霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して! (みけさんわーきゃっと)
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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」

一つの話にこれほどパンツって書いたの初めてかもしれない。




頭がおかしいとしか言えない俺の発言が神社に響く。

現代社会なら、間違いなく通報されるような言動に、言われた少女―博麗霊夢―は少し眉をしかめると

 

「またぁ?ちゃんと返しなさいよね」

 

と告げて、器用にも着衣のまま紐をほどき(幻想郷ではゴムや化学繊維が希少なため大抵は紐パンかドロワーズである)足元にすとんと落とした下着を拾いこちらに手渡してくる。

 

手渡されたパンツは白一色の飾り気のない紐パンで、朝も早いせいか汚れもなく、鼻を近づけるとわずかに少女の甘酸っぱい体臭が香る。

霊夢ちゃんはぐうたらだがズボラではなく、なんだかんだと身の回りのことはしっかりやっている。

どこかの白黒のドロワーズはツンとした刺激臭を放っていたのをふと思い出した。

森の中で日が差しにくい、洗剤がない、箒に横座りで乗って飛ぶせいで蒸れる、その状態で弾幕ごっこをする、そもそも本人がズボラ。うん、ああなるのも仕方ないな……

 

この話はいつか「魔理沙のドロワーズが臭かったので洗濯機を渡した」物語として語る時が来るかもしれないな。

 

さて、堪能したところで……パンツに存分に埒を開けるのもいいが朝っぱらからすることでもなし素直に返すことにして霊夢ちゃんにパンツを手渡して、告げた。

 

「じゃあ、これ()()()よ」

 

「はいはーいって……ぎゃああああああ!?アンタまたやったわね!?」

 

「霊夢ちゃんせっかく可愛いんだからもう少し女の子らしい叫びをあげれないの?」

 

「うるさい馬鹿ぁぁぁっ!!ほんといい加減にしなさいよ!!」

 

「だって霊夢ちゃんがぐうたらしてたから……お仕置きで」

 

「本当にふざけてんじゃないわよっ!?いつもいつもいつもいやらしいことにばっかり能力使って!」

 

そう、さすがに霊夢ちゃんも俺にパンツ貸してくれるほど仲は良くない、というか普通恋人でもパンツは貸さないだろうと思う。

これは俺の能力「なんでも借りる程度の能力」だ。

形而上形而下問わず文字通りなんでも借りることができる。ただし最初の一度は相手の同意が必要である。

能力なら一部を借りたりもできる。一度に借りれる最大数は10、ただしいくつかは借りっぱなしになってるため、自在に入れ替えできるのは6つぐらいだろうか。自分でいうのもなんだが大概なチート能力だと思う。

複数の人物からいいとこどりをした場合ガチの紫さんとほぼ互角に戦えるぐらいの……それでも霊夢ちゃんにかなわないっておかしいだろこの美少女巫女。

 

以前起きた弾幕戦争事変(ごっこではない)は「月が綺麗ですね、死ぬがよい」事件としていつか語らねばなるまい。

話がそれたな、あとは一度借りたことのあるものは二度目以降は強制的に借り受けることも可能、その場合今の霊夢ちゃんのように返すまで「当たり前の行動」と認識することになる。

ちなみに強制的ではない場合は普通に貸し借りの認識で行動する。

 

ちなみに今回は食事の支度、片付けから生ごみの処理まで、寝っ転がったまま俺を顎でこき使ったことに対するちょっとしたお仕置きである。

せめて座ったままだったら俺もここまでは……したかもしれないな。

なんだかんだで霊夢ちゃんは美少女である、美少女のパンツを手にできる機会は男として逃してはならないのではなかろうか。(謎の使命感)

さておき、このままでは収まりもつかないだろうし、一発抜いてすっきりしてもらおうか。

 

「大丈夫だよ!霊夢ちゃん!今日も下半身にくる甘酸っぱいいい匂いだったよ!」

 

「吹き飛べえぇぇぇぇぇっ!!」

 

俺が意識を失う直前に見たのは4枚のスペルカードを同時切りという人間はおろか妖怪にさえ向けてはいけない超弾幕の奔流だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らない……わけないな、よく見知った天井だ」

 

博麗神社に借り受けている部屋の一室で俺は目を覚ました。

ちなみに能力ではなく普通に借りている。

 

「なんだかんだ言って放置しない霊夢ちゃんマジ天使」

 

掛け布団こそ掛けてはないが、ちゃんと布団の上に寝かせてもらえている。

霊夢ちゃんは沸点こそ低いが、爆発すればすぐにフラットな(多少ダウナー気味ではあるが)状態に戻る、異変解決したらそこで一旦リセット、もう敵ではないという流れが体に染みついているのか、後に引かないタイプだ。

おかげで霊夢ちゃんを弄るのがすごく捗ってしまう(邪悪)

 

一刻ほど倒れていたのだろうか、日がだいぶ高くなっていた。

直接日光は当たってないが肌が少しチリチリしてきたのでルーミアから借りている闇を操る程度の能力で紫外線を遮る薄い闇を纏う。

ひっそりと闇の衣と呼んでいる使い方だ。濃くすれば一部の攻撃に耐性を持つため割と重宝している。

この能力は「闇」とつくものに対してほぼ万能に干渉できるのだが(闇を見通す、闇に溶け込む)なぜかルーミアが使うと、自分も闇の中で何も見えなくなるという謎の状態変化をもたらす。

もしかして、使いこなせてないんじゃね?と思う。

……なんかリボンが怪しい感じがするんだよな。似合ってて可愛いからいいけど!

ちなみにレンタル料はルーミアがおなかがすいたときの食事(おやつ含む)である。

最初はおやつオンリーだったんだが、チルノがルーミアを盾におやつを頻繁に要求してくるようになったためこのようになった。

回数が多い場合熱々の料理を出すことにしている(苦手なようだがそれでもチルノは食う)

 

 

今日は仕事が入っていないので神社周りの雑事を片付けていく。

社殿と境内の掃除(といっても宴会でもない限りは綺麗なものである……人が来ないので)を終え、夕食は何にしようか(博麗神社では基本、朝食、おやつ、夕食である)と考えつつ畑に向かおうとすると元気な声が響き渡った。

 

「お兄様ーっ!」

 

「おう、フランか、今日のフランもお洒落さんだな」

 

()()()()元気に駆けてくるのはフランドール・スカーレット。霧の湖付近の洋館に住む吸血鬼姉妹の妹である。

そしてなぜか俺の事をお兄様と呼ぶ。

このあたりは俺に妹がたくさんできたという話をいつかすることがあるかもしれない。

 

「うん!お姉さまと咲夜が選んでくれたの!」

 

紅魔館にいるときの服装も可愛らしいが、外に出歩くようになってからはパーソナルカラーである赤はそのままではあるが薄手の動きやすいワンピーススタイルが多くなった。

ナイトキャップもかぶっていない。

 

「それと、はい!お兄様!」

 

 

と、勢いよくスカートをまくり上げてパンツを見せてくる。

どうも俺がパンツを見るのが好きだと誤解しているようなんだよな。

ちがうんだ、パンツは確かに好きだがリアクションも込みで好きなんだ、しかもフランぐらいだと興奮以前に罪悪感が……ってえっぐいの履いてるな!?

生えてたら間違いなく毛が見えるような、というかぎりぎりスジが隠れてるような面積の少ない超ローレグ。

シルクなのだろう、つやつやした光沢にフランの白い肌、そしてスカートをたくし上げているというのが合わさって実に背徳的な代物だ。心なしかむわっとした熱気すら感じる。

(紅魔館のメンバーはさすがお金持ちというか基本シルクでレミリアさん以外はショーツタイプである、()()()()()()()ので間違いない)

 

だが、流石にフランぐらいだと顔をうずめて嗅ぐわけにもいかない(混乱)これぐらいの距離があっても、ほんのりミルクっぽい香りがするのは気のせいだろうか?

 

「うーん、もうすこし大きくなってからのほうが嬉しいかな?」

 

「これでもすこしは背も伸びたのよ、お兄様」

 

「体の大きさを言ってるうちはまだまだかなー」

 

手を添えてスカートを下ろさせた後、フランの頭をわしわしとなでる。

髪の毛が乱れる位わしわしと撫でられるのがフランのお気に入りである。

日向ぼっこをしている犬のように目を細めてされるがままに撫でられている、可愛い。

 

「そういえば咲夜ちゃんは?今のフランは人間と変わらないんだから、一人で出歩くのはだめだって言っただろ?」

 

そう、今のフランは人間と変わらない。俺が吸血鬼の特性と程度能力をフランから借り受けているからだ。おかげでスペカ4枚切りくらってもすごく痛い程度ですむし、闇を纏えるルーミアの能力が手放せない。

 

フランはフランで程度能力を手放して以降は狂気に侵されることも無く(推測だが、気に入らないものを壊せるってのはある意味恐怖だと思う。一時の感情で大切なものを失ってしまうのだから狂気に侵されても仕方ない気がする)、心身ともにすくすくと成長している。

人間の子供と同じ成長スピードのようで、レミリアさんが身長で抜かれそうなことに苦悩しているのは別問題ではあるが……(ちょっと萌える)。

 

「咲夜ならお兄様の後ろにずっといるよ?」

 

「はい、先ほどより控えております」

 

「うおっ!?相変わらず気配もなくっ!?」

 

 

俺の叫びに「メイドですので」と答えになっているようないないような返答をしてからスカートを摘まみこちらに問うてくる。

 

「本日はシンプルな白ショーツにガーターストッキング及びナイフベルトですが、ご覧になられますか?」

 

「……誰に言わされた?」

 

「レ、レミリアお嬢様に……」

 

クールに言ったつもりだろうが、白ショーツのくだりからどんどん耳が赤くなっていっているため言わされたのがまるわかりである。ありがとうレミリアさん!

 

しかし、なんでみんな俺にパンツを見せるのか……?そんなにパンツ見て喜んでたかな?……喜んでたわ!(自己解決)

 

「咲夜ちゃんも無理しなくていいからね、見せたいっていうなら別だけども」

 

「み、見せたくはありませんけど……見られても別に不快ではないですが……

 

咲夜ちゃんがなにかぶつぶつ言っているが、またテンパったのだろうか?

いつもは何でもそつなくこなす咲夜ちゃんだが、えっちなことに関してはかなりポンコツになってしまう。紅魔館が女子高みたいなもんだからしょうがないのかもな。

 

「そういや、フランはなんでここに?」

 

初手パンツでかなりペースを乱されたが、わざわざパンツを見せに来たってことも無いだろう。

いや、フランならありうるのか……?ちなみにチルノはわざわざ見せにくる。馬鹿には見えないパンツとか……

 

「えっとね、おつかい!お姉さまから招待状だよ!」

 

綺麗に封をされた手紙を渡してくれる。いつもの事なので開けなくても中身はわかるな。

 

「あーレミリアさんに献血の時期か」

 

献血とは言っているけども直吸いである。結構な金額をもらえたりするし、飯と快適な寝床までついてくる、こっちにメリットしかないんだよな。

 

「いつ頃に致しましょう?お嬢様は早い方がいいと……」

 

「言ってたのか?」

 

「いえ、態度で」

 

あー、そわそわしながら、「別にいつでもいいのだけれど」とか言っているレミリアさんが目に浮かぶな……

 

「さすがに今晩は無理だな、準備がある。明日でいいか?」

 

「それぐらいならお嬢様も待てると思います」

 

レミリアさんはなー……準備しておかんとやばいんだよな、吸われるとなんでかめっちゃ勃つからな……

しかも無理に迫っても「不遜ね」とか言いながらもさせてくれそうなところがやばい、物理的に入るかは知らんが(下品)

とりあえず今夜も霊夢ちゃんにパンツ借りるしかないな!(とばっちり)

 

「ねえお兄様」

 

「どうした?フラン」

 

「なんでお姉様にはさんづけなの?」

 

エロスを感じるからだよ……とは言えんな。

基本対象外は呼び捨て、性(セクハラ)の対象になったらちゃんづけ、女性として意識している(ただし相手の推しが強い)と思うのがさんづけというある意味最低の区分けをしている。

紫さんとかはこの呼び分けに気付いているようだけどもいつもの胡散臭い笑みしか見せてこない。

もしかしたらさん呼びに優越感を持っているのかもしれない。

 

ちゃんとさんの間は結構遠い、少なくとも性的な事だけではさんづけすることはないんだがそのあたりは言葉にしづらい感覚的なものがある。

ちなみにこの前妹紅ちゃんがさんづけに昇格した「竹林にて蓬莱人の永遠に涙するを見る」をいつか語る時が来るかもしれないな。

 

「お前のお姉様はいい女だってことさ」

 

「私はー?」

 

「将来に期待ってとこかな?フランは可愛いけど、可愛いだけじゃいい女にはなれないからな」

 

「わ……私は、どうでしょうか?」

 

まさかの咲夜ちゃんまで聞いてきた。

 

「もう一歩ってとこかな」

 

「いえ、その、かっ……かわっ」

 

「咲夜ちゃんは綺麗系かな?個人的には可愛いとおもうけど」

 

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

はにかみながら礼を言う咲夜ちゃん、うんやっぱりかわいい。

 

「お兄様あそぼーっ!」

 

「おう、いいぞ何する」

 

「お昼寝ーっ!」

 

「それは遊びなのか……?」

 

しかも俺さっきまで気絶してたから眠れる気がしないんだが!?

勝手知ったる他人の家とばかりに俺の手を引いて家に入る。

部屋に行くと片づけたはずの布団が敷かれており、フラン愛用らしきタオルケットを持った咲夜ちゃんが待機していた。

相変わらず便利な能力だな……

 

「んーっ!」

 

率先して横になったフランが自分の横のスペースをぽんぽん(バシバシ?)叩いてここに寝ろと要求してくる。

何を言っても無駄だろうしあきらめて横に寝るとフランが抱き着いてきた。

 

「ぎゅーっ!」

 

俺の腕を両手でしっかりと抱え込んでくる、人間と変わらない状態なのでぬくやわこい。

体温が高めなのはまだ子供の証だろうか。

 

「お、甘えん坊だな」

 

「うん!ぎゅっとしてもなにも壊さないのとっても嬉しいの!」

 

「……そうか」

 

抱えられてないほうの手でわしわしとフランをなでると「えへへ」と本当にうれしそうな声をあげぐりぐりともっとなでろとばかりに頭を押し付けてくる、うん、可愛い。

 

「失礼いたします」

 

咲夜ちゃんが大きめのタオルケットをお腹のあたりにかけてくれる。

 

「咲夜ちゃん……」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「このアングルから見るパンツもいいね」

 

「えっ、あっ!?きゃあっ!」

 

パンツ、頂きました!

幻想郷の女の子たちはスカートにもう少し気を使ったほうがいいと思う。

まあ、おかげで頻繁にパンツが見えてうれしいのだが。

 

「お兄様!いまはフランを見るの!」

 

「ああ、ごめんな」

 

わしわしと撫でを再開する。

その間に咲夜ちゃんは二歩下がってしまった、残念。

 

撫でているうちにだんだんフランの目がとろんとしてくる、もう寝落ちる寸前だ。

それを見ているとさっき気絶していたはずなのに俺もまた眠気を誘われ……意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

揺り動かされて目が覚めた。結構な時間寝ていたのか逆に眠い。

微妙に腕がチクチクすると思えばフランがかみついていた……吸血鬼の本能……?

 

「妹様も起きてください」

 

「んにゅ……甘くない」

 

「そりゃ俺の腕はスイーツじゃないからな」

 

「んぅ……?あ、お兄様おはよう」

 

「はいおはよう」

 

夕方におはようと言っていいのか……?

吸血鬼的には早朝なのかもしれないけど。

 

「あ、飯の支度しないと」

 

「僭越ながら私が終わらせておきました、お口に合えばいいのですが」

 

「ありがとうな咲夜ちゃん、俺は咲夜ちゃんの味が好きだし、霊夢ちゃんは食えれば文句は言わない性格だし、問題ないよ」

 

「んにぃ……お兄様咲夜食べたの?」

 

まだ寝ぼけているフランがある意味すごいことをぶっこんできた。

いや暗喩とかできるような子じゃないけども。

 

「はっはー、食べてないぞー?」

 

咲夜ちゃんは暗喩が通じたのかまたテンパっている。

やだ、ムッツリ……!

 

「咲夜ちゃん」

 

「はっ、はいっ!なんでしょう?」

 

「えっち」

 

「そ、そんなころはにでひゅよっ!」

 

「めっちゃ動揺してるよね!?」

 

「し……知りません!妹様行きますよ!」

 

「お兄――」

 

フランが別れのあいさつの途中で主従ともに消えた。

時間停止してまで帰るとか相当動揺してたみたいだな。

 

日も傾いてきたし、暗くなる前にいろいろやっとくかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーだから洋食なのね」

 

咲夜ちゃんが作っていったのはホワイトシチューと刻み野菜の入ったしっかり焼いたタイプのオムレツ。

しかし、ここは紅魔館ではないのでパンなどの買い置きはないので俺は飯を炊いた。

七分搗き位の米はシチューをかけて食うとうまいと思いやってみたところ大正解だったようだ。

 

霊夢ちゃんも最初は行儀が悪いと言っていたが騙されたと思ってやってみてと言うと警戒しながら(なぜなら俺はたまに騙すからだ)試してみて、気に入ったのか丼を持ち出してきた。

 

「霊夢ちゃんってたくさん食べるのに太らないよねー。まあ、幽々子ちゃんほどじゃないけど」

 

「あれだけ食べたら太る太らない以前にお金が続かないわね……」

 

「白玉楼の主だから食っていけるんだよな、それでも妖夢ちゃんの目が時々死んでるけど」

 

「ああ、まあ文字通り金銭が湯水のように消えてくものね……」

 

「ま、うちはうちで十分食ってけるんだから」

 

ちなみに俺が来る前と来た後では明らかに博麗神社の食糧事情は向上しているはずだ。

神鶏(ただし雌多し)という名の卵兼肉供給用の鶏を飼い。

生ごみと鶏糞とを混ぜた発酵堆肥を作り、作った畑に使ったり交換で幽香さんところで質のいい種を分けてもらったりと少なくとも俺と霊夢ちゃんだけなら米と調味料だけ買えば問題ないレベルで食べていける状態になっている。

 

まあ、あうんやらクラウンピースやら萃香さんやら三月精やら魔理沙にも食わせるので(前者ほど頻度が高い)そこまで余裕があるわけでもないが、俺の収入の半分はお賽銭(直接渡すとなぜか受け取ってもらえない)になってるし、困窮することはないと思う。

 

「アンタには感謝してるのよ?スケベなのはどうかと思うけど」

 

「俺からスケベを取ると何も残らんぞ」

 

「アンタねぇ……こんだけいろいろできるんだからそんなことないでしょうに

 

「ん?どうした?おかわりか?」

 

「そういうところはだめだけど!」

 

「なんでいきなり罵倒されたの俺!?」

 

「うっさい馬鹿!死ね!ハゲろ!」

 

「死ねは良いけどハゲろはよせっ!」

 

「死ねは良いんだ……?」

 

博麗の巫女にハゲろとか言われたら本当にハゲる可能性もありそうだしな、人はいつか死ぬから死ねは問題ない(暴論)最悪映姫ちゃんとこで働けばいいしな。

 

 

 

 

 

 

にぎやかな食事も終わり後片付けをしていると(今回は手伝ってくれた)、

霊夢ちゃんがお風呂をすすめてくれた。

 

「お風呂沸いてるけど入る?」

 

「一緒にか!喜んで!」

 

は?

 

「ごめんなさい」

 

いまの「は?」はすっげー怖かった。

 

「私はさっき入ったから」

 

「つまり霊夢ちゃんエキスが溶けているお湯……閃いた!」

 

「殺すわよ」

 

「死ねじゃなくて殺害宣言っ!?」

 

「はぁ……で、どうするの?」

 

「もちろん入らせていただきます」

 

「そ、少し追い炊きしておいてあげるから湯加減見ながら入りなさいよ」

 

「霊夢ちゃんありがとう!大好き!」

 

「はいはい、ありがとありがと」

 

そういいながら薪を一束(……おーいそんなに入れたら俺茹で上がっちゃうぞー)持って霊夢ちゃんは風呂釜に向かっていった。

 

神社には温泉も湧いているが夜にゆっくり浸かれるのはやはり内風呂である。

あと温泉だと俺が気兼ねなく入れない。セクハラは自分の意思だから良いけどラッキースケベは俺迄しどろもどろになるからな!

なのでこのお風呂も何とかして楽にしようと一生懸命改造したのだ。

 

上流から黒塗りの竹で水を引いているため夏場は沸かさなくても入れるぐらい熱くなる、この工事のお話「オペレーション朝〇ソーラーじゃけん」はいつか語る時があるかもしれない。

 

ところで「しどろもどろ」って妖怪ぽくね?

妖怪しどろもどろ……うん、いそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃー……いいお湯だった」

 

ほんのり霊夢ちゃんの残り香のあるお風呂は心身ともにリラックスできた。

……脱衣籠に霊夢ちゃんのパンツがなかったのは残念だったが。

 

 

ぺたぺたと廊下を歩いていくと縁側で霊夢ちゃんがお酒を飲んでいた。

 

「アンタもどう?」

 

「一杯だけな」

 

俺はそこまで強くないし好きじゃない。萃香さんに言わせれば人生の120%損してるということだが……「なに?俺来世の分まで損してるの?」と思ったが酔っぱらいの言うことだし深くは気にしないことにした。

 

 

ぐい飲みになみなみと注がれる。

つまみはない。

 

軽く一口、すこし水で薄めてあるのか飲みやすい。

目で霊夢ちゃんに確認すると「アンタならそのぐらいがいいでしょ」と目で返事された。

 

最初から俺が飲むと思って準備されていたようだ。

少女が酒を飲む。異常な光景かもしれないが霊夢ちゃんが静かに酒を飲む姿は儚く、美しさすら感じられる。

 

宴会の時のにぎやかな霊夢ちゃんもいいのだが、この一人飲んでいるときの霊夢ちゃんは……

 

「綺麗だ……」

 

「そうね」

 

月か星の事を言ったのだと思ったのか霊夢ちゃんは返事を返してくれた。

いつもの俺なら「霊夢ちゃんの事だよ」と軽口をたたくのだろう、でもその言葉は出なかった、出せなかった。

 

俺はただ幻想郷で幻想のような美しい少女を眺めながらゆっくりと杯を干すことしかできなかった。

 

 

 

 

「寝るわ、おやすみ」

 

「あ、ああ。お休み霊夢ちゃん」

 

ふいに夢から引き戻された。

名残惜しいが、もう夜も遅い。

そういえば、と予定を思い出して俺は霊夢ちゃんを呼び止めた。

 

 

「あ、そういえば言うことがあったんだ」

 

「ん?どうしたの?」

 

怪訝そうな、それで何か待ち望んでいるような霊夢ちゃんに俺はこう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エピローグから始まるようなお話を書いてみたかった。
あとパンツ。

感想、続き(エピローグ前の話)など読みたいというものがあればぜひご連絡ください。

投稿後何回か加筆修正しました。


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魔理沙のドロワーズが臭かったので洗濯機を渡した話

前話と人物の呼び方や能力が違ってたりしますがこの時点ではそうだったということです。


「おーい!茶が入ったぞー!」

 

上空で弾幕ごっこに勤しむ二人の少女に向かって声をかける。答え(いらえ)はないが聞こえてはいるのだろう。

二人とも手っ取り早く勝負をつけるためにスペルカードを取り出し互いに隙をうかがいはじめた。

 

霊夢ちゃんの湯飲みから茶を一口飲む。うろ覚えで作った麦茶だがうまく焙煎できているようだ、しっかり冷えていて汗ばむ陽気には丁度いい。

こちらをちらりと見るが霊夢ちゃんは動揺しない、くっ強いな。

 

「氷室を作ったのは正解だったな」

 

チルノの能力を借りて氷室をいっぱいにしておけばひと月以上は氷が使い放題だ。というか借りる必要すらなく、チルノ呼んで適当なお菓子を与えて最強の力を見せてくれとか頼めば気分よく氷室を満たしてくれる。ちょろい。

お馬鹿なことを除けば妖精とは思えないぐらいの潜在能力(ポテンシャル)を持っていて、最強というのもあながち間違いではない(時々履いてるドロワーズじゃないパンツは割と最強クラスだった。幼児体型のむっちりした太ももに食いこむローレグの縞パンは幼い肢体ながら目を引かれた)

まあ、そのおかげで稗田家よりも贅沢な氷の使い方ができるので万々歳だ。阿求さんに削り氷(けづりひ)(かき氷のようなもの)をもっていったらことのほか喜んでいたので、きっとそうだと思う。

 

紅魔館とか永遠亭ではチルノ式冷蔵庫(氷で冷やすやつ。チルノの純氷はめっちゃ溶けにくいため長持ちする)は普通に使われてるんだけどな、阿求さんの人外嫌いも、もうすこしなんとかなればなあ……

 

そう考えつつ魔理沙ちゃんのカップから、一口飲む。

 

「ちょっ!?お前それは私のカップだぜ!?」

 

「隙あり!」

 

俺の行動を見とがめた魔理沙ちゃんが動揺して隙を見せる。

魔理沙ちゃんは霊夢ちゃんよりはるかに男らしいのに、こういうところで動揺する乙女である。

もちろんそれを見逃すような霊夢ちゃんではない。

見事に魔理沙ちゃんにスペルカードを直撃させて勝負を決める。

 

よほど綺麗に直撃したのだろう、失速して緩やかにふらふらと落下してくる。

スカートがまくれ上がり丸見えだが、ドロワーズなのであまり楽しい光景ではない。やはりなんとかして魔理沙ちゃんを支援して、霊夢ちゃんのパンツを堪能するべきだったかもしれない。

まあパンチラはさっきから堪能してるんだけども。

 

――こと戦いになれば霊夢ちゃんはパンツ丸出しだろうが、さらしまで破れて乳首が見えていようが一切構わず戦闘に集中する。

戦乙女もかくやという戦場の美が霊夢ちゃんにはある。

そういうところが俺は大好きなんだよな。

だが、いつかパンツまでも破れても動じないかだけはチェックしなくてはならないが(使命感)

 

とはいえ、楽しい光景でなかったとしてもこのままうまいことキャッチすればドロワーズに顔をうずめることだって可能だ。

俺は靴も履かずに飛び出すと真下に潜り込むように魔理沙ちゃんを受け止めた。

 

「うわっ!?ちょっっ!?お前どこに顔突っ込んでっ!?」

 

俺的ナイスキャッチ!

ちょうど開いた足の間に顔を突っ込みお尻を抱え込むように受け止めることに成功した。

では失礼して……と匂いを堪能しようとして……

 

「くっせえええええっ!!なんだこれ!?女の子の下着からしていい匂いじゃないぞっ!?」

 

「人のおまたに顔突っ込んで臭いとかいうなっ!!」

 

おまたとか表現は可愛いな!だが控えめに言っても匂い(におい)ではなく臭い(におい)だ。

生乾きのまま履いて汗と少々のおしっこの匂いが時間とともに蒸れて異臭に変わったような……ツンとくる刺激臭だな。

 

「謝れ!女の子の下着は夢が詰まっていると信じていた俺に謝れ!」

 

妙なテンションのままに魔理沙ちゃんに謝罪を要求する俺。

 

「なんでお前がキレてるんだぜ!?私のほうがキレたいよ!!」

 

「馬鹿め!よく聞け魔理沙ちゃん!霊夢ちゃんのパンツなんか甘酸っぱいいい匂いがするんだぞ!!半日以上はいてても臭くなるどころか、薫り高くぶべらっ!?」

 

「恥ずかしいことを真昼間から外で大声で叫んでるんじゃないわよっ!!」

 

霊夢ちゃんの急降下キックを綺麗にもらった。まあでも、最近ではこの程度は日常茶飯事である。気絶することも無く、「ちょっと痛い」程度で収まっている……俺もだいぶ打たれ強くなったもんだ。

 

むしろ急降下キックに合わせて美味いことまたぐらに顔を突っ込んで魔理沙ちゃんの毒を浄化すべきだったな(暴言)

 

「つまり……夜に家の中で耳元で囁けと?」

 

「なんでそうなるのよっ!?」

 

「お前本当に馬鹿だぜ!?」

 

失礼な!きわめて自分に有利になるように解釈しただけだっていうのに。

まあ、あまりふざけていても話が進まない、問題であり、事実でもあるのは……

 

「魔理沙ちゃんのドロワーズが臭い」

 

「臭くないぜ!……臭くないよな?」

 

霊夢ちゃんに確認をとる魔理沙ちゃん。

 

「いや私に聞かれても……」

 

まあ、普通は同性とはいえ嗅いだりしないわな。

 

「いや、マジで。パンツソムリエの俺が言うけど酷いぞ?霊夢ちゃん、直接嗅げとは言わないけど、前の方でしゃがんでみて、で魔理沙ちゃんはスカートをばっさばっさしてみな」

 

「パンツソムリエって何なんだよ!?」

 

なんとなくだ。が、しっくり来たのでこれからも自称しようと思う。

 

「えー……なんか嫌なんだけど」

 

そういいながらも魔理沙ちゃんの前でしゃがんで待機する霊夢ちゃん、ちょこんという擬音が似合いそう。可愛い。

 

「じゃあいくぜー」

 

と、スカートをばっさばっさとはためかせる魔理沙ちゃん。

 

「な、臭くないだろ?な?」

 

魔理沙ちゃんがなんか必死だ、だが現実は非常である。

 

「ごめん魔理沙……言いづらいんだけど確かにちょっと臭いわ」

 

「え……う……嘘なんだぜ?」

 

「その、なんていうか、刺激臭? が確かにするわ……」

 

まさに「ごめんなさい、こんなときどんな顔をすればいいかわからないの」状態で霊夢ちゃんは魔理沙ちゃんにそう告げた。

魔理沙ちゃんは魔理沙ちゃんで半分白目をむいたような顔で愕然としている。

仲のいい霊夢ちゃんに言われたのは相当にショックだったみたいだ。

 

とりあえず、原因を探って対策して解決。異変解決と同じだ。

 

「まず、魔理沙ちゃんよ、洗濯とかどうしてる?」

 

「え、こう川につけてジャバジャバやってるぜ」

 

流水につけてゆすいだだけじゃねーか!?

 

「その後は?」

 

「部屋に持ち帰って干しておくよ、外だと胞子ついたりするからな、いっぺんキノコ生えてびっくりしたんだぜ」

 

キノコ生えるのは汚れ(=栄養)がのこってるからじゃないんですかねぇ?

しかも部屋干しとか明らかに生乾きだろ!

 

「あれ?だけどドロワーズだけだよな、臭いのって」

 

「臭い言うなよっ!?」

 

「事実だろ、その服とかは臭くならないんのなんでだ?」

 

「ああ、こいつは戦闘用に魔法掛けてあるからな、汚れたりしないんだぜ」

 

「ちょっと聞くがそれ洗濯とかは?」

 

「汚れないからしないんだぜ」

 

……女子力ぅ。

霊夢ちゃんの方を見るとかぶりを振って深いため息をついている。

霊夢ちゃんも知らなかったぽいな。まあ知ってても口出ししたりとかはしないのが霊夢ちゃんだけど。

 

「とりあえず魔理沙ちゃん、いや魔理沙よ」

 

「なんでいきなり呼び捨てなんだぜ?」

 

やかましい、さすがに萎えるわ。格下げだ格下げ(自己中)

 

それにしてもドロワーズだったからあんまり関心を持ってなかったけど、もっと早く調べるべきだった……

()ぱんつの装着者だったとは。橙ならフレーメン反応起こすぞ。

 

「ズボラなのは知っていたが酷いぞ魔理沙。霊夢ちゃんですら引いてるじゃねえかよ」

 

「え、そんなことはないぜ、な、霊夢?」

 

「魔理沙……悪いけどドン引きだからね?」

 

「え……マジで言ってる?」

 

「俺ですら遠慮したい状態だ。一部の変態にしか需要ないぞ」

 

「……」

 

スカートをぎゅっと握って半分涙目になってこっちを見てくる魔理沙、普段とは全然違う感じで……うんちょっと可愛いな!(外道)

 

「ど……どうすればいいのよ……?」

 

「とりあえずは流水だけで流して洗うのやめろ、それはすすぎっていうんだ。洗濯板かなんかでこすれ。あ、霊夢ちゃん無患子(ムクロジ)少しとってきて、木の奴はまだ早いと思うから納屋にためてある奴、あと洗濯板も」

 

「しょうがないわね……たらいもいるんじゃない?」

 

おお、そうだそうだ、さすが霊夢ちゃん。魔理沙とは家事の年季が違う。

しかし普段だったら取りに行くのめんどくさいぐらい言う霊夢ちゃんだが、それを言わせないほど魔理沙が酷いんだろうな……

 

「お、それもいるな。持てるか?」

 

「ん、よゆーよゆー」

 

タンと踏み切って軽やかに飛び立っていく。

パンツは……くっ!角度が悪い!!

 

 

 

 

「井戸に行くからなーっ!」

 

霊夢ちゃんに声をかけると了承の意か手をひらひらさせる。

俺は魔理沙に向き直り井戸に行くぞと声をかけた。

 

「むく……なんなんだぜ?」

 

井戸に向かって二人でてほてほと歩く。

途中で魔理沙が話しかけてきた、ちょっと元気がない。

いつもと違う感じで新鮮だな、可愛い。

 

「ん?無患子のことか?」

 

「そう、そのむくろじとかっていうの初めて聞くんだぜ」

 

「洗い物に使える木の実だな。灰汁よりも万能に使えるぞ。魔理沙も名前知らなくても種を見たことあるんじゃないか?羽根突きの羽についてる黒い球が無患子の種だぞ」

 

俺も最初気づかなかったけど、寺子屋で羽根突きしてるのを見て無患子あるやん!?と突っ込んだぐらいだ。しかも博麗神社に普通に生えてた。なぜかみんな灰汁をつかってたので思ったより効能は知られてないみたいだ。

灰汁のほうが取れやすい汚れもあるけど、ほぼほぼ無患子で間に合ってしまう。体を洗っても問題ないしわりと便利な植物なのである。

 

「そう言われれば見たことあるな。でも、そんなの初めて知ったのよ」

 

「というか、魔理沙は体とかも適当に洗ってそうで怖い」

 

川に飛び込んでちょっと潜ってそのまま出てきても驚かんぞ。

絵にはなりそうだがな、金髪と湖や川は相性がいいと個人的に思う。

川と金髪と言えばパルスィちゃんどうしてっかな。

 

少し小さめで食い込んでる感じの(意外と体がむっちりしてたせいかも)若草色の紐パンだった。エルフ耳にはあの色が似合うな!あと毛が全く見えなかったので剃ってるのか薄いのか……今度聞かないといけないな!

 

顔真っ赤で涙目になるとめっちゃ可愛いんだよな。おかげで必要以上にからかっちゃって後が大変だったけどな。

でも、また会ったらもう一回やるけど(外道)

 

「確かに普段はお湯で拭いたりとかだけど、温泉とかでじっくり洗うことも多いな」

 

「まあ、今回の事件「事件言うなだぜ!?」以前も不潔な感じはさすがにしなかったからな、かろうじて女の子の範疇に入ってたようだな」

 

ちなみに霊夢ちゃんはお勤めでの沐浴も含めればかなり頻繁に体を洗う。

歯磨きや洗髪だって俺が霊夢ちゃんのために丹精込めてすり鉢で細かくした卵の殻を使って(歯磨きも洗髪も要は研磨剤が必要なんだよ)磨き上げているし、身体も無患子液で念入りに洗っている。

この目で確かめたから間違いない。……こいしには感謝しないと(能力貸してくれてありがとう)な。

なお、思ってたよりおっぱいは大きかった、普段サラシでつぶしてるのな。

 

「かろうじてはひどいぜ!」

 

「やかましい、今の魔理沙に人権はねえ」

 

「ちょっと酷すぎるぜ!?」

 

ぎゃーぎゃーわめいている魔理沙を横目に「今度藍ちゃんに幽々子ちゃんが食べるレベルの稲荷寿司持ってったらワンチャンあるかも」などと益体もないことを考えてると霊夢ちゃんが無患子その他を持って飛行してやってき……くっ、見えない!

 

近頃霊夢ちゃんのガードが堅い気がする。それこそ前は一日中見れたのに……

 

「はい、おまた……隠そうとしない姿はある意味すがすがしいわね……」

 

しゃがみこんで何とか角度を合わせようとしていた俺を見て霊夢ちゃんがあきれながらつぶやく。

俺だって外出先では多少遠慮するぞ?

ここまでやるのは博麗神社内だけで、よそではそこまであからさまにはやらない(しかし、なぜかある程度知られている)んだけどな。

 

「とりあえず、たらいに水入れてっと」

 

井戸はにとりに作ってもらった足踏み式揚水ポンプなので水汲みも楽々である。

そういえば俺のスマホいつ帰ってくるのかな、まあ毎月レンタル料はいるからいいんだけど。

にとりにスマホを貸した話はいつか語る時が来るのかもしれない。

 

 

「んで無患子の実を入れてかき混ぜると……」

 

ヌルっとした感じがする迄かき混ぜる、ちなみに竹筒にいっぱい入れて振りまくるとまるでローションみたいな感じになる。

いつかプレイで使いたいな!(最低)

 

「これで洗濯液ができたぞ。とりあえず……霊夢ちゃん、今はいてるパンツ貸して!」

 

「嫌よ、馬鹿」

 

にべもない。

 

「くっ、この流れならいけると思ったのに!」

 

一度でも借りることができれば、好きな時に借りれるようになるのにな……

あ、俺の程度能力の事だ。

 

なんでも借りる程度の能力で、形而上、形而下問わず9個まで借りることができるが、借りた相手の能力を上回ることはないし、制約も受ける(例えば時計も借りないと咲夜ちゃんの能力は使いこなせない)

 

が、複数人物から借りることで思わぬ強化がされることもある。

強い組み合わせを探すのがことのほか楽しいのだが、貸してくれる人もそこまで多いわけではないし、幽香ちゃんに絡まれやすくなるという不利益も受ける……幽香ちゃんはわりと好みのタイプなのに無駄に戦意が高いのでお近づきになれない。鬼以上に好戦的ってどうなの?

 

あとは形而上のものはシェアすることも、根こそぎ借りることもできる。俺は外出時には霊夢ちゃんの能力である「空を飛ぶ程度の能力」を借りているが、このせいで霊夢ちゃんが飛べなくなることはない。

ただし、俺が全部借りると言って、霊夢ちゃんが同意すれば霊夢ちゃんは飛べなくなる。

なぜかそれでも飛んできたけど……二重結界の応用とかなんとか……

 

 

 

「しゃあない、魔理沙汚ぱんつ……ドロワーズだが、脱げ。洗うぞ」

 

「言い方が酷い!?そしてさすがに嫌というか恥ずかしいんだぜ!?」

 

「残念だが魔理沙、今の俺は「子供のおしめを変える親のような心」の状態だ。羞恥を感じるほうが間違っている」

 

流石にダイレクトにくぱぁとかされたらわからんが、スカートの下すっぽんぽんとかでも興奮しないというかできない。残念過ぎて。

 

「そ、それでもな……れ、霊夢ぅ、何とかしてくれなんだぜ」

 

でも、弱った魔理沙可愛いな!

 

「さすがに下着の貸し借りは私も嫌よ、でもまあ、そうなるかなと思って幅広のさらし持ってきたから」

 

「さらし……?さらしで何をするのよ?」

 

「締め込みよ」

 

「……?締め込みってなんなんだぜ?」

 

魔理沙が軽く混乱しているので補足してやる。

 

「布一枚でやるふんどしだな、ケツに食い込むのが特徴だ。……ちょっと興味出てきたから締めたら見せてくれ」

 

ちなみに霊夢ちゃんは滝行とかの時たまに装着している。パンツだとずり落ちてどっか行くからな。

直接装着したところは見たことはないけど、水にぬれた衣服の下で形はしっかり見えていたのを目に焼き付けている。

 

「見せるとか嫌だぜ!?何考えてるんだよ霊夢!?」

 

「スカートがあって見えないでしょう?肝心なところも隠せるし問題ないじゃない」

 

「問題しかないんだぜ!?」

 

俺も問題ない気がする。(認識ズレ)かたくなに拒む理由は……?

 

「もしかして、下の毛がすごいとかか?大丈夫だ俺はそういうのは許せる」

 

「おまっ……!何言ってるんだぜ!?」

 

「そこの変態はほおっておいて、このままじゃいつまでたっても終わらないから向こうの納屋でやるわよ。……アンタ覗きに来たらさすがに許さないわよ?

 

「了解」

 

これは、アカンやつだ。

霊夢ちゃんは割と寛容だけどだめなことは真剣な口調で釘をさしてくる。

このときにやらかすと深く静かに怒るうえに肉体的にやばいレベルの折檻をされる。

逆を言えばこの時やらかさなければ比較的許してくれる(無事なわけではない、報いはそれなりに受ける)

それがわかってるせいで簡単な拒否の時はあえてやらかすんだけどな!(ゲス)

 

 

 

しばらくして、二人が戻ってくる。

締め込みが気になるのかしきりにお尻のほうを気にする魔理沙が少しエロい。だが魔理沙はもう魔理沙でいいや(酷)

 

「だいぶ手間取ったけどようやく始めることができるな、本来ならこれだけ汚けれ「汚いっていうなっ!」ば漬け置きしたほうがいいんだけども、洗濯の仕方を教えるためだからさっそく洗うぞ」

 

魔理沙にドロワーズをたらいに入れさせて……

 

「よし、霊夢ちゃん手本を見せてやってくれ」

 

でも実は洗濯は霊夢ちゃん担当である。俺にパンツを触らせたくないのだろうけど、俺のパンツまで嫌な顔せずに洗ってくれる。

これもう夫婦と言っていいんじゃないかな(妄想)

 

ただ、まあ見せられないような状況の時は自分で洗うけどな。

 

「えー、なんか触るの嫌なんだけど……」

 

「霊夢までひどいんだぜっ!?」

 

酷くない、言われるようなことしてるんだから甘んじて受け入れるがいい。

そも、ものぐさな霊夢ちゃんがここまで協力してくれている時点で割とやばい状態なのに気付けと言いたい。

 

嫌だと言いながらも霊夢ちゃんは手際よく洗濯をしていく。

 

「アンタは何でもかんでも全力でごしごししそうだから言っておくけど、洗濯板でこするのは汚れの酷いところだけだからね、ほかのところはこうやって桶で揉み洗いするのよ」

 

「え?そのための洗濯板じゃないの?」

 

「そんなことしてたらあっという間にぼろきれになるわよ。そもそもこまめに洗えば汚れは落ちやすいんだからね」

 

俺も幻想郷に来て初めて知ったことの一つがそれなんだよな。なんか板でごしごしすると思ってた。

手際よく洗えば生活でつく汚れ程度は実は手で洗っても結構早かったりする。

泥汚れとかは水が汚くなるのでめっちゃ時間がかかる。

 

なので俺はなるべく泥汚れはつかないようにしてるし、チルノに泥団子投げつけられたときは玉ねぎの刑に処した(ワンピースをまくり上げて頭の上で縛るお仕置き、お仕置きでありいじめではない)。

大妖精にも半日はほどかないようにといいつけて放置したところ、慧音ちゃんにバレてひどい目にあった(頭突きを食らった)のは記憶に新しい(だが、それ以降チルノは泥団子を投げてこなくはなった)

 

「で、そうしたらたっぷりのきれいな水ですすぐのよ、川の水も悪くないけど、できれば井戸の水がいいわね、これも軽くもみながらだときれいになるわよ」

 

「け、結構面倒なんだぜ」

 

「こんなもん慣れよ慣れ。で、終わったら軽く絞って、外に干して太陽に当てるのよ」

 

「森だとキノコ生えちゃうんだぜ……」

 

「そんなもん綺麗に洗ってないからでしょ、アリスのパンツにキノコ生えたことあるか聞いてきなさいよ」

 

「いやー、そんなこと聞いたら、人形けしかけられるんだぜ……」

 

ちなみにアリスちゃんのパンツは結構えぐい角度のハイレグである。

裁縫が得意なアリスちゃんらしくフィットするタイプで腰骨に引っかかるように上方向への(ブーメランパンツみたいな)角度がついていて、ゴムや伸縮素材を使わずにずり落ちないように作られている。

腰の細いアリスちゃんだからこそ装着できるパンツだと思う。色は赤だった、意外。

ついでに上海も同じパンツをはいていた、確かにこのタイプだと足のメンテナンスはしやすいと思う。

 

「あ、じゃあ俺聞いてこようか?アリスちゃんにも会いたいし」

 

どうせ暇だしと動こうとすると霊夢ちゃんに威圧された。

 

「およびじゃないから座ってなさい、いいわね?」

 

「アッハイ」

 

さっきから霊夢ちゃんの圧が強めだ。魔理沙がいまいちやる気がないせいかもしれない。

くそっ、魔理沙のせいでとんだとばっちりだ!(被害妄想)

 

「それに太陽に当ててカラカラにするだけでほとんどの匂いは消えるわよ」

 

霊夢ちゃんの説明が続く。

 

「そうなのか?」

 

「そも、井戸水とか川の水は綺麗に見えても結構いろいろ入ってるからな。紫外線っつってもわからないだろうけど、お日様の力でそういうのがなくなるって思えばいいぞ。あと単純に乾いてると匂いがしない」

 

俺も補足する、まあ科学的なことだから説明が面倒なので雑にだが。

 

大体において匂いの伝達に湿気はかなりの要素を占めている。

風呂で屁をこくと臭く感じるのはそのせいだ。

 

まあ、俺的にはこの辺が潮時のような気がしたので近くを流れている用水に設置してある、あるものを取りに行くため少し離れる。

 

「今回は下着だけどワンピースとかだともっと洗うのが大変よ?ちゃんと洗える?」

 

「だから、この服は汚れがつかないから大丈夫なんだぜ」

 

「その服以外を着ておしゃれとかしないの?」

 

「いや、そういう霊夢だっていつも同じ……」

 

「え?私は普通に普段着あるわよ?」

 

「え……?」

 

少女たちの雑談を小耳にはさみながら、ブツを回収する。

ちなみに霊夢ちゃんの私服のいくつかは俺がプレゼントした

巫女服も可愛いんだけど脇がちらちら見えて落ち着かないんだよな、特に家の中で二人だと。

 

あと霊夢ちゃんも「私は持ってますけど何か?」的な雰囲気出してるけど、寝間着の白襦袢と、どてらしか持ってなかったのを俺は知っている。

 

だらけ用のダボいワンピースとか、おでかけ用のキュロット&柄シャツと大きめパーカーとか洋装に偏ってはいるけどもなんとかアリスちゃんに説明して縫って貰えた(なお、結構対価を要求された、オーダーメイドだししょうがない)

 

ブツの動作を確認し、問題ないことを確かめると魔理沙を呼びつけた。

 

「魔理沙!ここに最終手段があるが使うか?」

 

「最終手段?なんなんだぜ?」

 

用水にあるブツ。……芋水車と呼ばれる回し車というか水車というか、そういうものだ。

使い方はいたって簡単。

 

「水路に設置する。ここ、あける。洗うもの、入れる。麻袋に入れた無患子いれる。しばらく待つ。綺麗になる」

 

「なんで片言なんだよぜ……?」

 

「いや、魔理沙に理解できるように説明したらこうなった」

 

「酷いんだぜ!?さすがにそんなに理解力ないわけじゃないよ!?」

 

水流で回ってる間に麻袋でこすられて綺麗になる、いわば原始的な洗濯機だ。

芋水車というように本来はたわしと一緒に入れておくと芋類を洗い、皮まで剥けるという、芋煮とかするときには便利なアイテムなんで作ってみたのだ。

 

しかし、うまみが抜けて水っぽくなるし、宴会の時は料理作れる人間が結構来るので(最悪咲夜ちゃんと俺が時間止めて作る)思ったよりも使わなくて洗濯用に改造したのだが、霊夢ちゃんの「生地が痛むし、洗濯にも思ったより使えない」発言により放置されていたものだ。まさか、こんな結果になるとは思いもしなかった。

 

……俺にだってわからないことぐらい――ある!(MMR風に)

 

 

 

「とりあえず一般人の洗濯能力が8ぐらいだとしたら、この装置の洗濯能力は6ぐらいだが、0よりはよっぽどいいはずだ」

 

霊夢ちゃんは9で咲夜ちゃんが10かな?

 

「0ってそこまで――」

 

「「酷いんだよ(のよ)」」」

 

「わかった私が悪かったんだぜ」

 

さすがに二人して食い気味にツッコまれるってことがどんなことかは理解できたようだ。

ポイントだけ伝えておく。

 

「まず綺麗な流水に設置すること、汚いと意味ないからな。長時間放置しないこと、傷むし破れるぞ。洗った後無患子を取り出してすすぎもすること、そのままだとぬめるぞ。太陽に当てて干すこと、やむを得ない場合はちょっと臭くなるが暖炉とか熱源でしっかり乾かすこと。以上だ」

 

完全に乾かせば部屋干しでもそこまで臭くはならないからな。

博麗神社でも雨降りが続いた場合は風呂釜の近くなどでできる限り乾かしてから火熨斗(炭火を使ったアイロン)で殺菌(嫌な臭いは雑菌である)してから服を片付けている。

 

霊夢ちゃんは自分の服がヨレてても俺の服は「アンタ外で働くこと多い(便利屋というか何でも屋であるが)んだから身だしなみしっかりしとかないとね」と、いっつも綺麗にしていてくれてるので本当にありがたく、申し訳なくもある。

 

あ、やばいな、霊夢ちゃん好きだわ(発作)

 

「うん、霊夢ちゃん大好き!」

 

「また唐突に……はいはい、ありがとありがと」

 

まあ、このやり取りも何十回としてるのでだいぶ適当にあしらわれてしまう。

でも感謝の気持ちはあふれ出るんだからしょうがないよな。

 

「で、これ貰っていっていいのかだぜ?」

 

恒例のやり取りを見て呆れたように(魔理沙の前でもけっこうこの発作を出している)言う魔理沙に、俺は冷たい言葉をかける。

 

「まだいたのか?どうせ家にいっぱい汚ぱんつためてるんだろうから、持って帰ってちゃんと洗ってこい、今度チェックするぞ」

 

「今日一日私への暴言多くないか!?さすがに酷いんだぜ!」

 

やかましい、俺はいくつも愛を持っているしあちこちにバラまくが今の魔理沙にやる分はないし、霊夢ちゃんにあふれ出る感謝を伝えたいんだよ。

 

そうだ、あいすくりん作ろう!

前作ったとき霊夢ちゃんの反応が良かったからな。

 

「アンタって時々おかしくなるわよね……?」

 

「俺にも制御不能なんだよな。でも悪いことじゃないと思うからいいだろ」

 

「思い出せない記憶に関係あるのかしらね?」

 

「思い出せないなら大したことじゃないんじゃないかな。とりあえず俺はちょっと作るものができたんで行くわ。魔理沙ははよ帰れ」

 

「また唐突ね……わかったわ。ほら、魔理沙もいつまでも拗ねてないで」

 

「おう……ありがとなんだぜ」

 

俺は手をひらひら振って氷室に向かった。霊夢ちゃん喜んでくれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夕食後~

 

「ほい、霊夢ちゃん」

 

「なによ?……わぁ……!あいすくりん!え、なに?食べていいの?」

 

「もちろん」

 

うわぁ、うわぁとか言いながら、にこにこ顔であいすくりんを眺めてから、意を決したように木匙であいすくりんを掬う霊夢ちゃん。うん、可愛い。

 

「んーっ♪おいしぃ!」

 

きりっとした霊夢ちゃんはもちろん美少女なんだけど、こう、緩んだ顔の霊夢ちゃんも間違いなく美少女である。

結論。霊夢ちゃんは美少女(混乱)

 

にこにこして食べてる霊夢ちゃんを眺めてほっこりしていると、霊夢ちゃんが食べる手を止めて尋ねてきた。

 

「あれ?アンタの分は?」

 

「自分の分まで作ってたら腕が死ぬわ!」

 

チルノの能力があればもっと楽に作れるんだが、無い場合氷に塩混ぜて温度下げたところに金属ボウルおいてひたすら混ぜるという、しかも完成に近づくほど固形化して混ぜにくくなるという地獄。(なおチルノの能力があっても混ぜる苦労は変わらない)

さすがに二人分なんか作ってられない、魔理沙をとっとと返したかった理由でもある。(いたらさすがにごちそうする、そこまで鬼じゃない)

 

「ふーん……」

 

霊夢ちゃんはしばらくあいすくりんをつついていたが、木匙で掬うと俺に差し出してきた

 

「あーん」

 

「霊夢ちゃん!?」

 

「なによ、私のあいすくりんが食べられないっての?」

 

なんか質の悪い酔っ払い=萃香さんみたいなこと言いだしたよ!?

あと作ったの俺だよ!

 

「へ、平気なの?」

 

「ん?ああ、今更すぎるでしょ、そんなの。魔理沙じゃあるまいし」

 

まあ、ふつうに回し飲みとか食べかけのも食べたりするけど。

これはちょっとレベル高くないですかねぇ!?

 

「ほら、あーん」

 

「う……あーん」

 

再度促され観念して食べさせてもらう。

 

「おいしい?」

 

「あ、ああ」

 

「そ、じゃあ残りは私が食べるわね、それとも、まだ食べる?」

 

目の前で木匙をぷらぷらさせながら霊夢ちゃんが問うてくる。

 

「あ、いや、大丈夫」

 

なんか味見したときよりも甘く感じるのは近くにいる霊夢ちゃんのせいだろうか。

何が大丈夫か自分でもわからないぐらい混乱している。

 

こちらを軽く見ながら木匙をぺろりと舐めた霊夢ちゃんを見てしびれるような電流が走った。

結論。霊夢ちゃんは可愛くて素敵な美少女(大混乱)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~しばらく後~

 

 

畑から戻ってくると前方に魔理沙を発見した。

短距離でも飛んで移動する魔理沙が、なんかちょこちょこ歩いている。

珍しいな?とおもいながらも「そうだ、ドロワーズのチェックしないと」という使命感に突き動かされ――

気配を消して魔理沙の背後から近づいて思い切りスカートをまくり上げた!

 

「綺麗なパンツはいてますかーっ!?」

 

「ぎゃあああああああああっっっ!!」

 

俺の目の前にあったのは魔理沙の尻だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




思った以上に反響があったので慌てて書きました。
一週間ぐらい間隔でポチポチ書こうかなと思っていたのですが、ちょっと嬉しかったので。

ぐるぐるぶんまわ槽という手動式ドラム洗濯機があるようです。
これなら幻想郷でも使えそうですね。

過去話と第一話の続きどっちがいいかとか、だれそれのパンツが気になるというのがありましたらお聞かせください。
なるべく要望に応えます。

基本的に日常系です、馬鹿エロパンツ話しながら幻想郷での生活、風俗、ちょっとした主人公の情報開示して、甘い雰囲気やしっとりとした雰囲気につなげて、最後にオチというのがこれからの基本的な流れです。
今回のオチは魔理沙の尻ですがなぜ魔理沙が尻まるだしになってたのか、考えてにやりとしていただければ幸いです。
感想、評価お待ちしています


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八雲家のお弁当

キュウリ星人様。雨西様。ID:K8CE5zwo様。なさちら様。
この作品にお時間を割いて感想を書いていただきありがとうございます。
感想返しも短いながらさせていただいております。

また一言感想付きの評価をしてくれたsake223様。Elona冒険者 兼 重婚アズレン指揮官様。暇の子様。クオーレっと様もありがとうございました。

これからも皆様の感想などを励みに頑張ります。


今回はショートストーリーのような感じです。
本編も間もなく出来上がりますのでお待ちください、現在読み返しと校正中です


「ふんふんふーん」

 

上機嫌で鼻歌を歌いながら俺は料理に勤しむ。

パチュリーちゃんから程度能力を借りてみたんだが、めっちゃ快適でご機嫌である。

魔理沙から借りたときは出力調整がガバで料理に使うとか絶対に不可能だったんだが、ローストから蒸し料理、なんなら「空中に浮かせた油で揚げ物」だってできてしまう、同じ魔法使いなのにこの違いよ。

 

ま、おかげで「借りた能力の各種最大値(威力、精密性、範囲等)は借りた相手のレベルに依存する」ことが分かったから無駄ではなかったけども、あと俺の素のステータスが低いと最大まで発揮できないのは実証済みだ。

俗にいう最大MPというやつが人間の俺はそこまで高くないらしいが、料理に使う程度の低出力なら結構使えるようだ。

 

ちなみにレンタル料は魔理沙から魔導書の回収というミッションだったので、表紙の複製作って中身全部官能小説にしたもの(小悪魔ちゃんセレクション、親友から彼氏を寝取る話中心)とすり替えておいた(非道)

部屋が片付いてないから侵入も発覚しづらく実にイージーだったぜ。

 

今日は霊夢ちゃんは数名と一緒に遠出しているので、この際に常備菜を大量生産中である。

っと、昆布とかが少なくなってきたな……

意外に南国の物とかは幽香ちゃんに頼み込めば育ててもらえて手に入るんだけど(それなりの対価は要求される、主に戦闘)

海のものは紫さんに頼まないと幻想郷では手に入らない、ちょっとご機嫌伺に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうと決まれば手土産を持っていこうか。

 

まず豆腐を水切りして……

漬物壷からあれを取り出して水につけておく……

 

豆腐の水が切れたら豆腐を薄切りにしてごま油で揚げていく。

この時切れない包丁だと台無しになることがあるから注意だ。

 

普通に揚げると爆発するのでぬるいうちから入れて弱火でじっくりと水分を抜いていく。

この作業結構時間も手間もかかるんだけど今は魔法で調整できる、便利!

ごま油は結構癖があるんだが、俺はあえてこれを使う。

 

その間にお湯を沸かしておく。

 

十分水分が抜けたら、高温にして表面をカリカリに揚げる。

これでおなじみのきつね色の油揚げの完成だ。

 

そしてわいたお湯で油揚げを湯通しして、切り開く。

 

うむ、中までいい感じだ。

 

俺は開いてから煮ふくめる方が味が染みる気がして好きだ。

いつもならだし汁仕立てにするのだが、今回は味が特殊なので濃い目の甘醤油で煮ていく。

といっても沸騰させたら冷えるまで放置ぐらいでぐつぐつ煮る必要はない。

 

水につけていたあれも取り出して軽く包丁の腹でつぶして細かく刻む。

 

その間に梅干しの壷から紫蘇を取り出して……と。

 

「デハイドレイデッド……だっけ?」

 

魔力を込めると綺麗に乾燥する。

 

「おおう、これは結構疲れるな」

 

基準がわからんがMPがぐっと減った気がする、まあこれだけあれば問題ないけど。

 

パリパリに渇いているので手でもみほぐした後ミルで粉状にしていく。

その最中に炊いた米をおひつにあけて果実のしぼり汁で作った甘酢をまぶして良く混ぜる。

本来ならうちわであおぐ作業も魔法で簡単楽々である。

魔理沙なんていらなかったな!(酷)

 

十分にご飯に照りが出てきたら赤しその粉末をまぶしてまんべんなく混ぜていく、あれもこの段階で混ぜて・・・っと。

 

「うし、最後だな」

 

煮ふくめていた油揚げにご飯を詰めていく。

あんまりいっぱい詰めると時間とともに締まって美味しくなくなるので、心持少なめに入れるのが弁当として持ち運ぶときのコツだ。

 

ちまちまちまちまと作業に没頭する。

うん、ちょっと作りすぎたぐらいか。

 

稲荷寿司の完成だ!

 

三段重箱に20個ずつぎっしりと詰めていく。余った分はラップして(幻想郷にもあった、聞いたことない商品名だが)霊夢ちゃんが食べるだろうとおいておく。普通の寿司と違って簡単に腐らないので安心だ。

 

 

「さてと……」

 

パチュリーちゃんの魔法で飛ぶのは風に乗る感じだが、霊夢ちゃんの直感的に動ける飛び方になれていると結構難しい、今必要なのは戦闘機動じゃないので横方向に飛ぶのではなく上空まで上がって滑空していくことにする、これならわりと動かしやすい。

 

まずは人里へ、ここで橙、藍ちゃん、紫さんのだれかを見つけられないときは妖怪の山のマヨヒガに行く必要があるため結構面倒くさい。

マヨヒガは場所を知っていても招かれるか特定の歩法で結界をすりぬけるかしないと入れない。

もちろん、俺はそういうことができないのでその場合は、神霊廟にいくかさまよってる華扇ちゃんを探すか……そういった人たちを探さないと入れないという、たらいまわしが始まってしまう。

 

不安になりながら人里に向かうと背後からでもわかる特徴的な姿(尻尾の塊)

藍ちゃんを発見することができた。

 

ちなみに誰もが気になってるだろうパンツだが尻の部分がかなり大胆にくりぬかれているタイプだった、しかも前は透けたレースでみえ……みえ……みえたかも!?というような感じのデザインだ、色は紫色だった。

 

「おーい、藍ちゃーん!」

 

声をかけると、藍ちゃんは振り返って俺に微笑んでこういった。

 

弟君(おとうとくん)か、どうしたの?」

 

前にふざけて「あれれー?なにかおかしいよらんねえちゃん」と呼んだところツボにはまったのかそれ以降俺の事は弟君と呼ぶ。

街中では藍ちゃんでも返答があるが屋敷などでは藍姉ちゃんと呼ばないとだんだん不機嫌になっていく。うん、やらかした俺が悪いな。

 

「稲荷――「本当か!?ありがとう!」あ、うん」

 

しょっちゅう差し入れてるので食いつきがすごい。これで「稲荷寿司って美味しいですよね」とかフェイント掛けたらどうなるのか試してみたい気もするが、なんというか妖精たちとは別ベクトルで可愛い人なのであんまりいじれない。

 

「結構あるので、皆でどうですか?」

 

と三段重をかかげる…………………………………

あれ?反応がない。

 

「そ……うだな。うん、皆で食べようか」

 

もしかして独り占めしたかったのだろうか、こういうところがかわいいんだよな。

全部あげたくなってしまうな。

だが今回は紫さんに頼みがあるので俺も断腸の思いで紫さんを呼んでもらう。

それにせっかくの特別製だからな。

 

紫さんと通信らしきものを始めた。

 

「はい、はい、彼です。はい……弟君、今スキマを開いてくれるそうだから」

 

そういってる最中にスキマがって、往来でひらくなよ、みんなぎょっ!っとしてるぞ!?

俺は慌てて飛び込んだ、気味悪くないかって?もう慣れたよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいいらっしゃーい」

 

「あ、どうも紫さん。お久しぶりです」

 

軽いノリであいさつされる。この人は異変が起きてなければ普通に綺麗なお姉さんなんだよな。

異変起きてるときのうさん臭さが半端ないけど。

神様にも気を遣わない俺ですら一応気を遣うレベルの妖怪であるからある意味神様以上かもしれないが。

 

続いて藍ちゃんと橙も現れる。

 

「あっ、兄ちゃんだ!わーい!」

 

「こら、橙!ごめんなさいね弟君」

 

橙はなぜか俺にいつもよじ登ろうとする、新手のキャットタワーだとでも思ってるのだろうか?

もちろん丸見えだが小さい赤いリボンのワンポイントの付いたパンツ、王道のお子様パンツなので全く楽しくない。

エロスは感じなくても突っ込みがいの(エロい意味ではない)あるパンツだと楽しいのだが。

クラウンピースの星条旗パンツとか、妹紅さんのふんどしとかだ。特にふんどしは妹紅さんがキレるまで弄ってしまった。反省。

でも普通弄るよね?(反省の念が見えない)

 

さておきまずは紫さんに頼みごとをしないとな、橙が乗ったままだが、まあ気にしない人だしいいか。

 

「紫さん、いつもの事で恐縮ですが……」

 

「海産物ね、かかったお金は後で請求するわ」

 

「ありがとうございます」

 

話が早いな!?まあ紫さんはいつ見ててもおかしくないから今更だけど。

 

「で、藍がそわそわしてるのだけど、稲荷寿司でも持ってきたの?」

 

「ええ、まあスペシャルな奴を」

 

と、重箱を紫さんに渡す。

 

「ふうん……?見たところ普通のようだけど……?藍、お茶」

 

「は、はい!今すぐに!」

 

重箱開ける瞬間から一挙一動を見つめていた藍ちゃんに、紫さんがお茶を要求する。

まあ、さすがにあれだけ見られていたら食べづらいわな。

 

「はくっ……ふうん、普通のより……はむっ、ちょっと酸っぱいわね、あとなにかカリっとしたものが……、まずくはないわね」

 

食べ方エロイな!? 噛み千切った後ゆっくり口元からはなしたり、最後の一口人差し指で押し込むところとか……そういうところやぞ!(興奮)

 

藍ちゃんの入れたお茶を一口すすって説明をという風に流し目をくれる。

いちいちエロいのやめてくれませんかねえ?子供(橙)も見てるんですよ!(混乱)

 

「単純な話です、赤しそ入りの稲荷寿司ですが、この赤しそまぶしたご飯を「ゆかりごはん」って呼ぶんです」

 

「ふふ、面白いわね」

 

「んで、酢の代わりに(だいだい)のしぼり汁を使ってあります、橙、こういう字を書きます」

 

「ふふ、橙ね、で藍は稲荷の部分かしら?」

 

「私は油揚げですか……」

 

ちょっと残念そうな藍ちゃん、甘い、俺に抜かりなし!

 

「中に入ってるのはゆでた藍実の粕漬け、生薬だと生で使うんですけど、まあ藍の実ですね」

 

というか、永琳ちゃんのところで藍実を見つけたからこそ、いつか作ろうと思っていたんだよな。

 

「あら、よくもまあ見事にみつけたものね、そう、これは私たちってところかしら?そう思うと、一層美味しく感じるわね」

 

はくっ。はくっっと立て続けに食べていく紫さん。そして数が減っていくたびに「あ、あっ……」とか言ってる藍ちゃん。吐息がエロイ。

 

「何してるの?藍、橙、あなた達も食べなさい」

 

「わーい、ありがとうございますー」

 

「いっ!いただきます!」

 

のんきな橙と対照的に鬼気迫る藍ちゃん……狐って肉食獣だったね、ちょっと怖いわ。

 

「あなたは食べないのかしら?」

 

と紫さんが水を向けてくる、作りながらつまんでたし(どうしても破れたりはする)数を減らすのは気の毒なので

 

「あ、結構食べたので」

 

と断る。

 

「ふーん……じゃあ」

 

はくっっと半分噛み千切った稲荷寿司をこちらに向けて「はい、あーん」とかやってきたぞこのエロ妖……紫さん!?

 

「あ、どうもありがとうございます」

 

いや、このぐらい平気っすよ?的な雰囲気をだして食べさせてもらう。

それが不満だったのか、もう一つ「あーん」してくる。

 

俺もまたっすか?的な感じで食べさせてもらう。動揺は……大丈夫だ。

と、ここで人差し指が俺の口に入るぐらいまで押し込んでくるという攻撃をしてきやがった!?

 

舌先に触れる紫さんの指、そして取り出したその指を……舐めた!舐めたよ、ついてたご飯粒を「れろぉっ」って感じで!エッッッ!!(言葉にならない)

 

「主人にばかりもてなしさせていないで、藍、あなたももてなしてあげなさい」

 

「あっ!はい紫様!」

 

こっ……なんで畳みかけてくるんですかねえっ?

半眼で紫さんを見るがくすくす笑うだけだ。くっそ、絶対面白がってるな。

 

「はい、弟君、あーん」

 

「ら……藍ちゃん?」

 

「藍姉ちゃん……いえ、お姉ちゃんと呼んでほしいですね」

 

なんか変なスイッチはいってる!?

 

「はい、お姉ちゃんって言ってみてください」

 

「お……お姉ちゃん」

 

なんだ、この羞恥プレイ……

紫さんはにやにやみてるし、橙は……はぐはぐ食べてる、可愛い(癒され)

 

「じゃ改めて、あーん」

 

「あ、あーん」

 

食べさせてもらうとにっこり微笑んで藍ちゃんはこういった。

 

「お姉ちゃんに食べさせてもらってうれしいですって言ってみてください」

 

「え、な……なんで?」

 

スイッチどころかバグってるバグってるよ!?

ちょっと紫さん?あなたの式神バグってるんですけど!?

 

「あら、微笑ましい」

 

「マジで言ってますか紫さーん!?」

 

「ほら、いってみてください」

 

「お、お姉ちゃんに食べさせてもらってうれしいです……」

 

今、俺は大事なものをなくした気がした。

 

「じゃあ、次はお姉ちゃんに食べさせてくださいね」

 

「まだ続くの!?っていうか紫さ……いねえ!?」

 

いつの間に消えたの?一瞬前までいたよね!?

 

「はい、お姉ちゃん僕を食べてって言ってください」

 

「意味が変わってきてるよ藍ちゃーん!?」

 

「お姉ちゃんでしょ、はい言ってみて」

 

「誰か助けてくれーっ!」

 

 

 

 

 

 

しかし たすけは こなかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日藍実と酒粕が妙な作用をしたせいでバグったようだということが判明した。

塩漬けなら大丈夫だったので、次からはそうしようと心に誓った。

 

 

 

あのあと何があったかって?

黙秘権を行使する!

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。
未来の話と過去の話が入り混じって投稿されるのですこし読みづらいかもしれませんが、そういうところも味にしていきたいのでどうかよろしくお願いします。

また感想では返すときに簡単な質問などにもお答えしております、ぜひどうぞ


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第二話

連載始めてから4話目にして初めて未来方向に時間が進んだお話です。
こんかい深刻なエロコメ成分不足です。申し訳ありません。



「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」

 

 

「はい、おあがりよー」

 

返事を返す。

俺以外の全員で唱和。妖精たちが多いせいで小学校のようにも見える。あと萃香さんも小さいし。あうんはペット枠か……?

そして霊夢ちゃんがまるで先生か、子だくさんの母親のようだ。

つまり父は俺か、朝からいろいろあって疲れてたけど、やる気出てきた(単純)

 

今晩紅魔館へいくので、パンツを借りて発作の原因になる「体に溜まった白い膿」を限界まで絞り出したのは良いが、返すときにもちろん霊夢ちゃんにものすごい怒られて朝食を作る羽目になった。

 

といっても普段からなんとなくで、霊夢ちゃんと交代で(俺の方が多い気もするが)作ってるので苦ではない。

が、報復とばかりに霊夢ちゃんは近所(萃香さんを近所と言っていいのかは知らないが、どこにでもいるらしく呼べば来る、たぶん紫さんも呼べば高確率で来そうな気がする)の全員を呼んできた。

 

なので本日の食卓は三月精、クラウンピース、ルーミア(これはたまたま来た、能力の代価でたまに食べにくる)、あうん、萃香さんに霊夢ちゃんという大人数での朝食となった。

うん、マジで小さめのが集まったな。

 

流石に面倒だったので御御御付(おみおつけ)(具だくさんの汁ものの事、今回はけんちん汁)とそれを煮ている間に大量の炒り卵(いつもだったらだし巻きにするが時間がない&お子様味覚が多いので甘い炒り卵にした)と常備菜のべったら漬を大根一本分ぐらい輪切りにしてテーブルの中央にどん、どんとおいて各自でとるスタイルにして手を抜いた。

 

 

幻想郷に来てから料理が趣味の一つになったが、好きでやってるはずなのに手抜きを会得していくのはなんでだろうな?

 

料理が趣味になったきっかけは、幻想郷に流れてきた後いろいろあって、餓死して死んでやろうかとハンストしてた時期があってな。

んでもやっぱり、苦しいんだよ。で、空腹に耐えかねて霊夢ちゃんの作ったおかゆを食べたら、なんか情けなくて、美味しくて号泣してな。

 

そのあと霊夢ちゃんに「食べたのなら生きなさい」て言われて、なんか「ああ、俺は生きなきゃならないんだ」っておもっちまったんだ。

それから料理とか畑とかそういうのに興味持つようになったんだよな。

まあ、この話はいつか、幻想郷に俺が来た話として語る時があるかもしれないな。

 

しかし今思えば当時の俺はアホだな。

幻想郷はこんなにも素晴らしいところだったことに目を向けてなかった。

可愛い女の子とその女の子のパンツが見放題なのにな!(違)

 

と、益体もないことを考えているとお代わりを要求された。

 

「こいつはつまみにもいいね、けんちんだけもう一杯、あ、実だけで汁はいらないよ、こいつで流し込むからね」

 

と、萃香さんはお酒を……おいおい、飯時は禁止だって言ってただろ。

 

「萃香さん、食事が終わるまではお酒はだめだって言っただろ?」

 

「まーまー、固いこと言うなよ、固いのは下だけでいいじゃないか」

 

「しばらくは柔らかいです(真顔)じゃなくて、飯は飯、飲みは飲みでけじめをつけてな、って言ってるんだよ」

 

「そも(酒呑)だぞ?酒とは切っても切れないし離れるわけがないじゃないか、な?お・ね・が・い」

 

と、すり寄ってくる。

小柄なのでこの角度だと襟ぐりから服の中がみえてしまう、ぺたんこと思いきやごくわずかなふくらみとピンクの先っぽまでばっちりと見え……またなんもつけてねえこのチビ鬼!?

勇義ちゃんもそうだがなんで鬼は身に着けるものを最小限にしてるんだろうか「鬼のパンツは良いパン……はいてないだと!?」事件はいつか語る時があるかもしれない。

 

しかし今の俺は賢者に転職をしている。

 

「今の俺には色仕掛けは効かん」

 

そも、萃香さんのような幼い体で色仕掛けされてどうなるの?ロリコンなの?

という意見も出るかもしれないが、長年生きているせいでその辺の手練手管はしっかり持っているようで。

声に艶をにじませたり、ボディタッチがやけにきわどいところ触ってきたり、ぺったりくっついてきたりと普通にやばい。

そのくせビッチっぽくないところがまたやばい、勘違いするだろ、たいていの男は。

 

「一緒に飯食うだろ、酒飲むだろ、気が付いたらヤってるだろ」とは本人の談。

流石鬼だ、いったい何人食いやがった!(意味深)

 

まあ俺も普段なら食われてみたいとは思うんだがな!

 

「つれないな、よし、お前ら早く飯を食え、早く飲ませろ!」

 

「妖精を威圧すんな!」

 

焚き付けに使った新聞紙(もちろん文々。新聞だ。購読していないのに恐怖新聞さながら放り込んでいくので)の残りを丸めて萃香さんに投げつける。

 

可哀そうに、みんな動きが止まっ「おかわりなのだー」ルーミア強ぇな!?

借りた能力もフルパワーで使うと物質化するほどの闇とか恐ろしいことできるし、チルノ並みかそれ以上にやばい存在の片鱗はたまに見せるよな。

でも俺の中では癒し枠だったりするが。懐いてくれてるし。

 

 

「ほい、おかわりだ。サニー達は?」

 

ルーミアにご飯と御御御付の追加をいれて、三月精にも尋ねる。

個別でなくまとめて聞くときはサニーミルクを立てないと微妙にすねるのがサニーミルクの面倒なところだ。

三月精は俺に対してメタ的に働く能力を持っている&借りたときにすごく便利な能力を持っているため友好度は高く保っておきたい。普通にちまくて可愛いし、俺にはあまりいたずらしてこないのでそんなこと関係なしに甘やかすけど。

 

俺の程度能力の発動方法だが「互いに認識して」「借りたいものを知らせて」「相手が了承する」ことで発動する。

つまり、見えなくされたり、聞こえなくされたり、出会わないようにされた場合程度の能力は使えなくなるというわけだ(すでに借りているものは別)まあ、妖精の術は簡単に破る方法はあるんだけどな。

能力の点ではスターサファイアはそこまで脅威ではない。

でも個人的にはスターサファイアが一番ブレーキが壊れてる気がするけどな。

あとときどきドロワーズじゃなくてパンツ履くようになった。

 

「そこまでたべれないしー」

 

「大丈夫だよ、十分食べてるよー」

 

「うん、おなかいっぱいです」

 

「おう、遠慮すんなよ、あうんは……もういねえな」

 

萃香にビビったのか、すでにいない……おい、守護者。

あとでアヘ顔さらすまでブラッシングしてやる。

 

霊夢ちゃんは基本的にみんなで食ってるときはおかわりしないので……いちおう目線で聞いてみるとやはりいらないと目で返ってきた。

霊夢ちゃんは宴会じゃない普段の食事は割と黙々と食べる。

喋っても短い。躾なのか本人の性質なのかはわからないけど行儀は良い感じだ。

 

「ピ-スは?」

 

取り皿に取った炒り卵をケチャップまみれにして食ってる派手な妖精クラウンピースにもたずねる。

 

「No thank you. もうそろそろお腹一杯だね!」

 

……前から疑問に思ってんだけどなんで数多の妖精の中でこいつだけアメリカンなんだろう?あの松明も自由の女神みたいだし、そもそも服がアメリカンカラーだし……

 

あと、結構おしゃれさんで大抵の妖精が同じ格好をしているのに対し(ただなぜか近頃パンツ履く妖精が増えたが)カラーバリエーションこそないものの、タイツだったり、オーバーニーソックスだったり星条旗水着だったり(いやだからお前絶対アメリカ人だろ)Tシャツだったりとまあなかなかに違う格好を見せてくれる。

帽子だけは常に同じものをかぶっているのがまた謎ではあるが。

 

そういや現代社会に思いをはせる風祝を元気づけたときに作ったアレ今度食わせてみたいな、アメリカンなら口に合うだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」

 

「おう、気をつけて帰れよ」

 

食事も終わり、解散となる。といっても萃香さんは残っているが。

俺も残り物で飯をかっこんでいると霊夢ちゃんがお茶を入れてくれる。

 

「今日は泊り?」

 

昨晩パンツを借りに来たことから紅魔館に泊まることを察したらしい霊夢ちゃんが確認してくる。

別に泊まらなくてもいい気もするが夜中に血の匂いさせたまま移動するのは危険だとのこと。

あとレミリアさんが「客人のもてなしすら出来ない家だと?」と圧をかけてくるので泊まることにしている。

 

 

「紅魔館でレミリアさんにごちそうしてくる、お土産に美味いもん買ってくるからな」

 

気分は出稼ぎに出るお父さんだ。

 

「そんなのは良いから無事に帰って来なさい、アンタ妙なものに好かれるんだから」

 

骨女を成仏させた話だろうか?それとも二口女を食い倒れさせた話だろうか?それとも……

 

「なんか心当たり多すぎてわからないみたいな顔してるけど、アンタいろんな意味で有名人だからね」

 

「さとりをブッ倒したって地底でも有名だしね、勇儀にも勝ってるし、おこぼれにあずかりたい有象無象はどれだけでもいるさね」

 

あれは……不幸な事故だったんだ、「さとりちゃんを人魚にした話」はまあいつか夜長の時にでも語ろうか。

 

勇儀ちゃんは勇儀ちゃんが怪力乱神を勝負前に貸してくれたのでほぼ互角だったというのが大きい。

なぜか弾幕ごっこではなく格闘戦で勝負することになったけど。

 

挑発して隙を作って、ボロボロになりながらも、なんとか勝利。決まり手はバランスを崩したふりをして肉体版三歩必殺(美鈴ちゃんによると箭疾歩)を誘って予備動作中に間合いを詰めて崩拳で迎撃、ギリで勝利した。

もう、タフさでは絶対勝てないと思ってたから最初から一撃必殺を狙っていて見事にはまった感じだ。

 

美鈴ちゃんのパンツ見るためとはいえ、結構な頻度で組手してて本当に助かった。

 

勇儀ちゃんは「これだ!こういう騙し方なんだよ!」と、めっちゃ興奮して、それから妙に気に入られている。

 

ちなみに勝利してテンションがおかしくなってたのか「半歩崩拳、二歩半ほど足りなかったな」とか言ってしまったためしばらく地底では「二歩半の兄貴」とか「絶招半歩」とかよばれる屈辱を味わったのは黒歴史だ……まだいわれることもある……お燐とかはわざと言ってる気もする。

二つ名が文化だとか普通知らねえよ……

 

 

「さとりちゃんは、アレだ。ちょっとした行き違いのせいでだし、勇儀ちゃんは俺を舐めてたんだろ、程度能力も貸してくれてたし」

 

そういうと萃香さんは目を細めて圧をかけてきた。

 

「舐めても勝つのが我ら鬼ぞ?あまり軽く見てくれるなよ、人間」

 

でも小さいので可愛い!

キレる直前の霊夢ちゃんの圧のほうがよっぽどやばいので割と余裕がある。

……なお本気でキレた場合は霊夢ちゃんは圧が消失する、明鏡止水というか無念無想というか、淡々と「処理」される感じになる、これが一番怖い。

 

「軽くは見てない、必要以上にビビったりもしないけどな」

 

残った飯に茶をかけて、べったら漬けでかき込む。

幻想郷では弾幕ごっこがあるせいか理不尽な負けというのが存在していない(ただし死なないとは言っていない)、それでも弾幕さえ撃てない一般人は多少窮屈ではあるだろうけど、人里にいれば「現代で交通事故で死ぬ程度」ぐらいの危険しかない。

現代社会よりかは優しいと思う。

 

「嘘じゃないのがまたすごいね、で、もういいか?」

 

俺が飯を食い終わるまでちゃんと待ってたのは偉いと思う。

残ったけんちん汁の具材をこんもりと盛り上げて萃香さんの前に置く。

汁は良い出汁が出てるので、あとで雑炊にしたりに使う。

今晩は俺がいないし、霊夢ちゃんならそれで簡単に済ませそうだ。

 

「どうぞ、ただし片づけは自分でな」

 

なお、片付けしない場合は伊吹瓢を封印するというお仕置きが待っている。

ガチ泣きして許しを乞うてきた時はちょっと昂った。

その状態でさらに三日ほどお預けしてた霊夢ちゃん鬼より鬼畜(封印は霊夢ちゃんがしたため)

 

「わかってるわかってる……二度とあんなのごめんだしな。おっと、どうだ、お前も飲るか?」

 

「いらん、酒はあまり好きじゃないって言ってるだろ」

 

「そもそも鬼のお酒は飲むもんじゃないわよ、萃香も勧めないで」

 

「でもこいつ勇儀に直接飲まされたときは飲んでたぞ」

 

それは俺が星熊杯の酒を受け取るのを躊躇してたら「早く飲まないと味が落ちる」と口移しで強引に飲まされた時のことだな、あれはうまかった……ん?

 

「まて、なんで萃香さんがそれを知っている」

 

「勇儀がなんか顔真っ赤にして「ちょっと戦い終わった後の勢いでやらかしたんだけど、嫌われてないかな……」とか相談してきたからね」

 

なにそれ、勇儀ちゃん可愛いな!?

 

「あいつは女ならだれでもいいから気にしてないよって言っといたぞ」

 

「風評被害も甚だしいわっ!?」

 

誰でも良いわけじゃない、精神的なお子様は犯罪臭がするのでスルーしてるし、面倒そうな人も避けている。

 

「大体あってるんじゃない?」

 

と、霊夢ちゃんが半目(ジト目)でいう。

 

「霊夢ちゃんまでひどくない?」

 

俺の基本分類である、ちゃん、さん、呼び捨ての比率を脳内で考えて……

 

大体あってたわ

 

 

震え声で認めざるを得なかった。

 

「お前本当に嘘がない人間だな!」

 

萃香さんがけらけら笑う、さとりちゃんや、映姫ちゃんにも似たようなこと言われたんだよな……映姫ちゃんは初手「まずそこに正座」から入ってきたけど……

 

「萃香、こいつのは馬鹿っていうのよ」

 

「いいじゃないか馬鹿で!大昔は結構こういう人間いたんだけどな、今では……いやだいぶ前から見なくなったよ」

 

「萃香さんの大昔っていったい何百年前なんですかねぇ!?」

 

「馬鹿言え、桁が一つ足りない」

 

と、遠い目をして寂しそうに酒を飲む萃香さん。

 

実際いくつなんだこの幼女鬼!?

まあ見かけ可愛いからいいけど!!

と、萃香さんを愛でながらまったりしていると……

 

「鬼が隠れた理由だものね、ま、騙されて人に負けるのを恐れた鬼だっていっても、種族特性でそれなりに面倒だから私としては楽でいいけど」

 

「鬼を相手にするより、雑魚散らしたほうが楽だもんな、負けることも無いし」

 

「あら?私が負けたことあったかしらね」

 

なんか急に雲行きが……この二人、仲は良いと思うんだけど時々急にギスるのなんでだ!?

 

寂しそうだったので無意識のうちに萃香さんの頭をなでていたが、圧に巻き込まれて思わず手を止めた。

 

俺の手が離れた直後、注いであった酒を一気飲みして「だん」とテーブルに叩きつけて立ち上がり萃香さんは言った。

 

「3枚、10分、残機ゼロのみ」

 

「受けて立つわ」

 

ルールでいえばスペルカードは3枚まで、制限時間10分、残機ゼロといわれる、倒れて動けなくなる状態でのみ勝敗がつき、時間切れでは引き分けというほぼほぼガチなルールである。

 

まあこの二人がこのルールで戦った場合時間が足りず引き分けるだろうから問題はないといえばないんだろうが……

 

たべかけの皿にラップをかけ(無縁塚にけっこう流れ着いている、有名どころのラップじゃない聞いたことない商品名のではあるが、売れない原因なんだろうか切りにくかったりして使いにくいが重宝はしている)戦意の高い二人に俺は言った。

 

「怪我すんなよー」

 

「「こいつに言えば?」」

 

異口同音に答えがかえってくる。

 

やっぱり仲いいだろ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑の世話をして帰ってくると(畑は広いのだがルーミアも含め妖精たちがいろいろ手伝ってくれているので結構楽。というか畑に悪戯すると食事が貧相になることに気づいたらしくチルノを迎撃している姿もよく見かける)二人で酒盛りをしていた、いつものことだが切り替え早いな!?

 

 

風呂の裏手に回って温水槽からぬるい水を出して汗を流す、シャワーみたいなもんだが天気に左右される欠点がある、まあ沸かせばいいんだけども俺一人のために窯を炊くのも面倒だしな。

 

身だしなみを整え戻ると、萃香さんが霊夢ちゃんの膝枕で寝ていた。

おいそこは俺の場所だどけ(混乱)

 

展開が急すぎてついていけないが、萃香さんと魔理沙と紫さんの場合毎回こんな感じで少し目を離すと「なんで!?」って状態になってることが多い。

というか、鬼と妖怪と並ぶことのできる魔理沙はやっぱりおかしいと思う。

 

そういえば紫さん近頃見てないな、こんど八雲一家のお弁当もって藍ちゃんとこ行ってくるか。あそこなら呼べばほぼほぼ出てくるからな。

 

……いまも呼べば出てくる可能性もそれなりにあるんだけどもな、夜に白い膿を放出してるとこを見られてる可能性も……うん、考えるのはやめよう(一週間ぶり通算126回目の棚上げ)

 

 

 

 

 

「もう出るの?」

 

俺に気付いた霊夢ちゃんが問いかけてくる。

 

「おう、ちょっと適当にぶらつきたいしな」

 

「今度はどの女のところに行くのかしらね?」

 

「はっはー、俺にもわかんねえわ」

 

いや、割と男の人とも交流深めてるはずなんだが、作り酒屋のおっちゃんとか、霖之助とか……あれ?

やべえ、すくねえ。鍛冶屋のおっちゃんも河童と仲良くなってからご無沙汰だしなあ。

 

「とりあえず、妹紅さんのとこで焼鳥買ってミスティアちゃんのとこにでも、持っていこうかな?」

 

「やめなさい馬鹿、また「目があああああああっ!!」とか叫ぶ羽目になるわよ」

 

初めて悪戯したときはひどい目に合ったものだ、治すためのヤツメウナギの値段ぼったくられるし……

毛糸のパンツは意外だったけど。

 

とはいえ流石に焼鳥持っていくのは冗談ではあるけどな、でも、うちで結構頻繁に鶏絞めてるせいか、普通に客として行ってもミスティアちゃんには割とぶつぶつ言われることが多い。

 

そのくせ卵は普通にミスティアちゃんの屋台のおでんのメニューにあったりする……

あ、でもルーミアの力を借りているせいでちょっと目に気合入れる必要があるが、闇を見通すこともできるためたぶん大丈夫。

 

「移動しながら考えるよ、というわけで霊夢ちゃん、今はいて……じゃなくて空を飛ぶ程度の能力貸して」

 

「いいわよ」

 

霊夢ちゃんが了承すると、心の中の帳面に五.空を飛ぶ程度の能力。と記載されたのが感覚でわかる。

あくまでもイメージなんだが昔持っていた帳面(幻想郷に来た時にもっていた帳面)と同じような感じで記載される。

これで行使が可能になるというわけだ。

 

ちなみに勝手に借りるときでも声をかけないと発動しない、というか勝手に借りるというか強制的に了承させる。というのが正しい感じがする。

強制的に借りた場合は心の帳面に赤文字で書かれ、それを返すまでは誰からも何も借りることはできない(すでに借りているものは行使できる、また能力を使わずに物品を借りたりは当然できる)という制約がある。

俺はこの状態を借金状態と呼んでいる。

明確な弱点になるから霊夢ちゃんにすら教えていない秘密だが。

 

そういえば霊夢ちゃんのパンツが時々赤文字じゃない(帳面に記載されない)のはあきらめてるんだろうな……ごめんね霊夢ちゃん。

でも借りるけどな!(ゲス)

 

 

「じゃあ、明日の夕方までには帰ってくるから」

 

「寄り道せずに……無理ね。せめて厄介ごと拾ってこないようにしたら、それでいいわ、気を付けてね」

 

「おう、お土産楽しみにな―」

 

そういいながら手を振って俺は飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ったみたいだな」

 

「やっぱり、起きてたのね」

 

()()()()()か……嬉しいか?」

 

「さあね、ま、いなくなると少し物足りないけど」

 

「好いていないのかい?」

 

「……よくわからないわ、でも、私は博麗の巫女だから」

 

「私はただの鬼だが……何年見ていても人間はわからんな、不条理だ」

 

 

 

 

 

答え(いらえ)はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき、ありがとうございました。
未来方面への時間軸は物語を考えながら作っているので結構お時間をいただきます。
見捨てずに気長にお待ちください。

またお気に入り、感想、評価、推薦などは励みになります。
私の作品のために時間を割いてくれるということ、とてもうれしく思います。


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第三話

なさちら様、kinoppi様
感想ありがとうございます、とくにこう、二回目の感想は「継続して読んでくれてる」って感じで嬉しくなりますね。





~おわび~
紅魔館にまだつきません。
おっさん成分があります。
賢者モード&人目を気にしているため暴走はしません。
そのせいか今回鈍感系主人公のようになってしまいました。
紅魔館付近まで行けば人目がないのでそれなりに暴走するはずです。


博麗神社を出てまずは人里を目指す。

迷いの竹林の入り口をちらと見たが住居の外には人影は見えない。

そう、住居である。

 

最初に見たとき、妹紅さんは東屋(屋根しかない建物)もかくやという家に、寝具もなく座り込んで寝ていたので俺はキレた。

暴漢に襲われても返り討ちにできる位の力があるとはいえ、女の子が住むには不用心すぎると。

ましてや綺麗なんだから自覚しろと。

 

そう言ったら妹紅さんは「お前には関係ないだろう、親切なふりをして何を――なんだ?したいのか?いいぞ、別に、死ねば綺麗になるし、孕みもしないからな」と。

 

そこでまたブチ切れですよ。

半月……いや、三週間ぐらい持ったかな?殴ったり説教したりするわけでなく、生物としておかしいと証明するために妹紅さんと一緒に同じ生活して暮らした。

 

自分の体を人質にしたテロだな今思うと。

 

もちろん一般人がそんなことを長く続けれるはずがない、最後は気が付いたら永遠亭で目覚めたからぶっ倒れたか何かしたんだろうな。

 

というか映姫ちゃんが、「私の一存ですが、あなたと親しいようなのでお迎え担当を特別に小町にしておいたのですが……急ぐように言っておいたのですがいつものようにどこかで油を売っていたようですね……本来ならあの世に行くのですが、蘇生が間に合ってしまったようです」

とか言ってたから普通にやばかったのかもしれん。

映姫ちゃんのできる精一杯の厚意だろうな。

 

でも映姫ちゃん。小町ちゃんはそういう時面白がってガチで全速力で来る可能性もあるからね?

いや、それが正しい仕事のありかたなんだろうけども。

 

霊夢ちゃんには圧が消えた状態で折檻された。

反論しようと口を開いた瞬間にビンタされることを繰り返して、最後は霊夢ちゃんが許すまでずっと見つめあってたよ。

 

それから妹紅さんは人間として最低限の生活をするようになった。

天子と飯食いに行っている(なぜか天子と相性がいい)のもたまに見かけるし、慧音ちゃんと街をぶらついていたりもする。輝夜ちゃんとも少し歩み寄ったみたいだった。

 

後はなぜか焼鳥屋を始めた。

霊夢ちゃんによると昔から自称はしていたらしいんだけど実際にはやっていなかったみたいだが、本人曰く「元手がほとんどいらない」ので始めることにしたそうだ。

 

おかげでミスティアちゃんとは仲が悪い。

ちなみに俺も割と警戒される、幽々子ちゃんも結構警戒されている。

 

よし、こんど三人で屋台に行くか(非道)

 

 

 

 

さておき、外にいないのなら(暇なときは竹炭作ってたり、鳥をさばいていたりする)寝ているか案内しているか、鳥を狩りにいったかだろう、また今度寄ることにして進路を人里に向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里について(一応少し手前で降りて道から行くことにしている)しばらく悩む。

お土産はあした買うとして、慧音ちゃんのところに行くか……でもこの時間授業中だからな。

 

授業終わるまでぶらついて、それまでだれにも会わなかったら慧音ちゃんところに行こう。

そう決めて大通りを歩いていると白い髪の女の子を発見した。

 

 

 

「よう、妖夢ちゃん、何してるの?」

 

「あ、便利屋さん……今日はお仕事ですか?」

 

「夕方からな、今は暇してるな」

 

「そうですか……あ、今日は運搬に使える能力お持ちですか?」

 

「いや、今日はないな……あれ?買い出しか?」

 

「ええ、こればっかりは幽霊にさせられませんから」

 

お気づきになられただろうか。

妖夢ちゃん、めっちゃ心の距離遠いんです。

 

ドロワーズだからそんなにセクハラじみたことはしてないし、剣の修行とか買い出しとか手伝うぐらいだし、たまには甘味を食べに行ったりもするんだけど、どうにも心に壁がある感じがするんだよなあ……

可愛いとか偉いとかは言うけど……

 

「相変わらず大変だな、でもいつも来てる日と違わないか?」

 

本来週に二回同じ日に妖夢ちゃんは買い出しにくる、結構運搬ギリっぽい量を持って帰るため、俺が暇なときで、ちょうどいい能力があるときは手伝ったりもする。

無くても完全に暇なら手伝ったりもする。

 

幽々子ちゃんは三人前ぐらいは普通に食べる、といっても暴飲暴食するわけではないし、エネルギー効率が悪いのだろうと思ってるんだよな、俺は。

だからそんなに頻繁に買い出しはいらないと思うんだけどな。

 

「天人様がいらしているので……」

 

天子(てんこ)か、叩き出していいぞ、百害あって一利なしだ」

 

地震で俺の畑を壊滅させたことがあって以来天子は俺からは厄介な人物として認識されている。

しかも悪びれもせずに上から目線でまた作れば?って言ってきやがったからな。

可愛くても許せる範囲に限度があるわ。

 

ちなみに読みは正しくはてんしである。天使みたいな綺麗なイメージと被らせるのが嫌なため、俺はてんこと呼んでいる。天使みたいなのは綺麗な霊夢ちゃん(ときどきある超優しいモード)に使う呼び方だろ。

 

「いちおう幽々子様のお客様ですので……」

 

「大変だなあ、妖夢ちゃんは」

 

「いえ、料理担当の幽霊のほうがもっと大変かと……お二方とも美食家ですので」

 

幽々子ちゃんはともかく天子なんか桃でも食わせときゃいいんだよ(暴言)

それにしても妖夢ちゃん、もっと霊夢と話してる時みたいなんでいいんだけどな。

男が苦手なのかな……、俺が嫌われてたらどうしよう。

 

と、苦悩していると半霊が俺にすり寄ってきた。

 

「おお、しらたまーっ!相変わらずかわいいなお前はーっ」

 

妖夢ちゃんの半霊、俺は白玉楼にかけてしらたまと呼んでいるが、こいつはなぜか妖夢ちゃんと違って非常にフレンドリーで、いつも懐いた犬のようにすり寄ってくる。

 

「す、すいません。なぜかいつも無意識に勝手にっ!」

 

「いやいや、いいっていいって、俺、しらたま大好きだし。ちょっと温くて柔くてぷにぷにですべすべで、これ触ってるとすっげー癒されるんだよ」

 

と、ぷにぷにぐにぐに触り心地を確かめながら存分に愛でる。

いや、これ売ってたら10万までなら出していいわ、人をダメにするシリーズを凌駕すると俺は思うね!

 

「あのっ、いや、それは嬉しいのですがっ、あんっ」

 

「あー、しらたまは可愛いなー」

 

しらたまは愛でるといろいろ変化する、長細くなって腕に巻き付いてきたり、腕に巻き付いたままほっぺたにすりすりしてきたり、丸くなって膝や肩に乗ってきたりと、なかなかに懐いている。

 

「ですから、あのっ、それはちょっと、くうっ、ですね」

 

「んーかわいいなー、お、ほっぺたすりすりしてきて、なんだ、ちゅーしてやろうか、ん?」

 

「いや、そのちゅーとかは、ほら、き、きたないですよ」

 

「しらたまは綺麗だよねー、はいちゅーっ」

 

「ひあっ!?」

 

子猫とか相手にすると精神年齢下がる人間居るだろ?

 

 

 

 

 

俺がそうだ(威風堂々)

 

 

 

 

 

ちかごろそれなりに精神的につかれてたのかもしれないな、しらたまにすごい癒されるわー。

抱きしめてたり撫でまわしたりして全力で愛でていると妖夢ちゃんがいきなり膝から崩れ落ちた。

 

「えっ!?妖夢ちゃん?妖夢ちゃん!?」

 

「あうー……みょんなとこ触らないでください……」

 

顔が真っ赤だ、今日は熱中症になるほど暑くはないはずなんだが!?

抱き起こそうとしたが、先に拒否されたので手を止める、手持ち無沙汰になった俺はなんとなくしらたまをにぎにぎしてしまう。

 

「うあっ!?そこはっ!?」

 

びくんと妖夢ちゃんが痙攣する。

 

「えっ!?いや本当に大丈夫妖夢ちゃん!?」

 

「大丈夫です、大丈夫ですから触らないでください!」

 

「触ってないけど、本当に大丈夫なのか?」

 

「これ以上されると私……う……うわあああああああん!」

 

「妖夢ちゃん!?」

 

最後の力を振り絞るように俺からしらたまを分捕ると、全力疾走で離れていく。

絶叫というか半泣きというか……とにかく注目を引き付けてしまった。

街の人たちの視線が……あれ、みんななんで一瞥して、またこいつかみたいな感じで興味なくすんですかね?

 

俺、今回に限ってはセクハラ行為とか一切してないんだけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そそくさと逃げるように場所を変え造り酒屋のおっちゃんのところに行く。

霖之助と並んで俺がよく話をするおっちゃんだ。

 

このおっちゃんは打てば響くとばかりにツッコミ入れてくれるので、とっても話しやすい。

しかもハゲてガチムチの癖にめっちゃきれいな奥さんと可愛い子供までいる。

が、なぜか俺にはあまり会わせてくれない。

 

「で、俺は言ってやったのよ「女好きが強さの条件なら俺は世界一だ」ってな」

 

買う酒を物色しながらおっさんと馬鹿話をする。

こういうのもいいもんだ、全く気を遣わないからな。

 

「またぞろいろんなとこを敵に回すようなこと言ったもんだな坊主」

 

「なんでかしらないけど終わった後映姫ちゃんが来て説教された」

 

「閻魔様をちゃん付で呼ぶこと自体信じられないことしてっからな!?」

 

「この間ついに「あなたはエロすぎる」と言わせたぜ、ちょっと滾った」

 

「坊主不敬すぎるだろ!?」

 

好色にすぎるからはじまり、女好き、女性への執着等々結構な数の言い回しをへて、ついに使う言葉がなくなったのか映姫ちゃんの口からエロと言わせたときはある意味やり切った感があったな。

 

そのあとの「とりあえず正座しましょう、軽く半日ほど」にはさすがに参ったが。

何故半日かというと映姫ちゃんの仕事の交代時間があるからでつまり休憩時間全部映姫ちゃん独り占めしてたわけだ、やったぜ!!(ポジティブ)

 

そも映姫ちゃんの説教(というか宗教系全部)は理想しか言わない。

もちろん理想に近づけるのは大切なことだけども全員がそうなってしまえば、極端だがきっと世界は滅ぶ。

緩やかに、しかし確実に衰退していってしまう、俺はそう思っている。

映姫ちゃんの能力じゃないけど、白黒はっきりつけるのは死んでからでいいんだ。

そのためのあの世だろうと俺は思っている。

 

ま、馬鹿も乱暴者も必要だってことさ。

 

「役職はどうあれ可愛い女の子なんだからそこは認めるべきだろ?」

 

「まず、その認識がおかしいんだよ、どうみたって怖い人だろ、地獄に落とされたらどうするんだよ」

 

「地獄も結構悪いところじゃないし」

 

「そう言い切れる坊主は割とおかしいってきづけよ!?」

 

地獄が嫌なら幽々子ちゃんとこに就職(?)する手もあるしな。

そうしたらしらたまも弄り放題か、ちょっと興味があるな。

 

「こいつとこいつとこいつを、竹林まで頼めるか」

 

ピンときた酒を妹紅さんのところまで運んでもらう、そこから先は俺か、萃香さんなり霊夢ちゃんなり酒好きで手の空いている人間が運ぶ

 

「かーっ!まいったね、いい奴から順に選んでいきやがる、相変わらず鼻が利くな」

 

「鼻っていうか、俺はあんまり強くないからな、それでもこいつは飲みたいなって思う奴を選んでるだけだ」

 

飲まない利き酒という結構謎の特技を持ってたりもする。

鬼に言わせると「弱いが悪くない」というような酒だが、酒にうるさい鬼からも強さ以外に悪い評価を受けたことがないのが自慢だ。

 

ちなみに軽く三つほど選んだが、どれも一斗樽である。博麗神社の酒消費量は異常なのだ。

手付の金粒(鬼たちの仕事の時はたいていこれがもらえる、額面ではないので使いづらいが、ここでは引き受けてくれるので、それもここをひいきにしてる理由でもある)をいくつか渡して、妹紅さんのところまで運んでもらう。

 

妹紅さんは預かり賃として一升ずつ分け前をもらうことになっている。

まあ、そういう建前で渡してるのは妹紅さんもわかってるんだろうけど「この借りは身体で払おう」とか真顔で言うのは本当にやめてほしい。

こう、なにかな、なんか違うんだよな。

妹紅さんの価値はもっと高いはずなんだよな、嬉しいんだけど、ちょっとそういうのでは手を出したりはしづらいんだよ。

 

 

「おう、白い姉ちゃんのところだな?あの姉ちゃんも見かけは変わらないのに近頃は、こう、なんだ匂い立つような美しさが出たよなあ」

 

「おつうさーん!おっちゃんが浮気してるよーっ!!」

 

なお、おっちゃんの奥さんの名前だ、機織りが上手で肉付きは良いのにはかなげな雰囲気を持っていて、それでいて喋るとはすっぱという一粒で何度もおいしい美人である。

なんかちょっと、いやかなり嫉妬深いという些細な(俺に向けられないなら些細である)欠点はあるがそれ以外は非の打ち所がない人だ。

裁縫で使うようなでっかい裁ちばさみもって問い詰められているおっちゃんを見たこともある。

人の痴話げんかは見ていて楽しいな!(外道)

 

「馬鹿おめえ坊主!?なんてこと言ってやがんだ!?カカアに聞こえたら俺明日の朝日が拝めねえぞ!?」

 

「大丈夫大丈夫、映姫ちゃんに生前は良い人でしたって伝えておくから」

 

「洒落になってねえぞ坊主ぅ!?ひっ!?」

 

奥の間でいつも機織りしているのだが(なお、織ってる最中覗くと怒られるらしいので見たことはない、完成品は見事の一言である)そこのふすまが一寸ほど開いて、目がおっさんを見ている。

 

うん、ちょっと怖い、悪いおっちゃんやりすぎたわー(棒)

 

「おい、坊主取りなしてけ、な!」

 

「ごめん無理!小町ちゃんによろしく!」

 

「坊主この場面で女の名前とか、あ、いや、つう、違うんだあの助兵衛の坊主の戯言なんだってば!」

 

「あーばよーとっつぁーん」

 

「お前今度来たら……いや、つう、落ち着けって、な!なんで奥に引っ張りうわああああっ!?」

 

 

すまんおっちゃん。

 

 

まあ、過去にもやらかしたことはあったので心配していない。

おつうさんは嫉妬すると「絞ってくるタイプ」だ。

あしたはおっさん足腰立たないかもしれないけども夫婦仲良くて結構なことじゃないかね。

 

 

 

 

 

丁度いい時間になったので餅屋で餅を大人買いして寺子屋に向かう。

あんこの入った餅じゃなければ現代社会よりはるかに安い。

寺子屋につくと丁度授業が終わった直後なんだろう、子供たちがわちゃわちゃとしていた。

 

「ようし、ジャリガキども餅があるから持っていくがいい」

「おやつの兄ちゃんだ!みんなーおやつの兄ちゃんが来てるぞー!!」

 

突入一番餅を配り始める、現代でやったら即通報からの署まで連行のコンビネーションを食らうが、幻想郷だと「奇特な人間だ」程度の認識でしかない。

むしろ子供たちにとっては待ち望んだ人物であろう。

 

「いっぱいあるからなー、今日先生に怒られなかった奴は二個持って行っていいぞー」

 

地味な作業だが、こういうことを繰り返すとみんな怒られないように注意するようになる。

動物の躾のよう。とか公平じゃないとか、おもうかもしれんが、よく考えてみろ。報酬がもらえるなら我慢するってのは大人も変わらない。

あるいみ公平な不公平であり、社会勉強だ。

 

ちなみにズルをしたやつはもれなく頭突きを食らう。

罪には罰があるのも当然だ。

 

「騒がしいと思ったら君か、いつもすまないな」

 

「慧音ちゃんこそいつもお疲れ様、特別にあんこ餅ですよ」

 

騒がしくしていると慧音ちゃんが現れて俺に話しかけてきた。

慧音ちゃん用に別にしていたあんこ入りの餅を渡す。

 

「また君はこんな年増の事をちゃんなどと……餅はありがたくいただこう」

 

「慧音ちゃんが年増なら紫さんとかおばあちゃんじゃないか、見た目若々しくてかわいいんだから気にしなくてもいいとおもうんだけどな」

 

「あ、先生だけずりーぞ!兄ちゃん俺にもあんこくれよ!」

 

「こら!あのお兄さんは先生の彼氏なんだから特別に渡してるのよ!」

 

「えー、でもあの兄ちゃん巫女さんとよく一緒にいるぞ」

 

「どっちの巫女さん?」

 

「えっとー、両方!」

 

「俺、人形劇の姉ちゃんと団子屋にいたの見たぞ、なんか食べさせあってた」

 

「俺なんか夜中に白い髪の先生の友達と一緒にぴったりくっついて歩いてるの見たもんねー」

 

「おい、ジャリども、黙れ(威圧)」

 

「こらこら、君がそういう人間だってことはよく知っているから取り繕う必要などないさ」

 

「ですよねー」

 

否定できない事実だからな、妖怪の事情も知っている慧音ちゃんだとさらに妖怪サイドのうわさもいろいろ入るだろうし。

 

「ただし君が妹紅と夜中に出歩いて寄り添って何をしていたのかだけは詳しく聞きたいところだが(獣の眼光)」

 

息継ぎなしで一気にいいきったよ!?

妹紅さんに対して愛情深すぎじゃないですかねえ!?

でも百合もいいよね!

 

「みて、あれが修羅場よ」

 

「女の人ってこえー」

 

「おやつの兄ちゃんってスゲーな!」

 

 

「こほん、君たちも早く帰って父母の手伝いをするといい。親孝行はできるときにしておくものだ」

 

子供たちに興味津々で見られていることに気付いた慧音ちゃんはとりつくろうと、子供たちに帰るように指示をする。

 

「先生さよーなら―」

 

「おやつの兄ちゃんもありがとー」

 

「先生と仲良くねー」

 

「こら!……もう、まったく、どこで覚えてくるのやら」

 

「子供ってそういうもんですよ」

 

「私から見れば君も十分子供なのだけどな、と、時間があるなら一服どうかね、茶菓子もあることだし」

 

「じゃあ、お邪魔します」

 

慧音ちゃんに続いて寺子屋に上がり込む、こういうところで学んだことはないはずだが、いつもどこか懐かしさを感じるのはなぜだろうな。

 

「さて、まずは一服」

 

慧音ちゃんがお茶をたててくれる。現代だと急須で入れるのが一般的だけど幻想郷だと結構この手のお茶も多い。

茶道みたいな格式ばったものではなく、手っ取り早いからという庶民の入れ方ではあるが。

慧音ちゃんの入れ方はまだ丁寧な部類に入るぐらいだ。

魔理沙とかはどんぶりでわしゃわしゃと適当に立てたお茶にさらにぬるま湯ぶっこんで飲んでたりする。

相変わらず女子力壊滅してるよな……

 

苦いイメージがあるが、お湯の量の加減でどうとでも調整できるし、むしろ薄めに立てると、泡のせいかクリーミィで飲みやすいぐらいだ。

 

「あー、うまい」

 

俺はやっぱり日本人だと実感する、茶がうまい。

 

「ははは、褒めても何も出ないぞ?それはそれとして……」

 

少し気恥ずかしそうに慧音ちゃんがほほ笑む、いや十分美味しいと思う、ガチで立てたお茶にはかなわないと思うけども、そんなお茶は日常で飲むもんじゃないしな。

 

「妹紅と夜中に出かけていた話を聞かせてもらおうか」

 

しまった!罠だ!?

とくにやましいこともやらしいこともしていないのだが(妹紅ちゃんは服装柄ガードが堅い)緊張に身をこわばらせる。

いや、そりゃ肩組んでたから体に触れたりはしますよ、でもそれは偶然だったりしてですね……

 

「いや、その、ちょっと飲みに出ていて」

 

あれ?そういやなんで肩組んでたんだっけ?

 

「ほう、あの目撃した少年の家の近くにはいかがわしい目的に使う宿ぐらいしかないのだが」

 

「それは偶然です」

 

圧の強さに思わず敬語になる。

そもそういうことするなら妹紅さんの家でもできるじゃないか!

 

たしかあの日は……?…………!?

 

「いたよ!慧音ちゃんもいたよ!?」

 

「うむ?」

 

「ほら、輝夜ちゃんと妹紅さんがちょっと派手に喧嘩して竹林ちょっと焼けた日!」

 

「うん……?」

 

「慧音ちゃんが俺に頭突きしようとして、俺が後ろに倒れ込んで事故ちゅーした日だよ!」

 

「……!……さ、さあな、どうやらその歴史は消え去ってしまったみたいだな」

 

そう言っている慧音ちゃんの目は世界新記録並みのスピードで泳いでいる。

半分ぐらいは無意識に能力でも使っていたのかな?そこまでして忘れたかったのかもしれないが思い出したようだ。

 

慧音ちゃんは意外にちっこい(霊夢ちゃんより小さい)ので立った状態の俺に頭突きをするには飛びつく必要がある。

あの日は三人で飲んでたので弱い俺は足元がおぼつかず押し倒される形になってしまったのだ。

 

手で押しとどめたのだが、胸をわしづかみにした(結構大きい)結果に終わり、しかも衝撃はちゃんと殺したため、神のいたずらか、わりかししっかりと唇を合わせる結果になってしまったのだ。

 

さらにてんぱった慧音ちゃんがそのままわたわたと這いずるように前進して俺から離れようとしたため、顔をまたぐ感じになりレースの紐パン(黒!)を御開帳してくれたおまけつきである。

熱気すら感じる位の近距離で、闇を操る能力のおかげでばっちり見えたのであとでルーミアにお菓子をあげたのを思い出した(ルーミアはこんなかんじでいつも唐突にお菓子をもらえる)。

 

 

「そ、そういえばそうだったな……君も忘れておいてほしかった……」

 

「いや、思い出させたの慧音ちゃんだし、俺は酔ってたのとあの後パンツ見られてパニックになった慧音ちゃんに膝落とされた衝撃でほとんど忘れてたからな?」

 

そうだよ、それで妹紅さんに担がれてたんだよ……

 

「下着のことは忘れてくれっ!……そも、暗がりで見えてなかったろう?」

 

ここでごまかすことは可能だろうが、だが俺はあえて言及する。

 

「黒いレースの紐パンだよな?慧音ちゃんってレースとかフリル好きみたいで、そこも可愛いな!」

 

「なんで見えてるんだ!?かなり暗かった……ああ、ルーミアの能力か」

 

さすが慧音ちゃん、頭の回転は速いな。

顔は真っ赤だけど。

 

「さすが、歴史を作る程度の能力!俺のパンツ史にあらたな一枚を刻んだな!」

 

「そんな能力は持ってない!いや、能力があるがそんな歴史は作らない!」

 

「ところでそもそもなんで俺に頭突きしようとしたんだっけ?」

 

「はて……?そういえばそうだな、わざわざ立っている人間に飛びついてまでするのはよほどのことのはずだが……」

 

二人で考え込む。

丁度いいのでお茶とあんこ餅で小休止する。

 

「たしか竹林と慧音ちゃんの家とちょうど反対方向で、どっち先に送るかもめてなかったっけ?」

 

「なんとなく覚えがあるな、たしか私は近いから平気だと言って、妹紅が死なないから平気だと言ってたはずだな」

 

「おう、思い出した。妹紅さんは後で説教だな」

 

「長年の癖はそう簡単に抜けまい、そう目くじら立ててやるな」

 

不死身という特性を利用するのはこの幻想郷ではありだとは思う、だけども死を容認するのはいただけない。

 

「誰かが言わなきゃ治らないだろうよ、んでそれからどうしたっけ……?」

 

「たしか……そうだ、妹紅が!」

 

「あ、俺も思い出したわ」

 

泊まれる場所の心当たりがあると案内された先が……

 

「連れ込み宿だったな……」

 

「ああ、まったく妹紅と来たら」

 

苦虫を噛み潰したような顔の慧音ちゃん。

それでも可愛さが残るのはすごいね。

 

「でもそれだと妹紅さんに頭突きしないか?なんで俺に?」

 

「えっと……たしか……?」

 

考え込んで急に発熱でもしたように顔が真っ赤になる慧音ちゃん。

 

「よし、この話はここで終わりだ」

 

「えー、めっちゃ気になるんだが」

 

「た、大したことではないのだ、うん」

 

流石にこのままだったら気になって夜も寝れんわ!

たしか……と記憶を想起させる……

 

なんか妹紅ちゃんが言ってた気が……「慧音はこの年で男を知らない、私は再生するたびに綺麗な体になる、初物を二人分だ、悪い話ではないだろう?」あーっ!?おもいだした!

 

「そうだ、慧音ちゃんがしょ――」

 

「ふん!」

 

 

 

ごすっ!!

 

 

 

俺が意識を失う瞬間に見たのは柳眉を吊り上げ顔を真っ赤にした慧音ちゃんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……たまえ、おきたまえ」

 

「ん……んう……」

 

揺り動かされて目覚める、ん、後頭部がぬくやわこい……そして額が痛い。

 

目を開けると、覗き込んでいる慧音ちゃんの姿があった。

 

「気が付いたか、大事ないか?」

 

「ん、なんかちょっと額が痛いけど、特には……あれ?なんでこんなことになっているんだ?」

 

餅を配ったところまでは覚えているのだが、そのあとの記憶が定かではない。

 

「ふむ、頭を打ったことによる記憶の混濁か?まあ、いつもの事だが君が卑猥なことを言ったので、少々仕置きを……な」

 

どうやら俺は頭突きを食らって昏倒していたようだ。

だがこのぬくやわこい感触は……膝枕!?

 

「目覚めたのなら、起きるといい。さすがに足がくたびれたよ」

 

「だが断る(即答)」

 

「……もう一発いっておいた方がいいか?」

 

「すぐ起きます!」

 

さすがにもう一度気絶したら紅魔館にまにあわ……やっべ。

 

「慧音ちゃん、どのぐらい俺寝てた?」

 

「四半刻ぐらいだろうかな?やわやわ夕暮れだ、用事でもあるのか?」

 

「ええ、ちょっと紅魔館に」

 

「……君は少し妖怪と近すぎる、いっても君はやめないのだろうけど」

 

「それが俺だからな、じゃあまた餅でももって様子見にくるよ」

 

「手ぶらでも構わないよ、あまり気にする必要はない」

 

「まあ、覚えてたら。それじゃまた」

 

「ああ、気をつけるようにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないな、私の名誉のために少しだけ……隠させてもらったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うちの幽々子様は大食いですが人外レベルというほどではありません。

読んでいただきありがとうございます。
アンケートを実施していますのでよろしければご記入ください。


ここすき機能の半分以上ぐらいパンツ描写なんですが……

感想、評価などお待ちしております。
評価が赤くなっているは場合は通常の三倍のスピードが出ます


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第四話

ちょっといろいろ過激すぎたのでマイルドに修正&次話に回しました。

なさちら様、がつ様。トップルー様、kinoppi様
感想ありがとうございます。

クオーレっと様、asosan様、SERIO様、ひだりみぎ様、導師様。
誤字報告ありがとうございます。来てるの気づかずに今気づきました、ごめんなさい。

短い文ですが感想返しを書いておきました。これからもよろしくお願いいたします。

それではお楽しみください。


寺子屋を出ると、だいぶ日が傾いてきていた。

 

ちょっと霧の湖回りに寄り道する余裕はないかなあ?

あまった餅どうするかな……固くなってもみそ汁とかに入れれば十分食えるんだけども。

 

チルノに押し付ける気満々だったんだがまいったな。

個人的にチルノは嫌いじゃない、なんか、こう……非常にいじめがいがある(極悪)

 

絶対に折檻されるのを分かっていて(わかっていないかもしれないが、馬鹿なので)毎回悪戯するのはなかなかにガッツがあってよろしい。

 

今のお気に入りは、ひたすら大妖精(ほぼほぼ一緒にいる)を優遇するというおしおきだ。

だんだん元気がなくなっていくチルノといたたまれなくなっていく大妖精の組み合わせがすごい可愛い(外道)

 

過去には俺の事を「アタイがさいきょーだから、アンタを子分にしてあげる!」と言ったので。チルノを親分呼びにする代わりに、他の妖精に配るお菓子を一切与えなかったことがある。

 

何故くれないか問われて「子分は親分に貰うものですぜ、チルノ親分」といったらすごい悩んだうえに俺の事を「子分にーちゃん」と呼ぶようになった。

 

他の妖精がお兄さんと呼ぶので、その呼び方ならお菓子をもらえると馬鹿なりに考えたのだろう。

流石に可哀そうだったのでお菓子をあげたらめっちゃ目を輝かせていた、可愛い。

 

近頃は俺のガチギレポイント(泥汚れを付ける、畑の作物を必要以上につまみ食いする(常識の範囲では可)、料理の味付けを行う(俺は完成後には醤油掛けようがケチャップ掛けようが怒らないが作成中はキレる)等だ)に関する悪戯はしなくなったので、まあ、アホなペットぐらいには可愛いと思う(酷)

調子に乗るのが悪いだけで、妖精内でなら実際の甘やかし度はチルノはかなり上位にくると思う、たぶん俺、ルーミアの次ぐらいに甘やかしてると思うぞ。

ルーミアは懐いてるので殿堂入りぐらい甘やかす上に、能力がとにかく(パンツ鑑賞に)役立つため、発作的にお菓子をあげたりしている。

チルノはお仕置きもかなり上位(もしかして一番)に入るぐらいしてるけど。

 

 

まあ、時間がないのでしょうがない、俺は紅魔館へ直行することにした。

 

 

 

 

紅魔館前で降りて(上空から行くと魔理沙対策のトラップに撃ち落される恐れがある、というかあれをかいくぐれる魔理沙は無駄にスペックが高いと思う)門番の美鈴ちゃんを探す。

 

「……なんでそんなかっこで寝れるの?」

 

門の横で石を枕にして安らかに眠っている(死んでない)。頭痛くないのかな?

本人曰く、気配で起きますよとのことだが、正直美鈴ちゃんが門番として役に立っているのは見たことがない。魔理沙は上空からぶち抜いていくし、霊夢ちゃんは押し通るし、あ、妖夢ちゃんはちゃんと起こして会話してたな。偉い。

 

さて、本当に気配で起きるのか試さなくてはなるまい(使命感)

 

美鈴ちゃんにそっと近づく……まだ起きない。

足先に近づく……まだ起きない。

 

 

ほう……と、息を吐いて昂った気を静める。ここからだ。

スカートの裾に手をかけて、そろりそろりとまくり上げる……

 

「なるほどなるほど……」

 

武術家であり蹴り技も使う以上野暮ったいパンツは動きを阻害するため履かない。

前身頃の部分には小さくレースの図柄が入っている、あまり飾り気はない。だがもっとも特筆すべきはTバックのようなのである……組手の時ではそこまでじっくり見る機会がないからな。

だが、仰向けで寝ているため尻が確認できないのはいただけない。

なんとかして後ろ側をじっくり確認したいな。

 

「ふうむ、どうすればよいか」

 

「まずは手を離すといいよ」

 

「いや、それでは隠れて……!?」

 

掛けられた声に返事をしたが、この声は美鈴ちゃんだ!しまった起きたか!?

 

「しまった!起こしてしまったか!」

 

「そういいながらも離さないのすごいね!?ふつう謝りながら離すよね!?」

 

「しかし俺には後ろがどうなってるか確認する義務が……!」

 

「義務なんてないよ!?ちゃんと見せてあげるから、一旦離す!」

 

え……、今なんと?

 

「今見せてくれるって言った!?」

 

「見せてあげるって言ってるから、離しなさい!覗き込まれるとさすがに嫌!」

 

「うお、マジか!」

 

裾を離すと美鈴ちゃんは立ち上がって、パンパンと砂埃を払った。

 

「うっそでーすって言ったらどうする?」

 

「泣く、大の男が号泣するぞ、いいのか?(謎脅迫)」

 

「君ってホント莫迦(ばっか)だねえ……」

 

苦笑しながら美鈴ちゃんはまくり上げてこちらに背を向ける。

紅魔館組はシルクのわりとゴージャスなタイプのパンツをはくんだが、流石に仕事中(寝てたけど)は飾り気のない実用性のある感じのパンツのようだ、しりっぺたから太ももにかけてのみっちりと筋肉の詰まった肉がまぶしい。

 

なお、美鈴ちゃんはプライベートだとフリルがいっぱい連なったアンダースコートみたいな大き目のシルクのパンツをはいてた。

 

「うわー、すげえ鍛えてて綺麗だ」

 

「ま、見せても大丈夫なぐらいには下半身には自信があるね」

 

紅魔館の人間は割とパンツ見られても平気な(咲夜ちゃんも恥ずかしがるがパニックにはならない)人たちなので嬉しいが物足りないとか言ったら贅沢だろうか。

 

「美鈴ちゃんは全身綺麗だと思うよ?」

 

「まーた、そんなこと言う……そーいうトコだぞ」

 

どういうとこですかね?

美鈴ちゃんとは、紅魔館に早く来すぎたときに組手をしたり、ここで無駄にだべったり、時にはお弁当広げたりと、紅魔館組では一番長いこと一緒の時間行動を共にしてるかもしれない。

そのせいか最初は客人に対するような応対だったのだが、やがて霊夢たちと同じため口になり、いまではなんか近所の幼馴染のお姉さんじみた口調になってしまった。

 

正直かなり気楽に話せるんで話すのが楽しい。

ただその分どうしてもエロスが薄くなるのがちょっと残念なところではある。

身体はエロいんだけどな!

 

「その顔はまーたやらしいこと考えてるね?ま、そうじゃなきゃ君らしくないけど」

 

「あれだ、俺はスケベだって胸張って言えるからな、そこはもう俺はそうなんだと思ってもらうしかないな」

 

女好きが世界を救うことだってあるんだ、妙な特技や特徴だって極めれば捨てたもんじゃねえ。世の中何がおきるかわからねえしな。

 

「かっこ悪いこと言ってるのにかっこよく聞こえるのはすごいね……」

 

それはさておき、もうだいぶ空が茜色に染まっている。

組手をするような時間はないし、もうすこし駄弁って……おっそうだ。

 

「美鈴ちゃん、餅食うか?」

 

「なんでいきなり餅!?まあ、食べるけど」

 

この際だ、残った餅は全部押し付ける。

 

「さっきジャリガキどもに配ったやつの余りだ」

 

「ジャリガキって……なんだかんだいって優しいのも、まあポイント高いね、君は優しすぎる気もするけどね」

 

「そうか?やらしすぎるってのはよく言われるんだけどな」

 

意外に霊夢ちゃんは言わないんだけどな、というか俺に説教する人はほぼほぼこのタイプの何らかの言い回しが含まれる。

映姫ちゃんなんかもう言う言葉がなくなった感じになっちゃったからな。

 

「また、そうやって茶化す……そういうことばっかりしているから君のことを思っている女の子に気付かないんだぞ?」

 

「やらしいことばっかりしてるせいか誰かから特に好かれている印象はないかな……?」

 

まあ、自分でも時々攻めすぎかなって思う感じで暴走してるの自覚あるからな、でも、まあみんな可愛いのが悪い。

 

「え、私君のこと好きだけど?」

 

なんか美鈴ちゃんにいきなりぶっこまれた。

 

「どっ?えっ!?いまなんて?」

 

「いや、だからふつーに好きだけど?」

 

「え、その好きってどういう……?」

 

かなりドギマギして尋ねると、美鈴ちゃんはにっこりと笑って、俺にこう告げた。

 

「你愿意当我男朋友吗? 我想跟你在一起」

 

中国語!?

わかんねえよ!!名前からして中華系だけどさ、ここは日本なんだよ!(日本ではない、幻想郷である)日本語で話そうよ!!

 

あ、でもたしかうぉーあいにーとかが愛してるって意味だったはずだし、なんかポンヨウって聞こえたきもする。

たしかポンヨウって親友みたいな感じでどこかの暗殺拳伝承者が使ってた記憶があるな。

つまり、ラブじゃなくてライク……なのかな?

 

「意味は‥‥?」

 

「教えてあげないよ」

 

美鈴ちゃーん!?

めっちゃ気になるからそういうのやめて!

またてへぺろが似合いそうな小憎らしい顔で……可愛いな!(混乱)

 

「ま、深く考えなくてもいいんじゃない?好きはいろいろあるんだしね。ほらほら、夕食前にパチュリー様とかにも挨拶してきたら?」

 

まあ、本人がいろいろある好きって言ってるんだから、そこまで直接的なものではないのかな?

しかし、美鈴ちゃんみたいな可愛い子にそんなこと言われると期待してしまうのは男の悲しい性だろうな。

小悪魔め!

図書館に本物いるけど!

 

「なんか消化不良だけど、そうするわ。もう、あんまり俺を悩ませるのはやめてくれよ、ハゲちゃうだろ」

 

ただでさえ何度か霊夢ちゃんに「ハゲろ」って呪われてるのに。

 

「ハゲたぐらいじゃ、君の魅力はそこまで下がらないと思うけどね……あ、でもいやらしさは増すかもね、なんかそういうイメージある」

 

「謝れ!全国のハゲた人に謝れ!!」

 

「ごめんなさーい」

 

素直だな!?

しかし、美鈴ちゃんとの話はとりとめがないから、このままだとずっとここにいることになってしまう。

俺はそれでもいいとは思うけど、やはりみんなに挨拶してこようと思って後ろ髪をひかれながらも門をくぐる。

 

「んじゃいくわ」

 

「また遊んでね」

 

軽く美鈴に手を振って館の中に入る。

まずは図書館に顔を出すかね。

 

しかし、本当に何言ったんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うー……なんであんなこと言っちゃったんだろ……しかも伝わらないように……莫迦みたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大図書館の中に……薄暗いがだいぶ空気の質は改善されたようだ。

喘息持ちの人間がいていい空間じゃなかったからな。

 

いまでは河童印の超大型空気清浄機(実は小型化しなければ逆に簡単だ、風の流れを作るのとフィルターだけでできるので)が稼働しているからフィルターの掃除さえさぼらなければそこまでひどくなることも無い。

 

むしろ風の流れができるので湿気も飛ぶし、だいぶ過ごしやすい場所になってるはずだ。

 

「おーい、小悪魔ちゃーん?パチュリーちゃーん?」

 

「はーい、ただいまうかがいますよー」

 

呼びかけると「ぴるるるるるるー」とどこぞの鬼型宇宙人のような音を立てて赤髪ショートヘアに受付嬢みたいな服装の小悪魔ちゃんがこちらに向かって飛んでくる。

 

……うん、俺だ。すまない。

 

無音で飛ぶ小悪魔ちゃんにぶつかったり驚かされたりしたことが多々あったため、何らかの飛行音を出してもらうことになり、結果このような事態になってしまった。

 

まあこれはこれで可愛い感じがしていいんだけど、小悪魔ちゃんは飛ぶときに頭を前にして本を抱えて飛ぶために(OTLが形的に近い)、なんかいまいち効果音と合ってない気がして違和感がすごい。が、いまさらやめろとも言えない(そもそも俺が大爆笑して大絶賛したせいで定着した経緯がある)し、無音で飛ばれるよりはよほどありがたい。

 

あと本を抱えて前傾姿勢で飛んでいるときは尻を突き出すような形になる、これはこれで尻の形がわかって大変すばらしいのだが、逆にスカートがしっかりかぶさってしまって絶対にパンツが見えなくなるという少し残念な状態になる。

なので本が散らかっていたら、俺は率先して片づけることにしている。手ぶらだと立った状態でやや前傾姿勢で飛ぶのでパンツが見放題である。なお、小悪魔ちゃんのパンツはめっちゃ種類が多い。

一度往復している往路と復路で変わっていたことがあった。履き替えてるのかそれとも妖精みたいに衣服ごと生み出せるのかまではわからないけど、サービス精神旺盛である。

 

ちなみに俺が一番いいなと思ったのはオーソドックスなシルクのショーツである。

基本的な衣服が受付のお姉さんみたいな感じなので、普通の下着がすごいエロく感じた。

 

「あれ?お客様じゃないですか。パチュリー様に御用でしょうか?」

 

「あと、小悪魔ちゃんにもな。ちょっと顔を見に来た」

 

「えへへ、それは嬉しいですね」

 

とはにかんで笑う小悪魔ちゃん、小悪魔ちゃんはこうやって相対していると比較的おとなしく見えるんだけど、パチュリーちゃんを陥れることも多々ある、まさに小悪魔である。

 

「パチュリー様なら、四つ先の本棚を右に曲がったところの奥にクッション並べて寝そべって本読んでますよ」

 

「お、そうか、ちょっとみてくるわ」

 

「熱中されてるようなので「そう簡単には」気づかないと思いますよー」

 

とさっそく陥れにかかる小悪魔ちゃん。

なるほど……、つまり……やらかせってことだな!

とはいっても熱中してるパチュリーちゃんはガチで反応がないのでなかなかに難しい。

 

一度尻を枕にしてみたことがあったが、全く反応がなく、そのぬくやわこい感触に俺は眠気を誘われ寝てしまった。

そして起きたとき、まだ同じ体勢だったことがあって驚愕した覚えがある。

あの時の睡眠の質はかなり良かった気がするが、やはりぬくやわこい感触がよかったのだろうか……?

 

 

 

 

言われたとおりに(たとえば三つ先の本棚を右に曲がった後元の位置に戻ってもう一つ進んでから右に曲がってもたどり着けない謎空間)移動すると、完全にくつろいだ状態で本を読んでいるパチュリーちゃんがいた、おあつらえ向きにこちらに足を向けている。

 

いつもの薄紫色の部屋着(というか寝間着だろこれ)でうつ伏せの体勢である。残念ながら服がダボついているのでパンツも潰れ乳も確認できない。

 

まくり上げはさっき美鈴ちゃんにやったしなあ……と少し悩む。二度ネタは禁止である(謎の芸人魂)

 

しかし裾が長いのでまくったりせずには小悪魔ちゃんの期待に応えることができない。

そう、俺は小悪魔ちゃんの期待に応えるために仕方なくやっているんだ。

しかしどうすれば……!閃いた!!

 

 

 

 

 

もぐりこめばいい(名案)

 

 

 

 

 

幸い足を揃えているのではなく肩幅ぐらいに開いた状態なのでもぐりこむと丁度いい感じになりそうだ。

 

「お邪魔しまーす」

 

頭を潜り込ませると、結構な時間この体勢だったのだろう、汗か何かが元の湿気と、甘い体臭が俺を包み込んだ。

 

紅魔館組は強めの甘い香りがするんだよな、多分香水か何かだと思うが……それと彼女たち自身の匂いがまざった甘い香りはなかなかに刺激が強い。

 

顔をあげて前方の闇を見通すと(ルーミアの能力は本当に使い勝手がいい。後でお菓子をあげよう)、全体に花のレースの入った大きめのシルクショーツのようだ、あまり運動しないパチュリーちゃんの柔らかめのおなか(太ってはいないが、まあちょっとはね(慈悲のごまかし)によるショーツのウエストに乗った駄肉が逆に生活感があってエロく感じる。

 

あの肉のってるとこをつつきたい衝動に駆られるが、おさわりは厳禁である。

それは痴漢行為であるからだ。

あくまでも愛でるだけ、それが正しいセクハラ道である。

 

なお、この理屈は映姫ちゃんに通じなかった、解せぬ。

 

まあ、映姫ちゃんがどう言おうと俺の中では触らなければオッケー、なので……

 

「ふーっ」

 

股間めがけて息を吹き付けてみた(邪悪)

 

「ぴぎゃあっ!?」

 

「ぬおっ!?ちょっ!?」

 

びくん!とはねたパチュリーちゃんが驚いて足を閉じたので太ももで顔を挟まれることになってしまった。

あいかわらずむっちりしてて、そして少し汗ばんでてこのまま身をゆだねたくなる。

 

そして眼前にはパンツ。

最高だな!

 

「い……いったい何がっ!?……なんだ貴方か」

 

身をよじって後方確認したパチュリーちゃんが(なお、さらに締まった)自分の下半身から生えている俺を見て興味をなくしたように読書に戻った。

 

まさかのスルー!?

 

「こんにちはパチュリーちゃん」

 

俺も負けじとその体勢のまま挨拶をする。

……第三者が見たらカオスすぎる光景だな。

 

「もうそろそろ、こんばんはかな?今日は何の用?」

 

「いや、今日はレミリアさんに呼ばれて血をね」

 

「そう……レミィに……近頃ペース早いわね……?そういえばこの間はありがとう」

 

「ん?何かしたっけ?」

 

「魔理沙のところからほぼすべての本を取り返してきてくれたでしょう」

 

あー、そんなこともあったな。

定期的に行ってるので忘れてたわ。

 

「おう、でも、なんか今研究中そうな一冊だけ残してきたぞ」

 

「それぐらいはかまわないわ、また、取り返してくれるんでしょう?」

 

「依頼があれば迅速にな」

 

「頼もしいわね」

 

「なに、仕事ってだけだ」

 

探偵もののような大人のやり取りをしているが、皆様覚えているだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

頭をスカートに突っ込んだままであるということを(台無し)

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館の人間は本当に動じないな……咲夜ちゃん除いてだけど。

 

「別に恥ずかしくないわけではないのよ?」

 

「あれ?このスカートさとりちゃんのだっけ?」

 

まるで心を読んだかのようなパチュリーちゃんの言葉に、動揺を隠すために思わずすっとぼけたことを言ってしまう。

 

「貴方って酷い人ね、こんな状況で他の女の名前を出すなんて」

 

そういいながら足での締め付けを強くするパチュリーちゃん、苦しいけどそれご褒美でもあるからね!?

 

「そうね……私達はみんな貴方に感謝している。個々人でその強さも深さも違うけれども皆ね、だから、まあ、下着ぐらいで貴方が喜ぶならみんな喜んで見せるわよ」

 

「まあ、いろいろと手伝った覚えはあるけど、そこまですげえことはしてない気がするんだけどなあ。それと我慢してじゃなくて喜んで……はまあいいすぎかもしれないけど、嫌がってないんなら俺は嬉しいから問題ないな」

 

「貴方のそういうところは本当にダメ。もうすこし自分に自信をもちなさい、貴方を好きな女性に失礼よ」

 

「結構言われるんだが、俺は俺が俺を一番信用してないからなあ……」

 

「記憶がないことぐらい貴方は笑い飛ばしそうなのに」

 

「それは目を背けてるだけだって気づいたからな、それじゃあ俺が前に進めない」

 

「停滞も悪くないと思うわよ」

 

「かもな」

 

それきりパチュリーちゃんは何も言わず時々ページをめくる音だけが聞こえる。

読書に戻ったようだ。

 

俺からももう話すことも無いなと思い……

 

 

 

 

 

 

スカートの中からはい出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカートからはい出すと、咲夜ちゃんが立っていた。

この光景見ても動じないのすげえな!

俺自分でもツッコミ入れると思うのに。

 

「お客様。お嬢様から食事を共にするようにと言われていますがいかがいたしましょう?」

 

「ちょうど腹も減ってきたところだったんだ、ありがたく受けるよ」

 

「ではこちらへ」

 

咲夜ちゃんに案内されて食堂につくと紅魔館の主たるレミリア=スカーレットはすでに着席していて、俺に声をかけてきた。

 

「いらっしゃい、こうしてお前の顔を見るのももう何度目になるかしら、不細工なその顔も見なれると悪くないわね……できれば悠久の時を経ても相対したいものだけど」

 

「熱烈な歓迎ありがとう。レミリアさんも相変わらず可愛いな」

 

「皆に言うような言葉は嬉しくないわね」

 

「でも事実だし」

 

「……そう。咲夜、給仕を」

 

レミリアさんがそう言った瞬間に俺の前にはどんぶりが、レミリアさんの前には茶碗が置かれる。

相変わらず便利な能力の使い方をするな。

ただ、俺も止まってる間に動いたことあるけど、普通に動いた分つかれるんだよな。動きっぱなしの咲夜ちゃんは、もしかしてわりかし人間やめてるのかもしれない。

 

給仕されたどんぶりには玄米ご飯にとろろ?と納豆と鰻のかば焼きかこれ?が入っていた。

納豆はなくてもいいかなあ……鰻ととろろだけなら絶対美味いと思うんだが。

レミリアさんの茶碗にはとろろと鰻は乗っておらず、納豆だけの……正直貧相な飯があった。

相変わらず好きなんだな……納豆。

 

もともと血でないかぎりほとんど栄養にならないようなので食事は完全に嗜好品……というか、この夕食の誘いだって俺に飯食わせるためなんだろうなって分かる。

なので自分の好きなものだけを食うのは正しい光景なんだろうけど……俺がすっごい罪悪感あるんだが!

美少女が納豆飯食ってる向かいで、自分だけ鰻とかすごい悪いことしてる気分になる。

いや幻想郷だと鰻は安いんだけど、なんかこう、引っかかってしまう。

 

「せっかくのディナーだし、乾杯ぐらいしましょう、咲夜あれを」

 

と小さいグラスを軽く持ち上げると咲夜ちゃんが赤い液体を注いでいく。

 

「お前ももすこしだけ付き合いなさい。大丈夫。汚い血ではないから」

 

「血という時点でもう遠慮したいんだけどな」

 

まあ、でも納豆飯の負い目がある、勝手に作った負い目だが、汚い血じゃないということは少なくともむさいおっさんの血とかでは無かろうし、我慢して付き合うか。

 

観念してグラスに注いでもらう。

お酒を混ぜてあるのかアルコール臭と……うん、たしかに生臭い血の匂いがする。

 

「数奇な運命の人間に」

 

「美しき吸血鬼に」

 

乾杯をしておそるおそる口をつける、アルコールのせいかそこまで飲みづらくはない気もする……

 

「どう?美味しいかしら?」

 

「うーん、血の味がわかるような食生活していないからな……でも飲めないほどじゃないな、で、これだれの血ですか?」

 

「咲夜の()()よ」

 

 

 

 

 

ブバッ!!

 

ガシャーン!!

 

 

最初が俺が飲んでいた血を吹いた音。

次がさくやちゃんがカトラリーを落とすというか吹っ飛ばした音だ。

 

「エレレレレリミアおぜうさま!?いいいいったいいいいのまに!?」

 

咲夜ちゃんが大混乱している、俺はもう一口飲むべきかどうか悩んでいた。

 

「嘘に決まっているじゃない、すっぽんとかいう生き物の生き血よ、この前魚に聞いたのよ」

 

魚って……わかさぎ姫か、今度釣ってやる(とばっちり)

 

「ところでお前いまもう一口飲もうとしてなかったかしら?」

 

「えっ!?なんで経血って聞いてまだ……」

 

「違う違う違う!さすがに俺もそこまで上級者じゃないぞ!?噴き出しただろ?あれは驚いたんであって咲夜ちゃんが汚いって思って噴き出したんじゃないよって言うのをね?」

 

「気の使いところがずれていますが‥‥ありがとうございます」

 

「さすがにそこまで変態ではなかったようね、安心したわ」

 

「じゃあそういう悪戯仕掛けるのやめてくれなさい」

 

「考慮しておくわ、さ、乾杯もしたし、頂きましょう」

 

「はあ、頂きます」

 

かっこよく乾杯しても納豆飯とどんぶりものというシュールな光景は変わらないんだけどな!

 

 

 

 

意外に納豆とろろ鰻丼は美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このあとお風呂&吸血&ベッドインでしたが想像以上に「あ、これ運営に怒られるわ」という出来だったのでいったんここで切ります。

たとえば挿入れてはいませんが対面座位で腰を使いながら吸血するようなシーンを直接的な表現はありませんがねっとりと書き上げてしまいました。

セーフかなと思って読み返したら完全にアウトでしたので……

アンケートは誰かが100票まで行ったら一回止めます。
よろしければご参加ください。
感想、評価、お気に入り登録なども大歓迎です。

次ぐらいで紅魔館編は終わります。
しばらくは過去話をしたいです。
あと本文からのリンクなどを使って話から話へ飛べるように遊んでいるのですが、完全に本文からしか飛べないような隠し話とかも作りたいですね。

機能は使えるだけ使いたい人ですので……(残念ながら東方では掲示板は使えませんが)

お気に入りの人のみ公開機能もネタバレとかはそこでしたほうがいいのかなという気もしてます。

それでは次の話でお会いしましょう。


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風祝を元気づける話

ID:IiNN00AA様、感想ありがとうございます。
ばんぶー。様、誤字報告ありがとうございます。
れいぱんがどうしてもエロくなってしまうので頭空っぽにするために過去話から一話チョイスして書き上げました。

永遠亭は他にも出る話があるのでバッサリとカットしましたが一万字超えてた……

完全な日常話と幻想郷の生活環境のお話でもあります。
よろしければお楽しみください。


「――ってワケなんだよー、まだまだ若い子は遊びたい盛りだろうに、後悔とかしちゃってるんじゃないかなーって、っとみすちーもう二本焼いてー」

 

ミスティアちゃんの屋台で俺と諏訪子ちゃんが駄弁りながら飲んでいると、諏訪子ちゃんが早苗ちゃんの様子が近ごろおかしいと相談してきた。

 

「うーん、でも早苗ちゃんだぞ?そんなことあるかね?」

 

緩いんだよな雰囲気が、あれだゆる早苗(さねえ)ってやつだな(意味が違う)

 

「ああ見えても学生時代は結構遊んでたよ?」

 

「それは……エロい意味でか?」

 

なにそれ詳しく。

 

「普通の学生的な意味でだよっ!」

 

まあ、期待外れだったわけだが……

 

「ま、そうだろうな。パンツ一つで殺されかけたからな」

 

パンツの一件は早苗ちゃんって結構風巻き起こすんでこう、パンツ見えるんだよね。

で通りがかった俺がパンツ丸出しの早苗ちゃん見て思わず「おー」とか感嘆したら「み、見えました!?」って聞いてきたから「お洒落さんのいいパンツだ、縦じまって幻想郷のパンツじゃ見ないから向こうから持ってきた下着かな?よく似合ってて可愛いと思うよ」と素直な感想を言ったら

 

 

 

振り下ろしの右拳(チョッピングライト)のモーションとともに神力を叩きつけられた。

 

 

 

「いや、お前の周りがおかしーだけで、普通の反応だからね?」

 

ケロケロと笑いながら諏訪子ちゃんが言う。

あれ、おかしいな、俺の認識と違うぞ?

 

「それでも神力を斜め下に叩き込んでくるのは殺意高いぞ」

 

横方向だとぶっ飛ばされるだけで見た目より大したダメージはないのだが、斜め下に叩きつけられると衝撃が逃げないのでさすがにダメージが大きい、というか死にかねない。

 

幻想郷(ここ)じゃ軽いジャブみたいなもんだろー?」

 

「普段優しい子だからびっくりしたわ」

 

「あー確かに優しくは見えるけど、早苗は結構過激だよ?割と暴れたりもするよ」

 

「イメージできねえな」

 

「なんだかんだでお前は男だからね、多少はぶってるんだろーな」

 

「俺が未熟なのか全然わかんねえわ」

 

そも、幻想郷の女の人って、なんか、こう、遠慮ないからな。

早苗ちゃんは清楚枠に入れてもいいんじゃないかな?

 

「わかってたらお前は誰かと結婚してると思うぞー?」

 

「馬鹿言え、稼ぎも少ないし、そもそもモテねえよ」

 

「どーだか、あ、稼ぎと言えば便利屋だったね、そういえば」

 

「おう、退治の依頼以外なら何でもやるぞ、パンツの批評が一番得意かな?」

 

「誰が頼むんだよそんなのー」

 

パンツソムリエを名乗っているからな。

ちなみに守秘義務があると思うので言わないが、目の前のミスティアちゃんも頼んだことがあるぞ。

屋台での仕事なんで毛糸のパンツだったがさすがに女子力の欠如が気になったのかこっそりと聞いてきた。

 

防寒という点でどうしてもセクシー路線は捨てざるを得ないので可愛い路線で四分丈のカラフルな水玉模様の木綿のやつと、裏地が綿打ちで、表地にいろんな文字を入れたちょっと面白い柄のおなか迄ある丈の二種類を勧めておいた、保温性もさることながら少量の尿漏れ(魔理沙曰くちょろっとは普通に起きるらしい。あんまり信用してない、魔理沙の言うことだから)ぐらいなら対応できる吸水性が売りだ。

 

……いろんな文字のバリエーションで股間部に「ちんちん」(夜雀の鳴き声の文字表記)と入れたのを混ぜておいたんだが、あとでめっちゃ怒られた。解せぬ。

 

それと退治の依頼はできないことも無いんだけど、いたずらとか脅かすレベルの事をしてくる妖怪の退治までは面倒なので請け負っていられない、大体において魔理沙や華扇ちゃんや霊夢ちゃんの収入源でもあるし、彼女たちの飯の種を奪ってはいけない(霊夢ちゃん一人ぐらいなら養うけど)

 

「あとは得手不得手はあるけど、大体のことはするぞ。近頃多かったのは羊羹の作成かな?」

 

「あれお前が作ってたの!?」

 

「おう、そもそも寒天が幻想郷じゃ手に入らないから、海産物補充担当の紫さん次第なんだけどな」

 

お茶のお供羊羹だが、幻想郷では寒天がないので作れない、でもお茶をこよなく愛する霊夢ちゃん(というか飲み物がお茶と酒の二択だから茶なんだろうと思うけど)のために紫さんの依頼(「生身で月に!?」事件はいつか語る時が来るかもしれない)を受けて大量の寒天を頼み羊羹を作った。

幻想郷では砂糖も貴重品なのだが……俺だけは外部からの購入をせずある程度は確保できるようになっている。

んで失敗作……というほどではないけどいまいちな出来だったのは知り合いに少しづつ配って歩いたんだ。

 

甘いもの好きの妖精にことのほか刺さったらしく、三月精はあわやチーム(?)解散というような争奪戦を繰り広げ、チルノには大妖精の分も含めて一本丸ごとやったのに一本食いしたので折檻した覚えがある。(大妖精にはあらためてちゃんとあげた)。

紅魔館の妖精も手に入れてこないと働かないとストライキを起こすありさまで(そもそもまともに働いていない気もするが)咲夜ちゃんが頼みに来ていた。

クラウンピースだけは黒いから美味しそうじゃないっていってたが。(だからお前絶対アメリカ人だろ)

 

ちなみにルーミアには3本やったがそのせいかしばらく背中に張り付いてきてた、可愛い。

 

そのあとは寒天がなくなるまで茶屋や甘味処から羊羹の作成依頼が続いた。

砂糖を含む寒天以外の素材は依頼主持ち(砂糖チートは内緒である)という割と厳しい条件にもかかわらず大なり小なりの依頼が舞い込んだ。

稗田家からも依頼が来てたので、羊羹は大ブレイクしたと言っても過言ではない。

ただあまりにも白熱しすぎたため、寒天がなくなったことを理由にいまでは受注を停止している。

 

作成は一本1000円で請け負っていたのだが寒天に限りがあるとわかったらなんかどんどん依頼金額が(勝手に)吊り上がっていって怖かった。

普通に先着順で本数制限で処理したぞ。

 

霊夢ちゃんはめっちゃ分け前(賽銭)に期待していたようだが俺は一本1000円しかもらわなかったのでがっくりしてたが、まあ、さすがに阿漕なことはできない。

それに霊夢ちゃんは実質ただでたっぷり羊羹を食えていたので(そもそも霊夢ちゃんのために作った)そこまでも文句は出なかったしな。

 

ちなみに羊羹だが糖度が高いせいで一年以上普通に持つので俺はまだそれなりに隠し持っている。

たまにこっそりルーミアにやったり、紫さんに差し入れたり、霊夢ちゃんと食べたりする。

秘匿しているという性質上羊羹を食べるときは霊夢ちゃんと二人っきりなので、なんか、こう、いいよね!二人だけの秘密って。

 

「あれは早苗がめっちゃ喜んでニコニコ食ってたぞー。てっきり外から紫が持ち込んだと思ってた」

 

「守屋神社の分は文に託したからな、つまみ食いされてなければ6本届いているはずだぞ」

 

文は火のないところに放火はするが、嘘とかはつかないので魔理沙に頼むよりはよっぽど信用できるから羊羹の取材を受ける代わりにいくつかの場所に届けてもらった。

 

しかも、取材で味見した分もちゃんとお金を払っていくという感じで記者としては真面目なんだよな。

ただし、速すぎてパンツが見えないのが不満だが。

 

どちらにせよなぜか文にはエロスを感じないので見えたらラッキー程度だが、近頃は「はいてない」説も濃厚である、もしくは締め込みやTバック等の食い込み系か、結構横奥のほうまで見えたことがあるが確認できなかったので。

 

「ちゃんと6本あったよ、早苗が5本食べたけど」

 

「早苗ちゃんすげえな!?」

 

「さすがに一気食いじゃなかったけどね、それでもうれしそうに、懐かしいですといって毎日ちまちまたべてたから私らは味見だけでいいやって」

 

諏訪子ちゃんたちは傍若無人だけど、早苗ちゃんには結構優しい(だが、迷惑はかける)んだよな。

 

「その一月後ぐらいに体重はかって悲鳴上げてたけどねー」

 

さもありなん。砂糖の塊だからな、羊羹って。

 

「あ、そうだ、なんか早苗元気づけれる食べ物とかない?」

 

「うーん」

 

俺は悩む。

食べ物には好き嫌いがあるし、海産物なども手に入りにくいからだ。

それこそ寿司とかなら日本人ならテンション上がるとは思うけど、モノが手に入らねえからな。

 

「幻想郷で手に入るものでなんか作れねえかな」

 

「難しいかい?」

 

「や、向こうの物でも作れるものは結構あるけど、女の子が懐かしいとかパフェとかぐらいか……?」

 

「甘味は外さないとおもうけど、なんかこー、もっとないか?」

 

「ちょっと考えてみる、依頼でいいか?」

 

「おっけーおっけー、お代はそうだなー?」

 

ちょっと考え込む諏訪子ちゃん、やがて子供が「いーっ!」とやるように自分の口を左右に引っ張って(かなりの深いところまで引っ張れてた)からこういった。

 

「見ての通り私の今の権能は蛙に近いんだけどな」

 

と、言ってからヤツメウナギの串焼きを丸ごと口に入れると口を開けたままよく動く舌で綺麗に串から抜きとって、数度咀嚼し、そして口中を見せつけてきた。

下品というか汚い咀嚼中の物のはずなのに、なぜか俺は目を離せなかった。

そしてそれを飲み込んだ諏訪子ちゃんが俺の耳元に口を寄せて囁いた。

 

「なあ、この大きな口と良く動く舌で、お前のオンバシラ……鎮めてやろうか……?」

 

エッッッッッ!

 

オンバシラってアレだよな、ミシャグジの……まあ、男根崇拝の象徴みたいなもんだから俺のオンバシラってことは……しゃぶるのか!?

 

なんで、幻想郷の年寄り神霊妖連中はエロいことに躊躇ないんですかねえ!?あ、経験済みですかそうですか!(混乱&自己解決)

あと突然大人っぽい雰囲気になるのやめて!

 

「なんだー?嫌なのかー?蛙の前は蛇だったし、両方とも「丸のみ」もとくいだぞー?」

 

だからなんで畳みかけてくるんですかねえ!?あと、ちっこいくせにぬくやわこいし、ぷにぷにしたもの当たってるから身を寄せるな!

 

「お客さーん、うちは出会い茶屋とかじゃないから、そういうのやめてくださいねー」

 

「ちぇー」

 

ミスティアちゃんが助け舟を出してくれて助かった、というか具体的なこと言うのは反則だと思う、想像してしまって俺のオンバシラが半分ぐらい元気よ?

 

「あ、ミスティアちゃんうすーいお酒一杯、あとはんぺんとがんも」

 

売り上げに貢献して恩を返そう。

 

「はいよ、薄くても値段は一緒だからね」

 

「わかってるわかってる」

 

あまり酒は強くないので、薄い酒を注文する。

幻想郷に海はないのではんぺんはナマズだったかで作ってたはず、ふわふわでうまい。

 

「やっぱり食いもんかな、例えば俺半年醤油なかったら発狂する自信あるし」

 

日本人醤油使いすぎ問題。というか大豆かな。

伝統的な日本の朝食、豆腐の味噌汁、納豆、焼き魚、海苔。焼き魚と海苔にも醤油かけるとしたら、大豆かかわってくる確率100%という驚異の出現率だからな。

 

「食べ物かー、また早苗が肥えるな」

 

「その辺りはまあ、運動でもしてもらうしかないかな?」

 

そう言っても数キロ程度の違いは判らないんだよな、たぶんそこまで気にしてるのは女性だからなんだろうけど。

 

「ならとりあえず、頼むよ、報酬はオンバシラ鎮めでいいかー?」

 

「よくない」

 

「なんなら神奈子と二人でもいいぞー」

 

勝手に売られる神奈子ちゃん哀れ。

いや、神奈子ちゃんはまじめだから「そういう約束なら仕方ない」とかいって流されそうだけど。

 

「……!いや、よくない」

 

「いま葛藤したなー?でもそれならお前は何が望みだ?」

 

「早苗ちゃんが元気ないんだろ?なら早苗ちゃんが元気になるのが報酬かな?」

 

それなりに仲のいい知り合いが元気なければ、元気づけようとするだろ普通。

依頼の形式上、報酬はもらうけどな、報酬は早苗ちゃんの笑顔です!

 

「欲があるのかないのかわからん奴だな、お前は」

 

「俺か?欲しかないぜ?可愛い女の子の笑顔ってちょっと骨折りするぐらいの価値はあるだろ」

 

「……追加報酬でオンバシラ鎮めてやろうかー?」

 

「もしかして諏訪子ちゃん自分がしたいだけなんじゃないだろうなっ!?」

 

「どーかなー?」

 

割とエロいことに躊躇ないの多いからな、幽香さんとか結構ひどい。あー、そうか幽香さんかー……

永遠亭もあたれば、それなりにそろうかな……?

 

お、そうだ、アレも作ろう、うんいい感じに纏まってきた。

 

「よし、思いついた!何とかなりそうだ」

 

「おー、じゃあオンバシラを……」

 

「しつこいわっ!?やっぱり自分がしたいだけだろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

とりあえず準備に少しかかるので準備でき次第ということで昨晩は解散し、なおあのあとオンバシラを10回は聞いた気がする、身体持て余してるのか、酔ってたのか……?

 

 

とりあえず、幽香さんのところへ行く。

 

「ようこそおいでになられました、ぬし様。ついに私に種をまいていただけるのですか?」

 

誰だこいつ?と思いますか?

幽香さんです。

 

襲い掛かってくるのを何度も何度も何度も何度も(最終的には週1で戦う感じになってた)対決を繰り返し、ついに倒した結果。

 

「どうかいたしましたか?床の準備も出来ておりますよ」

 

「いや、気持ちは嬉しいけど、また今度ね」

 

 

 

 

 

なんかバグった(悲痛)

 

 

 

 

 

いや、多分だけど幽香さんは好戦的だけど本質的には割と清楚系の性格してたんじゃないかなって思うんだ。

で、俺が図らずも体でわからせた(物理)結果、こうなったんじゃないかなって推測はできる。

霊夢ちゃんとかに対しては元の丁寧だけど、どこか威圧感のある感じの喋り方をするけど、もはや俺に対しては原型がほぼない。

 

完全に据え膳状態だが、ある懸念があるため手を出せないというある意味膠着状態になってしまっている。

ちなみに撫でるとちょっと釣り気味の目を細めてそっと距離を詰めてくるのがかわいい。

ことあるごとに引っ付いてこようとするのも可愛いんだけど、それなりにご立派なのでなかなか俺もきついという、ちなみにパンツはレースをふんだんに使ってはいるけども、清楚さを感じるデザインのお嬢様系……だった……

 

なんか、いまね、すっごいの履いてる。

というか、それパンツの意味ないよねって感じの穴開いてる奴とか、フルオープン!って感じでほぼ紐とか……

 

「そうですか、でもいつかぬし様の種を私の畑にまいてくださいね」

 

オンバシラ(どうも昨日の酒がまだ残っているようだ)が反応しかけることを除けば。幽香さんは嫌いじゃない、というかこれだけ美人に好意を示されて嫌うのは難しい。

しかも、性格は可愛いと来ている。

 

まあ、いつか答えてあげられたらいいなとは、少し思う。

ただ、幽香さんもぐいぐいくるタイプなんで逆にちょっと冷静に(引くともいう)なれるのは救いだな。

 

「いくつか育ててほしいものがあるんだけど」

 

「私たちの子供ですか?」

 

「うん、ちょっとそこから離れようか」

 

幽香さんはバグる前、それなりに戦えるようになったころから、いくつか植物を頼んで育ててもらっている、「花が咲いたあと収穫するもの」限定で、キャベツとか大根はだめだがナスやキュウリやトマトは真冬でもない限り頼めばあっという間に育ててもらえる(ただし土が思い切り痩せるので多用はできない)。

 

ちなみにサトウキビも花が咲いてから収穫するため、ちゃんと土の管理さえすれば個人消費分ぐらいは余裕で賄える。

おやつにもなるので(黒砂糖かじると結構うまい)半分以上は黒いまま使っているが、萃香さんの能力で不純物だけ密にして取り除いていくことにより白砂糖も作れる。

ただし結構めんどい。

 

「これとこれと、これ育ててくれる?あとで肥料は持ってくるから、一緒に土づくりしようか」

 

「子作りは……?」

 

「まだしません」

 

なんか連続でぐいぐいくる面子だと俺もさすがにセクハラする暇がなくて疲れるんだが!

 

永遠亭にいったら……輝夜ちゃんもぐいぐい来たっけ……、あの時はしょうがないとはいえ火鼠の皮衣出しちゃったもんなー……

 

永琳ちゃんやうどんげちゃんでストレス発散しよう(流れ弾)

 

幽香さんにお願いして、次は永遠亭に向かう。

 

幽香さんが「しばらく、寄り添っていたい」とか可愛いこと言うもんで結構遅れたが、そのぐらいはしょうがない。可愛かったし!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭でもやっぱりひと悶着あったけども、無事いくつかの生薬を手に入れた、疲れた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他にも紫さんにいくつかの物を頼んだり、鍛冶屋のおっちゃん(河童より早い)に頼んだり、霖之助と無縁塚行って探し物したり(見つけたものの詳細を全部聞いてくるため捗らなかったが目的のブツはちゃんと見つかった)と、数日が経過した。

 

 

 

 

 

「さて、今日は早苗ちゃんにごちそうをしようと思う」

 

と、ごちそうするからと博麗神社まで三人(三柱?一人と二柱?現人神をどっちに入れればいいんだろう)にご足労願った。

 

その他の参加者は霊夢ちゃん、魔理沙(招待していないのに嗅ぎつけてきやがった)、ルーミア、チルノ、大妖精に三月精だ、クラウンピースがいないのはちょっと残念だ、ぜひとも食わせてみたいものがあったんだがな。

 

というわけでまずは……

 

「こいつを食らうがいい!」

 

出したのはハンバーガー、フライドポテト、コーラのマックダーナルッ!(正しい発音)セットである。

学生時代友達と……ってことならこれは外せんだろう、ちゃんと包み紙なども再現した珠玉の逸品だ。

 

なお、妖精たちにはハッピーセットを用意する徹底ぶり、最初はしゃべるミニ上海人形でもつけようとおもったけど、テンション上がった妖精たちが「キェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァ!!」とか騒がしくなっても困るので、各々の姿をかたどったぬいぐるみ(アリスちゃん協力)がミニ絵本を持ってたり読んでたりするおまけである。なお、この絵本はちゃんと取り外して読めるまさにこだわったセットである。

 

コーラは無縁塚で瓶のやつを探し回った、賞味期限はぶっちぎっていたが、俺と霖之助で異常がないことを確認した。時々流れ着いてる缶詰とか電池とかそうだけど、期限はあまりあてにならない、もしかしたら新品で流れ着いてるのかもしれないな。

 

「えっ……これって……」

 

「マックダーナルッ!(謎テンション)のセットだぞ、その味出すのに苦労したけどな!」

 

時間止めてトライ&エラーの繰り返しだったわ。下手に作ると「美味すぎる」んだよ、ファストフードはチープじゃないとな。

なお、協力者の咲夜ちゃんにももたせたので今頃紅魔館でも食ってるはずだ。レミリアさんをハッピーセット枠にするか悩んだが咲夜ちゃんが「お嬢様はハッピーセットです」と言い切ったのでそうした、俺は悪くない。

 

「ふむ……向こうで聞いたことはあっても食べたことがなかったのだけど、大したことのない味ね」

 

神奈子ちゃんはさっそく食べている、が反応はいま一つのようだ。

まあ、そこまでうまいもんでもないしな。

だけどもー―

 

「えっ、えっ、これ、これあの味だ……あの味ですよっ!?」

 

「おう、さっきも言ったけど不味くするのに苦労した」

 

けっして本来の味がまずいというわけでなく、ちゃんとした材料で手作りすると大量生産品よりうまくなってしまうのはもう避けられない、そこをいかにあの味に近づけるかが苦労した。

 

「すごいですよ!いままでただのスケベな助さんだと思ってましたよ!」

 

ちなみに早苗ちゃんは俺の事を助さんと呼ぶことがある、水戸黄門のあれかと思ったらスケベな人という意味らしい……たしかに諏訪子ちゃんが言っていた通り結構アレな性格なのかもしれないな。

まあ、可愛いから許すけど。(可愛くて許さないのは天子だけである)

 

「これも塩味しかしないしそこまでうまいとは思えないけど、早苗が喜んでいるようで何よりだよ」

 

諏訪子ちゃんはもしゃもしゃとポテトを食っている、まあたしかに正直美味いとは思えないんだけど、うまいんだよ、漢字と平仮名で察してほしいが、そういう感じの味なんだよなあ……

 

「んー、いつものアンタの作るものよりはおちるけど、そこまで美味しくないわけじゃないんじゃない?」

 

と、霊夢ちゃん。基本霊夢ちゃんは何でも食ってみるし、文句は言わないタイプだからこんな評価だろうな。

 

魔理沙は……ハンバーガー崩壊させてやがる!

包み紙全部剥くからだアホめ、マックダーナルでそれならモスとか絶対食えんぞ。

 

お子様連中はわちゃわちゃきゃいきゃいしながら和やかに……おいチルノ、大妖精のぬいぐるみを自分のぬいぐるみでパンチするんじゃない「ずがーん」とかロボットアニメ見てる少年か!

大妖精もたまにはキレていいと思う(実際はキレることあるらしいが俺は見たことない)ぞ。

 

 

 

 

「早苗ちゃん、まだ入る?」

 

セットを食べ終えた早苗ちゃんに聞く、けっこうペロリといったからまだ入りそうな気はするけど。

 

「え……えっと……」

 

「恥ずかしがらなくていいんじゃない?あなた、早苗は結構食べるわよ」

 

「神奈子様!」

 

「はっはー、そうかそうか、ならこいつも出そうか」

 

と、奥から大なべを持ってくる。匂いで気づかれないように今まで結界で(頼んだ霊夢ちゃんにはアンタねえ……とあきれられた)隔離していたのだが……

 

「えっ!?この匂いってまさか!?」

 

「そのまさかだ!」

 

大皿に盛った米!そしてそこに大鍋から取り出した……

カレーをどっぷりとかける!

とりあえずゲストである三人?に配膳する。

 

 

 

「うわあああああああああっ!!!!!カレーだっ!カレーですよ諏訪子様、神奈子様っ!!」

 

「あ、ああ、これは食べたことあるけど早苗そこまでカレー好きだったか?」

 

「んにゃ、ふつーに私たちとたべてたよな」

 

「でもカレーですよ!幻想郷じゃ絶対に食べることできないって思ってたのに!」

 

まあ、俺も思ってたんだけど、生薬って結局スパイスなんだよな、なんで永遠亭で結構そろうんだ。

幽香ちゃんに足りないいくつかの物を作ってもらって、あとはもうまたもや試行錯誤だ。

幸い結構適当に混ぜてもそれっぽいものになったのであとは味を調え「なんだこれ、うん……」

 

「ちぇすとーっ!」

 

不穏なことを言いかけたチルノに弾幕を投げつけ黙らせる。ちなみに俺の弾幕は紫さん曰く「美しくない」とのことでごっこには使用できないものが多いが、このようにチルノを黙らせたりする分には十分である。

 

「おいしかったです!おかわりありますか?ください!」

 

早苗ちゃん早ぇな!?

そしてだんだん素が出てきてるぞっ!?

 

「おう、まだまだあるぞー」

 

余ればカレーパンにしたりカレーうどんにしたりできるので思いっきり作った。

最悪配ればいいしな。

 

早苗ちゃんにお代わりをいれて(なお、神奈子ちゃんと諏訪子ちゃんは半分もまだ食べてない)

霊夢ちゃんと魔理沙にもいるかと聞いてみる?

 

「まだあるんでしょ、夜でいいわよ」

 

「匂いは良いけど、やっぱり色がう……な、何でもないぜ」

 

流石に魔理沙クラスだとスペルカード「玉虫色の恋心」を切る必要があるので思いとどまってくれて何よりだ。

ちなみに効果は色の変化する少し大きめの球がどこまでもゆっくり追ってくる。

これの最中にも俺は通常に攻撃ができる。

触れるか一定時間後大爆発して周囲を巻き込む。爆発させないためには黒い時に弾幕を一定数打ち込む必要があるが、間違えると分裂する、だいたい、7.8個に分裂するともはや手が付けられなくなる、対処法は速度はそこまででもないので全く撃ち込まずよけに集中するか、俺本体と連携される前に色を見極めて速攻破壊する感じになる。基本的に俺はこの球を盾にするように動くので下手に俺を狙うと一気に大分裂することもあるいやらしい攻撃だ。

 

相手のバラマキ系スペカに対する凶悪なカウンターになるのでごっこでは禁止カードである。

 

 

妖精たちは食うかな?……人形で遊んでいる……だれもチルノを介抱しないところに普段の行いが出てるな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はごちそうさまでした」

 

「馳走になったわね、早苗も喜んでたし、ありがとう」

 

「うんうん、早苗が元気になってよかったよー」

 

「とりあえず、カレー粉から作れるならカレー粉もあげるけど?」

 

「うーん、ルゥからしかしたことないんですよ……ですから助さん(まだその呼び方なのね)こんど教えてくれませんか?」

 

「ん、その程度ならお安い御用だ、代わりにカレー食わせてくれよ、人の家のカレーっていろいろちがって面白いんだよな」

 

「もちろん、ごちそうしますよ、こんど来る予定があったら知らせてくださいね!材料用意して待ってます!」

 

「おう、割とすぐいける気もするぞ、そこまで用事もないしな」

 

とはいっても今回協力してくれた各所にいろいろお礼やら料理の現物は渡さないとだめだろうけど。

 

「あと」

 

早苗ちゃんが身を寄せて耳元でささやいてくる。

 

「可愛いパンツも履いておきますね」

 

「えっ!?今、なんてっ!?」

 

「それではお邪魔しました!待ってますからねー」

 

「オンバシラを洗ってくるんだぞー、なあ神奈子よ」

 

「ん?よくわからないが清潔にするのは良いことだ」

 

「と、神奈子も言っているから、きっと一緒に手伝ってくれるぞ」

 

「うん?まあ手伝えることがあるならもちろん手伝う」

 

俺が何を言い返そうかと悩んでいるうちに畳みかけるだけ畳みかけて三人?は帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから諏訪子ちゃん絶対欲求不満だろ!?

 




幻想郷にあるものないもの考えて補完していくのは楽しくて好きです。
最終奥義紫とカッパでなんでもできますが、できうる限りそれらを排除して考えたいですね。


感想、評価、お気に入りおまちしています。
数字が増えていくのってこう……みてたらオンバシラ(表現気に入った)にくるような高揚感ありませんか?


あと皆様がどこまでエロスを求めているのか、成人向け迄必要なのかも聞いてみたい感じではあります。



おまけネタ
神奈子ちゃんはさっそく食べている、が反応はいま一つのようだ。

まあ、そこまでうまいもんでもないしな。

だけどもー―

 

「えっ、えっ、これ、これ直火で焼いてない!」

 

「まさかのバーキン派!?」


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第五話

こんにゃく畑様、しとど ID:TXRLmVUo様、なさちら様、kinoppi様、二次陽様、背景宇宙猫様、ぐれぃ様、感想ありがとうございます。
いつも感想していただいてるなさちら様、kinoppi様お引き立ていただきありがとうございます。

クオーレっと様、SERIO様、紅月 雪様、校正レベルの誤字報告ありがとうございます。
おかげで最低限のチェックだけで次話が書けます(いえ、いちおうちゃんと読み返してはいるんですよ)

一言感想頂いた評価人の方たちもありがとうございます。

運営に喧嘩を売りたい方が多くて困っています。
私は運営に喧嘩を売るつもりはありません。

なので今回も注意して書いております。

挿入れてない!出してない!ヨシ!(現場猫)
直接的な表現はない!ヨシ!
周囲の安全ヨシ!運営の安全ヨシ!
ToLOVEるは全年齢向け!ToLOVEるは全年齢向け!ToLOVEるは全年齢向け!
今日も一日ご安全に!



多分大丈夫。



夕食が終わり(といっても所詮どんぶり、すぐ終わる)しばらくレミリアさんと会話していると、咲夜ちゃんが「お風呂の準備ができました」と声をかけてきた。

 

咲夜ちゃんずっとここにいたよね!?

時間止めてお風呂の準備してたの!?

休憩してる?働きすぎじゃないの!?

 

と、心中でツッコミを連発したが、今更過ぎるんだよな。

時間止めてる間に休憩してるって言ってたけど大丈夫なのか……?

 

まあ見た感じでは老けていってる感じはないけど、成長も止まるのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「石鹸はうらやましいよな」

 

わしわしと石鹸で体を洗いながら独り言ちる。

無患子(むくろじ)も悪くないのだが、精油を入れたいい香りのする固形石鹸はちょっとうらやましい。

 

パチュリーちゃんが、魔法で一個一個手作り(鹸化作業?)してるらしいので大量生産はできないようだ。

パチュリーちゃん曰く「魔法薬作るようなものだから、魔理沙のほうが得意なはずだけど」と言ってたので、期待を込めて魔理沙に聞いてみたら案の定「せ…っ……けん?」と言うような反応をされた、役立たずが!(勝手に期待して罵倒)

 

 

 

だだだだだだだだだだん!がらがらっ!

 

「ぬわっ!?」

 

「お兄様お風呂入ろーっ!」

 

 

ダッシュで何か駆け込んできたと思ったらフランだった。まあ、いつものことといえばいつものことなんだが……

いや、まて、ダッシュで駆け込んできてなんですでに全裸!?

部屋から脱いで走ってきたのか、それとも脱ぎ散らかしながら走ってきたのかわからないがアグレッシブすぎるだろ。

 

恥ずかしいことなど何もないとでもいうように全裸のまま両手を広げて元気よくお風呂一緒宣言をするフラン。

 

人間として成長しているのでぽっこりイカ腹体型もだいぶ解消され、少女らしくすらりとしてきた。

まだ毛は生えていなく、閉じた一本筋が奥ゆかしい。

ただ、胸部は微妙に、ごくわずかながらなだらかな曲線を描き始めつつある気がする。

まだエロスは(俺は)感じないがロリコンの気がある人間なら即座に陥落するような、美しさと可愛さと妖しさの同居する裸体がそこにあった。

 

「はっはー、元気だな。だが、男のいるお風呂に乱入するのはまだまだ子供だぞ」

 

「小悪魔が立派なレディは乱入するって言ってたよ?」

 

「うん、ちょっとニュアンスが違うから小悪魔ちゃんの言葉は忘れような?」

 

と、わしわしとフランをなでつつ、小悪魔ちゃんに「フランを汚すな」と苦情を言っておこうと考えた。

 

「よくわかんないけど、わかったー」

 

うん、可愛い。

 

「じゃあ、お兄様、フランを洗って!」

 

と、フランはいうなり俺に背を預ける形で俺にもたれかかった。

 

ここで状況を確認してみよう。

 

俺は一人で風呂に入っていたので誰の目線もないためフルオープンである。

この世界にお風呂用プラスチック椅子などあるわけもなく胡坐状態で体を洗っていた。

フランは全裸で俺に背を預ける形で俺に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

勃ってたら、これ絶対挿入ってるよね?(畏怖)

 

 

 

 

 

 

知らないことは恐ろしいな……と少しばかりおののきながら、努めて普段通りの声でフランに

 

「こらこら、そんなにくっついたら逆に洗いにくいだろー?」

 

と、諭す。

 

「でもお兄様あわあわだからこうやったら、フランもいっしょに洗えるよ?」

 

と、体を俺の体にこすりつけるようにして動き始める。

玉のお肌という表現があるようにつるっつるのやわらかで滑らかな肌の感触がすこし、いや、かなり気持ちいい。

気持ちいいのは良いのだがフランが動くたびに、フランのお尻ーー見えないが割れ目かもしれない。が、俺の愚息に軽く引っかかって刺激を与えてくる。

 

まずい。紅魔館にくる前に十分に(らち)を開けてきたし、フランにエロスは感じない。

しかし、物理的な刺激という圧倒的な暴力ともいえる接触は、わずかに、しかし確実に俺の腰に甘い痺れをもたらしてくる。

 

「うーん、ちょっとくすぐったいかな?それにフラン、それだと背中しか洗えないぞ」

 

と、何とかフランを一度俺から離そうとしたが、それがいけなかった。

 

「じゃあ、こっちも洗うー!」

 

と、その場で反転してからだの前面で同じように俺の体とこすり合わせてきたのだ。

先ほどと同じようにやわらかで滑らかな肌の感触、しかしその中にある何か引っかかるような二つの突起による刺激も加わり、気持ち良さと少しのくすぐったさで俺の感覚はさらに鋭敏になってしまう。

 

さらに流れた泡がフランのお尻のほうにまで流れて、ますます刺激が強くなる。

完全に緊急事態(まったなし)である。

 

物理的に入るかどうかはともかく、愚息が堅くなってしまえば刺さりそうな感じだ。

半分ぐらい愚息が目覚めかけた時点で

 

「わっしょーい!」

 

俺はフランの両脇に手を入れて持ち上げて最悪の事態になることを防いだ。

 

「ほえ?」

 

だが、それがまた最悪の事態を招いた。

丁度俺の眼前にフランの股間が来た。

普段だったら、何も感じないのだが、今の俺は……

 

 

愚息が完全に目覚めてしまった。

 

 

幸いフランを持ち上げているのでフランからは見えなくなっている。

俺はすばやく背を向けて

 

「その洗い方だと俺の背中は綺麗にならないから、こっちもお願いできるかな?」

 

と、努めて平静な声でフランにお願いした。

 

「うん、わかったよお兄様!」

 

と、背中も同じように洗ってもらう。

同じような洗い方だからして愚息の猛りは鎮まることはないが、洗い終わったあたりで、フランに「髪の毛も洗うぞー」と向こうを向いてもらい、なんとか髪の毛を洗っている間に「奥義愚息昇天撃(股間を強打すること、本来は敵に使う)」、でKOして事なきを得た。

 

幻想郷最大の危機と言われた「星海恐怖異変(旧支配者の襲来)」より危機だったきがするぞ……

 

 

「ふいーっ」

 

「ふいーっ」

 

フランと二人で浴槽に浸かる。真似をするフランがかわいい。

紅魔館のお風呂と言うとライオンがお湯を吐いているようなイメージがあるが、残念ながらユニットバスよりちょっとましな程度の浴槽である。

考えたらでかいとお湯張るだけでも大変だものな。

 

温泉があったり、シャワー(如雨露改造)があったりする博麗神社が異常なだけだ。

 

一緒に浴槽に浸かっているこの状態も俺に体を預けているが、石鹸のぬめりもないしフランが動かないのでこの程度なら全く問題はない。

 

……これ以上折檻をしないで済むように愚息には猛省してもらいたい(すげえ痛い)

 

「ねーお兄様?」

 

「んー、どうしたー?」

 

完全に脱力モードで俺は返事をする。

 

「お兄様って、結婚しないの?」

 

「結婚かー、相手がいないからなー?」

 

と、軽く流すと。

 

「嘘つきだなーお兄様は。紅魔館(ここ)のみんなならだれでも結婚できると思うよ?もちろん私でもいいよ!」

 

「フランは俺のこと好きなのかー、そーなのかー」

 

時々フランは大人っぽく……というか、知性が高くなる気がする。

ま、でもまっすぐな好意はちょっと気恥ずかしい。照れてルーミアぽくなってしまった。

 

「変なお兄様。お兄様がどれだけの事をしてくれたと思ってるの?」

 

「それは恩にきてるだけじゃないのかなあ……?」

 

「美鈴と……パチュリーはチョロイからわからないけど、咲夜やお姉さままで恩だけじゃ好きにならないと思うよ?お兄様の事はきっとみんな好きよ」

 

「……そうかな?」

 

「そうだよ」

 

フランの言葉はたぶん真実なんだろうな。

この子は幼いがある意味老成している。

一人で考える時間など無限に等しくあったのだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分に温まった後、フランを拭いてやり、いつの間にか用意されていた着替えを(フランの分もあった、愚息の反逆を見られてないといいが……)着て(フランは自分で着れるだろうに着せてと甘えてきた、可愛い)、フランに吸血鬼の特性を返して(献血のため)、レミリアさんの寝室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝室のドアをノックする

 

「どうぞ」

 

すぐに応答があり寝室に入るように招かれた。

中に入ると、ソファーベッドと豪奢なベッド、その上に鎮座する棺桶というシュールな状態の寝室が目に入った。

 

ソファーベッドは俺が来るようになってからおかれたもので、後付け感がすごい。

建前上俺はここで寝ることになっているが、使うことはあってもここで寝たことはない。

いつも棺桶に引っ張り込まれるからだ。

 

いちどここをみに来た霊夢ちゃんがソファーベットを軽く触って「ふうん?」とか何に気付いたのか半眼(ジト目)でこちらを見てきたので冷や汗をかいた。

いや、別にやましいことはしてないですよ!(虚空へ必死の弁解)

 

さておき、基本的に吸血行為はソファーベッドの上で行われることになっている。

すでにレミリアさんは待機しており、その姿はかなり扇情的だ。

 

完全に透けた透過度の高いベビードール一枚である。

寝るときはやはり透過度は高いがネグリジェを着ているが、上はともかくショーツは履いている。

 

これはベビードールは下着扱いで、ネグリジェは衣服扱いだかららしい、パチュリーちゃんにそう聞いた。

 

見た目は少し成長を始めたフランと同じか、フランよりやや幼く感じるが、纏う雰囲気の妖艶さはフランの比ではなく、紅魔館のだれよりもエロティックである。

 

ほぼ全裸だからとか透けてるからとかではなく、所作のすべてから色気が出ているような、魅了されている感じがある。

 

「さ、こっちに来なさい」

 

と、ソファーベッドの自分の横をぽんぽん叩いて俺を呼ぶ。

フランと同じような所作に、姉妹だなあとちょっとほっこりする。

 

促されてソファーベッドに腰掛けると、俺の衣服を(といっても吸血しやすいようにパンツにバスローブ一枚でここにきてるのだが)脱がせて、まずは胸板をさわさわとなでる。

 

右わき腹の少し上、胸との境目辺りにある傷に触れ、軽く指先でいつくしむようになでるのが、レミリアさんのいつものパターンだ。

この傷はレミリアさんにつけられたものだが、この傷をつけられた経緯は暴走したフランをレミリアさんたちが抑え込み、とどめを刺そうとしたときにフランをかばった時の物である。

 

「「寄ってたかってフランをいじめてるんじゃねーよ!特にレミリアさん!お前の妹だろ、みろ!!泣いてるだろうが!!」って、お前は怒ったわよね」

 

「またその話か……恥ずかしいからもう蒸し返さないでほしいんだが」

 

あの頃はまだ、レミリアさんたちの事情を知らなかったしな。でも間違ったことはしなかったと今でも思っている。……もうだいぶ前の事に感じるな。

 

「私たちの誰も、一番長く接しているパチェですら、フランが泣いているって思わなかった。実際涙なんか流してはいなかった。でも、言われて皆気づいた。たしかにフランは泣いているって」

 

「これも今まで二、三回言ったけどさ。ぶちのめして落ち着くまで地下室に閉じ込めるのはある意味で正しいと思う、だからこそ、間違ってるって思ったんだ」

 

「なぜお前は気づいたのかしらね」

 

これは初めての問いかけだな、何故ってそりゃあ……

 

「可愛い女の子が泣いてたら気づくのが俺ってもんだ、そして笑顔にする手伝いをするのも俺だ」

 

「お前、つくづく馬鹿ね」

 

「男にとって馬鹿は誉め言葉になることもあるんだぜ」

 

「そうね、貴男らしい答えだわ」

 

呼び方が変わるのが始まりの合図。

レミリアさんが俺の上にまたがり、足を腰に絡める。

胸板に体を預けるように密着して両手で俺の顔を挟みなで回す。

 

「不思議ね、決して美形ではないのだけど……貴男はいい男に見える」

 

「そうか、俺の目にはずっといい女しか映ってないけどな」

 

軽いやり取りの後、抱きしめるような形に手を移動させ、首筋にチュッ……チュッ……とかるく吸いつきながら、ちょうどいい場所を探すように位置を変えていく。

吸血の衝動に興奮しているのか胸板に当たる二つの突起は明らかに硬く、自己主張を始めており、組み付いた足を支点にしてかくん、かくんと腰を動かし始める。

 

やがて、狙いをつけたのかぐっと組み付いて……

 

 

 

つぷん

 

 

 

という肉を突き破る軽い衝撃とともに牙が俺の体内に侵入してくる。

注射の針よりかなり大きい牙は結構な痛みと、なぜか腰に甘い痺れをもたらしていく。

……先ほどのフランのせいか……それとも、艶を増したレミリアさんのせいか、これは……

 

いつもより反応が大きい俺に気付いたのか、レミリアさんが吸血しながら舌先でチロチロと肌をなめ、そして艶めかしい吐息をこぼす。

 

俺は完全に反応してしまっていた。

 

それに気づいたレミリアさんが嬉しそうに、そして妖艶に笑い、悪戯っぽく俺に告げる。

 

「すっぽんとかうなぎとか山芋って、本当に効くのね」

 

と。

妙な食事だと思ったら、誰だ入れ知恵したのは。

 

 

「ああいうのは食べてすぐにきかねーよ」

 

「ふふ、じゃあこれはどうしてかしら?」

 

と、さらに強く腰を押し付け問いかけてくる。

パンツ越しではあるがわずかにぬめりを持った熱い肉を感じ、俺の腰が引ける。

 

「レミリアさんが綺麗だからだよ」

 

「……!!ふふ……うふふふふふふふふ」

 

俺の返答を聞いたレミリアさんは、ニヤァとでも表現するような狂気と歓喜にゆがんだ笑みを浮かべ、レミリアさんは俺をむさぼるように(実際むさぼってはいるのだが)身体をこすりつけながら吸血行為に没頭する。

 

「はっ……はっ……はっはっ……はあっ……うん……」

 

ちゅっ……ちゅっ……と吸血しているのか首筋にキスをしているのかもはやわからないような体になっている。

どんどんと動きも早くなっていっている。

 

俺の理性もかなりやばい、このままでは本能の赴くままレミリアさんを襲ってしまう。

身体に襲い掛かる甘美な刺激をこらえるために思わずレミリアさんの体に手をまわして強く抱きしめてしまう。

 

「んっ!?んううううううううっ!!」

 

もう限界だったのか、それが最後の一押しになったのかレミリアさんはひときわ強く俺の血を吸うと、俺の体にしがみつきながら大きく跳ね、そして俺に体を預けるように弛緩した。

 

「はぁ……はぁ……ふふ……身体に力が入らないの……ねえ、今なら抵抗できないよ?」

 

耳元で甘い言葉をささやかれる。

いつもの尊大なしゃべり方ではなく少女が夢見るようなとろけた口調で話すレミリアさんに俺の理性もとろけそうになる。

 

「そうだな」

 

と、言って俺はレミリアさんの乱れた髪を撫でつける。

身体が敏感なままなのか撫でるたびに軽くぴくんぴくん反応する。

 

「でも、まだ答えは出せない。すまない」

 

流石の俺でもレミリアさんが食事ではなく男として俺を求めているのはわかる。

それこそ、紅魔館の主ではなくただのレミリア=スカーレットとして一人の少女として、求められているのがわかる。

でも、俺はこんなあいまいな答えしか返せない。

最低だな。

 

「霊夢ね」

 

冷たく、鋭い、氷でできた鋭利な刃物のように、その言葉はとろけて油断した心に致命の一撃を差し込んでくる。

とぼけようにもこうやって密着している状態では、俺が硬直してしまったのはまるわかりだろう。

 

「あの子の事は嫌いじゃないけど……妬ましいわね」

 

「……すまない」

 

俺は謝罪しかできない、その謝罪こそがレミリアさんを傷つけるとわかっていても。

 

「別に構わないわ……あの子は博麗の巫女。人として生き、人として死ぬ。……でもお前はただの人間。仙人になる?幽霊になる?亡者になる?妖?現人神?木乃伊?……ふふ、吸血鬼だったら嬉しいのだけど」

 

「それはいったい……?」

 

「高々5,60年、まあ持って80年でしょう、それぐらいなら霊夢に貸しておくわ。それから、悠久を共に過ごすのも悪くないでしょう?」

 

「俺も人間として普通に死ぬだろ?」

 

「無理ね、映姫の言葉を借りるなら、お前は少しばかりこちら側に近すぎるの。死神を勝手に追い返すぐらい誰かが喜んでする。もちろん、この私もね」

 

「みんな、なんでこんな俺にそこまで……」

 

訳が分からない。

俺は、まあ嫌われるほどではないとは自信を持って言えるが、そこまでしてもらえるほどではないと思っている。

 

「しらないわ。でも、お前が幻想郷(ここ)で生きた結果よ、誇りなさい」

 

「実感がない。それに、そんなに長い間待っててもらえるような人間ではないと思う……」

 

「短いかもしれないわ。博麗の巫女は巫女ですもの。そして()()()()()なのだからあなたの想いには答えられない。あなただって今まで一緒に暮らしてきていて薄々わかってるのでしょう?」

 

「それは……」

 

「だから()()()()()()お前が諦めるのを待っているの、それが明日でも、80年先でも待てるというだけ」

 

おわかり?と言いたげに小首をかしげてにっこりとほほ笑む。

美しく可憐ではあるがうちにわずかばかりの狂気をはらんだその笑顔に、怖いと思いながら、俺は見惚れてしまった。

そこには嘘などみじんも含まれていないことに気付いたからだ。

 

「それと、もっと自分に自信を持ちなさい。あなたが自分を卑下するということは、お前に思いを寄せる人すべてに対する侮辱と知りなさい。ひいてはこの私への侮辱だということもね」

 

その思いを今の俺は全て受け止めれるほど大きい器ではない……とか、こういうこと言うから駄目なんだろうな。

だから、せめてその考えを顔に出さないようにして、俺は告げた。

 

「頑張る」

 

「今はそれで我慢してあげる」

 

そういうと、軽く触れるだけの口づけをしてレミリアさんは俺から身体を離した。

離れるときに少しばかり名残惜しく感じた俺は単純なのだろうか。

それとも考えないようにしていたことに頭が回るようになっただけなのか、今はまだ俺にもわからない。

 

「身を清めてくるわ、お前も寝間着に着替えなさい。それとも……一緒に入る?」

 

「うれしいけど、今はやめておく。一線を越えかねない」

 

「そ、悔しいけど、茶化さずに言えるようになったのだから許すわ」

 

「ああ、そういえば俺の着替えは?」

 

「もうそこにあるわよ」

 

と、ソファベッドの横に下着と軽く羽織る寝間着が置いてあった。

 

「いつの間に……」

 

見聞きされていたのだろうか、いったいいつからだ……?

 

「ふふ、顔に出てるわよ。いつから見てたのかは私もわからないけど、聞いてたのなら私が気づくわ」

 

「ああ、時間止めて現場は見たかもしれないけど、リアルタイムではないってことか。それならまあ、いいかな」

 

「そう?ま、あの子もお年頃だし、今頃一人せせりしてると思うけど」

 

「一人せせり?」

 

「霊夢に聞いてみるといいわ」

 

「よくわからんがわかった」

 

「じゃあ、お前はいつものようにして待っていなさい」

 

「了解」

 

レミリアさんが出て行くと俺は着替えを……

 

「貴様っ!見ているなっ!?」

 

とフルチンのまま入り口を指さしてみた。

もし咲夜ちゃんがのぞきに来てたりするならこれで……そうだ、リアルタイムじゃないんならかっこつけても声聞こえないんだったわ……

 

少し気恥ずかしくなりそそくさと着替えをし、棺桶に入る。

俺の体に合わせて少し大きいものに取り換えられてはいるが、やはり狭い。

普通の棺桶よりいびつな形をしているこれは、俺にレミリアさんがしがみつくような形でちょうど収まるように設計されている。

ちなみに現在のバージョンは3だ。

 

最初空気穴がないので非常に息苦しく、俺が全く寝られなかったり(下手したら永眠してた)

咲夜ちゃんが起こしに来るまで内側から開けるすべがなく(なんか引っかかるようになってた)俺が漏らしかけたりと、改造を重ねている。

 

益体もないことを考えているとレミリアさんが戻ってきた。

 

「来たわ」

 

「それでは、どうぞお嬢様」

 

湯上りでほこほこしているレミリアさんを抱え上げて、棺桶に引っ張り込み俺の横に寝かせる。

俺も元の位置に戻るとレミリアさんがしがみついてきた。

親ペンギンが子ペンギンを守るような感じで俺はレミリアさんに手を回す。

ぬくぬくやわこい(風呂上りなのでぬく多い)感触は俺の眠気を猛烈に誘う。

 

「あら、もう眠いの?」

 

「今日はいろいろあって疲れたからな、身も、心も」

 

「でも、悪くはないでしょう?」

 

「まあ、成長できた気はする。色々と」

 

今でも疑問に思うこともあるけど、前向きに考えていこうと、今日決めた。

 

「……ね、だれもお前の名を呼ばないの疑問に思わない?」

 

「ま、薄々は感じてたけど、なんでだ?」

 

一応俺にも名前はある。と言っても完全に偽名というか仮名だが。

霖之助がとりあえずでつけてくれた名前だ。

 

「悲しそう……とは違うわね、そう、お前の言葉を借りて言うなら少しテンションが下がるの、その名前で呼ぶと」

 

「おおう、自分じゃ気づかないけど、わかるぐらいにか」

 

「ええ、誰でもわかるぐらいよ。だから……」

 

そう、言葉を切ると、俺を強く抱きしめてレミリアさんが言った。

 

「お前の知り合いが、お前を名前で呼ばないようにしていること。気を使っている人もいるだろうけど、皆がお前を好きだからそうしているのよ、だからもっと自分に自信を持ちなさい、そして自覚なさい。おまえは幻想郷(ここ)にいてもいいのよ」

 

……!!

 

それからの俺は何を言ったかわからない、覚えていないし、思い出すのも気恥ずかしい。

泣いたのかもしれないし叫んだのかもしれない、笑ったのかもしれないし、感謝したのかもしれない。

 

気が付けばいつの間にか眠りに落ちていたのと、レミリアさんが頭をなでてくれていたのだけは、覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほら安全ですよね!

大丈夫ですよね!

健全ですよね!

吸血シーン1500文字ぐらい削ったもん!

お気に入り登録、感想、評価お待ちしています。
特に今回は現場猫が出るレベルだったので感想などで意見聞きたい気もします。

運営に喧嘩売りたい人とR18要望が多いのでお気に入りが2000とかぐらいまで行ったら書いてみましょう。
えっちいのかくとそれが基準になって本編に過激な方向に影響出るので(今回相当書き直して抑えてもこれ)まずは本編すすめましょう。
本編終わるころ(多分4か5のエピソード、今回は紅魔館編というエピソードなので30話かそのあたりぐらいで終わらないかな。短編は別枠で)には2000いってたらいいなって思います。


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俺に妹がたくさんできた話

すぺっち ID:Z9jNKwLY様、紅憂様、なさちら様、ベルベル人様、Eureka29様、カワックス様、空草様、名無し ID:gdUARxiU様、ショショ様、シェフZ様、一般通行様、読み専太郎様、kinoppi様。感想ありがとうございます。
そろそろここに書くのが大変になってまいりました、嬉しい悲鳴です。

今回はかなり昔の話。
主人公ははっちゃけきれていませんし、エロにも覚醒していません。
いつもと違う感覚になりますが、お付き合いください。


「さーてと、確かこれで作れたはずだが」

 

霊夢ちゃんが魔理沙ちゃんと一緒に異変?とやらの解決に向かったので暇になった俺は趣味の料理をしていた。

まあ、趣味と言ってもそこまで上等なものではなく、世の中の奥様方に比べれば大した腕前ではないだろうと思うが。

レシピ類は意外に無縁塚に本が転がってたりする。

霖之助も小鈴も欲しがらないタイプの本なので時々読めない達筆でかかれているものや明らかに材料が手に入らないもの以外は重宝している。

 

この前仲良くなった鬼の萃香ちゃんのお陰で、いくつかの食材を加工することができるようになったのでだいぶ現代に近い料理が作れるようになってきた。

 

ちなみに萃香ちゃんは一言で言うならのんべの幼女鬼だ。

大きい二本の角が特徴で、めっちゃつかみたくなる。ちょうどつかむのにいい形してるんだよなあ……

幻想郷の住人の例にもれず、年齢不詳で長生きしているみたいだが、見た目が小柄なので俺は可愛い子扱いしている。

あとパンツも幼女パンツだったけど、俺がパンツに興味を示すとめっちゃ見せてくるのはやめてください、霊夢ちゃんの圧が怖いんです。あとたまに履いてないとか変な性癖に目覚めてしまいます(敬語)

 

霊夢ちゃんは「それ、山の妖怪も恐れる鬼なんだけど」とか言っていたが、時々圧を感じるようなことはあるけどそこまで怖くはない(正直脱衣籠の霊夢ちゃんのパンツを手に取って衝動的に嗅いでしまった瞬間を目撃した霊夢ちゃんの圧よりよほどぬるかった)なお、霊夢ちゃんはため息一つで「ま、トチ狂って私を襲わないならいいわ」と許してくれた(だがパンツは回収された)

 

それで手に入るようになった新素材、コーンスターチと片栗粉。

それと各種かんきつ類のしぼり汁(濃縮済み)

そして命がけで手に入れたいくつかの色素だ。

 

花を煮て色を取り出して、萃香ちゃんに密にしてもらって手に入れる方法はあってたのだが、風見幽香とかいう、花の妖怪?妖精?にめっちゃ追い回された。

 

死ぬ思いで博麗神社まで逃げ帰って(霊夢ちゃんが飛ぶ力を貸してくれていて助かった)霊夢ちゃんに助けを求めたのだが不在で死を覚悟したところ、俺の作った発酵堆肥を見つけて。「これはお前が作ったものかしら?」などと聞いてきて(さすが植物妖怪?)結構な量を持っていく約束と引き換えに見逃してもらえた。

 

見た感じはタイプの妖怪なんだが、目つきと圧が鋭くかなり恐怖した。

幻想郷に来てからのかなり上位の死を覚悟した瞬間だった気がする。

 

怖い人?ではあるが、それでも今回のお菓子を持ってご機嫌伺いにはいくつもりだけど。

花は無駄になったのではないってことを見せないとな。

 

 

まずはコーンスターチに片栗粉を少し入れてそこに砂糖(紫さんからしか手に入らない貴重品!)を入れて、綺麗に混ざるまで混ぜていく。

重曹もあると食べるときにしゅわしゅわするらしいけど、ないものはしょうがない。

試作したところ十分うまかったので、これでもいいと思う。

 

結構大量に作るつもりなので割と手間だ、食い始めるとあっという間だからな、お菓子って。

 

結構な量の原材料を混ぜ合わせた後、いくつかに分けて色素と柑橘の濃縮汁を混ぜたものをなじませていく。

全体に綺麗に水分が混じって、握ると固まるぐらいになったらうどんげちゃんにもってきてもらった丸薬盆(中に素材を詰め込むと丸く成型されるお盆、穴はいっぱいあって薬の大量生産に使う)で、丸く成型していく。

 

出来たものは崩さないように並べて……

懐から古びてはいるが、汚れ一つない謎の帳面を取り出し開く。

一から十まで漢数字が振ってあり、その下には空欄や文字の書かれた欄がある。

一と十の下の空欄は、読めない言語で書かれていて、何が書いてあるか俺にも不明で小鈴の能力でも不明である。

二の欄の下には「空を飛ぶ程度の能力」と書かれており三の下には同じように「道具の名前と用途がわかる程度の能力」四の下には「魔法を使う程度の能力」と書かれている。

 

霖之助にこの帳面を見てもらったところ、ここに記入したものを借りることができる能力を発動するアイテムらしい。

記入は自分の意思でなくてはならず、新月になると一と十以外は空欄に戻ってしまう。

 

この帳面の一と十が特別枠になっていることから霖之助は俺に「(にのまえ) (つなし)」と名付けた。

センスがあるのかないのかわからんわ!?

あとそういう読み方するとは全然知らなかったわ!

 

……気持ちはありがたいが正直反応しづらい名前なので、霊夢ちゃんは今も変わらず俺の事をアンタと呼ぶ。

そっちの方が俺も反応しやすいしなによりも霊夢ちゃんと仲良しな感じがしていい。

 

使う能力を切り替えるためには帳面を開く必要がある、なお、この帳面はマスタースパークの直撃を食らって(魔理沙ちゃんいい加減許さんぞ)も汚れ一つつかないため、防具として常に懐に入れてある。

 

なんとか破壊しようと魔理沙ちゃんがむきになっていたので魔理沙ちゃんが飛行中にドロワーズをガン見し続けながら冷やかすという報復をしたところ分かってくれた。

 

 

 

つまり魔理沙ちゃんをわからせたわけだ(意味違)

 

 

 

 

 

魔法を使う能力に切り替えて、弱い炎で乾燥させようとしたら……

 

 

 

ごおっ!

 

 

 

火事になりかけた。

なんだこの0か100しかない出力!?

おかしいだろ!?

っていうかよくこんなガバなので通常弾幕打てるな魔理沙ちゃん!?

 

二、三回試したが、発動した瞬間に高出力になり、弱めると消えてしまうため、ちょっと俺には(多分幻想郷のだれにも)扱えないと思うので、あきらめて霖之助が作ってくれたマイクロ八卦炉という名のコンロで石を焼いて、焼いた石を入れた付近に置くことで乾燥させる方法(本来の丸薬の作り方)で作ることにする。

くそっ!魔理沙ちゃんのせいでひと手間増えた!お菓子あげないでおこう!(理不尽)

 

 

 

乾燥させてる間にもう一つ

砕いた芥子の実(幻想郷は芥子も大麻もその辺に自生している。魔法薬などの原料になるらしいが恐ろしいところだ)をフライパン(鍛冶屋のおっちゃんに作ってもらった)に入れて、濃い砂糖液をかけながら焦がさないように煎り付けてささらで転がし、また砂糖液をかけ……を延々と繰り返す。

5,60回ぐらい同じ作業をして完成だ。

本来の作り方よりは大分雑だけど、これでもできることは実験済みだ。

これに果実の汁や花の色素などで色を付けた別バージョンも作る……夕方までかかるなこりゃ。

 

 

夕方。せっかく濃縮液があるのでついでに水あめも飴玉にしてしまおう。

麦芽水あめは癖があるから果実液入れたらどうなるかと思ったが、意外にいける。

こいつは熱いうちに何度も何度も飴を弄りまわして成型するので結構クソ熱い作業だが、ここまできたらテンションがおかしくなっていたのか一気に作業してしまった。

 

一日中火を扱っていたので今日だけで俺、水を6リットルは飲んだ気がする。

 

 

夜になった。

霊夢ちゃんはまだ帰ってこない。

寂しくなって霊夢ちゃんの妄想で埒を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、昨日作ったものを瓶詰(無縁塚の飲料、薬品ボトルなどの再利用品)していると、名もなき妖精がふよふよと飛んでいるのを見かけた。

チルノとかルーミアとか特徴のある妖精の他にも量産型と言ったら失礼だけど、そういう見分けのつかないような妖精が幻想郷では多々見られる。大きさも小さめだったりして可愛い。

 

霊夢ちゃんは「邪魔だったら潰しちゃっていいわよ、また湧くし」とかすごいこと言ってたけど、流石に蚊とかじゃないんだからそんなひどいことはできない。

何よりも意思疎通できる生物に容赦なさすぎるだろ。

 

ちっこいタイプの妖精に声をかけて手招きする。

 

「なにかなー?おにーさん」

 

「ちょっとこれ食べてみてくれる?」

 

と昨日作ったラムネを一個(それでもこの妖精にとってはミカンレベルのサイズだが)渡して感想を聞いてみる。

 

 

「何これー?」

 

「おかしだよ、美味しくなかったら残してもいいからな」

 

「わかったー」

 

はくっと、ラムネに噛みつく妖精とそれをかたずをのんで見守る俺、サイズ差があるから微笑ましいけど、現代だったら通報待ったなしである。

 

「これ!おいしー!」

 

「おう、そうかそうか、こんなのもあるぞ」

 

嬉しくなった俺はふたつめのお菓子、金平糖を渡す。さすがに飴玉は無理だと思うけど、これならかじって食べることもできるはず。

 

「んー……甘くておいしいけど、ちょっと固い」

 

「あー、ごめんな」

 

小さいサイズの妖精だと口の中で溶かすことはできないので、食べづらいようだ

 

「でも甘くておいしいよ、ありがとーね、おにーさん」

 

「あ、これお土産な」

 

とラムネを二つほど持たせてやる。

 

「えっ!?いいの?ありがとーやさしーおにーさん!」

 

「はっはー、いいってことよ」

 

たかだかラムネ二粒でえらい喜びようだな……

と、ほっこりしながら名もなき妖精を見送った。

これがあの事件の発端になるとは、俺はまだ思いもしていなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、霊夢ちゃんはまだ帰ってこないし、どーすっかなー」

 

瓶詰もあらかた終わりやることがなくなる。

今残ってるのは瓶に入りきらなかった分だ、しける前に寺子屋にでも持っていこうかなと思うが、今の俺は留守番なのでここを離れることができない。

 

異変が解決したら宴会とか言っていたので何か仕込むのもいいのだが、いつ解決するかわからないので無駄になる恐れもあるからあまり先走れないし……と考え事をしていると、斜め上の方から声をかけられた。

 

「ちょっとそこのお兄さん?わたくしにそのお菓子をいただけないかしら?」

 

少し大きめのタイプの妖精が空中にいた。メイド服を着ているってことは紅魔館の妖精メイドってやつかな?

 

「ああ、いいぞ、身体が大きめのタイプみたいだか……」

 

と、座ったまま妖精のほうを見上げると……

ニーソックスとその奥の白い布切れ、パンツが丸見えだった。

ウエストラインに沿って横のラインが走っていて、中央にワンポイントのリボン柄のついているオーソドックスなショーツタイプだ、ただニーソックスとの相性は抜群でメイド服と合わせてものすごくエロく見える。

 

「あれ?どうしたのお兄さん?……なにかわたくしの衣服におかしいところでも?」

 

と、俺がスカートの中を凝視していることに気付いた妖精が……

 

 

 

スカートを全開でまくり上げてなんかチェックしだした。

 

 

 

 

陽光の下で見るパンツはすごいまぶしかった。

妖精メイドは他の妖精より大人びた容姿をしており、ただサイズが小さいだけで外見的にはお姉さんという感じがする。

そして思ったよりも白くてむっちりとした太ももを持つ妖精メイドから俺は目が離せなかった。

よくみると少し食い込んで中央に筋が見えているのもさらに視線を固定する原因になった。

 

しばらく無言で見つめる俺と、パンツ丸出しで身だしなみのチェックをする妖精メイドというシュールな空間が出来上がった。

 

「あ、いや特には、変ではないよ、むしろ可愛いかな?」

 

「あら、ありがとうございますね、それで、そちらを分けていただけますか?」

 

「そうだな、妖精メイドさんは身体が大きめだから飴玉も食えそうだな」

 

と、色とりどりの飴玉をいくつかチョイスして手渡してやる。

 

「綺麗ですね……、では失礼して一つ……んーっ!美味しいですわ!」

 

「おう、喜んでくれて俺もうれしいぞ」

 

パンツも見れたしな。と心の中で付け足す。

 

「あの、申し訳ありませんけど、もう少しいただけないでしょうか……館のみんなにも分けてあげたいので」

 

「ん、じゃあ少し待ってな」

 

と金平糖、ラムネ、飴玉の入った瓶をひとつづつ、パンツ拝見料として妖精メイドにもたせてやる。

 

「こんなに一杯よろしいのですの!?ありがとうですわ!」

 

と、飛びついてきた。

……この妖精メイド、小さいけど大きい!?

ぷにっとした感覚に内心歓喜していると別方向から声をかけられた。

 

「ごめーん、おにーさん!もう少し分けてくれる?」

 

と、さっきラムネをあげた妖精が、他の妖精を引き連れて……結構多いな!?

 

「それではわたくしはこれで、ありがとうございました」

 

と妖精メイドが離れると、代わりに俺の眼前にさっきの小さい妖精が来て後ろを向いて残りの妖精を呼ぶ。

俺の前で後ろを向くもんだからもちろんパンツが……なんだドロワーズか。

ドロワーズも可愛いと言えば可愛いのだが、、いまいち滾らないのはなんでだろうな、同じ下着なのにな。

 

「おう、なんだほかの妖精たちもつれてきたのか?」

 

と、うしろの妖精たちを見ながら、ほぼ同じ顔だが微妙に目つきとかが違うな、正直見分けが……なんか一人(霊夢ちゃんは匹で呼ぶけど酷いと思う)だけ明らかに巨乳で見分けつくけど……それ以外は姉妹のように似ている。

 

「うん、私だけ狡いって言われちゃって……」

 

と申し訳なさそうな妖精。

別に気にすることないのにな。

 

「妖精の食べる量なんてたかが知れてるし、別にいいぞ」

 

と、並んだ妖精にラムネを二つづつ渡していく。

 

途中、妖精メイドにいっぱい渡したのに私たち二個だけー?という不満を言う妖精もいたが(最初の妖精がめっちゃ恐縮してて可哀そうだった)身体が大きいこととパンツ見てしまったお詫びだと伝えたら納得してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから結構時間がたった。

まだ俺は妖精の相手をしている。

 

なんかどんどん増えて行列できてるんだが!?

幸い小さいサイズの妖精ばかりだし「子分」この十倍ぐらいいても余裕で賄える分ぐらいは(ただしラムネがなくなりそうなため飴や金平糖も渡している、砕いて食べれば大丈夫らしい)制作したけど「子分!あたいにも!」だいぶ俺らが食べる分減りそうだなあ「ちょっと子分あたいの言うこと聞こえてる!?」

これだけおにーさんお兄さん「にやけてないでさー、こぶーん!」いわれると妹がいっぱいできた気分だな、見分けつかんけど。

さっき来たルーミアが上空に闇を作ってくれたんで「こーぶーん!」蒸し暑いが日差しが当たらないのはありがたいな。「こっちをむけーっ!」

 

「うるさいですぜチルノ親分」

 

手を伸ばしてお菓子をねだるチルノを完全に無視して、並んでいる妖精たちにお菓子を配り続ける。

 

「ありがとーおにーさん」

 

「おう、じゃあ次の子はどれがいいかな二個迄選べるけどラムネは少ないから一個だけな」

 

「えっといがいがのを二個!」

 

「子分!あたいを無視するなーっ!」

 

「はい金平糖二個だな」

 

「ありがとー人間のおにーちゃん」

 

「おーう、一気に食うなよー」

 

「こーぶーんー!」

 

チルノがしがみついてゆさゆさ俺を揺さぶる。

今日は少し蒸し暑いからひんやりしてて気持ちいいな。

 

「ええ、さっきからなんですかチルノ親分。俺はお菓子を配るんで忙しいんですぜ」

 

「あたいにもお菓子くれよ!さっきからなんでくれないの!?」

 

おれは「はーっ」とわざとらしく大きいため息をつくとチルノと目線を合わせてこう言った。

 

「チルノは親分ですよね」

 

「そう!あたいは最強だから親分だ!人間のお前はあたいの子分!ちったぁ親分の言うことを――」

 

チルノの言葉を遮って俺は言う。

 

「子分は親分に貰うものですぜ、チルノ親分、なので子分の俺はお菓子をあげることができないんですぜ」

 

「え、あ、うーん……」

 

チルノの動きが止まって考え込み始めた。

あいかわらずオバ可愛いな。まったくの屁理屈なのにな。

 

「ありがとーおにいさん」

 

「おーう、またなー」

 

そうこしながらも列に並んだ妖精たちをさばいていく。

カラフルで珍しいせいか金平糖の人気が結構高いな。

 

「えー、あー、うんその」

 

「どうしました?チルノ親分」

 

「子分……にーちゃん、あたいにもおかしちょうだい」

 

と、すこし恥ずかしそうに言うチルノ。

 

はにかむチルノクッソ可愛いな!?

こういうチルノならどんだけでも甘やかせる気がする。

 

「よーし、それじゃあチルノは体が大きいからこれ持ってけ、一気に食うなよ」

 

と、三種のお菓子の詰め合わせた小瓶をチルノに渡すと、めっちゃ目を輝かせながらこくこくうなずいてた。可愛い。

 

「やっとか、待ちくたびれたよ」

 

「よかったね、チルノちゃん」

 

「うん、あたいの子分にーちゃんはあたいの次に最強だな!」

 

リグルと言う新顔(最初男の子かと思った、もちろんお菓子はあげた)と大妖精(とっくに先にお菓子渡していた)と会話しながら列を離れていくチルノ、10分ぐらい粘ってたのはすごいと思う。

あと俺はチルノの物じゃないぞ、強いて言うなら保護者である霊夢ちゃんの物か。

つまり霊夢ちゃんは俺の嫁?

 

しばらく平和に配っていると、行列の途中にぽっかりと空間があり、その空間の中に日傘をさした少女が混じっていることに気付いた。

人形のようにかわいらしい女の子で、なんというか……全体的に赤い。

真昼間なのに寝るときにかぶる帽子みたいなのを被っていて結構短めのスカートからちょっとドロワーズがのぞいている。

 

俺はこの外見的特徴に聞き覚えがあった。紅魔館ってとこの女の子だったはずだ、フランドールとか言ったかな?

たしか……霊夢ちゃんが「危険だから出会ったら逃げなさい」と言ってた気が……

しかし、俺はこの行列を無視できない(謎の使命感)

 

「ありがと、じゃっ!」

 

こころなしか、妖精たちがスピードアップしている。

フランドールに怯えているというかかかわりたくなさそうというか。

そんなに怖いのだろうか?

ただの可愛い少女にしか見えないんだが……そういえば街中で閻魔様が歩いてるの見たっけ、閻魔様も可愛かったけどな。

 

やがて少女の番になった。

 

「ここにきたら、お菓子をもらえるって聞いたの、本当?」

 

「おう、誰に聞いた?」

 

「うちの妖精メイド。気になったから内緒で来たの」

 

「おいおい、結構遠いと思うんだけど、一人で危なくなかったか?」

 

「大丈夫、邪魔なのいたらギュっとするから」

 

ギュッがなにかわからんが、攻撃能力的なもんだろうけど……

 

「それでもフランドールちゃんかわ――」

 

「フラン」

 

「ん?」

 

「フランでいいわ、で人間さん、お菓子はくれないのかしら?コインいっこぐらいなら出すけど」

 

「ん、可愛い子はただでいいぞ」

 

フランドール……フランは怖いというより人なれしてない猫みたいな感じがするな。

びっくりして攻撃してくるタイプか?固いのも緊張しているような……?

ちなみに俺は子猫とかは大好きだ。

 

あとコインは出すものではなく入れるものだな。

 

「私、可愛い?……言われたことないけど」

 

「まあ、どっちかというと綺麗に寄ってる感じだけどな、ほら」

 

と、小瓶を見せて、受け取ろうと寄ってきたフランの頭をぽんぽんしてから撫でる。

 

「あっ……」

 

「よーしよし、フランは可愛いなー」

 

子犬や子猫扱いだが、人なれしてない子犬や子猫にこういうことしてはいけないぞ。

 

「人間さんは私が怖くないの?」

 

「うーん……わからん!」

 

「ほえ?」

 

お、初めて外見相応のちょっと抜けた顔見せたな。

少なくとも俺は危害を加えられてないから、ただのお菓子貰いに来た子供にしか思えない、さすがにそんなのにビビったりはしない。

 

「フランは俺に怖いことするのか?」

 

「痛いこととかしなければしない……」

 

頭を撫でながら俺はさらにフランに問う。

 

「これは痛いことかな?」

 

「えっと……違う」

 

「じゃあフランは俺に怖いことはしないよな」

 

「……でも、私時々、勝手に怖いことしちゃう……」

 

「それはフランがしたくてしてることか?」

 

「違う……けど……」

 

「なら俺はフランは怖くないな、可愛い女の子だな」

 

「でも、もしも、もしも私が怖いことしたら嫌いになるでしょ、みんなそう」

 

「なんでだ?」

 

「ほえ?」

 

うん、抜けた顔のフランは可愛いな、悪い子では絶対ないと思う。

 

「フランはごめんなさいできるか?」

 

「それはできる……けど……」

 

「ならごめんなさいするなら、俺は許すよ。誰が許さなくても俺は許すよ」

 

俺も許されてここにいる感じがするからな、霊夢ちゃんに生かされたときに強くそう感じた。

まあ、そう思いたいだけかもしれないけども、そう思えばここでも生きていける。

 

「本当……?」

 

「嘘をついて俺が何か得するかな?初めて会った女の子にさ」

 

まあ、誘拐とかいたずらとか目的ならわからんでもないが。

フランは現代社会の治安の悪いところなら一時間持たずにさらわれると思うぐらい、可愛くてきれいだ。

 

「えっと、えっちなことするとか?」

 

「誰だフランに変なこと教えたの!?」

 

「パチュリー」

 

「よし、今度苦情言いに行ってやる!」

 

「おうちに来てくれるの!?」

 

なんか、フランがすごい嬉しそうだ。

たぶん、訪問客って少ないんだろうな。

精々が霊夢ちゃんと魔理沙ちゃんぐらいか?

 

「あ、でも人間が来るのはちょっと危ないかも……」

 

あーそっかー………………でも、まあこの子の笑顔曇らせる必要はないな。

 

「大丈夫だ。俺は弱いけど霊夢ちゃん知ってるか?」

 

「博麗の巫女!お姉さまのお友達!」

 

「おう、俺も知り合いだから一緒に今度行くよ」

 

ザ・安請け合い。

また霊夢ちゃんがしかめ面しそうだけど、賽銭入れれば機嫌直るからいっか。

 

「よし、じゃあフラン。紅魔館って妖精メイド以外は何人いる?」

 

「えっと、お姉さまでしょ、咲夜でしょ、パチュリーでしょ、美鈴でしょ……4人!」

 

「よし、じゃあフランの分も入れて」

 

と、小さい籐籠に10本ばかり瓶を詰めてフランに持たせる。

 

「こんなにくれるの?」

 

「ああ、皆で分けるんだぞ、それとその籠は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……?……!うん!わかった!」

 

満面の笑み、めっちゃ可愛いな!

 

「えっと人間さん」

 

「どうしたフラン?」

 

「なま……じゃない、お兄様って呼んでいい?」

 

「おう、いいぞ、可愛い妹ができて俺もうれしいぞ」

 

と、また頭を撫でる。

 

「えへへー」

 

やっべ、今日できた妹がめっちゃ可愛い。

これだけでしばらく頑張れるわ。

 

「よし、俺はまだ配ってるから、気を付けて帰れよ、あと勝手に出てきたこと怒られたら――」

 

「ちゃんとごめんなさいできるわ、お兄様」

 

「よし、偉いぞ」

 

フランを見送って視線を戻すと……行列増えてないか?

 

流石に足りるかどうか不安になってきたぞ、これ。

 

――このあとめちゃくちゃ配りまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、帰ってきたら、こんなのになってるわけ?」

 

「いやー、悪いな霊夢ちゃん」

 

結局作ったお菓子のほぼほぼすべてを配って、俺は精魂尽き果てて寝落ちてしまったようだ。

風邪をひかないようにと言う妖精たちの慈悲なのか、なんか落ち葉に俺は埋められていたそうだ。

 

魔理沙ちゃんがなんか落ち葉まとめてあるし焼き芋しようぜ!と芋を持ち出して火をつけそうになったところで間一髪俺がいることを発見したらしい。。

んで事情聴取されたわけだ。

あと、魔理沙ちゃんは後で魔゛理゛沙゛ちゃ゛ん゛は゛可゛愛゛い゛なぁ゛の刑に処す。

(ひたすら可愛い連呼すると魔理沙ちゃんは照れて動かなくなる)

 

「とりあえず明日宴会するけど、大丈夫?」

 

心配してくれてるのか、霊夢ちゃん優しいな!

 

「ん、身体は特に――」

 

「料理作れる?」

 

料理人の心配か!?霊夢ちゃん厳しいな!

 

「まあ、風邪は引いてないし大丈夫」

 

「そ、ならいいんだけど」

 

「あ、そうだ、こちらがポルトガルのお菓子コンフェイトでございまーす」

 

と風見さんの分以外でひと瓶だけ残った金平糖をルイス=フロイスの真似(いや、実際こう言ったかは誰もわからんが)をしながら霊夢ちゃんに献上する。

実際は有平糖というお菓子もいっしょに献上してたらしいがさすがに作り方まで知らん。

 

「ふふっ、なによそのしゃべり方。……ふうん、綺麗なお菓子ね」

 

「結果論だけど想像以上に高くついたお菓子になったぞ、しばらく霖之助のところで丁稚だわ」

 

「アンタって時々後先考えないわね……ん、甘くておいし」

 

甘いものは偉大だな、ニコニコ霊夢ちゃんが見れるんだから。

 

「あー、霊夢ちゃん可愛いなー」

 

「またそんなこと言って。ま、今日は疲れてるみたいだし私が何か作るから、明日頑張んなさいよ」

 

「わかったぞ」

 

 

 

 

 

 

 

夜、霊夢ちゃんの作ってくれたご飯を食べて床につく。

 

――幻想郷にはまだ慣れないし、何も持っていないけど、俺はここで生きていけそうな気がする。

 




お読みいただきありがとうございます。

感想、評価、お気に入り登録などしていただけるとフランが喜びます。

今回は今までと毛色が違いますが根っこは一緒なので、もし今回が合わなくても次話を読んでみてください。

それでは。


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霊夢ちゃんとぬくぬくした話

西瓜ペシャン公様、カワックス様、ハッピー ID:GbyzB1nM様、怠け牛様、なさちら様、二次陽様、nekomamu様、OUDON様。感想ありがとうございます。

誤字脱字報告者のSERIO様、クオーレっと様、紅月 雪様、すかたず様、colpo様ありがとうございます。

評価くださった方、特に一言迄頂いた方、本当にありがとうございます。

今回の話はどうもエロ汚染されたようなので浄化のために本来の意味でのやおい話
(やまなし、いみなし、オチなしの話)を書きました。
文字数も少ないのでショートストーリーぐらいのつもりでお願いします。


「さっむ」

 

手にミカンの入った籠をもって独り言ちる。

今日は朝から雪が降って結構冷え込んでいたのだが、日が落ちてさらに冷え込んできたようだ。

 

幻想郷に来て一番困ったのがこの気温の変化だ。

夏暑く、冬寒い。当たり前の事ではあるが、エアコンなど望むべくもないこの環境ではわりと切実な問題だ。

 

夏場はチルノにでも引っ付けば涼は取れる(なので夏場の俺はチルノに甘い)のだが、冬場はもう、取れる手段が昔からある暖房しかないのだ。

 

そして、紅魔館みたいなところには暖炉が(生意気にも魔理沙の部屋にもある)備え付けられているが、博麗神社は日本家屋。囲炉裏や火鉢ぐらいしか熱源が存在しないのである。

 

というわけで俺がこたつを作った。

作ったと言っても火鉢に布団をかぶせるタイプの置炬燵をすこし改造して、現代風のテーブルのあるタイプのこたつに改造しただけだが。

 

熱源が火鉢なのは変わらないので、中央に柱のようなものが存在してしまうため、肩まで突っ込んで全身をあっためるとかはできない。

しかし置炬燵と違って複数人が足ぐらいは突っ込めるようになったので、現代のこたつとさほど変わらない運用ができる。

 

チルノが中に入って「一回休み」になる事件(溶けたのではなくたぶん窒息、せまい空間で炭燃やしているので)があったため、中に入るのは厳禁である。

 

寝転がれないことを除けば自分で言うのもなんだがなかなかいい改造だと思うぞ。

 

ただし、火を使ってることには変わりないので十分な注意は必要だが。

布団のほつれた糸やはみ出た綿から本体に引火することだって十分にあり得るからな。

 

で、このこたつにはもう一つ欠点があって。

 

「おーい、ミカン持ってきたぞー」

 

「ん-、ありがとー」

 

霊夢ちゃんをダメにしてしまうんだな、これが。

 

 

どてらを着込んで、猫背になってできる限り奥まで入ろうと体をちぢこませる霊夢ちゃん。

手もなるべく出したくないらしく、さっき湯呑を咥えて茶を飲もうとして盛大にこぼすという、ちょっとチルノじみた行動をしたり、俺にミカンを取りに行けと圧をかけたり。おしっこをギリギリまで我慢して、鬼気迫る顔でダッシュしてトイレに行ったりと、せっかくの美少女なのに台無しである。

それでも可愛いけどな!

 

「しかし、今日は特にひどいな、いや確かに寒いけど」

 

「寒いわよ。正直アンタがいろいろ住環境整えてくれるから、我慢ができなくなった気もするけどね」

 

「それは誉めてるのか、非難してるのか……?」

 

「両方。感謝はしてるわよ」

 

さいでっか。

霊夢ちゃんは素直じゃないから、こういう時は感謝9割ぐらいの時だと、長い付き合いで学んだから、少し嬉しいな。

 

「霊夢ちゃん大好き」

 

「アンタいつも唐突にそれ言うの何なの?」

 

おっと、また漏れてしまったようだ。

だって仕方ないじゃないか、可愛いんだからさ。

 

「いや、純粋な本音だけど……」

 

「アンタももの好きというかなんというか……ま、ありがとうぐらいは言っておくわ」

 

霊夢ちゃんのものいいはツンデレとはちょっと違うんだけど、こう、言葉の端々に感情が隠れてる気がする。

 

「うう、寒い……ちょっと、アンタミカン剥きなさいよ」

 

「別に剥いてもいいけど、食べるとき手を出さないと食べれないだろ?」

 

「少なくとも冷えたミカンは触らないですむわよ……あ、そうだ」

 

そういうと霊夢ちゃんはこたつから出て……あれ?寒いんじゃないの?

 

「アンタちょっとこたつからでなさい」

 

なんで俺まで!?

 

そうおもいつつこたつから出ようとすると霊夢ちゃんが制止した。

 

「あ、そのぐらいでいいわよ」

 

「え?」

 

俺がこたつから抜け出ようと尻をずらして下がったところで、動きを止められた。

 

そして霊夢ちゃんが……

 

「よっこいしょっと」

 

「うえっ!?」

 

こたつと俺の隙間に入り込んで俺の上に座ったよ!?

 

ぬくやわこい感触と、霊夢ちゃんのいい匂いで俺の思考はショート寸前、今すぐ会いたいよ(混乱)

 

「これなら背中も暖かいし、問題ないわね」

 

「俺の理性が問題ありまくりなんですがそれは!?」

 

「サルじゃないなら我慢しなさい」

 

「アッハイ」

 

霊夢ちゃん辛辣うぅぅぅっ!

 

「だいたい、くっつくなんてよくあることでしょうが、何意識してんのよ」

 

「それは左右方向!あとたまに前後!上下方向とかおかしいでしょ!あと前後左右でもいつも意識してるからぁ!」

 

俺、大混乱。

俺が変な作業してる時とか覗き込んできて背中に霊夢ちゃんのさらしでつぶした固いおっぱい感じるだけで大興奮なのに、なにこの密着具合。

明日幻想郷滅ぶの?

 

さらしで思い出したけどそういえば……

 

「ねえ、今日霊夢ちゃんおっぱい大きくない?」

 

「アンタねえ……」

 

とあきれたような霊夢ちゃん、いや明らかに大きい気がする。

 

「こんな寒い日どこにも出かける予定がないからさらし巻いてないだけよ」

 

「えっ……!?」

 

後ろから思わず胸元をのぞき込む、確かに谷間が深い。

これ、霊夢ちゃんが前傾姿勢になったら見えるんじゃね?

 

「もうアンタが何考えてるか丸わかりだわ、苦しいから押すな!」

 

霊夢ちゃんを前傾姿勢にさせようとどうも俺の体で押してしまっていたらしい(完全に無意識)霊夢ちゃんに結構強めに怒られてしまった。

 

それにしても

 

「育ったなあ……」

 

「アンタ無意識だろうけどなんでもかんでも口に出すの本気でやめたほうがいいわよ?」

 

しみじみと出会った頃の大きさと比べてしまったのがまるわかりになってしまったようだ。

霊夢ちゃんは怒るよりも呆れているような口調なのでセーフだと思いたい。

 

「アンタも大きくなったわよ?最初私と頭半分ぐらいしか変わらなかったのに、今じゃこうやってすっぽりと私が収まってるじゃない」

 

言われてみればそうかも、今も俺の上に載ってるにもかかわらず、俺のあごぐらいに霊夢ちゃんの頭がある感じだ。

 

「二年半か、なんか霊夢ちゃんとは生まれたときから一緒にいた気がする」

 

「そこまでは言わないけど、そうね、なじみっぷりがすごいわね」

 

俺は知識はあるけど記憶がないからな。

ある意味本当に生まれたころから一緒のようなもんなんだがな。

 

「そうだ、最初の目的忘れるところだったわ、ミカン剥いて」

 

「仰せのままに」

 

「似合ってないわよ」

 

「レミリアさんには受け――痛っ」

 

「余計なこと言ってないではやく剥いて」

 

霊夢ちゃんに太ももをつねられた。

そんなにミカン食いたいのか。しょうがない、急いで剥くか。

 

「おりゃあ」

 

秘技真っ二つ剥き!

ミカンを皮ごと半分に割り、割ったところから指を入れて手早く剥く技である。

なお、素人がやると割る時につぶしてしまったりして大変なことになるから注意だ。

 

「器用な剥き方するわね」

 

「急いで剥くときの技だな、素人にはお勧めできない」

 

「アンタはプロフェッショナルなの?」

 

と、少し呆れたような口調で霊夢ちゃんが問いかけてくる。

 

「おう、ミカン剥き検定準一級だ」

 

と、益体もない答えを返す、もちろんでたらめである。

 

「準一級ならプロフェッショナルとは言えないわねえ」

 

「なに、すぐ一級も取るさ、ほい、むけたぞ」

 

緩い空気の緩い馬鹿話が心地いい。

こういう話をしているときに「霊夢ちゃん大好き」ってこぼれちまうんだよな。

 

「あーん」

 

「食べさせろと!?」

 

今日の霊夢ちゃんはかなりのぐうたらモードのようだ。

まあ、たまにあるこういうモードの霊夢ちゃんはとても可愛いので可愛いんだよ(語彙消滅)

 

「ほい」

 

「うん」

 

「ほい」

 

「ん」

 

餅つきか!?

思わず心の中で突っ込んでしまったが、霊夢ちゃんが飲み込んで口を開けるところに次のミカンを差し込んでいく作業が思ったより楽しい。

 

半分ぐらい食べたところで「もういい」と。我がままだな!?そういうところも可愛いけど!(もはやかわいいしか語彙がない)

 

霊夢ちゃんがこたつから手を出して……ってだすんかい!

ミカンをもって――

 

「はい、あーん」

 

「のこり半分一気!?」

 

あーんしてくれるのは良いんだが、残った半分まとめて俺に差し出してきたぞ……

 

「何回もやったら手が冷えるでしょ、なによ、あたしがあーんしてあげてるのに食べないのかしら?」

 

「霊夢ちゃんのあーんなら毒でも食うけどさ!」

 

「なら食べなさいよ、手が冷たいんだから早く」

 

「いただきますっと」

 

まあ、俺も男だからこれぐらいなら一気食いはできるけど。

 

「あ、汁飛ばしたら抓るわよ」

 

理不尽な!?

叫びたかったがそうすると汁が飛ぶので食い終わるまではおとなしくしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーぬくぬくねー」

 

今の霊夢ちゃんは俺を座椅子のようにして体重を預けてきている。

少し反ったような斜めの体勢になっているせいで、胸のふくらみが強調されていてなかなかに眼福だ。

 

そっと後ろからもみたい衝動に駆られてしまい、少しづつ手の位置を胸に近づけていく。

そんな動作が気づかれないわけがなく……

 

「ぬおおおっ!?」

 

めっちゃつねられた。

 

「アンタって本当に莫迦ねぇ……」

 

「霊夢ちゃんがエロ可愛いのが悪い」

 

「開き直られても、困るんだけど……」

 

そう言われてもそうとしか言いようがないからな。

 

「だいたい無防備すぎるぞ、今日の霊夢ちゃんは、誘ってるのか?いいぜ、俺はいつでも理性をかなぐり捨てる準備はできている!」

 

「アンタってば……はあ、ま、いいわ。なんていうか、音すら消えるような雪の降る夜は、物寂しくならない?」

 

「それはわかる」

 

雪がしんしん降っているときって、妙に寂しく感じるんだよな。

 

「それでたまたま人肌恋しい気分になってるだけよ」

 

「それで我慢を強いられる俺の身にもなってほしいな」

 

「うーん、さすがに酷か……じゃあ、そうね……抱きしめる位なら……いいわよ」

 

今なんと?

 

「えっ、マジ?」

 

「アンタにくっつかれても嫌ではないし、私も背中あったかくなるしね、言っておくけど揉んだりしたら……片方つぶすわよ」

 

「どこを!?」

 

「え、そりゃあきん――」

 

「女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

 

あと怖いので聞きたくありません!

タマがヒュッってなったわ!

 

「でも霊夢ちゃん、それはそれで俺つらいんだけど」

 

おもに理性的な意味で。

 

「なにもなしと、我慢すればしばらく密着できるのどっちがいいの?」

 

「密着!」

 

「じゃあ我慢することね」

 

「アッハイ」

 

くっそう、いいようにやられてる、だってしょうがないじゃないか霊夢ちゃん可愛いんだもの!(今日何度言ったかわからない)

 

「じゃあどうぞ」

 

「お、おう」

 

やっべ緊張する(いろんな意味で)

左手は腰、右手は……怒られるかな?と思いつつ胸の上に腕が回るようにして抱きすくめてみる。

 

柔らかい。

 

どうも揉んでないのでセーフのようだ。

俺の緊張も解けリラックスする、腕が幸せな感触だ。たまに腕組んでくる早苗ちゃんや小町ちゃんなんかも腕におっぱいの感触をかんじたりはするが、それとは比べ物にならないぐらい腕が幸せである。

 

考えたらさらし巻いてないときの感触初めてかもしれない。

 

俺の緊張が解けたのが伝わったのか、霊夢ちゃんは深く俺にもたれかかってくつろぎ始める。

 

「ん、悪くないわね、アンタは?」

 

「ごめん、いっぱいいっぱい、おっぱいいっぱいでうまく言葉にならん」

 

「……はあ、アンタスケベな割には弱いわよね」

 

「可愛い子のおっぱい触って冷静でいられたら、男として終わってるわ!」

 

むしろ混乱してるおかげでマイサンがスタンダップしないかんじだぜ。

 

「……アンタは今あくびが出るかしら?」

 

「ん、え?いや緊張してそれどころじゃないけど……」

 

「そ、ふぁあああ、私は出るわね」

 

「どういうことだ?」

 

眠いのかな?

 

「いつだったか、誰だったか、言われたことがあるのよ」

 

「何を?」

 

「一緒にいて幸せなあくびが出る人と暮らしなさいって、長い人生、それぐらい気を抜けないと……」

 

「え、あ、う?えっ、ちょっとそれって」

 

「ふぁうううぅ……」

 

「霊夢ちゃん今のってどういう意味!?霊夢ちゃん!?」

 

「zzz……」

 

寝てるよ!?

何だ今の!?

俺はいったいどう解釈すればいいんだ!?

俺が緊張してるから霊夢ちゃんに好き好き言ってるのが嘘くさいってことか!?

それとも霊夢ちゃんは……

 

でも、霊夢ちゃんは博麗の巫女なんだよな……

俺も真剣に考えたことはある、でも結局そこにたどり着くんだよなあ……

 

「ま、いいやまた後で考えよう」

 

身体を俺に預けて、安らかに眠る霊夢ちゃんはいつもの凛々しい顔とちがい、少し子供っぽくてかわいい。

 

「ふぁああああ、霊夢ちゃん見てたら俺も眠くなってきたな」

 

霊夢ちゃんを起こさないよう抱きかかえたまま俺も倒れ込む。

このままでは霊夢ちゃんの体が冷えてしまうので俺のどてらを掛布団代わりに霊夢ちゃんにかけてやる、俺は霊夢ちゃんの肉布団(響きがエロいぜ)であったかいしな。

 

 

「ふあああ、むう、本格的に眠いわ、ぬくやわこいのと接触してるとだめだな」

 

と、欠伸をひとつして、俺も目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 




本当にやまなし、いみなし、オチなしですが。
玉には頭空っぽにしたい時もあるのです、勘弁してください。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくにこういう変則枠は感想でいろいろ言ってくれると大変助かります。


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第六話

西瓜ペシャン公様、おあん様、這いよるにゃんこ様、なさちら様、明石焼きとタコ焼の仁義なき抗争様、ポポポポン ID:3bEW1JAI様、ベルク@チョモランマ様きりたちのぼる様、ま未来への咆哮様。感想どうもありがとうございます。

誤字脱字報告者のすかたず様、SERIO様、クオーレっと様、kaixx様、すかたず様、タツタ様ありがとうございます。

評価くださった方、特に一言迄頂いた方、本当にありがとうございます。

今回はぬくぬくで浄化されたのでエロス成分は薄めです(どちらにせよ帰るだけですので)

次回以降をお待ちください。


――目が覚めた、だがここで起き上がってはいけない、棺桶にしこたま頭をぶつけて悶絶することになるからだ(過去に二度経験がある)

 

レミリアさんのほうをみると、ぎゅっと腕にしがみついてすやすやと寝ている。

こういうところはやっぱり姉妹だなあと思う。

 

「レミリアさん、起きてください、朝ですよ」

 

吸血鬼に朝ですよと言って起こすのは違和感がすごいが、レミリアさんは昼夜逆転(つまり「普通の人間と同じ)してるからな。

 

「んぅ……おはようのキスしてくれたら起きるわ……」

 

いつものことながら毎回これを言われる。

もちろん断って揺さぶって起こしていたのだが……

 

ちゅっ

 

「おはようございます、起きたか?」

 

「お前……ふふ、いいものね、男に起こされるのも。いい感じに前向きになったのかしら?」

 

「開き直っただけかもだけどな、ま、俺なりに頑張ってみようかなと」

 

「少しあの子に嫉妬するわね」

 

「いや、少なくともレミリアさんが俺をこうしたんだよ。俺は感謝してる。だから嫉妬よりも誇ってほしいかな?」

 

そういうとレミリアさんは腕を強めに掴んで睨むように言った。

 

「お前、すこし抑えなさい。私だって我慢の限界があるのよ?」

 

「えっ!?怒るポイントあった?」

 

「そうじゃなくて……ふ、そういうところはまだ駄目ね」

 

「なんかいきなりだめだしされた!?」

 

まったく、これだからお前は……とかぶつぶつ言いながらも腕にしっかりしがみついているレミリアさんは可愛いな。

少女の魅力と大人の魅力が合わさり最強に見える。

 

「よい……しょっと」

 

内側からでも開けられるようにした棺桶ベッド三号を押し開け、外に出る。朝日を浴びたいところだが、レミリアさんに合わせて、この寝室には窓がないんだよな。

 

レミリアさんの方をちらと見る、棺桶の中で少し崩した正座をして「んーっ!」と、伸びをしている。

完全に透けたネグリジェ越しに見える肌と、正座していることにより食い込んだローレグのショーツ(透けた赤!)が伸びの動作でツンとした突起に押し上げられるネグリジェと合わさってエロ可愛い。

 

「モーニンスタンダップと合わせてかなり刺激強いんで、エロ可愛いのはやめてくれなさい」

 

ただでさえギンギン(多分昨日の食事が今頃効いてきたのだろう、痛い)なのにこれ以上俺の息子をいじめないでほしい。

 

「あら?手を出してもいいわよ。私のものになるならだけど」

 

「我慢する」

 

「そ、ざぁんねん」

 

からかうように言うレミリアさんを、先に出た俺が引っ張り上げるようにして棺桶の外に出す、出されたときに飛びつくようにして俺の股間に頬ずりしていったのは絶対わざとだろう、ちょっと気持ちよかった。

 

頬ズリだったらやばかったな。うん、頭がピンクだ、やばいな。

 

「なにかいつにもまして変な顔してるけど、ゆっくりでいいのよ、考えるのは」

 

「変とは失礼な!でも、まあ、わかった」

 

レミリアさんの心使いはありがたくもあり、見透かされているようで恥ずかしくもある。

でも、一皮むけた気はするな。

ムケては元からいたがな!(霊夢ちゃんが皮被ってるとおしっこの時飛沫飛ぶのよねと、ぼそっと言ったので必死でムいた。ビガーパンツなるものが無縁塚にあったので使ってみたら無事ムケた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつでも来なさい、紅魔館の門はあなたを拒まないわ」

 

「そもそも門番が機能してない気もするけどな……」

 

「また遊びに来てね、お兄様!」

 

「おーう、フランもいつでも来いよ」

 

「うん!」

 

「それではこちらをお収めください」

 

「ありがとな咲夜ちゃん」

 

フランの能力を引き取った後、スカーレット姉妹(と咲夜ちゃん、いつの間にか控えてた)に見送られて紅魔館を後にする。

当たり前のように美鈴ちゃんがいないんだが……

 

レミリアさんの本気がわかったので別にお金などはいらないと言ったが「それはそれ、これはこれ」と、ちゃんと支払われた。

その金額10万円。

妙齢の女性が体を売ってもなかなか手に入らない金額だと思う。

 

ちなみに幻想郷の貨幣だが、外来人が困るだろうというので定期的に慧音ちゃんが入れ替えることにしたらしい。

貨幣の歴史を改変すると持っているお金まで自動的に時代に合った金額に変化するとのこと。便利な能力だな。

ちょっと前までは一円札があったというから驚きだ。

 

まあ、ちょっと前が何年前かは分からないけども。

妹紅さんの少し前が普通に戦国時代だったりしたからな、少し前に京都の伏見のあたりで桔梗の花の兜をかぶった人間を仕留めたことがあるとか言ってた。

 

 

 

 

 

 

 

……それ明智光秀じゃね?(戦慄)

 

 

 

 

 

 

 

……歴史の闇は置いておいて、幻想郷では人間以外の時間の感覚を推し量るのは無意味だってことだな。

まあ、人間でも咲夜ちゃんは特殊だと思うけどな。

俺もそうなるのか、人間として死ぬのか.

いまはまだわからねえけど、精一杯生きないとな。

 

紅魔館からある程度離れて、対空魔術の範囲外に来たので俺は飛び上がった。

さて、どうしようかな?

 

昨日行けなかったチルノのところに行ってかまい倒すのもいいんだが、手ぶらだとおやつちらつかせて弄ることができないから面白さが半減するんだよな(外道)

 

リグルを弄るのもありだな、徹底的に男扱いして(風呂に誘ったり、ツレションさそったり、好きなおっぱいの形について語ったり)やると、すごい女の子っぽい言葉としぐさで反抗しようとする。

もうすこしでちゃん呼びしてもいいぐらい可愛い。(非道)

 

大妖精は不幸キャラが染みついているのか、めっちゃ甘やかしてやると、こんなに幸せでよいのかとだんだん挙動不審になっていくのが、また可愛い。(ゲス)

 

……うん、俺ちょっと妖精弄りすぎだな!

でも、まあ、名もなき妖精も含めてそれなりに懐かれてるはず。

 

俺のひそかな自慢として妖精を休ませたことがないのがある。

もちろん、チルノが自爆したりした場合は別だが、自分で弾幕などで処したことはいまだ一人もない。

あと匹で数えない。

 

異変中にあまりにもたかられるときは、スペルカード「だだ甘の蜂蜜菓子」(行動阻害スペルカード、蜂蜜に浸かったかの如く、動きと弾幕を超スローにして阻害する。中心部に近づくほどほど遅くなる。おまけで妖精の好きそうな匂いを中心部から出す。霊夢ちゃん曰く妖精ホイホイ)を切って対処する

 

リリーホワイトは季節でテンションが変わるが基本的には妖精の中ではいい子。

ドロワーズをはいていたのにがっかりしていると、次の時にはパンツをはいてきてくれたりする。

名前のとおり、純白のパンツだった。ただし布面積は多めで色気はない。

時々黒い服を着ているが、その時は黒いのだろうか、今度確かめなくてはなるまい(使命感)

 

 

三月精もそれなりに(こいつらは完全に餌付けした感じだが)懐いてくれているし、ルーミア(妖怪らしいが俺の中では妖精と同じ枠である)に至ってはもはや兄か父のような感覚である。

 

エタニティラルバも幽香さんのところに頻繁に行く関係上仲がいい。

ラルバは妖精の割には頭がよく、下ネタも面白い切り返しをしてきたりする。

ただ、幽香さんと二人きりになるとほぼどっかから覗いている、エロに興味津々なのだろうか……?

 

クラウンピースだけいまだに距離感がつかみかねている。

自分のペースに巻き込むのがうまいというか、つかみどころがないというか、なかなか手ごわい。

懐いてはくれていると思うけど、他の妖精より幾分ドライだ。

 

……冷静に考えるとたまに霊夢ちゃんが半眼(ジト目)で「アンタ幼女趣味(ロリコン)じゃないでしょうね」とかいう気もわかるな。

まあ、構うのをやめる気はさらさらないがな!

 

 

 

 

チルノの巣(あの乱雑さは巣である)を遠くに見ながら人里()に向かうか魔法の森に向かうか考える……

 

だが、俺の足は(飛んでいるけど)香霖堂に向いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のすけー!きたぞー!」

 

「つなか、相変わらず急だね」

 

香霖堂の戸を開けて大声で呼ぶと、奥から本を片手にこの店の主たる霖之助が現れた。

素材は良いのに髪は大抵ワイルドな感じになっている。

まあ、それでも普通にイケメンというなかなかに憎らしい男だ。

 

幻想郷で数少ない俺の名を呼ぶ(というか、あだ名でだが)人物でもある。

俺は俺でのすけと呼ぶ。

幻想郷に来た時に俺を見つけた人物でもあり、霖之助の微妙な距離感は心地よく、なかなかに楽しい。

多分男では一番気を許している相手だ

 

……文がカメラワークを駆使して、俺たち二人を耽美な写真に仕上げて記事を書いたときは、ガチで拘束して文が二度としない&謝罪記事を各家庭に配ると泣いて許しを請うまで、妖魔本から召喚した。エロゲニールスライム(学名)にくすぐらせまくったからな。

最後ビクンビクンしてた気もするがそれぐらいの罪は犯したと思う。

 

本当は俺がダイレクトに悪戯したかったのだが、最初の捕らえるのがが幽香さん(ツタで縛り上げた)だったため、俺自体は報酬として幽香さんの抱き枕にされていたからな、まあ幽香さんは幽香さんで可愛かったからいいんだが。

……耳元で囁くように「私を嬲ってみたいですか?」とか聞いてくるのはやめてほしかった、エロいんですよ!

 

「まあな、紅魔館によった帰りだよ。特に目的もなかったから来てみた」

 

「もともと香霖堂はそういう場所だよ、魔理沙や霊夢だって用がないのに来ているからね。もっとも霊夢は君を引き取ってからめっきり来なくなったけどね」

 

「魔理沙はまだ来るのか、もう結婚しちまえよ」

 

「好かれてるとはおもうけど、そういう好かれ方ではないと思うけどね。おじさんに懐く姪っ子みたいな感じじゃないかな」

 

「ヤっちまえば何とかなりそうな気もするが」

 

ああみえて魔理沙は心は乙女(ただし、行動はがさつ)だし、チョロイとおもうんだよな。

多分、それなりに友好度の高い奴が真正面から口説いたら誰でもOK貰えそうな気がするぞ。

 

「今日のつなはいきなりきわどい話題来るね、何かあったかい?」

 

「ん、まあ、自分の立ち位置を見失いかけてる感じかな?」

 

「つなは馬鹿に見えて考えすぎなところがあるからね、結婚話を振るってことは、ついに霊夢と結婚するのかい?」

 

片眉をあげてから眼鏡を直すしぐさをして、俺に笑いかけてくる。

霖之助の事だからそうじゃないのがわかっていて、話しやすいように振ってくれてるんだろうな。

 

「できれば苦労しないなー、俺、最初霊夢ちゃん嫌いだったんだよ。でも見た目は可愛いから、ぶっちゃけエロいことできたらいいなってぐらいしか思ってなかった。でもなんか、こう、変なんだよ」

 

「よく知ってるよ、つなはいつでも愚痴ってたじゃないか」

 

「最初はこの店にも世話になったよなあ……あらためてありがとうな、のすけ」

 

「僕の方こそ蔵がほとんど片付いたからね、ありがたかったさ。まあ思った以上に役に立たないものが多かったけどもね」

 

「役に立つものを自分のものにして役に立たないものだけ商品にするからガラクタばっかり残ってるんだよ。せめて捨てろよ」

 

「もったいない。せっかく拾ってきたものだし、いつか直せるようになるかもしれないじゃないか」

 

「んなこと言ってるから塵塚怪王なんかうまれたんじゃねーかよ!小傘ちゃんたちがみんな巻き込まれて大変なことになってたろーが!」

 

塵塚懐王はゴミ(使えるのに使わない、あるいは壊れた道具という説も)の付喪神だ。周囲のゴミを纏ってどんどん強化されていく……うん、小傘ちゃんたち一部の付喪神がゴミ扱いされて合体してしまったんだ。もちろん異変だわな。

 

こころちゃんだけが免れて俺と霊夢ちゃんと事件を取材に来た文と異変解決にのりだしたんだ。

異変は無事解決したんだが、しばらく「私はゴミなんです……」とか小傘ちゃんたちの目が死んでた。

 

「ああ、そんなこともあったね」

 

「こいつ、流しやがった……!」

 

「まあ、話を戻すけど、結局つながどうしたいかだと思うんだよ」

 

「そうなんだよなあ。正直言うと俺が誰を好きなのか、自分でもわからねえ。霊夢ちゃんは好きだけどこれって家族愛じゃ?とかねーちゃんに性欲感じてる弟なんじゃとか、おもうこともあるんだよな」

 

「ほう?どうしてそう思うんだい?」

 

「吹っ切れねーんだわ、たぶんヤろうとおもったらヤれそうな気はする。まあ、そのあとめっちゃ怒られるか、追い出されるかもしれねえし、逆にそのまま恋人になるかもしれない。でもよ、ヤる気にはならねーんだわ。霊夢ちゃんでヌくことは普通にできるし、おっぱいだって触りたいと思うんだけどな。なんでだろうな?」

 

「ふうむ、僕自体、そういうことに疎いから「こうだ」という答えは出せないけど……霊夢はああ見えても責任感は強い、それこそ君が知っているよりもっとだ。君はそれを感じとっているのかもしれないな」

 

「のすけ、はっきり言ってくれ、この件に関しちゃ俺は頭が回らねえんだ」

 

「霊夢は博麗の巫女として生きている。巫女に求められるのは神聖さ。平たく言うと処女性だね。これは概念的なものだけど、性行為によって物理的に失わせることもできる」

 

「もっと簡単に」

 

「まったく、つなは普段は賢いのにな。要約すると「処女じゃなくなったら、霊力がなくなるかもしれない」もっと平たく言えば「ヤったら博麗の巫女じゃなくなるかも」だね」

 

「……霊夢ちゃんがたまに「私は博麗の巫女だから」とかいうんだよな。遠回しな拒絶だろうな……」

 

薄々は感じていたしレミリアさんも示唆していたが、霖之助にぶっちゃけてもらって再確認した。

いや、ヤれないからって霊夢ちゃんの魅力はみじんも落ちないけどな。

 

「なあのすけ。博麗の巫女って一人しかいないのか?」

 

「うーん、正確性に欠ける答えしか出せないな。僕もそこまで年配ではないし」

 

「焦らすな」

 

「基本的にはお役目ができなくなったら、次代を育てる感じになってたはずだよ、ただ……」

 

「ただ?」

 

「先代の博麗の巫女は蒸発してしまったんだ、だから八雲紫がどこからか霊夢を連れてきて、当代に据えたんだ」

 

「蒸発ねえ」

 

幻想郷にいる限り萃香さんと紫さんのタッグからは逃れられないと思う。

紫さんが知ってて隠匿しているか、それとも、現世に戻った可能性もある。

つまり、何らかの方法で、霊夢ちゃんを連れて現世に戻るのも一つの方法ではあるのか?

 

「君にそれができるのかい?」

 

霖之助が俺の考えを見透かしたように声をかけてくる。

 

「できるさ、きっと」

 

確かに難しいだろうけど、不可能ではないと俺は思う。

 

「ちがうよ、つな」

 

「ん?」

 

「幻想郷を捨てられるのかい?君を愛してくれた、君を受け入れてくれた、この幻想郷を」

 

俺はただ沈黙することしかできなかった。

何を言っても嘘になりそうで。

それはきっと幻想郷を裏切る行為だから。

 

「厳しいこと言ったけどね、僕もつながいなくなるのは寂しいからね?僕だって君の事は好きだよ」

 

「おいよせ、文が聞いてたらどうする」

 

俺の脳裏に「事実なら構いませんよね!」とか満面の笑みでサムズアップしてる文の姿がよぎったぞ。

 

「僕は気にしないけど?」

 

「俺が気にするわぁ!」

 

捏造記事ですら結構各所から反響があったっていうのに事実みたいに黙認するなよ。

前回同様命蓮寺で教育されちまうだろうが!

でも寺って同性愛者が多かったんだよな、歴史上は……つまり白蓮ちゃん筆頭に百合の花園なのでは!

いいな!

 

ふう、落ち着いた。

 

「なんかすごい勢いで百面相してたけど、立ち直ったようで何よりだよ。まあ、本気で博麗の巫女を調べたければ稗田家の史料を当たってみれば何かわかるかもしれない。一番手っ取り早いのは八雲紫から話を聞くことだろうが……」

 

「まあ、答えねえだろうな」

 

紫さんはそう言うことは答えるわけがねえな。いつものうさんくさい笑みでごまかされて終わりだ。

阿求ちゃんのところに今度行くことにするか。

 

「それにしても……いままでつなはこういう問題をあとまわしというか、なあなあにしてきたはずだが……何があった?」

 

「のすけは鋭いな。ちょっとレミリアさんにガチ目に諭された。あと愛の告白もついでに」

 

「お嬢様からしたら、愛の告白がメインなんじゃないかな?」

 

「その辺は薄々感じてたからな、まあでもちゃんと考えるようにするって答えは出したよ」

 

「なるほど。今日ここに来たのもその一環ってわけかい?」

 

「おう、やっぱりのすけと話するとまとめやすいな」

 

「まったく、たまには何もない時でも顔を出してくれよ」

 

「あたりまえだ、その、何だ……ほら、俺とのすけは……友達だろ?」

 

「違うね」

 

「えっ!?」

 

えっ!?

ちょっと霖之助!?

友達と思ってたの俺だけか!?

はっずいわ!!

 

「親友だろ?」

 

「……わざとだろ、のすけ」

 

「さて、何のことだか」

 

眼鏡をくいっとしながらとぼける霖之助。

このやろう、眼鏡に指紋つけるぞ!(なお霖之助のガチギレポイント)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと男の友情(ガチファイト)確かめながら(しながら)(妖怪パワーなのか霖之助は意外にフィジカルは強い、弾幕打たせるヒマ与えなければ魔理沙ぐらいなら一方的に倒せるんじゃないかな、まあ俺も鍛えられてるから互角だが)疲れたら、店先でとりとめのない話をしてしばらく時間をつぶしてから香霖堂を後にした。

コーラを集めておいてくれたのは良いんだが、最初期のやばいコーラは霖之助が飲めって言ってあるのに、取っておかないでくれ。

 

まあ、飲みすぎれば霖之助もキマるかもしれんが、俺が被害を受けなければどうでもいい(畜生ムーブ)

 

 

 

 

 

 

 

人里()で食材やお茶を買って、博麗神社に戻る。

賽銭(稼ぎの半分)を入れてから住居に戻ると霊夢ちゃんが出迎えてくれた。

 

「ん、戻ってきたのね」

 

「ただいま、お土産あるよー」

 

「おかえり」

 

お昼ちょっと前ぐらいに帰ると、いつも通りお茶を飲んでいる霊夢ちゃん。

日常の風景だけど、なぜか今はとてもいいものに思えてしまう。

 

「霊夢ちゃんそこは「おかえりなさい、ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」でしょう?」

 

そう言われたらもちろん霊夢ちゃん一択だが。

 

「おかえりなさい、霊符にする?夢符にする?それとも無想天生?」

 

「やめてくださいしんでしまいます」

 

「なら馬鹿なこと言わないことね。ま、無事に帰ってきて何よりだわ」

 

このやり取り、一日しかたってないのになんか懐かしくてほっとするわー

 

「さすがに毎回何か事件起こさないって」

 

「アンタ10回行ったら3回ぐらい問題持って帰ってきてるからね?」

 

まさかの三割打者!?自分じゃあんまり自覚ないけどそんなだっけ…………そんなだったわ!

自分でも驚きだわ。

 

「でもまあ、幻想郷中の女の子は一通り絡んだはずだから大丈夫!」

 

「昔もそう言って月にいったわよね」

 

「紫さんが悪い」

 

即紫さんを売ってみる。

 

「アンタに隙が多すぎるのよ、まったく」

 

っと、隙か。好きに聞こえて焦ったわ。

だいぶん脳みそが汚染されてるな。

 

「霊夢ちゃん大好き!」

 

「アンタそれ言っておけばいいとか思ってないでしょうね?唐突すぎるわよ」

 

「一日ぶりにあったからつい……」

 

いや、何か言わないとと思ったら、ガチで無意識に出たわ。

俺、霊夢ちゃんいなくなったら病むんじゃね?

 

「ご飯は?」

 

「のすけのところで煎餅汁食った」

 

煎餅は現代だとおやつだけど、幻想郷だと普通に保存食としても使う。元は米だもんな、堅パンみたいなかんじだな。

 

「まだ食べる?軽いものなら作るわよ」

 

「いいの?」

 

基本的に博麗神社は朝晩二食である。まあなんだかんだいって間食は結構するんだけど。

 

「たいした手間でもないし、本当に簡単なものよ」

 

「じゃあお願い」

 

「ん、ちょっと待ってなさい」

 

割烹着を装着して炊事場に向かう霊夢ちゃん。

割烹着の霊夢ちゃん可愛い。

 

保温炊飯器なんかないから、残りご飯でおじやかなんかかな?

出汁のいい匂いが……

 

なんか幸せだな。美少女の手作りご飯だぜ(普段から食ってるけど、俺の分だけ作ってくれるというのは、こう、何かくるものがある)

 

ほけーっと戸口からたまにちらちら見える霊夢ちゃんの尻を眺めているとあることを思い出した。

 

「そういえば霊夢ちゃーん?」

 

「ん?なによ」

 

「一人せせりって――」

 

 

 

「してないわよ」(威圧)

 

 

「いや、だから一人せ――」

 

 

「アンタがいなくて一人になったからってしてないわよ!」

 

 

「いや、そうじゃないんだが……」

 

「それ以上言うとおじやぶっかけるわよ」

 

「それ戦国時代の防御!」

 

攻城戦で守り手は、煮えたおかゆぶっかけたりしたらしい、へばりついていつまでも熱いからかなり効いたそうだ。

 

しかしレミリアさんに聞けって言われただけなのに理不尽な……

いったい一人せせりって何なんだ。

 

「わかった、これ以上聞かない」

 

「そ、賢明ね」

 

釈然としないものを感じながら霊夢ちゃんの作ってくれたおじやを食べる。

うん、いつもの霊夢ちゃんの作る味だ。

 

すこし薄味で代わりに薬味が多めに乗っている。

俺が作るとちょっとしょっぱめだ、しょうゆをこよなく愛している俺は何にでも醤油入れるからな。

ただ、薄味と言ってもちゃんと美味しい。霊夢ちゃんが作ってくれたということを差し引いても普通においしいと思う味だな。

 

「うん、うまい」

 

「そ、ありがと」

 

はふはふしながら食っていると霊夢ちゃんが、俺から匙を奪った。

 

「アンタ美味しそうに食べすぎ、一口貰うわよ」

 

と、何のためらいもなく俺の匙で一口ぱくりと食べる霊夢ちゃん。「うん、我ながらいい出来ね」とにっこりとほほ笑んで匙を俺に返してくれた。

俺は返された匙でおじやを食べすすめながら考える。

どういったらいいんだろうな、現状完全に家族じゃん。

 

でも、兄妹も(もしかしたら霊夢ちゃんが姉かもしれないが)夫婦も家族だ。

はたして今はどっちなのだろうか、これからどっちになるのだろうか。

そう考えながら俺はおじやを平らげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリアさんところで我慢したから今晩はパンツ借りなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
アンケートを見る限り8000文字前後のままで行こうと思います。

総合評価5000を目指しております。ぜひご協力ください。
超えたら何かします。

リングの曲がずっとくーるーきっとくるーだと思ってた。
この間歌詞を見る機会があって気づいた。



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魔理沙ちゃんが酷かった話

肉Q ID:oE9poaJc様、空殻 ID:80ZDnF0o様、カワックス様、はにワ様、なさちら様、GameMaster様。感想どうもありがとうございます。

誤字脱字報告者のすかたず様、ユウれい様、クオーレっと様、monkey様。
ありがとうございます。

評価くださった方、特に一言、10点頂いた方、本当にありがとうございます。


だいぶエロくなってきたころの主人公。
ただし、まだ自分からアクティブにはいかないぐらいです。

どのくらい人間に近くするかは悩みました、原作や商業関係だけを拾っていっても時間とともにだんだん人間臭くなっていっているようなので、それより後の年代と言うことで結構人間臭いです。成長してるんだなあと思いちょっと楽しかったです。
こういうものだと思って読んでいただければ幸いです


「お代わりはいるかしら?」

 

「じゃあ、もう一杯貰おうかな」

 

お代わりを勧められて、俺はお茶をもう一杯貰うことにした。

 

「ホレ、キャクジン。カップヲヨコセ」

 

「おう、ありがとな」

 

「ナニ、コレガシャンハイノシゴトダ」

 

どうも、俺です。

現在俺はアリス=マーガトロイドとか言う名前の魔法使いの家で、身体に布を巻きつけた状態で茶を飲んでる。

なぜこんな状況になっているかというと、霊夢ちゃんから飛ぶ力を借りて幻想郷を見て回っていたら魔理沙ちゃんが超高速でカッ飛んでたんで「おー、魔理沙ちゃんどうしたー?」と声を掛けたら。

 

 

 

 

掴まれて後ろに向かって思いっきり投げられた(憤怒)

 

 

 

 

しかも「足止めよろしくなー」とか言って飛び去って行くので何事かと思ったら、魔理沙ちゃんを追いかけてきたらしいこのアリス=マーガトロイドという魔法使いの少女と激突、(魔理沙ちゃんは俺をうまい位置に投げやがった)空中でもつれ合いながら落下する事態に陥ったわけだ。

 

一瞬死を覚悟したが、何とか気合いで持ち直した。

……までは良かったんだが、俺が上昇したときに思いっきりスカートの中に顔を突っ込んだらしく、眼前に真っ赤なハイレグのパンツ、(各所にレースが使われておりエロさよりも普通に美しいと思った。ただし角度は結構えぐい、腰骨のあたりまであるブーメランみたいなやつだ)が匂いをかげそうなぐらいの近距離で(実際、いいにおいがした。女性の匂いを濃くして煮詰めたようなにおいで、結構くらくらした)鑑賞することになった。

 

当然ながらアリス……ちゃん?は激怒して俺を近くの池に叩き落として……そのあと少し頭が冷えたのか俺を救出してくれた。

 

お代わりをもらい、礼を言う。

 

「ありがとな、えっと上海ちゃん?」

 

「ナニ、イイッテコトヨ、ソレニシテモチャンハテレルゼ」

 

喋り方が少し変だが、この上海って子も可愛いな。

妖精サイズだが、メイド服を着ており、メイドみたいなことをしているみたいだ。

 

「そう言えば紹介してなかったわね、この子は上海。私の作った人形であり、使い魔ね。上海人形型の一体で魂が芽生えかけた希少体よ、昔は与えられた命令にしか反応しなかったのだけど、今は多少なり自分で考えて動けるみたいだわ」

 

「魂が芽生えかけた……この人形100年ぐらい使ってるのかな?」

 

俗にいう付喪神ってやつなのだろうか?

 

「いえ、そんなには経っていないけれど」

 

「うーん、付喪神かなって思ったんだけど違ったか、いやまてよ、九十九(つくも)って文字通り九十九(きゅうじゅうきゅう)の意味じゃなくて長い年月って意味だったはずだから、うん、あり得るのか」

 

「何か知っているのかしら?」

 

アリス……ちゃんでいいや、年齢不詳だけど可愛いし!

むしろいい加減魔理沙ちゃんは魔理沙でいいような気もしてきたんだよな。

 

「いや、付喪神みたいに魂が宿ったんじゃないかなって」

 

「ああ、100年って、そういう……でも残念だけど――」

 

「いや、九十九(つくも)には「長い年月」って意味がある。10年や20年でも長いと言えば長いだろうし。思いの強さが関係しているならもしくは……ってところかな」

 

ピグマリオやピノキオだってある意味似たようなもんだろうし、世界各地にそう言う伝承がある以上九十九(つくも)っていうのは日本での言葉にしかすぎねえからな。

 

「面白い仮説ね、魔法の心得でも?」

 

「いや、だけどここに来てから不思議体験はいっぱいしているし、付喪神の知り合いもいるしな、そういうことがあってもいいと思ったんだよ」

 

「ん?あなた外来人?ああ、霊夢のところにひとり来たって聞いたのだけど……あなたが?」

 

「おう、俺だわ。で、思いが強いほどそういうことが起きやすいのかもっておもったんだ。アリスちゃんはきっととてもその上海ちゃんを大切にしていたんだと思うし、上海ちゃんはアリスちゃんをとても好きだったんだと思うんだ」

 

「バッ、バカジャネーノ。シャンハイハ――」

 

「そう、そうだったら嬉しいわね、ね、上海」

 

「シャ、シャンハーイ」

 

うん、この主従はいいな。みててほっこりする。二人とも可愛いしな。

 

「そういえばなんで魔理沙ちゃん追いかけていたの?」

 

「あら、あなたは知らないのかしら?」

 

「え、何を?」

 

「あの子、盗癖があるのよ」

 

「……え?」

 

なん……だと……?

 

「本人は「永久に借りておくだけ」とかいっているけど、まあ盗みよね」

 

アカン、アカンて魔理沙ちゃん。

しかも盗癖とまで言われるってことは一回や二回じゃなくて常習だろ!?

なにやってくれちゃってんの?(別に俺が保護者ではないが)

 

「つかぬことをお聞きしますが、何を……」

 

下着とかなら俺が取り返してきてもいいぞ!

 

「ナイトシェードとテオナナカトル……魔法薬の原料ね、それなりに高級品よ」

 

「おいくら万円で?」

 

「処理したものだから、そうね……20万ぐらいかしらね」

 

アカンやつ!

普通に犯罪だわ!いや金額の多寡は問題じゃないけどさ!

 

「あー……こんど捕まえておこうか?」

 

「折檻したところで懲りないし、現物はたぶんすぐ使われてしまうだろうから取り返すのは無理ね、必要な材料採取する感覚で盗みに来るから」

 

本当に何してんだ魔理沙ちゃんは!?

 

「なんかすまん、俺のせいでとり逃してしまったみたいだな」

 

「別にいいわ、逃げ足だけは早いんだからあの子。それに、おかげで新しくこんな素敵なお友達ができたのだからね、上海もうれしいでしょう?」

 

「ベッ、ベツニシャンハイハ、ウレシクナンカナインダカラネッ」

 

アリスちゃんめっちゃいい子だ……あと上海ちゃんはなんでツンデレ風なの?

可愛いからいいけど!

 

しかしどのくらい心があるんだろうな?

ちょっと気になった俺は上海ちゃんに話しかけてみた。

 

「上海ちゃんは可愛いよねー。なんでそんなに可愛いの?」

 

「バッバカジャネーノ!シャンハイハニンギョウダゾ、クドイテルンジャネーヨ!」

 

ふむ、下手な妖精より賢そう、というか完璧な付喪神である小傘ちゃんより賢そうなんだが(流れ弾)

 

「いや、人形は普通可愛いものだろ。つまり上海ちゃんは可愛い」

 

「オマッ……オマエホントノバカダナ!ゴシュジンノホウガカワイイダロ!」

 

「しゃ、上海?」

 

「もちろんアリスちゃんも可愛いぞ。可愛いうえに裁縫も上手、部屋のセンスもいい」

 

「あ、あなたもなにを言っているの!?」

 

「それに、パンツはセクシーだったし、太ももから腰のラインは綺麗だった、あといい匂いが――ぶべらっ!?」

 

「忘れてください!」

 

「ゴシュジン、シャンハイハナゲルモンジャネーゾ」

 

照れたアリスちゃんに上海ちゃんを投げつけられた。

上海ちゃんも同じパンツ履いてるのな、サイズ違うのにわざわざ同じの履かせるってデザインが気に入っているのか、さりげないペアルックなのか……はっ!

 

「上海ちゃんってブラジャー着けてる?」

 

「オマエ、ナンカウチドコロワルカッタカ?ダイジョウブカ?」

 

上海ちゃんが心配そうに俺をうかがう。

うん、表情もちゃんとあるよな。普通に可愛い美少女にしか見えない。

だがそれよりも――

 

「いいから、つけてるのか?」

 

「ア、アア。シャンハイハペチャンコダケドチャントツケテル」

 

「見せてくれ!たぶんアリスちゃんも同じのつけて――二回目っ!?」

 

「ホウラーイ」

 

なんか上海ちゃんと似たような人形を投げつけられた。ただこっちはあまり生気がなく投げつけられた後立ち上がったりもしなかった。

やっぱり上海ちゃんだけが特別製なんだな。

 

「あなたって結構破廉恥なんですね……身の危険を感じたので追い出していいですか?」

 

「ごめん、二人が可愛かったからちょっと暴走した」

 

流石にほぼ裸で叩きだされるのは勘弁願いたい。

 

「次はないですよ?」

 

「おう、悪かった」

 

「ホント、バカダナ」

 

ついにじゃねーのじゃなくなっていいきられたよ!?

 

「そういや、この子は?鳴き声?からして多分蓬莱人形ってとこなんだろうけど」

 

「ホウラーイ」

 

「そうよ、この子もほんの少しだけ、自立稼働の気配はあるかんじだけど、心が芽生えるのはまだ先のようね。蓬莱、元の位置に戻りなさい」

 

「ホウラーイ」

 

「いちおう指示すれば動くんだな」

 

「それが人形遣いの私の力でもあるからね」

 

手持ち無沙汰になった俺は上海を撫でてみた。

サラサラの髪で、まるで作り物の感じがしない……っていうかぬくやわこいんだが。

あ、小傘ちゃんもぬくやわこいしそれは付喪神の特性なのかな?

 

「オ、オオ、キャクジンハナデルノガウマイナ」

 

「子猫とか子犬とかもふり倒すからな、いつのまにかうまくなった感じだな」

 

ちなみにあうんももふり倒したことがある、嬉ションするまでもふったらそれからもふらせてもらえなくなった。解せぬ。

 

「触覚もちゃんとあるんだな?もう一個の生命だな、上海ちゃんは」

 

「ミカクハマダナイガナ」

 

「……そもそも食えるの?」

 

「クエルゾ、ダサナイケド……ドコニキエテイルノカワカラナイ、ゴシュジンモフメイダトイッテタ」

 

「ちょっとしたホラーだな!?」

 

死体食わせたら完全犯罪成立しそうだな。いや、そもそも人形に暗殺させれば立証できないからそれでもいいんだろうけど。

 

上海と無駄話していると、アリスちゃんが作業を終えて俺に声をかけてきた。

 

「できたわ、着てみてくれる?」

 

アリスちゃんはさっきから何をしていたかというと、俺の服を縫ってた。

ちなみにほつれたから繕いなおすとかいうんじゃなくて、一から生地裁断して作ってた。

池に落ちてでろでろになってたので(魔法の森の池は汚い)作ったほうが早いと判断したようだ、俺は洗ったほうが早い気もしたんだが、生地縫い始めてからのスピードに沈黙せざるを得なかった。

会話に参加しながらこのスピードとかすげえな。

 

渡された服は、下はだぶついたズボンタイプで、すそと腰で紐を締めて履くタイプだ。

上着は布を二つ折りにして首の通るところに穴をあけてあり左右は組みひもで止める感じになっている。

両方とも簡単に作れるフリーサイズの服でありながら手抜き感がなく柄の付いた生地のチョイスや、クロスされて止める組みひもや、だぶついた感じががおしゃれだ。

 

横が普通に見えるんだが、まあ男だしこの程度問題ない。太っていたら見苦しいだろうが幻想郷に来てから少し経った今では健康的な食事と肉体労働でじぶんでも「おお」とか言ってポージングしたくなる程度には引き締まっている。

俺も脇見せデビューだな!需要あるかわからんけど!

 

とりあえず下半身が心もとないので(間に合わせのおむつっぽいの履いてる)まずはズボンからだな。

だぶついてるので足を突っ込みにくいな。

あと、アリスちゃんが出来が気になるのか近くにいるのでさすがの俺も恥ずかしい。

 

何とか足を通してアリスちゃんに紐を結んでもらっていると――

 

 

 

 

「アリス、魔理沙が来なかっ――邪魔したわね」

 

「ちょ!ちょっとパチュリー!あなた何か誤解してるわよ!」

 

全体的に紫の寝間着?を着た少し大人びた……少女?女性?が、扉を開けて入ってきたが今の俺たちの状況(俺上半身裸、アリスちゃん、俺のズボンの紐に手をかけている)を見て即座に帰ろうとした。

 

「睦言を始めるのではなくて?……ああ、終わったのかしら」

 

「始めるつもりも終わった後でもありません!あなたも何か言ってあげて」

 

「アリスちゃんのパンツはすごい角度の赤のハイレグでした」

 

「つまり、事後ね」

 

「オマエ、コノジョウキョウデスゴイナ!?」

 

「あなたはああああああああっ!」

 

少しキレた感じの絶叫とともにどこからともなく大量の上海人形が現れて俺をボコり始め――まて、刃物はよせ!

 

「上海ちゃーん、これ止めてーっ!」

 

「チッ、ショウガネーナ。オイ、ゴシュジン。サスガニ、チガデルトソウジガメンドウダ、オチツイテクレ」

 

上海ちゃんが手をひらひらさせると量産型の動きが止まる。

やっぱり上海ちゃんが統括してるらしいな、読みが当たったぜ。

だが、止める理由が酷くね?

 

「あー、さすがにやばかった。ボケるのは時と場合を選ぶようにしないとな」

 

アリスちゃんは初対面だからちょっとまだ踏み込むラインが見極めれないな、反省しよう。

たぶん機会があればまたボケるとは思うけどな!(反省の念が見えない)

 

息を整えているアリスちゃんにごめんねをしていると

 

「そもそも、あなたは誰?」

 

と紫の薔薇の人。

 

「おう、この前から博麗神社で世話になっている外来人?ってやつだ」

 

「博麗神社の外来人……?あなた、フランにお菓子をあげなかったかしら?」

 

「ん、フランの関係者か?」

 

「ええ、紅魔館に住んでいるパチュリー=ノーレッジよ」

 

どっかで聞いたことが……ああ!

 

「フランにえっちなこと教えた人か!苦情言おうと思ってたんだ!」

 

「パチュリー、あなたそんなことを……」

 

「何それ!?私しらないわよ!?」

 

「フランにお菓子あげたとき、「嘘をついてえっちなことするの?」って聞かれた。誰がそんなこと言ったと聞いたらパチュリーって言ってたぞ」

 

「それはフランが騙されやすそうな感じで純真だから……」

 

「まあ、それはわかるけど、あれぐらいの年齢の子は覚えた言葉何でも使うからな、むやみに言わないほうがいいと思うぞ」

 

「フランはああみえても500歳近いのだけど……」

 

「マジで!?」

 

ピュアすぎるだろ!?

幻想郷は外見と年齢が合わなさすぎだわ。

むしろ年齢より外見に精神が左右されてる感じのようにも思えるな。

 

「まあ、でも精神的に幼そうだし、小さい子扱いしても問題ないだろ」

 

「順応が早いわね」

 

「コイツハヤスギテ、ゴシュジンニ、スデニエンリョナイカラナ」

 

女性に早い早いと言われるとなんか嫌です(真顔)

 

「まあとりあえず、これで苦情言ったことにしていいかな、それと近いうちに紅魔館に行きたいんだけど、連絡とか必要かな?フランに今度行くって言って結構間があいちゃったから」

 

「そうね……たどり着けるのだったら特に問題ないわ。外出するのは咲夜ぐらいだし。それと入り口の門番が寝てるかもしれないけども、起こせば取り次いでくれると思うわ」

 

「それって門番の意味あるのか?」

 

「一応不審者は通さない建前になっているわよ、今日も魔理沙が押し通って行ったけど」

 

……もしかして

 

「なんか魔理沙ちゃんに盗まれた?」

 

「ええ、手に入れたばかりの魔法薬の本を」

 

「……それで私のところに材料を盗みに来たのね、動きが早いというか、あきれるわね」

 

「だから私も急いでこちらに来たのだけど、その様子だと少し遅かったようね」

 

「いや、なんかごめん、捕まえてあとでお尻ぺんぺんしておくから」

 

「ソレ、オマエガケツサワリタイダケダロ」

 

「win-winというやつだぞ?」

 

俺は尻を触れる、パチュリーちゃんとアリスちゃんは溜飲が下がる。うん、win-winだな!

後、流石にちょっと酷いのでお仕置きもかねている。

魔理沙ちゃん窃盗前提で動いてるじゃねえか。なにやってんだよ。女泥棒は捕まったらあんなことやこんなことをされるのが世の常なんだぞ、それをお尻ぺんぺんと乳もみぐらいで許してやろうというのだ。(増えた)

甘んじてお仕置きされるべきだな!

 

「そうね、たまには魔理沙も痛い目見るべきかもね」

 

「おっ、乗り気だなアリスちゃん」

 

「あなたとお友達になれたのは、まあ、悪くはないとおもうのだけども、恥ずかしい目にあった仕返しぐらいは……ね?それにあなたも一歩間違えたら危なかったでしょう?」

 

言われてみればそうだな。死んでた可能性もあったんだ。

あれ、かなりイラッっときた。

これはあれだな。

 

「そうだな……禁断の書、ウ=ス異本に書いてあるようなことを実行しても許されるのではなかろうか」

 

「何その本!?私全然聞いたことないわよ!」

 

「そりゃあ、女性には少しばかり刺激が強すぎるからな、秘匿されてるんだろう」

 

なんかパチュリーちゃんが食いついてきた、深く突っ込まれても困るんだよな。

 

「私趣味で図書館持ってるのだけど、関連書物なんか一切ない感じね。聞いたことが全くないもの!で、内容は?内容はどんなものなの!?」

 

趣味で図書館持ってるとかすごいワードが聞こえてきたんだけど、マジで?

 

「いや、その本は刺激が強い、話すわけには……」

 

そう言って言葉を濁すと、パチュリーちゃんがすごい勢いで詰め寄ってきた。

 

「問題ないわ!ネクロノミコンだって還らぬアドニスの書だってよんだことがあるもの!ね!おしえて!」

 

「ちょ……パチュリーちゃん……!」

 

ぐいぐい詰め寄ってきてついに俺にほぼ密着状態まで迫ってきた。

パチュリーちゃん結構「ある」な!

今の俺は上半身裸なので俺の体に当たってむにゅっとつぶれる感触が実に素晴らしい。

だが、これを指摘すれば離れてくれるだろう、名残惜しいが俺はパチュリーちゃんに告げた。

 

「パチュリーちゃんおっぱい当たってる……!」

 

「教えてくれるなら別にこれぐらい構わないわ!」

 

マジで!?ちょっと本に執着持ちすぎじゃない?

アリスちゃんも「パチュリー……」とか呆れてるじゃん!

 

「わかった、教える……教えるが、がっかりするなよ」

 

「わかったわ!で、著者は!ジャンルは!内容は!」

 

教えてもらえるとわかってますますヒートアップして、動くたびに俺の体でぐにぐにとおっぱいが形を変え……なん……だと……!?

 

こんだけ形を変えるってことはもしかして服の下ノーブラか!?

たしかにダボっとしていて体のラインは出ない感じだよな。見た目も寝間着っぽい感じといいつけてない気がする!

 

「あ、ああそうだな」

 

全神経が当たっているところに集中していてうまく考えがまとまらねええっ!

しばらく当てられてて実感したわ、絶対これノーブラだ!

だってコリっとした感触たまにあるもん!(混乱)

 

それでも俺は何とか言葉を紡ぎだす。

 

「作者は、不明……?いやたくさんいるのか。ジャンルは主に艶本。内容は様々な形での欲望を見せつけてくる、それらには決まったスタイルはなく、また無限というほど大量だ」

 

「つ、艶本!?」

 

「ああ、だから女性にはしられていないんだと思う、男が必死に隠すからな、それで内容をもう少しいうと、数万、いやもっとか、あらゆる形態の、愛情、情欲、変質、強姦、複数、異形、ありとあらゆる欲望の在り方を見せつけてくる。人と見せられかたによっては正気を失うことすらあるという」

 

「そんな本が……」

 

「ああ、だから無理に見ようとする必要はないと思う、知識とかにはあまり関係がない本だからな。尤もパチュリーちゃんがそういうことに興味津々なら、まあ止めはしないが」

 

パチュリーちゃんは結構ムッツリだと思う、だってエロワードのたびにこりこりの硬度増してる気がするもん。

流石に指摘とかしないけどな!

 

「そ……うね、機会があれば怖いもの見たさで見てみたいけど、探し出して迄見てみたいほどの本のわけでは……なさそうね」

 

「賢明だ、ところでそろそろ離れてくれるか、アリスちゃんの前で襲っちゃいそうになるぞ、パチュリーちゃんは可愛いからな」

 

「あっ、そうねごめんなさい」

 

「いや、気持ちよかったからいいけど」

 

「ソレヲイエルオマエスゲーナ、ゴシュジンナンカサッキカラカオマッカデカタマッテルゾ」

 

「おお、アリスちゃんは純情なんだな、うん可愛い。で、上着もそろそろくれると嬉しいかな」

 

「あっ、そうだったわね……うん、ちょっと呆けてたわ。はい、これをかぶればわた……上海が紐を結んでくれるわ」

 

「ニゲタナ、ゴシュジン」

 

アリスちゃんに渡された服に頭を通すと、上海が(あとなぜかパチュリーちゃんが)紐を縛ってくれた。

ちょっと上海ちゃん?締めすぎじゃない?

 

「締めすぎじゃない?」

 

「シャンハイハコレグライピッチリシテテ、キンニクノカタチワカルホウガスキダゼ」

 

「まさかのフェチ!?」

 

「それもそうね」

 

「パチュリーちゃんまで!?」

 

着替えが終わった俺は……

 

「あれ?結構かっこよくね?」

 

と自画自賛してみる。

筋肉コスプレというほどにはついてないけども、十分に男らしい肉体が誇示されているような感じになった。

ピッチリタイツまではいかないけど、ヒーローっぽい。

下半身がだぶついてる七分丈なのも対比となってメリハリがきいたシルエットだ。

 

「私はダブついたのイメージして縫ったんだけど……そうね、悪くないわね」

 

「イイナ!」

 

「そうね、胸板のあたりはさすが男の子ね」

 

と、アリスちゃんも認める男っぷりのようだ。

 

「美少女三人に言われるとさすがに照れるな」

 

「ダカラシャンハイハニンギョウダッテノ」

 

とか言ってるが可愛いから俺には関係ないぞ?

 

着替えて人心地ついた俺は美少女三人とお茶会を楽しんだ。

たまにエロ発言が出て怒られたりもしたが、嫌われてるほどではないようで安心した。

 

パチュリーちゃんが時々咳をしていた(喘息もちと言っていた)のが気になったので、紅魔館に行くときはあればはちみつかりん飴、かりんが見当たらなかったら大根飴でも作って持っていこうと思う。

喘息は直らなくてものどのダメージは減らせるからな。

 

あと、アリスちゃんにもお礼を持ってこないとな。

 

 

 

 

 

 

そうして楽しいひと時を過ごした俺は博麗神社に帰るのだった。

 

――今日も新しいことがあった。

可愛い女性と知り合いにもなれた。

俺の心の隙間が埋まっていくのを感じる。

 

いつかここが心から愛せるようになるのだろうか

この時の俺はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――後日、箒に座ることさえできず、そろりそろりと歩く魔理沙ちゃんが目撃されたらしい。

俺はしりませんよ、尻だけに。




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とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

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さとりちゃんを人魚にした話

なさちら様、OUDON様、tukue様、みょ〜ん様、おっさん魂様。感想どうもありがとうございます。
エロいは誉め言葉です!ありがとう!

誤字脱字報告者のすかたず様、satake様、SERIO様。
ありがとうございます。

評価くださった方、特に一言、10点頂いた方、本当にありがとうございます。

今回限界までエモいです。
ダムの放流とか決壊とかエモいですよね。
そんな感じです。


↓魔よけ
挿入れてない!出してない!ヨシ!(現場猫)
直接的な表現はない!ヨシ!
周囲の安全ヨシ!運営の安全ヨシ!
ToLOVEるは全年齢向け!ToLOVEるは全年齢向け!ToLOVEるは全年齢向け!
今日も一日ご安全に!




勇儀ちゃんとの楽しい宴会も終わり(ちょっと酔ったかもしれない)地霊殿へと向かう。

お燐がちょうどいて(橙にマタタビやってたらたまに遭遇するので顔見知りだ)さとりさまにもあいさつしておかないとだめだよーと言っていたのでしょうがない。

 

「さとりは覚。心を読むせいで嫌われているの。わたしも中まではいかないわよ」

 

「心配してくれてるの?パルスィちゃんは優しいなあ」

 

「あなたのその能天気さが妬ましいわ。そもそも鬼と殴り合いするなんて何考えてるの?しかも、勝ってしまうし、本当に妬ましい」

 

今朝であったばかりではあるが、パルスィちゃん可愛すぎる。

妬ましい妬ましいと言いつつ、何かにつけて気にかけてくれるところが、懐かないけど寂しがりやな猫みたいで俺のツボにはまる。

 

「妬ましい、パルスィちゃんが可愛すぎて妬ましい。履いている若草色のパンツになりたい、ああ妬ましい、パンツが妬ましい」

 

「あなたはっ!いったい!往来でっ!何を!言っているの!?」

 

一言ごとに俺をビシビシ叩きながらパルスィちゃんが激しくツッコんでくる。

意外に幻想郷では物理的にツッコんでくる人間(?)は少ない。

俺の知ってる限りでは早苗ちゃんとマミゾウ。それにネムノさんぐらいか。

多分だが身体スペックの差が個々人でありすぎて「ぐしゃ」とかなる恐れがあるからかもしれない。

パルスィちゃんのはちょっと強めだが、なかなかいい感じだ。

ベストは「ぽかぽか」な感じだな、イチャついてる感が出るから。

 

「はっはー。パルスィちゃんが可愛いのが悪い」

 

「まったく聞く気がないわね、妬ましい。往来で助平なこと言える胆力も妬ま……しくはないか。恥だもの」

 

パルスィちゃんとイチャついている(俺の主観)とやがて巨大な館が見えてきた。

 

「でっけーな……」

 

「そうね、妬ましいわ」

 

「雑な妬み具合だな」

 

「あなたのそういうところ、鬱陶しいわ」

 

「酷っ!?」

 

妬ましい以外で酷評されると、めっちゃ心に刺さるな!

あれだギャップ萌えという奴か(萌えではない)

 

「わたしはここまでよ。あとはあなただけで行くことね」

 

「おう、ありがとなパルスィちゃん」

 

「別にいいわ、あなたは私がどれだけ妬ましいと言っても態度変えなくて、少し……楽しかったから」

 

「パルスィちゃん超かわいい」

 

デレた!?やっべ可愛くて可愛いんですけど!?(語彙消)

 

「あなたのそういうところ、本当に妬ましいわね。……博麗の巫女も妬ましい」

 

「なんで霊夢ちゃんに飛び火したの!?」

 

「それがわからないところがまた妬ましいわ。このままだと妬ましくて死にそうだから、帰るわ。気が向いたら、声をかけて。私はいつもあの場所にいるから」

 

そういうとパルスィちゃんは「おお、妬ましい妬ましい」とつぶやきながら来た道を帰っていった。

 

……正直パルスィちゃんの妬ましいは「~でやんす」とか「~にゃ」とか語尾系キャラ付の一種みたいな感じでまったく気にしてなかったわ。

 

まあ、おかげで可愛い子と仲良くなれたから良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ地霊殿へ、要件は何かしら?」

 

地霊殿に入るとピンクがかった薄紫の髪色をした(髪がすごいことになってる、霖之助以上のワイルドヘアー初めて見たぞ)可愛い女の子が出迎えてくれた。

 

幻想郷では珍しくシンプルにかわいらしい女の子の格好だ。

普通に現代の街中にいても違和感がないだろう。

まあ、なんか謎の目がすごい主張かましているけども……

 

女の子の目も半眼ではあるがジト目ではない独特の澄み切った眼をしている。

うん、俺は好きだな。

 

「ああ、こ――」

 

用件を伝えようとすると

 

「なるほど、別に私に許可をとる必要はないのですが……ああ、皆がそう言ったと」

 

「あ、ああ……もしかしてさとりちゃんか?」

 

「これは失礼しました。私はこの地霊殿の主。古明地さとりです。あなたは……あなたと呼んだ方がよさそうですね、一応妖怪らしく勝負に負けたら許可を出すという風にはなっているんですけど」

 

あのクソ猫( お燐め)許可いらねえじゃねえかよ。

 

「ああ、お燐は少々悪戯好きですから……」

 

さっきから話が早いな……これが覚の能力か、確か物語だと……

 

「はい、はじけた薪で撃退しましたね」

 

話が早いな!?しかし、確かにこれは気味悪がられるな。

 

「みなさんそのようですね」

 

こういういらんことまで読まれるのは確かに恐怖だろうな。

 

「そうですね、だんだん怯えてしまいますね、皆さんは」

 

さとりちゃんは平気なのかね、ちなみに俺さっきから会話の思考のほかにも「ピンクの髪って淫乱だっていうけど、さとりちゃんは微妙な髪色してるけどどっちなんだろう」とか益体もないこと考えてるけどそれも?

 

「ええ、まあ若い女性の姿ですし、欲望を向けられることも多いです。そして、そういうのも含めて、平気です」

 

いや、違う違う、そうじゃない。確かに平気かどうかは心配すべきかもしれんが、普段から使ってるってことは平気だと思う。いやなら使わないかなんかしそうだしな。

俺の聞きたいのは「どっちなんだろう?」だ。えっちなのかどうかだな。

 

「あなたは……そうですね、淫乱ではないとは思いますが、欲望をぶつけられても特には……」

 

まじで?たとえばさとりちゃんのパンツはどんなんだろうとか想像したりしても?こんなんとか。

 

「いえ、さすがに映像が見えたりはしないので……」

 

そうか、ちなみに今想像したのは黒だ。ウエスト部分のみ濃い黒で残りの部分はレース地のスケスケだ。

全部が透けているんじゃなくて肝心な部分に刺繍が施されており「邪魔だ、その刺繍消せ!」と叫びたくなるような感じになっている。

下の毛は髪色と同じなら、なかなかにいやらしい感じになると思う。

 

「なるほど、流石に少しどうかと思いますが、特には」

 

さとりちゃん、つええな!?

まあ、それぐらい図太くないと、この能力は逆に重荷になっちゃうんだろうな。

 

「そうですね……ええ、そうなんでしょうね」

 

お?初めてなんか言いよどんだな、詳しく聞くのは野暮かな?

 

「ええ、まだそこまで親しくないでしょう?あなただって読まれたくないこととかあるでしょう?霊夢の事とか」

 

「ほう、それがなにか?」

 

ほう、それが何かあるのかね?というか地底の人間霊夢ちゃん引き合いに出しすぎじゃね?

 

「あなたは自分でもわかっているのでしょう?あなたのその思いは――」

 

黙れ

 

「黙れ」

 

「人間はいつもそう、恐怖し、恫喝し、そして――」

 

「いいから黙れ……っと熱くなったな」

 

クールになれ俺。

彼女が読めるのは思考ではない、さっきイメージが読めなかった。つまり読めるのは()()()()()()()()()()()()()だ。

だったら。

 

「へえ、人間にしてはするど……!?」

 

どうしたさとりちゃん?何を焦っている(What are you impatient with, lady Satori?)

 

()()()()()()()()()()()()()……!

 

さてさとりちゃん。俺はとても怒っている。( Well, lady Satori. I'm very angry.)霊夢ちゃんのことは一番言って(I don't want you to talk about )ほしくねえんだよ(lady Reimu the most.)

 

「え、な、なに?なんなのですその言葉!?」

 

この幻想郷では。( Everyone in this Gensokyo)

紅魔館の人間でさえ( Even humans in Scarlet's Devil's House)日本語を話す( speak Japanese)

それなら。( If it)

さとりちゃんはこの考えを読めない( lady Satori won't be able to read this mind)

 

どんな気分だ?(How are you feeling)有利ではなくなるってのは( no longer advantageous)

 

「それで勝ったつもり?確かにいままでの人間とは――」

 

いいや、せいぜい五分五分だよ。( No, it ’s fifty-fifty.)なんで勝負しようぜ(So let's play game)

 

「勝負?弾幕ごっこかしら?」

 

いや、俺は弾幕ごっこは下手だ。( I'm not good at it)なに、とても簡単だ(It ’s very easy.)俺の考えを読んで(Read my thoughts)情景をイメージしろ( Please image)<ruby><rb>最後に問題を出すから答えろ</rb><rp>(</rp><rt> Answer the question at the end</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>答えられなければ負けだ</rb><rp>(</rp><rt>If you can't answer, you lose</rt><rp>)</rp></ruby>」

 

「……なるほど、どうせ卑猥な事でも言わせるつもりでしょうけど、いいでしょう。ただし、妖怪に勝負を挑んだからには――負けた場合は無事で済むと思わないことですね」

 

ああ、いいぜ( I understand.)負けるのはさとりちゃんだけどな(But lady Satori lose)

 

「……命だけはと思いましたが、死を持って償わせた方がいいようですね。これは契約による勝負ですから紫も文句は言えない」

 

じゃあはじめようぜ(Let's get started)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地霊殿の奥の部屋、さとりちゃんの部屋だろうか。

ベットに横になって目を閉じたさとりちゃんに俺は心で語りかけている。

しっかり聞いて……いや、思考を読んでイメージさせる。

 

 

――のような山間の地だ。

そこに川が流れている、さらさら、さらさらと流れる澄んだ川だ。

さとりちゃんはその音を聞くと、なんだかとても幸せで気持ちいい気分になる。

 

さらさら、さらさら

 

さとりちゃんはその川に溶け込むように、しずむように、一緒に流れていくようにすうっ……と意識も川と同化していく

 

さらさら さらさら

 

水に揺蕩うと気持ちいいよね。川遊びで流れに身を任せると、気持ちいいよね。

それらが一体化したような心地よさだ。

 

木漏れ日が優しく照らす。川のせせらぎと森の香り

思わず深呼吸したくなるね。

深呼吸してみようか。

 

すってー

はいてー

 

さらさら さらさら

 

すってー

はいてー

 

さらさら さらさら

 

さとりちゃんの体は完全に川の流れと一体化したみたいに水に揺蕩ってるのか、水に溶けてるのか

 

すってー

はいてー

 

さらさら さらさら

 

でも、水に溶けているようなこの感覚。気持ちいいよね。

気持ちいいから、細かいことなんか気にならないよね。

 

水に溶けると気持ちいい。水と一体化してると気持ちいい。

後で質問に出るかもしれないからよく覚えておいてね。

 

深呼吸は続けたままで話の続きを聞いてね。

 

おや、川の途中に堰があるね。

そこで水が止まっている。

水が止まっていると、すこしそわそわするね、いらいらするね。

 

でも大丈夫、もうすこし、もうすこしで堰を超えるよ。

水がどんどん溜まっていく、あふれそうになっていく。

 

溜まっていくの見てるとなんだか気持ちいいね。

だってあふれてざばーってなると、きっと爽快だからね。

たまった水が一気に流れていくのを見ると楽しいよね。

 

ほら、そう言っている間にも溜まっていくよ あふれちゃうよ。

あふれると楽しいよ。あふれると壮快だよ。

 

あふれるまで分かりやすくしてあげようか

 

じゃあ数を数えてあげるね

 

10

9

8

 

もうじき水位が限界に達するよ

 

7

6

5

 

しぶきが少し超えちゃうぐらいになってきたよ

 

4

3

2

 

ほらほら、もう超えちゃうよ

 

1

超えるととっても壮快だよ気持ちいいよ

 

0!

 

ついに堰が切れる。たまった水はすごい勢いで下流に流れ出す。

すごいスピード感。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

水が溢れてすごい勢いで流れ出すのとっても気持ちいいよね。

 

「ン……」

 

水はまだ流れていく、少し先に滝が見える。

大丈夫。いまのさとりちゃんは水だからね。

水と一緒にすとーんって落ちるんだよ。

水と一緒になってすとーんってふかい、ふかいところに身も心も落ちていくんだよ。

 

ほら、もうつくよ、滝につくよ

滝についたらもう一段深いところにすとーんって身も心も落ちるんだよ

そうしたら水のようになった体は動かなくなっちゃうけどいいよね?

かわりにとってもきもちいんだから、しょうがないよね

 

ほら

3

2

1

 

すとーん

 

さとりちゃんのいしきはもっともっと深く水とまじわったよ。

揺蕩うような気持がもっともっとつよくなって

もっともっときもちいいね

さとりちゃんはきもちよくなってるね

身体は動かなくなっちゃったけどね

でもしかたないよね。

水に身を任せるのはとても気持ちいいことだからね。

 

 

「ンぅ……」

 

 

 

 

 

森を、滝を抜けると小道が横にある川だ。

そこを水……さとりちゃんが流れていく。

流れていくのは気持ちいいね。

今さとりちゃんは気持ちいいね。

 

 

流れていくと川がせき止められている。

魚を捕る仕掛けだろうか?

 

いや、そんなことは良い。

今大事なのはせき止められているのを乗り越えることだ。

 

覚えているかな。水がたまると気持ちいい。

堰を超えると溜まった分が一気に流れて壮快……いや気持ちいいよね

 

だから……こえちゃおうね

それはとても気持ちのいいことだから遠慮しなくていいんだよ。

 

「はっはっはっ……」

 

さとりちゃんがせき止められているところまでやってきたよ

さっきよりも堰は高いようだから……

さっきよりも水がたまるよ?

 

()()()()()()()()()()()()

 

「ひっ!」

 

 

ほら、じわじわ溜まってきたよ

 

10

9

8

明らかにさっきより溜まる水量が多いね

 

7

6

5

 

二倍ぐらい溜まりそうだね

 

4

 

3

2

 

つまり二倍気持ちいいよね?

 

1

ほら、あふれる、もうあふれるあふれちゃう、これをこえたらどうなるんだろう……()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ゼロ!

 

ついに堰が切れた!溜まっている水が一気にあふれ出す、怒涛の流れだ、激しい流れは水になっているさとりちゃんをもみくちゃにする。

それはとても気持ちいい!

体中を激しく嘗め回されているような、とても気持ちいい感覚に襲われる

 

「ひあっ!?」

 

さとりちゃんの体がビクンと大きく痙攣する。それを横目に見ながら俺は一切の思考をせずに情景を語っていく。

 

切れた積に水流が殺到する。

渦巻く水流にもまれるようにさらされたさとりちゃんはとても気持ちいい。

おや?堰全体が崩壊しそうだ。

もし崩壊したらどうなるんだろう。

そうぞうしてみて、さとりちゃん。

今の水量でも気持ちいのに、もっともっと大量の水に、もみくちゃにされることを。

 

「ひっ!?」

 

でも今のさとりちゃんは水だから、問題ないよね。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

といってるあいだに、壊れそうになっているよ

 

3

ほら、もうすぐ壊れるよ 「あっ」

2

水が行ってしまうよ「あっあっ」

1

さとりちゃんがそれにまきこまれたらどうなるんだろね「ひうっ」

 

水の奔流が堰を壊して流れて行ってしまう

水が行ってしまうんだから水のさとりちゃんもいってしまうんだ

 

ゼロ!

 

「んっく!あああああっ!?」

 

先ほどより大きく痙攣するさとりちゃん。

だがここで終わらない

 

まだまだつづけて崩壊していくよ。もちろん崩壊するたびに大きな奔流が行ってしまうよ。

さとりちゃんもどうなるかはさとりちゃんがよくわかっているよね?

 

ゼロ!

 

「ひいっ!」

 

ゼロ!

 

「あっく!はああっ!」

 

ゼロ

 

「だ、だめえぇぇっ!」

 

さとりちゃんが激しく跳ねそしてブリッジをして、力尽きたようにベッドに腰を落とす。

ベットの上で荒い息をしながら軽く体を痙攣させているさとりちゃんを無念無想で眺めながら俺は語りを続ける。

 

 

 

激しい奔流も流れていくうちに緩やかになりどこにでもある普通の川になったようだ。

そこはのどかな農業地帯だ。

水田や畑がいっぱいある。

その横を流れる川を水が……さとりちゃんが流れていくよ。

のどかな風景と、暖かな日差しが気持ちいいね。

さとりちゃんは今気持ちいいね。

 

そうして気持ちよさに身をゆだねてながれていると、ため池がある。ため池から下流には堰が作られている。

さとりちゃん覚えてる?

 

水がたまると気持ちよかったよね。

大量に流れるともっと気持ちよかったよね

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ひいっ!」

 

俺の言葉を理解した瞬間さとりちゃんは喉から引き攣ったような悲鳴を上げ、動かない体でわずかに左右に首をいやいやするように振る

 

 

 

 

もう、さとりちゃんはため池のところまで流れてしまったよ。

どんどん、どんどん水が溜まっていくよ

 

水が溜まっていくと、気持ちよさも増えていくよ。

 

「はあっ……はあっ……」

 

すでに体がぴくんぴくんと痙攣しだす。

だが俺は許さずさらに追い詰めていく。

 

どのくらいたまるだろうか……

二倍?三倍?

 

「あっ……やぁ……いやぁ……」

 

 

ため池がそんなに小さいわけないよね?

 

 

 

 

きっと8倍?もしかしたらそれ以上かもしれないね。

 

だからわかりやすいように数えてあげるね?

 

 

 

 

だいたい数を数える毎に、気持ちよさが増えていくよ

じゃあ、始めようか

 

「やぁ……」

 

5

 

「はぁっ」

 

数字が少ないことに安堵したのだろうか、さとりちゃんが脱力したのがわかる

 

4

 

3

 

2

 

数字のカウントダウンが進むたびにさとりちゃんの身じろぎが大きくなっていく。

動けないはずなのにそれでも動くというのは、そうとう気持ちよさがたまっていっているんだろうな。

 

1

 

「ああっ……」

 

さとりちゃんの吐息に甘いものが混じる。

解放への期待が見て取れる。

 

1

 

「えっ……!?」

 

一が続くことに肩透かしを食らったようなさとりちゃん。腰が浮きかけて不自然に止まる。

 

ため池ってすり鉢みたいになってるからね、思ったより溜まるみたいだよ

でも、いいよね?溜まれば溜まるほど気持ちよくなるもんね?

だいじょうぶちゃんとゼロになったらあふれるからね

ゼロになったら気持ちいいからね?

 

「そんな……!」

 

1

まだまだたまりそう

1

うん、もっともっと

1

これじゃあきりがないな

1

まとめていこうか

1

1

1

1

1

1

1

1!

1!!

1!!!

 

「あっ!あっ!ああっ!そんな……まだ?ねえまだなの!?」

 

1

1

1

1

1

1

1!!

1!!!

 

「やああああっ!だめ、だめ!怖い絶対ダメなの来るっ!」

 

身体をガクガクさせて腰をかくかくさせて切なげに息を吐くさとりちゃん

 

1

1

1

 

ぜろおおおおおっ!!!

 

「あああああああっ!?」

 

ぜろ!ぜろ!ゼロ!0!0!零!ZERO!ぜろ!ぜろおおおおおっ!!!

 

不意打ちのゼロで痙攣しているさとりちゃんに怒涛のごとくのゼロの嵐。

 

「――!――!――!!――!!――!?」

 

さとりちゃんはもう言葉も出ずに打ち上げられた魚のようにビクンビクン痙攣していのたうつだけの存在になっていた。

 

「あっ……いやあああっ!もうだめえええっ!!」

 

そして最後にひときわ大きく痙攣しまさに弓なりという表現がぴったりなぐらい身体を反り返らせた後脱力してベッドで跳ね返るほどの強さで倒れ伏した。

 

いまだ小刻みにけいれんしているさとりちゃんからはなぜか磯の香りがして「まるで人魚みたいだな」と益体のないことを俺は思っていた。

 

「では問題です。水が止められている場所は何か所あったでしょうか?」

 

 

 

答え(いらえ)はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すんませんでしたーーーっ!!」

 

俺、超土下座中。

酒が残っていたのと痛いとこ突かれたせいでちょっと(かなり)やりすぎてしまった。

あと、正直に言おう。

俺、英語出来たんだな(さっき初めて自覚した)

 

「いえ、その……まあ、お互いさまと言うことでしょうね、ただ、ほかの人にしてはダメですよ」

 

「はい、それはもう、というかあんなこと普通しませんから」

 

お互い丁寧に話す謎の緊張感。

しょうがないよね?

 

「とりあえずですね、私を負かしたということで、営業許可はお墨付きのを出します。最初に言った通り、なくても勝手に店を出してもいいのですけど、これは私が認めたという証ですから、信用は最初から手に入ると思います」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ふふ、だめですね、最初のように話せませんか?」

 

「いやー、さすがにやりすぎた気がして遠慮がちになっちゃったんだな、ま、最初のほうがいいっていうんなら、何とかしてみる」

 

というか、心読んでないのかな?

 

「いえ、読んでますけど失礼なことを言わないようにと、負けましたので」

 

負けたってほぼ不意打ちのような勝ち方だったんだがな……

 

「ん、でもまあそういうところは好感が持てるな、さとりちゃん可愛いし俺もさとりちゃんはもっと砕けた話し方してくれても嬉しいかな?」

 

「可愛いとか言われたことないですよ、お世辞……ではないみたいですね」

 

あたぼうよ。

たぶんほとんどの人間はさとりちゃんのその半眼とちょっと高圧的な雰囲気、そして口に出す前に帰ってくる返事で気おされてるだけで、ちゃんと見てないんだと思うんだ。

 

「こうやってちゃんと話すればかわいいのにな」

 

可愛いと言えばさとりちゃんのパンツは結局どんなんだろうな?

っと、こういうのも筒抜けになるのは――

 

「その……漏らしてしまったので履き替えましたけど今はこんなのですよ」

 

と、スカートをまくって見せてくれた。

 

「いい、じつにグッドだ」

 

ストライプ柄の紐パンで布面積は少し大きめで野暮ったい感じもするがそのぶん柄の面積が大きく華やかだ。

そして紐パンなのでサイドは太もものあたりがしっかりと見える。……さとりちゃんはすこしむっちりとしているが、その駄肉がまた素晴らしいエロさを醸し出している。つまみたい。

 

「すごい細やかに感想出るんですね……」

 

「パンツソムリエだからな」

 

「えっと、じゃあ商売はパンツソムリエなんですか?」

 

「さすがに違うわ!?」

 

どんな商売だよ!?来た女の人に似あうパンツでも選ぶのかよ!

……なんか出来そうな気はするけども!(客が来るかは別だが)

 

「一応何でも屋というか、お助けやというか便利屋だな。大体の依頼は受けるし、大体の依頼はこなす。人里だけじゃ稼ぎに限界あるからな、紫さんに相談したら旧都でも仕事したら?って言ったんで来たんだ。ちなみに妖怪の山で仕事受けてるぞ」

 

妖怪の山に設置したポスト(妖怪ポストではない、あれは人間が妖怪に頼むものだ)に依頼を入れておけば文がついでに届けてくれるようになっている。

文は変わりに俺に依頼を頼むことができる。

 

「では酒場……勇儀とは会いましたか?」

 

「おう、そのせいで酔ってたと言っても過言じゃない」

 

口移しで飲ませるのは反則だろ、ついお代わりしちまったじゃねーか。

 

「なんでそんなことに……」

 

「いや、ちょっと勝負して勝ったら、なんか気に入られた」

 

と頭の中で「勇儀ちゃんとステゴロした話」を思い浮かべる。

 

「ええ……」

 

なんかさとりちゃんドン引きしてない?

 

「鬼と殴り合いして戦って勝つ人間とかあり得ないんですが……弾幕ごっこならともかく」

 

いやあ、それをさとりちゃんがいったらあかんよ。

 

「油断してたんだろ、さとりちゃんだってそれで負けたでしょ?」

 

「そう言われればそうかもしれませんけど」

 

「で、勇儀ちゃんが何か?」

 

「いえ、あそこの酒場を受け付けにしましょう。知り合いなら勇儀が取り仕切ってくれるはずですが、一応一筆したためておきますね」

 

と、営業許可証と、勇儀ちゃんへと酒場の主人へとの手紙を書いてくれた。

 

「ところでどんな依頼でも受けてくれるんですか?」

 

「まあ、大抵はな、妖怪退治は基本的に受け付けてないけどあとはまあできるかぎりな」

 

「それじゃあ」

 

とさとりちゃんが近づいてきて耳元でささやく

 

「こんどまた数を数えてくださいね」

 

そういってさとりちゃんは艶っぽく笑ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やらかした。

 

 

 

 




いやーれいぱんって本当にエモいですね。

今回はわかる人にはわかるお話です。
わからない人はなんかさとりがひどいめにあったとおもっていただければ……
お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

ちなみにさとりは原作の絵だと結構ぶさいく目つきが悪くて威圧感があります。

総合評価5000いきました!ありがとうございます!
次は10000ですか!(きつい)

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

さっくりよめるショートショート始めました。
奥様は魔王です。よろしく。


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勇儀ちゃんとステゴロした話

なさちら様、OUDON様、リリィちゃん様、なお@世界がヤバイ様、kenzen ID:iPSMG6rY様、niren様、さか☆ゆう様、ハッピー ID:GbyzB1nM様、ま未来への咆哮様、ライデン ID:lDScbno6様。感想どうもありがとうございます。
兄アックなネタに反応してくれてありがとう!

誤字脱字報告者のすかたず様、ちりめん山椒様、SERIO様、亜蘭作務村様、snaketail様。
ありがとうございます。

評価くださった方、特に一言、10点頂いた方、本当にありがとうございます。



「ここが旧地獄への道か……」

 

人里での便利屋だけでは贅沢ができないので(養鶏と畑のおかげで生活は余裕でできるようになった、でも霊夢ちゃんにお小遣いあげたいじゃん?)商売の手を広げようと妖怪の山でも依頼をうけることにしたのだが、これが見事にしょうもない依頼ばかりで(はたてちゃんとのデート取材は役得だった、なぜかデート代全部俺持ちだったが)懐が温かくならないのである。

 

まあ、可愛い女の子の知り合いは増えたので俺的には十分プラスだったが。

 

そこで紫さんに他に賑わってるところないかと聞いたところ旧地獄を勧められた。

霊夢ちゃんはあまり良い顔をしなかったが、俺が結構鍛え上げてるのを知ってるので(主にパンチラ目当てで美鈴ちゃんと組み手したり、神奈子ちゃんに長物の扱いを学んだりしている)「ま、旧都ぐらいまでなら気を付ければ大丈夫か」とのお墨付きをもらった。

ちなみに霊夢ちゃんはキュートである。

 

穴をのぞき込むとかなり深そうだ、まあ地獄というからにはかなりの地下にあるんだろうな。

ルーミアの能力で闇を見通しても底が全く見えない。

飛び込みたくなるが慎重にふよふよと飛んで下りていく。

 

現在、闇を操る能力と空を飛ぶ能力と人を驚かせる能力と気を使う程度の能力を借りている。

……うん、小傘ちゃんの能力、マジで能力だった。完全に自称だと思ってたわ。

ただ使っても何も起きないことが多い。

たまにいきなり戸があいたり、看板が倒れたりして確かに驚く……ハズレのおおいパ〇プンテみたいなものだ。

しょぼすぎてガチで小傘ちゃんが不憫だ……

 

もし、発動に運がかかわってるならてゐと組み合わせれば化けるかもしれない能力だな。

もっともてゐは悪戯が過ぎた(泥の落とし穴に落としやがった)ので、ひん剥いてガマの穂でくすぐり倒すという「因幡の白兎の刑」をしてから俺を避けているのでなかなか実験に至らないが。

 

ちなみにモフリストでもある俺は量産型(モブ)イナバには優しい。

近頃はてゐより俺に懐く個体まで現れている。目指せ下克上。

 

しばらく下りていくと(深い。これ、飛べなかったら戻れないんじゃ)やがて地面と付近に川のある小さな建物が見えてきた。

階層で言うなら地下666階ぐらいか。

縦穴から横穴に変化しており、その横穴の中間あたりに川と橋がありそこにぽつんと一軒建っている。

横穴の先は明るいようだ。

 

「お、家があるな」

 

いぇーいなどとアホなことを考えながら家に近づく。

幻想郷にもだいぶ慣れた今ならわかる。

こういう辺鄙なところに立っている建物には必ず、美人、美少女がいると。

 

謎の確信を持って家の戸を叩き声をかける。

 

「ごめんくださーい、だれかいませんかー?」

 

少し待つと中から足音が聞こえてきて、戸を開けてくれた。

 

「な?俺の言った通りだろ?」

 

誰に言うともなく独り言ちる。

 

開けてくれたのはペルシアの衣装とアイヌの衣装のあいのこみたいな服を身に着けている、さらさらの金髪で緑目そしてエルフ耳というとがった耳の持ち主の美少女だった。

 

「用は何かしら?」

 

不機嫌ではないがぶっきらぼうな言い方をされる。

まあ、正直俺不審者だわな。

 

「いや、縦穴下りてきたら家があったから」

 

「そう、ここを降りてこられるだけの力があるのね、妬ましい。それに物怖じしない性格も妬ましいわね」

 

なんか今妬ましいとか言われたぞ?しかも二回も。

 

「えっと君はここで何をしているのかな?」

 

「境界守のようなことをしているわ、もっとも現在では旧都ツアーとかあってほとんどやることがないのだけど、妬ましいわ」

 

「旧都ツアー?」

 

「別の入り口から入る安全なツアーよ。古明地観光とかいって地霊殿が取り仕切っているわ、おかげで私はずっとヒマね、妬ましいわ」

 

「マジか!?」

 

紫さんは「博麗神社の裏の穴から行けるから」としか言わなかったぞ?

 

「と、じゃあ君の仕事は――」

 

「パルスィ」

 

「ん?」

 

「水橋パルスィ。私の名前よ」

 

「おう、パルスィちゃんだな?俺のなま――」

 

「あなたの名前に興味ないからいいわ、それに軽々しくちゃんとかよぶなんてずいぶん社交的なのね、妬ましいわ」

 

「手厳しいっ!?」

 

まあ、名前で呼ばれるのは好きじゃないからいいんだけど。

それにしてもしょっちゅう妬ましいっていうせいで全然妬んでるように見えねえな。

 

「まあ、話を戻すがパルスィちゃんお仕事はガイドでいいの?」

 

「かなり違うわ、通すべきものを通して通さざるべきものを通さないのが仕事。だからツアーが妬ましい。自由に行き来させてるから」

 

地底版霊夢ちゃんみたいなもんかな?

まあ、よくわからなくてもパルスィちゃんが可愛いというのはれっきとした事実だし、どうでもいいか。

 

「じゃあガイドとかはしてないのかな?俺正直ここの事ほとんどしらずに来たんだよね」

 

「なによそれ、あなたの能天気さが妬ましいわ。……そもそも何をしにここに来たの?」

 

「えっと、宣伝と開業かな?俺博麗神社で世話になってる外来人なんだけど、人里と妖怪の山で何でも屋やってんだよ」

 

「ふうん、聞いたことがあるわ、霊夢のところで世話になっている外来人。いろんなことができるなんて妬ましいわ」

 

どこからでも妬ましいにつなげてくる芸風、嫌いじゃない。

っていうか、可愛いな!

 

「パルスィちゃんが可愛くて妬ましい」

 

「えっ……!?」

 

パルスィちゃんが一瞬ひるんだ。

よし、ここからは俺のターン!

 

「キラキラしている緑の目が妬ましい!ちょこんととがった可愛い耳が妬ましい!ショートボブがよく似合っていて妬ましい!白魚のような指が妬ましい!おもわずちゅーしたくなるようなプリプリの唇がねた――」

 

「あなたは!とつぜん!何を!いいだすのよ!」

 

顔を真っ赤にしてべし!べし!べし!べし!と一言づつ俺に平手うちを入れながら叫ぶパルスィちゃん。

やべえ、リアクションが超かわいい。

微妙に痛いぐらいの力なので逆に微笑ましいぞ。

 

「はっはー、パルスィちゃんが可愛いのが悪い、おお妬ましい妬ましい」

 

「まだいうの!?」

 

少し涙目になりながら今度は両手で俺をぽかぽかと叩き始めるパルスィちゃん。なんだこの可愛い生き物。

持ち帰っていいですか?(混乱)

 

「まあ、アレだ」

 

「何よ?」

 

「パルスィちゃんはちょっと考えすぎなだけで、とってもいい子なんだろうと俺は思うんだよ」

 

「あなたのその考え方……妬ましいわね」

 

だって、俺だったらこんな不審者放置してとっとと家に戻るぞ?

ちゃんと相手してくれる時点で十分いい子だと思う。

 

「で、パルスィちゃんはガイドってできる?時間あるなら案内してもらえると嬉しいかな、報酬もあまり多くなければ出せるけど」

 

「お金持ちなのね、妬ましい。……そうね、近頃はこっちから来るものもいないし、案内してあげる、お代は……街があるから何か適当なものを買ってもらうわ」

 

「おう、了解だ。地底デートだな!」

 

「また!あなたは!そんなこと!かるくいって!ね・た・ま・し・いっ!」

 

バシバシと(今までで一番痛い)俺をはたきながらパルスィちゃんが噴火する。

本当にいちいち可愛いもんだからからかいがいがあるな!(外道)

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し待ってなさい」といったん家の中に引っ込んだパルスィちゃんを待つことしばし。

 

「待たせたわね」

 

「ううん、今来たとこっ!」

 

と、軽くボケつつ振り返ると美少女がいた。

いや、パルスィちゃんはもともと美少女なんだけど、身だしなみを整えてきたというか……

 

化粧は俺にはよくわからないんだけどさっきよりも少し血色がいい感じ?頬紅?みたいなものでもしたのだろうか?

それと小さいイヤリングが耳についてる。赤い石がはまっていて金髪と緑の目に映える。

アームカバーみたいな膨らんだ袖を外して組紐の腕輪もつけているな。柔らかそうな腕にちょっとエロスを感じる

あとハンドバッグを持っている、服装に合わせたかのような色で、似あっている。

完全に女性のお出かけスタイルだ。

 

「お、おお……」

 

「なによその反応。妬ましいわね」

 

「雑な妬み方だなっ!?あ、いやパルスィちゃんの女子力高くて圧倒されてた」

 

今まで俺の周りに出かけるからと言って身だしなみ整える人間はいなかったぞ!

霊夢ちゃんは出かける前に着替えはするけど、それはあくまでも「汚い格好でなくなる」だけで、「今以上に綺麗になる」ものではないからな。

まあ、霊夢ちゃんは素でも可愛いんだけど!

 

「妬ましいわね」

 

「今なにに嫉妬したの!?」

 

「私じゃないだれかによ」

 

鋭いな!?

 

「あ、ああすまん。正直美少女すぎて混乱した。パルスィちゃん可愛いだけじゃなくて美人方向にもなれるんだな?あと、俺の周りには、お出かけの時に身だしなみ整える女性っていなかったからな」

 

「女性の知り合いがたくさんいるのね、妬ましい」

 

「ほめたんだから、そっちに反応しようよ!?」

 

まあ、でも一瞬俺を叩こうとして手がピクリと動いたので、誉め言葉は届いているようではある。

あれ?だけど俺こんな美少女とデートすんの?

え、俺の格好完璧に負けてね?今の俺動きやすい道士服よ?しかも黒一色の!

 

「やっべ、パルスィちゃんが美少女すぎてとなり歩くのつらい」

 

また手がピクリと動いた、めっちゃ煽って叩かれたい(ドSなドM行為)

 

「本当にあなた変ね、ねた……ましくはないわね、さ、それよりも行きましょう」

 

「お、そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー、明るい!しかも結構にぎやかだな」

 

「このあたり一帯は旧都と呼ばれているわ、主に鬼や妖怪が住んでいてそれなりの秩序があるけど、やっぱり腕っぷしとかで序列が決まるわね、妬ましいわ」

 

「取りまとめ役とかはいるのかい?」

 

「一応地霊殿というところにいる古明地さとりというのが総元締めね。名前の通り覚よ、強い能力で妬ましいわ。それと街でなら星熊勇儀という鬼がそうね、とても強くて妬ましいわ」

 

「覚かーエロい妄想で撃退できねえかな?」

 

もしくはマニアックなプレイ妄想とかで!

エロだけなら耐性あるかもしれんが、現代人のエロは多岐にわたるからな!

しかもHENTAI民族日本人だぜ?

 

「どうかしら、さとりは図太いから効かないかもね、メンタルが強くて妬ましいわ」

 

「パルスィちゃんも十分強い気がするんだが、それは……」

 

かなりのショック受けても「妬ましい」で流しそうな気がするんだよな。

何もかも流すってある意味究極の防御だぞ。

 

「そんなわけないわ、何もかも嫉ましいもの」

 

うん、十分強いな。

 

パルスィちゃんと街中を歩く……なんでこの子腕組んでくるんですかね!?

ごく自然に腕絡められたぞ!?残念ながらないけどもそれでもぬくやわこい感触に多少混乱する。

 

女子力たけぇ……

 

「あのお店、なかなか美味しいジュースを出すのよ、いつも繁盛していて妬ましいわ」

 

と俺の腕を引っ張って、店を指さす。

こんなん完全にデートですやん。

 

「何味がおすすめだ?」

 

歩を進めながらパルスィちゃんにおすすめを聞く。

 

「そうね……季節の果物のやつが特に外れはなくて美味しいわよ。古明地観光が持ち込んでるのが妬ましいけども」

 

「おっけー、それにしよう。すいません季節の果物二つ」

 

「あいよー器一つにすると割引になるけどどうする?」

 

え?ああ、藁苞(ストロー)が二本ついてるあれの事か(バカップル専用品)!?

パルスィちゃんをちらとみると無言ではあるが、ぱしぱし突っ込んできたので、やっぱだめかと俺は残念な気持ちになりながら店のお兄さん(なお、鬼いさんだった)に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、それで」(外道)

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたっって人は!本当に!何を!考えて!いるのよっ!?」

 

「はっはー、パルスィちゃんはかわいいなあ」

 

顔を真っ赤にして少し涙目の美少女(パルスィちゃん)にバシバシ叩かれるのが癖になってきた感がある。

 

現在店の前に置いてある小さいテーブルに向かい合わせに座っている。

目の前には例のブツ(バカップル専用品)が鎮座しているぜ。

 

「本当にもう、さらりとこういうことするなんて、妬ましいわ……ん、おいしいわね!妬ましい」

 

俺を十分叩いて少し落ち着いたのか、興奮しすぎて喉が渇いたのかぶつぶついってからパルスィちゃんはわりとあっさりと飲み始めた。

うん、だからパルスィちゃん、やっぱりメンタル強いよね?

 

至近距離でにこにこするパルスィちゃんはやっぱり美少女で、少し見惚れてしまった。

 

「なに?飲まないのかしら?」

 

「いや、さすがにパルスィちゃんが飲んでいるときだと顔が」

 

「なによ、私の顔を見ながらじゃ飲めないっていうの?」

 

「霊夢ちゃんみたいなことい――あいたぁ!?」

 

「妬ましいわね、早く飲みなさい」

 

いまの「ごすっ」て感じで握りこぶしじゃなかった!?なんで急に威力の高い攻撃出すの!?

 

「じゃあ、しつれいしてっと……おお、うまいな」

 

「でしょう?妬ましいわね」

 

正直味なんてわからねーよ!

藁苞(わらづと)だから曲がるストローじゃないからな、おでこがふれそうな距離に美少女だぞ!

吸い込まれそうな緑の瞳がちょっとうるんでいて(何度も半泣きにさせたせいかもしれんが)落ち着かんわ!

 

 

 

 

やがて飲み終わり、すこし駄弁る。

 

「飾りのフルーツ貰っていいかしら?」

 

「おう、どうぞどうぞ」

 

「ありがとう、ん、美味し。甘みと酸味がちょうどいいわ、妬ましいわね」

 

「で、どこに向かえばいいんだ?」

 

今のままじゃマジでデートだからな、いや、それでもいいんだけど(目的を見失いつつある)

 

「んー、そうね。地霊殿は面倒だし、鬼ヶ島っていう勇儀が根城にしている酒場があるからまずはそこにいくのがいいかしらね、はい、あーん」

 

「ん、おう、確かにうまいな。鬼のいる鬼ヶ島ってまたストレートななま――」

 

まて、俺今何された!?

あまりにもナチュラルに「あーん」されたから素で受け入れちまったが、結構すごいことされなかったか!?

なんでパルスィちゃんて、こう「すっ」っと男に対して行動できるの?可愛いのか?可愛いだろ!(混乱)

 

「?どうしたのかしら?何か嫉ましいことでも?」

 

「そういう理由で止まるのはパルスィちゃんだけだからな?いや、まあなんでもない。で鬼ヶ島に行けばいいのか?桃太郎の気分だな」

 

「そうね、残念だけどお供は私だけど」

 

「犬猿雉より美少女のほうがいいに決まってるぞ?」

 

「犬猿雉が美少女の妖怪だったら?」

 

「む……あいたっ」

 

「妬ましいわね」

 

ぐーではないが強めにはたかれた。うん、さすがにこれは俺が悪い。でもしょうがないじゃん!パルスィちゃんもかわいいけど、モフモフも大好きなんだから!(魂の叫び)

 

「ごめんごめん」

 

「まあ、いいわ。妬ましいけど」

 

 

あとはとめどない話をしながら飾りのフルーツを食べ終え(もう一度あーんされた、今回は意識してたからかなり緊張した)店を後にする。

 

普通にまた腕を組まれて鬼ヶ島に案内される……が、普通にデートだこれ!?

 

ちょくちょくといろんな店をのぞいたり。屋台で軽く食ったり、軽い観光案内みたいなことをされたりする。

パルスィちゃんが目を止めた赤い石の付いたペンダントを買ってあげたときは「いらないって言ってるのにぃ」と半泣きになりながらぽかぽか俺を叩くという可愛いムーブを見せてくれた。

なお、現在装着しているので本当に要らないわけではなかったようなので安心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それなりに徘徊して鬼ヶ島についた。

 

「ここよ、騒がしくて妬ましいわね」

 

「なんかだんだん妬み方が雑になってない?」

 

「そりゃあ、楽しい時にはそこまで――妬ましいわね博麗の巫女」

 

「なんで急に霊夢ちゃん!?」

 

「本当に妬ましいわ。ええ本当に」

 

「急に重くなった!?」

 

テンションの上下の激しいパルスィちゃんに混乱しながらも店に入る。

そっとさりげなく腕を離し、俺から離れるパルスィちゃん。

本当に気づかいのできるいい子だわ……

 

すこし腕に寂しさを感じながら歩を進める。

お目当ての相手は……探すまでもないな!?

 

小上がりの一番奥に畳を重ねて一段高くした場所にどっかりと胡坐をかいて座っている。

あれが権力者じゃなくて何だというのだって感じだ。

高い場所で胡坐……くっ!微妙に見えそうで見えない!

 

大きな一本角が生えていてウ=ス異本だと間違いなく性感帯にされそうだ、角コキとかな。

そうでなくてもなんか掴みたくはなる。萃香ちゃんといい、鬼の角は非常に俺の掴み心をくすぐってくる。

顔立ちは思ったよりあどけなくて可愛い部類に入るが酒をカッ食らってる姿は割と豪快だ。

体操服のような服の上に半纏か何かを軽くひっかけて着崩している。

あとおっきくてでかい(意味深)

 

「何か用かい?」

 

近づいてくる俺に気付いたのか先に声をかけられた。

 

「君は勇儀……ちゃんでいいのかな?」

 

「おいおい、こんな大女の私をちゃん付で呼ぶなんて面白い人間だな」

 

「いや、普通に可愛いし」

 

「嘘じゃないなんてもの好きだねえ……あ、お前もしかして萃香の言っていた外来人?博麗の巫女のところにいる」

 

「おう、博麗神社で世話になってるぞ。萃香ちゃんとは……なんだろう?セクハラしあう仲かな?」

 

「嫉ましいわ」

 

どっかからパルスィちゃんの声が聞こえてきた気がする。

貴様、見ているなっ!(普通に店内にいる)

 

「お前、面白いな!で、わざわざ顔を出したってことは私に何か用があるのかしら?」

 

「何でも屋の取次を誰かに頼みたいんだが、どうすればいい?」

 

「そうだね……ここじゃ強いものが正義だからね。弾幕勝負でもするかい?」

 

「んー紫さんから俺の弾幕は美しくないから、ごっこ勝負には使うなって言われてるんだよなあ」

 

俺の弾幕はメタだったりガチだったりしていて弾幕ごっこのルールの一つ「回避不能の弾幕は使ってはいけない」に抵触しやすい。

もちろん、普段からそういうわけではないのだが、特定状況下では確実に相手を詰ませれるので審議の対象になるため正邪ちゃん以外に使用するのはあまり推奨されない。

……前から思ってたが正邪ちゃんみんなからの扱い酷いけど一体何したんだよ。

少なくとも俺からしたら可愛いツンデレにしか見えなかったんだけど。

 

「じゃあこいつで勝負するか?」

 

と、酒瓶をかかげて俺に見せてくる。

 

「俺はあまり強くないしそこまで好きじゃないんだよ、たしなむ程度だからな」

 

一度萃香ちゃんに鬼のように(鬼だが)飲まされて記憶が飛んで、なぜかしばらくみんながよそよそしかった覚えがある。何をやらかしたんだ俺。

それ以来、萃香さんですら飲ませては来ても、ある程度飲むと解放してくれる。

相手が魔理沙ちゃんとかだと吐いても「よし、これでまだ飲めるな」とアルハラ全開の萃香さんがである。

 

 

 

いや、マジで俺何したん?(恐怖)

 

 

 

「あれもダメ、これもダメって、なあ?鬼は臆病な奴が一番嫌いなんだぞ?さすがにそんな奴の頼みは聞けないなあ、それともなんだい?こいつで勝負でもするのかい?」

 

と若干イラついたように握りこぶしを見せてくる。

 

「それなら、まあやってもいいかな」

 

――周囲の喧騒が一瞬止まった。

 

 

みない顔が親分と話していたんだ、周りの鬼たちも様子をうかがっていたんだろう。

俺が拳での勝負を受けると言ったら一瞬だが周囲が静まり返った。

 

そしてパルスィちゃんはエアツッコミしてる(ほっこり)

 

「舐めてる……わけではなさそうだけども過信は死ぬよ?ここじゃあ妖怪が人間を殺めてもおとがめはないんだ」

 

「一応程度能力借りてるから、即死はないとは思うけどな。まあ万一があっても恨みっこなしで、()()()な」

 

「言うねえ人間風情が……まあいい。私はこの杯の酒を零さない様に戦うから――」

 

「そんなハンデはいらん。むしろ対等にっていうなら、勇儀ちゃんの程度能力が戦闘向きの物なら貸してくれ、それで五分だろ」

 

「――っ!……いいぞ、どうすればいい?」

 

「能力を言ってくれれば俺が復唱するから、それに了承してくれればいいよ」

 

「怪力乱神を持つ程度の能力だ」

 

「勇儀ちゃん。怪力乱神を持つ程度の能力を貸してくれ」

 

「いいぞ、貸してやる」

 

俺の心の帳面に「六・怪力乱神を持つ程度の能力」と記載されたのがわかる。

名前からして怪力だと思ったがちょっと違うようだ。

確かに力も増しているが、なんだろう体幹が異常に安定する感じだ。いまならめっちゃトリッキーな動きも出来そうだ。

 

「これでいいのか?」

 

「うん、大丈夫だ、ちゃんと借りれたよ」

 

「なら、遠慮なくボコれるな、表出ろ」

 

「勇儀ちゃん可愛いからあんまりボコりたくないんだけど……泣かしちゃったらごめんね」

 

「いいから表出ろ!」

 

イラついてる勇儀ちゃんを煽っていくスタイル。

背水の陣だなあ。

 

パルスィちゃんが駆け寄ってこようとするが、目で制する。

俺が負けたときに巻き込まれるかもしれないからな。

 

またエアツッコミ入れてるが、我慢してくれ、終わったら好きなだけ突っ込ませてやるから。

むしろパルスィちゃんに突っ込みたいがな!(やや命の危機にエロスが呼び覚まされている)

 

 

 

 

外に出るとぞろぞろと他の鬼たちもついてくる。野次馬なのか俺を生かして返さないためか。

まあ、勝てないまでも、見せつければ何とかなるだろ。

 

そんな気はさらさらないがな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇儀ちゃんと対峙する。

うーん、でかい。

幻想郷で一二を争うほどの巨乳だな。

 

で、身長もデカい。俺と同じぐらいか、俺がやや小さい。

リーチは互角……いやあっちの方が長いな。

勇儀ちゃんの構えは肩を入れ込んでくる感じで拳一つ二つ伸びてくる。

対する俺は重心を後ろに置いた対応する構えで美鈴ちゃんと華扇ちゃんに主に習った……つまり中国拳法で、そのうち俺に合った形意拳の動きだ、アレだ中国拳法の構えと言われて想像する上下に手刀構えて重心が後ろに寄った構えだ。

 

この二つの構えの差からすると想像以上にリーチの差が出るはずだ。30……いや40cmはみといたほうがいいか。

 

まず前提条件で俺はそろそろ人外に片足突っ込んでるかもしれないが肉体的には人間で、勇儀ちゃんは鬼だ。

相打ち=ライフの差で負けると思っていい。

なのでプランAは相手の大ぶりの隙に細かい攻撃を入れて削り倒すことだが…‥

 

「せっ!ほっ!せりゃ!」

 

「うおっ!のわっ!とおっ!」

 

――ぶんぶん振り回すのに隙がない、たぶん怪力乱神で上がってる体幹のせいだろうけど、バランス崩さずに乱打してくる。

ただ俺の構えは防御面ではすこぶる強い、そのうえで気を操る能力と怪力乱神のダブルの補助が効いているため――

 

「あたらなければどうということはないっ!」

 

「ちょこまかと!」

 

言葉こそ余裕に見えるが割と必死である。

モビルスーツがスーパーロボットの攻撃食らったらどうなるか考えるまでもないだろう。

 

プランAは捨てたんで、もうプランBのカウンターで一撃必殺を狙いたいんだが……

 

「ぶん回してるだけに見えるんだが隙がねえっ!」

 

「都の討伐軍を何度退けたと思ってるんだい?年季が違うよ!年季が!」

 

そこはザクと比べてほしかった!

いや、マジで隙が無い。大振りなんだけどそのせいでこちらも大きく避けるしかなく、そうすると体勢が治っちまう。

 

――一か八か飛び込むか……万が一失敗しても布石になるしな。

 

相手の大ぶりに合わせて……

 

「隙ありっ――ごぼっ!?」

 

「どこにだい?」

 

飛び込んだら左手で綺麗にカウンターを合わせられた。

派手に吹っ飛ばされたものの、身構えていたから一撃KOとまではいかなかったが格闘ゲームなら半分近く持っていかれた感がある減りだ。

 

「ちょっとあなた!大丈夫!?もうやめよう!」

 

奇しくも吹っ飛ばされたのはパルスィちゃんの足元のようだ。

心配そうにこちらを見てくる少し潤んだ瞳が綺麗だな。

いや本当に優しい子だわ。

 

「パ、パ……」

 

「うん、私よ、パルスィよ!ね、もうやめよ?」

 

 

 

「パンツ、可愛いの履いてるね」

 

 

 

足元に転がったせいかさっきばっちり見えた。

エルフ耳によく似合う若草色のパンツだ。

少しむっちりした太ももに(パルスィちゃんけっこう食うもんな)面積の少なめな紐パンが艶めかしい。色合い的に毛が透けて見えそうだが、のぞき込む形になってて下からなので確認はできない。

 

「あ、な、た、って、ひ、と、は、あ、あ!」

 

地団太を踏むパルスィちゃんも可愛いな!

多分あれ俺を踏みたくてしょうがないんだろうけど自重してるような感じだな!

 

「よし、パルスィちゃんのパンツで元気出た!行ってくる!」

 

「だから、もうやめな――もうっ!」

 

 

勇儀ちゃんの元にもどる。

 

「乳繰り合いは終わったかい?」

 

「残念だけど、まだ揉んだことないんだわ」

 

「手が早いように見えるんだけど?」

 

「それは否定しないな、勇儀ちゃんの乳だって揉みたい感じだぜ」

 

「勝ったら揉ませてやるよ」

 

「あ、でもパルスィちゃんのほうが揉みたいかも」

 

「あんなあるのかないのかわからないのより私のほうがいいだろう!?」

 

「なんか酒臭そうだし堅そうだから……その点パルスィちゃんはちいさくてもいい匂いでふかっとしてそう」

 

向こうでパルスィちゃんが悶絶してるけど、この際必要な犠牲だと思ってあきらめてもらおう。

俺のペース、ギャグ時空に引きずり込んでやる!

 

「さすがの私もちょっとイラっと来たぞ?」

 

「もっというなら勇儀ちゃん乳輪でかくて乳首黒そう。パルスィちゃんはきっとピンクで綺麗なのに何でだろうね?」

 

「よし、お前死んだぞ」

 

そう言うなり勇儀ちゃんは後ろに一歩下がって――

 

 

ダ・ダンッ!!

 

 

矢のようにすごい勢いで飛び出してきた!?

 

 

「ぬおわっ!」

 

 

かわしたつもりが衝撃だけで吹っ飛ばされた!?

 

「私の三歩必殺!ひき肉になるまで繰り出してやるよ!」

 

「勇儀ちゃん本当のこと言われたからってキレすぎぃ!」

 

「死ねえぇぇぇぇっ!!」

 

完全にブチ切れた勇儀ちゃんが三歩必殺とやらを連続で繰り出してくる。

よけながら(そしてたまに至近弾で転がされながら)観察する。

 

――三歩必殺、後ろに引いて一歩、踏み下ろして二歩、踏み下ろした足で踏み切ってすっ飛んでくるのが三歩目。

たしかに三歩必殺だわ。

ただ、タイミングはいつも一定、あの速度にさえ負けなければ。

 

「ここだあああああああっ!!」

 

「速い!だが、遅せええええええっ!!」

 

「ぐはっ!」

 

気を使ってブーストして、さっきよりもはやい速度で俺は懐に飛び込む。

だが、間一髪勇儀ちゃんの迎撃が間に合う。

至近距離すぎて速度が乗っていなかったため必殺とまではいかなかったものの、かなり深刻なダメージを追ってしまった。

 

「はっ!まあまあ、やった方だな?謝れば許してやるよ、それぐらいには強かったぞ」

 

「勇儀ちゃん……そこまでこだわるってことはやっぱり黒くて乳輪でかいんだね?」

 

「はっはっはっ、意地を貫くのは嫌いじゃないぞ。だがコケにされるのは好きじゃない。死ねよ、もう」

 

俺は構えを取るがふらついて前のめりに倒れようとする、それを見逃す勇儀ちゃんではない。

 

「頭をつぶせばさすがに死ぬだろうよ!」

 

勇儀ちゃんが三歩必殺の構えの一歩目の動作に入ろうとする、走馬灯のように世界がゆっくりと流れていく。

そして俺は確信した。

 

―――俺の、勝ちだ!

 

気を使うと言われて何を想像するだろうか、ちなみに空気を読むとかではない、それは衣久さんの能力だ。

 

日本人男性なら、きっととある漫画を思いだすはずだ。

じゃあ、気を操って一番有効なのは?打ち出すアレ?元気を集めるアレ?飛行するのは確かに有効だが、そもそもそれらは全部弾幕ごっこ仕様だ。

じゃあ格闘戦で一番有効な気の使い方と言えば……?

 

 

 

 

 

「三倍だあぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

 

戦闘力を爆発的に増やすアレである。

 

 

 

縮地歩法。()()()()()()()()()()()()重力に引っ張られる勢いを利用して一歩目からトップスピードに乗る歩法である、極めると消えたように移動する。

まあ、極めてないので今回は三倍の力で無理やり速度を上げただけだが――俺は一瞬で間合いを詰めると右手を体にぴったりとつけ踏み込んだ足に反対の足が追い付く直前、ほぼ両足がそろった状態で全体重を拳に乗せ飛び出そうとしている勇儀ちゃんを串刺しにするような形で迎撃した。

 

「がああああああああああっ!!」

 

獣のような咆哮をあげて前方に倒れ伏す勇儀ちゃん。

完全に衝撃が入ると後ろに飛ぶのではなく、前に崩れ落ちる。これ以上ないぐらいに完璧に入った感じだ。

勇儀ちゃんの全力に俺の全力の三倍でカウンターを入れたんだ、さすがに立てまい。

 

「半歩崩拳、三歩必殺なら二歩半ほど足りなかったな……俺の……勝ちだ!」

 

痙攣している勇儀ちゃんを見下ろしながら、勝利宣言をするとともに俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

――で、気が付いたら胡坐をかいた勇儀ちゃんに抱えられてるんだが。

 

状況を聞いたらパルスィちゃんが治療と休める場所の手配をすすめたそうだ。

下手すると勇儀ちゃんの手下に襲われることもあったかもしれないのにホンマいい子やでぇ……

 

お礼とともに「でも危険なことはしないでくれよ」というと「いったい!どの口が!そんなことを!いうのかしら!?」とめっちゃビシビシされた。ダメージが残ってたがやせ我慢しておいた。痛がると気にするだろうしな。

なお、この最中も勇儀ちゃんに抱きかかえられている。

 

「おいおい、姐さんが女の顔になってるぞ……」

 

「ありえねえ、俺らの姐さんが……」

 

モブ鬼どもがなんか言ってるが最初から勇儀ちゃんは可愛い女の子だったぞ、節穴どもめ!

 

「いやー、お前は強いなー。わざと私を怒らせたのだろ?こういう騙し方ならまだ納得もいくんだよ」

 

「いやあ、俺こそ悪いこと言っちまったな、勇儀ちゃんの肌色が少し濃いからとっさに思いついたんだ、ごめんな?」

 

「嘘ではないようだけども……ほら、覗いてみろ」

 

「勇儀ちゃん!?」

 

襟ぐりをグイっと引っ張って俺におっぱいを見せて……萃香ちゃんといい(萃香ちゃんはいらない気もするけども)なんで下着付けてないんですかねえ!?

 

乳輪はまあ小さくはないけど、胸相応で乳首も赤みがかった綺麗な色をしている。

めっちゃ吸いたい。

 

「な?き、綺麗だろ?な?」

 

「うん、そんなに必死に言わなくても綺麗だぞ。吸いたいぐらいだ」

 

「吸うか?お前ならいいぞ」

 

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……」

 

胸に手を当ててパルスィちゃんが呪詛を吐き続けている。大丈夫、小さくても大きくてもおっぱいは尊いから!!

 

「さすがにな」

 

衆人環視の中で授乳プレイとか俺の性癖ゆがむわ!?

 

「んう……」

 

不満そうな勇儀ちゃん「んう」とか可愛いな!

 

「じゃ、じゃあせめてこいつどうだ。私のこの杯は星熊杯と言ってな、どんなさけでも上等の酒に変えてしまうんだ!」

 

と杯に酒を注いで俺に勧めてくる。

鬼の酒は飲むなって霊夢ちゃんに言われてるんだがどうすっかなあ……

 

「ああ、もう!この杯は時間がたてばたつほど酒がまずくなるんだよ!こくっこくっ」

 

「んうっ!?」

 

俺の首をつかんでいきなり顔を勇儀ちゃんの方に向かせて唇を合わせて――口移しで飲ませてきてるんですが!?

俺がちょっと抵抗すると舌で俺の口をこじ開けてきて、ディープな奴になってしまっている。

 

たしかに酒はすごく美味しい、だが、この甘い感じのいい匂いは吟醸香なのか勇儀ちゃんの唾液なのかわからない。

 

「な、美味いだろ?」

 

「あ、ああうまいが……よくわからんな、もう一杯貰えるか?」

 

「ああ、いいよ……杯から飲むかい?それともまた私が飲ませようか?」

 

 

おれは即答することができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……」




今までで最長でした……
パルスィが可愛いのは橋姫が男と付き合ったことがあるからです。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
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幽香ちゃんと畑を作った話

なさちら様、セモリナ様、みょ〜ん様、あんぱんのアンパンの山崎様、西瓜ペシャン公様、tukue様、snaketail様。感想どうもありがとうございます。


誤字脱字報告者のすかたず様、ちりめん山椒様、亜蘭作務村様、SERIO様、imaginary3211様、るゆぬね様、燃えるタンポポ様、テレサ様、りんごおおおおおおおおおおおおん様、ヱグザム様、Верный008様、snaketail様、ゆんやーさん様。
ありがとうございます。
今回(前回投稿)パルスィをパチュリーで総ツッコミでした

評価くださった方、特に一言、10点頂いた方、本当にありがとうございます。
また10点評価一言で紅魔館メンバーへの愛溢れる長文を書いてくださいましたナニ様ありがとうございました。


リリーホワイトがひとしきり騒いだ後(春ですよー)本格的な春がやってくる。

 

そろそろ畑を作らなきゃな―と思ってたら華扇ちゃんにいいのをもらった。

 

「ぐえっ!」

 

「また気をそらしましたね、あなたの欠点は集中力が長続きしないことですね」

 

俺と組み手をしてくれているのは放浪仙人の華扇ちゃん(家は持ってるが、日中めったにいない)だ。

 

美鈴ちゃんと同じく中国拳法のような動きだが華扇ちゃんの動きのほうがえげつない。

普通に急所を狙ってくる(止めてはくれる)のでかなり怖いし、急所以外なら今みたいに容赦なく当ててくる。

 

「掌底での腹パンはマジでつらいんだけど……」

 

いい感じに熱いものがこみあげてきた(ゲロだが)が気合いで堪える。

ちなみに吐いてる最中でも容赦なく攻撃されるので油断ができない。

手加減や寸止めはしてくれるものの究極の実戦形式である。

 

「目いっぱい鍛えてくれと言われたからには、甘えは許しません。自分で言ったことには責任を持ちましょうね」

 

「エロいパンツ見れたからいいですけど」

 

せめて口撃で恥ずかしがらせようとする。

ちなみに華扇ちゃんのパンツは一言で言うなら紐だ。

紐パンではない、少し太めの紐だ。TバックTフロントという「それ履いてる意味あるの?」と言うような感じのパンツ(?)だ。

毛は処理してあるのか確認できない

 

腹パンの後の足刀を交わした時に見えた。

というか普通に組み手の最中に見えまくるんでやる気がビンビンにみなぎってくる(組手の事だぞ?)

 

 

「ええ、あなたはこうすればしっかり見ようとするので動体視力が鍛えられますからね」

 

「まさかのわざと!?っていうかこれも修行なの!?」

 

「もちろん、鍛えあげると言ったからには手段は選びません」

 

マジか!ちょっと気合入りすぎだろ華扇ちゃん!?

 

「ですから、報酬の方もちゃんとお願いしますよ」

 

「あー、うん頑張る」

 

報酬は週一回甘味食べ放題である。

なお、華扇ちゃんは博麗神社で朝食のパンケーキにジャムと蜂蜜を完全にコーティングされるまでぶっかけたのを6枚食って「朝は軽めにしておきましょう」とか言うぐらい甘味は食う。

これが普通の食事だと霊夢ちゃんと同じぐらいしか食べない。早苗ちゃんが言うには「女子にはいますよー?別腹のほうが大きい人」って言ってたから恐ろしいことに一定数いるんだろうな……

 

蜂蜜も砂糖も心もとないからな、紫さんに頼むか……そうだ!幽香ち――

 

「だから気を抜かない!」

 

気が緩んだ瞬間に華扇ちゃんの攻撃が飛ぶ。

 

「無敵対空ぅっ!」

 

顔を狙った掌底をダッキングでかわしつつ膝のバネを利用して飛び上がりながらのアッパーをカウンターでたたき――

 

だが華扇ちゃんは掌底を素早く引き戻して俺の無敵対空をスカすと……げ、やばいあの構えは双掌打だ。踏み込みとともにあれ食らうと軽く吹っ飛ぶんだよな。

ここは気合で!

 

「それを見るのは3回目です、そう何度も同じ技が――」

 

「裂破ぁ!!」

 

空を飛ぶ能力で下に向かって飛んで即着地し、再度無敵対空で迎撃した。俺の拳に触れる柔らかな感触!?

 

「えっ?きゃあ!?」

 

華扇ちゃんの胸の飾りを弾き飛ばしおっぱいの谷間にずっぷりと俺の腕がめり込んだ。

ぬくやわこい。

 

乳の圧力が鍛えているだけあってすごい。

これは素晴らしい乳ですわ……って圧が強くて抜けな――

 

憤怒っ(フンヌッ)!」

 

「ぐぼあっ!!」

 

密着状態から放つ寸勁――短鞭を食らって俺が吹き飛んだところで今日の修行は終了したのであった。

 

 

 

 

 

「あてててててて……」

 

「まったく、あなたは一日一回は胸かお尻に触れますね!」

 

「いや、さすがに偶然だけど、もしかしたら無意識でそこに当たる攻撃が鋭くなっている可能性はある、いや本当に無意識だぞ?」

 

いや、なぜか吸い込まれるようにそこに当たるんだわ。

これは本当に狙ってないので自分でもよくわからない。

 

「あとなんですか、あの無敵対空って技は?無敵でも何でもない、外した後の隙が大きい技にしか思えないのですけど?」

 

「未完成だからな、それに裂破は綺麗に入ったじゃないか」

 

これは本当なら萃香ちゃんの能力を借りて完成する。

攻撃が命中するとこだけ密にして、それ以外の部分を疎にすることによってあら不思議、一方的に打ち勝つ無敵技が完成する。

 

ただし萃香ちゃんの能力を借りようとしたところ霊夢ちゃんに「アンタ、覗きに使わないって約束できる?」って聞かれたので「もちろんさベイビー!俺がそんなことするとでも?」と爽やかに言ったらなぜか萃香ちゃんに貸すのは厳禁ときつく言っていた。解せぬ。

 

なお同じ理由で隙間や念写や千里眼や読心も禁止されている。ちょっと酷くない?

 

「あれを綺麗に入ったというのはちょっと語弊があると思いますけどね」

 

「綺麗に……挟んだ?パイズった?」

 

「貼山靠で叩きつけてあげましょうか?」

 

「ごめんなさい」

 

華扇ちゃんの貼山靠食らうと地面にワンバウンドする勢いで叩きつけられるのでめっちゃ痛いんだよ……

 

「よろしい、では次回は歩法を教えるので半ズボンのような太もものあたりまで露出しているものを用意しておいてくださいね。上半身は……男の子ですし、もろ肌でもいいでしょう」

 

「華扇ちゃんも生足ですか?」

 

「必要なら下着だけで行います、ただし気を取られすぎて上達しなければ痛い目を見てもらいますが」

 

「マジか!?パンツで!?」

 

流石に今はいてるようなエッグいのではないだろうけど、何でそこまで!?

 

「あなたの甘味は他では手に入らないので報酬分の働きとしては妥当かと。何よりもあなたがまじめに強くなろうとしているなら、それぐらいは師として当然です。ですが、色に気を取られて不真面目なら……」

 

「不真面目なら……?」

 

「去勢するのもいいかもしれません。大丈夫です、宦官の友人がいましたからやり方は知っていますので」

 

「まじめにやります」

 

華扇ちゃん割と容赦ないから、やると言ったらマジでやるからな。おふざけもほどほどにしないとな。

 

「ではこれで終了です。お疲れさまでした」

 

「あ、華扇ちゃん。これ持って行って、半分ぐらいしかないけど、水あめ」

 

と、華扇ちゃんにツボに入った水あめを渡す。

パチュリーちゃんに大根飴作ったときの残りである。幻想郷に芋類があったのは幸いだ。でんぷんさえ取れれば水あめが簡単に作れるからな。

 

「あらあらーいいんですかー?どうもありがとうございますー」

 

華扇ちゃんにっこにこである。

普段は美人寄りの少し冷たさも感じる顔だが、甘いもの関係の時はふにゃっとして可愛い。

 

「ではこんどこそ、お疲れさまでした」

 

「はい、また」

 

華扇ちゃんと別れて戦闘中に思いついたことをもう一度考える。

幽香ちゃんの畑を広げてサトウキビを作ってもらうことはできないだろうかと。

あとラルバに蜂蜜……蝶蜜?集めてもらうのと、この二つをお願いしに行こう。

 

 

 

そうと決まればまずは手土産を準備しよう。

とはいってもあらかじめ作ってあるのを持っていくだけだが。

 

幽香ちゃんには麦わら帽子。お嬢様っぽいからこれは似合うと思って作ってたんだ。

もっとも悪戦苦闘していると見かねて半分ぐらいは大妖精が作ってしまった(めっちゃ器用だった)けどな。

大妖精は料理も出来たり掃除もしたりと結構スペックが高い。

それを誉めまくると最初は照れて、次に恐縮して最後に嘘でだましてるんじゃないかと挙動不審になる。可愛い(外道)

 

ラルバには毎回同じで悪いがお菓子の缶詰だ。まあ今回は新作があるが。

ラムネ、金平糖、飴玉、そしてミカンのゼリーだ。

ゼラチンはすねなど動物の骨からも取れるのでほんのすこし獣臭がするが、普通に現代と同じ感覚で使える。

料理の……というかお菓子のレパートリーも広がったぜ。

太陽の畑は妖精がいっぱいいるし他にもお菓子を持っていこう。

 

あとは発酵堆肥を大八車にのせて……しまった、リアカー作ろうと思ってたのに後回しにしてた。

今回は大八車で我慢しよう。

 

準備を整え太陽の畑に向かう。

向こうでは重要なことが一つある。幽香ちゃんを先に発見し先に声をかけることだ。

気づいてないと奇襲を食らう。幽香ちゃん曰く「対応できるレベルには手加減している」とのことだが普通にフルスイングで振りぬいてくるので冗談抜きで交通事故にあったような感じになる。

 

人間って殴られて宙を舞うんだなあ……

 

とかもう実感したくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽の畑についた。

まだ春になったばかりでここの名物である一面のヒマワリはまだない。

だが、もうすでに結構な数の妖精が飛んでいるな。

 

……特徴的な緑の髪の人物――幽香ちゃんはみあたらない。

 

正直どの妖精がいつどこで出会って何をしたかとか多すぎて全く覚えてないんだが、妖精は俺を知っているらしく、結構声を掛けられる。

……パンツを見せてからお菓子ねだるのって誰が広めたんですかねえ!?――妖精って結構おしゃれなパンツ多いな!布面積大き目だけどその分飾りとかにこだわってるな。

そんな援交みたいな真似しなくてもあげるよ!?ねえ聞いてる?――レモン色のパンツはさわやかだけど水着感があっていまいちだな。

ところで誰かラルバ見なかった?――エッッ!?スジ!スジのてっぺん見えてるよ!?なんだその超ローレグはっ!?

 

と疲れるやり取りを(一部元気になりそうだったが)くりかえし、エタニティラルバのところにたどり着いたのであった。

 

「やーやーおにーさん。相変わらず人気者だねー」

 

「言い方は悪いが飼育員さんに群がる動物状態の気がしてならんのだが……」

 

妖精の中でクラウンピースと並んで陽気なのが、このエタニティラルバだ、ちなみにチルノは陽気なのではなく騒がしいのである。

 

妖精にしてはかなり賢く、言葉遊びや迂遠な言い回しもできる。

あとパンツは少しもこもこした白ショーツだ、かぼちゃパンツほどではないが少し膨らんでる、色気がないと思いきや食い込んで中央に筋が見えてたりするので侮れない。

 

「うーん、そんなことないかなー?妖精は頭悪いけど、怖いところや、危険なところにはわざわざ行かないよ?おにーさんが優しいから群がってるんだよ」

 

「チルノは危険なところに突っ込んでいくがそれは……?」

 

「あれは、まあほら、アレだし」

 

「アレか……確かにそうだな」

 

チルノに対する共通認識だな!

正直アレはあれで結構俺に懐いてるからそれなりに甘やかしているのだが、すぐ調子に乗ってやらかすからな。

まあ、そこがチルノの魅力だが。

 

「そういえばラルバまだゼリー食ったことなかったろ?ほい」

 

「いつもすまないねえ……ごほっごほっ」

 

「それは言わない約束でしょってなんでこのネタ知ってるんだ!?」

 

「ひみつー」

 

「なろう……!」

 

いや本当にこいつとクラウンピースは謎が多いんだよな、あっちは完全にちょっと昔のアメリカンだし。

深夜の通販番組のネタについてきやがったからな。

 

「おお、ミカンだ!もう春なのに!そして美味しい!甘い!」

 

「冷凍ミカンで作ったんだ、冷凍して解凍すると細胞膜壊れて……まあ、わかりやすく言えば汁が漏れ出るからゼリーで閉じ込めたんだ」

 

さっそくゼリーを食い始めるラルバ。食レポしろとまで言わないけど、語彙がすくねえな!?

普通の妖精みたいな反応されると逆に違和感あるぞ?

 

「美味しい、美味しい。ところでこれってまだあるの?」

 

「あとは幽香ちゃんの分しかないな、博麗神社に戻ればまだあるけど……」

 

「だってさ、幽香」

 

「え?」

 

振り向くと幽香ちゃんが拳を――眼前で止まった!

 

「そう……吹き飛ばしたら台無しになるかもしれないわね。良かったわね、私の分も持ってきてあって」

 

やべえええええええっ!!

完全に油断してた。危うく強制的に空を飛ぶところだったわ……

 

幽香ちゃんに向き直る。

いつものカントリーなお嬢様スタイル――絶対白いワンピースとか似合うと思う。に今日はタイツかストッキングをはいているようだ。

 

見た感じでは三白眼を除けば綺麗なお姉さんなんだが、なかなかに戦意あふれていて普通に殴る蹴るしてくる。

殴られては吹っ飛び、蹴られては吹っ飛びと見かけによらずかなりのパワーファイターだ。

 

なお、パンツもお嬢様っぽく白のレースだった。蹴る時に惜しげもなく見せてくる、というか気にしてないんだろうな。

 

最初のうちはそれこそ「弱者死すべし」みたいな扱いを受けていたのだが今では「壊れにくい楽しいおもちゃ」程度には扱ってくれている。

ちなみに本当の弱者(妖精とか)には結構優しい。一度冷やかしたら傘でフルスイングされて池に叩き込まれたので俺が強くなるまではいわないことにしている。強くなったら見てろよ。

 

「そういえばその積んであるものは肥料かしら?」

 

「おう、いつものやつだ。鶏も増えたから結構強いのできたぞ、でついでに少し頼みがあるんだけど」

 

「言ってみなさい、聞くだけは聞いてあげる」

 

ちなみに幽香ちゃんがこのセリフを言った後拒否したことは今まで一度もない。

なんだかんだ言って結構優しかったり可愛いところが見え隠れするんだよな。

 

……今度パンツ見せてとか言ってみたらどうなるんだろうか。99%吹っ飛ばされると思うけどもしかしていつものようにしょうがないわねとか言ってokされるかもしれない。

 

試す気にはならんけどな!

 

「実はさ、幽香ちゃんの能力でサトウキビ作れないかなって、いちおう花が咲いてから収穫する奴だから」

 

「……しょうがないわね、できないことも無いわ」

 

「さとう!?さとうってあの砂糖!?作れるの?」

 

「おう、結構面倒だけどな」

 

ラルバが横から食いついてきた、おう、そういえばラルバにも頼まないとな。

 

「蜂蜜を集めてきたらあまーいお菓子とこうか――「集めるよ!」お、おう」

 

食い気味に返事された。

妖精には本当に甘いお菓子刺さるな。

 

再び幽香ちゃんと話を進める。

 

「だから、畑を拡張しようと思ってるんだけど、どこに作ればいいかな?」

 

現在は太陽の畑に蜂蜜用にレンゲとアカシアとラベンダーの花畑を作ってある。

養蜂技術なんかないから蜜蜂から妖精が分捕ってくるという結構ひどい集め方だが、人間と違って妖精は蜂が全滅するような乱獲はしないので蜂蜜を増やしたければ花畑を増やして蜂の総数を増やす必要があるという、なかなか長期計画である。

 

それと幽香ちゃんの家の付近に野菜畑だ。緊急で野菜が欲しい場合は幽香ちゃんの能力で一気に育ててもらえる。ただし、花が咲いたあと収穫するものしか作ってもらえない。

また肥料も一気に使うので土がすごく痩せるという欠点もあるけど真冬でもない限りはすぐ手に入るのでありがたい。

 

「そうね。これも能力を使う可能性があるなら私の家の近くがいいわね」

 

そういうと幽香ちゃんは踵を返して歩き始める、えっとついていけばいいのかな?

 

「なにをしているの?ついてきなさい」

 

「おう、じゃあなラルバ、花が咲いたら蜂蜜頼むぞ」

 

「まかせて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香ちゃんの家についた。

やはり大八車だとつらいわ……

とりあえず上がって休めと言われたので、椅子に座ってぜひぜひ言っていると、幽香ちゃんが水を渡してくれた。

 

「とりあえず、少し休みなさい、それからどうするか決めましょう」

 

「ああ、ありがとう幽香ちゃん……うめえ!生き返るわー」

 

「もう一杯飲むかしら?」

 

「おう、頼むわ」

 

幽香ちゃんが素焼きの壷から水を汲んでくれた。

ん?なんか入れてるな。

 

「はい、どうぞ」

 

「ん……いい香りだな、ジャスミンか」

 

「そうよ、なかなかわかるじゃない」

 

と目を細めてにっこりする幽香ちゃん。

幽香ちゃんの三白眼が怖いわけではないが、やはり威圧感があるのは否めない。でも優しげな雰囲気で目を細めている幽香ちゃんは――

 

「可愛いな……」

 

「何を言うのよ……」

 

思わずつぶやきが漏れる位に可愛い。幽香ちゃんは綺麗系ではあるんだけども、糸目状態の時は本当に優しいお姉さんに見える。

 

あと何度か家に来て分かったのだが幽香ちゃんは人目がないとあたりが柔らかくなる気がする。

まあ、これは俺の気のせいかもしれないけど。

家の中も綺麗に整頓されており、家具にも布がかけられてたりして、幻想郷で数少ない女子力の持ち主のようだ。

 

お、女子力と言えば……

 

俺は荷物を漁って麦わら帽子をとりだすと幽香ちゃんに手渡した。

 

「どうしたの、これ?」

 

「幽香ちゃんに似合うと思って作ってみた。まあ半分ぐらい手伝ってもらったけど……」

 

「ふうん……?」

 

手に取ってしげしげと眺める幽香ちゃん。

 

「そうね、たしかに少し雑なところと、綺麗なところがあるわね。でも、うれしいわよ。ありがとう」

 

そういってまた目を細める幽香ちゃん。

 

「……何をしているのかしら?」

 

「うおっ!?無意識にっ!?」

 

目を細める幽香ちゃんが、なんかでっかい猫に見えて思わず頭を撫でてしまっていた。

ウェーブかかった髪の毛なのにサラサラだな!

 

「で、なんで止めないのかしら?」

 

「いや、なんとなく……」

 

しばし無言で撫で続ける。

幽香ちゃんもおとなしくなでられたままになっているので、やめどきを見失ってしまった感はある。

 

「はふぅ」

 

なんか幽香ちゃんがとろんとしてる。

俺の撫でテクは橙を尻上げ状態にする程度の(程度能力ではないが)腕前だが、人(?)にもそれなりに効くようだ。

 

やがて、幽香ちゃんが一歩進んで間合いを詰める。

あ、これ吹っ飛ばされるやつだ。

 

そう思って身構えたが、何もしてこない。

やがて幽香ちゃんが小さい声で言った。

 

「こ、後頭部も撫でなさい」

 

「幽香ちゃん超かわいい」

 

なにこの可愛い生き物!?デレたとかじゃなくて中身が入れ替わってない!?

思わず超かわいいとか言ってしまったじゃねえか!超かわいいけども!(混乱)

 

意を決して後頭部に手をまわして撫でる。

 

「ん……」

 

幽香ちゃんの花のような甘い吐息が俺の鼻腔をくすぐる。

後頭部を撫でているので少しづつ押されるような感じで幽香ちゃんが近づいてきて……幽香ちゃん結構大きいな!

ふにょんとした感触がすごい。

 

完全に体が密着しそうな状態に――

 

 

 

ガタッ!

 

 

 

聞こえてきた音に二人ではっとなって音のしたほうを見ると――

 

 

 

窓からエタニティラルバがのぞいているのと目が合った。

 

「あ、どうぞ、気にしないで続けてー」

 

などとのんきに続きを促すが、先ほどの熱病に浮かされたような空気はすでに雲散霧消しており――

 

「き……きゃあああああああああああああっ!!!」

 

「ぐえっ!」

 

正気に返って取り乱した幽香ちゃんが俺を突き飛ばし、獲物を狙う目で窓に向かって駆けだす。

 

「やっば!」

 

逃げ出すエタニティラルバ。映画のように窓を突き破って追う幽香ちゃん。叩きつけられてダメージを負った俺。

何だこのカオス。

 

とりあえず、起き上がり傷む身体に鞭打って壊れた窓の木くずなどを集めることにした。

しかし、やばかったな。幻想郷は美少女美女が多いから慣れたと思ったけど、雰囲気が加わるとちょっと間違いを起こしかねないから怖いわ。チルノですらどうにかすると愛でてしまう(いや普通に可愛いけども)からな。

 

まあ、今現在俺はフリーなわけでだれとナニを致そうが問題はないはずなんだが……

例えば魔理沙と付き合うとか……うん、無いわ。嫌いじゃないんだけど、無いわ。

 

小鈴ちゃんも可愛いよな、あと華扇ちゃんもまじめに言ったら付き合えそうだし、アリスちゃんも相性がよさそうだ。もれなく上海ちゃんもついてきてお得!

 

……霊夢ちゃんはどうなんだろうなあ……?

なんか一番想像できねえんだよなあ。今と全く変わらん気がする。

 

遅いな幽香ちゃん!?

空が茜色に染まってきたぞ、いい加減手持ち無沙汰だしタンスでも漁ろうかな(ゲス)

それともベッドに全裸でダイブして堪能しようか(変態)

 

くだらないことで悩んでいると幽香ちゃんが帰ってきた。ちっ、おそかったか!

 

「おかえりー。ラルバはどうなった?」

 

「ただいま。星になったわ」

 

一回休みかー。さすがにこのあたりでは最強格の幽香ちゃんからは逃げきれなかったみたいだな。

 

「暗くなりそうだから畑の話はまた今度だな」

 

「そうね、さすがに泊まっていくわけにもいかないでしょうし」

 

「え?」

 

「あっ!い、いやらしい、そんな意味で言ったわけではないのよ」

 

「いや、俺は何も言ってないけど!?」

 

「私は強いものが好きなの。今のあなたではおよびじゃないわ」

 

強くなったらオッケーってことですかねえっ!?

聞いたら怖いから聞かないけど。

 

「残念だな。まあ、今日はかえって明日また来るよ、荷物は置いていくな、さすがに大八車引っ張ってったら日が沈むわ」

 

「わかったわ。いつ頃?」

 

「お昼前ぐらいかな?華扇ちゃんと組手してから来るから」

 

「華扇?ああ、あの仙人もどきね」

 

「もどきって……」

 

「まあいいわ、強くなるなら私にとっても楽しみだし。じゃあ、忘れずに来るのよ」

 

「おう。わかった。またな、幽香ちゃん」

 

「ええ、またね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、いろいろ立て込んでたので幽香ちゃんと畑の位置を決めたら、諏訪子ちゃんに借りた能力で一気に畑を作って、すぐ帰ったら、その翌日から一週間連続で幽香ちゃんに襲撃された。仲良くなったと思ったのになぜだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連続襲撃から数日後サトウキビ畑で収穫を開始する。

百本ぐらいだからそこまで手間はかからないが高さが3m近くあるので面倒は面倒だ。

幽香ちゃんはこの前渡した麦わら帽子を装着して、いつもの日傘をさして収穫作業を見ている。

うん、やっぱ白いワンピースが欲しいな。今度プレゼントしようかな。

 

「それから砂糖が採れるってのも不思議ね、見た感じただの雑木や竹みたいだけど」

 

「幽香ちゃん花以外に興味なさすぎない?まあ、たしかに変な植物だけど」

 

実際、最初にこれかじろうと思った奴って誰なんだろうな?

 

そう思いながら鉈で斜めにそいで、幽香ちゃんに手渡す。

 

「……どうしろと?」

 

「舐めたりかじったりしてみればいいよ」

 

「……こんな粗末なものをこの私に舐めろというの?」

 

幽香ちゃんのセリフがなんかエロイんですけど!?

俺のは粗末じゃないよ!(馬鹿)

 

「まあ、お前が言うなら……ちゅっ……確かに甘いわね。でも砂糖ほどではないわ」

 

「実際は汁集めて煮詰めて結晶化させるからな」

 

軽く吸いついて感想を言う幽香ちゃん、ちろりと出す舌は思ったより真っ赤で、妖怪じみた感じで少しの恐ろしさとかなりのエロスを感じる。

 

「……お前もかじりなさい」

 

「ん、じゃあ俺も」

 

と、鉈でサトウキビを切ろうとすると幽香ちゃんに制止された。

 

「これをかじればいいでしょう?」

 

と、小さい歯型の残ったサトウキビを俺に渡してくる。

 

「いや、幽香ちゃんがかじったし……」

 

「ほう、お前、私がかじったところが汚いとでも?」

 

と目を全力で見開いて圧をかけてくる幽香ちゃん。

三白眼なので目を見開くと圧が通常の二割ぐらい増しになるんだよな。

 

慣れると、これはこれで可愛いと思うんだが。

 

「いや、幽香ちゃんが気にしないならいいけど」

 

と、幽香ちゃんからサトウキビを受け取ってかじる。

ちょっと雑味が残る薄い砂糖水って感じだ。うん、甘いは甘いけど物足りねえな。

 

「うん、普通のサトウキビだな」

 

「そう……それをよこしなさい」

 

「え、これ?どうすんの?」

 

間接ちゅーがしたいとか!?って幽香ちゃんに限ってそんなことはないよな。

 

「こうするのよ」

 

と、幽香ちゃんがサトウキビを地面にぶっ刺して両手で押し抱くようにして目を閉じると――

 

「うっそだろ!?」

 

切ったはずのサトウキビに花が咲いた。そして見る見るうちに茶色くなり、種ができた。

 

「次に植えるサトウキビはこの種を使いましょう、きっと元気な子が育つはずよ」

 

「株で増やそうと思ってたんだけど……」

 

「どうせ私が育てるのでしょう?この子は私が立派に育てるのだからあなたはこの子のために立派なおうち(はたけ)を作りなさい」

 

「まあ、確かに幽香ちゃんの能力じゃなければ枯れちゃうけど」

 

「なら、問題ないわね、私に任せなさい」

 

「おう、悪いな」

 

「いいのよ、好きでやってることだから」

 

そのあと妙に機嫌のいい幽香ちゃんと話をしながらサトウキビの収穫を終え、再度畑を作った。一度育ててわかったことの意見を聞いて幽香ちゃんの要望通り、南向きの日当たりの良いところで付近に水源のあるところ……もういっそと思って用水引いたぜ。

諏訪子ちゃんの能力でわざと不安定な形に盛り上げて、能力を解除すると崩れて耕せる、数度そうしながら腐葉土や発酵堆肥も混ぜ込んでいく。

なんと幽香ちゃんが手伝ってくれた。なんか今日はかなり機嫌がいいんだな?

 

そして数日土を休ませてから再度植えることにして「まずは何とかしてサトウキビ絞らないとなあ」とおもいながら、持てるだけ収穫したサトウキビをもって(残りは明日)博麗神社に戻ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――後日。

 

 

 

 

「ちょっとアンタ!?幽香を孕ませたんだって!!アレほど妖怪といたすなっていってたでしょおおおおおおっ!!!」

 

「なんのはなしだあああああっ!?」

 

突然の霊夢ちゃんの怒号に大混乱する俺。

 

「これ!」

 

と、霊夢ちゃんに手渡されたのは文々。新聞である。

 

見出しは

 

 

外来人と花妖に熱愛発覚!?すでに子供まで!?

 

「なんじゃこりゃあああああっ!?」

 

 

記者が事情通のLさんに確認したところ花妖が「子供は私が育てるので立派な家が欲しい」との要望があったそうです。また好きでやってることだからいいと、いじらしいですね。

外来人も快く応じたそうですが、記者に言わせればクズですね、子供は両親で育てるものだと思います。

 

言い方ぁ!?そしてLってラルバか!?また覗いていやがったな!?

 

 

「で、アンタ申し開き……いや、いいわ。遺言はある?」

 

「ちょっと厳しすぎませんかねぇ!?霊夢ちゃん!」

 

 

 

 

 

このあと誤解を解くまでに3回ぐらい吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




11/17
結構な分量追記しました。

今回は3キャラとも顔見世程度の上エロくなくてごめんなさい。
それぞれ活躍する話もありますのでお待ちください。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

お気に入り3000いったのでR18にもう一本書きます。リクエスト受けるので詳しくは活動報告で。

アンケート更新しました。


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鬼のパンツは良いパン……履いてないだと!?

注意!前話の最後の方かなりの加筆してあります。お読みになっていない方はご一読ください。
特に幽香ちゃんが好きな人は必見です!

なさちら様、アイシクル21様、石夏 ID:80ZDnF0o様、ゴトイ様。感想どうもありがとうございます。


誤字脱字報告者のすかたず様、tmtdk様、SERIO様、satake様、 クオーレっと様。
ありがとうございます。

こんかいは久しぶりのやまなし、おちなし、意味なしの日常回です。
ゆるーいのもいいよね。


「美味いな」

 

「だろ、だろ?こいつあんまり飲めないくせに酒のアテ作るのめっちゃうまいんだよな」

 

「甘味もとても上手ですよ。向こうとこちらでは手に入る物の質量ともに違うでしょうに、工夫していろいろ作るんですよ」

 

「はっはー誉めても何も出ないぞー?ほい、唐揚げお待ち」

 

出来上がった唐揚げを毛氈の敷物の上に置く。

今日の依頼はささやかな宴会のホストである。

料理、給仕や話し相手とやることは多岐にわたるんだが、見知った顔が相手なんで気楽にできるぜ。

 

ゲストは華扇ちゃん、萃香ちゃん、勇儀ちゃんの鬼娘たちだ。

ちなみにもうすでにかなり飲んでいるが誰一人として顔色一つ変わらない。流石鬼だな。

 

鬼と言えば前に華扇ちゃんが真面目な顔で――私、実は鬼なんです。と言ってきた時はどうしようかと思った。

 

どうやって「知ってた」をオブラートに包んで話そうかと考え込んでいたら、なんか深刻な顔で――そ……う、ですよね……とか勝手にドツボにはまろうとしたからストレートに「知ってた」っていったらなんか燃えつきてた。

 

そも、屠自古ちゃんとか見た目が(足が)完全に幽霊(なおめくったらちゃんと履いてた。ただし、色気のないデカパンだった。そのあとすごい勢いで雷を落とされた(説教&物理)なのにも俺は動じないんだから、完全に人間形態取ってる華扇ちゃんが気持ち悪いわけがない。

 

ちなみになんでわかったかと言うと、一番大きいのは「茨木の百薬枡」である。

正直あれを使いまくってて鬼であることを隠してたつもりだったというのがまず俺には理解できなかった。

いや、単純にアレだけみたなら「すげーアイテムだなー」みたいな感想だっただろうけど萃香ちゃんも勇儀ちゃんもなんか似たようなの持ってるし!

 

さらに渇き物に炒り豆だしたら、絶対食べないし(なお、これも萃香ちゃんたちと同じ、豆大福や餡子は食えるので大豆のみダメなんだろうか……でも豆腐食うので謎が多い)ほかにも手に鎖ついてたり(というかこれもバレバレパターンだろ)行動や発言の端々に鬼をにおわせていて隠す気あるんかい!?とおもったわ。

そこまでバレバレなのに恐ろしいことに幻想郷で知ってるのは数人だけということ、魔理沙ですら知らないらしいマジか!?

 

そして今は封印されてるので鬼としての権能は怪力に生命力と酒に強いぐらいらしいので、どこに恐れる理由があるというのだろうか。幻想郷で貴重な巨乳枠だし。触っても「やだもー」程度で済ましてくれるし(実際は説教されるけど、怖くない)

 

シニヨンキャップの下に小さい角があって本当の姿の時は頭一つ分ぐらいまっすぐ伸びてるらしい。

一度触らせてもらったら、思ったより硬質感があって、ほんのりと温かい。

言い方は悪いが、クワガタ(萃香ちゃん)とカブトムシ(勇儀ちゃん)に対して鬼型宇宙人っぽい。

 

「ラ〇ちゃんの角みたいだなー」とか言ったら。「えっ、ラ〇ちゃんの角触るの……そ、それって求愛行動ですか?あなたが望むなら私は……」とバグりかけてたのでチョップして正気に帰しておいた。

華扇ちゃんドラ〇ンボールネタも知ってるし、どこかから漫画を手に入れていると確信した。

すいません、念能力の奴今何巻まで出てますかねえ?そろそろ完結してますか?

 

さておき、わざわざ仕事として受けたのだから、普通に料理を出すだけでは面白くない。

コネと能力フル活用してのおもてなしだ。

 

この前能力が進化?して複数能力の同時使用が可能になったからな。

なので魔法による空中炙り焼き(一頭丸焼きが格好いいんだが絶対食いきれないのでケバブ)やチルノの能力でアホみたいに酒精を高めた(アルコールと水分の凝固点が違うことを利用した技だ)焼酎や、ほぼ華扇ちゃん専用チョコフォンデュなどがある。

……最初チョコファウンテン(フォンデュ用のチョコが噴出してるアレ)見たときグラスに酌んで飲もうとした華扇ちゃんにはちょっとビビった。

鬼じゃなければ糖尿になるぞ……

 

海魚の刺身だって今回は大奮発だ。イワシは頭がなければ食べることができるそうなのでつみれ鍋もあるぜ。

子持ちシシャモ(だがカペリン)や、だし巻き卵なんかもあるし、雰囲気的には日本の居酒屋だ(なお、チョコフォンデュ)

 

「いやー豪勢だなーお足たりるかー?」

 

心配する萃香ちゃん。お足とは代金の事である。なので赤字の事を足が出るというんだな。

 

「た、足りなければ私が体で払ってもいいぞ、たりないぶん乳、揉むか?」

 

paypay(パイパイ)払いですか!?勇儀ちゃんはバグというほどではないけど普通にエロに抵抗がないよな。

というか、華扇ちゃんは積極的ではないが寛容ではあるし、萃香ちゃんも普通にエロいことに抵抗ないし……

 

 

 

 

 

鬼はエロい?(疑問)

 

 

 

 

 

「いや、大丈夫だよ、ちゃんと間に合ってる」

 

そも、ここで金の価値が低すぎる、数グラムある金の小粒が一万ぐらいの価値しかねえからな。逆に紫さんに渡して買い物して来てもらう分には余るぐらいだ。

……どうやって換金してんだろう…‥?

問題は紫さんはあんまり動いてくれないから頼みすぎると無視されるってことぐらいか。

なので幻想郷で手に入ったり、増やせるものはこちらで賄う方針だ。

 

「ならいいけど……別に遠慮せず揉んでもいいんだぞ?」

 

勇儀ちゃん揉ませたいだけなんじゃないんですかねぇ!?

まあ、乳で散々からかったのでそのせいかもしれないけど。

 

「私のも揉むかー?」

 

「萃香ちゃんは揉むほどないでしょ、いや少しあるのは知ってるけども」

 

ほんのわずかに膨らんでるんだよな。ただ、妙に色気があってロリコンなら間違いなく一発で落ちるような感じだ。

 

「なんというか、あなたは萃香や勇儀ととても仲が良いんですね。こんなにも人間に心開いている二人は千年ぶりぐらいに見ましたよ」

 

と、華扇ちゃんが驚く。そういえば三人(?)そろってるの初めてか。

 

「そういう千年単位の年代聞くと華扇ちゃんも人外だなあっておもうな。普段はまるっきり食いしん坊のお姉さんなのに」

 

「食いしん坊って!?普段は厳しい拳法の師匠のつもりなんですがっ!?」

 

んなこといわれても、ここしばらくはほぼほぼ甘味くってメス顔(マジで時々見てるだけで勃つようなお見せ出来ない顔になる)さらしてる姿しか見たことねえぞ?

初期のころのキリッとした華扇ちゃんはどこに消えたんだろうか……そういえばその日のうちに消えてたわ、たしかいちご大福とプリンだったな、ありあわせのもんだったが……

 

「よーし、鍋も煮えたぞー」

 

馬鹿話しててもちゃんと仕事はしてるぜ。

とりあえず最初の一杯は取り分ける。意外に萃香ちゃんは好き嫌いなく何でも食べる。華扇ちゃんは野菜や魚の練り物……ぶっちゃけおでんが好き。

ミスティアちゃんの屋台でめっちゃ食ってた覚えがある。

 

そして問題児が……

 

「やさい、いらない」

 

「子供か!」

 

単語で喋って拒否する勇儀ちゃん。

ちょっと可愛く見えるのは俺だけだろうか。

 

「よく煮えてて味が染みてるからうまいぞ?」

 

「……ふーふーしてあーんしてくれたらたべゆ」

 

なんか幼児退行してませんかねぇ!?…‥ふと思ったんだが、もしかして結構酔ってるのかもしれないな、チルノ酒はかなり強いからな。それを……一人一斗はあけてるのか。うんいくらなんでもまずいかもしれん。

 

でもまあ、でっかい子がこういう甘えてるのも結構来るものがあるな!いろんな意味で!

ま、今日の俺は饗応役だ、存分に甘やかしてやろうではないか。

 

「ほら、あーんして」

 

「あーん」

 

口の中は結構鋭い歯が生えてんのな、でもなんか怖いというよりもかわいいのはなぜだろうか。

白菜とかはどれだけふーふーしても汁をたっぷり吸っているので「バラエティおでん」状態になってしまうから冷めるまで放置で人参をチョイス。薄い輪切りなのですぐ冷める。

 

「よーし、えらいぞって……二人とも何してんの?」

 

「「あーん」」

 

食わせろと!?やっぱ結構酒まわってるだろ!?

いや、それはいいんだが、三人並んで口開けてると親鳥になった気分だぜ。……ごめん、嘘ついた。

 

 

 

白濁液ぶっかけてえ……!

 

 

 

 

 

並んで上向きで口開けてるとなんかすっごいエロスかんじるんですけど!?

特に萃香ちゃん、なんで口の前に手を持ってきてベロ出してるの!?絶対わかっててやってるよね?

収拾がつかなくなるので「1回づつな」と華扇ちゃんにはシイタケを、萃香ちゃんには容赦なく熱々玉子をほおりこんだが平気で食ってた。ふーふーいらねえだろ!?

 

 

 

 

宴もたけなわ。

唐揚げに酢橘でもめることも無く(三人ともかけない派で、結局酒と一緒に酢橘が消費されていった)俺が都都逸(俺の趣味)を披露して盛り上げたりしたが普段の宴会と違い割とおとなしく進んでいく。

今は食べるより飲む方がメインになっていて時々浅漬けを追加で出したり焼鳥を焼いたりする程度だ。

ただ時々変な会話が混ざるのでやはり鬼といえども限界超えると酔うのだろうな。

 

 

 

「ところで華扇よー?ちょっといいか?」

 

「どうしたの萃香?」

 

「お前こいつとずいぶん仲がいいけど……ヤッたのかー?」

 

ブバッ!

 

 

華扇ちゃんがダイナミックに酒吹いた。

それはもう漫画みたいに綺麗に。

 

「それは私も気になるな。世捨て人のようなお前がずいぶん楽しそうではないか」

 

「ヤッてません!あなたも何か言いなさい!」

 

「えっ……あっ、その、ああ、ヤッって……ないぞ?」

 

「なんでそんなわざとらしい言い方するんですかっ!?」

 

俺をつかんで揺さぶる華扇ちゃん、おおう、前後に揺れるたびにぽいんぽいん当たる華扇ちゃんのおっぱいが気持ちいいな!

 

「おいおい、封印されてたからってらしくないぞー?昔は一番お前が食ってたじゃないかー?」

 

「違います!違いますからね?物理的に食べてただけですからね!」

 

なぜか俺に念を押してくる華扇ちゃん。そして物理的とか。いや性的でないと言いたいんだろうけど、余計怖いことなってるからな?

 

「大体鬼ってもんは一緒に飯食うだろ、酒飲むだろ、いい気分になって気が付いたらヤッてるだろ?な、勇儀」

 

「私はどちらかと言うと、戦って昂ってからの方だから全くないとは言わないが……あまりないな。そういう時は大抵相手もう死んでるし。だから、こいつは……まあけっこう気にいってる」

 

鬼トークというか、妖怪トークというか、普通に殺人が出てくるな。そして意外に萃香ちゃんが一番穏便だ。

あと勇儀ちゃんからの好感度が結構高い、やったぜ俺。

 

え?怖くないのかって?人間として思うところは確かにあるが殺しに来て殺されないって思う方がアホだろ。

まあ最初は鬼から仕掛けたのかもしれんが、その辺はよくわからん。が、勇儀ちゃんの様子を見てれば、負けたならたぶん潔く笑って死んだと思うな。

食われるのも食事だし、逆に命を無駄にしてなくていいんじゃね?とだいぶん向こう寄りの考え方だな。

 

「人食ったり殺したりするの人間からしたらどう思うー?」

 

「人を食おうが動物を食おうが命としては同じなんじゃね?なら美味しく肉食ってる俺がなんか言うべきじゃねーな。ただ遊びで殺すのはちょっといただけない気はするな」

 

「人間でそれ言えるのはすごいですよ、釈尊みたいです」

 

「そうだな、大抵の人間は私たち(人外)より自分たちを上に見ているからな」

 

「やっぱおまえ。おもしろいなー。好きだぞー」

 

「なんとなくの感想だけどな、人間だって動物だろ」

 

褒められすぎの気もする。当たり前のことしか言ってねえんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば鬼のパンツはいいパンツっていうけど、本当なのか?」

 

「また唐突に何を言っているんですかあなたは!?」

 

「華扇ちゃんは普通に天冠(幽霊の頭……まあ幽々子ちゃんの頭についてるような三角の布、渦巻き模様はないけど)のような小さめの紐パンツ履いてるよね?」

 

「普段はそうですね、動きやすいのと洗濯も楽なので」

 

普通に答えてくれる華扇ちゃん。まあさんざんもっとすごいの見たもんなあ……

 

「普段じゃないときは?」

 

「ピンクの、茨模様が両サイドに入ったほんの少し透けたやつです、勝負パンツというらしいですね」

 

まさかの勝負パンツを教えてくれた。確かにいいパンツではあるが!

 

「萃香ちゃんは確かお子様パンツだよね?」

 

「バックプリントも各種揃えてあるぞー?あと勝負パンツは今はいてるから、見てみろ」

 

「見てみろって……ほかの二人の前で!?」

 

「まーまー気にせずに確かみてみろ!」

 

「えー、しょうがねえなあ、じゃあせっかくだから」

 

なんか無敵対空しそうな感じの圧をかけられたので、しぶしぶと応じる俺。

嫌とかいうと嘘判定されるがな!

 

立ち上がった萃香ちゃんの前に跪き、結構長めのスカートの端を持ってそろりそろりと自分を焦らすようにめくりあげていく。

 

いや、すっごいワクワクするな!なんだかんだいってロリ枠のくせにエロス成分多めだからな、萃香ちゃんは。

レミリアさんに匹敵するんじゃねえかな?

 

ゆっくりとめくっていくと下から徐々にあらわになっていく。

細い足首からスラっとした脚、すべすべした太ももそして……

 

「なんも履いてねえ!?」

 

綺麗な一本筋である。

ただし、フランのと違い少しぽってりとしていてもう少しで具が見えそうな感じではあるが。

うーむ、本人の申告通りなら結構使いこんでいるはずだが、綺麗で全くそんな感じはせず年端もいかない少女のようだ。

 

って冷静に批評してる場合じゃねえよ!絵面が犯罪的すぎんだろ!?

 

「そりゃそうだろ。ヤる気ならパンツなんて邪魔だからな。だからこれが勝負パンツかなー?」

 

「まず、パンツの定義が完全にどっかに消えてるんだが、それは……?」

 

「……鬼の伝統エアパンツ?」

 

「人間の俺でも嘘だってわかるぞ?」

 

まあたしかに勝負パンツ=セックスアピールなら正しいのかもしれな――なんかだまされそうになったが、やっぱりパンツじゃねえよな!?

 

 

「やべえ、なんか言いくるめられるとこだった」

 

とりあえず、これは鬼のパンツではないと思う。

 

「大体、ガチな鬼のパンツなら勇儀だろーな」

 

「いいっ!?私かっ!?」

 

「なるほど」

 

頷きながら勇儀ちゃんに向き直る。

そう言えば勇儀ちゃんのパンツは見たことはなかったな。

スカートがかなり野暮ったい感じなのとパンチ主体で戦うせいで見る機会がなかったんだよな。

 

「えっと……見たい……のか?」

 

「見たいな」

 

鬼は正直に言えば暴言以外の大抵のことは許してくれる。

あるいみチョロイ種族ではある。多分萃香さんの気が付いたらヤってるっていうのも酔って理性が飛んだ状態で純粋な下心(意味不明な言葉だが、そういうものもあるはずだ)で口説いた結果だと思うんだよな。

 

「……しょうがないな」

 

そういうと勇儀ちゃんは俺の目の前でうっすら透けているスカートをめくってくれた。

スカートの下にはもう一枚長いスカートをはいているようだ。これは鉄壁、まさに金城で胡坐をかいてもパンツが見えないわけだ。

 

では失礼して――

 

「お、おいちょっと!?」

 

二枚目のスカートに手をかけると勇儀ちゃんが焦ったように声をかけてくる。意外に勇儀ちゃんは乙女というか鬼の中では奥手というか男慣れしてない感じはするよな。

まあお相手をことごとく撲殺したせいかもしれんけど。

 

「おりゃあ!」

 

一気にめくりあげる。

俺の眼前には綺麗に整えられた茂みが――金色である。あり、角度的に中身も見えたのだが、だらしない感じではなく、つつましい感じだった。

 

「きゃああああっ!!」

 

 

「ごっ!?」

 

 

いい感じで蹴りをもらったが、いつものような重さはなく、本当にとっさに出した蹴りのようだ、ほんの少したたらを踏むだけで済んだ。

勇儀ちゃん悲鳴可愛いな!

 

「あっはっはっはっはっはっはっ!!」

 

そして萃香ちゃんが爆笑している。

にゃろう、こうなるのわかってやがったな?

 

「あなたって人は……!」

 

そして華扇ちゃんが柳眉を吊り上げて怒っている、えー俺が悪いの?

 

「一体どういうことだ……?」

 

混乱していると萃香ちゃんがネタばらししてくる。

 

「鬼のパンツは腰巻の事だよ。虎の毛皮っていうけど、霊獣のだったり錦だったりするけどな。今みたいに履くタイプのパンツではないんだよ」

 

そう言えば、可愛い鬼ばっかりで完全に失念してたけど、確かに絵本とかの鬼ってそんな感じのパンツだわ……!

ちなみに腰巻ってのは昔の日本の女性の下着だ、文字通り腰に布を巻いてある。

 

「つまり俺のやったことはスカート捲りではなく……?」

 

「パンツ脱がせたに等しい行為っていうかそのものだな!あっはっはっはっはっはっ!!」

 

「笑い事じゃねえだろっ!?ごめん勇儀ちゃん」

 

「わざとじゃないなら……いい。お前なら……いい」

 

声小っさ!?勇儀ちゃんはなんだろう、こういう恥ずかしがってるのすごい可愛い!

でっかい子が身を縮こまらせて羞恥でもじもじしているのいいよね!(外道)

 

ところで我が息子よ。自己主張するのはやめてくれないかな。発覚した場合何をされるかわからんぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――と、いつもいっているように、まったくあなたは注意力が足りません」

 

「おっしゃる通りです……」

 

華扇ちゃんの説教のおかげで俺も息子もしょんぼりしている。

助かったと言えば助かったな。

 

「まあ、そう怒ってやるな、華扇。結果を分かっててけしかけた萃香も悪い」

 

フォローしてくれる勇儀ちゃん。犠牲者なのに優しいな!

 

「私は悪くないぞ、よく考えてみろ、普通はスカートだってめくらないだろ?」

 

「そういわれたらそうだが……でもこいつだぞ?」

 

「ええ、そういう人ですものね」

 

俺、酷い言われよう。少し注意しないといけないな。(反省)

 

でも目の前に見ていいパンツがあったらめくるよね?(反省の念が見えない)

 

「ですがこの煩悩、使いようによってはすごいものになるかもしれません、漫画にいました、煩悩パワーをすごい霊力に変える人が」

 

「どこの霊能事務所の助手ですかねえっ!?」

 

華扇ちゃん、本当に漫画好きだな!?しってたけど!

 

「あ、じゃあ華扇とヤリまくればいいじゃん」

 

だから萃香ちゃんはなぜそこに行きつくのか。

 

「なんでそうなるんで――あー。房中術ですか」

 

「えっと華扇ちゃん、それって……?」

 

「仙道の修行法の一つですね。私は別に構わないのですが……ちょっと彼には酷というか無理でしょうね」

 

「構わないってヤってもいいのかよ!?で、無理ってどういうこと、華扇ちゃん?」

 

前から思ってたけど普通に華扇ちゃんってエロのハードル低いよな……

これも鬼の特性なのか、それとも仙人の特性なのか……?

 

「房中術は接して漏らさずなのです」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「…………ええとですね…………その」

 

華扇ちゃんがもじもじしてる、ちょっと可愛い。

 

「ひらたく、そうわかりやすく言えばですよ」

 

焦らすなぁ、そんなに言いにくいことなのだろうか?

 

「おう」

 

「射精管理です」

 

「しゃせい……かんり……射精管理!?」

 

「恥ずかしいので大声出さないでください!接して漏らさず、要は出してはだめなのです。しかし交合することにより陽の気と陰の気が合一されるので……つまりはひたすら寸止めです、そしてまじわっては寸止めのその状態を数年続けます」

 

「それ何のプレイかな!?しかもレベルかなり高い感じの!?」

 

それ何てエロゲ?もしくはウ=ス異本?

 

「女性側は、まあ多少は不便ですが、そこまでではないのです。ただ男性側は物理的にたまっていくので……地獄のような苦しみらしいです、もちろん何かのはずみで出してしまえば最初からやり直しですね。で、やがてこの溜まったものが自分の気となって巡回させれるようになります、そうしたら修業は終了です。早くて数年、遅い人は1200年ほどかかるみたいですね」

 

「まずその1200年の人逆にすげえわ。そして俺は無理だな」

 

若いせいもあるけどぬいとかなければ間違いなく間違いを起こす。

 

「一応男性自身にはめる制御宝貝もあるみたいですけど」

 

「もう、本格的にプレイだな!?」

 

そんなの明らかにSMやん……

 

「チンチン鉄でできたチンコじ、とか言う名前付いてそうだなー?」

 

萃香ちゃんが茶化す。

 

「斉天大聖を貶めるのはやめろ、そんなのは天子にでもはめとけ」

 

奴の袖には緊箍児がついてるからな……あれを締める呪文マジしりてえ(この前も俺の用水壊しやがった)

 

「でも強くなるならありなんじゃないか?ちょっとお前試してみないか?な?そしてまた戦おう!」

 

「可愛い子だらけの幻想郷でそんなことしたら発狂するわ!?というか間違いなくどこかで誰か襲うぞ」

 

「誰かを襲うぐらいなら私が絞ってやるから安心しろよー?」

 

「というか修行失敗しますが、出してもいいんですよ?お試しで修行してみます?」

 

「精を食らうのもありか……よし、閨で勝負しようぜ!」

 

華扇ちゃんも含めて普通に誘ってきやがる……俺は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼はエロい(確信)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとチルノ酒は一人2升までにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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R18は紅魔館です。
ただし、個別に書いてからハーレムです。いきなりハーレムには愛が足りません。


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第七話

なさちら様、ポポポポン ID:AyNHSjf6様、Kuon8901様、とち様。感想どうもありがとうございます。


誤字脱字報告者のすかたず様。ありがとうございます。


久しぶりの本編。本編は主人公の成長要素があるのでどうしても重くなりがちなのがネックです。


 

 

 

 

「ごちそうさまー」

 

「おうよ、どうだった?」

 

 

「ん、美味しかったわよ、ちょっと朝から具だくさんの気はしたけど」

 

「ん、まあ入りそうなもん全部ぶち込んだからな。あ、そういえばさー」

 

「なによ?」

 

今朝は二人だけでの食事。面倒だったので残り物を全部ナベにぶち込んで、緩く溶いた小麦粉を加えてひと煮たちさせたすいとんである。

 

すいとんは貧乏飯なイメージがあるが、結局のところ具次第なので、朝から食べるにはやや豪勢かな?というレベルになっているぜ。

 

「近頃異変起きないけど、霊夢ちゃん何してんの?ニート?」

 

「ニートが何かはわからないけど、いい言葉ではないのはわかるわよ。……普通にちょっと修行してちょっと弾幕ごっこして、ちょっとのんびりしてる感じよ」

 

まあ、ほぼほぼぐうたらモードの時の霊夢ちゃんの行動パターンだわな。

日向ぼっことかしてたりもしてちょっとババ臭いんだがなぜか似合うんだよな。

お日様に当たってぬくぬくになった霊夢ちゃんに抱き着くの超気持ちいいし(十分に温まって、霊夢ちゃんが穏やかなモードに入ってないと怒られるので注意と観察が必要である)

 

まあ、それよりも――

 

「……異変解決ってさ」

 

「ん?」

 

「霊夢ちゃんがしなきゃならないの?この前は華扇ちゃんと美鈴ちゃんで解決したし。その前は偶然とはいえチルノが解決したし、その前は霊夢ちゃんと魔理沙か。でもさらに前は慧音ちゃんと俺だったよな?」

 

そう、俺も参戦するようになって結構経つが霊夢ちゃん自体が100%ケリをつけた異変はそこまで多くない。

全体の解決で言えば流石に6割は超えているだろうが、そのうち霊夢ちゃんじゃなければ解決できなかったという異変は0なのではないだろうか?

 

「なによ、ちょっと近頃推理が外れてただけじゃないの」

 

そう、幻想郷の異変はある意味一種のお祭りで、参加者が各自で参加するため意外に誰かが解決してしまったり、霊夢ちゃんが解決できなかったり(先を越されるという奴だ)するのだ。

 

「だからといって間違った推理を基に容疑者全部しばいていくスタイルはどうかと思うが……」

 

女性の下着が次々消えた異変ではほぼすべての幻想郷女性から襲撃されるという(チルノはのりで、紫さんとかは分かったうえで襲撃してきてるし、勇儀ちゃんはとりあえず戦えるというだけで襲撃に参加していたが)難易度ルナティックボスラッシュ状態になったこともあった。

ちなみに犯人は一反木綿であった。

 

その後襲撃者全員並べてスカートをたくし上げもしくはズボン類を下ろさせる(俺がめくるのではなく自分でさせるところがミソだ)というパンツラッシュで許した(俺の一言感想付きという羞恥プレイ含む)

 

魔理沙は最後まで抵抗していたのでじゃあ全部脱ぐ代わりに水着で勘弁してやると言ったら乗ってきたのでスリングショットを着せてやった。

水着を見た瞬間絶叫して抗議してきたが、厳格な映姫ちゃんなどもいたので(でも襲撃には加わってきてたけど。ちなみにパンツは黒のサイドがレースで透けてる奴。ただ中央は生地が厚く透けてない)さすがに二回目の拒否は許されなくて、抵抗むなしく着る羽目になったぜ(武士の情けで毛の処理の時間は与えた)素直にドロワ見せておけばよかったものを自ら被害を広げた感じだな。あと意外におっぱいなかった。

 

なお、襲撃者に霊夢ちゃんはいなかった。「アンタが洗ったパンツ単体に興味あるわけないじゃない」とよく理解されてた。

確かに見たら「おっ」とはおもうけど、やっぱり人物とセットだよな。

うっかり部屋干ししていたパンツを見られたパルスィちゃんとか超かわいかったぜ。

 

「昔からそうやってきたのだもの、今更よ」

 

ぷい、とすねたように横を向いて霊夢ちゃんが言う。

うん、可愛い。

じゃなくて――

 

「ぶっちゃけ博麗の巫女って……いらなくない?」

 

「アンタ……言っていいことと悪いことがあるわよ?」

 

流石に目を細めて圧をかけてくる。が、それもすぐに雲散霧消する。

 

「……アンタが何を思ってそれを言ったのかはわかるから、怒るに怒れないじゃない……そも、アンタ忘れてるかもしれないけど博麗の巫女は異変解決係じゃないからね?博麗大結界の守人なのよ」

 

「そういえばそんなものあったな!でも正直管理は紫さんがやってるだろ?」

 

「ま、あ……そう……ね」

 

霊夢ちゃんの目が泳ぎまくる。

俺も紫さんから詳しい概要を聞いた時は「これは現代人ならともかく幻想郷の人間には理解できないんじゃないか」と思ったが案の定霊夢ちゃんも理解できてないようだ。

 

俺はハードディスクのパーテーション分けのような感じで理解している。

で、分けられたドライブで幻想郷というOSをエミュレートしているわけだな。

そして管理者権限がないとファイルの行き来(人物など)ができないわけだ。

ただし、同じハードディスクなわけだから何らかの事態で二つのファイルが混じることがある。普通のOSなら壊れたファイルになるんだろうが、幻想郷というOSはそれを読み込めてしまう。

その結果が漂流物であり、外来人だろう。

あとは蓮子のような、共通ファイルもあるのかな?互換性という奴だな。

 

まあこれは俺の解釈だから違うのかもしれないが紫さんも「大体あってる」って言ってたしな。

で話をもどすが博麗大結界がファイアーウォールではなくパーテーションに過ぎないものならば今紫さんがやってるように「誰が管理してもいいんじゃね?」と思うんだよな。

 

「まあ実際のところ霊夢ちゃんはほぼ管理してない……と」

 

「い、いちおう外来人帰すときに穴開けたりはしてるわよ!」

 

「でもそれって紫さんの能力でもできるよね?」

 

ちなみに俺がいる間に来た外来人は二人。二人とも帰還を選択したが、俺だったら恐ろしくて帰れない。

俺に記憶がないというのものもあるが「皆に忘れ去られて幻想郷に来た」人間が戻っても居場所……あるのか?と思ってしまう(一応気絶してると通り抜けることがあるらしいから普通の人間が来てしまったというワンチャンはある)

 

「まあ、そうだけど」

 

「そもそも、博麗の巫女って何なの?ただの可愛い存在?」

 

「なんでそんなマスコット的な扱いなのよっ!?……言われてみれば私もよくはわかってないわね……概念?的なものかしら。あとは妖怪に対する警鐘……重しみたいなものかしらね」

 

「うーん……」

 

流石にこれは調べるしかないな。ただ霖之助も言っていたように紫さんでは望み薄だろうし、阿求ちゃんのところと鈴奈庵も何か本あるかもしれんから行ってみようかな。

 

「……アンタも、結構もてるんだから、面倒なこと考えずに好きに生きればいいじゃない」

 

「だから好きにやってんだよ」

 

 

その結果が今なわけで。

 

「……馬鹿ね」

 

「おまけにスケベでしつこいんだぜ?どーよ、こんな男は?」

 

「……私は嫌いじゃないわよ、そういう男は。退屈しなさそうだし」

 

「……そうか……ま、博麗の巫女の謎を解くのも楽しそうだしな……ところで霊夢ちゃん」

 

「何よ?」

 

シリアスな空気を吹き飛ばすように俺は言う。

 

「純潔が巫女の条件なら、お尻――」

 

「夢想封印!」

 

「ぬわーーーっ!!」

 

皆まで言う前に俺は吹き飛ばされた。解せぬ。

 

しかしこれで尻ASS(掛詞)が吹き飛ばされたので、狙い通りだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきまーす」

 

答え(いらえ)はないが多分聞いているとは思うのでひらひらと手を振って空へ飛び立つ。

この能力の制御もかなり慣れて疑似ムーンウォークなどもできるし(なお動きが気持ち悪いと不評である)なんならとんだまま昼寝もできるぐらい使い込んだ。そう考えると霊夢ちゃんとの付き合いの長さが思い返されるよな。

 

「うーわーはーはーはーはーはーっ!」

 

テンションが上がって錐揉み飛行しながら無駄にスペルカード「浮気心の紙風船」を切る。

俺にも制御不能な完全にランダムな動きの大き目の立方体弾を8か16か32か64か128か256(ランダム)ばらまく完全に運任せのカードだ。動きと個数次第では一瞬で勝負が決まってしまうギリギリのカードである。

 

移動方向で色が変わるためこうやって空中散布するとかなり綺麗なので、余興などにも使う、というか余興に使う方がはるかに多い。二番目に使うのが盗みを働いた魔理沙の行く手を阻むためのまさに弾幕だ。

 

一通り放出して落ち着いた(賢者モード?)俺は人里の付近で降りて人里に……お?あの姿は……?

 

 

 

 

 

 

「慧音ちゃーん!」

 

降りつつ声をかけると、きょろきょろとあたりを見回した後、俺を見つけたのか返事を返してくれた。

 

「なんだ、君か。何か用かい?」

 

「特に用はないけど、見かけたから……あ、じゃあパンツ見せて」

 

「ふん!」

 

 

ごすっ!

 

 

「ぐおっ!?」

 

用事がなかったので、とりあえずの用事としてパンツを見せてと言ったら流れるような動きで飛びつき頭突きされた。

相変わらずむっちゃ痛い。

 

「で、目は覚めたかね?」

 

「別に寝ぼけてたとかじゃなくて、普通に用事として思いついたんだけどな」

 

「なるほど、もう二三発叩き込めば頭が少しは良くなると思わないかね?」

 

「いや、勘弁してください」

 

「ならあまりそういうことを言うものではないぞ?私は君の事を分かっているが、そうでない人もいるやもしれんからな」

 

「でももう大抵の女の子は知っていると思う」

 

何せ幻想郷で一番のスケベと皆の共通認識だからな!主に文のせいで一般にも広まった気もするし!(なお文は妖魔本から現れた魔物、学名「エロゲニールスライム」に漬け込む刑に処した)

 

「……なんというか君は……いや、まあそれが君なんだろうが」

 

かぶりを振って呆れたような目で俺を見る慧音ちゃん。

いやあ、そんな褒めなくても(節穴)

 

「で、慧音ちゃんはなにしてたの?」

 

「んむ?いや、なに、妹紅のところに行っていただけだが……そうだ、たけのこいるか?」

 

と、風呂敷包みをかかげる。結構な量はいってそうだな。基本的に食べ物はありがたくいただくスタイルではあるんだが……

 

「すまん、うちにも山ほどある」

 

「ああ、まあ、君が先に貰ってないわけはなかったな……」

 

定期的に妹紅さんが山ほどくれるため自分でシナチク作れるようになったぐらいだからな。

ラー油かけたりしてのんべどもが酒のつまみで勝手に消費してくれるため減らすのにはちょうどいい。

あとは鍋に入れたり、定番のたけのこご飯にしたりな。

 

そういえば命蓮寺におすそ分けに行ったときに聖ちゃんが、台所まで運びながら「たけのこごはん♪たーけのこごはん♪」とうっきうきで歌ってて可愛かった。好物なんだろうか?

 

さておき、あそこはタケノコが年中無尽蔵に採取できるため飽和状態なんだよな。

なので正直たまに輝夜ちゃんとやりあって竹林燃やしたほうがいい気もする(非道)

……幽香ちゃんの力で花咲かせたら枯れねえかな?確か竹の花咲いたら枯れるって聞いた覚えがあるぞ。ただし地下茎でつながってるの全部一斉に枯れるらしいが。

永遠亭まで何もなくなったらそれはそれで厄介な気もするな。

 

「普通に料理すればいいじゃん」

 

「……できないわけではないが私はあまり料理が上手では無くてな。たけのこなぞ、たけのこご飯にするぐらいしか思いつかない。そしてこれだけのタケノコなら二升五合ぐらい炊けるぞ、うら若き乙女というわけではないが、そこまで大食いではないぞ……一人身だしな」

 

「あー……」

 

海がないから、簡単な土佐煮も若竹煮もないし、シイタケも高級品だから(俺が原木栽培広めたレベル)なあ。

あ、そうだ。

 

「筍と人参のきんぴらなら……」

 

「すまないがきんぴらはあまり好きではないのだ、なんというか……硬い」

 

まさかの好き嫌い!?

いや、まあ誰かに作るんじゃなくて自分で食うなら一番重要な項目ではあるが。

 

「硬いとかそんなババ臭いこと……慧音ちゃん若くてかわいいのに」

 

「何度も言うが私はれっきとした婆なんだが……?」

 

「婆はあんなエロいパンツ履かない!」

 

「エロくない!普通だ!」

 

いつだったか一緒に異変解決したときに股間の部分しか布のないパンツ履いてた覚えがある。∀みたいな感じの。

思わず「ターンエー!?」って叫んだ覚えがあるぞ……ん?あれ?なんか黒い紐パンもどっかで見た覚えがあるんだが……うーむ、謎だ。

 

「たしかに霊夢ちゃんのパンツに近いけど、霊夢ちゃんより布面積少ないし、なにより霊夢ちゃん自体はガチで若いんだから、似たパンツ履いているなら若い!」

 

「何故君は私の年齢でそんなにムキになるのだ……?」

 

「婆にエロスを感じたという字面が嫌だから!」

 

あれだ「そんなエロい婆がいるかーっ!」ってやつだな。

 

「エ、エロスって……なんだね?君はこの私にエロスを感じるとでもいうのかね?」

 

「……えっ?」

 

慧音ちゃんはいったい何を言っているんだろうか。

 

「えっ?だと?」

 

「いや、普通に感じてるし、たまに勃ってるけど……」

 

普通に今までさんざんセクハラしてきたと思うんだが。

 

「そ……そうか……って勃ってるって!?だ、だめだぞ!私にそう言うことを期待しても!君は若いせいで持て余しているだけだ、気をしっかり持って惑わされないようにしたまえ!」

 

そう言いながら、ちらちら俺の股間を確認する慧音ちゃん。やめて!見られてると思うとなんかじわじわ充血しちゃう!

 

「とにかく慧音ちゃんはエロい「エロくないと言っているだろう!?」んだからもっと反省して自覚を持つようにね」

 

「なんで私が責められるのか全く分からんのだが!?」

 

そうはいっても普通に若くてエロいんだからしょうがねーじゃんよ。おっぱい大きいし。

 

「妖怪な時点で実年齢とか全く無意味だと思うしな。マミゾウぐらいまで老成すれば婆として認めるのもやぶさかではないけど」

 

「なんで君が偉そうなのかはわからないが……私は老成してないのか?喋り方などもだいぶ普通の娘たちとは違うと思うんだが」

 

慧音ちゃんはわかってないな。

 

「ちんまいのにその中性的なしゃべり方が逆に可愛い」

 

「なっ!」

 

「そしてちんまいのに結構あるおっぱいと派手な下着がエロイ」

 

「エロ……」

 

慧音ちゃんがなんか打ちひしがれているけど、事実だからしょうがない。

そも服装が可愛い。マミゾウは色からしてババ臭いからそういうところでも差が出てると思うんだ。

 

「だ、だが私を抱けるとかそういうわけではないだろう?妹紅に誘われたときとか断ってたじゃないか!」

 

「え、普通にヤれますけど……?」

 

その言葉を聞いて、身体を抱きすくめるようにして俺から距離を取る慧音ちゃん。

 

「なっ!?なんと!?」

 

「いや、無理やりとかしないから」

 

「あ、いやすまない。驚いただけで他意はないんだ。だが、それならなぜ断った?正直私もいい加減捨てた――いや、なんだ。君が本気でしたいならやぶさかではないぐらいには気に入ってはいるぞ。……うむ、少し気恥ずかしいな」

 

「あー、そうですね。俺もつい先日理解したんですがそういうことする覚悟が足りなかったんだと思うんだよな」

 

「覚悟?君はずいぶん古い価値観の持ち主なのか?性交即結婚という考えかね?」

 

「あー、いやそうじゃない。いや、そうなのか?ヤったら責任取らなきゃなと、それぐらいには倫理観は持ってるぞ」

 

慧音ちゃんの口から性交とか聞くと……うん落ち着こう。

まあ、責任もそうだけどやっぱり覚悟だよな。

 

「ああ、いやほら、その、なんだ……アレだよアレ」

 

妖怪しどろもどろ降臨。

 

「君にしては歯切れが悪いな、さすがにそれではさとりぐらいしかわかるまいて」

 

「霊夢ちゃんをあきらめる覚悟……かな?」

 

「ほう……君にしては珍しくはっきりと意思を表示したな?で、結論は出たのかな?」

 

「わからん!だから色々できることをやろうと思ってる。今日もその一環で阿求ちゃんのところで博麗の巫女について調べようと思ってるんだ」

 

「ふむ、では君は霊夢と添い遂げるつもりかね?」

 

「それもわからん!霊夢ちゃんが俺を伴侶として好きなのか不明だ!家族としてならたぶん好きだと思う。」

 

「君は何というか……馬鹿なのだな?」

 

「おう。きっと幻想郷でも一、二を争う馬鹿だぞ!」

 

「言わんとしていることは違うのだが……まあいい。私も気持ちいい馬鹿は嫌いではない、私も歴史書を漁ってみるとしよう」

 

「マジ!?いいのか!ありがとう慧音ちゃん!」

 

「ただし!」

 

と、真剣な顔になって慧音ちゃんは俺に言う。

 

「妹紅の事はちゃんと考えてやってくれたまえ、もし状況が許すなら、妾として囲うのでもいい。あれは強そうで弱い」

 

「わかった。囲うときは慧音ちゃんもセットで囲うよ」

 

この二人が疎遠になるのはなんかすごく嫌だからな。

 

「だから君は……!ふう、まあいい。甲斐性を見せるというなら揃って囲われてやってもかまわん。ただし、仕事は続けさせてもらうぞ?」

 

「ああ、寺子屋に慧音ちゃんがいないと何かしっくりこないもんな」

 

ただし、授業は不評である。というか低学年から説明多すぎるんだよ。もっと直感的にわかる授業すればいいのにな。

 

「そういってもらえると嬉しいな。授業は私の生きがいだからな……と、町に行くのだろう?足止めして済まなかったな」

 

「ん?慧音ちゃんは帰らないのか?」

 

というか、タケノコ持ったままうろつくと面倒だと思うが。

 

「いや、普通に帰るが」

 

「なら一緒に行こうぜ、可愛い子とは、一緒に歩くだけで気分が上向くんだぜ」

 

「だから婆を口説い――話が繰り返しになるのでやめるとするか……君は助平というよりも浮気性なのだろうな。スペルカードが物語っている」

 

「えー?なんで?」

 

「君のスペルカードの大部分はあっちへふらふらこっちへふらふら飛ぶ変則系の弾幕ではないか。本質的に浮気性なのだよ、スペルカードというのは気性が出ると。そういうものだ」

 

「マジか!?」

 

……考えたら玉虫色の恋心とか浮気心の紙風船とかプリズミックミサイルとかあまねく女性に光あれとかいたずらな神風とかよくもまあふらふらしたり色が変わったりするような名前ばっか付けたな俺!

 

「マジだったわ……慧音ちゃん、慰めて。具体的には腕組んで見た目によらずおっきいおっぱいくっつけて」

 

「それがいかんのだろうっ!?」

 

「はっはー。もうこれは直んねえな」

 

うん、もはや息をするように出るレベルだわ。

昔の俺の性格はわからねえけど、幻想郷に来た時はもっとおとなしかった覚えはある。

いつからこうなったんだろうな……?

 

アホな話をしながらも二人で歩を進めていく。人里まですぐの距離だったのであっという間についた。

 

「まったく、君と話をすると無駄に喉が渇く……どうだ?一服つけていくか?」

 

「いや、せっかくの誘いだけど、阿求ちゃんのところでどれだけ時間食うかわからんから、また今度な」

 

「ならば仕方あるまい。息災でな」

 

「おう、またな」

 

 

 

 

 

 

稗田家に向かう前に赤蛮奇ちゃんのところへちょっと寄り道。

蔵の併設された、一軒家である。

 

「いらっしゃい、あら、久しぶりね」

 

「おう、羊羹二本出してくれ」

 

「わかったわ」

 

そういうと赤蛮奇ちゃんは蔵へ行き、羊羹を持って出てきた。

 

「羊羹二本です、装備していきますか?」

 

「しねーよ!?毎回なんでその言葉いうんだよ!?」

 

「武具は装備しないと効果がないぞ」

 

「羊羹は食べ物だからな!?」

 

ちなみに赤蛮奇ちゃんのお仕事は「あずかりしょ」である。俺が依頼で何か仕事したいというのを受けて考えた。

小さいつづら一個に入る量で月1000円で預かってくれる。

赤蛮奇ちゃんは人の顔を覚えるのが得意なうえ増やした頭が巡回していてセキュリティも万全であるため、わりと人里の利用者も多い。

 

赤蛮奇ちゃんの言動が多少変なのは俺が預かり所のシステムを説明するときにとあるゲームの説明も交えた結果である……

 

 

 

 

あっ、俺のせいか!?

 

 

 

 

ちなみに赤蛮奇ちゃんは赤パン着ちゃんでもある。

えっぐいの履いてることが多い妖怪には珍しく普通の履いてる。普通ゆえ逆にエロスを感じたりするんだよなあ。

 

 

「近頃どうだ?ちゃんと生活できてるか?」

 

「大丈夫。普通に生活できてる。近頃よく(ふみ)を預かるからその収入も多いよ」

 

「文?」

 

「預けてきてしばらくしたら取りに来る、なぜかいつも「読みましたか?」ときかれるが、仕事だから「読んでない、預かっただけ」というとがっくりして帰っていくの。謎」

 

「それきっとラブレター!持ってくるの若い男じゃないか?」

 

赤蛮奇ちゃんダウナー系だけど愛想がないわけじゃないし、可愛いから人里で仕事してたらそりゃあ男は群がるわな。

 

「そう、いや、ちがう。たまに中年男性も来るよ」

 

「よし、そいつは出入り禁止にしとけ」

 

おっさんはアウトだ!

 

「まあ、次から預かる時に読んでほしいか聞いてから預かるといいと思うよ」

 

「わかったわ」

 

時間が押しているので羊羹をもって稗田家に向かう。

さて、どうやって阿求ちゃんに話すべきか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、赤蛮奇ちゃんのうわさを聞いた。

「読みましたか?」ときいたら書いた文章を暗唱されるらしい。

 

 

 

なんの羞恥プレイだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
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次回は天狗の過去話でしょうか。


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天狗が可愛かった話

呪界真悟様、なさちら様、ゴトイ様、ポポポポン ID:AyNHSjf6様、くっつく餡玉様、あっちゃんWTマークⅡセカンド様、kure様、みょ〜ん様、tukue様、はにワ様。感想どうもありがとうございます。


誤字脱字報告者の孝也様、ゴトイ様、提督様、テレサ様、クオーレっと様。
ありがとうございます。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)



「しんぶーん!」

 

「うわああっ!?」

 

いきなり窓から何か投げ込まれた!?

……なんだ?なんか文字が書いて――

 

 

「なによ、騒がしいわね」

 

「あ、霊夢ちゃん、なんかいきなり投げ込まれたんだけど……」

 

「ん?ああ、文々。新聞ね」

 

どうやら投げ込まれたのは新聞らしい、って乱暴な配達方法だな!?

寿命が縮む新聞みたいに突き破ってこないだけましだが、褒められた配達方法ではない。

 

「ぶんぶん……まる?どっかで聞いた覚えが……」

 

「アンタこの前取材受けてたじゃない、天狗の射命丸文が書いてる新聞よ」

 

「ああ、あの可愛い子。……こんな奇行するんだ……?」

 

霖之助のところを出て霊夢ちゃんのところに厄介になってしばらくたつが、幻想郷の女の子はとにかく可愛かったり美人だったり外見はすごい秀でている。

しかし、かなりの人間(妖怪や神霊もいるけど)が奇行持ちという非常に残念な娘さんたちでもある。

 

霊夢ちゃんのところによくくる魔理沙ちゃんとかは謎の喋り方はまあ、個性だからいいとして。

挨拶代わりに極太レーザーぶち込んでくるのはいかがなものか(なお、奇跡的に持っていた帳面が防いでくれた。そのあと霊夢ちゃんが俺を一般人だと説明して、魔理沙ちゃんをぶっ飛ばしてた。怖い)

 

あとは小傘ちゃんも、いきなり驚かせてくる。

幻想郷の住人は慣れているのかリアクションが薄いらしく、必要以上にビビった俺に執拗にまとわりついてくる。

いや、落ちてた傘拾ったらベロが出てくるとか初見殺し過ぎるだろ。

 

ただ、こう、なんだ。小傘ちゃんは可愛いし明るくて元気な基本的にはいい子なので悪い気はしない。

ちょっと距離が近いこともあるが、迷惑というより、困惑と混乱であり、むしろ嬉しいほうが多い。

それに、雨降ってたりする時は普通に傘として使わせてくれたりする。のだが……晴れるとその状態からいきなり分身体?が現れて肩車状態になったりするのはやめてほしい。

俺が盛大に動揺するのが近ごろのお気に入りらしく、執拗にそれを狙い雨が降るといつの間にか玄関先に小傘ちゃんの本体?が置いてあったりする。

あえて無視して外に行こうとすると聞こえる声で「しくしくしくしく」とウソ泣きするので質が悪い。

 

いや、生足で肩車って本当に驚くんだってば!いろんな意味で!!

なんかすべすべだし!ぬくやわこいし!いい匂いするし!いつまでたっても下りないし!太ももで締め付けてくるし!!(混乱)

 

正直ここに来てからいろんなことがあって、どうでもいいと心が死んでて、ある程度立ち直った今でも男としても割と死んでいたのだけど小傘ちゃんの濃厚なスキンシップで獣が目覚めそうで怖い。

目覚めた場合タガが外れそうでさらに怖いんだ。みんな可愛いからな。

 

霊夢ちゃんも可愛いっちゃ可愛いんだけど、なんか冷めてて苦手だ。生けるしかばね状態の俺を立ち直らせてくれたのには感謝してるけども……

会話はするんだけど、あんまり弾まないんだよなあ……

 

可愛いと言えばこの前、ルーミアって子に懐かれた。

「食べてもいい人間?」とか聞かれて最初はビビったが「おなかすいてるのか?」という質問に頷いたから、空腹の苦しさをよくわかってる俺が芋粥を作って与えたところ、なんか「えへへー」とか言いながらまとわりつくようになった。可愛い。

 

俺も楽しくなって近頃は料理に凝りだした。まあ、無駄に食料減らすのも霊夢ちゃんに悪いから畑とか作ってみたけど、これも結構難しい。

だが一応一般常識レベルとはいえ俺には現代知識チートがあるので、農作業に体が慣れさえすれば徐々に成果は出ると思っている。

 

「そういえば天狗なんだっけ?」

 

「そうよ、妖怪の山に縄張りを作って住んでる感じね……今のアンタにはちょっと危険だから行かないほうがいいわよ」

 

「わかってるよ」

 

 

 

そう答えた俺が、まさか数時間後には妖怪の山にいることになろうとはこの時点では思いもしなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!魔理沙ちゃーん!!……だめだ、どこ行ったんだ……」

 

魔理沙ちゃんに「暇してるだろ?ちょっと遊びに行こうぜ!」と言われてホイホイついていった(箒でタンデムという(合法的にしがみつける)心躍る状況につられたのも確かだ)

生身で空飛ぶってすげえなと思ったが、風圧やら乱暴な機動やらで振り落とされないようにするので精いっぱいだったのだが、それが大間違いだった。

途中で「やっべ!ばれた!?」とか言って俺を地上すれすれで落とすように下ろして、魔理沙ちゃんはどこかへ飛び去って行ってしまったのだ。

 

飛び去って行く魔理沙ちゃんを光弾(弾幕というらしい)を撃ちながら追いかけていく何者かの影から……「待ちなさーい!」「シャンハーイ」などとかすかに聞こえてきたが、魔理沙ちゃん一体何やらかしたんだ……?

これまでの魔理沙ちゃんの行動からして、何か壊したとか、不意打ちで極太レーザーぶち込んだとかそんな感じだろうけど……

 

それにしてもまいったな。

待っていれば迎えに来てくれるかもしれないが、普通に忘れ去りそうなのが魔理沙ちゃんだ……あれ、俺やばくね?

 

多分現在地はモロに妖怪の山だと思うんだよな……一応夜にならなければ食われることはないみたいに霊夢ちゃんが言ってたけど。逆に言えば夜になれば食われるかもってことだよな。

……うん、やばいわこれ。

 

魔理沙ちゃんを呼ぶのも、大声で変なの呼び寄せる可能性があるから……とりあえず無事に帰れたら魔理沙ちゃんに何とかして仕返ししよう。さすがに許せん。

 

「まずは……川だな!」

 

人里には何本か川が走っていて、どれも妖怪の山の方から流れてきている。

香霖堂も付近に川があるのでとにかく川を見つけたら下流に向かえば間違いなく脱出できる。

 

川にも妖怪がいるかもしれないが川の代表的な妖怪の河童は割と話が通じるし(そういえばスマホどうなったんだろう、分解するけど絶対直すからって言ってたが)なんなら送ってもらえるかもしれない。

 

考えがまとまると少し気が楽になった。

 

「さて、どの方角に向かうか……」

 

そう独り言ちて、歩き出そうとすると、誰何の声をかけられた。

 

「そこの人間!ここは妖怪の山である!一体何用か!」

 

「うえっ!?誰だっ!?」

 

声はすれども姿は見えず……妖怪か……?

って妖怪の山なのだからいて当たり前か。

 

「特に用はない!と、いうか迷った!!」

 

姿が見えないのでとりあえず叫んで返事をする。友好的ではないにしろ、問答無用で攻撃を受けるようなことはなさそうで少し気が楽になった。

 

「迷った……?どうやったらこんな奥深くまで迷い込むというのだ!嘘をつくとろくなことにならんぞ!」

 

「いや本当だってば!魔理沙ちゃんって女の子にここに置いて行かれたんだよ!」

 

「魔理沙……霧雨魔理沙か!あいつはそういう悪さもするのか!?」

 

いや、マジで魔理沙ちゃんの悪名が留まるところを知らないんだが……

方々に悪名が通るって何なの?

 

「まあ、悪さというか、なんか追いかけられたみたいで……逃げるためか知らんけど、おいていかれたんだよ」

 

「さもありなん、あいつはしょっちゅう追いかけられているからな!……災難だったな、今そちらに行く、ただし、怪しい動きはするなよ?」

 

「わかった!気を付ける!」

 

声からして女の子っぽいが……というか幻想郷って女の子異常に多いな!しかもみんな可愛いんだよ。

考えたらおかしいよな。俺ここに来てからブスって見たことねえもん、男もおっさんはいるけど割といい男ばっかりだしな。もしかしたら俺が一番不細工かもしれないと思うぐらいには顔面偏差値高いんだよ。

 

「待たせたな人間。して怪我などはないか?」

 

俺の前に現れたのは……

 

「どうした人間?私の顔に何かついているのか?」

 

神秘的な白髪の凛としたたたずまいの美少女だった。

 

「あ、いや。なんでもない……その綺麗だなって思って」

 

「わふっ!?か、からかうなよ、人間」

 

あれ、なんか今髪の毛のほうがピコって盛り上がった気が……?

 

「いや、白髪が神秘的でマジでそう思った」

 

「きゅうーん……はっ、いかんいかん。で、けがはないのか?」

 

ん……?なんかスカートのうしろがもぞもぞした気が…‥?

 

「ああ、ついさっき置いて行かれたばっかりだからな。えっと……」

 

「ああ、私は犬走椛。白狼天狗であり、妖怪の山の哨戒を担っている」

 

「椛……ちゃん?さん?」

 

「わふっ!?ちゃんなどと……ま、まあお前が呼びたいなら好きに呼んで構わない」

 

……やっぱ見間違いじゃないよな、今、ケモミミみたいなのが一瞬生えた気がするんだけど……?

犬走とか言っているし犬妖怪なのか……?でも白狼とか言ってるし、犬扱いしたら失礼なのかもしれないし、くそっ!気になる!

 

「じゃあ椛ちゃんで。で、聞くんだけど、俺ってここから無事に帰れる?椛ちゃんが送ってくれたりする?」

 

「そうしてやりたいのは山々なのだが……今ほども言った通り、仕事があるゆえここは離れることができないのだ」

 

むう、やはり無理か。まあ道さえ(ないけど)教えてもらえれば何とか脱出できるかな?

 

「まあ、落ち込むな。私は動けないが、運が良ければ……」

 

そういって椛ちゃんは笛らしきものを咥えて吹いた……音が聞こえないから犬笛って奴だろうか、ますます俺の中で犬疑惑が巻き起こる。いや狼も聞こえるだろうけどさ。

 

「誰かくるんですか?」

 

「運が良ければだが、手の空いている烏天狗が……とくにこういう時には文が来たりするからな」

 

「文……?射命丸文ちゃん?」

 

「知り合いか?」

 

「ああ、この間取材を受けたよ」

 

「取材?お前何かやったのか?」

 

と、警戒の目になる椛ちゃん。

まあ、文ちゃんのあのテンションからすれば、いつも問題や事件に突撃取材してるのが目に浮かぶようだし、何かやらかしたと思われてもしょうがないわな。

 

「いや、俺外来人なんだわ」

 

「……お前が!?いや……しかし文の記事ではもっとこう、なんというか……」

 

「ああ、あの時はまだ混乱してたから、ようやく落ち着いたところだな」

 

取材受けたときはまだ暗かったからな。なんとか立ち直ったよ。

霊夢ちゃんに活入れられて、あと懐いてくれたルーミアと藍さんのところの橙、それと大量の謎の兎(モブイナバっていうらしい)に癒された感じだな。

可愛いとモフモフは正義。

 

そう考えてたら、激しい衝動に襲われた。

 

 

 

椛ちゃんをめっちゃモフりたい……!

 

 

 

 

少なくともケモ系の妖怪だとは思うんだよな、ほぼ確実に犬か狼の。

ただ剣盾で武装しているし、うっかりやらかしでもしたら真っ二つにされてもおかしくない。

よしんば真っ二つにされなくても、ここに置き去りにされるだけで生存率は下がるだろう。

なので俺は……

 

「椛ちゃん、モフってもいい?」

 

 

 

 

許可を取ることにした。

 

 

 

 

「わふっ!?何を言っているんだ、お前はっ!?」

 

 

 

 

あ、耳生えた。

 

「白い毛がすごくきれいだからさ、その耳のあたり撫でさせてほしいんだ」

 

「え?耳?うわっ!?でてた!?戻れ、戻れ、戻れ……」

 

なんかてんぱってるな、こっちが素か?

 

「せっかく可愛いのにもったいない!ね、ちょっとだけ、、俺の不安な心を落ち着けるために!」

 

「かわっ!私は愛玩動物ではないぞ!なんだと思っている!?」

 

ここで犬とか言ったら多分だめだ……つまり答えは……!

 

「狼、神秘的な白狼だよな」

 

「そ、そうだ!だから気安く触ってはだめだぞ!」

 

「人間は神秘的なものにあやかりたいと思うんだ。だからその美しい白狼の毛並みほんの少し、触らせてくれないかな?」

 

「う……うーん……わ、わかった。そこまで言われてことわっては白狼の名が廃るな。す、少しだけだぞ?」

 

 

 

 

 

 

チ ョ ロ イ(何かダメな方向に俺のレベルが上がった気がする)

 

 

 

 

 

 

 

「では失礼して……」

 

「ふあっ……」

 

うおっ!?めっちゃ手触りがいいな!触ったことないけどシルクとかそんな感じか?

 

「めっちゃすべすべで手触りがさらっとしてて気持ちいい」

 

「せ、説明はいらないっ!」

 

女の子の髪の毛としての質と、獣の毛皮としての質の良いとこどりみたいな感じだ。

そして耳(?)のほうに手をやる。こちらはケモ分が多めで少し硬めだ。

が、くにくにとした独特の弾力がこれまた気持ちいい。

 

「ん、そこはっ……きゅーん」

 

耳をくにくにさわさわと愛でた後、耳と頭部の境目辺りを人差し指の先でコリコリと掻くようにして刺激する。

大抵の獣(椛ちゃんに失礼か)はこういうところは……

 

「わふぅ……」

 

脱力するポイントである。

次のポイントは頭頂部。耳と耳の丁度ど真ん中である。

ここも指先……今度は全部で少し強めにわしわしと撫で――

 

 

「え?なにこの絵面。とりあえず撮ればいいの?」

 

「うわああああああっ!!!?」

 

あ、椛ちゃんが正気に返った。

 

「えっと何?椛?カレシできたの私に知らせたかったの?」

 

「ちがっ!?ちがくてっ!こ、これはそのっ!私のご利益を分け与えてたんだよっ!」

 

新たに現れた少女……なんだろう学生服と山伏衣装の合いの子みたいなエキセントリックな服装で(なぜ脚絆を止める紐で一本下駄とハイソックスを連結してるんだ……?)ガラケー?みたいなものを持っている、可愛い女の子だ。

 

椛ちゃんと知合いらしく(というかさっきの呼子できたのかな?)俺が椛ちゃんを撫でまわしている状況にツッコミを入れてきた。

 

「ああ、彼氏ではないな。椛ちゃんの毛並みがあまりにも綺麗だったから、お願いしてちょっと撫でさせてもらってたんだ」

 

「ふうん、ま、その気持ちはわかるけどー「はたてわかるの!?」あなたは人間ね?ここは妖怪の山だけど一体なんでこんなところにきてんのー?」

 

なんか独特の喋り方する子だな、ギャルっぽいというか……

 

「ああ、なんか魔理沙ちゃんに置き去りにされた」

 

「……あの魔女、本当に迷惑しかかけないわねー。たぶん文がかくまってると思うから、よんでこようかー?」

 

だから、魔理沙ちゃんのこの信用の低さは何なんだ……?

そして魔理沙ちゃんは文ちゃんと仲いいのか…‥厄介そうなコンビだな。

 

「それは助かるけど、この山から自力で出れるならそっちでもいいけどな。魔理沙ちゃんは正直あてにならなさそうだし」

 

魔理沙ちゃんと一緒に行って、またどっかおきざりにされたら時間的にマジで死ぬぞ。

 

「文じゃなくてはたてが来たのは良かったよ。文にこんなところ見られたら記事にされちゃってたからね」

 

「私も記事にしないとは言ってないわよー?写真も撮ったしー」

 

椛ちゃんの喋り方がだいぶ柔らかいな。きっと仲がいいのかな、この……はたて?ちゃんと。

 

「はたてー……別に人間とは……はっ!?んっいや、私は人間とはあったばかりで、何の関係もないぞ?」

 

取り繕う椛ちゃん可愛いな。

 

「ん?そういえば文の記事にあなた載ってた気がするわねー。えっと博麗神社にきた外来人だっけ?」

 

「ああ、どんな記事かは読んでないから知らんけど、取材受けたのは確かだ」

 

「ふーん……でも記事の写真と大分印象が違うわよねー?なにかあったー?」

 

と、俺に近づいて――って近い近い近い!?目と鼻の先で俺の顔を下からのぞき込んで……近くで見ると一層可愛いな!?

目力があるというか大きい目のちょっと鋭い感じの瞳がキラキラしていて、じっと見つめられるとドキドキしてしまう。

 

「あー、なんだ。幻想郷に順応しようとちょっと心入れ替えた」

 

「へー。それなら私に取材させてくんない?対抗記事(スポイラー)ってやつね!近頃文ばっかりいい記事拾ってきててちょおムカついてたんだよねー」

 

「それは別にかまわないけど、えっとはたてちゃんでいいのかな?」

 

「うん、姫海棠はたてだよー。お仕事は新聞記者、あとたまに山の守護!」

 

と、チョリーッス!の声が似合いそうなピースをしながらはたてちゃんが自己紹介してくれる。

椛ちゃんが「山の守護がメインだよねっ!?」とツッコミを入れているが、はたてちゃんは黙殺して俺に話を続ける。

 

「で、なんで心境の変化とかあったか聞かせてくれる?あ、その前に一枚いい?」

 

とガラケーを……えっ!?それで写真撮るの?掲げて了解を求めてくる。

文みたいにまずいきなり撮ろうとしない分好感が持てるな。

 

「ん?ああいいぞ」

 

「はーい、じゃあ撮るよー」

 

「えっ!?ちょっ!?」

 

はたてちゃんが近づいてきて、俺に背を預けるようにもたれかかってきて、カップルがやるような自撮りを撮る。

はたてちゃんはけっこう肉付きがいいみたいで、むちっとしたぬくやわこい感触に挙動不審になってしまい慌てた顔がうつってしまう。

 

「ん-……あははははー変な顔ー!キモーい!」

 

撮った写真をチェックしてけらけら笑うはたてちゃん。まんま女子高生のノリだな!?

 

「まあ写真はこれでいいとしてー」

 

「いいのかよ!?」

 

正直あれが掲載されるのはいやかもしれないぞ、明らかに鼻の下が伸びてるぞ!?

 

「こう、仲良しっぽいほうが文のと違い出ていーじゃん?で、取材したいけどー。あーでも先に山を下りたほうがいいかなー?」

 

おう、そうだった。昼過ぎにこの辺に来たからあんまり時間かけるとまずいもんな。

 

「ああ、そうだな、でもどうやって帰るんだ?」

 

「ん?私飛べるよ?」

 

「いや、俺は飛べないんだが…‥」

 

というか幻想郷の住人デフォで飛べすぎじゃないですかねえ?

霊夢ちゃん能力が空を飛ぶって聞いてたから特別だと思ってたのに、みんなあらゆる手段で飛ぶからな……

 

それにそもそも俺が飛べるなら、もう飛んで帰ってるわ!

 

「だからー?」

 

「のわっ!?」

 

「こーやって私が抱えて人里付近まで送ればいーじゃない?」

 

「ちょっ!?」

 

わきの下に手を入れられて背後から持ち上げられる……すっげえ軽々と!?

 

「はたてちゃんも妖怪?」

 

まあ、妖怪の山にいるからには妖怪なんだろうし、椛ちゃんと仲がいいってことは天狗なんだろうけど、雰囲気があまりにもギャルすぎる……!

 

「一応烏天狗だから人間より強いよ?」

 

「あー、やっぱそうかー」

 

「じゃあ飛ぶよー?」

 

そう言って俺を持ち上げて飛び始める。

まあ、天狗は怪力っていうし、よっぽどのことがない限り落とされるようなことはないんだろうけど、大きな問題が一つ。

 

いや大きな山が二つと言うべきか……!

 

 

 

 

 

 

おっぱい当たってる(戦慄)

 

 

 

 

 

 

はたてちゃん、むっちりしていて肉付きいいなとさっき思ったけど、どうやら胸にもいいものを持っているらしく背中にはっきりとした二つの感触が……!

 

救出してくれてるのにこのままでは(嬉しいが)申し訳ない。

断腸の思いで持ち方を変えてくれるように頼んでみる。

 

「はたてちゃーん!」

 

「んー?どうしたのーっ?」

 

とんでいるため大声で会話する。

 

「持ち方変えてくれないーっ!?背中におぶるとかさーっ!」

 

「ごめーん!ほとんど妖力で飛んでるんだけどー!一応羽も必要だからーっ!」

 

なるほど!妖力で揚力を得てるわけだな!(混乱中)

 

「じゃ、じゃあせめて違う持ち方とかは―っ!」

 

「これが一番飛びやすいんだけどー!なんでーっ!」

 

う……うごごごご……恥を忍んで白状するしかあるまい……

 

「その、おっぱいあたっててすっごい気になるっ!」

 

そう、俺の叫び(慟哭レベル)をきいたはたてちゃんは「んっふっふー」と笑ってから俺の耳元に唇を寄せてこう囁いた。

 

「あ・て・て・ん・の・よ」

 

「な゛あ゛っ!?」

 

そしてさらに「んふー」と鼻息荒く笑ってから「オトコノコはこういうのが好きって聞いたよー」と。

 

空中で逃げ場がない俺は完全に手玉に取られた状態で博麗神社に送り届けられた。

 

 

 

その後のインタビューで何を話したかは覚えていない。

 

 

 

 

 

 

あと魔理沙ちゃんの事は紫さんにチクっておいた。

困ったことがあれば言いなさいって言ってたので甘えさせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

~しばらくあと~

 

 

「ちょっと外来人さん!なんで私の取材の時あんなに言葉少なげだったのに、はたての時だけいろいろ面白い話してるんですかっ!?おかげではたてに勝ち誇られたじゃありませんかっ!私も対抗記事(スポイラー)を書くために今日はみっちり取材しますからねっ!」

 

文ちゃんが襲来してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~さらにあと~

 

「ねーちょっとー!あなたまた文に取材受けたでしょー。仲良くなった人の話とかして、めっちゃウケてたんですけどー。文も文で勝ち誇って報告にくるしちょおムカつくんですけどー、んーこうなったら一日密着取材ね!ほらあなたもこんなかわいい私とデートできて幸せでしょー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく天狗に振り回された

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
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お気づきの方もおられるかもしれませんが消化したエピソードに関係のあるエピソードがねくすとに追加されます。
永遠亭のメンバーや河童が出てこないのはそのせいです。


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命蓮寺で逆に煩悩が増えた話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

たくさんの人が本気でれいぱんを愛してくれていることがわかって本当に励みになりました。
ありがとうございます。


誤字脱字報告者のすかたず様、陽灯様。
ありがとうございます。
霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


「はあ……」

 

軽くため息をついて、延々と続く石段を見上げる。

本日の依頼は、命蓮寺へのお届け物&住職の説法を受けてくることである。

 

なぜこんな奇妙な依頼が舞い込んだかと言うと、閻魔様――映姫ちゃんに軽い説教を受けている最中に、映姫ちゃんを抱きしめて、胸をつかんだ挙句、すっころんでまくれた服の中。股間に顔をうずめたからである。

 

ちなみに半分目を閉じながら指を一本立てて後ろ歩きしつつ(俺の移動に追従してきてた)俺に説教していた映姫ちゃんが全面的に悪いと思うんだが、転ぶのを阻止しようとしたにもかかわらず、烈火のごとく怒られて、煩悩を払ってきなさいとこのような仕打ちを受けた。

 

けっこうアダルティなパンツ履いてたからそれに言及したのは確かだが、あそこまで怒らなくてもいいじゃないかとは思う。

アソコに言及したせいかもしれないが。

 

だって、サイドが白で総レースで透けてて、中央が黒で股間の形状がはっきりわかるようなピッチリフィットタイプなんだぜ?(外見に比べてちゃんと成熟した大人でした。毛も生えてたし)

おもわず「白黒はっきりしてる」とか感想でてもしかたないじゃないか。

 

で、烈火のごとく怒られて「あなたは少しばかり煩悩が強すぎる」と説教され、休憩時間が終わりそうなので背負子にいっぱいの荷物と手紙(説教してくれとの依頼)を持たされて、こうやって命蓮寺に向かってるわけだ。

 

ちなみに荷物にほとんど意味はなく、重たそうな食材を詰め込んだ、修行というか、ある意味映姫ちゃんの嫌がらせでもある。

石とか鉄が入ってないだけ有情なのだと思うことにしよう。

 

「それに白玉楼とか守矢神社と違って、歩いて移動できる距離だしな」

 

独り言ちて歩を進める。石段に差し掛かってここからがちょっと大変そうだ。

ちなみに博麗神社も結構遠いのだが、それはもう慣れたというか、俺の生活の拠点だから気にはなってない。

 

人里から近いせいかそれなりに参拝客もいるようで、ぽつり、ぽつりと人影も見える。

……道のりが遠いのでほぼほぼ身内しか来ない博麗神社、守矢神社に比べればこれでも驚異の人影かもしれない。

 

……博麗神社のお賽銭、現金に限れば俺しか入れてねえからな(なお、野菜や果物などはたまに妖怪が入れて(置いて)いく、油断すると腐るので注意が必要だ)

 

今年の年末は人里に出張神社でも作ろうかと思っている。霊夢ちゃんはお賽銭が目当てになるだろうけど、もう少し博麗の巫女はとっつきやすくてもいいと思うんだ。もう、何代にもわたって幻想郷にいるわけなんだから。

 

正直言って早苗ちゃんの方が割と人里でなじんでいて冗談抜きでこのままでは何かがやばい気がするんだよな。俺の勘だけど。

 

すれ違う人とあいさつを交わしながら参道を登っていき、石段の途中、少し踊り場のように平坦な部分のある場所の道の外れに、一件の小屋がぽつんと建っている。

その小屋の主から声をかけられた。

 

「これ、そこのお前さんよ。一服つけて行ってはどうじゃ?」

 

「マミゾウか!?なんでこんなところにいるんだ!?」

 

鈴奈庵でよく顔を合わせる化け狸。二ツ岩マミゾウが、そこの店主だった。

 

「ううむ、なんというか暇つぶしじゃの。命蓮寺に来て日が浅いから、あまり居場所がなくてのう」

 

「絶対嘘だろ。いやマミゾウは、傍若無人にみえて結構気を使う性質だってのはわかるけど、どっちかというとマミゾウが遠慮してるんじゃね?」

 

とりあえず腰を落ち着けて背負子を下ろす。

壁に貼ってあるお品書きにはすさまじい達筆で「茶(餅つき)、100円」「食事(茶付き)、400円」と書いてある。

相変わらず幻想郷はくいもん安いな!?

 

シンプルすぎるメニューだが、幻想郷の店は大体似たようなもんで、定食屋とか本当に定食(一種類)しかないことも多い。

逆に蕎麦屋とかのほうがバリエーションが多いぐらいだ。

 

 

とりあえず茶でいいや、飯ったってどうせ握り飯とみそ汁と漬物ぐらいだろうしな。

 

「じゃあ、お茶をもらおうかな」

 

「うむ、しばし待つがよい」

 

と、立ったままという珍妙な所作ではあるが、「ビシッ!」として鋭さすら感じられる綺麗な動きでマミゾウは茶を立てていく。

 

「急須じゃないんだな?」

 

「ここの湧き水は、良い空気をよく含んでいるから甘い。甘露という奴かの?じゃが玉露など使えるような店でなし、急須で入れるとなると一度沸かすからどうしてものう。その点、薄茶を立てるなら軽く沸かしただけでよいからの」

 

と、手際よく立てたお茶と表面を焼き固めた薄餅を二枚をだしてくれる。

一口飲む。

 

「おお……」

 

ぬるめで飲みやすい。ゆのみにいれるのと違って茶碗に薄茶が入っているので、量もたっぷりで、石段を登ってきて汗をかいて乾いた体にありがたい。

そして何よりも。

 

「甘いな」

 

「じゃろ?」

 

咲夜ちゃんも紅茶を入れるときに言っていたが、空気を含ませた水は甘いのである。

それをさらに茶筅で空気を含ませるようにしたものだから、本当に甘みを感じるレベルで甘い。

 

「安茶も、こうすれば割と飲めるものになるじゃろ」

 

「というか稗田家に悪いけど、あそこのお茶よりうまいぞ」

 

阿求ちゃんのところで出るお茶は高級そうなのが飲んだらわかるんだけども、ここまで鮮烈な感動はもたらさないと思う。

 

「腕じゃよ、腕」

 

と、ふぉふぉふぉとマミゾウが年寄り臭く笑う。

見た目こそは若いんだけど、しゃべり方と言い、着物の色合いと言い完全におばあちゃんだ。

しかし、本人は若いつもりらしく、年寄扱いすると機嫌を悪くする。

 

人心地ついてまったりすると、ふと俺の中にむらむらと欲望が沸き上がってきた。

 

 

 

 

マミゾウのしっぽもふりたい……!

 

 

 

 

そう思った俺は眉に唾を付ける。

 

今までみえていた普通の眼鏡のお姉さんの姿から、俺の目には巨大な尻尾とケモミミを持った獣人スタイルにマミゾウが変化する。

 

「ぬ、おぬし、またやりおったな?」

 

破幻術を受けたのか分かったのかマミゾウは俺をとがめてくる。

幸いにもこれは俺の目に映る姿だけが対象なので変化が解けたりはしない。

 

最初鈴奈庵で出会った時に、明らかに外見としゃべり方があっていないことと、大福帳を持っていることから、ほぼほぼ狸妖怪だと思ったので、確定させるために藍ちゃん(九尾の狐)の話を振ったところものすごい嫌そうにしたんで確定した。

 

鈴奈庵から出て、眉に唾を付けたところ、案の定化け狸だった(ばればれだったが)わけだ。

……なんで小鈴ちゃんは気が付かないんだろうか?

 

ちなみに二ツ岩の由来は…‥あんなん二ツ山ですやん。岩じゃないよ!(意味深)

 

「いや、マミゾウのしっぽちょっとモフりたいかなーって」

 

「嫌じゃぞ?おぬしにモフられるとぞわぞわするんじゃ。いや、ぞわぞわだけならいいんじゃが、いいところを触られると雌になってしまう。……言っておくが儂はそうなったら遠慮なぞせんぞ?絞って絞って絞りつくすぞ?」

 

と、マミゾウが、眼鏡を光らせながら俺に警告する。

 

怖ええな!?艶話でエロいよりも怖いに寄った女性は幻想郷では珍しい。

 

「くうっ……可愛いのに、モフモフなのに……!」

 

ちなみにマミゾウのしっぽは割とモサついている。毛の密度が高く硬めなのだ。だが、これはこれでいいものである。

ちなみにドロワーズむき出しタイプなのでパンツには全く期待できない。化けてるときはパンツらしいが……いわば幻術だしなあ。

 

「そも、おぬし割と容赦なく女妖撫でまわすが、同じこと人間社会でやったらどうなるかわかっとるじゃろうな?」

 

「その辺の記憶はないが、たぶん官憲のお世話にはなってない……はず」

 

「言い切れぬならいうでない。まったく、男は少しぐらい助平がよいが、おぬしはやや過ぎるようじゃな」

 

「あるとき境に完全にタガが外れた感じなんだよなー」

 

だいたい、俺は幻想郷に来てからはっちゃけたと思うんだよな。

というか自分でも時々思うけど、現代社会でこんなんいたら間違いなく社会不適合者だわ……はっ!?まさかそれで無縁塚に!?

 

ないな。

 

「ところでなんで尻尾がアライグマなんだ?」

 

そう、たぬきのしっぽに本来縞はない。

だが、マミゾウのしっぽにはアライグマのような縞々が入っている。

 

「ん?この方がきゅーとじゃろ?一色だと味気ないしのう。おしゃれじゃよ、おしゃれ」

 

「そんな理由かよ!?確かに可愛いけども!」

 

「ゆっくり?とやらのたぬきめらもしっぽがアライグマじゃしのう」

 

「誰だよそれ!?」

 

「ふぉふぉふぉ、気にするでない」

 

マミゾウと話しているとしょっちゅう煙に巻かれる感覚味わうのはさすが狸妖怪と言ったところだろうか?

しかも突っ込むとやばそうな話題を投げてくるもんでなかなかに気が抜けない。

 

「あいかわらずとらえどころがねえな、マミゾウは」

 

「狐狸の類とはのう、遊びで済むうわべの付き合いにとどめておくのがいいのじゃよ。ここの九尾はちと、情が深いようじゃの、あれではいかんのじゃ……」

 

マミゾウはついこの前まで向こうにいたって聞いたしな。向こうにはもはや妖怪の居場所がないんだろうな

だけど、だから人間と接しないっていうのも何か違う気はするんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マミゾウに100円払って店を出る。

命蓮寺まではもう数分ってとこだ。

気合いを入れなおして俺は石段を登り始めた。

 

 

 

 

 

 

山門をくぐり僧房へむかう。。

 

「誰かいるかな……ごめんくださーい!」

 

入り口で声をあげると「はーい、只今伺いますー」

と返事が返ってきた。

相変わらず女性か!今回はどんな子かなーとわくわくしながらまってると……

 

 

 

 

 

 

薄茶色の巨大なオッサンの頭が現れた

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああっ!?」

 

思わず叫ぶ、いやそりゃ叫ぶわ!

女性の声で油断させておいてオッサン(巨大顔面)だぞ!?

ちかごろめっきりマンネリ化した小傘ちゃんの脅かしの1024倍は驚いたわ!

 

「ぬ、すまないな!驚かせてしまったようだ」

 

と、おっさんの後ろから美女……うん。幻想郷では珍しい正統派美女だ。つまりその分どっかねじが外れてるに違いない(偏見)

 

服装は尼さんのようではあるけど、微妙にシスターっぽくもあり、鮮やかな色の服がまぶしい。

しゃべり方が独特(だが幻想郷では十分普通のカテゴリ)だが、そこはかとなくエロスを感じる。

 

「私は僧侶見習いの雲居一輪。こちらは入道の雲山。私が使役しておるので心配は無用である。見ての通り巨大だが、ほれ、気は優しくて力持ちというだろう?あまり怖がらないでほしい」

 

「あ、ああ。いきなりだったのと、女性の声の後にオッ――巨大な顔だったからちょっと驚いただけで、怖がってはいないぞ。えっとよろしくな、雲居さんに雲山さん」

 

「普通に呼び捨てで結構かまわん」

 

「じゃあ一輪ちゃんで」

 

「ものすごく対応するの速いなっ!?」

 

基本的に妙齢の女性はデフォルトではちゃんで呼ぶことにしている。

妖精や魔理沙やマミゾウは呼び捨てだが、この呼び捨ては各々の人物で少々異なる。

で、名前にさん付けは俺が畏怖を感じる相手だったりする。

紫さんとかがそうだが、性的に食われそうな相手もさん付けだし、ある程度情を交わした(ヤってないですよ?ヤりたいような人ではあるけど)相手も同じくだ。

 

「正直幻想郷では外見では年齢判断できないからな、基本的にちゃんで呼んでおけば礼儀にうるさい一部の人以外は何とかなるから」

 

映姫ちゃんとかは割と怒るけど、侮っていないということを理解してもらったらしぶしぶ容認してくれたので、現状幻想郷で怒りそうな人間はいない。

屠自古ちゃんは神子ちゃんを神子ちゃんよびすると怒るけど、本人が「構わない」と言ってるためあまり強くは言ってこないしな。

 

「ふつうその場合はさんを敬称に使うのではないかおもうのだが……」

 

「俺は自分でいうのもなんだけど、普通じゃないからな。あ、でも不快だったらやめるぞ?」

 

「いや、大丈夫だ。ところでお客様人。命蓮寺に何用であるか?入寺希望の場合、出家は女性のみとなっている。女所帯で殿方が入るのは少々問題があるゆえにな……在家信者なら問題はないが」

 

雲山は?と突っ込みたかったが、一輪ちゃんとセットみたいだし(今も背後に浮いている)そもそもアレがついてないみたいだし問題がないんだろうな。

 

「ここのご住職にお届け物です。映姫ちゃん……閻魔様から」

 

「閻魔様からだと!?いったい何があったのだ……?」

 

うん、ごめん。ここの住職さんに問題があったのではなくて、俺に問題があったという、多分一輪ちゃんからすれば絶対に思いつかないパターンだと思う。

まったく、困るな映姫ちゃんは!(他人事)

 

「文もあずかっておりますので、こちらに書いてあると思います」

 

荷物の受け渡しは一応仕事モードで。

ずっとこうしてろって妖夢ちゃんや神奈子ちゃんなど武人系にたまに言われるが、疲れるんで嫌だ(傲慢)

 

「お預かりしても?」

 

「はい、荷物もありますが」

 

「そうですね……とりあえず、こちらへ。重かろう?」

 

「はい、わかりました」

 

と、わざわざ茣蓙のようなものを引いてその上に卸すよう指示をくれる。

あれ?おかしいな。

 

 

 

 

 

まともな美人だ(驚愕)

 

 

 

 

 

 

さておき荷物を下ろしているうちに「聖様ー」と呼びかけながら一輪ちゃんは本堂の方へ向かっていった。

 

聖様ってのがここのご住職か……で、俺はここで待ってりゃいいのかな?

 

……

 

 

 

雲山が見てる

(某小説風に)

 

 

 

 

 

雲山とコミュニケーションをとろうかと口を開きかけたら、一輪ちゃんが一人の女性を伴って現れた。

結構早いな!?

 

振り向くと綺麗な女性がいた。

 

それはいい。綺麗な女性は世界の宝だ。

しかし……

 

金髪に紫色が入ったロングウェーブの髪の毛。

フリル多めのゴシック調の服。

パンキッシュに各所にあしらわれている紐。

そしてその紐で強調されている乳と脚。

 

……住職?

いや、明らかにおかしいだろその恰好。

マーラーとか言われたほうがまだ納得するぞ?

 

もしそうなら存分に誘惑していただきたい。

 

「えっと、ご住職様で?」

 

「はい、私は聖白蓮。ここ、命蓮寺の僧侶で住職です。文を読まさせて頂きました。人より煩悩が強いと閻魔様が嘆かれているようで……」

 

「まあ、多少は自覚はありますけど……そこまでひどくはないと思うんですが」

 

「女性の下着に異常に執着を見せるとか書いてありましたが?」

 

「それは映姫ちゃんの思い込みです。確かに女性の下着を見れたら嬉しいが。執着しているわけではない。盗んだりはしないし。無理に見たり奪ったりはしない」

 

痴漢とは違う。あくまでも許される範囲でしか俺はそういうことはしない。

 

「なるほど……あ、どうぞ、こちらへ。このようなところでする話ではないでしょうし」

 

「荷物はどうするかな?これも届け物ですけど」

 

「浄財ですね。えっと、たけのこがありますね!あとは大根なども。これは厨房に運ばせますので、おいておいてください、背負子は後程お返ししますね、さ、こちらへ」

 

と、嬉しそうにいって俺を先導してくれる。

 

「たけのこ、お好きなんですか?」

 

「ええ、おなかの持ちがよいので」

 

と、世知辛いようなことが返事で返ってくる。

先導していく後についていっているんだが……

 

「たけのこごはん♪たーけのこごはんっ♪」

 

小さく歌ってるんだよ。

純粋に好物なだけだろ!?可愛いな!?

 

しばらく歩くと落ち着いた部屋に通された。

客間……かな?

 

「どうぞ」

 

と座布団を……博麗神社のと違ってちゃんとふっくらしてる座布団だ。

指し示して、自らも向かい側に、ブーツらしきものを脱いで座布団に――生足!?

 

むっちりしてて、めっちゃエロい。

 

この人マジで住職?俺間違えてイメクラ的なとこ来てない?

 

心の中でツッコミを入れていて行動の遅れた俺に再び座布団を進めてくれる。

基本的には良い人だと思うんだが、姿とのギャップがすごい。

 

 

「どうぞ、遠慮なさらず」

 

「あ、じゃあ失礼します」

 

と、差し向かいで座る格好になった。

……こうして眺めるとわかるんだが、めっちゃ美人。しかも優しそうで、たけのこご飯の一件から可愛い一面もあるようだ。

ただ、服装がやばい。派手なだけならともかく全身がエロイ。ちらりと見えてる膝もまたエロイ

 

なんでこんなエロいんですかねえ!?

 

「さて、お話をする前に、まずはお仕事お疲れさまでした。閻魔様にもお礼を致しますが。重い荷物をもってここまで来るのはあなたもさぞお疲れだったでしょう。ありがとうございました」

 

と居住まいを正して深々とお辞儀をしてくれる。

 

「あ、いえ仕事ですので」

 

いや、マジでめっちゃいい人。

幻想郷で出会った人の中(妖怪含む)で一、二を争う人格者じゃね?

 

「さて、閻魔様からのご依頼についてですが、情欲の罪を犯した後の地獄のお話をしたところで貴方には効果がないと書いてあります」

 

「あ、はい。そんな感じです」

 

そも地獄怖くないしな……いや、痛そうだし、苦しそうだけど。なんだろう……えっと。

あれだ、見てしまったせいで怖くないんだわ。

地獄が怖いのは未知だからだと思うんだよな。見てしまったことによりそこまで怖くなくなった。

これは映姫ちゃんのチョンボだと思う。俺を怖がらせようとして、耐性つけただけだからな。

それに萃香ちゃんの言うには「鍛えておけば痛くないぞ?」とのことなので死ぬまでにレベル上げ(?)しておこうと思ってる。

 

「もう、お仕事は終わったので、楽にしていいですよ」

 

「ああ、わかったよ」

 

肩の力を抜く。

真面目モードでもいいんだが、やはりこっちのほうが楽だ。

 

「じゃあ白蓮ちゃんは、どうするつもりかな?」

 

「びゃ、白蓮ちゃん!?」

 

「あ、不快だったらやめるけど」

 

「いえ、そんな呼ばれ方したのは数百年ぶりぐらいでしょうか……すこし、驚いただけです」

 

うーん、相変わらず幻想郷の人間は年齢がわからん!

有史以前から生きてるってのも何名かいたし……

 

「こほん。問答形式で行きましょう。私が質問を投げますので、それにお答えください。自分を深く知り、見つめなおすのに良い方法ですよ」

 

「わかった、やってみてくれ」

 

では……と前置きして白蓮ちゃんが俺に質問を投げかけてくる。

 

「あなたは女性が好きですか?」

 

いきなりな質問だな!?

まあ、答えは簡単だが。

 

「もちろん好きだ」

 

「相手が性悪であったとしても好きになれますか?」

 

「理由があるならな。それを解決するのはやぶさかじゃない。だが拒絶されたんなら無理には近寄らねえよ」

 

「女妖怪なども好きになれますか?」

 

「今のところ危険なのにはであってはないが人に危害を加えないなら、十分好きになれるよ」

 

え?幽香ちゃん?あんなのはじゃれてるだけだと思うぞ。

熊にじゃれつかれたら怪我するだろ?そんな感じなだけで本気の殺意あったら俺はもう死んでるって。

たぶん一番最初の知らずに花摘みまくって色素作ったときが危険度のピークだったと思う。

それはそれで俺が(花妖的に)悪いことをしたのでしょうがないと思うぜ、人間に例えたら、子供をゆでてエキス絞ったようなもんだしな。

いや、まてワンチャン美少女の風呂の残り湯と考えれば……!

 

「人間の女性は?」

 

「考えたら人間少ないな!?まあ、でも好きだよ」

 

頭によぎったのは霊夢ちゃん。魔理沙もまだ人間なんだっけ?魔理沙も好きっちゃあ好きだが、何だろう。残念過ぎるんだよな。早苗ちゃんは人間やめたみたいだし(言い方ァ!?)マエリベリーとかいうめっちゃ舌噛みそうな女の子も可愛かったな。小鈴ちゃんも人間だっけ?まあ、ざっと考えただけでも嫌いなのはいないな。

 

「妖精たちなどは?」

 

「悪戯はちょっと困るけど、懐けば可愛いし、好きだよ」

 

チルノとかチルノとかチルノとか三月精な!

チルノ一人で三月精合わせた分の三倍悪戯してくる。つまり9倍お仕置きしてるわけだが、全く懲りない。

懐いてきてるときは可愛いのと、ガチ説教すると一応反省するのでチルノは嫌いじゃないけどな。

あと夏場はくっつくと気持ちいいしな。妖精の中でもっともプニってて気持ちいいんだよな。完全にお子様体型なのに。

 

三月精も能力を駆使してのいたずらは厄介なのだが、おやつを貧相にすることによってしつけられた。

それにマミゾウの変化破りと同じく三月精の程度能力を使ったいたずらも破る方法(歌を歌いながら服を脱いで裏返しに着る、実はほぼすべての妖精の持続系の能力はこれで消せる)もあるんで現状ほぼ完封できる(ただし、時々は三月精の遊びに付き合う。いつも完封してたら妖精の魅力が死ぬからな)

 

「不死者や霊の女性はどうですか?」

 

「んー、祟られたり、吸われたりするのは困るけど、向こうは向こうで寂しかったりしてるからなー、事情があれば許すし、好きにもなれるよ」

 

実際のところ骨女成仏させたことあるからな。

俺が少しヘタレ……いや貞操観念が強かったせいでなんか「体じゃなくて、心を満たしてくれた」とか言って成仏しちゃったけど。

すいません、正直ヤりたかったです。

 

あと屠自古ちゃんとかは純粋にからかうと楽しい(外道)

なんだろうな、ヤンキーみたいなくせに純情なんだよな。

あと幽々子ちゃんも時々うさんくさいけど、普通に可愛いしな。

 

「んー」

 

口元に指を当てて小首をかしげる白蓮ちゃん。

いやだからいちいち可愛いなこの人!?

 

「人妖に分け隔てのないのは素晴らしいと思います。ただ、あなたには自分がないようにおもいますね。こう、悪意がないなら全部好きみたいな。寂しがり屋というか。つながりを求めているというか」

 

「鋭いな」

 

こんな格好してても(失礼)さすがは僧侶だな。

徳の高い坊さんという言い方があるが、まさにそれだろうか、なかなか鋭い。

 

「あー俺はちょっと記憶なくしていてな。だから、基本的に入る容量が大きいんだと思う。だから大抵のことは受け入れるし大抵の人も受け入れるんだと思う。本能的につながりを求めてるのかもな」

 

「こっ、これは失礼なことを!」

 

謝ってくる白蓮ちゃん、マジで聖職者。

 

「いや、いいよ。おかげでここの生活も受け入れることができたしな」

 

あっさりと受け入れることはさすがの俺でもできなかったが、まあ、なんだ。

霊夢ちゃんのおかげだな。あと霖之助と慧音ちゃん。この三名は特に世話になった気がする。

 

「確かに閻魔様の言われるように煩悩が強いようにも思いますが……人の道を踏み外していないのならば許容範囲だと思います」

 

マジか!許されるのか!?

 

「ただ、悟りを開けとは言いませんが、もうすこし心の起伏を抑えるために、瞑想や写経などをしてみるのもいいかもしれません」

 

「うーむ……」

 

妄想や射…などは得意です!

 

ボケたいが白蓮ちゃんが聖人すぎてボケれねえ……!

 

「それとですね……」

 

「まだ何か?」

 

「その……女性は視線に割と敏感なのでそのような視線はですね……煩悩が強いというのは理解しますが」

 

 

 

 

 

おっぱいチラ見してるのばれてる!(戦慄)

 

 

 

 

 

「そ、作麼生!」

 

「えっ!?説破?」

 

「俺の煩悩をとがめるための問答なのにそんな煩悩を煽るようなエロい格好してるのなんで?」

 

ごまかすためとはいえ、なんて質問してるんだ俺!?

でも気になってたせいかよどみなくするっと出たぞ。

 

「ふええええっ!?エ、エロいって、なんなんですか!?」

 

あ、ちょっと素が出た。

基本は可愛い人なんだな、多分。

 

「まず、その美しすぎる生足!そして、乳!しかも紐で左右から寄せるような感じになってるために強調されて倍はエロい!そんなの逆に煩悩掻き立てに来てるとしか思えんわ!マーラーか!」

 

「そっ!そこまでっ!?」

 

うん、さっきから思ってたからすらすらと出るわ。

正直紐はやりすぎだと思う。ただでさえでかいのに、紐で寄せてるせいでさらにボリュームが出てる。

 

「さあ、説破と言ったなら答えて見せてくれ!」

 

ちなみに本来このやり取りは禅宗の禅問答なんだが、僧侶の会合などでは多宗派にも論争吹っ掛けるときに使うみたいだ。

応対するつもりがなければ説破と答えなければいいらしい。

 

「そ、そういわれましても……可愛くないですか?」

 

「クッソ可愛いけども!TPOってもんがあるだルォォォォッ?」

 

立ち上がってスカートのすそを摘まんでこちらをちらっと見る白蓮ちゃんの余りの可愛さに、半分悶絶して巻き舌で突っ込みながら俺も立ち上がる。

しゃがんでたらスカートの中のぞき込みそうだった。さすがにそれは白蓮ちゃんに悪いからな!

 

……いい人すぎて俺の煩悩が浄化されてる気がする!?(戦慄)

まさかこれが映姫ちゃんの真の狙いかっ!?(節穴)

 

「てぃぴーおー?」

 

「いちいち可愛いな!?あー、時と場合に依るって意味だ、煩悩とがめるのに煩悩煽る格好してどうすんの!?ってやつだよ!」

 

なんでこの人お姉さんっぽい年上オーラ出てるのに可愛いの!?

 

「えっと、可愛くないですか?」

 

こんどはくるりと一回転、スカートがふわり、ふとももがチラリとしてさらに煩悩を煽ってくる。

 

 

「さっきからクッソ可愛いいっていってるだルォォォォッ?」

 

 

「よかった、この服お気に入りなんですよ」

 

「それはわかったから、なんでこんな状況でそれを着てきたかということだ、他に着るべき服はあったろ?」

 

尼僧の服とか、袈裟とか、説法に向いたような服がさあ!

 

そう質問すると

 

「可愛く……ないんですか?この服」

 

と、こんどはスカートの前をぎゅっとつかんでうつむいて――

 

 

「だから煩悩が溢れすぎるぐらい可愛いっていってるだルォォォォッ?」

 

絶対にくる前より煩悩が増えたぞ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、無限ループって怖くね?(真顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




基本的に今回出た人物は比較的主人公をとがめるタイプですね。たまにはこういうのもいいでしょうか。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)

パンチラとは別にやはり限定のパンモロ(仮称)も追加するかもしれません。
R18の俺視点じゃない話です。
具体的にはこあパチェふたなり触手。
ただしかけるかどうかは不明ですので騙されても良い方のみ期待してお待ちください。
基本的にチラ系は習作の意味も大きいので。


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婚活戦士(ゼクシィコマンドー)外伝 ちょろいよ!!阿求ちゃん

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が500人を越えました
ありがとうございます。


誤字脱字報告者のすかたず様、monkey様、亜蘭作務村様。
ありがとうございます。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)

今回のお話はたまにある毛色が違うタイプのお話です。
霊夢ちゃんとぬくぬくやさとり人魚のときもそうでしたが一対一のお話の時は普段と違う感じになります。
お気に召されれば幸いです。



「じゃあ、これで全部ですね、いつもありがとう、阿求ちゃん」

 

「いえ、あなたの作る料理はどれも人里では評判で人気なのですよ。なのでついつい頼んでしまうのです」

 

今日のお仕事は料理の配達。

といってもメインは茶菓子だがな。

ラインナップとして水ようかん、大福、シベリア(あんこをカステラで挟んだもの)色とりどりの金平糖(じつはこれも茶菓子カテゴリ)、それとおまけで杏仁豆腐だ。

 

特に杏仁豆腐は幻想郷ではかなりの贅沢品となる。

現代のスーパーなどで売っている杏仁豆腐の簡易版というか、杏仁プリンという名のゼリー(もう、わけわかんねえな)はゼラチン等で固めてあるため、常温でも固形なのだがガチで作った杏仁豆腐は気温にもよるが常温だと液体に戻っちまう。

 

なので幻想郷で杏仁豆腐を食べようとするなら冬場か冬バカ(チルノパワー)のどちらかでしか食べることはできない。

俺はもちろんバカの方(酷)を使っているので保冷用の氷と一緒に入れてある。

まあそれでも今日中が食べ時だろうか。

 

ちなみに華扇ちゃんはどんぶりで作ってそのまま平らげてた。

自分で作ってたから文句は言わないけども(でも材料は俺持ち)ちょっと食いすぎじゃないですかねぇ?

 

さておき、仕事も終わったし、おいとまするか……と言っても多分――

 

「そいつは嬉しいな、さてとじゃあこれで……」

 

「まあ、そういわずに、お茶ぐらい付き合っていってくださいまし」

 

「おう、じゃあごちそうになろうか、というわけでさいちゅうだ!」

 

「最中ですよね……なんでいつもさいちゅうっていうんですか!?」

 

仕事モード終了!

毎回必ず誘われるので、別に茶菓子を持ってくるぐらいには恒例のやり取りだな。

 

「なんとなくだ!」

 

なんかさいちゅうってエロス感じるしな!

 

「そうですか……ではこちらへどうぞ、最中ですしお茶のほうがいいですね」

 

ちなみに阿求ちゃんは普通に紅茶も飲む。というか紅茶の方が好みのようだ。

なので洋菓子の時は普通に紅茶が出てくる、まあ、洋菓子はバター作るのが地獄見るのであまり持ってこないんだけどな。

 

勝手知ったる他人の家とはいうが、結構ここも通ったなあ。

応接間から奥の間、まあ私室ほどではないが阿求ちゃんのプライベートな空間だ。

ほんのりいい匂いがする気もする(変態)

 

「粗茶ですが」

 

「これが粗茶だったら博麗神社の茶は色ついた水だぞ……」

 

座って待っていると、阿求ちゃんがてづから茶を入れてくれた。

玉露?かどうかまでは俺にはわからないが、ぬるめの湯でじっくり入れていたので高級茶葉なのだろうとは思う。

ほんの少しの苦みとうまみ、そしてほのかな甘みがある。

 

……博麗神社の茶は基本的には安い茶を高温で入れるので渋い。

まあ、その渋みが茶菓子を引き立てるので、あれはあれでありだし、なによりも、霊夢ちゃんが飲んでいる姿が異様に似合うんだ。

大き目のごっつい湯飲みで飲むせいもあってか外見美少女なのにおばあちゃん的な空間ができるんだよな。

 

阿求ちゃんの出すお茶はなんというか、慎ましい湯飲みに入っている、2,3口で飲むようなやつだ。

これはこれで悪くない。阿求ちゃんの雰囲気にぴったりだしな。あと、湯飲みも高級そうだし。

 

俺もさいちゅう(しつこい)を阿求ちゃんと俺の中間に置く。

結構いっぱい入っているけど、俺と阿求ちゃんで一個づつぐらいしか食べない。

のこりは使用人さんに分けるそうだ。

 

……取り合いが勃発するうちの面子にも見習ってもらいたい。

 

ちなみにこしあんである。

作るのにひと手間かかるけど稗田家にはこっちを持ってくる。自分らで食うときは気分(大体粒あんが多い、楽なので)で作る。

 

阿求ちゃんは食い方も楊枝で割って小さくして食べるという風に上品だからな。丸ごと粒あん最中食って歯にくっついたー!とかいいながらお茶で口をゆすぐようなうちとは違うんだよな……

 

改めて考えると博麗神社組ちょっと酷いな!?

まあ、妖精と魔理沙が主に酷くしてる気がするな!(華扇ちゃんは甘いものは量食うけど、食べ方は綺麗です)

 

軽い雑談をしながら茶菓子を食いまったりとする。

阿求ちゃんはこういうプライベートな場でもビシッとしていて、でもそれでいて笑顔がいつもより柔らかい感じがしてとても可愛い。まさに和風美人(美少女?)だ。

 

「こうして差し向かいで茶を飲んでると……」

 

阿求ちゃんの清楚さが際立つなあと続けようとして――

 

「夫婦みたいですか?いいですよ、家を守る必要があるので嫁ぐことはできませんけども、婿入りなら歓迎いたしますよ」

 

「阿求ちゃん近頃その話題ばっかりだな!?」

 

旧家だから結婚が早いのかもしれんがこんな得体のしれない男誘わんでも……。

 

「稗田家ではあなたの事を高く評価していますので……まあ、妖と近すぎるのは少し難ですが、使用人たちの評判も良いですし、問題はありませんよ?」

 

と、にっこりとほほ笑む阿求ちゃん。

可愛いな!

じゃない。なぜか稗田家の好感度が無茶苦茶高い。

近所(遠いけど)づきあい程度の事しかしてねえんだけどな?

俺がしてることって言ったら……茶菓子か?茶菓子なのか!?

……まあ、茶菓子程度でこんな名家の人たちが――

 

「あなたの作るお茶菓子に、皆、魅了されてますので」

 

「まさかのそれだった!?」

 

ガビーン!とかいう擬音を出しそうな感じで俺は全力で虚空に突っ込んだ。

それをみて阿求ちゃんが袖で口元を抑えながらコロコロと笑う。

本当に清楚で可愛いな!

 

「それに子を産み次代につなぐのがお役目とはいえ、知らぬ男より、知った人の方がいいと思いませんか?」

 

「それには同意するけどな、俺を選ぶとか見る目ないぞ?」

 

「子をなした後ならお妾さんも許しますよ?」

 

悪戯っぽく笑って言う。

 

「マジか!……罠だ!思わず結婚に同意するとこだったぜ……」

 

「ふふふふ」

 

またもやコロコロとかわいらしく笑う阿求ちゃん。

どこまで本気でどこまで戯れなんだ……!

 

「阿求ちゃんお嬢様なのに、ちょっと男手玉にとるのうまくないですかねえ!?」

 

「お聞きになっていると思いますけど、私は一部の記憶を引き継ぎますので、こう見えても経験豊富なのですよ?」

 

と、にっこり。

経験豊富なお嬢様とかなんか響きがエロイな!

 

「なんか想像つかねえな。どんな風な感じなんだろうな、記憶を引きつぐって」

 

引き継ぐどころかまっさらだったからな、俺!

 

「そうですね、といっても本当に一部の事しか引き継がないので、裏技的にですね、申し送りみたいなものは、自分自身に文をあてて没する前に隠しておくのですよ。それを読むとおぼろげに……思い出すのか、思い浮かべるのかはわかりませんけども、なんとなく日常の事もですかね」

 

「なるほどなあ、阿求ちゃんもある意味長寿みたいなもんかな?」

 

「……そう、ですね。それなりに人生経験は積ませてもらったのではないでしょうか、ですので殿方を見る目はあるつもりですよ?あなたは合格です」

 

「そいつは……ちょっと買い被りの気もするけど、嬉しいね」

 

阿求ちゃんほどの美少女に褒められて悪い気はしないな。

ただ、前の男(?)がきになるな。

 

「差し支えなければ、話を聞かせてもらっても?」

 

「構いませんよ、ただまあ、昔の話なので焼きもちを焼かれても困りますよ?」

 

「ぐっ、い、いやそういうんじゃねえけど……」

 

そして、また袖で口元を隠してコロコロと笑う、やっぱそのポーズ可愛いな!

 

「では……いつのころの記憶かまでは定かではありませんけど……」

 

「おう」

 

俺は居住まいを正してしっかりと聞く体勢になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、今もお嬢様の体ですが、昔はもっともっと箱入りで大事にされていたんですよ」

 

「へー。今でも十分箱入り娘だと思うけどな」

 

「昔だと、それこそ一人で出歩くとかはありませんでしたよ?……まあ、それで私も……あ、過去の私の事ですけども時々さすがに息が詰まりすぎて、こっそりと屋敷から抜け出す……と言ってもせいぜいが人里に行く程度ですけども。ことがあったのですよ」

 

「なるほど」

 

これはよくあるお忍びで出かけた先で……というパターンですかね?

 

「それで、何度目かはわかりませんが、目をつけられていたのでしょうか……勾引(かどわか)されました」

 

「阿求ちゃんチョロそうだもんな……」

 

これが本当のチョロQってやかましいわ!

まあでも、定期的に抜け出してたのなら目をつけられてもしょうがないな。

 

しかし、これで読めたぞ、助けに来た男とかと結婚したんだな?

 

「当時はまだ阿求ではなかったですけどね。それで……その、乱暴されまして」

 

「……阿求ちゃん、あの、そのごめ――」

 

「そのあと夫婦になりました」

 

 

 

 

 

「な ん で だ ー っ !?(ガビーン!)」

 

 

 

 

 

虚空への全力ツッコミ。

展開が唐突すぎるわ!?

誰か助けにきたりしないのかよ!

 

 

 

 

「何故と言われましても……そうですね、うちの私兵が救出に来たのですが――」

 

「おう」

 

ちゃんと、助けに来てるじゃねえかよ!?そこにちょうどいい若いとこでもいなかったの!?

 

「そうしたら「お前が綺麗すぎてどうしても我慢できなかった、責任は取るから命だけは」と情熱的な告白をされまして」

 

 

 

「それ命乞い!」

 

 

 

「そこまで言われて袖にしては女が廃るというもの……告白を受け入れて、祝言をあげた次第です」

 

「あー、うん、当人が幸せならいいんじゃないかな」

 

めっちゃコメントしづらいんだが……

いやまあこれはマジで当人しかわからないと思うしな、当時の阿求ちゃんはそれで結婚する気になったんだろうし……重ねて言うが当人にしかわからない何かがあったんだろうな。

 

「どうも、納得なされてないようですね……それでしたら別のお話を」

 

「お、おう」

 

「あれはいつでしたか、同じように街に出ていたのですが……」

 

「ああ」

 

正直、また誘拐されないかすごく不安である。

 

「また勾引(かどわか)されまして」

 

 

 

「ちょっと注意力足りなくないですかねぇ!?」

 

 

 

「あ、今回は大丈夫でした!助けてくれた人がいるんですよ!」

 

「お、それは良かった!もしかして、その助けてくれた人と」

 

「はい、お付き合いさせていただくことになりました」

 

よかった、今回はまともな話っぽい。

 

しかしベタと言えばベタだな!

 

「そのかたもなかなか情熱的でして、その……逢瀬のたびに」

 

「阿求ちゃんのそういうのあまり聞きたくないな!?」

 

生々しいわ!少し興奮するけどな!(変態)

 

「ええ、私も嫁入り前なので拒んだのですが「見るだけだから」といわれて、そのあと「触るだけだけ」と言われて、肌を許したのですが。」

 

「あー、アカン奴や」

 

男が見るだけ、触るだけとか言って止まるわけないだろう!

俺だって止まらんわ!

 

「それで「当てるだけ」「先っぽだけ」「中に出さないから」「責任取るから」と……」

 

 

 

 

「チョロすぎやしませんかねえ、阿求ちゃん!?」

 

 

ヤりたい男のフルコンボ食らってんじゃねえかよ!?

まあ、夫婦になったんなら責任は取ったんだろうけど。

 

「もちろんそういうことを続けていれば、やや子を授かりまして。」

 

「まあ、そりゃあ、そうだろうな」

 

正直阿求ちゃんを好きにできるなら一日二回づつは(最低ライン)俺も出来そうだし、すぐ子供出来ると思う。

 

「それを彼に告げたところ「自分の親に知らせて、君と一緒に暮らそう」と言ってくださいまして」

 

「おお、よかったな」

 

「はい。「親を迎えに行きたいので少し用立ててほしい」と言われたので100円ほど渡して彼と彼の親を待つことにしたのです」

 

ん?……嫌な気配が。

あといつの時代かわからないが100円が大金の時代なんだろうな。

 

「ですが、彼は戻ってきませんでした、しばらくして、彼とそっくりな双子の弟を名乗る人物が現れて、彼は急な病で死んだと。最後まで私のことを心配していたと、そう、伝えられました」

 

逃げた!?絶対逃げただろその男!双子でも細部は結構違ってたりするけど、阿求ちゃんがそっくりというならそれ本人じゃね?

本人も図太いな!?そして気づかない阿求ちゃんも相当だな!?

 

俺が心の中で全力で突っ込んでいると阿求ちゃんが話を〆はじめた。

 

「私は彼の思いを胸に子を産み、そして次代につないだのです」

 

「お、おう」

 

素で出たわ。

だって「お、おう」しか言えねえじゃんよ!?

下手に突っ込んで思い出壊すのもなんだし、本人が幸せな記憶として持ってるならそれでいいんじゃないかな?(逃避)

 

「まだ、納得なされていないようですね……?」

 

「あ、いや、なんだ」

 

しどろもどろになる俺。

納得どころかツッコミを我慢するのに精いっぱいだわ!

 

「では、次を……!」

 

あと胸の前で「ぐっ」っと握りこぶしを握る阿求ちゃん超かわいい(現実逃避)

 

しかし……阿求ちゃんにいい男と言われて嬉しかったのがちょっと「あれ?もしかして俺も同列なんじゃ……?」と思えてきて、少し心配になってきたぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、そうですね……今度は少し毛色の変わったお話を……」

 

「そ、そうか、どんなんだ?」

 

今までも十分変わってましたけどねえ!?

 

「ええ、たしかあれは妖怪に勾引(かどわか)されたときだったでしょうか……」

 

「もう、阿求ちゃんは一人で外出しないほうがいい(真顔)」

 

「昔は今ほど治安が良くなかったので、いまは、ほら、この間も出歩いたけども大丈夫でしたでしょう?」

 

それにしても勾引(かどわか)されすぎだろうが!?

なんか変なもの呼び寄せるフェロモン出してるんじゃねえか?

 

いや、普通に可愛いから、男なら声かける位はするとは思うがな、なぜか極端な結果になってるみたいなんだよな?

阿求ちゃんの特異性と関係あるのかね、先祖代々恋愛運が悪いとか?

 

「それで、拝み屋という方が、私を助けてくださったのですが」

 

「ふむふむ」

 

完全に先が読めた。恋に落ちたとかそういうのだろう?

いやまて、騙されるな俺!絶対何かあるはずだ……

 

「法外な金額を請求されまして」

 

「……よし、続けて」

 

ほらきた!大丈夫だ、まだ突っ込む時間じゃない。

 

「手持ちがなかったので身体で……」

 

 

 

 

 

「違うだろ!? ち ー が ー うー だ ー ろ ー っ !?(絶叫) 」

 

 

 

 

ダメだ!ツッコミを入れざるを得ない……!

 

「なにか?」

 

と、小首をかしげて「心底不可思議」という顔でこちらを見てくる。

 

「なんでそこで「私変なこと言いましたか?」って顔してるの!?なんで唐突に身体なの!?阿求ちゃん由緒正しい家柄だよね?なんで簡単に身体許すの!?」

 

「いえ……お前のような美しい娘なら、身体で支払ってもいいぞと口説かれましたので」

 

「口説くというか純度100%のエロ心だよね!?そんなんでいいの阿求ちゃん!?」

 

「優しくするともいわれましたので」

 

「いや、だからそれ男の基本的なセリフだから!」

 

ダメだ!ツッコミが追い付かない!!

 

「で、それで、そのあとに屋敷まで連れていって持てなしたのですが……」

 

「どうなった?」

 

まさか……

 

「お屋敷を見てかなり驚かれておりましたが、しばらく逗留していただき、お互いを知ることにしようと、話が進みました」

 

「おお、順調だな」

 

「そしてやがて子ができたときに祝言をあげることにはなりましたが、そのお方が突然真顔になり「私とお前では釣り合わない。お前に釣り合うような男になるために大妖の一つでも退治してこよう」と、妖怪の山へ……」

 

「もしかして……」

 

「はい、いいえ、消息が立たれたと思ったのですが、しばらく後に人里で見つかりました」

 

「おお、それは良かったな」

 

「はい、ですが……。すべての記憶を失い見知らぬ女性と暮らしておりました。なんでも倒れていたところをその女性に介抱されて、そして一緒になったと。私の事は覚えていないので、すまないが自分の事は忘れてくれと……」

 

「阿求ちゃん……」

 

「悲しかったですが、そのお方が五体満足で健康そうでいてくださっただけで、私は良かったと思い、子供を一人で育て、次代につないだのです」

 

ん?

 

五体満足で健康そう?

 

俺今までいろんな妖怪と華扇ちゃんの実戦修行で戦ったけど(弾幕ルールに不参加のガチ妖怪のみ)、雑魚の小鬼ですら肉抉るような攻撃ぐらい余裕でしてくるんだが。

 

ましてや名を上げようとするぐらいの大妖ってなら藍ちゃん……はちょっと強すぎ(九尾はさすがに無理ゲー)だとしても、幽香ちゃんとかクラスだろ?原型残れば儲けもんだねってレベルなんだが。

 

ちなみにルーミアがロリコン野郎を処するのを見たことあるけど、暗闇に閉じ込めて、しばらくして出てきた時には発狂してた。ルーミア曰く「音も光も感覚も全部闇で覆った」となかなかえぐい攻撃だった。

 

まあ、とりあえず……

男の人に逃げられてませんかねえ?

 

「ですので私は妖怪は嫌いです」

 

「……いい妖怪もいるよ」

 

妖怪がとばっちりの可能性の件について。

 

「ほかにも……」

 

「いや、いいよ、うん阿求ちゃんが人生経験豊富なのはよくわかった」

 

「そうですか。それならば私と祝言あげましょう」

 

「今も昔も、阿求ちゃん祝言まで速すぎませんかねえ!?」

 

そもそも阿求ちゃんとは仲良く話してるだけなのに!?

他の男たちと違ってヤってないよ!?

 

「えっと……じゃあ、まず、口吸いしますか?」

 

軽く上を向いて「ん」という感じに唇をこちらに突き出した姿勢になる阿求ちゃん。

くっそかわいいけど、これ絶対罠だろ!

 

「これは罠だ……これは罠だ……これは罠だ……!これは罠だっ!!」

 

僕が吸います!

じゃねえ!初号機パイロットか!

 

「罠ではなくて手付ですよ?」

 

「ある意味罠だよっ!阿求ちゃんの事は好きだけど、唐突にすぎるわっ!」

 

「ですので順を追って口吸いから……」

 

「お互い日本語話してるのに日本語通じてないのなんでっ!?ちゅーしたいわけじゃないよ!?」

 

「口吸いではない……?えっと、いきなり子作りは、その床の準備もありますので……」

 

「ちゅーより先に進むの!?止まったり引き返すんじゃなくて!?」

 

「小半時もあれば床の準備ができますので、それまで薄い胸でよろしければ、触りますか?」

 

「床準備しちゃうの!?ねえ阿求ちゃんなんでどんどん先に行くの!?ブレーキ!ブレーキ踏もう!いったん止まろう!なっ!?」

 

あと、阿求ちゃんはこけし体型だけど、ちゃんとわかる程度にはふくらみはあるから薄くないよ!安心して!(混乱)

 

「そういえばあなたはパンツがお好きと聞きました……申し訳ありません。和装ですので腰巻しか……」

 

「好きだけど!好きだけど今聞いてないから!?ツッコミが追い付かないんだけど!」

 

「ツッコミ……ぽっ」

 

「なんで口で「ぽっ」とかいうの!?クッソ可愛いけどさぁ!あと何を想像したの!?」

 

「そんな……私の口から言わせようなどと……酷い人」

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!突っ込み切れねえええええっ!!」

 

 

 

 

 

 

混乱して、幼児退行までしかかった後、阿求ちゃんは居住まいを正して、言った。

 

「さて、冗談はこのぐらいにしておきましょう」

 

「うえええええええええっ!?」

 

なにそれ!?阿求ジョーク!?

 

「あ、いえもちろん、婿入りしたいというのならば喜んで受け入れますけども。まだ、決められないでしょう?」

 

「あ、ああ。まあな」

 

婿取りは本気なのか……ちょっとうれしいな。でもさっきみたいにめっちゃごり押しされると焦るわ。

 

「ですが、お気を付けください」

 

「ん?何をだ?」

 

()()()()()()のですよ」

 

「わかったよ」

 

「ところで仲良くなるために口吸いは早いそうなので、膝枕などいかがですか?今なら耳かきもついていますよ」

 

と、今度は両袖を口元にもってきて、ころころと笑う。

 

罠だとわかっていても頼みたくなってしまう俺もチョロイのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り際、阿求ちゃんが少し沈んだ顔をしていたのが気になった

 

 

 




パンチラと合わせると一層楽しめるタイプになっております。




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冬桜 月光だけが 色を知る

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今回のお話はかなり初期の人気投票(?)の結果のお話です。
一旦10/13に書き上げましたが、だいぶ投稿本数が増えたことにより、大幅に加筆修正しました。
そのため初期バージョンの甘さはうすれてしまったかもしれません。
が、面白くなったとは思いますし、本編での女性陣の立ち位置がわかるような感じになったと思います。
ではお楽しみください。



「あれ?アンタまたでかけるの?」

 

「ん、ああ、ちょっとな」

 

近頃アイツはふらふらとどこかへ出かけていく。

いや、ふらふらしているのはいつもの事なのだけども、どこで何をしているか言わないうえに頻度が多い。

 

必要もないのに「今日はどこそこで何何してきた」と無駄話が多いアイツにしては一切そういう話もない。

――またぞろ妙な事(ここしばらくで最大の妙なことは山姥に小料理屋を始めさせたことである、幻想郷にいままでなかった、定食屋のように決まったものが出るのではなくいろんな料理が出るお店で、結構にぎわっている)を始めたのかと思ったのだが……そのような気配もないのよね。

赤蛮奇に預り所とか言う謎の施設なんかもさせていたわね。

 

だいたい、いつもいつもアイツは突拍子のないことをしすぎなのよ。私ですらめったに行かないようなところへ(白玉楼や地獄迄普通に行動範囲だ!)も行ってるみたいだし、旧都では実質さとり、勇儀に次ぐNo.3みたいな扱い(聞いた時には開いた口がふさがらなかった、どこの世界に生身で鬼に殴り勝つ人間がいるというのだ)になっているし……

境界守のパルスィがやたらとご執心で私を見るといつも「妬ましい」と情念を込めて吐き捨てる。

妬まれても困るのだけど……

 

紅魔館でもVIP待遇(そもそもレミリアが個人の人間を認識すること自体珍しい)のようだし、何を考えているかわかりづらい神霊廟の面子とも普通に付き合いがあるのよね。

特に屠自古はアイツのお気に入りで、打てば響くような反応をするため、いつもからかわれている。

 

そもそもあの真面目で融通の利かない小うるさい映姫が、恣意的な行動をしてまであの世行きを阻止するなどありえないし、あってはならないことだわ。

だが、実際お迎え担当を本来の担当ではなくサボリ癖のある小町を任命し、結果お迎えより先に蘇生が間に合っている。嘘みたいな話よね。

 

命蓮寺の坊主たちとも相性がいい。というよりも全幅の信頼を置かれていると言ってもいい。

あいつは本気で妖怪も人間も全く同じように扱うし、自分が人間の側だと理解したうえで理があれば殺人も食人も容認するすこしおかしいところがある。

妖怪の側に立っているかと言うとそうではなく、もちろん逆に悪さをした妖怪は倒されても仕方ないと思っているようね。

そんな考えだから命蓮寺の人間と妖怪の融和という目的と合致しているゆえに(そして本気で行動できるため)外部相談役と言うべきか、普通に歓迎されているわ。

また、そういう考えができるからこそ鬼たちとの相性もいい。

強いものが支配するという元始からの理をごまかさない。口で不平不満を言って、自分に有利な平等や博愛でごまかさない。そのうえで受け入れられないものには全力で抗う。が、否定はしないわ。

そこに一切の虚飾も嘘もない……鬼が気に入らないほうが嘘だと思う。

 

華扇に至っては「彼は私が育てました」などといい師匠を名乗る始末。

ほかにも「自称師匠」は数名いるがどれもこれも一癖も二癖もある輩ばかりだわ。

 

守矢の神奈子などいい例だろうか。

神奈子の恐ろしいところは徹底的に基礎を叩き込むところである。

格好のいい技や見栄えのいい動きなどは無視してひたすらにどんな状況でも戦える戦士へと改造していく。

もちろん、そんな修行など不人気でついてくる人間はほぼいないだろうが、あいつは普通についていく。

結構な頻度で「やりすぎたので今日は守矢に泊める」という連絡があるのだがむこうでのほほんとしているとおもうとなにか、こう、ムカつくものがあるわね。

早苗も早苗である。「霊夢さんがいらないなら私貰っちゃいますよー?」などと言ってくる。

そもそもアイツは私の物では……

 

そういえば阿求も「婿に欲しい、稗田家で引き取りたい」などと打診してきていた。どうして私に言うのだろうか。

あいつが自由意思で博麗神社にとどまっている以上私に言われても……困るわ。

 

婿つながりでいえばあの輝夜も婿に欲しいと言っていたわね。

どうやってあの女を落としたのかまではわからないけども、引きこもりのはずの本人が博麗神社まで出向いて、まじめに誠意ある態度で永遠亭に住まわせたいと言ってきた時は、いったい何事かと、少々動揺したのを覚えているわ。

……なぜ私に言うのかはわからなかったけれども。

 

なぜか妹紅もアイツに懐いているわね。蓬莱人になにか思わせるところでもあるのかしら?

慧音も一緒によく夜の町に繰り出したりしているみたい、アイツお酒弱いのに付き合いは良いからね。

他の蓬莱人の永琳も何かと頼っている(そう、頼っているのだ、あの永琳が)みたいだし。

 

頼っていると言えば幽香よね。

最初アイツが足しげく通って頼みごとをしていた(おかげで食生活は向上した)のだけど、いつの間にか完全に幽香を下につけていた。あいつは何事もなかったように「勝ったら懐いちゃった」とか嘯いていたけども、生半可な勝ち方では幽香は下になどつかないはずよ。

そもそも幽香に弾幕ごっこ以外で勝つということ自体、これまた頭のおかしい話なのだ。

幻想郷最強とは言わないまでも、一地方で最強なのは間違いない。

その幽香が甘える猫のように懐いているということ自体、頭がおかしくなりそうだったわ……

それにそれ以降幽香が私を見る目には殺意がこもっている気がするのよ……なんで私にぶつけるかはわからないけども。

 

懐いた猫と言えば橙……もそうだけど、獣系の妖怪たちもやたら懐いているわね。

てゐだけはひどい目にあってから逃げ回っているみたいだけども。

撫では私もされたことはあるけど(結構頻繁だ……別に私から求めているわけではない、撫でてくるから仕方なくだ)、アイツの撫で方はちょっと危険だ。

撫でられていると脳みそがとろけそうになって気持ちよくなる。

おもわずよだれや甘い声が出てしまうのだ。

 

人間の私ですらこうなのだから獣の特性を持っている妖怪たちはひとたまりもなかったと思うわ。

漏らすだけならまだ良いほうで、明らかに発情した様相を見せるものもいたからね。影狼とか椛とか……

私がいるときはなぜかこちらを見てから、耳と尻尾をうなだれさせてどこかへ行くのだけど。

 

椛と言えば天狗もわりと交流があるみたいよね。

主に今の椛と……文とはたてをよく見かけるわね。

不思議と文とは相性が悪いみたいで結構邪険に扱ってることが多い、でも嫌ってはないみたいね。

はたては……なんだろう、えらいご執心でいつの間にかアイツを「だーりん」などと呼んでいた。

ナニかシでかしたのかと思ってアイツを問い詰めたがそういうことはしていないと否定したのでいちおう信じる。

はたては私より大きいので、それを誇示するかのようにおしあてたりして、それから私をチラ見してくるのでいつか異変が絡んだら全力でしばこうと心に強く刻んでいるわ。初手から全力ね。

 

全力と言えば、あいつは全力で馬鹿なことをするのよね、なもんで、妖精たちと相性がいい……というか同じレベルで遊べる人物でもあり、お兄さんのようでもあるから妖精たちはえらく懐いている。

少女趣味かと危惧するレベルで可愛がっているが、今のところ直接的な手出しはしていないみたいなのでその疑惑は横に置いておこうと思う。

 

馬鹿な事と言えばアリスのところの人形を何を思ったか「育成する」などと言って色々やっていたことがあった。

月の民と何やらしていたと思えば「上海アサルトバスター」なる体中にごてごてと武装を付けた状態に改造してアリスに大目玉を食らっていたわね。

ただ、本人(?)は意外に気に入ったらしく弾幕ごっこの時呼び出されるとその状態で出てきて暴れまわる。

あまりの高火力に腹いせにアイツをしばいたのはよく覚えているわ。

 

厄神コンビもいつの間にか人並みの(貧しくはあるが)生活ができるような環境にしてしまっていたのは驚いた。流し雛や結界、風水と組み合わせたらしいが、いまだに理屈がわからない。

あいつは一度に出せる出力は(能力を借りていないときは)駆け出しレベルの強さしかないのだが、ありえないほど手札が多い。

能力と組み合わせて使われるとどうにかしたら、紫ですら撤退を余儀なくされる。

とにかくこちらにペースをつかませないのだ。

 

――夢……霊夢!おーい!!」

 

「うわっ!?……なによ魔理沙、驚くじゃないの」

 

沈思黙考していた私を引き戻したのは最も付き合いが深い魔法使いの魔理沙だった。

……まあ、いまとなってはアイツの方が付き合いが深い気がするのだけどね。

 

そういえば魔理沙は不思議とアイツとは相性が悪い、いや、悪くはないんだけどもアイツの中ではチルノ以下みたいな感じの「手のかかる妹」みたいなポジションになっている。

たまにえっちなことを要求したりもするみたいだけど、どちらかと言うと悪戯や懲らしめ寄りの行動で、興奮とかはしていないみたいなのよね。

あのスケベにすら女扱いされないなんてある意味魔理沙は哀れだわ……

 

「なんかすごい嫌な目で私を見てないか?こう、まな板の上の鯉を見る目みたいな?」

 

「気のせいよ、で、いったいどうしたのよ」

 

正解だけどあえて言う必要もないわね、意外にしつこいのよね、魔理沙は。

 

「いやー、いい話があったんだけどなー霊夢がそんな態度じゃなー」

 

「そう、じゃあ帰って」

 

ウザイモードの魔理沙を相手にする元気はない。

だいたい勿体つけたところで大した――

 

「いいのかー?あいつが人里(まち)で浮気してたんだぜー?」

 

「は?」

 

「ひっ!?」

 

へらへらとからかうようにこちらを煽ってきた魔理沙に殺意の波動を込めて答えを返すと、魔理沙は怯えたように一歩あとずさった。

 

まず、浮気という表現がおかしい。

別にアイツは誰とも付き合っていない。

 

なのでその場合は恋人ができたと呼ぶべきよ。

 

「どういう噂を拾ってきたか知らないけど、アイツは誰とも付き合っていないんだし、浮気っていう表現は――」

 

「いや、相手人妻っぽいんだぜ?」

 

「は?」

 

「ひっ!?なんで私に圧掛けるんだよっ!?」

 

「ああ、ついね。で?」

 

詳しく話せと目で先を促すと魔理沙は続ける。

 

人里(まち)で採集してたんだけど」

 

「魔理沙、また盗み?いい加減にしないと、また捕縛依頼出されるわよ?」

 

「しょ……触手はもう嫌なんだぜ……」

 

「そう?ずいぶんと――」

 

「気持ちよくなんかなってないんだよ!」

 

「まあ、そういうことにしておいてあげるわ」

 

相性のいい妖魔本から魔物を呼び出して使役するとかいう、かなり高度な技もアイツはできてしまう。まあ、なんというか……女性を辱める系統の魔物ばっかりのような気がするけども……手足のように操るのは実はかなりの高難易度技術なのよね。

 

「っと、話を戻すぜ。で人里で採集活動していたらあいつがとある家に入っていったんだ。「お?」と思って様子をうかがってたら」

 

「伺ってたら?」

 

「中で話しているようだったから聞き耳立てたんだぜ、そうしたら女の声で「ほら、もっといっぱい出しなさい」とか「夫が帰ってくる前に」とか「まだまだ出せるでしょう?」とかあいつもあいつで「ああ、出すぞっ」とか「――作ってくれ」とか言ってたんだぜ」

 

「……へえ」

 

「ひっ!れ、霊夢!?なんで右手に霊力がスパークしてるんだよ!?」

 

「ああ、うん。なんでもないわ、ただの準備運動よ」

 

まあ、別に私は関係ないのだけど、人妻はだめよね、人妻は。

だからこれは社会的に、倫理的に咎めるだけで、私の感情はそこには入っていないわ。

 

「他には?何か言ってなかった?キリキリ吐かないと魔理沙が盗みに入った若い男の家にひん剥いて縛って放置するわよ」

 

「具体的なのが怖いよっ!?あとそれ私の純潔散るよねっ!?何を考えてるんだぜ!?」

 

「全部吐けば何もしないわよ、あとあなたのやってることはそれぐらいされてもおかしくないことだって自覚しなさいよね」

 

アリスやパチュリーの魔法材料や魔術書を盗むのと違って、一般人の、それも貯蓄もないような一人身の男性の生活費を盗むのはやりすぎだ。腹いせもかねて間違いなく体での支払いを求められるだろう。

 

で、簡単に身体での支払いというが河童のやっている風俗店(あるのだ、アイツが吹き込んだのではなく元々)だと一万前後が多いだろうか、私には高いのか安いのか判断がつかないけど。

アイツが「やっす!?毎日でも通っ――ぎゃあああああっ!?」とか言っていたからお値打ちなのだろう。

 

魔理沙の場合定価と言うことはないだろうし、腹いせという面もあるだろうから一週間ぐらい監禁されるんじゃないかしら……もしかしたらずっと監禁される可能性もあるわね。

 

「だからその目ぇ!?今から捌かれる動物見てるような目は怖いから止めろなんだぜ!」

 

「いいから吐きなさい」

 

「わ、わかったわよ。えっと、あとは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜も更けてきたころ、お目当ての相手が現れた。

 

「来たわね!」

 

「えっ!?れ、霊夢ちゃん!?なんでここにっ!?」

 

ノコノコと逢引き場所に現れたアイツに指を突き付けて宣言する。

 

「魔理沙が言っていたのよ!今夜八時になればアンタが人里(まち)にやってくるってね!だから待ち伏せしたのよ!」

 

「そんなことするんだ!?……恋人が……さん…‥くろう……す……な?

 

何?「そんなことする女は恋人が散々苦労するな」ですってぇ!?

そりゃそういうことする女は重いだろうけどアンタみたいにあっちにふわふわこっちにふわふわしてる紙風船みたいに軽い男よりはいくらかましでしょうよ!

 

そもそもアンタは私の恋人じゃないんだからね!

いや、私がアンタの恋人じゃないというべきか。

 

「なににせよアンタ!人妻と懇ろになってるってどういう了見よ!」

 

「いいっ!?なんでそんなこと――」

 

「なんでそんなこと知ってるのかって?魔理沙が全部聞いてたのよ!」

 

「あいつそろそろ本気でどうにかしないとだめだな……捕まえて被害者連盟に売るか……っとじゃない!おれはそんなことしてねえぞ!?また魔理沙がなんか勘違いしていたんだろ!」

 

この期に及んでシラを切るのね!

 

「魔理沙がちゃんと聞いてたのよ!「いっぱい出しなさい」とか「まだまだ出せるでしょう」とかアンタも「ああ、出すぞ」とか言ってたみたいじゃないの!一体どんだけやってたのよ厭らしい!」

 

「ん……?そのセリフは――!あ!ちがう誤解だ!誤解なんだ!」

 

「五回もヤってたのアンタは!?」

 

「ちがうううううううっ!?誤解なんだってば!」

 

「五回五回とうるさいわねっ!私のパンツじゃ精々三回ぐらいが限度でしょうよ!」

 

「いいっ!?なんで知って……いや、そのあとさらに追加で――」

 

「追加!?五回以上もヤってたのアンタ!?何考えてるのよ!」

 

「違うううううう!誤解だってば!霊夢ちゃんのは五回以上できるけど!」

 

「私の誤解?異常ですってぇ!」

 

私に現場に踏み込まれて相当焦っているのかアイツの言うことが支離滅裂で少しわかりにくいけど、どうあっても認めないらしい。

二人でギャーギャー言い合っていると家屋から一人の女性が出てきた。

 

真っ白い(まっちろい)肌に少し疲れたようなおくれ毛、潤んだ細い垂れ目に泣き黒子、そして肩まではだけた着物に、ぎりぎり収まっているいまにもまろび出そうな双乳。

 

女の私すら見惚れるような妖艶さを持つ女だ。

 

「うるっさいわね、疲れてんのよアタシは」

 

外見とは違いはすっぱなしゃべり方だが、それでも、いやそれだからか?色気がにじみ出る。

 

「うわあああっ!?おつうさん!出てきちゃダメだってば!霊夢ちゃんにバレる!」

 

「バレるも何も、私がここに来てる時点でアンタのおいたは――!?この気配は……!」

 

なるほど、と納得した。

目の前の女からは色気と……妖気を感じるわ。

コイツ、あれほど言ったのに……!

 

「妖怪に手を出すなって言ったでしょう!」

 

「うわバレた!でも手は出してないよ!」

 

こいつはどっちだ?スペルカードルールに賛成の妖怪なの?それとも……

もし実力主義の妖怪ならまずいことになる。玉串は置いてきたし、お札も懐にある数枚だけ。

それにアイツと情を交わしたのなら、最低でも中妖、下手をすると大妖まで成長しているかもしれない。

さきほどから圧が半端ではない。大妖か……?

 

「手を出してないって?何回もしたって言ってたでしょう!?」

 

「だから誤解だ――むぎゅ!?」

 

「坊やは黙ってなさい、ややこしくなるわ」

 

「お、おう」

 

アイツの頬を挟み込んで黙らせる女……おつうとか言ったかしら?

ずいぶん気安くアイツに命令する。

すこし、ほんのすこぅしばかりイラッとするわね。

 

「で、博麗の巫女」

 

「何よ」

 

圧がすごい。幽香と同じぐらいの力があるんじゃないかしら。こんな妖怪は聞いたことがないから、やっぱりアイツと情を交わした結果なのだろう。

 

「あんたに話があるわ、坊や。もういいだろう?」

 

「えっ……でも秘密に」

 

と、この期に及んで秘密だとか言うアイツ。

こんなに往生際の悪い奴だっけ?すこし……幻滅した。

 

「もうできちゃってるわよ。だから秘密にする必要なんかないさね」

 

もうできてる!?

何が!?

まさか……

 

 

そうおもいおつうのおなかを見る……微妙に膨らんでる気もするけど……アイツの……?

 

「う゛う゛う゛う゛う゛う゛~っ」

 

「れ、霊夢ちゃん!?」

 

何故だろうか、自分でもよくわからない。

だけど、私の口から出るのはうなり声で……

 

 

私の目からあふれ出ているのは涙だ。

 

 

 

「なんだ、博麗の巫女も女じゃない。ちょっと坊や!あんたはそこで待ってな!ほら、こっちおいで博麗の巫女、中で話そう」

 

「めっちゃ寒いんだけど!?」

 

「女を泣かせた坊やが悪い、そこで待ってな、覗いたら刺すよ」

 

「わかった」

 

私は手を引かれるままに家の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、落ち着いてきた。

目の前の女は呆れたようにこちらを見ているが、最初のような圧はない。

勝者の余裕だろうか……いや、別に私は負けてなんかいないのだけれど。

 

「落ち着いたかい?」

 

「まあね、で、あんたは何者?」

 

強がる。今はこうでもしないと、自分が保てそうにない。

 

「しがない作り酒屋の嫁さね」

 

「嘘!」

 

「あとは……ま、それは追々ね」

 

余裕のある態度が腹立たしい。

確かに男好きのする身体だろうけど、こういう手玉に取ってくるような相手はアイツの苦手なタイプだったはずだけど……?

 

「で博麗の巫女」

 

「霊夢よ」

 

「あたしはつうさね、やあ霊夢、なんでお前あいつの話を聞いてやらない?」

 

「聞いて……聞いてどうしろっていうのよ!」

 

妖怪を孕ませたんで夫婦になりますとか、どういう顔で聞いたらいいのよ。

私にはそりゃ関係ないだろうけど、曲がりなりにもここ数年家族だと思っていたのに。

 

「そりゃあかんたんさね。聞かなきゃ始まらないからだよ。私もね、旦那様の言うことを聞いてやらないことはある、でもそれはじゃれてるんだ。わかったうえで聞いてやらないんだよ」

 

「旦那さまって……アイツと夫婦になるのね、痛っ!?」

 

そういうとさっきつうがアイツにやったみたいに両手で頬を押され……いやこの勢いだとぴしゃりと挟まれたと言っていい。

 

ひゃにほひゅるのよ!(何をするのよ!)

 

「ちゃんと聞かないからとうぜんさね。それに腹もたったしねぇ。あたしの旦那様は今も、これから先も与ひょうだけさ」

 

「じゃあなんで浮気なんか!!」

 

「霊夢。それ以上言うと怒るぞ?あたしは浮気なんぞしてないよ」

 

「でも魔理沙が「いっぱいだして」とかあんたが言ってるのを聞いたって!」

 

「あー、それは妖力を分けてもらってたんだ」

 

「妖力?たしかにアイツは少しなら出せるけど……なぜ?」

 

「もしかしてあたしの事を知らないのかい?霊夢」

 

「ええ、知らないわ」

 

そもそもこれほどの気配を出す妖怪が人里にいたこと自体が完全に理解の埒外だ。さぞかし名を知られている妖怪なのだろうと思うが、私は知らないわ。

 

「千羽織のつうも今は昔か……幻想郷に流れるわけだねえ。ま、向こうでは昔は知らないものがいなかったぐらいの鳥妖さね、」

 

「……ごめん、わからないわ」

 

でもそれと妖力を分けてもらうことに何の関係が?

 

「「でもそれと妖力を分けてもらうことに何の関係が?」って顔してるねえ」

 

「ぐっ」

 

「あたしはね、幻想郷風に言うなら「身を削って布を作る程度の能力」さね、だけど削りすぎるとやせ細って死ぬからね、その分を補給してもらってたのさ」

 

「……なら、そういえばいいじゃない」

 

「聞かなかったのは誰だい?」

 

「ぐっ……で、でも」

 

「で、坊やが内緒にしていた理由は……」

 

そういってつうは奥の間から何かを転がして……衛門掛け?

 

「坊やの作ったこの「きゃすたー」っていう奴は便利だね?動かすのが楽でいいや」

 

衛門掛けにかかっていたのは綺麗な桜柄の小袖だった。

 

「綺麗……」

 

思わず口から零れ落ちる、色柄もさることながら風合いがすごく柔らかく、それでいてぼやけることなく存在感を放っている。

 

「これが鶴の千羽織。――数百両の値段が付いたこともある布で作った小袖さね」

 

「依頼なら、そう言えばいいじゃない。内緒にするからおかしいことになるのよ」

 

少しだけ反省する。でもアイツも悪い。

魔理沙はもっと悪いわね。

 

「そりゃあ内緒にするさね?」

 

「なんでよ」

 

「だって、こいつは霊夢の小袖だからね、贈り物だよ?男なら秘密にしておきたいじゃないのさ」

 

――!?

えっっと……理解が全く追いつかない。

 

「いま……なん……て?」

 

「だから、この桜の小袖は霊夢、あんたのもんよ」

 

「えっ…‥なんっ!?……これっ!?ええっ!?」

 

訳が分からない。

 

「なんで!?これ、高い!ええっ!?」

 

混乱しかない。そも数百両と言っていたが、それは布でだろう。こうやって着物に仕立ててあればその値段は計り知れない。

いったいいくらしたのか……

 

「お、お金は!?」

 

「仕立ての手間賃はもらったけど――坊ややばいな、霊夢の体型完璧に再現してたぞ、多分これ着ても全く違和感ないはずさね。と、手間賃はもらったけど、布の分は仕事してもらったからね」

 

「どんな仕事よ!この布に釣り合う仕事なんて!?」

 

「地獄で全亡者確認?いやただしくは惣どと運ず探してもらったんだけど、結構時間がかかったねえ」

 

「確認っていったい何人いると思ってるの!?」

 

落ちる地獄の先もバラバラだろうし、砂場で砂金一粒探すようなものじゃないのだろうか?

 

「それぐらいの価値はあるし、坊やもそれでいいと思って引き受けたし、そして、やり遂げたからここに小袖がある。それだけのことさね」

 

「さ、探し出してどうしたの……?」

 

わざわざ探し出すとかよほどのことが――

 

「いや別に?生まれ変わった与ひょうはお金に目もくらむことも無く、あたしと幸せに暮らしてるからね。だから、まあ地獄にまだいるって安心したかっただけなのかもな」

 

「よくわからないわ」

 

「年を取ればわかるさね、さて」

 

「どうしたの?」

 

「せっかくだから着て帰りな、そうすりゃ坊やも「許された」とか思って安心するだろうよ」

 

「いいのかしら……こんな高価なもの勝手に」

 

「霊夢の寸法から一寸たりとも狂いがないんだからあんたの他に誰が着るってんだい?小袖だから一人で着替えられるだろ?」

 

「そりゃあ、着れるけど」

 

「じゃあとっとと着て帰りな、おつうさんは疲れてんだ。ゆっくりねむりたいんさね」

 

促され、着替えを始める……手触りがすごく柔らかい。それでいて丈夫さも兼ね備えているようだ。

着替えているとつうから話しかけられる。

 

「しかし、博麗の巫女も、女なんだね」

 

「さあ、なんのこと?」

 

「あれだけ泣いておいて、このおつうさんをごまかせると?ふふっ、でもまあいいじゃないか」

 

「何がよ?」

 

「心を奪われて、落ちるのが恋さね」

 

「べ、べつに私はアイツの事なんか好きじゃないんだからね!」

 

「いいじゃないか、惑い、悩めば。恋なんてものは所詮幻さね」

 

「え?」

 

「奪ったり、落ちたり、そういう陰の言葉で済んでいるうちはまだいいんだ。与えるとか注ぐとかそういう陽の言葉。それが一番怖いんさね。あたしは身を削って布を織った。それこそ衰弱死する寸前まで。しりあいは泡になって消えたのもいたし、水になって解けたのもいたさね。だから恋で済んでるうちはいい、愛に変わったら気をつけなさい。先達からの言葉さね」

 

「愛とかぜったいならないけど、覚えてはおくわ、一応」

 

着替え終わり、つうの前に姿を現す。

あつらえたようにぴったり(あつらえたのだが、私は採寸されていない!)だ。

 

「ん、坊やが少し恐ろしいね、引き連れどころか皺一つ起きないぐらいにピッタリじゃないか!?」

 

それには激しく同意する。

いったいどれだけ私の体型を熟知しているのだ、アイツは。

 

「さ、いってきな、謝るもよし、謝らないも良し」

 

「……ありがと、つう」

 

「今度は客としてきなよ、千羽織じゃなければ財布とか巾着なら安いよ」

 

「考えておくわ」

 

少しの感謝を持って家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

アイツは……いた!こちらに背を向ける形で身を縮こませるようにして立っている。

……つうの話を聞いたせいか、後ろから抱き着きたいという良からぬ思いが頭をよぎる。

 

それを心の奥底に押し込めて――

 

 

 

 

 

 

「アンタ冷え切ってるんじゃないの?馬鹿ね、動いていればいいのに」

 

何気ない風に声をかける。

 

「あっ!霊夢ちゃ――綺麗だ……」

 

「なっ、何を言うのよいきなり!莫迦じゃないの!」

 

一気に顔に熱が入る、赤くはなっていないだろうか。

仮になっていても、寒さのせいにしてしまえばいいか。

 

「だって本当に綺麗だもの、桜の精みたいだ……がんばったかいがあったなあ」

 

とアイツはしみじみという。思わず本音が漏れているところを見ると、そうとう依頼がきつかったのかもしれない。

 

「聞いたわよ、これ、高いんでしょう?無理させたみたいね」

 

「うん、まあ、わりと。でも霊夢ちゃん見たら疲れが一気に吹っ飛んだ!」

 

そういってニカッとわらう。

本当に全力で元気になったようにふるまう。

まあ、でも疲れていたっていうぐらいだ……いたわってあげる位はしてもいいのかもしれない。

 

そう、これはねぎらい。頑張ったコイツをねぎらってあげるだけなのだ。

 

「ほっぺた、冷たいわよ」

 

アイツの頬を両手で包み込む。

 

「うん、でも冷たいぶん霊夢ちゃんの手がぬくやわこくて気持ちい――うわっ!?」

 

そう言っている、アイツの顔を両手で引き寄せて――

 

 

 

 

 

 

 

――その先は月だけが知っている

 

 

 

 

 

 




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10日過ぎまで気長にお待ちください。


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幽香ちゃんとバトルした話

ストックしてその間にエロ書くつもりだったけど……投稿しちゃえ!

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今回のお話は正月特番のつもりでお読みください。
いちおう番外ではなく過去話です

また、今回の裏話はぱんちらにのせてありますが9000文字超えの大ボリュームです……どうしてこうなった。
登録されていない方はぜひこの機会にどうぞ。


「今日こそ負けねえぞ!」

 

「来なさい、大地の味を教えてあげるわ……ああ、もうなんども味わったかしらね?」

 

悔しいが幽香ちゃんの言うとおりである。

かれこれ50回ほど戦ったのではなかろうか、いつもいいところまで行ったように思えて、その瞬間に幽香ちゃんが一段ギアをあげて、ボコられる感じだ。

 

いちおう一回だけ勝ったこともあるが、あまりにもあまりな勝ち方だったので謝罪してなかったことにした。

 

薬を作る能力で風と共に除草剤ぶちまけたのは幽香ちゃんにも、周囲の畑にもダメージが大きすぎた。

目に染みるのか幽香ちゃんがちょっと涙目になってたのにはすごく庇護欲を感じたが……

 

そもそも人間の俺が妖と戦うこと自体何の得もないんだが、幽香ちゃんの戦闘意欲が妙に高く、まさに絡まれるといった表現がぴったりなぐらい定期的に戦闘することになる。

勇儀ちゃんも戦闘狂ではあるが、勇儀ちゃんは拒否が通じるんだが(ただし、あまり断り続けると捨てられた子犬のような目をするのでたまに付き合う)幽香ちゃんは「で?」とか言って拒否する、というか取り付く島もない。明確な理由がないとそのまま襲い掛かってくるんだ。

 

……一応とどめは刺されないし、動けなかったら回復するまで世話を焼いてくれる(デフォルトで膝枕は少し嬉しい、だが、口を切ったときに幽香ちゃんが咀嚼した果物を食わせてこようとしたときは焦った、ラルバが覗いていてうやむやになったが)ので、無情というわけではねえけど、とにかく苛烈なんだよな。

 

とりあえず、細い身体(でも柔らかくて良い肉だ)のどこにそんなパワーがあるのかわからんが、接近戦はなるべく避けたい感じだ。

 

だが、術などで攻撃したくても、悲しいかな一般人の(たぶんそろそろ道士とか格闘家ぐらいは名乗ってもいいと思うが)俺では出力が足りない。

手数だけは多いので畳みかけるしかないんだが防御力1の敵に攻撃力10で100回攻撃すれば900ダメージだが、防御力10の敵には何回攻撃しようと0なわけだ……

 

なので俺は中妖以上にはかなりの苦戦を強いられることになる。

まあ、借りた程度能力次第で補正は入るけども。

 

さて、まずは……「日向が丘のパック!」

妖精使役術(ウイッカ)で妖精を呼び出す、幻想郷にいる可愛い奴じゃないし、これ自体にはほとんど戦闘力がないが、後々の布石だ。

ちなみに今日のテーマは連鎖である。

 

幽香ちゃんはこちらを睥睨して佇んでいる、基本最初の攻撃が来るまでは行動してこない。

手加減なのもあるだろうけど、意外に幽香ちゃんは対応タイプなのだ。

こちらの行動に合わせて反応してくる。

 

「プロテクション」「ファイア・ウェポン」

 

魔術から微妙にダメージを軽減してくれる呪文と武器を火炎に包み込む呪文をチョイス。魔術は魔法とは違い、持続性の長いものが多く、またリソースもあまり要求されない省エネ系統だ。

 

武器は三節棍を連結したもの(俺の得意武器)をチョイス。

 

さあさ、上手くいったらお慰みっと

 

以火行為炎礫(かぎょうをもってほのおのつぶてとなす)! (はぜろ)!」

 

きったカードは仙術、今回初お披露目なので意表はつけたはず……!

仙術は集中力が必要だが、万象をもとにして行使するので疲労はほとんどしない、チートな術式だ。

欠点は失敗すると自爆するってことだが、俺も十分それはわかっているので低級の術しか使わない。

低レベルの術と言うことであまり無茶な術は使えないんだがまあいくつか隠し玉はある。

 

「また新しい技!だからお前は面白いわ!」

 

傘ぁ……

 

幽香ちゃんがよくやる基本の防御である傘なんだけど、むっちゃ耐久力高い。

こんかいも結構気合い入れた術(着弾点で爆発する炎の弾丸)にもかかわらず、傘で防がれてしまう。

 

まあ、それは計算に入っているけども。っつ!

 

「あぶねえっ!?」

 

伸びてきたツタをかわす。

幽香ちゃんの遠距離攻撃はツタを伸ばしてくる攻撃だ。ツタって言っても一本が大人の腕ぐらいあるので、こんなのにしばかれたら、たやすく吹き飛ばされる……でも今突いてきてたよね?穴開くぞ!?

あと、気を付けなければならないのが地面から生やしてそこを起点にも攻撃できるということ、油断してると背後から殴られる。

 

以火行為火弾(かぎょうをもってひのだんがんとなす)! (つらぬけ)!」

 

貫通力を高めた代わりに威力と範囲はそれほどでもない術をばらまいて、牽制する。

相変わらず傘で防がれるもののノーコストで打てるため時間稼ぎには向いている。

正面からだと簡単に防がれるので移動しつつばらまく、ツタでの攻撃は基本大ぶりなので中距離ぐらいまで近づかなければそうそう当たらなし、当たりそうでも手持ちの棒で逸らすことができる(間違えても受け止めてはいけない、もろとも弾き飛ばされるのがおちだ)

 

……ときどきドリル状に回転しながら突いてくるの殺意高くね?

 

物品召喚(アポート)!」

 

あらかじめ魔術刻印を入れて準備してあった弓を手元に引き寄せて素早く矢をつがえて打つ。矢は破魔矢だ(霊夢ちゃんお手製)

四つがけ(指四本で引く全力射撃)での弓返りはまだ無理(綺麗に弓を放つと弓はきゅるんと回転する、これを弓返りという)なので三つがけで放つ、勢いの足りない分は……

 

「シルフ!頼んだ!!」

 

風の精霊に運んでもらう。幽香ちゃんがいつも通り傘で防ごうとするのを……

 

禁傘則(かさをきんずればすなわち)不能開(ひらくことあたわず)!」

 

「きゃっ!?」

 

よし、命中!

道士の使う禁術で一瞬傘が開くのを禁じた。

 

追撃で火の玉も放っておく、数発当たったが残りは防がれた。俺の出力だと禁じれるのも短い間だけだな……

 

パワーのある道士や陰陽師は「禁!」だけでダメージ迄与えたりするが、当然俺にはそんなことはできない。

省エネ、省エネ。

 

「遠距離では埒があかないわね……」

 

「埒なら昨日あけてきたぜ!」

 

幽香ちゃんが距離を詰めてくる。いつもはここから近距離戦に移行するのだが……

 

「ロビン・グッドフェロー!」

 

その前に妖精使役術(ウイッカ)で先ほど召喚したパックをロビン・グッドフェローにすり替える。

これでいったん妖精使役術(ウイッカ)は打ち止めだ。最終段階まではまだ時間がかかるな。

 

「おん・がるだや・そわか!」

 

さらに迦楼羅のマントラで素早さを上昇させて……

 

「えっ!?逃げっ!?」

 

「ないよっ!」

 

背を向けて逃げると思わせての後ろ回し蹴り!

 

「柔らかいのに硬い!」

 

おっぱいに命中!でもダメージはあんまりない、相変わらずの耐久力だ!

……それともクッションになったのだろうか、たしかに十分弾力がある。

 

「毎回毎回、良くも驚かせてくれるものね……さあ、楽しみましょう!」

 

「おっぱいの感触なら喜んで楽しむよ!」

 

近距離の幽香ちゃんは殴る蹴るに加えて、足もとから根っこのようなもので攻撃してくるため気が抜けない。

ただ、人間形態である以上、根っこに気を付ければ一方的にボコられることは一度被弾するまではない(被弾してからがまずい)

 

「とりあえず、金剛身だ!なあさまんだば・さらなん・とりだりせい・まかろしゃなきゃなせさるばだたあぎゃたねん・くろそわか!」

 

そして借りた程度能力での怪力乱神・気を使う程度の能力も足してとりあえず全力で殴られても死ぬことはないと信じる!

 

「シチューにカツと 言うけれど 馬鹿言えカツにゃ カレーだろ!」

 

ふざけてるようだが、これも呪文である。

魔力と韻とメロディーを付けて吟じれば立派な呪歌(まじないうた)の一種で今回のは恐怖を薄れさせる効果がある。

流石の俺も怖いもんは怖いのだ。そして怖いと折角の鍛えた体も十全に生かせない。

だから恐怖を薄くするのは意外に重要なんだ。

 

「おまえ、そろそろ人間やめてないかしら?」

 

「一応まだ人間のつもりっ!」

 

足もとに気を付けつつ幽香ちゃんと打ち合う。

リーチのある棒を使っている分小回りは効かないがそこはいろんな小技でカバーする。

例えば――

 

急々如律令(とくおこなえ)!」

 

懐から出した呪符をバラまくとかだ。

 

書いてある効果はシンプル「火剣」。五行霊剣符といって握りしめると炎の剣がでるんだが、このように投げて使うと、炎の剣が飛んでいく。符は作る時にものすごい疲れるが使うときはほとんどエネルギーを使わなくて済むため手間暇金に糸目をつけなければ飽和攻撃に使えたりする。

 

「くっ!今日はえらいからめ手で来る――」

 

「天津風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ!」

 

「動かなっ!?くうっ!」

 

和歌も言霊と、韻による立派な呪文だ。

念さえ込めてやればちゃんと効果を発揮するぜ。

ちなみにこの歌の場合動きを少し止める効果があるが、まあ幽香ちゃんには一瞬ぐらいしか効果はないな。

 

さらに棒で滅多打ちにするが……腕で受け止められた。

ここまで俺が優位に進めてるように見えるが、幽香ちゃんはいまだ糸目状態である。

そして今その目が――

 

「ぬおおおおおおっ!?いきなり早いいいいいいっ!」

 

「ほらほらほらほらほら、どうしたの!ここからが始まりでしょう!」

 

開いた。

 

釣り目の三白眼、最初はもう絶望の象徴だったが、近頃は見慣れたせいか一周回ってかわいく思えてきた趣すらある(混乱)

 

ほらほらと左右のパンチでラッシュをかけながら(オラオラじゃなくてよかった)

足もとから根っこ、たまに斜め上からツタの鞭、そしてキック(ただしパンツが見えるため俺的にはバッチこい)、あとは妖術なのか花弁がカッターのようになって襲い掛かってくる。

 

小細工をかけようにも長いマントラなどは唱えてる余裕はない。

 

しかし花弁は処理しておかないと小さいわりに殺傷力が高そうで不味いな。

 

以金行克木妖(きんぎょうをもってきのあやかしをこくす)! (ちれ)!」

 

「花弁だけをっ!?また器用な真似をするわね!」

 

器用なんじゃなくて全体まで回す出力がないからなんだが、教えてやる必要はないしな。

 

「オン・アロリキヤ・ソワカ!」

 

マントラのいいところは唱えるだけでも効果が出るところ!体力回復しながら戦えるのってそれだけで有利だ。

 

「ほらほらほらほっ!?」

 

「幽香ちゃん流石に舐めすぎぃ!」

 

単調なラッシュに割り込んでスカートをめくる……あれ、なんで俺今攻撃しなかったんだろ!?(素でやった、後悔はしていない)

まあでもうっすらと毛が透けて見えるようなレースがついた薄手の白パンツ(パンティと言うべきかもしれない)をみれたんだから問題ないな!

 

「ふざけてっ!」

 

「いや大真面目ええええええっ!?モロ見――ぐえっ!?」

 

「それっ!ちっ、よけたわね」

 

パンツ丸出しでかかと落としはダメだろ!全力でガン見して食らっちまったじゃねえか!食い込んでて、ちょっと目が離せなかった、不可抗力だよな?

 

追撃は転がってよけたが、下手するとそのまま叩きのめされるとこだった、あぶねえ。地味にプロテクションが効いてるな。

いつも追撃してくる華扇ちゃんで慣れてなきゃまずかったぜ。

 

「破邪!」

 

起き上がりながら自分の四方に破魔矢を突き立てて簡易な結界を作る。本当は柏手を打った方が強固になるんだがそんな時間はねえ!

 

「結界?でも脆そうね!」

 

「数秒もちゃいいんだよ!星ちゃんお願い!のうまく・さまんだぼだなん・べいしらまんだや・そわか!」

 

結界はものの数発で壊れてしまったが消費高めの毘沙門天真言を唱えるには十分だ。

そして結構強めの加護がもらえたみたいだ、明らかに身体が軽い。

 

これでなんとか攻撃は通るし、一撃で倒されない程度には防ぐぐらいはできる、流石武将たちの信仰を集めた毘沙門天!さすが星ちゃん!あとは倒しきるまで削っていくだけだ!

 

以金行為鋼斧(きんぎょうをもってはがねのおのとなす)! (きれ)!」

 

宙を舞う斧でツタを攻撃しつつ、俺は――

 

以火行木行生(かぎょうともくぎょうをもって)虚宝貝(いつわりのほうぐとなす)! 火尖鎗!」

 

炎の槍を生み出す。といってもこいつは特殊な武器で、手にもって振り回そうもんならあっという間に俺の体力が尽きる。ので……

 

「貫け!サラマンダーぁぁっ!!」

 

精霊魔法でサラマンダーを呼び出し、一緒に特攻させる。

 

俺本体は手裏剣を投げ、すこしでもよけにくいように妨害する。

よし、これは直撃コース!

こいつがきまればさすがの幽香ちゃんだって……

 

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ!があぁっ!!」

 

「うっそだろ!?」

 

光の翼出しそうなぐらい完璧なうっそだろ!?が出た。

いつもきれいな声の(凄んでる時ですら綺麗なのはすごいと思う)幽香ちゃんにしては珍しく濁ったような野太い声を出しながら、刺さった槍を途中で止めて引き抜いてしまった。

精霊魔法は基本的に高命中率(精霊が自分の判断で自在に動くため)なんだが「当たってから致命傷になる前に吹っ飛ばす」とか、対処としてはどーよ……?

 

「さすがに、痛かったわ……痛かったわよっ!」

 

「ごっ!?」

 

ノーモーションのツタ!かろうじて防いだが……

 

「ほらほらほらほらほら!踊りなさい!逃げ回りなさい!ぶたれて!はいつくばって!みじめに許しを請いなさい!」

 

「うおっ!ちょっ!やばいって!」

 

半ば四つん這いになるような低い姿勢で転がるようによけていく。

 

「運んでウンディーネ!」

 

水の流れに乗りサーフィンするかのように一気に距離を取る。

幽香ちゃんはダメージを与えるとちょっと乱暴になるんだよな。

発狂モードとこっそりよんでいるこのモードは隙が大きいんだが攻撃力がやばい。

 

幽香ちゃん本体が離れていて攻撃を当てにくいうえに幽香ちゃんからはちかよらず、手足の代わりに複数本のツタを使うため非常に戦いづらい。ぶんぶん振り回されるだけで近づけねえんだよ。

 

以土行為石壁(どぎょうをもっていしのかべとなす)! (ふせげ)!」

 

とりあえず布石と時間を……あっ――

 

「しまっ!?」

 

幽香ちゃんは二本より合わせたツタを錐揉みさせながら伸ばし石の壁をやすやすと粉砕して、更にツタで俺を打ち据えようとする。

 

悪手だった!激しく打ち据えられ金剛身が剥げるのを感じる。

……致命傷を無効化する金剛身を一撃で消し飛ばすって、下手したら死んでないですかねえ!?

 

「なまさまんだば・さらなん・けいあびもきゃ・まかはらせんだきゃなやきんじらや・さませ・さませ・まなさんっ!!」

 

追撃のツタをかわしながら超早口で金剛身を張りなおす、これでもう使えねえぞ……

 

ツタでの攻撃だったので追撃までラグがあったので助かったが、今回のは完全に俺のミスだったな。

 

時間は……まだ足りねえか!

 

以水行為癒水(すいぎょうをもっていやしのみずとなす)! (なおせ)!」

 

水を生み出して口を湿らせる。

この術は癒しの水のように見えて実際は少し体力回復するぐらいの水でしかない。

まあ一息つくのと布石に必要だったから今のうちに使っておいただけだ。

これで五行が一巡した。

 

くっそ、遁術も練習しておくべきだった。ぶっつけ本番は上空に出たり、いしのなかにいる!になったりする恐れがあるのでさすがにやりたくない。

 

だいぶ距離が離れたことにより、幽香ちゃんもゆっくり近づきながらツタで攻撃してくるがそこまで脅威ではない。

もう慣れたというべきか。

 

火弾と弓で逃げ打ちしつつ時々禁呪で足をもつれさせたり防御を崩したりしてちまちまと削る……致命傷には程遠いよなあ……

種族のスペック差どうにかなりませんかねえ?

 

「今日はえらい無様に逃げ回るのね?でも飽きてきたわ。そろそろ終わりにしてあげるわ」

 

「あーっ……それがここで来るかー」

 

幽香ちゃんを象徴する花ともいえる向日葵。

もし、それが巨大で、しかもあの大量の種をすごい速度で射出してきたらどうなると思う?

 

――こうなる。

 

「だあああああああああっ!多い多い多い多い多いっ!?」

 

こけつまろびつしつつ遮蔽物を駆使して逃げ回る。

ちょっとした木とかは数秒で砕け散ってしまうほどの機関銃の斉射もかくやというぐらいの弾幕である。

ごっこの弾幕と違って物理的に刺さるのですげえヤバイ。

しかも向日葵複数本でるんだよ……幽香ちゃんが焦れるとこのモードになる。

 

ちなみに俺はクソゲーの権化と呼んでいる。

その心は?クリアさせる気がない。

 

「守れノーム!」

 

土壁を適度にばらまきつつ……もう一分切ったぞ!

四属性もそろったし、ここは勝負に出る!

 

「幽香ちゃんとっておきだ!」

 

幽香ちゃんを指さして宣言する。

 

「精霊たちよ!荒れ狂え!」

 

精霊が次々とエネルギー状の球体になって幽香ちゃんに体当たりしていく。

こいつは一回限りの大技だがここで使わないでいつ使うってんだ。

 

連続で幽香ちゃんに着弾する、これはひょっとすると……

 

「やったか!?」

 

そう叫んだ瞬間俺の体は宙を舞っていた。

 

 

 

 

 

 

「っつ……」

 

何が起きた!?

宙に飛ばされて一瞬意識が飛んだのだろうか?地面に激突する瞬間に意識が戻った。

 

「あっぶ!」

 

慌てて受け身を取りごろごろ転がって衝撃を殺す。

神奈子ちゃんに死ぬほど訓練させられたせいで3,4mぐらいまでなら普通に受け身をとれるようになってるんだ。

最終的には5間(9m)ぐらいまで余裕になるとか言ってたけど、何度も言いますが俺、肉体は普通の人間なんですよ神奈子ちゃん……

 

視界の端に幽香ちゃんを捕らえ……けっこうダメージはいってる気がする!

服が大分よれてるし、目の端切れてるな!

そして俺を吹っ飛ばしたものの正体もわかった。地面からタケノコのように生えてきたツタだ。

生やしてから攻撃ではなく、生やす動作がそのまま攻撃……下から思いっきりかちあげられたっぽいな。

 

そして――ついに妖精使役術(ウイッカ)の力が回復した。

 

「時間だ!開演!真夏の夜の夢!こい!オベロン!」

 

俺のウイッカの力が回復したので即座に再び取り替えの術式でロビングッドフェローからオベロンを召喚する。

格でいうなら幽香ちゃんにも負けていない!もっとも肉弾戦なんかさせたらあっという間に倒されてしまうだろうけど、自然を操る力ならオベロンも負けていない。幽香ちゃんの妖術系の攻撃を封じるのが目的だ。

 

「攻撃しなくてもいい!相手に術を使わせないでくれ!」

 

オベロンに指示を出す。さらに――

 

以五行生五行(ごぎょうをもってごぎょうをしょうず)以五行克五行(ごぎょうをもってごぎょうをこくす)(みだれよ)

 

空間の属性を無茶苦茶にする。

人間の俺には大したことはないが、妖怪である幽香ちゃんはものすごい不快になると思うぜ、とても術なんか使えねえだろうな。

これで幽香ちゃんはただのパワーファイター系美人に過ぎない。

ここまで長かった……この状況に持ち込めば勝率はかなり高いと踏んでいたんだが、どうやってこの状況に持ち込むかが一番の問題点だったからな。

大抵は先に俺のリソースが尽きるんだが、今回は省エネに徹したので何とかなった感じだ。

……準備に要した時間と手間と金がえぐかったけどな。

 

「さあ、幽香ちゃん、今日こそわからせてやんよ!」

 

「くっ……こざかしいわね。いいわ。術なんか使えなくてもお前ぐらいたやすく仕留めることはできるわ、来なさい」

 

棒もどっかに行ったので至近距離での殴り合い、幽香ちゃんはいつ妖術(ツタ含む)が飛んでくるかわからないというプレッシャーと妖怪のフィジカルを生かした攻撃でいつもアドバンテージを取ってきていたが、妖術が封じられている以上肉体攻撃にのみ気を付ければよく、そしてそのフィジカルの差を埋めるのが武術という技術である。

 

すくなくとも武術に関しては神奈子ちゃんから「強くはないが弱くもない」という評価をもらっているので(腐っても戦神なのでこの評価でも現代社会に戻ったらたぶんスターになれるレベルだと思うって早苗ちゃんが言ってた)対応さえ間違えなければ十分に勝機はあるし、何よりも幽香ちゃんは今絶不調である。

 

「不覚を取ったけども、まだよ!」

 

幽香ちゃんが殴りかかってくるが混沌属性がだいぶいい感じに仕事をしているのだろう、パワーこそあるが精彩に欠ける。

 

「人間なめんなぁ!」

 

パンチをさばいて体を泳がせたところに肘!人間形態の妖怪は人間と同じような弱点も持つ、側頭部に入れた肘は脳に衝撃を与えて動きを一瞬鈍らせる。

 

「くっ!こんな時でも盛ってるの!?」

 

「それもある!が、こいつはフィニッシュホールドだぜ!」

 

肘を撃った後の流れで幽香ちゃんの側面から後方に回り、幽香ちゃんの左足に自分の左足を絡めて反対側の足を抱きすくめるように絡める。

 

 

 

ぬくやわこくていいにおい(一瞬戦いを忘れかけた)

 

 

 

気を取り直して胸に引き付けるようにして後ろに倒れ込み――

 

「えっ!?お前何をっ!?きゃああああっ!」

 

そのまま地面を一緒に転がっていく(ローリングクレイドル)、自分を支点にして回転するので自分はそこまででもないが、幽香ちゃんは激しくシェイクされることになる。

そして、ちょっとえげつないが、幽香ちゃんの頭を地面やら石やらに叩きつけることも忘れない。

 

激しい回転で三半規管を揺さぶられ、脳震盪でも起こしたのか幽香ちゃんの抵抗が薄れる……いまだ!!

 

「パンツ……!とったどぉーっ!!」

 

さらりと変態行為をしている気もするが、これが幽香ちゃんと定めた勝利条件なので仕方がない。ほかにも降参も勝利条件だが、幽香ちゃんの性格上降参なんか絶対にしないだろうしな。

 

なお、パンツを脱がせるときに見えてしまったのは不可抗力だ。

なんか、すげえ清楚なものをお持ちでした。未使用?(下品)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んう……」

 

「お、大丈夫か?幽香ちゃん」

 

一分にも満たない間に幽香ちゃんは覚醒した。

さすがにやりすぎた気もしたので顔の血と泥を濡らしたハンカチで拭っていたところだ。

 

「……酷い人」

 

「あー、いや、その、うん、すまんかった」

 

女の子の顔面や頭を狙い、大股開きのまま大回転するという外道以外の何物でもない所業である。最後パンツはぎ取ってるし……

非難はもっともな話だ。

 

「いいのよ、お前……いえ、あなた様……しっくりこないわね……ぬし様がそれだけ研鑽されたということですよ」

 

「ゆ、幽香ちゃん!?」

 

あれ?頭ぶつけすぎてバグった!?

 

「何か?」

 

「いや、なんか喋り方変じゃない?こう、いつもはもっと……」

 

「それは仕方ありませんわ。わたくし主様に「わからせられた」のですもの」

 

本格的にやばい!永琳ちゃん呼んで直せるかな!?

 

「ところでわたくしの花園……ご覧になられたでしょう?」

 

「は、花園?」

 

「下着を脱がせたときです」

 

「あ、ああ、あれはその」

 

「いいのですのよ、ぬし様、いまだ誰も足を踏み入れたことのない禁断の花園でございますが」

 

そういうと軽く俺に抱き着いて耳元に唇を寄せて幽香ちゃんは囁いた。

 

「主様ならどうぞ、奥まで入ってもよろしいのですよ」

 

「うえええっ!?ちょ!?なんかいきなり話が飛びすぎっ!?」

 

「ふふふ、わたくしの花園に種をまいてくださいましね」

 

「あー……」

 

この幽香ちゃんエロ可愛くていいんだけど……

完全にバグってるわ……

 

 

俺は天を仰いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

オベロンが「帰っていいすか?」的な雰囲気を出していて、少し気の毒だった。(効果時間30分)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとアンタあああああああああっ!!」

 

 

 

「ぬおおおおおおっ!?れ、霊夢ちゃんどうしたの!?いきなりローキックかましてっ!?」

 

お菓子作りをひと段落させて縁側で座って茶を飲んでいると、霊夢ちゃんが絶叫しつつ、ローキックで背中をけってきた。

 

「アンタ結局幽香に手を出したの!?」

 

「い、いや!出してない!出してないぞ!」

 

流石の俺もバグった幽香ちゃんをこれ幸いと「いただきます」するわけにはいかない。

しばらく様子を見て直らなかったらその時はその時でまた考えるが現状は様子見である。

ヘタレではない、様子見である(大事なことだから二回言う)

 

「じゃあこれはいったい何なのよ!」

 

と、手渡されたのは文々。新聞。

すごい嫌な予感を感じつつ開くと――

 

 

 

 

ついに一線を越えた | か?

外来人と花妖が行為 | ?

 

 

 

「悪意があるにも程があるだろおおおおっ!?」

 

見開き記事なのだが左ページだけ読むと断言してあるようにも見える

そしていつ写真を撮られたのか「パンツとったどー」の瞬間の写真も掲載されている。

 

 

「とりあえず辞世の句ぐらいは聞いてあげるわよ」

 

「言い訳じゃなくてっ!?」

 

 

 

 

 

金剛身使い切って、やっと説明する時間が取れたよ……

 

あと文はそろそろお仕置きタイムだな。

 

 

 

 

 

ちなみに幽香ちゃんに存分にお仕置きされたみたいだ、だが安心するなよ、俺の分はまだだぜ?

 




今回もパンチラと合わせると一層楽しめるタイプになっております。




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
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霊夢ちゃんと川遊びした話

体調不良なので最後の回想から戻ってきたところがちょっと雑。
これでは川遊びではなく食糧調達に行った話になってしまう

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「魚が食べたいわね」

 

と、朝のこまごました仕事を終えた俺を待ち構えていた霊夢ちゃんがそう告げた。

まあ、たしかに近頃は葉っぱばっかり食ってる気がするな。

たんぱく質は……豆腐ぐらいか。

 

豆腐と言えば魔理沙が豆腐小僧の差し出した豆腐をためらいもなく口にするという暴挙をかましたことがあった。

……正直全身にカビが生えることを期待したんだが、普通においしかったらしい。

いい子の豆腐小僧なんだが、なんというか、もっと、こう、笑いを取りに来ないと幻想郷ではキャラ立ちしないぞ?

 

さておき川に行きたいというなら行こうではないか、霊夢ちゃんとともに!

 

「よしきた!じゃあ一緒に川行くか!」

 

「えらい勢――言っておくけどアンタがよこした水着着ないわよ?」

 

「なんですとっ!?」

 

「あんなもん紐じゃないの!?肝心なところは隠れてるけど、逆に言えばそこしか隠れてない!」

 

「問題が?」

 

「問題しかないわよっ!あんなのは魔理沙にでも着せておきなさい!」

 

ちなみに×のような形がからだの前面にくるタイプのクロスストリングスという水着だ。

魔理沙にスリングショット(Vの形の水着)をきせたので霊夢ちゃんはXな水着にしてみた。

俺の股間のマイクロウェーブを受信していただきたい。

 

「魔理沙おっぱいないからあれ着ると割と悲惨なことなるから、やめて差し上げろ」

 

「私だって悲惨なことになるわよっ!?」

 

「ならないよ?」

 

おっぱいのふくらみで全体的に締まってしっかりと装着できるのでスリングショットと違ってずれたりぽろりしたりはしにくい。

あくまで素の露出が高いだけである。

ただし貧乳だとポロリどころがずり落ちて股間が……(首には引っかかってる)

きっと魔理沙は少し動いただけで脱げると思う。

だが、結構大きい霊夢ちゃんなら問題なく着れるはずだ、横乳がちょっとえぐいがな!

 

「何よりもお尻の方が嫌すぎるの!割れ目見えてるじゃない!」

 

「霊夢ちゃんのお尻なら綺麗だよ?」

 

「そういう問題じゃないでしょう!」

 

何故霊夢ちゃんがここまで嫌がるのかわからない。

冬場以外は(冬場は俺が微妙にカロリー多めにしてあえて肥えさせる。くっつくとふわふわするので)引き締まった体をしていて、実に健康的だというのに、解せぬ。

 

「じゃあ、ちょっとまってて」

 

と、俺は部屋に行ってストックしておいた「霊夢ちゃんにいつか着せよう衣装箱」から(一応まともな服も多い)ビキニを取ってくる。

 

マイクロと言うことも無く普通のビキニだが縁にギャザーのようなフリルがついている分露出も小さく見えるやつだ。

色は霊夢ちゃんカラーの赤地に白の水玉模様でビキニだけど可愛いという感じに仕上がっている。

 

「これならどう?」

 

「んー、なかなかかわいいじゃない。これなら着てもいいわよ」

 

手を出す霊夢ちゃんに水着を手渡す。

 

「アンタの事だからサイズピッタリなんでしょうね、どうせ」

 

「勿論だ!、じゃあ準備したら川行こうぜ、霊夢ちゃんは飲み物とかの用意頼むわ、俺は一応……きゅうりでも持っていくか山ほど成ってるし」

 

夏はキュウリの季節だからな、もう嫌って程なってる。

 

「わかったわ、水筒二本もあればいいかしらね。」

 

「そうだな、あと帽子も忘れずにな」

 

「了解」

 

霊夢ちゃんが自室に戻っていったのを確認して俺はほくそ笑んだ。

 

 

 

 

計画通り

 

 

 

 

霊夢ちゃんは水着を安心して着ることを了承したが、よく考えてほしい。

実は露出はほとんど変わっていないんだぜ?

胸の/のところが△になったぐらいで、乳肉などは普通に目の当たりにできるのだ。

お尻の方も少しウエストの方に伸びただけで、足側の方はほどんど変わっていない、いつもの霊夢ちゃんであったら間違いなく着ない水着である。

サテライトキャノンクラスの破壊力のある水着には変わりないのだ。

 

だが、先に強烈なインパクトのXを渡して置いたせいで相対的にこれならまともだからいいか、という評価になってしまったのである。

 

 

ドア・インザフェイスという交渉術だぜ。

 

うまくいったことにうっきうきで俺は準備を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで川までやってきたのである。

 

「なに見てんのよ」

 

「いや、脱ぐ姿ってのはそれだけで趣深いんだよ」

 

霊夢ちゃんは下に水着を着てきたらしく、岩場に風呂敷を敷いて、服を脱いで片付けていく(こういうところが霊夢ちゃんだ、魔理沙なら脱ぎ散らかす)

服を脱ぐ瞬間はさすがの俺もレアな状況なので、ついガン見してたら、霊夢ちゃんに咎められた。

 

でも、普通見るよね?

とくに上を脱いで左右に襟を開いて袖を抜くとき肩が前に出るのでめっちゃめちゃおっぱいが強調されていて、俺が幽霊ならその光景だけで成仏してしまいそうなぐらい神々しい。

さらに袖から手を抜いた直後に「たゆん」とゆれる、たわわに育った姿もまたいいものである。

 

そして下半身。

長距離移動は飛んで移動するせいか霊夢ちゃんの脚は筋肉があまりついておらずかなりむっちりしている。

太っているのではないがとにかく柔らかいある意味極上の脚なのだ。

それが惜しげもなくさらされている状況では見るなという方が無理であろう。

 

「こんなのの何が面白いんだか」

 

「動画でとっていいなら撮るぞ。そして間違いなく使うぞ」

 

「やめなさい ぶっ壊すわよ そのすまふぉ」

 

「なんで川柳!?まあ、正直使い道はマジでないんだけどな」

 

霊夢ちゃんはカメラを向けると真顔になるからな、油断しきった寝顔とかは撮ってあるけど(もちろん隠しフォルダに入れてある)いまいち使い道がない。

 

うっかり変な写真を撮るとはたてちゃんに抜かれるのも問題だしな。

そもそもスマホって人にもよるけどその時間の9割ぐらいネット(ゲーム含む)に使ってると思うんだよ。

電波のない幻想郷では本気で使い道ねえんだよな。

 

「じゃあ霊夢ちゃん下流に網目の結界はって」

 

脱いで準備した(ちらりと見えたが下着はちゃんと持ってきていた、くそっ、忘れるとかいうの期待してたのに)霊夢ちゃんを下流に配置して網目状の結界を張ってもらう。

物理的な結界が張れる博麗の巫女の能力の無駄遣いだぜ。

 

「もう、なんどもやって今更だけど、結界の能力ってこういう風に使うもんじゃないと思うんだけど」

 

「一匹一匹手づかみしても俺は一向にかまわんぞ?」

 

前かがみになるのでおっぱいがすごいことになるからな!

 

「面倒だからこれでいいわよ、今まで何度もやってて今更だしね」

 

ちっ。

 

「じゃあ、行くぞーそーりゃ!…………ってあぶねえ!」

 

と、岩に向かって岩を思いっきり振りかぶって投げつけた、が――

 

「やあ、盟――うわあああっ!」

 

川から浮上してあいさつをしようとしたにとりに当たるところだった!にとりは慌てて再び潜ったが……

 

 

 

 

ガゴォン!!

 

 

 

 

ガッチン漁の犠牲になって気絶し(なお現代社会では違法)大量の魚とともに下流の霊夢ちゃんのところに流れていくはめになった。

 

 

これぞ河童の川流れだな!(非道)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、もう、酷い目にあったよ」

 

ぼりぼりときゅうりをかじりながら(詫びとして納めた、まあもともとやるつもりだったが)にとりはぶつくさと文句を垂れる。

 

「悪かったと思うがいきなり出てくるな、危ないだろうが」

 

「何言ってんだいめいゆー、わたしは河童だぞ?川から出てきて人間を驚かせてなんぼじゃん?」

 

「にとりに河童要素ほとんどねえ気がするがな」

 

外見だけなら正直可愛い少女以外の何物でもない。さりげなく通臂なとこは少しビビった(金髪河童にズームパンチ食らったことがある)が、にとりはロボットアームみたいなのを使っているので可愛らしい。

いや、威力は可愛くないんだけどな。

 

「大体悪戯なら霊夢ちゃんの水着を脱がせ――頭が割れるように痛いっ!?」

 

「あんたしか喜ばないでしょうが!」

 

うめぼし(こめかみを拳でぐりぐりするやつ)を俺に食らわせながら…‥生臭っ!?

 

「霊夢ちゃん生臭いっ!?」

 

「魚の内臓出してたからね」

 

「手を洗ってから……」

 

「アンタがアホなこと言いださなきゃそうしてたわよっ!」

 

俺のせいか!?

俺のせいかもしれない、反省せねば。

だけどポロリに期待できるなら言うよね?(反省の念が見えない)

 

「相変わらず盟友たちは仲良しだなあ」

 

「仲良しなの?」

 

「霊夢ちゃん辛辣ぅ!?俺はそう思ってるよ!?」

 

「盟友が辛辣なのは今に始まったことじゃないじゃん。あ、めいゆー、あれ、持ってないかなー?」

 

と、上目遣いで俺にねだるにとり。

妖精たちや赤蛮奇ちゃんやパルスィちゃんと違ってにとりはわかったうえでやってるのであざとい。

 

「イエローチェリーだな?あるぞ」

 

キャップ式の瓶に移し替えた河童用の酒である。一旦水中に持ち込むので水気が入らないようにしてあるのだ。

居住区には普通に空気あるんだから、陸から入れるようにしとけばいいと思うんだが、にとりいわくそういう河童は「岡河童(おかっぱ)」という怠け者の意味の蔑称が付けられるらしい。

 

「そいつをくれたら、うちのきれいどころをしばらく自由にしていいよ!」

 

「いつものことだが簡単に仲間を売るな」

 

にとりは自分を差し出さず、仲間の河童を差し出す幻想郷では珍しい人物(妖怪)だ。

力関係がどうなってるかが結構付き合いの長い今でもよくわからんのだが、それなりにえらい立場なのだろうということは推測できる。

 

「そも、無理やりは好きじゃないからな」

 

え?セクハラは無理やりじゃないのかって?初期のころはともかく、今では見極めてるので大丈夫(大丈夫ではない)

 

「それなら、大丈夫だよ、めいゆーは人気あるから!」

 

「おっ?なんで?あんまり河童とは絡んでねえぞ、俺」

 

カッパーランド(川から行く居住区)より地獄の方が行ってるからな俺。……自分でもおかしいと思ったわ、今。

 

「「めっちゃ責任取ってくれそう」「何でも言うこと聞いてくれそう」「甘やかしてくれそう」「絶倫っぽい」「大事にしてくれそう」ってかんじで、一つ変なの合ったけどめいゆーの評価はざっくりまとめると「チョロそう」かな?」

 

「台無しなまとめ方だな!?まあ絶倫かどうかはわからんけど霊夢ちゃんのパンツで――頭が割れるように痛いっ!?」

 

思わず俺が心の中で禁止している二度ネタが出てしまった。なお、天丼はOKだぜ。

 

「なんでアンタいつもそれを引き合いに出すの?」

 

「つめたっっ!?霊夢ちゃん手が濡れてるっ!?」

 

「魚の血合い洗ってたからねっ!さっきから私ばっかり作業してるじゃないの!」

 

「マジすまん」

 

でも、霊夢ちゃん普段は俺の方が圧倒的にやって――っといかんいかん、こういうことを口に出すと夫婦の溝が深まるって雑貨屋のおばちゃんが言ってたな。

 

「じゃあ、かわるから、お酒と交換でにとりから何かせしめといてくれ」

 

「了解、さあにとり。楽しいお話の時間よ」

 

「ちょっ!?めーゆーっ!盟友相手だとめっちゃ厳しいこと言われるんだけど!」

 

半ば悲鳴を上げるにとりを見やりながら作業に入る。

そういえば最初に出会った頃も同じようなことがあったなあと作業をしながら思いをはせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綺麗なとこだな」

 

「そう?幻想郷はどこもこんな感じよ?」

 

霊夢ちゃんに連れられて玄武の沢とか言われる場所までやってきた。

 

リハビリ(まだ多少ふらつくが)を終えた俺が恥を忍んで当座の資金を霊夢ちゃんに借りようとしたところ「博麗神社に現金あると思う?」と至極まっとうな質問で返された。

うん、正直言ってないな。参拝客とか見たことないし。

大体俺が食ってるもんだって霊夢ちゃんの持ち出しだ、博麗の巫女がなんなのかはよくわからないけど、裕福ではなさそうだしな。

 

で、困ってたら霊夢ちゃんが「アンタの荷物持って川に行きましょう。なんとかなるかもしれないわ」

などと言ったのでノコノコとついてきたのである。

 

ここでは魚が貴重品みたいだから漁でもするのかな?

まさか始末されるとか……ないよな?

霊夢ちゃんは冷徹な雰囲気があるけど(実際冷徹だ。可愛い妖精を容赦なく殺してた)そこまで非道ではないと信じたい。

 

「いつもなら、この辺に……いないわね」

 

「ん?誰かさがしてんの?」

 

「ええ、にとりって――」

 

 

 

 

 

ザバァ!

 

 

 

 

「やあ、盟友!呼んだかい?」

 

「うわあああああああっっっ!?」

 

霊夢ちゃんの方を向いていて完全に気を抜いていた俺の真横から謎の――可愛い少女?が飛び出してきた。

勢いと大声にビビったものの、害意があるようには思えないな。

 

「あ、にとり丁度良かったわ」

 

「何の用だい?盟友!それと……に……人間!?」

 

「攻撃してくるような奴じゃないわよ、コイツは」

 

「そ、そうなのかい盟友?えっと新しい盟友になるかもしれない人間は妖怪をどう思うんだい?」

 

えらいおどおどしながらにとりちゃんが霊夢ちゃんと俺に確認を取る。

 

「盟友?」

 

「ああ、河童は付き合いのある人間の事をそう呼ぶのよ」

 

「なるほど、えっとにとりちゃん?」

 

「ん、な、なんだい新しい盟友になるかもしれない人間」

 

えらいびくびくしていてちょっと可愛い。

まあ幻想郷だと可愛くても戦闘力がえげつないのがいるから注意はしないとだけど

 

「えっと外来人?ってやつで博麗神――」

 

「新しい盟友は外来人なのかい!?な、なにか、こう、珍しいものを持ってたりしないかな?」

 

食いつきと圧がすごいな!?あとかもしれないが取れたぞ、ちょっとチョロくないか?

 

「えっと霊夢ちゃん?」

 

「河童は機械?とかてくのろじー?とかにすごい執着するのよ、売れそうなものあったら出してみなさい」

 

なるほど、霖之助みたいなものか?

 

「えっと、そういわれてもスマホとモバイルバッテリーぐらいしか……」

 

「スマホ?スマホってなんだい?」

 

「電話……いや電波ねえか、調べ物やゲームも出来ねえだろうし、アレ?スマホってもしかして幻想郷じゃゴミ?」

 

「いやいやいやいや、未知の技術が使われてるんならそれはお宝だよ!私にちょっと見せておくれよ!」

 

「えっと、じゃあちょっとまってな」

 

と久しぶりにスマホの電源を入れる。電池残量は42%……縁起悪いな!?50%以上はあったきがするが、やはり放電されてくんだな?

少し嫌だったのでモバイルバッテリーをつないで充電を開始する。モバイルバッテリーは大容量のらしく結構残っているっぽいな。

 

「こんなのだよ」

 

「うわ、なんだこれ板に絵がうつってる!はたてのカメラみたいだな!」

 

「カメラあんのか……っといちおうこれも写真取れるぞ」

 

とにとりを写真にとって、画面を見せる。

 

「うぉー!?これはすごい綺麗だよ!でもわたしもう少しかわいいと思うんだ」

 

「いや、写真だからありのままだからな?それに、十分にとりちゃんは可愛いと思うけど」

 

「そ、そうかい?いやー新しい盟友にそう言われると照れるなー」

 

「あとは……」

 

と、録音機能とデフォルトの着信音をいくつか鳴らしてみる。

 

「これは……小さいのに蓄音機の能力もあるんだ!すごいすごい!」

 

「に、にとりちゃん、近い近い近い!」

 

たまにプニっとした感触が俺の腕に当たるのは気のせいではないだろう。ぬくやわこい。

あと水から上がってきたはずなのに、すでに服が全く濡れていないという謎の衣類にも驚いた。

 

「ん?ああ、なるほど新しい盟友は童貞かー」

 

「どどどど童貞ちゃうわ!」

 

っていうか可愛い少女の口から童貞とか吐き出さないでほしい。

ちょっと期待するだろ。

 

「で、にとり、それいくらで買うの?」

 

霊夢ちゃんが交渉に入る。

そうだな、俺は相場がわからないしと人ごとで水筒の茶を――

 

「とりあえず三十万でどうかなー?」

 

 

 

 

ぶば!

 

 

 

 

 

 

吹いた。

とりあえずが三十万からっておかしいだろ!?

一番高いタイプでも十五万ぐらいだっけ?

お値段異常にとりってか!?

 

 

 

「却下、一品ものなのよ?しかも完動品で説明してくれる人間までいるのよ、桁が一つ足りないわね。

 

「ちょっ!?」

 

「アンタはちょっと黙ってなさい」

 

「アッハイ」

 

「さすがにそれはちょっと高くないかな……あ、新しい盟友はどう思うんだい?」

 

「えっと、俺としては十分だと思うんだけど」

 

そういう俺に対して。

 

「アンタ生きるって決めたんでしょう?」

 

突然、霊夢ちゃんが俺に問いかけてくる。

まあ、いろいろあったが俺は幻想郷で生きるって決めたのは確かだ。

 

「あ、ああ、まあな」

 

「なら、このお金はあんたの命だと思いなさい。生きるって決めたんなら命は惜しみなさい」

 

ときどき霊夢ちゃんは「ああ、巫女だなあ」と思わせる瞬間がある。

いまもそうだ、冷たい刃物のような言葉で温めてくる。

その瞬間の霊夢ちゃんは怖さよりも美しさが勝るのだ。

 

「ああ、ありがとう霊夢ちゃん」

 

「礼には及ばないわ。さて、にとり最低三百万からよ」

 

「ちょっ!?まだ上がるの!?うー、だけど……盟友たちも言うじゃん「無い袖は振れない」って」

 

たしかにそうだ。欲張って売れなければ一円にもならないからな。

 

「ところでにとりちゃん」

 

「なんだい?新しい盟友」

 

「買い取って何に使うの?正直、電波ってものがないとスマホは100%の機能が使えないんだよ」

 

「え、そりゃあもう、分解して構造調べて同じものを作るのさ!」

 

マジか!?半導体とか作れるのか?

 

「それなら、俺は当座の資金があれば何とかなるから貸し出すってのはどうだ?金額は……まあ常識の範囲で、で、もし壊しちゃったら買い取りってことで霊夢ちゃんの提示した金額を」

 

「アンタ甘いわよ、ま、そうね壊したら500万ってとこで」

 

「霊夢ちゃんどんどん金額増えてってない!?」

 

「いいのよ、こいつら遊郭とかも経営していて結構小金ため込んでるしね」

 

「遊郭って……」

 

にとりちゃんを眺める……犯罪臭しかしねえ!

 

「お、なんだ新しい盟友。私はお店に出てないから駄目だぞ?でも興味あるなら案内してやるよ、一晩一万円ぽっきりだぞ」

 

「やっす!?お金あったら毎晩でも――ぎゃああああっ!?頭が割れるように痛い!」

 

霊夢ちゃんのアイアンクローを食らって悶絶する。

いや、だって幻想郷の女性に外れはいなかったし、しかも時間じゃなくて一晩とか破格すぎる。

 

「無駄遣いは稼げるようになってからしなさい」

 

「あ、ああすまん。――話を戻すけど、当座の資金がいるから最初はちょっと多めで後は月ごとにいくらかっていうのはどうだ?」

 

「うーん……じゃあ新しい盟友を二、三日かりれるかい?いろいろと説明ききたいからね。ご飯とかは出すよ」

 

「えっと、霊夢ちゃん大丈夫?」

 

送り迎えはしてもらう必要があるので霊夢ちゃんにお伺いを立てる。

 

「そうね、異変が起きなければ問題ないわよ」

 

「異変?」

 

「アンタにはまだ早いわ。ま、じきにわかるわよ、にとり、私の分も食事出るのよね?」

 

「まあ、べつにいいけど、相変わらずがめついなあ、盟友は」

 

「なら話は決まりね、でいくら出すの?」

 

「まず30万で、毎月5万づつってのはどうだい?あと壊した時もう少しお手柔らかにしてほしんだけど」

 

「俺は構わないけど……」

 

霊夢ちゃんの様子を窺う。

 

「アンタがいいならそれでいいんじゃない?壊す可能性もあるし」

 

「じゃあ、にとりちゃん。充電しないとこのスマホはじきに動かなくなるんだ。だから充電器の開発もしてくれるなら、その金額でもいいぞ」

 

「充電?まあ説明してくれるならいけると思うよ」

 

「そういえば河童って水の中に住んでるの?これ一応防水だけど水の中で分解はまずいかな」

 

「あ、いや私たちだって料理に火を使いたいし、ちゃんと空気はあるところに住んでるからね。大丈夫だよ」

 

「なら、いいか」

 

「よっし、商談成立だね!じゃあこれどうぞ、新しい盟友」

 

と、懐から札束を取り出して俺に渡してくれるにとりちゃん。

 

「おう、ありがと。はい霊夢ちゃん」

 

「なによ?……アンタが持ってなさい」

 

「でも……」

 

「いいから」

 

貰ったお金の半分を霊夢ちゃんに渡そうとすると、眉をしかめて突っ返された。

いままで大分霊夢ちゃんの持ち出しがあると思うんだけど……

あとで賽銭箱にでも入れておくか。

 

「あーじゃあ、持っておく」

 

「で、わたしはこれを借りて……うん説明聞いたほうがいいね」

 

「ああ、結構ややこしいから先に説明したほうがいいな」

 

「なら、にとりせっかくだから食事用意して、食べながら話しましょう」

 

「盟友がおなかすいただけだよね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのあと説明にものすごい苦労したんだよな。

おじいちゃんおばあちゃんにスマホの使い方説明する孫みたいな感じだったぜ。

 

あらかた魚の処理が終わって(鮭がいた!これはありがたい。超食べ応えがあるのだ……海ないのに何でいるんだろうな?ウナギもだけど)川を見やると霊夢ちゃんが温泉にでも入るような格好でのんびりしていた。

涼を取っているんだろうけども、身体がそっているのでおっぱいが非常に強調されていて実に素晴らしい。

 

にとりはにとりで平泳ぎしながら霊夢ちゃんの周りを周回している。多分話でもしてんだろうな。

しかし着衣で泳げるの本当に謎だよな、河童なんだから素っ裸でいいじゃないか。

まあ、にとりはなんというか持たざるものだからあんまり楽しくはなさそうだが(そもそもにとりにエロスは感じない。眼鏡の河童はものすごいエロいのに)

 

よし、このまま軽く魚は陰干ししておいて……猫とかいねえだろな?(橙はともかくお燐には注意が必要だ。あと魔理沙)俺も霊夢ちゃんの近くに行って目に焼き付けておくか。

にとりからなにせしめたかも気になるしな。

 

結局キャッキャウフフと遊ぶことはなかったが、川に浸かりながら、駄弁ってるのも楽しいもんだったぜ。

あと川から上がる時のおしりとかも最高だったぜ(なお着替えるときは全力で拘束された。のぞかないよ、堂々と見るだけって言ったのに、解せぬ)

 

 

 

 

 




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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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フラグメント 綱  フラグメント 五つの秘密

パンチラからの移植です。
理由?間違えてこっちにパンチラ最新話あげちゃったからだよ!
代わりに入れておきます

このお話が気に入った方は霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せをどうぞ。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

 

異変解決後の宴会でのお話。

 

 

「今回のMVPはわかさぎ姫かー」

 

焼鳥を焼きながら独り言ちる。今回の異変の核が水中にあったため、まさかの(失礼)わかさぎ姫が解決してしまった。霊夢ちゃんがめっちゃ悔しそうでちょっと萌えた。

 

「わかさぎでも焼いて持ってってやれよ、喜ぶぞ」

 

「鬼かっ!?」

 

「いかにも!」

 

非道いことを言ったのはさっきから俺が焼鳥を焼く片端からかっさらっていく勇儀ちゃんである。

 

現在俺の周辺には勇儀ちゃん、萃香ちゃん、華扇ちゃんの鬼三人(?)組とパルスィちゃん。あとたまにルーミアが来て焼き鳥をかっさらっていく……俺が食いたくて焼いてるんですけどねぇ!?(でもルーミアは許す)

 

「私も食べたいのに嫉ましいわね」

 

「よし、次はパルスィちゃんの分焼くぞ!」

 

ちょっとひいきかなって思うけど、パルスィちゃんは分捕ったりしないから、俺が渡してやらないとマジで食えないからな……って食いもんはよそにもいっぱいあるんですけどぉ!?

 

「私も食べるぞー」

 

「萃香ちゃんはさっきも食べたでしょ!華扇ちゃんを見習って自分で焼きなさい!」

 

なお、華扇ちゃんが焼いているのは饅頭だったりあんパン(これも俺が現代から持ち込んだ)だったりマシュマロ(これも(略)だったりするが……焼いたあんパンマジでうまいんだよな。

 

「お前が焼いたほうが美味しいよ?」

 

と、小首をかしげて……あざと可愛いな!萃香ちゃんは言う。

 

「確かに料理上手ね……妬ましい」

 

「パルスィちゃんの分は愛情たっぷり込めて作ってるからな!」

 

「なんで!そういうこと!いうのよっ!?」

 

「はっはー、可愛いムーブは火を使ってるときは危ないからやめるんだぞー?」

 

ぺしぺしと俺を叩くパルスィちゃん。

いやあ、パルスィちゃんがいるときは一定時間ごとに一回はこれ食らわないと満足できない体になってしまったぜ。

 

しかも「あっごめんなさい」と謝れるパルスィちゃん、本当にいい子。

 

「なんだ、私の分には……その、こもってないのか?」

 

と、もじもじしながら――大きい子がこういうムーブも可愛いと思う。

勇儀ちゃんが言う。

 

「俺が自分のために焼いた分をかっさらっていくからでしょ!勇儀ちゃんのために焼いたんならちゃんと込めるよ?」

 

料理は愛情というが、わかりやすく言えば理解力だ。

その人の事を理解して喜んでもらいたいという気持ちが味をおおきく変える。

 

例えば俺の食う分は脂をじっくり落としてパリッとさせて醤油ダレを焦がさないように最後にさっとかける。

仮に勇儀ちゃんが食う分を焼くのなら脂は多めに残して塩たっぷり、酒で後味を流す感じに仕上げる。

パルスィちゃんのも塩だが、皮目は全部外してあっさりと仕上げる。

華扇ちゃんならみたらしか!?と言うような甘ダレ。ただしウナギのたれのように何度もつけ焼きしてたれに脂がギトギトになってる感じ。

萃香ちゃんは皮付きの醤油ダレ。俺の好みに近い感じだが、しょっぱめにして軽く焦がす。まあつまみだしな。

 

と、こういう感じでその人が好きなものを考えて作る。もともとの味が美味しいんじゃなくてその人にとって美味しい味なのが愛情の正体だと思ってるぜ。

 

なお、霊夢ちゃんは好き嫌いしないので逆に困る。

なので微妙に反応の良かったものはしっかりと覚えておくため、新作は大抵霊夢ちゃんと二人の食事の時に出すことにしている。

皆いると霊夢ちゃん本当に楚々と食うからな。

 

なので新作の時に嗅ぎつけてきた魔理沙とかには二人分しかないんでお茶漬けでも食べていくか?と冷たくあしらうことにしてる、あいつ、普通に茶づけ食うけどな!(多分意味が通じてない)

 

 

 

 

 

 

ひっそりとそれでいてそれなりににぎやかに5人で宴会を楽しんでいると乱入者が現れた。

 

「やあ、つな!こんな隅っこでなにしてるんだい?」

 

「おう、のすけか。今回俺完全ノータッチだったからいまいち輪に入りづらくてな、引きこもってるんだよ」

 

ちなみに異変に巻き込まれて溺れたにとりにパイタッチ(心臓マッサージだが)はした。

というか「河童の川流れ」をリアルに見ることになるとは思わなかったぞ!?

なお元凶は水虎だっだぜ。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「ん、あれ?みんな黙っちゃったぞ?こいつは霖之助って言って香霖堂の――」

 

「いや、そんなことはどうでもいいんだよ」

 

「ああ、そうだな」

 

「無縁塚の近くのお店の人でしたよね」

 

「……仲がいいのね、妬ましい」

 

なんか皆の様子がおかしいんだが……まさか文のBL疑惑記事でも読んだのか!?

くっそ、もう一回お仕置きしないとな!小鈴ちゃんの妖魔本ストックから「エロゲーニールローパー」でも借りて来よう!

 

……小鈴ちゃん、あれ自分で使ってたりしないよな……?

もしそうなら……興奮するな!(変態)

 

「いや、なんだ、そのな」

 

萃香ちゃんにしては歯切れが悪いな、マジでBL聞きたがってる?

 

「おまえの名前って「つな」っていうの?」

 

「そこかああああっ!?え?しらなかったの?」

 

まさかの名前初耳で戸惑ってた!?

特に萃香ちゃんなんかもう一年以上の付き合いだよ?マジでしらなかったの!?

 

と、記憶を手繰ると……

 

「そういえば誰も俺の名前呼ばねえな……?」

 

そう、霖之助ぐらいしか俺の名前は呼ばない。そして俺もわざわざ名乗らないし、そもそも聞いてくれない(幻想郷は種族で「人間」とよばれたり「お前」と呼ばれたりすることが多い。

 

「パルスィちゃんに至っては興味ないとかまでいってたしな」

 

「あっ!あれはそのっ!ごめんなさい!」

 

うん、謝れるマジいい子。

 

「いや、俺も自分の本名じゃなくて、あんまり自分呼ばれてる気がしないから今のままでもいいんだけど」

 

「本名じゃない?どういうことだ?」

 

「あー、おれ記憶ねえんだわ」

 

「そういえばそんなことを言ってましたね。普通に生活できているので気にしてはいませんでしたけど」

 

華扇ちゃんと萃香ちゃんには記憶ないのは言っていたな。

 

「そう、だからつなを最初に見つけた僕が名前を付けてあげたんだ」

 

「まあ、考えたらのすけ……霖之助のことな?しか呼ばないけどな」

 

「ははっ!それはそれで特別な感じがして、いいだろう?」

 

と、肩を組んでくる霖之助。やめろぉ!文がいたらどうする!?

 

「……つな……どんな字だ?」

 

「いや、それはのすけがつけたあだ名で「にのまえ つなし」って書くんだ。こうな」

 

と、地面に一 十と書く。……相変わらず名前に見えねえよな。

 

「にのまえ……一、始まり、源流ですか……で全部……そうですか。で、つなしのあだ名……一種の呪詛、言霊ですか……腕がうずくわけです」

 

なんか華扇ちゃんがぶつぶつ言ってるけど仙人的に何か琴線に触れるようなものがあったのだろうか?

あとなんか中二病っぽいこと言いだしたよ!?

 

「なるほど、大和言葉の言霊か……妖除けのつもりか、半妖の分際でさかしいことを考える、酷い名前を付けたものだな!なあ!」

 

萃香ちゃんは萃香ちゃんで、のすけに対して圧をかけてる。いや確かに変な名前だけどさ

キレる直前の圧迄かけなくてもいいと思うぞ?

 

「ああ、そうか、だからお前が店に入ってきた時嬉しかったんだな!」

 

「わけがわからないよ勇儀ちゃん!?」

 

勇儀ちゃんは勇儀ちゃんで嬉しそうに、だけどなぜか獰猛な表情で牙まで見えている。

 

「そう……運命かしらね。私をあんな風にした責任は取ってもらわないと……」

 

「ぬくやわこい!?」

 

パルスィちゃんは腕をぎゅっとつかんで……いつもの横で組んでるのと違う斜めの角度なので小さいけどあるおっぱいが!おっぱいがぁ!

 

なんだいったい!みんな酔ってるのか!?

 

「いったいみんなどうしたんだ……?」

 

「こやつが少々悪戯したのよ!ええい、小憎たらしい半妖め!」

 

「萃香ちゃん、しゃべり方が親分みたいになってんぞ!?」

 

これはこれで可愛いけども!

 

「ああ、しかしこれで納得しました。あなたが刃物を持っているととても嫌な気分だったのは言霊のせいですか」

 

「華扇ちゃんはなんでか打撃武器しか持たせてくれなかったよな、そういえば」

 

なので刃物の使い方は主に神奈子ちゃんに習っている。

リーチのある長巻と、色物武器であるショーテル(しかも二刀流)である。

 

色物武器のショーテルだが、実は普通に強い。外刃の部分は反っているため、刃筋を立てれば日本刀のようにやすやすと切り裂き、内刃の部分は防御しづらくひっかけることによって体重を乗せ、たやすく切断してしまう。

また両刃で湾曲が強いため手首を返すことによって一瞬で間合いが変わるというかなりトリッキーな武器である。

 

まあ神奈子ちゃん曰く「二刀流をするには筋肉が絶望的に足りない」そうなので筋トレは頑張ってる。

 

「私のわがままでしたが、筋は良いですよ?」

 

華扇ちゃんから習ったのは寸鉄と三節棍だ。

寸鉄は短い小さい杭のようなものでリングに親指を通して握って使う。握ったときに小指の側からほんの少し先端が飛び出る感じの武器で携帯性に優れている上にある程度格闘できるなら意外なほど強い。

 

何か握ってパンチするだけでも威力は上がるのでその用途にも使えるし、飛び出た杭の部分でこめかみを強打すれば人ぐらいたやすく殺せる。――華扇ちゃんはこれでクマ仕留めてた。

硬い鎧を着こんでても関節部分をへしゃげさせれば、その瞬間鎧がただの重りになる。

生身相手なら、骨を砕くことだって可能と、大きさの割に攻撃力が高すぎる気もしないでもない武器である。

 

三節棍は三節棍以外に連結して棍として使えるタイプで各種武術と組み合わせて使うことにより、太刀、槍、薙刀、棒、鞭、多節棍と様々な動きができる万能打撃武器である。

ただし華扇ちゃん曰く「200年もあれば何とか全部極めれると思います」とのこと。

俺そんなに長生きできねえよ!?

 

「まあ、僕も厄介ごとを避けれればいいなってつもりで、そういう意図は込めたんだけどね……」

 

と、霖之助。

俺の名前になんか隠された意図があったらしい、別に名前自体がどうでもいい(酷)からどうでもいいけど。

 

そして苦笑しながら続ける。

 

「見事に全員退治されてしまったみたいだね、想像以上の効果だったよ」

 

「よし、お前夜道には気を付けろよ、半妖は人間じゃないから約定の適用外だ――あだっ!?」

 

と、萃香ちゃんがもう全ギレ状態になっている。

流石に圧が過ぎるのでチョップしてそのあと撫でておく、不機嫌な萃香ちゃんは結構見る(主に霊夢ちゃんとやりあって)けど、こうすると大抵機嫌が直る。

 

「よくわからんがのすけも煽るな、言っておくがのすけと女の子たちだったら俺は迷わず女の子たちの味方に付くぞ?」

 

萃香ちゃんをかいぐりかいぐりしながらのすけを注意する。

……えっとなんで勇儀ちゃんもちょこんとしゃがみこんでこっちに頭を突き出してるんですかねぇ?

 

そしてなんで華扇ちゃんやパルスィちゃんがその後ろに並ぶんですかねぇ?

 

なでろと!?

 

「はっはっは、つなはモテモテだなあ」

 

「なんか犬に懐かれてる感すごいんだがな……」

 

でも撫でるとみんなかわいいので撫でるけどな!

 

「じゃあ僕はこれで」

 

「あれ?一体何しにきたんだ?用があるから声をかけたんじゃないのか?」

 

「つなを見かけたから声をかけただけだよ、これ以上はお邪魔虫になりそうだしね」

 

「邪魔ではないけど、まあ相手してる暇はないかもな」

 

撫でにもコツがあって相手の反応を見ながらしないと究極のなではできないのである。

 

「じゃあね、つな」

 

「ああ、またなのすけ」

 

そう言って霖之助は賑やかなほうに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

このあと無茶苦茶撫でていたら、いつの間にかルーミアや大妖精やチルノも混ざってきて、手の皮めくれるかと思ったわ……

 

 

 

 

 

 

五つの秘密

 

 

 

 

 

 

 

「おー、すげーな!」

 

「まあ、私にかかればこれぐらいはねっ!」

 

現在位置は初夏の畑だ。

雑草が伸びたり、虫が湧いたりとこの時期の畑は気が抜けないはずなのだが……

 

「はっはー!最高だ!リグル!」

 

「ちょっ!?また私を少年扱いしてるなっ!?」

 

リグルのわきの下に手を入れて持ち上げて称賛を送ると、リグルがじたばたと暴れて抗議してくる。

これはわざとじゃなくて感極まったガチのやつだ。

まあいつもはわざとやってるんだが。(外道)

 

なぜこれだけ俺が喜んでいるかと言うと、リグルが虫を操って(本人曰く蟲らしいが、現存する昆虫操れる時点で俺にはどっちでもいい)雑草を食いつくさせて、花を受粉させて、害虫を全部上位の捕食虫に食わせるという偉業を成し遂げたからだ。

まあ、虫はまたすぐどこからかはやってくるだろうが、定期的に駆除すれば収穫の時の差はすごいことになると思う。

 

「まったく、いい加減私が女の子だと認めなよ」

 

「チルノぐらいえっぐいパンツ履いてたら認めてやるよ、後ミニスカな」

 

「ミニスカであんなの履くのはチルノしか無理だよっ!?」

 

チルノは(というか妖精は)なんか、俺にパンツを見せれば甘やかしてくれるという謎の(謎である、繰り返す、謎である)認識を持っているため、どんどん俺の突っ込み具合が(下半身ではない)大きいパンツをはく傾向になってる。

 

でもまあ、他の妖精は大体羞恥による限界点が(それでも人(?)に比べればかなり緩い)あってある程度で止まるのだが。チルノはブレーキの壊れたダンプカーのごとく止まらない。チキンランで止まるのではなく崖の向こう側を目指してジャンプするタイプだ。

 

後ろから見ると完全に尻が見えてて、前はスジがギリ隠れて(でも動くと見える、チルノは割と大きい……いじってんじゃねえだろうな)るような超ローレグや。紐に股間の部分だけ数センチの布がついている「プレイ用の下着だよな、それっ!?」と言うようなやつや、極めつけは誰に騙されたか知らんが(エタニティラルバあたりが怪しい)「馬鹿には見えないパンツ」を履いてきていた。

まあつまり丸出しだったわけだが。さすがにいたたまれなくて持てる限界のお菓子を渡したところノーパンのチルノを見かける頻度が多くなった。解せぬ。

 

「ああいうの履いておけば一発で女の子とわかるぞ?」

 

「わかるというか見えてるよね!?さすがに恥ずかしいよっ!」

 

まあ、男の子扱いしてるとはいえ、実際はこうやって持ち上げてるとふにゃふにゃしててぬくやわこいから十分に女の子らしい。

匂いも蜜のような(虫だからか?でも蛍は肉食だよな?いや成虫なら水しか飲まないな……でもリグルは普通に何でも食――やめよう。わからなくなった)甘い香りがする。

 

暴れるリグルを地面におろし「じゃあ、また一週間後に頼むな」と山盛りのお菓子を渡して労う。

リグルはなんだかんだいっていい子だから、皆に分けちゃうんで最初からその分を加味してめっちゃ渡す。

 

「もう面倒だから能力貸そうか?お兄さんならいいよ?」

 

「お、いいのか?」

 

「皆貸してあげたことあるみたいだからね、、それに私もお兄さんの事嫌いじゃないし」

 

リグル可愛いな!

ふと思ったんだが僕っ子路線で行ったほうが逆に女の子っぽくなりそうな気がするぞ。

 

「ちょっとリグル。僕って言ってみようか?」

 

「だからなんで私を男の子扱いするんだよっ!?」

 

「あ、すまん。今のはかなり無意識だ」

 

「まったく、貸してあげないよ」

 

「悪いって、じゃあ能力を……あ」

 

「ん?どうしたの?お兄さん」

 

リグルの能力を借りようとして気が付いた。

 

「あー、すまん。枠埋まってたわ」

 

「枠って?」

 

「ああ、俺は全部で10個しか能力を借りることができないんだけど、9個埋まってたわ」

 

「???え?9なら一個空いてるんじゃないの?」

 

「あー5番目は霊夢ちゃん専用なんだわ」

 

「なにそれ!?」

 

そう、帳面から心に刻むタイプになったときに、自分の好きな場所に記入できるようになったんだが、ある時期から5は霊夢ちゃん専用になっている。

 

「悪いなリグル、面倒かもしれないけど、一週間後にまた来てくれ。それまでに枠開けておくから」

 

あとついでに本物のイタリアンプリンってやつも食わせてやろう(山岡風)

 

「まあ、なんで専用なのかは聞かないほうがいいのかな?」

 

「おう、そういうところはちゃんと女の子だな」

 

「全部女の子だよっ!わかったよ、じゃあ私はみんなのとこに行くから」

 

「ありがとなー」

 

お菓子の山を抱えてリグルは飛び去って行った。予言してもいいけど半分ぐらいチルノが分捕っていくと思う。

 

「あー。まー。なー……」

 

いつ頃からか5は霊夢ちゃん専用になってたんだよな。

そしてそれがしっくり来てたし、俺もそれでいいとおもってたんだよな。

 

「のすけのつけた妙な名前のせいかねえ……?」

 

独り言ちて考え込む。

 

俺はつ無し。

 

だからかな……

 

「五つが霊夢ちゃん専用になってんのは……」

 

俺の心が 盗まれました

盗んだ心 どこにある

 

つのじとともに 盗まれました

きっとだれかが ふたつもつ

 

俺もいつかは 盗んでやろう

盗み盗まれ  恋の文字 

 

初夏の空を仰ぎ見て都都逸を詠う

その言葉は柔らかな風に吹き散らされるように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みけさんやらかしたの巻。
ま、まあこれをみてパンチラ登録者増えたらいいよね!
あとフラグメントは設定にかかわるので感想は特にほしいです


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生きたまま地獄に落ちた話

スケベな主人公と合わせるとこの二人輝くんですが、まだスケベが弱い主人公と合わせると硬いですね……
幻想郷に来たなりの話が続いたせいかちかごろパンツが足りないので次話は(本編は阿求なのでこれまたパンツが足りない)自分の好みで一つ書きます。のまえにリクエスト分と寅さんもですか……
頑張ります。

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1100人を越えました
ありがとうございます。


誤字脱字報告者のティアール様、紅 零様、so-tak様、monkey様、提督様、クオーレっと様、孝也様、すかたず様、家無しじゃない無銘だ様、64b様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
読み返しているのになぜ誤字が出るのか…‥謎です。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


なかなかのいい陽気だ。

 

幽香ちゃんのところで、花畑を耕してついでにお茶をもらってきたところだ。耕すと言っても野菜ではないから簡単でいいので楽だ。

 

小春日和というのがぴったりな天気に、俺は少し寄り道をして帰ることにした。

太陽の畑を回って(と言っても向日葵はまだないが)かえっていたところ……

 

 

 

 

アイヌの衣装とメイドの衣装の合いのこのような服を着た赤髪の女性が倒れていた。

 

 

 

 

 

「おいおいおいおいおい、いったい何があったんだよ?」

 

縄張り(?)に入られた幽香ちゃんがしばき倒した可能性もあるがさっきまで一緒にお茶してたのでその線は薄いだろう。

 

仰向けに倒れていて、顔は向こう側を向いていて見えないが美人のような気がする(もっともこっちに来て美人美少女以外見たことはない気もするが)

 

「大きいな?」

 

 

俺と同じぐらいの身長(タッパ)がありそうだ。

胸を見ると(さすがに緊急時にやましい気持ちはない、でも身長の割には小さいという感想ぐらいいいだろう?)上下しているので最悪の状況ではなさそうだ。

 

「えっと、おーいそこのお嬢さん?お姉さん?まあいいや。大丈夫か?」

 

どうせ見かけに関係なく俺より年上なのはほぼ確定してるのが幻想郷だからな。

 

「ン……」

 

女性が身じろぎする。

揺さぶれば起きるんじゃないか?とおもい肩口を揺さぶる(どことは言わないが揺れない)

顔は案の定整った顔立ちだが、眉をしかめている。

 

「んんんんっ」

 

「うおっ!?」

 

揺さぶっていた俺の手をつかんで引き倒された。「あいたた」とか言っているうちに、何度か引っ張られ、俺の頭を抱え込むような体制になるとしっくり来たのか動きを止めた。

 

 

 

でかくはないが柔らかい膨らみにうずもれるように完全にホールドされている。

密着してるので女性特有のいい匂いも濃く俺の鼻腔をくすぐる。

 

「うっわ……やべえもうこのまま身をゆだねたい」

 

ぬくやわこいという表現がぴったりの柔らかさだ。

しかし、この人は一体なぜこんなところに……?といぶかしんでいると「すぴーすぴー」と寝息が聞こえてきた。

 

 

「もしかして、寝てるだけ!?」

 

いや、確かに今日は良い陽気だし、俺も太陽の畑で寝ることはあるが、それはあくまでも草むらの上とかであって、こんな土の上で寝たりなんかはしねえぞ!?

 

「しかも俺抱き枕かよ」

 

ぶつぶつ言っているが不満はない。

というか健全な男子がこの状況で不満が出るわけがない。

割としっかり目に抱きかかえられているせいで密着具合がすごく、また胸の感触だけではなく、抱きかかえられている後頭部も気持ちいい、なんかさすさすなでてきてるし。

 

「おまけに結構力強いし!」

 

多分妖怪か何かだろうとおもうが、めちゃめちゃ力が強い。

収まるように抱きかかえている分にはそうでもないのだが、抜け出そうとするとダイソンかザンギエフのごとく吸い込まれるように、元の体勢に戻ってしまう。そしてその状態になると俺が全力で抜け出そうとしてもびくともしない……下手に力込められたら「ぐしゃ」って行きそうで怖いんだが……

 

これは長丁場になるな……と、半ばあきらめかけたときにふと思った。

引き剥がすためにおっぱいさわっちゃっても不可抗力じゃね?

というか現状で顔全体でおっぱいに触っていると言っても過言ではない。ならばこう、今更な感じはしないだろうか?

 

……近頃自分でも思うんだが妙に色に目覚めたと思う。うっかりと霊夢ちゃんのパンツを手に取ってしまったり(なお見つかって生きた心地がしなかった)霊夢ちゃんが装着していたさらしを使ってしまった(意味深)りとどうもタガが緩んだみたいになっている。

 

あと幻想郷の女の子たちのガードが甘いせいもあるよな。そのせいで性欲を持て余す。

もうね、チラチラチラチラとパンツが見えるんだよ!優曇華ちゃんとかあんなふわふわで短いスカートで飛び跳ねるように移動するもんだから、もろみえだし(大き目の白いパンツだった。色気はないけど、なんかこう滾る)魔理沙ちゃんもドロワーズとはいえスカートで俺の頭を越えて飛ぶとか何考えてるんだよ。

移動中に見える点でいえば妖精たちが圧倒的に多いけどもな縮尺が小さいだけで頭身が高い大き目のお姉さん系妖精はもっと気を付けていただきたい。

 

あと小傘ちゃんとかもガードが甘い、というか緩い。生足で肩車は本当にやめてほしい。

萃香ちゃんも普通に縁側で座ってるとパンツが見えてる(というか見せてくる!)し、いったいどうなってるんだここの女の子たちは……

はたてちゃんにいたってはおっぱい押し付けてくるのがデフォルトという嬉しい悲鳴しか出ねえわ!

幽香ちゃんはちょっと特殊だけど、それでもパンツ見せるのに抵抗がない感じだ。ハイキックかましてきたりするからな……

 

ただ、同じ外来人の早苗ちゃんも普通にガードが甘かったので、幻想郷にはパンツのガードが緩くなるミーム汚染(常識改変)でもあるのだろうか……?

 

とりあえず引きはがすために手で女性の体を押してみる……びくともしねえ!?

 

「これはしょうがないな、不可抗力だ不可抗力」

 

そう誰かに向かって言い訳しつつ顔の左右に手を持ってきておっぱいにそえる。

 

 

 

 

なんだこれ……大きくないけどすげえ揉みごたえある。

 

 

おっぱいってすごいな……としみじみ思いつつ、ぐっと腕立ての要領で女性を押して剥がそうとする。

 

だ……だめだ。剥がれないし、揉みしだきたくなるのでだめだ!

そう思ってどうするかと少し動きを止めたところ。

 

「ぐえっ!?」

 

胸元から少し離れていたのがいけなかったのか、またもやしっかりと抱え込まれた。

少し痛みを感じる位だが、顔は気持ちいい。

だが、一つ問題がある。

 

「息が……!」

 

そう、呼吸が困難なぐらいしっかりと押さえつけられたのである。

だんだんと苦しくなってもがくが、そんなので脱出できたらさっき何とかなっている。

やがて俺は酸欠状態になり……

 

 

 

巨乳じゃなくてもおっぱいで窒息できるんだな……

 

 

 

最後に考えたのはそんな益体もないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああっ!?あ、あれ動けねえ!?」

 

「おや、起きたのかい」

 

意識を取り戻した俺が悲鳴とともに飛び起きようとしたが体が動かない!?

何とか動く首だけを振ってみると、簀巻きにされて、船?のようなものにのせられていた。

さっきの女性らしい人物が櫂を使って舟をこいでいる。

俺が起きたとみると反応を返してくれた。

 

「え、あ、ああ……いったいどういう状況だ?」

 

もしかして痴漢としてこのまま川に捨てられるのだろうか、もしそうなら誤解を解かなければなるまい。

流石の俺も簀巻きのままでは溺れて死んでしまう(手足を縛られた程度では泳げる。神奈子ちゃんに仕込まれた)

 

「ん?ここは三途の川だね、で、お前さんは地獄に向かっているところだよ」

 

「まさかのもう死んでた!?」

 

俺、驚愕。

死因がおっぱいによる窒息死とかある意味幸せな死に方だったかもしれないが……ん?

なんでさっきの女性が一緒に来てるんだ?というか船頭してるんだ?

 

「そういえばお姉さんは一体……?」

 

「あたいかい?あたいは小野塚小町、死神さね」

 

「死神っ!?あ、いや神様とか閻魔様とか普通にいるんだから、いてもおかしくないわな、で小町ちゃんは俺をお迎えに来たってわけか、まあお迎えの仕方があんなのはちょっと面食らったけど悪い死に方じゃあないな」

 

少なくとも病気で苦しんだ末とか大けがとかよりよっぽどいい。

 

「お前さんえらく達観してるねぇ、普通は本当か!?とか死にたくない!とか取り乱すもんだけどね」

 

「まあ、なるようにしかならんし、こっちに来て不思議体験一杯したからな」

 

「でも、受け入れてもらったところ悪いけど死んでないよ。お前さんは生身で今ここにいるよ」

 

「マジ?」

 

「マジもマジ、大真面目さ」

 

「なんで?」

 

「映姫様が一度連れて来いって言ってたのさ。でも面倒だからお前さんに会わない場所でサボ……英気を養ってたんだけどなあ。なんでお前さん太陽の畑まで来てるんだ?あそこにはやばい妖怪がいるっての聞いたことないのかい?」

 

今さぼってるって……?あと面倒だからとか……けっこうものぐさな人なのか?

あと幽香ちゃんの事なら残念ながら……

 

「たぶん小町ちゃんが言ってる妖怪とお茶してきたぞ」

 

いちおう簡単な襲撃は(ローキックからのハイキックで沈められたが今日は珍しく黒のパンツ履いていて眼福だった。ウエストラインの少し下が空いていて地肌が見える感じだった。しかもお嬢様系なのに色が黒とか最高だな!)あったけど、そのあとはいつも通りお菓子食べながら駄弁ってお茶してたんだよな。

 

「アレと!?いうけど狂犬みたいなもんだろう!?」

 

「うーん、言うほど危なくないんだけどな、幽香ちゃんは」

 

妖怪によくある禁忌系の妖怪で「花を荒らす」という禁忌さえ破らなければ命までは取られない(けがをしないとは言っていない)のである意味夜に出てくる小鬼のほうがよっぽどやばい。

奴らは普通に殺しにかかってくるからな。

 

「失敗したねえ。玄武の沢あたりにいればよかったかね」

 

「はたてちゃんや椛とよく待ち合わせするな」

 

「……じゃあ魔法の森」

 

「魔理沙ちゃんを呼びに行ったり、アリスちゃんとこでお茶するな」

 

「守矢……」

 

「神奈子ちゃんと週2ぐらいで修行してるな」

 

「おまえさん本当に外来人かい!?えらいなじんでるじゃないか!」

 

「自分で言ってて俺も驚きだわ……で映姫ちゃんってたまに人里で見る閻魔様のことかな?背はでっかいのに妙に幼い顔立ちの」

 

「映姫様を閻魔様とわかったうえでちゃんで呼ぶとかおまえさん大物なのかい?ただのバカなのかい?」

 

「可愛い女の子だしなあ」

 

「馬鹿の方だったか……まあいいさね。話を戻すけど、会わないようにしていたんだけども、こうやって出会ってしまったら、もうしょうがない。惚けようにも映姫様に嘘は通じないからね、だからしょうがなくこうやって地獄にご招待!ってわけ」

 

「嘘が通じないか……やっぱ舌抜かれるの?」

 

「いんや、ただ説教がね」

 

「説教?その程度で済むの?」

 

意外に有情だな!?なんかやっとこみたいなもので舌抜かれるイメージがあったんだが。

 

「映姫様の説教は基本的に一時間以上は確定だからね?酷い時は数時間ぶっ続けというのもあるんだよ……」

 

本当に疲れたような顔で言う小町ちゃん。さっきのサボリ宣言と言い、うかつなところあるっぽいし、結構説教されているんだろうな。

 

でもまあ説教で済むなら問題ないか。

ってでも俺なんで呼ばれたんだろうな?街中で声かけてくれればいいのに。

 

「小町ちゃん、俺なんで地獄に呼ばれたの?あと簀巻きほどいてくれると嬉しいんだけど?」

 

「呼ばれた原因はちょっとわからないね。それと簀巻きは一応私の身の安全のためかな?」

 

「身の安全って俺暴れたりしねえよ?」

 

「いや、お前さんさっき私の胸に顔うずめてたじゃないか、下もおっきくなってたし」

 

「いやいやいやいや!?俺がうずめたんじゃなくて小町ちゃんが俺を抱きしめた……というかとらえてたんだよ!?あとおっきくなってたのはたぶんそれ命の危機による本能だよ!少なくとも意識のある時はおっきくなってなかったはず……!」

 

そもそも絞められてからそんなこと考える余裕なんかなかったしな。

 

「ちょっと鎌と間違えちゃったんだよ、いたずらされると困るから手元に置いてるとき多いから、でも、まあ役得だったろ?」

 

「役得も何も死にかけたんだよ!?嬉しいとかよりも苦しかったわ!」

 

「どーだかねえ。ま、そういうわけだからおとなしく転がされておきな。なあに、川になげこんだりはしないよ」

 

「いや、だけどもし船が転覆とかしたら俺流石にやばいんだが……」

 

「あばれなきゃ大丈夫だよ、それに小舟とはいえ安定性は大したものだよ、三途のタイタニックとはこの船の事だ」

 

「それ沈む奴!」

 

わざと言ってるのかマジなのか、沈没する船の代名詞みたいな名前付いてやがる!?

立って櫂で漕ぐタイプの渡し船みたいな帆のない船は結構簡単に転覆した気がするんだが……

復帰も楽にできるんだけど、簀巻きにされてたらさすがになあ……

 

「ま、能力使えば一瞬でつくんだけどねえ……」

 

能力?程度能力の事か。

幻想郷では各自程度能力という謎の超常現象を引き起こせる能力を持っていてその内容も各自で異なる。

俺ですら「帳面に書いた能力を借りることができる程度の能力」を持っていたりする。

すぐにつくってことは時間系か距離系の能力かな?

 

「使わないのか?」

 

「すぐ着いたら次の仕事しなきゃならないだろう?勤務時間いっぱい迄かけて――」

 

 

 

 

 

 

「小町!!」

 

 

 

 

 

 

「きゃん!?え……映姫様!?」

 

 

 

 

 

「見ていますよ、早くこちらに送り届けなさい!」

 

 

 

 

 

「は、はい!只今参ります!」

 

「な、何だ今の声!?」

 

ちょっと割れたような……スピーカー?

 

「映姫様だよ……遠眼鏡で見てなんかラッパみたいなので声を出してるんだ。河童め、余計なものを……!」

 

「あーメガホンか、電池式のやつかな?電池なら無縁塚によくあるし」

 

そして河童から手に入れたというならば、そのメガホンはたぶん俺が無縁塚で見つけたやつを河童と取引したものかもしれない……黙っていよう!

 

「お前さんは気楽でいいね、私はたぶん説教確定だよ……」

 

がっくりと肩を落としてうなだれる小町ちゃん、ちょっと可愛らしいなと、思ってたら――

 

「さ、ついたよ。ここが地獄、閻魔庁さ」

 

「うわ!?本当に一瞬だな!?」

 

さっきまでの操船は何だったのか、櫂をひと漕ぎもせずに到着を宣言されたぞ!?

 

「まあね、風情がないから私はあんまり好きじゃないんだけどね」

 

と、言いながらようやく簀巻きから解放してくれた。

 

「んーっ!流石に強張ったな」

 

伸びをして体をほぐしながら周囲を見渡す。

桟橋などはなく海岸に直接乗り上げて乗降する感じのようだ。

載ってきた船は……

 

「いや、これまじでタイタニック!」

 

かなりの年季が入った渡し船だった(沈まなくてよかった)

 

「いやー、まあ予算がね……」

 

「地獄なのに世知辛いな!?」

 

 

 

 

「小町!!」

 

 

 

 

 

「あー!はい!わかりました今すぐ案内します!」

 

駄弁っていたら再度の叱責。声結構怖いな。見た感じ幼いんだけどな映姫ちゃん。

 

「さあ、いくよ」

 

と、小町ちゃんが宣言して軽く肩に手を置かれると一瞬で場面が切り替わり、立派な建物の前に俺はいた。

すげえな!小町ちゃんの能力。どういう仕組みかわからんが移動に特化した能力なのかな?

 

案内されたのはそこそこ立派な建物の前。閻魔庁というらしいが、入り口には仁王立ちした閻魔様……映姫ちゃんが立っている。

 

「来ましたね、どうぞ奥に。小町、今日の件は不問……とまではいきませんが軽めの説諭で済まします。また、彼を送り返さなければならないので、近場にいなさい。わかりましたね?」

 

「はい、わかりました映姫様」

 

「よろしい。ではあなたはこちらへ」

 

と、映姫ちゃんに促されて奥の部屋へ通される。

あれ?てっきり裁判みたいなの受けると思ってたけど(一応悪事をした覚えはない……セクハラは罪ですか?)なんか思ってたのと違う?

 

畳のある洋室と言ったらいいのか、なんか微妙なところに通された。座る場所も直ではなく椅子のようだ。

 

「どうぞ、お掛けなさいな」

 

「あ、じゃあ失礼して」

 

俺が座るのをみて映姫ちゃんも向かいに座り、挨拶をしてくれた。

 

「まずは遠いところお疲れ様です。私は四季映姫・ヤマザナドゥ。街中で何度かすれ違ったこともありましたね。俗にいう閻魔です」

 

「俺は一十。といって本名じゃないんですけど……えっと映姫ちゃん?は俺に何か用がありました?」

 

なんか久しぶりに名乗った気がするな。

とりあえず丁寧に遇してくれたから俺も丁寧に返す。なんかあんまりこういう言葉使わないからおかしいかもしれないが、心持ちが大切だよな。

 

「映姫……ちゃん?……あなたは少しばかり、馴れ馴れしすぎる。たしかに私の見た目はかなり若々しいがそれなりの年齢は重ねている。ああ、それなりというが人外のモノとしてのそれなりだからしてヒトからすれば悠久と言ってもいい。つまり(中略)――だということだ。繰り言になるが私は別にあなたの上司というわけではないので命令をするわけではない、だが人として年長者を敬う気持ちは必要であり大事だということを忘れないでほしい」

 

 

 

うへえ……5分以上長々と説教されたがつまりは「目上の人にちゃんをつけるのはどうか」と言ってるわけだ。

一行で終わるのに延々と説教されたぜ……

まあ、だからといって「映姫様」はちょっと違う気がするんだよな、いやふつうに「四季さん」でいいんだろうけども……

 

「うーん、でも俺の中じゃやっぱり映姫ちゃんは映姫ちゃんなんですよねえ……」

 

「ふむ、その心は?」

 

「見た目が若くて可愛い。侮ってるんじゃなくて純粋にそう思ってるんです。これは幻想郷の他の子たちにも言えるんだけど。実際の年齢がわからないからな、だからだいたいの外見と話してみた感じの印象で敬称を変えてる感じですかね。でも子供以外は基本はちゃんかな?みんな可愛いし」

 

「なるほど、嘘はないようですね」

 

「あ、やっぱりわかるんですか?嘘ついたかどうかは?」

 

「ええ、私の白黒はっきりつける程度の能力でわかります。さて、あなたの言い分は理解しました。少なくともそこには親愛が多少なりともこもっているものだと思いましょう。しかし、町のうわさを聞いたところによるとあなたは少しばかり妖と近すぎるような気がします。いえ、もちろんそれが悪とは言わないのですが善でもありません、人は人、妖は妖の世界があるということです、その境界を(中略)――とした場合それらは何を基準にして行動するのかと言うことです、多分にあなたは(中略)――ので必要のない接触はやめるべきだと思いますよ」

 

長げえ……そして正論すぎる!

正論は確かに大事なのだが映姫ちゃんのやってることは正論でぶんなぐっているに等しい。

共感も、理解も、譲歩もないんだ。こういう説教をする人間はすごく厄介だな。なにせ正しいことを言っているので理屈では論破できないんだわ。

 

「でもそれが罪っていうなら、俺は罪人でもいいよ。「みんな仲良く」は確かに無理だろうけど、仲良くなれる可能性を最初からつぶしたくはないんですよ」

 

「あなたの言い分はわかりました、しかし、罪であるなら私はさばかなくてはなりません。それが私の職務ですから。罪を自覚しさばかれる気概がある。実に結構。ですが――あなたは少しばかり無責任が過ぎる。あなたが妖と仲良くする、それの是非とおいておいても、それを見た他人が同じことをしようとする。あなたは少々頭が回るのかもしれませんが、そうではない人も多いのです。あなたが成功しているから自分も……などという考えを持つものは多いでしょう。妖は文字通り妖艶なものも多い、ただでさえ惹かれる者は多いのにあなたという成功例があるだけで短慮に走る。いえ、もちろん自己責任ではありますが妖には特定条件下で強い効果を発揮するものも多いのです。人里全滅などもありえなくはないのですがあなたはそれらを分かって(中略)――ましてや半妖などが人の領域を食いつぶす、あるいは第三の勢力となることも考えなくてはなりません。それに地獄の管轄は基本的には人間(中略)――となっているのは世界の理でもあります。つまり人間と妖の境界を破るだけではなく根本的な存在意義にもかかわってくるのです。博麗の巫女の存在意義もそのあたりにあると言えます。ひいてはこの幻想郷の存在意義が(中略)――という結果になると思っています。ですので幻想郷にとってはそれが一番良い結果になると私は思っています」

 

これは……小町ちゃんがあんな顔になるのも理解できるな……

今10分以上しゃべり続けてたぞ映姫ちゃん!?それでいて早口ということも無く、しかもよくある怒りに任せた説教と違うし、繰り返すだけの中身のない説教とも違う。

ただ、意味はわかるんだが、正論すぎてわかってることなので「全く頭に入ってこない」というある意味拷問に等しい時間だ。

これは……強敵だぞ(敵ではない)

 

「でも映姫ちゃん」

 

「またあなたはちゃんなどと……まあそれは良いとしましょう。私とて女性、若く見られて悪い気がするものではありません」

 

お、少しは理解してもらえ――

 

「――ですが」

 

まさか……!?

 

「あなたは少しばかり女誑すぎる」

 

始まったぁ!?

だいたい理解してきたぞ「あなたは少しばかり○○すぎる」から入ってくるのな、説教に。

だが理解できても回避はできないのか!(無慈悲)

 

「今話をしていてあなたの事が多少なりとも理解できたつもりではあります。あなたは共感性が強く、また偏見もない、それはすばらしいことではありますが、幻想郷のある意味純粋なものたちには少々過ぎた毒になるようです。あなた自体は色気を出しているつもりはないのだとは思いますが(中略)――の先もいろいろな出会いがあるとは思いますがいつか刺されるでしょう、いえもしかしたら全員侍らすのかもしれませんが。ただそれはそれであなたのもとに過大な戦力が集(中略)――のようになるわけです、しかし博麗の巫女の元に身を寄せているというのは少し作為を感じなくもありません。何故年頃の(中略)――などという事態を引き起こすことにもなりかねないのです、それはそれで自然な姿ではあるかもしれませんが幻想郷からすればどうなるか予想が(中略)――となるのはあなたも理解できるかと思います」

 

……はっ!?ちょっと魂飛んでた!?

よくもまあこれだけいろんな語彙で説教できるな……!

……こんど小町ちゃんと……いたら閻魔庁の職員にも差し入れ持ってこよう。

もうね、疲労すっげえ溜まってると思うんだ。精神的な。

 

「映姫ちゃんの言いたい事は分かった……わかりました。幻想郷への影響、人里の人間への影響、妖の影響。どれも理解した。しましたよ。でもさ、理解したうえで聞くけどそれは本当に罪なのですか?臭いものにふたをしてるだけじゃないのか?……ですか?」

 

反論すれば倍する説教が帰ってくるのはわかる。でもさ、映姫ちゃんの言うことはおかしいんだよ、だって正論しか言わねえもん。議論っていうのは屁理屈や感情論も含めて反論することで成り立つんだ。

映姫ちゃんのはただ押し付けてるだけ、ただしいのかもしれないけど、間違ってると俺は思う。

 

もっと酷い言い方をすれば映姫ちゃんのわがままだよ。

エゴだよ、それはってやつだな。

 

映姫ちゃんの説教が始まる前にさらに俺は言う。

 

「間違いを犯したりしないのはもう人間じゃないよ。それこそ妖だ。俺は間違ってでも、人間でいたい……です」

 

疲れてるのか丁寧な言葉が出ねえわ……

 

「しかし、死後の世界……地獄で文字通り地獄の責め苦を味わうことになりますよ。私はできればそういうことは少なくしたいのです」

 

「映姫ちゃんは優しいんだな。でも、それこそ余計なお世話だよ。……です。やったことには責任を取らないと」

 

「……ではここに浄玻璃の鏡があります。これであなたの罪業を覗いて、どのような責め苦を味わうのか教えてあげましょう。それを聞いてもまだ同じことを言えるのなら……」

 

「いいよ、見てほしいぐらいだ」

 

もしかしたら俺のなくした記憶がうつってるかもしれないしな。

 

「解りました。それでは」

 

そういうと映姫ちゃんは手鏡を取り出して俺の方に鏡の背を向けて鏡をのぞき込んだ。

……えらい小さいな!?なんか、こう。大きい姿見みたいなイメージがあったが。

 

……ん?

 

「むむむ」

 

映姫ちゃんが眉を寄せてうなっている……なんだ、俺、なんかすごいことしてたのか?

殺人とかだったら……いやそれよりも婦女暴行とかの方がもっと嫌だな、気分的に。

 

「むううううう?」

 

えっと、映姫ちゃんが手鏡を振ったり……?「ななめ45度でチョップするといいとか誰かが言ってましたね」とかいって鏡にチョップしたりしてるぞ……?

 

「ええ!?なんで!?」

 

「ちょっ!?映姫ちゃん!?さすがに割れないか!?」

 

かなり強めにバンバン叩いてるんだが割れるぞ!?

 

「ど、どうやら故障したみたいです、ごくごくまれにあるそうなのですがまさか今壊れるとは……」

 

「えっと、仕事に差し支えないの?」

 

「ありますが、交代制なので、相方には申し訳ないですが修理の間連続勤務してもらえないか頼んできます。とりあえずあなたは私の言ったことを心にとめておいてください」

 

「はい、わかりました」(実行するとは言っていない)

 

「では小町に送らせるので……小町!小町!「はいただいま!」客人がお帰りです!送ってあげてください。それと私は所用ができたのであなたもしばらく自由行動していてください」

 

「わかりました、ではお客人、行きましょう(一刻も早く)」

 

「あ、ああ。ではまた、映姫ちゃん」

 

「あなたは……まあいいでしょう。説教されないように節制して生きるのですよ」

 

なんか小町ちゃんの心の声が聞こえたような気がしたが、礼儀として映姫ちゃんに挨拶はしておいた。

釘を刺されたが、まあできる範囲でいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りはほんの一瞬だった(船にすら乗らなかった)肩に手を当てられると博麗神社の俺の部屋の前の縁側にたどり着いていた。

 

……その能力借りてえな!すっげえ便利そうだぞ。

 

「えっと、小町ちゃん」

 

「なんだい?」

 

「上がってくか?茶と茶菓子ぐらい出すよ」

 

まずは仲良くなろう。いきなり映姫ちゃんの説教をガン無視しているが、なに閻魔様の怖さは死んでから考えればいい。

 

「ああ、そうだね……うんと甘い茶菓子をおくれでないかい」

 

小町ちゃんもお疲れのようだな。

 

「あるぜ、試作品のあんこがな……!」

 

とはいってもガチで餡子しかないので餅でも焼いて絡めて食うことにする。甘いものという要望は満たせるだろう。

 

「いやー、しかし――」

 

茶を入れて小町ちゃんにだしたあと、餅を焼きながら小町ちゃんに言う。

 

「強烈だな、映姫ちゃん」

 

「だろ?おかげでおちおちさぼってられやしないよ」

 

「いやさぼるのはどうかと思うけどな、ま、息抜きぐらいはしたいよな」

 

「わかってくれるかい?というか結構長かったからお前さんも……?」

 

「ああ、がっつり説教された……聞く気ねえけどな。心には止めておくよ、一応善意で言ってくれてるんだし。でも清廉潔白に生きるつもりはねえな。美味いもん食って、バカ騒ぎして、あんま強くねえけど、たまには酒も飲んで、ああ、そうだ「まじめに不真面目」やっていきてくよ、俺は」

 

「まじめに不真面目か……いいえて妙だね」

 

「ある意味普通の人間はそうなのかもしれんけどな。小町ちゃんもさぼるんなら、たまには博麗神社に来いよ、茶菓子とお茶、余裕があれば飯ぐらいなら出すから、あとは昼寝するスペースぐらいはあるぜ」

 

「そうやって甘言で誘ってあたいのこの熟れた肉体を虎視眈々と狙っているんだな?腰タンタンするために!」

 

「なんでそうなる!?」

 

腰タンタンっていう表現はちょっとツボに入ったがな!でも腰パンパンだよな?(下品)

あと小町ちゃんは熟れてない。むしろ身長からすれば……

 

「ところでここに死神の鎌があるんだけど」

 

「俺何も言ってないよねえ!?」

 

小町ちゃんにあんころ餅を出しながらツッコミを入れる。思ってるだけならセーフだろ、口に出したら戦争だろうけどさ。

 

「目は口程に物を言うって言うだろ?ああ、こいつはうまそうだね、いただくよ」

 

「はい、おあがりよー」

 

今日はまあいろいろあったけど……

可愛い子と知り合えたし、俺的にはいい日だったかな?

 

あんころ餅を食う小町ちゃんを見ながら茶をすすり不思議と満たされた気分になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おかしいですね、壊れていませんでした……?」

 

 

 




アンケート更新しました。
次回は本編です。

ZUNさんが小町は巨乳じゃないって言ってた。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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ゴミ漁り 俺の考えた最強の技 チルノのお手伝い

しばらくパンチラの更新が続くのでとりあえず移植(お茶濁しともいう)
れいぱんはもう少しお待ちください。この時期ははイベントが多いのです…‥


ゴミ漁り

 

 

「どうだい?これは?」

 

「ビデオデッキ……、いやなんかベータマックスとか書いてあんな?どっちにせよ、テープもないし電源もねえからゴミだゴミ」

 

無縁塚で男二人ゴミ漁り。

 

字面にするとすげえ悲しいな!?

 

もう何十回目になるかわからないが、たまに無縁塚に霖之助とゴミ漁り(いや新品のものも流れ着くけど)にくる。

 

無縁塚は忘れられたものが流れ着く場所だと言われているけど、この現代。よっぽどのモノじゃない限り、記録にのこってるし、世界中から忘れられるなどそれこそ身寄りのない故人でもない限りはそうそうない。

 

なので俺はここに流れ着くものは「所有者から忘れられたもの」とにらんでいる。

もちろん全部が流れてくるんじゃなくて(そうだったら世界中のゴミが来ることになる)その一部だと思うんだがな。

 

「つなーこれは―?」

 

「俺が何でも知ってると思ったら大間違――バーチャルボーイだとぉ!?」

 

俺もネットでしか見たことはないがかなりレアなマシンが落ちていた……あれ?これ確か電池でも動くからソフトがあれば遊べるんじゃね?

とはおもったがまずソフトがあるという確証もないのでゴミだ。

 

「なんかごつくて面白そうなんだけど?」

 

「まあ、遊具ではあるけど、河童案件になるだろうし、にとりに説明するのめっちゃしんどいからパスな」

 

「……個人的に持って帰っていいかな?」

 

「すきにしろ、ただしまた塵塚怪王沸いても知らんぞ?」

 

ゴミの付喪神塵塚怪王。

 

あの異変はひどかった……付喪神系の妖怪がゴミと認識されてことごとく取り込まれたからな。合体のせいでけっこうでかいし。

無事だったのはこころちゃんだけという酷い状況だった。

何せ器物でできてるからうかつに攻撃すると、取り込まれた物品が破損しかねないからな。文が大量の写真撮って分析してくれたおかげで分解ポイントがわかって、何とか全員を救出できたんだよな。

(なお、塵塚怪王はそのあと怒れる付喪神たちにより、木っ端みじんにされた)

 

そのあとしばらく――例えば小傘ちゃんなんかは「私はゴミの唐傘なんです……」とめっちゃへこんでた。

 

「これは壊れてないからセーフだとおもう。とりあえずキープ品に入れておくよ」

 

まあ、そこまで言ってもどうやら霖之助の琴線に触れたらしく持ち帰りたいようで、キープのカテゴリにおいておくようだ。

 

俺のキープ品は基本的に本だ。

……いやエロ本でも薄い本でも(薄い本はエロ本カテゴリの事も多いけど)ないぞ?

 

主に料理や農業、工業、機械工作系の本などだな。

機械工作は何するって?

それは河童たちは技術力は異常だけど、それって「現物をもとに無限回数リトライして同じようなものづくりをする」方法で知識とか技術などの体系的な学問じゃないんだよな。

だから河童に何か頼もうとすると、最低限構造を説明できないとだめなんだよ。

 

ちなみにこの無限リトライで心底戦慄したのはスマホを全く概念すらわからない状態で「見たことない部品だらけのものを見たことある部品にして再現した」ことである。

俺のスマホは数か月の間貸してたんだが、その間ほぼほぼデスマーチ状態でやってたらしい。

……河童怖い。

おかげで充電できるようになったので、そこはありがたいけども……正直使い道なんぞ霊夢ちゃん撮るぐらいしかないからな……(パンツ等撮ったら粉砕するわよとすごまれている)

 

電波塔などがないので電話をかけることはできないが、カメラ、メモ、音声記録などの機能は再現できたみたいだ(ただし解像度などは落ちる)なのではたてちゃんがスマホ持ちになった。

ちなみに値段はと言うと一台200万円~というお値段。高けぇ!?とおもったが100年前のコンピュータってそれぐらいの値段はしただろうし、部品全部手作りみたいだからこれでも良心的なのかもしれない。

……はたてちゃんってもしかしていいとこのお嬢さん?

 

「つなーコーラワンケースあったぞー!」

 

「おお、いいな!飲むか!……よし、初期バージョンじゃないな」

 

初期バージョンのコーラはコカインが入ってるため俺は飲まないことにしている。

 

霖之助は平気みたいなので処分方法は霖之助に飲ませることにしている(外道)

 

「よっと」

 

瓶の飲み口の下、王冠より少し下のところを握って親指に拾った手ごろな石をあててテコをかける。

 

しゅぽんという音を立ててみごとに栓は開く。

 

「ととととと」

 

冷えていないので勢いよく炭酸が噴き出すがそれをずずっとすすって、それから口をつけてラッパ飲みする。ぬるいので清涼感はないが、こののど越しがたまらない。

 

「ふー、うまい」

 

「あ゛ー、いつも思うんだけど、コーラって薬臭いんだけど、なんか癖になる味だねー」

 

霖之助に至っては歯で王冠をむしり取るようにして開けてしまう。

こういうとこ妖怪だよなあ(ハーフだが)

 

ちなみにたまに見つかるチェリオは妖精たちのお気に入りだ、ただコーラより発掘?量が少ないのでいつも取り合いになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ帰るか?」

 

一休みしてごみあさりを続け、それなりの収穫になったところで帰還を切り出す。

ほおっておくと、持ち運べない量掘りだすからな、霖之助は。

 

「えー、もっとつなと一緒にいたいな」

 

「言い方ぁ!?どっちにせよ、香霖堂で整頓しないとだめだし。まだ神社には帰らねえよ」

 

霖之助の言い方がいつも物議をかもすせいで文や早苗ちゃん(腐ってる?)や小鈴ちゃん(これは確定)に生暖かい目で見られることが多いんだよ……

 

「ああ、そうだな!夕食はどうするんだ?」

 

「ん、俺が作るぞ、どうせのすけは保存食でもしがんでるような生活してんだろ?霊夢ちゃんの分は作ってあるからな」

 

「やったー!つな大好きだよ!」

 

「だから言い方ぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の考えた最強の技

 

 

 

 

「せっ!ふうううっ!せいやっ!」

 

「はい!それまで!かなり功夫をつみましたね、足腰がしっかりしてきました」

 

「うーす……」

 

気を循環させながら動き続けるという、一般人な俺にとってはきつすぎる修行を今日も無事に終えた。

 

「おつかれー、水分補給するかー?」

 

と酒瓶をかかげる萃香さん。今飲んだら一気に回って死ぬわっ!

 

「おつかれさん、なあなあ、そろそろわたしと戦らないか?」

 

こちらは相変わらず好戦的な勇儀ちゃん。

二人して俺の修行をつまみにしながら先ほどから飲んでいた。

 

……ちかごろ三人組でつるんでること多いな!

まあ昔馴染みだからおかしくはないんだけども。

 

「それにしても地味な修行だなー。もっと、こうどばーん!とかずがーんってなやつやらないの?」

 

「だいぶ怪しくなってきてるけど、俺、一応人間だからな?素手で岩砕いたり、地面に穴穿ったりはできないからな?」

 

萃香さんの無茶ぶりに対して俺はぼやきを返す。

いちおう多少ながら気を打ち出したり魔術を使ったり仙気を纏ったり霊力を放出したり妖術を行使したりマントラを唱えたり自然の力を借りたり……あれ?俺もしかして人間やめてね?

 

……まあいろいろできるようにはなってるがどれも中途半端だし、なによりフィジカルでは完全に人(さすがに格闘家レベルはあると信じたい)だから、萃香さんの期待には答えられそうにない

 

まあ、それでも俺も男だから必殺技という響きには憧れる。

一応考えている技もあるんだが……

 

「まあ、ずがーんかどうかはわからねえが、いちおう切り札的なの考えてあるんだけどな」

 

「へー、見せてくれよー」

 

「えっ?私そんなの聞いてませんけど?」

 

「まあ、弾幕ごっこで使えるようなもんじゃないしな」

 

「また無敵対空系じゃないでしょうね……?あなたはなぜあれにこだわるのでしょうか……いえ、真・無敵対空はさすがに破壊力はありましたけども」

 

ちなみにさらに上に滅・無敵対空もあるけど、これはまだお披露目してない。

どうしてもセビキャンに近い動作ができないんだ。

小町ちゃんの能力ならできるか……?

 

さておき。

 

「んー、俺も試してみたいし、なんか人型の的作れる?」

 

「私に打てばいいぞ!あとついでに戦おう!」

 

「それ戦いたいだけだよね!?一応未完成だしどんなのなるか試したことねえから、今回は木偶にでも試させてくれ」

 

だから勇儀ちゃんはなぜこうも戦いたがるのか。いちおう組手の相手とかたまに華扇ちゃんの代わりにするけど、大柄な癖に妙に早いからなかなか辛い。

 

なによりも、打撃耐性でも持ってんのかという風に殴っても止まらないしひるまないし、バランスも崩さない。

たぶん、これが怪力乱神の真骨頂なんだと思う。

そして鬼の高耐久力が加わって、クソゲー一歩手前のやばいバランスに仕上がっている。

 

「なら、私が……むうううん!」

 

萃香さんが……なんだこれ、頭身の高い萃香さんの石像っぽいものを作り出した。

俺より一回り以上でかいな……

 

「全盛期の私だぞー」

 

 

 

 

 

「嘘だっ!」

 

 

 

 

 

「嘘じゃないぞっ!?なんで決めつけるんだよ!?」

 

「いや、だってばいんばいんじゃねーかよ!?こんなんだったらエロ鬼として伝説に残るわ!」

 

グラマー通り越して全身からエロスがにじみ出てるような造形だ。目は切れ長で吊り上がっており、鬼の角も禍々しく巨大化しているが腰回りや胸回りも負けず劣らず巨大化している、そして薄手の布みたいなものを巻き付けてあるだけのようだ。

ばいんばいんのスタイルに目が行きがちだが、太ももや腕などは筋肉が盛り上がっており、それとスタイルの良さが組み合わさって野獣的な美しさがある。

 

「その姿、懐かしいですね」

 

「はっはっは、萃香のその姿を見たのは千年ぶりか?もう少し経つか?」

 

「マジでこの姿だったのか!?」

 

鬼二人の証言により本当にこの姿だったというのが証明されてしまった。

 

「どうだ、なかなかの姿だろ?」

 

「ふつうにヤれるわ、これ。というか萃香さんが言ってた気が付いたらヤってるだろーっていうのを初めて実感したわ」

 

エロいというのもあるんだが、生存本能的なものを呼び覚ます恐怖すら感じるその姿は、きっと子孫を残すという本能となって発露するんだと思う。

気が付いたらヤってるってのは萃香さんの視点じゃなくて、男側の視点なのかもしれないな。

 

「んふー。どうだ?ヤってもいいんだぞー?」

 

と萃香さんはぴらりとお子様パンツを見せつけながら(今日は履いてた)しなを作る。

 

「……その姿はちょっと」

 

いつもは外見に比べてエロスは感じるんだが、「パーフェクト萃香」(あるいは萃香完全体)を見たあとだと……うんピクリとも来ない。

 

「さて、とりあえず、あれにぶち込めばいいんだな?」

 

「私にお前のものをぶち込んでもいいんだぞー?」

 

やかましいわ!?

その気じゃないんだよ!

 

「まあ、おれもはじめてだから「やっぱ童貞か」ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわっ!?……ええい!ちゃかさないでくれ!……どういう結果になるかわからねえから、念のため少し離れててくれよ、成功すると、砕け散るはずだから」

 

「いや、それ結構頑丈だからなー、壊せるようなら並の妖怪ならぶちのめせるぞ?腐っても私の像だぞ?」

 

「なら、ある意味試金石ってわけだな。じゃあ……やるか!」

 

といっても、気合い入れるほどの難易度でもないけどな!

理屈は簡単。相手の内部で俺の持ってる属性全部ごちゃまぜにするだけ。

属性が多岐にわたりすぎてて俺でもどうなるか想像がつかない、まあそれだと使い勝手が悪すぎるからイメージで補完する。

 

想像するのは槍。

突き刺さった相手の内部ではじけるイメージ。ゆえにこの技の名前は……!

 

 

 

 

 

 

 

「ゲイボルグ!!」

 

 

 

 

 

 

突き刺さった相手の体内で30の破片に分かれて相手の内部を破壊する魔槍の名。

その名を叫びながら手のひらを叩きつけ、触れた瞬間にありったけの属性を流し込む……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃ?」

 

何も起こらない……

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

皆無言で、その無言の圧力が俺の精神を切り裂いていく。

 

 

 

 

 

めっちゃ恥ずかしいわっ!?

 

 

 

 

 

ゲイボルグ!!(キリッ!)

 

 

 

 

あかん、これははずか死ぬ。

恥死量超えたわ。

 

「そ、そういえば飯の支度しないとだわ……じゃ、じゃあな!」

 

 

そそくさと逃げるように俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれが去ってどのくらい時間が経ったろうか。

その間残された三人は無言であった。

そして、意を決したように、萃香が口を開く。

 

「なあ、華扇よ。お前はいったい何を作り上げた?どうやって鍛えた?あれは本当に人か?」

 

「わ、私にもわかりませんよ!わかるだけでも10種類以上の違う種類のチカラが混じってましたよ!?」

 

「妖なら妖力、魔法使いなら魔力、巫女なら霊力で、神なら神力。もちろん複数種類行使する奴もいるけど、そういうのは大本の属性に劣る、本来の能力からあふれた力で行使するからな……だよな?」

 

彼の行使した力はどれも弱い、弱いが、弱いというレベルですべてのレベルがほぼ同じレベルに統一されている。

本来ならあり得ない。

弱い力では別の力など発動すらできないのだから。

 

「見よ」

 

と萃香が軽く石像を突くと、中身が詰まっていた石像は張りぼてのようにぱきっと表面が割れて内容物――砂礫となった石を割れた隙間から吐き出した。

 

またもやしばしの静寂が訪れる。

 

「それは、ただの石像ですか……?」

 

そうではないことを薄々感じつつも華扇が問いを投げかける。

それに萃香は自嘲しながら答える。

 

「ただの石像よ……少なくとも強度は全盛期の私と同じ強さを持った……な」

 

彼は調子に乗りやすい性質であるため、最初から壊させるつもりなどはなかった。

まあ、ひびの一つも入れて喜ばせてやろうとは萃香は思ってはいたが、それができる状態ではなくなってしまった。

 

「触れただけで……か。ゲイボルグとか叫んでいたけどよ、私は学がないからわからないんだ。華扇は何かわかるかい?」

 

勇儀が問う。

 

「たぶんですが伝承武器でしょうね、ゲームや漫画で聞いたことがあります。あやかったのかと思いますが……」

 

「言霊か、いや伝承武器か?両方かもしれないな……」

 

伝承武器。

例えば、鬼は豆を投げられるとダメージを受ける。これは「鬼は豆に弱いという伝承」がそのまま武器になったものである。同列に「ドラゴンを倒した剣はドラゴンに効く(ドラゴンスレイヤー)」や「狼男は銀の弾丸で倒せる」などがある。

「伝承の武器」なのではない。伝承「が」武器になるのだ。

 

「それにしても……」

 

勇儀がもぞもぞと体を動かす。

 

「どうしました?」

 

「濡れたわ、見ろよ」

 

と、スカートをまくり上げて腰巻の一部が変色しているさまを勇儀は華扇に見せつける。

 

「あなたは……はしたないですよ!」

 

「おいおい、お前だってさっきから太ももをよじり合わせてるじゃないか、鬼の本能だ。素直になれよ」

 

「私はっ!…‥一応、仙人ですから」

 

そういいながらも華扇は否定はしない。

 

「お前たち……まだまだだな?」

 

「萃香は平気だったのですか?」

 

そう華扇が問うと萃香はにっこりと笑って答えた。

 

「石像殴られた瞬間に達した、二回も」

 

「あなた(お前)が一番だめじゃないですか(か)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノのお手伝い

 

 

「おーい!子分にーちゃーん!」

 

野良仕事をしているとアホみたいに元気な声……アホではなくバカかな?(酷)をかけられた。

 

「なんだチルノ?手伝ってくれるのか?」

 

まず、手伝ってはくれないが、一応聞く。

大妖精やリグルは手伝ってくれるんだがなあ……まあ、チルノもたまに手伝ってくれるんだが、すぐふざけ始めたり悪戯始めるのでいてもいなくてもあまり変わらないんだが。

 

「えー、あー、うーん。ほら、あたいっていろいろ忙しいから」

 

と、理由もなく理由をつけて断ろうとしたためしどろもどろになるチルノ。

分かってはいたがな!

 

「じゃあ、何の用だ?」

 

「えっと、お菓子頂戴!」

 

「くれー」とばかりに手を差し出して、満面の笑みで宣言するチルノ。

可愛いんだが、それならお手伝いするべきだろ?

 

「残念だがお手伝いするいい子にしかあげれないんだよなー」

 

「うっ……で、でもあたいがお手伝いしてもいいことないよ?さいきょーすぎるから……リグルたちと違うから……」

 

確かに大妖精やリグルと違ってチルノの能力は農作業向きではない。

三月精みたいに普段からちまちまとお手伝いしてるならともかく、たまのお手伝いじゃ勝手がわからんだろうしな。

そうなればいかに最強(笑)であろうとただの子供程度の働きしかできないわけで……

 

どちらかと言うと収穫後向けの能力なんだよな。

冷やしたトマトはうまいし、生鮮食品は長持ちする。スイカとかなんかもすぐ冷やせるし、何ならシャーベットだって簡単に作れる。

 

まあ、何よりもチルノがお手伝いが嫌なのは作業効率でリグルや大妖精、挙句には三月精にすら負けてるからじゃないのかな?

チルノなりのプライドというか、最強なのに負けたくないというか。そんな感じじゃないのかな?

 

ちなみにルーミアだってお手伝いする。ねぎを闇で覆って白くするという地味だが土寄せ作業がいらなくなるのでめっちゃ楽になる使い方だ。

 

「チルノは時間あるか?」

 

「えっと、今日はみんな用事があるって言ってたからあるよ」

 

さっきのいろいろ忙しいっていう言葉をもう忘れたかのように暇宣言。

相変わらずバカっぽい。

まあチルノはそこが可愛いと言えば可愛いんだが。

 

「じゃあ、チルノにしかできないお手伝いを教えてやろう」

 

「おー!さすがあたいの子分にーちゃん!」

 

「俺と合体だ!」

 

「合体……合体!?」

 

あれ?チルノにしては食いつきが悪いな。変形とか合体とか必殺技とかチルノのツボだろうに。

 

「えっと、その……うん。子分にーちゃんがいうなら……あたい、いいよ」

 

と頬を染めて、スカートをまくり上げ――

 

「ていっ!」

 

「あだっ!?何するの子分にーちゃん!?あたい初めてだからそういうプレイは……」

 

なんか勘違いしているチルノをチョップで撃沈して(そしてさらに勘違いが進んだようだ)たくし上げをやめさせる。

 

しかし、チルノもなんだ、そういうこと知ってるのか……

リグルもなんか興味津々な感じだし、意外に妖精はおませさんが多いな?

 

まあ実年齢は俺より上だと思うが。

正直はにかんだチルノは普通に美少女で妖しい魅力がある。

普段全く女を意識させない分、結構破壊力あるな。

 

「普通に肩車だ」

 

「えっとあたいの太ももを感じた――あだっ!?」

 

「次はぐーで殴るぞ?」

 

「ぼ、ぼーりょくはんたいっ!おーぼーだっ!」

 

「躾だ。さておき、飛べるだろ?なるべく俺に荷をかけないようにして、上から冷気を……今日は暑いから肌寒いぐらいでも直射日光当たってればちょうどいいかな?まあ適度な塩梅で冷やしてくれ、移動式冷却装置チルノよ」

 

「あたいそんな変な名前じゃないよっ!?」

 

ちなみに合体せずに、普通に上空から冷気を振りまいてもらってもいいのだが、野放しにするとやらかす恐れがあるので(過去にイチゴ畑全部だめにしやがった。シャーベット食いたかったらしいがやりすぎなんだよ。もちろんお仕置きした)手綱は握っておかねえとな。

 

「よしチルノ!合体だ!パイルダーオンだ!」

 

「ぱ、ぱいるだーおん?」

 

「気にするな、気分の問題だ」

 

「よくわかんないけど、わかった!」

 

肩車状態になるチルノ。

ふとももとお尻の感触がひんやわこい。さすが氷精。

 

冷気出してもらうまでもなく、これでも十分気持ちいい(首周りを冷やすと結構体温下がるのだ)

 

「ほらチルノ、手を伸ばせ」

 

「お?おーっ!」

 

塩分補給のために持っていた塩飴(ミカン味)と同じくカロリー補給のための蜂蜜シリアルバーをチルノに渡す。

 

「シリアルは食う時気を付けろよ?俺の頭にこぼすなよ?」

 

「えっあたいのお尻で頭が気持ちいい?」

 

「耳腐ってんのか」

 

「ぎゃーっ!?」

 

ふくらはぎのあたりを軽くつねってお仕置きする。

チルノの体って全妖精のなかで一番プニってる気がする、いやふとってるどころかスレンダーなんだけどな?

頬っぺたも引っ張るとギャグみたいに数センチ伸びるし。

体質的なものだろうか……ギャグ体質?

 

 

 

 

 

 

その後案の定頭に食いかすをぼろぼろこぼしやがったので一通り折檻した後、一緒に風呂に入って、というか乱入してきてなし崩しだが(愚息は反応しなかった、セーフ)風呂上りによく冷えたゼリーや果物で軽く労ってお菓子を渡して解散した。……お湯で溶けないんだな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もっと感想やここ好き入れてくれてもいいのよ!


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チョロ求は発条が切れる迄走り続ける(稗田阿求は自分の意思では止まれない)

注意。れいぱんにしては重い話です

次話の「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第八話が阿求のお話なのでこれを入れておきたかったので連続移植ですがお許しください。
八話は何事も(みけさんの発作的書き直し)無ければ遅くても月曜日には。

パンチラ登録者で一度読んだ方もサブタイトルを見てから読むとさらに重くなります。


使った茶道具を片付け、彼が帰って途端に殺風景に感じるようになった奥の間に佇む。

 

今日は少しばかり馬鹿を晒した。

本当の私を知ったら彼はどう思うだろうか。

 

もしかしたら、いつものように、ほんの少し困った顔をしてから「ま、問題ねえな」と、笑い飛ばすだろうか。

きっとそうだろう、でも、そうじゃなかったら……それが私にはたまらなく怖い。

 

思えば彼は風のようだ。

隙間からふっと入ってきて、心を撫でて、またどこかへ行ってしまう。

さびしくもあり、また吹く風のように、また会えると暖かくもあり。

どうにもとらえどころがない。

 

昔話を語ったせいだろうか、今日はたまらなく苦しい。

 

「箱入り娘の私とて、そこまで愚かではありません……!」

 

名家というがただ蓄財しただけの家。

いまでこそ、人里でそれなりの理解と、少しの恐怖ですんでいますが、昔は阿礼の子など気味の悪い化け物でしかなかった!

 

「だから、責任を取らせるという名目で夫を得るしかなかった」

 

……さらに時代は下る。稗田家は有名になり、だからこそ阿礼の子は気味悪がられる。

 

「婿など来るよしもなし、かといって血を絶やすわけにもいかず……」

 

好きでもない男に媚を売り子種を恵んでもらうという屈辱さえもお役目!

 

男の阿礼の子の時は、それこそ女を買えばよかった、だけど、女のみではそれはできない。

 

「あげく逃げる始末……」

 

我が子を愛せなくなったのはいつからだろう。

ここしばらくはずっと乳母に任せている気がする。

 

「拝み屋ならば気にしないかと思いましたが、やはり同じ。阿礼の子は人ではなく化け物なのでしょうね」

 

人外を憎むようになったのはいつからか……妖とは違うとどれほど叫んでも、人間は私をあれらと同類とみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから私はあなたが欲しいのです」

 

あの人は人であろうと妖であろうと一切気にしない。

不思議な事だ。あれほど人外と同じに見られたくはなかったはずなのに、彼に人外と同じように見られても不快ではない。

 

だからこそ――

 

「人外が憎い……!あなた達は力強く、寿命も長く、自由ではないですか!この私の儚い命の一滴がこぼれる刻の間ぐらい……私だけのものにしてもよいではないですか!!」

 

夢にまで見る。

 

本当に愛してくれる男性と結ばれて、望まれて生まれてきた我が子を、夫とともに育てる。

どこにでもあるはずの――でも私が今まで手に入れられなかったもの。

それが手の届きそうなところにあるのだ!

それを欲しがって何が悪いというのだろうか!?

 

「花の命は短い」

 

彼は知っているのだろうか?しらないのだろうな、彼ならば、きっとすぐ顔に出る。

 

私の命も、花のようにあっさりと散る時が近い。

 

いつも通りならもう10年あるかないかだろう、子をなしても成人は見られないだろう。

いつもは乳母に任せっぱなしで放置していたはずなのに、そう思うとたまらなく悲しくなってきた。

 

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛」

 

座布団を顔に当て、声を殺して泣き叫ぶ。

死ぬのなど怖くはない、どうせ転生できるのだから。

 

でも……

 

次に生まれたときには彼はもういない。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

怖い 怖い 怖い こワい コワイこワい コわイ こわい 怖ヒ こワイ!

 

 

また、だれも私を私としてみてくれない人生が始まる。

それがたまらなく怖い。

 

私は阿礼の子、阿礼でもあり阿求でもある。

何代まで、いつの時代まで、これが続くかはわからない。

 

でも、私は止まれない。

いつか止まるまでは。

 

それが阿礼の子の宿命だからだ。

 

でも、今は。

今だけはあなたの事を思いながら、泣かせてください。

疲れて眠るまで。

 

 

 

 

 

 




では第八話で会いましょう


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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第八話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1200人を越えました
ありがとうございます。

評価感想で同人誌かきたいというのを昨日いただきましたし、三次創作したいとかたまにあります。
書きたいときに書くのが創作です。誰かに迷惑かけない限り自由でいいと思います。
ご自由にどうぞ

誤字脱字報告者のスタッド様、タヌキ宇丼様、ティアール様、トリアーエズBRT2様、紅 零様、コースイ様、ゆゆっき様、りんごおおおおおおおおおおおおん様、鳴風うづき様、Muro.y様、提督様、クオーレっと様、孝也様、Sasakyama様、すかたず様、ちりめん山椒様、64b様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます……って大すぎぃ!?
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


「ごめんくださーい」

 

稗田家の門前で声を張り上げる。

紅魔館だとなんだかんだいって美鈴ちゃんが常にいるし(たまに……結構……ほぼいつも寝てるが)、最悪勝手に上がっても問題はないのだが、さすがに稗田家では憚られる。

 

まともな一般人多いからなあ……ツッコミ代わりに張り倒されることとかないし……

まあ女中頭のおキヌさんだけは、こっち側の人間(?)なので怒らせてはいけないが……あまりにもチョロい阿求ちゃんが心配になって(妖怪に襲われていたところを助けたこともあった)閻魔庁からスカウト(阿礼?さんの職場でもあるようなので話は早かった)してきたのだ。

映姫ちゃんの推薦もあってあまり人外が好きでないような阿求ちゃんとも仲良くやっている。

ちなみに絹ではない。鬼が怒ると書いて鬼怒である。鬼怒川の鬼怒だな。

 

勇儀ちゃんや華扇ちゃんみたいに戦い慣れはしていないが普通に鬼なので強い。

というかヤバイ。戦う必要もないけども、ある意味幽香さんより戦いたくない。

さすが元獄卒だけあって容赦がないのだ。トゲこそついていないが金棒を警策か何かのように軽々と振り回すし普通にどつかれる、正直地獄は怖くないがおキヌさんが責め苦担当なら地獄に行きたくなくなる程度には苦手だ。

 

そして貫禄が出ないからとバ……老齢のご婦人の姿を取っているため俺が純粋にさん付けしている唯一の人間(鬼だが)かもしれない相手だ。

ちなみに性格だけなら俺と相性はいいかもしれない。

 

そんなことを考えていると……おキヌさんが現れた。

……あれだ「曹操の話をすると曹操が現れる」という奴だな。

 

「おや、坊ちゃん、いらっしゃい。訪問ですか?届け物ですか?」

 

そして坊ちゃん呼びである。最初期は(ぼん)と呼ばれてたので、まだましになった感じではあるな。

とりあえず持参した手土産を渡して阿求ちゃんに用事だと告げる。

 

「阿求ちゃんに用事だけど、羊羹も持ってきたから食べてくれ」

 

「お、偉いね坊ちゃん。お礼に阿求お嬢様を手籠めにしていいですよ」

 

「だからなんでおキヌさんは阿求ちゃんをすぐ売るの!?」

 

おキヌさんはお礼とか、褒めるレベルで阿求ちゃんを売る。この間なんか「いつも元気ですねえ」への返答がこれだったこともある。

阿求ちゃんも全く咎めないのでもう何度聞いたかわかんねえ……

 

「若いのだから細かいこと考えずに納屋でズブリとヤってくればいいのです。まったくこれだからこじらせた童貞は……」

 

「どっどっどっどっ、童貞ちゃうわ!……なあ、前から思ってたんだがなんでおキヌさんは納屋推しなの?」

 

そう、床の準備をしようとする阿求ちゃんもちょっとあれだけどおキヌさんは納屋でズブリが合言葉だ。

稗田家は奥の間もあるし、布団部屋も、倉もあるのになぜか熱い納屋推しなのだ。

 

「ああ、私は獄卒時代は衆合地獄にいましたからね……納屋で男を誘って、ノコノコと肉棒でズブリとしようとやってきたところをこう金棒でズブリと……」

 

と、何かを突き入れる動作をするおキヌさん。

 

「そっちのズブリか!?というかわざわざ韻踏んで言うことでもないだろ!?」

 

「ま、そういうわけで私のおすすめは納屋でズブリですね。まあ嫌ならいい雰囲気になったら空気読んで、お嬢様のお部屋にでも床の準備しておきますので合図でもだしてくださいね。すぐに準備しますからね?」

 

「いらん世話だわっ!?」

 

相変わらずなんというか……鬼だなあ(華扇ちゃんたち巻き込ま――いや鬼は普通にエロかったな)

欲望に忠実……いや、おキヌさん自体の欲望ではないんだろうが、まあ忠実である。

 

「大体において据え膳を食わない男ってのはヘタレなんですよ。しかも据え膳どころか湯気の立つ汁と飯迄盛られているってのに……」

 

「いや……その……」

 

責任という名の毒が盛られているお膳はさすがの俺も怖いぞ?

 

「そんなもん開き直ってヤリ捨ててもいいんですよ……女が望んでいるならね」

 

「言い方ぁ!?大体そんなのわかんねえだろ、間違ってたらどうすんだよ!あとさりげなく心読んでないか!?」

 

「そりゃあ、死後に衆合地獄にご案内ですよ。あとね、人生経験が違いますよ、坊ちゃん」

 

「リスクでけえなぁ!?」

 

いや別に地獄はそこまで怖くないが衆合地獄はあるいみ究極の生殺し(死んでるが)だからなあ……

 

「さて、時間も稼げましたしお嬢様のところに案内しますね」

 

「時間稼ぐ必要あった!?」

 

「そりゃあありますよ、お嬢様もお年頃。多少なりとも身づくろいの時間ぐらいは欲しいでしょうし、坊ちゃんが来た時に先ぶれは出しておいたのですよ」

 

「……俺が届け物だけで帰っ――「帰しません」

 

……毅然と無茶を言われた気がする。

 

「お嬢様の待ち人をただ帰すなんて私の目の黒いうちはあり得ませんよ。必要ならば金棒で説得して簀巻きにしてでも中に案内いたしますよ」

 

「それただの捕縛ですよねおキヌさん!?」

 

「いえいえ、心を込めたお話ですよ。きっとわかっていただけるかと思います。この金棒にかけて」

 

説得(物理)じゃねえかよ!?

しかもどっかの探偵の孫みたいなこと言ってるし!

 

「用事があってきたから上がっていくけどさぁ……」

 

「自発的に来ていただけて何よりですよ。あまり放置されているとこの婆、街中で捕縛に走るかもしれません。ささ、坊ちゃんどうぞあがってください」

 

「いや、もう、何と言ったらいいんだ俺は……?」

 

幽香さんの襲撃がなくなって安心できるようになったのに今度はおキヌさんかよ。

しかも幽香さんと違ってどこに出没するかわからない、ワンダリングモンスターって厄介だぞ?

人里メインだろうけど、普通に地底や地獄でも見るからな、おキヌさん。

 

「長い人生流されてみるのもありじゃないですかね……さ、そこに腰掛けてください。婆でよろしければおみ足を洗いますよ?」

 

と、水桶を指し示す。

流石におキヌさんにそんなことはさせられないので自分で洗うからと断ろうと――

 

「この姿でしたら、坊ちゃんの足を洗っていると乳の谷間がとてもとてもよく見えますよ?」

 

と、片目を長髪で隠したような色っぽい女性の姿で誘ってくる。そういえばおキヌさんの本当の姿(角付き状態)見たことねえな……?

しかし、毎回思うんだが一瞬で変わるのどうやってんの!?

 

「……いや、いいよ。どうせその髪の毛の下、骸骨とかむき出しなんだろ?」

 

「ちょっと悩んだのがわかるようじゃ坊ちゃんもまだまだですね。あと髪の毛の下はこうなってますよ」

 

「うわっ!キモッ!?」

 

「女性に向かってその言い方はないでしょうよ」

 

「わかった!謝る!ごめんなさい!だから近づけないでください!」

 

おキヌさんは顔と顔が触れ合いそうなほどの近距離まで近づいてくる。

片側は美女と言っても全く差し支えない風貌だが、髪で隠れていた側は目はなく眼窩が空洞になっていて、目の周囲には腐肉みたいなものが張り付いている、そしてそこから蛆が這いだしてきてうごめいているのが見える。

至近距離はマジ止めて!!

 

「まったく、肝っ玉が小さくないですか?」

 

と、目をそらした瞬間に再びいつものおキヌさんの姿に戻る。

 

「おキヌさんのその変化がクオリティ高すぎてマジでキッツいんだけど……?」

 

「こんなの衆合地獄だと基本ですよ、基本。美女だと思ったら化け物ってのがね」

 

「地獄は最初はきつそうだな……」

 

「最初はって坊ちゃん……」

 

「まあ、ホネ子ちゃん(骨女正体暴露後、現在成仏)とも仲良くできたし、芳香ちゃんもよく見ると結構怖いけど仲良くなれたし、多分慣れたら平気」

 

芳香ちゃんよく見ると結構怖い。たまに血が出てたりするし。

餌付けしたらすごくなつかれて困った。関節は固いみたいだけど完全に動かないみたいじゃなくて、よたよたと追いかけてくるのは少し怖い。

 

「筋金入りですね…‥さて、婆がいやなら自分で足を洗ってくださいね。足ふきはこちらにある布で拭ってください」

 

「ああ、悪いな」

 

「……そういえば悪事で「手を汚す」のに、なんで悪事止めるときは「足を洗う」っていうんだろうな?汚れた手は綺麗になってないぞ?」

 

と、足を洗いながら益体もないことを問うてみる。

まあ、れっきとした答えなぞ返ってこないだろうけども。

 

「一度汚した手は何をやってももう綺麗にならないということではないでしょうかね」

 

「……思ってたよりまともなの返ってきたな」

 

意外に深い答えかもしれん。

 

「なに、年の功ですよ、さ、どうぞお嬢様のお部屋へ、婆はこれで退散いたしますよ。あとはお若いお二人で……しっぽりと」

 

「言い方ァ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「阿求ちゃーん、入っていいかー?」

 

いつ頃からか阿求ちゃんの部屋に通されるようになった。

阿求ちゃん曰く、「お茶もお菓子もありますので」とのことだけども、まああわよくばという作為を感じなくもない。

 

おキヌさんも言っていたが据え膳という奴なんだろうなあ。

今日は博麗の巫女についての話をしに来たのは確かだが、レミリアさんの一件もある。

こんな俺に寄せてくれる好意に対してちゃんと一度話をしないとな。

 

ちなみに声をかけるのは一度着替え中の阿求ちゃんと見事に鉢合わせしたからだ。

阿求ちゃんが狙ったのではなく、どちらかと言うとおキヌさんが謀った感じである。

 

深窓の令嬢という感じで白くキメの細かいまさに輝くような白い肌が、一気に紅潮してピンク色に染まったのが艶めかしかった。

幸い腰巻は身に着けていたので上半身のみだったが、薄いとはいえ思っていたより(阿求ちゃんみたいなかっちりした和装は体の線が出ないのだ)女性的なフォルムに、血が沸くのを感じた。

 

さすがの阿求ちゃんも混乱したのかわたわたとしていたが、何を思ったか「ど、どうぞっ!」とか言って腕を広げた体勢になったときは俺も一歩踏み出してしまうぐらいの破壊力があったぜ。

 

それ以来、一応声がけするんだが、今度は狙って似たようなことをするので困りものである。

……今となってはその気持ちも痛いほどわかるのだが。

 

「どうぞ、入ってくださいませ、あなた様」

 

答えにちょっと身構えながら襖を開けて中を見やる……うん、今回は大丈夫なようだな。

いつものかっちりとした服装の阿求ちゃんだ。

……ちなみに呼び方はもう突っ込まない。私室に通されるぐらいからこういう呼び方に変わった、完全に外堀を埋めに来ている感じだ。

 

「おう、阿求ちゃん今日も可愛いな」

 

「床を敷きましょうか?」

 

ここまでいつものやり取りである。

お嬢様はどこへ消えたんだろうな?

まあいうほどお嬢様ではないんだけどな。新しい妖怪がでたりすると会いに行こうと(なんか手記を編纂してるらしい)結構ふらふらと出歩く(なのでおキヌさんには地味に感謝している。護衛もしてくれるので)ので研究者に近い感じだろうか。

 

だがここからいつもとちょっと違う。

 

「まだ子作りはできないけど、添い寝してお話するぐらいならいいぞ」

 

「ふふ、ではお茶でも――ええええええええええっ!?」

 

いつもの「また今度な」という返しに合わせた答えを阿求ちゃんが言おうとして、何を言われたか気づいて狼狽した。うん、こういう阿求ちゃんは新鮮でかわいいな!

 

「ど、どうしたのですかあなた様っ!?……さては狐狸妖怪の類が化けて……!」

 

と、しぺしぺと眉に唾を付ける阿求ちゃん(幻術を解除する一般人にでもできる方法)

 

「いやいやいやいや、そんなのおキヌさんが通すわけないでしょ!?本物だよ本物!」

 

なんか今まで焦らしすぎたのか阿求ちゃんが拗らせてる……!

 

「ですがあなた様はそういうことを言うような人では……」

 

「いや、結構言うけどな?ただ阿求ちゃんはガチだったからそのままずるずるとやっちまいそうでちょっと言わなかったんだわ」

 

子供枠だと普通にフランとかルーミアには言うし、夏場はチルノにお願いすることがある。調子に乗るチルノをわからせるのも(性的ではない)また楽しい。大人枠だと、優曇華ちゃんや慧音ちゃんやパルスィちゃんとかにもいうな。ギリOKかNGな境界線の人(?)に言うことが多いかな、リアクション楽しいし。(外道)

 

「それはそれでなにかもやっとします……」

 

「ああ、ごめんな、阿求ちゃん」

 

と、ぽんぽんしてから撫で始める。

阿求ちゃんは頭頂部よりも側頭部や後頭部の髪を梳る(くしけずる)ように撫でられるのが好きなんだ。

ジゴロがやるみたいな撫で方だけど、阿求ちゃんのお気に入りなんだから仕方がない。俺は撫でには妥協しないのだ。

 

「ふあっ……この撫で方は間違いなくあなた様……」

 

と脱力して身をゆだねる阿求ちゃん。

ちょろいな!?相変わらずのチョロQっぷりに少し心配になるぞ!?

 

横や後ろを撫でる関係上、阿求ちゃんは俺に寄り掛かる体勢になるんだが、ここでも俺の胸板に手を当てて、なんというか本当にお嬢様って動きをする。

しぐさだけ見れば間違いなく清楚なんだよな。

 

「まあ、わかってもらえて何よりだ。で、どうする?添い寝する?」

 

「……名残惜しいですが私が我慢できそうにありませんので、いつものようにしていただけると……」

 

うん、まあしぐさだけはお嬢様なんだがなあ……発言が結構残念なんだよな。

 

 

 

 

 

 

仕切り直していつもの状態。差し向かいでお茶を啜る。

阿求ちゃんはどうも紅茶の方が好きみたいなので、茶菓子はショートブレッドとヴィクトリアサンドイッチケーキだ。

道士の術で数キロほど(熟練で変わるが10を超えることはないと聞く、俺は今3キロちょいぐらいか?)の物体を容積を無視して運ぶ術があるんだが(道士の袖から際限なく呪符が出てくるのはたいていこれだ)時間が停止していることから俺はこれを平時は料理の運搬に使っている。さすがに異変の時は武器運んだりするがな。

なので焼き立て作り立てだぜ。

 

「さすがにもう人間って言い張るのは無理がありませんか?幻想郷縁起に編纂しても?」

 

「なんて書くつもりだよ……、一応まだ肉体的には人間のはず」

 

もっともふつうの人間ではなくて超人クラスだとはさすがに俺も思うが。多分戦国時代に行ったら無双できる位の自信はあるな。

 

「えっと、そうですね「性格は善だが女誑(めたらし)であり稗田の阿求の夫である」あたりでしょうか?」

 

「歴史に残る捏造!?あ、いや……うん、言わないとな」

 

捏造じゃなくなるかもしれないんだよな。

俺は居住まいを正して、まじめな顔で阿求ちゃんに向き直った。

 

俺の真剣な顔を見て阿求ちゃんの顔がゆがむ。あれ?怖い顔になってんのかな?

 

「なあ、阿求ちゃ「止めてください!!」ん……?」

 

阿求ちゃんの切羽詰まった、悲鳴のような声に俺の言葉がさえぎられる。

どうした急に!?

 

「いや阿求「言わないでください!もう少し……!もう少しだけ!私に夢を見させてください!」…………」

 

……なるほど。

まあ、これは全面的に俺が悪いな。

そしてレミリアさんに感謝だ。

 

「阿「嫌です、お願いです!お願いですからぁ……その先は……その先はぁ……」はあ……」

 

整った顔をゆがめてボロボロと大粒の涙を流しながら俺の言葉を遮り、いやいやとかぶりを振る阿求ちゃん。

うっ……くっ。自分のやらかしたことを自覚すると罪悪感が半端ないな。

 

「止めてください……私を哀れと思うなら・……」

 

 

 

 

「阿求ちゃん!」

 

 

 

 

「ひっ!?えっ?」

 

俺の大声にビクッ!と身を縮こまらせる阿求ちゃん。俺は身体を前に乗り出して――

 

「な、なに……を……?きゃっ!?」

 

阿求ちゃんを引っ張って俺に覆いかぶさるような体勢にして受け止めた後、そのまま寝転がった。

阿求ちゃんを抱きしめたままだ。

ふたり、横になって、顔と顔を突き合わせて話をする。

 

「ちょっと、おちつこうか?な?」

 

「で、でも……私は……」

 

「まず、大前提だ。俺は阿求ちゃんを嫌いじゃない。むしろ好きだ」

 

「えっ、あっ、その……ありがとうございます」

 

うん、少しは聞く感じになったかな?涙も止まったようだ。潤んでいて阿求ちゃんの美少女度がいや増した気がするな。

 

「でだ、阿求ちゃんがなんで結婚を焦ってるか、それも知った」

 

「え……」

 

まあ、さすがに俺も幻想郷にどっぷり馴染んだからな。文や映姫ちゃんがそれとなく言ってくれたしな。

さもなければ阿礼?さんの職場をしらないし、おキヌさんも連れてこねえよ。

 

「無責任かもしれないけど、その……子種をあげることも考えている」

 

「……同情ですか?」

 

阿求ちゃんの瞳が不安に揺れ動く。

うーん、どうなんだろうなあ……?俺にもよくわからないけど、一つだけ確実に言えることはある。

 

「そんなんで女抱くならとっくに童貞捨ててるっての、ホネ子ちゃんとか最後は普通に抱いてって言ってたし、幽香さんやレミリアさん、輝夜ちゃんに妹紅さんあたりも普通に据え膳だろうしな、だから同情はないとは言えないけどそれが阿求ちゃんを抱く理由にはならないってのは理解してくれ」

 

「それは嬉しいですが……そんなにたくさん候補がいるなんて……あなた様は筋金入りですね」

 

まあそれは認める。(あと不本意ながら多分童貞だというのも認める)

結局お金出来てからも河童の風俗もいけなかったんだよなあ……なんかの罰(下剋上?)でにとりが一月だけお店に出てた時に、さすがに哀れに思ってにとり買いきったけどイチャイチャするぐらいしかしなかったし(にとりに性的欲求はほとんど感じないが美少女であることは間違いないのでそれはそれで楽しい)なあ。

 

「まあ、な。だけど、薄々感じてると思うけど俺は霊夢ちゃんを家族だと思っている」

 

「はい……家族?」

 

頷いた後疑問を浮かべた顔をする阿求ちゃん。

うん、恋人とかそういうんじゃないんだよな、現状も、今の俺の感覚も。

 

「これが、まあ、その、なんというか……よくわからねえんだ。もちろん霊夢ちゃんは好きだよ。でも阿求ちゃんとか、他の子の好きとはなんか違うんだよ。なんというかもどかしい感じの好きなんだよ。多分だけど、霊夢ちゃんの方も似たような感じだと思う。でもどんな好きで、どこまでできる好きなのか。それを確かめようにも、博麗の巫女という存在が邪魔をするし、俺は俺で自分の正体が全く不明なのが実は少し……少しだけな?不安なんだよ。博麗の巫女がどっち寄りの存在なのか、俺がそれと絡むとどうなるのか、今はそれを調べているところだ。今日の本来の用事もそれだな。でも阿求ちゃんのことが優先だな。悪かったな、俺が色恋沙汰ではぬらりくらりしていて」

 

……妖怪いっぱいいるし、もしかして俺ぬらりひょんだったらどうしよう……?まあ現在は妖怪しどろもどろなわけだが。

どうしようもないから別にいいか(超速の切り替え)

 

「はい、なんとなくはわかりました。しかし、色恋沙汰の清算……すこし大変そうですね、私もその中に入っているのですけれども」

 

「そのあたりも含めて、今ちょっといろいろ考えてるんだ。……なあ阿求ちゃん」

 

「はい」

 

「あと何年残ってる?」

 

俺がそう問うと阿求ちゃんは目を見開き、身をこわばらせた。

しばしの沈黙の後

 

「たぶん8年ぐらいです、もっと短いかもしれません」

 

「そうか……物心つくぐらいまでは、子供育てられそうだな」

 

「……はい、ですが母を亡くした子は哀れです……今までそう思うことなどなかったのですけど……」

 

そう言って阿求ちゃんは目を伏せる。

家を存続させるために……か。

伝え聞いた話だけど、愛情がない結婚もあったというし。

あ、いやおかしいな。名家だとそういうもんだと思うけど。でも、阿求ちゃんは阿求ちゃんでたぶん、もっと別の何かを抱えてたのかもしれないな。

 

そして、そんなお役目を俺を手に入れたいという我儘で時間を浪費した。

それはきっと思ったよりも阿求ちゃんは――

 

「さっきも言ったけど、霊夢ちゃんとどうなるかはわからないけど。無責任かもしれないけど。子種、あげることはできるよ。阿求ちゃんは人間だし、問題はない。ただ――」

 

「わかっています。父はいないものとして稗田家で育て――きゃっ!?」

 

なんか一人で合点して勝手なことを言っている阿求ちゃんに軽い頭突きをして黙らせると、そのまま、おでこをくっつけたまましっかり目を合わせたままで阿求ちゃんに話す。

 

「そうじゃねえよ、まあ、そちらの大事な後継ぎなんだろうから稗田家で引き取るのはしょうがないだろうけど、俺にもかわいがらせろよ。その……二人の子供をさ」

 

「えっ、あっ……あ……うああああああああっ……!」

 

「ど、どうした阿求ちゃん!?さっきにもましてまた号泣して!?」

 

俺の言葉を聞いた阿求ちゃんが突然俺の肩口に縋りつくように号泣しだした。

 

「いえ……なんでも……なんでもないのです……ただ、ただ涙が……すいません、その……やはり嬉しいのと、そしてその子を残して死ぬのが少し……不憫で……」

 

ああ、そっか。

でも阿求ちゃんは少し俺を見くびっているようだな。

 

「阿求ちゃん阿求ちゃん」

 

「はい……?」

 

「死後の阿求ちゃんっていうか阿礼?さんの職場は地獄だよね?」

 

「はい」

 

「俺普通に地獄に行けるから、子供だって連れていけるぞ?」

 

「え……?あっ!?……本当にあなた様は規格外のお方ですね……」

 

「記憶がどうなるのかまではしらないし、阿求ちゃんの姿が変わるのかわからないけど、記憶なくなっても案外何とかなるもんだぜ?俺がそうだからな。仮にそうだとしても二人……いや三人で新しく思い出作ればいいしな」

 

「そうですね、その辺りは私もわかりませんけども、あなた様が言うなら何とかなりそうに聞こえるのがすごいですね」

 

「現に俺、何とかなってるしな」

 

「ふふ」

 

うん、阿求ちゃんはやっぱり笑ってるほうが可愛いな。

 

「もう少しだけ待てるか?結果がどうあれ……仮に霊夢ちゃんと夫婦になるにしても、土下座してでも許可貰って、阿求ちゃんには俺の子供を産んでもらう。ま、阿求ちゃんがこんなふざけた提案でもいいっていうなら……いや、悪い。阿求ちゃんが嫌だと言わないの知っててこれは卑怯だな。……無責任な事を言う男だが責任は取る。だからその待っている間、もう一度よく考えてほしい」

 

「……わかりました。確かに私も浮かれていたのは否めません。ですが、そういうところですよ?」

 

「だからどういうところだよ?」

 

レミリアさんにもこの前言われた気がするな。

 

「あら、その物言い……どちら様に言われましたのです、あなた様は?」

 

なんか温度が二度ほど下がった気がする。

阿求ちゃんもこんな空気だすんだな……いつものすましてた状態よりは俺は好きだな。

ちょっと怖いけどな!

 

 

 

 

そのあと二人で寝転がったままいろいろ話をした。

いままでのことや、これからの事、俺の認識していない俺を好いている女性もまだいるそうで、それについてチクチクと言われたり「頑張れば4人ぐらい産めそうな気がします!」と鼻息荒く宣言されたり(いつもは一人っ子らしい、よくお家断絶しなかったな!?)

子供の名前を考えたり(次は10なので俺の名前……仮名だが。からとって阿十(あと)にしましょうかといわれたので俺が全力で「それ劉禅!あとすぐ転生しないよね!?」と突っ込んだり(字は違う))と、本当にとりとめなく話をした。

 

勿論博麗の巫女についても話をした。

完全記憶能力ってすげえなと思った。説明を一通り受けて一応文献も後で出しますと言われたが、まあいらねえだろってレベルで詳しく、かみ砕いて説明してくれた。

 

ただやはり確証はなく(でも象徴みたいなのと、ある意味幻想郷の主であるというのはわかった)、先代については全くの手掛かりなしってところだった。

阿求ちゃん曰く、妖怪の山のまとめ役である天魔(見たことない)か幽々子ちゃんあたりなら先代を知っているのではないかということ(なお紫さんも出たが二人の意見は「きっと語らない」だった)と、白玉楼、永遠亭、地霊殿、神霊廟、命蓮寺等の書庫は阿求ちゃんも見たことがないのでその辺りも探してはどうか(外から来たので守矢神社は対象外)と。

……一気に行く場所増えたなあ……でもまあ、未来をつかむために労は惜しんでられねえな。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、またな阿求ちゃん……とおキヌさん」

 

門前で阿求ちゃんと別れを惜しんでいると(俺も単純なせいか今の阿求ちゃんと離れるの少し寂しい)いつの間にかおキヌさんもいた。

俺を見て、阿求ちゃんを見て、また俺を見た後卑猥なハンドサインを送ってきやがった!(阿求ちゃんからは見えない位置というのがまた……)

 

「残念ながら添い寝までだぞ「ちょっとあなた様!?往来で……」」

 

「緊張して勃たなかったの「ちゃうわ!」ではヘタレたのですか?」

 

「とりあえずおキヌさんは混ぜっ返さないでくれ。じゃあ阿求ちゃん今度一緒に甘味食いに行こうぜ?」

 

「えっ?あっ、は、はい!よろこんで!」

 

阿求ちゃんとは家の中ばっかりだったからな。

唐突すぎてちょっと戸惑ったかな?……おキヌさんだからハンドサイン止めろ。

 

今度こそ稗田家を後にする。阿求ちゃんおキヌさんに余計なこと言わないだろうな。いや、今更撤回するとかはしないけどおキヌさんは鬼だからな。ぜったいになんか派手になると思うんだよな。

 

 

一抹の不安を胸にしながら俺は……ハンドサインしつこいわっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

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プロレス中継

パンチラ移植品です。
幽香ちゃんとバトルした話のうらがわです。
文は実況向け。


「さあ、間もなく始まります花妖VS外来人、手元のデータによるとこれで47戦46敗1無効試合と、外来人がいまだ勝ちがありません、おっと実況はこの私。射命丸文が務めさせていただきます、音声は河童印の高性能収音機でこちらも聞こえるようにしてありますが、こちらの声は向こうには聞こえないのでご安心を、映像は動画も撮れるようになった、羨ましくなんてないですよ。はたてのリアルタイム盗撮「盗撮っていうな!?」でおとどけします!この実況ももう20回を数える位になりましたが毎回毎回外来人は驚かせてくれます、今日こそ花妖に土をつけることができるのか、みどころですね」

 

テンションも高く実況しているのは天狗の射命丸文だ。

今日は近頃定期的な娯楽となっているイベントなのである。

 

実際のところはイベントにかこつけた飲み会みたいなものなのだが。

 

「解説はいつものごとく私が適当に適当そうな人に振るので、振られたらお願いしますねー」

 

と、見ての通り既に適当感満載である。

 

ちなみに集まっているのは結構多いが勇儀やチルノやパルスィなど乱入しかねない人物(乱入理由は各々で違うが)や慧音や映姫などの見世物にするのはどうか……と言う常識人などなどは最初から誘ってはいない。

あと保護者(霊夢)と口の軽い白黒も。

あとは来れる人間が来るような感じである。

 

意外なことに神霊廟や命蓮寺の人間も普通に来るのである。

とくに白蓮などは……

 

「聖様ー。その……」

 

「節度を守って人に迷惑をかけず、感謝していただきなさい」

 

「わっかりましたー!みんなー!聖様がいいってー」

 

まさかの酒、容認である。

 

「私が言うのもなんだけど、いいのかい?」

 

と、すでに飲んでいる小鬼――萃香が白蓮に問いかける。

 

「ええ、「お酒を遠ざけて悟ったって言ってもそれは悟ってないんじゃねえか?飲んだうえで何がダメなのか、いいのか自分で見極めないといつまでたっても悟れねえと思うんだよな」だそうですよ。そういわれるとお釈迦様も若いころはいろいろと経験していましたし、ある意味真理なのかなと思いまして」

 

「あいつはな―、馬鹿の癖に物事の本質をとらえてるんだよ」

 

「わかります。そのくせ本人はとらえどころがないんですよね」

 

「へえ、お堅いと思ったけど案外……なあ、お前さんはどっちがわだい?」

 

「どっちと言いますと……?」

 

「友人か恋慕かだよ」

 

「私はっ……仏に身をささげた身ですし……」

 

「なるほど、こっち側か」

 

「どっちのこと――」

 

 

「さあ始まりました、まずは両者ゆっくりした立ち上がり、花妖は王者の風格。いつものことながら相手の出方を見ているようです。おっと外来人が何か……これは初見ですねー誰かわかる人……パチュリーさん解説お願いします!」

 

「わ、私!?もう、いきなりね。今彼が使ったのはウイッカ……妖精使役術ね。かなりレアな魔法で、妖精との相性が特に重要なんだけど、彼はその点は問題がないわ。ただ私たちも普段妖精を雑魚扱いしてるように、実際に効果も雑魚だから気休め程度ね、ちょっと注意を引いたり、くすぐったりする程度の効果しかないわ。しかも今呼んだのは初歩の初歩の召喚術でパックのようだし」

 

「なるほど!弾除けでしょうかね?っとさらに何かしているぞー!おっと武器が炎に包まれた、これはいつものファイアウェポンという奴ですね?パチュリーさん」

 

「そうね、属性付与魔術の一つで、いろんな属性があるわ、魔術は魔法に比べて直接的な破壊には適していないけど少ない魔力で長時間効果が出るから、長期戦には便利よ、あと地味に身体も光ってるでしょう?」

 

「お?そうですね、淡く光ってますね」

 

「あれはプロテクション、厚手の服を一枚着たぐらいの防御力しかないけど、動きを阻害しないので地味に便利な魔術よ」

 

「なるほどーパチュリーさんありがとうございました」

 

「いえいえ」

 

「獲物は今回も連結三節棍のようですね。彼の得意武器でしたっけ華扇さん?」

 

「んぐっ!?ま、饅頭がっ!……ごくん。はい、そうですね。彼の性格にぴったりの何でもできる武器です。でも妖怪相手の時はやはり連結した状態で振り回すことが多いですね、単純に打撃力が一番高くなるので」

 

「さあ、じりじりと間合いを……おっと外来人が仕掛けた!まだ距離があるが……火の玉だ!火の玉を放ったぞ!だがこれはいともたやすく花妖に防がれる!毎回思うんですがあの傘はいったいなんでできているのか!私も一度全力であれでしばかれましたが、折れるどころか曲がりすらしませんよ!で、あの火の玉はいったい……?」

 

「あれは……いつの間に!?」

 

「むう、知っているのか華扇!」

 

「なんでそこでネタを挟んでくるんですか!?あれは五行術……仙術ですね。チョイスとしては賢い選択です」

 

通じる華扇も華扇である。

 

「賢いと言いますと?」

 

「仙術は森羅万象に作用して使う術なので消費するものがないのです、いわば無尽蔵に使える術ですね」

 

「それはなかなかすごい術ですねー!でもちろん欠点はあるんですよね?」

 

「なぜすごいワクワクしているかが謎なんですが、ええ、もちろんあります。わかりやすく言えば、あるべき姿を捻じ曲げて使っているので失敗すると反動があります。自爆したり性格が変わったり一時的に五感の一部、または全部を喪失したり酷い時には年単位の静養が必要となる場合もあるので、私は彼には仙術は教えなかったのですが…‥」

 

と、華扇が神霊廟の面子に目を向けると、布都が明後日の方向を向きながら「スヒースヒー」とならない口笛を一生懸命鳴らそうとしていた。

 

「どうやらマヌケは見つかったようですね……」

 

殺意の波動を込めた視線を向けると布都は慌てたように弁解を始める。

 

「わっ、我悪くないぞっ!?むしろ勝手に術を真似しようとしてたから危なくないように注意して手ほどきしただけだからな!そも仙骨のない人間が術を使おうとするなら、仙人方式より道士の方式の方が安全であろ!?」

 

「一理ありますが、その場合は師匠である私に連絡をすべきだったのではないかと思うんですけど」

 

「あやや、これは面白――いえ、もめごとですか?仙人方式と道士方式で違いはあるんですか?」

 

「簡単に言うと仙人は命令で、道士はお願いです。命令の場合は強い術もできますが反発も大きい、お願いは強い術は使いにくいですが反動も比較的小さいです」

 

「なるほど、むしろいろんなものに好かれる彼の場合はお願い形式の方があってる気もしますね」

 

文がそう言うと布都はぶんぶんと大きく首を振って頷いた。

 

「そ、そうなのだ!あやつ道士方式で炎の嵐とか複合術まで使いこなすぞ!むしろ道士になるべき人物だと我は思うぞ!」

 

「なるほど、さて花妖のツタ攻撃に対応しつつ火の術で攻撃を続ける外来人!っとここで弓をどこからともなく取り出した!一体何をしたのだ!えっとわかる人!」

 

グダグダである。

 

「パチュリーが解説するわ。あれはアポート、魔術的な刻印をして、場所がわかっているものを引き寄せる術式ね。距離が遠いほど消費が激しいのだけど、多分彼のことだからあらかじめ近くまで持ち込んでると思うわ」

 

「つがえた矢が光を放ちながら飛んでいく!これはあれですね博麗神社の破魔矢でしょうか、っと!それがさらに加速した―っ!?いや、誘導弾幕のように追尾していくーっ!」

 

「精霊魔法ね、精霊と契約必須だけども、彼にはたやすいことかもしれないわね。今使ったのは風の精霊のようね」

 

と、魔法関係は自分の領分とばかりに解説するパチュリー。

 

「のようだな、それにしても気合の入った破魔矢だな。どれほど念を込めて作ったのやら……それにしても三つがけで打つとはまだまだ筋力が足りんな、もう少し筋トレを増やさなければな」

 

と、続けて神奈子。日本の神は精霊に近いものがあるのだ。

神奈子のつぶやきに「やめてください、しんでしまいます」とあの男はきっと答えるだろう。

 

「花妖は防御しようと傘を向けるが……直撃!直撃だーっ!この試合初めてのクリーンヒットが出ましたよ!しかも、立て続けに火弾もあたるぅーっ!傘が壊れたのか?あ、いえ今開いて再び防御を始めました!何やら術らしきものをつぶやいていましたが今のはいったい何があったのでしょうか!?」

 

「禁呪……ですか」

 

華扇が低い声でつぶやき、またもや神霊廟面子をにらみつける。

 

「ほっほっほっほっほっほっ」

 

勺で口元を隠し笑う神子。

だがこめかみに汗が流れている。

 

「禁呪とは何でしょうかーいえ多分私も昔食らった覚えはあるんですが」

 

「そうですね、仙術にもあるけど、陰陽師や道士も使う割と一般的な術ですね。安倍晴明などは「禁」の一言だけで調伏できたと言いますが。正しい使い方は今彼がやったみたいに何を禁止するか指定して使います。対応力が求められるので普通は大雑把に指定して使う術式ですが、細かくすればするほど消費は減ります」

 

「なるほどーありがとうございます。おっとここで動きが!花妖が焦れたのか間合いを詰め始めてきました!対するは……また何かやってますねえ、えっとこれは先ほどの妖精術でしょうか?パチュリーさん」

 

「なるほど、考えたわね」

 

「と、いいますと?」

 

「パックとロビングッドフェローは同一視されることもある存在よ、格自体はロビングッドフェローの方が上なので召喚には結構な魔力を使うのだけど、このように関連するものをつなげて召還することによって少ない魔力で行使することができるようになるわ。とはいっても所詮妖精だからね……」

 

「なるほど!パックをリリースしてデッキからロビングッドフェローを特殊召喚!ってとこですか」

 

「ごめん、文、何を言ってるのかわからないわ」

 

「あやや、ギャザのほうがよかったですかねえ、っと今度は何やら……念仏ですか?これも初の技術ですね!と、そこからの後ろ回し蹴りが炸裂だーっ!完全にフェイントとして機能しましたね!で念仏の解説と言えばここはもちろん――」

 

「私の出番ですね。彼が今使ったのは真言、マントラと呼ばれるもので対象の加護を借りるものです。今のは迦楼羅、ガルーダと言ったほうがわかる人も多いかもしれませんね。加護は神速です、とはいってもそこまで速度が上がるわけでもないですが」

 

「なるほど、唱えるだけでいいのですか?」

 

「そうです。真言は字面からわかるように、言葉そのものに力がある……というよりも諸仏に願いを届けるためのものですので、真摯に唱えれば、加護の大小はあれど、だれでも使うことができますよ。ただ、連続で同じ加護を受けることはできません、何度もお願いされたら聞く気をなくすでしょう?同じようにしばらくは間を開ける必要があるんですよ」

 

「それは良いことを聞きました、ぜひ恋愛に効く真言などを後で聞いておきたいものですねっと足を止めての殴り合い!またもや念仏……マントラでしたね。をとなえているぞーっ!正直私には何を言っているのかさえ理解不能です、解説お願いします!」

 

「はい、今のは金剛力士、俗にいう仁王様ですね。の力を借りるマントラです。金剛力か金剛身のどちらかですが……彼は山門付近で真似てポージングしてることが多くて、それが奉納の舞扱いになっているのか相性がいいんですよね仁王様と……いまもトラダリセイをトリダリセイと間違えてましたが、加護は受けられたみたいです」

 

「まさかの仁王迄仲良し!外来人の人外たらしはとどまるところを知りませんね!?ですが間違っていても効果が出るのですか?」

 

「帰依する心、すがる心が一番大事なので。「おん・あぶらあげ・そわか」や、「生麦大豆二升五合」などの例もありますしね」

 

「なんです?それ?」

 

「病魔退散のマントラと、厄落としの念仏ですが正しくは「オン・アビラウンケン・ソワカ」と「なむだいしへんじょうこんごう」です。ですが不思議と唱えていた当人たちはこれで効果を発揮していたのですよ。御仏の慈悲ですね」

 

南無ーと合唱する白蓮。

 

「面白いことに、正しい言葉を知ったときから、この言葉は効果を発揮しなくなったそうです。信じる心が薄れてしまったのでしょう」

 

「先からいいところがない故我も解説していいかな?」

 

「どうぞ布都さん。で、何か解説するところでも?」

 

「シチューにカツととかいってたのはあれも呪文だぞ?七五調の呪い歌であるな」

 

「ほう!してどのような?」

 

「わからんけどな!ただ何らかの効果はあると思う!」

 

「使えない布都さんは退場――っと今度は呪符ですね!また博麗のお札でしょうか」

 

「いえ、あれは……」

 

と華扇がまたもや神霊廟面子を見やると屠自古が明後日の方を向きながら「静電気が多くて髪がまとまんないなー」などとやっている。……自分で放電しながら。

 

「結局三人共ですか……、こほん、あれは霊符、仙人や、道士、陰陽師のほかに神職もつかいますが、霊剣符のようなので道士か仙人系の符ですね、道士系の符は作るのにものすごい手間……手書きですので。と希少材料を使ったりしますが、逆を言えばそれさえあれば素人でも……いえ、もちろん書画の才能はいるでしょうが。かなりの物を作れて、なおかつ使うときにも簡単な一言で使えるという利点があります」

 

「和歌!和歌はわかるぞ!あれは言霊の一種で人間じゃない女の動きをしばしの間阻害するという裏の意味にもなる!もともとは天女を返さないという意味の歌だからな!」

 

汚名返上とばかりに布都が騒ぐ。

 

「なるほど、では布都さんは巣にお帰りください」

 

「我の扱い酷くないかのっ!?」

 

「さあ、ここで外来人の「無視かっ!?」ラッシュだぁーっ!三度、四度、滅多打ちだー!さあ花妖はどうでるか、っと強引に腕で止めて……これは、そろそろですかね……いま花妖の目が見開いたーっ!オラオラとどこからか聞こえてきそうなラッシュ!さらに術を混ぜての立体的な攻撃に外来人は防戦一方だーっ!いや、何かキラキラしたものを射出して花弁を打ち落としていく!」

 

「五行術の金行ですね、金克木。木の属性である幽香の術には有効になる手段ですね、先ほどから火を主体にしてるのも木生火で木に対して火の術は追加効果があるからですね」

 

「なるほど、考えられてますね、意外に彼は知的なんですよね。痴的でもありますがっと、マントラですねえっと……」

 

「聖観音菩薩のマントラですね。劇的な効果はないでしょうが、回復力を高めます」

 

「地味だけどじわじわ効くタイプの術ですね!さあラッシュをかいくぐって……なんということでしょう!隙をついて花妖のスカートをめくったー!?」

 

「何をしているんですか彼は!?」

 

会場のあちこちからもブーイングが飛ぶ。

一部は、まああいつだから仕方ないね。という空気もあったが。ちなみに萃香は爆笑していた。

 

「怒りの花妖、かかと落としからのーっ!ソバット!これはかわしたーっ!そして、これは私も昔見たことあります破邪結界という奴ですね!詳しい解説は……神道系と言うことで神奈子さんどうぞ!」

 

「ん?四方払い、一種の結界だが破邪結界とはちがって脆いぞ?本来は聖域を作るためのもので柏手を打って完成する。聖域を作ってから上位の術に移行するんだが、あれでは持つまい」

 

「ですね!解説の間に崩れ去りました!しかしその間にマントラを発動!マントラはわかりませんが星さんはわかります!これは毘沙門天ですね白蓮さん?」

 

「はい、武神としての方向の加護を強く願っていますので、戦闘力強化だとおもいます……」

 

白蓮が命蓮寺の面子の方を見やると星が神々しく輝いていた。

 

「かなり強めの加護が与えられたようですね」

 

「これは番狂わせがあるかーっ!?さらに連続して術を発動!えっと華扇さん!」

 

「木行に有効な金行術と……ちょっ!?あなたそんなの使ったら死にますよ!?」

 

焦る華扇。

 

「い、いったい何を?」

 

「火尖鎗を作り出したんですよ!いえ、偽物というかまがい物ですけど!」

 

「えっと問題が?」

 

「まずまがい物とはいえ作れること自体が異常なんですが、まがいものとはいえ宝貝は宝貝!仙骨のない人間が使ったら干からびますよって投げたぁ!?」

 

「ぱおぺえ?っと、先に解説をば!炎の槍を作り出したとおもったら、火トカゲみたいなのがまとわりついて一緒にすっ飛んでいって……直撃だああっ!いや、花妖かろうじて致命傷は避けて……振り払ったーっ!雄たけびをあげて火トカゲごと槍を振り払ったーっ!ここまでの攻防の解説をお願いします!あとぱおぺえも」

 

「宝貝……宝具とか仙術武器の事ですね。基本的に仙骨というものがないと使えません。彼はもしかしたら少しぐらいは生えてるかもしれませんが、それでも持って動くとかは難しいと思います。で、彼が作ったのは哪吒がもつ火尖鎗のレプリカですね、わかりやすく言うと相手を燃やす槍です」

 

「続けて私が。使ったのは精霊魔法のサラマンダー。その火尖鎗とやらを炎に見立てて一緒に飛ばしたと思うわ、かなり強引な手法だけど、理にはかなってるわね」

 

「さらに間髪入れずに棒手裏剣を投げたのは良い判断だ。毘沙門の加護もあるだろうが、良く動けている。これならばもう少し訓練を増やしてもよいな」

 

「ええ、つまり無茶苦茶なことをやったという認識でいいですかね?っと花妖のラッシュ!ツタの乱舞だっ!これはよけきれるか?おっと逃げた!?しかも奇妙な逃げ方だ!?」

 

「ウンディーネを召喚して運んでもらったようね」

 

「なみのりですか!こうかはばつぐんですか?」

 

「文が何を言ってるのかわからないわ」

 

「そして石壁を作り出して……貫通したーっ!そしてついに一撃が外来人を捕らえた―っ!これは痛い!動けるのか!」

 

「悪手ですね、土行は木行に弱いので」

 

「なるほど、おや意外にぴんぴんしているぞー?これは毘沙門天の加護なのかーっ!?」

 

「いえ、金剛身ですね、現に使いなおしましたよ」

 

「ん?先ほど連続して使えないとお聞きしましたが、結構早いのですか?」

 

「いえ、結構長いですよ、少なくとも今日は使えないかと。ですが金剛力士は二体いますので……」

 

「なるほど、それぞれ別カウント扱いと言うことですね!」

 

「マントラもそれぞれで違いますしね」

 

「さあ離れて対峙だ!今日はこの中距離から遠距離での戦いが多いですね、新しい戦闘法に遠距離系が多いせいでしょうか、っとまた何やら――」

 

「単なる水を作る術ですね、微回復というか水を飲んで一息ついた程度にしか回復しません」

 

「なるほど、ですが水分補給は重要です!また弓を呼び出し炎と合わせて攻撃をしていきますが多数のツタに阻まれて有効打はありません」

 

「時々術を組み合わせて当ててはいるみたいですが……正直今一つと言ったところですね」

 

華扇の見立てではせいぜいが軽く殴られた程度のダメージだろうと予測する。

 

「さあここで動きがありました。花妖の最終形態、ごっこでいうスペルカード。向日葵砲台です!」

 

「正直今回もここまでのような気はします、やはり小細工なしの素での有効打がなければ彼女に勝つのは難しいかと思いますね」

 

「さあ、射撃が――始まったあっ!外来人必死によけるよけるよける!動きが気味悪いぞ!御器嚙のようだぁー!そして逃げ回りながら土壁を出していく!すこしでも隠れる場所を作ろうという算段かーっ!」

 

「――!読めた」

 

「パチュリーさん、何か?」

 

「彼は精霊を召喚した、でも召還はしていない、今出している土壁も土の精霊由来の物、大技が――来る!」

 

「えっと……?お、おおっ!?パチュリーさんの言った通り何やら精霊たちが光の球体になって、突撃だぁーっ!しかも防御をかいくぐって飛んでいく!そして!今!ちゃくだあああああああん!!!」

 

会場まで響く振動に一同どよめく、しかし。

 

「あー、やったかはいけませんねー」

 

「フラグを立ててはいけませんと注意したのですが……」

 

「残心を怠ったな、特訓せねばなるまい」

 

「これは勝負が決まったかー!?高々と吹っ飛ばされたーっ!いや!まだです!受け身を取って立ち上がったっ!しぶとい!まさに御器嚙のようだ!」

 

「あの高さなら完璧だな、次は6m位からおとすか」

 

「文さん何か御器嚙におもうところあるのでしょうか……?」

 

「さあいよいよ熱くなってまいりました。ここで外来人両手をかかげて、これは!?」

 

「まさか――呼べるの!?」

 

「わ、わかるように説明してほしいんですが」

 

「見たほうが早いわ、来るわよ」

 

「な、何ですかあれは!?」

 

「オベロン!妖精の王よ。なるほど、ロビングッドフェローはオベロンの取り換え子だったわね、そこつながりで術式を――」

 

とぶつぶつと自分の中にこもるパチュリー

 

「あやや、彼にはいつも驚かされますねえ、あれ大妖クラスじゃあないですか?」

 

「あくまでも妖精だから、そこまで強くないわよ。ただ自然に関する干渉力なら幽香にも負けてない、というか凌駕すると思うわ。ちなみに大妖精も究極進化したら――まあオベロンじゃなくてティタニアだけど、あんな感じになるわよ」

 

思考から戻ってきたパチュリーが解説をする。

 

「ただ本気で驚くべきところはスペルカード一枚分ぐらいの魔力でオベロンを呼び出したっていう、恐るべき省エネ具合なのだけど」

 

「そしてさらに外来人の動きは止まらないいっ!?ちょ、なんですかこれ、ここまで不快な……だれか!だれか結界を!」

 

幾名かが結界を張って人心地つく。(妖心地かもしれない)

 

「あー気持ち悪かった。華扇さんは平気そうですけどあれはいったい?」

 

「五行属性を無茶苦茶にした感じですね、ですので風属性……木気が強めな文さんは影響を受けたようです。ほかにも属性が偏っている人は影響を受けたのではないでしょうか?」

 

見回すとお燐や屠自古、河童などはぐったりしている感じだ。

 

「なるほどー、っと解説が途切れている間に接近戦が始まっていま――えっ!?」

 

「見事。もうすこし組打ちの訓練レベルを上げてもいいな」

 

あっけなく、実にあっけなく幽香が組み伏せられて地面に転がされている、倒れているのではなく、文字通り転がされているのだ。何度も何度も執拗に打ち付けるように――やがて幽香から抵抗が消えた。

 

「あの技は……?っと、それより写真写真!これはスクープですよ!!」

 

写真を撮り出す文。

 

「技の名前まではわかりませんが、自分を中心に、相手を外側において回転することによって、自分の少しの動きでも相手を大きく勢い良く動かせる、理にかなった技ですね」

 

「だな。それに幽香も私の弟子を舐めすぎだ、しぶとさがアイツの一番の持ち味だからな、もうすこしキツくしてもいいのかもしれんな」

 

「そうですね、さすが私の弟子です、私の教えた円運動がすべてに通じるということをよく理解していますよね」

 

「魔術は知識というのもよく理解しているわね、流石は私の――」

 

「いやあ我が手ほどきした道士としての修行が役に立ったようで何よりだな!あいつはこのまま道士――」

 

「マントラは仏をよく理解することも重要なのです、彼はこのまま仏門に――」

 

「いやいや私のところでは早苗が神道も――」

 

「こちらは仙人として――」

 

「道士はできることが豊富だし先生も三人――」

 

「そういうんなら妖精魔術だよ!お兄さんはみんなに好かれているからねっ!」

 

「まあ待て、地底を〆るというのも――」

 

「ちくわ大明神」

 

「いえいえ、そもそも彼をここまで育てたのは私と美鈴――」

 

「あのっ!いっそ料理人というのも私と一緒にメイドと執事など――」

 

「剣術なら私も少し手ほどきしたぞ、二刀扱うのはきっと私の――」

 

「そも彼が自ら教えてくれと言ったのは私のとこが最初だろう、ならば守――」

 

「あずかりじょ」

 

「屋台とか一緒に――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ大人気ですねえ彼」

 

「むー、だーりんは私と面白おかしく遊んで暮らすんだから!」

 

「はたて、あなたもですか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話は仙人が俗だった話ですが、しばらく更新速度が遅くなります。

書くために始めた神霊廟がクリアできないので(十年前のゲームを何してんだという話は捨ておいてください。リスペクトありきですのでとりあえずクリアを)


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仙人が俗だった話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1200人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者のスタッド様、ティアール様、Muro.y様、さかわな様、クオーレっと様、孝也様、すかたず様、64b様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

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「あっちゃー……」

 

マヨヒガの付近で途方に暮れた。

いつもはこのあたりまでくれば橙が出迎えてくれるんだが、今日は全く何も起こらない。

たまに橙がいないことがありますって藍ちゃんが言ってたけど、ついに不在にぶち当たってしまった。

 

一応先に人里で藍ちゃんもいないか見てみたんだが(藍ちゃんは目立つのですぐ見つかる)見つからなかったんだよな。

 

電話とかねえから、こういう時はすげえこまるよな。

人里に掲示板でも設置してもらおうかな?俺に依頼の時はXYZあたりでどうよ?。

 

まあ、チープなスリルに身を任せるつもりはさらさらないがな!

ただでさえ幽香ちゃんに目をつけられててホットなスリル満点(回し蹴りで「水平」に吹っ飛ばされるとか物理的におかしい、清楚系のレースのパンツは嬉しいが)なんだし、できる限り安全第一で過ごしたい。

 

「場所はここであってるんだよなあ……」

 

ただ、結界なのか位相が違うのか、いわゆる不思議な力で現実と隔離されているんだよなあ、マヨヒガ。

隔離されてる幻想郷でさらに隔離されてるってどんなんだよって気もするけど、まあ、そういう不思議空間はわりと妖怪連中にはつきもんだし、しょうがない。

 

華扇ちゃんでも入れたはずだけど……たしか禹歩?だっけな。変な動きすると入れるというか、境界すり抜けれるんだよな。

でも華扇ちゃんなかなか捕まらねえんだよな。いつもふらふらと出歩いているイメージだ……俺も人のこと言えないけど。

 

「うーん」

 

稲荷寿司+またたびクッキーなのですぐ腐るようなものではないし、そも思い付きで発作的に作ったものなので約束とかしてあったわけでないし、持ち帰って喰っちゃってもいいんだが……

 

「ここはあれだな?次に備えるべきかな?」

 

いないものはしょうがないが、また今度訪ねたとき不在でも困るからな、ここは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで……来ちゃった!」

 

「いきなり現れて何を訳の分からないことを!?」

 

というわけで神霊廟である。

丁度いい具合に屠自古ちゃんがいたのでテヘペロ系の軽い挨拶をしたらいきなり怒鳴られた、解せぬ。

 

屠自古ちゃんとはわりとよく会うんだが(結構人里に出没する、というかお使いは屠自古ちゃんがいつもしてる気がする)いつも怒ってる気がするなあ?

 

「ほら屠自古ちゃんそんなに怒ってたら早死にするぞ?」

 

「とっくの昔に死んでるわ!」

 

うーん、打てば響く突っ込み、相変わらずノリがいいなあ(違)

屠自古ちゃんは何というか全力で空回りするところと苦労人なところが最高に可愛いと思うんだ(外道)

 

「まーまー、ちょーっとおーちつきなよ、とーじこちゃーん」

 

「なんかその言い方嫌だから止めろと前も言ったよな!?」

 

大泥棒三世風に言いやすいんだよな、屠自古ちゃん。

もちろん少しキレたような返事も可愛い。

ついつい弄ってしまうんだよな。

 

だって、魔理沙とは別ベクトルですっげえ弄りやすいんだよ……

ちなみに魔理沙と違ってエロ知識は割とあるのでそっち方面でもいじれるのが一粒で二度おいしい感じだ(非道)

 

「というわけで、屠自古ちゃん、禹歩教えてくれなさい、迅速に」

 

「訳が分からないうえに、妙に偉そうだなお前!?」

 

「だって屠自古ちゃん「困ったことがあればいつでも神霊廟にくるとよい」っていったじゃん?」

 

「あれは太子様の手前の社交辞令だ!」

 

うん、知ってる。

でも言ったんだから容赦なく乗っからせてもらうぜ。

 

「えー、じゃあ神子ちゃんに言いつけちゃおうかなー?」

 

と、たぶん霊夢ちゃんにやったら容赦なくグーパンされそうな感じの煽り顔で(素人がやるような猪木の物まねのように顎を突き出した上に目を剥いた状態……霊夢ちゃん曰くお釈迦様でも殴ると思うわとのこと)屠自古ちゃんを煽る。

 

「おのれは……太子様、あるいは神子様だ!あとそのむかつく顔をやめろ!」

 

ぶっとい青筋を立てながら軽く放電まで始めた屠自古ちゃん。これ以上煽ると物理的に雷を落とされるのでここぐらいでおちょくるのはいったんやめた方がいいな。

まあ、少し落ち着いたらまたやるんだけどもな!(クズ)

 

「んー?なにを騒いでおるのじゃ?っとなんじゃお前か」

 

ぎゃーぎゃーさわがしくしていると、現れたのは布都だった。というか基本的に屠自古ちゃんを弄ってたら、大抵出てくる(酷)

 

「お、布都か、屠自古ちゃんに禹歩教わろうとしてたんだけど、門前払いされそうでさ」

 

ちなみに布都にはエロスを感じない。

外見も幼いし背もかなりちっこい、あと結構暴走する上に発言が馬鹿っぽいので俺的にはチルノと同列にあつかっている。

 

「……またぞろお主が屠自古をからかったのであろ?……いいぞ、もっとやるがよい!」

 

「貴様というやつはーっ!」

 

「あんぎゃーっ!?」

 

俺のおちょくりですでに臨界点に達していた屠自古ちゃん。

布都の言に即落雷で激しいツッコミを入れる。いやあ、いい避雷針があって助かったな!(ド外道)

 

「うう、我が何をしたと……」

 

ぷすぷすと煙をあげながら――布都もチルノと同じでわりとギャグ枠だよな、ダメージの受け方が……口から煙だすとか芸も細かいな!……布都がぼやく。

 

「そこに存在している。それが罪だ!」

 

「我そこまで言われるほどかの!?」

 

……でも聞いた話によれば屠自古ちゃんが肉体なくしたのって布都のせいだっていうから、その扱いもさもありなんって感じなんだけどな。むしろ屠自古ちゃんはかなり優しい応対だと思うぞ?

 

屠自古ちゃんは見ての通り幽霊で下半身はないが乙女?の矜持なのかパンツは履いていた。ただ、色気のないデカパンだったので、チョイスしたセクシーパンツ(見えるものがないので全体的に薄手のレース編みで網みたいにスカスカの奴)を渡したらめっちゃキレられた。解せぬ。

 

ちなみに屠自古ちゃんの霊体は、ちゃんと触ることができるし、結構ぬくやわこい。たしかに多少体温?は低めでひんやりとした冷たさは感じるが、チルノみたいに際限なく体温を奪われるほどではない。

霊体部分に強めに力を入れると「つぷん」と中にめり込む(妙な感覚がするらしく屠自古ちゃんにしては珍しくかわいらしい嬌声を上げていた。もちろん即しばかれた)謎の多い身体?だ。

めり込んだ指先がぐにぐにと締め付けられるような感覚が気持ちよく、これ、疑似的に挿入できるんじゃね?とか言ったら……

 

 

 

 

 

掴まれたまま電撃流された。

 

 

 

 

 

 

鬼型宇宙人に毎度これやられてあいつよく生きてるな……と薄れ行く意識の中で思ったぜ。

でも絶対入れてみたいって思うよね?(反省の念が見えない)

 

「とりあえず、おいなりさんと、クッキーで教えてくれよ。えっと……ふとじこちゃん」

 

「「混ぜるな!」」

 

「息ピッタリだな、あいかわらず」

 

このふたり仲が悪いように見えて……仲が悪いんだが(酷)なぜかシンクロ率は高い。

仲は悪いが相性はいいという奴だと思うな。

あ、屠自古ちゃんのナカはイイとおもいます!(下品)

 

「……禹歩なら私には足がないから布都に教わるといい、だが……次回でよいので酒も欲しいな」

 

「あ、我は羊羹を所望するぞ!」

 

「それでは私は三段重箱のおはぎを」

 

「「太子様!?」」

 

神子ちゃんがしれっと混ざってきた、しかもさりげなくかなりの量のおはぎを要求してきたな?

 

「おーう、神子ちゃんもか、まあたいした手間じゃないからいいけど」

 

そもそもさわりとはいえ仙術教わるんだから安いもんだわな……華扇ちゃんの食う量からしたら誤差だし……

 

「ええい、貴様いつも――太子様、あるいは「よいのだ、一欲の君へは私は過去に許可しただろう」……はい、太子様」

 

「おっけー、そんぐらいの要求なら余裕だ」

 

ちなみに神子ちゃんは俺のことを一欲の君と呼ぶ。

色欲の声しか聞こえないとか酷いこと言われたんだよな。

神子ちゃんが言うには「本来ならもっとたくさんの欲があるものだが……ある意味君は純粋なのだと思う」ってフォローは一応されたけどな。

 

「ほう!余裕か!では私はもう一つ君に要求しよう」

 

「お?まあいいけど、なんにするよ?」

 

「下着……パンツをな、可愛らしいのを5枚ほど貰おうか」

 

「なんですと?」

 

ぱーどぅん?

 

「「たっ、太子様!?」」

 

「おどろくほどでもない。私とて女子(おなご)ぞ。屠自古はいつも同じものしか調達してこぬしな」

 

「もっ、申し訳ありま――」

 

「いや、責めてはない。しかし、心躍らぬのも事実。私もすこし洒落てみたいとは思うのでな。ならば一欲の君に頼めばいいものを持ってきてくれそうではないか?何でも数名の女子に見立てたことはあるらしいぞ」

 

あーミスティアちゃんとか、優曇華ちゃんとか、なぜかリグルとか魔理沙にも選んだなあ……

 

「別に構わんけど、いっぺん今はいてるところ見ないと見立てようがないぞ?太ももと尻肉、あとお腹周り見ないとな」

 

役得的なものももちろん期待はしているが、ガチで言っているんだぜ、これ。

特に締め付けるタイプで保持なのか紐で結ぶのか、あるいは腰骨で履くのかで大きく見立ても変わってくる。

 

腰骨で履く場合はふくよかや幼児体型では履けないし(幸い太ってるというぐらいのウエストは今まで見たことはな……油断したときのパチュリーちゃんギリ?)締め付けるタイプは生地が高級なものが多い。ゴムがないせいかシルクとかになっちまうからな。

紐は状況を選ばないタイプだがちゃんとフィットしたものをあつらえないと布地が余って皺が寄って非常にだらしなく見える。

あとは尻の大きさで大き目のお尻に小さいものを履かせると、これまた食い込んでみっともない、セクシーさよりだらしなく見えるんだ。

太ももが細い体型だと大き目のタイプのパンツは浮いてしまうし……そういえばなんでか天子はボクサータイプ履いてたよな……?

 

「ん?見たことなかったか?こんなのだが」

 

「「太子様!?」」

 

と、俺の問いに御開帳してくれる神子ちゃん。

思い切りいいなあ!?

 

「なるほど……」

 

体つきは割と肉付きがよくどちらかと言うと成熟した女性に近いものがあるな。

しかし色が白いな!といっても病的な白さではなく黄色人種としての白さでなかなか趣深い。

 

肝心のパンツだが……

 

「うーん、たしかにザ・普通だな」

 

中学生女子が履く白い奴(ただしウエスト部分は紐が入っているようだ)だな。

まあ個人的にはこういうのも刺さるんだが、たしかにすこし似合ってはない気がするな。

 

「太子様、さすがに思い切りよすぎると思うんですが……」

 

「そうですよ!このようなものに肌を晒すなど……!襲われたらどうするのです!」

 

「いや、それはないから見せても問題ない。一欲の君はあくまでも色欲。肉欲ではない」

 

「え?ちょっとどういう意味か俺も聞きたいんだが?」

 

なにそれ詳しく。

正直自分でも時々アウトかなって思う事結構してる気がするんだけど?

 

「スケベではある、だが襲ってはこない。せいぜい触るぐらいではないかな」

 

「「ああ……ヘタレということか」」

 

 

 

 

「異議あり!」

 

 

 

 

ちょっと待てーい!?

なんか俺貶められてね?

 

 

「異議を却下する、そもそも一欲の君は致そうと思えば股を開く女子などたくさんおろう、致そうとせん時点でヘタレだ」

 

手厳しいっ!?

あと、股を開くって……神子ちゃんって言い方が結構えぐいんだよな。

指導者的立場だから致し方ないのかも知らないけど。

 

「いや、たしかに藍ちゃんとかはたてちゃんとかできそうな気もするけど……あー、妖怪だし?」

 

「ふむ、ならば布都でも抱くか?」

 

「なぜに我っ!?」

 

「ん?別に布都はこやつに抱かれても気にはせんだろう?ついでに陽の気も分けてもらえばどうだ?」

 

「まあ、我は確かに構いはしませんが……そうじゃな、お主あとで閨に来てたも?」

 

「断る」

 

当然即答だ。

 

「やはりヘタレかっ!我に恥をかかせおっ――」

 

「なんというか……その……布都じゃ残念過ぎてその……勃たない」

 

「言うに事欠いて酷すぎんかの!?」

 

可愛いとは思うし、静かにしていれば美少女だとは思うけど……なんだろう、おっぱいもんでも「うんうん、順調にそだったなあ」ぐらいしか思わない気がする。

正直俺の中ではエロスレベルはチルノより下、ルーミアレベルだ(酷)

 

「むしろ屠自古ちゃんならバッチこい!あ、でも幽霊も妖の一種か」

 

「何故に私に飛び火するんだ!?そもそも、その、なんだ……私は……ないから」

 

もじもじする屠自古ちゃん超かわいい!それに――!

 

「大丈夫!霊体に指入るし、普通に――」

 

「何故霊体に入れたがるんだお前はーっ!」

 

 

 

 

「あばばばばば!?」

 

 

 

 

 

「まったく……」

 

「ふん、いい気味じゃの!」

 

落雷は結構耐えれるんだが、掴んでの電撃は効くなあ……

 

「あてててて……」

 

「一欲の君も大概丈夫だな?」

 

「まあ、そのあたりはいろいろとあるからな。正直一番ダメージでかいのって物理攻撃だと思うぞ?ところで神子ちゃんを選んでもいいの?」

 

と意趣返しをしてみる。

 

「ん?構わないよ一欲の君」

 

「マジか!?」

 

「「太子様!?」」

 

正直この三人で選ぶんなら断然神子ちゃんだ。

さっきのパンツ拝見の時も思ったが雰囲気が普通にエロいんだよ。

大人の魅力を持っているというかレミリアさんに通じるものがあるな。

 

「だが筋は通さなくてはなるまい。博麗の巫女にしっかりと説明してから――」

 

「やめてください、しんでしまいます」

 

なんて恐ろしいこと言うんだ神子ちゃんは!?

いや、別に俺と霊夢ちゃんは何でもない……とはちがうだろうが、まあ家族?みたいなもんだけどさすがに軽い気持ちで女抱いてこようもんなら間違いなくしばかれる。

 

「ほっほっほっ、私に言葉遊びで勝とうなど645年早いな、一欲の君?」

 

「「さすが太子様!」」

 

「くっ……」

 

なんでそんな中途半端な年数なんだ!?…‥大化の改新か!

……いや意味わかんねえよ!?あとさっきからお前ら二人完全にふとじこになってんぞ?

 

「太子様が二つ頼むなら我も二つ頼んでいいかの?の?蘇を食べたいのじゃ!」

 

「蘇……?屠自古ちゃんを?つまり布都は屠自古ちゃんとエッチしたいと申すか!」

 

黄増の塔が建築されるのか!?

 

「違うわ阿呆!?」

 

まあ、当然のことながら否定されたが。

たしか蘇ってあれだろ、謎の食べ物(雑)

 

「さすがの俺も蘇の作り方とか知らねえよ、乳酸発酵飲料で我慢しろ」

 

「むう、おぬしでも作れぬのか」

 

「あれだ、無限の試作に付き合ってくれるならいつかできると思うぞ?ただ布都が太になると思うけどな」

 

河童スタイルで作ろう(成功するまでリトライしよう)と思えば、実際食ったことのある布都に味見してもらえばいつか作れるとは思うが、濃縮した乳製品のカロリーはたぶんやばい。間違いなく太ると思うぞ?

 

「さすがにそれはいやじゃな!?やむを得ん。我慢するか」

 

「屠自古ちゃんは?」

 

「えっ?あっ……いいのか?」

 

「まあ言うだけならただだし」

 

屠自古ちゃんは遠慮がないようで結構奥ゆかしい。さっきの酒の要求もどっちかと言うとおねだりに近い(俺の主観)感じだしな。

 

「ああ……その、なんだ、この前お前が作った弁当が食べたいな。高価なものだというのは理解しているが、あれはうまかった」

 

「この前って……海苔弁か。たしかに貴重品オンパレードだが、そこまで気に入ってくれたんなら頑張って作るぞ」

 

海苔、おかか、昆布、ちくわ天、本来なら白身魚フライなのだろうが俺はあえて鮭をのせる……天ぷらとフライを同時にするのが面倒だというのもある(し、フライすると油がめっちゃ汚れるので)

 

海のない幻想郷ではどれもこれもクッソ貴重品だが日本人には間違いなく刺さる弁当だな。

 

「そうか、ありがとう」

 

と柔らかく、そして少し斜め下を向いて視線をそらしながら礼を言う屠自古ちゃん。

すっげえ可愛い。

 

「すっげえ可愛い」

 

「かわっ!?可愛くなどない!」

 

おっと思わず口から洩れちまった、いや屠自古ちゃんは可愛いよ?

こう今も真っ赤になって撃沈してるとことか?

 

「我、それ食べてない」

 

「私も食べた記憶はありませんね」

 

と、二人から物言いがつく。たしか、あれは……

 

「ん?おお、町で出会ってしいたけ栽培手伝ってもらった時だからな。しってるか?榾木の近くに雷落とすとシイタケめっちゃ生えるんだぜ?」

 

あとはハンマーで何度かぶったたくとか言う方法もあるみたいだな。

 

「一欲の君、もちろん私にもご馳走してくれるのですよね?」

 

「我も我もー!」

 

「神子ちゃんはちょっと要求多くないですかねえぇ!?」

 

まあ、屠自古ちゃんだけ呼び出すならともかく、神霊廟に持ってくるなら人数分は持ってくるつもりだったけどな。

さすがに屠自古ちゃんも一人だけ食ってるとかできないだろうし、布都が分捕って行ったり神子ちゃんが献上せよとかいうの目に見えてるしな。

 

「さっき下着を見ただろう、その代金だ。私は安くないぞ、一欲の君よ?」

 

「いや、自分から見せたでしょ!え、なに?パンツ見せの押し売り!?」

 

「足りないのなら布都のも――「我売られた!?」」

 

「いや、布都のは別にいらん」

 

「ちょっ!?さすがに我の扱い酷くないかのっ!?ほれほれ下着じゃぞっ!」

 

とばっさばっさとめくって見せる布都。

なんだろう、フランと同じことしてるのにフランより色気感じないのは……これが残念補正ってやつか。

 

つうても買い物は屠自古ちゃんがしてるみたいだし中学生パンツなんだろ――

 

「なんだそれ」

 

「ふふ、せくしぃじゃろ?じゃろ?」

 

意外なことに布都が履いていたのは霊夢ちゃんが履いているのと同じ小さめの紐パンだ。まあ、確かに中学生パンツよりはいいものだろうけど……

 

「な、なんじゃ、その目は!?仏像みたいなっ!?」

 

うん、なんというか霊夢ちゃんの足元にも及ばない。ピクリとも来ないというか……なまじ霊夢ちゃんと同じの履いているせいで完全に下位互換というか……

 

「うん、布都にしては背伸びしたなあ」

 

「その父性にあふれた笑みを止めろぉ!あと撫でるなっ!我流石にちょっと傷つくぞっ!?」

 

布都がちっこいせいもあって完全に「姉の大人パンツをはいてみた妹」みたいな感じになってしまってるな。

可愛さはあるがエロスは微塵もないな!

 

「うむ、一欲の君から色欲が消えておる」

 

「た……太子様ぁ……?」

 

神子ちゃんの言葉がとどめになったのか布都はそのまま崩れ落ち、うなだれた。

魔理沙もそうだけど残念系ってエロスを超越するんだよな……妖精たちの方がまだエロス感じるってある意味すごいと思う。

 

「まあ、一人分も三人分も手間は一緒……じゃねえけどまあ宴会規模じゃなければ許容範囲だな、他に要求はないか?」

 

よく一人分作るのも二人分作るのも手間は一緒とか言うが、それは冷凍食品とかある現代の話だ。

特に揚げ物、焼き物は「人数増えたらその分手間が増える」これは純然たる事実だ。

 

煮物、汁もの、炒め物は純粋に具を増やせばいいので(炒め物は腕力が必要になってくるが)まあ、間違いではないけど、材料切ったりする分はちゃんと手間増えてるからな?

一人分も三人分も手間は一緒とか言っていいのは作る側であって、他人に言う人間(魔理沙)は材料の下ごしらえぐらい手伝え。

 

「ん?まだ要求してもいいのか?一欲の君。私たちの下着にそこまでの価値を見出してくれるとは……」

 

「価値はないわ!?あ、いや神子ちゃん()()、まあそれなりに「うぐっ!?」というか禹歩だって秘伝とかじゃないのか?」

 

布都にさらにダメージが入った気がするが、まあ布都だし放置でいい(非道)

そもそもめっちゃ話それまくってたが本来は禹歩教わりに来ただけなんだよな。

 

「秘術と言えば秘術ではあるが、そもそも道教に入門するとき、修行用の山に入る時に最初に使うからなんというか基礎というのすらおこがましいものだ。完全なる一般人はさすがに無理だろうが少し霊感がある程度でも行使できるからな?」

 

「あー俺一般人だしなー」

 

と嘯いてみるが、神子ちゃんに鼻で笑われた。

 

「はっ。一欲の君のような一般人がいるか。……まあ、つまり教えるのも会得するのも大して手間ではないということだ、布都」

 

「あっ、はい太子様」

 

「禹歩図を持ってくるように」

 

「わかりました、すぐお持ちします!」

 

「禹歩図?」

 

「運足を書いた布だよ。地面に敷いてその上に乗って数字の順に足を運ぶだけでいい。簡単だろう?」

 

「おお、便利なものあるんだな?」

 

「逆を言えば慣れるまではそれがないとわけがわからんということでもある。説明しづらいのだ」

 

「持ってきました!」

 

と、布都が禹歩図とやらを神子ちゃんに手渡す。

 

「これだ、一欲の君に下賜してやろう」

 

と、俺に手渡してくれる。

広げてみてみると…‥確かに面倒だなこの動き。

 

「私たちは中で待っている、試してみるといい……屠自古!いつまでもだえている!戻るぞ!」

 

「はっ!はい!太子様!」

 

「ではな」

 

そう言って三人は神霊廟から消えた。

ん?あれ?神霊廟に住んでるんじゃねえの?

 

「まあいいやとりあえず……」

 

と禹歩図を敷いてその上に乗る……数字書いてあってもあらかじめしっかり確認しないと間違いそうだなこれ?

 

「よっほっほっっとえっとほい、ほいほい……よっと……うおっ!?」

 

最後の一歩を踏んだら、何もなかった神霊廟の奥に通路が見えるようになった、なるほど、こういうことか。

 

「お邪魔しまーす」

 

「邪魔をするなら帰るがよい!」

 

「神子ちゃん、屠自古ちゃんお招きありがとう」

 

布都を完全に黙殺して二人に声をかける。

 

「ああ、ようこそ道場に。ここは修行場でもあり、我らの生活空間でもある、こっちへ来い」

 

と促されるままに歩を進めると、居間みたいなところに通された。

 

「おう、ここで生活してるのか……あれ?それなら神霊廟って?」

 

「古巣みたいなものだ。あとは立派なので客を迎えるのにはよい」

 

「ふーん……結構広いな?」

 

「ここもマヨヒガみたいなものだ。隠れ里系の術であるな」

 

と神子ちゃんが説明してくれる。

そういえばここが生活空間っていうなら……

 

「ところで屠自古ちゃんの部屋ってどこ?」

 

「それを聞いて何をするつもりだ貴様!?」

 

「え?あさるつもりだけど?」

 

「なんでそんなこと聞くの?ってさも当然の顔で言うなあ!」

 

なんでそんなこと聞くの?ってさも当然の顔で言ったところ屠自古ちゃんが絶叫した。解せぬ。

 

「我の部屋はあっちだぞ」

 

「興味ない」

 

「いい加減我も泣くぞっ!?」

 

流石に女の子を泣かすのは俺基準でNGだな。

 

「あー、わかったわかった。布都が可愛いから意地悪したくなっただけだ」

 

といってわしわしと烏帽子越しに撫でる。

可愛いのは確かなので嘘は言っていないぞ。

 

「ふ、ふふーん。そうじゃろそうじゃろ。我可愛いからなあ。まあ、その気持ちを汲んで許してやらんでもないぞ、ほれ、もっとなでるがよい」

 

うっぜえ……

すぐ調子に乗るところまでチルノと同レベルか!

 

「神子ちゃんの部屋は?」

 

布都を撫でながら問いかける。

 

「今のやり取り見て答えるとでも思っているのかな?一欲の君」

 

「まあほぼ確実に一番奥だろうけど」

 

「さあての、ほっほっほっ」

 

確定だな。めっちゃ目が泳いでるぞ!?

だいたいにおいて偉い人って奥にいるよな?

 

「とりあえず、稲荷食っちまおうぜ?藍ちゃんにはまた作るからいいだろ」

 

と背負い袋から重箱を取り出して開く。

 

「お、さすがに寄ってるな」

 

電撃食らったりして悶絶したからしょうがないが、多少不格好になっている。

 

「おう、美味そうじゃの……神子様まずは我が毒見――おぶっ!?」

 

失礼なことを言った布都に軽い地獄突きをかまして――

 

「布都はいらんそうだから三人で食うか」

 

と宣言する。

 

屠自古ちゃんが入れてくれたお茶を飲みつつ稲荷。

最初の予定とは違ったが、ま、今日はなかなか有意義な日になったんじゃないかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我にも、我にも食わせてたもれーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとか魔理沙でもマミゾウ倒せました。
ランダム性が強い弾幕と横から来る弾幕が苦手です。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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秋の味覚 モブイナバ・もふイナバ

移植品




秋の味覚

 

 

 

「お兄さん、えっと……できたよ」

 

「おー、さすが大妖精。手際がいいなー」

 

大妖精に虫食いのドングリ、および虫の食ってない栗を分別してもらっていたのだ。

 

「えへへ、そんなことないよ」

 

「いやいや細かい作業は大妖精が一番上手だからなー、と、石臼に移してくれ」

 

「うん、わかったよ」

 

なんでこんなことをしているかというと妖精たちが日ごろのお礼と栗やらどんぐりやら柿やらを持ってきてくれたんだが、一人数個でも妖精の数が膨大なため軽い小山ができてしまうぐらいの分量になったんだわ。なんでいろいろと作業しているわけだ。

 

さっきまで干し柿と樽柿を作っていたら、クソガキたるチルノが渋柿食って悶絶してた。

チルノなら皮むいた柿を凍らせれば簡単に(と言っても数日はかかるが)渋抜きできると言ったら何をおもったか凍らせてすぐ食ったんだよなあ……まあチルノだからな。

 

栗は栗で別に料理するがドングリは渋いの、甘いの、固いのとめっちゃ種類があるうえにごちゃまぜなので、もう全部まとめて石臼で粉砕してでんぷんを取り出すことにする。

現代人だとでんぷん(片栗粉)は中華あんや揚げ物ぐらいにしか使わないだろうが、ここでは水あめにする需要がかなり多い。

麦芽飴とか芋飴は食いもんを消費するためなかなかに貴重なのだ。その点どんぐりのでんぷんで作る水あめは大根のしぼり汁さえあれば(糖化するのに必要)ほぼノーコストで作れるからな。

 

もちろん鬼のようにアクが(渋柿と同じくタンニン)あるため、本来なら何度も水にさらして(流水だと流れるので面倒でも入れ替えて上澄みを捨てるやり方)やる必要があるが萃香ちゃんの能力で、でんぷんだけ簡単に取り出せるので、その辺はすごく楽だ。

 

「これから水あめができるなんて知らなかったです」

 

「そして水あめに砂糖を混ぜて練っていくと飴玉ができるんだよ、はいあーん」

 

「え、あーん?」

 

大妖精にイチゴ果汁を混ぜた飴玉を食べさせる。素直で優しい子なのだが、自己主張が薄い子なのでみんなでいるときは割を食うんだよな、大妖精は。

なので隙あらば甘やかす。

必要以上に甘やかすとだんだん挙動不審になっていくがそれもまた可愛い(外道)

 

「おいしい?」

 

「美味しいです」

 

大妖精を撫でて作業を続ける。といっても石臼でゴリゴリするだけだし、特に難しいことはない。あんまりスピード上げると摩擦熱で熱が入るのでそれだけ注意だ。

 

あとは海老煎餅などにもする。こいつは霊夢ちゃんの茶請けによくなってる。

川海老をゆでてすりつぶしたのと片栗粉、塩を少々混ぜて、平たくして焼くか油でパリッとするまで揚げるだけだ。ふわふわさくさくでうまいぞ。

 

たらいに挽いた粉を入れて、あとは水入れて萃香ちゃんにお任せすればOKだ。

お礼は片栗粉なので竜田揚げでも作ってつまみにもっていけばいいだろう。

 

トウモロコシでやるとコーンスターチができるが、この場合はナゲットになる、ナゲットうまいんだけど、おやつって感じで俺はあまり好きではないな。

 

大妖精と他愛もない話をしながら粉ひきを終える、つうてもまだいっぱいあるがたらいが満タンになってしまったので仕方ない。

腕もつかれたしな!

 

「ほい、こいつも食ってみ」

 

「えっと……いいんですか?」

 

「いいのいいの、味見は料理人の特権だ」

 

こんどは無花果を大妖精に与える。

丸のままではなくくし形に切って、皮も向いてあるのでフォークでぶっ刺して食えるようにしてある。

コツは皮をやや厚めに剥くことだ。そうすればそのままがぶりと行けるようになる。

大妖精の分はさらに半分に切って一口で食えるようにしてあるぜ。かじったときにポロリと落ちちゃうからな。

 

「ん、おいしいです、お兄さん」

 

「みんなが頑張って集めてきてくれたからなー。大妖精が持ってきた栗も後で料理するからなー」

 

俺も少し摘まんでまたもや大妖精を撫でて仕事に入る。大妖精もまだお手伝いしてくれるようだ。いい子!

 

「じゃあ、指で押して……簡単にぐにっていくヤツはこっち、そうじゃないのは俺にくれ」

 

「えっと力は……?」

 

「軽くでいいよ、簡単にいくやつは熟してるからすぐ食わねえとなんだわ、氷室に入れても数日かな?」

 

「うん、やってみるね」

 

ちなみに過去にチルノにやらせたら全力で行きやがるからすぐ戦力外通告を出したんだが、それでもしつこく「あちょー」とかいって突いてたので蟷螂拳(エセ、習ってはない)で肘のツボついたら悶絶してた。

 

「こんな感じ……かな?」

 

「どれどれ……おっ、流石だな。こんな感じでいいぞ」

 

とここでも手際よく作業をする大妖精。マジ有能。

撫でながら褒めると「いえ……そんなことは……ないですよ」とやや挙動不審気味、もう一息だな(外道)

 

さておき俺は固い無花果をさっとゆでで(あく抜きと殺菌のため)ざるにあけて冷ます。粗熱が取れたら橙のしぼり汁や酢橘など酸味のある汁をかけてたっぷりの砂糖をまぶしてしばし待つ。

その間も大妖精を愛でるのを忘れない。

 

しばらくすると、漬物と同じく水が上がってくるので、それを使ってとろ火で煮あげていく。マイクロ八卦炉マジ便利。

無花果のコンポートの完成だ。

熱いうちに殺菌した(お湯でゆでればOK)瓶になみなみと詰めて封をする(これで真空になる)氷室で一週間凍らせて氷室で一か月、完全に凍結させれば半年は持つぜ……まあ華扇ちゃんが結構食うんでそこまで持たねえけど。果実だけ、煮汁だけでも使い道は多いので結構便利だ。

 

できたばっかりのを軽くトーストしたパンなどにのせて食ってもうまい。大妖精も「ふあああ」とかいってご満悦だ(今食わせた)

 

「えっと、私ばっかり美味しいもの食べて、いいんでしょうか……」

 

「ん?大妖精はいつもお手伝いしてくれるいい子だからなー、たまにはいいだろー」

 

となでなで。「ああ、でも……」とか言ってる。可愛い。

 

次に栗!

 

「これは大妖精のクリちゃんだなあ、大きいなあ」

 

「あ、はいがんばりました」

 

軽いセクハラも通じず、ピュアだなあ(むしろ俺が汚れすぎ)

だが、たぶんラルバ辺りには余裕で通じる、意外にリグルにも通じたりする。

 

先ほど仕分けしてもらった時にすでにぬるま湯に漬け込んであるので、だいぶ柔らかくなってる。

こいつをペティで切り込みを入れて……まずは鬼皮(外部の硬い奴)を剥く。

 

「大妖精は渋皮剥いてくれ、鬼皮剥き終わったら俺もやるからゆっくりでいいぞ、怪我しないようにな」

 

「はい、大丈夫です」

 

ん、とひと撫でして二人で作業する。

妖精連中の中で刃物持たせられるのは大妖精と三月精(意外に料理する)ぐらいだな。

もっともかぼちゃとか栗とかちょっとコツがいるものは大妖精とルナチャイルドにしか任せられない。

さらに魚をさばくとかになると、大妖精の独壇場だ。

いやマジで有能だな大妖精。

 

「大妖精は一家に一人欲しいぐらい有能だな」

 

「いえ、その私なんて全然……」

 

というか大妖精いなかったらチルノまともに食えてないと思うぞ。

俺?まあ腹すかせてたら食わせるけど(なんだかんだ甘い)

 

鬼皮を剥いていく作業中に特に立派なものはわきによけておく。

それを見た大妖精が俺に問いかけてくる。

 

「ふえ?お兄さんそれは……?」

 

「ん?これは形がいいからな、マロングラッセにする」

 

「まろんぐらっせ?」

 

「出来たら最初に食べような」

 

と撫でる。

 

「えへへ、楽しみですお兄さん……なんか私ばっかりいいのかな…‥?」

 

「いいんだよ、大妖精はとってもいい子だからね」

 

「え、う、うんわかりました」

 

よし、もう一息って感じだな!(外道)

 

剥かれた栗は一部を除いて(今日は栗の炊き込みご飯を作る迷いの竹林のせいでたけのこご飯に季節感が全くないのでこれこそ季節の味である)甘露煮にする、しかも砂糖マシマシのだ。

糖度をあげることによって年単位で持つようになるのと、甘くて美味しい栗きんとん(品種改良されてないサツマイモなのでそこまで甘くないのだ)を作るのにも使えるぜ。

色には別にこだわらないのでクチナシを使うのも無しだ。一旦下茹でして、そのあと水と砂糖だけで煮あげていく。マロングラッセのように追い砂糖をして糖度マシマシ。完成だ。

 

「味が染みてはないけど熱が入ってるからほくほくしてうまいぞ、食ってみ」

 

と小皿に入れて大妖精に渡す。

 

「はくっ……栗ってこんな甘くなるんですね!美味しいです!」

 

「グラッセはさらに甘くなるぞー、とはいっても数日掛けて追い砂糖してくから、今日は食えねえけどな」

 

「ふああ、まだ甘いんですか」

 

「さっきも言った通りちゃんと食わせるからなー」

 

と、また撫でり。

大妖精の髪はすごいサラサラで触り心地が特にいい、髪質そのものが柔らかいんだと思う。

 

「お兄さん、撫ですぎです……」

 

「嫌だったか?」

 

「嫌じゃない……けど……私、いいのかな私だけ、こんなにぽかぽかな気分になって……」

 

「大妖精がいい子だからいいんだよ」

 

「いい子……じゃないかも……」

 

「ん?どうしてだ?」

 

「だって、お兄さん独り占めしてるから……」

 

「逆だ逆」

 

「え……?」

 

「俺が大妖精を独り占めしてるんだよ、だから気にすんな、な?」

 

「うん……」

 

「さ、次はリンゴやら山ぶどうやら、コケモモやら、全部ジャムにするぞー、想像してみろ。どのジャムをつけて食べようか迷うぐらいのジャムがあるところを!」

 

「えっ……ふわあ」

 

「グッドな笑顔だ!さあ、それを現実にするためにもうひと頑張りしようぜ」

 

さっきから砂糖がチートな俺だからできる暴挙だな。

本来冬支度は大抵塩だ。まあそういうのは霊夢ちゃんに任しておいて俺はひたすら甘いものを量産するのさ!

 

ジャムを煮ながら(そしてつまみ食いしながら)大妖精は言った。

 

「どうしよう……」

 

「ん?どうした?太る心配か?」

 

「ちがう……チルノちゃんより…‥お兄さんが……な、なんでもないです!」

 

「ん、そうか?チルノと言えば出来たら少しチルノのとこにでも持って行ってやれよ、あとリグル。フレッシュだからうまいぞ。あとで知ったら大妖精ばっかり狡いって怒るだろうしな」

 

「ううん、ありがとうお兄さん……私なんかをいつも気にかけててくれて……大好きです

 

「何か言ったか?」

 

「秘密です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モブイナバ・もふイナバ

 

 

 

「ちっ……相変わらず逃げ足の速い……」

 

迷いの竹林でてゐを発見したので今日こそモフり倒してやろうと捕獲を試みたが、またもや逃げられてしまった。

初遭遇の時にちょっと苛烈なお仕置き(と言っても痛いことはしていない。ひん剥いてガマの穂でくすぐり倒しただけである。まあ最後は息も絶え絶えになっていたようだが)をしただけで少なくとも霊夢ちゃんたちみたいに吹き飛ばしたり処したりしていないので、十分優しいとおもうんだが、それ以来俺の顔を見ると、文字通り脱兎のごとく逃げ出してしまう。

 

お仕置きされるようなこと(俺を泥の落とし穴に落とした挙句、穴をのぞき込んで煽ってきたうえにさらに上から泥まで落としてきた)をする方が悪いと思うのでやりすぎとは思わないんだがなあ……

 

少なくとも同じことを不機嫌な時の永琳ちゃんにやったら今頃兎のホルマリン漬けぐらいになってると思うぞ?

 

空き地にどっかと座り込んで水筒の茶を煽る、追いかけっこしてたので喉が渇いていたため実にうまい。

 

草団子も食いつつ休憩しているとぬいぐるみのような兎が現れた。

 

相変わらず奇妙な造形しているけども、これはこれで可愛いし、本物の兎と間違えてうっかり狩ってしまうことも無いので安心と言えば安心できる。

 

「おー、イナバか。草団子食うか?」

 

と団子を差し出すとふんふんと匂いを嗅いでから(こういうところは動物っぽい)かじりついた。

もちろん普通の兎にこういうものを与えてはいけないが、イナバは人間に近い雑食である。普通に肉だって食うし、なんなら兎も食う(むしろ優曇華ちゃんが兎肉食わない)ので特に与えるものに気を使う必要はない。

食い終わった後ぺろぺろと舐めてくるのが可愛らしいが、少しくすぐったい。

 

イナバホイホイ(胡坐をかいて座っているとすっぽり収まってくる)をするまでもなく、いきなり倒れ込んでだらーんと脚を伸ばしたまま目を細めてる。

 

最初は急死したかとおもって(おにぎり食わせたのもある、のどに詰まったかと)めっちゃビビったが、兎は人間みたいによっこいしょとゆっくり横になれないのでこうやって卒倒したかのようにいきなり倒れ込むということが観察の結果わかったんだよ。

 

うりうりというかんじで目の下を撫でたり、おでこのあたりをわしわししたり、背中を毛並みに沿ってゆっくり撫でてるとぎちぎちと音が出る。

歯ぎしりしているんだが、これ、嬉しい時に出るんだぜ?最初めっちゃ威嚇してるのかと思ったわ。

 

存分にイナバをモフっているとぷるぷると小刻みに震えはじめた。

お?これはもしや……?とおもっていると、ぴょんと俺の懐に飛び込んできたので抱き留めてやる。

背中を撫でながらゆっくりとイナバの中に渦巻いている力(何の力かは不明、妖力に近いが神力の気もする)を撫でに合わせてかき混ぜるように導いてやる。

 

ぶるぶると瘧のように痙攣するイナバを優しく撫で上げていると……

 

 

 

 

 

ぽふん

 

 

 

 

という小さい破裂音とともにかわいらしい少女……幼女?が俺の腕の中にいた。

てゐに姿が似ているが、より幼い感じだ。幸い服は着ているので犯罪的な絵面にはならないで済んでいる……幼女を膝に抱いて撫でてるのはセーフだよな?

過去にねこまた誕生に出会ったことがあるがその時は全裸だったのでひどい目にあった。なぜか文に写真撮られているし……

 

「落ち着いて、ゆっくりと人化が定着するまでこのままでいいからな?」

 

いまだ目をつぶってふるふるしているモブイナバ(人化しているときはこう呼ぶことにしている)のあたまをなでながら、ゆっくりとチカラを調律していく。

俺はいろんな力を使うのでこういう作業は得意なのだ。

 

やがて落ち着いたのか震えも止まりゆっくりと目を開ける、背中側から抱いているので、二、三度きょろきょろした後、身体をひねるようにして俺と目を合わせてくる。

 

うん、可愛いな。

 

「落ち着いたか?」

 

そう声をかけると、こくんとうなづいてから顎を俺の方にのせるようにして顔に頬を擦り付けてくる。

プニプニスベスベの肌が心地いい。

 

完全に身体がこっちに向いたので背中を軽くなでながら妖力がちゃんと滞りなく流れているか確かめる。

たまに、兎に戻れないモブイナバがいるのだ。

……この子は大丈夫っぽいな。

 

「うん、大丈夫だな。おかしいところとかあるか?」

 

そうきくとふるふると首を振って小さい声で答えた。

 

「だい……じょ…ぶ」

 

そう言ってから俺の頬を舐める。

動物にやられると親愛の情だが幼女とはいえ女の子にされるのは少し気恥ずかしいな。

 

さらに半時ぐらい話をしながら甘やかして様子をみていると再び「ぽふん」という音とともにイナバの姿に戻った。

妖力が切れたようだな。

 

「よっし、コツは掴んだはずだからあとは徐々にならしていくこったな。動けるか?」

 

そういうとイナバは顎を膝に擦り付けてから、こくんと頷いた。

 

「ん、強いいい子だ。じゃあ、俺はいくけど見かけたらじゃれつきに来いよな?あ、あとてゐの言うことは聞かなくていいぞ」

 

そういって膝からイナバを下ろすと、二三度こちらを見てから竹林に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近頃孵化場というか、俺のとこで人化するイナバがやたら増えたような気がする。まあモフモフは正義だからいいんだけど。

役得というわけではないが反てゐグループを作れないかなと実験している。

目指せ下克上だ。

 

 

 

 

 

 

 

遠くない未来。モブイナバに簀巻きにされたてゐが俺に献上される未来が……あるのかもしれない。

 

 

 

 

 




可愛いは正義


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パルスィちゃんが地上に来た話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1300人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者の家無しじゃない無銘だ様、Die-arche様、ティアール様、Muro.y、ベジタブル様、孝也様、提督様、64b様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)
今回結構直した結果こいしのでばんが削れました……
新規にこいしのお話を作ってパンチラに入れるかもです




一仕事終えて人里で何か買って帰ろうかなーと、うろついていたところ、見覚えのある少女の姿が目に留まった。

 

「おーい、パルスィちゃーん!」

 

水橋パルスィ。

語尾が「妬ましい」というちょっと変わった喋り方をする女の子だ(違)

ちなみに性格はすごくいい。多分幻想郷でも五指に入るぐらいのいい子ではなかろうか。

 

きょろきょろと辺りを見回した後、俺に気付いたのか「てててっ」っと小走りでかけてくる。

 

うん、こういうところなんだよなパルスィちゃんが可愛いいい子なのって。

 

「誰かと思えばあなたなの?元気で妬ましいわね」

 

「おう、いつも元気だぞ。で、パルスィちゃんが地上に上がってくるって珍しいな?というか異変解決以外で初めて見るかも?」

 

パルスィちゃんは基本的に地底にいてたまに異変に巻き込まれたりしたとき出てきたり、解決後の宴会にいたりはするけど、普段は地上では見たことはなかったはずだ。

 

「あなた、私の事を逐一見てるの?暇なのね、妬ましいわ」

 

「パルスィちゃんの綺麗な金髪は目立つぞ?目に付くところにいたらすぐ気づくさ」

 

「また!あなたは!軽々しく!そういう!ことを!」

 

「はっはー事実だからなあ」

 

パルスィちゃんのぺちぺち頂きました!

正直パルスィちゃんと話すときはこれをもらわないとエンジンかかんねえよな(外道)

 

それに嘘はついてないしな、同じ金髪でも魔理沙とかよりワンランク上の輝きなんだよな。

魔理沙は手入れしてないからとしても、普通にアリスちゃんやルーミアよりも輝きが上だ。

なんだろう、エルフ耳だしエルフ補正なんだろうか?

ちなみに藍ちゃんも同じぐらい綺麗だが、こっちも九尾補正なのだろうか……?

 

「ところで何の用かしら?」

 

「え?そういわれると……とくにはないけど。パルスィちゃんと話したかっただけだけど?」

 

あとたたかれに来ました(変態)

 

「またあなたはそういうことを軽々しく……妬ましいわね」

 

「で、パルスィちゃんはどうしたんだ?珍しく地上に来てるみたいだけど」

 

「ん、そのちょっとね……そう、こいしをみなかった?」

 

ん?こいしちゃんを?珍しいな、パルスィちゃんは地霊殿の面子とかかわるの好きじゃないのにな。

……よし、ここは……

 

「こいしちゃん?みたよ」

 

「えっ!?どこで!?」

 

「はい」

 

と足元の小石を拾ってパルスィちゃんに手渡す。

 

「ちーがーうーでーしょーっ!!」

 

手渡された小石を地面に叩きつけて地団太を踏むパルスィちゃん。

いやあ、いい仕事したなあ、俺(外道)

 

「あなたねえ……!」

 

と怒りで頬を紅潮させ、にらみつけてくるパルスィちゃん。語尾が普通になる程度には怒りが高まっているようだ。

 

「パルスィちゃんが怒った顔可愛くてつい……」

 

「あ、あなたってばいつもそう!本当にもう!能天気で妬ましい!」

 

とりあえず弄りすぎても(パルスィちゃんは本格的に怒ると「つーん」とかいって相手してくれなくなる。いや、その「つーん」が無茶苦茶可愛いのでたまに見たくなるが)はなしがすすまないので地上に上がってきてまでこいしちゃんを探している理由を聞くことにする。

……正直厄介ごとの気がしてならないが、パルスィちゃんをほおっておくという選択肢は俺にはないな。

 

「で、なんでこいしちゃんを探してるんだ?」

 

「その……ちょっと……ね」

 

「パンツでも盗まれたか?」

 

「あなたじゃないからそんなことしないでしょ!」

 

「失礼な!俺は盗んだりはしないぞ?」

 

霊夢ちゃんの洗濯物?あれは……その……借りてるんだよ。魔理沙と違ってちゃんと返してるからノーカン!

 

「まったく、その図太さが妬ましいわね。まあ、でもたしかに盗まれたというか……持っていかれたのだけど」

 

「パンツを?」

 

「あなたって人は!いい加減!そこから!離れなさい!」

 

「はっはー、パルスィちゃんは可愛いなあ」

 

ぺちぺち最高だな!

 

「まあ、まじめな話、何かもってかれたからこいしちゃんを探してるんだな?」

 

「ええ、まあそうよ。まったく、妬ましいわね」

 

何について妬ましいんだろう……?

まあさておきそういうことなら……

 

「んじゃあ俺もこいしちゃん探すの手伝おうか?」

 

「……いいえ、結構よ、気持ちは、その……嬉しいのだけど、こいしの持って行ったものを見られたくないの」

 

「やっぱりパ――「そ・こ・か・ら・離・れ・な・さいっ!」いだだだだっ!?」

 

「あっ、ごめんなさい……」

 

両手で俺の腕持って雑巾でも絞るみたいに左右にねじってきたぞ!?

ここに来ての新技か!?めっちゃ痛いわ!でも謝れるパルスィちゃんやっぱりいい子!

 

「許すから代わりに俺に手伝わせてよ、パルスィちゃん。一人じゃ大変だろうし、おれもパルスィちゃんと一緒だと楽しいしな」

 

「またあなたは……きっと誰にでもそんな風に優しいのでしょうね、妬ましいわ」

 

「誰にでもじゃねえぞ?」

 

「えっ……?……なによ……妬ましいわね」

 

「何がだ!?まあ、パルスィちゃんがいい子だから力になりたいってのは本心だぞ?」

 

天子とかには塩対応だし魔理沙みたいな自業自得の事が多い場合は手伝わない。

俺だってそこまで暇ではないのだ。

 

「勘違いしそうになるわね……本当に妬ましいわ……そうね、手伝ってもらってもいいのだけれど……」

 

「だけれど?」

 

歯切れが悪いな?なにか他に問題でもあるのか?

 

「こいしを見つけたら私に任せてくれる?」

 

「めっちゃ可愛い」

 

「な、なんでそんなこと言うのよ!?本当に妬ましいわね!ああ、妬ましい妬ましい!」

 

素で出てしまった。

だって「任せてくれる?」と同時に首を「こてん」と傾げるとか反則以外の何物でもないだろ。

条約違反レベルの可愛さだったぞ?

 

「パルスィちゃんいったい何に妬ましがってるんだ……!?」

 

「あなたのその……!何でもないわ!」

 

「むう……?」

 

まあパルスィちゃんの妬ましいは語尾キャラの語尾みたいなもんだしな、深くは気にしないでおくか。

 

「で、結局はこいしちゃんをさがすんでいいんだな?」

 

「ええ、でもくれぐれもわすれないでね、こいしは私に任せて。お願いね?」

 

これだけ念入りにお願いしてくるって、本当に何があるんだ?

いや、本気で下着盗んだとかはないだろうけど、見られたくないものでも持っていかれたか?

こいしちゃんは無意識に悪戯することあるからな……

 

 

「おう、パルスィちゃんがそこまでいうならこいしちゃんは任せるわ。で、どうする?手分けして探すか?」

 

「……なんとなくだけど、あなたがこいしを先に見つけたら余計な事しそうね……余計な知恵が回って妬ましいわね」

 

「ソ、ソンナコトナイヨー」

 

おうふ、ちらっとかんがえたことが読まれている!

……いや、だって気になるじゃん?

 

「……それにせっかくだから……一緒に……こほん。どうもよこしまな雰囲気を感じるから一緒に行動しましょう」

 

「くっ信用ねえな俺!」

 

「胸に手を当てて――きゃあっ!?なっ!わっ!この、私の胸じゃ!ないでしょう!?」

 

「えっ?違うのか!?こいつは驚きだ!」

 

ふにゅとかふにょんって感じの程よい感触。控えめだが極上の柔らかさだな!(助平)

自分からくっつけたりするのは平気な癖にパルスィちゃんのはたく力が「ぺしぺし」から「ばしばし」になってるのはなぜなんだろう。解せぬ。

 

「本当にあなたって……」

 

「パルスィちゃんが可愛いのが悪い!」

 

「いいかげんにしなさい!」

 

 

 

「あ゛ーーーーっ!?」

 

 

 

 

怒りのパルスィちゃんが抓ってきた。

しかも皮一枚だけを爪を立てて抓るという、ある意味最高級の痛さの抓り方だ。

流石の俺も悲鳴を上げる。勇儀ちゃんにどつかれたときより痛い気がするぞ!?

 

「ふんだ!」

 

いつも俺が悲鳴を上げると謝ってくるパルスィちゃんがガチご立腹である。

……怒り方も可愛いなぁ!(馬鹿)

 

まあ、本気で怒らせたくはないので(もう怒っている気もするが)あやまりつつ機嫌を取ることにする。

 

「ごめんなさい!しばらくはまじめにやる」

 

「……しばらく?」

 

ピクリと眉を吊り上げてこちらを見てくるパルスィちゃん。

いつもは可愛らしい雰囲気の残る顔立ちだが、素は綺麗系なので冷徹な表情をすると普段の十倍ぐらい怖い。

 

「あ、ああ。できる限りというか、なんというか……俺って真面目がつづかないだろ?だから精一杯頑張るってことで何卒!」

 

と拝むように手を合わせてパルスィちゃんに懇願する。

 

「……はぁ、わかったわよ。そういう人ですものね、あなたは。まったく、妬ましい」

 

どうやら許してくれたようだ。

もっとも本気でしばらくはボケるわけにはいかんだろうが……頼む、持ってくれよ、俺の自制心!

……どうあがいても芸人魂の方が上回る気もするけどな!

 

「まあ、いいわ。こいしがいきそうなところって心当たりあるかしら?」

 

「パルスィちゃんノープランで探しに来たの!?」

 

正直幻想郷の中で一、二を争う捜索難易度がこいしちゃんだ。

その難易度は姉のさとりちゃんですら一度見失ってしまうと発見が難しいというありさまである。

 

「よく命蓮寺にいるって聞いて、いってみたのだけど……」

 

「いなかったわけだな?」

 

「ええ、それと氷精とかとも遊んでるって聞いたからそこも見に行ったんだけど……やっぱり見当たらなかったの」

 

うーん、確かにそれらは頻度が高いけど、こいしちゃんてじつはもっといろんなところに出没してるんだぜ?

紅魔館、あるいは霧の泉のほとりでフランと一緒に謎会話(会話というより各々のお姉ちゃん自慢でめっちゃ噛み合ってない。が、なぜか最後には話が通じている、霧の泉の場合はチルノたちも含めて遊んでたりする)してたりルーミアと無言で見つめあってたり(これも謎だが無言なのに意思疎通ができているみたいなんだよな、なんかうなずいたり、首振ったりしてるし)はたまた小傘ちゃんで(小傘ちゃんとではない)遊んでたりしてる。

アリスちゃんの人形劇見てることもあるしな。

 

まあ、思ったより結構いろんなとこにいるわけだ。

 

「こいしちゃんは結構いろんなところにいるぞ?簡単に見つけようと思ったら……そうだな上海人形でも連れてくればいいかな?」

 

「あのうるさい人形遣いの人形?」

 

「正確には上海ちゃんの連れている上海人形だな……ややこしいな。量産型上海人形というべきかな?」

 

「上海ちゃんねえ……あなたお人形遊びもするのかしら?アリスの連れているモノでしょうに……妬ましい」

 

「ん?それなりに自我があるなら、俺は一個の人格として扱うぞ?元が生きてないからだから駄目とかそんなこと言ったら付喪神連中全部ただのモノだろ?あと雲山みたいな使役系も」

 

あと可愛いしな!(雲山を除く)

雲山も応対になれれば普通のおじさんだったりする。

少しばかり寡黙なのと自分の意思での意思疎通が遅いので無言で見つめあう時間が長いだけで、ゆったりと構えていればちゃんと意思疎通を試みてくれたりもする。

……意思疎通に便利だと思ってこっくりさんボード使ったら、なんかやばいもん出てきて、藍ちゃん、椛ちゃん、マミゾウにめっちゃめちゃ怒られた記憶があるがな。

 

「あなたのそういうところ、嫌いじゃないけど妬ましいわ。で、その人形がどう役に立つの?」

 

「こいしちゃんの能力はめっちゃ平たく言うと「いるのに認識できない」だけなんだ。で、この前気づいたんだがスマホのカメラには普通に映ってるんだよ」

 

「すまほってあなたが持ってる板の事?珍しいものを持ってて妬ましいわ」

 

「もっとも映っててもその瞬間は認識できないんだけど、録画を見直せば認識できる。量産型上海人形も仕組みはわからないけども「いる」のは認識できなくても「いた」のは認識できるから、探しやすくはなるぞ?」

 

「よくわからないけどわかる方法があるのね、妬ましい」

 

「まあな、じゃあアリスちゃんと上海ちゃんのところにいって協力を――「妬ましいから止めておくわ」ええっ!?なんでっ!?」

 

「……あなたのそういうところ、本当に妬ましいわ。なんででもよ。ほかに方法はないのかしら?……誰かの力を借りる方向以外で」

 

「いきなり難易度あがったな!?」

 

ノーマルからルナティックにすっ飛んだ感じだぞ。

基本的に直接見ることはこいしちゃんが見せたいと思っていないとほぼ不可能なんでその条件では厳しすぎる。

他の方法もにとりの映像機や月の監視装置(そもそも月に行くのが面倒なので頼む気は元からないけど)とかぐらいしかない。

チルノやルーミアやフランと遊び倒しておびき寄せるのも誰かの力だしなあ……

 

しかしなんで誰かの力を借りるの嫌なんだろうか?……やっぱパンツでもってかれたか……いや、誰かに知られたくないもの……そうか!

 

「パルスィちゃんのパッド入りブラか……!あだだだだだだっ!?」

 

「今の言葉がどういう思考で出てきたかなんとなくだけどわかってしまうようになった自分が悲しいわ……妬ましいすら出てこない」

 

ギリギリと手首をつかんで圧をかけてくるパルスィちゃん。

なんだかんだいって強い妖怪なんですっげ―痛い!

 

「大丈夫レミリアさんも咲夜ちゃんも持ってるか――折れる折れる折れる折れる!?」

 

ミシミシ言ってる!やばいって!

 

「あなたのしばらくって、こんなに短いの?早すぎない?釣鐘に閉じ込めたら反省する?」

 

「ごめんなさい!なんでも言うこと聞くから許して!」

 

病んだ目で言われるとさすがにすっごい怖い。

そういえばパルスィちゃんに嘘つくのってある意味鬼並みにNGなんだったっけな。過去のトラウマが出るらしいから。

あとさすがにこれを言ったら手首砕かれそうだけど、だめだ、俺の魂が言えと、ガイアが俺に言えと囁いてくる!

大丈夫!骨折ぐらいなら直せるアイテムがある(貴重品、たぶんこんなことで使ったら間違いなく怒られる)

 

「可愛い子に短いとか早いとかいわれるの嫌です(真顔)」

 

そう言って激痛に備えて(備える位ならやるなと言われるかもしれないが、やるのだ)いたがなにもおきない、どころか掴まれていた手首から力が抜けて……なんかパルスィちゃんが自分の頬に手を当てて……なんだろう、吊り上がろうとする頬を抑えているような感じだ。

 

「そうね、あなたがそこまで言うなら……許してあげてもいいわ。で?」

 

「えっ?でって?」

 

いきなり怒りが雲散霧消したのなんでだ!?あとでって?

 

「他の方法、思いついたりはしたの?」

 

ああ、そっちか。

何でもするに対して何かさせられるかと思ったわ。

 

「そっちはあとでちゃんと権利を行使するわ」

 

「こころ読んでない!?」

 

時々……たまに……結構、よく女性陣は俺の心を読んでくるんだがなぜだ?

霊夢ちゃんが言うには「わかりやすすぎてコメントしようがない」って言ってたが……

 

「それよりも、どう?」

 

「うーん……さすがにおれとパルスィちゃんだけだと難しいかな?こいしちゃん探すのに一番簡単なのは機械系で、次は人海戦術だしな」

 

だいたいにおいて古明地姉妹の能力はどちらも強すぎる。

幸いというかなんというか、幻想郷の戦いはかなり優しいのであまり強さが目立たないだけで、俺がなりふり構わず戦えというなら間違いなく古明地姉妹の能力は借りたい。

 

相手の行動が読めてこちらが知覚されないって「真正面からステルスキル」とか訳の分からないことできるからな。強いに決まってる。

 

「そう、なら別に無理しなくていいわよ。私の本来の目的はこいしとあなたを接触させないことだから、あなたと一緒にいればそれができるからね。それにしても厄介な能力というのがよく分かったわ、妬ましいわ」

 

「ん?そんなんでいいのか?てっきり捕まえる必要があると思ってたが……」

 

「最終的にはね。でも見つける方法がないのだから、次善の策を取ったほうがいいと思ったの」

 

「いや見つける方法はあるけど人の手を借りるのはいやだってパルスィちゃんが言うから……」

 

「いちいち文句言わないの!妬ましいわね。ほらいきましょう!」

 

「おいおい、急に……」

 

「何?」

 

「い、いやなんでも」

 

怪訝な顔で俺を見るパルスィちゃん。

だって、ナチュラルに手をつないで引っ張られたんだぜ?

生まれてこのかた女の子と手をつなぐとかした覚えはない(記憶ねえけど)少なくともこう、なんだ。ちゃんと意識できる女の子と手をつなぐってある意味すげえ貴重だと思う。

腕を組まれることは(連行も含めて)結構あるんだけどな!とくに映姫ちゃんにはしょっちゅう連行されてるぜ!(自慢にならない)

あと幼女はノーカン。ルーミアとかフランとかしょっちゅうつないでる。これはどっちかというと「ほっこり」するんだよな。今みたいにどぎまぎはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パルスィちゃんと歩くのは地底以来だなー」

 

「そうね、結構久しぶりの気がするわね。宴会の時はいつもあなたは料理ばっかり作っているし……いつのまにか女性に囲まれているしね」

 

「お、おう」

 

なんかつないだ手に力こもってませんか?

 

「まあ、いいわ。今日は妬ましいぐらいいい天気なのですもの。こうやって歩くのもいいものだわ」

 

「そうだな」

 

「地上ってあまり来ないのだけど、ある意味地底の方がにぎわってる気がするわね」

 

「たぶんあってる」

 

平然としゃべっているようだが、緊張のあまり俺の言葉は少なくなっている。

え?なんでかって?

 

 

 

 

 

恋人つなぎされたらそうなるわっ!!(魂の叫び)

 

 

 

 

 

 

パルスィちゃんはなんでこう……ガードが甘いのか距離感が近いのか……

ある意味腕組まれるより緊張するわ!?

手汗出てねえだろうな……?はなされて手を拭かれたりとかしたらたぶん俺精神的に死ぬ。

 

平然とこう言うことができるパルスィちゃんが妬ましい!

あ、うつった。

 

「楽しく……ないのかしら?上の空だけど……?」

 

「あ、いや、ちがう、そうじゃなくて、あの、あれだ、ほらあれなんだよ」

 

妖怪しどろもどろ爆誕。

どーすりゃいいんだ、下手にごまかしてパルスィちゃん悲しませるのは言語道断だけど、この何とも言えない気持ちを伝えるのも悶絶するぐらい精神的にキツイ!

 

「……迷惑ならはっきり言って、そういう態度妬ましいわ」

 

「いや、そうじゃなくて……手!手!」

 

「手……?あっ!?」

 

ビクッとして手を放すパルスィちゃん。

去っていくぬくもりに少し寂しさを感じた。

 

そのあと手を見てちょっと寂しそうにしている俺に気付いたパルスィちゃんがわたわたと説明する。

 

「あ、いえ、これはいやなのではなくて、無意識につないでいたから……」

 

「おう……やっぱりナチュラルにやってたのか……だめだぞ、パルスィちゃんは可愛いんだから気を付けないと。ほかの男にしてたら俺が妬ましい連呼するわ」

 

「だっ!だれにでもするわけないでしょう!馬鹿!妬ましい!」

 

妬ましいが罵倒の代わりになってんぞ!?

 

「お、おう、喜べばいいのか?」

 

「……忘れなさい」

 

ぷいとそっぽを向いてつぶやくパルスィちゃん、パルスィちゃん超かわいい。

 

「パルスィちゃん超かわいい」

 

もちろん心の中で収まるわけもなく口から垂れ流す。

そうすると……

 

「また!あなたは!そんなこと!」

 

ぺしぺしと叩いてくる。うんうん、やっぱりこれがないとね!

 

「いやあ、パルスィちゃんが無意識に手をつないでたのと同じで、俺も無意識に出るんだわ」

 

「私は無意識ってわけ――そうね、無意識ね。妬ましい」

 

「お互い無意識なんだからしょうがないしょうがない。あれだ、きっとこいしちゃんのせいだな」

 

「ふふ……なにそれ……でも、そう、そうねこいしのせいかもね」

 

そういって俺と手をつないでくるパルスィちゃん……うむ?なんかぷにぷにしてて小さい……?

 

「私のせいじゃないよー?お兄ちゃん」

 

「のわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

俺とパルスィちゃんの間に手をつなぐような形でこいしちゃんが現れた。

相変わらず神出鬼没だな!?

 

「あーそうだな、ごめんごめん」

 

「ん、許してあげるー」

 

と、にこにこ顔で返事をくれる。

でも、俺は知っている。

こいしちゃんはこいしちゃんで笑顔以外がうまく作れなくて悩んでいることを。

怒っていても悲しくても笑顔になるから、あるいみ一番気を使う。

俺は女の子を泣かせるのは絶対にダメだと思っているからな。

 

「でもこいしちゃんは久しぶりに見たな。前は結構声をかけてくれたのに」

 

「お兄ちゃんといるとパンツ見せないとだめだって言われたしー」

 

「誰だそんなこと――いだだだだだっ!?パルスィちゃんマジ痛い!いや俺そんなこと言ってないから!」

 

こいしちゃんをはさんで反対側にいたパルスィちゃんにいつの間にか足踏まれてるんだけど!?

無意識を会得したの!?動き全く見えなかったよ!?

 

「チルノとフランー。あとリグルは苦笑いして頷いてたー」

 

「あのチビども……!」

 

いや確かに見せられるととりあえず確認はするけども、それは俺のパンツソムリエのさがであって自分でまくったりはしないぞ!(お子様相手には)

 

「えっちな視線むき出しはだめだよー。でもしょうがないか―。彼女いないからでしょー?せつなーい」

 

「うごっ!」

 

精神的ダメージを受けた。

こいしちゃんはフランと同じような感じで幼いように見えて時々幼くない。

フランが時々老成した雰囲気だすように、こいしちゃんは時々ギャルになる。しかも結構毒舌の。

 

「そ、そういえばさとりちゃんは元気にしてるかな?」

 

と話を逸らす。

 

「んー、お姉ちゃんはなんか地霊殿のお庭に水路作って水遊びしてるよー?何が面白いのかはわからないけど、せき止めてくねくねしたり、決壊させてびくんびくんしたりしてるー、あとぶつぶつ数字数えててなんかきもーい」

 

「……そうか」

 

うん、この話題は失敗だな!(虚空に向かって目をそらし)

解除するの忘れてたし完全に深く入ったままになってんなー……

話題……なにかこの空気を何とかする話題を……

 

「あっ!そうだ、こいし!あなた私のところから持って行った――」

 

ナイスパルスィちゃん!さすが!

 

「あ、うん。はいお兄ちゃんこれパルスーー「いやああああああっ!?」」

 

もこもこの毛糸のロープ……みたいなものを渡されると同時にパルスィちゃんがそれをひったくっていった。

 

「ち、違うの!これはその……とにかく違うの!」

 

「えーでもこれお兄ちゃんに――」

 

「やめてこいし!何でもするから!」

 

「え、今なんでもするって――」

 

「あなたには言っていないわよ馬鹿ぁぁっ!!」

 

パルスィちゃんご乱心でござる。

謎の毛糸を胸元に抱えて取られまいとしっかと保持している。

 

まあさすがの俺も鈍感系主人公じゃないからあたりはついている。

 

「なあ、パルスィちゃん、その毛糸って……」

 

「あああああああ!これは、その違うの!間違えたの!勢いなの!本当はもっと、こう、なの!わかるでしょ!」

 

「マフラー作るの失敗しちゃって恥ずかしかったんだな!大丈夫!ほどいて作り直せばいいんだよ!」

 

「……は?」

 

「あー」

 

あれ?俺、何かやっちゃいました?

パルスィちゃんの「は?」がすごく怖いんですけど。

あとこいしちゃんのその目は何でしょうか?すごく汚物を見るような目なんですが……!

 

「……えっと、その、ほら練習すればいいとおもうぞ?」

 

「……あなたのような人は」

 

「えっ?なに?」

 

「しばらく!そこで!はんせい!していなさい!!」

 

「えっ!?なんだこれ!?釣鐘!?」

 

どこからともなく現れた釣鐘に閉じ込められた!?

え、何これスペルカード!?それともパルスィちゃんの特殊能力!?

 

「うわー!?これガチの金属だ!?ちょっとパルスィちゃん!洒落になってないぞ!?」

 

「帰りましょう、こいし。あなたのお節介、無駄になったわね」

 

「あ、わかってたんだー、うん、まあ同じ地底の仲間だしねー」

 

パルスィちゃんの気配が遠ざかっていく(こいしちゃんはもともと気配がない)

え?なに、俺ここに放置されるの!?

俺なんかそこまでされるようなことしたっけ!?

 

流石に生身でこれ動かすの無理だぞ!?

 

なに?アレを言わなきゃダメかこれ!

 

「うわーん!くらいよー!せまいよー!こわいよー!」

 

俺の声はただただむなしく釣鐘の中で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

なお、夜になって帰ってこなかった俺を霊夢ちゃんが探しに来てくれた。

霊夢ちゃん大好き!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……失敗、してないわよ」

 

手元にあるのは長い長いマフラー、きっと二人で巻いて丁度ぐらいのものだ。

 

「まったく、妬ましいわね」

 

二人の名前。私の名前と――

 

「本当に妬ましいわ」

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと覇者の証探してました。
次話は風祝が味を占めた話です。
アンケート更新です。



お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。
感想が少ないと覇者の証探しに行きます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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たまにはこんな日

こういう全く何も進んでない話、好きです。
移植


「うーん……」

 

「何唸ってんのよ?」

 

「いや、幻想郷って運搬がしんどいだろ?どうしたもんかなあって」

 

収穫した野菜の山を前に唸っていると、霊夢ちゃんが訝しんできた。

近頃畑も絶好調なので博麗神社で消費しきれなくなってきているんだ。

もちろん多少なりとも売ったり物々交換したりはするけどこんどは運搬に手間取るんだよなあ。

 

そもそもメインの畑が博麗神社と幽香さんのところという時点で終わってる感がある。

幽香さんところからこっちに持ってくるだけでも割と面倒なのにさらに人里とかはきついし、飛んだりするとさらに運搬能力は低下する。

 

「よし、ちょっと試してみるか」

 

「またぞろ妙なことを始めるつもりじゃないでしょうね?」

 

霊夢ちゃんが半眼で突っ込んでくるが、大丈夫だ、妙なもんじゃない(俺の認識)

最初は自動車でも河童に作ってもらおうと思ったんだが(なお無免)燃料の問題があって構想のまま終わってしまった。

そのあと車輪を人形に見立ててアリスちゃんの能力借りて自走するリアカー(もはやリアじゃねえ)を制作、ある程度はうまく行ったんだが制御がめちゃくちゃ難しく最後は山肌から転落して西瓜ごとお亡くなりになられてしまった……西瓜の汁のせいでなんか凄惨な事故現場みたいになってたぜ……

 

速度があまりでないのと謎の粘液まみれになるのを我慢すれば妖魔本から召喚術でエロゲニールスライムを召喚すればかなりの量は運べる。

ただしみんなから不評で使うことはほぼない。魔理沙や文をお仕置きするときに使う程度だ。

 

「まあ、やってみんとわからんけどな、ちょっと紅魔館行ってくる」

 

「帰りは?」

 

「わからんけど泊まっては来ないよ」

 

「わかったわ、夕飯は適当に作っておくわよ?」

 

「おう、頼むわ」

 

霊夢ちゃんに夕飯を任せて俺は紅魔館へ向かった。

おっとお土産持って行かないとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、ちょっくらこの図書館がどうなってるのか教えてくれなさい」

 

「……説明するために説明が欲しいのだけど?」

 

「ん?空間拡張されてるだろ?ここ?いや歪んでるのか?まあ、そういった方法知りたいんだわ」

 

ちなみに現在の俺の体勢は膝枕(足伸ばしバージョン)である。

パチュリーちゃんが座椅子に座って足を伸ばして本を読んでいたので、太ももに頭をのせる形で寝転がったのである。

まあ、いつものことながら反応がなかったので、わき腹を突っついたら「ぴゃあっ!?」と奇声を上げて気が付いてくれたんだ(なお体勢はそのまま)

……ちかごろ油断していたのかいつもよりも駄肉が……、ま、まあ太ってるわけじゃないしね(愛のごまかし)

そもそもパチュリーちゃんを枕にすることが多いからな俺。すこし肉がついている方がいいと思う(個人的な感想)

腹、ふともも、尻、ふくらはぎ、背中とどこもそれぞれちがってとても素晴らしいのだ。あとはおっぱいだけだが、本を読むのに邪魔になるらしく乳枕だけはさせてくれない。

ただ寝転がってる俺に乗っかるように寝転がることはあるので乳布団は経験済みだ。

 

「そうね、ここの拡張は咲夜の能力なので詳しくはわからないわ、一応理論はあるのだけど……時空連続体について書かれた本がどこかにあったはずだから小悪魔にでも聞けば出てくるはずよ」

 

「マジか、パチュリーちゃんが魔法で何かやってるんだと思ったわ」

 

「できないことも無いけど維持コストが膨大になってしまうわ、無駄は嫌いなのよ、私」

 

「なるほどなー。じゃあ咲夜ちゃんに聞いたほうが早いかな?」

 

「そもそもいったい何がしたいのかしら?」

 

「ああ、なんて言ったらいいかな。ものを大量に運びたいんだわ」

 

「うーん、インベントリって魔法があるけど、維持コストはそれなりにかかるわよ?あとは、がらんどうなゴーレム作って中に物入れたり?アリスに聞いてみなさいよ」

 

「あーその手があったか」

 

……なんで俺は車輪を人形にしようと思ったのだろうか……?

ま、まあ発想は良かったと思うな!

 

「んじゃあとりあえず」

 

「咲夜のところに行くの?」

 

「あとでな、まずはパチュリーちゃんとお茶してからにしよう。飲むだろ?」

 

「ええ。よかったわ、都合のいい女扱いされなくて」

 

まあ、よっぽど急いでいたら別だが、期日あるわけでないしな。聞くだけ聞いてはいさよならって味気ないだろう?

お茶の葉はいつも持ってるしな。

 

「パチュリーちゃん能力貸して」

 

「いいわよ、どうぞ」

 

パチュリーちゃんから借りた能力でお茶を入れていく。カップは入れ子式の竹のやつだけど、まあいいだろ。

紅茶だと竹の臭いが鼻につくかもだが、緑茶だといい具合に相乗効果が起きる。

 

茶を入れた後、冷気の間を糸状にして通して急冷する。

 

「また器用な魔法の使い方するわね……」

 

「制御だけならかなりのもんだぜ?」

 

っと、冷たいお茶の出来上がりだ。竹の香りと相まって清涼感が強いぜ。

茶菓子はあえての洋菓子……フィナンシェだ。

容器に詰めやすいように一口サイズで作ってあるので食っても粉がこぼれることも無く(本に……ね?)焼き菓子の欠点である口内の水分を奪うというのも冷たいお茶なのでごくごく飲めるため問題にならない。

うむ完璧だな。

 

「はくっ……ん、美味しいわね。お菓子に関しては咲夜を越えてる気がするわ」

 

「素材がいいし、魔法だろうがなんだろうが使えるもん使って作ってるからな」

 

お菓子作りにはパチュリーちゃんのいろいろできる魔法も便利だが、素材をどうこうするという点では妖精たちの活躍が大きい。蜂蜜や果実などもそうだしチルノの冷気でバターなども作れる。わりと洋菓子にはかかせないな。

 

パチュリーちゃんとお茶を楽しんだ後咲夜ちゃんの元へ向かう。

といっても適当なところで「さくやちゃーん」と何度か呼びかけるだけだが。

 

 

 

 

 

 

「お呼びでしょうか?お客様」

 

「お、忙しいのに悪いな、これお土産」

 

あらわれた咲夜ちゃんにジャムクッキーを渡す。咲夜ちゃんに渡しておけばレミリアさんとかにもいきわたるからな……妖精メイドは、あれだ……我慢してもらおう。普段から俺のとこに直接取りに来てるんだからこういう時ぐらいはな。

 

「ありがとうございます、後でみんなでいただきますね」

 

「おう、それでちょっと聞きたいことがあるんだが……」

 

「本日はリボンのワンポイントが付いた白ショーツとナイフベルトです。内勤なのでタイツ類は見ての通り履いておりません、お客様の好きなガーターベルトはございませんのであしからず」

 

「聞いてないからね!?」

 

「ですがお客様の聞きたいことがほかに思いつかないのですけど……?」

 

「いやいやいやいや、普段料理の話とかしてるよね!?なんで俺がパンツの話しかしてないみたいなこと言うの!?」

 

そう激しく突っ込みを入れると咲夜ちゃんはくすくすと笑って――可愛いな!「冗談です」とほほ笑んだ。

 

「まったく、可愛いから許すけど」

 

「いえ、その……可愛くないですよ」

 

「まあどちらかと言えば美人だけど、大丈夫、美人で可愛いから!「ふえっ!?」さて、ところで咲夜ちゃんの能力で空間もいじれるの?」

 

「あ、はい弄れますけど」

 

「そのやりかたって教えれる?」

 

「えっとかなり抽象的な感じですが……」

 

抽象的か……魔理沙みたいに「こうぐっとやってぐいっといってずどーんだぜ!」みたいな表現じゃなければ――

 

「時間をこうギュって束ねてぐーってひきのばしてそこにぽいっって入れる感じです」

 

「まさかの魔理沙レベル!?」

 

「申し訳ございません、本当に説明しづらいのです」

 

すまなさそうな顔で言う咲夜ちゃん。

 

「ああ、悪い。感覚的にやることは説明しづらいよな」

 

俺だってカウンター入れる動作説明しろって言ったら「相手がこう来たら、ぐっとためて、すっと入ってゴン!」って感じになるもんな……

 

「いったい何をしたいのですか?」

 

「あ、いやものを大量に持ち運びたいんだよ」

 

「それでしたら私の方法は場所が固定されるので不向きですね、倉庫には適しているのですけど」

 

「あー、移動不可なのかー……」

 

「はい」

 

「おう、わかった。仕事の邪魔して悪かったな」

 

「いえ、いつでもお気軽にどうぞ」

 

流石に仕事の邪魔をするわけにはいかないのでお茶は誘えねえな。

こんど街に出てきた時とかに甘味でも一緒にするか。

 

咲夜ちゃんに礼を言って紅魔館を辞する。

フランやレミリアさんに会っていきたいところだが、夜までに帰るって霊夢ちゃんにいっちまったからな

美鈴ちゃん?寝てるよ。

 

スキマ借りれれば持ち運びとは違うが、二点間つなげて運搬楽なんだが、貸してもらえねえからな……覗きに使わないって言ってるのにな。

 

その他色々回ってみたが道士の術にそこそこいいものがあったが重量制限が激しく(せいぜい二キロ)使い物にならなかったり。

にとりに青くて寸胴で「ふぅふぅふぅ」と笑う猫型ロボットのポケット的なものを作れないか聞いてみたりもしたが「理論上は可能、制作は現状無理」と返ってきた……理論上可能なんだ……?

まあ現状は無理だということならないのと一緒だな。

 

 

 

 

そんなこんなでくたびれ果てて博麗神社に帰ってきたわけだ。

 

「ただいまー」

 

「おかえり、いいタイミングね。ちょうど夕食の準備が終わったところよ」

 

「お、ありがとう霊夢ちゃん。大好き!」

 

「はいはい、もう食べちゃう?」

 

「そうだな」

 

霊夢ちゃんがせっかく作ってくれたんだし冷める前に食うか。

 

「お、豪勢だな」

 

とはいっても一汁五菜程度のもんだが、幻想郷ではかなりの贅沢に入る。

 

「こまごましたもの残ってたからやっつけてみたわ、味噌漬けの魚も傷みそうだったしね」

 

茄子と里芋の味噌汁。マスの西京焼き。大根の葉のお浸し。だし巻き大根おろし添え。ネギ味噌。山芋の梅和え。である。

現代人からすると肉と油が足りないだろうけどもう慣れた。

なによりも霊夢ちゃんが作ってくれた飯に文句などでようはずがない。

 

「うまいうまい、いやあ霊夢ちゃんはいつでも俺の嫁になれるなあ」

 

「……そこはいいお嫁さんになれるじゃないの?」

 

「霊夢ちゃんをどこの馬の骨ともしらん男になんかやらん!」

 

「そもそも私博麗の巫女だからね?アンタのモノにもならないわよ?」

 

「ちぇー」

 

二人きりの飯の時は霊夢ちゃんは割としゃべってくれる。皆がいると静かに食うんだよな。

こういうところがちょっと俺は嬉しい。

 

「そういえばアンタ結局何してたの?……おかわりは?」

 

「おう、大盛りでくれ、美味しくて箸が止まらん。いやものを大量に運びたくてなんかいい方法がないかって探してたんだよなあ」

 

「はいどーぞ。新しい大八車……リヤカーだっけ?じゃだめなの?」

 

「おう、ありがとう。道がまともじゃないだろ?博麗神社にくるのも参道か石段だし」

 

結局は高低差と悪路がすべての問題なんだよなあ……

 

「アンタにしてはちょっとマヌケね」

 

と、霊夢ちゃんが呆れたように俺を見る。

 

「お?どういうことだ?」

 

「例えば諏訪子の力で整地しながら移動したり、パチュリーなら全体浮かせるぐらいできるでしょ。引っ張るのだけ手動で。ちょっと引っ張るのにこつがいるかもだけどチルノの氷で舗装してもいいし」

 

「あっ」

 

新しく開発することばっかり目が行ってたわ……

 

「たぶんここまで言えばアンタならいろんな方法思いつくんじゃない?」

 

「そうだな」

 

ざっと10通りぐらい思いついたわ……

 

「アンタはなんというか思い込んだら他が見えなくなるからねえ……」

 

「まあ、そうだな」

 

「ちなみに私も結界で包んでこう……」

 

そう言うと霊夢ちゃんはテーブルごと浮かせて左右にすいすいと動かした後、元の位置に戻した。

リアカーで同じことすれば結構運べるよな……

 

「最初から霊夢ちゃんにきけばよかったわ……」

 

「アンタ時々抜けてるわよね。ま、アンタらしくていいけど」

 

「言うな……」

 

がっくりとして落ち込む。それでも飯はしっかり食うけどな!

 

「ごちそうさま、美味しかったよ、霊夢ちゃん」

 

「お粗末様、お風呂入る?」

 

「一緒にか?」

 

「アンタねえ……まあ、いまさらのきもするけどさすがに内風呂ではね」

 

「たしかにな、俺の理性が飛びかねん」

 

温泉では割と普通に混浴したりする。霊夢ちゃんは湯帷子来て入るけどな。

……結構透けててやばいんだがな、理性。

 

「先にいいのか?」

 

「アンタ後にしたら洗濯物漁るでしょうが!」

 

「しっけいな!いつもじゃないぞ!」

 

「一回でも漁った時点でアンタが文句言う資格無いわよ!さっさと入ってきなさい!」

 

「へーい」

 

「まったく……」

 

霊夢ちゃんのボヤキを聞きながら風呂に向かう。

今日は徒労と言えば徒労だったけども。ま、たまにはこんな日もいいだろうさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リル=アーゴットの喧嘩の売りっぷりが好きです。



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風祝が味を占めた話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1400人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者のFIIFII様、monkey様、so-tak様、Muro.y様、孝也様、提督様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)
序盤で6000文字超えた時点で諏訪子と神奈子の出番が削られました。
まあ、二人ともピンのはなしがあるんでいいよね!

フェラは中高生向け雑誌にも書いてあるんでセーフだとおもうの




「すけさーん!」

 

人里を歩いているとふいに声をかけられた。

いろんな呼び方をされる俺だが一番エキセントリックな呼び方だと思うこの呼び方をするのは女子大生風現人神の東風谷早苗ちゃんだ。

 

ちなみに水戸黄門のすけさんとかではなく助平のすけさんらしい。

‥‥‥諏訪子ちゃんが「早苗はああみえて結構アレだぞー?」と言ってたのが近ごろ理解できるようになった気はする(失礼)

 

「えへへへー」

 

ダッシュ(だだだっ!って感じで走ってきて、てててっと言うような小走りとか可愛らしい動きではない)して俺の腕を抱え込むようにして腕を組んでくる。

 

‥‥‥それなりのものをもってるんだよな、早苗ちゃん。

 

「さ、早苗ちゃん?今日はまたアグレッシブだな?」

 

「そうですか?‥‥‥嬉しくないですか?」

 

しっかと腕を抱え込んで上目遣いで不安げに言ってくる早苗ちゃん。

破壊力高いな!?

 

「い、いや、たいへん結構なお手前ですが」

 

動揺して訳の分からないことを言ってしまう。

最初のうち早苗ちゃんはごく普通に応対してくれていた。

まあ、俺が少しばかりエロいせいでむしろ警戒されていた気もするし、余所行きのような応対だった感じな。

 

なんだかんだで早苗ちゃんも外来人。俺としかできないような「外の世界の話」とかしているうちに結構気安くなっていった感じだな。

 

でも、まあ決定的なのが‥‥‥

 

「この間のラーメンとってもおいしかったです♪で、思ったんですけど、トマトも、チーズもあるじゃないですかー?だ・か・らピザたべたいなぁって思いませんか?ね?」

 

そう、現代の食い物である。

最初諏訪子ちゃんのお願いでハンバーガーとカレーを食わせたところ、完全に味を占めてしまった‥‥‥くいものだけに!

 

ラーメンは現代のかと聞かれるとちょっと困るが(ただし美鈴ちゃんは手で伸ばして作ってないので「拉」ではないと主張していた。が、こんなのラメーンですよ!という謎の造語は何だったのだろうか……?)スープとタレの概念があるのは現代風だと思う。たぶんだけど。

 

あと、思いませんか?ってきいてるけど、つまりは早苗ちゃんが食べたいと言っているのである。

 

一度白いたい焼きのとき「キャッサバ毒あるし面倒だから難しい」と断ったところ、今みたいに腕を組まれて甘えるようにお願いされるようになった‥‥‥当然OKしたわけだが‥‥‥ちょろいな俺!?

ちなみに副産物でタピオカミルクティーもできたがタピオカ自体「蛙の卵っぽい」と幻想郷(ここ)では不評だった。

 

俺へのお願い事と言えばパンツが相場なのだが(どこの世界の相場だ?自分で言ってて狂気だと思う)早苗ちゃんは結構恥ずかしがる。

諏訪子ちゃんが言うには「下半身むっちりしてるから恥ずかしいんだろー」とか言ってたけどパチュリーちゃんもなかなかのものなのでどうか卑下しないでいただきたい(パチュリーちゃんに流れ弾)

 

少しタチが悪いのが早苗ちゃんは自分が可愛いと自覚したうえでやってくることだ。

卑怯だよな?そのくせこっちから何かしようとすると割と痛い目見る。

早苗ちゃんは意外に武闘派と言うことが長い付き合いで分かったのだ‥‥‥鳩尾に貫手は当たり所次第では死ぬからね?

たぶん教えたのは神奈子ちゃんだと思うが‥‥‥俺にも神奈子ちゃんは「貫手、肘、膝、そして靴のつま先など尖っている部位はうまく急所に当てれば殺せる」的なこと言ってたから。

「下手に当てると死ぬ」ではなく「うまく当てると殺せる」というのがやはり本質は戦神なんだろうなあ。

 

まあさておき、とどのつまりは‥‥‥

 

「次はピザが喰いたいんだな?」

 

「そうです!」

 

ふんす!と鼻息荒く宣言する早苗ちゃん。見た感じ結構綺麗系なのにわりとやんちゃだよなあ‥‥‥

 

「うーん‥‥‥」

 

「難しいですか?」

 

と、腕を組んだまま俺の顔をのぞき込んでくる。

この動作により、腕に胸が強く押し付けられる、そして押されたことにより谷間も強調される。

そのうえあざといとわかっていても早苗ちゃんは美少女である、その美少女の顔が近づいてくると言うだけでかなり来るものがある。

 

「難しいっていうかやるならピザ窯ほしいからなあ、ちょっと難易度たけえぞ?」

 

「ピザ窯ですか‥‥‥?」

 

「オーブンとピザ窯じゃ美味しさかなりちがうっぽいからな。具はドミノとハットに寄せるとしても‥‥‥流石に再現はしねえぞ?味の記憶が全くねえ‥‥‥もしかしたら食ったことなかったのかもな、結構割高だし」

 

「大抵シェアして食べるものですし友達がいなかった可能性とかはどうでしょうか?すけさんのことだから変態として名をはせていたのかもしれませんよ?」

 

「よし、ピザはやめとこう」

 

酷いことを言われたら、当然報復はする。

うん、こうやって戦火は広がっていくんだな。

 

「なんでですかぁ!?」

 

「今の流れでどうして俺が気分よくピザ作ると思った?」

 

「えー、軽い冗談じゃないですか」

 

俺も冗談なのはわかっているけど、思いのほか刺さったんだよ!

‥‥‥マジで友達いなかったんだったらどうしよう‥‥‥

ま、いまは美少女達とそこそこ仲良しだしいいか!(軽)

 

「そういう早苗ちゃんはどうだったんだ?何人ぐらいいた?」

 

多少やんちゃとはいえ、早苗ちゃん割としたたかっぽいし、友達はたくさんはいないだろうけど深い付き合いの子ならいそうな――

 

「‥‥‥実は私も、クラスメイト程度しか‥‥‥」

 

なんか早苗ちゃんの闇掘り返した!?

 

「えっ、でも早苗ちゃんって可愛いし、わりとよくしゃべるし、友達も多そうだけど‥‥‥?」

 

というか、こういう言い方はなんだけど、霊夢ちゃんよりよっぽど社交的だぞ?

まあ、霊夢ちゃんはあのダウナー具合になれると穏やかで心地いい空間になるんだが。

 

「その、私は神奈子様と諏訪子様と一緒にいたので…‥‥どうしてもみんなと少しずれちゃうんですよね。罰が当たるとか、神様はいるとか言ってると、最初は良いんだけどだんだん皆離れていっちゃうんですよね」

 

「お、おう。そうか、そういうのもあるんだな」

 

思ったよりまともかつ厄介な理由だったな。

 

そりゃあ現代人に神様がーとか言ったら宗教関係の人か(いや、早苗ちゃんは当時巫女のはずだから、宗教関係者であってるんだが)なんかキメてる人か心病んでる人だと思われるわな。

 

罰が当たるとかはおばあちゃんっぽいけどな‥‥‥俺、閻魔様こと映姫ちゃんに直接「罰として舌引っこ抜き‥‥‥なぜあなたは悪意のある嘘をついたことがないのですかっ!?」とか驚愕されてたけどな。

 

俺顔に出るから嘘ってすぐばれるじゃん?しかも、誰も得しねえしなあ。

もちろん完全に嘘をつかないってのはできないけどな。

ま、それでも誰かを不幸にする嘘はついてないはずだ。

 

しかしピザはなあ‥‥‥まあ、今回は再現はしない(そもメックダーナル!で懲りた。その後ケンタで地獄見たしな、あの味は出せねえわ‥‥‥)つもりなんでその分ハードルは低いと思うが、うーん。

 

「やっぱり‥‥‥無理ですかぁ?」

 

と、甘い声で問うてくる早苗ちゃん。

卑怯だな!?

 

「難しいっちゃあ難しい。現代と違ってチーズとか超貴重品だからな、固めるのに仔牛殺す必要があったりするし、俺が作ったのは鹿チーズだしなあ。でも、まあ、難しいだけで不可能ではないな、むしろ小麦粉だよなあ‥‥‥」

 

サッコロッソだっけ?なんかあったはず。

強力粉でもいけるはずだが、そもそもこちらには小麦粉という名前でざっくりと流通してる感じだ。

グルテン含有量とかわかんねえわ。

 

最悪、困ったときの紫さん頼みという手もある。

一回二回分ぐらいならそれで賄えるだろうと思う。

まあ、紫さんの分も作る必要はあるだろうけどな、でもそれはわりといつものことだし(新作は基本的に食わせて回る)

 

「冷静に考えたらチーズやペパロニとかも時間かかるわ‥‥‥早苗ちゃん半年ぐらい待てる?」

 

「待てませんよぉ‥‥‥ピザって実は大変なんですね‥‥‥?」

 

それは確かに。

前から思っていたけどラーメンにしろピザにしろハンバーガーにしろ、外国のソウルフード的なものって現代日本ならともかく幻想郷では再現が難しすぎるんだよな。

 

同じぐらいの年代で言えば……西部開拓時代のアメリカで豆腐とわかめの味噌汁作れって言われてるようなもんだ。

やっぱ流通の改革って偉大だな。

 

「どうしても食いたいか?」

 

早苗ちゃんに問う。

可愛い女の子がどうしてもってんなら、頑張るのが男の仕事ってもんだよな。

 

「そうですね‥‥‥やっぱり何とかして作れるなら食べたいです」

 

そっかー、まあ早苗ちゃん割と食い意地張ってるからなー‥‥‥

いや、懐かしさもあるんだろうけどな(フォロー)

 

だが、あんまりチョロいと思われても先々困る(手遅れの感もある)ので意地悪を言うぐらいは良いだろう。

 

「よし、それならまあ、なんとかしてみるけど‥‥‥依頼料たっかいぞー?」

 

「お、おいくら万円ぐらいですか?」

 

おいおい早苗ちゃん、俺を見くびって貰っちゃ困るぜ?

ピザ一つに万円とか取ったりはしねえよ、まあ、ただ、骨折り分の役得はあってしかるべきだよな?

 

「体で払ってもらおうかな?」

 

「えぅ‥‥‥ふえええええっ!?」

 

お、可愛い!

女の子のこういう反応はやっぱりいいなあ(ゲス)

やっぱ現人神とはいえ同年代ぐらいの可愛い女の子だよな。こういう初々しい反応はなんというか‥‥‥満たされる(変態)

 

それに早苗ちゃんにはこういうこと言えるけど諏訪子ちゃんとかに言ったら「待ってました」とばかりに絞られそう感があ――

 

「フェ……フェラぐらいで勘弁してくれるなら……」

 

 

 

 

 

なんかすごいこと言った!?

 

 

 

 

 

「いまなんかすごいこと言わなかった?早苗ちゃん?」

 

「え……?フェラチ――」

 

「すとーっぷ!えっ!?なんで!?なんで早苗ちゃんの口からそんな言葉出るの!?」

 

「体で払えっていわれましたけど、やっぱりいきなり身体は……」

 

「いや、そうじゃなくて!なんで早苗ちゃんの口からフェラとか出るの!?俺の中で早苗ちゃん一応純粋枠だったんだけど!?」

 

と、口に出すことを口に出した早苗ちゃんに口を出す(混乱)

 

「えっ?いや、普通に知ってますよ?現代社会の人間なんだから当然じゃないですか?」

 

「まあ、言われてみればそりゃそうなんだろうけど……」

 

「だいたい、中高生が読むティーン雑誌に「彼に喜ばれるフェラチオテクニック特集」とか普通にあるんですよ?下手すると小学生ですら知ってますよ?」

 

「知りたくなかったそんな事!?」

 

え、なに、若者の性の乱れとかおじさんたち言ってたけどガチなん?

っていうかティーン向けの雑誌に書くなよ!?若者の~とか言う前にその雑誌作ってるおっさん(偏見)叩けよ!

 

まあ、なかなかにショッキングな事実だったが……一つ確かめなければなるまい。

 

「なあ……早苗ちゃん」

 

「ん?なんですかすけさん?」

 

「実践したことは……?」

 

たぶんないだろうが返答次第ではちょっと……興奮する(変態)

 

「あるわけないじゃないですか!……バナナで試してみてたところを神奈子様に見られた時は自刃して果てようと一瞬思いましたけど……」

 

案の定経験はなかったみたいだが……なんかとおい目をしてぶつぶつ言ってる……まあ、男なら机にエロ本が積まれてたレベルか?いや、シコッってるところ見られたレベルだろうか?

まあ、俺には覚えがないが人によっては恥命傷(誤字では無い)レベルなんだろうな。

 

「それはそれとしてだ……なんで体で払えがその発想に至った?」

 

「だってすけさんだし」

 

「説得力あるけど割と心外だぞっ!?」

 

早苗ちゃんに切って捨てられたが、日ごろの行いが行いなので自分でもしょうがねえとは思う。思うが……さすがに直接的に行為に至るようなことはしないぞ?

 

「あとは、まあ、うまく手玉にとれたらこれから何でも作ってもらえるかなーって」

 

と、早苗ちゃんは笑顔で言い放った。

 

「意外にしたたかだな!?」

 

なんか仲が良くなればなるほど早苗ちゃんの「アレなところ」が出てくる気がする

噂ではラピスちゃん(ヘカーティアの事)に「変なTシャツヤロー」とか言ったらしい……あるいみ早苗節の真骨頂だな!?

でもまあ、今のわらってる早苗ちゃんはあっけらかんとしていて嫌味もない。

素で話してくれるのは少し嬉しいと思う。

 

「あーでも早苗ちゃんよ」

 

「なんですか?」

 

「俺が言うのもなんだけど、早苗ちゃんみたいな可愛い子にその……口でしてもらったりとかしたら、男は絶対止まらねえから、そういうのは言わないほうがいいぞ」

 

見るだけ、触るだけ、手で、口で、当てるだけ、先っぽだけ、中に出さないから、責任取るから……

俺も男だからわかるけど、絶対途中で止まるわけねえだろうが。

 

「早苗ちゃんは自覚ある美少女だから言うけど、ほんっとーに可愛いからな?さらに清楚っぽいしなんというか、男が一瞬で落ちてもおかしくないからな?」

 

「えっ……そ、そうですか?えっと、それはすけさんが見てもそう思う感じです?」

 

「というか元より俺の主観バリバリに入れての感想だぞ?俺は早苗ちゃん好きだし」

 

 

 

 

 

「ふええええええっ!!?」

 

 

 

 

 

可愛い悲鳴を上げるな!陰茎が苛立つ!(変態)

 

「そ、それは……その……ラブですか?」

 

「あー、それはすまん!俺にもわからん!」

 

「なんなんですか、それは!?」

 

いや、マジでわかんねえんだわ。

なんとなーくだけど全員好きというか、でもそれってライクかな?って気もするんだけどライクでここまでするか?ってなことも普通にするしなあ……

 

「早苗ちゃん、仮にラブだとしたら……」

 

「だ、だとしたら……?」

 

「俺は最低野郎に他ならないと思う」

 

「……気になる相手……いっぱいいるんですね?」

 

「ああ、たぶん早苗ちゃんが思うより多いと思う」

 

「……やっぱりすけさんはすけさんですね。せっそうがありませんねー。でも、嘘をついて私だけラブ!とか言っておいたらえっちできたかもしれませんよー?」

 

と、からかうように言ってくる。

まあ、たしかにそうかもしれねえけど……

 

「嘘ついた気持ちで早苗ちゃん抱けるほど、早苗ちゃんのことどうでもいいって思ってないぞ?」

 

と、せめてもの誠意を込めて、早苗ちゃんと目を合わせて自分の考えを伝える。

なんだかんだ言って早苗ちゃんは大切な人だと俺は思っている。

その思いも込めてしっかりと見つめる。

 

「…………!そ、それは卑怯です!」

 

「いや、だから卑怯なことしたくないって言ってるんだよ!」

 

「と、とにかく卑怯なんです!すけさんは卑怯者なんです!」

 

「何がだ!?わけわかんねえな!?」

 

「いいんです!卑怯なことした罰です!美味しいピザを食べたいです!作ってください!あははははは!」

 

「そこからつなげてくるのか!?」

 

笑いながら言ってるんで機嫌を損ねたとかではなさそうだけど……っていうか笑いすぎじゃね?

めっちゃめちゃ顔真っ赤じゃん。

 

「ま、なんだかんだいっても最初から作るつもりだったけどな。依頼料はそうだな……?」

 

いちおう依頼の体を取らないと無尽蔵になんか面倒ごと持ち込まれるからな。チルノとかチルノとかチルノに。

 

「えっと、お口でしますか?」

 

「だからしねえよ!?」

 

諏訪子ちゃんのオンバシラといい、一度頭がピンクになったらそこから離れねえな、守矢組は!

……まさか神奈子ちゃんもじゃねえだろうな?

そう言えば過去に、昂ったなら鎮めてやろうとか言われたことあったけど、もしかしてあれがお誘いの可能性も……?

たぶんバトルの事だと思うけどな。

 

「じゃあ早苗ちゃんの体重でも大公開して「すけさんを殺して私も死にます」怖ぇよ!?」

 

ハイライト消えた目で言われると、怖さも倍増だな!?

諏訪子ちゃんによくからかわれているけど、俺的には早苗ちゃんは太ってないと思うんだけどなあ?

 

「見た感じ太ってないんだから一キロ二キロぐらいそんなに気にしなくてもいいと思うんだが」

 

「……男性の一キロと女性の一キロでは砂と砂金ぐらい価値が変わるんですよ……」

 

だから怖いって!?

考えたら幻想郷で(スタイルはともかく)太る太らないを気にしてるのは早苗ちゃんだけの気がするんだけどな?

現代から持ち込んだ概念ってやつかね?

 

「本気で太ってないとおもうんだけどなあ……ああ、話がそれたな。……じゃあハンバーガーの時に言ってた可愛いパンツ見せてもらおうかな?」

 

反故にされたわけではないが(実際諏訪子ちゃんがお前が来るとき気合入ったの履いてるって言ってた)早苗ちゃんは言動は多少やんちゃではあるが、異変でも起きない限り一般人とさほど変わらない生活をしているのでパンツを見る機会がない。

スカートも比較的長めだしな(ひざ丈は本来長いわけでもないんだが比較対象が悪い)スペルカード使ってるときは謎の風が吹くので横に回り込むと結構見えたりするが前からのパンツは本当に見えねえんだよな。

 

「えっ……と……それはつまり」

 

そう、早苗ちゃんがまくるなりして正面からその可愛いパンツとやらを拝ませ――

 

「私とえっちしたいってことですか!?」

 

 

 

 

 

 

「な ん で だ よ !?」

 

 

 

 

 

 

まだ頭がピンクか!?これだから守矢組は!(神奈子ちゃんへのとばっちり)

 

「だってさっき「男は見るだけって言っても止まらない」って……」

 

あー、そういえば言ったな……だが見くびってもらっては困る。

 

「パンツは別腹!」

 

「すけさん変です」

 

バッサリと切って捨てられる(二回目)

 

「早苗ちゃん辛辣ぅ!?」

 

だがパンツソムリエたる俺にとってはパンツは別もんなんだよな

もちろん性的に何も感じないかと聞かれたら、ビンビンに感じるけど。

 

「とりあえず、俺にとっては恋人にでもなってない限りパンツは観賞用です。なにも心配いらないぞ?」

 

「むしろ頭が心配なんですけど」

 

「さっきから俺に厳しくない?」

 

「一応、私も年頃ですから。全く興味ないみたいに言われるのは癪ですよ?」

 

「あー……なんだ」

 

と頭をかきながら弁明する。

 

「俺にとってはパンツで喜ぶってのはベルリンの壁とかマジノ線とか一種の線引きなんだよ、さもないとこんな美少女だらけのとこではあっという間に理性なんざふっとんじまう」

 

「それって両方とも突破されてませんでしたっけ?」

 

「俺だって男だから、あわよくばって気持ちは少しある」

 

俺はこういうことでは嘘やごまかしはあんまりしたくないから正直に言う。

そもそも、勝手に口に出てたりすること多いしな。

 

ところでベルリンの壁って壊すつもりなかったのに勘違いで壊されたらしいぜ?

 

「へー、ふーん、ほー」

 

「な、何かな?早苗ちゃん」

 

「ま、それで納得しておいてあげましょうか。でもわざわざ見せたりするのはちょっとはしたない気もしますから、そうですねー……」

 

「フェラのこと言及した人間がどの口で言うんだよ?」

 

「女子高生気分でスカート折って短くして履いておきますね。見たければ勝手にどうぞ」

 

「くっ、卑怯な……!それだと俺がどうしても見たくてのぞき込むような変態的な絵面になるじゃねえか!」

 

「しないんですか?」

 

「いや、するけど、まあ、さりげなくね?」

 

流石に堂々とめくったり、足もとにスライディングしたりは早苗ちゃんにはできない。

ああいうのは怒るというより「叱られる」とわかってる相手にやるからこそ趣があるのだ(変態の理論)

 

「ふふっ。どんなさりげなくか楽しみにしておきますね。じゃあピザはお任せします」

 

「おう、さすがにすぐは無理だが……一週間ぐらいかな?紫さん次第だけど」

 

「正直狡いですよね―あの人。きっと自分だけ文明社会満喫してるんですよ」

 

まあ、紫さん明らかに現代もののドレスとか持ってるもんな……かなり際どいデザインで胸の谷間がすごかった。

 

「よし、そうときまれば準備するかな、準備できたら分社に連絡するから」

 

博麗神社にある守矢神社の分社であるが、守矢=博麗間のホットラインとして機能している。

長距離連絡手段の乏しい幻想郷では結構便利だと思う。

霊夢ちゃんは平時はアクティブに動いたりはしないので、ほぼほぼ俺が神奈子ちゃんにシゴかれまくって精魂尽きたときに霊夢ちゃんへの連絡用として機能している感じだ。

一応異変時とかには霊夢ちゃんから連絡があることもあるが、ほぼほぼこれを活用してるのは俺だな。

 

「はい、わかりました。楽しみにしてますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って感じで依頼受けたかなー」

 

と、「早苗今日やたらスカート短くしてるんだけど、なんかあったー?」と聞かれたので諏訪子ちゃんに経緯を話しながらピザ窯を作っていく。

 

「そこまでガード下がってたら押し倒せばいいじゃんよー?早苗だって案外バッチこいかもよー?」

 

現在地は守矢神社、準備が整ったのでピザを焼くためにピザ窯を設置するため、諏訪子ちゃんの能力で作っているのだ。

 

「正直早苗ちゃんは同じ現代人の感覚持ってるから、恋愛観も割とさばさばしてそうだけど、なんつうか俺って多分ヤっちゃったらハマるタイプだとおもうんだよな。こう、一途?」

 

と、窯の内部をのぞき込みながらピザを置く板に合わせて(普通は板を合わせるものだが、能力で窯のサイズが自在に作れるのでこっちの方が楽)サイズを微調整していく、横乗せる引っ掛かりもちゃんと作らなきゃね!

 

「童貞の上に重いとかめんどくさい男だなー、もっとこう、いきおいで早苗の貝にオンバシラ突き立ててしまえよー」

 

「童貞ちゃうわ!あとオンバシラもしつこいっ!」

 

「その返しが童貞だってばー」

 

「そもそもオンバシラって今神奈子ちゃんの権能じゃなかったっけ?はっ!?つまり神奈子ちゃんの股間には……!」

 

「ほう?面白い論だな?我の荒魂……ねじ込んでやろうか?」

 

「アッー、か、神奈子ちゃん!?」

 

いつの間にか背後に神奈子ちゃんがいた……首をひねって背後を見やると……なんでオンバシラを俺の尻にロックオンしてるんですかねえっ!?

俺窯に頭突っ込んでるんで完全に尻が無防備なんですが……やめて!壊れちゃう!

 

「そもそもお前は私の肌を見たことなど何度もあるだろうに、ついてなどいなかっただろう?」

 

「えっ?何それ神奈子。こいつとヤったの?」

 

「諏訪子は何を言っているの……?」

 

本気でわからない感じで神奈子ちゃんが言う。

うん、ヤってはいない。

 

ただ神奈子ちゃんは割と肌を見せるのに躊躇がない。

特訓してるときにレベルが上がったら(なんか神奈子ちゃん時々頭おかしいぐらいに急に難易度上げてくる)ボロ雑巾のようにされることが多いんだが、きがついたら風呂に入れられている。

ある程度の血と泥で汚れて、かつ気絶するとそうなる感じだが……

 

感想としては……引き締まっててとても綺麗です。あと結構もっさり生えてる。たぶんムダ毛処理とかの概念がないんだと思う。ただ、それはそれでエロくていいと思う。惜しむらくはそういう状況の時はもう体力つきてるので抱き着いたり「うっかり」触ったりができない状況であることだな。

 

ちなみにこの時フル勃起して「ない」と「まだ余裕がある」とみなされて一段としごかれることになる(言い回しがエロい)

生命の危機に陥ったら、本気でフル勃起するんだぜ……(つまりはそのあたりまで追いつめられる)

 

襲ったらどうすんだよ?と抗議したこともあったが「襲える気概があるなら褒めてやる、ましてや組伏せられるなら……な?」とかすこし妖艶に煽るように言われた。

ならば!と、ようし襲ってやると思って必死に特訓して徐々に力ついてきて体力が残りそうになるとレベル上げられるからいつまでたっても襲えねえんだ……あれ、もしかして俺うまいこと手玉に取られてる?

 

「なら私ともヤろう!」

 

「諏訪子ちゃんは何を言ってるんだ……?」

 

奇しくも神奈子ちゃんと同じような事を言ってしまう。

諏訪子ちゃんボケなのかガチなのかわかんねんだよなあ。

 

尻に圧を感じながらも内部をしっかりと仕上げる。ピザ窯として使うなら蓋はいらんな。

必要なら諏訪子ちゃんの能力で地面から盛り上げて蓋すればいいし(それも見越して守矢神社に作った)

 

「だいたい、神奈子ちゃんとはやってないぞ、もししてたら俺のことだから多分ひいきしまくるぞ?」

 

そう、俺が言うと、神奈子ちゃんは少し笑みを浮かべて言った。

 

「諏訪子のいまのナリでは多分入らないわね、その子、結構すごいの持ってるのよ」

 

 

 

 

神奈子ちゃんになんかブッこまれた!?(オンバシラではない)

 

 

 

 

「やっぱりー!神奈子だけ狡いー!わたしにもオンバシラ―っ!」

 

「オンバシラちゃうわ!神奈子ちゃんもなに言ってんの!?」

 

ナニ(について)言ってるんだよってうるさいわ!(混乱)

 

「たまには私も、こう、ね?」

 

「何が「ね?」かはわからんけど可愛いなっ!?」

 

神奈子ちゃんにしては珍しく「ね?」とともにひとさし指を「ぴっ」とやりながらウインクをしてきた。

美人系だけど、可愛いしぐさもいいね!

 

「ひーいーきーだーっ!」

 

とこっちはしがみついてぐいんぐいん揺らして……駄々こねる子供かっ!?

神奈子ちゃんまでボケに回られると突っ込み追いつかねえぞ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、ピザ作り自体「は」つつがなく終わったことをここに記しておく。

 

 

 




日影可愛い。



お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
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追儺 私を食べて




華扇ちゃん話が間に合わなかったので移植
二月のイベントセットです。











追儺

 

 

俺が縁側に座って珍しく膝の上に萃香さんを乗せて甘やかしていると、通りがかった霊夢ちゃんが咎めてきた。

 

「なにアンタ?幼女趣味に宗旨替えしたの?」

 

「してないわっ!?一応萃香さんは合法ロリだがちょっと甘やかしてるだけだぞ」

 

「アンタ今の自分の体勢客観的に見れる?」

 

……一言で言うなら「挿入ってるよね?」ふたことで言えば「完全に挿入ってるよね?」である。

ちょうど股間の上に萃香さんが座り込んでるからな。

 

「ふっふーん、霊夢ぅ?羨ましいのか―?」

 

と、霊夢ちゃんを萃香さんが煽る。

やめてください しんでしまいます(俺が)

 

「ちゃんと萃香さんはパンツ履いてるぞ、それだけは譲らなかったぜ」

 

「そういう問題じゃないでしょ……で?」

 

「で?とは?」

 

「アンタ自分からえっちぃことはするけど相手からのはうまくかわすのに何でそんなのになってんの?何か弱みでも握られた?」

 

「弱みは握ってないぞー?あっちは握りたいけどなー?」

 

手をわきわきさせるなっ!?って上下に何かこするような動きもだっ!

ただでさえ股間に一定の熱がこもってるのに……いや大きくなっても合法だから問題はないんだが萃香ちゃんは普通に使用可能だから危険が危ないんだよ(混乱)

 

「いや、まあちょっとな……」

 

「ふーん、で?」

 

と圧をかけてくる霊夢ちゃん。これは話さないとだめなんだろうな。

と観念して何があったかを霊夢ちゃんに説明するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年もあけて相変わらず暇な博麗神社(実はこの時代初詣という風習はない、あってもここには人が簡単に来れないんだが)

神様によっては旧暦でお迎えもしたりするみたいだがやはり博麗神社には関係がない。

本日は節分で追儺……豆まきをやっている。博麗神社では割と厳密にやるらしく――

 

「豆をまくのはその家の……その……主人なわけよ」

 

「つまり俺がまけばいいんだな!霊夢ちゃん大好き!」

 

「アンタ本当に莫迦じゃないの!?私がやるってことよ!アンタには投げた後の炒り豆あげるから年の……適当にかじってなさい!」

 

と怒られた。解せぬ。

つまり俺が嫁だということか(曲解)

 

……紅魔館でも豆まき(吸血鬼を鬼としてレミリアさんが鬼をするみたいだ)するみたいだけど、主人が追い出されてない?

 

と、もらった豆を手でもてあそびながら益体もないことを考えているとにっこにこの萃香さんが現れた。

 

「いやー、この時期どこに行っても人気者で困るよー」

 

でも追い出されてますよね?とツッコミを入れようか一瞬迷っていると俺の手元の豆を凝視して動きが止まった。

 

ん?やっぱりここは投げればいいのかな?

 

と、軽く豆を投げる動作(トルネード気味に)にはいると――

 

 

 

 

 

「待てえええええええええつつっっっっ!!その手に持っているブツを下ろせ!一刻も早くだ!」

 

「え?」

 

なぜか必死の萃香さんの叫びに慌ててモーションを止めるも一粒だけ飛び出してしまった。

まあ、一粒ぐらいだし――

 

 

 

 

「うっぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」

 

 

 

 

その一粒が当たった萃香さんがものすごい勢いでぶっ飛んでいった。

よく漫画的な表現で星になるというのがあるが、まさにそんな感じだ。

て、追わないと!?

 

散風気則 止境水則!(萃香さんどこいった!!)

 

萃香さんの妖気を追ってみる……いない……もう少し範囲を……って妖怪の山ぁ!?

 

明らかにあり得ないところまですっ飛ばされている。

 

「筋斗雲は……仙人いねえしな」

 

筋斗雲、実は術で結構簡単に作れる(華扇ちゃんはなぜか首をふるふる振ってたが)ただし仙人しか乗れない。俺も数秒なら乗れるんだがじきに貫通して落ちてしまうので乗る時は仙人をつっかえ棒というか掴まるポイントにして乗る感じだ。

 

掴まった感触で言えば意外に布都ちゃんがふとい気がした、布都だけに(酷)

あと屠自古ちゃんは乗れない(自身で飛べるけど)んだよな。

 

っと、急がねえと!

近頃ほぼ借りっぱなしの空を飛ぶ能力に、またもや借りっぱなしのパチュリーちゃんの能力、そして自前のシルフの力で超加速。長時間は無理だが文に追いつけるほどの出力だぜ(だがパンツは見えなかった、いよいよもって履いてない疑惑が濃厚に)

一路妖怪の山へ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!萃香さーん!」

 

「ここだここ!」

 

偉い甲高い声が聞こえてきて、見やると小さい萃香さんが木の幹に半ばまでめり込んでいた。

 

「えっと、引っ張って大丈夫かな?」

 

「いまがちがちに密度高めてあるから重いぞ?なんかこう、少し木を削るとかできないかな?」

 

そう言われても……

 

「包丁とかあるけど木には負けるだろうし……」

 

「そもそも嫌だぞ、刃物目の前にくるのは!」

 

きいきいと萃香さんが苦情を申し立てる。

 

「あ、木の密度下げれば手で折れるんじゃね?」

 

「お、そうだな」

 

と、ナイスアイデアで萃香さんを救出することができた。

木をへし折るのくせになりそうだ。すっげえ気持ちよかった。

 

元の姿に戻った萃香さんが半眼で――萃香さんにしては珍しい。

俺を見ながら苦情を申し立ててきた。

とりあえず迫力に押されて自主的に正座する。

 

「なあ、私はやめろと言ったよな?……なんで投げた?」

 

「と、途中までモーションに入ってたから……その……いちおう止めようとしたんだけど」

 

「まず、豆まきってのはなアンダースローで投げるもんなんだよ。大本は種まきを模したものだからな。……なんでオーバースロー……いや、トルネード投法で投げようとした?ん?」

 

萃香さんからかつてないほどの圧を感じる……!

そしてトルネード投法しってるんだ……?

 

「その、萃香さんが豆まきの鬼役を楽しんでおられたようなので……俺も……その……投げてもいいかなって……喜ぶかなって……」

 

「ああん?お前が豆巻いたら向こう一年博麗神社に入れなくなるわっ!?綱だぞ綱!存在そのものが追儺だ」

 

萃香ちゃんめっちゃ凄んで来る……目が完全に見開いていてガンギマリ状態な……

どうも俺が豆をまくのは相当まずいことみたいだ。

 

「鬼は外って言われなかったから良かったものの神社は一種の区切られた区画だからな。言われてたら本気で入れなくなるところだったぞ、私だけじゃなくて華扇や勇儀もな……吸血鬼はどうなのか知らないが、もしそれも入るならフランドールとかも遊びに来れなくなるぞ?いや、もしかして妖怪全部閉めだしたかもしれない」

 

「おおう、そいつはやばかったな……」

 

大人(?)連中はともかく、フランやルーミアを締め出す結果になるのはちょっとかわいそうだな。妖精もならなおさらだ。

 

「そもそもお前のスキルに言霊使いもあるんだから、うかつな発言は――」

 

「え?そうなのか?……霊夢ちゃんは俺の嫁!霊夢ちゃんは俺の嫁!霊夢ちゃんは俺の嫁!よし、これで帰ったら――ぐえっ!?」

 

「うーん、お前近頃ちょっと調子乗ってるなー?ん?捥いでやろうか?」

 

と、やや怒りをにじませ萃香さんは「お前の息子は預かった」状態で凄んできた。

 

「おうふ……すっげえ気持ち悪い」

 

強めに玉を圧迫されると吐き気を催す……優しいと気持ちいいのに不思議だな!(混乱)

 

「今日のはさすがに私も痛い目にあったからなー、片方あれば子供作れるみたいだし、捥いじゃおうかなー?」

 

「すいませんごめんなさいなんでもしますからゆるしてください」

 

「ん?いまなんでもするっていった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってわけで、萃香さんの気がすむまで下僕状態なんだわ……」

 

と、萃香さんを抱きかかえた状態で(萃香さんは身体に手を回すように割としっかり抱きかかえられるのが好きだ)霊夢ちゃんに詳しく説明をした。

 

「アンタ馬鹿ぁ?妖怪相手になんでもするって……食われても文句言えないのよ?」

 

と半眼で――今日は半眼で見られること多いな!(さっき通りがかったリグルにも半眼で見られた)

俺に説教をする霊夢ちゃん。

 

「ま、まあ、萃香さんはそんなことする人(鬼)じゃないし」

 

「昔人骨で山できる位人食ってるはずよ、そいつ」

 

「いやー、照れるなー」

 

「誉めてないわよ」

 

「んでも昔は昔だしな。俺は今の萃香さんしか知らんし、仮に昔やんちゃしてたとしても、それはそれで妖怪のあるべき姿だしな。仕方ないんじゃね?」

 

「またアンタはそういうことを……」

 

「なー霊夢ー。こいつとヤっていい?ちょっと私の中の女が目覚めたよ」

 

「なんで私に言うのよ!?……だめよ。少なくとも人外相手は……血を吸ってるレミリアですらじわじわと底上げされてるのに、まぐわったりなんかしたら……いろんな意味で手に負えなくなるから駄目よ」

 

「ふーん……へー……」

 

「な、なによ?」

 

「わざわざ理由説明してくれるんだなーって……普段の霊夢ならそういうこと言わずにダメですませるのになーって思っただけ」

 

「た、たまたまよ」

 

「俺のたまたまはさっき人質にされてたけどな」

 

「アンタって本当に馬鹿ね!?」

 

茶化したらめっちゃ凄まれた……

ごまかすために萃香さんを撫でる。

 

「あー、気持ちいいぞー」

 

「チッ…‥まあいいわ、節分が終わるまでは好きにさせてあげる」

 

「終わるまでって、もう半日もないじゃないか!?」

 

「旧暦でなら正月よ?あんたら古い妖にとっては新年じゃない?新年来たらツケはチャラになるんだからあんたの貸しもチャラよ、当然じゃない」

 

「霊夢ちゃんすげえ暴論」

 

「立春で新年でしょ?」

 

「まあ、そうなんだろうけど」

 

ちなみに旧暦だと本来年末年始に神社(氏神のいるところ)にこもるのが正しいんだよな。あと寝正月も初日の出が出るまで起きていてそれを見てから寝るって意味であって二度寝してぐうたらするんじゃないんだぜ?

 

「ちょっと霊夢と話してないで私を構えー!時間がないんだからなー」

 

「あ、納得するんだ、まあ今日いっぱいは甘やかそうか」

 

「ま、当然ね、じゃあアンタも節度を守りなさいよ?」

 

「おうわかった。じゃあ萃香さん、一緒に飯でも食うか?なんならすこし酒も付き合ってもいいぞ」

 

霊夢ちゃんは節分の続き?をしに行ったのかな?

萃香さんと二人残された

 

「お、いいな!たまには差し向かいでってのも……いや!今日はお酒は我慢する!」

 

「えっ!?ちょっ……!?萃香さんどこか具合悪い?やっぱり吹っ飛んでどこか……」

 

「ばーか。飲んだら……その、きっと我慢できなくなるからなー?だからご飯食べて……一緒に寝よう、添い寝するぐらいならいいだろー?」

 

「そうだなー。やましいことはないし、いいんじゃね?」

 

と、軽い気持ちで返事をする。

きっと霊夢ちゃんは怒るだろうけども。

 

お酒を我慢してまで言うことだ。少しのわがままぐらい聞いてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を食べて

 

 

 

「くっそ、やっぱむりか!」

 

カカオを収穫し(ここまでは幽香ちゃんの力)カカオ豆にするところまでは何とか出来たんだが、それから先が難しすぎる。

この状態だと元始的なチョコレート(湯に溶かして飲む奴だ、しかもかなり味がやばい)が関の山だ。

 

さすがに現代のチョコレートは無理か……せめて萃香ちゃんの能力を借りれたらいけるんだが、なぜか知らないが俺は貸してもらえない。姿を消す系列や、千里眼、読心などもだ。

解せぬ。

 

「何さわいでんの……くっさ!?何この臭い!?料理でも失敗したの?」

 

丁度通りがかったのか霊夢ちゃんがのぞき込んできて……異臭に顔をしかめて咎めてくる。

 

「あ、いや、チョコレートを作ろうとしたんだが……ちょっと無理だった」

 

「ちょこれいと……?ああ、聞いたことあるわね、なんか甘いやつ」

 

「雑な分類だな!?」

 

そもそも俺の作る物の7割近くは甘いものだからな?全部一緒くたにされても困るんだが。

 

「にしても臭いわね」

 

「一旦発酵……まあ腐らせるからな。それはうまく行ったんだがそこからが無理だったわ、見切り発車でやるもんじゃねえな」

 

結構きつい匂いでちょっとつんと来る。

 

「アンタにしては珍しいわね?いつも準備万端整えてから始めるのに」

 

「まあ、そうなんだが季節ものだからな」

 

「季節もの?」

 

「ああ、バレンタインデーっつってな、二月の十四日にはチョコレートを――」

 

「罵恋多淫泥!聞いたことがあるわ……血汚霊屠と言う呪物に念を込めて相手に呪をかける日!それを受け取った相手は強制的に恋人になってしまうという……!そしてそれを解呪できるのが保歪吐出意……呪物の三倍の価値のあるものを贄にささげることによって解呪できるという……!ちょっとアンタ!一体誰に送るつもりだったのよ!?」

 

「微妙にあっててかなり違うわっ!?あとお礼がわりにみんなに配る――」

 

「ぜっ全員に配るって――アンタ見損なったわ!?いったいどれだけ誑し込むつもりよ!」

 

……なんだろう、霊夢ちゃんがすっごい面倒くさい。

そもそもなんだよ、その奇祭を通り越してサバトじみた風習は……

 

「いいか、霊夢ちゃんよく聞けよ?」

 

 

 

 

 

 

……青年説明中

 

 

 

 

「本当なんでしょうね?」

 

ようやく納得してくれたよ……

だいたい心縛る系の術って全く楽しくないと思うぞ。

……エロいことするだけなら別だけど。

フランとかは「全部」借りた(吸血鬼の特性を得るため)ことがあるから、その気になれば洗脳じみたこともできる「(下半身の部位)貸して!」とかいえば多分(当然だが試したことはない)借りれる。

 

まあ、フランにそう言うことする気はさらさらないが、これが霊夢ちゃんだったりしたら、俺の理性はかなりまずいことになる。

 

もし、そういうことができるようになってしまってもパンツを借りるだけにとどめようと、固く自分に戒めをかけておかないとな(パンツなら良いというわけでもないが、まあ、ほら、溜まっちゃうと……ね?)

 

「そもそもそういう意図ならこっそりと作って霊夢ちゃんに真っ先に渡すわ!まあ、説明した通り本来は確かに愛の告白イベントみたいな感じだったんだが、今では……なんだろう、若者のお歳暮みたいな感じになってる?」

 

「いや、なんで疑問形なのよ」

 

「エピソード記憶がねえもん。まあでも大体あってるはずだぜ。なんでせっかくだから作ってみようとしたんだが」

 

「そこでできるかどうかもわからないのに作ってみるという発想がでてくるアンタおかしいからね?」

 

「やらなければいつまでたってもできない、子作りと同じだ」

 

「ふうん……アンタ何アホなこと言ってるの!?」

 

「あだだだだっ!?」

 

真面目な顔でふざけたことを言ってみたら霊夢ちゃんが一瞬理解に至るまでの間があった。

この普通の顔から柳眉を吊り上げるまでの一連の動き、俺は結構好きだ。

生き生きとしてて可愛いんだよな。なお、多少の折檻は受ける(今回は耳を上からチョップされた。冬場にやられると声が出る位には痛い)

 

「やればできる、子作りと一緒だ。の方が良かっ――ぎゃああああっ!?」

 

耳削ぎチョップの後に耳引っ張るのはマジで止めて!?

ある意味最高クラスの痛さだから!

 

「アンタいい加減にしないと痛い目見るわよ?」

 

「もう見てるんですがそれは……?」

 

「ん?序の口よ?」

 

と、玉串の棒をぶんぶん振る霊夢ちゃん、それはマジでアカン奴。

 

「おーけい、わかったぜハニー、その物騒なものを――痛っ!」

 

「きもい」

 

「霊夢ちゃん辛辣ぅ!?」

 

 

 

 

ぎゃーぎゃー騒ぎながら二人で後片付けをしていく。

ころころと表情の変わる霊夢ちゃんは素が出ているのだろう、外では見せない素晴らしい可愛さがある。

チョコレートは作れなかったけど、ま、こういう日もいいわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一日も終わり寝ようとすると、霊夢ちゃんに呼び止められた。

 

「アンタにあげるわ」

 

「え?なにこ……チョコレート!?」

 

霊夢ちゃんに渡されたのはバレンタインチョコといえばこれってかんじのハートチョコレートだ。

いやラッピングされているんだけど、形がモロハートなんだわ。

そんなことよりなんで?

 

「チョコレート渡す日なんでしょ?」

 

「いや、そうだけど……なんで霊夢ちゃんがこれ持ってんの!?」

 

「紫に頼んだのよ、ま、アンタもたまには誰かからお菓子をもらうのも――」

 

「霊夢ちゃん大好き!」

 

「ちょっ!?こらっ!落ち着きなさいっ!抱きしめるなっ!んっ、んうっ!?どさくさに紛れて揉むんじゃないわよっ!」

 

「ぐえっ!」

 

かなり強めに殴られた。いや、純粋な、純粋な気持ちが暴走しただけなんだよ!

 

「あ、わ、悪い。えっとエロい気持ちはないわけではないけどなんというか、その、感極まった」

 

「感極まるとアンタ襲うの?」

 

「というか、その、くっついてたくて……ごめん」

 

「ま、いいわよ、あんた結構甘えん坊だものね」

 

「そうか?そうかも、でも霊夢ちゃんにだけだと思うぞ、ここまでグダグダになるの」

 

うん、なんというか、確かに霊夢ちゃんが言うように甘えてんのかなあ。

 

「そ、まあ、いいわ。じゃあおやすみね。……アンタの事だから飾っておきそうな気がするから言うけど、少し気恥ずかしいからあまり知られたくないのよ、特にこの風習知ってる早苗には。誤解してきそうだし……だから今晩中に食べてしまいなさい、いいわね?」

 

「もう、歯を磨いたんだけどな……」

 

「いいわね?」

 

抵抗を試みるが強めの圧で押し切られてしまった。

 

「了解、精々味わって食べるよ」

 

「ならいいわ、おやすみ」

 

「おう、おやすみ」

 

霊夢ちゃんが去った後、なんとなく紅茶を入れて、なんとなく正座をした状態でチョコレートを食べることにした。

 

包み紙を開けると、どこにでもあるハートチョコだが……しかし、中央にホワイトチョコで文字が書かれていた。

 

「ん?なんだ?」

 

eat me……私を食べてとかいてある、そして箱の中にも何やら入っているな……?

 

「こっ……これは」

 

そのあと俺は「今晩中に食べてってつまり……そういうことか!?」(立ち上がり)とか「いやまて、これは紫さんの仕込みにちがいない」(座り)とか「でも、もし、待ってたら恥を欠かせるどころではないぞ」(立ち上がり)とか「いや霊夢ちゃんは英語読めないだろうし、そもそもこれの使い方知らんだろ」(座り)「いや、だけどワンチャン……!」(立ち)「いやこれ罠だったら気まずいってもんじゃ」(座り)「いや、もし罠でも勢いでできるかも」(立ち)「いやいやいやいや」(座り)と朝までスクワット状態になってしまった。

 

どうしてこうなったかと言うとチョコレートには私を食べて……まあ、ここまではいい。しかし問題は箱だ。箱の中には……男性用避妊具が入っていたのである……

 

これはスクワット待ったなしだよな……

 

紫さんのいたづらだろうとは思う

しかし、万に一つでも霊夢ちゃんが仕込んだ可能性がっ!

 

 

 

 

 

 

結局俺は朝までスクワットしていたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




華扇話ももうすぐできます。


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茨歌仙が即落ちした話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1400人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者の羽乃 秦御様、monkey様、Muro.y様、ティアール様、ねこ大好き様、satake様、μηδέν様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)
華扇は真面目モードと気安いモードで口調ががらりと変わるお姉さんタイプだと思ってます。



「ごめーん、ちょっといい?お客が来てるから、なんか持ってきてー」

 

厨房迄駆けてきた霊夢ちゃんが俺にお願い事をしてくる。

 

「お?おおいいぞ、茶菓子かなんか?」

 

「ええ、それでいいわ、頼むわね」

 

と、すぐさま帰って行った。

霊夢ちゃんにしては珍しいな?

それに基本博麗神社は茶以外は客の持ち込みが多いんだけどな?

 

今日はあいにくの天気だったので外も行かず(小傘ちゃんが玄関口で傘の状態でスタンバイしていたが外に出る用事が本気でなかったので、丁重に帰っていただいた)台所で色々と料理の仕込みやら試作などをしていたんだ。

 

余裕があるとまではいわないが、それなりに食うには困らないぐらいの生活水準には、なってきたと思う。

最初は一汁一菜、野草の味噌汁に漬物がほとんどだったからなあ……。

霊夢ちゃんは俺と同じものを食っていたはずなので、霊夢ちゃんには本気で迷惑をかけたと思う。俺がいなけりゃもう少しまともなもの食えてたはずだからな。

 

高い代償(ボコボコにされる)を払ってはいるが、幽香ちゃんはなんだかんだいって緊急時は野菜などを作ってくれる(畑は自分で耕す必要がある)し、にとりへのスマホのレンタル代で二人分の米と調味料は十分賄える。

 

霊夢ちゃんの稼ぎは(といっても霊夢ちゃんって働かないんだよなあ……お賽銭もないし。ただわりとみんななにかしか持ってきてくれたりはしてるみたいで完全に物資が枯渇したことはない)すべて霊夢ちゃんのものにしてもいいと思うんだが、気が付けば俺の衣服やら食器やら家具やらを揃えてきてくれる。

 

霊夢ちゃんは「分捕ってきたものだから気にしなくていいわよ」とかいってるけど、衣服とかは明らかに新品だし、そもそもちゃんとサイズもあっている。

どうやって分捕ってくるんだか……本当に霊夢ちゃんってば……

 

そのくせ本人は着たきり雀である。いや、あの巫女服かなりの数あるの(少なくとも7着はある)知ってるけど、見た目変わらないからな……

……とりあえず脇(と膨らみを包んださらし)がちらちら見えて非常に落ち着かないので(というか寝るときの白襦袢も正直エロい)もう少し生活に余裕ができたら、霊夢ちゃんに服を送ろうと思う。

めっちゃ可愛いのとか送ってもいいけど、たぶんいきなり送っても遠慮されるので最初はスウェットやだぼだぼワンピースなど、部屋着を送ろうと思う。

 

……でもいつか高級な和服とかも送りたいな。きっと似合うと思うんだ。

 

さておき茶菓子を所望と言うなら、持っていくけども、霊夢ちゃんがわざわざ俺に言うってことは買い置きの煎餅とかそういうんじゃないのを求めているに違いない(謎の確信)

 

かといって、もはや作るのに手慣れた感のある(常にストックがあるぜ)ラムネや金平糖じゃあ、意表はつけても、お茶との組み合わせはいまいちだろうしな……

 

あるのは餅、煎餅、あんこ、蜂蜜、白樺シロップ、梅ジャム、果物か……

果物なら単品でも出せるけど、ううむ。霊夢ちゃんは俺に言うくらいだからな(二度目の謎確信)

 

「羊羹の作成も視野に入れねえとな……」

 

独り言ちて硬く決意する。

といっても幻想郷じゃ寒天は手に入らないからなあ……

どうせ紫さんに頼むなら直接羊羹頼んだ方が早い気もするけどな、でもまあ、ここは手作りの霊夢ちゃんに食わせたいじゃん?

あと安くつくしな。

 

餅があるが、餡子からめるあんころ餅じゃあちょっと手抜き感があるな……よし!

 

砂糖(貴重品、また頼んどかねえとな)を少し溶かして砂糖液を作って餅をゆでる……というか、乾いたモチを少量の砂糖液でふやかす感じだな。

餅が十分に柔らかくなったら、打ち粉したまな板の上に広げてあんこをのせて……いちごをさらに乗せてくるんと包んで出来上がりだ。

いちご大福に使ういちごは酸っぱいほうが美味いと思う。品種改良してない幻想郷では当然完熟してなければ酸っぱいぜ。

 

餅に砂糖を少し入れると固くなりにくくなるんだ。

いちご以外でも房に分けたミカンとか、コケモモ。クッソ甘いが干し柿なども合うぞ。

 

完成したいちご大福をもって、霊夢ちゃんの元へ向かう。

博麗神社には客間などという立派なものはないので普通に生活空間の和室である。

 

「おまたせー」

 

「アンタおそいわよ、また妙なもん作ってたんじゃないでしょうね?」

 

「妙とは失礼だな、大福を……」

 

と、そこで俺の言葉が途切れる。

霊夢ちゃんの向かいに桃色の髪の綺麗な人が座っていたからだ。

綺麗というのはもちろん容姿もであるが、ピンと背筋を伸ばした、凛としたたたずまいは圧すら感じるほど美しかった。

 

目が合ったその女性は俺をちらと見ると霊夢ちゃんと言葉を交わす。

 

「彼は?」

 

声も綺麗である。

 

「なんて言ったらいいのかしらね……今では居候というほどではなし……かといって艶めいた関係でもないわね。共同生活者ってとこかしら?」

 

稼ぎがあってよかった!居候とか面倒見てるって最初のころ言われてて結構肩身は狭かったんだよな。いや、霊夢ちゃんには嫌味とかそういうつもりはないんだろうけどな。

 

さておき、ボケれるところではボケる、それが俺だ。

ちゃぶ台の上にイチゴ大福をおきながら、自己紹介をする。

 

「どうも、霊夢ちゃんの恋人の――頭が割れるように痛いっ!?」

 

自己紹介の最中に霊夢ちゃんに菩薩掌もどき食らった!?

霊夢ちゃんは可愛い見た目に反して意外にバイオレンスだ、なんど折檻されたかわからない。

まあ、俺が必要以上にボケたりおちょくったりするせいであるが……

 

「ふふ、どうも、私は茨木華扇、洞号を茨歌仙と言います。以後お見知りおきを」

 

洞号ってなんぞや?とおもいつつ、返事を返す。

 

「お、これはご丁寧に。華扇ちゃんでいいかな?」

 

「いいかなじゃないでしょっ!アンタはいつもいつも気安いのよ!?」

 

「いいのよ霊夢。ええ、かまいませんよ」

 

霊夢ちゃんが咎めてきたが華扇ちゃんからはokが出た。

基本的に幻想郷の人(俺は妖怪だろうが神だろうが人と称する)は年齢不詳すぎるからな。

フランが500オーバーって聞いてもはや考えるのをやめた。

若く見られて悪い気のする人間は少ないと思うのでやめろと言われない限り「ちゃん」で統一する。

例外的に紫さんみたいにちょっとやばそうな相手にはさすがの俺も腰が引けてしまったりするんだがな。

 

「わりと傍若無人な霊夢ちゃんにしては気を使ってんな?偉い人か?」

 

と霊夢ちゃんに問うと、聞いていた(まあ、聞こえるわな)華扇ちゃんが説明してくれた。

 

「いえ、どうも私は少々「煙たい」らしく……」

 

「ああ、なるほど」

 

「何よ」

 

霊夢ちゃんは基本的に説教してくる相手が苦手だ。説教してくる相手が得意な人間はいないとも思うが、まあ、霊夢ちゃんの普段が普段であるからしてそういった相手からは距離を置いているみたいだ。

 

「いや、霊夢ちゃん可愛いなって」

 

「アンタまたそんなことを……」

 

素で出てしまったが、やっぱこういう年相応のところ見れると嬉しいんだよ。

ふだん霊夢ちゃんは割と傍若無人だからな(二回目)

 

「霊夢、彼は嘘をついていませんよ?」

 

と、華扇ちゃんがフォローしてくれる。

めっちゃいい人だな!魔理沙ちゃんなら数分弄る(そしてスペルカード食らう)ぞ!

 

「知ってるわよ。それどころかこいつ、頭通さずに言うのよ」

 

「そりゃあ、思わず出る感想ってそういうもんだろ?」

 

「アンタのは度が過ぎてる上に時と場所選ばなさすぎるのよっ!」

 

「度が過ぎてるから勝手に口からでるんだよな……つまり今のは霊夢ちゃんが可愛すぎたってことで」

 

最初のうちは霊夢ちゃんのこの斜に構えたスタイルに「美人だけど冷たい」印象を抱いていたが、それなりの付き合いになった今では「ダウナーかつめんどくさがり」なだけと化けの皮がはがれてしまっている。

 

それでも妖怪退治や異変(この間初めて巻き込まれた)の時なんかは確かに怖さを感じるけどな。

でもそれは抜き身の日本刀のように、美しさもいっしょに併せ持っていると俺は思っている。

 

「おやおや、霊夢が珍しいですね」

 

「何よ」

 

「いえ、良いことだと思いますよ」

 

「うっさいわね。んで華扇。コイツの面倒ちょっと見てやってくんない?」

 

と、霊夢ちゃんが言う。

なんで俺がわざわざ呼ばれたんだろう(茶菓子だけなら持っていけばいいもんな)と思ったが、どうやら……

 

「面倒をとは?」

 

「酷い!霊夢ちゃん俺を捨てるの!?一つ屋根の下身を寄せ合って貧しさに耐えたっていうのに!」

 

 

 

茶化すチャンスが来たようだな!(外道)

 

 

 

まあ、でも嘘は言ってない。

実際、寒い日に身を寄せ合ったこともあるからな。

 

「アンタはあああああああっ!」

 

「ぎゃああああっ!?」

 

懐から取り出したお祓い棒で俺の脛を強打(俺だけまだ立ってた)してきた!?

 

「霊夢ちゃん、武器はだめだ……めっちゃ痛い」

 

「これは神具だから、武器じゃないわよ!神罰よ神罰!」

 

神罰(物理)はどうかと思うぞ……?

俺がボケたのが悪いんだろうけど(反省)

でも、ボケれたらボケないとな!(反省の念が見えない)

 

「全く霊夢ちゃんは……」

 

「私の言葉なんだけどっ!?」

 

柳眉を吊り上げて怒る霊夢ちゃんもまたいいものである。

普通に美人だよな、そのうえ普通に可愛くもあるからすごい(何がだ)

 

「ふふふ……、と、失礼。それで霊夢。面倒を見てほしいとは?」

 

「そうそう、俺もこんなきれいな人に面倒を見てもらえるのは嬉しいけど、霊夢ちゃんの方がいいなー」

 

「ばっ……!アンタ莫迦(ばっか)じゃないの!?……ああ、もう。アンタ少し黙ってなさい!話が混ぜっ返されて進まないわよっ!」

 

「ちぇー」

 

まあ、雰囲気的に追い出されるとか、そういうのじゃないみたいだからおとなしくしてるか。

紫さんが人里で暮らすのもいいっていってたけど、なんかなー?。

霊夢ちゃんの性格、慣れたら中毒性高いんだよなー(失礼)

それになんだか一緒にいるのが自然になりすぎていて、博麗神社から離れがたいんだよなー。

 

恋愛感情とか抜きにしてもなんとなくだから本当になんとなくとしか言えないんだけど「しっくりくる」っていうのが一番しっくりくる(支離滅裂)

 

「えっとどこまで話したっけ?」

 

「いえ、まったく」

 

「くっそ、コイツのせいで話進まないじゃないのよ。ま、兎にも角にも、コイツ、どんだけ言ってもあっちへふらふら、こっちへふらふらして危なっかしいのよ。異変解決に参加できるぐらい……と、まではいわないけど、ある程度の身を守るぐらい、鍛えてやってほしいのよ。私とか魔理沙だと、どうしても術に偏ってるから、教えれないからね」

 

「なるほど……、しかしそれならば人里に「悪いけど俺博麗神社がいい」……ですか」

 

「出て行くっていうなら私も止めないんだけど、どうあってもここに居たいみたいなのよね」

 

まったく!なんてことを言うんだ華扇ちゃんは。

博麗神社から出て行くつもりならとっくに出て行ってるし、なによりも霊夢ちゃんが追い出そうとしない以上は(どれだけ怒らせても出てけと言われたことはない、死ねと禿げろは山ほど言われるが)俺はここに居たいんだよ。

不思議と居心地がいいし、来る客も可愛い子ばっかりだしな。

 

「ですが私は弟子を取るつもりはありませんよ?ですのであくまでも依頼という形で、それなりの対価をいただくことになります、それでよろしいですか?」

 

「だってさ」

 

「霊夢ちゃんが始めた話なのになんか人ごとみたいだなっ!?」

 

霊夢ちゃんが代価の話になったら、俺にそのままスルーして丸投げしてきた。

別に俺頼んでねえんだけどな?

 

まあ、でも俺に出せる代価と言ったら。

 

「じゃあ、華扇ちゃん。体ではらおうううううっっっ!?」

 

「アンタはあああああっ!!」

 

皆まで言い切る前に鳩尾をお祓い棒で突かれた。

それ、アカン奴な?

 

呼吸困難に陥りぜひぜひしてる俺に霊夢ちゃんの罵声が飛ぶ。

 

「アンタ本当にいい加減にしなさいよ?」

 

「い、いや労働、労働でだ!」

 

スタンロッドのようにお祓い棒に霊力をスパークさせながら霊夢ちゃんが凄んでくる。

 

「アンタそこそこ稼いでるんだから、銭握らせときなさいよ」

 

「あいたたたたた……いや、むしろ労働の方が俺的にはかなり価値が高いはずだぞ?」

 

「なんでよ?」

 

「いや、霊夢ちゃん。今の俺には幻想郷で唯一と言っていいほどのアドバンテージがあるんだぜ?」

 

と、キメ顔でアピール。

 

「顔がうざい」

 

「手厳しぃっ!?まあ、さておき華扇ちゃん」

 

「あ、はい」

 

なんか、少し呆れてる気がするな?俺の、俺たちの(勝手に霊夢ちゃんも含めた)ギャグ時空に耐えれないのか?

 

「とりあえずそこの茶菓子食ってみて?あ、ちまちま食わずに半分ぐらい一気にかじってな?」

 

「え?いや、甘いものは好きですので頂きますけど………………!?」

 

うむ、いい反応。

 

「な、なんですかこのお餅は!?」

 

「いちご大福。あんこの甘さを酸っぱいいちごでリフレッシュ。そして酸っぱいいちごもおいしく食べることができる。まさに最強の取り合わせだ」

 

明治時代に分かれたっぽい幻想郷ではこれは初だろう味わいのはずだ。

 

「へえ……ん、たしかに美味しいわね」

 

霊夢ちゃんもなかなかの反応。

霊夢ちゃんは好き嫌いしないせいで美味しいもの食った時の反応も薄いんだよな。

 

「さて、華扇ちゃん。俺はこういった華扇ちゃんが知らない甘いものを作ることができる。これって報酬にならないかな?」

 

女性は甘いものが基本的に好きだ。

ここ幻想郷でもまだ甘いものが苦手という子には出会ったことはない。

いま、華扇ちゃんも甘いもの好きって言ってたしな。

 

「いくらなんでも私はそこまで安い女じゃないですよ。やはり代価と言うのはもっと「俺の分のいちご大福食べていいよ」いただきます!

 

とりあえず食い物で黙らせる。話はその後だ。

こういったものにはタイミングがある。食べ終わって「ああ、なくなっちゃった……」というぐらいに切り出すのが一番いいのだ(極悪)

 

渋めのお茶もいっしょに出す。軽く水をさして少しぬるいぐらいにするのがミソだ。

霊夢ちゃんにも同じものを出すがこちらは熱い奴だ。霊夢ちゃんは熱い奴が好きなんだよな。

 

食ってるのを横目に一旦席を外して氷室に向かう。今晩食おうと思ってたやつだが、たたみかけるためにはちょうどいいだろう。

 

戻ってきたら霊夢ちゃんはお茶を飲みながらくつろいでおり、華扇ちゃんは空の皿をじっと見つめていた。

うむうむ、いいタイミングだな。

 

「華扇ちゃんお代わりは「ください!」もうないんだけども」

 

「あ……」

 

すごく残念そう、うんうん、だがまだおれのターンだぜ?

 

「別のモノならあるよ」

 

と、プリンを容器に伏せたまま(プリン型などないんで、丸椀である)華扇ちゃんのお皿にのせる。

 

「はい、わん、つー、すりー」

 

の掛け声とともにお皿ごと容器をぶんとふって……うん、うまくお皿に出たな。

そのまま華扇ちゃんにお皿と木匙を渡して、俺は一歩下がる。

 

霊夢ちゃんに容器をかかげながら「いる?」と目で尋ねると「今いらないけど、後で食べたい」と目で(なんと近頃は二文節ぐらいなら目と目で通じ合うのだ)返してきたので華扇ちゃんにとられないように霊夢ちゃんの分は霊夢ちゃんに渡して「氷室に戻しておいて」と目で伝えると。「ついでにお茶の葉買ってくる」と返されてプリンを持って行った……俺らすごくね?

 

渡された華扇ちゃんは最初何かわからなかったようだが容器を外すと現れたプリンを見て「ほぅ……」と艶めかしげな息を吐いた……エロいな!

 

木匙を渡されていたため匙で掬って食べるものだということは理解していたのだろうが、人生(?そういや華扇ちゃんの種族聞いてねえや)初プリン。

抵抗もなく木匙がすっと入っていく(金属のスプーンと違い厚みがあるぶん煮物などの野菜を匙で切ろうとすると結構抵抗があるのだ)のに驚愕しているようで、なかなかかわいらしいと思った。あとエロいな!

 

ひと匙すくって口に運ぶと目を見開く。無言だが、漫画的に擬音をつけるなら「んーっ♪」って感じか?

すこし手がぱたぱたしてるのが可愛い。

とろけたような顔で木匙を舐る姿がエロいな!

 

そんなに大きいものじゃないので、すぐになくなってしまう、最初は大胆に匙を入れていたが半分になり、そのまた半分に……と食べるスピードは落ちていく。

だがそれにも限界はある。

ついにプリンがなくなってしまった華扇ちゃんは、ちらちらと俺を窺う。

 

「ここに俺の分はあるんだけど……なあ?」

 

ほしいか?欲しいのならおねだりして見せろ!と言外に込めて華扇ちゃんに容器を見せる。

 

「くっ……」

 

くっころか?いいぜ、強がれるんならそれはそれで楽しめる(変態)

 

「先ほどの言は謝罪します。ですのでもう一つ……いただけないでしょうか」

 

あっさりと屈した。

うーん、思ってたより張り合いがなくてつまらないな……もっと、こう、葛藤がないとな(邪悪)

 

「なにぃ~?聞こえんなぁ~?」

 

とりあえず畜生ムーブで煽ってみる(外道)

 

「くっ……ですから、私にもう一つ……」

 

「あー、どうするかなー、ほら、やっぱり俺の価値を否定されてたわけじゃん?心癒されるためにも、俺がこれ食うって選択肢もあるんだけど、どうしようかな?」

 

「そ、それならしかたないですね、わかりまし「でもパンツ見せてくれたらそれで癒されるから、これはいらないかなー?」……………‥……どうぞ」

 

鬼(霊夢ちゃん)のいぬまにダメ元で言ってみたら通ったよ!?即落ちはあんまり好きじゃないんだけどな!(贅沢)

立ち上がってスカートをまくってくれた。

 

「おお……」

 

薄いピンク色のパンツでサイドはやはり(幻想郷では化学繊維やゴムがレアなので)紐で止めるタイプだ。

華扇ちゃんが普段どういう生活しているかはわからないけど小さめで少しくい込んでいるような感じだ。

と、いうことは割と活発に動くタイプかな?大き目だとまとわりついて動き阻害するからな。

あとは小さめのせいか下の毛の一部がパンツの上の方からはみ出てちらっと見える……ちゃんと下もピンクなんだな?

普段使いのパンツっぽくてこういうのは割と(逆に?)興奮するな!あと太ももにいい肉ついてるせいかすこし形が浮かんでてエロいし!

 

思わず拝んでしまってから、華扇ちゃんにプリンを献上する。

さすがにパンツを見せるように言われて少し眉を吊り上げていたが、プリンを渡されて「にへら」というゆるゆるの顔に戻った。

華扇ちゃんって甘味でヤれそうなきがする(暴言)

 

華扇ちゃんが食べ終わるのを待ってから、話を切り出す。

 

「で、ちょっと意地悪しちゃったけども。代価としてはどうだ?俺的にはそうだな……週一回の甘味食い放題……砂糖系の手に入り方によって一応限度ってもんがあるけど、できる限り要望には応えるつもりだけど……どうよ?」

 

「なるほど……確かに言うだけのことはあります、これならば十分対価になると思います。ただし、私からもいくつか条件は付けさせてもらいます」

 

「ん?どんなのだ?」

 

まあ、今やらかしたからセクハラの禁止とかそういう奴なんだろうけど、……でも不可抗力で触ったりはあるよね!(期待)

 

「まずは鍛錬はとりあえずは週に二回とします。初心者は勘違いしがちなのですが、毎日訓練してもそこまで身につきません。基本的な動きの反復練習は必要ですが「疲れる」ぐらいまではしてはいけません、逆にこの二日は限界までやります」

 

「おう、わかった」

 

超回復だっけ?なんか休養が大事なんだよな?

 

「次に他門への師事ですが、身体の基礎ができてからではありますけど、これらもかまいません。むしろ良いと思うことはどんどん取り入れてください」

 

「へえ、珍しいな?普通武術って混ぜないもんだと思ってたわ」

 

「混ぜますよ?混ぜて最適化して、現代まで継承されてきたのですから。それに体っていうのは本人のみの一品ものです。私の教えることが全部役に立つとは限りません。ただし、身につくまでは動きを、教えを疑ってはいけません、身についてからは逆にこれでいいのかと疑ってください」

 

「なるほど」

 

どうやら華扇ちゃんの教えるものはかなりの実戦的なものらしいな?

見た目で中国拳法系だと思ってたけど、いろいろ混ざってるのかもな?

 

「それと木っ端妖怪相手ですが実践訓練も行います。死ぬようなことは「なるべく」無いようにしますが万が一もあります。それと「殺す覚悟」はしておいてください、それと弾幕が出せるようになったらそっちは……まあ霊夢と一緒なら相手に困ることはないでしょうから自主訓練でいいと思います」

 

「お、おう」

 

まあ、そうだよな。霊夢ちゃんの依頼は「幻想郷で生きていく力をつけてやって」だからな。

そこには弾幕ごっこに不参加のガチ妖怪の相手も入るよな……

 

……幽香ちゃん弾幕ごっこに賛成してるのに物理で襲い掛かってくるのなんでですかねえ?

 

「あとは言われたことは必ずやるようにしてください、無茶は言いますが無理は言わないつもりです。時と場合によっては「休養しろ」というのもあります。いいですね?」

 

「ああ、それはわかった」

 

「最後に……」

 

セクハラの禁止か?まあ、しょうがないわな。

 

「甘味がない場合はおつまみでも結構です。私は結構強いので」

 

「おう……え?それだけ?」

 

「それだけとは……?」

 

「いや、エロい要求禁止とか……」

 

「ああ、それは特に」

 

「いいのかよ!?」

 

なんてこった!やっぱりピンクの髪は淫乱なんだ!(偏見)

 

「良いとまでは言いませんが、あなたが真面目に取り組んでいるのなら多少はご褒美……と女慣れさせるためには許容しますし、師として許容せねばなりません。色仕掛けや女だからと侮って殺された戦士は星の数ほどいます」

 

「華扇ちゃん……」

 

結構真面目、というか真面目が振り切ってるな!?

もっと、こう、軽いノリでいいのよ!

 

「そも女性など100年も遡ればモノでした。戦争など起きれば埋められて、殺されて、犯される存在でしたしね」

 

 

 

 

「順番が猟奇的だな!?」

 

 

 

 

まあ、言わんとしてることはわかるけどな。

レディーファーストだって、襲撃警戒して女性を先に行かせただけって話だし。

 

「まあ、私は特に気にはしません。むしろ純粋な力で手籠めにするというなら……」

 

そういって今日一番艶っぽい声で華扇ちゃんは告げた。

 

「私をモノにしてもいいんですよ?」

 

その声を聴いて俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不覚にも勃起した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




両備可愛い

エイプリルフールに事故ると三割ぐらいの人間が信じてくれない不具合があります……

私の中の華扇ちゃんは水樹奈々の声です

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。
感想が少ないと覇者の証探しに行きます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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紅魔館に初訪問した話・前編

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1400人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者のほうてぃみんMk4様、tmtdk様、孝也様、ティアール様、蒼い胡蝶蘭様、 すかたず様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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長くなりすぎたので分けざるを得ない。


「さあて、魔理沙ちゃんを一体どうしてくれようか……」

 

紅魔館の付近の少し開けた場所に俺は「落とされて」いた。

……前にもあった気がするが、紅魔館へ魔理沙ちゃんとタンデムで向かっていると(なお、俺は安全のため最初チルノと一緒に行くつもりだった、紅魔館から近いところに家があるらしいのとなんだかんだでチルノは結構強いので)何者かに気付いた魔理沙ちゃんが俺をパージして猛スピードで飛び去って行ったのだ。

……金輪際魔理沙ちゃんの「なら私が送ってやるよ」は信用しないことにする。

 

俺も馬鹿ではないので万一の備え(霊夢ちゃんに飛行能力を借りたり、コンパス(博麗神社を常に指す、にとりが作ってくれた)を持ったりはしてる。

お土産も持ってきてあるので最悪チルノの家にでも転がり込むということもできるだろうし、妖怪の山置き去り事件よりは絶望感は感じない。

 

 

 

 

 

だからといって魔理沙ちゃんを許すかどうかは別問題である(憤怒)

 

 

 

 

 

生足ミニスカあたりで俺の上空でも飛んでもらおうか(魔理沙ちゃんは羞恥系にすごく弱い)

まあ、それは置いておくとして(あくまでも後回しなだけで何かしらはする、絶対にだ)さっき上空から紅魔館は見えてたので、多分この道を道なりに行けばたどり着くとは思うんだよな。

 

魔理沙ちゃんが「飛んでいくと楽しいんだぜ」とか言っていたので絶対に徒歩で向かおうとは思う。

そも、人んちの上空飛ぶとか怒られるだろうが。

 

お土産の確認(よかったひっくり返ってない)をして道なりに進む。

しばらくすると視界が開け、巨大な洋館が見えた。

 

「おお……」

 

……なんというか赤いな。

屋根だけかと思えば全体が赤レンガで作ってあるようだ。

紅魔館の名前は伊達ではないということか。

とりあえず玄関(と、言うより門だな)に向かうことにしよう。

 

さすがにここまできて何らかの妖怪の急襲を受けることも無いだろう、とおもってのほほんと歩いていると尻があった。

 

何を言っているかわからねえと思うが、俺もどう説明していいのかわからない。

 

俗にいう壁尻状態とでもいおうか、生け垣の中に上半身が突っ込まれていて尻がこちらに突き出されている感じだ。

本来の意味での壁尻ではないので、抜けようと思えば抜けることが可能なのだろうが、尻が突き出ているその状態でまったく動きがない。

 

ウ=ス異本ならこのまま何事も無いように尻をもてあそぶのだろうがさすがに人んち(屋敷)まできてやることでもないだろう(混乱)

 

頭がどうにかなりそうだ……

 

とりあえず、観察する。

まずは女性のようだ……スリットの入ったロングスカートだから直接下着が見えているわけではないので確実にそうとは言い切れないけど、まあ、普通は女性だろう。

……これで男だったら普通に全力でケツキックするかもしれない(八つ当たり)

 

脚の方も見えていて、ごつごつしてないようだし、ほぼ女性だろうけど……引き締まったいい肉がついている。

この尻が門番だっていうなら、それなりに使うだろうし鍛えてあるのは間違いないな。

 

……さらに観察する。

うん、引き締まったいい尻だ。

そっと近づいてみる。

うん、女性だろうと思う。

そう思ってもう一度尻を確認する。

うん、スポーツマンのいい尻だ。

 

これ以上観察していたら変な気を起こしそうなので(「スポーツマンヒップにもっこり!正々堂々とやらかすことを誓います!」と宣誓したくなるぐらいのいい尻だ)声をかけてみる。

 

「あのー、すいませーん」

 

……しばしの静寂。

 

「ふぁ!?ね、寝てませんよ!」

 

「寝てたんかい!?」

 

思わず全力で突っ込む、ウ=ス異本なら別のもの突っ込まれてんぞ!?

声を聴く限り女性のようでそれはそれで一安心だ……男の尻にむらっときたとか死にたくなるからな……

 

しかし、よくこの体勢で寝れるな……?

 

「えっと、はまって抜けなくなったとかですか?」

 

それなら助けましょうか?尻つかむけど(外道)

 

「あ、いえ、ころんじゃたのはころんじゃったんですが、思ったよりここあったかくてつい……」

 

「ついで寝る場所じゃない」

 

思わず真顔で返事してしまったわ!あれだ、幻想郷名物エキセントリックな人(失礼)だな?

そして、そういう人は妙に可愛かったり美人だったりするので、そこだけは期待できる!(重ね重ね失礼)

 

「えっと、とりあえず、出てきてくれると嬉しいんだけど」

 

流石に尻と会話を続けるのもなんだと思うしな、いや、恐ろしいことに不満はないぐらいいい尻ではあるが。

 

「あ、そうですね、ちょっと後ろ危ないですよ」

 

「お?おお……おおっ!?」

 

声をかけられて、俺が一歩下がると「すぽーん」て感じで飛び出してきて空中でひねりを加えて、俺の正面に着地した。

ちょっとキメポーズしてる気がするな、ノリがいいのか?

……いま、注視してたらパンツ見えたかもしれないのに惜しいことをした。

 

目の前に降り立った女性は。うん、まごうことなき美人さんだ。

服は……中国?って感じだが、人民服にしろチャイナドレスにしろ、なんか微妙に違う感じである。

洋装を取り入れた華人服って感じか?

 

「お見苦しいところをお見せしましたお客様。手合わせですか?それとも紅魔館に御用でしょうか?あ、私はここの門番兼庭師をしています、紅美鈴といいます」

 

……名前からして完全に中国人だよな?え、この子も外来人か何かなのか?

 

「フランに招かれてきたんだが……そういえばいつ来るか細かい指定まではなかったな」

 

「妹様に……ですか?」

 

怪訝そうな顔になる美鈴ちゃん。

 

「妹様?フランのことか?、あ、俺はにの――」

 

「妹様をたぶらかして何を企んでいるっ!?」

 

美鈴ちゃんの警戒度がいきなり頂点なんですけど!?

おいおい、待ってくれよ!俺は幼女に誘われてその実家にノコノコと現れたただの怪しい青年だぜ?…………

 

 

 

 

 

そりゃ警戒されるわっ!?

 

 

 

 

 

 

今のたとえが何一つ間違ってない時点でもう通報待ったなしである。

それどころか自衛のために害されても仕方ないレベルだと思うぞ、……いや、やばくね?

 

「いやいやいや、お菓子あげて仲良くなったんだよ!」

 

「なるほど、それが貴様の手口かっ!」

 

嘘も間違ったことも言ってないのに誤解だけがうずたかく積みあがっていくっ!?

 

「違う違う!そうじゃ、そうじゃない!」

 

「問答無用!この私がいる限りはこの紅魔館の門はくぐれないと思え!」

 

「ぬおっ!?」

 

打拳から弧を描くように掌打!直撃を避けるため防ぐというか腕に当ててしのぐ(超痛い)華扇ちゃんのような動きであり、見たまんま中国拳法のようでギリ動きがわかって何とか……!そして……

 

「あぶねえ!?」

 

ひやっとする感覚にしゃがみこんでよける、幻想郷に来て数度命の危機に陥った結果、間違いなく殺気というものを感じれるようになったと思う。

側面へ回りながらハイキック……食らってたら間違いなく後頭部のやばそうなところに当たったはずだ。

 

……やべえぞ。おれはしぶといのには定評が(霊夢ちゃんを筆頭に華扇ちゃんや魔理沙ちゃんや文、なによりも俺をボコボコにしてくる幽香ちゃんのお墨付きだ)あるが、攻撃なんぞ棒を振り回すぐらいしかできねえからな。

さらに言うなら今は棒すらない

 

「とりあえず待って!落ち着いて美鈴ちゃん!」

 

「軽々しく名を……呼ぶなあああああっ!」

 

裂帛の気合と共に飛び掛かってくる美鈴ちゃん、逃げようにも後ろを見せる方が危険だと判断して、責めて致命傷は避けようと身構え、衝撃に備える。

硬く筋肉を収縮させ、目をつぶり衝撃に備える…………?

 

「何をしているの、めいりん?」

 

だが俺の前に現れた何者が美鈴ちゃんの脚をつかんで軽々と攻撃を止めた。

まだ日中なせいか黒い外套みたいなのを身に着けていて一瞬「誰?」と思ったが、特徴的な帽子(ナイトキャップ?)は間違いなくフランである。

 

ぅゎょぅι゛ょっょぃ

 

フランってこんなに強いんだな!?

とりあえず、これで誤解も解けるだろうし一安――

 

「い、妹様。お放しください」

 

「何をしているのときいている!」

 

「あああああああっ!!」

 

ちょっ!?

フランなにしてるんだ!?掴んだ足を手が食い込むほどに強く握りしめてる!?

 

「ちょ、フラン落ち着け!」

 

宥めるが聞く耳を持たない。

 

「妹様は騙されています!このような怪しい男なにをたくら――ぐああああっ!」

 

「もういい」

 

と、フランは美鈴ちゃんを投げ捨てて底冷えのする声で告げた。

 

「お兄様を侮辱するなら、めいりんはもういらない」

 

そう言ってフランは美鈴ちゃんをうつろな目で見据えたまま手で何かを握る動作を――

 

「フラン!」

 

フランにタックルするように抱きしめる。

フランの能力がどんなのかはいまだによくわからないが、目か手か、そのあたりの動作が必要な気がした。

だから俺はフランを胸に抱きしめて視界と身動きを封じたわけだ。

 

……幸い、俺がやられるようなことはないみたいだ……

 

めいりんちゃんには手で動くなと指示を出す。今は刺激しないほうがいい。

 

身体の緊張をときフランをなだめる……ちがうな、うん、まずは感謝だ。

 

「ありがとうなフラン。俺を守ってくれて、俺のために怒ってくれて」

 

「お兄様?」

 

俺は怖い。

フランが怖い?いや、違う。

フランが将来後悔するのが怖い。俺のせいでここで美鈴ちゃんを殺してしまったりしたら……後でそれを後悔したら……

俺のせいで泣くようなことがあってはならない、それはあるいみ死より重い罪だと俺は思う。

 

だからフランの目をしっかり見て話す。うん、正気とは思えないぐらい暗い目をしている。

たぶんこれが初めて会った時に言っていた「勝手に怖いことする」状態なんだろうな。

治し方はわからない、俺にも攻撃が向くかもしれない。

 

だけど、こんな目をしたフランをほおっておけるわけがない。

 

「フランは人のために怒れる優しい子だな。ありがとうな」

 

胸に抱きしめたまま、フランに声をかける。

フランは悪い子ではない、それを俺は知っている。

 

「……そんなんじゃ、お兄様がいじめられててかっとなっただけ」

 

「まあ、そのへんは俺もある意味悪かった。先ぶれぐらい出しておくべきだったし誰かとくれば……にゃろう……!」

 

「?どうかしたのお兄様?」

 

俺の腕の力が妙な感じで込められたのを不審がってフランが

 

「あ、いやまあちょっと思うところがあっただけだ」

 

そもそも当初の予定通りチルノとくれば全く問題はなかったし、仮に魔理沙ちゃんときたとしても、途中で別れなければ話位はできたと思う。

つまり魔理沙ちゃんがめっちゃ悪い(矛先が向かった)

お仕置きのランクを一つ上げてもいい気がする。

 

……ノーパンあたりか……!

 

「なにかお兄様からみなぎってる気がする……?」

 

「はっはー、気にするな……だいぶ落ち着いたか?」

 

「えっと……うん、お兄様の腕の中は抱きしめられると地下室と同じ真っ暗だけど寒くないの!とってもあったかくて大好きだよ!」

 

「おう、そうか、光栄だな」

 

地下室ってなんだ?まさか閉じ込められてんのか?

まあ、それは後からちゃんと確かめよう。

 

「ごめんなさい、お兄様」

 

「ん?かっとなっちゃったのは俺のためみたいだから俺に謝る必要はないよ?でも、美鈴ちゃんには謝ろうな?」

 

「……めいりんも悪いよ?」

 

どうも美鈴ちゃんには素直に謝りたくないようだ。

だけど俺はフランは本当はわかっていると信じて諭す。

 

「そうだな、話を聞かなかった美鈴ちゃんも悪いな。でも話を通さなかった俺も悪い。俺も悪いから、フランは俺に何をするのかな?」

 

「違っ……!お兄様は悪くないよ!おうちに来てくれるっていって、来てくれたんだもの!」

 

「じゃあ、美鈴ちゃんも悪くないよ。美鈴ちゃんのお仕事は門番だから。怪しい人間は通さないのがお仕事だから……」

 

「お兄様は怪しくないよ?」

 

フランが言ってくれるのはすごく嬉しいんだけど客観的にみると俺怪しさの塊だからな……正直下手な怪異よりよっぽど怪しいぞ。

 

「フランは優しいなー。でも世間一般じゃ俺は十分怪しいんだよ。だから美鈴ちゃんは間違ったことしていないよ」

 

フランを撫でて軽く抱きしめる……なんか甘い匂いがして俺も心落ち着くな。

 

「でも、そうしたらお兄様おうちに入れない…‥」

 

ああ、フランはそれが心配だったのか?

 

「だから俺が悪かったから、怪しくないようにやり直すんだよ。美鈴ちゃん!」

 

「あっ、えっ?はい!?」

 

いきなり話を振られて混乱してるな。まあとくには問題ないだろう。

 

「俺、前々からフランドールに紅魔館にくるように誘われてたんだ。で、俺は博麗神社で霊夢ちゃんの世話になっている外来人で、パチュリーちゃんも俺を知っている。確認を取ってくれないか?」

 

「えっ?っとその、妹様が通せと言うなら……」

 

「いや、それだと俺が怪しいのはかわらないしな、一応俺の事を知っている大人に確認してもらったほうがいいだろ?」

 

まあ、筋は通さないとな、ちょっと俺も調子乗ってた感はあるな、どこ行ってもそれなりに馴染めたから。

 

「わかりました、少々お待ちください」

 

そういって館に消える美鈴ちゃん。

 

……フランと二人きりになったので…………

 

「というわけで来たぞフラン!」

 

と、いつもの調子で声をかける。

 

「ふえ?」

 

はっはー、落差についてこれてねえな?

俺は深刻なシリアス継続不能の不治の病にかかっているのだ。

 

「ん?どうした?」

 

「お兄様、怒ってないの……?」

 

「怒るわけないだろ?なんでだ?」

 

「めいりんに酷いことしたから」

 

「それだ」

 

「ふえっ!?」

 

そう、ここが重要。

 

「フランは今酷いことって言ったよな?」

 

「え、うん」

 

「酷いこと……悪いことをしたって思えてるんだから、あとはフランならわかるよな?」

 

「え……うんっ!」

 

すこし視線をさまよわせて、思い当たったのか満面の笑みで返事を返してくれる。うん、可愛い。

 

「前も言ったけど、ごめんなさいするなら俺は許すよ、他の誰が許さなくても俺は許すからな」

 

「うんっ!」

 

「ま、美鈴ちゃんも許してくれたらもっといいけどな」

 

フランの頭を撫でながら言う。

しかし、このナイトキャップ的なのなんだろうな……?外套も邪魔だし…‥

フランのすべすべの髪の毛やぷにぷにのお肌を堪能できないではないか!(変態)

 

「うーん」

 

「どうしたのお兄様?」

 

「いや、これ邪魔だなーと思って。脱げないのか?」

 

「え?お兄様私を脱がせたいの?いいよ」

 

言い方ァ!?

一昔前のコメディだったら確実に誰かに聞かれてんぞ!?

あと、いくらお子様マインドでももっと警戒すべきだぞ、フラン。

 

「あー、まあ意味はあってるけど言い方に気を付けような?」

 

俺が死ぬからな!と心の中で言ったあと周囲を確認して美鈴ちゃんが戻ってきてないことに安堵する。

聞かれてたりしたら第二ラウンドが始まってしまいかねないからな。

 

「でも、おっぱいとかぱんつとか男の人は見ると嬉しいって聞いたよ?」

 

「間違ってはないけど誰だそんなこと言ったの!?」

「パチュリー」

 

「またパチュリーちゃんか!?絶対ムッツリだろ!体つきもさり気にエロいし!」

 

パチュリーちゃんダボい服のせいでわかりづらいけどかなりいい肉ついてる。

ちょい太目ぐらいの触ってて一番気持ちのいいフカフカ具合だと思う(酷)

 

「むっつり?」

 

「ああ、パチュリーちゃんはムッツリスケベだ」

 

力強く断言する。

 

「それはともかく、いいよって言うならとりあえず帽子だけでも脱がせようかな」

 

さすがにこの外套的なものは日よけだろうし、念のため安全マージンを取っておこうと思う。

 

「ん、お兄様が脱がせる?私が自分で脱ぐ?」

 

だから言い方ァ!?

とりあえず美鈴ちゃんはまだ戻ってきてない。セーフ!

 

戻ってくるの遅いんだけどもしかしてパチュリーちゃん読書モードに入ってるんじゃねえだろうな?

そうだったらなかなか現世に引っ張り戻すのには骨が折れるぞ?

 

「じゃあフラン、帽子とってみようか」

 

「うん!」

 

満面の笑みでいそいそと帽子を脱ぐフラン。

キラキラとした金髪がまぶしい。

 

……パンツ脱いでみようかとか言っても同じようにしそうでお兄様将来が不安である。

まあ、ほら将来育ってたらセーフ、500歳こえてるし合法だよな?(虚空に問いかけ)

 

とりあえず益体もないことを頭から振り払いつつフランを愛でてみる。

 

「おー、さらさらで気持ちいい髪の毛だな!ずっと撫でていられるぞ」

 

「えへ、本当?嬉しい!」

 

まあ、だからといってずっと撫でてたら頭髪に深刻な影響が出そう(それぐらい気持ちいい)なのでどちらかと言うと手触りを楽しむ感じでそっと添える程度にしておくが。

 

………………………………流石に遅くね?

いや、読書モードのパチュリーちゃんは確かにちょっとやそっとじゃ反応しないけど先っちょ摘まむとかしたら反応するよ?(非道)

 

「おそいねー」

 

フランも焦れてきているようだ。

 

「そうだな、他に大人の人っていないのか?話の分かるような」

 

流石に妖精メイド(さっきからちらちらと様子を見に来ている、さすがにフランがいるので近づいては来ないようだ)に頼んでもダメだろうしな。

 

「んっとー、咲夜がいるよ」

 

「咲夜?」

 

「メイドの一番偉い人」

 

ん?それって時々人里で見る……

 

「銀髪のメイドさん?」

 

「うん、咲夜の髪の毛は銀色だよ」

 

めっちゃ脚の綺麗なメイドさんで、正直人里で見たときはなんでメイド!?と二度見したあと脚をガン見した覚えがある。

スカートの長さも絶妙であの時ほど突風に期待したことはない。

なんなら靴底すり減るぐらいに強烈にすり足したかったぜ……

 

「ああそれなら話も通じそうだな」

 

すごいクールそうな印象はあるけど、どことなく可愛い印象も感じたんだよな。

 

「呼ぶ?」

 

「そうだな、このまま美鈴ちゃんを待っててもいつになるかわからないしな」

 

メイド長(?)ならその辺の妖精メイドに声をかければすぐ来てくれるだろうし――とおもってるとフランはその場で「さくやー!」と呼んだ。

いや、そんなことより妖精メイドに……と口出ししようとすると――

 

「お呼びでしょうか、妹様」

 

目の前に銀髪メイドが現れた!

 

……は?

 

あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 

「フランが咲夜と呼びかけたと思ったら いつのまにかメイドが目の前にいた」

 

な、何を言っているのか わからねーと思うが、おれも何が起きたのかわからなかった……

……ん?ということは

 

「瞬間移動か時間停止か?」

 

「うん!咲夜は時間を止めれるんだよ!」

 

なんたるチート!

最強クラスの能力じゃんよ!すくなくともその辺のメイドが持っていていい能力じゃないと思うんだがな?

 

「お見苦しいものをお見せしました、お客様。妹様、ご用件は?」

 

「お兄様を中に入れたいの!」

 

「……なるほど、客間でよろしいでしょうか?」

 

「いつも魔理沙が来るところ?うんいいよ!」

 

魔理沙ちゃんはフランと割と仲がいいのか?

 

「ではこちらへ、どうぞお客様、紅魔館へようこそ」

 

とすげえ事務的に応対される。

まあ、あやしいっちゃあやしいしな……

 

「えっと咲夜……ちゃん?」

 

「…………咲夜、あるいはメイド長とお呼びくださいませ」

 

硬いなー……しごとなんだろうけど、こう、もっとフレンドリーにならないのかな?

 

「差し支えなければ咲夜ちゃんでいいかな?」

 

「……お客様が望むのであれば」

 

「じゃあそれでたのむな、咲夜ちゃん」

 

「了承いたしました」

 

その後しばし無言で歩を進める。

うん、俺は静寂苦手だわ……

 

「そういえばフラン、俺が来ること誰かに言わなかったの?いや、俺も大分来るって言ってから間があいたけど」

 

「お姉さまと、咲夜には言ったよ、あ、咲夜!お兄様がおかしくれたんだよ!」

 

「伺っております、ただもう少し……お若い方かと」

 

まあそうだよな、自分の年齢すらわかんねえけど少なくとも小学生とかではないわな。

フランにお菓子あげて仲良くなるのが許されるのって小中学生ぐらいか逆におじいさんとかだろうな。

それ以外では犯罪臭がするよなあ……(なおおじいさんでもフランより若いという事実)

 

「パチュリーちゃんからは何も聞いてなかった?」

 

咲夜ちゃんに確認を取る。

 

「いえ、何も」

 

「連絡不足かー、不審者扱いされるわけだ」

 

そもそも連絡方法が少なすぎる&不確実すぎるからな。

魔理沙ちゃんはここに来ることあるみたいだけど、頼んでも「忘れてたぜ!」とか言ってきそうだし、チルノも言わずもがな、霊夢ちゃんはたぶん「面倒」で切って捨てると思う。

……どうしろと!?

 

唯一の希望は大妖精だが多分紅魔館みたいな怖そうなところには近寄らないと思う。

たのんだら頼んだで「だ、大丈夫です!」とかいって頼まれてくれるんだろうけど……今度頼むか!(外道)

 

「そういえばお姉さま?とやらに挨拶とかするべきかな?」

 

「おそらくですが後ほどお茶に誘われるかと思います」

 

「こういうところのお茶って本格的そうだな……と、そういえばお土産あるんだった、ちょっといいか?咲夜ちゃん」

 

「なんでしょうか、お客様」

 

リュックから河童の玉手箱を出して……うん、さすがにとりが言うだけのことはあるな。

ジャイロがどうとかよくわからんけどひっくり返しでもしなければ中身が綺麗なままという謎の箱である。

 

「手土産だ、本当は本格的なケーキでも作りたかったんだが今はそれが精いっぱいなんでな」

 

渡したのは積層ケーキ。ミルクレープをクリームでデコレートしてホールケーキっぽくしてある奴だ。

スポンジ焼く設備がなくて次善の策でこうなった。

ここ西洋風だし、紅茶かコーヒー出てきそうだし合わせてみたぜ。

 

「頂いておきます。お客様は料理を?」

 

「あー、まあ趣味程度にな。飯よりもおやつの方が得意な感じだが」

 

一応飯も人並みには作れる、ただ俺の味付けはすこし醤油に重点が置かれているため結構評価が分かれる。

徐々に万人向けの味付けに寄せてはいるけど、それでも少々塩気がきついみたいだな。

 

「なるほど、あ、こちらが客間でございます」

 

通された部屋は……博麗神社の離れぐらいでけえな!?

一部屋でこれか!紅魔館はでかすぎないか?

 

「ありがとうな、咲夜ちゃん」

 

「では」

 

「お兄様お話しよーっ!」

 

咲夜ちゃんが辞して客間に二人になるとフランが外套を脱いで俺にダイブしてきた。

ぷにぷにぬくやわこい幼女の体温にちょっとほっこりする。

 

正直呼ばれたからきたけど完全にノープランなんだよな、現代と違ってゲーム機とかもないし。

……霊夢ちゃんがチンチロとかしてたのを見て(そして賭けてたのを見て)愕然としたもんだ。

だが、霊夢ちゃんと魔理沙ちゃん、二人とも美少女なのに妙にしっくりくる姿だった。

 

ただ、行くと言ってしまった手前放置もできないし、何よりフランが楽しみにしてたしな。

なのでお話しようと方針を示してくれたのはありがたい。

 

「このまま?」

 

「うん!きょうはお兄様私の物ー!」

 

と、しがみついたままなのはご愛嬌と言ったところか、俺はフランの頭を撫でながら話を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アンケート更新してありますが
次回は当然続きです。

感想が増えると多分早くなるかも(ネタ作りやすくなるため)
あとここ好きも結構参考になってます

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酒は飲んでも飲まれるな

移植品。


異変解決の宴会……というわけではないが、小規模な宴。

まあ、人外は(+霊夢ちゃんと魔理沙含む)酒を飲むのが好きだしな。

突発的に仲のいい者同士で集まって宴を開くことがある、今回もそんな感じだ。

 

「ほらほら、料理ばっかりしてないでのめのめ!」

 

と、俺に酒を勧めてくるのは博麗神社の良く出没するのんべの幼女鬼、萃香ちゃんである。

俺は酒が飲めないわけではないがそこまで強くないし味があんまり好きじゃねえんだよなあ。

もちろん嗜みはするし、近頃仲良くなった造り酒屋のおっちゃんのところの「当たり」の酒は俺でもうまいと思うが酔うために飲んでる妖怪たちとはちょっとそりが合わない感じだな。

とくに萃香ちゃんみたいなのは人に酒を飲ませまくるので宴会の時はあまりかかわりたくないんだよな。

 

「そういわれてもなー、俺、酒あんまり好きじゃないんだよ。あんまり強くないし」

 

そう俺が言うと萃香ちゃんは俺に腕を回して絡んできた。

 

「なんだ、なんだ?それはいけないなー?そんなの人生の120%損してるぞー?」

 

……俺来世の分まで損してるの!?

まあ、酔っぱらいの言うことだから適当なんだろうけども!

あと萃香ちゃん、無いように見えて微妙にある?柔らかいだけか?

 

さておき飲めなくは無いので少しぐらいは付き合うことにするが……

 

「しょうがねえな、一杯だけだぞ」

 

「じゃあ、この一升枡で」

 

「死ぬわ!?っていうかそれ米はかる奴だろ!?酒なんか入れたら霊夢ちゃんにどやされるぞ!」

 

萃香ちゃんが取り出したのはどでかい枡。米とかの量り売りなどに使うやつだ。なお博麗神社には四升炊ける化け物のような鉄鍋が存在する、本来は米を炊くためのものではない(依り代)のだが宴会などで大量におにぎりが必要だったり(むしろ必要なのは酒だが)炊き出しをしたり、純粋に大量に人がきたり(たいていは俺の新作料理のふるまい)した場合に米を炊くのに使っている。神様は心が広いなあ(目をそらしつつ)

鉄なべなので火の当たりが強いので注意しないと下の方は焦げだらけ、中心部はやや硬いという状況になるので扱いが難しい。焦げはうまいけどな。

今日も米を炊くのに使ったぜ。

 

「ちがうぞ?これは私の私物だぞー?うまい酒は一気に飲みたいからなー」

 

「うまい酒は味わって飲もうぜ!?酒屋のおっさんが泣くぞ!……まあ、美人の嫁がいるから泣かせてもいいとは思うが(非道)」

 

おつうさんというめっちゃエロい雰囲気の嫁さんと、くりくりしたお目目の可愛い女の子(寺子屋で発見)がいる、禿げてて暑苦しそうなのにな!(ハゲへの熱い風評被害)

まあおっさんのなまえが与ひょうだし、相手がおつうさんと言うことでおつうさんの正体も知れてる(日本一有名な鳥妖だ)が、別に悪いことしてるでなし、霊夢ちゃんには内緒にしている。

 

そも、俺は基本的に人外も人間も同じ「人」として扱ってる。なので犯罪すればとっ捕まえるし(もっとも俺に被害がない限りは別に気にしないが)仲良くなれるなら特に種族にはこだわらない。

流石にゾンビはちょっと衛生的に遠慮したいが、(腐ってないので芳香ちゃんはセーフ、ただたまに血が出てたり、肉が見えてたりするのはちょっと怖い)外見で差別したりはしねえな。

 

同じ理由でレミリアさんやフランが人の血を吸ってたとしても、ルーミアや萃香ちゃんが人を食ってたとしても正邪ちゃんが拗らせてひねくれてたとしても、別に俺は気にならない。目の前で人を食おうとしたら理由ぐらいは聞くけどな。もし夜に妖怪の山に行ったり人間側から攻撃したとかいうんなら食われてもしょうがねえと思う。自然の摂理ってもんだし、殺しに来て殺されないとか思ってるなら、いっぺん死んだほうがいい。

 

ただし天子テメーはだめだ。

畑をダメにするというのは食料をダメにする、ひいては命をダメにする行為であり、つまりは攻撃を仕掛けたのに等しい。

正直性欲抜きで「わからせて」もいいんじゃないか?と俺が思った唯一の相手である。

謝って1haぐらいの畑を一年やり遂げる位の根性見せたら許すが。

 

「まあ、コップでいいだろ、ほら一杯くれよ、伊吹瓢のはいらんぞ。霊夢ちゃんに飲むなよ、絶対に飲むなよって言われてるから……なんか飲んでいいような錯覚に陥るな?」

 

あるいみ日本の伝統芸能と化してしまった気がするからな、あのやりとり。

 

「じゃあ、こいつを」

 

と、五合徳利から(漫画とかでよく見る酒とかいてあるツボみたいな蓋のできるでかいやつだ)とくとくとコップにいっぱいになるまで注いでくる、あふれる!?

 

「ととととと」

 

あわてて口をコップに向かわせてずずっとすすってこぼれるのを阻止する。

 

「なみなみと注ぎすぎだ!」

 

「だってたくさん(いっぱい)っていったじゃないか」

 

「またそういう屁理屈を」

 

鬼は嘘はつかないが屁理屈は言うし、ごまかしたり、沈黙したりもする。

まあ嘘はつかないっていうのも地獄の鬼だけで(閻魔様のせい?)萃香ちゃんとか天然の(?)鬼はつけるみたいだが種族特性なのかあえてはつかないかんじだな。

 

「まったく」

 

今度は落ち着いて一口。

すっと鼻に抜ける甘い香りと、少し粘度を感じるのど越し、そして……

 

「うっわこれ強いな!?」

 

腹から来る熱。結構強めの酒だ。味は悪くないので俺の選んだ酒だろうか?

 

「お前の買ってきた酒なのに知らないのか?」

 

「俺は飲まなくても善し悪しがわかるんだよ」

 

「いいのか悪いのかわからないな、飲む前の楽しみが減るきもするしなー」

 

まあ確かにそうかもしれないが、お金出すならどうせならうまいもの欲しいじゃん?

そもそも量飲めねえからな、文字通り量より質なんだよな。

 

「いいか悪いかがわかるだけでアジまではわかんねえぞ?」

 

「ますます謎だなー?でもうまいならまだいけるだろ?」

 

と、杯を干す前に継ぎ足される。

おいおい、潰れちまうぞ……

 

「萃香ちゃんアタシを酔わせて何をする気!?いやらしいことするんでしょう?ウ=ス異本みたいに!」

 

と裏声も混ぜて牽制する。鬼に付き合って酒飲んでたら人間は簡単に死……あれ?霊夢ちゃんも魔理沙も人間……だよな?いや魔理沙は吐くけど、霊夢ちゃんは酔っぱらっても吐くのは見たことないな?

流石霊夢ちゃん!(謎の称賛)

 

「男はな―そこそこまでならいいんだけどな。あんまり飲ませると使いもんにならないんだよな。その点男は楽だよなー。寝てても突っ込めばいいんだから」

 

「無理やりはしないわっ!?パンツ見たりおっぱい揉んだり(セクハラする)ぐらいはするかもだが、だいたいこの狭い幻想郷でつぎに顔合わせたら気まずすぎるだろ」

 

そんな大学のテニスサークルみたいなことしねえよ!?(偏見)

そもぐでんぐでんになった女って悪いけどひたすらめんどくせえんだよ。いや萃香ちゃんの言うように突っ込むためならともかく、そうでないなら放置も出来ねえし、介抱ぐらいはしてやらなきゃだし、吐いたりしたらそれらも面倒見なきゃだし……割とめんどくさい。

 

……妹紅さんとか「気持ち悪くて動けない」というのが大抵連れ込み宿の前で作為感じるしな!

「大丈夫何もしないから」って普通男が言うもんだと思うんですけどねぇ?

 

「そんな消極的なのは男として少しいただけないなー?私で筆おろしするか?浅いけどきつきつだぞー」

 

「せんわ!?」

 

興味はあるがな!絵面がやばいし萃香ちゃんとやったら絶対に幼い系の女の子たちも射程内に入りそうな気がするので危険だ。

 

「ま、今日はたらふく飲めよー?潰れてもここなら特に問題はないだろ?あ、ちょっとお宝拝見はするかもだけどなー?」

 

「最後の一言がすっごい不穏だっ!?」

 

お、俺は膨張率がいいから、普段の姿だと真の実力は判定できないんだ、ほ、本当だぞ?(虚空に解説)

 

「潰れないように気を付けて飲むよ」

 

「じゃあ潰そうかなー?」

 

「マジ止めろ」

 

そのあとしばらく飲んでいた記憶はあるが、いつのまにか寝てしまったのだろうか。

気が付いたら布団に寝ていた。霊夢ちゃんかな?

本当に霊夢ちゃんは優しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インシデント・萃香

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

反応の鈍くなったこいつを突っついて様子を見る。

本気でだめそうなら、こいつの部屋に寝かしつけに行こう。

まあ、その時に添い寝ぐらいはしても罰は当たらないだろう。

 

こいつは人間の癖に嘘をほとんどつかない。かといって馬鹿正直でもなく……いや馬鹿なのか?

氷精とは別の意味で馬鹿だな。

 

その気になれば女どもを侍らせて何不自由なく幻想郷で生きていける位にはこいつはなじんでると思う。

長く生きているが、珍しい男だ。

 

「んあー?大丈夫だ……でもすこし……飲みすぎたかな……?うん、これ飲み干したら寝るわ」

 

そういってグラスの酒を干すと……ん?動きが止まった?寝落ちたか?

 

「お、寝たか?」

 

「いや、大丈夫だよ萃香さん」

 

と、はっきりとした声で答えが返ってきた。

思ったより大丈夫そうだ。

 

「おー、じゃあ寝るかー?って萃香さん?お前がそう呼ぶの初め――うわっ!?」

 

抱え込むように体をくっつけてきて、私の耳元でこいつが囁くように喋ってくる。

 

「いつも気にかけてくれてありがとうな、萃香さん。萃香さんのおかげで俺も明るくなれてる」

 

「えっ、あっ、いや。そ、そういう意図は……」

 

耳元で睦言のように囁かれるとぞくぞくするな!?

もともとこいつの声は割と好みだったんだが、これはやばいという奴ではないのか!?

腰から甘い痺れが上がってくる感じがする!

 

「思えば俺が一人でいると真っ先に声をかけてくれるよな。うん、萃香さんのそういうところ、ありがたいし、好きだな」

 

「すすすすすすすきっ!?」

 

鬼の特性が恨めしい、こいつが嘘偽りなく語っているのがわかるからだ。

囁かれながら撫でられて生娘のように動揺が止まらない。

なんだこいつは!?私はあっちの方も百戦錬磨のはずなのに!

 

「ありがとう、これからもよろしくな、萃香さん」

 

そう撫でられながら言われて、そして悪戯めいた笑いとともに角に軽く接吻されたと同時に――

情けないことながら全身の血が沸騰したようになって私は意識を失ってしまったようだった。

 

翌日身体をあらためたが……残念ながら欲望の痕跡は見当たらなかったけど――

 

「思ったより、いい男じゃないのさ」

 

そう独り言ちてふと考える。

あれは「生まれついての女誑」なのか昔聞いたことのある「いんきゅばす」なのか……

それとも――

 

その先を考えるにはまだ付き合いが足りない。

じっくりと見定めるのもいいだろう。どうせ時間はあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インシデント・霧雨魔理沙

 

「お?」

 

飲み疲れて、中途半端に酒が残ったグラスをもって月を眺めていると霊夢のところの居候(名前忘れた)がふらふらと歩いてきた。酒に弱いと言っていたから酔ったのかもしれないな?

全く酒ってものは限界まで飲んで吐いてそしてまた飲んで強くなるものだぜ?男のくせにだらしないな。

 

だいたい霊夢もこいつが来てから付き合いが悪くなった気がするのよ。

男と一つ屋根の下に(しかもこいつは結構すけべなんだぜ?)いて大丈夫なのかと霊夢に聞いたこともあるけど「うーん、頭の悪い弟って感じ?」とか言ってたし、そのくせ結構頼りにしているような雰囲気もだしていて、なんというか勘繰りたくなる感じはあるんだぜ。

 

「お、魔理沙」

 

「おう、大丈夫か?飲みすぎか?少しふらついてるんだぜ?」

 

「ん……ああ、少し、酒が過ぎたかもしれんな」

 

「だらしないんだぜ?そういうときははくまでのんだほうがすっきりするんだぜ?どうだ、飲むか?」

 

と、グラスを差し出す。

最初は私も一応年頃の乙女という奴なんで、間接キスとか意識したり、いろいろと悶着はあったけど、こいつに気を使うだけ無駄だっていう結論に達したのはいつごろからだったか……?私が呼び捨てになってから二月ぐらい後だったかもしれないな。

 

少々女好きなの(と、それに付随した痴漢行為)さえ気にしなければ人里の人間たちなどより(そして実家の人間より)よほど付き合いやすい男なんだぜ。

もっともこいつは私の事を女とみてない気がしてそれはそれでむかつくんだけども!

 

「ああ、ああ、ありがとう」

 

と少し返答に不安を感じるが、潰れたなら潰れただ、霊夢でも呼んで押し付ければいいし、よしんば吐いたりなんかしたなら一か月はネタにできるから私にとって損はないんだぜ。

 

グラスの酒を飲んだこいつが「びくっ!」として一瞬硬直した。

限界超えたかな?とすこし(こいつは時々突拍子もない行動をとるため)警戒しながら声をかけてみる。

 

「おーい、大丈夫か?だめなら吐くといいんだぜ?」

 

「いや。大丈夫だよ、魔理沙」

 

と思ったよりはっきりとした……というかなんかしっとりとした口調で返事が返ってくる。

なんだこいつ?ちょっと変なんだぜ?

 

「なあ、魔理沙」

 

「な、なんなんだぜ?」

 

「こうやって優しくしてくれてる魔理沙はやっぱりかわいい美少女だよな」

 

「お前は一体何を言ってるんだぜ!?」

 

真顔でそういうことを言うのは本当にやめてほしいんだぜ!?

声も真剣だし、私は他の連中と違って男慣れしてないんだよっ!?

知識ぐらいは持ってるけれども(アリスのところから盗ん……借りてきた本にいろいろ書いてあった、アリスって意外とエッチだな)自分が当事者になるとか考えたことも無い……あ、いや想像の上ではあるけど……まあ、その……

 

「うん、魔理沙は生活面でちょっとずぼらだけど、こうやってると本当に可愛い、いや綺麗なのか?うん、美人さんだな」

 

と、私を撫でてくる。

そして私に電流走る。

 

あー、これ、だめになるわ……

橙とかまるで普通の猫みたいに「にーにー」なくことしかできなくなってたけど、今ならわかるんだぜ。

 

可愛い、綺麗だと連呼しながら撫でられると、脳みそがとろけそうな感覚がある。

あ、こいつ帽子の下に手を……!

 

「んうっ!?」

 

な、なんだ今の!?身体がびくんってなって変な声が勝手に!?

 

「んっ!?んうっ!?ちょっ!待って!んうっ!」

 

「魔理沙は可愛いな」

 

普段帽子で隠れているせいで他の部分より感覚が鋭いのか、はたまたこいつの撫でるのがうまいのか、もしくはもともと、ここが弱いのか。それらの複合なのかもしれないし、普段のような意地悪っぽい声ではなく優しい声でゆっくりと声かけられてるせいもあるのかもしれないが、私は不思議な多幸感に包まれている気さえした。

 

「ちょっそんなことない!そんなことないから撫でるのをやめるんだぜ!あっ」

 

「魔理沙はちゃんと可愛いし綺麗だよ。これからもよろしくな」

 

そう囁くように言われると体の芯に熱いものを差し込まれた気がしてそして体が熱くなって……私はくてりと脱力して気を失ってしまったんだぜ……

 

 

 

 

インシデント・レミリア

 

 

 

「あら?お前にしては珍しく飲んでいるようね?」

 

まさに千鳥足と言うような体でフラフラとあるいてくる男に声をかける。

こいつは人間にしてはなかなか見どころがある男で、そして人間にしては大分こちら側に近い男でもある。

 

少なくともうちの面子でこいつに対して敵対行動をとるのは(制御不能の妖精メイドも含めて)いないと言っていい。

「ん、あー。レミリアさんか……うん。結構のんだなー」

 

いつもの立て板に水のようなしゃべり方ではなく、どこかぽわぽわとした喋り方をする。

……少し可愛いと思ってしまった。

 

「まったく、お前はもう少しビシッっとしてればそこそこ見れるのに普段はおちゃらけていて、そして今は……ふふ、そう、子供のようね」

 

年齢こそは重ねているものの、私の体は小さいのでこいつを支えたり運んでやることはできない。

力という点では十分あるのだが、身長が低いためそれこそ頭上に持ち上げて運搬する位しかできそうにない。

 

「さすがに酷い絵面になりそうだしね、無様すぎるわね」

 

「んー?なにがー?」

 

更によたよたとこちらに歩いてきて、私の方に両手を置くようにして、何とかたっているような状態だ。

 

「私をつっかえ棒代わりにするなんて不遜ね……まあ‥‥‥あなたの珍しいところを見れたし、これぐらいは許すわ。私に感謝なさいな」

 

「レミリアさんにはー、いつも感謝してるよー」

 

「ほら、しっかりなさいな……ってお前、まだ飲むの!?止めておきなさい」

 

誰かののみさしであろう、放置されていたコップを傾けて飲み干していく。

完全に酔って前後不覚になっているようだ。

 

「いや、大丈夫。心配かけてごめんな」

 

と、思ったよりもしっかりした声で反応を返してくる。

 

「心配なんてしていなくてよ。ただ、おもちゃが壊れるのは嫌ねっていう程度ね」

 

「ありがとう、レミリアさん」

 

「……?なぜ礼を?まだ酔っているのかしら?」

 

「だって、レミリアさんはいつも、そっけないふりで俺の事をちゃんと見ていてくれるから」

 

 

「あなたの勘違いよ、うぬぼれるのも大概にしなさい」

 

動揺を隠して言葉を紡ぐ。

私は冷徹な紅魔館の主足らねばならないのだ。

 

「レミリアさんのそういうところ少しだけ嫌いで、だいぶん好き」

 

どっちなのよ!?と喉元まで出かかった言葉を飲み込む。

こいつのペースにのせられると、おかしくなってしまう。。

 

「ねえ、レミリアさん」

 

「なに?」

 

少しイラつきながら返事を返す。

間違いなく酔っ払いのたわごとなのだろうが、なぜかこいつの言葉は聞いてしまう。

 

「もしレミリアさんが寂しかったら、俺の胸はいつでも空いてるよ」

 

「……不遜ね、酔っているあなたとは、話にならないわ」

 

そういって闇夜に向けて飛び立つ。

背を受けたまま。

 

顔など見られてたまるものか、きっと――

 

真っ赤になって、そして泣きそうな顔になっているだろうから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重大インシデント・博麗霊夢

 

(閲覧権限がありません。博麗の巫女の許可及びセキュリティレベル9.2以上が必要です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みけさんは感想やここすきが少ないと書き直しの袋小路にはまってしまうので適度にお願いします。

初訪問の話かきなおしまくりです


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紅魔館に初訪問した話・中編

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1500人を越えました
ありがとうございます。



誤字脱字報告者の芋名月様、tmtdk様、μηδέν様、64b様、トリアーエズBRT2様、ティアール様、SERIO様、Muro.y様、blackfenix様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)
いつから次が後編だと錯覚していた……?


「――は燃え尽きた、フランの目の前には攻撃してきた愚かな人間どもがいる、さあフランはどうする」

 

「えっと……「げせんなものどもよ、おもいしるがよい」といってやっつける!」

 

「今度の敵は強いぞ、2つで10以上を出したら成功だ」

 

「えっと……てやーっ…‥8だ!」

 

「人間の攻撃はフランを傷つけた!フランの体力は残り3だ、あと3回で倒さないとやられちゃうぞ」

 

「むー……えーい!‥‥5!だめー!なんでーっ!」

 

「さあ、後二回だぞー」

 

「えーい!……11!やった!」

 

「美しき女吸血鬼フランドールの放った攻撃は、愚かな人間を倒すことに成功した。おめでとう、フランドールは紅魔館を守り切ったのだ」

 

「やったー!」

 

さて、俺たちが何をしているかと言うとTRPGもどきである。

ルールも何もかも適当で俺の出したシチュエーションにフランの取った行動で目標数値を決めてあとは体力が尽きるまでにサイコロ(チンチロ用、魔理沙から没収した)を振って目標値以上を出せばよいという本当にルールもくそもない遊びである。

 

だが自分が主人公となって紅魔館を守るというシチュエーションにフランは大興奮。パチュリーちゃんが戦死したものの(パチュリーちゃんを使うという謎のコマンドを入力されたため敵の一人と相打ちになった)見事防衛に成功したわけだ。

 

ちなみに現在の体勢はフランが膝の上に乗っている完全に甘やかしスタイルだ。

先ほどまで興奮してぐいんぐいん動きまくってたためフランにエロスはほんのりとしか感じない(さすが吸血鬼と言うべきか怪しい魅力がある)んだが物理的な刺激に対応するためちょっと頑張って堪えてた。

おとなしくしてればそこまで反応することも無い(ひたすらかわいいので父性っぽいのは出る)し、これで一安心である。

 

「さてと、次は……」

 

と、なにか別の話題を考えていると、こんこんとノック音が客間に響いた。

 

「はーい」

 

フランが返事する。

やましいことはしてないけど、返事する前に降りてほしかったかも!

 

開くドアに誰が入ってくるか戦々恐々としていると……

 

「なんだパチュリーちゃんか」

 

「なんだとはご挨拶――挿入ってる?

 

「挿入ってないわ!」

 

入ってくるなり挿入ってるかとブッこまれた。

 

「何を入れるの?」

 

「ほらフランが興味持ったじゃねーか!」

 

フランは勢いで試しそうだからあんまり興味を引くのはまずいと思う。

……そもそも入らないと思うが(下品)

 

「そんなんだから界隈でパチュリーちゃんはムッツリスケベとかいわれるんだよ!」

 

「なっ!?誰がっ!?どこの界隈よっ!?」

 

俺界隈だ(邪悪)

嘘はいってないぞ?

 

「パチュリーはむっつりすけべ?」

 

「ぴぃ!?」

 

フランが無自覚にとどめを刺しに来る、ナイスだ(無慈悲)

勿論力強く肯定する。

 

「ああ、知識や言葉ばっかり詰め込むとムッツリスケベになるからフランは自然に学んでいこうなー?」

 

「よくわかんないけどわかったー」

 

「むっつり……すけべ……」

 

愕然としているパチュリーちゃんがちょっと可愛い(外道)

初めて出会った時もアリスちゃんが俺の腰ひもを結んでるのを見て「ヤった?(意訳)」と言ってきたからな。

今回も含めて初手でそういう考えに至るのは間違いなくむっつりとしか言いようがない。

 

そう言えば反応のない時につついたり摘まんだりすると過剰に反応するのはもしかしてエロスに汚染されて感度が――やめよう、大きくなりそうだ。

ふだんならまあいいけど、今はフラン乗せてるしな。危険が危ないんだ(混乱)

 

「パチュリーちゃんがムッツリなのはさておき」

 

「おかないでよ!訂正して!」

 

「いやあ、俺嘘つかねえし……」

 

と、訂正を拒む。

 

「結構ひどいこと言われてるわよね、私!?」

 

「じゃあ、そういうほんってよまないの?」

 

「それは……本は本だからたしなむ程度には……」

 

とパチュリーちゃん。これはがっつり読み込んでますな。

そもそもどんな分野であろうともパチュリーちゃんが本を読まないわけはないんだ、ましてや気になることなら……な。

 

「つまりそういうことだ」

 

と、ドヤってフランを撫でる。

フランもよくわからない様子だが撫でられて「えへへー」とご満悦である。

……フランを放置したら可哀そうだからな。

 

「くっ……あなたはどうなのよ」

 

ん?俺?俺は健全な男性だぞ?そんなもん……

 

「読むし、見るし、実践したい……パチュリーちゃん見てみるか?」

 

と、堂々と認めたうえでからかう。

 

「実物見せてくれるの!?」

 

「え?」

 

あかん、パチュリーちゃんの知識欲舐めてた!?

舐めてたが舐めて貰えるかもしれな――

 

「よいしょっと」

 

「ほえ?」

 

俺は危険が危なかったのでとりあえずフランを膝の上からおろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと仲良くなったらな!と先延ばしにして仕切りなおす。

 

「あなたは本当に人のペースを乱すの得意ね」

 

パチュリーちゃんが呆れたように言うがそれは違う。

 

「俺は人のペース乱すのが得意なんじゃなくて、ブレずにマイペース貫いてたら、周りが勝手に乱れるんだよ」

 

「それはそれでちょっとあなたおかしいと思うわよ?」

 

勿論魔理沙などをおちょくる時はじぶんからひっかきまわすが、大体において俺は素だ。

……ちょっと自分の行動を見直したほうがいいのかもしれない(反省)

でも特に問題はないと思うのでいいよな?(反省の念が見えない)

 

「そういえばパチュリーちゃん何か用事?俺は一応こう見えてもフラン愛でるのに忙しいんだけど?」

 

ナニかが落ち着いたので、再びフランを愛でるので忙しいんだぜ?

別にロリコンというわけではないが懐いてきてくれる女の子を甘やかし、構いたおすのは純粋に心が穏やかになれる。

フランにはそこはかとなく色気を感じることもあるが、性欲が出ない以上セーフのはずだし、なによりも父性愛的なものの方が大きいんだよな。

 

「忙しいんだけどー」

 

フランもそういってもっとなでろとばかりに頭を俺の手にすりすりとおしつける。

サラサラの髪が気持ち良いな!

 

「……あなたって、本当に人間?インキュバスだったりしない?」

 

フランがとろとろになってるのを見てパチュリーちゃんが半眼で物申してくる。

 

「しないわっ!?そもそも俺がそういう存在ならとっくに霊夢ちゃんにしばかれてるわ!」

 

……でもよく考えたら俺結構しばかれてる気もする。

霊夢ちゃんはパンツ見たりしてもそこまで怒ったりは(普通には怒る)しないんだけど、触ったりするとそれが偶然だろうと結構強めにしばかれる。なんだろう、なんか壁があるんだよなあ。

 

「でもフランがそれだけ懐いてるのって正直驚くわ。あと悔しいかしら」

 

「ん?悔しいって……まさかパチュリーちゃんは女の子の方が好きっ!?」

 

「違うわよ!あ、いえ違わないのかしら?たしかに男よりは好きかも?というか男に興味がわかなかったというか……」

 

ん?なんか変な言い方だな?黄増の塔案件じゃないのか?

 

「そもそも私出不精なのよ」

 

「デブ症?たしかにおなかの方に肉多めだけどデブって程じゃないぞ?」

 

「違う!引きこもってるってことよ!あと私は太ってない!」

 

いや、だからデブじゃないって言ってるだろうに……

でもなんというかこう、優しい感じの肉で俺は好きだけどな(謎の高評価)

 

「引きこもりって、普通に外出してるじゃないか?部屋にこもりっきりとかじゃないんだから…‥ああ、だから出不精か」

 

「そうよ、決して太ってるわけじゃないのよ?」

 

と力説するパチュリーちゃん。

 

「パチュリーはおデブなの?」

 

と、まともにブッこんでくるフラン。

もしかしてわかっててやってる?

 

いや、俺の可愛いフランがそんなわけないな!(妄信)

 

「フラン、あなたねえ……」

 

天を仰ぐパチュリーちゃん。なんというかパチュリーちゃんって結構苦労性の気配がするな。

俺の見た感じではマイペースっぽかったんだけど、なんというかフランとか魔理沙ちゃんとかに振り回されすぎの気がする。

 

「そーだなー、人それぞれで太い太くないって見方は変わるけど、俺は柔らかい感じの身体は好きだなー」

 

と、フランを撫でつつフォローする。ちなみにフランもぷにぷにだ。

 

「私は―?」

 

と、伸びあがって頬ずりしてくるフラン。うん、ぷにぷにかつすべすべで素晴らしいお肌だ。

 

「んー最高だぞー?」

 

と、抱きしめてこちらからも頬ずりする……なんかパチュリーちゃんが「うわ……」って感じでドンびいてる気もするけどこれは純粋に愛でてるだけなんで引かないでいただきたい。

俺は子猫にちゅーできる男だぜ?(なお感染症の恐れがある危険行為)

 

「えへへー」

 

「で、出不精がなんだって?」

 

とその体勢のまま話を促す。

 

「あなたよく平然と話を戻せるわね……まあいいわ、言っても無駄みたいだし。……単純な話よ、獲物以外で男なんかと接したことなかっただけの事よ、それにまあ、ここ女所帯だしね」

 

「なるほどなー」

 

女子高的なノリか?下着チェックしたりおっぱい触ったりの……

 

 

 

 

俺も混ぜてくれ(百合に挟まる男)

 

 

 

 

「あら?獲物に対して何もないのかしら?」

 

ん?ああ、そういうこと?

 

「ああ、それか……いや少しは驚いたさ……まさかパチュリーちゃんが……」

 

人を狩ってたとかそういうことか?でもまあここにはここのルールってものがあるだろうしな。

 

俺は深刻そうな表情で口を開いた。

 

 

 

 

 

「ヤリまくるために男を狩ってただなんてな」

 

 

「なんでよっ!?」

 

 

 

 

 

「むっつり拗らせて実力行使に出たんだろ?ああ、俺はそういうのに理解はあるけど……」

 

ちなみにフランをわしわしと撫でるふりをして耳をふさいでいる。

ヤリまくるってなにをー?とか聞かれても困るしな。

 

「そうじゃないでしょ!?紅魔館よ紅魔館!ここの主は吸血鬼でしょう!というかフランも!」

 

うん、知ってた(外道)

でもそう言われてもなあ……

 

「そのあたりは最初のころに紫さんにきいてたしなあ。実質死刑とかいってたやつだろ?悪人とっ捕まえて妖怪の食事にするってかんじの?だからまあ、驚くほどでもねえだろう」

 

ちなみに紫さんだが、紫ちゃんとよんでも紫とよんでもまったく動じず同じような応対だったので負けを認めて紫さんと呼んでいる。呼び捨ての橙、ちゃんづけの藍ちゃんとあわせてバランスもいいしな。

 

「……人間を食べることに忌避感はないの?」

 

これに関しては霊夢ちゃんにも言われたことがあるんだけども、うーんまあ、正直言うと――

 

「食わなきゃ死ぬってんなら食うことはしょうがねえだろ。別のもん食って生きれるならそうしてほしいし食いもせずに殺すとかってんならどうかとは思うがな」

 

俺はハンストで飢えを体感したからな。あんなんで死んだらそりゃ餓鬼にもなるわってぐらい苦しい。

ましてや食いたいのに食えないとか恨みつらみ爆盛だと思うぞ。

 

「あなた、すこし変なのね?」

 

ドストレートに言われた。

まあ否定はしない。自分でも少々妖怪よりかな?っては思うしな。

 

「まあな、そういえばここの主ってフランの姉ちゃんだろ?どんな人だ?」

 

「お姉さまはね、とっても強くてかっこいいの!」

 

フランが割り込んでくる。うん、自慢のお姉ちゃんみたいだな?

 

「なるほどなー、フランはいいお姉ちゃんを持ったな。パチュリーちゃんからは?」

 

「そうね……レミィは多少傲慢だけど、それが許される地位も実力もあるってとこかしら?納得すればちゃんと聞く耳ももつしね」

 

「レミィ?たしか霊夢ちゃんはレミリアって言ってたけど……?」

 

「ああ、私一応親友だから愛称で呼んでるのよ」

 

「へー」

 

いま親友っていうところでちょっと優しい笑みを浮かべたパチュリーちゃん。

うん、まあ悪い人ではなさそうだな。

 

「一応念のために聞いておくけど、俺がいきなり「やあレミィ」とか言ったらどうなる?」

 

基本ボケれるときはボケていくスタイルではあるが、こう、なんか首のあたりに嫌な感覚があるんだよな。

こういう時は大抵命にかかわりそうなことが起きるんだよな。

 

「何その無駄にいい声っ!?どこから出したのよ!?まったくあなたは……そうね、レミィは何もしないか、少し眉をひそめて終わりだと思うわよ。そもそも人間をどうこうとかはあまり気にしないもの」

 

どこからと言っても喉からだが?

コツは腹に空気をためて反響させるように声を出すことかな?

 

「意外に優しいんだな?」

 

「違うわよ、象が蟻を気にすると思う?そういう感じの話よ」

 

おおう、思った以上に大物のようだ。

そりゃ吸血鬼とか結構強い怪異の部類に入るだろうしな。

 

「でも咲夜は別。レミィが侮辱されたと思ったら、あなた死ぬわよ?」

 

「咲夜ちゃんってそんなにやばいの?」

 

クール系メイドだと思ったんだが、結構熱いのか?

 

「忠誠と歪んだ愛情が混ざってる感じかしらね?吸血鬼って特に能力でなくても人を引き付けるのよね、怪しい魅力というか……それが咲夜には綺麗に刺さった感じかしら?」

 

「あーなんとなくわかる。フランも時々可愛いよりも美しいとか妖しいとか感じることがあるからな」

 

「私綺麗ー?」

 

今も抱いているが、離れがたい魅力は天性のものかもしれないな。

見上げてくる瞳をのぞき込むとたしかに抗いがたい魅力の片鱗を見せている気もする。

 

「美人さんだぞー?でももう少し可愛いフランでいてほしいなー」

 

「よくわかんないけどがんばるー」

 

「あなたたち一応いい年よね……?なんで二人して幼児みたいになってるの?」

 

「知らん、でも幸せだし、ときには頭空っぽにして欲望の赴くままに動くのもいいぞー」

 

「いいぞー」

 

真似っこフラン超かわいい。

 

「話を戻すけど、レミィが認めるまではどちらかと言うと咲夜の方が危険なのは覚えておきなさい。本日は客人だから殺されることはおそらくないとは思うけど……」

 

「ああ、まあ気を付けるよ」

 

とはいっても俺自分の意思と無関係にボケることあるからなあ……

ガイアが俺にもっとボケろと囁いてくるんだよ……

 

とりあえずレミリアちゃんと咲夜ちゃんはいろいろと危険……と、言う感じか?

そういえば……

 

「美鈴ちゃんってどうなったの?」

 

本来ならパチュリーちゃんよりも美鈴ちゃんが結果報告とかにくると思うんだけど……?

 

「どうもしないわよ。私の読書の邪魔したからちょっと首だけ出して埋めてきたけど」

 

それはどうかしてると思うぞ!?

 

「容赦ないな!?いったい何されたんだ!?」

 

「馬鹿力で私から本を奪おうとしたから本が少し……ね?

 

その「ね?」が怖いわっ!?

破れたかなんかしたんだろうけど(暗黒微笑)が付きそうな話し方はやめてほしい。パチュリーちゃんはもっとこう……残念な人であってほしい(暴言)

 

「さすがにやりすぎじゃね?いや霊夢ちゃんもそれぐらい普通にするけどさ」

 

霊夢ちゃんも事件(異変と言うらしい)の時に片っ端から妖精を消滅させたり(後で復活するらしいので安心した、正直さすがに殲滅しすぎで酷かったので止めようと思った)元凶を綺麗な輝く珠(夢想封印とか言ってた)で爆散(夢想「封印」なのに封印してないよな?)させたりと割とやんちゃなことしてるのは知ってるから、まあ、幻想郷では結構あることなのかもしれないけども……

 

「美鈴は頑丈だから。なんなら自力で出てくるし、下手したらそのまま寝てるかもね」

 

こともなげに言う。

幻想郷の女の子やたら頑丈すぎませんかねえ?

あといちいちバイオレンス。

筆頭は幽香ちゃんなのは間違いないが、霊夢ちゃんも含め「しばいたらなんとかなる」という考えの子が多すぎる。

結構な頻度でやらかすチルノが可愛く見えるわ。

 

まあでも今回はそこじゃなくて――

 

「埋められたまま寝るの!?」

 

さっきも寝てたみたいだし、居眠りキャラなのか?

 

「大抵の状況で寝れるわよ、美鈴は」

 

「そんなんで門番出来てるの!?」

 

流石にどうかと思うんだが……

 

「ああ見えてもそれなりに優秀だから敵意があれば飛び起きて戦うわよ」

 

「なら俺に悪意がないのも見抜いてほしかった……!」

 

美鈴ちゃんも残念枠な子なんだろうか……けっこうお姉さんぽいんだが。

 

「美人さんなのにわりと変な子なんだな、美鈴ちゃんは」

 

美人だから変という説も幻想郷では捨てがたいがな。

藍ちゃんとかうっかり藍姉ちゃんってよんだらいきなりバグったしな。

寺子屋の先生も突っ込みが頭突きだったり、ラピスちゃんも言動がエキセントリックだったり、可愛い系より美人系の方が変な割合は多く感じる。

……まあどっちにも変なのいるけど。

 

「……幻想郷では比較的まともよ?」

 

パチュリーちゃんも(自分を含んでるかは知らないが)幻想郷の住人がちらと頭をよぎったのであろう、振り払うようにかぶりを振って最低限のフォローを入れてきた。

 

「私は―?」

 

「可愛くてまともだぞー」

 

「わーい」

 

いろんなところで「フランやばい」説が提唱されてるが俺はそうは思わない。むしろ魔理沙ちゃんの方がよっぽど厄介だと思ってる。言っても止まらねえんだもん、魔理沙ちゃん。

その点フランはちゃんと諭せばわかってくれるからな、個人的に大妖精、ルーミアの次ぐらいにいい子だと思う。

というかこの二人はもっとわがまま言うべきだと思う。

全力で甘やかす所存だぜ?

 

「パチュリーちゃんって本ならエロ本でも読むのはわかったけど、こういうのは読むの?」

 

と、防具代わりにさらしと共に腹に入れてある無縁塚で拾った辞書(ちなみに胸には謎の帳面だ)を引っ張り出して渡す。

 

「言い方ぁ!?って本持ってるの!?どんな!?」

 

「えっと……こんなの」

 

フラン越しになんとか引っ張り出してパチュリーちゃんに渡す。

 

「……詳しい!でも漢字ちがう!」

 

なんかウ=ス異本みたいなこと言った!?

たぶん江戸末期とかそのあたりの漢語の辞書だ、今とつかわれてる文字も違うしページ数も少ない。

おかげで腹に入れるのにはちょうどだから重宝してるんだがな。

 

「読まないことも無いけど、あえて読もうとはしないわね」

 

漢語は読めるのか……

 

「アルファベット……英語は?」

 

「私は一応読めるわよ、まあそこまで上手ってわけでもないし、しゃべったりは不得意だけど」

 

「幻想郷の言語が日本語で統一されてるの今まで謎だったんだけど、一応英語もあるのか」

 

ミルクとかシナモンとか一部の英語も普通に通じてたけど英語の文章を見ないからちょっと疑問に思ってたんだよな。

なんかこの知識はいずれ役に立ちそうな気がするな。

 

「そうね、言語についてはかなり曖昧なのよね。有史以前からいるような者たちだって普通に現代言葉話すのよ?もしかしたらここでは強制的に日本語で話すように刷り込まれているのかもね」

 

まあ不便はないからいいのだけど……とパチュリーちゃんが話を締めくくる。

ふうむ、英語認識できるのが外来人だけだとしたらそれはそれでなんかできそうだよな。後々来る外来人のためにローマ字で文章残すとか。え?ほかの国の人来たら?しらん。さすがの俺も他の国の言葉はわからんわ。

英語はなんかわかりそうな気がするけどな?

 

「で、話戻すけど」

 

「え?何に戻すの?」

 

パチュリーちゃん最初の質問忘れてるし!俺が混ぜっ返しすぎたせいもあると思うが、けっこうパチュリーちゃんも衝動で行動する気がしてる。

 

「いや、パチュリーちゃんがここに現れた理由だけど……」

 

「あ!ああ、そうだったわね。いえもうほとんど用事はすんだのだけれど。レミィと咲夜についての予備知識を少し言おうかと思ったのだけど……大体は言ったしね。あとは……あなたとお話したかった……とでもいえばあなたは喜ぶのかしらね?」

 

なるほど、忠告をしに来てくれたってことか。ありがたい。さすがの俺も死因:ボケ過ぎて殺害された。とかは避けたいしな。

 

「勿論喜ぶぞ、でも今の俺はフランを愛でてるからな、二人っきりの時にしてくれ」

 

「あなたって本当に馬鹿よね……まあ、話半分に聞いておくわ」

 

むう、俺はいつも本気なんだがなあ?

もう少し突っ込んだ話をしようとしたところノック音が聞こえた。

 

「はーい」

 

またもやフランが招き入れる。

 

入ってきたのは銀髪の瀟洒なメイド、咲夜ちゃんである。

 

「お客様、主がお茶のお誘いをしております。どうぞこちらへ」

 

「お?俺だけ?」

 

というかお誘いという割には強制で行くことが決まってる感じだな。

まあフランの保護者だし挨拶はせにゃならんから別にいいけど。

 

「はい、妹様とパチュリー様はまた後程」

 

「はいはい、どうせレミィの事だから……まあ、いいわ、あとで聞くから」

 

「お姉さまだけ?うーん、でも、まだ帰らないよね?」

 

「おう、ちょっと行ってくるわ」

 

「ではこちらへ、案内いたします」

 

二人にしばしの暇を告げて俺は咲夜ちゃんに誘われ、紅魔館の主――レミリア=スカーレットの元へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想が増えると多分早くなるかも(ネタ作りやすくなるため)
あとここ好きも結構参考になってます

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。
感想が少ないと覇者の証探しに行きます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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モブ妖怪になんかようかい?

みけさんのモブキャラ話

元妖怪
豆腐小僧
鶴女房
禰々子河童
トゥルダク
シルキー


豆腐小僧

 

 

「おにいさん、買う?」

 

「おーう、三丁くれやー」

 

「ん、木綿?」

 

「おう」

 

豆腐小僧がやってきたのでせっかくだから豆腐を購入する。

この子に関しては魔理沙が全くためらいもなく豆腐を食って以来、博麗神社に頻繁に売りにくる。

なかなか美味しい豆腐で今では食卓に欠かせない。……魔理沙もたまには役に立つな!

 

ちなみに俺は冷ややっこ以外は基本的に木綿豆腐を使う。

これは完全に俺の趣味だが、まあ俺が料理する分には文句などいわせん、いやなら食うなである。わかったか?魔理沙、萃香さん。

 

豆腐小僧と言っているが、幻想郷の例にもれず幼い少女の姿である。

商家の丁稚みたいな姿をしていて前かけをつけている。リグルほどではないがよく見ないと少年に見間違えそうな感じの顔つきだ。

 

言葉は少ないが笑顔を絶やさず愛想はいい。フランやルーミアの友達になってほしいがどうも格がかなり違うらしく(そのせいで名前もないと言っていた)、及び腰である。

別にビビらんでも二人ともよい子だぞ?

 

「ほうい、じゃあ180円とお菓子もあげよう」

 

「あ、ありがとうおにいさん」

 

「なに、ここまで来るのも大変だろ、その分だよ」

 

うん、笑顔が可愛いな!

 

 

 

 

 

 

 

おつう

 

 

 

 

 

「うーす、おっちゃーん。おつうさんいるー?」

 

「いないから帰れ」

 

「おつうさんからむと相変わらずの塩対応だな!?そういうこと言ってるとおつうさんにないことないこと吹き込むぞ?」

 

さとりちゃんに頼まれた生地(鶴の千羽織ではない、普通の生地だ)……たんものを受け取りに来たんだが、この酒屋のおっちゃんはなぜか俺をおつうさんと会わせたがらない。

 

「だから会わせたくないんだよっ!おめえのせえで何度かかあに殺されかけたか……!」

 

「だけど俺今日仕事で来てるんだよ。さとりちゃんが注文した反物受け取りに来たんだけど」

 

「ちっ、おいつう!エロ坊主が反物取りに来てるぞ、あ、顔は出さねえでいいぞ、反物だけくれ」

 

ほほう、どうしても俺をおつうさんに会わせたくないようだな?

人妻にちょっかいかける気はさらさらないが、そこまでされると俺にも考えがあるぞ?

 

「ほれ坊主、こいつでいいだろ?受け取ったんならさっさと帰れ」

 

「ありがとうな、おっちゃん。また河童の遊郭行こうぜ!あ、あとネムノさんも今晩来てって言ってたぞ?」

 

「ちょっ……!?何を突然言ってんだクソ坊――」

 

 

ズン!!

 

と周囲の圧が増した。

おっちゃんは一般人だからおつうさんが怒っている程度にしか感じないだろうけど。

木っ端妖怪なら近くに来ただけで吹き飛びかねない妖力を放出している。

 

「お前様?」

 

「い、いやっ、違う!違うぞ!坊主の嘘だ!出鱈目だ!」

 

「いや映姫ちゃんに誓っていいけど、俺は嘘をついてないぞ?あ、ミスティアちゃんもきてほしいって言ってたぞ

ー」

 

そう、()()()()()()()()

何故なら今言ったところはすべて酒を扱っている場所である。

速い話が注文と配達を頼まれるのだろうけど、そこは語らなくてもいいよね?

 

「へえ……?浮気かい?まったく、困ったものだねえ……すこうし……絞っておくべきかねえ」

 

「ひっ!まっ、まてっ!まだ日も高いし仕事が――」

 

「あ、勇儀ちゃんも今度来るそうだぞー」

 

「坊主おめえいい加減に、あ、あ、うわあああああああっ!」

 

ガチムチのおっちゃんをいともたやすく奥の間(機織り工房)に片手で引っ張り込むおつうさんってマジで大妖クラスだよな……

 

俺はその辺のいたっきれに「臨時休業」と書いて入り口に立てかけておいた。

うん、これで問題ないな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禰々子(ねねこ)

 

 

 

 

 

「おーい、にとりー!」

 

……へんじがない、ただのしかばねのようだ

 

水面でうつ伏せになってぷかぷかと河童の川流れ状態になっているにとりに声をかけるが返事はない。

……なんかにとりってしょっちゅう流れてる気がする……

 

人間だったら水飲んで溺れ死ぬだろうけど、腐っても河童。

放置しておいても問題ないだろうな。

 

「で、今回は何やらかしたんだ、にとりは?」

 

と岩場からにとりを上手投げで川に叩き落とした河童に聞く。

基本的に河童は結構にとりの指揮で動くんだが(相変わらず上下関係は不明)にとりがなんかやらかすたびに反乱やら下克上やらが起きる。

……にとりも懲りねえよな。

 

「ん?ああこいつ売り上げピンハネしてたんだよ、まあ禰々子だって隙ありゃそれぐらいはすっけどよ、でも、ばれたら謝るわな?でもこいつ開き直って「プロデュース料だ!だからこれが正しい配分!」とかぬかしたから、すこうしばかしわからせてやったのさ」

 

「そりゃまた……正直にとりって小物なのに態度はすっげーでかいよな」

 

と、俺は返事を返す。

この河童――禰々子ちゃんはワイルドな雰囲気の河童で、にとりのお目付け役というか鎮圧装置みたいな役割をしている子だ。

二つ名が「にとりのキングストン弁」であることから、察してほしい。

……キングストン弁別に自沈装置じゃないんだけどな?

 

武闘派の河童で酒ときゅうりと相撲と悪戯が好きでそして少しエロい。

あるいみ河童のテンプレみたいな子だ。

 

「まあ知恵があるのと器用なのは認めるけどな、どうにもこすいんだよな、こいつ」

 

と禰々子ちゃん。

まあそれがにとりだからとしか言いようがないな。にとり自体結構ビビリだし。

 

「そういや兄ちゃん、きゅうりはまだかい?」

 

「さすがに苗作り始めたばっかりだからなー」

 

まだ四月だ。現代ならハウスとかに暖房かけてで多少は融通を利かせられるが、幻想郷では……あれ?お空でも呼んでくればいけそう?

まあたぶんすぐ忘れてどっか行くと思うが。

 

あとはおなじみ幽香ちゃんだけど、河童の嗜好品のためにわざわざ頼んだりはしない。

 

「そうかーじゃあ兄ちゃんのきゅうりを下の口で食ってやろうか?一万ぽっきりでいいぞ」

 

「…………いや、いい」

 

少し葛藤があったが(いや、それぐらいは勘弁してくれなさい霊夢ちゃん。ちゃんと断ったよ)遠慮しておく。

いや禰々子ちゃん可愛いし普通にヤレると思うけど、なんかこう、ねえ?

 

「じゃあにとりにつっこむか?これならただでいいぞ?」

 

といまだぷかぷか浮いているにとりを指さす。

 

「にとりはよけいいらんわ!」

 

「お、おお?禰々子のほうがにとりよりタイプ?タイプ?」

 

「あー、まあどっちかといえば……というか河童の中では一番かもな?」

 

禰々子ちゃんはロングのワイルドヘアーでおっぱいもそれなりに大きい。

チューブトップブラみたいな感じで布一枚巻いてあるだけなので絞られて大変強調されているのも素晴らしい。

パンツはオーソドックスなタイプだが水着のようなテカリが合ってエロく感じる。

ちなみに相撲の時四股踏むので丸見えである。

 

「ふ……ふーん……じゃ、じゃあさ、サービスしてやろうか?」

 

「サービス?」

 

どうせ禰々子ちゃんのことだからエロ方面だと思うが……

 

「尻子玉を抜く要領でこうアレの裏にある泣き所をぐりっとすると男でも吹くんだぜー?」

 

「そんなマニアックなプレイいらんわ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キヌ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや坊ちゃん奇遇ですね」

 

「お、おキヌさん?珍し……くはないけどどうした?こんなとこに来て?」

 

現在地は旧地獄の酒場。勇儀ちゃんの根城の鬼ヶ島ではない別の(鬼が多いだけあって旧地獄はそこらじゅうに酒場がある)店だが、わりと意欲的な店らしくカクテルやら人里の酒やらも出すお店だ。

地獄では珍しく落ち着いた雰囲気で、バーみたいな感じだ。

 

「鬼が酒場に来たなら一つでしょうに、飲む(やる)んですよ、ここは騒がしくなくていい店でね」

 

と、くいっと杯を干す動作をするおキヌさん。

おばあちゃん姿でやられると結構違和感あるな。

 

「んで、坊ちゃんはなぜここに?あんまり好きじゃないでしょうに。まあ私から言わせてもらえば人生の120%損してる感じですけど」

 

「鬼の間で来世の分前借りするのはやってんの!?」

 

萃香ちゃんにも同じこと言われたぞ?

 

「はやってはいませんけど、鬼ならだれでもそう思うでしょうね、で坊ちゃんはなぜここに?もしやだれぞと逢引きならすこしお話しないといけませんねえ……」

 

目!目ぇ!?ハイライト消えて……じゃねえ空洞化してくろいなみだみたいなのださないでっ!?すっげえ怖いから!

 

「い、いや。酒の配達と無縁塚で拾ったカクテルの本売りに来たんだよ」

 

なんとカクテル本、ここの店主の鬼いさんが金の小粒一握り(地底では結構流通している)で買い取ってくれたんだぜ。

ちなみに定価3700円フルカラーだ。

 

「なるほど、坊ちゃんはなんだかんだいって商売は上手ですからねえ。手間暇苦労を惜しまない働き者ですよ。偉い偉い」

 

「お、おう。ありがとな」

 

見ためが見た目だからなんか褒められるとすげえ嬉しいな!

おばあちゃんってこんな感じなのか……

 

「気に入った!うちに来てお嬢様をふぁっくしていいですよ」

 

「台無しぃ!?」

 

俺のほっこりした気分を返せ!!あとなんで先任軍曹!?

 

「ま、それはそれとして、どうです坊ちゃん?すこし付き合っていただけませんかね?」

 

「ん?そうだな……ま、今日は特に急ぐ用事もないしいいぜ」

 

ちなみに急がない用事ならある。

布都に符の作成を頼まれているんだが、かれこれ半月は放置している。そもそも符ぐらい自分の分は自分で作れといいたい。

 

「ではここのお代は婆が持ちますよ」

 

「いや、いいよ、悪いし」

 

「代わりと言っちゃなんですが、お嬢様を納屋でズブリと……」

 

「しねえよ!!あ、すいません」

 

鬼いさんに静かにのジェスチャーされた……この鬼いさん、すっごい物腰穏やかで雰囲気イケメンすぎる。

 

「ふう、まったく。阿求ちゃんは際どいこと言うけど、乙女だぞ?もっとシチュエーションに焦がれてると思うぜ」

 

「そこまで分かっていて、なんで坊ちゃんは手を出そうとしないんですかねえ……?」

 

「う……む……まあ、その……」

 

「これだから童貞は」

 

「どっどっどっどっ童貞ちゃうわ!!あ、すいません!」

 

俺はそのあと鬼いさんに平謝りするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精メイド

 

 

 

 

「こんにちはお兄さん」

 

「お?いつもの子かな?」

 

「はい、わたくしのことを覚えていてくれて嬉しいですわ」

 

縁側で涼んでいると上空から声をかけられたので顔をあげたら妖精メイドがいた。

この子は紅魔館の妖精メイドでもよく出会う子だ、俺が二番目にお菓子をあげた子でもある。

 

「籠なんか持ってどうしたんだ?」 

 

この子は割と大きめでチルノたちよりほんの少し小さい感じだ。

もし大きさが妖精の格ならそろそろ大妖精みたいな感じになるんじゃないかな?

 

あと、なかなかにエキセントリックな妖精たちの中ではかなりまともな性格で、この子のおかげでフランと出会うことができたと言っても過言じゃない気がする(出会うことは他の機会であったかもしれないけど多分出会ってもあそこ迄仲良くならなかったかも)喋り方と言い、物腰と言いヘタなお嬢様よりお嬢様って感じがする。

 

ただし咲夜ちゃんの言うことは他の妖精メイドたちと同じくあまり聞かない……咲夜ちゃんに今度甘いものでも持っていこう。

 

「ぱんつくったんですの」

 

「え!?パンツ食った!?」

 

「……お兄さん、本当にパンツが好きなのですね……?食べますか?」

 

と、少し呆れながらパンツを脱ごうとする妖精メイド。

 

「いやいやいや!流石に食わねえよ!?どんな性癖だよ!俺はせいぜい見て愛でる位だわ!」

 

まあ、正直言えば嗅いじゃったりもするけど。

霊夢ちゃんに見つかったときは血の気が引いたわ……いや実際血の気引くんだぞ?勃起一瞬で収まったからな、マジで。

 

「どちらにせよパンツが好きなのは変わりませんわね……本日はすこしおめかししてみましたの?いかが?」

 

「お、おお……」

 

妖精に多いややローレグ気味のパンツだが……透けてる!が、スッケスケみたいなもろ出しではなく透かし彫りとでもいうべきか模様の線のところが透けている感じだ。無毛なのでそこだけ地肌がみえててなんともいえないエロさがある。

うん、たしかにこれはおめかしだ。

 

「見えてないのに見えるよりエロいな!うん控えめに言って最高だ!」

 

と面々の笑みで「いいね!」をする。

 

「ありがとうございます。で、お話を戻しますけども。わたくし、パン作ってみましたの。お兄さんに食べてもらおうと思いまして」

 

「え?俺に?」

 

「ええ、いつもいろいろ頂いていますし」

 

「マジか!すっげえ嬉しい!」

 

思えば俺に何か作ってくれる女の子って霊夢ちゃんと咲夜ちゃんぐらいしかいねえからな!

お茶ならほぼ全員飲んだことあるけど(魔理沙の茶は当たりはずれが激しい、茶葉適当に入れるから……)な。

 

「どうぞ、お兄さん」

 

「おう、いただくぞ」

 

ふむ……柔らかいな、紅魔館のパンはどっちかと言うとハードなタイプだったはずだが。

まあレミリアさんはパン食わねえし日持ちのするタイプ焼いてんだろうな。

 

ちぎると、ふわっとバターの香り……なるほど。

口にほおりこむと甘味すら感じる生地、すこしもちもちした食感だ。

 

「うまいな」

 

固唾をのんで見守っている妖精メイドにそう告げるとパアアアアッっと花が咲くような笑顔を見せてくれた。

 

「頑張って作りましたんですのよ!」

 

油脂分が多いな……生クリーム……蜂蜜かシロップも入ってるか……?

お菓子に近いタイプのパンだな。甘いもの好きの妖精らしい作りだ。

 

「ごちそうさま、うまかったぞ」

 

妖精の持つ籠なのでそんなに量は入っていない。

美味しいのも相まってあっという間に平らげてしまった。

 

手をぱんぱんと払って妖精メイドを撫で、感謝を伝える。

 

「え、えへへへー……はっ!?こほん。そう褒められると照れてしまいますわ」

 

いま、少し素が出てたな?

どうもお嬢様風なのかな?まあ可愛いんで突っ込むような野暮はしないけど。

 

「そうだなお礼やるよ、ちょっと待ってな」

 

と、立ち上がり、お菓子を取ってこようと――

 

「あ、あのっ!そのままでっ!」

 

「ん?どした?」

 

「えっと、お礼でしたら……その……」

 

「何か別のものがいいのか?」

 

「え、その、はい。あの、わたくしも、チルノみたいに御膝にのせていただけましたら……その……」

 

「おいで」

 

膝をぱんぱんと叩いて妖精メイドを呼び込む。

甘えたい年頃なのかな?(俺より年上の可能性の方が高いが気にしない)

 

「は、はい!で、では失礼しますね」

 

とそっと膝の上に乗ってくる……妖精メイドは縮尺が小さいだけで体つきはけっこういいのでチルノをのせてるよりこう、来るものがあるな!(変態)

 

「ふふふふふ」

 

「ん?ご機嫌だな?」

 

「ええ、わたくしずっとこうしてみたかったんですもの」

 

「こんなんでよかったら、いつでもどうぞ」

 

「あら、それじゃあ……またお願いしますわね」

 

そういって胸板にしなだれかかるように身を預けてくる……おっぱい結構あるな!?

 

それから特に話すでもなく、妖精メイドが暇を告げるまで、ゆったりとした時間を過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




hddふっとぶとかありえん。


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紅魔館に初訪問した話・後編

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1500人を越えました
ありがとうございます。

ZUNさん大変だなあ……

誤字脱字報告者のトッシュ様、ティアール様、提督様、えりっく@紗枝P様、μηδέν様、すかたず様、芋名月様、blackfenix様、ダイダロス様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
今回辞書が吹っ飛んでるのでさらに多いかもです。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

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「はえー……」

 

馬鹿みたいな嘆息しか出ねえ。

通された部屋は一段とゴージャスな部屋にティーセレモニー用のテーブルと横のワゴンにティーセットらしきものが置いてある。

 

「こちらでお待ちを、今お嬢様を迎えに行きます」

 

そう言って咲夜ちゃんは消えた(文字通り。多分時間止めて移動したんだと思う)

 

ここでお嬢様が待っていないのは貴族的な「偉い人間は後から来る」的な感じなんだろうか?

吸血鬼ってドラキュラのせいか、貴族的なイメージ強いよな。

 

しばらくすると、扉が開く、まず咲夜ちゃんが入ってきて入り口で仰々しい礼のポーズをとる。

その後、一拍の時を置いて紅魔館の主人。レミリア=スカーレットが入室してきた。

 

小柄な体躯にほんのりピンクがかった白いドレスに赤の刺し色。色合いで見ればちょうどフランの服と紅白の場所が逆転している感じだ。

かなり青みの強い銀髪で、ここも金のフランとは対照的だ。同じところといえば頭にかぶっている謎の(失礼)ナイトキャップだな。

 

だが……

 

妖しい。

 

一見すると幼い少女である。将来は美人になるなあとかいう感想が出そうな感じの。

でも纏っている雰囲気が決してただの少女ではないと物語っている。

姉妹というだけあって全体的なパーツは似ているんだが、しかしまとう雰囲気が全くの別の存在だということを強く知らしめてくる。

 

フランよりわずかに切れ長の瞳はまるで鋭い刃物のような圧を持ち。

フランよりわずかに赤みの濃い瞳は。魔性の宝石のごとく目をひきつけてはなさない。

ややもすると少女ではなく幼女にあたるような背の低さながら、纏う雰囲気は魔性の女……性欲すら――いや、ちがう。

そうだ、「捕食されたい」そう強く強く思わせる、そんな雰囲気なんだ。

 

妖しい魅力。

 

そうというしかない雰囲気を持った美しき女吸血鬼。

それが紅魔館の主レミリア=スカーレットなのだなと、俺は理解した。

 

「ごきげんよう、人間。私はレミリア。この紅魔館の主よ。お前、フランの無聊を慰めてくれているのですってね?礼を言うわ」

 

「あ、ああ……」

 

緊張で口の中が乾いてうまく言葉が出ない。

幻想郷に来てからいろいろハチャメチャな奴らを見てきたが……

 

「ん?どうしたの?人間」

 

「ん、ああすまない。どういったらいいんだろうな……すこし気おされていたというか恐怖を感じてたというか……」

 

そういうとレミリアさんは、すこしうれしそうに口の端をあげて言う。

 

「そう。でもそれが普通だか――」

 

「綺麗で見とれていたというか、妖しさに惹かれてたというか――」

 

「な゛っ……んっ、そう。まあ当然の感想だと私は思うけど、そうね……人間にしてはよく言えたものだと、あと取って食いやしないのだから、無理に硬い言葉を使わなくてもいいわよ」

 

「あ、ああ、すまない。どうも俺って思ったことがぽろっと出るみたいでな、特に緊張してたら自分でも何言ってるかわかんねえんだわ」

 

「お前……まあ小憎らしいことに本気みたいね」

 

「何が?」

 

「ふう、まあいいわ。咲夜、お茶を。香りの強いものがいいわ」

 

「畏まりました。お客様は?」

 

そういえばお茶会だったな、といってもフランについた悪い虫を見定めるってのもあるんだろうけど、っていうかそっちが本題だろうな。

 

さておき紅茶のことなんかまったくわからん。アッサムとかオレンジペコとかリプトンとか?

下手に知ったかぶりするほうが恥ずかしいって俺は知っている。ここは素直に――

 

「紅茶はよく知らないからお任せで」

 

「畏まりました」

 

と、きれいな所作でややこしい(多分ちゃんとした作法だけどお湯を入れ替えたり、カップ温めたりとめちゃくちゃ面倒そう)手順で紅茶の準備をしていく咲夜ちゃん。

ふと視線を感じて正面を向くとレミリアさんがこちらを……観察するかのように見ていた。

 

「えっと、なにか?」

 

「いえ、咲夜をずっと見ているから……気に入ったのなら一晩貸してあげましょうか?」

 

なんてこと言うんだ!?あ、いや貴族的に考えれば客人に使用人あてがうことぐらいは普通のことなのか?

まあだが……

 

「いや、もてなしの気持ちはうれしいけれど、遠慮しておく」

 

「あら?咲夜はお気に召さないかしら?」

 

「いや、めっちゃ美人だし佇まいが凛としてて美しいしなにより――」

 

 

がちゃっ!

 

「し、失礼いたしました」

 

咲夜ちゃんが食器を派手に鳴らした。

 

「何より?」

 

「足が奇麗だな。ひいては立ち姿が一輪の花のようだ」

 

 

じゃばっ!

 

 

咲夜ちゃんが茶器を温めていたお湯をこぼした。

意外にドジっ子なのか?

 

「ふうん?ではなぜ?」

 

「口説くんなら自分で口説きたいし、―それに――」

 

「それに?」

 

にこにこしているレミリアさんの目を見て俺は確信をもっていう。

 

「罠だろ?」

 

俺がそう告げるとレミリアさんは妖艶にそして少々下品に、にたぁと口の端を釣りあげて嗤う。

嗤い、そして今度は本当に笑っている。

先ほどは目が全く笑っていなかった。そう、品定めをしている目だったのだ。

 

霊夢ちゃんが言っていた。

視線というものは必ず意思が出ると。

生き残るためには相手の目から読み取りなさいと。

視線が死線を分けるんだな!と軽くボケたが折檻されずに深刻な顔で「そうよ、忘れないで」と言われたんでガチに重要な奴だと思って心に深く刻まれたんだよな。

 

「パチェ……パチュリーから何か?」

 

パチュリーちゃんのことパチェって呼んでるのか。

 

よし、こんどめっちゃいい声で「パチェ」と呼んでやろう(邪悪)

 

「いや、咲夜ちゃんを怒らせると怖いぐらいしか聞いてないな。むしろ華扇ちゃんからかな?」

 

「華扇?あの食い倒れ仙人が何か?」

 

食い倒れ仙人って……華扇ちゃん食いしん坊キャラなのみんなの認識なのか!?

俺の認識はそうだけども!(非情)

 

「いやレミリアさんのことは聞いてないけど……」

 

「けど?」

 

「妖怪が「とって食いはしない」といったならそれは「隙を見せたら食う」ということだっては聞いてたな」

 

そうなのだ。

妖怪にとって「とって食いはしない」というのは「いきなり襲わない」程度のものであり「危害を加えない」とは言っていないのだ。すくなくとも「食いはしない」の前にせめて「今日は」とか「今回は」とかの冠詞がついていないと危険なのだ。

ちなみにルーミアは「おにぃは絶対食べない」とかめっちゃうれしいことを……そもそも俺食べていい人間じゃないよ!?

 

その言葉を聞いてレミリアさんはまた、少しいびつで、酷く妖艶な笑みを浮かべた。

 

「そう、覚えていて命拾いしたわね」

 

「なんどか拝み屋みたいなこともしたからなあ……」

 

華扇ちゃんの修業は実践も多い。

報酬の出るような悪さをする妖怪の退治から、報酬の出ない変な気による怪奇現象(この辺りは仙人の仕事らしい)までいろいろとさせられるんだよなあ。

 

妖怪の中でも口撃力の高いタイプは危険なのだ。あの手この手でだましてこようとする。

約束は時として呪になる。「攻撃をしない」という約束をした場合、攻撃できなくなったり、攻撃したとしても失敗したりダメージが通らなかったりする。でも相手は例えば「体質」で自分の体に俺を取り込むとかするのは「攻撃」じゃなかったりして、こうなると一方的にやられたりするんだ。

たぶん華扇ちゃんも緊急時に助けるためにスタンバイしててくれたと思うが、その時俺を助けたのは何とチルノだった。

というかチルノが「まってろこぶーん!いまたすけるぞーっ!てやーっ!」って突っ込んでいって(普段撃ってる飛び道具はどうした?)「うわーーーーーっ!?」と、取り込まれたら液体状の体が勝手に凍って勝手に砕けた。(俺へのダメージもしもやけ程度だった)

あれだ、相性の差で完封した感じだな。しばらくはチルノが増長してうるさかった(なお一週間過ぎたころにさすがに鬱陶しかったので、チルノには塩対応で大妖精だけを甘やかすという行動に出たところ反省してくれた。これからもこの方法は使えそうだ)

だから妖怪と言葉を交わすときは細心の注意と観察、そしてひらめきが必要になってくるんだぜ?

 

「そ、まあ合格ね」

 

「そいつは光栄だ」

 

何についての合格かはわからんけども、どうやら今日死ぬことはなさそうだな。

……またぞろ、俺の悪い癖が出なければだが。

 

「どうぞ、お客様」

 

咲夜ちゃんが紅茶……だよな?を給仕してくれる。かなり香りの立つ紅茶で、レミリアさんと一緒のやつなのかな?

茶請けは俺の持ってきたミルクレープケーキだ……ありゃ?

 

「レミリアさん、甘いもの苦手でした?」

 

俺の目の前には茶請けがあるがレミリアさんの前には紅茶しか置いていない……紅茶?何か違和感がある。

 

「んふ、私が何かお忘れ?」

 

と、そういって目の前のティーカップに入っている紅茶に咲夜さんが入れた紅茶を少し注ぐ。

ん?紅茶に紅茶?

 

「私は吸血鬼。だから私のお茶は血と紅茶のブレンド。普通のものも食べられないわけではないけども嗜好品。食べてもおなかが膨れるだけで、活力にはならないわ」

 

っと……やけにどす黒い液体だと思ったが血か。あれ?フランは?

 

「フランは普通に甘いものも飯も食ってたけど……?」

 

「タバコと一緒よ。あれだって栄養にはならないけど、好んで吸うものはいるでしょう?」

 

「ああ、そういう……ってあれ?そうしたらフランは普段何喰ってるんだ?なんかお菓子ばっかり食っているようなこと言ってたけど?」

 

なので、なるべくお菓子以外のものも食わせるようにはしてるんだが、米とかは嫌いみたいだった。

大学芋とかなら食ってたんで純粋に甘いもの好きかと思ったが、完全嗜好品なのか。そりゃ米みたいなカロリーとるだけの主食はお気に召さねえよな。

 

「お菓子に人間を入れてはいけないって決まりはないでしょう?」

 

と、こともなげに言うレミリアさん。

ああそっか、そうすりゃ栄養とれるわな……だけど、それはあまりよろしくない。

そう思った俺はちょっとだけ物申すことにした。

 

「おいおい、せめてパンとかにしようぜ。お菓子ばっかりってのはさすがに不健康だとおもうぞ?」

 

ダイレクトに食うのは確かに見栄え悪いだろうけど……いや、こんな美少女姉妹に吸血されるのは絵になると思うが……相手がおっさんとかじゃなければ……咲夜ちゃんとかのを吸ってたりしたらそれは何か股間が疼くな!(変態)

というか、俺がレミリアさんにかまれたら、絶対背中抱きしめるぐらいにはエロい構図になると思う

 

俺の言葉を聞いて、一瞬きょとんとした(可愛い)レミリアさんが笑いながら告げる。

 

「ふふ……んふふ……ふっふっふっふ。気になるのはそこ?お前、なかなか面白いわ」

 

おいおい食育っていって普段から食う食いもんってのは大事なんだぞ?と、そうだ。

 

「咲夜ちゃん?お皿……これぐらいの大きさの奴とフォークとよく切れるナイフないか?」

 

「どうぞ」

 

言い終わると同時に手渡される……時間停止って便利だな!?

まあ、俺が使ったら……うん、自分でもなんだが悪いことに使いそうだな!

 

……何だろう、このナイフちょっと生暖かい?

 

まあとりあえず……

 

「つっ……と」

 

「お客様?」

 

ナイフで指先を深めに切った俺を訝しげに見る咲夜ちゃん。

まあ普通はそうだろうけど……

 

「こんなもんか?」

 

血の滴る指先でお皿に大きく波線を書く、そこに乗せるように半分に切ったミルクレープケーキを置いて、お皿の片隅にジャム代わりに血だまりを。

 

胸ポケットから魔理沙の止血薬(サロンパスみたいな匂いがするがおそろしいことに丸薬だ、効果はすごいのだ、味もすごいが)を取り出して飲んでから、布で切り口をくっつけるようにして止血する。よく切れるナイフなので数分もすれば皮膚がくっついて完全に止まるはずだ。

 

「どうぞ、お嬢様」

 

と、フォークを添えて芝居がかったしぐさで大仰に勧める。

 

「随分と……思い切りがいいのね、お前」

 

「ん?ああ、せっかくの手土産だからな?俺の手作りだし、もうひと手間かけるぐらいは別に苦じゃないし?」

 

せっかくだからおいしく食べてもらいたいしな。

 

「それとも直吸いするか?お茶代わりに俺を吸うとか字面が猟奇的だけど」

 

俺がケーキをレミリアさんに食わせて、お茶代わりに俺を吸う。

うん、もてなしとしては悪くないか?

 

「あ、でも血を吸われたら吸血鬼になるんだっけ?」

 

さすがに俺はまだ人間やめる気はないな。

 

「いえ、眷属にしようと思って大量に吸わなければそうはならないわ。けど、お前、少し変よ?」

 

「なら安全だな。……変はよく言われるけど、あんまり自覚はないんだよなあ」

 

正確には「世間一般からすれば少々(?)おかしい」自覚はあるけど、俺的には筋が通ってると思ってやってるからなあ?

 

「だって、美少女に密着して血を吸ってもらえるとかご褒美じゃないか?」

 

俺がそう言った瞬間咲夜ちゃんのほうからものすごい圧がかかってきた。

あ、これアウトですか?と、俺が思ってフォローしようかと口を開こうとしたところ――

 

「お前、面白いわね。……霊夢のところにいるのだったかしら?」

 

 

「ん、ああ、霊夢ちゃんと一緒に暮らしてるぞ」

 

霊夢ちゃんと一緒に暮らしているぞ!(大事なことなので二回言った)

霊夢ちゃんはとっつきにくくてめんどくさがりで手も口も出るけど、一緒に暮らしていて……家族としてはなかなか得難い人物だと思う。

こう、なんというかしっくりくるんだよな。

 

「良ければ紅魔館に来なさい。フランのおもりと、執事の真似事でもどう?」

 

「お?スカウトか?」

 

「そのようなものかしらね」

 

うーん、なんか意外に好感触なのか?でもまあ、俺としては……

 

「悪い。なんだかんだで博麗神社結構気に入ってるんだ、あと仕事じゃなくてもフランの面倒ぐらいは見るからいつでも声かけてくれよ」

 

「そう、まあいいわ。さて、せっかくだからあなたの血のソース……いただくわ。お前も紅茶が冷めるわよ。安心しなさい、それには血など入れていないから」

 

俺は多分パチュリーちゃんや咲夜ちゃんの血ならいけそうな気がする……!(猟奇的な変態)

ただ直接吸うなら魔理沙ちゃんだな。程よくパニックになってくれそうで、かつ微妙にエロい構図になりそうだしな。(邪悪)

 

「まあ、毒じゃなければとりあえずはいただくよ」

 

話の最中に少し冷めたがまだ十分に熱い。

アレだ。たぶん音立ててすすったりしたらマナー違反なんだろうな……

さて……

 

「なあ、レミリアさん、咲夜ちゃん?」

 

「どうしたのかしら?砂糖ならそこよ」

 

「何か問題でもございましたか?」

 

さすが紅魔館、普通に砂糖壺があるな。

と、妙なところに感心してないで本題を切り出そう。

 

「啜って飲んでもいいか?」

 

「「は?」」

 

いや二人してすっげえ冷たい目で見ないでくれ!紅茶が冷めちゃう!

 

西洋のマナーだと啜って飲むのは確かにマナー違反ではあるんだろうが、この啜るって飲み方は香りを十分に味わえるという利点がある。

そもそも日本の味噌汁ってのは熱いんだ。

西洋のスープってのは結構ぬるい、だからスプーンで口に流し込んでも平気なんだよ。

味噌汁でそれやったら間違いなく吹くことになるぞ、熱くて。

なので汁を入れすぎず、空気と一緒に入れて冷ましながら飲む「啜る」というのが日本人のデフォルト機能なわけだ。

 

「そういえばミルクがありませんでしたね、お嬢様はいつも血を入れるので」

 

そう、ミルクって温度調整の役割もあるんだよな。

でも、一応咲夜ちゃんって日本人だよね?わかってもらいたい、この気持ち。

 

「まあ、そうなんだけど、癖だなこれは」

 

そもそも茶会の紅茶は時間かけて飲む(なので上手に入れないとぬるくなったのがおいしくない)もんだから冷めるの前提なところあるらしい、一人ならそれこそすすって飲んでもマナーとかかんけえねえだろうしな。

 

「ま、最初に言って来るだけましね。どうぞ、気を張らなくてもいいわ。霊夢も魔理沙も全力で啜ってたし」

 

霊夢ちゃんはともかく魔理沙ちゃんは容姿だけ見たらバリバリの西洋人なんだけどやっぱり中身は純日本人なんだな……

 

「じゃあ失礼して――おお……」

 

さすがにズズズズズッみたいなことはしないが、やはり音はでちゃうな。

と、一啜り。香りの強いものとレミリアさんが言っただけあって、ちょっときついぐらいの芳香がある茶だな。

いい日本茶にある苦みと甘みから来る旨味とは違い、渋みと香りによって作られている上品な味だ。

 

「よくわからんが香りの割に飲みやすいな」

 

「でしょう?このお茶は下手に入れると香りがうるさすぎるのだけど、咲夜だからね」

 

そうレミリアさんがいうと咲夜ちゃんは軽く一礼をする。

 

おお、絵になってるなあ。主従って感じで。

 

「じゃあ私もこちらをいただこうかしら。お前のソース、どんな味かしらね?」

 

そういってケーキをフォークで小さく割って口に運ぶ。

……正直思い付きでやったことなので、血の味と俺の作ったケーキがどんなマリアージュになるかは全くの未知数だ。

ただ紅茶に合わせたり、ケーキに入れたりして摂取しているところを見ると、吸血鬼にとっては甘味と喧嘩をしない……それこそ甘さを感じる味ではないのかと推測する。

なので皿に軽く引いて足りなければ血だまりの部分で足してもらうという、あるいみ最大公約数的な(日和ったともいう)使い方をしてみた。

まあ、冒険するところじゃねえしな?(言い訳)

 

レミリアさんが咀嚼するのをかたずをのんで見守る……なんか猟奇的ではあるが、それ以上に俺の体液を美少女が摂取している(言い方)状況に、軽い興奮を覚えるのはおかしいのだろうか?

なんか白いのも――いま咲夜ちゃんのとこから殺気が感じられたんだが、心読まれた!?

 

「……驚いた、悪くないわ……いえ。美味しいわね」

 

よっし!

思わずガッツポーズ。咲夜ちゃんの目がさらに冷たくなった気もするがこの喜びの前では些細なことだ……多分。

 

「お前もなかなか面白い反応するわね」

 

「いやあ、やっぱり自分の作ったもの美味しく食べてもらったらうれしいしな」

 

「そこで照れるところが、やっぱりお前がおかしいと感じられるところね」

 

別にいいだろ。

これだって異形だが料理だろ、血のソーセージとかあるからな……あれってどれぐらい使うんだ?可能なら俺の血でフランとレミリアさんに一本づつぐらいは……さすがに猟奇的過ぎるか?

 

ところで俺のソーセージを食わせるって表現エロくね?(混乱)

 

「ん?おかわりは?」

 

望むんなら半分にした俺のほうに残っているミルクレープケーキも「味付け」して出すつもりだが。

 

「残念だけど、本気で私は小食なのよ……紅茶にもお前の血をもらえばよかったかしらね」

 

と、ある意味最高クラスの評価をしてくれるレミリアさん。

あわせて100~200mlぐらいか?確かに少食だな。

しかもそれぐらいなら献血気分で料理に使うことができそうだな。

 

「まあ、それは次回にでも」

 

「お前、また来るつもりなの?」

 

「あれ?迷惑だったか?」

 

なかなかの好感触だと思ったけど、俺の勘違いか?

 

「ふふふ……いえ、フランにしか興味がないのかと思ってたわ」

 

「霊夢ちゃんといい、みんなして俺をロリコンにするのはやめてくれなさい。パチュリーちゃんだって割と話すし、美鈴ちゃんはよくわからんけど……そういえば脱出したのかな……咲夜ちゃんやレミリアさんとだって話したりしたいぞ?」

 

みんな美少女だしな!(魂の叫び)

 

「お前が、また来たい、話したいというのならば紅魔館の門はお前を拒むことはないわ。いつでもいらっしゃい」

 

「レミリアさんの寝室は?――――うおおおっ!?」

 

軽口を叩いた瞬間に背後から喉元にナイフが突きつけられていた。

咲夜ちゃんか!?やべえ!死因:ボケ過ぎて殺害された。か!?

 

「咲夜。下がりなさい」

 

「ですが――」

 

「私は下がれといったのよ?」

 

「……はい」

 

レミリアさんの言葉でナイフが引かれた。

ちょびっと切れてない?なんか当たった感触あるけど!?

 

「咲夜がごめんなさいね、でもお前も悪いわ」

 

「あー、ごめんなさい」

 

ここは素直に謝っておく。

 

「でも、そうね。私が欲しいのなら示しなさい。お前の価値を。今のお前ではせいぜい――おいしいおやつってところね」

 

「手厳しいな」

 

「安い女を手に入れてうれしいのかしら?」

 

「降参だ」

 

俺は手をひらひらさせて負けを認める。

流石紅魔館の主、言葉遊びでも手ごわいようだ。

 

 

 

その後はお茶を二回お替りするぐらいまでゆったりと会話に興じた。

レミリアさんはフランと数年ぐらいしか生まれ年が変わらないらしいが、知識量にかなりの差がフランとある。

そのあたりを聞いてみたところ、言葉を濁された(というか、俺が自分で知るべきだといわれた)ので、何か事情があるんだろうな

 

あとは咲夜ちゃんがレミリアさんを好きすぎなのはよくわかった。

あんまり咲夜ちゃんを気にすると、今度はレミリアさんが本気であてがおうとしてくるのであまり仲良くはなれなかった感じだな。

 

 

 

もどってからはまたフランと遊んだ。

とはいってもごろごろべたべたしてただけだが、なんというか大きくなってからおなじことしてたら、そのさきはセッ……だろ?ってみたいな感じでべたべたしてた。

願わくばフランが大きくなったときに黒歴史にならないことを切に――

 

 

 

 

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

「やだやだやだやだやだーーーーーーーーっ!今日はお兄様と寝るのーーーーーっ!!」

 

ドロワーズを丸出しにするのもはばからずじたばたと駄々をこねるフラン……

 

 

 

 

 

 

どうやら俺はまだ帰れそうにないみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 






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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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魔理沙が来た

移植


みけさんはなんだかんだいって魔理沙とチルノが大好きです。


「おーい、なんか食いもんないかー?」

 

「魔理沙か、挨拶もなしになんだよ」

 

朝の十時ごろか?開口一番食い物をねだってきたのは霊夢ちゃんの相棒とでも言おうか、異変解決には役に立つ白黒魔女の霧雨魔理沙だった。

 

「いやー、ちかごろ採集活動がうまくいってなくてなー、ろくなもの食ってないんだぜ。だからなんかないかなーって」

 

「魔理沙の採集って盗むことだろうが?うまくいっていなくてなによりだわ。そもそも魔理沙は性能自体は悪くないんだから、なんか仕事見つけて働けよ」

 

そこそこ可愛い……というか美人系かな?なうえに魔法使いとしての実力も高く異変が起きたときは霊夢ちゃんと並んで率先して異変を解決して回るエースでもある。

ゲームに出てくるようなポーションも作れるっぽいので、相場はわからんが正直月にいくつかでも作って売れば普通に生活できそうな気はする。

 

がらっぱちというか、雑というか。独特の喋り方をするので綺麗系なのに残念な雰囲気を持っているのが実に惜しい子である。

あとズボラ。汚ぱんつこそは履かなくなったものの、キノコ生える迄洗濯物ためたりするのは健在だ。

ちなみにドロワーズ愛用者だったが汚ぱんつ事件以来、洗いやすい紐パン(霊夢ちゃんの履いているのと同じ奴だ、というか明らかに霊夢ちゃんのをパクっていってる、そして汚れたら交換してる気もする、ときどき洗濯籠に明らかに臭いの違うパンツがあるので、おかげで俺が疑われた)を履いていることもそこそこある。

ドロワーズか否かの判別方法は俺がいるときに箒に乗るかどうかで判別できる。魔理沙はそういうことは妙に恥ずかしがる乙女っぽい一面も持ち合わせている。あとエロ系の耐性はない。

 

「働くのは、まあ私もやぶさかじゃないんだぜ?ただ人に使われるのが嫌だから働かないんだぜ」

 

「なら、妖怪退治でもすればいいだろ、結構依頼転がってるぞ?」

 

まあ、おれもたまに頼まれるんだが、どうにも悪戯程度の相手をシバき倒すのは気が進まないんだよな。その点魔理沙なら容赦なくブッ倒すだろうからな。

 

「ああ、あの手のはなー。場所わかってる相手ならいいんだけど、そうじゃないと結構時間かかるのよ。私もそこまで暇じゃないんだぜ?」

 

「……魔理沙は一日中暇してる気がするのは俺だけか?」

 

泥棒をしているとき以外は、本気でフラフラしてるだけの気がするんだが……

 

「失礼だな!?基本的にお店で魔法の研究や魔法薬作ってることが多いんだぜ!」

 

「そういや店持ってたな!?だが収入につながってないなら、それは暇つぶし以外の何物でもない気がするんだけどな……?」

 

まあ、正直魔理沙が額に汗して働いている姿なんぞ、これっぽっちも思い浮かべられないんだけどな?

しかし、魔法薬、材料は採集(盗難含む)してるとして……

 

「魔法薬の完成品はどうしてるんだ?店で売ればそれなりの金にならんのか?よく知らんけど」

 

「私の作る魔法薬はほとんど攻撃系だからな、危なくて世に出せないんだぜ」

 

「……魔理沙がそんな理性的な判断できるとは思わなかったぞ?」

 

「あのな、私だってやっていいことと悪いことの区別位つくんだよ!」

 

「泥棒はやって悪いことだが?」

 

「あれは永久に借りているだけだから盗んでないんだぜ?」

 

本当に当然のごとく言う。魔理沙はいつもこういう風に盗みを認めないんだが、逆を言えば泥棒が悪いことだとわかってるので泥棒はしてないって言ってるんだろうなあ……

 

「じゃあ、なんだ?そんな危険物あの部屋に散乱してるのか?」

 

「ちゃんと片づけてあるよ!……いっぺん部屋半壊してからはだけどな」

 

すでに一回やらかした後か……まあ、汚ぱんつ事件で魔理沙の家が心配で見に行ったが多少雑然としているけどゴミ屋敷ってことはなかったからな。

 

「それに大抵異変で使い切るから、そこまでたまってないんだぜ?」

 

「ああ、そっか。持ち出しか」

 

異変解決は(たまに紫さんやさとりちゃんなどから出ることもあるが)基本的に無報酬なのですべてボランティアだ。

まあ、霊夢ちゃんみたいに義務感っぽいもので動くのもいるけど、基本的には「自由参加のお祭り」なわけだ。

……お祭りにしては実害がえぐいこともあるけどな。博麗神社もぶっ壊れたことあるみたいだし。

 

「前俺が大怪我したときに使ってくれた魔法薬はどうよ?いざというときのために金持ってる奴とか。まあ、阿求ちゃんとかに売れるんじゃね?」

 

「あれは、材料が希少な上に作成難易度がえぐいからなあ、さすがの私も失敗せずに量産は難しいんだぜ。そもそも材料もまた手に入るかわからないし(パチュリーまだ持ってるかな?)

 

「魔法薬が得意な魔理沙にしては珍しいな、っていうかそんな貴重なもの良かったのか?」

 

「作ってみたかったからエリクサー作ったけど、使い道なかったから丁度良かったんだぜ、気にすることないんだぜ」

 

……いまなんかラスボス迄取っておいて、結局使わずにクリアするような薬の名前聞こえたんだが!?

 

「なんかそれってすごい希少な薬の気がするんだが!?」

 

「希少は希少かもだけど、なんというか、作り方わかってたら作りたくなるだろ?で、作ったら作ったで使いたくなるだろ?だからちょうどよく使うことができて私は満足なんだぜ?‥‥‥まあ、あと流石に治せるのに大怪我してるお前を放置はどうかとおもうし」

 

意外に優しいな!?(失礼)

それに、まず、普通は作ろうと思って作れるようなもんじゃない気がするんだけどな!?

なんだかんだいって魔理沙も霊夢ちゃんと同じ天才……いや、ああ、そうか。

 

「なるほど、魔理沙は努力家なんだな」

 

「な、なん、いきなり何を言うんだぜ!?」

 

「いや、魔理沙って勉強して努力してるんだなあって理解した」

 

教本や、素材の手に入れ方に問題がありまくる気はするものの「作ってみて、試してみる」ってのは立派な勉強であるだろうし、作れるようになるにはやっぱりそれなりの練度が必要になってくるだろう。

つまり、あれだ。

魔理沙って実は偉い奴だったんだな。

 

「な、なんだよそれ!べ、別に私は努力とかしなくたってすごいんだぜ!」

 

「そうだな、魔理沙はすごいな」

 

俺自体「出来ることは何でもやってみる」スタンスだから努力する人間はそれだけで好感度爆上がりである。

‥‥‥まあそれでも二度と魔理沙が魔理沙ちゃんになることはないと思うがな!(酷)

あれだ、エロスとリスペクトは別もんなんだよ。好感度どれだけ上がっても魔理沙が残念なのは変わらんと思うしな!

 

「まあとりあえずエリクサーの代金変わりだ。飯の準備するからちょっと待ってろ‥‥‥肉と魚「肉!」――了解」

 

とんかつ(肉はイノシシのだが)でいいだろう。残念ながらとんかつソースの再現には至ってない(ウスターソースはできた)のでおろしポン酢で食うことになるが、幻想郷にいる人間は普段の食事が基本的に薄味のせいかむしろこっちの方が(比較対象がウスターではあるが)あっているみたいだ(俺と早苗ちゃんだけがとんかつソースを求めている)

 

比較的キャベツは年中あるんだが、たまたま切らしていたし、そもそも生野菜自体幻想郷の人間はあまり食わないので副菜と箸休めを兼ねて漬物を盛り合わせておく。

 

みそ汁は‥‥‥うん、地獄汁でいいか。

 

味噌を水で溶いてカンカンに熱した中華鍋に薄くごま油を引いて‥‥‥

 

 

 

 

 

じゅわあああああああっ!!バチバチバチバチ!!

 

 

 

 

 

一気に味噌水を投入する、一部蒸発することによって出る焼き味噌の風味、そしてごま油の香りがとてもよく出て香ばしくなるんだ。最後にネギを散らして完成だぜ。

豆腐も入れたかったが、今朝食っちまったからな。

 

 

「う、すごいいい香りなんだぜ‥‥‥」

 

「もう出来上がるから、すわってなー」

 

様子を見に来た魔理沙を牽制する。

俺は料理の邪魔をされるのが嫌いなのだ。

なので時にチルノへの折檻は熾烈を極める、と言ってもお預けしたりする程度(だがこれが一番効く)だがな。

 

「ほいっと」

 

虚空から揚げたてほやほやのとんかつを取り出して‥‥‥一応魔理沙は女の子だから小さめに切っとくか?‥‥‥いらん世話の気もするが、まあ一応な?皿に乗せれば完成だ。

 

え?とんかつの出所?これは俺がある意味一番重宝している術だ。

仙人の道服の袂から無尽蔵に呪符が出てくるのはこの術の応用なんだぜ。

技量によっても容量は変わるが今の俺で二キロちょいぐらい入る。(生意気にも布都は7キロほど入るらしい)

特筆すべきは、線がかすれたり、少しでも濡れたり、破れたりしただけで使い物にならない呪符をしまう術なだけあって、中に入れたものの状態が保たれるんだ。

もう、俺がどんな使い方するかわかるな?

 

今みたいに準備が面倒な揚げ物を多めに作ったときにストックして置いたり、肉や魚を(魚は可食部が少ないうえに水分多いので切り身に軽く塩した状態推奨)保存しておいたり。あいすくりんキープして置いたり、生菓子持ち運んだりに使う。

‥‥‥洗濯籠からパンツ失敬しようとしたが、どこで判断しているのか俺のモノじゃないと入らない謎仕様はどうしたものか‥‥‥?

 

最後におひつにあるまだほんのり温い(ここで魔理沙に全部食わせて、夜はまた炊こうかな?麦飯もいいな)ご飯をよそって‥‥‥

 

「ほれ、魔理沙、おかわりもいいぞ!」

 

と、とんかつとみそ汁、漬物盛り合わせという雑ではあるが、十分な食事を魔理沙に提供する。

ただし食う時に「うめ」とかいうのは無しな!

 

「いただくんだぜ!‥‥‥うめー!」

 

だから言うなってば。

 

「相変わらずお前の作る料理はうまいぜ!‥‥‥すこしばかり霊夢が羨ましいんだぜ」

 

「夜はさすがに追加で米炊きたくないが、昼間でよければ、まあありもんなら食わせてやるよ、ほい、茶だ」

 

「ん、ありがと‥‥‥うめーうめー」

 

「どんだけがっついてんだよ‥‥‥お代わりはい‥‥‥聞くまでもなかったな」

 

欠食児童のように(多分実際丸一日ぐらい食ってない気もする)食事をかき込む魔理沙にお代わりの是非を‥‥‥聞ききる前に茶碗だされたので残った飯を「日本昔話盛り」にして出してやる。

ツッコミはいるかな?と思ったがちらっとみたあと、山の攻略にかかったようだ‥‥‥お代わり分だけで二合ちょいぐらい盛ったんだけど食うのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー満腹だー」

 

「よくぞ食いきったなおい!?」

 

白米が多いのでかつも一枚追加で出してやったが、それも含めて全部食いきってしまったぞ!?

流石にちょっとおなかがぽっこりしてる気もするな。

 

満足げな魔理沙を横目で見ながら追加でお茶を出してやる。

緩い顔をしている魔理沙は確かに美少女で可愛いな。

‥‥‥残念じゃなけりゃあなあ。

いや、別に手を出したりはせんけどさ。

 

「こうしてみてると、確かに魔理沙って美少女だよな」

 

「なっ!?おまっ、おおおおおまっ!?急に何言ってるんだぜ!?」

 

おっといつものごとく素の感想が出ちまったが、嘘は言ってない。

残念なのと、見慣れているせいであまり気にしてはなかったが間違いなく最高クラスの美少女なんだよな、魔理沙って。

 

「そ、そんなことを言って私にいやらしいことしようとしても無駄だぜ!」

 

「いや、しねえよ!?魔理沙の中ではどれだけ俺が飢えてんだよ、素直な感想だっての」

 

「そ、それはそれで、その‥‥‥恥ずかしいんだぜ」

 

照れてる魔理沙も普通に可愛いな‥‥‥でもエロスは感じない‥‥‥ある意味希少な存在なのかもしれんな!(酷)

 

「まあ、いいや。魔理沙が残念だってのは俺の中ではすでに不変の事実だしな。土産も渡すから夜はそれで食いつないでろ」

 

酷いんだぜ!とかいう魔理沙に干し芋をどっさり渡す‥‥‥うん、作りすぎたんだよ、芋も、干し芋も‥‥‥

 

「あ、ありがと」

 

「なに、ガチで大豊作だったからなあまりまくってるんだわ。むしろ足りなければ取りに来いレベルであるぞ」

 

「なんでそんなにあるんだよ‥‥‥」

 

「愛情かなあ‥‥‥」

 

遠い目をしてぼやく。

 

「よくわからないけど、何かあったってのはわかったんだぜ」

 

「おう、突っ込まないでくれるとありがたいな」

 

幽香さんのせいではあるな‥‥‥

 

しばし、まったりとしたあと魔理沙が暇を告げた。

 

「じゃあ、帰るんだぜ、ありがとう、うまかったぜ」

 

「おう、エリクサーの代金変わりだ、昼間に俺がいるときならいつでも来い」

 

「わかったぜ!じゃあな」

 

「おう、あんまり人に迷惑かけるなよー」

 

 

 

 

魔理沙が飛び去って行ったあと「どうせしょっちゅう来るんだろうな」と、魔理沙に渡すように保存食の生産に勤しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「毎日か!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

後日俺の突っ込みが博麗神社に響き渡った。

 

 



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紅魔館に初訪問した話・完結編

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1600人を越えました
ありがとうございます。

本来は後編で終わった紅魔館のお話ですがなぜかお泊り話を書いてしまいました。
今回いったん書いたお話を8割がた書き直すという暴挙に出ました。
結果、まったく話の内容がない話になりました。
いちおう、本編につながる伏線は張ったはずです。

誤字脱字報告者のトッシュ様、ティアール様、提督様、えりっく@紗枝P様、μηδέν様、すかたず様、芋名月様、blackfenix様、ダイダロス様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

 

「るんたるんたるんるんるーん♪」

 

謎のメロディを口ずさみご機嫌のフラン。そんなフランと紅魔館の廊下を歩いている。

 

……泣く子と地頭には勝てないというが、まさにそれだった。

まあ、おれもおれで「今回だけだぞー?」とか甘やかしてしまったんだが……

 

レミリアさんに「フランに泊って行けって泣かれたんですがどうしましょう……」と相談したところあっさりとお泊りの許可と博麗神社への連絡をしてくれた。

咲夜ちゃんに命令してたけど、咲夜ちゃんもしかして今から博麗神社にいって来るんじゃないだろうな?

……いや、まさかなって思うけど、レミリアさんの言うことなら喜んで聞きそうだし少し不安だ。

時間を止めれば確かに見た目上は一瞬なんだろうけど、咲夜ちゃん疲れねえのか?

それとも咲夜ちゃんも人外なのか?

 

何にせよ俺のせいでいらん仕事が増えたのは事実だ。

謝るってのは咲夜ちゃんの仕事に対して不誠実な行為の気がするから、お礼と、何か甘いものでも今度持ってこようと思う。

 

ちなみになんで廊下を歩いているのかというと……

 

「おっふろ、おっふろ、お兄さまとおっふっろー♪」

 

……というわけだ。

 

 

 

 

いや、まずいよね!?

 

 

 

 

人様のところの娘さんとお風呂だぜ!?(混乱)

確かにフランはギリ男湯に入れるレベルだと思うが、実年齢は500歳越え。つまり、合法ロリだ……(違法な発言)

 

俺はフランにエロスは感じないが裸を見ても何も感じないかどうかは未知数だ。

もしかしたら霊夢ちゃんの目論見通り(違)ロリコンに目覚めるかもしれないんだ。

それぐらいフランは美少女だというのは間違いない。

 

間違いないので間違いが起きるかもなんだよ!(大混乱)

 

しかし、こんなにうっきうきのフランに「一人で入るor一人で入れ」は言えねえよなあ……

まあ、もしやばそうだったらフルチンのままでも風呂場から脱出する所存ではある。

 

ところで風呂の準備も咲夜ちゃんに言いつけていたけど、酷使しすぎじゃね?

咲夜ちゃんがどう思ってるか知らねえけど……ドMとか?(酷)

 

「あら、どうしたのフラン?えらいご機嫌ね?」

 

そう声をかけてきたのはパチュリーちゃんだ。

手にワインボトルを持っている……くすねてきたのだろうか?

まあ、それぐらいは許される仲なんだろうな。

 

さて、ちょっと現実逃避をしたが、パチュリーちゃんの質問は大変にまずい。

なぜならば……

 

「うん、お兄様と一緒にお風呂入るのーっ!」

 

「うわ……」

 

現代社会でスマホ持ってたら即通報しそうな感じの「うわ……」だな!?

まあ、俺も別の男が今の俺の立場だったら間違いなくするけども。

 

「まあ、まてよパチュリーちゃん。やましいことはする気はないぞ?」

 

「犯罪者はみんなそういうって本に書いてあったけど?」

 

「まず俺犯罪者じゃないからな?」

 

「そうね、いまからですものね」

 

「いまからもしません!」

 

どうしよう、パチュリーちゃんが面倒くさい(酷)

大体において俺はパチュリーちゃんにそんなようなことを言われるような筋合いは……

 

 

 

わりとあったわ……

 

 

 

なんだかんだで俺チビども除けばパチュリーちゃんの体に触ってる時間一番長いかもしれん。

頻繁に触れ合うわけじゃないけど、俺にくっついたまま読書モードはいって微動だにしなくなること多いからな、パチュリーちゃん。

 

俺だって男だし、離れる必要がなければくっついていたくはなるから、そのまま放置すること多いんだよな。

なにより、パチュリーちゃんの肉は軽く沈み込むような柔らかさがあるのだ。インドア派だからだろうかむっちりと柔らかい。それこそぬくやわこくてリラックスできる肉なんだ。

で、緩い感じの服と肉(酷)とちがってパンツはフィットしたタイプのシルクのレースだ。

エロくも無く普段使いのデザインなんだが、そのあたりが大人って感じでちょっとエロイ。

 

「どーだか。あなたってば割と見境ない気もするし」

 

「ちゃんと一線は決めてるぞ?……あ、それならパチュリーちゃんも一緒に入れば?」

 

「えー、パチュリーも―?」

 

フランは不満そうだな?意外だ。

 

「そんなこといって――はぁっ!?あ、あなた何を言うのよ!」

 

「いや、パチュリーちゃんがわかってくれないし、ならいっそのこと監視のために一緒に入ればいいじゃん?って思ったわけだが」

 

あとは当然パチュリーちゃんへの仕返しだな!さらにいうならパチュリーちゃんならワンチャンありそうだしな。

 

「……やめておくわ、お風呂狭いし」

 

「パチュリーおっきいからねー、おにいさまと二人でいっぱいだよ」

 

「え?狭いの?なんか大浴場でライオンの口からお湯出っぱなしのイメージがあったんだが?」

 

それとそれって広かったらいいってことか!?

でもパチュリーちゃん割とこういうの超越してる気もするからな、普通に入ってきそうではあるな。

 

あとフランよ、どこがおっきいのか俺に教えてくれなさい(変態)

 

「レミィ……フランもだけれど、吸血鬼よ?流れる水に入れるわけないじゃない。だから、基本的にバスタブにお湯貯めるタイプだからそこまで広くないわよ?咲夜に世話させてるから洗い場はそこそこ広いけどもね?」

 

「前から思ってたけど、吸血鬼って意外に弱くね?」

 

「あなた……レミィに怒られるわよ?」

 

「だって、日光とか流れる水とか普通に自然界にあるものだろ?意外にキッツいと思うんだが……」

 

ところで「心臓に白木の杭を刺したら死ぬ」ってのを特筆してるのおかしくね?大抵の生物はそれされたら死ぬと思うんだが……

 

「とはいっても再生もできるし、そこまで弱点というほどでもないのよね、聖水だろうが白木の杭だろうが灰になったりするだけで、灰をあつめてしかるべき儀式したら普通に復活するみたいだし」

 

まさかの白木の杭さん意味なし!ますます特記する意味がねえな!

 

「なるほどなー、っと流れる水ダメだったら、風呂どうするんだ?浸かるだけか?」

 

頭とか体洗えねえのか?

 

「いいえ、シャワーとかはだめだけど、お湯くんでかける分には平気なのよね。だから手桶にお湯ためて洗えるわよ」

 

「そうか、ならよかった。そういえばフランはいつも一人でお風呂入ってるのか?」

 

正直一人で入れるならなるべくフランには触らない方向で、空間だけ一緒で何とか我慢してもらおうと思うんだが……

 

「入れ――ううん、私は一人でお風呂入れない!いつも誰かに洗ってもらうの!」

 

「そっかー」

 

ううむ、どうやら俺が洗ってやるしかないようだな……

まあ、大丈夫だとは思うけど……くっ、幻想郷に来てから一番のピンチかもしれん。

 

「……フラン、あなた――」

 

「パチュリーもお兄様に洗ってもらうー?」

 

うぉい!それはたぶん俺が暴走する。

パチュリーちゃんは間違いなくエロい体だしな!(酷)

 

ただ逆にフランと一緒なところで暴走はできないし、それもそれでキッツいわ……

 

「――はぁ……わかったわよ、邪魔しないから二人でゆっくり入ってきなさい」

 

「うん!」

 

「まあ、そうだろうな。残念だが」

 

「あなたはまったく……いっておくけど年齢はともかく、フランの体は小さいのだから……わかってるわね?」

 

「小さいとナニが問題なのかわからんが、そういうことはしないから安心してくれ、というか信用してくれ」

 

小さいからナニが入らないから大丈夫!

というか信用されてねえな俺!?さすがに小さい子枠の子たちには何もしねえよ!

……不覚にも勃起させられたことはあったが。

妖精の一部は普通に握ってくるので油断がならない。

 

「さすがに何かあったら生きて帰れるとは思わないほうがいいわよ?」

 

「お、おう。大丈夫だ。信じてくれ」

 

「わかったわ、衣服とかはたぶん咲夜が用意しているはずよ、それと石鹸あるから使ってもいいわよ」

 

「おお、石鹸あるのか!?幻想郷で初めて見たわ!」

 

「ええ、魔法で一個一個鹸化してるから量産はできないのだけどね……というか魔理沙なら作れると思うのだけど……?」

 

「お、そうなのか?今度聞いてみるわ」

 

意外だな、しかし、これで石鹸が手に入るめどが立ったな。

報酬代わりになんか食わせとけばいいだろ。

 

「じゃあ、フランもじれてるようだし、またね」

 

「おう、またな」

 

「ばいばーい」

 

そういってパチュリーちゃんはワインをもって去っていった。

飲みながら寝転んでなんかつまんで本を読んでいる姿が目に浮かぶ……太るぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様ー、脱がせて―」

 

いきなりの試練である(真顔)

ま、まあ、想定の範囲内だ。

 

「えっと、どんな作りだこれ……?」

 

うーん、ブラウスの上にワンピースでワンピースをサッシュで絞ってるだけかな?

ならサッシュを外してうえから「すぽーん」と脱がせればいいかな?

 

「とりあえず、このサッシュを外して……は?」

 

サッシュを外したらフランのスカートがすとんと脱げた、んん……?

 

「巻きスカートかこれ!?」

 

「そうだよー」

 

とドロワーズ丸出しのフラン。

まあ、パンツじゃないから恥ずかしくないな!

 

「ちょっとフラン羽たたんでくれ」

 

「ほーい」

 

で、上は上で面倒くさい。スカーフ外して、ベスト?のボタン外して、二の腕の紐外して、ふくらんだ袖伸ばして、ベスト脱がせて……ややこしいわ!?

これは脱がせてというのも理解できるわ。

でブラウスを……

 

「おおう」

 

ブラウス脱がせたら裸がでた。シャツ着てねえのか……

といっても大平原なのでおっぱいというより、胸板だが。

 

うん、まったく膨らみがない、と言ってもお子様体型だから全体にぷにっとはしている、おなかも少しポッコリしてるしな。

つつきたい衝動にかられるがさすがにそれをやったら絵面的にヤバイ。

 

「よーし、ドロワーズは自分で脱ごうなー」

 

「えー、脱がせて―」

 

「ドロワーズぐらい脱ぐの楽だろー?」

 

軽い感じで返すが、可能な限り避けたいのである。脱がすとなったら目の前に筋がくる状態になるからな。いろんな意味で危険すぎる。

どうせ風呂では見ることになるんだろうが至近距離でなければまあ、気にはならんだろう。たぶん。

 

「簡単じゃないよー、座らないと脱げないよー」

 

「あーなるほど」

 

子供って等身が低いからバランス悪いんだよな。

しかし、座れば脱げるというなら悪いがそうしてもらいたい。俺は危険には近寄りたくないんだ(手遅れ)

 

「まあまあ、がんばって脱いでくれ、その間に脱いだ服まとめておくから」

 

フランの服パーツ多いしな、ちゃんと片付けとかねえと。

お、脱衣籠のほうにお風呂セットと着替えがすでにセットされてるな……

咲夜ちゃん本当に大丈夫か?

なんかワインのボトルも置いてあるけど、なんだ?風呂で飲むのか?……飲まねえよ!

 

「うー、わかったー」

 

ちょっと不満そうだが自分で脱いでくれるようだ。

咲夜ちゃんの労働環境を心配しつつ、俺はフランの服を片付け自分も脱ぐ。

 

もちろんなにはばかることないフルチン、フルンティングである(謎表現)

ところでフルンティングって「突き刺す」っていみだからピッタリじゃね?(下ネタ)

 

腰に巻ける大きさのタオルはいってなかったし、前だけ手に持ったタオルで隠すのもなんかみっともねえしな。

 

「おにいさま!?」

 

「お、ど、どうしたフラン!?」

 

フランの大声にビビる。

小さくてもレディにフルチンはダメだったか……?と思っていたら……

 

「おまたになんかついてる!」

 

「おうふ」

 

まさかの無知!

女所帯だったっけなー、そういえば、どう答えればいいんだ……うーん。

 

「あれだ、女の人におっぱいがついてるように、男にはちんちんというものがついているんだ」

 

雑だが、まあ間違ってはいない。

ただ、こういう場合とある問題が起きる可能性が――

 

「そっかー、お兄様、ちんちん触っていーい?」

 

はい、無知ゆえのパワーワードいただきました(絶望)

かなりの高確率で来ると思ったが、期待裏切らないな!?

 

「はっはー、男はおしっこをここから出すからなー。汚いから触っちゃだめだぞー?」

 

下手に触ると白いおしっこ出ちゃうぞー(混乱)

 

「そうなんだー、あ、そーだ!汚いなら私が洗ってあげるね!」

 

はい、これもお約束ですね!(絶望2)

 

「いやあ、ここは下手に触ると痛いんだよ、、それにやっぱり汚いのを洗ってもらうのはなー?」

 

上手に触ると気持ちいいけどな!(大混乱)まさか欲望の赴くまま行動するわけにもいくまい。

 

「そっかー……あ!」

 

なんの「あ!」だ、いやな予感しかしねえが。

 

「じゃあ、手でやさしく洗えば痛くないかな。それとお兄様が私のを洗って、私がお兄様のを洗えばおあいこー」

 

どんどんやばい方向に行ってんな!?

アレだ、さすがの俺も突っ込み切れねえぞ!?

 

「えっと、なんだ。フラン。大事なことだから聞いてくれ」

 

目線を合わせてしっかりとした態度でフランを諭す。

大切なことだからな。

 

「なーにー?」

 

「そこを触りっこしていいのは恋人とかだけなんだ」

 

なんで俺が性教育じみたことをせねばならんのか……まあ、そのことは置いておいても、ここはまじめに応対する場面だと思う。

好奇心に負けて変な男にひっかかったりしたら、俺は人知れずそいつを処するぐらいにはフランが大事だからな。

 

「私はお兄様好きだよー?」

 

「おう、俺もフラン好きだぞー」

 

「なら――」

 

「でもな、もう少し足りないんだ。好きよりももっと大きい。そんな気持ちがあるんだよ」

 

「あるの?」

 

「おう、まあ、俺も正直わからんから偉そうには言えないんだけどな、たぶん、もっと、心が大人になったらわかるんじゃねえかな、俺も、フランも」

 

「そ……っかー……難しいんだね」

 

よくわからないなりに理解しようとするフラン。

うん、将来はいい女になるな!

 

「背中とか頭は洗ってやるからなー。ほらいつまでも裸じゃ風邪ひく――吸血鬼って引くのか?まあいいや、風呂入ろうぜ、フラン!」

 

「うん!じゃあ私も背中とか洗ってあげるね!」

 

「おう、頼むわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお……普通だな」

 

ちょっとがっかりしている俺、なんというか一般家庭の風呂とあんまり変わりがない。

洗い場こそは広くて数人一緒に洗えそうだがバスタブ自体は少し広いかな程度の大きさでしかない。

石っぽい何かでできていることだけが違いといえば違いだな。

まあさっきパチュリーちゃんが言ったような理由があるんだろうがなんかこう、残念だな。

 

とはいっても幻想郷ではこんなお湯をためるタイプのやつは現代のような風呂は珍しい部類だろうな。

たぶん沸かすタイプだと対流が起きるから流れる水扱いなのかもしれないな?

 

あと、蛇口がついていて普通にお湯と水が出るのはすごい便利だと思う。シャワーがついてないのが残念だがな。

 

「よっし、まずはフランを洗おうかな、向こう向いてなー?」

 

「はーい」

 

手桶にお湯を(ちゃんと温度は確かめた。ぬるいぐらいがちょうどいいかな?)くんではかけ、くんではかけ、フランの体がほんのり色づくぐらいまでお湯をかけて温めてやる。

体が温まってきたら頭にも。

 

「よーし、フラン頭からかけるぞー」

 

「んっ!」

 

フランが身を固くして、多分目もギュッとつぶっただろう体ごとすぼまったのがわかる。

ぱちゃぱちゃと何度も汲みなおして少しづつかけながら、十分に髪を湿らせていく。

いやシャワーって偉大だなと思うわ。

 

体のどこから洗うかというのは好みの問題だが俺は頭から洗う。

なのでフランも頭から洗うつもりだ。

 

「シャンプーは……ねえかな?フラン、いつも頭何で洗ってる?」

 

「石鹸でだよ」

 

「了解、丁寧に洗うけどしみたらごめんな―」

 

「んー」

 

石鹸で洗うと髪の毛ごわごわになるんだけど、どうなんだろうか?

見た感じ紅魔館の女性陣は割とサラサラの髪してた気がするんだが。いつも撫でてるフランサラサラだしな。

 

シャンプーと違って泡立ちが悪いので、いったんタオルでよーく泡立てる。そのあとタオルでふき取るような感じで泡を擦り付けて洗っていく。

これは石鹸には研磨剤的なものが入ってないせいで汚れが取れにくいからだ。

ちなみに博麗神社では俺が始めた養鶏で取れた卵の殻を細かく砕いて、無患子液という天然洗剤に混ぜてシャンプーのようにして使っている。

卵の殻が研磨剤変わりだな。

 

「かゆいところはございませんかー」

 

「ん-ん、きもちいーよー」

 

とりあえずお約束のセリフを言っておく。

しかしフランの髪の毛短めで助かったな。この洗い方結構面倒くさいぞ。

しかし頭に集中できるおかげでフランの裸も別段気にならないし……いや、気になったら大問題なんだが……まあ、ふつうに仲のいい兄弟って感じでいれるな、うん。

 

「よし、お湯かけるから目をつぶってなー」

 

「ん!」

 

気合が入るのか身構えるのか固くちぢこまるフラン。ちょっと可愛い。

石鹸かすが残らないように手でぱちゃぱちゃとしっかりもみすすぎしながら何度も何度も念入りに流していく。

 

「うーん……」

 

「どうしたのー?」

 

すすぎ終わってフランの髪を触るが、やはりごわごわだ。

何か間違ったのか?

 

「いや、フランの髪の毛がごわごわなんだよな、何か覚えないか?」

 

「んっとー、赤いのかけてたよ?」

 

「赤いの?」

 

まさか血液とか!?いや、いくら吸血鬼でもそれはねえか、そもそも血は固まるから余計ごわごわになるよな?

 

「うーん」

 

「ああ、これを使いなさいな」

 

と、手渡されたのは先ほど脱衣場で見たワインのボトル。

 

「ん?これは?」

 

「ワインビネガーよ」

 

「あー、なるほど酸でアルカリを中和し――レミリアさん!?」

 

「あ、お姉さま!」

 

何気なく受け取って会話していたが、いつの間にかレミリアさんが――

 

「あら?どうしたの?そんなに見つめて」

 

「レミリアさん……服は?」

 

「お前、馬鹿なの?お風呂に服を着てはいるわけないでしょう?」

 

一糸まとわぬ姿でそこにいた。

 

肢体的にはフランと同じかほんの少し成長した感じなのだが、なんというか色気がすごい。

決して欲情するような体ではないはずなのに、あきらかに惹かれる。

そういった妖しい美を持っている。

 

「な、なんでレミリアさんが!?」

 

「咲夜をお使いに出したから、今日わたしを洗う人間がいないのよ、フランと一緒みたいだったし、ついでに私も洗ってもらおうかと思ってね」

 

いや、無茶ぶり!?

 

「いやいやいやいや、レミリアさん恥ずかしくないの!?」

 

「犬に裸を見られて恥ずかしいと思うかしら?……今のお前はその程度、フランのペットのようなものよ」

 

うん、まあいい方はともかく昔の貴族的な考えか、貴族じゃないなら人でないみたいな感じの考えか。

とにかく俺に人権がない感じなんだな。

 

え?怒らないのかって?妖怪の人間に対する認識なんて半分ぐらいがそうだから、もう慣れた感じだな。

 

「お兄様はお兄様だよ、お姉さま?」

 

「ええ、フランからしたらね、でも私からしたら……まあ、顔ぐらいは覚えておきましょうかという存在よ。それもしばらく来なければ忘れる程度のね」

 

「えっと、嫌い?」

 

「どちらでもないわ、少なくとも食事ではないわね」

 

うん、まあ一応友好的だと思うことにしよう。

 

「よし、まずはフランを洗ってしまおう、風邪ひくしな。レミリアさんは――」

 

「前ぐらいは自分で洗えるわ――ふふ、お前が洗いたいというなら前も洗わせてあげてもよくってよ?」

 

「お姉さま、おまたは恋人同士じゃないとダメなんだよ、お兄様にさっき教えてもらった!」

 

何をぶっこんで来るんですかフランさん!?

下手したら俺明日の朝日拝めねえぞ!?

 

「お前……ああ、フランのことだから、その粗末なものに興味持ったんでしょう?不問にするわ」

 

セーフ!

だが粗末じゃない!膨張するとすごいんだぜ!言ったら流石に切り落とされそうだから言わないが!

 

さておき、レミリアさんが自分で洗っているうちにフランを洗ってしまおう。

とりあえずワインビネガーを……

 

「えっと、直接かければいいのか?」

 

レミリアさんに確認をとる。

 

「いえ、お湯に少し混ぜるだけでいいのよ、それをかけて、しばらくしたらもう一度お湯で流せばいいわ」

 

「お、なるほどな」

 

なら、そのしばらくのうちに体洗うか。

 

「よし、フラン背中洗うぞー」

 

「うん!」

 

とはいっても小さいから簡単に洗えるな、むしろ力加減に気をつけねば。

 

「相変わらずフランの羽はきれいだなー」

 

「えへへ、うれしい!」

 

まあ、ただ羽としてはまったく役に立たない気もするけども。

ぜったい物理的には意味ないだろこれ。魔術的と行くかそういうシンボル的な意味でもあるのかな?

 

とりあえず細い部分は気を付けてこれまたふき取るようにタオルで洗っていく。

 

「わきの下あらうぞー、ばんざーい」

 

「ばんざーい!……く、くすぐったいよーっ!」

 

「じゃあちょっと強めのほうがいいかな」

 

「うくっ、んふ……はやくおわってー!」

 

「よーし、よく我慢したなーそのまま腕も行くぞー」

 

「はーい!」

 

フランとワイワイやってるとレミリアさんがあきれたように声をかけてくる。

 

「あなたたち、ちょっと仲良すぎない?」

 

「うん!とっても仲良しなの!」

 

「基本的に俺って鏡みたいなもんだからな、これだけ懐いてくれてたら容赦なく厳しく全力で甘やかすぞ」

 

「……そう」

 

なんかレミリアさん数度口を開いた後、短い言葉で口を閉ざした。たぶん突っ込もうとしてやめたような感じだな。つまり、俺の勝ちだな?(謎判定)

 

「さあ、フラン足も洗うぞー」

 

「はーい!」

 

片足づつ持ち上げて丁寧に洗っていく。足の向こう側にきれいな一本筋が見えるがこういう感じで父性モードが全開になってる場合は全く動じない、あるいみこれも賢者モードだな。

 

くすぐったいのか身をよじるフランをなだめすかしつつ、洗い終える。

 

「よし、おまたはじぶんであらおうなー」

 

「うーん、私は構わないんだけどなー?」

 

俺がかまう。

あと保護者(レミリアさん)に何言われるかわかったもんじゃないしな。

 

「だーめ、さっき言っただろ?それに俺は今からレミリアさんの髪を洗うからな」

 

「はーい」

 

しぶしぶとだがなんとか自分で洗い始めるフラン。うん、あとで甘やかそう。

そうしてレミリアさんの後ろに回るとレミリアさんが話しかけてきた。

 

「あら?本当にあらってくれるの?」

 

「おう、心配で見に来たのはおいおいわかってたけど、せっかくだからな」

 

どうせパチュリーちゃんが「アレヤバくない?えっちなことするかも」的なことでもいったんだと思う、むっつりパチュリー……ムッチュリーだからな!(雑)

 

「勘のいい子は嫌いよ、愚か者よりはましだけどね」

 

「そりゃどうも。で、洗っていいかい?」

 

「物好きね?いいわ、洗わせてあげるから喜びなさい」

 

「ありがとうございますレミリアお嬢様」

 

「似合わないわね」

 

そういって背を向け沈黙するレミリアさん。

とりあえず洗うとしよう。

 

フランの髪と同じようにして洗う……洗うんだが――

 

「んっ、そう、そこよ、もっと強く……!はあっ、上手ね、お前」

 

 

 

 

エロいんだよ!?(混乱)

 

 

 

 

 

さいしょフランと同じように「かゆいところはありませんかー?」って聞いたら、前髪の生え際がかゆいといわれたので強めにわしわしやったら、なんか大層お気に召されたらしく、「わしわし」どころか「ガシガシ」レベルの強さで頭を洗うように指示された。

なんでも咲夜ちゃんの洗い方は非常に丁寧だが刺激が足りないうえにいつもかぶっているナイトキャップのせいで割と蒸れるそうだ。

 

……とりあえずキャップ脱いだら?

 

まあ、そう突っ込めるはずもなく「後でヒリヒリするかも」と、いう程度にとどめておいた。

 

「これだけでもお前雇いたい気はするわね、月50万ぐらいで」

 

「無駄遣いが過ぎるだろ!?」

 

もし現代社会にいたらたぶん喜んで受けてたと思うが、幻想郷だとそこまで仕事にも賃金にもこだわらなくていいしな。くってけりゃいいんだよ。

 

「しかし、頭を押さえつけられるのって意外にいいわね」

 

「レミリアさぁん!?」

 

え、レミリアさんMなの?

あと、フランの教育にわるいからあんまりきわどい話題はやめてくれ!

 

「なにか変なことを考えているようだけど、新鮮な……それでいて懐かしくもある不思議な感覚だったってことよ?……もしかしたらお父様もこうしていたのかしらね?」

 

ううむ、父母のことに関しては俺は記憶ねえし、そもそも幻想郷で親いるのが珍しいからな。

 

「レミリアさん……」

 

「なあに?言っておくけど感傷などないわ、それよりも次は背中よ、これも優しいと少しくすぐったいから、強めでいいわ」

 

「お、おう」

 

とは言われたがさすがに赤くなるぐらいの力は入れれねえよな?というか病的なぐらい白い肌がお風呂の熱で血行がよくなったのか、ほんのりピンクで正直エロい。

フランとパーツ変わらないのに本当にレミリアさんは何でこんなにエロいんだ……

 

タオルなんかより素手で洗って、腰の、脇の、太ももの、胸の、……の肌の滑らかさを堪能したい衝動にかられる。

やったらたぶん俺生きてここ出られないんだろうけど、ふっと「それでもいいか」と思ってしまうぐらいに暴力的で冒涜的な妖しい魅力を感じてしまう。

 

「じゃあ失礼して……このぐらいか?」

 

「んっ、そうね、気持ちいいわよ、脇は敏感だからもう少し強くてもいいわ」

 

「じゃあこれぐらい――っと!」

 

「じゃあお兄様は私が洗う―!」

 

「お、ありがとな、でもいきなり飛びつくのは危ないか……ら……!?」

 

うしろから「どーん」されたせいで俺の手が洗っていた脇を通り越して……レミリアさんの胸に……しかもタオルも落としてしまい素手だ。

ふくらみは感じないのだが今まで触ったあらゆるものよりもなめらかで、そしてほんの少し弾力のある突起に触れている。

 

「う、うわあっ!?」

 

「なに?騒々しいわね」

 

「あ、いや、そのちょっとびっくりしてしまったので……」

 

思わず敬語。

 

あれ?レミリアさん怒ってないのかな?

 

「そ、フラン?石鹸つかっているのだから滑って怪我するわよ、もっとゆっくりおとなしくなさい。レディでしょう?」

 

「はーい、お姉さま」

 

「ほら続けなさい」

 

続けてって揉むのか!?と一瞬トチ狂いそうになったが、脇を洗う続きだってことだよな。

正直今の一瞬完全に理性が死んでたかもしれん。

そして困ったことに充血しつつある。最高にまずい状況だ。

 

しかし、レミリアさんって普段から咲夜ちゃんに洗ってもらってるからなのか、これぐらいの接触じゃ気にも留めないのだろうか……?

まあ、偶然を装ってもう一回試してみる気にはさすがにならないけども。

 

「あ、じゃあつづけますよー」

 

「私もごしごし―」

 

三人で並んで背中を流す、なんかほっこりするな。

おれのハイパー兵器も臨戦体制を解いてくれた。

 

「お兄様気持ちいーい?」

 

「おう、すごく気持ちいいぞー」

 

正直思ったよりフランの力が強くてちょうどいい塩梅に「ごしごし」されている。

やっぱり吸血鬼って基本スペック高いんだな……と思いつつレミリアさんを洗いあげていく。

途中お尻もあらわされそうになったがフランの「おしりもおまた!」という物言いがつき、レミリアさんは「洗いにくいのよね……」と言いながらしぶしぶ自分で洗っていた。

 

 

 

 

 

洗い終わり(なぜか俺が自分の体を洗っているところを二人がじっくり見てた)一番風呂はレミリアさんに献上しようとしたが「お前が先に入りなさい」と言われたのでありがたく先につからせてもらう。

 

「ふいーっ」

 

少し広めで手足を伸ばして入れるのがいいな!

博麗神社の温泉は闖入者が来たりするし(そもそも俺以外全員女性なので入るタイミングが難しい)母屋の風呂はそこまで広くない。

 

久しぶりにのびのびしていると――

 

「入るわよ」

 

「私も―!」

 

「へ?うええええっ!?」

 

「騒がしいわね、静かになさい」

 

いやいやいやいやいや!?なんで入ってくるの!?しかもレミリアさん俺に尻を向けて浴槽またいだからばっちり筋の奥の肉がくつろぐ瞬間まで見えたよ!?一瞬で臨戦態勢だよ!?あとたぶん人生初だわ!(混乱)

 

そしてそんな状態で腰を下ろして来たら――

 

「ふう、ちょうどいいわね」

 

「おねえさまずるーい、お兄様の前に座りたかった―っ!」

 

「また次にお風呂の時そうしなさい、今日は咲夜がいないから、今日だけ……ね?」

 

「う゛ーわかった」

 

 

 

 

セエエエエエエエエッフ!!

 

 

 

 

え?おさまったのかって?

 

 

おさまるわけねえだろうが!(全ギレ)

 

 

腹にくっつくぐらい反り返ってるんだよ!

そのせいで感知されないのは助かったが!

 

で、なんでこんな風になってるかも理解はできる。このバスタブ結構深い。

そのままだとレミリアさんたちはお湯減らすか膝立ちの体勢で入ることになる

たぶんだけど普段は咲夜ちゃんが同じようにして入ってるんじゃないかと推測する。

……だからと言って男である俺に同じようにしないでいただきたい。レミリアさんからすると動物レベルの有象無象かもしれないけど、動物にだって心があるんですよ!!(慟哭)

 

「でねパチュリーが死んじゃったけどフランが全部やっつけたんだよ!」

 

「そう、パチュリーも災難ね」

 

絵面だけ見れば姉妹を風呂に入れているお父さんか兄だが、俺の心の中ではすさまじい対決が繰り広げられている。

ちなみに本能軍が圧倒的で理性軍は各地で敗退を続けている状況だ……やばい。

 

だいたい、レミリアさんが密着しているせいで一向に収まらない。どころかさきほど肌の滑らかさをしったもんだから「このまま抱きすくめてこすりつけたら、死んでもいいぐらい気持ちよさそう」とかで頭がいっぱいだ。

先ほどからの姉妹の会話もまったく頭に入ってこない。

そもそもパチュリーちゃんが死んだとか何の話なんだろうか……?

 

ついに最後の砦まで撤退させられた理性軍だったが、ここで救いの手が現れた

 

「さ、フランもう上がりましょう」

 

「えー、お姉さまだけ行けば―?私はお兄様ともう少しゆっくりしていたいなー」

 

「だめよ、あんまり長いお風呂は体に悪いの、お前、最後にお湯を抜いて軽く片付けておきなさい、そうじまではいらないわ」

 

「お、おう。わかった」

 

レミリアさんの撤退により大義名分を失った本能軍は瓦解したのだった。かくして平和は守られた(戦記風に)

 

「さ、いくわよフラン。それに一緒に寝るのだったら寝床の準備しないと。フランの棺桶では一緒に眠れないでしょう?」

 

「あ、そっか、うん、じゃああがるねーっ!お兄様また後で―!」

 

 

「お、おおう!?」

 

上がるときもまた見えた。

二人が上がったら人ん家ではあるが処理したほうがいいな……

 

と思っていたらレミリアさんが振り返って言った。

 

「排水溝、詰まらせてはダメよ」

 

「うえっ!?」

 

 

 

 

 

これから何をするのか完全にばれていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにガチでつまりかけて焦った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うにゅうー」

 

「お、もう限界か?寝るか?」

 

「やだー、もっと……おはなししたい……」

 

気分を入れ替えてすっきりした俺はフランと一緒にマットレスだけを二つ並べた上に(さすがにダブルベッドはなかったようだ)シーツをかけたものを寝床として並んで横になっている。

 

今日一日さんざん遊び倒したせいかフランの電池が切れかけている。

こどもって切れたら即寝るので、もう危ういと思う。

 

「明日の朝もいるんだから回らない頭で無理に考えるより、ぐっすり眠って朝から遊んだほうがいいぞー?」

 

「本当?寝てるうちに帰ったりしない?」

 

「しないしない、帰る時はちゃんと挨拶して帰りたいしな」

 

「でもやっぱり帰っちゃうんだ……やだなー」

 

眠いせいもあってか、ぐずるフラン。

まあ、可愛いから許すが!

 

「フランが良ければまた来るぞー?」

 

「毎日来てもいいよ!」

 

「毎日はちょっと無理かなー?」

 

さすがに霊夢ちゃんに怒られそうだしな。

 

「えっとお兄様は私のこと好き?」

 

「好きだぞ、そもそも嫌いなら来ないしな」

 

「お姉さまのことは?」

 

「好きだぞ、ちょっと怖いけどな」

 

「じゃあ、じゃああ、私とお姉さまだったらどっちが好き?」

 

両方……とかは一番ダメな答えなんだろうなあ。

 

「もちろんフランが好きだよ。でも、悪い子だったらキライになっちゃうから、いい子でいような」

 

「うん!えへへー、お兄様、今日はぎゅってして寝ていい?」

 

「おう、いいぞ」

 

「えへへーぎゅっとしてほわーんだよ、お兄様!」

 

「おう、俺もぬくぬくで、ほわーんだぞー」

 

そうして俺たちはいつしか眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ファイナルソード、悪くないです。
操作性とかシナリオとかカメラワークとか敵の当たり判定とかいろいろと難があるもののゲームとして破綻しているほどではなくちゃんと遊べます。

まあ、上記の要因がじわじわと積もっていく「プレイヤーに苦痛を与えてくるタイプのゲーム」なので決しておすすめはしませんが。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。
感想が少ないと太閤立志伝5やり始めます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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決戦は日曜日

パンチラのアンケで天子と闘えとか無茶ぶりされた(自業自得)
で、書いているうちにヘイトっぽくなったので数度書き直しました。
あとちかごろ更新がないのでこっちに投稿します。
本来ならバトルになるのですが、パンチラ連動タイプでバトル部分を書こうと思ったので(幽香とバトル%プロレス中継のようなものです)

現状まだまだ忙しく更新は遅れます。
もうしばらくゆっくりしていってね。


「あんにゃろう……!」

 

畔を直しながら怒りとともに吐き捨てる。

 

まただ、またやりやがった……!

天子、くそ迷惑な天人。いや、猿。

ことあるごとに農地をダメにしたり、用水をぶっ壊したりしやがる。

 

基本的に弾幕ごっこは周囲の被害を考えてやるものだが奴だけは自重しない。

 

なんか、昔博麗神社もぶっ壊して霊夢ちゃんが難儀したこともあったそうだ。

個人的にはそれが一番許せん。

 

「いい加減わからせなきゃダメか……?」

 

俺は一応紳士たれと自分を戒めている。

え?セクハラ?……変態という名の紳士という言葉があるのでセーフだろ?

まあ、ガチで嫌がられてはないはず……!

たとえば俺のうわさを聞いてドン引きしてる町娘さんとかにはそういうこと一切しないし、なんなら不快にさせないように視界に入らないようにするぐらいは気を遣う。

 

俺は仕事はまじめにやるんで大抵はしばらくすれば普通~ちょっと変な奴ぐらいの感情で収まってくれるしな。

 

っと、話が明後日の方向にすっ飛んで行ってしまったな。

まあ、そんな俺でもそろそろ天子はなんというか、体で分からせるというか、凌辱してもよいのではないかと思ってしまうぐらいには頭に来ているんだな、これが。

 

まあ、ただ天子じゃ勃たねえし、そもそも入れたくもねえ。

俺にだって選ぶ権利はあるんだ。

あいつ、さんざん人里にも迷惑かけているから男衆の慰み者にでもなればいいんだよ。

 

しかし、困ったことに天子は腐っても天人。スペックだけなら紫さんと同等かそれ以上である。

まあ、戦えば紫さんのほうが強いとは思うけど(性能の差で必勝できるわけではないのだ)さすがに一般人の俺(近頃、魔法使いとか精霊使いとか禰宜とか武術家とか妖術使いとか悪魔召喚士とか道士とか僧侶とか執事とか料理人とか付与術師とか妖精使いとか陰陽師とか禁書使いとか拝み屋とか……)とにかくいろいろ言われるが俺はただの人間である。

 

え?まだ人間のつもりかって?

いや、まあさすがにここまで来たら現代社会に戻れば「まとも」な戦いなら世界でもトップクラスだろうし魔術結社とか(一般人が知らないだけで、現代社会でも普通に魔法使いはいるそうだ)いってもいきなり幹部ぐらいにはなれる気もするが、神奈子ちゃん曰く「そこまでは誰にでもなれる強さ」とのことで超長距離狙撃や毒、大量破壊兵器がある以上一線を越えないと「あっけなく死ぬ」そうで、対処できるようになってそこからが「超人」らしい。

 

 

 

つまりは俺はまだ人間だ(暴論)

 

 

 

また話がずれたな。

で、天子をわからせたくてもそうそう勝てるどころか勝負にすらならない。

これは幻想郷のそこそこの人たちもみんなそうなので、天子が迷惑行為をしてもなかなかいさめられない原因でもある。

そして、それでますますつけあがるんだよな。

いくら俺と相性が悪い天子だとしても、このままほおっておくのは少し哀れでもある気がする。

 

だから俺も矜持を捨てようと思う。

俺は基本的に自分の手札で戦うことをモットーとしている。

これは俺の特性も大きく寄与しているんだけど、貸してくれるかはともかく特定の組み合わせで借りれば誰も勝てなくなるような組み合わせは可能なんだ。

まあ、スキマとか読心とかは、かりれないから机上の空論なんだけどな。

 

要は借りた能力をメインに持ってこないってわけだが……もし、天子とやりあうことがあったら。一遍その辺を横に置いておいてちょっと借りた能力も含めて全力で戦ってみてもいいかもしれん。

 

ちなみに天子は技術的にはそこまで強くはない、ただ肉体の基本スペックが高すぎるのとダメージが通りづらく、また一切ひるまないという性質のせいで打ち負ける。

わかりやすくシンプルに強いだけなので小細工が一切通用しないというのが天子の強さであり恐ろしいところなんだ。

 

「機動力のあるスーパーアーマー持ちってどんなムリゲーだよ」

 

まあ、どうしてもぶっ倒す必要があるわけでなし触らぬ神に祟りなしともいうけどな……

 

大体片付いたので帰路に就く。

今日はプチ宴会、がっつり仕込んだ俺の料理が火を噴くぜ(辛くはない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこりゃああっ!?」

 

博麗神社に帰ってきて驚愕した。

境内に宴会の準備をしていたのだが……めちゃめちゃになっている。

 

だれぞいないかと見まわしたが誰もいない。

まさか、異変か!?

 

すわ、一大事とばかりに戦闘用装備に着替えていると、物音とぶつぶつと愚痴る声……魔理沙か?

 

「魔理沙か?」

 

「お、おお。戻ってきてたのか?」

 

「ついさっきな、で、この惨状は何だ ?」

 

そう、問うと魔理沙がかぶりを振ってこたえる。

 

「あー、いやな。天子が食い物奪おうとしてきたからちょいと追い払おうとしたんだが……うまくいかなかっ――ひっ!」

 

「どうした?」

 

「い、いや……お前ブチ切れてないか……?」

 

「いや、全然、行動まで岩猿だなって思いはしたが」

 

キレたりはしない。

深く静かに怒っているだけだ。

 

「なんだかんだと精神修練や仏門の修業もしてるっつうかさせられてるからな?この俺をブチ切れさせたら大したもんだぜ?そういや霊夢ちゃんは?」

 

「私のほうが飛ぶのは早いからな、多分そろそろ――」

 

「あー、しんど。まったく、ろくなことしないわねあいつは……あれ?帰ってきてたの?」

 

「霊夢ちゃん!いったい何があっ……ああん?

 

「ひっ、こ、こんどこそブチ切れてるんだぜ!」

 

霊夢ちゃんの服が結構ボロボロになってる。まあ、それはいい。

色っぽいからな!(阿保)

だが……!

 

「霊夢ちゃん、ほっぺた……」

 

「ん?なに?」

 

そういって霊夢ちゃんは自分の頬を触って血がついているのを確認した。

 

「んー、よけきれなかったかー。あいつの攻撃全部カウンターみたいなもんだから厄介なのよね」

 

「……ところで大体は察したけど天子がどうしたんだ?」

 

「ん?ああ、料理食わせろって言ってきたから、あんたの許可もらえばいいって言ったらいきなり料理強奪して…食い散らかして……それからめちゃめちゃになっちゃったわ……悪いわね、せっかく準備してもらったのに」

 

「ん、ああ、いいよ。そんなことは。だけど――」

 

うん、俺にだって我慢の限界というものがあるのだ。

 

「さすがに、悪事働いて、ケガさせるとか……ゆるせねえよなぁ?

 

「ひっ、お、お前なんかいろいろ漏れてるぞ……?」

 

さっきからひぃひぃうるさいな、魔理沙は。

魔理沙は俺の中ではひぃひぃ言わせる対象外なんだけどな!(酷)

 

「アンタやめときなさいよ?さすがに天子とは分が悪いわよ、それにアンタだからぞろ肉弾戦でしょ?ケガするわよ?それにこのぐらいのかすり傷で騒がなくても、異変のときも、これぐらいのケガはいつものことでしょ?」

 

「怪我の程度でいえばいつものことかもしれないけど、意味合いが大きく違うんだよ」

 

異変などで怪我をするのとは違う。

異変っていうのは、いつもまじめな理由だけじゃなくて、くだらない思い付きやいたずらが思った以上に大きくなって引くに引けない状況になってしまってやけくそで暴れたりなど、しょうもない理由のことも多々あるが一種の推理ゲームだったりボスアタックだったりするんだ。

でも、ボスアタックはともかく、犯人捜しの時の推理が、容疑者片っ端からしばいていく脳筋スタイルなのはいかがなものかと思うが……恐ろしいことに異変の時は何かみんな好戦的になるのか、映姫ちゃんと慧音ちゃんのコンビですらそのスタイルだった、俺はパンツなんか盗んでないって言ってるのに……

 

さておき、くだらない理由で起きる異変もあれば矜持をかけた異変もある。

どちらの異変にせよ、弾幕ごっこといういわばルールのあるゲーム(物騒ではあるが)で解決していくのが幻想郷の一つのルールである。

 

で、天子の何が問題なのかというと咎められたり気に食わないことがあると癇癪を起して弾幕を打つことだ。

それはルールのあるゲームではなくただの不意打ちであり攻撃だ。しかも日常的にやりやがる。

不意打ちは一回までだ!

ましてや今回は食うのを咎められたというだけでだ。

 

大前提として俺も鬼じゃないし、もてなしは誰にだってする。

現に今までも異変解決後の宴会に天子が混ざっていても何も言わないし、過剰でなければリクエストに応えて何か作ることすらする(優先度が低いのは勘弁してほしい)

 

今回だって食いたいというなら混ざっていても別に俺は気にしな……いや、気にはなるけども文句を言うほどでもない。

弾幕ごっこしたいんならそれもいい、霊夢ちゃんはなんだかんだ言って相手するだろうし、まあ、みんな結構好きでやってるみたいだしな。

 

だが今回のようなケースで霊夢ちゃんを怪我させたのはいただけねえ。

怪我する必要のないところで、何やってんだ?

流石の俺も――

 

「うーん、それならちょっと俺自重やめようかな」

 

と、つぶやいてしまうぐらいには懲らしめるべきな気がしてるんだよな。

 

「「アンタ(お前)自重してたの(かだぜ)!?」」

 

「二人とも酷くない!?」

 

俺は基本的にメタ張る(特定の相手を完封するような組み合わせ、例えば魔理沙完封なら魔理沙メタという)ことは今までしたことはない……行き当たりばったりともいうし、対応力を鍛えているといってもいいだろう。

 

だが流石に紫さんや藍ちゃんクラスにはメタ張ることはできない。素の能力差がありすぎるからな。

せいぜいが有利になるだろう組み合わせの構築ぐらいだろうか。

癪だが天子もそのぐらいのレベルが関の山じゃねえかな?

でも、適当な手持ちで戦うよりはよっぽどいいはずだ。

 

「酷くないんだぜ、お前この前の異変で何やったか覚えてるか?」

 

「えっと……チルノと組んだ時の奴だな?たしか氷の精霊(ヴィルデ・フラウ)チルノに憑依(ポゼッション)させてあとはチルノに任せた気がするけど……?」

 

作戦名「親分がんばれ」である。いや「ガンガンいけ」かもしれんが、まあ、妖精魔法で仮契約したチルノをありったけの強化して暴れまわらせるだけの簡単な作戦である。

そもそも俺は弾幕ごっこに賛成している敵との戦いの時は基本的にサポートに回るからな。ある意味いつものパターンではあるがな。

 

「アンタ自分が割とおかしいことしてるの気づきなさいよ?いくらチルノが妖精では強くたってせいぜい中妖に届くかどうかの強さなのよ?まあ弾幕ごっこじゃそのあたりはあんまり関係ないんだけども。それでも明らかにおかしい強さになってたわよ!?大妖クラスの中でも真ん中より上ぐらいの!」

 

「あー、まあ種族が雪の女王になってたからなあ……、自然って神格化されることも多いし、たしかにそれなりに強くはなってるはずだな」

 

ちなみに衣装のデザインはそのままだが丈が長くなって、上も少し袖などが追加されゴージャスに……まさにドレスという感じになる。

え?容姿?……悔しいがなんだかんだいってチルノは美少女である。

普通に美女に正当進化する……大妖精と違っておっぱいは小さいままだったが……

まあだけどそんな姿で「やっつけてやるー!れいとうパーンチ!」とかいって行動するので違和感がすごいんだがな。

あと服は大きくなったのになんでパンツは変わってなかったんだろうか、ぱっつんぱっつんで今にもはちきれそうに……というか終盤ではちきれたんだが……

 

「それなりって……お前の強さの基準ちょっとおかしくなってるからな?幽香とか間違えても可愛い女の子とかじゃないからな?だいたい、あのスペルカードなんなんだぜ?気が付いたらすべて凍り付いてて何が起きたかわからなかったんだぜ」

 

失礼な!幽香さんは可愛くてきれいなお姉さんだぞ?

そもそもそういう物理的な強さを関係なくするのがスペルカードルールなんだし、どれだけ存在力(妖力や神力や精霊力やもちろん生命力も)があったって、格下にだって負けるときはあっさり負けるのである。

それはそれとして――

 

「ん?「凍符エンドオブワールド」か?あれはな、一瞬ですべての運動を止めてしまう凍結力があって、結果疑似的に時間止まるんだよ、たぶん「時間の流れ」とかも凍ってる」

 

「「なんてでたらめな(んだぜ)!?」」

 

といっても使ったほうも止まるので知覚できない(チルノにすら)から本当に止まってるかは不明なんだが、多分そうであろうという予測だ。

そもそも咲夜ちゃんが普通に時間止めてる以上そこまで驚くことでもねえと思うんだが……?

スぺルカードの効果は名前に引っ張られることも多いから、もしかすると世界の終焉はすべてのエネルギーが停止した状態――時間さえも。なのかもしれねえな?

 

「一応チルノもバカなりにルール守ってるからモーション見えたらチルノの指さしてるほうにいたら安全だぞ」

 

チルノは指で方向を差すのだが、そこには冷気は「こない」

回避不能の弾幕を使ってはいけないというルールにのっとってるのか安全地帯を予告してから来るタイプの弾幕だ。

とはいってもそんなに大きいモーションではないし普通は指さした方向に飛んでくると思い込んでしまうので、完全なる初見殺しではあるが。

 

「瞬時の判断もとめられすぎなんだけど……」

 

あきれたように言う霊夢ちゃん、でも霊夢ちゃん初見から対応してたよね?

なんというか戦闘のプロではないけど弾幕ごっこのプロではあると思う。ここぞのときの判断力が素晴らしいのだ。

 

「まあ、これで俺が自重しているのはわかったと思うが」

 

「まったく思えないんだけど、私がおかしいのか?」

 

「安心して魔理沙。確実にコイツのほうがおかしいから」

 

「だよな」

 

おいおい、霊夢ちゃんは俺がおかしいみたいにはいったが、魔理沙がおかしくないとは言ってないぞ?(屁理屈)

 

「いやいや自重しなかったら百鬼夜行でもヴァルプルギスの夜でもワイルドハントでも再現可能だぞ?」

 

「周囲の環境も、呼ばれたほうも迷惑だからやめときなさい」

 

漏れはあると思うが、幻想郷中の妖精と仮契約(召喚コストは安いが来てくれるかは相手次第になる)してる気もするから幻想郷中の妖精一斉にけしかけることだってできるはずだ。

地獄の鬼も勇義ちゃんの子分を仮契約できてるし、魔女は……魔理沙も含めて多分きてくれるか?もっともこっちは契約してないんで純粋なお願いになるけど。

 

「それができるのはわかったけど、実際天子には意味ないだろ?そもそもお前が自力で戦うんだったら数より質だろ?」

 

「それは確かにな、それにみんなを私闘に巻き込みたくはないしな」

 

魔理沙の言う通り召喚士としての能力がいくら高くても、天子には絶対勝てない。それぐらい天人は生物としてのスペックが高いんだよな。

 

「でもさすがにそろそろわからせないとだしな……武術系の能力盛りまくったらいけないか?」

 

「いや、多分だけどパチュリーとかの能力借りて魔法の底上げしておいてもいいと思うんだぜ?お前はからめ手を混ぜたほうが絶対に強いと思うから」

 

「それには私も同感ね」

 

「そっかー、霊夢ちゃんが言うならそうするか」

 

「おい、最初に私が言ったんだぜ!?」

 

もちろんわかっている(酷)ちょっとからかっただけだ。

 

「わかってるわかってる、あとは気を遣う能力借りて……魔理沙が殺された後に、魔理沙のことかーっ!!!とパワーアップに期待するか……」

 

「なんで私が死ぬんだぜ!?そもそも戦いに巻き込むな!」

 

「私もうっかりしてたけど、そもそも天子と闘うなってアンタに言ったわよね?」

 

「いわれりゃそうなんだけど……結局誰かが懲らしめなきゃダメだろ?」

 

「アンタは……はぁ、ま、いいわよ。やるだけやってみなさいよ。死ななきゃ何とかするわよ……魔理沙が」

 

「私か!?」

 

「回復薬ぐらい作れるでしょ?」

 

「あー、それでも重症だとさすがに直りが遅いんだぜ?大丈夫なのか?」

 

「それぐらいは愚挙の罰よ」

 

流石にエリクサー的なのはもうないみたいだが、たしかに四肢欠損とかしなければ多少骨折しても結構早く治せるから、ありがたくはある。

 

とりあえず霊夢ちゃんも(しぶしぶだが)天子と闘うことを容認してくれたので……

 

「いっちょ本気でぶちかましてみっか!」

 

「死なない程度に頑張んなさい」

 

勝負は三日後日曜日。

さあ、それまでにいろいろ仕込んでおかなくちゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はこちらでbとる、パンチラで中継です。


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真夏の夜の夢

移植品です。
天子バトルが数万字ぐらい書いては消してしてます。
みけさん敵にキャラ下げ主人公TUEEEEEEE!は避けているので限界を見極めるのが難しい。

ちなみにみけさんは天子は好きです。
魔理沙やチルノと同じように邪険に扱われる子は割とお気に入りです。


「ぐっぞあぢぃ……」

 

熱帯夜。

本来ならチルノで涼を取っているはず(この時期のチルノは必需品ともいえる)だったんだが、あのバカ、レミリアさんにちょっかいかけて一回休みになりやがった!

先払いでたらふくお菓子を食わせたというのに、なんてこった。

先物取引は危険だな!(違)

 

縁側へ続く戸を開け放しても全く涼しくならない。風がないのだ。

幸いというか虫はリグルが虫の嫌うフェロモン的なものを出していってくれているので入ってこない、これも地味にありがたい。

 

……どこから、どうやってフェロモン出してるんだ?ん?ん?

と、聞いたところ、顔を真っ赤にして「知らないよっ!スケベっ!」と怒ってたのでもしかしたらエロい出し方かもしれないな。是非今度見せてもらいたい(外道)

 

んで、いっそ氷室で寝てやろうかと思って氷室に向かったんだがすでに霊夢ちゃん&魔理沙が陣取っていやがった。

霊夢ちゃんだけならお邪魔できるのだが(霊夢ちゃんはそこまで鬼ではない、もちろんやらしいことしたらたたき出されるが)魔理沙のやつが断固拒否して締め出されてしまったのだ。

博麗神社の居住権で言えば霊夢ちゃんが筆頭として、俺二番手だと思うんだが魔理沙に負けたのが悔しい。

悔しくて明日の魔理沙の飯をうっかり作り忘れてしまいそうだ(仕返し)

 

部屋に氷を持ち込むというのは悪手だしな。寝苦しさってのは温度と湿度が高いせいだから、これ以上湿度をあげると本気で死ぬ。置いてあるだけじゃ氷って意外に冷えないしな。

 

うだるような暑さの中、眠れずにあっちへゴロゴロ、こっちへゴロゴロしていると、何者かが声をかけてきた。

 

「大丈夫ですか、お兄さん」

 

夜中のせいか囁くような小さい声……これは……

 

「大妖精か?なんでここに?」

 

「えっとチルノちゃんが今日おかしもらって来ててお仕事するって言ってたのに一回おやすみになったから……」

 

「ん?あやまりにでもきたのか??でも大妖精は関係ないだろ?」

 

妖精としての格はチルノの方が上(というかチルノは最上位クラスである、馬鹿だけど)なのにどっちかと言うと大妖精の方がしっかりしてるのなんでだろうな。

でもほかの名あり妖精たちもどっこいどっこいだから大妖精が逆に異常なのか?

 

「えっと、私もお菓子貰ったから」

 

「おー、チルノの事だから一人で食うと思ってたけど、皆に分けたのか……そこだけは誉めてやろうか……まあ結局来なかったんでお仕置きはするが」

 

この前のお仕置き(紐でくくってぶん回す)は最後楽しんでやがったからな……かといってエロ系はチルノにはあんまり合わねえし、シンプルに頬っぺた引っ張るかな?

けっこう伸びて楽しいのだ。

 

「うん、でね、私がお兄さん涼しくしに来たよ」

 

「ん?大妖精って固有能力あったっけ?」

 

そもそも大妖精は弾幕ごっこの時もチルノのオプションみたいな感じだし、あんまり能力に心当たりないんだよな。

 

「いちおう妖精だから四季を少し……特化するとレティやリリィみたいな季節の妖精になるんだけど、私は全部を少しづつだから……こう……」

 

と、そよそよと涼しい風を吹かせてくれる。

 

「お?これはありがたい!」

 

「力はそんなに強くないから……今は真夏だから、春か秋の風が精いっぱいだけど……」

 

いやいやいや、このクソ熱い時期に10度台の風吹いてくるだけで相当ありがたい!

 

「十分だ!いや、むしろチルノと一緒に寝ると際限なく体温奪われるし、絶妙な距離保つ必要があるからこっちの風吹かせてくれる方がありがたいわ」

 

チルノで涼を取るのは結構慣れが必要だ、チルノは氷のように冷たいわけではないが(もちろん冷たくもできるが生活に差しさわりがあるようで氷に比べれば温度は高めだ)長時間接触していても温まらず体温を奪われ続け、かといって離れると涼しくないのでなかなかに距離感が難しい。毛布越しに抱きしめるぐらいがちょうどいいのだがそれはそれでチルノの寝相という問題があるのだ。

起きたときに顔面騎乗されてた時はいったい何事かと思ったわ。……生暖かい息をパンツに吹き込んでやったら漏らしたかと飛び起きて結構面白かった(外道)

 

「あ、でもその能力って大妖精起きてないと使えないのか?もしそうなら、目いっぱい冷やしたあと帰っていいぞ?」

 

流石に幼女(たぶん俺より年上だが)に寝ずに一晩中涼しい風起こしてもらうとか鬼畜以外の何物でもないからな

 

チルノで涼をとるのはチルノの能力ではなく体質なので何もしなくてもチルノが冷たいからチルノは寝てるだけでいいというのが大きい要因だ。あとなんだかんだいって可愛いので癒されるというのもある。

起きてないと使えないなら目いっぱい部屋の空気を冷やしてもらえば一時間ぐらいは持つと思うのでその間に寝てしまえば少しは楽だと思う。

 

「私がいれば寝てても吹かせ続けれます、ただ温度とか風量とかは起きてないとだめだけど……」

 

ふむ、大妖精がいれば自動で吹かせ続けれるのか……なら。

 

「よし、じゃあ一緒に寝るか?」

 

「ふえっ!?あ、あの……いいんですか?」

 

いいかよくないで言ったらあまりよくない、小町ちゃんやにとりと寝た(性的ではない)時はめっちゃ霊夢ちゃんに怒られたからな。

ただ妖精たちやフラン、ルーミアや橙なんかはロリコン疑惑と引き換えになるが、ギリセーフみたいな感じではある。なので大妖精もギリセーフだと俺は信じる(謎の確信)

 

布団も二つあることはある(一つは同衾を映姫ちゃんに霊夢ちゃんによってチクられた小町ちゃんが持ち込んだ)

布団が別ならいいじゃん?という謎の小町理論、嫌いじゃない)が俺の布団はどでかい(博麗神社の客用布団、妖怪にはでかいのもいるので大きい)んで一緒でいいかな。

 

「ちょっとまってなー」

 

「えっ……お、お兄さんっ!?」

 

流石に一緒に寝るのに寝汗(眠れてないけど)がすごいんで服を脱いで着替えようとしたら大妖精が狼狽した。

おう、ちっちゃくても女の子だったな。これは失礼した。

 

 

まあ脱ぐけどな!(変態)

 

 

脱いで汗をぬぐい、大妖精を見ながらかるくポージング。

鍛錬やら農作業やらで細マッチョといっていいぐらいの肉体美、さりげなく誇示したくなるのだ。

うーん、筋肉がお気に召さないか?それとも恥ずかしがってるのか下を向いてノーリアクション。ちょっと寂しい。

 

服を着なおして、敷布団のシーツも交換して(面倒なので古いのは縁側に投げておく、部屋に入れておくと臭いし)大妖精を手招きする。

 

一瞬の逡巡の後こちらへ来てくれた。

うん、勢いでさそったが、ここで拒否されたりしたら、俺結構ショック受けたかもしれん。

 

「枕いるか?腕枕するか?」

 

ちなみに俺の腕枕は割と「不評」である。チルノ曰く「ごつごつしてる」リグル曰く「なんか痛い」フラン曰く「なんか美味しそうで眠れない」慧音ちゃん曰く「腕っ……!?いや、なぜ一緒に寝ることが前提なのかね?いったい君は何を言っているんだ!?」とのこと。

うん、なんか一つ変なの混じってる気もするけど気にしない。

ちなみにルーミアは割とお気に入りで大の字で寝てるといつの間にか腕枕でねてる。可愛い。

 

「えっと、普通の枕でお願いします」

 

大妖精も俺の腕枕はお気に召さないか……残念だ。

 

「お兄さんにはゆっくり休んでほしいです」

 

大妖精……!いい子!!

そば殻枕を渡し並んで横になる。

なかなかいい感じの風で少し冷える気もしたので薄手の布を掛けることにする。

結構くっついてるので体温が心地いい。

 

「あー、これはいいなー。風は涼しくて大妖精はぬくぬくですぐに眠れそうだ」

 

子供(失礼)の体温ってなんでこんなに眠気誘うのかね?幸せのぬくもりって感じだなー。

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

硬いなー、まあこういうところが魅力であり可愛いところでもあるんだけどな。もっとリラックスしてくれてもいいと思う。

 

「そういえば今回知ったけど大妖精って割と強くない?なんか進化したりしないのか?」

 

俺の見立てでは雑魚クラスはとっくに超えてて低級中位か低級上位クラスの力ありそうなんだよな。

ざっくりとした見立てだが妖力(妖精力?)はキスメやリリーホワイトと同等ぐらいあるのにな?

そろそろ進化というか上位の名あり妖精になってもいいと思うんだ。

あれだ「おや、だいようせいのようすが……」って感じで(雑)

もっともほかの名前あり妖精たちみたいにクソガキ(酷)っぽくなるんだったらBを16連射するけど、なんなら必殺50連打でもいいぞ。

大妖精は癒し枠。これは譲れない。

 

「うーん、ちょっとわからないです……名前も思いつかないですし」

 

「あれ自分で考えてたのか!?」

 

まあ、そういわれれば妖精に親なんかいないだろうし、自分でつけるしかないんだろうけど。

チルノにしてはチルノっていいセンスだと思う。チルドとの掛詞みたいになってるし。

 

「はい、なんかこう、浮かんでくるみたいですよ、名前つけようって」

 

イナバの変身みたいなもんか?あれもなんか自分で時期がわかるみたいなんだよな?

 

「大妖精は、まだ名前浮かんでこないんだな?」

 

「はい……」

 

んー……落ち込んでいるような大妖精を撫でながら考える……俺が付けたらどうなるんだろう……と。

 

「なあ大妖精」

 

「はい」

 

「たとえば俺が名前つけてみていいか?」

 

「えっ?ふえええっ!?」

 

「嫌か?」

 

「いいいいいいいやじゃないですっ!ぜひぜひお願いできますかお兄さん!」

 

おおう、大妖精にしては珍しく圧がある感じで迫ってくる。

ちょっと嬉しいな。

 

「おう、ならそうだな……」

 

わくわくといった表情で大妖精がこちらを見つめて……爛々というかんじで圧がすごい。

かつて大妖精がここまで圧をかけてきたことがあっただろうか、いやない(反後)

これは相当期待してるな。

あいてがチルノとかだったらここでポチとかかき氷製造機一号とかボケるんだがここまで期待している大妖精にそれができるほど俺は鬼ではない。

さあてどうしたものか……

 

「ターニャ……」

 

口からするっとでた。

大妖精にぴったりの気がする……なんか銃撃戦(弾幕ごっこ)強くなりそうだしな!

 

「ターニャ……」

 

「ん?気に入らないか?」

 

「いえ!その……とっても嬉しいです、お兄さん。もし強くなれたときにはそう名乗ります!」

 

「おう、まあ気に入ってくれて何よりだ。えっとターニャと呼んだ方がいいのかな?」

 

「うーん……いまはまだ、大妖精でいいです」

 

「わかったぞ、さ、寝ようか?」

 

「はい!」

 

もぞもぞと動いてぴったりとくっついてくる大妖精。

うん、なつき度が上がった感じ?まあ俺はいつだって全力で甘やかす所存だがな!

 

「おやすみー」

 

「おやすみなさい、お兄さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

夜中にふと目が覚めた。

開け放した戸からは大きな月が見える。

今宵は満月だっけか……月の連中どうしてっかなーと思いをはせつつ寝ている大妖精の方を見やると……

 

 

 

 

 

ばいんばいんの美女がいた。

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

ちょっと理解が追い付かない。

確かに俺は大妖精と一緒に寝てたはずなんだが、隣にいるのはクリスタルのように輝く縁の付いた羽を持った、緑の髪で青いドレスとスカーフを身に着けた美女である。

 

仰向けに寝ているのだが重力に負けないロケットおっぱいでとても大きく、各所の肉づきも大変色っぽく、ばいんばいんだ。

 

………………………………ちょっとおっぱいに手が伸び掛けて気が付いた。

あれ、これ大妖精じゃね?と。

 

たしかにばいんばいんの美女ではあるが顔つきは優し気で目を閉じてても少し垂れてるような感じがする。

髪の色も輝きこそ加わっているが同じで羽も独特の形状(蛾と言うと落ち込むので言わないが、蛾のように縁取りがある)をしている。

 

大妖精ってこんな美女になるの!?

 

多分寝る前に言ってた進化したんだろうけど……正直添い寝するのはいろんな意味でまずい。

と、とりあえず大妖精も起こして事態の把握に努めよう。

 

「おーい、だいようせーい」

 

ゆさゆさと肩を揺さぶると……なんだあれぶるんぶるんって乳が暴れてるんだけど!?

ノーブラですかそうですか(混乱)

 

「ン……朝……ですか?おはようござなんですかわたしのからだこれどうなっておっきくしんかでもいきなりあれれれれれれ?」

 

幸いというか残念というか大妖精はすぐに目を覚まして……混乱した。

さもありなん(他人事)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「あ、はい、ごめんなさいでした」

 

混乱してしがみついてきた大妖精のおっぱいのボリュームに負けて押し倒されるという稀有な事態に陥り、全力で衝動にあらがって何とか耐えきったぜ……たぶん幽香ちゃんとのバトルよりつかれたと思う。

 

幻想郷の女の子はそこまで大きいのは少ないんだけど比較的大きい白蓮ちゃんやはたてちゃんとかですら「むにゅ」とかなんだが、大妖精のは「ぐにぃ」って感じなんでマジやばい。

かといって混乱している大妖精を突き放すわけにもいかず、ひたすら耐えてたぜ。

腰が引けているのは勘弁してください(真顔)

 

「えっと大妖精……でいいんだよな?」

 

「はい、たぶん」

 

ん?

 

「たぶん?」

 

「何かしっくりこないんです……」

 

「ああ、ターニャ?」

 

「あ、はい!しっくりきました!」

 

なるほど、間違いなく進化した大妖精か……

 

あれ?俺また何かやっちゃいました?

 

と、わかり切ったことでボケるのはよしておこう。

まちがいなく「名づけ」によるものだと思う。

 

名前を付けるってのは一番身近な呪術なんだよな、実体のない靄みたいな妖怪でも名前を付けて定義すると物理攻撃通るようにできたりするんだ。

だが、まさかすでに「個」をもってる大妖精がここまで劇的に変わるってどういうことだ?

こんなん出来たら俺ちょっとやそっとじゃ負けんぞ?

 

「ターニャはなんか自分が変わったって自覚とかどんなふうになったとかわかるか?」

 

戦争が好きとかになってないことを切に祈るが。

 

「えっと……できることはあんまり変わってない感じです。まんべんなく四季に……あ」

 

「あってなんだ?どうした、なんかやばい自覚でも?」

 

「えっと……大妖精じゃなくて、妖精女王みたいです……」

 

 

 

…………俺だ!

 

 

 

はいはい、妖精女王ね……

ほぼ間違いなく俺のせいだな。

 

「悪いターニャ。俺のつけた名前が悪かったわ」

 

「どういうことですか?」

 

「妖精女王の名前ってティターニアっていうんだが、たぶん名前に引っ張られた」

 

「なるほど……わかりました。あんまり気にしないでくださいお兄さん。でも……このままなんでしょうか?」

 

「すまん、流石の俺もわからん。調べるところからかなあ?」

 

ざっくり見た感じだけでも大妖クラスの力あるから――

 

「まずい!」

 

「えっ!?何かあったんですか?」

 

このままでは非常にまずいことになる。

大妖精が一夜にして大妖クラスになったということ……その事実がまずい。

 

「俺、霊夢ちゃんに殺されるかもしれん…‥」

 

「ええっ!巫女のお姉さんにですか!?」

 

間違いなく大妖精と致したと思われるだろこれ。

ロリコン疑惑から疑惑が取れちまうぞ……いや誤解なんだけども!

 

「あれだ、ターニャとエッチなことしたと思われるんだよ」

 

混乱のあまりストレートに口走ってしまう。

基本普段は大妖精には言わないことだが……さすがに命の危険があると俺もあせってしまうんだろうな。

 

「えっと……したいならいいですよ?」

 

「ごふっ!?」

 

破壊力たけえ!全力でむせたわ!?

 

「あ、いや言ってくれるのは嬉しいんだけど……ってターニャわかっていってるのか?」

 

大妖精はピュア枠だろ!?

 

「あ、はい。良くはわからないんですけど穴に入れるんですよね?」

 

「よくわからないのに大正解だよコンチクショーッ!?(大混乱)いや、まああれだ、こういうのは――」

 

好きな相手ととか言ったら間違いなくお兄さんの事好きですよ?とかいうよな、大妖精は!うぬぼれかもしれんが多分いう。

流石に今の容姿だと破壊力ありすぎて危険が危ないから危ない(混乱継続中)

 

「まずはキスしたり――」

 

ちゅっ

 

!?口に柔らかい感触!

 

「え、えへへ、しちゃいました」

 

美人顔なのにはにかんでかわいいとか世界制することできるぞ!?(超混乱)

 

「次は……なんですか?」

 

艶めく唇から甘い言葉を紡いでくる。

つ、次は一緒に寝て……そ、それからかな。

 

ギリ嘘は言っていない。あとは俺が耐えればいいだけだ。

 

「そうなんですか。じゃあ……」

 

そう言って大妖精は腕を抱え込むようにして――胸の圧すっごい。俺の横に寝転んだ。

耐えろ俺、とにかく朝になって霊夢ちゃんに殺される前に先に説明をしなければなるまい!

 

「おやすみなさい、おにーさん」

 

声まで甘く感じるな。

 

「おやすみ、ターニャ」

 

願わくば、明日も命がありますように。

横から来る柔らかい感触に気を取られつつ、何とか眠ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こらーーーーーっ!」

 

 

霊夢ちゃんの怒声で目が覚めた。

 

まずい!先に起きて弁明するつもりが……!

 

とにかく話だけでも聞いてもらわないと!

 

「アンタ――」

 

「ごめん霊夢ちゃん!でもえっちな事とかしてないよ!信じて!」

 

「は?ああ、そりゃそうでしょう、いくらアンタでもその子たちに手出しはしないでしょ?ま、ちょっと度を過ぎて可愛がりすぎるのはたまに疑惑ぐらいにはなるけどね」

 

「あ、わかってくれたんだ」

 

「そりゃそうよ、一緒に寝てたぐらいじゃね。裸とかだったらとりあえず吊るすけど」

 

「え?」

 

「え?って疑惑があるんなら――」

 

霊夢ちゃんの言葉を聞き流して自分の隣を見る、すやすやと安らかな顔で眠っている……なにかいい夢でも見ているのか時々にやける――大妖精がいた

 

あれ?戻った?それとも俺、夢でも見てた?

ともあれ――

 

「あれ?そしたらなんで霊夢ちゃんそんなに怒ってんの?」

 

「アンタが外にシーツほおり投げて泥だらけにしたからでしょうがあああああああっ!!」

 

「ぎゃあああああっ!」

 

霊夢ちゃんの怒りのローキック!

ああ、昨日縁側に出しておいたやつか……!

 

「ううん……」

 

俺の叫びで大妖精が覚醒する。

 

「ふあ……おはようです、お兄さん。巫女のお姉さん」

 

「おう、おはよう。ところで大妖精昨日の夜って……」

 

「?」

 

こてんと首をかしげる大妖精。かわいいな!じゃなくて……あっれー?夢?俺の願望とか?

まあそれはさておき……

 

「朝飯作ろうか!デザートに霊夢ちゃんの好物作るから許して!」

 

「しょうがないわね、あいすくりんのジャム添えで手を打つわ」

 

「大妖精も食うだろ?」

 

「あ……はい、ありがとうございます」

 

「遠慮すんなって」

 

大妖精を撫でて厨に向かう。

 

真夏の夜の夢……か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、後でオベロンを呼び出してお前にはやらんとだけ伝えようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いろいろと申す恋お待ちください。


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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!第九話

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1700人を越えました
ありがとうございます。

天子が強すぎるため下手に勝つとどうやってもキャラ下げになってしまい先にこちらを書きました。
てんこつよい

誤字脱字報告者のトッシュ様、ティアール様、提督様、榴丸様、tmtdk様、雪火/雪音様、64b様、すかたず様、KYOUJI様、はにワ様、ちりめん山椒様、クオーレっと様、果汁先輩様、monkey様、satake様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

 

「さてと、今日はどーすかなー」

 

「アンタ近頃、いつにもましてふらふらしてるわね」

 

一晩明けて朝飯を食いながら独り言ちると霊夢ちゃんに突っ込まれた。

まあ、蓄えはそれなりにあるし多少は自分の用事を優先しても大丈夫だ。

お菓子のストックがガンガン減っていくのは問題だけどな……作らなくなって分かったけど、消費スピードがえげつないわ……一週間で駄菓子屋一軒分ぐらい消えてるんじゃね?

 

「とりあえずしばらくはな……いろいろと人間関係のツケがたまってたの清算しなきゃなんだわ……」

 

「そ」

 

そっけなくそういってお茶をすすり始める霊夢ちゃん。

可愛いけど少し小憎らしい。いったい誰のために――

 

っと、いかんいかん。おタミさん(金物屋の奥さん)が言ってたな。

人のためにっていう奴ほど自分のために動いてんだよって。

うむ、謙虚にいかないとな。

 

そうだよ、俺が霊夢ちゃんを欲しいっていうのは俺の欲望であり、わがままなんだから、その苦労を霊夢ちゃんに押し付けるとかあっちゃだめだな。つまり、俺がここでいう言葉は――

 

「霊夢ちゃん大好き!」

 

「アンタ困ったらそれいっときゃいいって思ってない?」

 

「思ってねえよ!?多少便利に使ってる気はするけど本心だよ!」

 

あーなんだ、正直女の子に気の利いた言葉の一つもかけれないのは情けないとも思うけど、でも、本心なんだよなあ……

 

「はあ……ま、いいわ。あんたも奇特ね」

 

「しゃーねーだろ、なんというか……癖になる味わいがあるんだよ、霊夢ちゃんは」

 

「なによそれ。褒められてる気がしないんだけど?」

 

いや、ほんとうに。

なんつうか、ダウナー気味で絡みにくいキャラなんだけど、ツンってわけでもなくクールなわけでもなく、なんか、こうほっこりするんだよな。

少しおばあちゃんっぽいのも落ちついてグッドだ。

 

しかも健康的にエロいんだよ。

おっぱいもそこそこ、肉付きもそこそこ

背はほんの少し低めで俺にすっぽり収まる。というか俺がちょうど霊夢ちゃんをすっぽり収めるために成長したんじゃないかと思うぐらい俺がでかくなった。

ちょうどしっくりくるサイズ差なんだよな。

 

これを言ったらドン引きされると思うけど――

 

もう何度霊夢ちゃんで抜いたかわからない――あだっ!?」

 

「アンタ朝っぱらから何言ってんのよ!?

 

ぬう、どうも無意識に口に出てたようだ。

ドン引きはされなかったが、耳にチョップされた。

 

……いつごろからか――俺が鍛えすぎたせいで霊夢ちゃんのちょっとした折檻込みの突込みが効かなくなって以降、耳削ぎチョップ、鼻にデコピン、脛にローキック等、霊夢ちゃんのおしおき突込みがバイオレンスになってしまった。

酷いときは(特にエロ目視系統のとき)目つぶしされるからな、しかもポーションで治せるせいか普通に眼球にダメージはいるレベルのをされるときもあってなかなかに厳しい。

……たぶん霧雨魔法店のポーション一番買ってるの俺だと思う。

飯も頻繁に食わしてるし、おかげで魔理沙の生活も安定したので悪いことばかりじゃねえが、なんか俺が魔理沙養ってるみたいでいやだ(酷)

 

ネムノさんの店が出来て以降朝にそこまで客が来ることも少なくなったし(というかネムノさんいつ休んでるんだろうか……)おかげで朝は霊夢ちゃんとまったりすることが増えた。

朝飯二回戦(10時ごろに飯を食いに来るチルノやルーミア、三月精やあうん、萃香さんなどご近所組)があることもあるが、早朝は少なくとも二人きりでこの時間がうれしいんだよな。

 

「許してくれ!霊夢ちゃんがいつも新鮮なおかずを持ってきてくれるからつい!ぎゃああああっ!目ががあああああっ!?」

 

早速目つぶしされた!?

 

「一瞬朝食のことかと思ったけど聞いて損したわ!」

 

うん、おれも掛詞的な感じで言った。

でもお祓い棒で目を横なぎにするの本気で危ないからやめて!

 

そもそも幻想郷にはエロ媒体がすくねえんだよ。たまに無縁塚にエロ本あったりするけどさ。

……エロってなんというか性癖が出るじゃん?

自分で選んで買うのと違って実用的なエロ本手に入れれる確率って本気で低いのよ。

むしろ下手なエロ本より幻想郷の女の子のほうがよっぽどエロいしな!

今ではめっきり使わなくなったけど最初期は肩車してくる小傘ちゃんの太ももとおしりの感触でずいぶん埒を開けたもんだ。

中期はレミリアさんが多かった。やはりもろみえのインパクトはすごかったな。

え?レミリアさんはロリ枠じゃねえのかって?

 

 

 

 

あんなエロいロリがいるか!(魂の叫び)

 

 

 

 

でも大なり小なり一部のロリ枠以外は(恥ずかしながら一部は使ったことがある)一通り使った気もするが……

それぐらい幻想郷の子はガードが甘いし、エロ媒体は手にはいらないのだ。

 

で、前置きが長くなったが一番接する機会が多い霊夢ちゃんが日々新鮮なネタを提供し続けてくれるおかげでトータルでは一番使用回数が多い。

多いと思うじゃなくて間違いなく多い。

霊夢ちゃんオンリーではないのが俺のダメなところかもしれないけども、まあ、妄想だしそのあたりは勘弁してもらいたい。

 

「あたたた……霊夢ちゃんの物理攻撃が日々強力になってる気がする……」

 

「間違いなくアンタのせいよ、自業自得ね」

 

そもそも物理攻撃しないはずの霊夢ちゃん、意外に棒で殴るスピードはかなり速く、重心が先端に寄った軽めの武器……居合刀あたり持たせたらそれなりに強いんじゃないかと思ってる。

虚を突くというか、意識の隙間を狙ってくるというか、気が付いたら当たってる感じでなんというか動作に無駄がないのだ。

 

「霊夢ちゃんは今日何するの?」

 

「天気もいいし洗濯かしらね……近頃のアンタの服妙に女くさいし」

 

「あ、まあ、ほらもしいたすことになったら脱ぐから匂いがついてるうちは逆にセーフ!……だめ?」

 

「別に。私がどうこう言えるもんじゃないし……わざと香水なすりつけてくる輝夜とかにはちょっと文句言いたいけど、なかなか取れないのよね」

 

「輝夜ちゃんはちょっと……ほら、ね?」

 

何が「ね?」なのかは自分でも説明しづらいんだが、今まで高飛車な態度で男性を袖にしてきたせいか、ちょっと距離感や行動が……その……

 

「ああ、こじらせたモテない女みたいになってるわね」

 

「霊夢ちゃん辛辣ぅ!?」

 

まあ、引きこもり+男慣れしていない+人づきあいが下手の三つが相まってちょっと……いやわりと挙動不審だ。

普通にかわいいんだからもっと堂々としていたほうがいいと思う。

まあ、うぬぼれでなければ惚れた男にどう接していいのかわからないんだろうなーと、まあ、こじらせたのは俺のせいでもあるのでむしろ割とほほえましいんだけども。

 

「い、一応俺以外には普通だよ?」

 

「そのあたりがさらにあざとい?というかなんか嫌なのよね。一度激戦を繰り広げた相手のあんな姿は見たくないというか……アンタの使った匙持って帰ったりするのよ?あの女」

 

「……うん、まあ、ほら……あれだよあれ」

 

「どれよ」

 

うん、フォローできない!

それどころか永遠亭で飲食した時の食器とかの行方が気になってしょうがないぞ!?

そういえば妹紅さんも結構俺の私物欲しがるのでこれは蓬莱人の性質なのかもしれない(現実逃避)

 

「一体輝夜ちゃんどうしちまったんだろうなあ……(遠い目)」

 

「間違いなくアンタが原因だけど、たしかにそれは私も聞いてみたいところね(遠い目)」

 

 

 

 

 

二人してチベットスナギツネみたいな顔になっていてもしょうがない、霊夢ちゃんは今日は洗濯か……

 

「ということは俺は山へ芝刈りにいけばいいのかな?」

 

「確かに多少減ってきたけど、それこそアンタが妖精に一声かけたら小山出来るぐらい集まるし、別に取りに行かなくていいんじゃない?」

 

ネタにマジレスされた……いやネタの意味もあったけど、遠回しに俺と霊夢ちゃんが夫婦って示唆したんだけどな!

あとついでに子作りも!

 

「妖精にうっかり頼むと全員動くからなあ……白樺シロップ作るとき危うく白樺全滅しかかったのは忘れてないぞ?」

 

妖精に要請すると大変なことになるんだよ!

みんな俺に懐いてくれて俺の願いをかなえてくれようとするのはいいのだが、限度というものがあるだろ。特に甘いものと組み合わさると被害は拡大する。

白樺シロップのときは花以外に興味のない幽香さんにめっちゃお願いして何とかしてもらったし、ミツバチとか一時期激減して慌てて花畑大増産と養蜂もどき始めたぐらいだ。

そんな感じの幻想郷の生態系変えかねないことが何度かあって紫さんにめっちゃ怒られたからな。

子供程度の知恵があるというのは子供程度の知恵しかないということでもあって、とにかく考えが足りてないのでうかつなことは言えねえんだ。

 

「まあ、あんまりあっても邪魔になるか……。燃料にも困ってないし」

 

「のすけとにとりに感謝だな」

 

「にとりは趣味でやってるから感謝いらないわよ、お風呂場も勝手に改造して……」

 

霊夢ちゃんがにとりにぶつぶつ言っているが、たぶん露天スイッチのことだと思う。

風呂場の壁がスライドして収納される装置をいつの間にかつけてて、霊夢ちゃんが体洗ってるときにうっかり作動させてしまって丁度裏手で鍛錬してた俺に御開帳したわけだ。

正直霊夢ちゃんの「きゃあ」はすごくレアなのであとでにとりに酒ときゅうりを差し入れしたのは内緒である。

 

霖之助は他はさておきコンロことマイクロ八卦炉が大きい。面倒くさい火加減も楽々調整できるし、薪もいらない。

本当は攻撃アイテムなのだが(魔理沙の持っているミニ八卦炉の小型版だ)弱くすれば丁度煮炊きにつかえ、最大出力なら溶断、溶接にも使える優れものである。

……むしろこれだけ作って売ってれば各家庭に完備されるまで香霖堂安泰なんじゃねえかとおもうぐらい俺の中では評価が高い逸品である。

 

「で、アンタは結局なにすんのよ?」

 

「霊夢ちゃんと結婚」

 

昨日阿求ちゃんと話をして思ったことがある。

 

「ばっ――まだいうわけ!?無理だって言ってるでしょう!?」

 

「無理ならなんとかするさ。嫌ならやめておくけど」

 

そういって霊夢ちゃんをしっかり見る。

レミリアさんのおかげで腹をくくったからな、まじめにいくときはちゃんと決めるぜ(ボケないとは言っていない)

 

「嫌……ではないけど、できないものはできないんだから、いいかげんあきらめなさいよ」

 

うん、まあ、うぬぼれじゃなければOKされてるようなもんだよな、これって。

 

「だから何とかするためにいろいろやるよ、今日は」

 

「……時間の無駄よ、たぶん」

 

「無駄にならねえよ、きっと」

 

俺の答えに霊夢ちゃんは大きい溜息を一つつくと俺に問うてきた。

 

「なんでそんなに私にこだわるの?」

 

「言葉にできない感覚はあるんだけど……」

 

「だけど?」

 

「ぶっちゃけすごいセックスしたい」

 

「は?」

 

過去一番冷たい「は?」だよ!?

いや、俺もちょっとひどい言い方だなとおもうけど、自分の気持ちに嘘はつけねえもん!

 

「体が目当てってわけ?」

 

霊夢ちゃんの声が絶対零度だ。

 

「えっと、ちがう、いやちがわねえけど!どういったらいいか……そう、萃香さんの言葉なんだけど!」

 

「萃香の?」

 

ギリ聞く体勢になってくれた。流石に今の感じじゃたたき出されて絶縁とかあったかもしれんからな。首の皮一枚つながった!

 

「っとな「どれだけ愛の言葉を囁いても自分が気持ちよくなりたいって下心が透けて見えちゃあ興ざめするんだよ。それならばいっそ、孕ませたいと言ってくれたほうがいい。言葉は悪いがそれは意外と純愛だよ、なにせ女の全部が欲しいってことだからね」だって。おれも言葉は悪いけど、そういう意味で霊夢ちゃんとセックスしたいって思ってる……まあ、阿求ちゃんの子作りのこととか聞いて昨日から考えてたんだけど、血を分けた二人の子供がいて、本当の家族になるんじゃないかなって」

 

「……そ」

 

霊夢ちゃんのいつものそっけない「そ」だけど。

なんとなく、いつもより柔らかい感じがした。

 

「似たようなことをつうに言われたことがあるわ」

 

「おつうさんに?」

 

おつうさん、献身日本代表のような人だ(大げさ)まあ、前の事件で懲りたのか大層嫉妬深く愛情深いちょっとヤン入ってる気もしない人だけども。

 

「私にはわからない感覚だったけどね、でも、アンタの言い分は……そうね理解したわ。受け入れてはあげれないけどね」

 

「博麗の巫女だから?」

 

「ええ、博麗の巫女だから」

 

うん、つまりこれって「博麗の巫女」何とかしたらオールオッケーって言ってるよな?

よし、がんばろう!

 

「話し戻すけど、今日は地霊殿いってくるわ。もしかしたら地獄も行って来るから遅くなるかも……おもに説教で」

 

映姫ちゃんはあれさえなければ完璧だと思うんだけどなあ……

 

「珍しいわね、旧都じゃなくて地霊殿ってのは」

 

「いろいろと調べ物をな」

 

「はあ、本当にアンタは……」

 

察したのか霊夢ちゃんが深い深いため息をつく。

 

「ご飯はどうするの?」

 

「んー、遅いと悪いからいらない」

 

「わかったわ。一応米と汁残しておくから、必要だったらあっためてぶっかけにしてたべなさい。残ってたら朝おじやにして食べるし」

 

「了解、ありがとうな」

 

「べつに大したことじゃないわよ」

 

「チビどもは?」

 

「来るとしてもルーミアぐらいかしらね?何か食べさせておくわよ……あの子私に全く懐かないんだけどアンタどうやってあんな懐かせたのよ」

 

「まあ、そりゃあ霊夢ちゃんがルーミアを何回かしばき倒したせいだと思うぞ?」

 

「行く手にたちふさがったら倒すでしょ?」

 

「さも当然のように言われてもな……」

 

幻想郷では割と当たり前のような光景だけど、アレだ。弾幕が殺傷能力が低いせいでみんな割と容赦なくぶっ放すのがダメなんだと思うな。

当たり所次第では十分死ぬと思うんだがな、弾幕。

 

女子供の遊びって建前になってるけど、女子供同士で戦うからこそ割と容赦ねえんだよな。

おれも弾幕打てるようになってるけど、どうしても相手が女の子だと手加減してしまうし(魔理沙にお仕置きしたりする場合は別だが)妖精を処することなんかできねえ。

 

霖之助も弾幕打てるらしいけど「女の子に向けるのはちょっとね」とかスカしたこといってたから眼鏡に指紋つけてやった(非道)

マイクロファイバーみたいな眼鏡拭きがないこの時代、眼鏡に指紋は大変鬱陶しいらしく関節を極めてくる。

付き合いが長いからか、鍛えた俺に有効な関節技攻撃をしてくるのは流石そつのない霖之助だと思う。

……くんずほぐれずしているところを激写されて腐った方々におかずを提供してしまうこともあるけどな!

なんでお仕置きされるのわかってて文はわざわざきわどい煽り文句入れるのだろうか……?

 

「霊夢ちゃんの戦ってる姿は格好いいんだけど、ちょっと容赦なさすぎなんだよなあ」

 

「余裕かまして勝てる相手なら私もそうするわよ、なんだかんだ言ってみんな一癖も二癖もあるじゃない」

 

「そうだな、さしもの霊夢ちゃんも無敵ではないし」

 

霊夢ちゃん、強いのは強いのだが負けるときはあっさり負ける。

気が乗らないとか、面倒くさいとかそういった精神的デバフがかかってると結構うっかりとやられることも多いのだ。

負けるべくして負けたともいうが……

 

「さて、洗濯に行こうかしらね、洗濯ものは全部だしてある?」

 

「おう、ちゃんと全部出してあるぞ、あ、霊夢ちゃん一個パンツ残しておいて

後で使うから」

 

「おっけー……って言うわけないでしょ、馬鹿ぁ!」

 

「うお、弾幕はやめようぜ!?じゃあいってくるなー!」

 

「かえって来たら酷いわよーっ!!」

 

霊夢ちゃんの弾幕に追い立てられるように外に出て裏手(旧地獄への穴)へむかう。

それにしても……

 

「それでもでてけーとかはいわねえんだよな、霊夢ちゃんは」

 

微笑みながら独り言ちる。「かえって来たら」というのも俺的にはうれしいポイントだ。

 

「やっぱ俺の帰る場所は博麗神社だよな」

 

足取りも軽やかに俺の体は宙を舞って穴に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいいいいいいいいいいやっほぅ!!!」

 

 

 

 

超長距離の自由落下。最初のうちは飛行能力で恐る恐る降りて行ったものだが、幾度となく通っているうちにぎりぎりまで自由落下するという暴挙をしている。

もちろん何らかの事態があって縦穴の形が変わってたりしたら一発アウトなのだがあらかじめ金剛身をかけておくことによって一回だけならセーフというある意味あほな使い方をして保険をかけている。

もちろんお供え物と感謝は欠かさない、あるいみ俺の生命線だ。金剛身のおかげで俺の残機が2あるような状態だからな。

のこり100Mぐらいで自由落下を止め制御、あんまり急に止めると「うっ」ってなるからな。

目標となるパルスィちゃん宅へ軟着陸だ。

 

勝手知ったる他人の家。

玄関ではなく在宅中はいつもあいてる勝手口から――

 

「パルスィちゃん起きて――純白もいいね!」

 

「あ・な・た・は・あ・あ・あ・あ・!!」

 

そこでパジャマを半脱ぎ状態のパルスィちゃんと出会ったのだった。(他人事)

 

勝手口からは炊事場などにつながっているんだが、ほこほこと湯気が沸いているたらいとタオルがあるところを見ると朝起きて身を清める(シャワーとかないからな、いや博麗神社にはあるけど)ところだったようだな。

 

おしりの割れ目が少し見えるぐらいまでずり下げられた純白のパンツがまぶしかった。

パルスィちゃんは若草色のパンツを愛用しているんだが、オーソドックスな白ももちろん持っている。

完全にプライベート用のパンツで大きめのゆったりタイプ(パルスィちゃんは意外におしりはむっちりと大きい、結構食べるからかな?それとも安産型なのだろうか?)油断のした下着という奴だが、はいているのが美少女なら、そんなことは気にならないぐらいまぶしいぜ!

 

「おはようパルスィちゃん」

 

「おはよ――じゃなくて!いいから一回外に出なさい!」

 

脱いだズボンを腰のあたりにあててパンツを隠そうと必死のパルスィちゃん。

むしろそのせいでちらちらと見えるので余計エロく感じるぜ。

 

「いや、挨拶はちゃんとしないとな」

 

「そんなことはいいから!体拭くのは後にするから着替えだけでもさせて!」

 

「ん、ああ。わるいわるい。俺は気にしないから着替えていいよ」

 

「鐘符・安珍焼殺!」

 

「うわーん!くらいよー!せまいよー!こわいよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、入るときは声をかけなさいって言ったわよね?」

 

ようやく解放された(せっかくだからと当初の予定通り体をふいてたらしい、だからパルスィちゃんって精神的にかなり強いよね!?)俺を待っていたのは、温かいお茶と説教だった。

これが飴と鞭ってやつか!(違)

 

「かけたよ、扉を開ける一瞬前に!あだだだっだっ!?」

 

「寝言を言ってたので目を覚まさせてみたけど、起きたかしら?」

 

痛ったいわ!?二の腕の皮一枚だけ抓るとか最高級の痛さだわ!?

 

「ごめんなさい!次はこっそり覗ったはぁ!?」

 

「その耳腐ってるのかしら?腐ってるならいらないわよね?」

 

耳をねじり上げるとかいう残虐行為!?怒ったパルスィちゃんは結構容赦がないのだ(でも可愛いから少し怒らせたくはなる)

 

「気を付けます!許して!」

 

「まったく、あなたっていつもいつも……妬ましいわね」

 

ふう、ようやくパルスィちゃんが通常運転になってくれた。

だれだ話をここまでこじらせたのは!

 

「パルスィちゃんは可愛いしちょっとえっちな姿見たくなるのは勘弁してほしいな」

 

「また!あなたは!そんなこと!ばかり!」

 

ぺちぺちぺちぺちといつもの奴をもらう。

うん、やっぱりこれがないとな!(末期の中毒)

 

でも、まあ、バカばっかりもやってられねえよな……

俺は腹をくくってパルスィちゃんに問いを投げる。

 

「なあ、パルスィちゃん」

 

「何かしら?」

 

「パルスィちゃんって俺のこと好き?」

 

いつもの笑みを止めてパルスィちゃんを見つめながら問うと、パルスィちゃんはこともなげに言った。

 

「ええ、愛してるわ。だから博麗の巫女が妬ましい」

 

「パルスィちゃん」

 

「なにかしら?私を捨てて博麗の巫女のところに行くの?妬ましいわ」

 

「霊夢ちゃんのことは正直どうなるかはまだわからない。結婚?まあ、子供は欲しいかなとかジジババになっても軽口叩いてるんだろうなって思う」

 

「そう、妬ましいわ」

 

「すごく最低で都合のいいこというけどさ、パルスィちゃんもその……一緒に……俺と一緒に生きてみない?つうても俺人間だから途中で死ぬと思うけどってつごう良す――」

 

「かまわないわよ。少し博麗の巫女が妬ましいけれども」

 

「っていいのか!?自分で言うのもなんだけど、かなり不誠実なこと言ってるぞ?」

 

俺が言われたんならたぶん切れる。

 

「いいえ、あなたは裏切らなかった。私にとってはそれだけで誠実なのよ」

 

「そう……なのか……?無理してないか?」

 

「気にしなくていいわよ別に。ところで今日は愛の告白に来たの?」

 

「あ、それもメインだけども、地霊殿に行ってこようと思ってな」

 

そういうとパルスィちゃんは少しいやそうに言った。

 

「さとりも手籠めにするの?」

 

「しねえよ!?さとりちゃんとは俺あんまり接点ねえぞ!?」

 

「あなたの言うことはあまり信用ならないから……」

 

いや、さすがに俺だってこの数日考えまくったから好意を持ってる女性は絞り込んだよ!さとりちゃんはたぶん圏外のはず!

 

「大丈夫だと思う……たぶん」

 

「その能天気なところ、妬ましいわ」

 

「そ、それよりも、パルスィちゃん暇なら地霊殿行く前に街歩きしようぜ!俺はもう朝食ったけど軽いものなら入るし付き合うよ」

 

「そうね、デートしましょうか、ふふ。なんかいいわねデートって言って出かけるのも」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

パルスィちゃんと連れ立って町へ繰り出すことにした。

 

でもさ……

 

恋人なんだからいいでしょ?って俺の前で平然と着替えるのやめてくれませんかねえ!?

理性が吹っ飛びかけたよ!?あとなんで下着赤なの!?情熱なの!?誘ってんの!?(混乱)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「〇ボタンでニャーと鳴く」
個人的にパワーワードでした。変な笑いがじわじわ来る文章です。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。
感想が少ないとエルデンリングやり始めます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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魔法を習おう

移植
天子やっとかけそうだけど時間かかるのは確か。


困惑編

 

 

 

「――で、こうがーっとやって、魔力をこうぐっとためて、いっきにずばばーっ!って放出するんだぜ」

 

「うん、全くわからん」

 

「なんでだよ!めちゃめちゃわかりやすいと思うんだぜ!?」

 

魔理沙ちゃんに魔法の素質を借りていくつか魔法を手ほどきしてもらおうと思って教えを乞うたんだが、説明が抽象的すぎて全く分からない。

 

「それと、それ明らかに強めの攻撃の術だろ?いきなりそういうんじゃなくてだな……」

 

「ん?いや、攻撃は攻撃だけど、一番弱いマジックミサイル系の術だぜ?」

 

「……じゃあきくけどマスタースパークだったらどんな感じだ?」

 

「マスタースパークだったら、身体に魔力をためて、こうがーっとやって、魔力をこうぐぐっとためて、いっきにずばばばーっ!って放出するんだぜ」

 

「ちがいがわからんわっ!?」

 

これだから感覚で魔法使う奴は……

能力を借りているから俺も魔法は使えるはずなんだがなんというか穴の開いた風船みたいにどっかから洩れていく感覚があるんだよな。

 

たぶん、これを漏らさないようにするのが魔理沙ちゃんの言う「魔力をぐっとためて」なんだろうけど、その「ぐっ」の仕方がわからねえんだよ!

日本語で喋ってくれ!

 

「なんでわからないんだ?こんなに簡単なのに?」

 

本気でわからないと言った顔で聞いてくる魔理沙ちゃん。うん、きょとんとした顔は可愛い。

基本的に魔理沙ちゃんも霊夢ちゃんもどちらかと言うと美人系の顔立ちなんだが、けっこう可愛い表情も多い。

 

まあ、それはそれとしても……

 

「正直、俺と魔理沙ちゃんが同じ言語を喋ってるのかゲシュタルト崩壊しそうになるからな?魔理沙ちゃんの説明は」

 

「なんでだよっ!?あとげしゅたると崩壊?ってなんだ?」

 

なんででもだ。

 

「わかりやすく言えば「あれ?これでいいんだっけ?」という感覚が強くなることだな。本当に感覚的なもんだから説明はしにくいが同じような単純作業……文字の書き取りとかを延々とやってると陥ったりするぞ。本来文字の部首とかが認識できなくなるような感覚らしいしな」

 

「へー……おまえ、記憶本当にないのか?ときどきパチュリーより難しいこと言うぞ?」

 

「むしろ俺が今の魔理沙ちゃんの言葉が難しすぎるんだがそれは……」

 

「だからなんでだよっ!?」

 

なんででもだ(二回目)

もし翻訳魔法があったらかけてもらいたいレベルだぞ。

 

……この前から思ってたんだが、魔理沙ちゃんって知らないことはしっかり聞いてくるよな。知り合いのほかの二人(アリスちゃんとパチュリーちゃん)もそうだけど、やっぱり魔女って知識欲はすごいんだな。

 

……パチュリーちゃんはちょっと強すぎる気がするけど。

無縁塚で拾ったそれっぽい本(現代のだから、本物の魔導書ではないと思う)をパチュリーちゃんに見せた後、意地悪して「ほーらとってご覧」てきに手で頭上に掲げてたところ全力ジャンピングタックルしてきて押し倒された。……正直知識欲に命かけてるパチュリーちゃんを舐めてた。

 

もともと俺の頭上の位置に本がある体勢だったので倒れた俺は手を上に伸ばしたまま……その本を取ろうとして俺を倒したパチュリーちゃんは当然のごとく本を取れる位置までおし倒した体勢のまま移動してきたため……

 

 

 

 

顔におっぱい

 

 

 

 

という素晴らしい状況に陥った。

 

しかも本をゲットした後その体勢のまま即読書モードに入って俺の顔はぬくやわこい感触を堪能できたわけだ。

……というか、本気で動かなくて途中から少し怖くなった。

心音は感じられた(それぐらい密着してた)しページをめくる音が聞こえてきたので生きてるのはわかってたけど、本気で反応がないんだよ。

 

こえをかけてもダメ、軽く揺さぶってもダメ。

いい加減俺の股間も限界だ(いや、おしっこしたかっただけだよ?)

……最終手段として、俺が顔に当たるふくらみから突起を探し出して(パチュリーちゃんはつけてないことが多いようだ)甘噛みしても責められるべきではないと思う。

 

なお本を大事にするパチュリーちゃんがその本で俺の脳天を何度も強打する程度には責められた。

解せぬ。

 

とりあえず即トイレに駆け込んで何とか危機は回避できたが(すごい出た)

 

と、魔理沙語(酷)のせいで意識がそれてたな……もしかしてすでにゲシュタルト崩壊してるのかもしれんな……

 

あーでも……

 

「パチュリーちゃんに教わったほうが早いのかもしれないな、魔理沙ちゃんと会話してるより」

 

「なんか酷いこと言われた!?」

 

だってニュータイプでも分かり合えなさそうだもん、魔理沙ちゃんの説明。

……でもニュータイプって基本的に人の話聞かねえよな……(偏見)

 

「たぶん、魔理沙ちゃんの説明は一回でもできてからじゃねえとわからんと思うんだわ、感覚的なもんを直接言語化してるようだから」

 

一応フォロー。なんだかんだいって能力まで貸してくれた上に教えてくれてるのだから。

 

ある意味霊夢ちゃんよりこういうことに関しては優しいと思う。

霊夢ちゃんは「霊力?アンタには無理でしょ?」とバッサリと切ってきたからな。

 

「んー、そういうものなのか?私は最初からこんな感じだったからなあ」

 

でたよ天才。

なんだかんだいって「博麗の巫女」(正直よくわかってないが警察みたいなもんだと認識してる)と対等の実力っていう噂だし、実際マスタースパークのえげつなさを知ってるからな(なお、魔理沙ちゃんはそれを俺に向けて不意打ちでぶっぱなしたことがある)

 

「魔理沙ちゃんはたぶん上級者向けなんだとおもうな。だからまず基礎を教わってくるよ、紅魔館なら図書館もあるしな」

 

「お、そうだついでに何冊かガメて――「こねえよ」ちぇー」

 

「不満そうだが、泥棒は犯罪だからな?」

 

「永久に借りているだけだから問題ないんだぜ?」

 

「どうやらまたお尻ぺんぺんしてほしいようだな?」

 

「な、なにを言うんだぜ……じょ、冗談だから気にするな!じゃ、わたしは用事があるから帰るんだぜ!」

 

とおれがおしりぺんぺんを示唆すると飛んで帰っていった(文字通り)

 

まったく……

 

こんどパチュリーちゃんのとこ行くかな。

フランにも会いたいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時は軽い気持ちでそうおもっていたのだ、俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

習得編

 

 

「――というかんじで、イメージ的には呼吸ね、息を吸って吐くときに肺が酸素を取り出して血流にのせるように、大気中からマナを取り出して、自分の魔力に乗せるのよ」

 

「ん、おおなるほど」

 

さすがパチュリーちゃんだ。魔理沙語なんかよりもよっぽと分かりやすく魔力の使い方を教えてくれる(酷)

ちなみにパチュリーちゃんは趣味で図書館持ってるだけあって簡単な医学なども含め結構現代人でもなかなか知らないようなことを知っていたりする。

量子力学とかの本まであるんだぜ……

 

「逆を言えばこれができる……魔力用の心臓?みたいなものを持ってるのが、魔法使いの素質ね。ただ、それは結構持ってる人は多いのよ」

 

「へー,じゃあなんで魔法使いって少ないんだ?」

 

「そうね……たとえるなら意識して心臓を動かさないとダメな感じね。無意識に動いているから動かし方なんてわからないでしょ?でもそれを意識して動かさないと魔法使いにはなれないのよ」

 

「うーん……流石に難し――できたわ」

 

「は?」

 

魔理沙ちゃんの時に、風船から抜けていく空気のような、抜けていった何かを抜ける前に血流に溶け込ませるようなイメージで全身に巡らせたら割とあっさりできた。

パチュリーちゃんが心臓に例えてくれたおかげだと思う。さすが魔理沙とは格が違うな!(酷)

まあ、なぜかパチュリーちゃんは茫然としているが……パチュリーちゃんの教えのおかげなのにな?

 

あとはパチュリーちゃんから借りた七曜の力で……たしか月火水木金土日……日ってなんだ?火と微妙にかぶってねえか?

それはさておき、試し打ちしてみよう……あとはいっきにずばばーっ!って放出するんだったな?魔理沙の説明では。

せっかくだから、日いっとくか?日といえば……俺は額に手をやり腹の底から叫んだ。

 

 

 

 

 

「サン!アタァァァァァァク!!」

 

 

 

 

ゴムゥン!!

 

 

 

 

 

「……は?」

 

またもやパチュリーちゃんが呆ける。

 

額から日輪の力を放出してみた……やっべ、思ったより威力出たわ。試し打ちした岩が貫通した……とどめの飛び蹴りはいらないよ……うだ……な……

 

お……?

 

なんか……体が……?

 

 

「ちょっと!?いきなり全魔力放出とかしたら死ぬわよ!?」

 

うん、パチュリーちゃん……そのあたりは……もう少し早くいってほしかった……

 

そうして俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん……ぬくやわこい……

 

意識を取り戻すと後頭部と額にぬくやわこい感触を感じた。

目を開けると……視界に何か板のような……?

 

「うう……いったい……?」

 

「目覚めたのね?」

 

と、読んでいた本をぱたんと閉じてパチュリーちゃんが声をかけてくる。

どうやら俺の視界に広がっていたのは開いた本の装丁だったようだ。

パチュリーちゃんにしては珍しく本より俺を優先してくれたな?

 

「気分はどう?起きれるかしら?」

 

「気分は悪かったけど今最高。あと起きたくない」

 

多少体力を消耗したようだが、もう起きることはできると思う。が、俺はこのぬくもりを手放したくないので起きるのは断固拒否だ。

大抵の幻想郷の子はこういうと容赦なくほおりだされるのだが……

 

「そう、ならもう少し休んでいなさい」

 

と、再び本を開くパチュリーちゃん。

うん、このぶれない感じ、安心できるな。

 

後頭部のぬくやわこい感触はわかるが額の感触は……?と思っていると答えが判明した。

パチュリーちゃんは結構貧弱なので、長時間本を保持して読むことができない、なので本を自分の膝に乗せるような猫背の状態でよく本を読むのだが、その体制になろうとして俺が膝枕状態になっている場合はどうなるかというと……

 

 

 

 

ぽふっ

 

 

 

 

このように顔におっぱいが当たるというわけだ。膝枕っていうけど実際には太ももに頭乗ってるからな。

相変わらずパチュリーちゃんのガードが甘い……こちらから何かするとリアクションはあるのだが、パチュリーちゃんの側からだと本当に無頓着だ。

 

「パチュリーちゃん、おっぱいが当たって気持ちいいんだけど……」

 

と、声をかけてみるも。

 

「嫌だったら起きなさい」

 

と、本を読みながら適当にあしらわれてしまう。

もちろん嫌なわけはないので起きはしない。

……股間が起きるかもしれないけども!

パチュリーちゃん……というかフランを除く紅魔館の女性陣は、香水でもつけているのか、強めの甘い匂いがしてなかなかに官能的なのだ。

わりと大雑把な美鈴ちゃんでさえ(失礼)柑橘系のいい香りがする。……大量にミカン食ってただけだったらどうしよう……美鈴ちゃんならあり得てしまうのが恐ろしい。

ちなみに香りだけなら小悪魔ちゃんが一番やばい。甘い吐息というが、官能的な香りで本気で吐息だけでエロスを感じる。

もしかしてサキュバス系の妖魔なのだろうか……?

もしそうなら夢で絞っていただきたい、夢ならセーフだよな!?

 

「大丈夫なの?本当に」

 

本を読みながらもパチュリーちゃんが話しかけてくる。

 

「お、本読んでるときに珍しいな?」

 

「……正直本よりあなたがさっきやったことのほうが知識欲を満たしてくれそうだしね、正直あの魔力を練る工程が一番難しいのだけど、あっさりとやってしまったしね」

 

「いや、一応魔理沙ちゃんにあらかじめ教わってたからな……」

 

「あら?あの子って教えるのは上手なのかしら?」」

 

「曰く、がーっとやって、魔力をこうぐっとためて、いっきにずばばーっ!って放出するそうだ」

 

「……それでできたの?」

 

「あ、いやできなかったんだ、魔力をぐっとためることがどうしてもできなくてな。パチュリーちゃんが血流に乗せるとか言ってくれたんでようやく理解した感じだな」

 

「はあ……魔力枯渇の原因はそれね。ずばばーとか表現的にも全力放出じゃないの」

 

パチュリーちゃんもそう思うよな?でも魔理沙ちゃん的には……

 

「ずばばーっは通常らしいぞ?全力だとずばばばーらしいから」

 

「……たぶん魔理沙にしかその違いは分からないと思うわ。軽度の魔力枯渇でまだよかったけど、重篤なものになると長期間のこん睡状態に陥ったりするから気を付けてね」

 

「長期ってどのくらい?」

 

最悪枯渇覚悟で使わなきゃならんこともあるからな、知っておいて損はねえはず。

 

「そうね……紀元前81年ぐらいに昏睡状態になった魔術師がいまだ目覚めないケースがあるけど」

 

「全力で気を付けるわ……」

 

「あと、気合を入れて叫ぶのもいいのだけど、魔力の勢いがいや増すから、制御が完璧になるまではもう少し落ち着いたほうがいいわよ」

 

「おう、俺も実感したわ」

 

すげえ勢いで魔力的なの抜けていったからな……サンアタックで止めておいてよかった。全力で叫ぶ大地を貫く陽光(ストナーサンシャイン)あたりだったら本気で死んでたかもしれん。

 

「なんか練習用にいい方法ないかな?」

 

たぶん魔理沙ちゃんに聞いたら絶対に脳筋的な(ぶっ倒れるまで魔法使うとか)こと言いそう(偏見)

いや、ある意味間違いじゃねえだろうけど、なんだろう、魔法使いってもっと知的な存在だよな?

 

「そうね、倒れるまで魔法使うのが一番いいかしら?」

 

「まさかの脳筋返答!?」

 

パ、パチュリーちゃんが言うならたぶん正しいんだろうけど(なお、魔理沙ちゃんの信用度)魔法使いも根性論の世界なのか……?

 

「一応ちゃんと理由はあるのよ?軽度の枯渇なら魔力の基本値がわずかに上昇するし、何度も繰り返していると魔力枯渇に耐性……重度の症状になりにくくなるのよね。どうせあなたは限界まで絞り出すんでしょう?」

 

「あー、まあ、わりとな」

 

俺みたいな一般人が幻想郷で生き残るには多少無茶しないとダメなのは俺が一番よくわかってるからな。だいたい女の子に守られっぱなしってのも格好悪いし「素敵!抱いて!」のワンチャンも欲しいから、鍛えるに越したことはねえと思っている。

 

あとパチュリーちゃんに絞り出してほしいです(ずっとおっぱいあたってる)

 

「そういえば七曜って、どんなの?」

 

「地水火風の四大を基本とする魔法と、木火土金水の五行を基本とする魔法があって私は後者のほうなの。それに月と日を足して七曜。こうみえてもちょっとしたレベルの魔法使いなのよ?」

 

「パチュリーちゃんがすごいのはわかる。なんか、こう多彩多芸だよな?」

 

「そうね、いろんなことができるのが強みね、でも魔理沙やアリスもすごいのよ?」

 

「それもわかる。方向性の違いだからな。でも俺的にはパチュリーちゃんのタイプが一番好きだけどな」

 

「すっ――!?……はあ、まったく。こほん、そうね、あなたみたいなこざかしいタイプには向いているスタイルかもね」

 

なんかおっぱいがはねた気がしたけどなんだ?感じたのか?(違)

 

「こざかしいって、まあそうなんだけども!」

 

うん、否定できねえ。そもそも幻想郷の敵は強すぎるんだよ。華扇ちゃんに「あれが一番の雑魚、名もなきあやかしです、古来より鬼とひとくくりにされてきていますが、本物の鬼に失礼なので雑鬼と呼ぶこともあります。ではどうぞ」とか言っていきなり実践に叩き込まれたとき、あまりの強さにがくぜんとしたもんだ。

砂かけたり、上着かぶせて縛ったりしてなおかつ棒で滅多打ちにしてそれでもたおしきれなくて、最後にたまたま通りがかった幽香ちゃんに「こんなくだらないものと遊んでないで私と遊びましょう」とまとめて吹っ飛ばされたからな……いやなんで!?

 

ちなみに修行の邪魔をされた華扇ちゃんはプリプリ怒ってたけど、プリンアイスで即機嫌を直した。相変わらずだなあ……

 

 

……それぐらい妖怪は雑魚でも強いんだ。だからこそ弾幕ごっこが制定されたんだろうけどな。

正直ふい打たれたら魔理沙ちゃんとかですらやばい気がする。

パチュリーちゃんに至ってはちょっと動いたらもう息切れする(ぜんそくの発作が出る。パチュリーちゃんの図書館埃っぽすぎるんだよ、俺が執事している間にだいぶん改善はしたが)ので妖怪どころか屈強なおっさんとかに組みふせられたらウ=ス異本待ったなしだろうな。

 

……どうもおっぱいのせいでエロい方向ばっかり思考が誘導されるな……

気持ちいいから問題はないが!

 

「あとは七曜も五行と同じように、組み合わせで変化したり強化されたりするから、私的には研究が楽しいってのもあるわね」

 

「ほー、それは俺的にもいろいろいじりがいがあっていいな!」

 

「いじりがいって……そうね、たしかに知識が増えるのは楽しいわね」

 

「だよな!ところでパチュリーちゃん」

 

「何かしら?」

 

「もう一眠りしていいかな?」

 

うん、気持ちいのもあるけど、やっぱり少しはけだるいんだ。

まあ、気持ちいいほうが優先だけども!

 

「いいわよ、読書の邪魔をしないならね」

 

「ん、さんきゅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

 

 

 

「パチュリーちゃんパチュリーちゃん!」

 

「なあに?騒々しいわね」

 

「ちょっと見てくれ!」

 

そういうと俺は目を閉じて深く深く集中する。

 

「――火」

「――火」

「――火」

「――土」

「――土」

「――金」

「――金」

「――水」

「――水」

「――水」

「――木」

「――月」

「――水」

「――日!!」

 

 

 

ズモオオオオオオオオン!!

 

 

 

 

「は?」

 

地を這う光弾とレーザーが大岩を完膚なきまでに粉砕する。

うん、思った以上にやばいな!

 

「ちょっ!?あなた一体なにをやったの!?」

 

「ちょ苦しい!?パチュリーちゃん落ち着いて!」

 

首元をつかんでがっくんがっくん揺さぶられる。

 

「拾った本に書いてあったのをためしたらできた」

 

「本!?魔導書!?何の本題名は!?見せて!見せなさい!」

 

いや、ちょっと締まってっ!?締まってる!?

 

「こん……ヴ……ぃーく」

 

「昆布飼育!?なによそんな本のわけないじゃない!?嘘つくならさすがの私も怒るわよ!!」

 

「ちが。苦……パソ……」

 

「いいからよこしなさい!!」

 

そうして俺の意識は暗転した。

 

 

 

なおさらに後日、見せる代わりにパチュリーちゃんを抱き枕にした。

うん、いい肉だったぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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天子とバトルした話までいかなかった話

ごめんなさい。
天子の口調が思ってたのと違った。
結構丁寧にしゃべる。
みけさん完全にヤンキーだったよ。

なのでいつもの書き直し中ですがさすがに間が開きすぎなので天子が出る直前までどうぞ。


 

 

 

 

「やー盛況ですねー」

 

軽いウォーミングアップをしていると、長机を持った文に声をかけられた。

 

「文まで来たのか……」

 

「そりゃあ、イベントあるところにこの私ありですからね。願わくば勝利者インタビューできるように頑張ってくださいね」

 

まあ、文が記事にできそうなイベントに来ないわけないわな。

 

「一応今回の戦いはかなり派手になるとおもうんだが……」

 

正直半径数キロが壊滅とかしてもおかしくない。地震って揺れが伝播するからどうしても効果範囲広いんだよな。

天子が考えて使うとも思えねえし。

 

「あー、大丈夫ですよ、みんな危なくないようにかなり離れてますからー、ではご健闘を」

 

文はそういって「よっこらせ」と折り畳み長机(プロレスでパワーボムなどで壊されてる解説者のすわっているあれだ)を小脇に抱えて離れた位置へ飛び去って行く。

いやすげえ軽々と持ち運ぶな!?小柄な女の子の姿していても妖怪は妖怪ってこったな。

 

文だけではない。三々五々とばらけているが博麗神社に集結しつつある。

酒や料理も並んでおり異変解決後の宴会のようだが……

 

「なんでこんなギャラリーがいるんだよ……」

 

ちびっ子たちこそいないものの各陣営(?)がそろっている感じだ。

 

「アンタ今回かなり本気で能力組み合わせてたじゃない。そんなことしてたら当然文の耳に入るし、入ったらお祭り騒ぎにならないわけないじゃない」

 

と、にこやかに言う霊夢ちゃん。

あれだけ眉をしかめて「戦うとか意味のないことやめなさい」と言っていた霊夢ちゃんがなぜにこやかかというと……

 

「四十三、四十四、四十五っと。うんなかなか儲かったわね」

 

万札を数えて上機嫌の霊夢ちゃんなのであった。

俺のファイトマネーは当然でねえんだろうなあ……いいよ、あとからパンツ借りるから。

 

「一体いくらとったんだよ……」

 

「会計はにとりがやってるからわからないけど、食べ物飲み物ついてこれならお得じゃない?」

 

「まあ、その金額ならそうかもしれんが……」

 

だが、断言してもいい、にとりがかなり中抜きしていると思う。

ギャラリーにちびっこ連中が見当たらないのでもともとの値段は一流歌手のディナーショーぐらい取ってると思うぞ。

 

「ま、ケガしないように頑張んなさいよ。万が一勝ったらご褒美ぐらい――やめた。そんなこと言ったらアンタむちゃしそうだしね。とにかく怪我はしないようにね」

 

「あー、まあ確かにな。霊夢ちゃんがエロいことしてくれるとかだったら勢い余って天子殺しかねねえわ」

 

流石に圧勝して勝てるとは思わねえけども、時々俺のエロパワーは世界を超えるからな……

ナイアール=トラップもまさかあんなふうにやられるとは思わなかっただろうな。

 

「誰がそこまでするか!もししてもせいぜいほっぺに接吻ぐらい――」

 

「よしちゅーだな!絶対だな!」

 

「いやだからしない――」

 

「文ー!文―っ!!勝ったら霊夢ちゃんが俺にちゅーしてくれるってーっ!!」

 

「ちょっ!?」

 

「ほほう!それはいいことを聞きましたね!」

 

しゅばっ!っと電光石火の速さで戻ってきた文。幻想郷のスピードスターは伊達じゃねえな!

 

「アンタはなんで大ごとにするのよ!しないって言ってるでしょ!」

 

げしげしと俺の脛をけりながら苦情を申し立てる霊夢ちゃん。

残念ながらカスタマーサポートは営業時間外だ。

 

「霊夢ちゃんの懐があったかくなったのは誰のおかげかなー?」

 

「えっ……っと、これはにとりのおかげよ!」

 

「ほほう、じゃあ俺が今から戦うのやーめたって言ってもいいんだな?」

 

「うっく……」

 

霊夢ちゃんは気前はいいが守銭奴である。

お金が手に入る機会を逃すわけはない。ましてやいったん手に入るってなったものを失うのは最初から手に入らないより惜しく感じるものだ。

 

「さあさあ、どうする霊夢ちゃん!」

 

「……頬によ、それ以上は絶対に譲らないからね」

 

「よっし!」

 

思わず出るガッツポーズ!

……鍛え上げられたこの俺の反射神経の全力を使って、頬に当たる瞬間に顔動かしてやろう。狙うはべろちゅーな!(変態)

多分成功してもそのあと俺はもしかしたら殺されるかもしれんがその場合は地獄から舞い戻るしかないな!

 

「なるほどなるほど、いやあ霊夢さん、だいぶんガード甘くなってますねー」

 

文が茶化す。

まあ、なんだかんだ言って霊夢ちゃんは押しに弱いからな。

いや、一線は断固守るんだけど、それいがいは、時と場合と交渉次第なところはある。

……パンツも怒られるけど借りれるし、もしかしたら見抜きぐらい「しょうがないわね」とか言って許してくれそうな気もする。

あわよくば手や口でしてもらったりなんか――

 

「ぐえっ!?」

 

「アンタキモ顔して変な妄想してるでしょ」

 

「なんでわかった!?」

 

「わからいでか!口に出てたわよ!」

 

「なんと!?」

 

口に出すことが口に出てしまってたようだ。

しょうがないじゃん、妄想ぐらい許してほしいと思うんだ。

 

「まあ、でもちゅーで我慢するから(ほっぺとはいっていない)」

 

「言っておくけど文、言いふらしたら酷い目に合わせるわよ」

 

「あやや、でも勝利したら多分すぐ要求されますし、秘密にしておかなくてもいいのでは?」

 

「……ほら、観戦中なんとなく居心地が悪いじゃない」

 

「んー、確かに。彼は妙に好かれてますからね。でも嫉妬や怨嗟の声も乙なものではないでしょうかね。私は新聞のネタにもなりますし」

 

「むしろ文はそっちのほうがおもしろいとかいうんでしょ、やめてよね」

 

「ま、ギスギスしても解説がはかどりませんし私はあえて言いふらしたりはしませんけど、それでいいですか?」

 

「そうね、もし約束破ったら脱がすわよ?コイツあんたのパンツ気になってるみたいだから」

 

「お?それなら存分に言いふらしてもらえば俺の一人勝ちじゃね?」

 

霊夢ちゃんは引くに引けなくなるし、長年の謎だった文のパンツもわかる。

うん、俺得しかねえな!

 

「あれ?私の下着ってみたことなかったでしたっけ?」

 

「おお、何度も何度ものぞき込んだりしてるけど、深いとこまで見えても布が見えないからノーパン説を提唱しようかと思ってたぐらいだ」

 

はいてないとしか思えないぐらい太ももの深いところやしりっぺたが見えても布が見えないんだよな、文は。

なので俺からしたら長年の謎なんだよな。

 

「ああ、私カッ飛びますからねー、普通のだと脱げたり食い込んだりするので前張りしてるんですよ」

 

「なん……だと……?」

 

「文。あんたそんなのつけてたの!?」

 

確かにそれじゃ布らしきものは見えないんだろうけど……

 

「それならむしろノーパンでもよくね?」

 

「いや、風圧でボボに服が結構食い込んだりこすれたりするので、さすがに無防備なのは……」

 

「どんなのになってんだ?ちょっと見せ――ぎゃああああっ!?」

 

「アンタ息をするように変態行為するの本当にやめなさいよね!あと文も恥ずかしいとこの名前言わない!」

 

肘のツボを思いっきり玉櫛で突かれた。

いや、だって気になるじゃん!あと霊夢ちゃんも言っているが幻想郷では「ま」ではじまる女性器の名称は実は通じない。

あ、早苗ちゃんには通じるな。流石に言ったことないけど。

っていうかどんな状況なら早苗ちゃんに言うことになるのか助平のすけさんの名をほしいままにしている俺でも考え付かねえぞ?

 

「あたた……そもそも、俺、文にはエロスあまり感じないから純粋な好奇心だぞ?」

 

「私もあなたと恋仲になるつもりはありませんけど、それはそれで少し腹立つのですけど?」

 

「いや、まあ魔理沙よりはエロス感じるし(流れ弾)可愛い……っていうか美人?凛々しい?系だとは思うけど。どうにもこう、なんだ。厄介というか残念系だよな?文って」

 

「性格が厄介なのは自覚はありますけどねー。流石に面と向かって言われると傷つきますね?いちおう女性としての評価はあるみたいですから許しておきますけど」

 

正直文は一緒に馬鹿してるのが一番いい感じだ。

なんどか異変の時に組んだが、頭の回転がかなり速く動きも早いので思い切りのいいハイスピード行動が可能だ。

特に推理というものをほとんどしない幻想郷面子の中で、推理して行動できるのはかなり戦闘回避に役立つ……まあ、ネタのためにあえて突っ込んでいく記者魂の発露が時々起きるのだが……

 

「文が男だったらいい付き合いできたと思うんだがな」

 

一緒に遊郭行ったりのすけとぐだぐだ飲み明かしたりな。

 

「あやや、やはりあなたは男性のほうが好きということですか!」

 

「違うわ!?おい、メモ帳に何かいた!?」

 

「いえいえ、気にすることはありませんよー。次号の文々。新聞を乞うご期待ですよ」

 

「不安しかねえっ!?」

 

「まあアンタが文を苦手とするのはなんとなくわかるわよ。マイペースで言えば文も相当のもんだし」

 

「かもな。突っ込みきれないんだよな」

 

「そりゃあ前張りしてますから突っ込もうとしても入りませんよ」

 

「そこに戻してオチつけるのかよっ!?」

 

「文……下品よ」

 

「さて、そろそろみんな集まってきてますし霊夢さん行きますよー。ああ、あなたは頑張ってくださいね。なんだかんだいって天人よりはあなたのこと――」

 

文はそこで一瞬真面目な顔になってから、ふにゃりと相好を崩して――

 

「好きですよ」

 

「うぐっ!?」

 

破壊力たけえな!?

なんだ、こう、美人のOLさんに告白されたような衝撃あったぞ!?

もちろん文なりの意趣返しなんだろうが……完全にしてやられた感がある。

天子よりはって言ってるんだが、それでもちょっとドギマギする程度には勘違いしたくなる破壊力だ。

 

「アンタ完全に手玉に取られてるじゃないの……」

 

あきれたような霊夢ちゃん。

そうだ!霊夢ちゃんなら!

 

「霊夢ちゃん俺のこと大好きって言って!このままじゃ文にときめいちゃう!」

 

「勝手にときめいてなさい。行くわよ、文」

 

「あいあいさー」

 

「手厳しいっ!?」

 

霊夢ちゃんに見捨てられてちょっとへこんだ俺。

正直霊夢ちゃんにはいままで「嫌いじゃないわ」しか言われたことないんだよな。

まあ、霊夢ちゃんってそういうこと言わない性格なのは重々承知してるけど、やっぱ言ってほしいよな。

ラブじゃなくてライクでもいいから。

 

「とりあえず、天子しばいてから考えるか」

 

 

俺は決戦場へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 




ごめんね。


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天子とバトルした話その1

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1800人を越えました
ありがとうございます。

現在いろいろありまして投稿が遅くなっております。
書くのはやめませんので気長にお待ちください。

天子バトル過去最高の長さと書き直しになっております。
バトルまでいかなかった話から数えて20000文字は超えております。
これに加え中継もあるので相当ボリュームがあります。
みけさんは通常書いた分の5~7倍ぐらい書いては消しをしているので……
だれだ天子と闘うって決めたの。
時系列的にはかなり後のほうです。
天子の口調は原作でも安定していないので緋想天をベースにしております。
思った以上に緋想天ではお嬢なしゃべり方です。

また中継場面がないのでやや大味に感じられるかもしれません。
がとりあえずお待たせしすぎなので分割してでも出しておきますね。

誤字脱字報告者のμηδέν様、トッシュ様、芋名月様、ティアール様、トリアーエズBRT2様、提督様、はにワ様、榴丸様、tmtdk様、雪火/雪音様、64b様、ND様、すかたず様、reira様、KYOUJI様、名無しの過負荷様、ちりめん山椒様、クオーレっと様、果汁先輩様、monkey様、Toushiro様、ねこ大好き様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます。
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


「やっときましたね、まちくたびれましたよ」

 

「おう、すまんな天子(てんこ)。ちょっとウォーミングアップしてたわ」

 

あと、各種マントラや補助魔法を盛っておいた。

やれること全部やっても勝率は低い。

何度も言うが俺、人間だからな?

 

「まあ、いいですよ、準備は大切ですもの。それと私の名前は「てんし」ですの。「てんこ」じゃありませんよ、何度言ったらわかるのですか」

 

「そういわれても、天子は天子だしなあ……」

 

「あなたは本当に……!」

 

てんしって読み方以外なら俺も普通に呼んだかもしれねえけど、てんしって言ったらやっぱり天使のイメージあるじゃん?俺の中じゃそういうのは霊夢ちゃん(優しいとき、ただしレア)なんだよなあ。

霊夢ちゃんって時々やばいくらい抱擁力あんのよ。霊夢ちゃんたぶん二十歳いったかどうかだと思うんだがなんというか白蓮ちゃんより甘えたくなるから相当のもんだぜ。

 

「まー、いいじゃん、天子が勝ったらあらためてやるよ」

 

「……それと、私の専属料理人になりなさい」

 

「無理」

 

「え?」

 

ズバッと切り捨てる。俺の料理はいろんな人に食わすためのもんだし、またそれが楽しく、生きがいでもある。

まさか即断されるとは思ってなくて少しあっけにとられたようだな。

 

「さすがに専属とか無理だろ、だいたい天子、おまえ食材そろえてこれるのか?せいぜいが月一ぐらいなら俺の持ち出しでいいぞ」

 

専属料理人とか言われても食材がねえなら俺は大したもん作れねえしな。

あくまでも潤沢な食材と調味料あってのことだ。

 

「重ね重ね小憎らしいですね……まあ、最初はそのくらいの要求でいいとしましょう」

 

「まだ要求増やすのかよ、でも、まあ、俺に勝てたらだけどな」

 

「はっ!下人風情が笑わせてくれますこと!」

 

互いに示し合わさずとも戦闘開始位置に移動する。格闘大会とかではありえないが幻想郷での戦いは大抵数十m離れたところから開始する。まあ弾幕だし、遠距離戦メインだもんな。

 

ちなみに今回のルールは戦意喪失で負けという単純なルールだ。この場合の戦意喪失には意識を失うなども含まれる。

弾幕、スペルカードは使用不可だが、道具や能力や術は使ってもいい。

いろいろできる俺に有利なようだが、要石と緋想の剣が使える時点で俺が何を使ってもいいぐらいのパワーバランスだと思うのでこの際気にしない。

 

「覚悟はいい?」

 

「天子こそな!」

 

そして戦いの火ぶたが切られたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナメファンネル!」

「メテオリックオンバシラ!」

 

 

 

 

ズゴオオオオオオオオンン!!

 

 

 

 

 

初手、牽制で飛ばしてくる要石を上空から飛来させた御柱で叩き落す。

え?スペルカード禁止じゃないのかって?

スペルカードと同じ名前なだけでやってることは特殊能力というか術だ。

実際カナメファンネルもメテオリックオンバシラも弾幕が飛ぶのではなく石と柱の物理のぶつかり合いになっている。

 

「生意気!」

 

天子が悪態をついた瞬間。自分の足元に御柱を呼び出す

 

「オンバシラキャノン!桃白白!」

 

謎の技名だが、射出した柱に乗って一気に間合いを詰めるだけの行動だ。

なんだかんだ言って遠距離戦は天子に分があるからな、俺はあくまでも格闘メイン、得意距離は近距離からせいぜい中距離だ

 

「いいのかしら?私は弾幕だけの女じゃなくてよ?」

 

「やってみるさ!」

 

「ならいくわよ!」

 

天子の大振りのテレフォンパンチ。

簡単にさばける攻撃だが、間違っても受け止めようとか思ってはいけない。

ガードの上からでも十分なダメージを与えてくるし、なんだったらガードごと粉砕されてしまう。

攻撃力と防御力が天子……いや、天人全般か?は振り切れているのだ。

だが、このぐらいなら――

 

「流石に俺をなめすぎじゃねえかな!」

 

天子の腕が伸びきる前にこちらから間合いを詰めて、右手で天子の右手を斜め下に払う。

そのまま俺は体を回転させて――

 

「なっ!?乙女の胸に尻をぶつけるなっ!!」

 

「どこに乙女がいるんだよ!がっちがちじゃねえか!」

 

天子に貼山靠をぶちかます!

鉄山靠と言ったほうが通じるかもしれないな。

背中や肩で相手を吹っ飛ばしているイメージのある技だが、本来はもう少し地味でどちらかというと「崩し」の技である。

相手の体にこちらの体の一部をぶち当てて体勢を崩す技なんだ。もちろん当て方次第では吹っ飛ばせるけど、派手に吹っ飛ぶのは衝撃が運動エネルギーとして逃げているので実は下の下なんだ。

華扇ちゃんとかは吹き飛ばす時も斜め下に巻き込むようにして地面にたたきつけるように吹っ飛ばすからダメージがやばい。

 

で、まあ天子との身長差もあって尻を天子の胸板にぶつけるような形になったわけだ。

……いや、別に天子にセクハラしたいわけじゃねえが、幼女並みに胸がねえんだが……下手するとクラウンピースよりねえぞ?

とはいえ流石にガッチガチということはなく、女の子っぽい感触(でもやっぱり固めではある)ではあるが。

 

益体のないことを考えつつも鍛錬通りに体は動く。

手を払われて胸を回転されながら押された天子は斜め下に向かって重心が崩れている。

俺は左手で右手をでこぴんの要領で引き絞って、前に重心の崩れた天子にカウンターのように叩き込み、後方に吹き飛ばす。

 

さらに!

 

「オンバシラ!」

 

天子の真後ろにオンバシラを出現させ――

 

「もういっっちょおー!」

 

「うぐっ!」

 

崩拳でオンバシラと挟み込んで――

 

「仙気……発勁!!」

 

発勁も超常的な技ではなく「当ててから体重移動などにより内部に打撃を叩きこむ」技で、意外に簡単にできる。

もっとも今回は超常的な仙気も一緒にぶち込んでいるが。

 

 

 

ビシッ!!

 

 

 

天子の背後のオンバシラにひびが入る。

天子は「うおぇぇぇっ!」と間違えても女の子が出してはいけないうめき声をあげている(吐いてはいない)が――

 

「うぉぉぉぉっ……気持ち悪いっ!」

 

「うおっと!」

 

武術的な動きではなく「あっちいけ」的な適当に手をぶん回す動き、慌てて後ろに飛び退り間合いを取る。

ぶん回した手がオンバシラにぶちあたると、オンバシラが爆発したように飛び散って崩れ去る。

罅入ってたとはいえ相変わらずやべー力してるな!?

 

「あー、気持ち悪かった。ちょっと!お昼ごはん出たらどうするつもりよ!」

 

「いや、まあ天子がこれで仕留められるとは思ってはいなかったけどよ……」

 

ちなみにこの仙気発勁、中妖ぐらいでも爆散して死ぬ。

俺は一応人間なので仙気をためるのに結構時間(というか月単位)必要だから滅多に使いはしないのだが――

 

しかしそんなのを食らっても「ゲロ吐きそう」レベルで済む天子はどんだけなんだよと少しぼやきたくはなる。

 

「この程度で私をしとめるつもりだったの?言っておくけどダメージってほどのものはないよ?」

 

「重々承知だ!もういっちょ行くぞ!ふっふっふっ!せいりゃ――ぐわっ!?」

 

「弱い!そして脆いわね!」

 

肘うち、追い突き、通天砲、虎殴子のコンビネーションに、普通に頭突きで割り込んできやがった!

軽量級相手ならほぼほぼ確定で決まる連携だが、天子は殴られながらも何の痛痒も感じない動きで頭を差しだしてきた。

……頭蓋ってのは相当硬くて、特に技のでかかりなど威力の乗ってないときに叩いてしまうと自分のほうがダメージを受けるのだ。

 

「そろそろ私も仕返しするよ!」

 

今度は天子からのラッシュ、天子は小憎らしいが美少女ではあると認めよう。

――だが動きが獣じみている。

 

ただただフィジカルの強さを生かした大振り、大薙ぎ。

一瞬四つん這いになったかのように地面に手をついての地を這う水面蹴り。隙が大きいそれを回避して踏み込もうとした矢先――!

 

 

 

どむっ!

 

 

 

「ぐっ……!真空片手駒かよ!?」

 

俺が踏み込んだのを見て取った瞬間、天子は逆側の手を地面につけてそこを支点にさらに回転、踏み込んだ俺は見事に迎撃されてしまう。

天子の繰り出す技は武術の様に体系立てられていない。

その時、その場で本能的に技を繰り出してくるので対処が難しく、また隙を狙っても超反応で迎撃されてしまうことも多い。

わかってはいたがひたすら厄介だな!

 

吹っ飛んでたたらを踏んだ更に追いすがって殴る蹴る。喧嘩殺法というか、雑な戦い方だが反撃の暇がねえ!

 

「思ったより効いてない!?なにか仕込んでるね!」

 

「目ざといな!天子!」

 

今日の俺の姿は真っ黒の道服だが、これは闇を物質化するまで濃縮した闇の衣である。

維持にコストのかかるタイプなので面倒なのだがルーミアの能力でかなり省エネで使えるので決戦用魔法としては破格の使い心地だ、精神耐性がかなり下がるのと生命力を奪われる感じで呪われるという欠点と、閃光系魔法などではがされてしまうという弱点はあるが、閃光系はめったなことでは見ないし、光の玉なんか持ってるやつにもであったことはねえしな。

 

重さは無きに等しいが防御力で言えば鉄の鎧以上にあると思う、あと冷気や暗黒魔法、邪気などに非常に強い耐性がある。

 

「なら壊れるまで叩けばいいよね!」

 

「脳筋な解決方法っ!?」

 

天子のラッシュが続いて体勢を立て直す暇がねえ、アレだ、空中コンボを延々と入れられてる感じで身動きがとれねえんだわ。

 

多少強引にでも仕切りなおす必要があるな……

 

「わが身を羽に」

 

天子の回転中段蹴りに合わせて軽量化の術をつかい、天子の想定より遠くまで吹き飛ばされる。

おかげで追撃のハイキックはすかったようだ。

 

「ふう、やっと動ける……」

 

「降参?」

 

ふぁさっとスカートをひらめかせながら(灰色のボクサーパンツ、色気がないな)余裕の表情でこちらに降参かと問いかけてくる。

 

「はっ、馬鹿いえまだやれることは山ほどあるんだぜ?」

 

俺の借りれる能力は10。まだ見せたのは神奈子ちゃんの能力だけである。

といってもルーミアの能力のようにいくつかはパッシブな能力だからそこまで引き出しが増えているわけじゃないけどな。

 

「じゃあ、見せてもらいますね!」

 

今度は天子からの仕掛け。相変わらずのテレフォンパーー

 

「うお、やべえっ!?」

 

「良くかわしました!いうだけのことはありますね!」

 

手に要石を装備?してドリルのように回転させて攻撃してきやがった。

攻撃範囲が広くなったんでかわすのがぎりぎりだった。

 

「可変合体ロボの二号機かよ!」

 

「?よくわかりませんけれど、まだまだ行きますよ!」

 

「くっそ!厄介な!」

 

相変わらずの見えている攻撃だがさっきまでとは一つ大きく違うところがある。

要石パンチがドリル状に回転している攻撃だということだ。

 

え?わかりきってるって?いやいや、多分わかっちゃいねえぞ?

回転運動の厄介なところは「巻き込む」ってとこだ。

服などの一部が触れただけで、体全体持っていかれる可能性がある。

っていうか相手が天子なら、そうだと思っていたほうが間違いないと思う。

かといってなんとか物で止めようにも、ドリルが穴あけに使われるように貫通力は非常に高い、これも悪手だ。

 

なので受けも止めもできず回避するしかないというのがひたすら厄介すぎるんだ。

まあ、といっても手の先っぽにしか要石がついてないんで天子の腕を払ったり――

 

「それはさっきやられたから覚えた!」

 

「しまっ!?」

 

捌きにいった俺の手を腕全体を内側に絞り込むようにして捌く天子。

そして回転する要石に巻き込まれ俺の左腕が千切れ飛び――

 

「はっ!死にぞこないの力ってワケ?いいね、手加減が必要なくて!」

 

そして再生した。

 

「もともと加減なんかしてねーだろーがよ、普通千切れたらどうしようもねえぞ?」

 

「それぐらいの保険はかけてくるでしょう?それに、あなた強いじゃない。幻想郷でも上から数えたほうが早いでしょ?だからいっぺんやってみたかったの」

 

驚いた。

天子の俺の評価が思った以上に高い。

俺もうすうすは「あれ?俺強いんじゃね?」と感じていたのだ、ただ身体スペックはあくまでも鍛え上げた人間レベルであっけなく死ぬ可能性はある。

だがそれも、俺が人間にこだわってるだけで、今回みたいに吸血鬼の力借りたり(レミリアさんは吸血鬼にして一緒に暮らしてもいいと言ってたが)もうすこし極めて仙人になったり、肉食って蓬莱人になったりそのた数々の方法で人間やめればたぶん俺はかなり強いとは思っている。

ただどうしても属性が偏るので今の俺みたいな万能な戦闘スタイルはできなくなるので弱くなる可能性もあるけどな。

 

あと、やってみたかったとか言いながらはにかむように笑うのはやめてくれ、なんというか、こう、毒気が抜かれる。

魔理沙と同じ残念枠だが、魔理沙のようによく知ってるわけではないから少しばかりエロスを感じてしまうぜ。

 

「さてな、ただ甘く見てると痛い目は見ると思うぜ?」

 

わりと余裕のあるような感じで返すが、あくまでもこの能力は借り物、普段からフランの力は(フランのために)借りてはいる(そのおかげで吸血鬼状態でも属性を中立にすることができるようにはなった、慣れってすげえな)が、レミリアさんの吸血鬼としての力は格が違う、フランの能力でも再生などは速やかに行われるのだが、意識してもそれが早まることはない。

だがレミリアさんから借りた場合は意識することによって瞬時に治る。

吸血鬼としての熟練度が違う感じだな。

 

で、格の高い力ってのはやっぱりお手軽に無尽蔵に使えるものじゃねえんだよな、これは借り物だからかもしれんが、俺の場合は摂取した血液量がリソース的なものになってる感じだ。

で、血を募集したんだが意外に吸える血が少ない。妖怪、妖精系はなんか薄くてあまりリソースにならず、早苗ちゃんのは猛烈な吐き気がして逆にリソースが減り、諏訪神奈コンビは俺の体が拒否反応を示した。推測だが神様系は危険だと思う。

 

……早苗ちゃんがめっちゃへこんでたので死ぬほど謝った挙句、モンブランを作ることを約束させられた、アレすっげーめんどくさいんだよな……吐いたのは何だけど俺悪くないよね?

 

結局紅魔館面子から少しづつ分けてもらった感じ(パチュリーちゃんの味がめっちゃ濃いんだけど血糖値高くない?運動しようぜ、あと人間状態のレミリアさんは吸ってるときにエロい声出すのやめてほしかった。我慢にも限度があるんだよ!)だ、あとどこからか聞きつけた輝夜ちゃん妹紅さんが執拗に吸うように言ってきたが、吸ったら蓬莱人になるだろ!いや、それが狙いなんだろうが!

 

あとは丁度悪さをしてたので魔理沙からも少しもらった。「や、優しくして」とかいうもんだから不覚にも可愛いと思って必要以上に首を舐めながら吸ってしまった。

……可愛い反応と喘ぎ声上げててもピクリとも来ないのなんでだろうな?むしろもっといぢめたくなるというか……(外道)

 

さておき金剛身は致命傷になったら発動するのでこういった手足の一本ぐらい再生できるのなら節約できるので大変お得である。

仁王様のおかげでこういったリソース管理もできてしまう。

いや本当に仁王様には世話にしかなってねーわ。また酒と肴を供えてこよう(なお寺)

 

「だんだんあったまってきたな!天子!」

 

「そう?まだまだ余裕なのですよ?もっと熱くなりたいですよ、私は!」

 

小憎らしい。

まあそれぐらい天人は基本スペックが高いんだよなあ。

 

「ウンディーネ!水精の寵愛!」

 

「えっ!ごぼっ……んんんんん!はあっ!!」

 

「やっぱ効かねえか!」

 

水牢に閉じ込めて溺死させる魔法だが、こういった魔法の弱点としてレジストされやすいってのがある。あれだ、ボスに即死無効みたいな感じで一定以上の意志力を持つ奴には割と簡単に抵抗されちまう。

 

「卑怯とは言わないけれど、つまらないことしないでほしいですね!」

 

やっぱ即死魔法はレジストされるか。だがこれは布石の一手でもある。

 

「ヴィルデフラウ!冬の抱擁」

 

「地味な嫌がらせね!」

 

「ふつう凍えて死ぬんだけどな!?」

 

濡れた服がバッキバキに凍りながらも天子はぴんぴんしている。せいぜいが多少動きづらそうなぐらいか?この後超高温にして正拳突きを叩きこんでも天子は倒せそうにねえな!

 

だが、動きにくいのは動きにくかろう!それにここまでが布石だ。

これだけ場の属性が氷に傾いているならば……!

 

「フェンの山の魔狼、神喰らいの大咢で我が敵を砕け(フェンリルクラッシュ)!」

 

大技だって使える!

 

「きゃあっ!?このおっ!」

 

「きゃあですむのかよ……!?」

 

確かにかまれたと思ったんだが、いったいどういう耐久力してるんだよ!

直後に振り払って消し飛ばしてるし。

 

「痛っ……すこし血が出たじゃないの!」

 

「あれ、神殺しだからな?神奈子ちゃんだったら嚙まれたらやばいんだぞ?」

 

大咢の大きさに比べて小さい穴がポツリと開いて血がにじんでいる……いや、なんでだよ?

 

「私、神じゃありませんし」

 

「そうといえばそうなんだけどよー」

 

確かに神特攻は付与されないけど、そもそもの攻撃が致命傷になると思うんだがな?

釈然としないものを感じながらマントラをとなえる。

 

「のうまくさまんだぼだなん・いんだらや・そわか!」

 

雷の矢が飛び当たって天子を思いっきり吹っ飛ばす。

 

「ああ、鬱陶しいですね、もう!」

 

「いや、そんなプリプリ怒るですむようなかわいい攻撃じゃねえんだけどな!?」

 

超電導レベルまで下がった抵抗に雷の矢を命中させるが鬱陶しいレベルのダメージ(入ってるのか?)のようだ。

いや、おかしい。

 

「とっておきだ!」

 

それでも一応ダメージが入ってるのならばと近頃使えるようになった、混合術をここで叩き込む。

基本術式はスターライトブレード。星の力を束ねた剣で切り裂く幻獣、亡霊、精神体等、対アストラル特攻の魔法だが……

 

「月の道には巨大な竜が住むという――北に向かいては頭があり、ラーフなりし災いあり!南に向かいては尾がありケートゥなる悪がある!」

 

「っと、何するかはわからないけど、ちょっとばかり――」

 

天子もやばさがわかるのかすごい勢いで詰めてくるが――

 

「なっ!?なんでっ!?」

 

天子はなかなか距離を縮めることができない。

そりゃあ、小細工ぐらいするさ。

 

「みあげしは 天に二つの 凶ツ星 計都悪星 羅睺災星!」

 

呪文というより詩吟のように歌い、そして更に言葉を紡ぐ。

 

「天の星 神に依り 闇となれ 凶ツ双星!」

 

そして俺は手を掲げ、締めに入る。

 

「わが手の中に 災禍の剣 闇の刃で 敵を打て!」

 

ものすごい負の力が俺をむしばもうとするが……大丈夫、うまくいっている!

 

「ディザスターブレードっ!!」

 

「ちいっ!」

 

闇の刃が天子に迫る。

どちらかといえば浄化系に近いスターライトブレードと真逆。デバフ盛り盛りで毒を受けてマヒして石化してレベルを下げられた後即死してもおかしくないレベルの攻撃だ。

 

「ああああああああっ!」

 

「くっ!これでも届かねえか!」

 

流石に焦ったのか半ば絶叫しながら、天子は呼び出した緋想の剣で受け止める。

交わった刃から呪詛が天子に向かうが――

 

「その桃飾りじゃねえのかよ!」

 

帽子の桃にはじかれてしまう。邪気払いには定評あるからな、桃は。

じゃねえよ、緋想の剣対策に邪気吸わせる予定だったのに何なんだよその帽子!?

 

「私もびっくりしてますよ!」

 

本人も知らなかったのかよ!?

 

ならばとりあえず桃を!

天子と切り結びながら術を行使する。

 

以土行克木行(どぎょうをもってもくぎょうをこくす)(かれよ)!」

 

本来木行を剋すのは金行で木行は土行に強い。

だが、こういう裏技的な術も存在し、本来の使い方ではないためバグってるのかレジストされにくいという特徴がある。

 

「桃いただき!」

 

「あっ!?もう!やめてくださいね!お気に入りの飾りだったのに!」

 

帽子の桃がしわしわになって枯れてしまう。

こんな状況でもまだ効果があるのか呪詛の利きが弱いが、それでも明らかに天子のキレが悪くなった気がする。

 

「そろそろ私も、いろいろやりますよ!」

 

そう叫びながら天子は攻撃を繰り出す。

相変わらずの力任せの攻撃だが――

 

「天啓……稲妻!」

 

「ぬおおおっ!?」

 

稲妻と一緒に襲い掛かられるのは流石に御免被る!

闇の衣で防げねえんだよその系統!

 

「ははっ、やっぱりそれ、光には弱いですか?」

 

「気質を読むって厄介だな!」

 

まあ、そのおかげで緋想の剣を通して天子にデバフが入ってるので完全に悪くもないが……いや、やっぱ厄介か!

 

「さあさあ、いつまで防げますかね!」

 

「なめんな天子!守護の法円インダラヤくわばらくわばら!」

 

くるりと回って発動!対雷の混合術、雷守護の法円、帝釈天避雷法、言霊のまとめ掛けだ!

 

「めちゃくちゃに術を混ぜても使えるんですか!?本当に面白いですよ!あなたなら私を満足させてくれそうです!」

 

天子の目はらんらんと輝き――ってアレか、勇儀ちゃんと同じタイプか?

 

「エロい意味でか!」

 

その気はないが気勢を削ぐために声を飛ばす。

 

「え?……そうですね!私に勝てたら好きにしてもいいですよ!というか勝てるほどの男なら私のほうからお願いしたいですね!」

 

――なんかぶっこまれた!?

天子とはそんな雰囲気には一ミリたりともなったことなかったろうが!?

アレか、そういうところまで勇儀ちゃんとおなじか!天人というより鬼に近くねえか?

 

軽口を叩きながらも天子の猛攻は止まらない、連撃の最中にふわっとした動きで右手から左手に緋想の剣を持ち替え、虚を突かれた。

 

「フェイント!?うわっと!?」

 

いったん受けに回ると天子の攻撃は激しい。

やっべ!雷は防いだはずなのに逆に俺が押し込まれてるじゃんかよ!

というか精神攻撃跳ね返されたのは久しぶりな気がするぞ!?

 

なんとか災禍剣で受ける、そして、次の一撃を受けようとしたとき――

 

「地震、来たれ!」

 

「ぬおっ!?ぐっ!」

 

地を揺らされ、足を取られた隙についに切られてしまう。

わかってはいたが、緋想の剣は闇の衣をやすやす切り裂くな。幻想郷でも破格のチートアイテムじゃね?と思う。

すぐに再生はするが、なかなかに苦しい状況になってきた感はあるな――このままではな。

ならばこちらもフェイントで!

 

「影舞!」

 

殺気を伴う残影によるフェイントを織り交ぜて攻撃を仕掛ける。さらに所々で小柄を投げる念の入れようだ。

直撃はしないまでもダメージを確実に重ねていけば勝機は見えてくるはず。

 

「よっ!なかなかですね!」

 

「なっ、引っかからねえのか!?」

 

軽々と……ではないが十分に安定した対処を天子はしてくる。

フェイントに引っかからないのか?

 

「マジかよ、フェイントに引っかからねえのか」

 

そうぼやいた俺のつぶやきを天子は耳ざとく拾って返事を返してくる。

 

「?どっちが攻撃してきても見てからかわせる様に動いているだけですよ」

 

「まさかの力技!?」

 

本当に何なんだこの天子の厄介さは!鍛錬を積んだ武人とは違う、純粋にスペックで強いという理不尽の権化のような存在だ。

 

「次は私の番ですね!」

 

いつの間にターン制の戦闘になったのかはわからねえけど、天子が再び襲い掛かってくる。

 

「きたれ風の牙!」

 

「今度は風か!」

 

天子の術というか特殊攻撃は自然の力を利用するものが多いのか?まあ天地人なら五行に近いものがあるのか?

どちらにせよある意味俺の上位互換なわけだ、もっとも今では俺のからめ手は多岐にわたるので完全な上位互換ではないが。

 

「揺れよ大地!」

 

先ほどと同じく俺の体捌きを封じに来た天子。おいおい、神奈子ちゃんに二度ネタしたら容赦なくつぶされるんだぜ?

薫陶を十分に受けている俺が――

 

「見逃すわけねえだろうが!、俺が立つところ即ちわが領土なり!鎮まれ!」

 

「嘘っ!?私より力が強いっ!?」

 

地震と地鎮、勝ったのは俺の地鎮のほうのようだ。

そう、滅多なことで借りない(諏訪子ちゃんには悪いけど、精霊魔法で代替できるので)が今回は諏訪子ちゃんの能力も借りてきている。

祟り神の側面からデバフも強化されるし、何よりも諏訪子ちゃんは土地神である。

自身の権能の及ぶ範囲の土地であればその力は強大だ。

もっとも俺の器ではせいぜい俺の周囲少し程度しか支配下に置けないが戦うならそれで十分だ。

もともと地震対策で借りてきた能力だしな、だが、面白い副産物もついてきた。

 

「天よ、地よ!合わさりて切り裂け!乾坤一閃!」

 

「くっ、このっ!きゃああっ!!」

 

神奈子ちゃんと諏訪子ちゃんの合体技とでも言おうか、わかりやすく言えば「術を呪いとして跳ね返して相手の動きを封じて斬撃を叩き込む」純粋戦士相手にはあまり使い道はない技だが、祟り神、土地神、戦神等々いろんな属性がうまいことかみ合って生まれた技である。ちなみに乾は天。坤は地の意である。

 

「どうする天子?もうやめとくか?」

 

致命傷には程遠いが、斬撃が命中したのは確かで、血もしぶいている。

俺としてはいくら天子とは言え女の子に血を流させるのはどうかとおもうのでこの辺りで終わりたいところだ。そんなのは初夜の時だけで十分だぜ。

 

「ぬおおおっ!?」

 

帰ってきたのは斬撃での返事。

ちょっと変な声が出るぐらい必死によける。くっそ、わからずやめ!

 

「ちっ、よけましたか!」

 

「戦意旺盛だな!」

 

「これぐらいの痛みは逆に気持ちいいものですよ!久しぶりに味わう感覚です!」

 

「天子、お前……痛いの……好きなのか?」

 

「どちらかといえば!痛みって生きてるって実感しませんか?」

 

「実感はするが好きってのは……」

 

ちょっと引いた。

戦闘狂の上にドMとか、いったいどうなってんだこの天人は……それに、戦いをやめる気配が全くねえな!?

 

「ほらほらほらほら!もっと私と闘いましょう!互いに死力を尽くしましょう!相死合ましょう!」

 

「殺意がすげえなおい!?」

 

「風刃乱舞の太刀!」

 

「くっ、強いやつが小細工すんなよな!」

 

よくある風の刃を飛ばしてくる攻撃だが、天子のラッシュに混ぜられるとさすがに対処に必死にならざるを得ない。

と、いうか緋想の剣チート過ぎねえか?あらゆる属性の攻撃できるってやばくね?

だが、押し込まれているのはある意味チャンス!

 

「左剣……ベンドバー!」

 

「なっ!?剣が曲がっ!?」

 

よっし、決まった!

物質化して先ほどからずっと剣の様に扱っていたが、本質は闇。

魔法による形状変化は結構簡単にできる。ただ、種が割れたら対処されるのでここぞというときに使いたくて温存していた、背後から肩口から背中側にかけて結構ざっくりといったようなのでこれで決まっただろう。

 

「は、はは……」

 

「天子?」

 

「あははははは!すごい痛いですよ!」

 

「まだやる気かよ!」

 

黒目の部分がめっちゃでかくなって何というかガンギマリ状態で笑いながら攻撃を続けてくる天子。

 

「そぉれぉにぃ」

 

甘さと狂気の混ざったような口調で天子が緋想の剣を――

 

「巻き落としっ!?」

 

天子が剣技を使って来るのが完全に想定外だった。

 

「あなたの見様見真似ですけどね!」

 

「猿真似にしちゃあうまいな!」

 

手首を結構ざっくり切られて再生までの一瞬にラッシュをかけられる、どうにかこうにか捌いていると天子が手を止めてうれしそうに――心底うれしそうに笑って言った。

 

「みぃつけた♪邪気退散!」

 

「なっ!しまっ!?解除おおおおっ!!」

 

天子の邪気退散を食らって猛烈な悪寒に襲われた俺は慌てて闇の衣と災禍の剣を解除した。

くっそ、緋想の剣の弱点看破はこういうのにも使えるのかよ!

 

「天邪鬼の力で呪いを反転とか、なかなかに面白いこと考えましたね」

 

「まあ、バレてりゃ世話ねえがな」

 

そう、俺が天子にそれなりに優勢に戦えていたカラクリが、猛烈な呪いを反転して強化に変えてたからだ。

術などの強化よりも強力だし、何よりもノーコストで強化されるのが大きい。

 

ちなみに正邪ちゃんとは割と仲良しである。

なんでか正邪ちゃん幻想郷中から容赦ない仕打ち受けてたんで、少なくとも俺の客人として招いているときは通常の弾幕ごっこ以上のことを禁止するというハウスルールを制定した。

違反者には何があっても料理を与えないというある意味軽くある意味重い罰則だ。

もちろん正邪ちゃんも招かれているときはいたずら以上のことは禁止している。

口が悪かったり態度が悪かったりするけども、俺的にはツンデレの範疇だとおもって遇してるぜ。

 

ちなみに正邪ちゃんの最高にかわいくて間抜けなセリフは「わ、私だって昔はかなり男を手玉に取ったもんだ!毎晩とっかえひっかえしてたんだぞ!な、なんだその目は信じてないのか!処女賭けたっていいぞ!」である。

 

っと、現実逃避しててもしょうがねえ、さてどうするか……?

 

「これで勝ち目はなくなったと思いますよね?そろそろ降参してはどうですか?」

 

「あきらめるにはまだ早ええよ」

 

「そうです……かっ!」

 

再び始まる天子のラッシュ、呪いによる強化がなくなった以上、弱体化は否めない。

が、呪いのせいで制約されていたのもまた事実。

 

「さあ、ここからは泥仕合に――」

 

「つきあいません」

 

「うおっ!?」

 

懐に飛び込んできた股に手を入れられ天子に持ち上げられて、そのまま高々と跳躍し横四方固めの様に俺をがっちりホールドしたまま落下していく。

 

「切っても突いてもなかなかしぶといので、一撃で決めますよ!」

 

「やらせるか……よっ!」

 

オンバシラを落下地点に生成して速度の乗っていない高い位置で接地させる、さらに当たると同時にオンバシラを崩してさらにダメージを軽減する。

 

「それでも痛ぇな!!」

 

半ばやけくそで叫ぶ、勝ちのビジョンはまだ見えない。

 

「流星落としが初見で防がれるなんて……」

 

「流星落としだぁ?貧乳バスターとでも名付けとけ!」

 

固めたまま落下する技ならバスターだって誰かが言ってた気がする。貧乳はひどい言いぐさかもしれんが実際胸の感触とか全く感じなかったしな!

 

「むっきー!流石におつむに来ますよ!私はスレンダーなだけです!」

 

「吠えるなよ、猿か!あとスレンダーというにはちょっと足がふとーーごぶっ」

 

「もう一回行くよーっ!ちゃんとあるって認めるまで続けるからね!」

 

すごい勢いのボディブローを叩き込まれ即座にまた担ぎ上げられた。

何度やっても同じ、そもそもバスター技は必ず破られるんだぜ?ボイルドエッグの人がそんな感じだよな?

 

「オンバシーー「天地開闢プレス!」うっそだろ!?」

 

巨大な要石をさらに上からかぶせてくるとか、もうバスターじゃねえだろ!?

いや、バスターって勝手に名付けただけだけどさ!

 

 

 

 

「がはっ!」

 

すごい衝撃はあるがダメージはない。

金剛身がはげたようだ……即死攻撃かよ。

 

「どう!ちゃんと胸あったでしょ!」

 

「気にしてんのかよ!?」

 

くっそ、天子って意外にまじめにボケてくるんでなかなかこっちもペースをつかめねえ。

 

「い、一応私も、そのね?」

 

ちょっと可愛いと思っちまった。まあ、貧乳気にする子っていいよね!

 

「なくはない……うん、まあ」

 

AAAとかの気がするがな(暴言)

 

「なまさまんだば・さらなん・けいあびもきゃ・まかはらせんだきゃなやきんじらや・さませ・さませ・まなさんっ!!」

 

「何それ?呪文?」

 

「呪文っちゃあ呪文だが……」

 

マントラついでにもういっちょだ。

 

「おん・やまざなどぅ・うぐらびりゃ・あがっしゃ・そわか!」

 

アレンジというほどではねえが「やまらじゃ」のところをやまざなどぅ(映姫ちゃん)に変えてある。

うん、やっぱりよく知った相手のほうがいいし、何より映姫ちゃんは可愛いから!(重要)

 

「よくわかりませんからいきますよ!」

 

「いや本当に猿か脳筋か!?」

 

念仏とかと無縁なのか?正直現代人なら無縁だろうが幻想郷だと宗教って結構密接だからな、聞いたことぐらい……いや流石にマントラはねえか?

 

しかし天子どうすりゃいいんだ。

一応気を使う能力での元気を集めてドーン的な技もあるんだがため時間が長すぎて使い物にならねえしな。

いや、マジであのクラスの技じゃないと天子には勝てそうにねえ。

 

「アポート、フィジカルエンチャント、インパクト」

 

連結六節棍(鋼六棍ともいう)を呼び出し補助魔法もかける。

さあて、リソースが尽きる前に何か思いつけばいいが……

 

「さあ、第二ラウンドだ」

 

「うっかり死なないようにしてくださいね」

 

 

 

 

 




天子、好きなキャラなので書いてるうちにだんだん可愛くなってくる不治の病にかかってしまった。

お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。
感想が少ないとエルデンリングやり始めます。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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天子とバトルした話その2

たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1800人を越えました
ありがとうございます。

紫陽花マン様。わざわざ10が真っ赤になるのが目標だそうなのでと☆10ありがとうございます、赤のラインまであと少し、真っ赤まで50ちょいです。ほかの皆さんも応援よろしくお願いしますね。

現在いろいろありまして投稿が遅くなっております。
書くのはやめませんので気長にお待ちください。

天子バトルようやく終わりました。
たぶん俺TUEEEEEEにも天子下げにもなっておらず、それでいてれいぱんらしい着地点に落ち着いたかなと自画自賛しております。
天子の口調は原作でも安定していないので緋想天をベースにしております。
思った以上に緋想天ではお嬢なしゃべり方です。

まだ中継場面がないので細かい疑問点出るかもですがお待ちくださいね。


誤字脱字報告者のティアール様、トリアーエズBRT2様。
今回は少なかった!やったぜ!
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

 

 

 

 

 

「くっそ、吸血ゲージがもうねえな!」

 

瞬間再生は打ち止めのようだ。もちろん特性は残っているので高速再生はするんだが、それではこころもとない。

 

あれから魔界魔法や厭勝術、遁甲陣に死霊術までありとあらゆるリソースを使って戦ったが一向に勝ち筋が見えねえ。

流石の天子でもダメージは蓄積されていると思うんだが……あと流石に服がヨレてきてなんだ……天子の癖に少しエロい。アレだ。チラリズムの妙ってやつだな、きっと。

 

……ブラいらないと思う(酷)下着と同じくほぼさらしのような灰色のスポブラ系のようだが……うん、貧しいな(哀れみ)

 

「むっきー!なんですかその目は!下着が見えていたらもっとこう、獣欲にまみれた目で見るものじゃあないんですか!」

 

「さっきから、むっきーむっきーと猿か!貧乳なのがちょっと哀れだっただけだ(暴言)、あと普通に色々見えててちょっとエロいとは思うぞ?」

 

天子の性格や言動はどうであれ可愛いものは可愛いし、エロいものはエロいのである。

あとお嬢様状態だとけっこう好みなんだぞ?畑荒すんでその分マイナス補正がかかってるだけで。

あと、ヒステリーというか山猿……天人だから天猿か?状態になるのもちょっと苦手だ。というかヒスった女性が得意な男はたぶん三千世界のどこにもいねえと思う。

 

ん、まてよ……天猿か……もしかしたら……

 

「えっ、ま、まあそういわれると……ちょっと恥ずかしいですね、見ないでください」

 

と、破れたスカートを手で押さえてもじもじする天子……急に可愛げだすんじゃねえよ!やりにくいだろ!?

 

「見てほしいのかほしくないのかどっちだよ!?ライジングオンバシラ!

 

予定のタスクをこなすため不意打ち気味に天子の足元からオンバシラを真上に突き上げるようにして出現させる。

 

「きゃっ!?っと、当たりませ――」

 

ライジングオンバシラ!ライジングオンバシラ!ライジングオンバシラ!ライジングオンバシラぁっ!!

 

よける天子をさらに追撃していく……が流石天子、ひらりひらりとちょっと太めのまぶしい太ももをちらつかせながら回避していく。

うん、健康的にエロいな!……やはり俺は煩悩があったほうが頭も体もよく動くようだ。

 

「急に元気になりましたね!あれですか?ろうそくが消える前のーー」

 

さえぎって俺は天子に少しにやけながら告げる。

 

「天子天子、柱見てみ?」

 

「なんですか、罠にかけようとでも――あなたはぁぁっ!」

 

「事実に怒るなよ、天子」

 

柱の一本に「天子貧乳 原野如平 天如不揺」と刻んである。

 

「このっ!まったく!こうして差し上げるわ!」

 

と、要石ドリルで削り、さらに新しく「天子美乳 花如芳香 空如美麗」と刻んだ。

うし、かかった!計画通り!……さすがに巨乳とか刻んだら作戦パーにしても怒涛の如く突っ込んでやろうかと思ったけど天子もそのあたりはわきまえているようで何よりだ(暴言)

 

「隙あり!土龍水龍!」

 

仕込みとして砂利を混ぜた水流を天子に向けて発射する、天子は難なくかわすが天子の刻んだ文章を名前を残して削りさる。

 

「せっかく書いたのに!」

 

「怪文章は消さねえとな!」

 

「むっきー!いい加減わたしも怒りますよ!」

 

そういって襲い掛かってくる天子。

 

「さっきから怒りっぱなしだろうが!猿みたいな声だしやがって、!猿!天子猿!いや天猿!急々如律令!」

 

もったいないと思いつつも呪符をばらまく。どのぐらいもったいないかというと、万札ばらまいてると思ってもらえばどんなもんかわかるだろうか。

 

「五行剣!神剣飛襲(ダンシングソード)!」

 

「まだ隠し玉!?本当にしぶといですね!」

 

今回は各属性の五行霊剣符と魔術のダンシングソードの組み合わせだ。

五行霊剣符は握りしめて使わないと効果が一瞬(着弾)で終わるが、この魔術と組み合わせることによりまるでサイコミュ兵器の如く飛び回って長時間攻撃できる。

 

「天猿みたいに単純な力押しできるほど強くないんでね!」

 

「あなた、普通に強いと思うのだけど?って、また猿って言った!」

 

「猿じゃねえ、天猿だ」

 

「変わらないし、蕎麦みたいで嫌なのよ!」

 

うーん、天子との会話正直結構楽しいよな。なんというか互いにボケて突っ込める感じで。

 

余裕がある会話のようだがこの最中もお互いかなりの勢いでやりあっている。

天子は着実に五行霊剣符を落として減らしていっているし、俺は追加を投げたり隙を見て殴りにいっているが、クリーンヒットは出ていない。

いや天子も相当疲れていると思うんだが本当に強いなこいつ!?

 

しかし、このままじゃあ実は俺がじり貧だ。リソースだって無限にあるわけじゃねえ、真正面から一切の補助もなしに殴り合えばせいぜい持って3分か?しかも防御に徹しての話だから勝ちはない。

 

まあ、だからこそ、俺は()()()()()()()()()わけだが。

 

「しかし、器用よねあなた。致命傷をうまく避けて高速回復で持たせてる。倒しにくくてイライラするわ」

 

「お、天猿も認める器用さか」

 

「猿じゃないって……言ってるでしょおおおおおおっ!」

 

「くうっ!」

 

斬撃からの天子の回し蹴りを何とか防いだが腕の骨がやられた。もちろん回復はしているが高速再生もだんだん速度が落ちてきた、くっそ、なんとかして大技を……早く仕掛けてこい。

相当イライラしてるっぽいからそろそろだと思うが……

 

「ああもう!いいですよ!あなたはなかなか強かったですけど、やっぱり私のほうが上みたいです」

 

「いや、ただの人間と天人比べられても困るんだが……」

 

とはいっても幻想郷はただの人間でもそこそこ強かったりするんだが。

 

「あなたみたいな人間がいますか!そもそも普通の人間は手足再生したりしませんよ!」

 

「いや、そのあたりは借りたからだが」

 

「……まずふつうは借りたりできないですよね?」

 

「いや、そういうのができるのが程度能力じゃねえの?知らんけど」

 

そう、程度能力次第ではただの人間だって(程度能力を持ってる人物をただの人間というかは少し疑問が残るが)戦力になる。咲夜ちゃんだって人間(奇しくも今回吸血することではっきり人間と分かった、正直今まで少し人外と疑ってた)なのに並の妖怪より十分強い。

ただ、咲夜ちゃんは腕力的にはちょっと鍛えてる女の子ぐらいだから武器が通じないような相手には無力だ。

せめて魔法なり仙術なり覚えていればほぼ負けることないんじゃねえかなとは思うんだが……

あとは伝説級の武器持たせるとか。このまえ竈神にもらった火之迦具土之剣とか貸したらやばいと思う。もっとも装備したら装備者までもが燃える(神ですら。というか神特攻)ので炎属性(というか最低でも無効能力)必須なんで誰も持てねえけど。

いまでは竈の燃料として竈の下に置きっぱなしなんだよな……めっちゃ重宝してる。

 

さておき程度能力には結構めちゃくちゃなものもあるし、さらに上の能力……例えば「対象を即死させる程度の能力」とか、結構雑に付与されてる程度能力のランダム性からいえばいつか発生してもおかしくないわけで、それが人間が持たないとは限らねえよな……とは思うんだ。

 

「だから俺の能力なんか大したことねえよ」

 

最後は口に出す。

天子はけむに巻かれたように……漫画なら頭上に疑問符が出てる感じだな。首を傾げて言った。

 

「理解しましたよ、多分能力じゃなくてあなたがおかしいのですね」

 

「……それに関しては、まあ、うん。そうかも」

 

返す言葉がねえな!(諦め)

ただ、正直天子もかなりエキセントリックだからな?というか、幻想郷の女の子たちの半数ぐらい割とすごい性格してると思う。でも、そういうみんなが――

 

「大好きなんだけどな?」

 

「えっ!?わたっ……私っ!?」

 

硬直してわたわたしだす天子。やだ、可愛い(呑気)

 

「違うわ!いや、まあ天子も割と面白くてかわいいとは――少し思う。だからこそここでいっぺんしつけてわからせなきゃあな!」

 

そして終わったら存分に飲み食いしようじゃないか!

 

「這いつくばって、しつけられるのはあなたですよ!」

 

突進してくる天子。この動きは……!

 

「貧乳バスター改・ペタンコプレスだな!」

 

「勝手に珍妙な名前をつけるなぁっ!?」

 

そのまま無抵抗で天子に組み敷かれる。最初の時の数倍、高々と飛び上がり……しとめる気満々だな!

ちなみに服がボロボロなので素肌やブラに接しているが……うん、まあ、ぬくやわこくはあるよ(精一杯のフォロー)

ボリュームは一切感じられねえけどちょっとたぎるものはたしかにある。

あとなんか天子の体臭?桃の甘い香りがして、なんというか……舐めたい(変態思考)

 

「無抵抗!?あきらめたのですか!そ、それとも私のおっぱいを堪能……」

 

「ないものは堪能できんわっ!(辛辣)じゃねえ、大したことねえってことだよ!天猿!」

 

「むっきーっ!ぺしゃんこになって反省しなさいっ!大盛り天地開闢プレス!!」

 

要石を呼び出してきて、これで終わらせるつもりのようだな。

 

「なんの!五行霊符!」

 

さっき飛ばして残っていた霊符を要石にぶつける。

 

「はっ!そんなちゃっちい攻撃ではびくともしませんよ!」

 

たかが石ころ一つ押し返してやる!とでも言えればいいんだが、さすがに強大だ。

もっとも、これこそが願った通りなんだがな。

 

「だろうな!」

 

うん、表面を削ることすらできやしねえ……だが()()()()()()()()()()

 

「さあこれで終わりですよ!」

 

勝利を確信して天子はドヤってるようだが……勝ち誇るのは早いぞ天子。

現在俺は横四方固めの様に抱え込まれて(天子に微妙にまさぐられてて正直起きそうで危うい)いるんだが、俺は自由な手を伸ばして……

 

 

 

 

ブチブチブチィ!!

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?」

 

 

 

 

天子の股間に手をやってパンツ越しに思いっきり陰毛をむしった。

すまんな天子……略してすまんこ(謝罪の念が見えない)

 

俺は天子が怯んだすきに、天子の拘束から逃げ出して、要石の下から天子と入れ替わるように逃れた。

 

「お前ええええええっ!流石に今のはああああっ!!」

 

天子、ガチギレである(他人事)

 

「悪いな天子!パイパンだったら俺の負けだったぜ!」

 

正直そこはある意味一番の不確定要素だった。

もっともムダ毛処理って近代の発想だから生えてるならあるとは思ってたけど、貧乳だし下のほうも成長が遅かったらどうしようという懸念はあったぜ。

 

「絶対に許しません!両側からドリルで磨り潰してあげます!」

 

そう怖いことをいって再び戦闘に入ろうとする天子。その天子に俺はアドバイスしてやる。

 

「おい、それより天子そこにいたらお前がつぶれるぞ?」

 

「言われなくても……!えっ!?」

 

「どうした天子?」

 

「うるさいですね!くっ、なんで!?」

 

「災禍の剣の時も移動できなかったろ?死神の……というか小町ちゃんの能力だぜ」

 

そう、あの時も使ってたんだが一瞬しか動きを止めれなかったんで失念してたようだな。

 

「嘘!それにしては拘束力が強すぎます!せいぜいがもって一瞬でしょう!たかが死神程度の力!」

 

天子……というか天人は死神をちょっと下に見すぎだな。小町ちゃんの力は上手に使えば最強クラスの能力なのにな。

力の差なんか()()()()()()()()()()小細工で埋まるんだし。

 

「まあ、普通ならそうだろうな……そうだな、いうならば封印術「釈迦掌」ってとこか?」

 

「なんですかそれは!?」

 

天子の問いに俺は吟ずるように呪歌で答える。

 

傲岸不遜の天猿 世界の果ての柱に名を書く。しかしてそれは釈迦の手の指なりて逃れること能わず

 

「何を言っているの!?なら要石を消しちゃえば……!」

 

六字大明呪により天猿は五行山にて……

 

「消えないっ!?なんで!?」

 

「獄につながれる!おん ま に ばど め うん!」

 

 

「ちょっ!?まって!まっ!!」

 

 

 

 

ずむううううううううんん!!

 

 

 

 

天子の上に要石が乗ったまま落下し、地響きを起こす。

土煙が晴れたとき、そこには……

 

「ちょっと何なのよこれ!?動けないんだけど!?」

 

要石から顔だけ出した天子がいた、うし、なんとかなったな!

 

「あー、即席で構築した術だけどな、見立てとかあやかりとか、伝承武器?これは伝承術か?ってやつだな」

 

「へー、そう。でも私は降参しないわよ。あなたじゃあ私を倒すには至らないだろうし、それにこれだけ強大な術。そんなに長時間持つわけでもないでしょう?ちょっとの間休憩だと思っておきますわよ」

 

と、気楽に言う天子。

確かにこれだけの術はそうそう長持ちするもんじゃねえ、天子の見立てはある意味正しい。

 

「そうだな、たった500年ぐらいだな」

 

「は?」

 

だがこの術はそもそも伝承が500年となっているので最低でも500年は持つのだ。ある意味こういうところが伝承系の恐ろしいところだな。

 

「それに……」

 

「ちょっとどこに行くんですの!?」

 

天子の視界から外れ後ろ側に回る、うん、ナイスな感じで壁尻状態だ。

その尻を撫でまわす。

 

「ひっ!?ちょっとあなた!?」

 

「天子が降参しなければ……」

 

「ひっ!ま、まさか、私を辱めるつもり……い、いいでしょう、体は好きにできても心までは屈しませんよ!さあ、やるなら一思いに!早く!」

 

と、なんか生き生きとして答える天子……やっぱりマゾっ気あるだろ天子!?

あと、絶賛生中継中だからな!?そんなことしようもんなら俺流石に複数回殺されるぞ!

現状(尻撫で)でも向こうのほうから妖気だの霊気だの神気だの漂ってきてんのに!!

 

「いや、里の男たちにこの場所教える」

 

「なっ!?」

 

「幸いこっち側は天子に見えないしな。もし、天子が今まで品行方正に生きてたんなら、誰か助けてくれるだろ(棒)」

 

外道なことを言っているが、本気でそこまでやるつもりはない。

ま、まあ里の男のふりして撫でまわしたり、さっきも言ったが舐めたい匂いがするので舐めたりはするかもしれんが……どちらにせよ、Mだしどういう反応が出るかだが……

 

「下人の男に身をゆだねるなど……!」

 

あれ?本気で嫌がってるな、ドMじゃねえのか?でも天子から降参を引き出さねえといつまでたっても終わらねえしな……

 

「もしかしたらだれか顔の知らない奴の子供とかできちゃうかもなぁ」

 

「……嫌」

 

天子の様子が……?

 

「そんなの嫌ああああぁっ!」

 

「ちょ、おい天子!?」

 

天子の声に湿っぽいものが混じったので慌てて天子の顔側に戻ると天子が涙ぐんでいた。

あー……やっちまった。

 

俺には俺の矜持がある。

だから――

 

「文ー!降参だ!俺の負け!」

 

何があろうと女の子を泣かせたら負けなんだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、美味しいですわね」

 

「おう、こんなんでよかったのか?」

 

勝者たる天子だが釈迦掌を解除したあともぐずってたので、落ち着くまでに少しの時間を要したが、いつもの調子を取り戻した。

 

で、天子からの要求は「あなたがいつも食べてるようなものを食べさせてくださいまし」とのことなので、川蟹(たぶんモクズ。鰻といい鮭といい海と川移動する生き物なのになぜか幻想郷の川にいる)のカニ玉と蟹味噌と長ネギの味噌汁。里芋のぬた(隠し味に茗荷)きゅうりとレンコンの酢の物の一汁三菜。

ちなみにほかの面子は観戦チケットに飲み物料理がついているのですでに料理が用意されていてよそで食べている。まあ、いつもの宴会コースだな。

一応天子は客だから一汁五菜で作ろうか?とも言ったんだが、本気で普段通りでいいと言ってたのでこんな感じになった。

 

「こんなんとか言ってますけど、稗田家でもこれだけ調味料使ったものはなかなか出ませんわよ?」

 

「おお、そういやそうだな」

 

たしかに稗田家で出るものは素材の風味を生かした伝統的な和食……といえば聞こえがいいが味が薄い(暴言)

まあ、仕方ないとは思うんだよな。俺は現代人基準なので物足りなく思うが、ここでは砂糖は貴重だし、酢も実はかなり貴重品だ。

酢って、カロリー源たる穀物を、嗜好品たる酒にしたうえでさらに酢に加工するので、貴重品かつ作るのがもったいないんだよな。

結果、超高級品になる。

だから転生ものとかで普通にマヨネーズとか作れるわけねえんだよ、油も卵も貴重だし。

なのに博麗神社では砂糖、塩、酢、醤油、ウスターソース、ケチャップ、マヨネーズ、味醂、ハチミツ、植物油、胡椒をはじめとする各種スパイス等大抵のものはあったりする。

 

うん、幽香さんと妖精たちにはもっと感謝しねえとな。

 

「で、天子(てんし)

 

「てんこでいいですわよ。なにか、こう、しっくりきませんから」

 

どういう風の吹きまわしだ?まあ、俺もめっちゃ違和感あったのでありがたく天子(てんこ)と呼ばせてもらおう。

 

「で、天子」

 

「なんですの?」

 

「悪かったな、その……泣かせて」

 

「ん、もう!恥ずかしいので忘れてくださいって言ったでしょう?それに実質あなたの勝ち……ん、まあ引き分けですしね」

 

「いや、どんな形であれ負けは負けだしな。お、飯がねえな?おかわりはいるか?」

 

「そうですね……半膳ほどと、お味噌汁をもうすこしいただける?」

 

「それでいいのか、天子は小食だな」

 

そういいながら追加分をよそってやる。

魔理沙とかなら山盛りにしても食うしおかずなくなったら味噌汁ぶっかけて食ったりするからな……そういえば……

 

「天子ってもっと、こう、雑だと思ってたけど、すごい奇麗に飯食うんだな?」

 

「ふえっ!?な、なにをいきなり!?」

 

「いや、なんというか……上品なお嬢様っぽい」

 

背筋伸ばして正座して食ってるんだわ。箸の使い方も上手だし、一口も小さい。

正直茶碗を口元にくっつけて箸で掻っ込むイメージあったわ……そう考えると魔理沙やばいな!(流れ弾)

 

「自分で言うのもなんですけど、一応お嬢様ですよ?これで普通に食べてる感じですよ。そりゃあ、宴会とかでは多少は雑に食べますけども……今そんなにいうほどきれいに食べてますか?」

 

「そういえばそうだったな……うん、奇麗だよ」

 

「――!ごほっ、ごほっ!失礼。ちょっとむせたわ」

 

「お、どうした?お茶いるか?」

 

「んんっ!――ふう……ええ、いただきますよ。さて、あまり勝った気はしないけれども、あなたが私を勝者というので要求をいいますね」

 

「お、おう。どんとこい」

 

あんまり無茶なのは流石に困るが、負けは負けだ。甘んじて受け入れよう。

 

「たまに遊びに来ますので、こうやって普通の食事でいいので作ってください。それとその時はこうして話し相手になってほしいです」

 

「お?そんなんでいいのか?」

 

「ええ、他所でもぜいたくはできますけど、こうやって遠慮なく話が出来て、それでいて美味しい料理ってなかなかありませんからね」

 

「そんなんでいいならいつでも来ればいいぞ、さすがに毎日とかだとちょっと困るが」

 

魔理沙とか甘い顔したら毎日来やがったからな……

 

「ええ、私もそこまで暇じゃないですから」

 

「暇すぎて異変起こしたことあるって聞いたがそれは……?」

 

「わ、若気の至りですよ!」

 

でも、見た感じ十分若い天子がそう言ってもなあ……

幻想郷の人間は本当に年齢がわからねえわ。

 

「か、かわりにだけど」

 

「ん?」

 

「畑とか、壊さないように気を付けてあげますよ」

 

そういってぷいっと横を向く天子。

少し友好度が上がった感じかな?

 

「おう、頼むな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしよう」

 

夜、一つの問題が起きた。

 

 

 

 

 

 

天子、俺の部屋で寝てるんだけど!?

 

 

 

 

 

疲れてたのかあのまま寝ちまったんだよなあ……激しく動いて汗と土にまみれたはずなのに、天子は本当にいい匂いがしてやばいんだよ!

俺は一刻も早く衣玖さんが天子を引き取りに来てくれることを願った。

 

 

 






お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。
気づくの遅れましたが龍白様。推薦ありがとうございました。

お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
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日常の一コマ

移植。
加筆修正版。
アンケート更新。

10真っ赤作戦のため再度得点つけなおしたり新規でつけてくれたライスボール様。フラレソ様。nkjなかじ様。ちりめん山椒様。フロスト282様。鳥籠のカナリア様。
☆10ありがとうございます、ちかごろペース落ちてますが頑張ります


上海人形

 

 

 

「ふんふんふーんっと、。こんなもんかな?」

 

「オマエ、ムダニキヨウダナ?」

 

魔理沙被害者の会(といってもアリスちゃんとパチュリーちゃんだけだが)と一緒に大図書館の片づけ(魔理沙が荒らしていったので)をしていたんだが、片付け時のあるある──本を読み始めてしまうという状態にアリスちゃんもパチュリーちゃんも陥ってしまったのだ。

パチュリーちゃんだけなら俺も帰ったり、逆にパチュリーちゃんを枕にしたりするんだが、アリスちゃんもいる以上流石に放置して帰るわけにもいかず、手持ち無沙汰になった俺は上海ちゃんをギブソンタックに結い上げて時間をつぶしていたのだ。

 

「おーかわいいな!」

 

自画自賛ではあるがギブソンタックは金髪にはよく似合うと思う。

上海ちゃんが綺麗系の顔なので余計に似合っている。

 

「ソ、ソウカ?」

 

「背中側がフリーになったからバックパックつけれそうだな?光の翼に挑戦してみようぜ」

 

月にあるバリア用のビームジェネレーター使えば再現できる気がするぞ。

 

「ダカラオマエハ、ナンデシャンハイヲブソウサセタガルンダ!?」

 

「いやー、メカとドールってなんかたぎるんだよなあ、それにゴリアテ化したらそのままでかくなるじゃん?めっちゃすごいことなりそうじゃね?」

 

「デカクナッテモシュツリョクカワラネーカラショボイノシカデネーゾ?ダカラケンヲツカッテルワケダシナ」

 

「あー、でかくなってもビームとかの太さ変わらねえのか……いや、八卦炉ならワンチャン!」

 

「ヤメトケ、バクハツスルミライシカミエナイ」

 

「くう、ロマンなのになあ、巨大兵器」

 

「バカジャネーノ?シャンハイニハワカラナイカンカクダナ」

 

「まあ、俺だって上海ちゃん可愛くしたいとは思うけど、俺センスねえからなあ……、パンツなら自信があるんだけど、服はなー?」

 

俺の普段着だって黒一色の道士服とか藍色の作務衣とかだしな。センスは彼岸のかなたに置いてきた感がある。

 

「パンツニジシンガアルッテイイキレルオマエ、ホントウニアタマオカシイカラナ?」

 

「そういえば今日は何はいてるんだ?またお揃いか?」

 

「アア、ゴシュジントシャンハイハイツモオソロイダ。……ミセネーゾ?」

 

「そうかー……ちょっと上海ちゃん足のメンテナンスしようか?」

 

「シネーヨバカ!?モウスコシウマイイイワケカンガエロヨ!?」

 

むう、チルノとかならあっさり騙されてくれるものを……

明らかに上海ちゃんは賢い部類に入ると思うんだよな。

もともとはアリスちゃんが動かしていたし、その分知性が高くなるとかいうことがあるのだろうか……?

 

「じゃあパチュリーちゃんのパンツ教えてあげるから教えて―」

 

「イラネーヨ!ソモソモオマエナンデアイツノパンツシッテルンダヨッ!?」

 

「?」

 

「ナンデソンナコトキクカワカラナイッテカオシテルンジャネーヨ!?オカシイダロ!?」

 

そういわれてもなんでそんなこと聞くんだろうか本気で分からん。

パチュリーちゃんはパンツの種類そんなに多く持ってないんで、今日みたいな早朝襲撃で慌てて飛び起きたときは――

 

「ちょっとくたびれてダルっとしたシルクの大きめの奴だぞ。寝るときはいつもそれだからな」

 

寝るときの締め付けは嫌いなのでこうやってお古の下着使ってるんだよな。もしくはノーパンだが(パチュリーちゃんがパンツ覗きを死守したことがあってその時ははいていなかった)え?なんで断定系か?そりゃあもちろん確認したからな!(ただの変態)

……いや、あんなに隠されるとすごいのはいているかと思うじゃん?

そしたら確認するしかないだろ?(変態の理屈)

 

流石にめっちゃ怒られたけど、その程度で済ませてくれるパチュリーちゃんはやっぱり優しいと思うんだ。

……むしろ後で知った霊夢ちゃんに滝の下に放置(強制滝行)されたほうがきつかった。

 

「サスガノオマエデモ……」

 

そういうと上海ちゃんはパチュリーちゃんの足元から中をのぞきこんで――

 

「マジジャネーカヨ!?」

 

驚愕していた。

いや、だから言ったじゃん。

 

この後かなりの押し問答をしたが上海ちゃんの鉄壁のガードは破れなかった。

 

アリスちゃんがうっかりと俺の策略に引っかかって結局パンツを御開帳してしまったがな!

相変わらずのえぐい角度のハイレグだったが色はミッドナイト色というか紫に近い濃い青で飾りもなくシンプルな作りだったが光沢があり、またシンプルな分だけアリスちゃんの体の線が出て、なんというか非常にエロスを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リグル

 

 

「なにしてんのさ?」

 

俺が怪しい作業をしていると声をかけられた。

この声は……

 

「おーリグルか、どうした?一緒に温泉でも覗きに行くか?」

 

「いかないよっ!?なんでいつもいつも男の子同士でやるようないたずらに誘うんだよ!?」

 

「またまたー、リグルだって女の子の裸に興味が出てくるころだろ?」

 

「私は女の子だっ!」

 

と、まあここぐらいまでは割とリグルにであうと毎回やってるいじりである。

リグルは賢いから「じゃあちんちんないの見せてみろよー」とか言っても引っかかってくれない。

多分チルノだったら即引っかかるのに非常に残念である。

といっても一本筋を見たところで喜ぶような神経はして……いやレミリアさんとか萃香さんのはちょっとクるものがあるけどな。

まあ、リグルは……正直魔理沙よりエロいとは思うがまだまだだとは思う。

チルノたちと遊べる時点でお子様なんだよなあ……

 

「さておきどうしたんだリグル」

 

「いや、だからお兄さんが何かしてたからまた変なことにならないか心配なんだよ」

 

リグルも言うなあ……まあ、言われてもしょうがないとは思うけどな、実績と(嫌な方向への)信頼がありまくるからな、俺!

 

「変というが基本的に俺はやばいことは自分ではしないぞ?」

 

これは本当である。

もっとも想定外に規模が大きくなったりは幻想郷ではデフォルトみたいな気もするからノーカンな!

これは俺だけではなく異変の二割ぐらいが「大丈夫大丈夫!あっやべっ(意訳)」から始まる大規模災害な点からも察してほしい。

あの白蓮ちゃんですらやらかしたからな。幻想郷のトラブル補正は相当高いと思うぞ。

 

「……でも首突っ込みはするよね?」

 

リグルはやっぱり鋭いな。

それはしょうがないだろ、だって――

 

「まあな、そのほうが楽しそうだろ?」

 

「それは否定しないけど、私たちはそこまで強くないからね?あんまり巻き込まないでほしいと思うことが結構あるんだよ」

 

「そういわれてもチルノが率先して突撃していくからなあ……もしリグルも手におえないと思ったらチルノ見捨てて安全なとこにいたほうがいいぞ」

 

「わかってるんだけどさ、友達だからね」

 

こういうところ大妖精とは別方向でいい子なんだよなあリグルは。

安全だったら割と容赦なくチルノ見捨てるけど、危険な時はちゃんと力を合わせて乗り切ろうとするんだよな。

えらい。

 

「ちょっ!?また撫でてっ!私は子供じゃないぞっ!」

 

「はっはー、チン毛が生えてからいうんだな!」

 

「チっ……!?だから私にはついてないってば!いい加減にしないと畑の作物全部虫に食べさせるよ!」

 

「マジすまん」

 

こと畑作業での有益性で言えばリグルがダントツである。さらにミツバチの巣分けなども頼っており正直リグルがへそを曲げると収穫量が半減する、どころか壊滅させることすらできるのだ。

 

「まったく、私の能力がこれじゃなかったらいつまでも反省しなかったんじゃないかって思うよ」

 

「いや、反省はするぞ?」

 

ただ、はんのうがかわいいからげんかいまでいじるだけで(反省の念が見えない)

 

「どーだか」

 

ううむ、半眼でリグルにみられることが多くなったな……

 

「ならばちゃんと女の子扱いしないとな」

 

そういって俺はリグルの肩に軽く手を置いた。

 

「えっ、ちょっと……お兄……さん?」

 

もじもじしているリグルに俺は告げた。

 

「じゃあ、まずはパンツを見せて――ボゲェッ!?」

 

「ちょっとドキドキして損したよ!」

 

リグルにノーモーションでもらった鋭いキックにさしもの俺もダメージを受ける。

なんでかしらねえけどリグルのキックはすげえ重たいんだよな……

 

悶絶している俺にリグルがいたずらな笑みを浮かべて告げる。

 

「青の格子柄だよ」

 

「えっ!?ちょっ!?リグル!?」

 

たしかにボーイッシュなリグルには似合いそうだ……

いや、まて!本当かどうか調べねばならん!

 

「じゃあね、お兄さん。もちろん見せてなんかあげないよーだ」

 

「いつの間に小悪魔ムーブを!」

 

ちゃんと女の子してるな!ちょっと可愛いと思ったぞ。

 

そうしてリグルは逃げて行ってしまった。

今度スカートでも買ってやろうかと俺は心に刻んだのだった。

 

 

 

 

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「お兄様ーっ!!」

 

「うおっと!?フランか、今日は特に元気だな?」

 

急降下ダイブというアグレッシブな抱き着き方をしてきたフランを受け止めてくるくる回って(勢いを殺すため円運動に昇華した)地面におろす。

フランはまだ体重が軽いからいいのだが、はたてちゃんとかにやられるとさすがの俺も吹っ飛ぶことがある。

まあ、それはそれで押し倒されたような格好になるのでなかなかにぬくやわこくて気持ちいいんだが……

 

一度完全に挿入ってるような体勢になったのをはたてちゃんが自撮りして記事にしたせいで大変なことになったぜ……

 

「よくわからないけど、フランが一番なんだって!」

 

「お、そうか、よくわからんがおめでとうな!」

 

何を言っているか全くよくわからないが、フランが可愛いのでめっちゃなでる。

 

「ところで一番って言ってたけど誰が言ってたんだ?」

 

こういった謎ランキングなら、出版系……文かはたてちゃん。あとは出版じゃないけど阿求ちゃんあたりか?

 

「ううん、お姉さま。でもそのあと、姉より優秀な妹なんか存在しないのよおっ!って……毎年9月ごろになるというんだけど、なんなんだろーね?」

 

「お、おう」

 

なんだろう、レミリアさん疲れてるのか?それとも9月に何かあるのか?

 

「だいたい、フランのほうが優秀なのにねー?」

 

「フラン!?」

 

毒舌!?いや無邪気なのか?どちらにせよ辛辣ではあるな。

たしかにスペックっていう点ならフランのほうが上だと思う。レミリアさんはあくまでレベルが高いだけなんだよなあ……同じレベルになったらフランのほうがわずかに強くなると俺は見ている。

だけど、レミリアさんが落ち込むからそういうこと言うのはやめて差し上げろ……!

 

そうおもいつつも「いっちばーん」とかうっきうきのフランに水をさすこともないかと思いほおずりしながら存分に甘やかす。

 

「よーし、そしたら今日はフランのお願い聞いちゃおうかなー?お祝いだぞー」

 

「ほんと!?お兄様!」

 

「おう、まあ、できる範囲でだがな」

 

紅魔館に移り住んでとかは流石に聞けないからな。

霊夢ちゃんに世話になる前だったら――とか思うが、じっさいここに世話になってなければフランとあったときにお菓子やるとかそういうよゆうはなかったろうし、紅魔館なんか一生無縁だっただろうから詮無いことだな。

 

「じゃあお泊りしたいなー」

 

「ん?お泊りか、ここに泊まるのか?」

 

「んーん」

 

「じゃ紅魔館かな?」

 

「んーん、違うよー」

 

フランの考えがわからん。

フランと仲のいいといったらあとチルノかこいしちゃんか?魔理沙とも仲良かったか?魔理沙の魔窟に泊まるとなるとガチ掃除準備しないとだな。

 

「えっとねー」

 

「おう、誰のとこだ?」

 

「人里の、山姥の店の近くに泊まれるところあるんだってー」

 

人里の……?ネムノさんの店か?そこの近く……!

 

「連れ込み宿じゃねーか!?」

 

「ん?」

 

フランが首をかしげる。

そもそもネムノさんところで飲み食いして連れ込み宿というルートをねらって、ネムノさんの店は場所を選んだからな。ラブホテル街の近くに飲食店が多いのと同じ理由だな。

 

だが待ってほしい。現代ならラブホテルを一般宿泊施設やパーティルーム代わりに使うこともあるが、この時代……というか幻想郷ではまぎれもなくヤリ部屋である。

 

そんなところに少女然としたフラン連れこもうものなら、町のうわさ独り占めである。

田舎って誰も見てないようでしっかり見られてる監視社会だからな……

俺が社会的に死んでしまう!(なおすでに瀕死)

 

「えっとフラン、そこはちょっと入りづらいんだよ」

 

「お金ないの?フランいっぱい持ってるからフラン出すよ?」

 

「やめて!」

 

少女にお金を出させて連れ込み宿に入る青年。

言葉だけで1000回死ねるわっ!!

 

「えっと、そこに入る人たちは、なんだ、その……えっちが目的なんだよ」

 

「ん?フランは構わないよ、近頃ちょっと興味出てきたし」

 

「俺がかまうの!あと順調に成長していてお兄様嬉しいけど、こんなことで実感したくなかったよ!?」

 

順調にすくすく心身共に育っててちょっとうれしいんだが……

レミリアさんにエロスを感じるならフランもともすればエロス感じてもおかしくないんだよなあ。でももうすこしピュアなお兄様でいさせてほしいと思う。

 

「でも、お兄様お願い聞いてくれるって言ったのに……」

 

しょんぼりするフラン。

くっ……だが、ここで甘やかすわけには……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

 

 

「ちわー文々。新聞ですー、ここにとんだペド野郎がいると聞いて取材に来ましたよー。オラっ!とっととあけなさい!みんな真相知りたくて私にすごい圧かけてくるんですよ!」

 

 

 

どうしてこうなった……

俺は悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー

 

 

 

「――なわけね、なるほど」

 

「いやあ、これぐらいのことはパチュリーちゃんなら知ってるんじゃないの?」

 

紅魔館の裏手でパチュリーちゃんと魔術談義。

というか珍しく俺が質問攻め……あれ?めずらしくねえな?アレだ、魔術について聞かれるのは珍しいな。

更に俺は精霊使役魔法も使うのでそれに関しては俺が幻想郷では第一人者らしい。

……俺、一般人なんだがなあ。

 

「そうでもないわよ?私の魔法は七曜だけどベースは五行だからね。四大のことは知識以上のことは知らないのよ……魔理沙が四大なのだけど、魔理沙の説明は、ほら、その……独特でしょう?」

 

「オブラートに包まなくても魔理沙語で話してくるのは俺も重々承知してるぞ」

 

召喚魔法の使い方は魔理沙語だと「きゅいーんで、ずもももってやって、ぱきーん」となるらしい。

 

まったく理解できなかった。

でもまあ、使った感覚で言えば何となくそんな感じなのが割と腹立つんだが。

 

「シルフについてはそれでいいわ、次はアンダインについて聞きたいのだけど」

 

お?

 

「アンダイン?」

 

「水の精霊のことだけど?」

 

「あれ?ウンディーネじゃねえのか?」

 

「書物の綴りはUndineだからアンダインでしょ?」

 

「いや、この綴りならウンディーネって読むんじゃねえの?」

 

あれ?どっちが正しいんだこれ?

 

「日本じゃ水の精霊っていえばウンディーネって相場が決まってたんだが……」

 

ゲームや漫画だと大抵ウンディーネだよな?

 

「そういわれてもこの綴りだとアンダインよ?」

 

パチュリーちゃんが言うならあってる気がするんだよなあ……

日本語はカタカナ語が優秀すぎてな……表音文字だからとりあえず海外の言葉でも無理やり読めて、なおかつ多少なまったりはするけど普通に日本語に混ぜて使えるからなあ……

その犠牲者がエジプトの王様なんだけどな。

 

ツタンカーメンってトゥト=アンク=アメンを英語翻訳して英語読みしたせいでまったく意味の通じない名前になっちゃったらしいからな。

さらに日本ではツタン=カーメンみたいな感じで認識されちゃって、カーメンなんとかみたいな派生存在(怪人や魔物など)まで作られちゃったりしてるんだよな。

ある意味ファラオの呪いがあるなら日本にも当たりそうな感じの故人だ。

 

「ねえ小悪魔!調べて!」

 

「流れからそういわれると思って調べてありますよー」

 

と、ぴるるるるるー☆と飛んでくる。

小悪魔ちゃん仕事は早いんだよな。でもsiriとかGoogle先生みたいな使い方は流石にどうかと思うぞ、パチュリーちゃん。

 

「で、どうなのかしら?」

 

「パチュリー様が正しいですねー、ウンディーネは独語で読んだときらしいですよ」

 

「やっぱりね、さすが私」

 

「自画自賛かよ。でもドイツ語だってのは知らなかったな、マジで日本だと普通に出るからなウンディーネって」

 

「なので以降はアンダインと読みましょうね」

 

「アンダイン……なんか言いづれえなあ」

 

「慣れじゃないの?」

 

「いや、俺って条件反射で術使えるようになるまで練習するからなあ、今からだと難しいぞ?」

 

基本魔法戦士系の戦い方(器用貧乏ともいう)だからな、俺。

 

「練習してみたら?」

 

「うーん、そは優雅なる流水の流麗なる乙女アンダイン、わが召喚に応え今ここに顕現せよ!」

 

いつもの呪文のウンディーネの部分をアンダインにして召喚してみるが……

 

「なんだこれ、慣れてないにしろものすごい「重い」ぞ!?」

 

「重い?」

 

「俺の場合召喚術は下から引っ張り出すイメージで使ってるんだが、コストが大きかったり召喚に時間かかりそうなのを重いって言ってるんだよ」

 

追加で魔力を注いで召喚陣に力を注ぎこむとようやくつながったのか小さい穴が開いてそこから声が聞こえてくる。くっそ!まだ魔力食うのか!?

 

 

ム、ニンゲンの世界!?よし、この私が存分に暴れてやろう!

俺様も行くゾッ!なんたって最強だからな!ニャハハ!

おいおいマジか。オイラたちをまとめて喚ぶって?それはさぞかしホネが折れるだろうよ。……スケルトンだけにな、

でも兄ちゃん。それだったら俺たちが折れるんじゃないのー?

大丈夫よ、私がちょっとしたコツを教えてあげるから、でもスケルトンじゃないからどうしましょうそういえばこういうのを思いついたのよ。中国の人が骨を折ってしまいました……ペキーン!……どう?

やるねおばさん。じゃあオイラもとっておきのネタを――

 

 

 

 

 

送還(アンサモン)!!」

 

 

 

 

 

俺はとっさに召喚陣を閉じた。

うん、なんだろう。喚んではいけないものを喚んでしまった気がする。

 

パチュリーちゃんをちらりと見るとこくこくうなづいている。

小悪魔ちゃんはどうも見なかったことにするらしく書庫の整理に戻って飛び去って行った。……小さめの白か……

 

「さて……ウンディーネでいいよな?」

 

「……ええ、そうね」

 

 

こうして俺は今まで通りウンディーネという名前で運用することができるようになった。

 

 

でもあれマジで何なんだろう。どれもが大妖クラスだったんだが……

 

 

 

 




むちうちがなおらない……(半年経過)


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紅魔館で執事をした話・前編

一万五千ぐらい行きそうなので分割。


たくさんの皆様。
感想どうもありがとうございます。

パンチラ登録者数が1800人を越えました
ありがとうございます。

10真っ赤作戦のため再度得点つけなおしたり新規でつけてくれた
八雲切嗣大様。熊猫 りんりん様。よつばと様。ちっく様。GAT27様。野鳥祝詞様。バイター様。Butazakana様。宇沙様。きむきむもぐら様。あらじに様。
大分赤いバーが伸びてきましたありがとうございます。

ファルトス様。
長文評価ありがとうございます。
チルノは私の一押しです。



現在いろいろありまして投稿が遅くなっております。
書くのはやめませんので気長にお待ちください。

ボイスロイドって一人かったらコンプしたくなりますよね……


誤字脱字報告者の名無しの過負荷様、ライスボール様、阿安英足様、西瓜ペシャン公様、トリアーエズBRT2様。大熊猫 りんりん様、RAYVNT様、全人類平成ガメラ見て❤様、提督様、64b様、華琳9200様、ベジタブル様、Muro.y様、ティアール様、kure様、monkey様、 吉野幾望様、みおっち様。

ありがとうございます
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


「はよー」

 

「おはよ、相変わらず早いわね」

 

「もう、夜明け直前に起きるのが染みついちまったぜ」

 

早朝、起きてきた霊夢ちゃんに挨拶をする。

早いなと言われたけど、霊夢ちゃんもなかなか早い。

博麗大結界の見回りをするのが霊夢ちゃんの朝のお務めだ。尤も俺が来る前は結構放置していて紫さんが主にその任務をしていたと聞くが……まあ、何かしら目的を持ってやるべきことをやるのはいいことだと思うぞ。

 

ちなみに俺はルーミアに力を借りているのでその気になれば闇はほとんど意味をなさない。

ただ、微妙に目が疲れるので普段は日の出ている間しか行動しない。まあ、俺だけじゃなくて人里の人間も同じような行動してるから、電気って偉大なんだなと改めて実感した。

 

「霊夢ちゃんはお務め?」

 

「の前にちょっと体を清めていくわ……ありがたいといえばありがたいけど、ぬるい水でお清めになるのかしらね?……いまさらだけど」

 

「まあ、物理的にはきれいになるだろ……精神的なもんは知らんけど」

 

霊夢ちゃんが何を言っているのかというと博麗神社名物(?)ぬるいシャワーである。

沢の水を屋根の上に黒塗りした竹管を張り巡らせて河童印の熱伝導率の極限まで低い貯水槽に入れてそこから如雨露の先っぽのようなものにつないであるだけの本当に簡単な作りのものだ(この作業、オペレーション朝日ソーラの話はいつかすることがあるかもな)が真冬でもない限り水をかぶるよりましだし、真夏ならちょっと熱すぎるぐらいの温度にもなるので水で薄めたりして使うぜ。

温泉の水にしなかったのは、ちょっと匂いで癖があるからだ。

 

もともとは俺が稽古や野良仕事した後汗を流すためのもの(温泉は女子率高いので)を作りたくて作ったんだが、いつの間にやら女子連中が「温泉に入るほどじゃないけど汗はながしたい」ときに使うようになった、まあ、なので博麗神社の名物の一つなんだよな……そのせいでフルチンで移動してのシャワーを禁じられた……あの解放感は女にはわかんねえんだろうなあ。

 

基本的に女子が使うようになってから霊夢ちゃんの意向でラッキースケベは起きないように扉やら鍵やら、在室札やらで使用者がいることがわかるように設計されているが、それでも魔理沙ちゃんはずぼらな性格が災いしてやらかすんだよなあ。

 

……ちなみに俺の股間のエクスカリバーをしっかり見てた魔理沙ちゃんは割とむっつりだと思う。

まあ、俺もしっかり目に焼きつけたわけだが。

魔理沙ちゃんは名前が純日本人にもかかわらず金髪で肌も西欧人のように白い。

日本人らしいといえば、胸は……なんだ、貧しいがぽっちはきれいな薄いピンクだっだぜ。

 

「気分は楽なのよね、特に秋口とかはっと、アンタ先に使う?汚れてるでしょ?」

 

うん、こういう気遣いしてくれる霊夢ちゃん、本当に優しいなあ。

 

「ん?ああ、悪いから一緒に入るんでいいよ」

 

「そう、わかったわ――とでもいうと思ったか馬鹿ぁ!」

 

ごっ!?

 

すさまじく速い踏み込み、俺ですら見逃しちゃうね!

……いや、突っ込みいれるときの霊夢ちゃんの踏み込みと棒(お祓いに使う奴だ、もはやハリセンの代わりかというぐらい突込みに使われる)での攻撃はたぶん華扇ちゃん並に早い。

……なんでだ?いや、霊夢ちゃんも素早いことは素早いんだよ?数十cmぐらいの猶予しかない高密度の弾幕回避するんだから、でもあくまでも飛んでるときであって、地上にいる霊夢ちゃんはただの可愛い(重要)女の子なんだけどなあ……いやマジでどうなってるんだ?

 

「言っておくけど覗いたりしたら酷い目に合わせるわよ」

 

「酷いのレベル次第では覗くのもやぶさかではないっ!――うごうっ!?

 

「とりあえず去勢してもいいんだけど?」

 

足元から金玉に向かって跳ね上げるように棒で叩かれた……!

 

「こ、いた……」

 

「懲りたんならおとなしくしときなさい、いいわね?」

 

霊夢ちゃんは股間を押さえて崩れ落ちてぷるぷるしている俺に冷たく告げる。

くそう、じゃあせめて――

 

「洗濯物漁っても同じよ、わかってるわね?」

 

「……はい」

 

完全に読まれてた!

いや、別に俺も毎回漁ったりはしねえよ、ただちょっとばかりムラっと来た時につい手を伸ばしちゃったんだよ、そして霊夢ちゃんに目撃されるという痛恨のミスを犯したんだよなあ……

 

結局俺は霊夢ちゃんの後に使うことになった。

微妙に残り香がある気もしなくもない(変態)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふいー」

 

さっぱりして乾くまでシャツと猿股(男のドロワーズとでも思えばいい)でのんびりしていると……

 

「おにーさんちょっといいですか……ってなんて格好してるんですのっ!?」

 

「え、いや、まあ男だし、アレだ、パンツじゃないから恥ずかしくないぞ?」

 

「見ているわたくしがはずかしいんですの!」

 

現れた妖精メイドに物言いをつけられた。

でもドロワーズ見られたぐらいではずかしがる女の子いないよな?

……魔理沙ちゃんがいたな。魔理沙ちゃんは雑なのに妙に女の子っぽいんだよな。

 

「普通は恥ずかしがりますわよ」

 

「心を読まれた!?」

 

まさかこの妖精メイド覚の能力でも?

 

「ありませんわ、そもそもおにーさんは顔にとてもでやすいのですぐ分かりますわよ」

 

むう、霊夢ちゃんも含め結構いろんな人に言われるけど、そこまで繊細に読むほうもすげえと思うんだけどな……

 

「まあ、わかったしばしまて」

 

一瞬この格好で通そうか迷ったが、この子(たぶんいつもの妖精メイド、お嬢様っぽいのが特徴)けっこう強い(セクハラに)のでおとなしく作務衣を着こむことにした。

慧音ちゃんとか魔理沙ちゃんだと実に面白い反応してくれるんだが(変態)

 

着替えて俺は妖精メイドに問うた。

 

「で、どうした?何か用か?」

 

「はい、レミリアお嬢様がお召しですわ」

 

「お召しって、呼んでるのか?」

 

珍しいな?俺を呼びに来るのは大抵咲夜ちゃんなんだが(たまにフランが遊びに来るついでに呼んでたということもある)妖精メイドに呼ばれたことは初めてかもしれん。

 

「そうですわ。お呼びではなく、お召しというところで察してほしいのですわ」

 

「あー、うん、なるほど、すぐ行けばいいんだな?」

 

お召しというのは召喚。つまりかなり強めの言い方なのだ。

しかしこの妖精メイドはかなり賢いな?受け答えもしっかりしているしお嬢様だし(関係ない)

 

「はいですの」

 

「しかし咲夜ちゃんが来ないのって珍しいな?」

 

「はい、メイド長は現在体調不良ですの。ですから、レミリアお嬢様がお召しになったのかと思いますわ」

 

咲夜ちゃん体調不良か!?……あー、まあ、あの仕事量ならさもありなんともいえるが……

 

「すぐって本当にすぐか?ちょっと薬買ってきてもいいか?」

 

寺子屋の横の裏路地に大抵優曇華ちゃんいるからな。

薬を裏路地で売ってるのって怪しすぎるんだが、なんでも永琳ちゃんのすごさを広めたいのと、人里の役に立ちたいのと、資金を稼ぎたいのと、人外だからというのが合わさってそういう場所に落ち着いたらしい。

あと子供のほうが体調崩しやすいしな、優曇華ちゃんはいい子なんだ。

ときどきキレたりヤン入ったりして情緒不安定になるのは程度能力のせいかと思ってたら輝夜って人のせいらしい。

名前からしてかぐや姫のことなら、確かにあんまりいい性格はしてなさそうな気がするな。

 

ちなみに優曇華ちゃんの能力は俺には効かない。

正確には効いてるんだが狂気に陥るより、どちらかというと混乱状態になる。

……たとえば優曇華ちゃんをがっちりととらえて、耳と尻尾を全力でもふり倒すとかである。

え?混乱じゃなくて欲望のままに動いてるだけだろって?

 

 

 

 

 

 

そのとおりだ(威風堂々)

 

 

 

 

 

 

 

なので実質能力は効いてないということになってるんだな。……いや、ちゃんと効いてるよ?

 

「お薬なら泥棒魔女様が作ってくれましたわ」

 

「泥棒魔女って言われて魔理沙ちゃんのことだって一発でわかるのやべえな……」

 

思わず真顔になってしまう。妖精メイドにまで言われてんぞ魔理沙ちゃん……

 

「いろいろと問題はあるそうですけれどパチュリー様が「魔法の薬に関しては私より上ね」といっていましたので、お薬に関しては問題はないかと思いますの」

 

「まあ、確かにそうかもしれんが……」

 

なんだかんだいって魔理沙ちゃんは優秀だ。

そもそも異変という難事件が起きた時霊夢ちゃんのライバル(相棒ではないんだな、これが)として多大な戦果を挙げてたりもする……だが俺に極太レーザーをぶっぱなすのはやめろ、一般人なんだぞ!

 

だが、優秀なのと人間的に信用できるかはまた別なわけで――

 

「なんか変な成分入ってたりしねえか?」

 

「さすがにそこまでおふざけする方ではないと思いますけど……」

 

その認識はあまいぜ?疲労している俺に「元気になるぜ」と渡されたドリンク。飲んだら元気になった……股間が。

 

半日ぐらいかな?もうね、魔理沙ちゃんにぶっかけてやろうかと思うぐらい連続で出たぞ。

シモのことだから解決できそうなパチュリーちゃんや永琳ちゃんに相談もしづらいし、ルナチャイルドには見られた挙句「お手伝いしましょうか?」と言われて思わずうなづきかけたしさんざんな目にあったぜ。

 

もちろん報復した。

エロゲニールスライムという、なぜか鈴奈庵にあった妖魔本の召喚獣で満たされた壺に首から上だけ出して結界で閉じ込めた。

半日後霊夢ちゃんが(俺が半日だったので霊夢ちゃん公認、結界も霊夢ちゃんので、半日のお仕置きだ)「うん、さすがにアンタには見せられないわね、武士の情けよ」と言っていたので「霊夢ちゃんは巫女だから情けがなくてもいいな」と様子を見に行こうとしたところ、気が付いたら自室の布団で寝ていた。

 

 

 

 

……いったい何されたんだ俺?(戦慄)

 

 

 

 

 

でも布団に寝かせてくれる霊夢ちゃんは優しいと思う。

 

 

 

「まあ、さすがに咲夜ちゃんにご無体はしないと思うけどな、魔理沙ちゃんも世話になってるだろうし」

 

魔理沙ちゃんが紅魔館にあらわれるときは必ずしも窃盗行為をしているわけでなく、客として(フランと仲がいいし、ふつうにパチュリーちゃんともいろいろ魔女仲間として行動する)行くことも結構あるので咲夜ちゃんに不埒な真似はしないと思う。台所切り盛りしてる人間は敵に回さないほうがいいというのはよくわかってるはずだ。

()()()()()()()からな。

 

ちなみに魔理沙ちゃんの盗みは基本的に強盗である。

……いや現代社会なら窃盗より罪が重いと思うが「借りてくぜー」と宣言してそれを持ち主が静止したのを強行するので強盗となってしまうのだ。

 

人里の男から金品を盗むときは普通に窃盗だが、魔理沙ちゃん的になんかルールがあるらしいのは聞いたことがある。

エロいことされた相手か?と聞いたら「そうじゃないが、まあ、気分の悪さ的には似たようなもんだぜ」と言ってたので過去に何かあったのだろうとは思う。「慰謝料だぜ」っても言ってたしな。

まあ、魔理沙ちゃんが言わない以上わざわざ突っ込んで聞いたりはしねえけどな。

 

「そうですわね、メイド長怒らせるととても怖いんですのよ」

 

「よく知ってる。特にレミリアさん関係だと命がやばい」

 

ガチで数度殺されかけたからな。逆に本人をからかったりする分には割と寛容だ。なのでレミリアさん関係に気を付ければクール系だけど結構ドジっ子で可愛いと思うけどな。

 

「メイド長はレミリアお嬢様を少し好きすぎだと思いますの……」

 

ゲンナリとして言う妖精メイド。うん、まあ気持ちはよくわかるぞ。

 

「話を戻すが、すぐ向かえばいいんだな?」

 

「そうですわね、ただ長い逗留になるかもしれませんので、巫女さんにはお伝えしておいたほうがいいかと思いますわ」

 

「お、そうだな」

 

やっぱりこの妖精メイド賢いよな?

なんというか妖精は子供っぽい思考の持ち主が多いんだがあきらかにお姉さん系だわ。

 

「んじゃあ、ちょっと霊夢ちゃんに言って来るわ、ついでに飛行能力借りてくる」

 

「わかりましたわ。わたくしは――」

 

「先に戻って対空防御切っておくようにパチュリーちゃんに言っておいてくれ。直接紅魔館に降りるわ」

 

「わかりましたわ、ではなるべくお早めにおこしくださいませ」

 

「おう、準備してから速攻で行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでいろいろ準備をして紅魔館にたどり着いた。

霊夢ちゃんは「あら、珍しいわね、お大事にって言っておいて」と言っていたが自分でお見舞いに来るつもりはないみたいだな……まあ霊夢ちゃんが来てもどうしようもないから風邪がうつらないように来ないほうがいいとは思うし、そもそもお見舞いは本当にしんどい時にこられても困るしな。

 

外門(美鈴ちゃんのいるとこ)を飛び越して正門前へ、そこには――

 

「ようやく来たのね、レミィが待ちくたびれてるから行きましょう」

 

パチュリーちゃんが待っていた。

こういう待ち時間があったら即座に本を読みだすパチュリーちゃんが本を読まずに待ってるって結構緊急事態なのか?

 

「とりあえず、何があった?俺は咲夜ちゃんが体調崩したとしか聞いてねえんだが?」

 

「ああ、そうね。咲夜はたぶん風邪かしら?症状がそんな感じね。ただ、咲夜が体調崩すってのは私も初めて見たからレミィが不安がっているのと、妖精メイドたちの指揮系統が混乱していて家事が滞ってる感じね」

 

「なるほどな。大体理解したわ、何とかすればいいんだな?」

 

平たく言えば咲夜ちゃんが有能すぎて欠けたらがったがたになった。……悪い組織運営の見本みたいなことになってんな!?

 

「対策はあるの?」

 

「まずレミリアさんだな、主人が動揺してたら下にも広がるだろ。現に今パチュリーちゃんも割と余裕ない感じだぞ?」

 

「そ、そうかしら?私は普段と変わらない感じなんだけど……?」

 

「いや、けっこう変わってるぞ」

 

「そう……よく見てるのね」

 

「パチュリーちゃんが可愛いからいつもよく見てるぞ?次に咲夜ちゃんの世話を比較的まともかつ、ちゃんということを聞く小悪魔ちゃんにまかせたらどうだ?」

 

「そ……うね、そうすると私が不便なのだけど、さすがにこの期に及んでわがままは言ってられないしね」

 

「まあ、そのあたりは俺が何とかする。とりあえず勝手に動くわけにもいかないしレミリアさんのところへ行くか……今どこだ?」

 

「自室にいるわよ、場所は?」

 

「ん、わかるぞ。パチュリーちゃんは?」

 

「小悪魔に指示を出して……自室にいるわ。下手にうごいても私じゃ邪魔になるしね……それに私がいたらレミィは素直になれないでしょ?任せるわよ」

 

「おう。任された」

 

なんというか、こういう時パチュリーちゃんからは大人の女性の風格を感じるよな。

見た目は十分に年若いんだけどな。

あとパンツも大人だ、エロいしな!

 

 

 

 

 

 

「レミリアさんよーい」

 

ノックと同時におどけながら部屋に入る。

 

「遅いわよ」

 

「男は早いよりはいいだろ?」

 

「それで、どうにかできるかしら?」

 

……うん、結構余裕ねえ感じだな。言葉遊びがねえや。

 

「優先事項は?」

 

「……とりあえずお腹がすいた――むぐっ!?」

 

「ダイレクトで悪いが吸ってくれ」

 

レミリアさんの口に指を突っ込む。

腹減ってるとろくなこと思いつかねえからな。むしろ悪いほうにばっかりいっちまう。

雑だが、今はこれで我慢してもらおう。

 

「んっ」

 

チクリとした痛みの後ちうちうと指先を吸われる。

……なんか、めっちゃ下半身に来るな!?

くすぐったいような、まるで自分のを舐めしゃぶられているような甘い痺れを下半身に感じる。

 

今はそんな場合ではねえと、不埒な思いを振り払うようにして沈思黙考する。

要は咲夜ちゃんと同じ仕事をすればいいんだが、それは時間を止めて作業することができる咲夜ちゃんだからこそのアドバンテージだ。

本来はそういう場合はカリスマ的主人たるレミリアさんの指揮で動くべきなんだろうが、レミリアさん、意外にポンコツだ(暴言)

 

いや、お嬢様だから雑事に興味ないんだろうが、すっとんきょうな指示を出されるぐらいならおとなしくしていてもらったほうがいい。

同じ理由でパチュリーちゃんも知識だけでダメ女だ(暴言2)

いやレミリアさんよりはましだろうが絶望的に体力がない、20Mぐらい走った後フルマラソンでもしたような感じで疲労困憊してたからな……

 

フランは……まあ可愛いからな!(遠回しな暴言)

 

美鈴ちゃん……意外に使えたりしないかなあ……しねえよなあ(暴言の嵐)

 

……さて紅魔館の明日はどっちだ(混乱)

 

「ふん……いきなり突っ込むなんて嚙みちぎってもよかったのよ?」

 

血を飲み終えたレミリアさんから軽く怒られる。

でも、本当に怒ってたなら本気で噛みちぎってくるだろうし、悪くない選択だったと思うんだぜ?

なによりも二つ名であるスカーレットデビルって、あれ吸ったとき飲みきれなくてこぼしまくるかららしいので、この方法だとこぼれなくて掃除も洗濯も楽になると思うんだ。

 

「ああ、すまなかった。でも、こぼさなくていい方法だし、飲んだら落ち着いたろ?」

 

「そうね……口の中に指突っ込まれるのって結構いいわね、こう蹂躙されてる感じで」

 

「レミリアさぁん!?」

 

ときどきレミリアさんってドMじゃないかなって発言するんだけど、誘ってんの?それとも偉い人ってMがおおいってやつか?

 

「冗談よ」

 

なんだ、冗談かぁ……信用できねえ……

 

「フランは?」

 

「あの子はお菓子だから結構作り置きがあるからまだ大丈夫よ。といってもお前のことだから何かつくるのでしょうけど」

 

「おうよ、でもいったん状況落ち着いてからだがな。いつものような状態になればいいかな?まあだいぶ俺式になるけど」

 

「ええ、手段は問わないわ。そうね、咲夜と同じ立場……家令として雇うわ、期限は咲夜が回復するまで、報酬は――」

 

「いや、困ってるんなら別に金なんか要らんぞ?」

 

「それが格好いいと思っているなら愚か者ね、対価なくして働かせるのは矜持が許さなくてよ」

 

「咲夜ちゃんはともかく、妖精メイドとかに何かやってんの?」

 

咲夜ちゃんは紅魔館の財産必要ならばどれだけでも自分のものにしていいっていうのは聞いたことがある。

信頼してるのか大雑把なのかはレミリアさんしかわからねえが俺の見立てだと半々だな?

 

「庇護も十分に対価になるでしょう」

 

「あーなるほど」

 

確かに妖精メイドは野良妖精よりワンランク上な扱いはされてる気はする。するんだが……

 

……だから働き悪いんじゃね?

 

咲夜ちゃんがいうこと聞かないって言ってたけど無報酬続いたら流石にだんだん働き悪くなるんじゃねえかな?

働いても働かなくても何も変わんねえんだからさ。

 

「なら報酬は俺が選んでいい?」

 

「シルクで赤のうっすら透けたローレグよ」

 

「何の話ですかねえっ!?」

 

いやパンツのことだろうけど!!

 

「パチェがパンツの話をすれば喜ぶって言ってたから」

 

「パチュリーちゃん何言ってくれてやがんですかね!?」

 

「冗談よ……100万ほどあればいいかしら?」

 

「多いわ!?というか多すぎて逆に怖いわ!?」

 

レミリアさんの金銭感覚ぶっ飛んでるんだよなあ……

 

「多くあって困るものでないでしょう」

 

「困らねえけど、なんか違うんだよなあ……あ、そうだ」

 

「何?」

 

「レミリアお嬢様の手の甲に接吻などする栄誉を与えていただければそれで十分でございます」

 

芝居がかって大仰に一礼。

そもそも咲夜ちゃんも「レミリアお嬢様の世話をさせていただくのが一番の報酬」とか言ってたし、咲夜ちゃんの代わりなら、報酬はこんな感じでいいと思う。

それにレミリアさんたまに見せるポンコツっぽいところがすごくかわいい。

怖いところとのギャップがすごいんだよなあ。

 

「そ、そう。わかったわ。ただ私は安くないの。働きが悪ければ足にキスさせるわよ」

 

「……お任せを、お嬢様」

 

……喉元まで「レミリアさんそれ逆にご褒美です」って出かかったぜ……たぶんスカートの中とかものぞけるだろうしな。

多分金払ってでも舐めたい……おっと接吻だったな。奴が山ほどいると思うぞ?

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まずは……」

 

用意されていた執事服(なぜかサイズぴったり)に着替え、近くの妖精メイドを捕まえて尋ねる。

 

「なあ、『ですわ』ってしゃべる妖精メイドってたくさんいるか?」

 

「あ、お菓子のお兄さんだ。えっとたぶんあの子のことだと思うな。一人しかいないよ」

 

やっぱレアキャラか!

正直妖精メイドも多すぎて見分けがつかんからな、彼女にリーダーになってもらおう。

 

「悪いけど呼んできてくれるかな?」

 

「いいよー、ちょっと待っててねー」

 

ふよふよと飛び去って行く妖精を眺めながら……オーソドックスな白か……作戦を考える。

とはいっても妖精メイドは妖精なだけにむらっけがあるのが最大の欠点なのだが、仕事の遂行能力で言えばそこまで低くないと思うんだよな。

この前仲良くなった大妖精がまさにそんな感じだ。黙々と集中できるタイプなので家事の適正はすごく高い。

いろいろ教えてあげたりしたが、その学習したことをチルノが搾取していく。本人は好きでやってるんだろうが完全にチルノのお世話係になってしまってるんだよなあ……大妖精が甘やかす分俺はチルノに厳しくいこうと思う。

さしあたってはこの前食い散らかしていった分労働させるか……

 

おっと考えが明後日の方向に行ってしまった。

とにかく妖精は使いにくくはあれど無能ではないうえに数はいるからうまいことやれば十分紅魔館回せるはずだ。

そもそも、俺、家事は料理に全振りしてるから、掃除や洗濯とかは無理だしな……女性陣の洗濯物ぐらいなら洗ってみてもいいけどもな!

 

「呼んでると聞きましたがいったいなんですの?」

 

大まかに作戦を練り終わったところに丁度現れたレア妖精メイド。

とりあえず指示を告げてあとは流れで行ってみよう!

 

「おう、とりあえずですわ妖精にはリーダーになってもらっ――「ちょちょちょちょちょーっとお待ちくださいまし!」……どうした?」

 

「ですわ妖精ってわたくしのことですの!?あとリーダーって、なんでわたくしが!?」

 

「個体識別しやすかったのと料理も掃除も出来るのは知ってるしな、あと結構面倒見もいいし」

 

この妖精メイド、パンを作ってきてくれたり、チルノが散らかした後を掃除してくれたりと面倒見がいい。

しかもちゃんと説教までできるのだ。チルノに説教とか普通の妖精はできない所業だよな。

 

「そっ、そんなことはございませんが……」

 

「とりあえず紅魔館での仕事って一通りわかるか?」

 

「うっ……えっ……わ、わかりますわよ」

 

「どんな感じなんだ?割り当てとか」

 

「えっと気が向いたら気が向いた妖精が作業する感じですわね、あとはメイド長がその都度指示を出す感じですわ」

 

「無計画かつ無秩序!?」

 

「まあ、自分で言うのもなんですけれど妖精は自由な存在ですから……」

 

なるほど、これはまさに烏合の衆だな。

咲夜ちゃんがいないうちにシステムを変化させたら咲夜ちゃんが困るかと思ったが、そもそも困るようなシステムが存在してなかったわ……

 

「じゃあ、こういう感じで進めてくれ」

 

「私に務まるでしょうか……?」

 

策を授けられて不安げなですわ妖精の頭を撫でて落ち着かせる。

 

「大丈夫だ、むしろお前にしかできないぞ」

 

一応大妖精とか三月精(こいつら地味に家事が得意だ、まあ自炊生活してるからな)にもできるとは思うが部外者だしな。少なくとも紅魔館では今のところ一番頼りになる。

 

「わかりましたわ!お任せくださいまし」

 

「おう、頼んだ。流石に部屋多すぎて俺には管理しきれねえからな。俺はフランやレミリアさんの分も含めて、みんなの分の食事つくるから、そのあたりは任せておけ」

 

「わかりました、それでは」

 

「おう頑張れー」

 

ですわ妖精を見送ったあと、俺は俺のできることを始めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。

次のお話(後編書いた後)は本編。
その次はパンチラ書いた後アンケート二位のやつです。
いまだと処女賭けてもいい人ですね!(酷)
永遠亭、白玉楼ルートがなかなか開かない……

天子バトル裏側後編は中編の感想がほぼなかったのでボケの勉強しなおすため少し後回しにします。
なのでパンチラ次話は小話です。



お気に入りや評価は増えてるの見てるとエモいです。エロいじゃなくてエモいです。
モチベーションアップにご協力ください。
感想、評価、お気に入り増加等で少し早くなります。
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


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紅魔館で執事をした話・中編

まだまだ終わりそうになかったので三分割。
どうしてこうなった。

動画投稿始めました。
茶番ばかりでメインコンテンツはまだだけどな!
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UCNc_f7CNF0-do6NLPv9qD6g


ちかごろ感想成分が足りていません。もっとツッコンデ!

パンチラ登録者数が1800人を越えました
ありがとうございます。

10真っ赤作戦のため再度得点つけなおしたり新規でつけてくれた
臨界点突破デーモンコア様。火の無い灰様。式上零人様。フラレソ様。モン◦ベル男様。ミルヴィジオン様。甘楽さん様。たくみっち様。
四分の一ぐらい行きましたありがとうございます。

現在いろいろありまして投稿が遅くなっております。
書くのはやめませんので気長にお待ちください。


誤字脱字報告者のMuro.y様、ティアール様、KJA様、monkey様、緋月 朔夜様、鳥籠のカナリア様。

ありがとうございます
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

各所を回ってメイド妖精たちに挨拶をしてから調理に移る。

……食材の中にスカーレット姉妹用の明らかに人間由来のものがあったが、さすがにおいしく調理する自信がないので使わないでおく。

え?おいしく調理する自信があったら使うのかって?

うーん、多分だけど使う。さすがに味見とかしたくないがそれは咲夜ちゃんも多分してないと思うので……レミリアさんとかが横にいて逐一味見とかしてもらえるなら使うな。

 

これが腕一本とか足一本みたいな肉だったらさすがの俺も怯むと思うが、血だからまだ割り切って作業できる感じだ。

だが、血ならばどこの馬の骨ともわからん奴のを使わなくても俺の血を美味しく食べてもらえばいい(狂気の発想)

 

連日だとさすがに血が足りなくなるだろうが、初回ぐらいはすこし頑張ってみよう……長引くようならポーション的なもので回復しようと思う。

 

とは言っても博麗神社と食材のバリエーションが全然違うな。

普通にバターとかあるのはすこし感動した。米も一応置いてあるのか……

うーん、ここは洋食か……?

 

西洋料理と洋食の最大の違いは「米に合うかどうか」だと思うんだ。

西洋料理を日本人が日本人の舌に合うように作り替えたのが洋食って感じだな。

 

……まあ、日本人紅魔館に咲夜ちゃんしかいねえけど(いや、奇麗な銀髪だから咲夜ちゃんも怪しいけど、そう言ったら魔理沙ちゃんとかどうしようもないし、早苗ちゃんに至っては緑である)バリバリの和食よりは合うんじゃねえかな?

 

余談だけど幻想郷に肉じゃがはなかった。(今は俺がたまに作る)

和食の極みみたいな感じのイメージがあるが、あれも広義では洋食なんだぜ。

ビーフシチューを日本の環境で手に入る材料で作ったらああなったらしい。

上司に作れって言われた料理人よく頑張ったと思うぜ、多分食べた上司は「コレジャナイ」って思ったと思うが。

 

「少し山菜が欲しいな……」

 

肉は豊富だし、卵まであるんだが、野菜類が少ない。とくに博麗神社では当たり前のようにある山菜類が全くない。

野の味というかなんというか、ほろ苦さも味を組み立てるときには重要だ。

幻想郷は調味料の種類が少ないので山椒、山葵、鷹の爪などのスパイス。ほかにも少しの血の味とか、山菜の苦さとか、脂の甘さとか、そのあたりは意外に重要なおいしさを引き出す要素になってくる。

 

紅魔館(たまにチルノの家……家というか巣だよな、狭い空間にみっちりとがらくたが置いてある)周りにもよく来るようになったから山菜の位置は把握している。

 

「ちょっくら取ってくるか」

 

いつもの作務衣に着替えなおして、俺は外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!」

 

「あ?」

 

崖で穴を掘りつつ悪戦苦闘していると上空から呼びかけられた。

このバカっぽい声は……

 

「なにしてんだー?子分にーちゃーん!?」

 

バカである。

もとい、チルノである。

 

「自然薯掘ってるんだよ、売るわけでもねえし、そんなにいっぱいいらないから折っちゃってもいいんだが……」

 

でも、もったいねえと思う気分も大きいんだよなあ……

 

「じねんじょー?あー、ぐねぐね芋か」

 

言いえて妙だが、無知の知というか本質はついてるな。

 

旋回しながら(妖精は一直線に降りてこないのなんでだろうな?ダイブされないからいいけど)下りてきたチルノが俺の手元を覗き込みながら言う。

 

「これ、そのまま食べれていいんだけどかゆくなるんだよな、あたい魔女の箒みたいにまたがって飛んで持ってったら酷い目に合った!」

 

「特殊なプレイか!?」

 

「プレイ?」

 

「あ、いや気にすんな」

 

まあバカのやることだしな……

 

「で、子分にーちゃんはこれほしいのか?」

 

チルノが聞いてくる。

 

「おう、だから掘ってるんだが……」

 

魔法的なもんで穴掘れたりしねえかな?魔理……パチュリーちゃんとかに頼んで。

魔理沙だと消し飛ばしそうだしな!

 

というか、俺が覚えたらいいのか?

うん、余裕のある時に習ってみるか。

 

「じゃあ、ほい」

 

「うおっ!?」

 

チルノはこともなげに、氷のカッターみたいなもので周りの土ごと大きく切り出して――

 

「どーん!」

 

土を吹っ飛ばして、自然薯だけを取り出した。

 

「すげえな!流石親分!」

 

「え、えへへ、そ、そうだろ!あたいはさいきょーのおやぶんだからな!」

 

ただすごいにはすごいが……

 

「でもチルノ親分、もうやったらだめですぜ」

 

「お?なんでだー?あたいのすごいところもっと見せてやるぞ?」

 

このやり方だと来年自然薯が生えてこないし、崖も崩れる。

魔理沙ほどじゃねえが、チルノも調子に乗ると際限なくやらかすから、釘を刺して置かねえとな。

あと、すごいところをみせるとか誰かに聞かれたらまずいので言わないでほしい。(切実)

 

「ぐねぐね芋の家まで壊してしまってるんですぜ、親分」

 

「んー……そっかー、おうちがないのは嫌だよなー」

 

チルノはバカで好戦的で尊大でいたずら好きで自信過剰だが、悪い子ではない。

だから、チルノにもわかりやすく説明すると「それがダメなこと」と理解してくれる。

 

「ごめんなー、ぐねぐねいもー」と謝るチルノが可愛い。

まあ、芋に謝るところがバカなのか、子供ならではのピュアさなのかは……

 

「でもそれだと親分としてかっこいいとこ見せられないなー」

 

と、しょぼんとするチルノ。

 

「いや、謝れる親分は十分かっこいいですぜ」

 

俺はチルノを撫でながらそういった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっし、調理するか!」

 

チルノと別れ(とりあえず、持っていた飴玉全部渡した、それぐらいいい子だったと思う)自然薯そのほかの野草を引っ提げて厨房に。

 

勝手しったる他人の家。

ひとっぷろ(浴槽ではなくお湯かぶって洗っただけだが)浴びてきれいにしてからの料理だ。

なお、ラッキースケベはなかった。

 

まずは米だ。

現代と違って精米が割と適当なので糠っぽい。

これを拝むように丁寧にこすり合わせて洗うのが最上……やらねえけどな!

 

毎日毎日飯の支度するのにそんな手間かけてられっか!

指先でかき混ぜるように集めて、掌で押しながら米同士をこする様にして洗っていく。

米を研ぐっていうんだがじゃかっ、ぎゅ、じゃかっ、ぎゅって感じで俺は研いでいく。米が割れたりもするが気にしない、糠臭いよりよっぽどいいからな。

ちなみに幻想郷じゃどこも水が似たようなもんだから気にしなくていいけど、米は洗う時の最初の水を一番吸うから浄水器通した水なり、ミネラルウォーターなり使うと美味しくなるぞ。

 

米を研ぎ終わったらざるにあげておく、糠のついた水が切れたら水張った土鍋に投入だ。羽釜ではないけど、土鍋でも普通に炊けるぜ。

しばらく給水させておくんだ。

 

次にメインの一つ、オムレツの準備だ。

洋食のオムレツは箸でつまめるように中までしっかりと焼く、ふわとろオムレツとは真逆のものである。

 

具はまいたけ、たけのこ(幻想郷では年中手に入る)、すこししょっぱいぐらいに味つけして、すりおろした自然薯を入れて味を中和しつつ、どっしり感も出す。

焼くのは最後だが、何度か時間をおいて混ぜなおすことによってかなりどっしりとしたオムレツになる。

姉妹の分は小さめというか薄焼きに焼いて血のソースあたりでいいかな?

 

つぎにたんぽぽ、若くて柔らかい葉を流水でよーく洗う。

野草は基本的によく洗えよ!普通にうんこついてると思え!

 

沸騰したお湯に塩を入れてくぐらせる。殺菌とあく抜きと色止めだな。

すぐ上げて、水で締めると色が鮮やかなままだぜ。

これは水気を切ってバターソテー……ベーコン入れたいところだがねえからやはりまいたけだな。

味付けは醤油(紅魔館にあって助かった、なかったら取りに帰ろうと思ってた)だ。

 

そしてメンチカツ。

いろんな作り方があるとは思うが、要はひき肉で作ったカツレツだ。

西洋料理だと思うだろ?でもこれも洋食。日本発祥なんだ。

たぶん残ったハンバーグを揚げてみたんじゃねえかなとおもう。しらんけど、日本人ならやりそうだ。

 

ただハンバーグのように細かいひき肉だと脂が出すぎて気持ち悪い。

包丁で作れる程度の粗みじんがベストだな。具はもちろん玉ねぎ。アクセントに細かく切った人参も入れておこう、つなぎは卵と少しの自然薯だ。

パン粉は入れない派だぜ。

 

「汁物どーすっかなー、味噌汁でいいか」

 

実はスープは味噌汁が一番簡単なのだ。とりあえず味噌入れればできるからな。

幻想郷では海がないから基本は出汁なしで少し寂しい味になるがな(なのでシイタケの栽培を進めている、アレも良い出汁が出る)

ともあれインスタントの素がない幻想郷ではコンソメとか軽く死ねる。

咲夜ちゃんですら単品のスープはめったに出さず、大抵はポトフやシチューなどの煮込み料理の形で出してくる。

(クリームシチューじゃねえぞ、もっと水っぽいやつだ)

 

幸い味噌があったので悩まずには済んだが、なかったら潮汁(塩と少量の具だけでつくったスープ)になるとこだったぜ……

 

さて、米を炊こう。

炊き立てのお米を美味しいと思うのは日本人だけだったりするんだぜ?

米は少し冷めたほうが甘みが出てうまいんだよ、おひつに移したご飯がおいしいとか言われるのはそのあたりもあるんだ。あと、スプーンでも食いやすい。

 

なので早めに炊く。

 

とはいっても土鍋での米の炊き方は簡単だ。

 

「全力ファイアーっ!」

 

薪を突っ込みまくって強火で炊く。

え?はじめちょろちょろじゃねえのかって?

それは羽釜が鉄でできてるからだ。最初から強火だと底のほうが先に煮えちまうんだ。

土鍋だとじわじわあったまるんで強火でいい。

逆に火を止めるのは土鍋のほうが早めで、むらし時間を長めにとって余熱で完全に火を通すんだ。

 

土鍋炊きの、このやり方だと火の番をしなくていいんで、楽だぜ。

 

その間に厨房を片付けながら炊き上がりを待つ。

火を止めてからほかの料理の仕上げをするぐらいで程よく冷めるだろうな。

 

さあて、みんなの口にあえばいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂に皆を集めて食事の時間。

普段はバラバラに食事をしているようだが、今回は集めさせてもらった。

俺のこともみんなに話しときたかったしな。

 

あとフランにはお菓子もでてる。

 

「ーーというわけで、しばらく俺が咲夜ちゃんの代理をやることになった。つうても、咲夜ちゃんほど何でもできるわけじゃねえからそのあたりは目をつぶってくれるとありがたい」

 

「そういうわけだから、客人として扱う必要はないわ。むしろこき使ってあげなさい」

 

「お兄様紅魔館にずっといるの!?やったーっ!」

 

レミリアさんがひどいこと言う。あと、フラン。悪いがずっとはいないんだ、ごめんな。

 

「私は異論ないよ。むしろ歓迎するね」

 

「私もかまわないわよ、と、いうかあなた何やったの?妖精メイドがちゃんと仕事してるわよ」

 

「いや、普通に労働環境見直しただけだが……」

 

茶と茶菓子を一仕事した妖精メイドに与えてただけなので、そこまで何かしたつもりはない。

むしろ、ですわ妖精ががんばってくれた感じだろうな。

 

「なんにせよ、俺が最も得意とするのはやっぱり料理だからな。腕によりをかけて作ったぜ」

 

「お兄様のご飯だ!お姉さま!フラン普通のご飯嫌いだけど、お兄様のは好きなんだよ!……お米は嫌いだけど」

 

「米は一応選択制にした。パンでもなんでも好きな方食べてくれ、あとお嬢様方には特別な味の奴な」

 

ソテーは特に何もしてないが、オムレツとメンチカツにはケチャップに似せた血のソースがかかっている。

火を通すと色が悪くなるんでちょっと苦労した。おかげで少し血が足りねえ。

 

美鈴ちゃんとパチュリーちゃんにも、量はともかく見た目は似たような感じになっている

こっちは純粋にケチャップだ。中濃ソースが出来てねえんだよ……

 

「これ……たんぽぽかしら?」

 

バターソテーをフォークで指し示しながらレミリアさんが問うてくる。

 

「お、よくわかったな?」

 

「あなた……知らないのかしら?」

 

「お、な、なんだ?」

 

レミリアさんからすごい圧を感じる。

あれ?たんぽぽってもしかして吸血鬼の弱点だったりするのか!?

 

レミリアさんが言葉を続ける。

 

「たんぽぽは、にがーいし、まずーいのよ?」

 

声こそ低いけどなんかいい方可愛いな!?

 

どうもこの麗しき女吸血鬼様はたんぽぽがお気に召さないらしい。だけどよ……

 

「いや、ちゃんと若葉をあく抜きして使ったし、バターの風味で苦いってほどじゃねえはずだぞ」

 

確かに苦いは苦いがほろ苦いぐらいだ、ビールやサンマのはらわたより苦くないっていえばどのぐらい軽いかわかるかな?

もちろん味見もちゃんとしたぞ。

 

「本当にぃ?」

 

ねっとりと聞いてくるレミリアさん。

前食べたとき本当に苦かったんだろうな……

 

「完全に苦くないわけじゃねえけど――「お姉さま、これ美味しーよ!」あ」

 

揉めていると先にフランが「ひょいぱく」って感じで食べた。

うん、いい子だ、後で甘やかそう(いつも甘やかしている)

 

「……あら、本当に美味しいわね」

 

おそるおそるという感じで(ちらりとパチュリーちゃんを見てパチュリーちゃんが口に運んでうなづいたのを見てから)レミリアさんもソテーを食べる。

拍子抜けしたような声とともにおいしいとの評価。よし!

 

「たぶん育ったタンポポを使ったんじゃねえかな?タンポポに限らず野草や山菜系は育つと独特のアクが出るからな」

 

あとは硬くて食えなくなったりな!

 

そのあとは特に問題なく食事が進行した。

流石に今回は俺が給仕なので、俺は後で食うが、思った以上に美鈴ちゃんが健啖だ。

華扇ちゃんもだが、動く分よく食うのかもしれない。メンチカツ齧って白米で流し込むという体育会系の男子みたいな食い方をしている。……米足りるかな。

 

レミリアさんは相変わらず小食のようでどれも小さく作ったのだが、最後のほうは少ししんどそうだった。

血のソースを食べたときに、ぴくんと眉が跳ね上がってこっちをねめつけてきたので、頷くと。

 

「気持ちはうれしいけど、お前まで倒れたら困るのよ、今晩はちゃんと休みなさい」

 

と優しい言葉をかけてくれた。俺が無理しないようにレミリアさんが一晩中見張ってくれてもいいのよ?(言わねえけど)

 

フランは意外に食う。チルノよりは食わねえけどリグル以上には食う。

今回俺の血のソースがお気に召したらしく、パンでぬぐってまで全部食っていた。

しかも作り置きのお菓子を食べて「……おいしくない」って……やっべ、口を肥えさせちまった。

 

「今日は特別な日だから美味しいソース使ったんだ、普段は手に入らないんだ、ごめんな―」と、ごまかしてはおいたが……

あしたから少し薄めて使おう(使わない選択肢がない)

 

パチュリーちゃんは……おう、すまん。気を付けたんだがメンチの脂が重いようだ。

2個乗せてあったんだが1個は無事(?)美鈴ちゃんのお腹に消えたようだな。

やっぱりキャベツの千切りほしいよなあ……

ちなみにオムレツも半分美鈴ちゃんの――いやどんだけ食うんだよ!?

 

まあ残して廃棄されないならだれが食ってもいいとは思うがな。

パチュリーちゃんの食いかけなら俺が喜んで食ってもいいし(変態)

 

まあ、そんなこんなで夕食は無事に終わったぜ。

俺はもう一度米炊いたがな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、んっ、そう、そこっ、もっとつよく、んっ!」

 

相変わらずレミリアさんの頭を洗う行為がエロイんですが……

 

「後でヒリヒリしねえか?」

 

「すぐ再生するから問題ないのよ、だからもっとガシガシやってもいいわよ」

 

「再生って傷ついてるじゃねえか!?」

 

というわけでスカーレット姉妹とお風呂だぜ。(諦め)

今回いい具合に血が足りてないので、レミリアさんのエロ声にも甘勃ち位で済んでいる。

これなら問題ないよな!(ある)

 

これも咲夜ちゃんの仕事らしいから、しょうがないとはいえ(でもレミリアさん磨けるのは役得とは思ってしまう)フランはともかくレミリアさんは絶対自分で洗えると思うんだけどな?

 

「このぐらい傷に入らないわよ、あ、もみあげのほうもわしわしして」

 

「おう、こんな感じか?」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛いい感じぃ」

 

痒くなるならナイトキャップかぶるのやめたらいいのにと思うが、それ以上にわしわしが好きなんだろうな。

 

「お姉さまばっかりずるい―」

 

「お、そうだな。フランはどんな風に洗ってほしいんだ?」

 

丁度一区切りついたので、レミリアさんの頭を流しながらフランに問いかける。

とはいってもフランはレミリアさんみたいに変な性癖はないから安心ーー「おっぱい揉んで―」……は?」

 

「ちょっとフラン!?あなた一体!?」

 

「フラン……まず、なんでそんな言葉が出てきたかお兄様に聞かせやがってくれませんかねえ?」

 

少なくともフラン単体で出てくる言葉じゃねえんだよ、誰だ!小悪魔ちゃんか!パチュリーちゃんか!リグルもたまにいらんこと言うし……(なお、魔理沙ちゃんはピュアであるので容疑者からは外す)

 

「え、美鈴に、おっぱい大きいけどおっぱい大きくなるのどうしたらいいのー?って聞いたら、「男の人に揉んでもらうと大きくなるよ」って言ってたから」

 

「にゃろう、まだいらんこと言う奴が増えるのか」

 

「美鈴ったら……!」

 

「ほえ?」

 

きょとんとするフラン。うん、フランは悪くない、悪いのは――

 

「フラン、美鈴ちゃんに誰に揉んでもらったか、聞いてみてなー?答えるまでしつこく聞くんだぞー?」

 

「う……?うん、よくわかんないけど、わかったー」

 

悪いやつには羞恥攻めの刑である(外道)

……いや、普通に男の名前出てきたらちょっと、こう、いやな気分にはなりそうだが。

たぶんないだろうな、パチュリーちゃんと同じく耳年増なだけだろうな。

 

「じゃあ普通に洗おうなー」

 

と、ごまかすように洗い始める。

 

「うん、でも揉みたかったら揉んでいいんだよ、お兄様?」

 

「いや、まあ、もっと大人になったらな(500歳越え)」

 

「はーい」

 

「あなたたち、本当に謎の関係性ね……」

 

「まあ、俺的には妹か娘かって感じではあるな」

 

レミリアさんがぼやくが、まあしょうがない。

ルーミアともそうだが純粋な好意を寄せられると、俺はどうも父性がでてしまうらしい。

だから、大妖精とかモブイナバとかめちゃめちゃ甘やかす。

 

……だから一緒に浴槽に入っても大丈夫!大丈夫なんだ!頑張れ俺の息子!あ、いや、がんばらなくていい、ネテロ!(混乱)

 

今回はフランがおれにもたれかかる様にして浴槽に浸かっている。レミリアさんはひざ下ぐらいだ……なんか吸い付くような感触って割れ目ですかね……(戦慄)

今更だがこの姉妹成長しない(いや、してるのかもしれんが)んだから、明らかにこの浴槽設計ミスだよな?

大は小を兼ねるというけど、俺だったら姉妹用の浴槽も作ると思う。

だって100年単位だぜ?使うの。

 

しかし、ぴっちぴちのぷにっぷにでいろんな意味で気持ちいい。

性欲抜きにしてもおなかとかスリスリしたくはなるな(ズリズリではない)

 

「しかし、お前も順応早いわよね……」

 

「ん?まあ、慣れだな。そもそも幻想郷自体常識の埒外にあるからな。適応せざるを得なかっただけだろうよ」

 

「お前はどこに行っても変わらない気はするけど?まあ、お前がそういうんならそうなんでしょうね」

 

「こう見えても俺も割と繊細なんだよ」

 

だからこそ、自分のペースに回りを巻き込むような感じで生活してるわけだ。

 

「そうね、チラチラ見てるぐらいには小心者ね」

 

「うぐっ」

 

だってレミリアさんエロイんだもん!

フランと一瞬見ただけならほとんどパーツが変わらねえのに、なんだろう、このにじみ出るエロスは……

しかも隠しもしないものだからついつい、目が行ってしまうんだよ。

 

「お兄様裸みたいの?フランのどーぞっ!」

 

「体冷えるから肩までつかろうなー」

 

「はーい」

 

立ち上がろうとするフランを押しとどめる。

位置的に立たれると目の前に筋が来るので流石に危険である。

 

咲夜ちゃんがいるときはフランと二人きりでお風呂に入るんだが(ある意味これもやばいんだが、父性が勝つのか直接的な事されなければ大丈夫である)レミリアさんがいるだけでいきなりエロス空間になるの本当になんでだろうな……?

 

益体もないことを考えながら風呂から上がった。

……レミリアさん、体自分で拭いてくださいよ、なんか、こう、理性がやばい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パチュリーちゃーん、ワイン持ってきたぞー?」

 

「あらありがとう。いつもは小悪魔に頼むのだけど、いま咲夜のところにいるから」

 

「おう、さっきおかゆ渡してきたから咲夜ちゃん起きたら世話するだろ。でも、小悪魔ちゃん、なにも食ってないけど大丈夫なのか?」

 

「アレもちょっと特殊だから……食事は嗜好品だから問題ないわよ」

 

「ならいいけど」

 

パチュリーちゃんに呼び出されて(なんか、紅魔館の呼び出しベル300mほど離れてても音が聞こえてやべえ、たぶん魔法のアイテムかなんかだと思う)要件聞きに言ったら寝酒が欲しいので大図書館まで持ってきてほしいとのこと……寝落ちする未来しか見えねえんだが。

 

「しっかし……」

 

「どうしたの?」

 

「大図書館の奥まで入ったのは初めてだけど、やべえぐらい埃舞ってるじゃねえか!?」

 

特に明るいのと暗いのが混在している夜だとよくわかる。光の筋が出来てるところでめちゃくちゃよく見えるぜ。

 

「……そうかしら?」

 

「そ う だ よ(圧)パチュリーちゃんの喘息治らねえのほぼこれのせいだと思うぞ」

 

「まさか、ぜんそくは昔から持っているから違うと思うわ」

 

「たぶん、その昔もこんな書庫だったのが目に見えてるわ!……なんとかするか」

 

「なんとかって、別にわざわざしなくても私は気にしないわよ?」

 

「俺が気にすんの!時々ゼイゼイいってるパチュリーちゃん見て心配してたんだぞ?俺のわがままだと思ってちょっと手を出させてくれよ」

 

「あ……う……その、ありがとう」

 

「おう!」

 

にかっと笑ってパチュリーちゃんに聞く。

 

「常に風の流れって作れる?よわーいやつ。一方向でいいから」

 

「できるわよ。そこまで難しくないし……なんなら魔方陣か何かで永続化すればいいし」

 

「ふむ……」

 

空気の流れを作れるなら後は簡単だ。集塵装置……フィルターみたいなのを各所に配置して埃をくっつけてやればいい。静電気式と、普通の物理的なフィルターと二つ用意すればいいかな……にとりが(無慈悲、でも多分頑張って作るだろ)

俺はそれを取り付ける枠組みと、交換しやすいような仕組みを考えればいいな。

 

「おう、なんとかなるわ。最初はかなりこまめに集めた埃捨てる必要があるけど、日に日に空気も図書館もきれいになっていくはずだぜ」

 

「そう……ありがとうね」

 

「なに、可愛い子がつらそうにしてるの見るのは俺がつらいからな。ちょっとした俺のわがままだから、わがまま聞いてくれてありがとうな、パチュリーちゃん!」

 

「あなたは……ふふ、それでもありがとう」

 

「だから、空気綺麗になるまでは自分の部屋で寝たほうがいいぜ」

 

「そうね、あなたがいうならそうするわ……でも小悪魔もいないから自室にいても寂しいのよね」

 

「お、なら一緒に寝るか?」

 

そう軽口を叩くと。

 

「そうね、狭いベッドだけど、いつもくっついてるし、かまわないわよね?」

 

と、返された。

 

恥ずかしながら俺は、あてがわれた部屋に愛想笑いを浮かべながら逃げかえることしかできなかったぜ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。

次のお話(後編書いた後)は本編。
その次はパンチラ書いた後アンケート二位のやつです。
いまだと処女賭けてもいい人ですね!(酷)
永遠亭、白玉楼ルートがなかなか開かない……

天子バトル裏側後編は中編の感想がほぼなかったのでボケの勉強しなおすため少し後回しにします。
なのでパンチラ次話は小話です。

あと近頃文章が長いのでまたショートショートしますね。


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めりーくりすます(嘘)

せっかくだから、俺は季節の短編を書くぜ!

動画投稿始めました。
茶番ばかりでメインコンテンツはまだだけどな!
いちおうゲーム実況も始めました。登録者数増えるといろいろはかどります。
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UCNc_f7CNF0-do6NLPv9qD6g


パンチラの見たい宣言は感想か一言評価のところでお願いします。
メッセージ機能は男らしくないぞっ!


 

今夜はパーティだ!

……といってもクリスマスパーティではない。

 

いや、本当は早苗ちゃんがいつもの調子で「クリスマスとかしたくないですか?ほら、ケーキとか、シャンパンとか……そして夜中は……ふふっ」とか腕を組みながら言ってきたので俺もしぶしぶ(しぶしぶだよ霊夢ちゃん!)準備をしていたんだ。

 

まあ、早苗ちゃんと二人っきりでできるわけもなく、盛大にやろうかといろんなところに声をかけた結果……

 

 

 

 

 

紫さんにめっちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

なんでも、みんなして(神、鬼、妖怪、仙人、巫女etc……)「メリークリスマス」なんて叫んでようもんなら間違いなく異変クラスの何かが起きると。

最悪ヨシュアさん(本名)が現れてもおかしくないから絶対にやめろ!と紫さんにしては珍しく強い口調で怒られてしまったんだ。

 

早苗ちゃんまで正座で怒られてたのはちょっとレアかもしれん……

 

まあさすがにヨシュアさんとか出てこられても対処に困るし、なによりもレミリアさんとかがやばいかもしれん。

十字架は効かないみたいだけど、アンデッド(吸血鬼ってアンデッドでいいよな?)特攻ぐらいはもってそうだしな。

 

でももしヨシュアさんが女性になってたりしたら少し見たい気もするがな!

 

さておきメリークリスマスが言えないのでなんか別の言葉ってことで今早苗ちゃんと盛り上がる言葉を考えている。

……考えなくてもいい気がするけどな?

 

「ほら、こういう時はみんなで同じ言葉を言うと盛り上がるでしょう?だから、なにか、こう、ないんですか?」

 

「無茶ぶりにもほどがあるわっ!?素直に万歳とかでいいんじゃねえか?」

 

「なんか、物々しくないですか?万歳って」

 

「まあ、元々は皇帝とかに言う言葉らしいしなあ……めんどうだからもう、メリークリトへぶっ!?」

 

「絶対に言うと思ってましたよ!」

 

みなまで言う前に、早苗ちゃんの光輝く拳が俺に突き刺さった。

神力パンチとでもいうのか、ぽすっという軽いhit音に反してめちゃめちゃ重い……

 

「ぐうっ……肺の空気全部出たぞ、おい」

 

「すけさんが助平なこと言うからです。それに万が一・・・・・・その、アレの異常が起きたらどうするんですか!」

 

「ん?……ああ、めっちゃでかくなったり、感度3000倍になったりか?」

 

「感度3000倍とかたぶん死にますよ!?けっこうすごいんですからね、ソコの感覚!」

 

「ほう、つまり早苗ちゃんは――クリオごぶうっ!?」

 

「威力3000倍なら出来そうですけど、試してみますか?ひーとえんど♪とかいうんでしたっけ?」

 

と、俺のボディに光り輝く拳をめり込ませたまま、にっこりと笑う早苗ちゃん。

やめて!流石の俺も死んじゃう!

 

「オーケー、早苗ちゃん、ちょっと落ち着こう」

 

「誰のせいかな?」

 

まあ、俺のせいだ。流石に言及してはいけないことだよな(反省)

でも、想像するのはいいよね!(反省の念が見えない)

 

「まったく、すけさんは惜しいところでダメなんですよねー」

 

「いや、まあ、それが俺だしな」

 

エロを俺からとったら何も残らねえぞ?いや、自分で言っててなんだが。

 

「たぶんですけどー」

 

と、早苗ちゃんが「にひひっ♪」的な笑みを浮かべて俺に顔を寄せて――おっぱいが気持ちいいんだが!?――囁いてくる。

 

「今、話の転がし方次第では、えっち、できたかもしれませんよー」

 

「なっ!」

 

「でも残念♪もうそんな気はなくなっちゃいました。また次回挑戦してくださいね」

 

と、いってかぷっと耳を食んで離れていく。

早苗ちゃんはこういうやんちゃな時と普段の時のギャップが激しい。

ギャップ萌え通り越して、ちょっと押されてしまうぜ。

 

まあ、嬉しくないわけではないんで、甘んじてからかわれておくけどな!

 

早苗ちゃんが離れて行ってしまったので、引き続き俺は準備を進めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「あなた様っ」

 

背後から抱き着かれると同時に紡がれる甘い言葉。

まあ、俺をこう呼ぶのは――

 

「よう、輝夜ちゃん」

 

「輝夜でよろしいですのに……あなた様は何を?」

 

「いつも通り料理だな。つってもほとんど終わってるけどな」

 

「そうでございますか……お声掛けしていただきましたら、私もお手伝いいたしましたのに……」

 

「いや、まあ、輝夜ちゃんの手を煩わせるまでもないからな」

 

「あなた様――!」

 

まあ、「なんてお優しい!」とか感激しているところ悪いんだが、輝夜ちゃんに料理はさせたくないんだ。

食えないっていうほどじゃないんだが……こう、微妙に外してくるんだよなあ。

 

面取りとか、下茹でとか、そういう地味な作業から味付けに味醂使うか砂糖使うか、薄口使うか濃口使うか、なんか、こう、微妙にコレジャナイ感がただよう料理なんだよ。

 

「姫、はしたないですよ」

 

「お、永琳ちゃんもようこそ」

 

永琳ちゃんは外では輝夜ちゃんのことを(一応)立てて「姫」と呼ぶ。

興奮したり酒が回ると口調乱れるけどな。

永遠亭では輝夜って呼ぶから俺的には永遠亭での永琳ちゃんのほうが柔らかい感じがして好きだな。

 

「どうも、あなたは相変わらずですね。--そこがいいのですが。さて、姫ではなく私の手ならわずらわせて良いのでは?」

 

「永琳ちゃんはもっと手抜き覚えたらな?」

 

永琳ちゃん、なんでもこなすように見えて料理は下手……ではないな……なんだろう、ケミカルな感じなんだよな。

分量を全部きっちりと計って作るため、めちゃめちゃ準備に時間がかかる。

「適当」とか「丁度」がわからない感じなんだよな。

 

しかも素材って味や形に差があったりするから同じ分量で同じ時間調理しても同じにならないから、なんというか結構味に当たりはずれが出る。

ただ、調薬でなれているのか手先は器用なのでだし巻きとか薄焼き卵とか技術のいるものでも難なくこなすんだよな。

 

この才能がいかんなく発揮されるのがお菓子作りだ。

お菓子は素材に左右されることがなく(果物使うタイプのもの以外)ちゃんとしたレシピ通りに作ればいつも同じ品質のものができる。

なのでクッキーとかは永琳ちゃんのほうが俺より安定していいものを作れたりするんだ。

……でも粉とか砂糖計るとき分銅でmg単位まで図る必要ないからな?

 

「でも、分量間違えると命にかかわることもあるんですよ?」

 

「そんな劇物料理に使わねーから!?」

 

ヤバそうなものといえば魔理沙が持ってくる謎のキノコぐらいだな。

普通にマジックマッシュルーム混じってるからな。

いや、パチュリーちゃんに聞いたら「魔女は普通に色々使う」って言ってたので少し……摂取したアリスちゃんやパチュリーちゃんがどうなるか見てみたい気はするが。(魔理沙?対象外だ)

 

……一抱えもあるクソでっかい白いキノコ(オニフスベというらしい)食えたのはちょっとビビったがな。

味はまあ、埃臭いというか土の味というか……旨くはないが有毒ではなかった。

ちなみにキノコはカロリーがほぼないため、うまくなければ食う必要性は全くないことを補足しておく。

「珍しいから」という理由で持ってきた魔理沙には悪いが、二度といらん。

 

「あなた様、今日はいったいどんな催しですの?「くりすます」とか聞いたのですけれども」

 

「あー、まあ別の催しだな、事情があって」

 

クリスマス中止のお知らせって言葉は結構聞くが、まさか実際にそうなるとはな。

 

「ではいかような催しですの?」

 

輝夜ちゃんはぐいぐい来るちょっぴり残念系だけど、流石歴史に残る美人なだけあって、しぐさがいちいち様になる。

こちらをちらりと見やりながら小首をかしげるしぐさとか、唇にあてている人差し指とか、美人かつかわいいという不思議な感覚をもたらしてくる。

 

「そーだなー……」

 

クリスマスはもともと誕生日なんだっけ?なら――そうだ!

 

「幻想郷があることに感謝する催しだぜ」

 

「幻想郷があることに感謝……ですか?」

 

うん、自分で言っててしっくり来た。

顔も見たことないヨシュアさんを祝うより、この幻想郷があることを祝おう。

 

「そうだぞ、輝夜ちゃん。幻想郷はすべてを受け入れる。人も、妖怪も、神も、仏も、付喪だろうが人形だろうがぜーんぶだ。もちろん天人だって蓬莱人だって月の民だってな。そんな幻想郷があることに感謝する日があったっていいと思わねえか?」

 

「……はい!流石ですあなた様!そうですよね、幻想郷があるから私は……いえ、私たちは今ここにいるのですよね……幻想郷に、今という時間に感謝をしないといけませんわね」

 

「ふむ、あなたは時々偉くロマンチストなことがありますね。ですが――嫌いではありませんよ、その考えは」

 

「おう、ありがとな」

 

でも永琳ちゃん「ですが」で溜めないで。映姫ちゃんの説教を思い出しちゃうから!

 

「あなた様、この後は空いていますでしょうか?」

 

「ん?あー、さすがに色々やる必要あるからなー」

 

お誘いはうれしいんだ、多少押しが強いとはいえ普通に輝夜ちゃんいい子だし。

美人に好意を寄せられて嫌な気分は普通はしねえよな?

 

「左様ですか……」

 

「悪い。こんど永遠亭にお菓子持ってあそびに行くから、今日は我慢してくれないかな?」

 

「そう……ですわね、向こうでなら独り占めできますものね。わかりました、あなた様を輝夜はお待ちしておりますわね」

 

まあ、二人きりになっても輝夜ちゃんは、こじらせてる(失礼)せいか危険はないんだよな。

受け身というかなんというか、俺が手を出せば最後まで余裕でできるだろうけど、自分からはせいぜいぴっとりくっついて来たり、着物(限りなく洋服だが)をはだけてみたりとこちらを挑発するだけで襲ってはこない(だけど我慢にも限界あるからな?結構きついんだぞ?)

 

……正直妹紅さんのほうがやばい。

酔って慧音ちゃんの家でごろ寝してた時に横に慧音ちゃんがいるにもかかわらず俺のズボン下ろしてきたからな……男女逆だろ!?

 

しかも「おい、慧音ちゃんがいるんだぞ!」って言っても「大丈夫、順番にするから、次は慧音の番」とか言って――あれ?その後どうなったんだっけ?

おかしい、虫食いのように記憶がねえぞ?

 

ま、まあたぶんいたしてないと思うのでセーフだろ、うん。

 

「姫、一応私たちも同席いたしますよ?薬学についての話もしたいので」

 

私たちというのはたぶん優曇華ちゃんも含んでのことだと思う。

 

「永琳がいたら愛を語れないじゃないの、遠慮しなさい」

 

「そういう言葉は一度でも自分から誘えるようになってから言ってくださいませ、ヘタレてないで」

 

永琳ちゃん辛辣ぅ!?

 

「そんなはしたないこと……!」

 

いや、まあ、普段もわりとはしたないことしてるからね?

言わねえけど(なんだかんだ言っても役得である)

 

「まあまあ、個別に時間取るから、な?」

 

「ああ、あなた様はお優しい」

 

「それなら、まあ、いいでしょう」

 

ちなみに永琳ちゃんの友好度がわからない。

パンツ見ても怒られないけど、アクティブに見に行くと怒られる。

弓の打ち方習ってるときおっぱいとか当たりまくっても平気。

でもそれに言及すると怒られる。

 

うーん、嫌われてはないと思うけどな。

まあエロ耐性が低いのかもな?(でも過去に人外強化する精液検査するから精液出せって言われた時に、拒否したら手伝ってやるからと言われたことがある、どこまで手伝ってくれるかは拒否したので今では知るすべもないが)

 

でも、まあ、俺は割とこの主従が好きなのは間違いないんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せやあああああああああっっ!!」

 

「うお、すごい気迫だな!?」

 

こちらは生臭もの担当の調理場(精進料理場と誤混入を防ぐため分けてある)

すごい勢いで肉を叩いているのは妖夢ちゃんだ。

今回の催しの趣旨をみんなに言って回ってたところ、鍋の具材が足りないといわれて厨房に伝えに来たのだ。

 

「あ、これはお見苦しいところを、何でも屋さん」

 

「いや、いいんだけど、しらたまは?」

 

「ダメですよ!忙しいんですから!その……好きになってくれてるのはうれしいんですけど、その、動きが止まっちゃいますので」

 

と、手を止めずに返事をくれる妖夢ちゃん()

 

「お、しらたま分身か?」

 

「いえ、つながってますのでどちらかといえば変化でしょうか」

 

これは妖夢ちゃんの技の一つである「しらたま妖夢ちゃん変化の術」(俺命名)のようだ。

ちなみに色合いは違うので見分けは容易だ。あと髪の毛が短い。

どのあたりまで再現しているかしらたまを脱がせようとしたところ(強引にではない、しらたまに頼んだだけだ)気づいたら磔にされていた……妖夢ちゃんは割と容赦がないと思う。

 

あとは修行に熱心で、熱心さのあまり辻斬り行為に走ったりもする……いやなんで!?

 

ちなみに俺も何度か戦いを挑まれたが、そのたびにしらたまが裏切って妖夢ちゃんの妨害をするので俺に辻斬りはしかけてこなくなった。

一緒に修行したりはするがな。

 

「手伝うことは?」

 

「叩いた肉を肉団子にしていただけますか?」

 

「つなぎは卵でいいのか?塩だけ?」

 

「かさましのために卵でお願いします」

 

「おっけー」

 

巨大なボウルに卵を割り入れ、そしてミンチを投入して……

 

「かりそめの命を与えん!ふんっ!」

 

と紙兵を肉に張り付ける。うねうねとうごめきみずからこねられるようにまじりあっていく

 

「何やってるんですかぁっ!?」

 

「え、フレッシュゴーレムみたいなの作ったんだけど」

 

ミミズみたいな肉塊がのたうちながら、うねりそしてゆっくりと妖夢ちゃんの方へ向かっていく。

 

……やべえ、邪念はいったせいで触手ものみたいな感じになっちまう。

あれだよ、妖夢ちゃんってちょっといじめたいというかわからせたくなるんだよな、生意気とかじゃないのになんでだろうな?

 

まあ、動きも遅いし妖夢ちゃんならこれぐらい――

 

「ひいっ!?ちょっと、これなんですか、お化けですか!?不死者ですか!?やめてくださいぃぃぃぃっ!?」

 

まさかのうずくまって怯えてるんだが……ちょっと萌えた。

 

はっ、いかん、このままで妖夢ちゃんがぐっちゃんぐっちょんのぬっちゃぬっちゃにされてしまう!……見たいけど(本音)

 

「風の精よ!直径二センチぐらいに切り裂いて落とさないようにボウルに入れよ!」

 

なんか「えっ!?」という感覚が精霊から伝わってきたが多めに魔力を注いでお願いすると「もう、しょうがないなっ」という感覚とともに、きっちり仕事してくれた。

 

「ううううううううっ……」

 

「あー、妖夢ちゃん?もう大丈夫だから、げぼぉっ!?」

 

妖夢ちゃんに声を掛けたら剣の柄で思いっきりみぞおちを突かれた、やばい、しらたまにとりなしを……薄れゆく意識の中最後に見えた光景は、俺に向かって刀を振り上げるしらたま妖夢ちゃんだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、あなたはこんなところに吊るされていたわけね」

 

「あー、まあ、不幸な事故だったんだよ」

 

吊るされている間に結構な時間がたったのだろう、あちこちからにぎやかな声が聞こえてくる。

 

時折混じる「幻想郷に!」という掛け声。乾杯でもしてるのかな?

まあ、趣旨が伝わったようでいいことだな。

 

「で、どうですか紫さん?」

 

俺がそう水を向けると紫さんは、珍しく、少し戸惑ったように返事を返した。

 

「そ……う……ねぇ……?すこし、くすぐったいわね」

 

「あー、よくわからないけど紫さんが幻想郷作ったんでしたっけ?」

 

「もともと幻想郷は、そういう概念は人が「世界」を認識した時からあったのよ。私はそれを明確に区分けしただけ」

 

「じゃあ俺は紫さんに乾杯すればいいのかな?」

 

あいにく手元に酒がないので杯を掲げるしぐさだけして紫さんに笑いかける。

 

「ふふ、ダメよ、あんまり私を嬉しくさせたら」

 

「ん?恥ずかしいからか?」

 

こういう感じの紫さんが珍しく、またかわいらしく思えたのでからかうように笑いかける。

 

「違うわ。あなたを……攫って閉じ込めたくなるから……よ」

 

そういって俺の周囲に無数の隙間を開き、その無数の隙間からは謎の触手らしきものが俺を招くように揺らめいているのが見える。

 

ぎょっとして動きを止めると。

 

「でも、今はこれで我慢しておくわ」

 

と、俺の口の前にスキマが開いて……

 

ちゅっ

 

軽やかな音をたてて、そして俺が正気に返ったときにはスキマも紫さんも消えていた。

俺の唇に少しばかりの熱を残して。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、今のことについて考えを馳せたが、考えがまとまるわけもなく、ふと、さきほど紫さんがいたテーブルにのみさしの酒があることに気づく。

 

俺はおもむろに杯を掲げ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻想郷に!」

 

 

 

 

 

 

 

そして一気に杯を干した。

 

 

 

 




風邪ひいて仕事休んだのに何を書いてるんだ、ちょっと回復するとこうだから治らないんだ。
今回はスペシャルなのでまだ出番の少ない方たちに登場願いました。


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紅魔館で執事をした話・後編

動画投稿始めました。
霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!の解説動画も投稿予定です。
裏設定とか、細かい能力とか、本家と違うところとかいろいろ投稿予定です。
チャンネル登録しておくといち早く見れます
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UCNc_f7CNF0-do6NLPv9qD6g


いっぱい感想ありがとう!元気出た

パンチラ登録者数が1900人を越えました
目指せ2000人!

10真っ赤作戦のため再度得点つけなおしたり新規でつけてくれた
μηδέν様。パ行様。ぽてさら様。よもぎも様。ハッピーターンのこな様。抱月38様。霧綱様。世界は俺を愛している様。ニャルるん様。山本の家バージョン2様。
元気をくれてありがとうございます。

現在いろいろありまして投稿が遅くなっております。
書くのはやめませんので気長にお待ちください。


誤字脱字報告者のほうてぃみんMk4様、名無しの過負荷様、ティアール様、はにワ様、GameMaster様、monkey様、みりん38様、赤いペレット様。

ありがとうございます
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)


 

「よーし、それじゃあ後頼んだぞー」

 

「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」

 

三々五々散っていく妖精メイドたち。

 

朝食(といっても雑にパンケーキとクリームかシロップというお手軽なものだが)を妖精メイドたちに与え、食事中にですわ妖精にチーム分けを仕切ってもらう。

 

作業は得意な作業優先でいいことにしてオールワークスは任命しないことにした。

昨日試したが、これで結構回る。結局は指揮系統の混乱というか、指揮系統が存在しないのが問題なので、指揮しなくても動ける作業だけやってもらう。

 

妖精メイドは数だけはいるので各々が40%も働けば十分に紅魔館は維持できてしまう。

もちろん完璧な状態にはならねえかもしれないが、イベントでもなければ家なんか90%ぐらいの状態でいいんだよ。

むしろ綺麗すぎても神経使うしな。

 

「それではわたくしも失礼いたしますわね」

 

メイド長代理補佐という偉いのか偉くないのか微妙な役職を与えたですわ妖精も場を辞するようだ。

 

「おう、助かった」

 

ですわ妖精の頭を撫でて、俺は俺の作業を始める。

 

とはいっても、俺にできることなどたかが知れている。

工夫と料理だ。

 

工夫のほうはすぐに結果が出ないとは思うが(いや、メイド改革はすぐに出た気もするが)せっかくなのでいろいろ仕込んでおこう。

駄目だったら咲夜ちゃんが廃止するだろ。

 

ちなみに朝食はバラバラにとるみたいだ。

フランは割と御寝坊さんなので昼ぐらいまで(それでも吸血鬼にとっては異常な時間だが)寝てることもしばしばある。

パチュリーちゃんも言わずもがなだ。

意外にと言っては失礼だが美鈴ちゃんはめっちゃ早く、妖精メイドと同じぐらいに来てたので悪いけど一緒にパンケーキで済ませてもらった。

 

で、レミリアさんはというと――

 

 

 

 

 

 

 

 

「レミリアさん、朝ですよ」

 

「んう……」

 

肩をゆすった俺の手をしっかと抱き込むようにしてぐずる。

 

……やべえ、めっちゃかわいい。

 

じゃなくて!

 

「レミリアさーん、起きないと先っぽつまんじゃいますよー」

 

幼い容姿だが相変わらずレミリアさんはエロい。スケスケのネグリジェ着てるしな。

ぽっちもしっかり見えているのでつまむのも容易だぜ!(変態)

 

「んー」

 

かじかじと俺の腕を甘噛み?というか寝ぼけてんのか?しつつレミリアさんはまだ起きない。

さすがにそろそろつまんじゃっていいかな?と思ったときにレミリアさんが目覚めた、ちっ(なお実行した場合の命の保証はない)

 

「んう……ふぁ……あら、おはよう。美味しそうな匂いがすると思ったらお前だったのね」

 

「レミリアさんにとっちゃ俺は味噌汁とか焼き立てのトースト的な存在なのか……?っと、おはよう、レミリアさん。朝に起こしてよかったんだよな?」

 

「ええ、それであってるわ」

 

くふ、とかわいらしいあくびをして両手を俺に差し出す――ちょうど子供が抱っこをせがんでいるような感じだ。

 

「えっと……よっと」

 

レミリアさんを持ち上げ棺桶ベッドから取り出す。

抱きかかえると洋服越しでもわかるぷにっとした素晴らしい感触。

おろせばいいのか抱きかかえていればいいのか少し迷い、俺はそのまま抱っこすることにした。

理由?俺が気持ちいいからだ(変態)

 

「……おろしなさい」

 

「えー」

 

「えーじゃないわよ、こんな子供みたいに……」

 

よく見るとレミリアさんの耳が赤い、恥ずかしいのかな?

 

「高い高いとかしていいか?」

 

調子に乗って笑いながら言うと――

 

「おまえが他界他界することになってもいいならどうぞ?」

 

ひんやりする殺気とともにレミリアさんが告げる。

うん、これ以上はアカン奴だな。

名残惜しみつつレミリアさんを下ろす。降り立ったレミリアさんは何一つ恥じることがないとでもいうように身にまとっているものを脱ぎ捨てる。

 

「ふふ、なあに、その目は。いやらしい目ね。でも、みるだけ、「おあずけ」よ」

 

仕返しのつもりかねっとりとした口調でこちらに流し目をくれながらいつもの衣服に着替える。

 

「ほら、背中、羽を通して」

 

「お、おう」

 

言われるままに作業する。

フランもだけどシャツ的なものなしで直ブラウスなんだな。

 

「レミリアさん朝食はどうする?」

 

身だしなみを整えたレミリアさんに問う、レミリアさんは少し考えた後。

 

「吸ってあげましょうか?直接。それはとても気持ちいいらしいわよ?」

 

「まあ、指先だけでも結構クるもんあるしな……でもせっかくきがえたのに、服が血で汚れちまうからな。我慢する。腹減ってるなら指先からどうぞ」

 

「あら、欲望に走らないのね?」

 

「いちおう仕事だからな。それに、昨日からいろいろ高ぶってるから、情けない所見せちまうわ」

 

「くふ、吐精してしまうのかしら?確かにそれは情けないわね」

 

「しょうがないだろ。レミリアさんがいい女過ぎるんだから」

 

エロいとかそういうのもあるが、普通に美女(美幼女?)に性的刺激受けたら出てまうわ!

若い男の性欲舐めんなよ!

 

「ふふ、朝は別にいいわ。というか、私は一日一食でも平気なほどだから」

 

「本当に少食なんだな」

 

「ええ、口寂しくはあるから、紅茶と茶菓子はいつでも出せるように……あ、いや、茶菓子だけでいいわ」

 

「おう、すまねえ」

 

俺、紅茶入れるの下手なんだわ……

教わってはいるんだけどな、なんかどうしても渋いらしい。

 

「そういえば昼間って何してたらいいんだ?」

 

「そうね、とくには決まってないわよ。できることをすればいいわ」

 

「そうか、紅魔館見て回っても?」

 

「かまわないわよ、でも、呼んだらすぐに来なさい、いいわね」

 

「了解」

 

「いい子ね」

 

そういって微笑むレミリアさんに何故か年上のお姉さんを感じた(なお、実年齢)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とはいってもどうするかな」

 

一応改善点は道々洗い出してはいるんだが、逆を言えばそれぐらいしかやることがない。

それに妖精メイドがまともに稼働している今、マンパワーでどうにでもなってしまうんだよな……

 

「そうだ、咲夜ちゃんの様子見に行こう」

 

おかゆは朝一で小悪魔ちゃんに託してあるのでおやつ的なものがいいだろうか?

そういえば昨日仕込んだ大根飴(飴というが漬物だ)できてるかな?

ついでに妖精たちのおやつも準備しとくか。

 

朝出てきたばっかりの厨房に戻る。

なんだかんだで俺が一番役立てるって言ったらやっぱこれなんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、ちょっと早いか?」

 

大根飴には二種類あって、でんぷんを大根汁で糖化させた水あめタイプと、ハチミツや砂糖水で大根を漬けこんだシロップタイプがある。

今回作ったのはハチミツで漬け込んだタイプだ。

大根汁がハチミツに染み出すんだが、この汁がのどにとてもいいんだ。

あと純粋に栄養補給にもなるしな。このシロップ状の大根飴をお湯に溶かしてしょうがを少し入れると風邪にはぴったりなんだぜ。

 

とりあえず、漬け込んだ瓶ごと持って行って都度都度小悪魔ちゃんに入れてもらえばいいだろ。

その間に十分漬かるだろうし。

妖精たちのおやつは……適当で悪いがカステラでいいか?え?いつ作ったんだって?

朝食の時だよ。パンケーキと同じ材料でできるからな、カステラ。

ただふっくらさせるのに酸がいるのでほんのり柑橘風味だ。

魔理沙ちゃんがなぜかクエン酸持ってる(ポーションの材料か?)ので博麗神社ならもっと簡単に作れるんだが……

 

俺は瓶をもって咲夜ちゃんの部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜ちゃんお部屋の前だ。

ネームプレートがかかっていて、丸っこい字で「さくや」と書かれている。

……結構前から、これ、咲夜ちゃん自分で書いたのかなあと思いつつ聞くに聞けないんだよな。

なんというか聞くのが怖い、いろんな意味で。

 

っと、俺は紳士だからちゃんとノックするぜ。

ラッキースケベとかはフィクションの世界の出来事だ。実際に起きるときまずいってもんじゃねえぞ?

 

こんこんとノックすると、どうぞー、と小悪魔ちゃんの声が。

咲夜ちゃん寝てんのかな?とおもいつつドアを開けて中をみやると……

 

「えっ!?」

 

「おおっと!あなたでしたか!」

 

小悪魔ちゃんに「あーん」されている咲夜ちゃんがそこにいた。

なんだろう、めっちゃ可愛い。

 

「わ、私は自分で食べれるといったんですよ!」

 

と、わたわたして言い訳をする咲夜ちゃん、いや、別に恥ずかしいことじゃないと思うんだが……

 

「いや、別に病人なんだからいいんじゃねえか?まあ、小鳥みたいでめっちゃ可愛いとは思うけど」

 

「ことっ、かわっ!?」

 

「ダメですよー、咲夜様はうぶなんですから―」

 

と、小悪魔ちゃん。

あれ?そういえば……

 

「おかゆ冷めてねえの?」

 

持って行ったのは大分前だ。でも小悪魔ちゃんの持っているおかゆは出来立てのようにほこほこしている。

 

「ま、小とはいえ悪魔ですので、簡単な魔界魔法ぐらい、つかえますよ」

 

「やっぱり魔法便利だよなあ。何とかして覚えれねえかな?」

 

「素質があればいけるんじゃないですかね、あ、咲夜様に食べさせますか?もう一口分しかないですけど」

 

「ちょっと小悪魔!?いりませんからね!」

 

「あー、まあ恥ずかしいのはわかるが、そこまで嫌がらなくても」

 

「あ、いえ、その、汗をかいて着替えてませんので……近くに寄られるのは」

 

なんだ、そんなことか。

 

「じゃあ、俺が汗拭いて着替えさせてあげれば問題ないよな?」

 

「問題しかありません!ゴホッゴホッ」

 

「ああ、ごめんごめん、ツッコミ入れたら喉にきついよな」

 

流石の俺も病人には気を遣う。

……チルノが風邪をひいたときは「馬鹿が風邪をひいただと!?」と散々からかった気もするが、十分甘やかしたのでノーカンな!(外道)

 

「おう、とりあえず小悪魔ちゃん、お湯ってある?」

 

「そこのテーブルの魔方陣の上にある薬缶がそうですよー、熱いので気を付けてくださいねー」

 

最後のひとすくいを食べさせながら(咲夜ちゃんがこっちを気にしているので見ないようにしてあげた)小悪魔ちゃんが教えてくれる。

 

「お?」

 

小悪魔ちゃんに言われてテーブルを見やると、黒い布の上に書かれた魔方陣の上に薬缶が置いてあり……湯気を上げていた。

 

「おお、すげえ!どうなってんだこれ!?」

 

「それが魔界魔法ですよー、魔方陣を媒介にして、いろいろできる感じですねー」

 

「なるほどなー、これ持って帰ったら俺でも使えるの?」

 

「魔力供給がいるんで、現状無理じゃないですかね?それに魔界の住人じゃないと代価いりますし」

 

そう言われて気が付いた。

魔方陣を使って魔法を使う(願いをかなえる)

 

「あ、これ悪魔召喚と同じか」

 

「正解でーす」

 

流石に魂はかけたくねえなあ……っと、それよりも――

 

「カップわかる?」

 

「咲夜様のカップならBですよー」

 

「ちょっ!小悪魔!?」

 

「ほう、いいことを聞い――じゃねえよ!?なんでお湯の話題の後ブラの話題に飛んだ!?俺そこまで変態じゃねえぞっ!?どこにあるかって聞いたんだよ!?」

 

俺は変態ではない、仮に変態だったとしても、変態という名の紳士だ。

嫌がる女性に何かしたりはしない(お仕置きの時は別)

 

あと、咲夜ちゃんを突っ込ませるのはやめて差し上げろ!咲夜ちゃんは突っ込まれる側だ(紳士)

 

「ブラはそちらの衣装ダンスの下から二段目に」

 

「うぉい!いい加減咲夜ちゃん悶絶してんぞ!?」

 

突っ込もうとしてゴホゴホしている咲夜ちゃん、あんまり喉に負担かけさせんなよ(なお、最初の元凶)

 

「ティーカップならこちらに、どうぞ」

 

「ったく」

 

普通に即手渡ししてくれる小悪魔ちゃん……いや、名前通り小悪魔じみた動きしてるんだけど……

大図書館だとここまではっちゃけてなかった気もするんだが。

 

「とりあえず、お湯入れて大根飴入れて……水も少し」

 

これぐらいか?いや、ちょっと薄い気もするな、もう少し足すか?……うん、ちょっと甘いか?でもまあ、いい味だな。

 

「ん、こんなもんか、はいどうぞ咲夜ちゃん。喉にいいし体も温まるよ」

 

時間短くて漬かりが甘いからちょっと大根風味が薄い感じだったので多めに汁を入れた。

少し甘くどく感じたが、風邪ひいてたら味覚も鈍ってるし、許容範囲かな?

 

「えっ、あっ、これっ、そのっ?」

 

「ん、ああ見たことないか。大根飴っていって、まあ喉の薬みたいなもんだよ。少し大根臭いけど甘くて飲みやすいはずだよ」

 

「いえ、そうではなくっ……」

 

「咲夜様ー、せっかくの好意ですし、とりあえず飲んでみてはいかがですー?」

 

にひひって感じで笑う小悪魔ちゃん。

たぶんドリンクバーで変な飲み物作って人に飲ませるタイプだな(偏見)

 

「う……ううっ……い、いただきます」

 

そんなに嫌なのか耳まで真っ赤にして、うめきつつ、意を決したように――それでも数度口元までカップを近づけたり離したりしてから――カップに口をつけてこくんと飲んだ。

うん、やっぱり咲夜ちゃんは啜らないようだし、ぬるくしておいて正解だったな。

 

味はどうだ?と聞こうとしたら先に小悪魔ちゃんが聞いた。

 

「どうですかー?咲夜様ー、おあじはー?」

 

「え、うん、おい……しい?甘い?」

 

「いえそうではなく――」

 

小悪魔ちゃんはタメを作ってから、笑顔で聞いた。

 

「間接キッスの味ですよー?」

 

「ーー!」

 

沸騰したかのように咲夜ちゃんがうなじまで真っ赤になった。

 

「あっ」

 

料理してると味見は普通にするし、霊夢ちゃんと一つの皿のおかずを分け合ったり、チビども(妖精とか)の食べ残しを食ったり、食い足りないチルノやルーミアに「あーん」して俺の分を分け与えることも珍しくないので、完全に失念していた。

 

咲夜ちゃんお年頃なんだなあ……(年齢は不詳)

 

さらにティーカップなため、湯吞みたいに口をつける場所をずらすことができない(可能ではあるけども、咲夜ちゃんはマナー上しない?)ので、ちょうど俺の口を付けたところに口をつける感じになったわけだ。

 

……初心か!

 

と言いたいが、幻想郷の女の子たちは基本的に百戦錬磨か、無知か、初心のどれかである。

むしろ霊夢ちゃんみたいに、キスを知ってて、かつ百戦錬磨でもないのに気にも介さないさばさばしたほうが珍しいのだ。

 

……干し芋をくれといわれた時にポッキーゲームみたいに咥えて「ん」って突き出したところ、根元の根元まで食いちぎられて勝ち誇った笑みをされたことすらあるしな。むしろ俺が硬直したわ!

 

……霊夢ちゃん強くね?

 

普通の女の子っぽいのは早苗ちゃん、はたてちゃんぐらいかな?

この二人はなんというかギャルっぽいけどな。

 

さておき、今の問題は沸騰している咲夜ちゃんをどうするかだが……

 

「直接飲ませてもらったらどうですー?く・ち・う・つ・し・で」

 

「とどめを刺すなぁ!?」

 

小悪魔ちゃんのおいうちで布団に臥せってフルフル震えることしかできなくなった咲夜ちゃん。

流石に俺がここにいてもどうしようもない(どころか小悪魔ちゃんが傷口を広げたうえ塩を塗り込む)ので「お大事に―」と言ってその場を辞した。

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼ご飯はサンドウィッチをバスケットに入れて、ダイニングに放置。

食べたい人間は取りに来るor部屋に持ち帰るスタイルだ。

 

フランも起きてきたんで一緒に昼飯を食ったが「……いまいち」とか言ってた。

すまん、フランの飲んでるぶどうジュースに俺の血をうっすくしか入れてねえからな。

だから、吸血鬼的な旨味みたいなもんはほぼないと思う。

 

そのままフランと軽くお昼寝……フラン今起きてきたばっかりだよな!?

まあ、寝る子は育つし(なお、実年齢)俺も一休みできるからいいけど。

 

起きた後片付けをしようとしてバスケットがやたら重たいのに気づく。

ありゃ?美鈴ちゃん取りに来てないのか……?(よく食うので大量に作った)

 

もしかして、門番だから離れられねえのか!?

それなら悪いことをした。二時ぐらいだからギリ昼食ということで許してもらおう。

 

俺はバスケットを抱えて紅魔館の門に走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いたいた、悪い悪い、美鈴ちゃ……ん?」

 

美鈴ちゃん、門の前で仁王立ちという姿勢のまま、微動だにしない。

門番として威圧感を振りまいていると思ったが……

 

「……寝てね?」

 

腕を組んで、肩幅に足を開いた仁王立ちの姿勢のまま……寝てる。

 

「器用にもほどがあんだろ!?」

 

とりあえず起こすか?

今日の美鈴ちゃんは白い足首のあたりまであるズボンをはいているためパンツどころか生足すら拝めない。

くそっ、この足の開き方ならスライディングして、うっかり足の間に入ることができたって言うのに!!

 

まあ、まずなんでスライディングしたかは答えられないんだけどな。

 

さて、どうするか。

腕を組んで仁王立ちしているから、胸を鑑賞するのも無理だし、せいぜいが後ろに回って引き締まったヒップラインを眺めるぐらいしかできねえなあ(当初の目的を失念)

 

しばらく、美鈴ちゃんの周りをぐるぐる回っていたが、ようやく当初の目的を思い出して美鈴ちゃんに話しかけた。

 

「あ、そうだった。美鈴ちゃーん!お昼ご飯持ってきたぞー」

 

「あ、待ってたよ!」

 

俺が声をかけると、パチッと目を開きすぐに反応を返してくれた。

 

「あれ?起きてた?」

 

「うーん、それぐらい気を出してたら門番モードの時は気配で気付くよ」

 

「門番モードってなんだよ」

 

バスケットを手渡しながら突っ込むと美鈴ちゃんが答えてくれた。

 

「立って寝てるときはだいたいは熟睡してないから気づくよ。深い瞑想みたいなものだからね。横になってたりするとちょっと反応が鈍るし、お布団で寝てたら殺気ぶつけられない限りおきないかな」

 

「意外にちゃんとモード分けされてた!?」

 

「一応門番だからねー」

 

と、もしゃもしゃしながら美鈴ちゃん。

 

「そうはいっても、正直門番いらないだろ、紅魔館殺意高すぎると思うんだけど」

 

大抵の人間は咲夜ちゃんの時間停止になすすべはないだろうし、もしそれを抜けてもレミリアさんの戦闘力が異常だ。

霊夢ちゃんも「弾幕でなら勝てるけど普通に戦うとか考えたくはないわ」というぐらいだからな。文字通り生物としての格が違う。

 

さらに割と意外なのだが(失礼)、遠距離戦に限りパチュリーちゃん超強い。

マスタースパークのような派手さはないが、ピンポイントで人ひとり蒸発させる魔法とか普通に使える。

 

あと、暴走したフランはレミリアさんと同等かそれ以上らしい。俺は見たことないが姉妹ならそういうことがあってもおかしくはないかな。

 

「うん、だからこそ門番が必要なんだよ」

 

「ん?ああそっか」

 

つまりは里の人間が面白半分で紅魔館にきて余計な犠牲を出さないためとかかな?

 

「悪人なら通すし、面白半分なら叩きのめして追い返すってところか?」

 

なお悪人の末路は推して知るべしだな。

あれ、つまり……

 

「初めて来たときの俺一応命助かってた?」

 

と、聞くも。

 

「ううん、妹様関係は()()()()する手はずだよ、何が起きるかわからないから」

 

うん、生きててよかった。

あと改めて魔理沙ちゃんはなんかお仕置きしよう(とばっちり)

 

「フランってそんな悪い子じゃねえと思うんだがなあ」

 

「うーん、それはちょっといろいろあるから」

 

「話せないことか?」

 

水を向けると美鈴ちゃんは困ったようにつぶやいた。

 

「家族の問題だから……」

 

「そうか」

 

フランとレミリアさんの間に何があったかはわからねえけど、いつか爆発する不発弾のような、そんな予感がするんだ。

 

俺はただ無言でその場で美鈴ちゃんが食べ終わるのを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後もいろいろあった。

フランと一緒に寝たり。美鈴ちゃんと組み手したり。うっかりと咲夜ちゃんの着替え中に鉢合わせたり(小悪魔ちゃんの仕込み)、パチュリーちゃんに抱き枕にされたり、ついに夢精してしまったり(毎日毎日刺激受けて我慢するの無理だって)、魔理沙が盗みに来たのでパチュリーちゃんと鳥もちでぐっちょんぐっちょにして迎撃したり

と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は助かりました」

 

「いやいや、俺も結構楽しかったし、何よりも咲夜ちゃんが元気になったんならそれでいいんだよ」

 

結局きっかり一週間、二日前にはもう回復してたみたいだが、念のため俺が優曇華ちゃんに往診してもらうまでは働くのを許さなかった。

往診の結果OKが出たので晴れて咲夜ちゃんは正式に回復し、昨晩で俺の仕事は終わりである。

 

博麗神社に帰るって聞いたフランがギャン泣きしてなだめるのに精魂尽きたぜ……

こんど神社に泊まりに来るということで何とか機嫌を直してもらった、向こうなら俺のテリトリーだからな、存分にもてなせるぜ!

 

「これはお嬢様から」

 

と、分厚い封筒を渡される。

 

「いくら入ってるんだよ、これ……」

 

金額については高すぎるというとレミリアさんが怒るので、もう諦めたが、やっぱり多さにビビる。

 

「丁度50万です」

 

「あー、まあ、ありがとうと言っておくか」

 

霊夢ちゃんに服でも買うか……あ、いやまてよ。アリスちゃんにオーダーメイドできるんじゃねえか?これだけあれば。

緩い部屋着でも送るか、脇見え巫女服はちょっと必要以上にむらっと来るからな……

 

「それと、これは私から」

 

と、鞘に入った……

 

「ナイフか、これ?」

 

「はい、銀製なので妙なものに好かれるあなたの護身用にでも」

 

「あー、咲夜ちゃんがいつも持ってるやつ?」

 

「はい、それは特にお気に入りの奴ですが、感謝を込めてあなたに」

 

「いつも太ももに装着していたやつ?」

 

「え、いや、まあ確かに……」

 

「では、失礼して」

 

と、匂いを嗅ごうとしたところ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
あとここすき機能も見てると結構楽しいです。推薦とか嬉しいです。

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本編が重いのでもうちょと軽い話書きたい
ブッダとイエスとか(違う)

あと近頃文章が長いのでまたショートショートしますね。


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命蓮寺で 体を鍛えよう・華扇編

移植作品


 

命蓮寺で

 

 

 

 

 

 

「ちわー」

 

「おや、近頃連日であるな?」

 

うむ、そうなのだ。出迎えてくれた一輪ちゃんに言われるぐらい俺は近頃命蓮寺に日参している。

単純にここまでのぼってくるのが体を鍛えるのに都合がいいというのもあるし、結構使い勝手のいい真言を教わるってのもある。手が空いていれば星ちゃんは稽古をつけてくれるし(驚くことに加奈子ちゃんの10倍は優しく丁寧だ)、単純にみんなかわいいので同じ空気を吸うだけでもなんか得した気分になる(変態)

あとは……

 

「で、今日はあるのかね?」

 

と一輪ちゃんが聞いてくる。

 

「ああ、あるぜ……!」

 

そういって俺は一輪ちゃんに栓をした素焼きの瓶の入った箱を手渡す。

 

「おお、これこれ!ありがたい!」

 

まあ、想像はつくだろうが中身は般若湯である。

俺的には石段のぼりの重しでもあるから力水といってもいいかもしれないが。

それなりの人数がいるから結構な重さになるんだな、これが。

 

とはいっても白蓮ちゃん以外持ってくるのを期待しているので、期待に応えないわけにはいかない(謎の使命感)

白蓮ちゃんともいろいろと話し合った結果「酔わない量なら、まあいいでしょう。ただし、他人に迷惑をかけた場合「聖スペシャル」(白蓮ちゃんは右から殴られて吹っ飛んだと思ったら反対側から蹴られる、野菜の惑星の人みたいなことができる)を飲んだ人間と「俺」が食らうことになっている。……うん、まあそれぐらいはしょうがない。

幸いやらかすようなのはまだ出ていない。持ってくる量少ないしな。

ナズーリンがほかの人のを飲んだらちょっと酔うかもしれんが、まあ信じるしかないな。

 

酒がダメ、にんにくがダメ、そういうのってある意味悟りから最も遠くなるって俺は思うんだよな。

だってしらないと何がダメなのかどうしてダメなのかわからねえじゃん?

仏教の教えとお釈迦様の教えが微妙に乖離してる気がするんだよなあ……

 

もちろん殺生をしないために肉食わないってのはまああってもいいと思う。

現代と違って、肉食うためには自分で殺さないといけないようなところだからな。

 

幻想郷だと無責任に「肉も食えばいいじゃん」といえないんだよな。

その肉が人の肉ではないという保証がねえからな……すっかり妹か下手すると娘みたいな感じのルーミアですら人間は食べてもいいなら食べるっていうスタンスだからな……

 

まあ、ルーミアにひもじい思いはさせないがな!

 

「言っておくけど早いうちに飲めよ?酔う為に貯めておいて一気に飲もうとか考えるなよ?白蓮ちゃんにしばかれるぞ?」

 

過去に星ちゃんが……いや、まあそれはいいんだ。色っぽくて役得だったし。

星ちゃん、脱いだらすごいんだぜ?

そのときは約束がなかったので俺はただ眼福でぬくやわこいだけだったが、その一件以来罰則が定められたというわけだ。

 

「わかってるよ」

 

「あと一人占めが発覚した場合俺は金輪際持ち込まねえぞ?」

 

「で、あるか。しかし大丈夫だ、あなたに逆らおうなんてのは命蓮寺にはおりませんゆえに」

 

「なんか俺が権力者みたいな言い方やめてくれ、悪人に聞こえる」

 

たしかに命蓮寺にわりと……いやかなりなじんでいる気もするけどそんな元締めみたいな存在ではないはずだぞ?

 

「でもあなたの言うことなら大抵通るとおもいますが?」

 

「ほう、ではパンツ見せてもらったりーー」

 

「お目汚しでよければ……」

 

と、酒を雲山に預けてスカートをまくろうとする。

ちがう、こういう義務的に見せてもらってうれしくないんだ!

あと雲山が見てる!

ついでにもう一つ言うなら白蓮ちゃんに見つかると座禅三時間とか罰を与えられるしな!

 

「やめて!いろいろと問題が多すぎる!」

 

「でしょうな。もし、そのまま見物なぞしていたのならば――」

 

「ならば?」

 

「後ろを振り返るがよかろう」

 

「え?」

 

いわれるがままに振り替えるとにこにことした白蓮ちゃんが立っていた。

 

セーフ!……いや目が笑ってない!

 

「えっと……どこからいました?」

 

「パンツ見せてもらったり……のあたりからでしょうか」

 

 

 

アウトオオオオオオッ!!

 

 

 

これは説教不可避だ!というか……

 

「謀ったな一輪ちゃん!」

 

「あなたは良い友人ですが、助平すぎるのがいけないのだよ」

 

と、どこかのマザコンロリコンこじらせ系総帥みたいなことをいって立ち去って行った。

 

「あ、じゃあ俺もこれで……」

 

「では送りますよ?麓まで吹き飛ばして」

 

「……本堂ですか?」

 

さすがに死にかねないので(恐ろしいことに一般人なら即死するようなこの仕打ちでもいろいろ駆使すれば4割ぐらいの可能性で生き残れてしまう俺は人間をやめつつあるのかもしれない)自主的に罰を受けに行くことにする。

 

「さすがに見世物になるのは哀れですね。私の部屋……よこしまな気配を感じたので離れを使いましょう。

ついてきてください」

 

「はーい」

 

よこしまなことは思ってねえんだけどなあ……いや、「白蓮ちゃんの部屋はなんかいいにおいするんだよなあ」ぐらいはちらっとよぎったけども。

 

まあ、逃げても後が怖いのでおとなしく罰を受けるとするか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、どうですか?」

 

「あ、いや、その大変結構なお点前です」

 

どうしてこうなった……

 

いまおれは白蓮ちゃんに絶賛膝枕をされつつ撫でられている状況である。

 

ことの発端は正座させられつつ説教を受けてたんだが、俺が不埒だと父母が泣きますよということに対して、「俺、家族の記憶がないし……」と言ったらなんかすごいあまやかしてしてきたんだ。

 

白蓮ちゃんなりの気の使い方なんだろうけど、違う、そうじゃない。

 

どっかずれてるんだよなあ、白蓮ちゃん

ただ、100%善意でやっているうえに、俺もまんざらではない誰も損をしない優しい善意なのでどうもペースを握られてしまっている。

 

毒気を抜かれるって奴だろうか、十分に欲情してしかるべきなんだが(いつもの格好なので見上げる乳もすごい)それよりもこう、目を閉じて眠りに落ちてしまいたい感覚がある。

 

「あなたはすこーし、頑張りすぎなんです」

 

「俺が?」

 

俺は手抜きとか得意なんだけど……?

 

「ええ、自覚はないのでしょうが……そう、必死に生き急いでいるというかんじですか……確かに人である以上いつか死にます。諸行無常、栄枯盛衰、生者必滅。いえ、ひとでなくても必ず最後は滅するものです。人生というものは長いようで短く、短いようで長い。全力で走り続けていては倒れてしまいますよ」

 

「……俺ってそんなに生き急いでいるかなあ」

 

あれこれやることが多い上に自分からいろいろ首突っ込んでるのは確かだけどな、そこまで生き急いでるとか思わねえんだよな。

 

「それは私にはわかりません。人生の時間の使い方は本人が死ぬ間際にしかわからないものです。ただ、私から見たら「明日死んでしまう」かのように気を張っている気がします」

 

そういいながら白蓮ちゃんは頬を撫でてくれる。

ああ、癒される。

ってこう思うことが生き急いでいた証なのかもしれねえなあ……

 

「なんとなーく。今実感してるかも」

 

「あなたは自分が思っているよりも真面目なんですよ。あまり気を張らないことです。体と心というものは大事に使えば一生使えるものです。壊してしまってはもったいないですよ」

 

服装はアレだし(失礼)けっこう抜けているところもあるけど白蓮ちゃんってやっぱり徳の高い僧侶なんだなあって思う。

 

こころにすっとはいってくるんだ。

 

「幻想郷って優しいなあ」

 

思わずぽろっと言葉が出る。外来人と二回ほどあった時があるがそいつらは順応できなかった。だから現代人としては俺や早苗ちゃんが異常なんだろうけど……

 

「幻想郷はすべてを受け入れます。ですが幻想郷は厳しくもあるのです。物事の一面だけをとらえてはいけませんよ」

 

「うん、きをつける……」

 

すごく眠い……思えば幻想郷に来てここまで気を抜いたことってないかもしれないな……そうおもったらやっぱり俺は無理してたんだなあって実感できた。

 

「白蓮ちゃん……ありがと」

 

「いえいえ、このぐらいのことでよければいつでも、ほかに何か?」

 

「ん……寝ていい?少しだけ……」

 

「ふふ、どうぞお眠りください。そして起きたらまた元気に生きましょう」

 

「うん……」

 

そうして俺は意識を……手放す直前に見えた光景につぶやいて、今度こそ眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ……い、いえ、かれはやましい心ではなく母を求める気持ちでいったのでしょうが……赤子のように吸いたいということでしょうか……しかし当然ながら出るわけもないですし……せめて口に含ませるだけでも……いえ、べ、べつにそこまではしなくてもいいとは思うのですが……も、ものは試しです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を鍛えよう・華扇編

 

 

 

「はい、もっと、もっとゆっくりですよ、スピードを変えない!同じ速度でゆっくりです!」

 

「うぎぎぎ……」

 

「はい、あせらない。ゆっくり、ゆっくりしてってね!」

 

「まだゆっくり!?」

 

華扇ちゃんがボケを入れたきがしたが、突っ込む余裕もねえ。

何をしているかというとゆっくり動いて華扇ちゃんのところまで歩いていくという修行だ。

 

……いや、本当にそれだけなんだがこれが死ぬほどきつい。

今までも結構無茶な修業は受けたが今までで一番きついと思う。

 

並大抵のゆっくりじゃない。一歩歩くのに一分以上かけて歩いている。

やってみるとわかるが死ぬほどつらい、そしてつらくなるとスピードが上がってしまい怒られる。

ある意味地獄のような修行である。

 

「筋肉が嫌な感じに痙攣してるんだけど!?」

 

泣き言は言ってもいいルールなので割と泣き言は言う。ただし無理とか言うとその日の訓練は即終了する。

華扇ちゃん曰く「できないことは言ってません、無理というのは覚悟ができていないだけです」とのこと。

優しいのか厳しいのかはわからないが、俺のことをしっかり見ててくれているのは確かだと思う。

 

「ゆっくり動くことを意識しすぎて筋肉に無駄な力が入っていますね。まあ、それはそれで動かすのに必要な筋肉が鍛えられるので問題はないですよ、むしろ喜んでください」

 

「華扇ちゃんの鬼!」

 

「鬼ですよ?だからもう三歩ほど離れますね?」

 

にこやかにそう言っててててっと――今四歩歩いた!?

 

「四歩!四歩歩いた!鬼は嘘つかないのに!」

 

「嫌いなだけでつかなくはないですし、そもそも、三歩()()なので問題ありません」

 

「くっ……!たどり着いたらおっぱいもませてもらう!」

 

自身に発破をかけるために華扇ちゃんに要求を出す。

華扇ちゃんはこういう要求は通ることが多いのだが……

 

「いいですよ、そうですね……これぐらいですかね?」

 

と、そういってさらに五歩ほど華扇ちゃんは離れる。

こういう感じで難易度もあがる。

 

「更に!?それはちょっとひどくない!?」

 

俺がそういうと華扇ちゃんはこともなげに言った。

 

「ご褒美に対する難易度上昇です。ちゃんとゆっくり歩けてくるならばこれ以上は離れませんのでたどり着いたらお好きにどうぞ。ただし、急いて雑に早く動いたのなら離れますよ」

 

「くっそ……!だけど希望は見えた!」

 

「欲望の間違いじゃないんですか?とはいえやる気が出たのなら良いことです。どうぞ頑張ってくださいね」

 

そういって華扇ちゃんは待機状態になる。

華扇ちゃんのいいところってこういうとこだよな。

それこそゴール地点に線でも引いておけばいいのに、ゴール地点に立って俺をちゃんと見守っていてくれる。

変な動きとかしたら即座に檄が飛んでくるレベルには注視してくれてるし、得難い師匠を得たもんだと思う。

だが……厳しい。正直合わせて10歩ほど離れてしまったのはある意味致命傷に近い。

ならば……!

 

「華扇ちゃーん一歩近寄ってくれたらケーキのリクエスト聞くよー?」

 

華扇ちゃんの修業のお代は「週一回の甘味食い放題」なのだが、基本的にリクエストは受け付けていない。まあ、とはいっても毎回同じものを出したりするのは俺の矜持が許さないので、毎回趣向を凝らしてはいたので、今まで不満などはないとは思うが。

 

「私がそんなもので手心を加えるとでも?ですが、本来の予定より遠ざかったのは事実。オペラで手を打ちましょう!」

 

そういいながらにこやかに一歩こちらへ踏み出してきた。

即落ちぃ!?

近頃くっころ的な葛藤すら見せなくなってきたな!?

 

そして作成難度MAXなものを持ち出してきたな……コーヒー系、チョコ系は材料が希少なんだが、まあ俺も男だ二言はない。

 

「了解だ、大きさは一尺四方な?」

 

「そんな……!せめて半畳……!」

 

「単位がおかしい(真顔)」

 

半畳って90センチ四方ぐらいなかったか!?

生地自体は分割して焼けばいいので作れないこともないし、食べきるのも不可能ではないサイズなんだが(なお、カロリー)いかんせん材料が心もとない。そもそも一尺四方でも巨大すぎるってのに……

 

「なんで華扇ちゃんが太ったり病気になったりしないか本気で謎だわ」

 

「仙人ですから」

 

「多分違う」

 

確か布都は太ったことがあったはずだ。

小さいのに太ったもんでなんか丸かった(酷)

 

「ふふ、しかたありません。その大きさで手を打ちましょう、さ、あとは頑張ってたどりついてくださいね?もし途中で力尽きても約束は有効ですからね?」

 

「くっ……だが俺は挑み続ける!そこにおっぱい()がある限り!」

 

「登山家みたいに格好良く言っていますけど、実はひどいですよね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぎぎぎ……!」

 

もはや気力だけで動いている状況、あれからどれぐらい時間がたったのだろうか。

華扇ちゃんまでもう一歩の状況までたどり着いた。

 

その一歩が絶望的に遠く感じる。

じりじり、じりじりと近づいていく。

 

 

やがて……

 

 

ふにょんという感触とともに俺は登頂に成功した(比喩表現)

 

「おお……」

 

エロ心よりもそれこそ登頂に成功した登山家のようなあるいみやり遂げた感がすごい。

だがもちろんここからがお楽しみである。堪能しようと指に力を入れた途端――

 

 

 

 

「ぎゃあああああああああああああああっっ!」

 

 

 

 

全身に走る雷にでも打たれたかのような激痛。

 

華扇ちゃんが何かしたのか!?

とおもい見やると眉を寄せて困ったような顔をしている。

 

激痛に悶える俺を見やって、ふるふると首を振って告げてくる。

 

「最後の最後で体の制御を手放してしまいましたね。無理して抑えていた分、まとめてきますよ」

 

「おっぱいが……!おっぱいが俺を狂わせたんだ!」

 

倒れるときはせめてその胸の中で!と最後の力を振り絞って華扇ちゃんに全身で飛び込む。

もちろん華扇ちゃんは受け止めてくれた(こういうところ、本当にやさしい)んだが、その感触を堪能する前に俺の意識はあまりの激痛でふつりと途切れたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

「うう……」

 

意識を取り戻す。

……自室の布団に寝かされているようだ……ぐっ!?

 

身じろぎするだけで痛い。筋肉痛を数十倍にしたような感じだ・・・・・というか呼吸すらつらいってマジで死にそう。

 

「起きたようですね?動けないとは思いますが意識して呼吸はできますか?時々そこの筋肉まで焼けてしまうことがあるのでその場合はもったいないですけど仙薬でなおすことになります」

 

「苦しいけど……できるよ」

 

「それはよかったです。仙薬で治療すると、今のをもう一回最初からになるので……。しばらくは辛いでしょうが次回はもう少し楽になるはずですよ」

 

「うへえ……了解だ。でもこの修行ってなんの修業なの?」

 

「根性をつけるためです」

 

「マジか!?」

 

こんなつらいのを根性のためだけにやるの!?

 

「嘘です」

 

「嘘つけるのつけないのどっちなの!?」

 

「さて、どっちでしょうね?」

 

「ああ!痛っ!くっそ興奮するといてえ!」

 

突っ込みができないのは俺的に最高につらいかもしれん。

 

「そうですね、体の動かし方を、どの筋肉が、腱が、骨が、関節が動かしているのを理解し、最終的には自分の意志で意図的に動かすためのものですね。それが理解して動かせるようになると……」

 

と、縁側から下に降りた華扇ちゃんが「ふいっ」とぶれたかと思うと同じ姿勢のまま少し離れた位置に現れた。

漫画の仙人とかがやるような動きだな!

 

「瞬動術といいます。移動するための筋肉、腱、骨、関節を同時に動かすことによって予備動作なしで動きます。相手の呼吸を読み、瞬きなどと合わせると消えたように感じますね」

 

「おお、すげえ!」

 

「とはいっても戦闘機動に使うのは実力差がかなりないと危険ですのでお勧めしませんが、移動は的が大きいので読まれるとカウンターを受けやすいです。あとはすべての可動域の同時加速による――」

 

 

 

きゅううん!

 

 

 

「うわ!?」

 

早すぎて見えなかったがカン高い音とともに一瞬遅れて暴風が巻き起こり華扇ちゃんが突きのうち終わりの体勢に――

 

「華扇ちゃん!手が!」

 

「ええ、まあ音速を超えたので。あなたの場合はかなりのいーごんふー(硬功夫)を積まないと指が千切れてしまうでしょうから、対策なしに試してみてはいけませんよ?」

 

と、血まみれの拳をぺろりと舐めて「ううん、やはり全盛期の体に比べるとかなり脆いですね……」などと嘯く。

 

「俺こんなのできるようになる修行やらされてるの!?」

 

「ええ、まあ最終的には師を超えてほしいとは思いますけど……あなたは筋がいいので……そうですね、120年ぐらいあれば今の私ぐらいにはなるんじゃないでしょうか?」

 

「だから寿命!?なんでみんな俺を鍛えるの百年計画なの!?せめてその十分の一ぐらいの期間にしようよ!?」

 

神奈子ちゃんと神子ちゃんとパチュリーちゃんと白蓮ちゃんとほかにもいろいろ……併せたら千年ぐらい行きそう(無表情)

 

「ですが……十分の一に圧縮すると何回か死ぬことになると思いますが……?」

 

「密度十倍!?あと死んだら終わりだよね!?」

 

「大丈夫です。地獄で会いましょう

 

「そういえば地獄にこれたね!――うあ……ごほっごほっ」

 

しんどい状況で突っ込みを続けたせいですげえ疲労が襲ってきた。

 

「ああ、すいません。今日は……数日はゆっくり休んだほうがいいと思います」

 

「ああ、そうする」

 

「しんどくても超常の力で回復はしてはいけませんよ?魔女なら自然治癒力を高める薬湯など処方できたと思いますが……」

 

と、虚空を見て眉を寄せる華扇ちゃん。

 

「うん、言いたいことはわかる」

 

魔法薬の第一人者は魔理沙だ。

だが、よく考えてほしい。魔理沙が作った薬湯を安心して飲めるかと言われれば全力で否定するしかない。

サービスのつもりで普通に回復ポーションとか飲ませてくる可能性もあるし、これ幸いと妖しい組み合わせのドーピング薬飲まされる可能性もある。

魔理沙の腕前は信用できるが、人格は全く信用できないのだ。

 

「永琳ちゃんに湿布となんか適当に処方してもらうよ」

 

「ええ、それが賢明かと、では私はこれで」

 

そう言って華扇ちゃんは暇を告げる。

 

「あ、霊夢ちゃんに動けないからご飯はなんか適当に食べてって言っといてくれる?」

 

「わかりました、では」

 

華扇ちゃんが辞した後、なるべく楽な恰好になって俺は目を閉じた。

回復には寝るのが一番だからな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ、もっと体をいたわりなさい!」

 

「うへえ……」

 

夜。霊夢ちゃんにめっちゃ説教された。

いや、まあ今回のは無茶したんじゃないので許してほしい感じはする。

ただ、この少し理不尽な説教も――

 

「ほら、体起こしなさい、もう、ほら起こすわよ。っと痛かった?ごめんなさいね。おかゆは食べれる?……手も動かないのね?」

 

俺が何か言おうとする前に察して動く霊夢ちゃん。

 

そして……

 

「はい、あーん」

 

「ん、ありがごほっ!」

 

黙れとばかりに匙を突っ込まれた。

 

「お礼なんかいいからちゃんと食べてゆっくり休んで早く治しなさい」

 

「わかった」

 

「ん、ほら、あーん」

 

「あーん」

 

 

 

 

 

ま、これだけでもしんどい思いしたかいはあったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!第十話




パンチラ登録者数が1949人。
2000人言ったらリクエストとか何かしましょうかね

10真っ赤作戦のため再度得点つけなおしたり新規でつけてくれた
蛾は柄様。ぼびぃ様。けいま様。
元気をくれてありがとうございます。


誤字脱字報告者方
ありがとうございます。
機能が変わって、適用すると一覧から消える仕様になってて使いづらくなりました……
これだと、どこまでが今回分かわからないの……

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
完走や一言評価でパンチラが見たいとご連絡ください、メッセージ機能では受け付けておりません(羞恥プレイ)

動画投稿始めました。
霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!の解説動画も投稿予定です。
裏設定とか、細かい能力とか、本家と違うところとかいろいろ投稿予定です。
チャンネル登録しておくといち早く見れます
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UCNc_f7CNF0-do6NLPv9qD6g



 

 

「はい、あーん」

 

「ん、ありがとう」

 

やあみんな!

サンドイッチを「一口食べる?」とか言われて「あーん」されて食べる。

そんなバカップル丸出しなことをしている俺です。

 

 

 

パルスィちゃんの距離の詰め方おかしくないか!?

 

 

 

 

いや、まえからも「あーん」ぐらいは普通にされてたけど、今横に座ってるからなパルスィちゃん。

テーブル席で向かいじゃなくて横に座るって、あれだぞ、正直他人から見たら結構痛々しいぞ?(暴言)

俺はうれしいので問題はないがな!(強メンタル)

 

あーんの時も手を伸ばすというより体ごと来るので割とつつましいけどちゃんとわかるおっぱいが当たって気持ちいい。

着替え見てたからわかるけど、赤下着のハーフカップだぜ……

 

正直パルスィちゃんがこんなにバカップルの素質あるとは思わなかったぜ……

俺も一瞬戸惑いはしたが、こんな美少女に好かれて困るわけもなく……(でも蓬莱人組はちょっと落ち着け)あっさりと順応している。

 

元々世話焼き気質なパルスィちゃんなんだが、そこに甘さが加わると……なんというか、こう……

ダメ人間製造機じゃねえのかなって心配になる。

少なくとも俺が初期の段階でパルスィちゃんに出会ってたら、間違いなく依存してたぞこれ。

 

「なあに?どうしたの?」

 

喋り方まで甘い気がするぞ……ただ、一つ困ったことがあって……

 

「いや、パルスィちゃんは可愛いなって」

 

「ふふ、ありがとう」

 

ぺちぺちされねえんだよ……ぺちぺちしてくれよぉっ!(末期の中毒)

 

この一点だけが不満である。

どうにかしてパルスィちゃんの羞恥や動揺をさそわなければ……!(外道)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー……これ、うーん、これか……くっそ」

 

「ふふ、あなたがピンときたものでいいのよ」

 

現在パルスィちゃんと一緒に、小間物屋で櫛を選んでいる……というか選ばせられている。

 

……ちなみに櫛選びの前は俺用の食器……というか夫婦茶碗的な「同じデザインで色と大きさ違い」の食器や、俺用の寝間着、寝具なども買いそろえてた。

 

……パルスィちゃんが問答無用で――

 

 

外堀どころかすでに三の丸あたり(落城寸前)まで攻め込まれてる気もするが、この期に及んで約束を反故したりはしない……まあ、その、ちょっと重い気もするが愛されてると思おう。

 

流石に金を出そうと言ったが「結婚用にずぅぅぅっと溜めてたの、使わせて。ね?」の「ね?」がちょっと怖くて言葉に甘えることにした。

 

流石に悪いので何か欲しいものはあるかと聞いたら、櫛をねだられたので、こうして選んでいるわけだ。

ちなみに予算に糸目はつけないので(ぎょく)(宝石のこと)が入ってるやつを漁ってる。

 

櫛といっても、髪をとかすような奴じゃなくで、文字通り櫛梳る、半円形というか楕円形というか、簪のように髪をまとめて止めておけるタイプの奴である。

 

……まあ、あれだよ。和風結婚指輪みたいなやつだよ。

江戸時代の風習だけどな……

 

()労もあるけど()ぬまで一緒にいようみたいな感じで櫛を送るわけだ。

パルスィちゃん曰く「祝いの品でもあり、呪物よ。浮気しようが愛人作ろうが構わないけど、私を捨てたら呪うわ」

とのことで、死ぬまで一緒にいる=別れたら死ぬ。という術式に使えるそうだ。

 

そんなつもりはさらさらねえから、まったく問題ねえけどな。

今となっては並大抵の呪詛なんか俺にはきかねえが、もしそうなったら、甘んじて受けて死ぬぐらいはケジメとしてするべきだろうな。

 

むしろ最初に言われた「歌を詠みなさい」のほうがよっぽど難題だったわ!

平安時代の風習だけどな……

 

パルスィちゃんってそもそも金髪なので日本妖怪かどうかすら怪しいんだけど、早苗ちゃんの髪が緑な時点(アレ地毛なのか?)でもはや何も言えないんだよなあ……

 

「とりあえず、本柘植は確定だな、あとは細工だが……」

 

悩むな……金髪に映えるのは赤か……?この玉のついた奴いいな。いつもの緑の服にも合うしな。

だが、木の葉模様の木の質感を生かしたシンプルな櫛も捨てがたい。

 

「うぐぐ、どれが似合うかなあ」

 

「そんなに悩まなくてもあなたが真剣に選んだものなら何でもいいのよ」

 

そういってくすくす笑うパルスィちゃん。

そういわれても、やっぱ似合うもの上げたいじゃん?

 

「だって一生見ることになるんだぜ?」

 

「……ふふ。その言葉だけで、もう本当にどれを選んでもらってもうれしいわよ」

 

「そうはいってもなあ……お?」

 

ふと目に留まった櫛、荒削りのように角ばったデザインだが、撫でてみると実になめらかでささくれどころか引っ掛かり一つない、またデザインも紅梅とおとなしいんだが(それでもたぶんメインの部分は紅玉(ルビー)だろこれ)、なぜか心に惹かれる。

 

「なんだろな、これ。妙に気になる」

 

「どれかしら?……ふふ、そう、それを選んだのね」

 

「選んだっつうか、妙に気になるっつうか……なんだろうな、紅梅って絶対パルスィちゃんのイメージじゃねえ気がするんだが……うん、これでいい。これしかねえ気がしてるんだよなあ、地味で武骨だけど、これを贈りたいな、おっちゃん、これ買うわ」

 

代金を支払い(こういうものにケチるつもりはないけど割とやばい値段した)包んでもらう。ちゃんと化粧箱に入れてくれるガチな奴だ。

 

「いいえ、とても、そう、とてもうれしいわ。今度こそ一緒に行きましょう」

 

パルスィちゃんは基本的に微笑みか柳眉を釣り上げている(主に俺のせい)んだが、今回、珍しく満面の笑みだ。

 

「一緒にってどこにだ?」

 

「愛宕山よ」

 

「どこだよそれ!?」

 

マジでどこだ!?

 

「ふふ、うふふふ。戯言よ」

 

今日はパルスィちゃんのテンションが高すぎる!

俺がついていけないって相当なもんだぞ、いったい何があったんだ、告白の時はまだ普通のテンションだったよな?

 

「なんだよそれ……はい、パルスィちゃん」

 

と、化粧箱を渡そうとしたらパルスィちゃんにやんわりと拒否された。

 

「それを受け取るのは私のおうちに三日連続で来てからね」

 

「え、まあいいけど。何かあったか?」

 

「あら、知らないの?」

 

「え?何が?」

 

「三日連続で私を抱いたら、妻にできるのよ」

 

「抱っ!?」

 

あ、いや、まあ将来的にはそういう関係になるんだろうけど……今は……その……

そういう俺の心を察してかパルスィちゃんは微笑んで……クスリと笑ってかな?言った。

 

「だから、まだ受け取れないわ。全部終わらせてから、泊りに来なさい。あなたが私を捨てない限り、いつまでも待ってるから」

 

「パルスィちゃん超イイ女だ……」

 

でも、ちょっと俺に都合よすぎないかな?

やっぱりダメ人間製造機(純国産最高級天然素材)なのは間違いねえな。

 

「そうよ、だから、大事にしてね?」

 

そういって微笑むパルスィちゃんに俺は見ほれたのであった。

 

 

 

 

 

だがぺしぺししてほしいっ!(手遅れ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パルスィちゃんと別れ――「いま、相当浮かれてるからさとりに頭の中読まれたくないのよ」とかいってた、一応自覚あったんだな(暴言)

 

地霊殿へ。

 

「さとりちゃーん!いるー?」

 

実は初来訪以来地霊殿には足を踏み入れていない。

特に用事がないというのもあるしさとりちゃんが用事があるときは、博麗神社までくるし、さとりちゃんに用事があるときは、地霊殿より手前の庵で待ち合わせしたりする。

 

俺はさとり能力は特に気にしてないが、やっぱりほかの人間が嫌がるんで結局いつものメンバー(お空とかお燐とかこいしちゃんとか)か、二人っきりかになるんだよな。

 

で、9割ぐらいは俺の責任なんだが……今目の前にさとりちゃんがいるが返事してくれない。

 

最初に呼んですぐさとりちゃんが現れたのだが、俺のことを無視していつものどこを見ているかわからない目で俺を、俺の向こう側を見るというより、眺めるといった感じで俺に瞳を向けている。

 

ちなみに、気づいてないのではないし、俺が嫌われているわけでもない。今の俺の思考も全部読んでるはずだ。

でも、さとりちゃんはあえて無視する。一応我慢比べをすれば、ちゃんと普通に相手してくれるんだが……

 

……はあ、どうしてこうなった。

 

俺の諦めの思考を読んださとりちゃんが、ほんの少しソワソワしだす。

自分から言いださないせいで最初なんて無言でさとりちゃんが俺をずっと見てるからノイローゼになりかかったこともあっ――「ゼロ!」

 

「ひぐっ!?」

 

俺のゼロと同時にさとりちゃんが軽く痙攣する。

せめてもの意趣返しとして不意打ちでやってやった。

思いつくと同時に声にしなければならないので結構難しいが、さとりちゃんのおかげで、できるようになった。

悔しいが一部の妖怪との戦いで役に立ってしまってるのであまり文句も言えねえんだよなあ……

 

「あふ……不意打ち……いい」

 

とろんとして……なあ、一応美少女のカテゴリに入るんだからよだれはやめようぜ……

 

あと、いい加減に暗示解かせてほしいんだけど?

 

「嫌」

 

ですよねー。さとりちゃんは読心能力フルに使ってまで暗示を解こうとする俺から逃げ回ったからな……

そもそも結構屈辱的な状態なのになんで甘んじて受け入れてるんだ?

 

「そうね……私も意外だったのだけど、心を読むの無意識にストレスになっていたみたいね」

 

なるほどなー、でもそれと何の関係があるんだ?

あ、いや、さとりちゃんがストレスのあまり変態行為に走ったというんなら名誉のために伏せとくけど。

全裸子供に見せて回ったりするおっさんとか……あ、あれは性欲か?

 

「違うわよ!?あ、いや、ある意味そういう感じかもしれないけれども少なくとも性欲とかではないわよ」

 

ほうほう、その心は?

 

「私、心が読めるでしょう?だから割とあらゆることに対して、身構えれるのよ、人のやることだけだけど、いわば未来が見えるのだから」

 

たしかになー。で、それとどういうつながりがあるんだ?

 

「身構えてようがまったくの無駄。強制的に果てるの。人のすることなのにね。それが、こう、とても気持ちいいのよ」

 

なるほどなあ、あ、じゃあせめてもう少しマイルドなのにするとかどーよ?

 

「マイルド?」

 

流石に年頃の女性(なお、実年齢)を強制絶頂ビクンビクンさせるのはどうかと思うんだ。対魔忍じゃあるまいし……せめて気分爽快になるとかそんな感じで――

 

「嫌です」

 

にべもない。がなんでだ、さすがにマニアックすぎるのは本人もわかっていると思うんだが……

 

「衝撃の度合いが違うでしょう、だからこそ果てるとかいくなどというのですから」

 

まあ、確かにな。

 

「それに……」

 

ん?

 

「私のような女性は男など寄り付きませんので――あ、すいません。私たくさんの女性に情のある人は無理です、心読んで嫉妬するので」

 

何も言ってないのに振られた!?いやいやいやいや、別に俺が恋人に――!とかは言うつもりはねえよ?

ただ、俺はさとりちゃん可愛いと思うし全然イケるよ!って言おうとしただけなんだよ!

 

「あなたは本当にもう……私は心がよめるので――それでもちょっと嬉しいですが……いいのですけど、そういうことばっかり言って回るから山ほど情人ができてしまうんですよ。幻想郷の女性は全部……こう、なんというか、免疫がなくチョロイので」

 

言い方ァ!?

それにみんなちょろく無いよ!?いや、確かにチョロいのもいるけど(暴言)基本的にみんな一癖も二癖もあるよ!?チョロかったのって依神姉妹だけだよ!(暴言)

 

依神姉妹、飯食わせて布団に寝かせただけで(なお、なぜか布団が一晩でボロボロになったが)即落ちといっていいぐらい懐いたからな、でかいのに懐かれるといろいろ困るんだよなあ。

 

「鼻の下伸ばしながら回想しても説得力のかけらもないわよ……」

 

伸びてない、伸びてたとしたら歯に物が挟まってたのを取ってたんだよ、多分。

 

ちなみに雛と正邪ちゃんと比較的仲良しだ、というか俺がユニット組ませていろいろ実験した結果、4人ともちょっと不幸な感じ(傘を忘れたときに限って雨が降ったり、特売品のラス1が買えない程度の)で済んでいる。

元の状態より運が悪くなった雛と正邪ちゃんには悪いが、雛は気にしてないし正邪ちゃんは普通に遊べる相手が出来て文句は言うけど受け入れているし、それなりに楽しそうに過ごしているぞ。

 

「いや、なんであの四人一緒にいるんだろうって思ってたらあなたの仕業ですか……」

 

おかげで雛があのお方扱いしなくても安全になったし、ポツンと一人うらぶれている正邪ちゃんを見なくてよくなったので、俺的には大正義だと思うぞ、

 

「はあ、本当にあなたは……もう少し考えないと地霊殿ぐらいの屋敷が必要になりますよ」

 

なんで?

 

「それぐらい嫁ができますよ、これから先も増え続けそうですし」

 

それ近所のとんがり帽子の悪霊にも言われた。

だけど、正直俺そこまで嫁候補いねえと思ってるんだが……

 

「なら、しばらく一緒に行動しましょうか?で、嫁になりたいと思っている娘見つけたら教えてあげてもいいわよ」

 

本人の意思無視して暴露とかいろいろと問題がありすぎる!?

 

「さて、戯れはこの辺りにして、本日は何の用で?私をイかせに来たわけではないでしょう?」

 

そもそも俺が自発的にイかせたのって初対面の時だけだよねえ!?

なんか風評被害なんですけど!?

 

「さて、どうでしょうかねえ」

 

くっそ、このままでは話が進まねえ……あ、そうか。

 

「むう、気づきましたか」

 

いつもこの辺で問答面倒になってゼロって「あふっ」……思ってしまったが。

なるほど、わざとやってたんだなさとりちゃん。

 

「はぁ……良いお点前でした」

 

くっそ……まあ、もう堪能したろ?堪能したよな?

してなくても先に進めるけど、本ここにねえか?

 

「艶本は少ししか持っていませんが……」

 

違うよ!?って持ってるのかよ!?……よし、おちつけ、これはさとりちゃんの罠だ。

博麗神社についてや幻想郷について、博麗の巫女とかあとは先代の巫女について書かれたものとかあったらみたいな。

 

心読めるから包み隠さんが霊夢ちゃんと結婚したいし子供も欲しい!だからお役目とか、そういうこともひっくるめて少しでも情報が欲しいんだよ。

 

「なるほど、ついに覚悟を決めたと称えるべきか、ようやくかこのヘタレとののしるべきか悩みます」

 

今盛大にののしってますよねえ!?

くっそ、さとり能力の恐ろしさをこんな時に味わうとは(能力関係ない)

 

まあ、話し戻すけどここに書庫みたいなのない?もしくはそういった本とかに詳しそうな人。

あ、パチュリーちゃんところは真っ先に行った。

 

「本といえばそこだから、当然ですね、一応地霊殿にも書庫はありますがそういったものは見なかった気がします、一応見てみますか?」

 

ありがたいな、さとりちゃんのこと信用しないわけじゃないが、自分の目で見てみたい。

 

「それと先代の巫女に関してですが、さすがに年代が新しいので本とかはないと思いますが……」

 

ますが?

 

「取材とか、されている可能性ないでしょうか?」

 

天狗か!天狗の仕業なのか!(意味違)それはちょっと盲点だったなあ。

と、なると文かな?はたてちゃんでもいいと思うが文はフットワークが軽いし、何より容赦なくこき使いやすい気安さがある(酷)

 

「それとですが、公式には先代の生死は不明なのだけれど、死神に聞いたらもしかすると……」

 

その手があったか!いやなんだかんだいってさとりちゃん有能だよな。伊達に実質一人で旧地獄仕切ってねえよな。というか他の面子が癖がありすぎる……!

 

「褒めても何も出ませんよ、あとあれは癒し枠なのでいいんです。私が思いつくのはこんなところでしょうか、あまり力になれず、すいませんね」

 

いや、十分ありがたい。ひらめきってときにはすべて凌駕するからな。

で、死神でコンプライアンスを守らないって言ったら小町ちゃんか(酷認識)まあ小町ちゃんなら結構なレベルのやらかしでも「映姫様ごめんなさーい」で何とかなってるからな。

 

万が一首とかなったら小町ちゃんぐらいなら養ってあげてもいいだろうし。

実は俺、小町ちゃんが意図的にサボタージュしなかったら二回死んでるんだよなあ、だからそれぐらいの恩は返すつもりだ。

 

「いま、二回死んだとかいう不穏な思考が流れてきたのですけど……?」

 

あー、まあほら、俺って一般人だし死ぬときはあっさり死ぬのよ。

まあ死ななかったけど。

 

「あなたは……」

 

お、心配してくれるのか?

 

「当たり前ですよ、あなたが死んだら……」

 

さとりちゃん、もしかして……

 

「誰が数を数えてくれるというのですか!」

 

 

 

 

 

「お空にでも数えてもらえっ!!」

 

 

 

 

 

珍しくさとりちゃんと声を出して会話(?)した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
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天子バトルの裏側・前編

パンチラ移植品


 

「さあ、約2週間ぶりの実況ですねー。いつも通り実況は私、射命丸文。盗撮は「だから中継!」姫海棠はたて、解説は手の空いてるだれかでお送りします!あと今回は特別審判として白黒はっきりつける女。映姫さんにもご足労願っています……万が一の時はお目こぼしお願いしますね」

 

「本来は私の能力は審判などに使うものではないのですが……ま、裏の意味も汲んであげましょう。天人には死神たちがとてもお世話になっていますからね」

 

と、「とてもお世話」の部分を強調する映姫。さもありなん。

 

「さあ、挑戦者の彼ですが、「今回はガチ」とのことで能力を厳選したそうですよ、どんなのが出るか実に楽しみですね!」

 

ウォーミングアップをしている彼を見ながらテンションも高く文が解説を始める。

いつも通り……といえばいつも通り。文の周りにはそれぞれ得意分野のある人物たちがたむろして、いつでも解説できるように待機している。

が、今日はいつもではないことがある。

 

「あんたら……いつもこんなことしてたの?」

 

博麗霊夢の存在である。

やけに手慣れた準備と、2週間ぶりという言葉で、恒例行事であったということに気づいたのだ。

 

「いやあ、まあ、酒の肴に丁度いいもので……」

 

「でもこういった闘いってあんまりないはずよね?せいぜいが華扇とか……幽香は今では見る影もないし……ほとんどないはずなのになんで恒例みたいになってるの?」

 

「いえ、彼結構戦ってますよ。スペルカードルールに参加していない妖怪とかと。華扇さんとかがセコンドについている感じですけど、時々負けて救援されてますが中妖クラスでも安定して戦えてますよ、勝率7……いえ8割は超えてるんじゃないでしょうかね?」

 

「は?」

 

霊夢が呆けるのも無理はない。木っ端妖怪と違って中妖ともなれば一般人が出会えば必死。それなりの使い手であっても逃げるぐらいはできても倒すのは困難というぐらいの強さを誇る。それを自称人間(間違いなく人間ではあるのだが納得はしがたい)が倒すとなるとそれはちょっとおかしいという感じ。むしろそれが異変といっても過言ではないのである。

 

「そもそも霊夢さんは彼を少々過保護に扱いすぎだと思いますよ。いえ、保護した時の感覚が残っているのでしょうが……」

 

「いや、それなりに強くなってるのは理解してるわ。してるけど、そこまで……」

 

「はっきりいってなんでもありで戦った場合。たぶん彼、私より強いですよ?」

 

「嘘!?」

 

烏天狗といえば空を飛べ、素早く、神通力を使いこなすかなりの強さの種族である。

そのなかでもこの射命丸文、人懐っこい……というか物怖じしない性格で人当りもいいためそうは見えないが、妖怪の山でも一目置かれるほどの実力者で、大妖怪に片足突っ込んでるといってもいいほどなのである。

 

「ものすごく頑張って鍛えてるのは知っていたのだけど、そこまでなの?」

 

霊夢が問う。

たしかに見ている感じ畑や料理などの時間以外は何かしら鍛錬をしていたり、なんらかの術を練習していたりするのは確かだが……

 

「そうですねえ、彼、素直なんですよ。なので教わったことをすごい勢いで吸収するんです。だから教える側も惜しみなく教えるのが一つ」

 

「それはわかる気がするわ」

 

霊夢は頷く。

霊夢が何かを教えたことはあまりないが、教えれば時には茶化しはするが言われたことはかなり真面目に覚えるのだ。

 

「でも彼の本当の強さはそこじゃないんですよ、地頭の良さというか……素直といった後でなんですが、とてもひねくれていて意地悪なんところです。どうすれば相手が嫌がって自分に有利になるかを理性的に選択できるんです。……頭の回転が速すぎて、やられたほうは偶然とか本能的にやられた感じがするんでしょうが……私は誰よりもよくわかるんですよ、彼の頭の回転が異常だってことが……ずっと実況してきましたからね」

 

「そうね、それもなんとなくだけど、わかる気がするわ」

 

霊夢はごっこに不参加の妖怪との戦いはしたことはない。が、一緒に異変解決に行ったことはある。

彼はスロースターターだと思っていたが、もしかすると勝ちの一手を見出すまで動かない性格なのかもしれない。

 

「ですので彼と闘うなら速攻ですね。もし長引けば、私とていつの間にか……っと、そろそろ動くみたいですので実況に戻りますね。霊夢さんは今回初観戦でしょうし、じっくりと見定めるのもいいかと思いますよ」

 

「ええ、でも、まあ相手はアレだしね……流石に怪我しないようにだけ祈っておきましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、いよいよ始まりました!初手は飛び道具の応酬だぁーっ!あれはオンバシラ!?ということは神奈子さんですね!」

 

「そうね。選ばれた理由は質量があるからだそうだけど……要石に対抗するには丁度いいと思うわ」

 

初手は岩と岩の激しいぶつかり合いから始まった。

飛来してくる要石を石柱で叩き落したような感じだ。

 

「おっと、これは珍妙!オンバシラを射出してその上に載って間合いを詰めに行く!」

 

「まさか……あの技を実際にやる人間がいるとは……」

 

「むう、知っているのか華扇!?」

 

「だからなんでいつも色無し恋無し情有りの学校の人みたいな聞き方するんですかっ!?……こほん、今彼がやったのは創作物にある――」

 

「まあ、私も知ってるんですけどね、さて間合いが詰まったので近距離の攻防が始まっています」

 

「ちょっと!?聞いた意味は!?」

 

「様式美です、あと実況が追い付かないので苦情は却下です!」

 

なお、結構この手のやり取りは繰り返されているが、華扇はいまだに激しく突っ込みを入れるので、そのせいで余計文にネタを振られることに気づいていない。

 

「まずしかけたのは比那名居天子!言いにくいので彼に習っててんこと呼称しましょう!だがいっぱしの武術家たる彼になんの変哲もない攻撃は悪手だぞーっ!えっと、なんかこう、くいってやってとんってやりました!」

 

「その表現何っ!?……まったく、引き続き私が解説するわよ、攻撃の手を斜め下方向に捌いて重心が前に偏ったところを、回転運動で前方へ倒れさせるように巻き込んで、それから貼山靠でさらに崩しに行ったわけです。そこから追撃がセオリーなのですが、私でしたらもう少し強めに前方に巻き込んで、背の高さを生かしてかぶさる様にして地面にたたきつけるようにしますね、うまくいけばワンバウンドしますのでそこに追撃入りますし」

 

「そんなバーチャな戦士みたいな挙動、普通の人間はできないと思うんですけどね。っと、なんでしょう手を引き絞って鞭のようにしならせて……叩きつけたぁーっ!!」

 

「短鞭と呼ばれる技ですね、寸勁の打ち方の一つです。」

 

「あれ?寸勁って寸勁という技なんじゃ?」

 

「いえ、寸勁は超接近戦で打つ打撃技の総称です。なのでかなりの種類がありますよ……って何やってるんですかぁ!?」

 

オンバシラと打撃で天子を挟み込んだ後、裂帛の気合とともに天子ががくんと痙攣したのを見て華扇が絶叫する。

 

「なにか問題が?」

 

「いま、彼は発勁とともに仙気を叩き込みました。仙気発勁という奴です」

 

「ほうほう、ですがそれがどうかしたのでしょうか?」

 

「発勁は内部に直接衝撃……勁力といいますがを叩き込む技です。そのとき一緒に仙気を叩き込んでいるのですが――正直仙人のはしくれである私ですら数回に一回ぐらいしか成功しませんよ、反発する力の仙気と浸透する力の勁力。相反する力を流し込むというのは難易度が高いのです」

 

なお、発勁を手本を見せてから半日ほどで会得してしまったのを華扇は知っている。

普通数か月はかかるんですが……と問うたのはまだ記憶に新しい。

 

「ああ、でもそういった複数の力を操るのは彼の得意技でしょう?特に驚くことがないのでは?」

 

仙気発勁(あれ)、鉄鼠一撃で仕留めますからね?間違えても人に向けて打っていいものじゃないんですよ?」

 

しかもオンバシラで挟み込んでであるのでかなり殺意が高い。

 

「ええ、ですが天人にはいいのでは?」

 

そう文がいいながら天子を指さすと多少顔色が悪いものの普通に動いている。

 

「ええ……」

 

華扇、ドン引きである。

鉄鼠といえば大妖といっても過言ではない妖怪であるが、それを一撃で仕留める技を受けてもぴんぴんしている天子は本当に何者なのだろうかと華扇の頭によぎる。

いや、天人であるのは理解しているが少なくとも華扇の知る天人であれば、今のを受ければさすがにノックダウンさせることはできると思うのだが……

 

「あまり効いていないとはいえこれはチャンスか?たたみかけるが……おおっと、頭突きで割り込まれた!ここで攻守が交代、天子攻める攻める攻める!これはなんともアクロバティックな動きですね!っと、隙を突いて突っ込むも、迎撃されたーっ!」

 

「地功拳の動きみたいですが、きっと天子さんは本能的な動きで戦っているのだと思いますね。武術というのはある一定の流れがあるものですが、彼女にはそれが見受けられないので」

 

「さて、吹っ飛んだあと畳みかけられていますが、思ったよりもダメージがありませんね?誰かわかる人いますか?」

 

そう文が水を向けるとパチュリーが言葉を受け解説を始めた。

 

「闇の衣とかいう魔法?術?特殊能力?まあそんなたぐいのなにかね。最初は吸血鬼状態になったとき光を避けるために使っていたのだけどいつの間にかあんな器用なことできるようになったようね」

 

「いつの間にかって、そもそもあれってなんなんですか?闇って形になるもんじゃないでしょう?」

 

「わたしと彼の推測だけど、闇ってのは重力系のようなのよ。だからあれは実際は闇ではなく異常重力場で、そのせいで光が吸収されて真っ暗に見えるみたい」

 

「よくわかりませんが闇っぽいけど違うって認識でいいですか?」

 

「それが形而上の話になるとそうとも一概に言えなくて……光に弱いのよね……重力なら光を飲み込むはずなのだけれど……だから、まだ研究中ってところね」

 

「なるほど、スルー推奨ですね!」

 

実況者としてどうかともとれる文の発言だがそもそも妖怪の特殊能力とかは「よくわからないけど使える」というたぐいのものが多く、深く考えるだけ時間の無駄なのである。

よってスルー推奨のことが多々ある。

 

「そうね、検証と実証は私の趣味だからわかったら教えるわよ」

 

「たぶん、後で言われても覚えてない気がしますけども……ラッシュはまだ続いている!っとここで大きく吹っ飛ばされて間合いが離れたーっ!」

 

「へえ、フォーリングコントロールの魔法を面白い使い方するわね」

 

「と、いいますと?」

 

「あれは高いところから落ちたりしたときに使う落下制御魔法なんだけど、吹っ飛ばされてゆっくり落ちることによって遠くまでとばされてタイミングをずらした感じかしら」

 

「相変わらず器用な技の使い方しますよねー。ここで天子、手に要石を装着!おっとこれドリル!ドリルですよ!」

 

「なんでそんなに興奮しているの?」

 

パチュリーがドン引く。

たしかに少しばかり異常な興奮を文は見せている。

 

「ドリルはロマンですよ!」

 

「あ、そう」

 

くだらないことだと相手にしないパチュリー。

 

「なんですかその気のない返事――っ!?捌きにいった手をさらに内側に捌き返されて、腕が千切れとんだっ!ってちょっと大丈夫なんですかあれ!?魔理沙さんとかでくっつけれるんですか!?映姫さん死神止めてくださいね!!」

 

「落ち着きなさい」

 

そういって文を制したのは先ほどからのんびりと観戦していた美しき吸血鬼。紅魔館の主レミリア・スカーレットである。

ただ、今日はいつもの日傘もない状態ではあったが。

 

「っと、ああなるほど、貸したんですね……みなさんお騒がせしました」

 

流石に頭の回転の速い文はすぐに気づいて納得する。

 

「ええ、せっかくだから人間になってみたわ。……抱きすくめられて血を吸われるのって結構いいのね……イったわ」

 

「それに対して私はどういうリアクションを返せばいいんですかねえ!?」

 

流石の文もいきなり下ネタをぶっこまれるとは思っておらず対処に困る。

まあ、幻想郷の住人は性におおらかなので特に問題はないのだが、それでも実況するような話題ではない。

一部からは羨望と嫉妬の眼差しがレミリアに注がれているようだ。本当にどうなってるんだここの女どもは……と、ちょっと思わなくもない文だった。

 

「特にリアクションは求めてないわ。自慢ですもの。それにしても――」

 

中継を見ながらレミリアは独白する。

 

死にぞこない(アンデッド)ごときと一緒にしないでほしいわね、こちらは真祖、不死(イモータル)なのだから」

 

手足が吹き飛ばされ、どてっぱらに大穴を開けられようとも瞬時に再生して立ち向かっていく彼を見てレミリアは小さく続ける。

 

「お前は挑戦し続けなさい。努力し、諦めない限り、お前はもっと。誰よりも、強く、大きくなれる器よ。ふさわしい男だと、見せてみなさい」

 

攻防は続く。

 

「さあ、だんだんと戦闘が地味な攻防になってきました。もっとも天子さんのその一撃は必殺の一撃!ただ彼も必殺無効という特性で対抗している感じですね!」

 

「無効……では無いと見ますけれどね」

 

「ほう、それはどういう意味でしょうか神奈子さん?」

 

「受けざるを得ないとき、彼は四肢で受けるわ、頭部、心臓付近を避けるようにね。つまりはそのあたりに受けると再生ができないか、あるいは即死に近い状態の戦闘不能になるのではないかしら?」

 

そういってレミリアをみやる神奈子。

 

「ええ、頭のない状態で瞬間再生するのは少しコツがいるの。たぶんそこまではまだできないのではなくて?」

 

「ふふ、()()……ね」

 

「ええ、()()よ」

 

互いに苦笑しつつ、何かを含んだ会話をする二人。

その間も攻防は続く。

 

「おっと一瞬のスキをついて何かしかけたぞーっ!……水?でしょうか、それがまとわりついて……だが破られたーっ!」

 

「精霊魔法ね。まったく羨ましいわね」

 

パチュリーが嘆息する。

 

「ほ?といいますと?」

 

「魔法と違って精霊魔法は精霊がある程度自己判断で動くのよ、例えばそうね、同じように溺死させるウォータージェイルという魔法があるのだけど7文節ぐらいの詠唱が必要になるわ。ちなみに私は5文節で行けるけど……。でもね、それを彼は精霊の名前と呪文名だけで発動しているわ。戦いの場ではこれほどのアドバンテージもないでしょうね」

 

「ほほー、では魔法より精霊魔法のほうが強いのですか?」

 

「いえ、精霊魔法は場の属性で使える魔法が決まってしまったり、威力が減衰したりするわ。もちろん、無理もさせられるのだけどよほど精霊に好かれていないと無理ね、でも――」

 

「あー、彼はやたらそういったものに好かれますからねー」

 

「ええ、それに組み立てもいいわ」

 

と、攻防を見ながらパチュリー。

 

「水の精霊から、関連性のある氷の精霊を呼んで――は?」

 

「ど、どうかしましたか!?パチュリーさん!?」

 

「氷の術式からフェンリルですって!?――ありえないわ!!」

 

「え?何かおかしいのですか?」

 

「私もそれを聞きたいですね、ゲームとかだとフェンリルって大抵氷属性なんですけど?」

 

華扇も便乗して質問して食う。

が、パチュリーは全力で否定する。

 

「そもそもフェンリルが氷属性ってなんのことなの?伝承にも口を開けば上顎は天に届き、口からは火を吐くと書いてあるわ……つまり、火属性よ?フェンリルは。そもそも精霊ですらないから正直彼が何をしたのか……興味深いわね」

 

「えっと、つまりは?」

 

「でたらめなことをしたってことね、まるで正反対のことをやってのけたのですもの」

 

「今回スルー案件多いですね!っと一瞬だけ狼の頭部が見えてそれに噛まれた天子さんでしたが、何事もなかったかのように戦いを続行しております!……いや、アレ普通死ぬでしょ?」

 

思わず素に帰る文。無理もない、特殊な能力でもなければ物理的な威力では相当のものがあったはずだ。

 

「しかも神殺しか、ふむ、対私を想定か?これはいよいよ私も手籠めにされてしまう日も近いやもしれないわね」

 

どこか嬉しそうな神奈子。師として弟子の成長がうれしいのか、それとも女として手籠めにされそうなのが嬉しいのか、それは神奈子にしかわからない。

 

「っと実況が追い付いていません、続いて雷の矢!マントラですから――」

 

「私ですね。インドラーー雷をつかさどる帝釈天の力を借りて雷を操るマントラですけど……正直避雷に使うものであってこのような使い方は初めて見るんですが……彼いったいどうやってこのような発想に至るのですかね?」

 

「私にだってわからないことぐらい――ある」

 

「MMR!?だから文さんも絶対漫画持ってますよね!?」

 

華扇が突っ込むが文は華麗にスルー。

 

「さて、っと今度は彼にしては長い詠唱……?呪文?なんか韻を踏んでて独特ですが……?」

 

「私にもよくわからないのだけど、わかる範囲で分析するわ」

 

「パチュリーさんにわからなければたぶん誰にも分らないと思うのでかまいませんよ。それに解説じゃなくて分析って……相当変なことしてるんですね?」

 

「ええ、スターライトブレードの術式――これは光の剣で実体のないものを切る魔法だけど、それっぽいけどなんか全然違う」

 

ひどいいいかたである。

 

「西洋占星術と印度天体学、それに中華思想の九曜星……私の七曜に羅喉と計都を足したものね……まったく、どこまで成長するのかしら。っと、さらに七五調の呪歌に呪文詠唱を乗せてるわね……いったい何をやらかす気なの!?でさいごは彼の好きな7,7,7,5の都都逸調ねって何よあれ!?」

 

作り出した剣を見てパチュリーが戦慄する。

 

「おおっと天子、焦りの声を上げて緋想の剣を出して受け止めたーっ!って、何があったんですパチュリーさん」

 

実況がだんだん追い付かなくなってきている。

非常識も過ぎるのだ、今日の彼は。

 

「まるでこの世の悪意を固めたような剣ね……まずいわね、彼の体持つの?」

 

「いちおー私の力借りていったから多少はねー?」

 

「でも、あれは多少じゃないでしょう諏訪子。正直どのぐらいなの?」

 

「30%軽減かなー、30%増強もできるけどなー。ま、でも大丈夫だろーほかにもなんか細工してるってあいつなら。神奈子は心配しすぎだよ」

 

「そうだといいけど」

 

諏訪神奈コンビのやり取りをよそにパチュリーが戦慄しながらうめく。

 

「物質……変換……精神エネルギーの物質変換?」

 

「えっとパチュリーさんが混乱していますけど、何か問題でもあったのです?」

 

「いま、彼のディザスターブレード……長いので災禍剣とするわよ?緋想の剣と切り結んだのよ」

 

「え?ですが剣なのだから当然では?」

 

「つまりは実体を持っているってことになるのよ」

 

「?よくわかりませんけど、闇の衣だって実体もってませんでしたっけ?」

 

「違うわ、闇の衣は重力場、物質化のように見えるけど「手ごたえ」があるだけで物質ではないのよ、だけど災禍剣はそうじゃない、ちゃんと切り結んでいる……これってつまり――」

 

「創造。神の領域だよねー、うーんやっぱり守矢で引き取りたいな―早苗とくっつけちゃおう」

 

「残念、うちも神社なのよ」

 

さすがに彼の所属にまで口を出されたくはなかったようで霊夢が物言いをつける。

 

「えー、でもうちだと4Pできるからきっと彼も喜ぶよ、ね、神奈子」

 

「諏訪子は何を言っているの……?それに、なんだ。私は二人きりでまぐわいたい派でな」

 

「こんの色ボケ神ども……!」

 

霊夢がスペルカードを取り出そうとするが――

 

「はいはーい、この集まりの絶対のルール。観戦者は暴れないですよー」

 

文がなだめる。

今回は公認(いつもは秘密裏に観戦している)だとは言えやはりこちらであまり騒がしくなるのは禁止である。

 

「はあっ!?」

 

「今度は華扇さんですか!?いったい何が!?」

 

「裏剋裏生法!禁術も禁術、邪仙の術ですよ!……霍青娥かっ!」

 

殺意をむき出しにして華扇が吼える。

邪仙の術は濁業がたまり、正常な気を失うため正当な仙人にとっては毒以外の何物でもない。

 

なお、華扇は知らないが彼はとある能力で行使しており、霍青娥にとっては濡れ衣もいいところである。

そもそも霍青娥は彼をわが子のように甘やかしており、決して邪仙術などおしえないのだ。

 

「おのれ、どうしてくれよう……!」

 

どうもしないであげてほしい。

彼女は全くの無関係なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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バレンタイン変奏曲

ホワイトデーなので
移植


 

東風谷早苗

 

 

「すーけさん」

 

「お、どうした早苗ちゃん?」

 

「はい、これ、チョコレートですよ」

 

「マジか!?いったいどうやって……」

 

早苗ちゃんに呼び止められて、チョコレートを手渡された。

バレンタインデーなんだが、もちろん幻想郷にそんな風習はないし、知っているメンバーも限られている。

 

まあ、もちろん早苗ちゃんは知っている側なんだが、次の問題としてチョコレートが手に入らねえんだ。

 

おれもいろいろやってみたんだが、原始的なココアが限界でチョコレートっぽいものは作るのは無理だったんだよなあ。

 

「霊夢さんが何やらこそこそしてたんで後を付けたらスキマ妖怪にチョコレート頼んで――えい」

 

「ぐはあっ!?なんで急に神力パンチ!?」

 

話の途中でいきなり早苗ちゃんに殴られた!?

 

「こうね、笑顔が不愉快になること、私だってあるんですよ。いちおう乙女なので」

 

「なんか理不尽!?」

 

笑顔になったら殴られるっていったいどんな地獄だよ……

 

「まあ、つまりはせっかくなので私も頼んだわけですよ、溶かして固めただけですが、一応手作りですよ」

 

「それは、本当に嬉しいな、ありがとな、早苗ちゃん」

 

溶かして固めただけどいうが実はけっこう難しい。

例えば雑に作業すると、油脂分が分離して変な形に固まることがある。

黒くてしわの入った物体……控えめに言って犬のうんこみたいな感じになったりするんだぜ……

 

「チョコレートは幻想郷では最高レアですので、三倍返し期待してますよ」

 

と、にひひ♪と笑う。

 

「そんな風習まで持ち込むなよ……」

 

げんなりと答えを返すが、早苗ちゃんのこの笑い方(ひそかに俺はやんちゃ顔と呼んでいる)、とても魅力的で好きだ。

生気にあふれているというか、とても「らしい」んだよなあ。

 

「最低でも海の見える夜景の素敵なホテルの最上階でディナーですね」

 

「難易度高すぎませんかねえ!?」

 

高層建築物も、夜景も、海も幻想郷には存在しねえよ!?

 

「えー、それぐらい何とかしてくださいよー」

 

「できることとできねえことは流石にあるだろ……」

 

「えー、でもやっぱり女の子のあこがれなんですよ、かなえてくださいよー」

 

と言いながら近づいてきて「そ・れ・に」と俺に耳打ちする。

 

「もちろんその後はスイートルームでお泊りですよ♪」

 

「一体いくらかかるんだよ、それ……」

 

まあ、今の俺の稼ぎならできないこともないんだけど、現実世界じゃ多分無理だったろうなあ……

 

「それが男の甲斐性じゃないですか、あ、もし、そうなったらですが――」

 

と、再度口を寄せて……

 

「初めてだから、優しくしてくださいね」

 

と、囁いてきた。

 

「え、早苗ちゃん」

 

「質問は受け付けていませーん」

 

そういって笑いながら駆け出して行ってしまった。

 

……相変わらず早苗ちゃんは何というか。

 

「風のように気ままだなあ」

 

俺はそうぼやいてまた歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧雨魔理沙

 

 

 

 

 

 

「よっ」

 

「お、魔理沙か、どうしたこんな農道で」

 

畑から帰っていると、魔理沙が声をかけてきた。

基本的に飛んで移動する魔理沙が農道にいるということ自体が珍し――

 

「さて、いったい何を盗んだ?」

 

 

 

 

 

とりあえず尋問することにした。

 

 

 

「盗んでないよっ!?お前はいったい私を何だと思っているんだぜ!?」

 

「泥棒魔女」

 

「酷っ!?」

 

いや、だって普段が普段だしなあ、それにこの先にあるのは――

 

「で、なんのキノコ盗んだんだ?シイタケか?マイタケか?……まさかホンシメジじゃねえだろうな?もしそうだったらちょっとお仕置きのランクを一つ上げる必要があるぞ?」

 

キノコの圃場なのだ。

 

「まだ、とって行ってないよ!」

 

「まだ?」

 

「あ、いや、その、違うんだぜ、もちろん、必要なときは声をかけてから分けてもらうつもりだったんだよ。それに、まだ食べごろじゃないだろ」

 

必死に言い訳をする魔理沙、どうやらこの間失禁するまでくすぐられたのが流石に堪えたようだな。

だが、生育状況をチェックしているということには注意しておかねえとな、たぶんやらかすぞ。

もっともやらかしたならやらかしたでお楽しみタイムなわけだがな。

 

「なら、いったい何の用だよ」

 

「えっとな、これ、食えよ」

 

そういって魔理沙が差し出してきたのはチョコレートだった。

……え?

 

「今日は世話になってる男にチョコレートとやらを渡す日なんだろ?貰ってくれよ、で、その、食べてくれると嬉しいんだぜ」

 

と、目をそらしながらうつむいて俺にチョコを押し付けてくる、男友達だと思っていた女子からもらうような、ちょっとくすぐったいシチュエーションだな。

だが――

 

「――いれた?」

 

「え?何か言ったか?うまくできてるか心配だから食べてみて――」

 

「俺を陥れるために何を入れた?」

 

「え?」

 

俺がそう告げた瞬間、魔理沙の目が泳いだのを見逃さなかった。

 

「確保ーっ!」

 

「えっ!?ちょっ!?こら、どこ触ってるーーんっ!?」

 

魔理沙の足に俺の足を絡めて動きを封じる。

至近距離で魔理沙と見つめあう形になるが……うん、美少女なのは確かだな。

魔理沙は性格を加味さえしなければ俺の好みの理想に大分近い顔立ちをしている、意思の強い目というか、熱を持った瞳というか、そういうかんじのかおだな。

 

「さて、魔理沙よ……お前が食え」

 

「えっ、ちょっ!?やだっ!それは流石におかしくなっちゃうから!嫌っ!」

 

「そんなやばいものを俺に食わせようとしていたのか(憤怒)」

 

チョコを取り出し魔理沙に食わせようとするも、魔理沙は必死に口を閉じて抵抗する。

だが、許さん。

 

「んっ!?んーっ!んーーーーん!ぷはっ――んぐっ!?」

 

鼻をつまんで、呼吸が苦しくなって口を開けた瞬間黒光りするものを魔理沙の口にねじ込む。

 

「どうだ、魔理沙?美味しいか?」

 

溶かさないよう必死に嚙まないように、舐めないようにしている魔理沙だが、物の性質上、口内の熱でとろけてくる。

そのせいで滑りのよくなった魔理沙の口内に俺は黒光りするものをストロークさせるように出し入れして、魔理沙の口内を蹂躙していく。

 

じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ。

 

粘っこい水音を立てて魔理沙を責め立てていたそれは、とうとう限界を迎えた。

 

「んっ!んっ!んっ!んっんう!んんん-ーーう!?」

 

表面が完全にとろけて、せき止められていたものが、魔理沙の口内にほとばしる。

白く濁ったその液体を、飲み込まないように魔理沙は必死に抵抗するが、俺は吐き出すのを許さず、さらにそれを押し付け口をふさぐ。

そして鼻もつままれて――

 

こくん、こくん、と、魔理沙の喉が白濁液を嚥下していく。

口の端からあふれた白い粘性のある液体が魔理沙の服を汚す。

 

 

 

 

効果はすぐに表れた――

 

「んん-っ!?」

 

ビクンと魔理沙がはねる。

 

「ひっ!ひいっ!?あは。あはははははははは!」

 

笑い薬の類か?

 

「何の薬だいったい……?」

 

そう独り言ちると、魔理沙の服から小瓶が転がってきた。

ん?こいつは……

 

瓶の表示を見ると「対対魔忍薬×3000」と書かれている。

 

「くすぐった、あは、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!ちょ、息が!」

 

「どうやら皮膚の感覚を敏感にする薬らしいな」

 

どうも、この間くすぐり倒されたのを根に持ってこの凶行に及んだみたいだが……

皮膚の感覚敏感ってことは……

 

「あははははっ、あんっ、んっ、くうっ!えっ、これ!?あっ」

 

 

魔理沙の声の質が変わってきた。服でこすれたりしてるんだろうな……幸いここまでくるようなのは俺しかいないような道だし、せめてもの情けだ。見ないでおいてやろう。

 

「じゃあな、魔理沙。いろいろと大変だろうが頑張ってくれ」

 

そういって俺はその場を後にした。

情け?俺が食ってた時のことを考えたら微塵もかける気にならんわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗霊夢

 

「――ということがあってな」

 

「あきれた、私からせしめたチョコレートでそんなことしてたのね」

 

さすがの霊夢ちゃんも魔理沙の自業自得だとおもったのか、助けに行ったりはしないようだ。

ちょっと待ってくれ。

 

「せしめたって、あのチョコ魔理沙が頼んだ分じゃなくて――」

 

「魔理沙がそんなことするわけないでしょう、アンタにあげるために私が頼んだ――まってどこ行くのよ?」

 

「いや、ちょっと魔理沙にとどめ刺しに行こうかなって」

 

「流石に殺すのはやめなさい」

 

触手とかスライムを召喚してこようかと思っただけだぞ?

 

今ならマーラ様だって呼べそうな気がするぜ!

 

「落ち着きなさい、ちゃんとあるから」

 

「お、そうか」

 

霊夢ちゃんにいわれて座りなおす。

 

今日の霊夢ちゃんは白に赤の刺し色のワンピース、いつものリボンじゃなくて、小さいリボンで髪をまとめてある。

現代美少女っぽい感じで、グッドだ。

 

「なんでこんなお菓子に必死になるんだか……」

 

「まあ、チョコはしょせんチョコだけど、誰からもらったかが大きいんだよ」

 

「ふうん、じゃあ私からもらうのはうれしいの?」

 

「おう!」

 

言葉を尽くすよりも、全力で笑って肯定する。

 

 

「そ」

 

霊夢ちゃんの返事も心なしか軽い。

 

「とはいっても、そこまで大量には残らなかったし、私お菓子作りってそこまで得意じゃないっていうか――ああ、いいわ。取り繕ってもしょうがないものね。まあ、こんな感じよ」

 

といって霊夢ちゃんが見せてくれたのはどろどろの物体。

さすがにこれは……とおもうが霊夢ちゃんが一生懸命用意してくれたもの、残すなんてありえない。

 

「じゃあ、いただきま――」

 

「ちょっ!?なんで飲もうとするのよ!?莫迦じゃない!?」

 

「え、でも」

 

「アンタ自分でも作ったことあるでしょう、ほら!」

 

そういって、カリカリに焼いた棒状に切った食パンを差し込むと。

 

「あーん」

 

「ん、お、おお」

 

言われるままに口を開けるとチョコのついたパンを押し込まれた。

ああ、これはチョコフォンデュっぽいもの……どっちかというとディップか?

ヤンヤンつけボーみたいな感じか?

 

「うん、おいしいと思うぞ、ほら、霊夢ちゃんも」

 

と、俺も霊夢ちゃんに「あーん」を促す。

 

「ん、そうね、味見はしたけど……さっきよりもおいしくなってる気もするわ、ふしぎね」

 

「果物とかもうまそうだな」

 

「ちょっと早くて酸っぱい苺あるわよ」

 

「お、いいねえ」

 

そうやって、いろいろなものにつけて霊夢ちゃんと二人で食べたり食べさせあったりしていると、やがてソースもなくなってしまった。

 

「よし」

 

「なにがよしなのよ、って行儀悪いからやめなさい!」

 

わずかに残ったチョコソースを舐めとろうとして、器を抱えたら霊夢ちゃんに強めにしばかれた。

霊夢ちゃんは結構食いもんで下品なことをするのを嫌うんだよなあ(だがおじややねこまんまは許される)

 

「あたた……だってせっかく霊夢ちゃんが作ってくれたもんなんだから、余すことなく全部食いたいじゃないか!」

 

「んっとにアンタはもう……」

 

ぶつぶつ言いながら霊夢ちゃんは少し視線をさまよわせてから、目を閉じて、そしてまた開くと指でこそげるようにチョコソースを集めていく。

こんもりと指に乗ったそれを俺に突き出して――

 

 

 

 

「あーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔理沙の項目はとても健全です
市民、あなたは健全ですか

ちなみにホワイトデーは早苗だけです


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天邪鬼をツンデレ扱いした話




パンチラ登録者数が1989人。
2000人言ったらリクエストとか何かしましょうかね
あとパンチラが見たいです!だけの人は後回しにしてます。
感想くれるとか評価するとか……


誤字脱字報告者方
ありがとうございます。
機能が変わって、適用すると一覧から消える仕様になってて使いづらくなりました……
これだと、どこまでが今回分かわからないの……

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
感想や一言評価でパンチラが見たいとご連絡ください、感想もね!メッセージ機能では受け付けておりません(羞恥プレイ)

動画投稿始めました。
霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!の解説動画も投稿予定です。
裏設定とか、細かい能力とか、本家と違うところとかいろいろ投稿予定です。
チャンネル登録しておくといち早く見れます
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UCNc_f7CNF0-do6NLPv9qD6g



 

「あー、いい月だな―」

 

慧音ちゃん家で妹紅さんと一杯ひっかけて(妹紅さんに執拗に泊まっていくように言われたが、そこ慧音ちゃんの家であって、妹紅さんの家じゃないよね?)人里をてくてく歩いて酔い覚まししつつ帰路につこうか、木賃宿に泊まろうかと思案しているところだ。

 

本来幻想郷のはずれにある博麗神社に夜中に人里を出て向かうとか自殺行為以外の何物でもないんだが、今の俺はそれぐらいのことはできてしまう。

 

もっとも攻撃されて追い詰められない限り戦ったりはしない、逃げの一手だ。

逃げに徹する相手をしとめるのって実は相当に難易度たけえんだよな。

 

とはいっても妖怪の山でもない限り意外に攻撃的な妖怪に合うこともすくねえんだがな。

人を食う系統の妖怪はそんなに多くねえし、大抵は縄張りにいるからな、そういう意味では妖怪の山が一番やばいな、あそこは約定で妖怪のテリトリーとして決まってるから、ぶっ殺されても文句は言えねえんだ。

たぶん紫さんも黙認すると思う。

 

「お、狐火か?」

 

橋を渡っていると、橋の下あたりが明るい、基本的に狐系の妖怪は藍ちゃんのおかげでわりとおとなしいので、もし何かいたら存分にモフろうとおもい、俺はひらりと橋の下に飛び降り――

 

「うわああああっ!?だれだっ!?なんだっ!?」

 

「あれ、正邪ちゃんじゃん」

 

ると、焚火とその横にいる正邪ちゃんと出会ったのだった。

基本的に俺は黒づくめなので、結構ビビったのかもしれない、ちょっと目が潤んでる気がする。

 

「んあ?……ああ、博麗のとこの……なんだって上から降ってくるんだよっ!?」

 

「いや、狐の妖怪とかいたらモフろうかと思って」

 

「妖怪相手に何考えてんだおまえっ!?」

 

「いや、動物は動物だしな」

 

最も、橙だろうがあうんだろうがモブイナバだろうがモフるが。

なんなら、隙あらば影狼や椛ちゃんだってモフる。

 

「お前は妖怪と魔獣と動物の区別ぐらいつけろ」

 

と半眼で言って来るがモフリストの俺には通じないぜ?

 

「攻撃してこなければ俺にはモフる対象の毛皮にしかすぎん」

 

「相変わらず頭おかしいな、お前」

 

「いやあ」

 

「褒めてねえよ!?」

 

でも、動物系なら多少の攻撃ならムツゴロウさんみたいに「よーしよしよしよし」で封殺するがな!

 

「で、正邪ちゃんは何してんの?」

 

「……あ、ああ。その、夜を明かして――いや、月が奇麗だからな」

 

()()()

いや、人の好悪にケチつけるつもりはねえが(俺だって天子は嫌いである)居場所なくなるまで――それこそ村八分にするのはどうかと思うんだよなあ。

正邪ちゃんのやらかし具合も相当なもんなんだろうけど、異変終わったら宴会して終わりにするのが幻想郷だろうに、正邪ちゃんだけはまだなんというか攻撃対象のままなんだよな。

 

「そうか……なあ正邪ちゃん知ってるか?」

 

「ん?」

 

「月が奇麗って異性に言うのは「愛しています」っていう意味なんだぜ」

 

ニヤッと笑いつついう。

 

「なっ!?」

 

「そっかーせいじゃちゃんはおれをあいしていたのかー」

 

「違っ!?いや、本当に月が奇麗だから――」

わたわたする正邪ちゃんが可愛い。

 

「うーん、なんどもいうなんてよっぽどあいされてるなーおれ」

 

「だから違うって!お前いつもいつも私のあげあしとって!」

 

「はっはー、正邪ちゃんは可愛いなあー」

 

「かわっ!?可愛くなんかねえよ!」

 

「その反応が可愛いんだよなぁ、っと、正邪ちゃん小腹すかない?」

 

「だから、えっ、うん……まあ、すいてない……すかないこともない」

 

「お、じゃあちょっと焚火使わせてなー」

 

そういって俺は袂から巨大なあんぱんと串を取り出して、焚火であぶり始める。

ハの字のように刺すと食べるときかぶりついても抜けにくいぜ。

 

「今、どこから出した?」

 

「ん、一キロちょいぐらいなら収納できる術あるんだよ。甘いお菓子とか入れてること多いんだが、今日は運よく腹にたまるもの持ってるんだぜ」

 

まあ、アンパンも正直幻想郷では、どっちかというと甘味的なおやつ枠なんだがな。

 

「中がほんのり熱くなって表面がパリッとしたら食べごろだ……ほい、正邪ちゃん」

 

「……いらねーよ」

 

「俺も食うから無理に食べなくていいけどな」

 

「ふん、じゃあ食ってやる……いいんだな?」

 

「いいもなにも、俺飲んできたから少しあればいいしな。正邪ちゃんが食べて、正邪ちゃんのつばついたやつ食べるよ」

 

「嫌だぞそんなの!?」

 

「じゃあ全部食べちゃってよ、もし、残ってたら舐る様に味わって食うから」

 

「ふん!やなこった!全部食ってやるさ!」

 

はぐはぐ食べる正邪ちゃんを横目で見つつ茶を入れてやる。

くくく……コップは俺のだから俺の唾液成分を摂取するがいい!(変態行為)

 

「すごい器用なことするな、お前」

 

空中に水を出して炎の上で踊らせてダイレクトに茶葉を投入して茶を入れる俺を見て正邪ちゃんがつぶやく。

 

「煙入れないようにするのが実は難易度高いんだぜ」

 

「じゃあ、普通に入れろよ、頭湧いてるのか?」

 

「洗いもの増えるからなー」

 

湯は沸いてるけどなーとかいいつつ茶を仕上げていく。

 

「そこを気にすんのかよ……ん、ごっそさん。うまかった」

 

正邪ちゃん、口は悪いしごまかしたり嘘ついたりだましたりはするけど、お礼も言えるし感謝もするし、そこまで悪い子じゃねえと思うんだよなあ。

 

「ほい、茶も入ったぞ。食えるならまだいろいろあるぞ?」

 

「いらねーよ、物乞いじゃねえんだぞ、こちとら」

 

「そうか……じゃあ代価としてパンツを見せるとかとかどうだろうか?」

 

「ああん?お前の皮剝いでやろうかコラ?」

 

「悪態が怖いっ!?」

 

なんで正邪ちゃんからそんな物騒な……

 

「でも正邪ちゃんって健康的にエロいからパンツ気になるんだよなー」

 

「健康的にエロいって!?おまっ!?莫迦(バッカ)じゃねえの!?」

 

正邪ちゃんスカートいい感じに短いうえに生足サンダルだから、めっちゃ肌色部分多いんだよな。

あとピチピチというかかなり張りがある。

 

「――ったく、お前はいつもいつもそんなことばっかり言ってんじゃねーよ。おとなしく博麗の巫女と乳繰り合ってろよ、バーカ」

 

「霊夢ちゃんとは仲良しだけど、そんなんじゃないんだよなあ」

 

仲良し……だよな?一応。

まあ、兄妹の(霊夢ちゃんに言わせれば自分が姉ポジションだそうだが)ような感じではあるんだよな。

いや、もう認めるけど男女の関係になりたいくらいには好きだよ?

でもがっついて口説き落とすとかはなんかこう、違うんだよなあ。

かといって口説かなければ絶対に進展しないのが霊夢ちゃんだし、悩ましいな。

 

「そうかあ?なんというか還暦ぐらいの夫婦的な雰囲気出してるだろ、いや、私もたまにしかいかないから数回しか見てねえけどさ」

 

「もっと来ればいいのに、天子とか幽々子ちゃんとかだって異変解決に参加してなくても宴会には出てるし」

 

「う……ん……、まあ、宴会に行っても意味ねえしな、まずい酒のんでも詰まらねえだろ」

 

正邪ちゃんは過去にやらかしたせいで弾幕ごっこではなく「戦闘」を吹っ掛けられる。

なので俺は――

 

「少なくとも宴会場では弾幕ごっこ以外は禁じるって決めただろうが」

 

一度俺が無理に引っ張ってきた正邪ちゃんが襲い掛かられてるのを見て、俺が強権で決めた。「へえ……?」と凄む紫さんにすら一歩も引かずに決めた。

ほかの連中にも俺の美味しい飯をまずくするようなことをする人間には金輪際なにも食わせねえと宣言したら、意外に通った。

特に早苗ちゃんと華扇ちゃんが率先してこっちについた、食いしん坊さんめ!

 

なので弾幕ごっこ以外は基本的に禁止だ(なぜ基本的かというと勇儀ちゃんとか妖夢ちゃんとかが、組手しようぜ!とばかりに俺に襲い掛かってくるからだ、幽香さんはこの前わからせたので近頃は襲ってこない、代わりに性的に襲われることがあるが今のところ防衛している)

 

だから今では正邪ちゃんが混じってても襲われることはないんだ。

もちろん、これは約定だから宴会以外では相変わらずハブられてたり因縁つけられたりもしてるみたいだが、それをどうにかするのは俺の役割じゃない。

正邪ちゃんにも矜持があるんだろうし、これ以上のお節介は過剰な介入だ。

 

それに妖怪の本質……アマノジャクなところは変更することはできねえしな。

本質を見失った妖怪は消えてなくなる。それは妖怪が妖怪として生み出された以上絶対の理だ。

流石に正邪ちゃん消えたら俺寂しいぞ。

 

……まあ、本気でダメそうなら何とかするけどな。

それぐらいには俺は正邪ちゃんが好きだと思う……いや、エロス抜きでな?

霊夢ちゃんとは違うベクトルで味わい深い性格してるんだよな。

 

「まあ、なんだ、ただ飯、ただ酒はみっともねえだろ?」

 

正邪ちゃんの厄介なところはこういうところなんだよなあ、例えばこれ、俺が心底「来るな」とか思ってたら嬉々として来るんだろうけど、招かれると理由つけて断るんだよなあ……

天邪鬼か!

 

天邪鬼だった!

 

さておき、そういう立派な言葉は――

 

「魔理沙に言ってやってくれ(ガチトーン)」

 

「なんだよそれ」

 

いや、魔理沙ただ飯とかただ酒になると湧いてくるからあ。

いや、本当に湧いてくるという表現がぴったりな感じで湧いてくる。

気が付いたらいるからな、別に参加は拒まねえが料理の分量変わってくるからあらかじめ連絡してほしいところではある。

 

「ん-、じゃあ次に異変おきたら俺と組もうぜ、それだったら大手を振って宴会に参加できるしな!」

 

「いやだ、だから私は……ああ、もう」

 

とガシガシ頭を掻いて続ける。

 

「大体私と組んでもお前に得はないだろう?」

 

「え、いや、後ろにいたらパンツ見放題だろその恰好で飛ぶなら(真顔)」

 

「絶対に組まねーよ!」

 

しまった!俺に得があると正邪ちゃんは拒否するんだった!!(違)

 

「あーあれだ、おれはせいじゃちゃんのぱんつになんかまったくきょうみないんだ。むしろみるとおこられるからぜったいみたくないんだぜ」

 

「安心しろ、見せるつもりはねえからな」

 

「なんで!?ここは「そうかそんなに見たくないのか、見ろオラァ!」って、俺の目の前でスカートめくるんじゃないのかよ!?」

 

「全力で見たいっていう雰囲気出しておいて見せるわけねえだろーがよォ!あとお前の中で私はどんなアホな存在なんだよ!?」

 

正邪ちゃんはチョロそろい(暴言)の幻想郷の中では比較的ガードが堅い。

まあだけど天邪鬼なので時々はやらかすんだけどな。

 

「神便鬼毒酒」

 

「そういやあ、お前なんてもん私に飲ませたんだっ!?あんときはさすがにやばかったぞ!」

 

天邪鬼も鬼は鬼のようでめっちゃ効いてたなあ、全身がしびれていて、妙な感覚があるみたいでくねくね悶えながら涙目で呪詛をはいてた、まるであれは――

 

「完全にわからせられた姿でエロかったよなー」

 

「エロくないぞっ!?足がしびれたような感じが全身に回って、きつかっただけだっ!だいたいあんなふうになるって聞いてねえよ!」

 

「めっちゃ言ったわ!?どっちにせよ、飲んだ正邪ちゃんが悪いんだろうが!萃香さんだって舐めるぐらいでやめてたんだぞ!一気に呷るとか自業自得だろうが!」

 

萃香さん、「おー、これキクんだよなあ……うひゃー、キテるキテる!」とか言いながらチロチロ舐めるように飲んでたな。

正直真っ赤な舌で白磁の盃をチロチロねめるようにして味わってる姿は、こう、すごいエロスを感じた。

というか、呆けてみてたら何か棒状のものをいじるような手の動きをしつつ舌をチロチロ見せてきたので絶対にわかってやってきてる。

 

あと、華扇ちゃんと勇儀ちゃんは「こいつマジか……」って顔で萃香さんを見てた。

エロいしぐさじゃなくて神便鬼毒酒飲んでることに関してな。名前の通り鬼には毒なんだがな……「この震える感じがたまらないんだよー」ってそれ痙攣じゃないのか……ちなみに神には滋養強壮効果がある。

 

そもそも鬼は基本的にエロいから、あれぐらいじゃ問題にならんしな(偏見)

 

「あれだけ「飲むなよ、絶対に飲むなよ!」って言われたら普通の人間でもきっと吞むだろーよ!」

 

まあ、それは日本の伝統芸能だしなあ(誤認識)

だが、天邪鬼にとってはかなりの釣り餌のようで、「飲むなよ、絶対に飲むなよ!」からの、「飲むなら味見るだけ、舐めるだけにして確かめてからにしとけ!」を経て、「コップ一杯一気飲み」という暴挙をかましたんだよな、正邪ちゃん。

 

しかも正邪ちゃんだからみんなにそのまま放置されて、しゃあないから俺がどっかに寝かせようと抱えて運ぼうとしたら――

 

「触ったらすげえエロい声出てたよな」

 

「おまっ!?忘れろって言ったろ!」

 

「「ひゃぁん、だめっ」とか正直たぎった(真顔)」

 

「おま、このっ……!皮剥いで被るぞ!」

 

「猟奇的に過ぎる!?」

 

酔ってたせいかしびれてたせいか、普通の女の子(正直俺の普通の女の子認定は幽香さんが入るぐらいには広いんだが、ここでは一般人の認識のことな?)みたいな可愛い喋り方になっててギャップ萌えというか、素直に可愛かった。

あ、いや、普段も可愛いんだけどな。

赤い色もそうだが全体的に力がみなぎってる感じの――

 

「目が奇麗なんだよなー正邪ちゃんは」

 

「ばっ莫迦じゃねえの!?なに唐突に戯言吐いてんだお前!?」

 

「おう、無意識」

 

詰め寄られて顔が近かったせいか、無意識に感想が出てしまった……なおんねえなあ、この癖。

まあ、悪い結果になったことはないからセーフ(限りなくアウトに近い)

 

「ったく、お前は……それがお前だからしゃあねえんだろうけど……」

 

「いやあ」

 

「褒めてねえよ!?ってさっきもやったなこれ!?」

 

「天丼は日本の伝統芸能だぜ」

 

「嫌な伝統だし、聞いたことねえよ!」

 

「はっはー……お?」

 

「ん?……チッ」

 

「雨か……」

 

ポツリ、ポツリとだが雨が降ってきた。

この降り方は……

 

「長くなりそうだな」

 

「ああ、そーだな」

 

心なしか少し冷えてきた気もする。

橋の下だから今はまだそこまでも濡れないが、本降りになったら結構吹き込んでくると思う。

うーん、まあ、しょうがねえか。

 

「行くぞ」

 

「ん、ああ。じゃあな、気をつけて帰――わっ!?」

 

正邪ちゃんの腕をひっつかんで引っ張っていく、っと、濡れるな。急がねえと。

 

「お、おい!いったいなんだよ!?」

 

俺は黙して語らない。

こう見えてもそこそこ妖怪と戦ったりしてるんで、対処というものがだんだんわかってきているのだ。

例えば天邪鬼に何かしたいときは感情を殺して、有無を言わせず直接的に行動するのが一番手っ取り早いとかな。

 

「おい、こらいい加減に――!」

 

目的地に向かってずんずん進んでいく。

正邪ちゃんも振りほどこうとすれば振りほどけるぐらいには力の強い妖怪だが、混乱しているのか天邪鬼の特性か、判断材料を与えなければ思考停止してしまうのだ。

さいわい、町のはずれだから目的地にはすぐ着いた。

 

「泊りで、あと湯も」

 

「あいよ、今日は全部空いてるから好きなとこに入ってくんな」

 

「えっ、あっ、おいコラここは……!」

 

 

 

 

連れ込み宿である(威風堂々)

 

 

 

 

 

 

とりあえずそのまま強引に部屋に連れ込んで混乱から立ち直りつつある正邪ちゃんに、備え付けてある布で頭をわしゃわしゃと拭いてやる。

 

「わぷっ!?おい、お前、こ……ここ、どこだか、わかってんのかよ……!」

 

「まあ、一応な」

 

木賃宿は街中にしかないので、退治するための妖怪待ちの時、たまに華扇ちゃんや文などとここを利用する。

 

当然本来の目的では使用したことはないが、ほかに利用客がいるときなどなかなかに困ったことになる。

華扇ちゃんはまだいいのだが、文はデバガメを試みたり、執拗に俺に「この声で興奮しませんか?勃ってますか?勃ってたら見せてください、知りたい方多そうなので詳細な記事をば……」などとイカレトンチキなことを言ってきやがる始末だ。

……みんななんで俺の下半身に興味津々なんですかねえ!?

 

それに文にエロスを感じないのはひたすらめんどくさい性格だから(でも嫌いな性格じゃない、が、ガチでめんどくせえ)心理的に距離を取ってるだけで会って、体つきで言うならなかなかにいい体をしている。

パンツは今だ不明だが、スレンダーだが魔理沙よりは乳があり、尻もそんなに立派じゃないが女性を感じさせる程度には丸みを帯びていて柔らかそうなんだよ。

だが、たまに見える太もも回りが意外にごつい。結構筋肉質なんだよな。

まあ、そのぐらい筋肉がないと、いきなりトップスピードになるあの加速力は出せねえんだろうな……

ちなみに触ると結構柔らかいのは本当に謎だ。

 

さておき、文ならチェックといいつつ触ってきそうだし、少なくともそんなんされて理性が飛ばない自信はないから死守しているんだよな。

まあ流されたほうが楽しいのかもしれんけどな。

 

「ふ、ふーん……じゃねえよっ!私をこんなところに連れてきて何をするつもり……いや、お前、いやらしいことするんだろ!?」

 

エロ同人みたいにっ!

という幻聴が聞こえるような正邪ちゃんの言葉を半ば黙殺しつつ正邪ちゃんの頭をふきあげる。

 

相変わらずパンキッシュな髪の毛だな……が、ちょっと微妙な匂いがする。

……まあ、察するけどさあ。

 

「正邪ちゃん、先に風呂入って来いよ、っと沸かさねえとな」

 

「さっ、先に風呂っ!?」

 

あたりまえだ、女の子差し置いて俺が先に入るとかできんわ。天邪鬼って(謎表現)断ってもそこは譲らん。

ここの風呂は対流式で風呂からパイプが出ていてそのパイプが竈にくっついていて、そこで火を焚けば湧くタイプだ。

水は落下式水槽なので補充も容易……え?なんで詳しいかって?

なんどかここに泊まるうちに不便に感じてな、いろいろ改装をしたわけだ、何でも屋の仕事として受けたから一石二鳥だしな。

ちなみに薪を使った分だけお金を払うシステムだぜ……ケチるつもりはねえが、薪だと湧くまで結構かかるので……

 

「ファイアーボールっと」

 

ゆっくりと浴槽に火球を沈めていく、一気にやると水蒸気爆発起こしてヤベエことになるから注意だ。

パチュリーちゃんが盛大にやらかしたからな。

 

二、三個作ってかき混ぜて(混ぜないと下が冷たいままだぜ)ちょうどいい湯加減にして――

 

「正邪ちゃーん。もう入れるぞー」

 

「えっ、あっ、う……」

 

「ん?どうした?」

 

正邪ちゃんの様子が?

 

「その、なんだ……こほん。残念だったな!お前が私にそういう感情抱いてるっては知らなかったけどやなこったぁ!私はそんなに安い女じゃねえんだよ!」

 

あー……そういう。

確かに正邪ちゃんは癖になる味わい(謎表現)で結構好きだが、なんだろうなあ。

俺からしたら逆に正邪ちゃんが俺のこと好きで好きでしょうがないって感じだったら、ちょっと心動くかもしれない感じなんだよな。

多少の同情もあるせいかな?一人で心細いってのは俺も体験したからな。

もしくはただヤりたいっていうなら、もっと簡単だ。

天邪鬼な特性利用すれば正邪ちゃんのほうから襲ってくるように仕向けるぐらいはできると思うしな。

 

「正邪ちゃんのことは確かに好きだが」

 

「うっく……な……んっ、私はお前が嫌いだけどな!」

 

真顔で言葉を紡ぐ。

 

「洗ってない犬の匂いがする」

 

「……えっ?」

 

誰がとか、だから風呂入れとかそういったことは言わない。

言ったら反抗するからな。だから俺はまるで独り言のように繰り返す。

 

「洗ってない犬の匂いがする」

 

「なっ、なんだよ。誰だよ、なんなんだよ」

 

にっこりと笑ってスンスンと正邪ちゃんの頭の匂いを嗅いで止めを刺す。

 

「洗ってない犬の匂いがする」

 

「おまっ……!!~~~~覗くなよっ!!」

 

「ここで分かった、覗かないとか言ったら正邪ちゃんはどう答えるんのかな?」

 

「知らん!あとで皮剥いでやる!!」

 

流石に顔を真っ赤にしてぷんぷん怒りながら正邪ちゃんは風呂に消えていった。

……隠し装置としてここの壁取り外せるんだが、さすがにそこまでやったら痴漢である。

俺は紳士だからな、せいぜいが湯上りの正邪ちゃんを愛でる程度にとどめておこう。

 

おっと、夜着とちょっとしたもんも頼んどくか。

 

 

 

 

正邪ちゃんが風呂から上がった後「覗いていいよ」と笑いながら風呂に消える。

「誰が覗くかっ!」とまた噴火してるのがかわいらしいと思う。

あと白襦袢がエロイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、お前って本当に莫迦だな!」

 

「よく言われる」

 

ちょっとした飯と酒を「俺が食いたくて頼んだもんだから、無理に食べなくていいよ」といったところちゃんと食べてくれている、対処法分ると楽なんだよなあ、正邪ちゃん。

 

「とりあえず、俺はここで寝てくよ。正邪ちゃんは?」

 

正邪ちゃんに判断をゆだねるのが会話のコツである。

 

「わ、私か……そ、そうだな……」

 

そして逆張りだ。

 

「別に俺は何かするほど落ちぶれちゃいないけどさ、まあ、ほら正邪ちゃんが初心でこういうところにいるのが落ち着かないって言うんなら、帰ったほうがいいかな」

 

「だっ!誰が初心だ!全然平気だから泊まっていく!」

 

「だって、俺正邪ちゃん知ってからまったくそういう話聞かないしな」

 

「い……今はたまたまいないというか遊びすぎて飽きたんだよ!わ、私だって昔はかなり男を手玉に取ったもんだ!毎晩とっかえひっかえしてたんだぞ!」

 

「へー、毎晩ねえ」

 

なんというか、子供のみえはりっぽい。

 

「な、なんだその目は信じてないのか!」

 

「いや、だって――「処女賭けたっていいぞ!」……ああ、まあ、うん。わかった」

 

……処女貰っていいのかなあ。

どっと疲れを感じながら「ようやくわかったな!」とドヤ顔している正邪ちゃんを見やるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

深夜

 

「あっ!」

 

と、小声で正邪ちゃんが驚きつつビクッと硬直して、そして耳まで真っ赤になった。

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り、ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。
とくに感想を返したり、感想に合わせて、ちょろっとづつ作品の事を語るのは好きです。
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対決!紅魔館の主!   ホワイトデー

移植品


対決!紅魔館の主!

 

 

 

「私の負けよ……」

 

レミリアさんが宣言する。

 

「だけど――」

 

柳眉を釣り上げて珍しく声を荒げる。

 

「ちょっとこれはひどくない!?」

 

「うん、俺もそう思う」

 

周囲を濁流とミニ太陽に囲まれたレミリアさんを石壁の物陰から見ながら、俺は素直に認めた。

 

戦闘開始と同時に、レミリアさんの周囲に精霊魔法で水流を展開、精霊魔法は自然のもの由来なので、これもながれる水扱いなわけだ。

 

上空を超えたりもできず、霧になって移動も周囲を囲まれているので不可能、術者である俺を射撃攻撃で倒すしかないが、俺は金剛身を張ったうえで無数の土壁で防御。

時間を稼いでいるうちに七曜で日属性魔法を大量に展開(といっても1分で1個程度しか俺の魔力では無理だ)水流を止められないようにそれも強化。

ミニ太陽が20個を超えたところで、レミリアさんの敗北宣言が入ったというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、お前、もう少しエレガントに戦いなさいな」

 

で、今俺はいつもの部屋でお茶会というか反省会というか、文句を言われている。

 

「いや、そういわれても全力で戦えって言ったのレミリアさんだし……」

 

天子とのバトルを見たレミリアさんが、「お前なら私とどう戦う?勝てる自信あるかしら?」といったので、「多分、勝てるかな?」

 

と言ったら、戦う羽目になったんだ。

一応レミリアさん超強いから、「かなり酷い戦い方になるけどいい?」っては聞いたんだぜ?

 

「だってレミリアさん「人間ごときが真祖たる私をやれるものならやってみなさいな、手段は問わないわ」って言ったじゃないか」

 

「確かに言ったけど……もっと天人との戦いみたいに真正面から来ると思っていたのよ、それをお前は……」

 

「そういわれてもなあ」

 

天子は弱点らしい弱点がねえんだよ、いや、あれ以来結構話したり、軽いじゃれあい(といっても下手すると地面爆裂する程度の組手)するようになったからハメ技みたいなパターン化する攻撃に弱いのはわかったんだが(弱いだけで倒せるとは言っていない、防御力と体力が高すぎる)どちらにせよ、これで決まるって様な明確な弱点がない。

 

だが、昔パチュリーちゃんと話したことあった気がしたが、吸血鬼は弱点が多すぎる。

特に太陽と流れる水に弱いのは致命的だ。

 

最初の作戦破られても複合術「狐の嫁入り」で何とかなると思ってたしな。

 

「吸血鬼は、明確な弱点があってそれをメタったからなあ」

 

「かといって、これじゃあ私が天人よりも弱いみたいじゃない」

 

「それこそ、相性の問題なんだよなあ」

 

俺が一番苦手とするのが無属性、弱点なし、高火力、高耐久、高速。だからな。

天子はまさにそれだったんだよな。

 

天子は実質あなたの勝ちですよって言ってくれたがそれこそ大きな間違いだ。

戦闘の部分では完敗してるからな。術でハメたのはたまたまうまくいっただけだ。

 

「相性ねえ……私と天人が戦ったらどっちが強いと思う?」

 

レミリアさんと天子かあ……

頭の中で考える……レミリアさんのほうが強い……が、レミリアさんじゃ勝てないかなあ?

ガチの戦いになったらは性格も出るからな、一応レミリアさんに聞いてみよう。

 

「レミリアさんのほうが強いよ」

 

「ふふ、お世辞?じゃあないわね、お前は嘘を――」

 

「でも天子が勝つ」

 

「……なぜ?」

 

一気に不機嫌になるレミリアさん、でも事実だからしょうがない。

俺は説明をすることにする。

 

「レミリアさんがいい女だからかな?」

 

「ふん、ごまかしてないでちゃんと言いなさい」

 

「いや、だってレミリアさん正々堂々真正面から戦うだろ?それだったら天子が勝つよ」

 

「……ではどう戦えと?」

 

「飛行しながら遠距離からひたすらグングニル、詰められたら逃げる」

 

これでまず勝てる、要石は多少喰らってもレミリアさんの再生のほうが早い。

飛行して距離を取ることで地震も緋想の剣も当たらない。

天子がいくら強くても貫通系のグングニルは当たれば出血を伴うので回復力の差でレミリアさんが勝てる。

グングニルが当たらない可能性もあるが「当たるまで投げればいい」ので問題ない。

レミリアさんはそこまで弱くも鈍くもないからな。これこそ持久戦だ。

 

「私にそのような無様な戦い方をしろと?」

 

威圧をかけてくるが、俺は気にしない。

こういう威圧は「わかっているけど納得できない」ときだ。

つまりわがままで威圧をかけてきてることがわかるくらいにはレミリアさんとの時間を過ごしたからな。

 

「それができないいい女だから負けるって言ってるんだよ」

 

「――ふん、お前の口はよく回るわね。でも、お前の言うことだから、許すわ」

 

機嫌を直したのか微笑んで紅茶を口に運ぶ。

 

「興味本位で聞くのだけれど、お前紅魔館ではだれに勝てるかしら?できれば理由も知りたいわ」

 

「それは手段をえらばず?」

 

「ええ」

 

「フランも吸血鬼なら同じ感じで勝てるな、逆に人間形態の時は……余裕だな。魔力とか減ってるからだけど、でも、あの状態で修業したら危ういかもな」

 

「……私も人間形態で特訓するべきかしら?」

 

「ご自由に、協力はするぞ。で、パチュリーちゃんだけど、シルフで完封できちゃうんで……」

 

呪文となえる系の魔法使いって、音出ないようにすると無力なんだよなあ……

魔封じの呪文とかで対応するのと違って、純粋に空気の振動止めるのでもともとぜんそくもちで(だいぶん改善したが)肺の力の弱いパチュリーちゃんだと呪文自体が唱えられなかったりする。

魔理沙とかだと多少弱まるものの使って来るし、何より危ない薬品投げてくるからな。

封じても油断できねえ。

 

「パチェも多少運動させないとね」

 

「やめとけ20m走っただけでダウンしたぞ」

 

「ええ……」

 

2分ぐらい動けなくなってたから歩いたほうが総合的に早くなるんだよな……

 

「美鈴ちゃんはデバフもりもりバフもりもりで」

 

「バフ?デバフ?」

 

「弱体魔法と強化魔法だな」

 

美鈴ちゃんはノーマル属性で強いは強いんだけど、魔法抵抗力が低いんでデバフもってバフもっとけばなんとかなると思う

 

「あともしかしたら眠りの精霊の砂袋で寝るかもしれん」

 

この魔法は戦闘時みたいな気を張ってるときはあんまり効かないんだが、美鈴ちゃんだしなあ……

 

「美鈴ならありそうね……」

 

「で、咲夜ちゃんだけど」

 

ちなみに会話に参加してないがいつも通り給仕として控えている。

 

「勝てるわけねえだろ」

 

「「えっ!?」」

 

なんか咲夜ちゃんまでえっって言ったな?

 

「いや、時間止めるって相当やばい能力だからな?」

 

「でも咲夜ってそんなに強くないわよ?」

 

レミリアさんがそういうがそれは咲夜ちゃんのせいではなく相手のせいだ。

 

「俺と闘うならってことだ。そりゃあ妖怪や魔物相手にはナイフじゃ攻撃力低すぎるだろうが、俺なら心臓にでも刺せば余裕で殺せるぞ?」

 

時間止める能力って普通はラスボスか最強系主人公が持つような能力だからな?

 

「なるほどね……でもお前――何か打開策ぐらい考えてるのでしょう?」

 

「うん、まあいまんとこ不確実だけどな」

 

「興味があるわ。聞かせなさい」

 

あくまでも戦闘に入る前の小細工だが――と前置きして(戦闘に入る=時間停止なので詰む)

 

「さっきの戦いのような状態にして、レミリアさんを人質に取って、時間を止める能力を全部借りてしまう。ただずっと時間を止められて本体の俺を発見されたり、レミリアさん救出されたりしたら終わりなんで不確実だ」

 

「いいの?対処法を教えても?いつか使うかもよ?」

 

「これぐらい咲夜ちゃんなら思いつくだろ、そもそも対処法がある時点で思いつく人は思いつくんだよ」

 

そういって咲夜ちゃんを見る。

こくんとうなづいたところを見ると思いついていたようだな。

 

「2つ目は隙を見て時計を取り上げる、これもなかなか難しいが不可能じゃないうえに、取り上げてしまえば取り返すのは容易じゃない、収納術あるしな」

 

「それはなかなか大変そうね、咲夜、気を付けておきなさいね」

 

「いや、用がなければ持ってかねえよ……」

 

「3つめは時間停止能力を借りておくことだな、そうすると止まった状態でも俺も動ける、スタープラチナと一緒だな」

 

「スタープラチナが何かわからないけど、お前がよく咲夜と一緒に時間止めて乳繰り合ってるのは知ってるわ」

 

「お嬢様!?」

 

「乳繰り合ってはいねえが……大抵料理だな……それで思いついたが4つ目だ。咲夜ちゃんを俺に惚れさせてしまえば敵対しなくなるんでありだな!」

 

「良かったわね咲夜、口説いてくれるそうよ」

 

「ええっ!?ちょっと、あのですね、その……」

 

「ああ、でも咲夜ちゃんならそういうこと関係なしに仲良くはなりたいけど、っていうか仲良しだよな?一応?」

 

咲夜ちゃんとはラッキースケベ以上のことはないが少なくとも嫌われてはないはずだ。

 

「仲良しといえばそうです。ええはい」

 

「あら、咲夜、残念そうね?」

 

「違っ!?お、お嬢様、それ以上のお戯れは」

 

「ねえ、お前は咲夜のこと好きかしら?」

 

「え?好きだぞ」

 

「――!?」

 

咲夜ちゃんが一瞬ぶれたと思ったら消失した。

どうやら時間を止めてどこかへ行ったらしい。

 

「女性としてかしら?」

 

「うーん、まあな。付き合いたいかって言われると、そこまで接点もないから考えが及ばねえけどな。でも彼女にしたら自慢できるぐらいのいい子だとは思うな」

 

「ふーん」

 

半眼でこちらを見てくるレミリアさん。

 

「お、どうしたんだ?」

 

「いえ、私にはそういうこと言わないのになと思っただけよ」

 

「ああ、なんだ」

 

「なんだとは何よ」

 

「前から言ってると思うが、レミリアさんはいい女だぞ?」

 

「それで?」

 

もう一声ほしいってか?

 

「あれだ、見た目が幼いレミリアさんに言うことじゃねえが、ヤりたいって思うことはたぶん幻想郷来てから一番多く思ったぞ」

 

そうなんだよ、恥ずかしながら数々の女の子がいるにもかかわらず、性欲はレミリアさんに一番強く感じている。(抜いた数は霊夢ちゃんのほうが多いはずだが)

まあ、モロインパクトもあるが、接してる時間も比較的長いうえに裸を見る機会も多いからな、これがお子様じみてるなら問題は(俺としては)ないんだが、大人の女性感じる瞬間が多いからどうしても昂っちまうんだよなあ。

 

「ふふ、そう。一番なのね」

 

と、嬉しそうに笑うその姿も、やはりそこはかとなくエロスを感じる。

 

「そうね、お前は曲がりなりにも私を倒したのだし――」

 

こんどは少し怖さを、狂気を感じる笑みを浮かべてこういった。

 

「お前が「こちら側」に来るなら。私を抱いてもよくってよ」

 

「――気がむいたらな」

 

 

俺はなぜか完全な拒否の言葉を言うことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトデー

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いたいた早苗ちゃん」

 

守矢神社の境内で掃除をしている早苗ちゃんを発見して声をかける。

……早苗ちゃん巫女なのか神なのか謎なんだけど、一応巫女なのかな?

いや、家の掃除と考えたら家事か?

 

「誰?あ、すけさん、どうしました?ははーん、さては……」

 

そう、やはりお返しはしなくちゃなあと思って――

 

「性欲を持て余して守矢神社に来たんですか!」

 

「ちがうわ!?守矢は風俗かなんかかよ!?」

 

まあ、三人ともそれぞれジャンルは異なれど割とエロいことに抵抗なさそうだから困るんだよなあ(暴言)

 

「すけさんが望むなら営業しましょうか?お代は死ぬまで面倒見てください、三人とも」

 

「代金が法外すぎる……!」

 

俺の人生棒に振るじゃねえかよ……そもそも現人神って死ぬのか?二柱の諏訪神奈コンビは確実に死なないと思うし。

 

「まあ、その話は後日詰めるとして「詰めなくていいわっ!?」ホワイトなやつですか?」

 

「ああ、ホワイトな奴だぜ。まずはオーソドックスにマシュマロ」

 

「マシュマロって作れるんですか!?」

 

「作れなかったら、そもそも売ってねえだろ……」

 

ゼラチンと卵白と片栗粉があれば割と簡単に作れたりするぜ。

 

「いや、工業的な感じじゃないと作れないと思ってたんですよ」

 

「結構簡単な部類だぞ?次にマカロン」

 

「これは作ったことありますけど……めっちゃつやつやして奇麗なんですが腕前が違いすぎます」

 

「慣れかなー、あとは定番の飴だな、あといつも作ってるやつで悪いけど金平糖もだ」

 

それらすべてが入った大きめの(スーパーの篭ぐらい)入れ物ごと早苗ちゃんに渡す。

 

「あいかわらずすけさんは分量が異常ですね……」

 

「でも早苗ちゃんなら食いきれるだろ?どれも日持ちするし」

 

「なんか、私が大食いみたいに聞こえるんですが……」

 

「実際結構食うじゃん?」

 

ナポリタンを三人前ぐらい食ったのを俺は目撃してるしな、というか作ったの俺だし。

 

「それはすけさんが琴線に触れるものだすからですよ!普段は一膳で十分なんですからね」

 

「どんぶり?」

 

「茶碗です!」

 

ぷんぷんおこって軽くぺちぺち叩いてくるが――

 

「衝撃が強すぎる!?」

 

神力流してきてるな?軽いぺち音にたいして、布団たたきで叩かれたレベルの衝撃がある!

早苗ちゃんが軽く怒ってると制御がきかないのかいつもこんな感じだ。

まあ今となっては耐えれるからいいんだが。

もうすこしパルスィちゃんを見習って可愛く叩いてもらいたいところである。

 

「神罰です!」

 

ふんす!と鼻息荒く宣言する早苗ちゃん。

まあ、霊夢ちゃんの言う神罰(物理)よりかは、本人が現人神なぶん正しく神罰なんだろうが……

 

「やんちゃな神様だなあ、でも少食だって言い張るならこれはいらんかな?」

 

と、早苗ちゃんに呪符を見せる。

 

「なんですか、これ?御札みたいですけど……?」

 

「俺に料理がリクエストできるチケット、ただし作り方が不明なもんはダメだ」

 

「え、なんで御札なんですか?」

 

「偽造防止用だ、かつてばらまいた分、結構偽造されたからな」

 

首謀者たるにとりはちょっとだけ酷い目にあってもらった。

まさかコピー機みたいなもんが存在してるとは思わなかったぜ……

 

御札にしたのは俺が呪符楽に作れるかなーってコピーしてもだめだったからだ。

これなら少し霊力を流せば真贋がわかるぜ。

 

「料理のためにそこまでするか?とも思ったけど、たしかに助さんの料理ならその可能性も高いですね」

 

「まあ、念のためな」

 

「というわけでください」

 

と、にっこり笑って手を出す早苗ちゃん。

……物おじしない通り越して割と図太いよな、早苗ちゃん(暴言)

 

ここで「ちゅーしてくれたらあげる」とか言うと慧音ちゃんとかはうろたえてくれて実に楽しいのだが、早苗ちゃんはたぶんためらいなくやるので逆に言えない。

くそっ、これが狙いか!(違)

 

「高く掲げて「はい、あーげた」とか言ったらどうする?」

 

「私の右手を見てからもう一度言えますか?」

 

「シャイニングフィンガーっ!?」

 

霊力纏って光って唸ってるんだが、さすがにこれ喰らったらただじゃ済まんだろ……

 

「まったく、早苗ちゃんはやんちゃだなあ、まあ、そういうところが早苗ちゃんの魅力の気もするけどな、ほい、どうぞ」

 

と、お札を手渡す。

 

「やんちゃって、男の子みたいに言わないでくださいよ。でも、魅力的って言ってくれたのは少し……うれしいですけど」

 

ちょっとはにかむ早苗ちゃん、これはこれでいいものだな。

 

「100万ドルの夜景でオーシャンビューのロイヤルスイートじゃないのがちょっと残念ですけど、これで我慢してあげますね」

 

「先月よりハードルすげえ上がってる!?」

 

来年あたり貸し切りになりそうな感じだな、おい。

 

「私そんなに安い女じゃないですよ?あはははは」

 

「ポテトチップス作ってみたんだが……」

 

「特別にそれでもちゅーぐらいならしてあげますよ!」

 

「安っ!?」

 

ひとしきり二人で笑いあった後早苗ちゃんが

 

「すけさんちょっとこれを見てください」

 

と、掌を差し出してきた。

 

「え?なんもねえぞ?」

 

早苗ちゃんの胸の上ぐらいに手を差し出してるのでよく見えないんだが、何もないような気がするんだが……?

 

「ありますよぉ、よく見てください」

 

「えー?なんもねえようにみえるんだがなあ」

 

「もっと顔近づけて、目を細めてみればみえますよ」

 

「えー、俺老眼じゃねえぞ、うーん、やっぱ――」

 

ちゅっ

 

「えっ?」

 

手をよく見ようと頭を下げた俺にいきなり早苗ちゃんがキスをしてきた。

ちょっとまって、いったいどういうことだ!?え、早苗ちゃん俺に惚れてるの!?冗談じゃなくて!?

 

混乱する俺に向かって早苗ちゃんはいつものやんちゃ顔で宣言した。

 

「ポテトチップスくださいね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




近頃ペースが遅くてごめんね
youtube収益化ぐらいまでは動画を優先する感じです


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フラグメント 強さの秘密

パンチラ2000人突破とかれいぱんに
【挿絵表示】
がついたとか
いろいろ記念。

しばらくしたらこのお話はパンチラに引っ込めます



「あいよ、つくね揚げお待ち!」

 

「おー、ありがとー」

 

出された料理に礼を言う萃香。

本日は(本日も?)宴会日和である。

 

「俺は霊夢ちゃん達のとこにいるけど、なんか必要だったら言ってくれ。まあ、作り置きから持って行ってくれると楽でいいけどな」

 

「あいよ」

 

すっかり料理人と化した彼はこの博麗神社の居候……というか、もはや立派な幻想郷の住人といっても差し支えのない、外来人である。

 

「いやしかし、今回妙な面子が集まったね」

 

「こちらのセリフだと思うのだけど?」

 

宴会の時基本的には同郷(?)で固まることが多いが、今回ここに介しているのは、萃香、勇義、華扇……この辺りはいつもの面子ではあるがさらに加えて、パチュリー、レミリア、給仕側ではあるが咲夜もいる。

さらに、神子、映姫、小町となかなかに珍しい面子もいるのだ。

 

「正直、あんまりあんまり相性が良くない組み合わせだと思うけど、まあせっかくの宴会ですからねー、だから映姫様も無礼講でお願いしまーす」

 

「それは普通上司が下に言うものなのですが……」

 

「合縁奇縁という奴かの、本来合わない縁を結んだのは、まあ、一欲の君といったところか」

 

「共通の話題があることで話が弾むのは確かね、レミィが普通に混ざってるのは私でも珍しいと思うもの」

 

「パチェこそ、出不精なのに来てるじゃない」

 

女三人寄れば姦しいというが、酒も入っていることもあり会話があちこちで弾む。

 

「不思議なものですね」

 

「お、どーした?」

 

華扇がつぶやいたのを勇儀が聞きとがめ、問う。

 

「ただの外来人、過去にも何名かはいましたが、こうもなじんだのは珍しい……ましてや、これほどの人外に友として認められているのもめずらしいと思いましてね」

 

「そういっても博麗の巫女とて同じだろう?」

 

そう返す勇儀に珍しく映姫が口をはさむ。

 

「いいえ、博麗の巫女は、我々が「人外」というくくりのように「博麗の巫女」という、ある意味人外のくくりです。ですが――彼は人のまま異常に過ぎる」

 

「確かに異常ね、知ってるかしら?」

 

軽く微笑んでレミリアは告げる。

 

「彼、真祖たる私に普通に勝ったわよ……まあ「人間らしい」戦い方だったけども」

 

「人は知恵をもって人外に立ち向かう、そして神すらも下す。さもありなんさもありなん、ほっほっほっ」

 

「人間みたいなことを言っているけどお前もすでに人外じゃないの。ま、そういうわけでうちとしてはますますほしい人材よ」

 

「……私はそれよりもレミィがみんなの前で敗北を認めたほうが驚きなのだけど……」

 

「今更ね、この中で「なんでもあり」で戦って「確実に」勝てるのって死神と閻魔ぐらいでしょう?」

 

「まあそりゃ死神として相対するなら「人間特攻持ち」ですしね、人間やめてないなら死神や閻魔には勝てませんよ」

 

「師としてまだまだ高い目標でいてあげたくはありますが、確かに何でもありだと……」

 

華扇が言いよどむ。

 

「何をしてくるかわからないからね、そもそも何を考えてるか……はわかりやすいか、でもなんでその思考になったのか全然わかんないからねえ。普通に地獄に来て映姫様にパンツの話題振れるの彼ぐらいのもんだよ」

 

と、小町。

ちなみにこの時は割と真面目にパンツの話題を振られて映姫も怒るに怒れなかったという。

 

「あの時は説教するより呆れが先に来ましたからね、ただ、聞いてみたらなるほど納得が出来たというか……だからといって女性に聞いて回るのはどうかというのも大きいですが」

 

聞かれたのは下着の入手先である。

紐パンやドロワーズなど直接紐で固定するタイプの下着と、現代のショーツのように伸縮性の素材でできた下着の入手経路と分布が気になったという、普通ならば「女性の秘め事に殿方が関わるな」と説教コースなのだが……

 

「なんであんなにアホでかつ斬新な天才的で異常なこと思いつくんだか……」

 

酷い感想だがパチュリーのぼやきももっともである。だが決して手放しでは褒められないのがいかにもであろうか。

 

「それがあいつの最大の持ち味じゃないかなー、あ、ちなみに全盛期の私でも策を弄されたら下手したら負けるぞー。神便鬼毒酒とかどこから持ってきたんだかあんなやばいもん」

 

「でもあなた飲んでましたよね、この前の宴会で」

 

華扇が突っ込むが萃香はけろりと答える。

 

「あれ、味はめっちゃめちゃうまいんだよ、星熊盃でもあの味は出せないと思うなー。まあだからこそ、昔々ついつい飲んじゃったわけだけどなー」

 

「フグみたいなものですか……」

 

あきれ顔の華扇、いや確実にあたるのだからフグよりたちが悪いと思うのだが……

 

「確かに真正面から戦えば今でも負けることはないと思う、だが、なぜだろうか人間らしく戦われると負ける気しかしない」

 

酒を煽りながら勇儀が唸る。

 

「不思議なものですね」

 

と、再び同じ言葉を紡ぐ華扇。

 

「また、どーした?」

 

「我々の間では「人間らしく戦う」というのは一種の侮蔑のはずでしたが、こう、彼ならしょうがないというか、彼らしいというか。納得できてしまうんですよね」

 

「それな!いや、小細工っちゃあ小細工なんだけど「してやられた!」感じはあっても「卑怯もの!」って感じはしないんだよなあ」

 

「それにちゃんと修めているからな。努力し、身に着け、研鑽し、進化する。だが、一欲の君の術の適正はちょっとおかしい。一般人の癖にな、精霊も、妖精も、神仏も、森羅万象も一欲の君と相性がいい、よすぎる」

 

「私この間、火之迦具土神の力借りるの見たよ、大鍋煮るのに使うってのが頭おかしいと思ったけど」

 

と、あきれ顔の小町。

 

「天津神まで力を貸すんですか……!?あ、いえ火之迦具土神は竈の神の神格もあるからある意味正しい使い方ですが……」

 

絶句する華扇。

 

「あー、なるほど!私あいつの秘密分ったかも?」

 

「え、どういうことです、萃香!?というか今ので何がわかると!?」

 

「私も気になるわね、正直うちの妖精たちも咲夜よりあいつに懐いてるから」

 

「たぶんなー、一つは使い方が的確なんだよ。火之迦具土神だって竈の神だから竈に使っただけだろ、あいつにとっては最適な奴呼んだだけだ、そりゃあ期待に応えたくなるだろ、得意分野でたよられたら」

 

「だからといってほぼ最高神格がくるとかはおかしいと――」

 

「で、二つ目だ。実に単純な話なんだよなー」

 

「もったいぶってないで教えなさい」

 

「聞くけどさー、正直者と嘘つき、恩は必ず返すからって(対価は必ず渡すから)言ったら、どっちにお金貸したいよ(力わたすよ)?」

 

「なるほど」

 

特に深くうなづいたのが映姫である。

 

「確かに彼はマントラを私にささげたとき、心の底から帰依してました。そこに嘘偽りなどなく、心からすがり頼るような真摯な気持ちしかありませんでしたね、おかげで少しばかり手心をくわえましたが……つまり他のものでも同じことが起きていると?」

 

「ましてや、義理堅く想像以上に返してくるからなー」

 

「そーいやあいつ嘘つかねえよな、沈黙による嘘すら勝手に心の声が漏れてできねえ感じだし」

 

だからあいつと話するの楽しいんだけどな!と勇儀。

 

「一欲の君は、まあたしかに煩悩はあれど嘘はつかんし、何より真摯よな。流石の私でも不逞の輩は道場どころか神霊廟ですらお断りだからのう」

 

「つまり、ほぼすべての召喚、使役、契約系が絡む術に適性があるってワケ!?魔法使いの私よりよっぽど魔法使いじゃない!?」

 

「適性があるのとはちょっと違うなー、適性がなくても力を貸してくれるってのが正しいんじゃないかー?だってさ」

 

一旦溜めて、周囲を見渡してから萃香が言葉を紡ぐ。

 

()()()()()()()()()()()?」

 




嘘つかないの伏線回収


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半人半霊の子と出会った話




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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!の解説動画も投稿予定です。
裏設定とか、細かい能力とか、本家と違うところとかいろいろ投稿予定です。
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「うわああああっ!?」

 

人里で買い物をしていると女の子の叫び声が聞こえてきた、すわ事件か!

とばかりに俺は声のしたほうに駆け出す。

 

幻想郷は基本的にかわいい子しかいないからな!

あわよくばってやつだ!

 

いや、まあ、可愛いだけじゃなくて一癖も二癖もあるが、それはそれでってやつだな。

霊夢ちゃんも最初はめっちゃ冷たい巫女だなーっておもってたけど、その実オンオフの落差が激しい……ダウナーかつめんどくさがりなだけで、俺のこと嫌ってるわけでないと(厄介とは思われていたらしい、主に金銭面で)わかったらなんか妙に味わい深い性格だなと思えるようになった。

この前始めて異変にお供したが、なんというか戦っている霊夢ちゃんはかっこいい、抜身の刃のような美しさがあるんだ。

で、それを見た後だと、気の抜けているダウナーな霊夢ちゃんが妙に可愛く思えるようになったんだよなあ。

 

っと、角を曲がって八百屋の前に、そこには――

 

 

 

 

「あーあーあーあーあーっ!ちょ、転がって。あああああああっ!」

 

と、辺り中に野菜をぶちまけている白髪の少女がいたのだった。

 

背負っている……風呂敷かな?に穴が開いていて、一気に裂けたような感じだな、とりあえず――

 

「まず背負っている包みを一回おろそう、その状態で拾おうとしても、次々とこぼれて転がるだけだぞ」

 

「えっ、あっ、はい!そうですね!」

 

とわたわたと……またこぼれてる、風呂敷を下ろす白髪の少女。

 

この子は人里で割と定期的に見かける子だな、いつもいつも大量に荷物を持っているのでいつかやるんじゃないかと思っていたらついにやってしまったようだ。

 

あと、名前も知ってる。たしか妖夢ちゃんだっけな?異変解決の時に何故か霊夢ちゃんとやりあってた。

いや、霊夢ちゃんもいきなり「妖夢!あんた怪しいわね!」とか言って、妖夢ちゃんも「言い出した方が原因ということ、よくありますよね!」とか言って弾幕の打ち合いに突入した。

 

……いやなんでだ!?

流石にこう、獣じゃないんだからもう少し理性的に会話しようぜ……

 

なお、異変の原因は鈴奈庵の妖魔本だったぜ……

掠りもしてない推理というか、もはや言いがかりで片っ端からシバいていくもんだからなんというか、いろんな意味で俺の出る幕がなかった。

俺の弾幕はまだ未熟だし、何より霊夢ちゃんの戦闘能力が高すぎる……

 

「よっしゃ、これで全部かな」

 

「ありがとうございます、えっとどこかでお会いしたような……?」

 

「ああ、先日の異変の時霊夢ちゃんの後ろにいたぞ、そっちは妖夢ちゃんだっけ?」

 

「あ、はい、あの時の黒づくめの!……ちょっと霊夢酷いと思いませんか?憶測で人を犯人扱いしていきなり襲い掛かってきて」

 

「あー、うん。まあな、しょうじきあそこまで総当たり式の推理(?)するとは俺も思ってなかったわ……」

 

まあ、推理というか目についた相手に言いがかりつけてっただけの気がするが……

でもな、妖夢ちゃんも「いつも神社で宴会してるから怪しい」って理由で襲撃してきたことあるって聞いてるぞ……

 

正直幻想郷の女の子は戦意が高すぎると思う。

特に幽香ちゃんとか挨拶代わりに傘でフルスイングとかどうなんだ……まあ、偶然サバいて抱きすくめるような体勢になったときに「ふふっ」って嬉しそうに笑ったのは超かわいかったが。(なおその後膝蹴りを喰らった)

 

勇儀ちゃんも戦闘狂ではあるが絶対幽香ちゃんのほうがヤベエと思う。

実際戦ったらどうなんだろうな?鬼って基本スペック強いけど幽香ちゃんも自然由来の妖みたいだし(自然系は時々やばくなる、基本種族が妖精なのにかなり強いチルノとかがいい例だとパチュリーちゃんに教わった)どっちが強いのかわからん。

 

可愛さでは二人とも互角だがな!

幽香ちゃんは美人系だけど、微笑むとめっちゃ可愛いんだよな……っと

 

「しかしその風呂敷じゃあ運ぶのは無理だな、予備とか持ってるか?」

 

「いえ、持ってませんね、お金はあるのでどこかで調達しようかと」

 

「ん、待っててな」

 

と、妖夢ちゃんに言って俺は八百屋のおっちゃん(クッソ美形、幻想郷はこれだから……)に声をかける。

 

「ちゅうわけでなんかない?」

 

「おっ、博麗の坊主か、うーん、正直そこのお嬢さんが使ってるような馬鹿でっかい風呂敷はないなあ……木箱ならあるけどな、大八車でもないと無理だろ」

 

「木箱あるのか、とりあえず、それでもいいや。妖夢ちゃんもう少し待っててな」

 

と、今度は少し離れた雑貨屋へ。

 

「おーう、あんちゃーん、縄と、いたっきれくれ」

 

そう、声をかけるとふわふわのくせっけで眼鏡の……心の中でのすけ2号と呼んでいる兄ちゃん(儚げな美形)が出てきて応対してくれた。

 

「君はいつも騒がしいなあ、500円でいいよ」

 

「安っ!?」

 

「君には何度か世話になってるからね、ふふっ、また今度お願いするけど……いいかい?」

 

「おお、いつでも呼んでくれ」

 

この兄ちゃん、見た目と裏腹に超きたねえところで生活している、汚部屋ってやつだ。

で、たまに俺が何でも屋の依頼を受けて掃除に行く。

プラごみとか無いし、いらないもの全部野焼きで燃やせるのは楽っちゃ楽だがな。

 

次に大工のおっちゃんのところだが、昼間はいない。

まあおかみさんいるだろ。

 

「すいませーん、釘数本恵んでください、あとのこぎり貸してほしいんですがー」

 

そう声をかけると、少女が出てきた、いや実は俺より年上で既婚者なんだがな。

栄養状態なのか当時の日本人の遺伝子がそのまんまなのか時々こういう合法ロリな女の人がいる。

 

「ん?なんだいあんたかい、ああいいよ。適当に持ってきな、かわりといっちゃあなんだけど……」

 

「持ち合わせはこれだけですがどうぞ」

 

と飴玉を渡す、なんかどっかの国じゃないけど第二の通貨として使えるんだぜ……

いや、それぐらい砂糖が貴重品なんだろうけど……

 

「いやーありがとうね」

 

と、にっこにこである……絵面的に言えば青年が少女に飴を渡しているんだが相手は俺より一回り年上という頭がバグり……そういえば大抵の知り合い年齢不詳なうえ俺より確実に上だったわ!

 

「じゃあもらっていきますね。のこぎりは後で返しに来ます」

 

そう声をかけて妖夢ちゃんの元へ戻る。

 

「おまたせー、ちょっと待っててな―」

 

「え、ええ、いったい何を……?」

 

「え?こうやって……」

 

と縄と板を組み合わせて背負子を作る。

最後に箱をセットすれば完成だ。

 

「うわ、すごい!あっという間に……!」

 

「まあ何でも屋だしこのぐらいはな」

 

板と縄で背負子ぐらい割と山の人はたやすく作ってしまう、何なら樹皮とかでも作るぞ、めっちゃ不器用なのすけですら作るからな、俺も頑張ってものになるように練習したぜ。

 

「後はその風呂敷を縄の部分につけて食い込みを軽減するか、使っていいか?」

 

「あ、はい、どうぞ」

 

「おう、ありがとな」

 

と風呂敷を装着していると妖夢ちゃんが興味津々な感じでのぞき込んでくる。

「ふえー……」とか謎の感嘆。まあ可愛いからいいんだが……なあ、後頭部になぞのぷにっとした感触があるんだが……!?

 

これって妖夢ちゃんのおっぱいだろうか……?だが妖夢ちゃんそこまで近いわけでもないんだが……この距離で当たるほど立派なものは持ってないように見えた、いやむしろないほう(失礼)だよな?

 

まあ、あれだ、役得は役得だが、まだよくわからない相手にセクハラはできねえしな……

 

「あー、妖夢ちゃん?」

 

「どうしました、何でも屋さん?」

 

「見た目よりおっぱい大きいね?」

 

事実の確認はセクハラじゃないよな?(真顔)

 

「なぁ゛っ!?な、なにを言ってるんですか!?」

 

「いや、後頭部が気持ちいいから結構大きいんだなーって」

 

「私大きくないですよ!むしろそれぐらいあったら喜びま――……こほん、多分それはこの半霊ですね、私半人半霊なんですよ」

 

と、自身の周りに漂っている?白くて丸い――ゲゲゲに出てきそうな魂だな。をこちらに見せてきた。

 

「へー」

 

と何気なく触る。

 

「――!」

 

「おお、なんだこれすっげえもっちりというかぷにぷにというか、控えめに言って最高だな!」

 

個人的感触で言えば沈み込むような柔らかさのパチュリーちゃんの肉や、むっちりしていながらも張りがあって押し返してくるようなはたてちゃんの肉、固めでなめらかすべすべの魔理沙ちゃんの肌(魔理沙ちゃんだけ肉でないのは察してほしい)のいいとこどりしたような感じの感触だ。

 

「これは……いつまでも触っていたくなるな……!」

 

「んっっく、あのっ、それは困るんですがっ」

 

そういって俺から半霊を取り返す妖夢ちゃん。

 

「妖夢ちゃん、これ売ってほしいんだけど……」

 

「私の半身ですってば!?」

 

「こう、なんか分けたりできねえの?」

 

「あなたは真っ二つになっても死なずにいれますか!?」

 

くう……ダメか……

 

「じゃあ、せめてもう少しモフ……じゃねえな、プニらせてくれ!頼む!」

 

「なんでそんなに必死なんですか……?」

 

妖夢ちゃんが問いかけてくるが、俺にもわからねえ。

ただ、こう、なんというか……

 

「愛しい……」

 

「なっ、何を口走っているんですかあなたはっ!?」

 

おおう、またぽろっと出ちまった。いや、マジで俺にもわかんねえけど、こう、いつまでも愛でていたい感覚があるんだよな……

 

「まったく……」

 

妖夢ちゃんはあきらめたかのように深い深いため息をつくと、俺に半霊を差し出してきた。

 

「優しく、あと必要以上に撫でまわしたりしないこと……その、デリケートなんですからね、半霊は!」

 

「いいのか!ありがとう!」

 

「うわ、すっごい満面の笑み……」

 

そりゃあ、笑顔も出るって、なにせ最高の手触りだからな!

 

「では失礼して……」

 

「んっ!?」

 

まずは抱えてみる、そこそこ大きいのでこれはいいな!

軽く抱きしめるとむっちりとした弾力で押し返してくる。

 

「おー」

 

「あんまり強くは……」

 

「わかってるわかってる、こう見えても俺モフリストだからな。プニるのも多分上手なはずだ」

 

「上手すぎても、ひぃん!?その、困るんですが」

 

妖夢ちゃんと会話しつつ、軽くもむようにして感触を楽しむ。

おー、チルノの頬っぺたみたいな伸縮感がいいな。

 

「そういえば妖夢ちゃんてどこまで帰るの?」

 

「えっ?私はぁっ、白玉楼って所にすぅん!?でますよ」

 

「へー、聞いたことないな、遠いの?」

 

「ええ、まあ、わりぃっ、っと遠い感じですよぉっ!?」

 

手が幸せだなー、なんかちょっとぷにぷにの中にも硬さの違うところあるのな。

コリコリというかくにくにというか……まあそれもいいアクセントなんだが。

 

「遠いなら俺も一緒に運ぼうか?道中こいついじらせてくれればいいから」

 

「いっ、いえっ、お気持ちだけで、それに余計遅くなりそうでっ!?そこ、ちくっ!?もう返してください!」

 

「うおっ!?」

 

すごい勢いで半霊を分捕られた。

何が気に入らなかったのか、妖夢ちゃんは少し目が潤んで息を荒げている。

 

「あー……」

 

「もうだめです、今日は終わり!」

 

名残惜しげに手を伸ばしたが妖夢ちゃんにぴしゃりといわれてしまった。

だが――

 

「今日はって言うことは次回いいんだな?」

 

「えっ、あっ、いえ、それは言葉のあやで、もうだめ――」

 

「えっ……ダメなの……」

 

「あっ、くうっ……うーん……わ、私が暇なら……「っよっしゃーっ!」少しだけですよ!」

 

俺、ものすごい顔をしていたらしく、顔を見た妖夢ちゃんが妥協してくれた。

これ、いつもの交渉術と違って完全に素だったから、俺がいかに半霊を気にいったかわかってもらえるだろうか。

 

「あー、次回楽しみだなー」

 

「私は心休まらないですよ……」

 

「さておき背負子できたけどどうする?俺何でも屋だし荷物運び手伝うぞ?」

 

「また半霊を触るつもりですよね?」

 

と半眼で――正直丁寧な妖夢ちゃんに半眼になられるほど何かした覚えはないんだが……

俺に確認を取る妖夢ちゃん。

 

「いや、今日は終わりって言われたから我慢する……今日は

 

「言い方が少し怖いですよっ!?なんでそこまで執着するんですかっ!?」

 

「はっはー、俺にもわかんねえ、さっき言った通り愛しいって言う感覚が一番近いかなー、すっげえ癒されるし」

 

「あなたは……訳が分かりません」

 

心底疲れたように言う妖夢ちゃん。

 

「まあ、なんだ、危害くわえるつもりは微塵もねえから安心してくれ」

 

「ある意味危害加わってるんですけどね……」

 

「ん?どうした?」

 

「なんでもありません!……しかし、運んでくださるというのはありがたいんですが白玉楼はものすごく遠いんですよ。ですのでお気持ちだけ……」

 

「遠いのか……なら泊めてくれるんなら行くぞ、あ、寝るとき半霊貸してくれ、約束通り日付変わった瞬間からでいいから」

 

「約束してませんよねえっ!?あとさらりと泊めてくれとか言ってますがほぼ初対面ですよねっ!?」

 

「何か問題あったか?」

 

「問題しかありませんよっ!?私!うら若き乙女!あなた!年頃の男性!」

 

「安心してくれ、俺にとって妖夢ちゃんは半霊の飼い主って感じで可愛いって以外は特に思うところはないぞ」

 

「飼い主とかじゃなくて、半身ですっ!!半霊も私ですっ!!あと、可愛いとか言われると余計とめるのに躊躇しますよっ!」

 

「わがままだなあ、妖夢ちゃんは」

 

「私が悪いんですかっ!?」

 

完全に俺にペースをつかまれてるが、うーん、半霊を俺にくれたりは難しそうだな。

飼うことが出来たらめっちゃめちゃ甘やかすんだ……

 

「何か不穏なこと考えてませんか?」

 

「いや、半霊のことしか考えてないけど?」

 

「それが不穏なんですっ!」

 

さすがにこれ以上粘っても無理っぽいな、交渉は引き際が大切だ。

無理強いすると次の機会が失われるからな。

 

「しょうがないな。抱いて寝るのはあきらめよう」

 

「抱いっ!?」

 

「でも、妖夢ちゃんが貸してくれる気になったらいつでも声かけてくれ」

 

「多分ありませんよ……」

 

「で、どうする?」

 

「どう……とは?」

 

「荷物運ぶのとか、普通に重そうだしね。別に泊めてもらえなくてもいいし」

 

「ああ、大丈夫ですよ。それに私が泊めないといっても幽々子様あたり面白がって泊めそうなので……いえ、あなたのお気持ちはありがたいのですが、さすがにほぼ初対面では気が休まらないというか……」

 

「ああ、そうだったな、俺も少し半霊が好きすぎて暴走したわ、で、幽々子様って誰だ?」

 

「私のお仕えしている方で、白玉楼の主です」

 

「へー、じゃあ妖夢ちゃんは料理係か何か?」

 

「いえ、剣術指南役で庭師です……ただ白玉楼は幽霊ばかりなので買い出しは私の仕事みたいな感じですね」

 

「ん?幽霊ばかりなのに買い出し?幽霊って飯食うの?」

 

「幽々子様ぐらいになるとめしあがることはできます。が、一般の霊では無理ですね」

 

「俺、妖夢ちゃん三日おきぐらいに人里で見るけどさ……」

 

「はい、だいたいそのぐらいで買い出しに来ますね」

 

背負子にセットした荷物をみて尋ねる。

 

「妖夢ちゃん、結構食うのな?」

 

霊が食わないなら、この食糧、主に半人である妖夢ちゃんが食うんだろう。

三日でこれって結構大ぐらいだぞ?

 

「なっ!?ちがっ!私もまあ、人よりは食べますが、幽々子様がほとんどです、健啖家でいらっしゃいますので」

 

「何それ怖い」

 

妖夢ちゃんの申告が確かだとして、まあ1.5人前ぐらい食うとしたら……

米の量はわからんが、これで3日分としたら幽々子様ってのは軽く3人前食ってる感じになるんだが……?

 

「霊ですのでその気になればたぶん無限に入るのではないかと……」

 

「あー、そういう感じの」

 

レミリアさんみたいに純粋に嗜好品として食ってる感じの奴か、レミリアさんは胃の容量があるから極端に少食だけど、霊みたいな不思議存在の場合無限に入るのか……

もしくは極端にエネルギー効率悪いかだな、霊には霊力や精気与える方が満腹感あるみたいだし。

 

「まあ、わかった。もし大量に買い出しとかあるときは声かけてくれ、あらかじめわかってるなら予定も開けとくし」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

妖夢ちゃんはまあ、ちょっと荒ぶることはあるけど、基本的に丁寧でいい子のようだな。

可愛いと奇麗が同居している咲夜ちゃんタイプだな、ただ咲夜ちゃんと違ってドロワーズなのが少し残念だな。

 

「……なにか邪悪な気配が……?」

 

「はっはー、気のせい気のせい」

 

「まあ、いいでしょう。さて、今回は助かりました。また今度であったときにお礼をさせて「半霊でいいよ!」だからあげたりできないものですってば!……こほん、それではまた」

 

「あ、妖夢ちゃん」

 

去ろうとする妖夢ちゃんを呼び止める。

 

「まだ何か?」

 

半霊を背後に隠すようにして返事をする妖夢ちゃん。

いや、さすがに妖夢ちゃんも仕事あるだろうしこれ以上は「今日は」ちょっかいかけないって!

 

「ほい、これぐらいなら持っていけるだろ、お土産」

 

と、小箱を渡す。

 

「……これは?」

 

「なんだろう、俺もよくわからん」

 

「得体のしれないものを渡さないでくださいっ!?」

 

いや、甘くしたクレープ生地をせんべいみたいに固焼きにしたものだけど、名前がわからん。

 

「適当に作ったおやつだから名前がねえんだよ、味は割と好評だから持って行ってくれ、口の水分持っていかれるからお茶とかと一緒にな」

 

飴を渡してもよかったんだが、さっき使い切っちまったからな。

 

「ですがいただく理由が……ああ、あるみたいですが半霊は渡しませんからね」

 

「さすがにこの程度では言わねえよ、まあ見てろ、めっちゃすごいものと交換してもらうつもりだからな!」

 

「だから譲渡できるものじゃないんですってば!?なんでそこまで!?」

 

「俺にもわからん……」

 

「あなた……実は変な人ですね?」

 

「うん、よく言われる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

 

 

「ここかああああっ!!」

 

すぱーん!と全力で戸をあけ放ち妖夢ちゃんが俺の部屋に乗り込んできた。

 

「うおっ!?どうしたんだ、妖夢ちゃん?」

 

「半霊をかえしなさああああああい!」

 

「えー、これ拾ったんだぜ、もう名前も付けたのに、なーしらたまー」

 

そう呼んでやると俺の頭の上でぽよぽよ跳ねる。

妖夢ちゃんが買い物をしているときに俺に絡まる様にして懐いてきたので「うちの子になるか?」と聞いたら同意の意を示したんで連れて帰ってきただけだ。

決して無理やり連れてきたわけじゃないぞ?

 

「しかしよくわかったな」

 

「そりゃあ、あんなに……されたらわかります!さあ、行きますよ!」

 

むう、さすがに元の飼い主に返せと言われたんならしょうがない……

 

「あー……また遊びに来いよーしらたまー」

 

「来ません!行かせません!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお月一ペースでしらたまがうちに来るようになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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呪いとか祟りとかなんとかしてみた話


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「ううー、いつもいつもたすかりますー」

 

「ほんっとあんたも奇特よねー、あ、おかわり頂戴」

 

二畳間というクッソ狭い空間で俺の持ち込んだ飯を食っているのは依神姉妹だ。

最初空腹でふらふらしていた紫苑ちゃんを助けたはいいが、紫苑ちゃんの力が凶悪すぎて、泊めた離れ(俺の寝泊まりしているところだ)が倒壊した。

 

後で霊夢ちゃんに怒られつつ貧乏神だって聞いたけど、まあ多分知ってても助けたとは思うがな。

俺の目の前で空腹とか見過ごせねえ。

意外なことに天子と仲良し、というか天子が全く貧乏オーラの被害を受けないのと、元々奴が傲岸不遜のため平等に見下してるせいで差別されないのが嬉しいらしく一方的に懐いてるみたいだったが。

 

「ほい、女苑。こんなもんで悪いな」

 

とおにぎりの包みを渡す。料理するスペースとか食器とかねえからこれが一番なんだよなあ……

紫苑ちゃんは一応食器持ってるけどな、まあ、正直衛生的にアレだし(一応あれ神としての付属物だから汚くはないらしい、服もボロッボロだけど体臭以外では臭くないしな、普通ああいうぼろは染みついた饐えたにおいするんだけどそういうのはない)使わないことにしている。

 

「いいわよ、満足に食べることができるだけでありがたいわよ」

 

と渡したおにぎりをはぐはぐ食べる女苑。

こいつは貧富の振れ幅が激しくて、めっちゃめちゃゴージャスな姿の時もあれば、今みたいにシンプルなワンピースに着崩したコート、アクセサリ少々という姿の時もある。

なんか着崩し方といい、歩き方といい「特攻服纏ったレディース」っぽい感じで俺は結構好きだ。

 

過去にいろいろあったせいで無差別に富を巻き上げることは禁止されているが、ルーミアで言う「食べてもいい人間」の場合その限りじゃなく、そういう相手がいた場合身なりがよくなるんだよな。

まあ、そこまでいっぱいいるわけじゃないから大抵は現在みたいな格好だがな。

 

紫苑ちゃんと違って自分の食い扶持ぐらいは稼げるんだが、めちゃめちゃ紫苑ちゃんの悪口を言うくせに何くれとなく世話を焼くせいで貧乏フィールドの影響を受けてしまうんだよなあ。

 

この二畳一間のクッソ狭い掘立小屋だが、四方を映姫ちゃんをかたどった地蔵(というか地蔵菩薩は閻魔の別形態だ)と魔術結界で囲んであり、さらに神子ちゃんに風水的に安定させてもらって、そのうえで妖精の祝福と大量のお札をべたべたと貼ってなんとか寝床だけは確保したというものである。

というか、これ以上広い空間は幻想郷中の英知を結集しても無理だった……ある意味最強だよな。

 

あとは大事なものや一時的に取得した金銭は赤蛮奇ちゃんのあずかりしょに預けることにより、食料品の購入などにあて、まあド貧乏ながら(霊夢ちゃん曰く「最悪状態の時のうちよりちょっと悪いレベル」)食べていくぐらいの生活はできている。

 

「私にももう一つくださいー」

 

そういって身を乗り出してくる紫苑ちゃん……だが……

 

襟ぐりから乳首見えてるよ!?

なんというか、霊夢ちゃんにもましてダウナーで面倒くさがりな感じのせいか、こういうのには無頓着なんだ。

かといってほかの服を渡してもあっという間に朽ちる、初期装備?のパーカーとワンピースのみが装備可能だ……が。

 

パーカーは言うまでもなく、ワンピースも古ぼけて首回りがダルダルなため、普通に胸が見える。

下着付けてないんだよな……もちろんパンツもはいていないためたぶん幻想郷で一番やばい格好だ。

 

最初は正直あばらが浮いていて痛々しくてそれどころじゃなかったんだが、現状少女らしい(相変わらず年齢不詳だが)ふくらみも生成され、ちょっとエロスを感じるんだよな。

 

ちなみになぜか女苑にはエロスを感じない、小柄なせいもあるんだけど、どっちかというと魔理沙とか文とかみたいな残念系のせいもあるからかな?

ただ、一緒にバカやる分にはなかなか楽しい、あと意外に強い。

喧嘩殺法って言うのか手段を択ばない戦いだと、まあ武術家には負けるがその辺の腕自慢には負けない感じだな。

 

強くなった理由が「その辺のおっさんひっかけて貢がせてると襲われること多いから」っていうのがアレだが……

 

さておき、おっぱい見えて嬉しいは嬉しいんだけど、それとなく注意しないとな。

 

「うーん、紫苑ちゃん。乳首見えてるよ(火の玉ストレート)」

 

「えっ、っ……えっと、とりあえずおにぎり代で」

 

「いや、いかんだろ!?」

 

おにぎりぐらいならそれこそ寺子屋で配ったり普通にするしな(現代だと不審人物)

 

「でも物乞いするとき結構覗いてくる人いるのでそれぐらいはー、触ってくる人もいますし」

 

「よし、ちょっとそいつ締めてくる、場所は?」

 

見るのはまあしょうがない、気持ちはわかる。

が、ひもじい相手の弱みを突いて無理強いするとか許せん。

 

そう息巻いていると、女苑が

 

「大丈夫よ、もう巻き上げたから」

 

と獰猛な笑み。

どうやら食べてもいい人間扱いらし――

 

「なあ、女苑?」

 

「ん?なに?」

 

「釣ったか?」

 

そう問うと「あは」と笑いながら目をそらす。

こいつ、姉を餌に使いやがった!?

 

まあ、理性で我慢できないエロ親父も悪いだろうけど、正直紫苑ちゃんもめっちゃガードが緩いのでどうぞ襲ってください的な感じだからな、結構そのトラップは非道だ。

 

でもとりあえずチョップ落とそうかと手刀を構えると、女苑は言い訳をするようにまくしたてた。

 

「いや、そもそも貧乏神に触った時点で富なくなるのは確定してるし、私はそれを先に保護しただけ!私のやったことはいいk――へぶっ!」

 

とりあえず、あまり開き直られると魔理沙みたいになるので修正しておかないとな(暴言)

 

「かわいい私になにするのよっ!?」

 

「確かに可愛いが、だからといって性悪を見逃すわけじゃねえぞ?少しぐらい破天荒なのは魅力にはなるけどな、行き過ぎるとダメだろ」

 

と、ぽんぽんとして軽くなでる。

なんか、こう、女苑ってクソガキ系なんだよな、俺の中では。

 

「え、そ、そう?魅力的でかわいい?」

 

「そこ重要じゃ――ん?どうした紫苑ちゃん?おかわりか?」

 

女苑と言い合いしていると紫苑ちゃんがくいくいと俺の服の袖を引っ張ってきた。

 

「私もー撫でてほしいかもー」

 

「お、いいぞ」

 

触れ合うと相手を不幸にする体質であまり触れないようにしてたせいか、割と紫苑ちゃんは触れられるのを好む。

まあ、だからこそガードがゆるゆるで困ってるんだが……今も襟ぐりからおっぱい覗けそうだし。

 

ちなみに不埒なことはしたくてもできない、不幸になるとかじゃなくて、地蔵のせいで映姫ちゃんに筒抜けなんだわ、ここ。

いや、筒抜けじゃなくてもやらないけど!……でもラッキースケベぐらいいいよね?

 

「えへー」

 

猫のように目を細めてもっとなでろとばかりにぐりぐり押し付けてくる紫苑ちゃん。

緩いモードの時は本当に緩くてなんというか平和の象徴みたいな(実際はヤベエんだが)雰囲気を出している。

なおストレスゲージがMAXになると性格が豹変する、というかため込んでたものが一気に来る感じだな、まあ他のヤベエ妖怪に比べれば身体的な実害は少ない感じだな。

 

金や物なら取り返しつくしな、まあ吝嗇家(けちんぼ)の霊夢ちゃんには蛇蝎の如く嫌われてるんだが。

「それに触ったら清めるまで家に入ってくんな!」とか小学生か!と思った……んだが……

手水で清めたら可視化するレベルのやばいどす黒いなんかが流れていったので(博麗神社何を祭ってるのか知らんが霊格めっちゃ高い)過言ではないんだよなあ……

 

ちなみにそれを利用して貧乏神の穢れを相手に叩き込む「バッドエンド」は、禁止技に指定された。

……実験で喰らった勇儀ちゃんが泣きながらなんとかしてくれと縋り付いてきたのがちょっと滾った(外道)

なんか千年来ため込んでいたお宝が全部なくなったとか……

 

8割ぐらいは戻って来たものの、正直相当の損失を出させてしまったので近頃は割と勇儀ちゃんとも戦ったり、軽い飲みならつまみ持参でつきあったりはしてる。

 

なお、俺も耐性はあるが無効化できてるわけではないので、地蔵結界のこの中でもあまり長時間触れ合うと運気が下がる。

それでもたぶん幻想郷では一番耐性が高いんじゃないかな?

運気が下がっても一番最初に離れぶっ壊れて以来、気を付けてるから、せいぜいが牛鬼に庵ぶっ壊されたり、ケルピーに生簀ぶっ壊されたり天子に用水……これはあいつのせいか、ぐらいだしな……いや建造物への被害ひでえな!?

 

まあ考えたら宵越しの銭は持たねえって程じゃねえが、小金溜まるとすぐ使っちまうからなあ、俺。

結局建造物が一番高価なものってことになるのかね?

 

ふむ……もしかしたら、何とか出来るかもしれねえな?

 

「よし!」

 

「わーびっくりした」

 

「ちょっとうるさい、びっくりするじゃない!」

 

やはり姉妹かリアクションというか驚いた顔は似てるなあ。

最後に二人を一撫でしてから暇を告げる。

 

「また来るわ、そんときにはもしかしたらいいことが起きるかもしれねえぞ」

 

まあ、うまくいったらだがな、だが協力を取り付けるのが……よし、あのネタでゆすろう(邪悪)

 

「きみが来るだけでとってもいいことだよー」

 

「無事な姿を見れるだけでいいことよ、あんたすぐ死にそうだし」

 

うん、やっぱり姉妹だなー、だが女苑、俺はしぶといぞ?

 

「来週には大豆採れるから持ってくるぞ、女苑はなんか交換できるもの用意しとけよ」

 

公平さの観点からお手伝いもしない人間に無尽蔵に配るわけにいかねえからな、でも手伝われると多分枯れるわけで、この辺いかんともしがたいよなあ……

 

「えー、面倒。体で払うわよ、姉さんが」

 

「えっ、あーうー……優しくしてくださいね」

 

「ことあるごとに姉を売るな!あと紫苑ちゃんも考えるの面倒になって流されるな!?」

 

「なに?私のほうがいいわけ?ま、あんたならいいわよ。優しくしてね」

 

「あーあーあー、や、やっぱりこんな貧相な身体じゃ……」

 

「やっぱ似た者姉妹だな!?」

 

とりあえず軽いチョップで場を収めてから(チョップですら嬉しそうな紫苑ちゃんが不憫だ)その場を後にした。

さあ、いろいろ仕込まねえとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあてと」

 

あれから二週間、月齢もよし、仕込みもよし、上手くいけばこれで何とかならねえかな……?

 

「夜分すまん。二人ともいるかー?」

 

「いるけど今着替えてるから入ってこないでよ」

 

「お、わかった」

 

おとなしく外で待つ、外で待つ……外で待つ……待つことしばし

 

「ちょっとなんで入ってこないのよ!?」

 

「俺は紳士であって変態じゃねえよ!?」

 

シミーズに裾からちらりと見えるお子様パンツのまま女苑が戸をあけ放って文句を言う、しかも結構時間たってるのに着替え終わってねえじゃん!

 

「ねー、女苑ー?まだこのままー?」

 

ワンピースを脱ぎかけの状態で顔の周りに服がまとわりついたままの紫苑ちゃんが女苑に問いかける。

 

って、それは流石にまずい!?

 

前述のとおり紫苑ちゃんは下着を身につけていない(身につけれない)あばらが浮いてケツっぺたもへこんで骨盤浮いてたような初期状態ならともかく、丸みを帯びて全体的に少女らしくふっくらしてきた現状、なんというか、こう……

 

「ありがとう!紫苑ちゃん!じゃねえ!?とりあえず服戻して服!」

 

「あ、え?はいー」

 

「なんで全部脱ぐ!?」

 

服を戻せと言ったのに、全部抜いたよ!?

 

「えー、ですからーパーカーに戻そうかと」

 

「あってるけど違う……!」

 

「ひんそーで恥ずかしいので、あんまり見ないでくださいねー」

 

とパーカーを着込み始める。

 

「じゃあ隠すとかしようよ!?見ないようにはするけど……ごめん無理!」

 

ついつい見てしまう、まあこれは男のサガだ、勘弁してくれ。

ちなみに下も青いのが生えてる、薄いのかちょぼちょぼだな、脇にも毛が無いしなんというか、儚げだよなー。

 

その姿で英気を養ってると、わき腹をつつかれる。

 

「ん?どうした女苑?」

 

「私も下着なんだけど何か言うことは?」

 

「コメントに困ることを聞くな!?うーん、多少は色気は感じるけどなあ、どっちかというと可愛いが先に立ってなあ」

 

肉体的にならリグルより成長してるはずなんだが、恥じらいねえし、なんというかガキだよなあ。

 

「微妙な返しどーも、じゃあ見物料よ、なにか置いていきなさい」

 

まさかそのために紫苑ちゃんの着替えを途中で止めてたのか!?

 

「押し売りで見せるんじゃねえよ!?しかも自分だけちゃっかり肌着つけてて紫苑ちゃんは裸じゃねーか!?」

 

「そもそもこの愚姉、下着持ってないし……あ、なに私の裸見たかったの?しょうがないなあ」

 

そういってシミーズをまくり上げようとする女苑を押しとどめる。

 

「いい加減映姫ちゃんに出張説教喰らうからやめよう、な?」

 

まあ、もう手遅れかもしれないが……

 

「んっとにヘタレね、それなりに恩には着てるのよ」

 

「もう少しおとなしいやり方で恩を返してほしいんだがなあ」

 

「しょうがないじゃない、私はともかく、姉なんか本当に身一つしか財産もてないんだから、それにいくら愚かな姉だって嫌な相手にはこんなにオープンに肌見せないわよ」

 

「それを俺に聞かせて俺にどうしろと」

 

「ヤッちゃえ、それで責任とって姉と私を養って!」

 

「最後まで紫苑ちゃんを使って楽しようとするな!?」

 

「いちおう私もあんたなら文句ないわよ、贅沢させてくれればなおよし、だけどね」

 

「あー、もう、女苑は」

 

わしわしと女苑を撫でてごまかしつつ本題に入る。

 

「それはともかく、えっと紫苑ちゃん、いい加減ちゃんと服着て?」

 

「わかったよ」

 

紫苑ちゃんが着替えてるのを横目で見つつ(見ないとか無理だろ)二人に問う。

 

「この厄災の力って抑えたりできたら嬉し――「いに決まってるじゃない」「いですー」オッケー、了解」

 

「でも自分で言うのもなんだけど、私の力自分でも抑え切れないよ?」

 

「正直私は抑えれるけど抑えたくないし」

 

まあ貧乏神って知名度ではへたしたら伊邪那岐、伊邪那美より上かもしれねえからな、その格たるや間違いなく大妖クラスなんだよなあ……というか神格か。

疫病神も同じくだが、こっちってあんまり使わない感じだもんな。

あと女苑は少しは努力しろ。

 

「んー、もしかしたらだけど、うまくいったら多少はやわらげることできるかも。確実じゃねえけどな」

 

「いやー、いくらあんたでも無理でしょ、筋金入りよ、この姉」

 

「ひどいー」

 

「うまくいったらおなぐさみってところかな?失敗しても被害はたぶん俺に来るから、人から離れて数日精進潔斎して野宿でもしてれば、何とかなるだろ」

 

「一応服とかも逝くから、いろんな意味で危険と思うわよ?」

 

「まあ男だしフルチンでも大丈夫だろ(変態)」

 

「全然よくないわよっ!?」

 

「私もそれはダメだと思うー」

 

「最悪腰巻でも作るわ……っと、二人とも、ちょっといいか?」

 

思った以上に不評だった……あの解放感がいいのになあ……

さておき本題を勧めないとな、いつまでたっても進まん。

やることやろうと玄関(といっても板戸一枚だが)先に二人を呼ぶ。

 

「なーにー?」

 

「どした?」

 

「ちょっと咥えて」

 

と、指をさし出す、まあ絵面が酷いが必要な事なんで我慢してもらおう。

 

「え……えーっ、なにあんたそーいう……?んー、ま、いいか。正直何の見返りもなく今までよくやってくれたと思うし、このぐらいはね……でも姉さん先にお願い」

 

「えっと、うー、うん、私もだいじょうぶ、やるね?」

 

そういって紫苑ちゃんが俺の前にひざまづいてズボンに手を――

 

「うぉぉぉい!?」

 

慌てて紫苑ちゃんの手を振り払う。

 

「えっ、でもしゃぶれっていってたよね?」

 

と女苑がほざく。

 

「え、っとうん、私もそう思ってたけど―」

 

「俺が言ったのは咥えろだ!しかもそこじゃなくて指だ、指!」

 

なんでしゃぶれに脳内変換されてるんだ……?

あとなんでわりと乗り気だったんだ……そしてちゃっかり姉に押し付けてる女苑は一遍紫苑ちゃんに怒られたほうがいい。

 

そこで怒らないのが紫苑ちゃんなんだけどな。

 

「まあ、とりあえず咥えて、二人ともな」

 

「咥えたらしゃぶればいいの?」

 

「そこから離れろ、とりあえず紫苑ちゃんは右手、女苑は左な」

 

「わかったよー、はむっ」

 

「むぐっ、ほふ?れろれろれろ」

 

二人ともためらいもなくいったな?

あと女苑。ちょっと気持ちいいから舌を這わせるのはやめろ。

 

「じゃあ、軽く嚙んでくれるか?」

 

「あぐっ」

 

「むぐっ」

 

紫苑ちゃん結構痛い!?女苑はちゃんと手加減してくれてるな、というかなんか二人ともむぐむぐ噛んでね?

俺は食べてもいい人間じゃねえぞ!?

 

「そのまま噛んでてくれな―。今からほかの人来るけど離さずにな?というわけで……」

 

と、俺は今回の重要な要素の一つである人物を呼び出す。

 

「雛ちゃん雛ちゃん、おいでませー!」

 

「よびましたー?」

 

「はに?」

 

「あへ、あんはやふひんほ……?」

 

と、ひょこっと現れる雛ちゃん。別に召喚したわけでも何でもなく、雛ちゃんの特性である。

雛ちゃんの話をすると、雛ちゃんが現れるんだが、雛ちゃんは近くにいるものに厄を与える……と思われてるが実は瘴気のようなもので近くにいると被害を喰らうだけ……

言い方は悪いけど核廃棄物みたいなもので雛ちゃん自体には悪意も悪気もない、むしろ周囲の厄を集めてくれる善良な子だ。

でも近くにいると被害を受けるので「雛ちゃんを呼んではいけない」だの「えんがちょ(縁切りのまじない)」だの言われてる。

あるいみ雛ちゃんも紫苑ちゃんみたいなもんで、役割による世界の犠牲者なんだよな(女苑は自ら行ってるので除外)

 

「おお、前言ってた通りこの厄の流れ何とかしようと思ってるんだけど、現状どんな感じ?」

 

雛ちゃんは厄のエキスパートだからな、こういうのは得意だ。

 

「あなたに厄が流れてる感じですね。当然だけどそのままじゃ死にますよ?」

 

「でも俺一応人間だから雛ちゃん吸い取れるよね?」

 

「できますけど、こんな高濃度の厄は……それに吸い取ったところでそのお二人も厄神ですので結局そっちに戻っていきますよ?」

 

うん、だいたい読み通り。

 

「雛ちゃん、渡した紙で流し雛作ってきてくれた?」

 

「ええ。これです」

 

「流石、きっちりと折ってあるな、ある意味芸術品だ」

 

折り紙というのはきっちり折らないとだらしなくみえるんだが、本職というか本人が折ってるんだからもはやそれはヒトガタだ。

 

折り紙や幣は、きっちり折るときは台の上などにおいて折り目をつける。

手をつき、こうべをたれ、一心に折る姿は、もはや祈りのようだ。

 

ましてや、厄神などといわれる雛ちゃんが折ったものならそれはすでに呪物の域に達する。

 

「でもこれでどうするんです?それなりに持つとは思いますが。それでもこの高密度の厄は移せないと思いますよ?」

 

「えっと……とりあえず今手がふさがってるから咥えさせてくれるか?」

 

「えっ……は、恥ずかしいですよ、それにお乳は出ませんよ?」

 

「厄神はちょっと咥えるについてボケなきゃならん決まりでもあるのか……?」

 

「ほーひうひはひははいはほ」

 

「ふん」

 

「ええ、ないですよ」

 

「……まあ、深くは突っ込まないでおこうか、とりあえず流し雛を……いや雛ちゃんじゃなくて折り紙な?咥えさせてくれ」

 

「えっと、はい、あーん」

 

「おう、むぐっ」

 

はたから見ると美少女二人に指をかまれながら美少女に流し雛を咥えさせられてるという……これもうわけわかんねえな?

 

まあ、ちゃんと意味はあるからな?

 

噛みつきは神憑き。

折り紙は降り神。

そして流し雛はヒトガタ。

今、神の力はヒトガタに降りた。平たく言えば神に憑かれた俺がヒトガタに厄を移したところだ。もちろんこのままでは厄があふれるので――

 

 

「清水の 水面にうつる 望月に 抱かれて舞うは 再誕の雛」

 

ぷっっと外に向けて咥えた折り紙を噴き出しあらかじめ用意してあった水を張った桶に入れ、和歌を吟ずる。

和歌も掛詞や見立てによる立派な呪法だ。

 

今宵は満月、幻想郷の月は強い穢れ払いの力がある、まあ天人のせいだろうな。

だが使えるものは何でも使う、水面にうつった月にヒトガタを入れることにより厄が浄化される……が、圧倒的な厄なので浄化はしきれず、厄は戻ってきてしまう……ので

 

「まあ、レイセンちゃんとか綿月姉妹には悪いけど、どうせあふれ出た力で勝手に浄化するしな……というわけで、待たせたな!出番だぜ!」

 

「おせーんだよ馬鹿が!ほおって帰ろうかと思ったぞ!」

 

「とっかえひっかえ」

 

「うるせえ!それ以上言ったら皮剥ぐぞ!!」

 

というわけで今回のスペシャルゲスト、正邪ちゃんだ。

なぜかしらないが「とっかえひっかえ」っていったら一つだけ言うことを聞いてくれるって言ったんだ、なぜか知らないが!(大事なことなので二度)

 

「というわけで想定内の事態に収まったからあとは正邪ちゃんが自由にどうぞ」

 

概要は説明してあるが命令すると反発するからな、あくまでも正邪ちゃんの考えで動いてもらわないと。

 

「ふん、わかってるよ。だけどお前、二度と話題に……いや、それ以前に忘れろ、いいな?」

 

「いや、さすがに忘れるのは無理だけど、二度といわないよ」

 

「ちっ、まあいい、お前は嘘はつかねえもんな」

 

でも「賭けてもいい」は禁止されて無いよな?(外道)

 

「おらよ、ひっくり返っちまいな!」

 

正邪ちゃんがそう宣言すると、本来澱のように下にたまっていく「厄」が天に向かって浮き上がっていく。もちろんかなり濃いので多少の厄は戻ってくるが(逆転してるので本来浄化される分だと思う)かなりの分量が月に向かって登っていく……やっべ、思ったより濃いわっていうか雛ちゃんの許容量すげえレベルだったんだな。こりゃあ名前呼ぶだけで厄も降りかかるわ……

 

念のため後でレイセンちゃんに連絡しておこう、距離があるから届くまでに全部浄化しきるとは思うけど、確実に月から補足できるレベルの濃さだわこれ。

 

「ありがとうな、正邪ちゃん」

 

「お前に礼を言われる筋合いはねーよ、じゃあな……わすれとけよ?」

 

そういって正邪ちゃんは立ち去って行った。

甘いぜ、すでに正邪ちゃんのねぐらは補足済みだ、帰ってごちそうに驚くがいい!(仕込み済み)

 

さて、次はこっちだな。

 

「あとは、このたらいを、どっか安全なところに安置すれば……まあ少し戻ってきてる分はあれど今までみたいなことにはならないんじゃないかな?紫苑ちゃんも雛ちゃんも」

 

「……本当?」

 

「えっ、今も私には普通に厄が寄ってきてるけど……?」

 

「私についてなんで触れないのよ!」

 

「本当だぞ、まあ残った厄がどの程度の不幸もたらすかはわからんがな、能力として使えるレベルではないはず。あと雛ちゃんは流し雛が水につかってる限り即こっちに厄が転送されるから大丈夫。女苑はもともと制御できたろ、一応疫病神としての厄は落としたからあとは人を陥れても贅沢したいかどうか……心の持ちようなだけだ」

 

「えっと、その、ありがとー」

 

「私からもありがとうございます」

 

「ま、私の扱いに文句は少々あるけど、底なしの貧乏からは脱却できそうで何よりだわ、あんがと」

 

「それでも悪い噂ってのはなかなか消えねえからな、しばらくは大変だぞ、極論石もて追われる覚悟ぐらいはいるぞ?」

 

「そんな奴私がしばいとくわよ、こんなのでも姉だからね、ついでにあんたも守ってあげるわよ」

 

と雛ちゃんに向かって言う女苑。

悪いやつではあるけど(酷)それなりに気は使えるんだよなあ、女苑は。

 

「私は慣れているので……人間に危害は加えたくないですし」

 

「いーのいーの、私が勝手にやってるだけだから」

 

「いえ、ですから――」

 

「女苑、あんまり無理強いは――」

 

「いいから黙って二人とも守られて――」

 

 

 

きゃいきゃいと年相応の少女らしさを見せる三人をしり目に、俺は祠(たらい安置用)を組み立てるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、正邪ちゃんを含む四人組で妖怪の山に近く、危険だからと廃棄された古民家を修繕しながら住んでいると聞いて

 

 

俺は珍しく自ら酒を飲んだ。

 

 




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天子バトルの裏側・中編

移植


 

 

 

 

 

「さあ、剣での戦い。やはり彼に分があるかー!だが天子さん、持ち前の超反応でいなし続ける!……なんなんですかあの動き。ふつうあそこまでのけぞって回避したら体勢崩れますよね?そこから腹筋だけで起きてきてませんか天子さん?」

 

思わず素が出る文(本日何度目かわからない)

 

「私も似たような動きはできますけど、普通しません。見せ技というか、意表突いたりおちょくったりするときの技ですから。むしろなんであの動きで通常戦闘できるんですかね?」

 

華扇にだってわからないことぐらいあるのだ。

 

「ところで、あの武器パチュリーさんは災禍剣といいましたが、もっとふさわしい名前があると思いませんか、ねえ華扇さん」

 

「さあ、私には何とも……」

 

文に振られたため、突っ込まないぞと警戒する華扇。

 

「やっぱり計都羅睺剣しかないでしょう、えっと乳が揺れる機体……ブルンバストでしたっけ?」

 

「なんですかその名前は!?グルンガストですよ!なんかしっくりくる名前なのが腹立たしいですね!?それに胸が揺れるのは機体ではなくパイロットです!はっ!?」

 

だが突っ込ませることに関しては文のスキルもかなりのものである。

案の定華扇は見事に突っ込んでしまう。しかしこれは文の言いえて妙の勝利だろう。

 

まあ、いつものことだが(無慈悲)

 

打ちひしがれている華扇をよそに闘いは続く。

 

「おーっと天子さん剣を逆手に構えて……雷とともに振りぬいたーっ!っていうかアレストラッシュですよね!?」

 

「そういいたくなるのもわかるぐらいの完璧なストラッシュでしたが、逆手に構えるというのは打消しの意もあるのでしょう。……本人が術式を理解して使ってると思えないので本能なのかもしれませんが。そもそも天子さん、強い強いといわれてましたが、弾幕ごっこでのしぶとさと、天人が強いから天子さんも強いだろうという予想なだけで実際に本気で肉弾戦するのって今回が初めてのはずですから、持っている技とかも正直不明なのですよね」

 

やはりネタを理解して付き合ってしまう華扇。

話が早いせいでネタを振られるのにいい加減気づいたほうがいいと思うのである。

 

「結構嫌がってよけますね、先ほどパチュリーさんが光に弱いみたいなこといってたので弱点なのでしょうか?」

 

「そうね、理由はわからないのだけれどね。形而上の闇であるから光に弱いのか……でも実際はブラックホールのような物理現象なわけだし……考えるほどわからなくなるわ。嫌になるわね。ただ、緋想の剣は相手へ攻撃を何度かすると弱点がわかる、とっても卑怯臭い武器だから、まあ、これで光に弱いということが証明されたようなものだからありがたいといえばありがたいわね」

 

なお、パチュリーが元ネタを知らないせいで無駄に深く考察しているが、闇の衣は光の玉で無力化されるという伝承のせいである。いわば一種の伝承術化しているのだ。……サブタイトル的に伝説かもしれないが。

伝承なのか、伝説なのか、ミームなのか。どちらにせよ、光や炎に弱く、氷と闇に強いというのはそこから来ているのと思われる。

 

「おおっと、星海異変でもみせた複合術をここで使ってきた!いろいろ混じってますが、ここはパチュリーさんにお願いするのが確実ですかね?」

 

「そうね、幸い知っている術だしね。基本的な術式は雷守護の(Circle of Protection)法円(from thunder)。略してCoP_thunder(コープサンダー)とかいうこともあるわね。そして次はインドラ、先ほども出た雷をつかさどる帝釈天とかいうものの加護を得る術式、最後は……言霊?たしか、落雷をよけるおまじないだったかしらね?面白いことに全くばらばらのこの術式が奇麗におさまっているのよね」

 

「それはきっと回転してるからだと思いますよ」

 

と、白蓮が補足する。

 

「へえ、詳しく」

 

「解説よりも知識欲優先するパチュリーさんは本当に扱いづらいんですよねえ……華扇さんと違って」

 

文がぼやく。

あと華扇は泣いていい。

 

「輪蔵……マニ車などと呼ばれるものですが「回転」させることによって中の真言を唱えたことと同じ効果があります。私が経典を掲げて開くのも同じような意味がありますね。それで直前にインドラの加護を得ているので前回の続き……同じマントラは複数回使えないので、要は長い一回でまとめたものと思います、同じマントラを何十回も唱え続けるのはアリなので、というか修行のしてない一般の人は何十回も唱えて加護をもらうものなんですけどね」

 

「ああ、なるほど。つまり回転しながら唱えることによって違う術式の共通項でまとめたわけね。守護の法円は文字通り「円」だし……くわばらは?」

 

「くわばらは桑原。あたり一面の桑畑のことだからなー。「周囲を見渡す限りの」でいいんじゃないかなー?」

 

「諏訪子さんが積極的に解説するのって珍しいですね、でもなるほどこれで納得できま……せんよね?普通」

 

文が同意を求めると周囲は苦笑いで答える。

理論上可能だとしても誰がそんなにややこしいことをしようと思うのか。しかもそれぞれの系統の違う術を修めてまで。

 

戦場をにらんでいた神奈子が締める。

 

「どれも3~4割ほど回避の効果というところか、驚くことに乗算ではなく加算のようだぞ?」

 

基本的に補助術式は乗算である。

50%減と50%減の術式を重ねても75%になるだけなのだ。

 

「えっと3~4割が3つ加算って無効のような気がするんですが……?」

 

「だからそういっている、なるほど個別に使った場合とこうも違うのか」

 

「無効って……七曜駆使しても8割減が限界なのに、また彼はとんでもないことをするわね」

 

 

 

 

 

闘いは続く

 

 

 

 

「「「「「あ゛ん?」」」」」

 

「ちょっと、皆さん怖いですよ!?っていうか近場以外でもなんか念がうず巻いているんですが!」

 

妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい

 

「さて、危うくいい雰囲気になりそうだったですが流石天子さんといいますか、戦闘は続いております!……いや女妖だと結構ここで戦闘終了したりするので焦りましたよ。おっと、これはうまい虚を突いた天子さんの一撃……!かろうじて防いだあ!そして、激しい揺れ!でも胸は揺れない天子さん!一撃が決まったー!」

 

文、余計なお世話である。

 

「ほう、天人が左剣をつかうとはな」

 

「でもあれも本能的な動きに見えるんですが、左剣というのは少し厳しめの言葉かと」

 

「多分そうだと思うわ、でも、まあ言葉的な意味でね」

 

「あのーお二人さん、私にもわかるように解説していただければと……」

 

神奈子と華扇(武人二人)に置いて行かれて困惑する文。

 

「ああ、どうということはないわ。左剣というのは、平たく言えば卑怯技だ。目つぶしを投げたりするのもこれにあたるわ。が、本来は「左利きの剣」という意味であり、それが「戦いづらい」あるいは「あまり戦ったことがないから負けた」という言い訳で使われていつの間にか「卑怯な相手に負けた」という言い回しになったものね。で、小細工する技全般を「左剣」と呼ぶようになったわけだけど……愚かしいことね」

 

「ええ、死ねば卑怯と謗ることもできないというのに……本当に嘆かわしいことです」

 

「お二人のセメントな意見は置いておいて、さあ今度は自分の番とばかりに仕掛ける……が、ダメっ!なんということでしょうか無数の残像を一切気にせず的確に回避していく天子さん!いったいどうやっているというのだ!」

 

「……」

 

「……はあ」

 

「ど、どうしました、お二人さんでもわかりませんか?」

 

「いえ、わかりやすすぎるぐらいわかるのよ……ねえ」

 

「ええ、あれは純粋に「見てから避けてる」だけです」

 

「えっと……小足に昇竜あわせるみたいな?」

 

「突っ込みませんよ?」

 

残念だがそれも突っ込みである。

 

「まあ、とにかくフェイントの質が悪い、もう少し鍛えてやらねばな」

 

「そうですね、殺気は乗せているようですが、もっとこう、死の匂いがするようでないとフェイントとしてはまだまだですね、鍛えましょうか」

 

彼の死が確定した瞬間である(死ぬとは言っていない)

 

「さあ替えの攻撃はあっさりいなされて次は天子さんが仕掛ける!……なんで交互に攻撃してるんですかね、彼らは?」

 

「果し合いでは結構あるわよ」

 

「ですね、なんというかお互いの技を見せあうのっていいですよね」

 

「脳筋ですねー。っと今度は風の刃からの地震攻撃!が、これは揺れない!天子さんの胸と同じく大地も全く揺れない!どういうことだーっ!」

 

文、天子に聞こえないと思って言い放題である。

天人に迷惑をかけられているのは文たちも一緒なのだ。

 

「ははっ、私の力だよー」

 

と、諏訪子。

 

「諏訪子さんの能力でしたか、今回守矢の二柱の力を借りていってるんですね」

 

「まあ地震来るってわかってたし、今回真っ先にわたしのとこに来たみたいだよ、しっかしちょっと認識甘いよねー」

 

「と、言いますと?」

 

「多神教の神って一神教の万能と違って非常に狭い範囲の権能なんだけど、その権能の範囲内ならものすごく強いんだよねー、トガってるってやつだよー」

 

そういった後、諏訪子が雰囲気を一変させて吐き捨てる。

 

「天人風情がかなうわけがなかろう、愚か者が」

 

「怖っ!?急に剣呑な雰囲気出すのやめてもらえませんかねぇ」

 

流石の文も一瞬引くぐらいの気配を出した諏訪子はまたふにゃりと元の緩い雰囲気にもどる。

 

「あー、ごめんごめん、神様っぽいことは神奈子に任せてるんだっけなー」

 

「押し付けてるともいうわね」

 

「まあ、おふたかたの仲がいいようで結構ですが、とついに攻撃がクリーンヒット!」

 

「いえ、浅いわね」

 

「そうですね、もう少し手首を返さないと」

 

「いつも湾曲剣ばかり使っているからその癖ね、矯正しないといけないわね」

 

「ええ、私も打撃武器ばかり教えていたので……特訓ですね。これは」

 

二度目の死が確定した瞬間である(無慈悲)

 

「さあ、天子さんのラッシュ。ちょっとドンびくようなこと言いながら戦っていますが、たしか弾幕ごっこの時も似た感じだった気がしますのでセーフですね」

 

アウトであるが、突っ込む人間が不在である。いや、霊夢だけは何か言いたげだったが、沈黙することにしたようだ。

 

「余裕が消えたな、だが戦闘狂はこうなってからが強いぞ」

 

「ええ、勇儀もそんな感じなのでよくわかります」

 

「さあ激しい剣戟の応酬!つばぜり合いの状態だ!お?災禍剣が緋想の剣を巻き取るようにぐにゃりと曲がってそのまま背中側から天子さんを切りつけたぁー!結構深くいったきがしますよー!……で、今なにしたんですかね?」

 

いくら実況と解説が分かれているといっても酷い有様である。

もっともいつものことであるが。

 

「魔法具作るときとかの加工用の魔法を使ったのよ。確かに元が闇なら通りはいいでしょうけど、それでもあんなに一気に曲がりくねったりはしないのだけど……?」

 

「いえ、パチュリーさん。一気に曲げたのではないですよ」

 

「それはどういうことかしら?華扇」

 

「5……いえ、8か所ですかね?関節を作ってそこを境にして曲げた感じです。天子さんが押し込む力を利用して反動をつけて。これは多節棍の動きですね、パチュリーさんにはフレイルのようなと言ったほうがわかりますでしょうか」

 

「なるほど、小さい部分部分なら大して時間もかからないわけね……時間はかからないけど、難易度すごいと思うんだけど?」

 

「それはもうからだにしみついてるでしょうから、多節棍の関節の場所は」

 

そういって微笑む華扇。

それに薄ら寒い物を感じたパチュリーは引きつった笑みを返して言葉を紡ぐ。

 

 

「ま、まあそれは、それとしてなにかアレヤバくないかしら?」

 

半ば狂気の様相を見せている天子を見てパチュリーが問うと、神奈子がこともなげに答える。

 

「戦場ではよくあることよ」

 

「そうですね、ある程度を超えた痛みって逆に笑えて来るんですよね」

 

「ああ、あどれなりんてやつによるハイね、なるほど」

 

「おっとここで天子さんが妙な動き」

 

「巻き落としね、相手の武器を払いながら攻撃ができるのでかなり便利な技だけど、ある程度訓練を積んだ相手には決まりにくいわね……今みたいに油断してなければ」

 

「ええ、完全に油断してましたよね……鍛えなおしですね」

 

「そうね」

 

三度、死刑宣言である(今回のは自業自得)

 

「おっと、彼が非常に焦って?音声からすると正邪の能力のようですが」

 

「なるほど、数々の呪いを反転して強化してたのね……普通思いついてもやらないわよ、万一考えたら」

 

「あいつがふつーじゃないんだろー。たぶんわたしの権能も呪い強化の方向で使ってたんじゃないかなー?」

 

「まあ、言われてみれば彼が普通だった時のほうが珍しいですよね。おっと、天子さんここで一気に間合いを詰めて……担ぎ上げてたかだかと跳んだーっ!これはアレですか華扇さん。バスター的な?」

 

「だから私に振るのやめてくださいよっ!?こほん。バスターが何をもってそういうカテゴリにするかはわかりませんが「極めたまま跳躍したたきつける」というのであれば、バスターですね。間違いなく、そしてあっさりと防いでますね。そもそも投げ技はたたきつけるように高速で投げるから防ぎにくいのであって、こういうタイプの技だと落下中に対策できてしまうので」

 

「なるほど!ですが天子さんも負けじと改良!要石で押さえつけて……決まったーっ!」

 

「未熟。とはいえなかなか天子もよい判断ではある」

 

「そうですね、ただ抜けようと思えばたやすく抜けれますけどね」

 

「武術の師二人の厳しい意見!さあ、立てるか?っとあっさりと立った……ということは彼の言う「残機が一減った」状態ですね。その証拠に金剛身……彼がいつも使うので覚えてしまいましたよ、を張りなおしています!と……?これは聞いたことのないマントラですね?白蓮さ――」

 

「これは――!なんで私に帰依し奉るんですかっ!?まったく、彼はいつも唐突に過ぎる。ですが――悪くありませんね。想像以上に真摯に願っています。性根がまっすぐというか純粋というか……それが知れただけでもまあ今回審判を引き受けたかいがあるというものでしょう」

 

そう言って映姫は激しく光り輝き、加護を授ける。

星も強く輝くことが多いがその比ではない、一瞬視界が奪われる――閃光といってもいい輝きだ。

 

「あやや、映姫さんへのマントラでしたか。しかしかなり激しく光っていましたが……?」

 

そう文が問うと、映姫は少し恥ずかしそうに答える。

 

「ええ、その……閻魔としてマントラを受けることはたまにあるのですが、今回のマントラは私指定だったので、すこし、力が入った感じではあります。もちろん公正な範囲でですけど」

 

「ほう、ところでいかような加護ですか?」

 

「私の加護は安全とかなので……それに白黒はっきりする力を加味して与えた加護は……しばらくの間おおよそ半分の確率であらゆる攻撃が回避できます」

 

「あ、あの、それって加護与えすぎでは……」

 

白蓮がおずおずと物言いをつける。

正直、星が全力で与える「全能力1割増し」とかでもやりすぎなレベルなのに5割も無効化とか頭のおかしいレベルである。

 

「あくまでもしばらくです。彼は時間があれば何とかしてしまうかもという可能性の塊ですから。もっともか細い蜘蛛の糸をつかめるかどうかは彼次第です。なので、マントラをもらってうれしくてやりすぎたということはありませんよ。許容範囲いっぱいであるのは認めますが、他意はありません。攻撃は一切強化されていませんしね」

 

「映姫さんにしては超早口なのが少し気になりますが、まあ、ギリセーフラインなのですかね?」

 

「まあ、私は仏に仕える身なので異は唱えませんけれど」

 

その物言いがすでに異ではあるが。

ただ星と比べて気安くもないのでこれ以上は言えないところであろうか。

 

「さあ、加護とともに、補助呪文がかかる!武器取り寄せと肉体強化と最後は聞いたことありませんね……?」

 

「インパクトは打撃武器の攻撃力……じゃないわね、反発力を高めるものね。結果攻撃力が上がるのだけど、一応正確に説明しておくわね」

 

「ありがとうございます。さあここから第二ラウンドといったところでしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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夏の朝 あいともないて 忘れ傘    体を鍛えよう 神奈子編

移植
白玉楼はもう少し待ってね


夏の朝 あいともないて 忘れ傘    

 

 

「ん、雨か」

 

朝起きると独特の湿った匂いがした。

舗装などされていない幻想郷では雨が降ると土や草の匂いが立つ。

 

「と、いうことは……」

 

呟きながら玄関に向かうと毒々しい紫色の唐傘が鎮座していた。

うん、もう驚かないんだけどなあ……いや、最初のうちは驚きまくったし、生足にも反応しまくったけど、今ではほおずりして感触を楽しむ余裕さえある。

 

だからご飯にはならないはずなんだが……

それでも今もなお朝から雨が降っているとこうやって小傘ちゃんがやってくる。

傘として使っていいよてことなんだろうけど……まあ付喪神ってのは大なり小なりこういうところはある。道具として使われるとすごく喜ぶんだよな。

 

「まあ、せっかくだし畑の様子でも見てくるか」

 

そうつぶやくと、「かたん」と嬉しそうに傘が少し揺れた。

……禁水則不能濡(あまよけ)の術使ってスルーして外に出てみたい衝動にかられたが、まあさすがになんも悪くない小傘ちゃんにそれは酷だよな(悪事を働きに来た魔理沙はたまにスルーするが)

 

「んしょっと」

 

唐傘をさして外に出る。

付喪神連中の謎の一つとして体重がある。

人間形態をとらない限り、重さは元の物品の重さしかないんだよな……そして人間形態だと物品+人間の分という質量保存の法則を無視す……妖怪に今更か。

とはいってもガチの唐傘って物品分だけでも結構重い。油を塗った紙を結構太い竹の骨材に張り付けてるわけで、洋傘のように手に持ってさしてるとすぐに腕が上がらなくなる。

 

まあ、だから唐傘は肩に乗せるようにしてさしてる絵が多いんだな。

で、それを悪用というか、小傘ちゃんはいきなり肩車のようにして出現して驚かせてくるんだよな。

あ、小傘ちゃんは人間形態をしまうことはできても傘をしまうことはできないみたいだ、まあ付喪神だし当然か。

 

でも雨降ってるときにいきなり消えたりはしない優しさを持つ。

いっぺん、雨降ったときに誰かに使わせて、それから逃げたら絶対驚くだろって提案したら「そんなのやった人が風邪ひくじゃないですかー、そういう迷惑なことしたらだめですよ。……そもそも誰も使ってくれないんですけどね……それで妖怪になったし……」とめっちゃ落ち込んでた。

 

まあ、だからこそできる限り俺は使うことにしてるんだがな。無視すると「しくしく」言いながら傘持って追いかけてくるし……

 

「んー、そろそろガッツリ採る準備したほうがいいなー」

 

季節は夏、梅雨も明けそろそろ夏野菜が本気を出してくる。

特にオクラなどは朝方小指ぐらいのサイズで油断していると、夕方には太くて収穫時を逃す(食えないことはないし、正直みんなその程度気にしないんだが、俺と早苗ちゃんはちょっと気になる)

 

夏野菜に多い支柱系の野菜は大妖精なんかがちまちまと縛るお手伝いしてくれるので本当に助かっている。

いや、三月精とかリグルとか、名もなき妖精たちも手伝ってくれるけどな。

万能に見えたですわ妖精、農作業壊滅的だったのは意外なのか、お嬢様(風)だからしょうがないのか?

 

チルノ?……まあ、チルノの本領は収穫後だから(遠い目)……でもいたずらしたら折檻するが。

 

オクラは冷凍できるのでチルノにはそこで頑張ってもらおう。

トマトはソースにして密封だな、多少ケチャップも作るべ、きゅうりは9割ぐらいが河童行きだ、あとは漬けたりする。

 

大豆も一部は早どりして枝豆として食う……鬼連中も食える謎がある。

多分これは伝承というか節分のせいなんだろうなあ、いつごろからか落花生も食えなくなったらしいので、みんなこれ以上節分に妙な豆をまかないで上げてほしい。

 

かぼちゃはもう少し後だな、ニラは現状バンバン使ってる。ニラ玉は楽でいいしな。

ピーマンは非常に不評なのですごく栽培面積が小さい、早苗ちゃんまで「あんまり好きじゃないです」とか言いやがるからな、肉詰めを目の前で見せびらかしてやったぜ(なお、強奪された模様)

 

玉蜀黍はみんな集めて宴会だな(なお早朝開催)とってすぐ茹でるとめっちゃうまいぞ。

 

で、ナスだが……いくつか丁度取りごろだな。

 

「小傘ちゃんナス持っていく?」

 

と聞くと軽く「ぶるっ」と振動して不満の意をしめす。まあ、ナスに似てるからよくからかわれるからな……早苗ちゃんって数々の名言(?)残してるし煽りのセンス高いよなあ……

 

「少しからかう気持ちはあったが、食べごろなのは本当だぞ。切り返して秋まで取るけど、ほしかったらいつでもいってくれな」

 

と、なだめると「きしっ」と骨を鳴らし肯定の意を示してくれた。

 

なんというか、だいぶんこの形態での意思疎通にも慣れたな。

人間形態になると傘が小傘ちゃんのほうに行くので、俺をぬらさないように緊急時以外はこうやって会話(?)する。

慣れると意外に不便がなく、またなんというか、理解できてるってのが、ちょっと嬉しく、心地いい。

まあナスは後でもいいか、圃場は今ぬかるんでるしな。

 

だが畦はちょっとしたもので、土とは思えないぐらいしっかりと歩きやすい。

水を透過する硬い地面って実質コンクリと変わらんからな、このあたりは河童様様である。

カッパーランドの地面とかもこれでできているんだぜ。

 

途中の東屋も確認。農作業時に休憩したりただ単に妖精がたむろっていたりもするが、雨の朝ということで人気もなくしんとしている。

壁こそはないがかなり広めに作ってあるので中央付近ならよほどでない限り雨も吹き込んでこない。

休憩場所にするのはいいんだが、時々食い散らかしてあってそういうの放置するとイノシシとか熊がくることもあるので(狸や貉が多いが)掃除は必須だ。

あまりにもイチゴなどを食い散らかしまくるクソガキのチルノをスマキにして吊るす(干しガキの刑)時も大抵この東屋だ。

 

「小傘ちゃん休んでくー?」

 

そう尋ねると、軽く傘がすぼってから「きしきしっ」と骨がなった。

 

「どっちでもかー、じゃあまだ雨続きそうだし先急ごうか」

 

そういうと「きしっ」と骨がなった。

 

「しかし自分で言うのもなんだけど、ちょっと広いよなあ」

 

圃場の面積は合計で一町と三反ぐらいある。

もちろん俺一人では管理は無理だが、みんな手伝ってくれるので特に苦労はない。

虫はリグルの能力でまったく気にしなくていいし、病気類も永琳ちゃんの能力で農薬が作れるので問題ない。

収穫が果てしなく手間がかかるが、ある程度小さい作物だと、妖精に頼むとそれこそ群雲の如く人海戦術であっという間に終わらせてしまう。

キュウリやトマトぐらいになると三月精クラスの大きさが必要だが、そもそも「きゅうりできたぞー」と、にとりに声かければ大挙して取りに来るんでこちらも問題がない。

ついでにほかの作物も手伝ってくれるしな。

 

ネギやダイコン、芋なんかは流石に人間の大きさが必要だが、根菜は諏訪子ちゃんの能力で簡単に収穫できるのでこれも問題ない。

 

……幻想郷の程度能力、農業にぴったりだな!(暴言)

 

これぐらい大量に作っても、お金にほとんどならないのが難点だが、規模こそでけえが俺的には家庭菜園だからな。

手伝ってくれてる人(?)の分のおすそ分け分も作ってたら規模が巨大化しただけで……

 

ちなみに直接食べておいしい果物類はイチゴやカキなど一部のものを除いて基本的に幽香さんの家の付近で作る。

博麗神社の近くだと三月精やチルノが食い荒らすので(今では三月精はしつけたのでそういうことはない)そうなったんだよな。

 

「くっそ、天子だな?」

 

用水の一部が破壊されている、正直術や謎技術で固めた用水を「うっかり壊す」(天子談)ことのできるのは天子ぐらいしかいねえ。

弾幕ごっこ中にスペルカードなどで壊せる人物は多いんだが、そういうのは壊した自覚があるから謝りに来る(なお、隠蔽に走る魔理沙は大抵ひどい目に合う)んだが、天子は本当に通りすがりでぶっ壊すんで自覚がねえんだよな、せめて地震起こすのやめろと言いたい。

 

「晴れたら修理だな、ったく」

 

ぶつぶついいながら歩を進める。

キノコの圃場は別にいいか、あそこは流石に足元が滑るから危ない。

俺一人ならいいがこけたはずみで小傘ちゃんおったら大変だ(時間経過でなおるが、人間形態が包帯巻いていたりして痛々しくなる)

 

「そろそろもどるか?」

 

そう問いかけると、小さく「きし」と骨がなる。

 

あまり強い肯定じゃねえな、まあ、小傘ちゃん傘として使われるの好きだしな―。

 

「ん-……じゃあちょっと遠回りしてかえろうか?」

 

そういうと「きししっ」っと骨がなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を鍛えよう 神奈子編

 

 

 

 

「いったいいつまで……走り続ければ……いいんだよっ!?」

 

「決まっている、倒れるまでだ」

 

「マジか!?」

 

現在守矢神社にて神奈子ちゃんに修行をつけてもらっている。

 

修行といってもひたすら走りこんでいるんだが「得物は?」と聞かれて三節棍だと答えたら、それを持たされたまま走っている。

 

「戦場では動けなくなったものから死ぬるは必定。とにかく長時間動けるようにするのがまず手始めよ」

 

「うへえ」

 

全力ではないが長距離走のペースで流してるって程でもない。

どっちかというと突撃位の勢いで走っているため3分ぐらいしか走っていないが、そろそろ限界が近い。

 

「体力を残そうなどとはゆめおもうなかれ、よ。まずは限界を知るのも重要、わかったな?」

 

神奈子ちゃん、普通に話してるときは割と女性っぽいんだけど、こう、修行の時は武人っぽくなるんだよなあ……まあそれはそれで凛々しくてなかなかかっこいいと思う。

 

「そろそろ限界なんだが……!」

 

「大丈夫、意識があるうちはまだ余裕がある。限界に達する直前、感覚があるのに音が消えることがある。もしそうなったらその感覚を覚えておくといい、そこが入り口だ」

 

「入口って……なんの!?」

 

「限界の向こうだ」

 

「わけ……わからねー!」

 

足がもつれてきた、が一応倒れるまで走れということなので気力を振り絞って走る。

 

「お前のその性根、非常に好ましいぞ。並大抵のものは自分で限界をきめて、そこにたどり着く前に動くのをやめる。それは心理的限界であって、生理的限界ではないというのにな」

 

「???」

 

くっそ、苦しくて頭が回らねえよ!根性論?とも違うみたいだが……

 

「なに、わかってしまえば簡単なことだ、だがわかるものは少なく、わかろうとしたら余計わからなくなるものだ」

 

「わか……んねー……」

 

禅問答みたいだな、いや、俺あんまりそういうの知らんけど。

今度寺でも行ってみるかな、命蓮寺ってのが近くにあるみたいだし。

 

「なに、鍛えていれば頭ではなく体が理解する。いい意味での脳筋だ、だから今は走れ」

 

「くっそ……!」

 

音が消えるって言ってたが全くそんなことはない、むしろ心臓の音や呼吸音、足音がやけに響く。

しかも疲労のせいか音が歪んで聞こえやがる……

 

「あ、さすがに……」

 

視界が歪む、酸欠か?

それでも半ば意地で走り続ける、音が歪む

視界が歪み感覚がなくなる

あ、これ俺倒れてるなと自覚はしたが受け身を取ることも出来ず地に倒れ伏す

その衝撃を感じることも出来ぬまま――

 

 

俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふうん……持った方か?しかし面白い男ね」

 

倒れるまで走れと言われて、素直に倒れるまで走るものなど「いない」。

大抵は余力を残してやめようとするのを指導役が 咤し、恐怖させ無理やりにでも体力を絞り出しその結果地に臥せるのだ。

それをこの男は自分の意志だけですべての体力を絞り出した。

 

うつぶせに倒れ伏しているのをごろんとひっくり返す。

 

「見事な死に魔羅よ」

 

死ぬ前に何としてでも子孫を残すという本能なのか、瀕死になるまで体力が消耗されるとこのように見事に勃起する。

むしろ、こうなってなければまだ余力があるということだが、これは本当に倒れるまで走ったということだ。

 

「なるほど、性根はよい、素直だ。実に叩きがいのある鉄だな」

 

しかし……ご立派様である。

 

「こんなもの見せつけられては流石に少々ほとが疼く、目の毒ね」

 

褒美に絞ってやってもよいのだが、今の状態でそれをしたら本当に最後のひとかけらまで体力を消費してしまうだろう、それをするには目の前の男は――

 

「惜しいものね」

 

戦神とはいえ、戦女神などと違う、生きているものをわざわざ天に召す必要などない。

 

「人の子は 地にいてこその 人の子ぞ」

 

最も幻想郷が厳密に「地」であるかは不明ではあるが。

 

「まずは基礎に三年……いや、この塩梅なら二年でものになるやもしれないわね。地味で辛く格好もよくない修行だが、この男はついてこれるかしら?」

 

流石に今回のことで足が遠のくかもしれない、そうなるのは少々惜しいおもちゃではある。

 

「ふむ、すこし飴を与えましょうか、反応も見たいしね」

 

最後に少し女性っぽく微笑むと、彼を担いでその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……」

 

どうやら気絶していたのかぼんやりとする頭を振って覚醒を促す。

 

なんだか温かい……?

 

「うむ、大事ないかしら?」

 

「うあ、ああ、ちょっと体が動かねえがたぶん大丈夫」

 

「それはよかった、今清めているところだから、熱かったり、いたかったら、いうのよ?」

 

「あー……ありが……!?」

 

一気に意識が覚醒した。

 

温かいのも当然。俺は浅く湯を張った湯舟(かなり広い)に横たえられており、神奈子ちゃんがお湯をかけながらタオルで洗い清めてくれている。

 

まあ、それはいい、俺がぶっ倒れて泥だらけになったんだろう。

とてもありがたいことだ。

 

だが――

 

 

 

 

 

 

「なんで神奈子ちゃん全裸なんですかねえ!?」

 

 

 

 

一糸まとわぬ姿だった。

ムダ毛の処理の概念がないのか割ともっさりと毛があるが……それはそれでエロい。

 

 

「お風呂に服を着てはいる方がおかしいでしょう?」

 

「正論だけど!俺を洗うぐらいなら裾まくりとかでよくない?お湯も少ないし!」

 

「そうは言うけど、あの衣装多少まくったところで変わらないとおもわない?」

 

「まあそうだけど、普段守矢でくつろいでるときの服に着替えればいいじゃないか」

 

神奈子ちゃんと諏訪子ちゃんは普通の……といっても部屋着みたいな感じのものだが――服も持っている。

この辺りは早苗ちゃんが買い与えたんじゃないかと思っている。

 

「着替えるなら余計身を清めないといけないでしょう?」

 

「そうなんだけど……」

 

なんだろう、この言葉が通じているのに話が通じない感覚は……

 

俺も先ほどから動いてどうにか状況を打破しようとしているのだが、どうにも体が動かない、ガチで精魂尽き果てた感じなのか、力を入れている感覚はあるんだが動かねえんだ。

そもそも洗われているはずなのに、あったかいという温度としびれるような感覚しかねえもんな……

 

「ああ、だいたいは汚れが落ちたが、ここはどうする?洗ってやってもいいが、果てたら逝くのではないかしら?」

 

そういわれて気づく、フル勃起していることに。

 

「ええっ!?なんだこれ!?気づかなかったぞ!?」

 

裸を見たからじゃねえな、これは。

もしそうだったら充血していく感覚があるはずだからな、それすらもなく、ただ雄々しく天に向かって屹立している状態だ。

 

「死に魔羅というやつよ。今まぐわえば一発で孕むような、命を凝縮した姿ね。もっとも今のあなたでは果てたら普通に死に至ることもありえるわよ、それぐらい命が凝縮されているのだから」

 

「おっそろしいな、おい!?」

 

何だそのエロゲでありそうなシチュエーションは!?

だが、神奈子ちゃんが冗談で言っているのではないというのが分かる、多分だしたら本当に精魂尽き果てる。そんな感じの状態だ。

 

「まあ、今は我慢することね。回復力がつけば、だしても死ななくなるわよ」

 

そういう神奈子ちゃんに少し意趣返ししたくて俺は言う。

 

「じゃあ、そうなったら神奈子ちゃんにしてもらおうかな」

 

「構わないわ、もしおまえが私を組み伏せることができるなら、孕んでやろう」

 

そういって笑う神奈子ちゃんを見て、俺の一物がぴくんとはねた。

 

 

 

 

 

 

 



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ちょこっとのくたーん

年末から
自損事故>インフル>地震>オカマ掘られる事故>おとといからコロナ

本来ならこれはパンチラ行き&霊夢ちゃんエピソード付きですが間に合わなかったのでこっちに


 

「おー、いたいた」

 

そう声をかけてきたのは鬼の萃香さん。

見た目こそ完全に幼女だがその力は大妖……というか酒呑童子だろ。本人(鬼?)は絶対に正体を言わないんだけどそれしかねえよな?

いろんな種族のいる幻想郷の中でも本気を出したらやばい系の人物だ。

最も常にのんべんだらりとしてるので俺からするとただの可愛い女の子だ。

まあ、無駄に色気があるのと油断すると性的に食われそうになるのが問題っちゃア問題だが。

 

「ん?なんか用か?」

 

「なんでも、今日はちょこを渡す日って聞いたぞー」

 

「なんかだんだんバレンタインが幻想郷に侵食しつつあるな!?」

 

始まりは霊夢ちゃんだけだったはずだけど……あ、早苗ちゃんは元から知ってるか。

 

「というわけでこれは私からだぞー」

 

そういって手渡されたのは……

 

「チョコ違いだよ!?なんで御猪口持ってきた!?」

 

猪口だった。あの酒飲む奴な。

まあ酒好きの鬼らしいっちゃあらしいが……

 

「残念、そいつは可盃(べくさかずき)だ」

 

「猪口ですらねえ!?そして聞いたことねえもん出てきた!?」

 

なんだよ可盃って!?

 

「飲み干すまで下に置けない器のことだぞ、ほら、こことここに穴開いてるだろー?そこをふさぐようにつまんで酒を注ぐと手から離すと酒が漏れる、だから下に置くべからずの可盃さ」

 

「べからずなのにべく?」

 

「お前さん仙術使うから分かんないかな?可の言葉は文末につかない、だから下に置けない可盃ってわけさ」

 

「俺割と呪文適当に覚えてるからそれは知らなかったな……」

 

そういって盃をもてあそんでいると萃香さんに「まあ一杯」と勧められた。

こんな真昼間からはいつもは飲まないんだが、ちょこ違いとはいえバレンタインの贈り物をもらって無下にするほど野暮じゃない。

 

「じゃあ、一杯貰おうかな」

 

「今回はとっておきだぞー」

 

にひひっと笑って萃香さんが酒を注いでくれる。

萃香さんのこのちょっと何か企んでるような笑顔は結構好きだ。

 

なみなみと注がれる茶褐色の液体。ブランデーのような香気と……

 

「あれ……?これもしかして……?」

 

「しょこらろわいやるとか言うお酒だぞー」

 

うん、間違いない、この独特の香りはチョコレートだ。

 

「うわ、萃香さんがまともにバレンタインした!?」

 

「あのなー、私だって女の子なんだぞ?少しぐらいは……な?」

 

そういってぴっとりくっついてくる萃香さん。プニっとしていてぬくやわこくてとてもいい感触

間違いなく犯罪臭するレベルの幼女姿なのに、めちゃめちゃエロスを感じる。

レミリアさんと通じるものがあるよな……

 

「いま、誰かと比べたか?」

 

底冷えのする声とジト目でこちらを見やってくる萃香さん。

流石に失礼だというのは幻想郷生活で学んだぜ……

ただ、なんでみんな俺の心を見透かしてくるのか、これがわからない。

 

「おっ、おうすまない」

 

でもごまかしたりせず素直に謝る。噓がばれる萃香さん相手だからじゃなくて、こういうのは誠実じゃないとダメだと思うんだよ。

まあ、女性の前で他の女性のこと考えるのも誠実とは言えないかもだが……

 

「しょーがないなー。まあお前はそれでいいとは思うけどな、とりあえず飲んでみたらどうだ?」

 

「チョコのお酒って想像もつかねーな、どんな味だった?」

 

「私もまだ飲んでないからなー」

 

「ん?萃香さんにしては珍しくね?」

 

「流石にプレゼントを先に飲んだりはしないぞー、それに正直甘くて弱そうだし」

 

「あー、なるほど。ありがとな」

 

どっちの理由がメインなのかはともかく、俺に気を使ってくれてるのは間違いないし素直に感謝しておこう。

 

「っと、うーん、なんだこれ」

 

ウイスキーボンボンみたいなのを想像していたんだが、それよりもかなり粘度がある、そしてかなり弱い。

すっと飲めるような感じではなくどちらかというと甘くしたコーヒー飲むような感覚に近いのかな?

 

「美味しくないか?」

 

心配そうな萃香さん。

 

「あ、いや想像と味が違っただけで、悪くはないんじゃないかな?華扇ちゃんとか好きそ――ぐふっ!?」

 

うん、わかってる、さすがの俺もわかってるんだがつい出てくる感想は許してくれないかなあ……

 

「まあ「なんで!?」とか言わなくなった分、少しはマシになったかなー」

 

思いっきり腹パンされても無言で耐えてると萃香さんがあきれたようにそう言った。

 

「気になるなら飲んでみたらどうだ?って、おい」

 

気づいたらまたなみなみと注がれている。注がれる動作はされてなかったので、程度能力で霧状にしてここで再実体化した感じか。

 

「飲ませておくれではないかい?」

 

すこしはすっぱに、そして少しばかし熱を持った表情でこちらに微笑みかけてくる萃香さん。

とはいっても可盃だし手渡すことできねえしな……そうだ!

 

「萃香さん上向いて口――「お前それ以上言ったら死ぬぞ?」物騒なっ!?」

 

萃香さんの口に流し込む作戦は言う前に滅多に聞けないレベルのドスの利いた声で却下された。

 

「わっかんないかなー?」

 

少しすねたような萃香さん、

 

「いや流石にわからねえよ、普通の盃じゃねえんだから」

 

「口に含んで飲ませろよー」

 

「いいっ!?」

 

また何を言ってるんだこのエロ幼女鬼は……!

 

「いや、さすがに……」

 

「私とだけちゅーしてないんじゃーん」

 

「うっ」

 

そうなのだ、勇義ちゃんは出会ったときに。華扇ちゃんは循環法という房中術の基礎みたいなので経験済みだ。

萃香さんだけいまだ唇を合わせたことがない。

 

「いや、そういうのは――」

 

好きな相手と、と言いかけてやめる。それは萃香さんへの侮辱だ。

そう、鬼は嘘をつかない。だから普段からきわめて軽く好き好きと言ってくるので冗談ととらえそうになるが、違う。

萃香さんの気持ちに嘘はない……はず。

 

言いきれないのが(推定)童貞の哀しいところだが

 

はーっ。っと深いため息をつく。

俺も嘘をつかないので嫌だったら嫌だって言うのを萃香さんは知っている。

俺の心が拒んでない時点で、もう選択肢はない。これは流石に避けて通れない。

 

「どこから狙ってた?」

 

「んー華扇ともちゅーした後ぐらいかなー?」

 

「思ったより前からだった!?」

 

「そもそも私は見た目のナリこそこれだが、妖怪の山の妖怪全部に圧かけれる存在だぞ?そんな私がお前の膝の上でまどろんでる時点で察してほしかった……ぞ?」

 

「あー、すまん」

 

俺も見た目に引っ張られてる感はある、父性が出るって言うか、そもそも小動物とかめっちゃ好きだしな、俺。

 

盃をあおって、萃香さんの頤に手を当て上を向かせる。それでも身長差がえぐいことになってるので結構体勢的にはきつい。

ぷりぷりの唇にこちらも唇を合わせ、萃香さんが軽く口を開いたところに脱力して流し込む。

 

「んぐっ!?」

 

ある程度流し込んだ時点で萃香さんの舌がこちらに侵入してくる、目を見やると「酒を味わっているだけ」と言いたげに見返してくる。

そこに少しの熱を持たせながらだが――

 

もう味などないのではないかと思うような時間口内を舐られ、ようやく解放される。

もはやどちらの唾液かわからないものが俺と萃香さんをアーチでつなぐ。

 

一息つこうかと思ったらまだ握りしめていた盃に再び酒が入っている。

やられた!という気持ちとやっぱりかという気持ちと……

 

今度は俺も萃香さんを味あわさせてもらおうという気持ちとともに俺は再び酒を口に含んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……一生分ディープな奴したきがする」

 

一刻まではないにしろ相応の時間の間酒を飲ませるという名目で舐りあってた。

不思議なことに萃香さんの唾液は甘く感じるのだ。

 

「せいぜい一晩分だぞー?ところでそれ、そのままでいいのかー?」

 

「これはしょうがないだろ……」

 

フル勃起である。まごうことなくフル勃起である(大事な事なので二回)

何ならちょっとパンツにしみてる気もするぜ……!

 

「私の立ち位置的にすっごい雄の匂いがするぞー?まぐわうのがアレなら舌で舐ってやろうか?」

 

「やめて、想像だけで跳ねちゃう!」

 

下半身的には全力で賛成したい提案をなけなしの理性で押しとどめる。

ましてやさっきまで舌を絡めていたからその気持ちよさまで想像できちまってヤベエ。

 

「まあ、今日は近くにいるから自分で抜くなら注意しろよー?」

 

「え?」

 

「私だって洪水だぞ?抜きながら私の名前なぞ呼んでみろ……我慢できるわけがない」

 

そういって萃香さんは、過去一番妖艶に微笑んだ。

 




しんどいのでシンプルに
めりーあけましてばれんたいん


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