「どうして、ヒロインがここに・・・」 ~乙女ゲーに転生した俺はゆっくり過ごしたい~ (マシュマロ0828)
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1話

間違えて、削除してしまったため、もう一度投稿いたします。


「いやっほー!!!」

 

俺は今、雑魚狩りを楽しんでいる。

 

 

ピロン、ピロンッ

 

頭上で俺のレベルアップを知らせる、効果音が鳴る。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

俺の今起きていることを、説明しよう。

 

ある日目覚めると、俺は妹がやっている乙女ゲームの世界にいた。

 

一体、どうしてこうなったのかは全く分からない。

 

ただ、世界の流れが、妹のやっていた乙女げーにそっくりだったのだ。

 

今現在、俺は、とある村人だ。

 

税金を都に収め、その帰り道だったのだが・・・

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ・・・」

 

俺は狩りを終えて、休憩している。

 

 

普通の村人は、狩りなんてすることはできない。

 

だが、俺は違う。

 

この世界の攻略の仕方を知っている。

 

どこにどんなものがあって、これからどういう展開になるかを。

 

 

おかげで、レベルアップ通知機能や、チート武器を所持している。

 

これから、俺はどうするのかって?

 

やろうと思えば、いろいろできるだろう。

 

 

だが、俺はのんびりまったり暮らしたい。

 

前世(?)はいろいろ忙しかったから、今は休みたい気分だ。

 

休みたいなら、どうして狩りをしているのかって?

 

いい質問だな。

 

 

この世界は、少なからず弱肉強食の部分がある。

 

来るべき時に備えて、自分の戦闘力を最低限上げる必要があるのだ。

 

まぁ、もっと細かいことは違うときに話そう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま」

 

狩りを終えた俺は、自宅に戻って来た。

 

 

「おかえりなさい」

 

母親が、俺を出迎えてくれた。

 

 

「帰りが遅いって、あなたのことを心配してたわ」

 

「アイツは心配性なんだよ」

 

母親は、とある人物が俺のことを心配してたと言った。

 

とある人物とはね・・・

 

 

「あっ!!帰ってきたのね!!」

 

玄関を開けっぱなしにしてたので、その女の子は、俺を見つけた。

 

 

「今帰って来たばかりなんだよ」

 

「本当に??」

 

「ああ」

 

疑ってくる彼女に、俺は言葉を返す。

 

 

そう、彼女は・・・

 

このゲームのヒロイン、エリーだ。

 

 

俺は、ヒロインの出身と同じ村で育っていたのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後

 

 

「では判定します・・・」

 

僧侶は、俺に水晶を触らせる。

 

 

 

(ついに・・・)

 

この日が始まることを、俺は待っていた。

 

 

やっと、ゲームの始まりの部分に来たのだ。

 

この世界では、一定の年齢に達すると、神様のお告げをもらう。

 

そのお告げの内容とは、ジョブ適正である。

 

人は生まれ持って、何かの才能を持っているかもしれない。

 

それをこのお告げによって、開花させることができるのだ。

 

 

このイベントはヒロインにとって、大変重要なイベントになる。

 

まぁ、ただのモブの俺は・・・

 

 

 

「適正は・・・」

 

周りの人たちは、息を飲む。

 

可能性は少ないが、皆期待する。

 

 

(俺はもう、結果を知っているんだけどね・・・)

 

既にこのゲームを攻略している俺は、だいだい分かる。

 

そんなことを知らない皆は、僧侶の顔を見る。

 

そして、彼は言う。

 

 

「適正は・・・無しです。残念ながら・・・」

 

「そうですか・・・」

 

僧侶にそう告げられて、俺の母親は、残念そうな顔をする。

 

 

何か適正があれば、都で稼ぐことが可能だ。

 

そうすれば、豊かな生活を手に入れることができる。

 

子供の幸せを願う母親にとって、息子に何か適正があって欲しかったのだろう。

 

 

「母さん、ごめんね」

 

悲しむ顔をする母に、なんとなく俺は謝る。

 

 

「いや、お前は何も悪くないさ。」ギュッ

 

母さんは俺を抱きしめてくれる。

 

 

(くそっ・・・)

 

母さんは俺に甘い。

 

 

(これではマザコンになってしまうではないか・・・

 

 いや、なりかけているような・・・)

 

俺はこれではマズイと思い、母さんから離れる。

 

 

「あっ!?」

 

「ほら、次はエリーの番だよ」

 

俺が離れて悲しそうな顔をする母さんに、説明する。

 

 

 

エリーは水晶の前に、足を運んでいた。

 

 



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2話

エリーは水晶を触る。

 

すると

 

 

「こっ、これは・・・」

 

僧侶は驚く。

 

 

「これは適職がある兆候・・・!!」

 

水晶が光り輝く姿を見て、彼は言う。

 

 

「「 おおっ!! 」」

 

それを聞き、周りの人は声をあげた。

 

 

「でました!!

 

 彼女の適職は、魔法使いです!!」

 

僧侶は高らかに宣言した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人々は村に戻り、お祭り騒ぎになった。

 

 

才能持ちが村から出るのは、4,5年に1度。

 

才能持ちが出るたびに、村は祭りをしていた。

 

 

ということで、才能持ちが出た今、祭りをしているのだが・・・

 

 

「・・・」

 

喜んで騒いでいる村民とは裏腹に、エリーは黙っている。

 

 

「まぁ、元気だせよ」

 

「うん・・・」

 

元気の無い彼女に俺は声をかける。

 

 

なぜ、彼女がこんな気持ちになっているかを、俺は知っている。

 

(ゲームで説明されているからな)

 

 

才能持ちは、都で働くことができるが、逆にいうと、働かなければならない。

 

権利もあるが、義務もあるということだ。

 

この村に戻ってくることは、なかなか難しいことになる。

 

 

(だけど・・・)

 

これから彼女は、都に行って、充実した生活がスタートする。

 

苦しいこともあるが、楽しいこともある。

 

寂しさなんて、あっという間に吹っ飛ぶだろう。

 

 

(ゲームの説明では、笑顔が絶えなかったらしいし)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後日

 

 

「それでは行ってきます」

 

「お前さんは、我々の光じゃ。

 行ってらっしゃい!!」

 

「「 行ってらっしゃい!! 」」

 

彼女は都へ出発する。

 

それを村民全員で、見届けた。

 

 

「・・・」チラッ

 

(エリーが俺のことを見た気がするけど、気のせいだよな・・・?)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

彼女が出発し、背中が見えなくなる。

 

「この村も寂しくなるわね・・・。

 

 あなたが一番そう感じるじゃない?」

 

「そうだね」

 

母親に話かけられた俺は返す。

 

 

正直、こういう展開になることは分かっていたので、あまり心のダメージは無かった。

 

まぁ、寂しいっちゃ、寂しいけど。

 

 

(って、それより・・・)

 

俺にはやらないことがある。

 

 

この後に起きるイベントは、ゲームの根幹を成すものである。

 

主人公エリーの成長には必須のものとなるが・・・

 

 

(しょうがねえよな)

 

俺は、このイベントを潰す。

 

 

なぜかって?

 

このイベントは、俺たちの村が滅亡することになるからだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後

 

俺は、とある洞窟に来ている。

 

びっくりするぐらい、ゲームと同じなので、すぐに分かった。

 

 

(今なら引き返せるけど・・・)

 

このイベントが起きれば、主人公エリーは更なる才能を覚醒させる。

 

 

物語の進行上、不可欠だ。

 

だが、村は滅亡する。もちろん、そこに住んでいる人は死ぬ。

 

心を鬼にして、イベントを見届けることも考えたけど

 

 

(そんなこと・・・)

 

村のみんなをを思い出す俺は、このイベントを潰すことを決心した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「誰だ・・・?」

 

洞窟の奥に進んだ俺は、とある人物に話しかけられる。

 

 

「名乗りはしない・・・。

 

 ただ、お前のやろうとしていることを止める者だ」

 

「っ!?」

 

俺が言っていることに、そいつは驚く。

 

まぁ、自分しかしらない場所に俺がいたら、そうなるよな。



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3話

「なぜ、お前が知っているか、分からない。

 

 ・・・が、知っているなら、消えてもらうだけだ」

 

俺の前にいるヤツは、魔法を詠唱しはじめた。

 

 

こんな距離が近かったら、普通魔法は使わない。

 

なぜなら、詠唱中に近接攻撃を受けやすいからだ。

 

コイツは俺のことを雑魚だと思っているのだろう。

 

 

まぁ、そう思うのもしょうがない。

 

無名の俺なんか、警戒するに値しないと思うのが普通だ。

 

 

「消えろ」

 

そう言うと、ヤツの手が光り輝く。

 

 

あれは攻撃魔法が発動する前兆だ。

 

食らうとマズいので、俺は唱える。

 

 

「魔法解除っ!!」

 

 

「っ!?」

 

ヤツの手の光は無くなった。

 

 

「なぜ、貴様がそんな高等魔法を・・・」

 

 

「まぁ、いろいろあってだな・・・。

 

 ともかく、今なら見逃してやる」

 

 

「・・・ふざけるなぁ!!!」ダンッ

 

自分に肉体強化魔法を掛けて、俺に飛びかかってくる。

 

 

「しょうがないな・・・」

 

「なっ・・・」

 

俺が無詠唱魔法を使うと、男は白目になり倒れた。

 

 

 

「さてと・・・」

 

倒れた男に魔法を使う。

 

使ったのは、記憶を改変をする魔法「マインド」だ。

 

 

今あったことを忘れさせる。

 

そして、これをやるかどうか迷ったが、することにした。

 

男のこれまでの記憶を消し、自分はただの日雇い労働者だと思い込ませた。

 

 

男はどうせ、これに飽き足らず、テロリズムに走るだけだ。

 

そう思い、俺は男から、これまでの記憶を奪い去る。

 

 

この男は本来、魔物を召喚して暴走させるはずだった。

 

それで近隣にあった俺の村は滅ぶのだが・・・

 

 

なんとか、それを防ぐことができた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれ、俺は何してたんだっけ・・・?」

 

男は、建設現場でそう言う。

 

 

俺はあの後、テレポートでこの男をここまで連れてきた。

 

 

「おい、何ボサッとしているんだ、手伝え!!」

 

「はっ、はい!!」

 

男は建設現場の指導係に、仕事をさせられる。

 

それをすんなり彼は受け入れた。

 

 

(まぁ、もし不都合がでてきたら、後々なんとかしよう)

 

俺はその光景を見て、この場から去る。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日

 

「よっと・・・」

 

俺はいつも通り、農作業をする。

 

 

(本来なら、この村は今頃、灰になっていたんだよな・・・)

 

そう思うと、なんだか胸がドキドキする。

 

 

主人公の覚醒イベントを潰しちゃったわけだし、これから物語は大きく変わる。

 

 

(せめて、主人公のエリーが、攻略対象と結ばれるまでは俺が手伝わないと・・・)

 

物語の流れを変えてしまった責任を取ろうと俺はしていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あっ!!」

 

「おぉ!!」

 

納税のため、俺は都に来ていた。

 

そこでバッタり、主人公エリーと俺は出会う。

 

 

「調子はどうだ?」

 

「うん・・・」

 

 

(あれっ・・・

 

 あんまり彼女の返事が良くないな。

 

 確か王子とひょんなことがあって、出会うはずなのに・・・)

 

 

「なんか楽しいこととかあったんじゃないの?」

 

俺はそれとなく彼女に聞いてみる。

 

 

「全然そんなことない!!

 

 私は村を離れて、とても寂しいわ・・・」

 

彼女がシュンとする。

 

 

「そっ、そうか・・・。

 

 じゃあ、なんか旨いものでも食うか!!」

 

俺は彼女を慰めようと、飯を食いに行くことを提案する。

 

 

「食べに行くっていっても、そんなお金あるの・・・?」

 

「あっ・・・」

 

ゲームの知識を生かして、俺は金を持っているんだが、普通の村人はそんなお金を持っていない。

 

ここで、彼女にご馳走するのは、不自然だよな・・・。

 

そう思った俺は

 

 

「わりぃ、言ってみただけ」

 

「そうだよね。

 

 ごめん、私がしんみりした雰囲気を出しちゃったせいで」

 

 

俺達は代わりに、この辺を一緒にブラブラすることにした。



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4話

「ねえ、私が離れてから村はどうなってるの?」

 

「どうなるといってもねえ・・・。

 

 相変わらずだけど」

 

「えっ!?」

 

「ん?」

 

「私がいなくなって、みんなが寂しくしてるとかないの?」

 

「ああ、そういうこと。確かにみんな寂しがっていたよ。

 

 つい、最近、みんなもお前がいなくなったことに慣れてきた」

 

「まるで、あなたは寂しくなかったように言うんだね」

 

「いや、寂しかったぞ。でもまぁ、いつかこういう日が来てもおかしくないと思っていたから」

 

(心の準備をしてたから、全然寂しくなかったなんて言ったら、ぶっとばされるよな・・・)

 

 

「怪しい~。本当は一ミリも寂しいと思ってなかったんじゃないの?」

 

エリーはジーっと俺のことを見てくる。

 

 

(妙にするどいな・・・)

 

「いやいや、寂しかったって」

 

 

「もういいもん!」

 

エリーはプンプンして、前の方へ進んでいった。

 

 

「あっ、ちょっと!!」

 

急いで彼女の後を俺は追った。

 

 

 

その日はその後、他愛もない話をした後、すぐに分かれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして幾ばくかの日が過ぎ・・・

 

 

「ふぅ~・・・」

 

俺は再び、都へ納税にしにやって来た。

 

この日、俺はギルド立ち寄った。

 

なぜこんなところに来るかって?

 

それは主人公エリーがどこまで、物語を進めているか確認するためだ。

 

 

この頃になると、彼女はメキメキと能力を伸ばし、ギルドのクエストをすいすい進めていく。

 

そのため複数のクエスト受注し、クエスト完了報告ができる時間ギリギリにギルドにやってきて報告する。

 

 

(そろそろ、ギルドにクエスト完了報告ができる時間の終わりなのだが・・・)

 

俺は彼女が現れるのを待ち構えていると

 

 

ガララン

 

ドアが開き備え付きの鈴が鳴る。

 

 

(おっ、エリーじゃん!!・・・!?)

 

そこには主人公エリーがいたのだが、思っていた表情とは違う。

 

目線を下にして、冴えない表情をしていた。

 

 

彼女はそのままギルドのクエスト完了報告受付に向かう。

 

 

「すいません、今日も駄目でした・・・」

 

「初心者はそんなものですよ。また次頑張ってください!!」

 

「ありがとうございます、では・・・」

 

 

彼女はそう言うと、とぼとぼギルドから出て行った。

 

 

「・・・」

 

それを見ていた俺は思考停止していた。

 

(クエスト複数完了どころか、1つも達成できていないだと・・・!?)

 

 

考えるのは後にして、今にもうつ病になりそうな、彼女の後を追っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おーい、エリー!!」

 

「んっ・・・」

 

自分の名前を呼ばれ、エリーは振り返る。

 

 

「あーよかった、追いついた!!」

 

「っ!? あなた、何でここに・・・」

 

「いや、ギルドにいたらお前に会えるんじゃないかと思ってな」

 

「・・・うわーん!!」

 

「えっ!?」

 

急にエリーは泣きだして、俺に抱き着いてきた。



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5話

「あっ!!」

 

周りに見られて恥ずかしかった俺はエリーを離す。

 

それに対して彼女は頬を膨らませる。

 

「こっちこいや」

 

彼女の手を引っ張って、急いで人気のないところに連れて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょっと女の子が泣いて抱き着いたのに、すぐ離すなんてひどくない?」

 

「いや、あんなところでやられると恥ずかしいし・・・」

 

「はぁ・・・」

 

エリーは涙目に怒っていたが、少し落ち着いてきた。

 

 

「まったく、あなたったら全然変わらないよね。

 

 私はクエストがうまくいかなくて落ち込んでいるのに」

 

「そうなのか・・・」

 

「そうよ。村のみんなに期待されてるのに、結果をだせなくて悔しいわ」

 

 

彼女がうまく能力を引き出せないのは、たぶん俺が覚醒イベントを阻止したことに関係あるだろう。

 

もし違ったとしても、彼女が結果的にハッピーエンドを迎えればいいことだ。

 

 

(そこでだ・・・)

 

 

俺はバックからリングを出し、彼女に渡した。

 

 

「これは・・・?」

 

「魔法を強化するアイテムだ。

 

 装着すれば、エリーの魔法をうまく引き出してくれるはず」

 

 

彼女がモンスターを倒せれば、レベルアップしていって、基礎能力が上がる。

 

そうすれば、クエストをクリアでき、元の物語の流れに近づけるはずだ。

 

 

「ありがとう!!

 

 ・・・でも、これどうやって手に入れたの?」

 

 

(うっ・・・)

 

 

魔法強化アイテムは高価なものであり、普通の村人は持っていない。

 

そんなものを俺から渡されたら、彼女が疑問をもつことは当然だ。

 

 

(そんなめんどくさい設定のこと、忘れてたぜ)

 

 

「これ、レプリカでしょ?

 

 私のことを少しでも応援してくれようとする気持ちは受け取っておくわね・・・///」

 

 

彼女はうっとりした表情で、そのリングを指輪にはめた。

 

 

「いや、それはレプリカじゃなくてだな・・・」

 

「もう、そう強情を張っちゃって。

 

 わかってるから、大丈夫よ」

 

 

なんだかんだ、泣いていた彼女はニコニコしはじめる。

 

 

(まぁ、俺としてはつけてもらえれば、なんでもいいか)

 

その後、他愛のない話をして彼女と別れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして時はまた流れ・・・

 

俺はとあるダンジョンに来ていた。

 

やはり主人公エリーをハッピーエンドにするためには、俺のステータスを万全にしておきたい。

 

そのためには強いモンスターを倒して、レベルアップしておく必要がある。

 

今日はそのためにここに来たのだ。

 

 

(ここだな・・・)

 

俺はダンジョンの入口から少し離れた場所で、とある魔法を詠唱をする。

 

すると

 

 

 

ゴゴゴッ・・・

 

 

何もない壁から扉が出現する。

 

 

「さぁ、隠しダンジョンを攻略していきますか」

 

俺は扉を開いて、足を踏み入れた。

 



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6話

(あれは・・・)

 

狩りを終えた俺はダンジョンから出る。

 

 

「おわった~」

 

偶然、腕を伸ばしている、主人公エリーの姿を見かける。

 

どうやら、彼女もダンジョンに来ていたようだ。

 

このダンジョンは中級者には程よい難易度であり、今の彼女には合っているのだろう。

 

 

(まぁ、俺が行っていた隠しダンジョンは辛いだろうけど・・・。

 

 それはおいとくとして・・・)

 

 

以前に比べて、彼女は成長したってことになる。

 

そうじゃないと、このダンジョンはクリアできない。

 

 

(おまけにだ・・・)

 

俺は彼女の近くに好青年がいるのを見かける。

 

 

「いや~、君の魔法は素晴らしかったよ」

 

そう言っている彼のことを俺は知っている。

 

攻略対象のエドワード王子だ。

 

 

 

王家の者だが身分を隠し、今は修行しているという設定だ。

 

そんな彼は自分と同じようなクエストを受注している主人公とエリーと何度かあっているうちに、

 

一緒にクエストをこなすようになる。

 

そして親密度が高まっていき、やがて二人は結ばれハッピーエンドとなるのだ。

 

 

 

(ゲーム通り、主人公エリーは王子様と仲良くなっているようだ。

 

 無事、ハッピーエンドに向かってるな)

 

レベルアップもでき、さらに彼女達がうまくいってる様子も見ることができた。

 

俺は大満足して、その場を後にする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後

 

「やっほー!!」

 

主人公エリーは村に帰って来ていたようだ。

 

なんと、俺の目の前にいる。

 

 

「何でここにいるんだ・・・?」

 

「ちょっと、『お帰りなさい』とかいいなさいよ!!

 

 久しぶりに会って言うことがそれ!?」

 

怒っている彼女には申し訳ないが、俺は驚くしかなかった。

 

 

王子と仲良くなっていくエリーは、彼と交流を増やす。

 

こんな時期に村に帰ってくるということはゲームでは無かったのだが・・・。

 

 

「今日は村に何か用事でもあったのか?」

 

「里帰りにするのに、特別な理由いらないでしょ。

 

 まさか、アンタのために帰ってきたとでも思ってるの・・・?///」

 

なぜか彼女は顔を赤くして聞いてくる。

 

 

「そんなこと微塵も思ってないけど」

 

 

ゲシッ

 

なぜか俺は彼女に軽く小突かれた。

 

 

「なにするんだよ」

 

「今日はあなたにお礼することが帰って来た理由の1つなのよ。

 

 この前、私にリングをくれたでしょう?

 

 その日以降、魔法をうまく使えるようになったの!!」

 

 

「そりゃ、あのリングは魔法強化するやつ」

 

「いや~、まさか気の持ちようだけであれほど変わるとは思わなかったわ」

 

俺の話を遮って、エリーは話す。

 

 

「心をこんなに動かすことができるんだね、レプリカでも・・・///」

 

彼女はリングを見ながら、話す。

 

「いや、それは」

 

「はい!!」

 

再び、彼女は俺の話を遮って、手を俺に向けて伸ばす。

 

手のひらにはリングがあった。

 

 

「これは・・・」

 

「はい、これは本物のリングだよ」

 

「おま、なんでこんな高価なものを・・・

 

 というか、これを何で今出した?」

 

「まぁ、受け取りなさいよ」

 

「いや、俺じゃなくてお前がつけろよ」

 

「いいから!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ・・・」

 

拒否したが、彼女に何度も押し付けられたので受け取った。

 

 

「これ魔法の効果アップするやつだろ。

 

 お前が持っている方が絶対にいいような・・・」

 

「いいの、私は今ので十分に効果があるから・・・///」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

村人に呼ばれた彼女は、俺にリングを渡すと向こうへ行った。

 

「これでおそろいだからね!!///」と言い残す。

 

 

やれやれ、まったく意味がわからないぜ。



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7話

「大変だあああああ」

 

とある村人が、村に駆け込んでくる。

 

「どうしたんだ、そんな慌てて」

 

叫んだ彼に対して、その場にいた村人が言葉をかけた。

 

 

「モンスターがダンジョンから溢れてきたんだ!!

 

 ここに向かっているぞ!!」

 

 

(ついに来たか・・・)

 

俺は村人たちの会話を聞いていた。

 

 

溢れたモンスターの軍団は都に向かって突き進む。

 

本来ならこの村は消滅していたので、この地域を素通りする。

 

だが、俺が村を守ったので、そうはならない。

 

 

村がパニックになり始めているなか、ひっそりと俺は村の外にでた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ドドドッ

 

大勢のモンスターが移動し、地面が鳴る。

 

 

(すごい数だな・・・)

 

数の多さに俺は驚く。村から出て、偵察にきていたのだ。

 

 

本来、都にせまったこの軍団を、近くにいた主人公エリーと王子が倒す。

 

そして、さらに親密度を増していくのだが・・・

 

 

(アイツらのことなんか待ってられないよな・・・)

 

このままだと、村が教わられる。

 

 

(またお前の邪魔をしちまって悪いな、エリー・・・)

 

俺が戦闘の用意をしようとすると

 

 

 

「見て、アイツらだよ!!」

 

なんとエリーがそこにはいた。

 

 

「ああ、我々がここで食い止めようではないか!!」

 

そして、傍らには王子がいた。

 

 

(何でコイツらがいるんだ!?)

 

急に現れたエリー達に俺は驚く。

 

 

なぜ彼女達がここにいるか分からない。

 

が、彼女達がこの軍団を押しのけててくれればいいわけである。

 

俺は考えるのをやめた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

ゼェゼェ・・・

 

「量が多すぎるわ・・・」

 

「あぁ・・・」

 

彼女達は苦戦していた。

 

倒せたはいたが、あまりにもモンスターの量が多い。

 

 

(本来なら、こいつらを倒す高等魔法を使えるはずなんだが・・・)

 

遠くから彼女達を俺は見ていた。

 

 

「ぐっ・・・」

 

王子が張っていた、魔法障壁が消えかかる。

 

彼の魔力が切れかかっている証拠だ。

 

 

「きゃっ!!」

 

魔法障壁が消えかけ、モンスター達の攻撃の一部が主人公エリー達に襲い掛かる。

 

 

「大丈夫か、エリー!!」

 

「ええ・・・」

 

なんとか攻撃をよけることができたエリー。

 

だが、次はどうなるかわからない。

 

 

 

ガシャンっ!!

 

ついに魔法障壁が割れた。

 

王子の魔力が尽きた証拠である。

 

 

「ガァァ・・・」

 

モンスターは攻撃態勢に入る。

 

 

「うっ・・・」

 

王子はどうすることもできない。

 

 

「どうればいいの・・・」

 

エリーは魔法障壁が無くなったため、詠唱する時間がない。

 

そのため彼女は攻撃魔法を打つことができなかった。

 

 

 

「ガァアアアアアア!!!!!」

 

モンスターは口からビームを吐く。

 

 

「うわああああああああ」

 

「きゃああああああああ」

 

ビームが自分たちに向かってきて、二人は絶叫した。



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