勝ちきれないトレーナーと勝負師ウマ娘 (レオパルト)
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8年目のある日、出会い

お久しぶり?です。レオパルトです。前作を書いた後、いろいろなウマ娘で書こうとしたのですが上手くいかず復帰作がナカヤマフェスタメインなのは自分でも意外です。正直、トレーナーの背景にネタ被りが怖くて設定考えるのが大変でした。


トレセン学園には約300名近いトレーナーがいる。しかし、重賞ウマ娘の担当、G1ウマ娘の担当ともなるとそうそういない。重賞ウマ娘の担当経験のあるトレーナーは3人に一人ほどだ。その中でもある新人トレーナーは担当ウマ娘をG1で勝たせられないことで有名だった。その新人トレーナーは今まで二人のウマ娘を担当した。一人目のウマ娘は気性難で有名だったが、彼が担当した間にG1に19回挑戦し、何度も入着を繰り返す実力の持ち主だった。そして彼は一人目のウマ娘が引退レースで海外の20回目の挑戦でG1を初めて制する直前に同期で出世した名家のトレーナーに託したことで初めてのG1制覇を逃した。二人目はクラシック戦線で善戦、特に日本ダービーで2着などシニア級になっても将来が期待されており、担当契約をして2年目の宝塚記念のレース後に二人目のウマ娘に契約解除を持ち出す。担当ウマ娘には引き留められるも一人目同様、名家のトレーナーに引き継いで貰う。その後、二人目のウマ娘は天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念を3連勝し秋シニア三冠を達成する。またしても彼は初G1制覇を逃す。これはそんなトレーナーが三人目のウマ娘と共にG1制覇を目指す物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年もこの時期が来たか……」

 

そう言ってトレーナー室の机に座る俺、辰巳駿佑(たつみしゅんすけ)は学園から配布された新入生の資料をみながらため息混じりに嘆く。

 

「正直、資料ってあんまりあてにならないことが多いからな……選抜レースを見るか」

 

そう思い、今年でようやく25歳になる俺は重い腰をあげて選抜レースを見るため、レース場に向かう。

 

「お、今年も来たのか、辰巳?」

 

レース場に着くと、そう言って話しかけて来るのは、俺より二つ上の先輩トレーナーの岩村さんだ。一人目の担当の時に新人で対策に困っていた俺に色々なことを教えてくれた先輩で毎年のようにこの時期にレース場であっている。

 

「今年で辰巳が高卒でトレセン学園にトレーナーとして配属されてもう八年目か」

 

「そうですね、相変わらずG1は勝ててないんですけどね」

 

「辰巳ももったいないことするよな。G1で入着を繰り返してたリョテイに加え二人目で後の秋シニア三冠ウマ娘のロブロイちゃんまで移籍させちゃうからなー」

 

「リョテイもロブロイも俺の担当から外れて初めてG1を勝ったので俺は関係ないですよ。俺の担当を経て他の担当になるとG1を勝ってるウマ娘が二人もいるんです。ウマ娘の中じゃ、俺のことを魔法のタレか何かって言われてますよ」

 

「ロブロイちゃん、秋天勝った時も秋シニア三冠達成した時もインタビューで泣いてたよ。前の担当の辰巳さんがここまで育ててくれたのに私は恩返しが出来なかった、って」

 

「言わないでくださいよ、そのことは。理事長に色々注意されたんですから」

 

「まあとにかく今年の担当は最後まで面倒みてやれよ。おっ、俺は気になる子を見つけたからスカウトしてくる」

 

そう言って岩村さんはレースを終え、スカウトを待つウマ娘のもとへ歩いていく。

 

「……最後まで、ね」

 

岩村さんに言われた言葉を思い出し、ぽつりと呟く。確かにインタビューでロブロイが泣いていたのは俺もテレビで見た。リョテイも泣きはしなかったが感謝していると言っていた。そんなことを思い出しながらボーッとレース場を眺めていると後ろから肩を叩かれる。

 

「なぁアンタが辰巳駿佑か?」

 

「おう、そうだが何か用か?」

 

「辰巳駿佑……辰巳でいいや。辰巳、私のトレーナーになってくれないか?」

 

そう言ってきたのは飴を咥え、ニット帽を被り、ゼッケンをつけたウマ娘だった。当時のスカウトしたばかりのリョテイとまではいかなくても、気性難な雰囲気が感じられる。ここ、トレセン学園では気性難のウマ娘は気性難である故にトレーナーからのスカウトは少なく、逆にウマ娘側から逆指名され担当契約に至ることが多い。目の前にいるウマ娘も恐らくそのうちの一人だろう。

 

「どうして俺なんだ?」

 

「私の先輩に言われてな、辰巳トレーナーを勝たせてやってくれってな」




察しのいい方はもうお気づきでしょうが一人目はステイゴールドことキンイロリョテイさん、二人目は個人的にライスより好きなゼンノロブロイです。二人の登場は遅かれ早かれあると思います。質問ですが25歳って若手なんでしょうかね?もしかしたらみんな大好きゴルシでるかも?

感想は励みになりますのでどしどしお待ちしております。


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その名前、ナカヤマフェスタ

いやーナカヤマフェスタがとても推せる日々のこの頃。


「俺を勝たせてくれって、どういうことだ?」

 

「まだわからないのか?察しが悪いな辰巳は」

 

目の前のウマ娘は呆れた目をして呟く。

 

「私の言っている先輩は辰巳が初めて担当したウマ娘さ」

 

「何を言って……まさかリョテイの知り合いか?」

 

「そうさ、私の名前はナカヤマフェスタ。一度くらい先輩から聞いたことないか?」

 

「聞いたことはあるが……それがどうして俺がフェスタの担当になることと関係があるんだ?」

 

そう言うと再びフェスタは呆れたように溜息をつき言葉を発した。

 

「辰巳、アンタはG1を勝ったことが一度もないんだってな」

 

「そうだ、ウマ娘の中じゃ有名な話じゃないか?」

 

「先輩は悔しがっていたさ。どうして私が辰巳トレーナーに恩返し出来なかったんだって。二人目のウマ娘だってインタビューで泣いたそうじゃないか。そして先輩からデビュー前でトレーナーのいない私が頼まれたのさ。辰巳トレーナーを勝たせてくれって」

 

「そうか……」

 

「まぁあたしでG1をとれるかどうかは自分の目で確かめてくれたらいいさ。でも私は辰巳にヒリヒリとした勝負の世界を見せてやれると思ってる。それじゃそろそろレースだから私は行かせてもらうよ」

 

そう言ってナカヤマフェスタはレース場のスタート地点に向かっていく。その後ろ姿を見てぽつりと呟く。

 

「勝負の世界か……」

 

しばらくしてナカヤマフェスタが出走するレースが始まり、ゲートが開く。そこからの記憶は余り覚えていない。ただ覚えているのはナカヤマフェスタが勝利したことだけだ。しかし、そこで俺は何かを見つけた気がした。だが、それは何か分からない。

 

「どうだった?私ならG1を勝てそうか?」

 

ボーッとしている俺に向かってナカヤマフェスタは飄々と話しかけてくる。

 

「あぁ、ナカヤマフェスタ、君が言った言葉の意味を理解したよ。確かに君の言う勝負の世界は面白いな」

 

「お気に召したようなら十分だ。どうだ?私と組む気になったか?」

 

「おう、フェスタ、君を最強の勝負師にする、約束する!」

 

そう言って俺は右手を差し出す。

 

「私もアンタをG1ウマ娘の担当にしてやるよ、辰巳」

 

そう言ってナカヤマフェスタは俺の右手を取る。

 

「契約成立だな」

 

「あぁ、よろしく頼む」

 

その後、俺は契約書類をナカヤマフェスタに渡すため、トレーナー室に向かっていると、途中ですれ違うウマ娘のボソボソと話す声が聞こえる。

 

「あのトレーナー、ナカヤマフェスタと組んだんだ」

 

「あのトレーナーって確か、辰巳って言うG1勝てないことで有名なトレーナーだよね?」

 

「そうそう、あのトレーナーの担当から移籍すればG1を勝てるって噂、聞いたことある」

 

陰口に近いこと言われながら俺は思わず噂話をするウマ娘から目を逸らす。ナカヤマフェスタはそんな俺を見てなにかを察している様子だった。

 

「ここが俺のトレーナー室だよ。他の同期に比べたらトロフィーとかは少ないけどな」

 

自嘲気味にナカヤマフェスタを部屋に案内する。そして契約書類を渡すとナカヤマフェスタは何かを思いついたように言葉を発した。

 

「なぁ、辰巳。私と賭けをしないか?」

 

「賭け?……どういうことだ?」

 

するとナカヤマフェスタは今まで一番楽しそうな笑顔でこう言った。

 

「辰巳はきっと自分が不甲斐ないから今まで二人は勝てなかった。そう思ってるんだろ?」

 

「違うのか?」

 

「私は先輩から私がG1を勝つことで辰巳をG1ウマ娘の担当トレーナーにすることを託された。だけど、辰巳の腕なら私がG1を勝つのは時間の問題だ。辰巳、アンタは言ったよな。勝負の世界は面白いってな。ならもっとひりつく戦場に私は辰巳と行きたい」

 

「もっとひりつく戦場って具体的にどこだよ?」

 

「そうだな……海外、いや」

 

ナカヤマフェスタはしばらく考え込むフリをしてさっきの笑顔を上回るいい面構えで言った。

 

「凱旋門賞だ!」




元担当ウマ娘の二人はまだでした、すいません。要望とか指摘とかありましたらどしどしお待ちしております。


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元担当、ゼンノロブロイ

やる気あるうちってやっぱりスラスラ書けるね。


ナカヤマフェスタは俺をG1ウマ娘の担当トレーナーにしてくれるだけでなく、俺と共に凱旋門賞を目指すと言ってくれた。

 

「凱旋門賞か……」

 

「凱旋門賞がどうかしたんですか?」

 

ボーッとしている俺は今、前に担当していたゼンノロブロイと共に食堂にいる。

 

「なぁ、ロブロイ。ロブロイは俺が凱旋門賞に行こうと言っていたら走ってくれたか?」

 

「走りますよ。できるなら今だって私は辰巳さんのトレーニングを受けたいんですから」

 

「そうか。ありがとな」

 

「新しい担当さんと何かあったんですか?」

 

上の空の俺の反応を見て不思議がるロブロイが心配そうな様子で尋ねてくる。

 

「……!?どうして俺が新しく担当になったこと、知ってるんだ?」

 

「岩村さんから教えていただきました。ナカヤマフェスタさんと契約したんですよね」

 

「そういう事か……フェスタは俺と凱旋門賞に行きたいって言ってくれたんだ」

 

「そうですか……私の時もリョテイ先輩の時もこんなこと考えられなかったですからね。私、リョテイ先輩に聞いたんです、ナカヤマフェスタさんってどのくらい強いんですかって。そしたらなんて返ってきたか分かりますか?」

 

「なんて返ってきたんだ?」

 

するとロブロイは少し寂しそうに言葉を発した。

 

「全盛期の私より強いって、リョテイ先輩は言ってました」

 

「ロブロイより?本当か?」

 

ナカヤマフェスタは確かに同期の中では実力者の一人だろう。だがダントツで一位と言われると微妙だ。しかし、ロブロイより上と言うことは少なくとも秋シニア三冠は可能だと言うことになる。もしかすると本当に凱旋門賞に出走出来るかもしれない。

 

「私も……彼女の潜在能力は凄いと思います。それこそ、私なんか比にならないほど……」

 

「ロブロイ……」

 

「でもリョテイ先輩が辰巳さんのためにナカヤマフェスタさんに頼んでくれたんですから今度こそ私やリョテイ先輩が一緒に出来なかったG1制覇してくださいね?」

 

「!……あぁ、分かったロブロイやリョテイに頼りっぱなしなのもトレーナー失格だからな。ロブロイやリョテイの分までフェスタと勝つつもりだ!飯が終わったから俺はトレーナー室に戻る。じゃあな、ロブロイ」

 

俺は席を立ち食堂を出て、ロブロイと別れようとするが、最後に一言添えようと思い、後ろを振り向きロブロイにエールを送る。

 

「今年のサマードリームトロフィー頑張れよ、秋シニア三冠ウマ娘!」

 

ロブロイは恥ずかしそうしながらも屈託のない笑顔で返事をしてきた。

 

「はい!」

 

ロブロイと食事終えてトレーナー室に向かうとトレーナー室の目の前で芦毛のウマ娘がリョテイとフェスタと一緒に談笑している。

 

「フェスタにリョテイ、来てたのか。今日はまだトレーニングが許可されていない日だからトレーニングはまだ先だぞ」

 

「おう辰巳か、久しぶりだな。元気にしてたか?」

 

俺が前に担当して丸くなったキンイロリョテイがトレーナー室に来るのはそこまで珍しくない。

 

「リョテイのおかげですこぶる元気だ、俺は。ところで君は……」

 

そう芦毛のウマ娘に尋ねると芦毛のウマ娘は一瞬でどこからともなく取り出した麻袋を被せてくる。

 

「!」

 

すると芦毛のウマ娘は高らかに宣言した。

 

「オヤジの婚約者、確保ー!」




次はキャラ設定&紹介でも書こうかな。ナカヤマフェスタって史実のG1勝利って多くないから改変して増やそうかな……ご意見お待ちしております。


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一悶着、チームスピカ

書き上げたけど違和感が拭えない。助けてクレメンス


俺は困惑していた。芦毛のウマ娘に拉致された挙句、多方面に波紋を呼ぶ発言を大声でしたからだ。しかしウマ娘のバ鹿力を舐めてはいけない。大の大人でもそう簡単に抵抗できる相手ではないのだ。そうして連行(拉致)された俺の視界が開けたのはどこかのチームの部室だった。首を回して辺りを見回すと、顔を真っ赤にして恥ずかしいのか怒ってるのかよく分からないリョテイと、頭を抱えため息をついているフェスタがいた。肝心の芦毛のウマ娘は見知らぬ、もう一人の芦毛のウマ娘に目を攻撃され悶えていた。

 

「どういうことだ?これは?」

 

「はぁ、すまない辰巳。ウチのゴルシがまた、気まぐれで行動してな。辰巳はそれの被害者になったんだ」

 

フェスタが説明であの芦毛のウマ娘がゴルシと呼ばれているのは分かった。だがそれ以外は未だに何一つ理解出来ない。するとまたもゴルシが復活し俺の前に立ち塞がる。

 

「おい、お前。名前知らないけど何の用だ?さっさと拘束を外して欲しいんだが」

 

「おいおい失礼過ぎるぜ、このゴールドシップ様が直々にスカウトしてやったんだからな、オヤジの婚約者さんよぉ!」

 

「なんの話だよ!というかオヤジって誰だよ!」

 

「お、知らないのか?チームスピカのトレーナーが今、不在だから知り合いのトレーナーからスカウトして来いってお達しだからな。後、オヤジはオヤジだろ?そこにいるし」

 

そのワードはどういう意味かようやく理解できた。オヤジとは恐らくリョテイのことだろう。リョテイの方を見ると更に顔を赤くし、目を逸らされる。そのままお互い硬直しているといつの間にかフェスタが拘束を解いていてくれた。そして部屋の扉が開くと拍子抜けする声で静寂が破られる。

 

「あれ?リョテイ先輩じゃないですか!」

 

「あ、ホントだー。気性難で有名だったリョテイ先輩じゃん。ていうかなんで辰巳トレーナーが一緒にいるのー?」

 

部屋に入ってきたのはスペシャルウィークとトウカイテイオーのようだった。と言うことはやはりここはチームスピカの部室のようだ。

 

「俺はゴールドシップに拉致されたらここだったから何も知らないに等しいが」

 

「おいおい、さっきも言ったじゃねーか!オヤジの婚約者になるって話をしてただろ!」

 

「そっちの話じゃねぇだろ!チームスピカのトレーナーが不在だからどうのこうのって話の方だよ!」

 

さっきの中々恥ずかしい事態の二の舞にならないように即座に話を戻す。しかしそれに反応してしまった者がいた。

 

「え!リョテイさんと辰巳さんって婚約されてるんですか?」

 

「そんな関係じゃない!」

 

グダグダし中々、本題にたどり着かないメンツに見かねて珍しくフェスタが口を開く。

 

「……お前ら、早く本題に入れよ。他人のトレーナー借りてんだから。先輩もいつまで恥ずかしがってるんですか?」

 

「……婚約……私の……婚約者……」

 

リョテイはかつての威勢はどこにいったのか、今はただの一人の乙女になっている。フェスタに関しては今日何回目か分からないため息を吐き続けていた。

 

「その件は私から説明致しますわ」

 

「すまないが君は誰だ?」

 

「私はメジロマックイーンですわ、以後お見知り置きを。では改めて、私達のチームスピカは今まで指導してきたトレーナーがつい先日、事故にあって大怪我でしばらく不在ですの。そこでトレーナーの知り合いにお願いしようとしたらしいのですが、端的に言えばゴールドシップの奇行のせいで全て断られたらしいんです。そうなると私たちで代理のトレーナーを探さなければならないのですの。そこで白羽の矢が立ったのが担当の居ない辰巳トレーナーあなたでしたの。少々、強引なのは謝罪しますわ。ですので私たちの指導を代理でお願いできますか?」

 

「……俺、担当いるけど」

 

「え?ホントですの?」

 

情報が間違って伝わっているのだろうか、メジロマックイーンは目をぱちくりとさせている。

 

「うんホント、ホント」

 

「ゴールドシップー!話が違うでは無いですの!」

 

「でもマックイーンどうするの?他にアテ無いし、このトレーナーで何とかするしかないんじゃないの?」

 

悩み始めてしまったスピカの面々を見て罪悪感を感じてしまう。しかし、ここで芯を通さないと凱旋門には届かないだろう。俺はフェスタ、一人に集中しなければならない。だが、目の前のスピカの面々を見るとやはり可哀想に感じてしまう。

 

「フェスタ、どうする?」

 

「……なぁ辰巳、私はあのメンツに勝てるか?」

 

「……分からないが、全員G1クラスの猛者だと思う。恐らく50パーセントぐらいか?」

 

「なら私は辰巳を信じる、その勝負に乗った!」

 

突然、フェスタが勝ち負けを気にし始めると、次の瞬間フェスタは驚愕の発言をしていた。

 

「なぁアンタら、私と勝負しないか?」




正直、こんな続くと思ってなかったから細かい展開考えてないから何とかせねば。

感想どしどしお待ちしております。


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ターフの勝負師、ナカヤマフェスタ

お久しぶりです(感覚麻痺)。中々、書くの大変だわこれは


あの後、ウォーミングアップをするため一旦解散となり俺は今、フェスタと共にコースの端で軽い作戦会議をしながらフェスタのウォーミングアップを見守っている。どうやら走る相手は現役最強ステイヤーとも言われるメジロマックイーンに決まったようだ。メジロマックイーンの最大の武器は高水準で纏まった総合力だろう。一方、フェスタの最大の武器はやはり圧倒的な勝負勘だ。一見、フェスタが格下に見えるが目に見える能力だけが全てではない。そのことを改めて確認するいい機会だろう。

 

「今回のレース、俺はフェスタとの間に深い関係はない。だから俺たちの武器はフェスタの勝負勘だけだ。だが、それは向こうも同じはずだ。向こうもトレーナーは不在だし、なによりも能力でゴリ押しするタイプだ。自分のペースで走り、自分のタイミングで仕掛ける、聞こえはいいがそれ以外は出来ない縛られた走り方だ。だが、フェスタには今まで勝負の世界で培ってきた勝負勘がある。相手の走りを崩すことが出来れば勝てると俺は思う」

 

フェスタは少し考えて満足そうにこちらを向く。

 

「どうしたフェスタ?お気に召さなかったか?」

 

「いや、やっぱ辰巳は完璧だ。これでG1勝てなきゃ後悔もするよ。先輩の気持ちが今ならよく分かる」

 

「そんなことはないと否定したいが、それはフェスタが勝ったら言わせてもらうぞ」

 

「そうだ辰巳、頼んでいた例のモノ分かるか?」

 

「それならさっきギャラリーから聞いておいた」

 

レース前にフェスタから少しギャラリーに軽く自分がフェスタのトレーナーである事を伏せて軽い予想調査を頼まれていた。

 

「それで辰巳、結果はどうだった?」

 

「向こうの勝利を予想するギャラリーが大半だったよ。一人だけマスクをつけた大人しそうなウマ娘はフェスタが勝つって予想してたが……」

 

「マスクをつけたウマ娘か……しかし、90%以上が私が負けると思ってるのか。ハハッ!面白いじゃないか!」

 

フェスタが高笑いしていると対戦相手のマックイーンがこちらにやってくる。

 

「こちらの準備は終わりましたわ、ナカヤマフェスタさんそろそろよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、構わない。それじゃ行ってくる辰巳」

 

「頼むぞ、フェスタ!」

 

そう言ってフェスタを送り出す。距離は芝の2000m、ステイヤーの向こうには少し厳しいかもしれないがこちらにも勝算は十分あるのは理解しているはず。一般的にウマ娘内での俺の評判は、秘伝のタレのような扱いだ。だが、生徒会のメンツを始め実力のあるウマ娘からは隠れた天才トレーナーや今最も伸びしろがあるトレーナーと評価されているらしい。まして相手は現役最強ステイヤーだ。俺とフェスタを見下すことは無いだろう。しかし、それだけで自分の走りが出来る訳では無い。もし、仮に向こうの走りが崩れると柔軟性のある走りをするフェスタには十分勝ち目はある。そんなことを思慮しているとゲートが開き、二人のウマ娘がスタートをする。先行策を取るマックイーンに対し、ピッタリと後ろについてマークするフェスタ、レースはスローペースで進む。一般的にスローペースのレースでは逃げ先行策が強く後ろのウマ娘には厳しい展開が多い。レースは向こう正面に入り、手元のストップウォッチで1000mの通過タイムは64秒程、逃げウマ娘がいない状況でこのタイムはやはり若干スローペースだ。

 

「ナカヤマフェスタのトレーナー!このままだとマックイーンに負けちゃうけど、何か言いたいことは無い?」

 

すると横のトウカイテイオーが勝ち誇った顔で話しかけてくる。

 

「このタイムで主導権を握られているのは痛いな。しかもマックイーンは自分の走りをしている。でもな、知ってるかトウカイテイオー?気性難のウマ娘ってのはな……」

 

そのままの展開で二人は最終コーナーを回って最後の直線に入る。マックイーンはスパートをかけフェスタを突き放しにかかる。しかし、ピッタリと背後から離れる気配はない。痺れを切らしたマックイーンは更に加速してしまう。これが決定打となってしまった。そしてフェスタはゴール板を通る前にスピードが落ちるのを理解しているかのごとく、背後から外に移動し一気に加速する。そして途中で余裕の無くなったマックイーンを並ばずに躱して、そのままゴール板を駆け抜ける。そして俺はトウカイテイオーが驚きを隠せない様子で唖然としているのに対して、ドヤ顔で決めゼリフを言ってやった。

 

「俺たちの想像以上に頭も切れるし、暴れだしたら誰にも止められないんだよ」




個人的に好きなウマ娘(未発表含む)
ナカヤマフェスタ
ステイゴ……キンイロリョテイ
オルフェーヴル
原案ゴルシ
実装して欲しいウマ娘
ルーラーシップ
キセキ
エイシンヒカリ
ディープスカイ
ローエングリン
以上作者の好きなウマ娘(馬)でした。


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