坂田銀時の姉弟子になって鬼兵隊でドタバタする話 (アルトリア・ブラック)
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第1話『何事も一話が重要』

イメージは家入硝子です。


最近流行りの『異世界転生』を果たしました、久坂美和子と申します。

 

誰それとか言われるかもしれませんが、それもしょうがないので、平たく説明すると『松下村塾の生徒で吉田松陽の二番弟子』みたいなものです。

 

一番弟子はここでは触れないとして、そうです。私『銀魂』の世界に転生して、なおかつ坂田銀時の姉弟子となって生まれました。

 

誰得とか、原作を汚すなとかそういう意見を言いたいのもわかります。

 

吉田松陽の弟子は坂田銀時、高杉晋助、桂小太郎の三人だけでいいみたいな方もいると思います。

 

無論、私だって最初の方はそう思ってました。私だって『銀魂』が大好きですし、その三人と坂本辰馬を加えた四人が大好きでした。

 

そこにぬけぬけと異分子が入るのは受け入れ難かったし、邪魔したくないと思った部分もありました。

 

それでも、私は松下村塾に、彼らに受け入れてもらって、かなり嬉しかったです。

 

三人と仲良く出来て、馬鹿騒ぎに乗ったりと、幸せな生活でした。

 

 

…まぁ、長々と話しましたが、オチを言いますと、歴史は変えられませんでした。

 

平たくいうなら、あの先生が斬首される時に、私が追加されただけで何も変わりませんでした。

 

みんなバラバラになって、みんな見ている方向が違うようになってしまいました。

 

「んじゃ、行って来ます」

 

そう言って鬼兵隊の船から飛び降りて走る

 

「待つでござる!」

 

そう言って後方から走ってくる河上万斉を全力で撒く

 

 

 

 

 

 

 

 

(……ついに来てしまった、歌舞伎町)

 

目の前にある『歌舞伎町』という名前を見てそう呟く幸薄そうな栗色の髪をした久坂美和子は足を踏み出す。

 

(…うん、来たは良いけど、まずはどうしよう。やっぱり小太郎に会いに行こうか、それとも銀時に会いに行こうか…うむ)

 

久坂は怠そうな目を空に向ける。

 

テクテクと街を歩いていると、見覚えのある看板が見えてくる。

 

(………)

 

特に何も考えずに階段を登り、インターフォンを勢いよく連打する。

 

「だぁぁあああ!!うるせぇぇえええ!一回鳴らしゃ分かるつうn…」

 

勢いよく開けて来た銀時が、久坂を見て固まり、勢いよく扉を閉めようとする

 

「壊すよ、い〜ち」

 

「こんの!!破壊魔が!真剣構える奴がいるか!ボケェ!!」

 

「…閉めようとするのが悪い」

 

ぎゃいのぎゃいの騒いでいると、奥から新八くんと神楽ちゃんが現れる。

 

「銀さん、お客さんですか?」

 

「銀ちゃん、女性と喧嘩してるアル、暴力男ネ」

 

「げっ…」

 

久坂はヒョイっと二人を見て、ぺこりと頭を下げる

 

「うるさくしてすみません。銀時に挨拶に来ただけで依頼ではないです。ごめんなさい」

 

そう謝ると、新八は首を振り「いえいえ!気にしないでください」と返してくる

 

「銀時がいつもお世話になってます」

 

シレッと玄関に入り、二人に礼を言う

 

「おま…『いつも世話してるアル!』」

 

神楽が銀時の言葉を遮ってドヤァとする。

 

「お前っ、なんでここにいんだよ…つうか、来るなら連絡一つ寄越せっての」

 

「飛び入りの方が楽しいと思って、盛大な誤解させたかったし」

 

「…何?盛大な誤解って、何する気だったの」

 

仲良さそうに話しているように思ったのか新八と神楽は顔を見合わせ、新八が口を開く

 

「あの、立って話すのもなんですから部屋に入って話したらどうですか?お茶出しますね」

 

「ありがとうございます」

 

「…おいおい、家主の意見ガン無視で部屋に入んのかよ」

 

「家賃滞納者を家主とは言わない」

 

「なんで知ってんの、え?何?エスパー?」

 

 

 

 

 

 

 

「………んで、テロリストが何の用」

 

銀時のセリフに「あ、私テロリストだった。忘れてた」と言うと「はぁ!!?」と返してくる

 

「え?!何?!普通に刀持ってきて普通にここ来たわけ?変装も無しで?」

 

「ついでに部下も撒いてきた」

 

「ダブルでヤバいんですけど!!?何しにきたの!!」

 

銀時が頭を抱えるのをみて少し辺りの気配を伺うと、物凄い勢いで走ってくる音と、玄関の方から何かイヤーな予感がするので真選組と河上くん両方が迫ってきている気配がする。

 

「弟弟子の顔を見に来たのと、盛大な誤解をさせたかったから来た、目標達成したから満足」

 

「そのドヤ顔やめて!!伝わらねぇよ!!」

 

そう言って立ち上がり、銀時の好きな団子を置く

 

立ち上がった瞬間、窓を蹴り割ってきた河上万斉と玄関を『御用改めである!!』という声が響き渡る。

 

「ギャァァアアアア!!何してくれちゃってんの!!」

 

「帰ろ、万斉」

 

「何がしたかったんでござるか」

 

「ホントそれだよ!!」

 

万斉のツッコミに内心笑うが、表情筋が機能しない

 

「じゃあ、お達者で〜」

 

そう言って万斉が蹴り割ってきた窓からそそくさと居なくなる




↓はオリ主の説明です。


【久坂美和子】
久坂玄瑞と吉田松陰の妹・美和子を取って久坂美和子。
松下村塾の二番弟子で銀時の姉弟子。
松陽先生に拾われたのは、銀時が拾われる数年前。
栗色の髪に怠そうな目の女性。
転生前の記憶はあり、ここが銀魂の世界であるということも知っている。それでも救済に動かなかったのは力がなかったから、銀時より早くに剣術の練習をしていたが、それもあんまり意味が無かった。
攘夷戦争にも参加した。
参加するといった時に、かなり反対されたが無理やり参加、先生が斬首される場にも居合わせた。
原作知識があっても何も出来なかった。それに尊敬していた人の首が斬られたのは結構堪えた。


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第2話『幼馴染っていうのは深い関係になるか他人になるかのどっちか』

はい、第2話です。

勢いがあるのは最初だけかもしれませんが、阿伏兎とオバロの方は続きを書いているのですが、投稿する気力がなくて…ごめんなさい


「楽しかった」

 

「ただ遊びに行っただけでござるか」

 

万斉の言葉に久坂は頷く

 

「せっかく地球に戻ってきたし、弟弟子の顔を見ようかなと」

 

「…敵対関係でござろう」

 

その言葉に「まぁそうだけどね」と言って歩いていると、船の上に高杉がいるのが見え、足を止める

 

「ちょっとコンビニ行ってくる」

 

「何が欲しいんでござるか、拙僧が買ってくる」

 

そう言って久坂を羽交い締めにして船に連行する

 

「あ〜…晋助、怒るとめんどくさいんだよ〜」

 

「怒られるような事をするのが悪いんでござろう」

 

「ごもっともな意見だね」

 

 

 

 

「……ながっ」

 

高杉に二時間説教された久坂はそう呟き、館内を歩く

 

「長いも何も警護も付けずにどこ行くかも言わないで船から飛び降りたのが悪いんスよ」

 

また子の言葉に久坂は「だって、面白くないから」と言う

 

「久坂先輩、例の件で話したいことがあるんすけど良いですか?」

 

「んーいいよ」

 

 

 

 

 

「煙管って見た目に反して吸いやすいんだね」

 

「なんだ唐突に」

 

話し合いが終わった後、高杉と共に船の窓際で煙管を吸っていた。

 

「煙草にしようかと思ったけど、こっちにして良かった」

 

「…………」

↑久坂を煙管に変えさせた本人

 

「こう、煙草でも良かったけど、晋助が珍しくあんな止めてきたから驚いたけど」

 

「……煙草にしたら手前はライターで火傷するし、マッチ使わせたら勢いよく擦って発火させるだろ、手前にはそれで十分だ」

 

ライターを使うと何故か物凄い勢いで火がつき、火傷と髪が焼けるという大惨事になるし、マッチにすると勢いよく擦った所為で、火がついたまま折れてマッチが吹き飛ぶのだ。

 

火加減が下手くそすぎる姉弟子にため息をつく

 

「マッチ擦るの楽しかったけどなぁ」

 

「…ガキか」

 

二人は煙草をふかしながら外を眺めていると…

 

「晋助、今度の春雨と協力する話なんだけど、武市は反対してたけど、このまま押し通すの?」

 

「ああ、危険だからなんて言って避けてたら進まねぇだろうよ」

 

「ふーん。まぁ、春雨なんて危険でしかないけど、晋助がそう言うならいっか」

 

「…随分軽いな…お前、鬼兵隊副総督だろ」

 

「いやぁ〜生来、そういう難しいこと考えるの苦手なんだわ、私」

 

(…どっかの天パと同じこと言ってやがる…)

 

 

 

 

 

ー紅桜篇ー

 

「うわぁ、禍々しっ」

 

久坂は万斉と共に戦艦内にある紅桜を見てそう呟く

 

「まぁ、妖刀でござるからな」

 

万斉は興味なさげに呟く

 

「まぁ、こんなごっついとしても使える人間によって性能が違うんじゃ宝の持ち腐れだけど」

 

気怠げにガラスを軽く叩きながら歩く

 

「似蔵は保っている方でござろう」

 

紅桜を使用して白夜叉こと銀時を倒したと先程話に聞いたが、紅桜じゃ銀時は倒せないと知っているので

 

「まぁ、身体はまだ大丈夫そうだけど、その内、というか今日で峠は越えそうだけど」

 

二人は別の船に乗り、これから向かう春雨のいる地点に向けて出発する。

 

 

 

 

(…ヤクザみたいだなぁ、この天人達)

 

なんとか春雨と共闘することになったのだが、行った矢先から手を出してきた天人たちをフルボッコにして積み重ねていた。

 

その上に座って煙管を吸っていると…

 

「…った側から…」

 

万斉がプルプルと震えていた。

 

「どうしたの?」

 

「言ったそばから喧嘩買ってどうするでござるか!」

 

ムキー!と怒ってくる万斉。

 

「いやいや、私、先に手を出されるまで待ったからね?先に手を出したのはあっちが先だからね、正当防衛で刀がすっ飛んで行っただけだよ」

 

「『手を出されるまで待った』がおかしい!!逃げればよかったでござろう!?」

 

「万斉〜口調崩れてるよ」

 

「誰の、所為だと!」

 

「このまま鬼兵隊の戦艦に連れて行って宇宙のゴミとして廃棄処分しようか」

 

「…綺麗に、でござるよ」

 

「うん」

 

そう言って動き出す久坂と万斉を見ている人影に気づかず

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春雨の艦隊と共に地球に戻ってくると、ちょうど、似蔵達と戦っているであろう銀時達が見えた。

 

避難してくる鬼兵隊の生存者達

 

高杉は隣までやってくると

 

「派手にやってやがるな、アイツら」

 

桂と銀時二人で天人達を倒して行っているのを見ていると、銀時と桂が剣先を向けてくる。

 

「高杉ィ!!」「久坂ァ!!」

 

二人の声が聞こえてくる

 

「次会った時は仲間も関係ねぇ!全力で!テメェらをぶっ倒す!」

 

「せいぜい街でバッタリ会わねえよう気をつけるんだな!!」

 

そう言って二人が飛び降りるのを見届ける。

 

 

 

 

 

船が飛び立ち、宇宙に行くと久坂は一人、部屋にいた。

 

松陽先生から貰った本を眺めてめくる。

 

『美和子は授業を真面目に聞いているフリをするのは如何なものかと思いますよ』

 

銀時と二人で説教されるのを思い出す。

 

『はい、ごめんなさい。今日の晩御飯を何にするか悩んでました!』

 

『そんな清々しいぐらいの元気な声で言われてもしょうがないとはなりませんからね?』

 

『ッチ』

 

『舌打ちはいけません』

 

軽い拳骨で地面にめり込む

 

『姉弟仲良く埋まってますねぇ』

 

『……いや埋めたの先生だからね?』

 

銀時のツッコミに松陽先生は笑う

 

『よっこらしょ』

 

そう言って地面から抜け出す

 

『晩御飯作ってきます。先生は何が良いですか?』

 

『そうですねぇ、今あるもので良いですよ?』

 

『俺!ケン●ッキー…ブベラッ!?』

 

拳骨されて銀時が目を回す

 

『銀時は補習ですよ、根本を理解していないので叩き込んであげます』

 

『なんで、久坂は免除なんだよ!!』

 

『美和子は根本をきちんと理解していますから良いんですよ』

 

ぎゃいのぎゃいの騒ぐ銀時の声をよそに久坂は台所に急ぐ

 

そこには小太郎と晋助がいて、料理の準備を始める。

 

小太郎の手つきを褒めると照れ、晋助はふてくされるのが見れて楽しかった。

 

『銀時、美和子。みんなの事を頼みますよ、約束です』

 

そう言って先生は奈落に連れて行かれた。

 

 

(…晋助が一番危なっかしい子だから着いてきたけど…これはこれで正しかったのかなぁ…)

 

そう思いながら本をテーブルの上に置く

 

あの日、先生の首を切ってしまった日から、みんなバラバラになってしまった。

 

先に抜けていた坂本にも声をかけられたが、弟弟子達が心配だからと丁重に断った。

 

晋助達も心配だったが、何より心配だったのは銀時で、先を知っているとしても不安でたまらなかった。

 

着いて行こうと思った矢先、銀時は何も言わずに消えてしまった。

 

小太郎に女性の一人旅は危険だと言われ、安全が確保されるまで共に活動しようと言われた。

 

小太郎の案に乗っても良かったのだが、首を振り、高杉と共に行くことにした。

 

茨の道だとしても、先に光なんてないとしても

 

「久坂様、総督が至急来て欲しいとのことです」

 

部下の声が聞こえてきて「はーい」と頷き、部屋を出る

 

 



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第3話『男所帯の中に女一人だと嵐を生む』

第3話、主人公は基本ダウナーで銀魂の世界をのほほんと生きてます。

とはいえ、かつて自分がしたことはテロリストだし、現在進行形で指名手配犯だから真選組に捕まる気は毛頭ない。

イメージは呪術廻戦の家入硝子です。


ー鬼兵隊ー

 

「なんか…暇だから地球行っていい?」

 

「問題しか起こさないからダメでござる」

 

「ッチ」

 

そう舌打ちすると万斉が『女性が舌打ちなんてガラ悪いでござる』と言う。

 

「ヤク(#煙管のこと)が足りねぇ…」

 

「……なんでそんなイライラしてるでござるか」

 

二人で鬼兵隊内部を歩いていると…

 

「知っているか、地球の鳳仙が倒れたらしいぜ」

 

「確か倒したのは白夜叉だって聞いたな」

 

「………!」

↑閃いた久坂

 

 

 

 

 

 

 

ー地球ー

 

「地球の飯ウマ」

 

「…あの、万斉先輩から怒られるンスけど…」

 

また子が辺りを見渡しながら言う

 

地球の吉原からそう遠くないところで甘味処に寄っていた

 

「現在進行形で探してるかもねぇ〜もきゅもきゅ」

↑饅頭を食べながら話す

 

二人で街を歩きながら観光していると…

 

「…というか、久坂先輩はなんでこうも地球に観光で来るんすか?仕事でもよく来るのに、こう、仕事じゃない時の方が楽しそうというか」

 

「理由は簡単、仕事の時より自由だから!」

 

ドヤァ!という久坂に『あ、そうすか』と返す

 

「それに一度は行って見たかった吉原!!」

 

「…久坂先輩って女っすよね?」

 

今はこう解放されているが、今も昔も男は寄り付くが女は寄り付きない場所だ、

 

まぁ、男の客を楽しませるためにあるような場所だ。

 

また子はそういうところが嫌いで近寄りたくなかった。

 

「いやぁ、吉原ってさぞやべっぴんがいるんだろうなぁと思ってワクワクしたなぁ」

 

「なんかすっごい男っぽいこと言ってますけど、久坂先輩ー?」

 

二人は吉原に入り、歩きながら昔話をする。

 

「攘夷時代、野郎どもが我先にと行って競い合いしてたから気になって男装して入ったんだわ、そうしたらすっごい楽しかった」

 

「……なんか久坂先輩って時々、本気で男子の遊びに乗っかる女子って感じして心配になるっす。万斉先輩が過保護なのもなんとなくわかったっす、ていうか、攘夷時代男どもの中に女性一人で無事だったんすか?」

 

「そりゃ、長い戦の中、発情期を迎えるバカはいたけど、全力で交わして良い夢見せてあげたよ」

 

「…なんか微妙にツッコミづらいボケかましてくるの勘弁してほしいっすけど…」

 

そうこう話していると、久坂の足が止まる。

 

「久坂先輩?」

 

「よし、この店寄るよ」

 

「またっすか?」

 

 

「母ちゃん、お客さん来たよ!」

 

晴太の声に『分かったよ』と返してお茶を淹れる

 

「お待ちどうさま」

 

「ほら来たっすよ久坂先輩」

 

「んぇ?あ、来た」

 

吉原の景色を見ていた気怠げな女性が後輩?からの言葉に答えながら饅頭を頬張っていた。

 

「うまっ」

 

「ふふ、そりゃ良かったよ」

 

美味しそうに食べる女性の腰には刀が指しており、大方"そういう人"なのは分かった。

 

「先輩、さっきも饅頭食べてなかったすか?太りますよ」

 

「いいのいいの、どうせ明日から動き回るから栄養補給」

 

「なんか前も同じこと言ってたような気がするんすけど」

 

相手をしていると…

 

「げっ…」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきて、そちらを向くと…

 

「銀さん!」

 

晴太が銀時のそばに行く

 

「ん、銀時じゃん」

 

「し、白夜叉?!」

 

「じゃんじゃねぇよ、つうか、街でばったり会わねえよう気をつけろって言ったろうが、なんでまたホイホイ歩き回ってんだよ」

 

「あれ晋助限定じゃなかったっけ?」

 

「なんでだよ」

 

日輪は晴太を手招きで呼んで奥に下がる。

 

「母ちゃん?あの人、銀さんの知り合いかな?」

 

「そうじゃない?見たところ刀も持ってるし、そういう人だっていうのは分かってたよ」

 

「え?そういう人?」

 

晴太は首を傾げる。

 

 

 

 

 

「今更テロリスト見てどうこう言う?小太郎の所在地知ってるのに匿ってるじゃん」

 

「いやいや、アイツとお前らじゃ別ベクトルだからね?」

 

(…という割には木刀抜かないあたり優しいんだよなぁ)

 

男と女だからか、あるいは久坂が元々攘夷に関してやる気がないのを知っているから抜かないのか

 

「また子、先船に戻ってて」

 

「え?!先輩と白夜叉二人で離れられないっす!」

 

「万斉がその辺りまで来てるからダイジョーブ!」

 

「…なんでカタコト」

 

また子を帰らせると、建物側に久坂、道路側に銀時が移動して来る。

 

「つうか、お前、攘夷運動とかやる気ねぇのになんで高杉に着いてったわけ?ヅラの方で良くね?」

 

「いの一番に居なくなった子にどうこう言われたくありませーん」

 

「…何、まだ怒ってんの」

 

「別に怒ってないよ〜まぁ、確かに攘夷するほど人に対して恨みはないよ、国を壊すにしてもその後がクソめんどくさいし、整備とか死んでもやりたくないし、壊すだけ壊して放置していいならするけど」

 

「暴君ここにきわまりだな」

 

「先生を奪った国に対しての恨みは無論あったけど、それよりも自分に対して怒ってたし、実家はクソだし、普通の社会はもっとクソだし、なら手っ取り早く攘夷志士にでもなって暴れたほうが楽かなと思って」

 

久坂の言葉に銀時が小さい声で『どんなテロリストよりテロリストしてんじゃん』と言って来る。

 

二人で話しながら進むと、向こう側から真選組の車が見える。

 

「?」

 

銀時に押され、路地に入る。

 

「あ、旦那〜一人で散歩ですかい?」

 

「おー、総悟郎くんじゃん」

 

「総悟でさァ」

 

「旦那、ここら辺に攘夷志士の久坂が現れたって報告があったんですけど知りません?」

 

「え?アイツ来てるの?」

 

シラを切る銀時を待っていると車が去って行くのが見えた。

 

「街でばったり会ったら斬るとか言って、警察に引き渡すのは嫌なんだねぇ、相変わらず男ってめんどくさい生き物だね」

 

手を振って去って行くと後ろの方からため息が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

鬼兵隊の仮拠点に戻ると、万斉が激おこで二時間正座で説教された。

 

その後ろで高杉が煙管を吸いながら空を眺めていた。

 

「まぁ…また子を連れて行っただけ良しとするでござる」

 

「さっすが〜」

 

「美和子?」

 

「あ、はいごめんなさい」

 

足が痺れる…と言っていると、また子が手紙を持ってやって来る。

 

「久坂先輩宛に手紙が来てるっすよ」

 

そう言われて受け取り、手紙を読むがビリビリに破いて海に投げ捨てる。

 

「いいのか家族からだろ」

 

「いいよ、叱りからの家に戻ってこないかの手紙だったし、あんなクソな家に戻るぐらいなら死んだ方がマシ」

 

「そうか」

 

「真選組破壊する前にあの家爆破していい?」

 

「時間の無駄だからやめだ」

 

「ちぇー」




【久坂美和子の過去】
高杉と同じ名家の出身でお姫様だった。
けど、妾の子で家族が多かった。
『あの家はクソ』らしい。


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真選組動乱篇
第4話『やる気のない奴が突然やる気になると面倒な事になる』


ギャグ路線行こうと思ったけど無理だった。

今回は真選組vs鬼兵隊です。

鬼兵隊に潜入する手筈になった山崎と、山崎の顔を知っている(そもそも原作知識あり)久坂の遭遇の物語。

今回は割とシリアス、そして、主人公の中での優先順位が『弟弟子達・鬼兵隊》》》》越えられない壁》》》市民』です。


ー久坂ー

 

長いこと鬼兵隊の副総督をやっていて感じるが、入って来る鬼兵隊の人員がスパイか否かの判断はなかなかつきづらい。

 

だってみんなモブだし、みんな同じ顔に見えて仕方ないのである。

 

原作に登場する顔ぶれならある程度分かるのだが、それ以外はてんで分からない。

 

一つだけ言おう、今はまだ真選組動乱編が起こる前の話である。

 

だから真選組面々の顔はこっちは見ていないし、知らないのだが、自分はなにぶんチート知識(いうほどチートでもない)があるおかげで大方顔ぶれは分かる。

 

(確か、山崎くんって監察の仕事してたよなぁ…小太郎と銀時が内通している可能性があるからって理由で万事屋の前であんぱんあんぱん言ってなかったっけ?)

 

「どうしたでござるか?」

 

「んー、なんでもない。この後って密会だったっけ?」

 

「そうでござる」

 

万斉と話しながら進む後ろを荷物を持って着いてくる山崎退。

 

鬼兵隊の人員を補充した際に紛れ込んでいたらしい。

 

武市変平太から貰った書類の中に山崎の顔があった時は吹いた。

 

(…いやまぁ、名前は偽造だったから普通は分かんないだろうけど)

 

「火が消えてるでござるよ」

 

「あ」

 

煙管を差し出すと火をつけてくれる万斉。

 

「このまま行くとして…よし、吉田君も行く?」

 

吉田君(山崎退の偽名)

 

「え!?俺がですか?」

 

「うん、また子は晋助の護衛だし、武市は別の仕事頼んでるし、君新人だから一応耐性付けておかないとと思って」

 

「耐性…」

 

「血生臭いのとか平気でしょ?」

 

「…はい」

 

「んじゃ、行こ」

 

相当物騒なこと言ってるが、隣の万斉が『今日って春雨との密会でござろう?暴れてどうする』と聞いて来る。

 

「いや、アイツらって同盟相手の副官が女だったら調子乗るじゃん」

 

「そりゃ、主がやる気のない雰囲気出すのが悪いでござろう」

 

「まぁそれもそうだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー山崎退ー

 

鬼兵隊に潜入する手筈になり、雑用から始め、少しずつ情報を集めるつもりだったのだが…

 

「え…?久坂様の雑用係…?」

 

「久坂殿が手が足りないという理由で吉田殿を指名して来ましたよ、良かったですね、まぁこっちとしてはあの人にもそろそろ働いてもらわないといけないので」

 

武市は書類を整理しながら話す。

 

(久坂美和子かよ!いや、確かに副総督に付けばそれなりに情報も入るけどっ…!)

 

『久坂美和子』

かつての攘夷戦争で黒夜叉と言われる程の猛者だ。

 

全身が返り血で真っ赤で真っ黒だったことから着いた呼び名だった。

 

あの戦争の最中、女性は後方支援をする中、久坂だけは前線に出て白夜叉や鬼兵隊総督、狂乱の貴公子と言われた桂小太郎と肩を並べて戦った武人だ。

 

それに、彼女が暗殺した幕臣達も桁違いに多い

 

女だからこそ相手の油断を誘いやすいのだ。

 

どういう理屈か、彼女には先見の明があると言われるほどの知略があるらしく、将軍様も度々襲われている。

 

しかも、影武者か否かも判断つくらしく、鬼兵隊のほとんどが影武者を襲う中、久坂だけは本物を狙いに行く始末だ。

 

「し、失礼します」

 

そう言って声をかけると「どうぞー」というやる気のない声が聞こえてくる

 

部屋の上座に気怠そうに座る久坂と、その隣で書類を見ている人斬り河上万斉

 

(…大物が二人もいるのは捕まえるチャンスなんだろうけど…)

 

山崎は部屋に入ると、他の攘夷志士に混ざって書類の整理を始める。

 

「万斉。この情報デマだと思うけど、近藤勲って絶対この時間帯に屯所いないでしょ」

 

「む?そうでござるか?」

 

「アイツって警察官だけど、女性にストーカーしてなかったっけ?」

 

(うわぁ!局長の行動バレてるっ!!)

 

冷や汗ダラダラ流しながら、書類を作る

 

「久坂様、準備ができました」

 

そう言われた久坂は「ん、了解」と返す

 

久坂が立ち上がると、河上万斉も立ち上がる。

 

山崎の後ろにある出入り口に向かって行く

 

「…あ、吉田君」

 

「!はい!」

 

急に名前を呼ばれて変な声が出てしまう。

 

「ちょっとその荷物を持ってきてくれない?」

 

「はい!」

 

そう言って荷物を持って二人の後ろを着いて行く

 

二人の会話が微妙に聞き取れず、運んでいると…

 

「あ、ここまできたから吉田君も参加して」

 

「え!?僕がですか?!」

 

「うん」

 

(チャンスだけど…!下手したら命ないぞこれ…いや、ここで投げ出すわけにもいかないし…変に投げ出したら副長から怒られる…!)

 

ええいままよ!と参加を決意し、二人に着いて行くと天人の前に座った久坂は左側に刀を置く

 

万斉もそれに倣うように左側に置く

 

(うわっ…天人相手でも強気だな…こいつら…)

 

刀を左側に置くということは相手に対して『いつでも首切れるぞ』という意思の表れだ。

 

「幕府を乗っ取る為の手筈だが、その手筈として真選組を狙うのか」

 

「!」

 

その言葉に山崎は肩を揺らしそうになるが、必死に堪える。

 

敵の拠点真ん中でそんな仕草をすればバレるのは明白。

 

「……それについてはこっちもいろいろ考えてる。それより今後のことで話があるのだけど」

 

山崎はこの場で話している内容を逐一逃さないように神経を張り詰める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真選組を内から破壊する為の作戦を真っ向から聞いてきた海賊の汚さに眉をひそめながらも、なんとか刃傷沙汰にならずに済んだ。

 

まぁ、そんな中でも、チラホラと真選組内情の話になったのを尻目に吉田こと山崎の様子を横目で見ると、緊張と重要な内容を忘れないようにと神経をとがらせているのが見て取れた。

 

山崎と別れた後、万斉と共に本物の本拠地に戻る

 

「スパイはあのまま帰らせて良いのか」

 

「うんまぁ、大した情報も言ってないし、問題ないかなと」

 

「しっかし、あの吉田が山崎退なんて情報、とかで掴んで来たんでござるか?」

 

そう問われれば知識でなんて言えない。

 

「歌舞伎町歩き回ってた時に見つけた。案外分かりやすい監察だよね」

 

「…ホイホイと出かけてたのはそういうことでござるか」

 

納得したかのような声色に微笑む

 

「甘味処9割、歌舞伎町内観察1割って所で発見したかな」

 

「ほとんど甘味処でござるな…」

 

部屋と前までくると万斉に向けて『仕事頑張ってね、おやすみ』と言って室内に入る




はい、始まりました真選組動乱編。


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第5話『救済というものはむやみやたらにするものじゃない』

あんまり真選組出てこない…

高杉とまた子と過去回想しかない…ごめんなさい


真選組動乱篇。

 

真選組に伊東鴨太郎が入ることにより発生する問題。

 

まぁ、救済とかいろいろ考えたわけだが、正直に言えばそんなに伊東鴨太郎の事を救いたいなんて思っていない。

 

そもそも、ああいうタイプは鬼兵隊の手助けがあろうがなかろうが関係ないものである。

 

事実、近藤勲が上に立つ事を気に入らず、勝手に謀反をして勝手に処罰されそうな形である。

 

まぁ、真選組の実権を得る為なら、本来自分達が逮捕しなければならないテロリストに手を貸して欲しいと示談するあたり、伊東の命運は尽きていた。

 

「あ〜眠っ」

 

気怠げに屋形船内を歩いていると伊東鴨太郎が高杉のいる部屋に入ったので、隣の部屋に入り、また子と食事をしていた。

 

話し合いが終わったのか、伊東の足音が遠ざかっていく

 

「…久坂先輩。あの伊東、本気で真選組やるつもりなんですかね、確かに計画は上手く行きそうですけど…」

 

「んー、上手くいかないでしょ、あのタイプは」

 

煙管に火を付けてくれるまた子。

 

それを吸いながら足を延ばす

 

「え?無理ならなんで万斉先輩を伊東に付けさせたんですか?」

 

「いやぁ、ずっと私の横にいるのも飽きるだろうと思って、それに楽しいと思うよ今回の仕事は」

 

「…息抜きっすか」

 

「そうそう、それに、伊東みたいなタイプは死ななきゃ治らないバカなんだよ、せーっかく目の前に今まで欲しかった物があったのに気づかないで切り捨てようとしたんだから、死ぬ前に気付いたら幸せってもんじゃないかな」

 

「気づかないまま死んだらどうするんすか?」

 

また子の言葉に『死ぬ間際なんだから気づくんじゃない?一応神童らしいし』と言うと

 

「相変わらずお前は悪役らしいことしてるじゃねぇか」

 

「晋助様!」

 

嬉しそうにまた子が高杉を見る

 

サッと場を譲ると、真ん前に座ってくる

 

「悪役じゃないし、事実だし、晋助だって真正面から『お前は独りだっただけだろ』とか言っても何も返事返してなかったし」

 

「ククク…教えてやらねぇのかぃ」

 

「教える義理なんてないし」

 

こう二人で話している光景を見ると、すっごい悪役って感じがする。

 

「それで、お前は様子見に行くのか」

 

「うん、万斉に何かあれば回収するのは私の役目だし、銀時も出て来るだろうしね」

 

「なんで銀時が出てくると思うんだ」

 

高杉の酒が無くなってるのを見て少し手を伸ばして注ぐ。

 

「前に歌舞伎町を歩き回って来た時に真選組の副長と仲良さげに喧嘩してたから、今回の村魔紗だっけ?その妖刀を土方に掴ませたなら、自然と万事屋を頼るでしょ、銀時は昔から人が良いし」

 

そう言って煙を吐くと、高杉が『いくら人が良いって言ったって警察助ける真似するか?』と聞いてくる

 

「いやぁ、助けると思うよ、だって一度身内判定したら誰がどうでも助けると思うよ」

 

子供の頃を思い出し、酒を飲む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松陽先生を捉えられてから数ヶ月、銀時と自分は桂と高杉と一緒に生活していた。

 

攘夷運動をすると決めた日、前線に出ると言うと銀時達に『後方支援してくれ』と言われた時は全力で嫌がった。

 

「女だから後方で待ってろって?女ナメんじゃないよ白髪」

 

「これは銀髪ですぅ!!」

 

突っかかる銀時を他所に桂が真面目なトーンで『女だからナメてるんじゃなくて、姉弟子を死なせたくないから言ってるんだ』と言ってくる。

 

「お前が弱いなんて言ってねぇ、俊敏力じゃ、こん中の誰より早いのは分かるが、問題はお前が体が弱いから戦場に出した時に何が起こるか分からないから嫌なだけだ」

 

「…明日明後日死ぬような病気じゃないよ、それに、弟弟子達が戦っているのをただ待っているだけなんて嫌だ。反対したって出る」

 

意地でも引かない覚悟で行くと、銀時が派手にため息をつき

 

「コイツ、一回言ったら聞かねえ奴だからな〜足引っ張ったら速攻で前線から退かせるからな!」

 

 

 

 

 

「ふぅ…つっかれた」

 

「久坂は先に風呂入れ」

 

「え?なんで?」

 

「野郎どもと一緒に入りてえのかよ」

 

「まぁ、銀時ぐらいなら良いよ、子供の頃からの付き合いじゃん。裸の付き合い」

 

「誤解を招きかねないこと言わないでくんない!?つうか、女心なさすぎねぇ?!」

 

そう言う銀時に『いやいや、野郎どもの中にいる今、女心とか必要ないでしょ』と返す。

 

戦場に出てから野郎どもの汗の臭さやら、長いこと戦場にいるストレス故に女を抱きたくなるという衝動に駆られるバカがいたのを思い出す。

 

別に襲われる前に男の大事なところを蹴り飛ばせば良いのだが

 

「いいからさっさと入れよ!」

 

「わっ!?」

 

風呂場に押された瞬間に滑りそうになると…

 

「っ!?」

 

銀時が済んでで庇ってくれる。

 

「お〜…ナイスキャッチ!じゃあ入ってくるね〜」

 

そう言って手をひらひらして去って行く姉弟子を見て銀時が『あの愚鈍姉貴が…』と呟くのに気づかず

 

 



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第6話『人が持てる存在なんてたかが知れてる』

成り主の過去と動乱篇があります。



真選組動乱篇は真選組と万事屋が出てくるだけで、鬼兵隊は万斉以外チラホラしか出ない回である。

 

それだけじゃつまらないので、参加するためにあの列車に乗る。

 

「最後尾の列車で良かった〜下手したら脱線して橋ごと落ちてたな〜」

 

刀を持って降りると、派手に戦っているのを見て、近くにあった使えそうな車(警察車両)に乗る。

 

「お借りしますよ〜」

 

思いっきりアクセルを全開にして走る。

 

「おー、やってらぁ」

 

車を止めて、戦っている彼らを見る。

 

「副総督?!なんでこんなところに!」

 

部下の一人が聞いてくる。

 

「いやぁ、観察?というか、一応今回のまとめ役みたいなもんだし」

 

煙管に火をつけようとすると、勢いよく燃える。

 

(…前髪焼けた…)

 

前髪を直していると…

 

「鬼兵隊副総督だ!!捕らえろ!!」

 

そう言って走ってくる真選組のモブの皆さま。

 

「いやいや、私に構ってる暇ないだろうに、あっちで君たちの上司が大変な目に遭っているというのに私に構うなんて、ご苦労様」

 

そう言ってまとめて斬ると、向かって来た人間達が一斉に静かになる。

 

「さてと、突き指した万斉を拾いに行きますかぁ」

 

車に乗り込み、発進する。

 

「ん?あぁ、最後の介錯は鬼の副長が取ったの」

 

「お前…」

 

「貴女は…」

 

銀時が気づいた流れで新八くんも気づく、どうやら真選組の面々は気づいていないようだった。

 

「お久〜銀時」

 

車に寄りかかりながら手を振る。

 

「おいおい、鬼兵隊副総督が現地で何やってんだ」

 

「え?部下の回収と経過観察、幸いにも部下は回収したから弟弟子に挨拶に来ようかなと」

 

「やめてくんない?ここ真選組居るんだけど、俺、今真っ白な一般人ですぅ、それと、オタクん所の部下に怪我を負わされたんですけど?慰謝料請求してやろうかぁ?」

 

「テロ組織に?」

 

「うるせぇ、こちとら万年金欠なんじゃい」

 

万斉に斬られたであろう肩を抑えながら言う銀時。

 

新八君は相変わらず警戒しているが、銀時はこっちがやる気がないのが伝わっているのか、全く警戒はしていなかった。

 

まぁ、手負いといえど、主人公補正ゴリゴリの奴に喧嘩なんて売られたくないし、今後の仕事もあるので車に乗り込もうとする。

 

「ま、元気そうで良かったわ」

 

そう言ってドアに手をかけると…

 

「…本気で幕府転覆するつもりなのか?お前ら」

 

シリアス空気で問いかけてくる銀時

 

「んー?私は別に政府がどうなろうと知らないし、知ったことじゃないけど、晋助がやりたいなら一緒にやろうかなって?まぁ、私はむやみやたらな殺戮は嫌いだから、効率よく政府関係者狙うつもりではあるけど」

 

「…それ以外の生き方をお前は知らないだけだろ」

 

マジなトーンで言われ茶化すように笑う。

 

「あらら、紳士〜銀時は優しいなぁ」

 

「茶化すなや!あぁ!!心配したこっちがバカじゃねぇか」

 

その言葉に微笑み、車に乗り込む

 

「ま、ありがとう。心配してくれて」

 

「………」

 

車を発進させると、銀時が頭をかきながら

 

「………やっぱり、アイツを戦場に出すんじゃなかったな…」

 

「銀さん?」

 

小さい声で言った所為か聞き取れず、新八が問い返す。

 

「なんでもねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真選組もある程度落ち着き、伊東鴨太郎を唆した存在が鬼兵隊である事を調べあげた。

 

山崎が河上万斉の手により、瀕死の重傷を負い、退院するのにかなりの時間を要してしまった。

 

「今回の黒幕は鬼兵隊一派で間違いないようですが、鬼兵隊副総督が一枚噛んでいたのは事実です」

 

「あの黒夜叉がか」

 

黒夜叉もとい久坂美和子は過激ではあるものの、滅多に表に出て来ない人物だ。

 

フラフラ歌舞伎町を歩いているときは大体何かを観察している時で、その後には決まって大きな事件がある。

 

「それと…今回の事件の裏で政府要人が死んだという話がありました」

 

真選組の注意を引き付けている間、鬼兵隊は別で動き、政府要人を殺したとのことだった。

 

「それと…田沼意々様が身辺警護の強化を求めて来てます」

 

「見廻組にでも任せればいいだろうが…なんでウチなんだよ…」

 

「……それが、見廻組は信用ならないから真選組にだそうです」

 

田沼意々は幕府老中にして官僚クラスの人間だ。

 

当然警備は見廻組が担当する予定だったのだが、突然、真選組に回って来たのだ。

 

「それで…その田沼意々様の事なのですが…」

 

田沼意々の子供が全員病気や不慮の事故で亡くなったのだ。

 

「久坂美和子が田沼意々の娘という噂がありまして…田沼様がそれを否定してるんですが…どうにも黒い噂しかなく…」

 

幕府老中と久坂美和子が繋がっていたらめんどくさい事他ならない。

 

「引き続き調査しろ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供がいなくなったから嫁入り道具として戻って来いなんて気持ちの悪い」

 

久坂は斬り殺した老中の遺体を投げる。

 

「ほんとすね、何百年前の話してるんだって話っすよね」

 

弾を込め直すまた子

 

絶縁したはずの親から届いた手紙の内容を思い出し嫌な顔をする。

 

数年前に母を道具のように使い潰して、吉原に売ろうとした人間のクズ。

 

「ま、あそこに戻れば幕府の情報も掴みやすいだろうけど、戻るぐらいなら腹かっさばいた方が良いわ、それに、あのクズとはその内会うだろうし」

 

「殺意高いっすね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幕府老中がこんな庶民に何の用っすか〜」

 

「銀さん!」

 

万事屋の一室、銀時の目の前に座った良い着物を着た男にそう問いかける。

 

「人探しをしてほしい」

 

「そんなの警察に任せたら?万事屋は何でも屋ではあるけど、流石に人探しなんてしたくねぇんだけど」

 

やる気のない銀時の前に大金を投げる。

 

「うぉ〜!大金アル!!」

 

「神楽ちゃん!あの、その人探しっていうのは…」

 

新八の言葉に男は懐から写真を出す。

 

それを見た銀時は「は?」と言う。

 

「コイツ、テロリストよ?何?捕まえたいの?田沼さんよ」

 

「ぎ、銀さん?」

 

前のめりになる銀時、その目は殺意のこもったようで新八はたじろぐ

 

「…いや、死ぬ前に一目会いたいんだ」

 

「一目会いたいって、コイツに会ったら速攻死ぬと思うけど?つうか、警察に相談した方が会いやすいと思うけど」

 

「秘密裏に会いたい」

 

「秘密裏にって…何?後ろめたい事でもあんの?」

 

「…」

 

田沼は事情について話し始める。




【新設定】

田沼意々(おきおき)
久坂の父親。
妾の子(妾と言っても勝手に連れて来た女性)である久坂の事を最初は邪険にし、差別していたものの、正室の子供達が全員早世したことから久坂を再び手元に戻そうとしている
吉田松陽を処刑することを勧めた一人。


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