呪われた世界に足付ける崩壊。 (じだだらぼっち)
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満ち満ちた未知とほんの少々の既知?

こんな思い付きの作文を呼んで下さってありがとうございます。
これ読む位なら蚯蚓が這った跡見てる方が楽しい、と言う自己評価を忘れず取り組んで行きたいと思っております。

あらすじにもあります通り、失踪必至なのでご注意ください。
思いついた話とか投稿して行って合計十話を目指します。

『世界の泡』=謂わば世界線、そうなりえた可能性の姿を映す夢幻泡影。
(基本世界線と言う認識をしてます)


拝啓、妻よ。

 

世界の泡に潜り込んだと思ったら殆ど知らない世界に来ました。

 

「う~ん、自然が盛りだくさんや、なぁ~。」

 

暗い世界で高い木の頂点に足を付け辺りを見回す男。

雰囲気からして自分が知る世界、又はその世界の泡では無い事は容易に理解した。

 

「なんやったら、デルタも同行してたはずなんですがね?」

 

デルタ。桃と水の髪色を持った小柄の少女。その外見は『黒と桃』『黒と水』の大きな角、『黒と桃の機械的で鋭利な尾』を持った凡そ人間とは言えない身体的特徴を持った娘である。

デルタ自身が数多ある世界の泡に興味を持ち、適当な泡に潜ろうと共に飛び込んだ、はず。

なのに付近に姿が見えない声が聞こえないのであれば簡単、この世界に来た際に自分とは別に、遠くに飛ばされただけの事。

 

自身は死ぬはずないし、デルタもとても強いので死ぬ心配も無い。

 

「ゆっくり合流するしかないんかな、まずは建造物がそこそこ多い場所に出たい。」

 

独り言を淡々と吐きながらも端末機器を取り出しこの世界の地図を調べる。

 

「デルタの気配自体は感じる、感じるんやけど離れすぎて明確な位置が分からへん。」

 

そう零している内に遠くに町がある事が判明した。ついでに普通に地球だって事も分かった。

分かるや否や即行動、建物の屋根や屋上を跳躍で移動しつつ適当にデルタの気配を探る。

 

「やっぱり近づかんけ。怠いなぁ~。県一つずつ虱潰しせんといかんかぁ?ダルっ」

 

ダルダルイングリッシュやんけ等愚痴を言いつつも目的を立て行動を再開する真喜。

 

「ん"?」

 

建物を点々と移動していると、ふと感じた別の気配。負の塊。通常感じるはずの無い負の濃度、あからさまに可笑しいのが理解できた真喜はその負の塊の場所へと移動する。

 

然し。

 

「な、んも居ない?無い?え~っと?」

 

確かに負の塊を感じる。二棟のビルの隙間、路地裏から誤魔化し様の無い負の塊。圧倒的な負の濃度。

本来人類が持つ負の濃度は水すら被っていない豆腐みたいに薄い、其れはもう薄すぎて不味い位に薄い。

が、この路地裏から感じる濃度の負、負の塊は人間一人には到底収まりきらないもの。

 

簡単に言えば絵やドラマ、アニメ等で見るお父さん雪だるまの胴体。大きさを可視化するなら其れ位の塊、濃度で言えばキッコーマンの醤油を直飲みする位極端に大きいし濃い。

 

「あぁ、多分不可視なんな?っつか負の塊でか過ぎて近いと明確な位置掴めんぞ。」

 

ここにきて初めて知った負を感知する際の粗。別に知りたくなかった。

 

「負の塊かぁ...これ単純な負の塊か?」

 

何か違う気がする。負がこれだけ濃密に凝固?凝縮?されてるなら別の何かに変貌してても可笑しくない。

 

「陳腐だけど呪い、よなぁ~?」

 

負の塊と言えば呪い。誰かを心底恨む人間が藁人形を神社の境内に生えた木に打ち付ける行い。陳腐ではあるモノの負の塊足りえると思う。

 

「せやか、んだら何か素質がいるんな。幽霊を見るなら霊感が居る様に、負の塊の正体が見たいなら相応の素質がって奴な。」

 

案の定自分は素質無し、所謂落ちこぼれ組。実際は此れがどういった存在なのか知りさえすれば、それ自体を認識し視界に映す事は出来る。

まぁ、この存在の正式名称が分からないので不可能だが。

 

「まぁ、良いや、どうせお前良くない存在なんやろ?負の塊やし。おいたんが消滅させたろや、出血大サービスやぞ。」

 

失血レベルのなと冗談を言いつつ、負の海の中で確かに感じるひと際濃い負に手を伸ばし、消滅をイメージする。ただそれだけで、真喜自身を覆っていた濃密な負の塊は消えた。

 

「この世界に居る人類の敵ともいうべきか。」

 

負の塊を一時的にそう決めつけ再度デルタ捜索へと行動を移す真喜。

 

「出来れば一夜、無いし一朝で終わらしたいよなぁー。」

 

折角旅行気分で世界の泡へ飛び込んだのにさして知らん世界にぶち込まれるのは非常に気分が宜しくなかった。何よりデルタに対して申し訳ない気持ちもある。

 

「然し、呪いかぁ~...ん?呪い?.....あぁ、大分前に誘拐してきた毒親の姉妹が言ってた気がする!」

 

今や高校生位に成長しており、その姉妹が本来居た世界の学び舎へ通わせるべく、泣く泣く帰したのを思い出す。誘拐を行ったのは恐らく一桁歳の頃、あの時は語彙も稚拙であまり情報を得られなかったが、十歳を超えた今なら聞けるかもしれない。

 

この世界に居るか知らないが。

 

「適当にホテル見っけて落ちよ。」

 

未だ夜の街を飛び続けるのも疲れると考えた真喜は近場のホテルを検索し、一泊することにした。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

翌日、朝

 

あれから何も起こる事無く無事に就寝した真喜は前日に立てた目的を達成する為動き出す。

 

「はぁ~、あれや。一辺負の塊感知すっとさぁ、すんげぇ遠くにも昨夜みたいな濃度の負を感じるようになったのぉ。」

 

今後、脳が頻繁に疲れないか心配になる真喜。何時までも放置するのは気分的に嫌だと思った真喜はデルタ捜索をメインターゲットに、濃密な負の塊の消滅をサブターゲットに据え、行動指針を立て直す。

 

「前方約九百六十地点に負塊を検知、忠地に消滅させてまいりまぁ~す。」

 

前方の最寄りの古びた建造物に一つの濃密な負塊を感じた真喜は其れを排除しに行く。

 

「えーっと、此れは工場け?使わへんなら潰せよ、とは言うモノの簡単じゃないのが現実だもんな、現実はクソ。」

 

人類の真理を再認識した処で古びた工場跡に入って行く。

 

「う~ん、でかいのに隠れて小さいのもまちまちとある。ボス敵と雑魚敵って感じな。」

 

親しみのあるゲームに例え、状況を整理し、ボスより比較的小さく薄い負塊を消滅させて行く。

 

「雑魚は全部で四なんで割と数は少ない、多くても困るけどな?」

 

人類の負の塊が大量にあっても対処に困るし、何より純粋に怖い。

人類が人類の負の塊によって滅びるとか普通に笑えないし、顔が青くなる話。

 

「うん、こういうのは多からず何処かに負の塊を消滅させる役割の人類が居るはずやねん。」

 

濃密な負の塊がこの古びた工場跡に存在すると言うのに呑気な考察をする真喜。完全にゲーム脳である。

 

「やっぱり正式名称が欲しい。呪いで良いんかこれ?」

 

昨夜なんとなくで呪いでは?と考えては見たものの答えは無く、自身の回答に強気に出られずにいた。呪いと勝手に決めつけてはいるものの、この世界特有の概念だったらどうしようか、何もできない。だってなんて概念か知らないし。

 

「まぁまぁまぁ、ひとまずは負の塊って事で。俺自身も負の塊だって認識してるし。」

 

一日の献立を決める感覚で決めつけ、ついでと言わんばかりに濃密な負の塊を手で仰いで消滅させる。

 

「もう一つは?誰か消したんけ?」

 

この古びた工場跡から五百二十離れた場所に在った負の塊が消滅している事に気づいた。

 

「やっぱりそう言う役目の人類が存在するんやろなぁ。」

 

自身の回答に少し自信が沸いた真喜は負の塊があったはずの場所に向かう。

あわよくば消滅させた本人と会話して少しでも負の塊の正体乃至正式名称を聞き出したい、デルタ捜索はそれからでも遅くない。

 

真喜はそう判断した。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「いや、自分の足で戻れるから気にするナ。」

 

寄り道もしたいと一言据えて、スーツ姿の人間に同行を拒絶する人間。否、メカ。

人類と遜色ない形をしており、唯一目立つ違いは剥き出しの歯と茶色の全身。

 

「それじゃあ、寄り道でもするカ。」

 

そのメカは肩を回し乍ら、少し散歩でもして帰ろうと歩き出す。

 

そして、その後ろから。

 

「はろーえぶりわん、メカ。」

 

男の聲、其れを聞いたメカは瞬時に振り返り掌の砲口を男に向ける。

 

「何者だ貴様。」

「おあぁ、待て。怪しいが敵じゃない、断言する。」

 

大人しく両手を上げて抵抗する気はないとアピールする真喜。

其れを見たメカも徐に、警戒しつつ真喜に向けた砲口を仕舞い、手を下す。

 

「もう一度聴く、何者だお前ハ。」

「おいたんは、えぇ~っとぉ...異世界から来たおっさんです...。」

「.....はァ?」

 

至極真っ当な反応である、誰が異世界から来たとか信じるか。純粋無垢な少年じゃあるまいし。

 

「あっ其れを証明する手段あるよ!」

「何ダ。」

 

先の一瞬だけで糞程にも信用出来ないであろう奴が何を今更と心の内で悪態をつくメカ。

 

「あの不可視の負の塊や!あれ、俺見えないんよ。」

「負の塊だト?」

「えっす、大きくて濃い負の塊、人類複数の負が凝縮?して出来たあれ。」

「お前は其れをどうやって知覚していル。」

「えと、そもそも負として知覚してます。」

「・・・」

 

ますます目の前の男が嘘臭くなってきた。負として知覚とは何なのか、メカには分からない。只、メカにはメカの知覚方法はあるのだろう。

 

「こっから五百二十離れた地点にある古びた工場跡、其処で濃密な負の塊を排除した。」

「それが終わった頃に此処の負の塊も消滅してた、自分がけしたんちゃうのん?」

 

まるで分っているかのような顔。自分の発言は間違いではないと分かっているかのような自信のある声色。

 

「あぁ、そうダ。それも負を知覚していたから解ったのカ?」

「しょーゆ―事、だからあわよくば、負の塊の正体とかその正式名称を知りたいなぁ思て、面貸した次第ですわな。」

 

当てずっぽうではあったもののひとまず安心し、心を落ち着かせる真喜。

その真喜を静かに見つめるメカ。

 

「俺も此れから帰路につク、移動しながらで良いカ。」

「えぇ、もう全然それで!」

「そうカ、なら着いて来イ。」

 

お前の事も学長に報告しなければならないしナと零しつつ歩くメカ、とそれに付いて行く真喜。

真喜がふと思い出す。

 

「せや、名前聞いてなかった。おいたんは無量塔真喜。自分は?」

「俺は究極メカ丸ダ。」

「せやか、もう一つ聞きたい事聞いて良い?」

「何ダ。」

「何故怪しさ満点の俺をそう許して同行を許可したん。」

「本来非術師なら負の塊等とは言わなイ、人類複数の負が凝縮した等ともナ。」

 

未知ではあるモノの利用価値があると見られたのかと判断した真喜は成程と頷く。

メカ丸も何だかんだ嘘臭いと思いつつも、今まで非術師から聞いた事の無い言葉に自身のみでは判断できないとし、より上の者に判断を仰ごうと決めたまで。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

京都に存在する一つの学び舎。

 

京都府立呪術高等専門学校、通称京都校。

真喜はメカ丸に同行し其処に訪れていた。

 

「んぇっと、此処は?」

「正式名称は京都府立呪術高等専門学校、通称京都校ダ。」

「んぅ、京都校ね...ん?じゅじゅつ?って事はあれは呪いって事け?」

「お前が負の塊と呼んでいた奴カ?それの事なら呪いだナ。」

「あぁ、マジか。」

 

自分の予想が確りと当たっていて安心した真喜。聲にあからさまに安堵が見られたメカ丸は言葉を添える。

 

「今からお前の事を学長に伝えてくル。この部屋でじっとしていロ。」

「あ~い、了解でぇす。」

「全く、緊張感のない奴だナ。絶対に余計な事はするなヨ?それでお咎めを食らうのは俺なんダ。」

「分かったって、さっさ行ってきなすって。」

 

何処までもマイペースな態度に呆れを覚えるメカ丸は、そのまま学長の元へ歩を進める。

 

「然し、この部屋俺が居ては駄目なのでは?」

 

畳が敷き詰められた和室、襖を開けば外。

此処でふと考えがよぎる。もしかしてワンチャンス此処、教室的なあれでは?

 

思考に波が立つことは無いが、一つ小さな恐怖が灯る真喜。何事も起こるなと只管祈るばかり。

 

「んん~~あ"ぁ".....。だ、誰ですか貴方は!?」

「うぇ....こういった事を願えば願うほど、真逆の展開になるんよなぁ~。」

「えっと、無量塔真喜です。道端で究極メカ丸君と出会い、紆余曲折あって此処でじっとすることを命じられております。」

「は、はぁ...?」

 

彼我に気まずい空気が流れる。一刻も速く来てくれ、メカ丸。

 

「え、えと!私、三輪と申します!宜しくお願いします!」

 

ちゃぶ台の前で正座し、綺麗に礼をする三輪。其れをみて思わず目を剥いて呆けてしまう。

 

「あっはい。あの、別にあれよ?此処の生徒になるとかではないんで、ね?」

「あれ、そうなんですか?」

「うん、メカ丸曰くおいたんが本来、非術師ならしない発言をしたために学長に判断を仰ぎに行った...と思われる。」

「成程。で、その発言とは!?」

「いやもうお前元気一杯やな、見知らぬ男やろうに。」

 

元気一杯な三輪の返事に少し引く真喜。単純に事の経緯が気になって仕方ないのだろう、今まで起こりえなかった事態だから?知らない人が来たから?経緯を聴く理由は真喜の知りえた事ではないが、答えない理由も無かった為、嘘偽りなく話した。

 

「ふむふむ、つまり凄い方って事ですね!」

 

ビシッと真喜を力強く指差す三輪、真喜はその行動に薄く笑い応える。

 

「いや、この世界の凄いは知らんけどもや。信じてええんか?そんなん。」

「はい!嘘を言っている様には聞こえなかったので!」

「三輪、良い娘やなぁ....。」

「えへへ///そうですかねぇ?」

「おっさんお前なんや騙されそうで怖いわ。」

「んな!?詐欺なんて引っ掛かりませんよ!」

「いや力強っ。」

 

何だかんだで暇を持て余すことなく中身の無い会話が続く両名。

然し、其れもそう長くは続かなかった。襖の開く音がした。

 

「戻ったゾ。余計なことはしていないナ?」

「御覧の通りよ。」

「ふむ、お主がメカ丸の連れて来た謎の男か。」

「いや謎て、いや謎か。」

 

メカ丸が連れて来た老齢の人物、まぁ大方先に言っていた学長何だろうと言う事は想像に難くない。

その人物とメカ丸もちゃぶ台の周りに腰を下ろし、話を始めた。

 

「して、その負の塊を知覚するとはなんじゃ。」

「いや、負の知覚ね。人類が抱える小さな負を知覚してるってだけ。」

「本来なら水も纏ってない豆腐位には薄いんよ?負も、けどこの世界で俺が見たのはあからさまに複数の人類の負が凝縮だか凝固だかしたモノ。其れを負の塊って呼んでる。」

「成程、それでお主は其れを視界に捉えることは出来ないんじゃな?」

「そう、見えないけれど確かに存在は感じるって感じ。...そない警戒しなさんな。」

 

警戒しなくても敵対はしないってと事軽く言う真喜。

 

「まあ、俺とか俺の家族の命狙うんなら殺すけど。」

「で、それは置いといて。その負の塊の正式名称を知りたいわけよ、おいたんわね?」

「負の塊の正式名称か、それは呪霊じゃな。」

「じゅれい、呪いの幽霊的な?」

「まぁ、漢字を当てるならそうなるのぉ。」

「えっと、学長。この方はどうなるんでしょうか。」

 

話を静かに聞いていた三輪が学長に質問を唱える。其れを聞いた学長は静かに短く唸りひげを撫で、口を開く。

 

「お主、此処の生徒にならんか。」

「あぁ~、複数ある可能性の一つ....っすねぇ~。」

「学長!?良いんですカ!こんな得体の知れない男ヲ!?」

「でも、悪い人じゃありませんでしたよ?さっき、学長とメカ丸が来るまでお話してましたし。」

「何?それは本当カ!?」

 

二名からの思わない答えに聲を上げるメカ丸。三輪は何もされていないから大丈夫とメカ丸を落ち着かせようとするも、すぐには落ち着き切らない模様。

 

「これ、落ち着かんか。」

「ん"ん"っ、すいません学長。」

「それで、何故この人を生徒に?」

「簡単な事じゃ、目を見れば解る。此の男は態々ワシ等を騙して迄悪事を働く様な男でないとな。」

「え、爺様の目凄すぎね?素直に尊敬するわ。」

「ふん、つけ上がるなよ。」

「あっす...。」

「あぁ、そうじゃ。聞き忘れていたことがある。」

「ん?なんす?」

「お主はその負の塊に、呪霊に、対抗する手段はあるのか?」

「はい、全然ありますとも。」

「ならば良い。こちらで手筈を整えよう。」

 

学長曰く呪霊自体を認識出来ていなくても、別の形で呪霊を認識出来ている事。

それに対する抵抗手段が確立されている事、呪術界は人手不足が常、一人でも多くの手練れが欲しい。故に真喜を京都校に招いた。

 

「あれ?結局俺生徒になんじゃん。」

「仲間が増えましたね!」

「何だろうナ...。素直に喜べなイ。」

「別に無理やり歓迎しなくてええからね。」

 

 

 

 

 

 

 




無量塔真喜(むらたまさき 旧姓:森本)

既婚者。世界の泡に飛び込んだと思ったら異世界にダイビングインしてた。
呪霊を呪霊として認識してるのではなく、濃密な負の塊として認識してる。
又、呪霊そのものが見える訳ではないし、当然呪力も無いので呪霊が見える眼鏡も効果は無い。只負の塊其の物を消滅させてるだけ。

負の塊(ふのかたまり)

負の塊=呪霊
真喜にとっては負の塊と言う概念を消滅させてるだけでも、呪霊と認識し見ているものからしたら、急に全身が爆発四散して死に消えたように見える。


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行動指針整理。

一話ずつまったりと執筆して行こうかなと思います。
やっぱおいたんが書くと話の進みが可笑しくなるんダ、無量塔君口調ガッツリ不安定じゃのいこ。
脳味噌が糞滓ですまない。
東堂君のフレンド判定クソガバで申し訳ない。

前話少し強引だったかな。
後~~~~~~する真喜って文法多すぎ問題。作文能力カスかよって思ったわ。

崩壊3rdのデルタを見た事無い方は検索してみてください。



真喜は一人部屋に置かれたちゃぶ台にて頭を抱える。別に京都校生徒になるつもりは無かった、結局は自らが承諾して生徒になったんだから何も文句は言えないのだが、割とフリーな立ち位置に居たかったのは事実。デルタ捜索が困難になるかもしれないと少し焦燥感に駆られる。

 

「う~ん、やっぱりその時その時の気分で問答するもんちゃうな。どうせ此の悪癖も治る事ないんやろが。」

「まぁでも聞きたい事は聞けた筈、よな?負の塊は呪霊でそれには特定の対抗手段が居る。つまり一般人は対抗出来ないって事で、じゅじゅつ、つまり(のろ)いの(じゅつ)(のろ)(すべ)?が要る訳で。」

「いやまぁ、俺は直接消滅させられるから要らんけどもやな。」

 

知っておいて損は無いと念の為にさして多くも無い情報を整理していく。それだけでなく、デルタの所在を特定しないといけない為、此処の規律に反しない程度の行動指針を組み立てないといけない。どうしようかと考えているその時、誰かの足音が、扉の開く音が聞こえる。

 

「貴方が村田君ね?」

 

背後、廊下側から聞こえた女性の聲。真喜はそれに振り向くと、そこには顔、右頬から左目の下に掛けて大きな傷跡を残した女性が居た。

 

「あぁはい、無量塔真喜です。何かすんません、迷惑かけて。」

「別に気にしてないわ。呪術界隈は常に人手不足、一人でも呪霊を祓える人が増えるのは喜ばしいものよ。」

「そう言う...もんか。」

「えぇ、話は学長とメカ丸、三輪から聞いたわ。」

 

どうやら名前だけでなく、ほとんどの会話内容もこの女性に渡っているらしい。メカ丸は兎も角三輪の情報が何の役に立つのか知らないけど。

 

「そうですか。」

「まぁ、三輪の情報は何の役にも立たないけど。」

「何て言ってたんです?」

「少なくとも悪い人じゃないって言ってたわ。」

 

女性はちゃぶ台に腰を下ろしつつそう言う。確かに、真喜は自分がどう言う経緯でこの場所に来たのかと言う事ばかりだった為、聞いて得になるような情報は何も上げていない。

 

「そういや、自分はどうすりゃ良いんですかね?後名前知りたい。」

 

此れと言って話が広げられないので真喜は自分が気になっている事を聞く。

 

「私は庵歌姫、取り敢えず生徒を一度に集めて貴方の紹介をしたほうが良いかもね。」

「まぁ、普通はそうよなぁ。あっそうそう、自分ちょっと大事な人探しとってさ。」

 

勢い良く話題を変える真喜と、急な話題転換に頭に疑問符を浮かべ一瞬表情を硬くする歌姫。

 

「人探し?一体どうして...?」

「言うて本来の目的人探し(こっち)やぞ、何か京都校の生徒になっとるけど俺。」

 

そう言いつつ携帯画面に其の人物(デルタ)の画像を表示させ見せる。其れを見た歌姫は眉間に皺を寄せる。

其れもそのはず、何よりこの世界では存在しないであろう容姿をしているからだ。いったい誰が『大きな黒の双角と黒の機械的な尾を生やした少女』を見た事あると言うだろうか。勿論歌姫は見た事が無い。

 

「ふぅん、この娘を探してるのね。で、この娘は?」

 

真喜は知らない歌姫の為に説明する。

 

「俺の血ぃ繋がっとらん家族の一人で俺がやってる傭兵稼業を共にしてる人員の一人、名前はデルタ。こっちぃ来る際に行方不明になりよる。気配は感じれるんけど一定の距離離れた所為で気配の詳しい位置を知れんからデルタ捜索を他者にも手伝ってもらおうかなぁ思て。」

「成程そう言う事ね、分かった。もう一つの高専にも相談してみるわ。」

「あざっす。」

 

メモを取っていた歌姫はその紙を懐にしまい、場を後にする。

 

「一先ず、俺一人で日本をデルタ捜索の為にって奔走せんでも様なったかなぁ。」

 

情報源の拡張が確定し安堵する真喜はそのまま仰向けに床に寝転び目を閉じる。何も無い、暇な為睡魔に思考を押し潰される。

 

「矢鱈滅多眠い。ちょっと寝よ。」

 

気の赴くままに仮眠を取る真喜。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

真喜が仮眠を取って時間が少し経った頃。

 

「ほら、起きなさい。」

「おイ、起きロ。」

 

何度も額を叩く歌姫と肩を軽く蹴るメカ丸、何度も送られてくる衝撃に瞼を徐に開ける。

 

「.....うぉっ吃驚したぁ。御免、寝てた。」

「もう皆居るから自己紹介してもらえる?」

「起きロ。」

「うぃ、お分かり。」

 

起き、立ち上がった真喜は此処の生徒であろう人達が立っている方向を向き、深呼吸をする。

 

「皆さん、初めまして。無量塔真喜言います。無量塔は『無情』の『無』に『大量』の『量』、『エッフェル塔』の『塔』、決して『市区町村』の『村』に『水田』の『田』ではありません。宜しくお願いします。」

 

「げっマジ?」

 

やってしまったと言わんばかりに聲をあげる歌姫。

 

「さては貴女村と田の奴と勘違いしてたな?」

「えぇ、もうガッツリ。」

「残念だけどむ、ら、たで一文字ずつなので勘違いしないでね♥」

 

歌姫の勘違い訂正をする真喜。其処を一人の男が口をはさむ。

 

「おい、無量塔と言ったな。」

「え?あぁはい。」

 

名指しされ其れに返事をする真喜。

 

「俺の名前は東堂葵、三年だ。好みの女のタイプは何だ!俺はケツとタッパのでかい女が好みだ!」

 

自己紹介と共に好みの女性を聞いてくる男、葵。それに周りの皆は苦虫を潰したような顔をする。

 

「好みの女って言うてもなぁ、既に妻居るし。」

「何?」

「ほら此れ。指には嵌めてないけど。首に吊るしとんねん。」

 

ネックレスのように首から吊るされた指輪を見せる真喜。其れを見た葵は何かに納得したようにそうかと呟く。

 

「ならば質問を変えよう。お前の惚れた女はどんな女だ!」

「えぇ...?これさぁ~...。」

 

面倒だと思いつつ葵の後ろに居る面子に目を向けても首を横に振るばかり。唯一黒髪ショートカットの女子が答える。

 

「ん"ん"っ全部付き合った方が早いわよ。」

「せやか。」

「さぁ、答えろ!無量塔真喜!」

「身長は平均より少し高めで紅く綺麗な長い髪をしていて、身体の出ている処は出ていて、凹んでる処は凹んでる。大人の女性としての魅力も抜群やしぃ妖艶さとかもぉもろよな。後、精神面とかも有ってさぁ、一応戦人でよ、教鞭も振るっとるし。そんで生徒の一人が大問題に巻き込まれた際は全力で助けに行くし、助ける為ならでかい組織にも歯向かうし命を賭してでもって助けようとするし、生徒は自分の誇りだって笑顔で言える人だし、外面だけでなく内面もその存在全てが愛すべきで尊敬すべき?いや敬愛せざるを得ない魅力に溢れた女性って感じ。」

 

あくまで個人的ではあるモノの、と長々と自身の妻の外面的な魅力と内面的な魅力を語る真喜にその内容を聞いた葵は満足気に頷いている。

 

「最初はどうも詰まらなさそうな男だと思ったが、思いの外そうでも無いらしい。認めよう!マイフレンド!

「...?有難う。」

 

差し出された手を掴み握手をする真喜と葵、其れを見ている面子はやっと終わったと言わんばかりにげんなりしている。

 

「私は加茂家嫡男、加茂憲紀だ。自身の血液とそれが付着した物質を操作する赤血操術を使う、宜しく。」

「西宮桃、付喪操術を使うわ、宜しくね。」

「改めまして、三輪霞です!刀を使って戦います、宜しくお願いします!」

 

残るは黒髪の女性、何やら独り言を呟いているのだが。

 

「真衣、あんたの番だよ。」

 

桃が優しく教え、それに気づいた真衣は一つ咳払いをし、真喜の方へ向く。

 

「別に私は要らないと思うんだけど...まぁ、良いわ。禪院真衣、構築術式を使うわ。宜しく。」

「ん、皆さん改めて、宜しくお願いします。」

 

真喜は真衣から皆に向き直り深くお辞儀をする。

 

「自己紹介は終わったわね。無量塔君には呪術や呪霊に関する知識を...まぁ勉強をしてもらうわ。それと呪術師は呪術師と認められれば学生の身でもその等級に合った任務をあてられるわ。」

「呪術師になるって手続きとかは?」

「貴方が寝てから時間は経ってるし、それは私が既に終わらせてるわ、そんなに難しい事じゃないもの。そしてなったばかりの呪術師の等級は四級だから、貴方の等級も四級よ。」

「成程ね、理解した。」

「真喜、此れから俺と殴り合わないか?」

「え?」

 

葵の唐突な告白に驚きの色を隠せない真喜は思わず間抜けな聲を吐き出してしまう。

 

「新入生を早々虐めようとするなよ、東堂。」

 

葵に注意をする憲紀、真喜は其れを大丈夫だけどと伝える。その言葉を聴いた憲紀は全く、と呆れを隠さずメカ丸とそのまま部屋を去る。

 

「いや、良いけどどうしてさ。」

「マイフレンドの実力を見ておきたいのさ。」

「あぁね、良いよ。」

「それは後で良いかしら?私は無量塔と少しお話したいんだけど。」

「何だ、真衣が新入生に話なんて珍しいじゃないか。」

「私には私の事情があるもの、良いじゃない。」

「ふんっ、良いだろう。」

 

 

一瞬不満げな顔をするが、すぐに納得の色を見せてそのまま場を後にする。

 

真衣が真喜の肩を叩き話しかける。

 

「兄さん、久しぶりね。」

「....えっと、そういう事で良いのね?」

「えぇ、貴方に誘拐された二人の片割れよ。」

「そうか、それは良かった。此処は楽しいか?」

 

何年振りかに会う人物に此れと言った反応を見せる事も無く、日々の調子を聴く。真喜は思い出す、誘拐、悪気があったわけでは無い。ずっと前此の世界に来た際、此処は何処だと忍び込んだ建造物、其処が偶々禪院が住まう屋敷だった。散策して一分と少し、禪院の姉妹を発見、一桁歳には分からないであろう説明を行っていた際に放たれた少女からの言葉、其れを切っ掛けに姉妹を誘拐し紆余曲折を経て今に至ると言う事。

事実真衣は誘拐された後は悠々自適に姉や新しい家族と幸せな日々を歩む事が出来、不自由はしなかった。呪力、と言うモノを除いては。だから姉と確り相談をし、呪力を使う術を学べる此処へ来た。と言うのが真衣の現状全てである。

 

「えぇ、辛い事も有るけど友達も出来たし十分楽しんでるわ。」

「せやか、それは良かった。それはそうと姉は?」

「お姉ちゃんは東京校に入ったのよ、只戦う術を学ぶだけじゃ物足りないから、二人別の場所に入って次会った時にお披露目しようって。」

「成程ね。改めて、京都校生として宜しく。」

「えぇ、宜しく。」

 

二度の宜しくの挨拶をし、軽く握手を交わす。

突如真衣の袖が軽く引っ張られる。

 

「この人真衣のお兄さんだったの?」

「へ!?無量塔君って真衣のお兄さんだったんですか!?」

 

桃は疑問を、霞は視線を真喜と真衣を行き来させ驚愕の聲をあげる。

 

「えぇ、悪い人じゃないわ。それは断言出来るわ、それにとっても強い人でもあるの。」

「そっか、私は真衣のお友達なんだけど、無量塔君、西宮桃個人としてもよろしくね。」

「あ、私も真衣の友達です!宜しくお願いします!」

 

緩く手を差し出す桃と真っすぐに力強く手を差し出す霞。真喜は両名の手を取り握手をする。

 

「宜しく、するのは良いけど。葵との約束があるんで席外して良いけ?」

「東堂が死なない程度には手加減しなさいよ、あいつ腐っても一級なんだから。」

「いや、一級じゃ無かったら良い訳じゃないから。」

「せやか、んだら行ってくるわ。」

 

その言葉を最後に場を去る真喜、の背中を見送りつつ手を振る三人。霞は東堂が暴れるのを想像して顔を青くするし、桃は東堂が暴れる事に呆れを抱いているし、真衣は東堂が真喜と殴り合って下手な重傷を負わないか心配だし、と三者三葉の面持ちである。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

学び舎から幾らか離れた平地。東堂葵と無量塔真喜が対峙している。

 

「真衣とのお話は終わったのか?」

「おう、知りたい事も知れたし万々歳や。現状心残り無しよ、此れやと遺言臭いけど。」

「ふん、容易くくたばってくれるなよ?」

「そっちこそ威勢だけじゃない、見掛け倒しじゃない事を証明してくれ。」

 

両名位置に付き、葵は姿勢を低く構え、真喜は構える事無く葵と向かい合う。審判役が居ない為、真喜が葵に見える様に指を三本立てた状態で手を突き出し、三秒を数える。最後の一本が居られ零を示したと同時に、両名が動き出す。

 

始めに真喜が右拳で葵の左頬を殴りつける、葵はその勢いのまま体を右に捻り、左拳で真喜の右頬を殴りつける。

即座に打ち込まれた二撃、葵は右後方に吹っ飛び、真喜は左後方へと吹っ飛ぶ。

 

「ふふふふふ、開幕接近の速度、顔への的確な力強い拳、それ迄のシームレスな動き、さては慣れた動きだな。」

「ご名答、大体人型の敵には急接近して右で殴る。おっさん戦略とかなんも考えられんから初手適当に殴り飛ばすんさ。」

 

そのまま葵に向かって走り出し、勢いを乗せて右膝で跳び膝蹴りを繰り出すも、葵は左手で跳び膝蹴りを受け止めると同時に右足で腹部を蹴り、勢いが死んだ処を右拳で腹部を地面に叩きつけるようにして殴る。

 

其処から真喜に馬乗りになり頭部を力強く連打する。真喜も両腕で防御しつつも体を捻ったり脚を使い葵を体の上から退かそうとするも強い力と自信を優に上回る体重の所為で上手く行かない。

 

「どうした!此処で終わりか!?」

「いやっ普通に決まってるけどっ!」

 

葵を殺さない様に自身に強大な枷を付けている為、力は精々超人的な人間と言った処。今、この力量では真喜は拘束から抜ける術も知らない、抜ける技術力も無いと馬乗りになった葵を退かす術を徹底的に持っていないのだ。

 

「おっさんこの状態の抜け方知らんからな!」

「ならば力づくでも俺を退けて見せろ!マイフレンド!」

 

止めにと葵は両手を組み握り真喜の顔に対して全力で殴りつけようとするが。瞬間、葵の後頭部に何か叩きつけられる。

 

「東堂、後輩を殺す気か!やめなさい。」

「む、マイフレンドが俺のマイフレンド足りえるのか確かめていただけだ。」

「そんな事は別に出来るでしょうが!兎に角、任務あるから行ってきなさい。若干遅れてるわよ。」

「何!?そりゃいかん!...マイフレンド、お前の耐久力と攻撃力は認めてやる!じゃあ、又な!」

 

散々殴られた真喜は痛たっ...と徐に立ち上がる。

 

「庵先生、有難う御座います。」

「別に良いわよ、さっそくだけど貴方にも一件任務入ってるの即日で申し訳ないけど行って来てちょうだい。窓、補助監督の人が外に居るから。」

「了解。」

 

歌姫に仕事を伝えられ、学び舎の外へと向かう真喜。

 




いやクッソ進んで無いの阿呆の極み、切り方も雑やし。この回は読まなくてもいいのでは?次回に期待!
されても怖いけど。自分で書いてて足早かなぁ?と思いつつあります。最悪面白くないね。
まぁ、俺の小説だから面白くないのは絶対保証だけど。

お目汚し申し訳ない。


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易く、易い方へ。

普通にポ剣盾の世界に浸ってたわよ。
フェローチェLv100にするの頑張ってました。最高に可愛い。
今回律者の名前や神の鍵が出てくるんですが、其れの簡単な説明を後書きに記載しておきます。
後、オチョナンは検索するべからず。(だったはず、確か怖い系の奴)
多分オチョナンさん俺が書いた奴で認識あってるはず、間違っていたら申し訳ない。

後、相変わらず展開が駆け足に見えるかも。俺も見える。不思議。


「此処が道中お話した廃病院です。」

「うわぁ臭っ。成程ね、強くないけど多いパターンな、了解。」

 

実際に臭い訳では無い。咄嗟にそう言ってしまいそうになる程負が濃密なだけ。

事実真喜は四級なので高い等級の任務は相当に不足な状態でなければ割り当てられる事は無い。只、低い等級とは言え本来人類単体が保有するには濃密な負が一ヵ所に集合している。

だからこそ、臭くないのに臭い。

 

「では、帳は私が出しますので、お願いします。」

「あいよーっ。」

 

簡単なやり取りを行い、廃病院に入る。

 

「あぁせや、今後話判り易くする為にも負の塊の認識を正式に呪霊に変えとくか。見た目で判断された奴とか負の塊の認識やと意味わからんしな。」

 

頭に手を当て『自身が認識する『負の塊』を『呪霊』へと変換する為』思い付いた案を即行する。

負の塊の認識を呪霊へと変え、感じる負のみを呪霊が発する呪力へ変えず、そのままにしておく。

何より呪力なんかより負の方が認識し慣れている。

 

「いっそ崩壊ENとか使ってみるか。良いね、俺の能力が確り活きてくる。」

 

一階に負の塊(以後呪霊)の存在が認識出来ない為、のんびりと能力の駆使を考えつつ進む。

 

崩壊EN(エネルギー)は本来耐性の無い者が触れたり、耐性がある者でも許容値を超えれば身体に悪的影響を及ぼし、最終的に死に至らしめる決して良いとは言えないENである。

其れを、呪霊を殺す為のENとして改造し、使用する。

 

「言うてもそんなん怠いし、適当に崩壊ENで殴打された奴が分解されるように仕組むか。」

 

実際神の鍵である黒淵は死の律者のコアを組み込まれて作られており、その所為かあらゆるものを分解する特徴を持つ槍となっている。真喜はその黒淵の特徴を崩壊ENの存在そのものに注ぎ込む、そうすることによって崩壊ENを纏った拳で相手を殴れば容易く分解・殺害が可能になる。

 

「此れが、最高。」

 

一通りセッティングが済んだ事で二階へと歩を進める。

 

「病院って広いから案外沢山いると思ったんだけどなぁ。」

 

三階建ての廃病院、一階には居ない為に二階と三階に集中している事は想像に易い。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「これで三体目、後強いの二体と弱いの二体か。」

 

あれから、結局リーチがある方が安全と言う考えに変わり、黒淵を持って呪霊と対峙することにした。

黒淵の分解能力の御蔭で切り裂いたり突き刺したりすれば易く死ぬ為、危なっかしい場面何一つ無く呪霊を殺せている。

 

「二階部分は此れで終わってるから、次は三階かぁ。何か強いの怖いなぁ...。」

 

前は負の塊として認識してた為何とも思ってもいなかったが、呪霊として認識してる今、弱小呪霊でさえ奇怪な容姿をしており、強弱が変わればより見た目が変わると思うと、怖いものが苦手な真喜としては余り気が進まなかった。

 

そのまま三階に上がり直にある、左横の扉を開け、廃れた病室に入る。

 

「左奥、影とかに隠れてるタイプか?疑似空間干渉はなぁ、面の数が多いと強いんだよなぁ...。」

 

少し厄介なタイプの呪霊に当たった事に眉を顰めるが、一つ思いつき、廃病院前迄送ってくれた男性の補助監督に電話を掛ける。

 

「すんません監督、此の廃病院って潰しても良え奴?」

「はい、本来なら早くに取り壊し予定だったのですが、怪奇現象と共に人が死んでしまうと言う事で取り壊しが無期延期になっていたんです、ついでに壊しておいて貰えると助かります。」

「あいよーっんだら病院木端微塵にするんで離れといてくれさい、最悪余波で死ぬ。」

「畏まりました。」

 

相手の呪霊は未だ襲い掛かってくる気配は無い、恐らく一定の範囲に入る事によって襲い掛かってくるタイプなんだろう。なのであれば不用意に刺激する事無く、外に出て廃病院ごと潰す。したいけど。

 

「まぁ、多分無理。どうせ呪力無いと殺せんし。まま、ええわな、さっさ外出て病院壊そ。」

 

隠れている呪霊を刺激しない様に病院の外へと出て行く真喜。

廃病院前に着くと病院を前に壊す範囲を確認する。

 

「う~ん、約束の律者で結界張ればええか。」

 

瞬間出現した、廃病院の区画を的確に包む淡く光る金色の半球膜。此れより中は崩壊ENを始めとしたありとあらゆるENを無効化する為、ENに分類される全ては意味をなさない。因みに人類が約束の律者の結界内に居ると、生命活動に必須な生体電気が消滅する為、人間のみならず生物全ては機能不全で生命活動を終える。

 

「まぁね、おっさんはね、チート君なんでね、俺の放つENは無効化されませんのよ。」

 

黒淵の矛先に崩壊ENを纏わせ、左から右に掛けて一閃する。黒淵の矛先から放出された崩壊ENは黒淵の性質を孕んだ儘廃病院の一階部分、支えを悉く破壊し、分解していく。

 

大きな音を立て崩れる廃病院、勿論呪霊は死んでいないだろう。

 

「ん、やっぱり出て来たか、先ずは二体。」

 

瓦礫から這い出て来たのは六脚多眼の呪霊と左に弓形に体を曲げた腕と顔の無い呪霊。

 

「~~~~~~!!」

「~~、~~~~~、~~...。」

「あ?何言うてるか解らへんぞ。」

 

兎にも角にも猪突猛進な六脚多眼の呪霊を交わし、一切合切の攻撃手段が無い弓形の呪霊を十字に切り裂き分解して殺す。次に、矛先に崩壊ENを纏わせた儘黒淵を高速で回転させ、輪っか状の斬撃を形成し、今にも真喜を嚙み砕かんと口を大きく開け突進をかましてくる六脚多眼の呪霊に向けて放つ。

 

六脚多眼の呪霊は左上から右下に掛けて斜めに両断され、そのまま分解される。

 

「よぉし、此れで終わり。」

 

真喜が廃病院だった瓦礫に背を向けた途端、瓦礫が幾らか吹き飛び真喜に飛来する。

 

「あぁ、せやな余りもんおったなぁ~。」

 

真喜はその飛来した瓦礫片を黒淵で難なく分解する。

 

先に殺したのは残っていた弱呪霊、今出て来たのは此処では若干強い呪霊。真喜はその存在を忘れていた。

先の呪霊は等級にして四級、今這い出て来た呪霊は四級以上の推定三級の呪霊。心成しか四級より少し小さく形が整っている様にも見える。

 

「う~ん、あれか?呪霊も強くなればなるほど身体の形も人類に近づいて洗練された肉体を持ったりするんか?まぁ、それがテンプレートなお決まり展開よなぁ。」

 

そういうのは何処の世界にも居る共通存在なのかと真喜は再認識させられる。

 

推定三級の呪霊二体。

四本腕のさながらカイリキーの様な体系とオチョナンの様な、目と口が縦になっている奇怪な顔。

もう片方は、下半身同士を断面を合わせ前後逆に合体させたかのような形をしており、上を向いた後ろ向きの下半身の脚の間から首から上が生えており、顔は継ぎ接ぎで目や口は無い。

 

ホラーゲームに出てきそうな風貌の呪霊達は襲い掛かって来る様子は無い、恐らく病院内で見た一定範囲内に入らない限り襲い掛かってこないタイプの呪霊何だろう。

 

好機、その一定範囲外から強力な一撃を当て、一瞬で殺せばいいだけ。

 

「遠距離から...!そうか、天火聖裁の能力で呪霊の居る狭範囲を焼き尽くそうや。それが良い!」

 

言うが否や、理の律者の力で神の鍵である、炎の律者のコアを用いて造られた天火聖裁を作り出し形態変化。天火大剣へと姿を変化させ刃を形成、両手で柄と成った天火聖裁を握り顔の前に刃の腹が来るように真っすぐ構える。

 

「第零定格出力...はやり過ぎよな?」

 

空の律者の能力で空中に桃色に淡く光る極薄の円盤状の足場を形成しそこに足を付ける。

 

「発想を変えよう、天火大剣で放たれる炎を一時刃に渦巻く様に纏わせて、一定値で火炎放射の様に放って呪霊の居る半径六の狭範囲を焼き払う、其れで良き。」

 

一通り考えを呟くと天火大剣の切っ先を二体の呪霊に向け、炎を切っ先に蓄積させる。

 

蓄積され渦巻く炎は一定値に達し、棒立ちの呪霊に放たれる。

 

「~~!~~~~~~~!」

「~~~....。」

「相っ変わらず何言うてんのか分からへん。」

 

轟音を立て、爆裂する烈灼は本来焼くはずだった半径六を大幅に超え、十二程焼き払ってしまう。

そのまま立ち昇る烈灼は約束の律者の結界と帳を破壊し、尚天へと昇る。

 

「オーマイガッ...まま、ええか。」

「大きな音が聞こえましたが!大丈夫ですか!?」

 

帳の外で待機していた監督が焦った様子で駆けつけて来た。

 

「帳がいきなり破壊されて驚きましたよ。」

「あぁ、すまんの、俺の所為や。」

「はぁ...一体何をしたんですか?」

「うんや、巨大な炎で呪霊を焼き払ったらな、思いの外威力凄まじくてな。帳もパキィンした。」

「成程、帳を破壊するほどの攻撃には驚きますが何より無事でよかったです。帰りましょう。」

「ん、夜やしな。寝たい。」

 

そのまま車へと乗りこむ真喜と補助監督。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「それが貴方の武器ですか?」

 

真喜を京都校へと送る道、補助監督はバックミラー越しに真喜が抱える黒淵と天火聖裁を見る。

 

「うん、双銃の方が天火聖裁、真っ黒な槍が黒淵。黒淵の方は片割れに白花って言う白い槍があってな。二振り合わせて黒淵白花やねん。ま、槍は未完成の状態って事やな。」

「その、武器を作り出すのが貴方の力なんですか?」

「うんにゃ、基本俺の脳内でイメージ出来る事は何でもできる、只俺が力の使い方をこう云う風に縛ってるだけ。これ以外に上手い使い方知らんし。」

「成程、悪い方向に使われないだけマシ、でしょうね。」

「この世界の人類とか滅ぼしても何の得にもならんがね。悪い方向には使わんよ。」

「そうしてくれると助かります。.....もうすぐ着きます。」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「それでは、御疲れ様でした。」

「あい、お互いさまで。」

 

京都校に着いた補助監督と真喜は挨拶をし、別れる。

 

「戻ったのね、御疲れ様。」

 

帰った真喜を出迎えたのは歌姫だった。

 

「んぉ、庵先生。お疲れ様、お仕事は?」

「大きいのは終わってるわ、貴方の方は大丈夫だったの?」

「自分は武器があるんで。」

「そんなの持ってなかったわよね?」

「自分の力で生み出せるんで、其れですね。」

 

任務が無事終了した事、武器を自由に生み出せる事、真喜の知らなかった事を知り、最初の一つを除きメモを増やす。

 

「それ、書く必要あります?」

「一応よ、貴方は完全にイレギュラーな存在なんだから。いざって時に簡単に説明できるように材料を整えておかないと。」

「....?成程?」

「もう、遅いし寮に戻りなさい。」

「はい。」

 

歌姫に促される儘に寮へと歩を進める真喜。

 

 

 

 

 




以下の説明は紹介ページや俺のメモ帳から引用し、ほんのり文章を変えて記載してます。


第一律者/理の律者:構造を理解している物体を無から生成する能力を有する律者。無制限な分生成する量が多い程に、生成する物質が大きければ大きい程に崩壊Enが急速に身体を侵蝕する。
真喜の場合は存在さえ認識していれば構造理解の過程を無視して創造出来る。(こうでもしないと真喜が理の律者の力を使用できない為)

第二律者/空の律者:虚数空間を掌握し、空間の狭間を生み出す能力を有する律者。
瞬間移動やワームホールの生成を可能にし、崩壊獣の召喚と使役に加え崩壊現象の操作も可能。

第六律者/死の律者:あらゆるものを活性化させ再生・腐敗させる能力を持つ律者。

第七律者/炎の律者:分子運動を操作し、あらゆるものから熱や火を起こす能力を有する律者。大陸一つを火の海にすることも可能。

第十一律者/約束の律者:半径100km圏内に崩壊Enを含むありとあらゆるEnを無効化する結界を生み出す能力を有する律者。結界内では武器はおろか、生物に流れる微弱な電磁波すらも停止させるため、生物は機能不全に陥り生命活動を終える。

『神の鍵』黒淵/白花/黒淵白花:『創生の鍵』死の律者のコアが組み込まれた武器。対象を分解する黒淵と対象を治療する白花が存在しており、此の二槍を合体させることにより、黒淵白花となる。黒淵によって受けた負傷は白花でしか治療出来ないとされており、そう易々と攻撃を受けられない。
後、多分本編の黒淵は此の小説内程バグった性能してない。確実にこの小説の性能は盛られてる。(真喜調べ)

第零定格出力: 『聖槍・百年草』 対象が生きていれば、どんな瀕死からも完治させる圧倒的な治癒能力。

第一定格出力: 『聖槍開花』 広範囲攻撃だと思われる木々が鬱蒼とする。詳細は明らかになっていない。(真喜調べ)

第二定格出力: 『聖槍逆流』 名の通り力の働きを逆流、又は逆転させる力?こちらも明らかになっていない(真喜調べ)

聖血開放・白花都血:嘗ての使用者の家系、シャニアテ家の生まれのみが使える技、聖血の性質を持つ血色の巨大な槍を生成して放ち、対象の崩壊ENを消滅させる。

天火聖裁/天火大剣:『破壊の鍵』炎の律者のコアが組み込まれていて、神の鍵屈指の破壊力を持つ。普段は双銃状態でコアを分割し出力を抑えているが双銃を合体させ、大剣状態にすると、上昇するリスクに比例し威力も跳ね上がる。そのリスクは単純で反動で使用者自身も天火聖裁の炎で焼き焦がされる事。リスクを無視して使用できるのはとある審判級崩壊獣のDNAを持った人たちだけである。
天火大剣の状態でリミッターが解除されると、さらに変形し『劫滅』と呼ばれる最強の形態に変貌する。

劫滅:此の状態の最大出力は通常の三倍にも及び、周囲は決して無事では済まない。

第零定格出力:『天火出鞘』劫滅形態で放つ炎を纏った超火力の一撃。詳細は明らかになっていない(真喜調べ)


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無慈悲。

戦闘描写が相も変わらず糞雑魚蛞蝓なのは、生暖かい目で見て下さると幸いです。

後、虎杖君の髪色を桃色とかのたまってます。だってあれ桃色にしか見えんやろ!
あれで茶髪とか言われても逆にキレる自信あるで!?

これ、設定集とかって居るかね?未だ必要なのか解ってない馬鹿カスです。
宜しくお願いします。


京都府立呪術高等専門学校、其の校舎の外では拳や脚等の五体がぶつかり合う音が幾度となく響く。

 

「最近、確り力と速度伸ばしてんねんな。他人事にゃあなるけぇ、俺としては嬉しいよ。」

 

「貴方の力から生み出された偽物の律者である私達は、貴方を護りたい訳ではありません。貴方に護られたい訳ではありません。貴方と共に並走し、歩み続けたいのです。」

 

灰色長髪の少女は真面目な面持ちで真喜にそう述べる。

 

真喜の体内には第一律者から第十四律者迄の、第十三律者を除いた計十三人の律者が存在する。それら全ての存在は、真喜が資料や実在を参考にし、偽物ではあるモノの律者を家族として創り出した。

そんな偽物の律者からすれば真喜の戦闘力は、強力無比でありとあらゆる全てを塵芥として無に帰す力を持つ。だからこそ、灰色長髪の少女を始めとした十三人の律者は真喜の体内で力の源泉をも利用し、鍛錬を積み能力を鍛え上げ真喜と肩を並べんと張り切っている。

 

「さよか。俺からは頑張れとしか言えんやが、殴り合いたいなら何時でも言うてな。付き合うし。」

 

「えぇ、御心配なく......元よりそのつもりです。」

 

「ほんじゃあ、休憩終わり!再開すんで。」

 

その言葉を合図とし、両者は構えを取り戦闘態勢へと移行する。

 

 

両者同時に踏み込み拳を突き出す。真喜の拳は少女の下腹部命中する、然し少女もそれでは攻撃を止めず、力を込めて振りぬかれた拳は真喜の顔面へと吸い込まれていった。

結果両者は後方へと動かざるを得なかった。少女は俯き、両足を地面に擦り付け後退し、真喜は顔面を殴られた勢いの儘、顔を下に向け地面に叩きつけられ乍ら後退する。

思いの外軽傷だった少女は爆発的な速度で駆け出し、起き上がらんとする真喜の首に手刀を力いっぱい叩きこむ。

真喜は顔面を殴られ事で鼻が完全に潰れきり、其の事象に気を取られていた真喜は、少女の手刀に気づく事無く其の儘首を切断された。

 

 

「ふむ......今回は私の勝ちですね。」

 

一人の男を殺した事に何の事も無く、迅速についた決着の余韻に浸る。

 

「寝てないでさっさと起きて下さいよ。此れじゃあ私が真喜のことを殺した犯人みたいですよ。」

 

「ん"ん"~」

 

首を切断されて尚、関係ないと言わんばかりに唸り声を上げる死体。その死体は赤い液体と化し、首が切断される前の人型へと整形される。

 

「う"ぁ"~......普っ通に鼻が有りえへん位に痛すぎる。」

 

「殴り潰しましたしね。......携帯鳴ってますよ。」

 

突如震える真喜謹製のデウスモデルの携帯端末。それはある場所の呪霊を滅しろと言う簡易な内容だった。

 

「内容は何でした?」

 

「呪霊殺して来いやゲボカスがぁって内容やったわ、序やし一緒に行こうぜ。」

 

「呪霊ですか、貴方の中からした見ていませんでしたね、対面するのも悪くないでしょう。......行きます。」

 

少女の言葉を聴いた真喜は、相槌を返すこと無く目的地へと足を運び始めた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

前回の廃病院とは打って変わって、人が通りそうな場所に在る廃ビルだった。

 

「小汚っ。」

 

「廃れてますから仕方ありません。然し、此処迄大幅な移動ってするもんなんですか?」

 

「無いやろ、京都から東京て、東京に呪術師が居らん限り考え難いやん。」

 

「可能性としては、貴方を良く思わない人が此の任務を差し出したって事ですかね?」

 

「大いにあるやろげ。庵先生が言っとったがな。『真喜は完全にイレギュラーな存在だからいざと言う時に簡単に説明できるよう、素材を整えなきゃ』って。俺とは何かを軽く説明した際、将来的に発生する有りもしない被害を考えて、俺を任務と称した死刑に持ち込むつもり......でも何も不思議でもないやな。」

 

「行き過ぎた力は周りに恐怖を伝播させますしね、その所為でもあるのでしょうね。」

 

「武器作る力しか披露してへんけどな。」

 

「じゃあ、とんだビビリと言う事で片づけておきましょう。」

 

「そうそう、上層部は腐っててねぇ~、どうも一筋縄じゃ行かないんだよねぇ。」

 

「「?/!?」」

 

先程迄聞こえなかったどうも軽い男の聲、真喜は『何や?』と振り返り、少女は思わず肩を跳ねさせ勢いよく振り返る。真喜と少女の話は聞かれていたらしい。

 

「君達、何者?」

 

高身長の男は高い背丈を低くし真喜達に目線を合わせ覗き込む。どうも真喜達本人と言うより、真喜達の中に存在する何かを視ていると言った方が適当らしい。

少なくとも真喜は高身長の男が自身の目を介し体内を覗いている事は、纏う雰囲気からも容易に感じられた。

 

「先生?その人達って呪術師なん?」

 

「呪力も感じない、少なくとも呪霊ではなさそうだが......おかしいぞ。」

 

「じゃあ呪詛師?って事も無いのよね、いっちょここいらでやっとくかぁ?」

 

「いや、それはいいよ、僕は君達の事を知りたいんだよね。何で此処で立ちながらのんびりと会話してたのか。教えてもらえるかな?」

 

先生と呼ばれた高身長の男とその背後に居る二名の男子と唯一の女子。桃色短髪男子が高身長の男の事を先生と呼んだ事から、在校生と教師の間柄である事を知るのは容易だった。

 

「まぁ、歌姫からは『武器を造る能力を持った黒色長髪の男が京都校に一人入ってきた、イレギュラー過ぎるからその男に関する情報は集め次第小出しでも共有する』って言われてたし、君達の事でしょ。」

 

「で?聞きたい事って何ですか?迅速に行動した方が良いのでは?」

 

少女は高身長の男にそう返事する。

 

「うん、だから誰かって知りたいんだよね。歌姫からの情報を待つより今此処に居る本人達から情報貰った方が効率良いでしょ。」

「あっ、悠仁と野薔薇は其処の廃墟に居る呪霊祓って来てね。恵は僕と一緒に待機。」

 

「おっけー!」

 

「んじゃ、ちゃちゃっと終わらせて来るわ。」

 

桃色短髪の男子、『悠仁』と茶色短髪の女子、『野薔薇』は先生に言われた通りに廃墟へと入りこんでゆく。

残ったのは真喜と少女、高身長の男と恵と呼ばれた癖毛が凄い黒髪の男子の四名。

 

「良し!っじゃあ君達の事、聴かせて。」

 

「私が説明するより真喜が説明した方が良いでしょうし、私は黙ってますよ。」

 

「あいよー。んじゃあ、俺が何者かって事やろ?」

 

顎に手を掛け唸り声を上げる真喜。自身の存在を明かす必要性は無いように思える、此処で相手の高身長の男に話すべき内容は......。

 

「俺は異世界から来た...って言っても信じられるけ?」

 

「異世界だと?」

 

「信じられない、とは言いたい処だけど。君達から感じる力は少なくとも現代には存在しない類のモノなんだよねぇ。」

 

黒髪の男子は懐疑の視線を送って来る。当然と言えば当然ではある。傍から聞けば頭のイカレタ奴だと思われても可笑しくない。

一方、高身長の男は座り込み、自身の膝に肘を付き頬杖を付いている。

 

「其の力って何なんですか。」

 

「僕は知らないよ。じゃあどうするか、簡単だよね!君、その力は僕たちにも言えるモノかい?」

 

「全然話せるよ。」

 

その言葉で一つ区切り、咳をつく真喜、一拍付けて話し出す。

 

「この世界に措いて未知となっているこの力は『崩壊の意思』。秀でた文明とその文明を築き上げた種族を滅亡させんとする、ある種の『地球の意思』と言っても過言ではない力、やね。宇宙の調整律動とか言われてたりもする。」

 

「人類の文明を......。」

 

「でも、君達は僕達を攻撃する意思を見せていない。少なくとも敵じゃあないよね。」

 

「異世界に来た時点で、『崩壊の意思』の根源は俺にある。俺がそういう意思を見せへん限り崩壊が人類とその文明に牙を剥く事はあらへん。」

 

勿論、本当に崩壊の意思の根源が真喜にあると言う訳では無い。実際に崩壊が出来る事は粗方出来る為、そう言っても差し支えは無いと言う事である。

筆頭は律者。偽物ではあるモノのこの世に確りと存在している、此れは崩壊によって人間が律者へと変貌する、『人間が律者に変貌する過程』を飛ばし律者を直接産み出している。

過程を省いた生産と言う点ではある種崩壊を上回っていると言っても嘘ではないだろう。

 

「成程ね、じゃあこの廃墟の前で突っ立ってた理由は?」

 

「此処で呪霊殺して来いやって言われたから。」

 

「此処で呪霊を?でも東京校にはこんな生徒居ませんでしたよね?二年とか三年ですか?」

 

「いや、東京校には居ないよ。その上誰かに呪霊を祓えって言われてるんだったら、京都校から来たんでしょ。わざわざ京都から此処迄派遣するのは珍しいけどね。」

 

「正解、こっちは上がビビり散らかして任務に当てて殺したいんじゃね?って思ってたけど。頭冷やして視た感じ弱いし、馬鹿やね。」

 

「上層部をビビリって君も言うねぇ。」

 

「何処の世界でも上層部が腐ってるのはある意味常識だしな。基本保身馬鹿とか頑固馬鹿とか盲目馬鹿ばっかやしな。」

 

高身長の男は真喜達が自身達に敵意が無い事、力の大まかな概要を聴いて安心した、又は一段落着いたのだろう。それ以上は聞いてこなかった。

 

「おっ、大丈夫らしいね。」

 

突如廃墟の窓を突き破って飛び出してきた低級呪霊、逃走を試みたのだろうが全身から大きな棘の様なものが幾本も生え、絶命した。

 

「凄ぇ、ハリセンボンやん。」

 

「良いね、イカレてる。」

 

「イカレてるとええんけ?」

 

「呪術師をやる以上、正気であればある程辛いよぉ?」

 

「なーる、理解。」

 

「先生!終わったよ!後、子供も居た。」

 

「まっ私に掛かればこんなもんよ!」

 

「うん、悪くなかったよ。その子はこっちで送り届けてあげよう。」

 

「ほな、此処でお別れって事で、さよなら。」

 

「京都校って事は行事で東京校とも絡みあるだろうし、そん時はよろしくね。」

 

「あいあいさぁ。」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

あの後、例の五人組と少年を廃墟前で見送った後、真喜は空の律者の力を使い、虚数空間を経由して京都校に帰り、東京校の高身長の男達と会って会話した事と結局そいつらに呪霊が盗られて自身は呪霊を殺害出来無かった事を歌姫に話した。

 

「五条と会ったのね、何か変な事言われたりしなかった?」

 

「いんや、何も。」

 

「そう、なら良いわ。あいつは能力だけは確かだけど性格はもっぱらクズだから気を付けて。」

 

「あぁ、まじ?そんな感じせえへんかったけどなぁ。」

 

「任務中とかは普通に会話する事もあるし其れでしょ、基本目上の人でも煽ったりする位だもの、あいつ。」

 

「成程、了解。」

 

高身長の男改め、五条。名を聞いた真喜は彼奴は誰なんだ問題から解放され、胸の中の霧を少しばかり払う。

真喜個人としても気になるのはあのアイマスク。意味も無くつけているとは思えないのだ。眼球には特殊な能力が存在しており、其れを晒すことによって事態又は自身を窮地に追いやる代償があるのか。例えば『眼球を晒すことによって能力は自動で発動されてしまいそれによって疲弊する、又は眼球を見られただけで能力が看破される程の希少で判り易い眼球を持っている』とか、『アイマスク自体に仕掛けが有り、目元に被せる事によって眼球の能力を抑え、自身に対する付加又は周囲に対する被害を抑える』等。

真喜自身、生前に其れっぽい設定の漫画やアニメを見ていた事もありある程度の予想は立てられるものの、やはり答えが無いと不安なものだ。

 

「ん"ん"~。」

 

「何唸ってんのよ。此れ、四級呪霊祓って来て。」

 

「んぁ、了解。」

 

五条の不思議マスクを気にして唸っている処を新たな任務に迎えとお達しをもらう。

簡単な概要が記された紙を受け取った真喜はそれに視線を落としながら踵を返し、歩き出す。

 

「おい。」

 

が、足を止める。

 

「あら、何かしら?」

 

「何でお前が居んのんじゃ。」

 

「ふふっ、何でも良いじゃない、大体ラットさんの体内で悪戯する娘なんて一人しかいないでしょ?」

 

「はぁ.....。」

 

足を止めた理由、それは本来居るはずの無い人物が自身が振り返った先に居たから。

 

「識か。」

 

「えぇ、あの娘。ラットさんの力の源泉と力を使って偽物の火を追う十三英傑を面白半分で産み出してるのよ。」

 

「まぁ、じゃないとメビウスが此処に居る理由が意味不明やもんな......ビビるわぁ~。」

 

「それで、呪霊ってのを狩りに行くんでしょ?私も同行して良いかしら。」

 

「まぁ、其の程度やったらええが。」

 

真喜はそのまま歩き出し、メビウスも浮遊する被膜を纏った太いケーブルの様な物が複数本垂れている椅子の様な物に腰を下ろし椅子ごと移動する。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「そして着きました。旧い廃屋です。過去燃焼して放置されて長く家屋の持ち主は当然死去、付近の草花ごと燃えた家屋は何処か薄暗く一人として近寄らなかったそう、勿論ビビってな。結果呪霊発生に繋がったらしい。」

 

「ふーん、呪霊の狩りって夜中にするのね。」

 

「呪霊は基本悍ましい見た目しよるからな、それに一般人が恐怖すれば負の感情が其の呪霊に集まって結果として呪霊を強化するオチになる。つまり一般人に見られずに殺すのがベストっちゅう訳やな。」

 

「成程ね、この世界の人類も難儀なのね。」

 

「呪力が存在してる時点に難儀しない訳が無い。」

 

長く話していたメビウスと真喜は旧く燃焼跡が酷い家屋へ踏み込んで行く。

 

「燃焼と時間経過の二重奏で臭いがエグうなっとるなぁ。」

 

「そうね。」

 

真喜は嫌な臭いから眉間に皺を寄せながらも屋内へ踏み込む、メビウスは何処から取り出したのか黒と緑のガスマスクの様な物を取り出し装着する。

 

「奥、弱いのが一匹居る。」

 

真喜はメビウスを手で静止させ、そう告げる。

 

「ねぇラットさん、私がやってみてもいいかしら?」

 

「えぇ?何でェまた。」

 

「んふっちょっとした好奇心よ。私が創り出された頃には呪霊の対応策は既にラットさんが実践してたわよね?だから攻撃面も問題無いわ、一瞬よ一瞬。」

 

「そうけ、ほんならええよ。」

 

真喜はその場で待機、メビウスはそのまま奥の部屋まで進む。

 

襖と押し入れの角がくっつく隅で、何かに怯える様に蹲っている呪霊が居た。

 

「此れが呪霊なのね、思いの外醜悪な見た目じゃない。まぁ、其れは何も悪い事じゃないわ。」

「でも貴方は駄目よ。呪霊は人類の負の感情から生まれるのよね?だとしたら貴方は人類に産み出された被造物か、人類から生まれた赤子になるわね。此れの内赤子に定義した場合、貴方は蹲ってばかりで何も進もうとしない。」

「進化の過程は美しくない。醜いのよ、最高にね。けれどその醜悪な過程を経験しないと命の美しさを知れないの、美しくなれないのよ。」

「だから、貴方はそんなに醜いのね。」

 

メビウスが腰かける椅子からは、黒色の緑のパールセントが顔を覗かせるヘドロが滴り落ちており、それが蹲り動きもしない呪霊を取り込み嬲り殺して行く。

 

「で?お前は何言うてんのや。」

 

「ラットさんもそう思わない?」

 

「メビウスの言う事を完全には理解出来ないし、完全に理解出来ていない訳でも無いけどや。」

 

「えぇ、それで良いの。ラットさんは足りない頭を精一杯動かして私を理解しようとしてくれてるのよね。それで十分よ、ラットさん。」

 

「さよか、それで呪霊は殺せるんけ?」

 

「えぇ、じきに消えるわ。」

 

「ん、んだら帰ろか。」

 

メビウスの言う通り任務は容易く片付き、早々に帰る事が出来た。恐らく、真喜が崩壊ENに黒淵の性質を融合させたのを真似たのだろう。此処に存在しているメビウスは間接的とはいえ真喜から生まれた存在。概念の抽出や注入が出来ても何も可笑しくは無いのだ。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「えっと、無量塔君。その娘誰ですか?」

 

「くはぁ.......まぁこうなっても不思議ちゃうよな。」

 

京都校の寮へと帰る際、メビウスに自身の体内へ帰っておく事を伝え忘れ帰還した結果、霞のみだがメビウスの存在がバレた。

 

「こいつは、俺の家族よ。うん。」

 

「えぇ、そうね。メビウスって呼んでくれて構わないわよ。」

 

気まずい表情をした真喜と打って変わって、メビウスは可愛らしい笑顔を浮かべており、霞に対して手を振りながら気軽に二人称を提案している。

 

「えっえっはい!これ、実は不審者ってオチは?」

 

「無い、無いわな。マジであらへんから安心しろ。」

 

「必死ですね.....わかりました、信じます。余り不用意に表に出てこない方がいいと思いますよ。メビウスさん。」

 

「えぇ、此れからはラットさんの中から貴方達を見てるわ。」

 

「其れも怖いのですが....。」

「それでは、三輪は部屋に戻りますので!」

 

霞は片手で簡単に敬礼をし、小走りで去っていく。

 

「いんや、怖っ!」

「メビウスももう戻っときんしゃい。」

 

真喜も大幅な移動を行って疲労しているからか欠伸をしており、ゆっくりとした足取りで部屋へと戻っていく。

 

「メビウス?」

 

何時までも一つの存在が自身の体内へ入って来る感覚が無いため、不思議に思った真喜は振り返る。

其処には先程迄可愛らしい笑顔を浮かべていたメビウスは居らず、真剣な面持ちで真喜を見つめていた。

 

「どうした。」

 

「ねぇラットさん。貴方、朝に識の律者が言っていた事、覚えているかしら。」

 

「えぇ?俺と共に歩み続けたいって奴?」

 

「えぇ。ラットさん....いいえ真喜。」

 

メビウスにしては珍しい真喜に対しての固有名称での二人称。

 

「私達火を追う十三英傑。唯一の主君と道を違える事は無く、私達の意思は何処までも主君と共にある事。其れを此処に誓うわ。」

 

「そんなん今迄誰もしてこおへんかったぞ。」

 

「しなくたって貴方に対しての誓いは立てられるもの。」

「私は、私達火を追う十三英傑は言葉にして、行動に起こして違える事の無い誓いを立てたかったの。勿論貴方の中に居る私を含めた十三英傑は偽物よ。本物は崩壊世界に確り存在しているわ。」

「だからこそ、貴方から産まれた私達、偽物の火を追う十三英傑は無量塔真喜を唯一の主君として付き従う事を絶対とするわ。」

 

メビウスは、まるで王や王妃に跪いているかのように膝をつく。

 

「はぁ~......解った。其の誓いは確り結ぶわな、裏切ったら問答無用で存在抹消な。」

「こう言った手前俺は一体何を嫌うか知ってるよな?」

 

「えぇ、嘘を真実かの如く周囲へ伝播させる者や様、他者を自身の意思を持って明確に裏切る者や様。」

 

「そう、其れさえせんかったらええよ。って話しな。」

 

話を終え、真喜はメビウスへと歩みより未だ跪いているメビウスの頭を撫でる。

 

「もう戻り、寝ようや。」

 

「えぇ、そうするわ。」

 

最後に、メビウスは安堵したかの様な笑みを浮かべ真喜の影へと溶けていく。

真喜もメビウスが確りと自身の体内へと帰った事に認識すると、再度ゆっくりとした足取りで自身の部屋へと戻って行った。

 




おっす、急なシリアスモドキを済まない。

別に深い意味は無いの。しいて言うなら本物の火を追う十三英傑と偽物の火を追う十三英傑の区別をつけたかったのよ、勿論本物は出てきません。
律者も十三英傑も全員真喜から産まれた偽物の存在です。
唯、力の源泉に浸ったり飲んだりしている為、本物より強いのも思いの外居たりします。


力の源泉:真喜の莫大過ぎる力の搾りかすが純水になって真喜の体内に出来た泉。
     泉の中央には中規模の滝が永遠と打ち付けられておりこの滝も力の源泉。 
     飲んだり風呂として浸かったり、汁物料理の水として浸かっても能力は
     失われず確りと取り込んだ対象の能力や身体能力を強化する。
     此れにより、本来の能力から進化した能力を得る事も可能。


第八の律者/識の律者:意識を操作する能力を有する。
           対象に幸せな夢を体験させている内に死に追いやる。
           本体は精神世界に存在するが、現実世界の人間の意識を
           掌握し乗っ取る事が可能。
           インターネットを介し大量の人々を昏倒させる事も出来る。
           現文明に措いては対象の意識を操作し、
           ちょっとした感情の操作なども可能である。
           今の識は融合戦士フカの体を乗っ取った際の身体の為、
           身体能力が信じられない程高く、巨岩なら拳一つで木端微塵
           にする。


火を追う十三英傑/メビウス:無限の刻印を持つ十三英傑の一人。十三英傑には順位
              が存在しており、メビウスが持つ順位は『Ⅹ』。
              進化の過程で世界の真理を探究、其の為の犠牲は
              微塵も厭わない思いの外狂った思想の持主。
              蛇とも云われており、其の云われの通り瞳孔は蛇の様
              であり、緑色の長髪も毛先は蛇の舌の様に小さく二又
              に分かれている。十三英傑の名の元、戦闘能力は
              言わずもがなで十分に強い。
              艦長(真喜)の事はラットさんと呼ぶ。


火を追う十三英傑:崩壊獣のDNAが組み込まれた融合戦士の事。元は『火を追う蛾』
         これ等が『約束の惨劇』にて多数死亡し、十三英傑順位『ⅱ』
         エリシアが纏め十三英傑として再編された融合戦士達。
         十三人それぞれが刻印を持っており唯一エリシアの刻印のみ
         『■■』となっている。
         融合戦士は崩壊獣のDNAを持つ体質故、その崩壊獣の力を行使
         出来る英傑も居る。(例:順位『Ⅰ』ケビン)
         元は対律者戦闘部隊だった。


崩壊の意思:人類が文明を過度に繁栄させた結果、崩壊が発生し人類と対立する事
      となった。
      この意思は育ち過ぎた文明とその文明を築いた生命種を完全崩壊させる
      事を目標とする。言ってしまえば地球にとって害のあるものを排除する
      役目が崩壊なのである。人体が風邪を引いた際、其れと戦う善玉だと
      思えば理解が早いだろう。
      人類が力を付ければ付ける程、崩壊も力を付ける。
      これにより前文明では、文明が高度過ぎた故にそれが仇となり崩壊に
      一度敗北を喫した。


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