ある日皆の記憶から魔理沙が消えた (BORIN)
しおりを挟む

第1話  いつもの日常

 私の文才力は、-53万です。


 私は今の平和な日常が突然に崩れ去るなんて思ってもいなかった。あの頃の記憶は今も鮮明に覚えている。私だけが。

 

…魔理沙、貴女は今どこにいるの?

 

 

 半年前 ~8月23日 AM 7:26~

 

 

 

 今日の幻想郷はいつもより一段と暑い。目が覚めて真っ先に頭に浮かんだ言葉がそれだ。着ていた寝巻きが汗でびっしょりになっている。

 

 (体がベトベトね…水浴びでもしに行こうかしら)

 

 私は夏が嫌いだ。起きたら体が汗だくになっているし、暑さのせいでやる気が出ない。早く秋になってくれとつくづく思う。

 夏に対する不満を口に出しながら水浴びをしに行く。着替えと、洗濯をする道具を持って。

 水浴びが終わった後には着ていた寝巻きを洗う。流石の私でも寝巻きを洗うことにめんどくさいとは思わない。

 

 寝巻きを洗い終え、神社の裏に干し、そのあとに朝食を作る。いつものようにご飯を食べ、境内の掃除をし、幻想郷の見回りをする。

 

(うん、今日も異常なし。早く帰って冷たいものを飲みたいわね)

 

 

 私は少し飛ぶスピードを上げ、博麗神社に帰った。

 博麗神社に到着した私は台所に行き、コップ二つと紫に無理を言って用意してもらった冷蔵庫から氷を取り出しコップに入れ、麦茶を持って居間に向う。

 居間に到着すると、そこにはいつも来ている魔理沙の姿があった。

 

 「よう霊夢!今日も来てやったぜ!」

 「あら魔理沙、いらっしゃい。そろそろ来ると思って麦茶を用意してるわ一緒に飲みましょう。」

 「さすが霊夢だぜ!気が利くなぁ!今日は暑いから助かるぜ!」

 

 魔理沙は最近、私が幻想郷の見回りを終える時間に合わせて毎日神社に来て、一緒にお昼ご飯を食べて雑談をし、夕方には帰っていく。それが私の日課になっていた。

 

 「なぁ霊夢聞いてくれよ!今朝アリスが家に来てさ、『…ねぇ魔理沙、いい加減本当の魔法使いになるつもりはない?』だとさ!私は今のままで満足してるのにさ!」

 「ふぅ~ん…アリスが珍しいこと聞くわね」

 「だろ?私もそう思ったんで理由を聞いてみたんだよ。そしたら何て答えたと思う?『今貴女に聞かないとこの先ずっと後悔する…そう思ったからよ』って言ったんだぜ?」 

 「うーん、後悔かぁ…よくわからないわね…」

 

 私がアリスの言った『後悔』について考えていると、先ほどまで笑顔だった魔理沙が少し真剣な顔をして

 

 「霊夢…ちょっといいか?」

 「何よ改まって…」

 「実はな、最近怖い夢を見るんだ。」

 「怖い夢?」

 「あぁ、内容は全部私が死ぬ夢なんだ。しかもいろんな死に方をするんだよ…」

 「でも自分が死ぬ夢って目標が達成できた李、金運が上がったりする前触れって聞いたことあるわよ?」

 「そうなんだが、夢をみるたび死に方がリアルになっていって、何となく嫌な予感がするんだ…」

 「そうねぇ…まぁ何もないとは思うけど、不安なら今日は泊っていく?」

 「いいのか?じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうぜ」

 

 今日は魔理沙が泊まることとなった。夢の件で不安になっているのに一人にはできないだろう。私だって魔理沙の立場だったら一緒にいたい。不安だから。もし、原因が妖怪だったら、退治すればいいだろう。そんなことを考えながら夕方になるまで私と魔理沙は雑談をしていた。

 

 

 

 そろそろ日が落ちてきている。ついお昼ご飯を食べるのも忘れて話し込んでしまった。そのせいでお腹がペコペコである。それは魔理沙も同じみたいで、魔理沙のお腹の方から音が聞こえてきた。私は魔理沙の方を笑いながら見て口を開く。

 

 「ふふ、そろそろいい時間だし夕ご飯にしましょうか。」

 「お、おう、そうだな!正直今のは恥ずかしいぜ…」

 「大丈夫、お腹は鳴るものよ。気にしないわ。それより、お風呂どうする?人里の銭湯に行くってのもあるけど、魔理沙の魔法でお湯って出せたわよね?」

 「あぁ、もちろんだぜ。つまり私は霊夢が料理を作っている間にお風呂を沸かせばいいんだな!」

 「話が早くて助かるわ。じゃあ、そっちは頼んだわよ」

 「おう!任せてくれ!」

 

 

 

 魔理沙とご飯を食べ、お風呂に入り、後は布団を敷いて寝るだけとなったタイミングで魔理沙が思い出したかのようにこっちを見ながら喋り始めた。

 

 「忘れてた!今日は新魔法の花火を見せようと思ってたんだ!今からその魔法を発動させるから、一緒に外に出ようぜ!ちなみにこの魔法を見せるのは霊夢が初めてだぜ!」

 「花火?これまた夏っぽいわね。いいわ、いきましょうか」

 

 魔理沙の花火という発言で内心ワクワクしながら外に向かう。花火はなかなか見る機会がなく、年に一回程度しか見れないためなかなか楽しみである。

 

 神社の裏についた私は魔理沙が指定した位置に立ち、魔理沙が魔法を発動させるのを待っていた。

 

 「じゃあいくぜ?刮目せよ!これが私の新魔法だぜ!」

 

 魔理沙が空に手を掲げ、魔法を発動させる。その直後に魔理沙の背後から音とともに花火が上がり、空には綺麗な星形の打ち上げ花火が上がった。魔理沙の花火は時間にしたらおよそ5分くらいではあったが、その間に百発くらいの花火が上がっていた。

 

「うわぁ、すごく綺麗…」

「だろ?何て言ったって私の自信作だからな!しかも花火は魔法なのでゴミもでない!エコだろ?…まぁ流石に百発分の花火ともなると魔力の消費がデカすぎてもう魔力はほぼカラだけどな」

 

 

 正直ここまで凄いとは思っていなかった。せいぜいお店に売ってあるレベルかと思っていたので衝撃を受けている。近頃魔理沙の魔法はどんどんすごくなっているのを実感できる。特に人を楽しませる方には力を注いでる気がする。そのおかげで魔理沙の新魔法を見るのは最近の楽しみでもある。ただこれだけは言いたい。

 

「・・・百発は流石にやりすぎよ。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。