夜に向かって噴き出してしまった。

噴き出された紗夜は珈琲よりも目の前のプロポーズまがいの言葉を聞いて口をパクパクさせ始めたが、誰もが沙綾の言葉が信じられないといった様子で固まってしまい、弦太朗も訳が分からないまま沙綾によって店から連れ出されてしまった。

 

そして彼らが店を出て行ってしばらく経った頃、店内にいた彼女達はほぼ同時に我に返り―――

 

 

 

 

 

 

「「「「こんなところで勉強してる場合じゃない・・・!!」」」」

 

「どういうことかしら・・・」

 

「「こんな面白そうなのを見逃すわけにはいかない・・・!!」」

 

「「イヤらしい感じがします・・・!!」」

 

とてつもなく面白い事体を見逃すわけにはいかないと立ち上がったリサとあこ。

そして何かイケナイ考えが思い浮かんでいてもたってもいられなかった紗夜と燐子の4人は席を立つと、勉強道具もそのままに店を飛び出してしまい、友希那はどうしていいか分からずオロオロし始めてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どういうことだよ!?」

 

「だから結婚するんだよ!!私と弦太朗が!!」

 

「訳わかんねぇって!!・・・ってここは・・・って、沙綾今までのマジだったのかよ!?おい!!話聞けって!!」

 

 

そしてなんとか正気に戻れた弦太朗は沙綾に今の状況がまるで理解出来ずに彼女に説明を求めたが全く説明になっていない。

そんな彼は沙綾に連れられて辿り着いたのはハロハピの事件で訪れた近くの結婚式場では彼の見知った顔が彼らを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「あれ?先輩だ。どうしたの?」

 

「沙綾きたか~って如月連れてきたのか・・・」

 

「おたえ!!有咲!!どうしたもこうしたも沙綾が「結婚する」としか言わねぇんだよ!!」

 

 

 

「沙綾・・・大胆・・・」

 

「はぁ・・・。こいつは・・・」

 

「有咲、何がどうなってんだよ!?」

 

そこにいたのは有咲とたえ。

訳の分からないことを言っているたえを他所に弦太朗は有咲に説明を求めると彼女は呆れた表情を浮かべると彼の疑問に答えた。

 

 

「何って・・・結婚式場の撮影だよ・・・」

 

「撮影・・・?」

 

「聞いてなかったのか?」

 

「沙綾の奴がいきなり「結婚しよう」って言ってきてそれ以外何も言わなかったからな」

 

「まぁ・・・頼む側もテンパってたらそうなるだろ・・・」

 

「でもどうしてこんなことになってんだ?」

 

沙綾の暴走を聞いた有咲は、彼女に気を使ってやんわりと庇うと呆れた表情のまま今の状況を説明し始めた。

 

「・・・商店街の写真屋が沙綾と巴さんが新郎新婦役のモデルを依頼したんだけど、連絡ミスで新郎役の巴さんに別日伝えちまってて、しかもバイト中だったみたいで抜けれないって言われてな・・・」

 

「でもよ?モデルだったら彩とか千聖達がいるだろ?それにジューンなんたらには早いだろ?」

 

「芸能人の出演料だぞ?バカになんねぇんだろ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「そういえばそうだった・・・」」

 

「なんでおたえまでその反応なんだよ!?それと如月が言ってるのはジューンブライドの事だと思うけど、この前ハロハピの件があってから客足が遠のいてるらしいし、写真屋が都合つくのが今日だけってのもあるけど沙綾のためにやってやれよ」

 

「そう言われたら断れねぇな・・・」

 

ようやく弦太朗は今の状況を理解して―――はいなかったが、事件の影響・・・そして友達の沙綾の為と言われたからには引き受けない訳にはいかずに了承してしまったが、1つだけ気になったことがあった。

 

「沙綾は分かるけど・・・何でおまえらもいるんだ?」

 

「香澄とりみもいるよ?」

 

「そりゃ・・・参加者役だよ。そんなのはいいからお前はさっさと着替えて来い。・・・それと沙綾の為にもその髪はおろせよ・・・」

 

「マジかよ・・・」

 

弦太朗はそう言って有咲に言われるがまま衣裳部屋に通されて新郎用のタキシードに袖を通すと、致し方なく普段のリーゼントを解いて髪をおろすと

げんなりした表情で撮影場所であるチャペルへと向かうとそこには先ほどまでいなかった香澄達が準備を終えて待機していた。

 

 

 

「あっ!!弦太朗くん、髪おろしてるんだ・・・」

 

「よぉ・・・やっぱり、落ち着かねぇな・・・」

 

「えへへ~ゲンちゃん!!見て見てー!!このドレス似合う?みんな衣装でよく使うイメージカラーの色にしてるんだよ~」

 

「おい香澄!!お前!!それ借り物なんだから!!」

 

「その・・・なんだ?似合ってんじゃねぇか?」

 

有咲の注意を聞き流して、香澄はその場でくるくる回って自身が着ているドレスを見せびらかす。

弦太朗は若干の恥ずかしさもあってどういえばいいか分からず、とりあえず彼らしくもない言葉でその場を流そうとしていた。

 

「くるくる回ってる・・・よいではないか?」

 

「おたえちゃん・・・それだと脱がされちゃうよ!?」

 

「いや、りみもそのツッコミはおかしいからな?それに如月も沙綾のためにもちゃんとしろよ」

 

 

 

 

 

「リサ姉!!早く~!!」

 

「ごめーん!!もう始まってる?」

 

「リサ!?あこ!?なんでここに!?それにそれ・・・」

 

「えへへ~あこ達もドレス借りれたんだ~って!!げんたろうが髪おろしてる~!!」

 

たえ達のやり取りを見た弦太朗は肩の力が抜けてしまうが、ここで予想していない人物の登場に弦太朗は目を見開いて驚いてこの場にいる理由を尋ねると愉快そうな笑みを浮かべてて2人は答えていた。

 

 

 

 

「だってさーやがいつも以上におバカだったから気になっちゃって!!」

 

「それにこんな面白―――じゃなかった。愉快な出来事を見逃す手はないでしょ☆」

 

「リサさん・・・?言い直せてないですよ?」

 

「細かいことは気にしな~い。それに・・・そろそろ主役の登場だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまたせ・・・」

 

有咲が主役の登場だといったタイミングで本日の主役である新婦役の沙綾が純白のドレスを纏ってこの場に現れる。

その姿はいつも以上に大人びており、彼女達はそんな沙綾を見て言葉を失っていた。

 

「弦太朗・・・どうかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・っと・・・あの・・・その・・・」

 

「似合ってない・・・?」

 

「いや!!そんなことねぇって!!」

 

「良かった~・・・。もうすぐ始まるからヨロシクね?」

 

「おっ・・・おう・・・」

 

皆が言葉を失っていた中で沙綾が弦太朗に声をかけるも、彼は彼女に大人びた姿に上手く言葉が出てこず、しどろもどろになっていたが沙綾にとってはその反応だけで十分だったのか満面の笑みを浮かべていると、すぐに沙綾達がモデルの結婚式場の撮影が始まる。

 

 

 

弦太朗が緊張した様子だったがそれが逆に新郎の初々しさを出せているというカメラマンに受けて撮影自体は順調に進んでいく。

 

「弦太朗、まだ緊張してるんだ?」

 

「あっ・・・あぁ・・・」

 

「でも、弦太郎はこの指輪をはめる写真だけで終わりだから・・・今度着るのは本当に弦太朗の花嫁になった時だね」

 

「えっ!?はぁ!?」

 

「・・・何てね。ほら、早く指輪を・・・」

 

沙綾の様子に未だになれない弦太朗を見て彼女は畳み掛けていくが、彼は緊張した表情で沙綾の指に指輪をはめる姿を写真に撮られると室内での撮影は終了した。

 

 

 

 

「終わった・・・にしても疲れたな・・・」

 

「お疲れ様。後は外でブーケトスの撮影だけだから・・・でも、私もドレスにちょっと疲れちゃったけどね・・・」

 

「今持ってるそれを投げるのか?」

 

 

 

 

 

 

「沙綾!!ゲンちゃん!!良かったよ!!」

 

「凄かったね・・・」

 

「こっちもなんか緊張しちゃったよ~」

 

「前に若宮さんが撮影した時も見てたけど・・・それとは違った緊張感だったな・・・」

 

「アタシも見ててドキドキした~!!ってあこ・・・?どうかしたの?」

 

そして、彼女達は終わった直後の彼らを取り囲むと皆が本物さながらのドキドキを感じていたと盛り上がるが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ?結婚式なのにキスシーンはやらないの・・・?」

 

「えっ!?」

 

「はぁ!?」

 

あこが最後の最後で爆弾を投下したことによって事体は一変した。

 

驚きの声を挙げる新郎新婦役を他所に、撤収作業に入っていたはずの写真屋が即座に撮影を再開する準備を始め、見ていた式場スタッフもそれに合わせて会場のセッティングを始めてると観客役の皆も恥ずかしさと期待感を持った視線を送ってくる。

 

「ゲンちゃん!!さーや!!」

 

「こっちは準備終わってるよ?」

 

「えっと・・・あの・・・その・・・!!」

 

「ちょ!?はぁ!?マジでどうなってんだよ!?それに付き合ってもない高校生にやらせることじゃねぇだろ!?」

 

「有咲~流石に本当にするのもあれだけどフリくらいならいいんじゃない?」

 

「フリだったらいいのか・・・?」

 

「2人とも~みんな待ってるよ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうすんだよ・・・これ・・・!!」

 

「あはは・・・」

 

完全にあこの無自覚の一言によって外堀を完全に埋められてしまった。

流石に今までは恥ずかしさもあってもまだ耐えられるものだったが、キスシーンを撮影は無理だと弦太朗は思い、沙綾に視線を向けるが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フリだったら・・・それに本当でも弦太朗相手だったらいいかな・・・」

 

「Oops・・・」

 

まさかの沙綾が退路を塞いできた事実にライダー部の仲間の口癖が漏れてしまうが、彼は沙綾を見て覚悟を決めた。

 

「いいか!!フリだけだかんな!!」

 

「「「「「「おぉ~!!」」」」」」

 

弦太朗は諦めてフリだけだと念押しして了承すると、観客役も撮影スタッフたちも盛大に盛り上がる。

 

 

「行くぞ・・・」

 

「うん・・・」

 

弦太朗は覚悟を決めて沙綾の顔に近づいていき、そして口と口が触れ合う寸前まで近づいたその瞬間――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「ちょっと待った~~~~~~~!!」」」」」」

 

「何だ!?」

 

「えっ!?・・・あっ・・・」

 

叫びと共に会場の扉が開け放たれる。

その声に驚いた弦太朗は沙綾から顔を離して開け放たれた扉に視線を送り、その正体を確認すると

 

「つぐにひまり!?それに・・・」

 

「彩先輩と千聖先輩!?」

 

「それに何でりんりんと紗夜さんもいるの!?それにその恰好・・・!?」

 

 

 

 

「「「「「「ウエディングドレスだけど!!」」」」」」

 

声の正体はつぐみ達だったが、彼女達はなぜかウエディングドレスを身に纏っていた。

状況がまるで分からないが、これだけは新郎新婦には理解できた。

 

「「なんか・・・ヤバい気がする・・・!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「沙綾ちゃん!!ずるいよ!!」

 

「抜け駆けはダメだよ!!」

 

「私も如月くんと写真撮りたい・・・!!」

 

「あらあら?流石にこれはダメじゃないかしら?」

 

「風紀が乱れています!!未成年で結婚なんて風紀が乱れてます!!」

 

「ふふふっ・・・」

 

完全に目が逝っている彼女達の姿に弦太朗から冷や汗が流れ始めるが、最初に復帰した有咲が代表して彼らの思っていた疑問を投げかけていた。

 

 

「てか、羽沢さん達はどうしてそんなの着てるんだよ!?」

 

「だって結婚式場よ!!私が芸能界の伝手でみんなの分を用意したわ!!」

 

 

 

 

 

「無駄なことしてんじゃねぇ!!」

 

「御託はここまでよ!!みんなで弦太朗と沙綾ちゃんを捕まえるわよ!!天誅よ!!」

 

「「「「「おぉ~!!」」」」」

 

返ってきた言葉に思わずツッコむ有咲だったがそんなものでは彼女達が止まる訳もなく、乱入してきた花嫁姿の彼女達は新郎新婦に天誅を下そうと動き出していた。

 

「2人とも!!逃げろぉー!!」

 

 

 

 

「・・・沙綾!!悪い!!」

 

「きゃ!!」

 

「「「「「「なっ!?」」」」」

 

動き出した彼女達を見て有咲が叫ぶと、弦太朗は反射的に花嫁姿の沙綾をお姫様抱っこで抱えあげるが、沙綾は持っていたブーケを手放してしまった。

 

予期せぬブーケトスに乱入者たちが驚いていたが、宙を舞ったそのブーケはとある人物の手にすっぽりを収まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ・・・?」

 

「リサ姉がブーケトスのブーケ取った~!!」

 

「えぇ!?あこ!!これは事故でしょ!?」

 

 

ブーケを手にしたのはリサ。

彼女自身はただの事故と言い張ったが、乱入者たちにはそんなことはどうでもよかった。

 

「リサちゃん!!ずるい!!それ頂戴!!」

 

「今井さん・・・仲間と思ってましたが・・・2人と一緒に天誅です・・・!!」

 

「今井さん・・・酷いです!!」

 

 

 

 

 

「紗夜も燐子も何言ってってこっち来ないで~!!」

 

「こうなりゃリサも逃げんぞ!!」

 

こうしてモデルの新郎新婦に加えてブーケを取ってしまったリサは乱入した花嫁たちとの町内を舞台にした過激な鬼ごっこに興じていくのだった。

 

 

 

そして、この花嫁との鬼ごっこが通行人たちに目撃され、SNSに投稿されたことによって式場は事件以前よりも多くの予約で溢れかえったことになったのはこの時の彼らは知る由もなかった。

 





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ネタの説明はフヨウラ!!

小ネタの没ネターーー

「勉強よりも如月さん達を追わなければ・・・!!」

「そうですね・・・」

「ちょっと紗夜と燐子もどこ行くの!?」




「結婚式場のバージンロード役を・・・」

「えっと・・・如月さんのタキシード役を・・・」

「そんな役ある訳ないでしょ!!」



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日・常・風・景25 MILKYハートの一方通行

さぁて・・・
投稿ですが、今回のメインはついにメインを張れたこの方です・・・!!


 

 

私、牛込ゆり。

大学一年生―――とは言っても、普段は海外の学校に留学中なんだけど・・・

今日は年末が近い事とそして妹のりみが武道館でライブをすると言うこともあって日本に戻ってきており、とある駅に降り立った。

 

「ふんふ~ん」

 

 

 

 

 

駅から降りた私は最高のちょっと下くらいには気分で、りみ達のライブ会場であり、待ち合わせ場所でもある武道館へと向かっていた。

 

 

ん?なんで最高のちょっと下なのかって・・・?

久々に気になっていた男の子―――弦太朗とのデートであったはずなのに、空気を読んでくれずに一緒に来ることにした七菜が悪い。

っといけないいけない―――

 

待ち合わせ場所につく前に髪とかが崩れてないか確認しないと・・・

 

 

 

「髪も服も問題なさそうね・・・」

 

私は武道館へと向かう最中にビルのガラスに写る自分の姿を確認し始めるが、問題がないことを確認する。

 

今日は服から気合いを入れている。

流石に肌寒くなっている季節に合わせて上着を羽織っているが、その下は身体のラインが分かりやすいニットのセーターで・・・

更にその下も見られても恥ずかしくないように気合いを入れていた。

 

「これなら年上の魅力でいけそうね・・・!!」

 

そう確信した私は周囲から向けられる怪訝そうな視線を完全にスルーして武道館へと到着するが、ここで1つ大きな失敗をしてしまった。

 

 

 

 

 

「不味い・・・。弦太朗より遅くなっちゃった・・・!!」

 

待ち合わせの付近にはしばらく直接会っていなかった弦太朗の姿、本来の計画では弦太朗より早く来て―――

 

 

 

 

「どうしよう・・・!!「悪い。待たせたか?・・・ううん。今来たところだから・・・」ってやり取りをする予定だったのに・・・!!遅刻したのかな?・・・って弦太朗も待ち合わせ時間よりもかなり早く来たの・・・!?」

 

遅刻してしまったと思った私はスマホを取り出して時間を確認するが、スマホの時刻は待ち合わせをしていた時間よりも2時間以上早い時間を示していた。

 

 

「昔の弦太朗だったらギリギリだったのに・・・!!」

 

恨めしく呟いてしまった私だったが、まだ今日は始まったばかりでまだまだ取り返せる。

そう切り替えて彼の元へと行こうとしたが彼の元へと歩み寄ってくる大人の影が見えて、私は思わず近くの植込みの陰に隠れてしまった。

 

 

 

本来なら気にせずに彼の元へと行くべきだとは思うけど―――

 

「誰だろ・・・?男の人・・・?」

 

好奇心の方が勝ってしまい、弦太朗達の会話を盗み聞ぎすることにしてしまった。

 

 

 

 

 

 

「って友希那の親父さん・・・いつの間に・・・」

 

「と言っても今来たばかりだが?一人かい?」

 

「そうっすけど、ダチと待ち合わせしてるんで・・・」

 

「ふむ・・・それにしても友希那がここでライブを・・・」

 

「そうっすね。もう中で準備してるみたいっすけど」

 

「友希那とリサちゃんから話は聞いたよ。こうしていられるのも君のお陰だ・・・ありがとう」

 

「いや・・・俺だけじゃなくて、ダチのみんなのお陰なんで・・・」

 

「・・・そうかい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友希那・・・って確かRoseliaのボーカルの・・・ってそのお父さん?なんで弦太朗と・・・?」

 

弦太朗が話し始めたのは今日出るバンドのRoseliaのボーカルのお父さん。

でも―――

 

「一体・・・どういう関係なの・・・?」

 

私との関係を友達で済ませたことに若干不満はあったが、それ以上にどういう関係が気になった私は武道館を眺めながら、再び始まった彼らの会話の盗み聞ぎを続けていた。

 

 

 

 

 

「・・・如月くん」

 

「なんすか?」

 

「最近、友希那と話すことが増えたんだ。・・・とは言っても、話す内容は君のこととたまに音楽の事だけだけれどね・・・」

 

 

 

 

「は・・・?」

 

結婚した後に義理の親が結婚相手に聞くようなその言葉に私は耳を疑った。

 

は?

もしかして弦太朗がその友希那ちゃんと付き合ってるの・・・?

親の公認で・・・?

 

とても容認できない発想が飛び出てきたことに動揺せずにはいられない。

でも、気になって仕方がなかった私は弦太朗の言葉を震えながら待っていたが―――

 

「この前のがあった前まではスイッチ使って練習に付き合わされてましたけど?」

 

「聞きたかったのはそう言う事ではなかったのだが・・・。まさかそんなことまでしていたのか・・・」

 

 

 

 

「これは・・・大丈夫な奴だ・・・」

 

弦太朗の言っていることはよく分からなかったが、弦太朗がRoseliaのボーカルの友希那ちゃんとは付き合っていないことは確信出来たことに私は胸を撫でおろす。

あれなら大丈夫そうだと確信して私が彼の元へと向かおうとしたが、それよりも先に見覚えのあることもが彼の元へと駆け寄っていくのが見えた私はまた身を隠して彼の観察を再開した。

 

 

 

「「あっ~!!げんたろうだ~!!」」

 

「おっ・・・沙綾のとこの、純と紗南ってことは・・・」

 

「あら、如月くん。こんにちは」

 

「あら~たえちゃんは一緒にいないのかしら~?」

 

「あら?たしかはあなた・・・ちゆちゃんのお友達の~!!」

 

 

 

「沙綾とおたえ・・・それにチュチュのおふくろさん・・・!?」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待って・・・!!どういうこと?」

 

目の前の光景に再び私の頭は理解を放棄しかけてしまった。

りみと一緒にバンドをしているメンバーの家族達についてはまだいい。

あの人達だったらライブで顔を見たことあるとか、お店に顔を出して覚えてもらったとかで理解出来るし、弦太朗の性格を考えれば幼い子供たちと仲良くなれるのは1000%理解出来る。

だとしても、その後に登場した人物は絶対におかしい。

 

―――だってあの人!!

留学先でコンサートのポスターでしか見たことのないけど・・・プロのバイオリンの奏者・珠手美羽だよ!?

 

 

 

昔から交友関係は広かったとは思っていたけど、まさかあんな有名人が飛び出してくるなんてことは完全に想定していなかったよ!!

 

 

「・・・でも、チュチュって確かライブするRASってバンドのメンバーにいたし、その親ってのは分かるけど・・・そうだ!!きっとRASのバンドの練習見せてもらった時に覚えられたんだ・・・!!だって弦太朗のあの髪型はすぐ覚えられるし・・・!!」

 

私は気持ちを落ち着こうと必死になって自分に言い聞かせるが、全く効果がない。

こういう時は―――

 

「こういう時は素数を数えるのよ・・・。3.141592 ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ゆり、それは素数じゃなくて円周率よ?」

 

「七菜!?いつからそこに・・・!?」

 

 

 

 

「そうね。「これは大丈夫な奴だ」辺りね・・・」

 

「なら、声かけてよ!!」

 

「何度もかけたのだけれど・・・」

 

そんなタイミングで私に声をかけてきたのは同じバンドのメンバーだった七菜。

 

急に声をかけられたことに驚いて私は思わずいつからいたのかと聞くが、彼女はずっと声をかけていたらしい。

 

 

でも、声が聞こえていなかったのだからいなかったのと一緒だ。

うん。そういうことだ。

 

「それでゆりは何をしているのよ・・・」

 

「ちょっと隠れて!!」

 

「ゆり!?」

 

私は七菜に視線を一瞬だけ向けたがすぐに弦太朗の方へと視線を戻しながら、呆れた様子の声を挙げた七菜を隠れていた植込みの影まで引きずり込む。

 

「何を・・・もしかしてだけど・・・。一緒に見る約束をしてたのって男だったの・・・?」

 

「・・・そうだよ?」

 

「それを先に言いなさいよ・・・。それだったら空気くらい読んだのに・・・」

 

「言ってなかった?」

 

「言ってないわよ。全く・・・それにしても、ゆりにあんな不良みたいな知り合いが・・・いえ、見た目だけで判断してはダメよね・・・」

 

 

 

 

 

言ったつもりだったが伝わっていなかったみたいで七菜は呆れていたけど、そこは私達の代の生徒会長なんだから察してほしい。

 

それにしても・・・

 

「七菜。ちょっと身体のライン出しすぎじゃない?七菜は何時からそんな破廉恥な服をきるようになっちゃったの・・・?」

 

「はっ・・・?」

 

 

今の七菜はダメだ。

服も私と似たようなニットセーターだけど黒はダメだ。

 

普段からかけている眼鏡のせいもあって知的な空気を出しつつ、イケナイ大人の色香を出している七菜に、私にゾッコン・・・とまでは行かなくても、意識している筈の弦太朗も今から隕石が地球に落下する位の確率で七菜にホレてしまうかもしれない―――

 

 

 

「信じて送り出したバンドのメンバーがいつの間にかこんなことになってて私は悲しいよ」

 

「留学先から一時帰国してきた親友が知能指数下がったような事しか言わなくなった私はどんな表情をすればいいのかしら?」

 

「笑えばいいと思うよ」

 

「笑えないのだけれど・・・」

 

七菜が何か言っていたが、私はそんなことよりも気になっていた弦太朗の方へと視線を送る。

 

 

 

「―――そういえば、最近は妙な事件とかの噂がありましたけど~無事に出来て良かったですね~」

 

「そうですね~。うちのお店がある商店街でもあったんですよ?」

 

 

 

「そういえば、最近変な生き物を見たって噂がよく流れてたわね・・・。結構見た人がいるみたいだけど、私は見なかったわね」

 

「ふ~ん・・・」

 

七菜の話を聞き流して私は弦太朗観察を続けていていたが―――

 

 

 

 

 

「最近、うちの友希那とはどうなんだい?」

「最近、たえちゃんとはどうなのかしら?」

「最近、沙綾とはどうなのかしら?」

「最近、ちゆちゃんとはどうなの?」

 

「は・・・?」

 

「あの彼・・・結構モテるのね・・・。と言うよりは大人のウケがいいのかしら・・・?」

 

 

「まっ・・・まぁ!!私の弦太朗だし!!モテるのは当然だよね!!」

 

大人たちと横にいる七菜が私の理解出来ないことを言い始め、七菜も弦太朗の事をほめたことに私は胸を張っていたら、大人たちは一触即発の空気を纏って弦太朗の前から姿を消していた。

 

 

 

「ゆり・・・。その・・・彼は一体なんなのかしら・・・?」

 

「私のだから、七菜に譲らないよ?」

 

「いや、いらないわよ」

 

「いらないってどういうこと!?」

 

「・・・本当にめんどくさいわね・・・」

 

七菜に譲るつもりはないけど、彼女には弦太朗の良さをもっとよく知ってもらわないと―――

まずは私と弦太朗の出会いから・・・

 

 

「ちょっとゆり。また誰か来たわよ」

 

「えっ?」

 

しかし、私の考えを遮るかのように別の刺客が弦太朗の元へと現れたが、その人物に私は目を丸くしていた。

 

「アレは・・・明日香ちゃん・・・!?」

 

「知り合い?」

 

「水泳部の後輩で香澄ちゃんの妹だよ・・・!!それにあの服・・・スタッフの奴よね・・・そう言えばひなこ達もボランティアで・・・」

 

「っと、噂をすればきたわね・・・」

 

明日香ちゃんが着ていたスタッフの服を見て、同じバンドのメンバーのリィとひなこもスタッフとしていることを噂すればその2人が明日香ちゃんの方へと歩いていたが、ひなこが突如として明日香ちゃんの方へと駆け出し始めた。

 

「へい!!マイシスター!!」

 

「だからあなたの妹じゃないですって!!」

 

 

 

「ひなこ・・・まだあの絡み方してるんだ・・」

 

ひなこの登場に懐かしさを覚えたが、それは瞬く間に崩壊した。

 

 

 

 

「―――っておやおや?そこにいるのはマイブラザーではないか~」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブラ・・・?ひなこが私の弦太朗にセクハラしてる・・・!!」

 

「ゆりは現実を見なさい。ブラザーって言ったのよ」

 

明日香ちゃんに絡んだと思っていたひなこがいきなり弦太朗に飛びついて絡みだしていたことに怒りがこみ上げてくる。

 

その場にリィが合流して何かを話していたが、私の耳には全く入ってこない。

 

そもそも、何がどうなったら弦太朗がひなこの姉弟になるのか?

弦太朗は私の旦那になる予定なのに・・・!!

 

「―――りみちゃん達から聞かせてもらったよ。ありがとうこうしていられるのも君たちのお陰だから今日は楽しんでいってくれ・・・」

 

「おう」

 

「それじゃゆりによろしく・・・って何時までやってんだ!!いくぞ!!」

 

「リィちゃん怒んないでよ~!!シーユー!!マイブラザー!!」

 

「それじゃあ・・・」

 

 

 

 

 

「りみちゃん経由での知り合いだったのね・・・。ってゆり・・・?ちょっと落ち着いて」

 

 

「あんなに女の子をひっかけて・・・もう許せない・・・!!」

 

3人が会話をするとそのまま離れて行く。

横で七菜が何かを言っているが私の中の怒りは全く収まる気配がないどころがドンドン膨れ上がった私はそのまま弦太朗の元へと歩き出していた。

 

 

 

 

 

 

「よう!!久しぶりだな、ゆり!!」

 

 

何事もなかったかのような弦太朗の言葉に、私は遂に堪忍袋の緒が切れてしまった。

 

「弦太朗の・・・」

 

「・・・ってなんだ?」

 

 

「弦太朗の・・・バカぁー!!」

 

「ぐほっ!!・・・いきなりグーってなんだよ!?」

 

怒りに任せたグーを弦太朗に向けてしまったが、流石男の子と言うべきかいともたやすく避けられてしまった。

しかし、それでこの怒りは収まらない。

 

 

 

 

「弦太朗のバカ!!アホ!!女ったらし!!」

 

「久々に会ってどうしたんだよ!!」

 

「何よ!!この前久々に電話してきたと思ったら明日香ちゃんの事を聞いてくるし!!こんな公共の場で相手の親公認で私以外の女の子達といちゃいちゃして!!」

 

「そんなのしてねぇ!!」

 

「私が何のためにこんなに頑張ったと思ってるのよ~!!」

 

「ちょっとゆり!!やめっ!!」

 

「煩い!!」

 

弦太朗が何かを言っているが、私はそんなことを構わず彼の胸に飛び込んでその胸を何度も叩き始めていた。 

 

 

 

「ちょっとゆり!?久々に帰って来たと思ったら何してるの!?」

 

「七菜 !!離して~!!」

 

しかし、すぐに七菜が私の事を弦太朗から引き剥がされてしまった。

 

 

 

「あんたは・・・?」

 

「私は鰐部 七菜・・・この馬鹿の同級生で同じバンドのメンバーよ」

 

「あんたがゆりの・・・俺は如月弦太朗」

 

「如月くん。うちの馬鹿がごめんなさいね?」

 

「ちょっと七菜!!」

 

 

 

「煩い!!アンタは公共の面前で何をやってるのよ!!」

 

弦太朗と仲よさそうに話し始めた七菜に声を挙げるが、私は七菜の言葉と起こった表情を見て完全に固まってしまった。

 

「ちょっと・・・鰐部先輩・・・?」

 

「如月さん。あなたもですよ?」

 

「俺何もしてねぇぞ?」

 

「あなたはもう少し乙女心ってものを理解しなさい!!」

 

「はぁ?」

 

 

 

こうして私と弦太朗は仲良く七菜に公開説教を受ける羽目になるのだった。

 

 






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日・常・風・景26 少女達の前日譚-the First Layer

過去回想篇です・・・

※注意
今回の話では一部読者に対して非常によろしくない描写(子供のいたずら)が含まれています。
その点だけはご承知のほどを・・・
ってことで投稿です


 

 

「そういえば・・・りみりん。実は気になってたことがあるんだけど・・・」

 

「・・・沙綾ちゃん?どうしたの?」

 

バンドリの決勝を終えた数日後、ガールズバンド35人がGalaxyに集まって合同の打ち上げをおこなっていた。

その最中におもむろに真剣な表情をした沙綾に話しかけられたりみは真剣な話だと勝手に思い込んでコロネを食べるのを止めて沙綾に視線を向けると、他の面々も彼女と同じように視線を向ける。

 

全員の視線が集まり空気が重くなっていくのを感じていく中で沙綾は真剣な表情のままその口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば・・・りみりんってどうやって弦太朗と会ったの?」

 

「はい・・・?」

 

「沙綾?それ聞くだけでそんな真剣な顔してたの・・・?ってそういえば先輩いないね・・・?」

 

「・・・アイツは自分の学校に用事があるのと、事件についての報告?があるとか言って遅れて来るって言ってたぞ?」

 

しかし、真剣な話と思ったのに出てきた言葉は弦太朗とりみの出会いについて。

真剣な表情に全く見合わない話題を出されて、りみは言葉を失ってしまい、たえまでもがそんな沙綾に疑問を投げていた。

 

「沙綾!!私も気になる!!」

 

「・・・まぁ、私も最初に2人が普通に話してたの見た時は自分の目を疑ったからな・・・」

 

「それに大阪にいた頃だったらゆり先輩もいたんだから、弦太朗がりみに近づけるとは思えないんから余計に気になって!!」

 

 

 

 

「花ちゃん・・・ってみんなで何話してるの?」

 

「レイ・・・!!」

 

ポピパの5人がそんな話を繰り広げ始めたと思ったら、唐突にたえが別の人物へと視線を向けて呟き始めていた。

 

「そうだ!!言ったらレイも気になる・・・」

 

 

 

 

「・・・何の話?」

 

「こっち来る前の弦太朗がどうこう言ってたのは聞こえたけど・・・ハナの言う通りちょっと気になるな・・・」

 

「いつもレイヤが友達の話をするときはハナゾノかゲンタロウのことだもの・・・」

 

「チュチュ!?」

 

思わぬ火の粉が降りかかったレイヤから出た声に会場中の視線が集まってしまったが、話までは聞こえていなかったみたいで何事かと首を傾げていた中で空気をぶち壊しながら勇者が声を挙げた。

 

 

 

 

「えっと・・・その・・・なにかあったんですか・・・?」

 

「ましろちゃん!!りみりんとレイヤさんが初めてゲンちゃんに会った時の話を聞こうとしてたの!!」

 

「「香澄ちゃん・・・!?」」

 

 

 

「それはモカちゃんも気になりますな~。ね~?蘭?」

 

「私は別に・・・」

 

「そんなに大したことじゃないよ・・・?」

 

 

 

 

「美咲!!面白そうね!!」

 

「まぁ、今のまま小さくなった感じだろうけど・・・」

 

「本当にその通りなんだけど・・・」

 

 

 

「ちょっと皆さん。2人とも話しにくそうにしているのにこうして聞こうとするのは・・・」

 

「でも、お姉ちゃんも小っちゃい頃のゲンちゃんって気になるでしょ?」

 

「気にならないと言ったら嘘になるわね・・・」

 

 

 

 

 

 

「2人とも~☆」

 

「「リサさん・・・!!」」

 

香澄の言葉にりみとレイヤが驚きの声を挙げるが、2人以外は少なからずこの話題に興味を示していた。

期待感の籠った顔を向けられてりみとレイヤは困った表情を浮かべてしまうが、そこに頼りになりそうな人物が2人にリサはニコニコしていたその表情になぜか2人は頼もしさを感じてしまい、2人はこの場を何とかしてもらおうと言う期待を持っていたが、そんな彼女は2人の肩にそっと手を置いて語りかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「無理して話さなくてもいいけど、アッチの人たちがどうなるかまでは保証できないかな~☆」

 

「「へっ・・・?」」

 

リサは2人の語りながらある方向を指差すと、2人は何も考えずにその方向へと視線を向けると―――

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

視線の先には完全に目から光が消えたつぐみ達5人に若干の恐怖を覚えた2人だったが、それだけではなかった。

 

 

「2人とも何で言えないのカナ?」

 

「レイヤさん?りみちゃん?・・・ナニカやましい事でもあるのかな・・・?」

 

「アラアラアラ・・・?」

 

「マンマルオヤマノイロドリニシテヤロウカ・・・?」

 

「パンノグザイニシテヤロウカ・・・?」

 

 

 

 

 

「ね?アレを纏めては止められないかな~」

 

「「・・・」」

 

目の光を消して脅迫じみたことを言い始めていた5人の姿に、2人は逃げ場がないのを悟って諦めた。

 

 

「・・・どっちから話す?」

 

「私は小学校5年生の時―――6年前だけど、りみちゃんは?」

 

「えっと・・・小学校6年生から中学1年の途中までなんだけど・・・レイヤさん先にやる?」

 

「いや、時期的に近いりみちゃんからで・・・」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「早く・・・!!」」」」」」

 

「「どうしよう・・・」」

 

「とりあえず時系列の順・・・学年が下の方から話せばいいんじゃないかしら?・・・上原さん達がもう我慢の限界の様ですし・・・」

 

どちらから話すかで押し付け合いになってしまうが、外野から急かされ始めてどうしたらいいかと困り始めた2人だったが瑠唯の言葉と彼女が語ったひまり達の様子を聞いてレイヤからと言う流れが出来てしまい、レイヤは語り始めるのだった。

 


 

小学校5年生の時、こっちから親の都合で転校した私。

転校してすぐは物珍しさから同じ学年の人達が話しかけてきたけど、花ちゃんとの別れがショックだったのと、今まで音楽ばっかりしていた私は周りと会話の内容がかみ合わず―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

転校して3日経った頃には、私は完全にボッチになっていた。

 

 

 


 

「って!!ちょっと待て!!レイ!!」

 

「えっ?ますき?どうしたの?」

 

レイヤの語りに思わずますきからストップがかかってしまうが、止められた彼女自身はなんで話を止められたのか理解出来ていない様子に思わず、パレオが声を挙げていた。

 

 

「どうしたもこうしたもありませんよ!!何で如月さんとの出会いの話をしているはずなのに!!どうしていきなり転校したレイヤさんのボッチエピソードを聞かされてるんですか!?」

 

「えっ?だって弦太朗と会った頃の話じゃ・・・」

 

「違います!!聞きたいのは出会った”時”の話で!!”頃”の話じゃありません!!」

 

「レイヤ、ちゃんとしなさいよ・・・。プロデューサーとして恥ずかしいわよ・・・」

 

 

 

「そんな・・・」

 

「レイヤさん!!とりあえず!!この後の話に如月先輩が出てくるんですよね!!そこから話しましょう!!」

 

完全に身内であるRASからのダメ出しにレイヤは落ち込み始めてしまうが、それを見てロックがレイヤをフォローし始めていた。

 

その言葉を聞いて若干気持ちを持ち直した彼女は弦太朗との出会いの話を再会した。

 

 


 

「・・・」

 

小学校ってこともあって休み時間の廊下や教室では遊んでいる子達のせいで騒がしかったが、ボッチになっていた私は自分の席で音楽の本を読んでいたその時―――

 

 

 

 

「ここが転校生が来たって教室か・・・!!」

 

廊下の方から1人の生徒が声を挙げていた。

私の事を言っているのは分かったけど、それでも気にせずに本を読んでいた私の前にその子は歩み寄ってきて話しかけてきた。

 

「お前が転校生だな!!」

 

「・・・そうだけど?」

 

「俺、如月弦太朗!!ダチになってくれ!!」

 

「はっ・・・?」

 

 

 

「お前、転校生だろ?俺は学校のみんなと友達になるんだ!!だからお前とも友達になる!!」

 

「・・・本を読んでるの。邪魔しないで」

 

「・・・ごめん!!ってチャイムがなっちまった・・・!!また来るからな!!」

 

 

「なんだったの・・・?」

 

正直、花ちゃんとの事を引き摺っていた私にとって目の前の子の言葉が鬱陶しいと思ってしまってぶっきらぼうに言葉を返したが、目の前の彼はそんなことを気にする様子もなく授業が始まるチャイムの音を聞いて一目散に教室から飛び出していくのを目で追っていた。

 

 

 

それが弦太朗との初めての会話で、それからも弦太朗はほぼ毎日教室までやってきた。

 

「よぉ!!友達になるために一緒に帰ろうぜ!!」

 

「・・・」

 

いつもぶっきらぼうに対応していた私に弦太朗はほぼ毎回同じ言葉で会話を始めてくる。

 

それに飽き飽きした私は弦太朗を無視して帰ろうとしたが、私が持っていた音楽の本の表紙を見て弦太朗は声を挙げた。

 

 

 

「ギターじゃん!!うちにもギターあるんだけど全然弾けなくて・・・もしかしてお前、楽器できるのか!?」

 

「・・・ううん。出来ない」

 

「やっと自分の事話したな!!これでお前とも友達だな!!わ・・・レイ!!」

 

「あっ・・・えっ?」

 

「じゃあ友達になった記念だ!!一緒に帰ろうぜ!!」

 

弦太朗に指摘されて、その時初めて自分が弦太朗とまともに会話をしたことに気が付いて、思わず顔を上げると彼は笑みを浮かべていた。

そして私の名札を見て私の名前を呼ぶと彼は一緒に帰ると言い出していた。

 

私としては友達になったとは思っていなかったが断るのもめんどくさくて無視して昇降口まで移動して靴を履き替えようとした時に事件が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

「どうしたんだ?」

 

「靴がない・・・」

 

「誰かが間違って履いて帰っちまったのか?」

 

「でも、周りの下駄箱にも靴がない・・・って何で下駄箱登ってるの?」

 

「ちょっと待ってろ・・・!!」

 

私の下駄箱から靴が消えていて、訳が分からなかってしまって慌ててしまった私を他所に弦太朗はおもむろに下駄箱をよじ登り始めた。

意味が分からずに声をかけるが彼は私の言葉を聞き流して下駄箱の一番上までよじ登ったと思ったらすぐに彼は何かを持って下駄箱から飛び降りてきた。

 

「・・・これか?」

 

「・・・!?それ・・・私の・・・!!なんで・・・?」

 

「ちょっと前に6年生で下駄箱の上に靴を隠すいたずらが流行ってたんだよ。だからもしかしてと思ってな・・・」

 

弦太朗が持っていたのは私の靴。

でも、なんでそこにあったのか分からなかった私は思わず質問すると彼はつまらなさそうな表情を浮かべて答えると、何事もなかったのような表情に戻るって分かれ道まで一緒に帰った。

 

そして、数日後。

私は図書室で音楽の本を借りてから家に帰ろうと昇降口に向かっていた時に事件があった。

 

 

 

 

 

 

 

「おい!!なにやってんだ!!」

 

「お前に関係ないだろ!!

 

 

 

 

 

「この声・・・」

 

昇降口から聞こえてきたのは弦太朗の声。

気になった私は見つからない様に昇降口に向かうとそこには弦太朗が誰かと言い争っていたが、私はその相手の手に持っていた物に気が付いた。

 

 

 

「私の靴・・・!!」

 

弦太朗が怒った相手が持っていたのは私の靴。

彼は前みたいに私の靴を隠そうとしたのを怒ったことはすぐに分かったが、そんな彼のところに犯人の友達が2人現れた。

 

「なにやってんだよ~」

 

「はやくやっちゃえよ~」

 

「関係ないこいつが邪魔してきたんだよ!!」

 

 

 

 

 

「関係なくねぇ!!それは俺の友達のもんだ!!」

 

「うるせぇんだよ・・・!!」

 

 

「いってぇな!!」

 

相手が増えても弦太朗は態度を変えることはなかったが、それが相手の気に障ったようで持っていた私の靴を弦太朗に向かって投げつけたと思ったら3人で弦太朗を囲んで叩き始めると弦太朗はそのまま3人相手に取っ組み合いの喧嘩を始めてしまう。

 

そのままどうしていいか分からずオロオロしていたが、学校に残っていた先生たちがやってきて弦太朗達がその場で説教を始める。

 

弦太朗と喧嘩をしていた犯人の生徒達は説教によるものか喧嘩によるものかは分からないがその場で涙目になっていたが、一方の弦太朗は全く反省している様子を見せなかった。

 

それが先生たちに不信感を与え始めた時に先生たちが私の存在に気が付いて、被害者である私に状況を説明したが私は見てたから状況は知っていた。

 

 

 

 

「如月・・・くんがその人たちがやろうとしたのを止めようとしたら喧嘩になったのを見てました・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・悪かったな」

 

「ううん。気にしてない」

 

喧嘩したことに対して弦太朗は怒られたが、理由が理由だけにすぐに説教から解放されて私と一緒に帰っていた。

 

弦太朗は私に謝ってきたが、その事が申し訳なくなったのか分からないが私は自分の事を話始めていた。

 

「実はね。あそこに来る前に図書室でギターの本借りてたの」

 

「なんでまた音楽の本なんだ?」

 

「・・・引っ越してくる前に音楽の教室に通ってて。そこで仲良くなった友達と”いつか一緒に音楽やろう”

って約束したんだけど、友達がやってたのがギターで・・・でも私は歌だけでギターは出来ないし・・・。他にも歌の上手い人はいっぱいいるし・・・」

 

 

 

 

 

 

「う~ん・・・。別にギターじゃなくていいじゃん!!」

 

「ん・・・?」

 

そこまで話を聞いた弦太朗は何かを思い出そうとしているみたいに唸りだし、そしてそれを思い出して彼は声を挙げたがその言葉の意味が分からなかったが、彼は話を続けていた。

 

「この前テレビで歌とギター以外の楽器・・・ドラム?とベース?ってのと一緒に音楽やってたの見たぜ!!レイの歌もギターも聞いたことねぇけど、そっちもしダメならそのドラム?かベース?ってのをやればいいんじゃね?」

 

「・・・っ!!そうだね・・・!!なら上手くなったら花ちゃん・・・友達と一緒の音楽聴かせてあげる・・・!!」

 

「楽しみにしてる!!じゃ!!俺の家こっちだから!!またな!!」

 

「うん!!バイバイ」

 

そう言って弦太朗と別れた私は走って家に帰ると歌とギター以外でもっとも興味があった楽器について調べ始めて―――

 


 

 

「それでその後はいたずらも無くなって・・・ベースを本格的に始めたんだ。でもね、弦太朗は私の演奏聞く前に引っ越しちゃって・・・まぁ、友達と一緒の音楽を聴かせるのはバンドリの決勝で花ちゃんと一緒に演奏を―――ってみんな?どうしたの・・・?」

 

 

 

 

 

 

「レ゛イ゛ヤ゛さ゛~ん゛っ゛!!」

 

「レ゛イ゛~!!ま゛た゛い゛っ゛し゛ょ゛に゛お゛ん゛が゛く゛し゛よ゛~!!」

 

「ちょっとロック!?花ちゃん!?」

 

一通り弦太朗との話を終えたレイヤ。

気が付けば何とも言えない空気になっていたことに気が付いたがもう遅く、感極まったロックとたえは泣きながらそのままレイヤに飛び込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「レイヤさんにそんな過去があっただなんて~・・・!!パレオ感動してしまいました・・・!!」

 

「なによ・・・レイヤ・・・最初はどうなる事かと思ったら・・・いい話じゃない・・・!!」

 

「これは・・・卑怯だろ・・・!!」

 

 

 

 

「えっ・・・うち、この後に話すの・・・?」

 

RASとたえが感動の涙を流し始め、それに釣られるように一部の面々もその目に涙を浮かべ出す。

りみも最初は話を聞いてその目に涙を浮かべていたが、この空気の後に話すことを考えると別に理由でその目に涙を浮かべ始めるのだった。

 





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日・常・風・景27 少女達の前日譚-関西姉妹と巡り合い

過去回想篇です・・・

今回はあの姉妹編です。
※注意
今回の話では地名はぼかしていますが、その場所での飛び込みは絶対にやめましょう
近くの野球チームが優勝したら飛び込まれていましたが、今はどうなんでしょうねぇ・・・?


 

弦太朗くんに始めてあったのは私が小学校6年生の時で―――

 

 

 

 

「おはよ~・・・」

 

「りみ、もう・・・小学校6年生になって半月経つんだから、もう少ししっかりしないとね~」

 

朝ごはんを食べていた時に、何かを思い出したお姉ちゃんは食べながらお母さんに話しかけていた。

 

 

「そういえば・・・昨日、外が騒がしかったけど何かあったの?」

 

 

 

 

 

「あぁ、近所に新しい人が引っ越して来て、挨拶に来たのよ。なんでもあなた達と年の近い男の子がいるみたいよ」

 

「へぇ~・・・」

 

お母さんからの言葉を聞いて、ちょっとだけ興味がありそうな表情を浮かべたが私とお姉ちゃんは朝ごはんを食べ終えるとそのまま学校に行く準備を整えて―――

 

「「いってきまーす」」

 

 

 

そうして同じタイミングで家を出て学校に向かっていた。

 

「それにしても、どんな子なんだろ?」

 

「お姉ちゃん、気になってるの?」

 

「う~ん・・・。今いる学校の人みたいに変なことしない人だといいな~って。それに近所に年の男の子って少ないからね」

 

「そうだね~」

 

私は読書ばっかりしていて関りがないけど、学校にいる男子達はいつも騒がしく遊んでいるのはよく見ていたし、お姉ちゃんも中学の人達が騒がしいって言ってたのは聞いていたのも覚えていた。

 

そんな話をしていた私達は中学校と小学校の分かれ道まで歩いてきていた。

 

 

 

「じゃあ、お姉ちゃん。気をつけてね?」

 

「うん・・・!!りみもね・・・!!・・・って何かし・・・!?りみ!!こっち来て!!」

 

 

お姉ちゃんは私を見送ろうとしていたが、小学校に行く道の方に何かがあったのに気が付いて声を出ていたが、突如として私の手を掴むと私を自分の背中に隠し始めた。

 

訳が分からなかった私は声を挙げると小学校の方から足音が段々と近づいていた。

 

「なぁ・・・ちょっと聞きてぇんだけどよ・・・」

 

「なんですか?警察呼びますよ!?」

 

「待て待て!!なんでだよ!?」

 

「明らかに不審者じゃないですか!!」

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん・・・!?何して・・・!?・・・ひっ!?」

 

私は思わずお姉ちゃんに声を挙げるとお姉ちゃんの背中越しに小学校の方へと視線を向けると、そこにはリーゼントに学ランを着た変わった男の人が立っていたのを見て―――

 

「・・・前にテレビで見た不良って人たちだ」

 

「りみ・・・!!」

 

 

 

大阪の街では見た目がちょっと怖い人をたまに見たことはあったけど、今目の前にいる人はその人達から感じるのとは別の怖さを覚え、お姉ちゃんも怖いのか身体を若干震わせていたが目の前の人が若干恥ずかしそうな表情を浮かべながら尋ねてきた。

 

「だから待てって!!あのさ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学校ってどっちだ・・・?昨日来たばっかで場所がよく分かんなくてよ」

 

「それ・・・私の学校・・・えっ・・・?昨日・・・?」

 

「お前、その学校の奴か!!悪いんだけど場所教えてくれよ!!・・・あっ!!俺は如月弦太朗!!学校のみんなと友達になる男だ!!」

 

その人から出てきた学校はお姉ちゃんが通っている中学校の名前と、昨日引っ越してきたと言ったことで私とお姉ちゃんは信じたくはなかったが、目の前に立っている怖い不良の人が朝に話してた引っ越してきた人だというのは理解した。

 

これが私達と弦太朗くんとの初めての出会いだった。

 

 


 

「・・・って!!最初はりみりんもゲンちゃんの事怖かったの!?」

 

「逆にいきなりアレを出されて怖いと思わねぇ奴がいる訳ねぇだろ・・・」

 

今では平然としているりみだが、そんな彼女も弦太朗との出会いの時点では怖いと思っていたと語られたことに香澄が思わず声を挙げてしまった。

しかし、それに首を傾げるものがいた。

 

 

 

 

 

「「・・・そうかしら?」」

 

「はいはい。こころはちょっと静かにしておこうね~」

 

「友希那はあの時は紗夜の事でそこまで頭回ってなかったでしょ~。アタシも話聞かないで見たら多分怖いと思っただろうし!!」

 

「アタシ達は沙綾の男と一緒にライブ見に来たって聞いたから怖いとか・・・」

 

「蘭達はモカとアタシの後ろに隠れてたろ?あこもあの時は後ろに隠したけど・・・アレはほらヤバい奴だったらヤバいと思ってな・・・」

 

「そういえば麻弥ちゃんも平気そうだったよね~」

 

「お恥ずかしながら・・・あの時はたえさんが買ったアンプにしか目が行ってなくて・・・」

 

「私も最初は花音が脅されてると思って・・・それどころじゃなかったわね・・・」

 

「ふえぇ~!?」

 

「そう言えばチュチュもビビってたよな!!それにパレオに至っては風呂が初めてで・・・!!」

 

「もう!!マッスーさん!!」

 

いつの間にか牛込姉妹と弦太朗の出会いから初対面の弦太朗が怖かったかということに話が脱線してしまっていたが、それに待ったをかけたものが現れた。

 

 

 

「ってそうじゃない!!そうじゃないよ!!りみりん!!」

 

「沙綾?どうしたの?お腹空いたの?」

 

「おたえもバカ言わないの!!」

 

この流れを止めたのは沙綾。

彼女の言葉に周囲は何とも言えない空気になったが、そんなことを気にすることも無く彼女は言葉を続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあどうやってりみりんは弦太朗と仲良くなって・・・その・・・ゆり先輩はあんな風になっちゃったの!?」

 

「確かに・・・!!今のままじゃりみりんとゆり先輩がどうやってゲンちゃんと仲良くなったのか分かんない!!」

 

沙綾と香澄のやり取りに全員がハッとした表情を浮かべていた。

 

積極的に前に出て行くタイプではないりみ。

そんな彼女がも不良の見た目をしている弦太朗と平然と話せるようになった理由については今までの話では全く触れられていない。

 

それを考えた途端に彼女達の興味は再びりみのことについてに引き戻されていく。

 

「りみりん!!そこの話!!後はゆり先輩との話も!!」

 

「あはは・・・じゃあ、私の方からね・・・?」

 

必死な形相で訴えかけてくる沙綾を見てりみは再び昔の事を語り始めた。

 

 


 

「よぉ!!おはよう!!」

 

「・・・」

 

「えっと・・・おはようございます・・・」

 

「・・・私達は、先に学校行くから!!」

 

「またな!!」

 

 

「お姉ちゃん・・・?」

 

「りみ、あの不良には近づいたらダメだからね!!」

 

「え・・・?うん・・・」

 

 

弦太朗くんが引っ越してきてから2週間くらいが経った。

最初に見かけてからも学校に行く途中でたまに見かけることもあったけど、1回も会話らしい会話をしたことはなく、お姉ちゃんも弦太朗くんの姿を見た日はちょっとだけ不機嫌になっていて私に近づかない様に言ってくる

 

そしていつもの分かれ道についた時にお姉ちゃんは何かを思い出したかのように私に話しかけてきた。

 

 

 

「そうだ。今日はお父さん達が仕事で遅くなるって、2人よりは早く帰ってくるけど私も部活からそのまま塾に行くから帰りが遅くなっちゃうけど・・・」

 

「大丈夫だよ?6年生なんだから1人で留守番くらい出来るよ?前にもしてたでしょ・・・?」

 

「そうだよね。じゃあ行ってくるね!!」

 

「いってらっしゃい」

 

そうやって別れてから学校に行くと、いつも通りに授業を受けてから家に帰った時に事件が起きた―――

 

 

 

 

「あれ・・・?家の鍵がない・・・!!どこ行っちゃったんだろう!?」

 

私はいつもはランドセルの中に閉まっている家の鍵を取り出そうとしたが、いつもの場所に鍵がない。

どこかに落としたかと思ったが、ふと昨日のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

「あっ・・・!!そういえば・・・昨日、家の鍵使ってから机の上に置きっぱなしだった・・・!!」

 

昨日も同じように家の鍵を使ったが、その際に鍵をしまった記憶がなく机の上に置いたままにしてしまっていたことを思い出した。

 

「誰かが帰ってくるの待ってなきゃ・・・」

 

そう思った私は玄関の前に座り込んで家族の帰りを待っていたが―――

 

「何時まで待つんだろう・・・」

 

自分の口から出た言葉に私は不安を覚えてしまっていた。

 

今日はお父さんとお母さんはお姉ちゃんよりも遅くなるのは聞いてたからお姉ちゃんが帰ってくるのを待つしかない。

お姉ちゃんが部活から塾に行くと言ってたけど、お姉ちゃんが部活が終わる時間なんて分かんないし、塾が終わる時間までで1人―――

 

 

「うぅ・・・」

 

そう考えると急に不安になった私は下を向いてしまったが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・こんなとこで何やってんだ?」

 

「えっ・・・?あっ・・・如月さん・・・?」

 

私は顔を上げて声が聞こえた方に視線を向けると、そこには荷物を抱えた弦太朗くんがいたけど、弦太朗くんの事が怖くて上手く声が出せずに震えていた。

 

そうしたら何を思ったのか弦太朗は私の横に座ると抱えていた荷物を探り始めるとその中から何かを取り出していた。

 

 

 

 

「とりあえず・・・チョコでも食うか・・・?」

 

「えっ?あっ・・・うん・・・」

 

私はそのチョコを受け取るとそのまま口に運んで食べ始めると、思わず頬が緩んでしまう。

 

「おいしい・・・」

 

「なんだ?チョコ好きなのか?」

 

「うん!!・・・あっ・・・えっと・・・ごめんなさい・・・」

 

「ん?なにがだ?」

 

チョコをもらって気が抜けてしまった私は敬語を使わないで答えてしまって慌てて謝ったが、弦太朗くんは私が謝った理由が分からずに首を傾げていたが、私は謝った理由を話した。

 

 

 

 

「年上には敬語を使わないとダメだって・・・お母さんとかお姉ちゃんが・・・」

 

「だったら今からダチだ。ダチが相手なら気にしなくていいだろ?」

 

「・・・でも、年上だし・・・」

 

「ダチになるのに年なんて関係ねぇだろ?・・・もう1個食うか?」

 

「うん・・・!!」

 

「それにこうやって一緒に物を食ったらダチだ。・・・それで、なんで家に入んねぇんだ?」

 

弦太朗くんから差し出されたチョコをまた受け取ると今度はそれを弦太朗くんと一緒に食べ始める。

そして食べながら私が家の前に座っていた事について聞かれたが、先ほどまで感じていた不安はもう感じなくなっていて、友達と言われたことで私は先ほどのように砕けた話し方で話し出した。

 

「えっとね。家に帰って来たんだけど、家の鍵を家の中に忘れちゃって・・・それで、誰かが帰ってくるまで待ってたんだけど・・・」

 

「姉貴のとこには行かねぇのか?」

 

「えっと・・・学校は分かるけど、部活からそのまま塾に行くって言ってて・・・。私はお姉ちゃんが通ってる塾の場所知らないから・・・」

 

「なるほどな・・・。じゃあ誰か帰ってくるまで一緒に待ってるか」

 

「えっ・・・?でも・・・」

 

「吾郎爺・・・爺ちゃんに買物頼まれたけど、こんなことがあって1人で放っておいたら怒られちまうし、ダチを放っておけねぇからな!!」

 

「ありがと・・・」

 

そうして弦太朗くんは私と一緒に誰かが帰ってくるのを待ってくれている間に、いろんなとこに引っ越していることやそこで出会った友達の事など弦太朗くんの話を沢山聞かせてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに友達がいるんだ・・・凄いね・・・。私はそんなに友達いる方じゃないから・・・」

 

「みんないい奴ばっかりだからな。りみも会えばダチになれるぜ」

 

「えへへ・・・そうかな?」

 

そうして話を聞いているうちに私は弦太朗くんのことが怖いとは思わなくなっていて、気が付けば1人でいた時の不安はなくなっていた。

 

「あーもうだいぶ暗くなってんな・・・」

 

「あっ・・・ほんとだ・・・」

 

話を聞くのに夢中になっていて全く気が付かなかったが、顔を上げたら既に空が暗くなっていた。

こうなればもうそろそろ―――

 

「もうそろそろ帰ってくるんじゃねぇか?」

 

「多分お姉ちゃんが帰ってくるかも・・・。もう少し話聞きたかったな・・・」

 

「だったらまた今度な?」

 

「うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「りみ!!」

 

「あっ!!お姉ちゃん!!」

 

「こんな時間に何して・・・っ!!」

 

「お姉ちゃん・・・!?」

 

そんな話をしていたら塾から帰ってきたお姉ちゃんの声が聞こえたが、お姉ちゃんは弦太朗くんを見た途端に物凄い勢いで私達の方に向かってくると、私を弦太朗くんから引き剥がすと心配そうな表情を浮かべながら私の肩を掴んできた。

 

 

「大丈夫!?何かイヤなことされてない!?」

 

「ううん。家の鍵持ってくるの忘れちゃった私と一緒にいて・・・それに、チョコもらってお話してただけだよ?」

 

「りみ!!もう!!家に入るよ!!それにこの人と仲良くしちゃダメって言ったでしょ!!」

 

「ちょっとお姉ちゃん・・・!!」

 

お姉ちゃんは私の言葉を聞くと、自分の鍵を取り出して家の鍵を開けると私の肩を凄い勢いで押してくる。

 

弦太朗くんのことを無視してる様で私はお姉ちゃんに押されながら弦太朗くんの方へと視線を送ると、弦太朗くんは笑みを浮かべていた。

 

「じゃあ、またな!!」

 

「またね・・・弦太朗くん!!」

 

 

 

「りみ!!」

 

私は弦太朗くんに別れの言葉を掛けるとお姉ちゃんはそのまま私を家の中に引きずり込んでいく。

そしてすぐに鍵を閉め直すと私の方を向くと怒っている声を出してきていた。

 

 

 

「りみ!!言ったでしょ!!あの人と仲良くしたらダメだって!!」

 

「なんで・・・?さっきまでお話したけどいい人だったよ?」

 

「騙されてる!!絶対に騙されてるからね!!」

 

 

 

 

「そうだ。宿題しないと・・・それに家の鍵もしまっておかないと・・・!!」

 

「りみ!!話は終わってないよ!!」

 

私は宿題と言い訳をして自分の部屋へと逃げ込んでいた。

 

 

 

「今度はどんな話をしてくれるんだろ・・・」

 

そんなことを考えながら、私は逃げる言い訳に使った宿題を取り出すのだった。

 

 


 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「あれ・・・みんな・・・?」

 

 

 

 

「ただ如月に餌付けされただけじゃねぇか・・・!!」

 

りみと弦太朗が友達になった時に話を終えるが、周囲は静かになっていた。

何かを間違えたのかと思ったりみは不安そうな表情を浮かべていたが、この話を聞いていた有咲が皆を代表して思ったことを口にするとそれに同意するように皆が首を縦に振っていた。

 

「それに、りみは分かったけどゆり先輩についてはいつからああなったのか分かんないよ?」

 

「えっと・・・それは・・・私も分かんないし・・・」

 

ゆりの事は全く分からない。

でも、弦太朗との出会いについては話したから自分の番は終わった。

そう思っていたが―――

 

 

 

「リミさん!!ゲンタロウさんとお出かけとかはしなかったんでしょうか!!」

 

「えぇ!?」

 

「そうだよね・・・ゲンちゃんと1年近く一緒にいたんだからどこか行ったりしたんだよね!!」

 

イヴからの思わぬ攻撃に驚きの声を挙げるが、香澄がそれに乗ってくるとりみは大阪での彼との出来事を思い出していた。

 

「えっと・・・後は一緒に買物に行ったり、夏に浴衣着てお祭り行ったり・・・プールに行ったりもしたっけ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「浴衣で・・・お祭り・・・?」

 

「「プール・・・?」」

 

「「買物デート・・・?」」

 

 

 

 

 

「沙綾落ち着けって・・・!!」

 

「ちょっとつぐもひーちゃんも・・・落ち着きなよ・・・」

 

「彩ちゃんと千聖ちゃん!!面白ーい!!」

 

「それでリミさん!!2人で出掛けた時は何をしてたんですか!?」

 

「最初は・・・お姉ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶのについてきてもらったんだ~。・・・そう言えば買物中にアイス買った時にオマケって言われてチョコミント貰ったんだ~・・・」

 

「あれ?りみってチョコミントダメだったろ・・・」

 

りみは弦太朗と一緒に行ったことを思い出すかのように呟くが、その全てが悉くが沙綾達の琴線に触れてワナワナと震え始めていたが、りみの言葉に有咲は彼女の話で気になったことが口から漏れてしまっていたが、それがりみの耳に届いてしまったのが彼女の不幸の始まりだった。

 

 

 

「えっと・・・頑張って食べようとしたんだけど・・・弦太朗くんが代わりに食べてくれたんだ~」

 

「ちょま!?それって・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「間接キス!?」」」」」」

 

「えっ・・・?あっ・・・///めっちゃハズイ・・・」

 

何食わぬ顔で答えたりみ。

その答えを聞いた皆が声を上げてしまい、冷静になったりみは恥ずかしがっていた。

その一方では遂に堪忍袋の緒が切れてしまった彼女達は行動を起こしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りみ・・・明日からのコロネにはチョコミント入れておくね・・・」

 

「沙綾ちゃん!?何言っとんの!?」

 

 

 

「これは・・・OHANASHIが必要ね・・・」

 

「れんこーだよ!!」

 

「ちょっとひまりちゃんにつぐみちゃん!?」

 

「「OHANASHIしよっか?」」

 

「なんでぇ~!!」

 

彼女達はりみを捕まえるとそのまま会場から姿を消してしまい、何とも言えない空気が流れる。

そして少し時間が経ち――――

 

 

 

 

 

 

「悪い。遅くなった・・・ってなんだ?」

 

遅れていた弦太朗がこの場に姿を現したが、何とも言えない空気に思わず辺りを見回している姿を見たますきはそっと彼に歩み寄るとその肩にそっと手を置いていた。

 

「よぉ・・・女ったらし」

 

「・・・何言ってんだ?」

 

「ちょっとキング!?ちゃんと説明してあげたほうが・・・!!」

 

「麻弥ちゃん~こういう時はノリに乗っておかないと~ってことで口塞いじゃうね~」

 

「ヒナの言う通り~・・・でも、ホント弦太朗ってたらしだね~☆」

 

「マジで何言ってんだ?ってなんでみんなまでそんな目してるんだよ!?」

 

遅れてきたせいで今の状況が分かってない弦太朗は麻弥なんとか状況を

 

 

弦太朗は遅れてきたせいで状況がまるで分からないまま、OHANASHIが終わって戻ってきたりみが事情を話すまで女子達の冷たい視線を浴び続けることになるのだった。

 

 

 

 


 

「りみ!!買物行こ!!」

 

「お姉ちゃん・・・ゴメンね。私今日は友達と遊びに行くから・・・」

 

ここ2週間くらいの間、りみが私の誘いを全て断っていた。

その事で私は怪しんでいることがある。

 

 

 

 

「まさかあの不良に唆されて悪いことをしているんじゃ・・・」

 

真っ先に思い浮かんだのは春先に引っ越してきた如月って不良のことだった。

 

以前もりみが家の鍵を忘れて家の前に座り込んでいた時の彼は一緒にいて、完全にりみを取り込んでいた。

りみが非行に走るのではと心配で仕方がなかった。

 

私に隠れてりみは彼と一緒にホラー映画のDVDを見ていたりするらしいが、全く信用できない。

きっとあの人に何かされているに違いないという確信があった。

 

 

 

 

 

「確かめないと・・・!!」

 

私は隠れて準備をすると家を出たりみを尾行することを決めると、妹を追いかけて家を出る。

遠巻きにりみを見ていると図書館の前で止まってしまった。

 

「ここであの不良と待ち合わせするのね・・・!!」

 

私の勘はここで不良と待ち合わせていると確信すると、少し遅れて彼が現れた。

 

 

 

「悪いな・・・」

 

「弦太朗くん!!ううん・・・!!大丈夫だよ!!」

 

「とりあえず行くか・・・」

 

 

 

 

「りみ・・・あんな不良の事を名前で呼んで・・・!!」

 

りみはあの不良と共に図書館の前から歩き出すと、2人に気が付かれない様にその後ろを追いかけるとその方向にある建物を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

「この方向・・・繁華街のほう・・・まさか・・・万引き・・・!?いや・・・まだそう決めるのは早い・・・。りみだけは止めないと・・・」

 

案の定、2人は大阪でも有名な繁華街の方に向かっていく。

私の頭の中には最悪の想像が過るが、2人を見失わない様に距離を詰めて後をつけていく。

 

「りみ、これなんてどうだ?」

 

「う~ん。多分趣味じゃないと思う・・・」

 

 

 

 

 

「よく聞こえないけど、2人して何を見ているのかしら・・・」

 

2人は雑貨屋で会話しながら何かを見ているようだが、何を見ているのかはよく分からない。

でも、あの不良が何をしでかすか分からないから気を抜くことはできない。

 

「それじゃ次見てみるか・・・」

 

「そうだね」

 

 

 

 

 

 

「移動した・・・!!追いかけないと・・・!!」

 

2人で雑貨屋から別の店に移動するのが見た私はその後をつけていく。

そうして何件か店を回っていた2人の後をつけていたが―――

 

「って最初の店で見た奴じゃねぇか・・・」

 

「そうなんだけど・・・やっぱりこれがいいかな~って」

 

「ならいいけどよ・・・」

 

「うん・・・!!そうだ!!折角こっちまで来たんだから、何か食べて行こうよ」

 

「いいな・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何も起こらない・・・どういうこと・・・?まさか・・・後をつけてるのがバレてるから何もしないの・・・!?」

 

私の予想ではりみを巻き込んで悪さをすると思っていたが、あの不良が全く問題を起こさないことに私は頭を抱えてしまう。

 

そんな私を他所に2人は最初に訪れていた雑貨屋で何かを買ってそのまま街の方へと歩いていくと2人は移動販売のアイス屋の前で止まると、りみを置いて如月はひとりでアイスを買いに行ってしまった。

 

「アイツ・・・りみを置いて・・・って、両手にアイス持ってる・・・っあれは・・・!!」

 

如月は両手に2段重ねのアイスを持ってりみの元へと戻ってくるが、おそらくりみが食べるであろうアイスを見てアイツにはやさしさと言うものがないことを確信した。

 

「2段重ねになってるけど・・・あの下の奴はりみが苦手なチョコミント・・・!!ああやって嫌がらせするつもりね・・・!!」

 

 

 

 

 

「待たせたな!!チョコだけだったけど、店の人がなんかオマケしてくれたんだ!!」

 

「あっ・・・ありがと・・・」

 

りみは如月が買ったアイスを苦々しい表情で受け取ると、好きなチョコアイスを食べ始めるとすぐにチョコを食べ終えると我慢しながらチョコミントを食べ始める。

そんなりみの横で2段重ねのバニラアイスを食べ始めていた。

 

「やっぱりアイスってたまに食いたくなるな」

 

「そうだね・・・」

 

りみは弦太朗の声に応えるが、チョコミントを食べるスピードは先ほどの比べて圧倒的に遅い。

そんな光景をイライラしながら見ていたが、如月は1個目のアイスを食べ終えたところでようやくりみの異変に気が付いた。

 

 

「りみ・・・お前もしかして・・・」

 

「うぅ・・・実は・・・チョコミントって苦手なの・・・」

 

「だったら先に言えよ・・・」

 

 

 

 

 

 

「「あっ・・・!!」」

 

「なんだ?」

 

「えっと・・・これ・・・」

 

「そっちは食べられんだろ?」

 

如月はりみが持っていたアイスを自分の物と入れ替えていた。

私とりみは奇しくも同じタイミングで声を挙げてしまうが、彼は何食わぬ顔でりみに話しかけていた。

 

 

 

「でも・・・」

 

「気にすんなって。嫌いなもんを無理して食うのもあれだろ?バニラもダメか?」

 

「ううん・・・!!ありがと・・・!!」

 

 

 

 

「りみがあんなことをするなんて・・・はっ!?」

 

 

 

 

私の目の前で2人は交換したアイスを食べ始めたのが信じられず固まってしまったが、なんとか我に帰ることが出来た時には2人は目の前から姿を消していた。

 

 

「探さなきゃ・・!!」

 

私は消えた2人を探すために歩き出す。

ここは大阪で一番有名な繁華街だから人は多いけど、あの特徴的な不良の事だからすぐに見つかると思ったがそれは見事に的中し有名な橋の隅に2人はいた。

 

「見つけた・・・・・・りみ!!」

 

 

 

 

 

「えっ!?お姉ちゃん!?」

 

「何でここにいんだ・・・?」

 

「どうしておるの・・・!?」

 

「・・・バレてるなら仕方ねぇんじゃねぇか?」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと何話してるの!!」

 

「えっと・・・お姉ちゃん・・・!!」

 

私の声が聞こえた2人は驚いたような表情を浮かべて何かこそこそ話し出したと思ったらりみが何かを持って私の方へと寄ってきた。

 

 

 

 

 

「えっとね・・・実はお姉ちゃんの誕生日プレゼント探してたんだ・・・」

 

「じゃあなんで・・・?その人と一緒に・・・?」

 

「えっとね。折角だから今年は弦太朗くんに相談しようかなって思って・・・」

 

「そうだったのね・・・」

 

若干自分がしてたことが恥ずかしいと思ったが、私は未だに横にいる不良―――如月に対して不信感が拭えなかった。

 

「本当は当日まで隠しておきたかったんだけど・・・先に渡しちゃうね?」

 

「りみ!!ありがとう」

 

「折角だから開けてみろよ」

 

「・・・そうね」

 

そう言ってりみから少し早い誕生日プレゼントを受け取って喜んだが、如月の言葉でテンションが下がる。

でもりみが期待した表情を向けてきているのを見て私は受け取った箱を開けようとした。

 

 

 

そして事件が起こった。

 

「きゃ・・・!!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

私は後ろから誰かにぶつかってよろけてしまった。

ここは繁華街のど真ん中で人の往来が多いこんな場所では誰かがぶつかってくる可能性があったのにそれを忘れていた。

 

りみが心配そうに声をかけてくれたが、私は異変に気が付いた。

 

「プレゼントが・・・ない!!」

 

「あっ!!あれ!!」

 

私の手元にはりみから貰ったプレゼントが入っていた箱がなくなっており、それは宙を舞って橋から川へと落ちそうになっていた。

 

折角のプレゼントが無駄になってしまう。

そう思っていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおおお!!」

 

「弦太朗くん!?」

 

如月は声を挙げながらプレゼント目掛けて飛んでいて、その手はりみのプレゼントに手が――――

 

「届いた・・・!!」

 

「弦太朗くん!!」

 

「うわっ!?」

 

手は届いた。

しかし、プレゼント諸共彼は橋の下の川へと落ちてしまった。

 

 

 

人が1人落ちた水音が響いた。

でもその音は私にとって―――

 

「あっ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――恋に落ちた音になった。

 

「弦太朗くん!!」

 

「大丈夫・・・とは言えねぇけど、物はあるぜ!!」

 

如月―――ううん。弦太朗が水面から顔を出して答えると私達は川から上がってくるであろう場所まで走っていた。

 

「・・・弦太朗くん!!怪我してない!?」

 

「全身びしょ濡れだ・・・。りみ、とりあえずこれ・・・中身大丈夫か見た方がいいんじゃねぇか?」

 

「うん・・・!!」

 

弦太朗はりみに手に持っていた箱を手渡すと、りみはそれを空けて中を確認し始めていた。

 

「良かった・・・中身は濡れてないよ・・・お姉ちゃん。これ・・・箱はびしょびしょだから直接渡すね?」

 

 

「りみ・・・弦太朗(・・・)もありがとう!!」

 

そう言って私はりみからプレゼントを受け取ると2人に満面の笑みを浮かべて答えるのだった。

 

 

 

 


 

 

「でね!!これがその時にもらったプレゼントのペンで・・・!!」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「なによ・・・みんなして・・・!!」

 

りみが弦太朗との出会いを語っていたのと同じ頃。

奇しくもゆりが同じバンドのメンバーに弦太朗との話を語っていたが、ゆりの語りを他の3人のメンバーは死んだ魚のような目で聞いていたことにゆりは不満そうな表情を浮かべていた。

 

「いや・・・なんというか・・・その・・・な?」

 

「リィちゃん!!こういう時ははっきり言うのがゆりりんの為だから!!」

 

「ちょっとひなこ!?どういう事!?」

 

死んだ目をしていた彼女達だったが、ゆりの言葉を聞いた途端に一斉に反撃に出ていた。

 

 

 

 

 

「恋愛感が小学生以下じゃね?」

 

「ひなこの言う通りね・・・」

 

「ちょっと七菜まで!?」

 

「俗にいうチョロインって奴だな?なぁ・・・デベコ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょろくなーい!!」

 

久々に再開したメンバーからの言葉に反論しようとするが、彼女はこの話題でしばらく弄られ続けることになるのだった。

 

 

 





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感想評価は気分次第でお願いします。

ネタの説明は・・・
いらないよね?


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日・常・風・景28 事件のエンドマーク

小ネタ投稿です


予定ではエピローグ書いて行こうと思います。
その後にはバンドごと後日談を書こうかと・・・(一部バンドしか構想がないが・・・
劇場版ルート更新はしばらく後になると思います。


 

 

~~~小ネタ63:保護者達は捕まえたい―仁義なき弦太朗争奪戦

 

 

バンドリの決勝戦当日、弦太朗の事を知っている大人達は近くの喫茶店に集い―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「・・・・・(うちの娘が売れ残らない様にしないと・・・!!)」」」

 

「あら・・・?」

 

「大変ねぇ~」

 

チュチュの母である珠手美羽 とたえの母、花園(はなぞの)野々絵 (ののえ)を除いた大人達が火花を散らしていた。

 

 

 

 

見た目はともかく人格的には優良物件である弦太朗―――

日常生活では碌に男と関わらない娘たちの前にそんな優良物件が飛び込んできている現状に親たちは不毛でくだらない戦いを始めようとしていた。

 

「如月くんは沙綾と一緒に店番してくれるし、それにうちの下の子達とも仲がいいんですよね~」

 

「でも、それは小さいからだと思いますよ?」

 

「でも、うちのお客さんからもお店の手伝いを頑張ってるって言ってもらえて結構評判なんですよね~。お店の跡をついでもらうのも・・・」

 

「それは本人に聞いてないですよね?それに比べてうちの香澄と明日香は思春期に入っててあそこまで仲がいいですし~。それに、この間も香澄が電車なくなったからって言って家まで送ってくれましたし~」

 

「流石に電車が無くなる時間まで遅くなったらあの子だったら送るんじゃないですかね~?」

 

沙綾の母・千紘は先制しようとするも、香澄達の母である香織によって不発に終わると、言い合いに発展してしまうが、ここで友希那の父が動いた。

 

 

 

 

 

「・・・確かに当人同士の仲も重要ですが、将来的には親とである私達との関係性も重要になってくるかと」

 

「香澄達からの話だけで殆ど話をしたことがない・・・」

 

「それだったらお店の手伝いをしてくれるから問題なさそうね・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「それで言えば私は如月くんと本音で語り合った友人―――いえ、彼と秘密を共有する程に良好な関係を構築できてます」

 

「うっ・・・!!」

 

千紘は援護を受けたと思ったら、それ以上のものを出されて狼狽えてしまう。

彼は娘のために自身の過ちすらも武器にし、一気に湊弦太朗への道へと傾きかけたが、それは特大の爆弾が投下されたことによって事態は一変した。

 

 

「そういえば~。ちゆは彼を部屋に泊めたって言ってたわね~」

 

「うちの香澄もみんなと一緒に商店街の温泉旅行で泊まったって・・・」

 

「ちゆちゃんは2人っきりだったって言ってたわね~」

 

 

「「「なぁ!?」」」

 

弦太朗と娘たちが商店街の旅行で温泉旅館に泊まったとは話を聞いていたが、2人きりで部屋に泊まったという特大の爆弾に驚きの声が挙がる。

 

流石にこれでは勝てそうにない―――

 

そう思ったタイミングでこの叩きに突如として嵐が吹き荒れる。

 

 

 

 

 

 

 

「失礼・・・その如月と言うのはもしかして如月弦太朗のことですか?」

 

「そうですがあなたは・・・?」

 

「・・・私は華道家の”美竹”と申します」

 

ここで現れたのは蘭の父である男。

彼は仕事の打ち合わせ終わりにここにたまたま立ち寄ったのだが、そこで彼の知る人物の話をし始めたグループの会話が気になってしまい、思わず声をかけてしまっていた。

しかし、彼女達はそんなことはどうでもいい―――

 

「その娘さんと如月くんはどのような関係で・・・?」

 

「彼は・・・まぁ、不本意ですが娘の友人と言ったところでしょうか・・・。恋人とは認めませんが・・・!!」

 

「そうですか」

 

蘭の父は娘と弦太朗の関係を忌々しそうに答えたのを見て、彼は戦いの土俵にすら立つつもりがないのだと確信した。

 

 

 

「彼は聞けば結構自由奔放な性格だからうちの香澄とは相性がいいと思うんですよね~」

 

「いや、うちの友希那の様な落ち着いた子の方が・・・」

 

「だったらうちの沙綾も落ち着いてますし、パン屋ってこともあるんでしょうけど料理も出来ますからね~」

 

 

「「うっ・・・!!」

 

「それ以上に家事も問題なくできるのは女の子としては魅力的だと思いますよ~。と言うことは、一番魅力的なのは沙綾ってことでいいでしょうかねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なにっ?」

 

ここで千紘は沙綾が2人とは違いをハッキリと口にすると、それを聞いて思わず2人が言葉に詰まる。

友希那に至っては音楽以外の能力は皆無で香澄もそれほど能力がある訳でもなく、この反応に千紘が沙綾を売り込むために畳み掛けようとした。

しかし、その言葉は蘭の父の琴線に触れてしまった。

 

 

 

 

 

 

確かに彼は弦太朗と蘭が恋人関係になるなど全く認めていないが、魅力がないと言われれば話は別。

 

 

「先ほど話が聞こえましたが、うちの蘭も商店街の旅行に一緒に行きましたし・・・。それ以前には如月の家で数週間ですが同棲していたこともありましたし、今でもたまに向こうの家に行ってますが・・・!!」

 

 

 

「「「ぐはっ・・・・!!」」」

 

自分の娘が一番魅力的であるというのを証明しようと彼は初手から切り札を放った。

数週間も同棲したという強すぎる切り札に言い争っていた3人は余りの強力な攻撃に耐えられず机に突っ伏して動けなくなってしまう。

 

しかし――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごほっ!!」

 

この攻撃は自身も傷つける諸刃の剣であり、その事を言い放った本人もその光景が頭を過ると他の3人と同様に机に熱いキスを交わして動きが止まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら・・・?どうしたのかしら?」

 

「とりあえず、娘たちの出番が始まるまではゆっくりお茶でもしましょ~」

 

その中で殆ど争いに関与しなかった美羽と野々絵はこの惨状を気にすることも無く、時間が来るまでゆったりとしたティータイムを楽しむのだった。

 

 

 

 

 

~~~小ネタ64:彼女達のお別れ会

 

 

―――Afterglowの場合

 

「この子やっぱりかわいいね~」

 

「だよね~つぐ!!」

 

「って言ってもそんな長い間一緒には居なかったけどな」

 

祭りでのライブが終わった彼女達は羽沢珈琲店に集まってライブの事を話し合っていたが、不意に現れたホルワンコフについてへと話が変わっていた。

しかし、1人だけ浮かない顔をしていた。

 

 

「モカ・・・?どうかしたの?」

 

「蘭~。あの子、モカちゃんには寄ってこないんだよ~」

 

「それは前に間違えて食べようとしたからじゃ・・・」

 

「でも~」

 

浮かない顔をしていたモカ。

しかし、理由が理由なだけに蘭も彼女を擁護するようなことはしなかったが、そんな彼女へとつぐみは歩み寄っていた。

 

 

 

 

「はい!!モカちゃん!!」

 

「つぐみ・・・」

 

「ほら、もうすぐお別れなんだから・・・ね?」

 

 

つぐみの手の中にはホルワンコフが収まっており、それをモカへと差し出していた。

それを見たモカは恐る恐ると言った様子でホルワンコフに手を伸ばすと、特に逃げる様子もなくモカの腕に収まった。

 

「うぅ~・・・・」

 

「モカ・・・?」

 

「やったなモカ!!」

 

 

 

 

「なんかモカちゃん感激~!!」

 

こうして最後の最後でホルワンコフに近づくことが出来たモカは感涙の涙を流すのだった。

 

 

 

 

―――ハロー、ハッピーワールド!の場合

 

「はぁ・・・疲れた・・・」

 

「美咲ちゃん・・・大丈夫・・・?」

 

「あー平気ですけど・・・な~んか嫌な予感がするんですよねぇ・・・。あの3人が何かやらかしそうで・・・」

 

弦巻の屋敷の1室でミッシェルを脱ぎ捨てた美咲は余りの疲労感に声を挙げると咄嗟に花音が心配そうな表情を向けてくると気を遣わせないように言葉を返す。

それとは別に美咲の直感は何か嫌なものを感じとっていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美咲~!!今からかくれんぼしましょう!!」

 

「ふえぇ~・・・!?」

 

「・・・はい?」

 

悲しいことにその直感は当たってしまっていた。

こころが訳の分からないことをいいながら部屋に飛び込んでくると、2人は呆気に取られていたが、心の後ろからははぐみ達が顔を出していた。

 

「だって、この子達がそろそろ居なくなっちゃうんだから沢山遊ばないと!!」

 

「本当は色々したいところだが、もう外も暗いからね。室内で出来る範囲になってしまうが楽しもうじゃないか」

 

言わんとしてることは分かった。

でも、それをすべきは今じゃないとも思っていたが、そんな思いは届かない。

 

「最初は・・・はぐみが鬼でみんなを見つけるね~!!」

 

 

 

 

 

「ふえぇ~!?はぐみちゃ~ん!?」

 

「これ・・・止められないやつだ・・・。あっ・・・」

 

完全に止められるような状況ではないことを悟ってしまったが、それ以上に不味いこと気が付いてしまった。

 

 

 

「不味い・・・あれがいなくなったら迷子の花音さん捜索の難易度が跳ねあがる・・・」

 

「美咲ちゃ~ん!?そんなことないよ~!!」

 

諦めの感情がこもった美咲の呟きが花音の耳に入ってしまい、花音は涙目になって否定する。

 

 

 

 

 

そして、弦巻の屋敷内でのかくれんぼと言う闇のゲームが始まってしまう。

早々に見つかってしまう面々を他所に、案の定花音は屋敷内で迷子になってしまい、屋敷中を巻き込んで行われた彼女の捜索は夜遅くまで続けられることになるのだった。

 

―――Pastel*Palettesの場合

 

「彩ちゃん・・・?言いたいことは分かるわよね?」

 

「今日もMC噛んでたね~」

 

「でも、見に来たお客さんはアヤさんのMCに喜んでましたよ!!」

 

「お約束ってやつですからね~」

 

 

 

「うぅ~・・・」

 

番組での演奏を終えて控室に戻ってきたパスパレ一同だったが、今日のMCも彩はいつも通り噛んでいた。

客からの受け自体は良かったものの千聖は全く納得しておらず、控室に戻って彩に笑みを浮かべて問い詰めていた。

 

「千聖ちゃん。もう鉄板ネタなんだから彩ちゃんはこのままでいいと思うよ~?」

 

「日菜ちゃん?何時までもこのままじゃ飽きられちゃうわよ・・・」

 

「でも、噛まないアヤさんなんて・・・ネタのない寿司と一緒です!!」

 

「イヴさん?それって大ダメージじゃないですか・・・」

 

 

 

 

「まぁ、彩ちゃんの個性ってことで納得しておきましょうか・・・。でも、何時までも噛み続けるのは辞めなさい」

 

「はーい・・・。そうだ!!番組終わった頃にあげるSNSの写真撮らないと・・・!!みんなで撮ろ!!」

 

「彩ちゃん切り替え早いわね・・・」

 

彩が噛むのはいつも通りだと笑っているのを見た千聖は完全に怒る気力を失ってしまって説教を終えると、彩は即座に気持ちを切り替えてSNS用の写真を撮ろうとしていた事に呆れてしまっていた。

 

「チサトさん!!もっと寄ってください!!」

 

「そこだと写らないと思いますよ?」

 

「えっ・・・えぇ・・・」

 

 

 

 

「はい。チーズ!!」

 

流れに流されて彩が5人の自撮り写真を撮る姿をバガミールは記録していた。

その姿を見た日菜は何かを思いついたような表情を浮かべてバガミールへと手招きをし始めた。

 

「あっ!!バガちゃん!!おいで~!!一緒に写真写ろ~!!その方がるんっ♪ってするし!!」

 

「日菜さん・・・流石にこの子をSNSにあげるわけには・・・」

 

「ハンバーガーの時ならきっと大丈夫だよ!!」

 

「・・・そうかな?」

 

「彩ちゃん、そんなわけないじゃない・・・!!せめて、私達の中だけにしなさい」

 

「ならしょうがないか~。でも、明日には帰っちゃうからちょっとつまんないな~」

 

バガミールをSNSに上げようとした日菜だったが、流石にそれはまずいと思った他の面々に止められてSNSへの投稿はやめたが、一緒に写真と撮るのは出来ると言うところで納得してくれたことに彼女達は安堵しながら再び5人と1体で写真を撮る終える。

そして日菜達は撤収のために着替え始めるのが、彩と千聖は早々にバガミールへと詰めていた。

 

「バガちゃん!!帰ったら如月くんの写真送ってよね?」

 

「そうね・・・。日常生活のでもいいし・・・出来れば、彼の弱みを握れるようなあられもない物でも・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あわわ・・・これは不味いですよ・・・!!日菜さんどうしたら・・・!!」

 

とんでもないことを言い始めた2人に麻弥が慌て始めるが、既に着替え終わった日菜は笑みを浮かべながらイヴへと視線を送っていた。

 

「イヴちゃん・・・。峰打ちだよ!!」

 

「ブシドー!!」

 

 

 

 

 

「「うっ・・・!!」」

 

「うわぁ・・・」

 

日菜の言葉を聞いたイヴは2人を瞬く間に気絶させる。

余りの早業に麻弥がドン引きしていたが、2人はそれを気にすることなく床に崩れた彩達を見ていた。

 

「とりあえず・・・麻弥ちゃんが着替えたら2人引き摺って帰ろっか~」

 

「はい!!」

 

 

 

 

「2人とも・・・ご愁傷様です・・・」

 

麻弥は彩達の荷物を纏め始めた2人と床に崩れている2人を交互に見ると、急いで自身も着替えを終えて、3人で2人を引き摺りながら現場を後にするのだった。

 

 

 

―――RAISE A SUILENの場合

 

「・・・そういえば、如月先輩って明日学校に顔出したらもうこっちに来ないんですよね?」

 

「事件も無ければ今までみたいに頻繁にこっちに来ることはないでしょうね」

 

「寂しくなりますね・・・」

 

チュチュのマンションにいた彼女達は不意に弦太朗との別れが近づいていることを思い出す。

そしてその中でますきはニヤニヤしながらレイヤの方へと視線を送っていた。

 

 

 

 

「なんだかんだでアイツがいて退屈しなかったからな・・・なぁレイ?」

 

「ますき・・・?なんで私に振ったの?」

 

「だって、レイの数少ない友達だろ?それにこいつが居なくなるから余計にレイの話し相手が減るだろ?」

 

 

 

 

「うっ・・・事実だから言い返せない・・・」

 

「レイヤさん!?しっかりして下さいよ~!!」

 

ますきの言葉を受けてレイヤが落ち込み始め、それを見たロックが必死にそれをフォローし始めると言う何とも言えない空気に包まれた彼女達だった。

そんな中でパレオが吼えた。

 

「マッスーさん!!確かにレイヤさんも寂しいかもしれませんが、私もこの子に居なくなられると困ります!!」

 

「パレオ?どうしたのよ・・・?」

 

「チュチュの言う通りだな?なんでパレオが困るんだよ?」

 

「どういうことやろか・・・?」

 

パレオの言葉の意味が分からずに3人が首を傾げると、パレオの視線は真っすぐにチュチュを射抜いていた。

 

 

 

「What's・・・?」

 

「チュチュ様!!この子がいなくなって朝にちゃんと起きることが出来ますか!?それに・・・」

 

 

「STOP!!パレオ!!」

 

「まだです!!前もジャーキーがないって言って倒れたりしてもこの子が居なくなったら私が来るまで倒れる事になるんですよ!!それに・・・チュチュ様は普段から夜更かしもするんですから、この子が居なくなったら―――」

 

 

 

 

 

 

 

「Nooooooooooooooo!!」

 

「うわぁ・・・マジかよ・・・」

 

「おっかない・・・」

 

パレオからの攻撃にチュチュは完全にノックアウトされてしまい、レイヤ同様に落ち込み始めてしまう。

そんな様子を見て残ったますきとロックは自分たちは安全だと言い聞かせて何とも居心地の悪い表情を隠しながら、早々にマンションから脱出して家路につくのだった。

 

―――Roseliaの場合

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

決勝戦の余韻に浸りたかったの彼女達は珍しく燐子の家に集まると、明かりのない部屋で丸くなっていたが、そんな中でフラシェキーに友希那が声を挙げた。

 

「バンドリ・・・優勝したわね・・・」

 

「グランプリを取るのは当然・・・と言いたい所ですが、湊さん。きっとこの5人だけの力だけでは優勝は出来なかったと思います・・・」

 

 

 

 

 

 

「げんたろうのお陰ってこと・・・?」

 

「そうですね・・・如月さんが居なかったら・・・きっとこんな風に話せてなかったと思います・・・」

 

「そうだね~。弦太朗が居なかったら今こうやって話せてなかったかもしれないね~」

 

彼女達はバンドリで頂点に立ったが、そんな彼女達の中では自分たちや他のみんなの為に動いていた弦太朗の存在が頭に浮かんでいた。

 

 

 

 

 

「でも、もうげんたろうとペンギンももう帰っちゃうんだよね・・・?」

 

「そうだね・・・。こっちの学校には来ない事になってますから・・・」

 

 

 

「・・・私が道を踏み外した時も、折れそうになってしまった時も・・・如月さんには何度も助けて貰いました。でも・・・」

 

「紗夜の言いたい事は分かるわ。私達は如月には助けて貰ってばかりで何も返せてないわ・・」

 

 

「まぁまぁ、もう会えなくなる訳じゃないんだしさ~。それに会おうと思えば何時でも会えるんだし。きっと弦太朗に何か返す機会もあるって!!まぁ・・・暫くは受験だったりなんかで会えなくなるかもしれないけど・・・せめて弦太朗を見送る時は笑って見送ってあげなきゃ!!」

 

一気に室内の空気が重くなるが、それ察してリサが空気を変えようとし始める。

しかし、これが大きな間違いだった。

 

 

 

 

「「しばらく会えない・・・?」」

 

「紗夜?燐子もどうかしたのかしら?」

 

「2人とも震えてるけど・・・寒いの・・・?って急に立ち上がってどうしたの!?」

 

しばらく会えない。

その言葉を聞いた紗夜と燐子はなぜかカタカタと震え始めたと思ったら、2人は目を見開いて立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しばらく会えないという事でしたら・・・今回はわがままを言ってもいいですね・・・」

 

「そうですね・・・」

 

「「・・・?」」

 

「あの~紗夜と燐子?2人がどうしようかは分かってるつもりだけど・・・一応聞いておくね?何バカな事考えてるの?」

 

「今井さん、バカなことではありませんよ・・・?」

 

「白金さんの言う通りです・・・」

 

リサの問いに2人は飛び切りの笑顔を向けると、リサの想像の斜め上の言葉をハッキリと言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「今の内に堪能しておかないと・・・」」

 

「このおバカ!!行かせるか!!」

 

 

 

 

 

「あこ、フラシェキー・・・あの3人は何してるのかしら?」

 

「さぁ?分かんないですけど・・・楽しそうですね!!」

 

おバカなことを言い始めた2人を即座に取り押さえ始めるリサ。

その光景の理由が全く理解できず、2人と1体は首を傾げて目の前の3人を眺めるのだった。

 

 

 

 

―――Poppin'Partyの場合

 

決勝が終わった彼女達は家に帰る前に蔵に集まっていたが、その中で香澄が声を挙げていた、

 

「有咲~」

 

「香澄?どうしたんだよ?」

 

「そういえば、この子ももう帰っちゃうんだよね?」

 

「香澄ちゃん。そうだね」

 

「弦太朗のだから仕方ないね~」

 

「ってかなんでおたえはギター弾こうとしてんだよ・・・」

 

「弾きたいから・・・?」

 

香澄はギターを弾こうとしているたえのそばにいたポテチョッキンを指差していた。

しかし、そんなたえの姿に有咲は呆れたような表情を浮かべていたが、たえは構わずにギターを弾き始めた。

 

「でも、また会えるんじゃないかな・・・?」

 

「りみりん。そうかもしれないけど~」

 

「まぁ、如月の学校はここから電車でも行けなくはないからな・・・っておたえは一旦ギター辞めろ!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「あっ・・・!!」」」」

 

「弦が・・・!!」

 

香澄達が話してるのを他所にたえがギターを弾いていたが、ここでポテチョッキンがたえのギターの弦を全て切り落としてしまった。

 

「逃がさない・・・!!」

 

「ちょっとおたえ!?」

 

「おたえちゃん~!!落ち着いて~!!」

 

「ちょっと!!蔵の中で暴れないの!!」

 

「折角だし・・・あれ用意するか・・・」

 

こうして最後の最後でドタバタしながら最後の夜を過ごすのだった。

 

 

 

数日後―――

賢吾の家にポテチョッキンが有咲と共に世話をしていた盆栽が送られたが、その理由が分からず頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

~~~小ネタ65:報告書~少女楽団事件簿

 

 

 

Ziken ha owatta.

 

Hanasakikawa josigakuen ・ haneoka josigakuen wo tyuusin to sita suitti niyoruziken ha kyouryoku wo irai sita kamen raida- fo-ze no katuyaku to mati to ongaku wo ai siteiru syouzyo tati no katuyaku ni yotte 、 syubousya de aru ” tuzuki shihune ” ――― tuusyou ・ o-na- to yobareru zinbutu no kyoukou wo utikudakukotogadekita.

 

Kore ha seisyun to yuuzyou wo naniyorimo omonziru gentarou dakarakoso no kekka de 、 kitto oretati deha kokomade enman ni kaiketu suru koto ha dekinakattahazuda.

 

 

 

Gentarou ga o-na- wo taositasono hi 、 saisyo ni o-na- heto suitti wo okuritodoketa zinbutu ha buzi ni taiho sareta 。

 

Omottatoori 、 aite ha "Zaidan X" no ningen da.

 

Terui ga migara wo osaerukoto ni seikou sitaga 、 aitu zisin ga tukamaeta wakedehanaku huuto to toukyou no sakai hukin de zisin no kotowo ” yubiwa no mahoutukai ” to nanoru zinbutu kara hi kiwatasaretarasii 。

 

sikamo 、 hannin wo hikiwatasitasaini ” 5 nen go no kisaragi gentarou heno kari wo kaesi ni kita ” to iuto marude mahou no youni kotuzen to sugata wo kesitarasii 。

 

 

 

 

daga 、 1tu dake kininaru koto ga atta.

 

Syubousya de aru o-na- ga nyuuin siteita byouin kara kotuzen to sugata wokesiteita 。

kanozyo no kawari ni 1 tuu no okitegami ga nokosareteita ga , kanozyo no koto wo yokusi ru zinbututati ga sore wo miru to mina ga onazikotowoitta.

 

――― o-na- ga hutatabi ziken wo okosuhazuganai .

 

nara 、 ore ha kanozyotati no kotoba to sonotokino me wo sinzirukotonisita 。

 

kitto 、 konkai no ziken de tuyoku natta syouzyotati no omoi ga komotta ongaku wo kanadeteiru no darou 。

sore ga ituka sekaizyuu ni hibiiteiku to sinzite ―――

 

 


 

事件は終わった。

 

花咲川学園、羽丘女子学園を中心としたスイッチによる事件は協力を依頼した仮面ライダーフォーゼの活躍と街と音楽を愛している少女達の活躍によって、首謀者である”都築 詩船” ―――通称・オーナーと呼ばれる人物の凶行を打ち砕くことが出来た。

 

これは青春と友情を何よりも重んじる弦太朗だからこその結果で、きっと俺達ではここまで円満に解決することは出来たかったはずだ。

 

 

 

弦太朗がオーナーを倒したその日、最初にオーナーへとスイッチを送り届けた人物は無事に逮捕された。

 

思ったとおり、相手は財団Xの人間だ。

照井が身柄を抑えることに成功したが、あいつ自身が捕まえたわけではなく風都と東京の境付近で自身の事を”指輪の魔法使い”と名乗る人物から引き渡されたらしい。

 

しかも、犯人を引き渡した際に”5年後の如月弦太朗への借りを返しに来た”と言うとまるで魔法の様に忽然と姿を消したらしい。

 

 

 

 

だが、1つだけ気になる事があった。

 

首謀者であるオーナーが入院していた病院から忽然と姿を消していた。

彼女の代わりに1通の置手紙が残されていたが、彼女の事をよく知る人物達がそれを見ると皆が同じことを言った。

 

―――オーナーが再び事件を起こすはずがない。

 

なら、俺は彼女達の言葉とその時の目を信じる事にした。

 

きっと、今回の事件で強くなった少女達の想いが籠った音楽を奏でているのだろう。

それが何時か世界中に響いていくと信じて―――

 





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本当は無人島視聴者反応集とか色々やろうと思ったんですが、
いつまでも終わらないのでご想像にお任せします。


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後日談-青・春・後・語
青・春・後・語-1 遥か遠くで輝いて


待たせたな・・・
エピローグ(共通ルートです)
本編設定?そんなもんは完全にぶん投げた。

後はここから各バンドごとに分岐するような形で各バンド1話ずつ投稿してFinishです


 

花咲川を中心にした事件が終わって数か月が経ち、進級や大学への進学といった各々が新生活を始めて頃、ガールズバンドの35人はこころの屋敷に集められていた。

しかし――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、奥沢さん・・・なんで私達は此処に集められたんだよ?」

 

「・・・さぁ?実は私はともかく、こころですら黒服さん達から話を聞いてないんだから・・・」

 

「マジか・・・にしても何なんだろうな・・・?」

 

此処に居る皆が此処に集められた理由を教えられていなかった。

ただこの部屋で待つようにと言われただけでそこからは何も動きが無いという現状に痺れを切らせた者が現れた。

 

「もう!!何時まで待たせんのよ!!これじゃ時間の無駄よ!!・・・パレオ!!帰るわよ!!」

 

「あ~!!チュチュ様!!ダメですよ~!!Roseliaもパスパレも事務所のお仕事のスケジュール調整して下さったんですから~!!」

 

 

 

「でもチュチュの言う通りよ。ちょっと前までは事件とかがあって思うように練習出来なかった事もあったから私も帰って練習したいわ・・・」

 

「湊さんの言う通りです。こんな所で時間を無駄にしている場合ではありません。・・・それにしても事件が終わってから如月さんはこちらに顔も見せないなんて薄情じゃないですか?」

 

 

 

 

 

「友希那も紗夜も~。休むのもプロの仕事の一環だよ~」

 

「そうだよ!!おねーちゃん!!あっ!!リサちー聞いてよ!!この間ね!!おねーちゃんがゲンちゃんに会えないのを寂しそうにしててね・・・!!」

 

 

 

 

 

「休むのも仕事だとしても此処で時間を無駄にしていい理由にはならないわね」

 

「ちょっとルイも待てって・・・!!」

 

「でも、どうして此処に集められたんだろうね?ましろちゃん!!」

 

「私も分かんないよ・・・」

 

他の面々が止めようとするが、それを無視して痺れを切らせた何人かがこの場を去ろうと部屋を出ようとしたその瞬間。

遅れていた最後の人物たちが部屋へと入ってきた。

 

「わりぃ!!遅くなっちまった!!」

 

「君が寝坊しただろう・・・!!」

 

「あっ!!ゲンちゃんに歌星さんだ!!」

 

「と言うことは・・・もしかして・・・」

 

そこに入ってきたのは事件を解決に導いた仮面ライダーである弦太朗と、彼の仲間で彼女達との面識もある賢吾。

そしてその後に少し遅れて3人目が現れるが目の前の光景に思わず声を漏らしてしまった。

 

「えっと・・・これはどういう・・・?」

 

 

 

 

「流星さん。待てない人たちが痺れを切らせて帰ろうとしただけです」

 

「それはすまない・・・」

 

「るいるいもそのうちの1人だったよね・・・?」

 

「なんのことからしら?」

 

「瑠唯の奴・・・マジかよ・・・」

 

彼の目には何名かが捕まえられているように見えたその光景に、その中で捕まる側であったはずの瑠唯がいつの間にか椅子に座っており、そのまま何食わぬ顔で椅子に座って説明していたことに思わず七深とますきが引いている様な声を漏らすが、2人以外はその事を気にする事なく本題に入っていく。

 

「取り敢えず、弦太朗が遅刻したのはもうどうでもいいけど・・・そろそろあたし達を集めた理由くらい教えてくんない?」

 

 

 

 

「・・・蘭ちゃんの言う通りね。今日のために私達と友希那ちゃん達は仕事の予定までずらしたのよ?」

 

「えっとだな・・・」

 

「それについては後で話すが・・・とりあえずは弦太郎、いけるか?」

 

「おう!!」

 

 

 

「ふえぇ~!?如月くん~!?」

 

「げんたろう!?何でベルト出してるの!?」

 

「変身!!」

 

弦太朗は千聖にそう言われるとその言葉に答えようとしたが、そこに賢吾が割り込んでくると彼の言葉を聞いた彼がドライバーを取り出したことに皆は目を丸くしていたが、彼はそれを気にすることなく変身するとすかさずにコズミックステイツに変身していた。

 

 

 

 

「ゲンちゃん先輩のそれ久々に見た!!」

 

「るんって来たー!!」

 

「って!!如月!!何やってんだよ!?」

 

「ちょっと待ってろって!!・・・抜いて・・・挿す!!」

 

有咲のツッコミを無視してフォーゼはソードにスイッチを装填すると、彼らの後ろにワームホールと生成するのを見た賢吾が彼女達に告げていた。

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが俺の後に続いてこの中に入ってくれないか?」

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

そう言って賢吾はフォーゼが作ったワームホールの中へと消えてしまった。

 

 

「って・・・ちょっと待って!!いきなりそんな事言われても!?・・・って香澄!?」

 

「有咲!!いこー!!」

 

「ちょっと怖いけど・・・みんなで行こ?」

 

「ほら、沙綾も・・・先輩が待ってるよ?」

 

「おたえ!?ちょっと押さないで!!」

 

真っ先にポピパの5人が中に消える。

 

「みんな!!行きましょう!!」

 

「こころん待ってよ~!!」

 

 

 

「でもちょっと怖いかも・・・って日菜ちゃん!?」

 

「いいから彩ちゃんいこー!!」

 

「ブシドー!!」

 

 

「トモちんが使ってたのと一緒でしょ~?」

 

「ちょっとモカちゃん!!待ってよ!!」

 

そう言って次々と少女達はフォーゼの作ったワームホールへと入っていくと、抜けた先には白い空間が広がっていた。

 

 

「素敵ね!!秘密基地みたいだわ!!」

 

「そうだねこころん!!」

 

 

 

「広いですね・・・」

 

「燐子の言う通りかもしんないけど、ここに35人はちょっとキツイんじゃない・・・?」

 

 

 

「どこでしょうか・・・?難しそうな機械が一杯・・・ってキング?どうかしましたか?」

 

「いや・・・壁のマーク・・・なんか見たことあるような気がして・・・」

 

それぞれが思い思いの言葉を口にする中で最後に流星がこの場にやってくるとワームホールは消えてしまった。

そして変身を解いた弦太朗を見て賢吾は口を開いた。

 

 

 

「所で、君たちは俺達のライダー部の事をどの程度知っているんだ?」

 

「えっと・・・ゲンちゃんが部活で学校に出てきた怪物を倒してたって聞いたかな~」

 

「確かに知ってるのって、ヒナの言った事くらいかな・・・」

 

 

 

「えっと・・・確か部室が月にあったって言ってましたけど・・・」

 

「あたしも一緒に聞いたな・・・でも、正直信じられねぇけどな」

 

日菜とリサの言葉に他の面々はそれに同意するように頷いていた。

しかし、その中でおずおずと言った様子でりみが手を挙げながら聞いたことを口にするが、有咲の否定の言葉に他の皆も力強く頷いてそれに同意していたが―――

 

 

「はぁ!?」

 

「桐ヶ谷さん。煩いわよ」

 

「そうですよ」

 

「いいから紗夜さんもルイもあれ見てくださいよ!!」

 

急に慌てだした透子が指差した方に全員が視線を向けた、すぐに彼女達は透子に白い眼を向けていた。

 

「地球だけれど・・・流石に画面に映しているだけよ」

 

「そうですね・・・桐ヶ谷さん、流石にここが月だなんてあり得ないですよ」

 

「えぇ~でも、あんなの映してる意味わかんないですよ!?」

 

 

「朔田。頼んだ」

 

透子の言葉に瑠唯と紗夜が冷たくあしらうが、そんな彼女達を他所に合図を受けた流星が壁にあったレバーを押し上げた途端、それは起こった。

 

 

「すごいわ!!身体がふわふわするわね!!」

 

「儚い・・・!!」

 

「あ~!!こころ達狭いんだからあんまり動かないの!!」

 

 

 

「身体が軽くなったような気がするわね・・・」

 

「八潮さんの言う通りですね・・・」

 

「ん~?あこには分かんないけど・・・」

 

 

 

「あれ・・・これってもしかして・・・」

 

「ひまり?どうかしたの・・・?」

 

「とりあえず・・・如月、ここは一体どこなのかしら?」

 

突如として彼女達の多くが身体が軽くなったような錯覚を覚え始めるが、この中でただ1人、ひまりだけはこの感覚に近いものを知っていた。

その中でふわふわしていた友希那は弦太朗へと問いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「月だ!!」

 

「はぁ・・・?」

 

 

 

 

 

 

「弦太朗の言う通りだ。ここは月面にあるラビットハッチ―――ライダー部の部室だった場所だ」

 

その答えに声を挙げるその横で賢吾は彼の答えに同意したことに彼女達の理解は完全に追いついていなかった。

 

「えっ・・・でも、弦太朗くんが前に壊されたって・・・」

 

「あぁ、確かに以前に我望達―――天校での敵によって破壊された」

 

「ならどうしてジブン達は・・・」

 

―――破壊されたはずの場所にいるのか?

 

 

 

「そして、君たちの街での事件が終わった後に、フォーゼの力を使って月に残されていた朔田と弦太朗の2人が研究データをサルベージをする計画を立てていたのが・・・」

 

「こころの家の人達に知られちまってな!!」

 

「あぁ・・・。そうしたら事件解決の礼と言うことでサルベージに参加する為の宇宙服の手配をして貰ったんだが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~・・・もしかして、黒服さん達もそれに参加してこれを直したってことですか?」

 

「あぁ、俺と歌星が何回かに分けて資料のサルベージを行ってたが、弦太朗はな・・・」

 

「まさか、最近如月さん達に連絡もまともに取れなかった理由は・・・」

 

「おう。こいつがないとここにこれねぇからな!!お陰で結構しんどかったぜ?」

 

弦太朗はその疑問に笑みを浮かべて答えていた。

連絡が取れない理由には納得したが、それでも彼女達はここに来た理由が分からなかったが、それを代表するように有咲が声を挙げた。

 

 

 

「だとしても何でここに連れてきたんですか?」

 

「君たちもライダー部を名乗ったんだろ?」

 

「まぁ・・・こころが勝手に名乗ってましたけどね?それがどうしたんですか?」

 

「今日がそのサルベージ作業の最終日で、これが終わったらもう此処に来る事は無くなる。・・・それだったら、弦太朗の事を手伝ってくれた皆に此処を見せておこうと思ってたんだ・・・」

 

「だったら別に写真とかでも・・・」

 

「俺達からの君たちへの進級・卒業プレゼントとでも思ってくれていい」

 

「・・・プレゼント?一体なんのこと・・・」

 

言葉の意味が分からない彼女達だったが、此処で弦太朗が笑みを浮かべながら普通では有り得ない提案を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「折角だから外を・・・月の上を歩かねぇか?」

 

彼女達はその普通では体験する事の出来ない提案に満場一致で賛成するのだった。





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青・春・後・語-2a Endless Party-キラキラは止まらない

ここからは分岐ENDって奴だ・・・!!
はい。
と言うことで、後日談トップバッターはタイトルから分かると思いますが・・・


どうぞ


 

「みんな~!!早く早く~!!」

 

「香澄、ちょっと待てって!!・・・見た目以上に動きにくいな・・・。みんな大丈夫か・・・?」

 

「うん・・・」

 

「この服・・・重たい・・・」

 

「まさかこんなことになるなんてね~・・・。それにしてもなんかさみしいね・・・」

 

用意された宇宙服に身を包んだポピパ達は月面に降り立つが、彼女達の前には岩場が広がっているだけのその場所にはどこか寂しさを覚えていた。

 

 

 

 

 

「みんな!!アレ見て!!」

 

しかし、そんな空気の中で香澄は上を指差して声を挙げると、それに釣られて他の面々も香澄が指さした方へと視線を送ると―――

 

 

 

 

「わぁ・・・」

 

「マジで地球だ・・・!!テレビとか写真で見た通り、マジで青いんだな・・・」

 

「なんか身体も軽いし、本当に月なんだね・・・」

 

「あはは~・・・私も今でも信じられないよ・・・」

 

 

 

 

「沙綾・・・何か言ったか?」

 

「あっ!!ゲンちゃん!!・・・って変身してる!?」

 

「そういえば如月のは元々宇宙服みたいなもんだって言ってたよな・・・」

 

「確かにそんなこと言ってたような・・・」

 

 

 

 

「先輩・・・!!」

 

「おたえ?どうしたんだ?」

 

「どうしたのおたえ!?何かあったの!?」

 

そんな彼女達の元に弦太朗がフォーゼに変身して彼女達の前に姿を現した。

今までは街で見ていたフォーゼがそのままの姿で月面に立っていることに香澄は驚きの声を挙げていたが、他の面々は以前に聞いていたことを思い出して何となく納得していた中でたえが慌てた様子でフォーゼへと歩み寄っていく姿に何かトラブルがあったのかと皆に緊張が走るが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月なのにうさぎがいない・・・!!」

 

 

「「「「はい・・・?」」」」

 

 

 

「・・・うさぎがいない!!」

 

「おたえ!?本当なの!?」

 

 

「予想外・・・って程でもないな・・・おたえだし・・・」

 

しかし、たえから返ってきたのは何とも彼女らしい言葉。

香澄はその言葉に驚く一方で、有咲達は完全に肩の力が抜けてしまった。

 

「私、探してくるね!!」

 

「おたえ~!!」

 

 

 

「ちょ!!あんまり遠く行くなよ!!」

 

「まだ時間もあるし大丈夫だろ?」

 

 

 

「でも折角の月だったら、私も歩いていたいかも・・・」

 

「りみりんの言う通り・・・普通だったらこんなことできないんだし・・・ほら!!弦太朗も一緒に行こうよ!!」

 

「おう・・・!!」

 

そうして彼女達はおたえの後を追いかけていく。

皆が同じ方向に向かって歩いていくその中で、沙綾は不意にあることが気になって思わず弦太朗にその疑問をぶつけていた。

 

「そういえば弦太朗?卒業してどうしてるの?大学入ったって聞いたけど、やりたいことあるの・・・?」

 

「あぁ・・・教師だな」

 

「ゲンちゃんが教師・・・?」

 

「・・・そうなんだ。私は将来どうしたいかってあんまりよく分かんないけど・・・教師、なれるといいね」

 

「サンキューな!!」

 

「私はもっとみんなとキラキラドキドキしたい!!」

 

「香澄らしいな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「みんな~!!!!早く~!!」

 

「じゃあ、今はおたえとみんなでうさぎを探そう!!」

 

「あはは・・・香澄らしいなぁ・・・」

 

月面で将来について軽く話すと彼らはたえのうさぎ探しといいながら月面散策を続けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその会話から数年後―――

弦太朗はその時に語った言葉通り自身の母校である天校で教師になり、花咲川で出会った彼女達もそれぞれの道を歩みだしていた。

 

「昼休み10分前だからもうすぐ・・・来たな・・・」

 

弦太朗は1人で校門の前に立って、学校へと向かってくる1台の車を視界にとらえていた。

そして、車は彼の目の前で止まると1人の女性が運転席から降りてきた。

 

「弦太朗。待った?」

 

「よぉ沙綾。まぁ・・・待ってるのは生徒だけどな?」

 

「あはは・・・。実は今日は私だけじゃなくて・・・」

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!」

 

「久しぶりやね」

 

「・・・先輩。本当に先生なんだ・・・」

 

「こう見ても信じらんねぇ・・・」

 

 

「香澄!?それにみんなも来たのか!?」

 

「はいはい!!とりあえず再会を喜ぶのは後にして・・・!!」

 

その車の運転席からは沙綾が降りて来たと思ったら車の中からは彼女の親友とも呼べるポピパのメンバー達がぞろぞろと降りて来ると久々の再会を喜び合っていた。

しかし、その中で沙綾は車の中から何かを取り出しながら声を挙げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「移動販売のやまぶきベーカリー開店準備だよ!!みんな手伝って!!」

 

それぞれの道を歩み始めた彼女達の中で沙綾は自身の実家であるパン屋”やまぶきベーカリー”を継ぐことを決めた、沙綾は店のためにこうして友人である弦太朗が教師をしている新天ノ川学園でパンの移動販売という試みを始めていた。

 

その結果は―――

 

 

 

「うわぁ~!!みんなちゃんと並んで~!!」

 

「えっと・・・!!チョココロネとメロンパン・・・それに焼きそばパンですね・・・!!」

 

「そっちは会計が600円でこっちは450円・・・ってそこ!!列に割り込むな!!後おたえもちゃんと働け!!」

 

「えっと・・・ありがとうございました~?」

 

 

 

 

 

「相変らずスゲェ人気だな」

 

彼女の試みは見事に当たり、並んでいたパンはみるみる売れていく。

そんな盛況ぶりを横目にして1人の生徒が列に並ぶことなく横をすり抜けて来ていたのを有咲が見つけて声を張り上げ―――

 

 

 

「おい!!列に並べ!!・・・って。お前、まさか・・・」

 

「・・・もしかして、じゅんじゅん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはは・・・お久しぶり・・・でいいのかな・・・?」

 

 

 

「久しぶりやね~!!前に見た時よりもおっきくなってる・・・!!」

 

「じゅんじゅん!!久しぶり~!!」

 

「ちょっと離れてくださいよ・・・!!ってどこにこんな力があるんだよ・・・!!」

 

「も~!!じゅんじゅんったら~」

 

 

 

 

「あはは!!純も照れちゃって・・・」

 

列に並ばずに彼女達の前に現れたのは、沙綾の弟である純。

彼女達の中では小さくてちょっと生意気なイメージがあったその少年はいつの間にか彼女達の身長を追い越して立派な高校生になっていた。

 

純の変化に驚いていた彼女達だったの中で香澄は彼に向かって昔のように抱き着きつき始め、彼もそれを引き剥がそうと抵抗したものの香澄は一向に離れる様子がなく、そんな光景を同級生達に見られて彼の顔がみるみる赤くなっていく。

 

その光景を見た沙綾は純をからかうように笑ってしまった。

しかしそれは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇちゃん・・・!!」

 

「・・・じゅんじゅん?」

 

思春期真っ只中である彼の逆鱗に触れてしまった。

そんな彼を見て香澄は空気を読んで離れて行くが、彼はその程度では止まらずに――――――――

 

「姉ちゃんもいい加減にしろよ・・・!!」

 

「純・・・?ちょっと・・・姉ちゃんが悪かったから・・・」

 

「おい落ち着けって純。姉弟かもしんねぇけどここで喧嘩はダメだぞ」

 

純の理性と言うストッパーが完全に外れてしまい、沙綾と弦太朗は姉として一方は教師として注意しようとしたがそれが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くげんたろうもげんたろうだよ!!」

 

「純・・・!!今の弦太朗は先生でしょ!!」

 

「ちょっと止めねぇとな・・・」

 

完全に昔の呼び方に戻ってしまい姉の注意に聞く耳を持とうともしない。

これ以上は不味いと思って弦太朗は多少強引に止めようとしたその瞬間、彼の視線は弦太朗と沙綾に突き刺さる。

その視線に彼は一瞬動きを止めたが、彼は自分の中にため込んでいた物をぶちまけ始めていた。

 

 

「姉ちゃんもげんたろうが天校の教師になるって聞いたら俺をここに入学させて!!それだけだったらまだいいけど、いつもいつも学校で働いてる弦太朗のことばっかり聞いてきて・・・!!挙句の果てには自分が近づくために母ちゃんたちに無理言って移動販売まで始めて・・・!!

弦太朗も弦太朗で姉ちゃんの気持ちに気が付かない鈍ちんだし!!何時になったら姉ちゃんの気持ちに気が付くんだよ!!こんなんだから姉ちゃんがこじらせて・・・あっ・・・」

 

 

 

 

 

「「・・・」」

 

純はため込んでいた物をぶちまけたのは良かったが、この場には姉や弦太朗だけでなく学校の生徒や香澄達までもがその場にいたことを思い出して、彼は一気に冷静になると2人の方へ視線を送ると2人は恥ずかしさの余り、距離を取って視線を合わせないようにしていたが、それに見たたえは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「キース・・・キース・・・キース・・・!!」

 

「おいおたえ!?何こんなタイミングでキスコールしてんだよ!!」

 

たえはそんな2人を見て突然キスコールをし始めると有咲がそれを止めようとしたが、それを聞いて火が付いたのは天校の生徒達だった。

 

 

 

「「「「キース・・・キース・・・キース・・・!!」」」」

 

「さーや!!キース!!キース!!キース!!」

 

「沙綾ちゃん!!今だよ!!」

 

「あ~!!もう!!どうしようもねぇ~!!」

 

生徒達までキスコールを始めるとそれに乗って香澄とりみまでそれに乗っかり始めると完全にこの場は有咲では制御不可能な領域へと突入してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「き~さ~ら~ぎ~!!なにやってんだ~!!」

 

「大杉先生達!!みんなを止めるの手伝ってくれ・・・!!」

 

「どうなってるの・・・?」

 

「実は・・・」

 

しかし、この騒ぎを聞きつけて弦太朗の恩師であり、同僚でもある大杉や宇津木達がこの場に駆けつけて事体を鎮めようとしたが、彼らはりみから事情を聴いた途端に態度を一変させた。

 

「「「「キース!!キース!!キース!!」」」」

 

 

 

 

「き~さ~ら~ぎ~!!お前って奴は~!!」

 

「女の子に恥をかかせたらダメよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Mr如月」

 

「佐竹校長!!」

 

「以前にGoodManだと言ったが、Ladyの思いに答えてこそ真のGoodManだぞ」

 

「行ってこい!!」

 

 

 

 

「うわっ!!」

 

大杉達も生徒達の側について弦太朗へと囃し立て始めてしまい、逃げ道が無くなったと思っていたがそんな弦太朗の前に学校の校長である佐竹がゆっくりと歩み寄ってくるのを見た彼は藁をもつかむ思いで彼に助けを求めようとしたが、彼も生徒側についてしまって完全に退路を奪われると弦太朗は大杉によって沙綾の方へと押し出され、周囲は完全に静まり返って2人を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗・・・えっと・・」

 

「えっと・・・その・・・なんだ・・・」

 

2人は見つめ合って沈黙を続いたが――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少し経った頃には、割れんばかりの歓声と祝砲代わりのサスペンダーを鳴らす音が遥か彼方まで響いていくのだった。

 





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と言うことで・・・後日談最初はポピパです・・・!!
結末は想像にお任せと言うことでどいうか一つ・・・!!
次回モニorRAS



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青・春・後・語-2b Racy Adult Selection

はい。
後日談別バンド版投稿です。

タイトルからもうどこかは分かっていると思いますが・・・
暴走してるとこうなります。



 

「でらすごい・・・地球が青くてまんまるや・・・!!」

 

「ロック?方言出てるぞ?」

 

「ますきさん!!だってこんなの普通やないし・・・!!」

 

「まぁ気持ちは分かるけどな・・・」

 

「そうだよね。こんなことしてるんだから・・・・方言出るのも仕方ないかもね」

 

「でも、アッチは大丈夫か?」

 

ロックは月面から月を眺めて方言を漏らしながら思ったことをそのまま口にする姿に、ますきとレイヤもそんなロックの気持ちに同意すると彼女達の後ろを振り返る。

 

 

 

 

 

「パ~レ~オ~!!」

 

「チュチュ様!!大丈夫ですか!?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・身体がいつもより軽いのに、服のせいで動きにくい!!これなら中で待ってれば良かったわ・・・!!」

 

「でもチュチュ様!!そんなことおっしゃらずに!!こんな体験はもう一生できませんよ!!」

 

 

 

「それにしても・・・チュチュが入るサイズがあったんだ・・・」

 

「・・・こころ先輩の家の人が用意してくれてたみたいですよ・・・?凄いですよね・・・」

 

「ホントにな・・・。とりあえず、助けに行くか?」

 

「いや、大丈夫そうですよ・・・?」

 

 

 

「チュチュ?大丈夫か」

 

彼女達の後ろではチュチュが苦戦していたところへフォーゼが慣れた様子で現れると、パレオが早々にフォーゼに泣きついていた。

 

「如月さん!!チュチュ様が大変です~!!」

 

「歩くんじゃなくて・・・こう・・・軽く飛び跳ねるみたいに動く方が楽だぞ?」

 

「・・・本当ですね!!」

 

「分かったわ・・・」

 

泣きつかれたパレオの言葉を聞いてチュチュにアドバイスを送ると彼は目の前でやって見せる。

そのアドバイス通りにパレオも先にやって見せたのを見たチュチュは言われた通りに動こうとしたが―――

 

「飛び跳ねる・・・うわぁ!?」

 

「チュチュ様~そんなに高く飛ばなくていいんですよ~!!」

 

 

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「Thank you・・・」

 

チュチュも2人に倣って飛んでみようとしたが、何を思ったのか全然軽くない大ジャンプを疲労してしまい宙でバランスを崩してしまったが、フォーゼもすぐに飛び上がると空中で彼女を捕まえるとそのまま支えて月面へと着地する。

 

 

 

 

 

 

そうして四苦八苦しながらも彼女達5人が集まるとそこから再び地球を見上げていた。

 

「こうやって見ると、東京・・・いえ、日本って小さいですね・・・」

 

「岐阜から上京してきたときは遠いって思ってましたけど・・・見る場所が変わるとこうも感じ方が違うんですね・・・」

 

「ロック達の言う通りだね。月から地球までかなり距離があるからそう見えるだけだろうけど・・・」

 

「数字としては分かってるけど、弦太朗?実際はどうなんだ?」

 

「俺は前にここから地球まで蹴り飛ばされたことがあるけどな・・・」

 

 

 

「「「「えっ・・・?」」」」

 

 

 

「OK・・・決めたわ!!」

 

「うおっ!?チュチュ?いきなりどうしたんだよ?」

 

思い思いの感想を述べていた中でフォーゼの言葉に驚きの表情を浮かべていたが、それを聞いていなかったチュチュは何かを閃いて声を挙げると、今度はフォーゼがその声に驚いてしまっていた。

 

 

「次のRASの目標よ!!」

 

「目標?ガールズバンド時代を終わらせるって奴のこと・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「No・・・レイヤ。私の考えだけれど、ガールズバンド時代は終わらないわ」

 

「おいおい、チュチュ。お前らしくねぇぞ?」

 

「でも、そういう流行ってのはいつか終わるだろ?」

 

「ゲンタロウの言う通り。流行り廃りを繰り返すものだけどそうじゃないわ・・・」

 

「チュチュさん?どういう事ですか・・・?」

 

「まるで分かんねぇ・・・どういう事だ・・・?」

 

チュチュの言葉にレイヤが聞き返したが、思わぬ答えが返ってきたことにますきが目を丸くしたがそれを気にすることなく彼女は話し続けていた。

 

「はぁ・・・。今回の件で言えばバンドリの参加バンド・・・いえ、私達ガールズバンドが巻き込まれるような事件が何度も起こったわ。それが理由なのかは分からないけれど、何組かは予選をリタイヤした。だけどそんな中でも大半のライブをし続けていたわね?」

 

 

 

 

「そりゃ・・・事情を知らなきゃ、他人事だと思って続けんだろ?」

 

「マスキングの言う事も分かるわ。アンタたちは違ったわ。まぁ、事情を知らない私とパレオがいたから悟らせないようにしていたんでしょうけれど・・・」

 

「うん・・・ますきとロックで話してそうするって決めたから・・・」

 

チュチュは自身の考えを話すとフォーゼは完全に話について行けなくなって黙り始めたが、皆はそれを気にする来なくチュチュの話に耳を傾けていた。

 

 

 

 

 

「そういうことだからRASは別だとして・・・

最初から事情を知っていたRoseliaとポピパはそうじゃない。事情を知って、危険だと分かっていた上でも音楽を続ていた。そして、そんな連中はあの地球にはもっと沢山いるはずよ・・・そして、それに影響を受けていく連中も沢山いるわ」

 

「確かに、誰かに影響されて音楽を始めるって言うのは分かるよ?私も花ちゃんと一緒にやるって言ってベース始めたし・・・」

 

「私もSpaceでのポピパさんのライブ見て、東京でバンドしたいって思いましたから・・・!!」

 

 

 

「レイヤやロックみたいなのは必ずいるわ。だから、ガールズバンドブームが終わってガールズバンドの数が減ることはあっても、ガールズバンドそのものが消える訳じゃないし、時代は何度も繰り返すわ」

 

「前口上はそんくらいにして教えろよ。次のあたし達の目標って言うのをよ・・・」

 

「OK・・・!!」

 

チュチュの話に痺れを切らしたますきが本題に切り込んでいくと、彼女の言葉を受けたチュチュはその言葉に答えると浮かんでいる地球を指差していた。

 

 

 

 

 

「RASを今後続いていくガールズバンド時代・・・いいえ、何世代にも語り継がれるようにRASの名をあの地球の歴史に遺すのよ!!」

 

 

 

 

 

「ひぇ~!!でら凄い目標やわ~!?」

 

「ははっ・・・。ガールズバンドを終わらせるよりも随分大きい目標になったね」

 

「でも、悪くねぇな!!」

 

「はい!!きっと出来ます!!」

 

「ゲンタロウ!!アンタは歴史の証人よ!!特等席で見てなさい!!」

 

 

 

 

「でっけぇ夢だな・・・!!頑張れよ!!」

 

こうして5人は新たに立てた偉大な目標に向かっていくのを決意して、新たなな1歩を踏み出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、そのスタートから5年の年月が過ぎた。

彼女達は月面で語った目標を目指す為、Roseliaと同様にプロの世界に入っていくと、彼女達と競い合うように互いを高め合っていた。

 

それをレイヤやロック経由で聞いていた弦太朗はある日、招待されたライブを見に行ったがその帰りに彼は結成当時からRASの活動拠点になっているチュチュのマンションに呼び出されていた。

 

「おーい。いるか~」

 

「入りなさい!!」

 

 

 

 

 

 

「如月さん!!お久しぶりです!!」

 

「連絡自体はしてたけど・・・こうやって会うのは久しぶりだね。弦太朗!!」

 

チュチュの部屋に入るとライブの熱気と久しぶりの対面とことも会って彼女達は熱くなっていた。

 

「よぉ!!多分こうして会うのは2年ぶりくらいか?・・・って言ってもこっちはニュースとかで見てたけどな・・・」

 

「こっちはお前が教師になったって聞いたときは信じられなかったけどな!!・・・で、どうだったよ?ライブは?」

 

「・・・なんつーか、上手く言葉に出来ねぇけど・・・。熱いのが伝わって来て最高だったぜ!!」

 

「それは良かったです!!ライブの熱気に当てられてますからお茶でも飲んでクールダウンしましょう!!如月さんも、ご一緒に!!」

 

「ライブ後なのに悪いな・・・」

 

「いえいえ!!」

 

パレオの提案を受けて弦太朗は空いている椅子に座ると受け取ったお茶を飲んで熱気を覚ましながら久々に対面したチュチュへと視線を送ると、その視線に気が付いた彼女はその視線を感じて眉を顰めた。

 

「・・・何よ?」

 

「いや・・・なんつーか・・・。イヤ、なんでもねぇ・・・」

 

「んだよ。弦太朗、ハッキリ言えよ」

 

「もしかしてお茶が口に合いませんでした?」

 

「いや、そうじゃなくてな・・・?」

 

「もう!!ハッキリしなさいよ!!」

 

弦太朗はチュチュに煮え切らない態度をとってしまうが、それがチュチュを更に不快にさせてしまい彼に迫っていた。

チュチュに迫られた弦太朗は観念して思ってしまったことを申し訳なさそうな態度で告げることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「チュチュ・・・お前、前見た時から身長全く変わんねぇな・・・」

 

「「「ぷっ!!」」」

 

「なぁ!?ってなんでアンタたちも笑ってんのよ!!」

 

「そうなんですよ~!!私とロックさんはほんの少しだけ背が伸びましたが、チュチュ様は如月さんと出会った14歳の時から1mmも伸びてないんですよ~」

 

「パ~レ~オ~!!」

 

 

 

 

パレオとロックは出会った頃に比べて僅かに身長が伸びていたのに対して、年齢的には成長期だったはずのチュチュがあの時から1mmも身長が伸びていない―――

 

彼の言葉を聞いてレイヤ達は飲んでいたお茶を噴き出してしまい、チュチュはそんな彼女達に声を挙げていた。

 

「もうこれでも立派な大人Ladyよ!!それに身長だったらレイヤとマスキングだって、ゲンタロウと会った時から伸びてないわよ!!」

 

「ってもあたしが弦太朗と出会った時は17だろ?そんくらいなら成長も止まってんだろ・・・」

 

「だよね?それに大人って言ってもチュチュもパレオもまだお酒も飲めない年でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

「きぃいいいい!!」

 

「チュチュ様落ち着いてください~!!」

 

「可愛いよな・・・」

 

「もう・・・」

 

身長を弄られてチュチュは思わず声を挙げるが、それを見てますきはチュチュを可愛いと言い始めるとレイヤは完全に呆れて少し経った頃にはチュチュは若干冷静さを取り戻していた。

 

 

「ふぅ・・・!!ふぅ・・・!!」

 

「それでチュチュさん?どうして如月先輩を呼んだんですか・・・?何か用があったから呼んだんですよね・・・?」

 

「で?その俺を呼んだ理由って・・・?」

 

「私達も知らないんだ・・・チュチュからはここに来ることだけしか聞いて無くて」

 

「ふぅ・・・そうね。とりあえずはそこから話しましょうか・・・ふぅ~・・・・・・」

 

レイヤの言葉を聞いたチュチュは深呼吸をすると彼女は語り始めた。

 

 

「今までRAS全国へのライブは当然として、音楽番組への出演に動画サイトでのMV投稿。企業CMへの楽曲提供・・・これまで音楽関係の仕事を中心に色んな事をしてきたわ!!」

 

「はい!!あこちゃん・・・いえ、Roseliaさんがやったのと同じような仕事をしましたね!!」

 

「ロック!!」

 

「ひぃ~!!」

 

チュチュの説明を聞いたロックは思わずつぶやいてしまうが、それを聞いた彼女は声を挙げた。

 

今のRASとRoseliaは互いが互いを意識して、2つのバンドが何かに手を出すと、後からもう一方も同じ土俵に立ってぶつかり合うというようなことを繰り返してきた。

 

そして昨今ではガールズバンドの人気はRASとRoselia、そしてパスパレの3つがその大半を占めていた。

 

しかし、その中でもパスパレはアイドルということもあってかなり方向性が違っており、演奏技量だけで言えばRASとRoseliaが実力的には1,2を争う状況になっていた。

 

「正直言えば、今の状況でRoseliaとRASの知名度も実力も拮抗しているだから・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「海外ツアー・・・・だね?」

 

「Yes!!5年前にポピパとモニカと一緒のグアムでのライブ以降、海外でのライブに何回か参加したこともあるけど、今回はツアーで世界を回る!!

今の日本ではRoseliaと人気が拮抗しているけれど、Roseliaが世界に出てくる前に世界中の評価を”日本の音楽=RAS”のイメージに染め上げるわよ!!」

 

チュチュの宣言に彼女達だけでなく、自身はついて行けないが彼女達が目標に向かっていく姿を見ている弦太朗もテンションが上がるのを隠せない。

 

そして、そこからライブ後の高揚感でチュチュは壊れかけていたが、海外ツアーのことを語った熱で彼女は完全にぶっ壊れてしまった。

 

「そして世界を取ったら次のことよ!!」

 

「えっ?次・・・?初耳なんだけど・・・」

 

「チュチュ様・・・?パレオも聞いてないですよ!?」

 

「何するんですか・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

II(セカンド)よ!!」

 

「セカンド・・・?」

 

「野球でもすんのか?」

 

「2番目ですよね・・・何のことですか・・・?」

 

「パレオも分かりません・・・!!」

 

チュチュが言った言葉の意味が分からずに首を傾げた弦太朗とレイヤ達。

しかし―――

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっ!!おまっ!?何言ってんだ!?」

 

「ますき?どうしたの?」

 

「意味わかんのか?」

 

この中でますきだけはチュチュが言った”セカンド”の意味を理解してしまい、思わず飲んでいたお茶を噴き出してしまったがこれがいけなかった。

 

 

 

「ますきさん!!どういう意味なんですか?」

 

「ちょっと待てよ!!こんなの言えるわけねぇだろ!?」

 

「どういうことですか?」

 

「えっと・・・その・・・あ~・・・!!言えるか~!!」

 

「何でですか!?」

 

「うるせ~!!」

 

 

「ゲンタロウ!!ロックとレイヤ、どっちのセカンドがいいかしら?」

 

「どういうことだ?それにセカンドってなんだよ?」

 

言葉の意味を理解しているのを察したロックとパレオがますきへと詰めていたが、彼女は顔を熱に中てられたのとは違う理由で顔を真っ赤に染めるが、ロック達はそれでも聞き出そうとしてくるが彼女は答えようとはしなかったが、それを無視してチュチュは弦太朗に聞くが彼は本当に意味が分かっていなかったのを見てチュチュはハッキリとその意味を伝えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セカンドって2世ってことよ!!それでレイヤとロックどっちとがいいのよ!?」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

チュチュの言葉を聞いて、意味を知らなかった4人は完全に理解できずに固まってしまう。

しかしその中で最初から意味を知っていたますきは頭を抱え始めてチュチュに視線を送っていた。

 

 

「チュチュ、何でいきなり2世なんて言い出してんだよ・・・!!」

 

「世界をRAS色に染め上げた後にはそのスピリットを受け継ぐ者が必要よ!!ネットじゃRASもRoseliaも”婚期逃しそう”とか不名誉なこと言われてるけどね・・・!!男はゲンタロウ以外は論外だし、それとマスキングが候補にないのは2世を育てるビジョンが見えないからよ!!」

 

 

 

「お前!!喧嘩売ってんのか!?」

 

チュチュの言葉にますきが怒り始めるが、その怒声に4人は動き出すが全く正気にはなっていなかった。

 

「えっ?はぁ?」

 

「なにいっとんのや!?」

 

「それでゲンタロウ!!どっちがいいのよ・・・!!」

 

「いやいやいや!?お前何言ってんだ!?」

 

弦太朗はチュチュの言葉にテンパって答えるが、それを見てチュチュは訝しんでいた。

 

 

 

 

「何よ?2人じゃなくてパレオがいいのかしら?・・・はっ!?もしかして私!?もしかしてアンタ・・・ロリコン!?」

 

「あわあわ・・・とりあえず、ベビー用品揃えなければ・・・!!」

 

「何言ってんだよ!?パレオも落ち着けよ!?」

 

「早く誰か選びなさいよ~!!」

 

ストッパーが壊れてしまったRASと弦太朗は正常に頭が働いておらず、この場にいる誰もがそれを止めることが出来ずに彼女達は暴走を続け、ライブ翌日の昼過ぎに同じ取材を受けることになっていたRoseliaが様子を見に来るまでRASが混乱したまま暴れ続けていたのだった。

 





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と言うことで・・・2回目はRASさんでした。
う~ん。この暴れっぷり・・・

完全に思考回路ぶっ飛んでますねェ・・・
これがRの系譜・・・

次回・・・?
どこにしようか決めてないがな・・・


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青・春・後・語-2c 恋と流れ星は燃え尽きるもの


はい。
後日談別バンド版投稿です。

これは・・・うん・・・
でも、設定順守するとこうなってしまったんだ・・・
不甲斐ない私を許してくれ・・・


 

「すごい・・・周りは真っ暗な中であんなに青く光ってて・・・」

 

「シロちゃん?さっきから同じことばっかり~」

 

「だって・・・」

 

「ん~。シロちゃんの言いたいことも分かるけど~」

 

 

 

 

 

「やっば!!写真撮ってSNSにアップしなきゃ!!」

 

「桐ヶ谷さん。そんなのダメに決まってるでしょ」

 

「なんだよルイ~!!ふーすけ~!!」

 

「ルイさんの言う通りだよ!!それに持ってきたら壊れるかもしれないからって言って、スマホを置いて来たでしょ!!」

 

「仮に月面での写真をSNSに上げたところで合成扱いされて終わりよ」

 

「2人ともなんだよ~」

 

 

「よっ!!」

 

「あっ・・・如月先輩・・・」

 

「悪い悪い。来ようと思ったんだけど、香澄とこころ達に捕まっちまってな・・・」

 

ましろと七深が月面から地球を眺めて思ったことを口にしていたその近くで、透子が月面にはしゃいでいるのをつくしと瑠唯の正論をぶつけられていた所へとフォーゼがゆっくりとした足取りで歩み寄ってきていた。

 

「あの・・・如月先輩・・・ありがとうございます・・・。こんなことさせてもらって・・・」

 

「普通だったらこんなこと出来ないですけどね~。でも、これはこれでいいですね~」

 

「ならいいけど―――のわっ!?」

 

「如月先輩!?」

 

「頭からいったね~・・・」

 

ましろはともかく、普通であることを望んでいる七深ですら今の状況を楽しんでいることに安堵していたフォーゼだったが、そんな彼は背中から突如として何かがぶつかってきたことによってそのまま前に倒れてしまう。

何が起こったのかを確認しようと彼は首を曲げて後ろを振り返ると――――

 

 

「弦太朗さん!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!?何やってるの!?」

 

「ミクロンだって!!」

 

「なんで急に飛びついてきてるんだよ・・・!!」

 

彼に飛びついてきた正体は透子。

その後ろではつくしが透子に対して怒っているが、当の本人はそれを気にするような素振りも無くフォーゼにしがみ付いていた。

 

「弦太朗さん!!写真撮って!!」

 

「写真?」

 

「だって!!折角こんなことしてるんですから撮らない訳にいかないっしょ!!それにみんなで集合写真は鉄板っしょ!!」

 

「そういうことだったら・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い訳ないだろ・・・!!」

 

「流星!?」

 

「歌星の手伝いが落ち着いたから様子を見に来てみたら・・・」

 

「流星さんも変身してるんですね」

 

「それで月を歩けるんだ!?」

 

「フォーゼほど長い時間は月面にはいられないけど・・・数時間ならね?」

 

そんな彼らの元にやってきたのはメテオに変身した流星。

しかし、彼女達は変身した彼がそのまま月面を歩いていることに驚きを示していたが、彼はその事について軽い口調で答えるとフォーゼから透子を引き剥がしてから透子とフォーゼに視線を向けていた。

 

「ライダーを含めたスイッチ関連は機密の塊だぞ?何を考えているんだ?」

 

「すまねぇ・・・。透子の勢いに負けちまってよ・・・」

 

「流星さん!!こんな月面の写真何でバズりますよ!?」

 

「さっきも言ったがフォーゼにメテオ、ラビットハッチは機密の塊なんだ。・・・それにみんなをここに連れてくるのも歌星には反対されたんだよ?」

 

「・・・なら何で流星さん達は私達をここに連れてきたんですか?」

 

メテオから告げられた言葉に彼女達は目を丸くしていたが、それは当然のことだった。

 

ライダーはおろかスイッチ関連の技術は機密の塊で賢吾に連れて来ることを反対されていた。

本来ならただの女子学生である自分たちはこの場所に来ることすら出来ないはず。今はこうしてこの場所に立っていられる理由が分からない瑠唯は思わずその疑問をぶつけると、優しい口調でメテオはその理由を語っていた。

 

 

「みんなには迷惑をかけたからね?そのお礼って訳じゃないけど、俺と弦太朗の2人でなんとか説得したんだ」

 

「そうだったんですか・・・」

 

「歌星はみんなと弦巻君の船で会っていたし、この事を悪用する様な人たちじゃないと思ってたからね?」

 

「透子ちゃん!!」

 

「これで・・・私と二葉さんの言いたいことは分かったわね?」

 

 

 

 

 

「うっ・・・!!写真は諦めます・・・」

 

「ん~」

 

「ななみちゃん・・・?どうしたの?」

 

メテオの言葉を聞いてここで透子は観念したのか肩をがっくり落として写真を諦めると、その言葉を聞いて七深は何かを考えて唸りだしていたが、ここで彼女は何かを閃いた。

 

 

 

「絵だったらいいですかね~?描いた絵はちゃんと見せて、それがダメだったら諦めますから」

 

「絵?・・・まぁ、機密に関することが描かれてなければ良いとは思うが・・・」

 

「ななみ!!ナイス!!」

 

「じゃ~弦太朗さん。お願いしますね~」

 

「何?」

 

「・・・弦太朗。ペンのスイッチだ。ここに画材なんてある訳がないからな・・・罰代わりだ」

 

「本当は色々描きたいですけど、時間もないのですぐに終わらせますから~」

 

「なら、俺達は少し周囲を散策でもしようか・・・」

 

こうして七深はフォーゼがペンを起動した右足を抱えて絵を描き始めると、そんな彼女を邪魔しない様にメテオがましろや他の面々を連れて月面を散策し始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな出来事から早数年が経った。

モニカのメンバーは各々が別々の道を歩き出したが、今日は久々に5人全員が揃う予定になっていたが―――

 

「みんな!!おっひさー!!」

 

「みんな~ごめんね~」

 

「もー!!透子ちゃん!!七深ちゃん!!」

 

「あなた達、5分遅刻よ?」

 

そんな特別な日にも関わらず透子は七深と共に遅刻してしまっていた。

 

 

 

「ごめんごめん!!会議が長引いちゃってさ~!!」

 

「会議ってブランドの・・・?」

 

「そうだよシロちゃん。今度、私の描いた絵を使った服を透子ちゃんのブランドで出すことになったからその会議してたんだけど・・・」

 

「それが思いのほか盛りあがっちゃってさ~」

 

「・・・仕事だから仕方ないとはいいたくないけれど、せめて遅れそうなら連絡くらいしなさい」

 

「ごめんってルイ!!」

 

「全く・・・あなたは昔から変わらないわね」

 

懐かしいやり取りに5人は笑みを浮かべていたが、数名はその笑みの中に呆れに似た感情が籠っていたが誰もそれについて指摘する者はいなかった。

 

「ねぇ・・・?そろそろ行かない・・・?」

 

「えっとね・・・それなんだけど・・・お仕事の予定が入っちゃって・・・」

 

「ななみ?マジで!?仕事?」

 

 

 

 

「ごめんね・・・。この間、作家さんが書いた小説の表紙を描かせてもらったんだけど・・・。みんなの顔を少しでも見たかったから来たけど・・・。その人のサイン会があるから挨拶に行かないといけなくて・・・」

 

とりあえずこの場から移動しようとした彼女達だったが、その中で七深は仕事関係の予定が出来てしまったことを申し訳なさそうな表情を浮かべて謝り始めたが、その話を聞いた透子はこの問題の解決案を提示していた。

 

 

 

「だったらさ。みんなでそれに行けばよくね?」

 

「ななみちゃん?そのサイン会ってどこでやるの?」

 

「えっ・・・?とーこちゃん?つーちゃん・・・?」

 

「挨拶って言ってもそんな何時間も話したりしないっしょ?だったらチャチャっと済ませちゃえばよくね?な?シロ?」

 

「そうだね・・・折角5人で集まったんだから・・・。みんなで行こうよ・・・?」

 

「広町さん、早く行きましょう。会場は―――「ルイ、これじゃね?他にサイン会とかないし」―――桐ヶ谷さん、こういう時は動きが速いわね・・・」

 

「みんな、ありがとう・・・」

 

彼女達は七深本人を置いてけぼりにしてドンドンと話を進めていく。

しかし、置いてけぼりくらった七深はそんな彼女達に感謝の言葉を呟くと、皆で纏まってその会場に移動し始めていく。

 

 

 

「てか、その七深が書いた本ってどんな奴なの?」

 

「とーこちゃん!!ななみちゃんが描いたのは表紙だよ?」

 

「ふーすけ!!細かいことは気にすんなって」

 

「あっ・・・私、この人の本読んだことあるよ?」

 

「シロ?なんて名前の本だった?」

 

「えっと・・・”夢の魔女と魔法の指輪”って名前なんだけど、ダークファンタジーって宣伝されてて読んでみたけどなんか不思議な感じがしたよ・・・?」

 

「倉田さんがそんなこと言うなんて相当ね・・・作者の名前は・・・聞いたことがないわね・・・」

 

「みんな、そろそろ着くよ!!・・・ってあれ?あの人・・・もしかして・・・」

 

そんな会話をしていた彼女達は目的地まで辿り着いていたが、そこには彼女達の見覚えのある背中に彼女達はその人物に声をかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・弦太朗さん?」

 

「七深?それにみんなもどうしたんだ?」

 

「それはこっちのセリフですよ!?如月先輩が本を読むなんてイメージないですし!!」

 

彼女達が見かけたのは弦太朗だった。

彼は久々の再会に喜んでいる様な表情を浮かべていた一方では彼女達は弦太朗が本を読むイメージが皆無な彼がこの場にいることに驚きの表情を浮かべていた。

 

 

「あぁ、実はこの本書いたのが俺のダチでな・・・」

 

「へぇ~。弦太朗さん!!この本の表紙描いたの七深なんすよ!!」

 

「マジか!?すげーな!!」

 

「ありがとうございます~。そうだ、弦太朗さん。実は私、これからその作者さんに挨拶に行くんですけど一緒に行きますか?」

 

「よっし!!行こうぜ!!」

 

七深の提案に乗った弦太朗は纏まって、その本の作者が待っている控室へと向かうと七深がその扉をノックし始めた。

 

「あの~・・・この本の表紙を担当した広町ですけど~・・・」

 

「・・・どうぞ」

 

「失礼しまーす」

 

そう言って七深を先頭に控室へと入っていく。

中にいた人物は七深以外に人がいたことに以上に彼女達と共にいた弦太朗の姿に驚きを示していた。

 

 

 

 

「よぉ友子!!この間ぶりだな!!」

 

「弦太朗さん・・・どうも・・・。もしかして・・・表紙を描いた広町さんって・・・」

 

「ダチだ!!」

 

「そうだったんだ・・・世の中狭すぎる・・・」

 

「広町もそう思いますね~」

 

 

 

 

「本当に知り合いだったんだ・・・」

 

「どういう繋がりなのかしら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗と友子ちゃんはライダー部の仲間だよ」

 

「その声・・・」

 

「流星!!」

 

「流星さん・・・!?なんで?」

 

七深が表紙を手掛けた小説の作者と弦太朗が本当に友人で会った衝撃に、彼女達は思わず声が漏れてしまうがそれにここに居るはずのない流星がその場に現れると彼女達に答えを告げていた。

 

突然の彼の登場に驚いていたが、それだけで終わることはなかった。

 

「流星さん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?」

 

「嘘・・・!?」

 

「おぉ~」

 

「うわぁ・・・!!抱きしめ合ってる・・・!!」

 

彼女達がいることなど忘れてしまったかのように友子が流星に抱き着くと、彼もそれに答えるように抱きしめ返していた。

 

その事に驚いていた彼女達だったが――――

 

 

 

 

 

 

「ちょっとるいさん!?」

 

「くぁwせdrftgyりんこlp」

 

「うわぁ~!?ルイがぶっ壊れた!?」

 

 

 

 

「あの・・・如月先輩・・・もしかして・・・あの2人って・・・」

 

「・・・ん?そうだぞ」

 

「あ~広町たちはこれで失礼しますね~」

 

瑠唯が目の前の出来事を呑み込み切れずに完全に脳が焼かれてしまっていたが、2人はそれに気が付かない様子だったのを見て思わずつくしが弦太朗に聞いてしまい、それが聞こえた七深は彼らを2人っきりにしてそのまま部屋から抜け出したが、完全にお通夜状態の空気になってしまっていた。

 

「なぁ・・・もしかして、瑠唯って・・・」

 

「そうですよけど・・・もしかして弦太朗さん・・・」

 

 

 

 

 

 

「気が付かなかった・・・!!」

 

「えっと・・・この後どうするの・・・?」

 

「仕事としてはもう終わったから、広町的にはるいるいをなんとかしてあげたいかな~」

 

「でも、ななみちゃん・・・どうするの・・・?」

 

予定は完全に消化したものの、流石に今の瑠唯をこれ以上連れ回す気にはなれない彼女達だったが、透子だけは違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういう時はヤケ酒っしょ!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!?」

 

透子のまさかの提案に思わずましろがツッコんでしまうが、彼女達の中でストッパーである瑠唯が機能停止している状況で彼女を止めれるものはいなかった。

 

「シロ!!あたし達はもう大人なんだし大丈夫だって!!それにアルコール入れば色々吐き出せるっしょ!!」

 

「そうなのかな~・・・」

 

「つーちゃん、るいるいに何もしないよりはいいんじゃないかな~」

 

「でも・・・」

 

「折角なんだしパーッとした方がいいっしょ!!な?」

 

「えぇ・・・そうね・・・」

 

透子のバカみたいな提案に瑠唯が賛同したことに皆が目を丸くしていたが、透子はそれを気にすることなくこの場を仕切り始めていた。

 

 

「ほら弦太朗さんも行きますよ!!知ってたのに黙ってたんですから瑠唯の分は弦太朗さん持ちってことで!!」

 

「マジかよ・・・」

 

「もう透子ちゃん!!るいさんの分は割り勘だよ!!」

 

こうして彼女達は次の日の太陽が昇るまで完全に失恋した瑠唯のヤケ酒に付き合う羽目になるのだった。

 





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感想評価は気分次第でお願いします。

と言うことで・・・3回目はモニカさん。(と言う名のルイさん失恋END)
あのカップリングが公式だから・・・仕方ない・・・
修羅場生成を考えたけど、公式設定には勝てなかったよ・・・


次回は未定
しゅわしゅわしたいパスパレorぶっとんでハロハピ
のどっちかをお送りいたします


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青・春・後・語-2d うぇるかむ!!にっこりワールド!!

ガルパでやってるAfterglowの箱イベを見て、あそこの後日談プロットが設定と完全不一致構成し直してたら投稿遅くなってしまいました・・・
ぐぬぬ・・・
書き終える前に設定お出しされたら直すしかないじゃない・・・!!

後日談別バンド版投稿です。
タイトルでどこか・・・分かるよね?


 

月面に降り立ったハロハピ一行。

普段からこころに振り回されて様々なことをしていた美咲だったが、今の彼女は現実味のない出来事に思わず圧倒されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「こころに連れ回されていろんなとこに行ったけど、まさか月面に降り立つことになろうとは・・・」

 

「美咲ちゃん・・・」

 

「待たせたな・・・!!」

 

「あっ!!如月くん!!ってそれでここに来れるんだ・・・」

 

「まぁな!!・・・って美咲?どうしたんだ?」

 

「美咲ちゃんは・・・現実感の薄い現実を目の前にして困惑してるだけだよ・・・」

 

「なんだそれ・・・?」

 

 

 

「美咲~!!」

 

「かのちゃん先輩~!!」

 

「3人ともこちらに来ないのかい?」

 

 

 

 

「全くあの3人は・・・」

 

「ここでもいつも通りだな」

 

「でも、その方がこころちゃん達らしいね」

 

そんな彼女の元にフォーゼが現れると美咲に声をかけるが、彼女の代わりに花音が答えるも何とも言えない空気になってしまったのをこころ達がぶち壊していた。

 

呼ばれた彼らはそのままこころ達の元へと向かうとこころはいつも通りだった。

 

 

「そういえば、たえから聞いたのだけれど!!月にはうさぎがいるって言ってたわ!!」

 

「ゲンちゃん先輩は見たことあるの?」

 

「えっ?見たことねぇけど・・・?」

 

「だったらみんなで探しましょう!!」

 

「うんっ!!はぐみもやるー!!」

 

 

 

「はぁ・・」

 

こころの言葉に彼は何も考えずに答えてしまったが、その言葉がきっかけでこころがいつも通りb脳槽し始めると、美咲は元凶を見て思わずため息を零してしまった。

 

「月にうさぎがいる訳無いでしょ・・・。それに如月先輩も何いるみたいな感じで答えてるんですか・・・」

 

「だって見たことねぇし・・・」

 

「空気が無いのにどうやってうさぎが呼吸するんですか・・・」

 

「美咲。折角の機会なんだから理由はともかくとしてみんなでここを散策するのも悪くないと思うよ?」

 

「薫さん・・・確かに薫さんの言う事はもっともかもしれないですけど・・・」

 

「おや?美咲は何をそんなに心配しているんだい・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなとこで花音さんが迷子になった日にはもう探すのは不可能ですよ・・・」

 

「だったら、私が花音と一緒にいるとしよう。それなら大丈夫さ」

 

「いや、1ミリも大丈夫じゃないですけど」

 

しかし、薫の言葉を聞いた美咲はいつも以上に真剣な表情で答えると薫はその解決案を提示するがそれは何一つ美咲の心配を払拭することが出来ていなかった。

 

「みんな~!!」

 

「早く~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~!!花音さん!!絶対に迷子にならないでくださ―――って花音さんがいない!?」

 

そしてこころ達が呼んでいるのを聞いた美咲達は彼女達の元へと行こうとしたが、既に花音の姿は消えていたことに美咲が声を挙げるとこころ達も驚いた表情を浮かべていた。

 

 

「だったら、うさぎと一緒にかのちゃん先輩も探そ!!」

 

「花音がうさぎさんってことね!!」

 

「儚い・・・」

 

 

 

 

 

「あぁどうしてこう面倒ごとが増えてくの・・・」

 

美咲はボヤくがその言葉は宇宙に消えて、彼女達は月面でうさぎ扱いされた花音を捜索し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、花音が月面で発見することが出来てから数年の時が経ち――――

弦太朗は天校で教師としての働き始め、その中でフォーゼドライバーを破棄するということもあったが、今では一人前の教師になっていた。

 

「大杉先生、おはようございます」

 

「おぉ如月!!おはよう」

 

出勤してきた弦太朗は職員室に入ると恩師で同僚の大杉と挨拶を交わすが、弦太朗は大杉が持っていた物に視線を奪われていた。

 

「大杉先生?・・・どうしたんすか?新聞なんて読んで?」

 

「教師たるものいかなる時でも学ぶ姿勢を―――」

 

 

 

「すいません!!ちょっと借ります!!・・・マジか!?」

 

「おいっ如月!?」

 

「Mr.如月にMr.大杉。何を騒いで――何?Mr.如月が新聞を・・・!?」

 

大杉がそんな高説を垂れ始めたが、その新聞に載っていた小さな写真を見つけた弦太朗は大杉から新聞をひったくる様に取り上げるとその記事を読み始めていた。

そのタイミングでたまたま職員室に入ってきた校長の佐竹が真剣な表情で新聞を見ていた光景に思わず驚きの表情を浮かべてると、たまらずに新聞の記事を横から覗き込んで彼の視線の先にあった記事を見るが、その記事の内容に思わず佐竹から言葉が漏れていた。

 

「Mr.如月。君は海外のことに興味が・・・?」

 

「いや、高校の頃に会ったことがあるんすよ」

 

「なぁ~にぃ~!?如月!!お前~!!」

 

 

大杉が大声を上げて始めるが、佐竹がその記事の見出しに再び視線を落とすとそこには――――

 

 

 

 

 

 

“ハピネール王国・二コリーナ女王が誕生”

と言う見出しと、女王となる二コリーナの写真が写っていた。

 

流石に1国の女王となる人物とも知り合いだという彼の言葉に驚いた佐竹だったが、彼はどこかで弦太朗ならばおかしくはないという思い始めたその時、職員室には別の乱入者たちが入り込んでいた。

 

 

 

 

 

 

「弦太朗!!久しぶりね!!」

 

「ゲンちゃん先輩が本当にせんせーやってる!?」

 

「ちょっと!!アンタたちは勝手にいかないの!!」

 

「こころにはぐみ!?それに美咲まで!?」

 

職員室に乱入してきたのはこころにはぐみ、そして美咲。

本来なら部外者が入れないのだが、こころとはぐみは昔のように勢いに任せてやってきてその後を慌てた美咲が追いかけるという弦太朗にとっては懐かしい光景が映っていた。

 

「ちょっとあなたたち!!ここは部外者立ち入り禁止・・・」

 

「あぁ、すいません。私達こういうもので・・・」

 

 

 

 

 

「えっ・・・弦巻・・・?あの・・・!?」

 

「えぇ・・・。あそこで如月先輩と絡んでいる片方がそこの令嬢です・・・」

 

「でも、ここは職員室なので・・・如月先生と一緒に外へ・・・」

 

 

 

「やぁ、弦太朗。久しぶりだね」

 

「あれ・・・この間テレビに出てた瀬田薫・・・!?」

 

流石にこころ達を見てダメだと思った周囲の教師を代表して、女性教師である宇津木が彼女達に声をかけるが美咲が即座に名刺を渡すと受け取った彼女は目を丸くしていた。

 

世界に名だたる富豪の令嬢。

そんなVIP相手に流石に及び腰になってはいたが、彼女は真っ当に部外者であるこころ達を外に出すように美咲へと話しかけると、そんな彼女達に遅れて最近は役者として名を挙げていた薫の登場に職員室が静まり返り―――

 

「薫さ~ん、待って~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~!?あなた・・・えぇ~!?女王様~!?」

 

「ふえぇ~!?」

 

弦太朗が眺めていた新聞記事に載っていた人物――――のそっくりさんである花音が姿を現すが、職員室では弦太朗以外の教師に花音と二コリーナの区別がつくはずもなく、大杉の驚きの声と共に職員室は混乱の坩堝と化していた。

 

「あぁ~!!めんどくさいことになった・・・!!」

 

 

 

 

「私達、二コリーナに呼ばれてハピネールに行くのよ!!」

 

「でも、何でここに・・・?」

 

「ゲンちゃん先輩?」

 

「・・・弦太朗?聞いてないのかい?」

 

「何をだ・・・?」

 

混乱する職員室の中で会話を始める彼らだったが、ハロハピの面々と弦太朗の間で理解の差があるようで互いが首を傾げていた。

そのタイミングでこの状況を即座に抜け出そうとした美咲が話を切り出した。

 

「色々面倒なので単刀直入に言いますけど、二コリーナさんの女王即位の式典にハロハピの5人と一緒に如月先輩も呼ばれてるんですよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国賓として」

 

「「「「はぁ!?」」」」」

 

「そこではぐみ達が久しぶりにライブをするんだよ!!」

 

美咲の言葉に弦太朗を含めた職員一同が驚きの声を挙げていたが、その中でこころが弦太朗の腕を引いて外へと連れ出そうとし始めていた。

 

 

「弦太朗!!行きましょう!!」

 

「ちょっとこころ!?」

 

「スイマセン。と言う事なので・・・校長先生?彼をお借りしても・・・」

 

「えっ・・・あぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

こうして校長である佐竹の許可を得たハロハピ一行は弦太朗を連れてハピネールまで飛ぶ。

そして、到着して早々に城まで向かった一行を二コリーナ自らが出迎えていた。

 

 

「二コリーナさん!!」

 

「花音さん!!それに皆さんもお久しぶりです」

 

 

 

 

「久しぶりね!!」

 

「二コリン!!凄いね!!女王様になっちゃうなんて!!」

 

「とても儚いね・・・」

 

「えぇ・・・再会出来たのは嬉しいですけど・・・大丈夫なんですか?明日が式典当日なのに・・・」

 

「ふふっ。大丈夫ですよ美咲さん。この後も最後の確認がありますけど、皆さんに会う為に時間を作ったので」

 

出迎えた二コリーナは花音の手を取り、皆が再会を喜び合っていたが、その空気の中で美咲は多忙であろう彼女に気を使った発言をするとそれに笑みを浮かべて二コリーナは答えていた。

 

「・・・なぁ、何で俺まで呼んだんだ?」

 

「あの時に助けて貰った時のお礼をしていなかったので・・・3人に招待を送ったんですが・・・」

 

「如月先輩、先に2人には連絡したですけど2人とも外せない仕事があるって言われて・・・」

 

「・・・俺に連絡来てねぇけど・・・」

 

「散々私達を振り回した仕返し・・・って事で・・・」

 

「おいっ!!」

 

美咲の言葉に思わずツッコんでしまった弦太朗だったが、そんな彼を気にする事なくハロハピの5人は明日の事を考え始めていた。

 

「ふえぇ~・・・久々のライブだから緊張するね・・・」

 

「はぐみ!!明日の為に1人でベース一杯練習したんだ~!!」

 

「私もギターの練習は1人でしていたが、ライブは久しぶりだね」

 

「なら、この後1回合わせて確認しましょう・・・。呼んでくれた二コリーナさんの為にも失敗する訳にはいかないですし」

 

「そうね!!弦太朗もこっちに来ましょう!!」

 

「まぁ、やる事ねぇからな・・・」

 

「・・・そう言う事ですから、すいませんけど・・・」

 

 

 

 

「いえ!!こちらから呼んだんですから、楽しみにしてますね?」

 

こうして彼女達は久々に音を合わせる為の二コリーナと別れようとした瞬間。

はぐみがとてつもない爆弾を投下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?二コリンが女王様になるんだったら・・・王様は誰になるの?」

 

「はぐみの言う通りね!!」

 

「確かにそれは興味深いね・・・」

 

 

 

 

 

「何言ってんだ・・・?」

 

「ふえぇ~・・・!!2人とも!?」

 

「薫さんも乗らないでくださいよ」

 

「えっと・・・同じ年頃の男性の知り合いだと如月さん達しかいないですし、それに結婚はまだする予定は無いですよ?」

 

こころ達の発言に弦太朗ですらツッコんでしまったが、3人の視線は二コリーナの注がれていたが、向けられた彼女も困ったような表情を浮かべながら答えた。

しかし、この言葉をこころ達(3バカ)は盛大に聞き間違えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「同じ年の男性の弦太朗(ゲンちゃん先輩)と結婚する!?」」」

 

 

 

 

「「ふえぇ~!?」」

 

「はぁ!?何言ってんだ!?なんでそうなってんだ!?」

 

「はぐみ達!?何でそんなピンポイントで聞き間違えるの!?」

 

3人は何を聞き間違えたのか二コリーナと弦太朗が結婚すると聞き間違えて一緒に声に出すと、それを聞いて二コリーナと花音は顔を赤くしながら声を挙げ、弦太朗と美咲は思わずその言葉にツッコむが3人は止まらない。

 

「ねぇ!!ゲンちゃん先輩と結婚するの!?いついつ!?」

 

「そうだったのね!?それはおめでたいわね!!」

 

「私達の前で求婚なんて・・・なんて儚いんだ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「結婚しねぇって!!3人共どういう聞き間違いしてんだよ!!」

 

「そうですよ・・・!!まだ結婚するつもりは・・・」

 

「”まだ”と言うことは・・・弦太朗との結婚自体は考えているんだね?」

 

「えっと・・・結婚についてはそうですけど、そうじゃなくて~!!」

 

 

 

 

「こんな笑顔になれる幸せなことはみんなに知らせなくっちゃダメよ!!私がみんなに言ってくるわ!!」

 

「はぐみも!!」

 

「ちょっと待って!!如月先輩!!あぁ!!前の王様もあそこで嬉し泣きしてるけど・・・これ以上変な事言われる前に2人捕まえますよ!!国際問題ですし、如月先輩が王様とかこの国滅びますよ!!」

 

「おう!!・・・ってその言い方はねぇだろ!!」

 

 

 

「ふえぇ~!!みんな一旦落ち着いて~!!」

 

薫の言葉に二コリーナがタジタジになってしまっていた裏では、その中で花音が思わず声を挙げ、前国王である二コリーナの父は近くの人達と共に嬉し泣きをし始めていた。

 

そして、勘違いしているこころとはぐみが皆に伝えよう駆け出すと太朗と美咲が自分達の保身とこの国の今後を駆けた壮絶な鬼ごっこをする事になるのだった。

 




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と言うことで折り返しの4回目はハロハピでした。

彼女達はこころに振り回されそうですね・・・
そして、王様と聞いて後輩ライダーが反応しそうですが・・・まぁ、うん・・・

きっとゲンちゃんは王様にはならないから・・・


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青・春・後・語-2e Pastelカラーに染め上げて

残すバンドも後3つ・・・
さてと今回はライダー部からゲストの登場です・・・(ただ入れたかった・・・)


 

「アヤさん!!日本が見えますよ!!」

 

「イヴちゃん!!ホント!?「るんってキター!!」うわぁ!?」

 

 

 

「日菜さん、いきなり彩さんに飛びついたりしたら危ないですよ!?」

 

「重力が小さいからいつも以上に吹っ飛ばされて・・・彩ちゃん、大丈夫かしら・・・?」

 

月面に降り立ったパスパレは月面から日本を眺め始めていたが、そんな中でテンションが上ってしまった日菜が彩に飛びつくと、重力の小さいこともあってか彩は日菜と一緒に面白い様に吹き飛ばされていた。

 

「よっ!!」

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!」

 

「弦太朗、いいタイミングで捕まえたわね・・・」

 

しかし、吹き飛とんでいた彩達をフォーゼはマジックハンドを使って2人と捕まえると、そのまま3人の元へと向かうと2人を降ろしていた。

 

「みんな、気をつけろよ?」

 

 

 

 

「はい!!でも、私達が月に立つなんて思ってなかったです!!」

 

「ジブンは宇宙のこととかよく分からないですけど・・・感激です!!」

 

「2人の言う通りね。日菜ちゃんは天文部だから詳しいでしょうけど・・・」

 

「あれ?日菜ちゃんは・・・?なんであんな所に座り込んでるんだろ・・・?」

 

彼女達が月面にいる感想を語っていたが、彼女達の中で1番宇宙に詳しい元天文部の日菜がこの会話に入ってこないことを不審に思った彩は周囲を探し始めると彼女達から離れた場所に日菜が座り込んでいたのを見つけて不審に思っていたが―――

 

「出来た!!」

 

「日菜ちゃん?何が出来たんですか?」

 

「じゃーん!!どう彩ちゃん?」

 

 

 

 

 

「ちょっと日菜ちゃん!?あなた何やってるの!?」

 

「石に”パスパレ参上!!”って書いてありますよ!?」

 

「と言うかそれジブンのペンですよ!?どこに隠し持ってたんですか!?」

 

 

こともあろうに日菜は月面に落ちていた石に書いた落書きを見せつけていた。

この状況に流石の他の面々も驚きの表情を浮かべていたが、すぐに我に返っていた。

 

「ちょっと日菜ちゃん!!これはダメよ!!」

 

「えぇ~。だって月に折角来たんだから足跡は残さないとさ~」

 

「ダメっすよ!!もし、これがこの後に見つかったら大問題になりますよ!?」

 

「じゃあ、持って帰る!!」

 

「それもダメですよヒナさん!!」

 

「そうだよ!!さっきダメって言われたよね!?」

 

「怒られるぞ?」

 

 

「えぇ~・・・そうだ!!」

 

「日菜ちゃん?どうしたの・・・?」

 

日菜は他の面々に怒られて肩を落として落ち込んでしまったと思ったら、急に顔を上げて笑みを浮かべていた。

急に笑い出した日菜に彩が理由を聞こうとしたが、それに彼女は行動で示していた。

 

「えーーーーーい!!」

 

 

「ちょ!?」

 

「「「あぁ~!!」」」

 

何を思ったのか日菜は落書きをした石を思いっきり遠くに投げるとすっきりした表情を浮かべていたが、彩達は顔を真っ青にし始めていた。

 

「不味いですよ!?バガミールさん!!日菜さんが投げた石を探してほしいっす!!」

 

「如月くんも探すの手伝って!!あれが今後見つかったらどうなるか分からないわ!!日菜ちゃん・・・後で紗夜ちゃんも加えてお説教ね?」

 

 

 

 

 

「・・・はーい」

 

「私は皆さんにも手伝ってもらえるように伝えてきます!!」

 

こうして当事者の日菜が千聖と紗夜と賢吾の3人にこってりと絞られている一方で、月面に降り立った他の面々をも巻き込んで日菜の後始末を始めて・・・

 

 

 

「見つけた~!!」

 

「アヤさん!!お手柄です!!」

 

彩が問題の物を発見して、無事に証拠の隠滅に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな出来事が会った数年後―――

彼女達はとある特番の収録に挑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「昔にお世話になった人と再会する番組なんて、日本人の心意気は素晴らしいですね!!皆さんはアンケートに誰を・・・?」

 

「イヴちゃん?それは多分みんな一緒の人を書いてるから聞くのは野暮じゃないかな・・・?」

 

「今はただの一般人ですし、生放送ですけど大丈夫でしょうか・・・?」

 

「そだね~。まぁ私はおねーちゃんの名前も書いてたけど、連絡したら今日の観覧席に来てくれるって言ってたから頑張んないと!!」

 

そんなことを彼女達が話していたが、スタッフに呼ばれた彼女達はスタジオに向かうとそのまま放送を始まって順当に番組は進行していき、パスパレのターンがやってきていた。

 

「今度はパスパレさん達の番ですが・・・」

 

 

 

「あら?何かトラブルでもあったんですか・・・?」

 

「実は・・・パスパレさん達の書いてた人物が5人共一緒の一般人なのはいいんですが・・・その・・・1つ問題がありまして・・・」

 

司会者が番組を進行しようとするが、突如として言葉を詰まらせ始めていた。

それを見た千聖が司会に話しかけると司会者は言葉を詰まらせながらもなんとか次の言葉をひねり出していた。

 

「その・・・後ろにいる2名と一緒でして・・・」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

パスパレたちが驚いて後ろを振り返るとそこにはパスパレ同様にゲストとして番組に出演していた2人がパスパレを見て驚きの表情を浮かべていたが、その中で日菜はその2人の事が全く分かっておらず思わずイヴの方へと視線を向けていた

 

「えっ・・・っと誰だっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナさん!!モデルのカザシロさんとアメフト選手のダイモンジさんですよ!!」

 

「でもどうして・・・驚いているの・・・?」

 

そこにいたのはパスパレ同様にゲストとして番組に呼ばれていた隼と美羽。

互いの顔を見て驚いていたが、ここで麻弥はあることを思い出していた。

 

「そう言えばあの2人は高校が一緒ですよ・・・!?」

 

「えっ!?確か天校・・・だっけ?」

 

「もしかして・・・!?」

 

 

 

 

「アイツは俺達の大切な仲間だ」

 

「あなた達はどうして・・・あぁ、蘭ちゃんと一緒の学校で一緒にライブをしてたのよね」

 

「はい!!そうです!!お2人も知り合いだったなんて驚きです!!」

 

「すっごい偶然ですね!!私達もすっごい色々助けてもらって・・・!!」

 

 

 

 

 

 

「彩ちゃん?イヴちゃん?これ生放送よ?」

 

「「はっ!!」」

 

司会者達をそっちのけで話始めようとしていた彩とイヴだったが、笑みを浮かべた千聖に寄って静止させられると、観覧席からは笑い声が漏れていた所で、番組が再び動き出した。

 

「因みにどんな方なんでしょうか・・・?」

 

 

 

 

 

「えっと・・・。いい人です・・・!!」

 

「そうね・・・。ストーカー被害に遭ってた時には私のマネージャー役としてストーカーを撃退してもらったりしましたね」

 

「えっとね・・・すっごい面白くてるんってする感じ!!」

 

「そうっすね・・・。友達が困ってたら後先考えずに手を貸してくれる人っすかね?」

 

「芯の通った日本男児です!!」

 

 

 

 

「そうね・・・。同じ学校で青春を過ごした仲間かしらね?今じゃ母校の教師なのよ」

 

「あぁ、アイツがいなかったらきっと今の俺たちはこんな風にはなってなかったと思う・・・」

 

名前を出してはいないが物凄いべた褒めされている。

そんな人物がどんな人なのかと会場が盛り上がっていくが、ここで司会者が申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「そんな皆さんには申し訳ないのですが・・・その人はこの場所に呼ぶことが出来なくてですね・・・」

 

「「「「「えぇ~!?」」」」」

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

司会者から告げられた言葉にパスパレの5人は声を挙げてしまい、観覧席もテンションが下がっていく。

そんな中で天校出身の2人は何とも言えない微妙な表情を浮かべ始めたのに千聖は気が付いていた。

 

「あの・・・2人ともどうかしたんですか?」

 

 

「えっと・・・番組の趣旨をぶち壊すみたいで言えなかったんだが・・・実は少し前に彼の方から俺達に会いに来たんだ」

 

「それで、今日のこの番組の観覧席に来るように伝えてこの場に来てるわよ」

 

「「「「「えぇ!?」」」」」

 

 

 

 

 

「おーい!!弦太朗!!」

 

「弦太朗!!出てきなさい!!会長命令よ!!」

 

アイドルが答えた相手が一般人の男性と言うこともあって番組側があえてオファーをかけなかったのだが、隼と美羽の言葉は”恩人と再開させる”という番組の思惑を完全にぶち壊してしまったという事に気が付いて何とも言えない表情を浮かべていた。

 

しかし、彼らの予想に反して結果的には観客やパスパレはこの展開に盛り上がってるのを見た隼と美羽が弦太朗の名を呼ぶとその声に答えてライトの光を背にして人影がスタジオへと向かっていく。

 

「弦太朗!!私が呼んだんだからすぐに出てきなさ・・・い?」

 

「そうだぞ?テレビに出る機会なんだか・・・ら・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「えっ・・・!?」」」」」」

 

「よっ・・・よぉ・・・」

 

弦太朗はそうしてスタジオに足を踏み入れたが、その登場の仕方が問題だった。

 

 

 

 

 

 

「って紗夜もパレオもいい加減に腕を放せって!!」

 

「あなたが呼ばれても出ようとしないからこうして来てるんでしょ!!」

 

「そうですよ!!パスパレの皆さんに呼ばれて出ないなんて失礼ですよ!!」

 

「あっ!!おねーちゃんとパレちゃんだ!!」

 

あろうことか弦太朗は紗夜とパレオに腕抑えられながらスタジオに姿を現した光景に日菜以外の全員は思わず声を挙げて驚き、スタジオは完全に静まり返り放送事故の様相を呈していた。

 

「ねぇねぇ~。そろそろあたし以外が喋んないと放送事故になっちゃうよ~?」

 

 

「・・・すまない。弦太朗が女性に腕を掴まれてくるのが信じられなくてな。もう大丈夫だ」

 

 

 

 

 

「はっ!?そうでした・・・!!」

 

「不覚でした・・・!!」

 

「弦太朗・・・クイーンと呼ばれた私をここまで驚かせるなんて・・・」

 

 

 

「彩ちゃん・・・?ちょっと・・・何時まで呆けて・・・」

 

日菜の言葉と隼のいつものSEが出るようなポーズによって、再びスタジオ内の時間が動き出したことによって事故は終わったと思ったが、事故はこれだけでは終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きしゃりゃぎくん!!しゅきです!!ちゅきあってくだしゃい!!」

 

「「「へっ・・・?」」」

 

「「「は・・・?」」」

 

 

 

 

「「「Oops!?」」」

 

 

 

 

 

 

「へっ・・・?あれ?紗夜ちゃんに如月くん・・・?それにスタジオのみんなもどうしちゃったの・・・?」

 

信じられない出来事を前にした彩は完全に思考が停止した頭からは今が生放送と言う状況が完全に抜けてしまい、言葉を噛みながらとんでもない爆弾を投げ込んでいた。

 

余りの出来事に会場の皆が唖然としてしまい、天校ライダー部の3人は揃って美羽の口癖でもある驚きの言葉を口にすると再びスタジオは静まり返ってしまうが、その中でようやく彩は正気を取り戻すことが出来たが彼女は今の状況が全く呑み込めていなかった。

 

 

 

 

「へっ?えっと・・・麻弥ちゃん・・・どうなって?」

 

「生放送中に愛の告白をするなんて凄いっす!!それにいつもみたいに噛んでてとても彩さんらしかったです!!」

 

 

 

「へっ・・・?えっ!?」

 

麻弥の言葉を聞いて彩の顔が真っ赤に染まったのを見た番組側は何をトチ狂ったのか先ほどの告白シーンをリプレイするという暴挙に出ると完全に逃げ場が無くなってしまった彩は完全にアクセルを踏み抜くことを決意した。

 

 

 

 

 

「如月くん!!返事は・・・?」

 

「えっ!?はぁ!?」

 

 

 

 

 

「・・・待ちなさい!!全く、私のマネージャーには困ったものね・・・」

 

「千聖・・・!?」

 

思わぬ展開に誰もついて行けてない中で彩は弦太朗に返事を迫りだすと彼もどうしたらいいか分からずタジタジになってしまっていた。

しかし、この状況に待ったをかけた千聖を見た弦太朗は藁にも縋る思いで彼女に視線を向けたが―――

 

 

 

 

 

「って、千聖ちゃん!!それは高校の時の話でしょ?」

 

「彩ちゃん?確かに高校の時に弦太朗をマネージャーにしたけど、今までクビにしたつもりはないわよ?

それに彼が今着ているスーツもネクタイも靴も私のマネージャーになった時に私からプレゼントしたものよ?」

 

 

 

 

「おい・・・千聖?」

 

「弦太朗、あなたは今でも私のマネージャーよ?・・・だから・・・」

 

訳の分からないことを言い始めた千聖に弦太朗は何か嫌なモノを感じ取ったが、そんなことを気にすることなく千聖は彼に歩み寄ると弦太朗がしていたネクタイを引っ張ると彼の顔を自身の顔に近づけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから・・・これからは私と一緒に過ごす人生をマネジメントしなさい?」

 

「千聖まで何言ってんだよ!?」

 

 

 

 

「そうですよ!!白鷺さん!?あなた、これ生放送なのよ!?」

 

「チサトさんまで・・・!?パレオさん!!これが世にいう”エンダァアアアア”という物ですよね!?」

 

「あ~イヴちゃん!!それは結ばれた時に言うものだから、まだ使うには早いですよ~。ってあれ?日菜ちゃんが乗ってこない・・・?」

 

普段ならストッパーの役割をするはずの千聖までがアクセル全開で振り切ってしまい、完全に収拾がつかなくなっていくが、その中でパレオは普段ならこのノリに乗ってこないはずのない日菜が黙っていることに不信感を感じていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だめ~~~~~~~~~~!!」

 

「日菜!?あなたどうしたのよ!?」

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!おねーちゃんと結婚しよ!!」

 

「日菜!?あなた何を言ってるのよ!?」

 

 

 

「ほら見てよ!!この照れたおねーちゃん!!可愛いでしょ!!それに普段はカッコいいからおねーちゃん1人で二度おいしいって奴だよ!!」

 

「日菜!!」

 

「おい!!何がどうなって・・・!!助けてくれ!!」

 

日菜が弾けてしまい、弦太朗に自身の姉である紗夜を売り始めた。

突然の展開に思わず姉である紗夜が彼女を止めようとするが、それを無視して日菜は弦太朗に詰めていた。

 

 

「弦太朗!!ハッキリ答えなさい!!」

 

「美羽!?・・・隼!!」

 

「美羽の言う通り、レディにはしっかり向かって答えるべきだぞ?」

 

「おいっ!!」

 

 

 

 

 

「如月くん!!」

 

「弦太朗!!」

 

「ゲンちゃん!!」

 

「「「誰を選ぶの!?」」」

 

彼は最後の希望である天校の仲間である隼と美羽に助けを求めようとしたが、美羽は面白そうな物を見るような視線を彼に送り、隼もいつものポーズとSEを決めて彼の退路を完全に塞いでいく。

そして彩達に3人に詰め寄られた弦太朗は全国に生放送されているこの状況で究極の選択を迫られることになってしまうのだった。

 

 





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5組目はパスパレちゃんでした。
おやおや、1人は完全に貰い事故の方がいらっしゃいますが仕方ないね(白目)

残りはどっちからにしましょうかねぇ・・・



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青・春・後・語-2f 狂い咲く喜劇の青薔薇

さて・・・
今回はあのバンドです。
そして今回もライダー部からゲスト参戦です・・・



 

「りんりーん!!早く~!!」

 

「あこちゃん・・・待って・・・」

 

 

 

 

 

「あはは~・・・あこのテンション高いなぁ~・・・」

 

「みんなはしゃぎすぎです・・・。宇田川さんに関しては・・・仕事が詰まってましたから気分転換にはなってると思いますが・・・」

 

「だね。なんだかんだで数か月で色々変わったしね~」

 

テンションが上がったあこが月面をウサギのように飛び跳ねる。

そんな彼女に呼ばれた燐子は慣れない様子でその後を追いかけている様子をリサが温かい目で見守っていた所に疲れた表情をした紗夜へ彼女は視線を向けていた。

 

「紗夜、おかえりー。ヒナは大丈夫なの?」

 

「えぇ、白鷺さん達に預けてきましたので・・・。そう言えば湊さんは?」

 

「嘘っ!?さっきまで一緒にいたのに、この短い時間にどこに消えたの!?」

 

 

 

「リサ姉?どうかしたの?」

 

「2人とも!!友希那見なかった?」

 

「えっと・・・友希那さんだったら・・・」

 

「あっちで1人でいるのを見たよ?」

 

「もう・・・!!1人で勝手に動き回らないでって言ったのに・・・!!」

 

友希那がいなくなっていたことを焦っていたが、あこがいる場所を指差した途端に怒りの表情を浮かべたリサは友希那がいると思われる方向に歩いていくとその先に友希那が宙を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆ~~~き~~~な~~~っ!!勝手にフラフラしないでって言ったでしょ!!」

 

「リサ・・・」

 

「今井さん、説教は後にしましょう」

 

「氷川さんの言う通りです・・・折角の機会ですから・・・」

 

「・・・ところで友希那さんはここで何してたんですか?」

 

怒った様子のリサだったがそれを他の2人に宥められる中であこが空気を変えようと彼女に問いかけると、友希那は再び上を見上げていた。

 

「・・・ちょっと考え事をしていて」

 

「考え事・・・ですか・・・?」

 

「えぇ、普通に生きていたら出来ないこの体験をどうやったらRoseliaの音楽で表現できるかを考えていたわ」

 

「確かに月面に来るなんて普通は出来ないことですね」

 

「げんたろうのお陰だね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ・・・。いつかRoseliaがプロとして誰からも認められるようになった時、今ここで感じたことを音楽する・・・それがプロとなった私が如月に対して出来ることよ」

 

「Roseliaの音楽だったら、あこも一緒に考えます!!」

 

友希那の言葉に他の面々は目を丸くして驚いていたが、すぐにあこが笑みを浮かべて答えるとそれに釣られるようにしてドンドンと彼女達も笑みを浮かべていた。

 

 

 

「・・・私達も如月さんには沢山助けてもらいましたから・・・」

 

「そうね。この体験で感じた思い・・・それを音楽にするというのは悪くないわね」

 

「はぁ・・・そういう風に言われたらあんまり強く言う気になれないかな~・・・」

 

 

 

 

「お~い」

 

「げんたろうだ!!」

 

いい感じに纏まった5人。

そんな彼女達を見つけたフォーゼは彼女達の方へと歩み寄ってきていた。

 

「どうだ?」

 

「えぇ、ただの学生じゃ出来ないとても貴重な体験が出来て良かったと思うわ」

 

「りんりん・・・事務所に所属してプロ活動してるのがただの学生なのかな・・・?」

 

「あこちゃん・・・。普通だったらこんな所に来れないから・・・」

 

友希那の言葉を聞いて、満足そうな様子を見せたフォーゼだったが、すぐに彼はふとした疑問を彼女達にぶつけていた。

 

 

 

 

「だったら良いけど・・・お前らはこんなとこで何やってんだ?」

 

「・・・如月には教えられないわね」

 

 

 

「だね~」

 

「うん!!げんたろうには内緒!!」

 

「如月さんには教えられないわね」

 

「はい・・・。今はRoselia5人だけの秘密です・・・」

 

「今は答えられないけれどいつかは教えるわ・・・とりあえず、この辺を散策しましょうか・・・。如月、あなたも着いてきなさい」

 

「・・・ったく、しゃあねぇな」

 

友希那達に答えてもらうことが出来ず、見て彼は何とも言えないモヤモヤを感じたままそのまま6人で月面を散策して時間を過ごすことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな出来事から数年後――――

 

「いや~弦太朗さん。流石、仮面ライダーっすね~。結城先輩を見送るためにロシアに行ってた時はどうなるかと思いましたよ~」

 

「なんだかんだ言って、一番のお手柄は財団Xの研究所の場所を見つけて映司先輩とか俺に教えてくれたお前じゃねぇか?」

 

「ま~・・・俺もジャーナリストの端くれで元仮面ライダー部なんで。・・・それにしてもエニグマっすか?あれはヤバかったすねぇ~!!」

 

「俺以外にも映司先輩とか他のライダーがいたからな。それにしても助かったぜJK」

 

「それにしても、別の世界の仮面ライダーか~・・・随分とスケールのデカい話でしたね~」

 

 

 

 

「だな・・・。折角だしJK!!飯行こうぜ!!」

 

「ごちでーす!!」

 

「・・・しゃあねぇな。どこ行く?」

 

「んじゃ・・・」

 

弦太朗はライダー部の仲間のJKと2つの世界を巻き込んだ大きな戦いを終えて帰路についていた。

達成感は感じているものの、それ以上に2人には疲労感が募っていたが、その空気の中で弦太朗が何気なく飯に誘うと2人は再び歩き出すと、彼らは1件の店にたどり着いていた。

 

 

 

 

 

「なんだ?ここ・・・」

 

「いや~ここなんすけどね。ジャーナリスト仲間で芸能関係者が良く来るって噂の店なんすよね~」

 

「おいおい・・・それって・・・」

 

「大丈夫っすよ!!ほら行きましょ!!」

 

「おい・・・待てって」

 

JKは弦太朗を店の中へと押し込んでいく。

余りこういった店には詳しくない弦太朗はJKの話を聞いて若干委縮していたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く・・・!!やってられないよ・・・!!」

 

 

「騒がしいっすね?」

 

「この声・・・もしかして・・・!!」

 

「ちょ!!弦太朗さん!?」

 

突如として店内から聞こえてきた叫び声に聞き覚えが会った弦太朗はそのままJKを置いてその声が聞こえてきた席まで歩み寄っていくと――――

 

 

 

 

 

「あこちゃん・・・落ち着いて・・・?」

 

「そうですよ。ここはお店なんですから・・・って・・・如月さん・・・!?」

 

「あれ?弦太朗じゃん~おひさ~☆」

 

「よぉ・・・お前らもあんなに声だして・・・何やってんだ・・・?」

 

その声がした席にいたのは弦太朗の友人であり、プロとして音楽の第一線で活動をしているRoseliaの面々。

あこが物凄く荒れていたことに弦太朗は不思議に感じていたが、そんな彼の考えを遮るように彼女達のリーダーである友希那が彼に問いかけていた。

 

 

 

「・・・如月、あなたこそこんな所で何をしてるのよ?」

 

「あぁ、実はダチと一緒に来てな・・・」

 

「友人・・・?」

 

「ちょっと弦太朗さん~!!何やって・・・ってRoseliaさんじゃないっすか~!?」

 

「2人とも!!ここに座って!!あこの話聞いてよ~!!」

 

「良いのかよ・・・」

 

「早く・・・!!」

 

 

 

「仕方ねぇか・・・」

 

「そんじゃお邪魔しまーす」

 

友希那の質問に答えたタイミングでJKが弦太朗と一緒にいる人物達を見て目を丸くしていると、あこの圧に負けた2人はそそくさと席に着いていた。

 

 

「げんたろうと・・・えっと・・・」

 

「どうも~。弦太朗さんの友人のJK(ジェイク)で~す!!普段はジャーナリストしてまーす!!」

 

「じぇいくは何でここに来たの~!!」

 

JKは軽い自己紹介をすると再びあこが語りだしたが、どうも様子がおかしく思わず燐子に耳打ちしていた

 

「あこ・・・?酔ってんのか?」

 

「あこちゃん・・・まだお酒が飲める年齢じゃないですし、少なくとも氷川さんがいるのに目の前で飲ませる訳ないですよ・・・。あの・・・如月さん達はどうしてここに・・・?」

 

「あぁ・・・さっきまでちょっとな・・・。空に別の地球が出てきた事件を他の仮面ライダー達と一緒にな・・・?」

 

「あれ、如月さんが関係してたんですね・・・」

 

「後で話してやるけど・・・」

 

 

 

 

 

「げんたろう!!あこが話してるんだから!!りんりんと話してないでこっちの話聞いてよ!!」

 

燐子と話していたのが不満だったのかあこは弦太朗に声を挙げると諦めてあこの話に耳を傾け始めていた。

 

「あのね!!この前新曲の宣伝でひなちん達と一緒の番組に出ることになったんだけど!!ネットでの評判が最悪なんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「宇田川さん。ネットでの評判なんてアテにしない方が・・・」

 

「紗夜の言う通りだって・・・」

 

「その元凶は2人だよ!!」

 

 

 

 

「あこが紗夜達にあそこまで言うのかよ・・・」

 

あこを宥めようとしたリサと紗夜だったが、ものの見事に返り討ちにあってしまったことの弦太朗は驚きを隠せずにいたがあこ自身は気にする様子がなくそのまま自身の思っていることをぶちまけていく。

 

「げんたろう!!じぇいく!!Roseliaがネットでなんて言われるか分かる?」

 

「分かんねぇ・・・」

 

「えっと・・・音楽がヤベー奴らって書かれてたような・・・」

 

弦太朗は全く分からない一方で、ジャーナリストであるJKはネットに書かれている内容についても把握はしていた。

しかし、彼の人間性的にそれを直接言う事を躊躇ってしまい、思わず濁した言い方をしてしまった事があこをさらに弾けさせてしまった。

 

 

 

 

 

 

「違うよ!!"音楽のために人間性犠牲にしたヤベーヤツら"だよ!!」

 

「JK・・・知ってただろ・・・?」

 

「いやいや、知ってても面と向かって言えるわけないじゃないっすか!?・・・まぁ、あこちゃんが中二病みたいなことを言う以外はRoseliaで一番まともな人間性してるって言われてましたけど・・・」

 

「マジかよ・・・」

 

JKの言葉に驚きを隠せない弦太朗だったが、そんなあこを見た友希那があこを止めようと声をかけていた。

 

「あこ、紗夜達がさっき言ってた通りよ・・・」

 

 

 

「友希那さん!!前に曲の宣伝のために出たクイズ番組で小学生の子役に正解数ダブルスコアで完敗したじゃないですか!!あこだって勉強の内容は間違えませんでしたよ!!」

 

「それに友希那は番組で食べ物出た時にバカみたいに食べてるから"歌と食べ物以外興味ない歌姫"なんて言われてるしね~」

 

「勉強は歌に関係ないもの・・・それに食事は大切ってリサだって言ってたじゃない・・・」

 

あこのブチギレ発言にまさかのリサの裏切りを受けて友希那は無惨に撃沈してしまったが、次の刺客があこを止めようとしていた。

 

 

「宇田川さん、如月さん達がいるんですからその辺で・・・」

 

「スーハー・・・そうだよ・・・あこちゃん・・・スーハー・・・」

 

 

 

 

「りんりんは何時までげんたろうの匂い嗅いでるの!!紗夜さんも前にパスパレと一緒に出たバラエティ番組!!あれだって酷かったじゃないですか!!」

 

「なにがでしょうか・・・?」

 

 

 

「紗夜さん!!電気が流れるペンを押す罰ゲームで「電気よりも圧迫感を伴う痛みの方が好み」なんて感想が出てくるのはおかしいよ!!紗夜さん大好きなひなちんだって紗夜さんが喋る度にどんどん話さなくなってたんだよ!!」

 

「「・・・」」

 

 

 

 

「おいおい・・・マジであこがまともに見えてきたぞ・・・」

 

「いやいや、弦太朗さんも今の燐子さんにツッコまないんですか!?」

 

「いや、だって・・・前からこうだったし・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

「あこ~。言いたいことは分かったからそろそろ落ち着きなって~。みんなも今後は気をつけるからさ~」

 

今のやり取りで燐子と紗夜が完全にノックアウトされてしまい、JKも弦太朗の対応に思わず言葉を失っていた。

そのタイミングで残っている面子で一番まともそうに見えるリサが遂に声を挙げたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「黙れ!!元凶!!」」」」

 

「あれ~?」

 

リサの言葉にRoseliaが全員復活して襲い掛かって来たことにリサからは思わず声が漏れいた。

そんな彼女を他所に4人でリサの問題を挙げ始めていた。

 

「リサ・・・。この間の歌番組の収録で中学生くらいのアイドルが歌ってたのを見た感想が”子供として育てたい”なんて普通でないわよ」

 

「全くです。それに別の番組で子供が出た映像を見て”産みたい”と言ってスタジオ全体を凍り付かせたじゃないですか・・・一緒の番組にいた白鷺さんが完全に固まってたじゃないですか・・・」

 

「だから今井さんは、何人もの子役から共演NGを出されてしまうんですよ・・・?」

 

 

 

「普通の反応だよ!!だって!!子供可愛いじゃん!!」

 

「可愛いかもしれませんが、傍から見たらただの変質者ですよ?」

 

「紗夜だってただのドMじゃん!!」

 

「正直、リサの将来が心配よ・・・?」

 

「友希那が言えたことじゃないよ!!」

 

完全にヒートアップしてしまった3人を弦太朗やJK、あこ達はそれを黙って見守ることしか出来ずにいた。

 

 

 

「弦太朗さん。こういう時は・・・逃げるんですよ・・・!!」

 

「だな・・・!!」

 

「あこも行く・・・!!別の店で愚痴大会だよ!!」

 

「じゃあ・・・私も・・・さっきの如月さんの話も聞きたいですし・・・」

 

こうしてヒートアップしている友希那達3人を置いて弦太朗とあこ達は颯爽と店を抜け出すと、別の店に移動して弦太朗が解決した事件についての話ととあこ達の愚痴が朝日が昇るまで続いていくのだった。

 

 





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6組目はRoselia
私が書くRoseliaはどうしてこうもギャグ路線突っ走ってしまうのか・・・これが分からない。

彼女達は音楽に全てかけてるからな・・・


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青・春・後・語-2g 少女達の絆/青春の残光(afterglow)

最終投稿・・・!!
これでエピローグも全バンド分・・・完了です・・!!



 

「ふっ!!よっ!!ほっ!!・・・つぐ大丈夫か?」

 

「慣れてきたら 大丈夫だよ・・・!!うわぁ!?」

 

「つぐ~、気をつけないと危ないよ~」

 

「えへへ・・・慣れてきたから少し気が抜けちゃったのかな・・・?」

 

「スイッチ使えば宇宙服なしでここ歩けたって思うとぶっ壊すの早かったかな・・・」

 

 

 

 

 

 

「なんでそんなすぐに・・・!!」

 

「も~!!みんな~待ってよ~!!身体がいつもより軽くて動きにくい~!!」

 

普通とはかけ離れた環境に慣れてきた巴達は多少はバランスを崩したりながらも月面を動き回り始めていた。

しかし、蘭とひまりは未だに月の環境に適応できずに上手く動けずにいたが、なんとか5人で集まるとひまりと蘭が安堵の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「蘭はともかく・・・ひーちゃんはテニスしてるから大丈夫だと思ったんだけど~・・・やっぱりおっぱいか~・・・」

 

「ちょっとモカ!?何言ってるの!?ちょっとつぐ!?目が怖いんだけど・・・!!」

 

「ひまりちゃん・・・?」

 

 

 

「逃げなきゃ・・・!!」

 

「待って!!」

 

「ひーちゃん~つぐ~ファイト~」

 

「ちょっとモカ・・・あんたね・・・」

 

「流石にやりすぎだな・・・モカ、つぐを止めるの手伝ってくれ・・・。蘭は・・・」

 

「先に行ってて・・・。私も行くから・・・」

 

モカの一言を聞いたつぐみの嫉妬に気が付いたひまりは先ほどまでのぎこちない動きが嘘かのように軽やかに逃げ出し、その後をつぐみは怒りの形相で追いかけ始めたのモカが煽り始めると巴は完全に呆れた表情を浮かべてから蘭を置いてモカと共につぐみを止めるために彼女達を追いかけ始めるその背中を見た蘭も彼女達に続こうとその背中を追いかけ始めたが―――

 

 

 

 

「うわっ!?やばい・・・!!」

 

何かに足を取られてしまった蘭はそのまま転んでしまった。

その際に彼女は宇宙服が破損したのではないかと慌ててしまったが、流石は弦巻が用意し宇宙服ということもあってか宇宙服自体には問題が無いことが分かって安堵していた。

 

そのまま慣れない恰好で四苦八苦しながら彼女はそのまま立ち上がると、彼女が足を取られたであろうものに視線を向けていた。

 

「何これ・・・鉄板・・・?何でこんなのがここに・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「お~い!!蘭~!!」

 

「モカ・・・みんなも・・・」

 

彼女が足元に視線を送っていたところに他の面々が近づいてくると、蘭の様子が気になって思わず巴が彼女に問いかけていた。

 

「蘭、そんなとこで何やってんだ・・・?」

 

「・・・ちょっと慣れなくて転んだだけだから」

 

 

 

 

「ちょっと蘭!?大丈夫なの!?」

 

「そうだよ!!こんな所で何かあったら・・・!!」

 

「大丈夫だと思う・・・。ちょっとこれに足が引っかかっただけだから・・・」

 

 

 

「ん~・・・?」

 

「モカ?急にどうしたの・・・?」

 

「ひーちゃん。ん~っとね~なんでだろーって思って~」

 

そう言って蘭は足元に落ちていた鉄板を指をさすと、その中でモカが何かに違和感を気が付くとその場に膝を着いて蘭が指さした鉄板に視線を見始めたことにひまりが首を傾げたが、その違和感の正体に気が付いたのはモカではなく別の人物だった。

 

 

 

 

 

 

「モカちゃん・・・!!見せて・・・!!」

 

 

「ねぇ・・・文章みたいだけど・・・」

 

「途中で切れてるな・・・」

 

「ならみんなで探してみようよ!!」

 

「ひーちゃんにさんせー」

 

つぐみはその鉄板についた土を払い始めると、明らかに途中で途切れている文章に気が付いたひまりの一言で5人はその文章の続きが書かれているであろう破片を探し始めると、皆がすぐに他の文章が書かれている破片を見つけて文章を繫げていく。

 

そして、ところどころ焦げて見にくくなっている箇所はあるがなんとか解読が出来たつぐみがその文章を読み上げ始めていた。

 

「宇宙を掴む若者たちへ

宇宙は1人では挑めない

互いを信じあい手を繫げ

最後に不可能を超えるのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つぐみ・・・?どうしたの・・・?」

 

「えっと・・・ここから先が燃えちゃってて読めないの・・・」

 

「しかも、肝心な所が抜けてるな・・・」

 

「う~ん・・・気になるねぇ~・・・」

 

彼女達が集めた文章は肝心な部分が抜けてしまっており、それが彼女達のモヤモヤしているタイミングでフォーゼがそんな彼女達の元へとやってきた。

 

「よっ!!何が気になるんだ?」

 

「弦太朗・・・実は・・・」

 

「うぅ~・・・折角集めたのに~!!・・・最後に入る言葉はなんなの~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後に不可能を超えるのは・・・それは・・・”人間同士の絆”だ」

 

「賢吾!!」

 

「絆・・・?」

 

フォーゼが現れたのに気が付かずひまりが声を挙げてしまったが、その叫び遅れてやってきた賢吾がひまり達が疑問に答えると彼女達の視線は賢吾に向き、彼はそのまま話を続けていた。

 

「あぁ、フォーゼは絆を力にして戦ってきた。それを君たちは見てきたはずだし、それに絆の力で危機を乗り越えたことに覚えがあるんじゃないか?」

 

 

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「ありますね・・・。みんなの声が無かったらきっとアタシはアタシでいられなかったと思います」

 

今の彼女達の頭に巴が始めてヴァルゴに変身させられた時の出来事が浮かんでいた。

 

あの時は危険を顧みず巴に想いを届け、その想いを受けた巴も自身を取り戻すことが出来たが、その時のことが賢吾の言う絆の力だと言うのを理解した巴の言葉を聞いた彼は笑みを浮かべていた。

 

書かれていたことについては分かったが、別の疑問が頭を過っていた。

 

「でも、歌星さん・・・どうしてこれの続きを知ってるんですか・・・?」

 

「美竹・・・あぁ、その言葉はフォーゼと共にここで亡くなった父さんが遺してくれた言葉だ・・・」

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

彼女達は今まで弦太朗からラビットハッチや月での出来事を聞いたりしていて、先ほどまでは言葉が刻まれた破片を慣れない環境で楽しんでいたが、目の前の賢吾からしたらこの場所はライダー部の仲間と様々な出来事があった思い出深い場所であると同時に彼の父親が最後を過ごした場所。

 

それも地球とは違い、最後の最後まで1人きりでこの何もない月面に取り残されていたことを思うと、彼女達は完全に言葉を失って暗い表情を浮かべていた。

 

しかし、そんな彼女達とは対照的に賢吾は先ほど浮かべた笑みを崩すことなく彼女達に語りかけていた。

 

「ありがとう。父さんの言葉を見つけてくれて・・・」

 

 

 

 

 

「えっ・・・?なんで・・・」

 

「実は俺は来る度にずっとそれを探してたが見つけられなくて心のどこかでもう諦めていた。でも、今君たちがこうして見つけてくれた事が嬉しいんだ」

 

「歌星さん・・・」

 

 

 

 

 

「よしっ!!だったらこの話は終わりだな!!何時までの暗くなってたら賢吾の親父さんも喜ばねぇだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

「ちょっと蘭ちゃん!?」

 

何とも暗くなってしまった空気なってしまった彼女達だったが、それを空気を読んでか読まずかフォーゼはこの場の空気をなんとかしようと声を出した途端、蘭が先ほどまでのぎこちなさが嘘のような早さでフォーゼへと駆け出していき―――

 

「あんたが勝手に纏めんな!!」

 

「ごはっ!!」

 

「綺麗な蹴りですなぁ~・・・」

 

華麗な飛び蹴りをフォーゼに食らわせていた。

余りにも洗練されたそのフォームに感動を覚えていたモカだったが―――

 

「うわぁあああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「えぇぇぇええええ!?」

 

「如月!?」

 

「弦太朗く~ん!!」

 

蘭の蹴りが直撃したフォーゼはそのまま月から吹き飛ばされて、地球へ向かう流れ星へと変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

月面での出来事からしばらくが経った頃、彼女達はAfterglowとしてのバンド活動に終止符を打ってそれぞれの道へと進んで数年の時が経ったが、5人はあの頃の様に交流は続けていた。

 

そして今日、彼女達は久々に5人揃って集まる予定を立てて、待ち合わせ場所である羽沢珈琲店に集まっていた。

 

「あ!!巴ちゃん!!いらっしゃい!!」

 

「も~巴~!!遅いよ~!!」

 

「悪い悪い!!昨日の夜にあこが出てた番組を一気見してたら寝坊しててさ~」

 

「トモちんは何時まで経ってもシスコンですなぁ~」

 

昔のような何気ない会話を交わしたが彼女達だったが、ここで遅れていた巴はあることに気が付いた。

 

 

 

 

「・・・なぁ、蘭の奴はまだ来てないのか?」

 

「そうなんだよ~!!蘭、全っ然!!連絡返ってこないの!!」

 

「昨日は予定があるのは聞いてたけど・・・」

 

「流石に連絡もないのは心配だね~。何かあったのかな~?」

 

蘭の姿がまだ見えない。

それはいいのだが連絡すら取れていない現状に彼女達は蘭の身に何かがあったのかと不安を覚えていた。

 

そのタイミングで店の扉が開かれると彼女達は一斉に顔を向けると、待ちに待った人物がその姿を現した。

 

「うぅ・・・。弦太朗、ごめん・・・」

 

「ほら、ついたぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月なんで!?・・・って、蘭!?どうしたんだ」

 

「蘭ちゃん!?具合悪そうだけど大丈夫・・・!?」

 

「とりあえず座って!!」

 

「蘭~飲み物いる?注文してまだ飲んでないレモンティーがあるけど~・・・」

 

「ありがと・・・」

 

彼女達が待っていた蘭が店に入ってきた。

しかし、彼女はなぜか弦太朗に支えられながら姿を現していたことに驚いていたが、それ以上に蘭は見るからに体調が悪そうな様子に彼女達はとりあえず蘭を休ませようと席に座らせてると、モカが心配そうに自身が先ほど頼んだレモンティーを差し出すと、蘭はそのカップをソーサーごと受け取って自身の元へと寄せ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ・・・すっぱい」

 

「・・・?蘭の奴、何でレモンティーのレモンを食べてるんだ・・・?」

 

彼女は受け取ったレモンティーを飲むのではなく、カップの中に浮かんでいたレモンを指でつまんでそのまま口の中へと放り込んでいた。

 

流石にこの行動の意味が理解できなかった彼女達だったが、皆は一応に彼女の事を心配していた。

 

 

 

「蘭ちゃん、頭痛いとかは無い・・・?」

 

「うん・・・身体もダルくて胃がムカムカしてお腹が痛い・・・後は、さっきまで軽く吐き気があったけど大丈夫・・・」

 

「久々にみんなが揃って会うのにそんな体で無理しやがって・・・」

 

「こうなってるのも弦太朗・・・あんたのせいでしょ・・・」

 

弦太朗の言葉を聞いて蘭が彼の言葉に反論しながらも痛みを抑えようと自身の下腹部を抑えていた。

しかし、彼女のこの行動は完全に皆の誤解を生んでいた。

 

「「あれっ・・・?」」

 

「ひーちゃん?つぐ?」

 

「おいおい、2人ともどうしたんだ?」

 

 

「身体もダルくてお腹が痛くなってて、吐き気がある・・・」

 

「すっぱいものが欲しくなって、如月くんのせいって言いながらお腹を撫でてる・・・」

 

ひまりとつぐみは蘭の状況を呟き始める。

彼女達は事実を述べているだけだが、その言葉を聞いたモカが最高で最悪の結論を導き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでた・・・?」

 

「「はぁ・・・?ないない」」

 

「モカ・・・?蘭と如月だぞ?あり得るかもしれないけど・・・流石に今、それは無いだろ・・・」

 

モカの言葉に蘭と弦太朗と巴はその言葉を否定していたが、一方でつぐみとひまりの2人はその結論を完全に信じてしまい―――

 

 

「「如月(弦太朗)くん!!どういうこと!?」」

 

「何も知らねぇって!!」

 

 

 

「知らないって・・・!!蘭がこうなってるんだよ!?流石に無責任すぎるよ!!」

 

「そうだよ!!如月くん!!ちゃんと責任取らないと!!」

 

「えぇっと・・・だからな・・・」

 

全く覚えのない弦太朗はひまりとつぐみの圧に押されて、ちゃんと話をしようにも全く話を聞いて貰えてない彼を他所に巴はモカと蘭に視線を送って話を聞き出そうとしていた。

 

 

 

「らん~もしかして違う・・・?」

 

「当たり前でしょ・・・」

 

「でも、さっきの言葉だけだとそう思っても仕方ないだろ・・・。で、実際はどうしたんだ?」

 

 

 

 

 

「昨日の食べ過ぎと二日酔い・・・それと寝不足・・・」

 

「「はぁ・・・?」」

 

蘭から出てきたどうしようもない理由に2人は呆れた声を挙げたが、流石に5人で会う約束をしていたにも関わらず、あの蘭がこんな体調になるまで飲み食いしている事が今までの彼女からしたら到底信じられず、何か理由があるのでは?と思った2人に蘭はそのままこうなった経緯を話始めていた。

 

 

 

 

 

 

「昨日、私の作品を飾ってもらえることになった場所に挨拶に行ったら、弦太朗の部活仲間が結婚式してて・・・」

 

「・・・もしかして、それで如月に見つかって・・・そのまま参加させられた?」

 

「うん。私も知ってる人だったからそのまま巻き込まれて、朝までどんちゃん騒ぎの宴会コースで逃げられず・・・」

 

「もしかして、レモン齧ったのは・・・?」

 

「ただの口直し・・・」

 

 

 

「「・・・」」

 

 

こうなった原因を作ってしまった弦太朗が一番悪いのは分かっているが、それでも蘭が勘違いさせるような言動を連発していた事やひまり達が完全に暴走していることに呆れたモカと巴は完全に呆れて言葉が出せなかった。

 

「正直、アホらし過ぎてなんも言えませんなぁ~・・・」

 

「とりあえず、あの3人と蘭は放っておいて・・・落ち着くまではアタシ達は店の隅で大人しくしてるか」

 

「だね~」

 

「ちょっと・・・2人とも・・・」

 

 

 

「蘭、お前にも多少は原因があるんだから」

 

「すこ~し反省してね~」

 

 

 

 

 

「如月くん!!いつから蘭ちゃんとそういう関係になってたの!?」

 

「だから、なんもしてねぇって!!」

 

「でも、蘭はたまに弦太朗くんの家に行ってたよね?」

 

「それは吾郎爺に顔出しに来てただけだって!!」

 

「「嘘だっ!!」」

 

こうして4人を見捨てたモカと巴は店の端まで避難して騒いでいる3人の方と自業自得で苦しんでいる蘭を見て、込み上げてきた懐かしさと彼女達への呆れの感情をカップに注がれた飲み物と一緒に飲み込むのだった。

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

今まであじゅじゃじゃしたー!!

多分次回の更新はこの作品の劇場版√
欲しい人がいるなら羽丘√の設定資料開示・・かな?

今後の予定は活動報告に記載しておりますので、そちらを確認して下さい


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青・春・後・語-EX01 設・定・資・料

メッセで頂いたので本作品の設定と羽丘ルート差分について
劇場版に影響がない一部ですが公開します。

人物設定がメインですが・・・

今後の活動方針は”活動報告”を確認して下さい。




 

設定集-1:ルート別設定差分

 

花咲川:各バンド毎に章を作成して1バンド単位で話を展開。

モブキャラがスイッチを押しまくって1章終わった時点では殆どのキャラがフォーゼの存在を認知しており、2章以降は基本的にはフォーゼの存在を認知してるのがデフォで進行。

 

最終章での最後の演奏では友希那が最初に声を挙げたが、最終的にチュチュの推薦をうけたポピパが演奏を披露して戦闘後はバンドリの決勝を見に行くことになる

 

 

羽丘:バンド単位の区切りではなく、複数バンドのキャラでメインとして話を展開。

本作品のRASのように同バンド内でもフォーゼについての認知の差が生まれて、そこからバンド内不和からのスイッチオンでドンドン認知が広がっていく。

 

また、最終章での演奏について差分は、チュチュが最初にRASがやると声を挙げるが、友希那の推薦を受けてAfterglowが担当。

今までの出来事は無意味で意味のないと断じられたが、足掻きながら進んできた今に無駄なんてないという想いをぶつけるために"That is How I Roll!"を演奏。

 

戦闘後はバンドリの決勝ではなく、蘭達が参加する祭へと向かい,Afterglow(+モニカ)のライブを見ることになる。

 

 

 

 

 

設定集-2:人物

Poppin'Party

・戸山 香澄  初期設定ゾディアーツ:ジェミニ/サジタリウス

 

弦太朗が羽丘に行くルートだった場合はサジタリウスのスイッチャー

押す経緯としては花咲川のジェミニと同じく無理やり押させられるが、その後は自分の意思でオーナーに協力することを選択してフォーゼと対峙して撃破される。

 

本作品を書こうと思った原因その1

香澄の言葉”星の鼓動”とフォーゼの登場人物(結城・我望)が聞いた”星からの声”から星の鼓動=星からの声 と言うイコールが結びついてエナジー影響をもろに受けた人物として設定。

その設定の名残として

・カプリコーンの音楽を聴いて正気を保てていた

・コズミック初変身時に”星の鼓動”と似た物を感じ取る。

・特異体質

という3つが残っている。

 

メイン章出演順位は3人いる同率3位の女の1人。

 

 

 

・花園 たえ 初期設定ゾディアーツ:うさぎ/カプリコーン

 

初期設定では最終的にカプリコーンのスイッチャーへと成長した予定

 

スイッチを押す経緯としては本編でひまりが拾ったのと同じく偶然の産物だが、奇跡的に2個落ちていた為、一緒にいたレイヤと半分こした。

だが、押した後は能力を使って自身の理想”花園ランド”を作るという目的で行動を起こしてフォーゼに倒されるが、フォーゼ本編の鬼島と同じく倒された後に覚醒。

覚醒後はオーナーの元へと連れていかれるがその目的を理解しても手段が納得できないため協力を拒否してオーナーによって粛清されてスイッチをその間の記憶を奪われて解放される。

 

花咲川ルートでは天然属性から来た勘の鋭さでジェミニの正体を見破ったりした功労者だが、羽丘に行くルートだった場合はその勘の良さを活かしていく役割は日菜に持っていかれたため登場回数が減っていたであろうキャラ。

なお、ポピパ内では一番出番が少ない。

 

 

・牛込 りみ

 

本作品を書こうと思った原因その2

大阪から引っ越しをしたという設定が弦太朗の日本各地を転々としていた弦太朗の設定を噛み合わせて大阪時代からの友人という設定を与えられた。

 

上記の設定を汲み取って、原作のバンドリと比べて積極性が+されている。

 

羽丘ルートの差異としては登場時期が異なり、やまぶきベーカリーでの偶然の再会に変更になる。

 

メイン章出演順位は3人いる同率3位の女の1人。

 

 

 

・山吹 沙綾 初期設定ゾディアーツ:レオ

 

ルート違いで一番立場が変わっているキャラ。

 

花咲川ではバンドリキャラの中で一番最初に襲撃された薄幸キャラであり、バンドリキャラで一番最初に弦太朗のバイクの後ろに乗ったラッキーガールだが、羽丘ルートでは物語開始前に起こった事故で母親と弟妹達が意識不明で入院するという超特大の不幸に襲われる。

 

物語開始前にレオに覚醒するも家族を救えないことに絶望してしまう。

しかし、その後にオーナーから聞いた”治癒能力をもつアクエリアス”もしくは”生体活動を活性化できるアリエス”の2体に望みをかけて、弦太朗達の近くにいながらその裏でオーナーに代わってスイッチをばら撒き続けていく。

 

最終的にアクエリアスとアリエスのスイッチをフォーゼに破壊されたことで発狂して、変身を解除した直後の弦太朗に致命傷を与えるが、その後は復活したフォーゼに撃破されるが、その際にオーナーがスイッチと関与していた記憶が消えてしまう。

 

花咲川ルートでは後述の有咲と並んで全体の章での出演率トップで、メイン章だけの集計では唯一の出演率9割越えで単独トップのいい女。

 

 

 

・市ヶ谷 有咲  初期設定ゾディアーツ:リブラ

 

花咲川でも羽丘のどちらのルートでも主に頭脳面で活動するが活動開始時期が違い、蔵を拠点の1つのするのも遅れる。

 

羽丘ルートではたえのRAS引き抜き未遂事件があった影響で精神が弱っていた所にインターネット上で”願いが叶うアイテム”と噂になっていたスイッチを見つけて、財団Xの息がかかっているブラックマーケット経由でスイッチを入手。

物語開始時にはリブラに覚醒済みだが、羽丘ルートでスイッチを撒いていた沙綾が全く関与していないために最初は誰からも認知されていない。

 

リブラに覚醒後は自身に人形を両親や香澄たちと誤認させて”理想の家族・友達ごっこ”を物語開始以前から行っており、これが原因で周囲から”精神崩壊してしまった”と思われて距離を置かれていたが、その話を聞いて有咲に向き合おうとした弦太朗と香澄によってスイッチャーであることを見破られて戦闘になって撃破される。

 

なお、羽丘ルートでは花咲川ルートの沙綾に変わって弦太朗にツンデレしまくっていた模様。

 

花咲川ルートでは先述の沙綾と並んで全体の章での出演率トップで、メイン章だけの集計では出演率2位の女。

 

 

 

Afterglow

・美竹 蘭

 

花咲川ルートでは弦太朗に絆されるのに時間がかかっていたが、最終的には親戚に兄ちゃん位の距離感まで詰まった人。

一時期は親公認(父除く)で弦太朗と同棲()していたが、To LOVEる的な展開には全くならずにKENZENな距離を維持し続けていた。

1章の時に暴走したひまりや3章の大人達に対して啖呵を切ったり、友人がピンチの時は危険を顧みずに行動する一方で、2章のように巴と仲違いして落ち込んだり友人関係ではメンタルを乱しやすい。

 

羽丘ルートでは偶然出会った日菜によって学校の案内を押し付けられる形で出会い、そのままフォーゼを最初に目撃する1人になる。

目撃後は"幼馴染の為"と言って弦太朗に最初から協力的になるが、それが原因で幼馴染達から不審がられてしまい、ギクシャクしてメンタルにダメージを負ったりもする。

 

花咲川ルートでは唯一小ネタ章出演率100%になった笑いの女。

 

 

青葉 モカ  初期設定ゾディアーツ:アリエス

 

花咲川ルートでは主にAftrerglowのメンタル面のバランサーとして、主に2章で蘭達の裏でバンドのために奔走し、3章では巴のメンタルケアだけでは留まらず商店街ではぐみと一緒に投げ物で戦闘の援護をし始める始末。

そして小ネタ篇では人間卒業組との対比のために普通の人間レベルで優秀な彼女は日菜と一緒に当てウマにされてしまった。

 

羽丘ルートでは蘭の紹介で知り合うも懐疑的な視線を向け続けて、次第に蘭達との距離が離れて行くことに恐怖を感じてしまった結果スイッチに手を出してしまう。

 

アリエスに変身後は”幼馴染達を眠らせて最後は自身も永遠に眠り続けて夢の中でずっと一緒にいる”という目的のために蘭達を襲撃し始め、最後の1人である蘭を眠らせる前にフォーゼによって倒される。

 

 

・上原 ひまり 初期設定ゾディアーツ:ハウンド

花咲川では幼馴染達を次々と懐柔していく弦太朗を狙って暴走するが、フォーゼによって撃破されると自身を止めた彼に目がハートになっていた。

 

羽丘ルートでは最初の敵として学校で蘭達と一緒にいた弦太朗を見て襲撃するが、最終的には蘭に正体を暴かれてそのままフォーゼに倒されることになる。

2つのルートの大きな違いとして撃破されても弦太朗に対して目がハートになることはないが、蘭と弦太朗をくっつけようと画策していくが、大体失敗する。

 

 

・宇田川 巴  初期設定ゾディアーツ:ヴァルゴ

 

本作品を書こうと思った原因その3

フォーゼ本編のおとめ座のアナグラムが巴にも当てはまるのを発見した時は目から状態で設定し始め、最終的にはダスタードやゾディアーツ達にソイヤする肉体派になってしまった。

 

 

羽丘ルートでは蘭の紹介で知り合うと、彼と意気投合して頻繁にラーメンを食べに行く仲になる。

こちらのルートでも最初に殴り掛かるのはひまりなのは一緒で、最終的にはレオダスタード単体とも殴り合うぶっ壊れスペックを披露する予定だった。

 

スイッチを押す経緯は一緒だが最後の最後までスイッチを所持したまま進行していき、別れのタイミングでスイッチを汚い花火にする。

 

 

 

・羽沢 つぐみ  初期設定ゾディアーツ:タウラス

花咲川ルートでは事件を目撃後に弦太朗に絆されて恋愛的な感情を持つ。

しかし、その後は有咲についで頭を使って貢献したり、羽沢珈琲店で珈琲や場所を提供したりした。

 

羽丘ルートでは生徒会の立場から日菜と共に弦太朗と最初に接触する人物になり、校内の案内を頼まれるが実家の手伝いを理由に断る。

その後、蘭から紹介されるも懐疑的な視線を向けており、弦太朗に協力する蘭達との間に溝を感じてしまった事と、日菜からのとてつもない無茶ぶりの数々に精神が疲弊してしまった所でスイッチを手にしたことで覚醒。

 

覚醒直後に日菜を洗脳した後は学校で問題を起こす人物たちを次々と洗脳して問題の起こらない”普通の”学校にしようとするが、つぐみに違和感を覚えた蘭と日菜の異変に気が付いた紗夜によってスイッチャーであることを暴かれてフォーゼと戦闘になる。

戦闘後には弦太朗に協力的になっていくが、花咲川ルートと異なりひまりと共に蘭と弦太朗をくっつけようと画策していくが、ひまりのせいで失敗する。

 

花咲川ルートでは全体での出演率3位で、メイン章出演順位は3人いる同率3位の女の1人。

 

 

 

ハロー、ハッピーワールド!

・弦巻こころ 初期設定ゾディアーツ:ペルセウス/ピクシス

 

このキャラが最初に仲間になるとマネーパワーでごり押ししてくるのが目に見えたためフォーゼの存在を認知するのを遅くされた結果、初期の5バンドメンバーでは全体の出演率は最下位(本編だけならワースト2位)。

羽丘ルートでも同上の理由で認知するのは後半なるし、フォーゼ認知前後で彼に協力的にはなるが対応その物が変わることはない。

 

ピクシス設定は仲の人ネタ。

こっちに変身したら多分迷子の花音を捜索し続ける。

 

花咲川ルートではピスケス(明日香)によってスイッチを手にしてペルセウスに変身し、笑顔じゃない人物を石に変えていった。

羽丘ルートで変身した際も同じ理由で行動していく。

 

 

・瀬田 薫 初期設定ゾディアーツ:キグナス

 

花咲川ルートでは厄介ファンに連れ去られて痛めつけられたりもしたが、事件について把握した後はハロハピの精神的支柱となっていた。

 

ハロハピだけではなく幼馴染の千聖まで気にかけて襲ってきたゾディアーツに挑発し苦手だった高所からの飛び降りまでして逃げ切るほどの肉体的にハイスペックな面と、こころがスイッチを使って暴走して怒りに呑まれた美咲を見た際は自身が犠牲になることを顧みない行動力をも見せつけた作中で一番メンタルが完成形に近いお方。

 

羽丘篇ではひまり&りみによって演劇練習を見に連れていかれた際に出会った。

 

スイッチの入手経路は不明だがフォーゼの原作と同じく、キグナスの正体は薫の別人格で”自身の芝居に不要な物”を消し去ろうと、彼女が練習の邪魔になっていると思われた弦太朗達を襲撃されたことに巻き込まれ、最終的には薫の狂信者によってラストワンを無理やり押させられる。

 

撃破後に関しては花咲川ルートと同じような距離感になって、彼女の紹介で他のハロハピメンバーに紹介される予定だった。

 

 

・北沢 はぐみ

 

花咲川では最初は被害者として襲撃され、その後はこころの事件でようやくフォーゼの存在を認識した人。

 

認識前後で弦太朗への対応は全く変わることはなく、自身の兄と同じような感覚で接している。

 

基本的には事件の解決に寄与することはなかったが、商店街での戦いではソフトボールで鍛えた肩を活かしてモカと一緒に投げ物で戦闘の援護をしていた。

 

羽丘ルートでも出会い方が変わる程度で全体的な立ち位置が変わることはない。

 

 

・松原 花音 初期設定ゾディアーツ:ピクシス/アクエリアス

 

薫の誘拐事件をきっかけにフォーゼの存在を知り、その後は彼と程よい距離感の友人として事あるごとにふえぇ~と泣かされていた。

最初にゾディアーツを見た時は驚いていたが、なんだかんだで次に見た時からはゾディアーツを見た程度では動じないほどに肝が据わっている。

 

羽丘ルートでは薫が引き合わせるが逃げ出した先でスイッチを拾ってピクシスに変身するも即撃破されてそのままアクエリアスに覚醒する。

覚醒直後にレオに拉致されそうになるが、フォーゼがレオを撃退した後に説得されて自分の意思でスイッチを手放してフォーゼに破壊してもらい日常へと戻っていく。

 

 

 

奥沢 美咲 初期設定ゾディアーツ:大熊、小熊、ジェミニ

 

花咲川ではミッシェル&ダイザーを使った戦闘要員にされたが、羽丘でも同様の立ち回る。

弦太朗との出会った時は警戒するが、薫が普通に接していることと黒服が動かないことを見てそこまで警戒することはなくなる。

 

クマ2種は完全にミッシェルからの連想で設定。

ジェミニの場合は花咲川の香澄同様に無理やり押させられるが、その際には美咲×2ではなく、美咲とミッシェルに分離してしまう。

最終的には分離した2人がこころ達(3バカ)がいないところで拳で決着をつけると、本物が素手でスイッチを粉砕してジェミニを消滅させる。

 

 

 

Pastel*Palettes

・丸山 彩

花咲川サイドでは日常回で弦太朗関係で様々な爆弾を投下し、ゾディアーツ事件に巻き込まれることが多い人物であり、人間卒業組を除いて唯一ダスタードを尊死させた人物。

しかし、羽丘ルートだと爆弾投下の役は日菜に奪われて、事件に巻き込まれる頻度が減るので番が極端に減ってしまう残念な子になり、学校での絡みが極端に減るため弦太朗への矢印は消滅する模様。

 

 

 

氷川 日菜 初期設定ゾディアーツ:カニスミノル(小犬)

花咲川ルートではカメレオン襲撃の現場に居合わせたり、紗夜に襲撃されて怪我をしたり、キャンサーの工作から彩を庇ってケガをしたりする苦労の人。

そして小ネタ篇では人間卒業組との対比のために普通の人間レベルで優秀な彼女はモカと一緒に当てウマにされてしまった。

 

生徒会長という立場から羽丘ルートでは弦太朗と一番最初に出会う事になる。

予定が入っていたつぐみに代わって校内を案内することになるも、家にいる紗夜と一緒にいるために道中で出会った蘭と友希那にその役割を押し付けた。

羽丘ルートでは紗夜からスイッチの1つを譲渡されており、姉である紗夜と一緒にいるために障害となる人物たちとして弦太朗やRoseliaメンバーなどを襲撃していくが、最終的には姉の紗夜と共にフォーゼに撃破される。

 

撃破後は弦太朗に興味を持つが周囲から恋愛目的と勘違いされてしまうも、彼女自身は恋愛についてなど微塵も知識はない。

 

 

 

白鷺 千聖 初期設定ゾディアーツ:カメレオン

 

花咲川ルートではカメレオン・ゾディアーツとしてパスパレの邪魔になる弦太朗を襲撃する。

ラストワン時にはパスパレの為から自身のためへと目的がすり替わってしまう。

 

最終的にフォーゼによって倒されると彼を堕とすチャンスを虎視眈々と狙い続けて、外野を完全に囲い込む絶好の機会に恵まれるも自身のプライドのせいでチャンスを逃し続けた人。

 

羽丘ルートではスイッチャーになる事はなく、一歩引いた立ち位置で弦太朗と接するため彼へのフラグは完全に消失してしまう。

 

 

・大和 麻弥

花咲川ルートでは完全に裏方におりで、周囲のメンタルケアやポピパ3章で抑えの効かなくなってしまった有咲に代わって頭脳労働を担当するがスペックの差が露見してしまった人。

 

羽丘ルートの場合は最初期でフォーゼの存在を認知して花咲川ルートの有咲ポジに収まるが、それだけにとどまらずに賢吾からの情報を元にして破損したフードロイド達やダイザー、挙句の果てにはドライバーの修理までこなしてしまうハイパーメカニックレベルMAXへと大変身する予定だった。

 

 

・若宮 イヴ

花咲川ルートでは戦闘要員として巴・美咲と共に大暴れしていたが羽丘ルートでも同様

関係性も出番も両ルート間で一番変更がない人物。

 

 

 

 

Roselia

・湊友希那

花咲川ルートでは紗夜の事件を切っ掛けに弦太朗と出会って、その後は小ネタによって大食いキャラへと設定されてしまう。

最終的には自身の父親が起こした事件後から父親から弦太朗との交際を勧められるが彼女自身は恋愛について全く知識も興味もなく、目の前の食べ物と音楽にしか興味が向いてない残念な人。

 

羽丘ルートでは偶然出会った日菜によって学校の案内を押し付けられる形で出会い、蘭と共にフォーゼを最初に目撃する1人になる。

フォーゼを見た前後で態度が変わることはないが、フォーゼの初期大文字と同様に自身は何も見てないことにして事件については関与しようとしないことを決めるが、その決意も虚しく花咲川ルートの日菜のように様々な事件に巻き込まれていき、次第に彼に協力的な姿勢を見せるようになる。

 

 

 

・氷川 紗夜 初期設定ゾディアーツ:リンクス

花咲川ルートでは物語開始以前からスイッチを入手して精神が汚染された結果、最初のギスドリ要員として暴れまわると、罪悪感に襲われてゲロインに変身すると最終的にはどうしようもない癖のキャラへと変貌してしまった。

 

羽丘ルートでは占有していたスイッチの1つを日菜に譲渡して、日菜と一緒にいるための障害になると判断した弦太朗やパスパレメンバー、同じ生徒会で活動しているつぐみを襲撃していく。

最終的には妹の日菜と共にフォーゼに撃破される。

 

 

 

・今井 リサ 初期設定ゾディアーツ:アンドロメダ

花咲川ルートでは、紗夜が学校で起こした事件や目の前で起こった戦いについて待ってく理解が出来なかったが、あこの言葉を聞いて即座に母性覚醒させてしまってヤバい方向に伸びていった人。

覚醒後はゾディアーツの攻撃を生身で受けても耐えている描写が見られる。母は強し・・・

 

羽丘ルートでは弦太朗の見た目に気圧されて持ち前の社交性が全く発揮できずにいた横では友希那が平然と彼と会話をしているのを見て不快感を抱く。

そしてレオからスイッチを受け取ったタイミングで爆発してしまい、友希那を独占するために暴れ出すが

友希那から否定されてしまい、我を失うがフォーゼによって倒される。

その後は花咲川での紗夜同様に罪悪感から引きこもってしまうが、友希那や弦太朗の言葉を聞いて立ち直る。

 

 

 

・宇田川あこ

 

作中では上級生でもある他のメンバーがメンタルをやられてゲロインしたり変な方向に覚醒していくが、

彼女だけはスイッチの闇に触れた結果、中二病が緩和されるといういい方向?に影響が出ていた。

 

最初に事件に巻き込まれた時ですら、仮面ライダーを見て興奮していた。

物語後半からはピスケス(明日香)やアリエス(まりな)に捕まったり、目の前でヴァルゴを制御出来ていない巴に襲われるなどトラウマになりそうな出来事を体験するが、最終的には何事もなかったかのようにケロッとしていた。Roselia内最強メンタルの持ち主。

 

羽丘ルートでも仮面ライダーの存在は都市伝説として知っており、弦太朗が変身したのに憧れてドライバーを無断で持ち出した事が原因で弦太朗が負傷したことに責任を感じで落ち込んでしまうが、それが原因で別事件の引き金になってしまうも最終的には花咲川ルートと同様の距離感にまでなっていく。

 

 

 

・白金燐子 初期設定ゾディアーツ:アルター

花咲川ルートの最序盤では彼女なりの勇気を振り絞って生徒会長として弦太朗に接触を試みたりもしたが全て空振る面を見せていた残念キャラだったが、紗夜の凶行を目の当たりにいたせいで最初のゲロインになってしまった不運の人。

また、他の面々とは違って弦太朗が唯一自分からフォーゼを見せた特別な人物でもあるが、その代償として完全にヤバい方向に目覚めさせられた可哀そうな人。

 

羽丘ルートではあこがドライバー持ち出した事によって起きた出来事に落ち込んでいたのを心配していたところにレオが現れると、あこが落ち込んでいる原因は弦太朗のせいだと吹き込まれる。

それを信じた彼女はスイッチを受け取って彼をあこの前から消し去ろうと弦太朗を襲撃するが、あこが弦太朗を心配する行動を見せたことで混乱して暴走するがフォーゼによって撃破される。

 

撃破後はあこにべったりしている。

 

 

 

 

RAISE A SUILEN

・レイヤ / 和奏 レイ 初期設定ゾディアーツ:ドラゴン

花咲川ルートでは引っ越した直後に弦太朗と出会っており、自分たちのバンドが関わらない事件については基本的には安全地帯にいた人。

 

羽丘ルートでは初対面の設定に代わるが、基本的にはこちらのルートでも自分たちのバンドが関わらない限りは安全地帯にいる。

 

スイッチを押す経緯としては本編でひまりが拾ったのと同じく偶然の産物だが、奇跡的に2個落ちていた為、一緒にいたたえと半分こした。

押した後は能力を使ってたえの理想”花園ランド”で彼女と一緒に居続けることを目的にしてたえと行動を共にする。

最終的にはフォーゼに倒されるとたえと違って覚醒することはなく、事件の記憶を失ったたえとは事件前と同じような関係を続けていく。

 

 

 

・ロック / 朝日 六花 初期設定ゾディアーツ:こと

花咲川ルートではポピパの面々がバイト先のGalaxyへと顔を出したことで出会が、羽丘ルートではレイヤに代わって弦太朗が各地を転校していた頃に出会うことになり、原作と同じくバンドするために上京するが意図せず東京へと引っ越した彼を追いかける形になる。

 

 

しかし、上京してもバンドが組めずにホームシックによる不安に襲われたタイミングでレオからスイッチが送られるとそれの存在を知らない彼女は何気なく押してしまう。

 

最初は変身したことに驚くも、その際に感じた力が不安を拭ってくれるように感じた彼女は誰かを襲うことはせずに、不安を感じるたびにスイッチを押して不安を紛らわせていくが次第にその力を解放したくなる欲望に負けて暴れ出すがフォーゼによって倒される。

 

撃破後は花咲川ルートの紗夜と同様にスイッチを探してしまうが、あこと弦太朗によってスイッチの誘惑を断ち切ることに成功する。

 

 

 

・マスキング / 佐藤 ますき 初期設定ゾディアーツ:おおかみ

花咲川ルートではRASのライブに来ていた弦太朗を見かけた後にGalaxyでバイクの話題で意気投合することになり、事件の度に弦太朗のバイクを無断で乗り回して戦場を走り回っていた。

 

羽丘ルートでも同様の出会い方をして、事件のたびに弦太朗のバイクを乗り回す。

 

バンドリの予選でRoseliaに順位が負けた際に原作以上にチュチュに当たり散らしてしまって落ち込んでいたタイミングで彼女のバイクのシートの上に置かれたスイッチを手にしてしまう。

 

スイッチを入手後は自身のストレスを発散させるために暴れ出すが、フォーゼによって撃破される。

撃破後は花咲川ルートと同じような関係になるが、チュチュのと確執は原作以上に長い間続いてしまうことになる。

 

 

 

 

・パレオ / 鳰原 令王那 初期設定ゾディアーツ:コーマ

花咲川ルートではロックをライブに招待しに来た際に、男湯に突撃するという悲劇的なエンカウントをしてしまう。

羽丘ルートではパレオとしてはライブ会場で目撃したことが出会いになるが、令王那としては弦太朗が各地を転校していた頃に出会っており、パレオを間近で見て”パレオ=令王那”であると確信して、弦太朗はパレオの状態でも令王那と呼び続ける唯一の存在になる。

 

スイッチ入手後は限界パスパレオタクとして彼女達に近づくために、周囲の人間をパスパレから遠ざけようと画策して行動を起こす。

その最中でイヴと戦闘してしまった結果、自身がパスパレから拒絶されたと勘違いして暴走するがフォーゼによって倒される。

 

撃破後はチュチュの世話を行うが、それ以上に弦太朗に世話を焼こうと行動していく。

 

 

 

 

・チュチュ / 珠手 ちゆ

花咲川ルートと羽丘ルートで立ち位置的には違いはないが、友希那にちょっかいをかけに行くタイミングで彼女と一緒にいた弦太朗と出会うことになる。

 

また友希那にちょっかいをかけていたタイミングでゾディアーツ(リサ紗夜日菜のいずれ)に襲撃される。

フォーゼを認知した後はRASの活動に支障が出ない範囲で彼をサポートするが、その際は自身が友希那より役に立つと言い張っている。

 

 

 

 

 

Morfonica

・倉田ましろ 初期設定ゾディアーツ:ユニコーン

当初は花咲川ルートではまともに出番がもらえずに背景で参加するはずだったが、気が付いたらRASのメイン章1つ奪って特別編もらえたバンド。

 

なお、モニカ章の後は特に大きな出番はないが、羽丘ルートでは彼女は香澄以上の勘の鋭さで事件解決のサポートキャラになるが、戦闘力皆無の為基本的にはお留守番。

 

変わりたいと思っていたが全く変われていないと自身に失望していたタイミングで沙綾からスイッチを手渡されるが、その時に記憶を弄られて沙綾から渡されたことを忘れてしまう。

 

スイッチを押して変身したことを自身が変われたと思い込んでいたところを透子が反論すると激昂して暴れ出すも、身体スペックが低すぎたことが原因でフォーゼにあっさりと倒されてしまう。

 

 

 

・桐ヶ谷透子

花咲川ルートでは本編での出番は少ないが、ネタ方面に暴走する師匠に振り回されそうなったところを軌道修正をした英傑。

 

羽丘ルートではSNSで噂になっていた仮面ライダーを探していると、弦太朗が変身したところを目撃して話題作りのために彼に近づいていく。

 

しかし、彼女のバンド仲間がスイッチを使用して暴れたのを目にした後はSNSでの話題作りをキッパリ諦めてネット方面から事件解決のサポートを行っていくが、情報源のメインがSNSであるため情報集めが速いが信憑性が微妙なことも。

 

 

 

・広町 七深 初期設定ゾディアーツ:カメレオン

花咲川ルートでは本章登場時は半分はバイト中という働くお嬢様。

羽丘ルートではりみのホラー好きの仲間として紹介されるが、登場数はそこまで多くならない。

 

スイッチを押した事によってカメレオンゾディアーツに変身すると、自身の事を普通と扱わない人間を襲撃していく。

その際に七深が変身していることを見抜いた透子から自分らしくしろと説得されると、自分なりにケジメをつけるためにフォーゼによってわざと倒される。

 

 

 

・二葉つくし 初期設定ゾディアーツ:コーマ

花咲川ルートでは七深と同様に本章登場時は半分はバイト中という働くお嬢様であり、羽丘ルートでも同様。

 

バンドのリーダーや学級委員長として皆を引っ張っていこうとするが失敗が続いていたタイミングで沙綾からスイッチを手渡されるが、その時に記憶を弄られて沙綾から渡されたことを忘れてしまう。

 

スイッチを受け取った後はコーマの能力で生み出した分身を暴れさせることで事件を起こし、自身はその際に皆を避難させるというマッチポンプで自身の自尊心を満たしていたが、コーマの仕草を見たましろによって即座に正体を見破られると、フォーゼによって撃破される。

 

 

 

・八潮瑠唯 初期設定ゾディアーツ:スコーピオン

当初はまともに出番がないはずだったが特別編もらえた挙句に本作品最初に12使徒に変身させてもらえるというとてつもなく美味しいポジション。

羽丘ルートにおいては基本的には事件に対して不干渉を貫き通すが、ましろが首を突っ込むとその後を追いかけるようにして首を突っ込んでくる。

 

オーナーの実験として記憶を弄られて12使徒の戦闘能力を測るための実験台にされたという設定をしていたが、オーナーの存在を隠蔽するために本編ではスイッチの入手経路・目的が語られることはなかった。

 

羽丘ルートで変身する場合だと、オーナーの実験と言う点に変更はないが、トップを目指す彼女にとって障害となりそうなものを排除すると行動目標が追加される。

また、オーナーから直接スイッチを受け取っているレオ(沙綾)の事は互いに認知しておらず、互いが目的達成の障害になると考えていたが、最終的にはフォーゼによって撃破される。

 





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劇場版 -Movieライブ!!MegaBandParty!!
Chapter-00 地上で光る星


待たせたな・・・!!劇場版√だ・・・!!

小ネタ時空やらのネタを引っ張ってくるから相当のカオスが予想される模様


 

「はぁ・・・はぁ・・・!!どうして・・・!!」

 

雨が降っている夜中に息を切らせながら夜の闇に紛れて逃げるようにして走っていた。

しかし、その姿はボロボロで人の目を避けて街の路地裏を姿を隠すと崩れるようにその場に座り込む。

 

「・・・」

 

座りこんだその人物は虚ろな目をしながら空を見上げていた。

 

 

見上げた先に広がっているのは全く星が見えないほどに厚い雨雲に覆われた真っ暗な空。

そんな空を見上げながらその人物は絞り出すように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――仮面ライダー…アイツらだけは許さない…!!」

 

そう呟いた者の目は怒りと復讐に完全に染まり切り、疲れた身体で再び立ち上がるとそのまま夜の闇へと消えていった。

 


 

いつも通りのある日の午後、香澄と有咲は2人で並んでCircleへと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

「有咲~、まりなさんが急に呼び出すなんてどうしたんだろ・・・?」

 

「一緒に呼び出された私が知る訳ないだろ・・・」

 

「もしかして何かあったのかな?」

 

「そんな切羽詰まった様子じゃなかったし、それに他のバンドの人達も呼ばれてるんだからライブ参加の依頼とかだろうからさっさと行くぞ~」

 

 

そんな会話をしながら2人はCircleへと到着するとそのまま中へと入っていくと、そこには既にほかのバンドを代表が勢ぞろいしていた。

 

「あっ!!来ましたよ!!」

 

「香澄先輩・・・!!」

 

 

 

「香澄~!!有咲~!!」

 

「こころ、叫ばなくても・・・市ヶ谷さん達、おつかれ~」

 

 

 

「2人とも!!こんにちわ!!」

 

「彩ちゃん。少し落ち着きなさい・・・」

 

 

 

「2人とも、お疲れ~☆」

 

「遅かったじゃない・・・」

 

 

 

「湊さんの言う通りですけど・・・何かあったの?」

 

「蘭ちゃん。最後に連絡がいったのがポピパだったから遅くなっただけじゃないかな?」

 

 

 

「ポピパ!!遅いわよ!!」

 

「チュチュ様~落ち着いてくださいよ~」

 

 

 

 

「有咲!!私達が最後だよ!?」

 

「んなもん、見れば分かる。・・・遅くなってすいません。それでまりなさんは?」

 

「ふふっ・・・時間には間に合ってるから大丈夫よ」

 

「まりなさんだったらすぐに―――「みんな~!!おまたせ~!!」って言ったそばから戻って来たね~」

 

 

 

 

遅くなってしまった有咲は謝りながら開いていた席に座ろうとしたのと同じタイミングでスタッフルームの奥から何かを抱えたまりなが彼女達の元へとやってくると、呼び出したバンドの面々が揃っていることを確認した彼女が話を切り出そうとしたタイミングで香澄がそれよりも先に話を切り出した。

 

 

 

「はいっ!!まりなさん!!何で私達を呼んだんですか!!」

 

「バ香澄!!それを今から話すんだろうが!!」

 

「あはは~・・・とりあえず、ここじゃあれだからこっち来てくれるかな?」

 

話を切り出そうとした香澄に有咲がツッコんだのを見て、まりなの手によって会議室と化していたスタジオの一室へと移動して、皆が席に着いたのを確認してから改めて話を切り出し始めた。

 

 

 

 

 

 

「みんな、今日は集まってくれてありがとうね。有咲ちゃんの言う通りその事について話すんだけど、今から資料を見てくれるかな?」

 

「「あっ!!手伝います!!」」

 

「ありがとう。パレオちゃん、つくしちゃん」

 

話を切り出したまりな。

そして彼女が持っていた資料は手伝いを買って出たパレオとつくしの手によって全員に行き渡り、皆がその内容に目を通し始めると――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「えぇ~~~~~~~~~~~!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その資料に書かれていた内容に殆どの面々が驚いた声を挙げるが、その後すぐに香澄が手を挙げていた。

 

「やります!!」

 

「ちょ!!最後まで話聞けって!!」

 

「・・・イベントですか」

 

イベントへの参加を依頼するために呼び出されたのは分かったが、わざわざ呼び出してまで話をするほどの事ではないのでは?と疑問に思ってしまった者もいたがその言葉を飲み込むとまりなはそのまま説明を始めていく。

 

「そう!!ちょっと前まで事件が起こってばっかりだったでしょ?だから少しでもみんなに楽しんでもらいたいって思ったのと、うちがここまでやってこられたのも色んな人達からの応援があったから感謝の気持ちを形にしたいなって思ったの」

 

 

 

「素敵だわ~!!みんなを笑顔にしましょ!!いつやるのかしら?」

 

「出来るだけ早く思ってるんだけど・・・どうかな?」

 

 

「やりたい!!千聖ちゃん!!」

 

「事務所のスタッフさん達と相談しましょ?」

 

 

「ましろちゃん。どうする?」

 

「やりたいけど・・・」

 

 

「ちょっと!!ワタシは忙しいの。さっさと話を進めてくれない?」

 

「またまた~。30分も前に来てスタンバってた方が言うセリフじゃないですよ~」

 

「っ~~~!!パレオ~~~~~~!!」

 

 

「「「「「ははははははっ!!」」」」」

 

まりなの話を聞いた彼女達はイベントの参加に対して前向きな態度を見せていた。

そんな中で空気を読まずにチュチュが話を急かし始めたのをパレオが揶揄い始めたのを見て、友希那以外の面々からは思わず笑い声が零れていた。

 

「商店街も盛り上げられそうだし、あたし達は参加したいと思います」

 

「忙しくなるね」

 

 

「RoseliaもずっとCircleでやって来たし、やりたいよね?」

 

「えぇ・・・」

 

「それなら、後でみんなと相談しよっか」

 

 

 

 

「よかった~。みんな参加方向で考えてくれるってことで、それだったら今考えてるイベントについてなんだけど―――」

 

皆が参加の方向で考えてくれているのに安堵した表情を浮かべたまりなはそのまま資料の説明を始めていく。

 

そこでいくつかの質問が投げられるが、そこで今後のイベントについての方向性を決めていった。

 

 

 

「―――って感じで、殆どこっちが決めてたことを伝えるだけになっちゃったけど、もしこれ以外に何かやりたいことがあったら言ってね!!」

 

「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」

 

「それじゃあ、これでイベントについての説明は終わりにするね」

 

まりなが会議の終わりを告げた。

 

会議と言っても30分程度しか時間をかけていないが、彼女達はイベントのことを考えては楽し気な表情を浮かべながら部屋から出て行こうとしたが――――

 

 

 

 

 

 

 

「うぐっ・・・!!」

 

「香澄先輩・・・!?」

 

「・・・戸山さんはどうして何もないところで転んでるのかしら?」

 

「彩ちゃんじゃないんだから・・・」

 

「千聖さん。そんなこと言ってる場合じゃないですよ!?」

 

 

 

「ありさ~。足に引っかかった~!!」

 

「床に何か落ちて・・・・・・って床が何かが生えてる~!?」

 

突如として香澄がその場で盛大にコケた。

思わず事態に全員が彼女に注目し始めるが、転んだ本人から声をかけられた有咲は香澄の足元へと視線を向けると文字通りそこからは何かが生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「引っこ抜いてみましょう!!」

 

「こころん!!やろ!!」

 

 

 

 

「ちょっとこころ!?あんた何言って!!」

 

「香澄まで何言ってんだ!?みんなも香澄達止めるの手伝ってください!!」

 

 

「何やってるのよ・・・」

 

「チュチュ様も混ざってみては・・・?」

 

「これって・・・大きなかぶ・・・?」

 

「ましろちゃん!?そんなこと言ってる場合じゃないよ!?」

 

 

「「「「「うわぁ!?」」」」」」

 

そして有咲の言葉を聞いた花咲川の暴走機関車共は床から生えていた何かに手を掛けると、それを止めようと保護者を中心になって彼女達の腰を掴んで引き剥がそうとし始めたのをモニカとRASの2組はそれに参加することなく遠巻きに彼女達を見ていたが突如として彼女達はバランスを崩してしまった。

 

 

「抜けた~!!・・・・・・ってえぇええええええええええええ!?」

 

「うっせぇ!!・・・ってなんじゃこりゃああああああああああ!?」

 

 

 

 

「・・・眩しいわね」

 

バランスを崩した彼女達は全員が尻もちをついてしまうが、その中で香澄は抜いた物へと視線を向けると驚きの悲鳴を挙げると、香澄に向かって有咲が怒るもののその手に握られていた物を見て彼女も思わず驚いてしまい、香澄の手に持ったものが突如として光を放つとそれを見た友希那が皆の気持ちを代弁するかのように呟いていた。

 

「すっごい!!キラキラしてる!!」

 

「石でできたギター?香澄のにそっくり・・・てか、香澄はそれ持ってて大丈夫なの?」

 

「蘭ちゃん、大丈夫だよ!!」

 

「そのギターもどきは何なんでしょうか・・・?」

 

 

「リサ、だんだん光が弱くなってきたわよ」

 

「千聖ちゃん、なんなのこれ?」

 

「分かる訳ないじゃない!?」

 

 

 

「あぁ~!!床の穴どうしよ~!?」

 

「マリナ、とりあえず落ち着きなさいよ!!」

 

光るギターもどきに声を挙げたり、床に空いた穴に絶叫したりして再び騒がしくなる室内。

そんな中で冷静になってしまっていた美咲はそそくさと有咲とつぐみの元へと歩み寄っていた。

 

「市ヶ谷さんに羽沢さん・・・これってもしかして・・・」

 

「うん・・・美咲ちゃんの言う通りだと思うよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ・・・十中八九、如月関係の案件だろうなぁ・・・」

 

「面倒ごとが起こりそうな予感がするんですけど・・・」

 

騒がしい室内の中で冷静な3人はこの後に舞い込んでくる厄介事のことを考えてしまい、頭を抱えてしまうのだった。

 





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アンケはまぁ・・・そういうことさ。



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Chapter-01 バックトゥザ不良少年

遅くなりました。ここまでで一端の導入です。

アンケの結果
(6) 本編時系列内(別エンディング)
(20) 本編エンディング~エピローグの間
(17) シーズン3

エンディングからエピローグ間で、1月末~2月くらいの時期設定になります。



謎の物体が見つかった翌日。

 

Circleの前に1台のバイクが停車すると運転していた男は店の名前を確認してから中へと入っていく。

 

店の扉が開く音が響くとその音を聞いたまりながスタッフルームから顔を出す。

 

「いらっしゃーい!!って!!」

 

「まりなさん!!どうもっす」

 

 

 

 

 

 

「如月くん!!久しぶりだね!!元気してた?学校はもういいの?」

 

「元気っすよ!!学校の方は自由登校になってるんで問題はないっすよ」

 

「そうだったんだ!!」

 

Circleに現れたのは連絡を受けた弦太朗。

久々に再会―――と言うほどでもないが再会できたことに喜んでいた2人は他愛ない会話で盛り上がるが、まりなが不意に我に返って本題を切り出し始めた。

 

 

「―――ってそうだった!!アレ見てもらうんだった・・・!!今はよく分かんないから倉庫にしまってあるんだけど着いてきてくれる?」

 

「うっす」

 

弦太朗の答えを聞いたまりなは目的のものをしまっている倉庫の方へと彼を連れていく。

そこに問題になっている石のギターは異質な空気を放ちながら鎮座していた。

 

 

「これっすか?」

 

「そうなのよ。昨日急に床から飛び出してきて香澄ちゃんがこれに躓いちゃってね~。それで香澄ちゃんが持ったら急に光り出したと思ったら、香澄ちゃんの手から離れたら急に光らなくなったりしたのを見た有咲ちゃんが如月くんを呼ぼうって言ってね~。余り持ち出したりしたら危ないかもってことでここに置いてあるんだけど・・・なんだか分かる?」

 

「俺にはちっとも分かんないっすけど、こういうのを調べるのに頼れるダチがいるんで・・・!!」

 

「そうなの?じゃあお願いしてもいいかしら?」

 

「うっす!!・・・変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっし!!終わりっ!!」

 

「えっ・・・?変身してカメラで撮っただけだよね・・・?もう分かったの!?」

 

「ちっとも分んねぇっす!!」

 

「ちょっと~~~~~!!」

 

そうして早々に変身を解除した弦太朗だったがまりなはそんな彼の行動に驚かずにはいられなかった。

 

調べると言ったのに弦太朗がしたのはフォーゼに変身してカメラで撮影しただけで終わりと言い、もう分かったのかと驚いていた彼女だったが弦太朗から返ってきた言葉に思わず絶叫した。

 

「何があるか分からないから賢吾に触らないでカメラで撮ったデータを送れって言われてるんすよ!!」

 

「あっ・・・!!そうだったんだ!!そういえばこころちゃんの船でも難しい事やってたから・・・そう言われたら仕方ないわね。とりあえず出ましょうか」

 

「そうっすね」

 

そのまま2人は倉庫から出て行き、そのまま2人は受付まで歩いていくとそこには彼の知る人物たちが揃っていた。

 

「あっ!!如月くんだ!!」

 

「ゲンちゃん~!!やっほー」

 

「如月さん!!お久しぶりです!!」

 

「麻弥ちゃんが言うほど久しぶりって訳じゃないけどそう感じるわね・・・」

 

 

「お前ら・・・なんでここに?」

 

「あら?私達だけじゃないわよ?」

 

「それってどういう・・・」

 

受付にいたのはイヴを除いたパスパレの面々という思わぬ人物の登場に驚いていた弦太朗。

それに加えて千聖の言葉を言葉の意味が理解できなかったが、その意味はすぐに分かることになった。

 

「ふえぇ~!!遅くなっちゃった~!!って如月くんだ~!!」

 

「やぁ弦太朗。久しぶり・・・と言うほどでもないかな?」

 

 

 

 

 

 

「もうっ!!友希那が呑気に朝ごはん食べてたから遅くなっちゃったじゃん!!」

 

「・・・仕方ないじゃない。リサのご飯が悪いのよ」

 

「湊さん。責任転嫁しないでください。それにしてもだいぶ遅れてしまったわね・・・」

 

「あの~・・・如月さんはもう来てますよ・・・?」

 

 

「おいおい。3年が全員集合してんのかよ・・・」

 

「みんな、受験の結果待ちだったから声をかけたら皆来たのよ」

 

続々とCircleへと3年生の面々が集まっていた。

どうやら皆が受験を終えていた彼女達は弦太朗が来るという連絡をうけて全員が彼に会うために集まってしまったのだ。

 

 

 

 

「そうそう!!友希那も大学決まったんだよ~」

 

「湊さんの学力で一般入試は不安ですからね」

 

「以前に見た英語の小テストは酷かったですから・・・」

 

「燐子まで・・・どういうことかしら?」

 

 

 

「私と千聖ちゃんはすぐに決まったんだよ~」

 

「えぇ、それで大学の近くでルームシェアする予定なのよ?引っ越したら遊びに来てもいいわよ」

 

「おもてなしはちゃんとするからね・・・?」

 

 

「薫さんも合格したんですが、面接の話は武勇伝ですよ・・・」

 

「なに、シェイクスピアについて語っただけさ・・・」

 

「あはは・・・流石薫さんです・・・」

 

 

「うぅ~・・・私は受かってるか不安だよ~」

 

「もし落ちたら留年アイドルで売り出そうよ!!」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

 

「そう言えば如月くんは学校卒業したらどうするの?他のみんなみたいに大学行くの?」

 

「月島さん!?・・・それは触れないようにしてたんですから・・・」

 

皆が大学入試のことを話していたが、その中である意味特大の爆弾がまりなによって投下されると、彼の学力について知っていた紗夜が慌てだすが、その一方で何も気にすることも無く彼はまりなの言葉に応えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も大学受かったぜ!!」

 

「そうだったんだ~。おめでと~!!」

 

 

 

「「「「「嘘だっ!!」」」」」

 

「えぇ~!?みんなしてどうしたのよ!?」

 

弦太朗が大学に受かったという言葉を聞いて祝福の言葉を送ったがまりなだった。

しかし、彼の学力の事を良く知っている彼女達は弦太朗の言っている言葉を全く信用できずに花咲川の生徒達は思わず声を挙げながらそのまま弦太朗に詰め寄っていた。

 

「如月さん!!高校卒業も怪しい学力なのに大学合格なんてあり得ないです!!私がどれだけ苦労して勉強を教えてたと思うんですか!!」

 

「そうよ!!彩ちゃんよりもテストはひどい結果だったじゃない!!」

 

「ちょっと千聖ちゃん!?私だってそこまで酷くなかったよ!!」

 

「あはは・・・でも、確かにあの点数は凄かったよね・・・」

 

「はい・・・あのテストの点数で大学は厳しいかと・・・」

 

 

 

 

 

「花音から話を聞いたことはあるが・・・弦太朗、流石の私も話を聞いた範囲では大学は信じられないね・・・」

 

「ん~・・・ゲンちゃんが大学のイメージが全然ないよね~」

 

「勉強はできないけど頭の回転が良いみたいなタイプですからね」

 

「紗夜から話聞いた感じだと友希那と同じレベルらしいし、相当だよね~」

 

「リサ。私は如月よりは・・・って何その目は、それに誰か何か反応してくれないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、だったらこれを見やがれ!!」

 

ここまで散々な言い様の彼女達。

そんな彼女達の言葉に弦太朗は内心怒りを覚えると、マグフォンを取り出して彼女達に突き付けるとそこには1枚の写真が写っていた。

 

「嘘っ・・・本当に合格通知です・・・」

 

「あり得ません!!あり得ません!!あり得ません!!」

 

「偽造したのかしら・・・?」

 

「紗夜も千聖も落ち着きなって~。もしかしたら偏差値とか低いとこかもしれないし」

 

「それでどこの大学なんだい?」

 

「瀬田さん。学校名が書いてあるわ・・・宇宙京都大学・・・?」

 

「ふえぇ~!?京都なんて凄いね・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~!?本当ですか!?」

 

「麻弥ちゃん、知ってるの?」

 

「彩さん!!宇宙京都大学・・・通称宇宙京大は工学系・・・特に宇宙工学の分野では日本有数の学校ですよ!!」

 

「宇宙!?面白そう!!」

 

「これは悪い夢です・・・!!日菜、私の頬を抓ってもらえるかしら?」

 

「おねーちゃん?いいけど・・・」

 

いふぁい(痛い)ゆめふぁない(夢じゃない)・・・!?」

 

 

 

 

 

「それに・・・SNSで合格通知を乗せている方たちと同じ形式ですから・・・本当に・・・!?」

 

「弦太朗・・・仮に合格通知が本物だとして・・・。裏口入学のために学校にいくら積んだのかしら?」

 

「積んでねぇよ!!ってそうだった」

 

弦太朗の見せた合格通知の写真が未だに信じられず、未だに騒がしくしている彼女達。

挙句の果てには裏口入学を疑い始めた千聖に彼は声を挙げてツッコむと、弦太朗はあることを思い出して、一旦大学の話を放り出して話を変えることにした。

 

 

 

 

「まぁ、俺の大学合格はいいんだけどよ・・・」

 

「いえ、全然よくないですが・・・」

 

「紗夜の言う通りよ」

 

「だぁ~!!とりあえず、それよりもあの変なギターの事だ!!まりなさん、こいつらどうにかしてくださいよ!!」

 

「あぁ~・・・そうだよね。今日はそのために来たんだったね。みんな、とりあえず一旦如月くんの話を聞いてあげなよ~」

 

まりなの言葉に彼女達は納得は言ってないようだったが、一旦は大学のことよりも彼がやってきた目的である石のギターについての話を聞くことにした。

そして、何とも言えない空気の中で弦太朗が1つのお願いを言い始めた。

 

「今日来る前、賢吾に言われたんだけどよ。あのギターことを余り言いふらしたりしないでくれってよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・!?」

 

「彩ちゃん・・・?あなた・・・何かやったのね?」

 

「千聖ちゃん~!!目が笑ってないよ~!!」

 

弦太朗が賢吾から言われたことをそのまま彼女達に伝えると、彼の言葉を聞いた途端に彩の顔から一気に冷や汗が溢れ出していたのを千聖は見逃さずに黒い笑みを彩に向けて何をやらかしたのかを問い詰める。

 

そして彼女は即座に自身の犯した過ちを告白した。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・その・・・。その写真、もうSNSにアップして・・・バズっちゃった・・・」

 

「彩ちゃん・・・?」

 

「ちょっと何やってんだよ!?」

 

 

 

 

「ふぇ~ん!!ごめんなさ~い!!」

 

「しかも、ここまで広がったら・・・今更消してももう遅いですね・・・」

 

「そうっすね・・・」

 

彩は顔面蒼白になりながら、自身のSNSに投稿した内容を見せる。

そこには光る石のギターを持ち上げている香澄とそれを見て固まっている蘭やつぐみ達、そして完全に見切れたモニカとRASの面々をバックに自撮りしている彩の写真と大量のコメント。

 

それを聞いた千聖は完全に怒りの笑みを彩にぶつけると彼女は泣きながら謝り始めて、燐子と麻弥は余りの反響にもうどうしようも無いと諦めの境地に入ってしまっていた。

 

 

 

 

しかし、この1枚の投稿がこの街を巻き込んだ最悪の事件を引き寄せてしまうのだった。

 





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ズン2時系列なのでMyGO!!!!!の出番は完全に迷子になりました



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Chapter-02 ガールズ・ピンチ・パンチ

待たせたな・・・!!
まず最初にバチコリ戦ってもらいますか・・・


 

弦太朗がCircleに現れたのと同じ頃―――

羽丘女子学園ではAfterglowの5人が廊下を歩いていた。

 

「うぅ~!!体育終わったね!!」

 

「てか、巴はやりすぎ・・・」

 

「そうか?」

 

 

 

「あはは・・・マラソンで陸上部よりも早くゴールしちゃうのはすごいよ・・・!!」

 

「ま~ま~トモちんらしいということで~」

 

 

 

 

 

「あっ!!お姉ちゃん達だ!!」

 

「ちょっとあこ、廊下だから・・・」

 

寒くなってきた時期に屋外の体育という学生にとっては辛い授業をこなした彼女達だったが、巴の身体能力に完全にドン引きしつつ自身の教室へと戻っていく最中で彼女はあこ達1年生3人組とすれ違っていた。

 

「なんだ?あこ達は次、体育か?」

 

「そうだよ~・・・うぅ・・・寒いから外行きたくないよ~」

 

「まぁ、実際に寒かったからね。あたしも早く暖かい教室に戻りたい・・・」

 

「そんな~・・・」

 

 

 

 

「そういえば先ほどリサ先輩から連絡があって、如月先輩がこっちに来てるそうですよ?」

 

「「六花(ちゃん)本当!?」」

 

「えっと・・・はい。皆さんのとこにも連絡が入ってると思います・・・」

 

 

 

「2人とも・・・急いで着替えないと、授業に遅れちゃうよ?」

 

「明日香ちゃん・・・」

 

「あっ・・・。みんな、またね~・・・」

 

すれ違ったあこ達と2,3言葉を交わして彼女達は教室へと戻っていくと、ロックに言われたことを確認するために皆が自身のスマホを確認するとすぐにモカの席に集まっていた。

 

「リサさん達から連絡が来てたよ!!」

 

「Circleにいるってことは・・・アレのことだよね?」

 

「つぐ・・・アレってもしかして、Circleの床から生えてきたっていう変なやつのことか?」

 

「うん。そうだよ」

 

「とりあえず・・・

 

「「Circleに行かないと・・・!!」」

 

「まだ授業あるのに何やってんだよ・・・」

 

「「巴(ちゃん)離して~!!」」

 

 

 

 

「まぁまぁ、多分リサさん達が一緒にいるから放課後に会いに行けばいいと思うな~」

 

「・・・そうだね!!ってそろそろ授業始まっちゃう!!」

 

「放課後まで頑張ろう!!」

 

 

弦太朗がいると聞いたひまりとつぐみは学校を抜け出してCircleへと向かおうとしたが、速攻で巴に捕まってしまった。

そんな2人を見たモカはやれやれと言った表情を浮かべたモカが宥めると、次の授業に備えていた。

 

しかし、弦太朗がこっちに来ているということもあってひまりは全く授業に集中できずに、何気なくその視線を窓の外に視線を向けると――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁああああ!!」

 

「ひまりちゃん!?ちょっと授業中だよ!?」

 

「何騒いでるの?」

 

「あれ!!」

 

授業中にも関わらずひまりは絶叫して、教師と生徒達の視線を集めるがそんなことを気にすることも無く彼女はそのまま窓を開け放って、そこから見える校庭を指差すと殆どの生徒達が窓からひまりが指差した方向を確認すると言葉を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「嘘・・・なんで!?もう終わったはずだよね・・・!?」

 

「なんでアイツらがここに居るの!?」

 

彼女達が見下ろした校庭―――

そこには今にも生徒達を襲おうとしていたダスタード達と、その姿に怯えている生徒達の姿が広がっていた。

 

「どうすんの!?」

 

「ちょっと!!あれ見て!!」

 

 

 

 

 

 

「みんな!!早く!!六花!!あこ!!」

 

「そうだよ!!体育館に逃げて~!!」

 

「急いでくださーい!!」

 

しかし、そんな中で明日香はすぐに我に返って他の生徒達を逃がそうと声を挙げると、あこ達もその言葉を繰り返すと生徒や教師たちも急いで体育館に向かって走っていく。

 

その最後尾を3人も追いかけていたが校舎のすぐ近くの位置でダスタード達に囲まれてしまった。

 

 

「明日香ちゃんに六花ちゃん!!あこちゃん・・・!!」

 

「囲まれちゃったよ!!」

 

「3人も逃げて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひまり!!どけっ!!」

 

「巴ちゃん!?どうす―――!?」

 

そんな危機的な状況を前にして思わず声を挙げてしまった彼女達だったが、突如として巴がひまりに向かって叫ぶと彼女は思わず振り返る。

 

「「「えっ!?」」」

 

 

 

「うぉぉおおおおおお!!」

 

振り返ったその視線の先では巴が机の上を駆け出してそのまま3階の教室の窓から飛び降りる。

その場にいた全員が巴の行動に驚愕していたが、巴はあこ達3人を囲んでいたダスタードの1体の頭部へと落下の勢いを乗せて回し蹴りを見舞いながら着地していた。

 

 

 

「お姉ちゃん!?」

 

「大丈夫か!?」

 

「うんっ!!」

 

「えぇぇぇ!?2年生の教室って3階ですよね!?」

 

「そんなこと言いから早く逃げろ!!」

 

「あこ、行くよ!!」

 

「お姉ちゃん!!でも!!」

 

突如として人が降ってきたことに驚く3人だったが、落ちてきた本人はそれを気にする様子もなく3人に声を張り上げる。

しかし、あこは言う事を聞こうとしなかったが、それを横からロックと明日香の2人が腕を掴んで連れて行こうとするがあこはそれすら聞こうとしていなかった。

 

「あこちゃん・・・!!巴先輩の邪魔になっちゃうから!!」

 

「ろっか!!でも!!」

 

 

 

「・・・おらっ!!・・・早く行け!!」

 

「スイマセン!!お願いします!!」

 

「2人とも!!離してよ!!」

 

巴の言葉を聞いた2人によってあこはその場から連れて行かれたが、1体のダスタードが巴に向かって刀を振り下ろそうとしたがその腕は巴によって蹴り飛ばされると身体ごと吹き飛ばされると塵になって消滅した。

 

「巴ちゃん!!」

 

「つぐ!!」

 

「他のみんなは私達がなんとかするから!!無茶しないで・・・キャ!!」

 

「つぐ!!」

 

吹き飛ばされたのを見た他のダスタード達は武器を構えつつ、巴から距離を取りながら彼女を完全に囲い込むとそのタイミングで教室から聞こえたつぐみが声を挙げるが、巴を囲んでいたうちの1体がその声に目掛けて爆弾を投げつける。

 

幸いなことに爆弾は窓の少し下に当たって爆発を起こして彼女には怪我がなかったが、その行動に巴の中で何かが切れると彼女は肩の力を抜いて目の前を見据えていた。

 

 

 

 

 

「大体2ヵ月ぶりで残りの相手は6体・・・!!行くぞっ!!」

 

ダスタードに囲まれていると言う圧倒的に不利な状況で呟いたその言葉と共に、巴は目の前のダスタードに向かって駆け出していくのだった。

 


 

羽丘で事件が起こったのと同じ頃―――

花咲川のガールズバンド達は廊下に集まっていた。

 

「弦太朗くんがこっち来たみたいだよ?」

 

「りみりん、ゲンちゃんこっちに来てるの!?」

 

「まぁ、昨日のあれのことだろ?それにしても行動早ぇな・・・」

 

 

「サーヤさん。まだ授業があるのにどこ行こうとしてるんですか?」

 

「ちょっとイヴ離して!!」

 

「沙綾、何やってるの?」

 

 

「こころん!!はぐみ達も行こ?」

 

「そうね!!」

 

「ちょっと2人とも、まだ授業があるからダメだって!!」

 

 

 

 

「何やってんだよ・・・」

 

「本当にね・・・。山吹さんまで何やってんだか・・・」

 

「弦太朗くんに会いたかったんだね・・・」

 

こころとはぐみ、沙綾が学校を抜け出そうと動くも即座に美咲やイヴによって確保され、そんな3人の姿に有咲と美咲にりみまでもが呆れた表情を浮かべていたが、実際に彼女達も先日の件について彼に確認したいという考えがあったためそこまで強く3人を責めることが出来ずにいた。

 

 

「あぁ~!!早く授業終わらないかな~!!」

 

「香澄、そんなのある訳・・・」

 

香澄の欲望が口から漏れて思わずツッコミを入れてしまった有咲。

そんなことはある訳がないのに口にしてしまった香澄に再び呆れてしまったが―――

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・!!」

 

「はぐみ?どうしたの・・・?」

 

「あれっ!!」

 

 

 

「んだよ・・・って嘘だろっ!?」

 

「なんで・・・!?」

 

「もう事件は終わったはずだろ!?」

 

突如としてはぐみが声を挙げるとその視線の先にはダスタードの大群が花咲川の学内に侵入してくる光景が広がっていた。

突然の事態に驚きを隠せない一同だったが、そんな彼女達を見つけた大群は他の生徒達には目もくれず、一斉に彼女達目掛けて駆けだしてきていた。

 

「あかん!!こっち来てる!?」

 

「若宮さんの武器が何もねぇから、一旦別れて逃げんぞ!!撒いたら生徒会室集合だ!!」

 

「うんっ!!」

 

「分かったわ!!」

 

迫ってくるダスタードを見て咄嗟に有咲が声を挙げると、皆がその声に従ってたまたま同じクラスで3組に分かれて逃げ出していくとその後を追いかけるようにダスタードがその後を追いかけてくるが―――

 

 

 

 

 

 

「はぐみ、イヴ。こっちには来てないよ・・・?」

 

「ホントだ!!どうしてだろ・・・?ってイヴちん!?どこ行くの?」

 

 

 

「このままでは他の人達が危ないです!!私は一度、部室へ行きます!!」

 

「だったら、はぐみも行くよ!!」

 

「じゃあ私も・・・」

 

「分かりました。最短のルートで行きます!!」

 

E組の3人はたまたま逃げる方向が一緒だったが、その後を誰も追いかけてこないことに3人は疑問を感じていたが、イヴはその疑問を振り切って有咲が言っていた生徒会室に背を向けて部室棟の方へと向かっていく。

 

 

比較的平和なE組。

B組も同じように平和―――とはいかなかった。

 

「追いかけてきてるわ!!・・・どうしたらいいのかしら?」

 

「りみ・・・!!」

 

「沙綾ちゃん!!来てるの1人だけやし頑張って!!こころちゃんも・・・!!」

 

「分かったわ!!」

 

 

 

 

 

 

「きゃ!!」

 

「大変だわ!!」

 

「りみ!!」

 

「あかん!!」

 

B組を追いかけてきたのは1体のダスタードに追いかけられていた。

こころと沙綾はともかくとして、運動が苦手なりみは既に辛そうな表情を浮かべて、2人を励ます声を出して廊下を駆けていたが、最悪のタイミングでりみの足が縺れてそのまま床に転んで声をあげてしまい、近くにいた沙綾が無意識に足を止めて、沙綾はその声を無視してりみに駆け寄って彼女を起こすが―――

 

「りみ!!」

 

「あかん!!捕まってまう・・・!!」

 

2人はダスタードに追い付かれて逃げられないと覚悟したが、ここで不思議な出来事が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あれ・・・?」」

 

「あら?こっちに来たわ!!あたし鬼ごっこは得意よ!!2人とも後で会いましょう!!」

 

追いついたダスタードがそのまま2人の横を通り抜けて、そのままこころの方へと駆けていく光景に思わず声が挙がったが、こころはそのままダスタードを引き連れて校舎の中を駆け出していく。

 

その光景を前に呆気にとられた彼女達だったが、ひとまずの危機は去ったことに安堵を覚えてしまったがすぐに我に返って立ち上がった。

 

「とりあえず・・・生徒会室に・・・逃げられたら弦太朗くんに連絡を・・・」

 

「うん・・・みんな無事だといいけど・・・」

 

こうしてこころと別れてしまったりみと沙綾はそのまま注意しながら生徒会室へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして残るA組は――――

 

「嘘ぉおおおお!!殆どこっちに来てるぅぅううううう!!」

 

「どうなってんだよ・・・!!」

 

「知る訳ないでしょ・・・!!」

 

学内に侵入したダスタードのほぼ全てがA組の3人を標的に駆け出してきていた。

余りの絶望感に香澄が声を挙げて叫ぶがそんなことをツッコむ余裕はもう誰にもなかった。

 

「でも、どうするの!?私と戸山さんはともかく、市ヶ谷さんはすぐに捕まるでしょ?」

 

「どうもこうも・・・!!」

 

3人の中で絶望的に体力のない有咲はこのままではすぐに捕まってしまうと危惧した美咲だったが、有咲は逃げる中で必死に頭を回していた。

 

 

「・・・くっそ!!どこにどんだけ追って来てるか分かんねぇ・・・!!」

 

「有咲!!そう言えばおたえ達の方は誰も追いかけてきてなかったよ!!」

 

「あ~・・・たしかはぐみと若宮さん・・・E組の人達だ・・・」

 

香澄と美咲から漏れた言葉。

その短いワードと花咲川の生徒の性格から彼女は即座に策を練っていた。

 

 

 

 

 

 

「よし!!少しだけ遠回りして部室棟の方に回るぞ!!」

 

「有咲~!!どういうこと~!?」

 

「うっせぇ!!疲れるからこれ以上しゃべらせんな!!」

 

「よく分かんないけど・・・市ヶ谷さんが言うなら・・・!!」

 

他の2人は有咲の考えが全く分かってないが、彼女の言葉に従って遠回りして時間を稼ぎながら学内を逃げ回る。

 

そして走り続けて数分が経ち―――

 

「部室棟まで来たけど・・・どうすんの?」

 

 

 

 

「だぁああああ!!もう走れねぇ!!」

 

「ちょっと有咲!?止まっちゃダメ!!」

 

部室棟の前まで辿り着くことには成功したが、そのタイミングで有咲は体力の限界を迎えてしまいそのままゆっくりと歩き出してしまう。

香澄が有咲に向かって叫ぶが、ダスタード達は有咲を取り囲もうとじりじりと歩み寄っていく。

 

絶体絶命の状況に追い込まれた有咲だったが、彼女は自身に意識を向けたこのタイミングを待っていた。

 

 

 

「・・・今だ!!若宮さん!!」

 

 

 

 

 

「ブシドー!!」

 

「流石にダンス部の部室から飛び出してきたのは想定外だったな・・・」

 

有咲の叫びに応えるように勢いよく開け放たれたダンス部の部室から躍り出るとその勢いで手に持っていた木刀をダスタードの側面から首へと突き立てて、怯んだ隙にダスタードが手に持っていた刀を奪い取ってそのまま有咲を庇うように立ち塞がった。

 

「お待たせしました!!」

 

 

「若宮さんの事だから部室に木刀取りに行くと思ったから、アイツらの後ろから攻めさせようとしたけど・・・何でダンス部に?」

 

「ハグミさんです!!」

 

「なるほどな・・・」

 

「後は任せてください・・・!!」

 

イヴがダンス部から飛び出してきた理由に納得してしまった有咲はイヴに言われるがまま、そのまま後ろに下がっていく。

 

下がっていくのは良かったが―――

 

 

「美咲~!!香澄~!!あら!!こっちに沢山いるわ!!」

 

「こころ!?・・・ってあっちに1体いるの!?」

 

 

 

 

「最悪だ・・・!!ハロハピは想定外のことばっかりしてくるな・・・!!」

 

「ちょっとこころ!!」

このタイミングで沙綾達と別れてダスタードと鬼ごっこを続けていたこころが香澄達の背後から現れてしまい、最悪のタイミングで挟み撃ちの状況になってしまったがこころはそのままそんなことお構いなしに美咲の元へと駆け出していく。

 

そのままこころは美咲に元へと向かうと彼女を追いかけていたダスタードは刀を振り上げる。

標的はこころ、ではなく――――

 

 

「・・・戸山さん危ない!!」

 

「きゃ!!」

 

「美咲・・・!!」

 

近くにいた香澄に振り下ろしたが、咄嗟に美咲が香澄を引き寄せるとその刀は空を切った。

しかし、その妨害を受けたダスタードは今度は美咲に標的を切り替えると振り下ろした刀を美咲に突き出し、こころが叫ぶ―――

 

 

 

 

「このっ!!」

 

「凄いわ!!」

 

「マジか・・・。一本背負いかよ・・・!!」

 

「お見事です!!」

 

「黒服さんに教わって良かった・・・!!」

 

しかし、美咲はその突き出された刀を躱すとその腕を掴んでダスタードをそのままイヴが対峙していたダスタード達の方へと投げ飛ばしていた。

 

皆が驚いている中で美咲は黒服に教わった技が役に立ったことに感謝しながら、イヴの横まで歩いていく。

 

「10体くらいいるけど・・・若宮さん、いける?」

 

「はい!!前は任せてください!!」

 

「そんじゃ、あたしはこころ達に向かってるのをなんとかしますか・・・!!」

 

 

「では、参ります・・・!!」

 

こうしてイヴと美咲は襲撃してきたダスタードに立ち向かっていくのだった。

 

 





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Chapter-03 エネミーメテオシャワー

投稿です。

バチコリ戦ってるその裏で―――こんなになっちゃいました。

※今回、劇場版と言うことでルビ以外にも特殊タグを使ってます。
見にくかったりしたら指摘オネシャス!!
以前のアンケ、ズン3の場合は前話冒頭のセリフを言ったのはオーナー孫になる予定でした


 

「うぅ・・・うぇ~ん・・・!!」

 

「彩ちゃん・・・?なんでこうされてるか分かってるわよね?」

 

彩の暴走が発覚した現在。

当の本人は冷たい床に正座させられて目の前にいる阿修羅(千聖)の怒りを前にして、人目を憚らず大号泣してしまっていた。

 

「うぅ・・・だって~・・・!!」

 

「だっても何もないわよ。あなた、アイドルって自覚が足りてないんじゃないかしら?それにこれ、リサちゃんと友希那ちゃんも写ってるわよね?今回は問題にはならないけど、下手したら事務所間でのトラブルになったかもしれないのよ?」

 

「だって、いいネタだと思ったんだよ~!!リサちゃん~助けて~!!」

 

「あはは~・・・流石に擁護できないかな~」

 

「彩ちゃん?何でリサちゃんに助けを求めてるのかしら?頭の中までふわふわピンクになっちゃったのかしら?」

 

彩は咄嗟に近くにいたリサに助けを求めたがやんわりと断れてしまい、それが返って千聖の火に油を注いで大炎上している様子を見た他の面々は軽く引いてしまっていた。

 

 

「千聖の奴・・・やべぇな・・・」

 

「えぇ・・・凄いわね・・・」

 

 

「そだね~・・・いつもより多めに怒ってるね~」

 

「ちょっと日菜。あなた、もう少し空気を読んで・・・」

 

「あはは・・・でも、千聖さんがあそこまで怒るのも珍しいですけどね・・・」

 

 

「市ヶ谷さんに止められてたらしいですから・・・擁護できそうにないですね・・・」

 

「ふっ・・・儚い・・・」

 

「ふえぇ~!?」

 

 

 

「あの~、千聖ちゃんもうその辺で許してあげたら・・・?特に誰かの迷惑になってる訳でもないんだし・・・」

 

ドン引きしながら話始めていた彼女達だったが、唯一の大人であるまりなが苦笑いを浮かべながら彩に助け船を出していた。

 

「・・・そうですね。お店の中ですもんね・・・。彩ちゃん?次はないわよ?」

 

「うん・・・」

 

ひとまずは千聖からの説教が終わった。

そう思ったタイミングで――――

 

 

 

 

「リサと燐子、2人とも電話鳴ってるよ?」

 

「本当だ・・・事務所から・・・じゃないよね?」

 

「同じタイミングですから事務所ではないと思いますが・・・市ヶ谷さん・・・?」

 

「こっちもひまりからだ・・・。でも、変じゃない?今、授業中のはずだよ?」

 

リサと燐子のスマホが鳴り、その音を聞いた2人はスマホを取り出して発信者の名前を確認したが思わず首を傾げてしまった。

 

3年生は自由登校と言うことで学校にいない生徒が大半だが、1,2年生は普通に授業のはず。

それにも関わらず電話がかかってきていることが信じられないのだが、とりあえずこのままでは埒が明かないので一旦二人で電話に出ることにした。

 

「もしもーし」

 

「もしもし・・・」

 

何気なく出たその電話だったが―――

 

 

 

 

 

 

『リサさん!!弦太朗くん呼んでくださーい!!』

 

『燐子先輩!!そこに如月居ますか!?」

 

 

 

「俺・・・?」

 

「ゲンちゃん、変じゃない?すっごい焦ってるみたいだよ?」

 

2人から離れているにも関わらず、ハッキリと電話の向こうで弦太朗が呼ばれたのが聞こえてきた。

しかも、2人揃ってかなり焦っている様子がハッキリと感じ取れていた。

 

「如月さん・・・?今は一緒ですけれど・・・」

 

「ひまり?どうしたの?何かあったの!?」

 

 

『『学校が襲われてる(の)!!』』

 

「「「「「えぇ~!?」」」」」

 

「2校で同じタイミング!?えっと・・・!!どうなってるんですか!?」

 

 

 

 

『えっと!!あこちゃん達のクラスが体育してたとこに黒い奴らが出てきて!!逃げ遅れたあこちゃん達が見た巴が校舎から飛び降りて今戦ってるけど囲まれちゃってるんです~!!』

 

『休み時間中に急にあのニンジャが校内に乗り込んできたと思ったら、急に私達と弦巻さんを追いかけて来たんですよ!!それで今は若宮さんと奥沢さんが時間稼ぎしてますけど、数が多すぎて・・・!!10以上います!!』

 

電話の向こうから聞こえた言葉にその場にいた全員が驚きの声を挙げてしまったが、なんとか我に帰れた麻弥がそれぞれの様子を聞くがどちらも危機的な状況なのは変わらなかった。

 

「くそっ!!どっち行けばいいんだよ・・・!!」

 

 

 

 

「如月さん!!!羽丘の方が数が少ないんですから羽丘を先に終わらせるべきです!!」

 

「う~ん・・・花咲川じゃない?お姉ちゃんの言う事も分かるけどさ~。つぐちゃんだったらみんなを避難させてるだろうし、それに巴ちゃんだったら大丈夫でしょ?」

 

「そうですね・・・話を聞いてる限りだと、狙われてる人が多いのは花咲川だと思いますけど・・・」

 

「でも、巴ちゃんは1人なのよ?いくら巴ちゃんでも1人だったら多勢に無勢じゃないかしら?」

 

「千聖ちゃん、イヴちゃん達の方にいっぱいいるんだったら早く行ってあげたほうがいいよ!!」

 

「彩さん!!羽丘には巴さんしかいないんですから、相手がバラバラになったらどうにもならないですよ!!」

 

2ヵ所で同時に現れたダスタードを早く何とかしなければいけない状況で弦太朗が迷ってしまう。

そんな状況でCircleにいた彼女達の中でもどちらに弦太朗を向かわせるかで意見が割れてしまったことが更に彼を動きにくくしていた。

 

「ゲンちゃん!!花咲川行って!!」

 

「日菜!!先に羽丘です!!」

 

 

 

 

 

 

「リサ、どっちがいいのかしら・・・?」

 

「友希那はそんなこと聞かなくていいから!!弦太朗!!どっちでもいいから―――」

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくれないか?」

 

「薫あなたね!!こうしている間にイヴちゃん達が・・・!!」

 

 

氷川姉妹の意見が食い違い続けて、遂にリサが痺れを切らして弦太朗を送り出そうとしたタイミングで薫が待ったをかける。

そんな薫に対して千聖の怒りのボルテージは最大になり彼女に向かって声を荒げるが、当の本人は何かに気づいて外に視線を向けながら予期せぬ言葉が飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、招待していないゲストが来たみたいだ」

 

「あなた、何言って・・・!?」

 

「嘘っ!?」

 

「ふえぇ~!?ここにも来たのぉ~!?」

 

彼女達の目の前にはあろうことか学校に現れたダスタードの大群が押し寄せてきていたのを見て弦太朗が外に飛び出すと、彼女達も何故かその後ろについて大軍を確認するが、その中には一部の面々にとっては見たくもない顔ぶれが揃っていた。

 

 

 

 

「私が変身したカメレオン・・・紗夜ちゃんやひまりちゃん、それにこころちゃんのまで・・・!!」

 

「ですが・・・これじゃどっちにも行けません・・・!!」

 

「戸山さんや宇田川さんが変身してたのはいないわよ・・・?」

 

「それにジブンには色んなとこに出てきている目的が分かりませんよ・・・!!」

 

 

 

「巴達には悪いけど・・・これで迷う暇もなくなった・・・!!一気に行くぜ!!」

 

Circleに現れたのはダスタードだけではなく、彼女達が変身したゾディアーツまでもがその場に現れていた。

 

不幸中の幸いと言うべきか、12使徒のゾディアーツがいないだけほんの少しはマシだが、それでもここで戦えるのは弦太朗ただ1人。

必然的に彼はこの場に残らざるを得なくなっていたが、当の本人は迷う事すら出来なくなって完全に吹っ切れてドライバーを装着して流れる動作でスイッチを叩く。

 

そんな彼を見届けるかのようにゾディアーツ達は足を止めて弦太朗を警戒し始めたのと同じタイミングでドライバーからのカウントダウンが響き渡っていく。

 

 

 

 

3――――

 

――2――

 

――――1

 

 

「変身!!」

 

先ほどまでとは違い、今回は戦士としての覚悟を胸にしながらその言葉と共にレバーを押し込んでその手を宙へと伸ばすと宇宙の力が弦太朗を包む。

そして彼は腕を振り払って、仮面ライダーの姿へと変身した。

 

「宇宙・・・―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「キターーーーーーーーーー!!」」

 

「・・・とりあえず、中に入ってましょう。如月、頼んだわよ」

 

「おう!!」

 

いつもの言葉と共に両腕を突き上げてフォーゼが叫ぶとそれに合わせて日菜も叫ぶ。

 

叫ぶ2人に友希那が呆れていたが、彼女達はフォーゼの邪魔にならない様にCircleの中へと入っていくが、フォーゼは彼女達の方を振り返ることもせずに変身前のリーゼントをかき上げるような仕草をしてから拳を前に突き出す。

 

 

 

 

「仮面ライダーフォーゼ!!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

その言葉を引き金にして足を止めていたゾディアーツ達は一斉にフォーゼに襲い掛かっていくのだった。

 





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Chapter-04 スイッチ・マッチ

ちゃんとした戦闘シーンや・・・!!
ってことで投稿です。




 

――ロケットON――――――――

 

 

 

 

 

「ライダーロケットパーンチ!!」

 

彼はドライバーに装填されているロケットを起動すると向かってくるゾディアーツ達を纏めて殴り飛ばしてCircleから引き剥がしていく。

 

 

 

「今度はこいつを食らえっ!!」

 

 

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

 

殴り飛ばされたゾディアーツ達は標的をフォーゼに定めると今度はゾディアーツの後ろに控えていたダスタード達が向かってきたが、それを冷静にランチャーとガトリングを起動して、銃弾とミサイルによる弾幕でダスタードを消し飛ばしながらドライバーのスイッチを交換していたが、その爆炎の中をペルセウスが剣を振り上げながら突進していた。

 

「ゲンちゃん!!危ない!!」

 

「うおっ!?アブね!!」

 

 

 

「ちょっと日菜!!あなた何やって・・・!!如月さん・・・!!」

 

 

フォーゼのピンチを見た日菜がCircleから出てきて声を挙げてしまうそんな彼女達の目の前でフォーゼは声を出してペルセウスの剣を避けるが、挙げている声とは裏腹に全く危なげなく剣を回避するとそのタイミングでペルセウスの左腕が迫っていた。

 

「これで・・・!!」

 

――――――――パラシュートON――

 

 

 

 

 

 

 

「パラシュート・・・?なんで・・・今?」

 

迫るペルセウスの左腕に対して、フォーゼは腕を突き出してパラシュートを起動する。

殆どの面々がその意味が分からなかったが、次の瞬間にその行動の意味を理解した。

 

―――殆ど一瞬だけパラシュートが膨れるとそのまま力なく地面へ落ちていく。

 

しかし、ペルセウスの腕はその一瞬だけ膨らんだパラシュートの中へと腕へと絡みつき、絡みついたパラシュートもろともペルセウスの腕は石化していた。

 

「何がどうなってるのかしら・・・?」

 

 

 

「パラシュートを盾代わりにしたってこと・・・!?」

 

「ふえぇ~!?」

 

「弦太朗・・・まさか・・・アレを狙って・・・!?」

 

「すごいすごいよ!!如月くん!!」

 

 

 

「おらっ!!へへっ・・・どうだ!!のわっ!?」

 

左腕が完全に死んだペルセウスへと前蹴りを見舞うとペルセウスが後ろに仰け反るが、それと入れ替わるようにしてリンクスがフォーゼを地面に押し倒す。

 

 

 

「こいつ・・・!!いててててっ!!・・・だったら・・・!!」

 

地面にフォーゼの身体を擦りつけるようにしながら駆け出していくと、フォーゼの背中からは盛大に火花が飛び散っていくが、その状況を打破するためにドライバーのスイッチを入れ替えていく。

 

――――ウォーターON――――――

 

リンクスに地面を引き摺られながらもフォーゼはウォータースイッチを起動すると、その腹に足を高圧の水を叩き込むと水圧に負けてそのままフォーゼから離れて、ペルセウスの方へと飛ばされていく。

 

そのタイミングでフォーゼは地面に倒れたままで再びドライバーへと手を伸ばした。

 

――ファイヤーON――――――――

 

―リミットブレイク―

 

 

「食らえ!!ライダー爆熱シュート!!」

 

「やったよ!!千聖ちゃん!!」

 

「彩ちゃん。見れば分かるわよ・・・」

 

 

「どうだっ!!うわっ!?」

 

「犬が鎖を投げてるわね・・・」

 

 

「如月くんが武器を落としちゃったよ~!?」

 

ファイヤーステイツへと変身を完了させるとノータイムでドライバーのスイッチをそのままヒーハックガンへと装填して、ペルセウスとリンクスがいる方向へと放つと放たれた弾はそのまま2体に直撃すると近くにいたダスタード達を巻き込みながら巨大な火柱を上げる、柱に呑まれた2体はその火柱の中で爆散した。

 

その光景を見た彩達は歓声を上げて喜んでいたが、僅かな隙をついてハウンドが鎖を投擲するとフォーゼの右腕に当たって手に持っていた武器を取り落としてしまう。

 

「まりなさん。でも強そうなのは後1体だけですよ・・・」

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ~?友希那ちゃん・・・2体じゃないの・・・?」

 

「松原さん。だってあそこにいるのは犬だけじゃない・・・」

 

「友希那さん・・・さっき爆発したのは2体でしたから・・・」

 

「ちょっと友希那~。最初4体いたんだから数が合わないでしょ~?」

 

「本当だ!!リサちゃんの言う通りで数が合わないわよ!?」

 

 

 

 

 

「まりなさんのいう通りだが・・・逃げ出したのか・・・それとも倒したのを見逃したのか・・・。つまり・・・」

 

彼女達の目の前に残っているゾディアーツはハウンドだけだが、、爆発を起こした数と最初の現われた数が合わない。

 

状況が分からない面々が声を疑問を声に出していたが、この状況に声を挙げたのは彼女(アイドル)達だった。

 

「あっ!!そっか!!あの時のだ・・・!!」

 

「彩さん・・・?あっ!!そうですね!!薫さん、つまりはそう言う事です!!ね?千聖さん!!」

 

「麻弥ちゃんの言う通りよ!!弦太朗!!」

 

 

 

 

「分かってるけどよ・・・!!カメレオンが消えちまってる・・・!!」

 

カメレオンに変身し、その戦闘を間近で見ていた彼女達はすぐに状況が理解できた。

理解は出来ていたがこの状況をどう対処すればいいのか弦太朗にはすぐに思い浮かばない状況に若干焦りを見せていたが―――

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!モクモクからのギュルギュル~とバコーンだよ!!」

 

「日菜・・・?あなた何を言ってるの・・・?」

 

 

 

 

 

「・・・分かった!!」

 

日菜から擬音だけのとてつもなく抽象的過ぎる作戦が飛び出して姉である紗夜ですら意味が分からず困惑するが、フォーゼはその指示の意味が理解でしたのかドライバーに装填していたスイッチを全て交換していた。

 

――――スモークON――――――

 

「モクモクだ!!」

 

 

 

 

「スモーク・・・?確かにモクモクで意味が分からなくはないけど如月くんも何も見えないわよね?」

 

「ふえぇ~!?何にも見えないよ~!!」

 

 

 

「花音、まりなさん。つまりそう言う事さ・・・」

 

「瀬田さん・・・?あなた何を言って・・・?」

 

「あっ・・・もしかして・・・」

 

「燐子?何か分かったの?」

 

 

 

「見つけたっ!!そこだっ!!」

 

――――ホイールON――――――

――――――――ハンマーON――

 

 

「食らえっ!!」

 

何を思ったのかフォーゼがスモーク撒き散らし始めた意味が彼女達には全く分からなかったが、突如としてスモークの一部が不自然に歪む。

 

それを見つけたフォーゼはホイールとハンマーを起動するとその歪みに向かって猛突進しながらハンマーを振り下ろすが、そのハンマーは中途半端な位置で止まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「あら?何か叩いたように見えたのだけれど・・・?」

 

「ふえぇ~!?いきなり何か出てきた~!!」

 

「周囲の風景と同化してたのをスモークの動きで見つけたんですね・・・」

 

普通だったら視界を遮るためのスモークだが、日菜はそれを隠れているカメレオンを見つける為に使うことを思い付いた。

 

流石に日菜の独特過ぎる感性から出た言葉の意味を彼女達は誰にも理解出来てはいなかったが、フォーゼだけはその意図を汲み取って即座に行動に移して見事にカメレオンを見つけだした。

 

 

 

「そしたらゲンちゃん!!ビリビリで決めちゃえ~!!」

 

「おう!!」

 

――エレキON――――――――

 

―リミットブレイク―

 

「見えてるぜ!!・・・ライダー100億ボルトシュート!!」

 

そのまま見つけたカメレオンを仕留めるため、フォーゼは言われたままにスイッチを交換してファイヤーステイツからエレキステイツへと変身すると同時に生成されたビリーザロッドへとスイッチを装填して構えると、カメレオンが姿を消そうとしていたが、スモークのわずかな揺れを目掛けてロッドを振り抜き、斬撃に似た衝撃が姿を消していたカメレオンに直撃するとそのまま周囲のダスタードを巻き込んで爆散すると、最後にはハウンドだけが残されていた。

 

「これで本当にあの犬だけだね!!」

 

「そうだね花音」

 

「如月くん!!いっけ~!!」

 

「割って・・・挿す!!ってアブねぇ!!」

 

―――N―――――――

―――――――S―――

 

―――マグネットON ―――

 

 

フォーゼがそのままの勢いでマグフォンを取り出してドライバーにセットしたが、そのタイミングでハウンドが鎖を放つがフォーゼは地面を転がる様にして避けてからマグネットスイッチを起動して、マグネットステイツへと変身すると突如として戦いに異変が起こり始めた。

 

 

 

「如月さんを狙ってるはずなのに全く鎖が当たってない・・・!!」

 

「紗夜さん!!アレは磁力で鎖を弾いてるんですよ!!」

 

「如月くんのは全部当たってるよ!!」

 

「弦太朗!!早く倒して他のところに行かないと!!」

 

「リサ!!任せろ!!」

 

 

 

―――リミットブレイク ―――

 

 

「これで決めるぜ!!ライダー超電磁ボンバー!!」

 

磁力によってハウンドの鎖を全てはじき返して自身は攻撃を全て当てていくという完全なワンサイドゲームを繰り広げていくが、早く倒して他の場所にもいかなければいけないことを言われたフォーゼはここでの戦いに決着をつけようとマグフォンのスイッチを押し込む。

 

肩のキャノンが目の前で合体させたフォーゼはハウンドへと飛ばすとゼロ距離でビームを放つと、耐えられなくなったハウンドが爆散するとその場にはマグネットステイツからベースステイツへと戻ったフォーゼが立っていた。

 

その光景に彼女達から歓声が上った。

 

 

 

 

 

 

「やった!!やった!!やったよ花音ちゃん!!」

 

「彩ちゃん!!終わったよ~!!」

 

 

 

「喜びたい気持ちも分かりますが・・・如月さんは学校の方に・・・」

 

「おう!!」

 

フォーゼが燐子の言葉を聞いてロケットを起動しようとしたが、このタイミングで突如としてフォーゼのドライバーから音が鳴り響いた。

 

 

 

 

「何かしら・・・電話かしら?」

 

「賢吾か・・・?」

 

――――――――レーダーON――

 

フォーゼはその音を聞いて即座に装填し直していたレーダーを起動すると、そこにはこの場に来れなかった賢吾の顔が映し出されていた。

 

「賢吾・・・今急いでるんだ・・・!!」

 

『状況が分かっているが、それよりも気になる情報が入ったから宇宙京大から連絡してるんだ!!』

 

「なんだって!?」

 

 

 

「えっ!?どういうこと!?」

 

「とりあえず、話を聞きましょう!!」

 

何か情報を掴んだという賢吾からの言葉。

それを聞いた皆はそれを聞き逃さない様に耳を傾けると、そのまま賢吾が話始めた。

 

『弦太朗。レム・カンナギのことは覚えてるか?』

 

「っ!?・・・あぁ、ちゃんと覚えてるぜ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『実はその事件に関与していたメンバーの一部が捕まっていたんだが、8月にそのメンバーが脱獄していたらしい』

 

「おいおい!!マジかよそれ!?」

 

『あぁ、その街でのスイッチ事件に関係があるかもしれない。すまないが俺は昨日観測されたコズミックエナジーについてのデータを確認が終わったらすぐにそっちに戻る!!無茶するなよ!!』

 

「おうっ!!って切れてんじゃねぇか・・・」

 

殆ど一方的に通信をしてきた賢吾からもたらされた情報は事件の根幹にかかわるかもしれないかなり重要な情報だったが、今はそれについて考えている状況ではなかった。

 

 

 

 

「ってこんなこと考えてる場合じゃねぇ!!今から学校に・・・!!」

 

「あの~弦太朗?」

 

「リサ!!俺が戦ってた間に向こうはどうなってんだ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「それなんだけどさ~・・・もう終わっちゃったみたい・・・」

 

「・・・マジで?」

 

「マジ☆さっき、連絡が入ってたんだよね~・・・。とりあえず、中で休んだら・・・?」

 

フォーゼがここで戦闘を繰り広げている間に、学校では既に戦いが終わってしまっていた。

これから助けに行こうと意気込んでいたフォーゼは安心した半面、どこか肩透かしを食らったような気分を感じながら変身を解除するとリサに促されるがままにCircleの中へと戻っていくのだった。

 





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Chapter-05 まんまるトチるぶちぎれる

遅くなりましたが投稿でありまする

すまんな。
君は話の展開の犠牲になったのだ・・・




 

「弦太朗、お疲れ様。とりあえず飲み物でも飲んで休んでなさい」

 

「おっ!!サンキュー千聖」

 

「ゲンちゃん!!こっちのお菓子も食べなよ~!!」

 

Circleの中へと戻った弦太朗は飲み物やお菓子を片手に持った千聖と日菜に出迎えられると、何事もなかったかのような雰囲気でそれを受け取っていた。

そんな弦太朗を見た彼女達は何て声をかければいいか困っていた中で燐子がなんとか切り出し始めた。

 

 

 

「えっと・・・如月さんも無事みたいですし・・・巴さんや若宮さん達もみんな怪我もしてないらしいです・・・」

 

「透子達のとこには出てないみたいだし、ロック以外のRASも特に何もなかったってさ~」

 

「ふえぇ~良かったよ~!!」

 

「儚い・・・」

 

 

 

 

「でも、どうしてまた出たんでしょうか・・・?ジブンはオーナーを止めたあの時に事件は終わったと思ってましたが・・・」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

とりあえず皆が無事だということで彼女達は安心していたが、ここで根本的な疑問が浮かび上がってきた。

 

 

今回の事件を引き起こした犯人とその目的はなんなのか―――

 

 

当然の疑問を麻弥が口にしたが誰もその言葉に応えることが出来ずにいたが、その中で彼女は最悪の事態を口にしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしてオーナーがまた・・・?」

 

「大和さん。それは無いわ」

 

「湊さん・・・」

 

「如月に止められたあのオーナーが同じ過ちを繰り返すとは思えないわ」

 

「でも、仕方ないわよ。私も麻弥ちゃんと同じことを考えてしまったもの・・・」

 

皆の頭にはオーナーの影がちらつくも、それは無いと皆が自身に言い聞かせて考え始める彼女達だったが、その中でリサがあることを思い出していた。

 

「あっ・・・そう言えば弦太朗」

 

「なんだ?」

 

「ちょっとしか聞こえなかったけどさ~・・・さっきなんか話してたよね?事件のメンバーがどうとかって・・・」

 

 

 

 

「ん~・・・リサちー?どういうこと?」

 

「日菜?それは如月さんに聞くべきだと思うわ」

 

「あー・・・お姉ちゃんの言う通りかも・・・。じゃあ、ゲンちゃん。その話聞かせてよ」

 

 

「前の事件で警察に捕まった奴らが逃げ出したって賢吾が言ってたんだよ」

 

「どういうこと?如月くん。本当にそう言ってたの?」

 

 

「あー・・・なんかそんなようなこと言ってたような気がする」

 

リサと双子の言葉に皆の視線は弦太朗に集まると、視線を向けられた弦太朗はそのまま賢吾から聞いたことをそのまま伝えるとまるで意味が分からない彩が聞き返してしまうがリサがそれに答えると猶更理解が追い付かなくなり彩は考え始めてしまった。

 

「でも、どういうことかしら?そんなことを如月に伝えた意味が分からないわ」

 

「もしかしたら関わってるかもしれねぇって言ってたけど全然分かんねぇんだよ」

 

「関わっている・・・?どういうことだい?」

 

「薫。弦太朗がそこまで考えられるわけないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

「もしかして、捕まえた如月くんへの逆恨みなのかな?」

 

「でもよ、花音。捕まえたのは俺じゃねぇぞ?・・・いや、でもその事件の親玉倒したのは俺だから・・・う~ん・・・」

 

「松原さんの考えはあり得るかも知れませんが、それだったら天ノ川学園を襲うんじゃないでしょうか?

 

「紗夜ちゃんの考えも分かるけれど・・・。私だったら花咲川の方にいくわね。イヴちゃんと美咲ちゃんってイレギュラーがあったから失敗したけれど・・・」

 

「ジブンも犯人だったらと考えると千聖さんと同じ考えですね。天校には美咲さんが乗っていたロボットがあるはずですし、それにこっちは女子校ですから襲撃しやすいと考えるんじゃないですか?」

 

「でしたら、如月さんへの逆恨みが原因と言うことになるのでは・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・氷川さん?ちょっと待ってください・・・」

 

「白金さん?なんでしょうか」

 

花音の言葉から紗夜達が非情にそれっぽい理由が出てくると、紗夜や一部の面々がそれが理由だと考え始めるがそこで燐子が紗夜に待ったをかけた。

 

紗夜は不思議そうに燐子に視線を向けると、燐子はゆっくりと話し出した。

 

 

 

 

 

 

「仮に氷川さんの言ってることが正しいとしたら、どうして羽丘やここにも来たんでしょうか・・・?」

 

「それは羽沢さん達がいるからではないでしょうか?如月さんと仲のいいみたいですし・・・」

 

 

「紗夜。仮に弦太朗の友人がいるからという理由なら月ノ森や他のところにも出ないのは不自然だね」

 

「ん~・・・アタシも薫の言ってることが気になるな~」

 

「お姉ちゃん。あたしもモヤモヤしてきちゃった・・・」

 

 

 

 

 

「ふぇ~ん。話について行けない・・・」

 

「丸山さん。私もよ・・・」

 

2つの意見と話について行けない組という情けない3つの派閥に別れてしまったCircle。

そこからは考えても話は平行線で一向に進む様子はない。

 

 

「こうなったら仕方ありません。市ヶ谷さんや羽沢さん達が来るのを待ちましょう」

 

「そうね。私達が考えるよりも有咲ちゃんやつぐみちゃん達にぶん投げた方が早いわね」

 

「ですが白鷺さん、どちらも来るまでに時間が・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有咲!!ゲンちゃんだよ~!!」

 

「うっせぇ!!みりゃ分かるわ!!」

 

 

 

「いや~!!なんとなかったな!!」

 

「いや・・・まぁ・・・うん・・・トモちん凄かったからね~・・・」

 

「あっ!!リサ姉達も大丈夫だったんだ!!」

 

「宇田川さん!?まだ授業のはずでは!?」

 

 

 

 

「あ~・・・あんなことがあったからそのまま下校ってことになったんですよ。おい如月!!今から真面目に話すから少し静かにしろ!!」

 

 

そして彼女達は平行線になってしまったこの話を被害者達にぶん投げるという暴挙を提案すると皆がそれに同意してしまったそのタイミングで3年生以外の花咲川と羽丘の面々がCircleへと駆け込んできた。

 

来るはずのない彼女達の登場に驚いて比較的真面目側の人間である紗夜がその事を指摘すると皆を代表して有咲がそれに答えると弦太朗の周囲が騒がしくなっているのを黙らせるとそのまま本題へと入っていく。

 

 

「そんで今回は何がどうなってるんだ・・・?」

 

「えっとね・・・麻弥ちゃん!!説明して!!」

 

「えぇ~!?日菜さん!?ジブンっすか!?」

 

「誰でもいいわよ・・・」

 

「じゃあそういう友希那が・・・って話が分かってないよね~。まぁこっちも全然分かってないんだけど・・・」

 

 

そんなやり取りがありつつも、何となくの流れでリサが先ほどまで話していた内容を有咲達には話を伝え始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は”うんぬんかんぬん”って感じで話が進んでてさ~」

 

 

 

 

 

 

 

「「「訳が分からない・・・」」」

 

 

 

「なるほど・・・私達が学校で追いかけられてた時にそんなことが・・・」

 

「それでCircleでの戦い終わってそんな話が・・・」

 

 

「ちょっと待って。なんで市ヶ谷さんと羽沢さんは”うんぬんかんぬん”で伝わって・・・」

 

 

 

 

 

「分かってるのは・・・出たのは学校とCircleの3ヵ所だけだよね・・・?」

 

「そうだな・・・それと戦力的に考えて本命はここってことだよな・・・。さっきリサさんから聞いた話を考えると如月への逆恨みってのも考えられるけど・・・なんかしっくりこないんだよなぁ・・・」

 

「そうだよね?それに有咲ちゃん達と私に攻撃してきた理由も分かんないし・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あはは・・・ツッコむのはやめよう・・・」

 

大半の面々を置き去りにした説明を有咲とつぐみは状況をおおよそ把握してしまっていただけではなく、犯人の目的まで予想し始めた彼女達に美咲はツッコミを放棄すると、そのタイミングで彼女達を置いて香澄達は弦太朗と話し始めていた。

 

「そう言えばゲンちゃん。この前一緒にこころんの船に乗った友達は来てないの?」

 

「流星と賢吾か・・・?流星は学校に用事があるとか言ってて、賢吾は京都の大学で行ってるぞ?」

 

「大学って凄いね!!でも、何で京都?」

 

 

 

 

 

 

「昨日になんかスゲーのを観測したらしくってそのデータを確認してくるって・・・」

 

「如月も香澄も何話して・・・って待てよ?昨日・・・って言ったか?」

 

弦太朗と香澄の会話を聞いた有咲だったが、2人の会話を聞いた途端に彼女の頭の中では話が繋がり始めていた。

 

「昨日って言えば・・・あれだよな・・・。おい如月!!それっていつごろか大至急、確認してくれ」

 

「んっ・・・おう・・・」

 

 

 

「後は一応SNSの方も確認してそれっぽいのを・・・」

 

「まりちゃんとリサ先輩もSNSとか調べてみて貰えますか?あれ?彩さんはどこに行ったんですか?」

 

「あ~つぐちゃん。彩ちゃんはみんなが来た時に別室に連れていかれて、千聖ちゃんからのお説教中だよ」

 

「それでしたら、SNSに詳しい桐ヶ谷さんに連絡してみますね・・・もしもし?」

 

『もしもし紗夜さん?大丈夫ですか!?』

 

「えぇ、桐ヶ谷さんに聞きたいことが・・・」

 

有咲の話を聞いたつぐみも気になったことを確認するためにSNSに強い面々に調べものを依頼し始める。

因みに彩は昨日の写真の件で別室でお説教中だったが、もう誰もそのことに触れようとしない。

その中で紗夜がSNSに強い透子に話を聞こうとおもむろにスマホを取り出して電話をかけだすと数コールで彼女は電話に出ると開口一番に紗夜の心配をしていたがそれを軽く流して紗夜が単刀直入に本題に入る。

 

 

 

 

 

 

「知っていたらでいいのですが、昨日SNSで変わった情報とかありましたか?」

 

『変わった情報だったらとびっきりのがありますよ!!』

 

「それについて教えてほしいんですが・・」

 

『紗夜さん知らないんですか!?ちょっと待ってください!!今その投稿を・・・ってあっちゃ~消えてる。でも、大丈夫ですよ!!そのバズった投稿は写真撮ってあるんで送りますね!!じゃ次の授業あるんで!!失礼します!!』

 

「ちょっと桐ヶ谷さん!!・・・ってもう切れてしまいましたね・・・ですが、とびっきりのとは何でしょうか・・・?」

 

 

 

 

 

「日菜さん。ジブン、凄く嫌な予感がするんですが・・・」

 

「麻弥ちゃん。あたしもなんだよね~」

 

「あ~麻弥もヒナもだけど・・・もしかして・・・」

 

「ふえぇ~・・・まさかね・・・?」

 

「ですが・・・状況的には・・・あれのことだと思いますけれど・・・」

 

「燐子、つまりそういうこと・・・なんだろうね・・・」

 

「来ましたね」

 

速攻で透子との通話が切れてしまったが、何かがあったらしくその場にいた面々がその話題を挙げるが3年の面々はとてつもなくイヤなものを感じたタイミングで紗夜のスマホが震えだして、透子から送られてきた画像を確認すると、案の定送られたのは先日彩が投稿した内容の写真を見た有咲はブチギレた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・ふわふわピンクの先輩!!やるなって言ったのにやりやがったな!!」

 

「有咲待てって!!」

 

「如月!!止めんじゃねぇ!!」

 

「わ~!!有咲~落ち着いて!!」

 

「落ち着けるか!!この写真でほとんど繋がったわ!!犯人は分かんねぇけど、ほぼ確実に目的は昨日出たアレで、私達がこれに制服で写ったから学校が狙われたってことじゃねぇか!!」

 

「一緒にいたはずのつくしちゃんとチュチュちゃん達は見切れてるから何もなかったんだ・・・。それで私とか有咲ちゃん達を見つけたら狙い始めたんだね・・・」

 

 

 

 

「まぁ市ヶ谷さん。これのお陰で他の生徒が襲われなかっただけでも良かったってことで・・・」

 

「そうですよアリサさん!!」

 

「たくっ・・・そう言われたら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・千聖ちゃ~ん・・・」

 

「ダメよ!!そんな目で見ても、彩ちゃんはしばらくSNSへの投稿は私か麻弥ちゃんのチェックを受けてからよ!!」

 

彩の投稿を見て怒り狂う有咲を香澄と弦太朗が物理的に静止させ、イヴと美咲が言葉で宥めてなんとかこの場を収めようとし始めたが、ここで小さな不幸が重なり別室から説教を終えて涙目の彩が戻ってきてしまい、彩を見た有咲は再び火がついてしまった。

 

 

 

 

 

「丸山ァ!!」

 

 

 

「ひゃ!?有咲ちゃん!?」

 

 

「そこに正座しろぉぉぉおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、止めないの・・・?」

 

「無理だろ・・・」

 

「周りの被害は減らせたかもしれないけど、有咲ちゃんとか私が狙われる原因だから・・・流石に止められないかな・・・」

 

余りの怒りに先輩相手の敬語も忘れた有咲によって地面に正座させられた彩は説教の第2ラウンドが開始されてしまい、あのハロハピの面々すらも有咲の圧に負けてしまい彼女の怒りが収まるまで年甲斐もなく泣きわめく彩を見守ることしかできなかった。





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Chapter-06 どうして灯がついたのか

投稿です。

次くらいにはRASもモニカも出したいなぁ(願望



 

「はぁ・・・!!はぁ・・・!!本当に反省しましたか!!」

 

彩の暴挙に有咲は先輩と言う事すら忘れて肩で息をするほどの苛烈な説教を終えた。

余りの圧に圧倒された弦太朗達の前ではその説教を受けた彩は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぇ・・・!!えぐっ・・・!!」

 

「返事は・・・?」

 

「ゔぁい・・・!!」

 

 

 

 

 

「有咲、すっごい怖い・・・香澄だってあんなに怒られたの見たことないよ・・・」

 

「ちょっとおたえ~!?」

 

「リサよりも怖いわね・・・」

 

「友希那~?どういうことかな~?」

 

アイドルが・・・いや、女の子が人前ではとても見せられないような泣き顔を晒している光景を前に弦太朗達は完全に固まっていたがそんな中でも一部の面々は即座に空気をぶち壊すと有咲はようやく我に返っていた。

 

「あぁ~!!こんなことしてる場合じゃなかった!!この頭ふわふわピンクの説教よりも今回の事件の対応をどうすっか考えねぇと・・・。羽沢さん、なんか案あるか?」

 

「えっ!?・・・えっと・・・今のところは特には・・・。多分狙ってるのはアレだとしても何が目的なんだろ・・・?」

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇつぐちゃん!!それってこれの事?」

 

「ちょっと日菜先輩!?なんで勝手に持ってきてるんですか!?」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?あなた何やってるのよ!?」

 

「日菜!!戻してきなさい!!」

 

「千聖ちゃんもおねーちゃんもそんなに怒んなくてもよくない?」

 

「良くないわよ!!」

 

「日菜!!」

 

「・・・はーい」

 

このタイミングで日菜が空気を読まないで問題になっていたギターを倉庫から引っ張り出してきたことに、全員が目を丸くするとすぐに保護者達(千聖と紗夜)からの説教が飛ぶと日菜は若干落ち込むが昨日発見時にいた面々はここで違和感を覚えていた。

 

「あら?昨日と違って全く光ってないわ!!」

 

「そう言えば・・・こころの言う通り全く光ってない」

 

「つぐみ・・・どうしてだろ?」

 

「昨日は目が痛くなるくらいに光ってたのに・・・」

 

「電池でも切れたのかしら?」

 

「友希那・・・流石にこれに電池はないでしょ・・・」

 

「昨日香澄ちゃんがそれを置いた後から、私が働いてる時に何回か様子を見た時は全く光ってなかったけど・・・?」

 

 

 

 

「あぁ~!!彩先輩と言い日菜さんといいアイドルはバカやんないと気が済ま・・・な・・・待てよ・・・?」

 

「有咲・・・?」

 

日菜が持って来たが、昨日とは全く違って全く光を放っていない事に気が付いたこころの言葉に発見時に現場にいた面々が不思議そうにしている中で有咲は呆れの言葉を漏らしていた最中、あることを思いついた。

 

 

「如月、カメラ出せ」

 

「ん・・・?悪いけど、バガミールは置いてきてて、変身しなきゃねぇけど・・・」

 

「それでいいから早くしろ・・・」

 

「よく分かんねぇけど・・・そこまで言うんだったら・・・」

 

弦太朗は有咲に言われるがままドライバーを取り出してフォーゼへと変身を変身してからカメラを起動するのを見るとある人物を見ながら指示を出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香澄、それを昨日みたいに持ってみろ」

 

「えっ?・・・分かった!!」

 

「おい、有咲。賢吾がむやみやたらに触るなって・・・」

 

「日菜さんが触ってる時点で今更だろ?それに昨日光ったのは香澄が持ってた時だったらまた同じようにした方がいいだろ・・・だからカメラ出させて撮らせようとしてんだよ」

 

「日菜」

 

「・・・はーい」

 

有咲の言葉に香澄は驚きはしたものの特に疑問を持つこともなくその言葉を受け入れると、若干不満げな日菜からそれを受け取ったその瞬間、そのギターは先日と同様に光り出していた。

 

「光ったよ!!有咲!!」

 

「もしかしてって思ったけど・・・如月!!」

 

「有咲!!ばっちり撮れてるぜ!!」

 

「よっし!!」

 

 

 

 

 

 

 

「香澄ちゃん!!るんって来たから貸して!!」

 

「ちょっと日菜!!・・・って・・・」

 

「日菜さんが持った途端に光んなくなっちゃいましたね・・・」

 

香澄が持った途端にギターは光り出し、有咲は予想通りが当たりフォーゼのカメラでこの光景がしっかり収まっていることに喜んでいたが、日菜が光り出したギターが気になって香澄からギターを奪い取ってしまったが、香澄の手から離れた途端にみるみる光を失ってすぐに光が完全に消えてしまった。

 

「えぇ~!?なんで~!!」

 

 

 

 

「イヴちゃん?日菜ちゃんを確保!!」

 

「承知しました!!」

 

「ヒナ~!!もう勝手なことしないの!!」

 

「ちょっとリサちー!?盗らないでよ~!!」

 

「ってこれ重っ!?」

 

 

 

「リサ!!大丈夫かしら?」

 

「こころ!?助かった~ありがとね」

 

光が消えたのを見てリサが即座に日菜からギターを取りあげてイヴによって即座に日菜が捕まる。

そんな中でリサは予想以上の重さにバランスを崩してしまうが咄嗟にこころがリサが持っていたギターを支えた。

 

なんとか壊すようなことも無く事なきを得たと思っていたが――――

 

 

 

「あら?また光ったわ!!」

 

「嘘っ!?何で!?ヒナから取りあげた時は光ってなかったのに!?」

 

「そうなると・・・リサさんじゃなくてこころが触ったから光ったってこと・・・?」

 

「でもリサ先輩達とこころで何が違うんだ・・・?それに香澄の時と違って光も弱いみたいだけど・・・」

 

 

 

 

 

 

リサと日菜では反応がなかった物が香澄とこころでは反応した。

香澄とこころの共通点かつ、その2人とリサ達の差異を考え始めるとすぐにその差に気が付いたものがいた。

 

「あ~!!そっか!!」

 

「ひまり・・・いきなり叫ばないで・・・」

 

「蘭!!なんで光ったのか分かったんだよ~!!」

 

「ひーちゃんが・・・?」

 

「多分私が持っても光ると思う!!こころ、それ貸して!!」

 

 

 

「えぇ!!分かったわ!!」

 

「・・・重っ!?」

 

「嘘・・・ひまりの言う通りだ・・・」

 

「でも、すっごい小さいね~」

 

 

ひまりが2人の共通点に気が付いたと言い始めると周囲が怪訝そうな表情を浮かべ始める。

そんな中でひまりは自分が持っても光ると言い始めてこころからギターを受け取ると、こころよりも弱いが確かにギターは光を放っていた。

 

そして、その光景に何名かは共通点に気が付いてしまった。

 

「分かったぞ!!そう言う事か!!」

 

「そっか!!あったよ!!共通点!!」

 

 

「あっ!!そっか!!3人共2年生だ!!」

 

「ふえぇ~・・・はぐみちゃん、多分違うと思うな・・・」

 

「じゃあ、かのちゃん先輩、他に共通点って何かあるの・・・?」

 

「えっと・・・」

 

何とも微笑ましい共通点をあげたはぐみに花音が苦笑いで否定するが、回答を求められてしまって困った表情を浮かべ始めた彼女を見て、親友の千聖は苦々しい表情を浮かべながらも助け船を出していた。

 

 

「花音、簡単よ。3年生だと私と紗夜ちゃんもだと思うわ」

 

「なるほど・・・イヤな共通点ですがそうですね・・・みんなスイッチを使ったっていう最悪の共通点がありますね・・・」

 

香澄達が持ったギターが光る理由―――

それはスイッチを使ったことがあるかどうかという当たっても全く嬉しくもない仮説が立ってしまった。

 

その事を紗夜が口にした途端にこの場の空気が静まり返るが、すぐにフォーゼが動き出していた。

 

 

「なるほどな・・・アタシも光るってことか!!」

 

「そうだったのね。じゃあ私も触ったら光るって事かしら?」

 

「でも、市ヶ谷さん。昨日に比べたらだいぶ長い時間光ってないかしら?」

 

「湊さん。今日は如月がいるんですよ?」

 

「えっと・・・有咲ちゃん・・・弦太朗くんがいるからってどういう事・・・?」

 

 

 

 

 

「如月の言うコズミックエナジーってのが原因だと思うんだけど、理由聞かれても正しい事は全く分かんないけど、スイッチを使ったから身体に残っててそれに反応してるのか・・・」

 

「長く光ってるのは近くで如月くんが変身してるからそのギターが反応しちゃってるのかなって・・・」

 

 

 

「って事だから、何があっても如月はぜってぇ触んなよ?」

 

「よく分かんねぇけどスゲーな有咲!!」

 

 

「うっせぇ!!」

 

「有咲、照れてる」

 

「おたえ!!照れてねぇ!!」

 

今の状況でおおよその仮説を立てた有咲の事をフォーゼが褒め始めると、彼女は照れ隠しをし始めてしまう。

しかし、この空気の中で不意に思ったことが麻弥の口から漏れてしまった。

 

 

「あの~・・・ここにあったらまた狙われるんじゃないですか・・・?」

 

「大丈夫ですよ」

 

「えっと花園さん?どうしたんですか?」

 

「私にいい考えがあります!!じゃあ、まりなさん。これとギターケース借りますね」

 

 

「ちょ!!おたえ!!」

 

麻弥の不安にたえが答えると、ギターケースの中に問題のギターを詰めるとそのままCircleを飛び出していく。

そんな彼女の行動に呆気に捉えて皆が固まってしまったが、我に返った時には彼女の姿がどこに行ったから追いかけることも出来ずにいた。

 

そんな状況では不安しかないがたえに任せるしかなく、どうしようもない彼女達は弦太朗が明日からCircleに通うことだけを決めると、そのまま解散して明日を待つのだった。

 





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Chapter-07 彼女の空白。記憶の告白

遅くなり申した。
ガンプラ1番くじで当たったガンプラ組んでたら遅くなり申したが、後悔はしていない。




 

騒動があった翌日。

Circleの受付にはまりなではなく――――

 

「これと似たようなことが前にもあったような・・・」

 

 

 

 

 

 

 

何故か弦太朗が突っ立っていたが、今回は彼一人だけではなく――――

 

「弦太朗、何を訳の分からないことを言っているんだ・・・?」

 

「流星・・・いや・・・喉元まで出かかってるんだけどな・・・えっと・・・」

 

「はぁ・・・どうしてこんなことになっているんだ・・・」

 

この場には昨日の事件を聞いた流星もCircleへと足を運んでおり、どういう訳か2人は理由も聞かされないまま、まりなに代って受付としてカウンターに立って1時間ほど時間が経過していた。

 

「てかよ~昼間っから誰かが来るのか・・・?学生がメインで来るんだろ?」

 

「弦太朗、それは俺よりもお前の方が・・・」

 

 

 

 

 

「Hello!!マリナ、来たわよ!!・・・ってゲンタロウ、あんた何してんのよ?」

 

昼と言う時間もあって、誰も来ないと高を括っていた2人だったが、そんな予想に反して学生であるはずのチュチュがCircleにやって来ていた。

 

「って、来やがったな・・・」

 

「やって来て早々になんてこと言ってるのよ・・・」

 

 

 

 

「えっと・・・チュチュちゃんだったかな?あれ中学は・・・サボり?」

 

「インターナショナルスクールの11年で!!飛び級で!!単位も取り終わってるから学校行かなくてもいいのよ!!」

 

「流星、チュチュは帰国子女で高校の勉強終わってるって言ってたぞ?」

 

Circleにやって来て早々にチュチュは弦太朗からの扱いに不満を漏らしたが、それ以上に流星の対応に声を挙げてしまった。

 

 

年齢的にも身長的にも中学生であるチュチュの事を心配していたが、彼女の学年は日本で言えば高校2年生に相当するもので単位も取り終わっている。

完全に無駄な心配をしていたが、こころの船で顔を会わせた程度の交流しかない流星は彼女の事をそこまで知らずに思わず声に出してしまっていたが、弦太朗の言葉に目を丸くして驚いていた。

 

 

「何・・・?そうなのか?それはすまなかった」

 

「ふんっ・・・知らなかったんだから仕方ないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チュチュさん、流星さんに対してどうしてそんな偉そうにしているのかしら?」

 

「はぁ!?」

 

「瑠唯ちゃん・・・!?」

 

「ルイ!?あんたなんでここに居るのよ!?」

 

「何を言ってるのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルイ!!先に行くなって!!」

 

「えっと・・・透子ちゃんも人の事言えないかな・・・?つーちゃん達が・・・」

 

「「ちょっとみんな、待ってよ~」」

 

「お前らまで何でここに居んだよ!?」

 

流星に声を荒げていたチュチュだったが、そんな彼女の背後に突如として瑠唯が生えてきた。

思わぬ人物の登場に声をあげた3人だったが、そんな彼らに当の本人は淡々とした様子で疑問に答える姿に3人は苦笑いを浮かべたタイミングでモニカの面々が瑠唯に遅れてCircleへとやってきたことに驚いていたタイミングで訳を話し始めた。

 

「えっと!!昨日の花咲川と羽丘の事件の影響で月ノ森は休校になったんですよ」

 

「ん?でも、香澄とかは普通に午前中だけだけど学校あるって言ってたぞ?」

 

「あの・・・私は違いますけど・・・月ノ森って生徒の親もお金持ちとか偉い人がいっぱいいるので・・・」

 

「まぁ!!そんな訳で弦太朗さん達がCircleに来るって聞いたからみんなで一緒に行こうって話してたんですけど・・・ルイがフライングしてそう言えば後で紗夜さん達も来るって連絡がありましたよ!!」

 

理由を聞いて納得した弦太朗だったが、その一方では瑠唯がいつもでは考えられないような勢いでチュチュに詰め寄っていた。

 

 

 

 

「それでどういう事だったのか話してもらえるかしら?」

 

「ルイ!!あんた何て目をしてるのよ!?」

 

「ちょっと2人とも落ち着いて」

 

「はい」

 

「どうなってるのよ・・・」

 

 

 

 

 

「るいるいが大型犬みたいに見えてきた・・・」

 

「アタシも・・・」

 

流星の言葉を素直に受け入れる瑠唯の姿にチュチュや透子たちが呆れ始めて何とも言えない空気に包まれ始めたCircleだったが、ここでつくしがようやく当たり前の疑問を投げかけた。

 

「あの・・・そういえば何で2人が受付にいるんですか・・・?」

 

「なんかまりなさんが急に外に出なきゃいけねぇとか言ってて、俺と流星を置いて行っちまったんだよ」

 

「あぁ・・・理由をいう前に飛び出してしまって・・・」

 

「折角、イベント用の新曲についてマリナと話そうとわざわざ来たのに無駄だったじゃない」

 

「ヤバッ!?マジで!?てか新曲!?」

 

 

 

 

 

 

「ん・・・?イベント?もしかして、それ関係での外出だったのか?」

 

「でもよ。そんな話、全く聞いてねぇぞ?何すんだ?」

 

「えっとですね~。実はここで感謝祭をやるんですよ~」

 

「それでRASのプロデューサーであるアタシが直々にイベント用に新曲を作ろうと思って、直接提案しに来たのよ」

 

「実は、それで私達も出店とかやりたいなって思ってたんですよね!!折角の祭だし!!」

 

 

 

「ただいま~!!ってあら?」

 

「まりなさん!!お疲れっす!!」

 

まりなの事を話したが、弦太朗達はチュチュの口から出た”イベント”という言葉に反応すると何も知らない2人に七深が計画中のイベントについて話が始めようとしたタイミングでまりながCircleへと戻って来た。

 

彼女はましろ達がいることに疑問を感じていたが、弦太朗の対応を見るとそのまま何事もなく受付へと入っていく。

 

「2人ともありがとね!!」

 

「まぁ・・・瑠唯ちゃん達以外は誰も来なかったので・・・」

 

「そうだったのね。2人ともカフェでお昼なんてどう?お礼って訳じゃないけど、お姉さんが出してあげる」

 

「いえ、そこまでは・・・」

 

 

 

 

「まりなさん!!ごちです!!」

 

「桐ヶ谷さん。あなたに言ってる訳ではないわよ?」

 

「ルイ!!こーいうのはノリだよ!!ノリ!!」

 

 

「マリナ!!イベントについて提案があるんだけど!!」

 

「そうだ!!まりなさん!!イベントってなんのことっすか?」

 

「ふふっ・・・それじゃあ、外のカフェでいいかしら?透子ちゃん達も一緒にね」

 

 

和気藹々とし始めた彼女達の中で本題をぶち込んだチュチュの言葉に弦太朗はそもそものイベントについて聞き始め、悪ノリし始めた透子。

そんな彼女達を見たまりなは苦々しい表情を浮かべてCircleのカフェテリアでその話を聞くことにするのだった。

 

 


 

「おねーちゃん!!早くー!!遅刻だよ~」」

 

「日菜!!あなたが寝坊するからでしょ!!それに私までベットに引きずり込んで・・・」

 

「えぇ~・・・」

 

私は日菜と共にCircleへと向かっていた。

 

本当だったら開店と同じくらいに着く予定でいたのだが、先日の戦闘を考えて1人では危ないと思った私は日菜と一緒に行くと約束をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それが間違いだった。

 

こんな時に限って日菜が寝坊した。

それだけならまだいいが、起こしに来た私をそのままベッドに引きずり込むと、器用に片手で口を塞いで、残った手足で私を完全に動けない様に抱き着いてそのまま抱き枕代わりにしてきたこともあって私は予定よりもだいぶ遅れてしまっていた。

 

それなのに日菜は反省した様子もなく、前を走って私を急かしてくることに若干の怒りと呆れを覚えながらもなんとか抑えて日菜の後ろを歩き出す。

 

「日菜。大学生になるのだからもう少ししっかりして・・・」

 

「ごめんなさーい。でも春からはおねーちゃんと一緒の大学だし大丈夫!!」

 

 

「ふふっ・・・」

 

「おねーちゃん?」

 

 

「なんでもないわ」

 

同じ大学でも学部が違うから受ける授業が違うのだが、日菜にはその考えはないらしく呆れてしまったが、今度は若干だが反省した様子を見せたのを見て許してしまった。

 

もしも、如月さんがこの街に来て事件を解決したり、勉強を教えたり、逆に色んな事を教えてもらったことが頭に思い浮かんでしまって、思わず口元が緩んでしまったが気が付いた様子の日菜をなんとか誤魔化した。

 

そんな私が気になったらしい日菜は、私の横を並んで歩き始めると今度は日菜が何かに気が付いたようで声を挙げていた。

 

「ん~・・・?」

 

「日菜?どうかしたの?」

 

 

「えっとね?なんか変な服着てる人がいるな~って」

 

「変な服?」

 

「全身真っ白なんだよ。あっち」

 

「日菜、指をさすのは・・・」

 

日菜を注意しながらも気になってしまった私はその指の先に視線を向けるとその先には日菜が言った通りの白い服の人物が立っていたが、私はその姿に違和感を覚えていた。

 

「おねーちゃん?」

 

「あの人・・・どこかで見たことがあるような・・・」

 

そう。

始めて見たはずの人物なのに、私はその人物に既視感を覚えた

その瞬間――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っう・・・!!あぁぁああ!!」

 

「おね―ちゃ―!!お――ちゃん!!」

 

突如として頭の内側から焼かれていると錯覚するほどの激しい頭痛に襲われた私は頭を抑えこんでその場に倒れこんでしまった。

そんな私に日菜が慌てたような視線を向けて何かを叫んでいるが、何を言っているのかを理解する余裕がないほどの痛みに襲われていた。

 

 

 

「ヒナ・・・?紗―――!!」

 

「―サちー!!―――――んが!!」

 

「――!!」

 

私の元へと誰かが駆け寄ってきたが激しい頭痛に視界までが歪み始めてそれが誰かすら認識すら出来なくなっていた。

 

そんな状態にも関わらず、私の頭の中で様々な物が思い浮かんでいく。

 

 

 

―――雨

 

 

 

―――いつもとは違う道

 

 

 

―――白い服

 

 

 

―――荷物が散乱したカバン

 

 

 

 

―――そして、事件の元凶になったスイッチ

 

 

 

 

「あぁあああああああ!!」

 

「「・・・!!」」

 

「・・・・・・・!!」

 

そんなことが頭に浮かんだ私は遂に痛みに耐えきれずに叫び声を挙げると私の声に誰か私を呼ぶような気がしたが、私は頭を抑えて呻き続ける。

 

 

 

 

 

そうしているうちに徐々に頭痛は収まっていくと、徐々に視界が元に戻っていく。

 

「おねーちゃん!!」

 

 

 

「紗夜!!しっかりして!!」

 

「紗夜・・・!!」

 

「日菜・・・?それに今井さん達まで・・・?」

 

「紗夜!!ってヤバっ!?慌てて救急車呼んでなかった・・・友希那!!」

 

「・・・分かったわ」

 

目の前には妹とバンドの仲間が心配そうな表情を浮かべて私を見つめていたが、私が3人の事を認識し始めて彼女達は少しだけ落ち着いた表情を見せた。

そうしていたが今井さんがここでようやく救急車を呼んでいなかったことを思い出して、湊さんに声をかけるが―――

 

 

 

 

 

「待ってください・・・」

 

「おねーちゃん!?」

 

「紗夜!?ダメだって立ったら危ないって!!」

 

「ダメです・・・!!」

 

 

 

「・・・どういうこと?」

 

私はそんな彼女たちの善意の行動と今井さんの寝かせようとするのを拒否してフラフラとした足取りで立ち上がる。

そんな様子を見た日菜が咄嗟に私の身体を支え、湊さんが理解できないといった表情を浮かべながら私に問いかけてくると、私は先ほどの頭痛の中で思い出したあることを彼女達に告げた。

 

「思い出して・・・そして、さっき見つけました・・・」

 

「思い出した・・・?それに見つけたって紗夜・・・?いったい何を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私にスイッチを渡してきた人物です・・・!!」

 

「「えっ!?」」

 

私の言葉を聞いた2人を誰かが分からないがその言葉に驚きを隠せない様子で目を見開いていたが、日菜はその人物をハッキリと見ていたこともあって2人以上に驚いた様子を見せていた。

 

「おねーちゃん!?それってさっきの・・・!?」

 

「えぇ・・・。服と顔を見た途端に頭痛に襲われて、その時に・・・」

 

「おねーちゃん!?確かCircleの方に歩いてたよ!?」

 

「とにかく如月さんに伝えないと・・・!!」

 

そう言った私は頭痛の余韻にひたすら耐えつつ、日菜と今井さんの肩を借りてCircleへ向かっていくのだった。

 

 

 





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色んな事を教えてもらった()
ここで言うのは野暮ってもんですよ・・・



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Chapter-08 The mastermind appears

投稿です。
劇場版√
お前、なんか別の(小ネタ)時空の話が紛れてねぇか・・・?


 

「―――って、こんな感じよ」

 

 

 

 

「ヤバっ!!それ!!めっちゃ上がるじゃん!!」

 

「スゲーなチュチュ!!」

 

「アンタ達、ちょっと落ち着きなさいよ!!」

 

「弦太朗、パスタのソース飛び散ってるぞ・・・」

 

カフェテリアでイベントの話をしていた一行。

そこで弦太朗達ははミートソースパスタを頼んでいたが、余りのテンションに弦太朗は少々食事が汚くなってしまっていたが、流星以外はその事にツッコむことを放棄していた。

 

「それで!!イベント用の曲ってもう出来てんの!?」

 

「透子ちゃん・・・。流石に提案してるだけだからまだ完成してないんじゃないかな・・・?」

 

「マシロの言う通り。まだ、曲を作ってすらないわよ」

 

「ルイ!!うちらも作るっしょ!!」

 

「桐ヶ谷さん。流石に出店もやるのにこれ以上は厳しいと思うわ」

 

「折角のイベントだから、歌詞のアイディアをみんなから集めるつもりよ」

 

「マジか!!テンション上がってきたー!!」

 

「も~。透子ちゃんってば~」

 

イベント用の新曲について盛り上がっていたが、まりなは新曲についての話を切り上げて話にあった出店について話題を切り替えていく。

 

 

「そうそう!!出店なんだけど。他にもみんなやりたいって言ってたんだよね~」

 

「店って・・・沙綾とつぐだろ?」

 

「はい!!如月さん、つぐみ先輩がバイト中に珈琲の出店出したいって言ってました!!」

 

「後はパスパレの子達は写真の撮影会、ハロハピはこころちゃんが何か芸やりたいって言ってて・・・」

 

「うち等はバンド以外で楽しめるようなことがいいかなって思って考えてます!!例えば・・・射的とかそういうので!!」

 

 

 

 

「チュチュ達はやんねぇのか?」

 

「NoWay!!こっちは最強のバンドよ?そんなことやってる時間なんてないわよ。どうせRoseliaだって―――」

 

大半のバンドがライブ以外に出店・・・とは言えないものが一部混ざっているが、何かしらをやるらしいが、そんな中で弦太朗の質問にチュチュにNoを突き付けた。

自分たちはバンドマンで出店などやる意味はないし、ライバル意識を持っているRoseliaも同じような考えに至っていると思っていた彼女だったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか~・・・そうなるとRASだけ出店無しだね~」

 

「ちょっとマリナ!!どういうこと!?Roseliaもやるっていうの!?」

 

あのRoseliaが出店を出すと言うまりなからの言葉にチュチュの想定は容易くひっくり返されてしまった。

思わずまりなにチュチュが詰め寄るとまりなはそんな彼女に苦笑いを浮かべながらその疑問に答えだした。

 

「・・・リサちゃんがね?お祭りらしい料理を出したいんだって」

 

「リサが・・・でも、友希那とか紗夜は・・・」

 

「あの2人がOK出すとは思えないわね。それに・・・」

 

Roseliaと言うよりはリサが出したいと言っていたらしく、その話を聞いて弦太朗達は思わずその出店のイメージを頭の中で考え始めていくが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・500円になります。ではあちらで・・・」

 

「えっと・・・その・・・!!あうぅ・・・」

 

「くっくっく・・・リサ姉の至高の料理・・・存分に堪能するがいい~!!」

 

「やっぱりリサの料理は美味しいわね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、店として大丈夫か?」

 

「弦太朗。流石にそれは言いすぎじゃ・・・」

 

 

「確かに・・・!!あの紗夜さんが愛想よく接客なんて出来そうにないですし!!」

 

「白金さんも人見知りで接客なんて出来そうにないわね・・・」

 

「あこちゃんはその・・・独特な言い方で接客には向かなそうだもんね・・・」

 

「広町的には友希那先輩は商品食べちゃいそうって感じですね~」

 

「だけど・・・!!リサ先輩の料理は美味しいですよ!!でもお店だと接客も大事なのはつぐみ先輩の所でバイトしてるからよく分かります・・・」

 

 

 

「ちょっと待って?みんなもそんな考えなの・・・?」

 

「あはは~・・・Roseliaって言うかリサちゃんだけが出店を出して、他にRoseliaとして何かやりたいって言ってたけど・・・」

 

「マリナ!!RASも参加するわ!!Roseliaが出て、RASだけでないなんてありえないわ!!」

 

弦太朗が心配したのに白い眼を向けていた流星だったが、彼の言葉に賛同してしまったモニカの面々に彼はツッコんでしまったのを見て、まりなは捕捉で説明を入れるがそんなのお構いなしにチュチュが参加を表明してしまった。

 

「おいおい・・・いいのかよ。勝手に決めちまって」

 

「それにやることは考えたわ!!」

 

「チュチュちゃん?いったい何をするの・・・?」

 

 

 

「楽器教室よ!!ライブハウスのイベントなのにライブ以外に音楽関係のものがないからRASがやるわ!!」

 

「なぁ?それ大丈夫か?ますきとか教えるようなことが出来んのか?」

 

「No Problem!!私が初心者レベルでレクチャーするならこっちで見繕うわ。

指導側もレイヤとマスキングがサポートとしも活動してるからレベルも確保できるし、パレオもパスパレ関係が無かったら問題ないし、ロックは・・・なんとかするわ!!それに他のバンドの空いてるメンバーで希望者がいれば参加してもらってもいいわよ」

 

「そう言えば、ギターは色んな奴に教わったけど、おたえが意外と分かりやすかったな・・・。純と紗南にも教えてるからかもしんねぇけど」

 

「マリナ!!こっちの方もある程度、纏めて明日までにメールで詳細を送るわ!!」

 

「えっと、楽器のこととかもあるから検討しておくね?」

 

「そんで、新曲ってどんな感じにするの!?」

 

「ましろちゃん!!なんか凄いことになってきたね!!」

 

まりなはチュチュの言葉にやんわりと対応すると、出店の話を終えて透子が無理やり先ほどの新曲の話へと戻していく。

その光景を見たつくしは楽しみになって来たのか笑みを浮かべて隣にいた人物へと視線を向けて同意を求め始めていた。

 

 

 

 

 

「うん・・・そうだ―――っ!?」

 

「ましろちゃん?どうしたの?」

 

「なんか変な感じがする・・・」

 

「変・・・?どういうことかしら?」

 

このタイミングでましろが何かを感じて身体を小さく震わせた。

皆がその反応が気になって彼女に視線を向けるとましろは複雑な表情を浮かべながらなんとか感じたことを言葉にし始めた。

 

 

「なんだろう・・・何て言っていいのか分かんないけど・・・変なのが近づいてきてるような・・・」

 

「変なの?倉田さん。どういうことかしら?」

 

「うまく言えないんだけど・・・その・・・」

 

「まさか昨日みたいにここにまた何か来てるのかな・・・?」

 

ましろの言葉を聞いてまりなが冗談っぽく言葉を返す。

そんなことが起こってほしくはないが―――

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

「如月くん・・・?流星くん・・・?」

 

「どうしたんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ましろちゃんの予感が大当たりだ・・・!!」

 

「また怪物が!?ってあれ?白い服・・・沢山いる・・・?」

 

「制服みたいだけれど。何かしら・・・」

 

ましろの予感が的中してしまい、ライダーの2人が突如として立ち上がって警戒心をむき出しにし始めた。

そんな2人に驚いていたが彼らの視線の先を追いかけるように目で追うとその先には怪物とは違うものがいたが、むしろ2人は今までで見たことないほどの警戒していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「財団X・・・!!どうしてここに・・・!!」

 

「えっと・・・何?」

 

「簡単に言えば今までの事件の原因を作った黒幕だよ・・・」

 

「七深、これ預かってろ」

 

「パスタ・・・?」

 

「みんなは後ろに・・・」

 

彼らの目の前には白い服を来た集団。

弦太朗は自身の食べかけのパスタを七深に押し付けると流星と共に皆の前に立つ。

それを見た財団Xのメンバー達は懐からアイテムを取り出し始めたが、そこには彼女達が見たことがないアイテムもだった。

 

 

「あれ?スイッチじゃない・・・?」

 

「シロ、リーダーみたいな女がメダルみたいなの出してんだけど・・・?」

 

「ん~あっちのUSBメモリはなんかホラーみたいな感じだね~」

 

「あれって・・・前につぐみ先輩達と見た・・・!!」

 

 

 

 

「なんなのよ何よいったい・・・」

 

銀色のメダルと白黒のUSBメモリを手にした財団Xの面々たち。

そして次の瞬間―――

 

MASQUERADE(マスカレイド)

 

 

「何この声!?ってメモリを身体にブッ挿して変身した!?」

 

「それにメダルが体の中に入ったらカマキリみたいな怪物出てきた・・・!?」

 

 

「俺が行く。弦太朗はみんなを・・・」

 

「おう・・・!!」

 

 

―――メテオ レディ?―――

 

財団Xのメンバーはドーパントに変身し、メダルからヤミーまで生み出して戦闘態勢を整えると、そんな状況を前に流星がいつの間にか装着していたドライバーのトリガーを引いて構え―――

 

 

 

 

 

「変身!!」

 

その言葉と共にドライバーのレバーを叩くと、彼の身体は光に包まれて流星はメテオへと変身を完了するとメテオは相手の一団を見据えた。

 

 

 

 

 

「仮面ライダーメテオ・・・お前の運命(さだめ)は俺が決める・・・」

 

その言葉に反応するかのように財団Xのメンバー達はメテオに襲い掛かり、それを前にしながらメテオはその場で構えて相手を迎え撃つのだった。





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マスカレイド君の良いフォントが分からなかったのでそのままですまんな・・・


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Chapter-09 ましろパラダイム


投稿です。
前話の前半のほのぼの空気から急降下してるような気がする・・・



 

「フォォォ!!アタァ!!ホアタァ!!・・・ヤミーの相手はやりにくいな・・・!!」

 

迫りくるマスカレイド達にメテオの拳が突き刺さり、確かなダメージを与えていく。

マスカレイド相手なら慣れた様子で対応して見せていくが、メダルから生み出されたカマキリヤミーに対しては若干のやりにくさを感じていたメテオは右手のギャラクシーへと手を伸ばしていた。

 

―――サターン、レディ?―――     

 

「まずは・・・数を減らす!!」

 

 

 

 

 

―――OK!!サターン!!―――

 

ギャラクシーのレバーを操作している隙にもヤミーがメテオに迫るも、流れるような動きで攻撃を躱すとカウンターで蹴りを叩き込むとそのままパネルをタップすると右腕に土星が現れ―――

 

「やった!!流星さん!!やるぅ!!」

 

「おぉ~・・・!!」

 

 

 

「まずはヤミーから倒す・・・!!アタァ!!」

 

腕から放たれたリングによってマスカレイド達が切り裂かれて数体がそのまま爆散する。

それを見たメテオは次の標的をカマキリヤミーに定めると、自身が放ったリングの後ろを追いかけるようにして相手との距離を詰めながらギャラクシーを操作して土星を消すとヤミーの懐へと潜り込むと、ギャラクシーのパネルをタップした。

 

―――リミットブレイク!!―――

 

「アタッ!!アタッ!!アタッー!!」

 

 

 

「このメダル・・・さっき入れてたやつね・・・」

 

「これ入れたらあれ出んの?」

 

「ちょっと透子ちゃん!!ダメだよ!!」

 

「そうだよ~透子ちゃん」

 

「大丈夫だって!!流石にやんないって!!」

 

 

「あっ・・・。でも、もう少しだよ?」

 

メテオは距離を詰める間にギャラクシーにスイッチを装填しており、そのまま流れるような動作でヤミーの腹に連続でパンチを叩き込む度にヤミーの腹からメダルがばら撒かれていく。

メダルに透子が興味を持った途端に即座に他の面々から止められるが、流石の彼女も使うつもりなど毛頭なく即座に反応していた。

 

 

―――リミットブレイク!!―――

 

 

「ホォォオオオオオ・・・!!アタァァ!!」

 

そんな状況で目の前のヤミーはメダルをばら撒いたこともあって今にも倒れそうな状況にメテオはドライバーにスイッチを戻してドライバーのユニットを回転させると、そのままメテオが飛び上がるとそのままヤミー目掛けてキックが放たれる。

 

メテオのキックはそのままヤミーへと突き刺さるが、メテオの勢いは止まることはなくヤミーの後ろにいたマスカレイド達を巻き込んで彼女達の目の前で大爆発が発生すると、メテオはその爆発に呑み込まれたのを見て慌て始めていた。

 

 

「やばっ!?流星さんが爆発に巻き込まれた!?」

 

「どうしよう・・・!!大変だよ!?」

 

「STOP!!トウコもツクシ!!落ち着きなさい!!」

 

「アレを見なさい」

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「流星さん・・・あれ?」

 

「七深ちゃん・・・?」

 

「つーちゃん・・・なんでもないよ?」

 

しかし、爆炎が晴れるとその中からメテオが1人で立ち尽くしていた状態で姿を現すが、その状態を見た七深はある違和感を感じるが、それを押し殺して声をかけてきたつくしに何事もなかったかのような様子で答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メテオがマスカレイドやヤミーとの戦いの最中、弦太朗は目の前に人物に睨みつけていた。

そんな弦太朗へと相手の女が淡々とした様子で彼に声をかけていた。

 

「SOLU―――いえ、レム・カンナギの時には世話になりましたね」

 

「てめぇは・・・やっぱりあん時の・・・!!」

 

「ライダーに倒されて捕まりはしましたが、財団の力があれば脱獄程度は」

 

 

 

 

 

「だったら、またぶっ倒して―――「如月さん・・・!!」紗夜!!それにみんなも!?」

 

「その人です!!私にアレを渡したのは・・・!!」

 

「なっ!?」

 

相手を睨みつけていた弦太朗だったが、その場にリサと日菜に支えられた紗夜が姿を現すと衝撃に事実を弦太朗に言い放つ。

思わぬ言葉に弦太朗は驚きで手を止めてしまったが、それとは対照的に相手の女は何食わぬ表情で紗夜に視線を送っていた。

 

「あら、出来損ないのお姉さん」

 

「紗夜が、出来損ない・・・?」

 

「えぇ。才能ある妹にスイッチを使わせるためにわざわざ接触して妹と使うように言ったのに、自分だけでスイッチを使う言われたことも出来ない出来損ないじゃない」

 

 

「っ・・・!!」

 

「何が目的か分かんねぇけど・・・お前はぜってぇに許さねぇ・・・!!」

 

言われた言葉に紗夜は思うことがあったのか苦々しい表情を浮かべるが、その言葉を聞いた弦太朗は怒りを露にするとそのままドライバーを装着して、そのままスイッチを叩いていた。

そんな彼を見た女はそんな弦太朗に余裕の笑みを浮かべて彼が言った”目的”について語ろうとし始めていた。

 

「私の目的それは―――」

 

しかし、その言葉は最後まで言い切ることはなく、その言葉を遮るようにバンッと銃声が響き渡り―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

 

「うそっ・・・・・・!!」

 

その音とともに弦太朗と対峙していた女の白い制服が胸の箇所から真っ赤に染まっていく光景に弦太朗達は彼女が撃たれたのだと理解すると、撃たれた本人もそれを理解して音が聞こえてきた方向へと視線を向けるとそこには同じ服を来た男が銃を構えて立っていた。

 

「ソラリス。これ以上財団の情報を話すことは許されない・・・」

 

 

 

 

「お前、財団の仲間じゃねぇのかよ・・・!!」

 

「超進化生命体―――ミュータミットはレム・カンナギの研究成果で財団の裏切者」

 

 

 

「ぐっ・・・」

 

「ミュータミット。人間のままの姿でも銃弾1発では耐えるか・・・なら・・・」

 

―MASQUERAD―

 

そう言いながら財団の男は女―――ソラリスに立て続けに銃弾を放つと銃弾を受けた箇所から血が滲んでいくが、それで倒れない様子を見た男は先ほどの財団メンバーと同じようにマスカレイドのメモリを自身の身体に挿す。

 

それと同時にソラリスは人間には出せない速度で男に近づいてその首を掴むとそのまま首をあらぬ方向へと曲げるとマスカレイドの男はそれによって絶命するとマスカレイドのメモリに組み込まれた自爆機能によってその体は消滅するとそこで限界を迎えたのかソラリスはそのまま力なく地面へと崩れ落ちてその動きを止めた。

あまりにも凄惨な光景に殆どの面々が言葉が出せないほどの衝撃を受けていたが、そのタイミングで戦闘を終えたメテオが弦太朗の元へと駆け寄ってきた。

 

 

 

「弦太朗!!」

 

「流星!!終わったのか!!」

 

「あぁ・・・。だが、これは一体・・・」

 

「財団の連中が急に仲間割れし始めたんだ」

 

駆け寄ってきたメテオだったが、戦闘に意識を向けていたせいもあって状況が呑み込めていなかったが弦太朗は目の前で起こったことをありのまま話す。

その言葉があまりにも簡単すぎたが、目の前の状況を見てメテオが弦太朗の言葉が真実だと認識すると、そのまま倒れた2人を確認するが、あまりにも気分の悪い状況だった。

 

「・・・もう息をしていないな。冷たくなっている」

 

「そうか・・・とりあえず、どうにかしねぇと・・・」

 

「弦太朗、とりあえず水で地面を洗い流しておいてくれ。俺は中に運んでから歌星に相談するから、みんなは中に・・・」

 

「すぐに終わるけど、そっちは頼んだぜ」

 

「Sorry.ゲンタロウの近くにいるから外の空気吸わせて頂戴」

 

「うぅ・・・」

 

「あ~・・・広町も外にいますね~」

 

 

 

「・・・あぁ」

 

弦太朗とメテオは気分悪そうに話しながらも対応を決めると、一部の面々を残してメテオはCircleの中へと戻っていくと、残された弦太朗はそのままフォーゼに変身するとウォーターのスイッチを起動して流星に言われたままに地面を洗い流しそれを終えるとすぐに変身を解くと、そんな彼に声をかけられた。

 

 

「あの~・・・如月先輩。聞きたいんですけど~」

 

「ワタシも聞きたいことがあるわ」

 

 

「チュチュに七深?どうしたんだ?」

 

ここぞとばかりに外に残ったチュチュと七深は弦太朗に質問しようとすると、彼はいつも通りの調子で彼女達に対応すると、チュチュが思ったことを率直に聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきUSBメモリを使った奴らだけど・・・変身した時に身体が外に出てきた訳でもなければ、死体すら出てきてないのだけれど・・・どういうことかしら?」

 

「広町も同じこと聞こうとしてました~」

 

「あれな・・・財団の連中が使ってたメモリには、自爆装置が付いてて倒されると消えちまうんだ」

 

 

 

「っ!?まさかあんたも・・・いえ、これは聞いてもどうしようも無い事ね・・・忘れてちょうだい」

 

「ん・・・おう・・・」

 

 

 

 

 

きっと彼もさっきの流星と同じようなことをしたことがあるはず。

それにその事が分かっていたとしても、倒す以外に止める方法が無ければどうしようもない。

 

だったら、これ以上の事は聞いても無意味だと判断したチュチュは弦太朗から答えに驚いた表情を浮かべたがそれ以上の事を聞くのを辞めた。

 

七深も同じ内容を聞こうとして、満足いく答えが返ってきたのでそれ以上を聞くことはしなかったがそれ以上に一緒に外にいたましろの事が気になっていた。

 

「シロちゃん・・・?大丈夫?」

 

「えっ?ななみちゃん・・・?うん。大丈夫だよ?」

 

「ホントか?」

 

「如月先輩。大丈夫ですよ・・・」

 

「そうよ。人が目の前で撃たれて死んだのに大丈夫なんてあり得ないわよ。アタシだって正直驚いてるのよ・・・」

 

「無理してねぇか?」

 

「チュチュさん如月さん、撃たれたのを見たのは本当に大丈夫なんです・・・無理とかしてなくて・・」

 

人が目の前で撃たれたのにも拘らず、一番ダメージを受けそうなましろが全くのノーダメージであることに弦太朗とチュチュは無理してないか心配していたが、七深はその言葉が普段と変わらない彼女を見て本当のことを言っているのが分かったが、それでも別の疑問が浮かんでいた。

 

「ねぇねぇシロちゃん」

 

「七深ちゃん?」

 

「大丈夫なのは分かったけど・・・”撃たれたのは”ってどういうこと・・・?」

 

「・・・うん」

 

「なんだ?言ってみろよ」

 

「えっと・・・あり得ないんですけど・・・その・・・」

 

「マシロ、あり得ないのはゲンタロウ達でもう十分だから気にせず言ってみなさい」

 

「おいチュチュお前な・・・!!」

七深が気になったのは撃たれたのは大丈夫だと言ったが、別の何かがあるのではないかと感じて彼女に聞くと、ましろはズバリ言い当てられたことに目を丸くして驚くと弦太朗がその事を尋ねるとましろは言いにくそうにしていたところをチュチュがなんとか空気を作ろうとしたところで、ましろは口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・撃たれた女の人が人間じゃないって言われてたと思うんですけど・・・」

 

「そうだね~そう言ってたのは聞こえてたよ~」

 

「そうだったんだけど・・・」

 

ましろは何かを言いかけるが一旦そこで言葉を止めると、意を決した彼女は率直にその時に感じたことをそのまま告げた。

 

「でもね。最初に見た時から人間とは・・・ううん・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きてるとは思えなかったの・・・まるでゾンビみたいだなって・・・」

 

「「ゾンビ・・・?」」

 

「なんか引っかかるなぁ・・・」

 

ましろの告げた言葉に七深とチュチュが首を傾げるが、弦太朗は彼女の言葉を聞いた途端に何かが自身の中で引っかかるような感覚を覚えるのだった。

 





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Chapter-10 Repeated Evil

遅くなりましたが投稿です。
着地点は考えてるけどそこまでがうごごごご・・・



 

「あ~!!授業終わった~!!有咲~さーや達とCircle行こ~」

 

「ん・・・?あぁ、そうだな・・・昨日あんなのがあったばっかだし、みんなで行動したほうが安全だしな・・・」

 

「あ~・・・市ヶ谷さん。あたしも一緒でもいいかな?」

 

「あぁ。むしろ奥沢さんが一緒の方が心強いから・・・」

 

Circleでの事件が起こっていたのとは対照的に、花咲川では午前中の授業を終えた香澄はA組の教室で解放感を味わってからみんなでCircleへと向かおうと有咲に提案していた。

 

そんな彼女は有咲達やそれに便乗しようとした美咲がそんな2人に声をかけて一緒に行こうと提案するが―――

 

 

「美咲!!あたしを呼んだわね!!」

 

「ほら、弦太朗のとこ行くよ!!」

 

「ちょっと沙綾ちゃん~待ってよ~!!」

 

「いや・・・まぁ、これから呼ぼうとしたけど・・・」

 

「さーや!!りみりんだ~!!」

 

突如としてこころが美咲の前に現れるとその後に続いて沙綾達が姿を見せ―――

 

 

「みーくん!!」

 

「ブシドー!!」

 

「香澄~有咲~いる~?」

 

「おいおい・・・呼ぶ前に全員来ちまったじゃねぇか・・・」

 

「有咲ちゃん・・・呼ぶ手間が省けたってことでいいんじゃないかな・・・?」

 

「・・・それに若宮さんもいるからよっぽどのことが無きゃ安全だしな。そう言う事にしておくか・・・」

 

E組の面々もやってきて、気が付いたらガールズバンドの面々がA組の教室に集まってきた。

 

そんな光景に思わずボヤいてしまっていた有咲にりみが咄嗟にフォローを入れられると、なんとか自分に言い聞かせて納得すると皆で教室を出るとCircleでやる予定のイベントについてを話題にしながら歩き出していた。

 

 

 

「やっぱりポピパは山吹さんのとこのパン出すんだ」

 

「あ~そうだね~。多分つぐのとこが珈琲出すからちょうどいい感じになるだろうし」

 

「さーや!!はぐみのうちのコロッケ使ってコロッケパン出してよ!!」

 

「はぐ!!それいいね!!」

 

「ちょっと香澄・・・。まぁ、前向きに検討するってことで」

 

 

 

「私達はミッシェルと一緒にみんなを笑顔にするわ!!」

 

「ライブ前なのに疲れない?イヴ達は撮影会だっけ?」

 

「はい!!今はアヤさん達が事務所で打ち合わせしてますが、チサトさんが何か考えてるみたいですが・・・」

 

 

「私も燐子先輩経由だけど、リサさんがなんかするつもりらしい。・・・って先輩達がはっちゃけてんな・・・」

 

「受験も終わったから息抜きしたいんじゃないか・・・」

 

「牛込さん。息抜きのレベルを遥かに超えてると思うんだけど・・・」

 

思い思いに話をしている彼女達は徐々にCircleへと近づいていくが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チュチュ様!!何か隠してらっしゃいますよね!!」

 

「なんか言えよ」

 

「・・・何もなかったわよ」

 

「ちょっとチュチュ、なんか変だよ?」

 

「あの~とりあえず、落ち着いてくださいよ~」

 

 

 

 

 

「レイ達だ!!それに七深もいる」

 

「あら?どうして言い合ってるのかしら・・・?」

 

「これ行っていいのかな・・・?」

 

花咲川の面々が到着した時には既にロック以外のRASメンバーが集まってチュチュに詰め寄るのを七深が宥めようとしていた。

しかし、それでも近寄りがたいオーラを放っており、あのこころは首を傾げて、りみにいたっては進むのを躊躇っていたがそんなことを気にするようなことも無く、RASの面々はチュチュに言い寄っていた。

 

「一体何隠してんだよ。受付にも入れねぇっておかしいだろ!!」

 

「おかしくないわよ!!・・・そうよ!!ゲンタロウが着替えてるのよ!!」

 

「チュチュ?流石に高校生の弦太朗が受付で着替えてるのはあり得ないと思うよ?」

 

「もう少しまともな嘘をついてください!!」

 

「あの~、説明するにも一旦落ち着かないと~」

 

 

 

 

「弦太朗が着替え・・・!!」

 

「山吹さんはバカやってないの。でも、明らかにおかしいよね?」

 

「ですが、ここでこうしててもどうにもなりません。参りましょう・・・!!」

 

明らかにおかしい空気感だったが、ここで立ち止まってる訳にもいかなかった彼女達は意を決してチュチュ達の元へと向かっていく。

 

 

「Hello。残念だけど、ここから先は今は通行止めよ」

 

「レイ?何かあったの?」

 

「ハナ!!聞いてくれよ!!チュチュが何も説明しないで中に入るなって言ってくるんだよ」

 

「マスキング。それはさっきから見えたから分かるけど、何かあったんだ?」

 

「それを聞いても教えてくれないんだよね・・・それになんか地面もすっごい濡れてるし・・・」

 

 

 

「ホントだわ!!水遊びでもしたのかしら?」

 

「RASの言い争いにしか目が行ってなかったから気が付かなかった・・・」

 

レイヤの言葉に皆がここで地面が濡れてることに気が付いた。

それは先ほどまでフォーゼがウォーターを使ってた証拠なのだが、それでもチュチュは無理やりでもごかまそうとしていたがそれも長く続くことがなかった。

 

 

 

 

「あなた達何を・・・」

 

「友希那さん!!」

 

「ミナトユキナ、あんた何しに来たのよ」

 

 

 

 

 

 

 

「倉田さんと入れ替わりと言う訳ではないけれど、私も外の空気を吸いに来たのよ。仕方ないとはいえ死体が近くにあるなんていい気分じゃないわ」

 

「「「「「「「死体・・・!?」」」」」」」

 

「あちゃ~・・・」

 

「Oh・・・折角言わない様にしてたのに・・・。何で言うのよ・・・」

 

「チュチュどういう事だよ!!死体って!!」

 

「まさか、それか弦太朗が・・・!?嘘でしょ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ・・・お前らも来たのか・・・」

 

「ゲンちゃん!!無事だったんだ!!」

 

「まぁな・・・」

 

「弦太朗!!」

 

「おい!!落ち着けって・・・!!」

 

 

 

 

「こうなったら隠す意味も無いわね・・・」

 

チュチュが誤魔化していたことをあろうことか友希那が何も考えずに言ってしまったことに、チュチュは目元を抑えて天を仰ぐ横で七深も苦笑いをうかべていた。

一方で死体という普段では聞かない単語を聞いた彼女達は頭を殴りつけられたような衝撃を受けたタイミングで弦太朗が登場して完全に収拾がつかなくなってしまった状況を見たチュチュは友希那を恨めしそうに睨んでから先ほど起こった出来事を説明し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ってのが今までの起こった事よ」

 

「仲間割れ・・・それで人を・・・しかもチュチュ様の目の前で・・・」

 

「うっ・・・なんでますきは平気そうなの・・・」

 

「レイ、直接見たわけじゃねぇし・・・それにチュチュがこうしてるのに話聞いただけでダウンするわけにもいかねぇだろ?」

 

 

「みんな・・・大丈夫・・・?」

 

「沙綾、お前人の事言える状態じゃないだろ・・・」

 

「有咲は大丈夫?」

 

「直接見てねぇからイメージがわかないだけだよ・・・」

 

 

 

「市ヶ谷さん、とりあえず一旦座って落ち着かせた方がいいかもね・・・若宮さん、悪いけど・・・も無理そうだね・・・」

 

殆どのメンバーがあまりにもショッキングな内容に聞いただけでダウンしてしまったが、有咲やますき、美咲はなんとか持ちこたえてはしたが辛いのが表情に出ていた中で1人だけはそんな彼女達とはまた別の表情を浮かべていた。

 

「牛込さん・・・?何で平気そうなの・・・」

 

 

 

 

 

 

「大丈夫じゃないけど・・・でも、気になったことがあって・・・」

 

「気になった事・・・?りみ、どうしたんだ?」

 

平気そうにしていた人物の正体はりみ。

彼女は恐怖以上に妙に気になったことがあって考えていたが、それが気になった弦太朗はその疑問について聞くとりみはゆっくりと口を開いた。

 

 

「えっとね・・・ホラー映画とかに出てくることになっちゃうんだけど・・・」

 

「映画・・・?今関係あるのかしら?」

 

「ミナトユキナ、ちょっと黙ってなさい」

 

「映画が何で出てきたのかは分かんねぇけど・・・りみは結局のとこ何が気になったんだ?」

 

 

 

「えっ・・・うん・・・。死んじゃってからすぐなのに冷たくなったってのが気になっちゃって・・・」

 

「ん?そりゃ死んじまったら身体が冷たくなっちまうだろ?」

 

「確かにそういうのがあるって聞いたことがあるけれど・・・」

 

 

 

 

「そうよ!!あの時は頭いっぱいになってたけど、よくよく考えたら変じゃない!!」

 

「あ~・・・そういえばそうですね~」

 

「チュチュに七深も・・・お前らまでどしたんだよ」

 

一旦冷静になったチュチュ達はりみの言葉を聞いて彼女が感じた違和感の理由を理解したが、頭の弱い上級生達(弦太朗と友希那)にはりみが気になっていたことがまるで分らなかった。

そんな2人を見たりみはなんとか2人に分かるように考えながら説明し始めた。

 

「えっとね・・・死体ってよく冷たくなるっていう表現があるんだけど・・・。そんな急に冷たくなるわけじゃないんだよ」

 

「冷たくなるんだったらおかしいところはないと思うのだけれど・・・」

 

「ミナトユキナ、確かに冷たくなるけれど時間をかけて徐々に冷たくなっていくのよ・・・。ワタシは直接触ってないから分からないけれど、少なくとも撃たれてすぐに冷たいと感じるまでは冷えてることがおかしいのよ。それこそマシロが言ってたように死体が歩いてたりしない限りは・・・でも、意味が分からないわね・・・」

 

「あ~・・・広町が知ってる都市伝説で"死体からゾンビの兵隊を作る実験をしてる”というのがありましたよ~弦太朗さん?どうしたんですか?広町の話がおかしかったですか?」

 

「そういえば・・・翔太朗先輩がなんか言ってた様な・・・」

 

違和感を感じたりみの言葉を聞いてチュチュは理解できないといった様子で頭を抱え始めたのを見て、この空気を和ませようと七深の都市伝説トークが飛び出したと思ったら今度はその話を聞いた弦太朗が頭を抱えだした姿に七深は首を傾げたが、当の本人はそんなことを気にする余裕は消えていた。

 

「NoNever!!ナナミあり得ないわよ!!そんな話!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!それだ!!」

 

「・・・What's?」

 

「やべぇ!!急いで流星たちに知らせねぇと・・・!!」

 

七深の言葉とふとしたチュチュの言葉で弦太朗は以前に話を聞いた事件について思い出して、最悪の展開が頭に浮かぶと同時に彼はCircleの中へと戻ろうとしたタイミングで―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「この声・・・リサ・・・?」

 

「くそッ!!最悪だっ!!」

 

そのタイミングでCircleの外まで聞こえるほどのリサの悲鳴が響き渡ると、その声を聞いた弦太朗はそのままCircleの中へと駆け出していく。

 

「ちょっと如月先輩!?」

 

「奥沢さん!!私達も行くぞ・・・!!如月の近くが一番安全だ!!」

 

「アリサの言う通りね・・・!!マスキング!!」

 

「分かってるよ!!」

 

そんな彼の背中を追いかけていく彼女達も悲鳴が響いたCircleへと入っていくのだった。

 





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Chapter-11 リボーン・ギンガ

(予約)投稿です
登校時間とタイトルから今回の怪人が誰かわかるよね・・・?

劇場版キャラは深堀されないからオリ設定ぶち込み放題だぜぇ(白目


 

外で弦太朗達が話をしていた時、Circle内の空気が死んでいた。

 

「「・・・」」

 

 

 

 

「紗夜達は・・・ダメそうね・・・」

 

「なんで友希那は・・・大丈夫そうなの・・・?」

 

「リサ・・・正直に言ってしまえば目の前で起こった事があまりにも現実味が無くて受け止められないのよ・・・でも、燐子とあこがいなかったのは幸いね・・・」

 

「まりなさん達は奥に行っちゃったけど・・・それにしても問題は向こうかな・・・?」

 

「そうね。とりあえず私は外にいる如月のところに行ってくるわ」

 

「あぁ・・・うん」

 

そう言って友希那は外へ向かうのを見送ったリサは目の前で死にそうな顔をしていた後輩達に視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふーすけ、とりあえずお茶でも飲めって」

 

「・・・」

 

「おい、ふーすけ」

 

「二葉さん・・・?」

 

 

3年生とは別の場所にモニカの3人は集まっていたが、こちらは3年とは違いギスギスした空気が漂い始めていた。

そんな中でつくしは落ち込んだまま、呟くように話し出した。

 

「なんで・・・2人ともいつも通りなの?」

 

「・・・いつも通りには出来てないと思うわ」

 

「いつも通りなことないって!!ふーすけ、落ち着けって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなこと出来る訳ないよ!!」

 

「二葉さん・・・?」

 

しかし、そんな2人の様子を見たつくしは完全に爆発してしまったことに瑠唯は彼女の様子に戸惑ったが彼女はそのまま止まらない。

 

 

 

「だって!!人が変身してやられたら何も残ってないんだよ!!どこ行っちゃったの・・・!!」

 

「それは・・・アタシも分かんないけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスカレイドのメモリを使った人間は倒されると同時に死ぬんだよ」

 

「「「っ!?」」」

 

 

「そういうことだったんすね」

 

「だから倒された時に何も残ってなかったのね・・・」

 

 

「2人ともおかしいよ!!」

 

つくしからの疑問のまりなと共にいたはずの流星が答えていた。

彼女達はその言葉を聞いて驚いていたが、透子と瑠唯はその答えに相槌を打ったがその態度はつくしが声を更に荒げてながら反応していた。

 

「悪い人たちだったかもしれないけど!!何にも残らず消えちゃうなんて、あんまりだよ!!」

 

 

 

「ふーすけ。アタシ達はなんもしてないのにどうこう言える立場じゃないっしょ?」

 

「二葉さんの考えは正しいと思うわ。それにもしもあの人たちに好き勝手させてたら今度は私達の誰かが死んでたかもしれないけれど、二葉さんはそれについてはどう思うかしら?」

 

「それは・・・でも・・・だけど・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいはい!!この話やめやめ!!とりあえずはこの後どうするかでしょ!!」

 

「今井さん。奥の奴はもう話がついて、歌星経由で後藤って警察の人が―――」

 

「どうするか決めないとでしょ!!」

 

「それはもう・・・」

 

 

 

 

「決!!め!!な!!い!!と!!」

 

「えっと・・・うん・・・そうだね・・・」

 

 

「とりあえず、アタシはまりなさん呼んでくるね」

 

透子と瑠唯の言葉につくしの頭はパニックを起こして今にも爆発寸前になっていたが、それを見たリサは無理やり間に割って入って話題を強引に切り替えることで話を終わらせようとしていた。

 

しかし、既に賢吾には連絡を済ませて財団関係に詳しい警察に対応してもらうことが決まっていたのだが、この空気を誤魔化そうとしたリサが流星の言葉を遮って奥にいるまりなを呼びに行くことにしてそのまま奥へと向かっていくと、先日までギターが置かれていた倉庫へと恐る恐ると言った様子で入っていく。

 

 

 

 

 

「まりなさん~」

 

「リサちゃん!?」

 

「えっと、こっち来ませんか?流石にずっとここに居るのも辛いですよね?」

 

「えぇ・・・そうね・・・ありがとう」

 

短いやり取りをした2人はそのまま部屋を出ようとした。

しかしそのタイミングで2人の耳はあり得ない音を聞き取っていた。

 

 

 

「あの・・・まりなさん」

 

「リサちゃん・・・?どうしたのかしら?」

 

「気のせいかもしれないんですけど・・・今、あの女の人の方から音がしませんでした・・・?」

 

「した気がするけど・・・もう死んじゃってるんだから音がするわけ・・・」

 

「そうですよね~・・・バランス悪く積んでた荷物がズレたりした音ですよね・・・?」

 

ただの気のせい、もしくは荷物の音だと自分たちに言い聞かせながら、2人はゆっくりとしたスピードで背後にあるはずの死体へと振り返ると、そこには―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃で撃たれて冷たくなっていたはずの死体が何事もなかったかのように起き上がって動き出していた。

 

「死体が・・・動いてる!?」

 

「いっ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「リサちゃん!!立って!!きゃああ!!」

 

そんな光景を前にホラーが大のニガテであるリサはその場にへたり込んで恐怖のあまり叫び声をあげしまった。

そんな彼女へと死体が歩み寄ってくるがそんな彼女を庇うように立ち塞がるが、呆気なくまりなは死体によって荷物の山の中へと投げ飛ばされてしまい、その手がリサに触れようとしたタイミングで悲鳴を聞きつけた流星が中へと飛びこんできた。

 

 

 

 

 

「ホアタァ!!」

 

「・・・」

 

「何がどうなっているんだ・・・!!」

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

「リサさん!!大丈夫・・・って死体が動いてる!?」

 

「流星!!」

 

流星が飛び込んで彼女達を守る様に死体に飛び掛かって戦闘を始めると、そんな彼に遅れて透子達、そして弦太朗達が倉庫に飛び込んでくるタイミングで、流星は死体―――ソラリスと一旦距離を取っていた。

 

「如月、そいつは任せた。奥沢さんはまりなさんを・・・!!」

 

「了解・・・!!」

 

 

 

 

 

「弦太朗!!何がどうなって・・・」

 

「そいつは・・・ネバーとか言う奴だ!!」

 

「Never・・・タチバナさんのデータにあった人間を死体の兵士にするが、アイツは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「財団の技術があればミュータミットにNeverの技術を使うこと程度容易いこと・・・。そして、レム・カンナギの野望の完遂も・・・」

 

「そのために自ら死体の兵士になったという訳か・・・!!」

 

「えぇ・・・。そして財団ならば、破損したこれの修復も・・・」

 

ソラリスは実験で生み出されたミュータミット。

その生みの親であるレム・カンナギの野望を実現するために、彼女は自らの意思でNeverの処理を受けて死体の兵士になり、その狂気はあるものを修復してみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドライバーだと・・・!?」

 

「なっ!?てめぇ!!」

 

 

流星はそれに見覚えが無かったが、弦太朗はそれについて鮮明に記憶していた。

 

ソラリスの手に握られていたもの、弦太朗が以前にオーズと共闘して倒したレム・カンナギ―――いや、超銀河王が使用していたそれと全く同じものがその手に収まっており、彼女はそれをそのまま腰に巻いていた。

 

「メダルとスイッチはダミーで本物ほどの能力はないが・・・」

 

 

 

「っ・・・!!てめぇ!!」

 

「弦太朗!!」

 

「おうっ!!」

 

あまりにも衝撃的な出来事に行動が遅れてしまった弦太朗だった。

 

流星の声を聞いて我に返ると2人でドライバーを装着してドライバーを操作し始めるが、変身のシーケンスはメテオの方が圧倒的に早い。

 

―――メテオ レディ?―――

 

3――――

 

フォーゼドライバーがカウントダウンを始めるタイミングでメテオドライバーは既に変身の為の最終段階に入っていた。

ソラリスはドライバーのスイッチに手を伸ばしたタイミングで流星はドライバーのレバーに手をかけようとしていた。

 

「変身―――!!」 

 

フォーゼドライバーのカウントダウンの中で流星がメテオドライバーのレバーを叩いたその瞬間、

突如として不思議なことが起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流星!!何止まってんだ!!」

 

変身しようとしたそのタイミングで突如として流星が腕を止めていた。

その意味が分からない弦太朗は思わず声を挙げていたが、そんな流星の目の前ではソラリスの身体が光ると流星に肉薄して彼を殴りつけるとその後ろにいた弦太朗を巻き込んで壁に叩きつけられていた。

 

「ぐぁっ!!」

 

「はぁ!?2人がいきなり吹っ飛んだ!?」

 

 

「一体、何が・・・!!」

 

「あれはアイツが変身してた・・・!!あの野郎!!」

 

 

流星は変身に失敗し、訳の分からないまま弦太朗を巻き込みながらいきなり壁に叩きつけれられて声を漏らしていた。

そして巻き込まれた弦太朗もドライバーにセットしていなかったスイッチを床一面にぶちまけていた彼らが視線を挙げた先にはレム・カンナギが以前に変身していた”超銀河王”が立っていた。

 

 

 

 

 

 

超銀河王は変身が完了していない2人を他所に、床にぶちまけられていた”あるスイッチ”へと歩み寄っていた。

他の面々は目的が分かっていなかったが、ライダーの2人は相手の目的が分かってしまった。

 

「ヤベェ!!あの野郎!!フュージョンスイッチを・・・!!」

 

「また変身する時間は・・・!!」

 

 

 

「ブシドー!!」

 

相手の目的はフュージョンスイッチ。

何故それを狙っているのかは分からないが、野生の勘で危険を感じ取った2人は変身することなく超銀河王へと駆け寄ると、先ほどまで弦太朗の話を聞いてダウンしていたイヴも2人に合わせて突撃していくが、再び不思議なことが起こった。

 

 

 

 

「流星!!・・・いや、イヴまで!?ぐはっ!!」

 

再び、流星の動きが止まった――――

と思ったが、今回は流星だけではなく一緒に動いていたはずのイヴの動きまで止まっていた。

 

それに驚いて動きが鈍った弦太朗は超銀河王によって振り払われて床に転がされ、動きが止まった流星の拳とイヴの木刀の軌道をずらして互いが攻撃するような状況を作り出すと、再び流星たちが動き出していた。

 

「ぐっ!!」

 

「リュウセイさん!?」

 

「くそっ!!何がどうなってんだ!!」

 

 

 

「目的のものではないが・・・これでもある程度のエナジーは吸収できる・・・」

 

全く訳が分からない面々を他所に超銀河王はフュージョンスイッチを手にすると、ドライバーのスイッチを抜いてフュージョンスイッチをドライバーにセットしてフュージョンスイッチを起動する。

 

その瞬間、フュージョンスイッチから光が放たれて何も見えなくなる弦太朗達は光の中で何かが動くのを感じたが、見えない彼らはそれを追う事すら出来なかった。

 

そして、彼らの視界が戻るとそこに超銀河王がフュージョンスイッチをドライバーから外している姿を捉えていた。

 

「フュージョンのエナジーを吸収したのか!?」

 

「エナジーを頂きました。・・・ですが、70%程度ですか・・・しばらくは慣らしが必要そうですね・・・」

 

「てめぇ!!待ちやがれ!!」

 

弦太朗は超銀河王を追いかけようとするが、変身すら出来ていない彼は追いかける間もなく相手の姿は忽然と消えて、フュージョンスイッチだけが虚しくその場に残されているのだった。





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投稿時間は敵キャラの出てきた映画の公開日ですよ()


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Chapter-12 アイKnow!!ユーNo!!

遅くなり申した。
これのエンドは考えてるけれど、どうやってエンドまで持っていくか・・・
うごごごご・・・


 

「わぁ~!!イヴちん大丈夫!?」

 

「ハグミさん・・・大丈夫ですが・・・不覚を取りました・・・」

 

「くっ・・・訳の分からないままやられてしまった」

 

「2人とも大丈夫そうね!!・・・それにしてもどこに行っちゃったのかしら?」

 

「私もこころ達の前に立ってたけど、気が付いたらいつの間にかいなくなってたからね・・・。っと、いけない。まりなさん助けないと・・・」

 

撃たれた人間が突如として起き上がるという信じられない出来事を目の当たりにした大半の面々は言葉を失くしてしまっていたが、彼女達の目の前では敵を逃がしてしまったことに悔しがる流星と、飛び出していったイヴの元へとハロハピの面々が心配そうに駆け寄っていく姿に徐々に我に返っていくが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃぇ~!!」

 

「うぁっ!?リサ!!何やってんだよ!?」

 

「なっ!?今井さん!!何、弦太朗に抱き着いてるんですか!?」

 

「あっ!!リサさん・・・!!ずるい!!」

 

「沙綾ちゃん!!あかんよ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

「無理無理無理~!!ゾンビとか無理~!!」

 

「今井さん!!破廉恥です!!離れなさい!!」

 

「うぉぉおおお!!リサの奴どこにこんな力あんだよ・・・!!」

 

 

 

 

 

「アンタ達!!いい加減にしなさいよ!!」

 

 

 

 

「よっ!!ってなんだ?」

 

 

「あ~!!ろっか!!あすか!!見て見て!!リサ姉が弦太朗に抱き着いてる~!!」

 

「「えっ?」」

 

「「はっ?」」

 

「つぐもひーちゃんも落ち着いて~」

 

「来て早々あれなんだけど、何これ?」

 

しかし、そんな中でも死体だと思っていた物が動き出したのを間近で見てしまったリサは未だに我に帰ることが出来ず、恐怖のあまり恥も外聞もかなぐり捨てて弦太朗へとしがみ付いて始めてしまった。

 

その姿を見た沙綾が暴走し始めて、紗夜と弦太朗がリサを引き剥がそうとするがどこから出てるのか分からない圧倒的なパワーによって彼女を引き離せず緊張感が無くなってしまっていたがその姿に痺れを切らしてしまったチュチュが吼えたタイミングで羽丘の面々までやって来てしまい、完全にこの場の収拾がつかなくなってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少し時間が経ち―――――

彼女達はロビーに集まってこれまでに起こったことについて情報を共有していた。

 

「Never、いやネクロオーバーか・・・そう言えばタチバナさんが残した資料にあったのを見たがあれは本来人間に対してのものだったと書いてあったと思うが、そこまで―――」

 

 

 

 

 

「死体を蘇らせるなんて凄~い!!ゲームみたい・・・」

 

「あこちゃんの言う通りだよね・・・。見てないし、流石に・・・それは・・・」

 

「つぐちゃん。でも、私達の目の前で銃でバーンって撃たれて倒れたのを見たんだよ」

 

「そうね。アタシもアメリカにいた時に本物を撃ってるのを見たことがあるけれど、アレは間違いなく本物だったし、脈が止まったのはリュウセイとルイが確認した。とは言っても、ゾンビ相手じゃ死んだ死んでないはどうでもいいわね・・・」

 

今回の相手は人間―――ではなく、ミュータミットという人間を超えた相手でネクロオーバーの技術を使って不死身になった相手。

その相手が2日続けてCircleを狙ったその目的について考えようとしたが、それは容易に想像が出来た。

 

 

 

「目的は・・・あれだろ?この前掘ったギターみたいな奴だろ?ここにねぇってことは今どこにあるんだ?」

 

「マスキング、それならおたえの奴がどっかに持ってってな・・・」

 

「ハナさん。それはどちらにあるんでしょうか?」

 

「えっとね。それは―――

 

「パレオ。おたえもちょっと待ってくれ」

 

 

 

 

「有咲・・・?どうしたの・・・?」

 

「おたえ・・・とりあえず、在処を言う前に聞くけど・・・おたえ以外に知ってる奴はいるか?余計なことは言わなくていいから”はい”か”いいえ”で答えろ」

 

「えっと・・・イエス?」

 

そう。

彼女達が考えた目的は先日Circleで掘り当てたギター。

あれが何なのかは未だに分かってないが、相手がそれを目当てに襲撃してきたのだと言うますきの言葉を誰も否定することはなく、むしろ今それがどこにあるのかを問いかけるような言葉が飛ぶが、それに有咲が待ったをかけると彼女に視線が集まっていく。

その中でたえは有咲から言われた問題に答えると、有咲はそれを聞くとそのまま彼女に視線を向けて自身の案を伝えた。

 

 

 

 

「よし・・・だったら、私や如月も含めてこれ以上誰にも言わんでいい。てか、誰にも言うな」

 

「「「「「えっ?」」」」

 

 

 

 

 

 

「有咲・・・ここまで来てそう言う理由が分かんないんだけど?」

 

「そうだよ!!みんな知ってた方がいいんじゃないかな!!」

 

「モカちゃんもひーちゃんや蘭と同じ意見かな~」

 

 

 

「美咲?」

 

「みーくん。どういうこと?」

 

「いや、私に聞かれても・・・」

 

 

 

 

「いや、マジでどういうこと?ふーすけ」

 

「分かんないよ・・・」

 

「桐ヶ谷さん。とりあえず落ち着いたらどうかしら?」

 

 

 

 

 

 

「リサ?どういう事かしら?」

 

「友希那~アタシが分かる訳ないじゃん」

 

「市ヶ谷さん。説明してくれますか?」

 

ここに来て、有咲はたえに対してギターの在処を誰にも言うなと皆の前で釘を刺す。

他の面々はこのタイミングで場所の共有をすると思っていたのに対して、有咲の斜め上の言葉に驚いて有咲に言葉を驚いていたが、彼女はそんな中で自身の考えの理由を話しだす。

 

「Need To Knowって奴だよ。燐子先輩や羽沢さんなら知ってると思うけど・・・」

 

 

 

 

「おたえ達は意味わかる ?」

 

「香澄、私も分かんない」

 

「はぐみも分かんないよ~」

 

「リサ・・・」

 

 

 

 

「あ~・・・香澄達にも分かるように言うと、ライブのセットリストとか演出がやる前から客に知られてたら困るだろ?だから、出来る限り秘密にしましょうってこと・・・」

 

「えっと・・・?何となく分かったような・・・?」

 

「香澄ちゃん。この前秘密にしろって言ったのに彩ちゃんがやらかしたでしょ?あれみたいなことが起こらない様にするためよ」

 

「「「「なるほど・・・!!」」」」

 

「チサトさん流石です・・・!!」

 

「有咲ちゃん!!それがいいと思うよ!!何人が知ってるのか分かんないけど・・・少ない方がバレなくなるもんね!!」

 

「う~・・・!!あこ、気になるけど・・・つぐちんが言うなら・・・」

 

「あこは知ったら口に出そうだしね・・・」

 

「えぇ~!!あすか、あこは大丈夫だよ!!ね?ろっか!!」

 

「あはは・・・」

 

 

 

「有咲!!私も気になる!!」

 

「有咲!!教えてちょうだい!!」

 

「はぐみも~!!」

 

 

「いやいや、アンタたち3人が一番最初にバラしそうでしょうが・・・。市ヶ谷さん。とりあえず、こっちの3バカは無視でいいから」

 

千聖の出した例を聞いて、ようやく有咲の考えの意味を理解した彼女達。

知ってる人物が少なければそれだけ漏れにくくなるという有咲の案につぐみが賛成すると、約1名はしぶしぶと言った様子だったがなんとか納得してくれた。

 

その一方で花咲川は好奇心に負けたこころ達が有咲に視線を向けるが、美咲が即座に彼女達を抑えると有咲はその意見に同意を求めようと弦太朗―――ではなく流星へと視線を向けると、彼は彼女に笑みを浮かべながらその意見についての答えを出していた。

 

「それだったら、俺達も知らない方向で行こう」

 

「ちょ!?如月はともかく、知ってた方があれ守ったりするのに必要じゃ―――」

 

「変身しないで戦った時に分かったけど、今回の相手はあれを守ることを意識して戦うほどの余裕が

ある相手じゃない。だろ?弦太朗?・・・おい、弦太朗。話を聞いてたのか?さっきから何も話しに―――」

 

流星は自身の考えについての意見を聞こうと弦太朗へと視線を送るが、弦太朗は流星の言葉に全く反応を示さずに何かを考えている様な素振りをしたまままるで時間が止まったかのような状態で固まっていた。

 

彼が何について考えているのかまるで分からずにいたが、突如として動き出した弦太朗は声を挙げていた。

 

「そうだ!!流星!!そういえば何でお前、戦ってた時に急に止まったりしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

「何を言っているんだ・・・?」

 

「「「「「はぁ?」」」」」

 

弦太朗が放ったその言葉の意味が全く理解できなかった流星や彼女達は彼の言葉を意味を理解しようと頭を使い始めるが、今度は弦太朗ではなく他の面々が時間が止まったかのように動かなくなってしまうのだった。

 





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Chapter-13 たたかい・まくあい

遅くなりましたが投稿です。
アンケは・・・次の更新まで、もう少しだけ置いておくんじゃ・・・




 

今回の相手―――財団Xとの戦った。

そんな事があった翌日に弦太朗はぼーっとした表情で目の前の光景を眺めながら、横にいる人物に声をかけていた。

 

「なぁ?」

 

「・・・何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イベントの準備なのは分かるけど・・・なんで明日香がいるんだ?」

 

弦太朗の横にいた人物は香澄の妹である明日香。

本来なバンドはおろか楽器すらしていない彼女がイベントの準備の場にいることに彼は疑問を覚えていたが、そんな彼に彼女は苦笑いを浮かべてその疑問に答えていた。

 

「私、バンドリの運営ボランティアしてたじゃないですか?なんだかんだで最後の方はまりなさんの助手みたいな立場で、結果発表のアナウンスまでやらされたんですよ・・・?それ以外にも色々させられてたから今回もってまりなさんに頼まれちゃって・・・まぁ、今回はバイト代が出るからいいかなって・・・」

 

「おっ・・・おぅ・・・なるほどな・・・」

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん~!!あっちゃ~ん!!演奏の順番決まったよ~!!」

 

「もうお姉ちゃん・・・すいません。ちょっと行ってきますね」

 

「おう・・・」

 

彼の疑問に答えた明日香。

しかし、その言葉には多少の恨みの感情が乗っていたことに弦太朗は若干引き気味に答えたが、その空気は突如として変わることになった。

2人の間に割って入るようにして香澄が声を挙げると、明日香は呆れながら彼女の元へと歩いていく。

それを見送った弦太朗は再び上の空であることで考えていたがそれもすぐに別の人物たちによって遮られてしまった。

 

 

 

「げんたろう!!」

 

「如月くん?どうかしたの・・・?」

 

「如月、何ぼーっとした顔してんだよ・・・」

 

「んっ?あこに彩に有咲?・・・あぁ、”あ”繋がりだな・・・」

 

「訳わからんこと言ってんじゃねぇよ・・・」

 

明日香と入れ替わる様に彩と有咲が彼に歩み寄ってきていたが、そんな彼女に思わず彼は疑問をぶつけていた。

 

 

「昨日の今日でイベントの準備か・・・」

 

「えっとね・・・千聖ちゃんのスケジュールの関係で・・・」

 

「あこ達も結構予定変えたりしたんだよ・・・今日はあことりんりんしか来てないけど・・・」

 

 

「それに今回の相手は時間をどうこうするって言ってもお前以外にそれが分かんねぇんだから、こっちは何も出来ねぇって事で話は終わっただろ?まぁ、如月に丸投げしてるのは悪いとは思うけど・・・」

 

「それはまぁ・・・そうなんだけどよ・・・」

 

先日の銀河王は本当に僅かではあるが時間を止めていたが、それを認識できたのは弦太朗ただ1人のみ。

しかも、何故弦太朗ただ1人がそれを認識できるかもまるで分からずに、弦太朗はどうしようか考えていたが1人では全く答えが出てこないが、そんな彼を見かねて有咲が声をかけていた。

 

「如月くん!!私も一緒に考えるから!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・彩先輩が?」

 

「ちょっと!!有咲ちゃん!?その間は何!?」

 

「如月は普段考えねぇのに考えすぎだから少し休めって」

 

「そうだ!!げんたろう!!休憩ついでにりんりん達と商店街に買い出しいこう!!」

 

「・・・だな!!」

 

「いや、それ休めてないだろ・・・ったく、商店街行くなら沙綾達の様子も見てこいよ」

 

 

 

「えっ!?私も行きたいけどレッスンが~・・・!!」

 

「じゃあ!!あこ行こうぜ!!」

 

「うん!!りんりん呼んでくる!!」

 

彩達の言葉もあって少しだけ気分が落ち着いた弦太朗はあこの提案を受けてそのまま有咲達に見送られながら燐子と合流してそのまま買い出しの為に商店街へと向かっていくと、その真ん中で沙綾とはぐみが会話していたがやってきた弦太朗達へと手を振っていた。

 

 

 

 

 

「ゲンちゃん先輩~!!」

 

「それに、あこと燐子先輩も」

 

「おう!!はぐみに沙綾じゃねぇか。店番はいいのか?」

 

「はぐみは配達の帰りだよ!!この後店番だけどちょっとだけ休憩してるんだよ」

 

「私はお母さんに頼まれて、はぐみの店に買い物に・・・それで3人はどうしたの?」

 

 

 

「えっと・・・。イベントの買い出しで・・・」

 

「うん!!さっきねモカちんからイベントロゴの絵が送られてきたからそれで使う色のペンキを買いに来たの!!」

 

「なるほどな・・・」

 

「って、弦太朗は聞いてなかったの?」

 

「買い出しとしか聞いてなくてよ」

 

「あはは・・・」

 

沙綾の問いに答えたあこ達。

そして、このタイミングで買い出しの目的のモノを知った弦太朗に沙綾は苦笑いを浮かべずにはいられなかったが、彼らしいと思ってすぐに納得したが彼女は別の事が気になっていた。

 

「ねぇ弦太朗。その・・・昨日のこともあったのに・・・Circleから離れて良かったの・・・?」

 

 

 

 

「大丈夫だよ!!ほら、げんたろうの友達のりゅうせーさんもいるし!!さっきこっち来る前はましろ達と一緒に飾りを作ってたよ!!」

 

「あぁ。流星もいる・・・し―――あっ・・・」

 

沙綾は昨日のことで心配していたが、もう1人のライダーがいるからと安心した表情を見せたあこに対して弦太朗はそのもう1人について気になってしまっていた。

 

彼の頭の中にあったのは以前に天校であった宇宙飛行士選抜試験についての彼の姿が頭の中を過っていた。

 

 

 

 


 

「アタァアアアアアアアア!!ホアタァアアアア!!」

 

「流星!!大丈夫!!俺がフォローするぜー!!ダチが大量入院したと思えば何万羽でも折れる!!」

 


 

 

「やべぇ・・・。流星が大爆発しちまうかも・・・」

 

「ゲンちゃん先輩?なんか変な顔してるけど、どうかしたの?」

 

「いや、なんでもねぇよ!?そうだ!!飾りってどんなの作ってんだ?」

 

 

「ん~・・・はぐみはコロッケがいいなぁ・・・」

 

「あこはう~んとね~・・・カッコいいのがいい!!」

 

 

 

彼の頭の中では試験の時に短気を起こして暴走した流星の姿が浮かんでしまい、その事が表情に出ていたことをはぐみに指摘されるが、彼は流星の名誉のために咄嗟に話題を切り替えて何とか誤魔化すことに成功する。

しかし、そのまま女子トークが繰り広げられてしまい、弦太朗はそれを止めることが出来ずそのまま流されるまま彼女達の会話にそれとなく相槌を打つ事しか出来ず、それなりの時間が経ってしまっていた。

 

 

 

 

「って、りんりん!!げんたろうも時間見てよ・・・!!遅くなっちゃった!!」

 

「あっ!!はぐみ、そろそろ戻んないと!!」

 

「おいおい・・・まだ何も買ってねぇぞ・・・!!」

 

 

 

「すみません。これで失礼しますね・・・」

 

「あはは・・・すいません・・・」

 

「いえ・・・」

 

「またな!!」

 

こうして弦太朗達は買い出しへと戻っていくのだった。

 

 

 

 

一方その頃Circleで作業を手伝っていた流星は―――

モニカの面々の囲まれていた。

 

「・・・」

 

「流星さん?どうしたんすか?」

 

「・・・透子ちゃん・なんでもないよ・・・」

 

「まだまだあるんで頑張ましょう!!」

 

「あぁ・・・」

 

 

「あの、流星さん。そういえばさっき外で荷物運んでたりしてたのを見たんですけど、そっち行ったほうがいいんじゃないですか・・・?如月先輩は買い出しで荷物持ちしてるみたいで・・・」

 

「・・・ましろちゃん!!そうだね!!力仕事だったらそうさせてもらうね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「倉田さん・・・?」

 

「うぅ~・・・」

 

「るいるい、落ち着きなよ~。頑張ればすぐ終わるよ~」

 

「ななみちゃんが早すぎて追いつかないよ~!!」

 

モニカの面々に囲まれながら自身の性に合わない細かい作業に爆発寸前になっていた所で、ましろの言葉を聞いた途端に嬉々とした表情を浮かべながら逃げるようにして部屋の外へと飛び出していく

 

そして、それをしたことに対して瑠唯からの冷たい視線に耐えていたましろのことを彼が知る由はなかった。

 

 

 

 

 





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Chapter-14 奪われたフュージョン

「ふふんっ!!緑と言えば・・・私、牛込ゆりが重要なポジションで出番があるのね!!」

「おねーちゃん・・・」

「りみ?どうしたの?」

「あのね・・・お姉ちゃん。今回、お姉ちゃんにそんな出番無いの・・・!!」

「えっ・・・?」

(5) 輝いている緑
(18) 黒を塗りつぶした白
(3) 雄々しげ赤紫
(8) 小さく輝く山吹色

「えっ・・・」

って感じで投稿です。




 

 

弦太朗と流星の協力もありイベントに向けた準備は着々と進んでいくが、今日はその一角では余りにも珍妙な光景が繰り広げられていた。

 

「美咲!!大丈夫か?」

 

「大丈夫って・・・そもそもこれ出してきてる時点でどうかとは思いますが・・・」

 

「あぁ!!賢吾に聞いたらいいってよ!!」

 

「それに元々パワーダイザーは作業用で戦闘用じゃないから、今の使い方の方が正しいんだ。ステージの設営もそれがあれば人員を減らして、他の作業に回せるからね」

 

「でもよ。本番までまだ2週間もあんだろ?ステージ建てるの早くねぇか?」

 

「ステージがあれば近くを通った人たちがイベントの事を認知して、それが宣伝になるから・・・と月島さんが言ってたが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやいや、それよりも如月先輩が変身してるのはいいとは思えないんですけど・・・」

 

美咲は今、弦太朗が引っ張り出してきたパワーダイザーに乗り込み、フォーゼに変身した弦太朗がマジックハンドを使いステージの梁を持ち上げて、それを流星や黒服達が組み立てている状況に困惑の声を漏らしていたがフォーゼは笑いながら答えていた。

 

「ここには美咲達とこころの家の人達の知ってる奴らしかいねぇから大丈夫だろ?」

 

「それにこの間のような襲撃に対応するんだったら既に変身していた方がすぐに対応できるからね」

 

「だったら、朔田先輩は・・・?」

 

「あぁ~・・・メテオは作業するには向いてないからね・・・おい弦太朗、こっち側が少し下に下がってるぞ」

 

「やべっ・・・!!」

 

「・・・ツッコむのはやめよう」

 

美咲はこの中で完全にツッコむのを放棄して作業に戻っていくと、そこからしばらくしてステージが形になっていき、作業が一段落したそのタイミングで思わぬ闖入者が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンちゃ~ん!!」

 

「日菜?どうしたんだ?」

 

「えっとね~・・・あっ!!美咲ちゃん!!ゲンちゃん!!あたしもあれ乗りたい!!」

 

闖入者の正体は日菜。

しかも、彼女はダイザーを見た途端に自身が乗りたいを言い出してダイザーの元へと駆け寄っていくが―――

 

「うわっ!?」

 

「日菜さん・・・今、作業中ですから邪魔しないでくださいよ・・・」

 

「美咲ちゃん!!掴まないで降ろしてよ~!!」

 

「ちょっと暴れるとスカート捲れますよ!!如月さんは向こう向いててください!!」

 

そんな日菜を美咲はダイザーで日菜を捕まえるとそのまま上に持ち上げるが、そのまま日菜はジタバタし始めると彼女のスカートが揺れる。

流石にこれは不味いと感じた美咲はフォーゼに声をかけると彼はその言葉に応える前に咄嗟に視線を逸らしたがこの状況はすぐに解決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜!!」

 

「弦太朗、大丈夫か?」

 

「流星!!」

 

「あっ!!おねーちゃん!!」

 

「如月さん達を呼びに行ったのに戻らないで、その上朔田さんに呼ばれたと思ったら・・・あなたも奥沢さんも何やってるんですか!!」

 

「いや・・・作業中に急に来たからとりあえず捕まえて・・・暴れるとスカート捲れるって言っても大人しくしなくて・・・」

 

「とりあえず如月さんが向こう見てるうちに降ろしてください!!」

 

「えっと・・・はい・・・」

 

このタイミングで現れたのは姉である紗夜だったが、目の前の光景に彼女の怒りのボルテージはフルスロットルで突き抜けていた。

そんな紗夜の様子にいつも通りの日菜だったが、彼女を捕まえていた美咲は困ったような声色で彼女に説明しようとしたが、今の彼女にその言葉が通じる訳もなくその圧に負けてそのまま地面へと日菜を降ろした途端に紗夜からの説教が飛んでくる。

 

「日菜!!あなた危ないことしないで!!」

 

「えぇ~・・・でも、美咲ちゃんばっかり楽しそうでいいなーって」

 

「子供じゃないんだからわがまま言わないの!!」

 

「・・・はーい」

 

 

 

 

 

「氷川さんの暴走するのに姉である氷川くんを呼べばいいっと言ってた白鷺さんは正しかったな・・・」

 

「てか、流星。お前基本は君って呼んでたのに・・・」

 

「アイドルに君はあり得ない。と白鷺さんから言われてな・・・」

 

「正直、どっちでもいいですけどね・・・」

 

 

 

 

姉に怒られたことでようやく反省の様子を見せる日菜。

その光景を前に2人の元へと歩み寄っていたフォーゼと3人でくだらないことを話し合っていたが、その空気は一瞬で崩壊した。

 

「そうだゲンちゃん!!―――」

 

「如月先輩!!あれ!!」

 

「美咲?どうし―――っ!!あの野郎!!戻ってきたのか・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「変身!!」

 

何の前触れもなく彼らの前にダスタードを引き連れた銀河王が立ち塞がっていた。

それを前に流星は即座にドライバーを装着してメテオへと変身を完了してフォーゼと並び立っていた。

 

「あー・・・とりあえず後ろはあたしがなんとかしますから・・・」

 

 

「すまない・・・」

 

「この前に見たいには行くとおもうなよ?流星!!2人で一気に決めるぜ!!」

 

「あぁ!!」

 

 

 

 

 

――メテオストーム !! ――――

 

――コズミックON――――――――

 

「食らえっ!!」

 

「アタァ!!」

 

氷川姉妹を美咲に任せた2人のライダーはそれぞれの切り札を使うとすぐさま銀河王へと肉薄して、同時に武器を振り降ろした。

 

しかし、そのタイミングで銀河王は前に見せたように時間を止める。

その止まった時間の中でフォーゼのソードだけが振り下ろされるが、銀河王はその攻撃を回避するとフォーゼの体勢は前のめりになったタイミングで再び時間が動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!!」

 

「弦太朗!!」

 

「野郎・・・!!また時間を止めやがった・・・!!」

 

「だったら・・・これならどうだ・・・!!」

 

「おらぁ!!」

 

動き出したシャフトの振り下ろしを体勢が崩れたフォーゼにはそれを防ぐ手段がそのままシャフトがフォーゼの身体に打ち込まれる。

 

メテオは驚いた様子を見せるが、フォーゼの言葉を聞くと再び銀河王に詰めていく彼の後ろについて即座に動き出していた。

 

 

―――OK リミットブレイク―――

 

「メテオストームパニッシャー!!」

 

フォーゼは再び銀河王へと接近してソードを振り下ろし、その後ろで自身の攻撃が止められるのが分かったメテオはリミットブレイクを発動していた。

通常の技なら同士討ちの可能性があるが、メテオストームのリミットブレイクならばと考えて放ったその一撃は確実に銀河王の身体にダメージを与えていた。

 

「ぐっ・・・!!」

 

「おらっ!!よしっ・・・!!これならいけるぜ・・・!!」

 

 

「・・・っ!!パニッシャーでこの程度か・・・!!」

 

 

 

ダメージらしいダメージが入ったことでフォーゼは意気込んだが、連発することは出来ないパニッシャーであまりダメージが入っていないのを見たメテオの声からは焦りの感情が浮ぶ。

メテオの攻撃で若干の隙が生まれたこの瞬間をフォーゼは見逃がさなかった。

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー超銀河フィニッシュー!!」

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁああああ!!・・・がぁ!!」

 

「これでもダメか・・・!!」

 

フォーゼも最大の火力を銀河王に放つと直撃した銀河王は苦悶の声を挙げるが撃破には至らない。

2人が放ったのは連発が出来ない大技でも倒せなかった現状。

 

それを打破する可能性は――――

 

 

 

 

 

 

 

「流星・・・!!

 

「・・・弦太朗!!フュージョンだ!!俺達の力を合わせるぞ!!」

 

「おうよ!!」

 

 

以前の起こった事件で2人でも敵わなかった宇宙鉄人を倒したフュージョンスイッチに2人は現状を打破する可能性を見出した。

 

 

そして、2人の考えは一致するとメテオはすぐさま後ろに下がると、フォーゼはフュージョンスイッチを取り出してドライバーに装填するが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいっ!!どうなってんだ・・・!!」

 

「起動しないだと・・・!!」

 

 

「ふふっ・・・」

 

フュージョンスイッチを起動しようとしたが、スイッチからはカチカチというスイッチの音が響くだけで起動する様子はない。

それを前にした銀河王は不敵な笑い声を浮かべてるのだった。

 

 





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没ネタ
「ゲンちゃん、りゅーちゃん!!美咲ちゃんが持ち上げてた時にあたしのパンツ見たでしょ!!」

「「見てねぇ(ないよ)」」

「嘘だ!!あたしの水色見たでしょ!!」

「俺は本当に見てねぇって!!」

「・・・白だったような」




「やっぱり!!りゅーちゃん見たんだ!!水色はおねーちゃんのだよ!!」

「あっ・・・」

「日菜!!」







「流星さん?どういう事かしら?」

「瑠唯ちゃん!?」

「流星・・・俺の方に友子から電話がかかってきたんだけど・・・」

「うわぁあああああああああああああああああ!!」

この後、流星の姿を見たものは誰もいなかった。

END


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Chapter-15 点滴石を穿つ

あの子がスペックお化けになってるけど・・・
まぁ、劇場版だしね?せやね?
ってことで投稿です。


 

「弦太朗!!何をやってるんだ!!」

 

「フュージョンが起動しねぇんだよ!!」

 

「・・・まさかこの前の時に!!」

 

「えぇ。この間の時にそのスイッチからエナジーを吸収し、銀河王のエネルギーとして利用させてもらった・・・」

 

「くそっ・・・!!どうすんだよ・・・!!」

 

「弦太朗!!今はそんなことを考えてる場合じゃ―――」

 

切り札であるフュージョンが起動しないという彼らにとっては予想外のアクシデントに見舞われた彼らだったが、そんな状況に陥った原因が頭を過ったメテオに銀河王は余裕そうな態度で答えて見せ、そんな中でメテオはフォーゼの言葉を遮りながらシャフトを構えようとした瞬間、彼の視界から銀河王とフォーゼは姿を消して―――

 

「「きゃあああ!!」」

 

「こいつ・・・!!紗夜達に攻撃しやがって・・・!!」

 

 

「ぐっ・・・!!」

 

視界から消えたと思ったフォーゼは氷川姉妹たちを庇うように攻撃を防いでおり、メテオは突如として真横からの衝撃に襲われると共に銀河王が姿を現していた。

 

咄嗟に衝撃を感じた方向にシャフトを突き出したがその攻撃は銀河王の横腹を抉るものの、明らかにメテオの方が大きいダメージを受けていた。

 

 

 

「痛み分け・・・と言うにはこちらのダメージが大きいな」

 

「流星!!」

 

―――リミットブレイク―――

 

「ライダー超銀河フィニッシュー!!」

 

「ふっ!!」

 

 

 

 

「なっ!?弾きやがった・・・!!」

 

メテオがダメージを与えたその瞬間にフォーゼは再びリミットブレイクを発動してソードを銀河王に振り下ろすと、放たれた斬撃は銀河王の胴に命中するがその斬撃をはじき返して見せた。

 

「弦太朗!!このまま戦うしかない!!氷川さん達は俺が―――」

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!美咲ちんだ~」

 

「弦太朗・・・えっ・・・?嘘!?戦ってるの!?」

 

「どうなってんだよ・・・!?」

 

 

 

 

 

 

「羽沢さん達・・・どうして・・・!?」

 

「あわわ~!!不味いよ~!!」

 

状況を知らなかったとはいえ、最悪のタイミングでAfterglowの面々が戦闘の場にやって来てしまった。銀河王を相手にして氷川姉妹と巴以外の4人を守るのは流石のライダー達でも手に余る状況になってしまった。

そのピンチを銀河王は見逃すことはなく、その両手にコズミックエナジーを集め、それを光弾として氷川姉妹とAfterglowに向けて放っていた。

 

「はぁ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぐぁぁああああああああ!!」」

 

「如月先輩!?・・・こっちはあと少しなのに・・・!!」

 

「如月くん!!私達を庇って・・・」

 

「変身が・・・解けた・・・」

 

2人のライダーが身を挺して彼女達を庇ってそれは彼女達に当たることはなかったが、そのダメージによって爆炎が挙がり、その中から聞こえた生身が倒れる音から2人は変身が解除されてしまったことを察した。

 

 

彼らから離れた位置ではダイザーが大半のダスタードを蹴散らしているが、銀河王には歯が立たない。

完全に危機的な状況に立たされていたがそれにも構わず彼女は動き出していた。

 

 

 

 

 

 

「・・・美咲!!如月達を連れて逃げろ・・・!!」

 

「へっ?ちょ!?宇田川さん!?」

 

「ちょっと巴ちゃん!?」

 

「巴・・・待て・・・っ・・・!!」

 

皆の静止を聞かずに巴が爆炎の中へと飛び込むとそのまま銀河王へと突撃した。

正直、突撃している巴自身も自身ではどうにもならないのは分かってはいたが、それでも一緒にいる蘭達が逃げる為のごくわずかな時間を稼ごうとほぼ直感で彼女は動き出していた。

 

「おぉおおおお!!」

 

「無駄なことを・・・」

 

突撃する巴を見た銀河王はその無意味な行動を見て完全に呆れると、向かってくる彼女を振り払おうとするが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

 

「だらぁああああああああああ!!」

 

「ぐっ!!」

 

「嘘っ!?効いてるの!?」

 

 

 

「っ!?ぐぁ・・・!!」

 

「巴!!いつの間に巴の首を・・・!?」

 

「くっ・・・かはっ・・・」

 

その振り払われた銀河王の腕を巴は頭を下げて躱すとその懐に潜り込んで拳を振るう。

しかし、ただの人間では銀河王を傷つけるのは不可能―――のはずが銀河王の脇腹へと突き刺さった巴の拳からダメージを受けたことに銀河王は驚愕していた。

そしてひまりからも驚きの声が挙がった瞬間、銀河王は巴の首を掴んでその体を持ち上げており、彼女からは肺から空気が漏らし、声にならない声をあげることしかできなかった。

 

「ぁ・・・っぁ・・・」

 

「ただの人間が銀河王にダメージを与えるなんて・・・せめて人生の最後は苦しんで死ぬといい・・・」

 

 

 

 

 

「ぁぁ・・・」

 

 

 

 

「「巴!!」」

「巴ちゃん!!」

「トモちん・・・!!」

 

 

 

 

 

「・・・っ!!ぁぁああああ!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

自身の重みも加わって銀河王は徐々に力を入れれていく腕によって巴は意識が遠のいていき、ボンヤリと頭の中で”死”と言う感覚が近づいていくのを感じていたが、その最中で親友たちの声が聞こえた彼女は今残っている力を振り絞ると、最後の抵抗として銀河王の胴に前蹴りを見舞うと苦悶の声を漏らしていたと思った次の瞬間、彼女達に信じられない光景が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ・・・ぐぁぁああああ!!」

 

「つぐちゃん・・・!!アイツの身体から火花が飛び出てるよ!?」

 

 

「がはっ・・・!!」

 

「巴!!」

 

 

「あっ!!アイツ人間に戻ったよ!!」

 

「一体何が起きて・・・」

 

突如として銀河王の全身から火花が飛び散り始める。

その最中で掴まれていた巴も銀河王に投げ捨てられると地面を数回跳ねながら地面に転がっていくと、銀河王の姿は消え、人間体であるソラリスへと姿を変えていた。

 

余りの急展開を誰も理解出来ていなかったが、その中で人間体に戻ったソラリスはやっと自身の異変に気が付いた。

 

「・・・なるほど。復元したドライバーが破損したみたいですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達の攻撃のダメージで・・・壊れる寸前だったって事かよ・・・」

 

「だから、宇田川君の攻撃が効いて、それが破損する決定打になったと言う事か・・・」

 

「それにしても巴の奴、無茶しやがって・・・」

 

今までの戦闘でメテオとフォーゼのリミットブレイクを複数回受け止めていたことで復元されたドライバーへのダメージが限界寸前だった所に巴が最後の抵抗を受けたことでダメージが限界を超えてしまい銀河王の姿を保てずに人間体に戻ってしまったのだ。

 

ソラリスは状況を飲み込むと地面に落ちていたドライバーを拾い上げるが、その一方ではダメージを受けたライダー達は満身創痍の身体で再び立ち上がっていた。

 

 

 

 

 

 

「俺達も負けてられねぇな・・・!!」

 

「お前の運命(さだめ)は俺達が決める・・・」

 

「行くぜ・・・」

 

 

 

 

「・・・酵素が切れそうですから今回はここまでですね」

 

2人のライダー達は再び変身しようとドライバーに手を伸ばすが、ソラリスは自身の手を見つめながら呟いた。

 

 

 

ライダー達も満身創痍だったが、ソラリスもNEVARのデメリットである細胞維持酵素の注入と言うリミットが近づいていた。

 

それを察すると彼女は制服のポケットから取り出したスイッチを起動すると、そこから複数体のダスタードを出現させて弦太朗達へと攻撃させると、彼らは後ろにいる紗夜達を守るためにその対応をせざる得なくなっていた。

 

「それでは・・・今度来るときは、ここで見つかったギターを頂戴します」

 

「待てっ・・・!!あのギターは何なんだよ!!」

 

ダスタードに対応している弦太朗達を他所に撤退しようとするソラリスだったが、去り際に放った言葉の意味が分からずに弦太朗は声を挙げるがその声には答えずに足早にソラリスは撤退して姿を消した。

 

 

 

「くそっ・・・逃げられたけど、変身して一気に・・・」

 

「如月さん。その体では・・・」

 

「紗夜さんの言う通りだよ!!弦太朗くん!!ここは美咲に任せて休んでて!!」

 

「えっと上原さん?・・・でも、仕方ないか・・・」

 

 

 

 

 

「弦太朗、流星さん下がるよ?つぐみ達悪いけど・・・」

 

「えっ?ちょっと離れて・・・」

 

「蘭・・・おい放せって・・・!!」

 

目の前のダスタード達を倒す為に変身しようとした弦太朗達だったが、彼女達に捕まって後ろに引き摺られると、ダイザーに乗った美咲によってダスタード達が蹂躙されていく光景をまざまざと見せつけられることになるのだった。

 





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Chapter-16 刻限

遅くなり申した・・・
最後の方の流れは決まってるんですよ・・・

途中どうするかで詰まって難産でしたすまぬ・・・

と言う訳で投稿です。


 

銀河王―――ソラリスが撤退し、Circleの中へと戻ってきた弦太朗一行。

そこで戦いで負傷した弦太朗達は傷の手当てをしていたが―――

 

「っう~!!いってぇ!!染みる~!!」

 

「ダメだよ弦太朗くん!!ちゃんとやらなきゃ!!」

 

「そうだよ如月くん!!」

 

「ゲンちゃん!!これ!!とりあえず飲んで!!」

 

「日菜!!羽沢さん達も落ち着いてください!!」

 

 

 

 

 

「あっちは滅茶苦茶やって弦太朗がミイラみたいになってるし・・・何やってんだか・・・」

 

「本当にね・・・朔田さんはこれで大丈夫ですか?」

 

「あぁ・・・奥沢君、すまない・・・」

 

「まぁ、流石に怪我人放置できるほど冷めてないと思ってるので」

 

 

 

 

「アタシも終わったぞ~・・・って言っても首絞められただけだしな・・・」

 

「いやいやトモちん?地面をバウンドして怪我してないほうがおかしいからね~?」

 

 

 

 

 

「紗夜~!!ヒナ~!!」

 

「おねーちゃん!!」

 

「ゲンちゃん!!それにみんな大丈夫?」

 

「香澄!!大丈夫そうじゃねぇだろ!?」

 

 

 

「リサにあこ!?それに香澄!?ってか全員集合してんのか・・・」

 

「話は聞いて来たからな・・・如月、今はどうなってんだ・・・?」

 

「あ~・・・市ヶ谷さん。あたしの方から話すから・・・」

 

やはりと言うべきが、弦太朗の周辺はこんな時でも騒がしく、それに呆れだす流星と美咲の元へと別の場所にいた巴達が戻って来たタイミングでリサやあこを先頭に他のガールズバンドの面々と関係者である明日香まで全員がCircleへと雪崩れ込んでくるが、皆を代表して有咲が話を進めると皆が先ほど起こった戦いについて話始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――って、相手が逃げてくれたから何とかなったって感じかな・・・」

 

「いやいやいや!!巴!?ちょっと何やってるの!?」

 

「ちょっとリサさん!?アタシなら大丈夫ですから」

 

「落ち着ける訳ないでしょ!?滅茶苦茶して~!!」

 

「あ~!!リサ姉落ち着いて~!!相手のベルトがぶっ壊せたから無事だったんですから」

 

「そもそもそんな相手に突撃しない!!」

 

話を聞いたリサは巴の肩を掴んで慌て始めてたのをあこや周囲の面々が彼女を止めようとし始める。

その一方で、ますきと有咲は真面目に今の状況を考え始めていた。

 

 

 

 

「てかこの状況やべーだろ・・・。今回は運が良かったから何とかなっただけだろ・・・」

 

「マスキングの言う通りだよな・・・。如月の切り札も使えねぇ・・・原因は前に敵をCircle内に入れちまった時のあれが原因・・・ってこんなこと考えてもどうしようもねぇか・・・」

 

「でも・・・!!相手の目的があのギターだって分かったのは大きいと思うよ!!」

 

「あのギター・・・なんなのかしら・・・?ただの石よね?」

 

「いやいや、湊さん。光ってる時点でただの石じゃないですからね?」

 

「らんらん先輩?石がどうこうじゃなくて~どうしてあれが目的なのかが重要じゃないですか?」

 

「だよね~。でも、目的もあれの事もなんなのかはモカちゃんも分かんないけどね~」

 

メテオが相手の能力に対応できない現状で相手に対抗できるのはフォーゼ1人だけだが、話を聞けば相手は不完全な状態でコズミックの攻撃を耐えてみせ、切り札であるフュージョンは使用が出来ない状況に陥った原因について有咲が推測する。

しかし、起こってしまったことはどうすることも出来ないと割り切って思考を止めると、つぐみは少しでも明るくしようと話題を変えるが、分からないことが多すぎてこちらも全く進まない。

 

 

「目的が発掘したあのギターだけどここにはもうないから、次は俺が来る前みたいに複数個所同時で・・・なんてこともあり得る訳か・・・最悪だな・・・」

 

「場所が分かんねぇし、どこ守ればいいんだよ・・・。俺はロケットで動けばいいけどあの野郎には・・・」

 

 

「ですね~こっちのメインは男2人に加えて、宇田川さんと若宮さんとあたしで5人ですよ?しかも相手の親玉は如月先輩達に頼るしかないし・・・」

 

「だよな~・・・それにみんなを守りながらだろ?」

 

「ですが、私達がアヤさんや皆さんを守らないといけませんね!!」

 

「後は、周囲の避難くらいは黒服さん達に頼めばなんとかなるかな・・・相手のベルトも壊したからすぐには出てこないから準備位は出来ると思うけど・・・」

 

そんな中でライダー2人は相手への対応に頭を抱えていた。

数秒だが時間を止められる相手に対抗できるのは何故かそれの中で動くことが出来るフォーゼだけだが、いつどこに出るかも分からない相手への対応を考えるとずっと張りつめている程の余裕もない。

 

しかし、その2人の話に巴達が入ってきて、自分たちも戦力の頭数にいれて話始めたことに弦太朗達は目を丸くして驚きの表情を浮かべていた。

 

「ちょっと待って!?3人共何を言ってるんだ!!今回は今まで以上に危険なんだから―――」

 

 

 

 

 

 

 

「いいんじゃねぇか?」

 

「弦太朗!!お前、自分が何言ってるのか分かってるのか!!」

 

流星がヤル気の3人を止めようとするが弦太朗は巴達の意見に賛同してしまい、その言葉を聞いた流星は弦太朗に掴みかかっていたが、それを日菜が何とか引き剥がそうとし始めていた。

 

「りゅーちゃん。さっきあたし達庇ってやられそうになっちゃったんだよ!!」

 

「氷川さん、それはそうかもしれないが・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵のボスは2人でなんとかしてもらうしかない訳だし、それにさっきはアタシ達を庇ってやられそうになったんですから」

 

「宇田川さんの言う通りですよ。2人が親玉倒さないといけないんですよ?」

 

「ですから、その間は2人の代わりに仲間は私達が守ります!!これがブシドーです!!」

 

 

 

 

「はぁ・・・分かった。だが、決して無理だけはするなよ?」

 

「おう!!」

 

「お任せください!!」

 

「・・・出来る範囲で善処します」

 

話を聞いた流星は弦太朗に掴みかかったままの状態で話を聞き、そして自分の中で結論を出すと弦太朗のことを放してからため息交じりで彼女達にOKを出してしまった。

 

どちらにしろ守る余裕はない可能性が高いのなら最初から心構えだけさせておくだけでも違うと判断したが、別の問題が残されていた。

 

「後はいつ来るかが分からないのが問題だが・・・」

 

問題は敵がいつ襲撃してくるかが分からないというある意味では一番重要な問題が残されていた。

しかし、ここで思いがけない人物が案を出していた。

 

「流星さん!!あたしにいい考えがありますよ!!」

 

「桐ヶ谷さんの考え・・・?イヤな予感がするわね」

 

「ルイ!!お前見る前から言うなよ~!!」

 

「見る・・・?桐ヶ谷さん、それはどういう意味でしょうか?」

 

「じゃ~ん!!紗夜さんこれ見てくださいよ!!」

 

案を出したのはまさかの透子。

しかも、見るという言葉を使ったことに疑問を感じていた一同だったが、透子は自分が考えた案と言って自身のスマホの画面を見せつけたが、その画面を見た一同は凍り付いてしまった。

 

 

 

「なっ!?桐ヶ谷さん!?どういうつもりですか!?」

 

「何って、あれをここに置くってSNSに書くんですよ」

 

「・・・それのどこがいい案なのか全く理解できないのだけれど?」

 

「だって、いつどこに来るか分かんないだったらさ。目的のモノをチラつかせてこっちから呼んでやればよくね?」

 

透子が皆に見せたのはSNSの投稿画面。

そこに書かれていたのは相手の目的であるあのギターがCircleで展示するといった内容が書かれていた。

しかも彩とは違い、考えなしに発信する前に皆に見せるという配慮もしていたが、一部の面々はその内容に懐疑的だった。

 

「そんなので釣られるのかしら?」

 

「千聖さん!!彩さんの見てやってきたんですよ?だったら今回だって行けますって!!」

 

「浅はかね・・・」

 

「桐ヶ谷さん。余りにも短絡的ではないでしょうか?」

 

「ルイに紗夜さんまで!?行けると思ったんだけどな~」

 

 

 

「透子ちゃんの考え、案外悪くないんじゃないかな?」

 

「だよな・・・あたしも羽沢さんと同意見だな。燐子先輩はどう思います?」

 

「えっ?・・・その・・・私も方向性はいいかなって・・・」

 

「羽沢さんに市ヶ谷さんに白金さんまで!?正気ですか?」

 

千聖を始め、瑠唯や紗夜にダメ出しの連打に透子は若干残念がる様子を見せていた。

しかし、その一方ではつぐみや有咲と燐子が肯定的な態度を見せると紗夜がその3人の正気を疑い始めてしまったが、そんな様子を見て有咲はその理由を話始めた。

 

「あのギターが出たのは彩先輩の投稿だけですよ?相手はそれでCircleを3回も襲撃してるんですよ?」

 

「そうですね・・・それしか情報がないんですから」

 

「そうです!!それしかないんですよ!!」

 

「つぐちゃん?あたし分かんないんだけど~?」

 

「日菜先輩。こっちからあえて情報を出して相手を呼ぼうってことですよ」

 

「情報が少ないからこそ自分で確かめるしかないんです・・・」

 

 

「そっか!!りんりん!!NFOの新ボスも最初は情報ないから大変だもんね!!」

 

「情報が少なければ精査するためには自分で確かめるしかないという事ですか・・・」

 

最後はゲームで例え出したことに若干微妙な空気になるが、紗夜はあこの言葉を聞いてなんとか自分の中で状況を噛み砕いてなんとか理解すると、彼女は視線を弦太朗へと向けていた。

 

「如月さん。どうしますか?」

 

「紗夜?どうしたんだよ」

 

「話は分かっても中心にいるのはあなたと朔田さんの2人ですから、あなた達はどう思うのか聞いておきたくて」

 

「有咲達がそういうならいいと思うぜ?」

 

「そうだね・・・。分が悪い賭けだとは思うけど、やってみる意味はあるかもしれない」

 

「・・・分かりました。でしたらこれ以上は何も言いません」

 

戦う2人がいいなら自分がこれ以上とやかく言うのは無粋だと感じた彼女はこれ以上反論することも無くそのまま引き下がった。

 

「後はこれを出すにしても、何時Circleに運び込むかを漏らしておくか・・・」

 

「有咲、そんな見え見えので来るのかよ?」

 

「如月。さっき言ってたろ?分の悪い賭けだって。相手がベルトの修理が終わって動き出せるタイミングで運び込むのがベストなんだけど・・・」

 

「どの位で直せるのかなんて私達には分からないから・・・2人で決めてください」

 

「流星。どうする?」

 

「相手の修理の時間を考えると・・・1週間後くらいか?」

 

「もしかしたら、それまでに賢吾がフュージョンをどうにか出来るかもしんねぇな!!」

 

 

 

 

「了解です!!1週間後のリハの日にCircleですね!!そんじゃ・・・あげますよ!!」

 

そう宣言した透子は日付と場所を書き加えてからSNSの投稿ボタンを勢いよく押して、書き込みを世界中に発信しこれでもう後に引くことは出来ない。

 

こうして決戦まで見えないカウントダウンが始まるのだった。

 





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Chapter-17 宴への拵え

遅くなり申した・・・
投稿でありまする・・・

次回からカロリー消費激しくなりそう・・・


 

見え透いた罠を仕掛けた弦太朗達一行は来たる決戦の日を待つ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日香ちゃん。これで運ぶテントは全部だよ」

 

「はい。私も確認しましたけど運び込まれたテントの欠品は無さそうですね・・・」

 

「朔田くんも明日香ちゃんもありがとね!!お陰でこっちもステージの確認終わったわ~!!」

 

 

 

「まりなさん。ひなちゃん先輩達がバイトしてる楽器屋にチラシ届けてきたぜ!!」

 

「あっ!!如月くん。お帰り~!!もうお昼くらいにイベントの為にレンタルしたベンチとかが届くから、ちょっと早いけどお昼ご飯でも食べて待ってて~」

 

「うっす」

 

なんてことはなく、彼らはCircleで行うイベントの準備に明け暮れていた。

 

そしてようやく休憩に入り、彼らはカフェテリアに設置されていた机に座り込むとその途端に弦太朗は机に突っ伏していた。

 

 

 

「疲れた~」

 

「弦太朗。だらしない・・・と言いたいが、慣れないことは疲れるな・・・」

 

「お疲れ様です・・・。2人がいるから肉体労働が減って助かってますよ・・・」

 

「明日香、そういえばこの後は・・・?」

 

 

 

「えっと・・・昼くらいからお姉ちゃん達とAfterglowがスタジオで練習する予定になってましたよ。お姉ちゃん私が出る時には寝てたけど間に合うのかな・・・?」

 

「・・・明日香ちゃん。弦太朗が聞こうとしたのは作業の予定だと思うんだが・・・よく覚えてたね?」

 

「お前すっかりスタッフ業が板についてるな・・・」

 

「2人とも言わないでください・・・。ちょっと気にしてるんですから・・・。てか、2人ともこっちの手伝いをしてていいんですか?」

 

「あぁ。それは―――」

 

 

 

 

 

「あっちゃーん!!どうして起こしてくれなかったの~!!」

 

「起きれたんだ・・・。そもそも起こしても起きなかったのはお姉ちゃんでしょ?」

 

「弦太朗達もおはよー。これ差し入れのパンだよ」

 

「沙綾!!あんがとな!!」

 

以前のバンドリと今回のイベントの手伝いを通して、妙に仕事が板についてしまった明日香が弦太朗からの言葉を聞いて肩を落として落ち込むが、それ以上に弦太朗達がここで手伝いをしてていいのかを聞こうとしたタイミングで寝坊の心配をされていた香澄を先頭にPoppin'PartyがCircleに現れる。

 

その先頭にいた香澄は起こしてくれなかった明日香に駆け寄っていくと他の面々もその後に続こうとしたがここで彼女達はステージが出来上がっていることに気が付いた。

 

「凄い・・・!!ステージが出来とる・・・!!」

 

「一昨日は骨組みだけだったのにもうここまで出来てんのかよ・・・」

 

「ホントだ!!凄いねあっちゃん!!」

 

「お姉ちゃん?もう知ってるよ・・・」

 

「先輩達がやったの?前みたいに変身して?」

 

「変身はしてねぇけど、手伝いしたぜ?」

 

「それで今は休憩中だったんだけどね?」

 

 

 

 

 

「でも、弦太朗。こうしてて大丈夫なの・・・?」

 

「それさっき明日香にも言われたな」

 

「スイッチの問題は歌星に連絡して任せて、弦巻君のところの人達がダイザーのメンテナンスを買って出てくれたから俺達に出来ることがなくてね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「だったら~げんたろーさんたちも演奏します~?」

 

「うおっ!?モカ!?お前いつの間に出やがった!?」

 

「パンの匂いがしましたから~。ってことでいただきま~」

 

 

「モカ・・・なにやってんの・・・」

 

「確かにパンのいい匂いがしたけど・・・ちょっとモカ~!!勝手に食べちゃダメでしょ~!!」

 

「ひまりちゃんのいう通りだよ!?」

 

「それにしても昨日見た時は骨組みだけだったのに良く出来たな」

 

「そりゃ、こころのとこの人達も手伝ってくれたから・・・ってモカ?お前何でダンボールなんて持ってんだ?」

 

 

 

「ふっふっふ~。弦太朗くん気になっちゃう~?」

 

「なんでひーちゃんがそんな自信満々なの~?まぁ、いい感じだとは思うけどね~」

 

「じゃじゃ~ん。どう~?いいでしょ~」

 

ステージが出来上がったことにひとしきり驚くと沙綾が先ほどの明日香と同じ疑問を感じて質問すると、今度は誰にも邪魔されることもなくその疑問に答えるとパンの匂いを感じ取ったモカ達が現れるが弦太朗は彼女が抱えていたダンボールの存在に気が付くと何故かひまりがは含みのある笑みを浮かべると、そんなひまりを他所にモカがダンボールの中身を広げるとそこには今回のイベント名が記されたTシャツがあった。

 

「これはイベントのロゴ・・・今回のために作ったのか?」

 

 

「弦太朗さん達2人にも用意してますよ~。白と黒でどっちか1つずつしかサイズ用意してないので、どっちかを着てきてくださいね~」

 

 

 

「ロゴが・・・どーんって感じだね!!」

 

「ばーんって感じだね。ゲンちゃん!!」

 

「おたえも香澄もあこみたいなこと言うなよ・・・」

 

「ねぇ!!今からこれ着て準備しようよ!!」

 

「お姉ちゃん?準備って言っても後は当日とかにやることばっかりだから・・・」

 

 

 

 

 

「だったらよ。このロゴをステージの真ん中に飾ろうぜ!!」

 

「「「「それだ!!」」」」」

 

 

「いや、イベントのために作った新曲の練習時間は・・・って聞いてないし・・・はぁ・・・」

 

彼女達はモカが取り出したTシャツに皆が盛り上がっていく。

ステージが組みあがり、モノが出来ていくことをみてイベントが近づいていくことを感じていく彼女達だったが、テンションの上がった弦太朗の思い付きの言葉に皆が賛同してしまった光景に仕事が増えたことを察した明日香が深いため息を零していた。

 

「それについては着替えるついでに俺達が聞いてくるよ」

 

「有咲~私達も着よ~」

 

「おいっ!!外!!無理やり脱がせようとすんな!!如月達がいんだぞ!!」

 

 

 

 

「早く行くぞ・・・」

 

「おう!!」

 

「おい!!見捨てんな!!」

 

こうして弦太朗達は悲鳴にも似た有咲の叫びに背を向けて着替えるためにCircleの中へと戻って弦太朗の案について各バンドごとに手伝いを頼むことについての相談をして外に戻ると、そこには香澄達もイベント用のTシャツへと着替えを済ませて立っていた。

 

「・・・みんなも着替えたのか?」

 

「私はお姉ちゃんが無理やり・・・お揃いがいいって言って同じ色を・・・」

 

「ゲンちゃん達、似合ってるよ!!」

 

「如月は白か・・・まぁ・・・悪くねぇんじゃねぇの?」

 

 

 

 

 

「何であそこで俺達を見てつぐみとひまりがガッツポーズして、沙綾が落ち込んでんだ?」

 

「あはは・・・弦太朗くん・・・沙綾ちゃんはそっとしておいて・・・」

 

「そうだ。さっきの話はまりなさんからOKが出たけど、皆も手伝ってね?」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

こうして彼らは弦太朗の思い付きを実現するために練習の合間を縫って動き始めることになった。

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ~こんな感じ~」

 

「下書きだけど・・・いいじゃん・・・しかも、昨日思いついてここまで書けるの・・・?」

 

「最初はモカちゃんが如月くんと一緒に浮き出るロゴを作ろうとした時は驚いたな・・・」

 

「あはは~・・・でも、足だからってものあるだろうけど、弦太朗くんの絵がその・・・ね?」

 

「そうだねりみ。先輩の絵・・・下手だったね」

 

「ちょっとおたえ~ゲンちゃんも頑張ったんだから~!!」

 

「うっせぇ・・・!!」

 

 

 

「あはは・・・弦太朗も落ち着いてよ・・・それじゃ、バンド毎に塗る場所決めよっか?」

 

「じゃあ、バンドカラーで!!」

 

「・・・ひまりちゃんの案で作業することにするから、今は練習行ってきなよ。最初はあたし達が先に自分たちのとこ塗っておくよ。引継ぎ内容とかあったら明日香ちゃん達に言っておくから」

 

「よろしく~」

 

モカの下書きからポピパが最初に色を塗り始め、Afertglow、そして他のバンド達へとバトンを繫いていく。

 

 

「ねぇ。リサ姉。おねーちゃん達みたいに紗夜さんも弓でばーんってやっつけられないのかなぁ~」

 

「確かに弓って武器よね・・・?してほしい訳ではないけれど、あこの話だけだったら出来そうに聞こえるけれど・・・?」

 

「う~ん。どうなんだろ?弓道って的も自分も動かないけど、あこが思ってるみたいには出来ないと思うけどね~」

 

「あこちゃん・・・弓を引くのに力使うから氷川さんも大変だと思うよ・・・?」

 

「そういえばりんりんは体験入部したんだよね~。そっか~」

 

「あこ~。とりあえずアタシ達のとこやろっか」

 

「氷川さんは雑誌の取材で来れてないし・・・私達もレコーディングとかで穴開けちゃってるから・・・」

 

「そうね。でも、紗夜のために少しだけ残したほうがいいわよね?・・・あっ・・・」

 

「あぁ~!!友希那~ちょっとそこ塗る所じゃないから~!!」

 

 

 

 

 

 

 

「って話をあこちゃんがしてて・・・」

 

「燐子先輩って弓道部に体験入部してたんだ・・・。うちだとるいさんが似合いそうだよね」

 

「いやいや!!ルイには無理っしょ!!」

 

「とーこちゃん?どうして?」

 

「いや、紗夜さんが話してたからネットで調べたんだけどさ。胸デカいと弓の弦が当たるんだってさ。紗夜さんのサイズだったら何の問題も無いけどルイは無理っしょ!!だって紗夜さんのお手頃サイズならともかく、ルイはなんて無駄にボンって感じじゃん?」

 

 

 

「ちょっと透子ちゃん・・・っ!!」

 

「「・・・」」

 

「デカい人はサラシ巻いたりするらしいけど、どうにか出来るのはDカップまでらしいんだよね~。ルイのサイズは確実にそれ以上あるから、ルイが弓道やった日にはもうビシバシっしょ!!ビシバシ!!」

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

「ひっ・・・!?」

 

「なんだよふーすけ~」

 

「とーこちゃん・・・うしろ・・・」

 

「なんだよ~ななみまで。紗夜さん達は今日は来れないって・・・って、えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐ヶ谷さん?随分と面白い話してるわね・・・」

 

「すいません。誰がお手頃サイズですか?」

 

「えっ?ちょ!?紗夜さんにルイ!?ルイは予定があってこれないって・・・!!」

 

「先方の都合で予定がキャンセルになったからこっちに来たのだけれど・・・」

 

「私は先日来れなかった分を取り戻そうとしてたのだけれど・・・。それで桐ヶ谷さん?誰の胸がお手頃サイズで成長見込みのない貧乳すっとーんなんでしょうか?」

 

「言ってない!!あたしはそこまで!!言ってない!!」

 

 

 

 

 

「「1回真剣に話し合う必要がありそうね・・・」」

 

「ちょ!!まっ!?」

 

「とーこちゃん・・・なーむー・・・」

 

多少のトラブルがありつつ、Roseliaとモニカが看板の色塗りのバトンを受けて―――

 

 

 

 

「Circle Thanks Party~みんな来てね~」

 

「美味しい物とか楽しい物もたくさんあるよ~!!」

 

「ライブもやりまーす」

 

「・・・待ってるよ」

 

「みんな笑顔になりたくて、チラシを貰いに来てくれたわね!!」

 

「おやおや、可愛い子猫ちゃん達が集まってきてくれたね」

 

「ふえぇ~!!」

 

 

 

 

 

「なんで足りなくなったペンキの買い出しついでのビラ配りしてたら、どうして人だかりが出来て動けないなんてことになっているんだよ・・・」

 

「それに、なんであの3人は奥沢君がキグルミの中に入ってるのに気が付かないんだ・・・」

 

「分かんねぇよ・・・」

 

 

 

 

「弦太朗!!これから私とミッシェルの3人で玉乗りよ!!」

 

「おい!!荷物あるから!!それに俺玉乗りなんて出来ねぇって!!」

 

「その玉はどこから・・・あぁ、弦巻君のところの・・・なんて無駄な行動力なんだ・・・」

 

 

買い出しのついでにハロハピの面々によるビラ配りで些細な事件が起こったり―――

 

「おねーちゃん達と一緒に演奏楽しみだな~」

 

「ジブンも楽しみです!!・・・35人でステージだとちょっと不安ですが・・・」

 

「マヤさん!!きっと大丈夫です!!」

 

「ふふっ・・・麻弥ちゃん。練習しましょうか?」

 

「うん!!そうだね!!練習しよ!!」

 

「彩ちゃんは噛まない様にしないとね」

 

「ちょっと日菜ちゃん!?」

 

 

 

 

「・・・新曲もいい感じに仕上がって来たわね!!流石、アタシ達RASね」

 

「チュチュ様~自画自賛ですか~?でも、そうしてしまうのも納得の曲ですよね!!」

 

「あぁ、普段のRASとは違う感じだけど良いな!!」

 

「ますきの言う通りだね」

 

「はい!!・・・あっ!!レイヤさん。そう言えば最近、ケースを2つ持ち歩いていますけどどうして・・・」

 

「えっ・・・?あぁ、あれは・・・その・・・予備?かな・・・?前は・・・練習終わったらメンテナンスに出そうとして・・・」

 

「私も気をつけないといけないですね!!」

 

「そうよ。楽器のメンテナンス不足でパフォーマンス落とすなんてナンセンスよ・・・とにかく練習再開するわよ!!」

 

イベントのメインであるライブに向けてそれぞれが練習に励んでいく。

しかし、対応策であるフュージョンスイッチの再起動については全く進展がないまま、弦太朗達が示した決戦の日を迎えるのだった。





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Chapter-18 開幕大一番

投稿です。

おかしい。
前話に比べたら一気にカロリー消費が激しくなってきた・・・


 

SNSで例のギターが運び込まれると発信した決戦の日。

普段ならある程度の数の車が通る車道のど真ん中で弦太朗達3人(・・)が立ち塞がっていた。

 

「なぁ、2人のそのオレンジのツナギなんだよ・・・しかも、如月の背中の友情って・・・」

 

「ん?これか?こいつは前にダチの衛星に乗り込んだ時に着てたやつなんだよ」

 

「如月の友達は衛星なんて持ってんのかよ・・・こころじゃあるまいし・・・」

 

「いや、弦太朗が言っていることは間違ってはいないが・・・。それよりもなんで宇田川君はスーツなんだ?」

 

「それって彩達のライブの時に着てたやつだろ?」

 

「まぁな・・・意外といいんだぞ?そうだ、如月。さっきりみとCircleで何か話してたけど何話してたんだ?」

 

「あぁ・・・アレは―――」

 

 

「2人とも、おしゃべりはここまでだ」

 

「来たか・・・」

 

戦闘前にも関わらず、そんな緩い会話を繰り広げていたタイミングで道路の反対側から白い服を来た女が数体のダスタードを引き連れながらゆっくりと彼らへと歩み寄っていた。

 

「こんにちは。例のモノを貰いに来たわ」

 

「たしか・・・ソラリスだったか?お前が探してるのは俺達の後ろだ」

 

「ふっ・・・随分と余裕ね?」

 

自身を奮い立たせるために、あえて目的のモノがある場所を口にした流星。

そんな彼の言葉を聞いたソラリスはその言葉に反応しながら2人のライダーの横に立っていた巴に哀れみ視線を向けていた。

 

「そっちの子はもうヴァルゴに変身も出来ないのによくやるわね・・・」

 

「アタシが街を―――いや、友達を守るって決めたんだよ・・・変身出来る出来ないは関係ねぇ!!」

 

「そう・・・意気込んでるところ悪いけれど・・・いただくわ・・・!!」

 

流星と同じように気合いを入れるために威勢よく吼える巴。そして巴の言葉に答えるかのようにソラリスは弦太朗達にダスタードが1体ずつ向かわせたが、今の彼らはその程度で止める事はできない。

 

 

 

 

 

「アタァ!!」

 

「おらっ!!」

 

「ソイヤっ!!」

 

「へぇ・・・意気込んでる事だけはあるわ―――っ!?」

 

それぞれの1撃がダスタードに突き刺さるとそのままダスタードはソラリスの元へと派手に飛びながら塵になっていく光景に感心していたが黒い塵でソラリスの視界が遮られていたその瞬間、ソラリスは普通の人間よりも強化されたミュータミットとしての感覚が遮られた視界の向こうから迫る3人の元とは別の敵意を感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟・・・!!」

 

「くっ・・・!!」

 

その敵意の正体は巴と同じ格好をしていたイヴ。

ダスタードが消滅した際に発生した塵がソラリスの視線を遮ったほんの僅かの隙に彼女は相手の懐まで飛び込むのと同時に彼女の手に握られていた白刃がソラリスの腰に巻かれたドライバー目掛けて斬り上げるのと同時にソラリスはその刃を躱そうと身体を引いた。

 

「外したっ・・・!!」

 

「礼儀がなってないわね・・・!!」

 

「イヴ!!」

 

しかし、ドライバーを破壊することが出来ず僅かに相手の髪を切り裂く事しか出来ず、イヴはそのまま腕を掴まれてミュータミットとNeverの技術によって爆発的に強化された身体能力によってそのまま弦太朗達に向かって投げられるが、イヴは空中で姿勢を整えるとそのまま弦太朗達の横に着地していた。

 

「すみません・・・失敗してしまいました・・・」

 

「ダメ元だったんだから気にすんなって!!」

 

「奇襲でドライバーを破壊できればと思ったが仕方ない・・・手筈通りにいくぞ」

 

「後は任せとけ・・・!!いくぜ流星!!」

 

 

 

 

「あぁ!!」

 

―――メテオ レディ?―――

 

 

「圧倒的な力の差をみせてあげましょう・・・」

 

奇襲でギンガオードライバーの破壊するという策は失敗してしまったが、それでも彼らはドライバーを取り出して腰に巻いてスイッチを入れる姿にソラリスは余裕の笑みを浮かべてそれを見守り、周囲はフォーゼドライバーのカウントのみが響いていく。

 

3―――――――

 

2――――――― 

 

1―――――――

 

 

「「変身!!」」

 

「変身・・・」

 

ライダー達はその言葉と共にドライバーのレバーを操作するのに合わせる様に、ソラリスもまた彼らと同じ言葉を発しながらドライバーに収められたスイッチを入れる。

 

「しゃあ!!宇宙・・・来たぁあああああああああ!!」

 

 

 

 

 

「圧倒的な銀河王の力・・・そして、この数に耐えられるか?」

 

そして2人が仮面ライダーへと変身を完了するのと同じタイミングでソラリスも超銀河王へと変身を完了すると、その口調がカンナギを思い起こさせる様な物へと変えながら数えきれないほどのダスタード達が新たに沸き出させて銀河王の後ろがダスタードで埋まっていたが、彼女達はそれに怯む様子すら見せていなかった。

 

 

「ダスタードの数が・・・!!君たちだけじゃ・・・!!」

 

「では、ここは任せてください!!」

 

「行け!!如月!!」

 

「・・・任せたぜ!!」

 

――――ロケット スーパー――――――――――

――――ロケットON――――――――――

 

「行くぜぇえええええええええええ!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

 

「ここは私達に任せて、ゲンタロウさんの元へ行ってください!!」

 

「だが・・・!!」

 

「大丈夫です!!イヴと2人だけじゃないですから!!」

 

「っ!!・・・2人とも来るぞ!!」

 

巴達の声を聞いたフォーゼはドライバーにロケットスイッチスーパーワンを挿して、そのままロケットステイツへと変身すると両手のロケットモジュールに火を入れると銀河王へと突進し、そのまま銀河王ごとフォーゼは空へと飛び立っていく。

しかし、メテオは目の前のダスタードの大群を前に自身がここに残るべきか考えてしまい、動き出せずにいた所をイヴ達がメテオに声をかけたタイミングでダスタードの大群が3人へと迫ろうと動き出そうとしたが―――

 

 

 

 

 

「全員!!動くな!!」

 

「ミサキさんっ!?」

 

「うおっ!?爆発!?」

 

このタイミングで美咲の声が響くと同時に突如としてダスタードの大群が次々と爆発し、3人は予想外の爆風に襲われるが、その爆発の中には全く別の音が混ざっていた。

 

「この音は・・・銃声・・・?まさか・・・!!」

 

 

 

 

「遅れてすいません・・・黒服さん達がバカをしたせいでちょっと手こずっちゃって・・・」

 

「美咲!?ってそれ何だよ!?その両手のガトリングは!?」

 

「・・・黒服さんが「こんなこともあろうかと準備してました」とか言って両腕にくっつけてた・・・」

 

「マジかよ・・・ってなんか黒くなってないか?・・・煤か?」

 

 

 

「それに「人型でもミサイル撃てるようにした」とか言った挙句に「普通の量じゃミサイルが足りない」とか言って、外付けで膝の横とか肩とかにもミサイル載せてたし・・・まぁ、外付け分は全部使っちゃったけど・・・」

 

「ですが、ミサキさん!!お陰で数は減りましたよ!!」

 

「すまないが、後は任せる・・・!!」

 

美咲がダイザーでやってきたが、その両腕にはガトリングを装備していた。

しかし、それだけではなく何故か来たばかりにもかかわらず、肩や足の装甲の一部には何故か煤で汚れたような痕跡が残っていたことをツッコんでしまった巴に美咲が答える。

 

そんな中でメテオは数が減ったのを見て、この場を3人に任せると言うとその体は青い球体で覆われると同時にフォーゼが飛んでいったのと同じ方向へと飛んでいく光景を3人は見送っていた。

 

「ってあれ飛べるのかよ・・・」

 

「はぁ・・・。ぶっつけ本番でいけるかわかんないけど、やれるだけやってみますか・・・って、3人とも黒スーツだから見分けつかなそう・・・」

 

「だったら・・・!!」

 

「・・・はい!!これなら見分けがつきます!!」

 

 

 

「なんかゴメン・・・っと・・・!!ガトリングって・・・案外いけそう・・・かも・・・?」

 

「うおっ!?近くだと音がヤバいな・・・」

 

「2人とも!!ここから先が本番ですよ・・・!!」

 

美咲がボヤきを聞いた2人はスーツのジャケットを投げ捨てると、ジャケットの下から白いシャツが姿を見せたが、流石に3月も前で若干肌寒い季節にシャツ姿にさせてしまったことに美咲は若干の申し訳なさを感じたが、そのタイミングで爆発を逃れたダスタードが動き出そうとしたのが見えた彼女は腕のガトリングを容赦なく放って迫ってくるダスタードをハチの巣へと変えると腕のガトリングへと視線を落としていた。

そして、イヴの言葉を聞いて彼女達は目の前へと視線を戻していた。

 

「あのさ~・・・吹っ飛ばした後よりも増えてるような気がするんだけど・・・?」

 

「関係ありません・・・!!ここは私達で食い止めますよ!!」

 

「おう・・・!!これが終わったらみんなでラーメンだ!!」

 

「ちょっと2人とも?それ死亡フラグだから・・・」

 

 

 

「いざ・・・勝負!!」

 

「・・・よっしゃ!!行くぜ!!」

 

「あぁ~!!もう!!」

 

いつも通りと言った様子で彼女達3人はそれぞれの得物を構えてダスタードへと立ち向かっていくのだった。

 

 





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オマケーバンドリサイド最終決戦仕様
・美咲
両腕部に軍事用パワーダイザ―と同型のガトリングを装備し、本来は人型では使用不可だったミサイルを発射できるような改造に加えて、「普通の量じゃミサイルが足りない」との黒服の趣味によって肩や顔の横など複数個所に外付けミサイルがむき出しで装備された。
しかし、ベースが作業用のため照準は完全に搭乗者任せ、外付け装備という爆弾を抱えた完全な欠陥設計の機体に仕上がっている。
また、従来のミサイルも人型では腿裏に当たる部分になるため殆ど使い物にならない。

ちなみに
ダイザーに乗り込んでから上記の説明を受けた美咲は「全身に爆弾括り付けた状態で改造したってふざけてるんですか?」と黒服たちに怒りをぶつけていた。

・イヴ
普段から使用している木刀―ではなく、本物の刀を装備して参戦。
また、戦闘中の刀の破損を考慮して手持ちの1本とは別に両腰に1本ずつの計3本を装備。
なお、現代刀の重量は1本で1~1.5kg程になるので最初の彼女は約5キロ程度の重りを付けた状態で奇襲を仕掛けた模様。
ぶっ壊れかな?

・巴
いつも通りですが何か?



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Chapter-19 ダブルアクション

投稿です
そろそろ最終局面ですねぇ・・・
どうするんやろ?


 

「うぉおおおおおおおおおお!!」

 

「くっ!!よくも・・・!!」

 

「ぐわぁ・・・!!」

 

「堕ちろ・・・!!」

 

ロケットステイツに変身したフォーゼは銀河王を巻き込みながらとにかくCircleから離れるように飛んでいくが、銀河王は自身が纏っていたローブを硬質化させてフォーゼへと叩きつける度にフォーゼがバランスを崩してフラフラとしながら市街地の上を空を飛んでいくが、ここでフォーゼにとって予期せぬ出来事が襲った。

 

 

 

 

 

「なっ・・・!?どうしたんだよ・・・!!」

 

「ロケットの火が止まったな!!」

 

「くそっ!!どうなってんだよ!!」

 

「これで終わりだ・・・!!」

 

突如としてロケットモジュールの火が不規則な間隔で止まり始めてしまっていた。

それがモジュールへのダメージによるものなのかフォーゼが理解できる状況ではなかったが、それでも市街地の真ん中に銀河王を落とすわけにもいかないフォーゼは銀河王からの攻撃に耐えながら必死にロケットを制御していた所にある場所が視界に飛び込んできた。

 

「こうなったら・・・行くしかねぇ!!もうちょっとだけ踏ん張ってくれ!!」

 

「いい加減に・・・!!堕ちろ!!」

 

「・・・頼む!!あと少しでいい!!力を貸してくれ・・・!!なでしこ!!」

 

 

 

 

「・・・ぐっ!!何をするつもりだ・・・!!」

 

「・・・こうすんだよ!!」

 

その場所を視界に捉えたフォーゼは銀河王の攻撃をうけながらも、ロケットの最後の力を振り絞って銀河王と共に地面に激突する。

 

激突した地面は大きく抉れてそこから盛大に土煙が上ると、フォーゼの後を追いかけていたメテオが煙の近くに着地して、土煙の中で銀河王とフォーゼが立ち上がって来たのだが―――

 

 

「弦太朗・・・!!」

 

「ってぇ~・・・!!ロケットステイツが解けちまったな・・・やっぱり無茶だったか・・・?」

 

「ここは・・・学校か?」

 

「あぁ、香澄達の学校の校庭だ。にしてもアイツは退屈そうに話聞いてやがるな・・・」

 

 

 

「ふっ・・・空の旅は終わり?」

 

「あそこから離れれば十分なんだよ・・・!!」

 

ライダー2人を前にして銀河王は余裕の態度を見せて彼らのやり取りを聞いていた。

そんな銀河王を前にベースステイツへと戻ってしまったフォーゼは銀河王相手に見栄を切ったが、ロケットステイツの時に受けた攻撃によるダメージを全く隠せていなかったが、メテオはそれ以上にフォーゼの異変に気が付いてしまった。

 

 

 

 

 

「弦太朗・・・!!っ!?お前・・・!!どういうつもりでそんな・・・!!」

 

「流星!!こっからはガチで行くぜ・・・!!」

 

「・・・今はお分かった!!」

 

―――メテオストーム――

 

メテオが異変を声に出そうとしてしまったが、フォーゼが言葉にする前に止めて彼に声をかけると、その声に答えるようにしてメテオストームへと変身したタイミングで銀河王が動いた。

 

「メテオの相手はこれで十分だ・・・!!」

 

「なに?ローブだと?」

 

「流星!!カンナギの野郎はあのマントを堅くして生き物みたいに飛ばしてきたぜ・・・!!」

 

「数秒だけとはいえ時間を止められるとはいえ、操ったマントが相手とは舐められたものだな・・・」

 

 

 

「だったら・・・こっちはタイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「力の差を味わえ・・・!!」

 

その言葉を共に銀河王のローブがメテオへと襲い掛かるが、それと同時にフォーゼも動き出していた。

 

「食らえ・・・!!」

 

「ふっ!!」

 

「のわっ!?」

 

 

「ってぇ・・・!!」

 

「弦太朗・・・!!くっ・・・!!時間をまた止めたのか・・・!!」

 

「この程度の相手にカンナギの―――いや、我々の計画が止められたのか・・・」

 

飛んできたローブを躱したフォーゼはそのまま銀河王へと拳を突き出すが簡単にあしらわれてフォーゼは地面に倒れる。

それを見たメテオは彼の元へと駆け出そうとするが、ほんの一瞬だけ時間を静止させて操っていたローブでメテオへと攻撃を続けるとメテオもダメージを受けてフォーゼの近くで倒れてしまい、銀河王は2人のライダーを見下していた。

 

 

 

 

「やはり、未来のコアメダルの力を使ったオーズというイレギュラーがいなければ計画は完璧だった・・・!!だが、その計画以上に銀河王の力が告げるのだ・・・!!ライダーを抹殺しろと!!」

 

「・・・確かに映司さんはいねぇ・・・!!だけどな・・・!!お前の思い通りにはさせねぇ!!」

 

「あぁ、お前の計画はここで終わらせる・・・!!」

 

―――リミットブレイク―――

 

フォーゼはそのまま気合いで立ち上がってメテオの前に立つと、その後ろではシャフトにスイッチを装填して必殺技の体勢を整えていたが、時間を止める銀河王にとってはメテオのそれは障害になり得ない。

 

 

「時間を操るこの銀河王に今更、その技が通じるとでも・・・?」

 

「そこまで言うなら・・・試して―――」

 

 

 

メテオが言葉を言い切る前に銀河王が時間を止めた。

 

時間さえ止まってしまえばメテオが必殺技を放つ動作が止めて、その中で銀河王とフォーゼが睨み合うが、その視線の外から銀河王は自身のローブをメテオに向けて放っていたが”2人”はそれを読んでいた。

 

 

 

 

「よっしゃ!!ここだ!!」

 

「何を・・・!?」

 

「おらっ!!」

メテオはシャフトにスイッチをワインダーを装填して必殺技を放とうとしたのを察して銀河王は時間を止めた。

しかし、メテオはシャフトのスイッチに装填したワインダーから手を放し、止まった時間の中で動けたフォーゼがそれを引いてトッパーを射出させて迫ってきた銀河王のローブに対して蹴りこんで、ローブを完全に破壊と同時に時が動きだす。

 

「―――みてどうだった?」

 

「味方の武器を使って・・・」

 

「1人では無理でもダチがいりゃなんとでもなるんだよ・・・!!」

 

 

天校にいた頃の戦闘ではフォーゼがメテオのスイッチを使ったことは片手で数えられる程度で、フュージョンステイツでギャラクシーを使った以外にメテオの武器を利用したことは1度も無いが、たった今目の前でフォーゼが味方であるメテオの武器を利用してきたことに銀河王は少しだけ驚いていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが、これでこちらはあれの制御をする必要がなくなったわけだ」

 

「なに?ぐわっ!?」

 

「ぐっ・・・!!制御が無くなっただけで・・・これほどまで・・・!!」

 

銀河王は自身の意志でローブを武器として操っていたが、その必要がなくなったことによって銀河王自身から繰り出される攻撃は苛烈さを増していくと次第に2人は押されて防戦一方になっていき―――

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっぅ・・・!!」

 

「・・・弦太朗!?何故変身が・・・!?」

 

しかし、メテオの目の前でいきなりフォーゼの変身が解かれると弦太朗は力なく地面を転がっていく姿に驚きの声を挙げたメテオだったが、そんな彼に対して銀河王は見下した様子でメテオに時間が止まった中で起こった出来事を語りだした。

 

「時間が止まった中で味方を守ってやられるとは・・・でも、ようやく1人・・・」

 

「っぅ・・・!!・・・でも、やっと分かったぜ・・・」

 

「弦太朗!?お前!!」

 

「流星・・・!!多分だけど、アイツが止められる時間も回数も減って来てる・・・!!」

 

「何っ・・・?」

 

「・・・っ!?」

 

変身が解かれた弦太朗はメテオに自身が感じたことをそのまま伝えた途端に銀河王は驚いた様な態度を取った。

それを見たメテオは弦太朗の言葉を聞いて今までの戦闘を思い返すと、彼も戦闘中に感じた違和感に気が付いた。

 

 

 

「いや、確かに・・・2人が瞬間移動したように錯覚した時があったが・・・前よりも動いている距離が短いと思ったのはそういうことだったのか・・・!!」

 

「回数が減ったことを見破ったとしても、それを知った所で無意味だ・・・!!1人で倒せるとでも?」

 

「・・・それはどうかな?フォォオオオオオ!!」

 

メテオの言葉を聞いても未だに余裕の態度を崩さない銀河王は彼を鼻で笑って挑発するが、挑発を流したメテオは再びシャフトを構えるとそのまま銀河王へと駆け出していくのだった。

 

 

 





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Chapter-20 窮地と想いと予想外


なんか1人だけ別作品のように戦ってますな?
まぁ・・・えやろ・・・と言う訳で投稿です。


 

フォーゼ達が戦闘を繰り広げている一方で、大量のダスタードを相手にしていた彼女達は危機的状況だったが、奇跡的になんとか最初の場所で踏みとどまっていた。

しかし、そんな奇跡的な状況も長くは続かなかった。

 

「ぶん殴ってもドンドン出てくるのかよ!!」

 

「斬っても斬ってもどんどん出てキリがありません・・・!!どれだけ続くんですか・・・!!」

 

「えっと・・・30分くらい?泣き言を言いたいのは分かるけど・・・!!って、うそっ!?弾切れ!?」

 

 

 

「美咲!!予備とかないのか!?」

 

「ここ来る前にちょっと離れた所で予備を用意してるって言われたけど・・・」

 

「だったらここは任せてとってこい!!」

 

「それまでは私達が!!」

 

「・・・ごめん!!すぐ戻る!!」

 

戦闘中にガトリングの弾薬が底を着いた美咲は2人にその場を任せて全速力でダイザーに乗り込む前に言われた補給場所へと駆けていく。

2分もしないほど移動したその場所には美咲の到着を待っていたかのように待ち構えていた黒服達を捉えた彼女はすぐにそこまでダイザーを走らせて、すぐ横にダイザー止めると黒服達はすぐに作業に取りかかり始めていた。

 

「奥沢様!!ミサイルの補給に時間がかかりますので5分程時間を―――「そんなに待てません!!ミサイルはいらないから弾だけください!!急いで!!」・・・!?承知しました!!」

 

補給の時間を告げようとした黒服だったが、美咲は普段からは考えられないような怒号のような言葉を受けると彼女に言われるままに黒服たちはガトリングの弾の補充だけを進める、ダイザーの中にいる美咲はほんの数十秒しか経っていないはずの時間が何十倍にも長く感じられていた。

 

 

 

「・・・補充終わりました!!」

 

「・・・ありがとうございます!!下がって!!」

 

補充が終わったことを告げられた美咲はそのまま急発進して巴達の元へと戻っていく。

そして巴達の元へと戻ったタイミングで挨拶代わりに補充した弾丸を2人の死角から迫っていたダスタードに浴びせていた。

 

「ゴメン!!遅くなった!!」

 

「遅ぇって!!いない間に20体以上はぶん殴ったぞ!!・・・って言ってもそっから先は数えてないけどな!!」

 

「私も最初から30以上は忘れてしまいました・・・!!それにまだまだ数は減ってませんよ・・・!!」

 

「数を数えるくらいは余裕あるってことね・・・!!そんじゃ、やりますか・・・!!」

 

そうして再び3人揃った彼女達は目の前のダスタードへと突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロボットの付いてるカメラとマイクからのイヴさん達の映像ですが・・・これは・・・」

 

「これが奥沢さん達が見てる光景・・・殆ど黒一色じゃねゕ・・・!?」

 

出送られてくる映像では道路に広がるダスタード達の中へと巴とイヴが突撃していき、ダイザーのガトリングが爆音を轟かせながら容赦なくダスタードに弾丸の雨を降らせていく。

 

そんな絶望的な状況が映し出されていた画面にCircleに避難していた多くの面々が驚愕していたが、一方でその光景に驚愕とは別の感情を抱いた人物たちがいた。

 

 

 

 

 

 

「紗夜先輩?どうしたんですか?」

 

「市ヶ谷さん。なんでも・・・いえ、後輩である巴さん達がああしているのに・・・と思うと・・・」

 

「なるほど・・・うちはみんなここに居ますけど、確かに心配ですよね・・・」

 

「私も紗夜ちゃんの気持ちも分かるわよ・・・。イヴちゃんなんてパスパレで唯一の2年生なのよ?それなのに・・・」

 

「紗夜も千聖も、しょうがないって言いたくはないけどさ~。アタシ達がいても邪魔になるだけだし・・・」

 

 

 

「千聖、きっと大丈夫さ」

 

「薫・・・!!あなたは美咲ちゃんが心配じゃないの!!」

 

紗夜と千聖の2人は驚愕よりも後輩達が身体を張っていることに対する引け目と無力さを感じていたことにリサがフォローを入れようとしたタイミングで何気ない様子の薫が放った言葉が千聖の琴線に触れてしまったが、当の本人は何事もなかったかのような様子で彼女は指をある方向へと向けていた。

 

「あれを見てごらん?」

 

「何よ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「みーくん!!頑張れー!!」

 

「美咲!!凄いわ!!」

 

「ふぇ~!?美咲ちゃ~ん!!」

 

 

「おねーちゃん~!!やっちゃえ~!!」

 

「トモちん、いけいけ~!!」

 

「巴~!!カッコいい~!!」

 

 

「イヴちゃんもかっこいよー!!」

 

「るんっ!!ってきたー!!」

 

「イヴ先輩!!頑張って!!」

 

 

 

「っ!?」

 

薫が指さした場所では画面の向こうで戦っている彼女達に届かない声援を送っていた。

そんな光景を見た千聖は思わず息を呑んでしまったが、そんな彼女に薫は語りかけていた。

 

「私だって美咲の事を心配しているけれど、それ以上に美咲を信じてるのさ。それに一番年上だからこそ不安を外に見せない様にしないといけないからね」

 

「・・・そうね。私が悪かったわ。私達も弦太朗やイヴちゃん達が戻ってくることを信じましょうか・・・」

 

「別に千聖が悪い訳じゃないさ」

 

「紗夜もそういうことだからさ~」

 

薫の言葉に同意した千聖は画面の向こうの3人を信じて、静かに画面を注視し始める。

そんな会話を聞いたリサは紗夜に声をかけたが事態は予想外の方向へと転がり始めていく。

 

「そうですね・・・。ですが、まだ出来ることがあるんじゃないですか?」

 

「紗夜?出来ることってなに・・・?」

 

「簡単です。

 

 

 

 

 

 

花園さんを壊してしまいましょう!!」

 

「紗夜先輩!?何言うとるん!?」

 

「流石におかしいやろ!?」

 

「おたえを壊すってどういう事ですか!?」

 

「山吹さん・・・失礼しました。言い方が悪かったですね・・・」

 

たえを壊すというトチ狂った言葉が紗夜から飛び出したことにCircleにいた面々が再び驚愕するが、思わずロックとりみから方言が溢れ出てくるが、すかさず意味が分からなかった沙綾が聞き返すと紗夜は言葉が足りなかったことを謝罪して正確に自身の考えを口にした。

 

「花園さんが持って行ったという例のギターを壊してしまいましょう。そうすれば相手は帰っていくのではないでしょうか?」

 

「紗夜さん!!それはダメですよ!!」

 

「羽沢さん。ですが、相手に渡すよりはマシではないでしょうか?」

 

「そうかもしれないですけど・・・!!短絡的じゃ・・・?」

 

「紗夜先輩~!!おたえに乱暴しないでくださいよ~!!」

 

「例のモノはギターケースにしまってあるんですね?」

 

「カスミのいう通りよ!!止まりなさい!!・・・こういう時ハナゾノを庇うレイヤはどうしたのよ!!」

 

「チュチュ様?レイヤさんはまだ来てないからマッスーさんがバイクで迎えに行っちゃいましたよ?」

 

騒がしくなる中で

その喧噪に隠れるように蘭が密かにたえが持ってきていたギターケースに近づいて中身を確認する。

しかし―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・たえのギターケースの中を確認したけど、いつものギターなんだけど・・・」

 

「「「「「はぁ!?」」」」」」

 

「おたえ!!お前、アレはどこにやったんだよ!!」

 

 

 

 

「・・・私持ってないよ?」

 

「はぁ!?じゃあどこに―――」

 

紗夜の言葉が気になった蘭はたえのギターケースの中身を覗いたが、そのケースの中にはいつもたえが使っているギターである青のスナッパーが収められていた。

この場にいた大半が例のギターだと思っていたが、その予想は大いに裏切られたことに目を丸くしていたが、すぐに有咲が復活してたえに詰め寄るが彼女からは予想外の言葉が返ってきた事について詰めようとしたが―――

 

「あっ!!ひなちゃん先生!!ゲンちゃん先輩が写ったよ!!あそこ!!花咲川だよ!!」

 

「ホントだ!!ってえぇ~!?ゲンちゃんやられちゃったよ!?」

 

 

 

 

 

「「「「「えぇ~!?」」」」」

 

問い詰めようとした矢先に、画面に映っていたフォーゼの変身が解けてしまい、弦太朗が地面に転がっており、その近くではメテオがなんとか銀河王に食らい付いている光景を見た彼女達は事態は不安に駆られたが画面の中では異常事態が起こっていた。

 

「ちょ!?弦太朗さんが変身しないで突っ込んでいった!?どうなってんだよ!?」

 

「桐ヶ谷さん、落ち着いたらどうかしら?でも・・・一体、何を考えてるのかしら・・・?」

 

 

 

「あら・・・?変ね・・・?」

 

「ふぇ?こころちゃん・・・?どうしたの・・・?」

 

「花音!!やっぱりおかしいわ!!だって―――」

 

どういう訳か画面の中にいる弦太朗は再び変身することなく生身で銀河王へと突撃していた。

そんな異常な状況に驚いていた彼女達だったが、弦太朗に違和感に気が付いたこころはハッとした表情を浮かべながら声を挙げると、驚いた花音が思わず聞き返すと彼女はハッキリと感じた違和感を言葉にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって弦太朗!!ベルトがスカスカじゃない!!」

 

「何言って・・・って本当だ!?ゲンちゃんのベルトにスカスカだよ!?」

 

「香澄まで何言って・・・ってマジかよ!?何考えてんだ!!」

 

こころの言葉に半信半疑だった面々が目を凝らしていたが、確かにこころの言った通り画面の中にいた弦太朗のドライバーにはいつも収まっているはずのスイッチが1つも装填されていなかった。余りにも予想外の状況が続いて混乱していた彼女達だったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・?どういうことなん弦太朗くん・・・」

 

その中でただ1人。

りみだけは困惑した言葉を呟くが、周囲の声によってその呟きがかき消されていくのだった。

 





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Chapter-21 勇気の御旗


2023以内に完結・・・出来るかな?
無理かな?
ってことで遅くなりました、投稿です


 

「うわぁあああ!!」

 

 

「ドライバーのスイッチがないだと?」

 

「っぅ・・・」

 

「弦太朗!!」

 

「時間が止まる貴様が今さら相手になるとでも・・・!!」

 

変身もしない弦太朗が銀河王に向かっていくが、その体は容易く振り払われて彼は地面を転がっていく。

その行動に違和感を覚えた銀河王も弦太朗の状況を理解したが、その2人の間にメテオがシャフトを構えて割り込んでくるが、その姿を見た銀河王は再び時間を止めてメテオに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?」

 

「なっ?」

 

「アタァ!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

しかし、銀河王の攻撃はメテオのシャフトによって容易く阻まれたことに銀河王は驚いていたが、その隙をメテオが見逃すわけもなくシャフトをその胴へと叩きこむと攻撃を防がれた以上の驚きを露にしていた。

 

「マグレ当たりが・・・!!」

 

「本当にそう思っているのか?」

 

「・・・だったら試してやる!!」

 

安易な挑発に乗った銀河王は再び時間を静止させてメテオに迫ると、止まった時間の中でメテオへと打撃を与えるとメテオの身体が吹き飛ばされていくのと同時に時間が再び動き出していく。

先ほどのメテオのはマグレ当たりだと考え始めていた銀河王だったが―――

 

 

 

「ホアチャ!!」

 

「ぐはっ!?」

 

吹き飛ばされながらもメテオはシャフトで銀河王と突いてダメージを返すと、思わぬ出来事が連続して起こった銀河王は思わず声を荒げてしまっていた。

 

「何故だ!!何故、お前が止まった時間の中にいる私を捉えられる・・・!?」

 

「それをお前に教えると思っているのか?」

 

「貴様・・・!!」

 

「おらぁ!!」

 

「くっ・・・!!目障りな・・・!!ふっ・・・」

 

「何だ・・・?余裕そうにしやがって・・・」

 

「弦太朗・・・!!気を抜くな!!」

 

声を荒げたタイミングで銀河王の意識から完全に外れていた弦太朗は横から飛び蹴りを繰り出して銀河王を攻撃すると、怒りでペースが乱れかけたが、ふと校舎に取り付けられていた時計を見て余裕そうな態度を浮かべたことに弦太朗は不思議そうに視線を向けていたがメテオはそれを気にすることなくシャフトを構える。

 

そして、銀河王はその余裕の意味を淡々と語りだしていた。

 

 

「ここで戦い始めて1時間以上・・・もうこちらが例のモノを手に入れてる頃だとは思わんかね?」

 

「ふっ・・・それはどうかな?」

 

「アイツらだったらもう全員ぶっ飛ばしてるだろうぜ・・・!!」

 

 

 

「それはどうかな?」

 

「何・・・?」

 

「それをお前達が気にする余裕があるかな・・・!!」

 

「来るぞ!!流星!!」

 

意味深な言葉を残して銀河王はそのままメテオへと向かっていく。

そんなやりとりをしていた一方でCircle付近では―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しだけ数は減ってる気がしますが・・・どれだけいるんでしょうか・・・」

 

「ははっ!!数えきれるくらいまでには減ったけど、流石にしんどいなっ!!」

 

「刀が何本も折れる状況で宇田川さんはずっと前にいるからでしょ・・・!!」

 

「もう4本ダメにしてしまいました・・・」

 

 

「そりゃ、2人みたいに武器とか取りに行く必要がないし、これ以上後ろに下がる訳にもいかないだろ・・!!」

 

大暴れていた巴達だったが、流石の彼女達も数の暴力によって次第にCircleの方へと押し込まれていく。

 

特に武器を使ってない巴はずっと戦い続けていたせいもあって3人の中で1番傷だらけになっていたが、アドレナリン全開の彼女はその状況でもダスタードを派手に蹴り飛ばして数を減らしていく。

 

明らかに劣勢でも後ろにいる仲間たちの為にもこれ以上は引けないのが分かっている彼女達は必死の抵抗し続けていた。

 

「ぶしどー!!」

 

「ソイヤッ!!」

 

「でぇええい!!」

 

最初ほどの勢いはもうないが、拳が刀が銃弾が飛び交ってダスタード達はその数を減らしていく。

そして、気が付けば数えきれないほどいたダスタード達は気が付けば本当に数えられるくらいまでに減っていた。

 

 

「やりました・・・!!あと少し・・・!!」

 

「若宮さん、それフラグ・・・」

 

 

 

「イヴ!!右だ!!」

 

「っ!?―――きゃ!!」

 

「若宮さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

「なんとか・・・立てます・・・!!ですがアレは・・・」

 

数が減ったことに喜んだのも束の間。

イヴの真横にはダスタードとは違う影が迫っていたが今までの疲労もあった彼女達はそれに気が付くのが遅れてしまった。

気が付いた巴が咄嗟に叫び、イヴは反射的に刀で身を守ろうとしたものの、繰り出された攻撃は防ごうとして構えた刀をへし折りながらイヴへと直撃すると、彼女の身体は地面を跳ねていく。

痛みに耐えてイヴがなんとか立ち上ると自身が吹き飛んだ原因を見たがそれは彼女達にとっては予想外のモノだった。

 

「確か最初にこっちに出たって・・・やつ?」

 

「マジかよ・・・!!あれって船で見た中にいた・・・どらぁ!!」

 

そこに姿を現したのは最初にこちらの街で事件を起こしていたオリオンゾディアーツだった。

イヴはオリオンが持っていた棍棒によって殴られたのだと理解したが、その攻撃の隙に巴が全力で蹴りこむとその巨体はわずかに後ずさると今度は巴達を無視してダイザー目掛けて駆け出していた。

 

「ミサキさん・・・!!」

 

「美咲!!くそっ!!こいつらまだ出てくんのかよ!!」

 

 

 

 

 

 

「如月先輩達がいなくたって・・・!!」

 

美咲に迫るオリオンを止めようとした2人だったが、再び現れたダスタードに行く手を阻まれてしまう。

 

その状況で美咲は向かってくるオリオンへとガトリングを叩きこでいくが、それでも止まることはなくダイザーの目の前まで迫ると棍棒を叩きつけていた。

 

「くっ・・・!!」

 

「美咲!!」

 

「こいつっ・・・!!」

 

振り上げられた棍棒をダイザーは左腕のガトリングで受け止めるが、その代償として受け止めたガトリングの砲身が歪んでしまう。

しかし、そんなことに構うことなく美咲は左腕でダスタードを殴りつけてそのまま身体を後ろに吹き飛ばしていた。

 

「2人とも後ろに!!」

 

「トモエさん!!」

 

 

 

 

 

 

 

「いいぞ!!って、美咲!?何を!?」

 

「よしっ!!吹っ飛べ・・・!!」

 

美咲が叫びを聞いた2人は全力でダイザーの後ろに下がると同時に美咲はダイザーの左腕に付いていたガトリングをオリオン目掛けて投げつけると残った右腕のガトリングを構えて投げつけたガトリング諸共オリオンに向けて放つと、投げつけたガトリングに残っていた弾に誘爆して周囲は凄まじい爆風に包まれていた。

 

「どうでしょうか・・・」

 

「スゲー爆発だな・・・隠れてなきゃアタシ達もヤバかったけど、イケた気がしないな・・・」

 

「これでもう弾切れだから・・・終わってほしいけど・・・!!」

 

今出せる最大火力を叩きこんだが、美咲としては全く手ごたえがないながらも撃ち尽くしたガトリングをダイザーから切り離した。

そんな彼女の最悪の予想通り、オリオンはダメージを負いながらも以前とて立ち上がっていたことに3人は驚きを隠せなかった。

 

「あの爆発でまだ立って・・・!?万策尽きたって奴か?」

 

「万策って・・・奇襲がダメなら真正面からって策なんて言えないのしか用意してないでしょ・・・」

 

「でしたら、これから1万と1策目を考えましょう・・・!!」

 

「・・・って来るよ!!」

 

 

 

 

「ちょっとますき!!ストップ!!借り物でしょ!?」

 

「・・・行くぜー!!」

 

「ますき!?」

 

策を練ろうとした彼女達だったが、オリオンはその時間を与えてくれる様子もなく巴達に向かって再び突撃しようと駆け出した。

しかし、突撃してきたオリオンに対して勝手に借りたメテオのバイクに跨っいたますきが後ろに乗っているレイヤの静止を無視して横から体当りを食らわせてその体を吹き飛ばすと何食わぬ顔で巴達に顔を向けていた。

 

「悪い。レイ迎えに行ってたら遅れた・・・」

 

「ますき!!私が乗ってるのに何考えてるの!?」

 

「だってよ。服に血が滲むくらいにボロボロの状態だったら・・・突っ込むしかねぇだろ?」

 

「いやまぁ・・・こっちは助かったけど・・・大丈夫?」

 

「おう!!アタシもこっちで暴れるからレイは降りろ」

 

「えっ?うん・・・」

 

状況について行けなくなっていきそうになったレイヤは言われるがままにバイクの後ろから降りると、ますきはその場でバイクをターンさせてオリオンたちがいる方向を向いてエンジンを吹かすとあることを思い出した。

 

「そうだ。忘れてた・・・こっから暴れるのはアタシだけじゃなかった」

 

「・・・どういう事だ?」

 

「助っ人だよ」

 

ますきが言った助っ人と言う言葉にこの場で戦っていた3人は首を傾げたが、それと同時にますきが乗っていたバイクとは別の―――彼女達が聴きなれたエンジン音が近づいてくる。

 

そして、その音は彼女達の横を通り過ぎると見慣れたフォーゼのバイクが数体のダスタードを跳ね飛ばしてから彼女達の元へとやってくると、ヘルメットのバイザーを挙げて彼女達に顔を見せるとその顔に皆は見覚えがあった。

 

「如月の友達の、歌星さん・・・だよな?船で会った・・・」

 

「あぁ、遅くなってすまなかった・・・。傷だらけになるまでよく耐えたな」

 

助っ人の正体は以前にこころの船に一緒に乗った弦太朗の仲間である賢吾。

彼はフォーゼのバイクであるマッシグラーに跨り、彼らが着ていたのと同じようなツナギを身に纏ってこの場に現れたことに彼女達は驚きを隠せなかった。

 

「助っ人って歌星さんだったんですか!?」

 

「若宮さん、2人から話を聞いてみんなで弦太朗の助けに来たんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間のみんなでな・・・」

 

「「「みんな・・・?」」」

 

「って後ろ!!」

 

「大丈夫だ」

 

 

「えっ!?急に吹っ飛びましたよ!?って後ろ・・・?」

 

賢吾が気になることを言うのと同時にダスタード達が賢吾に迫るが、見えない何かによってダスタード達は賢吾に触れることなく後ろへと吹き飛ばされていく。

その事に突っ込んだ美咲だったが、賢吾はそのまま彼女達の後ろを指差すとそれに釣られて皆がその方向に視線を向ける。

 

 

 

そこには弦太朗や賢吾たちと同じような服を着て、賢吾が使っていたカバンや見た目の見たことのない銃を構えて歩み寄ってくる男女の姿が映っていた。

 

「弦太朗から以前に話を聞いたが・・・今時の女子高生はワイルドだな・・・」

 

「ちょっと隼!!その言い方だと私がおばさんみたいじゃない!!」

 

「これは・・・ピンチかも・・・」

 

「友子ちゃん?ピンチかもじゃなくてかな~りヤバい感じよ?」

 

「ゾディアーツとダスタードの大群だぁ~!?」

 

 

 

 

 

「それで・・・結局誰なんですか?」

 

「そうだったな。美竹以外はみんな初対面だったな・・・」

 

「ジェイク!!旗のそっち持って!!」

 

「結城先輩、了解で~す」

 

現れた人物たちの事が全く分からず、思わず美咲が言葉を漏らすとそれに答えるために賢吾が向かってきた仲間に視線を向けるとジェイクと呼ばれた男が女子が持っていた旗の一部を持つとそれを2人で広げてみせる。

 

 

 

所々が焼けた継ぎ接ぎだらけの旗。

それに描かれていたのはデフォルメされたフォーゼの顔を見た賢吾は皆の疑問に答えるように力強く声を挙げるのだった。

 

「俺達が天ノ川学園・仮面ライダー部だ!!」

 





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他のライダー出せと言われた方がいましたが、
この人達が動く予定だったから出せなかったんですねぇ・・・
(別プロットでは他ライダー登場もあったけど数がタリンカッタ・・・


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Chapter-22 繫ぐ手と手

仕事やら眼精疲労による目の不調のせいで1週間も空いてしまった・・・
申し訳ないです・・・

大変遅くなりましたが投稿です。


 

 

「「「・・・・・・」」」

 

「はぇ~・・・」

 

「奥沢。その反応はやめろ・・・」

 

 

 

 

「ちょっと賢吾さん!!何ギャクかましてんすか!?来てますって!!」

 

賢吾の言葉を聞いた巴達だったが、以前の賢吾とは全く異なる雰囲気に唖然としてしまう中で美咲の呟いた言葉は不覚にも彼の心を抉っていく。

相手もその状況で動き出さない訳もなくダスタードが彼女達目掛けて突撃してくるがそれに対応できない彼らではなかった。

 

 

「アメフト仕込みのタックルを見せてやる・・・・・・うぉぉおお!!」

 

「おぉ!!隼先輩やるぅ~!!」

 

「うわぁ!!数が多いよぉ~!!」

 

「口動かしてないで、ユウキ達も撃ちなさい!!」

 

向かってくるダスタードに対して隼がアメフト仕込みをタックルで数体を纏めて止め、残りはユウキ達が持っていた銃で向かってくるダスタード達へ向けて撃ち始めるが、銃撃をものともしないオリオンと銃弾の嵐をすり抜けた数体のダスタードは傷だらけだったガールズバンドのメンバーの元へと駆けていく。

 

 

 

 

 

「ゾディアーツが・・・!!ちょっと!!あなた!!逃げなさい!!」

 

「もしかして・・・2人とも怪我で動けないんじゃ・・・」

 

「確かに・・・かなり怪我してるし、友子ちゃんの言う通りかも・・・!?」

 

「隼先輩~!?ヤバいっすよ~!?アイドルにダスタード迫ってますよ!?」

 

「くっ・・・間に合わない・・・!!それにゾディアーツは一番怪我している子に・・・!!」

 

 

しかも、寄りにもよってオリオンが標的にしてしまったのはその中でも素手で傍目から見たら一番傷が多い巴。

唯一狙われていないダイザー、それに乗っている美咲も今までの戦闘による疲労でまともに助けに入れるかも分からないライダー部の面目はこのピンチに焦りだすが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶしどー!!」

 

「おらっ!!」

 

「そんじゃこれも、オマケで・・・!!」

 

「「「「「Oops!?」」」」」

 

だが、そんな不安など一瞬で吹き飛んでしまった。

 

アイドルのイヴが持っていた刀で迫ってきたダスタードを一振りで切り落とし、3人の中で一番怪我をしていた巴に至ってはオリオンを真正面から前蹴りを見舞って後ろによろめかせたと思ったら、先ほど弾を撃ち尽くして切り離したガトリングの砲身をよりめいたオリオン目掛けて投げつけてその体を大きく後ろに飛ばした光景を前に、彼らは驚きの声を挙げていた。

 

「ははっ・・・最近の高校生はパワフル過ぎるな・・・」

 

「ちょ!?あの刀、モノホンっすよ!?」

 

「それにあのもXVⅡの時に使った軍事用のパワーダイザーに付いてたのと一緒よ!?」

 

「えぇ~!?何がどうなってるの~!?」

 

「みんな!!それは後だ!!・・・野座間!!ジェイク!!ユウキ!!そっちは任せたぞ!!」

 

しかし、驚いていた面々は賢吾の言葉によって我に返るとすぐに移動の準備を始めていた。

 

 

 

 

「あっ・・・はい・・・・。カバン借ります・・・」

 

「えっ・・・?あっ!?そうだった!!」

 

「・・・あっ・・・了解っす~。Circleの場所は調べておいたけど確か・・・」

 

 

「レイ。よく分かんねぇけど、案内役ついでにお前も一緒に行ってこいよ。こっからなら運動苦手な奴が走っても数分だかんな」

 

「ますき・・・分かった。こっちです!!」

 

「あの~私もあっちの方に加わるんで、これの操縦誰かお願いします」

 

「だったら、俺に任せてくれ」

 

「とりあえず、アレを準備したら早めに戻ってくるんで・・・お願いします」

 

 

 

 

 

「戻ってくる・・・?賢吾、何か知ってるか?」

 

「アレか・・・俺にも何がどうなっているのか分からないが、彼女なら大丈夫だ」

 

「賢吾君が言うって事は相当ね・・・それで、あなた達はどうするの?」

 

目的は分からないがライダー部の一部の面々はCircleへと向かおうとしていた。

そのメンバーにますきが連れてきたレイヤと隼とダイザーの操縦を変わった美咲が加わってこの場を離れていくのを見送った6人はそのままゾディアーツ達へと視線を向けるが、相手は出方を伺っているのか全く動き出す様子を見せていなかった。

そんな中で不意にライダー部として美羽がそのまま顔を巴達に向けながら尋ねるがその意志は最初から決まっていた。

 

 

 

 

 

「この状況・・・私達が退く訳には参りません・・・!!」

 

「あぁ!!蘭達やあこにカッコ悪いとこ見せられないからな・・・!!」

 

「レイのせいで遅れたからな・・・付き合うぜ?」

 

 

「良く言ったわ!!それでこそライダー部よ!!」

 

「3人共、通信機だ。以前に使ってたものの予備機だが動作は問題ないはずだ」

 

「パスパレの蟹の時に付けてたみたいなのか!!」

 

 

 

 

「賢吾。この相手の数・・・作戦はどうするんだ?」

 

「十文字先輩がオリオンを、残りは向こうの準備が終わるまで高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応していくしかないな・・・」

 

「賢吾君!!それってこっちは行き当たりばったりってことじゃない!!」

 

「美羽、今は即席チームだから難しいことなんて出来ないから仕方ないさ・・・」

 

彼女達の意志に満足気な表情を浮かべると賢吾がインカム型の通信機を3人に投げ渡すとそのまま3人は耳にそれを付けるとそのまま敵の群れを見る。

その時にダイザーの隼から作戦を聴かれると賢吾は彼らしくもなく肩を竦めてしまいその状況に美羽がツッコんでいたが、話を聞いた巴達は単純明快な言葉に返ってヤル気を出していた。

 

 

 

「今こそブシドーを見せる時です・・・!!」

 

「ははっ!!正直疲れてない訳じゃないからな・・・。単純な方がいいな・・・!!」

 

「あ~・・・。んじゃ、バイク2台で突っ込んで相手を引っ掻き回してから脳筋共(巴達)が突っ込んで・・・後は流れで行きましょう」

 

「あなた!!弦太朗みたいな見た目なのにいいこと考えるじゃない!!ノープランよりマシね!!」

 

 

 

 

 

 

「それじゃ・・・佐藤!!行くぞ!!」

 

「うっしゃ!!行くぜ行くぜ行くぜ~!!」

 

しかし、無策という訳にもいかなかったので、ますきが出だしの動きだけを提案するとそんな彼女へと目をキラキラと輝かせながら美羽が彼女の案に同意する。

他の面々もその意見に賛同し始めるとして、賢吾の声に合わせて2台のバイクがダスタードの群れへ向かって先陣を切っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?ちょ!?はぁ!?なんであの人達がいんの!?」

 

「蘭ちゃん知り合いなの!?」

 

「ちょっとダレよあの人たち!?」

 

「千聖。声が聞こえないから分からないけれど、多分弦太朗の仲間だろうね。そうなんだろう?・・・っておやおや・・・」

 

 

 

 

 

「どうなの蘭!?」

 

「そうだよ!!蘭ちゃんは何時あの如月くん達の知り合いと知り合ったの!?」

 

「風紀が乱れる匂いがしますね・・・」

 

「ちょっとひまりも彩さんも落ち着いてって・・・そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?ってあそこ!!扉開きましたよ!!」

 

賢吾の登場からの今の睨み合いの状況になるまでを画面越しに見ていた彼女達は驚いていた。

その中で薫は反応から彼らを知っていそうな蘭に詳しく聞こうとしたが、そんな彼女はひまり達に詰め寄られるという現状では不釣り合い過ぎる状況が繰り広げられていたタイミングで問題に上がった人物がフロアへの扉を開けていた。

 

「レイ!!」

 

「花ちゃん!!皆!!」

 

 

 

「えっ・・・美竹さん、これってどういう―――」

 

 

 

 

「あら!!あなたが弦太朗のお友達ね!!」

 

「あっ!!それ賢吾さんが持ってたカバンだ~!!それにその銃も可愛い~!!」

 

 

 

「ふえぇ~こころちゃ~ん!!落ち着いて~!!」

 

「ちょっとお姉ちゃん!!今そういう状況じゃないから~!!」

 

 

「うっ・・・」

 

フロアに入ってきたのはライダー部の友子だけだったが、彼女は状況を聞こうと唯一の知り合いである蘭に話しかけたが、その間に香澄とこころと言う陽の者が割り込んでくるとその気に一瞬やられかけたが即座に花音と明日香が2人を連れて彼女から離れていくと即座に我に返り、彼女は持っていた銃を足元に置いてすぐにカバンを開いて何かをし始めると、唯一の知り合いである蘭が彼女に歩み寄っていた。

 

「友子、どうしてここに?」

 

「弦太朗さんがピンチだから・・・皆で・・・」

 

「う~ん。確かにゲンちゃんにりゅーちゃんにイヴちゃん達もピンチだけどさ~」

 

 

 

「ここから奇跡でも起きないと大逆転なんて無理じゃね?」

 

「ちょっと透子ちゃん・・・!?」

 

弦太朗のピンチに駆けつけた天校ライダー部だったが、彼らが現れたとしても透子の言う通り現状をひっくり返すことなど、それこそ奇跡でも起きない限り不可能であることは薄々彼女達も感じ始めていた。

しかし、そんな透子の言葉を聞いた友子は邪悪な笑みを透子に向けてハッキリと口にしていた。

 

「確かに、奇跡を起こさないと勝てないかもしれない・・・だから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで奇跡を起こす・・・」

 

決して大きな声ではなかったが、友子がそう言った瞬間にフロアの空気は一瞬で静まって視線は声の主へと集中していくのだった。

 





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Chapter-23 ファイナル・ミッション

某動画サイトで配信してる戦隊を見てたら遅くなりました。(建前
社畜で悩殺されてました(本音
ってことで投稿です。




 

奇跡を起こす―――

 

友子から放たれたその言葉に流石の彼女達も理解が追い付かない彼女達だったが、その中で友希那は状況がまるで呑み込めずに思わず声を挙げていた。

 

「待ってちょうだい・・・いきなり来たと思ったら、あなたは急に何を言ってるのかしら?」

 

「ちょっと友希那・・・とりあえず話聞いてからね?それで・・・これからどうするの?」

 

友希那が無意識で刺のある言葉で指摘したが、それをリサがやんわりと言い換えてカバンとにらめっこを続けている友子に聞くと彼女は画面から一切目を離すことなく答えていた。

 

 

 

 

「皆の力でフュージョンスイッチを再起動させる・・・」

 

「それって前にゲンちゃんが使おうとしたけど、使えなかったやつだけどそれって凄い奴なの?それでどうするの?」

 

 

 

 

「・・・弦太朗さんを想う41(・・)人でスイッチを押す。でも、ここはあの頃の天校みたいなエナジーはないから・・・」

 

「でも!!前に似たようなことここでやったけどダメだったよ?」

 

「あれ?・・・41人・・・?友子、詳しく」

 

フュージョンが使えなくなった事が分かったあの時にこちらでも出来ることは試しており、その中にはスイッチを生成した時のように弦太朗以外のガールズバンド35人とこころの家の黒服達で40個のスイッチを同時に起動することは試していたが全く効果がなかった。

 

ひまりは友子がここで似たようなことをしようとしていたことに疑問を感じた蘭が問うと、友子はカバンに表示されたデータを見せて説明をし始めた。

 

「1番から40番までのスイッチを一斉にONさせることでコズミックエナジーを大量に発生させて、そのエナジをフュージョンスイッチに取りこませることで再起動をかける・・・」

 

「すまないが、それを実行するのは不可能ではないかい?」

 

「薫くん・・・?あっ!!そっか!!スイッチはゲンちゃん先輩が持っているはずだよ?」

 

「―――!!」

 

手順は示したが、この場にはスイッチがないためそれを試すことは不可能―――

しかし、スイッチと言う言葉に反応しておもむろに自身のカバンを取りに走り出した少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って!!スイッチならある!!」

 

「「「「「えっ!?」」」」」」

 

「弦太朗くんから今朝、渡されたん!!」

 

「えぇ!?如月くんは何を考えて・・・!?」

 

「とりあえず、バガちゃん達起こしておくね~」

 

このタイミングでりみが自身のカバンをおもむろにひっくり返すと、その中からはペンやらスコアやらが大量に出てくるのに紛れて1~40までのスイッチとフュージョンスイッチが中から飛び出してくる。

弦太朗が何をもってスイッチをりみに渡したのかは疑問だが、それとは別の疑問を考えていた人物がいた。

 

「でも、どうしてあのギターが狙われてるんでしょうか・・・?」

 

「ロックさんの言う通りですね・・・!!何でアレを奪おうとしたんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ?それってこれの事・・・?」

 

「そうそう。それです―――ってレイヤさん!?」

 

「「「「「「えぇ~~~~~~~~~!?」」」」」」

 

「何でそれを!?たえ先輩が持ってたはずじゃ!?」

 

「やっぱりね。レイヤが持ってたのね・・・」

 

敵がギターを狙う理由がまるで繋がって来ないことを疑問に感じたロックが思わずそれを口にすると、

そんな彼女の横からレイヤが例のギターを差し出してきたことに皆が驚きの声を挙げていた中で、チュチュだけは呆れた表情をレイヤに向け、彼女もそんな表情を向けられたことに驚きを隠せなかった。

 

 

「チュチュ!?知ってたの!?」

 

「ハナゾノがギター持ち出したって聞いた次の日からアンタいっつもケース2本持ってたら普通に気が付くわよ・・・。マスキングなんて次の日には察してたわよ・・・」

 

「嘘・・・」

 

「チュチュ様~!?なんで教えてくれないんですか~!?」

 

「知る人数少ない方がいいって言ってたでしょ?」

 

「はっ!?そうでした!!」

 

「本当にこれ光ったのが信じられないわね。ワタシが触っても何ともないし・・・」

 

「りんりん、あれ持ったら光る人がいるって・・・ゲームの専用装備みたいだね・・・!!かすみとか紗夜さんの・・・!!」

 

「あこちゃん・・・流石にゲームと一緒っていうのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲームの装備って・・・いや、待てよ。香澄と紗夜先輩とかが持ったら光った・・・。しかも、人に寄って光の強弱があって・・・」

 

「有咲・・・?急に独り言話し出したよ?」

 

例のギターが突如として沸いた状況であこが放った何気ない言葉を聞いた有咲は独り言をつぶやきながら自身の中で今までの情報を纏めだす。

それをたえが怪訝そうな表情を浮かべながら見つめていたが、彼女にはそれが全く眼中に入っていなかった。

 

「光の強弱は・・・ひまりちゃんと紗夜先輩、弦巻さんよりも香澄のが一番強かったのを考えると・・・スイッチで変身した姿の強さの差・・・?それだったらアレは変身後の強さを示すゲージって考えもあるけど、スイッチを使ってないけど持ってたチュチュが触っても何ともないし、リサさんや日菜さんだって変身できる可能性だってあったはずなのに全く光らないからこの可能性は低いか・・・だとしたら・・・

 

 

 

 

 

 

 

香澄。お前、それ持って一回歌ってみろ」

 

「有咲・・・?急にどうしたの?」

 

「いいから・・・!!」

 

「よく分かんないけど、分かった。レイヤさん!!」

 

「えっ・・・?よく分かんないけど・・・」

 

突如として誰もが理解できないことを言い始めた有咲。

その中で名指しされた香澄は目を見開いていたが、有咲はそんな彼女に全く説明することなく指示を出すと、香澄はまるで意味を理解しないままレイヤから例のギターを受け取るとそれを抱えながら一番大好きなあの歌を口遊んだ。

 

「きらきら~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「光った~!?」」」」

 

「有咲~ど~なってるの~!?」

 

そして、歌いだしたその瞬間にギターは今までで1番の光を放ち始めるとその光景に驚く彼女達だったが、歌った本人は状況が全くの見込めずに慌てふためいていた所に有咲は説明し始めた。

 

 

 

「香澄、歌い始めた時どういう気持ちだった?」

 

「えっ?楽しかったけど・・・?」

 

「前に言ってただろ?如月達の使ってる力は人の気持ちに反応するって・・・。んで、こっからは推測だけど今までは漠然と持ってただけだったけど、今回は歌って楽しいって気持ちで力が増したから今までで一番強く光った・・・んだと思う」

 

「I See・・・ようはそのアーティファクトのギターはエネルギー用のアンプで、相手はこの能力を使って自分をアップデートしようとしてたってところかしら」

 

「あぁ・・・推測の域は出ねぇけど・・・」

 

「でも、考えているのはそれだけではないわね?」

 

有咲の言葉を聞いたチュチュはギターの性質と相手に狙われた理由を推察してみせるが、彼女が考えているのはそれだけではない。

何か別の案も考えていることも見抜いたチュチュに有咲は思いついた最後の策を言い放った。

 

「エネルギーが足んねぇなら、これも使ってスイッチの再起動ってのをやる・・・!!」

 

「それで本当に出来るんでしょうか?正直に言ってしまえばその考えは余りにも希望的な意見でしか・・・」

 

「専門外なので分からないですが、ジブンも八潮さんの意見は理解できますが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かってる!!ぶっちゃけ使えるかも分かんねぇ!!・・・分かんねぇけど、もうこれに掛けるしかねぇんだよ!!」

 

有咲が出した最後の案。

しかし、その案はあまりにも憶測や希望的な推論によるものであったことに一部の面々はその案に否定的な意見を挙げるが、それでも今の状況を打破する可能性を見いだせない彼女は声を張り上げることしかできなかった。

 

そんな有咲の言葉に周囲は完全に静まり返っていたが、1人だけはその案を大真面目に考えていた。

 

「友子、アンタどうしたの?」

 

「今、バガミールからのデータを見たんだけど・・・歌った前後でエナジーの量が全然違うからその推論はあってると思う・・・」

 

 

「友子!?本当なの!?」

 

「うん・・・」

 

バガミールからのデータから有咲の推測は正しい可能性が高いと言われた彼女達は目を見開いて驚いてしまっていたが、微かに見えた希望を前に彼女は考えるよりも先に声を出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「だったら歌おう!!みんなで!!」

 

「えぇ!!勿論よ!!」

 

「うん!!頑張ろうね!!香澄ちゃん!!」

 

「世界の命運がかかった歌・・・あら?美竹さん。怖いのかしら?」

 

「はぁ?湊さん。そんな訳ないじゃないですか。世界なんて関係ない。自分の全力を出すだけですよ」

 

「前の時は何も出来なかったから・・・今回は弦太朗のためにやるよ」

 

「うぅ・・・自信ないけど・・・皆と一緒だったら・・・」

 

香澄の熱の籠った言葉に徐々に周囲がそれに呑まれて熱くなっていく。

それを感じ取った有咲は顔を上げると、盛り上がる彼女達の中でつぐみが既に動き出していたのを見てからチュチュへと視線を向けると、彼女はその意図を察して声を挙げた。

 

「この事態に楽器を持ってきている方が少数派・・・しゃあねぇか・・・香澄!!今日はランダムスターじゃなくてそれ持って歌え!!」

 

「あの曲をやるわ!!自分の楽器を持ってるのは準備!!持ってないのは・・・マリナ!!レンタルのを使うわよ!!」

 

 

 

 

「分かったわ!!明日香ちゃん!!用意お願い!!私はこっちで機材の準備するから!!」

 

「レンタル楽器はイベントのためにメンテ出してるから持ってきてない人全員にはいかないですけど・・・」

 

「マネージャー!!あるだけでいい!!ツグミは外の連中と通信してるから・・・無いのはマリナと機材の準備よ!!マヤはマスキングが外にいるから機材じゃなくて楽器に回りなさい!!有咲、最後に決めなさい」

 

即座に有咲とチュチュが状況を判断して指示を出し始めるが、2人の考えが全く同じで指示の出し方に全くの無駄がない。

そして、一通りの指示を出すとチュチュが最後の言葉を有咲に求めると彼女は最後に語りだす。

 

 

 

 

「上手くいくか分かんねぇって言ったけど、今なら分かる!!これは絶対うまくいくに決まってる!!今回の敵・・・確か銀河王とか言ってたか・・・?私達の歌であんなちっぽけな銀河に風穴を開けてやんぞ!!」

 

 

「「「「おぉ~~~~~!!」」」」

 

そんな有咲の言葉に残っていた彼女達は指示に従って一斉に動き出していくのだった。

 





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Chapter-24 ミラクルアッセンブル

遅くなりました。
投稿です。

ライダー達が少ないって?
そりゃ・・・ねぇ?


 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「くっ・・・ここまで抵抗するとは・・・!!向こうのダスタード共は何をしている・・・!!」

 

「やられる訳にはいかない・・・!!」

 

Circleでの戦闘が苛烈を極めている一方で戦闘を繰り広げていたメテオだったが、防戦一方の状況ではあるがなんとか食らい付いていた。

その理由は未だに目的のギターを回収出来ないことの苛立ちから冷静さを失っていたのもあったが、冷静さを欠く理由はそれだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

「小賢しい・・・!!」

 

「ぐわぁ!!」

 

「アタァ!!」

 

銀河王がメテオに意識を集中し始めたタイミングで変身が出来ていない弦太朗が生身で銀河王へと向かってくる。

それによるダメージは皆無だが、集中力を乱すには十分で弦太朗を振り払ったタイミングでメテオがその隙間を縫うようにシャフトの攻撃が銀河王へと直撃していく。

 

「変身できない分際で・・・!!」

 

「弦太朗!!まだ変身できないのか!!」

 

「ロケットがうんともすんとも言わねぇ!!・・・無理させ過ぎちまったか・・・?」

 

「仕方ない・・・!!ここで掛けるしかない・・・!!」

 

「流星!!何やってんだよ!?」

 

ロケットステイツでの無茶が祟ったのか、ロケットスイッチがうんともすんとも言わない状況に、メテオが自身のドライバーに装填していたスイッチへと手を伸ばしてメテオストームからメテオに戻ると、使っていたメテオストームスイッチを弦太朗へと投げて渡していた。

 

「おい!!これはメテオの・・・!!」

 

「弦太朗!!スイッチ自体は使えないかもしれないが、ドライバーに使えば変身できるかもしれない!!」

 

「分かった・・・!!・・・行ける・・・変身!!」

 

メテオに言われた通りに弦太朗はメテオストームスイッチを装填してドライバーのスイッチを叩こうとした。

先ほどまではそこからドライバーが反応しなかったが、今回はいつもと同じようにドライバーはスイッチを認識したと分かった途端に弦太朗はそのままドライバーを操作して、再びフォーゼへと変身を完了した。

 

「うぉおおおおお!!メテオのスイッチで変身した!!」

 

「何ッ!?」

 

「弦太朗!!やったな!!」

 

「それでここから・・・フォーゼのメテオストームステイツの誕生だ!!ってあれ?動かねぇ・・・ってなんか身体がいつもより重てぇ・・・!!」

 

再びのフォーゼへの変身を前に銀河王は驚いた様子を見せると、フォーゼはその勢いに任せてメテオストームスイッチを起動しようとした。

しかし、メテオストームスイッチは全く反応がないどころか自身の身体がいつも以上に重く感じるという言葉に銀河王は先ほどとは一転して笑い声をあげていた。

 

 

 

 

「ふはははは・・・!!自身のでない上にスイッチ1つで不完全な変身・・・!!そんなものでは時間稼ぎにすらならん・・・!!1人は既に消耗して、そんな2人で何が出来る・・・!!」

 

「不完全じゃねぇ・・・!!流星から仲間から借りた力だ・・・!!それに俺の仲間は流星だけじゃねぇ!!」

 

「あぁ・・・!!いくぞ弦太朗!!」

 

 

 

 

 

 

ライダー達がそんな戦いを繰り広げていたのと同じ頃、Circleでは―――

 

「おらおらおら~!!」

 

「ふっ!!」

 

2台のバイクが並走してダスタードの群れに突っ込んでいき、ダスタード達を次々に跳ね飛ばしていくと群れは2つに割れていく。

 

「佐藤!!先に行くぞ!!」

 

「うっす!!ってアブねぇ・・・!!」

 

「・・・!!」

 

賢吾がますきに声をかけながら、そのままバイクをUターンさせて再び群れの中へと突撃していくが、その先にはオリオンが立ち塞がってバイクへ向けて持っていた棍棒を振るうが賢吾はその攻撃を寸で躱して脇を抜けていくと再びターンして今度はオリオンが待ち構えている方とは別の群れに突っ込んだと思ったら彼は道の脇ギリギリにバイクを寄せ――――

 

「ふっ・・・!!」

 

 

 

「スゲェ・・・!!縁石で飛んだ!!あたしも・・・いくぜ!!・・・ん?何だこれ?バイクで見たことがねぇボタンだな」

 

賢吾はマッシグラーで道路わきの縁石に車体を乗り上げるとそのままバイクで空を飛び、ダスタードを下敷きにして着地すると再び走り出していく姿に触発された彼女も賢吾のようにバイクをターンさせて群れに突っ込んで行こうとする。

しかし、このタイミングで無断で借りていたメテオスターに付いていたボタンに気が付いてしまい、彼女は好奇心に負けてしまった。

 

 

 

 

「とりあえず、こういうのは押してみっか!!ってうおっ!?なんか出て倒しちまった・・・!!・・・よっし!!」

 

そして、そのボタンを押した瞬間、車体の正面から何故か光弾が発射されると、たまたま射線上にいたダスタードへと直撃するとそのままその体を塵に変えたのを見た瞬間にますきの顔には狂犬のような笑みが浮かべると、そのまま彼女はフルスロットルでバイクを発進させ、光弾をばら撒きながらダスタードの群れに突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

そんな2人の激走を前に他の面々もダスタードが分散した状況の動き出していた。

 

「賢吾はともかく・・・あの子もやるな!!お陰で道は出来た・・・!!」

 

「あの数のダスタードに囲まれたらダイザーも持たなかったわね・・・。隼!!ゾディアーツは任せ―――「いくぜ・・・!!」ちょっと!!待ちなさい!!あぁ~!!もう!!」

 

「トモエさん!?作戦と違いますよ!?」

 

「俺が行く!!」

 

2人に感化された巴は出来た道を突っ込んでダスタードを無視して、オリオン目掛けて突っ込んでしまうとその後ろをダイザーが追いかけていく。

常識的に考えたら構図は逆の方が正しいのだが、そもそもここで常識的な考えなど通用しないことを思い出してすぐに残された女子2人は考えを切り替えていく。

 

「もう・・・本当に弦太朗みたいな女子ね・・・!!イヴちゃん。女子の底力を見せてやりましょう!!行きなさい!!後ろは任せなさい!!」

 

「はい・・・!!私達も負けていられません!!いざ!!」

 

そう言ったイヴは美羽の前に立つとそのまま近くにいたダスタードへと駆け出しながら得物を構えてると掛け声とともにその得物を振り下ろす。

 

「はぁぁああ!!」

 

「やるじゃない!!次は右よ!!」

 

「はい!!っ!?」

 

「後ろは任せなさい!!」

 

イヴが敵を切り捨てて見せると今度は右から迫ってきたダスタードへ視線を向けるが、迫ってきたのは右からの敵の刀を彼女は受け流してから再び切り捨てて見せた。

しかし、切り伏せたその刃には背後から別のダスタードが迫って来ている姿が写ったが、美羽が持っていた銃を撃ちそのダスタードを吹き飛ばしていた。

 

「流石です!!」

 

「当然!!ドンドン行くわよ!!」

 

「はい!!」

 

短い言葉のやり取りを交わす最中に別のダスタード達が迫ってきたが、美羽はそのまま射撃で数を減らしイヴがその群れに襲い掛かっていく。

 

イヴの行動にライダー部として修羅場を潜り抜けてきた経験の多い美羽が合わせることで、初対面の即席チームとは思えない動きを見せていた。

 

「次!!正面2体よ!!」

 

「はい!!」

 

返事を返したイヴが正面から向かってきたダスタードへと向かい、流れるような動きで2体を切り伏せるが、いつの間にか2人の距離が空きすぎてしまった。

 

そんな状況でダスタードはイヴではなく後ろにいた美羽へ迫り、持っていた刀を彼女に向かって振り下ろしていた。

 

 

 

 

「つぅ・・・!!危ないじゃない!!って2体目!?」

 

「頭下げてください!!」

 

「っ!?」

 

しかし、美羽は持っていた銃で刀を受け止めて防ぐとそのまま銃身をズラしてダスタードのバランスを崩して空いた胴へミドルキックを食らわせるが、別のダスタードが至近距離まで迫っていた。

 

そんな状況でイヴの言葉が聞こえた美羽はキックを放った直後の不安定な姿勢にも関わらず、地面と平行になる程に上半身を後ろに逸らすと、その上をイヴの刀が通り過ぎて2体のダスタードを同時に切ると、彼女はチアリーディングで身に着けた驚異的なバランス感覚でそのまま上半身を起こしてイヴに視線を送っていた。

 

「すみません。前に出過ぎました・・・」

 

「助かったわ!!もう数も減ってるからこの調子で行きましょう!!」

 

「はい!!」

 

落ち込むイヴに美羽がフォローを入れると、2人はそれぞれの得物を構えて残りのダスタードへと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美咲ちゃんはどっか行っちゃったのも気になるんすよね~・・・」

 

「それもそうだけど、向こうは大丈夫かな~!!」

 

「そうっすね~・・・前で賢吾先輩達がいるけどもしかしたらがあると怖いっすからね~」

 

「そうだね~・・・って言ってるそばから来た~!?」

 

「やばっ!?ユウキ先輩!!撃って撃って!!」

 

「うんっ!!」

 

そんな彼女達が大暴れしている中で友子を送ったユウキとジェイクの2人はCircleの前に陣取って敵に備えていたが、2人はこの場にいない面々の事が気になっていた。

しかし、そんな心配をする間もなく2人の前に数体のダスタードが現れると2人で銃を撃つが残念なことに全てが当たることは無く2体のダスタードがそれぞれに迫ってきた。

 

「うおっ!?・・・こんにゃろ!!」

 

「おぉ~!!ジェイク凄い!!」

 

「へへぇ~!!まぁ~ユウキ先輩!!」

 

「うわぁああ!?あれ?」

 

そんな状況でジェイクは無意識に銃を捨てて地面に手をつくとと得意のブレイクダンス―――ウインドミルと呼ばれる技で1体はその場で転ばせることに成功したが、もう1体はそれを避けるとそのままユウキへ向かって走って来ていたが、突如として彼女の身体は横に引っ張られていた。

 

「あの~大丈夫ですか~・・・?」

 

「ありがとう~・・・ってえっと・・・誰?」

 

「ごきげんよ~。あたし、広町七深でーす。えっとですね~5人でこっちに来てたのに2人しか中に来なかったのが気になったから見に来ただけですから~」

 

「おぉぉ!!お嬢様みたいな挨拶だ~!!って危ない!!」

 

「うわっ!?」

 

ユウキの腕を引っ張ったのは七深。

彼女はレイヤ達と一緒に来たユウキ達が来ないことが気になってフラフラと外に出てきたが、そのタイミングでユウキの元に駆け寄るとそのまま腕を引っ張ったのは良かったが、今度は逆に七深へと迫ったダスタードに気が付いたユウキが彼女の腕を引っ張る。

 

「ありがとうございます~」

 

「ううん!!困ったら助け合いだもんね!!ってまた来た~!?」

 

「えいっ!!」

 

「うわぁ!?」

 

何とも緩い空気の2人だが互いが互いの腕を引っ張り合い上手い具合に攻撃を躱し続けると、不意にダスタードが何かに躓いて体勢を崩すのを見た七深はユウキが持っていたライダー部の旗の端を持つとユウキと2人で旗を広げて―――

 

 

 

 

 

 

 

「「せ~の!!」」

 

「おぉ~やった~!!」

 

「やりましたね~!!」

 

「ちょっと2人とも!!こっちヤバいんだけど!?このっ・・・!!」

 

 

その掛け声とともに2人が持った旗はダスタードの足を払ってそのまま地面に転がると、ユウキは倒れたダスタードに至近距離で撃ち、ダスタードを倒すことに成功したが、そんな彼女達の近くではジェイクが1体のダスタードに追いかけ回されており、彼はなんとか逃げようと最初の時と同じように足を払おうとしたが、それはあっさりと躱されてしまった。

 

「あっ!?」

 

「ジェイク~!!」

 

ジェイクの名を呼びながらユウキは銃撃するが、それもあっさりを躱されて絶体絶命の状況に追い込まれた彼の視線の先ではダスタードが刀を振り上げていたが、その刀は突如として弾き飛ばされた。

 

突如として刀が弾き飛ばされたダスタードは驚愕したような素振りを見せるが、彼はその隙に再び足を払って転ばせると不意にCircleの方へと視線を向けるとある人物が自身が友子に持たせた銃を構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~紗夜先輩~。どうしたんですか?」

 

「広町さん。これを届けに来たのですが・・・その・・・危ないと思って撃ってしまって・・・」

 

「いやいや!!ナイスタイミングだよ~!!そのままバシバシ撃っちゃって!!銃の上のここをガシャンってやればまた撃てるよ!!」

 

「ここを引っ張って・・・撃つ・・・」

 

 

「凄い~!!やっつけた~!!」

 

「紗夜先輩、頭を狙い撃ちだ~・・・」

 

「助かった~!!」

 

「・・・風に影響されないから弓より狙いやすいですね」

 

ユウキに言われるがまま銃を弄ってから再び狙いをつけて撃つと、今度はダスタードの頭を正確に打ち抜き、そのまま倒してしまったことに七深は驚いていたが当の本人は撃った銃をまじまじと見つめてながら呟いていた。

 

「これ手伝ってもらった方がいいんじゃ・・・?」

 

「じゃあ、ジェイクが転ばせたのを撃ってこ!!」

 

「「えっ・・・!?」」

 

「七深ちゃん!!はい!!ジェイクの使って!!」

 

「は~い。紗夜先輩、一緒にがんばりましょ~ね~」

 

「えっ・・・?」

 

こうしてライダー部の現部長の鶴の一声によって囮役にさせれてしまったジェイク。

そして、銃を届けに来ただけの紗夜がこの状況に慣れてしまった七深に巻き込まれてしまうのだった。

 





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Chapter-25 団結する力


遅くなりましたがメリークルシミマス。
シャケと次作品の準備で手間取ってましたと言うことで投稿です。



 

「この数・・・倒しながら進むしか・・・」

 

 

「うぉぉおおおお!!」

 

「待て!!1人じゃ・・・!!」

 

巴がオリオン目掛けて全力で駆ける後ろをダイザーに乗った隼が追いかけていく。

しかし、オリオンにたどり着くまでの道にはすぐには数えきれないほどのダスタード達が立ち塞がっていたが、それでも彼女は突っ走り先頭の集団へと飛び込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

「どけぇええええ!!」

 

「先輩として負ける訳には行かないな・・・」

 

巴は気合いの雄叫びを挙げながら飛び掛かってきては殴り飛ばし、切りかかろうとしたら武器である刀諸共蹴り飛ばして道を作っていく。

それに追い付いた隼はそんな彼女に呆れながらもその道を広げるように周囲のダスタード達を巴よりも多くなぎ倒しし、それに危機感を覚えたダスタード達は突っ込んでくる2人へと殺到していくが、まるで意味をなさなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「「うぉぉおおおおおお!!」」

 

巴に感化された隼まで雄叫びを挙げ、殴り、蹴り、ダイザーが掴み上げて投げ飛ばしたと思えば、今度は巴はダスタードに飛び掛かりその勢いのまま投げ飛ばす。

そんな大立ち回りだったが人の距離が開いてしまい、それぞれがダスタードに囲まれるが、バラバラになっても2人は止まらずにダスタードを薙ぎ払っていた。

 

「女版の弦太朗だな・・・」

 

「隼!?いや、それ以上にワイルドよ・・・」

 

「会長も流石に・・・いや、否定できないな・・・」

 

 

 

「トモエさんらしいですね・・・!!」

 

「巴だしな・・・」

 

 

 

「見つけた・・・!!」

 

「おい!!待て!!」

 

周囲は完全に巴の行動に引いていたが、そんなことをお構いなしの巴はオリオンが視界に入った途端に飛び上がると、ダスタードの頭を踏み台にして一気にオリオンに肉薄していく。

 

それに出遅れて隼も駆け出すが、先を走っていた彼女を待っていたの最悪のモノだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ・・・!!」

 

「不味い!!こんな時に・・・!!」

 

一瞬だけ苦悶の声が漏れた巴。

その声に皆がそちらに視線を向けるとそこにはオリオンの振りかぶった棍棒が巴の頭を的確に抉っていた光景が広がっていた。

隼はそれを救出しようとしたが、再びダスタードに行く手を遮られてしまい他の面々もすぐには動けない状況だったが、次の瞬間には信じられない光景が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

「Oops!?なんであれで立ってるのよ!?」

 

「どうなっているんだ!?」

 

「・・・ってぇ・・・けどな・・・!!」

 

頭部を狙いすましたオリオンの棍棒による一撃。

普通の人間だったらそんなものが直撃した瞬間に頭が風船のように弾け飛ぶ様なモノが直撃したのにも拘らず、巴はその一撃に耐えてみせた。

それどころか彼女は攻撃してきた棍棒を払いのけると声を挙げながら飛び上がって互いの顔が接触しそうな距離まで詰め―――

 

「てめぇみたいなニセモンの攻撃なんて、牛の突進に比べたら全然痛くねぇんだよ!!」

 

 

 

彼女は渾身の頭突きをオリオンに食らわせていた。

余りの予想外に周囲は固まってしまったが、彼らの予想に反してオリオンはその一撃を受けて大きく後ずさりをしていた。

 

 

「ここで頭突き!?何考えてるかはまるで分からないが効いてるぞ・・・!!」

 

「そもそも、タウラスの攻撃が比較対象なのがおかしいのだが・・・」

 

「ちょっと大丈夫なの!?すっごい血が出てるわよ!?」

 

「大丈夫です!!血が出たおかげでお陰で冷静になれました!!」

 

「規格外が過ぎるわよ!!でも・・・あと一押しでイケそうだけど、人数が足りないわね・・・」

 

「大丈夫ですよ。最高の仲間が来ますから」

 

「「仲間・・・?」」

 

心配するライダー部を他所に巴はそんな彼らに呆気からんとした様子で答えて見せるが、そもそもオリオンに決定打を与えられるような人がいなければ人数によるゴリ押しが出来るほどの人数もいない。

そんな状況で冷静になった巴は不敵に笑って見せるが、隼と美羽は彼女が言う仲間と言うものが全く分かっておらず首を傾げるも、巴はそれを気にすることなく顔を空に向けて深く息を吸い込むとそれを一気に吐き出しながら叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「来い!!ミッシェ――――――――ル!!」

 

 

「ミッシェル・・・って何?」

 

「さぁ・・・?って何か落ちてきて・・・はっ?」

 

「ちょっと隼!?何が見えたのよ!?」

 

巴はミッシェルを呼んだ。

しかし、何も起こらないことに状況が分からない2人は顔を見合わせていたが、そのタイミングで上空から何かがこちらに向かって落ちてくる。

それに目を凝らした隼は自身が見たものが信じられずに間抜けな声を挙げてしまったが、それが近づいてくるにつれて美羽もその姿を視界に捉えたが、彼女も自身が見たものが信じられずにいた。

 

「Oops!?ピンクの熊!?」

 

「来たか!!」

 

「ぅぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」

 

ミッシェルこと美咲が上空から現れたと思ったら、その落下の勢いを乗せてライダーキックと見紛うほどに強烈な蹴りを食らわせて地面に転がっていくのを後目にミッシェルは普通に巴達の元へと降り立っていた。

 

「ゴメン。お待たせ・・・って宇田川さん。大丈夫?」

 

「遅ぇって美咲」

 

 

「ちょっと待って!?美咲ってさっきダイザーに乗ってた子よね!?」

 

「どうなっているんだ・・・」

 

「あ~・・・それは後で話しますけど・・・。とりあえず、アレをなんとかしないと・・・残ってるのあいつだけみたいですし・・・」

 

「え?えぇ・・・そうね・・・」

 

 

 

『もしもし!!皆さん聞こえますか!?』

 

「この声!!つぐ!!どうしたんだ!?」

 

『やっとつながった・・・!!』

 

ミッシェルの登場に驚いていた面々だったが、地面に転がっていたオリオンが立ち上がろうとしていたタイミングで皆の通信機からこの場にいないつぐみの声が響くと、その場にいた全員が通信機からの声に耳を傾けていた。

 

『これから如月くんのスイッチを再起動するための作戦を説明します!!』

 

「作戦?」

 

『うん!!現在Circleでは有咲ちゃんが皆に説明を行っているところです!!でも、このままじゃエナジーが足りないとの事だったのでこれから楽器の準備してもうすぐ完了します!!』

 

「そうか!?コズミックエナジーは人の想いに強く反応する。それで君たちは演奏することで強い想いを引き出そうという事か!!敵の狙いのギターはエナジーに関係する・・・?」

 

『・・・!?はい!!有咲ちゃんが言うにはあれはアンプみたいにエナジーを大きくすることが出来るみたいなのでそれも使います!!』

 

「・・・つぐ!!歌には間に合わねぇけど!!スイッチ押す前にCircleに戻って来いって事だろ?任せとけって!!」

 

これからの流れを聞いた皆の中で、完全に思考が吹っ飛んでいた巴は今の話を聞いてこれから自分のすべきことを直感で理解していた。

 

「ユウキ!!そっちは手伝いに行けるか!?」

 

『賢吾先輩~!!今、俺がダスタードの囮にさせられててピンチです~!!』

 

『ジェイク頑張れ!!こっちは紗夜ちゃん?と七深ちゃん?がすっごい敵をバンバン撃ってて~すぐ終わるよ!!』

 

『「「「「はぁ!?」」」」』

 

『今出てるのをやっつけたら紗夜先輩と2人で中に戻りますね~。それじゃ~、先輩達もすぐ戻ってきてくださいね~』

 

Circle側の状況を知らなかった賢吾たち、そして何故か紗夜達が外にいるのかが分かっていなかったつぐみが通信越しにも関わらず驚きの声を挙げてしまっていたが、ユウキの通信機から突如としてCircle側からの闖入者の声が響いてきたと思ったらすぐに通信が切れてしまった。

 

余りにも想定外の出来事が起こったが彼らのやることは変わることはなく、目の前のオリオンを対処することだけだった。

 

「如月達もいねぇけど・・・後輩にあんなこと言われたらやるしかねぇな!!」

 

「ホントとんでもない子達ね・・・!!気に入ったわよ!!私達も弦太朗達抜きで倒したことはないけれど・・・これからこの7人で大物食い(ジャイアントキリング)を決めてやりましょう!!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

後輩に激励に活を入れられた7人は目の前にいるオリオン(獲物)を仕留めるべく、ミッシェルの衝撃からなんとか我に帰れた美羽に皆が力強く答えるのだった。

 

 





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Chapter-26 胸の音をかき鳴らせ!!

2023年に完結すると言ったな?
あれは嘘だ・・・!!
体調不良でぶっ倒れて遅くなりましたが投稿です。



 

「・・・よし。ドラム準備は完了です!!」

 

「麻弥さん分かりました!!他の楽器の準備は!?」

 

「レンタル用のは終わりましたけど、持ってきてる人のを入れても全員分はないっすよ?」

 

「桐ヶ谷さん。それは諦めるしかないわ。市ヶ谷さん、持ち込んだグループの準備も問題ありません」

 

「アリサ!!こっちもOK!!何時でも行けるわよ!!」

 

 

 

 

 

「まりなさんと戸山さんの妹を入れても37人よ?後4人足りないけれど・・・」

 

「確かに友希那さんの言う通りですけど・・・」

 

外での激戦が繰り広げられている中で、Circle内では残っていたメンバーを総動員して準備を進めて楽器の準備だけは完了した。

 

しかし、そもそもの人数が足りないという根本的な問題はまだ残されていたが、それに対して既に動いていた人物がいた。

 

 

 

「それなんだけど・・・実はアタシの方でイケそうな人がいたから連絡しておいたよ~」

 

「リサちゃんも?実は私も1人心当たりがあったから連絡しておいたわ」

 

「準備始めた時に連絡したからそろそろ来るんじゃないかな~?」

 

「そうね。私の方もそろそろ来る頃だと思うわ・・・」

 

「今井さんに白鷺さん・・・?それって一体・・・誰なんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサちゃん。お待たせ・・・」

 

「千聖さん。お待たせしました・・・!!」

 

リサと千聖は心当たりのある人物に連絡をしたと言い出したが、それが誰なのか全く分からない燐子が聞こうとしたタイミングでその人物たちが現れると思わず目を丸くしてしまっていた。

 

「・・・お父さん?」

 

 

「凄い若そう・・・!!でもその横にいる人は・・・?」

 

「ハナさん!!あの人は芹沢みほちゃんって言って、ビビキャンと言うパスパレちゃんの妹分アイドルグループのメンバーですが・・・どうして・・・?」

 

「あぁ~・・・パレちゃんは話知らないのか~・・・2人ともゲンちゃんにね~・・・」

 

「あっ・・・えっ・・・?」

 

 

 

「話はリサちゃんから大体聞いたが、彼の助けになるなら喜んで協力させてもらうよ」

 

「私もです・・・!!あの後にちゃんと話せてはいませんけど、今もアイドルが出来ているのもあの人に止めてもらったからだと思いますから・・・!!」

 

突然現れた2人の共通点が分からなかったパレオだったが、日菜の言葉から目の前の2人も事件を起こし、そして弦太朗によって止められたという最悪の共通点があることに気が付いた。

そんな彼女を他所に2人は笑みを浮かべて自身の想いをハッキリと伝えると、その中で不意にみほが不意にあることを思い出していた。

 

「そう言えば・・・おじさまと一緒に来てる途中にここへ向かおうとしていた女性を連れてきたのですが・・・」

 

「おじさま・・・?女性・・・?お父さん、どういう事?」

 

「友希那ちゃん?それは今は重要ではないと思うのだけれど・・・それで一体誰を連れてき―――えっ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは・・・でいいのかな・・・?」

 

「あはは・・・・・・?」

 

 

 

「えっ・・・あゆみさん・・・?」

 

「店長さん!?どうしてここに!?船から病院に運ばれてから今まで意識が無い状態だったって・・・」

 

「おじさま、これは・・・どういう事でしょうか・・・?」

 

「彼の関係者なのは間違いないようだけれど・・・」

 

自身の父に怪訝そうな視線を向ける友希那に対して、千聖が呆れながら宥めつつ誰を連れてきたのかと問いかけようとしたが、余りにも予想外の人物が目の前に現れたことで言葉を詰まらせてしまった。

出てきたのはパスパレのライブを中止にさせようとしていた彩の憧れの存在であった元アイドルのあゆみ、ロックのバイト先であるGalasyの店長で、花咲川周辺のゾディアーツ事件の黒幕の右腕として暗躍していたもある美子。

 

彼女達は事件を起こした後に意識を取り戻していなかったのだが、この場に現れたことに驚きの声を挙げたり、警戒心をむき出したりと様々な対応をしていたがその全てが好意的なモノではなかった。

渦中の2人は非常に気まずそうな表情を浮かべていたが、あゆみが自分たちの事を話始めていた。

 

「今朝に・・・その・・・杖を突いた知らないおばあちゃんに起こされて、目を覚ましたら病院だったんだけど・・・。その後に美子さんが同じ病室で目を覚まして・・・」

 

「知らないおばあちゃん?」

 

「うん・・・。でも、おばあちゃんって言ったら「おばあちゃんはやめな!!」ってすっごい怒られて・・・それでここに行けって言われて・・・」

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

「待って!?その反応は・・・」

 

「オーナーだ・・・」

 

年より扱いされてそんな怒り方をする人物に彼女達に思い当たる人物は事件の黒幕であったオーナーただ1人だけ―――

たえは思わずその名を口にしていた。

だが一部の面々は元黒幕であったその人物がここに行けと伝えたということに警戒し始めていたが、それ以上に気になることがあった。

 

「オーナー・・・?でも、あの人は行方不明のはずだけど・・・?」

 

 

 

 

「まりなちゃん。私の病室にオーナーの杖が置いてあったから多分、オーナーだと思うよ?」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

「ちょま!?何だよそれ!?何が目的だよ!?」

 

今まで行方が分かっていなかったオーナーが昏睡状態だった2人に接触したと言い始め、それに先ほど言ったここに彼女達を寄越した意味がまるで分からず完全に思考が止まってしまう。

しかし、その中で問題の人物達が話を切り出した。

 

「ここに行けって言われたけど、言われたから来たわけじゃなくて・・・ここに彼がいるからって・・・」

 

「彼?・・・如月のことか?」

 

「うん。オーナーに言われたとか関係なくて・・・」

 

「ちゃんと彼にお礼が言いたかったから・・・その・・・」

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ひまり達・・・あんたらのその考えは絶対に違うから・・・」

 

オーナーの言葉ではなく、自分の意志で来たとハッキリ告げた2人に沙綾がひまり達が一瞬にして怪訝そうに彼女達を見つめたが蘭が即座に彼女達の考えを否定する。

そんな軽いやり取りでほんの少しだけ軽くなった空気の中で有咲は後から来た4人へと歩み寄っていくと何かを4人に差し出した。

 

 

 

 

「・・・正直、前にやったことについては割り切れないこともある・・・でも、それでも、アンタたちがアイツの為って言ったことを信じたい。だから手を貸してくれ!!」

 

 

 

 

 

「・・・ここに来てる時点で答えはもう出ているよ」

 

「・・・これを押せばいいんですね?」

 

「謝る前だけど・・・やるね?」

 

「分かりました!!」

 

 

 

 

「アリサ・・・。随分とお人よしね?ゲンタロウに毒されたかしら?」

 

有咲が4人にスイッチを差し出すと、殆ど考えることなく―――

いや、友希那の父が言うようにここに来た時点で覚悟をしていたのであろうが彼女からそれを受け取ると笑みを浮かべて見せると有咲はすぐに元の場所まで戻っていくが、そこでチュチュが彼女に小言を言い始めたが、有咲もそれに笑って答えていた。

 

「ふっ・・・確かにその通りかもしんねぇな・・・そういうチュチュもそっち側だろ?」

 

「・・・否定はしないわ。ともかく!!これで数は揃ったわね!!」

 

「あぁ・・・!!みんな!!スイッチは持ったな!!行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やろう!!皆で!!」

 

「そうだね・・・でもおたえちゃんと私しか楽器持ってないけど・・・」

 

「各バンドで楽器隊の数を同じにしたらこうなったんだからしゃあねぇだろ」

 

「レイとまた一緒に出来るの楽しみだな~」

 

「あはは~・・・おたえはいつも通りだね・・・。でも、やれるよね!!」

 

 

 

 

 

「・・・ギター持ってないのってなんか感覚狂うな・・・」

 

「あれ~?蘭?弱気だねぇ~?」

 

「別にそんなんじゃないし・・・!!モカこそしっかりやりなよ」

 

「もち~トモちんにも聞こえるように頑張っちゃうよ~」

 

「巴がいないけど頑張ろう!!えいえいおー!!・・・ってやってよ~!!」

 

「ふふっ。でも、このやり取りもいつも通りだね・・・!!」

 

「つぐみの言う通りかもね・・・。でも、いつも通り全力で・・・いくよ!!」

 

 

 

 

「みんなで歌うのって楽しみね!!」

 

「こころちゃん・・・頼もしいなぁ~・・・」

 

「薫くん!!はぐみ達も楽器頑張ろうね!!」

 

「あぁ。・・・でも、さっきは友希那ちゃんも数を間違えていたね。ミッシェルが来たから38人だったのにね?」

 

「ふえぇ~・・・えっとね?ミッシェルは黒服さん達と一緒に外で頑張ってるからこっちに来れないって・・・」

 

「そうだったのね!!」

 

「だったらミッシェルの分も頑張らないとね!!」

 

 

 

 

「お待たせ~」

 

「広町さん。怪我はないかしら?」

 

「ルイルイ、怪我は大丈夫だよ~。紗夜先輩が大変だったけどね~」

 

「えっと・・・その・・・おかえり・・・」

 

「シロちゃんただいまー!!」

 

「ななみ!!これからばしっと決めっから!!まだまだいけるっしょ!!」

 

「とーこちゃん、盛り上がってるね~。まだまだいけるよ~!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!!しっかりしないと・・・!!」

 

「こんな調子で演奏大丈夫なのかしら・・・?」

 

「大丈夫だって!!ルイこそミスんなよ?」

 

「当然よ。誰に言ってるのかしら?」

 

 

 

 

 

 

「おねーちゃん!!」

 

「日菜・・・離れて・・・」

 

「そうだ!!おねーちゃん!!これ!!一緒に押そ!!」

 

「おバカ!!紗夜!!アンタ人に心配ばっかりかけて!!イヴとは違うんだから!!もう!!」

 

「リサ。落ち着いたらどうかしら?それで演奏できる?」

 

「うっ・・・!?とりあえず、全部終わったら話があるからね!!」

 

「分かりました・・・それで私の分のギターは・・・?」

 

「あんな好き勝手暴れてた紗夜の分なんてないわよ?」

 

「湊さん・・・!?」

 

「おねーちゃん!!一緒に歌お!!」

 

「紗夜?歌だけじゃ自信ないのかしら?」

 

「湊さん・・・?えぇ!!やりますよ!!日菜!!やるわよ!!」

 

 

 

 

 

「もう日菜ちゃんも紗夜ちゃん戻ってきて一気にテンション戻ったわね・・・」

 

「あはは~・・・そうっすね・・・。彩さんと白金さん?大丈夫ですか?」

 

「はい・・・。でも、いつものライブでの演奏と違う緊張感が・・・」

 

「大丈夫だよ!!りんりん!!今日はあこが横で歌うからね!!」

 

「うん・・・頑張るね・・・あこちゃん」

 

「彩ちゃんは・・・憧れの人の前だから緊張してるのね?」

 

「うえぇ!?千聖ちゃん!?何でわかったの!?」

 

「彩さんは分かりやすいっすからね・・・?でも、だからこそ今出来ることを精一杯やりましょう!!」

 

「そうね・・・なんだかんだ言っても彩ちゃんは本番に強いから大丈夫よね?私は自分のベースの方が心配だけれど・・・」

 

「大丈夫!!リサ姉やりみもいるんだから!!」

 

「そうね・・・あこちゃんのいう通りね・・・!!イヴちゃんがいない分、頑張らないとダメよね!!」

 

 

 

 

 

 

「ふぉぉおおおおお!!これが香澄先輩のランダムスター・・・!!でらテンション上がる~!!」

 

「花ちゃんとまた一緒に音楽が出来る・・・!!ふふっ・・・前に路上ライブした時と一緒だ・・・」

 

「全く・・・アンタたちは・・・パレオ、行けるわね?」

 

「はい!!チュチュ様!!RASに・・・いえ、この舞台にふさわしい最高の演奏をして見せます!!」

 

「OK!!この前はポピパに任せっきりだったけど、今回は違うわ!!マスキングがいないし、楽器も足りないけどそれでもRAS・・・いえ、ワタシ達なら行けるわ!!」

 

 

 

 

「それじゃみなさん!!カウント行きますよ!!」

 

各々が気持ちを高めていくのが分かった麻弥は静かにスティックを持ち上げてから深呼吸してから、彼女は声を挙げてカウント代わりに持っていたスティックを鳴らすのだった。

 

 





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オマケ!!
楽器振り分け
Gt
たえ、モカ、薫、透子、ロック(香澄のを借用)
Ba
りみ、はぐみ、千聖、リサ
Key
つぐみ、燐子、パレオ
Dr
麻弥
Vn
瑠唯

瑠唯の奴、こんな状況で良く楽器持ってきてたな・・・


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Chapter-27 ありがとう/大好き を歌いながら

2023年お疲れさまでした。
2024年1月中には完結したいです(願望)
ってことで投稿です。



 

Circleで準備が進む中、彼女達は戦闘を繰り広げていたが―――

 

「せいっ!!」

 

「だらぁ!!」

 

「私も負けれいられません!!」

 

 

 

 

 

 

「最近の女子は・・・どうなっているんだ・・・」

 

「それにあのクマ・・・キグルミよね?」

 

「前にも見たが、あのキグルミはどういう構造になっているんだ・・・」

 

「あ~・・・あれは色々おかしいんで気にしないでください・・・」

 

 

「おーい!!賢吾くーん!!って何あれ~!?ジェイク!!クマ!!クマだ!?新しいゾディアーツ!?」

 

「ユウキ先輩~落ち着いてくださいよ~!?あれはミッシェルって言ってバンドのキグルミ・・・噂で戦ってるとかあったけど、実物見ても現実感がないっすね~・・・」

 

先ほどとは打って変わって、彼女たちがオリオンを果敢に攻め立てていた。

攻め立てていたのはいいがその中心にいたのはミッシェルに入ったダイザーに乗った隼―――だけではなく、ミッシェルに入った美咲と巴も今まで以上に暴れまわっていたことにライダー部の面々からの総ツッコミを受けていた。

 

そんなツッコミを聞いたますきは苦笑いを浮かべて答えていたが、このタイミングCircle前にいたはずのユウキ達が賢吾たちに駆け寄っていくが、目の前にいるミッシェルの戦闘に驚きを隠すことが出来なかった。

 

 

「そっちは大丈夫なのか?」

 

「バッチリっすよ!!こっちのは全員倒したんで!!それに必要な人数も揃ったんで」

 

「ちょっとジェイク~!!やっつけてたのは私達だから~」

 

「じゃあ、4人にもそろそろ戻ってもらわないといけないが・・・」

 

「なぁ・・」

 

「隼?どうしたのよ?」

 

「いや、通信から何か聞こえてこないか・・・?」

 

集合して簡単に情報共有を行ったが、ここで隼が通信の向こうから何かが聞こえたと言い始めると戦闘している3人以外が通信に耳を澄ますと、そこからは微かにではあるが楽器の音が漏れぎ超えてきていた。

 

「ドラムか・・・?音の確認をしているみたいだが・・・」

 

「これ、麻弥さんのドラム・・・!!」

 

「こっちのメンバーが戻ってないのに始めるつもりか!?野座間!!聞こえてるならそっちの通信の音量を上げてくれ!!」

 

『分かりました・・・』

 

 

 

「こりゃ・・・」

 

「えぇ・・・」

 

「ミッシェルの中で通信拾えてるから聞こえるけど・・・こりゃ・・・やらかすね・・・」

 

通信機に向かって賢吾が叫ぶと、向こうにいた友子が言われた通りに音が拾えるように音量をあげると今度はハッキリと楽器の音が彼らの耳だけではなくオリオンと戦闘をしていた3人にも届いており、彼女達はこれから向こうがやらかしてくれると強い確信を持っていた。

 

そして、案の定通信の向こう側はやらかした――――

 

通信の向こうから響くスティックの音、その後には楽器による演奏が響き始めていた。

 

「まったく・・・やってくれたわね・・・!!」

 

「要するに歌が終わるまでにこいつをぶっ倒して戻ればいいって事だろ!!」

 

「全く分かりやすいわね・・・!!私達の底力見せてやりましょう!!」

 

 

「では、一番槍・・・若宮イヴ・・・参ります!!」

 

演奏が始まったことに美羽が呆れていたが、その演奏が響く中で巴が全力でオリオンを蹴り飛ばしながら言った言葉を聞いて更に呆れていたが、完全にその言葉に吹っ切れて声を挙げると皆がそれに答えるとイヴが真っ先に駆けだしていく。

 

 

『毎日 世界中が キラキラドキドキで』

 

 

「はぁ!!」

 

「!?」

 

真っ先に向かったイヴにオリオンはその攻撃を防ごうと左腕の盾を構えていたが、彼女が振り下ろした刀はその盾諸共オリオンの左腕を切り裂き、斬られた側も声にならない驚きの様子を見せる中でイヴは即座に真横に飛び退くと入れ替わる様に美咲が突っ込んで来ていた。

 

 

『もらったものは たっくさんの あったかハッピーメモリー!』

「もらったものは たっくさんの! あったかハッピーメモリー!」

 

「負けていられないわよ!!隼!!」

 

美咲は歌いながら突っ込んだ勢いのままに頭突きを食らわせると、オリオンの巨体が後ろに吹っ飛んだのを見た隼が走り出す。

 

「うぉおおおおおお!!」

 

 

 

「夢を熱烈に追い続けて・・・こうっ!!」

『夢を熱烈に追い続けてこう』

 

 

「皆、撃ちまくるわよ!!」

 

「はい!!」

 

「りょーかい!!」

 

吹っ飛んだオリオンに対してダイザーの拳を乱打してダメージを与えていく中でオリオンが反撃しようと狙っていた。

しかし、隼はその様子を見て乱打ではなく全力で横から殴りつけるとオリオンはよろめいた所に背後からますきがバイクで跳ね飛ばして、地面に倒れたタイミングで美羽たちがその無防備なオリオンを撃ちまくる。

 

その射撃を食らいながらオリオンは武器である棍棒を振りあげながら、彼女達の元へと向かってきた所へと巴が駆け出していた。

 

『仲間がいれば』

「仲間がいれば・・・っ!!」

 

オリオンが振り下ろした棍棒に対して巴は避けることはせずに拳を突き出して迎え撃ったがあろうことか彼女が突き出していたのは利き腕とは逆の左腕。

 

ゾディアーツに生身で挑む時点で無謀すぎるな状況に更に不安要素が加わっていたが、そんなものは今の彼女には関係ない。

拳と武器の衝突で金属同士がぶつかり合うような鈍い音が響き渡ったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベキッ―――

 

そんな様な音が周囲に響いたが、巴はそれを気にすることなく今度は利き腕の拳を固めて相手の武器に振り抜いた。

 

「Oops!?オリオンの武器が折れたわよ!?」

 

 

 

 

『ピンチも なんのその』

「ピンチも!! なんのそのっ!!」 

 

「このまま決めるぞ!!」

 

巴が振り抜いた拳は再び棍棒にぶち当たると、棍棒がへし折れてそのままオリオンが吹っ飛ばされていく。

その様子を見た賢吾はトドメを刺す様に指示を出すと、巴は拳に溜まった痛みを振り払うように軽く手をスナップさせると隼と再びオリオンへと駆け出していく。

 

『ありがとうMUSiC 永遠に 全部君のお陰だよ』

「「「「「ありがとうMUSiC 永遠に 全部君のお陰だよ」」」」

 

ダイザーが動きを止めると、巴の蹴りが突き刺さり、ライダー部が彼女達が離れるのを援護するように射撃し、オリオンがダイザーから距離を取ろうとしたら2台のバイクがオリオンを体当りでダイザーの元へと跳ね飛ばしたタイミングでイヴが飛び込んだ。

 

『喜怒哀楽どんな瞬間も!!』

「喜怒哀楽・・・!!どんな瞬間も・・・!!」

 

 

『見守ってくれたね』

「見守ってくれたね」

 

 

「これで決めるぞ!!」

 

イヴが自身の刀をオリオンへと突き立てるとそのまま手を放すと巴がその刀を蹴りこんでオリオンへと更に刀を押し込むとオリオンが腕を振って暴れ出すが、至近距離の2人は暴れるオリオンの腕を難なく交わし続けていき、ほんの僅かの隙を見つけた2台のバイクが彼女達の腕を掴んでオリオンから一気に離れていく。

 

 

それをチャンスと見た隼は視線を美咲に向けると、美咲はその意思を組んでミッシェルを動かしてそのまま空へと飛び、隼もダイザーでオリオンを掴むとそのまま美咲との間になる場所へ放り投げると飛んでいた美咲はドロップキックの姿勢を取ってそのままオリオンへと向かっていく。

 

『言葉なんていらないんだ 君さえいれば』

「言葉なんていらないんだ 君さえいればー!!」

 

「おぉおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

「――――――!!」

 

美咲がそのまま空中で蹴りを叩きこむとオリオンと共に地面へと落ちていくが、その落下地点にはダイザーが待ち構えて落ちてくるオリオンを全力で殴りつけるが、美咲の勢いは止まらない。

 

そんな強烈な空中(キック)地上(パンチ)で挟み込まれたオリオンは声―――と言っていいの変わらない音を発しながら2人の間で爆散すると、通信からの演奏をBGMに爆風の中を突っ切った美咲はバランスを崩しながら着地していた。

 

 

「うぉっと・・・!!」

 

「危ない!!・・・それにしても歌いながらとは思わなかったな・・・」

 

 

『「いつも通り」が変わってく度に 増えていった』

 

 

「・・・どうも。でも、如月さん達がいなくてよくやれましたね・・・ってこんなことしてる場合じゃなかった・・・。ってミッシェルも限界か・・・お疲れ様・・・」

 

バランスを崩した美咲だったが地面に倒れる前にダイザーがそれを支えると、彼女は何とも言えない達成感に包まれていた。

しかし、再び歌が流れて来たことですぐに我に返ると限界を超えた挙動をしたミッシェルの内部は警告を示すメッセージに埋め尽くされていたのを確認すると美咲はその場でミッシェルを脱ぎ捨てると、そんな彼女達の前には数体のダスタードが姿を現す。

 

巴達は身構えたがそんな彼女達の前には美羽が前に立っていた。

 

「後は任せて、行きなさい!!」

 

「俺達で十分だ!!」

 

「賢吾君も行って!!スイッチ持っていく人がいるでしょ!!」

 

 

 

「分かった!!皆、任せたぞ!!」

 

オリオンが倒れ、新たに現れたダスタード達を相手取るライダー部に背を向けて巴達はCircleへ向けて走っていくのだった。

 

 

 


 

「「「「「大好きだよMUSiC 永遠に 君に出会えて良かった」」」」

 

Circleで演奏していた香澄達。

外にいる巴達の様子はおろかいつ敵が乗り込んでくるかも分からない上に楽器の本数も足りていないという最悪の状況。

しかし、そんな中でも彼女達は今までしてきたどの練習よりも最高の音が出せていたが、その事に誰も気が付くことなく全員が1曲に向き合っていた。

 

「「「「「人生を奏で合おう 心のままに」」」」

 

 

 

 

「彩ちゃん達・・・凄い・・・」

 

「はい!!みなさん、凄いですね・・・!!」

 

「この状況でもここまで出来るのは凄いですね~・・・」

 

「これはいいね」

 

「元プロからのお墨付きなんて凄いですね・・・」

 

「お姉ちゃん・・・楽しそう」

 

 

 

「よし!!まだやってるな!!」

 

「間に合いました・・・!!」

 

「ギリギリ・・・って程でもないか」

 

「楽器はねぇか・・・仕方ねぇ・・・最後気合い入れてやるか!!」

 

彼女達の演奏を聞いていた面々も危機的な状況など気にする様子もなく、彼女達の演奏に魅入られていた。

そして、曲が終わろうとしたそのタイミングでフロアの扉が開かれるとそこからは外で戦いに参加していた巴達がなだれ込むように入ってくると、同じバンドのメンバー達はその姿に安堵と喜びの混ざった笑みを浮かべながら歌いだした。

 

 

 

言葉なんていらないんだ 君さえいれば―――

世界はひとつ―――

 

 

 

歌い終えた彼女達は達成感を感じていたが、ここで終わりではない。

この状況で歌を聞きながらもバガミールから得られたデータをずっと見ていた友子だったが、そんな彼女も画面の情報に目を輝かせていた。

 

「これならいける・・・!!」

 

「皆!!スイッチを出せ!!」

 

「バガちゃん!!来なさい!!」

 

 

 

 

「イヴちゃん達!!これ!!」

 

「ヒナさん?分かりました!!」

 

 

「カウントは・・・1番のりみ!!任せた!!」

 

「うん・・・明日香ちゃん」

 

「大丈夫です!!」

 

「りみりん先輩。マイクですよ~」

 

 

「みんな・・・いくよ。私達のために頑張ってる弦太朗くんの為に・・・!!」

 

バガミールからのデータからいけると確信した友子が声を挙げると役割を終えたバガミールを千聖が呼び出し、日菜が遅れてきた巴達に向かってスイッチを投げると、彼女達は投げられたスイッチを1つずつ掴み取る。

それを見た有咲はカウントを1番―――ロケットのスイッチを持ったりみに託すと、彼女もそれに答えると他の39個とは違う40番のスイッチを持った明日香に確認を取るとそのタイミングで七深がりみの元へとマイクを持ってくると彼女はそれを受け取ると皆に語りかけてからカウントを始める。

 

 

 

 

 

 

「3・・・2・・・1・・・スイッチオン!!」

 

 

 

「「「「「「オン!!」」」」」」」

 

りみの言葉に合わせる様に香澄以外の40人が一斉にスイッチを起動すると、突如として不思議なことが起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とても目を空けられる状況じゃないわ・・・!!」

 

「眩しいわね・・・」

 

「うわぁ!?すっごい!!今までで一番光ってる!!」

 

「香澄!!それはスイッチを押した皆の光だ!!後はお前がスイッチを押せ!!」

 

皆がスイッチを起動すると突如として香澄が持っていたギターが今までで一番の光を放ち始める。

香澄を除いた誰もがまともに目を空けられない光の中で有咲が香澄に向かって叫ぶと、香澄は自身の想いを込めるように持っていたフュージョンスイッチを強く握りしめる。

 

 

 

「お願い・・・!!みんなを・・・ゲンちゃんを・・・!!」

 

香澄は自身の想いを呟きながらフュージョンスイッチのスイッチを入れたその瞬間、突如として光が消えた。

 

 

 

「光が消えてもうた・・・」

 

「香澄ちゃん・・・?あれ?ギターはどこに・・・?」

 

「この短時間で失くしたの?」

 

「ちょっと友希那じゃないんだからそれはないでしょ~」

 

 

 

 

 

「・・・香澄!!如月のとこに行ってこい!!」

 

「こっちはうちらが・・・!!」

 

 

 

「うん!!行ってくる!!」

 

そう―――

消えたのは光だけではなく、香澄が持っていたギターも跡形もなく消えてなくなっていた。

光とギターが消えたことが気になってはいたが、香澄は皆から背を押されるように走り出す。

そして、Circleの外へ出るとそこで待っていた賢吾の乗るバイクの後ろへ乗り込むとバイクは弦太朗が戦っている学校へ向かって走り出していくのだった。

 




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オマケ:フュージョン再起動時のスイッチ担当
1ロケット:りみ
2ランチャー:あこ
3ドリル:美子
4レーダー:たえ
5マジックハンド:ましろ
6カメラ:千聖
7パラシュート:燐子
8チェーンソー:マスキング
9ホッピング:彩
10エレキ:こころ
11シザース:有咲
12ビート:湊父
13チェーンアレイ:ルイ
14スモーク:薫
15スパイク:巴
16ウインチ:麻弥
17フラッシュ:友希那
18シールド:パレオ
19ガトリング:ひまり
20ファイヤー:蘭
21ステルス:みほ
22ハンマー:はぐみ
23ウォーター:ロック
24メディカル:リサ
25ペン:イヴ
26ホイール:まりな
27スクリュー:透子
28ハンド:沙綾
29スコップ:つぐみ
30Nマグネット:日菜
31Sマグネット:紗夜
32フリーズ:レイヤ
33クロー:美咲
34ボード:あゆみ
35ジャイアントフット:モカ
36エアロ:つくし
37ジャイロ:花音
38ネット:チュチュ
39スタンパー:七深
40コズミック:明日香
EXフュージョン:香澄


オマケ2
スイッチ起動助っ人
(5) 輝いている緑→Glitter*Green
(18) 黒を塗りつぶした白→ネームドスイッチャー's
(3) 雄々しげ赤紫→蘭パパ&友希那パパ+ゆりりん(必要人数が40人に変更)
(8) 小さく輝く山吹色→沙綾弟妹's+ゆりりん(同じく人数が40人に)
つまり、ゆりさんは3/4を外してしまったってことです・・・南無三!!


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Chapter-28 学園のHERO

2024年あけましておめでとうございます(大遅刻
年明けは体調が崩れるので気をつけましょう(xx敗)
と言う訳で新年初投稿です


 

彼女達が全力を尽くしていた一方―――

フォーゼ達の戦闘は不可解な状況が繰り広げられていた。

 

 

 

―――リミットブレイク!!―――

 

「フォォオオオ・・・・・・・!!」

 

「ふっ・・・無駄だ!!」

 

「ギャラクシーのリミットブレイクも効かないだと・・・!?なら・・・!!」

 

―――メテオ!!リミットブレイク!!―――

 

「アタァアアアアアアアアア!!」

 

「無駄だと言っている!!」

 

「これもダメだと!?一体どうなっている!!」

 

 

「おらっ!!」

 

「ちょこまかと・・・!!しつこい男だ!!」

 

「ならどうして弦太朗の攻撃は避けている・・・?」

 

ギャラクシーからドライバーにスイッチを戻して連続でリミットブレイクを発動するメテオだったが、銀河王に直撃した衝撃を受けてはいるがダメージが入っている様子はない。

 

そんな余裕の態度を見せていた銀河王にフォーゼは一気に距離を詰めて殴り掛かろうとしたが即座にそれを躱した銀河王はフォーゼから距離を取るという訳の分からない状況にメテオが混乱し始めていたが、ここで事態は一転してしまった。

 

 

 

 

「はぁ!!」

 

「がはっ・・・!?」

 

「弦太朗!!変身が・・・!!」

 

メテオが混乱した僅かの時間に動きが鈍くなっていたフォーゼは銀河王が放った衝撃波が直撃してしまい、ドライバーに唯一刺さっていたメテオストームスイッチが外れてしまい、その場には変身が解けてしまった弦太朗が地面に転がっていた。

 

「手こずらせてくれたな・・・だが、これでもう終わりだ!!」

 

「ヤベェ・・・!!」

 

「させるか・・・!!」

 

地面に転がった弦太朗にとどめを刺そうとした銀河王の姿を見たメテオは咄嗟に2人の間に入った。

しかし、そんなメテオ諸共銀河王は衝撃波で吹き飛ばすと今度はメテオの変身も解けてはいないが地面に倒れていた。

 

「2人目も倒れたか・・・これで邪魔者はいなくなった・・・!!」

 

 

 

「くっ・・・!!まだだ・・・!!」

 

「まだ終わって・・・ねぇ・・・!!」

 

「ふっ・・・無駄なことを」

 

変身が解けて満身創痍の身体で再び2人は立ち上がったが、その光景を見た銀河王は2人を鼻で笑っていた。

 

「ライダーに変身もしていない子供に何が出来る!!」

 

 

 

「さぁ・・・だが、貴様はそのバカにしていた変身すら出来ない子供にドライバーを壊されたことを忘れたのか・・・?」

 

変身していない子供とバカにした銀河王に対して、メテオはその変身すら出来なかった巴によってドライバーを故障させられたことを言い返すが、言われた本人はその事を指摘されて怒りを露にしていた。

 

 

「てめぇに下らねぇ企みなんてぶっ潰してやるぜ・・・!!」

 

「私の崇高な目的を2度も邪魔される私ではない!!」

 

「天校という小さな箱庭でヒーローごっこをしていればいいものを・・・だが、これで終わりだ・・・」

 

 

 

 

 

 

「ダメ!!」

 

「なにっ!?・・・ぐっ!?」

 

「この声・・・!!まさか!!」

 

弦太朗にとどめを刺そうとしたタイミングでどこからともなく声が響く。

その声に驚いた銀河王だったが、その言葉に直後に衝撃に襲われてその体を大きく後ろに弾き飛ばされると、そこには銀河王と入れ替わる様にバイクに乗った男女がいた。

 

 

 

 

「例え天校から外に出たとしても・・・俺の親友は!!永遠に学園のヒーローなんだよ!!」

 

「そうだよ!!ゲンちゃんは花咲川の・・・ううん!!私達のヒーローだよ!!学校の3つや4つを守るのだって出来るんだから!!」

 

 

 

 

 

「・・・賢吾!!香澄!!」

 

「立てるか?」

 

「あぁ・・・!!」

 

その場に現れたのは賢吾と香澄。

声を挙げた2人はバイクから飛び降りて弦太朗へと駆け寄っていくと、2人で弦太朗の手を取って立ち上がらせると香澄は持っていた物を差し出した。

 

「ゲンちゃん!!これ!!」

 

「フュージョンスイッチ・・・!!」

 

 

 

「歌星・・・復活したのか?」

 

「分からない・・・!!」

 

「持ってねぇけど、近くにあるだけでも感じる!!今まで以上にモノスゲーパワーを・・・これならいける!!」

 

そう言った弦太朗は立ち上がらせた2人に笑みを浮かべるとそのまま弦太朗は両腕で香澄と賢吾と友情のシルシを交わすとそのまま力強い足取りで銀河王の前へと向かっていくが、その姿を見ても銀河王は余裕を崩さない。

 

「今更スイッチが1つ増えたところで、このカンナギ―――いや、銀河王の前で何が出来る・・・!!」

 

「ねぇ、賢吾君。あの人、男の人みたい・・・」

 

「戸山。おそらくドライバーに残っていたエナジーがカンナギの怨念とも言える感情に反応して、ドライバーを使った人物の人格を塗り替えたと言ったところだろう・・・」

 

「歌星。アイツは奇妙な動きをしていた」

 

「・・・奇妙だと?」

 

「あぁ、弦太朗の攻撃は躱すのにメテオのリミットブレイクを受けてもダメージが入った様には見えなかった。それに時間を止める能力があるのに全く使ってこない」

 

賢吾はメテオの言葉と今までも出来事を頭の中で思い浮かべると、すぐにメテオが感じた違和感の正体を導き出していた。

 

「朔田、それは違う。奴は能力を使っていないんじゃなく・・・使い続けているんだ」

 

「なに?」

 

「ほう・・・」

 

賢吾の言葉に思わず銀河王は関心を示していたが、そんなことを気にすることなく賢吾は自身の考えをそのまま語りだした。

 

「カンナギが今使っている身体の元はネバーの技術で不死身の身体になっているが欠点もある。

リミットブレイクのような強力な技には耐えられないこと、そして定期的に酵素を注入しなければ死体になる・・・。奴はそれを”自分だけ”の時間を止めることで強力な技のダメージと酵素切れに対応しているんだ。こうすれば時間を越えた力を受けていない攻撃に対しては無敵だ。

だが、あのドライバーは未来から来た弦太朗が時を渡ってきたスイッチが使った。その影響でフォーゼの時間停止の影響も受けなかったんだ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい・・・!!これだけでここまで導き出すとは・・・!!たしかに攻撃を受ける瞬間に時間を止めていれば私は全く傷つかない。だが・・・これで酵素切れの問題はない!!これで終わりだ・・・!!」

 

「カンナギ・・・!!今度もてめぇの野望を止める!!」

 

 

 

銀河王の反応が賢吾の推測が正解であることを示していた。

その解説を聞いた銀河王は賢吾に感心しながらもどこからか銃のような注射器を取り出すとそれを自身に打って勝ちを確信した銀河王だったが、弦太朗はフュージョンスイッチを銀河王に突き付けて叫ぶとスイッチがないドライバーに受け取ったフュージョンスイッチを力を込めて装填した。

 

 

―――フュージョン!!―――

 

 

スイッチが装填されるとドライバーからは力強い音声が響くとそのまま弦太朗は流れるようにドライバーのスイッチを叩くと聴きなれたカウントダウンが響き渡っていく。

 

 

3―――――――

 

2―――――――

 

1―――――――

 

「変身!!」

 

カウントが終わると同時に弦太朗は全力でドライバーのレバーを押し込んでから宙へと手を伸ばすと、その体は白い煙のようなエナジーに包まれるとその中で弦太朗は再びフォーゼへと変身するが、今回は今までのような不調を感じることはない。

 

それどころか満身創痍の身体にも関わらず、今までで1番絶好調とも思えるような感覚を感じたフォーゼはそのままドライバーに装填したスイッチを起動するのだった。

 

 





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Chapter-29 融合・I GO!!

完結近づくと筆が重くなる悪い病気が発病中・・・
ってことですが、投稿です。


 

――――――――フュージョンON――

 

フォーゼがスイッチを起動すると香澄の横にいたメテオの変身が解除され、メテオドライバーからメテオスイッチがひとりでに離れると吸い込まれるようにフォーゼのドライバーに収まるのと同時にフォーゼの身体にメテオの幻影が重なると、今まで見たことのない姿へと変わる。

 

そして、フォーゼはいつものように拳を宙に突き上げて声を挙げていた。

 

「宇宙・・・来たぁぁあああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「データに無かった姿だが・・・今さら何が出来る!!」

 

今のフォーゼが変身している姿のデータが無かったが、ライダーが一人減った上にフォーゼに変身した弦太朗は既に満身創痍。そして時間を止めた際には動けてはいたが確実に動きが鈍っていたことを知っていた銀河王は今のフォーゼに全く危機を感じることなく即座に時間を静止させた。

 

満身創痍で満足に動けない状態で更に時間を操作して動きを鈍らせれば、万全の状態の銀河王にとっては全く脅威にならないと高を括っていた。

 

しかし、それは大きな間違いだった。

 

「これで・・・なっ!?」

 

 

「おらっ!!」

 

「ぐはっ!?」

 

時間を静止したことによって動きが鈍る筈だったフォーゼへと銀河王は一瞬で距離を詰めるが、そこに待ち構えていたフォーゼの右拳によって銀河王は吹っ飛ばされその体を校舎の壁へと叩きつけられると同時に時間が動き出すが、銀河王は今起こった現状が全くの見込めずに混乱をし始めていた。

 

「どうなっている!?何故時間を操作して動きが鈍らない!!さっきまでは・・・」

 

 

 

「今のフォーゼにはな!!流星や賢吾達、それにこっちで出会ったみんなの想いも背負ってんだ!!」

 

「くだらない戯言を!!」

 

「今のフォーゼが怨念程度に負けるはずがない!!行け弦太朗!!」

 

「・・・前みたいにオーズがいない状況でこの銀河の王たる私をここまでコケにしたことを後悔するがいい!!」

 

 

 

 

「カンナギ!!・・・タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

「ゲンちゃん!!いっけー!!」

 

 

一撃で戦いの流れを変えたフォーゼは香澄の声援に背中を押されて最後の戦いの火ぶたが切られるとフォーゼは吹っ飛ばした銀河王との距離を一瞬で詰めると得意の喧嘩殺法で攻めかかっていく。

 

「おらっ!!」

 

「ぐっ!!・・・はぁ!!」

 

「よっと!!」

 

「だが、貴様の動きは・・・!!」

 

フォーゼは勢いを乗せた飛び蹴りが銀河王に突き刺さるが、銀河王もタダでやられまいとフォーゼへとパンチを繰り出すが容易く腕を払いのけられてしまい大きく体勢が崩れた瞬間をフォーゼは見逃さず、

構えを取り直して銀河王へと向かっていく。

 

 

 

 

 

―――ジュピター、レディ?  OK!!ジュピター!! ―――

 

「ふぉぉおおおおお!!あたぁああああ!!」

 

「がっ!?・・・何だと!?」

 

フォーゼは右腕に装備されたギャラクシーを操作すると、先ほどとは打って変わって拳法の動きで銀河王を攻め立てていくのだった。

 

 


 

「ちょっと!!如月くん達はどうなってるの!?画面に何も映ってないよ~!?」

 

「うわっ!?ポケットに入れてたアタシのスマホ!!電源入らないんだけど!?」

 

「ギターの音、アンプから出なくなっちゃった・・・」

 

 

「彩ちゃん落ち着きなよ~」

 

「とーこちゃん?壊しちゃったの?」

 

「おたえちゃん?何でギター弾こうとしてるん・・・?」

 

 

 

「ちょっと失礼しますね?・・・アンプの中の回路が焼き切れてますね・・・近くにあったから画面とかも・・・」

 

「大和さん・・・こっちのキーボードも音が出ないです・・・」

 

「香澄や如月達の様子が分かんねぇか・・・」

 

 

香澄を見送ってやり切った感覚を覚えていた彼女達だったが、少しだけ冷静になった途端にフロアで起こっていた様々な不調に気が付きはじめていたが、麻弥が近くにあった工具を片手にたえの元まで向かってアンプを分解するとその原因は即座に判明したが、原因が分かっても外の様子が分からないが、ここで1つの言葉が状況を変えた。

 

 

 

 

 

「フラシェキーが動いているのだから、さっき渡したのだって問題なく動くんじゃないかしら?それにそのカバンの機械も動いてるわよ?」

 

「じゃあ、さっき千聖ちゃんが渡した子も動くから!!それで見れるんじゃ・・・」

 

このタイミングで友希那はフラシェキーにスイッチを入れて動かしたことを伝えると、同じフードロイドであるバガミールも動くはずだし、そこからカバンに映像が映るはずと考えた34人はカバンの前に押しかけ始めていた。

 

 

 

「リサ先輩!?上に乗らないでくださいよ~!!」

 

「ひまり、狭いんだから仕方ないでしょ!?ちょっとヒナ!!今アタシのお尻触ったでしょ!?」

 

「リサちーあたしじゃないよ!?パレちゃん、そんなとこに手を入れちゃダメ~!?」

 

「日菜ちゃん!?パレオじゃありませんよ!?ひゃぁあ!?マッチーさん!?耳に息をかけないでください~!!」

 

「ごめんね~。でも、私も向こうが気になるし~・・・」

 

 

 

「ちょ!?紗夜先輩!?何時まで私の胸を鷲掴みにしてるんですか!?」

 

「市ヶ谷さん!!狭いんだから仕方ないでしょ!!八潮さんと白金さんは胸を押し付けないでください!!」

 

「でも、氷川さん、こうしないと見れないですから・・・」

 

「白金さんの言う通りですから我慢してください」

 

 

 

 

「おしくらまんじゅうみたいで楽しいね!!」

 

「皆と近くにいれて楽しいわねはぐみ!!」

 

「ふえぇ~~~助けて~~~!?」

 

 

「うぅ・・・苦しい・・・」

 

 

 

 

 

 

「これって本当に壊れてるのかな・・・?この画面に繫いだら・・・あっ!!線が入ってて見にくいけど映ったわよ!!ってこれ如月くん・・・?」

 

皆がカバンの小さなモニターの前に押しかけ始め、少女達のおしくらまんじゅうで言い争いが始まるという危機的状況の筈なのに緊張感が欠片も感じられない状況に陥っていたが、その中でまりなが沈黙していたモニターをカバンに繫ぐと画面に線が入ってしまってかなり見にくくなっているがなんとかモニターしての仕事をし始めて、その画面にはメテオフュージョンステイツのフォーゼが映し出されていたが彼女達は全く見覚えがない。

 

 

 

 

「流星さんの姿が映ってないわね・・・」

 

「ルイさん?それもだけど、如月先輩のも見たことないよ・・・それに右腕のって流星さんのやつだし・・・それに見た目も似てる・・・ような・・・?」

 

「見て!!ゲンちゃんの動きが急にりゅーちゃんみたいになったよ!!もしかして・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「合体しちゃった!?」」」」」

 

「いや、そんな訳ねぇだろ!?」

 

「有咲、うるさい・・・」

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・でも、あながち間違いじゃない。あれは弦太朗さんと流星さんの力を合わせている姿だから・・・」

 

 

 

「友子、あんたなんか余裕そうだけどあれで大丈夫なの?」

 

「弦太朗さんが変身してる2人の力が合わさった仮面ライダーで、友達の前で戦ってる弦太朗さんが負けるとは思ってないから・・・」

 

「ふーん・・・」

 

「でも、あれは・・・大丈夫なの?」

 

メテオフュージョンステイツの姿を見て一部の面々が素っ頓狂な言葉を口にして有咲が即座にツッコミを入れるとにおしくらまんじゅうから脱出した友子が簡単に解説を入れ始めたが、彼女は完全に安心した表情をし始めたのを蘭は見逃がすことはなく、彼女も群れの中から抜け出して彼女の元に歩み寄って話し始めたが、友子は目の前の光景を指差していた。

 

 

 

 

 

「美咲達は大丈夫かい?」

 

「あたしはレイを迎えに行ってたから多少はマシっすけど、慣れてないことをするのはキツイっすね・・・」

 

「怪我はないですけど、今すぐ寝たいくらいにはクタクタですね・・・流石にそういう状況じゃないのは分かってるんで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「トモちん~重い~・・・」

 

「あはは・・・悪いなモカ、ずっと動きっぱなしだったから流石に疲れた・・・」

 

「も~・・・仕方ないな~。モカちゃんに存分に寄り掛かっていいよ~」

 

「おねーちゃん!?血がいっぱい出てる!?えっと・・・!!衛生兵(メディック)~!!リサ姉~!!おねーちゃんが

~!!」

 

「私もトモエさん程ではないですが・・・限界・・・です・・・」

 

「あっ~!!こっちもイヴちゃんが~!?」

 

「彩ちゃん!!パレオに任せてください!!」

 

 

 

 

 

「あ~・・・うん。大丈夫・・・だといいけど・・・」

 

大半がフォーゼの戦いを見入っていた一方で、これまでの戦い続けた面々が体力の限界を感じてへばり始めて大慌てしている光景を見た蘭は、いつも通りの賑やかさを感じて苦笑いを浮かべて友子の言葉に応えるのだった。

 





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Chapter-30 ひとりじゃないんだから

お待たせしました。
終わりが見えてきたので投稿です。



 

ジュピターで銀河王を吹き飛ばしたフォーゼ。

しかし、彼は攻撃の手を緩めることはなく、メテオギャラクシーから発生した木星型のエネルギーを消すとメテオギャラクシーとドライバーを同時に操作し始めていた。

 

―――サターン、レディ?―――

――――ランチャーON――――――

――――――ガトリングON――――

 

 

 

――― OK!!サターン!! ―――

 

「こいつを食らえ!!」

 

「ぐぅっ!!だが、この攻撃を見せたことが貴様の敗因だ!!」

 

フォーゼは両足に遠距離用のスイッチを起動と同時に発射すると、右腕を振るってサターンのリング状のエネルギーが体勢を立て直せていない銀河王を襲う。

しかし、銀河王もただ一方的にやられる訳ではなく、その攻撃の中で思考して1つの結論を出していた。

 

 

 

今のフォーゼには接近戦を続けらない程には消耗している――――

 

 

問題がないなら遠距離戦へと移る必要など全くなくそのまま自身を圧倒していた接近戦を続けて倒してしまえばいいのにそうはせずに遠距離攻撃を繰り出しているフォーゼの行動が銀河王にその結論を出させていた。

そうなれば銀河王はここから強引にでも接近戦に持ち込めば勝機を見いだせると答えを出すと、攻撃によって発生した土煙の中で先ほど破壊されたローブを再生させ、今までの今度は操るのではなく腕に持ち盾代わりにしながらフォーゼへと向かっていく。

 

 

奇しくも、以前にあった戦いで似た状況があった。

今回はその相手が銀河王という強大な相手ではフォーゼ1人で戦っていた後の時同じ状況ではこれで倒されてしまったかもしれない。

だが、今のフォーゼはメテオの力が加わっているだけではなく、天校から離れたこの街で新たに出会った人々の思いを背負っているこのメテオフュージョンステイツの前にとってはこの程度の状況は危機にすらならない。

 

「ふっ!!・・・・」

 

「何!?」

 

 

「あたぁああああああ!!」

 

「ぐっ!?」

 

銀河王は刃となった自身のローブをフォーゼに振り下ろしたが、その刃の側面を右腕のサターンを軽く叩かれたことでその刃はフォーゼの足元に突き刺さる。

それに驚いた銀河王だったが、フォーゼはそのまま刃を踏み台にして飛び上がると銀河王の顔面をランチャーを起動したままの右足で蹴りこむとゼロ距離でランチャーのミサイルを叩き込むと爆発の中から再び銀河王が吹っ飛ばされてくるが、銀河王は自身が優位であることを確信していた。

 

 

 

ゼロ距離のミサイルを放ったが、自身よりも消耗していたフォーゼもそれによってダメージを受けたことで状況は銀河王の有利だと考えていたが、その考えは完全に間違えていた。

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおおおお!!」

 

「何!?向かってくるだと・・・!?」

 

自身が巻き込まれた爆発の中からフォーゼが両足のスイッチを切りながらメテオのように構えながら銀河王に向かって駆け出してきた。

その姿は先ほどの爆発はおろか今までのダメージなどまるで無かったかの様な様子に銀河王は驚愕したがそんなのお構いなしに銀河王へと近づいてくるフォーゼは得意の接近戦へと仕掛けていくが、先ほどまで見たその動きに対応しようとしたが――――

 

 

 

「おらっ!!」

 

「ぐっ・・・頭突きだと・・・!?」

 

――――チェーンソーON――――――

 

「食らえーっ!!」

 

 

――――――スパイクON――――

 

「あたぁ!!」

 

「ぐぁ・・・!!」

 

 

「ふぉぉぉおおおおおおおお!!」

 

「ぐっ?!がっ!?」

 

フォーゼから繰り出されたのはただの頭突きに拳法による攻撃に対処しようとした銀河王は予想外の攻撃を前に防御が間に合わずにもろに直撃して隙を作ってしまった。

その隙にフォーゼはいつの間にか入れ替えていたドライバーのスイッチを起動して頭突きの勢いのままにチェンソーで銀河王を切り裂いたら、今度は左脚のスパイクを起動して蹴り叩きこみながら徐々に動きをメテオのモノへと変えていくと銀河王は怯んで後退りしていく。

 

「ぐっ・・・!!だったら貴様を狙わなけば・・・!!」

 

 

 

「こっち・・・?」

 

「大丈夫だ・・・」

 

 

――――ビートON――――――

 

「てめぇの相手は俺だ・・・!!」

 

「だったらこれで・・・!!」

 

「おらっ!!」

 

「なっ!?剣!?いつの間に・・・!?」

 

銀河王はフォーゼに攻撃が効かないとみると今度は近くに残っていた香澄達3人へと衝撃波を飛ばしたがフォーゼはビートの音で衝撃波を完全にかき消すと、今度は武器代わりにしていたローブを操り香澄達を攻撃しようとしたが、それに対してフォーゼはいつの間にか持っていたバリズンソードを投げつけて1撃でそれを粉砕してみせたその姿に銀河王は恐怖を感じていた。

 

 

「ぐっ・・・たかが1人にどうしてこの銀河王がここまで・・・!!」

 

「1人じゃねぇ!!このフォーゼはな・・・天校の皆やこの街で出会ったみんなの思い・・・俺のすべてのダチが1つになったパワーなんだ!!人の想いを踏みにじろうとするお前が・・・俺達の絆に叶う訳ねぇんだよ!!」

 

「だったらここは体勢を立て直して―――」

 

――――――ホイールON――――

 

「逃がさねぇ!!」

 

「ぐっ!!だが、貴様がこの状態では私にトドメはさせないな!!」

 

「言ったろ。俺は1人じゃねぇ!!」

 

圧倒的不利を前にこの場から逃走しようとした銀河王だったが、フォーゼはホイールを起動して突進して銀河王を両腕で捕まえるが、このままではフォーゼはトドメをさせず倒されない。

時間を稼いで体力を回復しようと試みた銀河王の耳には信じられない音が飛び込んだ。

 

 

 

―――リミットブレイク―――

 

「何!?フォーゼ以外に戦っているものなど・・・!?」

 

リミットブレイクの音声が響くが、そもそもその音が響くこと自体が異常事態であった。

フォーゼの両腕は塞がり以前のようにハンドで無理やり武器を使ったりしている訳でもないし、そもそも変身していないメテオには不可能、そして、銀河王が以前に狙っていた者もその音声で技を出していたが今の地球上には存在していない。

 

普通に考えたらこの状況では聞こえてくるはずがない音声の発信元を確認しようと銀河王は周囲を見渡すとその目には信じられない物が飛び込んできた。

 

 

「そうだよ!!1人じゃないよ!!」

 

「何!?この娘・・・!?だが、娘一人で何が・・・」

 

その音の発信源は先ほどフォーゼが投げつけたソード。

しかも、そのソードには既にコズミックスイッチが収まっており、それを見た香澄が咄嗟にそれに駆け寄ってリミットブレイクの発動手順を全て1人で行っていたのだ。

 

だが、香澄ではソードを振り回せる訳がなく攻撃など来ないが、突如として香澄の目の前には白いワームホールが生成されるとフォーゼは銀河王を引き連れてそのままワームホールへ向かって走り出す。

 

 

「いっけーゲンちゃん!!」

 

「サンキュー!!香澄!!」

 

「正気か!?どこに繋がっているか分からないワームホールに私事飛び込むつもりか!?貴様!!それがどこに飛ぶか分からないのだぞ!?」

 

「逃がさねぇって言ったろ!!」

 

「バガミール!!」

 

「これも~!!」

 

「戸山くん。任せてくれ!!」

 

コズミックの能力で自身が設定した先まで繋がるワームホールを生成することが出来ることを銀河王は集めていた戦闘のデータからは把握していたが、今回は香澄が勝手に動いて生成したものでそんなものはデータにある訳もなく、どこに飛ぶか分からない。

そんなものに自身と共に飛び込もうとするフォーゼに銀河王は完全に取り乱すが、フォーゼはそのことに全く迷う素振りすら見せず、そのままワームホールの中に銀河王とフォーゼが姿を消す。

 

バガミールを賢吾が、残ったソードは香澄に代わって流星がワームホールの中に投げ込むと同時にワームホールが消失し、学校には香澄達3人が取り残されていた。

 

 

「はぁ・・・。君は何を考えているんだ・・・。弦太朗以上に無茶苦茶だな・・・」

 

「ゲンちゃんならそうするかなって思って」

 

「戸山くん。褒められてないぞ?」

 

「えへへ・・・でも、ゲンちゃんなら大丈夫ですよ!!」

 

「・・・そうだな。俺達に出来ることは・・・帰ってくる弦太朗を迎えることだけだ」

 

「歌星、俺達はCircleに戻ろう。友子ちゃ―――いや、皆が心配だ」

 

「あぁ。戸山、行くぞ」

 

「はいっ!!」

 

3人はワームホールがあった場所を一瞥するとフォーゼの勝利を信じて、彼が帰ってくるはずのCircleへと帰っていくのだった。

 





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ん?
スイッチ受け取ってる描写がないって?
フォーゼの映画の方でも受け取ってる描写ないから多少はね・・・?

まぁ、しいて言うなら
青春に不可能はない(弦太朗が仮面ライダーフォーゼだから)」ってとこですかねぇ?


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Chapter-31 みんなで宇宙キターッ!

お待たせしました!!大遅刻しましたが投稿です・・・!!
(サブタイトル考えるのに3日かかったせいなんて言えない・・・

次回、劇場版完結・・・!!


 

「おらっ!!」

 

「ぐっ!!ここは・・・っ!!」

 

ワームホールを抜けたフォーゼは銀河王をそのまま突き飛ばすと、彼の後ろのワームホールからソードが飛び出るとそのまま地面に突き刺さったのと同時にワームホールが消えるが、突き飛ばされた銀河王はそのまま地面に倒れるが不意に違和感を感じて周囲を見渡し始めていた。

 

「はははっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワームホールの出口が月面とはな!!」

 

ワームホールを抜けた先に広がっていたのは漆黒の宇宙が広がる月面。

宇宙に上ってエナジーを吸収して世界を支配する計画を立てていた銀河王にとっては正に願ってもない状況に銀河王は笑いださずにはいられなかった。

 

「偶然なのかあの娘が決めたのかは分からないが、愚かな選択をしたな・・・!!コズミックエナジーが満ちていく!!これなら時間を完全に支配できる!!このようにな・・・!!」

 

 

「カンナギ!!それでもお前の時間を止めるのは俺には効かねぇ!!」

 

ワームホールから出てからのほんのわずかな時間だったが、自身の身体にエナジーが限界までたまった感覚を覚えた銀河王は世界の時を止めたが、それでも目の前にいるフォーゼの時は止まることは無かった。

 

 

「なるほど・・・地上だったら貴様は仲間へ迫る攻撃を無視できないが、月にまで飛ばせば貴様は周囲を気にせず戦えるという訳か・・・。だが、宇宙からのエナジーを吸収した私が貴様に敗れる理由はない!!」

 

周囲に何もない月ならば、フォーゼは目の前の相手だけに意識を向ける事が出来るが、銀河王は宇宙からのエナジーを吸収して力を増してしまう。

香澄が意図してこの場所へと繫げたのか、それともただの偶然かは分からないが銀河王にとっては香澄がしたことは完全に裏目だと考えて、一気に勝負を決めようとフォーゼとの距離を一気に詰めたが―――

 

 

 

 

 

 

「おらっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

しかし、フォーゼはそれが分かっていたかのように前蹴りを放つと直撃した銀河王は再び吹き飛ばされて地面に転がっていくが、その攻撃は今までのものとは明らかな違いがあった。

 

 

 

 

 

 

 

「何故だ!?何故、宇宙の力を吸収した私がこの程度の攻撃でダメージを―――!?貴様もここでコズミックエナジーを吸収しているのか!?」

 

宇宙のエナジーを吸収した銀河王の体は最大まで強化され、全く根拠はないが身体の内から溢れるエナジーが生半可な攻撃ではダメージを受けず、フォーゼのリミットブレイクすらも耐えうると確信させる程の力を感じさせていたにも関わらずその体は月面に叩きつけられていた。

 

 

しかし、今フォーゼが放ったのはリミットブレイクではないただの前蹴りにもかかわらず、受けた衝撃は地上で受けたリミットブレイクと同等以上のモノであったことに銀河王の中では、エナジーを力に変えたと同じようにフォーゼも自身がしていることと同じことをしていると考えた銀河王だったが彼はコズミックエナジーの根本的な性質を見落としていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――それはコズミックエナジーは人の想いに強く反応するという性質。

 

今のフォーゼはメテオや天校の仲間達に加えて、新たに出会った仲間たちの想いも加わり、その差が今の状況を生み出していた。

 

その事をフォーゼは上手く言語化することはできないが、本能的にそれを理解するとフォーゼは地面に落ちたソードを拾い上げると空いている拳を突き出していた。

 

「・・・カンナギ!!最後のタイマンだ・・・!!俺達の絆で宇宙を掴む!!」

 

「王に逆らうことを後悔しろ!!」

 

「行くぜ!!」

 

フォーゼがソードを構えて走り出す姿を見た銀河王は宇宙からのエナジーを使って再び自身のローブを復活させて向かってくるフォーゼ目掛けて放つが、フォーゼはその攻撃を避けることすらせずに銀河王目掛けて突っ込んでいく。

 

「自棄か!!」

 

「あたぁ!!」

 

無謀に思えたその突撃だったが、今のフォーゼにはハッキリとその軌道が見えていた。

飛んできたそれに対してフォーゼは走る勢いを止めることすらせずにただの拳で弾き飛ばして再び距離を詰めていた。

 

 

「食らえっ!!」

 

「がぁ!?・・・だが、これで・・・!!」

 

「甘ぇ!!」

 

「なっ!?」

 

フォーゼはそのままソードを振り下ろすと銀河王はその攻撃を防ぐ手段がなく、そのまま身体を斬られてしまうが銀河王はこれ以上の追撃を防ごうとフォーゼによって弾き飛ばされたローブを操って視覚である背後から攻撃したが、フォーゼは死角からの攻撃を見えているかの様に背面飛びでその攻撃を躱して見せる。

避けられた側はその行動に驚きを隠さずにはいられなかったが、それ以上の行動をフォーゼは取っていた。

 

「抜いて・・・挿す!!」

 

―――リミットブレイク―――

 

「なっ!?不味い!?」

 

フォーゼは飛び上がっているその最中にソードに装填されたコズミックスイッチを操作してリミットブレイクを発動したのに驚愕した銀河王は操っていたローブを掴んで防ごうとするが、その程度でフォーゼが止まることはない。

 

 

「ライダー・・・!!超銀河フィニッシュ!!」

 

「ぐがぁぁあああああああああ!!」

 

フォーゼから放たれた一閃はローブを容易く両断し、銀河王に攻撃が突き刺さる

絶叫する銀河王に対してフォーゼは相手の視界を遮るためにソードを銀河王へと投げつけると、ドライバーから右腕のメテオギャラクシーへとスイッチを装填して一気に距離を詰めていた。

 

―――リミットブレイク―――

 

「ふぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「何ッ!?・・・ぐっ!?がっ!!がはっ!?だが、貴様の攻撃が止むまで耐えれば・・・!!」

 

「あたぁ!!」

 

「ぐっ!?・・・なっ!?月の重力が・・・!!」

 

 

「はぁ!!」

 

フォーゼの超銀河フィニッシュからメテオのスターライトシャワーへのリミットブレイクのコンビネーション。

2人のライダーの技を連続で受けた銀河王は強化されていた肉体でもダメージに耐え切れきれないくなっていった。

攻撃が止めば反撃が出来ると必死に耐え続けたが、フォーゼのアッパーによって銀河王はフォーゼの攻撃と月の重力からも解放されたことで、銀河王はバランスを崩した所に月面からフォーゼがブーストモードに変形させたソードを使って銀河王の頭上へと飛び上がる。

 

 

――メテオON――――――――

――――――ドリルON――――

 

「カンナギ!!これで終わらせる・・・!!てめぇのちっぽけな銀河はダチの想いでぶち抜くぜ!!」

 

フォーゼは銀河王へのトドメを言い放つとドライバーへと装填され直していた2つのスイッチを起動すると、フォーゼは最後の技を繰り出していた。

 

「――――ライダーフュージョンドリルキック!!」

 

フォーゼの言葉と共にその後ろにはベースステイツのフォーゼとメテオ、2人のライダーの幻影が銀河王目掛けて一直線に向かっていき、2つの幻影が実体のフォーゼと重なり合ったのと同時に脚のドリルが銀河王へと突き刺さった。

 

「銀河の王がこんな所で・・・!!」

 

「いっけええええええええええええ!!」

 

 

 

「ぐっ・・・」

 

「ぉぉおおおおおおおおおお!!どらぁ!!」

 

「この・・・銀河の王である私が・・・2度、同じ相手に・・・!?」

 

 

 

 

 

 

フォーゼはその体を貫こうと力を籠めるのに対して、その攻撃を耐えようとする銀河王だったが、彼の仲間たちの想いと月の重力が加わったフォーゼの最後の攻撃を耐えるだけの力は銀河王には残されていなかった。

 

フォーゼのドリルが銀河王の身体を突き破るとそのまま月面にドリルが突き刺さるが、これでフォーゼの攻撃が終わらず、月面へと落下して来た銀河王に合わせてフォーゼはドリルの後ろ回し蹴りで追撃していた。

 

「どりゃああああ!!」

 

「がぁああああああああああああ!!」

 

フォーゼはキックで銀河王吹っ飛ばすと、スイッチを切って地面へ着地するのと同じタイミングで彼の背後で銀河王の身体は爆散した。

 

その風をフォーゼは背中で感じるとそのまま立ち上がって地球を背にして爆発した銀河王の方へと身体を向けると、その爆発の中から飛び出してきたギンガオードライバーが変身元の肉体であるネバーが消滅するのと同じように塵になって消えていく光景が映った。

 

 

 

 

「やったぜ・・・」

 

それを見たフォーゼはこの戦いが終わったのを理解するといつものようにリーゼントを撫でるような仕草をしながら呟くのだった。

 





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Chapter-32 皆で歌った物語

お待たせしました。
これで劇場版---完結!!
完結って言ったら完結なんや・・・!!(後書きに今後は書いてますので・・・


 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー!!ってアレ?」

 

「終わったんだな・・・」

 

「はい・・・弦太朗さんが勝ちました・・・」

 

画面に映し出されたフォーゼの戦っていた姿に一同は言葉を失っていた状況で弦太朗の元に向かっていた香澄達がCircleへと戻ってきたが、何とも言えない空気感に首を傾げた所で全てを察して一緒に戻ってきた賢吾の言葉に友子が答えると部屋から一気に緊張感が消え去っていく。

 

「「よかったぁ~!!」」

 

「沙綾ちゃんもおたえちゃんも落ち着いて~!?」

 

 

「月面・・・弦太朗はなんて儚いんだ・・・」

 

「凄いわね!!花音!!でも、ウサギがいなかったわ!!」

 

「ふえぇ~!?こころちゃん~!?」

 

 

「相変らず、ぶっ飛んでるわね・・・ゲンタロウは・・・」

 

「チュチュ様~そう言ってる割には嬉しそうな顔してますよ~?」

 

 

「月ってるんっ♪ってきたー!!」

 

「流石に月まで行くとは思わなかったっす・・・」

 

 

「やったな!!如月の奴!!」

 

「えぇ!!お見事です!!では!!これからはイベントの準備ですね!!」

 

「そうだった・・・散々暴れまわったから大変だろうな・・・って市ヶ谷さん?どうしたの?そんな神妙な顔して」

 

皆が思い思いの言葉を言っているが、その中で1人だけ何とも神妙な表情を浮かべた有咲。

そして、不意に彼女はその場で声を張り上げていた。

 

「とりあえず・・・確保!!」

 

「「「はい・・・?」」」

 

 

「イヴちゃん!!じっとしてて~!!」

 

「アヤさん?どうしたんですか?」

 

「あーちゃん!!みーくん捕まえたよ!!」

 

「はぐみ・・・キツイ・・・」

 

「おねーちゃん!!確保!!」

 

「ちょ!?あこ!?何やってんだ・・・?」

 

意味不明な有咲の言葉を合図に最初から大立ち回りを繰り広げていた3人は理由も分からないままに捕まると、意外にもあこが捕まえた理由を話し出した。

 

 

 

 

「おねーちゃん!!さっき頭、殴られたでしょ!!病院行かなきゃだよ!!」

 

「イヴちゃん達も行きなさい。こころちゃんの家の関係の所だから何もなければすぐに終わるわよ」

 

 

「いや、大丈夫だから・・・。それにライブの準備もあるし・・・」

 

「いえ!!私は大丈夫で・・・って、チサトさん・・・目が笑ってないです・・・よ・・・?」

 

「私は生身じゃないから怪我とかないですけど・・・。まぁ、抵抗する体力も勿体ないか・・・」

 

「ますきも先輩達と一緒に行って、頭を見てきてもらったら?」

 

「ハナ!!どういう意味だよ!?」

 

 

 

 

「「「「「いいから行け!!」」」」」

 

「「「「・・・はい」」」」

 

「紗夜~、これからこっちでお説教だからね~」

 

「今井さん、何を言ってるのか分かりませんが・・・?」

 

「勝手に外出て銃を撃ち始めたの見たアタシ達がどんだけ心配したか・・・」

 

「待ってください!!あれは緊急事態だから不可抗力です!!それに私も戦闘に参加したから病院に行く必要があると思います!!それにもし説教を受けるとしても広町さんも同罪―「あ~、それならさっき広町はつーちゃんに注意されて終わりましたよ~」なっ!?この・・・裏切者!!」

 

「紗夜~、モニカはモニカ、うちはうちだから・・・覚悟しててね?」

 

「今井さん、顔が怖―――」

 

 

 

 

「・・・じゃあ、みーくん!!戻ってくるゲンちゃん先輩をお出迎えしてから病院だよ!!」

 

「そうね!!弦太朗を笑顔で迎えて―――ってもう帰って来たわ!!」

 

 

 

「よっ!!ただいま・・・!!」

 

「お疲れ・・・それじゃ、残った人たちでイベントの準備だな・・・そんで、如月は巴さん達と病院な?」

 

「有咲・・・?何言って―――って、こころのとこの・・・ってちょ!?何を!?」

 

 

 

「ゲンちゃん、いってらっしゃーい!!」

 

無事をアピールをしたものの最終的には一緒に暴れていたますきまでも病院行きが確定してしまい、その裏ではリサが紗夜を引き摺りながら一足先にフロアの外へと出て行ってしまい、壊滅的な空気の中で唯一の良心であるハロハピのはぐみとこころの言葉を聞いて、この場に残った皆で月から帰って来て変身を解除した弦太朗を迎えるとすぐに黒服達によって病院へ彼らは病院へ連行された。

 

それを見送ってから残った彼女達は最初に外のステージへと向かうが、そこには彼女達の予想を上回るほどの被害を被っていたことに彼女達は肩を落としてしまった。

 

「ステージは大分ひどいですね・・・後ろの壁もですけど、床のとこにも穴が・・・」

 

「麻弥、私達の演劇部の出番の様だね?」

 

「はい!!舞台の方はジブンと薫さんの2人が進めます!!何人か欲しいですが・・・いくらか力仕事が多くなってしまいますが・・・」

 

 

 

 

 

 

「それなら俺達も手伝おう。力仕事ならパワーダイザーがあればかなり楽が出来るはずだ」

 

「歌星、パワーダイザーの操縦なら俺の出番だな」

 

ピキーン―――

 

彼女達はステージの惨状に肩を落としていたところで後ろから聞こえた声の方へ視線を送るとそこには弦太朗の仲間である天校ライダー部の面々が顔を並べており、賢吾の言葉聞いた隼は自分の出番だとばかりにいつもの効果音を響かせながら前に出てくると、その様子を見た薫は不敵な笑みを浮かべ始めていた。

 

「儚い・・・」

 

ピキーン―――

 

「儚い・・・」

 

「凄い自信ですね・・・でしたら是非お願いします!!ですがその効果音はSEはどこから・・・?」

 

ピキーン―――

 

「つまり、そういうことさ・・・」

 

「そうっすね!!それは後で考えればいいっすね!!」

 

 

 

「「「「「「いや、何で通じ合ってるんだ!?」」」」」」

 

「では!!撤去と終わって細かい作業が必要になったら呼びますので皆さんは他の所をお願いします!!」

 

「月島さん。俺はこっちで照明とかの機材を見ておきます」

 

「賢吾君!!おねがいしてもいいかな?美子ちゃんも病院に送られちゃったから助かるわ~」

 

隼と薫と謎の交信を理解する麻弥と言うとてつもない珍事を見せつけられたが、麻弥の言葉にすぐに反応すると一部の面々を残して、彼女達は早々にその場から離れてだしてグループに分かれて行く。

 

 

 

その別れた一つに、知名度の高いアイドルにハロハピと透子にジェイクを加えたコミュニケーション能力最強チームが外で宣伝のビラ配りを始めていた。

 

「お願いしましゅ!!あうぅ・・・」

 

「あはは~!!彩ちゃんらし~!!」

 

 

 

「みんな~!!いらっしゃーい!!笑顔になれるわよ~!!」

 

「ふえぇ~!!こころちゃ~ん!!」

 

 

「お願いしま~す!!そうだ!!これSNSにあげよ!!ジェイクさん!!写真撮ってくださいよ!!」

 

「オッケー、とーこちゃん!!俺に任せて」

 

 

 

そんな中で、千聖はここには余りにも似つかわしくない雰囲気を漂わせた人物―――美羽へと声をかけていた。

 

「あの・・・風城さん?」

 

「千聖ちゃん?どうしたのかしら?」

 

「いえ、こっちのグループで良かったんですか?第一印象ですけれど、大人びた雰囲気の風城さんよりも快活そうな城島さん?の方が適任だと思ったので・・・ジェイクさんもチャラチャラしてそうですけど・・・」

 

「ジェイクは悪い男避けだからいいのよ。後、ユウキの方はあの子は暴走すると弦太朗クラスで手が付けられないからダメよ」

 

「・・・?それってどういう・・・」

 

 

千聖から出た疑問に対して美羽に苦笑いを浮かべながら彼女の疑問に答えたが、その答えの意味が分からない千聖は首を傾げると、答えた美羽はこの場にいないユウキが起こした問題行動の代表例を挙げ始める。

 

 

「宇宙の魅力を広めるといって、”はやぶさくん”っていう人工衛星のパペット人形を持ち歩いたり、人工衛星やスペースシャトルの被り物もするし、自分で人工衛星の歌を作ってPRしてくるわよ。そういえば、図書室に宇宙について書いた自作の本を置こうとして補習を受けさせられてたわね」

 

「・・・それは・・・凄いですね・・・」

 

「ちょ!!2人とも!!ヘルプ!!俺じゃ止めらんないっす!!」

 

「ジェイク!!どうしたの―――」

 

 

 

 

「花音!!前に弦太朗がお皿を棒で回したみたいにチラシを回しながら配りましょう!!花音はドラムのスティックで出来るかしら?」

 

「るんっ♪ってきた!!だったら、さっきジェイクがやってたみたいにくるくる回りながら配ってみよーよ!!」

 

「ふえぇ~!?」

 

「日菜ちゃん~!?止まって~!!」

 

「面白いっすけど、流石に不味いっすよ!!」

 

 

「「Oops!?」」

 

ユウキの行動の数々を聞いてドン引きしていた千聖だったが、それは可愛いものでそれ以上にヤバいのは身内にいることを思い知らされ―――

 

 

 

「出来た!!スペースシャトルのバルーンアート!!」

 

「おぉ~・・・!!ユウキさん凄い!!」

 

「時間があればハヤブサとかアポロとかハッブルとか作る練習できたんだけど・・・香澄ちゃんの星型の風船もいいね!!」

 

「はい!!星好きなんで!!もっと沢山作りますよ!!」

 

「じゃあ!!私はうさぎがいい!!りみりんはコロネ?」

 

「コロネ・・・うん!!」

 

「おい!!バカやってんじゃねぇ!!」

 

 

「だったら!!うちは蘭が花を用意するから!!」

 

「ひまり、そんな訳ないでしょ」

 

「美竹さん、じゃあ私がとっておきの―――「オカルト系は絶対にダメだから」・・・ショック」

 

「あはは・・・蘭ちゃん、凄い早かったね・・・」

 

「じゃあ、男を惚れされるとっておきの―――「「「詳しく!!」」」ふっ、これなら・・・」

 

「ダメだって言ってんでしょ!!沙綾も乗ってこないで!!」

 

 

 

「あの・・・ラスの練習が終わったから交代しに来たんですけど・・・」

 

香澄やユウキ、そして友子までが趣味に走ろうとするのを有咲と蘭が苦労しながら必死に止めながら飾りを用意などの準備やライブの練習。

弦太朗達が全力を尽くしてくれたのに報いるように彼女達は短い時間を全力で駆け抜けていき―――ライブの瞬間が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん・・・賢吾くん達もこっちに呼んだのに来なかったなぁ~・・・」

 

「まりなさん。賢吾達は前で見たいって言ってたじゃないっすか」

 

ステージ上で輝く彼女達を弦太朗と流星がは係者としてまりなの横に立って、その雄姿を見つめていた。

 

 

「確かにその気持ちは分かるけどね~」

 

「弦太朗、俺達の仕事は残ってるぞ・・・?」

 

「あぁ・・・にしても、これが最後の仕事ねぇ・・・慣れねぇけどやるか」

 

「大丈夫だよ!!こころちゃんの家の人も撮ってくれてるし!!撮った中でいいのを使うから!!」

 

言われた通りに写真と撮り続ける流星の横で、弦太朗は先ほどまりなに手渡されたカメラを持ちながら呟きながら慣れない手つきでカメラを構えて写真を撮ろうとするが、なかなか思うようにいかない。

 

何ともしっくりこない弦太朗はカメラ越しにステージ上で演奏をしていた彼女達を見つめていたが―――

 

 

 

 

「んっ・・・」

 

「どうした?」

 

「香澄と目が合った気がして・・・いや、気のせいだな」

 

「そうか・・・」

 

香澄と目が合った気がすると言った弦太朗の言葉を聞いた流星はそれ以上は何も言わない。

2人はカメラを構えるが、弦太朗は未だにシャッターを押せないまま、曲は終盤まで差し掛かったその時、弦太朗は何かを感じ取った。

 

 

 

「ここだ・・・」

 

その言葉と共に弦太朗はこのライブで最初で最後のシャッターを切る。

そして、すぐにステージ上では演奏が終わって彼女達は観客からの声援を浴びているのを眺めてから弦太朗はまりなにカメラを手渡した。

 

「あれ?如月くん一枚だけ?」

 

「おい。弦太朗・・・」

 

「なんかしっくりこなくて・・・」

 

「ふふっ・・・慣れてないことなら仕方ないよ。でも、流星くん。見てみてよ。1枚だけだけど、すっごくいい写真だよ。でも、こんないい顔してるのも君たちが頑張ってくれたお陰だからね?」

 

「っす・・・」

 

弦太朗が撮った最初で最後の1枚。

そこにはステージに立った35人全員が楽しそうな表情を浮かべているのがハッキリと伝わってくる写真をまりなは素直に褒めるが、弦太朗は若干照れくさそうにしながらステージに挙がっている少女達に視線を送ると彼は笑いだしていた。

 

 

 

 

 

「アイツ・・・っ!!」

 

弦太朗の視線の先にいたのは香澄。

彼女は満面の笑みを浮かべながら自分の胸を叩いて拳を弦太朗に向け、彼もそれに答えるように胸を叩いた拳を香澄に向けながら満面の笑みを返すのだった。

 




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今まで、お付き合いいただきありがとうございました。

本当はイベント当日の彼女達の様子とか入れたかったんですが、尺とかがね・・・?












つまり、ここからはディレクターズカット版()(オマケと言う名の劇場版没ネタ投稿)だ!!


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劇場ディレクターズカット版-と言う名のオマケ集
Chapter-EX01 ディレクターズカット!!-芸術的な展開・・・?


はい。
ディレクターズカット版と言うことで、尺の都合でカットした場面の一部になります。
時系列が変?それはご愛敬ってことで


―――Chapter-17.XX 芸術は爆発だ()

 

ロゴをステージに飾るという弦太朗の案を聞いた一同はすぐに行動に移す――――ことは出来なかった。

 

「ロゴ飾るのには、まずは下書きからだね!!」

 

「つぐ~。それはこのモカちゃんにお任せあれ~」

 

 

 

「如月、そっち曲がってないか?」

 

「マジか?全然分かんねぇ・・・こうか?」

 

「いいんじゃない?」

 

「モカ~。こっちの紙は準備終わったよ~!!」

 

「ひーちゃん達お疲れ~。後はモカちゃんへの差し入れヨロシクね~」

 

下書きを始めるために他のAfterglowの面々が協力して、ロゴを描く紙の準備を終えたのを聞いた

モカはその手にペンを持つと差し入れのリクエストをしながら紙へ向かってノソノソと歩き出すと、そのまま紙にペンを走らせていく。

 

 

「なぁ、手伝わなくていいのか?その方が早いだろ」

 

「モカ、あれでこだわりがある方だからな~」

 

「弦太朗くん。そう思うのは分かるけど、モカが作ったロゴだから自分でやるって言ったんだし・・・」

 

「それに私達はシャツ届けに来たけど、みんな予定が入ってるから・・・ちょっとしかいれなくて・・・」

 

本来なら皆で描いた方が早いのだが、下書きは自分で全てやりたいと言ったデザイナーのモカ自身の想いを汲み取って彼女達は下書きを始めるまでの準備をやった彼女達はもうモカを見守ることしか出来ず、カフェテリアで買ったものを近くのテーブルに広げてモカを見ていた。

 

 

 

「弦太朗はパスタ?」

 

「如月くん、もしかしてパスタ好きなの?それなら、うちの店にもあるから食べに来てよ!!」

 

「弦太朗くん!!ほら、このタルトも美味しいよ!!他にもマカロンタワーとかもあるし!!」

 

「タルトとかは男子が食べるのに量がちょっと少ないだろ?後、ひまり・・・カロリー大丈夫か?」

 

「ちょっと巴!?今はそんなこと言わないで~!!ほら!!弦太朗くん!!食べてみて!!」

 

「如月くん!!こっちのアサイーボウルも美味しいよ!!」

 

 

「ちょっとおい!!ひまり、フォーク危ねぇから!!」

 

弦太朗がパスタを食べていたところに、ひまりとつぐみの2人が自身が頼んでいたモノを弦太朗へと突き出してくる。

しかし、当の本人はひまりが突き出してくるタルトが刺さっているフォークを危ないと指摘するがそれを聞かずに2人はじりじりと弦太朗へと自身が食べていた物を突き出してくるが、それが弦太朗の口に入ることはなかった。

 

 

「う~ん。どっちも美味しいけど、別々に食べたほうがいいですな~」

 

「「あっ~!!」」

 

 

「モカ!!もう終わったのか?」

 

「げんたろーさん~流石に、モカちゃんでも無理ですよ~。だから、ちょっと休憩しに来たんだけど~・・・みんな時間大丈夫?」

 

しかし、休憩しに来たモカが割り込んで弦太朗達の間に割り込んでひまり達が突き出していた食べ物を一辺に口に収めて当たり前の感想を口にした。

何とも言えない空気になるが、何とも言えないような緩い空気になったことがモカの一言で蘭達は不意に自身のスマホを確認し始めるが、全く焦りが隠せていなかった。

 

「やばっ!?バイトの時間!!巴~!!ちょっと待ってよ~!!急いで食べるから~!!」

 

「食ってたら遅れるぞ!?」

 

「あたしもそろそろ行かないと華道の稽古が・・・。モカ、明日はちゃんと手伝うから」

 

「蘭。明日にはもう下書き終わってるから大丈夫だよ~。ひーちゃん、後は私が食べるから残していいよ~?」

 

予定の時間が迫っていたことに気が付いた彼女達は急いで自分が頼んだものを食べ終えてから駆け足でこの場を去っていく姿を見送ったモカは自分が持ってきていたパンをカバンから出して貪り始めながら弦太朗に声をかけた。

 

 

 

「げんたろーさん~。後2時間くらいあれば終わりますね~」

 

「早すぎねぇか・・・?あのサイズだろ?」

 

「まぁ、モカちゃんですから~」

 

「あはは・・・理由になってない・・」

 

モカの仕事の速さに驚きを隠せない弦太朗だったが、彼女は何食わぬ顔でパンを食べ終えて次のパンへと手を伸ばす。

そして、その時にふとした事が頭に思いうかんでしまった。

 

「げんたろーさん。変身してデザインの紙をおっきくすることとか出来なかったんですか~?」

 

「流石に、モノをデカくするなんて出来ねぇぞ?」

 

「えぇ~」

 

モカはフォーゼの力でデザイン画その物を大きくしてしまば良かったのでは?と考えたが、フォーゼでもそれは不可能だった。

モカは自身のアイディアが不可能なことにほんの僅かにショックを受けたが、ここで弦太朗から思わぬ一言が飛び出してきた。

 

「ペンスイッチなら空中にインク出して絵が描けるけどな」

 

「おぉ~・・・だったら―――」

 

「えぇ!?ちょっと!?」

 

弦太朗の言葉を聞いたモカは別のアイディアが浮かび、つぐみがそれに驚きの声を挙げたがそれに構わずに弦太朗はドライバーを取り出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一旦休憩にすっか・・・」

 

「有咲~!!私、ゲンちゃん達の様子見に行く!!」

 

「香澄!!お前はまだ課題終わってないだろ!!さっさとやれ!!」

 

「えぇ~」

 

「私達で見てくるね・・・?」

 

練習をしていたポピパは休憩に入って弦太朗達の作業の様子を見に行こうとしたが、有咲が即座に香澄を引き留める。

そして残されたりみ、たえ、沙綾の3人が様子を見に弦太朗達の元へと向かって来ていた。

 

 

「先輩達まだやってるのかな?」

 

「う~ん・・・どうだろ?弦太朗達ならやってるんじゃない?」

 

「弦太朗くん・・・変なことをしてなかったらいいけど・・・」

 

3人はくだらない会話をしながら向かっていくが、その先では――――

 

 

 

 

 

「も~げんたろーさん~。真剣にやってくださいよ~。今度は綴りが間違ってますよ~」

 

「モカ!?これでも真剣にやってんだぞ!?」

 

「ちょっと2人とも~!?弦太朗くんもストップ~!!」

 

 

 

 

「「何あれ・・・」」

 

「先輩が変身して・・・、脚に筆出してる・・・」

 

「あっ!!沙綾ちゃん達!!2人を止めて~!!」

 

様子を見に来た彼女達の目の前ではモカの指示に従ってフォーゼが何かを描いており、その周囲には描き損じた何かが散らかり、その2人を必死に止めるつぐみと言う光景。

それを目にした3人は状況を把握することが出来ずに固まってしまっていたが、つぐみの一言で3人もモカ達を止めるのに加わろうとするが、その中でたえが足元に転がっていたフォーゼの書き損じを見て思わずつぶやいてしまった。

 

 

 

 

 

「先輩、絵が下手だね」

 

「おたえ!?脚だから難しいんだよ!!」

 

「ほら~。もっと頑張って~」

 

「モカちゃん!!如月くん!!2人とも散らかってるから~!!」

 

つぐみの声が響くが、モカと弦太朗は目的のために突き進み続け、そして何時までも戻らない沙綾達を迎えに来た有咲の雷が落ちるまで2人は止まることは無かった。

 


 

―――Chapter-32.XX おや・・・?大人達の様子が・・・?

 

フォーゼの勝利に喜んでいた少女達。

その裏ではガールズバンドではない面々にも異変が起こっていた。

 

「「はぁ~・・・」」

 

「ちょっと!!2人とも!?」

 

「あっ!!そう言えば病院から来たって言ってたから・・・」

 

「おじさまと私に支えてきましたからそうだと思います!!」

 

あゆみと美子、病院から抜け出した2人の身体は既に限界を迎えて突如としてふらつきだす。

最初は何が起こったか分からなかったまりなたちだったが、明日香達の言葉に納得したがそれと同時に2人は倒れだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あれ・・・?」」

 

しかし、2人の体が床に衝突することは無かった。

それが疑問に思った彼女達は不意に顔を上げると―――

 

「大丈夫・・・ではなさそうですね。疲れが出たみたいですね。顔が赤くなってますから・・・」

 

「えっと・・・実は安心したら腰が抜けちゃって・・・」

 

「すいません~・・・」

 

その様子に友希那の父が即座に動いて、倒れた2人を片腕ずつで支えていた。

だが、彼は2人の顔が赤くなっていたことまでは分かったがその理由の考えはまるっきり外していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が顔を赤くしているのは疲れ―――も若干はあるが、それ以上に至近距離に男の顔があることが原因だった。

あゆみは元アイドルで仕事で耐性があったはずだが、アイドルを辞めて耐性は下がったとしても大抵の相手では動じないはずだったが、落ち着いた雰囲気のイケオジと言われても納得の行く友希那の父という強敵はその耐性を容易く貫通してきたのだった。

―――因みに、美子は男に対する耐性が殆どないので一撃である。

 

耐性を貫通してきた彼に対して顔を赤くしていた彼女だったが、友希那の父から無意識の攻撃が続いていく。

 

「大分疲れているようだ・・・如月くん達と一緒に連れて行ってもらいましょうか?不安でしょうから私も一緒に行きますから」

 

「「あっ・・・///はい・・・///」」

 

 

 

 

 

 

「すっごい表情してる・・・。それに2人がメスの顔してる・・・。しかも、片方は元アイドルでしょ・・・?」

 

純粋に心配する友希那の父が見せた表情に少し離れた明日香ですら衝撃をうけていたが、至近距離でそれを見てしまった小娘2人(美子とあゆみ)には完全な猛毒で――――そして、そんな状況で心配する言葉を言われてしまった2人は完全に堕ちてしまった。

 

だが、その事に気が付いているのは堕ちた当人たちと明日香のみ。

他の面々はその様子に気が付いているようすもないことに明日香が複雑な表情を浮かべていたが、話は彼女を置いて進んでいく。

 

「あの・・・私はこの後の事があるから美子ちゃん達のお願い出来ますか?」

 

「構いませんよ。それでしたら、2人を送った後はこちらで手伝いでもしましょうか?」

 

「そうですか?如月くん達も病院行くって行ってたから力仕事が大変だと思ってた所です」

 

 

 

 

「えっと・・・ちょっと不安だから、出来たら一緒に病院にいてくれると・・・」

 

「そうですね・・・。勝手に抜け出してきちゃいましたから・・・」

 

「少しだけ、病院で一緒にいますから大丈夫ですよ」

 

「でしたら、おじさま!!私もお手伝いします!!」

 

病院に付き添ってからイベントの作業を手伝うという結構なハードスケジュールになってしまったが、病院に行く2人は若干寂しそうな表情を浮かべていたが、2人はあることが頭の中から抜けていた。

 

それは自分達を支えてくれている彼が子持ちの既婚者であることを――――

 

 

 

 

 

「・・・お父さん?」

 

「えっと・・・これってどうなってるの・・・?」

 

 

「友希那。それにリサちゃんも、どうしたんだい?」

 

「「えっ・・・?」」

 

「両手に花どころじゃない・・・浮気・・・?」

 

このタイミングで娘である友希那達が空気をぶち壊しながら入ってくるのを彼は何も無かったかのように答えるが、娘である友希那は目の前の状況を見て疑問を持たずにはいられなかった。

 

 

彼女達が見ているものは―――

"若い女店長"(美子)"元アイドル"(あゆみ)を両腕に抱えて、"自分がよく知るスタッフ"(まりな)が彼の後ろに立ち、自分よりも年下である"現役アイドル"(みほ)が犬のように懐いているのを見ている"学校の後輩"(明日香)

 

傍から見たら、女を侍らせているようにしか見えない光景だったが、リサは何となく今の状況を察していた。

しかし、目の前に折角の面白い状況が広がっていることと緊張の糸が切れている彼女は全く笑えない冗談を投げつける。

 

「・・・いや、女性に囲まれてるからそう見えてしまうのも分かるが、リサちゃん?流石に冗談キツイよ?」

 

「すいません。でも、珍しいからつい・・・」

 

「そうよリサ。父さんが浮気なんてする訳ないじゃない。・・・そもそも浮気って何?」

 

「・・・」

 

友希那はリサの冗談の意味が全く分かっていなかった。

それどころか、浮気について深く分かっていない様子を見たリサはそのまま友希那の父の元へと歩み寄っていくと耳打ちで話始めていた。

 

 

「ちょっと、友希那のお父さん。娘の教育はどうなってるんですか?」

 

「これはちょっと予想外だったな・・・、普通だったらテレビとかで何となく勉強すると思っていたが、友希那は音楽にしか興味がなかったね・・・」

 

「どうするんですか?ヒナ達の後輩アイドルも状況分かってるのにこれは不味いですよ・・・!!」

 

「こういうのは妻・・・いや、リサちゃんの仕事じゃ・・・」

 

「何が悲しくて幼馴染に浮気とか恋愛について教えないといけないんですか?」

 

 

 

 

「「うそっ・・・」」

 

「リサ?父さん?何を話してるのかしら?」

 

「湊先輩は音楽以外の常識も勉強しろってことですよ?」

 

「戸山・・・いえ、明日香さん?どういう事かしら?」

 

 

 

 

 

「はぁ・・・。お姉ちゃんよりもひどい・・・」

 

父の腕の中では目の前の現実が呑み込めずに譫言を吐く2人を他所に、リサと父は友希那の今後について真剣に話始める。

が、当の本人はまるで譲許を飲み込めずに疑問が思わず口に出てしまうと、明日香がそんな彼女にやんわりと事情を説明するが友希那は全く理解できていない。

 

その様子を見た明日香は自身の姉である香澄と比較し、余りにも酷い友希那に対して深いため息を零すのだった。

 




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次回の投稿は
イベント当日の様子を予定してます。
主に舞台版2人はロゼキュア!!をお送りします(大嘘


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Chapter-EX02 ディレクターズカット!!-さ~くる・さんくす・ぱーちー

大変遅くなりました
DC版投稿パート2です

泣く泣くカットしたイベント当日のライブ前の出来事です。
そらエピローグに該当する部分で劇場版のラスト+この量は削るしかないよなぁ・・・
(なお、一部は構想の時よりさらに削ってる模様)ってことでどうぞ!!



 

決戦が終わって病院へと強制連行された戦闘を行った弦太朗達一行。

 

「んじゃ、あたしは怪我してねぇからお先!!」

 

 

 

「待て!!逃げんな!!」

 

「トモエさん!!頭に攻撃を受けてるんですから落ち着いてください!!」

 

「平気だって!!それよりも!!あのでっかい奴くぐる方がなんか怖いんだよ!!それに注射とかも嫌なんだよ!!」

 

「はいはい。子供みたいなワガママ行ってないでさっさと行くよー」

 

「放せー!!」

 

その中でもバイクに乗ってただけのますきが早々に病院から出て行き、何故か戦闘よりも病院の検査にビビっていた巴が美咲達に連行されるという珍妙なやり取りを繰り広げていた彼女たちはそのまま病室に叩きこまれ、病室でイベント当日の朝を迎えてしまったが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「完・全・復・活!!まさかイベント当日の朝まで入院は長かったな~!!」

 

皆は驚異的な回復力を見せつけて、イベント当日の朝に全員揃って退院することになっていた。

その事に一番喜んでいたのは一番ダメージの大きかったであろう巴だったが、そんな彼女にイヴが笑みを浮かべながら話しかけていた。

 

 

「トモエさん・・・ですが2日ですよ?」

 

「そうだけど、2人と違ってアタシは病室から出させてもらえなかったんだよ!!リハだって病室からビデオ通話で確認だけだぞ!?」

 

「トモエさん。私達もリハーサルは途中で抜けてしまいましたよ?」

 

「2人はいいじゃん・・・。こっちはCircleに着いたらミッシェルの中だよ?・・・地獄だよ?」

 

 

 

「美咲!!地獄だってダチといりゃなんとかなる!!」

 

「弦太朗。流石にどうにもならないだろ・・・とりあえず、Circleに向かおう」

 

「そうですね!!皆さんが待ってます!!」

 

「つぐ達が準備してくれてるから、今日は働かないとな!!」

 

「はぁ・・・。腹くくるしかないか・・・。如月さん達は色々見て回ったらどうですか?あの時の人達も来るらしいですからね」

 

そう言ってCircleまで歩いていくが、5人が到着する前に既にイベントが始まってしまっていたらしく、人がごった返していた。

その中で会場を見回っていた明日香が弦太朗達の存在に気が付くと小走りで彼らの元へと駆け寄ってきた。

 

「明日香、お疲れ!!」

 

「皆さん。お疲れ様です。イベントはもう始まっちゃってますよ?皆さんもう出店にいますけど・・・」

 

「んっ・・・。んじゃ、あたし達は自分の出し物のとこ行くから!!」

 

「弦太朗、俺達も一旦別れて行動するか」

 

「おう!!また後でな!!」

 

「じゃ、私は見回りがあるので失礼します」

 

そう言って弦太朗は皆と別れて、イベントで慌しく働いているであろう少女達の元を廻ることとなったのだった。

 

 

 


 

「最初はここだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、ヒーローのご到着の様だね・・・」

 

「ミッシェルもさっき来たばっかりなんだよ!!みーくんちょっと休んでから来るって!!」

 

「どーもー」

 

「あらっ!!弦太朗!!やっと来たのね!!一緒に皆を笑顔にしましょう!!」

 

「ふえぇ・・・こころちゃん・・・如月くんはまだ疲れてるから・・・休ませてあげないと~・・・」

 

「・・・それもそうね!!ごめんなさい!!」

 

皆と別れた弦太朗が最初に向かったバンドはハロハピ―――

やってきて早々にこころ達に囲まれた弦太朗だったが、美咲がミッシェルにいるのが分かってはいたが、明らかにここはおかしかった。

 

 

 

 

 

「なぁ?商店街の・・・マリー?だっけ?あれがなんでいるんだ・・・?」

 

何故か商店街のキャラクターであるウサギのマリーがハロハピと混じって子供達に囲まれていた。

普段だったらはぐみが着ているマリーだが、当の本人は普通に弦太朗の前にいることに疑問を感じていたタイミングでマリーが動いた。

 

 

 

ピキーン――――

 

「なっ!?お前!?隼!?」

 

「ふえぇ~!?今ので分かったの~!?」

 

マリーが見せた仕草を見た瞬間に弦太朗は中に入っていた人物を見抜いて、そんな彼に花音がいつも通りに鳴いて答えるのを見た弦太朗は一目散にマリーに入っている隼へと駆け寄っていき、周囲の子供たちに会話が聞かれない様に話しかけていた。

 

「お前、なにやってんだ!?」

 

「如月くん。えっとね・・・美咲ちゃんが病院から戻ってこなかったからミッシェルが来れないってはぐみちゃんに言ったら、はぐみちゃんがマリーを持ってきたんだけど・・・」

 

「その時、俺と美羽にばったり会ったんだが・・・その・・・美羽に売られてな・・・」

 

「いや、ほんと、びっくりですよ・・・そして申し訳ないです・・・」

 

「すまないと思うが、もう少しだけ付き合ってくれないか?ミッシェルも先日のダメージがあるみたいだからね」

 

「もう少しだけお願い!!」

 

 

 

「慣れないが・・・出来ることはやってみよう」

 

「おっ・・・おう・・・頑張れよ・・・?」

 

美羽に売られてハロハピに売り渡された隼はこころ以外の4人から励まされた隼はマリーに似合わない仕草をしながら答えて見せるが、そんな気遣いを全く気にすることすらなくこころは隼たちを振り回していた。

 

「これからミッシェルとマリーの2人が玉乗りしながらジャグリングするわよ!!みんな楽しいからみてらっしゃい!!」

 

「「えっ・・・・・・」」

 

「2人とも頑張ってね!!」

 

「ふっ・・・儚い・・・」

 

「ふえぇ~」

 

「じゃ・・・その、頑張れよ隼!!」

 

「待て弦太朗!!俺を置いて行かないでくれ!!」

 

「ゲンちゃん!!かーくんたちによろしくねー!!」

 

ミッシェルとマリーの中にいる美咲と隼へこころの無茶ぶりが振られたのを見た弦太朗は、助けを求める隼の声から逃げるようにしてその場を離れていくのだった。

 


 

 

 

 

「次は・・・香澄と蘭達の・・・ってふたつのテントの間に・・・なんだ?」

 

ハロハピの元を離れた弦太朗が次に目指したのはPoppin'PartyとAfterglowが飲食の出店を開いているスペースに訪れたが、本来なら隣り合わせで出店を出していた2つの間に別のテントが立っていたのを見た弦太朗はそのテントの中を覗き込むと―――――

 

 

 

 

「「「焼きそば!!たこ焼き!!お好み焼き!!」」」

 

「リサが分身して料理してる!?」

 

「「「あっ!!弦太朗じゃん!!分身なんてしてるわけないじゃん~!!ただ普通に料理しているだけだよ~」」」

 

「うおっ!?」

 

弦太朗はテントの中で分身してると見紛うほどの速さで料理をしているリサに驚愕していた所に当の本人から話しかけられたが、声がダブって聞こえた弦太朗には分身してるようにしか感じられず思わず驚きの声を挙げてしまった。

 

「リサ・・・お前、何でここで料理してんだ?」

 

「「「いや~・・・。ほら、料理出すのは決めてたんだけどさ~。接客とか全く考えてなかったんだよね~。あこに接客の敬語とかお金の計算は怖いし、友希那は勝手に商品食べそうだし、そもそもあこ以外は接客の為の愛想が足りないよね~。ってことで2つのテントで一緒に会計してもらってるんだよね~」」」

 

「あ~・・・」

 

彼女が言った通り友希那は商品を勝手に食べる厄介者、あこは接客としての愛想はあるがそれ以外は不安、燐子は計算が出来ても人見知りでミスを連発し、紗夜は接客の愛想がない。

 

 

 

要するにRoseliaのメンバーでは料理しているリサ以外にまともな接客をすることは不可能なことを完全に頭から抜けていたリサは料理を作るだけ作って、後輩達に売らせるという妙案で事態を打破していた。

 

弦太朗はリサの言葉を聞いて納得してしまい、思わず言葉を漏らすとそれを横のテントからそれぞれやってきた人物に見られてしまった。

 

「リサさん料理の追加を・・・って、如月・・・来たのか?」

 

「あっ!!先輩。もしかして暇なの?」

 

「巴?おたえ?今は皆のとこ見て回ってる感じだな」

 

リサのテントに現れたのは巴とたえ。

2人は弦太朗がリサの所へいる理由を聞くと、すぐに巴が彼にあることを提案していた。

 

「暇ならこっちに顔出せよ。ひまり達が心配してたからさ」

 

「こっちも沙綾とか香澄が心配してたよ?そうだ。後で一緒にレイのとこ見に行こうよ」

 

「ん?それは構わねぇけど・・・」

 

「アタシもますきが気になるから行くよ」

 

「おう!!」

 

それぞれがさらっと自身のテントに彼を引き込もうしたが、その上でたえはRASの所へと一緒に行く約束を取り付けるという技を見せると巴もそれに乗っかったことを誰も指摘はしなかったが、このタイミングでそれぞれのテントからぞろぞろと人がリサのテントに集まりだしてきた。

 

「おたえ~まだ~?って!!ゲンちゃん!!」

 

「嘘っ!!弦太朗来てるの!?」

 

「弦太朗くん。遅かったね?」

 

 

「巴~!!遅いよ~!!って弦太朗くん!!怪我は大丈夫なの!?」

 

「やーやー。げんたろーさん。重役出勤ですな~」

 

「如月くん!!いらっしゃい!!」

 

「よっ!!繁盛してんな!!」

 

それぞれのテントから集まってきた彼女達は弦太朗の元へと詰め掛けるが、彼の言葉を聞いて一旦は彼から離れだすものの、香澄の一言でこの場が戦場へと変わってしまった。

 

 

 

 

「ゲンちゃん!!こっちで一緒にお店やろうよ!!」

 

「それいいね!!うちのお店と一緒だからやりやすいよ!!」

 

 

「ずるい!!如月くん!!こっちで一緒に珈琲入れようよ!!」

 

「弦太朗くん!!巴のこともあるからちょっと心配なんだよ~」

 

「おい。待てって!!

 

「「「弦太朗モテモテだね~」」」

 

「リサ!!こいつら止めてくれ!!後その分身みたいなのもやめろ!!」

 

 

 

 

 

 

「おい!!とっとと戻って来い!!何時まで私だけに接客させんだよ!!」

 

「ちょっと!!こっちも人多くてヤバいんだけど・・・!!」

 

「「「「あっ!?」」」」

 

「じゃあ、弦太朗はアタシの料理運んでもらおっかな~。って言っても、もうちょっとしたらステージ行くから終わりなんだけどね~」

 

「おう!!任せろ!!・・・ってステージ?ライブには早くねぇか・・・?」

 

「ほら!!早く持って行って!!」

 

「分かった・・・」

 

互いが弦太朗を取り合おうとしたタイミングでテントに残っていた有咲と蘭からヘルプの要請が出されると皆が我に返ってそれぞれのテントに戻っていくと、その場に残った弦太朗はリサが作った料理をそれぞれのテントへと運び出していくのだった。

 


 

 

「疲れた・・・」

 

リサにこき使われた弦太朗だったが、彼女がテントを離れたことによって仕事から解放されて今は疲れを感じながらMorfonicaがやっている輪投げの屋台を見に来たのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・その・・・瑠唯ちゃん?ゴメンね?」

 

「・・・・・・流星さん。何に対して謝っているんでしょうか?私は別に怒ってる訳ではないですが?」

 

「いや・・・怒ってるよね?」

 

 

 

 

 

「るいるい怒ってるよ~・・・これが修羅場ってやつ・・・?」

 

「ななみちゃん、そんなこと言ってる場合じゃないよ。ましろちゃん・・・!?」

 

「えっと・・・どうすればいいんだろ・・・。これじゃ・・・」

 

 

「空気が重ぇ・・・。別のとこに・・・」

 

「あっ!!如月先輩・・・!!るいさん達が・・・」

 

だが、そこに広がっていたのは輪投げなどと言うアトラクションではなく、流星が瑠唯に謝罪を繰り返している修羅場だった。

 

弦太朗は本能的にこの場から離れようとしたが、ましろに捕まってしまった弦太朗。

だが、彼は状況が全く分かっておらず困惑していたタイミングで彼の仲間がやってくる。

 

 

 

 

 

「ゴメンねー。蘭ちゃんのとこの珈琲がめっちゃ時間かかっちゃってさ~あっ!!弦太朗さん。チィース!!」

 

「ジェイク!!何でお前がここに?」

 

「いやー。羽丘と花咲川には知り合いがいるんですけど、お嬢様学校の月ノ森に知り合いがいないで話してみようと思ったんすよね~」

 

「見た目はちょっと軽そうって思いましたけど、その・・・いい人ですねジェイクさん!!」

 

「ちょっとつくしちゃん?それ俺の事褒めてるように聞こえないんだけど~?」

 

弦太朗の前には両手に飲み物に持って現れたのはジェイク。

彼は持っていた飲み物を瑠唯以外のメンバー達に配りながら、ここに来た理由を話始めたが弦太朗はそれ以上に目の前の修羅場の方に意識が向いていたことをジェイクは見逃さなかった。

 

 

 

「でも、弦太朗さんが一番気になってるのは、アレっすよね?」

 

「んで・・・どうなってんだ?なんか流星の顔に平手の跡が残ってるし・・・」

 

「まぁ・・・不幸な事故って感じっすかね~」

 

「ジェイクさん。あれはある意味ではラッキーっすよ!!」

 

「ちょっと透子ちゃん!!元はと言えば透子ちゃんが原因でしょ!!」

 

「ますます訳が分かんねぇ・・・。ジェイク教えてくれ」

 

原因を聞いただけなのに何故かつくしと透子までもがバチバチし始めてしまい、完全に弦太朗の頭は現状について行けなくなってジェイクに説明を求めると彼は少しだけ考える仕草をしてから弦太朗へと説明を始めた。

 

「俺がここでみんなと話してた時に流星さんと友子ちゃんが2人でここに来たんすけど、建物側から走ってきた透子ちゃんにぶつかったんすよ」

 

「あはは・・・ライブのとこでちょっと確認したいことがあって急いでたんですよね~・・・」

 

「それで転びそうになった友子ちゃんは流星さんが支えたから大丈夫だったんすけど・・・逆に流星さんが体勢崩してつくしちゃんとぶつかりそうになったとこで俺がつくしちゃんの腕を引いたんですけど・・・ね?」

 

 

 

 

 

「そーそー。つーちゃんの脚に流星さんが引っかかって、るいるいのおっぱいに顔から飛び込んじゃったんですよね~。そしたら2人からビンタされて顔に綺麗な紅葉模様が・・・」

 

「それで、流星さんと友子って人もどこか行っちゃったし・・・」

 

「なっ・・・流星・・・!?アイツ友子の前でなんて恐ろしいことを・・・!!」

 

「なんで、俺は飲み物買うついでに離脱したんすけど・・・まだやってるってことは外野じゃどうすることも出来なさそうっすね~・・・」

 

「とりあえず、2人だけにした方がいいのかな・・・?」

 

流星が瑠唯の胸に飛び込んだ―――

事故とは言えかなり不味い状況だが、そのタイミングで隣に友子がいたというのが事態をさらに悪化させてこの修羅場を作り出していた。

 

弦太朗は流星の不運に同情していたが、外野ではもうどうすることも出来ないと感じたましろの言葉を聞いた弦太朗達は彼らにバレない様にこの場を後にするのだった。

 


 

「おっ!!如月!!来たな!!・・・って何かあったのか?」

 

「いや・・・まぁ・・・ちょっとな?」

 

「先輩、レイのとこ行こ?Circleのスタジオでやってるって・・・あれ?ロック?こっち来てどうしたんだろ?」

 

修羅場から逃げ出した弦太朗は先ほど約束した巴とたえの2人と一緒にRASの元へと向かって行こうとしたその瞬間、小さな人影がそこから飛び出すと一目散に弦太朗達の元へと駆け寄ってくると彼女はいきなり弦太朗の腕を掴みとった。

 

「如月先輩!!来てください!!」

 

「うぉっ!?どうしたんだよ!?」

 

「なんでもいいですから~!!」

 

ロックは何も説明しないまま彼をCircleの中へと引っ張ってスタジオの1室を覗かせると、そこにはあるライダー部の仲間が荒れ狂うように楽器を演奏していた。

 

 

 

「あれは・・・友子!?」

 

「さっきいきなり来たと思ったらギター弾き始めて止まんないんですよ~!?」

 

「あぁ~・・・」

 

「納得しないでくださいよ~!!」

 

 

 

 

「ふふー!!」

 

「その熱意はどこから来てるのよ・・」

 

「はやぶさって確か人工衛星の奴だろ・・・何で歌と人形を・・・可愛いじゃねぇか・・・」

 

「私が昔に挙げてた動画の総再生数よりも再生が回ってるなんて・・・」

 

「天校でこれを歌ってたが評判はイマイチだったな。幼稚園では園児に反応してもらえてたが・・・」

 

「あはは・・・って、花ちゃんも!!」

 

「おぉ~!!ゲンちゃんも来たんだ!!」

 

弦太朗はロックの言葉を聞いて先ほど聞いた流星の1件が頭をよぎると思わず納得して声を挙げてしまったが、納得して何もしようとしない弦太朗にロックは声を挙げてしまったが、そのタイミングで別の部屋から他のRASの面々とユウキと賢吾と言う何とも言えない取り合わせの面々が弦太朗達の元へとやってきた。

 

 

 

 

「それで、お前らは確か楽器体験・・・だったか?どんな感じなんだ?」

 

「はい!!初歩的な内容をちょこっとやってるだけですから問題らしい問題はありませんでしたよ?ですが、チュチュ様が参加者の子供と間違えられるのと、マッスーさんが見た目が怖いせいかドラムの希望者が少ないくらいでしょうか?」

 

「「パレオ!!」」

 

「きゃー!!」

 

「あはは・・・、でも、ライブ前の練習とかするから教室は終わりだけどね」

 

些細な問題があったものの、概ね問題なくこなしていたRAS。

しかし、教室以外の―――友子がスタジオの1室で暴れ狂って演奏しているという問題は完全に放置していた。

 

「それで・・・あれはどうなってるのよ?」

 

「あ~・・・不慮の事故のラッキースケベの八つ当たり・・・だな」

 

「「「「はぁ?」」」」

 

「そう説明しておけってジェイクが言ってたんだよ」

 

「先輩がやったの?」

 

「おたえ、多分だけど朔田さんの方だろ?如月はリサさんのとこで働かされてたんだし・・・」

 

「あっ・・・そっか」

 

弦太朗の説明がよく分からないが、友子と流星の間で何かがあった事だけは察した一同。

だが、ここで空気を読まない人物が弦太朗へと満面の笑みを浮かべて話しかけてきた。

 

「ゲンちゃん!!聞いてよ!!私の作ったはやぶさ君の歌だけど、みんなに褒めてもらえた!!」

 

「おぉ!!スゲーなユウキ!!」

 

「ド素人が作った子供向けにしては・・・って枕詞が付くがな」

 

 

「民謡とかそういうタイプだったからね・・・。演奏するのも簡単だったし」

 

「あの曲で教室が1回分乗っ取られた時はどうなることかと思ったわね・・・でも、簡単なおかげもあってすぐ弾けて反応は良かったわね」

 

「あれで、いくつか曲調が違うのも面白いですね!!」

 

「RASがやるのはイメージ違いすぎるけどな」

 

ユウキが話したのは自身の作った曲がRASの面々から評価されたという内容。

一部の限定的な条件がついているが、それでもプロとして活動しているメンバーもいるバンドから評価されたのが嬉しいのか彼女は満面の笑みを浮かべるが、そんなユウキの言葉を聞いた賢吾はここで予想の斜め上に話を持っていく。

 

「野座間がいるということは・・・見せてないあれが見せれるな」

 

「賢吾君!!アレだね!!」

 

 

 

 

「「「「「あれ・・・?」」」」」

 

「って何だよ、如月」

 

「先輩・・・?どうかしたの?」

 

賢吾の言葉を察したユウキはノリノリで彼の意見に賛同する。

その言葉の意味はRASや巴達は分からないが、、弦太朗は彼の言葉の意味を理解してしまい、顔を青くし始めていた。

 

 

 

「まさか賢吾・・・あの時のあれをやるのか?」

 

「あぁ・・・!!」

 

「よっし!!いくぞー!!」

 

弦太朗が想像した通りだと答えた賢吾はユウキと共に友子が暴れているスタジオへと乗り込む手早く楽器の準備を終えて賢吾がドラムを叩き、ユウキがベースをかき鳴らすと、友子もそれに気が付いて音を合せ始めていた。

 

「おいおい・・・弦太朗。こりゃ何が始まんだよ?」

 

「ユウキの歌だ・・・!!」

 

「如月先輩?聞いたのとは曲調が違いますが・・・どういう・・・」

 

「聴けば分かるぜ?」

 

弦太朗の意味深な言葉に首を傾げる一同だったが、そんな彼女達の目の前で突如としてユウキが歌いだし、その歌を聞いたRASの面々は目を丸くして驚いていた。

 

「ちょっと!!これ・・・さっきのと同じ曲だよね!?」

 

「レイヤ!?これのどこが子供向けんだ!?」

 

「そうだよレイ、さっき子供向けって・・・これメタルだよ?」

 

 

 

「ハナさん!!これ歌詞が全く同じなんですよ!!」

 

「歌詞が可愛い感じだけど、随分とRASっぽく暴れてる曲じゃねぇか」

 

「ちょっとマスキング!!あんな曲と一緒にしないで!!」

 

「あの・・・如月先輩・・・これは・・・?」

 

「天校で出た・・・やぎ座の時のだしな・・・。すぐ終わんだろ・・・」

 

 

「終わる気配がないわよ」

 

賢吾達3人が演奏した”はやぶさメタル”を聴いた面々は子供向けの曲がメタルに変身したことに驚きを隠せずにいたが、カプリコーンの能力で狂暴化した時のモノと聴いて全員が納得したのはいいが、一度演奏し始めた3人はあの時と同じように暴走気味に演奏を続けていた。

 

「はぁ・・・とりあえず気が済むまでやらせておけばいいだろ?」

 

「そうね・・・ゲンタロウのいう通りね。あのケンゴがいればこれ以上は変なことは起こらないわよね?」

 

「ロック、レイ!!ポピパのテントに来てよ。一緒の出店やろ?」

 

「花ちゃんと一緒に出店・・・?やる!!」

 

「ポピパさんと・・・やります!!」

 

 

「ますきはどうする?」

 

「あ~・・・ドラムを叩くのもいいけど、折角の祭だしちょっと見てみる。巴、後で珈琲買いに行くからな」

 

「折角だから私も珈琲貰いにいこうかしら?」

 

「おう!!」

 

 

 

「あっ!!パスパレちゃんとのグル写!!」

 

「うおっ!?」

 

RASの出番が終わり、それぞれがライブまで思い思いに時間を過ごそうと話し始めた時に、急にパレオが叫び声を挙げたことに弦太朗は驚いてしまったが、彼女のパスパレ愛はその程度で止まることは無かった。

 

「急いでいかなければ・・・!!」

 

「パレオさん?あれって確か午前と午後で2回に別れてましたよね・・・?」

 

「ロックさん!!パスパレちゃんとのイベントですよ!!どっちも行くに決まってるじゃないですか!!ロックさんもポピパさんと同じことが出来たら―――「行くに決まっとるやろ!!」そういうことです!!では、如月さん!!参りましょう!!」

 

「ちょ!?パレオ!?俺は別に―――」

 

「ダメです!!彩ちゃん達に連れてきてほしいと言われてるんです!!逃がしませんよ!!」

 

「行くから放せって!!」

 

「では!!」

 

こうして暴走特急とかしたパレオによって弦太朗はそのままCircleから外に引きずり出されていく。

その光景に呆気にとられた面々は未だに暴走しながら演奏している賢吾達を放置して、祭を楽しむために外に出て行くのだった。

 

 


 

「あと少しで午後の受付終了しまーす!!」

 

「すいませーん!!」

 

「ん?お前は・・・たしか・・・みおだよな?」

 

「如月さん!!そうですよ!!ビビキャンのみおちゃんです!!」

 

 

 

 

「てか、お前ここで何やってんだ?」

 

「何って、撮影会のスタッフですが・・・」

 

「アイドルが・・・?」

 

「アイドルが・・・です」

 

弦太朗がパレオに引っ張られてやってきたパスパレの撮影会。

そこにやってきた彼らを待っていたのはパスパレの後輩アイドルであるビビキャンのみお。

しかし、後輩とは言えアイドルがこんな所で撮影会のスタッフとして動いているという状況に弦太朗達はそこに芸能界の闇を見た気持ちになったが、当の本人がそんなことは気にしていない様子だったのでそれ以上の追及をやめることにした。

 

「あの!!もしかして午前の撮影会って・・・」

 

「午前の撮影について受付は終わってますけど・・・」

 

「えぇ~!?そんな~・・・」

 

「えっと!!終わってるんですけど!!如月さんが来たら連絡して通すようにって言われてるので大丈夫だと思います!!こっちです!!」

 

「流石如月さんですね!!」

 

「ぜってぇ千聖だろ・・・」

 

弦太朗は指示を出した犯人は千聖だと確信しながら、みおの案内でパスパレが待つ場所へとパレオと共に向かっていくと、案内された先にはパスパレの面々が他のファンたちをの撮影を行っていた。

そして、2人の存在に気が付いた彼女達の中で日菜が頬を膨らませながら2人に迫って来ていた。

 

 

「もうっ!!ゲンちゃんにパレちゃん!!おそーい!!」

 

「あはは・・・お2人ともすいません。日菜さんはこれでもお2人が来るのを楽しみにしてましたから・・・」

 

「そういえばお2人とも?先ほどの方で最後だと聞いていたのですが・・・?どうして?」

 

「イヴちゃん。私が言っておいたのよ。弦太朗が来たら通すようにって」

 

「流石、千聖さんですね!!」

 

「その通りですね!!彩ちゃん!!」

 

 

 

「普通に職権乱用ですけどね・・・」

 

「そのせいで、私が顔を知っている受付させられているんですが・・・」

 

「2人とも・・・大変だな・・・」

 

 

現状を楽しんでいるグループと振り回されているグループで若干空気感が違っていたが、そんなタイミングで登場した美羽によってこの場の空気感が変わり始めていく。

 

 

 

 

「あら?弦太朗?あなたこんな所で何してるのかしら?」

 

「いや、美羽こそ何してんだよ」

 

「何って・・・見学よ見学」

 

「見学・・・?美羽、お前アイドルにでもなんのか・・・?」

 

「違うわよ。・・・モデルの仕事を頼まれたから、それで撮影会の見学させてもらうことにしたのよ」

 

「そうなんです!!今度ミウさんと一緒にモデルをやるんです!!」

 

「へぇ~。美羽がねぇ・・・」

 

「あなたもう少し興味位持ちなさいよ。まぁ、皆でお昼でも食べましょう?」

 

美羽がイヴと一緒にモデルの仕事をするというカミングアウトを受けても弦太朗はそこまで興味を持っていない様子に美羽が呆れていたが、彼女達は休憩ついでに少しだけ遅い昼食を取りながら話出し、時間が流れていた所に不意に千聖が声を挙げた。

 

 

 

 

 

 

「そういえば、麻弥ちゃん達はそろそろ行かないと不味いんじゃないかしら?」

 

「あっ!!そうでした!!すいませんがジブンと彩さんはこれで!!」

 

「ちょっと麻弥ちゃん!?待ってよ~!!」

 

 

 

「あっ!?そうだった!!パレちゃん!!」

 

「はい?日菜ちゃん、何でしょうか・・・?」

 

「行くよ!!」

 

「ちょっと待ってください!?どこに・・・!?」

 

 

 

「何がどうなってんだ?美羽はなんか知ってるか?」

 

「さぁ?私が知る訳ないじゃない」

 

千聖の一言で何かを思い出した麻弥は昼食を食べ終えたばかりと言うのにも関わらず急いでどこかへ向かって走り出したと思ったら、その後を追いかけるように日菜がパレオの腕を掴んで走り出す。

その姿に事情が分からない弦太朗は首を傾げることしか出来ずにいたが、それを見た千聖は何食わぬ顔で弦太朗にある提案をした。

 

「じゃあ、弦太朗、もう少ししたら皆でステージにいきましょうか?」

 

「ステージ?そういえば、リサもさっきステージがどうこう言ってたけど、なんかあるのか?」

 

「えっ?キサラギさんはステージの予定表を見てないんですか?」

 

「イヴちゃん。弦太朗が病院にいる間に決まった事だから知らないのよ」

 

「それで・・・何があるのかしら?」

 

 

 

 

 

「そうね・・・分かりやすく言えば・・・”伝説の復活”よ」

 

千聖が言った言葉の意味が分からない弦太朗達はより意味が分からなくなり、間抜けな表情で千聖へと視線を送ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 


 

「言われた通りにステージに来たけど・・・どうなってんだ・・・?」

 

 

 

 

 

「うぅ・・・日菜ちゃん~・・・これは~・・・」

 

「パレちゃん!!ダメだよ!!もう少しで始まるから!!」

 

「ですが~」

 

 

 

「日菜とパレオの奴、何で子供達と一緒になってステージの前に陣取ってんだ?しかも、ありゃ沙綾のとこの紗南とか位の年だよな・・・?」

 

千聖達が撮影衣装から着替えるということで一足先にステージへとやってきた弦太朗だったが、ステージの前には沙綾の妹と同じくらいの少女達と日菜がかぶり付きでステージに視線を送っているという不思議な光景異様な光景が広がっていたが、そんな場所に更に不釣り合いな人間が姿を現した。

 

「やぁ、如月くん」

 

「友希那の親父さん?どうしてここに?」

 

「あっ!!如月くん!!ここに居たんだ!!」

 

「まりなさんも?どうして」

 

そこに現れたのは友希那の父親とまりな。

大人の2人が子供たちが集まっているステージに来た意味が分からないがまりなは笑いながら弦太朗へと話しかけていた。

 

 

「うん!!ステージの機材のチェックをね?メインのライブ前にやるこれの為に音出しの確認とかしてたんだ~」

 

「何やるんすか?俺、全く知らないんすけど・・・」

 

「あはは・・・実は私もなんだ。友希那に来てくれって言われたから来たんだが・・・」

 

「友希那が?一体何を・・・」

 

 

 

 

「そんなのRoseliaがここで出し物するからに決まってるじゃない」

 

「うおっ!?友希那!!いきなり声かけんなって!!」

 

「友希那?それは・・・」

 

「ジャージか?」

 

「えぇ、これが私の衣装よ?」

 

「「・・・」」

 

「父さん?何で泣いてるのかしら?・・・もうすぐ始まるから戻るわね」

 

「私も、他のとこ見て回るから後でねー!!」

 

男2人は絶句した。

何がどうなったらジャージが衣装になるのか全く理解出来ず、自分の娘が学校のジャージが衣装であることに何の疑問も持っていないという絶望感も合わさって涙を零したが友希那自身は全くその理由を理解しないまま準備へと戻ってしまい、まりなも他の場所の見回りに行ってしまった。

 

そしてこの場に残された弦太朗はどうしたらいいか分からず右往左往し始めてしまった所に、この場所を告げた千聖が現れた。

 

「弦太朗、お待たせ。ってそちらは・・・確か・・・」

 

「あっ・・・如月さん・・・。それに友希那さんのお父さんも・・・」

 

「千聖、それに燐子・・・!?お前、ここに居ていいのかよ?」

 

「えっと・・・私はもうやることが終わってますから・・・」

 

「まぁ、いいや。それで何やるんだよ・・・」

 

「言ってたじゃないRoseliaの出し物よ?他のバンドも協力してるけれど」

 

「とにかく!!見てれば分かるわ。もう始まるわよ」

 

千聖の言葉の後、すぐにステージのスピーカーから重みのあるサウンドとダークな世界観のRoseliaの音楽とは全く違う可愛らしくポップなBGMが流れると、ステージの前にいた子供達が歓声を挙げ始めたのを見て、ますます訳が分からなくなる男2人へとBGMが小さくなるとそこからこれから始まる出し物が告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「2人はロゼキュア!!特別ステージ!!反逆のハカナーイン!!」」

 

 

 

 

「これ・・・紗夜か?だから日菜の奴が子供に混じってんのか・・・」

 

「この声・・・リサちゃん・・・?一体何が起こるんだ・・・?」

 

「何って・・・ただのショーよ?」

 

「「ショー・・・?」」

 

何がどうなったらあのRoseliaがステージでショーをやることになるのかがまるで分からない2人に千聖は胸を張ってショーの詳細について語りだした。

 

 

「私と麻弥ちゃんの仕事の為の勉強と、彩ちゃんの奇跡的なミスによって女の子を中心に広まった作品よ!!」

 

「燐子・・・マジか?」

 

「如月さん・・・嘘は言ってないです・・・信じたくないですが・・・」

 

「紗夜ちゃんとリサちゃんが主役でサブキャラであこちゃんと友希那ちゃんと声優の燐子ちゃんのRoselia全員出演で、脚本は私!!そして、今回は舞台でのSE操作に麻弥ちゃんと特別ゲストも入れた作品よ!!」

 

千聖の熱弁に呆気にとられた男組は考えるのを辞めてステージで繰り広げられてるショーを見始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ごきげんよう。ロゼキュアのお2人?私は世間を賑わす怪盗”カオ・ル・ハカナーイン”さ・・・。申し訳ないがその伝説のロゼキュアの力を頂戴するよ』

 

 

 

『紗夜~!!私達、変身できなくなっちゃった!!』

 

『ピンチです・・・!!このままじゃ・・・!!』

 

『ふはははは!!ハカナーイン!!ロゼキュアを倒すのはこの大魔王あこなるぞ!!わが忠実な右腕!!りんりん!!ロゼキュアの為にあの芋ジャージ妖精と一緒にみんなの力を集めるのだ~!!』

 

 

『みんなの声援でロゼキュアを助けてニャン・・・!!りんりんの声に合わせて応援してね!!』

 

『ロゼキュア!!頑張れー!!』

 

 

 

 

 

「ろぜきゅあがんがえー」

「おねーちゃん!!がんがえー!!」

 

 

 

 

 

『何!?ロゼキュアの力は私が手にしたはずなのに・・・!?』

 

『ハカナーイン!!あなたの事は許しません!!これから風紀指導です!!』

 

『みんなの声援で私達は頑張れる!!だからあなたに負けない!!』

 

『ロゼキュア!!今だけはあこも力を貸すぞ!!』

 

 

 

『『ロゼキュア!!』』

 

『あこ必殺・・・!!』

 

『『『でたみね~しょん!!しんふぉに~!!』』』

 

 

 

 

 

『ぐわぁあああああ!!』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「どうなってんだ・・・」

 

「友希那・・・猫耳と尻尾はいいが、なんでジャージをOKしたんだ・・・」

 

ショーが終わり、ステージの前ではロゼキュアなるものになっていたリサと紗夜を中心に友希那とあこ、そして声だけの出演の燐子も加えた5人が子供達に囲まれて記念撮影が行っている光景が広がっていたが、弦太朗はあの紗夜がノリノリで女児向けのショーをやっているという現実が受け入れられずにいた。

―――実際は完全に自棄になっていたのだが弦太朗はその事を知る由もない。

 

その一方で猫耳尻尾に芋ジャージという自分の娘の姿を見た友希那の父はこのモヤモヤした感情をどう表現したらよいのか分からず涙を零し、燐子も自分の声がステージで流れたのを聞いて恥ずかしそうな表情を浮かべていたのを後目に、脚本を用意した千聖は何とも言えない表情を浮かべてとんでもないことを呟いた。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、練習時間とステージの時間の都合で予定していた”暴食悪魔 ヒ・マーリン”と”誘惑魔法少女サーヤ”の役を全て削ったのが悔やまれるわね・・・。今度、配信ドラマ用に脚本起こして撮影しようかしら・・・」

 

しかし、千聖の呟きが誰の耳にも届かず、まりなとは別で会場を見て回っていた明日香に声をかけられるまで3人はそれぞれの世界に閉じこもってしまっていたのだった。





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Chapter-EX03 IFルート SURVIVE A LIVE

オマケ篇
今回のオマケはIFルート・・・

と言うことで選ばれなかったCircle側のラスボスたちの導入になります。

描写的に確実にやばいのが含まれていますが、現実で絶対にマネしちゃだめだぞ!!絶対だぞ!!
振りじゃねぇかんな!!


―――RouteIF_01 SURVIVE A LIVE-駆ける姿は疾風の如く

 

 

「弦太朗がいなくても・・・オリオンに負ける訳にはいかない・・・!!」

 

「だらぁ!!・・・このままいけば・・・いける!!」

 

ライダー部の参戦でオリオンを圧倒し、この調子で行けば問題なくゾディアーツを倒せると考えていた彼女達だったが、彼女達はあることを失念していた。

 

 

 

 

 

 

 

戦いの場では想定外の出来事が往々にして起こり得ることを―――

 

 

「宇田川!!離れろ!!」

 

「何っ?がぁ!?」

 

「宇田川さん!!」

 

巴がオリオンを攻撃しようとしたその瞬間、異変に気が付いた賢吾が叫ぶと同時にオリオンの身体が光を放ちながら弾けると、至近距離にいた巴の身体が空を舞ったがその体を空中でミッシェルに入った美咲が受け止めたが、その光の中でオリオンはゾディアーツではない何かに姿を変えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですか!?あれは・・・!!」

 

「鳥・・・いや、トカゲ?よく分かんねぇな・・・」

 

「宇田川さん。とりあえずヤバそうなのが分かればいいと思う・・・なんだろ・・・?」

 

 

 

 

 

「ミュータミットが怪人に変身した姿だ。名前は・・・”サドンダス”天校にいた頃にも出てきたが・・・。オリオンはアイツが変身・・・いや、擬態してたのか・・・?」

 

オリオンが変化したのもの正体――――それはミュータミットが怪人態であるサドンダスだった。

何故、オリオンがサドンダスになったのか賢吾が考察していたが、今はそれどころではなかった。

「GrRYAaaaaaaaaaaaa!!」

 

「なんだ!?羽が生えた・・・って飛ぶのかよ!?」

 

「・・・来るぞ!!」

 

 

「だったら・・・飛んで捕まえる!!」

 

突如として獣のような咆哮を挙げたサドンダスは自身の背中に羽を生成するとそのまま空へと飛び立つとミッシェルで空を飛んだ美咲がそれを地上に引きずりおろそうと追いかけ始める。

しかし、美咲の事をサドンダスは容易く避けながら地上にいる巴達を見下ろしながら口から光線を吐き出し始める。

 

「早い・・・!!」

 

 

 

 

「うおっ!?」

 

「やべっ!?宇田川!!若宮!!乗れ!!」

 

「分かった!!」

 

「はい・・・!!」

 

 

 

「ぐっ!!引くわけには・・・!!」

 

「隼!!」

 

2台のバイクに巴達が飛び乗って光線を避け始め、ダイザーはその場で踏ん張ると避ける場所がない他の面々の盾になる。

しかし、放たれた光線の数が増えていく毎に地面のアスファルトが砕け、上がった土煙によって徐々に地上では視界が狭まっていき、空中ではミッシェルがサドンダスに追いつけないのを見た巴はバイクを運転している賢吾へとある提案をしていた。

 

 

「なぁ!!銃で撃ち落とせねぇのか!?」

 

「無駄だ・・・!!俺達が下手に打てば奥沢に当たる!!・・・地上に落ちたところで若宮が羽を斬り落とす方がまだ現実的だ!!」

 

「ですが・・・降りて来るとは思えません!!」

 

「それに今は美咲が追いかけまわしてるから避けれてるけど、辞めた途端にあれでお陀仏だろ!?」

 

それなりの速度で飛んでいる2人だが、その中で正確にサドンダスを撃ち落とせない。

だが、美咲が追いかけるのを辞めた瞬間に回避に割かれていた地上にいる面々は容易く光線の餌食になるのが目に見えている今、彼らにこれ以上成す術がない。

 

そう思っていた――――

 

 

 

 

「GuGaaaaaaAAAAAAAAA!!」

 

「なんだ!?急に羽に穴が開いたぞ!?」

 

「堕ちて着てんぞ!?」

 

「よっしゃ!!よく分かんねぇけど・・・イヴ!!」

 

 

 

 

 

 

「やぁああああああああああ!!」

 

「GuGaaaaaaAAAAAAAAA!!」

 

「やった・・・!!って若宮さん!!危ない!!」

 

空を飛んでいたサドンダス目掛けて地上から飛んできた何かがその小さな風穴を開けると、それによってバランスを崩してサドンダスが落下する。

 

それを見てバイクにイヴを乗せたますきが落下地点に先回りすると、イヴがバイクを踏み台にして飛び上がると羽の中ほどから断ち切って見せるが、サドンダスもそれに反撃しようとイヴにゼロ距離で光線を浴びせようとしたその瞬間、再び飛んできた何かが今度はサドンダスの片目に突き刺さっていた。

 

「なんだ!?・・・棒・・・?」

 

「違う・・・!!これは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、どんなに強い生き物でも目には攻撃が通りますか・・・」

 

サドンダスに刺さった棒状の何かに驚いていたが、それを放った張本人は淡々とした様子で彼らの後方で上がっていた土煙の向こうからゆっくりを向かってきるとその姿を現した。

 

「「紗夜さん(先輩)!?」」

 

「Oops!?あの弓で撃ち落としたって言うの!?」

 

「100m位離れてるし、的は動いてて・・・しかも、土煙で視界が殆どないあの状況でアレを当てたのかよ・・・!?」

 

弓を手に現れた紗夜の姿に驚いていた一同だったが、真に驚くべきは彼女がやってのけた技の方だった。

 

通常の弓道の競技では的との距離は遠くても60mで当然的は動かない。

しかし、今の紗夜は土煙で視界が悪い中で倍近く離れた距離から高速で飛び回る敵の羽根を狙って撃ち落とした後に続けて放った2射目で相手の小さすぎる急所を正確に打ち抜いて見せた。

 

そんな神業染みたことを成した紗夜だったが、あることを思い出した巴は思わず紗夜に詰め寄っていた。

 

「紗夜さん!?前にあこが弓で戦うのがどうこうって言ったのはどうなったんですか!?」

 

「確か大元は戦いの手段の1つだったけれど、今の弓道は心身を鍛える物で、誰かを傷つけるものではありません・・・。ですが、これで誰かを救えるなら私は誤った道だろうと迷いません・・・!!」

 

 

「GAAAAAA!?」

 

「それに私は、お姉ちゃんですから・・・妹にカッコ悪い姿は見せられませんから」

 

巴に語っていた最中にサドンダスは背中を向けていた巴へと駆け出していたその姿を見た紗夜は流れるような動作で弓を構えて矢を放ち、今度はその矢はサドンダスの膝を狙い打つとサドンダスはその場に崩れ落ちたところで言い放った紗夜の言葉に巴は完全に負けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カッコいいですね・・・!!アタシも姉ですから妹に・・・あこにカッコ悪いところは見せらんないですす・・・!!それじゃ、姉の意地ってやつを見せてやりますか・・・!!美咲!!」

 

「一緒にされるのはアレだけど・・・私もお姉ちゃんだから少しだけ気持ちは分かるかな・・・」

 

「それではブシドーの心で参りましょう・・・!!」

 

 

「言うじゃないか・・・俺達もライダー部の先輩としての意地を見せるとするか・・・」

 

「おぉ~!!賢吾君燃えてる~!!」

 

こうして新たな仲間を加えて、彼らは巨大すぎる敵へと向かっていくのだった。

 

 

―――RouteIF_02 SURVIVE A LIVE-猛る思いは烈火の如く

 

 

 

「だらぁ!!」

 

 

 

 

「俺の出る幕がないな・・・」

 

「Oops!?あの子どうなってるのよ!?」

 

「確かにおかしいが、今はそれを気にするのは後だ!!」

 

 

 

「これならミサキさんが戻ってくる前になんとかなりそうです・・・!!」

 

「巴の奴ヤベェな・・・」

 

生身の巴が1人でオリオンを圧倒し始めている姿に初対面のライダー部やますきは驚愕していたが、そんなことに構うことなく巴はオリオンを攻め立てていく。

最初は武器を盾代わりにしていたが、苛烈な攻撃を前にオリオンの武器はその手から零れ落ちるのを見た彼女はそのまま奪い取って――――

 

 

 

 

「うらぁあああああああああ!!」

 

「・・・!?」

 

 

「ウッソ!?砕けた!?」

 

オリオンの左腕についていた盾を目掛けて全力で振り下ろすと奪った武器と盾が共に砕け散ると、すかさず巴はオリオンへと組みついてその動きを封じて見せた。

 

「これで・・・!!皆で・・・!!」

 

オリオンの武器を奪って武器も封じ込め、後は総攻撃で撃破できる。

 

そう思っていたが―――――

 

 

 

 

 

 

「宇田川さん!!離れて!!」

 

「美さk―――」

 

突如として響く美咲の叫び。

圧倒的に優勢の場面で少しだけ気が抜けてしまった巴はその叫びにすぐに動き出すことが出来ず――――

 

 

 

「宇田川さん!!」

 

「巴!!」

 

突如としてオリオンと巴は謎の爆発に包まれた。

皆が巴の名を呼ぶが――――

 

 

 

 

 

 

「がぁああああああああああああああ!!」

 

爆発の中から巴の絶叫が一瞬だけ響くが、その叫びは続いて起こった爆発によって掻き消されてしまうのだった。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ・・・?・・・そうだ!!イヴ!!美咲!!ますき!!・・・って誰もいない・・・ていうか、どこだここ・・・?」

 

戦闘をしていたはずの巴は気が付けば、周囲が真っ白な空間にいた。

思わず皆の名前を呼ぶが彼女の言葉に答えはなかったことに、巴は何故か冷静になってしまい自身が最後に覚えていることを思い出し始めていた。

 

 

「確か3人で相手してて・・・そっからますきがあいつの学校の人達と一緒に出てきて・・・敵の奴と一緒に爆発に巻き込まれたんだよな・・・。身体が焼けるような感じはしなかったけど・・・何で何ともないんだ?それに戦ってた時の傷もないし・・・」

 

 

巴は謎の爆発に戦っていたオリオンと共に巻き込まれて、爆発に全身を焼かれる感覚を感じていた。

しかし、今の彼女には火傷の跡どころかそれまでの戦いで出来た傷すら付いていなかったことを不思議に感じていたが、その中で彼女は1つの結論を出していた。

 

「・・・やっぱり死んじまったのか?死んだら天国に行くっていうけど・・・そうなると、ここが天国か?それにしては随分殺風景な場所だな・・・」

 

呟いた巴は自身の考えを確認するために思いっきり自身の右頬を叩く。

しかし、視界が90度左を向いただけで彼女は痛みどころか自身の手が顔にぶつかった感覚もない。

とてつもなく奇妙な感覚を覚えた彼女はその場で寝転がりながら、自身の考えを呟くが誰からも答えは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは面白い発想だが、私がいる時点で少なくともここは天国ではない」

 

「なぁ!?誰だ?」

 

 

―――返ってきた。

予想外の出来事に巴は飛び起きて声がした方へと視線を向けると、高そうなスーツを身にまとった白髪交じりの壮年の男性が立っていた。

 

「私は・・・名乗るほどのモノでもない。しいて言うなら、自身の夢のために全てを消そうとした愚かな男だ。そんな私が天国などと言う場所に行ける訳もない」

 

「その・・・あなたは・・・」

 

「そんなにかしこまる必要はない。何だね?」

 

「えと・・・その夢ってのは一体・・・?」

 

 

 

 

 

「プレゼンターに会いに行くことだ」

 

「ぷれ・・・?なんだって?」

 

「分かりやすく言えば、宇宙人に会いに行くと言ったところだ・・・」

 

「凄いっすね・・・スケールがちげぇや・・・」

 

「その夢は友人に託したがね。それで君は?」

 

宇宙人に会いに行くと言ったその言葉に巴はスケールの大きさを感じていたが、彼はその夢を託したと言って笑みを浮かべると今度は巴へと質問を返すと彼女は自身に起こったことを話始めた。

 

「えっと・・・信じてもらえないと思うんですけど。実は友達と一緒に怪物と戦ってたんですよ」

 

「怪物?実に興味深いね」

 

「そうですか?れむかんなぎ?とか言う親玉の奴がゾディアーツ って名前の怪物を使って―――ってどうかしました?」

 

「いや・・・なんでもない」

 

レム・カンナギとゾディアーツの名前を聞いた彼の身体が若干だが驚きによって動いたように見えた巴が思わず聞き返すが、何も無かったかのように誤魔化すと巴はそれで納得してそのまま話を続けていく。

 

「それで親玉はアタシの友達が戦ってて、私はみんなを守ろうとしてたんですよね・・・。それでゾディアーツってのを倒す一歩手前まで行ったんですけど、最後に他の敵の攻撃が爆発して・・・熱さとかは無かったんですけど、気が付いたらここに・・・」

 

 

 

 

「みんな・・・?それは君の友達かな?」

 

「そうです!!みんなバンドをやってて、それで戦いが終わったらみんなでライブするはずだったんです」

 

「ほう・・・」

 

「でも、ここに居るってことは・・・如月にあれだけ啖呵切っておいてこれじゃ合わせる顔がないっすよ・・・スイッチを使えてたら変わったのかな・・・?」

 

如月と言う単語を聞いた男は今度は目を見開いて驚いていたが、彼はそのまま巴にあることを聞いていた。

 

「君は如月君と共に戦っていたみたいだが、君はどうして戦っていたんだね?」

 

「友達とか住んでた街を守りたいからですよ」

 

「それは今でも思ってるのかね?」

 

「そりゃそうですよ!!ってなんだ!?」

 

男の言葉に巴がハッキリとした思いを胸に答えた瞬間、何も感じていなかった巴の身体に異変が起こり始めていた。

 

「なんだ!?」

 

「どうしたのかね?」

 

 

 

 

 

「右手が熱い・・・?でも・・・ライブの時に熱くなったときの感じみたいだ・・・。右手だけってのが違和感あるけど・・・でも、そうだ・・・!!屋上で蘭達と一緒に戦った時も・・・!!如月と商店街で一緒に戦ってた時も・・・こんな感じで熱くなってた・・・!!」

 

突如として巴は右手に熱を感じ始めていた。

だが、それは火傷を負うような感じではなく、もっと良く知ったライブの時に感じるような高揚感と熱気を右手だけに感じていたそれはドンドン熱くなると一緒に巴の右手が光り出す光景を前に男は僅かに口角が上がっていた。

 

そして、巴から光が収まると今度は彼女が目を見開いて驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ・・・なんで!?スイッチ!?アタシが握りつぶしたはずだろ・・・!?ちょ!?」

 

「ふっ・・・はっはっは!!これは愉快だ!!」

 

巴の手には自身が握りつぶしたはずのスイッチが握られていた。

それに驚いていた彼女だったが、彼はそのスイッチを見て、思わず笑い声をあげるが、彼女は何故男が笑っているのかまるで理解出来なかったが、彼は巴のスイッチを取りあげて観察すると一瞬だけ瞳を赤く光らせたとおもったら、今度は愉快そうに巴の肩を叩いていた。

 

 

「そうか!!君が新たなヴァルゴか・・・!!そうか!!」

 

「あんた!?これ知ってるのかよ!!」

 

「あぁ・・・!!知っているとも・・・!!だが、これ以上説明している時間は無いみたいだ・・・」

 

「何を言って・・・!?」

 

巴が声を挙げたその時、突如として彼女の視界が揺らぎだす。

突然の出来事に戸惑っていた彼女だったが、そんな彼女に男は取りあげたスイッチを握らせてから肩を両手で掴んで話し出した。

 

「君はまだ死んでる訳ではない」

 

「はっ・・・?」

 

「おそらくは爆発自体はコズミックエナジーによるものだ。熱さを感じないと言ってたのは君の身体に残っていたスイッチの残骸が爆発を吸収したからだ。おそらくは元の身体には殆ど爆発のダメージは無いだろう・・・最も意識がここに来た理由は見当もつかんがね」

 

「何言ってんだ?」

 

「そんな事はどうでもいい!!友達が待っているのだろう?」

 

「そりゃそうだけど・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・如月君を助けてくれ。私の生涯最後の友を・・・」

 

「ちょ!!おい・・・あんた・・・は・・・」

 

男が最後に口走ったことを聞こうとした巴だったが、ここで彼女は再び意識を失ってしまうのだった。

 


 

 

 

爆発に呑まれた巴の声が全く聞こえない。

それどころか炎はドンドンと周囲へと広がっていく状況を前にしたイヴ達は慌てずにはいられなかった。

 

「トモエさん!!」

 

「やべぇ!!助けねぇと!!作戦とかもだけど死んじまうぞ!!」

 

 

 

 

 

「待って!!上から来る!!見たことないのが・・・!!」

 

しかし、彼女を救い出す前に空から2つの影が降ってきた。

イヴ達はその敵の姿を見たことはないが本能的に危険を感じ取ってすぐさま身構えるが、ライダー部の面々は敵の姿に驚かずにはいられなかった。

 

「あれは・・・宇宙鉄人!?」

 

「どういうことだ!?あれは弦太朗が倒したはず・・・!!」

 

 

「やっべぇ~・・・もしかして、財団Xがコピー作ったとか・・・?」

 

「賢吾君!!どうなってるの~!?」

 

「ジェイクの言う通り。いや、意志が感じられない点で言えば劣化コピー・・・だが、俺達では・・・」

 

ライダー部は宇宙鉄人の強さは本体の性能以上に意思を持っていたことが大きく、それによって狡猾な作戦に引っかかったライダー部は身に染みて理解していた。

だが、今目の前にいる宇宙鉄人はおそらくは財団Xが意図的に意思を持たない様に作った劣化コピーだったが、それでも本体スペックだけでも今いる面々など軽くあしらわれるのが容易に想像できていた。

 

 

「ヤバくても・・・引けないよね・・・」

 

「あぁ!!早くしねぇと巴がやべぇ・・・!!死んじまう!!」

 

「トモエさんの弔い合戦です!!」

 

「「勝手に殺すな・・・!!」」

 

イヴ達は敗北覚悟でも巴を助け出すことを決意したが、その決意は完全に無駄になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・だらぁあああああああ!!」

 

「「巴(トモエさん)(宇田川さん)!?」」

 

「「「「「Oops!?」」」」」

 

 

 

 

「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」

 

あろうことか爆発に巻き込まれた巴が炎の中から飛び出すと、立っていた赤い宇宙鉄人―――スカイダインの頭部を全力で殴りつけてその体を吹っ飛ばすと、続けざまに青い宇宙鉄人―――スカイダインも腹部を蹴り飛ばして同じように吹き飛ばす彼女はそのまま気合いを入れるために雄叫びを挙げた瞬間、不思議なことが起こった。

 

「トモエさんの目が赤く・・・!?」

 

「なっ!?どうなってんだ!?」

 

「炎が消えて・・・違う・・・!!宇田川さんに集まってる!?どうなってるの!?」

 

雄叫びを挙げた巴の瞳が赤く光るのと同時に周囲の炎が突如として動き出して彼女の右手に収まっていく。

そして、周囲の炎を全て吸い取って元の瞳に戻った彼女の右手には失われたはずのあるものが握られていた。

 

「「「スイッチ!?」」」

 

 

 

「スイッチ来たー!!って言ってる場合じゃないよ~!?」

 

「待て!!何がどうなっているんだ!?あれは破壊したと言ってただろ!?・・・だが、この状況を打破するにはあれに頼るしか・・・」

 

「ちょっと賢吾さん!?アレ、ホロスコープスのっすよ!?」

 

「巴ちゃん!!スイッチを使うのやめなさい!!」

 

「そうだ!!どうなるか分からないぞ!?」

 

12使徒用のホロスコープススイッチを手にしていた巴の存在に周囲の面々が必死に声を挙げるが、それでも巴は全く止まることは無く、彼女は復活したスイッチを力強く握りしめながら今は別の場所で戦っている友と同じ言葉を言い放った。

 

「・・・変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ヴァルゴ!?」」」」

 

「本当に変身したの!?」

 

「おい巴!!返事しろ!!」

 

「トモエさん!!しっかりしてください!!」

 

 

 

 

「・・・」

 

「「・・・!!」」

 

しかし、巴から返事は無く動く様子もない。

それを見た2体の宇宙鉄人は一番の脅威であるヴァルゴを集中して狙おうとしたが―――

 

 

「ソイヤっ!!」

 

「「・・・・・・!!」」

 

 

 

「杖で宇宙鉄人を殴り飛ばした!?」

 

「なんだ?こいつら宇宙鉄人っていうのか?」

 

「あぁ・・・意思の無い劣化コピーだ・・・だが、宇田川・・・君は・・・」

 

「問題ないです!!いけます!!」

 

巴は久しぶりにヴァルゴへと変身したが、最初に変身した時のようなことも無く最初から全開だった。

それに対抗するかのように宇宙鉄人たちはダスタードを召喚するが、ヴァルゴは全く怯む様子すら見せずに2体に向き合っていた。

 

「俺達はダスタードを・・・そっちは任せたぞ!!」

 

「あたしもこっちだな・・・行ってこい!!」

 

 

 

 

「おうっ!!」

 

「トモエさん!!お供します!!ミサキさんも!!」

 

「え・・・うん・・・」

 

この街で戦い続けていた3人が宇宙鉄人に向かい合うとそれぞれ構えだす中でヴァルゴは持っていた杖を2体に向かって突き付けていた。

 

 

「こいよ宇宙鉄人(ガラクタ)共!!お前らに人間の意思の強さを教えてやる・・・!!」

 

ヴァルゴの叫びを合図にしてヴァルゴとスカイダインが空へと上がり、残った2人と1体は地上を駆けて互いにぶつかり合うのだった。

 





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以下、簡単すぎる解説。
RouteIF_01
サドンダス√
うっわwww紗夜さんかっけぇwww
まぁ、本編だと銃でしたね。若干トリガーハッピーになりかけてた様な気がしたけど・・・

でも、弓道の矢は絶対に人に向けて撃っちゃいけない(ガチ
アレ羽根に当たるだけでも大惨事不可避(1敗

RouteIF_02
宇宙鉄人√
こちらでは圧倒的に戦力不足なのでヴァルゴ大復活で大アバレンオーしてもらうことになってました。
意識飛んだ時に出てきたのはどこの我望さんでしょうか・・・?

次回はライダー部ではなく”ライダー”が来た時の導入+ネタ√の更新で最後になると思います。


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Chapter-EX04 ライダールート01 さぁ、お前のメダルを数えろ

今回は
全バンド分のライダーが割り当てられなかったからという理由で没になった各ライダー登場の導入を・・・

各ライダー分の導入のプロットを文字起こししたらそれなりの量になったので・・・分割で投稿します
許して・・・許して・・・



 

―――RouteIF_Rider01-Iの逃走劇/鉄仮面と半熟男

 

アイドルは事務所からCircleへと向かっていた最中に敵からの襲撃されて全力で逃げ回った彼女達は、体力を回復させるために物陰に身を潜めていた。

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ~!!どうして~!!」

 

「彩ちゃん!!花音みたいな声出さないで!!それに声が大きいわよ!!沢山いるんだから見つかっちゃうわよ!!」

 

「どっちも声が大きいですよ・・・それに、2人とも漫才鳴ってる場合じゃないですから・・・」

 

「ホントだよね~」

 

「それにしても、こんなビルのゴミ捨て場に隠れることになるなんて・・・。でも、仕方ないわよね・・・はぁ・・・」

 

しかし、彼女達が身を潜めていたのはビルの間に積まれていたゴミの中という精神衛生上最悪の環境にアイドルとして―――いや、女として何かを捨ててしまった気がしてしまった千聖は現状に思わずため息が零しながら、隠れていた場所から顔を出して周囲を見渡す。

そこにはダスタードやヤミーと言った様々な怪人だけではなく、先日Circleに現れた敵と同じ白い服を着た人間までもが彼女達を探して周囲を動きまわっていたが、彼女達の不運はそれだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

「あ~あ、イヴちゃんがいてくれればなぁ~。敵をやっつけて進めたのになぁ~」

 

「大学に入ってからの活動についての打ち合わせだったからイヴちゃんがいないのは仕方ないわよ。だけど、あれだけ数がいたら流石に厳しいんじゃないかしら・・・?」

 

「如月さんと連絡が取れないですし、この状況では電車とかも絶望的ですから、自力でCircleまで逃げるしか出来ないですね・・・体力的にかなり厳しいですが・・・」

 

今回、事務所にいたのは大学へと進学する4人だけでイヴがいない現状では逃走と言う選択肢しか残されていなかったが、日菜はともかく、体力面で不安のある麻弥と千聖、そして肝心な場面でトチる彩と言う不安要素の集合体になってしまっているパスパレが発見されるのはもはや時間の問題だった。

 

 

「どうしますか・・・逃げれる見込みのある日菜さんだけでも先に・・・」

 

「そうね・・・。それで弦太朗を呼んできてもらうのが一番かしら・・・」

 

「それはるんってしないからダメかな~」

 

 

 

「ちょっと待って!?見つかっちゃった!!」

 

「そんな・・・!?逃げるわよ!!」

 

時間の問題だと思っていた矢先に見つかってしまった彼女達だったが、日菜が迫っていた敵に隠れていた場所にあったゴミを投げつけると皆でそのまま通りに出るとそのまま駆け出していく。

 

 

 

 

 

「千聖ちゃん。どうする?」

 

「走るのが辛いから話しかけないで・・・いえ、日菜ちゃん、ダメ元で聞くけどイヴちゃんみたいに戦ったりは・・・」

 

「無理!!だから、またどこかに隠れるよ!!」

 

千聖は天才の日菜にイヴのように戦えるか聞いてみたが、即座に否定されてそのまま彼女達は逃げ続けたが、その逃走に呆気なく終わりを告げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!?」

 

「彩さん!?」

 

「ちょっと彩ちゃん!?寄りにもよってなんでこのタイミングで転んでるのよ!?」

 

寄りにもよって敵に追われているこのタイミングで彩がものの見事に転んでしまった。

それで他のみんなも脚を止めてしまったが、敵は転んだ彩を見ると一斉に彼女へと迫っていく姿に彼女達は絶望のどん底にいるような感覚に襲われていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――しかし、そんな絶望のどん底でも彼女達にけたたましいバイクのエンジン音と共に風が吹いた。

 

 

 

「きゃ!!」

 

「うわぁ!?何すか!?」

 

 

 

 

 

「へっ・・・?」

 

「前が黒で後ろが緑って色が違うのって変なの~」

 

突如、千聖達の後ろから黒と緑のバイクが彼女達や彩の頭上を越えて飛び上がると、彩へ迫っていた敵をバイクで弾き飛ばしながらその場に停車すると、運転していた男がヘルメットを外しながらバイクを降りると腰に付けていたソフト帽を被り直しながら彼女へと手を差し出していた。

 

「大丈夫か?お嬢さん?」

 

「ふぇ?あっ・・・はい」

 

 

「「「彩ちゃん(さん)!!」」」

 

迫っていた彩への危機が去ったのを理解した3人は急いで転んでいた彩の元へと駆け寄っていく。

そんな様子を見た男はそんな様子に笑みを零したが、そのうちの1人と目が合ってしまった途端、互いに驚愕の表情を浮かべて固まってしまった。

 

「あなたは・・・」

 

「お前は・・・」

 

 

「お店でつぐみちゃんをナンパしようとしてた胡散臭いへっぽこ探偵!!」

「喫茶店でいきなりスリッパで頭を叩いてきやがったお転婆アイドル!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あぁん!?」」

 

 

「「「えぇ~・・・」」」

 

彩を救い彼女に手を差し伸べていたのは以前に弦太朗が先輩と言っていた左翔太朗。

しかし、彼と面識のあった千聖は顔を合せた瞬間に互いが思っていたことをそのまま口に出してしまい、それを聞いた途端に互いに転んでいる彩をそっちのけにして、顔がぶつかりあってしまうのではないかと思うほどに顔を近づけて互いにガンを飛ばし合い始めていた。

 

 

カッコよく彩を救って見せたと思った途端、いきなり千聖の言葉に怒りを覚えて互いにキャラが崩壊させながらガンを飛ばし合うのは流石の半熟の男(ハーフボイルド)

だが、それを見ていた3人は状況について行けずに困惑の言葉を零してしまうが、それを気にする様子もなく2人は未だにガンを飛ばし合っていた。

 

「いきなりバイクで頭の上飛んでくるとか、私達の安全も考えられないくらいのヘッポコぶりね!!」

 

「あぁ!?一刻を争う状態だったんだからしゃあねぇだろ!!そんなことも分かんねぇのかお転婆が!!」

 

「彩ちゃんにカッコつけてたクセに!!もうキャラ崩壊してるわよ!!」

 

「お前も、テレビに出てた時とは別人レベルで性悪じゃねぇか!!」

 

「ムッキ~!!何ですって~!?」

 

「あぁ~!!やんのか?ごらぁ!?」

 

 

 

 

「ほら、彩ちゃん立って~」

 

「日菜ちゃん・・・ありがと・・・」

 

「あわわ~!!お2人とも下らないこと言い合ってる場合じゃないですって~!!すぐそこまで来てますよ!?」

 

翔太朗と千聖が馬鹿をやっていた間に気が付けば敵は彼女達の目前まで迫っていたが、翔太朗はそんな相手の前に立ち塞がっていた。

 

「その白服・・・財団X・・・。弦太朗から連絡のあったヤツを奪いためにお転婆達を狙ってたってことか・・・」

 

「えぇ~!?そうだったんですか~!?」

 

「だから、ここは俺に任せろ」

 

「へっぽこ!!アンタに何が出来るってのよ」

 

「こっからは俺の出番ってことだ」

 

千聖が声を挙げているのを他所に翔太朗は懐に手を入れるとそこから赤いバックルのようなものを取り出してみせると、それを見た彩達は目を丸くしてしまった。

 

 

 

「千聖ちゃん!!あれってゲンちゃんのと違うけどベルトだよ!?」

 

「じゃああの人も!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

 

 

「あれは・・・大きいですが・・・USBメモリでしょうか・・・?」

 

アイドル達の声を他所に翔太朗は自身のベルトであるダブルドライバーを装着し、右手にJoker(切札 )のメモリを持ちながら、ドライバー越しにこの場にはいない相棒へと声をかける。

 

「行くぜ!!フィリップ!!・・・あぁ!?検索中・・・?アサイーボウルだぁ・・・?分かった!!分かった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしちゃったんだろ?」

 

「あのベルト巻いたらいきなり独り言始めたよ・・・!?」

 

「こんな時に何1人漫才やってるのよ!?」

 

「誰かと通信してるみたいですけど・・・?」

 

しかし、翔太朗がドライバーを着けたが肝心の相棒は今は検索中。

それに傍から見たら翔太朗は独り言を言っているようにしか見えず、正直言って見ていられない状況に

なってしまい、白い眼を向けられてしまうが彼はメモリを放り投げてすぐにダブルドライバーを外してもう1つのドライバーを取り出していた。

 

「別のを出したよ!!さっきのと違って半分だけになってる!!」

 

「今度は大丈夫かな・・・」

 

 

――― Joker―――

 

彼女達を心配を他所に放り投げたメモリは翔太朗の左手に収まるとすぐに彼はメモリのボタンをタップすると、メモリからの音声が響き渡ると翔太朗はメモリをドライバーにセットして構えた。

 

 

 

 

 

「変身」

 

――― Joker―――

 

弦太朗と同じ掛け声と共にドライバーにセットされていたメモリを倒すようにして展開すると再びメモリから音声が響くと翔太朗の身体は黒い見た目をした仮面ライダー(ジョーカー)へと変身した。

それを見て思わず千聖は目の前の男に声をかけてしまっていた。

 

「あなたは一体・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダー・・・ジョーカー・・・」

 

翔太朗が変身したジョーカーは彼女の問いに呟くようにして答えると、彼女達を逃がすために迫って来ていた敵の大群へと立ち向かっていくのだった。

 

 

―――RouteIF_Rider02-笑顔とメダルと明日のパンツ

 

「えぇーい!!」

 

 

「美咲!!凄いわ!!」

 

「みーくんがまた敵をやっつけた!!」

 

「流石だね。こころの家の人達がいなくなった時ははどうなるかと思ったが・・・」

 

彼女達を襲ってきた敵の足止めをする次々と黒服が離脱していき、気が付けば誰もいなくなってしまったハロハピ一同は美咲を先頭にしてCircleへと向かっていた。

 

 

「ミッシェルもないし、ロボットも無いから・・・きっつい・・・!!」

 

 

 

しかし、今の美咲にはミッシェルも無ければ、ダイザーもない完全な生身で迫ってくる敵を倒していたことで少しずつだが疲れが出始めていた。

 

 

「美咲ちゃん・・・大丈夫?」

 

「えっと・・・大丈夫じゃないですけど、なんとかします・・・」

 

心配そうに視線を送っていた花音へと答えてみせた美咲は疲弊した身体に鞭を撃ち、今にも集中力が切れてしまいそうになる自分を奮い立たせながら答えて見せるが、そんな彼女に構うことなく敵は迫って来ていた。

 

「このっ・・・!!」

 

迫ってきた敵にミッシェルの中で鍛えた身体を目一杯使った体当りを見舞うと、敵の身体は大きく弾かれるとそのまま銀色のメダルになって崩れ落ちるとこころが信じられない行動に出た。

 

 

 

 

 

 

「みんな!!人が少ない場所目掛けて走るわよ~!!」

 

「こころん!!待ってよ~!!」

 

「あぁ~!!もう!!あのバカ・・・!!」

 

「ふえぇ~!!」

 

「花音!!行くよ。手を出して・・・」

 

何を思ったのか分からない。

しかし、こころはこのタイミングで敵の真ん中を突っ切っていくというとんでもないことを言ってのけると即座に行動に移してしまい、それを追いかけるように他のみんなも続いていくがそんな彼女達の前には突如として見たことのない怪物が飛び出してきた。

 

 

「あれはカマキリだ!!」

 

「はぐみちゃん?どう見てもカマキリじゃ「花音!!」ふえぇ~!?」

 

どう見ても危ない。

そう言おうとした花音だったが言葉を最後まで言い切る前に危険を感じた薫が彼女の服を掴んで引き寄せるが彼女はバランスが取れずにそのまま地面に倒れてしまう。

しかし、花音は薫がいきなり突き飛ばした理由が分からず、悲鳴を挙げてから視線を薫へと向けようとしたが彼女の眼にはとんでもない光景が飛び込んできた。

 

「木が斬れてる~!?ふえぇ~・・・!?」

 

 

「このっ・・・!!」

 

そこには自身が先ほどまで立っていた横にあった街路樹が花音の首当たりの位置で綺麗に切り裂かれており、もしも薫が自身を引き寄せていなかったら、() /() 原花音(胴体)に別れていたと考えると花音の顔からは血の気が完全に引けていた。

 

しかし、そんな彼女を他所に美咲はカマキリヤミーへと一気に駆け寄っていくが、この場にいたのはカマキリだけではなかった。

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 

 

「美咲!!」

「みーくん!!」

 

「がは・・・!!ごほっ・・・!!」

 

 

 

「美咲・・・!!」

 

「美咲ちゃ~ん!?」

 

 

「だい・・・じょうぶ・・・です・・・・・・!!」

 

カマキリに詰め寄っていた美咲が突如として何かに衝突して吹き飛ばされるが、その美咲をこころとはぐみがかろうじで受け止めた。

しかし、美咲は衝突の衝撃で血反吐を撒き散らしながらも皆を庇うためにふらふらとしながらも立ち上がって敵を見据えていた。

 

そこにはカマキリヤミーの横に牛のような怪人であるバイソンヤミーが立っていた。

美咲はあれが衝突したのだと察した美咲は後ろの4人に声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「時間はかせぐから・・・みんな・・・先に・・・」

 

「「美咲(ちゃん)!?」」

「みーくん!?」

 

「美咲も一緒じゃなきゃ嫌よ!!」

 

「持たないから・・・早く・・・!!」

 

身体の内側から来るダメージで今にも意識が飛びそうになっていた美咲だったが、それでも仲間を守ろうと飛びそうな意識を気合いで繋ぎ止めながらこころ達を見たがそれに驚いた表情を浮かべるがすぐにこころが彼女の意見を却下した。

しかし、美咲はその言葉を聞こうとせずに2体のヤミーを前に血が付いた口元を拭いながら、残った力を振り絞ろうとした彼女の前には戦いの場には全く相応しくないモノが飛び込んできた。

 

「セイヤー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ?」

 

「ふえぇ~!?男の人~!?」

 

「何か飛んでいったわよ!!」

 

「なんだい・・・これは・・・」

 

 

 

「はい・・・?パンツ・・・?」

 

突如として彼女達の前にはエスニック調の服を身にまとった男が飛び出すと、2体のヤミーを同時に蹴り飛ばしてみせたが、それと同時に男のポケットから何かが飛び出してたまたま薫がそれを拾い上げた。

 

飛んできたものの正体は妙に派手な柄をした男性物の下着に拾い上げた薫は恥ずかしさから顔を真っ赤に染めていた。

そんな薫を他所にヤミーを蹴り飛ばした男はパンツを持っていた薫の元へと駆け寄ってきたことに4人は驚きを隠せなかった。

 

 

 

「ゴメン!!拾ってくれてありがとね?」

 

「あっ・・・あぁ・・・」

 

「でも・・・何で下着を・・・?」

 

「これ?俺の明日のパンツ」

 

 

 

 

 

「あれ?・・・こころん?どうしたの・・・?」

 

「う~ん・・・?」

 

 

「そうだ。そっちの君は大丈夫?攻撃食らってたけど・・・?」

 

「まぁ・・・かなりギリギリですけど・・・」

 

男は薫からパンツを受け取るとそのまま自身のポケットに突っ込むと、美咲の事を心配していたが、そんな中でこころは何故か首を傾げていた。

男はこころに視線を一瞬だけ剥けるとすぐに蹴り飛ばしたヤミー達に視線を向けていた。

 

「ここは俺に任せ―――「そうだわ!!やっぱりあなた映司ね!!」えっ!?そうだけど・・・」

 

 

 

 

「ふえぇ~!?・・・こころちゃん・・・!?」

 

「こころ・・・?もしかして・・・弦巻さんの」

 

「知り合いなのかい?」

 

「えぇ!!前に映司は政治家のお父様と一緒にうちのパーティーに来てくれたことがあるの!!」

 

「・・・うん。俺、火野映司。よろしくね」

 

突然こころが男の事を”映司”と名前で呼び出し、花音がこころの名前を出したことに映司と呼ばれた男は目を丸くして驚いて思わず”弦巻”の名前を出してしまった事でこころと映司が以前に会った事があることが分かったが、こころが父親の事を語った瞬間、ほんの僅かに表情が曇るが彼はすぐに我に返っていた。

 

「とりあえず、こいつらをなんとかしないと・・・」

 

「えっと・・・火野さん。とりあえずここは逃げなきゃ・・・」

 

「ここに弦太朗がいてくれれば・・・」

 

 

 

 

 

「もしかして弦太朗くんと知り合い?」

 

「そうだよ!!はぐみ達はゲンちゃん先輩と友達だよ!!」

 

「もしかして、映司も弦太朗とお友達なのね!!」

 

弦太朗と言う名前に反応した映司にハロハピの面々は驚くが、それ以上の驚きの言葉が映司から飛び出した。

 

 

 

 

 

「俺も弦太朗くんと同じで、仮面ライダーだから」

 

「「「「「えっ・・・!?」」」」」

 

映司の言葉に驚いていたハロハピ一同だったが、そんな彼女達を他所に映司はオーズドライバーを取り出してすぐに腰に当てて装着すると今度はパンツを入れたのとは別のポケットからあるものを取り出した。

 

「そっか。こうなることが分かってたからミハル君はこれを置いて行ってくれたんだ・・・」

 

 

 

 

 

「ふえぇ~?メダル・・・?」

 

「敵が落とした銀色のとは違ってカラフルな色だが・・・」

 

赤・黄・緑の3色のメダルを取り出した映司は以前にメダルを置いて行った人物を思い出し、見ていたハロハピの面々は敵と似たようなメダルを出したことに驚いていると、そのまま映司は1枚のメダルを指で上に弾くとそのまま残った2枚をベルトに収めてから、最後に残った1枚を掴んでからベルトに収めバックルの中央を傾け―――

 

キン!!

キン!!

キン!!

 

「変身!!」

 

そしてベルトの右側に現れたスキャナーを手に取ると、そのままベルトに収めたメダルを読み取らせて、戦うための言葉を口にすると彼の周囲にはメダルの形をしたエネルギーが回りだした。

 

タカ!!

トラ!!

バッタ!!

 

 

タ!!

ト!!

バ!!

タ!!ト!!バ!!

タ!!

ト!!

バ!!

 

「はっ!!」

 

 

 

 

「ふえぇ~!?変身しちゃった~!?」

 

「3色で信号みたい~!!」

 

 

「今の歌は何かしら?」

 

「えっと・・・歌は気にしないで?」

 

 

 

「ここは彼に任せた方がよさそうだ・・・美咲?動けるかい?肩を貸そう」

 

「すいません。薫さん・・・借ります」

 

「そうそう!!困ったときは助け合いだから」

 

映司はハロハピの目の前でオーズへと変身したことに驚いた花音を他所にこころの疑問を投げるがあっさりと返してて目の前のヤミー達に対して構えると、その姿を見た薫はすぐに美咲に肩を貸して支える姿にオーズは嬉しそうな声色で語っていた。

 

「映司!!また会いましょう!!」

 

 

 

「若いっていいな・・・。こっちもやらなきゃ!!」

 

 

そうしてこころを先頭にしてオーズと別れて彼女達はCircleへと向かっていくのを見届けたオーズは少しだけ感傷的な気持ちになるが、すぐに持ち直してヤミー達との戦いを始めるのだった。

 





誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

以下、簡単すぎる解説。
1
パスパレ(イヴ除く)+W編
やっぱり、翔ちゃんと千聖ちゃんはこうなるんですねぇ・・・

2
ハロハピ+000
映司の親は政治家設定・・・そうや!!これや!!ということでしたが、こころのせいでメンタル攻撃食らう模様。
なお、お嬢様のモニカでも同じようなことが出来たと思うけど・・・
あの子達には別の人割り当ててたから・・・(震え声


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Chapter-EX04 ライダールート02 勇気の魔法

投稿です。

設定がめちゃくちゃ?オマケ篇だからいいんです!!(暴論
と言う訳で最後にお知らせがありますが・・・どうぞ!!


 

―――RouteIF_Rider03-モルフォニケーション SHOW TIME

 

 

七深の自宅のアトリエに集まる事になっていたモニカの面々。

それぞれがそこに向かっている最中に他のバンドから襲撃の連絡を受けてから、集まることに成功した彼女達は徒歩でCircleまで向かっていた。

 

その中で透子はしきりに自身のスマホを確認していたが、遂に彼女が痺れを切らしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~!!もうさっきからSNSどころか、電話もぜんっぜん繋がんねぇ~!!状況が全く分かんねぇっての!!」

 

「桐ヶ谷さん。落ち着いたらどうかしら?私が学校から広町さんのところまで向かってる時には何も出てこなかったわよ」

 

「あはは~・・・るいるい?流石に落ち着きすぎじゃないかな~?」

 

「でも、学校に行ってたるいさんが無事で良かった・・・」

 

「それにしても、ななみちゃんのアトリエからここまで無事なのはラッキーだよね!!Circleももう少しだし!!」

 

幸運が重なり、Circleまではあと僅かまで迫っていた彼女達、そんな状況では瑠唯ですら若干気を抜き始めてしまう。

しかし、長く続いた幸運もここまでの様で透子が持っていたスマホの画面を消したタイミングでその消えた画面には最悪のものが写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!?」

 

「とーこちゃん?いきなりどうしたの?」

 

「ななみ!!後ろ後ろー!!」

 

「「「「後ろ・・・?」」」」

 

芸人の様なことを口走った透子の様子があまりにもおかしく、他の4人もその言葉に釣られて視線を後ろに向ける。

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「見たことないのも混ざってるわね・・・」

 

「ってるいるい・・・!?落ち着いてる状況じゃないよ・・・?」

 

「えっと・・・?どうしよう・・・つくしちゃん・・・」

 

「えっと・・・!!Circleに向かっても、如月さん達がまだいないかも・・・とーこちゃん!?どうしよう?」

 

「・・・ふーすけ!!決まってんじゃん!!」

 

そこには先ほどまではいなかったはずのマスカレイドやダスタード、そしてヤミーに加えて今まで見たことのない敵が彼女達にゆっくりと迫って来ている光景が広がっていた。

しかし、その中でも冷静さを崩さない瑠唯に七深が驚いていたが、ましろとつくしは焦り始めてしまい、あろうことかこの後どうするかの選択を透子に委ねるという暴挙に出たが。

しかし、透子は案を考えていたらしく、全員が彼女の提案を視線を向けたが当の本人は4人に背中を向けて思いっきり声を張り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういう時は全力で・・・・・・逃げるんだよー!!」

 

「「「えぇ~!?」」」

 

「・・・」

 

背中を見せた透子が最初に走り出し、その後に続くように4人も走り出すと、そのまま後ろに敵も彼女達を追いかけるように走り出す。

普段なら運動が苦手なましろ達も火事場の馬鹿力を発揮して他の面々について行っていたが、余裕がある七深と瑠唯が透子に並んだ。

 

「ちょっと、とーこちゃん?」

 

「いきなり、走るなんて何を考えてるのかしら?」

 

「だって、弦太朗さんとか流星さんがもうCircleに着いてるとか分かんないっしょ!?だったら、一旦後ろのを撒いてからCircleに行った方がいいっしょ!!」

 

「う~ん。確かにそうかも・・・」

 

「桐ヶ谷さんの意見と言うのがあれだけど・・・それしかないわね・・・」

 

「ちょ!?ルイ!?」

 

「つーちゃんもシロちゃんも一緒に頑張ろう!!」

 

透子の意見に納得した2人は追いかけているましろ達を気にしながらも、街中を駆け抜けて敵を撒くことには成功したが、別の問題に直面してしまった。

 

「七深、ルイ。一旦どっかで休まね?」

 

「はぁ・・・桐ヶ谷さん。そんな状況で何を言ってるのかしら?」

 

「でも、ルイルイ・・・?つーちゃん達が・・・」

 

 

 

 

 

 

「「はぁ・・・はぁ・・・」」

 

「流石にこれ以上はシロたちが無理っしょ?」

 

「今すぐ休みましょう。とりあえず、その公園のベンチとかでいいわね。倉田さん、行きましょう」

 

「うわぁ・・・マジかよ・・・」

 

「つーちゃん。大丈夫・・・?」

 

「うぅ・・・ごめんね・・・?」

 

体力的に限界を迎えてしまったましろとつくしに気が付いた透子が余裕のある2人に提案する。

瑠唯が余裕が無い現状にその意見を却下しようとしたが、ましろ達の様子を見た瑠唯は即座に手のひらを返すように賛成するとましろを連れた瑠唯が移動し始めてしまうと、仕方ないと言った様子で後の3人もその後に続いていくが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?」

 

「先客が・・・あら?行ったわね」

 

その公園内のベンチのど真ん中には既に先客がおり、ぼーっとした雰囲気で何気なくドーナッツを食べていた男がいた。

しかし、それを気にすることなく2人を座らせる横では、男が次のドーナッツに手を伸ばそうとどこからか新しい紙袋を取り出して中を覗き込んだ瞬間、彼の動きが止まってしまった。

 

 

「あっ・・・」

 

「えっ・・・?えっと・・・すいません・・・勝手に使って・・・」

 

「あぁ、大丈夫大丈夫。買ったドーナッツの中に頼んでないのが混ざってただけだから。店長・・・どんだけ俺に新作食べさせたいんだよ・・・」

 

ましろは勝手に横に座ったことに対して何かあったのかと思って謝罪しようとしたが、男はおちゃらけた様子で答えると同じ紙袋から先ほど食べていたのと同じドーナッツを取り出てそのまま頬張り始めた。

と、思ったら何をどう思ったのかドーナッツを取り出した紙袋をそっとましろに差し出していた。

 

「勿体ないし、良かったら食べてくれない?」

 

「えっ・・・?」

 

「うちの子達に勝手にお菓子をあげようとしないで貰えますか?」

 

「俺が食べるのはプレーンシュガーだけだし、それに食べないで捨てるのも勿体ないでしょ?」

 

思わぬ行動に困惑していたましろだったが、その間に瑠唯が割って入ってそれを阻止すると男は自身が食べているドーナッツを見せてから残念そうに肩を竦めて見せると今度は透子がそれに割り込んでくる。

 

「んじゃ、アタシが貰う!!」

 

「どうぞどうぞ」

 

「どーもです!!えぇ~っと・・・そう言えば名前聞いてなかった・・・!!」

 

「操真 晴人。まぁ、通りすがりの魔法使いってとこかな?」

 

「・・・訳が分からないわ」

 

 

 

 

「・・・ドーナッツとしてはアレだけど、意外といけんじゃん!!マヨネーズ味!!」

 

「ドーナッツなのにマヨネーズ・・・?とーこちゃん、普通はその組み合わせはしないと思うけど・・・?」

 

「ふーすけ!!そうなんだけど、何だろう、たこ焼きみたいな感じでなんか飲み物欲しくなってきた」

 

「みんな~。自販機でお茶買ってきたよ~。これ、ドーナッツのお礼です~」

 

「ありがと」

 

晴人と名乗った男から受け取った新作のよく分からないドーナッツを透子が食べ、いつの間にか七深が空気を呼んで皆の分のお茶を買って飲むという何気ない会話によって精神的に多少の余裕が生まれ始めた彼女達だったが、これが自分の首を絞めることになってしまった。

 

 

 

 

「ちょっと休んだから、ゴミ捨てたら行こっか!!」

 

「そうね・・・」

 

「私はまだ、飲んでるけど・・・持ってればいいよね?」

 

「あたし達はこれで失礼します!!ドーナッツごちそうさまでした!!」

 

「失礼します!!」

 

「いこっ!!ってうわぁ!?」

 

出会った晴人に別れを告げてモニカの5人は公園を出てCircleへと再び向かおうと公園を出たその時、彼女達の目の前には運悪く彼女達を探していたであろう怪物達と鉢合わせてしまい―――

 

「きゃ!!」

 

 

 

「つーちゃん!!」

 

「どうしよう・・・!!つくしちゃんが捕まっちゃった・・・」

 

「何も出来ないわ・・・」

 

あろうことかつくしがマスカレイドに捕まってしまった。

だが、今の彼女達はどうすることも出来ずに完全に絶望しかけたその時、つくしを捕まえていたマスカレイドの身体が突如として吹き飛ばされた。

 

「ふーすけ!!こっち来い!!」

 

「うん・・・!!でも、何がどうなってるんだろ・・・?」

 

「そういえば、後ろから何かが飛んできたような・・・」

 

 

 

「大丈夫?」

 

「えっと、晴人さん?大じょ―――って!?なんですかそれ!?」

 

解放されたつくしは一目散に4人の元へと駆け寄っていくと、ベンチにいたはずの晴人からの声に答えようとしたが、その言葉は彼の手に持っていた物が映った瞬間に止まってしまった。

 

「ちょ!?銃!?どこから出した!?」

 

「そもそも、あんなものを持ってるようには見えなかったけれど・・・」

 

「ちょっと待って!?私を助けるためだとしても・・・るいさん達が間にいたのに撃ったの!?」

 

晴人の手には見たことも無いような銀色の銃―――ウィザーソードガンが握られていた。

そんなものを隠していたことや、間に瑠唯達が居たにも関わらず、躊躇いなくそれを撃ったことに驚いていた彼女達だったが、ましろだけは別の感覚を覚えていた。

 

 

「なんだろう・・・アレ、まるで魔法の杖みたい・・・」

 

 

 

「おっ!!それ、いい例えだね・・・!!」

 

「ちょ?!シロ!?何言って―――」

 

ましろの言葉を聞いた晴人はノリで話に乗り始めたことにツッコミを入れようとした透子だったが、それを言い切る前に晴人は振り払うように腕を振るいながら銃を連射する。

今度はモニカの5人は銃を撃つ瞬間はハッキリ見ていて、しかも、射線上にいることは明らかで襲ってくる痛みに恐怖を覚えたが―――

 

 

 

「あれ・・・?今、私達撃たれたよね・・・?」

 

「広町さんの言う通りよ。少なくとも射線上にはいたはずだけれど・・・」

 

「じゃあ、何がどうなって・・・」

 

一向にその痛みが襲ってくる様子がないことに疑問を覚えた彼女達。

しかし、その瞬間に彼女達の後ろで何かが弾ける音が響き渡ると彼女達は思わずそちらに視線を移すと驚きの状況が広がっていた。

 

「何で敵が吹っ飛んでんの・・・?」

 

「撃った弾を曲げた・・・?本当に魔法・・・?」

 

 

 

「言ったでしょ?魔法使いだって・・・それにしても、服が汚れちゃってるね?」

 

「あっ!!さっき飲み物零しちゃってたんだ・・・!!」

 

晴人は何気なく話しながらモニカ達がいるのをお構いなしに乱射するが、その全てが彼女を避けるような軌道を描いてその後ろにいる敵に命中していく。

それに驚いていた彼女達だったが、それを気にする様子もなく彼女達に歩み寄っていくと不意につくしの前で歩みを止めていた。

 

「ちょっと手を出して?」

 

「こう・・・ですか?」

 

「ちょっと失礼」

 

 

 

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

声をかけられたつくしは言われるがままに右手を晴人に差し出すと、彼はその差し出された手に指輪をはめた。

それに驚いていた彼女達は思わず声を挙げるが、何事も無いようにその手を掴むが―――

 

「「「えっ!?」」」

 

「ちょ!?何やって!?セクハラ!?」

 

「違うって・・・魔法に必要なの」

 

「いきなり局部を触らせようとするなんて変態よ・・・。通報ね!!」

 

「そう見えるかもしれないけど、違うって!!あぁ~!!論より証拠だ!!」

 

傍から見たら透子や瑠唯が言っている様なことをしようとしているように見えてしまうが、彼にはその気は全くなくて反論するも全く効果がなく、それを見て完全に反論することを諦めた彼はつくしの手を若干強引に掴みながら局部―――ではなく、彼女の手に付けた指輪を晴人が着けているベルトのバックルへとかざした。

 

 

―――――ドレスアップ プリーズ―――――

 

 

「えっ?一瞬眩しかったけど、何がどうなったの?」

 

「「「「えっ・・・」」」」

 

どこからか声が聞こえてきたと思ったらつくしは謎の光で一瞬目が眩んでしまったが、何かが変わった感じもしないことに疑問を覚えていたが、他の4人はつくしとは反応が全く違っており完全に目が丸くなってしまっていた。

 

「ちょっと、何でそんな顔してるの!?」

 

「いやいや!!ふーすけ!?なんともないの!?」

 

「えっ・・・?」

 

「二葉さん、本当に何も気がついてないの・・・?」

 

「えっ・・・?るいさんなんのこと・・・?」

 

「つーちゃん!!服!!服!!」

 

「服・・・?」

 

驚きの声を挙げる一同だったが、理由が全く分からないのは本人であるつくしだけで彼女は皆に理由を尋ねると七深が彼女の顔から下を指差しながらそれに答えるとつくしの視線は七深が指差している自身の服へとむけると、そこには信じられない物が目に飛び込んできた。

 

 

「えぇ!?何で学校の制服なの!?」

 

「さっきまで私服だったわよね・・・本当に魔法みたい・・・」

 

「つーちゃん・・・本当に月ノ森の制服だよ」

 

「手品・・・にしては種も分からないわ・・・」

 

「脱がされた感じもしてないし、マジで・・・?」

 

 

「だから、魔法だって・・・っといけね。指輪返してもらわないと・・・―――っと、もう次が来たみたいだ」

 

つくしの服が汚れてしまった制服から月ノ森の制服へと一瞬で変わっていたことにようやく気が付いた彼女は驚くが、他の面々は種を探し始めるが全く見つかるが晴人は完全に苦笑いでつくしから指輪を回収すると彼は近づいてくる気配に気が付いて視線をあげるとそこには先ほどよりも多くの敵が姿を現していたが晴人はそれでも怯むような素振りを見せることはなかった。

 

 

 

 

「ここは魔法使い―――いや、仮面ライダーの出番かな?」

 

「「「「えっ!?」」」」」

 

―――――ドライバーオン プリーズ―――――

 

「ベルト!?本当に・・・!?」

 

晴人の言葉に驚く一同だったが、いきなり腰に現れたベルトの存在が彼が仮面ライダーだというのを納得させていた。

そして、晴人はドライバーのバックルを操作すると手の意匠が右から左へと切り替わり―――

 

 

 

 

 

――――― シャバドゥビ タッチ ヘンシ~ン!! ―――――

 

「「「「何この詩・・・!?」」」」

 

「魔法の・・・呪文・・・?」

 

「そういうこと・・・」

 

突如としてベルトから何とも言えない歌が流れたことに唖然とする中で、ましろは感覚的にこれが魔法の呪文だと言う言葉に晴人は笑みを浮かべながら答えると左手に付けたリングのバイザーを降ろして仮面ライダーへと変身するための言葉を叫んだ。

 

 

 

 

「変身!!」

 

――――― フレイム プリーズ ―――――

 

 

――――― ヒーヒー ―――――

――――― ヒーヒーヒー!! ―――――

 

 

 

「さぁ・・・ショータイムだ」

 

変身の言葉と共に晴人はリングをドライバーにかざしてから左手を伸ばすをその先から出現した魔方陣が彼の身体と通り過ぎていくと、その姿は黒いローブに真っ赤な宝石のような顔をしたウィザード(仮面ライダー)へと変身すると、彼のセリフによってこの戦い(ショー)の幕が上がるのだった。

 

 

―――RouteIF_Rider04-ロゼリア・フューチャー・アクア

 

事務所での打ち合わせを終えたRoselia達は敵の襲撃を受けて5人で一緒に逃げていたのだが、今この場には友希那1人だけと言う危機に陥ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・逃げてる最中に道を間違えたらリサ達とはぐれてしまったわ・・・どこに行くんだったかしら?」

 

―――完全な自業自得によって。

 

だが、このままでいる訳にもいかないのでとりあえず逃げようとするが、彼女は完全にどこに逃げるかと言う事が頭の中から抜け落ちてしまったのでとりあえず歩き出すものの建物の影から人影が飛び出してきたことに驚いて身体が後ろに倒れかけるが、飛び出してきた人物が彼女の手を掴み取った事によって尻もちをつくという事態は回避することに成功した。

 

「危ないっ!!大丈夫です・・・か?」

 

「えぇ・・・だいじょう・・・ぶ・・・?」

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

手を掴んだ人物が友希那に声をかけたものの何故か歯切れが悪く、友希那もそれに答えようとしたが相手の顔を見て何故か言葉が上手く出せずに思わず相手の姿を見入ってしまった。

 

―――茶髪に青いメッシュを入れた年上に見える男。

 

彼女は彼には一度も会った事がないことなのに、何故か目の前にいる特徴的な男に友希那は既視感を感じてしまい聞かずにはいられなかった。

 

「あなた、私とどこかで会った事はあるかしら・・・?」

 

「えっ・・・?イヤ!!無い無い!!か―――えっと!!・・・友希那さんと会ったのは初めてだよ!!」

 

「そう・・・?」

 

「そうだから、手を・・・」

 

相手から否定されても友希那は何故か納得がいかない。

 

世間的には青いメッシュを入れることはそこまで多くは無く、そんな男がRoseliaのライブに来たら覚えていそうだが全く記憶はない。

もしかしたら事務所関係かとも考えたが、彼女は余り事務所の人間を覚えておらず分からないのでとりあえず置いておき、手を放そうとしたがそのタイミングで友希那の仲間が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!りんりん!!友希那さんいたよ!!」

 

「あなた達・・・どうしてここに?」

 

「実は・・・逃げてた途中であこちゃんと2人ではぐれちゃったんです・・・」

 

「あれ?友希那さん。何で男の人と手を繫いでるんですか?」

 

「倒れそうになったところで手を掴んで引き揚げてもらったのよ」

 

この場に現れたのは燐子とあこ。

2人は友希那が男と手を繫いでいたことに驚いたが、何もやましい事などない友希那はありのままを伝えてから手を放すと、事情を聞いた2人は申し訳なさそうな表情を男に向けていた。

 

「その・・・友希那さんのことありがとうございます!!」

 

「ありがとうございます!!・・・えっと・・・名前聞いてなかった」

 

 

 

 

 

 

「あこさん。燐子さん。・・・俺、湊ミハルって言います」

 

「湊・・・偶然ですね」

 

「友希那さんと一緒の苗字だ!!」

 

「・・・やっぱりあなた。何か隠してるわね?」

 

「えっ・・・?」

 

「ちょっと友希那さん・・・!?」

 

自身の事を湊ミハルと名乗った男に燐子とあこは友希那と苗字が一緒であることを偶然だと言っていたが、当の友希那はそれが偶然だとは思えずミハルの手を掴んで声を挙げると、2人はその友希那の行動に目を見開くほどに驚いていた。

 

「私と同じ苗字で、それに私達は名前を言ってないのに何で名前を知ってるのかしら?」

 

「えっと・・・プロだから・・・それにライブも・・・」

 

「すごーい!!あこ達、プロになって名前覚えてもらえてるんだー!!」

 

「あこ、燐子。この人をライブで見たことあるかしら?」

 

「・・・すいません。私は覚えてないです」

 

「あこも覚えてないです・・・」

 

友希那の問いへの答えにあこは喜んでいた一方で友希那は訝しんでいた。

 

 

 

 

「皆さん。やっと見つけました・・・」

 

「氷川さん・・・」

 

バンドリでグランプリを始め、FWFなどの大きなイベントにも出ていたし、最近は事務所に所属してプロにもなったから知っていてもおかしくはないのだが、2人もライブでミハルのような男を見ていないと言うことと言い、そして明らかに年上であるはずのミハルがあこの事を”さん”と呼んでいたことと友希那は不審に感じてしまいっていた。

そんなタイミングで紗夜がこの場に現れた事が彼女がミハルに対する不信感を加速させていく。

 

「あれ?日菜さん・・・?タレントの・・・」

 

「紗夜よ?」

 

「えっ?」

 

「日菜は私の妹です。それに妹はアイドルであってタレントではありませんよ」

 

ミハルは紗夜のことを日菜と間違え、しかもアイドルである彼女の事をタレントと言ったのだ。

確かに日菜はテレビに出ているからタレントという言葉も間違ってはいないが、今の日菜は普通にアイドルとして出演しているのにわざわざタレントという必要がない。

 

その事を考えた友希那はミハルに視線を向けると、彼は何かを彼女に聞こえないほどの小さな言葉で呟いていた。

 

 

「そう言えば・・・日菜さんは昔はアイドルをやってて、紗夜さんも痩せてたって言ってたっけ・・・」

 

「えっ・・・?」

 

「りんりん・・・?どうしたの?」

 

「今、湊さんが・・・」

 

「あら?白金さん。なんで湊さんの事を・・・」

 

「紗夜さん!!多分、ミハルさんの方ですよ!!苗字が一緒なんですよ!!」

 

「・・・そうだったんですか。それで・・・2人はいつまで手を・・・?」

 

「この人が隠し事を白状するまでよ?」

 

「迷惑だからやめなさい」

 

 

「ありがとうございます・・・紗夜さん」

 

「いえ、それ敬語は不要ですよ?あなたの方が年上みたいですから・・・っとそんなことをしている場合じゃないわね。早く逃げたほうがいいわね・・」

 

 

唯一その呟きを聞き取れた燐子は信じられないものを見るような視線をミハルに向けたことにあこが理由を尋ねようとしたが、そのタイミングで紗夜が空気を読まずに友希那とミハルが手を繫いでいることを指摘すると半ば強引に2人の手を離させて本来の彼女達が状況を思い出させた。

 

「・・・紗夜。あなた一人だけなの?」

 

「今井さんと別れて、3人を探してたのですが・・・ちょうどよかったです」

 

「そうだ!!早くリサ姉と合流しないと!!」

 

「そうですね・・・。ですが、どこに・・・ってあれは・・・もしかして・・・」

 

リサが来れば全員集合できると言う状況だったが、幸いなことに遠くにリサの陰を見つけた一同。

これでひとまずの目下の目的は達成できて一安心だと安堵の表情を浮かべた彼女達だったが、このタイミングで何故か見張るが満面の笑みを浮かべて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ・・・!!リサ”おばさん”だ・・・!!」

 

 

「「「「「はっ・・・?」」」」」

 

とてつもなく特大の核弾頭を投げつけて、空気が完全に凍りついた。

Roselia全員が固まる中でミハルだけは何故かテンションが高くなっていた。

 

「紗夜さんはともかく・・・あこさん達もそんなに見た目変わってないのに驚いたけど、リサおばさんは本当に前から見た目が全く変わってないんだ・・・!!」

 

 

 

 

「おっ・・・おば・・・おばば・・・・・・おばぁ!?」

 

「あー!?リサ姉が壊れた!!」

 

「ちょっとあなた、自分の方が年上なのにいきなり年下をおばさんって言うなんて失礼だし、そもそも非常識よ!!」

 

 

 

「えっ・・・あっ!!紗夜さん・・・これは違くて・・・。その知り合いに似てたからつい・・・!!」

 

「嘘ね。ミハル、あなたは一体何者なの?」

 

 

「昔・・・おばさん・・・全く変わってない・・・もしかして・・・でも、信じられないけど、そうとしか・・・」

 

ミハルの完全な失言によってリサが壊れ、紗夜と友希那がミハルに詰め寄っていく。

そんな中でミハルの発言と今まで自信が体験した非常識の経験から燐子が彼の秘密を推測したが余りにも明後日の方向に向かっていく考えに彼女は自分の結論が信じられずに思わず声に出さずにはいられなかったがそれを聞く時間は無かった。

 

 

 

 

「「危ない!!」」

 

「えっ!?」

 

「湊さん!?いきなり何を―――なっ!?」

 

突如として友希那が紗夜を突き飛ばし、その彼女に覆いかぶさるようにミハルと友希那が地面に倒れる。

いきなりの行動に怒りを覚えた紗夜が友希那に怒りをぶつけようと声を挙げたその瞬間、突き飛ばされる前にいた場所を何かが通り抜けていくのを目にした彼女の怒りは消えるが、それは敵がやってきたと言う証拠でもあった。

 

「うわっ・・・!!多すぎるよ~!?」

 

「数が・・・逃げらない・・・」

 

友希那達に大量の怪人が迫っていたが余りにも数が多かった。

目の前の光景に逃げられないと察した彼女達の顔には恐怖が浮かんでいたが、その中で友希那を庇ったミハルが彼女と共に立ち上がると彼女達の前に立っていた。

 

「俺がなんとかするから・・・」

 

「ちょっとこんな時に何言ってるんですか!?」

 

「危ないですから!?」

 

「確かに危ないし怖いけど・・・勇気は今、貰ったから・・・」

 

「うそっ・・・!?ミハルさん!?」

 

ミハルはそのまま自身のベルト"アクアドライバー"を取り出して装着する姿にあこが声を挙げるが、そのままミハルは構えていた。

 

「変・・・・・・身!!」

 

 

その言葉を共に敵が向かってきた方向にあった道路下の消火栓の蓋が弾け飛び、そこから水が吹き上がるとその水はミハルの身体を包み込むと彼は仮面ライダーに変身してみせると、今までの出来事を吹き飛ばすほどの爆弾を落とすのだった。

 

 

 

 

 

 

「俺は仮面ライダーアクア!!未来から来た仮面ライダーで・・・母さんの―――湊友希那の息子だ!!」

 

「「「「「えぇ~!?」」」」」

 





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感想評価は気分次第でお願いします。

以下、簡単すぎる解説。
03
感性がヤバすぎる子がいたので・・・と言う理由でこの組に・・・
えっ?メテオ?知らんなぁ・・・

04
友希那さんと同じ苗字のライダーが丁度未来に居たなぁ・・・
ミハル君、MEGAMAX時に2051年からって言ってるけど、ジオウだとジオウ本編から"40年ほど後”って言ってて時代関係めちゃくちゃだけど・・・よし!!

(なお、この時空のポテト狂いは見事にカロリーに負けたのに・・・リサ姉、お前何で見た目が少なくとも30年経過してるのに見た目変わんねぇんだよ!?


お知らせ
本作品ですが、こちらの投稿を持って”完結”とさせていただきます。

設定起こしてるから羽丘√も書けなくはないですが・・・
それを書くかはまたいずれ・・・と言うことで・・・
仮に書くことがあっても、本作品とは別作品と言う形になると思います。

皆さま、長い間お付き合いいただきありがとうございました。



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