音を奏でる喪失者 (あっとマーク)
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出会い

おはこんばんにちは、作者のあっとマークです。今回が初作品ということで。駄文になってしまっているかもしれませんが、暖かい目で見ていただけると幸いです。



?視点

早く、逃げなきゃ...。あそこから、アイツらから...!

?「!?」

慌てすぎた私は、木の枝に気づかず転んでしまう。

?「いった......何してんだろう、私」

空は真っ黒な雲でおおわれており、まるで私の今の気持ちを表しているようだった。今はもう、夜だろうか。雨にうたれながら、また走り出す。

?「助けて、誰か............」

自分がどこに向かっているかは分からない。ただ本能のまま、足を動かす。つらい、苦しい。もう自分が誰だったか、何のために走って、何から逃げているのか、分からなくなってきた。それでも。逃げなきゃいけない、本能がそう告げているから。私は足を動かし続ける。周りの人が不思議そうに私を見る。そんな目も気にせず、私はただただ走る。

?「助けて......助けて......奏...」

意識が朦朧とする中、誰かも分からない名前を呟いた。奏......?聞いたことがあるような、ないような。誰だろうか、私はまた......?そんなことを考えているうちに、足を止める。

?「...ここだ...つい、た...」

どこか分からない場所で納得した私は、そのまま流れるようにインターホンを押す。その直後、段々と意識が薄れていった────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(視点が変わります)

──時は少し遡る。

時刻は25時になり、あるサークルが活動を開始していた。

奏「お疲れ様、みんな」

絵名「K!おつかれ!」

瑞希「あ、K!やっほー!」

奏「うん。あ、そうだ。曲のデモ、出来たからみんなに聞いて欲しい」

絵名「ほんと?今すぐ聞く!」

まふゆ「...わかった」

奏「ちょっと待って、今ファイル送るね」

 

\ピンポーン/

絵名「え?インターホン?」

瑞希「こんな時間に誰だろ、ボクは違うよ」

まふゆ「...私でも、ないみたい」

奏「あれ、私だ...。ちょっと見てくる。ミュートにするね」

瑞希「はーい」

絵名「こんな時間にインターホンって、なんだか不気味...」

奏はその絵名の言葉に身を震わせながらも、玄関へとたどり着く。そして意を決してドアを開けた。

奏「...あれ?誰も、いない?」

急いで辺りを見渡す奏。下を見た時、誰かがドアに体重を預けるように倒れていた。

?「...」

奏「?!!...だ、誰...?」

?「...」

反応はない。誰だか分からない、意識のない相手に奏が困惑していたその時──。

?「...ん」

その正体不明の相手が、意識を取り戻した。そこで初めて奏は、相手の顔を見る。と同時に驚いた。なぜならその相手は────────

 

奏「もしかして...音?!」

?「...え?」

 

 

 

 

 

─────2年前に姿をくらました、実の妹だったのだから。

 




視点中途半端に分けてすみません...。
?の名前は最後までわからず...。奏が名前を出していたような...果たして本当に彼女の名前なのでしょうか。
今回は短いですが、ここで。


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教えてあげない

おはこんばんにちは、あっとマークです。少しオリ主のことが分かるかもしれません。あと、奏ちゃんがキャラ崩壊気味かもしれません


?視点

 

奏「音!!今までどこ行ってたの...??!」

?「......えーと...?」

見覚えのあるようなないような人が、私に向かってとんでもない勢いで迫っている。正直、怖い。えーと、どうしてこうなったんだっけ─────

 

 

 

 

 

 

 

──────.....あれ?私は、誰、だ......?

 

奏「私の事、覚えてる......?ねえねだよ...?」

ねえね......姉ねってこと、だろうか...。多分、きっと、この人は私の姉さん......なのだろう。

?「えっと......落ち着いて、姉さん」

姉さんと呼ぶと、目の前の人は固まったように動かなくなる。あれ?私、何か間違えちゃったかな...。

奏「ねえ、さん...。ど、どうしたの?昔はねえねとか、奏とか言ってくれたのに...!や、やっぱりあのときのこと、怒ってるの......!?」

そう言うと目の前の人はまた私の肩を揺らす。え、そんなこと...っていうのは失礼か。この人はなんて言ってた...?かなえ...?かなで...?よく、聞こえなかった...。...かな、がついていることは間違いないのかな。

?「えっと、落ち着いて、かな姉...」

奏「かな、姉...」

?「えーっと、今はねえねって呼ぶの、ちょっとだけ恥ずかしいから......ね?」

奏「わ、わかった。取り乱してごめん」

少し納得いってなかったようだけど、かな姉はそれ以上呼び方について要求はしてこなかった。...あれ?

?「かな姉...?泣いてる、の?」

奏「...ごめん。なんでか、涙が...」

...えっと。何かしちゃったかな。それにしてもこの人、1人...なのかな。お父さんとかお母さんとか、いないのかな......って。

?「かな姉...?」

かな姉が私のことを抱きしめてくる。

奏「ごめん...ちょっと、このままいさせて」

...この人(実の姉)のことを、今の私は、まだよく知らない。...でも。

?(なんだか、安心するな......)

少しだけ、居心地がいいような、安心するような。そんな感覚になって、多分この人は、私の姉さんなんだって思えた。少し周りを見渡すと、仏壇のような物があった。この人...かな姉と激似、まではいかないが、眼の色や髪の色が似ている。多分、あれがお母さんなのかな...?...ということは、この人の...いや、私達のお母さんはもう......。

奏「...ねえ。明日...というか、今日かな。お父さんのお見舞いに行くんだけど...一緒に、行かない?」

お父さんの、お見舞い......?ということは、私達のお父さんは、病気か何かで入院してるのかな。

?「...うん。お見舞い、行けてなかったから...。久しぶりに行きたい、かな」

私はそれっぽいことを言う。きっと、この人は今まで1人だったんだ。...なら。唯一会える家族の私が、記憶をなくしていると知ったら。もっと悲しむことは目に見えている。...なんせ、泣くほど私との再会を喜んでくれた人なのだから、余程家族想いなのだろう。だから多分、この人には悟られてはいけない─────

奏「...?どうしたの?どこか、調子悪い?」

?「......ううん。なんでもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───絶対に、教えてあげないよ。




次回はお見舞いに行きます。まだオリ主の名前は明かされませんでしたね。本当に奏が言っていた名前なのでしょうか。...自分の記憶も、家族の記憶もないみたいですね(重要)


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名前

おはこんばんにちは、あっとマークです。
前回、父親のお見舞いに行くと言ったのですが...ここではまだ父親と会いません。その代わり、オリ主ちゃんの容姿が簡単にではありますが説明されてますので...。それでは、どうぞ。



 

?視点

 

かな姉はまだ作業があるから、って言って部屋に戻って行った。どうやらあの四角い機械とにらめっこしてるらしい。誰かと話しているような声も聞こえる。私はというと、何故か疲れていてすごく眠かったので、かな姉がだいぶ使っていないというベッドを貸してもらった。色々紙とか散らばってたけど、お片付け苦手なのかな...。

奏「それじゃあ、おやすみ」

?「...かな姉は、寝ないの?」

奏「んー...この作業が終わったら、仮眠するよ」

かな姉はそう言うが、それからかな姉のことを観察していると、うんうん唸ってる様子。どうやら何か悩んでいるみたいだ。

?「......かな姉は、何してるの?」

奏「え?ああ、次の曲のデモを考えてて」

デモ......?なんだか難しそうな言葉に私の頭は?で埋まった。...曲を作ってる、ってことでいいのかな。

?「...そう、なんだ。私はもう寝るね、かな姉」

奏「うん、おやすみ」

お布団をかけたと同時に目を瞑る。そこからかな姉がまた喋っていたが、私の意識はすぐに落ちてしまった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──翌日。

 

?「ん...?」

目が覚めて身体を起こすと、そこには寝る前と同じ体勢で四角い機械とにらめっこしてるかな姉がいた。

奏「あ、おはよう。今は...7時、だね。朝ごはん食べようか」

?「...ん」

あまり気分が上がらない。というより、言葉を発するのすらめんどくさい...。朝というのは、こんなに辛いものなのか。なるほど。

奏「あ...ふふ。そっか。朝、弱いもんね」

?「んー...」

私のような人のことを“朝弱い人”と言うらしい。ふむ、朝は私より強いのか。

奏「えっと...望月さんが作り置きしてくれたやつしかないけど...」

もちづきさん。初めて聞く人だ。多分かな姉の言い回しからして、料理とかの家の事をしてくれる人なのだろう。

?「うん...それがいいな」

奏「そっか。ならレンジで少し温めるね」

これまた四角い機械にお皿を入れるかな姉。多分あの四角い機械がレンジ...なのだろう。

?(...ほんとに何も、わかんないな...)

少しは覚えているものもあるが、大抵は分からない。...こんなんで、生活は大丈夫だろうか。そんなことを考えているうちにピーっという音がなる。どうやら温め終わったらしい。

 

奏「はい。望月さんが作ってくれたから、味は美味しいと思うよ。...いただきます」

?「......いただきます」

かな姉が箸なるものを取ってきてくれたので、見よう見まねで食べてみる。...ちょっと難しいな。

奏「そうだ、これ食べ終わって少ししたらお父さんのお見舞いに行くよ」

?「...わかった」

それ以上は話すことも無く...ただ黙々と何かわからない食べ物を食べるのだった。

 

 

奏「ごちそうさまでした」

?「...ごちそうさまでした」

ほぼ同じタイミングで食べ終わった。まあかな姉の見よう見まねで食べてたんだから当たり前か。

奏「あ、じゃあお皿洗ってきちゃうね。ちょっと貸して」

?「あ、うん」

朝ごはんを食べたら少しぼやっとしなくなってきた。朝ごはん、すごい。

奏「ふぅ...。じゃあ今から行くけど...昨日と同じその服で、大丈夫?」

かな姉も昨日と同じ服なのに...。そう思いながら、首を縦に振る。

奏「そっか。じゃあ行こう」

病院への道のりは当然分からないので、かな姉の後をついていく。私の過去のこととか、色々聞かれるかと思ったけど...。かな姉は黙って私の事を導いてくれた。正直、助かった。今の私に、過去を聞かれても何も答えられないから。そんなこんなで、私達は白くて大きな建物についた。多分、ここがお見舞いの場所。

奏「ついたよ。病院に入る前に、手を消毒しようか」

......病院というらしい。白い容器に入った液体を手にかける。...少しスースーするなぁ。

奏「それじゃあ、受付で名簿に名前書こうか」

...名前。どうやらかな姉に聞いたところ、ここの病院では名簿に自分の名前を書き、受付の人に名前を言って案内してもらうらしい。......これは、すごくマズイ。何がマズイかって、私は自分の名前を知らない。苗字も、何もかもだ。......どうする、私...。

?「あー...えっと...わ、私、お手洗いに行きたいな。かな姉、私の分も書いといてくれる?」

奏「...?わかった......あ、お手洗いの場所、わかる?」

?「...あっち?」

私は左を指す。が、かな姉の呆れたような笑ったような表情を見る限り違うらしい。

奏「...反対、だね。ふふ、昔から方向音痴だよね...」

?「う、うるさい...とにかく、行ってくる!」

かな姉の言われた方向に行くと、女性用トイレを示す絵があった。とりあえず、中に入ろう。...鏡、いっぱいある。そこの鏡で私は、この状態で初めて(記憶を失ってから初めて)自分の姿を見る。基本的にはかな姉のような白い髪だけど、灰色のような髪が所々にある。...これは、なんだろう。髪型はかな姉と違って短い。眼はかな姉や、あの時見たお母さんと同じような青い眼だ。

?「...っと、かな姉のところに行かなきゃな」

...あ、そうだ。私の名前、分からないなら...。

?「あの...すみません」

と、私は受付の人に問う。

?「私の姉が名前を名簿に書いてくれたと思うんですけど...念の為、見せて貰ってもいいですか?」

受付の人は不思議そうにしながらも見せてくれる。

えっと...1番下のはず、だから...。あった。そこには同じ苗字が連なっている。

 

 

 

 

 

宵崎 奏(よいさき かなで)』 『宵崎 音(よいさき おと)

 

 

...ああ、なるほど。そうだったんだ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音「私の名前、音っていうんだね。奏、姉さん......」

 

 

 




はい、おしまいです。オリ主ちゃんの名前と容姿が明かされましたね。?だった部分が解明されたようです。よかったですね。音ちゃんの容姿は目次の【挿絵表示】の所で見れるはずです、多分。
音ちゃんのプロフィールはまた今度のお話で。


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再開

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回は一部ニーゴキャラと会います。衝撃の事実、明かされます。


音視点

 

...かな姉と一度呼んでしまったものは仕方がない。今更別の呼び方をするのも変だし...。

 

奏「...音?」

音「あれ、かな姉。どうしたの?」

奏「少し遅かったから、迷ってるのかと...」

 

...確かに私は方向音痴、らしいけど。そんな心配されるほどじゃ......ないよね?

 

奏「お父さんは501号室にいるから、行こうか」

音「分かった」

 

そうしてかな姉先導のもと、501号室に着いた。かな姉が失礼します、と言い扉を開けると、年上であろうおば......お姉さんがいた。どうやら看護師さん、と言うらしい。かな姉の後ろにいる私の存在に気づくと、看護師さんは興味津々に私のことを聞いてきた。

 

奏「あ、この子は私の妹で...」

音「...宵崎、音...です」

 

自分の名前を、自分で名乗ったのは記憶を失ってから初めてかもしれない。なんだか誇らしい気分だった。

 

奏「お父さん、おはよう」

音「......おはよう」

 

私達のお父さんは、髪が灰色のような色だった。私の所々にある灰色の髪と似てるな、と思いつつその部分を触る。

 

奏「あ、そっか...。元々音は、お父さん譲りの髪色、だったもんね」

 

...どうやら私の髪は元々、灰色だったらしい。...じゃあなんで、今は白髪の方が多いのだろう。そもそもなんで白髪に────

 

 

 

 

 

 

奏「......お父さん」

 

 

 

 

 

 

───あ。...そうか、この人は、一人だったんだ。私が来るまで、ずっと。頼れる人も、倒れちゃって。...ごめんね、奏さん(ねえね)こんな、私になって(何も、覚えてなくて)......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「あ、これ、着替えです。...音、どうする?まだいたい?」

音「...ううん。もう、いい」

奏「...そっか。なら帰ろう」

 

少なくとも私の過去の姿やお父さんの姿がわかっただけでも私にとっては大収穫だ。...それに、かな姉のつらそうな姿はあまり見たくない。看護師さんからはもう少しいるように勧められたけど、私は帰る気満々だったし、かな姉は私に合わせるようで、結局帰ることになった。帰る途中、少し人が多い道を通る。字は読めないが、多分お店が沢山並んでる。...それにしても。

 

音「人が多くて耳が痛い...」

奏「ここは商店街だからね...」

音「...仕方ない、かあ」

奏「そう、だね......あれ?...まふゆと、瑞希?」

 

どうやらかな姉が人混みの中に誰かを見つけたらしい。誰だろうか、私はかな姉より身長が低いからあんまり見えない。......というか、まふゆって。聞き覚えが、あるような。

 

まふゆ「......奏?」

瑞希「あー!奏だ!!まさか奏にも会うとはね〜♪」

奏「おはよう、まふゆ、瑞希。2人は何してたの?」

瑞希「ボクはこれから服を買いに行く予定なんだけど、行く途中でまふゆに会ったんだ〜」

まふゆ「...私も、買うものは違うけど、同じ感じかな」

 

...かな姉が、出会った人達と話し始めてしまった。私はと言うと口を挟むことも出来ないのでずっとかな姉に隠れるように、かな姉のジャージの袖を掴む。...というか、やっぱり。見覚えがある。覚えてる。あれは確かに...。

 

瑞希「あれ?奏、その子だーれ?」

音(み、見つかった...)

奏「あ、この子は私の妹で...」

まふゆ「......音?」

奏「うん。......って、え?なんで知って...」

 

かな姉が最後まで言い終わる前に、まふゆが私めがけて突進して......。私の視界が見えなくなる代わりに、まふゆの肌の柔らかい感触と、体温のあたたかさが伝わってきた。

 

音「わっ...」

まふゆ「音...どこ、行ってたの......!」

音「ま、まふゆ、落ち着いて......せな、せなか...ちから、つよい......」

瑞希「わわっ、まふゆ、音ちゃんの背中壊れちゃうよ〜!?」

 

...それからみずきって人がまふゆを頑張って私から剥がしてくれた。...背中、壊れるかと思った。

 

奏「まふゆ、音と知り合いなの?」

まふゆ「...うん、小学校から一緒だった」

瑞希「へー!あれ?でもそれだと、奏のこと知らないの、おかしくない?」

奏「あぁ...私と音は、昔瓜二つだったから、間違われることが多くて......お父さんが私たちに気を利かせて、違う小学校に行かせたんだ」

 

...なんで、まふゆのことは覚えてるんだろう。かな姉や、私のことは分からないのに。

 

音「......」

奏「...音?大丈夫?」

音「...あ、ごめん。考え事、してて」

瑞希「奏に妹がいるなんてねー。絵名が知ったら驚くと思うよ、面白そ〜!ボクは暁山瑞希だよ!よろしくね、音!」

音「あ、うん。宵崎音。よろしく、瑞希」

まふゆ「...私も、自己紹介した方がいいの?」

音「...いや、まふゆはわかるから大丈夫」

 

...今はまふゆだけ知ってる理由とか、何も分からないけど。これから知っていけば、いいのかな。

 

瑞希「じゃあ〜......ボクたちと一緒に服選びに行こうよ、音!」

音「......え?」

 

 





どうも、ご都合主義作者ことあっとマークです。
音ちゃんはニーゴと深く関わらせたいので...(言い訳)

あと幼馴染と言えば...?な子達とも幼馴染の予定です。まあそれは、次回以降をお楽しみに。


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秘密

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回は瑞希ちゃん大活躍ということで。一部、音が記憶をなくした理由が分かるかもしれません。





音視点

 

瑞希「ほら、音に奏!それとまふゆも!!はやくはやく〜!」

...何故こうなったのか。私、いや私達は今瑞希に連れられ服屋さんに来ている。かな姉やまふゆなら否定してくれると思ったのに...。

 

奏『確かに、音は今この服しかないし...どっちみち買いに行ってたと思うから行かせたいかな』

まふゆ『...どっちでもいい、と思う...』

 

...なんて。私のことを考えてくれてるんだかくれてないんだか、ありがたいようなありがたくないような。...何となく気分が乗らないから、多分私は服とかそういうのに興味が無いのだろう。嫌な予感さえする始末だ。

 

音「...はぁ」

奏「音、嫌だった...?」

音「嫌、というか...なんか、あんまり気分、乗らなくて」

まふゆ「......それを嫌って言うんじゃないの?」

音「そうなのかな...じゃあ、嫌なのかも」

奏「うーん...でも、いずれ行かなきゃいけなかったから...。その服だけしか、今は持ってないし...」

 

...仕方ない、かぁ。...まあ、瑞希は楽しそうだし、よしとしよう。

 

瑞希「そうだな〜...音は素材がいいから何着せても似合うと思うんだよね〜」

奏「私はファッションとかよく分からないけど...音はいつもパーカーを着てた」

瑞希「それって奏で言うジャージみたいな感じ?ダメじゃん、もっとオシャレしないと!!」

 

...ダメと言われても。昔の私が着てたなら昔の私はぱーかー、とやらが好きだったのだろう。...今着てるのもパーカーなのだろうか。

 

瑞希「うーん...じゃあとりあえず、カワイイ系、大人系、シック系とかボクが選んじゃうから、音は着てってね!あ、奏のも用意するから!」

奏「えっ...?」

音「...程々にでいいよ、瑞希」

まふゆ「...私、いる意味ある?」

瑞希「まふゆにも意見もらいたいからね〜、よく分からないはなしだよー?」

まふゆ「...出来るか分からないけど、頑張るね」

 

というわけで、私とかな姉は瑞希の着せ替え人形となった。瑞希がこれ着て、と言った服を持ち、試着室というところに行く。どうやらここで一旦着てから買うお客さんがほとんどらしい。私は無意識に今着ている服を脱ぐ。...あ。

 

音(シャツまで脱ぐ必要、なかった...)

 

そう思い、私は胸付近まで上げたシャツを戻そうとする。その瞬間、鏡にうつる自分の姿を見た───見てしまった。

 

音(?!...なに、これ......)

 

身体には多数の痣、ぶたれたような痕から引っ掻かれたような痕、色々な傷がある。...なんで。なんでこんな痕が......いや、なんでこんな痕があるのに...何も、感じない(痛くない)んだろう...なんで...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでいやだいやだいやだいやだいやだなんでやだこわいこわいいやだなんでなんでなんでこわいやだいたいいたいはずなのにこんななんでいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだやめてやめてやめていやだこわいやだなんでなんでやめておもいださせないでいやだこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいやだでてこないでいやだやめてこわいやだおもいだしたくないいやだいやだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音「はぁ...はぁ...はぁっ......!」

 

辛い。苦しい。いきが、できない......。なんで、こんなに苦しいの...?この痣は......。

考えるほど頭が痛くなってきた。...今はやめよう、これを、このことを考えるのは。...早く着なきゃ。

 

瑞希「音ー?もう着れたー?」

音「...ちょっと待って」

 

急いで着替えた私は試着室の扉を開ける。私の着替え終わりを待っていたであろう瑞希とまふゆ、それに私と同じ服を先に試着していたかな姉が一斉に私を見てきた。

 

瑞希「おー!やっぱボクの見込み通り、カワイイ系も似合うね〜!」

奏「うん、いいと思う。似合ってるよ、音」

まふゆ「...よく分からないけど、いいんじゃないかな」

音「...ありがとう...?」

瑞希「なんで疑問形なのさー?」

 

この後も瑞希の要望により服を色々着させられた。ちなみにパーカーもあった。確かに、なんだか安心するような、ほかの服を着た時にはないような、これだ!というような感じがあった。...そういえば、ズボンを脱ぐときにポケットの方に硬い何かがあったような感触があったんだけど、なんだろう。後で調べてみようかな。

 

瑞希「ふ〜!だいぶ試着したね〜?楽しかった〜!」

奏「つ、疲れた......」

音「...パーカーだけ買う...」

瑞希「ええっ?!あれだけ似合ってたのにパーカーだけはダメだよ音〜!せめてこれとこれも!」

 

そう言って私はワンピースのようなものとセーターのようなものを渡される。...これ、試着したやつだ。しかも瑞希からものすごく熱い説明をされたやつ。

 

音「瑞希、このセーターみたいなの、ぶかぶかで手が見えないんだけど...」

瑞希「いいんだよ、それで!やっぱ音くらいだと手が見えるか見えないかっていう萌え袖が似合うと思うんだよね〜」

音「...もの、掴みにくい...」

奏「あ、音。お金はあるの?」

音「おかね......?」

 

おかね。多分この感じ、お金というものがまた記憶から吹っ飛んでるんだろう。これを買うのに必要なもの、なのだろうか。...もしそうだとしたらお金というものについて早く理解しなきゃ、まずい気がする。

 

奏「あ、その反応...やっぱりない感じかな」

音「...今日はお見舞いだけだと思ってたから」

瑞希「え、なんかごめん...よかったらボク払おうか?このお店、カワイイけど結構安めの服多いからボクのお気に入りのところなんだよね〜」

奏「いや、それは悪いよ...」

瑞希「えー、じゃあボクと奏で割り勘っていうのはどう?それならボクも罪悪感がはれるしさ!」

奏「......まあ、それなら...」

 

どうやらかな姉も納得したようだ。割り勘なるものが何かは知らないが話の流れ的に半分こみたいな感じなのかな。私は服を瑞希に預け、まふゆと共にお会計を待つ。

 

音(それにしても、まふゆとは久しぶりだからなんか気まずいような...)

まふゆ「.........音」

音「ん?どうしたのまふ、ゆっ...?!」

 

いきなり壁に追いやられ、両手で逃げ場を無くされる。何がしたいんだ...?なんか、怖い。これは聞きたいことがある時のまふゆだ。なんか、悪いことでもした気分だな...。

 

まふゆ「音、正直に答えて」

音「えーっと...どうしたの、まふゆ?」

 

私は次の瞬間、まふゆから発せられた言葉を聞いて耳を疑った。なぜなら────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「──音、記憶ないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───隠していた秘密を、いとも簡単に明かされてしまったのだから。

 




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。
ニーゴのメインストーリーでもあったように、まふゆちゃんは多分観察力や洞察力がすごいんだろうなーということで。まあ、幼馴染ですし(無敵の言い訳)

音ちゃんのプロフィール...書きたいなぁ。いつ書こう、いつか書きます。


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幼馴染の彼女

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回は初のまふゆちゃん視点、入ります。もしかしたらキャラに合ってない、変な部分があるかもしれませんが大目に見てやってください...。


まふゆ視点

 

私には幼馴染がいた。私が優等生で、いい子だからというレッテルを貼らない、唯一私という人間(朝比奈まふゆ)を見てくれる子。そんな幼馴染は、私が中学三年生のとき。つまり2年前に、急に姿をくらました。

 

元々彼女は病弱、という訳では無いが、体調を崩すと他の人より重症化しやすく、風邪でもたまに入院することがあった。そして、彼女が姿をくらます2日前から、彼女は風邪をひいて入院していた。お見舞いに行こうにも、予備校などがあって平日は忙しくていけなかった。なので、土曜日...休日に私はお見舞い用の花を買い、彼女の病室へと行った。多分、彼女と会えるから...嬉しかった、んだと思う。あの頃の私は、まだ今よりも何かを感じていたから。

 

...でも。病室に行った時、彼女はいなかった。その代わりそこにいたのは、院長を責めたり、彼女がいないことに慌てたりする看護師達。...違う。私は、こんなことを、こんな看護師達を見るためにここに来たのではない。私は────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女がいなくなった日から、私の中の“ナニカ”が壊れた。...それからニーゴのみんなに出会って、少しそのナニカを掴めたような気がして。そんな、少しマシな日々を過ごしていた、ある日だった。

 

 

 

まふゆ『......音?』

奏『うん。......って、え?なんで知って...』

 

 

...音だった。2年前に、あの時、姿をくらましたはずの。私はその事実を目の前で確認し...気がついたら、音に抱きついていた。何故かはわからなかった。でも、そうしなきゃいけない、そうしたいと思ったから。それから瑞希の提案で、音や奏達と服を買いに行くことになった。最初に不自然に感じたのは、服屋に行くことを音が拒まなかったことだった。姿をくらます前は、絶対に着せ替え人形にさせられるからと言って、誰かと服屋に行くのは嫌がっていたのに...。それから私は音の行動の一挙一動に注目した。

 

 

試着室のことを聞いたり、服の名前がわからなかったり。それだけなら、少しは理解ができる。服に興味がなかった音なら、試着せずにパーカーだけ買って帰ったり、服の名前が分からなかったりしてもおかしくないから。...でも。

 

 

音『おかね......?』

 

 

不思議そうに呟いた、何気ないその一言。奏はお金がないからだと判断したらしいけど...。その一言で分かったかもしれない。もしかしたら、今の音は─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──音視点。

 

な、なんでバレたんだ...?とにかく、ここは隠し通さないとまずい。そんな気がする。

 

音「えーっと...な、なんのこと?記憶がないって、まさかそんな...」

まふゆ「音。私、言ったよね。正直に答えて、って」

音「そんなこと言われても...」

 

まふゆがあまりにまっすぐ私を見つめてくるから、私は思わず目を逸らした。まずい。本当に。...何か、誤魔化さなければ。...そうだ。

 

音「...で、でもさ。まふゆのこと、ちゃんと覚えてたじゃん?ね?」

まふゆ「...解離性健忘には、いくつか種類がある。系統的健忘って言って、特定の人や特定の期間だけ忘れている場合もある」

音「...そうなの?」

まふゆ「今、認めた」

音「......あ」

 

やばい。思わずボロを出してしまった。...まふゆにはもうどう言っても無駄だろうし、なぁ。

 

音「...ねえまふゆ、今から言うこと、怒らない?」

まふゆ「怒る必要がなければ怒らない」

音「それって、怒る必要があったら怒るってことだよね」

まふゆ「...早く、言って」

音「あ、うん。えっと───」

瑞希「たっだいまー!!あれ?2人なんかすごく仲良くなってない?!」

 

 

 

──あ。そういえば、お会計に行った瑞希達を待ってたんだった。...どうしよう。2人が来たんじゃ、今から言おうとしてたこと、言えない。

 

まふゆ「...音、スマホ持ってない?」

音「すまほ...?」

まふゆ「...これ。多分、持ってれば音はポケットに入れてるはずなんだけど...」

 

そう言って、まふゆはスマホなるものを見せてくれる。四角くて持ち運びができる機械のようだ。...確かに、さっき試着した時にズボンに硬い感触があったよな。えーと...。

 

音「...あった。この、四角いやつ?」

まふゆ「そう。それで...電源つけて。右側の少し凹んでるとこ。それで、ホーム画面に行くから...そこの緑の。LINEってとこ、タップして」

音「わっ、なんか開いた。これがLINE...?」

まふゆ「そう。そこに私の名前があるから、家に帰ったらそれをタップすればいい。最悪、私から電話するから、起きといて」

 

お、覚えることがいっぱいだ...。帰ったらスマホの使い方でも調べとこうかな...。

 

瑞希「2人とも、何話してるのー?...って、音スマホ持ってんじゃん!LINEやってる?交換しよしよー!!」

奏「あれ、珍しいね、スマホいじってるなんて」

音「えっと、うん。瑞希、交換って...?」

瑞希「ちょっと借りていい?待っててね〜...はい、出来たよ!」

 

そこには“mizuki”とオシャレな文字で書かれた名前のアカウントが表示されている。ええと、この追加を押せばいいのかな...。

 

瑞希「お、追加した?じゃあボク、これから暇な時は音にLINEしまくるからね〜!」

奏「...音はあんまりスマホ見ないから、気づかないかもしれないよ」

瑞希「えー、そんなぁ〜!」

音「あはは...。極力、見るようにはするね」

 

そんなことを言いながら、一度スマホの電源を消して、LINEを開くまでの流れを復習する。...うん、出来た。これならいつでもLINEができるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音「......あれ?でも私、いつLINEすればいいんだ?」

 




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。何気に音ちゃんの体質とか、明かされましたね。

みなさんはLINEとか、よく見るタイプですか?私は全く見なくて、気がついたら未読が溜まってるなんて日常茶飯事です。...もっと見るようにします。


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ニーゴと音

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回少し長めのお話です...!書きたいと思ってたものが多すぎて、まとめたらこんなに長く...。

あと会話描写なのですが
普通の会話が「」で、ナイトコード内での会話が〘〙とさせていただきます。見にくかったら申し訳ないです。




音視点

 

...さて。どうしたものか。今私...いや、私とかな姉は瑞希とまふゆに別れをつげて家に帰ってきていた。かな姉はつかれた様子だったが、家に帰ると早速四角い機械をいじっていた。どうやらパソコン、と言うらしい。

 

音「...私、何しようかなぁ」

奏「音、疲れてない?疲れてるなら休んだ方がいい」

音「それはかな姉に言いたいかなぁ」

 

かな姉はあまり分かっていなかったようだが、私がなんでもない、というと、そっかと微笑みまたパソコンに向き合った。

 

音「...曲のデモ、作ってるんだっけ?」

奏「うん。ええと、今は1番まで作ってるから次は2番なんだけど...」

 

そうかな姉が言った、次の瞬間。ピコン、という音がなった。どうやらパソコンから音がしたようだ。

 

 

絵名〘K、お疲れ様!...って、マイクミュートだ〙

瑞希〘あれ、ボクとえななん同時にログインした感じ?やっほー、K、えななん〙

 

奏「あ...ごめん、ナイトコードの音だ」

音「ナイトコード...?」

奏「うん、ナイトコードっていうアプリがあるんだけど、そこで作業してるんだ。ニーゴとして曲を作ってるの」

音「へぇ...」

 

 

すごいなぁ、曲を作るってあんまり実感わかないけど...。きっとナイトコードってアプリでお仲間さんと話して、作業の進捗とかを確認する...のかな。

 

 

音「私のことは気にしなくていいから、お仲間さんと話していいよ」

奏「ほんと?ごめん、ちょっと話すね」

 

瑞希〘あれ、K?いるー?〙

奏〘ごめん、音と話してた〙

絵名〘音?誰それ?〙

瑞希〘あー!ねえねえ、音、そこにいるの?!〙

絵名〘え、Amia知ってるの?なんか疎外感...〙

瑞希〘ちなみに雪も知ってるよ〜♪〙

絵名〘はぁ?!な、なんで知ってるのよ?!〙

 

...なんか、すごい盛り上がってるな。Amiaって呼ばれてる人は声的に瑞希だろうけど、えななんって人は...?

 

奏〘えっと...音は、いるにはいるけど...〙

瑞希〘ほんと?!音、やっほー♪〙

音〘...やっほー...?瑞希、さっきぶりだね〙

絵名〘え、Kの家にいるって、何者...?!〙

奏〘音は私の妹なんだ。みんなには話してなかったけど...〙

 

まあ、話せなくても無理はない。私は気がついたらここにいた、って感じだし。ここに来る前のことは全く覚えてないし。...あ。

 

 

音(まふゆに連絡、しなきゃな......あれ?でも起きといて、って言われたから、今しちゃダメなのかな?...うーん、分からん...)

奏「...音?えななんに呼ばれてるよ?」

音「あ、ごめん...考え事してた...」

 

絵名〘音って言うんだよね?私は東雲絵名。よろしくね〙

音〘あ、うん。よろしく、絵名〙

瑞希〘えななんも音と会えばいいのに〜。Kに似て、すっごく可愛いんだよ!〙

絵名〘私だって会えるものなら会いたいわよ!〙

音〘えっと、私そんなにかな姉に似てるかな...〙

瑞希〘うーん、なんか所々って感じかな?確かに髪型とかは違うけど、様子を見てればああ、Kの妹だな〜って感じるよ!〙

 

...そう、なんだ。なんかちょっと嬉しいな。...そういえば、さっきスマホの電源をつけた時に思ったんだけど...この“悔やむと書いてミライ”ってなんだろう...。タップ、してみようかな...いやでも、こういうことってかな姉に聞いた方がいいのかな。

 

 

音「ねえ、かな姉」

奏「ん?音、どうしたの?」

音「なんかスマホに、悔やむと書いてミライっていうやつが入ってたんだけど、これなんだと思う...?」

奏「悔やむと書いてミライが...?...ちょっと見せて」

 

瑞希〘え?!音のスマホに悔やむと書いてミライがあったの?!〙

絵名〘それって、アイツが心を許した、ってこと?でも、音をセカイに干渉させていいわけ?〙

奏「間違いない...私たちのと同じだ...音、これっていつから?」

音「えっと、さっきスマホを見たら入ってた...」

 

奏〘...Amia、えななん。今からセカイに来れる?話は聞いてたみたいだから、事情はわかると思うけど...〙

絵名〘私は行けるよ!〙

瑞希〘ボクも!〙

 

...あれ?今、ピコンってなったような...?気のせいかな...。

 

奏「じゃあ音、それをタップして欲しい」

音「タップ?分かった...ってうわっ...?!」

 

かな姉の言われた通り、悔やむと書いてミライをタップした瞬間。段々と私の視界が白くなっていった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──誰もいないセカイ。

 

音「うわっ......って、あれ?ここは...」

ミク「いらっしゃい、音。ずっと、待ってたよ」

音「って、うわっ?!だ、誰...?」

ミク「私は、ミク。ここは、あの子の...まふゆの想いで出来たセカイ」

音「まふゆの想い?セカイ?...何が何だか、分からなくなってきた...」

瑞希「おーい、音〜?いるー?!」

音「あれ、瑞希だ...」

 

よく見るとその後ろにかな姉と、見たことない人もいる。多分会話の流れ的に、絵名...って人だろう。

 

瑞希「あ、いたいた!音にミクまで!」

ミク「みんな、いらっしゃい」

奏「ごめん、急に来てもらって...」

絵名「ううん、私は大丈夫!それより、その子が音?」

音「ええっと、絵名...なのかな」

絵名「うん。なるほど...瑞希が言ってたの、ちょっと分かるかも」

瑞希「でしょ〜?」

 

...2人で盛り上がってる。ええっと、これは、どうすれば...。と思っていると、どこからか音がなる。...なんだろう、この音。

 

まふゆ「...」

絵名「あ、まふゆ!まふゆもセカイに来たの?」

まふゆ「帰ってナイトコードにログインしたら、奏がセカイに来てって言ってた所だったから...」

音「あ、あのピコンって音、まふゆが来た音だったんだ...気のせいかと思った」

まふゆ「...音?なんで、ここに...」

奏「まふゆ、今はそれを考えるためにここに集まってもらったんだ」

まふゆ「......私は、分からないけど...」

絵名「はぁ?あんたが分からなかったら誰がわかるのよ!」

瑞希「まあまあ絵名、落ち着いて〜...」

 

確かに、なんで私が来れるんだろう。セカイってとこ、私はよく分からないし。まふゆの想いで出来たのなら、いつ出来たかにもよるけど...再開した今ってことは、私がまふゆと会わなくなった後...?そもそも、私の過去って...。

 

音(うっ...頭、痛い...)

まふゆ「...ねえ。それより私、音と話をしたいんだけど」

絵名「それよりって、あんたねえ...!」

瑞希「ま、まあまあ...。奏、どう?」

奏「まあ、いつでも考えられるし...いいよ、まふゆ」

まふゆ「...そう。じゃあ音、行こう?」

音「え?あ、うん...」

 

そう言われ、私はまふゆに手を引かれる。なんか後ろで絵名とかが騒いでたし、みんな驚いてたみたいだけど...。

 

まふゆ「あの時の話の続き、していい?」

音「うん。...あ、えーと。私が話してたんだっけ」

まふゆ「うん。音のこと、聞かせて」

音「うーん...私も覚えてないから、そんなに詳しくは話せないんだけど...」

 

私は自分と家族、それに生活に関する記憶がほとんど無いことと、まふゆのことは覚えていた、ということを話した。まふゆは少し考えた後、言葉を発した。

 

まふゆ「...もしかしたら音は、解離性健忘のうちの2つを持ってるかもしれない」

音「解離性健忘...?」

まふゆ「...簡単に言えば、記憶がない、記憶喪失。解離性健忘にはいくつか種類があって、そのうち音が持ってるかもしれないのが、系統的健忘と全般性健忘」

 

まふゆによると、系統的健忘は自分の家族だったり、特定の人や期間を忘れてしまう症状。全般性健忘は自分のことや、生活に関することを忘れてしまう症状らしい。っていうか、こんなことを覚えてるって...。

 

音「もしかしてまふゆ、本当に医者になる気なの...?」

まふゆ「...今は関係ない」

音「まふゆ......まあ私はまふゆの意思を尊重するけどさ、看護師も諦めちゃダメだからね」

まふゆ「...みんなのところに戻ろう」

 

あ、逃げた。...まふゆが自分を押し殺さないですむ日は来るのかな。...ううん。昔から見ていたからこそ、私が─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音「...ねえ、まふゆ」

まふゆ「...なに」

 

その瞬間、私はまふゆを後ろから抱擁する。そして一言。

 

 

 

音「私は絶対、まふゆがどこに行っても...見つけてみせるからね」

まふゆ「...そう」

 

 

そう、誓いをたてるのだった。

 




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。
私も少し調べた程度なので詳しいことはあまり分からないのですが...。特定の人を覚えているって、あるんですかね。
...まあ、まふゆのことだけ覚えてたのは幼馴染だからってことにしましょう(言い訳)

...というか、やっとニーゴのメンバー全員と絡ませることが出来た...。


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仲間

おはこんばんにちは、あっとマークです。
私事なのですが、この度利き手をケガしまして。まあ大事には至らなかったのでよかったです。
そんなことよりプロセカ1周年ですよみなさん。盛大に祝えー!




 

音視点

 

私たちが帰ってくると、その姿を見た絵名が真っ先に反応した。

 

絵名「あ!やっと帰ってきたわね!」

奏「おかえり、2人とも」

瑞希「じゃあ、話の続きしよっか?」

 

...ん?絵名がずっと見てくる...。なんか、納得いかないような顔してるな...どうしたんだろう。

 

音「...絵名、どうしたの?」

絵名「え?!いや、それは...その...」

瑞希「絵名は2人が仲良しすぎて羨ましいんだよね〜?」

絵名「はぁ?!ち、違うから!まふゆが音と手を繋いでて納得いかないだけだから!」

瑞希「それはほぼ肯定しちゃってるんじゃない...?」

まふゆ「......何が悪いの?」

 

...?なんか、まふゆの機嫌、悪いな...。絵名とまふゆって仲良くないんだろうか。でもそしたらセカイに来れるはずがないしなあ...。あ、実は仲良いけど素直になれないってやつかな、多分そうだよね。

 

奏「...音、おいで」

音「...?うん、分かった」

 

絵名とまふゆが言い合っている間に、先に座っていたかな姉に呼ばれたのでかな姉のところに行く。そして隣に手をポンポンとやられたのでかな姉の隣に座る。

 

瑞希「お、おー?奏〜、中々やるね〜」

奏「...別に、そうでもないよ」

瑞希「奏もヤキモチ妬くんだねー?」

奏「...瑞希、早く座って」

瑞希「はいはーい。じゃあお二人さんがまだ言い合ってるから、ボクも音の隣に座らせてもらおうかな〜♪」

絵名「......って、ちょっと瑞希!なんで音の隣に座ってるわけ?!!」

瑞希「ええっ、なんでボクだけ...」

 

こっちの現状に気づいた絵名が今度は瑞希に文句を言ってる。忙しい子だなあ。

 

ミク「...ふふ。音、人気」

音「人気...なのかな。ミクは私がここに来た理由、分かる?」

ミク「それは...多分、私が呼んだから」

 

そうミクが言うと、絵名やまふゆも含めたみんなが一斉にミクの方をむく。...そういえば、みんなもミクに呼ばれたのだろうか。

 

奏「ミク...音を呼んだって、私たちみたいな...?」

ミク「ううん...音はちょっと違う。奏達より、前に呼んでた」

瑞希「でもボクたちより後に来たよね?」

ミク「...多分、私が音のところに行けなかったから...気づけなかったんだと思う」

絵名「音のところに行けなかった?どういうことよ?」

ミク「...今話せるのは、ここまで」

 

みんな頭の中が?でいっぱいのようだった。かくいう私もその1人だ。行けなかった...?でも私、スマホ持ってたし...いくら私がスマホをあまりいじらない人だからといって、今日まで気づかないって言うのはおかしいよなぁ...。悔やむと書いてミライが、気づきにくいところにあった、とか?

 

奏「...そっか。教えてくれてありがとう、ミク」

ミク「...うん」

 

その後、みんなと仲良くなろう!(遊ぼう!)という瑞希の提案により、トランプをすることになった。トランプってなんだろう...と思っていたが、どうやらカードのことらしい。

 

瑞希「なにやるなにやる〜?七並べ?大富豪?それとも神経衰弱?それともそれとも〜...スピード?!」

絵名「スピードは2人でしょうが」

奏「瑞希、私と音にも教えて欲しい」

瑞希「ん、りょーかい!ミクと一緒に教えちゃうね〜」

 

トランプ...うん、楽しそうだな。かな姉もあんまり知らないみたいだし、私が知らなくても違和感はなさそう。そんなことを思っていると、ミクに服の袖をつかまれ、ちょんちょん、と引っ張られた。

 

音「ん?ミク、どうしたの?」

ミク「音のこと、もっと知りたい...」

音「...うーん、そんな事言われても、なぁ。逆に私はミクのこと教えて欲しいな?」

ミク「わたしの、こと?」

音「うん。出会ったばかりだから、ミクと仲良くなりたいな」

ミク「...!じゃあ、一緒にお話しよう」

 

表情に結構出るタイプなのか、分かりやすいなぁ。可愛い。そんなことを思いながら他愛もない話をする。ミクの髪をもふもふしたら少し困惑してたけどもふもふされてくれた。

 

瑞希「あー!ボク達が何するか決めてる間に音とミクが仲良くなってるー!!」

音「ミクの髪、もふもふ...」

奏「ふふ、よかったね、音」

絵名「それで、結局平民2人の大富豪でいいの?」

瑞希「うんっ!この人数なら盛り上がるだろうしね〜。じゃ、トランプ配っていくよ〜!」

 

そうして私たちは、大富豪という未知のゲームに挑んでいくのだった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───数分後。

 

絵名「ちょっとぉ!なんで私がまた大貧民なのよ?!」

瑞希「いやぁ〜あっはっは...まさか5戦連続大貧民とはね〜...」

まふゆ「...やったことのない音達に負けるのはどうかと思う」

絵名「う、うっさいわね!気にしてるんだから言わないでよ!」

奏「え、絵名、落ち着いて...元気だして...」

音「初めて大富豪、なれた...えへへ...」

ミク「ふふ...よかったね、音」

 

絵名が5連続大貧民なのも驚きだけど、やっと大富豪になれた...嬉しい。ミクやかな姉は貧民と平民を行き来してたけど、瑞希やまふゆは流石って感じで、富豪や大富豪になる事が多かった。

 

瑞希「あ、そーだ!この前新曲アップしたのに打ち上げ行ってなかったし、音も含めて打ち上げいこーよ!」

音「え、でもニーゴの打ち上げなんじゃ...」

まふゆ「...?何言ってるの、音。音はもうニーゴだよ」

絵名「そうそう、まふゆの言う通りよ」

 

え...?なんか勝手に入ってる...。曲とか作ったことないしなあ...。というか、私に嫌という権利はないの...?

 

奏「えっと、音。私も入ってくれたら嬉しいけど、無理強いはしないよ。どうする?」

音「...まあ、かな姉たちのお手伝いが出来るなら、いいよ」

奏「...!そっか...よかった」

瑞希「それ、ほんと?!やったー!じゃあ今度、音も含めてファミレスいこーね!」

ミク「瑞希、嬉しそうだね」

瑞希「嬉しいよー!」

 

瑞希も、かな姉も、多分絵名とまふゆも、みんな嬉しそう。なんか、よかったな。なんだろう、みんなが嬉しそうだと私も嬉しいのかな。

 

奏「あ...。じゃあそろそろ戻ろうか」

瑞希「おっけー!ばいばーい!」

絵名「じゃあまた、ナイトコードで」

ミク「みんな、またね...」

 

みんな、順々に帰っていく。...あ、そうだ。病気とか症状とかに詳しいまふゆなら、知ってるかな、このこと。そう思い、私は帰りそうなまふゆの服の袖を掴む。

 

 

音「まふゆ、ちょっと待って...」

まふゆ「...なに、音」

音「聞きたいことがあるんだけど─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そうやって私は、仲間の闇に触れていく。

そう、これは...仲間達の闇に向き合い、曲を作りながら私を見つけていく......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()を奏でていく、物語である。




ニーゴと絡ませるなら当然、闇にも触れなくちゃいけない...。ところで今回音ちゃんは、誰の闇に触れたんでしょうかね。次回以降をお楽しみに。

まあ、薄々気づいてるとは思いますが、ニーゴに属するなら音ちゃんも......って感じですよね。


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お勉強と秘密

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回はあの子の闇に触れちゃいます。音ちゃんはどういう風に対応するのでしょうか、楽しみですね。

それと、感想や評価などいただけたらこのあっとマーク、とても喜びますのでどんな些細な感想でも頂けたら嬉しいです。






音視点

 

音「それじゃあかな姉、いってきます」

奏「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

私は夕方、学校に行ってる人の間では放課後と言われているらしい時間に家を出る。もちろん、目的もなく出かけた訳ではなく...。私は昨日、まふゆと2人っきりの時のことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───昨日、誰もいないセカイ。

 

まふゆ『...そういえば、音は生活のこととかが分からないって言ってたよね』

音『え?ああうん、多分生活のことだけじゃなくて基礎的な知識から全部ぶっ飛んでるんだと思う。ひらがなカタカナ以外の文字とか分からなかったし』

まふゆ『じゃあ、計算も出来ないの?』

音『計算...足し算とかかけ算とかの存在は知ってるけど...』

 

正直、それ以外の複雑な計算となるとできるか分からない。というかこれ、かなり生きていく上でピンチなのでは...?そんなことを考えていると、まふゆが少し考えてからこう言った。

 

まふゆ『なら────私が教えてあげる』

音『...え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───と、いうわけで。私はまふゆの言った図書館というところに向かっている。宮益坂にある、勉強ができる図書館らしい。もちろん私はそんな所がどこにあるのか分からないので、かな姉に言って地図と目的地案内のアプリをダウンロード?してもらった。

 

音「えっと、次の角は左......って、あれ?」

瑞希「あれ、音だ!やっほー♪」

音「...瑞希、制服?じゃないけど...学校は?」

瑞希「え、あ、あはは〜今日はあんまり気分が乗らなくって...許して?」

音「...?別に行くも行かないも瑞希の自由だと思うけど...」

 

そういえば。昨日まふゆに聞いて、瑞希に対する疑問がわいたんだった。確認するなら今しかない、よね。

 

音「ねえ、瑞希」

瑞希「ん?なーに、音?」

音「瑞希って─────男子、なの?」

 

その瞬間、瑞希の肩がビクッとする。相変わらず絵名やかな姉と比べると少し広い肩だ。

 

瑞希「えーっと...な、なんで?どうしてボクが男の子なんて...」

音「いや、なんとなく......」

 

性同一性障害。簡単に言えば、身体の性別と心の性別が違うこと、らしい。昨日まふゆに聞いたらそういうものがあるのだと言っていた。だからまあ、厳密にはなんとなく、ではないけど。

 

記憶を失ってから、道の途中途中にいる男の人しか見てないけど、なんとなく瑞希と歩き方や骨格が似てた。もちろんそんなことは瑞希には言わないけど、瑞希は諦めたように少しため息を吐く。そして少し低くなった声でこう一言。

 

瑞希「...なんとなくで、分かっちゃうんだね」

音「ごめん...?でも、服とかはどうしてるの?」

瑞希「ああ、服は自分で作ってるんだ。所々アレンジしてね」

音「へぇ、すごい...瑞希って器用なんだね」

瑞希「...引いちゃった?」

音「引く?なんで?」

瑞希「え、だって、男がこんな格好してるなんて変でしょ...?」

音「...?よく分からないけど、どんな格好するのも、瑞希の自由じゃないかな?瑞希には瑞希の気持ちがあるんだから。それに私だってパーカーだらけだよ?」

瑞希「...そういうこととはまた違うんだけど...そっか、あははっ」

 

どこか吹っ切れたように瑞希が笑う。すごくいい笑顔...そんな風に思った。

 

瑞希「あー、なんか焦ってたボクがバカみたい。ていうか音って結構天然?」

音「天然...?」

瑞希「あーいやいやなんでもない。うん、これは確定だね」

音「よく分からないけど、私は瑞希らしくていいと思うよ。瑞希は瑞希らしく、やっていけばいいんじゃないかな」

瑞希「...うん、そうだね。ありがとう、音。...でも、みんなに言えるかは分からないんだ。...すごく、怖くて」

 

怖い...感覚的には、私の記憶が無いっていうことをかな姉に伝えるような感じかな...うん、確かにかな姉がどう反応するかは想像しただけでも怖いかも。

 

音「...そっか。瑞希のペースでいいと思うよ」

瑞希「...うん。ほんとに、ありがとね、音!そういえばこんな時間に外出なんて、どこか行くところがあったんじゃないの?」

音「あ、そうそう。この図書館に行きたいんだ」

瑞希「...んんっ?音、この角を左に曲がろうとしてたよね」

音「え、うん...それがどうかしたの?」

瑞希「あー...これ、次の角を左だね。ほら、あそこの」

 

そう言って瑞希に少し前の方を示される。...どうやら私は方向音痴に加えて地図が読めないらしい。

 

音「...そう、なんだ。ありがとう、それじゃ」

瑞希「あー、待って待って!心配だからボクもついて行くよ!」

音「...じゃあ、よろしく」

 

結局全部瑞希に案内されながら、ようやく目的地の図書館に着いた。

 

瑞希「それじゃあ音、じゃあね!帰り道にも気をつけるんだよ!」

音「うん、分かった。ありがとう、瑞希」

 

瑞希に別れを告げ少し歩くと、前の方にまふゆを見つける。どうやら学校の帰りに直接来てくれたらしい。あ、今は放課後だったな、瑞希のおかげですっかり忘れてた。

 

音「まふゆ、ごめん待たせちゃって」

まふゆ「...音。来れたんだ。途中で迷ってるのかと思ってた」

音「あはは...まあ、確かに迷いそうになったけど...瑞希にここまで案内してもらったんだ」

まふゆ「...瑞希に?...そう。じゃあ、行こう」

 

まふゆが私の手を握って歩き出す。あれ?私、図書館内でも迷うと思われてる?なんかちょっと悔しいなぁ...。そう思ってるとまふゆが受付で色々済ませてくれたみたいで、座れそうな席に連れていってくれる。

 

まふゆ「ここに座って」

音「あ、うん。ありがとう、まふゆ」

まふゆ「......どう、いたしまして。これ、中学校の教材」

音「...ん?そんなことよりなんでまふゆ、隣に座ったの?向かいの席の方が広いよ」

まふゆ「こっちの方が教えやすい」

音「...そういうもの?」

まふゆ「そういうもの。じゃあ早速教えていくよ」

 

まふゆの説明は分かりやすかった。急に知らないことを詰め込みすぎたのか、まふゆ先生の授業が終わる頃にはもう私は疲れきってたけど...。

 

まふゆ「それで、このxに代入して......」

音「まふゆ、まだ時間大丈夫そう?」

まふゆ「...そろそろ帰らないと、お母さんが心配するかも」

音「そっか、じゃあ今日はここら辺にしよう」

まふゆ「...音。送ろうか?」

音「ううん、大丈夫。さすがに帰れる」

まふゆ「...そう。じゃあ途中まで見送らせて」

 

まふゆは心配症だなあ...。まあ、私も無事に帰れなかったらそれはそれで困るのでまふゆのお言葉に甘える。それから週に2回、更にナイトコードで集まって時間がある時にはセカイで。まふゆに生活に関することや基本的な中学までのお勉強を教えてもらった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────1ヶ月後。

 

いつものようにまふゆに図書館で教えて貰っていた時の事だった。まふゆにある提案をされる。

 

まふゆ「ねえ、音。音は宮女に復学しないの?」

音「宮女?復学?」

まふゆ「宮益坂女子学園のこと。音は昔、そこの中等部に通ってたから」

音「そうなんだ...でも復学って、多分学校に復帰するってことだよね?そんなことできるの?」

まふゆ「音が休学する前に入院してた病院に行けば、復学届を書いてもらえると思う。多分病院側は、音の休学期間を伸ばしてるだろうから」

 

そう、嫌そうな様子でまふゆは言う。なんか難しいな...というかまふゆ、私が入院してた病院?私入院してたなんて初耳なんだけど。まあこの感じからしてまふゆは私が入院してた、という病院にいい思いはなさそうだな...。

 

音「...分かった。その病院ってどこなの?」

まふゆ「ここから少し離れた病院。ちょっと遠いけど、大丈夫?」

音「うん。...あ、まふゆもついて来てくれると助かるな。私だけだと、上手く言えないかもしれないから...」

まふゆ「分かった。じゃあ行けそうな時、連絡する」

 

復学、か...。考えたこともなかったな。それにしても病院だなんて、私のお父さんが入院してる病院とは違うのかな?なんて、そんな呑気なことを考える。だって私はまだ知らなかったから。まさか───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────その病院に入院したことが、全ての発端だったなんて。




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。

ここで新情報!音ちゃんは元宮女の生徒!!
奏は宮女やないやろと思ってる方、ご安心ください。小学校と同様、中学校も奏と違う学校の設定です。ご都合主義ってやつですね。

ここから宮女の子達とも絡ませていくので、お楽しみに。


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家事代行サービスのあの子

おはこんばんにちは、あっとマークです。
家事代行サービスのあの子ということで、今回はあの子が出てきます、あの子が。

多分これから音ちゃんの復学、からのイベストって感じで書いていきます。ちなみに音ちゃんが現れたのは、時間軸的には囚われのマリオネット後です。



音視点

 

復学届。前にまふゆにそんな単語を聞いてから、スマホで調べてみた。どうやら生徒氏名や復学理由、備考などを書かなければならないらしい。復学理由や備考は病院側に任せればいいだろうが、一つ問題点がある。

 

音「保護者指名...」

 

そう。保護者である。家族のことが思い出せない私はかろうじて今お父さんとお母さんの存在を認識しているが、お父さんもお母さんも、今これに名前を書ける状況にはない。...おばあちゃん、おじいちゃんとか?いるのかな...どことなくかな姉に聞いてみようかな...。そんなことを考えていると、玄関のインターホンがピンポーンとなった。

 

音「こんな時間に来客...?」

 

私はこの時間、いつもなら図書館に行っていたが今日は休館日らしいのでまふゆとのお勉強もなし。そんなわけで今は家にいるのだ。自室からリビングに顔を覗かせると、かな姉が玄関に向かうところだった。

 

奏「望月さん、いらっしゃい。今日は掃除をお願いできるかな」

穂波「はい!今日も張り切ってお掃除しちゃいますね!」

音「もちづきさん...ってあの、作り置きの人...」

 

ふむ、しかしどこかで見たことがあるようなないような...。絵名や瑞希に会った時にはなくて、かな姉に会った時には存在した感覚だ。...てことは、望月さんも私の過去の知り合い...?分からないな...。

 

奏「...あれ、音?そんなところで何してるの?」

音「え、ああ...インターホンなったから、誰かなって」

奏「ああ、そういえば音はまだ望月さんと会ってなかったっけ...?望月さん、ちょっと来てくれる?」

穂波「はい!なんでしょう......って、ええっ?!」

 

望月さんと言われた人が私の方を見て驚く。ああ、これは多分───

 

 

 

穂波「お、音ちゃん?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───私の昔の知り合い、なんだな。

一方のかな姉は少し驚いたような顔をしている。この感じ...昔の私はかな姉に、この望月さんとの関係を言ってなかったのかな。

 

奏「知り合いなの...?」

穂波「あ、すみません...えっと、知り合いというか、幼馴染と言いますか...あの、音ちゃん、覚えてる?穂波、だよ...?」

音「......うん、覚えてるよ、穂波」

穂波「...!よ、よかったぁ」

 

望月さん...いや、穂波は安心したような嬉しいような笑顔をする。幼馴染、なんだ...。かな姉が知らないってことは、小学校から一緒ってことかな...?

 

奏「...驚いた。まさか望月さんと音が幼馴染だったなんて...」

穂波「わたしも、ここで音ちゃんに会えるなんて思ってなかったので驚きました...」

音「穂波はなんでここに...?」

奏「あ、音には言ってなかったね。望月さんは家事代行サービスの仕事をしてて、わたしの家を担当してくれてるんだ」

穂波「うん、そうなの。...確かに、音ちゃんの苗字、宵崎だったね。気が付かなかった...」

音「まあ、注意してないと気づかないものなんじゃないかな。それにしても、家事代行サービス...?そんなものがあるんだ」

奏「わたしも、おばあちゃんに言われるまでは分からなかったよ」

 

...ん?今、おばあちゃんって言ったよね。...これは、チャンスかもしれない。

 

音「おばあちゃん、か...。久しぶりに話したいな」

奏「確かに、音はもうしばらくおばあちゃんと話せてないもんね。電話とか、してみる...?」

音「電話...番号、なんだっけ」

 

私がそう言うと、かな姉は番号を伝えてくれた。...よし、電話帳登録?っていうのもしたし、これでいつでもかけれるはず。あとは、どう私のことをおばあちゃんに説明するかだな...。

 

穂波「...ねえ、音ちゃん」

音「ん?何、穂波?」

穂波「その、2年前...中学二年生の時、何があったの...?」

 

...ああ、そうか。幼馴染、なんだっけ、この人と。2年前...と言われても、私自身、何があったのかが分からない。せいぜい休学する前に入院してたらしいってことしか。...かと言って、今ここで記憶が無いことを伝えればかな姉にもそれが伝わるだろう。それは避けたい。...なら、私に出来ることは...。

 

音「...んー、今はまだ言えないかな。正直、私も心の整理がついてないから。...でも、きっといつか、穂波達に伝えるよ」

 

真実を混ぜ込んではぐらかすことだけ。詳しいことは分からない。でも、いつか記憶がなくなってしまったことは...せめて穂波には伝えたい。かな姉には、難しいかもしれないけど...。

 

穂波「...そっか。ごめんね、こんな形で聞き出しちゃって」

音「ううん、全然いいよ。ていうか、それより穂波」

穂波「ん?何、音ちゃん」

 

...いや。これは、復学することはまだ決まってない。それに...なんだろう、これは。知られたくないって言うより、復学した時の反応を見たい...?もしかして、これが悪戯心というやつだろうか。...だとしたら、案外私はドッキリとかが好きなのかもしれない。

 

音「あー...掃除、しなくて大丈夫?」

穂波「あ、そうだった!ごめんね音ちゃん、引き留めちゃって。それじゃあリビングから掃除していくから、何かお願いしたいこととかわたしに伝えてね」

音「うん、ありがとう穂波。がんばって」

 

そう言って私は自室にまたこもった。さて...おばあちゃんに電話、してみるかな...。果たして向こうは私のことを覚えているのか、そもそも私からの電話に出るのか...。そんな不安にかられながらもおばあちゃんに電話をかける。3コール目になった頃、向こうからの反応が来る。案外早いんだな、そんなことを思いながらスマホを耳に当てた。

 

音〘もしもし...おばあ、ちゃん?〙

〘その声......もしかして、音なのかい?〙

音〘うん、音だよ。久しぶり、おばあちゃん〙

 

電話の向こうで、すすり泣くような声が聞こえる。何故...と考えてみたが、向こうにとっては久しぶりに聞く孫の声。そういう感動の再開、みたいなのは普通の人にとって嬉しいのだろう。それから私は、病院へ行くという趣旨を伝えた。もちろん、記憶が無いということも。

 

〘......そうかい。つらかったろう、苦しかったろう。分かったよ、都合がついたら連絡しておくれ〙

音〘...うん。ありがとう、おばあちゃん。じゃあまたね、おばあちゃん〙

〘ええ、またね、音〙

 

...案外すんなり受け入れてくれた。いや、驚いてはいたけど。もしかしておばあちゃんは、私が記憶をなくした原因を知ってるのかな。それなら冷静に対処出来るのも納得だけど...。何にしろ、まずはまふゆと行く日程を決めなきゃな。そんなことを考えていると、穂波から呼ばれる。

 

穂波「宵崎さーん、音ちゃーん、お茶入れましたので飲みませんか〜?」

音「わかった、今行く」

奏「...わかった」

 

おお...。香りのいいお茶だ。それはかな姉も感じたようで、いい香り...と呟いている。

 

穂波「実は今日、アップルパイを作ってきまして。1つしか作れてないんですけど、よかったら...」

奏「ありがとう、望月さん。音、食べる?」

音「かな姉も食べなきゃダメだよ。...うーん、半分こする?」

奏「ふふ、そうしよっか」

 

穂波の方を見たらなんだか微笑ましそうに笑っている。なんだか、温かい気持ち...。さっきおばあちゃんと話した時と同じ感じだ。てことは、穂波にお母さん的な何かを感じてる...?いや、でも同級生だろうし...。

 

奏「...音?食べないの?」

音「あ、ごめん。食べるよ」

穂波「ぜひ召し上がれ〜」

 

私はかな姉が食べるのをまた見よう見まねで食べる。ん...ちょっと取るのが大きすぎたかも。食べる口が小さいこと、忘れてた...。

 

穂波「...ふふ。音ちゃん、昔から変わらないね」

音「...?何が?」

穂波「いや、えっと...音ちゃん、食べ方が小動物みたいで可愛いから」

奏「あ...ちょっと分かるかも」

穂波「ですよねっ!」

 

小動物みたい...?褒められてるのか、それは。まあたしかに、ハムスターとかは可愛いと思うけど...。食べ方が、小動物...。うーん、なんだか複雑...。

 

まあでも...穂波とかな姉、楽しそうに笑ってるし、いっか。




ほなちゃんの笑顔、大好きです。


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昔の担当医


おはこんばんにちは、あっとマークです。最近更新できてなくてすみません...。
今回なんか中途半端な終わり方になっちゃいましたが、許してください。色々書きたいこと多すぎて...今回はその前フリ...みたいな感じですかね。


音視点

 

穂波と再開してから少したって、ようやくまふゆの都合のつく日がついたのでおばあちゃんに連絡する。どうやらまふゆは多忙のようだ。おばあちゃんに連絡していると、かな姉がそれを聞いていたようで、私に疑問をぶつけてきた。

 

奏「病院...?音、どこか悪いの...?」

音「あ、かな姉。そうじゃなくて...ほら、私休学してたから。復学届を書いてもらうために病院に行くんだ」

奏「病院って...あそこ、の?」

音「えっと...多分かな姉が想像してるのと、同じとこ」

 

そう言うとかな姉が露骨に嫌そうな顔をする。どうやらまふゆと同じように、かな姉も私が入院していた病院にいい想いはないらしい。かな姉は少し考える素振りをしたあと、どこか迷っていたが、意を決したように私にこう言った。

 

奏「ねえ、音。わたしも、ついて行っていいかな」

音「え、うん。別にいいけど...」

 

というかお姉ちゃんであるかな姉に伝えてなかったのは少しおかしかったかな。これからはちゃんと伝えるようにしなきゃ。まふゆによれば目的の病院は隣の隣町くらいにあるので電車で行くらしい。なので私の問題は駅に無事につけるかどうか。だからかな姉について行って貰えるのはだいぶ心強い。...電車。どんな乗り物なんだろう...少し、怖いような気もする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──翌日。

 

私は駅までかな姉を頼りについていき、まふゆと合流した。どうやらおばあちゃんは住んでるところが少し私たちの所からやや距離があるため、病院まで車で行くらしい。

 

まふゆ「...病院まで行くには、こっち。ついてきて」

音「うおお...たくさん道があって迷いそう...」

奏「大丈夫...?迷わないようにね」

音「かな姉、まふゆ、手繋いで...人の波に押しつぶされそう...」

 

そんな訳で私の左手にはまふゆの右手が、私の右手にはかな姉の左手が握られている。これなら迷わない...!

 

奏「...なんかちょっと、恥ずかしいな」

まふゆ「...よくわからない」

音「じゃあ、まふゆ。道案内、引き続きお願いできる?」

まふゆ「わかった。次は右」

 

駅内でも迷いそうになるとは...都会、恐るべし...。なんとか電車に乗った私達は、空いていた席に腰を下ろす。何とか座れてよかった...そんなことを思っていると少し胸が苦しくなる。うっ、これは...?

 

まふゆ「...そういえば、音はもう乗り物酔い、大丈夫なの?」

音「乗り物、酔い...?」

奏「あ、音は昔から乗り物酔い、よくしてたよね。だからわたし、音用に酔い止め持ってきたけど...のむ?」

音「...ほしい...さっきから気持ち悪い...」

 

かな姉がくれた酔い止めを急いでのむ。流石に飲んですぐには良くならないけど、少し精神的には楽になった気がする。...と、電車に揺られること数十分。私は後半死にそうになりながらもなんとか目的の病院へとついた。...マジで、電車はなるべく乗りたくない...。

 

 

「あら、やっと来たのね」

 

奏「あ、おばあちゃん...」

音「お久しぶりです、おばあちゃん」

 

「そちらの子が、まふゆちゃんかい?」

 

まふゆ「初めまして、お孫さんと仲良くさせてもらってます、朝比奈まふゆです」

 

 

...なるほど、これはまた。作り感が満載な笑顔、だなぁ。でも知らない人から見たらこれがまふゆの笑顔...うーん、なんだか複雑...。と、まふゆの顔をじっと見つめていたらまふゆが不思議そうにこちらを見返してきたため視線を外す。まあずっと見続けるのも失礼か。そんな訳で私たちは揃って病院に入る。

 

受付の人に要件を言うためにおばあちゃんは受付に行く。それにしても、ここは大きな病院のようで、小児科や皮膚科などたくさんのお医者さんがいる。...ふむ。中にコンビニなどもあるようだ。私はコンビニの方に歩いていく。これは...多分、入院してる人のためのコンビニ、だろうか。そんなことを思いながら病院内探索を続ける。意外と楽しい。ある程度歩いて廊下の奥まで来た時、スマホが振動する。そこにはかな姉から、今どこにいるという趣旨のLINEが来ていた。...そういえば、かな姉達に言ってなかったな。そんなことを思いながら廊下の奥の方だよ、と返し来た道を引き返す。廊下には患者さんや看護師さん、お医者さんなど沢山人が通っている。改めて大きな病院なんだなあ...と実感しながら角を曲がると、誰かとぶつかる感触があった後、尻もちをついてしまう。前を見るとお医者さんの誰かとぶつかってしまったようだ。

 

音「いったた......あ、ごめんなさい...」

 

「いや、こちらこそ申し訳ない。前を見ていなくて......って、もしかして...音ちゃん、なのか?」

 

音「...?えっと...私は音、ですけど...」

 

そう答えた瞬間、顔も名前も知らない大人から手を掴まれる。な、なに、この人......怖いっ......!!

 

 

「音ちゃん!?心配していたんだ!!あの後どうなったんだ?僕のことは覚えているか?!体調は大丈夫なのか?!なあ、どうなんだ!」

 

音「い、いや......だ、誰っ......?」

 

私は思わず後ろに下がる。怖い。圧が強い、力も強い。そもそもこの人は誰...?色んな感情が混ざってごちゃごちゃになる。思わず涙が出てしまう。これは......?

 

奏「───音っ!!」

音「かな、ねえ...?」

 

後ろからかな姉とまふゆが来ていた。どうやら急いで来たようで、かな姉は息を切らしている。かな姉は私が涙を流しているのを見たからか、少し睨むように私の手を掴んでいる大人...お医者さんを見る。

 

奏「あの、音に何か用ですか...」

 

「いや、僕は音ちゃんに聞きたいことが......」

 

まふゆ「そこまでにして貰えませんか?音が怖がっているみたいなので...」

 

まふゆにそう言われて初めて気がついたのか、目の前の人は私から手を離す。こ、怖かった...そんなことを思いかな姉の後ろに急いで隠れる。かな姉はそんな私を見て、背中を貸してくれる。

大人、怖い...見てる分には大丈夫だけど、話されたら......なんか、余裕がなくなるって言うか...。

 

 

「いや、これはすまなかった。少し取り乱してしまったようだ。自分が昔担当していた子に会えたからかな...」

 

奏「......もしかして、音が最後に入院した時の担当医さん、ですか」

まふゆ「...そうなんですか?」

 

「ああ、僕は...音ちゃんが姿をくらました2年前、あの時に担当していた医者だ。...正直、こんなことになって僕はとても申し訳ないと思っている。親御さんなどは居るかな。僕は未だに謝れていないから...」

 

「わたしに何か、用かね?」

 

これまた後ろからおばあちゃんが現れる。どうやらかな姉たちの後をついてきたようだ。

 

 

「...親御さん、ですか?この度は...いや、2年前はあなたのお孫さんにとても申し訳ないことをしました。本当に、申し訳ありません」

 

「...ここで立ち話もなんですから、移動しませんか」

 

「...そうですね。では、僕の個室に案内します。ついてきてください」

 

おばあちゃんとお医者さんで話がまとまったようで、私達はそれについて行く。お医者さんから離れて歩いていると、かな姉が手を握ってくれた。...安心、する。

 

 

そんなことを思いながら、私たちは昔の担当医と個室に入っていった。





はい、ということで。いかがでしたでしょうか。

担当医とおばあちゃんのセリフが見分けにくいかもしれません。すみません。
ここから次回は復学の流れまで持っていきたいですね...。


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過去の記憶と決意

おはこんばんにちは、執筆終了間際でデータがぶっ飛んで萎えてたあっとマークです。...終わる直前ってのがまた、ひどいですよねぇ。

今回は要素てんこ盛りです。そして前回のようにおばあちゃんと担当医のセリフが見にくいと思います。すみません。

あとプロセカ本編にはない、ここオリジナルのものが出てきますが、ご了承ください。




音視点

 

かな姉に手を引かれながら歩いていると、小児科と書かれた看板が見えてくる。そして私の昔の担当医さんと名乗る人の個室の手前まで来た途端。

 

 

「申し訳ありません。少し確認したいことがありますので、音ちゃんと2人にさせてもらえますか」

 

音「えっ...」

奏「......音...」

 

「...音、できるかい?」

 

 

私は速攻で首を横に振る。いや、無理無理無理...!ほんとに、さっきみたいな怖さはもうヤダ...!なんだか...恐怖心、というか...なんとも言い表せない怖さが襲ってきて...震えと涙が止まらなくなる感じ。そんなことを考えているとまふゆが真剣な口調で語り掛けてくる。

 

まふゆ「...音。これは音にとって必要なことなのかもしれないよ?怖いかもしれないけど、頑張らなくちゃ復学もできないかも...」

音「うっ...うう...わ、わかった...頑張って、みる...」

 

担当医さんにありがとう、と言われ個室に案内される。...2人きりは、やっぱり怖い。...でも。私のために必要なことならば、我慢しなくちゃ...。

 

 

「...さて。まず先に。ほんとうに、申し訳ない。こちら側の不手際で、あんなことになってしまうとは...」

 

音「...えっ、と...?」

 

「......もしかして、覚えていないのか?」

 

音「あ、えっと...さっきの、角での出来事ですか...?それなら気にしてない、と言ったら嘘にはなりますけど...そんな謝るようなことでも...」

 

私がそう言うと目の前の担当医さんは考え込むような動作をしてから私に問いかけてきた。

 

 

「...音ちゃん。今、自己紹介をしてもらえないか?できるだけ、詳しく」

 

音「じこ、しょうかい......あ、自己紹介...自分を紹介...。えーと、名前は宵崎音。あとは...お父さんが入院していて......ん?これは私自身の事じゃないから...」

 

...ダメだ。自分の名前くらいしか自分のことが分からない。そもそも自己紹介って何言えばいいんだろう。好きな食べ物、とか...?

 

 

「...音ちゃん、自分の名前しか言ってないのだが...。じゃあ、好きな食べ物や嫌いな食べ物は言えるかい?」

 

音「......この前瑞希に貰った飴っていうのは好きだなって感じがした、けど...」

 

「......なるほど、そうか。やはり......」

 

 

...目の前の担当医さんが1人でブツブツと呟き始めた。なんだろうこの人。何がなるほどで何がやはりなんだろうか。...私、好きな食べ物とか嫌いな食べ物、なんなんだろう...。

 

 

「...音ちゃん、君は......記憶を、失っているね?」

 

音「...多分」

 

「...多分それは、過度なストレスによる記憶障害だ。君の髪色が白くなっているのも、そのせいだろう」

 

音「私の、髪色も...?」

 

「...少し、過去の話をしよう。少し君にとっては酷かもしれないが...。君は過去のことをどこまで知っている?」

 

音「2年前、入院していたってことは知ってます...」

 

「...そうか。君の言う通り2年前、君は風邪を重症化させて入院していたんだ。その時の君は...ひどく元気がなくてね。目もどこか虚ろで...と、そんな事はいいか。大事なのは、ここからだ。君が記憶をなくした原因であろう出来事が、ひとつあったんだ」

 

...私が、記憶をなくした原因であろう出来事?...私は、この病院のせいで記憶をなくした...ってこと?私は、前にこの病院に来た時......うっ...あたま、が...。

 

 

「...君は、この名前を知っているか。黒田孤児院。表向きには孤児院を経営しているのだが...」

 

 

そう、どこかの会社であろう名前を出される。黒田、孤児院...?黒田孤児院...どこかで、聞いたことがあるような...そう思い、私は頭痛がする中頑張って思い出そうと頭をフル回転させる。くろだ...くろだ...。

 

『──それでは、この子供を貰うことにしよう。なに、今は風邪か何かで心ここに在らずという状態だが関係ない。...いずれこうなるのだからな』

 

 

『働けっ!お前らに休みなどいらぬ!!学問と仕事を両立させてこそ、初めてお前らに価値がみいだせられるのだ!!』

 

 

『...お前はこの中でも優秀な成績を叩き出しているな。これからも価値を見いだせるよう、精進したまえ、我が子(優良品)よ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ッッ!!!?

 

音「あ、う、あああ...あ"あ"あ"あ"あ"あ""!!!」

 

「音ちゃんっ?!」

 

 

奏「───音っ?!」

音「あ"...あ"あ"あ"...やめて、来ないでっ、思い出させないで...!!やだ、やだ、いたい、いたい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめっ、ごめんなさい!」

まふゆ「お、音...?」

 

「...失礼するよ。...音に何をしたんだい?」

 

「...少し、過去の話をしました。...やはり、強烈なトラウマになっているようです。......親御さん、少し...話せませんか。子供達は外へ」

 

「...分かりました。奏、まふゆちゃん、音を連れて行けるかい」

 

奏「わ、わかった...!」

まふゆ「分かりました。音、ごめんね...ちょっと行こう」

音「や、触らなっ、やだっ...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───その後。

 

どうやら私はかな姉とまふゆに落ち着かせてもらっていたようで、気がついたら個室の前にいた。私は少し前の記憶がなかったが、どうやらすごく震えて顔色が悪かったそうだ。...なに、してたっけ。確か、何かを思い出そうとして......うぅ、今でも頭痛がする。

 

奏「音、ほんとにもう大丈夫?落ち着いた...?」

音「うん、多分...。ごめんね、かな姉、まふゆ」

まふゆ「それはいいけど...何、話してたの?」

 

すっかり普段の様子に戻ったまふゆが私に問いかける。何してた......担当医さんと話してて、それで...何かを思い出そうとしたってことは分かるけど...何を思い出そうと...?

 

音「......何かを、思い出そうとしてて...」

奏「...思い出す...?」

音「あ、ええと......」

 

まずい、かな姉には内緒にしてたんだった...。どう言い訳しよう、そんなことを考えていると個室のドアが開けられ、中から担当医さんとおばあちゃんが出てくる。

 

 

「...お待たせしました。復学の書類準備が完了したから、ちょっといいかな?」

 

音「あ、はい...。ありがとう、ございます...」

 

そう言い私達は個室に入る。担当医さんの机の上には復学届の紙があり、まだあまり状況が整理しきれていない私の代わりとして、まふゆが宮益坂女子学園にいたという趣旨の内容を説明してくれた。それから復学届に保護者氏名や備考などを書いてもらい、判を押してもらう。どうやらおばあちゃんと担当医さんとの間で契約?というものが交わされたようで、学費や制服などは心配しなくていいとのこと。復学する日も後日伝えるとのことだ。

 

 

「...それでは、お手数とご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ございません。音ちゃんも、ごめんな」

 

音「え、あ...こちらこそ、ありがとうございました...?」

 

「さあ、行くよ。院長先生、あとはお願いしますね」

 

まふゆ「...院長先生...?」

奏「...?まふゆ、どうかしたの?」

まふゆ「あ、ううん。なんでもないよ、行こっか」

 

そうして私達は4人で受付へと向かう。が、途中でまふゆのスマホが振動する。まふゆはスマホを見て誰にも聞こえないようなため息を吐き...ってため息?

 

まふゆ「ごめんね、お母さんから連絡が来て、急ぎの用事が入っちゃったみたいだから私はここまでかな」

音「まふゆ、帰っちゃうの...?ばいばい」

奏「まふゆ、またナイトコードで」

 

「まふゆちゃん、またね。今日はありがとう。...さて、わたしは受付に行ってくるよ」

 

 

...そういえば、ナイトコードのアプリ、ダウンロードしないとなあ...。セカイにも全然行ってなかったし...帰って余裕が出来たら行こう。そんなことを考えているとおばあちゃんがもう受付に行ってきたようで、私達は帰り支度を始める。

 

 

「それじゃあね、奏に音。健康的な生活をするんだよ。くれぐれも体調管理には気をつけるように」

 

奏「うっ...わ、わかってるよ。またね、おばあちゃん」

音「おばあちゃん、ばいばい」

 

 

こうして私達はおばあちゃんに別れを告げ、駅へと向かう。もちろん、かな姉先導のもと。駅へ着くとちょうど電車が来る頃で、私達は急いで乗って席を確保する。...はぁ、疲れた。席に座ったら落ち着いて、かな姉もいるし安心できる...。そう思いながら私は、気がついたら眠りについていたのだった──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────奏視点。

 

奏「音...?」

 

隣の音の頭が肩に乗り、すぅ、すぅ...と可愛い寝息が聞こえる。

 

奏「そっか。今日は色々あって、疲れちゃったからね...」

 

穏やかに眠る音を見て自然と微笑んでしまう。...わたしは、迷っていた。以前...音がいなくなってしまう前、音を拒絶してしまったわたしが...音に寄り添っていいのか。音とまた、仲良く...姉として振舞っていいのかを。

 

奏(...でも。今日で、何となくわかった気がする)

 

わたしは...音のことが、大切。これは今も昔も...変わらない。私だけの、大切な妹で...家族だから。...だから。音には、笑顔でいてもらいたい。音に救われて欲しい。そのためには、わたしは......しっかりと、1人の姉(宵崎奏)として、音に寄り添わなきゃ行けない。

 

奏「...うん。頑張ろう」

 

 

 

そう、安心したように眠る音の隣で決意したのだった。




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。

個人的に今回は後に伏線となる部分をたくさん入れたつもりなので、ぜひそこも探していただけると嬉しいです。次回に復学、出来たらいいなぁ...。



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役職と予期せぬ出会い


おはこんばんにちは、あっとマークです!
最近タイトルが思い浮かびません!!...ほんとに、タイトルのセンスがないんですよね。だからまあ、タイトルと内容微妙に違うね?とか、タイトルセンスなくね?とか思ってもそこはご愛嬌、ということで...。




 

音視点

 

復学届の件で病院に行った次の日。私は久しぶりに“悔やむと書いてミライ”を再生する。理由は単純、セカイに行ってミクと会うためだ。随分と会ってなかったし、それに自己紹介...というやつの練習にも付き合ってもらいたい。昨日病院から帰ってきたあと、かな姉にクイズ形式で好きな食べ物と嫌いな食べ物を聞いたのだ。...まあ、かな姉は不思議そうにしてたけど。

 

音「えっと...ミクはどこかな」

 

相変わらずここには何も無い。灰色のセカイに、所々オブジェクトがある。それだけだ。そんなセカイの中を少し歩くと、ミクが糸を使っていた。...ん?あれは...。

 

音「ミクと...瑞希?」

瑞希「あ、音!やっほー!」

ミク「...!音、いらっしゃい」

 

心做しかミクが嬉しそうにこちらを向く。手を振ってきた瑞希に手を振り返し、ミクの隣に座る。

 

音「これは...何してるの?」

瑞希「あやとりだよ〜。ほら、こうやって糸を絡めて色んな形を作るの。ミクが暇そうにしてるから、こうやって色んなことを教えてあげてるんだ!」

ミク「あやとり、楽しい...音もやる?」

音「んー、私はいいかな。今日はミクに会いに来ただけだし」

 

あやとり...どんなのかはよく分からないけど、なんだか難しそう。私はミクがあやとりをしている姿を見る。...すごい。確かに、段々形が出来ていく。これは...ほうき?って名前だったかな。確か、掃除の時に使う道具だよね。

 

瑞希「さてと、ボクの気分転換はもうすんだし...そろそろお暇しよっかな?」

音「おいとま......あ、瑞希もう行っちゃうの?」

瑞希「うん。音もミクになにか用があるんでしょ?だったらボクが邪魔しちゃうのも悪いし。せっかくだから音ともお話したいけどね〜。ま、それはまたナイトコードで、ってことで!」

音「...うん、分かった。...あ、ナイトコード入れないと...」

瑞希「ほんとだよ〜!奏の通話に時々参加するくらいでちっともニーゴに顔出してくれないし!ちゃんとインストールしといてよ!」

音「わ、わかった...瑞希、ばいばい」

ミク「瑞希、またね」

瑞希「うん、まったねー!」

 

そう言い元気に手を振って瑞希は去っていった。...元気だなあ。別に瑞希がいてもよかったんだけど...気を使ってくれた、のかな。そうだったらありがたいけど。

 

ミク「えっと...わたしになにか、用?」

音「あ、うん。学校に復学する時に自己紹介をするらしくて。だからそれの練習に付き合って欲しいんだ」

ミク「じこ、しょうかい?」

音「あー...えっとね、まだ私と会ったことない人たちは私がどんな人か知らないでしょ?だから私が自分のことを紹介して、みんなと仲良くなろう...って感じかな」

ミク「そう、なんだ...わかった、わたしでよければ...」

 

それからミクに自己紹介文を聞いてもらい、拙いながらのアドバイスを受け。そうして過ごしているうちにニーゴの集合時間になった。私はセカイから帰ったあと、かな姉にナイトコードをインストールしてもらい、名前を決めた。名前は...。

 

奏『...“O”、大丈夫?』

音『...うん、多分。えーっと...Kって呼んだ方がいい?』

奏『慣れなかったらいつも通りでも大丈夫』

瑞希『あ、Oってもしかして音?!やっと入れたのかー、改めてよろしくねー!』

絵名『Kとおそろいって感じ?よろしく、O』

まふゆ『...よろしく』

音『うん、よろしく。そうだね、名前の由来は私の頭文字...かな』

 

...まあ、もう1つ理由はあるんだけど。こっちは話す必要も無いし、いっか。

 

音『...でも、私やることあるのかな』

奏『Oには、作り上げた作品の第三者視点からの感想が欲しいんだ。あと、作曲とか作詞とかのアドバイス、かな』

瑞希『おー!O、やることいっぱいだねー!』

音『う...でもかな姉、私作詞も作曲もそんなにできる自信ないよ?』

奏『あくまでアドバイスだから、補助...助手って感じかな。それでもいい?』

音『う、うん...頑張ってみる』

 

私の役割も決まったので、みんなは各々の作業を始める。と言っても私はみんなからの指示待ちなので、特に何もしない。...何しようかな。寝ちゃいそうだなあ...。そんなことを思う間にも、夜は更けていった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───数日後。

 

...ようやくだ。今日は待ちに待った...という訳でもないけど、復学の日だ。大丈夫、自己紹介は練習したし、まふゆに高校一年生の勉強も少し教わったし...。そんなわけで私は少し前に届いた制服に着替える。...セーター?ってやつもほんとはつけてもらう予定だったんだけど、それは私が遠慮した。流石にそこまで負担をかける訳にはいかないから...。というわけで、セーター代わりにかな姉のジャージを借りる。ちなみに許可は取ってある。喜んで...というのもおかしな表現だけど、快く貸してくれた。

 

奏「音、もう行くの?」

音「うん。行ってくるね、かな姉」

奏「行ってらっしゃい、音。頑張って」

 

かな姉からの応援を貰ったところで、私は外に出て一旦スマホを確認する。私一人じゃ不安だから...ということで、まふゆと一緒に登校することになったのだ。なので私はまふゆとの集合場所を確認する。...うん、大丈夫そうかな。

 

音「...それにしても、空がきれいだな...この街は景観もいいし...綺麗」

 

周りの景色や空の青さに感動しながら歩を進める。もしかしたら私は、こういう自然の景色を見ることが好きなのかもしれない。そんなことを考えていると、あっという間に集合場所についたようで、まふゆが手招きしてくた。

 

まふゆ「...おはよう、音」

音「うん、おはようまふゆ。...どう、かな」

まふゆ「...よくわからないけど、いいんじゃないかな。音って感じがして」

音「私って感じ...?うーん...まあいいか。行こう、まふゆ」

まふゆ「うん」

 

それからはまふゆに案内してもらい、学校に着いた。...一緒に歩いてただけなのに、なんか楽しかったな。まふゆ、すごい。職員室まで着いてきてもらい、まふゆに感謝する。

 

音「ありがとう、まふゆ。じゃあ、またね」

まふゆ「...うん。昼にはまたそっちに行くから」

 

...え?そうなのか...初知り、なんだけど。そういうことはナイトコードで言ってくれたらよかったのに...。なんて1人で思いながら深呼吸をする。...先生は当然、大人だ。でも決して取り乱さないように...先生とは長い付き合いになるかもしれないし。...よし。入ろう。

 

 

音「...失礼します。今日復学してきた、宵崎音です...先生は、いらっしゃいますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...と。無事に先生と対面できた私は今、“1ーB”と書かれた教室の前にいる。なんでも、朝のSHR...という時間に紹介するので、呼ばれるまで待ってて欲しい、とのこと。...緊張するなあ。深呼吸、深呼吸...。

 

「それじゃあ、入ってきてください!」

 

あ、呼ばれた...。よし、行こう。覚悟を決めた私はガラガラ、と扉を開ける。そして大きめの机の横にいる先生の隣に並び、改めて生徒たちの方を見る。...うぅ、すごい注目を集めてるなあ...。

 

 

「じゃあ、名前と自己紹介をどうぞ」

 

音「...はい。宵崎音です。みんな、これからよろしく......」

 

??「えっ...?!」

??「あー!!」

 

私が次の言葉を発しようとした瞬間。2人の生徒が、立って私の方を見る。...あれ、は?

 

 

 

 

 

 

穂波・えむ「「音ちゃん...(だー!)?!」」

 





はい、ということで。いかがでしたでしょうか。
何とか復学、出来ましたね...。展開が少し急かもしれませんが...そこは申し訳ないです。
あと地味に、伏線的要素?もあります。多分。


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復学の行方は

おはこんばんにちは、あっとマークです。
今回は学校でのお話になるので、ニーゴメンバーはまふゆちゃんしか出てきません。穂波ちゃんとえむちゃんは、この後どうするのでしょう。それでは、どうぞ。






音視点

 

...穂波と、だれだろう。ピンク色の髪で、少し外ハネしたボブ。見ているとかな姉や穂波と会った時と同じ感じがした。...ということはこの人もまた、昔の知り合い...なのだろうか。

 

「望月さん、鳳さん、知り合いですか?...とりあえず、座ってくださいね」

 

穂波「あっ...!す、すみませんっ!えむちゃん、座ろう?」

えむ「え〜?むむ〜...はーい!」

 

...どうやらピンク髪の子は鳳えむと言うらしい。私が続きの自己紹介をすませると、私の隣にいた女性教師は少し微笑んでからまた表情をなおし、ピンク髪の子の隣の席...窓側の席を指さした。

 

「じゃあ宵崎さん...あそこの席でいいかしら?」

 

音「あ、はい...。分かりました」

えむ「音ちゃん音ちゃん!またこれからよろしくね〜!!」

音「あ、うん...よろしく、えむ」

 

えむはキラキラと目を輝かせながら、眩しすぎる笑顔でこちらを見る。...ほんとにこんな子と知り合いだったのかな、私。なんとも怪しいところだが...まあいいか。そうして私は、初めての授業を受けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──休み時間。

 

どうやら授業と授業の間には休み時間、といわれる10分間の休憩があるらしい。何をしようかと考えていると、前の休み時間どこかに行っていた穂波から声がかかった。

 

穂波「お、音ちゃん!ちょっといいかな...?」

音「ん?どうしたの、穂波」

穂波「あのね、音ちゃんが帰ってきたってこと、みんなに伝えたいんだ。ついてきて、くれる?」

音「...?わかった」

 

みんな...ってだれだろう。穂波の感じからして、同じ幼なじみの子達...なのかな?と、そんなことを考えていると穂波に手招きされる。どうやら今から行くようだ。...なんだか心做しか他のクラスの人からの目線が怖いけど、私何かしたかな...。復学した生徒がそんなに珍しいのだろうか。...多分珍しいな。...ん?後ろから人の気配が...私の歩に合わせて後ろを歩いてる感じかな、これは。

 

穂波「えっと...さっきみんなに声をかけたからここら辺にいるはず、なんだけど...」

音「...穂波、私の後ろにいるのは誰?」

穂波「...えっ?」

咲希「えー?!ば、バレちゃった!」

一歌「もう、咲希ってば。だからやめようって言ったのに...っていうかこの声...」

志歩「...それ、私も思った。もしかしてその子、音?」

 

私は名前を呼ばれて振り返る。...3人もいる。私の後ろにいた気配はむむむ...という感じで悔しそうにしてる金髪のゆるふわツインテールの子...多分咲希って子だろうけど、他の子は...?

 

穂波「うん、音ちゃんだよ。今日B組に来るって噂になってた子がいたでしょ?それが音ちゃんだったから、みんなに伝えたくって...」

咲希「えっ?!ほんとにおっちゃんなのー?!おっちゃん久しぶりー!」

一歌「ほ、ほんとに音なんだ...志歩、合ってたみたいだよ」

志歩「うん。一歌も気づいてたみたいだけど...気づいてなかったの、咲希だけじゃない?」

咲希「え、えー?!そ、そうなの?!」

 

...向こうが勝手に盛りあがっている。多分みんなが呼んでいるのから考えるに、金髪ゆるふわツインテールの子はさっき言った通り咲希だろう。そしてこの黒髪ロングの子は...一歌、だろうか。となると消去法で銀髪ショートの子は志歩か...。

 

音「えっと、みんな。久しぶり...?」

咲希「おっちゃんおっちゃん!あたし達、今バンドやってるんだよ!」

一歌「うん。Leo/needっていう名前で色々曲を歌ったり弾いたりしてるんだ」

音「へぇ...」

 

バンド...が何かは分からないけど、一歌の説明からして曲を歌ったり弾いたりして魅せるパフォーマンスの1つ...かな?多分。

 

穂波「あ、みんな。そろそろ時間になるかも...」

一歌「ほんとだ。もっと話してたいけど、それはまた今度だね」

咲希「うう〜...おっちゃん、いつでもC組に遊びにきていいからね!」

志歩「...気が向いたらAにもね」

音「う、うん。覚えとく...」

 

なんか、情報量が多いな...。えっと、一歌に咲希に志歩...みんな幼なじみで、A組とC組にいる...。隣の教室どうしだし、行こうと思えばいつでも行けそうだな。なんて思いながら、穂波とB組に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───昼休み。

あの後休み時間が1回あったため、志歩のクラス...A組をちょっと覗いてみた。志歩は一匹狼ってやつ、なのかな。1人で窓の方を覗いてたけど...あ、でも志歩に話しかけてる子もいたな。茶髪の子と蒸栗色の髪のツインテールの子...。2人とも小動物みたいだった...。

 

えむ「音ちゃん音ちゃん!一緒にご飯食べよー?!」

音「ご飯...?」

えむ「うん!お弁当持ってきてる〜?」

 

お弁当...ご飯...お昼って必ずご飯食べるものなのか...。かな姉はいつも決まった時間に食べてなかったからなぁ。うーん、少しお腹は空いてるけど別に食事が必要かって言われたらそうでも無いし...。どうしようかと考えていたら見慣れた紫髪の女の子が扉から顔を出した。なんか1年生がキャーキャー言ってる...。

 

まふゆ「ごめんね。音、いるかな?」

音「...まふゆ?なんでここに?」

まふゆ「あ、いたいた。もう、不思議そうな顔しないでよ。お昼そっちに行くねって言ったでしょ?」

 

...そういえばそうだったような気もする。よく見るとまふゆの手にはえむと同じようなお弁当らしきものがある。誰かとお昼ご飯食べるのかな。...ん?なんだかえむが怯えてるような...気のせいかな。

 

まふゆ「それじゃあ音、行こう?」

音「あ、うん。またねえむ」

えむ「う、うんっ!ま、ままっ、またね、音ちゃん!あ、ああ朝比奈先輩も!!」

まふゆ「うん、またね鳳さん」

 

...やっぱり怯えてるよなぁ。まふゆの本性に気づいてるとか?それだったら有り得るよなあ...なんて考えていると、まふゆは中庭についたところでベンチに座り、手招きをしてくる。...座れということだろうか。

 

まふゆ「音、ちゃんとお弁当持ってきた?」

音「お弁当って何...?ごはん、なのは何となくわかるけど...」

まふゆ「やっぱり持ってきてなかったんだ。もう、仕方ないなあ。音や奏がお弁当を作れるとは思わないし...」

 

そう言ってまふゆは自分のお弁当を開ける。美味しそうなお弁当だ。そんなことを思いながらまふゆのお弁当を見ていると、まふゆは1度微笑み、卵焼きを箸で掴むと私の口元まで持ってくる。

 

まふゆ「はい、音。あーん」

音「...くれるの?」

まふゆ「うん。音、お弁当持ってきてないんでしょ?それにあんなに見られたらね」

音「...そんなに見てたかな。...んむっ...あ、美味しい...!」

 

私は思わず笑顔になる。卵焼き、美味しい...まふゆ、料理上手だなぁ。え?そのソーセージもくれるの?やったぁ。んむ...美味しい...。まふゆのお弁当は彩り豊かで見た目も美味しそうだ。うん、美味しい。

 

まふゆ「ふふ、音なんだか小動物みたい」

音「む、それかな姉にも言われた...」

まふゆ「そうなの?でも褒め言葉だと思うよ、ふふ」

音「...ほんとに...?」

 

...まあそれが事実かはさておき、ほんとに美味しい。さっきから卵焼きとソーセージ以外にも与えられてるけど、全部美味しい。なんで自分で食べさせてくれないのかは分からないけど...。まあ美味しいからいっか。

 

音「...そういえば、まふゆは食べないの?まふゆのお弁当なのに」

まふゆ「ああ...私は味、わからないから。それだったら音に食べてもらう方がいいでしょ?」

音「えぇ...?せっかく作ったのに、たべないの?食べなかったら倒れちゃうよー?」

まふゆ「...わかった、食べるよ」

 

しぶしぶ、と言ったような感じで食べ始めるまふゆ。...そういえば、いまは周りに人がいないのにこっちの優等生モードなんだなあ。そんなことを思っていると、どこからか視線を感じた。

 

音「...?」

まふゆ「音?周りを見渡して、どうかしたの?」

音「...いや、なんでもない」

 

 

かかえる違和感を胸に留め、まふゆとの昼食の時間を終えるのだった。

 




はい、ということで。いかがでしたでしょうか。

関係ないんですけど、そろそろ音ちゃんの自己紹介を書きたいな、なんて。でも今更自己紹介で1話埋めていいものか...。
そんなことよりもっと投稿ペースあげろって話ですよね。頑張ります。


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異変の予兆


おはこんばんにちは、あっとマークです!
最近リアルが忙しくなってるので更新ペースがさらに遅くなるかもです...すみません...!

今回は音ちゃんの“新たな一面”が見れるかも?


音視点

 

まふゆとの昼食を終え教室へ戻ると、クラスメイトと思われる子数人が私の席へ向かってくる。...私、何かしたのだろうか。

 

「ねえ、宵崎さん」

 

音「は、はい...?」

 

「そ、その...朝比奈先輩とはどういう関係なの?!」

 

...は?朝比奈先輩...ってまふゆか。まふゆとどんな関係かってこと?

 

音「えっと...まふゆとは幼なじみ、だけど...」

 

「お、幼なじみ..羨ましい....」

「というか、朝比奈先輩と宵崎さんの昼食のツーショット!!あれマジで羨ましかった〜!」

「思った。あれはずるい〜」

 

えっ、と...?どうやら聞いたところ、この人たちは弓道部に所属していて、まふゆの後輩にあたるらしい。そしてさっきの昼食を覗いていたとのこと。...なるほど。視線の正体はこの人達だったのか。まふゆがあっちのモードだったのも納得かな...。

 

音「あ、えっと...私の事は、音でいい。まふゆにもそう呼ばれてるし...」

 

「分かった!じゃあ音ちゃん!この飴ちゃんをあげよう!」

 

音「...?いいの?」

 

「うん!勝手に見ちゃったし、何より食べる姿が可愛かったので!」

「...でも!朝比奈先輩とのこと、まだ認めたわけじゃないからね!!」

「そういうわけで。よかったら弓道部に見学来てね」

 

音「認める...?...行っちゃった」

 

認めるって何をだろう...まふゆとの関係...?それにしても...。

 

音「朝日奈先輩、か」

 

...私もまふゆ先輩って言った方がいいのかな。そんなバカげたことを思いながら、午後の授業の準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───放課後。

私はえむに頼んで弓道部が練習しているという弓道場に案内してもらった。えむも見たい!と言っていたがまふゆがいるよ?と言うと青ざめて案内だけにする...と言ったので少し笑ってしまった。

 

えむ「音ちゃん、ここだよ!」

音「うん、ありがとうえむ」

 

私はえむに手をふると、改めて弓道場に向き直す。...でかいなぁ。やっぱりお嬢様高校だからかな...そんなことを思いながら扉に手をかける。失礼します、と小声で言ってから入ると、ちょうどまふゆが矢を射るところだった。

 

音「......綺麗」

 

「あ、音ちゃん!今、朝比奈先輩が矢を射るところだからしーっ、だよ...」

 

 

そう言われて思わず口に手を当てる。まふゆが射た矢は的の方へ吸い付くように飛び、見事に的中した。

 

音「おぉ...すごい...」

まふゆ「...音?なんでここに...」

 

まふゆがこっちに気がついたようで、歩いて近づいてくる。

 

 

「あ、朝比奈先輩!実は今日、音ちゃんによかったら弓道部見学してねって言ってて...」

 

まふゆ「ふふ、そうなんだ。音、よかったら弓をひいてみる?」

音「え...なんか難しそう...」

まふゆ「そんなことないよ、音ならできるよ。よかったら教えて───」

 

「...朝比奈さん?何をしているの?」

 

 

そう、先生...いや、この場合は顧問だっけ。そう思われる人がまふゆに声をかける。驚きと恐怖で私は思わずまふゆの後ろに隠れてしまう。どうやら顧問の人は私の存在に気づいたようで、声をかけてきた。

 

 

「その子は確か...今日復学してきたっていう。こんにちは、なんの用かしら?」

 

音「えっと...部活、けん、がく...です」

まふゆ「どうやらクラスの子に誘われたようで、部活見学に来たようなんです」

 

「なるほど...でもうちはもうすぐ大会で、あんまり練習の時間を割くことは出来ないの。あなたが弓道部に入るつもりならまた別なのだけれど...」

 

まふゆ「...よかったら私が教えますよ。音とは知り合いですし」

 

「でも...朝比奈さんはうちの主戦力でもあるし...そうね、2回くらいならいいかしら」

 

 

...2回。余程時間をかけたくないらしいが、なるべく部活見学にも協力してあげたいというところの妥協点だろうか。まあでも弓をひく許可をいただけたので、私は弓道衣を借りる。ちなみに1番小さいサイズらしい。...なんか不服だ。

 

音「まふゆ、こんな感じ...?」

まふゆ「うん、そんな感じで大丈夫だよ。後は弓のひき方かな。こうやって足を開いて、左手を弦にかけてから右手を整えて...うん、そんな感じ。この時に的を見てね。あとは弓構えの位置から両拳をあげて...そう、同じ位置。そうしたら左右均等に引っ張ってから、今だって時を待ってね」

 

音(お、重い......)

 

1回矢を射たが、雑念が混じっていたからか思うように引けず。...でも、今ので感覚は掴んだ。次はいける、気がする。

 

まふゆ「あ、そうだ。矢を射る時は無心になって、何も考えないといいんだって」

音「無心に、か...。うん、やってみる」

 

無心に...。そう思いながら私はさっきの手順を思い出し、矢を射る体勢になる。

 

 

 

無心に...無心に......『無心?』

 

 

 

 

 

『それなら────────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──わたし(・・・)の得意分野じゃないか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───スパンッ...。

気がつくと、そんな音が聞こえた。どうやら矢が的に当たったらしい。まふゆも、顧問の先生も、クラスメイトも。みんな驚いたような表情をしていた。

 

 

「2回目で当てるなんて...しかも、ど真ん中?!」

 

「うっそ...だって、初めてなんでしょ...?!」

 

まふゆ「す、すごいね音...直前まで目を瞑ってたのに、的に的確に当てれるなんて...」

音「...あれ?私、目瞑ってた?」

 

...どうにも無意識だったのかな。あんまり弓をひいていた時の感覚がないけど。...あ、そうだ。2回まで、だよね。

 

音「じゃあ、弓道衣脱いでくるね」

まふゆ「あ、うん...。もう帰るの?」

音「うん。...あ、そうだ」

まふゆ「...?どうしたの、音」

音「──ありがと、まふゆ先輩(・・)

 

私は初めてまふゆに先輩と呼び、そのまま弓道衣を脱ぎにいった。...驚いた顔してたな。ふふ、ああいうの、鳩が豆鉄砲をくらったような顔...って言うんだっけ。...まふゆのああいう顔、貴重だからなんか新鮮かも。そんなことを思い、後ろからの顧問の先生の声を耳に残したまま、帰路について行った...が。

 

音「...あ、そうだ。せっかくだし、校内じゃないところも探索してみようかな」

 

そう言って自分が方向音痴なことも忘れ、校庭を探索していった。...まあ当然というか、なんというか。

 

音「...ここ、どこだろう」

 

学校内であるにも関わらず迷う始末である。...ん?あれは...うさぎ?私は小屋の近くに行き、しゃがんでうさぎのことをよく見る。よく見たら他の動物もいるみたい。

 

音「...うさぎ、かわいい。まふゆみたい」

???「あれっ?誰かいるよー?」

???「えっと...あの、飼育小屋に何か用、ですか...?」

 

そう、控えめな声と元気な声が後ろから聞こえる。咄嗟に後ろをむくと、そこには休み時間に見た茶髪の子と粟栗色のツインテールの子が立っていた。...飼育小屋、ということは。この子達は飼育委員だろうか。

 

音「あ、ごめん。えっと...」

みのり「あっ、私は花里みのりだよ!」

こはね「あ、小豆沢こはねです。確か、今日復学してきたっていう子だよね...?」

音「うん、宵崎音。よろしく、こはね」

 

私はここに行き着いた経緯を説明し、正門まで案内してもらった。...どうやら反対側だったらしいが、気にしないでおこう。案内してもらいながら、私は2人の話を聞く。

 

みのり「でねでね!遥ちゃんがね、すっごくカッコ可愛いかったの!!」

こはね「杏ちゃんもすごくかっこよかったな。この前カフェで私のこと助けてくれたんだ」

音「へぇ...どっちもすごいいい人、なんだね」

こはね「うん、そうだよ!よかったら音ちゃんにも会ってもらいたいなぁ...」

みのり「うんうん!あ、もうついちゃうね?じゃあね、音ちゃん!」

音「うん、ばいばい2人とも」

 

 

こうして私は、ようやく帰路へと着いたのだった。...これから始まるんだ、私の学園生活。なんだかわくわくするな...そう感じていると、あっという間に家に着いた。

 

音「ただいま...」

奏「音?!おかえり...!」

音「うおっ...?かな姉、どうしたの?いきなり抱きついてくるなんて...」

奏「あ、いや、ううん...な、なんでもない」

 

何かあったのかな...?そう思い、何となく頭を撫でる。かな姉は少し驚きながらも撫でられてくれた。...あとでナイトコードにログインしてみよう。そう思い、自室へと戻ったのであった。





はい、ということで。いかがでしたでしょうか。
一人称にはこだわってます。その観点から見ていただけると、何かわかるかも?
次回あたりからイベストの方にも入っていきたいと思ってます!!


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