アニポケ×ポケスペ 時空を超えた絆の物語 (有頂天皇帝)
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プロローグ

最近、アニポケとポケスペ見直しててハマったので書きたくなって書いてみました。

*注意*この作品ではアニメでサトシがゲットしたポケモンが進化していたり、オリジナルゲットしていたりなどがあります。また、バタフリーやピジョットなど離脱したポケモンたちも手持ちとして登場します。
ゲーム主人公が登場します。立場としてはサトシのライバルや後輩、憧れなどです。
また、サトシは波動使いとしても成長しており、波動によるポケモンへの治療や会話などが可能となっております。



カントー地方のマサラタウン。

ポケモン研究の第一人者であるオーキド博士がいる研究所に一人の少年が自分のポケモン達と遊んでいた。

名はサトシ。

ポケモンマスターを夢見る彼は10歳の時に旅を始めてこれまでに自身の住むカントーを始めジョウト、オレンジ諸島、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラ、ガラル地方等を旅してきた。

その地方の様々なポケモンをゲットして、大会に出場し好成績を残してきたことに関しては普通のトレーナーとは変わらないかも知れない。

 

だが

 

サトシはこれまでに各地方の伝説・幻と言われているポケモン達と出会い、絆を結んできた。

そもそも伝説・幻と呼ばれるのは大きい力を持つのと出会う確率の低さからそう呼ばれている。

なのに新しい地方を巡る度に出会うのは奇跡なのだ、本人には自覚はまったくもってないが。

大体は伝説・幻のポケモンを狙う組織に遭遇し巻き込まれるといったのがほとんど、サトシだって好きで巻き込まれてる訳ではない。

それでもサトシはポケモンが大好きで、伝説だの幻だのと彼らをくくることなく、助け、時には協力してきた。

 

そんなサトシが今まで悪いやつに狙われなかったのはある意味運が良かったと言えよう。

 

ここしばらくトラブルもなく平和に過ごしてきたサトシに近づく不穏な影があった・・・・・

 

◆◆◆

 

ここはオーキド研究所。マサラタウンの外れにあるカントー地方のみならず、世界的に有名なポケモン研究者、オーキド博士の研究所だ。

 

そこの庭でポケモンと戯れている少年、名はサトシ。ポケモンマスターを目指すポケモントレーナーである。

 

 カントー、オレンジ諸島、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラを旅してつい最近に、クチバシティのサクラギ研究所でのリサーチフェローを終えてマサラタウンに戻ってきたのだ。

 

「今まで色々なところに行ったよなピカチュウ・・・」

 

「ピッカ」

 

サトシの言葉に頷くのはサトシの一番の相棒である電気ネズミポケモンのピカチュウ。サトシの最初のポケモンであり今までサトシと旅をして苦楽を共にしてきた。

 

サトシとピカチュウはふと今までの旅のことを思い出していた。今まで戦ってきたジムリーダーやライバルたち、共に旅をしてきた仲間たち、ポケモンたちとの絆など様々なことがあった。

 

旅の中で出会った人の中にはポケモンを使って悪事を働く人間ともであった。殆どの人間が最後までその行いを反省しないまま捕まったが中には心を入れ替えてくれた人もいた。

 

旅をしていくうちに自分なりに成長してきたとは思うが果たして今の自分は夢であるポケモンマスターにどこまで近づいているのだろうとサトシは考えているとそんなサトシの顔をピカチュウが横から覗き込んできた。

 

「ピィーカ?」

 

「何でもないよピカチュウ」

 

「チャ〜♪」

 

そう言いながらサトシはピカチュウの頭を撫でるとピカチュウは目を細めながら嬉しそうに鳴いた。そんなピカチュウを羨ましそうにサトシの他のポケモンたちがサトシの周りに集まっていた。

 

「ガーニュ♪」

 

メガニウムがサトシに甘えるように頭を擦り寄せてくると他のポケモンたちもそれに続くようにサトシに体を擦り寄せていた。

 

◆◆◆

 

「相変わらずポケモン達に好かれてるねサトシは」

 

「ははっ、まぁ僕や博士のように見慣れている人からしたらいつもの光景なんだけど知らない人からしたら凄い光景だよね」

 

オーキド研究所の中からサトシとポケモンたちの様子を見ていたシゲルとケンジは変わらないその光景に思わず苦笑いをしていた。

 

現在、プロジェクトミュウのチェイサーとして活動しているシゲルだが今日は久しぶりの里帰りということでオーキド研究所にやって来たらちょうどサトシもマサラタウンに帰ってきていたので、サトシの図鑑データを見ながらケンジと話していた。

 

「しかし、流石はサトシだね。普通のトレーナーや研究者じゃ滅多に出会えない珍しいポケモンや伝説のポケモンに会ってるんだからね」

 

「その分トラブルにも巻き込まれているけどね・・・」

 

シゲルはサトシの図鑑のデータにある伝説や幻のポケモンたちのデータを興味深く見ているが、サトシと旅をした経験があるケンジは苦笑するしか無かった。

 

「まぁそうだね。それに最近じゃ各地方でポケモンを強奪したり盗んだり、挙句の果てには伝説のポケモンと関わりのある土地を襲撃する集団が出回っているらしいしね」

 

「僕もオーキド博士からその話を聞いたよ。襲われた場所の中にはサトシが伝説のポケモンと出会った場所も多く含まれているらしいよ」

 

シゲルの言葉に聞いた覚えのある話しだったのでケンジがそう言うと、2人は思わず黙り込んでしまった。

 

「・・・サトシにこの事を話した方が良さそうだね」

 

シゲルはそう言ってオーキド研究所の外に目を向けると、

 

バチバチ!

 

庭の方で激しい電光が見えた。

 

「アレはサトシのピカチュウの10万ボルト!」

 

「まさか!?」

 

ケンジとシゲルは最悪の出来事を想像してしまい、手持ちの入ったボールを取ると慌てて庭へと向かった。

 

◆◆◆

 

時間は少し遡りサトシがポケモン達と戯れていた時だった。サトシはフシギダネが持ってきてくれたブラシを使って1匹ずつ丁寧にブラッシングをしているとサトシのポケモンであるエルレイド、フーディン、ヨルノズク、メタグロスが何かの気配を感じ取ったのかサトシの前に移動すると他のポケモンたちもその様子から何かあると思い警戒態勢をとりはじめた。

 

サトシもポケモンたちが警戒し始める姿を見て警戒をすると、森の入口の前に不思議な穴が現れた。

 

「なんだ?」

 

慌ててサトシはポケモンたちを庇うべく前に出ようとしたが、それよりも先に穴の中から一人の男が現れた。

 

「誰ですかあなたは」

 

サトシは警戒しながら尋ねる。今まで旅して色々な出来事に遭遇したことはあるが、流石に穴の中から人が現れたのは初めての経験であり警戒する。

 

「貴様がマサラタウンのサトシだな?」

 

「俺に何の用ですか」

 

サトシは警戒を緩めずに男にそう言うが、男はその言葉に何も答えない。

 

「大人しく我々に着いて来てもらおうか」

 

「悪いですけど、要件も名前も言わないような人について行く気はありません」

 

男は上から目線でサトシに命令するように言うが、サトシはキッパリとそれを断った。

 

「ならば、力尽くで連れていくまでだ。ゆけお前たち!!」

 

男はそう言うと6つのモンスターボールを投げる。中から現れたのはドラピオン、ヘルガー、サメハダー、キリキザン、ダーテング、タチフサグマ。更に穴から男に続くように黒い制服をまとった集団が現れ、ポケモンたちを繰り出してきてサトシとサトシのポケモンたちに向けて攻撃してきた。

 

「くっ、みんな迎え撃つぞ!!」

 

いきなり攻撃してきたことに驚いたがすぐに対処するためにサトシはポケモンたちに指示を出すとそれに答えるようにポケモンたちは声を上げるのだった。

 

数は向こうの方が上だが、サトシのポケモンたちは全員がポケモンリーグ本戦で戦えるほどに強いため敵のポケモンを次々と倒していく。その様子を少し離れた場所から見ていた男は思わず舌打ちをする。

 

「流石はアローラ初代チャンピオン。この程度なんともないか」

 

「クーロン様。あまり時間をかけすぎるのは危険かと・・・」

 

「わかっている。ここは予定通りコイツらを使うぞ」

 

男──クーロンは部下の言葉に苛立ちを隠さずに3つの黒いボールを取り出した。クーロンが取り出したボールを見たサトシは思わず驚愕した。

 

「そのボールはっ!?」

 

「ほぅ、このボールの事を知っているのか。だが時間もないのでとっとと終わらせてやろう。いでよ!邪悪なるファイアー!邪悪なるサンダー!邪悪なるフリーザー!」

 

クーロンはサトシがこの『ダークボール』の事を知っていることに驚いたが、そんな事を気にせずに3つのダークボールを投げる。中から現れたのは通常の色よりもドス黒い色をしたカントー地方の伝説のポケモンであるファイアー、サンダー、フリーザーが現れた。

 

「ファイアー! 大文字! サンダー! 雷! フリーザー 吹雪!」

 

「ピカチュウ! 10万ボルト! カビゴン! 破壊光線! リザードン 火炎放射! 」

 

クーロンがファイアーたちにサトシのポケモンたちに攻撃するように指示を出す。サトシも負けじとピカチュウたちに指示を出すと技がぶつかり合う。6体の技がぶつかり合ったことで爆発しその衝撃がこの場にいる全員を襲いこの場が煙に包まれた。

 

そして煙が晴れるとそこにはファイアーたちとピカチュウたちの技の衝撃によって戦闘不能になっている部下たちのポケモンと傷つきながらも立ち上がろうとしているサトシのポケモンたち。そして事前にヘルガーの守るで衝撃から身を守っていたクーロンがピカチュウたちを庇って傷ついているサトシの前に立っていた。

 

「正直驚いたな。まさかファイアーたちの技と互角とは・・・流石は『愛されし者』だな。だが今は貴様を連れていくことを優先させてもらう。ドラピオン」

 

「ドラァ」

 

「ぐっ」

 

クーロンはサトシの実力に驚いたが、自らの目的を優先すべくドラピオンにサトシを捕まえるように指示を出すと、ドラピオンはコクリと頷くとサトシの体を掴んだ。サトシは抵抗しようともがくがドラピオンの力は強くビクともしなかった。

 

「ピ、ピィカァァ!!」

 

ピカチュウを筆頭に傷ついたサトシのポケモンたちがサトシを助けようとするが、それを許すクーロンではなかった。

 

「ヘルガー、煉獄だ」

 

ヘルガーの強力な煉獄によってピカチュウたちは吹き飛ばされてしまった。その間にクーロンの部下たちは穴の中へと入っていき、後はクーロンとサトシだけとなった。

 

「これで任務完了だな」

 

男はそう呟くとサトシを拘束しているドラピオンと共に穴の中へと入っていく。

 

「ピカチュウー!!」

 

「ピカピー!!」

 

拘束されながらもサトシはそう叫ぶと、傷つきながらもピカチュウたちサトシのポケモンたちはサトシを助けるために男を追いかけるように穴の中へと次々と躊躇うことなく入っていく。

 

サトシのポケモンたちが全員穴に入り終わるのと同時に穴はグニャグニャと歪みながら小さくなっていくと最終的に穴は消え去ってしまった。

 

そして穴が消えたのとほぼ同時にシゲルとケンジがやって来た。

 

「サトシー!ピカチュウー!おかしいな。サトシだけじゃなくてサトシのポケモンの姿すら見当たらだないなんて・・・」

 

「まさか何かあったのか・・・」

 

ケンジとシゲルは帰ってきたオーキド博士と共にサトシとサトシのポケモンを探したが何も見つからなかった。

 

残っていたのはポケモンたちの技によって荒れた広場だけだった・・・

 




◆◆◆

アニポケ×ポケスペのクロスオーバー小説です。時系列はアニポケは新無印編終了後で、ポケスペは第14章終了後となっています。

この作品ではサトシを含めて1部のキャラたちが作中ゲットしていないポケモンたちをゲットしております。数が多くなるので影が薄くなるポケモンがいるんじゃないかと不安はありますが何とかなるようにそこは頑張りたいです。
アニポケからはサトシの他にロケット団の3人とゴウを含めたサトシの旅仲間、サトシのライバルから数人程出す予定です。
オリジナルキャラクターも登場します。
似たような小説もあると思いますが、読んでもらえるとありがたいです。また、意見などがあれば教えて貰えるとありがたいです。


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第一話 図鑑所有者との出会い1 カントー編

まえがき
今回の話を含めてサトシのポケモンたちとポケスペの図鑑所有者の出会いを中心とした話がしばらく続きます。




「ねぇタケシ、サトシがマサラタウンに帰ってきるってホントなの?」

 

「ああ、本当だぞ。昨日サトシから電話がかかってきてな。しばらくの間はマサラタウンにいるらしいぞ」

 

「全く!帰ってるんならタケシだけじゃなくて私たちにも連絡の1つぐらいよこしなさいよね!!」

 

そんなことを話しながらトキワの森を歩いているのはかつてサトシと共に旅をした仲間であるハナダジムジムリーダーのカスミと元ニビジムジムリーダーにして今はポケモンドクターを目指して勉強中のタケシ。

 

二人は久しぶりにサトシに会うためにマサラタウンへと向かっているのだった。

 

「そういえばハルカやヒカリたちも向かってるんだっけ?」

 

「ああ、他にもサトシがイッシュやカロス、アローラで一緒に旅した人たちも来るらしいぞ」

 

「イッシュとカロスの方は会ったことはないけどアローラってことはスイレン達のことよね。懐かしいわね~」

 

タケシとカスミは話しながら久しぶりに会うかつてサトシと旅をした仲間たちや初めて会うサトシの旅仲間との出会いを楽しみにしていた。

 

「そういえば最近、ポケモンの強奪や盗難の事件が多数あるらしいぞ。一部のジムでも被害があったそうだがハナダジムの方は大丈夫なのか?」

 

「今のところ大丈夫よ。けれど・・・なーんかサトシが巻き込まれてそうなのよね」

 

「確かにな・・・」

 

カスミとタケシは、ここ最近起こっている事件の中にかつてサトシと共に旅をして伝説や幻のポケモンとトラブルのあった場所を中心に発生しているためにカスミとタケシはサトシがこの事件に巻き込まれているのではないのかと考えしまい、互いに顔を引き攣らせてしまうのだった。

 

◆◆◆

 

マサラタウン、真っ白と言われている事も手伝って、マサラタウンと呼ばれる。

そこの有名なポケモントレーナー。名をレッドと言う。

レッドは普段はシロガネ山で修行をしているのだが、今日はオーキド博士に呼ばれて久しぶりに故郷であるマサラタウンへと帰ってきていた。

 

今は手持ちであるピカチュウのピカ、フシギバナのフッシー、ニョロボンのニョロ、カビゴンのゴン、ギャラドスのギャラ、プテラのプテ、エーフィのブイと戯れながらオーキド研究所へと向かっていた。

 

「ピカ?」

 

何かに気づいたのかピカは耳をピクピクと反応させると他のポケモンたちも何か気がついたのか周囲をキョロキョロと見渡す。そして何か見つけたのかピカを筆頭にレッドのポケモンたちは近くの森へと入っていく。

 

「どうしたんだ?みんな?」

 

レッドは突然のポケモンたちの行動に疑問を持ちながらもピカたちを追って森の中へと入っていく。しばらくの間森の中を歩いているとコツンと足に何かが当たった。レッドは当たった物を確認するとそれはモンスターボールだった。

 

「モンスターボール?どうしてこんなところに・・・」

 

レッドは不思議に思いながらボールを拾う。落ちていたボールは全部で6つありどれも傷ついていた。

 

「チャー!」

 

「なっ」

 

ピカの声を聞いたレッドは声の聞こえた場所へと向かう。そこにはレッドのポケモンと傷だらけで倒れているポケモンたちがいた。

 

「おい!大丈夫か?」

 

レッドは近くにいたピカチュウを抱えあげながら声をかけるが、気絶しているためか反応はなかった。レッドは慌てながら他のポケモンたちを見回す。そこにはピカチュウの他にフシギダネ、エーフィ、バシャーモ、そして見たことの無い鋼のような鎧をした鳥ポケモン、百足のような毒々しい色をした巨大な虫ポケモン、オレンジ色の毛並みをした狼のポケモンがいた。

 

「コイツらは一体・・・」

 

レッドは図鑑を取り出すと初めて見るポケモンたちを調べようと図鑑を掲げるが、なんの反応もなかった。

 

「図鑑に反応がない。ってことは俺の知らない地方のポケモンか」

 

レッドはその事を確認するとピカチュウを抱き上げ、先程拾ってきたモンスターボールを倒れているポケモンたちに当てるとポケモンたちはモンスターボールの中へと入っていった。どうやらこのポケモンたちはトレーナーのポケモンたちのようだ。

 

「とりあえず、コイツらを治療しないとな」

 

レッドは空を飛べるプテ以外を一度ボールに戻すとピカチュウを抱えながらプテに掴まれながらオーキド研究所へと向かうのだった。

 

◆◆◆

 

「───ああ、わかった。用事を終えたらすぐにそちらに向かう。では失礼する」

 

トキワシティにあるトキワジムの入口にてトキワジムジムリーダーのグリーンはポケモン協会からの電話に対してそう答えて電話を切ると、グリーンの祖父であるオーキド博士から呼び出しを貰ったのでマサラタウンへと向かおうとしていた。

 

「頼むぞリザードン」

 

グリーンはそう言ってリザードンに乗ろうとしたが、リザードンは何かに反応したのかじっと目の前の茂みを見ていた。グリーンはリザードンの様子がおかしいのに気づき声をかけようとしたが、その前にリザードンが見ていた茂みがガサガサと動きそこから傷だらけのゼニガメとブラッキーがヨロヨロと現れるとそのまま地面に倒れた。

 

「これは・・・」

 

グリーンは傷だらけのゼニガメとブラッキーに驚きつつも近くに移動すると茂みの奥には他にも同じように傷だらけのメタグロスやゲンガー、そして見たことの無い二体のポケモンがいた。そしてそのポケモンたちの近くには6つのモンスターボールがあった。

 

「こいつらは・・・見たところトレーナーの手持ちだな。しかもかなりよく育てられている」

 

なつき進化のブラッキーがいることから予想はできていたが、モンスターボールを確認したことでそれは確信に変わった。そして『育てる者』であるグリーンの目からしてもこのポケモンたちはかなり育てられていることが分かっていた。

 

グリーンは落ちているボールの中から1つ取って見るが、長年使ったことによって使い古されただけでない傷だらけのボールに何か思うが、まずはポケモンたちの治療をしようと傷ついたポケモンたちをボールに戻してジムへと戻ろうとする。が、

 

「あ、ちょうどいい所にいたわねグリーン」

 

「ブルーか、何の用だ」

 

ジムに戻る前にグリーンに声をかけてきたのは同じカントーの図鑑所有者であるブルーだった。

 

「実はトキワの森を飛んでいる時に傷ついているポケモンたちの姿があったのよ。それで確認するために降りたら傷だらけのそのポケモンたちモンスターボールが落ちてたから一応ボールに入れたんだけど治療するためにジムの治療施設を使ってもいいかしら?」

 

ブルーはそう言いながら5つのモンスターボールとスピードボールを取り出した。ボールの中にいるのはカビゴン、オニゴーリ、オンバーン、グライオン、ハッサムだった。

カビゴンはカントーでも珍しいポケモンであり、他のポケモンたちも他の地方に生息しているポケモンだった。

 

「お前もか」

 

「お前『も』ってことはグリーンもなの?」

 

「ああ、さっき俺も傷だらけで倒れていたトレーナーのポケモンを保護したところでこれから治療するところだ」

 

「そうだったのね」

 

グリーンの言葉に納得したブルーはそのままグリーンと共にジムの中にある医療システムに傷だらけのポケモンたちのボールをセットする。

 

「それにしてもこの子たちのトレーナーはどうしたのかしらね?」

 

「さぁな。だがポケモンとボールの傷から見ても何かあったに違いない」

 

「そうね」

 

グリーンとブルーが現在治療中のポケモンたちに目を向けながらそんな事を話していた。

 

◆◆◆

 

「久しぶりにオーキド研究所に行くねチュチュ」

 

マサラタウンに続く森を歩いている麦わら帽子を被っている少女、イエローはパートナーであるピカチュウのチュチュを抱えながら楽しそうに歩いていた。

 

「チュ?」

 

そろそろマサラタウンに着く頃だとイエローが思っていると、突然チュチュが何かに気づいたのかイエローの腕から抜け出すと森の中へと走り出した。

 

「チュチュ、どうしたの?」

 

イエローはいきなり走り出したチュチュの後を追いかける。しばらくの間森の中を歩くと開けた場所に辿り着き、そこには傷つき倒れているリザードン、ヘラクロス、クチート、シザリガー。がいた。その傍にはチュチュとそのポケモンたちのと思わしき傷ついたモンスターボールが4個転がっていた。

 

「大変だ!急いで治療しなきゃ!!」

 

イエローは傷ついたポケモンたちの横に座ると手をかざしてイエローの力の一つであるトキワの森の力を使ってポケモンたちの傷を癒していく。

 

そして全員の傷を癒すとポケモンたちは目を覚まし治してくれたイエローに礼をした。イエローは困惑しながらもそのお礼を受け止めるがこのポケモンたちをどうすればいいかと悩んでいた。

 

「ボールがあるって事はトレーナーのポケモンだよね。でもどうすればいいかな・・・」

 

もしかしたら近くにトレーナーがいるのではないかとイエローは思うが流石にこのままこの場にポケモンたちを放置するのは危険だと分かっているのでどうしようかと悩んでしまう。

 

「とりあえずオーキド博士の所に連れていった方がいいかな?もしかしたら何か知ってるかもしれないしね」

 

イエローがそう呟くとオーキド博士の名前に反応してリザードンたちが顔を見合せたがイエローはそれに気づいていなかった。そしてイエローはリザードンたちを1度ボールに戻すとマサラタウンのオーキド研究所へと向かった。

 

カントー地方、そこの有名なトレーナーであると同時に図鑑所有者として幾つもの騒動に巻き込まれた経験のあるレッド、グリーン、ブルー、そしてイエロー。彼らが見つけたポケモン達。その出会いは一つの物語の始まりに過ぎなかった。 そして、それはカントー地方だけではなかった。




あとがき

今回はポケスペメンバーであるカントーの図鑑所有者であるレッドたちとサトシのポケモンたちの出会いです。しばらくは地方ごとに図鑑所有者とサトシのポケモンたちの出会いの話を書き、それが終わってからストーリーを進めていこうと思っております。また、あとがきにてこの作品で登場したサトシがオリジナルでゲットしているポケモンたちの紹介を軽く行おうと思います。

ちなみにそれぞれ保護したポケモンは以下の通りです。


レッド:ピカチュウ、フシギダネ、エーフィ、バシャーモ、アーマーガア、ペンドラー、ルガルガン(黄昏の姿)

グリーン:ゼニガメ、ブラッキー、メタグロス、ゲンガー、ガマゲロゲ、ムンナ

ブルー:カビゴン、オニゴーリ、オンバーン、グライオン、ハッサム

イエロー:リザードン、ヘラクロス、クチート、シザリガー


サトシオリジナルゲットポケモン設定

・エーフィ♀
特性マジックミラー
イーブイ兄妹の長女でサトシのフシギダネやジャローダたちと共にオーキド研究所でポケモンたちの世話をしている。元々はイーブイを売り捌く非合法な育て屋によって金持ちに売られそうになる所をサトシに助けられた。最初の頃はサトシ以外の人間を恐れていたが徐々に慣れてきて今ではサトシの知り合い相手なら普通に接することができるようになった。

・バシャーモ♂
特性加速
アチャモの頃にホウエン地方のトウカの森でトレーナーに弱いと言われて捨てられ野生のポケモンに襲われていたところをサトシに助けられた。捨てられたことで人間を信じることができず治療してくれたサトシに対して攻撃してしまう。しかし、攻撃されても自分を心配するサトシと自分を捨てたトレーナーに対して怒ってくれたサトシに対して心を開き自らゲットされた。その後、サトシのポケモンたちと特訓をして心身ともに鍛えられ、捨てたトレーナーと再会した時にバトルの最中にバシャーモへと進化した。ちなみにバトルに負けたあと、サトシのリザードンやエンブオーを捨てたトレーナーのように厚かましく戻ってこないかと言ってきたが、容赦なくブレイズキックを決めた。右腕にバシャーモナイトが埋め込まれた腕輪を装着している。

・ペンドラー
特性毒の棘
サトシがイッシュ地方を旅していた時にヒウンシティで出会ったフシデがペンドラーに進化した。サトシがゴウとリサーチフェローとしてヒウンシティに訪れた時に再開し、その時サトシの手持ちとなった。

・アーマーガア
特性ミラーアーマー
ガラル地方のアーマーガアタクシーとして将来働くことを目的とした育成所にいたココガラだったが、本人はバトルすることの方が好きだったために育成所を抜け出しては近くのトレーナーにバトルを仕掛けているために育成所の人々を困らせていた。そんなある日、リサーチフェローとして育成所の近くを通っていたサトシにバトルをしかけた。そのバトルでサトシに負けてしまい、その後ロケット団によるいつもの襲撃を受けた際にサトシと共にココガラは見事ロケット団を迎撃することが出来た。そのバトルを見ていたアーマーガアタクシー会社の社長がココガラをサトシに託し、ココガラはサトシのポケモンとなった。その後、特訓中にアオガラスへと進化し、WCSのマクワとのバトルでアーマーガアへと進化し、キョダイマックスの姿へとなってその試合を勝ち取った。

・ブラッキー♂
特性シンクロ
イーブイ兄妹の長男。イタズラ好きでよくサトシの水ポケモンや弟のサンダースと共にイタズラをしてフシギダネやエーフィに説教をくらってしまっている。加入歴はエーフィと一緒。

・メタグロス
特性クリアボディ
アローラ地方から帰ってきたサトシ宛にダイゴがアローラチャンピオン就任のお祝いとして送ったふたつのポケモンの卵の内の1つから孵ったダンバルが進化した。生まれたばかりだと言うのにサトシのリザードンやジュカインに対してバトルを仕掛けるなどズルッグを思い出すようなやんちゃっぷりを見てサトシや生まれたばかりのズルッグを知っているピカチュウやエンブオーたちは思わず笑ってしまった。ライバルのマサムネと再開した時のバトルにてメタングへと進化し、リサーチフェローとして活動していた時に崖から落下したサトシを助けるためにメタグロスへと進化した。
進化してからは落ち着きを見せるようになったが、生まれたばかりなのでサトシに甘えるしズルズキンやドンファンたち卵組とも仲良く遊んでいる姿がオーキド研究所でよく見られている。また、顔の中心のところにメタグロスナイトがついた飾りが装飾されている。

・ムンナ
特性シンクロ
リサーチフェローとしてイッシュ地方のムンナとムシャーナの出す煙、夢の煙の調査をするために迷いの森に来た時に出会い、気に入られてそのままゲットした。サトシの頭に乗るのが好きなので今のところ進化する気は無いようだ。

・ハッサム
特性テクニシャン
ゴウとコガネシティに訪れた際に参加した虫取り大会でゲットしたハッサム。サトシのジュカインとゲッコウガをライバル視しており、一緒に特訓をする姿がオーキド研究所内でよく見られる。一見クールに見えるが、過去にサトシのバタフリーのお嫁さんであるピンクちゃんに一目惚れして告白したことがあり、旦那がいるからと振られたショックでしばらくの間まともに技を出せなくなったが、サトシやサトシのポケモンたちの励ましのおかげでショックから立ち直っている。

・クチート
特性力ずく
石の洞窟で出会った個体。ロケット団が捕獲しようとしたが失敗して暴走させてしまったボスゴドラに踏み潰されそうになったところをサトシに助けられてサトシに惚れて騒動の後自らゲットされにいった。サトシに惚れているメガニウムを筆頭としたメスポケたちとはよく女子会をする位に仲がいい。


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第二話 図鑑所有者との出会い2 ジョウト・ホウエン編

まえがき
今回はジョウト地方とホウエン地方の図鑑所有者たちとサトシのポケモンたちの出会いです。




「・・・図鑑所有者・・・」

 

暗闇の中、1つの人影がパソコンに向き合って調べていた。パソコンの輝きがその人影を照らしているが、黒いサングラスと口元をマフラーで隠しているため顔は見えないでいた。

 

その人影が見ているパソコンの画面にはレッドやグリーンたち21人の図鑑所有者たちの顔写真と彼らが関わってきた事件についての情報が映っていた。

 

「各地方のポケモン博士から図鑑を与えられた少年少女たち。それぞれが得意な才能や能力を持っていると奴は言っていた。・・・上手く利用すれば奴らを何とか出来るかもしれない」

 

「グォォ・・・」

 

暗闇の中、そんな呟きとそれに答えるようにその人影の手持ちらしき色違いのリザードンが鳴く。

 

図鑑所有者・・・ポケモン図鑑を持つ者に対する1つの称号のようなものだ。例えばレッドはポケモンバトルに対する才能から『闘う者』。グリーンはポケモン育成に関する才能から『育てる者』。ブルーはポケモンの進化に関する才能から『化える者』。そしてイエローはトキワの森の力によるポケモンを癒す力があることから『癒す者』などそれぞれの才能や能力にあった異名がつけられている。

 

その人影が何故図鑑所有者たちのことを調べているのかは、それはまだ分からないのであった。

 

◆◆◆

 

「おい。シルバー」

 

「なんだ?」

 

「オレはなんで並んでいるんだ?」

 

コガネシティのラジオ塔前にて爆発したような前髪の少年ゴールドは隣にいる赤髪の少年シルバーにそう尋ねた。

 

「コガネシティラジオ塔限定のタウリナーΩのグッズと資料集を買いに来た」

 

「それはお前の予定だろ!何で俺までそれに付き合わなきゃ行けねぇんだよ!!」

 

ゴールドはシルバーに対して思わず怒鳴るように叫んでしまった。

 

彼の名はゴールド。レッドたちと同じ図鑑所有者の1人であり、お調子者なところもあるため色々言われることはあるがその実力は高く、熱い性格をしているポケモントレーナーだ。特に彼の特筆する所としてはポケモン孵化に関する高い才能を持っているためにオーキド博士から『孵す者』と異名をつけられた。

 

そのゴールドの隣にいるのはシルバー。過去にカントー地方の図鑑所有者であるブルーと同じ組織に誘拐され過酷な環境で育てられカントーとジョウトの図鑑所有者たちと共に過去の因縁に蹴りをつけた。シルバーもまたゴールドと同じ図鑑所有者であり通信交換による進化に関する才能を持っているため『換える者』の異名をつけられている。

 

そして何故かシルバーはヒーローアニメにハマるようになってしまい今日もこうして今1番ハマっている『タウリナーΩ』のグッズを買いに来ていた。

 

「観賞用と保存用の2つを買うために決まっているだろう」

 

キリッと無駄に顔を決めるシルバーにゴールドは思わず頭を抱えてしまう。同じようにゴールドの頭の上に乗っているゴールドの手持ちのピチューのピチュと2人の足元にいるエテボースのエーたろうとシルバーの手持ちであるマニューラも呆れてため息を吐いていた。

 

「お一人様一個までなんだ」

 

「・・・はぁ。仕方ねぇな。その代わり後でバトルにつきあえよ」

 

「ふん。手加減はしないぞ」

 

「あったり前だ!」

 

2人が列に並びながらそんな事を話していると何やら前の方からざわめきの声が聞こえてきた。

 

「なんだ?何かあったのか」

 

ゴールドは列から顔を出して様子を見ようとしていると騒ぎの場に向かって走っている集団の中に見知った顔であるコガネラジオのディレクターがいたので肩を掴んで止めた。

 

「おいおっさん。そんなに慌ててどうしたんだよ」

 

「ゴ、ゴールドくん!?それにシルバーくんも!?ちょうどよかった!ちょっと一緒に来てくれ!!」

 

ディレクターはそう言うとゴールドとシルバーの手をとって無理やり騒ぎの場へ一緒に向かった。

 

「ちょっ、ちょっと待てよ!いきなり何なんだよ!!」

 

「待て。俺には期間限定のタウリナーΩのグッズを買う目的が」

 

「詳しい話は後で!それからグッズなら後で用意してあげるから今はこっちを優先してくれ!!」

 

いきなりのことに慌てたゴールドとシルバーだが、慌てた様子のディレクターにそれ以上何も言えなかったのとグッズを入手出来ることからシルバーは大人しくなりゴールドも何が起こっているのか気になっているので2人は大人しくディレクターと共に騒動の場所へと向かった。

 

 

そして騒動の場所に着くとそこではコカネジムのジムリーダーであるアカネとアカネのパートナーポケモンであるミルタンクのミルたんを中心に十数人のトレーナーとその相棒のポケモンたちがいた。ミルたんたちが相手をしているのマッハポケモンのガブリアスとドリルポケモンのドサイドン、そして、てつヨロイポケモンのボスゴドラだった。

 

ガブリアスたちは身体の至る所に真新しい傷があり、興奮しているのか目が血走っていた。そしてミルたんの方も限界が近いのか肩で息をしており今にも倒れそうだった。そんなミルたんにガブリアスが『ドラゴンクロー』を展開しながら一気に近づくとそのままミルたんに爪を振り下ろして壁に叩きつける。

 

「ミルたん!」

 

アカネは思わず叫びながら壁に叩きつけられたミルたんに駆け寄るとその間にドサイドンとボスゴドラは残りのポケモンたちをあっという間にのしてしまった。

 

ガブリアスたちは興奮して我を忘れているのかポケモンたちを倒してもまだ暴れており、ガブリアスたちは周囲に攻撃をしていた。

 

「おいおい!なんだよアイツらは!?なんで暴れてやがるんだ!?」

 

「それが分からないんだ。突然現れたかと思えばああやって暴れ回ってるんだ」

 

「ちっ!とにかく今はアイツらを止めるぞシルバー!」

 

「あぁ分かってる」

 

ゴールドはディレクターに暴れているガブリアスたちについて尋ねるが彼自身もよく分からないために答えられないでいた。とりあえず今は考えても答えが出ないためにゴールドとシルバーは暴れているガブリアスを止めるためにそれぞれのポケモンを出した。

 

ゴールドはウソッキーのウーたろう、トゲキッスのトゲたろう、ニョロトノのニョたろう、キマワリのキマたろう、バクフーンのバクたろう。シルバーはドンカラス、キングドラ、オーダイル、リングマ。

 

「ウーたろう 岩雪崩! トゲたろう 波動弾! ニョたろう ハイドロポンプ! キマたろう エナジーボール! バクたろう 火炎放射! エーたろう ダブルアタック! ピチュ 10万ボルト!」

 

「マニューラ 氷の礫! ドンカラス 悪の波動! キングドラ 冷凍ビーム! オーダイル ハイドロポンプ! リングマ 気合玉!」

 

ゴールドとシルバーのポケモンたちがいっせいにガブリアスたちに対して攻撃を放った。しかしその攻撃が届く前にドサイドンとボスゴドラが前に出ると『守る』で攻撃を防ぐ。しかし技がぶつかりあったことによって土煙が舞い、ボスゴドラたちの姿を隠してしまう。

 

「へっ!まさか『守る』を覚えたなんてな。だが、まだまだ行くぜ!エーたろう 気合いパンチ!ウーたろう アームハンマー!」

 

『守る』を覚えていることに多少驚いたがゴールドは臆せず攻めようとウーたろうとエーたろうに指示を出して2匹はボスゴドラとドサイドンにそれぞれ『アームハンマー』と『気合いパンチ』を発動させながら接近する。

 

そしてウーたろうの『アームハンマー』がボスゴドラに、エーたろうの『気合いパンチ』がドサイドンに当たろうとした瞬間、2体の足元の地面が隆起したのに気づいたシルバーはゴールドに叫ぶ。

 

「!ゴールド、2匹を下がらせ──!」

 

「────ガバァ!!」

 

しかしシルバーの忠告をゴールドが聞き終えるよりも先に地面から現れたガブリアスは2体の腹部に『岩砕き』をくらわせた。『岩砕き』をくらったウーたろうとエーたろうはその衝撃で思わず発動していた技を解除してしまい隙が出来てしまった。

 

そしてその瞬間を逃がす訳もなく、ドサイドンは『アームハンマー』をエーたろうにボスゴドラは鋼鉄化した尻尾『アイアンテール』をウーたろうにくらわせるとそのまま2体をゴールドの方まで吹き飛ばすと飛んできた2体をトゲたろうとリングマが受け止める。

 

「大丈夫かウーたろう!エーたろう!」

 

「ウ、ウソッキー!」

 

「エ、エポエポ!」

 

ゴールドは2体に声をかけるとウーたろうとエーたろうはヨロヨロと立ち上がりながらも勢いよく返事をする。しかし、今まで何度も強敵や伝説のポケモンと戦ってきたゴールドの手持ちにここまでダメージを与えていることからこの3体はかなりレベルが高くバトルの経験もあることがわかる。

 

「あまり時間をかけて被害を広げる訳には行かないな。ゴールド」

 

「わああってるよ!いくぜバクたろう!ピチュ!」

 

「頼むぞオーダイル」

 

シルバーはオーダイルを前に出しながらゴールドに声をかけるとゴールドもそれだけでなんのことか察しバクたろうとピチュを前に出す。

 

「バクたろう ブラストバーン! ピチュ ボルテッカー!」

 

「オーダイル ハイドロカノン!」

 

三体が放った技はそれぞれ炎、雷、水の究極技。その技は限られたポケモンしか覚えることも出来ず技を使うと反動があるがそれを補うほど強力な威力を持った技である。

 

「ガバァッ!!」

 

「ボォス!!」

 

「ドッサイ!!」

 

ガブリアスたちはバクたろうたちの技に対抗するために技を放った。まずドサイドンが『岩石砲』を放ち、それに対してボスゴドラは『ラスターカノン』を放ちさらに勢いを早めさせ、『ドラゴンダイブ』を発動しているガブリアスはそのまま2つの技を取り込みそのまま突撃した。

 

6体の技が衝突しようとしたその瞬間だった。衝突する寸前に横から巨大な蔦と岩が発生するとそれぞれの技を防ぎ、巨大な蔦と岩にぶつかったピチュとガブリアスは弾き飛ばされてそのまま地面を転がった。

 

「なっ!?」

 

「今の技は!」

 

ゴールドとシルバーはある程度威力を抑えていたとはいえバクたろうたちの究極技が防がれたことにも驚いたが、それ以上に今の技が草の究極技である『ハードプラント』であることに驚きを隠せなかった。そして2人は技が放たれた方向へと顔を向けるとそこにはメガニウムとバンギラス、バクフーン、オーダイル、フーディン、シャワーズ、サンダース、サーナイトがいた。

 

「サーナー」

 

サーナイトがガブリアスたちの前に移動すると『癒しの波動』をガブリアスたちに当てるとガブリアスたちの傷が回復し興奮状態から回復した。落ち着いたガブリアスたちはサーナイトたちに気づくとサーナイトたちに話しかけ始めた。

 

「な、なんだ?」

 

ゴールドは突然現れたサーナイトたちとサーナイトたちと親しく話している先程まで暴れていたガブリアスたちに困惑していると上空から懐かしい声が聞こえた。

 

「ゴールド!シルバー!大丈夫!?」

 

「先輩たちお久しぶりったい!」

 

空を見上げるとそこにはネイティオのネイぴょんに掴まっているゴールドとシルバーと同じジョウト地方の図鑑所有者であるクリスタルことクリスと、その後ろでトロピウスのとろろに乗っているのはホウエン地方の図鑑所有者であるルビー、サファイア、エメラルドの三人だった。

 

「クリスにサファイアたちか。どうしてここにいるんだ?」

 

シルバーはクリスたちが何故ここにいるのか尋ねる。先日クリスはオーキド博士からの依頼でホウエン地方の図鑑所有者たちと共にシロガネ山に調査をすると連絡があったのでコガネシティにやって来ていることに驚いていた。

 

「実はシロガネ山の調査が終わったあとにウツギ研究所に戻る途中で傷ついたポケモンたちを保護しようとしたんですけど・・・」

 

「傷を癒す前にあの3匹に逃げられちゃったんですよ」

 

「なるほどな」

 

ルビーとエメラルドが説明した内容に納得したシルバーは頷いた。2人の話の内容と目の前で親しく話しているガブリアスたちとメカニウムたちの様子から仲間であることが何となく理解できる。

 

「にしてもエメラルド。逃げられる前に何時もの『陣』で囲って落ち着かせてやりゃ良かったんじゃねぇか?」

 

ゴールドは話の中で気になっていたことをエメラルドに聞いた。エメラルドは過去に様々な土地を巡って多くのポケモンと触れ合ったことによって一瞬にしてポケモンの出生地を見抜く力が身についている。その力とカラクリオヤジ作のEシューターによって放たれる出生地の土を特殊な糸で繋げてポケモンを囲む領域『陣』を作り、我を失ったポケモンの心を和ませることができる。

 

それを使えばが我を失っていたガブリアスたちを落ち着かせ傷を癒せたのではないかとゴールドは思ったのだが、それを言うとエメラルドは困ったように首を傾げた。

 

「それがわからないんです・・・何度見てもコイツらの出生地がなんかわかりそうでわからない感じで・・・こんなこと今までなかったんで俺もよくわからなくて」

 

「マジか・・・」

 

ゴールドはエメラルドの言葉に驚いてしまった。その間にクリスとサファイアがガブリアスたちを彼らを発見した際に見つけたボールに戻す。

 

「とりあえず私たちはこの子たちを一度ウツギ研究所に連れていくんだけどゴールドたちはどうするの?」

 

クリスはガブリアスたちのボールを抱えながらゴールドに尋ねるとゴールドは一瞬考える素振りを見せたがすぐに結論をだした。

 

「俺も着いてくぜ。そいつらの事も気になるしな。つーわけでディレクターのおっさん後のことはよろしくな」

 

「う、うん。それは構わないんだが・・・」

 

「んじゃ頼むぜ!」

 

ゴールドはディレクターにそう言うとマンタインのマンたろうを出して先にウツギ研究所のあるワカバタウンに向かおうと飛んでいるクリスたちの後を追うのだった。

 

その後、ウツギ研究所に着いたゴールドたちはホウエン地方のポケモン博士であるオダマキ博士から研究所の近くに同じように傷ついたポケモンたちを保護したと通信があった。

 

カントー地方だけではなくジョウト地方とホウエン地方でも現れた異変。その異変はこの地方だけではなく他の地方でも起こっているのだった・・・・・・

 

 

◆◆◆




今回はジョウト地方とホウエン地方の図鑑所有者であるゴールドたちとサトシのポケモンたちの出会いです。参戦する地方が多いので一話で2つの地方をまとめました。ストーリーはまだ進みませんがちゃんと書いていこうと思います。次の話はシンオウとプラチナとムーンの関係からアローラの2組を一緒にしようかと考えています。では今回ゴールドたちが保護したポケモンたちを軽くまとめさせてもらいます。なお、小説内で登場していないポケモンもいますがそこはご了承ください。


ジョウト地方:バクフーン、オーダイル、メガニウム、ヨルノズク(色違い)、バンギラス、フーディン、サンダース、シャワーズ、ガブリアス、ドサイドン、ボスゴドラ、ギャラドス、サーナイト


ホウエン地方:ベトベトン、ジュカイン、ダイケンキ、コータス、ウォーグル、ミロカロス、オコリザル、ブースター、ハハコモリ、ルチャブル、グソクムシャ


サトシオリジナルゲット設定


・フーディン♂
特性シンクロ
リサーチフェローでヤマブキシティに訪れた際に再会したナツメから貰ったケーシィが進化したフューディン。生まれた時から他のエスパーポケモンよりも強力なエスパー能力を持っておりケーシィの頃は上手く使えず暴走することがあったがサトシと一緒に特訓していくうちに上手く操れるようになった。フーディンナイトを首飾りとして装飾している。

・サンダース♂
特性早足
イーブイ兄妹の次男。ブラッキーと同じイタズラ好きでよくサトシの水ポケモンやブラッキーと共にイタズラをしてフシギダネやエーフィに説教をくらってしまっている。加入歴はエーフィと一緒。

・シャワーズ♀
特性貯水
イーブイ兄妹の次女。エーフィと同じしっかり者でエーフィやフシギダネたちと共にオーキド研究所でポケモンたちの世話をしている。また、小さい子の世話が得意なことから卵から孵ったばかりのポケモンや幼いポケモンたちの世話も得意である。

・サーナイト
特性トレース
ポケモンレンジャーのジャッキーから密猟者によって攫われて心に深い傷を負った託された2体のラルトスのうちの1体。最初は人間を恐れていたが、サトシの優しさとサトシのポケモンたちの支えもあって人間にも悪い人間といい人間がいることを理解し、持ち直すことが出来た。サトシの優しさに触れたことでサトシが好きになり他のメスポケに負けず劣らずである。普段は心優しいが怒らせると怖いタイプである。メガストーンはペンダント。

・ドサイドン
特性ハードロック
ジョウト地方のタンバタウンに移転したサファリパークにゴウと一緒に参加した時にゲットしたサイホーン。実はこのサイホーンはかつてサトシが最初にカントー地方を旅した時にゲットしようとしたサイホーンだった。普通のドサイドンに比べて水タイプの攻撃に強く普通に海を泳ぐことが出来る。

・ボスゴドラ
特性頑丈
アローラ地方から帰ってきたサトシ宛にダイゴがアローラチャンピオン就任のお祝いとして送ったふたつのポケモンの卵の内の1つから孵ったココドラが進化した。重量級バトルになれるためにタケシと特訓している時にコドラに進化し、WCSにてトウキとのバトルの最中にボスゴドラに進化しそのまま初めてのメガシンカをしトウキに勝利した。現在の目標はカビゴンにパワーで勝つこと。メガストーンはバングル

・ギャラドス
特性威嚇
クチバシティの釣り場で釣られては弱いという理由で何度も逃がされていたために自分に自信がなかったが、サトシに「大丈夫、お前も強くなれる」と手を差し伸ばしてくれた事が嬉しくそのまま手持ちになった。とある事件を通してヒンバスと共に一緒にギャラドスとミロカロスへと進化した。メガストーンは頭のヒレに赤い輪っかでつけられている。

・ウォーグル
特性力ずく
アローラ地方から帰ってきたサトシ宛にダイゴがアローラチャンピオン就任のお祝いとして送られたポケモンの卵から孵ったワシボンが進化した。生まれた時からバトルが好きなのか誰彼構わずバトルを仕掛けていた。リサーチフェローとしてシンオウ地方のポケリンガに参加した時にフウロのスワンナのバトルの際に進化した。今の目標はオーキド研究所名物である飛行ポケモンレースで1位になることである。

・ミロカロス♀
特性勝気
美しいミロカロスをコレクションにしたいと考えている金持ち相手の商売道具としてホウエン地方の湖でヒンバスの頃に仲間ごと捕まってしまった。進化させるために無理やりポフィンやポロックを食わされたりして進化させられ進化した仲間は金持ちに売られ自由のない水槽の中で暮らされていた。そしていよいよ自分の番かと思った日、偶然その場所を見つけたサトシによって仲間たちと一緒に助けられ、売られた仲間たちもワタルたちポケモンGメンによって助けられた。そんなサトシに惚れたヒンバスは自らの意思でサトシの手持ちになった。最初の頃は進化に前向きではなかったが、ある日サトシとゴウが乗っていた客船が嵐に見舞われてサトシが海に落ちた少女を助けるために海に飛び込み少女を助けることに成功したが足がつって溺れているのを当時コイキングだったギャラドスと共にサトシを助けるために海に飛び込み、そのまま2体はギャラドスとミロカロスへと進化した。コンテストよりもバトルが好きだがコンテストの技を取り入れている。

・ブースター
特性根性
イーブイ兄妹の三女。我儘な所もあるが基本的にサトシに甘えたがりでよくサトシに抱きついている。

・グソクムシャ
特性危機回避
宝島で会ったコソクムシが進化した。リサーチフェローでアローラに来たサトシが宝島に訪れていた時、仲間達の後押しもあり、以前助けてくれたお礼に自らゲットされた。


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第三話 図鑑所有者との出会い・3 シンオウ・アローラ編

今回はシンオウとアローラの図鑑所有者たちとサトシのポケモン達との出会いとなっています。ヒスイ地方のポケモン登場させるのですが大丈夫でしょうか?また、ポケスペの剣盾メンバーも登場を少し考えているのですがどうでしょうか?意見があったらお願いします。


ドン!! ドン!!

 

「くそっ、ビクともしないな」

 

クーロンに気絶させられて目が覚めたサトシは装飾品も何も無い殺風景な部屋に閉じ込められていた。サトシは何とか脱出しようと目が覚めてから何度も扉に体当たりをするがかなり頑丈に作られているのかビクともしない。

 

「こんな時にピカチュウたちがいてくれたら・・・」

 

もしピカチュウたちがいてくれればこんな扉なんてどうにかなったかもしれない。

サトシはふと、そこで自分のポケモンたちのことを思い出す。

 

「ピカチュウ・・・みんな・・・」

 

連れていかれる時、サトシの目には傷だらけになって苦しみながらも自分を助けようとしてくれた。

そんな頑張っていたポケモンたちのことを思い出したサトシはポケモンがいなくて弱気になっている不甲斐ない自分を情けなく思うと顔をバン!と叩くと気持ちを入れ替える。

 

「えーい!クヨクヨしたって仕方ない。ピカチュウたちに会うためにも絶対、ここから出てやる!!」

 

サトシはそう言うと再び扉に体当たりするのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

「おーい、ダイヤ!!早く来いよ!?」

 

「ま、待ってよ~」

 

「パール大丈夫ですよ。まだ時間には余裕がありますので」

 

シンオウ地方マサゴタウンの船着場にてギャロップに乗っている少女とせっかちな少年が歩いている場所から離れた場所で遅いペースで走っているのんびりやな少年にせっかちな少年が声をかけていた。

 

ギャロップに乗っている少女の名はプラチナ・ベルリッツ。せっかちな少年の名はパール。のんびりやな少年の名はダイヤモンドことダイヤ。

 

この3人はシンオウ地方での図鑑所有者であり、それぞれ豊富な知識、強い意志、優しい感情を持っている。その事から3人の図鑑所有者としての異名はプラチナが『知る者』、パールが『志す者』、ダイヤが『感じる者』という称号が与えられていた。

 

かつてひょんな偶然から共にシンオウを旅した3人だが現在はプラチナはシンオウのポケモン研究者であるナナカマド博士とその助手である父と共にその手伝いをしており、パールとダイヤはプラチナの護衛としての特訓と夢であるお笑いコンビを目指しながらプラチナの手助けをしていた。

 

また、ダイヤは伝説のポケモンの一体、レジギガスを手持ちに加えておりパールは、ポケモンの構えだけでどんな技を出そうとしているのかがわかるという特技を持っている。そしてシンオウ地方の全てのバッジを集め、シンオウ地方にある五つのバトルフロンティアを制覇したプラチナと三人ともかなりの実力者である。

 

◆◆◆◆

 

 

「にしてもお嬢様にまさか妹がいたなんてな」

 

「ね~びっくりしたよね~」

 

船着場のベンチに座りながらパールとダイヤはそんな会話をしていた。今日3人がここに来たのはシンオウ地方から遠く離れた地方であるアローラ地方から帰ってくるプラチナの妹を迎えに来たプラチナとその護衛とプラチナの妹との顔合わせもかねていた。

 

「その上お嬢様の妹さんもオイラたちと図鑑所有者だなんて驚いたよね~」

 

「ああ、しかも俺たちと同じようにお嬢さんの妹さんたちのいたアローラ地方ってところでも事件に巻き込まれたらしいぞ」

 

「大変だね~」

 

パールがプラチナの妹についてダイヤに話しかけているのをダイヤは手持ちポケモンであるドダイトスのるーとゴンベのべーとおにぎりを食べながら聞いていた。

 

そうしてしばらくの間2人はベンチに座ってプラチナの妹がどんな人なのか話したり、お笑いのネタについて相談したりなどして時間を潰しているとプラチナが手持ちであるミミロップとエンペルトと一緒にこちらへとやって来た。

 

「お待たせしました2人とも。船はそろそろ着くそうなのでもう少し待ってもらっていいでしょうか」

 

「別に問題ないぜ」

 

「おいらも~」

 

船の到着時間を確認して来て戻ってきたプラチナが手持ちであるエンペルトとミミロップと共にパールとダイヤにそう声をかける。

 

その時、3人の周りが暗くなった。

 

「ん?なんかいきなり暗くなったな。今日の天気って曇りだったか?」

 

「いえ、今日は一日中快晴のはずですが・・・」

 

「お、お嬢様~、パール~。う、上~」

 

「「上?」」

 

突然暗くなったことに疑問を感じているプラチナとパールは慌てた様子で上に指を向けるダイヤのその視線の先をプラチナとパールが見上げると思わず呆然としてしまった。

 

何故ならば3人の周りが暗くなった原因は天気が変わったからではなく、ポケモンたちが空中から落下してきたからだ。

 

「な、なんだってんだよーーーー!?」

 

「今日の天気はポケモンたちの雨なんだね~」

 

「そうそう、ごく稀にそんな雨が降る・・・っじゃないだろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「それより早くこの場から離れ───」

 

突然ポケモンたちが空から落ちてくることに驚いたパールは慌てながらもこんな状況でボケているダイヤにツッコミを入れるとプラチナがこの場から離れるようにように言ったのと同時に

 

ドォォォォォン!!

 

3人がいた場所にポケモンたちが落下し、大きな音と土煙が舞った。ちなみに3人はそれぞれパールの手持ちであるゴウカザルのサルヒコとレントラーのトラヒコ、ミミロップのおかげで何とかポケモンたちに潰されずにすんだ。

 

◆◆◆◆

 

 

場所は変わってプラチナの妹、ムーンが乗っている帆船。ムーンはアローラ地方での目的を果たして単身でアローラ地方に引っ越していたのだがククイ博士がナナカマド博士にある資料を渡しに行くので一緒に里帰りがてらシンオウ地方へとやって来ていた。

 

「久しぶりにお姉様に会えるわねポッチャマ」

 

「ポチャっ!」

 

ムーンは腕に抱えているポッチャマに声をかけるとポッチャマは嬉しそうに声を上げる。ムーンがポッチャマと一緒に久しぶりのシンオウの景色を楽しんでいるとドタドタ!と慌ただしい音を立てながら1人の少年がムーンの前に転がってきた。

 

「うおぉっと危ねぇ!!俺っちの1円が落ちるところだったぜ」

 

「相変わらずね運び屋さん」

 

少年──サンは手のひらにさっき落とした1円があることを確認するとふぃーっと息を吐いて額の汗を拭う。そんなサンをムーンは呆れた表情で見るのだった。

 

「そりゃそうさ!1円を笑うものは1円に泣くんだ!お金は大事だからな!!」

 

サンはフン!と胸を張りながら自慢げにそう言った。

 

サンとムーン。この2人もまた図鑑所有者であり、ムーンは豊富な薬学の知識とその薬の調合の腕の高さから『[[rb:調合る>つくる]]者』とサンは亡くなった曽祖父の島を買い取るために1億円を稼ぐために強い信念を持って貯金に取り組むその姿勢から『貯める者』の称号を与えられた。

 

「にしてもククイ博士の届け物ってなんなんだ?」

 

サンは今回ククイ博士がナナカマド博士に届ける資料がどんなものなのか詳しく聞いていないのでムーンに何か知らないか尋ねる。

 

「なんでも大昔の伝説に関する資料らしいわ。しかもアローラ地方だけじゃなくてシンオウやカントーとか他の地方に関するものもあったみたいで他の地方の博士たちにも見てもらうんですって」

 

「へぇ~そうなのか」

 

ムーンの説明に何となく理解したサンは相槌を打っているとサンのモンスターボールからニャース(アローラの姿)のダラーが勝手に出てくると海を睨むように見ていた。

 

「どうしたんだダラー?」

 

「何か見つけたのかしら?」

 

サンとムーンはダラーの突然の行動に首を傾げていると水面からサメハダーが飛び出してきた。

 

「サメェーー!!」

 

飛び出してきたサメハダーは口を大きく開けると同時に『悪の波動』を放った。突然の攻撃に驚いたサンとムーンが動けないでいるとダラーが2人の前に出て『辻斬り』で『悪の波動』を斬り裂くと『悪の波動』は2人には当たらず船の看板に攻撃はそらされた。

 

「サンキューダラー!助かったぜ!!」

 

「ニャア・・・」

 

サンは助けてくれたダラーにお礼を言うとダラーはぶっきらぼうに返事をしながらその視線はサメハダーに向けられていた。攻撃を防がれたサメハダーは再び海に戻ると今度は海中から『ハイドロポンプ』を放ってきた。

 

「っと。今はそれどころじゃないよな!バーツ!こっちも『ハイドロポンプ』だ!!」

 

「ワッシ!!」

 

サンはヨワシのバーツを出すと『ハイドロポンプ』を指示してサメハダーの攻撃にぶつける。攻撃が相打ちで終わるとサメハダーは攻撃の狙いをサンたちから船に変えると船に向かって『捨て身タックル』を仕掛けてきた。

 

「うおっと!?くそ、いきなりなんだってんだよ!!」

 

「おかしい・・・」

 

サンは船に攻撃してくるサメハダーに憤慨しているとムーンは眉を顰めながら船に攻撃してくるサメハダーを見ていた。

 

「おかしいって何がだよ?」

 

「サメハダーは本来この海域には生息しないポケモンなのよ。だからここにいるのはおかしいのよ」

 

ムーンが言う通り、本来ならばこのあたりの海にはサメハダーやその進化前であるキバニアは生息していない。故に考えられる可能性としては元はトレーナーの手持ちだったサメハダーが捨てられて野生となったか、或いは──

 

「トレーナーの指示で動いているポケモンの可能性もあるわね」

 

「うっひょっひょっひょっ。中々賢い小娘じゃな」

 

ムーンがそう推測立て他考えを肯定するように上空から老人の声が聞こえてきたので2人が顔を上にあげるとそこには機械に乗った老人とゴルバットに肩を掴まれている黒い団員服を着ている集団がいた。

 

「誰だおっさん!」

 

「ワシの名はプルート。元はギンガ団に所属しておったが今はこのセブンス団の一研究員として活動しておるものじゃ」

 

「そのセブンス団の研究員さんが一体何しに来たのかしら?」

 

「目的はもちろんお主らが持っている研究資料とそこの小僧が持っているウルトラビーストじゃよ」

 

機械に乗っている老人──プルートは愉快そうに笑みを浮かべながら目的を告げるとサンとムーンは警戒しながらすぐにでも手持ちのポケモンたちを出せるように腰のモンスターボールに手を伸ばす。

 

「おっと。下手な真似はやめておくんじゃな。すでにお主らの船の周りにはワシらのポケモンたちで囲っておる。少しでも抵抗する素振りを見せれば・・・」

 

プルートがそう言った瞬間、海中からドククラゲやバスラオ、パルシェン、サメハダーなどの水タイプのポケモンたちが姿を現した。その数は多くとてもじゃないがサンとムーンの2人だけでは倒し着ることは難しいものだった。

 

「くっ・・・」

 

「流石にこの数は・・・」

 

あまりの敵の多さにサンとムーンが顔を顰めているとその様子を見て気分を良くしたプルートはそのまま団員達に指示をする。

 

「うっひょっひょっひょっ。さぁ、お前たちや──」

 

プルートが攻撃の指示を出した瞬間、辺りの空気が冷えたかと思ったら一瞬にして海面にいたポケモンたちが凍りついた。

 

「な、なんじゃと!?一体何が──」

 

「マァニューー!!」

 

「マッホ!!」

 

「ボーマ!!」

 

「ホーク!!」

 

「ポー!!」

 

突然の攻撃に驚いたプルートだが息付く暇も与えように上から聞こえた鳴き声に反応するとそこには傷だらけでありながらもこちらに向かってくるボーマンダとムクホーク、モクロー。そしてそのせい乗っているマニューラ、クリームの体をしたポケモンが技を出しながら襲ってきた。

 

プルートと団員たちは攻撃を何とかかわすと帆船から距離をとった。帆船の上に待機しているボーマンダたちはプルートたちと向かい合いながら睨むように見ており、いつの間にかサンたちの船の隣に来ていたラプラスとエンペルト、クレベース、そして見たことも無いバスラオに似た姿をしたポケモンとそのポケモンたちの背に乗っているグレイシア、キリキザン、黒い触手が全身を覆って屈強な肉体を形成しているポケモンがいた。

 

ラプラス、エンペルト、クレベース、グレイシアの口元から冷気が漏れていることから恐らく海中にいたポケモンたちを凍らしたのも彼らだろう。

 

「な、なんじゃ貴様らは!?」

 

プルートは突然攻撃したポケモンたちに狼狽しながらもそう声を荒らげるがボーマンダたちはプルートを──正確にはその後ろにいる団員たち──睨みつけながら今にも襲いかからんとしていた。

 

しばらくの間互いに相手の様子を伺って膠着状態になっていると突然プルートたちとボーマンダたちの間にネンドールとオーベム、フーディンが現れるとそのままプルートたちの周りに移動し、『フラッシュ』で強烈な光を放った。突然の光にサンたちは思わず目を腕で覆う。

 

そして光が収まってゆっくりと目を開けた時には先程までいたプルートやポケモンたちはその姿を消していた。

 

「き、消えた・・・?」

 

サンは突然現れたかと思えばプルートたちと共に一瞬にして消えたネンドールたちに驚いているとボーマンダが苛立ったように声を上げるとそのまま飛び立とうとしていた。

 

「待って!!」

 

「!?」

 

飛び立とうとしたボーマンダとそれに続こうとしたムクホークたちだが、ムーンが呼び止めてきたので思わず足を止めてしまった。

 

「相手の行方も分からないのにその怪我で追うのは危険よ。まずはその怪我を治すことを優先すべきよ」

 

ムーンは厳しい顔つきでボーマンダたちを指さしながらそう言った。ムーンの言う通り、ボーマンダたちの体は傷ついており体力も限界に近いのかふらついているポケモンもいた。

 

それがわかっているのかボーマンダたちもムーンの言葉を聞いて顔を見合わせていた。しばしの間この空間に静寂に包まれているとラプラスとムクホークが他のポケモンたちを説得し始め、ポケモンたちは顔を見合わせて頷くとラプラスの背に乗っている黒い触手のポケモンに近づき、そのポケモンは帆船にのりこむと、体の内側に隠していたモンスターボールを取り出し、ムクホーク以外のポケモンたちはボールの中へと戻った。

 

「トレーナーのポケモンだったのか・・・」

 

サンはポケモンたちが自分からモンスターボールに戻ったのを見てボーマンダたちがトレーナーの手持ちであることに気づいた。

 

ムーンは黒い触手のポケモンとムクホークが帆船に乗ったのを確認すると操縦席にいるククイ博士に声をかける。

 

「博士。すみませんが船のスピードを早めて貰ってもいいですか?」

 

「了解だ。港についたらナナカマド博士の研究所に向かうか?」

 

「はい。本当ならポケモンセンターの方がいいのでしょうがあの子たちの中にはシンオウ地方には生息していないポケモンがいますからね。余計な混乱を防ぐためにもその方がいいと思います」

 

ムーンが言う通り、今保護したポケモンたちの中でムクホークやマニューラ、エンペルトなどのシンオウ地方のポケモンたちはともかく他のポケモンたちはこのシンオウ地方では珍しい他地方のポケモンであることから否が応でも注目の的になってしまう。

 

それを避けるためにムーンの父が助手をしているナナカマド博士の研究所で治療することにした。

 

そしてムーンたちを乗せた帆船はそのままコトブキタウンへと舵を取るのだった。その道中、ムクホークと黒い触手のポケモン、ボールの中にいるポケモンたちはククイ博士のことを見ていたことにサンたちは気づかないのであった。

 

◆◆◆◆

 

場所は戻ってプラチナたちのいる場所。あの後、倒れているポケモンたちの近くに落ちていたモンスターボールに戻してナナカマド博士の研究所へと向かい、研究所に置かれている治療施設を使わせてもらった。

 

「ふむ。最初はいきなり研究所に飛び込んできて治療施設を使わせてほしいと言った時は驚いたがここでもか・・・」

 

「ここでも・・・とはどういうことですか?」

 

ナナカマド博士の言葉にプラチナが首を傾げながら聞くとナナカマド博士はふむ、と顎に手を当てながら話し始める。

 

「実は先程カントー地方にいるオーキド君から連絡が来てな」

 

「オーキド?」

 

「どこかで聞いたことがあるような・・・」

 

ナナカマド博士の言うオーキドという人物の名前を聞いてダイヤとパールが首を傾げて思い出そうと頭に手を当てているとプラチナがすらすらと説明をし始めてくれた。

 

「カントー地方のポケモン研究者であるオーキド博士のことです。ポケモン研究の第一人者としても有名で、私たちが持ってるポケモン図鑑もそのオーキド博士が作ったと聞いています」

 

「あー思い出した。プルートメモを解析するのに協力してくれた人だよね」

 

「あー。そう言えば四天王の人が話していたな」

 

プラチナの説明を聞いて思い出したダイヤがポンと手を叩いて言うと、パールも思い出したようで頷く。

 

「うむ。そのオーキド君から先程連絡が来てな。どうやらカントーやジョウト、ホウエンなど各地方で傷だらけのトレーナーのポケモンたちを保護したそうだ。その中には見たことも無いポケモンや他地方のポケモンたちもいたそうだ」

 

「それは・・・こちらと同じですね」

 

ナナカマドの話しを聞いてプラチナは治療施設に入っている先程保護したポケモンたちのモンスターボールに目を向ける。

 

保護したポケモンはゴウカザル、ドダイトス、グライオン、ウインディに似たポケモン、リーフィア、岩の体をしたポケモン、ドリルのような角が生えたモグラのようなポケモン、ニドキングだった。

 

「うーむ。もう一度オーキド君に連絡してみるか」

 

そう言ってナナカマド博士はオーキド博士に連絡しようと通信機に手をかけるとちょうど通信がきた。

 

「む?カロス地方のプラターヌ君からの通信か。すまないがオーキド君への連絡は少し待ってくれ」

 

ナナカマド博士はプラチナたちにそう言うとプラターヌ博士の通信をとった。

 

『ああ良かった繋がった!お久しぶりですナナカマド博士!!』

 

「うむ久しぶりだなプラターヌ君。ところでなんの用だね?」

 

『実はトレーナーの行方がわからない怪我をしたポケモンたちを保護したのですがカロスにはいないポケモンたちがいまして・・・』

 

「なんと!」

 

プラターヌ博士が通信機越しに相談して来た内容に思わずナナカマド博士は声を上げてしまった。そしてその話の内容が聞こえたプラチナたちも顔を見合わせるのだった。

 

そしてプラターヌ博士からの通信が終わった直後、ナナカマド研究所に同じように傷ついたポケモンを連れてムーンとサン、ククイ博士がやって来るのだった。

 

あらゆる地方で現れた傷だらけのポケモンたち。それはこれから始まる物語の序章に過ぎないのであった・・・

 

 

◆◆◆◆

 




今回はシンオウ地方とアローラ地方の図鑑所有者の登場です。ダイパリメイクとアルセウスはどちらも神ゲーでしたね。今回登場したプルートについてはこれからの話で明かされます。また、プルートのように過去の悪役たちの登場はあります。
今回もまたプラチナたちが保護したポケモンたちを軽くまとめさせてもらいます。なお、小説内で登場していないポケモンもいますがそこはご了承ください。

シンオウ組:ドダイトス、ゴウカザル、グライオン、ウインディ(ヒスイの姿)、リーフィア、ギガイアス、ドリュウズ、ニドキング

アローラ組:ボーマンダ、ムクホーク、マニューラ、モクロー、マホイップ、ラプラス、エンペルト、クレベース、グレイシア、キリキザン、イダイトウ、オーロンゲ

ウインディ(ヒスイの姿)♂
特性
元々はシンオウ地方にある自然保護区で保護されていたがポケモンハンターの襲撃によって仲間を守るために捕まってしまった。その移送中にシロナの頼みで捕まったポケモンたちを助けるためにやってきていたサトシがウインディたちを乗せた車を見つけ、そのままポケモンハンターたちを捕まえた。ウインディは自分たちを助けるためにポケモンハンターの攻撃を受け止めたサトシを気に入り、また外の世界を知りたいと思ってサトシの手持ちになりたいと思った。そしてサトシに懐いている様子とシロナの後押しのおかげもあってサトシの手持ちになった。走ることが大好きで背中にサトシを乗せて走ることもある。

リーフィア♂
特性葉緑素
イーブイ兄妹の三男。イーブイ兄妹の中では珍しくのんびり屋で昼寝をすることが好き。しかし、バトルの際はそんな様子も見せないほど素早く行動することを得意としている。

ドリュウズ♂
特性型破り
イッシュ地方のネジ山でゴウとリサーチフェローで訪れた時に色違いのギガイアスを狙っていたポケモンハンターによって傷ついていたモグリューをサトシが見つけ手当をした。最初はサトシたちをポケモンハンターと同じ人間ということで警戒していたが仲間であったギガイアスを助けるためにその体を傷つけてでも守ろうとするその姿にその考えも消えサトシたちと一緒にポケモンハンターたちを倒した。サトシがネジ山から帰る後ろ姿を寂しく見ているとギガイアスと仲間たちが後押ししてくれたのをきっかけにサトシを追い掛け、そのままサトシの手持ちとなった。そしてロケット団とのバトルの最中にドリュウズへと進化した。バトルが好きで暇があればサトシのポケモンたちと特訓をしている。

ニドキング♂
特性力ずく
ドサイドンと同じようにジョウト地方のタンバタウンに移転したサファリパークにゴウと一緒に参加した時にゲットしたニドキング。サファリパークでは群れの長として活躍していたのかオーキド研究所やサクラギ研究所ではフシギダネの手伝いやその代理としてポケモンたちの世話をしている。

ボーマンダ♂
特性威嚇
元々はホウエン地方のとある森で一匹狼のように強いポケモンを見れば野生だろうとトレーナーのポケモンだろうとバトルを仕掛けていた。そんな事を繰り返しているうちに森の王者と呼ばれるようになった。そんなある日リサーチフェローでボーマンダの調査のために森に訪れたサトシに出会ったボーマンダは野生の勘でサトシが強者であることを見抜きバトルを仕掛けた。結果は惨敗でありボーマンダは初めての敗北にショックを受けるのと同時に森の外にはサトシのように強い相手がいることを知りサトシの手持ちになることを決意。メガストーンは右前脚に巻かれてるチェーンについている。喧嘩っぱやい性格から他のポケモンたちと喧嘩することもしばしばあり、その度にサトシのフシギダネのソーラービームの餌食になっている。

マニューラ♂
特性プレッシャー
エイチ湖でニューラとマニューラの群れを率いる元リーダーだったが、群れのリーダーを決める戦いで破れ群れを追い出されて倒れたところをサトシに助けて貰った。傷を癒してもらったことをサトシに感謝するとマニューラはそのままリベンジのために戻ろうとしているところをサトシが特訓を手伝ってくれると提案してくれた。最初は断っていたがサトシの押しに負けて受け入れることにした。そしてサトシのポケモンたちとの特訓によって新たな技とバトルスタイルを獲得したマニューラはリーダーのマニューラとのリベンジを達成した。その後、マニューラは群れに戻ることなくサトシの手持ちになる道を選んだ。リーダーの経験もあってポケモンたちの世話を手伝うことがあるがそれよりもサトシの水ポケモンたちとイタズラをする姿もちらほら見られる。

マホイップ♀
特性アロマベール
『マホイップの甘~いバトル!?』でサトシとタッグを組んだマホイップ。再びラテラルタウンを訪れた際にサトシに懐いていたことからポプラがサトシに譲ったポケモン。お菓子作りが好きでサクラギ研究所にてコハルやバリヤードと一緒にお菓子を作っている姿がよく見られる。

エンペルト♂
特性激流
ポケモンレンジャーのヒナタに頼まれて保護したポッチャマ。バトルに勝てない弱いポケモンと新人トレーナーに何度も捕まえられては捨てられるのを繰り返しているうちに人間を信用しなくなっていた。最初もサトシに会った時はいきなりバブル光線を放っていた。しかし、サトシの過去に捨てられたポケモンたちや技を当てても優しく接してくれるサトシの優しさに触れるうちに少しずつ心を開き、最終的にサトシに懐きそのままサトシにゲットされた。ミクリの頼みで参加したホドモエシティのコンテストでのケンゴとのコンテストバトルの最中にポッタイシに、WCSでのナオシとのバトルでエンペルトへと進化した。プライドはそこまで高くなくダイケンキやオーダイルたちと同じようにイタズラ好きである。

クレベース♂
特性頑丈
ガラル地方のワイルドエリアのパワースポットでレイドバトルした時にゲットしたポケモン。背中に乗せて海を渡ることができる。

グレイシア♀
特性
イーブイ兄妹の四女。クール系な美人ポケモンで野生やほかのトレーナーのオスポケモンたちから告白されたことが何度かあるがサトシが好きなので全て断っている。

キリキザン♂
特性負けん気
ミロス島を再び訪れた際に出会ったキリキザン。ボルトロス、トルネロス、ランドロスと戦っていたサトシの姿を見ており、その実力を確かめるためにバトルを挑んだ。サトシのハッサムとのバトルとの最中にロケット団の邪魔が入りバトルは中断することになった。決着はつかなかったがサトシの実力を認めサトシに対して忠誠心を持ち手持ちになった。現在はジュカインを目標にしつつゴーストタイプ相手でもノーマルや格闘タイプの技が当てられるようにハッサムと共に超感覚を手に入れるようと特訓している。

イダイトウ♂
特性
ウインディと同じくポケモンハンターに捕まったところをサトシに助けて貰ってそのままサトシの手持ちになった。泳ぐスピードに自信があったがサトシのゼニガメやラプラスなどに負けてからはオーキド研究所で行われている水上レースで1位をとるために日々努力している。性格はやんちゃでよく喧嘩をしている。

オーロンゲ♂
特性悪戯心
ルミナスメイズの森でラテラルタウンを訪れるトレーナーにイタズラをしかけていたイタズラ好きのポケモン。リサーチフェローでルミナスメイズの森を訪れたサトシ、ゴウ、コハルにもイタズラとして荷物を奪った。その際にスーパーマサラ人であるサトシに追いかけられ捕まった時には本当に驚いていた。そしてそんなサトシを気に入ったオーロンゲはそのままサトシの手持ちになり、ゲンガーやマニューラなどと一緒にイタズラをする姿がちらほら見られる。


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第四話 図鑑所有者との出会い・4 イッシュ・カロス編

更新かなり遅れましたが投稿出来ました。今回で図鑑所有者とサトシのポケモンたちとの出会いが終わり、次回から物語が進みます。



カロス地方の12番道路にて赤いスーツを着た集団がポケモンを繰り出しながら逃げる2匹のポケモンを追いかけていた。

 

「デルビル 火炎放射!!」

 

「コノハナ 葉っぱカッター!!」

 

「カメテテ 水鉄砲!!」

 

十数匹のポケモンたちが木を伝いながら逃げるポケモン───ゾロアークとゲッコウガに向けて技を放った。ゾロアークとゲッコウガは向かってくる技に当たらないように木々に体を隠すように移動しながら当たりそうな技はゾロアークは辻斬りで、ゲッコウガは居合切りで斬り裂きながら走っていた。

 

「くそっ!当たらねぇ!!」

 

「怯むな!!数はこちらが勝っているんだ。攻め続ければ先に力尽きるのは奴らの方だ!!」

 

技が当たらないことにイライラしていた一人がそう呟くがリーダー格であるスキンヘッドに赤いサングラスをかけた白スーツの男がそう言いながら攻撃を続ける。

 

実際男が言うように彼らがゾロアークとゲッコウガを追跡してから既に数時間が経過していた。故に2匹の体の至る所に傷ができており疲労も溜まっているのか動きも衰えていた。

 

あと少しで仕留めきれると男たちの気が緩んだ瞬間、ゾロアークは目を怪しく輝かせると突如男たちのいる地面が盛り上がりそこから巨大な植物の根が現れ男たちとポケモンたちを縛り上げた。

 

「な、なんだ!?」

 

「くそ、このままじゃ逃げられちまう!!」

 

巨大な植物の根が男たちを襲っている間にゲッコウガとゾロアークは足を早めてどんどん距離を取っていく。男たちは見失わぬように急いで追いかけようとしたが巨大な植物の根によって行く手を阻まれてしまい2匹の姿を見失ってしまった。

 

「あいつら一体何をしているんだ?」

 

離れた場所で赤いスーツの集団───フレア団団員たちとポケモンたちが空中で妙なポーズをとりながら固まっているのを見てフレア団の一員であるコレアは呆れていた。

 

「仕方がないんだゾ。あのゾロアークの見せる幻は普通の個体に比べて特別なものなんだゾ」

 

コレアの隣で同じようにフレア団の下っ端たちの様子を見ていたフレア団の幹部であるクセロシキはコレアの言葉に対してそう返した。

ゾロアとゾロアークの特性イリュージョンは自分の姿を他のポケモンや人間に見えるように化けるものだが、あのゾロアークは実体のある幻影を発生させたのだからその異質さがよくわかるだろう。

 

「とにかく今はあのポケモンたちを確保するのが優先だゾ。そのためにもバラたちが先回りとして奴らの行く先であるミアレシティで待機しているんだゾ」

 

「それなんだが本当に奴らはミアレに行くのか?このまま人気のないところに隠れ傷を癒す可能性もあるだろう」

 

「確かにその可能性もあるが奴らはこの世界が自分たちのいた世界とは違うことを知らない。故に信頼出来る知り合いのいるミアレシティに行く可能性の方が高いんだゾ」

 

コレアの言葉に対してクセロシキは自信ありげにそう言った。そしてクセロシキが言ったようにゲッコウガたちの向かう先はミアレシティだった。

 

しかし、クセロシキたちはまだこの時知らなかった。ミアレシティには現在、かつて彼らの計画を邪魔した少年少女たちとカロス地方より遠く離れたイッシュ地方にて活躍した少年少女たちがいることを・・・

 

◆◆◆◆

 

「遅い!!いつまで待たせるのよエックス!!」

 

「そんなに遅れてないんだからいいじゃん・・・」

 

ミアレシティ・ミアレタワー。その下にて金髪の勝気な少女が黒髪の少年に対して怒りながらそう文句を言うのを黒髪の少年は無気力にそう返す。

 

金髪の少女の名はワイ・ガベルーナ。黒髪の少年の名はエックス。2人もまた図鑑所有者と呼ばれるこのカロス地方のポケモン博士であるプラターヌ博士からポケモン図鑑を託されたもの達である。

 

かつてアサメタウンで起こった事件をキッカケに引きこもりだったエックスはワイを含めた四人の幼なじみと共にカロス地方全体を巻き込んだ大事件を解決した彼らは今は各々が選んだ進むべき道へと歩き出していた。そして今日は久しぶりに幼なじみ5人が再開することが出来るのだった。

 

「ティエルノとトロバとサラはもうプラターヌ研究所に行ってるみたいだから私たちもはやくいくよ」

 

ワイはそう言ってエックスの手を取ってプラターヌ研究所へと向かおうとしたその時だった。

 

「俺はポケモンリーグで優勝するぞォォォー!絶対絶対絶対絶対優勝するからなァァァ!」

 

後ろの方から叫び声が聞こえたので思わずワイとエックスは驚きビクッと背筋を伸ばす。2人は思わず叫び声の聞こえた方を見るとそこには両手をメガホンのようにしている帽子をかぶった黒髪の少年が同じように帽子をかぶった黒髪をポニーテールに纏めた少女に頭を叩かれていた。

 

「もう!こんなところで叫んじゃダメでしょブラックくん!!」

 

「イテテテ・・・いやぁ悪い悪い社長。ついいつもの癖で叫んじまったよ」

 

「全くしょうがないわね・・・」

 

2人のやり取りからしてあの二人にとってはいつものやり取りなんだろうと思ったワイとエックスは特に関わる必要も無いだろうとプラターヌ研究所へと足を向けようとしたその時だった。2人の上を何かが通り抜けたかと思えば2人の目の前に上から傷だらけのゲッコウガとゾロアークが落ちてくるとそのまま2体は崩れるように倒れた。思わずエックスとワイは倒れた2匹に近づこうとした。

 

「ちょっとあなたたち大丈夫!?」

 

「っ!!ワイちゃん離れて!!」

 

ワイはゲッコウガとゾロアークの怪我の様子を確認するために2匹の体に手を伸ばそうとしたが何かに気づいたエックスがワイの肩に手を伸ばして引き寄せるとワイが手を伸ばした場所に向かって上から現れたキリキザンが右腕の刃を振り下ろした。その攻撃はエックスがワイを止めなければ間違いなくワイに当たっていただろう。

 

「キリキザン!?どうしてこんな街中にいるの!?」

 

ワイは突然襲いかかってきたキリキザンに驚くがキリキザンはワイとエックスに目を向けず倒れているゲッコウガとゾロアークに目を向けると2匹に近づくとその腕を2匹に向けて振り下ろそうとする。しかし、キリキザンとゲッコウガたちの間に割り込むように現れたエンブオーがその攻撃を防いだ。

 

「いいぞブオウ!そのまま押さえつけろ!!」

 

「エンブッ!!」

 

エンブオーのブオウは自らのトレーナーである先程少女に怒られていた少年──ブラックに顔だけを向けて頷くとキリキザンの攻撃を防いだ腕に力を込めてそのまま地面に押し倒そうとしたがその寸前にキリキザンはブオウから距離をとった。そして距離をとったキリキザンの後ろからメラルバとドレディア、バスラオ、ヘルガー、バケッチャを筆頭にゾロゾロとポケモンと黒い団服を着た口元を布で隠している集団と赤スーツの赤いサングラスの集団がエックスたちを囲むように現れた。

 

「プラズマ団!?どうしてあなたたちがカロス地方に!!」

 

「フレア団!?捕まったはずじゃ!!」

 

黒髪のポニーテールの少女──ホワイトとワイは現れた集団を見て思わず声を上げてしまう。黒い団服の集団がプラズマ団で赤いスーツの集団がフレア団と呼ばれるそれぞれイッシュ地方とカロス地方で悪事を働いた犯罪者集団である。どちらの組織の人間も幹部を含めて全員捕まり現在は国際警察が管理する刑務所で拘束されているはずだった。そんな連中がこの場にいることにホワイトたちは驚きを隠せないでいた。しかしそんなホワイトたちを無視してプラズマ団とフレア団の団員たちはポケモンを繰り出すとホワイトたちとその後ろにいるゲッコウガたちに攻撃を仕掛ける。ホワイトたちもそれに対抗すべく手持ちのポケモンたちを出した。

 

「頼む!!ウォー! ムシャ! チュラ! ゴーラ!」

 

「いって!!あまんだ! どろしー! なんしー! ゆにぼう! ばーばら!」

 

「いけ!!マリソ! サラメ! ガル! エレク! ラスマ! ルット!」

 

「お願い!けろけろ! ヤコちゃん! ぶいぶい! そるそる!」

 

ブラックはウォーグルのウォー、ムシャーナのムシャ、デンチュラのチュラ、アバゴーラのゴーラ。

 

ホワイトはジャローダのあまんだ、マッギョのどろしー、ママンボウのなんしー、ユニランのゆにぼう、バルチャイのばーばら。

 

エックスはブリガロンのマリソ、リザードンのサラメ、ガルーラのガル、ライボルトのエレク、ゲンガーのラスマ、カイロスのルット。

 

ワイはゲッコウガのけろけろ、ヒノヤコマのヤコちゃん、ニンフィアのぶいぶい、アブソルのそるそるを繰り出した。

 

ブラックたちはプラズマ団とフレア団たちのポケモンを撃退しつつ、なんしーの癒しの波動でゲッコウガとゾロアークの傷を癒す。その間にもプラズマ団とフレア団のポケモンたちを倒していくブラックたちだがその中でエックスは動きを見せない先程まで先頭に立っていたキリキザンたちに目を向ける。

 

(最初に攻撃を仕掛けてきてから動きを見せない。実力でいえば間違いなくこの中で一番高いのに攻撃に参加してこないのは何か理由があるのか?)

 

エックスがポケモンたちに指示を出しつつキリキザンたちに視線を向けていると数体のポケモンがエックスたちを飛び越えゲッコウガとゾロアークに襲いかかろうとした。

 

それに気づいたエックスたちは急いでゲッコウガたちの元にポケモンたちをいかせようとしたがそれよりも先にゾロアークの髪の毛からポケモンが飛び出てゾロアークの髪の毛からカイリュー、ピジョット、エルレイド、フライゴン、ジャローダ、ケンホロウ、ニンフィア、ヌメルゴン、鱗を全身に鎧のように纏っているドラゴン、二足歩行の赤い虎のようなポケモン、鋼鉄の体をしたドラゴンが飛び出してくるとそのま襲ってきたポケモンたちを迎撃する。そしてどのポケモンたちにもゲッコウガやゾロアークたちのように体の至る所に傷がついており無理していることは一目瞭然だった。

 

ブラックたちは彼らのフォローもしつつ襲い来る敵を迎撃しているとそれは現れた。

 

「ボルォォォォォ!!」

 

「トルォォォォォ!!」

 

「ランドォォォォォ!!」

 

その雄叫びを聞いてブラックたちは思わず声が聞こえた空を見上げるとそこにはイッシュ地方の幻のポケモンであるボルトロス、トルネロス、ランドロスの三体がブラックたちを見下ろしていた。

 

「ボルトロスにトルネロス、それにランドロスですって!?」

 

「なんでイッシュにいるアイツらがここにいるんだよ!?」

 

ホワイトとブラックはかつてプラズマ団に捕まりその手駒となっていたボルトロスたちだがプラズマ団との戦いが終わった時に開放された3匹が再びブラックたちの前に現れたことに驚きを隠せないでいるとボルトロスは雷を、トルネロスはエアスラッシュを、ランドロスは気合い玉をブラックたちに向けて攻撃した。

 

「くっ!ブオウ! 火炎放射! ウォー! エアスラッシュ! ムシャ! サイケ光線! チュラ! 10万ボルト! ゴーラ! ハイドロポンプ!」

 

「あまんだ! リーフストーム! どろしー! 泥爆弾! なんしー! 水の波動! ゆにぼう! サイケ光線! ばーばら! 悪の波動!」

 

ボルトロスの攻撃に対してブラックとホワイトは手持ちのポケモンたち全員による技で相殺することに成功したがその衝撃は凄まじくこの場にいる全員はその衝撃に吹き飛ばされそうになった。

 

同じ技の衝撃を受けたボルトロスたちが傷一つついていないのに対してブオウたちは少ないが傷をおって膝をついていた。エックスとワイはボルトロスが強敵だと感じ、2人は右手につけているメガリングに手を伸ばす。

 

「サラメ!!」

 

「そるそる!!」

 

「「メガ進化!!」」

 

エックスとワイはメガリングのメガストーンに触れるとサラメのリザードンナイトXとそるそるのアブソルナイトが共鳴し光り輝く。そして光が収まるとサラメはメガリザードンXに、そるそるはメガアブソルへとメガ進化した。

 

「サラメ! ドラゴンクロー!!」

 

「そるそる! サイコカッター!!」

 

サラメのドラゴンクローがランドロスに向けて突き立てようと接近するのに合わせてそるそるのサイコカッターがサラメを援護するように追従する。それに対してボルトロスとトルネロスはサイコカッターを10万ボルトとエアスラッシュで叩き落とし、ランドロスがアームハンマーでサラメのドラゴンクローを受け止める。

 

そしていつの間にかボルトロスたちの背後に回っていたピジョットとフライゴン、フライゴンの背中に乗っているエルレイドがその無防備な背中に向かってピジョットが燕返しをボルトロスに、フライゴンが竜の息吹をトルネロスに、エルレイドが冷凍パンチをランドロスに決め、ボルトロスたちは地面に叩きつけられた。

 

地面に叩きつけられたボルトロスたちは立ち上がろうとするがそれを許さないといわんばかりにカイリューたちが追撃を仕掛けようと接近するがボルトロスたちの前にエネルギーの壁が発生しカイリューたちを阻んだ。そしてボルトロスたちの前に宇宙人を彷彿させる容姿に胸に紫色と緑色の丸い水晶体がそれぞれある2体のポケモン────デオキシスがそこにはいた。

 

「な、何アレ?アレもポケモンなの・・・」

 

ワイは初めて見るデオキシスたちに驚きアレも同じポケモンなのかと思っているとデオキシスたちはブラックたちを無視してボルトロスたちに一度視線を向けるとブラック立ちに向き直り、その両手にエネルギーを貯め始めるとエネルギーの壁に衝突し倒れているカイリューたちに向けて放とうとしていた。

 

カイリューたちもそれに気づきその場から離れようとしたが傷だらけの体では思うように体を動かせずその間にもデオキシスたちの両手にエネルギーが溜まり、デオキシスたちは倒れているカイリューたちに向けて強力なサイコパワーのエネルギーが収束された球体───サイコブーストが地面を削りながらカイリューたちに向けて放たれた。それはカイリューたちに当たると辺りに強烈な光が覆い、ブラックたちは思わず目をつぶってしまった。

 

そして光が収まりゆっくりと目を開けるとそこには既にプラズマ団やフレア団、ボルトロス、トルネロス、ランドロス、デオキシスたちの姿はなく、残っていたのは辛うじて守るを発動させていたのかダメージを最小限に抑えていたカイリューたちだけだった。しかし、ダメージが酷かったのかカイリューたちはその場に崩れるように倒れてしまった。その姿に慌てたブラックたちはカイリューたちを治療するべくプラターヌ研究所へと連れていくのだった。

 

しかしこの時ブラックたちは気づいていなかった。戦いがあったのはこの場だけではなかったことを・・・

 

 

◆◆◆◆

 

 

かつてフレア団の潜伏先であったミアレシティにあるフラダリカフェの地下に隠されていたフラダリラボ。フレア団が捕まってからは無人となっていたはずの場所は先程まで激しい戦闘があったのか荒れ果てていた。

 

「逃げられたか」

 

その荒れ果てたラボの中で茶髪の少年───ラクツは先程までプラズマ団ボスであるゲーチスの配下ダークトリニティとフレア団の幹部であるバラ、アケビ、モミジと戦っていたのだが後一歩のところで彼らの前に現れた黒い影が放った光に目をやられた隙にダークトリニティたちに逃げられてしまった。

 

「ラクツくん大丈夫?」

 

物陰に隠れていた ツインテールの少女───ファイツはラクツに怪我がないか尋ねる。

 

「問題ない。僕一人だけだったら危なかったが彼らのおかげで怪我はない」

 

ラクツはファイツに問題ないことを伝えてから後ろに目を向ける。そこにはファイツが怪我をしていた所を治療して保護していたポケモンたち、エンブオー、色違いのオノノクス、プテラ、ドラミドロ、サザンドラ、ラグラージ、ドラピオン、色違いのギルガルド、流線的な金属のボディをしたポケモン、屈強な肉体をしたゴリラのようなポケモン、頭に2匹の小さいドラゴンを乗せている尻尾の先が半透明のドラゴン、ネギの剣と盾を持った鳥ポケモン、頭が魚で胴体が竜の尻尾の奇妙なポケモン、細長い体に長い尻尾を持つカメレオンのようなポケモン。

 

そのポケモンたちは倒れているところをファイツが保護し治療していたのだがそれを見つけたダークトリニティに襲われていたところをラクツが助けてくれた。しかし多勢に無勢だったためにラクツもピンチに陥りそうになったがエンブオーたちが助太刀してくれたおかげで何とか盛り返すことが出来、後一歩のところで捕らえることが出来るまで追い詰めることが出来ていた。

 

「とりあえず彼らがどうやって脱獄したのかはハンサムに調べさせるとして今はこのポケモンたちをどうするかだな」

 

ラクツは地面に座り込んでいるエンブオーたちを見てどうするか悩んでいた。彼らを保護した時に近くにモンスターボールがあったことからトレーナーのポケモンであることが分かるのだがどのポケモンたちも出身地方が異なるために特定するのに時間がかかってしまう。ラクツは国際警察としての任務として逃亡したプラズマ団やフレア団たちを追わなくてはならないために彼らを連れて行くわけにはいかない。かといってファイツ1人に任せるのは心配なためどうしたものかと考えているとラクツのタブレットに国際警察から新たな任務が届き、それを見たラクツとファイツは驚きを隠せないのであった。

 

 

 

─────こうして七地方の図鑑所有者たち全員がボロボロのポケモンたちと出会った。その出会いが二つの世界の命運を賭けた戦いの始まりのきっかけになることを彼らはまだ知らないのであった。




あとがき
今回はイッシュ地方とカロス地方の図鑑所有者の登場です。今年はポケモン新作が決定し、アニメの方も盛り上がりを見せていますね。サトシには是非とも次回作でも主人公として活躍して欲しいですね。そしてもしアニメでマスターズ8と戦う場合は過去のポケモンたちを使って欲しいですね。今回登場した悪役はポケモンシリーズでも個人的にヘイトを稼いだと思えるプラズマ団とフレア団が出ましたね。一応彼らは一部の例外を除いてポケスペ組の予定です。そして今回もまた登場したブラックたちが保護したポケモンを軽くまとめ、原作でゲットしていないポケモン立ちを軽く説明させてもらいます。また、これまでにケンタロス以外で原作でゲットしたポケモンの中で登場していないポケモンがもしいたら教えてください。ちゃんと全員出ているか不安なので・・・

ブラック・ホワイト・エックス・ワイ:カイリュー、ピジョット、エルレイド、フライゴン、ジャローダ、ケンホロウ、プルリル、バタフリー、ニンフィア、ヌメルゴン、ジャラランガ、ガオガエン、ジュラルドン

ラクツ・ファイツ:エンブオー、色違いのオノノクス、クチート、プテラ、ドラミドロ、サザンドラ、ラグラージ、ドラピオン、色違いのギルガルド、メルメタル、ゴリランダー、ドラパルト、ネギガナイト、ウオノラゴン、インテレオン


エルレイド♂
特性正義の心

ポケモンレンジャーのジャッキーから密猟者によって攫われて心に深い傷を負った託された2体のラルトスのうちの1体。最初は人間を恐れていたが、サトシの優しさとサトシのポケモンたちの支えもあって人間にも悪い人間といい人間がいることを理解し、持ち直すことが出来た。サーナイトの恋心に気づいてからは彼女の思いが実るようにサポートするのに力を入れていた。その結果、執事としてのスキルが自然と身につきサクラギ研究所では客人のおもてなしをするようになった。おもてなしの師匠はバリヤードとキングラーでありいつかは彼らと並びたいと思っている。

フライゴン♂
特性浮遊
映画七色の願い星ジラーチにてファウンスの谷でサトシとマサトを乗せて空を飛んでいた個体。リサーチフェローでファウンスに訪れた際に再会し、サトシを気に入って仲間になった。

プルリル♀
特性貯水
イッシュ地方を旅していた時に参加した釣り大会で釣りあげたポケモン。リサーチフェローで参加した釣り大会で同じ個体を釣り上げそのまま懐かれゲットした。

ニンフィア♀
特性フェアリースキン
イーブイ兄妹の末っ子。甘えん坊でよくサトシに甘えている姿が見られる。そのためにほかの雌ポケモンたちとサトシの傍を奪い合う姿がたまに見られる。

ジャラランガ♂
特性防音
サトシがアローラ地方に再び訪れた際にポニ島の主ポケモンであるジャラランガと勝負し勝利してドラゴンZを渡された時に群れの一体であったジャラコがサトシとカイリューのバトルを見て彼の元で強くなりたいとサトシの手持ちとなった。ソウリュウシティでアイリスのガバイトとバトルした時にジャランガへ進化し、そしてソウリュウシティジムリーダーであるシャガのオノノクスとのバトルでジャラランガへと進化した。そして再びポニ島へと訪れた時に主ポケモンのジャラランガとバトルし見事勝利したことでジャラランガZのZ技が使えるようになった。


ジュラルドン♂
特性ライトメタル
元々はワイルドエリアで暴れ回っていたがそれも誰よりも強くなりたいという向上心からなすものであり強そうなポケモンやトレーナーを見つけてはバトルを挑んでいた。そしてワイルドエリアにポケモンゲットにやって来たサトシとゴウと出会いバトルを挑んだ。最初はゴウがフライゴンでバトルを挑んだが為す術なく敗北してしまった。しかし次に挑んだサトシが繰り出したオーロンゲによって敗北してしまった。最初は負けたことにショックを受けたがその後にほかのサトシのポケモンたち全員に挑んでほとんど負けたことで世界には自分よりも強い奴がいることがわかり、もっと強くなるためにサトシとともに高みを目指すことを決意した。サトシのポケモンたちと共に特訓していくうちに実力はメキメキと高まっていた。

オノノクス(色違い)♂
特性型破り
元々は自然保護区のポケモンだが、珍しいポケモンを狙いに襲撃してきたポケモンハンターによって仲間たちが捕まっていたのを助けようとしたが敵の数の多さにもうダメかと思っていたところをサトシが助けてくれた。その後はサトシの活躍もあってポケモンハンターたちは全員捕まり保護区のポケモンたちも無事に戻ってきた。そして、オノノクスはサトシになつきそのままサトシの手持ちとなった。

プテラ♂
特性石頭
タケシの父親であるムノーが偶然採掘した通常のものよりも巨大な秘密の琥珀の復元をニビシティの博物館で復元することを聞いてゴウとともに博物館へやって来たサトシだが、復元直後にプテラは暴れると外に逃げてしまった。逃げたプテラを探していたサトシはプテラを捕まえようとしていたロケット団を見つけ、いつもの様に撃退した。助けてくれたサトシになつきそのままサトシの手持ちとなった。好奇心旺盛でガブリアスなどのように何でも噛み付く癖がある。メガストーンは右足首につけられている。

ドラミドロ♂
特性適応力
カッスラー号を住処にしていたクズモーが進化した個体。まだクズモーだった時偶然再会したサトシとバトルしてゲットされた。WCSでアンズとバトルした時にドラミドロへと進化した。

サザンドラ♂
特性浮遊
元々はプラズマ団に捕まり無理やりプラズマ団のポケモンとして酷使されていたために人間を敵視していた。そのために保護されてからも人間だけでなくトレーナーのポケモンにも敵意を見せていた。何とかしようと様々な手を使ったがそれら全てが尽く失敗しどうしたものかと頭を悩ませていた時に候補に上がったサトシに託すことになった。最初はサトシを警戒していたが攻撃をくらっても自分に接してくるサトシとサトシのポケモンたちとの交流もあって次第に心を開くようになり今ではサトシやサトシの仲間や友人たち相手には敵意を見せなくなっているがそれでもそれ以外の人間には今だ敵意を見せていた。

ラグラージ♂
特性すいすい
トバリシティの育て屋のレイジから受け取った孵化余りタマゴから孵り、サトシの重量級ポケモンバトルのきっかけを作った。ミズゴロウの時からのんびりとした性格だが、サトシの水ポケモンの中では珍しく仲裁役に回ることもある。ゴウとの特訓でヌマクローに進化し、センリとのバトルでラグラージへと進化した。メガストーンは首元のスカーフの留め具としてつけられている。


ドラピオン
特性スナイパー
ドサイドンやニドキングのようにジョウト地方のタンバタウンに移転したサファリパークでゲットしたドラピオン。サファリパークでは力自慢として名を馳せていたがサトシのポケモンたちに負けたことから一から鍛えることにした。現在の目標はサトシのカビゴンを自力で持ち上げることである。


ギルガルド(色違い)
特性バトルスイッチ
ガラル地方のラテラルタウンの墓地にて色違いのギルガルドがさ迷っていることを知ってゴウとサトシはリサーチフェローとしてギルガルドの調査にラテラルタウンへとやって来た。そしてラテラルタウンの墓地につくとそこにはギルガルドをゲットしようとしたトレーナーとポケモンたちが倒れている姿があった。そしてゴウとサトシもバトルを挑もうとしたがオニオンによってそれを止められた。ギルガルドはかつての友が眠るこの墓地を守るためにここにいるそうだ。それを聞いてゴウとサトシもゲットすることをやめようとしたのだがそこに現れたロケット団が色違いのギルガルドを捕まえようと巨大メカを出動させた。その際、ギルガルドの友が眠る墓が破壊されそれに怒ったギルガルドが巨大メカを破壊しそのまま我を失って暴れ回っていたのをサトシが身をていして止めた。その後ギルガルドの友の墓をみんなで修復した後ギルガルドは自分の体を傷つけてまで自分を止めようとしてくれたサトシの力となるため自らゲットされた。

ゴリランダー
特性グラスミキサー
元々はダンデが彼の弟であるホップとその友人であるユウリに最初のポケモンとして渡そうとしたヒバニー、メッソン、サルノリのうちの1匹だったが、3匹の中で唯一選ばれなかったことがショックでダンデが誘う前にその場から逃げて迷いの森に入っていってしまった。そして迷いの森で迷子になっていた時にお腹がすいて誤ってヨクバリスの巣の木の実をとってしまい襲われた。思わず目をつぶったサルノリだったが間一髪の所でたまたまハロンタウンにやってきたサトシがダンデからサルノリのことを聞いて迷いの森に入りヨクバリスの攻撃を受け止めてくれた。その後サトシは持っていた木の実をヨクバリスにあげ、サルノリと一緒に謝ったことで許して貰えた。そしてサルノリはダンデに自分のポケモンにならないかと誘われたがサトシの事が気に入りサトシのポケモンとなった。WCSのモブトレーナーとのバトルでバチンキーに、ネズとのバトルでゴリランダーへと進化した。サルノリの頃から音楽にのってスティックを叩くのが好きでゴリランダーになってからはサトシが歌う時にドラマーとしてドラムを叩くこともある。

ドラパルト
特性クリアボディ
ワイルドエリアで傷ついていたドラメシアを見つけたサトシが治療したことで懐かれそのままゲットされた。ドラメシアの頃は臆病でバトルにあまり積極的ではなかったがリサーチフェローの時にサトシが崖から落下した時にサトシを助けたいと強い思いによってドロンチへと進化しそのことをきっかけにサトシを守るために強くなろうとバトルに積極的になり他のポケモンたちと共に特訓するようになった。そしてWCSのテツヤとのバトルでドラパルトへと進化した。サトシのゴーストタイプの中では珍しくイタズラ好きではない。

インテレオン
特性スナイパー
元々はジムチャレンジャーの手持ちであるメッソンだったがジムリーダーに中々勝てないのは自分が弱いからだとトレーナーに一方的に言われボールを破壊され逃がされてしまった。最初は受け入れがたがったが目の前でボールを破壊されたことと元トレーナーからの罵詈雑言から否応なしに捨てられた事実を突きつけられる。その後は街中に生えている木の実などで飢えを凌いでいたが同じように街中で暮らしている野生のフォクスライやクスネたちの縄張りに知らずに入ってしまいそこから追い出され心身ともにボロボロになり町をさまよい歩いていたところをサトシに保護され、ポケモンセンターへと連れていかれた。治療と食事をとったことで体調面は問題なくなったが心の傷はいえないでいた。しかしサトシとサトシのかつてメッソンと同じように捨てられたポケモンたちと話していくうちに少しづつ変わり始めていた。そしてポケモンセンターのポケモンを盗もうとやって来たロケット団をサトシたちと一緒に撃退し、そのことをきっかけにサトシについて行くことにした。そしてゴウとともに挑んだクレベースとのレイドバトルでジメレオンに、かつて自分を捨てたトレーナーとのバトルでインテレオンへと進化した。


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第五話 ポケモンたちの謎

まえがき
はい、遅い上に短くてすみません。来年は頑張って続きを書きたいと思いますが、多分投稿遅くなると思うのですみません。


『番組の途中ですがニュースです。本日未明、またも謎の窃盗団による大量のポケモン強奪及び密輸事件が確認されました。アローラ地方のエーテルパラダイスでエーテル財団が保護しているウルトラビーストたちを含めたポケモン強奪事件が起こりました』

 

「ポケモン強奪事件!?」

 

トキワシティに向かうバスを待つために近くのカフェでテレビを見ていたパンダナの少女、コーディネーターのハルカは驚いて思わず声を上げる。

 

『エーテル財団が保護していたウルトラビーストなるポケモンは現在アローラ地方でしか見られない珍しいポケモンで、保護していたウルトラビーストのほぼ全てが盗まれた模様です。また、謎の窃盗団はポケモンコンテストやバトル大会など大規模な大会に突如として現れてはポケモンたちを強奪する事件が相次いでいます。昨日もヤマブキシティジムでポケモン強奪事件があり・・・』

 

「酷い・・・」

 

「ポチャ・・・」

 

隣で同じようにテレビを見ていたニット帽の少女、コーディネーターのヒカリはパートナーポケモンであるポッチャマを抱えながら一緒に顔をしかめる。

 

『このことからポケモン協会も大会やコンテストの開催を控え、犯人逮捕に向けて警備及び調査の強化を行う話が上がっております』

 

「なんとも嫌なテイストの話だよ」

 

緑髪の青年、サンヨウジムジムリーダーのデントもまたニュースを聞いて思わず顔をしかめる。

 

「同じジムリーダーとしてヤマブキシティのジムリーダーの心境を考えると胸が潰れそうだよ」

 

「ナプッナップ!!」

 

「ほんとそうよね!!」

 

デントの言葉にパートナーポケモンであるヤナップと特徴的な髪型をした少女、イッシュ地方チャンピオンのアイリスも同意するように頷く。

ここにいる4人は旅した地方は違えどかつて共にサトシと一緒に旅をした仲間である。現在はそれぞれの夢を叶えるためにサトシと離れたが4人とも今でもサトシと仲間だと思ってる。今日は久しぶりにマサラタウンにサトシが長期滞在すると聞いたのでマサラタウンに向かう途中で出会ったのだが・・・

 

『また、渡りや群れでの移動が確認されているアーボックやマタドガス、フラべべ、ドクケイル、チルットなどの群れの姿も確認できなくなっており安否が気遣われております。他にも確認されていた群れが見られなくなったという話も出ております。何か異変を感じた場合はもよりの町のジュンサーにご連絡をお願いします』

 

「パバたちは大丈夫かな・・・」

 

ハルカは実家であるトウカジムのジムリーダーであるパパのセンリを心配して思わずそう呟く。

 

「そんなに心配しなくてもセンリさん強いんだから大丈夫よ!!」

 

「そうよ!センリさんとっても強いんだから!!」

 

「うん、それはハルカ自身だって分かってることじゃないかい?」

 

「うん、そうね!パパがこんな連中に負けるわけ無いものね!!」

 

ヒカリ、アイリス、デントはハルカを励ますようにそう声をかけるがそれは励ますだけの虚言ではなく実際にセンリの実力をその目で見ているからこその信頼の言葉でありそのことを理解しているハルカも笑顔を浮かべて返事を返す。

 

「むしろこういう時心配なのってサトシじゃないかな・・・」

 

「「「あぁ~・・・」」」

 

デントの言葉にハルカ、ヒカリ、アイリスの3人は旅仲間であるサトシのことが頭に浮かび上がり苦笑いをしてしまう。サトシと一緒に旅していた頃はほぼ毎日何らかの騒動に巻き込まれ、時には世界の命運をかけた伝説のポケモンたちによる騒動も中にはあった。

 

「だ、大丈夫よ。そう何回もサトシが巻き込まれるて決まったわけじゃないんだから・・・」

 

ヒカリはそう言うが4人の頭の中では既にこの事件にサトシが巻き込まれているのではないかという不安がよぎっていた。

 

そしてその不安は正しく、マサラタウンに着いた時、ヒカリたちはサトシが行方不明になっていることを知りその事件にヒカリたちも巻き込まれていくのだった。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

「うーむ、傷は治ったようじゃが一体このポケモンたちは誰のポケモンなんじゃ?」

 

マサラタウンのオーキド研究所の庭にて。オーキド博士はレッド、グリーン、ブルー、イエローの4人が保護した傷だらけのポケモンたちの治療を終えた途端、ボールから飛び出たかと思えばオーキド博士とブルーのことを交互にじっと見つめていた。

 

「なぁ博士とブルーは本当にこいつらのこと知らないのか?さっきからずっと2人のこと見てるぜ」

 

「そう言われても本当に分からないのよ」

 

レッドはブルーに確認するように尋ねるがブルーも分からないので肩をすくめることしか出来ない。

 

「ふむ。しかしイエローがこの子たちのイメージを読み取った時にワシとブルーの姿があったということはワシらと何か関係があるのは明白じゃが・・・」

 

「他にもグリーンさんやタケシさん、カスミさん、サファイアさんとかに似た人たちの姿もありました」

 

オーキド博士が言うように、イエローが治療の際に流れてきたイメージからマサラタウンに似た町とオーキド博士たちに似た人たちの姿が浮かび上がったと言うがブルーとオーキド博士の2人は覚えがないため謎は深まるばかりだった。

 

「とりあえず先程ウヅキくんやオダマキくんたち他の地方の博士たちからもこの子たちのような傷ついたポケモンたちをゴールドたち図鑑所有者たちが保護したと連絡があった。もしかしたらこの子たちの仲間かもしれん」

 

オーキド博士はポケモンたちの治療中にあったほかの博士からの連絡をレッドたちに伝えるとこの子たちの仲間かもしれないポケモンたちが見つかったことにも驚いたが、それ以上になにか良くない事が起こるんじゃないかと不安を感じていた。

 

「もしかして最近起こってるポケモン誘拐事件や一部の地域での襲撃事件と何か関係があるのかしら?」

 

「わからん。じゃがポケモン協会の方でもその事件を重要視しとるようで9地方のジムリーダーと代表たちを呼んで対策会議を行うようじゃ」

 

ブルーは最近各地方で上がっているポケモンジムやコンテスト会場などポケモンに関する施設に対する謎の集団にポケモン誘拐事件やアルフの遺跡や双子島など図鑑所有者がロケット団やアクア団たちのような悪党集団と戦ってきた場所への襲撃などがあった。

 

「ってアレ?今、博士9地方のジムリーダーや代表たちって言ってたけど俺が知ってるのってカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラの7地方だけなんだけどあと2地方ってどこなんだ?」

 

レッドはふと、オーキド博士が言っていた9地方のうち7地方は他の図鑑所有者がいることで知っているが残り2つの地方については全く分からないためつい尋ねてしまった。

 

「おっと、そう言えばお主らにはまだ教えておらんかったな」

 

オーキド博士は忘れてたと言わんばかりに申し訳なさそうな顔をしてからコホン、と一息ついてから 話し始める。

 

「今回ポケモン教会が呼んだのはガラル地方とパルデア地方のジムリーダーと四天王、チャンピオンたちだ。どちらの地方でもそれぞれダイマックスとテラスタルと呼ばれる特殊なバトルシステムを最近導入しておるんじゃ」

 

「へぇ~」

 

オーキド博士の言う特殊なバトルシステムに興味津々なレッドは目を輝かせて詳しい話を聞きたそうにしたがっていたが流石に今そのことを聞ける雰囲気でないのでぐっと堪える。

 

「それじゃあ僕たちが知らない子たちも博士の言う他の地方のポケモンかもしれないってことですよね」

 

「そうね、その可能性が高いわね」

 

イエローとブルーは庭先で時折こちらの様子を伺うように見ているポケモンたちを見てそう結論づける。

 

「いまゴールドたち他の地方の図鑑所有者たちが保護したポケモンたちと共にこちらへと向かっておる。詳しい話はみなが集まってからでもよいじゃろう」

 

オーキド博士がそう結論を出すとレッドたちも文句は無いのか頷く。

 

しかし、この時レッドたちとポケモンたちは気づいていなかった。遠くからレッドたちを────正確に言うならば保護したピカチュウたちを中心に見張っているもの達がいることを。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「────見つけたわ。やっぱりジャリボーイのピカチュウとそのお仲間たちね」

 

オーキド研究所から離れた場所の上空で滞空しているニャース型の気球の籠から身を乗り出すようにして双眼鏡でオーキド研究所を見ていた長い赤髪の女性──ムサシは後ろにいる仲間である青の短髪の男性───コジロウとニャースにそう伝える。

 

「ジャリボーイが捕まってることから分かってたがやっぱりピカチュウたちもこっちに来てたみたいだな」

 

「ニャら他の奴らもこの世界にいるはずニャ。アイツらジャリボーイのためなら世界の一つや二つ超えるなんてワケないニャ」

 

コジロウとニャースは何らかの機械を弄りながらムサシにそう答える。彼らもまたとある目的のためにセブンス団をおってこの世界へとやって来ていた。セブンス団の情報を集めている時に偶然ジャリボーイことサトシが誘拐されているのとサトシを使って企んでいることを断片的に知った。

 

「とりあえず今はアイツらの情報を集めてタイミングを見計らってジャリボーイのピカチュウたちとついでにこの世界の図鑑所有者?って奴らと手を組むってことでいいのよね?」

 

「あぁ流石に相手が相手だからな。俺たちとジャリボーイのポケモンたちだけじゃ厳しすぎるぜ」

 

ムサシはコジロウに確認するように聞くとコジロウはその通りだと頷く。

 

「今回の任務は絶対に失敗出来ないからな。そのために本部の俺たちのポケモンたち全員連れてきたし資源も豊富に与えられたからな」

 

コジロウの言う通り、今回の任務の重要性からムサシとコジロウは本部に預けているポケモンたち全てと拠点確保や潜入道具などの資源を与えられていた。

 

「とにかくちゃっちゃっと準備を進めるわよ。そろそろ連中もこっちで本格的に取り掛かるわよ」

 

「「ラジャー(ニャ)!!」」

 

そしてニャース型の気球はマサラタウンから離れムサシたちは現在使っている隠れ拠点へと向かうのだった。

 




あとがき

サトシとピカチュウが引退すると先日聞いてとてもじゃないが信じたくないと思っています。アニポケはやっぱりこの2人がいないとダメだと感じてしまうし、パルデアでのサトシの冒険が見たいと考えてしまいます。
今回、パルデア地方を追加しましたがサトシくんにもパルデアのポケモン手持ちに加えた方がいいでしょうか?加えるなら皆さんどの子がいいと思いますか?個人的にサトシならラウドボーンとエクスレッグ、コジロウにサーフゴー、ムサシにデカヌチャンだと考えてます。


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