ミッションタイマー物語 (ゆっくり霊沙)
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ニマニマ大百科 ミッションタイマー

概要


20XX年皐月賞

誰もマークしていなかった

誰も見ていなかった

誰もが驚愕したその粘り腰

ミッションタイマーのパーフェクトペース

 


 

20XX年生まれの黒鹿毛の少女

渾名は詐欺師、魔術師

凡庸な能力を策略で覆し続けた少女である

 

父小西幸弘 元トレセントレーナー

母小西麻沙子(ミッションウオッチ)戦歴55戦10勝のオープンバ

 

生まれた頃は体が小さくコミニュケーション能力も著しく低く友達もおらずこの頃から発病(統合失調症)したと思われる幻覚と毎日遊んでいた

 

幻覚から逃げと追い込みの戦法を学びほぼ独力で将来のレーススタイルを確立する

 

幼稚園時車と接触事故を起こし片耳を切断することとなり身体的特徴のため虐めの的となる

 

ただ生まれた頃より肺活量が他のウマ娘と比べても明らかに多く、それが後の無尽蔵と呼ばれるようになる

 

トレセン学園に入学後積極的に模擬レースやチームの選抜レースに参加するが15戦もしてチームに呼ばれることは無く新人トレーナーが集まる模擬レースに出場することになる

 

そこで黒井氏(アグネスデジタル)の目に止まり晴れてチームガンマに所属

 

デビューは9月になり中山2000に出走ここを2着となる

 

続いて10月の未勝利戦で勝利し11月の京都ジュニアステースクスに出走ここで5着となり続いて東京2000 1勝クラスに出走し1着、ホープフルステークスに駒を進める

 

11番人気の中ホープフルステークスでは破滅逃げを敢行

 

他バのスタミナ切れを狙ったが100年に1人の美少女と呼ばれだエアエンジェル、名門メジロファンタジーに続く3着となる

 

上記2人に4バ身以上離されていたため世間では朝日杯フューチュリティステークス勝ちウマのデーモンコア、京都ジュニアステースクス勝ちウマのスカーレットリボーの4強が形成される

 

事実この時期は4人が頭3つくらい抜けていた

 

 

 

 

 

 

 

クラシック級になるとジュニアカップを勝利しOPバとなり

 

弥生賞に出走

 

結果は5着で先頭から8バ身離されていたものの賞金が足りるとのことで皐月賞に出走することとなった

 

その年の皐月賞は超ハイレベル世代

 

朝日杯フューチュリティステークス勝ちウマのデーモンコア

 

京都ジュニアステークス、シンザン記念勝ちウマのスカーレットリボー

 

ホープフルステークス、弥生賞勝ちウマのエアエンジェル

 

スプリングステークス勝ちウマのメジロファンタジー

 

京成杯勝ちウマのワクチン

 

きさらぎ賞勝ちウマのシンボリウオッチ

 

等後のG1、G2で名前が残る名バがズラリと並ぶ

 


 

奇跡の皐月賞

 

単勝158倍の10番人気

 

人気の理由は前走の弥生賞で200メートル手前で壊滅しており、距離不安と早熟説が囁かれていたためである

 

1枠2番でポーンと出るとそのまま大逃げを展開

 

経済コースをスルスルと進み1000メートル59秒9で通過

 

この時点で後方との差は10バ身・・・そう、今までの壊滅的逃げは周りを騙すための作戦であり、レース中しっかりと足を残す事に成功する

 

途中で気がついたエアエンジェルとメジロファンタジー、デーモンコアは猛追を開始するがもう遅い

 

2分00秒ジャストでフィニッシュ

 

追撃をはね除けた

 

2着はエアエンジェル3着メジロファンタジー4着デーモンコアであった

 

レース直後統合失調症の症状が悪化し、レース後のインタビューで

 

「私は3着でしたよね・・・前に2人いましたもん」

 

と発言

 

明らかに正気ではなく直後嘔吐し倒れ緊急搬送されることになり勝者不在のウイニングライブが行われた

 


 

運命のダービー

 

精神病棟で1ヶ月の入院を余儀なくされたミッションタイマーはなんとかダービーに出走

 

トレーナーの黒井(アグネスデジタル)は直前まで出走取り消しを考えるほど体調が悪かった

 

体重10kg減で挑んだダービーは周りからも不安視され8番人気となる

 

1番人気は前走2着のエアエンジェル、2番人気はNHKマイルを勝ち変則2冠を目指したデーモンコア、3番人気にメジロファンタジー、4番人気にスカーレットリボーと4強による争いになると予想された

 

8枠16番でスタートしたミッションタイマーは逃げること無く追い込みに切り替える

 

ミッションタイマーが逃げると思っていた全員はペースメーカー不在となり、先頭がいつもは先行バのシンボリウオッチが務めることとなる

 

1000メートル通過タイムは1分02秒のスローペースの中最初に仕掛けたのはミッションタイマーであった

 

1400メートル地点で大外からスパートを開始

 

思考の外に居た存在のいきなりの出現に後ろで走っていた子は動揺し、スパートのタイミングをミスしてしまう

 

一方先頭集団は完全に前残りの状態で団子状となっており視界が極端に狭まっていた

 

大外から黒い髪の毛を靡かせたガリガリの少女を誰も認知することができなかった

 

普通で有ればバテるスパートの距離であるが前が皆牽制し有っておりこちらもスパートがバラけ、バ郡を飛び出したエアエンジェルが見た光景は遥か先にいるミッションタイマーの存在であった

 

最も運が良いウマ娘が勝つとされるダービーで本当に運が良く作戦がはまり勝てたウマ娘であった

 


 

最も作戦を練った菊花賞

 

体調を整え札幌記念から再始動したミッションタイマーは初めて掲示板外の8着に敗れる

 

勝ったのはスカーレットリボー

 

続いて神戸新聞杯に出走するがこちらも10着に敗退

 

勝ったのはエアエンジェル

 

ここら辺から最弱の2冠バ

 

幸運に恵まれただけと揶揄されるようになるが菊花賞を勝つための策謀を既にしていた

 

教員となっていた米田教官(ライスシャワー)に弟子入りし、ダービーと同じ体重まで削るハードトレーニングを隠れて行い、体調不良の噂をばら蒔き、絶対に逃げる宣言で他バに圧力をかけ、周りが居るところで薬を飲むことでまだ統合失調症が完全に治ってないと思わせた

 

事実薬のお陰で幻覚は見えなくなっていたが薬を飲まなければ再発する不安定な状態ではあった

 

三冠王手にも関わらず世間は特に秋に凄みを増したエアエンジェルとメジロファンタジーの2人が注目され続いてオールカマーを勝ったワクチンが注目され4番人気となっていた

 

世間でも絶世の美女のエアエンジェルとお嬢様のメジロファンタジーが勝ってウイニングライブを行うことを期待していた節があり、ポスター等では2人対決かのようにされていた

 

「ワクチン含めた3人には劣るけどダービーバの意地として掲示板は確保したい」

 

と消極的とも取れる発言を残しミッションタイマーはゲートに入っていった

 

2枠4番でスタートしたミッションタイマーは完璧なペースで相手を翻弄する1000メートル地点59秒00そこからハロンタイム12、12、12、12、12とコンマの差もなくで2000メートル1分59秒で走り抜けたのは伝説であり、ゴール板を3分ジャストで駆け抜けレコードにて決着

 

「もうフロックでも何でもない!これが第9代目の三冠バだ!!」

 

サニーブライアンを彷彿とさせる実況は有名で第9代目の三冠バが誕生する

 

 


 

有馬記念からシニアクラス2年目まで

 

期間を開け有馬記念に出走したミッションタイマーは三冠馬の期待から初めて1番人気となるが、菊花賞の代償により精神をすり減らしていた

 

体重も中途半端に増え、本当に体調が悪い中有馬記念が始まる

 

その為かスタートを失敗し、追い込みの形になるが今持てる全力で戦おうとするも全く見せ場を残す事無く16着に敗退

 

勝者は三冠全てを3着で過ごしたメジロファンタジーが勝ち、2着にエアエンジェルが今年は完全にシルバーコレクターとなり年度代表バ、最優秀賞クラシッククラスの2つにミッションタイマーは選ばれ幕を下ろす

 

ここから時代の転換点と呼ばれ春古馬三冠馬路線をエアエンジェルが完全制覇し古馬最強に乗り出すとそのまま欧州に海外遠征

 

メジロファンタジーはドバイシーマクラシックに参戦見事1着を取るものの天皇賞(春)にて2着の代償に怪我をしてしまい復帰が秋以降となる

 

スカーレットリボーは高松宮記念を勝利して短距離路線に転向しG2G3で暴れまわり

 

デーモンコアは昨年マイルチャンピオンシップと今年の安田記念を制覇して春秋マイルを制覇した

 

そんな中ミッションタイマーは京都記念5着、中山記念5着、大阪杯12着、天皇賞(春)4着、安田記念10着、宝塚記念7着と完全に迷走していた

 

理由としては三冠バとしての世間からの重圧に完全に負けてしまったこと、統合失調症の悪化、身体の成長により歩幅の変化によるペースコントロールの失敗、追い込みと逃げという両極端な戦法による疲弊等が挙げられる

 

迷走はこの後1年半続くこととなる

 

エアエンジェルが日本ウマ娘初の凱旋門賞制覇を達成し、ミッションタイマーが予定されていた生徒会の椅子がエアエンジェルが付くこととなる事件がおこる

 

札幌記念で久しぶり2着に好走するものの天皇賞(秋)は札幌記念を勝ったシンボリウオッチが制覇、ミッションタイマーは4着

 

スプリンターズステークスはスカーレットリボーが取り春秋短距離制覇

 

マイルチャンピオンシップは2連覇をかけたデーモンコアが伏兵のクラシックのティアラ路線を進んでいたスズカサーキットに敗れ2着

 

ジャパンカップは凱旋門から帰ってきたエアエンジェルとメジロファンタジーの12フィニッシュ

 

ミッションタイマーは8着に敗れた

 

もう世間では三冠バの恥さらしと呼ばれ岡部理事長(シンボリルドルフ)と成田理事(ナリタブライアン)から現役引退かドリームトロフィリーグへの移籍を勧告されるもののこれをキッパリと断る

 

この件で今まで支えてきて貰った黒井トレーナー(アグネスデジタル)と喧嘩をするものの数週間後に和解し、必ずの復権を誓い、照準を再来年に向ける

 

有馬記念はそのゴタゴタで出走を辞退

 

今年もメジロファンタジーが勝利し有馬記念連覇を達成した

 

 

 

 

次の年は次世代が活躍

 

世代最強、古バ最強のエアエンジェルが1年海外で活動するのが決まった事が最大の理由である

 

この年のエアエンジェルも無双を続けドバイシーマクラシック、クイーンエリザベスⅡ世カップ、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス、凱旋門賞連覇、ブリーダーズカップターフを制覇し、合計G1を11勝し堂々とドリームトロフィリーグに移籍する

 

大阪杯は前年菊花賞バのゴールドキングダムが制覇

 

ミッションタイマーは7着

 

天皇賞(春)はメジロファンタジーが意地を見せメジロの悲願を制覇

 

ミッションタイマーは5着

 

目黒記念に出走し、久しぶりの追い込みで勝利すると宝塚記念に向かう

 

安田記念は昨年の皐月賞バでメジロの異端児メジロエンジンがデーモンコアとスズカサーキットのデッドヒートを制し勝利

 

宝塚記念ではメジロファンタジー、シンボリウオッチ、昨年ダービーバのダノンヴォーリア、ゴールドキングダム他シルバーコレクターの有名どころが揃いここにミッションタイマーが戦うこととなる

 

展開はややスローペースをミッションタイマーが逃げ復調を示す3着となる

 

勝者はダノンヴォーリア

 

夏のサマーシリーズは休むこと無く七夕賞、中京記念、札幌記念に出走2着、3着、3着と来年に向けた調整を続ける

 

天皇賞(秋)はメジロエンジンが勝利マイル、中距離での最高速度の差を見せつける5バ身差の圧倒的な勝利であった

 

ミッションタイマーは4着

 

「いくらなんでもミッションタイマーはドリームトロフィリーグに移籍させるべきでは?」

 

と記者の質問に黒井(アグネスデジタル)

 

「必ず彼女(ミッションタイマー)は復活する!大きな怪我もなくその蓄積された経験が爆発する時が必ず来る!彼女を信じて見守ってください」

 

と言い切った

 

ジャパンカップは伏兵テイエムファニーか差しきって勝利

 

ミッションタイマーは5着

 

有馬記念はシンボリウオッチが勝利し1年が終わる

 

ミッションタイマーは4着

 

短距離は今年もスカーレットリボーが無双、マイルチャンピオンシップはメジロエンジンが勝利

 

ちなみに香港ヴァーズに遠征したメジロファンタジーはきっちり勝利し今年も幕を下ろす

 

 


これが三冠バ!この強さこそ三冠バ

 

現在32戦7勝と三冠バとしてこんなに走ったウマ娘はおらずとても三冠バの成績でないがシニア3年目同期の元4強やメジロエンジンが怪我や病気、衰えなどでドリームトロフィリーグに移籍する中ようやく身体の成長が止まったミッションタイマーが虎視眈々と勝利を狙っていた

 

ダービーや菊花賞でガリガリのちびだった少女はストレートロングの黒髪の美しい美女に成長していた

 

周囲はいつまで走る気だとかババア無理すんなみたいな空気の中中山記念からスタートする

 

これを逃げきって勝利すると大阪杯に望む

 

大阪杯ではジャパンカップを勝ったテイエムファニーやダービーバダノンヴォーリア、昨年の皐月賞と菊花賞バのサニーミルク等が居た中菊花賞を思わせる華麗なる逃げで逃げきり勝ち

 

天皇賞(春)はサニーミルクとの一騎討ちを2週目の坂からスパートするゴールドシップを真似をした追い込みで無尽蔵のスタミナを見せつけ3バ身差の勝利

 

「これが第9代目の三冠バだ!!今季3勝目若いのには負けてない!エアエンジェルが達成した春古バ三冠まであと1勝!!宝塚に引き継がれます!!」

 


 

伝説の宝塚記念

 

叩きとして目黒記念に出走し、逃げで勝利を掴むと

 

宝塚記念に出走最初から先頭を取るとそのまま逃げを敢行

 

今年の皐月賞バのマジシャンズナイトと激しい競り合いとなり1000メートル55秒8のキチガイのハイペースとなる

 

後続とは10バ身差を記録しそのまま逃げ続ける

 

マジシャンズナイトが足の限界を越えてしまい怪我による競争中止となる中1人爆走を続け後続と3秒差をつけ勝利

 

記録は2分8秒1と従来のレースレコード、コースレコードを大幅に短縮

 

引退を勧告された少女とは思えない圧倒的強さを見せつけた

 

このレースをみていたエアエンジェルが

 

「遅いよバカ」

 

と呟いた

 

2年前の宝塚記念で今のミッションタイマーと戦いたかったとも発言した

 

これで春古バ三冠を達成

 


古バ最強に漂う陰り天皇賞(秋)

 

古バ最強となったミッションタイマーは札幌記念から始動ここを追い込みで勝利し、調整が万全なことを周囲に示した

 

そのまま進んだ天皇賞(秋)だがサイボーグがいた

 

黒沼氏(ミホノブルボン)の娘ミホノサンデーが青葉賞から親子二代ダービーを制覇し、天皇賞(秋)に参戦してきた

 

なおこの天皇賞(秋)は逃げのウマ娘が6人、先行8人とハイペースが約束されたレースであった

 

この頃ミッションタイマーは生徒会役員に再び誘われたが過去の仕打ちを恨んでおり生徒副会長になっていたエアエンジェルから説得されたもののキッパリと断る事件が起こる

 

黒井トレーナー(アグネスデジタル)のサブトレーナーになることを表明し、ドリームトロフィリーグに移籍しないと宣言してこれまた揉めに揉め、この件で日本に嫌気がさし結局サブトレーナーを数年務めた後マレーシアリーグに移籍することになるのだがそれは後で記述しよう

 

この様に私生活で問題があった中天皇賞(秋)が始まる

 

「エアエンジェル、メジロファンタジー、メジロエンジン、この3人を越えるには秋古バ三冠を制し、グランドスラムを達成するしかない」

 

とコメントを残す

 

スタートした天皇賞(秋)は予想通り逃げウマ娘による激しい鼻取り合いとなったが、経験値が桁違いのミッションタイマーは先頭争いでスタミナをある程度削らせるとそのまま最後尾に沈んで追い込みにシフトする

 

先頭から後ろに圧をかけながら下がるものだから後続で争っていた先行バ達もたまったものではない

 

ミホノサンデーの精密機械と呼ばれたペース配分も狂わされ後半全員がバテバテになる中1人作戦通りと微笑んでいたミッションタイマーが進撃を開始

 

残り100メートルで全員撫で斬り2バ身つけて勝利

 

このレースにより詐欺師と渾名がつけられる

 


日本総大将 ジャパンカップ

 

今年のジャパンカップは近年稀にみる豪華メンバーだった

 

凱旋門賞の覇者スノーヒル

 

クイーンエリザベスⅡ世カップのエコレジ

 

英ダービーとキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスの覇者ダブルスタンダード

 

ジャックルマロワ賞の勝者マゼラン

 

等海外ウマ娘が7人も襲来

 

理由は散々エアエンジェルとメジロファンタジーに荒らされてきた仕返しにエアエンジェルとメジロファンタジーに3回も勝ったことのあるミッションタイマーに勝つためというものだった

 

ターゲットにされていたミッションタイマーは落ち着いていた

 

「日本の高速バ場の恐ろしさを味わうがいい」

 

スタートすると相変わらず逃げでペースを作る

 

1000メートルを58秒で通過すると12、11、12、11、11.5と完璧なハロンタイムで全員を幻惑

 

海外ウマ娘は日本の固い芝に戸惑いミッションタイマーの無尽蔵のスタミナに耐えきれずにズルズル後退していくこととなり、3バ身差をつけて勝利する

 

「日本を舐めすぎですよ彼女ら」

 

そうコメントを残し出走した全員にトラウマを植え付ける

 

この頃になるとエアエンジェルの世代かミッションタイマーの世代なのかわからない評価となったが、メジロファンタジー、スカーレットリボー、デーモンコア、シンボリウオッチ、G2大将ワクチンとタレント揃いの最強世代と呼ばれることとなる

 


最後の有馬記念

 

ステイヤーズステークスを得意の逃げで全員とスタミナの違いを見せつけ余裕の勝利、最後の有馬記念に駒を進める

 

もうこの頃には最弱の三冠バと揶揄する存在はおらず、その緻密に練られた作戦と完璧なペース配分、無尽蔵のスタミナと日本に特化したスピードを武器に詐欺師から魔術師と呼ばれるようになっていた

 

最後の有馬記念は最後の勇姿を見ようと中山に18万人が集まった

 

ミホノサンデーや怪我が治ったマジシャンズナイト、菊花賞バタニノフラン、テイエムファニー、ダノンヴォーリア、ゴールドキングダムと名だたるメンツの中最後も逃げると思われたが

 

「好スタート!ミッションタイマー!華麗なるスタート逃げる・・・逃げない逃げない逃げない!!最後の有馬記念は追い込みだ!!」

 

実況が絶叫する

 

追い込みで挑んだ有馬記念最後尾から周りを見ながら何を考えていたのかはわからない

 

「最終コーナーで全員抜いた抜いた抜いた!!暮れの有馬記念今再び伝説が駆け抜けていく!!」

 

ミッションタイマー1着

 

グランドスラムを達成し、苦労を重ねたグランドスラムであり春古バ、秋古バ同一年による達成は史上初であった

 


その後

 

宣言通りドリームトロフィリーグには移行せずトレーナー試験を受け現役の成績から一次試験をパスして二次試験からとなり、これも無事突破

 

トレーナー教習を受講し、黒井トレーナー(アグネスデジタル)のサブトレーナー(以後小西トレーナー)となる

 

そこで逃げウマのゴールデンサインとマヤノトラップを黒井トレーナー(アグネスデジタル)と協力して育て上げる

 

その後日本は恩も有るが辛かった時期に沢山の虐めがあり、どうしても日本を飛び出したいとの事、黒井トレーナー(アグネスデジタル)が現役の中独立したのでは学生の取り合いになる可能性が有るとして師を立てるために海外に飛び出していった

 

そんな彼女が目を付けたのがマレーシアとシンガポールであり、マレーシア・シンガポールのトレーナーとしての資格を両国のトレセンと協議した後に習得すると『カミカゼスタート』『零戦』と呼ばれる高速逃げ戦法を現地のウマ娘達に伝授

 

その中にはジャパンカップを勝つフレンチ、シンガポールダービーやシンガポールゴールドカップを勝つミハエルサキー、香港で無双するサラエボ等優秀なウマ娘を多数排出する

 

黒井トレーナー(アグネスデジタル)がトレーナーを引退するとトレセン理事長になっていたエアエンジェルと理事のメジロファンタジー、メジロエンジン、スカーレットリボーの連名による嘆願書を送られ日本に帰国

 

チームガンマを引き継ぎ後に名家となるアナログ一族、ラブ一族等をG1勝利に導く

 

小西トレーナーとしての最高傑作はG1を6勝したスピードエース

 

以後日本ウマ娘発展に尽力し、エアエンジェルと共にトレセン改革をしていくこととなる

 

 


戦績

ジュニアクラス

 

デビュー戦 2着

未勝利戦 1着

京都ジュニアステースクス 5着

1勝クラス 1着

ホープフルステークス 3着

 

クラシッククラス

 

ジュニアカップ 1着

弥生賞 5着

皐月賞 1着

ダービー 1着

札幌記念 8着

神戸新聞杯 10着

菊花賞 1着

有馬記念 16着

 

シニアクラス1年目

 

京都記念 5着

中山記念 5着

大阪杯 12着

天皇賞(春) 4着

安田記念 10着

宝塚記念 7着

札幌記念 2着

天皇賞(秋) 4着

ジャパンカップ 8着

 

シニアクラス2年目

 

大阪杯 7着

天皇賞(春) 5着

目黒記念 1着

宝塚記念 3着

七夕賞 2着

中京記念 3着

札幌記念 3着

天皇賞(秋) 4着

ジャパンカップ 5着

有馬記念 4着

 

シニアクラス3年目

 

中山記念  1着

大阪杯 1着

天皇賞(春) 1着

目黒記念 1着

宝塚記念 1着

札幌記念 1着

天皇賞(秋) 1着

ジャパンカップ 1着

ステイヤーズステークス 1着

有馬記念 1着

 

42戦17勝 G1 9勝



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プロフィール

 主人公の紹介

 

 ミッションタイマー(小西杏子)

 

 ジュニア期身長145→シニア3期175

 

 ジュニア期体重ガリガリ→ダービー10kg減→シニア3期パーフェクト  

 

 黒鹿毛の髪はジュニア期は手入れがされておらず所々ボサボサしていたがシニア期からストレートパーマをし漆黒のロングヘアーへ

 

 片耳を事故で失うものの最初はそれを耳飾りで隠していたが、アグネスデジタルの

 

「ありのままの君が見たい」

 

 と言われた時に外すようになる

 

 そこからレースでも外すようになる

 

 走ることは大好き

 

 嫌いな物は罵倒、虐め

 

 幼少期は身体的特徴で虐められ

 

 クラシック期はエアエンジェル、メジロファンタジー、デーモンコア、スカーレットリボーの美しい4人を邪魔していると見られ、実力が評価されず罵倒を常に受けてきた

 

 特にマスコミからの罵倒は酷く常にヒールとして書かれクラシック期の有馬記念からシニア2期までの低迷期間ずっと新聞に悪口が書かれていた

 

 

 

 勝負服

 

 ジュニアからクラシック期

 

 時計がじゃらじゃらぶら下がった女性用喪服

 

 シニア1期からシニア2期

 

 3つの勲章が付いた白い海軍将校服

 

 シニア3期秋以降

 

 真っ赤なマントに勲章を3つ追加

 

 最後の有馬記念

 

 9つの勲章に大きな懐中時計を左胸に付ける

 

 

 

 

 性格は穏やか、引っ込み思案、弱虫

 

 知らない人も苦手だが、一度心を許すととても懐く

 

 友好関係

 

 恩師 アグネスデジタルトレーナー(黒井トレーナー)

 チームメイト メジロエンジン、プレミアボンド、スペシャルボス、スズカサーキット

 

 同室レインボーボール

 

 

 

 

 

 生徒会

 

 生徒会長ディープインパクト

 副会長アーモンドアイ、コントレイル

 書記ジェンティルドンナ、カネヒキリ

 会計デアリングタクト

 

 三冠を取った時に生徒会庶務に打診されこれを承諾し、来期秋以降の生徒会役員入りを約束されていたが、成績の低迷、エアエンジェルの日本バ初の凱旋門制覇により土壇場で新役員にエアエンジェルが選ばれミッションタイマーの生徒会役員入りは白紙にされる

 

 その事を恨み続け、後の理事会との激突にエアエンジェルが庇おうとするが拒絶する

 

 

 理事会 

 

 理事長シンボリルドルフ

 理事長代理エアグルーヴ

 理事ナリタブライアン、ミスターシービー

 

 シニア1期に引退勧告かドリームトロフィリーグに移籍を要請した

 

 シニア期に入ってから怪我をした訳ではないのに凡走を繰り返し、札幌記念の2着を除き掲示板がやっとであり、周囲から衰えたと見られても仕方なかった

 

 ファンも少なくアンチばっかりの現状から何か間違いが起こる可能性も考慮しての判断だったがこれをミッションタイマーは断固拒否現役続行を固持した

 

 理事会と生徒会から見放され学校に居づらい感じとなるが、これ以上落ちることは無いと開き直り、寮の帰寮時間も堂々と無視し、トレーニングを続ける姿から更に学園で孤立することとなる

 

 

 

 

 

バ場適性は芝A/ダートG

距離適性は短距離G/マイルC/中距離A/長距離A。

脚質適性は逃げA/先行C/差しC/追込A

 



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彼女の名前はミッションタイマー

 ウマ娘……彼女達は走るために生まれてきた……時に数奇で、時に輝かしい歴史を持つ異世界の競走馬の名前と魂を受け継いで生まれてくる少女達

 

 ここにもそんなウマの耳と尻尾を持つ少女が一人

 

 その子の名前は小西杏子……後のミッションタイマーである

 

 

 

 

 

「よーいドン!!」

 

 100メートルほど離れた所に旗を立てそこに向かって少女は走る

 

 旗をぐるっと回って彼女は父親が待つゴールへと駆け抜ける

 

「おっ今回も最速タイムだな! 早くなってるぞ黒子!」

 

「パパもっと頑張る! 頑張って走ってアノキラキラしたお洋服着るの」

 

「勝負服か……それじゃあまずはトレセンに合格しないとな」

 

「うん! 頑張って合格する!!」

 

「はは! わかってるのか?」

 

 私はパパが休みの日にこうやって河川の土手で走るのが好きだ

 

 普通の友達は言葉数が少なくてできないけど、その代わりに私には掛け替えのない友達がいる

 

 白色のオーラを纏った白髪の子(白子)と真っ黒いオーラを纏った栗色の髪の毛をした子(黒子)だ

 

 どちらもお姉さんだが、走るのがとっても早いんだ

 

 パパが居ない日はこの2人に走り方を教わってる

 

 白色の子はとにかく逃げるのが強いと教えてくれ、黒子は追い込みが強いと教えてくれる

 

『とにかく走ろう……スタミナこそレースには大丈夫だ』

 

『いや、スピードだね』

 

『スタミナ!』

 

『トップスピード!!』

 

 この2人はいっつも喧嘩をするが私がやめてって言うとやめてくれる

 

 私そんな2人が好きだった

 

 いっつも口論をしながらも私を強くしようとしてくれるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本の総人口の5%の600万人がウマ娘とされ、ほとんどがトレセンに通う事無く普通の学校を卒業し、普通の会社へ就職し、普通の人と結婚して一生を終える

 

 昔は軍の偵察部隊や伝令兵、補給部隊として活躍し、更に古くはウマ娘による帝国も有ったほどだ

 

 日本にもウマ娘による国があり、武田の赤揃えはウマ娘部隊による強力な部隊だったと言う

 

 海外だと有名なのは帝政フランスによる欧州帝国やモンゴル帝国なんかが有名だろう

 

 それだけウマ娘は国家の主戦力として活躍してきた歴史がある

 

 現代ではその美しい容姿からアイドルとして人気があり、レースに勝つことで名声と賞金、栄誉が約束される

 

 レースはウマ娘中央競バ協会URAとウマ娘地方競バ全国協会UNARが厳格に管理をし、バ券による利益、グッツ利益、入場料、スポンサーによる広告料の4本柱で成り立っており、そこからトレセンの管理費、維持費、人件費、選手への賞金、トレーナーへの賞金が支払われる

 

 ただどちらの協会へ入るのも険しい道のりであり、そこから1勝するのでも凄い確率である

 

 ただ、小西杏子の母親の小西麻沙子(ミッションウオッチ)はオープン戦を勝ったウマ娘であり、その子である小西杏子は日本ウマ娘トレーニングセンター学園通称トレセン学園(生徒数2000人弱)に推薦入学できる立場であった

 

 それでも推薦試験を受けなければならず、父親の小西幸弘氏が仕事の休みの日は必ず杏子に走り方を教えているのはそういった理由がある

 

 

 

 

 

 

 幼稚園に入ると普通は仲良しな子ができるものである

 

「あ、あの遊ぼ

 

 ワーキャーと杏子の言葉は子供達の声で書き消され、友達が相変わらず全然できなかった

 

『そんなこともあるさ』

 

『そんなことより走ろう』

 

「うん」

 

 当時の私はイマジナリーフレンドとかしていた白子ちゃんと黒子ちゃん相手にグランドをグルグル走っていた

 

 お昼寝の時間以外は基本走っていたと思う

 

 ただ1回も白子ちゃんにも黒子ちゃんにも私は勝てなかった

 

 だけど着々と私のレーススタイルはこの時期に確立できていたと思う

 

 

 

 

 

 

 

「よーいドン!!」

 

 運動会のウマ娘競争で400メートル走って初めて勝った

 

 逃げに逃げて最後スタミナ切れでバテバテになっていたが勝利は勝利

 

 その光景を今でも覚えている……とても気持ちよかった

 

 この時からだろう……私はキラキラしたお洋服を着たいからどんな手を使ってでも勝ちたいと思うようになったのは……

 

 

 

 

 そんなある日の事だった

 

 私はウマ娘用の道を走っていると暴走した車に突っ込まれ数十メートル引きずられる事故に有った

 

 皮膚がべろべろに捲れ、右耳が擦りきれ、最終的に切ることになる

 

 命に関わる怪我ではなかったが不揃いになった耳を見て他のウマ娘達にバカにされ虐められるようになった

 

 更に私は黒子ちゃんと白子ちゃんに傾倒していくこととなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた、杏子の才能はどうなの?」

 

「事故でも怪我をしない頑丈な体ではあるが、足は凄い内股で骨が事故の時撮ってもらったレントゲンで変形していることがわかった……優秀なトレーナーが付かない限り勝っても未勝利だろう」

 

「そんな……」

 

「俺もそこまで良いトレーナーでは無かったからこれ以上はしてやれない……悲願の重賞制覇は難しいだろう」

 

「……杏子の娘がG3を勝ってくれることを願うようにするわ」

 

「とりあえずトレセンに行く前に出きることをしよう」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小学生になってからも私の虐めは続いた

 

 私がまっすぐ立つと膝と膝がくっつくのだ

 

 良いウマ娘は膝がまっすぐかやや内側になっているのが良いとされ、私みたいに極端に内側になっているのは走らないとされた

 

 あとは片耳もバカにされた

 

 普段は布で作った耳当てを付けることで隠しているが、虐めっ子達によく後ろから取られるのだ

 

「やーい! 片耳」

 

「不細工!」

 

 罵倒され、机に落書きされたりもした

 

 この時私は我慢して我慢して我慢して……

 

「絶対に見返してやる」

 

 凄まじく恨みを募らせた

 

 私はどうやら1度恨むと一生覚えているらしい

 

 大人になった今でもその時虐めた子達の名前が言える

 

 厚かましく活躍してからサインをねだられた事も有ったが、拒絶した

 

 

 

 

 

 

 そんな私だったが皆よりも優れていた事がある

 

 肺活量というより肺が強い

 

 ペットボトル割りを知ってるだろうか

 

 空気を入れて割るやつ

 

 私は口で空気を入れて割っていた

 

 ウマ娘ならできなくもないのだが、一人ぼっちの私は暇な時拾ってきたペットボトルを洗ってよくやっていた

 

 これが後の無尽蔵のスタミナに繋がるのだからわからないものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 人がとウマ娘一緒の小学生という苦行を乗り越えた私は女子校であり、レースに出れるトレセン学園に推薦入学した

 

 試験では学問とレースがあり、ぼっちの私は友達に教わるなんて事ができず、真面目に授業を聞いて勉強するしか方法が無かったが、無事学問の試験は突破

 

 選考レースでは後にライバル……ライバルと私は思っている……いや、敵だな……私の敵のエアエンジェル、デーモンコア、スカーレットリボー、メジロファンタジーと偶々一緒になった

 

 エアエンジェルは当時から100年に1人の美少女って言われていたし、名門エア家から出てきたご令嬢でもある

 

 スカーレット家のスカーレットリボーやメジロ家のメジロファンタジーもご令嬢だし、デーモンコアは小学生ウマ娘陸上競技会で全国1位になった凄腕の選手だった

 

 だから選考レースなのに観客がいっぱい(トレーナー達です)居たし彼女らは注目されていた

 

 選考レースは私は逃げ戦法で勝とうとしたが、1000メートルでバテてしまい残り400メートルで皆に抜かされ10着最下位だった

 

 それでも基準タイムを超えていたのでトレセン合格は勝ち取った

 

 ……そこから地獄と栄光を反復横跳びする生活になるとは思ってもいなかった

 

 思ってもいなかったのだ……

 

 



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トレセン入学後

 その年の新入生は豊作だった

 

 まず名門出身やG1を湧かせた子の子供達が沢山入学してきたのだ

 

 エア家のご令嬢であり、ジュニアモデルでも活躍し、デーモンコアを抑えて選考レースで勝った100年に1人の美少女と言われているエアエンジェル

 

 メジロ家のご令嬢でメジロパーマーの母親と同じ名前を授かり、メジロ家の悲願である天皇賞(春)の制覇も期待されているメジロファンタジー

 

 スカーレット家のご令嬢ながらダイワスカーレットと仲の良かったアグネスタキオン博士が丈夫と太鼓判を押したスカーレットリボー

 

 シンボリ家期待の新星シンボリウオッチ

 

 テイエム家のテイエムジュール

 

 マチカネ家でフクキタルの子マチカネソーマ

 

 ヘイロー家のご令嬢サトノヘイロー

 

 やや衰退気味だがまだまだ地力のある華麗なる一族のハギノセンセキ

 

 等が名門出身の有名どころでサトノヘイローは阪神ジュベナイルフィリーズやオークス、ヴィクトリアマイルを私の代で勝っているし、ハギノセンセキも後にエリザベス女王杯連覇を達成した女王様だ

 

 名門以外で有名なのはやっぱりデーモンコアだろうか

 

 小学生ウマ娘陸上競技会の1600メートルの部で全国1位の実績があるし、選考レースでもエアエンジェルと激しい競り合いをしていた

 

 他にも明らかに中等部の体格ではないオリエンタル、関西少年少女お笑いグランプリで殿堂入りした話題性抜群のワクチン

 

 埼玉県さいたま市出身で自身の名前もサイタマって子も選考レースでぶっちぎりの1位だったし、オーシャンブルー(ダービー後ダート路線で才能開花して翌年のダート界隈最強になります)って子も選考レースでぶっちぎりだった

 

 マイネルサダシアって子も早かったなぁ(後に桜花賞と秋華賞、ティアラ路線の重賞複数を勝っています)

 

 ……魔境かな? 

 

 魔境だったわ

 

 今思うと私達の世代ってスペエルグラセイの4強世代並みに強かったんだなぁって思う

 

 芝路線はマイルチャンピオンシップ以外はシニアクラスで皆が無双してたし、ダートはオーシャンブルー1強時代になってたし……クラシッククラスでも有馬記念で私以外の掲示板に4人入ってたし世代を越えてワクチンがG2、G3で荒らしまくるからやっぱり強かったんだよなぁ私達の世代って

 

 まぁそんなんだから苦労するよね……スカウトされなくて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式の数日前に栗東寮に割り振られ部屋に挨拶に行った

 

 コンコンコン

 

「ごめんください」

 

「およ! よく来たねポニーちゃん!! 同室になるレインボーボールだよ! レインボーでもボールでも好きなように呼んでね」

 

「あ、えーっとレインボー先輩……私はミッションタイマーです。よろしくお願いいたします」

 

「寮長から聞いてるよ片耳の事、全力でポニーちゃんの事は部屋では守る様にするから安心して」

 

「は、はい……ありがとうございます」

 

「持ち物はそれだけかな? 中に運んじゃうよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 中に入ると人形がいっぱいあるザ・女子部屋って感じだった

 

「テレビは共用で使って良いよ。見たい番組が有れば言ってね録画もできるから」

 

「ありがとうございます」

 

「ん? これは……世界地図?」

 

「はい、いつか行ってみたいんです……パリロンシャン競馬場に」

 

「もしかして凱旋門に出たいの?」

 

「は、はい……あと賞金を貯めて世界巡りをしたいなーって」

 

「ほよ! 良い夢だと思う! ……この矢印は?」

 

「あ、これはバルバロッサの進行ルートを鉛筆で書いた物です」

 

「ば、バルバロッサ?」

 

「はい! ドイツ軍がソ連に進攻した戦いの名称です……私の先祖が参加していたらしいので」

 

「ドイツ系なんだ」

 

「大昔ですけどね……敗戦まで補給部隊で活躍していたらしく、敗戦後にシベリア送りにされてそこから脱走して、満州から韓国に逃げ込んで、そこから船で日本に来たらしいですけど」

 

「世界半周してるじゃん」

 

「新大陸は行ったこと無いらしいんですけどね……私は立派な歴史オタクですけど……あ」

 

「大丈夫引いてないよ」

 

「す、すみません早口で語っちゃって……」

 

「もうタイマーちゃんはかわいいなぁ」

 

「……ブスですみません」

 

「だーれもブスなんて言ってないよ。そんな自分に卑屈になっちゃダーメ! ささ、荷物運び終えたらお茶にしよ! ジャーンキャロットケーキ!! 買っちゃったんだ! 一緒に食べよ!!」

 

「え、でも高そうですし……」

 

「遠慮しないの!!」

 

 レインボーボール先輩はとても好い人でできた人で……大人だった

 

 レインボーボール先輩はマイルで活躍するウマ娘でNHKマイルカップを勝った凄いウマ娘だ

 

 入学当初は先輩はシニア1期で同年後半にはドリームトロフィリーグに移籍してマイルのURAファイナルズ決勝にも出たりもしてた

 

 私はシニア期は理事会を恨んでいたのでドリームトロフィリーグのURAファイナルズには勿論でなかったけど……

 

 まぁとにかく同室には恵まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『理事長の岡部(シンボリルドルフ)だ! XX年度入学の皆さんまずは入学おめでとう。今年は例年以上に実力が有る子が多数入学してきて嬉しく思う。まずは皆さんにEclipse first, the rest nowhere.(エクリプス1着、他のウマはどこにもいない)という校訓を贈りたい。これは唯一抜きん出て並ぶ者なしという意味だ。これから皆さんの隣に居るウマ娘達は同じ学校に通う友でありライバルとなる。乾坤一擲となる勝負も発生するだろう……そんな時にこの校訓を思い出してほしい……最後は自分自身との勝負。他人を蹴落としのしあがるのも結構! ただ自身がまだ学生であるという自覚は忘れないように! 以上理事長からの祝辞とする』

 

「シンボリルドルフさんだ……綺麗だなぁいつかああなりたいなぁ」

 

 当時の私はその綺麗な姿とアーモンドアイに抜かれるまでルドルフの壁とされたG1 7勝の実績

 

 いつかあんな風に成りたいと心の底から思っていた

 

『生徒会長のディープインパクトだ。諸君らに言いたいことは怪我をするなだ。怪我に泣いた先輩方は多くいる。だから怪我だけは本当に気を付けてくれ。善き隣人を見つけより良い学園生活をおくれるように生徒会は全面的にバックアップしていく! 行事も多数有るがその時はチームや勝敗を一時的に忘れて楽しんで欲しい以上だ』

 

 ディープインパクト会長も格好いいと当時は思っていた

 

 続いて寮長の挨拶で栗東寮からオルフェーヴルさんが、美浦寮からはモーリスさんが挨拶を行い

 

『寮の門限朝5時、夜20時守れねぇ奴は絞める』

 

『基本自由だけど門限と隣人トラブルだけは気を付けてね』

 

 と言われた

 

 後の事だが成績不振になった時門限無視を繰り返すようになってから何回も関節技かけられたが顔面をぶん殴って寮に入ったりもした

 

 ……当時は荒れてたんだ私はオルフェーヴルさんごめんなさい

 

 そんなこんなで入学式が終わる

 



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やっぱり顔なのか?

 入学式が終わり、クラスに入ると輝くウマ娘が居た

 

 物理的にではなく比喩表現だがそれぐらい綺麗な子が居た

 

 選考レースでも対決したエアエンジェルだ

 

 もう直視できないほと整った顔立ち、髪の毛も黄金色に輝いており、入学そうそうウマ娘内でもファンクラブができる程だ

 

 そんな彼女と話しているのはデーモンコアとメジロファンタジーだろうか……彼女達も私には無い美貌でそこの空間の釣り合いがとれていた

 

「れ、レベルたけー」

 

 他のグループにはスカーレットリボーとサトノヘイロー、シンボリウオッチが話しているし、オリエンタルとハギノセンセキが何やら筋肉について話していた

 

 他の子も皆顔面偏差値が高かった

 

 一方私は145センチの低身長、やや筋肉質な体、目が窪み、骸骨みたいな顔立ちだ

 

 食べてはいるんだけどなかなか顔に肉が付いてくれない

 

 まぁ不細工だ

 

 綺麗に見せる努力はしていても肉が付いてくれないんだから仕方ない

 

 お父さんからはそんなことよりトレーニングしろって言われたがただでさえ片耳っていう有るべき物が無くて違和感凄いのに顔まで悪いんじゃ……ねぇ

 

 第二次成長期が遅かったのが原因でシニアクラス2期でようやく人並みの顔になったがそれまでは不細工とネットで叩かれ続けたなぁ

 

 当時の私はそんなキラキラした皆に混じること無く自席に座り黒子ちゃんと白子ちゃんの会話を聞いているだけだった

 

 

 

 

 

 

 皆で自己紹介をしよう! と担任のトウカイテイオー(東海)先生に言われて皆自己紹介していく

 

「エアエンジェルからじゃあお願い」

 

 席順でやっていくようだ

 

「はい! ……エアエンジェルです! 好きな言葉は勝利! 目標は世界一のウマ娘になることですよろしくお願いします!」

 

 短く誰にも負けないぞって言ったように私は聞こえた

 

 どんどん自己紹介していく

 

「オリエンタル!! 好きなものは筋肉! 好きな言葉は筋肉は裏切らない!! よろしく!!」

 

「サトノヘイローでしすわ! ティアラ路線完全制覇が目標ですわ! よろしくお願いしますわ!」

 

「スカーレットリボーよ! 三冠を目指すわ! よろしく!!」

 

「シンボリウオッチです! シンボリルドルフさんみたいな強くて格好いいウマ娘になれるように頑張ります」

 

「デーモンコア……誰にも負けないウマ娘になる」

 

 続々と言っていき、私の番になる

 

「ミッションタイマーです……認められたいです」

 

「じゃあ次は」

 

「はい! あたしメジロファンタジー! 天皇賞(春)を取って悲願を成就するんだ!!」

 

 私の挨拶は軽く流され、注目されているメジロファンタジーに印象を塗り潰された様に感じた

 

 私はここの誰よりも強く……早くなるんだ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後早速模擬レースに参加した

 

 今日は3レース有るらしく1400、1600、1800メートルのレースだ

 

 私は長距離の方があってると思って1800メートルのレースに参加した

 

 今日は優等生達は参加していないらしくスカウトも少ない

 

 私は好スタートを決めるとそのまま先頭で逃げる

 

 前回はスタミナ切れでガス欠になったから今回は脚が残るように調整する

 

 だがそんなことを習っていない私はペース配分を考えるだけでいっぱいいっぱいになってしまい12人中6着だった

 

 

 

 

 

 

 

「よぉトレーナー! どうだ? 今年は?」

 

「豊作豊作。入試の選考レースを見ていたが何人も成長すれば古バ戦線でG1勝てる逸材揃いだ」

 

 飴を咥えたトレーナー……沖野トレーナーがゴールドシップにそう告げる

 

「しっかしサブトレーナーにお前が成るとは思わなかったぞ」

 

「バカヤローゴルシちゃんが居ないとスピカじゃねーだろ!! ただでさえオルフェの野郎にスピカの主役が乗っ取られそうになってんだ!! 私が居なくなるわけ無いだろ!!」

 

「そういう奴だよなお前は……」

 

「でよートレーナー今のレースで気になる奴居るか?」

 

「そうだな……さっき1800メートルで2着だったサムライスピードって奴……鍛えれば重賞を何勝かしそうだ」

 

「おぉ! 良いじゃねーか……1着はダメなのか?」

 

「1着だったマーマイトは脚に爆弾を持っているな……触ってみれば確実だが触って蹴られた時に折れたら流石にヤバいからな」

 

「こう触ってみたいってのはいなかったか?」

 

「そうだな……6着のミッションタイマーかな」

 

「走り方ちぐはぐしてた奴か? 何でだ?」

 

「筋肉の付き方が歪だし、膝がくっつく程の内股だ……こういうのは稀に走る事が有るからな」

 

「あの骸骨みたいな片耳の奴がか? 走りそうには見えないぞ」

 

「ま、本番は明日のチームリギルの選抜レースだ。名門や実績有る奴が出てくるからな」

 

「おうよ! ずだ袋の用意はしておくぜ!!」

 

「あんまり激しくするなよ」

 

「おうよ!!」

 

(……ただ軸はしっかりしてるんだよな……フォームも少し修正すればレースに出れるレベルではある……まぁ気にしすぎてもしょうがないか)

 

 

 

 

 

 翌日授業を終えグランドに出るとリギルの選抜レースの受付が行われていた

 

「私も出てみよう」

 

 リギルは学園最強と名高いチームだ

 

 現在生徒会のディープインパクトさん、アーモンドアイさん、コントレイルさん、ジェンティルドンナさん、カネヒキリさん、デアリングタクトさんや寮長のモーリスさんなんかもここに所属している

 

 チーム方針は管理主義

 

 データに基づいて練習メニューや食事、レースプランを決めるともっぱらの噂だ

 

 ただこの学園にはもう一つ強いチームがある

 

 チームスピカだ

 

 このチームは選抜レースや模擬レースで気に入った子をずだ袋で誘拐してチームに入れるのが伝統でサブトレーナーのゴールドシップさんをはじめ、ドリームジャーニーさん、寮長のオルフェーヴルさん、キタサンブラックさん、サトノダイヤモンドさん、ブエナビスタさん、シーザリオさん、リスグラシューさん、オジュウチョウサンさんなんかが所属している

 

 うん、凄いメンツだ

 

 あとスピカはメジロマックイーンが所属していた過去からメジロ家のご令嬢が入りたがるなんて噂も聞いたことがあるチームだ

 

 このチームは自由主義、選手の自主性を最大限生かすチームで、練習の縛りも緩いが重要なレース前はスパルタになると噂されている

 

 他に強いところはチームベガやチームカノープスだろうか

 

 チームベガはベガさんやホクトベガさん、アドマイヤベガさん等が所属していたチームで最近でもワールドベガさんがオークスを制覇したりしてる

 

 チームカノープスはレインボーボールさんが居るチームで誘われるのであればこのチームに入りたいなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲートに入りスタートする

 

 チームリギル選抜レース

 

 私は再び先頭を走る

 

 昨日の今日で直るかんじじゃないけど1つずつ反省点を潰していく

 

 今日はペースを意識しすぎてスローペースになった反省から昨日よりも早いペースで走るように意識する

 

 それが上手くハマったのか予選を私は4着でレースを終える

 

 ただ予選上位2名しか本選に行けないから私はここで脱落

 

 でも可能性を感じてもらえたなら誰かしらにはスカウトされるんじゃないかと期待していたが、私には誰もスカウトしてこなかった

 

 

 

 

 

 

 

「予選2グループのゼッケン16番あれどうだ? 4着の」

 

「ダメだな。レースに集中できてない。自分と戦ってる限り永遠に勝てないだろう。俺はスカウトする気にはなれんな」

 

「顔がなぁ……ウイニングライブも客商売だ。グッズが売れないとチームの収益にも俺らの給料にも関わってくるからな」

 

「末脚が無いのが残念だ。あの子よりも才能がある子は今年はゴロゴロしてる。無理してとる必要はないわね」

 

 たまたま私はその言葉を聞いてしまった

 

 ゼッケン16番、2グループは私だ

 

 やっぱり顔なのか? 

 

 私は悶々としながら自主練習を始めるのだった



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デジタルとの出会い

 エアエンジェルがチームリギルに

 

 メジロファンタジーがチームスピカに入った

 

 リギルの選抜レースに参加していた内の半数が何処かしらのスカウトの目に止まりチームに所属していった

 

 例年より早いペースだ

 

 それだけ今年のウマ娘が注目されていることを意味する

 

 私も必死に頑張り、アピールするのだが誰も拾ってくれない

 

 逆アプローチをしても梨の礫……返答なし

 

 片耳の事を耳飾りで隠し、骸骨の様な顔を化粧で隠そうと努力もした

 

 模擬レース、選抜レースが有れば毎回の様に出場し続けた

 

 そうこうしているうちに5月が終わり、6月になっていた

 

 チームが決まっていないのはクラスで私を含めて3人……他クラスを含めても20人いくかいかないかくらいだ

 

 売れ残り……その言葉が頭に過る

 

 売れ残りは悲惨だ

 

 新人トレーナーの研修用として扱われ、ろくにレースに出れないで学園を去っていく

 

 私はレースに出たくてここに来たんじゃない

 

 認められたくて来たんだ

 

 しかし現実は残酷だ

 

 結局私は新人トレーナーが集まる模擬レースの招待状が届くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 模擬レースは左回り芝2000とダート1600、芝1400の3レースのどれかに参加しなければならない

 

 私は模擬レースや選抜レースでまだ2000を走ったことが無かった

 

 しかし長距離ならもしかしたらがあるかと思い、作戦も何時もの逃げから追い込みにシフトしてなるべく新人でもいい人に当たれば良いなぁと思いながら模擬レースに出場する

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ今日もウマ娘ちゃん達に振られちゃったな~。ウマ娘のトレーナーは走らないって迷信信じちゃってる子が多いこと多いこと……」

 

 わたしことアグネスデジタル……今はバ名じゃない本名だと黒井白子はウマ娘のスカウトに上手くいっていなかった

 

 新人研修の成績ではダントツでトップだったが、新人で経験が無い、現役の時のトレーナーは定年で引退していてコネも無い、それにわたし自身がウマ娘だから迷信を信じてる子からいい返事が貰えなかった

 

 もう今年はめぼしいのが取られて駄目かなぁって時に新人研修の話が出てきた

 

 新人で担当ウマ娘が決まっていない人が後学のためにウマ娘をスカウトする制度で俗に言う売れ残りのウマ娘ちゃん達を救う最後のセーフティネットだ

 

 ただやっぱり売れ残りっていうことあってこの新人研修から大成したウマ娘ちゃんは日本国外のアメリカでサンデーサイレンスさん以外聞いたことが無い

 

 つまり日本で大成したウマ娘ちゃんはまだ居ない

 

 それだ質が低いって事

 

「でもでももしかしたらもしかするかもしれないし! そんな子を一流にするのが今のわたしの仕事……あぁ、どんなウマ娘ちゃんが走ってくれるのかな?」

 

 できれば素直な子か努力を惜しまない子が良いなぁと思いながら模擬レース当日を迎える

 

「へー、ほー、ふーん」

 

「よおアグネスデジタルトレーナーじゃん。お前もここに居るってことは」

 

「柴田トレーナーじゃん。そそ、わたしも振られちゃったウマ娘ちゃん達に」

 

「迷信は根強いからなぁ」

 

「でもでももしかしたらがあるかもしれかいでしょ良いの居ないかなぁ?」

 

「あの子はどうだ? ダートに出るモコモコタッグは?」

 

「地方ならなんとか1勝できるんじゃないかなぁってのがわたしの分析かな」

 

「見ただけである程度予測できる頭脳は本当にチートだな」

 

「私が現役の頃からどれだけウマ娘ちゃんを見てきた事か……タキオンの研究室でデータもいっぱい見てきたし」

 

「経験が違うってか……」

 

「おぉ!?」

 

「ん? どうした?」

 

「いや何でもない」

 

(原石ちゃん見っけ!! まさか本当にまだ取られてない子が居るとは……)

 

 はばっと出場者名簿を捲る

 

(芝2000に出場のミッションタイマーか……柔軟性を上げて、適切にトレーニングすれば重賞勝てる肉質はしてるね……どちらかというと2400以上のステイヤーって感じかな?)

 

(模擬レースや選抜レースだと逃げ戦法を得意としているか……声かけとこっと)

 

 

 

 

 

 

 

「1、2、3、4、5、6、7、8……よし」

 

「もう少し股関節の柔軟をやった方が良いよ」

 

「へ!?」

 

「ふむふむ……独学でトレーニングしてきたにしては中々の肉質で」

 

「ひゃ、ひゃい!? 誰ですかあなた」

 

「これは失敬! デジたんことアグネスデジタルだよ!」

 

「アグネスデジタル……アグネスデジタルってG1 6勝の!?」

 

「そうわたしがデジタルです!」

 

「はわわわ凄い人がどうして此処に」

 

「デジたん今年からトレーナーだからねほら」

 

「と、トレーナーバッチ……本当だ」

 

「たぶんこの面子ならミッションタイマー……あなたなら勝てるよ! そんな気がする」

 

「ほ、本当ですか」

 

「もし良かったらわたしのチームに入ってくれない? レース後に誘われるより今誘った方が印象良いでしょ」

 

「ほ、本当ですか! デジタルさんみたいな実績のある人に育てて貰えるなんて嬉しいです」

 

「まぁとりあえずレースには出てよ。走り方を見て修正するからさ」

 

「は、はい!! 頑張ります」

 

 まさかこんな所にあの有名なデジタルさんが居るなんて……しかもチームに誘っていただいた!! 

 

 本当に? 骸骨みたいな私で良いのかな……

 

 とりあえずレースに集中しよう! 

 

 言われた股関節の柔軟もしっかりして……よし! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デジたんの予想的中」

 

「あの骸骨みたいな子か? 確かミッションタイマーだったか」

 

「唾着けたのわたしだからね柴田トレーナー」

 

「あ、あぁ……本当に取るのか? もっと可愛い子なら沢山居るだろ」

 

「あの子有ったら目がギラギラしてた。凄まじい何かを持っている気がする……だから取るんだ」

 

「そこまで言うか……その子がどんな成長をするか楽しみにしてるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 こうして私はアグネスデジタルトレーナーに引き取られた

 

 ここが私の人生の第一のターニングポイントになったのは言わずもがなである

 

 本当に嬉しかった



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皐月賞

『さぁ今年も熱き皐月賞の季節がやって来ました。実況はわたくし赤坂と』 

 

『解説の安田でお送りします』

 

『安田さん、今年は無敗のウマ娘がなんと2人も居ますよ』

 

『エアエンジェルとデーモンコアですねどちらも先行策が得意なウマ娘です』

 

『他にも注目と言えば京都ジュニアステークス、シンザン記念勝ちウマのスカーレットリボーとスプリングステークス勝ちウマのメジロファンタジーでしょう』

 

『スカーレット一族のスカーレットリボーとメジロ一族のメジロファンタジー……両者も由緒正しきご令嬢です』

 

『他にも注目なのが京成杯勝ちウマのワクチンときさらぎ賞勝ちウマのシンボリウオッチですね』

 

『今年はシンボリのご令嬢までいます……どの子が勝ってもおかしく有りません』

 

『4強が勝つのか……それとも他の子が主役となるのか期待です』

 

『パドックが始まります』

 

 

 

 

 

 

『1枠1番サムライスピード』

 

「イエーイピースピース!!」

 

『元気いっぱいの子ですね! 逃げを打ってペースを掴みたいところ』

 

『1枠2番ミッションタイマー』

 

(……白子ちゃんと黒子ちゃんも出るんだ……今回は私が勝つよ)

 

「あ、あの……頑張りますので応援してください

 

「なに言ってるかわかんねーぞ!!」

 

「エアエンジェルのレースぶっ壊すなよ」

 

「2000走りきれよまた1800で壊滅か?」

 

すみません……邪魔しないように走ります

 

『この子も逃げが得意ですから先頭を行きたいところ頑張ってほしいですね』

 

 解説の人からも事務的な事を言われた

 

 大丈夫……白子ちゃんに黒子ちゃんが一緒に走ってくれるんだもん……今度こそ1着を……

 

『2枠3番スカーレットリボー!』

 

「ふん!」

 

 真っ赤な長い髪を靡かせクルっと回る

 

「キャースカーレット様!!」

 

「頑張ってくださいまし!!」

 

『彼女がこのパフォーマンスをするということは気合いが入ってますね4強の1角です。好走を期待したい』

 

『2枠4番オリエンタル』

 

「頑張りマッスル!!」

 

『発達した筋肉から繰り出される鋭い末脚は期待できます』

 

『3枠5番ラッキーセブン』

 

「マジやば!! G1勝っちゃうよー」

 

『伏兵として怖いのはこの子でしょう9番人気です』

 

『3枠6番メジロファンタジー!』

 

「「「せーのファンタジー!!」」」

 

 メジロファンタジーは声援に向かって手を振った

 

「「「キャー!!」」」

 

『まさにイケメンウマ娘ですね! 観客席の皆さんもメロメロです』

 

『彼女の実力はエアエンジェルと並ぶ物を持っています! 2000メートルは彼女にとって短いでしょうが十分勝つ要素は多数有りますよ! 4強の1人です』

 

『4枠7番ワクチン』

 

「ワクワクドキドキハラハラさせるゼ~!!」

 

『4強に食らい付くのは私だーエンターテイナーワクチン!!』

 

『4枠8番シンボリウオッチ』

 

「見ていてくれ僕の走りを」

 

「見てるぞ頑張れー!!」

 

「あぁトレーナー!! 頑張るよ」

 

『トレーナーも気合いが入ってますねシンボリ家のご令嬢のシンボリウオッチです』

 

『例年なら間違いなくこの子が本命でしたでしょう。強力なライバル達にどう食らい付くか見物です』

 

『5枠9番タダノエスプレス』

 

「応援ありがとー」

 

「タダノちゃん頑張れー」

 

「追い込み期待してるぞ」

 

『最後尾からのまくりあげる競バは見ていて楽しいものがあります! 今回も見せてくれるか』

 

『5枠10番……エアエンジェル!!』

 

「「「キャー」」」

 

「エンジェル様!!」

 

「こっち向いて!!」

 

 一歩一歩が気品に満ち溢れていて無敗の重圧に全く負けない彼女の姿があった

 

『おお、いつ見ても美しいですね』

 

『このレースの主役はまさに彼女ですね天は二物を与えずという言葉は彼女には通用しない100年に1人の美少女ウマ娘が三冠の第一関門皐月賞に挑みます』

 

『6枠11番デーモンコア!!』

 

「デーモンコアさん!!」

 

「勝てよデーモン!!」

 

『もう一人の主役の登場です』

 

『2歳王者のデーモンコア、こちら無敗で三冠の第一関門皐月賞に挑みます』

 

『6枠12番スピアーノ』

 

「絶対勝つ!!」

 

『気合いが入ってます調子も良さそうです』

 

『7枠13番ダノンピアノ』

 

「ダノンの名において」

 

『ダノンの令嬢勝利に向けていま走ります』

 

『7枠14番マチカネソーマ』

 

「シラオキ様!!」

 

『マチカネフクキタルの娘です瞬間最大風速になれるか』

 

『8枠15番エイシンサレンダ』

 

「真面目に計算的に」

 

『先行策で周囲にプレッシャーを与えられるか』

 

『8枠16番スイープミドリ』

 

「……頑張る」

 

『サイボーグと呼ばれる彼女皐月賞まで長かった11戦目になります』

 

『頑丈さが売りの彼女がいかに上位に食らい付くか』

 

『9枠17番メイショウサザエ』

 

「張り切ってこう!!」

 

『今までの勝ちはすべてマイル以下距離は長いが大丈夫か』

 

『9枠18番ディープバズーカ』

 

「バクシンバクシンバクシンバク神様の教えを!!」

 

『ディープインパクトの親族ですこの子も全力で逃げるでしょう』

 

『以上フルゲート18人の出走になりますファンファーレの開始です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全力で逃げつつ大逃げに見せてスローペースに持ち込んで足を残す……無謀かもしれないけどこれくらいしないと彼女達には勝てない

 

 4強と呼ばれるお嬢様方

 

 誰もが彼女達に注目し、その誰かが勝つと思っている

 

 それを砕こうじゃないか

 

 見せてやる……黒子ちゃん、白子ちゃん……私に力を

 

 

 

 

 

 

 

『ゲートに全員収まりました』

 

 ガッゴン

 

『スタートしました』

 

『おおっとディープバズーカ、サムライスピードの逃げの2人が大きく出遅れた!!』

 

『ペースメーカーは!! ミッションタイマー大逃げです! 先頭をグングン離していく一人旅だ!!』

 

『2番手にエイシンサレンダがペースを作ります。すぐ後ろにダノンピアノ、エアエンジェルはここ4番手、横にぴったりと張り付くメジロファンタジー、その後ろにはデーモンコア、1バ身離れてスカーレットリボー4強は固まっております』

 

『その後ろからメイショウサザエ、スイープミドリ、シンボリウオッチ、ワクチンと続きます。マチカネソーマと続いて2バ身離れてスピアーノ、更に1バ身離れてタダノエスプレス今日はやや前か』

 

『オリエンタルとラッキーセブンがその後ろ、ディープバズーカとサムライスピードはここから巻き返しなるか』

 

『第一コーナーを回って坂を下り直線に先頭のミッションタイマーが入ります後続とは7バ身か今1000メートルを通過しましたタイムは59秒9! 後続は1分01秒ペース』

 

『完全にペースを騙しています。コース取りも上手いですね』

 

『このままやられる4強ではないギアを1段階上げてきた』

 

『しかし4人とも牽制しています』

 

『現在ミッションタイマーとの差は10バ身!! セーフティリードとなるか』

 

『最終コーナーにミッションタイマーは入ったエアエンジェル、デーモンコア、メジロファンタジーがバ群から抜け出し猛追を開始スカーレットリボーはバ群に沈んでいく』

 

『ミッションタイマー最後の直線に入った!! 中山の直線は短いぞ』

 

『心臓破りの坂があります普通なら失速しますが』

 

『スローペースが生きた生きた!! まだまだ脚は残っている猛追する3人からまだ5バ身!!』

 

『エアエンジェル抜け出した!! 驚異の末脚!! まるで空を飛んでいるかのようだ!! 1人だけエンジンが違う』

 

『粘る粘るミッションタイマー残り100メートル!』

 

『エアエンジェル差しきるか残り3バ身、2バ身、1バ身届かないか!! 今ゴールイン』

 

『エアエンジェル届きませんでした! 皐月賞を勝ったのは伏兵ミッションタイマー10番人気!! 誰が予想したか彼女が勝つのを!!』

 

『3着メジロファンタジー、4着デーモンコア、5着ワクチンとなります』

 

『皆素晴らしい走りでした大きな拍手をお願いします』

 

 解説の安田さんが皆に拍手をお願いするが拍手をするのは少数で、皆ざわついていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念ながら2着に破れたエアエンジェルさんにインタビューをしたいと思いますエアエンジェルさん何か一言お願いします」

 

「……まず勝者を讃えるべきです。私は敗者、今の主役は私では無くミッションタイマーです。順番があるでしょう」

 

「し、失礼しました」

 

 全く……失礼な記者だ……しかし今年は私を含めメジロファンタジーかデーモンコア、スカーレットリボーの誰かが勝つとバチバチにライバル宣言して結果彼女の逃げに追い付けなかったか……視野が狭まっていたな

 

 反省反省

 

 ……だがダービーは勝たせてもらうぞミッションタイマー

 

「ミッションタイマー?」

 

 

 

 

 

 

「ミッションタイマーさん勝利おめでとうございます……ミッションタイマーさん?」

 

 明らかに様子がおかしい

 

 勝ったのに負けたように落ち込んでいるし、涎をダラダラとたらし泣いている

 

 目の焦点も有っていない様だ

 

「ミッションタイマーさん大丈夫ですか? ミッションタイマーさん」

 

「私は3着でしたよね……前に二人いましたもん」

 

「はい?」

 

「先にゴールした子が二人居ましたよね!!」

 

「あなたが勝者ですよ」

 

「嘘だ!!」

 

「私には見えるんだ白子ちゃんと黒子ちゃんが勝ったのを私はまた敗者なんだ……」

 

 ヤバいなこの人危ない人だ

 

「タイマー!!」

 

 アグネスデジタルが飛んできた

 

「タイマー大丈夫かい!! タイマーしっかりするんだ」

 

 いつもはジュルリラとか言ってウマ娘のストーカーをすることで有名なアグネスデジタルトレーナーが真剣にミッションタイマーに呼び掛ける

 

「デジタルさんごめんなさい負けちゃった」

 

「君は勝ったんだよ何で泣いてるのさ」

 

「違う、勝ったのは黒子か白子のどっちかだ」

 

 鼻血まで出てきた

 

「トリップしてる……幻覚を見ているのか……」

 

「白子ちゃん! 黒子ちゃんおめでとう……ほら、デジタルさんも勝者に挨拶してくださいよ……私の大切な友達なんです」

 

「もういい、落ち着くんだ。そこには誰も居ないんだ」

 

 異常な光景だった

 

 記者達は絶句しながらその光景をただ見ていることしかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミッションタイマーはウイニングライブを辞退

 

 勝者不在のウイニングライブだったがエアエンジェルがセンターだったため盛り上がった

 

 盛り上がってしまった

 

「やっぱり私は勝者ではないんだ」

 

 

 翌日トレセン近くの総合病院の精神病棟へミッションタイマーは緊急搬送された



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日本ダービー

 病室から空を眺めた

 

 鍵がない開かない窓から見えた空はとても澄んでいた

 

 黒子と白子は幻覚だった

 

 唯一の友達を失った私に残ったのはなんだろう

 

 恩師がいる

 

 チームメイトもいる

 

 ルームメイトもいる

 

 お父さん、お母さんもいる

 

 なんだ私にはまだいっぱい頼れる人が居るじゃないか

 

「先生」

 

「どうしたんだい小西さん」

 

「日本ダービーに私は間に合いますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病院食が合わず体重はみるみる落ちた

 

 薬漬けにされて思考力も落ちた

 

 ただ策戦を考える時間だけは沢山あった

 

 私は周囲から終わったウマ娘として見られているだろう

 

 冗談じゃない……私はまだ終わってない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1400メートル時点でスパートをかけるなんて無茶だ……それ以前に私はダービーを辞退することも考えてるんだぞ」

 

「デジタルさん……私は本気だ」

 

「そのガリガリの姿で走ってみなよ! 怪我するだけじゃ済まないぞ」

 

「それで結構……私は三冠を達成する。そうすれば4強ではなく私にようやく世間は見てくれる」

 

「それはそうだけど……」

 

「私も反対です何でそんなに身を削る必要が有るんですか!!」

 

「メジロエンジンか。聞いてたのか」

 

「退院してすぐに坂路走って……怪我しちゃいますよ」

 

「頼む一生に1度のダービーなんだ私は勝てるビジョンが有るんだ」

 

「まずは体重を戻しなさい。話はそれからだよ」

 

「デジタルさん!」

 

「……最終追いきりまで見守る。GOサインはそこで決める」

 

「それでも良い……必ず勝つ」

 

 

 

 

 

 

 

「人が変わりましたねミッションタイマーさん……デジタルトレーナー」

 

「幻覚が見えていたことに気がつかなかった私の責任だ……たぶん幻覚が見えなくなったことでようやく補助輪が取れたんだろう」

 

「補助輪ですか?」

 

「黒子と白子と言ったか……その二人が居たことで辛い現実から隠れていたんだ。それが無くなって少しばかり堂々とできるようになったんだろう」

 

「……ただ今のミッションタイマーさんは怖いです」

 

「ダービーはそれだけ人を狂わせるんだ……エアシャカールちゃん達がダービー出てた時も人が変わったような子は居たからね……トレーナーは支えることしかできないからそこが辛いね……メジロエンジンちゃん、私生活で無茶しないように見張ってくれないかい」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『日本ダービー……その戦いに勝てれば引退しても良いと言ったトレーナーがいた

 

 その戦いに勝てれば燃え尽きてもかまわないと言ったウマ娘がいた

 

 多くの人、ウマ娘を狂わせる

 

 熱く、激しい戦いが今始まる

 

 勝負の世界へようこそ

 

 日本ダービー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今年のクラシッククラスのウマ娘達が姿を現します実況はわたくし赤坂と解説の』

 

『竹ですよろしくお願いします』

 

『竹さん、今年もやってきましたねこの季節が』

 

『ええ、昨年も熱い戦いが繰り広げられました。今年の最も幸運なウマ娘が勝つこのレース誰が制するのでしょうかね』

 

『やはり注目はエアエンジェルとデーモンコアでしょうか』

 

『そうですね、エアエンジェルは前走の皐月賞では惜しくも2着でしたが驚異の末脚で会場を湧かせてくれました。デーモンコアはNHKマイルカップを勝利し、誰かが言い出したか解りませんがマツクニローテに挑みます』

 

『NHKマイルカップと日本ダービーを勝つことによる変則二冠ですね。このローテを勝ったウマ娘は必ず強いと証明されますからね……中2週を連続で行ったデーモンコアの疲労は大丈夫でしょうか』

 

『脚部異常の報告は有りません。パドックでの様子でわかるでしょう』

 

『さぁパドックになります』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『1枠1番ワクチン』

 

「熱烈大歓迎!! ワクチン様だ!!」

 

『皐月賞では5着でしたが今回も見せてくれるかワクチン劇場!!』

 

『1枠2番サイタマ』

 

「さいたまー!! さいたまー!!」

 

『青葉賞2着の実力バです。ここでも末脚爆発かサイタマ』

 

『2枠3番エアエンジェル!!』

 

「……ダービーは取る」

 

『人気と実力と美貌を兼ね備えています。今日こそその美しき容姿をウイニングライブで見られるか!!』

 

『いつ見ても美しいですね』

 

『2枠4番シンボリウオッチ』

 

「今日はルドルフさんも来てる……無様な姿は見せられない!!」

 

『手を振っている先には居るのはシンボリルドルフでしょか』

 

『注目されてますね』

 

『3枠5番テイエムジュール』

 

「オペラオー様! 勝ちますから見ていてくださいまし!!」

 

『青葉賞1着の差しウマ娘です。その末脚を今日も見れるか』

 

『3枠6番オーシャンブルー』

 

「絶対勝つ!!」

 

『こちらはプリンシパルステークスの勝ちウマ娘です。得意の幻惑戦術で勝利を狙います』

 

『4枠7番タダノエスプレス』

 

「今日こそ勝つからね!! 応援よろしく!!」

 

『皐月賞で不発だった豪脚を今度は見せてほしいですね』

 

『4枠8番メジロファンタジー』

 

「4強最強は私だー!」

 

「ファンタジー頑張って!!」

 

「ファンタジーさん応援してます!」

 

『メジロ家の応援団も応援に熱が入ります3番人気です』

 

『5枠9番スピアーノ』

 

「ダービーは絶対取る!!」

 

『皐月賞よりも調子が良さそうですね7番人気です』

 

『5枠10番エイシンサレンダ』

 

「今日はペースメーカーなんて言わせない」

 

『前走では不本意にペースメーカーとなりましたが今回こそ計算された先行策を取りたいところ』

 

『6枠11番デーモンコア』

 

「変則二冠取れよデーモン!!」

 

「お前の強さ見せてくれ!!」

 

『熱い声援がここまで聞こえてきます2番人気デーモンコア、変則二冠に向けて出撃……現在G1最多の2勝です』

 

『6枠12番スカーレットリボー』

 

「スカーレットの意地を見せつけるわ」

 

『前走ではバ群に沈んでしまいましたが、強さは折り紙付きです』

 

『今日も頑張ってほしいですね』

 

『7枠13番オリエンタル』

 

「マッスルマッスル!!」

 

『今日もキレッキレの筋肉ですね! フィジカルの強さはピカ一です』

 

『7枠14番マチカネソーマ』

 

「シラオキ様!! 今度こそ」

 

『今日も天に向かって祈っています! 頑張ってほしいところです』

 

『8枠15番スイープミドリ』

 

「……全力で勝ち取る……ダービー」

 

『相変わらず壊れないサイボーグっぷりです。無事之名バの体現者として勝利を目指してほしいですね』

 

『8枠16番ミッションタイマー』

 

 

「……」

 

「おいおい大丈夫かよ」

 

「体重マイナス10kgだとよ」

 

「なんで8番人気なんだ?」

 

「皐月賞勝ってるからじゃね?」

 

「いや買ったやつバカだろガリガリじゃねぇか」

 

「なんでこんな状態で出したんだ……トレーナーもバカだろ」

 

『……大丈夫でしょうか』

 

『見た限り状態は悪いようですが健闘を期待しましょう』

 

 私を見て皆私の勝利を切っている

 

 期待されていない

 

 そうだ、それで良い

 

 勝つには私は居ないものとするのが良い

 

 私の第一関門はクリアーした

 

 ……持ってくれ私の体……ダービーを取って菊花賞も取って……誰がこの世代の覇者か教えるんだ

 

 

 

 

 

『9枠17番ディープバズーカ』

 

「今日こそバクシンします!!」

 

『見せてくれるかバクシン魂』

 

『9枠18番カレンダー』

 

「せっかく出れたんだ!! 伏兵でもなんでも良い1つでも良い順位を!!」

 

『以上18名フルゲートで行われる日本ダービーです』

 

『どの子が勝つのかわかりませんファンファーレが始まります』

 

 

 

 

 

 好スタートから後ろに圧をかけながら最後尾に下がる

 

 体調が悪いのは周知の事実

 

 無理できない、リタイアしたと思わせることが第二関門だ

 

 

『東京レース場芝2400メートル灼熱のダービーが始まります』

 

『ゲートに全員入りました』

 

 ガコン

 

『スタートです16番ミッションタイマー好スタートそのまま逃げるか……いや失速しています』

 

『やはり体調が厳しいのでしょうか』

 

『やや斜めに下がっていきますオリエンタル、マチカネソーマ、スイープミドリの3人がやや不利を受けたか』

 

『これは妨害にはなりません。ならないように下がっていますが3人は走りにくそうですね』

 

『ペースを作るのはシンボリウオッチ先頭です。その後ろにぴったりとエイシンサレンダ、タダノエスプレスが1バ身離れた所に居ます』

 

『エアエンジェルはここ! エアエンジェルをピッタリマークするのはメジロファンタジー、デーモンコア、スカーレットリボー4強はここで固まっております』

 

『ワクチンが今回は8番手先頭集団はこの位置まででしょうか団子のように固まっております』

 

『3バ身離れてスピアーノ、ディープバズーカ、オリエンタル、カレンダーと続きます』

 

『1バ身離れてスイープミドリ、サイタマ、テイエムジュール、オーシャンブルーまでがポジション的には差しでしょうか2バ身離れてマチカネソーマ、最後尾にミッションタイマーです』

 

『綺麗に先頭集団と後方集団が別れましたマチカネソーマとミッションタイマーは厳しいか』

 

『オーシャンブルーが中段までポジションを上げていきます。それを不気味にサイタマが追っていきます』

 

『先頭シンボリウオッチ第一コーナーから第二コーナーにさしかかります』

 

『タダノエスプレスがエイシンサレンダを抜かして2番手につきます』

 

『スローペースですね。これは直線勝負になりそうです』

 

『後方集団が先頭集団との間を詰めていきます上空から見ると最後方のマチカネソーマとミッションタイマー以外は団子になっていますね』

 

『1000メートルの通過タイムは1分02秒0です』

 

『やはりスローペースですね』

 

『ミッションタイマーがマチカネソーマを抜かして後方集団に追い付きます。先頭はまだシンボリウオッチです』

 

 第二関門クリア

 

 後は自分との勝負! 

 

 皆騙されろ

 

『エアエンジェルがメジロファンタジー、デーモンコア、スカーレットリボーを牽制しています……スカーレットリボーかかってないか? ペースを上げます』

 

『悪手ですね。ペースが乱されています』

 

『ワクチンがポジションを上げ今メジロファンタジーに追い付きました』

 

『いや~混沌としてきました互いを牽制して出方をうかがっています』

 

『第三コーナーを終えて第四コーナーに入ります』

 

『後方集団がざわついています』

 

『どうしたんでしょうか?』

 

『シンボリウオッチからスカーレットリボーに先頭が変わります』

 

『府中の直線は長いぞ』

 

『500メートル超えの直線……これは末脚勝負になりそうです……ん?』

 

『最後尾の一団に居たハズのミッションタイマーが大外を回って先頭に躍り出た』

 

『外ラチギリギリの奇襲に先頭集団が気がついてない』

 

『2バ身、3バ身離していく! どこにそんなスタミナが残されていたのか!』

 

『残り400メートル坂を登っていきます』

 

『スカーレットリボーはここまでかズルズル後退していきます』

 

『ワクチンが集団から飛び出た! しかし後ろから凄まじいプレッシャーを放ちながらやって来るのはエアエンジェル!』

 

『エアエンジェル仕掛けた!! マークしていたメジロファンタジーとデーモンコアも追撃を開始』

 

『シンボリウオッチを抜いて、タダノエスプレスも抜いて、エイシンサレンダも抜いていく!!』

 

『残り200メートル先頭はまだミッションタイマー!! ここで更に加速していく』

 

『どこにそんなパワーが有るのか!!』

 

『エアエンジェル抜け出した残り100メートル』

 

『凄い末脚!! しかしまだ先頭はミッションタイマー!! これは皐月賞の様に間に合わないか!!』

 

『残り50メートルエアエンジェル笑っている! そこは先頭じゃない!! 見えていないのか!! 先頭は黒鹿毛の少女だぞ』

 

『メジロファンタジー、デーモンコアも集団から抜け出した! しかし彼女らは見えているミッションタイマーの姿が!!』

 

『今ミッションタイマーがゴールイン!! 半バ身差でエアエンジェルが続くエアエンジェル拳を上げた! 違う君じゃない! 勝者は黒い髪の毛を靡かせたガリガリの少女……ミッションタイマーだ!!』

 

『3着メジロファンタジー、4着デーモンコア、5着意地を見せましたスカーレットリボーです』

 

『4着まで皐月賞といっしょです! またしてもエアエンジェル2着!! 誰が予想できたか! 体調不良を気合いと策略でクリアーしましたミッションタイマー!!』

 

『勝ち時計は2分23秒4!! 賞金2億円を手にしたのはミッションタイマーとチームガンマです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミッションタイマーさんおめでとうございます」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「闘病生活をえて掴み取ったダービー、作戦通りでしたか?」

 

「勝つためにはこれしかないと思いました。作戦通りならもっと楽に勝てたと思います」

 

「半バ身差の決着見事でした……次のローテは決まってますか?」

 

「次は体調次第ですが札幌記念から再始動したいと思っています」

 

「体調を戻して頑張ってもらいたいです」

 

「はい! 頑張ります」

 

 

 

 

 

 

 

 ウイニングライブはやっぱり困惑の声が大きかった

 

 上がり3ハロン最速はやっぱりエアエンジェルさんだし、運が良かっただけと思われてるみたい

 

 菊花賞で観客に思い知らせてやる

 

 誰がこの世代の覇者かを



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不細工な二冠バ誕生する

1:名無しのウマ娘応援団

 

 最弱の二冠ウマ娘誕生する

2:名無しのウマ娘応援団

 

 容姿×体格×歌×・・・エアエンジェルと代われや 

3:名無しのウマ娘応援団

 

 あれだけ史上最高の皐月賞って言われてたのにダービー終わればこれか

4:名無しのウマ娘応援団

 

 マスコミが持ち上げすぎた

5:名無しのウマ娘応援団

 

 エアエンジェル様・・・

6:名無しのウマ娘応援団

 

 <<5完璧にシルコレ路線やね

7:名無しのウマ娘応援団

 

 ブロコレのメジロファンタジー

8:名無しのウマ娘応援団

 

 メジロファンタジーは3000からだから

9:名無しのウマ娘応援団

 

 まぁ確かにメジロファンタジーに2400は短いか?

10:名無しのウマ娘応援団

 

 ワクチン頑張ってくれ

11:名無しのウマ娘応援団

 

 ワクチン師匠可愛いし漫才おもろいから職には困らないよな

12:名無しのウマ娘応援団

 

 芸人で食っていける逸材

13:名無しのウマ娘応援団

 

 何でレース走ってるんですかね

14:名無しのウマ娘応援団

 

 悲報オーシャンブルーダート路線へ変更

15:名無しのウマ娘応援団

 

 ま??

16:名無しのウマ娘応援団

 

 https://syosetu.org/1.html

17:名無しのウマ娘応援団

 

 ほんとやん

18:名無しのウマ娘応援団

 

 芝から逃げたか

19:名無しのウマ娘応援団

 

 エアエンジェルどうするんこれ?ホープフルしかG1勝ってないけど

20:名無しのウマ娘応援団

 

 エア家に3000は長すぎちゃうか?

21:名無しのウマ娘応援団

 

 デーモンコアはG1 2勝で一応G1勝利数世代タイか

22:名無しのウマ娘応援団

 

 ブスに二冠も取られて恥ずかしくないんか

23:名無しのウマ娘応援団

 

 ここまで顔面偏差値低いウマ娘始めてみたわ

24:名無しのウマ娘応援団

 

 ミッションタイマー皐月賞とダービー以外の重賞勝ってないんよな

25:名無しのウマ娘応援団

 

 強いか弱いかで言ったら間違いなく弱いぞこいつ

26:名無しのウマ娘応援団

 

 上がり3ハロン36秒代やぞこいつ

27:名無しのウマ娘応援団

 

 エアエンジェルダービーの3ハロン33秒6うーんなぜ勝てない

28:名無しのウマ娘応援団

 

 でも勝ち時計のタイム的にはディープやキンカメに並ぶんよな

29:名無しのウマ娘応援団

 

 近年の高速バ場なら出るやろそれぐらいのタイム

30:名無しのウマ娘応援団

 

 いやでもあれだけスローペースで最後であれだけタイム縮めるのはやっぱ凄いんやないか?

31:名無しのウマ娘応援団

 

 ミッションタイマーやっぱり作戦勝ちとしか言えんだろ最後尾からごぼう抜きやで

32:名無しのウマ娘応援団

 

 外ラチギリギリ通ってるからコースのロスも凄かっただろうしやっぱり強いんやないかこいつ?

33:名無しのウマ娘応援団

 

 でもエアエンジェルかって欲しいな皐月賞のウイニングライブメチャクチャ盛り上がったし

34:名無しのウマ娘応援団

 

 あの美貌でダンスキレッキレだもん反則やろ

35:名無しのウマ娘応援団

 

 スカーレットリボーは2400明らかに長かったよな

36:名無しのウマ娘応援団

 

 途中でバテてたしな

37:名無しのウマ娘応援団

 

 適正距離どこら辺やろ?

38:名無しのウマ娘応援団

 

 マイル辺りじゃないか?短距離はキチーやろ

39:名無しのウマ娘応援団

 

 今世紀一番盛り下がったダービー

40:名無しのウマ娘応援団

 

 しゃあないあんなガリガリ小娘が踊っても故障しないかハラハラでとてもじゃないが見れないもんあれ

41:名無しのウマ娘応援団

 

 現地で見てたが骨と皮しかなかったな

 

目がくぼんてたし

42:名無しのウマ娘応援団

 

 デジたんはあの状態でよく出したよ

43:名無しのウマ娘応援団

 

 「デジタルさんまじですか?」

 

「最後まで悩んだが最終追いきりで走ると見た」

44:名無しのウマ娘応援団

 

 黒井最強

45:名無しのウマ娘応援団

 

 黒井最強

46:名無しのウマ娘応援団

 

 黒井最強

47:名無しのウマ娘応援団

 

 変態の教え子早くも二冠を取りウマ娘がトレーナーだと大成しないジンクスを打ち砕く・・・黒井最強

48:名無しのウマ娘応援団

 

 あの応援したくなくなる容姿さえなければなぁ

49:名無しのウマ娘応援団

 

 皐月賞の10番人気も謎だがダービーはもっと謎人気だろ・・・マイナス10キロだぞ

50:名無しのウマ娘応援団

 

 G1最低体重更新だもんな

51:名無しのウマ娘応援団

 

 メロディーレーンちゃんは可愛くてちっちゃくて応援したくなるようなウマ娘だったのに

 

それ並みの体重でこれとか

52:名無しのウマ娘応援団

 

 ボロクソに書いてるがたぶんこいつ菊花賞とるで

53:名無しのウマ娘応援団

 

 は?

54:名無しのウマ娘応援団

 

 は?

55:名無しのウマ娘応援団

 

 は?ありえんやろ

56:名無しのウマ娘応援団

 

 まぐれが2回も起きただけで奇跡なのにこいつが三冠取ったら天変地異の前触れやで

57:名無しのウマ娘応援団

 

 ダービーの前もそんなこと言ってた奴いなかったか?

58:名無しのウマ娘応援団

 

 まじで何で8番人気か謎15番人気位が妥当だったろ

59:名無しのウマ娘応援団

 

 「楽しんでいただけたかな?」

60:名無しのウマ娘応援団

 

 ちくわ大明神

61:名無しのウマ娘応援団

 

 バ券まじでエアエンジェルとメジロファンタジーのワイドで良かったと思ってる

62:名無しのウマ娘応援団

 

 1.1倍やんけ草

63:名無しのウマ娘応援団

 

 1番人気と2番人気ワイドで買うなよ

64:名無しのウマ娘応援団

 

 嫌な予感したんや

65:名無しのウマ娘応援団

 

 当ててるから文句言えんやろ

66:名無しのウマ娘応援団

 

 ミッションタイマーの単勝いくらやっけ?

67:名無しのウマ娘応援団

 

 8500円の85倍や

68:名無しのウマ娘応援団

 

 8番人気でそれって上位どんだけ人気吸ってんだよ

69:名無しのウマ娘応援団

 

 しゃあないエアエンジェル単勝1.2だしデーモンコアも単勝2.0だったし

70:名無しのウマ娘応援団

 

 デーモンコアも距離長すぎたやろな

71:名無しのウマ娘応援団

 

 言うて先頭と2バ身しか離れてない4着だし適正は有るんちゃう?

72:名無しのウマ娘応援団

 

 いや完全にマツクニローテの疲弊だろ

73:名無しのウマ娘応援団

 

 皐月賞→NHK→ダービーは無茶やってやっぱり

74:名無しのウマ娘応援団

 

 デーモンコアスピカやっけ?

75:名無しのウマ娘応援団

 

 メジロファンタジーがスピカ、デーモンコアはターボ師匠が居たところ

76:名無しのウマ娘応援団

 

 カノープス

77:名無しのウマ娘応援団

 

 そうそこ

78:名無しのウマ娘応援団

 

 ティアラ路線はまぁ妥当なところが勝ってるよな

79:名無しのウマ娘応援団

 

 マイネルサダシアとサトノヘイローかあとシルコレのハギノセンセキ

80:名無しのウマ娘応援団

 

 ミッションタイマー次何走るの?

81:名無しのウマ娘応援団

 

 確か札幌記念

82:名無しのウマ娘応援団

 

 二冠バだよな?直行や神戸新聞杯、セントライト記念挟んで行くんちゃうの?

83:名無しのウマ娘応援団

 

 札幌→神戸新聞杯→菊花賞のローテらしい

84:名無しのウマ娘応援団

 

 うーん、体重まず戻せ

85:名無しのウマ娘応援団

 

 どうなるんやろ菊花賞

86:名無しのウマ娘応援団

 

 だからメジロファンタジーだって勝っとけ損は無いから

87:名無しのウマ娘応援団

 

 ワクチンがオールカマーから始動らしい

88:名無しのウマ娘応援団

 

 ファ?ワクチン勝てるんか?

89:名無しのウマ娘応援団

 

 キチ~やろ

90:名無しのウマ娘応援団

 

 ワクチンは応援したくなるからなぁ

91:名無しのウマ娘応援団

 

 勝ったら本命候補になるぞ

92:名無しのウマ娘応援団

 

 エアエンジェルだと思うがなぁ

93:名無しのウマ娘応援団

 

 だからエアエンジェルは距離きついって

94:名無しのウマ娘応援団

 

 他いないの?

95:名無しのウマ娘応援団

 

 マッスルことオリエンタル

96:名無しのウマ娘応援団

 

 あぁあの筋肉か

97:名無しのウマ娘応援団

 

 ステイヤー的な体格ではないが何か有りそうだから期待してる

98:名無しのウマ娘応援団

 

 まぁとりあえず札幌記念で二冠バがどうなるかやね

99:名無しのウマ娘応援団

 

 シニアクラスにけちょんけちょんにされないか不安

100:名無しのウマ娘応援団

 

   △  ¥ ▲

  ( ㊤ 皿 ㊤)  がしゃーん

  (      )      

 /│  100 │\         がしゃーん

<  \____/  >

    ┃   ┃

    =   =

100ゲットロボだよ

100をゲットしてくれる凄い奴だよ

 



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トレセン学園から脱走

 ジャパンカップで8着になった時シンボリルドルフ理事長に呼び出された

 

「昨今の成績低迷は不甲斐ない……なぁミッションタイマー」

 

 理事会の面々が私の周りの座席に座る

 

 普段は会議等に使われているであろう机がコの字の様に並べられ、私はコの字の空いている部分に立っている

 

「もう十分だろ。君は終わったんだ」

 

「……何を言っているかわかりません」

 

「これでも直接的だと思ったんだがもっと真っ直ぐ言わなければならないか……引退かドリームトロフィリーグに移籍しろミッションタイマー」

 

「嫌です」

 

「もう頑張らなくても良い十分に実力が無い中頑張ったさ……三冠の重圧に耐えきれないのだろもう良いじゃないか」

 

「なぜ私が引退しなければならないのですか! なぜドリームトロフィリーグに移籍しなければならないのですか!!」

 

「貴様の成績が不甲斐ないからだ!!」

 

 ドンっと机をシンボリルドルフさんは叩いた

 

「ファンも少なくアンチばかり、成績は低迷し、G1では4着がやっと……G3、G2でも勝利はなくいつまで恥を晒すつもりだ?」

 

「私のようにドリームトロフィリーグで完全復活すれば良いじゃないか」

 

 ナリタブライアン理事が援護とも言えない援護をしてくれるが私の思考は怒り一色だ

 

「私は確かに菊花賞のダメージで低迷してしまっている! でも札幌記念で復調してきてるんです! それに身長が急速に伸びて歩幅の調整が難しくて苦戦しているだけで成長が止まればまた勝てるようになります! 信じてください」

 

「……いいかい、君は三冠バだ。ただのG1バならこんな事は言わないさ……君は三冠バなんだ。いつまで名誉ある称号に泥を塗り続ける気だい?」

 

「あと2年待ってください! そしたら必ず復活して見せます」

 

「待てないからこの勧告するために読んだんだろう! いいかい、我々がどれだけマスコミから君を守ってきたと思ってるんだ!! これ以上守れないからこうやって勧告してるんだぞ!!」

 

「確かにエアエンジェルの三冠を防いだとしてアンチは多いですがそんな間違いを犯すような人が学園に居るとは思えません!」

 

「たわけが! 居るからこんな話し合いになってるんだ」

 

 エアグルーヴ理事が衝撃的な事を言う

 

「居る……居るとはどういうことですか?」

 

「菊花賞で戦った5着のメーデーメーデーが居たろアイツがお前の暗殺計画を企んでいる事が発覚した」

 

「はい?」

 

「ナイフと包丁でお前が時間外トレーニング中を見計らい殺傷しようとしていたのを同室のブルーライトバードが密告して捕まえられたが次も防げるかは怪しいものだ。メーデーメーデーは学園から退学処分と警察に引き渡すつもりだが模擬犯が現れないと限らない……どうしても走りたいならドリームトロフィリーグに行け! 時間をかけて建て直すならそれで良いじゃないか」

 

「私が知らない所で犯行を防いでもらったのはありがたいですが、私にはその傷ついた三冠の称号をやっぱり三冠バは強いんだと世間に知らせる義務がある! なにより私は最弱の三冠バなんて一生いわれ続けるのは嫌です! 認めさせます! 世間を……あなた方を……この学園の生徒にも……」

 

「それが本心か」

 

「三冠という称号を傷つけたのは悪いと思っています。ですがそれを晴らす場もなく引退勧告、移籍勧告はあんまりです」

 

「じゃあ聞くが今までの……去年の有馬記念から今年のジャパンカップまで汚名返上、名誉挽回できる機会は幾度と有った筈だ……なぜ果たせない?」

 

「それは……」

 

「君が誰よりも努力しているのは知っている。寮の門限を破って自主練習をしているのも知っている……なぜ勝てないんだ?」

 

「ですから歩幅の調整と菊花賞のダメージで」

 

「いつまでかかっているんだ!! もうすぐ1年だぞ!! 君は再来年に勝つためにとして今の勝負を捨てている!! それはレースを運営している側として到底見過ごすことのできない行為だ!!」

 

「うぐ……」

 

「今回の話は以上だ……よく考えてくれたまえ」

 

「絶対に……」

 

「ん?」

 

「……絶対に私は復活する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会議室のドアを勢いよく閉めると私はチームの部室に向けて移動を始める

 

 練習服が部室に有るため取りに行こうとしたのだ

 

「タイマーちょっといいかな」

 

 真剣な眼差しのデジタルさんがいた

 

 何時もならじゅるりら☆とか言いながらウマ娘を見て涎を垂らしてる時間なのに今日は一体何なんだろうか? 

 

 さっきの事で私は凄まじく苛立っている

 

「今後に関わる事だよ……少し話をしよう」

 

 嫌な予感がビンビンする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまりデジタルさんもドリームトロフィリーグに移籍した方が良いと?」

 

「デジたん的には殺傷事件になりかけたのが気になってるのよ……脅しに屈したって言われてもタイマーちゃんが生きてレースに出てくれた方が私は嬉しいし」

 

「嫌です!」

 

「へ?」

 

「断固として拒否します」

 

「タイマーちゃんちょっと柔軟に考えてよ! 模範犯が出る可能だって有るんだよ」

 

「模範犯が何ですか! 私には私の人生が有ります! 才能が無い私を三冠バに導いてくれたデジタルさんは尊敬しています。ですが私はまだやるべき事が有るのです」

 

「それが再びG1を勝つこと?」

 

「いいえ……誰が最強なのかを見せつけます! 世間では私は終わったウマ娘とされていますが必ず復活して見せます!! そして伝説になるのです」

 

「……夢を見るのも大切だけど……タイマーちゃん現実を見ようよ。あなたはここんところG1どころか重賞すら勝ててない……賞金額も世代で5番手……今のあなたは最強とは程遠い所に居る」

 

 ガシッっと両肩を掴まれる

 

「確かに菊花賞は伝説だった! それで良いじゃない! 年度代表バにも選ばれた、クラシッククラスで最強になれた……それで良いじゃない」

 

「デジタルさん……」

 

「私はあなたがこのままだと何処か遠くへ行ってしまいそうで怖いのだから……だから……」

 

「……それでも私は最強の称号が欲しい……私怨ですが私を虚仮にした生徒会も、引退勧告で三冠バの名誉を守りに来た理事会も……もう終わったウマ娘と書いて回るマスコミも……菊花賞で勝ったのにブーイングを送った観客も……有馬記念で負けたら手のひら返しで最弱の三冠バと認知した世間一般も……私は!! ただ!! 認められたいんだ!!」

 

 私は泣いていた

 

 そう認められたいのだ私は

 

 だから走り続ける

 

 認められるまで

 

 三冠を取っても世間は運が良かっただのと理由を付けて認めてくれなかった

 

 ならどうするか

 

 世代を超えた最強の座を取るしかない

 

 エアエンジェル、メジロファンタジーは世界を相手にしている

 

 一方私はどうだ? 

 

 重賞で負けG1で負け……

 

 次はオープン戦か? 

 

 ふざけるな

 

 何が足りない

 

 努力か? 努力が足りないのか

 

「もう一旦止まってくないかミッションタイマー……またあなたが壊れちゃうのは見たくないんだ。大好きなウマ娘ちゃんが私怨や恨みでレースを走るのは見たくないんだ」

 

 デジタルさんも泣いている

 

「それでも!! 私は!! ……現役で走りたいんだ!!」

 

 バッタンと勢いよく部室から私は飛び出した

 

 ……ここに居ては駄目だ……理由を付けて止められてしまう……外部に行こう

 

 私はその日の内にリュックに詰め込めるだけ荷物を詰め込んでトレセン学園から出るのだった

 

 寮から出るときにオルフェーヴルさんに有った

 

「こ、こんな時間に何処に行くんだ……行くんですか

 

「ここに居ては引退しろって煩いから暫く外部でトレーニングしてくる」

 

勘弁してくださいこれ以上迷惑かけないでよ……

 

「じゃあまた」

 

あぁ、待ってください待ってくださいってばぁ

 

 オルフェーヴルさんは追ってこない

 

 前に気絶するまでウマ乗りになって顔面パンチを繰り返してからあんな感じだ

 

 私は学園から飛び出すのだった



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