ウチの高絆組がなんか争ってる (一般マスター藤丸)
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ウチの高絆組がなんか争ってる

それは唐突に始まる。

 

「マスターか。 隣に座ってもいいか?」

 

配膳された盆を持ったカルナ (Lv.104 絆10 2臨) が俺の傍にやって来た。

断る理由は全くないし、寧ろウェルカムなのでOKを出した。

 

「そうか。 失礼する」

 

そうして黙々と食事を始めるカルナ。 横顔がキレイ。

食事も忘れてカルナの横顔を眺めていると、ふと逆側の椅子が引かれた。

 

「…なに」

 

振り向くと、そこに座っていたのはオベロンだった。 (Lv.100 絆10 3臨)

席は沢山空いている。 オベロンがここに座る理由は無いと思うのだが。

 

「あー、周回疲れたなぁ。 今日も汎人類史の食事なんて最悪だなぁ」

 

露骨に話を逸らされた。

汎人類史の食事なんて、と言いながら美味しそうに夕餉を食べるオベロン。

美形2人に囲まれた最高の食卓だ。 何も無くても白米がうまい。

 

「ちょっと、どうなってるんですか?」

 

イラついた声の元を辿ると、眉間に皺を寄せたカーマ。 (Lv.100 絆10 2臨) 注文を済ませて来たらしい。

嫉妬心が見え隠れする瞳は、両隣に座る2人を見ていた。

 

マスターの隣(そこ)、私の特等席なんですけど」

 

「はぁ? 席なんてどこでも良くない?」

 

面倒くさそうにそう返すオベロン。 でもその返しが嘘ってことはそういうことになるけど?

 

「日頃からお前がマスターの隣で食事をする姿を見ていたのでな。 どういうものかと試してみた」

 

スッと、カーマを見据えるカルナ。

ほわぁ顔がいい。 そして理由がかわいい。

 

カーマはムスッとした表情で向かいの席に腰を下ろした。

 

「別にいいですよ? 今日は趣向を変えて、よりマスターさんの顔が見える位置で食事…を……」

 

自爆した。 かわいい。

 

「別にマスターさんの顔が見えるとかで席選んでるわけじゃありませんから!」

 

赤い顔を隠して頬杖をつくカーマ。

微笑ましい気持ちでそれを眺めていると、食堂の入口で悲鳴が上がった。

 

「そ、そんな…。 ますたぁの周囲が既に…。 私という妻がありながら…」(Lv.102 絆12 2臨)

 

入口でくずおれる清姫。 そんな清姫をカーマが嘲笑するような顔で、椅子に座ったまま見下す。

 

 

「あらぁ? そんなんで本当にマスターの妻なんて名乗れるんですかぁ? その称号返上したらどうです?」

 

いや、そもそも結婚していないが。

そんなツッコミも虚しく、カーマと清姫がバチバチと火花を散らす。

 

「最高に面白いな! 普段から座ってる席がないだけで()()なるのか。 これは傑作だ!」

 

「奪うつもりで此処に腰を下ろした訳では無いが、2人には少しばかり悪い事をしてしまったようだ。 次からは気をつけるとしよう」

 

囃し立てるオベロンと眉を下げるカルナ。

カルナに関してはそこまで気にしなくてもいいと思うけどなぁ。

視線の先では、俺の対面の席から引きずり下ろされたカーマと引きずり下ろした清姫が取っ組みあっている。

 

「お? なんだいこの騒ぎは、っと。 丁度いい席空いてんじゃねぇか。 邪魔するぜマスター」

 

「あ」

 

「あ」

 

争う2人を素通りし、どっかりと対面の席に腰を下ろすキャスニキ。 (Lv.120 絆15 2臨)

取り合っていた席が無くなった2人は同時に情けない声を出した。

 

「ん? どうしたお前さん達。 そんな惚けた面して。 …おーい、何かオススメの奴で頼む!」

 

ひとまず、今日のところは決着が着いたようだ。

ついて。




「うるせぇ! 注文はしっかり厨房(ここ)に来てからしやがれ!(Lv100 絆10 1臨)


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