私の世界はその日始まった (chee)
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始まりの日。降り立った日。

ルス誕記念二次です。
ネフホロ黎明期のルスモル妄想幻覚。捏造設定多めなので苦手な方はご注意ください。


−Nephillim Hollow−

 

通称『ネフホロ』

 

 

私たちがそのゲームについて知ったのは、ついこの間の事だった。

 

 

「うー……むぅー……」

 

「そんなに唸ってもパーツは変わらないよ」

 

「……うっさい」

 

気が付けば私はゲームショップに駆けこんでいた。突き動かされるままに握りしめた2つ(・・)のパッケージ。たまたまその時財布の中にソレが買えるだけのお金が入っていて。その日の夜にはすでに私たちはそのゲームの世界へと旅立って(フルダイブして)いた。

 

このゲームの()()といえば、各々がカスタマイズした機衣人(ネフィリム)による超ド派手ロボットバトルだ。…………と謳われてはいるが、蓋を開けて見ればそこで大きなコンテンツとなっていたのはむしろ戦闘ではなく、カスタマイズ(プラモデル)の方だった。

 

なぜそんな事になってしまったのか、その理由は明白だった。このゲーム、普通のゲーマーに戦わせるには、(私はできないとは言わないが、)操作難度が高すぎた。だからこそ、このゲームを買ってその操縦に匙を投げたプレイヤー達は、そのオリジナルネフィリムの制作(超美麗プラモデル)に楽しみを見出したって事だ。

 

……でも、私は思う訳だ。

 

あんなにも少なくない人たちが、乗れもしないネフィリムのカスタマイズに精を出すだろうか。私はそうは思わない。今は各々の倉庫の中で眠っているはずのネフィリムたちが、大空を翔けて数多のネフィリムをバッタバッタとなぎ倒すその日を夢見ているはずである。

 

そのためにソロで何度も出撃を繰り返し、ネフィリムのパーツ集めを繰り返す中で、プレイスキルを少しずつ磨いている。だから、もうすぐ来るはずなのだ。サービス開始直後にして既に『過疎ってる』との烙印を押されてしまったこのゲームの対戦環境が、賑わいを得る日が。

 

「だから、妥協はできない。わかる?」

 

「う、うん。わかったから」

 

「いや、わかってない。モルドもわかってないし、このゲームの運営も、この点だけはわかってないと言わざるを得ない。……このゲームを開発したことは素晴らしいけど、崇めるに値するけど、これだけは看過できない」

 

『その時』(対戦環境の充実)が来れば、私だって当然参加する。私は、当然だが()()()()()()だ。だからこそ、絶対に、機体のメイキングに甘えなんて許されないのだ。

 

だというのにッ……!!

 

「ほんっっとッ……!!『()』は、どこ!」

 

「本当に見つからないよねぇ……。全然ドロップしないし、ショップ漁っても見つからない。レア泥って説も出てるけど、いまだにドロップの報告すら1件もなし」

 

「レアドロップ説。本当に落ちると思う?」

 

「ないんじゃないかなぁ……流石にこれだけメジャーな『色』でそこまで絞る意味、なんだと思う?」

 

「レアリティや特別感……はRMT(リアルマネートレード)の餌食になるだけ。世界観、素材……それらしい設定はなかった気がするけど。……何かの伏線?」

 

「伏線?」

 

「後続シナリオ、続編タイトル、追加要素の()()()()()()()()。いろいろ考えられるけど……」

 

「それじゃあ、今手に入る可能性は」

 

「まず、ない」

 

確かに私の想像でしかないけれど、自分で言っててちょっとイラっとした。『赤』に特別な意味合いを持たせたい、その魂胆は素晴らしいと私も思う。だけど、だけど、それをプレイヤー側から(コンテンツとして)徹底的に絞るっていうのは、いただけない。

 

そもそも私に言わせてみれば、機体やパーツに対するレアリティや特別感、箔なんてものは、『()()()()()()()()()()()()()()()()()』じゃないか。そこにこそ、私の思い描く()()()()()()()()ネフィリムがあるというものだ。

 

そして、そこに、『赤』は、どうしても必須なのだ。

 

「……ブラックドール、有能会社の癖になぜそこが分からない」

 

「製作社に文句つけてもしょうがないんじゃないかなぁ」

 

「でも製作以外に文句を付けられる相手がいない」

 

「こうして悪質クレーマーは生まれていくのか……」

 

「違う。私はこのゲームをよくしたいだけ」

 

「クレーマーはみんなそう言うんだよ」

 

いいや違う。クレーマーっていうのは文句しか言えないゴミの事であって、具体的な要望が出てればそれはクレームじゃなくてただの『ご意見』なんだよ、モルド。考えが甘い。

 

「うん。そのルストの顔は僕知ってるよ。屁理屈こねてる時の顔だ」

 

「…………はっ、浅はか」

 

「言い返せてないじゃないか」

 

「うっさい」

 

バツが悪くなって、視線を逸らしながらもう一度自分の機体に向き合う。いつでも赤く染められるように、モノクロで配色されたボディ。レーザーやガトリングは申し訳程度で抑え、ロボットバトルの醍醐味であるところの近接戦を意地でも押し通すためにあしらえられた四枚の刃。そして最もかっこよく()()()()()ための機能美を詰め込んだフォルム。

 

だけどどうしても漂う物足りなさを補うため、さっき開いたウィンドウを一度閉じて、倉庫を開きなお……っ??

 

「……ぇ、…っぇ……??」

 

「え、急にどうしたのさルスト」

 

「ちょ、こ、これ」

 

私はそこに映っていた画面をモルドの方にスワイプして放り投げた。

 

そこに映っていたのは、昨日までにはなかったアップデート情報。野生のネフィリム相手のプレイヤーの戦績を鑑みて、運営がプレイヤーたちのネフィリム操作のレベルが一定以上に()()()と判断し、ついに決行された大型アップデート。

 

その内容は、ランクマッチの実装。今までマップ内でのゲリラ戦かプライベートマッチでしか扱われていなかった大戦が、ついにランキングという舞台を持って執り行われるというものだった。

 

「……ッ!!ルスト、これ!!」

 

「そう。その報酬。ランキング戦首位防衛戦の通算防衛報酬、その()()()()()()()()……!!」

 

そこに記されていたのは、私がこの世界(ゲーム)に来てからずっと追い求めていたもの。

 

 

ソレの名は、『不死鳥(フェニックス)』。

 

赤色の、特殊機体塗装色(ユニークペイント)だった。

 

 

「ふふ、ふふふ……」

 

「る、ルスト?」

 

「いいじゃん、いいじゃん、ブラックドール……」

 

「うわぁ、ものすごい手のひら返し」

 

咄嗟に頭の中に思い描かれる最高のシナリオ(攻略チャート)。満を持して実装されたランキング戦。そこで突如として現れた無名のパイロット(機体の装飾にしか興味がなかった引きこもり)。私はモルド以外とまだ戦ったことなんてないから、誰も私のことを知らない。そんな奴が唐突に頂点に立って、五回連続の防衛を果たし、その真紅の機体を持ってその名を世界中(全プレイヤー)に轟かせるのだ。

 

……絶対、かっこいいッ!!!

 

「エクセレント。脚本は、完璧」

 

「脚本ぅ?」

 

「……はっ」

 

モルドの何も理解していない顔は鼻で一つ笑ってやれば十分。

 

ランキング戦という高い壁をちゃんと見ているのか?それこそナンセンス。この機体はその壁の上で悠々自適に高速上下ホバリングで壁の下(全プレイヤー)を煽り倒せる翼を持っているのだ。越えられないわけがないだろう。

 

戦闘マップ内で野生のネフィリムと戦っているほかプレイヤーは何度も見た。だけど、彼らはま理解(ワカ)ってない。機体の、自分の、動かし方を。彼らはまだ、トべない。

 

けど、私は違う。翼はもう、生えてる。

 

 

「飛ぶよ、私の()()()()は」

 

 

全ネフィリムの頂点に君臨する真紅の輝きが、私を待っていた。



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始まりの日。沸き立った日。

「お疲れ。危なげもなかったね」

 

「当たり前。この程度」

 

昨日から始まったランキング戦。初日参加組は意外と少なく、私は堂々の勝率10割を維持して無事に圧倒的首位で初日を乗り切ることができた。

 

「この調子なら1期の首位は余裕そうだね」

 

「この環境なら当然」

 

「あれ、気に入らない?」

 

「つまらなさ過ぎるし、全然かっこよくない」

 

みんながみんな手探りで始まったランキング戦は、ロボットバトルというジャンルのこの対戦においてロマンの“ろ”の字も無いような弾幕アクション()()()()ゲームとなっていた。大したスピードが出ているわけでもないのに、制御ミスが堂々の死因第一位。環境では当然のように相手の事故を誘発するような火力もない手数ばかりの射撃武器が多く採用されている状態だった。

 

「盾、買い足しておく」

 

「お金足りる?」

 

「足りてる。マッチの勝利報酬で賄えてる。むしろ儲かってるくらい」

 

そんな汎用型低火力ガトリング砲台が相手なら話は簡単。使い捨ての盾で距離を詰めれば、こっちの盾が割れても相手の射撃でこっちの機体が削れるより早く私の刃が相手の首をちょん切る。ランキング戦は、特攻首ちょんぱを繰り返す作業ゲーへと成り下がってしまっていた。

 

「ショップから戻ったら、またしばらく潜る」

 

「そんな根詰めなくてもいいんじゃない?今のままなら余裕でしょ」

 

「ダメ。()()()()()前に稼いでおかないと」

 

「多少メタられてもアドリブで勝つ癖に。というかそういう戦いの方が好きでしょうルストは」

 

()()()()のためなら楽しみよりも効率」

 

私の戦い方がメタられる。現状私はワンパターンな戦い方しかしてないし、十分その可能性はある。実際にそれを望んでいる私がいるのも事実。そのほうが絶対楽しい。

 

もしかしたら、私と同等の人間性能を持ったプレイヤーが、現状ランク首位の私に目をつけて、『出る杭』を打ちに来るかもしれない。才能のあるゲーマーっていうのは、決まって負けず嫌いなもので、私がこうしてマッチを回していれば、必ずその手のゲーマーは()()()()()。そうすれば、きっと私がずっとやりたかったような戦いができかもしれない。

 

そんな猛者たちをドンドンと釣り上げて、どれだけの才能を秘めているかもわからない相手を片っ端から返り討ちにして、その戦いの先で、私の機体が赤く光り輝いていたら。

 

そんな『ブチ上がる』シチュエーション、絶対、逃せない。

 

 

「じゃあ、ちょっとショップに行ってくるから」

 

呆れたようで諦めて身を委ねるようなモルドの視線、そして、大量の恨めしそうな私に負けたモブ(釣り餌)たちの視線。そのすべてに背中を刺されながら、私はアリーナを後にした。

 

 

 

 

 

 

慣れた手つきで対戦受け付け。ロビーで少し待機していると、何度目かわからないマッチング通知が届いた。

 

何度となく繰り返しても代り映えのしない戦闘(作業)の繰り返しで、こうしてプレイヤーとマッチングしても私の気分がアガることはなかった。

 

 

ネフィリムに乗り込んで、カウントとともにマップへと出撃。不意打ちだけを注意しながらマップを索敵して回る。その時、私のネフィリムがとあるものを検知した。

 

「スキャン型」

 

それもかなり広い。

 

スキャン型は、大きな装備枠を潰してでも障害物の多い地形での戦闘に有利を取るためにレーダーを搭載した戦型だ。地形にもよるが、序盤戦で有利に戦えるとして一部のプレイヤーの間で人気らしい。もっとも、装備が減るために開けた地形での打ち合いにはめっぽう弱く、距離を詰められようものなら手も足も出ないと言った始末だった。

 

これだけ広範囲のスキャンを行えるっていう事は、装備枠も相当消費するはず。こっちが見つけてしまえさえすれば、もう勝負はついたようなものだろう。

 

私は持ち前の機動力に物を言わせてこのマップ上を縦横無尽に高速で飛翔する。

 

そうすれば、ホラ。

 

 

「……いた」

 

 

物陰に隠れるようにして砲台を構えていたのは緑色のネフィリム。相手はこちらの動きをずっとレーダーで把握していたのか、こちらからの射線が通った瞬間に射撃をしながら逃走を始めた。

 

何度も見慣れた試合展開だ。この試合も私が距離を詰めてさえしまえば……。

 

「っ……速い?」

 

速さ自体は私の方が速い。ただ、私は相手の射撃を極力躱し、盾の耐久地管理をしつつ、地形の不安定なフィールドで、相手がレーダー持ちともなれば、確かに私の速さが落ちてしまう。

 

だけど、それにしても相手の機体が、速い。

 

思うように距離が詰まらない。距離が詰まらない中で距離を詰めようとして、盾の耐久値だけが削れていく。

 

「それにしても、他より、上手い」

 

二人の機体はそれでもほかプレイヤーと比べれば十分以上に速い速度で飛翔している。これが並のプレイヤーであれば、とっくに地面にめり込んでスクラップと化しているだろう。このゲームのプレイヤー層はまだそこまで育っていないのだから。

 

でも、それが起こらない。

 

つまり相手もネフィリムの動かし方を、()()()()()()()()()()を知ってるプレイヤーってことだ。

 

「……ちっ」

 

今の私のネフィリムの装備は、不死鳥(フェニックス)を獲得することだけを考えた、言うなれば『まだ操作の甘い初心者を最高効率で倒すことに特化した』装備構築だ。

 

言うなれば、移動や近接装備よりも遠距離射撃の精度と手数に偏重した『環境』へのメタ特化。つまり、未だいないと思われていたネフィリムでの動き方に『なれている』プレイヤー相手にはこの上なく不利なビルドであるという事だ。

 

圧倒的不利対面。

相手はそれなりの熟練者。

私の盾はもう耐久が尽きようとしている。

 

……でもね。

 

「機体差で諦めるくらいなら、ロボゲーやってらんない」

 

これが、ロボゲーの醍醐味じゃないか。

 

自分で選んだカスタムで戦い、不利対面を覆し、有利対面でボコボコにする。どんな相性であろうと勝ちの目はあるから、勝って得られる喜びがあるから、ゲームってものは楽しいんじゃないか。

 

それを私は諦められない。それが私たちゲーマーって生き物だから。

 

 

「モルドッ!アイツの使ってる武器全部調べて!射程、威力、連射性能、全部!!」

 

『―――えっ!?』

 

 

私は急いで通話を開いた。繋ぐ先はもちろんモルド(私の片翼)。急に繋がれた通話にモルドが回線の向こう側で驚いているけど、そんな時間的余裕はないのだ。

 

「速く。1分以内で」

 

『え、ちょ…………あぁ、もう!!』

 

 

ついに、勝負は最終局面に入る。こっちは使()()()()()全部使って、お前に勝ちに行くからな。

 

そんな勝負で勝ち切れたらさ、絶対、『面白い』じゃない?



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始まりの日。飛び立った日。

「お!!盾削り切ったぞ!!」

「おい、これワンチャンあるんじゃねぇの?」

「つーか、二人ともあれだけ飛び回って一切事故らないのバケモノすぎるだろ……」

 

本来では多くのマッチが行われているはずのアリーナ内。しかし、プレイヤーたちはバトルを行うことはなく、その全員が現在行われているその対戦の中継に釘付けとなっていた。

 

試合時間は既に10分を超えようとしていて、未だに2機ともダメージを受けていない。しかし、今まで無敗を誇っていたそのモノクロカラーの機体の装備していた盾は今しがた破壊されてしまった。

 

「……違う……うぅ…あっ、これだ。次……」

 

そんな中で、僕は一人試合の画面とは別の画面に必死で目を走らせていた。

 

「うぅ、ルストも無茶な注文を……」

 

確かに、今回の対戦相手は強い。というか上手い。だけど、ルストに及ぶほどではない。多分、ルスト一人でも勝てないことはないのだろう。

 

……それでも、僕をこうして頼る理由は。

 

「はぁ……しょうがないなぁ!!」

 

口角が勝手に吊り上がる。楽しくて。嬉しくて。

 

そうだ。そうだよ。僕たちはゲームをしてるんだ。とことん楽しまなきゃ損じゃないか!

 

僕は手元のウィンドウを勢いよく閉じた。きっとこのボタンが旧時代式のPCだったら気持ちの良い打鍵音が響き渡っていたことだろう。

 

「―――ルスト!!今からいう事一発で頭に叩き込んでね!!」

 

『―――』

 

ルスト、君の描く|最高に楽しいシナリオに、僕も一枚噛ませてもらうよ。

 

だって、君もその方が楽しいでしょう?

 

 

 

 

 

 

「了解」

 

そう一言だけ返して、私はモルドとの通信を閉じた。

 

『ありがとう』とか『任せて』みたいな無粋なことは言わない。だってモルドの力を借りた私が勝てることを彼も知ってるから。

 

『もう一回』とか聞き返したりもしないし、『念のために』とか通話を繋ぎ続けたりもしない。だってその方が()()()()()から。

 

 

今このシチュエーションが、最高に()()()から。

 

 

「正面で構えてるライフル、連射は30発。追尾ミサイル、5発でクール30秒、今3発。背中の砲台からのビーム。チャージは14秒。…………12,13,14!!」

 

タイミングを完全に合わせて私は大きく飛び立つ。いきなりの急発進についてこれず、追尾性能を持ったミサイルが、私の元居た場所で一斉に衝突して派手な爆発を起こしていた。

 

「いい、私()()の、踏み台になってもらう」

 

通信の最後、モルドが楽しそうに笑っているのが見えた。私はそれに応えなきゃいけない。別に義務とかではないが、その方が絶対に()()()()から。私も、モルドも。

 

ここで問題。対戦ゲームで最大限に楽しむにはどうすればいい?

 

答えは簡単。とても簡単。勝つことだ。勝てることだ。だって勝てない対戦ゲームなんてつまらないじゃん。

 

じゃあ、私が、この既にボロ耐久と化したネフィリムが、あの超高速移動連射砲台に立ち向かうには、どうすればいいのか。

 

「これも答えは簡単。()()()()()()()()()()()

 

一発も喰らわなきゃゴミ耐久でも死なない、でしょ?

 

(――右3左1上2正面5……下抜け。その先で左4正面2……右抜け。その先で……)

 

コマンドを入力するように、小さく状況を呟いて確認する。気が付けば私は敵機から打ち出されたすべての射撃・砲撃を背中に置き去っていった。

 

「ほら、避けれる」

 

後は、知らない攻撃さえ来なければ私に攻撃は当たらない。だけど、あなたの攻撃は、全部、もう知ってる(モルドが教えてくれた)から。

 

避ける。近づく。避ける。近づく。

 

今まで他の対戦では愚直に突っ込むしかしてこなかった私の突然のプレイスタイルの変更に驚いたのか、射撃の雨が一瞬止んだ。

 

……今の私相手にその隙くれるの?

 

 

「私()()の、勝ち」

 

 

大きく羽ばたいた翼が私の背中を押し上げて。後ろに置いてきた数多の爆発が私の機体を照らす(最高の舞台を演出する)

 

すれ違いざまに振りぬいた刀身の感触が腕と脳をを痺れさせて。外した視線の向こう側で破損していく敵機が私の勝利を祝福していた。

 

終わってみれば、私の機体は無傷。完璧な試合(パーフェクト)

 

 

この世界(私たちの舞台)は、最高にアツかった。

 

 

 

 

 

 

ネフィリムホロウ、通称ネフホロ。

 

そのゲームのサービス開始は、最悪とも言われた操作性への大ブーイングで溢れた。しかし、それでも残ったコアなファンたちによって支えられて、何とか対戦環境まで整えるに至ることができた。

 

そんな待ちに待った対戦環境は、とある一人(二人)のプレイヤーに喰い物にされるという、開発も、運営も、他のプレイヤーでさえも予想だにしない幕開けとなった。

 

そのすべてのプレイヤーをもってして敵わないと言われたそのネフィリムは、5度のランキング首位防衛という、圧倒的な実力と実績を持って、緋色の機体とともにその名を世界中(すべてのプレイヤー)に轟かせた。

 

緋翼連理。

 

不死鳥(フェニックス)の異名を持ち、『魔王』としておそれられた彼女らこそが、この世界において、誰よりも主人公だった。




ルスト誕おめでたいいいいいい!!!!!!!!!!!(n回目)
ルスモルの一年が輝かしくあることを、そして、シャングリラ・フロンティアという作品のこれからが明るいものであることを、心から祈っております。

……ところでルストのマガシャン登場っていつなん(瀕死)?????


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