なんか大蛇に転生して討たれたら英霊になった (朱色の羊)
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なんか大蛇に転生して討たれたら英霊になった
アンケート結果次第では設定とかも練って連載に変えるつもり
※追記・連載化決定しました
トラックに轢かれ気が付いたら蛇になっていた…
何言ってるか分かんないと思うけど俺にも分からん、ただ言えるのはただの蛇じゃ無いっぽい
だって頭が八つあるんだもん、それに加えて体はそこらの木々ぐらいあるもん
うん、これさ…
「
そう俺は…日本の神話たる古事記、その中でも指折りの大邪神である八岐大蛇になっていたのだった…
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「うーん…転生物は好きだったけど自分がなるとかさぁ…
しかも勇者でも何でも無くて八岐大蛇じゃん、むしろ人類に害を成す側じゃん
やだよぉ俺、スサノオと戦うのとか…」
その場で項垂れとぐろを巻きながらながらあれこれ考える俺もとい八岐大蛇
その動きに驚いた鹿さんとか兎さんが逃げ惑ってるけど今はそんなの気にしてる余裕は正直今は無い…
「んー…もうなっちゃったからには仕方ないかなぁ?
人間に害を成す事が無いようにすれば大丈夫だろうし」
そう結論を出して俺は取り敢えず移動を始めた、目指すは人気の無さそうな山中
そこでひっそり暮らすことにしようと思う
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はい、ダメでした!
全然静かにひっそり暮らすことなんて出来なかったよ
だって移住先の山にいた妖怪共が俺のこと祭り上げてくるんだもん!
そりゃそうだよね、俺八岐大蛇だもんね!
曲がりなりにも水神とか山神に数えられる大邪神だもんな!
いや別に祭られるだけなら良いんだよ、仮にも神に転生したからにはそう言う扱いは嬉しいしね
けど問題がある、それも結構な…
「八岐大蛇様、本日の貢ぎ物にございまする!」
そう、部下の妖怪共がやたら貢ぎ物を持ってくるんだよね
それだけなら良いんだけど明らかに周辺の人里を襲って強奪してるんだよ
しかも此奴ら無駄に俺への忠誠心がデカいから襲撃の度に「八岐大蛇様のために!」とか叫んでるし、何度言っても止めてくれないし!
最近では近隣の人里の人から生け贄を捧げるから襲わないでとか言われたしね、出来るならそうしたいけどこればかりは皆言うことを聞かないのよ!
これもう無理だよ、完全に人類の敵認定待ったなし!
絶対俺、スサノオに討ち取られるよね!
「如何致した八岐大蛇様、お顔色が優れないようですが…」
「あぁ、何でも無い…もう下がって良い」
まぁ良いこともあった
まず一つ目は人型の体を手に入れたこと
これで山を越すくらいまで大きくなった体を隠して動きやすくなった、もしもスサノオと戦ってもスキを突いて逃げ出せると思う
二つ目は神ッぽい口調が身についた
まぁこれは妖怪共に祭り上げられたせいで身に付けるしか無かったんだけどね
取り敢えず…もう腹を括ってスサノオを待つしか無いな、あわよくば返り討ちに…
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返り討ちにしてやろうとか思ってた時期が俺にもありました!
あれから数年、ついにスサノオとの対決の時…もう完膚無きまでに負けたよ
史実通りに八塩折ノ酒に毒を盛られたね、知ってたから我慢できるかと思ったんだけど…
うん、無理だったね!
八岐大蛇になったせいで大酒飲みになったからか美味しそうなお酒を前に我慢出来なかった!
今は満身創痍のまま倒されたように見せかけて逃げ伸びた、三日三晩歩いたし多分だけど近江…滋賀辺りかな?
なんとか人里にたどり着いて匿ってもらった、代わりにそこを治める豪族の娘さんに求婚されたけどね
美人だし特に不満は無い、嫁さんのお腹には子供もいるしね
でも俺の記憶が正しいなら、生まれてくる子は…
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予想通り…生まれてきた子は鬼だった、しかも邪神である八岐大蛇の神としての力を色濃く受け継いでいた
人ならざる者の力を持ち、人ならざる者として生まれたからには人里には置いておけない…
そして、その人ならざる力の大本になった俺も…もう人里には戻れない
「ごめん…ごめんなぁ…
俺が、俺が邪神であるばかりに…!」
襲い掛かる暴徒から我が子を守り連れ出したは良いものの、鬼であるこの子を連れて人里には行けない
そんなわけで俺は我が子を抱えたまま山に籠もることにした、幸い此処らの山は実りも獣も多く生活に困ることは無いはずだ
このままこの子が独り立ちするまで育てようと思う…
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そしてあの子が生まれてから数十年、あの子は1人の鬼として、そして八岐大蛇の分御魂として立派に育った
そして俺は、体内に残っていた八塩折の酒の毒が回り…ついに倒れあっという間に死んでしまった、悪名を轟かせた八岐大蛇にしては呆気ない最期だったけど満足だ
それよりも驚いたのは…死後世界に招かれた事だね、簡単に言えば俺は英霊になっちゃった
ココってFate時空だったんだねー…
と言うことはまた我が子に会えるって事だよな、あの子に…
我が愛娘である伊吹童子…後の酒呑童子に!
あぁ…敵にしろ味方にしろ、再会が楽しみだ…!
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なんか英霊になったら暇だから予想してみた
はいどーもー!
前回愛娘を育ててたら毒が回ってポックリ逝っちゃたら英霊にされた八岐大蛇ことヤマちゃんでーす!
………うん、このテンション虚しいから止めよ
まぁそんなこんなで俺が八岐大蛇として二度目の生を終え、英霊として『座』に記録されちゃってから現世では多分…数千年くらい?
いやー…めっちゃ暇だね!
いくら時間って概念が無いにしろ召喚されるまでは待機だもんね!
しかしここには他に暇を潰せる物も無いので、もはや顔?馴染みの『座』さんに話しかけて暇つぶししまーす!
『座とやら…ここに良い余興となる物は無いのか?』
〈
『なんだ、つまらぬものよな…余は暇で暇でくたばりそうだが?』
〈
『余のくらすだと…?
そんなもの邪神に決まっていよう!』
〈
『なんだ、つまらぬな…まぁ良いわ、それなりに暇も紛れた』
〈
うんうん、やっぱり『座』さんと話すと暇が紛れるね、だってめっちゃ可愛らしい声してんだもん!
顔は知らないけど声だけで分かる、『座』さんはめっちゃ美人だろうね!
…まぁ茶番はさておいて、『座』さん面白い事言ってたね?
俺のクラスねぇ…確かに予想してみるのも面白そうではあるか…な?
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と言うわけでヤマちゃんのクラス予想大会ー!
………うん、やっぱ独りの時にこのテンションは結構くるし虚しいわ
まぁ細かい事はさて置き…
候補その①はズバリ《
俺自身は使わなかったけど
候補その②はまぁ《
俺自ら求めてた訳じゃ無いけど毎年生贄を捧げられるって中々に狂ってるよね、まぁ俺が求めてた訳じゃ無いけど!
候補その③は《
俺が死ぬ原因を作ったアイツへの怒りや報復心は正直捨てきれ無い
アイツを倒せるなら…喜んでこの身を復讐の炎で焼き焦がそう!
…とまぁ色々考えて来たけど正直分からん、どれもあり得そうで違いそうだね
というよりも1つに限らず複数クラス獲得の可能性も無くは…無さそうだし…
………ま、召喚されるまでのお楽しみにしとくかぁ!
※八岐大蛇が『座』と話せるのは本人の高い神格に加えて「暇だ暇だ」と駄々捏ねる蛇神を見かねたから…という設定です。
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幕間『大蛇の娘達』&お知らせ
特に事故や事件が起きたり新たな特異点が見つかったりする事も無く平和が続くとある日のカルデア
その食堂の隅に3人の人影があった
「うち等の話が聞きたい?」
「いきなりどうしたの、頭でも打ったかしら?」
2人で酒盛りを真っ昼間からしていた所にやってきた自分達のマスターこと藤丸立花の言葉に首を傾げ聞き返す酒吞童子と伊吹童子
「打ってないよ、ただふと…自分もマスターならサーヴァント達のことをもっと知りたいなと思ってさ」
「なるほどなぁ、そやけどうち等の話なんてそう大しておもろぅあらへんよ?」
自分達サーヴァントに真っ直ぐ馬鹿正直に向き合い踏み込んでくる
そんな立花の姿に感心と好意を覚えながら二人は揃って盃を傾け注いだお酒を飲み込んだ
それでもサーヴァント達のことを仲間と考え、もっと知りたいと思っている立花は引き下がらずに続けた
「どんな事でも良いんだ、例えば…なんでそんなにお酒が好きなのかとかさ」
「あら、そんなこと知りたいのぉ?」
「うん、まるで限界なんて無いみたいに飲むからさ
いわゆる…うわばみ?だなぁっていつも思ってるんだ」
その言葉を聞いた瞬間、酒吞童子と伊吹童子は吹き出し笑い出してしまった
ただ伊吹童子に問われた事に答えただけである立花が呆然としていると笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を拭いつつ酒吞童子が口を開いた
「はー…旦那はんったらいけずやわぁ
好きなもん、いっぱい飲みたいのは当たり前やろ?
そやけど、うち等がうわばみって言うんは上手いこと言うたなぁ?」
「え、うわばみって大酒飲みって意味じゃないの?」
「そうねぇ、せっかくだしソレについて話してあげましょうか
貴方もそれで良いわよね?」
「あぁ、それで構へんよ」
うわばみがどうこう言われ立花は首を傾げつつ聞き返す、するとそれを見ていた伊吹童子が口を開き酒吞童子に同意を求めると酒吞童子も快く快諾した
それを聞き未だよく分かっていない立花は話を進めるために切り出した
「えっと…それでどういう事なの?」
「えっとねー…まず
それがね…『大蛇』って意味なのよ」
「へー…そうだったんだ、その意味が2人に関係あるの?」
「大いになぁ、旦那はんはこの子のえくすとらあたっく覚えてはる?」
ニマニマ笑いつつお酒を飲む酒吞童子に質問された立花は思い出しながら答えた
「えっと…あの雲の合間から大きな蛇を呼ぶ奴だよね、あれがどうしたの?」
「あの蛇なぁ…うち等のおとうなんよ
あれの血を引いてるうち等にうわばみってのは言い得て妙やろ?」
「えぇっあれが!?
って言うか、2人のお父さんって…2人は姉妹なの!?」
「なぁに、知らなかったの?
まぁ…姉妹って言うのも違うと言えば違うんだけどさ」
「知らなかったよ!
ただなんか似てるなー…位にしか思って無かった…」
とんとん拍子に明かされた事実に驚き項垂れる立花、その様子を楽しそうに見ながらまたお酒を飲んだ2人
そんな2人になんとか落ち着いた立花は話しかけた
「今伊吹童子が姉妹って言うのも違うって言ってたけどあれは?」
「そうねぇ…私に最初会った時の姿覚えてる?」
「あの下半身が蛇だった時の?
もちろん覚えてるけど…あの姿に秘密があるの?」
「まぁ分かると思うんだけどあの下半身ってパパから受け継いだ神様の力の象徴な訳じゃない?」
父親があの大きな蛇である、そう聞いた立花はそうなのだろうとコクコク頷きつつ続きを求めた
「で、脱皮して神様として1ランク上な今の私になった訳だけど…
脱皮する時に神様として力を封じて鬼になった私もいたわけ」
「えっと…もしかしてそれが?」
嫌な予感を感じつつ、ポーズを取り体を見せる伊吹童子から酒吞童子に顔を向けた立花、その視線の先で酒吞童子は傾けていた盃を降ろし---
「その通り、それがうちなんよ
だからうちらは姉妹って言うよりは同じ人物の別側面って言うのが正しいやろなぁ」
「やっぱりっ…!」
---また、衝撃的な事を言うのだった
「この短時間で驚いてばかりだなぁ…
いつか俺も会えたりするかな?」
もはや諦めたように事実を受け入れつつ、2人の親であるあの大蛇にちゃんと会ってみたいと感じ聞いてみる立花
すると2人は少し考え込み---
「せやねぇ、アイツも邪神とは言え腐っても神霊やし…旦那はんならそのうち会えるんとちゃう?」
「敵味方いずれにせよ、パパが出てくるなんて相当ロクでもない事態だろうけどね
それで良いなら好きにすると良いわ、案外あなたならすぐ気に入られるんじゃない?」
「…そっか、ありがとう」
---そう微笑みながら答えた2人に立花も微笑み返し礼を言うとその場を後にするのだった
祝・UA14,000突破ァ!(≧∇≦)
…と言うわけでどうも、未だ2話ながら拙作『なんか大蛇に転生して討たれたら英霊になった』をご覧頂きありがとうございます
2話目にして早くもUA14,000突破と言う未だかつて経験の無い状況に歓喜してると同時にビビり散らかしてる作者こと朱色の羊でございます(^◇^;)
それと共に評価バーに色が、それも見間違いで無ければ赤くて読者様への感謝状がもう溢れに溢れて仕方ない作者です(^人^)
これはもはや歓喜と感謝を込めてやるしかあるまいと、UA14,000人突破&評価バー赤色記念の読者様参加型企画を“3本”御用意させて頂きました!(≧∇≦)
詳しくは下に書きますので奮ってご参加を!(ゝω・)
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①八岐大蛇の宝具大募集!
サーヴァント達の伝説の象徴、そして必殺技とも言える“宝具”
今回は拙作の主人公である八岐大蛇のそれを大募集してしまいます!
もちろん1つに限らずいくつでも募集OK!
貴方が考えた宝具が今後登場するかも?
募集は専用の活動報告にて行います
募集期間は9/16・16:00~9/23・16:00です
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②オリジナル特異点の内容大募集!
読者様への感謝を込めて連載開始時のアンケートで惜しくも一票差で負けた『オリジナル特異点』を書く事にします!
それに伴いその特異点の内容を大募集!
自分が考えた特異点で活躍する八岐大蛇さん達が読めるかも?
①と同じく募集は専用の活動報告にて行います
募集期間は9/16・16:00~9/23・16:00です
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③デザイン募集
拙作の主人公である八岐大蛇のデザインを大募集しちゃいます!
応募はイラストでも文章でもどちらでも構いません!
募集は①と同じ専用の活動報告、もしくは作者のTwitterにて行います
募集開始は9/16・16:00~です
こちらは決まり次第募集終了、作内で発表致します
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以上3本の企画を御用意しました!
どれに参加しても幾つ参加しても構いません、もちろん全部に参加しても大歓迎です!(≧∇≦)
読者の皆様、奮ってご参加くださいませ!
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永久輪廻神域・出雲
プロローグ
日々サーヴァント同士の喧嘩こそあるものの、特に大きな事故や事件が起きたりする事も無く平和が続くとある日のカルデア
そんなカルデア内にて突如として
それを聞き即座に司令部へと急行したカルデアのマスター藤丸立花とデミサーヴァントのマシュ・キリエライト
発生した特異点の修復のため急行してきた2人にカルデアの技術顧問レオナルド・ダ・ヴィンチが話しかけてきた
「来てくれたね2人とも、さっそく聞くけど…準備は?」
「もちろんいつでも良いよ」
「私もいつでも出動できます!
ダヴィンチちゃん、今回の特異点の詳細は?」
ダヴィンチちゃんの問いにやる気十分に答えた2人
それと共にマシュが今回の特異点について尋ねるとダヴィンチちゃんは頷き口を開いた
「今回特異点が発生したのは3世紀頃の日本、そこに大規模な特異点が発生した」
「大規模な…特異点」
「それで、その…特異点の詳細は?」
いつも唐突に発生する微小な特異点ではない、大規模な特異点という言葉に緊張した顔を見せる立花とマシュ
しかしレイシフトする自分達が気圧されてでどうすると気合いを入れ直すと特異点の詳細は分からないか問いかけるも──
「残念ながらそう詳しい事は分からなかった
かろうじて分かったのは今回の特異点が大規模な物である事と…
特異点の反応を解析にかけた結果、恐らくだが…神霊の類がいる可能性が高いことだね」
「神霊…神話に語られる存在が…いる」
──そう大した情報は得られず、かろうじて神霊がいる可能性が高いと言う事だった
そしてその話を聞き今までの特異点で出会ったり仲間としてカルデアにいる神霊達を思い浮かべ、その強大さにいつものレイシフト以上に緊張した顔つきになる2人
そんな2人を励ますようにダヴィンチちゃんは付け加えた
「まぁまぁ、まだその神霊が敵だと決まった訳じゃないんだし!【フラグ×1】
神霊とは言っても低位な相手かもしれないでしょ?【フラグ×2】
それに、もしかしたら旅の過程によっては会う事も無いかも知れないんだしさ!【フラグ×3】
2人はいつも通りに特異点修復してくれば良いよ!」
「そう…ですね、どちらにせよ私達がやることに変わりはありません!」
「ありがとうダヴィンチちゃん、おかげで元気出た!」
「それなら良かった」
無事に緊張を解し元の調子を取り戻し礼を言う2人に微笑みかけるダヴィンチ
そして元の真面目な顔に戻ると2人に問いかけた
「さて…それじゃあ聞こうか、2人とも準備は?」
「いつでも大丈夫!」
「先輩…もといマスターと同じく、いつでも行けます!」
ダヴィンチはその言葉に満足そうに満足そうに頷くと2人分のレイシフト用コフィンを準備した
2人はそこに入ると特異点修復のため、レイシフトしていったのだった
「…来たか」
とある山奥に建てられた一棟の神社、その参道を跨ぐ鳥居の上にその男はいた
白く長い髪を赤い髪飾りで顔の両横に2房後ろに4房の計8房に束ね
赤地に白抜で蛇の紋様が飾られた袴のみを身につけ
蛇のように細く切れ長な、赤い瞳に黒く染まった白目を持つその男は山の麓にある人里へ視線を向けると周囲に跪き控えていた配下である数多の魑魅魍魎達に其方を見ること無く言葉を発した
「…余の天下を崩さんとする者がまた現れたようだ
いつも通りに…殺し、壊し、そして蹂躙せよ」
その号令を聞いた配下達は大声で吠えると主の命を叶えるべく人里へと一斉に移動を始めた
「数多の英雄、数多の神霊を従えし人の子共よ…
貴様らの思い通りにはさせぬ…我が世は終わらせぬ…!
余に反乱せし彼の者共と共に…
我が軍、我が威を以て滅ぼしてやろう…!」
そしてそれを眺めながら鳥居に腰掛けたその男は片手に持っていた酒が注がれた盃を傾けながら口を開くのだった
今話から始まったオリジナル特異点は@Eijiさんのアイデアを採用いたしました!
@Eijiさん、ご応募ありがとうございました!
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第一節『日本神話の地にて』
※今話は難産なところをひねり出したので低クオリティ+あまり話が進みません
カルデアからのレイシフトしてきたマシュと立花
2人は辺りを見渡し今回のレイシフト先がとある集落から程良く離れた街道沿いであると確認しながら口を開いた
「レイシフト完了、特異点に到着しましたマスター」
「うん、まずは情報収集からだね」
そう言って街道を歩き始めようとした2人の元にカルデアにいるダヴィンチからの通信が入ってきた
『やぁ2人とも無事に着いたみたいだね、さっそくで悪いけど報告だよ
そこから少し離れた位置で動体反応を感知した、どうやら戦闘が起きているみたいだ』
ダヴィンチが通信越しにそう告げると、タイミング良く視界の先にある丘の向こうで土煙が上がった
それを見た2人は互いに見合い頷き合うと同時に走り出しその現場へと向かって行った
丘から下を見下ろすと一対多の戦いが起きていた
片やこの時代に即した刀剣で武装した兵士
片や歩兵用の鎧を着込み、刀剣や槍、弓矢で軽く武装した楕円2つと四角で出来た
始めこそ善戦していた武士達も、続々と襲い掛かる人形達の勢いに圧され初めついに劣勢に立たされてしまった
そして体勢を崩した武士に人形の凶刃が迫るのを間一髪、合間に入ったマシュの盾がその刃を受け止めた
「ッ…マシュ、人形達を殲滅するよ!」
「了解ですマスター!戦闘開始します!」
それに驚いた様子で止まった人形の動きを逃さず盾を振るい人形を破壊したマシュ、そのまま盾を叩きつけ殴り振り抜いて殴り飛ばし人形を一体残らず倒すと戦闘で張った緊張の糸を緩めながら口を開いた
「残敵無し、戦闘終了します…お疲れさまですマスター」
「うん、マシュもお疲れさま」
汗を拭いつつ互いに笑い合い労いあう2人、そんな2人に助けられた兵士が声を掛けてきた
「そこの方々、助太刀感謝する…
お陰で生き延びる事が出来た、何か礼をしたいのだが…何が良いだろうか?」
「どうか気にしないでください、私達が勝手にしたことなので
それよりも…実は今この地で何が起きているのか知らないんです
なので情報を集めたくて…良ければ人里まで案内を頼めますか?」
「む、邪馬台国の者でありながらこの地に何が起きたか知らないとはまた不思議な…どれほど田舎に住んでいたのだ?
…まぁ良い、深追いはしないでおこう
承った、しかと人里まで案内しよう」
頭を下げて感謝を伝える兵士を見てこれは好機とばかりに案内を頼む立花、そしてその頼みに頭を上げながら疑問を溢しつつも快く応じた兵士
2人は握手すると人里に向かって歩き出したのだった
※アンケートに書いた以外にも出て欲しいサーヴァントがいれば活動報告までどうぞ
(全てを出せるとは限りません)
※↓もし時間がある方は此方をお読みください
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=274819&uid=286853
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第二節『集落での出会い』
今話もあまり話が進みません…
30分程をかけて荒れた道を歩き続けていた一行、やがて丸太をくみ上げた高い壁や杭、折れた槍などで囲われた集落に辿り着くと案内してくれた兵士が高くそびえる門の上にいた門番に向かい声をあげた
「ただいま戻った、門を開けてくれ!」
「後ろの者は何者だ!」
「人形兵に襲われた所を助太刀して貰った!
妖の類では無いと私が保証しよう!」
そう言うとしばらく門番が立花とマシュの二人を眺め、怪しい者では無いと判断されたか中に一言二言叫ぶと門が開いていく
そして促され急ぎ入った中では兵士達が門の外を警戒こそしているが人々が貧しいながらに幸せそうに暮らしていた
「とりあえず…落ち着ける場所に来れたね」
「はい、あとは…誰かからこの場所の事を聞ければ良いんですが」
特異点到着から今まで気を張りっぱなしだった二人が一息付きつつ辺りを見渡していると、人々の奥から最低限の甲冑を身につけ髪を1つに縛り、腰に刀を刺した青年がやってきて道案内してくれた兵士に声をかけた
「よぅおっちゃん、人形兵の大軍に襲われたんだって?
大変だったなぁ、怪我は無い?」
「うむ、そこにいる二人のおかげでな…
しかし少々装備が痛んでしまった…これで暫くは出ることは出来ん
しばらくは休養に当てることにする」
そう言って兵舎らしき建物に向かっていく兵士を見送った青年は二人に向かい合うと前置きも無く切り出した
「あんたらだろ、かるであ…?のマスターとサーヴァントってのは
ついてきな、ここの情報教えてやるからさ」
「な、なぜ私達がカルデアから来たと…!?」
「うん、まだカルデアの名前は出してないのに」
そう言って歩き出した青年の後を追いつつ問いかけた二人、すると青年は歩き続けながら答えた
「俺もサーヴァントだからここが特異点なのは知ってたし…
占い得意な仲間から今日かるであのマスターが来るって聞いてたからな」
「なるほど…納得です」
取り敢えずは理由が分かり再度抱いた警戒を薄める二人、すると今度はふとある疑問が浮かんできた
「ねぇ、いま自分はサーヴァントだって言ってたけど…
その、真名は…?」
「あぁ、確かに真名も分からんサーヴァントを信用は出来ないよな」
そう言うと青年は一度足を止めて二人の方に振り返った、そしてニッと笑うと──
「俺は
その日本で育った者なら誰でも知っているであろう、あまりにも有名な真名を高らかに名乗るのだった
※現在本作に登場するサーヴァントを募集中です
詳しくは↓をご覧ください
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=280500&uid=286853
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第三節『合流、そして現状』
今話はセリフが多い上に説明ばかりで長ったらしいです…
それでも良いよと言う優しい方…お楽しみくださいませ
桃太郎…もとい吉備津彦に連れられ集落の中でも特に大きな建物に辿り着いたカルデアからの2人
扉代わりかのように垂れ下げられた布を退かす吉備津彦に続き中に入るとそこにいたのは…
「おっ!戻ったか吉備津の旦那!
それで…後ろにいるのが例の連中か?」
「あぁ、その通りだ金の字
それと何度も言ってるけど、旦那って呼ぶの止めてくれよ…」
「それは無理だな、草紙の元としても…鬼退治の先人としても頭は上がらねぇさ」
輝くまでの金色の髪を束ね大きな鉞を担いだ
いつものやり取りなのか吉備津彦と話を終えると立花達に視線を向け歩み寄る金時
「初めまして…いや、それとも別のオレと会ったことあるか?
まぁ良いや、オレは坂田金時!
カルデアの事はだいたい聞いてるぜ、これからよろしくな大将!」
「フフッ…うん、こっちこそよろしく!」
そう言って笑いながら挨拶する金時の、カルデアにいる彼と何ら変わらぬ笑顔にいつの間にか緊張していた体から力が抜けるのを感じる2人
そんな2人が適度に緊張が抜け挨拶を返したところで吉備津彦が声を掛けてきた
「この拠点には、本当はもう1人いるんだが…今は取り込み中だから後にでも挨拶してやってくれ
さて、挨拶も済んだところで…この特異点の現状と今までの経緯を話そうか」
その言葉に空気が張り詰める中、吉備津彦は話し始めた。
「まずは経緯の方からだな、と言っても召喚前の事だから人伝に聞いただけなんだが…全ての始まりは凡そ半年前の新月の夜のこと
明らかに人間のものじゃない、禍々しさを含んだ妖気を纏う男が現れたらしい」
そう言いながら集落に住む人に書いて貰ったという、その時の一連の流れを記した絵巻を見せる吉備津彦
そこには真っ黒な狩衣に身を包み妖気のような黒い靄を体から溢れさせる男が描かれていた
「その男を見たとある男神が人間達は隠れるように言い…かつての戦利品である剣を手にその男に向かっていった
そして両者は七日七晩に渡り闘い続けたが…最後にはその男神が敗れ食い殺された」
そのまま絵巻を先の場面へと進めて行くと剣を片手に持つ髭面の神が立ち向かう姿、両者が剣や爪牙をぶつけ合い争う姿
そして…孤を描く口元を赤く濡らし高笑いする男とその足元に倒れ伏した男神が描かれていた
「そして…それによってより強大になった男を滅すべく天より多数の神が降りて来たが、その悉くが同じように食い殺されたらしい
そして…その後その男は配下となった数多の妖魔に命じ国中の神社や祠、社を破壊し尽くした」
そして多数の神らしき者達の体が赤く染まり積み上げられた光景、そしてその横で多種多様の妖魔達がたくさんの建物を破壊し、燃やし尽くし、跡形も無く暴れている姿が描かれていた。
「そしてその男は自らを
それ以来、禍神配下の妖魔があちらこちらで暴れ回り…点々と存在する人里の対応は従順と叛逆で分かれている
時折この日ノ本から出ようとする者もいるが…そう言った者達は禍神軍に捕らわれ、そして奴等の居城に連れ去られている」
最後に破壊された出雲大社の跡地に建てられた黒く禍禍しい城の絵を見せる吉備津彦
そしてこの特異点の成り立ちや経緯はこんなところだと絵巻を片しながら話し終えると、彼に代わり今度は金時が地図を広げながら話し始めた
「そんな中、オレ達が召喚されたって訳だ
今この特異点はこの村を拠点に妖魔と闘う俺達人間の英霊と人里の人間達…
そして俺等と同盟関係にある、ここから近い山中に拠点を構え禍神達の同行や情報を探る人外の英霊達…」
そう話しながら地図に2つの白い石を置いていく金時
そして最後にそれら2つの白石から離れた位置に黒い石を置き…
「そして最後に禍神の勢力…これらがにらみ合いを続けてる状態だ
規模としちゃオレ等二つを合わせて禍神軍とトントンってとこか…ちょいと劣るぐらいか」
そう締めくくると特異点についての話が終わった
そしてカルデアの2人がその情報を頭に刻み込んでいると吉備津彦が横から声をかけてきた
「とりあえず…あんた達の次の目標はここだな
人外の英霊達の本陣…ここで禍神達の情報を得ると良い」
そう言って地図に置かれた白石の1つを指差す吉備津彦
それに異論無いと頷いた2人は集落の防衛のため残らざるを得ないと言う吉備津彦と金時と一時離れ目的地に向かって歩み始めた
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第三.五節『陣中会議』
本年も、私の作品をよろしくお願いいたします!
そしてお待たせして申し訳ないです…( ´ཫ` )
いや、本当にお待たせして申し訳ないです…
ちょっと盈月の儀に参加していたら…
ニ騎程登場を考えていたサーヴァントが出たもので…宝具とか戦闘描写とか、直しておりました…
なんとか年内に書き上げる事が出来ました…その分、短くて申し訳ないですが…
どうかお楽しみ下さいませ!
人里を出て道中妖魔に襲われつつも教えてもらった人外の英霊達の本陣がある場所まで向かうカルデア一行
「あっ…例の城が見えてきましたねマスター」
そう声を上げたマシュが見あげる先、本来ならば出雲大社が建つその場所に城が建てられていた
漆黒の外見に蛇が絡み合ったかのような装飾が施された城、その禍禍しい姿を見ながらカルデア一行は歩みを再開した
その頃、出雲大社…もとい出雲城の中へと窓から1匹の烏天狗が飛び込んできた
そのまま勢いを弱める事無く廊下を駆けていく
そして大きな妖力が渦巻く天守閣近くの一部屋に辿り着くとその場に跪き、上座に座り盃を傾ける禍神に向かい口を開いた
「哨戒よりの伝令を申し上げます!
かねてより懸念されておりました異装の人間と盾を携えた人間を確認!
西方地区にて人間を襲っていた人形兵を散らし、人里に入ったとの事です!」
『そうか…やはり人形兵程度では、幾多の歪な時を在るべき姿に正した者等相手には足止めにもならぬか…
それで…幾程の人形兵が散った?』
「ははっ、報告ではおよそ50体程度との事!」
『そうか…やはり人間共とは一線を画する強さのようだな』
顔を顰める禍神、そんな男の横に座っていた小柄な影がケラケラ笑いながら口を開いた
「別にいくら人形兵が散ろうと構へんやろ?
素体も山ほどあるし
どうせすぐに補充も復活も出来るもんなぁ?」
「お控えくださいませお姫ぃ様!
今は禍神様がお話になられているでありましょう!」
「あらあら、怖ぁいのに怒られてもうたわぁ
ここは大人しく引き下がるさかい、堪忍なぁ」
そんな彼女が丁度対面に座っていた1つ目の大きな影に諫められ引き下がると、今度はその影が禍神の方を向くと問い掛けた
「はてさて、如何なさりまするか禍神様!!」
その言葉にまた盃を傾けながら答える禍神
『どうもせん、十把一絡げの人形兵が散らされた程度…どうという事も無い
各地の
「「ははぁっ!」」
禍神の命に答えた烏天狗、するとそのまま窓から飛び去っていった
それを見送った禍神、するとその手に一振りの剣を顕現させながら1つ目の影へと言葉を掛けた
『タタラ…余の分け身、尾を預ける…』
「な、なんですとっ…!?」
『余が言わんとすることは…わかるな』
その問い掛けに歓喜に震えながらその場で平伏した1つ目の影…改めタタラ
そして禍神より剣を受け取ると自らの鍛冶場へと駆けていった
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番外編
番外編『バレンタインシナリオ』
気付いたら前話からほぼ1年、連載しているシリーズを全て見ても前回の投稿から半年近くが経っていた作者こと、朱色の羊です…
それに加え、本編ではなく番外編…しかも『バレンタインイベントまだやってるからバレンタイン期間内』という暴論を主張する駄作者です…
本編は鋭意執筆中ですっ!なのでお待ちくださいっ!
それでは…番外編のバレンタインシナリオ、お楽しみください
2月になりあちらこちらでチョコレートが飛び交う日のカルデア
そんなカルデアの中を歩く立香は食道の隅で盃を傾けていたある人物を見付けると駆けよっていった。
「
そう言ってロックオンチョコをその人物…
つい最近発生した特異点で対峙し、その特異点の解決後に召喚されたばかりのサーヴァント八岐大蛇に差し出した
「これは…確か
貴様が余に供物なぞ…どういった風の吹き回しだ?」
「供物とかそんな大仰な物じゃ無いです!
これから仲間としてよろしくって言う…お近づきと親愛の証です!」
怪訝そうな顔をしつつ受け取る大蛇の言葉に邪気の無い顔で答える立香
すると大蛇は呆気に取られたような顔になったかと思うと笑い出した
「ククッ…クッハッハッハッ!
邪神たる余によもや
前代未聞の不敬者、空前絶後の恐れ知らずであるな貴様は!
ここまで愉快なのは久方ぶりよ!
良かろう…この親愛の証は受け取ろうぞ」
そう言いながらチョコレートを懐にしまい込む大蛇
そして顎に手を当てつつ考えこみ始めた
「さて、余は邪神と言えど理性無き獣では無い…
親愛の証を捧げられたとあれば…返礼をせねば礼儀に反するというものよな
ふむ…用意をしてくるゆえ、しばし私室で待っていろ」
そう言ってその場を去る大蛇、その姿を見つつ立香は私室に戻っていった
「受け取れ、これが余からの返礼の品よ」
部屋に入るなりそう言って放られた瓢箪を受け止める立香
恐る恐る栓を抜き嗅いでみると…いつも八岐大蛇が纏う匂いが漂ってきていた
「これってもしかして…お酒?」
「案ずるな、
まぁ我が娘達はそのままでも良いと言うてはいたが…そういう訳ににもいくまいよ」
そう言いながら腰に下げた瓢箪から同じ匂いの酒を煽り飲む大蛇
そんな大蛇を見ながら瓢箪の栓を閉めた立香はふと疑問を口にした
「でもこの匂い…酒呑童子や伊吹童子が呑んでるのとは違うような気がするんだけど…」
「余と共に現界した酒なのだ、余に纏わる酒など決まっていよう
それこそ我が死因の一端、
飲むなり厨の連中に使わせるなり、好きに扱え」
そう言い残しながら背を向けた大蛇、そんな大蛇に立香は声を掛けた
「あれ、何処に行くの?」
「…柄にもない事をしたせいで酔いが醒めてしまった、食堂で飲み直す」
「そっか、プレゼントありがとうね大蛇さま!」
その言葉を聞いた大蛇は立香の方を一瞥する事もなくその場を去って行った
所変わって食堂にて、いつものようにお酒を飲んでいた伊吹童子
彼女は近付いてくる己の父親の様子がいつもと違う事に気が付くと其方を向きつつ問いかけた
「あらぁパパ、どうかしたの?
随分と機嫌が良いみたいだけど?」
「いや、大したことではない…
ただ…面白いと思っただけのことよ」
そう言いながら伊吹童子の対面に座る大蛇
分からずに首を傾げる娘の前で笑いつつ盃を傾けるのだった
善なる者に討たれた
そしてその生を終えた
「だがそんな余に疑心も、嫌悪も、恐れも無く…
目の前に立つ者を見るような目を向け…ただ純粋な親愛と感謝を向ける者がいるとは思わなんだ
本当に…サーヴァントという在り方は面白いものよ」
八岐大蛇が常に携帯し、常に飲んでいる八塩折酒…の模造品
未成年であるマスターへの贈り物だからなのか、当世の常識に合わせてアルコールは抜いてあるらしい
神を酔わせ死因であるにも関わらず飲み続けたくなる程のその味は模造品とは言え天下一品
しかし須佐之男が大蛇の動きを鈍らせるために混ぜたと言われる毒も抜いたとは一言も言っていない
なので口にするときには注意が必要かもしれない
『彼奴に毒の類は効かんと聞き及んでいる
もし毒が効いても、ここには優秀な医者も薬師もいるのだ…大事には至らぬであろうよ』とは本神の言い分
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