ドラゴンボール・Z ありえたかもしれないもう1つの未来 (Humiya)
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第一章 歪む歴史
第1話 未来の話


初めましての人は初めまして。過去にも未来編の小説を書いていたのですが、飽きてしまって数年後の今また執筆欲が掻き立てられたので書き始めた次第です。(多分名前が違うので分からないと思いますが…)

今回は導入部分なので短いです。次回もあまり期間が空かずに投稿されると思いますのでよろしくお願いします

基本的に悟飯視点になります。他の人物の視点になった際には初めに入れますのでご了承ください


本当の歴史。孫悟空が心臓の病に倒れ、恐ろしき二人の人造人間が世界を破滅に導いた歴史。

残されたZ戦士達は世界を救うため命を賭して人造人間達に対抗した。しかし、ベジータが殺され、天津飯、ヤムチャ、クリリンそして頼みの綱であるピッコロが殺されてしまった。

 

孫悟空の息子である孫悟飯も果敢に立ち向かったが、力及ばず殺された……はずだった。

 

これは何処かで歯車が狂い始め、死ぬはずだった孫悟飯がトランクスと共に未来を救う物語。

 

***

俺は目の前から来る気弾を手刀で弾き返す。弾いた気弾が爆発すると同時に地面を蹴り、気弾を放った者へと近づく。近づきながらも気弾を放ち牽制を入れて行く。

俺の放った気弾を青髪の少年・トランクスは先程の俺と同様に気弾を弾く。だか、トランクスは気弾に注意を割きすぎてるようだ。

 

「こっちだ、トランクス!」

 

声をあげて正面にトランクスの注意を向ける。俺はトランクスがこちらに向くと同時に高速移動で背後を取る。

そのままトランクスの後頭部を掴み前方に放り投げる。

トランクスは地面を2、3回ほど転がったあと何とか受け身を取ったようだが体制を立て直す隙は与えない。

トランクスの目の前まで行き拳を放つ。

 

「――――っ!!!」

 

ギリギリのところで拳を止めてトランクスに声を掛ける。

 

「今日はここで終わりにしよう。」

 

はい!と元気よく返事をしてくれる。トランクスに修行をつけてくれと頼まれてからしばらく経ったが、筋がよくこの短い期間で俺の実力に確実に近づいている。

 

(流石はベジータさんの息子だ)

 

これなら俺がいなくなってもこの未来を任せて行ける。

けど、1つ問題が残っている…

 

「悟飯さん。僕はいつになったら超サイヤ人になれるのでしょうか…」

 

そう。トランクスはまだ超サイヤ人になることが出来ていない。やはり人造人間達に挑み、倒す為には超サイヤ人の力が必要不可欠だろう。とはいえ超サイヤ人を会得するには『穏やかな心』と『激しい修行』、この2つが必要になる。

 

「トランクス、そう焦ってはダメだ。俺も父さんとの激しい修行を乗り越えようやくなることが出来たんだ。このままもっと修行をすれば君も必ず超サイヤ人になれるさ」

 

俺がそう言うとトランクスは笑顔で頷く。その顔を見ながら街を見渡す。人造人間はまだこちらには来ていないようだ。奴らは神出鬼没、いつ西の都を遅いに来るか分からない。そうして街を見渡しながらしばらくするとカプセルコーポレーションの文字が入った建物が見えてきた。

 

「かあさん、ただいま!」

 

トランクスは中にいるであろう母親・ブルマさんに帰ってきたことを伝える。少しすると奥の方から足音が聞こえ、トランクスと同じ髪色をした作業着を着た女性が出てきた。

 

「あら、トランクス、悟飯くん、おかえりなさい」

「お邪魔します」

 

俺も挨拶を返し、奥の部屋に向かう。ブルマさんは作業着を着ていたということは今日もタイムマシーンを作っていたのだろうか。

タイムマシーン……。俺達の希望でもある、過去未来を行き来出来るという夢の乗り物。ブルマさんはそれを完成させて、過去でお父さんが心臓病で倒れないようにするために日々頑張ってくれている。

 

「かあさん!今日のご飯は何?」

 

トランクスがブルマさんにご飯の内容を聞いている。やはり修行の後のご飯は格別だ。トランクスも楽しみなようで顔に出ている。しばらくするとブルマさん作のとてもおいしそうな料理が沢山出てきた。

 

『いただきまーす!』

 

俺とトランクス二人して大きな声で言う。一口食べただけでもブルマさんの料理の上手さと俺達への愛情が伝わってくる。ご飯の量も中盤に差し掛かったときにブルマさんが見てきているのに気が付いた。

 

「ブルマさん、どうかしましたか?」

「ううん。悟飯くんの食べている姿が孫君そっくりだったから」

「そうですか?」

「うん。やっぱり親子なんだなって改めて思った」

 

ブルマさんは微笑みながら言う。お父さんが初めて旅をした時一緒にいたのがブルマさんだったそうだ。旅をしているときに様々な出来事があっただろう。ブルマさんはそんな日を思い出したのだろう。

かくいう俺もこの道着には色々な想いがある。

 

「俺も父さんのように強くなりたくてこの同じ道着を着たんですが、中々上手く行かなくって」

「そう?この間も人造人間のヤツらを追っ払ったんでしょ?凄いじゃない!」

 

嬉しいことを言ってくれる。だが、この程度ではダメだ。タイムマシーンを作ってくれているブルマさんやこの世界で頑張って生き延びている人達の為にももっと修行して強くならなくては。

その後残りの夕食も食べ終え、用意してくれている寝室で修行の疲れを取る。

 

この世界ではいつ死ぬか分からない。人類が消えるのが先か、俺達が人造人間を倒すのが先か。後者である可能性を少しでも増やすために明日も俺は未来の為に闘う………



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第2話 二人の想い

1話目からお気に入りありがとうございます。投稿間隔は自分のモチベーションが続くうちは書き上げられたらすぐにあげたいと思っています




太陽の明るい陽射しによって目を覚ます。

俺は窓から外の景色を見る。この辺りは人造人間達に襲われておらず、綺麗な街並みをしている。けれどこの風景を見る度に平和な日常を壊され、大切な人やものを奪われた人達のことを考える。

ある日突然襲ってきた人造人間……人造人間17号・18号はとんでもない強さだ。超サイヤ人となった俺ですら1人を相手することに精一杯だ。

 

奴らは2体。ならばこちらも2人で挑めば勝機は必ずある。トランクスももう少しで超サイヤ人になれるはずだ。そう出来るように今日も修行を欠かさず行う。

 

(トランクスは起きているだろうか…)

 

そう思い、俺は道着の帯を締め部屋を出る。すると、家の外からトランクスの声が聞こえてきた。

どうやら俺よりも早く起きて修行を行っていたようだ。

 

「おはよう。トランクス」

「おはようございます。悟飯さん!」

 

家から出て声を掛けると元気のいい返事が返ってきた。トランクスの身体を見るが、筋肉も付きガタイも中々よくなってきており、修行の成果が着実に出ていることが伺えた。

 

「精が出るなトランクス。しっかり疲れは取れたかい?」

「はい。大丈夫です!かあさんの美味しいご飯と沢山睡眠を取って元気いっぱいです!」

「そりゃ良かった」

 

食べることはいいことだ。死んだ父さんも母さんの料理を沢山食べていた。俺だってそれなりに食べれていたと思うが父さんの食事量には及ばないだろう。そして睡眠も同じぐらい大切だ。ましてやトランクスは成長期。沢山食べて、よく眠ることが強さにも影響を与える。

 

「それじゃあ、準備運動は済んでいるようだし向こうで修行を始めようか」

「よろしくお願いします!」

 

 

西の都から少し離れた場所に移動してきた。ここなら被害を心配する必要が少ない。と言ってもあまり被害の及ぶような修行はしないのだが…。

 

トランクスと十分に距離取った俺は手を上げて開始の合図を告げる。

 

「ハァァァァ!!!」

 

開始の合図と共にトランクスは気を解放する。もちろんのことながらトランクスには常に全力で挑んで来いと言ってある。気を解放したトランクスは素早い動きから拳を放ってくる。俺はそれをすんでのところでかわしていく。トランクスがパンチを止め、左足を軸に回し蹴りを俺の頭目掛けて的確に狙って来た。

 

「いいぞトランクス。その調子だ」

 

その蹴りを左手で防御する。それを起点に今度はこちらから攻めて行く。右手からワン・ツーと拳を振るう。トランクスはそれをしっかりとガードしてくる。そこで俺は足元からすくうようになぎ払いを行なう。

トランクスは俺にバランスを崩され宙に浮く。浮いた身体を地面に着かせることなく足をなぎ払った勢いでトランクスの腹部に蹴りを入れる。

 

「ぐあぁっ!」

 

防御が出来ず、俺の蹴りを食らったトランクスは苦しみの声をあげる。地面を少し削りながら数メートル飛ばされ、ようやく止まったようだ。すかさず俺は気弾を放ちトランクスに急接近する。気弾がヒットしたあと少しの間をとり右拳を放った。

しかし、それはトランクスに当たることなく地面を抉る。

 

「――!!」

 

どうやらトランクスは俺の攻撃をギリギリでかわすことで反撃の機会を得る作戦だったようだ。

 

「タァァァ!」

 

トランクス渾身の気弾をかわすことは叶わず、両手を使ってガードする。流石の俺もこれにはその場で耐えきることが出来ずに少し後退してしまった。気の使い方も慣れてきて中々様になってた。

 

(やっぱりベジータさんと似ているなぁ…)

 

ベジータさんと言えば気弾を駆使した闘い方が主流の戦士だ。気弾で相手の出方を見て、それに対応する形で戦闘を展開して行く。父さんはどちらかという接近戦が多くカウンターを狙っていく戦法だった。

などと考えているうちに俺が怯んだとこにトランクスは追撃を仕掛けてくる…。

 

「ハァァ!」

 

飛び込んでくるトランクスに対し、俺は気の砲弾『気合砲』を放ちトランクスの身体を吹き飛ばす。今のは少し危なかった。『気合砲』のカウンターは人造人間達にも有効な手段になっている。

俺は『気合砲』で吹き飛ばされたトランクスの元に行き、手を差し伸べる。

 

「大丈夫かいトランクス?」

「大丈夫です。今のはいけたと思ったんだけど……」

「いや、今の攻撃は良かったぞ。最後の部分でもう1フェイント入れられたら攻撃を通せたかもな」

 

トランクスのことを起き上がらせながら今の攻撃を評価してあげると少し嬉しそうな表情を見せた。トランクス自身も自分の実力が上がってきているのを実感出来て、ワクワクしているだろう。

 

 

少し休憩をしようとトランクスと近くの岩場に行き、腰を降ろす。トランクスも隣に座り持参していた水筒から水分を補給している。この後は超サイヤ人になるための修行をする予定である。それについてトランクスに聞いてみたいことがあった。

 

「トランクス…君には守りたいもの、救いたいものはあるかい?」

「はい?」

「俺には沢山あるよ。この世界や君にブルマさん、母さんも。そのためにこうして日々人造人間と闘っている。」

 

俺の言葉を聞きトランクスはしばしの間自分の想いを確認しているようだった。少しするとトランクスは自分の想いを話始めた。

 

「僕はまだまだ力不足で、いつも悟飯やかあさんに迷惑をかけちゃってるけど、とおさんや他の皆さん、そして何より悟飯さんが守って来たこの世界を僕は救いたいです。」

 

トランクスの熱い想いが伝わってきた。時間は掛かると思いますけど…とトランクスは自信なさげに付け加えた。そんなことはないはずだ。何故ならあのベジータさんの誇り高きサイヤ人の血が流れているのだから。

そういうことなら、、

 

「よし!修行を再開するぞトランクス!」

「はい!悟飯さん!」

 

 

「ハァア!!」

 

俺の視線の先には気を上げているトランクスがいる。まだ気は白に近い透明な色をしており、超サイヤ人特有の金色のオーラは出ていない。

この修行も少し前から行っており、超サイヤ人というのは『激しい怒り』によって目覚めるものである。気を最大限に高め、そして自分の中の秘めたる怒りを解放することよって超サイヤ人になることが目的だ。

 

「トランクス!君の怒りはこんなものか!この世界を救うんじゃないのか!」

 

俺もトランクスの怒りを促すように鼓舞をする。俺の言葉を受け、トランクスは更に気を高める。

 

「うぉぉぉあああ!!!」

 

最後の力を振り絞り気を極限まで解放した。だが、その持続時間は長くなく少しするとトランクスの気は一気に減る。

 

(―!! 今のは!?)

 

周りの気が消えるその瞬間、一瞬だが白色だったトランクスの気が金色に変わっていた。俺の思った通り、もう少しで超サイヤ人になることが出来るだろう。

 

トランクスはその場で座り込んでしまい、ハァハァと息を切らしている。今日はこんなところだろう。今日はトランクスの超サイヤ人への兆しが見えて成果も十分にあった。

 

トランクスも俺も同じ気持ちだ。この世界を守り、救うために明日も絶望と闘う……。俺の視線の端には綺麗な夕日が映っていた



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第3話 命を賭す

前回より少しだけ間が空きましたが、久しぶりのバイトで疲れてしまってあまりに進まず、ちょっとだけ遅くなってしまいましたw

ではどうぞ


トランクスに超サイヤ人の兆しが見えてから数日経った。今日はブルマさんに頼まれタイムマシーンの材料を探しに隣の都を目指して空を飛んでいる。

タイムマシーン作りの進捗はあまりいいとは言えないだろう。俺には専門的な知識はないが、世界のあちらこちらが破壊されてしまった今、物資不足や調達は困難だと思う。

 

「そろそろですね。悟飯さん」

「そうだな」

 

隣街と言ってもそこそこの距離がある。舞空術を使わなかったら中々時間が掛かるはずだ。ブルマさん1人で探しに行くより俺達が行った方が危険はうんと少ない。ただ俺達はブルマさんが探しているものを完璧には把握出来ていない面ではもし間違えたときに二度手間になる可能性はあるだろう。

しばらくするとその街を象徴する観覧車の姿が見えてくる。

 

ここらで一旦休憩しておこう。材料探しはどのぐらい時間がかかるか分からない。休める時に休んでおくことが得策だ。

 

「トランクス、ここで少しきゅ――」

 

俺がトランクスに声を掛けたその時、目の前に広がっていた街から炎があがる。すぐ後に建物が崩壊し、街が壊されていくのを目のあたりにした。俺はトランクスに目配せをして、2人揃って街の中に急行する。

 

 

街の中に着地し、轟音の発生元である観覧車を目指す。速く行かなければヤツらの被害に遭う人々が増えてしまう。そうはさせるか、必ず俺が破壊してやる。

 

「トランクス!急ぐぞ!」

「はい!」

 

遊園地の入口を通り観覧車の元にたどり着く。そこで俺の目に映った光景がヤツらの気弾が人々に襲いかかる寸前だった。

 

「ダァ!!」

 

俺は人造人間が放った気弾を蹴りで上空に打ち上げる。どうにか間に合ったようだ。トランクスも俺の少し後ろに立つ。人造人間は俺達のことを見て呆れたようにため息を吐く。

 

「孫悟飯、またお前達か…。」

 

男の人造人間・人造人間17号はやれやれといった様子でこちらを向く。俺は幾度となく人造人間達に挑んで来たがヤツらを追い詰めるどころか逆にこちらが瀕死まで追い込まれることも少なくない。

ヤツらにとって街を破壊することは単なる暇つぶしでしかない。それを邪魔する形になっている俺達にはうんざりしているのだろう。

 

(けど、そんなことのために沢山の人を…!)

 

ここで必ず仕留める。もうこの絶望を終わらせるんだ――。

 

「人造人間!お前達を今度こそ破壊してやる。ハァァァァ!!」

 

自身の気を高め、俺は超サイヤ人となる。ヤツらはジリジリと距離を縮めて来ている。いつ動いてくるか分からない。

 

(ならば、こちらから行くだけだ!)

 

俺は構えた状態から攻撃までの予備動作をヤツらに感ずかせないように、一気に加速し電光石火の一撃を17号にお見舞する。

俺の一撃は17号の顔の右側面に直撃する。17号はヤツの後ろの飲食店の中を貫通し後ろまで吹き飛んだ。手応えは十分にあった。以前の俺よりも強くなっているのが感じられた。

 

「ハァ!」

 

俺はすかさず追撃に向い、17号の顎を下から突き上げるように蹴りを放つ。そしてヤツの後ろに高速移動し、背中に手を置き特大の気弾をゼロ距離からくらわせる。ヤツは再び吹き飛び、開けた場所まで吹き飛んだ後、俺の気弾が爆発する。

 

(くっ!!)

 

しかし俺の攻撃が終わった瞬間を狙ってきた18号の気弾に一瞬反応が遅れてしまった。防御の姿勢に入ろうかと腕を交差に組んだとき、18号の更に奥から飛んで来た気弾によって18号の気弾は軌道がそらされ、俺の真横を通過していく。

 

「トランクス!!」

「悟飯さん、18号は俺に任せてください!!」

 

まだ超サイヤ人になれていなトランクスに任せるには少々不安だが、逆にトランクスの実力を低く見ている18号はきっと初めから本気ではこないであろう。

ならばその隙を突いて先に17号を破壊すればいいだけだ。

 

「任せたぞ、トランクス!」

 

俺は17号の方に向き直る。ヤツは瓦礫の中から出てきて服に付いた埃をはたきながらこちらを見詰めてくる。

 

「少しはやるようになったみたいだな。だが、分かっていると思うが――」

 

17号の言葉を遮るように俺はヤツの顔へ向けて右拳を放つ。ヤツはそれをギリギリでかわしてくる。そうだ。人造人間は無尽蔵のエネルギーと強靭な肉体を持っている。長期戦になればなるほどこちらが不利になってくる。

 

「全く…。人の話は最後まで聞くんだ、なぁ!」

「くっ!!――はぁぁあ!」

 

ヤツらの拳を避けながらこちらも仕掛けていく。ヤツの攻撃が俺の身体へ着々とダメージを与えてくる。しかし17号の身体も確実にダメージを負っており体力もそう多くはないはずだ。

 

「ぐあぁぁっ……!!」

 

17号との激しい攻防戦の最中にトランクスの声が聞こえた。17号の攻撃をかわしながら先程までトランクスと18号が戦っていたであろう場所を見る。

 

「トランクス!!!」

 

俺は18号に吹き飛ばされたトランクスの元へ高速移動する。空中でしっかりとトランクスの身体を掴み安否を確認する。

大丈夫、まだ息はある。ここは一度引くのがいいだろう。

俺が撤退することを考えていると観覧車の上にいた18号が気弾を放ってくる。1撃目はトランクスを庇い背中でガードをする。この程度は修行した俺には効かなかった。

しかし、2撃目の17号18号2人による気弾をもろに受けて俺は地面に叩きつけられる。

 

(くそっ、思ったよりも身体にダメージが…)

 

すぐに3、4とヤツらの気弾が襲いかかってくる。その爆発の煙を利用し、俺はどうにか岩陰に隠れることが出来た。隙間からヤツらの様子を伺う。ヤツらは気を探ることが出来ない。気配を消せば逃げ切ることが可能なはずだ。

 

だが、俺の考えは甘かった。ヤツらは自らのエネルギーなど考慮しない。18号は手を上にあげ凄まじい量の気弾を放つ。そしてヤツらはどこかへ飛んで行ってしまった。

 

(街ごと吹き飛ばすつもりか!)

 

俺はトランクスを抱えどうにか逃げようとする。しかし、目の前が光で包まれたかと思うと強烈な衝撃と俺は共に意識を失った。

 

 

どのぐらい経ったのだろうか。重い瞼を必死に持ち上げて何とか意識を覚醒させる。全身が悲鳴をあげ、動かすこともままならない。左目が怪我で開かない中、右目だけでトランクスの姿を探す。

 

(トランクス……!待ってろ、今行くからな)

 

横たわるトランクスを見つけ、這いずってでもトランクスの元に向かおうと両手を動かす。右腕を前に出し身体を引きずる。そして今度は左腕を前に出そうとした時あることに気が付いた。

俺の左腕はヤツらの気弾によって消し飛ばされていた。

 

(くっ…そぉ…)

 

左腕がないことを認識した途端、頭が思い出したかのように、左肩の部分が痛みだす。早く治療しなければ俺の命は持たないだろう。だがそんなことは後でいい。

 

「トランクス…。きみが…、君が最後の希望なんだ…」

 

俺は右腕だけなんとかトランクスの元にたどり着く。道着の中から最後の仙豆を取り出し、トランクスに食わせてやる。これでトランクスは助かるだろう。

 

トランクス、君のことは死なせやしない。俺が命を賭けて守ると誓ったのだから…。

再び意識が遠のいていく中、トランクスの俺を呼ぶ声が聞こえた気がした……



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第4話 ホントの強さ

初めてトランクス視点を書きました。トランクスはまだ子供ということであえて漢字をひらがなにしてる部分があります。あまりわからないかもw

ではどうぞ


side

ーtrunksー

 

僕は悟飯さんを人造人間18号の気弾から助けた後、1人で18号と対峙した。ヤツは僕の力を甘く見ている。けど、実際その通りだ。僕は超サイヤ人になることが出来ず、修行がまだまだ足りていない。

僕は18号が悟飯さんの所に行かないように出来るだけ注意を引く戦いをしていた。

 

だけど少しの隙に連続で攻撃を叩き込まれ、最後の一撃で観覧車から落とされ痛みによって意識を奪われてしまった…。

 

そして今に至る。目を開けると18号から受けた傷が1つもなかった。起き上がり辺りを見渡すとそこには、

 

「悟飯さん…!?悟飯さん!しっかりして下さい!!!」

 

悟飯さんが倒れていた。左腕の部分から血が流れており、その他にも全身傷だらけの状態だ。悟飯さんが傷だらけで自分は無事ということは仙豆を僕に食べさせてくれたのだろう。最後の1粒だった仙豆を迷惑ばかり掛けている自分に使ってくれたのか…。

 

悟飯さんの気持ちを想うと、僕は自分自身の弱さや情けなさに怒りが湧いてきた。悟飯さんが救ってくれたこの命。必ず役に立ててみせる。

僕は悟飯の身体を持ち上げ、背中に担ぐ。そして自分のフルパワーのスピードでかあさんの元に急ぐ。

 

 

「かあさん!!!」

 

僕は家のことなんて考えずに勢いよくドアを開ける。僕のいつもと違う声色にかあさんは慌ててやってくる。

 

「――っ!悟飯君!?一体何があったの!?」

「人造人間達にやられて――って、それどころじゃないよ!かあさん、早く治療しないと!」

 

今は状況を説明してる場合じゃない。一刻も早く悟飯さんのことを治療して貰わなければ。僕はかあさんに言われ、悟飯さんをベッドまで運ぶ。

かあさんは医療箱を取ってくると倉庫まで走って行った。僕はかあさんが戻ってくるまで悟飯の手を握っていた。

 

(悟飯さん…!なんとか持ち堪えてください!!)

 

 

あれから少しして、かあさんが戻ってきた。僕は何もすることが出来ないのでリビングでかあさんの治療が終わるまで待っていた。

1時間ぐらい経ったであろう、かあさんが悟飯さんのいる部屋から出てきた。

 

「かあさん、悟飯さんは!?」

「なんとか大丈夫よ、トランクス。あなたが急いで運んでくれたおかげよ」

 

かあさんは大変だったであろうはずが、よくやったと褒めてくれた。でも全ては僕のせいだ……。僕がまだまだ弱いせいで悟飯さんは死にかけた。僕がもっと強くなっていれば――。

 

「トランクス、悟飯君に迷惑かけたと思ってる?」

「え?」

 

下を向いてた僕にかあさんは問いかけて来た。迷惑…。そう、僕は悟飯さんに迷惑をかけてしまったんだ。

 

「う、うん。僕が弱いせいで――」

「じゃあ、戦うのは辞める?もう…諦めるの?」

「そ、それは……」

 

本当は辞めることなんて出来ない。だって悟飯さんが救ってくれた命、みんなから託された想いがある。でも、僕では人造人間達には敵わない。

 

「だったらもっと強くなればいいでしょ?」

 

かあさんはそう言うが、簡単な話じゃない。サイヤ人として生まれてきた以上並大抵の人には負けないと思う。けど越えれない壁もある。それを越える為の手段である超サイヤ人に僕はなれない。

 

「孫君はね、いつも誰かの為に戦ってた。絶対負けない為、みんなを守る為に戦っていたのよ」

 

かあさんが悟空さんのことを話す。ベジータは勝つ為だったけどね――と、とおさんのことも話してくれた。

 

「いい、トランクス。あなたは自分が弱いと思ってるかもしれないけど、そんなことないわ。誰かの為に戦う人はどんな人より強いのよ」

「――!!」

 

だから自信を持ってーーと付け足すかあさん。そうだった。己の強さなんて関係ない。僕はただこの世界を、かあさんを、悟飯さんを、みんなを守るために戦うんだ。この想いがある限り僕は絶対に諦めない!

 

「ありがとう、かあさん」

「偶には親らしいことしてあげないとね」

 

かあさんの笑顔に僕も顔が緩んだ……。今日はゆっくり休んで明日から修行をもっと厳しくしよう。

 

翌日、今日も晴れ晴れした空で穏やかな空気が広がっている。僕は自分の部屋を出て、悟飯さんが眠っている部屋を訪れる。

まだ昨日から目を覚ましていないが、かあさんの治療のおかげで顔色もだいぶ良くなった。悟飯さんの顔を見ながら僕は心の中で改めて感謝をする。

 

どうやらかあさんはもう起きているみたいで研究室でタイムマシーンの燃料の問題に向かっているようだ。僕は朝ごはんを食べ、家から出発する。

 

いつ悟飯さんが目覚めるか分からない。その時までたくさん修行して悟飯さんを驚かせてみよう!その想いで修行に励んだ。

 

 

side

ーgohanー

 

気がつくと自分の家にいた。母さんがいて、トランクスがいて、ブルマさんもいる。そして父さんもいた。なんて事ない日常が俺の視界に入ってきた。

きっとこれは夢なんだろう。俺が望んだ夢――。今はもう叶わない夢――。

 

 

ゆっくりと目を開く。すると見知った天井が映り込んでくる。すぐにここがブルマさんの家だとわかった。どうやら俺は助かったようだ。

身体を見て、包帯が巻かれているのを見るとブルマさんが治療してくれたんだな。感謝しなければ。

 

俺は視点を左に向ける。やはり俺の左腕は無かった。痛みによる幻覚かと思いもしたが、そんなことはなく現実に起こった事だった。

 

俺が自分の身体の調子を見ていると、ガチャっと扉が開く音がした。

 

「悟飯…さん!?」

「やぁトランクス。おはよう」

 

扉の開く音に反応して視線を移動するとトランクスが部屋に入って来ていた。起きていた俺にビックリしていたのだろうか、大声を出して立ち尽くしてしまっていたーー。かと思うと俺が挨拶を返し終わるのと同時に抱き締めてきた。

 

「悟飯さん…!!目が覚めて良かった……」

「痛いよ、トランクス…」

「ご、ごめんなさい。病み上がりだったよね」

 

トランクスは慌てて身体を離す。それほど痛くはないが如何せん抱き締められた状態ではまともに話が出来ない。そのためちょっとの嘘をつかせてもらった。

 

「いつ目覚めたんですか?」

「ついさっきさ。ありがとう、トランクス。俺を助けてくれて」

 

トランクスは首を横に振って、初めに助けてくれたのは俺の方だと、僕の方こそお礼を言いたいと言ってきた。

トランクスは涙ぐんだ目を拭き、ブルマさんを呼んでくると部屋を出ていった。

 

 

程なくしてブルマさんと共に帰ってきたトランクスにあの時の状況を話してもらった。話を聞くに、俺もトランクスも助かったのは奇跡と言えるだろう。俺もトランクスに仙豆を食わせてやるのが遅れていたら2人とも死んでいた。

 

「悟飯君。左腕は大丈夫?」

 

ブルマさんが左腕の心配をしてくれる。改めて左腕があった場所を見て動かそうとしてみるが、違和感しか感じられなかった。だが、俺は諦めない。例え左腕を失おうとも必ず人造人間達を破壊してみせる。

そう俺は意気込み、ブルマさんに食事を用意して欲しいと頼む。ブルマさんも嬉しそうに返事をし、準備をしてくれた。

 

あの時見た夢。叶わない夢―――――ではない。父さんは、死んでいったみんなはいないけど、みんなの想いを背負って夢を叶えてみせる…



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第5話 秘密兵器

第5話にしてようやくガッツリ原作と違うことが出てきました。次回からも原作とは違くなって行きますのでお楽しみに!

ではどうぞ


目が覚めてから数ヶ月が経った。人造人間達にやられた傷も完治した。

失った左腕の感覚にも慣れ、右腕のみで戦う戦い方にも違和感がなくなってきた。

その間にも人造人間達による襲撃は世界の各地であった。だが、俺達は助けに行くことが出来なかった。ラジオで流れてくる人造人間襲撃の知らせに何も出来ないことが悔しくてしょうがなかった。

 

トランクスの方は片腕の俺と同等ぐらいまで戦えるまで強くなってくれた。俺がリハビリを始めた当初は俺の知ってるトランクスの実力と比べ物にならないほど上がっていて驚いた。

 

そして俺はこの数ヶ月で驚くべき発見をした。それは俺が自分の家に帰った時だった―――。

 

 

久しぶりに自分の家の扉の前に立つ。俺は基本的にブルマさんの家に居候させて貰ってるが、母さんが心配するので時々帰省している。

扉を開け中に入る。

 

「ただいまー!」

 

ドンドンドンと大きな足音を立てて大慌てで母さんがやってくる。

 

「悟飯ちゃん!」

 

抱きついてくる母さんに俺も抱き締め返す。相変わらず元気な人だ。俺には戦って欲しくないはずなのに、黙って見守ってくれている。なら、たまに帰省する時ぐらい母さんの我儘を聞いてあげるのがせめてもの恩返しだろうか。

 

「今回はどのくらいウチにいるんだべ?」

「明日は調べ物があるから明後日には帰っちゃうけど、それまではいるよ」

 

わかった――と、頷きながら台所に戻っていく。台所からはいい匂いがする。母さんの料理を食べたのは随分前だったからとても楽しみだ。

 

少ししてから夕食を食べた。ブルマさんの料理も美味しいがやっぱり母さんの料理が1番美味しい。夕食中は母さんの最近の様子を聞いたり、こちらの様子を話してあげた。俺の話をしている時は母さんは悲しそうな顔をする。だけどやっぱり戦うことを辞めるなんて出来ない。

 

「母さん、こんな親不孝な息子でごめんなさい」

「そんなことないだ。悟飯ちゃんがお母さんのことを考えてくれてることはよくわかってるだ。悟飯ちゃん…、やるなら目いっぱいやってけれ!」

 

ありがとう母さん。俺もっと頑張るよ――。

ご馳走様を言って食事を終える。俺は母さんに少し修行してくることを伝え家の外で短時間だが修行をした。

 

翌日母さんの用意した朝食を食べ、部屋の隅に置いてある本棚から1冊の本を取り出す。

『オラの修行日記』と書かれたその本は生前父さんが心臓病になった際に、みんなの為に今まで父さんが経験したことを書いたものだった。

 

(何か修行のヒントになるものがあればいいけど…)

 

長らく忘れていたが、先日夢を見た時に父さんがこの本を書きながら俺の産まれてくる前のことを楽しそうに話していたのを思い出した。

ページをめくり日記を読む。そこにはブルマさんと旅を始めた時のことから天下一武道会という武道会で優勝したこと。そしてあのフリーザを超サイヤ人となって倒したことが書いてあった。

 

そして気になることも…。父さんは天下一武道会に向けて、『精神と時の部屋』という場所を使ったと書いてあった。そこがどういう所かや、それがある場所も。

この『精神と時の部屋』というところで修行すれば人造人間達に勝てるかもしれない―――。

 

次の日早速西の都に戻りトランクス達に伝える為に家を発つことにした。

 

「母さんありがとう。お体に気をつけて」

「悟飯ちゃんこそ身体を大切にな。オラはこっから応援してるだ」

「じゃあ、行ってきます」

 

俺は母さんに手を振り空高く飛んで行く。急いでトランクスに昨日のことを伝えなければ…。久しぶりにワクワクしてきたぞ。

そうして俺は西の都に帰ってきてトランクスとブルマさんにこのことを伝えた。

 

 

今日は『精神と時の部屋』に実際に行く日になっている。『精神と時の部屋』は厳しい環境になっていると日記には書いてあった。俺は普通に過ごせると思うが、トランクス少し厳しいだろう。だから西の都に戻って来た日から数ヶ月間更に修行をし、トランクスも耐えられるように鍛えてきた。

俺はトランクス共に西の都を出発し、カリン塔を目指す。カリン塔にはカリン様という仙猫が住んでいる。俺達も助けられた仙豆を作っているのもこのカリン様だ。

 

しばらくしてカリン塔に辿り着く。

 

「とても高いですね」

「あぁ。だが、『精神と時の部屋』がある神殿というのはこれよりもっと高いところにあるらしいぞ」

 

初めて見るものだから興奮しているトランクスは俺より先に飛んでいってしまった。確かにここまで高いと少しワクワクするものがある。

 

随分の距離を上に飛び、雲を突き抜けて視界が開いたかと思うとそこには神殿と呼ばれている建物が存在していた。

俺達は神殿に着地する。真ん中にあるものが『精神と時の部屋』だろう。

 

俺はドアノブを持ちトランクスの方を向く。

 

「準備はいいかい?トランクス」

「はい!いつでも大丈夫です!」

「それじゃあ行こうか」

 

ドアノブを捻り扉を開ける。中に入ると無限に続くかのように感じられる真っ白な世界が広がっていた。綺麗や風景とは裏腹に酸素は薄く、重力もかなり違う。トランクスの様子が気になり確認する。

 

「トランクス、大丈夫かい?」

「はい。なんとか…」

 

やはりまだ少し厳しいだろう。しかし、『精神と時の部屋』にいられるのは最大2日間のみだ。大変だと思うが徐々に慣れて行ってもらうしかないだろう。

 

そして俺達はこちらで1年間、向こうの世界でのまる1日を使い修行を開始した。

 

 

だいたい半年ぐらいが経った。この環境にもだいぶ慣れ、トランクスも普通に過ごせるようにはなってきた。

俺は父さんの日記にあった、『超サイヤ人を更に越える』ことを考えて修行に励んでいた。修行をしながら考えているうちにある事を思いついた。

超サイヤ人というのは怒りによって目覚めるものである。そのせいか超サイヤ人になると少しの興奮と自らがとても交戦的になるのがわかった。ならばその興奮と交戦的な部分を克服することで超サイヤ人の力を限界以上に引き出すことが出来るのではないかと考えた。

 

トランクスには引き続き超サイヤ人となる為に修行してもらうが、俺は超サイヤ人に慣れる為に休憩中や食事をする際にも超サイヤ人となり生活をすることにした。

 

「ハァァァァア!!」

「その調子だ、トランクス。自分の中の怒りを爆発させるんだ!」

 

超サイヤ人となる修行もほぼ最終段階と言ってもいいだろう。

トランクスはあと1歩のところまできている。気を限界まで上げると髪が金髪になり、気も変化するのだがまだ完全な超サイヤ人とは言える状態ではない。

しかし、あと少し。頑張ってくれ、トランクス!

 

 

そして残りの半年が過ぎとうとう時間となった。扉を外から閉め、右手を握ってみる。自分の気やトランクスの気を感じてみても2人とも見違えるように強くなっている。トランクスは超サイヤ人なることは出来なかったがそれでもヤツらに適うほどにはなった。

 

これなら人造人間達に簡単にはやられはしない。次こそヤツらを破壊し平和を掴み取るんだ……

 

 



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第6話 死闘

遅くなってすみません。お気に入りや感想、誤字報告ありがとうございます。第6話、いつもより少し多めになっておりますのでお楽しみに

ではどうぞ


最後に人造人間達と戦ってから1年が経った。その間幸いなことに人造人間達の襲撃はなかった。ヤツらのことだ、どうせ飽きたとかいうくだらない理由だろう。許せない…。ヤツらの感情だけで世界がめちゃくちゃにされているんだ。

 

道着の帯を締め、家を出る。今日もタイムマシーンの材料を取ってきて欲しいとブルマさんから頼まれたのだ。トランクスと一緒に空に飛び立ち、西の都に近い街を目指す。

 

しばらくして街が見えてくる。まだ人造人間達に襲われてはいないようだ。ここなら目的のものも手に入るだろう。人造人間達はいつ現れるか分からない。速く目的のものを探した方がいいだろう。

 

 

結果的に目的の物は無事に見つかり今は街の近くの丘で休んでいる。今日はここで少し修行をしていこう。

 

「トランクス、ここで修行していくか?」

「していきます!」

 

そこから短時間の修行をした。

 

「ぐうう!!」

「怒れ!もっと怒るんだ!」

「はぁ…はぁ…。く、くそぉ!こうしてる間にもヤツらは…」

 

トランクスは地面を叩く。焦る気持ちは分かる。だが、

 

「もう少しだ、トランクス!俺だって随分苦労したさ。超サイヤ人になるのは怒りだ!俺はピッコロさんやクリリンさんやみんなが殺されて……。それを思い出しているうちにキレた…!そして超サイヤ人になれたんだ」

 

あの時のことは忘れもしない。みんなが殺されて行く中自分は何も出来なかったことが悔しくて、悔しくて、俺の中の怒りが爆発した。

 

「君にはベジータさんの血が流れているんだ!そのうち超サイヤ人になれるさ――絶対にな!」

 

トランクスは頷く。やっぱり超サイヤ人になれない自分に納得がいかないんだろう。大丈夫だ、その気持ちがあれば大丈夫――

 

突如爆発音が鳴り響いた。トランクスは都を指さし、

 

「み、都が…!!!」

 

俺もトランクスと同じように都の方を見る。人造人間達の仕業だろう。

 

「人造人間め!とうとうこの街まで!!!」

 

だが、またと無い機会だ。ここで破壊してやる!

 

「今度こそぉ!!ハァァァァア!!」

 

俺は超サイヤ人に変身し、都に向かおうとする。するとトランクスが、

 

「悟飯さん!その体じゃ!!」

 

確かに、いくら『精神と時の部屋』で修行したからと言ってヤツらの実力にどの程度近づけたのかも戦ってみないと分からない。それに片腕となって初めてヤツらと戦うのだ。そしてやはり、

 

「トランクス!君はここにいるんだ!いいな!」

「嫌だ!悟飯さんが行くなら僕も行く!もうずいぶん強くなったはずだ!」

「トランクス!人造人間達の力を甘くみるな!」

「もう足でまといにはなりません。僕、悟飯さんと一緒に戦いたいです!」

 

トランクス――。君の気持ちは伝わった。だからこそ俺がいなくなっても君が…。

 

「そうか…、わかった。トランクス行くか!」

「はい!」

 

前を向いたトランクスを気絶させる。君まで死んでしまったら地球を守る戦士はいなくなってしまう。すまない、トランクス。俺には君を守らなければならないんだ…。

俺はトランクスを安全な所に寝かせ、近くにブルマさんに頼まれた材料も置いていく。

 

「あとは、頼んだぞ」

 

俺は都の中へと急いだ――。

 

 

「それならゲームしようよ!車でひき殺すやつ」

「それもいいかも」

 

ヤツらを見つけ近くにいくとヤツらの会話が聞こえてきた。ゲームだって!?そんなことで人を殺すな!

 

「そんな事はさせないぞ」

 

俺は人造人間の目の前に降り、ヤツらと対峙する。17号は俺のことを見て、少し驚いたがやっぱりといった様子でこちらを見てくる。

 

「孫悟飯!やっぱり生きていたか…。前にやられたのは1年前ぐらいか?」

「今度はやられないように修行した」

「今度は逃がしはしないよ。こちらもフルパワーを出して殺す!!」

 

18号は俺の背後に跳躍した。あの時はやはりフルパワーではなかった。『精神と時の部屋』で修行をしておいて良かった。あのままでは確実にヤツらに殺されていた。

だが、今の実力でもヤツらに勝てるかは分からない。

 

「俺は死なない!たとえ…この肉体が滅んでも!」

 

ヤツらは戦闘態勢に入る。

 

「俺の意志を継ぐ者が必ず立ち上がり…、そしてお前達人造人間を倒す!!」

 

「「ハァァ!!」」

 

ヤツらは同時に攻めてくる。俺は気弾を地面に放ち砂煙を発生させ、そのうちに上空へと上がる。

ヤツらも素早く反応して来ており、左右から気弾を放ってくる。

 

「タァアア!!」

 

俺は気によるバリアを貼り、気弾を打ち消す。爆煙の外から18号が突撃しながら左拳を打ってくる。俺はそれを右手で掴みガードする。

 

「ダァ!」

「はぁ!」

「ぐぅぅぅ!?」

 

背中に衝撃が走る。17号が俺の背後から攻撃をし、怯んだ所に18号の攻撃を受けてしまった。地面に叩きつけられ、肺の空気が一気に吐き出される。ヤツらの攻撃はとても重い。『精神と時の部屋』で随分と修行したが、フルパワーとなったヤツらの攻撃はそれを上回っていた。

 

俺が分析をしているとヤツらの追撃がきた。俺はそれを身体を起こしながらバク宙でかわしていく。ヤツらはそのまま追い討ちをかけようとして来ている。今がチャンスだ…

 

「魔閃光!!!」

 

俺は切り返しに気功波を放つ。スキをついたと思ったが咄嗟に2人共気功波をぶつけてくる。流石は人造人間と言ったところだろう。

だが、そのまま押し切る!

 

「くぅ…、はぁぁぁぁ!!」

「がぁぁ…!」

「きゃぁぁ!!」

 

俺は力を振り出しヤツらの気功波ごとヤツらに魔閃光をくらわせることが出来た。俺の魔閃光が直撃し、建物ごと崩れてゆく。

ヤツらが吹き飛んだ瓦礫山の前に立つ。この程度でやられるヤツらではないだろう。

 

少しするとヤツらは瓦礫の中から出てきた。18号は耳に髪をかけながら俺のことを見つめてくる。クソ、まだ全然堪えてないか。

 

「はぁぁぁ…ああ!」

 

俺は気を解放し、次の戦闘に備える。いつもと違いヤツらは無言だ。本気で俺を殺しに来ているからだろうか。

 

「――!?」

 

ヤツらは素早い動きで重なると時間差攻撃を仕掛けてきた。18号の拳をかわし、蹴りを17号の顎に入れる。だが、18号の拳が俺の顔に直撃する。脳が揺れ視界が一瞬ボヤけるがすぐにそれを振り払う。

 

「ダァ、タァ、ダダダダ!!!」

 

2人の攻撃を片手と両足で凌ぎ、反撃を入れて行く。ヤツらの攻撃もいつもに増して激しい。ここは一旦距離を取ろう。俺はスピードを上げヤツらと距離を取るが、18号に先回りされてしまう。

 

「喰らえ!!」

 

俺は18号の攻撃をなんとかかわして18号に攻撃を入れる。俺は追撃に向かうがその隙を狙ってきた17号を受けながらも反撃し、吹き飛ばす。

 

「ハァァ!!!」

 

そして18号の足を掴み真下にある建物に思っいきり叩きつける。

その威力で建物は崩れて18号は瓦礫の下だろう。

瓦礫の下から出てきた18号はかなりボロボロだ。しかし俺も肩で息をし始めている。

 

「今度こそ終わりだよ」

 

18号はそう言って突っ込んでくる。それをかわそうとするが不意に17号により足元を掬われる。転倒しそうになるがどうにか飛び、そのままその場から離れるように飛んだ。ヤツらは後ろから俺の前に気弾を撃ってきた。

爆煙を防ぐ為に咄嗟にガードする。しかしまたもや背中に攻撃を受け、地面に叩きつけられる。く、くそ…体力がもうない。

 

「――くっ!?」

 

上を見上げるとヤツらの気弾がいくつも飛んできていた。かわすこともガードすることも叶わずいくつもの気弾をモロに受ける。身体全体に痛みが走る。息をすることさえ出来ず、痛みによって意識が遠のい……て…。俺は…、もう…………

 

 

 

 

 

トランクス後は君に託したぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前が白く染められていく…。

 

 

 

 

 

 

 

「悟飯……、甘ったれてんじゃねぇぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

気がつくといないはずの父さんの声がした……



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第7話 親子の絆

少し間が空いてしまい申し訳ないです。自分のやってるゲームにアプデが入り盛り上がっていたので少し遅れました。この話で第1章は終わりです。短いですがお楽しみ頂ければと、

ではどうぞ


「悟飯、甘ったれてんじゃねぇぞ!!」

 

父さん……

 

「おめぇの真の力を見せてみろ!ここで諦めるなんてねぇだろ!」

 

でも…、俺はもう……

 

「おめぇが…地球をみんなを守るんだ!」

 

おれ、おれが、俺がみんなを………!!!

 

 

 

 

 

 

俺は父さんの意志を受け取り瓦礫の中から立ち上がる…。こんなところで終われない!!

 

「何!?まだ生きてたのか」

 

17号の驚く声が聞こえる。ヤツらは俺にトドメをさせたと思っていたのだろう。けど俺だって驚いてる。俺が再び立ち上がることが出来たのは…、

 

「父さんが助けてくれた…!!」

 

超サイヤ人になる。まだだ、俺はここで全てを出し切る。自分に甘えるはみんなの期待を裏切るのはもう止めた…

 

「はぁぁぁ、くっ、うあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

俺の身体から眩い光が迸る。周りの瓦礫が吹き飛びヤツらへの道が切り開かれる。すごい、今までの超サイヤ人とは感覚が違う。

 

「俺が…地球を守るんだぁぁぁ!!」

 

体力もうない。なら、あれしかない!

 

ヤツらは俺の覚醒に驚いてその場から動けてない。

 

「か―め―は―めぇ―!!!」

 

俺は右手に残った気を全て込める。俺たちの絆の技を放つために…

 

ヤツらは俺が特大の1発を放とうとうしている事にようやく気が付き、迎撃体勢に入ったようだ。ヤツらも全力の気功波を放ってくるはずだ。けど不思議と負ける気はしない!

 

「はぁーーー!!!!!」

「「くたばれ!!!」」

 

俺は右手を突き出しかめはめ波を放つ。少しするとヤツらの気功波がぶつかり少し押し戻される感覚がある。気持ちではやれると思っても身体はダメージを負いすぎてる。少しずつ右手が押し戻される。

 

「くっ、はぁぁぁ」

 

俺は更に気を放つ。ヤツらも負けじと気功波にエネルギーを送る。

 

「孫悟飯!その身体でここまでやるとはな。けどここまでだ!」

 

ぐんっと一気に俺のかめはめ波がヤツらの気功波に飲み込まれかける。俺のパワーが段々落ちてる証拠だ。まだだ、まだ俺はやれる!

 

「悟飯、踏ん張れ!」

「父さん!?」

「ヤツらのエネルギーは無限だ。だから一瞬うちに力を爆発させて押し勝つんだ!」

 

だが、押し勝とうにもヤツらに隙は見当たらない。そして片腕しかない俺にその隙は作れない。こうしている間にもどんどんヤツらの気功波が迫ってきている。何か、何かないのか!

 

「このクソッタレめ!」

 

ドヒューンっと1発の銃撃音が響く。視線を向けるとそこには1人の老人が立っていた。

彼は俺がこの街に来た時に初めに襲われそうになっていた人だった。

 

「クソォ!邪魔しやがったなジジイ!」

 

なんて危険なんだと思った。それと同時に素晴らしい勇気を感じた。けど彼のお陰でヤツらの注意がそれた!

 

「今だぁ!」

「うぁぁ!だりゃあぁぁぁぁ!!」

 

俺は父さんの掛け声と共に気を最大限放つ。俺のかめはめ波は先程の比べ物にならないほど巨大になり、ヤツらの気功波を飲み込んで行く。

 

「なに!?」

「そんなぁぁああ!!??」

 

ヤツらに直撃した感覚が手のひらから伝わってきた。俺は倒れそうになりながらも1歩、また1歩と距離を詰めかめはめ波を押し込んでいく。殺されてしまったみんなや、世界で苦しんでそれでも生きて行こうとしている人達の顔が思い浮かんだ。ありがとう。みんなのお陰でここまで来れた。

 

「くぅ、これで最後だぁぁぁ!!」

 

俺はもう一押しのかめはめ波でヤツらを完全に破壊する。俺のかめはめ波ははるか向こうで大爆発を起こし海の水が空に浮かび上がる。

 

俺はその場で力なく倒れ込む。空を見上げると綺麗な虹と父さんの顔が見えた気がした。

 

「やったよ、父さん。みんな!」

 

俺はついにやったんだ。あの人造人間を倒し、世界を平和に出来たんだ。もう悔いはない…。トランクスこの平和をずっと守って行ってくれ……

 

 

待ってて父さん。今行くよ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいえ、悟飯さん。貴方にはやってもらいたいことがあります」

倒れた俺に近づいて来ている者がいた

 

 

 

 

 

 

第1章 完

 

 



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第EX話 悲しみのその先に

間空きましてすみません。お気に入りもたくさんの方がしてくださって感無量です。第2章に行こうと思ったのですがその前にこの話を入れておきます

ではどうぞ


side

―trunks―

 

ピチョン――何かが僕の頬に当たる。その後も1回2回と間隔の幅が狭くなりつつ冷たい何かが僕の意識を呼び起こす。

身体を起こしながら辺りの様子を見る。最後の記憶にあるのは悟飯さんと人造人間を倒しに行こうとした光景。

 

「悟飯さん!?!?」

 

そうだ。悟飯さんはどこにいるんだと周りを見ても、気を探っても近くにはいない…。そこで僕は気づく。あの時悟飯さんは僕のことを気絶させここに運んでくれたのだろう。いくら僕が『精神と時の部屋』で強くなれたとは言え、ヤツらにはまだ敵わない。それを見越して悟飯さんは僕を置いて行って1人戦いに行ったのだろう。

 

先程まで俺の頬に当たっていた雨粒は勢いをまし、辺りが暗くなるほど分厚い雲で空を覆う。ドクンッ、と心臓が鳴る。嫌な予感がとてもした。僕は全速力で都の方へと飛んで行った。

 

 

 

都の中に入る頃には小雨から大雨に変わり遠くでは雷がなるまでに天候が悪くなっていた。空を飛び都を見渡す。

 

「おーい!!」

 

下の方から声がした。僕は地上に降り声の方角に向かう。すると服がボロボロになったお爺さんがいた。

 

「大丈夫ですか?人造人間達は!?」

「わしなら大丈夫だ。人造人間達は橙色の道着を着た兄ちゃんが戦ってたよ」

「悟飯さんを見たんですか!?」

 

悟飯さんの名前を聞いた瞬間、お爺さんに詰め寄っていた。お爺さんは驚きながらも丁寧に答えてくれた。

 

「その悟飯さん?はわしが気がついた時にはどこにもいなかったよ。でもその前に人造人間達とその兄ちゃんが大きな光同士をぶつけ合ってたんだ。わしはその時人造人間共にこの銃を1発お見舞いしてやったんだ」

 

お爺さんは横に置いてあった銃を指さしながら説明を続ける。

 

「そしてわしが銃を打ったあと兄ちゃんの方の光が奴らの光を飲み込むのが見えたんだ。わしはその後には意識を失ってしまっていて…。その後のことはわからんのよ、すまないね」

 

お爺さんは僕に説明をした後自分の家に帰ると歩いて行った。でもお爺さんの最後の説明などは全く頭に入って来なかった。悟飯さんが人造人間達に勝ったんだ!もうあの最悪を生む2人組はもういない。

ありがとう、悟飯さん…!

 

でもその悟飯さんは?

 

僕は悟飯さんを探すために今度は歩きで周辺を探索し始めた。1歩1歩歩く度に最悪の光景が脳裏をよぎる。大丈夫、悟飯さんは死んでない。

きっとここら辺で寝ているんだろう。僕が声をかけたら元気に僕の名前を呼んでくれるだろう。そう自分に言い聞かせた。

 

でもそんな淡い希望は叶うことはなかった

 

目の前に水溜まりがあった。そこに浮かんでいたのは橙色の道着の切れ端があった。中には血に濡れ赤色に染まっていた。

 

ドクンッ、ドクンッと心臓が大きく鼓動を打つ。

 

どうして…?どうして…?どうして…?

 

疑問だけが頭の中を巡る

 

どうして悟飯さんが死ななきゃいけないの?誰がいけなかったの?

相手が2人だったから?―違う。

悟飯さんが弱かったから?―違う。

 

 

 

僕が…僕が弱かったからだ…。

 

 

 

「悟飯さん…。嘘だ、嘘だぁぁぁ!!!」

 

 

もう何も考えられなかった。頭の中は真っ白で人造人間達や自分の弱さで怒りが湧いてただただ泣いていた。

 

 

「あぁぁぁ、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

握っていた拳から血が流れてもそんなことはどうでも良かった。そんな痛みなんて悟飯さんを失ったことより痛いはずなかったのだから。

 

気がついたら僕は超サイヤ人となっていた。自分が自分じゃないような感じがして、奴らに復讐したい思いだけが募っていってだけどもそれよりも悲しみでいっぱいになって……。

 

 

 

 

 

再び目を覚ます。すると自分と同じ髪色が目に入って来た。僕はあの後家に帰りベットに潜り眠りに入った。そこから1日経ってしまっていたらしい。

 

「かあ…さん」

「トランクス!無事で良かったわ」

 

母さんは僕に抱きついてくる。別にどこか怪我をした訳じゃないのにここまで心配してくれるのは僕に何かあったのかを察してくれているのだろう。

 

「母さん、あのね―」

 

僕は昨日のことを母さんに話した。母さんも涙を流し悲しんでいた。けど同時に人造人間達がもういないことに喜んでいた。本当に悟飯さんには感謝しかない。

 

「トランクス、私からも報告があってね。タイムマシーンのエネルギーが集まる目処がたったのよ。折角悟飯くんが救ってくれた世界だけど、あなたは過去に行きたい?」

 

母さんからそんなことを言われた。本来人造人間達に世界が破壊される前に悟空さんを助けて人造人間を倒してもらう予定だった。しかし悟飯さんが人造人間達を倒してくれたお陰でこの世界は平和になった。でも…

 

「行きたいです。僕は殺されてしまった悟飯さんや父さん。そして世界中の人達を救うためにも過去に行き未来を変えます」

 

母さんは僕の意見にしっかりと頷き、そういうと思ったと頭を撫でてくれた。この手の温かさを守り取り戻すために……

 

僕は―俺は過去に行く…。

 

 

 

 




ここからの更新頻度ですが一週間事にやれればいいかと思っています。レジェンズやapexやりすぎて中々モチベが上がらなかったのですがこれから頑張って行きたいと思います


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第二章 変わった歴史とお菓子な魔人
第1話 神の話


お待たせしました。遂に第2章の始まりです。今回は説明が多くあまり面白くはないと思いますが、是非お読みいただければと思います。

では、どうぞ


「はい。――ですが…、――わかりました」

 

聞き覚えのない声が頭に入ってくる。目を開けると眩しい光が俺の視界を埋める。

しばらくして視界がはっきりすると綺麗な緑が広がり空は澄み渡る青色をした世界が見えてきた。

 

ここはいったい…?

 

自分の身体を見る。ここが天国かどうかは分からないが、人造人間達と激しい戦闘をした後だというのにどこにも異常はなかった。むしろ少し調子がいい程だ。

 

「起きましたか」

 

俺が声の方に目を向けると、髪型が特徴的な地球では見た事のない顔をした人物が俺に近寄ってきた。

 

「身体の方は大丈夫そうですね」

「あ、あなたは…」

 

口ぶりから察するに俺の治療をしてくれたのはこの人?なのだろう。

 

「すみません、申し遅れてしまいましたね。私の名前はシン。この宇宙の界王神をさせて頂いてる者です」

 

界王神?一体なんなのだろうか。界王さま関係の人なのだろうか…。

 

「そして、この者はキビト。私の補佐をしてくれています」

「界王神さま。地球人であるこの者をこの神聖なる界王神界に招いてよろしかったのですか?」

 

そして界王神の少し後ろに控えていた赤い服をきた大男はシンという彼が俺をここに連れて来たことに不満のようだ。しかし、どちらも気を全く感じられない。見る感じからして人造人間ではないのとは明白だ。

 

「キビト。私が連れて来たいと思ったのですからいいのです。彼にはやって貰いたいことがありますしね」

 

シンという人は俺にやって貰いたいことがあると言った。それが何か俺には想像がつかないがまず説明をして貰おう。

 

「あの、すみません。いまいち状況が掴めていなくて説明をお願い出来ますか」

 

彼は頷き俺に様々な説明を始めた。

 

「まずここは界王神界。人間界とは遠くかけ離れています。私は界王神という界王そしてそれを束ねる大界王よりも上のお仕事をさせて頂いてます」

 

界王さまの上にさらに偉い人がいたとは…。確かに気も感じれないし、どこか纏っている雰囲気も神々しい。

場所と界王神さまの素性の説明を受けて俺は確認したいことがあった。

 

「俺を連れて来たのは界王神さまなんですよね。人造人間達は人間界はどうなったのでしょうか」

「人造人間達は完全に消え去りました。人間界には平和が戻りました。孫悟飯さん、あなたのお陰です。」

 

良かった、俺は世界を平和にすることが出来たんだな。

 

「あなたのお弟子であるトランクスさんも無事です。彼は歴史通りに過去に行く準備をしているようです」

 

トランクスも無事でとても安心した。しかし彼は今不可解なことを口にした。歴史通りというのはどういう意味なのだろうか…。

 

「界王神さま、歴史通りというのは一体どういうことなのですか?」

「その説明もこれからしていきましょう」

 

そしてこの説明を聞いて驚くべき事実を耳にすることになる。

 

「まず始めに私達神には色々な役割を持った神がいます。私達のように惑星を想像し生命を見守る界王神。その対になる存在の破壊神。そして今回重要になってくる時を司る時の界王神がいます」

 

界王神は生命を見守ること、地球がこんな目にあっていても助けられなかったのは彼が界王神としてしっかり職務を全うしている証拠だろう。

だが向けてはいけない怒りだとわかってはいても無意識に拳に力が入る。

 

「悟飯さん、気持ちはわかりますが地球のことを助けられなかったのには理由があります。これからそれをお話します」

 

界王神さまは間を開けて説明を始めた。

 

「まず何故我々が地球の皆さんを救うことが出来なかったのか、それは歴史改変に影響してしまうからです」

「歴史改変ですか…?」

「はい。歴史改変とは本来進むべき歴史から逸れ違う歴史を産んでしまうことにあります。原因は多くありますが悟飯さんの身近な物で言えばタイムマシーンも歴史改変を起こす要因になります」

 

知らなかった。自分達が歴史を変えることはしようとしていたがまさか神々から問題視されていることだったとは…。

 

「そしてもう1つ。それは悟飯さんが人造人間達を倒してしまったことです」

 

俺も歴史改変をしてしまったということだろうか…?

 

「じゃあ、俺は…」

「はい。本来であれば孫悟飯さんあなたは人造人間達に殺されトランクスさんが人造人間達を倒す歴史だったのです」

 

俺はあの場で殺されていたのか―。でも俺は今生きている。ありがとうお父さん。

 

「本当は神達で歴史の修正を行わなければならないのですが、時の界王神さまからの司令で悟飯さん。あなたはこの後我々に協力していただくことで見逃していただけるとの事です」

 

それはとてもありがたかった。だが何故ただの地球人である俺にそこまでしてくれるのだろうか。

 

「何故俺にそこまで…?」

「それは今時の界王神さまの仕事を手伝ってくれている人からによる願いだそうです」

「その人って誰ですか?」

「トランクスさんです」

「―!?」

 

トランクスがそんなことを。ということはトランクスは無事に過去に行ってその後も元気に生きているということだ。これ程嬉しいことはない。

 

「わかりました。俺に出来ることであればどんなことでも協力します」

「ありがとうございます。今の悟飯さんは本来の歴史より一回りも強くなっています。そんな悟飯さんが協力してくれるのであれば歴史改変関係ななくとても助かります」

「神さま達でもそんなに大変なことなのでしょうか」

 

気を感じれないところから神さま達はとんでもない実力の持ち主だと思うのだが、その神さま達が苦戦することを俺が役に立てるのか心配だ

 

「お恥ずかしながら我々は破壊神を除いてそこまで強くありません。出来ることは多いですが戦闘面では悟飯さんより少し下ぐらいでしょうか」

 

隣のキビトさんはとても驚いた様子で俺を見ている。キビトさんは界王神さまの実力を知らなかったのだろう。そんな俺も自分自身がそこまで強くなっていることに驚いた。超サイヤ人2は超サイヤ人とは比べ物にならない変身だったということか…。

 

「では、悟飯さん。まず始めにこの界王神界にある1本の剣を抜いて貰いたいのです」

「剣…ですか?」

 

界王神さまは頷きながら遠くの丘を指さす。

 

「界王神に伝わる伝説の剣。『ゼットソード』です」



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第2話 抜け!ゼットソード!

1週間であげるとか言ったのに2週間も空く男!!!
すみませんm(*_ _)m
これからはやっぱりこのぐらいのペースになりますかね。

では、どうぞ


「ゼットソード??」

 

名前からして剣であることは明白だろう。しかし抜いて欲しいということからして何か特別な事情があるのだろうか…。

 

「説明は実物を見て貰ってからにしましょう。付いてきてください」

 

界王神さまは俺とキビトさんに声を掛けながら飛び始めた。俺達も空を飛び界王神さまのあとを追っていく。少しすると水に囲まれた他の岩より細長い岩が見えてきた。その頂上には光を反射し輝く何かがあった。

 

「悟飯さん、これがゼットソードです」

 

界王神さまは俺の目の前に突き刺さった剣を指しながらゼットソードなるものを紹介する。あまり剣というのを見たことはない刀身を見ると自分の顔が映るぐらい綺麗だった。

 

「なんだか凄い力を感じますね。ですが何故俺にこれを抜いて欲しいのですか?」

「はい。それを説明する前に折角平和を掴んだ悟飯さんに言うのは心苦しいのですが…」

 

界王神さまの表情が曇る。多分また地球に危機が迫っているのだろう。だけど…

 

「界王神さま。俺は地球を守る為ならどんなに苦しいことでも辛いことでも乗り越えて来ました。だから大丈夫です!」

「そう…ですか。わかりました。悟飯さんもお察しの通り地球に再び悪の手が及ぼうとしています。」

 

やはりそうか。けど超サイヤ人2となった俺なら並大抵の相手ならば負けないだろう。今度も俺が地球を守ってみせる。

 

「その者の名は『魔導師・バビディ』。かつて宇宙を恐怖に陥れた『魔導師・ビビディ』の子供になります」

「『魔導師・バビディ』…」

「はい。彼は大昔『魔人ブウ』という恐ろしい怪物を呼び起こした者なのです。魔人ブウはとてつもない戦闘力を持ち、我々界王神達が束になっても太刀打ち出来ない相手でした。私が何とか封印することに成功はしましたが…」

 

界王神さまは他にもいたのか。けど今生きているのは俺の前にいる界王神さまだけなのだろう。界王神さま達の実力が細かく分からない今魔人ブウの正確な強さは測れない。けどその界王神さまが地球人の俺に頼るぐらいまずい相手だと言うことはわかった。

 

「その魔人ブウを倒す為に俺を連れてきたのですね?」

「いえ。まだ魔人ブウの封印は解かれてはいません。出来ればバビディを倒し魔人ブウの封印が解かれる事がないようにしたいのです」

 

確かに、バビディを倒せるのなら魔人ブウの封印が解かれるのを待つ必要はない。地球がホントの危機になる前に倒せるよう頑張って修行するだけだ。

 

「それで俺はこのゼットソードを抜けばいいんですか」

「はい。このゼットソードは引き抜いた者に凄まじいパワーを与えると言い伝えられています。ですが…」

 

界王神さまが言葉を詰まらせる。何かデメリットや良くないことがあるのだろうか。考えていると隣のキビトさんが―

 

「このゼットソードは幾人もの界王神さまが挑戦されたが引き抜くことが出来なかったのだ。それを地球人のこの者が抜くことが出来るとは思えませんがね」

 

むっ…。どうやらキビトさんは俺には抜けないと思っているらしい。ここまで正面から言われると中々悔しいものがある。

 

「キビト!悟飯さんになんてことを言うのです。悟飯さん―」

「気にしていないですよ。俺が抜いてしまえばいい話ですよね?」

 

俺はキビトさんの方を見ながら界王神さまに大丈夫だと言うことを伝える。キビトさんは表情を歪ませながら、

 

「ほぅ、ではやってみせるがいい」

「言われなくても…」

 

俺は剣の柄の部分を持ち足に力を込め上に引き抜いてみる。しかしビクともしない。驚いた…通常状態では動く気配すら感じない。なら…

 

「はぁぁぁ!!」

「―!!!」

 

俺は超サイヤ人となり金色のオーラを放つ。界王神さま達は少し驚いたようだが俺は気にせず抜くことに集中する。

 

「くぅぅ、はぁぁぁぁ!!!」

 

グググッと岩の中に埋まっている刃の部分が岩を抉りながら上がってきているのがわかった。だがあと少しというところで剣は再び上がらなくなった。なるほど、さっきのは関門と言ったところか。それなら…

 

「だぁぁぁ!!」

 

俺は気を上げて超サイヤ人2になる。界王神さま達に気を開放した影響が及んだと思うが気にせず俺はもう一度力を込めてゼットソードを引き抜く。

岩から足を放して宙に浮く。両手であればその場で踏ん張ることが出来たと思うが片手ではそうはいかない。

 

「もう…少し!うおぉぉぉ!!!」

 

気を全開にしてゼットソードを一気に持ち上げる。スポッという効果音が似合いそうなほどゼットソードは豪快に抜けた。その衝撃のせいか突き刺さっていた岩は抜けた地点を起点にバラバラに砕けていった。

 

「うわぁぁぁ!?」

「ぬぉ!?」

 

界王神さま達は驚いて地面に落ちてしまったようだ。申し訳ないことをしてしまった。けれどもそれを一旦置いておいて右手に掴んだゼットソードを見る。剣全体を見てもとても美しく凄まじいパワーを授けてくれたものにはあまり思えなかった。

 

「界王神さま!キビトさん!大丈夫ですか?」

 

俺は地面に降り立ちながら2人の安否を確認する。服に付いた砂埃を叩きながら大丈夫だと返事がある。

 

「これが、ゼットソードですか。悟飯さんは実際に剣を手にして見て変わったことはありますか?」

「あの…それより…」

 

界王神さまは何も無いように剣のことを聞いてくるが隣のキビトさんが気になってしょうがない。顔は驚きに溢れ信じられないと何度も呟いてる。

 

「キビトなら大丈夫です。彼は驚いてるようですが、私は悟飯さんなら抜いてくれると信じていましたよ!」

「ありがとうございます。剣の方はと言いますととても重いですね」

 

さっきから普通に喋ってはいるがこの剣、とんでもなく重いのだ。今は肩に担いで全身で支えているのでそこまでだが、常に下半身に力が加わっている。

 

「それにしても私が言うのもなんですが、とても悟飯さんの力が上がったようには見えませんね」

「ひょっとしたら、この剣を使って修行することで力が手に入るのではないでしょうか?」

 

界王神さまは少し考えたのち、

 

「魔人ブウ復活まではまだ時間はあります。バビディの動きに注意しながらここで修行をしてもらうことにしましょう」

「はい!」

 

こうして俺は魔人ブウとバビディに対抗するためにゼットソードを使った修行を始めていった。

 

 



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第3話 魔術の刺客

期間が空いてしまって申し訳ないです。モチベがなかったのですがドッカンが誕プレで未来悟飯をくれたのでモチベが復活しました。お詫びということで数日後ぐらいにもう1本あげれたらなと思ってます

では、どうぞ


「はっ!せい!」

 

ブゥンと風を切る音がする。俺はゼットソードの柄をしっかりと持ち左右に切る。ここに来てしばらく経つ。初めはとてつもなく重く感じたこのゼットソードも少しは扱えるようになってきた。とは言ってもやはり剣先は重く、構えた時に前の方に重心がいっているように感じられる。

 

「悟飯さん、1度休憩してはいかがでしょうか?」

 

界王神さまが声をかけてきた。確かに手の感覚も重たくなってきたところだ。一旦休憩することにしよう。

 

「はい。ありがとうございます。食事を頂いてもよろしいですか?」

「どうぞ。今用意しますね」

 

俺たちは少し移動してご飯を食べる。目の前に美味しそうなご飯が用意されては地球にもこんなに食料があったらなといつも思ってしまう。けれど俺がこんなに良くしてもらっているのは魔人ブウを倒すためだ。その期待に応えるためにもゼットソードを早く使いこなせるようにならなければ…。

 

 

いつも食事を終えた俺はこの界王神界に広がる緑の中で少し寝ることにしている。界王神さまに声をかけて近くにある1本の木の下で寝転がる。体を伸ばし目を閉じて光を遮断する。こうすることできちんと疲れを取ることが出来る。

 

どれくらい休憩しただろうか、俺は目を開けて瞳に光を入れようした―。しかし目の前に広がっていた景色は界王神界とはまるで違っていた。あちこちから煙が上がり世界は赤黒く染まっていた。俺はこの景色を知っている。

 

俺は立ち上がり辺りを歩く。だが足取りがとても重い。身体をよく見るとボロボロで血が出ていた。しかし失っていた左腕は戻っていた。さっきまでとは何もかもが違う様子からこれが夢だとわかるのに時間はかからなかった。ゾワリと何か得体の知れないものが背中をなぞる。

 

「――!!」

 

俺が後ろに振り向くと同時に1発の気弾が飛んでくる。俺はすんでのところで躱す。夢だとわかっていても身体が勝手に動く。心の奥底から逃げろと警告音がなる。俺はボロボロの身体をなんとか動かしながら謎の気配から逃げる。

 

「ぐっ!!」

 

背後に気を取られるすぎて俺は足元にある石に躓いて体制を崩し地面に身体を打ち付ける。感じるはずのない痛みに耐えながら手だけで身体を引きずる。

 

「今度の界王神の仲間はそんなものかぁ」

 

突如聞こえた声に背後に振り返る。そこに居たのは小柄ながらも異様な雰囲気を放つものと巨大な気を放つものだった。

 

「まぁいいや。実際に遭うのを楽しみにしているよ」

 

やつがそういうと巨大なやつが気弾を放つ。俺の視界は真っ白になり凄まじい衝撃が身体を襲った。

 

「うあぁぁぁぁ!!!」

「悟飯さん!!!」

 

俺は叫びながら呼び掛けに応えるように目を開け身体を起こす。視界には界王神さまとキビトさんが居た。とても心配な表情で俺のことを見ている。

 

「大丈夫ですか?悟飯さん。随分とうなされているようでしたが…」

 

片腕で汗を拭う。今のは一体なんだったのだうか…。あまりにも現実味を帯びた夢…、そして2体の得体の知れないもの達。

 

「界王神さま、何か良くない夢を見ました。地上は再び壊され2人組がそこにはいました。恐ろしい気配を放ちながら―」

 

俺が界王神さまに夢のことを話していると…

 

「界王神さま!バビディと思われるやつが現れました!!」

「なんですって!?」

 

キビトさんが界王神さまに大声で伝える。遂に界王神さまが言っていたバビディってやつが動き始めたのか。夢のことはとても気になる…、だが今はこっちが先決だ。

 

「界王神さま、行きましょう!」

「わかりました。ですが悟飯さん、やつの力は未知数です。無理せず引く時は引きましょう」

 

俺は界王神さまの言葉に力強く頷く。行きましょうと界王神さまは手を出してくる。そう言えば界王神さまは瞬間移動が出来ると言っていたな。俺はその手に触れ移動に備える。

 

「カイカイ!」

 

界王神さまがそう言うと視界が白くなり、1秒もしないうちに青い空が目に入ってくる。呼吸をすると界王神界とは違う空気がする。どうやら地球に帰ってきたようだ。

 

「――!!」

 

俺は気の接近を感じ界王神さまたちの前に立つ。すると2人の人物が降りて来た。

1人は人型で俺たちに似ているが気の感じが他とは違っている。もう1人は緑色の肌でおよそ人とは思えない骨格をしている。

 

「誰だ、お前たちは!」

 

俺は2人組に問いかける。奴らの白色やつがこちらを見てニヤリと口を歪ませる。

 

「お前がバビディさまの言っていたやつか!俺の名はプイプイ、そしてこいつはヤコン。随分勇ましいが俺たち2人に勝てるのかぁ!?」

 

バビディ!!やつが俺の夢に出てきたやつなのか。夢でのバビディと思われるやつの発言…、魔人ブウにはまだ敵わないかも知れない。だがヤツらには今の実力でも十分闘えるだろう。

 

「はぁ!!」

 

俺は1歩前に出て超サイヤ人となる。超サイヤ人2は今のところそこまで長く変身を維持することは出来ない。超サイヤ人でヤツらの実力を探りながら隙を見て超サイヤ人2になろう。

 

「界王神さま、キビトさん、下がっていてください」

「わかりました。悟飯さん、気をつけて!」

 

2人は少し後ろの岩まで下がってくれた。よし、行くか。

 

「いくぞぉぉ!!」

 

俺は地面を力ずよく蹴り、2人組のプイプイの方に向かっていく。ヤツらのも戦闘体制になる。まずは小手調べだ。

 

「たぁ!!」

 

高速移動し、背後に回る。そこから蹴り上げを繰り出すが振り向きながら頭を屈め避けられる。さらに俺は振り上げた足を利用し身体を一回転させ拳を放つ。放った拳はヤツの腕に防がれる。

 

「中々やるじゃねぇか!」

「お前もな。バビディはどこにいる!?」

「さぁな。よそ見なんてしていいのかぁ?」

 

ヤツの言葉と同時に背後に気配を感じた。咄嗟にしゃがんでヤコンの拳を避ける。そして右足で回転蹴りをヤコンの腹に当てる。俺は跳躍し2人から1度距離を取る。

 

「ゲベへ、全然効かんなぁ」

 

ヤツの持つ2つの鎌のような爪には気をつけなければ。俺は右手にエネルギーを貯める。ヤツが動き出した瞬間俺は気弾をヤツの前に放ち爆煙で視界を遮る。

 

「そこだァ!」

 

外から一気に仕掛ける。ヤツには俺の姿は見えていないはず!

しかし爆煙の中を突っ切っても当たった感触がない。どういうことだ…。確実に当たると思ったんだが。

 

「俺にはそんなもの効かんぞ。俺は暗闇が大好きなんだ!」

「なに!?」

 

ヤツは俺の横に現れ大きく口を開ける。

 

「グァァァ!!!」

 

するとものすごい勢いで周りの石が吸い込まれる。吸い込まれまいと地面に足をしっかりとつけその場で踏ん張る。でも何か違和感がある。

 

「―!?」

 

気がつくと超サイヤ人が解除されていた。何が起こったんだ!?

もう一度俺は距離を取りヤツのことを見る。ヤツは金色に身体を輝かせた後元の緑色に戻った。そうか、俺の超サイヤ人の気を吸ったのか。どうりで超サイヤ人が解除された訳だ。

 

「げふぅ。こんなに美味しい光のエネルギーを食べたのは初めてだ!出来ればまた食べさせて貰いたいがな」

 

そうか…なら、俺は再び超サイヤ人なり構える。

 

「いいだろう、沢山食わせてやる!」

 

ここからが勝負だ!

 

 



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第4話 超サイヤ人の先の先を目指して

大変お待たせしました。(n回目) 自分は書き溜めせずその場で書いて行ってるのですがやっぱりモチベの上下が凄いですねw
今回は少し多めに書きましたのでお楽しみください!

では、どうぞ


ヤコンの爪をギリギリで躱していく。心無しかヤツのスピードが上がっている気がする。まだ力を隠していたということか…。

そうしている間にもヤコンの口が再び大きく開く。俺はガードのために右腕を前に気のバリアを張る。しかしヤツは息を吸い込みまたもや俺の気が吸われてしまう。

 

「お前の気はとっても美味いぞぉ!グァァァ!!」

 

ヤツの気が急激に増えた。そうか、ヤツは気を吸って自分のものに出来る能力を持っていたのか。これで気を吸わせ続けて自滅させる作戦が使えなくなってしまった。

 

「隙ありだぜぇ!!」

「ぐぅっ…!!」

 

動揺した好きにプイプイの拳をまともに受けてしまった。ヤツの方はヤコンよりも動きや力は弱いが人造人間達と同様、2人組の相手はそれだけで厄介だ。やはりプイプイの方から叩くのが戦況を左右する!

 

「魔閃光!!!」

 

油断しているヤコンに魔閃光を当てる。ヤツは俺の魔閃光によって大きく吹き飛んで行った。

 

「これで貴様と1対1だ」

「クソォ。バビディさまぁ!」

 

ヤツはバビディの名を呼ぶ。この近くにバビディがいると言うのだろうか。だが気を探ってもそれらしきものは感じられない。

 

「もぉ〜しょうがないなぁ。パッパラパー!」

 

どこかからバビディと思われる声がする。するとみるみるうちに辺りの景色が変わる。グンッと身体全体に重りがのしかかったような感覚がする。

 

「ケヘヘッ、ここは俺が育った星『惑星ズン』だ。ここは地球の重力の10倍はあるぞぉ」

 

そうか。どうりで身体が重く感じられるはずだ。だが『精神と時の部屋』や界王神界で修行した俺には関係ない!

 

「はぁぁぁ…だぁぁぁ!!」

 

超サイヤ人2となった俺を見てヤツは顔を引き攣る。こいつは一瞬で片をつける。またヤコンと合流されては面倒だ。

 

「へッ!何も変わってねぇじゃか!」

「だったら自分の身体で確かめてみるんだな!」

 

俺は加速し、背後に回った。ヤツの後頭部を狙い蹴りを放つ。確実に当たった感触はあったが既のところでガードされたらしい。それでもヤツは後方に大きく下がる。

 

「くそがぁ!」

 

叫びながら無数の気弾を放ってくるが、俺はそれを弾きそして躱しながらヤツの顔に一撃を入れる。吹き飛んだ先に高速移動し、右足で上空へと蹴り上げる。

 

「はぁぁぁあ!!」

 

上空へ打ち上げられたヤツの足を掴みそのまま地面に叩きつける。ヤツは苦しそうな声を叩きつけられた衝撃と共に発する。

舞った土煙の中から攻撃が飛んでくる。頭をずらし攻撃を躱す。

ヤツが俺の攻撃を躱そうと動いた先に遅れて掌底で顎を打ち上げる。

 

「ぐぅっ!?」

「終わりだ!はぁぁぁぁ!!」

 

怯んだ隙に蹴りを入れ、吹き飛んだヤツにエネルギー波を放つ。

眩しい光が晴れた後地面に大きなクレーターが出来た。ヤツはその真ん中で倒れていた。ヤツの気はもう感じない。上手くヤコンが戻ってくる前に仕留められたようだ。そして周りの風景も初めの場所に戻った。

 

「プイプイを倒すとは中々やるねぇ〜。でもヤコンはどうかなぁ?」

「バビディ!姿を見せろ!」

「やだよぉ〜だ」

 

やはりこのバビディの声は魔術というもので聞こえているのだろう。さっきの戦っている場所を変えるのも恐らくヤツの力。早くバビディを倒さなければならないが―。

 

「グゥアアアア!!」

「たァァ!!」

 

瞬時にヤコンの拳に合わせ俺も拳を放つ。周りに衝撃が走り地面を割る。さっきよりもパワーが上がってる…、どこかで光を吸収したようだな。手を引き高速移動移動でヤコンの頭上に移動した。

俺のことを探っているヤコンの脳天に膝を喰らわせる。立て続けに後頭部に蹴りを入れて体勢を崩す。

 

しかし手応えが先程よりも少ない。光を吸収することで体力も回復するようだ。俺はヤコンの力の分析をしながら胴体に次々と攻撃を入れる。

 

「激烈魔閃光!!」

 

零距離から通常よりも強力な魔閃光を放つ。だが、ヤツは口を大きく開き俺の魔閃光を丸呑みにした。クソ…、これじゃあ埒が明かない。

 

「もっと打ってきてもいいんだぞぉ」

「いいぞぉ〜ヤコン〜」

 

どうすればいい…。今のヤツを倒すにはかめはめ波ぐらいの威力で一撃で倒すしかない。しかし気功波を単に放つだけでは吸収されてしまう。

 

「悟飯さん!私に考えがあります!」

「界王神さま!?」

 

安全な場所にいたはずの界王神さまがこちらに近づいてくる。その後ろにはもちろんキビトさんも。

 

「界王神さま、考えとは?」

「はい。あの者は悟飯さんの攻撃を吸収する際に口を大きく開きます」

 

そこは何度も見た。厄介なのがヤツはその口から気功波を出せる事だ。俺は吸収か攻撃の選択を瞬時に見極める必要があるのだ。

 

「さらに吸収しようとした時…、ヤツは1度動きを止めてから吸収しています」

「そうだったんですね。気が付きませんでした…」

「そこで悟飯さんにはもう一度ヤツが吸収したがるような攻撃をしてもらいます。ヤツが止まった瞬間に私が隙を作ります」

「界王神さま!!」

 

後ろにいたキビトさんは界王神さまの身を案じるように声を出す。確かにどうやって界王神さまは隙を作るつもりなのだろう。しかし、

 

「分かりました。やってみましょう」

「ありがとうございます。悟飯さん」

「ならば界王神さまは私がお守りします」

 

俺はその言葉に頷く。今この状況を打破出来るならやれることをしなければ…!

俺は再びヤコンの方に向く。界王神さまとキビトさんも臨戦態勢だ。

 

「いくぞぉ!」

 

俺は声を出しヤコンの注意を俺に引きつける。さっきの魔閃光を吸収したことでパワーもスピードも初めとは比べ物にならないほど上がっている。俺もヤツの攻撃を完全に躱すことが出来なくなり、ヤツの鋭い爪が身体のあちこちにかする。超サイヤ人2でもここまで苦戦するなんて…。

 

「――ぐっ!?」

「グガァァ!!」

 

反応が少し遅れた隙にヤツの攻撃で吹き飛ばされる。どうにか足で地面をしっかり踏み衝撃を抑える。ヤツは俺に追撃を入れようと急接近してくる。今がチャンスだ。

 

「激烈―」

「そんなもの幾らでも吸収してやるぞぉ」

 

接近を止めヤツは口を大きく開き俺の攻撃を吸収する準備をする。あとは頼みましたよ、界王神さま…!

 

「魔閃光!!!」

「ガッハッハッ!!」

 

強烈な閃光と共に俺の魔閃光はヤツの口を目指し突き進む。そしてヤコンの口に入る瞬間…、

 

「はぁぁぁ!今です、悟飯さん!」

 

界王神さまの声と共にヤコンの動きが止まった。吸収だけでなくてヤツの時間そのものが止まったようだ。吸収されかけていた魔閃光は口の中で爆裂し、ヤツを大きく怯ませる。

 

「これで決める!かー、めー、はー、めー」

 

俺の全力を込めて右手にかめはめ波を溜める。どこからともなくバビディのヤコンに対する声がするがヤコンは既に瀕死だ。

 

「波ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

かめはめ波の青い光がヤコンを取り込み数キロ先でその光を爆発させる。光が収まりヤコンの気を確かめる…、しっかりと倒せたようだ。流石にあの状態では吸収も出来なかったようだ。

 

界王神さまたちは後ろで喜んで話している。だがまだバビディが出て来て居ない。ヤツはなんの為に俺たちにその存在を気づかせヤコン達と戦わせたのだろうか…。

 

「悟飯さん、バビディはここにはいないようですから1度界王神界に戻りましょう」

「はい。まだゼットソードの修行が終わってませんからね」

 

俺は顔を緩めながらも思考を巡らせる。ゾワッと黒いものが背中を撫でる。以前夢でも感じた感触だ。俺は当たりを見渡し気を探るが何も感じない…。

 

「悟飯さん?どうかしましたか?」

 

界王神さまたちは気づいていない。けれども敵もこの場にいない?

であればもっと力をつけた方が先程の黒い気を持った敵にも適うだろう。

 

「いえ、なんでもないですよ」

 

そう。超サイヤ人を越えた更にその先―超サイヤ人3―を目指さなければ…!

 

こうして俺はバビディを刺客を倒し界王神界に帰った。その場にいたもう1人の強敵に気づかずに…

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ、孫悟飯…中々やるではないか。次に来た時にはこのダーブラさま自ら殺してやろう…!」

 



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第5話<過去編> 未来を変える第一歩

ほんとに長らくお待たせしました。ようやくリアルが一段落し、モチベーションも回復したので投稿出来ました。今回は久しぶりなのですが、ほぼアニメ通りと言うか、アニメ本編のトランクス視点のようになってしまいましたが、是非読んで行ってください!


side

―trunks―

 

「それじゃあ、行ってきます。悟飯さん」

 

僕は足元にある小さな花から立ち上がり後にする。ここは家の近くにある海の見える丘。あれから過去へ行く準備をしたり改めて過去で何をするべきかを母さんと話した。その中で僕はこの綺麗な丘に悟飯さんのお墓を立てることにした。

 

今日は過去に行く日。僕は身だしなみを整え母さんのいる作業場に向かった。

 

「あら、トランクス。準備は終わった?」

「はい。いつでも行けます」

 

そうだ、と母さんは奥に行き何かを取ってきた。

 

「はい、これ」

 

僕は母さんが渡してきた赤色の鞘に入った剣を見る。これは悟飯さんが死んでから武器を持っていた方が何かと役立つと思い特訓をしていたものだ。

 

「少し刃こぼれしてたから磨いといたわ。やっぱり素手だけよりも剣を持っておいた方が心強いでしょ?それに折角鍛錬したんだし!」

 

母さんは剣に付いていた紐を僕に結びつけてくれる。そのまま僕のことを抱きしめてくれた。

 

「いい…トランクス。無茶はしないこと。それと自分の正体はなるべく秘密にするのよ?」

「わかってます。でも、やっぱり過去の母さんや父さんに会うのはとても楽しみで―」

 

僕のその言葉を聞いて母さんは微笑む。

 

「そうね。多分ベジータと話したら母さんが言ってたことがわかるんじゃないかしら」

 

そう言いながらカプセルの入った箱を僕の胸ポケットに入れてくれる。ひとつは悟空さんの病気の特効薬だ。

 

僕はタイムマシーンに乗りどの時間の過去に行くか設定する。その間に母さんはタイムマシーンの燃料をセットしてくれた。いよいよ過去に行くときだ。

 

タイムマシーンの天井が閉まる。

 

「では行ってきます。母さんお元気で!」

「行ってらっしゃい。必ず無事に帰って来てね!!」

 

僕はタイムマシーンのエンジンを最大限に上げる。マシンは甲高い音を上げタイムスリップの体制に入る。

僕は母さんに向けて手を振り母さんも振り返してくれたことを確認し、レバーを一気に引く。

 

目の前が徐々に白くなって行き、母さんの姿が次第に見えなくなる。

気がつくと見たことない景色が広がっていた。しばらくすると青い空が見えてきた。

下には広大な大地が、未来では今はもう少ない自然の豊かな色が遠方に見えた。

僕はその景色を見て、無事に過去に辿り着くことが出来たのだと確信した。

 

辺りを見渡すと巨大な気が2つ近くにあった。母さんの言っていたフリーザ親子だろう。事前に渡されていた時計でこの時代の時間を確認する。

 

(悟空さんが到着するまであと3時間もある!?)

 

本来ならばフリーザ達は悟空さんが倒しているはず。どこかでズレが生じてしまい予定よりも早い時間にタイムスリップしてしまったらしい。

 

僕は気を消しながらフリーザ達に近づく。ヤツは手下に地球人を皆殺しにして来いと命じていた。その言葉を聞き、僕の身体は咄嗟に飛び出していた。

 

フリーザの命令を受けて飛びあがった兵士を常人では見抜けないであろう速度で抜刀し首元をはねとばす。

そいつらの死体はフリーザ達の横に落ちていった。ヤツはこちらを向いて、

 

「何かようか用でもあるのか、地球人?」

 

ヤツはそう聞いてきた。用ならたったひとつ…

 

「お前達を殺しにきた」

「今なんと言ったのだ?」

 

どうやら、僕の言葉に驚いてよく聞こえなかったらしい。それならばもう一度言うだけだ。

 

「お前達を殺しにきた!」

 

するとフリーザは何も知らないとは…と、僕の再び発せられた言葉にヤツら親子はこちらを嘲笑う。何も知らない事はいいことだ?僕の味わった苦痛も知らないくせに…。

 

「知っているさ。お前、フリーザだろ。別に驚くことはない、お前のことならなんでも知っている。」

「光栄だな。しかし、この僕が宇宙一ということはしらな―」

「お前がここで死ぬことも知っている」

 

僕がヤツの言葉を遮り殺す宣言をすると、流石のフリーザも少し表情を歪めた。いい加減ヤツも本気になったかと思えば、部下に指示を出して自分では戦わないらしい。

 

「お前達!無駄なことは辞めた方がいい。お前達もここで死ぬのだから…」

 

僕の言葉にフリーザの手下は進む足を止めこちらに向かってくる。

目元のスカウターを操作しこちらの戦闘力を測ってるようだ。

 

「戦闘力たったの5か。ちょっと痛いけど我慢しな!」

 

腕につけてるブラスターを構えエネルギー弾を放ってくる。僕は手を突き出し弾を弾き飛ばす。撃ってきたヤツは驚きの表情を出しながらも信じられないと言った様子で更に連続で弾を撃ってくる。

 

全てを弾きヤツが射撃を止めた瞬間、一気に接近しヤツの顎に肘をくらわせる。そいつは大きく吹き飛び、飛行船の足部分に身体を叩きつられ死んだようだ。

 

「この野郎!」

「生意気なぁ!」

 

一人が死んだことで他の部下全員がこちらに掛かってきた。剣の柄に手を伸ばし全員の首元を狙い抜刀した。切られたヤツらは自分が殺された事にも気付かぬうちに死んだだろう。

1人残っていた兵士も恐怖のあまり後ずさりして戦意喪失していた。だが、次の瞬間フリーザのヤツは使えない部下はいらないとでも言うかのようにその兵士の腹を手で貫き殺した。

 

許せない。そうやって簡単に命を消して自分のことしか考えない、まるで人造人間達の様なヤツは僕が消す。

 

「いい事を教えてあげようか。中途半端か力に付けたヤツは返って早死にするんだよ」

「お前のようにか?」

「な、なんだと!?」

 

どうやらまだ僕と自分の力の差がわかっていないらしい。そんな風に驕り初めから本気を出さないから、悟空さんに負けたんだ。僕や悟飯さん達は一瞬たりとも油断する時間なんてなかったって言うのに…!

 

「そんな姿にまでなり果てて、よくもおめおめと地球まで来られたもんだ。わざわざ殺される為に」

 

「パパ、やはりお仕置が必要だね」

「お前をここまで侮辱するとは…。それだけで死刑に値する」

 

ようやくフリーザが戦う気になった様だ。

 

「初めから全力でかかってくるんだな。僕は孫悟空さんのように甘くはない!」

 

孫悟空という単語にフリーザは反応する。実際に僕もあったわけではない。でもこんなヤツを見逃す様な人ほど僕は甘く修行されてない。

 

「フリーザ、お前達がさっき言ってた事は現実にはならない。誤算だったな」

「なぁに、地球のゴミ共を大掃除するぐらい僕ならあっという間に終わらせてみせるさ」

「そうじゃない…」

 

ならさっさと本気を出してもらおう…。

 

「はぁあああ!!!」

 

僕は気を一気に最大限まで上げる。辺りの大地は揺れ、その揺れと同様にフリーザ親子達も動揺してるようだ。

 

「たぁぁ!!」

 

そして僕の髪は逆立ち色は金色になり身体を纏うオーラも髪と同じ色に染め上げられ、僕は超サイヤ人に変身した。

 

「超サイヤ人は孫悟空さんひとりじゃない。ここにも居たと言うことだ」

 



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第6話<過去編>トランクスの軌跡

遅くなって申し訳ありません。まぁこのぐらいのペースでもいんじゃないかなって最近思ってきました。今回も過去の話で本編の中のトランクス視点という感じでお楽しみいただければと思います。

では、どうぞ!


 

そうして僕はフリーザ親子と対峙し、2人とも倒すことが出来た。しかし、タイムマシーンの異常で父さん達と出会ってしまった。

孫悟空さんとは無事に会うことが出来、自分の秘密も他言無用とし悟空さんに伝え、病の特効薬を渡すことが出来た。

そこで知ったのだが、フリーザ親子は悟空さんが倒すつもりだったらしい。

この異常が何事もなければいいんだけど…。

 

とにかく悟空さんに薬を渡し、ちょっとした手合わせも出来た。きっと悟空さんなら人造人間を倒し未来を平和にしてくれるだろう。

僕は平和になった未来を期待しタイムマシーンで未来へと帰還した。

 

そうして未来へ帰ってきた僕は自宅の作業場から外に向けて駆け出した。でも僕の視界に広がっていたのは前と変わらない景色だった。更に周りの気を探っても悟飯さんの気を感じられない。

やはり未来は変わらなかった…。

 

「あら?トランクス」

「母さん、ただいま」

 

母さんが笑顔で迎えてくれる。きっと母さんもわかってたんだろう、過去を変えても未来が変わらないことを…。僕のことを優しく抱きしめてくれたから僕の胸が暖かさでいっぱいになった。

 

「どう?ちゃんと孫君に渡せた?」

「はい、悟空さんにしっかりと渡しました。でもタイムマシーンの異常で昔の母さん達やフリーザ親子は僕が倒してしまいました」

 

母さんはちょっとだけ驚いた顔をしてたけど、やっぱりね…とタイムマシーンを見つめながら呟いていた。

 

「母さんは過去を変えても未来が変わらないことを知ってたんですか?」

「そうね。知ってたと言うより、察してたって感じかな。トランクス、未来も過去もひとつじゃないのよ」

 

そこから母さんは未来や過去のことについて前よりも深く教えてくれた。教えてくれている母さんは少し楽しそうで、こんな母さんを久しぶりに見れて少し嬉しくなった。

けど、

 

「やられっぱなしじゃ悔しいじゃない?だったらあの人造人間達をやっつけてうんと平和な未来があってもいいじゃない」

 

そう言う母さんの顔はやっぱり悲しそうで…。母さんの表情を見て僕は悟空さん達の手伝いに向かうと決めた。

 

 

 

そうして再び往復分のエネルギーを貯め、過去に向かった。けれども再び向かった過去は前とはだいぶ違っていた。

まずその時代には人造人間が三体も増えていた。その内2体は父さんや悟飯さん達のお陰で倒していたが、17号と18号は俺が知っている2体とは強さが違っていた。

 

そして何よりも違っていたのはセルと呼ばれる人造人間だった。そいつは未来から母さんのタイムマシーンを使ってこの時代に来ていたのだ。

けど、そのタイミングで悟空さんが心臓病から快復し俺たちを『精神と時の部屋』に連れていってくれた。

 

人数や時間の関係上俺は父さんと入ることになり、精神と時の部屋の1年間を父さんと過ごせたのはとても嬉しかった。でも…父さんは修行を終え超サイヤ人を超える力を得たことでセルに完全体になるのを許してしまった。

 

「父さんは間違ってる!アイツを完全体にさせてはいけないんだ!」

「情けないやつめ。どう強くなるか見たいとは思わんのか」

 

父さんはそんなことを言った。父さんが誇り高きサイヤ人の王子であることは母さんから沢山聞いていた。だから戦闘民族の血がセルの完全体を望んでいるのだろう…。

だからと言って母さんとの過去を平和にする約束を破っていいわけがなかった。

 

そうして俺は完全体になろうとしているセルと父さんを全力で止めた。しかし、父さんの実力とクリリンさんが18号の自爆装置を破壊していたことによりセルは遂に完全体となってしまった。

ヤツは『セルゲーム』と言う名の武道大会を開きそこに集まった戦士に地球の未来を委ねさせた。

 

 

そうして開催されたセルゲーム。悟飯さんの覚醒、悟空さんの犠牲によりセルは完全に倒したと思っていた。だが、爆音と共に土煙から一筋の閃光が迸ったかと思えば俺はそこで意識を失ってしまった。

気がつくと全ては終わっており、話を聞くに俺はセルの攻撃によって1度死んでしまったらしい。

でもその時父さんは俺がやられたのを見て一心不乱にセルを攻撃したと聞いた。俺はその事がとても嬉しかった。

 

 

 

セルゲームの翌日俺は未来に帰ることにした。早く母さんにこのことを伝えたかったから、そして安心して欲しかった。

 

「じゃあ、元気でね」

「はい!」

 

過去の母さんと握手を交わしタイムマシーンに向かった。

そうして見送りに来てくれた人達を見渡すと父さんがいた。父さんは言葉こそなかったけど、ジェスチャーで俺のことを見送ってくれた。

 

「さようなら〜!!」

 

浮上し続けるタイムマシーンの中で最後にもう一度だけ手を振り、別れの言葉を口にした…。

 

しばらくすると視界が現実世界でいっぱいになった。俺はすぐさまタイムマシーンから降り母さんの元に向かった。

 

「ただいま、母さん!」

「おかえり…」

 

母さんは俺が随分変わってることに驚いたんだろう。少し間を開けてからこちらに向かってくる。

 

「あらあら、随分と身長が伸びたんじゃない?あと髪の毛も」

「はい。昔悟飯さんと入った『精神と時の部屋』が向こうの世界にもあって、そこで修行を沢山したんです」

「で、どうだった?その顔を見るといいことがあったみたいだけど」

「はい!」

 

俺は母さんが入れてくれたコーヒーを頂きながら、向こうであったことを沢山話した。

 

「それで俺がセルに殺された時父さんは真剣に怒ってくれたそうです」

「で、でしょ!?だからそう言ったじゃない…」

 

どこか母さんの様子が変だったけど、これで全てが終わった。

 

いやまだだ1番肝心なヤツが残っていた。

俺はそいつに向け更なる特訓をしようと決意した。

 

 

 

そして月日が経ったある日。世界は人造人間の脅威から解放されしばらく経ち、徐々に建物の復旧なども進んで来ていた。

 

リビングでそんなニュースを見ながらゆっくりしていた俺は、ピクリと自分の身体が何かに反応したのに気がついた。ヤツが、セルがどうやら第一形態ほどになり町にやってきたのだろう。

 

「母さん、ちょっと出掛けてきます!」

「あんまり、遅くならないでね〜!!」

 

俺は玄関から出ていき作業場の近くに向かった。セルの気は俺の近くにあり身を潜められてると本人は思っているんだろう。

 

「そこにいるのはわかってるぞ、セル!」

「なにぃ!?」

 

ヤツは建物の影からゆっくりと出てきた。俺がヤツの事情や居場所を知っていると分かり警戒しているのだろう。

 

「俺を殺し過去に行って、完全体になろうとしているんだろ?だが残念ながらその計画は失敗に終わる」

「なんだと!?貴様如きに俺様が負けるか!貴様の実力はスパイロボットでわかっているぞ」

 

ヤツは俺が以前とは比べ物にならないパワーアップを遂げていることに気が付いていないようだ。

 

「ここではマズイ、折角再建が進んできたところだ。場所を変えさせて貰うぞ!」

 

俺は気の衝撃波でヤツを郊外の草原まで吹き飛ばした。俺はそれを追いかけヤツの近くに着地した。

 

「青二才が…。俺様を倒そうとはとんだお笑いものだな」

「どうかな…」

 

超サイヤ人となり戦闘態勢に入る。絶対にヤツを過去には行かせない!

俺は気を全開に出し勝負を一瞬の内に決めることにした。

ヤツの攻撃を悉くいなし、身体に攻撃を与えヤツの尻尾を掴み豪快に空へと投げ飛ばした。

 

「か―め―は―め―波ぁぁぁ!!」

「完全に消え去ってしまえ!セルーー!!!」

「なにぃ!?」

 

ヤツの放った渾身のかめはめ波を全て呑み込む程のドーム状の気功波を放ちセルとともに上空で爆裂した。

 

「ちくしょおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

セルの断末魔が聞こえなくなった頃にはヤツは跡形もなく消え去った。これで本当に全てが終わった。ありがとう、みんな。ありがとう悟飯さん…。

 

 

 

 

 

 

だがこの時の俺は知る由もなかった。更なる脅威が地球に迫っていることに…

 



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第7話 新たなる脅威、動き出す魔人

今回は割と早く投稿出来ました。前回の話でお気に入りの方が増えてくれてとても嬉しいです。バビディの口調が中々難しく少し違和感を感じるかも知れませんがお気になさらず

では、どうぞ!!


 

ある平野の地下…

 

中は暗く、明かりがほとんどない中不気味に光る紫色をした物体が脈打っていた。

 

「ようやくエネルギーを貯めることが出来たよ。全く人造人間とか言う奴らには困っちゃうなぁ〜。ね?ダーブラ」

「そうですな。私がバビディ様にもっと早くから協力出来ていれば人造人間などこの手で破壊したのですが…」

「まぁしょうがないよ。結果的に集まったからいいのさ〜」

 

魔道士バビディ。ヤツはビビディが作り出した最悪の生命体『魔人ブウ』を復活させるべくエネルギーを地球の人間から集め、今復活に必要なエネルギーが全て集まったのだ。

 

「よぉ〜し、いでよ魔人ブウ!!」

 

紫色の物体から更なる光が溢れ出し、物体が2つに割れ中からとてつもない気を持ったものが出てきた。

 

「ブウー!!!!」

 

こうして魔人ブウは復活を遂げてしまったのだった…

 

 

 

 

 

「トランクス〜?」

 

母さんの呼び声と共に目を覚ます。俺は悟飯さんのお墓の横に育った大きな木の下で心地よい風を感じながら横になっていた。

 

「はい」

「それじゃあ行きましょうか」

 

今日はある街の復旧作業の手伝いをする日だ。人造人間による破壊工作がなくなり街は随分と元の風景に戻りつつあった。

そんな中で大きなビルを建設すると、そこで母さんの力を借りたいとのことで危ないから俺も一緒について行くことにした。

 

「トランクス、わざわざついて来てくれなくても良かったのよ?」

「いえ、俺が行きたいだけですから。それに何かあったら母さんだけじゃなく他の人の手助けも出来ますから。」

 

偉いわねぇ〜と母さんは俺の背中を叩く。偉くなんかはない。悟飯さんが守ってくれたこの世界を今守ることが出来るのは俺しかいない。だから、こうして些細な危険な事からもみんなを守らなくちゃ。

 

 

しばらくして建設を予定している街に着いた。あちこちから工事音が聞こえ、車が右から左へと沢山走っていた。何度か街の復興に協力した事があるが、街が復旧していき人々の活気が溢れてくる光景はいつ見ても嬉しい。

母さんは作業員の人と工事の話をしているようだ。やっぱり母さんは作業している姿がとても似合う。俺は当たりを見渡し作業の邪魔にならない位置に移動する。俺はそこで母さんの仕事の見守ることにした。

 

 

ゾクッ……

 

突如何か気持ち悪いものが背中をなぞった。勿論物理的に背後に何かあった訳ではない。俺は急いで辺りの気を探ると遠方に今まで感じたことのないものを感じる。

とりあえず母さんの元へ飛んでいく。仕事の方は半分以上終わってるようだ。

 

「母さん、少し出掛けて来ますね」

「そう。もう少しで終わるから大丈夫よ」

 

俺は頷き、気を感じた方に全速力で飛んでいく。

再び地球に危機が迫っているのなら、俺が今度こそ誰の犠牲もなく地球を守らなければ…。

 

 

 

 

辺りには何もない荒野へと降り立つ。ただ1つ白色の奇妙な形をした建物だけが建っていた。

ゾクゾクとその建物からさっき感じた気が流れ出てきている。

 

「もぉ〜言うことを聞け、魔人ブウ〜!!」

 

誰かの声が聞こえる。もう1人の人物に何かを話してるようだ。つまり敵は2人…、だが大きな気を感じるのは片方だけだ。

 

「ブウゥーー!!」

「な、なんだ誰かいるのか!?」

 

突然何かが飛び出して来た。体はピンク色で丸みを帯びており、あまり素早く動くのが得意そうではないように見える。が、俺の体は既に臨戦体勢に入っていた。

それもそのはず、不気味な気の正体はヤツでありビリビリと肌で危機を感じ取っている。

 

「誰だ、お前達!」

 

俺がヤツらに声を掛けた事により後ろの小さいヤツがこちらに気づいた。

 

「う〜ん、誰だおまえ〜見たことないやつだな」

「俺の名前はトランクス。この世界を守るものだ」

 

俺たちが話をしている間にもピンク色のヤツは表情を変えずにこちらを見てくる。

 

「お前つよいのか?」

 

ピンク色のヤツが俺に聞いてくる。ニコニコと笑っており不気味な雰囲気を放っている。

 

「戦ってみればわかるさ。かかってこい!」

 

俺は超サイヤ人に変身し、構える。

 

「バビディ…様、あいつと戦ってもいいか?」

「うん?勝てるのか魔人ブウ?ちゃんと戦わないとまたあの中に閉じ込めちゃうぞ〜!」

 

魔人ブウと呼ばれたヤツは数回頷き、自信があるように両手をあげてブゥーと声を出す。しょうがないなぁ〜ともう1人の人物が戦うことに許可を出したようだ。

 

魔人ブウがこちらに再び振り向いた時周りの空気が一変した。まずはこちらから仕掛けて見るか。

俺はその場から駆け出し一直線に攻撃を仕掛けるように見せかける。

高速移動し魔人ブウの真上から拳を繰り出す。

 

攻撃は当たった…。当たったが感触はとても柔らかくヤツの顔は凹み俺が距離を取って着地したがヤツの顔を見てみると形が元に戻っている。

 

「おおぉー」

 

魔人ブウは俺に向けて拍手をしてくる。あまり力を入れた攻撃ではなかったものの全く効いてないなんて…。

俺はその悔しさを感じながらも次々に攻撃を仕掛けていく。ヤツの顔や腹に連続して拳や蹴りを放っていく。

 

「へへーん。そんな攻撃じゃ魔人ブウはびくともしないよぉ〜ん」

 

バビディというヤツは魔人ブウの後ろで立っているだけだ。さっきの会話から魔人ブウを従えているのはこいつなのだろう。

バビディの方気の感じから見た目通りの強さであると考えられる。

 

「お前の攻撃もう終わりか?じゃあオレから行くぞ」

 

言葉通り今度は魔人ブウの方から仕掛けて来た。右、左と拳を放ってくるが見切れないスピードではない。俺に当たるかギリギリのところで躱せているが反撃の隙がない。

 

「ぐあっ!!」

 

反撃の機会を伺って回避に集中出来なくなった隙に攻撃を貰ってしまう。吹き飛ばされたが俺は地面に手を付け体勢を立て直す。

またもやヤツは拍手をする。油断している今なら!

 

「魔閃光!!!」

 

急襲の魔閃光を撃ち放つ。俺の放った魔閃光は魔人ブウに直撃し大きな爆発を起こす。

舞い上がった土煙が晴れた後には魔人ブウの上半身が消し飛んだ下半身だけが残っていた。

 

「魔人ブウー!!!」

 

先程は余裕だったバビディも焦った様子を見せていた。俺も少しは手応えを感じたが、ヤツの気は少ししか減ってない。

 

少しすると周りからピンク色の小さな塊が魔人ブウの下半身に集まりなんと魔人ブウの上半身を形成した。

 

「ブウゥーー!!!」

「何!?」

 

魔人ブウは見事に復活し、ニッコリと笑顔を作った。バビディもホッとした様子を見せていた。

 

「お前、中々やるな。ちょっと楽しくなってきたぞ…」

 

ヤツの不気味な笑顔に嫌な予感を抱く。

俺は更に気を解放し、ヤツとの戦いに命を掛ける覚悟をした―――



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第8話 暗黒の王とサイヤ人の進化

今回も割と速く投稿することが出来ました。ドッカンバトルが全世界キャンペーン目前ということで執筆するモチベもあがっており書くことが出来ました。今回は少し長くなっているのでお楽しみください!

では、どうぞ!


 

「界王神さま!」

 

鍛錬も一段落つき休憩をしていた際、キビトさんの大きな声が聞こえた。横にいた界王神さまもキビトさんの焦った様子から、ただ事じゃないことを感じたようだ。

 

「どうしました!?」

「やつが…、バビディ達が動き出しました!」

 

遂にこの時が来たか。前回バビディの手下が姿を現してからしばらく経った。俺も界王神界で修行を重ね前よりも遥かに力を付けることが出来た。

 

「界王神さま、行きましょう!俺はいつでも準備が出来ています」

「そうですね、参りましょう。バビディを倒すために」

 

そうして俺たちは下界に界王神さまの瞬間移動で向かった。

 

 

 

 

 

視界が開け下界の光景が目に入ってくる。前の時から随分と時間が経ち懐かしい想いが込み上げてくる。しかし今はそれどころではないようだ。

 

「フッフッフッ…、お前が孫悟飯か」

「何故俺の名前を知っている!お前は誰だ!」

 

下界に降りた時目の前にいた人物に返答する。容姿はピンク色の肌をしておりとても人間とは思えない。

 

「私の名はダーブラ。暗黒魔界の王だ!」

「なっ!ダーブラですって!?」

 

ヤツの名を聞いた途端、界王神さまはこれ以上ないほど驚いていた。

 

「界王神さま、暗黒魔界の王とは?」

「暗黒魔界とはこの宇宙の裏側にある世界のことです。我々界王神の目すら届かず全貌は明らかではありません。しかしながらその混沌とした世界を統べているのが目の前にいるダーブラです」

 

界王神さまの説明を聞いたダーブラはそれが事実であるかのように表情をニヤつかせる。正確なヤツの戦闘力は分からないが今感じる気だけでも世界の王と呼ばれていてもおかしくはない。

 

「その暗黒魔界の王が地球になんの用ですか!」

 

界王神さまがヤツに問う。俺たちは魔人ブウの元に急がなければならないんだ。

 

「孫悟飯、私はお前に用がある。バビディさまと魔人ブウはこの先だが、界王神以外は通すなとのご命令でな」

「俺に一体なんのようだ!」

「私は前回の貴様の戦いを見せてもらった。あれが貴様の全力ではないんだろう…?私は本気の貴様と戦い、そして殺す!」

 

ヤツの言葉と同時にヤツの気が膨れ上がった。しかし界王神さまは怯まず、

 

「貴方の言葉に素直に従うと思いますか!?私達は魔人ブウを倒さなければならないのです!」

「そうか、ならば…」

 

俺は瞬時に超サイヤ人2になり、高速移動でキビトさんの前に行く。

俺の出した右手に重い衝撃が走る。

 

「ほぅ…」

「2人に手出しはさせない!」

 

ヤツは界王神さまやキビトさんに追えない速度で急接近をしていた。俺が食い止めなければキビトさんは殺られていたかもしれない。

俺は受け止めたヤツの手を掴みそのまま前方に投げ飛ばす。

 

「助かったぞ孫悟飯」

「いえ、このくらいなら大丈夫です。それよりもここはヤツの言葉に従った方がいいでしょう」

 

界王神さまは俺の言葉に頷いてくれた。俺自身も2人を護りながら戦うのは流石に厳しいだろう。

俺の傍から界王神さま達は離れ、ヤツの方に向かっていく。

 

一応最新の注意を向けながらも界王神さま達の行方を見守る。その間ヤツは本当に手を出す気はないらしくこちらをずっと見ている。

 

 

「では、始めようか孫悟飯」

「あぁ、掛かってこい!」

 

俺はいつもの構えをし、ヤツの出方を伺う。次の瞬間…右側に注意を向ける。俺は腕で防御しヤツの蹴りを受け止める。先程もそうだがこの程度なら以前の俺でも大丈夫だったであろう。

 

俺は反撃に回し蹴りを放ちヤツの頭を狙う。しかし頭を少し逸らすだけで避けらた。俺は地を蹴り少し距離を取る。

そうして気弾を数発撃ちヤツの元で土煙が舞う。

 

「中々やるではないか。以前よりパワーアップしていると見える」

「そう言うお前もやるな。あれから随分と修行したが超サイヤ人2と互角なんてな」

「互角?クックックッ…では少しだけ本気を出してやるか」

 

いきなり視界がズレる。ヤツのパンチを喰らい顔が少し横を向いたようだ。顔を戻しヤツを正面に捉えようとするがその間に胴体に蹴りを入れられる。

 

俺は大きく後退し先程よりもヤツとの距離が空いたところで停止した。確かに拳も蹴りもどちらも鋭さを増していた。だが前よりも遥かに強くなった超サイヤ人2の俺には少量のダメージにしかならない。

 

まだまだ余力は残っているが界王神さま達の元に早く行くために、俺は気を大きく解放しダーブラの上空に高速移動した。

 

「かめはめ波ー!!」

「フンッ!!」

 

俺の放ったかめはめ波はヤツにいなされ遠くで着弾した。その隙に今度はヤツの懐に入り込み胴体を狙う。が、その場でしゃがまれ足元を払われる。

俺は体勢を崩したが右手を地面につき下から姿勢を戻したヤツの顎に蹴りを入れた。怯んだ隙に俺は体勢を立て直しヤツの腹部に手を当てる。

 

「はぁぁぁぁ!!」

「グォッ!?」

 

至近距離から気功波を撃ち込みヤツは吹っ飛んでいった。間髪入れずに俺は距離を詰める。ヤツが飛んだ場所から土煙があがっており俺は気を頼りに攻撃を仕掛ける。

 

「―ッ!?」

 

煙の中から外の光に反射した何かが見えた。咄嗟に身体をずらしそれを回避する。左腕がないため防御面では苦労するが躱す分にはありがたい。土煙から出てきたヤツは先程まで持っていなかったゼットソード程の剣を握っていた。

 

「よくぞ躱したな、思っていたよりもやるようだ。だがこの私には敵わない」

「なら、ここからは本気の勝負だ。はあぁぁぁ!!!」

 

俺は超サイヤ人2の全力を出す。流石のヤツも俺の気の大きさを感じ取ったようだ。ヤツ自身もその邪悪な気を膨れ上げさせ剣を構える。

 

「たあぁ!!」

 

俺から仕掛けた。ヤツは迎え撃つように口から小さな何かを吐き出した。俺は手に気を纏い弾き飛ばす。近づいてから力いっぱいに顔面を殴りヤツにダメージを与える。

吹き飛んだ先に高速移動し背中を蹴りあげる。

 

「だりゃぁぁ!!」

「ぐぁぁぁっ!!」

 

さらに追撃を仕掛け、打ち上がったヤツの身体を地面に叩きつける。

ヤツはギリギリの位置でなんとか着地したようだ。持っていた剣を俺に向けて投擲してきた。俺は躱しながら通りすぎた剣の柄を掴みそのまま突撃する。

 

俺はダーブラに斬りかかりヤツの服を掠める。ヤツは間合いを取り再び口から何かを吐き出す。それを俺は剣で弾いたが唐突に剣が重くなった。剣の方を見ると灰色になっておりまるで石のようになっていた。

 

「隙だらけだぞ!」

 

その隙を突かれ腹にパンチを入れられる。本気となったヤツの一撃は中々のダメージになってしまった。魔人ブウとの戦闘も控えている中あまりダメージは喰らえない。

 

「貴様はあまりモタモタしていられないんじゃないか?バビディさまと魔人ブウが界王神たちを殺してしまうぞ?」

「その前にお前を倒し魔人ブウも倒すだけだ!」

 

ヤツが手を前に突き出すと俺の目の前が爆発し土煙が舞い視界が奪われる。その中から気弾が飛び出し俺に直撃する。なんとか腕で防御は出来たものの、次は喰らわないように気を感知し気弾を避ける。

 

「はぁぁぁ!!」

「ぐっ、舐めるなぁ!」

 

俺は空中に飛び土煙を避けながら気を纏った渾身の拳を突き出す。ヤツも反応し拳同士がぶつかり合う。

激しい気のぶつかり合いにより俺たちは互いに吹き飛ばされた。俺は背中から地面に叩きつけられたがどうにか勢いを殺し体勢を立て直すことが出来た。

 

やはりヤツは俺の思っている以上に強い。魔人ブウと思わしき気をダーブラの背後から感じる。そこにいる界王神さまたち…そしてもう1人の戦士の気も。

みんなの気が徐々に減ってきておりとても危険な状態だ。

 

「これ以上お前に足止めを食らう訳にはいかないんだ!」

「ならさっさとこの私を倒してみるんだなぁ」

「あぁ、やってやるさ!」

 

体力の消耗を考えている場合じゃない。界王神界でゼットソードを使った修行の成果を見せてやる…!

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

「なにぃ!?」

 

俺は全開に気を解放する。俺を纏う稲妻はさらに激しさを増し、俺の体力を徐々に奪っていく。だけどまだだ!俺は前回バビディの手下と闘い痛感した。超サイヤ人2にもいずれ限界が来るのだろう…と。

だから―

 

「はぁぁぁ!!!うぉぉぉあああ!!!」

 

だから俺は超サイヤ人2の限界を越えさらなる先を目指した。そして辿り着いた先、それが!

 

「これが超サイヤ人3だ。本当なら魔人ブウと戦う時に取って置きたかったんだがな。ダーブラ、貴様は俺が倒す!」

 

纏う気は超サイヤ人2を遥かに凌駕し、短髪だった俺の髪は腰当たりまで伸びている。超サイヤ人の究極の進化それが超サイヤ人3。

俺はヤツの驚きに満ちた瞳をしっかりと捉え突撃した



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第9話 暗黒の思惑、魔人との闘い

あけましておめでとうございます。めちゃくちゃ久しぶりですね。前回から半年弱経つということで本当に申し訳なかったです。
久しぶりにマイページでお気に入りを確認した時たくさんの方にお気に入りにした頂いたことを確認し、書かなければと使命感そしてモチベーションが湧いて来て今回投稿しました。久しぶりですがお楽しみください

では、どうぞ!


俺は拳を振り上げ腕でガードをするダーブラに重い一撃を食らわせる。

後方に吹き飛んだダーブラの背後に高速移動し、背中から強烈な蹴りを放った。

 

「ぐぅぅ…!?」

 

ヤツは顔面から地面に叩きつけられ、苦しそうに声をあげる。

 

「どうした、その程度か?」

「くそ!この…わたしが!?」

 

俺は立ち上がったヤツの正面に立ち様子を見る。先程からこちらの攻撃をモロに食らっているはずだが気が少ししか減っていない。そのことからヤツはまだ力を隠しているはずだ。

 

「弱っている振りはやめろ!お前の気が全然減っていないことに俺は気付いてるぞ」

 

俺がそう言うと、ヤツはどこか不気味な笑い声を上げこちらを見てくる。

 

「流石孫悟空の息子だな。あの時代とは力も心も違うと言うことか…。」

「何…?。あの時代だと?」

「くっくっくっ…。貴様には関係ない事だ。この時代も仕方なくバビディに従っていたがいいものが見れたな。」

 

言葉を言い終えた途端ヤツは俺の目の前まで近づいていた。咄嗟に体を右に逸らし攻撃を避ける。振り抜いた勢いのままヤツは回し蹴りで俺の腹部を習ってくる。俺は思いっきり跳躍し踵から脳天を狙う。

 

「超サイヤ人3と言ったな、まさかここまでの実力とは思わなかったがまだ私には届かない」

「なっ!?」

 

当たる感触がないと共に俺は体が宙に浮くのを感じた。俺の足を掴み上空に投げ飛ばしたようだ。俺は体を回転させ勢いを殺す。

しかし、ヤツの方を向いた時にはそこに居らず背中に強い衝撃を受ける。

 

(想像以上に速い!)

 

俺は受身を取る間もなく地面に叩きつけられた。地面の冷たい感触を感じながら素早く呼吸を整え立ち上がる。後ろにヤツの気を感じる。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

振り向いたと同時に気功波を放ちヤツの近くに移動する。土煙が上がっている中で顔面に拳を食らわせる。

 

「ぐぅっ!」

 

流石のヤツもここまで与えたダメージからか大きく仰け反った。その隙を見逃さずに体に何発も拳を打ち込む。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

最後に近距離から気弾を撃ちヤツを吹き飛ばした。俺は肩から息をするぐらい体力が減っていた。

 

(やっぱり超サイヤ人3は体力の消耗が凄いな。ヤツも弱ってきているが魔人ブウとの闘いも考えなければ…)

 

俺の放った気弾が爆発した地点から姿を表した。ヤツも呼吸を乱してはいるがこちらを見てニヤリと笑う。

 

「いいぞ孫悟飯。ここまでわたしを楽しませくれたのはお前が初めてだ。殺すつもりだったがここで殺しては面白くないな」

「なんだと!?」

 

ヤツは俺に手を向けていきた。俺は片腕でガードをするが何も来ない。

 

「!?」

 

少しすると自分の気が元に戻っていることに気が付いた。

 

「一体何をした!」

「お前の気を回復してやったのだ。この時代の貴様はあの時よりも殺しがいがあって面白そうだ。再び会うのは歴史が変わった時かな?」

「待て!!」

 

ヤツは意味深な言葉を残しどこかに瞬間移動してしまった。気を探ってもどこにもなく俺は歯を噛み締める。

 

(ヤツの言ってた言葉は一体…。でも今はそれどころじゃない!)

 

意識を切り替え離れた場所にいる魔人ブウの元に急いだ。

 

 

 

 

 

魔人ブウの元に近づくにつれて邪悪な気を肌で受ける。界王神さま達の姿が視界に映る。その姿を確認した俺は超サイヤ人3へと変身し加速した。

 

「やめろぉ!!!」

 

目にも留まらぬスピードでその速さを乗せた一撃を魔人ブウの顔面に与える。まともに受け身も出来ずにヤツは数メートル先まで飛んで行った。

 

「なんとか間に合ったようですね。界王神さま」

「悟飯さん!よかった、ダーブラを倒せたんですね!」

「その話はまた後で」

 

後ろを振り返りみんなの安全を確認する。みんなボロボロだがなんとか生きてるようだ。そして、

 

「久しぶりだな、トランクス!立派に成長したな」

「ご、悟飯さん…!?」

 

トランクスは涙を流してた。俺だってトランクスに今まで辛い思いをさせた思いで泣きそうだ。でも魔人ブウは、地球の危険は去っていない。

 

「トランクス、泣くにはまだ早いぞ。まずは魔人ブウを倒さなきゃな!」

「は、はい!悟飯さん!」

 

トランクスは膝に手を起きながら立ち上がる。少しふらついてはいるが目は俺をしっかりと捉えてる。

 

(本当にしっかり成長したんだな…)

 

「来るぞ、トランクス!!」

「はい!はあぁぁぁ!!!」

 

俺の横に立ったトランクスは超サイヤ人2に変身した。

 

(トランクス、お前も殻を破ったんだな)

 

「ブゥー!!!誰だ、俺のことをなぐったやつは!許さないぞ!」

 

ヤツは頭の穴から蒸気を放ちながら気を膨らませる。俺は地を蹴り、先陣を切る。頭部を狙った拳はヤツに受け止められる。そのまま横に投げられるが、受け身から再び攻撃を仕掛ける。

 

阿吽の呼吸でトランクスと前後から同時に別々の箇所を狙う。しかし、ヤツは体を変化させたせいで俺たちの攻撃は当たらず、体を戻したヤツの攻撃を逆に受けてしまう。

 

「怖い顔になったって、ちっとも怖くないぞぉ〜!」

「そう言うことだ〜。やっちゃえ魔人ブウー!」

 

魔人ブウは俺のことを指さし、宣戦布告をしてくる。超サイヤ人2になったトランクスは相手にしてないようだ…。なら、それを利用させて貰う!

 

「トランクス、お前は思っきり気を上げて俺が合図したら特大の一撃を叩き込むんだ!」

「わかりました!」

「来い、魔人ブウ!」

 

俺は魔人ブウに応えるようにここから少し離れた位置まで高速移動し、ヤツの出方を伺う。案の定ヤツは俺にだけ攻撃をしてきた。

 

「だあぁぁ!!」

 

ヤツの拳に正面からこちらも拳をぶつける。打ち合った時点から衝撃波が発生し、周囲の地面を抉る。そこからヤツの攻撃を交わしつつ俺も攻撃を仕掛けるが、ヤツの体型の割に素早い動きでこちらも当たらない。

 

一瞬の隙を付きなんとか一撃与えることが出来、トランクスの様子を見る。今のトランクスの全力が分からないが、この少しの時間で随分気を溜められたようだ。

 

「だりゃあぁぁぁ!!」

 

トランクスから視線を魔人ブウに戻し右手に気を纏い全力で振りかぶる。しかし次の瞬間俺の視界がピンク色に染まった。ヤツは自分の体を伸ばし俺のことを締め付けてきた。

 

「くっ!」

「いいぞ、いいぞ、魔人ブウ〜」

 

バビディの得意げな声を聞きヤツは更に俺のことを更に締め付ける。俺は気を解放し俺のことを囲んでいるヤツの体を吹き飛ばす。

 

「トランクス!今だ!」

「はい!「魔閃光!!!!」」

 

俺はトランクスに合図を出し、俺も共に魔閃光を即座に放つ。俺がヤツの体を吹き飛ばした反動で俺たちの魔閃光は見事に命中した。

 

「ブゥーー!!??」

 

ヤツは遠くまで吹き飛び、魔閃光が着弾して大きな爆発を起こした。

 

「はぁ、はぁ」

「大丈夫か、トランクス?」

「はい。なんとか…」

 

流石のバビディも今の攻撃には焦ったのだろう。俺たちに目もくれず魔人ブウの元に向かって行った。後ろから足音がして振り向くと、

 

「やりましたね。悟飯さん!」

「界王神さまも大丈夫ですか?」

「ええ、トランクスさんにも守って貰っていましたから」

 

界王神さまとキビトさんが近くに来ており、2人の状況も確認することが出来た。

後はバビディだけですね、と界王神さまは魔人ブウが倒されたと思っておりどこか安心した様子だ。でも、

 

(まずいな、今までよりも邪悪な気が魔人ブウから発せられている)

 

俺が危険を考えていたその時、何かが一瞬で俺の側面を通り抜けて行った。

 

「ぐわぁぁ!?」

「うぐぅぅ!?」

 

すぐさま振り返るとそこに界王神さま達の姿はなく、直後爆風によって上がった土煙に視界を奪われた。

視界が晴れた時には3人とも俺の近くには居らず、少し離れたところでボロボロになって倒れていた。

 

「お前、ムカつくな。俺もう許さないぞ!」

 

邪悪な気の方に向くと魔人ブウがそこに立っていた。ヤツは吹き飛ばした体を回復させ、こちらを睨んでいた。更に驚くべきことにヤツの足元には先程魔人ブウの元に行ったバビディが倒れていた。

 

「バビディをどうした!」

「ホッホホーイ。殺した」

「なんだと!?」

 

魔人ブウを復活させたのはバビディのはずだ。でもヤツはバビディを殺した。怒りに身を任せたのか、それともバビディがいたら何か不都合があったのか。どちらにしろトランクス達はもう限界だ。俺がここでヤツを倒さなければならない。

 

「はぁぁ!!魔人ブウ、今度こそ決着を着けてやる!」

 

気を全開にし魔人ブウと対峙した。ヤツとの全力全開の超決戦が始まった



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