志々雄真実「尸魂界……だと……?」 (凜としたBTQ)
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志々雄真実「尸魂界……だと……?」

BLEACH二次に最近ハマって抜け出せない今日この頃。
ヨン様の卍解は砕蜂といちゃいちゃするお話のが一番好き。


 夢か、現か、幻か。

 

 千を超える白骨の山の頂に立ち、万を超える屍の河を見下ろして、その男は立っていた。

 

 上物であろう着物を着崩し晒け出した半身は包帯で覆われており、その姿は木乃伊(ミイラ)のように見える。

 

 全身に包帯を巻き刀を履いた剣客────志々雄真実はその焼死体のような顔を凄惨に歪めて、屍山血河の先からやってくる一人の男に声をかける。

 

 「よぉ、随分遅かったな。元護廷十一番隊隊長サマ……だったか? だが、少し遅かったな……ここにはもう誰もいねえぜ」

 

 挑発するように発した志々雄の言葉を受けた男────刳屋敷(くるやしき)剣八はその言葉に無言で刀を抜き、斬魄刀を構える。

 

 「てめぇと話すことは何もねぇ。てめぇは俺の敵だ。交わす言葉は必要ねえ。あとはここで、殺して仕舞いだ」

 

 「ハッ、わかってるじゃねえか。抜刀斎の野郎みてぇな腑抜けじゃなくて良かったぜ。分かっているなら言うことはねえ────この地獄()の摂理ってやつをな」

 

 志々雄が刀を抜くと同時に、刳屋敷(くるやしき)はその元護廷十一番隊隊長であった霊圧を解放する。

 

 屍の大地が震え、地に蔓延る頭蓋がまるで嗤うようにカタカタと揺れている中、志々雄は悠然と刀を鞘に添えて刳屋敷(くるやしき)を見据える。

 

 「瑞祥(ずいしょう)屠りて生まれ出で、暗翳尊(あんえいたっと)び老いさらばえよ────『餓樂廻廊(がかくかいろう)』」

 

 刳屋敷(くるやしき)が解号を唱えると、その背後から巨大な牙を備えた白い球形の化け物が現れる。

 現れたその化け物達と共に、刳屋敷(くるやしき)は志々雄へと斬りかかった。

 

 「それがお前の始解ってやつか。始解(ソレ)で俺とやりあおうなんざ、随分と甘く見られたもんだな」

 

 周囲を囲むように展開した白い化け物達が口を開き、逃げ場を失った志々雄をその獰猛な牙で噛み砕こうと迫ってくる。

 かつて護廷にいたときに始解にして卍解と同等の威力を持つと言わしめた刳屋敷(くるやしき)餓樂廻廊(がかくかいろう)が、地獄の人斬りを殺さんと牙を向ける。

 

 ────しかし、その牙は志々雄の只の一言で焼き尽くされた。

 

 「終わらせるな────『無限刃』」

 

 そして紅蓮の炎を携え白鬼達を灰燼に帰した灼熱の刃が、眼前より斬りかかる刳屋敷(くるやしき)の刃と交わった。

 

 

 

 

 

 

◆ 

 

 

 

 

 

 

 地獄。

 

 世界は尸魂界(ソウルソサエティ)と現世、そして地獄と言う三つの世界が存在している。

 そして、虚、もしくは破面が過ごしている虚圏(ウェコムンド)は尸魂界と現世の二つの世界の狭間に存在するとされている。

 

 その三つの世界のうちの一つ、地獄。

 

 地獄は生前に罪を犯した魂を収監するという役割がある。

 しかしそれとは別に、もう一つ役割があった。

 

 通常、尸魂界(ソウルソサエティ)の住人達は死後、その肉体は霊子へと分解されて尸魂界(ソウルソサエティ)の大地へと還元される。

 護廷の隊士も皆、死後は霊子となり尸魂界(ソウルソサエティ)の一部へと還っていくはずだった。

 

 そう、普通の隊士なら。

 

 護廷十三隊で隊長を務めたレベルの死神の場合、その肉体を構成する霊子一つ一つの霊圧濃度が高すぎて、尸魂界の大地に還元することは不可能となる。

 

 では、死後に尸魂界(ソウルソサエティ)の大地へ還ることもできなかった隊長達の魂はどこへ逝くのか。

 

 それが、地獄であった。

 

 尸魂界(ソウルソサエティ)の貴族が使っていた言葉に、『霊威』と言う単語がある。

 それは、霊子に宿る霊圧の濃度を指す単位であり、護廷十三隊の一般隊士では二十等霊威、副隊長で五等から四等、そして、隊長になると三等以上の霊威を持つとされる。

 そして、死神の肉体は霊子で構成されており、死ねばいずれ肉体は霊子として分解されて尸魂界の大地に還元されるが……三等以上の霊威を持った霊子は、霊圧濃度が高すぎて尸魂界の大地に還元することができない。

 その為、その霊子を尸魂界に還元するために『魂葬礼祭』という儀式を行われているのだが、実はこの魂葬礼祭には裏の目的があった

 

 それは、死んだ隊長たちを地獄に堕とすという事。

 

 実は、三等以上の霊威を持った霊子はどうやっても尸魂界の大地に還元することはできず、強すぎる霊子を尸魂界にも現世にも放出することはできない。

 そこで行ったのが、残った地獄の世界へとその霊子を送り込むこと。つまり地獄は死んでいった護廷十三隊の隊長達の霊子によって成りたっているということである。

 

 そうして世界の均衡を保つ。

 

 それこそがこの『魂葬礼祭』の真の目的であった。

 

 死した隊長格の霊子は再構成され地獄の一部となり、生前に罪を犯した魂を閉じ込める檻となる。

 歴代の護廷十三隊隊長格の霊子で構成された地獄は絶対の牢獄と化し、罪人はその中から出ることはできない。

 

 しかし、長い地獄の歴史の中ではそれに抗う者達もいた。

 

 そのうちの一人が、地獄を支配せんと動乱を巻き起こした全身包帯の男。

 

 かつて幕末で人斬りとして世を震撼させ、明治維新が設立された世の裏でも政府転覆まで後一歩のところまで追いつめた極悪人。

 弱肉強食の世を実現させんとする煉獄の修羅。

 

 その名を、志々雄真実。

 

 現世にて志々雄一派として動乱を起こそうと画策した志々雄真実、駒形由美、佐渡島方治の三人は地獄に堕ちて尚、国盗りの争乱を巻き起こした。

 そして地獄を構成する一部となったかつての護廷隊長達との殺し合いが始まった。

 

 志々雄真実は戦いの天才だった。

 

 地獄の戦いの中で霊圧を知り、死神の戦い方を知り、斬魄刀を知った。

 戦った数多の隊長達から斬拳走鬼の技を盗み、斬魄刀を奪い、殺していった。

 そしてその霊圧は既に地獄では敵がいないと思うほどに膨大に高まっていた。

 

 だからこそ、それは起こった。

 

 元護廷隊長格との殺し合いで研鑽されたその膨大な霊圧が原因となったのかもしれない。

 

 刳屋敷(くるやしき)の卍解で地獄の顎へと呑み込まれたことが原因であったのかもしれない。

 

 山本元柳斎重國と同様に地獄との繋がりを防ぐ抑止力として存在していた一人である藍染惣右介が、そのとき運悪く尸魂界(ソウルソサエティ)を離れ虚圏(ウェコムンド)で実験を行っていたからかもしれない。

 

 それら全てが偶然重なったからかもしれない。

 

 兎に角、それが起こったことは事実であった。

 

 「……どこだ、ここは」

 

 地獄を震撼させた煉獄の人斬りは、尸魂界(ソウルソサエティ)の外れにある流魂街の街中で一人佇んでいた。

 

 

 




志々雄「終わりはしねえさ。俺が地獄篇の続きを期待している限り」
抜刀斎「終わっているんだ。拙者がこの74巻を手にしたときに……」

(´・ω・`)続きドコ……ドコ……。



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